転生戦争リリカルなのは 夜天の誓い (零乃龍夜)
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本編
プロローグ
タイトルとあらすじを見てわかるようにそんな感じの作品です(適当)
それではプロローグ・・・どうぞ!
???side
「(・・・・・ここは、何処だ?)」
閉じていた瞼をゆっくりと開けて、俺は辺りを見渡した。
天井も床も何もかもが真っ白な寂しい空間に一人だけとなっている。
俺はとりあえず立ち上がり再度周りを見ても、何も存在しない。
「あれ?そもそも俺はなんでこんな所にいるんだ?」
自分がここに来る前どうだったかを思い出そうとする。
「確か・・・いつものように仕事から帰って、それで「やっと起きたか」・・・え?」
思い出そうとしている最中に声がかけられた。
声はかなり歳のある声で、おじいちゃんみたいな声だった。
一体どこから?そう思った俺は声のした方を振り向いた。
「まったく。たかが人間の分際でワシを待たせおって・・・」
そういっているいかにもおじいちゃんのような人が姿を現した。
全身を白いローブで纏い、髭も白、髪も白と真っ白なおじいちゃんが俺の前で椅子に足を組んで座っていた。
「ええ~と・・・・・待たせてすみません?」
よくわからないが、どうやらこの人を待たせてしまったらしい。
悪いことをすれば謝る。社会の基本だな・・・・・って
ん?人間の分際?どういう意味だ??
「そんなもん。ワシが神様だから、お前を人間の分際って言うのは間違っておらんだろうに」
「・・・え~と。俺、声に出しましたっけ?」
「お前の考えを呼んだまでの事よ。そんなもん神であるワシができないわけないだろ。」
「そ、そうですか・・・」
どうしよう・・・夢を見ているんだよな?そうだよな?頬でも抓ってみるか?
・・・・・痛い、普通に痛い。
「いやいやいや。痛いからって現実なわけないだろ。マジで何処なんだ?」
「なんだまだ気づかんのか?」
おっと?神様と名乗っているおじいちゃんが何か知っているのようだ。
「えっと。おじさんは何か知っているのですかグエッ!?」
なッ・・・急に体が重く。何か押しつぶされる感覚だ。
やばい。何か全然動けなくなった。まるでゲームでよくある重力を操作する重力魔法を喰らっている気分。
「・・・貴様聞こえなかった?ワシは神だぞ?お前のような下種がさっきからおじいちゃんだのおじさんだの・・・舐めとんのか?」
「ガッ・・・グゥッ・・・・・」
ヤバ・・・かなりキツイ。押しつぶされるなんて普通ないからこんな体験初めてだ・・・
てか本当に神様なのか?ならここは?俺は何でこんなところに?
「まあいい。お前も気になっているみたいだし教えてやろう。ここはワシの部屋で、お前を今から転生してやる」
転生?なんだそれ?てか早くこの重いのどうにかならんのか?
「何?知らん?お前のような下種は知っていると思ったんだが・・・まあよい。簡単に言えばお前は死んだから、新しい世界に転生させる。場所は『魔法少女リリカルなのは』の世界だ。光栄に思え」
「・・・は?・・・し、んだ?・・・りりか、え?・・・」
神様と名乗る奴がよくわかんないことを言い出した。
いや・・・死んだって所はわかる。なんとなくうっすら死んだことを思い出したから発狂まではしなかったがそれでも思考が働かない。
確か歩いて帰っているときに子供が車に引かれそうになって、助けようとしてからの記憶が途切れているから多分俺が引かれて死んだんだろう。
そこまではいい。・・・いや良くないけどさ。
もっと問題なのはりり・・・なんとかの世界に転生することだ。
別にあっちはもう肉親は全員他界したし、俺が死んでも困る人は多分いない。・・・いや仕事の上司とか近所とかは除いてだが。それでもそんなよくわからんところに行くのに対して簡単に行きますなんて言えない。
「ああ。それとお前には踏み台になってもらうぞ」
「・・・・・は?」
おっとさらによくわからん単語がまたでたぞ。
踏み台?なんだそれ?
「・・・本当に何も知らんのか?ええ~いもうよい!こっちで勝手にやるからさっさと転生しろ!」
えっちょっと!?よくわからんままなんですが!?
てっうぉい!マジで目の前が真っ暗になってくるんだが!?
もうちょっとちゃんとした説明とk・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
神様side
まったくよくわからん奴だな。
たまたま都合よく死んでた奴だから選んだんだがアニメとかの知識なさすぎだ。
ワシが来る輩は社会の屑。
転生して尚、踏み台というクズにしかなれない虫けらが来るはずなんだが・・・
あれは本当にそういった輩だったか?
そもそも今回の依頼はよくわからん。
今回転生させた場所は踏み台なんざいなくとも【七人】もいれば勝手に殺し合いしそうなんだが・・・
「・・・まあよい。それよりもさっさと設定を・・・ぬ?」
髪や目がすでに決められている?
銀髪に金銀のオッドアイ。魔力EXに不幸、人に嫌われる呪い。その他細かい設定がすでに勝手に入れられているだと?
「どうなっておるんだ?これh「おい」ッ!誰だ!?」
こ、この声は・・・いや、いるはずがない!
あの方がこんな場所に来るはずが・・・・・
ザシュッ!
「ガフッ!?」
何だ胸に何か感触が・・・・・・・・・・・・・手?
「・・・・たかが下級神が私のお気に入りに手を出すとはな」
「なっ・・・何故、あなた様が・・・ここに・・・」
下級神であるワシの胸を貫いた腕が抜かれその正体が姿を現す。
長く輝きを放った黒髪をなびかせ、その瞳は黒く透き通った夜空の色に似た色をしており、神々しく、美しい、黒が基調の和服の女性が現れた。
「ほう・・・その感じだと何も知らないで私のお気に入りを転生させたようだな?」
「わ、ワシはただ・・・頼まれたのだ・・・上級神の命令で・・・踏み台として・・・」
「・・・なるほど。だいたい予想はついたぞ。あやつは私の事が嫌いだったからな・・・それで転生場所は?」
「そ、そこに・・・そこのモニターに・・・・・」
そういって胸を押さえながらもう片方の手でモニターに指を指す。
それを見た女性は妖艶な笑み浮かべ・・・されど目は一切笑っていないその表情で告げる。
「ご苦労。もうよいぞ・・・・・ゆっくり休むがよい、下級神風情」
「ヒッ!お、お許しを!ワシはただ言われたとおりにしただけだ!わ、ワシは何も悪く・・・」
「消えろ」
「や、やめっ・・・ギャアアアアアァァァァァァァァァァァ!!??」
そういってワシの体が燃えはじめ、灰となった・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「まったく・・・・・それでこれか・・・」
先程、下級神を灰にした女性はモニターを見始めた。
「どれどれ・・・・・これはまた、厄介なことになっておる」
そういってモニターのパネルを操作し始めた。
「場所は『魔法少女リリカルなのは』・・・っと、これは?」
モニターの一部分を見て機嫌の悪い顔はさらに悪くなり始めた。
「ッチ。まさか【転生戦争】の舞台に飛ばされたとは・・・という事はこれは上級神の・・・それも複数関わっている事か・・・・・面倒な」
そういって作業を続けていると新しい人影が姿を現した。
「すみません。お待たせいたしました」
「遅い。・・・それで?最高神は何と言っていた?」
「はい、彼の事については貴方様にお任せするだそうです」
「ほう・・・やけに気前がいいな」
「最高神様も今回の事態は予想に反していたようでして・・・それで、彼はどうなっていますか?」
現れたもう一人の女性は金髪を一つに纏め、所謂ポニーテールのような髪に翠の瞳をまっすぐと黒髪の女性に向け訊ねた。
「どうもこうも・・・一部が固定されて私でもこれ以上はな・・・・・」
そういって黒髪の女性は金髪の女性にモニターを見せる
「銀髪に金銀のオッドアイ・・・不幸と人に嫌われる体質・・・なぜ、このようなことに・・・・・」
「わからん。しかし、このままにするわけにはいかんからな・・・・・そこでだ」
そう言って黒髪の女性はモニターに手をかざし、それによってモニターに書かれた項目が変更、追加されていく。
「これは・・・・・」
「この力なら彼は十分使えるだろう。髪と瞳もこうすれば一応言い訳が付く」
「ですがこの力は・・・」
「いや、寧ろ彼なら私のお気に入りを気に入るはずだ・・・まあ、少しは試したりとかはするだろうが・・・・・それに他の転生者の空いていた枠を入れさせたからな。【彼女たち】なら彼を守ってくれるだろう」
モニターを見ながら心配そうな顔で見る金髪の女性。しかし、一番上の部分で疑問な顔に変わり始めた。
「あの・・・この世界はリリカルなのはの世界ですよね?」
「そうだがどうした?・・・・・ああ、なるほど。そういう事か」
金髪の女性の言いたいことがわかった黒髪の女性は静かに近くにあった白い椅子に座りながら静かに告げる
「なにくだらない神々の遊びのようなものだ」
「遊び・・・ですか?」
「そうだ。七人の転生者に【特典とサーヴァント】を与え、観察し、賭け事をし、楽しむというくだらない遊びだ」
「七人とサーヴァント・・・・・まさか!?」
「そうだ。私のお気に入りが入り、【八人】となった今、何が起こるかわからん。だから彼、彼女らの力を貸してもらわねばならない・・・・・本当に厄介なことになってしまった」
頭に手を覆い、やれやれとつぶやきながら疲れた顔をする黒髪の女性はもう一度モニターを見て、見守るような目になった。
「・・・せめてこの世界では、もう少し幸せに暮らして欲しいものだ・・・・・」
「・・・・・」
その言葉に金髪の女性も黙り込んで俯く。
そして黒髪の女性が一番上の項目・・・・・今回転生先のタイトル名と思われる部分を見てつぶやいた
「・・・・・転生戦争・・・・・か」
これは七人の転生者とたった一人の妹を守る紛い物のお話。
次回までまて、しかして希望せよ
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原作前・小学生
始まりは地獄から
地獄を見た
それはこの世の地獄。
誰の声かもわからない悲鳴。崩れる音と焦げ臭い匂いが周囲を覆う。
地獄を見た
そこらじゅうが建物などの人口建築物が燃え、それらは崩壊していく。
地獄を見た
老若男女問わず聞こえる悲鳴。助けを求め、あるいは家族であろう者に呼びかける声が辺り一帯に騒音の如く聞こえてくる。
地獄を見た
誰もが立ち止まり、膝をつき、天を仰ぎ、泣き叫ぶ中・・・・・ただ一つの影だけがゆらりゆらりと動いている。
ーーおい、その先は地獄だぞーー
誰かが言った。
形もなく、誰が言ったのかも分からないが影はゆらりゆらりと進んで行く。
ーーおい、その先は地獄だぞーー
「・・・る・・・さい・・・」
その影はとても小さく。恐らく少年位の大きさである。
白銀のような髪を靡かせ、その二つの瞳・・・左右それぞれ違った瞳は小さく所々途切れた掠れた声で呟きながら前を歩く。
ーーおい、その先は地獄だぞーー
「・・・うる・・・さい・・・」
そう少年はつぶやいた。
左も、右も、前も後ろも地獄の中で『少年以外存在しない空間』の中でその声がまた聞こえる。
ーーおい、その先h「うるさい!」・・・・・・・--
「じ、ごく・・・なら・・・・・」
【ジゴクナラモウミテキタ!!】
少年は吠えた。息も途切れて、どこに行けばいいかもわからない状況の中、少年は何処からか聞こえる声に対して叫ぶように言い、やがて声は聞こえなくなる。
そしてまた少年は歩き始めた。
ただただ・・・歩き続け・・・
そして少年が止まるのは、身体が悲鳴を上げ地面に倒れ伏してからだ。
暗い夜の中、黒いコートを着た男性が瓦礫の中を走る。
走っては止まり、周りを見回す。また走り始め、そしてまた止まる。
「クソッ!誰かいないのか!?」
彼がいる所は先程まで地獄となっていた場所。
建物が燃え、自然が燃え、動物が燃え・・・そして人が燃え、悲鳴で溢れかえった場所であった。
大きな災害。それがこの事態を引き起こした正体。それは今でも残り、少し離れた場所では少しながら燃え、黒い煙は夜空に消えるかのように上り、瓦礫と真っ黒焦げのナニカといった痕跡がそこら中にある。
その中で男性はいるのかわからない生存者を探している。
「誰か・・・生きている人は返事をしてくれ!」
男性は叫ぶ。
その声は雨の音だけのこの場所では十分に聞こえるだろう。
しかし、返事がしない。寧ろこのような場所にいるとは思えない。
それでも散々走り続け、もう他に場所がない為、男性は叫びながら生存者を探すしかなかった。
そして・・・・・
「・・・・・ぁ・・・・・」
「ッ!」
小さい
とても小さな声。
細く小さな少年らしき声は、それでも男性の耳に入るには十分だった。
「そこにいるのか!」
男性は走り、声のした方に向かう。注意深く探し、瓦礫を退かしながら声をの下に向かう。
そして向かった先には、倒れ伏している小学生位の白髪の少年を見つけ、男性はようやく見つけた生存者に目に涙を浮かびながら喜びの顔をし、少年に向かい優しく抱きかかえる。
「よかった・・・本当に、よかった!」
そのまま男性は少年を抱きしめる。
「生きててくれて・・・ありがとう」
???side
「・・・ぅあっ・・・あっ・・・え?」
知らない白い天井を見ながら俺は覚醒した。
少し起き上がると白いベットにいる俺は顔を動かして周りを見た。
どうやら病院の一室の用で、自分以外にも何人か同じベットで寝てたり、看護師の人と話してたりしている。
あれ?そもそも何で俺はこんな所にいるんだ?
確か神様とか言ってたおじさんに転生するだとかふみ・・・何だっけ?まあよくわからない事を言っていたな、そんなことがあって転生したのはわかる。
そこから・・・あれ?そっからの記憶が全然ないぞ?
名前は・・・憶えている。でも苗字がわからない。
後は・・・・・あっ災害!そう災害があって火のない所がないか探しながら歩いていたんだ!
それで何か頭に直接響くかのような声が聞こえて思わずキレて、それからずっと歩いて・・・・・倒れて意識を失ってたんだよな?
「・・・あれ?じゃあ何でここにいるんだ?」
救助された?誰か助けてくれたのか?その後自力で此処に来た?
え~と確か・・・・・
「あっ!目が覚めたんだね僕。よかっ・・・」
そう言って一人の看護師がこちらを向いて言う。
ん?何か固まり始めたし、それに顔が引き攣っている?
「え、え~と・・・僕、ちょっと待っててね?今先生を呼んでくるから」
そう言って挙動不審な反応でこちらにそう言う。
な、なんだ?ていうかよく見たら全員こちらを見てくるし・・・顔に何かついているのか?
そう言っていたらまたドアが開いた。もう先生が来たのかな?できれば鏡か何か見して欲しい
「どうやら目が覚めたようだね?」
そう言ってこちらに近づいてくる男性が俺に声をかける。
「え?は、はい・・・」
「・・・突然だけど、君は以前からそのような顔だったのかい?」
「え?」
男性は少し疑問と悲観するかのような顔でそう訊ねた?
俺が男性の言葉に理解できていない事を悟ったのか、男性が携帯用の手鏡を自分に渡してくれた。
ちょうどいいどうなっているのかこれで・・・
「・・・・・・・・へ?」
・・・・・ナニコレ?
そこには白い髪に左右色の違う目のした『少年』の顔だった。
白い髪は白銀の様で、もしかしたら銀に見れるかもしれない。目に関しては明るい茶色と言うより琥珀色・・・・・いや、金にも見えるな、そんな左目と右は色素が無くなったかのような灰色、こちらも銀にも見えるグレーの右目。俗に言うオッドアイになっている。
いや、それは別にいい・・・いやよくない。髪も目もおかしくなっているけどそれよりもまず・・・・・
・・・・・なんで見た目が小学生になってるんですかね?
何?見た目は子供、頭脳は大人的なやつですか?バーロー言って毎回事件の現場にいてそれを解決でもするんですか?
「その反応だと違うみたいだね?」
「え?・・・なぁっ・・ぅあっ・・・ぃっ・・・」
「落ち着いて・・・ゆっくり深呼吸するんだ」
「はぁっ・・・はぁっ・・・・・すー・・・はー・・・」
あっぶねえ・・・少し動揺で過呼吸仕掛けた。
いやさ?だって小学生だぞ!19の男が9歳くらいの少年に大変身!更に髪と目が痛々しいのハッピーセットだ!こんなにいらないハッピーセットは初めてだっつーの!
何だし!これってあれだろ?厨二病だろ?いくらアニメやゲームに疎くてもこれぐらいは知ってるんだよ!マジで何故、こうなった!
心当たりは・・・・・・絶対あの神様名乗るアイツだろ!
てかそいつしかいないんだけど!こんな事になる原因を作ったやつが!
「少し落ち着いたかな?そうだ、君の名前は?」
おっと・・・とりあえず自称神様は一旦後回しだ。
てか、いない奴にあーだこーだ言ってもしょうがないしな。
それにしても名前か・・・名前・・・・・・・・
「・・・しどう・・・・・・ただの士道」
「苗字は?」
「・・・・・・・・・・」
転生前の名前だけどいいか。でも苗字はどうしよう・・・
流石に転生前の苗字は知っているけどこっちの俺は分からないからな・・・・・あっそうだ。
「わからない・・・」
「・・・・・そうか」
男性は少し悲しそうな顔で俺を見る。
いや、嘘はついてないよ?こっちだとほら、苗字変わっているかもしれないし。小学生になるまでの記憶がどうしても思い出せないからこれは立派な記憶喪失何だよ?
・・・記憶喪失、この手に限る!(コマンドォ・・・
「それじゃあ士道君」
そんなくだらない事を考えていたら男性が話し始めた。
「いきなりだけど、孤児院に引き取られるのと知らないおじさんと一緒に来るの、どっちがいい?」
・・・・・本当にいきなりなんですね?
てか、俺はこの人の事を知らないんだが・・・実は親戚?
でもそれなら名前聞かないし、どう見ても初対面だよな?自分のことを『知らないおじさん』って言ってる見たいだし。
もしかしてだけどこの人じゃね?助けてくれた人。試しに聞いてみるか・・・・・
「・・・ねえ」
「ん?なんだい?」
「おじさんは・・・・・おれを助けてくれた人?」
「・・・・・そうだね」
・・・・・やっぱりこの人なんだ。
黒コートに中のスーツからワイシャツ、ネクタイまでも黒一式だな。黒髪は寝癖が所々ついてて目は・・・青いな、所謂碧眼か?
まあいいや、それよりもおじさんと孤児院か・・・・・あれ?迷うまでもなくないか?
「おじさんに・・・ついてく」
孤児院だともっと知らない連中がいっぱいいるし、色々と制限されそうじゃん?
いや、一番はこの姿・・・主に顔がヤバい・・・・・。何せ少し見方を変えれば銀髪に金銀のオッドアイだぞ。いじめられる想像しか浮かばない。
「そうか・・・そうか!なら早速準備しようか」
そう言って男性は何やら立ち上がり、部屋を出ようとするが部屋を出る直前に「あっそうだ」と言ってこちらに戻って来る。
「そう言えば、僕の名前はまだ言ってなかったね」
確かに、あんまり気にしてなかったから聞かなかったけどこの人は本当に何やってる人なんだろう・・・・・・
「僕の名前は『遠衛 凛(とおえ りん)』。それで僕はね・・・・・」
その後、告げたおじさん・・・凛の言葉はかなり耳に残っている。
インパクトがあると言うか・・・信じられないというか・・・でもそれは、その日は俺の・・・
「魔法使いなんだ」
・・・・・『遠衛 士道(とおえ しどう)』としての俺の始まりだった。
次回まで待て、しかして希望せよ
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はじまりは不幸から
修正:wikiでの年齢確認をしたらかなり間違ってたので年齢を伏せました。
「彼女の親権は私にある筈だ!ならば私があの子を引き取るのが筋ははず!」
そんな怒鳴り声が部屋一体に響き渡る。
ここはとある葬儀場。今日、ここである二人の夫婦がなくなりその葬式が行われた。
一通り終えた後、その関係者達は休憩所にいるのだが先程の怒声はこの部屋で響いていた。
「違う!あの子との繋がりは私の方が多いわ!だからあの子は私が引き取るわ!」
「何を言っている!?それは此方にもあるんだぞ!」
言い争いの原因は聞くからに内容は親権、亡くなった夫婦の子供、まだ幼い少女を誰が引き取るのかと言う話・・・・・に見えるだろう。
だが実際は・・・・・・
「それは単純にあの子を引き取れば財産を全て得られるからだろ!?」
「ええい!こうなればあんなガキなんざどうでもいい!財産だ!あの家の財産を寄越せ!」
「お前汚いぞ!それは俺のだ!」
「彼処の家の奴は相当あるのだ!山分けという手もあるぞ!」
「馬鹿か貴様!そんな事をしなくとも全て私の物なんだよ!」
・・・・・・このような状況である。
端的に言えば、金である。
曰く、あの家の財産は相当あった
曰く、それらは少女の手に渡る
曰く、ならその少女を引き取れば財産は全て手に入れる
例え休憩所であっても死んだ人間の財産をどうするかなど普通はしない。更に少女はどうでもいいので金だけ寄越せという輩も現れる始末で、第三者からしてみればとても醜い光景である。
「どうか皆さん、お静かに」
その声と共に言い争いが一旦止む。
声を発した人物は、和風の葬式には少し似合わない教会の人が着そうな神父服の男性で、ある一枚の紙を周りの人に見せるように向けて告げる。
「私は今一度、娘さんとお話をしてきます。彼らの遺言通り、最も信用出来るものに親権を委託したいと思っているので、当の本人の言葉が無い中で進める訳には行きません。私一人でお話して来ますので、皆さんはどうかここでゆっくり寛いで頂けると幸いです」
その発言を終え、休憩所をあとにするように去る男性がドアを閉めた辺りでまた言い争いが始まった。
「まったく・・・中々に醜い連中だ」
そう、まさに休憩所で再度言い争いが起きているのを聞いた男性はそう呟いた。
「あまりにも醜く、滑稽で、此方としてはとても愉悦なのだが・・・いつまでも見ているわけにはいかんな」
そう言って男性は葬儀場に歩く。休憩所から葬儀場までの距離はそこまでないが言い争いをしている関係者には聞こえないだろう。
葬儀場に着いた男性は亡くなった夫婦が入れられているだろう棺の方に目がいく。
「まだここに居たのかね?・・・八神はやて」
男性は棺の前で今も居続ける人物、車椅子に乗り、目は輝きを失い濁ったような目の幼い茶髪の少女、八神はやてにそう告げる。
「・・・おじさん・・・だれ?」
「む?そう言えば初対面であったな、これは失敬。私は言峰綺礼。海鳴市の教会に属するしがない神父だ」
神父服の男性、言峰綺礼はそう名乗りながら彼女の元に歩みながら話す。
「私がここに来たのは他でもない。八神はやて・・・君のこれからについての話だ」
「これから・・・」
「そうだ。私は君の両親から色々と預かっていてね」
そう言ってはやての近くまで来たところで一枚の紙をはやてに見せる
「これは君の両親がもしもの時に読んでほしいと書いた手紙だ」
「・・・おとうさんとおかあさんが?」
「内容はこうだ・・・・・・
『言峰へ、僕達にもしもの時・・・死んでしまった時にコレを読んでほしい。僕達が死んだ後、はやてをひとりぼっちにさせないよう、君か君の信頼できる人物にはやてを任せたい。最後に・・・・・・はやてに本当にすまないと、どうか長生きするようにと伝えてくれ。』
・・・・・・これが君の両親が私と君宛の手紙の内容だ」
その手紙を聞いたはやては今にも泣き出しそうな顔になる。
それに対して綺礼は肩に手をおくとはやては輝きのない目から潤い輝く涙を流し、年相応の大きな声で泣き出した。
「さて、泣き止んだ所で申し訳ないのだが。はやてには選択してもらわねばならない事がある」
「ぐすっ・・・・・・ふぇっ?」
ようやく落ち着いて、手で涙を拭うはやてに綺礼は淡々と話し始めた。
「今あちらの休憩所で言い争っている関係者が君の親権を・・・いや、君の家の財産を得る為に口論をしている」
「・・・・・・」
「私としては奴らにはやての親権を委託するのは反対だ。奴らは君の家の財産にしか興味がない為、君の両親のためにも任せることはできない。・・・勿論、君がそれでもいいというのなら」
「いやや」
綺礼が最後までいう前にキッパリと嫌と言われ、意表を突かれた綺礼はほぅっと呟いてから少し骨格が上がる。
「フッ、随分と早い反応で助かる。君はまだ子供なのに思い切りがあって、中々に面白い」
そう言って言峰は後ろを向いて語るように話し始める。
「しかし、私も残念ながら君を・・・子供を預かる事は残念ながらできない。そう言った経験がないのと、教会に属している今。君に時間を費やすことはできないのだ」
「・・・・・・じゃあ、わたしはどうなるん?」
「・・・・・・そこでだ。先程の手紙に書かれていた通り。私は一番信頼できる人物に君を任せたいと思う。」
くるりと再度はやてに向き直る。
「喜べはやて。君には新しい人生が待っている」
やあ、皆お久しぶり。クソ神様に痛々しい姿にされた哀れな子羊だよ。
ん?俺の登場が遅いだって?・・・知らねえよ駄文を書く作者に聞いてくれ。
さて・・・凛によって遠衛 士道として新たに始まった俺の暮らし何だが、はっきり言ってだな、結構・・・キツい・・・・・・
まず初めに、俺は凛に引き取られた数日後に凛が住んでる家に行ったんだけど広すぎるんです。
純和風建築でかなり広大な面積をもつ元武家屋敷で、なんかいわく付きで買い手がいなかったのだと凛が言っていたような気がする。
・・・いや、それでも広すぎる本邸の他に剣道などができる道場に物置として使っている土蔵でそれらを繋げる庭がやばいのなんの。
最初家に着いた時は開いた口が塞がらなくて凛に笑われた位だったし。まあそんなこんなで始まった暮らしなんだが・・・問題はここからだ。
まず、凛は料理ができない。それどころか家事全般ができないらしい。
・・・・・・それでよく買ったなと思ったのだが隣の家の人がよく来てくれて(後で聞いたのだが隣の家はヤクザの家だとか・・・)やってくれてたらしい。でも、流石にそう何回も来てもらうのは色々と申し訳ない為、最近では俺が家事全般をやっている。ん?お前、前回小学生位の姿になったんだから学校とか行ってるんだろ?だから家事なんざ忙しくてできないだろって?
