Longevity World (kyoroball川田)
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1・始まりの世界

初めまして、kyoroball川田です!
今回は初めて小説を書いてみました!
まぁ、息抜き程度に書いたので、是非とも暖かい目でご覧ください!
多分伝わらないこと、沢山あります!(笑)


2016年 1月

 

とある日本の中学校の廊下に、一人の少年がしゃがんでいた。少年は鼻がすらっとしていて、目が少し細く、どちからと言えばそこまでイケメンではないような容姿をしていた。しかし、爽やかなスポーツ刈りの髪形には黒い髪の格好よさを前面に出していた。

ここまで聞けば普通の少年にも思えるのだが、その少年はとてもおかしな服装をしていた。

黒いジーパンのようなズボン、黒い長袖のtシャツのような上半身の服、そして黒いマントのような物を着けていた。明らかにハロウィンで来そうな服を着て、少年は廊下にしゃがんでいた。

いや、しゃがんでいたと言うよりは、『しゃがみながら、廊下の曲がり角から反対側の廊下の様子を確認していた』と言った方が合っているのかもしれない。

少年の視線はずっと反対側の廊下を見つめていた。

少年の視線の先にいたのは、白いショットガンのような物を持った白い服の二人組だった。サバゲーのような白いガスマスクと白いヘルメットを顔が覆い被さっている。

すると、その二人組が何やら話を始め出した。声を聞く限り、その二人組は男だということが判明した。

 

「今回はしっかりと死守しないとな。」

 

「先輩もしかして、前回の任務の失敗、まだ気にしていたんですか?」

 

「いや...、そういう訳ではないんだけどな...。」

 

「先輩、俺分かってますよ。先輩がまだあの失敗を気にしていること、あの失敗は別に先輩のせいではありません。誰の失敗でもないんです。もし、先輩がまだあの出来事が自分の失敗だと思っているのだったら、その失敗を明日へ、未来へいかせるような、そんな出来事と思えばいいんですよ!やっぱり、マイナス思考はダメめっすよ!」

 

「...うん、そうだな。マイナス思考はダメだよな!よし、じゃあ失敗を糧にして、今回も頑張っていきますか!」

 

「その意気です!先輩!」

 

 

そんな話を聞きながら、少年は右手にライトセイバーを持っていた。猫がねずみを捕まえるような、そんな雰囲気が漂っていた。

すると、その少年の肩を2回優しく叩いた者がいた、少年の相方のガヴェインだ。

 

「どうした、ガヴェイン?」

 

「本当にあの2人だけだったか?」

 

「俺が見た感じ、あの2人だけだったぜ。」

 

「なるほど...。じゃあ、増援とかは来なさそうだし、さっさと始めますかー。」

 

するとガヴェインは肩を回し始めた、骨の音が周囲に響く、しかし白い服の男達には聞こえない。

 

ガヴェインの体は筋肉が凄く、そして背が高い。服装は少年と全く同じで、髪形は基本は黒だが、少し前髪に赤が混ざっている、両手には手袋をしており、手袋の甲は青く光っている。

少年は一旦ライトセイバーを地面に置き、ポケットから何かを取り出した。そして、それを片手で隠すように握っていた。

 

「お二人とも、準備は宜しいですか?」

 

突然、少年とガヴェインのしている左耳のイヤホンから声が聞こえた。

 

「おお、イブか。俺は準備バッチリだぜ。」

 

ガヴェインが首の骨を回しながら、答える。

 

「俺も準備OKだぜ、イブ」

 

少年もガヴェインに引き続き、イブの応答に答えた。

 

「それでは、お二人とも、初任務頑張ってください!」

 

イブの言葉が終わった瞬間、少年は手に持っていた物を、白い服の二人の地面に投げつけた。

 

「なんだ、これは!」

 

「先輩!落ち着いてください!」

 

突然のことだったらしく、白い服の二人は完全に動揺していた。辺りは一面、煙で白く染まっている。

 

「キャーーーーーーー、何?!」

 

「みなさん、落ち着いてください!決して、その場を動かないでください!」

 

教室で授業をしていた、生徒たちが辺りが白くなったことに驚き、騒いでいた。そして、それを先生らしき人が必死で生徒たちの混乱を止めていた。

辺りは一面、煙しか見えない。どこを見渡しても煙。その煙の中、一人の白い服の男に赤髪の男が背後に近づいた。そして、赤髪の男は白い服の男の後頭部を右手拳で地面におもいっきり叩きつけた。

 

「何だ!おい!平石、どうした?!」

 

多分倒れた。白い服の男の名を呼んだのだろう。しかし、その男はヘルメットが割れ、頭から大量の血を流していた。もう、返事をすることもないだろう。

返事の無いことに、もう一人の白い服の男はかなり動揺したことだろう。

しかし、その男は冷静さをすぐに取り戻した。

自分に近づいてきた影をすぐに察知して、白いショットガンのような物を地面に落とし、腰に差していたライトセイバーを抜きとり、影と向き合った。ショットガンみたいな物を地面に落とした理由は相手が速すぎためであった。引き金を引くスピードでは、間に合わないと思った、白い服の男の判断だった。

影が振りかぶったライトセイバーが白い服の男のライトセイバーと激しくぶつかった。辺りはまだ煙が舞っている。

ほんの数秒、交差していたライトセイバーとともに影はジャンプしながら後退りした。そして、影の正体は先程まで廊下の角にいたあの少年だった。

煙で辺りは見えてはいなかったが、少年と白い服の男は距離が近かったため、お互いの顔がハッキリと分かった。少年は先程まではしてなかったスキーでつけるようなゴーグルをしている。

 

「やはり、敵か。侵略者どもめ。」

 

白い服の男はかなり怒りを覚えているようだった。後輩を殺された恨みなのか、その怒りは少年にも伝わっていた。

 

「侵略者って、お前らもじゃん。何こっちが悪役みたいになってるの?」

 

しかし、その少年はその男の怒りに気づいていないふりをした。そして、こう続けた。

 

「しかし、まぁ...。今のお前見てると、昔の俺を思い出すなー。そうやって、仲間を思ってしっかりと悲しんであげるところ。」

 

男は少年の言葉に、怒りが頂点に到達したのか、おもいっきり少年のほうへ、ライトセイバーを構えて走ってきた。男の片目には一滴の雫が溢れていた。

 

「お、お前に何が分かる!!」

 

男の声は震えていた。少年は左手に何かをはめた。そして向かってくる男の右腰にめがけて、はめた物から出てきた鎖を飛ばした。

 

「そんなの、当たらねぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

男は左側に軽々と走りながら鎖を避け、少年のほうに向かっていく。鎖は廊下の端の手すりに引っ付き、飛ばした鎖の動きは完成に止まっていた。しかしそれが少年の狙いであった。

 

「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

男が少年に向かってライトセイバーを振りおろそうとする。そのときだった。

先程、鎖を飛ばした少年の左手は手すりに引っ付いていた鎖に吸いつけられていた。ものすごい勢いで。

 

止まっていた少年が急に近づいてくるとこに戸惑いながらも男はライトセイバーを瞬時に構え、少年のライトセイバーとぶつかった。しかし、少年のライトセイバーの勢いが勝ち、男のライトセイバーは男の肩にぶつかった。その隙に少年は男の喉仏を強く切りつけた。

 

「ぶはぁ?!」

 

男はその場に倒れこんだ。喉仏を切られたので、もう喋ることはできない。

少年は鎖を瞬時に自分の手元に戻した。少年の青いライトセイバーは赤い血でびっしりと染まっていた。

少年は倒れた男に近づいて行った。

 

「でも、俺はもう悲しむことは人前ではしない。心の内に秘めていく。そして、死んでいった仲間の思いを『ちから』に変えて俺は強くなっていく。もう後ろは振り向かないさ。だから、お前の分も俺は強くなって、生きていく。」

 

少年はライトセイバーを縦にし、男の胸元に構えていた。男は涙を流していた。大粒の。

 

「じゃあな...。」

 

少年は男の胸にライトセイバーを突きつけた。

大量の赤いしぶきと、ともに少年の服も赤く染まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初任務だというのに、この有様...。やっぱ、人の命を奪うってことはまだ慣れないな...。」

ガヴェインが震えた声で言いながら、自分の拳で倒した相手の肩に缶バッチのような物をつけていた。

 

「慣れない...。って言うか、お前、今日で初めてだろ?人を殺すこと」

 

少年も先程倒した男の肩に缶バッチのような物をつけていた。

 

「そりゃ、そうだけど...。これから人を殺すのに慣れないといけないだろ?こういった任務、これからずっと続けないといけないだろうし...。

 

ガヴェインは腰をおろし、ため息をついた。

 

「俺達、何年生きてると思っているんだ?ガヴェイン、今まで俺達は戦争とか、いっぱい人が死んできたところを見てきた。まぁ、そりゃ人を殺すとこに慣れる人間なんていないさ。でも、それは仕方がないこと。大切なのはそいつらのために出来るだけ多く自分たちが生きることだろ?それに俺達はもう死んでいるみたいなものだ。『死人』がそんなことウジウジ考えてたって仕方がないだろ?」

 

煙がそろそろ晴れそうだった。そのことに気づいた少年はすぐに誰がに連絡をいれる。連絡相手はイブだった。

 

「はい、こちら『サポート』のイブです!」

 

「イブ、こちらの任務は完了した。直ちに転送を要請する。」

 

「はい、かしこまりました!」

 

少年はイブとの連絡が終わるとライトセイバーを腰にしまった。

 

「なぁ...。」

 

ガヴェインが少年に話しかけてきた。さっきの暗い表情は消えており、静かに微笑んでいた。

 

「俺はお前のように人を殺すことをポジティプに考えることは出来ない...。でも、俺はお前についていくよ。この命がある限りな!」

 

ガヴェインは最高の笑顔を少年に向けていた。

 

「別に、ポジティプに考えている訳じゃねーよ。俺、本当はメガティブだし...。」

 

少年は小さな声でそう言った。ガヴェインには聞こえてはいないみたいだった。

 

「それでは、転送を開始します!」

 

いきなり、イブの声が二人の左耳に響く。すると、二人はどんどんと体が薄くなっていく。

 

「これからもこんなことが、続くのが...。でも、挫けずに何度でも立ち上がってみせる!仲間の思いをのせて...。そして、この『杉内 敬二』として!」

 

少年は天井に向かってそう呟いていた。

 

二人はどんどん薄くなって、ついには消えていった。この世界から...。

 

そして煙は完全に消えており、いつもの学校の廊下に血痕が二ヶ所残っていた。

 

 

 

 

 

 

 




最初から、めっちゃ「死」ついて語ってます...。
まぁ、多分誤字とかいっぱいしてると思いますが次回も気軽に書いていこう思います!
読んでくれて、ありがとうございました!

