ToLOVEる 魔王降臨 (元気マックスssさん)
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トラブル1 魔王が現れた

二次創作を届けに来たぜ。


俺か不良と呼ばれるようになったのはいつからだろう。小学生の時に同級生を泣かせたときか?中学生の時に一度だけタバコを吸ったからか?それとも同級生や下級生や上級生問わず殴りまぐったからか?それとも。

 

「イギィ!」「ウガァ!!」「ギィア!!」

 

「チッ!……おいこら」

 

喧嘩売られたから買って、相手返り討ちにして金奪ってるからか?

 

「しけてんな、昨日殴り飛ばした奴より少ねぇぞ」

 

俺は不良それも異名つきの不良。ここら辺では『魔王』なんて呼ばれてる、そんな俺の名前は『江崎レイト』だ。

 

「つまんねぇしサボるか」

 

俺はそのまま学校を出て家へと帰った。帰る途中、五人くらい不良がいたので殴り飛ばして金ぶんどった。

 

 

 

 

「ただいま」

 

家に戻ってきた俺は帰ってきたことを告げる。玄関を見ると『美柑』の靴が置いてあった。あいつはもう帰ってきてるのか。

 

「おかえりー、あれ?学校もう終わったの?……って、またサボったんだね」

 

居間にいたのは従妹の美柑だった。そっか小学校はもう終わってるのか。美柑はムスッとした表情で見てくる。

 

「学校つまんないんだよ、たくリトは何が楽しくて通ってんだか」

 

俺はそう言い残し階段を上がって自分の部屋へと入った。

 

 

 

 

下から玄関のドアが開く音と共にリトの声が聞こえてきた。私服に着替えた俺はおもむろに時計を見ると立ち上がり机に置いてあった黒色の指なしグローブを持って部屋から出ていった。

 

「あれ、もう帰ってたの?」

 

階段の前にいたリトは俺が帰っていたことに気づき声をかけてきた。

 

「おう、ちょっと出るわ」

 

俺はリトに出かけるの告げて玄関のドアを開けて彩南商店街へと向かった。

 

 

 

 

彩南商店街の路地裏。彩南町は娯楽施設など色々な物が揃っている町であるが治安もまたよい方ではない。特にこういう路地裏の奥には不良が溜まり場として集まっていたりする。

 

「あん?誰だおまえ」

 

俺に気づいた不良が一人、その声がきっかけとなり奥からゾロゾロと不良たちが湧いてくる。

 

「ここどこかわかってる?」

「おれさー、最近金欠ぎみなんだよねー」

「けっこう可愛い顔してんじゃん」

 

俺は右手に持っていたグローブを両手に装着し目の前の標的たちを睨む。

 

「全員、病院送りにしてやるよ」

 

俺は目の前にいたリーダー格のような不良の顔面に当てる。

 

「ブッウ!」

 

結果として十人ほどいた不良たちは一瞬にして負けてしまった。俺は倒れた不良たちから盗った財布から現金を抜いて自身の財布に入れた。

 

「流石、ここまで数いたらけっこうな額になるじゃねぇか」

 

俺は膨らんだ財布をポケットに入れて路地裏から出てそのまま商店街を進んでいった。

 

 

 

 

夜、家への帰り道を通っていた時だった。偶々目線を上へ向けたのだがなにやらリトと桃色髪の少女と共に家の屋根を走っていた。

 

「なにやってんだ?あいつ、つか誰だあいつは。彼女か?」

 

するとすぐに黒いスーツを着た男二人が追いかけていった、いやホント何やってんの。

 

「まぁ、リトだしなんとかなるか」

 

俺はもう疲れたのでそのまま無視して家に戻ったのであった。

 

 

 

 

翌日の朝、食卓へと向かい部屋を出ると同じタイミングでリトも部屋から出てきた。何やらグッタリしている。

 

「あーー」

「……どうした、朝からグッタリして。二日酔いか?」

「違うよ、オッサンじゃないんだからさぁ。………昨日色々あったんだよ」

 

昨日、妙な格好をした桃髪の女と一緒に屋根を走っていた奴か、やっぱ彼女なのか?そのままホテルに行って色々ヤンチャしたせいでグッタリしてるか。

 

「リト、大人になったな」

「え?」

 

リトにそれだけ言い残し居間へと向かったのだった。

 

 

 

 

彩南高校にて、俺は現在担任の先生からの説教が終わり職員室を出て教室へ戻ってきた時だった。

 

「ねぇさっきの見た?」

「見た見た、変な服着てたけどスッゴい美人だったよねー」

「桃色の髪の毛とか綺麗だったねぇ、外国人かな」

 