・・・・・・そこです。そこなんです。
ここで一番の問題、それは俺・・・というか俺の容姿だ。
一応今の俺って小学生の容姿なのだが、どう考えてもこの年で銀髪もどきの白髪に金銀もどきの茶灰のオッドアイは周りの視線が痛い。ちょっと外歩いて人にあっただけで気持ち悪いモノを見る目でこっちに向けてくる。マジで神の野郎許さねぇ・・・まあそんなんだから学校なんかに行けばもっと酷くなるわけでして・・・・・・ただいま絶賛不登校中です!
いや、全然行っていない訳ではないですよ?テストがある日とか出されたプリントを出す日だけ、学校に行ってますから。
そもそも小学校の問題とかはっきり言って楽勝。例え、私立の学校でも余裕のよっちゃんよ!まあそういう事で今は家事全般と出された宿題。それと軽く運動と図書館位しか毎日やることはないかな?
やだァ、わたしのやることすくなすぎ?
「はあぁ・・・・・・よしっと!」
よし、溜息混じりだが洗濯物も干し終わったし!そろそろ昼食の準備だな。
昨日、フード被って!マスクを付けて!急いでスーパーで買い溜めた食材を確認~んと・・・・・
「ん~っと今日は軽くスパゲッティにでもしようかな・・・・・・あっ肉の賞味期限がやばいな・・・・・・」
うへぇ、スパゲッティの気分だったのにこれじゃあ生姜焼き決定かな?でもご飯を今から炊くには早炊じゃないとダメだし・・・
「スパゲッティ・・・肉・・・やってみるか」
うわぁ・・・今から作るのは完全に始めてだし。大丈夫かな・・・?
「て言うか凛、遅くないか?確か、あの外道神父の所に行くって言ってたけど・・・・・・」
あの野郎、愉悦に浸るためなら何するか分からんからな・・・・・・ん?
ピロロロロロロ♪ピロロロロロロ♪
あれ?電話?凛かな・・・ってやべ、出ないと
「はい、もしもし。遠衛です」ガチャ
『あっ・・・士道かい?』
「親父か、どうs『今、もうご飯作ってるかい?』た・・・ってえ?ああ、今作っている所」
おお、何だ何だ?やけに今日は食い気味に聞いてくるな。
『そうかい。・・・なら僕と士道の他に後二人分作ってくれるか?』
「え?まあいいけど」
二人?二人・・・一人は外道神父だと思うんだが・・・・・・
『ならよろしくね・・・・・・あっとそうだ・・・』
「?」
『士道・・・・・・今日から君はお兄さんになるから、楽しみに待っててね』
・・・・・・・・・・は?
「・・・・・・・・・は?」
次回まで待て、しかして希望せよ
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出会い
「以上により、彼女は私の信頼できる人物に任さようと思う」
綺礼が葬儀場の休憩所で関係者達に向けた言葉は綺礼と隣にいるはやて意外、全く理解出来なかった。いや言っている意味は解るのだがどうしてそうなったのかが理解出来ていないのだ。
「そ、それはどう言う意味なのでしょか綺礼さん?」
「おや?・・・ああ、説明が足りませんでしたな、これは失敬」
そう言って綺礼は八神夫婦より授かった手紙を関係者達に再度見せるように向ける。
「端的に申し上げますと、本人の意思も尊重とこの遺言の紙に従って、私が信頼できる人物に彼女の親権を委託したいと思います」
その言葉に周りがざわめくが綺礼が手を前に出し、静粛になるよう合図する。
「勿論の事ですが私自身は聖職者の仕事が中々に忙しいが為、彼女の親権の委託には参加しません。貴方がたなどの・・・・・私の信頼できる人物を選ばせて頂きました」
そう言った途端、関係者達全員がまるで綺礼にひれ伏すようにねだり始めた。
「そ、それは当然。私の事でございますよね!?」
「何を言っている!?私の事でしょ綺礼さん!?」
「綺礼さん!自分に委託すればお礼はちゃんとします!だからどうか・・・・・・」
「貴様汚いぞ!それなら俺はこいつの倍、いや2倍のお礼を!」
そう言って湧いて来るような人達にはやては少し怯えているが肩に来る温かさ・・・綺礼の手により落ち着いた表情になる。
そんなはやての横では綺礼は彼らの姿を見て少し微笑むように・・・・・実際は愉悦に浸った邪悪な笑みで彼らに言う。
「皆さん。どうか落ち着くように。これから委託者を伝える前に、少しルールのようなものを授けたいと思います」
そう言ってまたも綺礼話を続ける。
「ルールと言ってもそんな難しい事ではありません。・・・・・単純な話、私が決めた委託者に対して一切の反対意見を受け付けないという事です」
「そ、それはどういう・・・・・」
「恐らく皆様方は私が委託者を告げた時、選ばれなかった者が反論をして、また口論になると私は思いました。なのでそれを考慮して反対意見を受け付けなくすればスムーズに進められると思います」
その言葉に賛否両論の口が飛ぶ。
「私は別に構いませんが、もし選ばれた方にとってはとても面倒だと思い、この提案をしました。勿論、必要なければこのようなルールはなしにします」
綺礼そう言うと、皆が静かに賛成し始めた。先程まで誰が親権を得るかで言い争いがあった事も考えて関係者全員が賛同したと考えられる。
・・・・・・しかし、皆が賛同した事で綺礼はさらに一層綺礼の手のひらで踊らされている事にまだ気づけない。
「・・・・・では、賛成という事で」
そう言って一度全員の後ろを向き手を広げて告げる。
「それでは発表するとしよう。私、言峰綺礼の信頼できる人物で彼女、八神はやての親権を委託する者は・・・・・・」
関係者達全員がそれぞれ固唾を呑んで聞く。
一度関係者達の方を向き直し、全員を順番に見るように顔を向ける。
そして・・・・・・・・・・指を指してその方向にいるであろう人物、全身黒スーツに黒コートを羽織、黒髪に青い瞳の男性に告げる。
「彼・・・・・・・・・・遠衛 凛に委託するとする」
「フフフッ、いや実に愉快であった。君を指した時の彼らの顔ときたら」
「全く・・・・・殺意を向けられるこっちの身にもなってくれないか?言峰」
「それはできない相談だ遠衛凛。あれ程の愉快な状況、お前がいなければ起きない事なのだからな」
「はぁ・・・ごめんね八神はやてちゃん。こいつに言いようにされて嫌だろう?」
「い、いえ・・・・・だいじょうぶ、です」
葬儀場を出て黒い車を運転している凛は溜息を吐きながら先程まで起きていた出来事に対して、綺礼に文句を言う。
綺礼に至ってはニヒル顔で、まるで凛を煽るような言い方で文句をあしらっている。
その二人のを後ろの座席で戸惑いながら返すはやては少したどたどしい口調である。
「だいたい言峰。君は言葉が足りないんだ。内容を言わないで住所を言って来いと言うし、内容を聞けば無茶を言うし、挙句の果てには前回の仕事も・・・・・・」
そう言って車内で愚痴を言うように綺礼に文句を言葉が流れ続ける。
はやてはそんな会話を聞きながらあ先程まで起きた事を振り返る。
あの時、綺礼は凛を指名してそのまま終わらせようとしたのだが、案の定関係者達が何故自分じゃないのか、その男は一体誰なのかを問い詰め始めた。
しかし、そう言った事を予め綺礼が言ったルールによりお答えする気はないと言った為、関係者達は激怒し、挙句の果てには強引にはやてを連れ出そうと手にかけようとした。
だがそれらはこの二人の手で鎮圧する事ができた・・・・・
「それにしても、あの時に銃を出したのは不味かったか?」
「問題あるまい、記憶操作ちゃんとしてある。彼らは今頃自分達が何故葬儀場にいるかも忘れているだろう」
「・・・それはそれで問題になるんじゃないのか?」
「まあ何かあれば彼らは私の方に来るだろう。その場合はこっちで【丁寧にあしらっておく】としよう」
凛は大丈夫なのかと呟く。
しかし、はやてはそんな事よりもあの場を鎮圧した方法・・・・・銃を出して、更に関係者達が全員、急に倒れながら眠りについたことがよっぽどきになっている。
はやては聞くに聞けないこの状況でこの後、自分は本当に大丈夫なのかと心配になってきている。
「っと、さて着いたよ。あっはやてちゃんはちょっと待ってね。今、後から車椅子を取り出すから」
はやては凛によって後に積まれてた車椅子に乗り、そのまま押してもらう形になった。
目の前には武家屋敷のような家の玄関を見るだけで、全体の広さが伝わってくる。
「うわぁ・・・・・」
はやても予想外な大きさに言葉が漏れる。
その反応にふっと凛は少し笑いながらはやてに言う。
「ようこそ、ここが今度からはやてちゃんが住む家だよ」
「すごい・・・おおきい・・・!」
「ほう・・・満足して貰えそうだな。やはり、遠衛凛に任せて正解のようだ」
そう言いながら凛は玄関を開けてはやてを中に入れた。
中に入った辺りで足音が聞こえ、廊下から一人の少年が現れた。
「おかえり親父。一応言われた通り、4人分作ったんだけど・・・・・え?」
「あっただいま士道。八神はやて、これから一緒に住む新しい家族だよ」
凛から言われ、互いに確認するように見る。
それが不幸な少年、遠衛士道と
不幸な少女、八神はやてのファーストコンタクトである。
やっはろ~♪
突如、新しい同居人が現れてかなり困惑している遠衛士道です!
・・・・・無駄に元気出そうとしてもキツいなこれ。まあいいや・・・そんな事より、新しい同居人事八神はやてさんと凛との暮らしが数週間経ったのだが、未だにはやてとの距離が掴めないまま時が過ぎていた。
まあ恐らくというか大体は俺の容姿が一番大きいと思う。
一応家では主に俺が作った料理は食べてくれるし、洗濯物は別けなくてもいいみたいだったけど・・・・・てかなんで俺は、反抗期の娘に気を使うお父さんみたいな事をやってるんだろう・・・。
まあ、そんな事よりも現状を伝えよう。
と言っても対して何が起きた訳では無い、強いて言うなら最近の俺の流行りは身体を動かすことかな?
朝早く起きてから走りに出かけるんだけど、以外とフードをかぶれば俺の容姿がわからないようで嫌な目線やこちらを気にする人間がかなり少ない。
初めて外に出て気持ちいいと感じたよ・・・・・。
その後、家の中庭にある道場に入る。道場と言っても門下生なんて誰もいないし、ただ単に木刀が置かれている場所な為、特に型とかはないんだけど素振りしている。所謂、チャンバラごっこだ。
これが以外と振ってると楽しいんだよなあ・・・・・
そうやって身体を動かしながら家事を行い、空いている時間は図書館に行って本を借りて、家で本を読むが今の俺のブームかな?
あっ本で思い出したんだけど、時々八神はやてさんが俺が読んでいる本を横でジーっと見ていたから渡してみたら意外と食いついた。
今度、彼女用にも本を借りておこうと決意した。
後は・・・・・あっそうだ!最近は八神はやてさんが病院に行ったり、凛が言峰の手伝いとか色々あって午後が暇になる時があるから一人で喫茶店と思われる所に行くことが多くなった。
あそこの料理は全部うまい・・・特に食後のデザートは格別。
そこの売りであるシュークリームは本当に美味しいから、最近通ってしまっているんだよね・・・店内だけど頭か目を隠していれば視線は半減されるし、主に店内で帽子を被れば問題ない。
・・・・・まあ、それでも小学生の体であるが故に一人で行くと目立つ。一回目入った時はすごい店員に凝視(多分)された時には居心地がちょっと悪かったし・・・・・それでも最近ではよく、寛いでいるし、そこで読書している位だ。
まあそんな事もあって俺の小学校人生は家事と運動と読書、後は・・・・・
・・・・・喫茶店・・・『翠屋』に通う位かな?
現在八神はやて4歳、遠衛士道12歳の8歳差。
原作開始が八神はやて9歳と遠衛士道17歳となる。
そして皆さんリリカルなのはのWikiを見て頂きたい・・・・・
というわけで次回から中学生に突入!
そこで原作キャラの近しい人物が登場!!(予定
それまで待て、しかして希望せよ
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中学生、○○○○編
正義の味方になりたかった者
行くぜオラァァァァァ!!!!
今、俺は夢を見ている
いや、実際に起きた出来事だからこれは記憶の方が正しいか・・・
あれは、小学6年の夏休みが終わるあたりかな?ふと凛がそう口に溢した一言だった。
「僕はね・・・子供の頃、正義の味方になりたかった」
「え?」
家の縁側に互いに座って満月を眺めている時に、突然凛がそう呟いていたのだ。
「えっと・・・なりたかったって、親父はもう諦めちゃったのか?」
「そう、だね・・・残念ながらね」
凛の言う正義の味方。
その意味が元19歳の俺にでもどこまで本気だったのかがよくわからなかった。
よく『将来の夢はかっこいいヒーロー!』とか『仮面ラ〇ダ〇になってやる!』などの子供だから言えたああいう事を言っているのか、もしくは消防士とか警察官とかの方なのだろうか?
でも、凛の言葉と彼の表情はとてもそういったものではないと思ってしまった。
「ヒーローは期間限定で、大人になると名乗るのが難しくなるんだ」
そう言って頭を掻きながら苦笑いする凛を俺は見て思った。
凛は今まで言峰の頼まれごとの他に、よく家を留守にしていた。
俺にしてははやてと二人っきりになるので困っていて、時々「どこに行っているんだ?」と聞いたりするが凛はいつも「旅をしてくる。いい土産を持ってくるから待っててくれるかい?」ばっかりだった。
ただ・・・・・決まって帰ってくる時には俺達の前では笑顔の凛が自身の部屋で『ボロボロの体で泣いていた』のだ。
凛の言う正義の味方・・・それが本当の意味での『正義の味方』を示しているのなら、多分、家を留守にする時は俺やはやてのように、『誰かを助けようとしていた』のではないのか?
「でも親父は・・・俺やはやてを救ってくれた」
「そうだね。でも、僕が目指す正義の味方は・・・誰もを救える、空想のおとぎ話にしか存在しない。そんな正義の味方に、僕はなりたかったんだ」
「そっか・・・それならしょうがないよ」
「うん。本当に、しょうがない・・・」
俺が思っていた以上に、凛の正義の味方は大きく、そして難しいものだと理解した。
「・・・でもさ」
「うん?」
そう・・・それでも・・・
「それでもさ・・・俺はあの災害で、俺を救ってくれた凛はさ・・・」
あの時のぼんやりとした中で見た凛の姿。
視界が真っ暗になる直前に、スローモーションのように流れた時間で、俺は覚えていることがある。
あの時の凛は・・・俺にとって・・・・・・
「俺にとっては・・・・・正義の味方だったよ」
そう思った・・・そう感じた・・・
例え、凛の望んでいた正義の味方ではなくても、それでも・・・救われた俺だから言えるだ。
あんなように『誰かを救える存在になりたい』と・・・だが、そんなものは『俺はできない』。この体と、俺の
『なりたいもの』が明らかに『正義の味方』には向いていないからだ。
だから・・・・・せめて俺に言えることは・・・これだけだと思い、そう凛に言う。
「俺には・・・・・凛のような『正義の味方』には、なれそうにないしさ。だからさ・・・・・ありがとう。俺を救ってくれて」
「そう、か・・・・・」
俺の言葉に、凛は目には小さな雫を流し、それでいて嬉しそうに、しかしまだ満たされていないようなその表情はとても何を思っているのか、俺にはちょっとわからなかった。
「そうか・・・少し・・・いや・・・・・」
ただ、一つ言えるのは。
まるで何かが抜け落ち方のように、そしてそれは・・・
「僕は・・・成れたんだな・・・・・正義の味方に」
安堵したその表情は。ほんのちょっとだけ、幸せな顔であった
少し時が流れ、夜の静けさと鈴虫などが鳴く声のみが広がる中、凛が俺に訪ねるように言ってきた。
それはまるで・・・・・
「士道・・・質問してもいいかい?」
「ん?」
俺の何かを試すような感じで・・・・・
「・・・・・片方の船に二百人、もう一方の船に百人。総勢三百人の乗員乗客と士道の合計301人を類最後の生き残りとするよ」
「・・・・・え?」
突如、質問とされた内容があまりにも突発的過ぎて、俺は思わず呆けた顔になる。
凛はそんな俺を無視してそのまま話を続ける。
「二隻の船底に同時に致命的な穴が開いたとして、船を直す力を持つのは士道だけだとする。・・・・・さて」
--遠衛 士道。君はどちらの船を直すかい?--
ああ・・・・・またこの夢か・・・・・
そう思い、景色が変わったその空間に俺は真っ直ぐ、そこにある『何か』を見つめる。
ここに来るのは二回目かな?
でも、俺は一回目と変わらずにそこにある『何か』に向かって歩き始める。
『体は〇〇〇で出来ている』
またか・・・一回目よりは少ないが頭の中にノイズが走る
『血潮は〇〇で、心は〇〇〇』
それでも・・・・・何を言いたいのかはなんとなく伝わる
『幾たびの〇〇〇〇〇を越えて〇〇〇』
これはおそらく誰かの生き方なのだろう・・・
『ただの一度も〇〇〇〇はなく』
自身の体を奮い立たせ
『ただの一度も〇〇〇されない』
ただ一つの人には無いモノに至る
『彼の者は常に独り〇〇〇の〇〇で〇〇〇〇に酔う』
そして何より・・・・・
『故に、その生涯に意味はなく』
その人間の生涯がこの言葉に詰まっているのだろう
『その体は、きっと・・・・・・・・・・』
ならばせめて・・・・・俺はこいつを理解してやろうと思った。
だから・・・・・
『剣で出来ていた』
『丘にある白と黒の双剣』に・・・・・俺は手を伸ばす。
--・・・・・ついてこれるか?--
・・・・・音がした。
何か重く、まるで扉が開く音が俺の耳に突然入って来る。そんな感覚を感じながら、今度は閉じているはずの瞼から眩しく感じる光がまるで無理やり目覚めさせようとしてくる。
「・・・ど・・・・どう・・・・・!」
寝返りをして眩しい光を避けようとする。
もうちょっと・・・眠っていたい。というか夢、基記憶の部分がいいところだったのに・・・・・今度は俺の体を誰かが動かしてくるんですが・・・正直やめて欲しいんですが・・・・・
「し・・・ど・・・・・!しど・・・・・・うくん!」
でも言った誰だ?はやてはまずないとしてじゃあ・・・・・ってあっちもないな。起こして来た事なんて一回もないし。じゃあ・・・・・
「せいやァ!!」
「フグォ!?」
怒声交じりのその声と共に俺の腹に強い衝撃が伝わる。
痛い!マジで痛いんだけど!!
「ぐっ・・・・・うおぉ・・・」
「まったく・・・士道君起きるの遅すぎ!いつまでこんな所で寝ているのよ!!」
・・・こんなことをする人間は一人しかいない。
そう思い、腹の痛みを我慢しながら起き上がり顔を上げる。
そこにいるのは黒髪のショートカットに私立聖祥大付属中学の制服を着た女の子が立っている。
俺は内心で溜息を吐きながら頭をガシガシと掻く
「・・・なんでいるんですか?彩先輩・・・・・」
「なんでって決まっているでしょう!士道君とはやてちゃんの事を凛さんに任されたんだから!!だいたい何で布団のある所で寝ないで、また『土蔵』で寝ているの!?」
「色々やることがあるんですよ。てか腹が痛い・・・なんでこう野蛮なんだか・・・・・」
そう思いながら立ち上がり、身体を伸ばして固まった筋肉をほぐそうとしながら彼女。荒野 彩(こうの あや)に不満の表情を表す。
小学6年。あの凛との縁側で話した1ヵ月後に死んでしまった。
突然ではあったが凛が死ぬ1ヵ月。その間、俺は凛から色々な事を託されたこともあり、現在いる土蔵で『ある事』をしていた・・・・・のだけど・・・
「ほらほら、またガラクタを散らかして!それにまた変な本とか物とかもいっぱい出てるし・・・・・」
「ガラクタじゃないです。親父の大事な形見何ですから」
「はいはい・・・・・あや!?もうこんな時間!?ほら、早く着替えて遅刻するよ!!」
そう言ってワタワタしている先輩を無視しながら俺は自分の腕に付けている腕時計を確認する。
もうそんな時間たっているのか?
それにしても俺がそんな時間まで寝ていたことはなかったし、それに時計のアラームには6時30分に起床するようにPiPiPiPi♪PiPiPiPi♪・・・・・あれ?
「あの・・・・・彩先輩?」
「ちょっと急いで!ってああ!はやてちゃんも起こさないと!!」
・・・やっぱり、そういう事か
大体、はやてが寝坊する方がおかしいし、そもそも寝坊するのは・・・・・
「その腕時計・・・・・壊れてませんか?」
「へ?」
この人の方ですし・・・・・
そう思い、先輩に確認するように言い、自身の腕時計と持っていたスマホで確認し始めた。
「・・・・・・・・・・あや?」
何とも間抜けな声を出しながら首を傾げる先輩を見て、溜息を吐く俺は悪くない。
土蔵にあった物は凛の残した物
そしていつか俺が必要になると思い残した物
古い本や壊れた電化製品、タンスや小物入れなど
土蔵の中には普通に見たらガラクタしか置かれていないと普通は思う
だが、違った
俺にとってそれらは全て、近い未来で大事な物であり
これらが俺を、『転生者』という異常な存在と再認識する事になる
俺・・・・・遠衛 士道は・・・・・
魔術師・・・いや、魔術使いである。
新キャラ登場!
因みに荒野 彩の見た目は東方の文屋をイメージした感じです!
さて、他にどんなキャラが出るか、待て、しかして希望せよ
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疲れる1日の始まり
今日も今日とて日常開・・・・・始!!
