俺がフェルトになっていた (YAYOI@小説書き始めました)
しおりを挟む

第1話 おはようございます、俺はフェルトになりました

ある朝の事、男はフェルトになりました。


俺の仕事は役所勤務。勤務時間は朝の10時から夜の6時と、大体は決まっている。

8時に起床し、顔を洗い、朝食を作り、スマートフォンでニュースを見て、時間になれば役所へ向かう。

 

ピピピピ......

 

「んあぁ...うるせぇなぁ...」

 

カチャッ

 

寝ぼけ眼で目覚ましを止める。

 

だが、その目覚ましにある手は、明らかに自分の物ではなかった。

 

細くキメの細やかな小さな手。

 

俺の手はもっとゴツゴツしていて毛も生えていたはずだ。

 

これはおかしい。

 

いや、でもこれは寝ぼけているからか?

 

布団を退け、眠気を払いむくりと立ち上がる。このタイミングで、さらなる違和感を覚えた。

 

明らかに目線がおかしい。

 

机の高さはだいたい自分の腰くらいの高さだった。

だが今は肩の高さ程ある。

テレビも同様。

何よりも布団のスケールがでかすぎる。俺の体よりも少し大きめの布団を購入したはずだが、今では人一人分のスペースが余っている。

寝間着の裾も余りに余っている。

自分の体に合わせて購入したはずだ。

 

それに、俺は仕事柄、ビジネスヘアだったはずだ。

だが、髪型は違った。

言葉では言い表せないようなヘアスタイル。女性はこのヘアスタイルの名前はわかるのだろうが、彼女がいなかった俺は全くわからない。

何かしらの黒いリボンのようなもので髪を括っている。

髪の毛は黒髪だったはずが、なぜか鮮やかな金色へと変色している。

 

これはいよいよ持っておかしい。

 

俺は、洗面所へと移動し、寝ぼけてるのだ、と自分を錯覚させ、顔を洗うことにした。

 

だが、まずそこに行くまでに通る廊下や扉の取っ手の位置、天井の高さなど、全てがスケールアップしていた。

最早、自分が小さくなったか、家が大きくなったかと言わんばかり。

ドアなんて取っ手の位置が高いせいで、開けづらい、なんてことに。

 

だが、これも自分が寝ぼけているせいだ、そうだと自分に言い聞かせる。

 

洗面所に着いた俺は、電気をつけ、鏡の曇りを手で擦る。

 

「な、なんだこれ...」

 

鏡に映ったのは、金髪で赤い眼をしている黒いリボンを頭に括り付けた、小さな少女。

声色もしっかりと元の俺ではない、少女の物へと変貌を遂げていた。

自分が手を挙げると、鏡に映る少女も手を挙げる。

口を開けると、鏡の中の少女も口を開ける。

ここまで来てしまっては、もう疑いようのない事実だった。

俺は、目が覚めたら金髪の少女になっていた。そう言わざるを得なかったのだ。

 

だが、俺はこの見た目を、どこかで見た事がある。

 

 

______________________

 

 

 

「よぉにいちゃん、わたしになんかようか?」

 

______________________

 

俺は、思い出して絶句していた。

 

その見た目は、「Re:ゼロから始める異世界生活」で登場する貧民街の女の子、「フェルト」の見た目そのままだったのだ。

 

「嘘だろ...?」

 

______________________

 

不思議な事に、俺は不可思議な出来事と驚きが入り混じり、逆に落ち着いていた。

人は不思議な出来事に遭遇すると、一周回って落ち着いてくると言うのを聞いたことはあるが、まさか本当にそうだとは思わなかった。

とりあえず職場の同僚にLINEを使い、『ちょっと声が全く出ない上に体も動かしずらいんだわ、ちょっと今日は休む』との連絡を入れた。

 

その休みを利用し、家に引きこもって何度も自分を再確認した。

 

まず1つは、俺の寝ぼけと脳内妄想が掛け合わさり、俺の脳は俺自身を「リゼロのフェルト」と錯覚をしているのではないか、と。

これは、近くのよく行く店で試したのだが、商品の場所を聞くふりをしていたが、

 

「なんて可愛い女の子!金髪でも髪を染めた不自然な色じゃないし、眼の色も赤色だし、どこの国から来たのかしら?分からないことがあったら、わたしもそうだけど他のスタッフにも聞いてね!!」

 

と、パートしているスタッフに言われたので少なからずは俺は今、女の子であることは間違いないらしい。金髪で赤い眼で、と言うのは俺の妄想ではなかったようだった。なお、服装に至ってはそれらしい格好にしている。

 

そして次に確認したのは、ちょっとアレな話だが下半身の話だ。

これは当たり前といえば当たり前だが、ついていない。

長年付き添って来たものがないのは少し違和感を覚えた。

トイレ関連に関しても全て女性のものになっていた。

女性特有の生理や子宮などの女性機能についてはまだ分からない。

て言うか、わかりたくもない。

特に生理は辛いと聞いたことはあるので、経験することはいつかはあるだろうが、経験したくないものだ。

 

最後は、俺の本体はまた別のどこかにあるのではないか、と。

これに関してだが、LINEを見るとしっかりと今日は休みになっているようだった。仕事の休憩時間に『大丈夫ですか?しばらく休みにしておきますから、安静にしてくださいね』と、送られているからだった。

 

これらから導き出された結論は一つ。『俺は、なぜか金髪赤眼の少女になってしまった』。しかもなってしまったその人物は空想上のキャラである「フェルト」なのだ。もう訳わかんねぇな、これ...

 

______________________

 

 

さてと、この現実を受け止めて生活するのはまだまだ厳しそうだ。だが、時間は有限だ。待ってはくれない。そんなこんなで呆然としていると、時刻は昼の1時を回っていた。

空腹も強くなってくるし、これからの対策をする...と言ってもどういった対策をすればいいのか分からないし、時間だけがどんどんと過ぎて行く。

さっきから考えていることは、『昨日特別なことやったっけ?』と言うものだ。こう言うことが起きるのは、小説や漫画では決まって何か特別なことをしていたと言うことが多いだろう。毎日の習慣というとリゼロのラノベを読んでいた、ニュースを読んでいた、ぐらいだろうか...だが、いくらなんでもラノベを読んでいたからと言って自分の姿がフェルトになるとは正直あり得ないことだ。

だが、考えられるのはそのくらいのことだろうか。

 

 

______________________

 

 

俺は今日の一連の出来事で、すごーーーく疲れていたのだろう。と俺は思う。

 

Re:ゼロから始める異世界生活のフェルトなってしまった。だが本当はいい歳した男が引きこもっているだけなんだが。

そう思いたいが相変わらず鏡に自分の姿を映すと相も変わらず金髪赤眼美少女だ。

ええと、とりあえずこの体はいまはフェルトの体でいいんだよな...?

