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その壱 『華風畑でつかまえて』

【タグ】 ・下ネタ ・ホモ ・キャラ死亡(一名)


 

 

 やぁ、こんにちは。

 ――え、僕? ただのしがない旅人だよ。

 ――いや、失礼。しばらく水しか飲んでなくてね。

 ――おや、これをくれるのかい? 本当に? そうか、ありがたくいただくとしよう。

 お礼といっては何だが、ちょっと昔話をしようか。

 

 あの時はあんなクソみたいな病院で隠れてタバコなんか吸ってたけどね、そのちょっと前まで僕は……もっと複雑なところにいたんだ。

 そうだな。例えるなら、東京スカイツリーとバッキンガム宮殿とホワイトハウスと零戦を足してチンパンジーの顔をかけて43度度傾けた感じと言えばイメージしやすいかな。ははは、大人になったら探してごらん。見つかるかもしれないよ。

 そういえば君は知っているかい?

 イギリスにはアフタヌーンティーの文化があるけどね、オペラとかフリップも見に行かないのに間食するのは現代では意味が無いよね。滅入っちゃうぜ。

 急にこんな話をしたのには意味があるんだ。

 僕はあの時、アフタヌーンティーをしながら追いかけてくる3人の男女から逃げていたんだ。

 え? 意味が分からない? こっちが言いてぇよ、ボケが!! ……おっと、ごめん。今となってはいい思い出だよ。

 しかも、逃げている途中に黒塗りの高級車にぶつかってしまった。

 中から仰向け四足歩行と女の子走りするいかつい男3人が出てきて、計6人に追いかけられる破目になっちまってね。もう半ベソだったよ。

 それでもティータイムは止めなかったな。もうスコーンもなかったし、クリームなしのダージリンは個人的にはキライだけど、大切な文化だしな。

 傍から見たらこっちが煽ってるようにしか見えなかったと思う。ティーセットを持ってちょくちょく振り返りながら走っているなんて、どう考えてもこっちが悪く見られるだろうね。おっと、話が逸れたね。

 その時僕は気づいたんだよ。おや、後ろにいるのは友達だったSとYじゃないか、ってね。

 めっさキモいと思いながら空港に行ったね。

 その時にはニューオリオンズにいたけど、ロンドンに飛んだよ。

 これで逃げられると思ったら、(やっこ)さん達飛行機の羽につかまっているからビビったネ。個人的にはどうやってしがみついていたのか気になったよ。

 皮という皮は爆風でビロビロにたるんでいて見ていられなかったな。

 あと、六人が全員片方の翼につかまってるうえに、運悪く強風に巻き込まれて機体が錐揉み回転し始めた時はさすがに、もう逝っちまうのか、なんて思っちまったよ。ははは。

 それでもくっついて来たんだからホモは恐いんだよなぁ。

 ロンドンに着いたらロンドンアイに乗ったよ。

 まあデカイ観覧車なんだけどさ、80m位あるのに登ってくるんだよ。そん時は傘をパラシュートにして降りたよ。

 僕にも若い頃ってあったんだよ、信じる?

 それからネス湖に行ったよ。そしたら野郎どもどうしてたと思う?

 ネッシーに乗って僕を待ってたんだよ。

 もはや思考が読まれてきているのが分かって、思わずちびっちまったね。

 そういえば僕の自己紹介がまだだったね。

 僕の名前はカフー。フリーのカメラマンさ。

 リンパ腺を掻き毟って死ぬなんて事はないから悪しからず。

 ところで気づいたんだけど、彼らヘブライ語喋るんだよね。そして、もうティーは無くなって、ペソのコインを舐めてたよ。

 もう卑しいなんてモンじゃない。

 コインの形が無くなるまで舐めたら、他の旅行客の財布からピンポイントでコインだけを抜き取ってたよ。その奇妙なスキルを、僕を追うんじゃなくて他の事に使えって話だよね。

 そういえば野郎ども、僕の家まで来やがったんだよ。

 もうどうしたらいいか分かんなくてさ。

 TENGAとミルクティーをやってオアシスを流したら大人しくなってビックリしたよ。

 なんで大人しくなったか気になってさ、一個一個試したのよ。

 ミルクティーとオアシスの時はやばかった。

 白目ひん剥いて体中に血管浮かび上がらせながらこっちに寄って来るんだぜ?

