とある魔術の幻想曲<ファンタジア> (瑠璃色ss)
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序章 プロローグ
不幸はいつも突然に
12月19日 午前6時04分
『人的資源』の一件から約一カ月が過ぎたある日の夜明け頃。
(う………ん………?)
寝る前に窓を閉め忘れたのか、初冬の冷たい風が上条の頬をなでる。
「……まだ6時か………」
時計を確認し、窓を閉めるために上条はベッドから起き上がった。
「う~寒ぃ寒ぃ」
窓を閉め、長時間開けっ放しにされていたらしく冷え切った部屋から逃げるようにベッドに潜り込み、睡魔に身を任せるように瞼を閉じる。
◆
午前6時31分
(…………ん?)
上条が再び目を覚ました理由は至極単純。ふにゃ、と腰のあたりに細くて柔らかくて温かい、
(まさか……いや、ここ病院だぞ………ッ!?)
上条は普段、学生寮ではユニットバスに鍵を掛け、浴槽の中で眠るという生活を送っている。なぜなら寝惚けたとある居候娘が上条の布団に侵入してくるのを死守するためだ。
上条が入院している間その居候娘は、彼の担任であるミニマム女教師、月詠小萌に預かってもらっているはずなのだが………
「たしか小萌先生の家からここまではそう遠くねえっ!!」
彼女のお布団侵入癖―というより夢遊病―に頭を抱えつつ、上条はとりあえず腕の中から抜け出そうと試みる。
しかし、
「むがっ!?」
服を掴まれ再びベッドに引き戻される。
しかも今度は向かい合う形で。
ただでさえ布団侵入罪は健全な青少年上条当麻の精神にとてつもない影響を及ぼすのに、今回は向かい合ってしかも抱きつかれているため無防備にイロイロな所が触れ、上条は精神に途轍もないダメージを与えられた。
「(うおおおお!?ちょっ、いっいくら寝惚けているとは言え、さすがにコレはアウトだろ!!)」
上条は周囲の病室に聞こえないよう小声で―と本人が思っているだけの結構な大声で―抗議するが、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
応答はなく、すうすう、と小さな寝息が聞こえてくるのみ。
(くそ、こうなったら少しでも身の安全を確保するしか………ッ!)
上条は無理に起き上がろうとせず、ジリジリと体を動かし毛布の中の少女から離れていく。
すると、動く上条につられてか、毛布が取り払われ少女の姿が露わになった。
そこには、
「むにゃ・・・・・・この夢は星二つです・・・・・・・・・すぅ・・・・・」
目の前、吐息がかかるほど近く
下着姿で。
「…………」
思考が停止すること数秒、
「……はっ!?」
我に返った上条は自身が今どういう状況にいるか自覚し、慌てて彼女の腕から脱出する。
「なっ!わっわわ、わっ痛!?」
最後のはベッドからずり落ちて頭を強打したためである。
「なっ、えっ何?寝起きドッキリ?」
頭を打ったからか、寝起きだからか、元々バカだからか。変なことを呟く上条にベッドの上から声がかけられた。
『ああ、ようやく目覚めましたか上条当麻』
「わっ、だっ誰!?」
上条が起き上がると、ベッドの上に体長30センチほどの巨大な白いゴキ
『カブトムシですよ上条当麻?』
考えを読み取ったのか、軽く殺気を放ちつつゴキb……もといカブトムシは答えを先取りした。
「なっ何でここに居るんだ?しかもこっちはその………」
上条はカブトムシの殺気に気圧され顔を青ざめさせながら、先程見た少女の姿を思い出す。
「……下着姿で………」
不埒な幻想を頭に過らせる上条だが、カブトムシは跡形もなく打ち壊した。
『私が屋内に入るよう勧めたのです。彼女も相当眠たかったのか、ここの窓が開いていたので侵入するや、服を脱ぎ散らかしてそのまま寝入ってしまった。要するに偶然です。』