桃色の髪に変な服?俺の中でそれに当てはまるのは昨日リトと走っていた奴なんだが。 

 

「…………行ってみるか」

 

廊下を出て少し進むと人が集まりいっぱいになっていた、通れねぇ。

 

「おい」

「なんだよ、ゲッ!?ま、魔王!」

 

魔王という一言だけで周りの生徒は皆は避けて道を作り出した。

 

「れ、レイト!」

「誰?」

 

リトは頬を赤めながら俺の名前を読んだ、頬が赤いのは桃髪の女がリトの腕に抱きつているからだろう。

 

「り、リト。………お前魔王とどういう関係なんだよ、舎弟か?」

「は?魔王?あ、あぁレイトは従兄だよ」

 

そんな返しに髪の逆立った男子は驚いていたが、桃髪の女は妙な道具を片手に持っていた。

 

「あ、作動しちゃった」

 

ボンッ!という音と共に煙が出てきた。煙が無くなると学生服と妙な服だけが残されていた。

 

 

 

 

それから数時間がたって空は暗くなり、星がキラキラと光輝いていた。

 

「………サボらずに最後まで授業受けたの何日ぶりだろうか」

 

そう、入学してから一ヶ月後に午後は抜け出しているという学園生活を送っていた俺は自分で自分のことを珍しいと感じていた。

 

「ん?………なんだあれ」

 

河川敷まで来ていた俺は遠くにリトと桃髪の女が一緒にいるところが見えた。それにあともう一人、知らない男もいた。

 

「また変な衣装を着た人が増えたな」

 

銀髪にマントそして鎧となんともまぁ凝ってんな、と俺は思った。

 

「…………!?」

 

驚いた、コスプレのイケメンはいきなり剣を出したのだ。最初は偽者かと思ったが、違う。

 

「…………へぇ」

 

俺はカバンに入れていた黒い指なしのボクシンググローブを両手に装着した。

 

 

 

 

「ララ様に見合うか否か!私が試させてもらう!?」

 

デビルーク星王室親衛隊隊長の座につくデビルーク星No.1の戦士『ザスティン』は目の前にいるデビルーク星の姫『ララ・サタリン・デビルーク』に見合う男なのか試すために愛剣である『イマジンソード』をリトに向かって降り下ろそうとした時だった。

 

「誰だ!?」

 

ザスティンは降り下ろすはずだった剣の軌道を横に走らせた。

 

「っぶな!それやっぱ本物なんだな」

 

そこにいたのは両手にグローブを装着したレイトだった。



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トラブル2 与えられた使命

漫画だけじゃなくアニメにも出てほしかったよ、トレイン。


俺は拳を前に突きだし構える。事情はよく分からねぇがとりあえず従弟が危険ってことは分かる、けどそれよりも俺は。

 

「………貴様、己よりも強いものが現れた時に興奮する戦闘タイプだな。王とまったく同じだ」

「オウ?ってのは誰かは知らねぇがお前は強いんだろ?最近つまんなくてよぉ。少しだけ俺の相手になってくれ」

 

後ろをチラリと見るとリトは震えている、それに対して桃髪の女は何事もないかのように自然体でいる。

 

「悪いが私は後ろにいる地球人がララ様に見合う男なのか確かめねばならない、そこをど、っけ!?」

 

俺は鎧イケメンの顔面目掛けて右の拳を放つ。油断していたのか鎧イケメンは後ろに大きく下がった。

 

「驚いた、地球人は貧弱と聞いてたが。いるにはいるのだな、しかしこのデビルーク星王室親衛隊隊長の首は容易く取れん」

「どーだか、これでも伊達に魔王なんてあだ名で呼ばれてねぇから、な!!」

 

お次は右のストレートと見せかけ顔面目掛けてハイキック、しかし相手も相当な手練れだ。簡単に避けられた。

 

「………チッ!当たれよ、んで死ね」

「急に口が悪いな、まぁ私もデビルーク星ではNo.1の戦士と呼ばれていてね、そう簡単には当てられないさ」

 

そして俺は気づいた。俺のハイキックは避けて上の線路へと着地した鎧イケメンなのだが。

 

「ん?どうした地球人構えを解いて」

「あぶないよー」

 

ズドッ!という音を響かせ鎧イケメンは宙を舞った。そのままコンクリの壁に激突。

 

「こてつっ!?」

 

と、とても情けない叫び声と共に鎧イケメンはズルリと地面に倒れた。

 

「なんだ、やっぱギャグなのか?これは」

「うおおぉぉぉぉぉおお!!!」

「おわっ!」

 

