多少強いだけのヒューマンが先輩なのは間違っているだろうか? (厨二病なりかけ)
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プロローグ

今まで本当に慎ましく普通の 村人として暮らしていたシンは一時村に来ていた冒険者に憧れた。

シンは今まで村から出るなどとは一回も考えたこともなかったが、この冒険者との出会いが彼を将来冒険者になるきっかけとなった。その冒険者のレベルは3と、そこまで高くもなく低くも無いといった感じだった。十分に強いのではあるが他の強い冒険者特にゼウスファミリアとヘラファミリアの主戦力の陰に埋もれていたような冒険者だった。そのような冒険者が村に来たのはここ最近村の近くにゴブリンの群れがいたという報告があったからであった。その冒険者はゼウスファミリアという迷宮都市オラリオの中でも一番を争うほどのファミリア所属であった。シンが住んでいた村は農作物をオラリオと貿易している村であり、そこまで遠くは無かった。そのため、貴重な農作物を貿易してくれている村を助けるために来ていたのであった。

シンはある居酒屋でその冒険者と出会った。

 

——居酒屋

 

冒険者「大将〜!聞いてくれよ〜俺だって別にそこまで遅くない成長を遂げてきてレベル3になったのに皆から影の薄い奴だな〜とか言われて付いた二つ名が『影人』だぜ〜。ネーミングセンスは悪くないのに付けられた理由が酷すぎるぜ」

大将「そんな話を俺にされてもな〜。・・お!シンじゃねえか!どうしたんだこんなところで?」

シン「うん、僕そこにいる冒険者さんに興味が湧いたんだ!だからお話してよ!冒険者のこと!」

シンがこの冒険者に会ったのは6歳の時だった。

冒険者「お!こんな子供に興味持たれたことなんて人生で一回も無かったな〜。よし、俺の輝かしい冒険者の記録について語ってやろう!心して聞けよ〜!」

シン「うん!」

そうしてシンは聞いた。酔っ払っていたこともあり、色々と冒険者に必要な基本的な知識や、どのレベルでどんな階級になっているのか、レベル6が今の最高のレベルだとか、色々な話をシンは朝まで聞いた。シンはこの話を聞いて、初めて村の外に興味を持った。

シン「(そんな夢みたいなことがあるんだな〜。今からでも少し体を鍛えて、一年後にオラリオで冒険者になろう!)」

こうしてシンは冒険者になることを決心した。彼は本当に一年間の間、親にオラリオに行くことを説得し、修行も軽く積んでオラリオへと向かった。シンの家は農家であり、畑仕事等の力仕事を手伝わされていた。そのため彼の体は6歳の中では中々に鍛え上げられていた。最初親、特に母親にはかなり反対されていた。しかし、彼が本当に冒険者に成りたいという気持ちが伝わると父は修行に手伝ってくれた。これでも父は元冒険者であった。彼がまだ若いころ、興味本意でオラリオへと行き、そのままの流れで冒険者となっていたのだった。父の最期のレベルは2と、大半の冒険者がレベル1で生涯を終えると思うと中々に強い者だった。父はレベルが2にあがるのに9年もかかり、そこからはファミリアの方針で、農作物を作り、そこで母と出会いそのまま結婚し、シンが生まれた。母も父と同じファミリアに所属しており、レベルは2で終わっている。母が反対している理由は彼女の親友の一人がダンジョンで命を落としているからである。母は父と違い中々に才能があり、3年でランクアップを果たした。実に父の三分の一である。しかし、彼女がもうそろそろでレベル3にも上がれそうな時に悲劇が起こり、そのショックで冒険者をやめた経験を持っている。このためか母親はそうしても大切な子供であるシンにはオライロには行かせたくなかったのである。

その意図を父から汲み取ったシンは半年以内に父から一本取ったら行かせて欲しいと頼んだ。

母はそれがほとんど不可能であることを感じていたためそれを了解した。父はランクアップするのが遅かったとはいえ、剣術だけでみれば二級冒険者にも匹敵するからである。父はほぼ十年の間もショートソードを使い続けていたため剣術には目を配るところがあった。