どこに入ろうか考えていた時にAIMストーカーに似た『機能』でここに上条がいると分かって入った事や、眠りについたときの表情がとても穏やかで起こすのも憚られた事は、変な誤解を招くため、言わない。
「窓から?ここ3階だぞ!?」
そんなカブトムシの考えには気付かず、上条は驚いた様子で質問した。
『はあ…彼女なら造作もないことだと思いますよ?なにせ「四枚刃」を素手で壊し回ったほどですし。』
呆れたように言うカブトムシ。たしかにそんな事もあったような無かったような………。
「う、ん………朝……です、か…………?」
二人の会話のせいか、フロイライン=クロイトゥーネが目を覚ました。纏めずに寝たのか、髪が素の肩にばさばさと掛かる。
『ああ、おはようございます。よく眠れましたか?』
「おはようですカブトムシさん。今朝の夢はあまり美味しくなかったです」
彼女はカブトムシをギュッ、と抱きしめて挨拶をすると、
「おはようです上条当麻さん。ベッドを借りさせてもらいました」
今度は上条に向かって腕を広げながら近付いてきた。
「ちょっ待て!ちょっと待って!?まさかお前、毎朝起きる時にこんなことやってんの!?」
「はい、おはようのハグです」
面食らう上条をお構いなしに、フロイライン=クロイトゥーネは平然と上条に正面から抱きつく。
ひぃいいっ!?、と情けなく叫ぶ上条は自分の顔が火照っていくのが分かった。先程は毛布越しだったが、今回は直で。しかも下着姿で抱き付かれているため、彼女の鼓動や体温、胸のふくらみの感触などがダイレクトに伝わってきて上条は心臓が止まるかと思った。
「…………ん?」
二度の精神への甚大なダメージを受け、全身の神経がおかしな具合に逆立つ上条は、フロイライン=クロイトゥーネがいつまで経っても自分から離れないことに不安を覚えて顔を覗き込む。
すると、
「…………すぅ………」
彼女は上条の胸に頭を預けて再び眠っていた。
「二度寝してるぅぅぅ!!」
上条は腕の中から抜け出ようとするが、後ろで組んでいるのかまったく外れる気配がない。
「一体どうすれば………ッ!?」
『ああ、一度ベッドへ寝かしてあげれば良いのでは?そうすれば自然に外れるかもしれません。』
対処法に悩んでいると、カブトムシが少々不機嫌そうな声で助言した。
「あ、ああ……」
助言に従い、フロイライン=クロイトゥーネを抱っこする形でベッドに運ぶ。
「よっこらせっ、おわっ!?」
彼女を下ろそうとした刹那、
「痛つ、つ………」
咄嗟にフロイライン=クロイトゥーネの頭を守ったため、両手が使えず顔面からベッドにクラッシュする上条。痛みに任せてのた打ち回ろうとしたが、目の前に少女の顔があることに気づく。
両者の唇の距離はおよそ4センチ。
キュバッ!!、と首を折りかねない速度で顔を逸らす上条だが、カブトムシの周りに殺伐としたオーラが漂ってきているのは気のせいだろうか。
「むにゃ…………すぅ……………」
彼女は少しだけむずがると、上条から腕を離しそのまま眠り込んだ。
「ふう………」
ようやく危地から脱し一息つくと、上条は床に転がった毛布を取り上げる。
「……こうして見ると、やっぱただの女の子だな………」
『…ええ、彼女も学園都市の子供たちと同じ。ただ特別な能力を持っただけの人間です』
上条が呟くと、カブトムシが穏やかな声で返した。
和やかな空気が病室を満たし、上条がフロイライン=クロイトゥーネが冷えないよう毛布を掛ける。
その時だった。
「とうま7時なんだよ!早く起きてほしいかも!!」
その平穏を破るようにズバーン!、と勢いよく病室のドアが開け放たれた。
ビックゥ!!、と体を震わせそのまま硬直する上条。ベッドとの間のカーテンで顔は見えないが、小さな人影がこちらに向かってくるのが分かる。
(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい………ッ!!)