急に雄叫びをあげて起き上がった、頭からは血がドバドバ出ている。錯乱したのか?今度は剣をブンブン振り回してきた。これじゃあキチガイに刃物、めっちゃあぶねーな。

 

「ヌベッ!!」

 

また転んだ、今度はララと呼ばれる桃髪の女が足を引っかけて、いじめか。

 

「ら、ララ様?」

 

鎧イケメンは困惑した目でララと呼ばれる女を見る。ララは怒ったような表情で言った。

 

「んもぉー!デビルーク星No.1の戦士って呼ばれてるザスティンに地球人が勝てるわけないじゃない!」

「し、しかしララ様。これは」

 

なんだ、さりげなく俺は勝てない発言されたんだが。まぁ、それはいいとしてリトも走って追いかけてきたようだ。

 

「これはララ様に見合うかどうか確めるものでして」

「もう!婚約、婚約って!パパへどーせ私より後継者の方が大切なんでしょ!」

「そ、そんなわけ『いい加減にしろっ!!!』

 

その時、滅多に怒らないリトが怒鳴った。珍しいこともあるもんだと思い俺は怒るリトを眺めていた。

 

「人のことかってに縛りやがって、普通の生活させろよ!もうこれ以上好きでもねー奴と結婚とか。……だから、もう帰ってくれ!」

 

俺はその時、鞄を河川敷に置いてきたことを思いだしグローブを外して静かにその場を去った。去り際にリトの怒号が聞こえてきた。

 

自由にさせろよ、と。

 

 

 

 

湯船に浸かり今日あったことを思い出す、ザスティンと呼ばれる戦士に様付けされているララとかい桃女にデビルーク星と言われる星。

 

「宇宙人とでも言いたいのかよ」

 

でもだとしたらあの身のこなしはどう説明するのだろうか、電車に跳ねられても平気でいられるほど頑丈な体。

たぶん、普通にプロボクサーの選手や空手家などが正面から電車にアタックしても軽傷じゃ済まないと思う。

 

「面白くなってきた」

 

今まで抜けてた何かが埋もれたような気がした。

 

 

 

 

うわぁ!!そんな声が俺の目覚まし時計となった。その声の発信源はむかえのリトの部屋だ。

 

「ん、朝からうるせぇ、な」

 

俺はリトの部屋に入り忠告しようとしたのだが、リトのベッドにはもう一人。桃色の長い髪に大きな胸、そして腰の辺りから生えている黒い尻尾。

 

「………学校休むか?」

「ちがーーーう!!!」

 

リトの声は家中に響いた。

 

 

 

 

「ふーん、結局お前は宇宙人なのか」

 

俺はあのあとリトに直接話を聞いた。ララ・サタリン・デビルークは宇宙を支配するデビルーク星のお姫様。んで婚約すんのがイヤで地球に避難したら偶々、リトと出会い惚れたと。あ、ちなみ惚れたのなんだのはララから聞いた。

 

「なー、お前のパパってやつ。デビルーク王は強いのか?」

「んー、強いよ!たぶんこの宇宙で一番強いと思う!」

 

その言葉を聞いてますます面白くなってきた。宇宙最強の男、いったいどんな奴なんだろうか。

 

「レイトはなんでそんなに強いのー?」

「んぁ?俺か…………まぁ、自然とこうなったかな。喧嘩ばっかしてたし」

 

そんな俺の返答にララはふーんと頷く、聞いておいてその反応ですか、ともツッコミたくなったがそれじゃあもう終わりそうにないのでやめた。

 

 

 

 

昼休みが終わり午後の授業の最中、クラスの皆は全員俺を見ている。

 

「え、えぇと。江崎くん?」

「あぁ?」

 

俺が午後の授業にいるのがそんなに珍しいのか、担任の先生は困惑していた。

 

「ひや、なんでもありません」

 

昨日も俺は学校にはいたが、授業をサボっていない訳ではない。

 

「…………ん?」

 

外を眺めているとグラウンドでは女子が体育の授業を受けていた。だが、それよりも違和感を感じるものがあった。あれは、佐清(さすが)とか言ったか?なんか前見たときよりも、人間味を感じない。

 

 

 

 

その日の放課後、俺はリトと共にザスティンの元に来ていた。

 

「んだそれ?」

 

ザスティンが持っているのは宙に浮く結晶。ザスティンをそれについて説明し始めた。

 

「今日は結城リトそして江崎レイト、君たちに王直々からメッセージを持ってきた」

「俺も?俺は結婚だのには関係ねーんだけど」

 