朝から物理的なモーニングコールをされ、更に時間を間違えた彩先輩によってスタートの悪い1日になった俺事、遠衛士道はとりあえず自分の部屋に行き制服に着替える。
時間は7時前
朝食をとってからでも学校には普通に間に合う時間帯である為、俺は制服を着終えて鞄をの中身を確認してから居間に向かう。居間に入るとキッチンがある場所に、俺より年上の女性が料理をしていたが、その女性が俺に気づいたのかこちらに微笑みながら振り向く。
「おはようございます士道。もう朝食ができますので、待っていてください」
「おはようリニス。悪いな、作ってくれて」
俺は料理をしている女性。リニスにそう言って座布団の上に座る。
料理をしている女性。リニスは、少し前に家に来た新しい家族だ。
彼女はちょっと特殊で、言ってしまえば『使い魔』という存在らしい。
リニスは今は隠しているが、リニスには猫の耳と尻尾が前の主の娘が飼っていた普通の山猫だったらしいのだが、『とある事故』が原因で命を落としていしまうが、前の主が使い魔として蘇らせたらしい。
詳しくは本人は言いたくないため聞かなかったが、リニスが「役目を終えた為、契約を解かれた」らしく、その後ランダムに転移をされ捨てられた場所に偶々そこを俺が通った為、契約を交わして今もこうして生きている。
今では家の家政婦として暮らしており、家事の支えになっている。
因みに、リニスの正体を知っているのは俺以外には外道神父こと言峰しかいない。
「なあリニス。はやてはどうしたんだ?まさかまだ寝てるとか?」
「はやてはこの後一緒に病院の検査に行くので、その支度をしていると思いますよ?それで、その後は一緒に図書館に行こうと思っています」
「ああ、そっか。今日は病院で検査の日か・・・」
はやてとリ二スは今日、病院に行らしい。
はやては時々足の検査をする為に病院に行く。はやては足が不自由で歩くことができないから、今は車椅子生活になっているが、もしかしたらよくなるかもしれないので、こうして医者の所に行き先生に診てもらっているのが現状だ。
「あれ?そういえば彩先輩は?」
「荒野さんなら先に行かれましたよ」
「・・・・・結局あの人は何しに来たんだ?」
「そういえば何やらすごい落ち込んでいましたけど、何かありましたか?」
「時間を間違えてんのに起こされたんだよ。・・・・・腹に思いっきりエルボの殴りつけてきた」
「・・・ああ、なるほど。今日はいつもと比べて早いと思ったらそういう事ですか」
彩先輩は俺が隣の藤本さんと同じく近所の家で一人暮らしをしていて、親父が亡くなって何か月後に何かと絡んでくる人で、俺の一つ上の先輩である。実は凛とは彩先輩の親共々知り合いだったらしく、凛に何かあったら俺とはやてを見て欲しいと凛が言ったと彩先輩は言っており、そう言った理由でよく家に来る。
因みに何故か家の鍵を持っている。彩先輩曰く、合鍵を事前にもらったとか何とか・・・・・
「お待たせしました」
「ありがとう。・・・・・おっ味噌汁がうまい。腕上がったなリニス」
「ふふっ。ええ、おかげさまで」
そう言ってリニスが俺の机に朝食を置かれた。
ご飯とお味噌汁。それとおかずに焼鮭に納豆と言う組み合わせの和風料理が並ばれる。
この家では基本的に俺が料理をするのだが、リニスやはやてが思った以上にやりたいというので、最近は夜にしか余り料理をしなくなってしまった。
まあ、俺個人としては別にいいのだが、はやてとリニスは俺の料理がおいしくないのかと思ってしまう。
一度聞いてみたのだが二人の回答は・・・「女として、このままではいけないと思った」というよくわからない回答がでた。とりあえずまずいわけではないようだからよかったけど、何かもやもやした。
そんなこんなでリニスが作った朝食を食べながら軽い会話を交わしていると戸が開かれた。
「あっお兄ちゃんおはよう。リニスもおはようなあ」
戸の方を向くと、そこには車椅子に乗った義理の妹のはやてが外出用の普段着を着ている。
はやてとは最近中学に上がった時からは、普通と言えるのかわからないが話せるようにはなって来た。
以前までは士道さんと呼んでいたが、いつしかお兄ちゃんと呼び始め、会話が弾むようになってきた。
それと同時に何と言えばいいのか・・・・・我儘になったというかなんというか、よく俺に頼み込んでくるのだ。あれやってこれやってと多く注文してくるし、時には一緒に寝てとか一緒に遊ぼうとか、お出かけしようとか。
挙句の果てには人を玩具みたいに弄んだりするしで結構無茶苦茶な事を一杯された気がする・・・・・
それでも俺ははやてがその分笑顔を見せてくれて、とても楽しそうだったから余りいやと言うわけではない。
寧ろ、これで元気になってくれればいいなと思っているくらいだ。
「おはようはやて」
「おはようございます、はやて。朝食の用意はできてますよ」
「はーい。あっ今日はリニスが作ったん?」
「ええ。簡単なものですが・・・あっ、それと士道のお弁当も作っておきましたので学校に持って行ってくださいね」
そう言ってリニスは台所に置いてあった弁当箱を視線で指しながらそう言ってくる。
「まじか。本当に何から何まで悪いなリニス」
「気にしないでください。これでも私は家政婦なんですから」
胸を張りながらリニスはそう言う。
それによって大きめのリニスの双丘が服とエプロンの上からでもわかる位に強調される。
リニスは美人でスタイルもいい為、それを強調された今は体のラインがくっきりとして、大きすぎず、小さすぎない二つの果実がとても際立っている。
「う、うん・・・そっか」
「?」
俺は見てはいけないと思って目線を逸らす。
中学生には少し・・・いやすごく刺激が強すぎる。
いくら前世+現在の経験値があってもリニスみたいな人に会ったことはない為、やはり強すぎる。
そう思っていると横にいる人物から視線を感じ、ギギギとそちらに向きながら訪ねる。
「・・・・・」
「え~と・・・何でしょうか、はやてさん?」
「お兄ちゃんの変態♪」
「!?」
俺が目線を逸らした理由がわかっているのかはやてはそう言って来た。
するとはやては何かを思いついたのか顔をしては悪戯な笑みを浮かべながら、あろう事かはやてはリニスに向けて爆弾を落としてきた。
「リニス~、お兄ちゃんがリニスが胸を張った時にめっちゃ見てたで」
「え?・・・・・っ!////」
「い、いや!ちょっと待てはやて!!」
完全にしてやられた。
時々はやては俺を弄ってくる事はあるが、まさかリニスを巻き込んでするとは思ってなかった。・・・と言うよりも、リニスもどちらかと言うとはやてと一緒に俺の事を弄るか、傍観するかのどっちかだけど。
リニスも不意に言われ、顔を真っ赤にしながら胸を隠すように腕を回しているその姿もちょっと可愛いと思ってしまったが、そんなことを考えてる場合じゃないと思い、俺は弁明しようとするがはやては聞く耳持たずに、更にわざとらしくニヤニヤしながら話す。
「いや~やっぱりリニスの胸は大きくて綺麗やもんなあ・・・揉んでみたいと思う気持ちは解るよ?」
「なんでさ!?何でそうなるんだよ!?俺、何も言ってないぞ!」
「なんや?恥ずかしいの?今もリニスが顔を真っ赤にしてたのを可愛いとか思ってたんちゃう?めっちゃ凝視しとったやん」
「そ、そうなのですか士道!?」
「い、いやしてないから!?はやてもそういう誤解を招くような事を・・・」
「それよりお兄ちゃん。そろそろ学校に行く時間になるけど大丈夫なん?」
「こいつ話を逸らそうと・・・ってほんとだ!?」
畜生!もうそんな時間かよと内心で叫んでいるとはやてが親指をサムズアップするように指を立てながらウインクする。
俺は恨みの視線で後で覚えていろよと思いながら食べ終わった食器を片付ける。
色々準備して、一度自分の部屋に行き荷物を持った俺は玄関前に向かう。玄関前に行くとリニスがまだ頬を赤くしながら弁当箱が入った袋を持って、俺に渡そうとした。
「し、士道。これを」
「お、おう・・・ありがとう」
「い、いえ、その・・・・・はい」
何ともぎこちない感じで袋を受け取り、靴を履く。
玄関を出る前にリニスの方を向き直り、さっきのはやての発言を撤回しようと話す
「その・・・行ってくる。それと、本当にさっきはやてが言ってたのは嘘だから」
「い、いや。私は、別に、大丈夫ですから・・・ただ・・・・・」
「ただ?」
そこで一息入れながら、耳まで赤くしながらリニスは俺に訪ねた。
「その・・・・・見てたのは、本当ですか?えっと・・・その・・・・・」
「へ!?いや、まあ・・・・・・はい。見ました・・・・・」
「そ、そうですか・・・・・」
「えっと・・・・・ごめんなさい・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
・・・・・数十秒をお互い喋らずに黙り込んでしまう。
もうこれ以上なにをどうすればいいのかわからない俺は、とにかくこの場から離れたいと思い、玄関に手をかける。
「ご、ごめん。もう行かないと・・・」
「そ、そうですね。行ってらっしゃい」
俺は返事を返さない、と言うか返せない位に頭が回らなかったのか俺は玄関を出てすぐ走り、学校の道へと向かう。
「そ、そうですよね・・・・・士道もそう言うお年頃ですし、別に見てしまっても全然問題ないですし、気にしませんに、嫌というわけではありませんし!寧ろ・・・って何を考えてるんですか私は!?士道とは主従の関係でそれ以上でも以下でも・・・・・い、以下になるのは嫌ですけど、以上なら少しは・・・少し?少しとはどの辺まででしょうか・・・・・て、ててて、手を握る辺り?い、いえやはり従者は一歩下がるのが理想!それ以上はやりすぎです・・・・・・でも少しそれでは物足りないというか、もっとこう・・・・・わあああ!!さっきから私は何を考えているんですかもおおおぉぉぉぉぉぉ!」
「・・・・・あかん。リニスが壊れかけとる・・・少しやりすぎたかなあ?」
行き道
少し走った俺は、未だ冷めずにいる顔に手で仰ぎながら、学校まで歩いている。
中学1年になった俺は、とにかく中学でも小学校と同じく学校に行かずにテストだけ・・・と言うわけにも行かず、毎日学校には通っている。
理由としては単純で、不登校では高校受験に響くのと、勉強を独学で進んでいける自信がない。
何せ俺が通っている聖祥大付属中学は、それなりに頭が良い学校である為、問題も難しい、前世の知識を合わせてもこの学校のテスト問題はかなりきつく、毎日通って予習、復習をして最高点数が80点。全体だとぎりぎり平均点より少し上とかである。
一度習ってあるというアドバンテージがあるにも関わらずかなり難しいので、正直、一日もなるべく休みたくない。
とはいえやっぱり学校にはあまり行きたくない。理由は言わずもながら周りの反応だ。
やはりと言うべきか、俺の髪や瞳は評価が悪くそれに伴って変な噂や情報が流れてくる。
まあ、それらは大体デマでそれも最近では男子しか余り流してないそうだが、それでも良い気分にはなれない。
「はあぁ・・・・・」
「あれ、士道じゃない?」
俺が溜息をついていると急に声をかけられた。
「あっ藤ねえ。おはよう・・・・・」
「おはよう、って何で朝から溜息をついてるのよ」
俺が藤ねえ呼んだ女性は藤本 アリス(ふじもと ありす)。
俺の隣の家に住んでいる藤本さんの娘で日本人とイギリスのハーフで金髪碧眼の美女。
藤本さんは此処、海鳴市を本拠地としている藤本組というヤクザの大親分で、奥さんはイギリス人の一般人だったのだが、一目惚れがなんとかかんとか・・・・・
そう言った経緯がある藤ねえは現在、自営業のドールズショップでを開いているらしく、容姿と人形の出来栄えにかなり人気らしい。
「朝から色々あって、もう疲れたんだよ・・・」
「まだ今日は始まったばかりよ。どうせ貴方の事だから学校は寝てるだけでしょ?」
「いやちゃんと勉強するから。結構テストが厳しいんだぞ」
「ふ~ん・・・・・まあ、がんばりなさい。あっそれとこれ」
そう言って、藤ねえが一冊の本を渡して来た。
「これ、やっぱり私には何の本だか全然わからなかったわ」
「あぁ、それか。やっぱり藤ねえでもわからないか」
「ええ。そもそも鎖が取れないから中身が見れないし、表紙もこれに似た物なんて一つもなかったわ・・・・・ねえ、それっていったい何なの?」
「うーん。元々はやてが持ってたんだけど、はやて自身もいつからあったかわからないんだと」
そういって受け取った本を学生鞄の中に入れる。
俺は時計を確認してそろそろ8時10分になる事を確認する。
「じゃあ藤ねえ。そろそろ時間になるから行くよ」
「そう、行ってらっしゃい。気を付けなさいよ」
そのまま俺は学校に向かいながら受け取った本を鞄の中からチラ見する。
藤ねえも知らないとなると本当にこれは何なのだろう。
これを『解析』しようとすると何故か頭にノイズが掛かって見れないし。
それにこれがただの本だとは到底思えない、違和感や不可解と言うよりも・・・・・悪寒?そんな感じがする。
それならさっさと捨てればいいのにと思ってしまうのだが、それをしてしまったら、何か『取り返しのつかない』ような気がしてならない、そう思った。
その本、・・・・・十字に結ばれた鎖。
茶色の表紙には鋭さのある異様な十字架が飾られているその本に、俺は気になりながらも学校に向かう。
という感じだ!
今回、初登場のリニス!
リニスの口調がおかしい!とかこんなのリニスじゃない!とかあるとは思うのですがその場合はキャラ崩壊タグをつけるべきか考えときます。
とりあえずリニスは『頼れる従者ヒロイン』という感じです。
あっ一応、ハーレム予定です。
こればっかりはオリ主のモチーフが彼なんで・・・・・
感想やコメント等あれば気軽にどうぞ!
次回も待て、しかして希望せよ
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1DAY 士道という男の日常
今回はまだまだつまらないかもしれないが我慢してくれ!
戦闘パート・・・・・やりたいが我慢・・・・・
それでは!
~午前~
此処、私立聖祥大学附属中学の校門前に着いた俺はまず溜息を吐きながら門を潜る事からはじまる。
理由としては単純で、周りの視線である。
簡単に言えば変質者を見る目と言えばいいだろうか・・・とにかくそんな視線を送られているのだから居心地がとても悪い。
「はあ・・・・・もう帰りたい」
そう思いながら歩き始めようとすると後ろから肩を叩かれる。
「おはよう士道君。今朝ぶりだね」
「・・・彩先輩」
後ろを振り返るとそこにいるのは今朝、俺の家に突然訪問しては直に帰ってしまった彩先輩がそこに立っていた。
「おはようございます・・・・・で、なんでこんな所にいるんですか?こっちは【男子校】の方ですよ?」
「そんな事はわかっているよ。ただちゃんと起きて学校に来ているか確認しに来ただけだよ!」
「来るに決まっているでしょ。あんな朝から強烈な起こされ方されたら・・・」
「うぐっ・・・ごめんなさい」
俺が今日の朝の事を恨めしそうに言うと彩先輩は少し落ち込みながら謝った。
そう落ち込まれると俺が困るんですが、主に周りの目線的な意味で。
「別にいいですから、先輩は早く【女子校】の方に行ってくださいよ。此処にいるとめっちゃ目立ちますよ」
「あや!そうでした。それじゃあまたね士道君!」
「はい、また・・・・・会うのか・・・」
また会うのかよ・・・と思いながら俺は走って行く先輩の後ろ姿を見ずに学校へと歩いて行った。
聖祥大学附属中学
此処は小・中・高、そして大学までエスカレーター式の学校である。
小学校は普通に男女共学なのだが、中学からは男女別になる為、俺は男子校。彩先輩は女子校に向かう形になる。
とは言っても男女別ではあるが実際は校舎が別々なだけであってお隣同士であり、図書館などの施設は一緒に使われている。
そんな私立の学校は勿論ではあるが金も頭も高い。
頭の方はどうにかなるが金の方は普通に考えれば不可能なはずだ。だって俺養子の身だし、普通そんな大金があるわけ・・・・・・無いと思ってました。
何と言えばいいのか、凛がかなりの金を有していた。
銀行の暗証番号を凛の部屋の棚から見つけ、それ通りに押すと0の数が異常にあった。
正直、ビックリして外道神父に訪ねたら、どうやら凛は余り欲がないのかもしもの時用に貯金していたようだ。
まあそう言った理由で今も私立に通えるわけなんだが・・・俺がクラスに入ると一斉に俺の方を向いて来る。
それは良い。誰かが入って来るのは反射的に向いてしまうのだから仕方がない。
それより大事なのは俺だとわかった時の反応だ・・・
「・・・チッ、アイツかよ」
「ほんと気持ち悪いよな?視界に入るだけで吐きそう」
「大体、何であんなゴミクズがまだ学校とか通えるんだよ。社会的に消えるべきだろアイツ」
・・・・・うん、まあ。
この反応には慣れたとはいえ聞いてていい気分にはなれないよね。
どうすればこんなに嫌われるのか・・・こればっかりは呪いとしか言えない。
実際に俺はクラスで何かやらかしてなどいない。
自己紹介も普通、授業中も普通、休み時間も普通の普通生活だ。
問題は毎度お馴染みのこの容姿。こればっかりは俺にはどうしようもできない。
目が合うだけで「こっちみんな!」て言われたり、偶々ぶつかったら「喧嘩売ってんのか!?」とか言ってくる・・・・・勘弁してくれ。
「(はいはい悪かったな。俺が来て・・・・・)」
向けられる視線にイライラしながら自分の席に行く。
一番後ろの窓側と言うベストポジションである俺は、そのまま座ろうと椅子を引くのだが、いつも通りに椅子に画鋲が置いてあった
・・・・・接着している状態で。
「・・・・・なんでさ」
こうして学校がある日は毎日の如く自分の席の安全確認をしなければならない日々を俺は送っていた。
~お昼~
昼休みになれば俺はいつも通りに屋上に向かう。そこは本来は入れない場所なのだが、そんなものは関係ない。
鍵の開け方を知っている俺は、手慣れた手つきで鍵を開けて屋上でリニスが作ってくれた弁当を食べる。
「うん。うまい」
リニスの手作り弁当はとても美味しかった。
屋上で静かに食べるのがいつしか楽しみになってしまった。
・・・・・俺、本当にこの学校の居場所全然ねえなと何度も自覚させられる。
その後、クラスに戻るとまた椅子に画鋲が置かれていた。今度は木工用ボンドで・・・マジで汚いし、気分がまた沈んだ。
~午後~
最後のHRが終わり、それぞれが部活なり帰宅なりの準備をしている。
因みに俺は帰宅部・・・・・にしたかったのだが、そこで一つの問題が起きた。
それは家のリニスとはやて。それとアリスと彩先輩から「中学生なんだから何かやれ」と言われてしまったのだ。
何かってなんだよと俺は思いながらも逆らうことができず迷い、何を血迷ったか俺は「じゃあ彩先輩が所属している所に入りますよ」と言ってしまいなんと【生徒会の書記】として入ってしまった。
普通一年生にやらせていいのかと思ったのだが、彩先輩が生徒会長と言う理由もあって何とすんなり決まってしまった。
男女一緒な為、共有エリアの生徒会室でいつも活動しているのだが、なんともまあ・・・・・彩先輩以外からの視線が痛い。
それでもちゃんと仕事はしないとと思い、生徒会としての作業はしっかりとやっている。
活動内容や報告会の記録。書類作成やその他諸々の雑用ををやるのだが、それが終わるのが大体午後4時から5時位までかかってしまう。
「はあ・・・・・疲れた」
「お疲れ士道君。やっぱり士道君はなんだかんだ言ってちゃんと頑張ってくれるから助かるよ」
「頑張らないと帰してくれないじゃないですか・・・」
彩先輩は生徒会長という事もあって色々している。
意外とこの学校はお悩みとか、部活の備品がどうこうで色々と注文してくることが多く、何かと忙しい。
生徒と教師の橋渡をしているのだから仕方ないとはいえ、普通ここまで一生徒にやらせるものなのかと思うし、それをできる彩先輩はもっとおかしい。
「ほらほら、それが終わったら今日は終わりだから頑張ろう?この後何か奢ってあげるから」
「いや、流石に女子から金を集るのは嫌ですよ」
最後の書類を終えてようやく今日の作業が終わる。
因みに此処にいるのは俺と彩先輩だけで、他の人はもう帰っている。
後、学校にいる生徒と言えば部活をしている人や教師数人位だろう。
「え、え~とほら。今朝の件もあるからお詫びとして、ね?いいでしょ?」
「・・・・・彩先輩、一応確認ですが奢ってくれる【だけ】ですか?」
「ギクッ。・・・・・え~と・・・」
ギクッて・・・・・いう人初めて見たかも。
しかも目がすごい泳いでいるし、めっちゃ何かあるんじゃねえか。
「仕方ない、正直に言えば先輩の用事に無償で付き合ってあげようと思ってたんですが・・・・・帰りますね、お疲れさまでした」
「待って待って!お願い士道君、来て!一緒に来て!!」
俺は完全に面倒な用事を言われると直感して生徒会室のドアに手をかけようとすると制服を引っ張りながら先輩が必死に頼んでくる。
「・・・・・で、何処に行くんですか?」
「それが・・・友達の忘れ物を届けないといけないんだけど、その子の家が少し遠くて、夜に一人歩くのは怖いし・・・・・」
「何乙女みたいな事を言ってるんですか」
「ちょっ!?ひどくない!?それに私はちゃんとした女の子だし!現役JCのバリバリ乙女だし!」
「乙女な奴が朝からエルボーで起こさないと思うんですがそれは「それはそれ!これはこれ!」・・・都合良いな、おい・・・・・」
ついタメ口になりながらも呆れながら彩先輩に言う。
まあ、暗い夜道を女の子一人で歩かせるわけにも行かないというのは分かるのだが、別にそれは俺ではなくてもいいのにと思ってしまう。
「まあ別にいいですけど。誰の家なんです?」
「え~と美由希ちゃんって言うんだけど。士道君と同級生の」
「・・・・・もしかして高町さん?」
「そうそう!高町 美由希ちゃん。両親が翠屋ってお店を開いているあそこの!」
「・・・・・マジっすか、やっぱ帰ってもいいですか?」
「な、なんでよー!?」
・・・・・と言うわけでキングクリムゾン!っぷりのカットによって着きました、高町家。
「ほんとに来ちゃったよ・・・」
「じゃあ士道君。ちょっと待っててね」
そう言って彩先輩はチャイムのボタンを押して、ドア前で待機している。
俺は後ろで早く終わらないかと思いながら空を見ているとドアが開く音がする。
「は~い。ってあら?彩ちゃん?」
「あっ!桃子さんこんばんわ」
ドアを開けて現れたのはかなり若い女性だ。
見た感じ10代後半から20代前半に見えるその人はドアを開けてはにこやかに彩先輩と話し始め、その後ろに今回のお目当ての人物が顔をひょこっと出していた。
「お母さん、どうしたn・・・って彩先輩!?」
「美由希ちゃん~こんばんわ。これ、返し忘れちゃってたから持ってきちゃった」
現れた少女、高町 美由希(たかまち みゆき)は驚きながら彩先輩と楽しく喋り始めた。
その後ろで空を見ながら耽っていると会話が進んでいた。
「わざわざ来てくれてありがとね彩ちゃん。送ってあげましょうか?」
「あっ大丈夫です。ちゃんとボディーガードがいますので」
「ボディーガード?・・・・・あれ?士道君」
桃子さんと呼ばれていた人が彩先輩に訪ねると、彩先輩が俺を指さして答えていた。
高町美由希・・・・・改め美由希さんにも見えたようで、俺に気づいては俺の名前をつぶやきながら呼んでいた。
「あっ、どうも」
「あら?もしかして、以前何度かお店に来てた男の子?」
「え?そうなの士道君?」
「うっ・・・・・」
やばい・・・そう内心焦りながら話題が俺に変わり始めているのだと悟り始め、冷や汗を掻きながら何とかこの場を速やかに退散する考えをする。
「え、え~と・・・・・気のせいじゃないですかね?それより先輩。そろそろ俺帰らないと行けないんで先行きますよ」
「え?そうなの?・・・ってちょっと待ってよ!?・・・・・えっとその、すみません。失礼します!じゃあね、美由希ちゃん!」
俺が突然歩き始めたのに驚いてか、彩先輩は後ろを走りながら追いかけて来る。
高町家の二人はどんな反応をしているのかはわからないが、恐らく二度と会わないと思うのでそのまま歩き進む。
ーーーーーーーーーーーーーーー
士道と彩が立ち去った後、桃子と美由希は呆けながら彼らがいた方を見ていた。
「どうしたのかしら?彩ちゃんもあの子も」
「あ~・・・・・多分心当たりがあるかも」
「え?そうなの?」
美由希は士道の行動を理解したのか、頭に手を当てながら思い出したようにそう言った。
「ほら、今年の春に翠屋で彼いたんだけど、その時になのはが彼の事ずっと見てたのよ。気になるって」
「気になる?」
「ほら、士道君髪が白いし、左右で目が違うでしょ?不思議に思ったのかなのはがずっと見てたら恭ちゃんがそれに気づいて・・・・・」
「気づいて」
「何か士道君と何か話してたみたいなんだけど、見る限り恭ちゃんが怖がらせたみたいなの」
「・・・・・あらあらそんな事を」
「か、かーさん?」
桃子は笑いながら・・・目は笑っていない微笑の状態で、美由希の話を聞いている。
「どうりでその後から一度も見かけないと思ったらそういう事が・・・・・」
「えっとかーさん?すごく怖いんだけど」
「うふふっ、大丈夫よ美由希。・・・・・ちょっと大事なお客に失礼な事をした恭也にO☆HA☆NA☆SHIをするだけだもの」
明らかに黒いオーラを漂わせながら言う桃子に美由希は震えていると家の中から声が聞こえた。
「母さん。何かあったのか?」
「あらあら恭也。少しO☆HA☆NA☆SHIがあるのだけど、いいかしら?」
「え?・・・っか、母さん?」
「うふふふふ・・・・・」
その後、高町家から男性の叫び声響くも、士道はこれを知らない。
ーーーーーーーーーーーーーーー
あの後、俺は彩先輩を家まで送り終えて、帰宅した。
今日は俺が晩御飯を作り、いつも通りと言えばいいのかそれなりの評価を得た。
今日は藤ねえが家に来ては晩御飯に参加して、今頃はリニスとお酒を飲んでいる。
・・・・・意外とリニスがお酒を飲めた事に驚いた。
そう思いながら、現在いつも通りに土蔵に籠っている。
「ッ!?・・・・・なんだろう。今寒気が」
突如背中を襲うように来た悪寒が【明日は学校に行ってはいけない】とささやいている気がした。・・・・・気のせいだと信じたい。
「って、集中集中・・・・・」
雑念を振り払おうと顔を横に振りながら気持ちを切り換える。
今からは普通の中学生ではなく、以前言ったように【魔術使い】としての遠衛 士道としての俺に切り替えなければならない。
目の前にあるのは鉄パイプ。
これを今からいつもの如く、手を触れながら呟く。
「----
鉄パイプに触れると同時に、自身の体に撃鉄を打つ。
身体全体に廻る見えない回路のスイッチを押すように起動すると指先から鉄パイプにナニカが伝う感覚を得る。
----基本骨子、解明
----構成材質、解明
「----骨子と材質の変更、補強・・・・・っと」
--------
「ふう・・・・・何とか『強化』は簡単にできるな」
俺は凛と語ったあの夜から、俺に『魔術』を教えてくれた。
最初に言われた時は半信半疑だったが、どうやらマジだった。
凛が生きている間に俺は必要な内容を片っ端から言われた。魔術を起動する為に必要な『魔術回路』、その使い方や起動の仕方。
特に魔術に関しては、俺は使える魔術が限定されているらしく、今はこうやって初歩中の初歩である『強化』を行っている。
凛が死んだその後は、俺は土蔵にあった本や巻物を全部見てきたが、それら全ては他の人が見てもわからない魔術の本だった。
凛は俺の中にあるなにかに気づいたらしく、俺の為に、この土蔵の中には魔術に必要な道具やさまざまな物が置かれていた。
俺自身、凛から教わった内容は少なかったけど、それでもやるべき事は教わったと思っている。
「それにしても、『強化』ってこうも簡単だっけ?」
もう一つ、凛が死んだ後に起きた出来事、それは【夢】だ。
その夢はいつも曖昧で、よくわからないんだが、明らかに異常な夢なのは確かだった。
まず、その夢での俺はいつも傍観者だった。
俺はその夢の主役ではなく、いつも主役のそば、基いないような存在になっていた。
--ある時は槍を持った獰猛な戦士
--ある時は竜退治をした勇者
--ある時は黄金の劇場で踊る王
--ある時は死体の山に膝をつく騎士
そして必ず見るのは、多くの様々な剣が突き刺された荒野にいつも立たされている。
「さてと・・・・・そろそろアレをやってみるか」
いいかげん別の夢を見せて欲しいと思ってしまうのだが、それでも尚見せられているのは何か意味があるのか?