厳密には6時45分だとか、朝っぱらから大声出してんじゃねえとか、今はそんな事どうでもいい。
「グッドモーニングなんだよとうま!本日は快晴なりな、ん……だ。よ………?」
今重要なのは、上条のベッドでフロイライン=クロイトゥーネが寝ている事。その彼女が下着姿な事。上条が彼女の腿の辺りまで毛布を掛けてそこで止まっている事。
そして、
「そこで何をやっているの、とうま?」
シャッ、と小気味よく開けられたカーテンの向こうに立っているのが
彼女の名前はインデックス。
現在上条の学生寮に居候をしている女の子だ。
「何をやっているの、とうま?」
再び訊ねるインデックス。訊く度にゴゴゴゴゴッ!!、と気迫が満ちていくのは気のせいではないだろう。
「イイイイインデックスさん!?ここっこれには色々と訳がありまして………」
「何をやってるの、とうま?」
「この子は深夜に窓から進入して私のベッドに潜り込みまして、何で下着姿かは彼女が自分で脱いだだけで私はなにもやっておりませんし」
「何をやっているの、とうま?」
「つまり私上条当麻は決して不埒なマネはしておりません!!いや途中でちょっとドキッとした時もあったけどそれは結果であって、とにかく私はひぃいいいいっ!!」
冷や汗と弁明を垂れ流しながら土下座モードに移行していく上条。最後のは、インデックスがガシッ、と両手で上条の頭を持ったからである。
「……とうま…………」
とても低ーい声が発せられる。俯いていて表情は見えないが、口から覗く歯がギラギラと輝いていた。
「なっなんでございますか姫?」
上条が恐る恐る尋ねる。
「前に、これと同じような夢を見た気がするんだよ。」
「は、はあ……」
「その時は、とうまはそんな節操無しじゃないって思ったんだけど………」
インデックスは一度言葉を切り、顔を上げる。
彼女の顔には笑顔があった。
奥にいつ噴火してもおかしくないマグマのような怒りを秘めた笑顔が。
「やっぱりとうまは、とうまなんだね?」
直後、猛獣と化した白いシスターさんに、分厚いステーキを噛み千切るかの如く頭を噛み付かれた。
はじめまして瑠璃色ssと申します。
とある魔術の
今思うと!や?を使いすぎかなという感じがします。
それと、『あれ?この表現どっかで見た気が……』という方、すみません。ある小説から少し(?)表現をパク…オマージュさせていただきました。
それでは、今回はこの辺で目を休めていただいて。
次回も見ていただける事を願いつつ。(パクリ)
批評・酷評、感想や意見、質問などお待ちしています。
次章は一ヵ月後になると思います。
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不幸はいつも突然に 其の貮
午前7時15分
第七学区にある
「不味ィ……」
学園都市第一位の
普段はコンビニで気に入った缶コーヒーをまとめ買いし、飽きたら別のを買う。という超金の無駄遣いをしているのだが、ここの家主である黄泉川愛穂から『冷蔵庫がパンパンになるからダメじゃーん』と禁止され、もう一人の同居人であるニート科学者から『あら、ちょうど福引で当たったからコレ使えば?』とコーヒーサーバーを渡されたため、仕方なく自分で淹れているわけだが……
「なンだコレ、ふざけてンのかァ?」
どうやらお気に召さなかったらしく、少々不機嫌なご様子だ。
「おはよう一方通行。どうそのコーヒーサーバー?」
不味いコーヒーにミルクを入れて啜っていると、リビングのドアが開きニート科が…もとい芳川桔梗が入ってきた。
「よォ芳川。ダメだコレ、どこぞのチンケな喫茶店のより酷ェ味だ。」
「そう…最新鋭!、とか書いてあったけど……豆が悪かったのかしら?」
「豆はアフリカ産からの直輸入モンだ。多分サーバー本体が原因だな」
「………まあ福引で当たったんだし、使えればいいんじゃない?」
冷蔵庫から牛乳を取り出し、投げ遣りに返す芳川。福引で当てたのは彼女だが、少しばかり無責任ではないだろうか。
心中でそう思う一方通行は、ふと彼女が今朝はスーツ姿なことに気付く。
「どっか出掛けンのか?」
「ん?ああ」と芳川が言いかけるとガチャリ、と再びドアが開いた。