まぁ、聞いてくれとザスティンは言う。ザスティンは例のデビルーク王について話してくれた。

 

「ようは全宇宙を支配する凄い人なんだろう?」

「そういうことだ、では心して聴くように」

 

ブォンという起動音をたてて音がなった。

 

『よぉ、結城リト』

 

威厳のある声、リトの方をチラリと見ると少しだけ震えている。緊張しているせいか。

 

『ザスティンから話は聞いてるぜ。てめぇをララの婚約者(フィアンセ)の一人として認めてやる!』

 

やはりそういう話か。分かってはいたがこういう話なら、俺は尚更いらねぇのでは?と思ってしまう。

 

『地球人は貧弱らしいがな、あのララが初めて好意を抱いた程の男だ。……俺はお前の器に期待している』

 

話がどんどん大きくなってくるな。リトは冷や汗ダラダラだな、だがそれがどれほど重要なのか伝わる。

 

『いいか、いずれ俺が決める「婚姻の義」。それまでララを守りとおして見せろ。………そして江崎レイトだっけか?』

 

ん?俺にも何かあるのか?いや、俺は無関係なんだが。

リトの方を見るがリトは横に首を振る。

 

『てめぇにララおよび結城リトの護衛を任せる。言っとくがてめぇに拒否権はねぇ』

 

は?さっきリトにララを守りとおして見せろとかどーのこーの言ってただろ、なんで俺。

 

『てめぇのこともザスティンから聞いてる、なんでもザスティンと渡り合ったそうじゃねぇか。その実力を見込んでのことだ。結城リトのことは既に全宇宙に伝わっている、こいつを狙う輩がやって来ることはもう一目瞭然だ。婚姻の義まで守って見せろ、もし他のやつにララを奪われたりしてみろ、そんときはてめぇらの命とこのちっぽけな惑星(ほし)ごとぶっ潰す。…………覚えとけ』

 

ブツンと切れてしまった。ザスティンは結晶をしまい俺たちを見る。

 

「言っておくが、かつてデビルーク王の怒りを買った輩がいたが、そやつは母星ごと消された。………すなわち、君たちが王の期待に背いた場合、地球は消滅する」

 

デビルーク王、とんでもない男に目をつけられたな。俺としては面白くなってきたので申し分ないが、リトはどうもダメみたいだな。

 

「ち、地球が消滅」

 

俺は白くなって倒れるリトを放って家へと帰ったのだった。



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トラブル3 宇宙からの侵略者

な、なんてことだ。












昨日、デビルーク王直々から使命を与えられた俺は期待とやらに背かないために登校と下校は一緒にすることにしたのはいいが。

 

「リト!」

「だ、抱きつくなって!」

 

朝っぱらからずっとこんな感じだ、小さい頃からアイツといるがまさか全宇宙を統べる惑星の姫様に好かれるとは。

 

「おいリト、近所のババアどもが見てるぞ」

「お、オレじゃなくてララに言ってくれ!」

 

そこから少し歩いて学校に着いた、校門にいたのは佐清だった。俺はこの間のことを思い出す。

 

「…………」

  

前にグラウンドで見たアイツの目、そして雰囲気。最後にデビルーク王が言っていたリトたちを狙う宇宙人。

 

「リト、気をつけろよ」 

「え?どういうこと?」

 

俺はララとじゃれあうリトを置いて教室へと向かった。

 

 

 

 

俺の不安は放課後まで続いた。昼休みや授業中にサボったりして佐清を見張ったりしていたが、特に目立ったところはないが、気になったのはやたらと女子を見ていたことだった。

 

特に西連寺とかいう女子を見てた、もしも宇宙人とかじゃなく普通の人間だったらそれはそれで危険だ。

 

「リト、帰るぞ」

 

俺は一年A組の教室へと入るがそこにリトはいなかった。俺は偶々そこにいた男子に問いかける。

 

「おい」

「は、はい!」

「結城リトはどこだ」

「え、えとぉ」

 

A組の男子はビビってるせいかヘナヘナしながら中々喋らない。

 

「リトならさっき走っていきましたよ」

「あ?」

「あっちの方へ、なんかめっちゃ焦ってたけど」

「………!?」

 

まずい、呑気にしてた場合じゃなかった。例の宇宙人がリトとララを狙いに来たんだろう。俺はリトが向かった場所まで走っていった。

  

 

 

 

「春菜ちゃんを離せ!!」

 

オレはそう叫ぶ、目の前にいるギ・ブリーと名乗る宇宙人に向かって。自分が非力なことぐらい分かってる。

 