とりあえず今日は寝ることにしよう。明日になったら戻ってるかもしれないし。

というか、戻っていてほしい。

 

戻っていなかったら仕方ないが、この体で存分に楽しませてもらおう。




アニメ世界に転生、というのはよくある展開でしたが、アニメ世界のキャラが現世の主人公に憑依、というのはなかなかないと思うので書き始めました。
憑依と言っても、フェルトの体だけが主人公の体に憑依しているので、フェルトの意識はありません。投稿は不定期ですがよろしくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 とりあえず町へ飛び出した

実に半年ぶりの投稿です!失踪はしていません!というか、こういうジャンルあまり無いので失踪したく無い!
これからも失踪せず不定期に書いていきます!
あ、あと自分の他作品のアイドルマスターの二次創作も是非!


俺は、ビジネスマンだったはずだ。

だが、なぜか今日、眼を覚ますと「Re:ゼロから始める異世界生活」のフェルトの肉体だった。

 

これは紛れも無い事実であり、決して幻想ではない。

 

それの証拠を自分で数々見つけてきた。

 

だが、これから先、どうすればいいのだろうか。

 

 

 

______________________

 

 

とりあえず、会社への休みはある程度取れた。

 

家にずっと引きこもっていても、実際何も変わらない。

とりあえず町へ出て見ることにした。

 

幸い、現金もある。

現金がなくなっても、暗証番号さえ覚えていれば、口座から現金の引き出しはできる。

しばらくは過ごしていけそうだ。

だが、休みはずっと取れるわけでは、当然ながらない。

この休みの中で、どれだけの情報を知ることができるか、が鍵になりそうだ。

 

 

______________________

 

 

 

とりあえず、外に出たはいいものの、何をすればいいのかわからない。

 

ちなみに、衣服に関してだが、男の時に使っていた服を、切るなり縫うなりして、できる限り今のこの体に合うサイズとイメージにした。

だが、やはり今着ている下着は男ものであり、若干の違和感がある。

胸もフェルト自体貧乳だがないわけではないわけで、少し擦れて痛い。

自分でも気が乗らないが、先ずは衣服が優先だな。

 

 

 

______________________

 

 

とりあえず、下着ショップに着いた。

最初は入るのにかなり抵抗があった。そりゃ元男だし、抵抗するのも当然。

だが、今の肉体は女性である。

それを踏まえ、足を踏み出した。

 

「すみませーん、下着の方を買いたいのですが」

 

恥ずかしながらに口に出した。

 

しかし、自分から発される声が自分の物ではない時の不安感は凄い。

 

「いらっしゃいませっ!お客さん、可愛いですね!!!」

 

「あ、ありがとうございます」

 

可愛いのは当たり前だ。なんせフェルトなんだからな。

 

「下着をお買い求めですね?それではスリーサイズをお願いします」

 

スリーサイズなんて知らんわ...

 

というかもし測定されるとしたらどうしよう、下半身に履いてる下着が完全に男物なんだが。

 

「お手数ですが、スリーサイズがあまりはっきりわからなくて...測定お願いできますかね?あ、BとWだけでいいです」

 

「畏まりました、では、失礼ながら」

 

俺は試着室に連れて行かれ、上半身の服を全て脱がされた。流石にこの幼女の肉体では大丈夫かと思ったが、やはり自分の体ということを考えると、どうも如何わしい気持ちになってしまう...

 

「お客さん、まだブラジャーはつけたことないんですか?」

 

「はい、恥ずかしながら」

 

恥ずかしながらとは言ったものの普通に昨日まで男だったんだからつけたことがあるわけがなく。

 

「お客さんぐらいのサイズだと、つけてる方がいいですけどね...こんな綺麗な形、つけていないと崩れてしまいますから...」

 

なるほど、女の体ってそんなものなのか...と思いつつ、話を聞く。

 

______________________

 

 

そうこうしているうちに、BとWのサイズ測定が終了した。

 

メジャーが冷たくて、少し感じてしまった事を恥ずかしく思う。

 

「お客様のBとWですが、Bはカップ数で言うとBカップになります。Wは55センチですね」

 

ふむふむ、フェルトのスリーサイズのバストBカップ、ウエストは55センチ...と。

フェルトはもっと貧乳だと思っていたが案外大きかったようだ。

そりゃ擦れて痛いわけだ。

 

「Bカップのブラジャーはこちらになります」

 

そこは、男達が花畑と言う様な場所そのものだ。

 

その場で下着を買い、店を出た。

 

______________________

 

 

次に買う物は衣服だろう。

今の衣服では少々フェルトの可愛いイメージを崩してしまっている。

 

ちなみにだが、下着の色はピンク色でレースの入った物を買った。

その場で履いてきたはいいが、ブラジャーの付け方に苦戦を強いられた。

パンツを履いた時なんて、女子ってこんな裸みたいなのを履いているのかと思いゾッとした。

 

とりあえずはフェルトの体に合う服を探した。

 

______________________

 

結論的に至ったのは、貧民街で暮らしていた時のような動きやすく、尚且つ可愛い物を選んだ。

流石にこの格好になるとフェルトになりきれたというか、自分がフェルトだという事を肌で感じられるように思えた。

だが、自分の恥ずかしさも両立しているため、どういう感情かわからないままでいる。

 

服装も決まったし、のんびり歩いたりした。色々な店に行って、ウインドウショッピングというものを初めてした。

女の子でしか行けないような可愛い雰囲気のお店に行ったりもした。

すごく有意義なお出かけになった。

 

______________________

 

「あー、やべぇ、もう夜じゃん」

 

色々な店に入ったり時間を潰していたら、いつの間にか夜になっていた。

 

俺はいそいそと、家路に着くことになった。

 

実際、今はフェルトの肉体であって、元のおっさん臭い見た目ではない。

なので、できる限り夜はウロウロしたくはなかった。もし、ここでちょっとヤバいやつに出会ったらどうしよう、そう考えていた。

だが、それはフラグとなり、フラグを建築してしまう。

 

______________________

 

途中に曲がり角があり、それを曲がる。

 

その時、誰かにぶつかってしまった。

 

「いってぇなぁ...何しやがる!って、可愛い嬢ちゃんだな、一体何やってんだこんなところで」

 

ぶつかった人物を見る。

自分の身長がフェルトなせいで小さくなってしまったのもあるんだろうが、目の前にはオラついている身長が高くガタイの良いヤンキー数名だった。

 

「よく見たら嬢ちゃん、いい顔といい体してんなー!どうだ?俺たちと一緒にホテルに行って一発ヤらねぇか?」

 

その男達の口ぶりからして、俺をホテルに連れ込み、弄ぶつもりらしい。

 

だが、其奴らには不思議と恐怖感が湧かなかった。

前の時の俺だと間違いなく怯えて、足が震えて動けなかったはず。

だが、フェルトの肉体だと、震えなど全くなく、恐怖感も全くない。

これはフェルトの体だからだろうか。

 

「へっ、お前らとなんかヤりたくもねぇよ、イキリが。じゃあなー!」

 

恐怖感もないあまり、思いっきり怒りたくなるようなセリフを吐いた。

まぁ、フェルトになりきってみたかっただけなんだが。

 