「おはよう、ってミサカはミサカは朝の挨拶をしてみたり………」
「おはよう
入ってきたのは
「おはようヨシカワ、ってミサカはミサカは挨拶を返してみる………ふぁ~~~」
まだ眠いのか、打ち止めは瞼をこすりながら一方通行のとなりへポスン、と身を沈めるように座る。
「飲み物がほしいかも、ってミサカはミサカはあなたのミルクティーに手を伸ばしてみたり」
「バカ、おまえそれは………ッ!?」
寝起きでのどが渇いた彼女は一方通行の前に置かれたカップを取って、制止の声を気にせずカップの中身を飲み込み、そしてそのまま静止した。
「ハァ……」
言わんこっちゃないとばかりに溜め息をつく一方通行。ゆっくりとカップを下ろした打ち止めの顔は、先程までの寝ぼけた表情は消し飛び、代わりに今にも泣き出しそうな表情になっていた。
「……なに、コレ」
そのまま固まること数秒。すべての文字に濁点がつくような声でようやく言う。
「コーヒーだバカ。紅茶じゃねェ」
「まったく。ほら、これ飲になさい?」
涙目でプルプル震える打ち止めに、芳川が牛乳を注いで渡した。
「ありがとうヨシカワ、ってミサカはミサカはお礼を言ってみる」
「ハァ……なんだか忙しい一日になりそうね………」
芳川はそう言って窓の外を眺める。
今朝は雲一つない快晴。
どうも、瑠璃色ssです。
第二章いかがだったでしょうか? 自分なりに色々と文語表現を勉強したつもりだったのですが……
一方通行と打ち止めの会話は書いててとても楽しいです。本編でも度々ある打ち止めのドジっぷりは思わず笑ってしまいますね。挑戦はしてみたものの、あんまり自分の中で出来が良くない気がします。
それでは、今回はこの辺で目を休めていただいて
次回も見ていただける事を願いつつ
……敵さんは次章登場!!やっとです(笑)
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第一章 一日の始まり
それぞれの朝 其の壹
「まったく、傷を癒すために入院しているというのに、何で君はまた傷がひとつ増えているんだい?」
「いやその…まったくその通りです。ハイ……」
午前8時46分
今朝の一件で頭にまた一つ大きな噛み傷を負った上条は、診察室でカエルに似た顔の医者に咎められていた。
「本当にとうまはお騒がせ者なんだよ。お見舞いに来てあげた人の気持ちにもなってほしいかも」
「噛み付いてきた張本人が言う台詞じゃ――いえ、なんでもございません」
斜め後ろに座るインデックスにも責められ反論しようとするが、彼女の口からギラついた歯が覗いたため、即座に撤回する。
「それで、どんな具合ですか?」
「うん…経過は良好、という感じだね」
パソコンを操作して何やら体の断面図のような画像をいくつか見ると、カエルに似た顔の医者は頷き、
「これなら退院しても問題ないかな」
と続けた。
「えっ!? 今日退院できるの?」
すると、何故かインデックスが身を乗り出して聞き返した。
「うん。今日退院できるよ。でも、一つ忠告させてくれ」
目を輝かせて尋ねるインデックスに返事をしつつ、カエルに似た顔の医者は上条をじっと見つめる。
「くれぐれも、絶対に、無茶はしないこと。分かったね」
いつものふざけたような上がり調子ではなく真剣な声に、少々驚く上条はコクコクと頷く。
「あ、ああ。保証はしかねるけど……」
困ってる人を見れば老若男女・親交の有無・自身の危険一切不問で助けに行く男、上条当麻はそう返事をした。
そんな彼の性格を理解しているカエルに似た顔の医者は、困ったように息を吐く。
「ふぅ…まあ、これで何度言ったか忘れたけれど言っておくよ。退院おめでとう、上条当麻君」
「おっお世話になりました」
彼は笑顔で二人を見送った。
◆
午前9時28分
「ふんふんふふ~ん♪♪」
寮への帰り道。インデックスは上機嫌に鼻歌を歌っていた。
「……………」
今朝とは打って変わった彼女の態度に嵐の前の静けさのような雰囲気を感じ取った上条は考えをめぐらせる。
(……今日退院できるって分かった途端にこうなった………ってことは今日なんか大切な日だとかか?…………ハッ!? まさかコイツの誕生日か!? ヤバイ、プレゼントなんて何も用意してねえぞ……ッ!!)