*新キャラ情報
ガヴェイン・・・モンスターストライクのガヴェイン(進化前)より
イブ・・・ガールズバンドパーティーの若宮イブより
「少年」および「杉内 敬二」・・・オリジナルキャラクター


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2・今の幸せ

こんにちは、こんばんは!
全然の続きです!
ちなみにこの話し、実は未来のお話なんです。
今回も伝わらないことがあるかも、知れませんが、どうか暖かい目で見て頂けると、幸いです。


2201年 5月

 

これは2016年から185年経った、未来の話。

 

 

 

 

 

巨大なスカイツリーのような高さのビルの建物の中の、小さな円を描いた空間に、2つの影が現れた。

そして、その2つの影に近づいて行く少女がいた。

少女は綺麗な白髪で三つ編みをしていた。

 

 

「お疲れ様でした!ケイジさん、ガヴェインさん」

 

 

その少女の名前はイブ。

片言の日本語のような喋りかたは、イブの特徴のひとつだった。

 

 

「おう!お疲れ、イブ」

 

 

影の一人、ガヴェインが笑顔でイブに話しかけていた。さっきの暗い表情はもうすっかり消えていた。

 

 

「お疲れー、いやー、ほんとに疲れた。」

 

 

髪の毛を手でかきあげながら、近づいくるもう一つの影は敬二だった。

敬二は今にでも寝そうな表情をしていた。かなり疲れがたまってるようだ。

 

 

「お二人とも、今日は初めての対人だったのですから、疲れでしょう。なので、今日はゆっくり休んで、明日からも頑張ってください!休むこともブシドーにとっては大切なことです!」

 

 

イブは両手を腰にあて、自信満々でガヴェインと敬二のほうを見る。彼女にとって、武士道とは「人生」そのものだと、このときの敬二は思った。

 

 

「では、私は次の『サポート』の仕事があるので、この辺で失礼します!ケイジさん、ガヴェインさん、今日はお疲れ様でした!さようならー。」

 

 

「おう、じぁな!」

 

 

ガヴェインが大きく手を振る。イブもそれを返すように、手を振っていた。

イブは角を曲がって見えなくなってしまった。

イブの姿が見えなくなった、瞬間に敬二がガヴェインの耳元に近づく。

 

 

「まぁ、ガヴェイン。お前....、イブのこと好きなのか?」

 

 

突然の質問にガヴェインは動揺すると同時に顔をあからめた。

 

 

「はぁ?!な...、何でそんなことわざわざ聞くんだ?」

 

 

「いや、だって顔、赤くしてたじゃん。」

 

 

「いや、そんなはずはない!」

 

 

ガヴェインはそう、言うと前に向かって、歩き始めた。早く敬二との会話を終わらせたかったのだろう。

 

 

「おーーい、ガヴェイン、歩くの速いぞ。」

 

 

「今日は早く帰らないといけないからな。」

 

 

ガヴェインに敬二がついていった。

いつの間にか、円の空間には誰もいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨大なビルかまるで森のように建っていた都市とは違い、敬二とガヴェインは一軒家が建ち並ぶ、歩道を歩いていた。

一軒家とは言っても、昔みたい木で作られた家はもう一軒もなく、明るさも昔の都会並みの明るさだった。

それだけ、今の都市は明るかったのだ。

 

 

「なぁ、ガヴェイン。」

 

 

敬二が暗い空を見ている。二人は太陽というものを、しばらく見ていない。

 

 

「どうした?敬二、暗い顔して?」

 

 

「俺さ、さっきはお前に『ウジウジ考えてたって仕方がない。』って言ったけど、本当は俺もずっと考えてた。人を殺すなんて、例え、世界が違う人間でもいいのかって、そして、人間でなくても、命がある生物だったら、殺してもいいのかって、ずっと考えてた。だから、さっきの言葉は自分にも言い聞かせるために言ったんだ。」

 

 

敬二はため息をつく。とても、深く考えていた。

そんな、敬二の言葉を聞いて、ガヴェインは敬二の肩に手を回していた。そして、笑顔でこう言った。

 

 

「お前って、本当に優しいやつだな。」

 

 

ガヴェインの言葉に敬二はビックリしているようだった。

 

 

「ガヴェイン、どうした?頭のネジが取れたか?」

 

 

「おい、おい。頭のネジは取れてないわ!てか、俺本気で思ってるんだぜ?お前とはまだ20年ぐらいの付き合いだが、初めての会ったときから、お前が優しいやつってことぐらい、すぐに分かるぜ。こんなに生きていたら。」

 

 

「お前、スゲーな。超能力とか使えるの?」

 

 

「だから、カンだ、カン!」

 

 

さっきの暗い表情とは一変に、ガヴェインとの会話で敬二の表情は明るくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

敬二とガヴェインがたわいのない会話をしながら、夜の歩道を歩いてあると、敬二に肩を軽く叩きながら、声を掛けてきた人物がいた。

 

 

「あなた、今日の任務は終わったの?それに、隣にいるのはあなたが言ってた、同僚のガヴェインさん?」

 

 

黄色の長い髪を揺らしながら、少女は敬二に聞いていた。

ガヴェインは軽くお辞儀をしながら、答えた。

 

 

「あなたが敬二の奥さんですか。初めまして、私は敬二の同僚のガヴェインです。いつも、敬二にお世話になっています。」

 

 

「あら、お世話になっているのは、こちらのほうです。

初めまして、ガヴェインさん。私は敬二の妻の杉内千聖と言います。これからも主人をよろしくお願いします。」

 

 

ガヴェインと千聖の挨拶が終わった後に、ガヴェインが敬二に話しかけてきた。

 

 

「いやー、お前は本当にいい奥さんに出会ったなー。」

 

 

「まぁな、いい妻だと思っているよ。」

 

 

千聖は平然としているが、敬二には千聖が心の中では、顔を赤らめていることが分かった。長年の勘だ。

 

 

「俺、家近いからそろそろ帰るわ。敬二と千聖さん。じゃあな!」

 

 

ガヴェインが両手を大きく振っている。

敬二と千聖はその手の振りを返すように、手を振った。

 

「ガヴェインさんって、本当に優しい人ね...。なんだか、あなたみたいだわ。」

 

ガヴェインの姿が見えなくなったとき、千聖は敬二に話しかけていた。

 

 

「そうだな、だから、俺達は気が合うのかな...。」

 

 

「自分が優しいことに否定はしないのね?」

 

 

千聖が不思議そうに敬二のほうを見る。

 

 

「えっ?俺、優しいだろ?」

 

 

「さぁ、どうかしら?」

 

 

「いやさっき、『優しい』って言ったじゃん。」

 

 

「さぁ、早く家に帰りましょ。」

 

 

「えっ?!ちょ、ちょっと待って、千聖ーーー。」

 

 

千聖は笑顔で家に向かって、歩く。その後ろを敬二が追っていく。

結局、『優しいか、優しくないか討論会』は、ガヴェインだけが優しいという結論に至った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黄色の2階建ての一軒家の玄関の扉を敬二が開けた。すると、扉を開けた瞬間にとても大きな元気な声と共にショートボブに、小さな三つ編みの青髪の少女が敬二に抱きついてきた。

 

 

「おかえり、敬二!それに千聖ちゃん!」

 

 

少女の名前は杉内日菜。敬二のもう一人の妻だ。

 

 

「日菜ちゃん、ちょっとこの荷物運ぶの、手伝ってくれないかしら?」

 

 

敬二に抱きついている日菜に千聖が聞く。

千聖はガヴェインと別れたあと、敬二と一緒にスーパーマーケットで買い物をして、両手に重そうな袋を持っていた。

敬二が『持とうか?』と聞くと、千聖は『あなたは疲れているから、楽をさせたい。』という理由から、敬二に荷物を持たせなかった。

 

 

「いいよ!私、頑張っちゃうからね!千聖ちゃん。荷物両手貸して?」

 

 

そういうと、日菜は千聖が持っていた袋を両方奪い、家の中に、ものすごい勢いでかけていった。

 

 

「本当に、元気な子ね。」

 

 

千聖が笑っている。

 

 

「日菜は本当に、昔から分からないなー。もちろん、お前もな。」

 

 

敬二も千聖につられて笑っている。

 

 