喧嘩なんて小学校以来してないし、喧嘩といっても口喧嘩しかしたことないし。あ、一回だけ殴りあいの喧嘩はしたことあるな、レイトと。

 

オレの後ろにはララがいる、それに対して目の前には真の姿を見せたギ・ブリーはめちゃくちゃ強そうだ。

 

「キヒヒヒ、さぁ早くララを渡せ!さもなくばお友達の血を見ることになるぞ!!」

 

クソ!このままじゃ春菜ちゃんは。俺は今どきになって深く後悔した。ララの親父はは期待しているとか言ってたけどオレの器なんてたかが知れてる。

 

「ララ俺がアイツの注意を引くからおまえはその隙に春菜ちゃ…西連寺を連れて逃げろ!」

「その必要はねーぜ」

 

その聞きなれた声にオレは目を見開く。後ろ振り返りるとそこにいたのは汗をかいたレイトだった。

 

「クソ!少し遅かったな。………やっと会えたぜ宇宙人!さぁお前の本気を俺に見せろ!」

 

助けに来たと思ったけど強敵狙いだったのか、いやまぁ分かってはいたけど。

 

「ひ、なんだお前は!」

「俺か?俺は『魔王』だ!」

 

というかザスティンの時もそうだったけど何気にその異名気に入っちゃてるよな。

 

「お、女がどうなってもいいのか!?」

「そ、そうだ春……じゃなくて!!!西連寺を助けてくれ!」

「知るか!」

 

えぇぇぇ、ヤバイよ。この人目の前の強い敵にしか興味持ってないよ。

 

「く、くそ!それ以上近づいたらこの女を!ホントに殺っちゃうぞ!ホントだぞ!」

「知らねぇよ、殺るんならとっとと殺れよメンドクセー」

「いやそれが一番ダメだから!!」

 

レイトは片手に持っていた黒い指なしのグローブを両手にはめた。

 

「来ねぇならこっちから行くぞ!!」

「ひひひぃ!!ごめんなさい!?」

 

ピタリとレイトは足を止める。今の言葉には俺もララでさえもギョッとなった。

 

「は、はぁ?」

「は、ち、ちが!フン!それ以上近づけば女の体はどうなるか分かっているのか!」

「いやそれさっき聞いた」

 

な、なんだ?ギ・ブリーの奴さっきとはまったく態度が違うぞ?これってもしかして。

 

「チッ!意味わかんねぇ、もっかい行くぞ!」

「ひひひぃ!!」

 

ギ・ブリーはボールに転けて頭を地面にぶつけた。その次にギ・ブリーは頭を抱えながらのたうち回っていた。

 

「いたい!死ぬぅ!!」

 

そういえばザスティンが言ってたな、皆が皆強いわけじゃないって。

 

「ッガ!!」

「とんだ見込み違いだ」

 

レイトは右足をギ・ブリーの顔面めがけて蹴りあげた。

重すぎた一撃を食らったギ・ブリーはそのまま気絶、その後ギ・ブリーは段々体が小さくなったのだ。

 

「なにこれ?安っぽいマスコットキャラみてーな体」

「さ、さぁこれが正体?」

『おや?これは「バルケ星人」ではないですか!』

 

バルケ星人?こいつのことか。俺はギ・ブリーの首を掴みまじまじと見つめる。

 

『優れた擬態能力を持つ代わりに肉体的にはひ弱な種族ですぞ』

 

は、ハッタリかよ、なんつーか残念すぎてなにも言えない。逆にかわいそーだな。

 

「なぁ、もしかして宇宙人ってのはデビルーク人以外はみんなこんなのなのか?」

『いえ、デビルーク人と比べるのもどうかと思いますが、宇宙には「殺し屋」なども数多くいます。中にはデビルーク人と同じようなステータスの高い種族も数え切れない程いますぞ』

 

それなら良かった、俺はほっと安心する。せっかく面白くなってきたのに一気に萎えるところだった。  

 

「さてと…………後は頼むわ」

「えぇ!?」

 

誰が後片付けなんてメンドーなことするかってんだ。俺は窓から外へ出てそのまま家へと帰った、護衛任されてるけどもう何もこないよな、たぶん。

 

 

 

 

「ただいまー」

 

家へと戻ってきたことを告げて俺は居間に入った、居間にいたのは美柑だった。

 

「おかえり、………ムフフ」

「な、なんだよ」

 

いきなり変な笑い方をした美柑に俺は戸惑った、美柑はニヤニヤと笑っており、俺をジーっと見つめている。

 