そう思うのだが、やはり俺にはよくわからない。
・・・・・ただ
「----
再度自身の『魔術回路』を回す。
身体全体に熱が帯びる感覚と腕に伝わる痺れに汗があふれ出る。
「----っく・・・・ぐうっ・・・!」
自身の中にある夢の記憶をたどり、よりイメージする。
----投影目標、エラー
----基本骨子、正常
----構成材質、一部不足
----不足部分、補強
----補強、補強、補強・・・・・再構成
----基本骨子、解明
----構成材質、解明
「ぐっ!・・・・・・・ふうぅ」
手に重みを感じ、魔術回路が正常になる感覚を得る。
沸騰した体は汗でびしゃびしゃになりながらも士道は気にしない。
今は目の前にできた【二本の双剣】に注目する。
「・・・・・こいつはひでぇや」
そう呟いて、俺は横にその双剣を置いた。
自分でもわかる位に足りないものが多く、夢で何度も見てきたアレに比べても出来損ないなそれに溜息を吐きながら呟いた。
「凛・・・・・やっぱり俺には難しいかな・・・・・」
そう言って、土蔵から出た士道は夜を照らす月を見ながら呟いた。
「どうすれば俺は・・・・・今度こそ失わずに済むかな?」
と言う感じです。
今回は『中学の一日の流れ』がこの話の内容だったのですが・・・いかがでしょうか?
それとリリカルなのは原作の聖祥大学附属中学が男女別しか書かれてないのでオリジナル設定にしました。
モチーフは『けんぷファー』の学園をイメージしていただければいいです。
それとちょこっと現れた原作キャラ。
戦闘民族高町家が登場。
正直とらは3をやったことがない自分がどこまで書けるかわかりませんでしたがどうでしたか?
何か「こいつの喋り方はちがう」や「桃子さんはこんなキャラじゃない」とかあるかもしれないですが、それらはこの作品のオリジナルと思っていただけるとありがたいです。
それでは感想やコメント等あれば気軽にどうぞ!
次回も待て、しかして希望せよ
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2DAY 勘違いは程々に
まだまだ日常回!!
「ふうぅ・・・・・やっぱり屋上は落ち着くなあ・・・」
そう言いながら士道は今日も今日とて学校の屋上でボッチ飯をしている。
そろそろ昼休みが終わるのだが、今回は教室に行かずに此処、屋上にて時間を潰そうと思っている。
普通ならここで一般人なら教室行って勉強しろと言うだろうがこれには原因がある。
原因と言っても深刻な内容ではない。単純にこの後はLHR・・・そうロングホームルームというただ教室で遊んでいるだけの時間である。
そしてそう言った中で俺と言う教室・・・・・どころか学校の嫌われ者とまで言ってもいい位の俺が居たら色々と絡んれるのは容易に想像がつく。
よって・・・・・
「よし、寝るか」
俺は自らそんな冷ややかな視線を受けに行くようなM属性は無いので、屋上で時間を持て余そうと考えた。
そもそも此処には誰かが来ることは今までない。理由は元々此処は本来、封鎖されているのでわざわざ見に来る人間がいないから、更に俺が入る時にまたもう一度怪しまれない用に鍵を掛けているので「あれ?ドアが開いている?」と言う事態にはならない。
「これなら誰にも見つかるわけがn・・・・・」ガチャガチャ・・・
寝っ転がりながらそう思っていた俺は、突然の物音に固まる。そう・・・来るはずのないドアの方から開けようとしているような音が聞こえるからだ。
「・・・・・え!?やっば!?」
隠れる場所がない屋上で開けようとする音が聞こえるので流石にまずいと思った俺はとにかくどうするか迷っていた。
柵の下・・・は下手したら死ぬし、角なんてないからダメだし・・・・・あれ?詰んでね?
そう思っているとガチャン!という鍵の開いた音が聞こえ、ドアが開かれる。
「ふう・・・ようやく開いたな。さて・・・・・本当にいたとはな」
「あ、貴方は・・・・・」
開けた人物は俺と同じく制服を着ている人。
その制服は大体は一緒だがネクタイや上履きといった部分が俺と違う、上級生が着けているものばかりだ。
そしてその人が言った言葉、どうやら俺目当てなのだがこの学校で俺の事を探す理由がここ最近にあるとしたらこの人しかいない。
「・・・た、高町・・・先輩・・・」
「遠衛だな。昨日ぶりらしいな・・・と言ってもお前と話したのは翠屋に来なくなった以来だからな。久しぶりの方が正しいな」
高町先輩呼んだその男・・・高町恭也は俺を見つけるや否やその鋭い視線に冷や汗を掻きながら逃げ場所が無いが反射的に後退してしまう。
この人が俺に来る理由。それは単純に昨日彩先輩の一件で俺が高町家に近づいたからだろう。
そしてこの後起きるであろう最悪な状況を予測した俺は顔を青くしているが恭也さんはそんな事には気づいてないと思われるので口を開く。
「まあ俺が此処に来た理由はお前に会うためなんだが・・・とりあえず俺がお前に話g「す、すみませんでしたあああああぁぁぁぁぁ!!!!」・・・・・は?」
「き、ききき昨日は彩先輩の付き添いと言いますか何と言いますかそう言った理由があって別にそちらに悪意あった、または害を与えようとして近づいたわけじゃないんです!!どうしても時間が時間と言う事も相まってですね!?そもそも何であんな時間にいたかと言いますと生徒会の仕事おわりだったと言う理由がありましてか・・・いやすみません!言い訳で言ったつもりで言ったのではないんです!そう言った学校でのやる事があってその終わりの後に高町先輩の妹さんに返さないといけない物があると彩先輩が言いましてね?返すにしても時間が時間だった為、付き添いしないといけなくなった為に高町先輩の家に近づく形になってしまったので今後一切あの道は通りませんし目も合わせないようにしますのでどうか寛大な処置をお願いして頂けるとありがたいと思っています!いや、こんな事でご迷惑をおかけしまして本当にすみませんでしたあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
俺は最大限の誠意を示す為に頭を地面に埋める位に勢いよく下げ、所謂土下座を恭也さんの目の前でしながら、少し言い訳っぽくなっている謝罪をした。
とにかくもうよいと言われるまで地面に額をぶつけ続ければ乗り切れる。そう思っていた俺は、恭也さんが呆れた顔で溜息を吐いている事に気付かず、やれやれと言った感じで恭也さんが口を開く。
「・・・・・本当に誤解されているとは思わなかったが、とりあえず顔を上げろ遠衛」
「は、はい・・・・・それで、処罰の方はいかに・・・」
「いや、だからしないから。ただ家の近くにいた位で俺はお前に何かを罰する事はしないからな」
そう言って俺に顔を上げるように言う恭也さんは、その眼光とは裏腹に顔に手を当てながら呆れた感じで俺に言う。
「なあ・・・なんで翠屋に来なくなったんだ?」
「・・・・・え?」
「え?って・・・俺が遠衛に話しかけた後、お前は一切来なくなったじゃないか?何故なんだ?」
そう言って来た恭也さんに俺は首を傾げながら答えた。
「いや・・・だって高町先輩が近づくな的な事言ってましたよね?」
「・・・・・本当に誤解されているようだな」
「え?誤解?」
誤解?誤解してないようなと思いながら、俺はその時の事を思い出そうとする。
あの時、俺は普段と同じように紅茶とシュークリームを食べていた時に恭也さんに声をかけられた。
「毎日来ているな」とか「妹が見ていたからどんな奴なのか話しかけてきた」と言った感じで話かけてきたのだが、問題はあの時の恭也さんの顔は俺からすれば睨み、または警戒の眼差しに見えた。
そこで俺は何故ここまで警戒されるのだろうと思った。何せこっちはただ頼んだ物を飲んで食べて寛いでいただけなのだから。
しかし、そこで恭也さんが言った妹と言う単語に何かしらの違和感を感じ、俺は「何かご迷惑をしたのか?」と訪ねてみた。それで訪ねた時に恭也さんは「妹がお前の髪と目が気になってたから」と言う感じの回答をしたのでそこで俺はこう思った。
「アレって「妹の視界から消えろクソ野郎」って間接的に言ってたんじゃないんですか?」
「どうしてそうなった・・・・・」
いや実際そんな感じだと思いましたよ。言動が一々妹が入るのですぐに「あっ、この人シスコンだ」と思える位に妹が~って言っていた。
それと何よりも・・・・・
「だって高町先輩。あの時かなり俺の事を睨んでいたじゃないですか?」
「・・・・・睨んでいたか?」
「客観的に見るとかなり」
「・・・・・それならすまない。俺はそんなつもりじゃなかったんだが」
「でもまあ、自分の家族を心配するのはわかりますし、俺みたいな奴を警戒するのは当然といえば当然ですよね」
「・・・それでもだ。客に対する態度ではない事は遠衛の発言で明らかだ。できればこれからは気軽に翠屋に来て欲しい。謝罪も兼ねて半額にする」
「別に半額はしなくてもいいですけど・・・・・とりあえず今後暇な時は行こうと思います。あそこのシュークリームはおいしいですし」
とりあえずお互い様と言う形で終わりにしようと思ったのだが、そこでふと気になったことがあったので恭也さんに訪ねてみた。
「そういえば、どうして俺が此処だと思ったんですか?それに、俺に会いに来た理由もいまいちわかりませんし」
「遠衛が此処にいると思ったのは昼休みやこの曜日の時間は屋上辺りに
「・・・え?気配??」
「ああ、こう言っては何だがお前の気配は独特と言うか他の奴に比べてわかりやすいぞ?」
なにそれ?気配で人の場所がわかるとかこの人本当に人間かよ。
「それと会いに来た理由なんだが・・・・・お前が誤解しているかもしれないと美由希に言われてな。それを聞いた母さんからかなり叱られてしまってな。とりあえず会って話すべきだと思ったんだ」
「・・・・・何か、すみません。色々と・・・・・」
「別に大丈夫だ・・・・・ただ、母さんがあれほど恐ろしいとは思わなかった」
そういって恭也さんの足と手が視認できる位に震えているのがわかる。
どんだけ怖いんだよ高町家の母は・・・・・
とりあえず誤解は解けたのは良かったし、これからも翠屋に行けるのはありがたい。
今度、リニスやはやてと行ってみようかなと俺は思いながら今日の学校の間ずっと考えていた。
「そうだ遠衛。何故お前は屋上にいるんだ?授業があるだろう」
「え?・・・・・ああ、そうですね」
「・・・・・さぼりか?」
「それは高町先輩も言える事では?」
「俺達の学年は終わったんだ。でも、お前のクラスを見てみたがLHRをやっていたぞ?いなくていいのか?」
「いや、いない方がクラスの為になるかと」
「・・・・・ボッチか?」
「そうですけどここまでストレートに言わなくても・・・・・」
-----------------------
学校を終え、家に帰った俺は動きやすい服に着替えて走りに出かける。
時間は夕日が沈み暗くなり始めた頃、周りは余り人気はいない為に静けさのみが流れていく。
「はっ・・・はっ・・・」
いつもと同じ位のペース、リズム、呼吸を取りながらただ走り続ける。
一切ぶれず、一つ一つの動作に無駄がなく【理想】と言えるフォームで走り続ける。
「はあ・・・・・はあ・・・・・ふうっ」
走り続け、汗を十分に掻きはじめた辺りで家に大体着く。
いつも無我夢中に走る為、どれ位走ったかはわからないが以前一緒に走ってくれたリニス曰く、最低でも15キロは走っているとの事。
これが終わったら、先に家にある道場に向かう。
中は木刀が並べられ、いつも手入れをしている為かあまり使われてなくても綺麗な此処で俺は時々木刀を振ったりする。
振ると言っても俺は剣道経験もないので一切剣道の構えもできないし、ましてや型というものがない。
「さて、始めるか」
手に持つは小太刀位のサイズの木刀。
それを両手にそれぞれ一つずつ、所謂二刀流や双剣といった構え方である。
普通ならそんな持ち方をして振った所で使いこなせる事は出来ない上に時間の無駄だろう。
だが、俺はそれを敢えてやるには理由がある。
----憑依経験
「・・・・・ハッ!セヤァッ!!」
右上段振り、左下段切り上げ、右斜め振り、右返し斬りからの左刺突。
その動作に一つも間隔がなく、流れる剣跡はまるで一つの演舞のように誰が見ても【素人】が振っているとは思えない動きは俺からして見ればまだまだ物足りなさがある。
「らあぁ!!」
風を斬っているかのような音が聞こえる。
一つ一つの動きはブレがない。まるで理想の動きと言ってもいい動きかもしれない。しかし俺自身はこれで満足できない。
・・・・・これじゃあ守れない。
もっと上がれる
もっと加速できる
そう思い、身体中の魔術回路を起動する。
----
「ぐッ!・・・うおぉぉぉぉぉ!」
身体に撃鉄を起こして、自身を強化する。
俺ができる魔術の一つ『強化』を俺自身にやる事痛みを感じながらも押し殺すかのように咆哮しながら更に動きが加速する。
地面を蹴り、さながら敵を次々と倒しているかの如く、更に・・・更に速く、強く、綺麗な動きになる。
「ハッ!!」
最後の一振りを全力で振り下ろすと、空気が割れるように風を巻き起こす
道場全体が響くように、それでいて一瞬時間が止まったように静かな時が流れる。
「はあぁ・・・・・はあぁ・・・・・」
身体中に熱い感覚と滴る汗。
荒い息遣いを落ち着かせるように大きく呼吸しながら自分の動きを思い出す。
「はあぁ・・・ふうぅ・・・・・まだ、まだだな・・・・」
足りない。
イメージ通りにまだいかない。
もっと・・・・・もっと・・・・・
「イメージしろ・・・・・」
そう俺は呟きながら【アレ】を思い出す。
夢で何度も見て、感じて、言われてきた事を思い出す。
「・・・・・イメージするのは」
--イメージするのは常に最強の自分だ
--現実で敵わない相手なら、勝てるものを幻想しろ
そう言われたような気がした。
俺に言ったかはわからない。いつも俺は夢の中では傍観者で何か出来る力など持ち合わせてはいない。
それでも・・・・・
「イメージ・・・イメージ・・・・・」
こんな俺でもできる事があるのなら・・・・・
「イメージしろ・・・・・」
あの荒野にいた男を・・・・・
剣の墓場と言えるあの荒野で一人歩き続けた男を・・・・・
「体は・・・体はつr「士道。そろそろ終わりにして食事にしましょう」・・・・・ってリニス?」
「ええ、私ですよ。もう結構時間が経っているのにいつまでも来ないので来てしまいました・・・・・って、すごい汗じゃないですか!?早く着替えないと風邪をひいてしまいますよ!?」
俺が集中していると、俺の大量に掻いた汗を見て驚くリニスがそこにいた。
そういえばもう結構時間が経って、そろそろ夜ご飯の支度をしなければならない時間だった事に俺はすっかり忘れていた。
「え?あっああ、そっか・・・・・悪いなリニス、直着替える」
「もう!こうなったら一度シャワーを浴びてください。私が夜ご飯の支度をしますから!」
「え?いやでも流石に「い・い・で・す・ね!!」・・・・・はい」
リニスに圧倒された俺はそのままシャワーを浴びに向かう。
最近、リニスに任せてばっかりだなと思った俺は、明日はリニスより早起きして朝食を作ろうと決意した。
・・・・・あれ?そういえば俺?さっき何を言おうとしてたんだっけ?
----体は、剣で出来ている
作者「あっはやて登場してない・・・・・まっいいか」
んなわけねえだろおぉぉぉぉぉ!!(カシャカシャ)
次回から物語が大きく展開する!(予定)
そろそろいい加減雪下の誓い要素を入れたいのだが・・・・・
次回まで待て、しかして希望せよ
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????DAY 何も変わらない朝
あれは作者!作者マーン!作者マーン!!
幸せを手にする者がいれば、不幸を手にする者がいる。
新しいものが現れれば今まであったものが消えるように、世界は時が流れる事で色んな事が変わっていく。
その流れで人は、動物は、物は・・・この世すべての【モノ達】がそれぞれの運命に動いている。
それだけじゃない。太陽が昇り朝になり、沈んで月が出れば夜になるように当たり前の事はそうなるように、そうなる使命に・・・・・そうなる【運命】になっている。それが当たり前で、それが普通で、それが崩れる事はあってはならないからだ。
そうやって日が、月が、年が・・・・・時代が流れる事で生まれては死に、誕生しては消失して、失って失って失って・・・・・それでも尚、世界は周り、流れ、まるで歯車のように永遠と動いている。
じゃあ俺は?
俺と言う・・・・・遠衛士道は一体この世界ではどういう存在なんだ?
死んで・弄ばれ・嫌われ・避けられ・失って・無くして・・・・・最後に残っているのは一体なんだ?
俺の俺の運命は?使命は?役割は?
・・・・・わからない。俺をこの世界に来させた神は何かを言っていたが、それでも俺には理解できない。
結局・・・俺には無いのかもしれない。この世界で出来る事も、やれる事も、所詮は死んで遊び感覚で生き返った存在。
この先の辿る道は・・・・・未来は掛け値なしの地獄。いや、そんなのよりも何もない【無】なのかもしれない。
・・・・・それでも
例え、俺という存在が偽りだらけのモノだとしても
それでも・・・・・せめて、できるのならば・・・・・
・・・・・俺は・・・・・
-----------------------
「・・・・・し・・・う?士道?」
「んぁ・・・」
目が覚める。
真っ白になっている頭を覚醒させ、顔を上げる。
そこが自分の部屋だと理解し、机に座って寝落ちをしてしまったのだとわかるまでそう時間はかからなかった。
「あれ?俺寝落ちしちゃったのか・・・・」
「・・・もう。そんな体制で寝たら体に悪いですよ、士道」
「わ、悪いなリニス。はやては?」
「今日も図書館まで送って閉館までいるそうです」
体を起き上がらせ、椅子から立って背伸びするように体を仰け反らせる。
首を左右に振るとポキポキと骨が鳴る音がする。
俺がそうしているとリニスが机にあった本の数々を見て、溜息を吐きながら俺に言う。
「・・・また、調べてたんですか?」
「うん?ああっまあな」
「全く・・・せめて私に言って下さればいいのに。『魔法』の方は私の方がわかるのですから」
「た、確かに・・・・・」
机の左右に置いてある本の数々とその中心に置かれた鎖が巻いてある本。
以前藤ねえから受け取った本が置いてある。
「前にも言いましたが、それがデバイス・・・それも反応からして【ロストロギア】である以上、余り手荒な真似はしてはいけないんですから。もうちょっと慎重に」
「わかってるって。だから下手に魔術で解析もしてないし、昨日はどちらかと言うと勉強をしてただけだから」
そういって置かれた本とノートをリニスに見せながら俺が言うと、リニスは受け取って中身を確認する。
「そうですね。一応勉強もしっかりとしている事は解りました」
「だろ?」
俺はそう言って少しドヤ顔で言うとリニスからきつい言葉が返ってくる。
「しかし、どうしてこんなに知識を得て、更にそれ相応の魔力があるのに、士道は
「うぐっ・・・・・」
「それも士道の言う魔術と言う方は、使えるても【強化】の魔術だけだとか」
「うぐぐっ・・・・・」
「あっ、もう一つありましたね?確か【投影】という・・・・・ガラスの細工を作るやつでしたっけ?」
「グハっ・・・!」
最後の言葉のボディーブローを受けた俺は四つん這いになりながらかなり落ち込んだ。
確かにリニスの言う通り。俺には魔術どころかリニス達が使う魔法の才能がないらしい。だか、それにはどうやら理由があり、俺どころかリニスにもどうしようもできないらしい。
まず、俺には二つの異なる魔力があるらしい。
一つは魔術回路に魔力を流すことで使えることができる魔術用の魔力。もう一つはリニスの言う魔法で、こちらはリンカーコアという器官から生成される魔力らしい。
簡単に言えば、俺には魔術回路用の魔力とリンカーコア用の魔力があって、それらは互いに区切られて、不干渉な状態ではあるが、それと同時に使う時は魔術か魔法、どちらかしか使えず、両方同時には使えない。
それどころか魔法の方は、何故か使えない。魔術は一応使えるのだが、そっちも俺の技量が足りない為お世辞にも一流とは言えない。
「魔力量はAA以上あるのは確かなので、デバイスなしでも使えるはず・・・・・なのにどうして」
リニスの言う魔力量はリンカーコア用の魔力の事だ、本来A以上は結構多いとされているのだが、リニス曰く、俺には魔力の量が異常で、計測器がないと詳しい保有量がわからないらしい。
因みに魔術は魔術回路の本数と魔力量があるのだが、どれ位あるのかは俺にはわからない。凛が生きていた頃に少し聞いたが、「とりあえず魔術を使うだけの量はそれなりにある」としか言われていない。
「そのリニスの言うデバイスってのは作れないのか?」
「一応私自身は作る技術を持ち合わせていますが無理です。そもそも材料がありません」
「なら集めれば・・・・・って無理か」
「そもそも此処は魔法が存在しない管理外世界ですからね」
【リニスがいた世界】では此処、地球は管理外世界と呼ばれているらしく、逆にリニスのいた世界では魔法が日常のように使われ、こっちよりも技術がそれなりに進んでいるらしい。
らしいというのも全てリニスに聞いただけなので詳しくはわからない。
「魔術も親父のお墨付きで
「ほ、ほらでも私は余りわかりませんが【強化】は意外とスムーズにできるようになったんですよね?」
「基本中の基本ができなかったのがようやくできるようになっただけなんだがな・・・・・」
俺は溜息を漏らしながら立ち上がり机に散らばった本を整理する。
「あっ、そういえば士道。この後教会に行くのですよね?」
「ん?・・・ああ、すっかり忘れてた」
そういえば今日はあの外道神父に呼ばれていた事を思い出した。
今日は休日。学校が無く、普段ならのんびりしているはずなのだが昨日電話で呼び出しを受けた為、行かなくてはいけなくなってしまった。
己、あの麻婆神父。今度麻婆豆腐に砂糖をぶち込んだのを食わせてやる。
「私は今日は夜遅くまで出かけますので、申し訳ないのですがはやてと二人で食事をとっていただけますか?」
「別にいいけど・・・・・今日は何かあるのか?」
「今日、藤本さんと約束がありまして。その~・・・・・少し飲みに行かないかと誘われまして」
そう言ってリニスは少し言いずらそうに恥ずかしがりながらそう言って来たので、俺は拍子抜けしながら少し笑った。
「何だそんな事か。わかった、今日は楽しんできなよ」
「でも・・・いいんですか?私は使い魔でありながらそんな勝手な事をしてしまって・・・・・」
「いやいや、使い魔とかそういうのは無しで、リニスがしたいようにすればいいさ」
リニスは何故か申し訳ないような顔をしながらそういうが俺はそんな顔されると逆に困ってしまう。
リニスは何というか、こういう遠慮しなくてよい所で遠慮するというか、【使い魔】って概念にこだわりすぎというのか、はっきりと言えないが自分を縛りすぎなんだと思う。
「いつも世話になってるんだし、今日ぐらいは羽を伸ばせばいいんじゃないか?」
「そうですか?・・・なら、お言葉に甘えさせていただきます」
そう言ってお辞儀しながら言うリニスを見ながら思わず苦笑いしてしまう。
「頼むからその急に堅苦しくなるのやめてくれないか?」
「いえ、士道は私の主ですから。この位の敬意は当然です」
「でもな・・・・・俺はいつものリニスの方が好きなんだけどなぁ」
「すッ!?」
「まあ、いいや。とりあえず支度しないと・・・ってリニス?」
俺が教会に行く支度をする為に荷物の用意と着替えをするのにリニスを退室させようと声をかけようとする。
しかし、リニスの様子がおかしいので声をかけるが、反応が無く、固まったような感じになっている。
「り、リニス?どうした?」
「きゅきゅきゅ急に何を言うんですか!?女性にそう軽々しく好きとか言っていいもんじゃありません!!」
「え?俺なんか変なこと言ったか?」
「言いましたよ!何ですか急に、好きとか言って!!」
「いや、実際リニスは
「・・・・・え?家族?」
再度、リニスが固まる。しかし、今度はピシリと何かが凍るような感じの固まり方をしたのは気のせい・・・・・って!?