「フフ、ありがとう。さぁ、これからパーティーの準備に入らないとね。」

 

 

「パーティー?」

 

 

敬二が不思議そうな顔で千聖に聞く。

 

 

「あなたの初の対人任務だったでしょ?その記念のパーティーよ。」

 

 

千聖が髪をなびかせながら言った。

 

 

「いや、パーティーとか、そんな大袈裟な...。」

 

 

「敬二、千聖ちゃん。早く、パーティー始めようよ!」

 

 

日菜が大きな声で玄関で扉を開けながら、話している敬二と千聖に声を掛ける。

 

 

「さぁ、行きましょう。」

 

 

千聖が敬二の手を引っ張った。

 

 

「そうだな...。パーティー、するか!」

 

 

一夫二妻制(いっぷふさいせい)

それは男が妻を二人持てるという制度。

敬二にはこの長い人生の中で、数々な障害を乗り超えてきた。その障害の中には、一夫二妻制で苦しんだこともあった。でも、千聖と日菜の二人の妻のおかげで、今の敬二がいると言っても過言ではない。そんな、障害を乗り超えてこそ、この三人が一緒に夫婦の関係で入れることが許されている。これからもいろいろな障害にぶつかるかもしれない。しかし、この三人なら大丈夫だろう。今までの障害を乗り超えてきたから。

 

 

敬二は開いていた扉を閉めて、千聖と一緒に日菜の元へと向かう。

暗い空には星が見えていた。

 

 

 

 




分からないところ、沢山ありました?
ちなみに、一夫二妻制について補足説明をすると、
*一夫二妻制
日本が2118年に発表した、男が妻を二人まで持てるという制度。日本が少子化対策として発表した。最初はその制度に不満を募らすものが多かったが、いつしかだんだんと認められるようになった。実際、少子化がこの制度のおかげで少なくなっていった。

その他にも分からないことがありましたら、どしどしコメントで聞いてください!聞かれたことはネタバレしない程度で、前書きに書こうと思います!


*新キャラ情報
杉内 千聖・・・ガールズバンドパーティーの白鷺千聖より
杉内 日菜・・・ガールズバンドパーティーの氷川日菜より

感想コメント、お待ちしています!


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3・キャラが儚い隊長

こんにちは、こんばんは。
とりあえず、眠いです。(笑)
だから、字が変なことになってる部分があるかもしれません。そこはどうか暖かい目で見て頂けると、幸いです。
物語読む前に、補足説明
*戦闘員・・・戦って、生計を経てる人達のこと。主に200歳以上は強制に近い形で戦闘員にならされる。

*サポート・・・主に戦闘員の補助係。戦闘員を他の世界へ行かせることや、戦いの最中の武器補充など、戦闘員にはなくてはならない存在である。特にこの仕事は女性が多い


杉内 敬二

 

2000年生まれ、現在201歳

 

彼は焦っていた

 

約束の時間まで後、7分

 

彼は高い高層ビルの取っ手に鎖をかけ、まるでピエロのような足取りで、ビルとビルの間を通っていく。

そのしなやかな鎖の動きはもはや、人間技ではなかった。

 

彼は何故、200歳ともいう年齢なのに、こんなにも素早い動きが出来るのが、そして、彼はどうして200歳なのにこのような若い少年のような、青年のような姿なのか。その事を今回は少しばかり説明しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2075年、アメリカ人が人間を今までよりも長く、生命を保つことの出来る薬『NG‐11』を開発。

その薬が発表された当初はその薬の効果を最初は皆、信じなかった。もしかすると、アメリカが人類を滅ぼすかめに作った、感染型のウイルスが入ってるのではないかという噂もあったぐらいだった。

しかし、『NG‐11』の効果は次第に他の国でも認められていき、2080年には、世界各国が『NG‐11』を使っていた。そして、いつしか『NG‐11』を一人一回使うことが、強制になった。

 

2090年近くになると、日本や世界での顔整形の技術が進歩していき、そのところになると『NG‐11』で、100歳を超えた者は自分の若いときの顔に整形することが義務化させられた。中には、整形を拒む者もいたが、その者は意味のない拷問を受けさせられたあと、強制的に整形をさせられた。

 

人々は『NG‐11』では、脳や心臓の一部分は動くが、その他の体の機能が低下していった。

そこで2065年に出来た組織『世界政府』は人間の機械化を進めた。

人間の機械化は、人間の体の低下していた部分に人工の臓器などを入れることだった。

人工の臓器と言っても、現代のような形ではなく、見た目はまるで本物の臓器みたいだった。

手、目、髪、胃、腸、足、腕や、その他もろもろの体の部位をその時の科学では完璧に作れた。

そして、人間は長生きしながら、体も完璧に保っていた。人々の中には、ほとんどロボットと変わらない体の者もいた。

 

2140年以降、人類は自分たちが住んでいる世界とは、違う世界、『パラレルワールド』を発見した。『パラレルワールド』、通称『PW』を発見したのは、当時251歳だったイギリス人『ジキル・アッカー』が率いる『PW捜索隊』。

『PW』発見は後の人類の大きな進化に繋がる。

 

『PW』を発見した人類は、『PW』に資源を取りに行くようになる。何故、人類は『PW』に資源を取りに行ったかというと、もう地球の資源はもう底を尽きる間近だったのだ。そこでジキルが発見した『PW』にいき、資源調達をしていた。

しかし、そこでひとつ問題があった。『PW』に派遣する人間の数がかなり少なかったのだ。

そこで世界政府は、200歳ものを越えたものを『PW』に資源を取りに行くことを強制させた。

そして、200歳になったものを差別するために『死人』と呼び、100年以上かけて作った、地球規模の人工衛星に、200歳になったものは強制的に住まされた。

この事が影響で100歳を超えた者も200代の人達とは違う人工衛星に住まされることになった。

200歳は政府の言いなり、奴隷である。

 

『PW』に行っていた者が死亡する事故があった。原因は、『対人戦闘』による戦い。『PW』にまさか人間がいるとは誰しもが思わなかった。

人類はその出来事のあと、『PW』で集めた資源を使って武器を作り始めた。

そして、『対人戦闘』に勝てるための、知識や戦いかたを身につけさせた。

 

『PW』での対人戦闘が、いつしか頻繁におこり、最近では『PW』行くということは、ハッキリ言って「死にに行くようなもの」とまで言われている。

『PW』はひとつじゃない。皆、一人一人違った武器や戦いかたで攻撃してくる。

 

そんな世界の中で「杉内 敬二」は生きている。

200歳以上生きている彼の今の目標は『出来るだけ長く生きる。』

対人戦闘をする彼にとっては、無理そうな目標だが、彼はそんな目標を持っている。

200歳まで生きて、まだ足りないか?と、ツッコミたくほどである。

でも、彼の生き方は、彼自信のものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

約束の時間まで、あと3分。

敬二は背の高いビルのエレベーターに乗っていた。

頬から滴る汗、敬二の疲れた表情。彼は相当ここに至るまで、かなりの体力を使ったのだろう。

 

エレベーターは32階で止まる。

扉が空いた先には、ガヴェインが腕を組ながら壁にもたれていた。

 

 

「あぶえなー、お前。もう少しで遅刻だぞ?そういうところは、いつまで経っても本当に治らないよなー。」

 

 

もたれていた体を動かし、ガヴェインが敬二の元へ向かう。

 

 

「ごめん、ごめん。ちょっと、寝坊しちゃて。」

 

 

敬二が、もう仕分けなさそうな顔になっている。

 

 

「じゃあ、早く行こうぜ。サポートの人が待ってる。」

 

 

ガヴェインが小走りで、白い廊下を走っていく。敬二はそれについていった。

 

しばらくするとドアがあり、そのドアを開けて二人は入っていった。

入った部屋は、あたりは白く、一つのデスクの上にパソコンが一つの置いてある。

そして、そのデスクの近くの椅子にピンク色のツインテールの少女が座っていた。

 

 

「もしかして、君たちが今日新しく入るって言ってた、敬二君とガヴェイン君?」

 

 

少女がツインテールを少し揺らしながら問う。

 

 

「はい、そうです。」

 

 

敬二はハッキリとした声で返答した。

 

 

「はじめまして!『まんまるお山に彩りを!』丸山 彩です!彩って呼んでください!」

 

 

彩が挨拶をした瞬間、二人は固まってしまった。

 

 

「ごめんね、Tチームの隊長まだ来ていないみたいだから、ちょっと待ってね!」

 

 

彩が申し訳なさそうに、手を合わせた。

 

 

「いやいや、全然待ちますよ!こちらこそ、宜しくお願いします。」

 

 

ガヴェインは軽くお辞儀押した。

お辞儀をし終えたガヴェインに敬二が耳元に近づいた。

 

 

「なぁ、ガヴェイン。『まんまるお山に彩り』ってどういう意味だ?」

 

 

「俺に聞くなよ。知らねーよ。」

 

 

彩には聞こえない声で二人は話していた。

すると、後ろのドアが開いた。

入ってきたのは、背の高い紫色のポニーテールの男

性・・・。

いや、正確にいうと、男性みたいな女性だった。

 

 

「遅れてすまない、彩。あれ・・・。そこにいる二人はいったい誰だい?」

 

 

「あ、薫さん!この二人は今日からTチームに所属するのことになった、敬二君とガヴェイン君だよ!」

 

 

彩が元気よく答える。

 

 

「宜しくお願いします!」

 

 

ガヴェインと敬二は二人で頭を下げる。

 

 

「こちらこそ宜しく。私はTチームの隊長の瀬田 薫だ。」

 