当然、ヤンキーらは逆上。

 

「っつ、てめぇ!!!!」

 

やはりこちらに向かってパンチを出す。

 

だが不思議だ。相手のパンチが遅く見えた。

 

「よっ、っと」

 

「おいおい、お前らはこんなにも弱いのか?その見た目して貧弱だな」

 

「おめえら!全員でこいつを捕まえてヤっちまえ!!!」

 

リーダー的存在の一言で、周りの奴らが一斉に殴りかかってきた。

 

だが、やはり全て遅い。

全ての拳を正確に避け、その度に鳩尾に蹴りやパンチをぶち込む。

気づけば目の前には、疲れ切ったヤンキーらの姿がいた。

 

「お前、なんなんだよ!!??」

 

「さぁな。しらね。じゃあな!」

 

怯えていた其奴らに背を向け、家路へと戻った。

 

______________________

 

 

「ただいまー」

 

誰もいない暗い部屋の中、自分だけの声が響く。

当然だが、返ってくる言葉もない。

 

疲れ切っていたせいか、即座に湯船に湯を溜め、風呂に入った。

 

パジャマははどうしようか。

あの服を買う前の服でいいか。

 

来ていた衣服、下着を脱ぎ、お風呂へ入る。

 

風呂場の鏡に自分の姿を写す。

 

どこからどう見てもフェルトそのものだった。

長年連れ添って来たものも無いし、胸にはあるはずないものが付いている。

 

少し自分の裸を見て、危なくなってしまった。

 

これ以上見ていると本当にヤバいため、早めに湯に浸かる。

 

今日あったことを整理すると、やはり可愛いと言われている時点で、俺の幻想という路線は無くなった。

勿論、ヤンキーにも可愛いとは言われない。しかも、あいつらをボコボコにした身体能力、あれは間違いなく俺の物ではない。

 

俺は、昔っから運動神経がなく、スポーツもダメ、50メートル走も10秒台という遅さだった。

それを考えると、あの身体能力はフェルトのもので間違いないだろう。

 

知れば知るほど謎が深まるばかりだ。仕事が休みの間に、自分の体に戻れるのだろうか。

 

最悪戻れなくても、フェルトの可愛さがあるから、なんなと食いつないで行けそうだが。

 

今日も色々なことが多すぎた。早く風呂から出て、寝床につくとしよう。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 新事実と知り合いへの顔見せ

ちょっと書いてて楽しかったのでもう1話!


ピピピッ、ピピピッ。

 

鳴り響く目覚ましを寝ぼけ眼に止める。

 

「ふぁあぁぁぁ...」

 

自分の体から自分とは程遠い声が聞こえる。

そう、今の俺の体は元の俺の体ではなく、フェルトの体だ。

 

布団を退け、起き上がる。

 

「ん?」

 

布団を退けた際、退けるのに使った右腕に、何かが当たる。

 

「...!?」

 

驚きを隠せず、その場で固まってしまった。

何故固まったかというと。

 

「zzzzz......」

 

「な、なんで俺の体がここにあるんだよ...!?」

 

俺の布団に一緒に寝ていたのは、なんと俺の体だった。

 

______________________

 

 

 

ええと、とりあえず今の現状を整理しよう。

 

俺は、一昨日までは男の、自分の体で生活をしていた。

だが昨日の朝、目が覚めたらRe:ゼロから始める異世界生活の貧民街の少女「フェルト」に姿が変わっていた。

これは、幻想でもなんでも無い。

実際に外に出て見たが、やはり「可愛い」と言われたり、ヤンキーに性の対象にされるなど、絶対にあり得ないことが起きたためである。

 

 

______________________

 

 

 

そして今日だ。

 

どういうことだ?俺の体はフェルトのままで、ベッドの横に俺の体がある、この状況は!?

 

ちょっとよくわからない。

だが、俺自身は気持ちよくぐっすりと寝ているようだった。

起こしてはいけないと思い、そのままベッドに寝かせておくことにした。

 

だが、この事実を知ったところで、俺がこの体の原因はわからないわけで。

 

とりあえずは今日もこの姿で過ごしてみよう。

 

今日は何をしようか...

そう思ってた矢先。

 

ピロリン♪

 

スマホのメール着信音が鳴った。

フェルトの慣れない小さな手を使ってスマホを確認する。

 

[よう!お前、仕事休んでんだろ?久しぶりに会おうぜ!]

 

そのメールは同僚からのメールだった。

だが、今のこの状態で普通なら会う気にはなれないはず。

だが、俺はメールでこう返信した。

 

[いいぜー、場所はマクドナルドでいいな?]

 

会うことを決めたのだ。

 

[おう、いいぜ、じゃあ昼間の3時集合な!]

 

との返事だった。

 

そして集合の予定時刻まで時間があるので、試しに、殴る動作や蹴る動作を試してみた。

 

ビュン!

 

「な、なんだこれ...」

 

フェルトの華奢な体から打ち出されるパンチとキックは、風を切る音が聞こえるほどに素早いものだった。

 

これで、正真正銘自分の体では無いことが証明された。

 

というか、こんなパンチやらキックやらがすごかったら、大体負けなくね?と思ってしまったのである。

 

______________________

 

 

 

そして、時間に間に合うよう、家を出た。

 

そしていつも通り電車に乗ったのだが、予期せぬことが起きた。

 

なんと、俺のお尻を触ってくる痴漢が居たのだ。

 

男の俺が痴漢に会う日がくるなんて...でもやっぱり俺の見た目はフェルトだっていうことだ。

 

痴漢の手をガッと掴み、痴漢の顔を見る。

 

痴漢の顔は喜びに歪んでいた。

どうせ、上から目線で睨んでいることが相手が嬉しくなる行動だったのだろう。

その後、握っていた痴漢の手を思いっきり強く握った。

 

「痛い痛い痛い!!!!」

 

痴漢は痛そうな顔で声を発した。

 

周りからの目線を向けられる痴漢。

 

そこから、その男は俺の体を触ってくることはなくなった。

 

でも、ちょっと痴漢の体験ができてよかったかもと、変な感情を持つのであった。

 

 

______________________

 

 

待ち合わせのマクドナルドについた。同僚が待っている。

ちなみに同僚もラノベやアニメがすごく好きで、リゼロのラノベやアニメなどをしっかり見たり読んだりしていた。

なので、この見た目を見たら気づくかもしれない。

 

とりあえずあいつに顔合わせをする。

 

「よお、待ったか?」

 

話しかけたが、こっちを見たその瞬間、形容しがたい顔になっていた。

 

「は?なんでリゼロのフェルトがここにおるん?しかもあんた誰!?」

 

まぁ、そうなるよな。

 

______________________

 

事情を話した。

 

「なるほど、そんなあり得ないことが...」

 

「ああ、少しあり得なさすぎる。朝起きたらフェルトになってて次の日の朝に自分の体がベッドにあるんだからな...」

 

「そりゃびっくりするよな...俺たちが愛してやまないリゼロの、しかも登場人物の女子がなぁ...」

 