「ちょっ、り、リニスさん!?」
「あああああ、あなたって人は・・・・・!!」
リニスがプルプルと手を震えさせながら魔力を纏いながら怖い顔でこっちに近づいてくる。
しかもいつの間にかもう片方の手にはステッキのようなデバイスを持って雷を迸っている。
「フォトンランサー・・・・・ッ!」
「ちょっと待てリニス!下手したら死ぬぞそれ!?」
「大丈夫です。非殺傷設定にしています。だから一回頭を冷やしなさい・・・」
リニスはそのまま涙目になりながら俺に向かって杖を・・・・・振り下ろす。
「この、唐変木ゥ!!」
「なんでさあああああぁぁァァァァァ!!??」
-----------------------
「し、死ぬかと思った」
俺はそう言って家の玄関を出て重い体に鞭打って歩く。
あの後、気絶した俺は起き上がるとリニスはいなかった。
恐らく、そのまま藤ねえの所に行ったのだと思うのだが、何であんなに怒っていたのか俺にはわからなかった。
「そんなに俺、変な事を言ったのか?」
「何が変な事?」
「うおっ!?先輩!?」
「やっほ、士道君」
俺が首を傾げながら唸っていると後ろから突然声をかけられたので驚く。
振り返ると私服姿の彩先輩がいて、俺の言葉を聞いてか質問してきた。
俺は【魔法】、【魔術】関連の話は省いて話した。その時にリニスがおかしくなった辺りを説明すると彩先輩は呆れた顔で俺に言う。
「・・・・・ほんと馬鹿だね、士道君は」
「だから何でですか・・・・・俺は嘘を言ってないんだが」
「あのねぇ、嘘じゃなくても言っていい事と悪い事があるんだよ。特にリニスさんには」
俺はよくわからなかったので聞き流しながら歩き進む。
十字路の所で先輩は俺とは別方向になるので別れようとした辺りで、先輩が声をかけてくる。
「ねえ、そういえば今日の夜って士道君とはやてちゃんの二人だけ何だよね?ならさ、士道君の家で私も夕食を一緒に食べてもいいかな?」
「別にいいですけど、何でまた?」
「いやぁほら、前の届け物のボディーガードのお礼も兼ねて、ちょっと渡したい物があるんだよね。今は持ってないし、どうせならお邪魔しちゃおうかなあって・・・・・だめかな?」
そう言って先輩がお願いしてくるがいつもの事なので俺は了承しようとするがそれと同時に
彩先輩は普段から家に夕食を共にする事があるが、いつもならこんな風に聞いてこないで勝手にお邪魔しているからだ。
まあ、流石に家の主がいるから聞いているのかなと思ったので俺は余り気にしないで言う。
「そうですね・・・・・わかりました。なら、はやてと一緒に先輩の家に迎えに行く感じでいいですか?」
「うん!じゃあまたね」
そう言って彩先輩と別れた俺はそのまま教会の方に歩いて向かった。
道中で
何も変わらない日
いつもの日常
しかし、感じる違和感
少し違うナニカ
始まりは刻一刻と、徐々に近づいている。
「始まる。始まっちゃう・・・はやく渡さないと・・・・・士道君」
こんな感じでターニング回です。
このDAYは数話位書くと思います。
いい加減日常回は明後日にポーイしたいので・・・・・ね?
後、タイトルの????は仕様です。いずれ解ります。
次回まで待て、しかして希望せよ
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????DAY 教会の聖女、図書館の予兆
さて、今回でようやく新キャラと言う重要キャラ登場です!
始まりは誰しも好調な出だしじゃない。
時には何かを失ってから始まるものがある。
・・・・・まあ、まだそこまで到達してないんですが。
投稿、開始ィィィィィィィィ!
デュエルッ!!
※真名を消しました!ごめんなさい!!
此処、海鳴市の教会は街の端にある場所に建てられている。
街と繋ぐコンクリートの道以外は木々は植えられておりそれを教会の回りで囲んでいるような状態だ。更に、教会の裏には移住してきた外国人の為の墓地も授けており、此処に祈りを捧げる外国人が以外にもいたりする。
俺が教会のドアを開けると、まず目に映るのは4列に並ぶベンチ、そして前の祭壇前でお祈りをしているシスター服の一人の少女。
俺はその少女に向かって歩き、彼女がお祈りが終わって振り返った所で俺と目が合った。
ウェーブがかった金髪は腰下まであり、碧い瞳のシスター服の少女は俺に気づくなりこちらに声を掛けた。
「あれ、シドウ君?今日はどうしたのですか?」
「やあレティシア。言峰はいるか?」
「はい。ただ今は私室にいると思いますが・・・もしかして、彼に呼ばれて?」
「ああ、頼みごとがあるって言われて来たんだ」
「そうですか。でしたらもうじき来ると思いますのでここに座りませんか?」
俺がレティシアと呼んだシスターはそう言って近くにあるベンチに座り、俺にも俺にも座るよう手招きされるので俺は彼女の隣のベンチに腰掛ける。
「レティシアはさっきまで祈りをしてたのか?」
「ええ、主に祈りを捧げてました。シドウ君もどうですか?」
「俺はいいかな。今までも祈りなんてした事がないし」
「そうなのですか?よく教会に来ていたので一度くらいはしていたかと思いました」
レティシアは不思議そうに言う。
彼女は元々フランス出身らしく、海鳴市に来たのは数か月前の事で、時々俺が言峰に呼ばれては会っていたので今みたいに人がいない時間帯はベンチに座って会話をする時がある。
そんな彼女の言葉に頬を掻きながら俺は淡々と答える。
「俺が此処に来るのって、基本的に彼奴の用事以外では来ないから、そんな奴が祈ってもご利益は無いだろ?」
「そんな事はありません。主は誰であろうと平等であり、祈る者を見守ってくれます」
「ふ~ん・・・・・
俺はレティシアの言葉を聞き流すように聞きながら祭壇を見た。
俺とという存在が祈った所で彼女が呼ぶ主・・・・・神様が答えるとは到底思えない。寧ろ、俺みたいな
そう思っていると、不意にレティシアが何か思いついたように口を開く。
「・・・そうだ!シドウ君は、何か願い事や叶えたい事はないのですか?」
「・・・・・唐突だな」
「そういった事を祈るのでもいいんですよ。それに、シドウ君って余り自分の事を話さないので少し気になりましたので」
「そう言われてもなあ・・・」
俺は首を傾げながら何かあるかを探る。
無いわけではないと思う。その気になればお金だとか、平穏とか、何ならこの髪と目を直して欲しいというのも一つの手だな。
けれど、そこまでしたい願い事かと言われると何とも言えない。
俺の叶いたい事・願い・夢・将来・・・・・・そんなモノを望んでいいのか?
失って、奪われて、間違って・・・偽りだらけの俺の、俺の中には・・・・・一体何が残っているんだ?
「・・・・・シドウ君。大丈夫ですか?」
「ッ、っえ?何?」
「いえ・・・ただ、とても悲しい目をしていたので心配になりました」
「そうか・・・・・いや、なんでもない。なんでも・・・ないんだ」
少し、いやかなりと言ってもいい位に吐き気を感じた俺は首を横に振って立ち上がる。
此処にいるのが辛い・・・とは違う。単純に今、俺は別の事を考えたい。そうしたいと思った。
「悪いな、心配をかけて。もう大丈夫だ」
「そうですか・・・・・少し、神父様を探して来まs「おお、来たか。遠衛士道」・・・あっ、神父様」
彼女が俺に気を使ってか立ち上がって綺礼を探そうと動く前に何処からともなく突然、綺礼が現れた。
「すまないな。生憎、溜まっていた書類を片付けていたもので少々時間が掛かってしまった」
「別にいいよ。それより、俺に頼み事ってなんだ?」
「何、つい先日まで動いていた私室のエアコンが壊れてしまってな。お前に見てもらおうと思ったのだ」
「・・・・・はぁ?」
呆れた内容に思わず呆けた声を出しながら俺は肩を落とした。
「あのなあ・・・そんなの業者に頼めよな普通」
「すまないな。もしかしたら仮病だと思い、お前を呼んだのだ。
「・・・・・修理代、請求するからな」
「ならば、こちらは学費と生活費を与えないだけだが?」
「・・・・・はぁ、とりあえず見るから案内してくれ」
「フッ、よかろう。・・・・・ああ、シスター・レティシア。君はそのまま此処にいてくれ。対応は任せたぞ」
そう言って綺礼は俺を私室へと案内してもらった。
・・・・・案の定と言うべきか、仮病のエアコンを見て溜息を吐いては直すとも言えないような作業程度で終わった。
-----------------------
「いや、すまないな遠衛士道。おかげで今年の夏も何とか問題なく過ごせる」
「はいはい。・・・ったく、結局何ともなかっただけだし。俺が此処に来る必要なんてなかっただろ」
そう言って俺は教会に出る為に先程レティシアといた場所に向かう。
俺たちが戻ってきた事に気づいたのか、レティシアがこちらに来た。
「お疲れ様ですシドウ君。どうでしたか?」
「どうしたも何も、問題なし。正直俺が来る意味なんてなかったよ」
「・・・シドウ君はそんなにこの教会が嫌いなんですか?」
そう言って落ち込みながら言うレティシアを見て、俺は頬を掻いて苦笑いしながら答える。
「別に嫌いって訳じゃない。単純に言峰に呼ばれてくるのが嫌なだけだ」
「本人を目の前で言うとはな」
外野がうるさいがそんな事を気にせずにそのままレティシアに続けて言う。
「それにレティシアと話すのは楽しいし、レティシアに会う以外しか此処に来る理由がないだけだよ」
「えっ!?」
「まっ、レティシアみたいな可愛い女の子と一緒に入られるんだから、寧ろ(この教会は)好きかな?」
俺が思ったことをそのままに言うと、レティシアの様子がおかしくなった。
何というか・・・・・急に少し顔が怒ったような、それでいて顔が赤くなりながら俺に向かって口を開く。
「かわッ!?~~~ッもう!冗談でもそういう事をホイホイ言ってはいけません!!」
「・・・・・え?別に冗談じゃないぞ?」
「~~~~~~~ッッッ!!??」
「・・・教会で聖女を口説くとは、流石と言うべきか」
そういうとまた顔が一層赤くなる。
大丈夫なのだろうか心配になる位に顔が赤くなっているレティシアは口をパクパクしている。
それと後ろから綺礼が小さい声で何か言っていたがよく聞こえなかった。教会でうんたらかんたらって言ってたが、多分俺の事じゃないだろう。
「もう!もう!!いくら私でも怒る時は怒りますよ!・・・大体、シドウ君はあの時といい・・・今日といい・・・・・ッ」
「・・・・・レティシア?」
最初、説教まがいに俺に文句を言っていたレティシアが途中でピタリと止まった。
さっきまで顔を真っ赤にしながら怒っていた彼女がいきなり顔つきを変えて、険しい顔になった為、流石に心配して声をかける。
「・・・・・シドウ君」
「な、なに?」
「つかぬ事を伺いますがこの後用事は?」
・・・・・?
突然レティシアにそう言われ、この後の用事をお思い出して答える。
「この後、やる事と言ったら図書館に言って妹を迎えに行く位だぞ?」
「・・・・・そうですか。なら、今回はこの辺で、そろそろ向かった方がいいですね」
「え?おい、突然どうしたんだよ?」
「いいですから!早く彼女を迎えに行ってあげてください!」
「ッ!わ、わかったって、おい押さないでくれ!」
俺はそう言われながら急にレティシアに背中を押されて教会を出た。
「ほら走ってください!急いで!!それと今日は寄り道せずに早く自分の家に帰ってください!いいですね!!?」
「ちょっ!?なんでさーーーーーー!!??」
俺はそのままレティシアの命令によって教会から図書館まで走らされる事になった。
それにしても何で急にあんなに焦った顔をしていたのだろう?
-----------------------
「少しばかり無理やりすぎではないか」
「すみません。ですが、場合によっては取り返しのつかない事になっているかもしれないので」
「ふむ・・・・・もしや
「・・・・・はい」
「そうか、という事は等々始まるのだな」
「そうですね。私も動かなくてはいけなくなりました」
「そうか。ならば私も、私の
「はい。・・・・・準備ができ次第。彼の家に向かいます」
「了解した。しっかりと自身の役割を成し遂げるといい・・・・・・」
「シスター・レティシア・・・・・・いや、
「はい・・・・・
「サーヴァント、ルーラー!
-----------------------
「う~ん・・・・・届かんなー」
海鳴市にある図書館、風芽丘図書館
その図書館のジャンルコーナーの一つに車椅子に座りながら本棚から本を取ろうとする少女、八神はやては少し、自身の今の高さでは高い場所に手を伸ばしていた。
「う~ん!う~~~ん!あと少し・・・・・わっ!?」
流石に前のめりになりすぎて片手を滑らせ体制を崩した。
はやてはそのまま顔から床に落ちそうになるが、誰かに支えられているかのような感触がし、衝撃などが一切来ない。
「・・・あ、あれ?・・・・・あっお兄ちゃn、イタッ!?」
「お前は、・・・はぁ・・・はぁ・・・何、やっているんだ・・・・・」
はやてがお兄ちゃんと呼ぼうとした俺事、遠衛士道が間に合った事で間一髪転ばずに済んだが、軽くデコピンしながら俺は息切れしながら呆れた声で言う。
「全く・・・はぁ・・・次から、はぁ・・・管理人さんに、頼めって・・・・・ぜぇ・・・ぜぇ・・・」
「・・・どうしたん?なんかすごく疲れてへん?」
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・、レティシアに、走らされたんだよ・・・教会から・・・ここまで・・・」
「だ、大丈夫お兄ちゃん?ちょっと休める場所にいかないとな」
そう言って元の体制に戻ったはやてはこっちこっちと手招いて付いて行き、椅子のある場所に行く。
「しかし、なんでそんな事になったん?・・・・・お兄ちゃん、また変なことしたんじゃない?」
「な、何もしてないよ」
「ほんまに?お兄ちゃんって時々、かなり朴念仁な事言うからな~」
「なんでさ・・・・・」
疲れ切った俺は、机に突っ伏した状態になっている。
結局、教会まで走って来た訳だが、特にはやてに何か問題があったわけじゃないし、良かったと思った。
それにしてもレティシアの行動に違和感を感じた俺はそっちに思考を回す。
突然訪ねられては、急に急がされた。それもかなり焦ったような感じに・・・・・
それも用事を確認する位なんだから、【ナニカ】が起きる事はわかっていたみたいだった。
「はぁ・・・・・結局何だったんだ?レティシアは?」
「しょうがないな~お兄ちゃんは。どうせ何かやらかしたんやから、今度一緒に謝りに行こうか?」
「いやだからなんでさ・・・・・」
そうはやてと会話をしている限りでは、時に何も起きらなかった。
とりあえずそのまま休憩し終えた俺は、はやての車椅子を押して、そのまま図書館を後にする。
その時は、まだ俺は何処か違和感を覚えていたのかもしれない。
でも気付けなかった・・・・・
そのせいでまた・・・・・俺は・・・・・
失う事になるとは思わなかった・・・・・始まるとは思わなかった・・・・・
今日と言う日が俺にとって・・・・・
・・・・・・??の日になるとは。
「あれっお兄ちゃん!?左手から血が出てるで!?」
「えっ?あ、ホントだ・・・・・走った時にどっかにぶつけたかな?」
「見つけたよ、はやてちゃん・・・・・けどアイツ・・・・・・・・邪魔だな」
こんな感じです!
最初の聖女と最後の不穏。
これからが本番だァァァァァ!!
・・・・・すみませんもう二話位使わないとガチ戦闘は無いと思います。
早く、????を外したい!!
次回まで待て、しかして希望せよ
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????DAY いつもからはじまりに
始まる大学
迫る就活
そして・・・時間の無い日々!
閑話休題(そんなことはどうでもいい!)
どうも、また投稿ペースを徐々に上げれればいいかと思う作者です。
とりあえず一言。
ポケカ全然売ってなくね?