 

薫は片手を腰に当てている。

 

 

「じゃあ、早速・・・。あ、その前に・・・。イブちゃんは今日は別のサポートの仕事あるから、来れてないけど、基本的には私とイブちゃんの二人がTチームのサポートの担当だからね!」

 

 

彩はそう言うと、近くにあったパソコンを起動した。

 

 

「もしかして、二人とも忘れているかもしれないから、一応私がチームのことについて説明しておこう。まず、具体的に、戦闘員達は総戦闘長の元で2つの組織で分かれている。そして、2つで分かれた組織をさらに8つずつにする。そして、8つ分かれた多数チームから、さらにまたA~Zの少数チームに分かれる。私達はその少数チームの『T』というチームだ。」

 

 

薫はさらに話を進める。

 

 

「これだけの組織の数があるのに、中には組織すら入れず、無所属の人達が沢山いるのだ。

あぁ・・・。儚い・・・。」

 

 

またもや、敬二とガヴェインが固まる。

 

 

「・・・。よし!準備出来た! 敬二君、ガヴェイン君、そして薫さん。早速一つ、任務が入ってるのだけど・・・。その任務は、昨日、敬二君とガヴェイン君が倒した人と同じのパラレルワールドの人達を倒す任務だよ。」

 

 

彩がパソコンのキーボードをいじりながら、話している。

敬二とガヴェインは考えた。相手はもしかして、『復讐』しに来ているのではないかと。

 

 

「強さは、前の二人よりは強いよ?そして、四人いるから、余計に難しい任務だねー。」

 

 

彩はもの凄い速さでキーボードを打っている。

 

 

「もしかして、復讐しにきたとか思っているのかい?」

 

 

薫がキリッとした目つきで敬二に話しかけた。

 

 

「もし復讐してきたと思ってるなら、大丈夫さ。シェイクスピヤ曰く、『物事に、よいも悪くもない。考え方によって良くも悪くもなる』だからね。」

 

 

薫が爽快な顔をしていた。

 

 

「薫さん、それどういう意味ですか?」

 

 

ガヴェインが聞く。

 

 

「つまり・・・。そういうことさ。」

 

 

薫の説明はガヴェインが創造する答えとは一切違うものだった。

 

 

「準備はいい?みんな!」

 

 

「いつでも、行けるぜ!」

 

 

敬二が元気よく答えた。他の二人も意見が一緒のようだった。

 

「では、転送を開始します!」

 

 

彩がそう言った瞬間に3人の体は消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




とりあえず、眠いです。
もう夜の1時です。寝ます。
薫さんの言動を書くのが今までで一番難しい。




*新キャラ情報
丸山 彩・・・ガールズバンドパーティーの丸山 彩より
瀬田 薫・・・ガールズバンドパーティーの瀬田 薫より

感想コメント、評価お待ちしています!


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4・黄色髪の異端児

こんにちは、こんばんは。
今回は今までより、だいぶ長くなってしまいました。
今回は戦闘する回です。戦闘するところを書くのはだいぶ難しかったですね。
そして、物語を読む前に補足説明
*武器紹介(一部)
・ライトセーバー 現代の剣の先が丸みを帯びている武器。この武器全体が持ち手以外青い蛍光灯のようなもので光っている。他にも色の種類はあるが、基本的には青色。

・フライチェーン 小さな壺のようなものを片方の手につけ、そこから鎖を飛ばし、建物などに引っ掛けて、今度は逆に自分が引っ掛けた方向に引っ張られる。それを駆使して移動することが出来る道具である。また、飛び道具として使われることもある。(フックショットと類似している)

・ライトグローブ 分厚い手袋を装着し、その手袋の甲に小さなライトセーバーと同じ青い蛍光灯のようなものがついていて、それを駆使して戦う武器である。使用者あまりいない。ガヴェインの得意武器。

・煙幕弾 白い球体を投げ、投げた衝撃で白い煙を出す道具である。煙は基本は三分間、周囲を覆う。



2017年 5月

 

イギリスのロンドン塔付近

 

敬二、ガヴェイン、そして薫の三人はロンドン塔の見える公園のようなベンチで座っていた。

空には雲がかかっており、かすかに太陽の光が差し込んでいた。

しばらくして、三人の左耳につけていたイヤフォンから少女の声がした。声の主は彩だった。

彩はこれからの状況を丁寧に話し出した。

 

 

「皆さん、無事にそちらに転送できたそうで良かったです!さっそくですが、今回の任務について詳しく説明しますね。今回の任務はNo.14356のパラレルワールドの戦闘員の撃退です。No.14356の人達は白い服が特徴的なことから、『ホワイトワールド』。略して、WW(ダブルダブリュウ)と言われています。今回はそのWW、4人の撃退です。特に何も特別の技など使わない、私達と戦闘方法も特に変らないパラレルワールドなのですが...。」

 

 

急に彩の言葉が止まる。敬二たちは少し心配したが、彩はすぐに話を進めた。

 

 

「そのWWの4人の内に一人、『異端児』と呼ばれる少し変わったら人がいまして...。その方は、30人の人達相手に一人で突っ込んでいったとか、左手がなくなっても戦い続けたという噂があります...。」

 

 

敬二はその話を聞いて、少し驚いていた。そこまでして、戦うやつがいることを。

 

 

「でも、それは単なる噂だろ?」

 

 

口を開いたのは、ガヴェインだった。

 

 

「噂だっら別に気にすることはねーよな。」

 

 

ガヴェインは両手を頭の後ろで組んでいる。

 

 

「そうなんですけどね...。まぁ、戦闘力的な物は貴方達と変わらないので、頑張ってください!後で何かありましたら、連絡宜しくお願いします!」

 

 

左耳からは声は聞こえなくなった。

 

 

「相手は4人、そして一人は異端児...。」

 

 

敬二はさっきの彩の言ってくれた情報に関して、真剣に考えていた。どう戦うべきか、そしてどう倒すか。

 

 

「そんなに考えたって仕方ないよ、子犬君」

 

 

「子犬君...?」

 

 

薫の発言に敬二は疑問を抱いた。

 

 

「別に今のは気にしないでくれ。それより、敬二。まだ、会ったことすらない相手のことを考えたって、仕方がない。会ったときに考えるんだ。別にそのときにどうなったて仕方がない。シェイクスピア曰く、『どうとでもなれ、どんな大嵐のでも、時間は経つ』とね。」

 

 

「ちなみに、最後のシェイクスピアの言葉の意味はなんですか?」

 

 

薫の言った、シェイクスピアの言葉のことを敬二は聞いた。

 

 

「つまり...。そういうことさ。」

 

 

しかし、答えは案の定だった。

敬二はガヴェインは呆れたような顔をしていた。

 

 

「では、私は左側から行こう...。君たちは右側から行ってくれ。」

 

 

薫はそういうと、急にベンチから立ちあがり歩きだした。

 

 

「か、薫さん?!、ちょっと、待ってください!」

 

 

突然の行動に二人は驚き、すぐさまガヴェインは薫を止めに行った。

 

 

「どうしたんだい?君たち?」

 

 

「いやいや、『どうしたんだい』じゃなくて、ちゃんと説明してください!どうして薫さんは左で俺たちは右から行くわけを。」

 

 

ガヴェインは結構必死な声だった。

 

 

「つまり...。そういう...。」

 

 

「いや、そういうのいいんで。」

 

 

ガヴェインは少し呆れていた。

 

 

「おっと、すまない。では、詳しく説明するとしよう。」

 

 

薫はもう一度ベンチに座った。

 

 

「私は今回の相手について事前に調べていたのさ。さっき、彩が説明していなかったことを補足説明といった形で説明しよう。相手...。WWの今回の4人は全員男の少数チームだ。実力は私達と分からない、まだ出来て間もないチーム。だから、別に心配することはない。ただ...。『異端児』を除いてはね...。」

 

 

薫の言葉が止まる。

 

 

「『異端児』ってそんなに強いんですか?」

 

 

敬二が不安そうに聞いてきた。敬二は少し震えているようだった。

 

 

「まぁ、今の君達では敵わないかもしれないということさ。と、いうわけで、今回は君達二人でその『異端児』を倒してほしい。」

 

 

「いや、今『敵わない』って言ったじゃないですか!だったら、無理じゃないですか?」

 

 

ガヴェインは薫のほうに体を向ける。

 

 

「君達二人のどっちかだけが戦ったところでは、おそらく負けてしまうだろう。しかし、私は君達二人で戦うこと前提にして考えている。『異端児』と言って相手は私達のパラレルワールドと同じ、少数チームの戦闘員。二人係だった流石に勝てるだろう。」

 

 

「なるほど...。じゃあ、何故さっき薫さんは『右側から行け』と言ったんですか?」

 

 

敬二の目は真剣だった。敬二の震えは止まっていた。

 

 

「『異端児』は左が好きだからね。」

 

 

「いや、じゃあ逆でしょ。」

 

 

ガヴェインが鋭いツッコミを薫に入れる。

 

 

「彼らから見たら、左側から向かっているように見えるんだよ。」

 

 

「え、彼らはいったいどこに...。」

 

 

「ロンドン塔の真後ろにいる。そして、私達のいる場所もすでに特定されているはずだ。」

 

 

敬二の質問に薫は真剣な顔で答えた。

 

 

「だから、なるべく早く行動を開始したいんだよ。」

 

 

薫は余裕そうながらも少し焦っているようにも思えた。

 

 

「分かりました。でも、そうなったら薫さんはいったい何人と戦うんですか。」

 