「レイトもやっと学校サボらないようになったな、って思ってね。これもララさんが来てくれたおかげだね」

「そんなことかよ、俺はあの二人の護衛を任されてんだ、ホントはこんなことしたくねーんだぞ。やんなきゃ地球諸ともおしまいだからな」

 

あっそー、と美柑はニヤニヤ笑いながら台所へと向かっていった。

 

「た、ただいまー」

「ただいま!」

 

どうやらリトとララが帰ってきたようだ。居間へとやって来たリトを見ると既にボロボロ。

 

「さ、散々な目に遭った」

 

今日も不幸全快だな、と思い俺は居間を出て二階の自室へと入ったのであった。





あまり進展がない。


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トラブル4 素敵なマイマザー

面接受験、不安だ。


今朝、というより昼、起きればテーブルに置き手紙が残され家には誰もいなかった。

 

「そーいや、ララ連れてどっか行くとか言ってたな」

 

俺は台所に置いてあったカップ麺にお湯を入れて三分経つまで今日何しようか考えた。

 

「……俺も暇だし、あっち行くか」

 

俺はカップ麺の蓋を剥がして麺を啜った。

 

 

 

 

『色北町』、彩南町から少し離れたところにある町であり規模は彩南町と比べてほんのちょっと小さい。

 

「おいそこのアンちゃん」

「んぁ?」

 

駅を少し離れたところまで歩きコンビニへ入ろうとした時だった、後ろを振り向けばそこにいたのは赤、黒、白の特攻服を来た男たちだった。

 

「アンちゃん、見かけねーな」

「この町に何のようだ?アアァン?」

「ここがどー言うところか知っててきてんのか?オォウ?」

 

なんというか、すごく残念っていう気持ちになった。最初に話しかけてきたリーゼントの赤色特攻服に右側が金色、左側が銀色の不思議な髪色の黒色特攻服、モヒカンの白色特攻服。

 

「誰だおまえは」

 

それがこいつらに最初に言った言葉、どうも相手は調子に乗っているらしい。

 

「アァ!?誰だ、だと!?俺様はこの色北町を支配する男!テツオ様だッ!」

「「パラリラパラリラ!!」」

 

三人は決めポーズを俺に披露したあと、すんごい形相で俺を睨んできた。

 

「とりあえず金置いてけボギャアッッ!!」

「退けろカス」

 

俺の右ストレートがテツオという男の顔面にジャストミート、テツオは空中をグルグルと回転しながら吹っ飛んでいった。

 

「テツオォォ!!」

「兄貴ィィイ!!!」

 

なんなんださっきから煩いな、視線を感じコンビニの中を覗くと店員は白い目でこちらを見ていた、俺はコンビニを辞めてそのまま目的地へと向かった。

 

 

 

 

「…………」

 

俺は目の前の古くボロくなったアパートを見つめる、ここは俺が生まれた場所であり母さんと二人で生きた場所だ。

 

「おや?レイくんかい?」

 

そんな声がした、振り返るとそこにいたのは両手に食材が入っているビニール袋を持った大家のフミコさんだった。

 

「フミコばあさん、……久しぶり」

「レイくん、一年ぶりだねぇ、また大きくなった?」

 

俺は定期的、といっても一年に一度だけここに来る、あの頃の弱い自分を忘れないために。

 

「持つ?」

「いいのかい?助かるよ、最近腰が前よりも悪くなってねぇ」

 

俺はフミコばあさんの持つ大きいビニール袋を両手に持った、俺はそのままフミコばあさんの部屋まで持つのを手伝った。

 

「お礼に何か食べてくかい?」

「いや、いいよ、……部屋見て帰るつもりだったし」

「……私もあの日のことは今でも忘れないよ」

 

あの日、母さんが目の前で死んでしまった日、事故だ。漫画や小説、現実でもある話、母さんは俺を庇って死んだ、当時、まだ小さかった俺とフミコばあさんの目の前で死んだ。

 

「………じゃあ、鍵持ってる?」

「はいよ、103号室の鍵ね」

 

俺は昔、このアパートの103号室に住んでいた、母さんと二人っきりで。父親は俺が生まれた日に交通事故で死んでしまったらしい、俺はそう聞かされた。

 

俺は部屋の外を出て103号室の部屋の前であの頃の出来事を思い出す。

 

母さんが死んだあの日のことを。

 

 

 

 

あれは忘れもしない、真夏の猛暑日だった、俺は母さんと二人で買い物帰りに公園に寄っていた。

 

『あらん?江崎さん?買い物の帰りかしら?』

 

あの頃のフミコばあさんは今と大分違いどっかの女帝のような姿をしていた、時の流れってのは残酷だな。

 