 もうバ○オとか、サ○コブレ○クとかそこら辺域のに達してたさ。

 そう……。つまり奴らはTENGAが欲しかったんだね。アヘってる姿は最高にキモかったぜ。

 僕はダッチワイフだけを持って家を出たんだ。これで終わりだな、って思ってたよ。

 だけどね。そしたら野郎ども、追って来るんだよ、TENGA着けてさ。

 つまり、まあ、そういう事さ。野郎ども、僕を見て45ってたのさ。

 だから僕は、思わず人様ん()の額縁に入っていたショットガンと、棚に入っていた弾を盗っちまったよ。後で返してこなきゃな、良いモノ持ってさ。

 とは言え人様のショットガンだからね。

 あんまり使う気にもなれず、最終手段として、抱えて逃げてたのさ。

 でもね。

 背中にダッチワイフ、両手にショットガンで逃げれるわけも無いじゃないか。

 どんどん距離は詰まっていって……。

 グシャッ、ってさ。

 ……なーんてね。僕が肉塊になってたら今話してるのは誰だって話じゃない。

 僕の村は周囲が山でさ。

 森の中に逃げ込んだってワケ。

 余談なんだけどさ。その森の木々が気持ち悪かったんだよね。

 なんか木の模様がどんどん自分の顔に見えてきてさ。

 その内自分が畑か何かで栽培されているような気分になってきちゃったんだよ。

 でも奴ら、森の中に隠れててもどうやってか察知してくるんだよね。性欲の成せる業だよね。

 まあ木々のおかげで距離は縮まなくなったんだけど。

 だから運が悪かったとしか言いようが無いんだろうね。

 たまたま開けた所に出ちゃったんだよ。

 しかもそこが崖だったの。

 もう絶望が胸中を渦巻いたよ。

 急いで引き返そうとしても時既にお寿司ってね。

 ……あれ、面白くない? 最近覚えた渾身のジャパニーズジョークだったんだけど。

 ああ、君はジャパニーズだもんね。聞き飽きてたか。

 話を戻すよ。

 まあ、振り返ったら5人が僕を包囲してたんだよ。

 距離はそうだな。5、60m位だったかな。

 絶体絶命って言うんだよね、こういう事をさ。

 でも僕にはアレがあったからね。そう、ショットガンさ。

 十分引き付けてから、ズドン!

 奇跡さ、その時はね。

 五人全員に命中したんだよ。

 動かなくなったのは二人だけだったんだけどね。他の奴も身動きは取れなくなってたよ。

 これ幸いと逃げ出そうとした時にね。

 そうそう、その時は勝ったって思ってた。

 慢心と言うか、わざわざ変態どもの顔を覚える余裕が無いというかでね。

 ちょっと思い出してみようか。

 最初僕が追いかけられていたのは三人の男女。次に黒塗りの高級車から出てきたのは三人の男。僕が倒したのは5人。

 ……ふふふ、分かったみたいだね。そうさ、一人足りないんだよ。

 いくらなんでもあそこまで肝が縮み上がったことは無かったよ。

 ガッ、と崖側から足を捕まれたんだ。

 なんのホラゲーかってね。でも現実に起きてるんだから恐ろしいもんだ。

 でもさ、崖にしがみついた状態で引っ張ったりしたら踏ん張り効かないじゃんね。

 お察しのとおりさ。二人して真っ逆さまだよ。

 ……だから僕を殺すなって。誰が話してるのよ、今はさ。

 あの時ほど買ってよかったと思ったことは無かったよ、ダッチワイフ。

 ダッチワイフが衝撃を殺してくれたおかげで、一命は取り留めたのさ。

 僕を掴んだ女は一瞬先に潰れてたよ、即死さ。

 あとはどうなったんだろうね。気づいたら病室のベッドの上さ。

 退院してからは不思議な直感に突き動かされてね。世界中を旅して回ったよ。

 そういえば、ある時どこかの国で、僕を崖下に引き込んだ女の一部を調べてもらったんだよね。

 そしたらさ、ホントにゾンビと同じ性質だったの。傷つけられたら何かの病気が感染するってやつ。

 世の中何が起こるかわかんないよね。

 え? その研究機関はどうなったかって?

 鋭いね〜。でもね。この世の中には知らない方がいいこともあるんだよ。

 はは、君も大人になったら分かるさ。

 

 ――――どうだった、楽しんでくれたかな。

 なに、ただの懐古さ。僕らが知り合った記念のね。

 ん? 僕が今どこにいるのかって?

 僕は今日本を旅行してるよ。

 そうそう、たまたまイギリスに戻った時に5人の男と知り合ってね。

 その5人の中に旧友も二人入ってたんだよ、嬉しいね。

 意気投合して、六人で世界を回ってる。

 その中の一人の高級車、乗り心地がよかったなぁ。

 良い奴らだよ、本当。

 さあ、これで僕のお話はお仕舞い。

 付き合ってくれてありがとうね。ほら、もうお帰り。

 また会ったらお話しようね。

 そうだなぁ。今年一杯は日本にいるから、もう一度ここに来ようかな。

 ――うん。じゃあね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――ところで君。ほらほら、画面の前でこっちを見てる君だよ?