 

敬二はふと疑問に思ったことを口にした。もし、敬二とガヴェインが行った先が『異端児』一人だった場合、薫は必然的に三人と戦わないといけなくなるからだ。

 

 

「もちろん、私は三人と戦うよ。多分、『異端児』は一人で戦うことを望むからね。これもしっかり予習済だ。」

 

 

薫は二人にとって、驚きの答えを出してきた。

 

 

「えぇ?!三人と戦うんですか?」

 

 

「私ほどになると、少数チームぐらいの戦闘員だったら、三人同時に戦うぐらい大したことないさ。おっと、そろそろ行かないと敵が来てしまうね。では、私はそろそろ行くとしよう。君達の活躍を祈っているよ。」

 

 

薫はそう言うと、すぐにベンチから立ちあがり去ってしまった。

 

 

「あ、行っちゃた...。」

 

 

敬二とガヴェインはベンチに座ったままだ。

 

 

「じゃあ、俺達も行くか?敬二?」

 

 

「そうだな、薫さん信じて行ってみるか!」

 

 

薫の予測が当たっているのか不安に思ったが、敬二とガヴェインは言われた通り、右側に向かって進み始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロンドン塔、テムズ川側。

 

そこに白い服とマントを着けた、4人の集団がいた。何やら彼らは話し合いをしていた。

 

 

「では、このフォーメーションで...。」

 

 

「俺、一人で行動したいっす!」

 

 

その集団の隊長みたいな人の話を止めたのは、敬二達のパラレルワールドで『異端児』と呼ばれている男だった。

 

 

「おい、ハンニバル。また、お前はそんなことを言うのか?お前のそう言った発言と行動が、同じチームにいる俺達に迷惑をかけていることにまだ気づかないのか?」

 

 

その集団の隊長みたいな人が少し勢いのある声でハンニバルと呼ばれた『異端児』に言い返した。

 

 

「俺はまとものことを言ってるだけですけどねー。だって、まず相手は三人。そのうち二人は無名の新人だけど、後の一人は『戦場を業火させる王子・薫』と言われてるんですよ?まぁ、女性だけど。だから、今回はその薫って人を三人で相手にしてもらって、それ以外の残った二人の新人を俺が倒しますわ!」

 

 

ハンニバルは自信満々に言っている。

 

 

「もう止めても仕方ないか...。分かった。お前の好きにしろ、ハンニバル。決して、死ぬんじゃないぞ。」

 

 

隊長らしき人はもう諦めている感じだった。

 

 

「分かりました!隊長!じゃあ、俺は左側から回って行くので、隊長達は右から回ってください!そして、挟み撃ちの時に、俺が新人二人を倒します!じゃあ、お気をつけて!」

 

 

そう言うと、ハンニバルは去ってしまった。

 

 

「んったく、アイツは...。まぁ、いい。俺達は俺達の全力を見せるぞ。」

 

 

「はい!」

 

 

隊長の言葉に残ったら二人の男達が返事をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺、薫さん苦手かも...。」

 

 

そういい始めたのはガヴェインだった。彼は人見知りではなく、他の人が苦手ということがあまりなかったので、この言葉に敬二は少し驚いた。

 

 

「何で?」

 

 

「だってあの人、人の話全然聞いてくれないし、シェイクスピアの話ばっかりするし...。何て言うんだろう...。とにかく、苦手だな...。」

 

 

「意外だな...。」

 

 

「えっ?どうして?」

 

 

ガヴェインは敬二の言葉に驚いた。

 

 

「何か、お前って人苦手とかそういうの全くないと思ってたからさ。」

 

 

「俺も人間なんでね。苦手な人ぐらい一人や二人いるよ。」

 

 

そう言うと、ガヴェインは頭の後ろに手を組んでいた。

 

 

「まぁ、そりゃぁ、そうだな。よし、この話はまた後でということで、今は任務に集中するか!『異端児』もいたことだし...。」

 

 

ガヴェインは敬二の言葉を聞いて、敬二の向いていた建物の上の頂上のところを見た。するとそこには一人の白い服とマントを着た、黄色い髪の男が立っていた。

 

 

「あれが、『異端児』...。一人か?」

 

 

「あぁ、おそらくな」

 

ガヴェインの言葉に対して、敬二が答える。

すると、その『異端児』と思われる男は建物からジャンプし、敬二とガヴェインの前に降り立った。普通の人間だったら骨折していたかもしれないことをその『異端児』は軽々とやり遂げた。

 

 

「よぉ、新人さん。俺はハンニバルって言うんだ。宜しく。」

 

 

名前を名乗ったことに敬二とガヴェインは驚いたが、敬二はそれでも、平然の顔でいた。

 

 

「俺は敬二って言う、そして横のやつはガヴェインって言うんだ。」

 

 

「敬二とガヴェインねぇ....。なるほど。」

 

 

敬二は名を名乗った。そのほうが同じ土俵にいるような感じがしたからだ。

 

 

「じゃあ、さっさと始めますかー。」

 

 

そう言うと、ハンニバルは腰にかけていたライトセーバーを取り出した。

敬二達も慌ててライトセーバーを構える。

 

 

「挟み撃ちは出来なかったけど、結局二手に分かれたから、まぁいっか。これで思う存分戦える...。」

 

 

そう言った瞬間、ハンニバルは敬二達のほうに向かって全力で走りだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ、子犬君達。」

 

 

「戦場を業火させる王子...。薫!」

 

 

敬二達とハンニバルが戦闘を開始したのと同時刻。

薫はWWの三人と対峙していた。

 

 

「戦場を業火させる王子だなんて...。私はそのような儚い名前で呼ばれているのだね...。」

 

 

「儚い?とりあえず、意味は分からんがお前を全力で倒しにきた。覚悟しろ!」

 

 

白服の隊長がものすごい形相で薫を睨んでいた。その目はまるで殺し屋の目。

 

 

「まぁ、焦らずに落ち着いてくれ...。とは言ったものの、私も少し焦っていてね。出来れば早く終わらしたいのだよ。」

 

 

そう言った薫は左手を伸ばし、三人のほうへ向けた。

そして、薫の伸ばした左手の袖から無数のバラの花びらが風に舞い上がったように出ていった。

 

 

「何だ、これは?!」

 

 

三人はライトセーバーをすでに構えていたが、かなり動揺していた。

100枚、200枚...。いや、本当はそれ以上かもしれないバラの花びらが白服の三人の回りを飛んでいる。

 

 

「君達の儚い姿を見なくてはいけないが、任務のため仕方ない...。」

 

 

そう言うと、薫は親指と中指を擦り合わせ、甲高い音を鳴らした。

 

音を鳴らした後、もう白服の三人の生きている姿を見たのもは、薫意外いなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ...。」

 

 

「新人さんといっても、所詮この程度か...。」

 

 

ハンニバルの激しく、そして素早い攻撃を受けて、敬二とガヴェインの体力はかなり底をついていた。

まだハンニバルと戦ってから、彼に一回でもダメージを与えられずにいた。

両者は向かえ合っている。

 

 

「ガヴェイン、いつものやつやるぞ。」

 

 

敬二がガヴェインにだけ聞こえるように言った。

 

 

「あぁ、いつでもいいぜ。」

 

 

敬二はウエストポーチから煙幕弾を取り出した。

そして、それをおもいっきりハンニバルの足元に投げつけた。

 

 

「あー、煙幕弾ね。こっちの世界でもあるわー。そういうの。」

 

 

何故かハンニバルは余裕そうな顔をしていた。

そんな風に、敬二は思った。

ハンニバルの顔が次第に煙で見えなくなる。

真っ白な空間がそこには出来上がった。

沈黙...。ただ辺りは沈黙になった。

しかし、その沈黙を破ったのは、ハンニバルの後ろに回りこんだ、ガヴェインだった。

ガヴェインはハンニバルの頭めがけて、甲が青色に光る拳を降り下ろしていた。

その行動を察知したハンニバルは華麗に横に避けた。

結果、ガヴェインの拳は地面に強く叩きつけられた。

そして、地面には少しヒビが入った。

ハンニバルは地面を叩きつけたガヴェインの首を目にも止まらね速さで掴み、ガヴェインの首を持ちながら、ガヴェインを出来るだけ遠くへ飛ばした。

飛ばされた衝撃でガヴェインは地面に叩きつけられ、口から少し血を吐き出した。

 

 

「結局、これぐらいの...。」

 

 

ため息混じりの声でハンニバルが言葉を発しようとした時、ハンニバルの右腹辺りを一本の長い鎖が通過した。

ハンニバルは一瞬、戸惑った。そして、その鎖から離れようとした。しかし、彼の思い届かず、鎖の動きが止まった瞬間、人影がさっきのハンニバルがガヴェインの首を持った時のスピード、いやそれよりかなり速いスピードで、ハンニバルに迫ってきた。

その人影の正体は敬二だった。

敬二は右手にライトセーバー、左手にはフライチェーンを装備していた。

敬二のライトセーバーはハンニバルに降りかかろうとしていた。

ハンニバルは即座にライトセーバーを後ろに、もっていった。

 

 

「お前ら、楽しいな!もっと、全力で戦おうぜ!」

 

 

ハンニバルの顔は笑っていた。

すると、いきなりハンニバルの持っていたライトセーバーの回りに竜巻のようなものが出来ていた。

そして、そのライトセーバーを降り下ろす。

敬二のライトセーバーとハンニバルのライトセーバーが交差した。

そして、どちらかが、おもいっきり吹き飛ばされた。

吹き飛ばされたのは、敬二だった。

敬二は少量の血を口から出していた。

 