二人で納得する。

 

「しかしお前、マジで見た目フェルトなんだな。男のシンボルとか無いのか?」

 

興味津々で聞いてくる。そりゃそうなるだろうな。

 

「そりゃ無いに決まってるだろ?ちゃんとフェルトは貧乳だけど胸もあるし、今履いてる下着も女物だよ」

 

「流石に女物履くの抵抗あるんじゃねぇか?」

 

「そりゃな、元男ですから。定期的に下着を買いに行かなきゃいけないし、いずれ慣れるでしょ」

 

「いや、慣れたら慣れたでそれは問題な気が...」

 

「それだったらトイレもじゃねぇか?トイレするたびにちょっと変な気持ちとかにならねぇか?」

 

「まぁ、そう聞かれましたら、そうだけど...」

 

「じゃあ、ちゃんとアレもしてるって言うのか?」

 

「いや、それはまだ...そこまでの勇気がまだ出ない」

 

「早くしろよ!!!そんでもって俺に感想教えてくれ!!」

 

「うるせぇ!こんなとこでする話かそれ!!!!」

 

そんな会話を二人で交わした。

 

______________________

 

 

「そういや俺さ、明日休みなんだけど、お前の家に泊まってもいいか?」

 

「ん?いいけど」

 

「よっしゃー!!!やったぜ!!!」

 

「おいおい、そこまで喜ぶ必要か?」

 

「だって、幾ら同じ男だからとはいえ俺の愛してるラノベの登場キャラが目の前にいるんよ?そりゃテンション上がって当然だろ」

 

「しかもフェルトの入った風呂の残り湯に浸かれるとか最高かよ!」

 

「いや、それは流石に引くわー。」

 

こいつ、予想以上の変態だったらしい。

 

「ま、そんな冗談は置いといて、まじで今日は泊まっていいんだよな?」

 

「ああ、いいぞ。明日でちゃんと帰ってくれるって言うんだったらな」

 

「わかってるって!明日でちゃんと帰るよ!」

 

「わかった。それじゃあ俺の家に行くぞ」

 

「はいよ!」

 

同僚を連れ、家路へと着くのだった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 大変なことが起きました

同僚を家に泊まらせるという約束をした俺だが、今考えると、俺が寝ている際に、痴漢まがいなことをされないかが一番心配である。

 

まぁ、この体だし何かあってもすぐ抜け出せるだろ。

 

なんせフェルトなんだしぶっ飛ばすぐらい容易でしょ。

 

「そんでさ、やっぱりフェルトの体に、朝起きたらなってたって話、何か心当たりはないの?」

 

「心当たりと言われてもなぁ...前の日の夜にリゼロの小説を読んでたくらいしか考えられないんだが、そんなことで体が変わるなんてそんな君の◯はみたいな展開あるはずないでしょ」

 

「まぁ、そうだよな、大体実在しない人物だし架空のキャラだからなぁ、なんでそのキャラが現実に来てしかも自分の体になってるんだって話だし...」

 

「第一、高林もそんなことあったら流石に喜びより恐怖と戸惑いの方が勝つだろ?」

 

「いいや、俺は喜びの方が大きいね!」

 

「実際に体験してないだけで、体験したらそうも思えんからな?」

 

「ハイハイワカリマシタ」

 

「(うっわ...こいつなんもわかってねぇ)」

 

ちなみに同僚の名前は「高林浩介」。

 

こいつがアニオタというのは昔からわかっていたが、ここまで重症患者だったことは長いこと付き合いのあった俺でさえ初めて聞いた。

こいつ今までどんだけ隠してたんだ...むしろよくバレなかったな。と思うほどである。

 

「今日はアタシの家に泊まらせてやるけど、アタシに変なことするなよ?したら絶対ぶっ飛ばすから!」

 

どうだ、フェルトっぽく言ってみたぞ。

これでこいつには大ダメージのはず。

 

「あぁ...今俺、フェルトに怒られてるんだ...夢じゃないよな?...」

 

「おい(コツン)」

 

「いてっ!痛みがあるってことはやっぱ夢じゃねえんだな...」

 

「高林まだボケてんのか、ここは現実で、俺は東島龍太だ、フェルトじゃねぇぞ」

 

「っぷwwwwwwwおめぇフェルトの見た目で名前喋ったら違和感しかねぇwwwwwww」

 

「っっっるせぇなぁ!この名前自分でも恥ずかしいんだっつーの!右フックくらわせんぞ!」

 

「フェルトの右フックをくらえるなら本望ですわグヘヘ」

 

「うわっ、オメェ気持ち悪りぃ!」

 

「何を言うか!お前もフェルトになってから、どうせフェルトの裸見放題なんだろ?羨ましいぞこのやろう!」

 

「それは男の時に見たときの感想であって、まさか自分がフェルトになるなんて思ってなかったし、自分の体になったら話は別だ!!!!...まぁ、フェルトの貧乳具合とか色々みてムラムラしなかったと言えば嘘になるけど...」

 

「ほらやっぱりそうじゃねぇか!オメェも気持ち悪りぃ!」

 

「っっるせぇ!フェルトの超速右ストレートくらわせるぞ!」

 

「あぁ、フェルトの超速右ストレートくらうとか本望...」

 

「うわっ気持ち悪りぃ!」

 

「うるせぇ!」

 

 

 

 

......

 

 

 

 

「「あはははははははは!!!!!」」

 

二人して、仲良く大笑いをする。

 

「お前、やっぱ龍太なんだな、フェルトが真似てるんだと思ってたぜ」

 

「当たり前だろ?俺は東島龍太だ、それ以上でもそれ以下でもねぇよ!」

 

「やっぱ俺たちはこうじゃなきゃな!」

 

「ああ、そうだ!俺たちの本来の姿はこれだからな!」

 

俺たち二人は同僚でもあり親友でもある。それが垣間見えた。

 

「ただ、やっぱりフェルトが目の前にいるとなるとクラクラするな...」

 

「お前もういい加減それ言うのやめてくれ俺もいろんな意味でまずくなるからよ...」

 

少し照れ顔で、伝える。

 

「ウッ......尊みを感じる...」

 

「いや、中身俺だぞ!尊みを感じるんじゃねぇ!」

 

「フェルトの見た目だけで十分だ...」

 

「あーもう!!!早よ行くぞ!」プンプン

 

この行動が、高林をさらに尊さの高みに上り詰める行動だったと言うことを東島は気づかない...

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

「ただいまー」

 

誰もいない部屋にフェルトの可愛げのある声だけが木霊する。

 

「お前、一人でいつもこんなことしてたのか?」

 

「まぁな...誰もいない部屋で静かに入るよりかは、まだ一言言って入る方がマシだろ」

 

「いや、それ逆だと思うんすけどね...」

 

「それじゃあ上がっていいぞー」

 

「お邪魔しまーす」

 

「まぁ、見ての通り汚い部屋だけど、それでいいならゆっくりしてってくれよ」

 

「あ、ああ...予想以上に汚いな...」

 

「そりゃ、男の一人暮らしだぞ?汚くなかったらどんだけ女子力高いんだよ」

 

「いや、フェルトの見た目で言われも説得力ないし...」

 

「おい、龍太、その服...」

 

「ん?その服...って、うわぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

しまった!!!!フェルトに着させたら可愛いと思って買っといたメイド服とかいろんな服、なおしとくの忘れてた!