 君、とても僕好みの顔だね。

 僕、君と仲良くなりたくなったよ。

 心の隅から隅まで、ね。

 ――ふふふ、大丈夫。僕は初めてでも優しくしてあげられるから。

 さっきからこっちを覗き見てばっかりだったからね。

 心の奥底までさらけ出さしてあげるよ。

 もう他の五人は居るよ……。僕もすぐに行くから……。

 ほら――

 モ ウ ツ イ タ カ ラ ……

 

 

 



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その弐 『走れ湯風』 【R-18】

【タグ】
 ・R-18 ・下ネタ ・(時代は)考えるな、感じろ ・ホモ ・キャラ死亡(二人) ・途中胸糞 ・走れメロス(?)


 湯風は激怒した。

 必ず、かの邪知暴虐な王を除かねばならぬと決意した。

 湯風は外の世界をとんと知らぬ。温室育ち、宮殿暮らし、小遣いたんまりのれっきとしたお坊ちゃまである。

 けれども湯風は、邪悪には人一倍敏感であった。

 湯風は明け方家を出発し、一里()離れたシラヌヌの町へ、舗装された道を息も絶え絶えになりながら歩いてきた。

 湯風は、友達を除いて持っていない物は何も無い。

 今日は、(物理的に)唯一無二の友、華風を訪ねてみるつもりだった。

 久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。

 歩いているうちに湯風は、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。

 もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しい。のんきな湯風も、だんだん不安になって来た。

 路で逢った若い衆をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の市に来たときは、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであったはずだが、と質問した。

 若い衆は、首を振って答えなかった。

 しばらく歩いて老爺に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。

 老爺は答えなかった。

 湯風は両手で老爺のからだをゆすぶって質問を重ねた。老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

 

「王様は、人を殺します。」

 

「なぜ殺すのだ。」

 

「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」

 

「たくさんの人を殺したのか。」

 

「はい、はじめは王様の妹婿さまを。それから、御自身のお世嗣(よつぎ)を。それから、妹さまを。それから、妹さまの御子さまを。それから、皇后さまを。それから、賢臣のアキレスMK-2様を。」

「おどろいた。国王は乱心か。」

 

「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、臣下の心をも、お疑いになり、少しく派手な暮しをしている者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じて居ります。御命令を拒めば十字架にかけられて、殺されます。きょうは、六人殺されました。」

 

 聞いて、湯風は激怒した。

 

「呆れた王だ。生かして置けぬ。」

 

 湯風は、単純な男であった。

 その話を聞くが早いか、様々な店を回り始めた。

 ガンショップ、防具屋、薬屋、万屋……。

 行く先々で豪勢に金を使い、しかも物騒な物ばかり買うものだから、王の耳にもその話はすぐに入った。

 

「王よ。近頃、様々な店で物騒な物ばかりを買いあさる輩がおります」

 

「何者だ、そやつは」

 

「分かりませぬ」

 

「捕らえてみるか」

 

「そうしましょうか」

 

 かくして、湯風は、武具屋から出てきたところで衛兵にひっ捕らえられた。

 

「お前の泊まっている宿からこんな物が見つかった。カメレオンスーツにカメレオンヘルメット、ハンドガンにショットガンに光線銃、青酸カリにVX……。そして今貴様が背負っているバックパックの中にはライ○セイバーのような物も見えるな。これで何をするつもりだったか、言え!」

 

「くぁwせdrftgyふじこlp」

 

「死刑に処すぞ?」

 

「あんまりにも王様が悪いやつだから()()()()悪戯をしようと……(ゴニョゴニョ)」

 

「ふむ、ははは。ちょっとか。そうかそうか、そこまで悪気は無かったのか!」

 

「はいっ!!」

 

「殺せ」

 

「ファッ!?」

 

 湯風は処刑された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 華風は狂喜した。

 かの湯風が殺されたと知ったからだ。

 しかし、王に対しての怒りも湧いた。

 湯風は、自分の手で殺したかったからだ。

 だから彼は、TENGAを股間にはめ、フェンダーフルシジョンベース60のサンバーストカラーを持って、その他諸々をバッグに詰めて、王のもとに走った。

 華風は乳首でイった。

 いささか急なことであった。

 華風は王城の門前で急に声を上げ、TENGAから溢れたモノで白いシミを作って失禁してしまった。

 

「なんだコイツは」

 

 見張りが彼を見つけた。

 場違いにも、青いツナギをきて警備にあたっていた。不真面目な見張りのようであった。

 

「イっているのか、そうかそうか……」

 

 彼は自分のイチモツを露わにした。

 そして、自分のギッチギチにそそり勃ったブツを、華風のア●ルにブチこもうとした時。

 

「待て」

 

 なんと王が駆けつけたその瞬間!