 

「ちゃんと本気で戦ってよー。『性質変化』使ってさ。」

 

 

「せ...。『性質変化』?」

 

 

ハンニバルの『性質変化』と言う言葉は敬二は聞いたことがなかった。

 

 

「え?まさか、知らない?『性質変化』?」

 

 

「おう...。」

 

 

ハンニバルは驚いた様子で敬二に聞いていた。

 

 

「マジか...。まさか、『性質変化』も知らないでこの俺と戦おうとしてたわけ?スゲーな。まさか、類似的世界のやつらで『性質変化』知らないやつがいるとは思わなかった。じゃあ、お前らと戦っても面白くねーな。呆れたわ。」

 

 

ハンニバルに言いたい放題言われた敬二とガヴェインは腹がたっていた。特にガヴェインは今にでも動き出して、ハンニバルに殴りかかろうとしそうな雰囲気だったが、ガヴェインにもう立てる体力は残っていなかった。

呆れ顔をしていたハンニバルの右耳のイヤホンから何やら声が聞こえていた。敬二達には聞こえなかったが、多分、WWの『サポート』の人と会話しているんだろうと敬二は悟った。

 

 

「おけ、んじゃ、戻るわ。」

 

 

ハンニバルはそう言ったあとに、敬二とガヴェインの方を見た。

 

 

「じゃあ、次会うときまでには『性質変化』覚えておきな。素人さん達。」

 

 

ハンニバルはそう言うと、一瞬で消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、君達、大丈夫かー。」

 

 

ハンニバルが消えてから、約2分。敬二達の元へ薫が走ってやって来た。

敬二とガヴェインは二人とも地面に倒れていた。

 

 

「いったい、何があったんだい?」

 

 

薫が心配そうに聞く。

 

 

「薫さん...。俺、ひとつ分かったことがあったんです。」

 

 

敬二が薫に言う。敬二の目は真剣そのものだった。

 

 

「それは、いったい何だい?」

 

 

「世界は、この無数にあるパラレルワールドは広いんだなって...。そう感じたんです...。」

 

 

敬二は自分で分かってるつもりだった。でも、それを今回改めて肌で感じた。

 

 

「そうだね...。パラレルワールドはそういったものなんだよ。無数にある儚さ...。それがパラレルワールドさ。さて、何やら、サイレンの音が聞こえいているようだ。そろそろ、ここを後にしたほうが良さそうだ。彩に連絡して、転送してもらえるように頼んでみるよ。」

 

 

そう言うと、薫は彩と連絡を取り合った。

いつしか回りには、かなりの人が集まっていた。パトカーのサイレンの音も聞こえる。

 

 

「準備、OKさ。さぁ、転送してもらおう。」

 

 

薫が彩との連絡が終わったみたいだった。

そして、敬二、ガヴェイン、薫の三人はロンドンの町から消えていった。

 

ロンドンの町はまだ雲がかかっていたが、太陽の光はもう出ていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




前書き長い!本文も長い!
今回はすべてが長かったですね。
長いほうがいいのか、短いほうがいいのか分かりませんが、これからも頑張っていきますので、どうか暖かい目で読んでください!
そして、薫さんのキャラがそろそろキャラ崩壊しそう。(;゜0゜)
感想コメント、評価お待ちしています!







*新キャラ情報
ハンニバル・・・モンスターストライクのハンニバル(進化)より。


*補足説明
類似的世界・・・敬二達のパラレルワールドとほとんど同じ、似ているパラレルワールドのこと。戦いかたや言葉、武器や歴史的なところまで、全て同じである。しかし、人間は似ていることはあっても同じことはない。
また、これとは逆に戦いかたや言葉が全く違う、非類似的世界も存在する。



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5・性質変化の基礎

こんにちは、こんばんは、お久しぶりです。
忘れてました。笑
すいません。
今回も伝わりにくいところがあるかもしれませんが宜しくお願いします。
感想お待ちしております。


2201年 6月 初期

 

この衛星に梅雨というものは存在しない。夏や冬などの季節もない。

この衛星にあるのは、戦いを強制された者達だけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

背の高いビル、『東塔』と呼ばれる建物の中に敬二は居た。

敬二は建物の中で薫と何やら話していた。

 

 

「薫さん...。この前の任務の時はすいませんでした。」

 

 

「ロンドンに行った時のことかい?」

 

 

「はい...。」

 

 

敬二はこの前の任務のことをかなり気にしているようだった。

あの任務からすでに1週間が経つ。

 

 

「あれは仕方がない事だよ。あの『異端児』のところに行かせた私のミスでもある。それに私がもう少しあの場に早く行っていれば、何とかなったかもしれない。私の責任だよ。」

 

 

「薫さんの責任ではありません!俺が弱かったからです...。」

 

 

敬二は落ち込んでいた。

 

 

「『異端児』...。彼と戦って君は、『パラレルワールドは広い』と言ってたが、それ以外に何か感じたことや覚えていることはないかい?」

 

 

「他に感じたこと...。」

 

 

敬二は1週間前の記憶を辿る。

 

 

「そういえば、『性質変化』がどうとか言ってた気がします。」

 

 

「なるほど...。君は『性質変化』を何かを知っているのかい?」

 

 

「いえ、何も...。」

 

 

薫は納得の表情をして、頷いていた。

 

 

「そういうことか...。分かった。じゃあ、敬二。今からガヴェインを連れてこの塔の20階のトレーニングルームに来てくれるかい?」

 

 

「え?でも、あのトレーニングルームは上の許可がないと入れないんじゃ?」

 

 

「許可ならすでに取ってあるさ。さぁ、出来れば早めに連れて来てくれると助かるよ。」

 

 

「分かりました!」

 

 

そういうと、敬二は急いで走り出し、ガヴェインに連絡をとっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「性質変化とは、つまり自分の想いを具現化する力の事だよ。」

 

 

敬二とガヴェインは東塔の20階にある、トレーニングルームに来ていた。

トレーニングルームは全体的に白く、まるで昔の体育館のようだった。

薫の話が続く。

 

 

「もっと力が欲しい、敵を倒したい。などといった、欲求に身体が反応して、特殊なホルモンを分泌する。そして、そのホルモンがある部分に集まっていく。そして、出来るのが『性質変化』と言う訳さ。」

 

 

「ホルモンが集まる場所は?」

 

 

敬二が左手を少しだけ上げる。

 

 

「そうだな...。敬二ならライトセイバー、ガヴェインなら、ライトグローブなどと言った、自分の武器にホルモンは集まる。『自分が武器だと思う場所』と言った方がいいかな。」

 

 

「なるほど...。」

 

 

納得顔の敬二に対して、ガヴェインは、なにやらまだ疑問があるようだ。

 

 

「ガヴェイン、他に気にあることがあるのかい?」

 

 

ガヴェインの気持ちを察して、薫がガヴェインに話しかけた。

 

 

「いや...。ふと、思ったのですが、人間にそんなことが出来ます?そんな力、アニメや漫画の中だけの話だと思うのですが...。」

 

 

薫は腰のポケットに入ってたライトセイバーを取り出し、ペン回しのように回していた。

 

 

「特殊なホルモン分泌には『NG-11』が関係していると言われている。でも、そんなこと言ったて、あまり実感が湧かないだろう。そこで、実際にそのホルモン分泌の力を見てほしい。」

 

 

そう言うと、薫はライトセイバーを回すのを止めて、ライトセイバーの持ち手のところの小さなボタンを押し、蛍光で光っている部分を出した。

薫の持っていたライトセイバーは赤色に光っていた。

 

 

「それでは、ショータイムだ!」

 

 

薫がそう言うと、薫の持っていたライトセイバーがだんだんと赤い炎を纏っていった。

そして、どんどん炎の量が多くなっていき、最終的には薫の2倍ぐらいの大きさになっていた。

 

 

「ス...、スゲー...。」

 

 

「マジかよ...。」

 

 

敬二とガヴェインは呆然と見ていた。

まるで本物の炎。その熱がじわじわと2人に襲ってくる。

薫が炎を消した時には、2人は感動していた。

このような力が現実にあるとは、思いもしなかった。

 

 

「これが『性質変化』と言うものだよ。」

 

 

薫が自慢げにこちらを見ている。

 

 

「薫さん、凄すぎます!ちなみに、薫さんはあの炎の力にいるのに、熱くはなかったんですか?」

 

 

敬二はまるで少年のような、希望に満ちた目で薫に話している。

 

 

「これは自分の出したホルモンの力さ。だから、自分では、熱さも痛みも感じない。」

 

 

「へぇ...。」

 

 

廊下から何かを引きずっている音が聞こえる。

 

 

「じゃあ、その力さえあれば...。」

 

 

「『異端児』を倒せるということさ。」

 

 

敬二とガヴェインの顔が明るくなる。よほど、ハンニバルに負けたのが悔しかったのだろうか。」

 

 

「まぁ、もう少し、『性質変化』について、説明しておくよ。『性質変化』には、5つの種類がある。まず、炎を宿す『火』、風を集める『風』、感電を誘う『雷』、未来を照らす『光』に死を思わせる『闇』といった5つの属性だ。まぁ、有利不利といったところはまた今度説明するとして、問題は今の君たちは何の『性質変化』を持っているかということだ。」

 

 

「分かる方法とか、あるんですか?」

 

 

ガヴェインは元気な声になっている。テンションが上がっているのだろう。

 

 

「もちろんさ。」

 

 