考え、勝手に窮地に追い込まれていく上条は、ふと前を歩いていたインデックスが立ち止まった事に気付いた。
「どっ、どうしたインデックス?」
「ねえねえとうま。今日って一日中暇なの?」
「!? まっ、まあ、急に退院が決まったからな。暇かって言われたら暇だけど……」
何でだ? 、といきなりの質問に冷や汗をたらしながら訊くと、彼女は修道服の袂から一枚のチラシを取り出した。
「実はコレに行ってみたいんだよ!!」
「ナニナニ…『ファンシーパーク
そこには、学園都市で唯一、遊泳施設や遊園地などの娯楽施設が所狭しと存在する第六学区の中でも一際巨大なアミューズメントパーク『ファンシーパーク』で、入場料のみで乗り放題のイベントがあるということが記されていた。
「『ファンシーパーク』ねぇ……」
実はこの『ファンシーパーク』。以前ゴールデンウィークに青髪ピアスと土御門との野郎三人でいったことがあるらしく、『ファンパー』という略称でクラスの中でも結構人気があった。
上条本人からすると、八月より前の記憶を失っているため、『ファンパー』という略称の意味が分からないまま話題を合わせようとして色々と苦い思い出があった。
(………遊園地、か)
また、“遊園地”という場所を『囲いこまれ管理された自然の中に,遊戯 機械 施設 食堂 売店などを配し,各種の催事やアトラクションを提供する屋外型娯楽施設。』と《知識》としては理解しているものの、“ジェットコースター”や“コーヒーカップ”などがどういった物なのか《思い出》が無いためわからないのだ。
(たしか吹寄が「二ヶ月ごとに少しづつアトラクションが変わって飽きずに何回行っても面白い」とか言ってたっけな)
「ねえ良いでしょとうま? 『11日から25日までの二週間は園内にある全ての屋台の食べ物が無料』みたいだし絶対楽しいと思うんだよ!!」
「お前は屋台で食べることが目的なのかッ!?」
花より団子とはまさにこういう事を指すのだろう。
(……まあ、最近『グレムリン』やら何やらで色々あったし、息抜きするには丁度良いか。ついでに遊園地がどういう所なのか知っておきたいし………)
「……行くか『ファンシーパーク』」
「ほんとに!? そうと決まれば今すぐレッツゴーなんだよ!!」
「ちょっ、待てインデックス!」
見当違いの方向に駆け出すインデックスを追いかける上条。彼は目的地の位置を確認するためにチラシに目を走らせる。
「ん?入場料金…………」
すると、地図が掲載された欄の上に小さく載せられた入場料が目に入った。
『お一人様―――四八〇〇円』
「……たくさん食べとけよインデックス…………」
どうやら明日からの食事は塩と水だけになりそうだ……。
どうも瑠璃色です。
一ヶ月ぶりの投稿になりました。更新が遅くてスミマセン(汗) 仕事の合間に執筆しているため、という言い訳で納得してくだされば幸いです。
カエルに似た顔の医者こと
上条当麻が何回、作品の中で彼の病院に担ぎ込まれたかを数えてみたところ合計六回でした。 たった四ヶ月の間に六回も!!月一で入退院を繰り返すなんて、上条さんどんだけ超人なんですか…。
それとも、どんな傷でもたった一ヶ月で完治させる冥土帰しの腕前が尋常ではないのか……まあどちらにしても普通の人間では不可能ですね(笑)
『ファンシーパーク』。あれ?どっかの魔神の契約者も行ってた気が…という方。はい、自身のネーミングセンスが皆無なため拝借しました。けど、“ファンシー”って『幻想』っていう意味もあるんですよ?まあ、最終的にパク…拝借したんですけど……
さて、本編の説明はこれまでにして、謝罪と弁明に移りたいと思います。
前章のあとがきで予告した敵さんの登場。まったくありません。
言い訳をするならば、本家の8巻でロキさんとフレイヤさんが出てきてしまったからです。
ロキはともかく本家のフレイヤさんの能力、どちらかと言うとオーディンの妻フリッグの方が合ってる気がするんですけど……、それを言った所で何にもならないので、ね…。
結論を言えば、敵さんの登場はもう少し先延ばしさせてもらいたいと思います。申し訳ありませんm(_ _)m
それでは、今回はこの辺で目を休めていただいて。
次回も見ていただける事を願いつつ。
小説の感想、アドバイス、批評、酷評待ってます!!