 華風は飛び起き白いモノを王にふきかけた。

 王は顔射でイった。

 いささか急(rk)。王は、彼の放ったギガデインの臭いに耐え切れず、心肺を停止させてしまった。華風は彼を追い詰めた。

 

「やっと……ようやっと……湯風の仇――――」

 

 と言いつつプレベで彼を殴りつけた。

 

「アァァン……ンハァァァ……」

 

 んっ!!??

 今、喘いだのだ。おもいっきりぶん殴ったのに。

 そう、王はドMだった。その快感に、停止していた王の体の全てが復活を果たしてしまったのであった。

 そのうちに、王はプレベでイった。

 それを見て華風が浮かべたのは、嫌悪。――ではなく、愉悦の表情であった。

 華風はどちらもイケる口なのであった。

 生来のS気質に加え、姉にペット(ドM)としても仕込まれていたのだった。

 華風は王に目隠しをし、亀甲縛りをし、三角木馬に乗せた。さらにその上から硫酸をかけ、ブレベで殴った。熱した焼きゴテで体中にチェックマークを作り、乳首とブツにピンを刺した。ア●ルを器具で拡げ、その中にモデルガンでBB弾をブチこんだ事もあった。

 もはやSMの域ではなくなってしまった。

 王は二つの意味で逝った(イった)

 

「おお湯風、私は勝ったのだ……」

 

 感慨深げに華風は呟いた。

 彼の目の前には、町の中心で素っ裸に引ん剥かれ、排泄物を垂れ流しにする、元王の姿があった。

 その体には、多種多様、ありとあらゆる傷がついていた。

 王の死体は、町人に思うがままに弄ばれた。

 子供達には石投げの的にされ、大人達は町中を引きずりまわした。

 よっぽど恨みが深かったのだろう。生き返らせて、蜂蜜と牛乳と船でやる、『アレ』をしようとする者まで現れた。

 そして華風は、英雄として崇められ、やがて王となった。

 彼は停滞していた性事情を一新するように、ダッチワイフやよりイイTENGAなどの性具に加えてバイブレーターを開発し、春画の発行を推進し、性欲で国をまとめた。

 あるとき、※国との戦争が起こった。

 原因は、性具の質である。

 あまりにもこの国の性具の質が高すぎて、どれだけ関税を引き上げても※国の性具が一切売れなくなってしまったのである。人々は欲求に正直であった。

 華風国は戦った。

 愛と性欲にかけて負けるわけにはいかなかった。

 戦士達も、性具があれば戦えた。

 その溢れるリビドーで、数多の相手をザー○ン祭りにあげた。

 だが、戦いは停滞していた。

 そんな時であった。

 華風は新しいシリコンを見つけた。

 安価で上質なそれは『カフーシリコン』と名づけられ、華国の性は新境地へと達した。

 それは最早麻薬の域であった。

 華国の人々は、性の全てをその『K性具』と名づけられた、カフーシリコンによって作られた性具へとぶつけるようになった。

 ある時、華風の思いつきで、K性具は※国との戦場にばら撒かれた。

 なんという事であろう。

 戦線は瞬く間に縮小し、※国の全兵士が調停を本国へと直訴しに戻って行ってしまったのであった。

 一週間ほどで※国は調停を華国に申し出てきた。

 しかし華風は貪欲で狡猾であった。

 なんと※国大統領を丸め込もうとしたのだ。

 貴国の技術力をもって協力していただけるのなら、よりイイ性具を特別価格で提供しよう、と。

 二つ返事で了承を受け、三日後、華国は※国を事実上の隷属化させることに成功した。

 味をしめた華風は、世界中にその魔手を伸ばし始める。

 

 ――翌日、陽国隷属化。

 ――二年後、Y大陸完全陥落。

 ――その三ヶ月後、A大陸壊滅。

 ――翌年、北A大陸、南A大陸、双方ともに陥落。

 ――三週間後、O大陸、陥落。

 

 わずか四年足らずで華国は世界を手中に収めた。

 原動力は言わずもがな性である。

 世界の勢力圏を広げていった華国は続々と新素材を発見し、その()をより強くしていったのだった。

 反乱などは起きぬ。

 皆、この男に従っておけば極上の快楽を手に入れられると理解しているからである。

 