という事で、どうぞ!(支離滅裂)
時間の流れというのは、いつだって早かったり、長かったりの連続だ。
楽しい時間はあっという間と言うし、辛い時間は長く感じるものである。そう考えると今日は全体的に早い一日であったと俺は思った。
時刻は夕方
日が西に沈みかけ、そろそろ街灯がともるのではないかという位の時間に差し当たっている中、俺は妹のはやての車いすを押しながら今日一日の自分の行動を暇を持て余すかのように振り返る。
朝のリニスとの会話、午前中のレティシアと外道s…言峰との教会の出来事、その後図書館ではやてと合流。
午前中だけで色々と周っていた俺は、午後も休む暇もなくはやてと共に行動していた。
「今日は疲れた…」
「大丈夫お兄ちゃん?」
俺の呟いた言葉にはやては訪ねてきたが、軽く「大丈夫だ」とは言ってはいるもの、体の重みにはどうにも逆らえない位に疲れている。
といっても別に大きな出来事が起きたわけではない。図書館を出た後、腹が空いた為に昼食として翠屋へ行った事、そこで恭也、もとい高町家に結構サービスしてもらい、はやてと同い年位の【恭也の妹】がはやてに話しかけられ、仲良くなっていたり(因みに士道は未だにジーっと見られるだけだった)、ショッピングセンターに行ったり、スーパーに行ったり、公園に立ち寄ったりと、ずっとはやての車いすを押しながら歩いていた為に疲れていた。
「そういえば今日、翠屋で会った連中とはどうだった?結構仲良く話していたけど」
「うん
「・・・・・おぉ」
「ちょっ、な、なんでそんな驚いた顔するん?」
「いやまぁ、ようやくはやてにも友達ができたんだと思うとちょっと嬉しくて」
「・・・・・ちょい待ち、今の言葉、じっくりお話しするか?私がボッチ言いたいん?」
――迂闊な発言であった。
あっと口を言いながら口を塞ごうにも、誤魔化しきれない事を言ってしまった。
しかし、それでも何とか機嫌を損ねないようにと言葉を選びながらはやてに言う。
「えっ、あっ、いや違くてだな。えっとー…うん。純粋に新しい友達ができた事に、兄として喜んでいるだけであってだな」
「一人もおらんかったからか?そう言いたいんやな?」
「・・・・・」
笑った顔で、しかし目は一切笑っていない顔で、はやては士道に向けて言う。
それに対してできることは、唯々顔を逸らすことだけだった。
・・・だが。
「お・に・い・ちゃ・ん?」
「・・・うわぁ~い。はやてに
はやてに威圧に士道は棒読みで言いながら、唯々この後来るであろう苦痛に備えようとした。
しかし、それは遅く。先程の発言に対して堪忍袋のをが切れたのか、はやては不意打ちに車いすに乗った状態で動ける上半身の体を使って、上下に反動をつける。
そして――
「セイヤッ!」
「ぐふぉッ!?」
――反動によって少し浮いた分と俺が車いすのを押してた為、距離が近かったこともあり、ちょうど顎にはやての拳が突き刺さる。
そのまま仰向けに倒れる。
「このアホ!バカ!士道!」
「し、士道は悪口じゃないだろ・・・」
「大体!学校でもボッチなお兄ちゃんに言われたくないわ!」
「なん、でさ・・・・・がくっ」
唯々はやての怒った声だけが響き、申し訳ないと思いながらも、俺は関係ないだろ・・・と内心でツッコミを入れながら暗転する。
-----------------------
遠衛邸の入り口前
ようやく家の前に付いた士道とはやては、家の入り口前にいる人物に声をかける。
「先輩・・・お待たせしました・・・・・」
「もう!士道君遅い・・・・・どうしたの?それ・・・」
「あぁ~・・・ノーコメントで」
「ふんっ」
家の前で待ちぼうけしている、私服姿の彩先輩は俺の赤くなった顎を見て訪ねるが、それに対して唯、バツの悪い顔をする事しか。
俺に押されているはやても不機嫌な顔をしながら腕を組んで、まるで不機嫌なお嬢様と従者の図だった。
「あぁ、なるほど。また士道君が何かやらかしたんだね?」
「だから何で俺が悪い前提で・・・いやまあ、今回は俺が悪いんですが・・・」
「ほら~」
ぐっ・・・この人は・・・
悔しい顔をするが彩先輩に言われた言葉に思わず黙ってしまう。
はやても未だに頬を膨らませながら怒ってますアピールをする。
「と、とりあえず先輩。上がってください」
「はいはい。後で何をやらかしたか聞くね。じゃ、お邪魔しまーす」
「うぐっ・・・なんでさ・・・・・ん?というか先輩、何で勝手に入ってないんですか?いつもなら合鍵使ってますよね?」
「・・・・・あ」
この先輩は・・・
内心で呆れながらため息を吐く。
彩先輩もあはは~・・・と苦笑いしながら頭を掻く動きをする。
「はぁ~・・・まあいいか。それとはやて。そろそろ機嫌を直してくれないか?」
「・・・別に怒っとらんもん」
「い、いや怒って「怒っとらん!」えぇ~・・・」
はやては怒っていと言っているが、どう見ても怒ってる顔をしている。
このまま機嫌が悪い状態なのは流石に避けたい。
「じゃ、じゃああれだ。お詫びとして今度したい事をなんでもするぞ」
「・・・・・なんでも言うたな?」
ゾワッ
突如、俺の言葉に顔つきが変わったはやてに冷や汗を浮かびながら、引きたくても引けなさそうな感じになってしまい、思わず頷く。
「ええんやな?なんでも。なんでもかぁ・・・・・・ふふっ」
「あ、あのはやてさん?確かに言ったけど無理難題は流石にやめて欲しいんだが・・・」
「ふふふっ、むふふふふふっ・・・・・・」
ーー考えるのをやめよう
自分の中でそう告げられた為、俺は考えるのをやめた。
そんなやらかした事に不安を思いながら、自分の家のドアを開けた。
そこから家に入った俺達は、俺が料理の準備、はやては異様に機嫌を直し、上機嫌な状態で俺の料理の手伝いをしてもらい、彩先輩にはテーブルを拭いたり皿を並べたりする。
「はい、お兄ちゃん。こっちの方はできたで」
「こっちもだ。先輩、これを机に置いてください」
「はいはーい!それにしても士道君もはやてちゃんも料理が上手いよね。うらやましいな~」
「先輩は慌てたり、怖がったりしなければもう少し上手くなれると思うんですが・・・」
「わ、私はもう食べる専門になったから」
それでいいのか先輩・・・
彩先輩は下を出しながらてへっと笑う。
そんな雑談をしながら、俺達の料理は無事に完成した。
内容はシンプルで、ご飯やみそ汁の他に、マカロニサラダと肉じゃがなどと多彩な料理が並べられた。
「わあっ、おいしそう!」
「もうお腹ペコペコや。お兄ちゃん」
「わかってるよ。それじゃあ・・・」
「「「いただきます」」」
こうして三人で並べられた料理を食べた。
リニスや藤ねえは今頃二人で楽しんでるだろう。
夜遅くまで楽しんでるから、はやてと一緒に先に寝て、また明日には彩先輩が朝に来て、学校で勉強。
昼は屋上で飯、放課後はそのまま家に帰るか、また図書館で本を読んでるだろうはやてと待ち合わせをするか、それとも以前一人でなんども行った翠屋に行ってみるか・・・・・もしかしたらいつもと少し違うことが起きるかもしれない。
そう俺は思った、いや・・・
思っていた・・・・・
-----------------------
「はぁ・・・多く作りすぎたな・・・」
そう呟きながら、俺はいつもの如く、縁側の所で夜空を見ながら寛ぐ。
今ははやてと彩先輩が風呂に入っている。
いつもならリニスとだったのだが、今回はリニスが出掛けている為、彩先輩が代わりにはやてと入っていた。
「てかいつの間に着替えとかも持ってたのかよ・・・いや、正直助かるんですが・・・」
流石にリニスが返ってくるまで待つのははやてが可哀そうで、かといって俺が一緒はまずない。
そういった意味でも、士道は安堵の息を吐きながら夜空をみる。
透き通った濡れ羽色の空、輝く星々はそれぞれが主張するように暗い世界を上から照らす。
だがそれらは、地面にまでは届かず、ふと視線を前に戻せは至る所が闇のように暗い。
「あれから、随分と経ったよな・・・」
そう思いながら今までを思い出すかのように俺は呟く。
地獄から始まり、救済され、拒絶され、家族ができ、失い、尚も拒絶はあったがそれでも親しくする者達も知った。
全てが不幸でも、幸福というわけではなかったが、今はとても幸せな方だと感じた。
そう思いながら眺めていくに連れて、この縁側で起きた凛との会話を思い出す。あの時凛の言った言葉は深く残ってる。
「正義の味方・・・か・・・」
親父である凛が目指していた者、善を救い、全てを救う存在。
英雄と言うべきか、ヒーローと言うべきか、それとは違うナニカなのか。結局凛が最終的に辿り着きたかった正義の味方を、俺は継ぐことも、目指すこともできないと感じた。
ーー他人を救う力も無く、失ってばかりの者に・・・
「・・・やっぱ俺には無理だな」
「何が無理なの?」
「うわっ!?」
急に背後からかけられた声に驚きながら俺は振り返る。
そこには今日家の前にいた時の私服とは別で、白いワンピース状の恰好をしていた。
現在は夜というのもあって、まだ寒いのにも関わらず、そのような姿になっている事に驚き半分、呆れ半分で口を開く。
「彩先輩・・・どうしたんですかその恰好。てか寒くないですか?」
「大丈夫だよ。それよりさ・・・」
よいしょっと、と彩先輩は言いながら俺の隣に座る。
その肌寒そうな姿に心配するも、風呂上りというのもあってか火照りのある肌が夜でもそれがわかるくらいに綺麗だった。
「?どうしたの、こっち見て?」
「え、いや・・・別に、ただ寒そうだなって・・・」
「あっ、もしかして見惚れた?」
「なっ、ち、違う!別に見惚れてなんか・・・」
「へ~、ほ~、ふ~ん」
「な、なんですか先輩。大体、今更先輩の綺麗な肌見て見惚れるわ、け・・・あっ・・・・・」
「へ~士道君はそんなこと思ってたんだね。意外とむっつり?」
「なんでさ!?」
にやにやしながら彩先輩は俺を意地悪な笑みを向ける。
こうして揶揄われ、逆にこっちが揶揄ったり、いじったりいじられたりの仲である俺と先輩の会話はいつものような感じで話す。
凛がいなくなってからは、彼女がいつも来ていた為、それが普通だと思っている。
「って!今日は何か渡すとか言ってませんでしたっけ?お礼だとかなんとか・・・」
「あっ話さそらした!む~・・・まぁいっか」
そう言って彩先輩は手をついて立ち上がる。
いつもの夜は星の光が届かず、しかし月の光によって彩先輩が照らされている。
今の彼女の服装も相まってとても似合っている。
とてもそれが普通で・・・
だが、明らかにいつもと違う・・・
多分それは彼女が漂わせる雰囲気と素足で庭の方に歩む姿が、彩先輩が俺に対してナニカを伝えようとしている。
そう思ってしまった
「ちょっ先輩裸足ですよ!?」
「いーのいーの。それに・・・・・
あんまり
「・・・え?」
少し歩いた彼女は、最後の方は小さく呟いて言った為、聞き取ることができなかった。
そのまま彼女は玄関がある方に続く道に歩いて行った為、呼びながらも追いかけようと、縁側に置いていた自分の靴を履きと、彩先輩ようにとサンダルを持ちながら追う。
「ちょっと先輩!何なんですか突然・・・」
俺はただ後ろを追う。
いや、追う事しかできない俺は段々悟ろうと思考が廻る。
――ナニカ違う――
わからない
しかし、普段の日常・・・普段の光景・・・普段の彩先輩と違うと本能が訴える。
「先輩!」
俺は声を荒げて叫ぶ。
わからない・・・わからない、わからない、わからない
いつもとかわらないはずだった。
今も変わっていない。朝も昼も夜も、別段と変わったことはない。
はやても、リニスも、藤ねえも、レティシアも、恭也さんなどの翠屋の人達も。
そして今現在も・・・・・しかし違う。一人だけ。
「・・・士道君」
急に立ち止まっては声をかけてくる彩先輩は、こちらに振り返ってはその柔らかな微笑みと悲しい瞳という矛盾した表情をしながら、右手にもつ
「本当なら渡したくなかった・・・渡さなくてもよくなってほしかったよ・・・・・」
「何を言って・・・」
「もしかして気づいてない?なら自分の左手を見て。そして私の言葉をしっかり聞いてて」
憂い微笑みのまま、いつもと同じように、だがいつもとは違うように語りかけるように俺にそう告げた。
彩先輩に言われたように左手を恐る恐る確認する。
「な、なんだこれ・・・」
左手の甲の部分
そこに赤く、異様形をした刺青のような模様がそこにはあった。
全く身に覚えも無く。それでいてこの赤い模様から感じるナニカに寒気すら感じ始めている。
そんな中、
「さてと、その【令呪】を含めて色々と質問したい事とかあると思うんけどごめんね?そんな事してたら死んじゃうかもしれないからね・・・」
「・・・は?死ぬ?さ、さっきから本当に何言って・・・」
「そうだよね。急にこんな事言ったらビックリだよね。わかってる・・・でも、もう時間がないの」
そう言って彩先輩は瞳に涙を浮かばせながら、俺に向けて右手に持っている物を・・・カードのようなものを向けながら。
――――ただ、一言だけ、その言葉で。
「・・・転生戦争が始まったんだよ。士道君」
――――俺の平和だった日常が失った。
それが俺の運命の始まり。
この日の夜を、この日の一日を、この日最後の何気ない日常を・・・・・そして新たに始まる日を――
――
どうでしたか?
因みに今回、雪下の誓いを見ながら、片手間に書いてました。
・・・ちょっとだけ、雪下要素が書けたらと・・・
これからどのような展開になるのか
どのように物語が進むのか・・・わたしにもわからん_(┐「ε:)_
まあ、あんまり深く考えずに、温かく見ていただけるとありがたいです。
次回まで待て、しかして希望せよ
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FATE DAY 掴んで、掴めなくて
今回は・・・・ほぼ、雪下の誓い要素全開だと思います。
あとかなり独特なキャラが登場します・・・・・書いてて面白かった(☝ ˘ω˘)☝
それでは・・・・・どぅぞ・・・・・(寝不足
「転生・・・戦争・・・?」
目の前にいる彩先輩から言われた言葉に思わずたどたどしく復唱してしまう。
静寂の夜に告げられた聞きなれない言葉は、何処か自分を、遠衛士道として転生した理由だと言われた感覚がしてしまう。
「何を、言って。・・・彩先輩は、一体・・・」
そこで言葉を詰まる。
目の前にいる人物が本当に俺の知る彩先輩、荒野 彩なのだろうか。
――いや、違う。そうじゃない。
今、目の前にいる人物はちゃんと俺の知る荒野 彩・・・彩先輩なのだ。
ただ違うのは、今まで見た事がなかった
「転生戦争。士道君みたいに転生した人達が【特典とサーヴァント】を使って殺しあう・・・
私はね士道君。君を踏み台にしようとした神とは別の神様に、君の事を守る為に・・・この【クラスカード】を渡す為に生まれた【人形】なんだ・・・。これを君に渡したら、私はもう用済みになり、この世界から消える。そういう仕組みなの」
「・・・・・・」
俺は、なんて声をかければよいのか、全然わからなかった。
――騙してたのか?何故今なんだ?俺に何を要求するんだ?そのクラスカードってのは何だ?人形ってどういう事なんだ?消えるってのはどういうことだ?
何で?何故?どうして?
色んな言葉が並び、叫びたくなる位に言いそうになった。言おうとして・・・けど言えない。
何せ目の前で言ってきた彼女の目を・・・涙を見るだけで、声にして言うはずの言葉が、全て拒んだ。
「・・・何か残念だな。もっと取り乱すかなって思ったんだけどね?」
「取り乱してますよ。ただ・・・なんだろうな・・・・・俺にはどうしようもできないと思ったから」
今までのを言われたからといって、俺に何かできるわけがない。
それは一番俺自身がわかっている。
「あぁ・・・また失うんだな。俺は・・・」
「ふふっ、うれしいなぁ・・・。人形の私を、失ったって思ってくれるんだね」
「思うさ・・・・・でも、なんだろうな。多分、俺は失いすぎて、失う事に慣れたかもしれないな。今はもう・・・思うことしかできない」
俺はそのまま近づいて、裸足のままの彩先輩に靴を渡そうとするが、彼女はそれを拒またように顔を左右に振る。
「私ね、本当はもっと君といたかったの。学校に行って、生徒会をして、一緒に帰って、そしてまた明日って・・・・・それが・・・それだけの事が、私にとって宝石だったの。でも・・・・・それももう終わりなの」
「先輩・・・」
悲しげに言う。
最後のように、別れのように言う彼女を、俺はただ聞くことしかできない。
「転生戦争が始まれば、士道君も・・・はやてちゃんも絶対に巻き込まれてしまう。
特にはやてちゃんは・・・・・って、言えないんだった」
「はやてが、はやてに何かあるのか!?」
「大丈夫。士道君ならすぐに解るよ。・・・だから」
彩先輩は俺に向けてクラスカードと言ったカードを俺に渡すように見せる。そのカードには弓を番えている兵士の絵が描かれている。
「これは本来、士道君が踏み台として与えられた特典を、カード変換して書き換えたの。これは恐らく、この転生戦争おいて最強のカードになる・・・」
「でも、それを受け取ったら・・・先輩は・・・!」
「・・・わかってるよ。その覚悟もちゃんとできてる」
「・・・でもね」っと繋いで、彩先輩は続けて言う。
「もし、私の願いを聞いてくれるなら・・・逃げてほしい。転生戦争のこともはやてちゃんやリニスさんの事も全部忘れて、どこか遠くへ・・・・・・もし、士道君がそれを選ぶのなら、私も
「だから・・・・・・」と言いながら堪えきれない涙を流し続け、嗚咽混じりに顔を俯いたまま、俺に身を寄せて来る。
俺はそれに対して・・・何もしてやれない。彩先輩の願いに答えることもできない。
だって俺には・・・・・あの日親父と約束した日の言葉が、俺には残っている。
「彩先輩、すみません。俺は・・・」
ーーはやても、リニスも大事な家族で、彩先輩も、大事なんだ。
それが、俺にとっての答え、大事なものは例え俺自身を投げ捨てでも守りたい。
それが俺、遠衛 士道が望むもの、そしてそれをしっかりと伝えればきっと・・・
――またいつもの日常を!
そう思い叫ぶ、叫ぼうとした・・・・・・だが。
ザクッ
それは一瞬で、突然の出来事。
まるで何かが刺さる音、いや実際に目の前にいる彩先輩の右肩辺りにナニカが刺さっている。
突然の事に、頭が真っ白になる。
「え?」
呆けた声が聞こえる。
彩先輩も何が起きたか理解出来ていない。
「先輩!?」
ーー誰が先輩を?何が起きている?
「軽いなぁ~」
「ッ、誰だ!?」
それは突然に聞こえた声。
ねっとりとした気持ち悪い、不穏な声と共に暗闇から突然一人の人影が現れる。
「流石人形ってとこか?中身が無い分軽いなぁ・・・」
その人影は高校生位に見える。しかし少し痩せ気味で、全体的に黒い服装と先程の粘りのある声と合わさって、不気味さを漂わせている。
――いや、違う。
漂わせているのではなく、実際に不気味で、危険なナニカを漂っている。
その証拠に今も尚クルクルと手元で弄っているナイフが証拠だ。
「いよぉ~う♪お前さ、俺と同じ転生者だろ?しかもあれだ、見た感じ踏み台っぽいから、お前が神とか名乗ってたおっさんが用意した踏み台だろ?ならさぁ・・・
そんな踏み台はオリ主の僕が
「貴方は・・・ッ!」
「お前・・・「うっ・・・」ッ、先輩!?」
俺は咄嗟の状況に目の前の男を睨んだが、彩先輩の呻く声に反応して今にも崩れそうな彼女の体を支えながら声をかける。
「わ、私は大丈夫・・・それよりも士道君はッ・・・!?」
恐らく、逃げてっと言おうとしたであろう彩先輩の口は突如止まった。
俺の方を向いて何かを言おうと、口を動かそうとしているが声に出ず、彩先輩が目を見開いて固まる。
その反応にわからなかった俺は、
「お兄ちゃん?」
後ろから聞こえたのは、俺をお兄ちゃんと言う人物の声。
それは一人しかいなく、そして今・・・
一番いてほしくなかった人物。
「はやてっ・・・」
「そんな・・・なんではやてちゃんが此処に・・・・・」
「どうしたん二人共?こんな夜遅いのに外なんて出て?なんかあ・・・たん・・・・・」
長年愛用しているからでここまで来れたであろう車いすを、いつものように使って玄関まで来たはやては、彩先輩の肩から流れる血と見知らぬナイフを持った男を視認した。
「えっ、な、何?何が起きてるん?彩さんは・・・何で血が・・・っ」
――まずい・・・まずい、まずい、まずい!
不自由な体のはやてに急な動きなどできない。
更に言えばこんな光景を見て、パニックを起こしているであろう。彼女の表情から恐怖が滲み出るほど伝わる。
そうわかっている、だが俺はそれでもはやてに叫ぶ。
「はやて逃げろ!家の中に隠れるんだ、早く!!」
俺は叫んだ、しかしはやては動かない。
当然だ。何せはやては今、震えが止まらない位に怯えているのだ。
その光景に、その不穏に・・・・・その
「み~つ~けた♪」
そう男は言った。
ニタリッと粘着いた笑み、先程からはやてが怯えている正体。
この男の視線が、発した声が、あきらかにはやてに向けられていた。
「ようやく出てきたねはやてちゃ~ん。待ってたよ待ってました待ちわびましたヨォォォ!!この時をさあァ~!!」
「何なんだよお前!?何ではやてを知ってる!?」
「はぁ?そんなもん決まって・・・・・待てよ?お前あれか?原作知識持ってないな~?だから勝手に俺のはやてちゃんを奪ったんだな~?なァ!!?」
急に怒気のある声に変り、手に持つナイフを投げてきた。
「ッ!?
いきなり投げてきた事によって対応が遅れた俺は、回避する事ができないと悟り、俺は手に持ってた靴を強化してナイフ目掛けて投げた。
勢いのあるナイフと靴。本来なら靴に刺さったまま、俺の心臓に刺さるであろうそれは、カンッと甲高い音を鳴らしながら軌道が逸れて、服を掠めた。
「くっ!」
「士道君!!」
「っ、お兄ちゃん!?」
――危なかった・・・
突然の攻撃に俺は驚きと苦悶の声を出す。
しかし、男は俺を見て、更に怒りの形相を露わにする。
「・・・はぁ?何だよそれ。おかしいだろぉ?テメェ踏み台だろ?踏み台は大人しく地べたに転がればいいのによぉぉぉ・・・・・どうして防ぐんだよおおオオオォォォォォ!!??」
――・・・狂っている
目の前の男の行動に、彩やはやてだけでなく、士道すらも動揺してしまう。
「どうして!どうして・・・ドウシテ、ドウシテ!ドウシテサァァァ!踏み台如きのお前がさァ!オリ主である僕の攻撃を防ぐんだよォォォォォ!!??」
そう叫ぶ男は、懐からナニカを取り出す。
それは彩先輩が持っているのと同じカード。違いがあるとするならば、カードに描かれているのは、骸骨のマスクを付けた暗殺者を思わせる人物が描かれていた。
「あのカードはッ!?」
「
そう男が叫んだのと同時カードを地面に置きつける。すると男の周辺を囲むように細い触手が現れる。
それらが止むにつれ現れたのは、不気味を身に纏っているかの如く、そんな姿で男が現れた。
「あははは、アハハハハハハ!アーハハハハハハハハ!!」
右腕はうねうねと縦横無尽に蠢く触手。顔には頭蓋骨の下顎部分のようなマスク。脚には包帯が巻かれ、腰に黒い布を着けているだけで、上半身はかなり痩せ細った悍ましさのある体を晒すように裸の状態である。
――逃げろ
目の前で起きた変身した男の姿を見た士道は全身に電流が走ったかのような刺激と共に脳内で逃げろという言葉が浮かぶ。
気づいていたら俺は、彩先輩の手を引いて家の中に向かって駆け出した。
「こっちだ先輩!はやて、しっかり捕まれ!」
「うぇっ!?お兄ちゃん!?」
家に入る前に車いすで呆然としているはやての膝裏と背中に手を回して持ち上げる。
そのまま家の中に逃げ込み、家の中を走り続けていると、家の電気が一つ、また一つと消えていった。
「な、なあ!何やこれ!?何が起こっとるん、お兄ちゃん!?」
「俺にもわかんない。クソっ!リニスにも念話に反応しないし、何なんだよアイツは!?」
どうやら男が電球を割っているようで、パリンッパリンッと割られる音が鳴り響く。
俺と彩先輩はそれでも後ろを振り返らずに家の中を走る。
更に、それと同時にリニスに対して念話をしているのだが先程から全く返事が帰ってこない。
通常、念話は離れた所でも繋がる筈なのだが、恐らくあの男が何らかの干渉をして、念話を妨害しているのだろうと俺は考えた。
「士道君気を付けて!あの英霊は・・・っ・・・」
「っ!先輩、傷口がっ・・・」
っと思考と走るのに必死になっていた俺は廊下辺りで止まってしまった。彩先輩の苦しそうにする声に反応して振り返りながら彼女の肩から流れる血を確認する。
激しく動いたせいで出血はまだ続いている。
「私は大丈夫だから・・・それよりも・・・」
ズルッ
「ヒっヒっ♪」
――ッ!?
俺は彩先輩が何かを言う前に動いた。
抱えていたはやてを咄嗟に彩先輩に渡す。その突然の行為に彩先輩は驚きながらも対応してくれた
・・・それが終えると同時に強い衝撃と浮遊感に襲われた。
「グアッ!?」
「士道君!?」
「お、お兄ちゃん!?」
俺は、突然現れた男から彩先輩を守った事で蹴り飛ばされた。
廊下の窓を割りながらも飛ばされた俺は、そのまま地面にダイブするように土煙を出しながら転がる。
それに対してはやてを抱えた彩先輩が俺の方に駆け寄ってくる。
そして、その後ろには・・・・・
「こっちはさ、遅れた分を取り返さなきゃいけないんだよねぇ・・・何せ、転生したのに前と同じ体何だぜ?普通オリ主なら原作キャラと同じ位の年齢にするべきなのにさ、あの自称神のおっさんがよぉ・・・・・」
そう言いながら現れた男は、俺の方に歩みながら続けて言う。
「でもさ、あのおっさんがさ、踏み台の役目を
高らかに笑いながら叫ぶ男を前に、俺は地面を這う事しかできなかった。
咄嗟の動きに対して、先程の強化魔術のように発動できず直撃を受けてしまっている為、鋭い痛みがまだ残っている。
「まっそういう事だからさ。さっきから邪魔なんだよねぇ・・・キミ。人形の後でちゃんと殺すからさぁ~・・・・・順番守れよナァァァァァ!!」
男は殺意に満ちた怒声を俺に向けて叫び放つ。
俺は未だ消えぬ痛みに耐えながらな立ち上がろうとするが、膝を付いたまま動けない。それを心配そうなはやてと悲しい顔をする彩先輩が俺を見る。
「うっ・・・くっ・・・」
「お兄ちゃん大丈夫!?血が・・・」
「俺は・・・大、丈夫だ・・・・」
「士道君・・・私のせいで・・・」
「先輩のせいじゃない。それよりも・・・はやてと一緒に逃げてください・・・」
俺は彩先輩に言う。
その言葉に二人は目を見開いた。
「な、何言うてるんやお兄ちゃん!?」
「俺がアイツを止めるから・・・二人で、逃げるんだ・・・!彩先輩も、全て捨てて、はやてと一緒に・・・外に出ればリニスもいる・・・教会には言峰やレティシアだって・・・・・俺なんか捨てろ!!」
「お兄ちゃん!!」
そう叫んだ・・・
二人に叫んだ・・・
例え俺が死んで、はやてが悲しんだとしても、それでも・・・・・
――どうせ■■なら自分が・・・
そう思い再び口を開く。
「俺なんかに構うな!二人だけでも、逃げて・・・何処かで・・・幸せになれ!」
彩先輩の肩を押して逃げるように、拒むように突き放す。
それに対して彩先輩は・・・・・
何かを覚悟した顔をする。
「彩・・・せんぱ「大丈夫だよ」い・・・・・?」
「待っててね、士道君、はやてちゃん。・・・あの転生者は、私が倒すから」
「先輩!?」
「彩さん!?」
彩先輩は抱えていたはやてを優しく俺に寄りかかるように降ろさせて、俺達を背にするように立ち上がった。
「へぇ~・・・人形風情が立派なこと言うじゃないか。このオリ主に楯突いた上に倒すぅ?そこの踏み台にでもたぶらかされたのか~い?
・・・ふざけんな人形がアァ!テメェは殺す!コロシテヤルヨォ!!」
男に叫びにも臆さずに見据える彩先輩。
「っ、ダメだ
俺は焦りながら彩先輩に・・・・・彩に言う。
焦りすぎたからか、彼女の事を呼び捨てで、必死に叫んだ。
「いいんだよ士道君。これは私がしたい事だから・・・それに、士道君には選んで貰えなかったけど、それでも私は・・・・・やっぱり士道君の事が、
「彩・・・・・」
それでも・・・目の前に立つ彩は笑いながら涙を流しながら俺に告げた。
――ああ、間違えたのか・・・
「大丈夫・・・必ず勝てるよ。この・・・・・『英雄王ギルガメッシュ』のカードなら!」
彩は手に持つカードを前に突き出す。
するとカードが光り輝き、そして彩は告げる。
「
あの男が同じ言葉を使い、カードをかざす。
その輝きは更に増していき・・・・・そして。
・・・何も起きなかった。
「・・・え?何で・・・どうして!?」
輝きは消え、何も起きらない。
それでも彩は何度も
しかしそれは・・・
「クッヒッヒ・・・」
その笑い声が、彩を止めた。
「クヒッ、クふっふっふ、フゥーハッハッハ!あァァァッはッはッはッハッハッハ!!イヒヒヒ・・・!どうした人形!?もしかしてェェェ・・・
「そんな・・・何で・・・」
男の嘲笑い声と彩の困惑が入り混じる。
そして彩の疑問に男が答えるかのように告げる。
「アハハ!おっさんの話が本当なら・・・そこの踏み台は特典で『王の財宝』だけのはずを、お前がカードにして『ギルガメッシュ』に書き換えて渡す予定だったんだろォ?そんなもん想定済みなんだヨォ!!それはなぁ・・・どの英霊とも繋がっていない・・・正・真・正・銘の屑カードなんだよオオオォォォォォ!!!!」
「屑・・・カード・・・」
「しょうがない人形だなぁ・・・・・このオリ主様がカードの使い方を教えてやるよぉぉぉ・・・・・
お前の命も貰ってなぁ♪」
――ッ、助けろ
――まだ間に合う、手を伸ばせ
俺は無我夢中に手を伸ばす。
届くはずがない・・・・・それでも尚手を伸ばす・・・・・
――ああ、まただ・・・・・
――また俺は・・・間違えたのか・・・・・
「逃げろ!!彩ァァァァァ!!!!」
「士道君・・・・・ごめんね・・・・・」
彩は俺の方を振り返りながらそう告げた。
そして・・・・・それを最後に
「
彩の胴体が抉り抜かれたかのように消えた。
宙に舞う血飛沫と見えてはいけないはずの向こうの景色。
そのまま彼女は倒れるようにし、それに対して俺は手を伸ばし続け・・・掴んだのは・・・・・
彩が持っていたカードだけだった。
・・・・・どうでしたか?