こうして特訓が始まった。

まずいつも通り畑作業の手伝いをするために朝早く起き、朝食をとりその後に約二時間父との特訓に励んでいた。その後も作業を手伝い、その合間にかつての冒険者がシンのためにと置いていってくれた体の鍛え方を書いてある本の指示通りにしていた。そこには上体起こしや、長座体前屈等の基本的なトレーニングメニューが書かれていた。朝昼晩にちゃんとご飯をとり、十分に睡眠を取るという生活を続けていた。シンには一週間に一回父と立会い、その時に一本でも取ればオラリオに行くことになっている。父はその時一切加減はしなかった。母にもしもワザと一本取られたと知ったら後が怖いからである。元々負けてやるつもりもなかったが。因みに父と母はステイタスを封印されている。もしもの混乱時があっても、相当な不運でなければそのままオラリオに逃げ込め、いざとなったら元主神にステイタスを解放して貰えばいいからという理由からである。そんなステイタスを封印されている父だが、それでも冒険者としての勘はまだ残っており、シンは全く歯が立たなかった。しかしシンはその度に反省点を見つけ、日記に記した。それからというものというもの相変わらず一本も取れていないが日に日に強くなっていた。その様子を見て、母も半年の間は試してみようということで母まで訓練を付けてくれるようになった。母は様々な武器を巧みに操ることができる、いわば天才みたいなセンスがあり、彼女のその器用さから生み出された高速変え、『ラピッドチェンジ』と名付けられた武器を瞬時に切り替えるという彼女のエクストラスキルとそれぞれの武器についてシンは教わった。そんな母の主流武器は父と同じくショートソードであったという。理由はやはりシンプルで使いやすい上に切り替えやすいというのが母にはあった。父と母では母の方が強いであろうが、ショートソードの扱いに関しては父の方が上だった。このことからシンはショートソードの扱いのノウハウを父から学び、それを元にして、母のエクストラスキルである『ラピッドチェンジ』を習得し、ショートソードから違う武器へと状況に応じて使えるようになることを目標とした。このことを毎日続けたシンはなんとこの特訓が始まって5カ月で父から一本取ってしまったのである。これでシンは見事にオラリオに行く許可を母から貰った。そして、シンは念のためにも完全に『ラピッドチェンジ』を習得するのと父のショートソードの技術をものにするためにさらに7カ月の間特訓を繰り返した。この結果ステイタス的にはそこまで強くなくても見事に普通にショートソードを扱えるようになった上に完璧とは言わずとも『ラピッドチェンジ』を習得していた。こうしてシンはオラリオへと旅立った。

まあ、旅立ったといっても距離は近いので馬車でたったの三十分といったところだった。そのため別に何事も無く無事にシンはオラリオへとたどり着いた。

シン「(これから僕の冒険者としての生活が始まるんだ!楽しみだな〜!)」

そのような想いを胸に彼はオラリオの門をくぐった。

彼がそこで見たのはとても賑やかな街であり、色々な人間が様々な場所にいたことに感動を覚えていた。

シン「こんなにすごい街だなんて思わなかったな〜」

そうして彼は目をキラキラさせながらオラリオを眺めていた。その様子を見ていた女神が一人いた。

??「なあ自分冒険者になりにここに来たんか〜?」

シン「・・ん?あ、すいませんオラリオの様子を見て少し興奮してしまって」

ロキ「そうか〜、まあそらこんなでかいところ他にはないやろうしな〜。あ、そういえば自己紹介してへんかったな、うちの名前はロキ。まだ小さいけれどロキファミリアっちゅうファミリアの主神をやっとる。よろしくな!」

シン「こちらこそよろしくお願いします。僕の名前はシンです。お察しの通り冒険者に成るためにここにきました」

ロキ「やったらうちのファミリアに入らへん?三人おんねんけど、それがまた問題児たちでな〜。一応まとめ役がおんねんけど、そのうちの二人がまさに犬猿の仲っちゅうやつでな」

シン「それは大変ですね。(そのまとめ役の人が)その人たちの年齢は?一応そういうのを知っておかないといけないと後々面倒になるかもしれませんし」

ロキ「ええっと、そのまとめ役の名前がフィンで小人族でもあるんや。リーダーシップがとれるすごい優秀な眷属や!年齢はたしか三十代だったはずやで。そしてドワーフをガレス。こっちは怪力とあほみたいな耐久が売りの眷属や!年齢はフィンよりも十歳年上やったはずやで。最後の一人はなんとハイエルフで超美人なリヴェリアや!魔法を扱っててそれらすべてが一回放つだけで状況を引っくり返すような強大な魔法を使う自慢の眷属や!」