 

「お前、そう言う趣味が...」

 

「違う!!!!断じて違う!!!!この服をフェルトに着させたら可愛いだろうなって思って買ってたんだよ!」

 

「なるほどなー...で、それを自分で着て、写真を撮って楽しむと。」

 

「そ、そんなつもりじゃねぇよ!!!!写真は撮らねぇよ!楽しむつもりではあったけど...」

 

「ふーん...」

 

「俺のことは嫌いになってもフェルトのことは嫌いにならないでください!」

 

「いや冗談冗談、俺もフェルトの見た目になったらそう言う服着て楽しみたくなるから。一緒一緒」

 

「ほっ...良かったー...」

 

「てことでその服着てください」

 

「へっ!?今!?」

 

「そう、今」

 

「ま、まって心の準備が」

 

「だめだ今やれ!」

 

「今じゃなきゃ...ダメ?(上目遣い涙目)」

 

どうだ、フェルトの上目遣い攻撃だ、くらえ!

 

「おいそれはずるいわ...わかったよやりたくなったら言ってくれ!」

 

「マジかありがとう!(キラキラ目)」

 

うわー...コイツめっちゃチョロいわぁ...フェルトのことを好きと相まって、チョロリコンだわぁ....

 

「くそぉいちいち表情が尊い...」

 

「(フェルトっぽく演じたのは大成功だったみたいだな、効いてる効いてるwww)」

 

「そういえば、お前の体はどこにあるんだ?」

 

「あ、俺の体、今ベッドで寝かしてるぜ」

 

「ちょっと見に行っていいか?」

 

「いいけど、別にいつもの俺と変わらんぞ?」

 

「いいから頼むぜ」

 

「おっけーわかった」

 

俺は、高林を俺の元の体を寝かせているベッド前まで案内した。

 

 

______________________

 

 

「...うん、いつもの東島と変わらんな」

 

「そうだろ?だから別に意味ないって言ったんだよ」

 

「(でも、朝見たときより心なしか場所が移動してる気がするんだよなぁ...)」

 

ピクッ

 

「ん?なんか今動かんかったか?」

 

高林が呟く。

 

「確かに動いたな、俺も見たぞ」

 

確かに動いた、少しだけだが。

 

その後、俺たちは信じられない光景を目にする。

 

 

 

 

 

「う...うぅん...ここはどこだ、アタシに何があったんだ...?」

 

「俺の体が、起きただと...」

 

「おい、この言葉遣い聞き覚えないか?」

 

「高林何言って...」

 

そうだ、この言葉遣いは...

 

 

 

______________________

 

 

 

「アタシ?アタシはここの貧民街に住むフェルトってんだ、よろしくな兄ちゃん!」

 

 

 

______________________

 

 

「「あぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」」

 

「(これは面白くなってきたぞ...!?)」

 

高林が心の中で呟き、笑みをこぼすのであった。

 

 




お久しぶりです。11ヶ月ぶりの投稿です。
無事に就職でき、社畜生活を送っています。
今までよりかは書くかもしれませんが書かないかもしれませんが書くこともあるかもしれません。
相も変わらず不定期なのでゆったりと待っててください。ではでは


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話【状況確認】

11ヶ月ぶりの第4話でしたが、待ってました!とのコメントもいただき、大変うれしく思っております。
さて今回は前回、東島の体が起き上がり、フェルトらしき魂が入り込んで、二人同時に叫んだところで終わりでしたが、今回は途中から入った人のためにある程度どう言う流れで体が入れ替わったかを説明します。
ではでは〜


「そうだ、とりあえず状況確認をしよう。」

 

そうだ、こう言う時こそ状況確認だ。

状況確認をして冷静さを保つ。

 

「まず、本題に入る前にお互いの自己紹介をしよう。

俺の名前は「東島龍太」。リュウタとでも呼んでくれ。」

 

「兄ちゃん、貴族だったのか...?」

 

「まぁ、貴族ではないが....ああ、そのようなものだ。その話はまた後で話そう。」

 

俺が異世界人で、しかもフェルトが空想上のキャラクターってことを今話してしまうとパニックになりかねないからな。今はそういう風に通しておこう。

 

「わかったぜ、リュウタ。アタシの名前はフェルト。貴族でもなんでもない貧民街のヤツだから、アタシにはにいちゃんみたいな名前はない」

 

「おう、よろしくなフェルト。」

 

ああ、知ってるぞ、俺が愛して止まなかった「Re:ゼロから始める異世界生活」の登場キャラクターなんだからな。

これも言ってしまうと何故知ってるのか問い詰められるだけだから、黙っておこう。

 

「それと、にいちゃんの横にいるにいちゃんは誰だ?」

 

そして高林の方を指差す。

 

「ああ、コイツか、コイツは高林浩介。俺の中のいい友達ってところかな」

 

同僚って言っても多分フェルトには意味がわからないだろうからな...友達で通す。

てか、実際友達なんだけどな。

 

「ふーん...まぁ、よろしくな、コースケ。」

 

「ああ、よろしくな」

 

「(あぁ...今俺はフェルトと喋ってるんだ...)」

 

勝手に尊さを感じている高林であったが、東島とフェルトは知る由もなく。

 

 

______________________

 

 

「さて、本題に入ろう。」

 

「俺は、3日前、普通に寝たんだ。そして目が覚めたら、何故か、フェルトの体になってて...」

 

本当にあれは謎だった。目が覚めたらいきなり肉体がフェルトなんだもんな。

 

「アタシも、昨日普通に寝たんだ。そしたら兄ちゃんの体になってた...」

 

俺が入れ替わりが起きた日に、俺自体の肉体はなかった。

と言うことはフェルトが俺の肉体に入った際、俺の肉体がこっちに出てきた、ってことか?うーん分からん...