……本家の9巻で、また新たなメンバーが増えないことを祈るばかり
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それぞれの朝 其の貮
『実はコレに行ってみたいんだよ!!』
『ナニナニ…『ファンシーパーク
午前9時30分
上条とインデックスが話をしているとき、
(へっ、へー……あいつファンパー行くんだ………)
『
『
「ああ御坂君だね? お探しの上条当麻君ならさっき退院したよ?」
「……へ?」
という具合に入れ違ってしまったため『なら、退院祝いと称してあいつの家に乗り込もう……ッ!!』と駆け出した3分後、道半ばで遭遇し現在に至るわけである。
(もしファンパーで偶然会ったことにして、うまくあの子を引き離せられれば………まさかコレってまたと無いチャンス!?)
ヒッヒッヒ……、と人には見せられないような顔で善からぬ事を企む美琴。
『お姉ちゃん、あの人なにやってるの~?』『しっ!見ちゃダメ!』、と道を歩く人々に見られていることにも気付かず、話し合う二人を観察し続ける。
そこに
『あっ!?見つけましたわよお姉さまあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
と、
「うげっ!?」
ビックゥ!? と肩を震わせる美琴は頭上を見上げる。しかしそこに声の主はおらず、青々とした冬の晴れ空だけがあった。
「まったくお姉さまったら。私を置いてきぼりにしてどちらへ向かったと思ったら、こんな所で何をやっているのでございますの?寮監が探しておりますわよ?」
再び声を掛けられ目線を下へ戻すと、いつの間にかルームメイトの白井黒子が胸に抱きついて来ていた。
「くっ黒子!なななな何でこんなとこにいるの!?」
「それは私のセリフですのお姉さま。何度も言わせないでくださいな。寮監が貴女をお探しですの。何か多層陸橋の請求書がどうのとか言っておりましたけど……」
「ああ。あの時の……って、えっ?あれの請求書が来てんの!?」
たしか『一端覧祭』の時に1ブロックとかふっ飛ばしたり、橋げたを壊して下の道路と繋げたり、一部料理べたが大根と格闘したように切断されたり、とにかくボロボロにされたあの橋である。
「? まあ、細かいことは寮監に聞いてくださいまし。とにかく彼女にチョークスクリッパーをキめられる前に帰りますわよ」
あわあわと取り乱す美琴の手を握る黒子。一秒後、二人は虚空へと消えた。
どうも瑠璃色です。
またまた一カ月ぶりの投稿。定期更新と言うのか不定期更新なのか……とにかくお待たせしました
さて、ミコっちゃんこと御坂美琴さんの登場です。上条は好きだけど素直になれない……乙女心は複雑ですね………。
今回はちょっとだけ腹黒感を出してみました。こんな彼女も気に入ってもらえたら嬉しいです。
チョークスクリッパーと言えば寮監。寮監と言えばチョークスクリッパー。大能力者の黒子でさえ敵わない本名不明の彼女はいったい何者なのでしょうか………。
そして、毎回事件があるごとに思うのですが、上条さんや魔術師たちが戦った後にできる施設などの損害賠償は一体誰が払っているのでしょうか?今回はなんとなく面白そうだったので美琴に払わせました。実際は『闇』が深く絡んでいるのでしょうね……。
それでは、今回はこの辺で目を休めていただいて。
次回も見ていただける事を願いつつ。
感想がいまだ一件も寄せられてきておりません!!小説の感想、アドバイス、批評、酷評待ってます!!!