シン「なるほど、っていうか肝心の年齢は?」

ロキ「・・ほないこか!」

シン「あ・はい(ハイエルフっていうぐらいだから歳をだいぶ重ねてるからなのかな〜)」

このシンの予感は見事に的を得ていた。彼女こそが最年長なのだから。これを知るのは少し後のこととなる。

こうしてシンはロキに連れられホームらしき小さな家に入った。

 

リヴェリア「ふん、こんな薄汚いドワーフと一緒にいるなど、もう我慢ならん!とっとと出て行け!」

ガレス「なんじゃと〜!この横暴エルフが!」

リヴェリア「なんだと」

ガレス「やるのか?」

フィン「まあまあ落ち着いてよ」

リヴェリア・ガレス「小人族は黙ってろ!」

フィン「・・はあ・なんでこういうことに毎回巻き込まれるんだろう・・ん?やあロキ誰だいその隣にいる子は?」

ロキ「ああこの子は新しく入ることになったシンっていうやつや!仲良くしてやってな!」

リヴェリア「む?ああこれはすまない。私の名前はリヴェリアこれから仲間としてよろしく頼む」

ガレス「お?よろしゅうな〜小童。わしの名前はガレスじゃ。お主小人族か何かか?」

シン「いや、ただ7歳っていうから小さいだけであって、種族はヒューマンだよ」

フィン「そうか小人族ではないのかい。ああ、申し遅れたね、僕の名前はフィン。小人族の復興を目指す者さ」

シン「そうか、自己紹介ありがとう。僕の名前はシン。まだ弱いとは思うけど三人に追いつけるよう頑張るつもりだよ」

ロキ「うんうん、いい感じに仲良くなったみたいやな〜。ほなシンには恩恵を与えなな。ちょっとこっち来てくれへん?」

そう言われてシンはベッドの方へと向かい、ロキに寝転ぶよう言われたため寝っ転がった。

シン「どうやって恩恵を与えるんですか?」

ロキ「ん〜。自分の背中にうちの血を使ってステイタスを刻むんや。それを皆は神の恩恵っちゅうんや」

シン「へ〜ではお願いします」

ロキ「うんまかしとき〜」

そうして少し経った頃にステイタスがちゃんと刻まれた。

ロキ「どれどれ?」

 

 

シン

種族:ヒューマン

 

lv1

 

力  :I 0

耐久 :I 0

器用 :I 0

俊敏 :I 0

魔力 :I 0

 

『スキル』

 

『武器マスター』

 

全ての種類の武器に対しての適正アップ。

 

『精密士』

 

器用に高補正。

物造りにたいする器用補正。

 

 

『魔法』

 

『錬金』

 

超短文詠唱。『錬金』

 

一つの物質を対象にし、頭で思い浮かべた物にその物質を使って作られる。材料が足りないのと、

イメージがちゃんとできていない場合は中断される。

 

 

ロキ「どっひゃー!なんやこのレアスキルはー!しかも魔法まで発現しとる!」

シン「え、本当ですか?」

ロキ「うん、いま共通語に直すしちょっと待っててな」

そうしてロキはステイタスの紙をシンに渡した。

シン「おー!中々にいいスキルと魔法ですね」

リヴェリア「なになに、なんだこのレアスキルは!しかもこの魔法も使い所が良ければかなり強い魔法じゃないか!?」

ガレス「なに!?・・はははこれはたまげたの〜」

フィン「本当だよ。シンが仲間になってくれたんだから心強いね」

シン「じゃあ一緒にダンジョンに潜っても大丈夫なんですか?」

フィン・ガレス・リヴェリア「もちろん!」

シン「ありがとうございます!これからも精進していくつもりです。これからもお願いします」

こうして彼の冒険は始まった。ある一つのスキルをロキに隠されたまま。

 

ロキ「(このスキルは生涯教えられへんな)」

 

『大器晩成』

 

大成する。

成長が止まらない。

ランクアップするのに必要な経験値が増える。

このスキルを自覚した時、このスキルは消える。

 




次の話で大分時間が飛びます。


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