 

「と言うことは考えつくのは...」

 

「一つしかないってことだよな?」

 

「俺たち...」「アタシら...」

 

 

 

 

「「入れ替わってる!?!?!?!」」

 

 

 

 

 

「おい東島、君の◯は。みたいなことすんじゃねぇよ。」

 

高林に突っ込まれる。

 

「うるせぇよ一回はしてみたかったんだよ」

 

だってあの有名映画だぜ?こんなことリアルじゃ絶対起きないし、起きたら言っておかないと損じゃね?と言う感覚に陥ってしまったのである。

 

「しかもフェルトに至ってはそのネタ知らんだろ」

 

異世界から来たと仮定すればフェルトはどう考えても知らないよな、君の◯は。の事なんて。

 

「まぁそうだけど雰囲気でなんとかなるかな...って?」

 

雰囲気でどうにかなるさ、流れであの言葉が出るわけだし。

 

「ただアタシも自分の体が目の前にあるってんなら、この考えしか思いつかなかったしな。普通ならあり得ねぇと思うけどな」

 

「ああ、そうなんだよ。普通はこんな事、理論上絶対にありえないんだ。入れ替わりなんて想像のお話だし、実際にあるのはおかしい。」

 

普通はおかしい。アニメとか映画の中だけの話であってリアルで起きたら謎だらけな話だ。

 

「だけどなぁ...こうやって自分の身に起きてみるとアタシも認めるしかないんだよな...」

 

けどこうして入れ替わってることがわかったんだ、認めざるを得ない。

 

「なに二人で納得してんだよ、こんなありえねぇことが現実に起きてんだぜ?元に戻る方法探さねぇと!」

 

そうなんだけどなぁ...

 

「別に俺はこれはこれで困ってないしなー」

 

実際フェルトの体を堪能できることを考えると損どころか得しかないんだよな...

こんなこと言ったらフェルトにブチ切れられそうだからやめとこう。

 

「アタシもまだ困ることはないからなー...」

 

えっ...フェルトは逆に困らないか?全然動きやすさも違うし不便じゃないか?と思った。

 

「えぇ...おおおおお前ら人間じゃねぇ!?」

 

某ブリーダーの方のセリフを持ってきやがった高林のやつ...

 

「「アタシ(俺)は人間だ!!!」」

 

二人の声が同時に木霊する。

 

「お、おう...」

 

「なぁ、フェルト、俺たち息ぴったりだな?」

 

「そうだな!ひょっとしてアタシらが入れ替わったのって、こう言う事だったのかもな!」

 

「そんなまさかー !!!」

 

アハハハハハハハハハハハハ...

 

 

 

 

 

「そうじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

 

「アタシらはなんで入れ替わったのか探りたいんだよ!」

 

「そうだ!!!!!」

 

入れ替わった理由が本当にわからん。

俺は前日にリゼロのラノベを読んでいたのが原因かもしれないがフェルトの方の理由が謎だ。

 

「よーし、二人で手分けして手がかり見つけるとしますか!」

 

「そうだなにいちゃん!!!!」

 

 

 

 

 

 

...

 

 

 

 

 

 

...

 

 

 

 

 

「あのー、東島さん、フェルトさん?手がかり見つけるって言っても、どうやって見つけるんですか?」

 

「まぁ、そうなるよなー...」

 

うん、手がかりなんてそう簡単に見つかるもんじゃないしな、まったり見つけるしかないのかな...

 

「別にアタシら、まだ困ってないから、ゆっくり見つけていくでいいんじゃないか?」

 

「そうだなー...でも、自分の体じゃないと違和感があるな...」

 

「だなー...アタシもこの体になってから、動きづらいし、なんだかだるい...」

 

(ごめん、その動きづらさとだるさは多分運動不足と睡眠不足だ、フェルトごめん...)

 

「俺も、フェルトの体になってからはありえないくらい動きやすいし快調だよ。やっぱり美少女の若い体は動きやすくて最高だな!」

 

「兄ちゃん、それ年取った人みたいな発言...しかも美少女って...」

 

そしてフェルトは俺の体で照れた。

 

「オェェェェェェェ!!!!」

 

高林が吐きかける。

 

「やめろやめろフェルト!俺の体で照れないでくれ!吐き気するから!!!!」

 

「別にアタシ照れてねぇよ!?」

 

そう言いつつもどんどんと頬が赤らんで行く。

 

「もうやめてくれ、やめてくれえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

これを見て俺自身も恥ずかしさのあまり照れてしまった。

顔が熱いのがわかるほど照れた。

そして、それを見た高林が卒倒して、気絶したのは言うまでもない。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 計画を組み立てよう

お久し振りです。前回から1年以上空いてしまいました。
ちまちまとまた書いていくかもしれないしないかもしれないし気まぐれですが書き続けるかもしれません。
今回は6話です、どぞっ。


さて、現状をフェルトと俺で把握したわけだが、もちろんこれから先の計画は何も決まっていない。

 

「とりあえず高林、どうすりゃいいだろうか???」

 

「いやそれ俺に聞くなよ!当事者である東島とフェルトの二人で話すべきでは?」

 

「待て待て高林の兄ちゃん、やっぱり俺たち二人だけじゃ個人的な意見しかでねぇし、やっぱここは客観的に見れる当事者じゃない高林の兄ちゃんの意見も借りたい!」

 

「フェルトの言う通りだ。俺たちだけじゃ思い浮かばないかもしれないけど高林がいると心強いんだよ!」

 

「そ、そこまで言うなら...」

 

そういうと高林は顔を赤くして照れる。

 

「おいおい高林なにニヤけてるんだよ?w」

 

「いやだってさ、フェルトの体で頼まれたらにやけるのも無理ないやん???」

 

「いや、お前それ相当頭いかれてるよ。中身俺だよ???」

 

「それでも見た目がそれだから惑わされるんだよ〜、ったく、調子狂うわ...」

 

「俺もだよ...」

 

まぁでも俺だって目の前で友達が自分の好きなキャラクターと入れ替わってたら冷静に保てる自信はないけどな。

 

「とにかく、俺はどうすればいいんだ?」

 

フェルトが俺に質問をしてきた。

 

「うーん、そう言われてもな〜...俺の肉体はフェルトだし、元々仕事してたけどその仕事してる俺の肉体にはフェルトが入ってるから仕事も行けないしなー...」

 

そう言い、悩んでいた俺に高林はこんな提案をしてきた。

 

「じゃあ、東島が会社に連絡して仕事辞めるって言ったら?」

 

「いや待て待てやめるはさすがに...」

 

「なぁ東島の兄ちゃん、兄ちゃんが仕事とか辞めるとか色々やってるけどそれってなんだ?」

 

「あぁ、フェルトは細かいところはわからないんだよな」

 

そう言い、俺はフェルトに話を始めた。

 

「俺は「会社」って言う、いわばフェルトの世界でいう王様の組織に所属してる兵士みたいな感じなんだよ。んで、それをこの世界では「サラリーマン」っていうんだけど、そこで王様が出す指示をこなして、それに応じた報酬をもらって、その報酬を使って生活をしている感じなんだ」

 

「ふむふむ、なるほどな...要は、俺がやってた盗みみたいなもんか?」

 

「ま、まぁそれに近いっちゃ近いが、この世界でも盗みをすると罰則があるから、この世界で生きるならそういうことはやるなよ。」

 

「や、やるわけねえじゃん!この世界の雰囲気とかその他なにもわからないんだし、兄ちゃんたちが守ってくれるしな!」

 

「そ、そうか...」

 

「どうしたんだ?兄ちゃん」

 

「いや、まさかフェルトからそう言われると思わなくてな。」

 

「当たり前だ!俺だってちゃんと恩義はあるんだ。あっちの世界での恩義はロム爺だけど、こっちの世界じゃ高林の兄ちゃんとと東島の兄ちゃんだ!」

 