『フミコさん、こんにちは、お夕飯の具材を買いにレイトと二人で商店街に』

『あらそぉ、レイくんこんにちは』

『こんちわーす』

 

あの時の俺はシャイというか母さん以外に女の人ととはあまり話したことがないので苦手だった。

 

『ほぉら!挨拶はちゃんとしなさい!』

『……こんにちは』

『良くできました!挨拶はちゃんとしないと素敵な男にはなれないぞ!』

 

母さんはしゃがんで俺の目線に合わせてニッコリと笑って見せた。

 

『さて、そろそろ帰ろっか!お片付けしておいで』

『うん』

 

俺は母さんの言う通りに砂場へ戻り使っていた道具を袋の中に入れ始める。

 

『父親、やっぱりいないと疲れるわよねぇ。私もそうだったわぁ』

『大丈夫です!将来は素敵な男に成長したレイトに養ってもらいますから!』

 

その言葉に俺は首を縦に振った、あの頃の俺は成長して大人になったら母さんを養う、そんなことばかり思っていた。

 

『いい子よねぇレイくん』

『あの人似ですね』

 

母さんは少し寂しそうな顔をする片付けを終えた俺は母さんの元へ行き母さんの手を握った。

 

俺と母さん、そしてフミコばあさんはアパートへの帰路を歩いていた。

 

『お夕飯はなんとカレーです!』

『………!』

 

俺はその言葉を聞いて嬉しくなった、俺の好物は今はもう味わえない母さんのカレーとおでんだ。

 

『私も手伝うわよぉ』

『え、でも悪いですよ』

『いいのよぉ、あ・ま・え・て・もっ!』

 

母さんはあの時、どう思っていたのだろうか。確かあの時既にフミコばあさんは息子がいたはずだ。

 

『で、ではお言葉に甘えて』

 

信号の緑色の光が点滅し赤へとかわった、俺たちは横断歩道の前で緑色にかわるまでまった。  

 

母さんとフミコばあさんが談笑している、そのなかで俺は、俺だけが気づいたのだ、ヨロヨロと不安定に走るトラック、そして目を閉じながら運転する運転手が。

 

『アブねーぞ!』

 

そんな誰のかもわからない声に気づいた母さんは俺を抱き締めて、轢かれた。

 

俺は幸い擦りむける程度の軽傷で済んだ、対して母さんは重症、今でも覚えている俺の体にベットリとついた赤い血が。

 

呆然とその光景を見ていた俺に母さんは耳元で何かを囁いた。

 

 

    やさしく、素敵な人に

 

 

それを最後に母さんは動かなくなった。



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トラブル5 鉄の心

リトたちは現在、ララや西連寺、美柑と共に水族館を満喫しているのであった。


「げひゃひゃ、ここがターゲットのいる地球、空気がウメェじょねぇか。ターゲットを殺す前に腹ごしらえでもするか」

 

暗い路地裏で異形の存在はひとりでに呟く、両手に持つ光線銃をもって、異形の存在が見つめる場所は目的のターゲットがいる彩南町ではなく離れたところにある色北町であった。

 

 

 

 

「懐かしい、におい」

 

俺は四畳半の部屋で寝そべりくつろいでいた。畳や壁、昔暮らした場所のにおいが今もする。

 

「………」

 

俺は天井を見つめながらボウとする、今の時間帯は母さんが夕飯を作ってくれる頃だ。

 

そんな思いに耽っているとドタドタと聞こえてくる、音の大きさ的に隣の部屋じゃない。

 

『ッセェ!!クソババア!!』

 

そんな暴言が聞こえた、この声、どっかで聞いたような気がする、俺は気になりドアを開けて外を確かめるとフミコばあさん部屋のドアが勢いよく開いた。

 

「くそ!なめやがって」

 

出てきたのは昼間の不良、テツオだった、たしかそんな名前だったような。

 

「あ?てめぇは!?」

「色北町の支配者(笑)」

「てんめぇー!!?表でろやぁ!」

「もう出てるよ」

 

俺に気づいたテツオは俺の胸ぐらを掴んだ、それからすぐにフミコばあさんが部屋の奥からやって来た。

 

「テツオ!何やってるんだい!」

「げ、ババア、ちくしょ!」

 

テツオは手を離し急いで遠くへ走っていった、フミコばあさんは止めようとしたが真っ直ぐに俺を見つめた。

 

「ごめんなさいねぇレイくん」

「あいつ、テツオっつたか?」

「知ってるのかい?」

「ここに来る途中絡まれた」

「……あの子はほんっとに」

 