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それぞれの朝 其の參
午前9時43分
「あれ、ヨミカワは?、ってミサカはミサカは芳川に尋ねてみたり」
「彼女なら深夜遅くに仕事に行ったわ。何か緊急の用事が入ったみたい」
「ふーんヨミカワも大変だね、ってミサカはミサカは徹夜の影響によるお肌の老化にしみじみしてみたり」
本来、この家には
「それで、オマエは今日出掛けンのか?」
「ええ、前に色々と面倒事を起こしちゃってね。その始末書を出しに
そう言って彼女はファイルをヒラヒラ振った。すると、その間から何やら細長い紙が落ちてきた。
「ん?なんか落としたよヨミカワ、ってミサカはミサカは親切に落ちた物を拾ってあげてみたり………えーっと『ファンシーパークご招待券』?、ってミサカはミサカは首を傾げてみる」
横に座る打ち止めが拾うと、それはチケットのようだった。
「あら、こんなとこに紛れ込んでいたの。愛穂から貰ったけど……たしか期限は今日までだったかしら?」
「ねえねえヨシカワ。ファンシーパークって何なの?、ってミサカはミサカは質問してみたり」
「第六学区にある巨大な遊園地よ。行ったことはないけれど、学生の間では人気らしいわ」
「ミサカ遊園地行ってみたいっ!、ってミサカはミサカはお願いしてみたり!!」
「行ってみたいって言われてもねぇ。私は今日忙しいし、愛穂も仕事だから………」
言って打ち止めと芳川は同じ方向に目線を向ける。
「………オイ、二人して俺の顔を見るンじゃねェ」
「ねえお願い!、「駄目だ」ってミサカはミ「却下する」サカはあなたに上「無理だ」目遣いで「諦めろ」って言ってる途中に4回も否定されたのは初めてかも!!!、ってミサカはミサカは涙目になって抗議してみたり!うえーん!!」
「………泣かせちゃったわね一方通行」
「なっ!?くっ……わかった、わかりましたよ仕方ねェ。連れてってやればいいンだろ!?」
「うぇ、ひっく……ほんとに?」
「あァ、冬用のブーツが入用だったからな。併設してるモールで買うついでに気に入ったモンに乗ればいいだろ」
「あれ?たしか『一端覧祭』の時に買ったはずじゃ……」
「口と舌とアゴをすり潰されたくなきゃ黙ってろ」
「……………………」
「本当に連れてってくれるの?、ってミサカはミサカは念を押して確認してみたり……ひっく………」
「ああ、だから泣くンじゃねェ」
そう言うと一方通行は打ち止めの隣に動き、頭を撫でた。
すると打ち止めは
「…………オマエ、手に持ってるモンを出してみろ」
「え、えっ、一体何のことか分かんない、ってミサカはミサカはとぼけてみたり。それより何時から行くの?、ってミサカはミサカは話題を変えてみる」
一方通行の手から逃れようと必死にかわし続ける打ち止めだが、体格差などから勝ち目など無く、あっけなく手に持っているものを取られてしまう。
「………コレは?」
一方通行が取り上げたのは目薬だった。訊かれた打ち止めは目を逸らすと動揺した声で答える。
「さ、さあ。ミサカ分かんない、ってミサカはミサ痛いっ!!、ってミサカはミサカは突然のチョップの連撃に頭を押さえてみたり!?」
ビシッ、ビシッ、と打ち止めに制裁を加える一方通行。その後何回か与えると手を止め、疲れたように溜息を吐いた。
「ハァ………11時には出るからそれまでには用意しとけ」
「いえーい!!、ってミサカはミサカは両手をあげて今の喜びを体現してみたりっ! 番外個体から教わった腹芸が役に立ったぜ、ってミサカはミサカはほくそ笑んでみ痛いっ!?」
番外個体にはどういう制裁を加えてやろうか。そう考える一方通行であった。
どうも瑠璃色です。
今回も約1か月ぶりの投稿。もうこれ定期更新って事でいいですかね?(開き直り)
仕事の合間に執筆しているため、という毎回同じ言い訳で納得して下さればと思います。
さて、
前にも言いましたけど、やっぱり一方通行と打ち止めの会話は書いていてとても楽しいです。
今回は泣いちゃった打ち止めに動揺する一方通行を描写してみました。本家を読み返してみても、彼の前で打ち止めが泣いちゃうシーンって、転んで膝を擦りむいちゃった時だけ。我慢強い子なのかな、と勝手に思って涙腺が緩んでしまう今日この頃です。え?貴方の気持ちなんか聞いてないって?そうですか。そうですか………。
最後の方で一方通行が彼女を撫でている所がありますが、そこはこんな感じだったらいいな~、と無理やり捻じ込んだところなので、皆様の彼のイメージとそぐわないかもしれませんがご了承ください。
さて、色々としゃべった所で変更箇所の報告です。
以前は第2話から一章が始まっていましたが、第2話を序章の方に繰り上げて『不幸はいつも突然に 其の貮』といたしました。
「あれ?話数が増えてない?」と思った皆様、申し訳ありませんm(_ _)m
それでは、今回はこの辺で目を休めていただいて。
次回も見ていただける事を願いつつ。
一方通行もファンシーパークに行くこと決定! 果たして常盤台のお姉さまは行けるのやら……
感想、アドバイス、批評、酷評待ってます!!
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