「あ、ありがとう...そう言ってもらえてとても嬉しいよ!」

 

フェルトからかなり期待されてしまっているみたいだな...でも悪い気は全くしない。むしろ嬉しさが勝っている。

 

「で、話を戻すんだけど、仕事を辞めるっていうことは、兵士をやめるってことになるから、当然報酬とかも全部なくなるわけで、簡単に言えば生活するのに必要なお金を稼げなくなっちゃうってことなんだ。」

 

「なるほどなぁ、にいちゃんも色々苦労してるんだな」

 

「ああ、まぁな。」

 

「だから辞めるかどうかの話をされたんだけど、今この現状だと、一応連絡してるとは言えどずっと仕事を休み続けることができるわけではないし、いつ戻れるかもわからないからなー。フェルトが仕事に行けるわけないし...」

 

ずっと悩んでいると、また高林がこう俺に提案してきた。

 

「それだったら、東島とフェルトの二人の生活費をしばらくは俺が出してやるから、それでどうだ?んで、東島は会社を辞めてフェルトと色々と探してみるっていうのは」

 

高林に言われたことをしっかりと考えてみると、確かにそれが一番合理的かつ負担はかからないことだろうが、高林に負担がかからないかが心配だ。

だって二人分の生活費よ?

 

「うーん、それが一番いいんだけど高林に迷惑をかけてしまわないかとても心配なんだが大丈夫なのか?」

 

「その辺は心配しなくていい!何かのために貯金してたからな、オタク舐めるな」

 

「ならお言葉に甘えてそうしようかな。」

 

「了解!んじゃそういう感じでしばらくは過ごして行こうか!」

 

「おう!それとフェルトなんだが、」

 

「ん?なんだ東島の兄ちゃん」

 

「お前は、俺の家か高林の家、どっちに住む?」

 

「いやいやそりゃ東島の兄ちゃんの家に決まってるじゃんか。この肉体も兄ちゃんのものだし、兄ちゃんの体が今俺の体になってるから、一人にさせたらなにするかわかんねえじゃん?」

 

「いや待てよ!俺がいつそんなことする奴に見えたんだよ!?」

 

 

「「出会った時から!」」

 

 

ちくしょー!!!!!!!フェルトならまだ百歩譲ってわかるけど高林ぃぃぃぃぃぃ!!!!お前あとでぶっ叩く!

 

「やったぜ!フェルトに叩かれるとか本望!!!!」

 

「うわっ!お前気持ち悪りぃ!」

 

 

「「「アハハハハハハハハハハ!!!!!!!」」」

 

 

そんなこんなで、俺、東島龍太は仕事を辞め、高林が俺たち二人の生活費をしばらくの間負担してくれることとなった。

その間に入れ替わった原因を探せとのこと。

 

これは入れ替わりが元に戻ったときにはいっぱい高林には礼をしないとな。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 お・風・呂

「おーいフェルトさーん、早く来てくれないと、俺体洗えないんですけどー?」

 

「ちょっと待てよ!!あ、アタシだって...その、男の体を見るの初めてなんだからさ...いや、アタシだって女だし、心の準備があるだろ?そう言う事だし、すぐにきて欲しいってのはちょっと...///って、おいこら兄ちゃん!何にも気にしてませんよーみたいな顔して服脱ぐな!!!第一それアタシの体だぞ!!勝手に見るなよ!!」

 

「別にいーじゃん!減るもんじゃないし〜」

 

「減る減らないとかそう言うのじゃねぇんだよ!アタシの女としての尊厳ってもんが...」

 

「だって別に?フェルトが俺の肉体に宿ったのって、俺がフェルトの体で生活し始めて直後じゃないから普通にトイレ入ったり服着替えたりで裸見たし、もういいんじゃねーかなーって。」

 

「よくねーよ!!!アタシだって恥ずかしいんだぞ!!!っておーい!聞いてんのかー!?!?」

 

 

 

 

どうしてこうなったのだろうか......

 

時は、2時間ほど前に遡る。

 

 

 

▼▼▼▼

 

 

 

 

かくして、高林のお世話になることとなった俺とフェルトは、この家で生活する上で、色々と伝えるべき話があった。

 

「とりあえず高林も帰ったことだし、とりあえずこの家のことについて説明しておこう。」

 

「わかった、兄ちゃん。だがアタシはそれよりもまず先に風呂に入りてぇんだが、風呂ってどこだ?この体、なんだかすげー臭うし。」

 

「おいこらフェルト!!!!臭うってどう言うことだ!!!俺の体が臭いって言うのかよ!!!!」

 

俺自身の体はそんなに臭くないと思っていたのだが、フェルトからすると臭かったみたいだ。

何気にショック受けたぞ、おい。

まぁでも女の子ってところもあるからな。匂いに敏感なのだろう。

 

「わ、わかったよ兄ちゃん!臭いって言ったのは悪かったからそこまで怒るなよ!」

 

「そりゃ怒るだろ!俺はそんな臭くないと思ってたんだぞ!まぁ、別に構わんけど...」

 

「お、おう......」

 

フェルト、もとい俺の顔がしょんぼりした顔になっている。

フェルトの顔なら映えるのだが俺の顔のためむしろ酷くなっている。

 

「そんなに気になるなら、説明諸々よりも先にお風呂に入ってスッキリするか?言っても俺もお風呂ちょうど入りたかったし。」

 

俺は、しょんぼりしたフェルトを見かねて、お風呂に入るかどうかの質問を投げかけた。

 

「いっ、いいのか!?結構お風呂って高級な感じがするけどな!」

 

頼むフェルト、俺の顔でキラキラとした表情をしないでくれ、見るに耐えかねん...。

 

「一応説明してなくても、部屋の感じとかでわかると思うけど、フェルトが過ごしていた世界と俺が過ごしている世界っていうのは違うんだ。この世界じゃお湯は珍しくなくて、ほとんどの人たちが毎日お風呂に入ってるよ。」

 

「は!?世界が違うってどう言うことだよ!?!?」

 

「あー、教えてなかったか...まぁ、口で教えるより目で見てもらう方がわかると思う。」

 

そう言い、俺はフェルトを連れて、窓ガラスがある部屋に連れて行き、外の景色を見せてあげた。

 

「一応、ここから見えている景色が、俺が住んでいる世界だ」

 

「な、なんだよここ...アタシがいてたような世界じゃねぇ!王都でもあんなでっかい建物なかったぞ!」

 

そう口に出して指を刺した方角には東京スカイツリーがあった。

 

「しかも、めちゃくちゃでかい建物とか家がいっぱいあるし、龍車みたいなのも走ってるけどまた別なのか?」

 

今度は車を指さした。

すごく興味津々のようで、目を輝かさせていた。

いや、だから俺の顔でキラキラするのだけはやめてけろ。

 

「これを見て、フェルトがいてた世界と今俺がいる世界とで違うのはわかるだろ?」

 

「ああ、こんなもん見せられちゃ信用するしかねぇよ。」

 

どうやらフェルトは外を見て、自分が元々いてた世界と今いる世界が全く違うと言うことをわかってくれたみたいだった。

 

「わかった、ありがとう。じゃ、風呂行くか!」

 

「それはいいんだけどさ、ちょっと兄ちゃんいいか?」

 

「ん?なんだ?」

 

「下に置いてるその派手な服はなんだ?」

 

「って......あぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?