そう薫が言った瞬間、敬二たちの後ろの扉が開いた。敬二とガヴェインが振り向くと、そこには何やら、実験室で使うような装置を台に乗せて押して来た、イブの姿があった。

 

 

「イブ、すまない。」

 

 

「いえいえ、これもブシドーのためです!」

 

 

イブはいつも通り、ブシドーを大切にしているようだ。

 

 

「このイブが持って来てくれた装置がさっき言ってた、『性質変化』の種類を見極める方法さ。少し、痛みが伴うのだけども、この方法が1番手っ取り早い。試しに私が見本を見せてあげよう。」

 

 

イブが装置を薫の横にもってきた。

装置は長方形の形で、真ん中に穴が空いているだけのシンプルな作りだった。

薫は真ん中の穴に手を入れた。穴は薫の腕に合わせて圧縮していき、薫の手は簡単には抜け出せないようになっていた。

 

 

「では、いきますよ!」

 

 

そう言って、イブは装置に着いている横の赤いボタンを押した。

すると、いきなり薫の身体に電流が走る。

 

 

「うぅ...。」

 

 

薫はかなり苦しそうだった。

10秒ぐらいして、装置の上が突然燃えだした。

燃えたところで、薫に流れていた電流は止まった。

薫が装置から手を取り出した。

 

 

「大丈夫ですか!薫さん!」

 

 

敬二とガヴェインは慌てて、薫のもとへ向かった。

 

 

「いや、大丈夫...。少し腕が痛むぐらいさ。」

 

 

大丈夫と言いつつ、薫は腕を押さえていた。

 

 

「装置の上を見てご覧。あれが『性質変化』の結果さ。私は『火』の性質変化だから、装置の上が真っ赤に燃えた。」

 

 

薫は説明を続ける。

 

 

「私のおかげで恐怖を与えてしまったが、数秒で終わることだ。ちなみに、装置の仕組みは、電流を流して、無理やりホルモンを分泌させるのさ。そしたら、装置の上が反応してくれる。危険だが、1番手っ取り早い方法だ。」

 

 

2人は息をのんだが、決断は早かったようだ。

 

 

「あの『異端児』に勝つてるのだったら、この痛みなんて、今まで生きてきた痛みの何十倍もマシですよ!」

 

 

「俺も同じ意見だぜ!敬二!」

 

 

「さすが、君たちと言ったところか...。」

 

 

薫は納得したような表情だった。

先に装置に向かったのは、敬二だった。

敬二は恐る恐る、装置に手に入れた。穴は敬二の腕に合うように、圧縮した。

 

 

「では、いきます!」

 

 

イブの掛け声と共に敬二の身体に電流が走った。

 

 

「あぁっーーーー!!!!」

 

 

敬二の苦しそうな声が部屋全体に響いた。

数秒して、敬二の電流が止まった。

敬二は腕を装置から出し、その場にゆっくりと倒れこんだ。

 

 

「大丈夫か!敬二!」

 

 

ガヴェインが心配そうに敬二のそばへ行った。

 

 

「か、薫さん。俺の...、俺の『性質変化』は?」

 

 

敬二は苦しそうに倒れながらも、薫に必死に聞いていた。

 

 

「君の『性質変化』は...。」

 

 

装置の上から風が出て、ガヴェインや薫の髪がなびいていた。

 

 

「風だ...。」

 

 

部屋の中は、さっきより、涼しくなっていた。

敬二の髪もなびく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガヴェインの『性質変化』も『風』ということが分かった。

装置の判定が終わった敬二とガヴェインは床に大の字で倒れていた。

 

 

「では、私はこれで失礼します!お二人とも、シューギョー、頑張ってください!」

 

 

そう言うと、イブは装置を押しながら、トレーニングルームを後にしていった。

敬二とガヴェインは、今にも寝そうだ。

 

 

「今日はこれで終わりにするとしようか。あ、そういえば、次までのトレーニングにしてほしいことがあるのだけど、聞いてくれるかい?」

 

 

薫の問いかけに2人は大の字で寝転がりながら、手を天井にピンと上げた。

 

 

「ふふ、さすがだね。してほしいことと、言うのは、ライトセイバーを新しく買ってほしいということさ。ガヴェインだったら、ライトグローブを宜しく頼むよ。新しく買うのは、蛍光部分が緑色の物さ。火だったら赤、風だったら緑、雷だったら白、光だったら黄色、闇だったら紫というように、ライトセイバーなどの武器は蛍光部分が『性質変化』の色に合っていると効果を発揮しやすいんだ。一応、全種類の効果を均等に出せる青色もあるのだけども、今の君たちだったら、まだ『性質変化』のコツを掴んでいないからね。青色は2つ以上の『性質変化』を使える人用さ。

 

 

「『性質変化』を2つも使う人とか、いるんですか?」

 

 

ガヴェインが疑問を投げかける。

 

 

「もちろんいるさ。5つ全てを使える人はさすがに聞いたことがないが、2つぐらいなら、結構いるはずさ。」

 

 

「俺もいつか、2つぐらい使えるようになりたいなー。」

 

 

ガヴェインが手を頭の後ろにもっていく。

 

 

「では、私は失礼するよ。ゆっくり休憩してくれ。」

 

 

そう言うと、薫はトレーニングからいなくなり、敬二とガヴェインの2人になっていた。

 

 

「なぁ、ガヴェイン」

 

 

「どうした?」

 

 

「俺の世界...。少しだけ広がった気がしたよ。」

 

 

「それは、良かった、良かった。じゃあ、ちょっと寝るわ。おやすみ。」

 

 

「おやすみ...。」

 

 

ガヴェインと敬二といつの間にか寝ていた。

2人がいる部屋は、まだ風が吹いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

敬二やガヴェインがいる街は、東塔、西塔、北塔、南塔、そして街の真ん中に『本塔』と呼ばれる5つの塔が存在している。それぞれの塔は任務を行う上での、司令塔の役割をしていた。

その中で『本塔』はその塔の中でも、総本部の役割をしていた。

今、その『本塔』の最上階の周り1面が窓ガラスの部屋に2人の男女がいた。

その2人は何やら、話をしていた。

 

 

「ただいま緊張状態が続いているWWのことなのですが、WWがもうすぐ、こちらの世界に戦争を仕掛ける可能性があるという情報が入ってきました。」

 

 

女が男に話しかけた。男の人はスーツを着て、タバコを吸っていた。

 

 

「もうすぐとは?」

 

 

「具体的に言いますと、早くて、1週間後。遅くても1年以内には...。」

 

 

男は椅子に座り、窓ガラス越しに周りの背景を確認した。街は夜とは思えないほど、明るかった。

 

 

「全ての塔、全てのチームに話を回せ。なるべく、早く。あと、武器の補給にも全力を尽くせと言ってくれ。」

 

 

「分かりました。」

 

 

そう言うと、女は部屋の扉のドアを開いた。

 

 

「すいません、一応聞いときます。勝機はあるのでしょうか?」

 

 

ドアを開けたところで女の動きが止まる。

 

 

「安心しろ、あんなパラレルワールドに負ける訳がない。それに俺が生きてる限り大丈夫だ」

 

 

「分かりました。」

 

 

そう言うと、女は部屋から出ていった。

 

 

 

男は2つ目のタバコに手が伸びていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれてありがとうございます!
結構、長かったですね。(多分)
誤字、脱字や分かりにくいところがあったなどのがありましたら、コメントお待ちしております。
次回は、波乱な展開?


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6・戦火の予兆

こんにちは、こんばんわ!
今回は急に話が進みます!
今回も伝わりにくいところがあるかもしれませんが宜しくお願いします。
感想お待ちしております。





「かなりの人だな...。」

 

 

『性質変化』が風だと分かった次の日、敬二は千聖と日菜と一緒にショッピングモールに来ていた。

ショッピングモールはインターネットショッピングの影響でかなり減少した。

最近のインターネットショッピングはワンクリックで商品が5分以内に届くという最新技術が流行していた。

なので、ショッピングモールに行く人はだんだんと減っていった。

そんな中、数少なくなったショッピングモールの中でも、東京ドーム3個分の面積と言われていて、異例の大きさを誇るショッピングモールに敬二たちは来ていた。

そのショッピングモールは休日ということもあってか、かなり混みあっていた。

 

 

「まぁ、久しぶりの休日だし、たまにはこういう人混みもいいんじゃないんかしら?」

 

 

「千聖はショッピング好きだもんなー。」

 

 

「2人とも、早く行こーよー。」

 

 

敬二、千聖、日菜は久しぶりの休日を楽しんでいた。

最近、3人が揃って休みがとれるということが、本当になかったため、敬二たちはこの休日を楽しみにしていた。

でも、敬二がここのショッピングモールに来たのは、単に楽しい休日の過ごすためではなく、薫に言われた緑色のライトセイバーを買うためだ。

まず、最初に入った店はアロマオイルの専門店だった。

 

 

「最近、ジャスミンにハマってるんだよねー。あ、でもラベンダーもいいよねー。ん?これは新商品の『新しく発見したパラレルワールドで取ったレモンの匂いのアロマオイル!?』うぁー、めっちゃ迷うなー。どうしよっかなー。」

 

 

日菜は昔からアロマオイルが大好きだった。

今でも日菜の部屋はいつもアロマオイルの匂いがする。

結局、日菜は迷っていたアロマオイルを全て買っていた。

いつしか、敬二は左手でパンパンの袋を持っていた。

そして、次に行ったのは築50年の歴史をもつ、

ライトセイバーの店だった。

この店は今でも人気が高く、店の中はいつも人でいっぱいになっていた。

しかし、今日は運がいいのか、敬二たちが店に入った時はあまり人がいなかった。

店の奥には頭にタオルを巻いたおじさんが座っていた。

おじさんは、工具箱の上に座っていた。

 

 

「おい、坊主」

 

 

「は、はい。俺のことでしょうか?」

 

 

店に並んでるライトセイバーを見ていた敬二におじさんが話しかけてきた。

 

 

「お前、緑色のライトセイバーを探してるのか?」

 

 

「はい、そうですけど...。」

 

 

緑色のライトセイバーが並んでる棚を見ていたから、敬二が緑色のライトセイバーを探していると分かったのだろうか?