フミコばあさんは頭を抱えて呻く、俺はテツオが走っていった先を見つめる。

 

「あの子は私の孫でね、今年私のところへ越してきたのよ」

「今年やってきてもはや支配者を名乗っていたのか、あいつは」

 

まぁ、確かに舎弟らしき者を二人連れていた、腕っぷしには自信があるのだろう。

 

「俺ももうそろそろ帰るつもりだったし、ついでに探しとくよ」

「本当かい?ありがとうねぇ」

 

俺はテツオが走っていった先を進んで暗闇に消えていった。

 

 

 

 

「チッ!うざったらしいババアだぜ、……んぁ?」

 

偶々目に入った路地裏、奥はチラチラと光っている、テツオはそんな怪しく光る何かに魅せられ路地裏の奥へと入っていった。

 

ところを俺は遠くから見ていた、なにやってんだアイツは、どうみても怪しい、宇宙人か?いや、でもここは彩南町から少し離れている色北町だ、いくらなんでも考えすぎか。

 

「たく、もうすっかり夜じゃねぇか、リトと美柑、あとララ、大丈夫か?」

 

俺はそんなことを考えながら路地裏へ入った、見たところ彩南町とほぼ変わらない汚さだった。

 

「グァァァ!!」

 

奥から聞こえたテツオの悲鳴、それを聞いた瞬間、俺は足を早めた。

 

「げひゃひゃ、うまそーな地球人だぜ」

 

きんもちわる!顔が触手でできてる、エロゲーでもエロ漫画でもないんだぞ、ここは。

 

「おいこら、キモ星人」

「だぁれがキモ星人だ!!」

「ウワォ!!」

 

顔から伸びた触手が壁を貫く、避けるのに精一杯だった、奴の触手、鞭のようにしなやかで槍のように鋭い、厄介だな。

 

「げひゃひゃ、今日はついてるぜ、獲物が二体も手にはいるなんてよぉ」

「ぶぶぶ」

 

テツオのやつショックのあまりに泡吹いてのびてやがる、この町の支配者とか言っておいてその様かよ。

 

「ワリィけど、テメェの持ってるその木偶の坊を俺によこせ、無理なら頭消し飛ばして奪う」

「げひゃひゃ、このニョロル様を殺すと?寝言は寝てイエ!」

 

そうか、俺はそう言い残して地面に転がっている壁の破片を取った、そして、その破片をフルスイングで。

 

「イギャアアア!!」

 

触手まみれの顔面にクリティカルヒット、テツオは離されバタリと地面に倒れた。

 

「隙あり!っな!?」

 

俺は突きだした右手を触手に捕まれた、しまった!いつものグローブ忘れてきた!

 

「よくも、やってくれたなぁ!下等生物!!」

「アガッハ!!」

 

俺は壁から地面へと叩きつけられた、俺は口から血を流して倒れこむ。

 

「クソ!見誤ったか!」

 

触手の宇宙人はズカズカと俺に近づいてきた、先程まで青かった触手は赤へと変色していた。

 

「もう怒った!ゆ」

 

「る」

 

「さ」

 

ジュバッ!そんな音が鳴り響いた、音と同時に触手の宇宙人はきれいに三等分にされていた。

 

「な、んだ?」

 

俺は呆けることしかできなかった、やがて時間が少したって辺りを見渡す、テツオは気絶から覚めた。

 

「あ!!あの触手は!!」

 

テツオはチラチラと視線を動かし俺に気づく、そのまま下へ視線を落とした。

 

「あ、あんたがやったのか?あのバケモン」

「い、いや俺がとどめ指した訳じゃねぇが、お前危なかったぞ、あと少し助けるのが遅かったらそのまま死ぬところだった」

 

俺の言葉にテツオは何か気づき、バッと立ち上がった、テツオは俺を睨む。

 

「すんませんした!!」

 

は?いきなりのことで何がなんだかわからないが、テツオは立ち上がったと思ったら急に土下座。

 

「な、なにしてん」

「俺を!舎弟にしてください!兄貴!!!」

 

は?は?は?、いやいやなんでそうなる、テツオは額を地面に擦り付けてそういいつづける。

 

「頼みます!なんでもしますから!!舎弟にしてください!」

 

本当に、なんというか、少し古いというか。俺が今まで見てきた不良を見てもこんな奴はいなかった。

 

「えぇ、まぁ、なんでもするなら」

 

俺に舎弟ができた。




「なぁ、俺に舎弟ができた」
「………お皿運ぶの手伝って」

最近、従妹がなんとなく冷たい気がする。



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