 

そこに置いてあったのは、この服を着たら可愛いだろうなーと思って買った、メイド服とかセーラー服とかのコスプレ服だったのだ。

 

「正直に話そう、この服は、フェルトの肉体に着せたら可愛いなーって思って購入しました、はい」

 

「なるほどなー...確かにアタシみたいな可愛さならこんな服も可愛く着こなせるからな!( ̄^ ̄)」

 

あれ?もっと照れるかびっくりするかと思ったが、案外びっくりしないんだな。

 

「あれ?意外とそこまでびっくりしないんだな」

 

「あ?別にびっくりする必要なんかないじゃん、ただの服だろ?」

 

「ま、まぁそうだけどさ...」

 

「ならお風呂上がってからその服どっちか兄ちゃん、着てくれよ!」

 

どうやらフェルトは俺にこの服のどちらかを着て欲しいとのことだった。

なんだよそのご褒美っつーか最高のシチュエーションはよ。

 

「え、この服どっちか着ていいのか!?」

 

思わず身を乗り出してしまった。

 

「お、おう、別にいいけどよ...そこまで喜ぶことか?」

 

「ああ、そりゃ喜ぶだろ!こんな可愛い肉体でこんな可愛い服着れるんだからな...」

 

「ちょ、兄ちゃん可愛いって...///」

 

そう言うと、俺の体でフェルトがまた照れる。

やめてくれ!!!頼むからやめてくれー!!!!

 

「と、とりあえず風呂向かうぞ?」

 

「お、おう...」

 

 

 

 

▼▼▼▼

 

 

 

 

これが今起きている出来事に繋がる出来事だ。

 

そして今、俺とフェルト二人でお風呂に入ろうとしている。

 

正直フェルトの肉体の俺だけなら興奮するしめちゃめちゃ嬉しいが、どうやら当人のフェルトは、俺に裸を見られたくないらしく、タオルで目を隠して代わりに洗うらしい。

しかも、俺だけを洗ってくれるんだったら服を脱がなくていいものの、勝手に服を脱いで、男の体を見るのは初めてだなんだかんだ言って照れてやがる。

全く、勝手気ままなやつだよ。

 

俺とフェルトがお風呂へ入り、俺はまずフェルトにタオルで目隠しをされる。

 

「な、なんだかアタシの体をこうまじまじと見るとなんだか恥ずかしい気分だな...それもそうだし、アタシの体は今は兄ちゃんのだから、勝手が分かりづらい...」

 

そりゃそうだろう。だって突然自分じゃない体になってしまうんだからな。しかもおっさんに近付いてる疲れ切った肉体になってしまうんだから、あれが俺の肉体だとわかっていても少しかわいそうな気になった。

 

「じゃあ、まずは体、洗っていくぞ?」

 

「あ、ああ、よろしく頼む。」

 

その掛け声とともに、予め教えておいたシャンプーを濡らした泡だてネットにつけてくしゃくしゃと揉み、泡を発生させていく。

 

そしてその泡だてネットで、背中を軽く擦られた。

 

 

 

 

 

「ひゃっ......」

 

 

 

 

 

びっくりして思わずめちゃくちゃ可愛い声を出してしまった。

 

「おいこら、アタシの体で変な声出すな!」

 

「だって仕方ないだろー!いきなりでびっくりしただけだよ!」

 

そりゃ、どこからまず擦られるか分からないし、どのタイミングで来るかも分からないからびっくりするのも当然だろう。

 

そしてそのネットは、背中をゴシゴシとしっかり洗ってくれる。

 

その泡だてネットはとても大きく感じた。

いや、正確に言えばネットが大きいんじゃなくて、フェルトの体が小さい、と言うことになるのか?

俺はアニメでフェルトをずっと見てきていたが、いざこう自分の体になるとこうも小さいのかと感じた。

 

そして、そのネットは後ろから前へと場所が変わっていく。

そして、ネットが胸の場所あたりを擦った時だった。

 

 

 

 

 

「っん......////」

 

 

 

 

 

いや、待て今の声...男より女の方が敏感だみたいな話を聞いたことがあるがまさかここまで敏感だとは思わなかった。

まさか、こんな声が出てしまうとは自分でも予想外だった。

 

「だーかーらー!!!!アタシの体で変な声出すなって言っただろ!?」

 

「だから不可抗力だ!びっくりしたとかそう言うので声出ただけだよ!!!!」

 

 

 

 

▼▼▼▼

 

 

 

 

一通り体を洗い終わったあと、こんな話をした。

 

「フェルトは、自分の世界からこんな全く知らないようなところに来て、しかも、肉体まで変わってっていうすごいことが一気に起きたけど、やっぱり怖い?」

 

いつも通り寝て目を覚ましたら知らない場所にいて、自分の肉体まで変わっていて、自分の肉体は目の前にあるのに別の人が入っている、というの考えると日本人は異世界に行きたいだったりそういう欲望があるからあまり驚きも少ないだろうが、フェルトに関してはそういうのを全く知らない世界だ。

そんな世界の住人がこっちにきたら当然怖いだろう。

 

「そりゃ、やっぱり知らない土地で知らない肉体で、自分の本来の肉体が目の前にあるのに戻れないから、このまま一生ここで暮らして戻れねえのかなって思う時もあるさ。

でも、今はこうやって兄ちゃんとか、高林の兄ちゃんと一緒に楽しく喋りながら過ごすことができて、アタシはとても幸せな気分なんだ。アタシがいてた世界じゃ戦いとかが沢山起きてて、アタシも何かものを盗まないとまともな飯も食えない。

でも、こっちの世界じゃ戦いもなさそうだし、すごく平和。

アタシがそういう盗みをしないように高林も見守ってくれてるんだ、怖いなんて言ってられねし、むしろ兄ちゃんらに「感謝」だ!」

 

フェルトは淡々と自分が思っていることを喋ってくれた。

自分がこう思ってるんだなーと思ったところ一致していた場所もあったし、予想をしていない内容も聞けた。

 

「感謝なんて、すごく嬉しい言葉言ってくれるじゃないか。

それじゃあ俺とフェルトの入れ替わりが戻るまで、いっぱい楽しい思い出作ろうぜ!」

 

恐怖は当然いつになっても多少はあると思う。

けど、それを俺と高林でしっかりと守って、面倒を見てあげなきゃなという意思にも繋がった。

 

「おお、いいなそれ!!!!めちゃめちゃ楽しい思い出作ろうぜ!」

 

「だな!!!」

 

これからはとても忙しくなりそうな予感がする...。

そう思った東島龍太だった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。