 

 

「なら、いいもんがあるぜ。」

 

 

そう言って、おじさんは店の奥へと入っていった。

少し経つと、おじさんが緑色のライトセイバーを持ってきた。

 

 

「これって?」

 

 

「俺が使ってたライトセイバーだよ」

 

 

「え!?」

 

 

「お前が持っていた方がいいよ。」

 

 

敬二は少し考えたが、おじさんの気持ちに答えようとし、このライトセイバーを買うことを決めた。

 

 

「お値段はいくらですか?」

 

 

「それは商品じゃない。俺が勝手にあげただけだ。」

 

 

「ですが、それではあまりにも申し訳ないです 。」

 

 

「お前には、可能性を感じる。それを俺は信じている。」

 

 

結局、敬二はタダで緑色のライトセイバーを貰うことが出来た。

次に向かったのは、カフェだった。

カフェとは言ったものの、中にジャンクフードが売ってある珍しいカフェだった。

千聖、日菜、敬二は3人でカフェの椅子に座っていた。

そして、3人は昔の話で盛り上がっていた。

200年以上生きていれば、もう50年ぐらい前のことしか覚えていない。

子供のことの記憶はすっかり忘れている。

覚えている記憶は、印象に残った記憶だけ。

それ以外はほとんど忘れている。

長生きすれば、記憶もなくなっていく。

 

敬二は日菜と会うのは先だったが、千聖とは日菜より先に結婚していた。

敬二は千聖との結婚生活はもう150年以上になる。

 

 

「あたし、ポテト買ってくるねー。」

 

 

そう言って、日菜はジャンクフードが売っているところへ走っていった。

 

 

「日菜ちゃんは本当に昔から変わらないわね。」

 

 

千聖が微笑みながら言った。

 

 

「変わったさ、日菜は。そして、千聖も俺も。」

 

 

敬二は笑顔で言ってみせた。

千聖と敬二は笑い合っている。

 

 

「あ!2人だけずる~い!いい雰囲気になって!」

 

 

日菜がポテト片手に敬二たちの元へ帰ってきた

 

 

「ごめん、ごめん。日菜。」

 

 

敬二は笑いながら言った。

 

 

「あ、そういえば、あなたって何かトレーニングをするって聞いたけど...。」

 

 

千聖がコーヒーを片手に持ちながら聞いている。

 

 

「そうなんだよ、だから帰ってくるの少し遅くなるかもな。」

 

 

「あたしはいつでも待ってるよ。敬二の帰り!」

 

 

「私は疲れた身体に効く料理とか作れたら作っておくわね。」

 

 

「あたしも手伝う!」

 

 

「日菜ちゃんにも、もちろん手伝ってもらうわよ。」

 

 

「ありがとう、2人共」

 

 

そう言って、敬二はコーヒーを1口飲んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

買い物に行ってからちょうど1ヶ月後。

 

敬二とガヴェインは性質変化を少しではあるが、自分の物にしていた。

東塔、20階のトレーニングルームで、敬二とガヴェインは今日も性質変化のトレーニングをしていた。

敬二とガヴェインは目を瞑りながら、自分の持っている武器に精神を集中していた。

すると、武器に少しづつ風が集まっていき、数秒で2人の武器の周りには、感覚で分かるぐらいの風が集まっていた。

 

 

「素晴らしいよ、君達!まさか、この1ヶ月で性質変化をマスターしてしまうなんて!」

 

 

薫が嬉しそうな顔で拍手をしている。

 

 

「いえいえ、薫さんがこの1ヶ月。みっちりと教えてくれたおかげですよ。」

 

 

「これでやっと、ハンニバルを倒せるな!敬二!」

 

 

敬二とガヴェインは嬉しそうだった。

ガヴェインの言葉に薫は少し苦い顔をした。

 

 

「今の君たちなら、『異端児』といい勝負をするだろう。しかし、『倒せる』というところまではいかないだろう。」

 

 

「え?でも、性質変化を覚えたら、ハンニバルを倒せるって言ってましたよね?」

 

 

敬二が疑問そうに聞く

 

 

「確かに君たちは性質変化をマスターした。しかし、君たちは『完璧』には性質変化をマスターしてないんだ。」

 

 

「つまり...。」

 

 

「つまり...。そう言うことさ。」

 

 

「なるほど...。」

 

 

「いや、分かんねーだろ。」

 

 

ガヴェインが突っ込む。

 

 

「とりあえず、君たちはまだ止まってしか性質変化を溜めることが出来ない。戦闘では止まって性質変化を溜めてる時間はない。」

 

 

「戦闘に集中しつつ、性質変化を溜めるのも集中しないといけない...。まるで文武両道だな...。」

 

 

「案外、出来そうだけどな。」

 

 

ガヴェインは自身があるようだ。

 

 

「まぁ、性質変化を完璧にするのは、明日からするとして、今日はもうこれで終わ...。」

 

 

薫がトレーニングを終わろうとした瞬間、この東塔が大きな揺れに襲われた。

 

 

「地震か?!」

 

 

「君たち!近くのものに掴まりたまえ!」

 

 

薫が叫びながら、敬二たちに言っていた。

敬二たちは近くのものに掴まり地震をやり過ごした。

地震が収まった。

 

 

「ふぅ~。収まったみたいだなー。」

 

 

「でも、何で急に地震?この星は地震なんて起きないんじゃあ?」

 

 

敬二が疑問に思う。

すると、急にトレーニングルームの出入りのドアの上のサイレンが鳴り始め、アナウンスが聞こえた。

 

 

「こちら、本塔。こちら、本塔。ただいま異世界のパラレルワールドが攻めて来ました。各戦闘員は武器をもち、異世界のパラレルワールドの戦闘員を撃退してください。これは強制任務です。繰り返す、繰り返す。こちら、本塔。こちら...。」

 

 

「なんだと...。」

 

 

「攻めて来たってことは...。」

 

 

「つまり、戦争さ...。」

 

 

現実を受け入れることが出来ないのか、敬二たちは言葉を失っていた。

 

 

「焦ることはないよ。そして、敵はどのパラレルワールドか検討はついている。」

 

 

敬二は額に一滴の汗をかいていた。

 

 

「相手はWW、以前から緊張状態が続いてたのは明白だった。だから、今回痺れをきらして攻めてきたということだろう。しかし、こんなに攻めてくるのが早いとは、私は思わなかった。」

 

 

「じゃあ、ハンニバルがいるかも?」

 

 

「まぁ、そういうことになるね」

 

 

敬二とガヴェインはこの緊急事態だと言うのに、不安はなかった。

ハンニバルに勝てないかも知れないが対等に戦える。そう思っただけで気持ちが高ぶっていた。

 

 

「とりあえず今はこの塔から脱出しよう。この塔では敵に攻められた時に身動きが取りにくいからね。」

 

 

敬二、ガヴェイン、薫の3人はトレーニングルームを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「現在、東塔に1台のジェット機が突っ込みました。」

 

 

敬二たちがいた東塔で地震が起きた同時刻。

本塔では屋上で男と女が話をしていた。

 

 

「被害の状況は?」

 

 

「被害者は今のところ出ていません。しかし、東塔に突っ込んできたものを合わせますと、あと10機のジェット機がこの街に向かって来てます。その10機のジェット機はあと5分もすればこの街に到着します。」

 

 

「なるほど...。だったら、美咲。お前は下のフロアに戻り戦闘員全体に指示をだせ。あと、下のフロアだけには入られることがないように、警備を厳重にしておけ。」

 

 

「かしこまりました。」

 

 

そう言うと、女は扉を開けて、下の階に降りていった。

男は窓の風景を見ながら、タバコを一服していた。男がいるこの部屋は床以外の天井や壁がガラスで、できていた。

 

 

「穏やかに見えていたこの街もついには戦争か...。」

 

 

男は感じていた。

この数日で、街や世界の変化をがあったことを。

 

 

「まぁ、私が出る幕は向こうの大将を倒す時のみになりそうだな...。」

 

 

男が2本目のタバコに手が伸びたその瞬間、

急に天井から1台のジェット機が突っ込んできた。

天井のガラスは割れて、辺りに飛び散っている。

ジェット機は床に刺さるような形になっていた。

 

 

「はぁ、人の家に入る時はインターフォンぐらい鳴らしてほしいものだな。」

 

 

そう言いながら、男はジェット機の方を向いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれてありがとうございます!
次回はWWとの戦闘です。
感想コメント、評価お待ちしております!
次回更新は遅くなるかもしれないです!






*新キャラ情報
美咲・・・ガールズバンドパーティーの奥沢美咲より
おじさん・・・オリジナルキャラ



*補足説明
2090年に自分の若いときの姿に強制で整形をさせられていたが、2201年現在は整形は強制ではなくなり、若い時の姿だったが、わざと30代や40代のときに戻してしまうという人もたくさんいる。


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