ようやくここまできました。
次回は・・・・・そろそろ『アレ』が登場できたらいいかと・・・・・
次回も待て、しかして希望せよ
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FATE DAY 失って、残ったもの
長く長く必要のない内容も多く含まれているかもしれませんが。
それでも書きたいと思って今回投稿しました!
初めに言っておきます・・・・・くどいです!
自分で読んで見て思ったレベルです。
でも投稿する!!(?)
文章力が高くない人間が書きますが、どうか暖かい目で見ていたいただけると、そして片手間に見て頂けるだけで幸いかと・・・・・
それでは、セットアップ!
失った。
それは目の前にいたはずの残っていたもの
失ってばかりの俺が、あと僅かに残っていたもの
そんな彼女に・・・荒野 彩に差し出した手は空しく届くことができすに、彼女が持っていた、今は
それがとても冷たかった。
「い、いや・・・」
「いやぁぁぁッ!!」
はやての悲鳴が響く。
目の前の悲惨な惨状、不可思議な現象、そして・・・彩を殺されたという現実。
「・・・・・あら?あらあらあらァァ?流石に刺激が強かったかなぁ?いやぁごめんよはやてちゃ~ん☆。・・・っま、後で少しだけ記憶をいじれば問題ないし、それに・・・・・」
目の前にいる男は右腕の触手のような紐状武器を縒り合わさって巨大な腕になっており、恐らくこの腕が彼女の胴体を抉り抜いた事がわかる。
そんな男は悪びれもなく、笑いながらそう言ってきた。
そんな言葉を聞いた俺は、唯々悔しく怒りの余りにギシッという歯ぎしりがなる。
彩は消え、はやては叫び、男は嗤う。
そんな理不尽な事がどうして目の前で起きているのか・・・
――何故だ・・・どうしてこんなことを・・・
そんな言葉が浮かび
「まだ、もう一人いるしね♪」
衝撃によって吹き飛ばされた。
「ぐ・・・ガハッ・・・!!」
男によって腹を蹴り飛ばされた俺は、ものすごい速度で偶々開けていた土蔵の中に飛ばされ転がる。
「ッ、おにいちゃん!!」
はやての悲鳴が聞こえる。
しかし、それは遠く霞んで聞こえ、それよりも自身に近づく足音がどこか主張するかのように聞こえる。
「まったくさぁ、これから僕は転生戦争でいろんな奴らを殺さなきゃならないってのにこんなとこで時間食うのは勿体ないわけ。わかるぅ?それにサーヴァントもあんま言うこと聞かない雑魚でどうしようもないし、僕のクラスはアサシンだし、このオリ主である僕に対して不遇すぎるだろ・・・」
愚痴るようにブツブツ言う男は右腕のうねうねと蠢かせながら歩み寄って来る。
「そういうわけだから。僕は転生戦争に勝つ為にもこの力に慣れなくちゃいけないんだ。とりあえずお前には、罰として・・・・・練習台になってくれよ」
そういった男は右腕の触手のようなもので俺を襲う。
先端にはナイフのようなものが刺さっている為、突き刺さったり、切られたりして、俺のありとあらゆる箇所から血飛沫が起きる。
「がアアアァァァァァ!!」
鋭い痛みが何度も感じる。止むことがなく。唯俺はそれを食らい続けるだけだった。
――ああ・・・・・
痛い 苦しい 辛い
そんな言葉ばかりが増えていく中で、ふとあの日の言葉を思い出す。
【踏み台】
あの神とか名乗る奴も、目の前で攻撃している奴も言っていた言葉。
それが何なのかは俺にはわからない。だからわからないなりに答えを出したのが・・・
――失う者
そう思ってしまった。
俺は生まれる前から失っていた。
前世を
転生してすぐ
親父を
そして・・・・・先輩を
何かを得た時俺は、その瞬間に何かを失っていた。
――片方の船に二百人、もう一方の船に百人。総勢三百人の乗員乗客とキミの合計301人を人類最後の生き残り――
――二隻の船底に同時に致命的な穴が開いたとして、船を直す力を持つのはキミだけだ――
――どちらの船を直す?――
そんな事を親父に言われた。
それに対して俺が言った答えは・・・・・
――わからない。――
そう答えた。
それが俺があの時にだした答え・・・・・何も答えを出さなかった俺の答え。
今の俺にはわかる。
この曖昧さが、選ぼうとしなかった俺の弱さが・・・失う原因なのだと。
何も選ばないから、全てを失い。自身の思いや答えは全部、偽りだらけのハリボテのモノだったのだと。
そんな俺が
今では・・・・・もはや何も見えない。
「まだ生きてるぅ?」
薄れゆく意識の中で、その声が聞こえた。
頭を乱暴に掴まれている俺は、もがく事すらできず。唯男の邪悪な笑顔を真正面からみなざる負えなかった。
「いやぁありがとね。お前のおかげでアサシンの使い方も大体わかってきたよ。んじゃあ・・・・・殺しちゃってもいいよね?」
――殺す・・・殺すか・・・・・
何もできない自分。
失ってばかりの自分。
そんな自分が殺される・・・・・それもいいかもしれないと思ってしまった。
「・・・・・・・なあ・・・・・教えてくれよ」
「あァー・・・?」
俺の振り絞った声に男が反応する。
「・・・人を・・・殺した気分は・・・どんなだ・・・!」
途切れながらも憎悪の視線で男に言う。
それを男は・・・・・嗤った。
「アッハッハ!そんなの射精の百倍気持ち良かったに決まってるだろォォォ!!お前もやってみろよ!!まぁ・・・できるもんならなァァァァァ!!」
そう言いながら俺を投げ飛ばされる。
投げ飛ばした男は、彩を殺した時と同じように・・・右腕の触手のような紐状武器を縒り合わさせた巨大な腕となる。
「じゃーな、結構楽しかったよぉ。これからは僕とはやてちゃんの楽しい生活をあの世で見てるといいよぉ♪」
俺の耳に届いた男の声。
それは俺の終わりを告げ、俺は・・・これが自分の人生の果てなのだと感じてしまった。
――・・・もう終わり
――・・・・・
――・・・・・
体中の痛みが、息苦しいこの空間が、重い瞼が・・・俺に終わっていいと言っているようだった。
もう・・・これで・・・・・
「・・・にい・・ちゃ・・・!」
――・・・聞こえる
「・・おにい・・・ちゃ・・・!」
――・・・ああっ、そうだった
――まだ・・・
――・・・・・まだ、残っていたんだ・・・
「おにいちゃんッ!!」
その声は確かに聞こえる。届いている。理解できる。
最初は遠ざけ、気を使い、ツギハギで偽物な関係だったが・・・
それでも・・・俺の・・・
「・・・お兄ちゃんッ!!」
だから、俺は自分の手を伸ばした。
一度届かなかったその手をもう一度。
・・・真っ黒に変わったそのカードを、もう一度・・・掴めなかったものを・・・
そう・・・俺には・・・・・・
――・・・失って・・・失って・・・失って・・・
・・・俺には・・・
――・・・それでも、それなのにまだ・・・・・
・・・俺には
――・・・
・・・
「それじゃあ、改めて・・・さよなら踏み台」
――わからない――
――わからない・・・とは?――
――俺には誰かを救うほど強くない。知らない人を助けたいとも思ってないし・・・できるなんて・・・思ってない――
――・・・・・そうか。なら、仕方ないかな――
――・・・でもさ――
――ん?――
――それでも、これだけは・・・やりたいと思ってることがある――
――・・・それは?――
――なんていうか・・・誰かを救えないし、なんなら自分の身すら守れない俺だけど・・・――
・・・これは祈りではない。
――失ってばかりの俺が・・・間違いだらけになる俺に――
・・・もっと偽物で、もっと独善的で、もっと矮小な。
――唯一残っているものを・・・偽物の俺に残っているものを――
・・・どうしようもなく無価値な
――大事で大切で・・・繋がりあった人を・・・例え自分自身が犠牲になったとしても・・・――
――その為なら俺は・・・【善】でも・・・【悪】にでもなる――
《なら、まずは大事で大切な・・・自分の妹を守んないとな・・・》
『
―――――――――――――――――――――――
「ッ、おにいちゃん!!」
士道が男によって吹き飛ばされた時、はやては願った。
今起きているこの理不尽が、どうか夢であってくれと・・・そう願った。
「おにいちゃっ、あぐぅ・・・!」
はやては士道が飛ばれた先、土蔵に向かって車いすを急いで動かそうとする。
しかし、それは車輪部分に当たった小石によってバランスを崩して倒れるという形で止まった。
「うっ・・・あっ・・・」
恐らく腕や足を擦り剥いただろう。
しかし、それを気にしないのかあるいは無視しているのか、はやては這いずるように進もうとする。
勿論、小学生位の少女にその力がなく、微動だにしない。
「おにいちゃん・・・」
はやてはか細い声で呼ぶ。
それは失った両親とは違う、新しい家族。
兄となってくれたはやてにとって大事な家族。
「おにいちゃん・・・おにいちゃん・・・」
最初はその不思議な顔立ちなどや雰囲気にぎこちなさはあった。
互いに互いを気を使い、互いに互いを保とうとして。
そして長く、段々深くなり続け・・・ようやく兄妹となった存在。
「おにい・・・ちゃん・・・!」
だから呼ぶ。
「おにいちゃん・・・!
叫ぶ。
「おにいちゃんッ!!」
呼び叫ぶ。
もう一度、もう二度と、何度でも、何一つ。
はやてにとって大事な・・・血の繋がらない。
それでも繋がった、兄を・・・
「お兄ちゃんッ!!」
はやての叫びは・・・・・届いた。
それは【月】が照らされた。
それは【星】が輝いた。
失ったはずの道は、一本だけ・・・それでも闇の中で光は放つそれは。
確かに士道とはやての【新しい道】へと繋がっただろう。
「はじまったか・・・ようやく・・・」
・・・・・どうでしたか?
一応今回のサブテーマは『分岐』です。
これからが始まり、長い長い道のりだ・・・・・
とりあえず、これからも全力全開で頑張ります!!(リアルの生活も
次回も待て、しかして希望せよ
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FATE DAY 空いた手で握れた剣
リリカルなのはDetonation
とても良かった・・・
はやてが良い(良い)
これで劇場版でストライカーズができるね!(期待の眼差し)
まあそんなことはあとで・・・・・
今回は戦闘がメインの回・・・うん・・・
そんな感じです。(察して・・・)
それでは、セットアップ!
「は?」
男のその腑抜けた声が聞こえる。
俺に襲い掛かってきた男の触手のような右腕は、まるで切り刻まれたように血を流している。
いや違う。切り刻まれたのではなく、切り刻んだのだ。
俺の手に持っている剣。黒の陽剣と白の陰剣、二振りの夫婦剣がそれをやったのだと理解できる。
「う、腕が・・・僕の・・・腕がァァァアアア!!」
男が呻き叫ぶ。
しかしそれよりも、俺は自分自身の変わった姿を再確認する。
白いマントを羽織、その下は右腕は露出した赤い外套に黒いボディアーマー。頭部には赤いバンダナ着けている。
その姿はまるで、夢にでてた人物を思わせる姿で、手に持つ陰陽二振りの短剣『干渉・莫邪』を交差するように構えながら男を見据える。
「グッ・・・」
男は千切れた右腕を抑えながら呻く。
「なッ・・・何なんだよ・・・お前・・・!?」
「・・・・・」
男が俺に向けて言うが、そんなのは無視だ。
俺は次にどうするのか。どう動くか。ただそれを思考し、実行するだけの事だ。
「何なんだよ・・・その目は・・・
何なんだよォォォォォ!?」
男は叫びながらナイフを投げた。
そのナイフは俺に向かって飛んで行き、俺に刺さる直前に体を捻らせ避けることでナイフの刃は羽織のマントに突き刺さるだけで、そのまま俺は男に向かって地を蹴った。
「くっ・・・来るなァッ!!」
男は再度ナイフを投げた。
今度は三本。これをいちいち避けるのは面倒だろう。
・・・よって
――――指定、羽織マント
――――基本骨子、解明
――――構成材質、解明
羽織のマント自分の前に出しながら、瞬時に『強化』を行った。
それにより飛んできたナイフは金属がぶつかり合うような音を出しながら弾く。
「ヒッ・・・!」
距離はもう目の前。
このまま俺が手に持つ剣を振れば、それは男に当たるだろう。
男も小さく悲鳴を上げるように・・・
「・・・ヒヒッ・・・」
「・・・っ・・・!?」
・・・否、それは悲鳴ではなく嘲笑いであり、その顔には薄気味悪い笑みを浮かべている。
その異様に気づくも遅く、自分の腕が
みしっ・・・という音を立てながら、それは両手にそれぞれ持つ剣を拘束しているものが確認できた。
それは先程切り刻んだ男の触手のような右腕だった。
「ヒヒヒッ・・・!甘いんだよォ踏み台!僕の右腕は千切れても働きものなんだよォォォォォ!!」
そう言いながら男は右足を振るいながら、巻かれていた包帯が解ける。
そしてその足には刃が縫い付けられている。
そう思った俺はすぐさま手に持つ剣を・・・・・手放した。
――――
瞬時に撃鉄を起こし、強化の魔術を行った俺は空いた手で握り拳を作って、ただ殴った。
「ぐごッ、ゲギャァ・・・ッ!」
俺の拳は男の顔面に刺さる。
強化も加わった拳で殴ったことによって、男を吹き飛ばした。
「ウグッ・・・きヒっ、聞いてないぞ・・・こんなの・・・!」
外まで吹き飛ばした男が何か言っている。それに対して正直どうでもいいが、それよりも先に確認したいこともある為、俺は男と同じく外に出た。
「人形が持っていたの間違いなく屑カードのはずだ!なのに何で踏み台が
「・・・・・別に、ただの名も無き英霊くずれさ」
俺はそれだけを言って周りを確認する。
正直、もう男はどうでもいい。先程の手応えで、その程度と確認できたのだ。だからまず俺がしないといけないのは妹の安全だ。
――・・・・・いた。
どうやら車いすから転げ落ちたのか、地面を張った状態になっている。
「なんだよそれ・・・ふざけんなよ・・・・・何でテメェみたいな踏み台が、オリ主みたいな真似事をしてんだよ・・・!クソッ、クソクソッ!どいつもこいつもふざけやがって!!」
男が喚き散らしている・・・がそんなのはどうでもいい
「クソっ・・・こうなったら・・・・・来い
――・・・もうこいつの雑音を聞く必要はないな・・・
そう思った俺は、何か言っている男の叫びを無視して、はやての方に駆け寄る。
はやては顔を上げて俺の方を向くと、安心と驚きが混じった顔をしながら俺を見る。
「はやて、大丈夫か?」
「・・・お兄ちゃん?・・・ほんまにお兄ちゃんなの?」
「ああ・・・悪いな、心配かけて」
はやてを抱きかかえ、車いすまで座り直させる。
そしてそっと優しく頭をなでながらはやてに言う。
「あっ・・・」
「はやて。お兄ちゃん用事を済ませるから、少し待ってくれるか?」
――――
俺は少し離れてから投影魔術で刃の幅が太めな剣を複数創り、それをはやてを囲むようにまっすぐ突き刺した。
「っ!お兄ちゃん」
「大丈夫だはやて。
・・・すぐ終わらせる」
それだけを告げてから、俺は男がいる方を振り返った。
「・・・・・おい、テメェさっきから何無視してんだよ・・・・・」
男が低い声で俺にそういう。
――・・・まあ、全然怖くもなんともないんだが・・・
「何だよその態度・・・お前まさか・・・まさかまさかマサカ・・・!お前ェ・・・僕より強クなった気デいるノカァ・・・!?」
――・・・うるさい
それがこの男・・・・・新しく
先程まで不気味だの恐怖だのが一切消え、唯々こいつは・・・・・うるさい。
「おまえ・・・さ・・・
「ッ!・・・オマエモ・・・」
男に向けて俺がそういうと、男は千切れ残ってた右腕の触手がウネウネと蠢き始めた。
「オマエモボクヲォォォ・・・・・バカニスルノカアアアアアァァァ!!!!」
そう叫びながら男が、右腕の触手が増殖した。
メキメキと音を立てながら増殖した触手は、全体を覆いながら巨大化し始める。
――もはや暗殺者よりも唯の怪物だな・・・
「ソウヤッテ、ドイツモコイツモ・・・・・ミンナボクヲバカニシヤガッテェェェェェェェ!!!」
暗殺者とは思えないような大袈裟な巨躯になったコイツは、無数の触手を爪のようにしながら俺の方に向かって的確に急所を狙いながら伸ばしていく。
――けれどこんなもの・・・・・脅威ですらない
「――
新しく生まれた『干渉・莫邪』を手に、男の触手達を次々と斬る。
斬る・・・斬る・・・斬る・・・
その一つ一つを切り刻んでいく。
男が触手を束にして巨大な腕にしたり、複数にしたり、細く鋭くしたりと変幻自在に触手を変化させながら俺に攻撃してくる。
それに対し俺はもっと単純で、ただ『干渉・莫邪』を投影する。
複数による射出や直接突き刺したりはたまた投げたりと、そうしていくにつれて奴の体中に俺の剣が至る所に刺さっている。
「ンダヨソレェ・・・カユインダヨォ、ボクハ最強ナンダゾォ・・・!コノテイドデボクガ負ケルワケネエダロォォォォォ!!!」
――・・・最強?
「そんなものが・・・・・最強なわけねえだろ」
俺はそう吐き捨てながら言う。
「コロスゥ!コロシテヤルゥゥゥ!!」
男はさっきよりも速く、鋭く、強く攻めてくる・・・が関係ない。
俺は変わらず剣を奴に突き刺していく。
――皮肉だな・・・
俺は戦いながらそう思った。何せ失ってばかりの俺が、あとほんの少し残っている大切のものの為に戦える。
俺の手からすり抜け、滑り落ち、何も掴めなかった俺が・・・守れなかった俺が、空いた手ができた事で・・・
・・・・・剣を握れた。
「弾けろ」
いったい何本目か、その両手に持つ剣を突き刺した辺りで俺は魔力を回す。
俺の中で巡り回るように流れる魔力が剣に流れていき・・・それは奴に突き刺さっているいくつもの剣にも流れる。
――――
「ギィィィィィガァァア゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!」
突き刺さっていた全ての剣に強化を流すことでその刀身が太く、長く、大きくなる。
それにより、怪物となった男は獣の吠えるように叫ぶ。
「まだ吠えるか・・・元気な奴だ」
――それなら・・・
俺は投影によって弓を生み出し左手に持ち構える。
その後右手に造った捻じれた剣を生み出して矢へと変換する。
・・・普通、剣を矢に変えるなんて芸当はできないはずなのだが、身体が・・・というよりも纏っているこの英霊にはそれができるのだと感覚でそう思ったのだ。
更に俺は矢を射た経験が無い、しかし憑依経験か、またはこの英霊の経験か・・・それは今はいい。
今は・・・・・
「消し飛ばしてやる・・・跡形も無く・・・!」
弓に矢を番え、引き絞る。
狙うは巨躯の怪物。デカい的ではあるがその巨体全てを消し飛ばすにはこの
――これで・・・おわり・・・
《・・・士道君》
聞こえた。
《・・・士道君》
何かが聞こえた。それは知っている声、今は無い・・・亡い声。
《・・・士道君!》
けれど幻聴などではない。はっきりと、しっかりと聞こえたのだ。
「・・・あぁ、忘れてた」
その声を聞こえたからか、いや・・・・・ようやく冷静になれたからか、とにかく俺はその声の主呼び、今まで伝えられなかった事を・・・今・・・。
「彩・・・」
――・・・ありがとう
ザクッ
その突き刺さる音だけが響く。
「ゴ・・・ギッ・・・ナ、ナンで・・・!?ドウして・・・気づいた・・・!?」
俺は、
「お前、自分で言ってただろ?【僕のナイフは千切れても働き者】って・・・途中からあの怪物は、中身のないただの空っぽ。囮だったんだろ?」
「グハッ・・・!」
男は地面に転がる。
今度は男が地を這い、抗おうとする。
「クソっ!クソッ!クソォォォッ!!アーチャーは何やってんだ・・・!?ハヤク助けろォ・・・!」
――・・・アーチャー?
男の口からよくわからない単語が出たが、そんなのは関係ない。
俺は一振りの剣を投影し、男に歩み寄る。
「い、嫌だ。嫌ダ・・・死にたくない・・・死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない・・・・・!!」
――何を今更・・・
「それさ、俺も・・・彩も、同じ気持ちだったよ」
「ウルセェ!黙れ踏み台!!俺はこんな所じゃ死なないんダ・・・!!俺はオリ主だ・・・強くて、モテて、なんでも思い通りに・・・なのはやフェイト・・・そしてはやても俺の物ナンダヨォォォ!!」
「・・・・・」
男の喚き散らした発言を唯黙る。
しかし歩みは止めず、その手に持つ剣を手放さずに、男へと向かう。
「俺はオリ主・・・オリ主・・・おり、主・・・あれ?」
「・・・?」
急に男が止まり。
素っ頓狂な声を出し始めた。
「あれ・・・僕は今まで・・・何して・・・っ」
「お前・・・」
「あは、あはは・・・そっか・・・なるほどそっか。また僕は・・・ボクはまた騙されたのか・・・」
突然変わった男の反応に驚く俺だった。
しかし、その変わり方に何となくではあるがわかった気がした。
――ああ、
「何か
「えっ・・・・・あぁ、そうか。ハハハっなるほど。君がボクを終わらせてくれるのかい?」
「・・・そうだ」
「そっか・・・うん、お願い・・・もう疲れたよ。もう十分だ・・・
殺してくれ」
俺は迷わず振り下ろした。
男の左肩から心臓部分まで抉るように。
「ゴプっ・・・ありが、・・・とう・・・」
そう言って男の身体から粒子のようなものが発生し、徐々に光になって消える。
男がいた所にはもう男の姿が存在せず。残っていたのは彼が持っていたカードだけが残っている。
――・・・終わったんだよな?
そう思いながら男が持っていたカード、暗殺者のカードを拾う。
「そうだ!はやて!」
はやてのいた所を確認する。
一応、俺が囲った剣で守られている為問題はなさそうだ。
――よかった・・・これなら後はリニスと念話を・・・・・
そこで俺は、身体の重みと視界が暗くなる症状に見舞われ、意識を手放した。
―――――――――――――――――――――――
「お兄ちゃん!」
八神はやては、士道の元に向かった。
全てが終わった・・・それならいいのだが、男が倒した士道が倒れた後はやてを囲っていた剣は消え、はやてはようやく自由の身になった。
「お兄ちゃん!しっかりしてお兄ちゃん!?」
意識の無い士道を揺さぶるも反応がない。
不安で胸がいっぱいのはやてにとってこの状況はとても辛く、涙が止まらない。
「・・・っ、おにいちゃん!!」
「大丈夫ですよ」
「っ!?」
突如、声をかけられたはやてはその声のする方に振り向く。
そこには二人の人間が姿を現した。その内の一人ははやてもよくわかっている人物だった。
「リニス!」
「はやて!大丈夫ですか!?」
そう言ってはやてと士道に駆け寄るリニスははやてを抱きしめながら、士道を心配する。
「リニス・・・お兄ちゃんが!」
「落ち着いてくださいはやて。
「・・・え?」
リニスの言う彼女のというもう一人の人物に振り返る。
その人物にも見覚えがあるのおだが、明らかに雰囲気や姿が違っていた。
「
「貴方は・・・」
「そうですね。この姿で会ったのは初めてですから驚くでしょう。・・・ですが安心してください」
そう言ってきた彼女は三つ編みの金髪に紫色の瞳、濃紺色のシスター服のようにも見えるも銀色の鎧や胸に巻き付いている鎖が印象強く。また髪飾りも相まってまるで【聖女のようにも騎士のようにも見える】姿をしている。
「私は少なからず味方です。何せ私は・・・・・
・・・サーヴァント、ルーラー。シドウ君の使い魔ですから」
「レティシアさん!」
そう、レティシアと呼ばれた彼女は微笑みながらはやてに告げた。
どうですか?
ようやく彼女が登場!
次回からどう進むか・・・
次回も待て、しかして希望せよ
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はじまりの夜明け
だいぶ経ってからの投稿になってしまいすみません。( ;∀;)
どうしても書こうとすると他の事に筒を抜かすクソ野郎になってしまった・・・
まあそう言うこともあって前置きはとりあえずなしで・・・・・どうぞ!
あっそういえば今日はお正月だ( ・∇・)
――・・・ここはいったい何処だ?
そんな事を思いながら俺、遠衛士道は重い瞼を持ち上げて目を開く。
まず最初に、俺はまた夢の中にいるのではないかと思った。何せ自分がさっきまで何処にいて、何をしていたかは覚えてはいるのだが、少なくともこんな場所にいた記憶はない。
いや・・・・・
そもそも此処は本来なら来れるはずがない場所なのだ。
どんな所なのかは見てすぐわかったが、それでも見た記憶が正しければ、此処は本来
更に言えば、こんな所は世界中の何処を探しても恐らく見つからないだろうと確信を持って言える。
何せそこは・・・
荒れた大地に灰色の空はどこか虚しく。空に浮かぶ歯車は、何処か幻想的にも見える。
そして何よりも目に付くのは数百数万、いや・・・無限にあるのではないかと思わせるほどの剣が突き刺さっている。
――何故、俺はここにいるんだ?
俺はこんな所にいる暇はない。一刻も早く、妹の安全を確認したいのだ。
また誰かが襲ってくるのかもしれない。もし今度ははやてに身に何かあれば、それこそ俺は本当に全てを失ったことになる。
・・・それだけは嫌だ。そう思いながら俺は辺りを見渡す。
剣・・・剣・・・剣
周りに見えるのはただ剣のみで、それ以外に見えなかった。人一人いないのか、それとも元々此処には自分しかいないのか・・・・・
《・・・来たのか、少年》
それは突然聞こえた声。
低く渋さもあるような声は、まるで俺の頭に響いて聞こえるような、そんな感覚をさせながら俺はその声が聞こえた。
俺はその声に対して誰なのか問おうと口を開く。しかし、何故か声は出なかった。幾ら腹に力を入れて声を出そうとしてもなぜか出ない。
《全く、アレも対外だが君も君だな。まさかこんな私の・・・いや、それ以上にどうしようもない奴を手にするとはな》
その声は呆れた口調のまま話す。
《まずはおめでとう、とでも評そうかな。何せ既に君は
男の言っている意味は解らなかった。しかし今はそんな事も、この声もどうでもいい。
――誰だか知らないが、悪いが俺は戻らなくちゃいけないんだ!これが夢なら目を覚まさせてくれ!
俺はそう叫ぶように念話をするような感覚で頭の中で言う。
声が出ない以上、これ以外に方法がない。伝わっているかもわからないが、何もしないよりはいい。
そう思いながら伝わるように願うと、意外にもその声の主は返事をするように言う。
《落ち着け。急ぎたい気持ちはわからなくもないが、慌てなくても時期に目を覚ますぞ》
またも呆れているかのような口調で言う声は、明らかに俺に対する返答の言葉だった。
《だが、目を覚ます前に君には二つほどしなければならない事がある》
そう言ってきた声は、そう俺に言ってきた。
《まず一つ目だが・・・・・まあ単純に言ってしまえば、私が君に今から質問をして、それを素直に答えるだけだ。できるだろう?》
少し煽るような言い方で言ってきたが、それに対して首を縦に振る。
《よし、それでいい。まあ一応言っておくが、気楽に返答したまえ。君の答えによって、私がどうこうするわけでもないし、そもそもできないのだからな。まあちょっとした確認程度だ》
そういった声は一泊間をおいて響かせる。
《それでは君に問おう。遠衛士道、君の
・・・・・俺はその言葉の意味がよくわからなかった。
何故それを、俺に聞く必要があるのか、それを聞いてどうなるのかがさっぱり見当がつかない。
――・・・それを聞いてどうすんだ?
《何、ただ聞くだけだ。例え君が王様になりたいだの、世界を破壊したいだの、英雄になりたい、普通でいたいなど、何を言おうとも私にはそれに対して何もできないさ》
実体があるなら今頃肩を竦めて馬鹿にした感じで言っているのだろうなと思いながら、声の言われた事を思う。
これは恐らく俺を試しているのだと、俺はそう思った。そしてこれに対しての答えは、既に決まっている。
――いや、それなら考えるまでも無い。
《ほう、なら聞こうか。少年》
俺が求めているもの、俺が何になりたいのか、そんなものは今も昔も、そしてこれからも変わらない。
俺は・・・・・
――――――――――――――――――――――――――
あれからどれ位経ったのだろうか。
それを知らない俺は、ゆっくりと目を覚ます。
「っんぅ・・・ここは・・・?」
まだ眠気がある。どれくらい寝たのだろうか、そもそも俺はいつの間に寝ていたのだろうか・・・・・
「ッ、そうだはやっ痛っつ・・・!」
はやての安否を確認しなければと思い無理に体を起こそうとするが体中から感じる鈍く重い痛みが伝わり、起き上がれずに横に戻る。
元の横に戻ると同時に、俺は現実に戻ったのだと悟った。なら先程まで眠っていた際に見た夢は何だったのか?そして何より昨日の出来事からどうなったのか・・・・・
まず現在いる所なのだが、恐らくというか確実に遠衛邸と思われる。何せ何年も暮らしていたから分かる。それと俺が布団で寝ている事から誰かが俺を運んでくれたという事で、それがいったい誰なのか・・・。
そう考えていたら突然襖が開かれた。その為俺は先の出来事もあった為に警戒したが、目の前に現れた人物を見てすぐに解いた。
「起きられましたか士道」
「リニス?戻っていたのか!?」
目の前に現れた人物、リニスに俺は驚きながらそう聞いた。
「はい、戻りました士道。それとあまり大きな声は出さないでくださいね」
「それはどうして・・・はやて?」
リニスが指をさしながら言ったことに疑問を抱きながら視線を向けると、俺の布団に横に誰かがうつ伏せでいる事がわかった。
細い腕に茶色の髪、俺にかけている布団を握りながら寝息をたてる人物がはやてである事にすぐに気づいた。
「事情はある程度聞きました。一度は自分の部屋で寝るように言ったのですが、離れたくないと言って・・・せめて上に羽織れるものはかけたのですが」
「悪いなリニス・・・ありがとう」
リニスは微笑みながら小さく頭を下げる。俺は重い体を少しだけ起こしながら寝ているはやての頭を優しく撫でる。
まるで壊れ物のように、それでいてはやてに傷などがないか優しく撫でながら・・・・・・・・・・・・・
ーーーー解析、開始
ーーーー外傷、無し
ーーーー内傷、精神的疲労有り
ーーーー症状、許容範囲内
ーーーー心拍数、正常
ーーーー温度、平均
ーーーー全解析、異常なし
「ッ!今の・・・!?」
突如、体に熱が回り何かが頭の中から視界に直接入ってくる感覚に襲われた。それと共に謎の情報が幾つも届いてくる。
しかし、この感覚はとても見覚えがある。
いや違う・・・見覚えがあるのではない。本当はわかっている。しかしここまでほぼ
「今のは・・・やはり士道、貴方は・・・・・」
「・・・リニス?」
リニスは目を見開いて何かがわかったような顔をする。
リニスは何か知っているような感じではあるのだが・・・、っとそこで俺は思い出したようにリニスに問う。
「そ、そうだリニス。昨日の夜なんだけど・・・・・」
「その事については後ほど話ましょう。それに今回の件は詳しい人がいますしね」
・・・詳しい人?とリニスの言葉に疑問を抱いてリニスに問おうとするが、その前にリニスが言う。
「ですがまずはその前に・・・」
「え?リニスどうしっ」
俺はどうした?と言おうとした。したのだが、その言葉が続かずに止まってしまった。
体に突然伝わる暖かな温もり。それが人の体温であることはすぐにわかる。そしてその暖かさは、今目の前にいるリニス本人から伝わる・・・抱きしめられた暖かさだと言う事に気付くのに少し遅れてから理解できた。
「リ・・・リニス?」
俺は思わず動揺しながらリニスの顔を伺い、そのかなしいそうな表情を見て、思わず息を呑んでしまう。
「・・・まずは謝罪をさせてください」
「え?」
「念話が繋がらなくなった時点ですぐに気づかなければならないのに・・・、私がもっと早く・・・!」
「それは違う!あれは結界か何かによって念話が繋がらなかったし、気づけないように何か細工されたはずだ!リニスが気にする必要は・・・」
「ですが私は貴方の使い魔です。それなのに私は貴方のそばに入れず、危険な状況に助けにも行けなかった・・・」
「だからリニスは悪くない!悪いのはそもそも俺で!俺が・・・・・っ」
彼女の悲しそうな声で言う内容に俺は咄嗟に否定する。しかし、肝心な部分である今回の原因が言えないでいた。
今回の件は明らかに俺という転生者がいたから起きたといえる。でも俺が転生者だというのは実は誰も知らない。・・・いや一人だけ、彩だけが知っていたのだ。
「・・・・・転生戦争、でしたね?」
「っ!?」
リニスから想いがえない言葉が聞こえた。何でリニスがそれを?とそう俺は思った。
すると抱きしめられていたリニスの腕が緩み、俺に少し離れてから潤んだ瞳を拭ながら、正面を向き合う状態で話始める。
「言ったでしょう、先程詳しい人がいると。転生戦争、クラスカード・・・・・そして転生者。士道君が転生者である事も聞きました」
「何でそれを・・・」
ーー一体誰だ?
ーー何故知っている?
ーー誰なんだその詳しい人とは・・・
俺はとにかくその者は危険なのではないのかがとても気になった。何せ俺は他の転生者に狙われたし、その上あの神とかいうやつから【踏み台】という役目にされたのだ。下手をするとそいつも俺を狙っているのかもしれない。そう俺思いながら思考を走らせていると突然声が聞こえた。
「あら、起きたのですかシドウ君?」
声が聞こえた方を向くとそこには襖前に人影が見えた。声からして女性と思われ声で、何故かどことなく知っているような・・・そんな声だった。
その人影が襖を開け、その姿を見せると俺は思わず目を見開きながらその人物に対して口を開く。
「・・・・・レティシア?」
そう現れた金髪の女性、もとい教会でいつもシスター服に身を包んでいた少女レティシアに俺は驚きながら声をかける。
それに対してレティシアが微笑みで返すように顔をこちらに向いて声をかけられた。
「ええシドウ君。昨日ぶりですね・・・・・・え?」
「レティシア?」
レティシアは微笑んで俺にそう言うと、途端に表情と言葉が固まった。
どうしたのだろうと思いながら、レティシアに首を傾げるがそのレティシアは固まった顔が段々と変化していく事がわかる。
・・・・・しかも暗いオーラを放ちながら。
「・・・・・啓示で貴方が目を覚ましていたのはわかっていたのですが、まさかこんな事をしていたとは・・・・・」
「・・・えっと、レティシアさん?」
明らかにジト目で怒ってそうな顔をしながら言う彼女に疑問を抱くが、すぐに何なのか理解できた。
「シドウ君」
「は、はい・・・」
「女性を泣かせるのは流石によろしくないと思いますよ」
「えっああ、うん・・・えっ!?ち、違うからな!?別に俺がリニスを泣かせたわけじゃあないから!?」
ーー何故に俺が泣かせた事になるのか・・・
何故か誤解された俺は内心で「なんでさ!」と叫びながら俺はレティシアに対して必死に否定する。
「はあ・・・まあいいです。それよりもシドウ君。これから話したい事がありますので場所を移動しましょう」
「え?話って・・・・・まさか詳しい人ってレティシアの事か?」
「それも含めて話します・・・・・ああ、それとリニスさん。はやてさんは別室でそのまま寝かせてあげて下さい。一度シドウ君と二人で話したいので」
そう言ってレティシアはリニスに言うと何も言わずにただ頷き、俺に一礼しながら「先にはやてをベットまで運びに行きます」と言ってはやてを持ち上げてその場を去る。
まだリニスは辛そうな表情をしていた為、大丈夫か気になるがそれに対してレティシアが返答する。
「貴方が寝ている前に彼女には一通り話しました。今はまだ辛いと思いますが、大丈夫だと思いますよ」
そう言うレティシアの言葉は何か確信があるかのような口調で言う。
そして突然レティシアは俺の左手を握りながらこう告げた。
「とりあえず移動しましょう。そこで改めまして私の自己紹介と詳しい説明もしますから」
「自己紹介って、今更する必要なんてないだろ?だってレティシアはレティシアなんだから・・・」
「えっとですね・・・半分はあっていますが半分は間違っているんですよ。そもそも私の本当の名前はレティシアではありません」
ーー・・・・・はい?
そして彼女は彼女で振り返りながら俺にこう告げた。
それと同時に俺は左手に感じた痛みと共に彼女の聞きなれない言葉に唯々聞くことだけしかできなかった。
「私は貴方のサーヴァント。エクストラクラス、ルーラー。真名ジャンヌ・ダルクと言います」
その彼女の言葉にただ無我に聞いていた俺は
次回はもっとはやく・・・・・!
(投稿を)加速しろォォォォォォォォォォ!!
次回まで待て、しかして希望せよ
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現状把握の荒れ模様
そしてこれからも頑張っていこうと思います!!
それでは、どうぞ!
居間に着いた俺達はレティシア・・・の筈の彼女の対面の位置に座りながら話を伺う。
「それでは改めまして、私はルーラーのジャンヌ・ダルクと申します。先程通り私はマスターである貴方のサーヴァント・・・簡単に言えば使い魔です」
「サ、サーヴァント?ていうかマスター?俺はそんなもんになってないと思うんだが、なんかの間違いじゃないか?」
「いえ、確かに貴方から魔力のパスが繋がっている事がわかります・・・それに
そう言われても心当たりがない為にピンとこない。
しかしレティシア・・・のはずなんだが、本人はルーラーのジャンヌ・ダルクと名乗る・・・彼女は何故か確信があるかのような口調で言う。
更に気になる事をいくつか言っていた為、それについてお俺は質問した。
「魔力のパスって、つまりレティシア・・・じゃなくてえーと・・・」
「あっ。いつも通りレティシアで構いませんよ」
「そ、そうか。じゃあレティシアがいう魔力のパスっていうのは、リニスみたいに魔力を貰えないと生きれないというか、レティシアにとって結構大事な事なのか?」
「ああ、リニスさんも使い魔でしたね。彼女とは少し違いいますが大方同じです。私は貴方の魔力がないと現界できないので、私にとって魔力は必要不可欠なものなのです」
そう言ってくるレティシア。
俺は内心で一体リニスとどこまで話をしていたのだろうと思いながら、次の質問をした。
「なら令呪はなんだ?さっき俺の手がどうこうって言ってたし」
「それは実際に見ればわかりますよ。ほら、左手の甲を見てください」
俺はレティシアに言われるがまま、左手の甲を確認する。
そこには赤く、紋章にも見える刺青がそこにあった。その形状は
「これが・・・?」
「それが令呪ですね。令呪というのはサーヴァントにできる絶対命令権のようなものです。一つ一つに膨大な魔力が蓄積されている為、令呪によって発動された命令は基本的にサーヴァントを抑制できます」
「抑制って・・・要は本人の意思関係なく無理やり何かをやらせるって事か?」
「言ってしまえばそういうことです。例えばそうですね・・・・・もしシドウ君がこの家にいて、私が教会にいるとします。そしたら貴方が令呪を使ってシドウ君の下まで来るように命令すれば、瞬時に来る事ができます。勿論、令呪にある魔力の限りですが」
つまり令呪はサーヴァントを従える為には重要なものらしい。・・・・・と言っても実感できないからこそこんなにも他人事のように言っているのだが、実際はその令呪が俺の手にあり。その繋がっているのは目の前にいる女性なのだと。
──てかそもそも何故俺がレティシアを従えているのだろう・・・
──そもそもサーヴァントについてまだわからない事だらけだ。
俺はとりあえず令呪については理解した事にして、新たに質問する。というのもこれが一番聞きたい事だ。
「じゃあ最後に聞きたいんだが・・・・・レティシアは一体何者なんだ?サーヴァントという事と転生戦争。それと・・・さっき名乗ってたルーラーと、その・・・・・ジャンヌ・ダルクと名乗っていたのも」
それを訪ねるとレティシアは少し考えて、「では・・・」と言いながら話し始める。
「まず最初に私の事から・・・・・サーヴァントというのは、英雄が死後、人々に祀り上げられ英霊化したものです。
英霊というのは、英雄が死後、祀り上げられ精霊化した存在のことです。つまり歴史上に偉業を成したものや神話や逸話などの王様や戦士など・・・・・世の中の英雄と呼ばれた者などが霊体化して実体になり。その実態する為にマスターの魔力を使い使い魔となる存在ですね」
つまり使い魔なんて言ってはいるが俺たち人間よりもすごい存在だという事か・・・・・つまりそれは、彼女が名乗っていたなも信憑性がある何せ・・・
「えっと・・・・・じゃあジャンヌ・ダルクというのは・・・・・」
「はい。恐らくシドウ君が思っているジャンヌ・ダルクですよ」
ジャンヌ・ダルク
フランスで起きた百年戦争での英雄にして、オルレアンの聖処女。
フランスを救った聖女であり、十七歳で故郷を発ち、奇跡とも呼べる快進撃を成し遂げた後、貶められて十九歳で火刑に処されるという悲劇的な結末を迎えたが、そのわずか二年間で歴史に名を刻んだ人物。
その人物が今、自分の目の前にいいるなんて・・・俺は未だに信じられない気分でいた。
「・・・マジか。じゃ、じゃあルーラーというのはいったい何でしょうか」
「えっと・・・何故急に敬語になるかわかりませんが、取り敢えずルーラーというのは私のサーヴァントとしてのクラスです。サーヴァントは現界すると基本的にセイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、アサシン、キャスター、バーサーカーの7つの
クラスの内の一つになるのですが。その中でも私は特別・・・エクストラクラスと呼ばれる位置の【
「じゃあ、今度からルーラー様と呼ぶべきだろうか・・・」
「あ、あのちょっとシドウ君?別にそんな畏まらずに普段どおりでいいですから・・・・・」
レティシアは顔を赤くしながらそう言うが、俺としては寧ろ畏まりたいぐらいだ。何せ目の前にいるのは自分よりもはるかに上というか・・・
「なんかこう・・・・・マスターという実感がないのに加えて、レティシアがすごい人物だと知って尚更俺なんかでいいのだろうか・・・」
「勿論ですよ。それに私は聖女なんて呼ばれてますが、私自身は余りそういう風に思っていません。ただ主に祈りを捧げた、極々普通の農家の娘ですから」
──それを思っているのはレティシアだけだろうな・・・
俺は内心でそう思いながら思わず苦笑いする。
恐らく歴史上でも登場し、更には教会などの聖職者にとってはすごい人物の筈なのだが、この言葉を聞いた聖職者たちはどう思うのだろうか・・・・・。
「・・・まあいいか。じゃあ最後の転生戦争っていうのは?」
「転生戦争は七人の転生者が特典である『クラスカード』とサーヴァントを従わせ戦い、またクラスカードを奪い合いながら七つのカードを揃えた転生者にはその報酬として願いを一つ叶えるとの事・・・・・これが転生戦争のおおまかな内容です」
「・・・・・『クラスカード』?」
突然言われた単語に素っ頓狂な声を出しながら返す。
それに対してレティシアは懐から何か取り出して机に置く。
「それって・・・・・」
「これは昨日シドウ君が倒れた後、貴方の手に持っていたアサシンのカードなのですが・・・・・」
「ああ。確かあの時、アイツが消えた後に落ちたもので、俺が拾ったんだが・・・・・もしかしてこれがさっきレティシアが言ってたクラスカードってやつか?」
「はい。このクラスカードは転生者に一人一つ付く『特典』です。恐らくシドウ君も持っている筈・・・・・・・・・・というよりも」
レティシアは少し困った顔をしながら俺に向けて言う。
「シドウ君はあの時に
「・・・・・・・・・・インストール?」
それを言われて、俺は昨日の出来事を思い出そうとする。と言ってもつい昨日の夜の為、忘れるはずがない・・・・・・・・のだが。
──そういえば彩から拾った筈・・・・・
──そして蔵のところで確か・・・・・
──あれ?そもそもあのカードをどうやって使ったっけ?
そう・・・カードは確かに拾った筈なのだ。それは覚えているのに、何故か使った後の記憶などが思い出せない。
取り敢えず、俺は思考を一旦やめてカードのありかを探すために俺は身体中を探そうと手を伸ばすも、そもそも今俺が着ている服が夜にきていた私服ではないことに気づいた。
「なあ、俺の服は何処にあるんだ?多分そこにクラスカードっていうのがあると思うんだけど・・・・・」
「・・・・・・それは本当ですか?」
「え、いや・・・それが自分でも本当は何処にあるんだかわからなんだけど、けどあるとしたらもう自分の服の中ぐらいにしかないかなって・・・・・」
この俺の言ったことを聞いたレティシアは何やら確信しいながらも、何処か苦虫を噛んだような顔をしながら俺に衝撃的な発言をする。
「実は・・・既にシドウ君がきていた服は確認していたんです・・・・・ですが・・・」
「・・・ですが?」
「何もなかったんです・・・」
────────ん?
俺はレティシアの言われた言葉に理解できず、思わず思考が停止してしまった。
無い・・・・・ということは別の所にあるのか?それとも消えたのか・・・・・何はともあれ実際確認したレティシアに訪ねなければわからない。
「えっと・・・上着とズボンのポケットを両方確認したか?」
「はい」
「・・・じゃ、じゃあ外に落ちているかもしれないな。今から確認しに行くか──」
「それも確認しました。シドウ君が倒れていた場所の他に戦闘の跡がある場所は隈なく・・・」
──・・・・・
やはりというべきか当たり前ではあるが流石に探し終えていたことを聞いたことでより一層疑問が浮かぶ。勿論、自分の目で確かめてないためもしかしたら見落としがあるのかもしれない。しかしレティシア曰く、クラスカードは魔力が蓄積されているため探知することで探すことができるらしい。
ならいったい何処にあるのだという疑問が・・・
「もしかして消えたとかあるのか?」
「それはありません。何せ一応、私はクラスカードの魔力を探知できてはいるのですから」
「つまり何処にあるかはある程度わかっているのか・・・なら問題は──」
「いえ、もっとちゃんとした言い方で言いますと・・・・・・・・・・実はもう何処にあるかはある程度わかってはいるのです」
──なんだわかっているのか・・・・・
俺は内心で良かったと安堵した。何せあれは、言ってしまえば彩が俺にくれた形見のようなものでもあるのだ。それを無くしてしまったなんて彼女に失礼だ。とりあえず安心した俺はレティシアにどこにあるかを訪ねた。
「ならそこを探そう。それで、何処にあるんだ?」
「・・・・・・・・えっと」
訪ねたレティシアはまたも困った顔というか、すごくわかりやすいくらいに困惑な表情をしている。
いったいどうしたと思ったのだが、レティシアがゆっくりと指先をあげてそこにあるというのを示すように指をさした・・・・・指したのだが・・・・・
「・・・・・あの、レティシアさん?」
「・・・・・はい」
「何故に俺に向けて指を指しているのか教えていただけませんか?」
そう、何故か俺である。
「あの・・・実際に今シドウ君の中・・・・・正確には体内ですかね、そこからクラスカードの反応があるんですよ。それも強く大きく反応したので、とてもわかりやすかったです」
・・・・・どうやら俺は現在、異常事態な状況に陥っているようだ。というか自分の中によくわからないカードが入っているとか恐怖でしかない。
実際俺はかなり動揺してしまっていて、レティシアの発言に思わず机をガタッ!強く揺らしながら立ち上がりながら冷や汗を垂らしながらレティシアにたずねた。
「待て待て待て・・・・・つまり俺は今さっきレティシアが言ってた
「いえ、それはありません。いつもの服に戻っている時点で夢幻召喚は解除されている事は確実です」
「じゃあ・・・・・一回使ったら、使用者の体内に入るとかそういうやばい代物だったりするとか・・・」
「それもありえません。クラスカードは使用しない時はかならずカードが出てくるはずなのです。・・・・・はず、なのです、はい・・・・・そのはず」
「・・・・・・・・・・・なんでさ」ボソッ
──聞いたのは俺だけど、せめて段々と弱気にならないでほしかった・・・・・
〜おまけ〜
士「・・・そういえば俺はどうやって着替えたんだ・・・?」
レ「・・・・・知らないと言うのも、時として幸せなこともあるのですよ・・・」ボソッ
いったい何処の猫と聖女がやったのか・・・・・私、気になります!
次回まで待て、しかして希望せよ
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