「人というものはここまで情けない物であったのか」

 

 華風はいたく失望した。

 

 

 

 



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その参 『変チン』 【R-18】

【タグ】
 ・R-18 ・下ネタ ・キャラ死亡(二名)


 

 朝、不快な夢から覚めた俺ことグレカフール・ザムザは、自分が巨大な性器になっていることに気がついた。

 手も無い、足も無い、顔ももちろん無い。あるのは性欲だけである。

 

「これは……。参ったな、これじゃあ仕事に行けないよ」

 

 俺は旅行(裏)会社に勤める普通のサラリーマンだった。

 今朝も6時に起きて出勤する予定だったが、もう7時を回った。……マズイな、クビんなるぜ。

 母が起こしにきた。

 

「カフー、いつまで寝て……キャー!!」

 

 母は、俺を見るなり気絶してしまった。まったくもって失敬な女である、まる。

 

「どうせ成るなら女子小学生になりたかったなぁ~」

 

 何のネタであろうか。

 

 ――ガチャ

 

「……お兄ちゃん?」

 

 妹の登場だ。

 彼女は引かなかった。

 だが何故俺だと信じてくれたのか。

 

「……ご飯は?」

 

 そういうシチュエーションじゃないだろ、マイディアーシスターよ……。

 この妹は、もう高校生のくせに天然ボケが治らない。ボケボケである。

 そんなしょうもない事を考えているうちに、妹が母を担いでいた。

 

「とりあえずお母さんは下に寝かせておくから、お腹減ったら降りてきてね」

 

 ――バタン

 

「目の前にネオアーム(rk)砲があるならオナれよ……」

 

 と、息つく暇もなく。

 

「おい、グレカ……フール……か……?」

 

 父が参上した。普段は気にもしないくせになんでこんな時にばっか来るのかなぁ……。

 彼は去年退職し、今は杖が無ければ歩けない状況である。

 

「何なんだその格好は……」

 

 俺が聞きたいね。

 

「仕事はどうした」

 

 仕方ないだろ、コーヒーくれよ。

 

「フム……? なるほど、着ぐるみで会社をPRしよう的な感じか……」

 

 おっ、そうだな。

 

「ただなぁ。もう少し可愛げのある物に作り直してもらったほうがいいと思うぞ?」

 

 イカすだろ?

 

「まあとりあえず、それを脱いで朝ごはんくらいは食べに降りてきなさい」

 

 と言いながら、父は部屋から出て行った。

 こんな格好で食べれるとでもお思いで?

 とりあえず、ドアは閉めていってくれると良かったんだが。自分じゃ動けないからさ。

 

「お兄ちゃん? ……あんまりにも来ないからご飯持ってきたよ?」

 

 驚いてくれよ、頼むか 「じゃあここに置いていくね」 ……無反応かよ……。

 しかもご飯ってメメゴールドかよ……。

 でもお腹空いたなぁ。

 どうにかあそこまで行けないかと考えていたところ、

 

 ――ニュッ

 

 おお、下の断面のところから足が生えてきたぞ。やったね。

 うわっ、でも毛深っ。こんなに毛は生えてなかったと思うがなあ。

 でも手と口が無いから食べれないよなあ。

 ……おお出来た出来た。

 って、なんだこれ!? 我に返った。

 しかしつかの間、ドアをノックする音が聞こえた。

 しまった、オーナーだ。ユフーとかいう、生意気な名前のオーナーだ。

 

「グレゴール君っ!」

 

 メンドイ。

 あと、グレカフールな。

 

「出社時間はとっくに過ぎてるぞ!」

 

 オーナーが奇声を上げているが、そんな事は関係ない。

 こんな姿で出社したら、ポリスメン→研究所ルートまっしぐらだから。

 とりあえず飯でも食おうか。

 メメゴールドを食った。俺は()()()(意味深)。

 

「立ち去れィ!!」

 

 父がオーナーにリンゴを投げまくっているらしい。

 

「えいっ///」

 

 妹もチェーンソーを持ち出した。

 俺も黙っちゃいられないッ!

 だって俺には……キャノンがついている!!

 ウォォ――!!!

 白濁の生命根絶射(ザーメンバズーカ)ッ!!

 

 〈かいしんの いちげき! オーナー は けしとんだ!〉

 

 ユフー1話1キルはノルマです。

 ……ハッ! 俺は何を言っていたんだ?

 

             ・

             ・

             ・

 

 彼は全てを使い果たした。テクノブレイクもいいところだった。

 

「おい、グレカフール。金の心配はするな」

 

 父が言う。

 

「お父さん、お母さん、ちょっと席を外してくれない?」

 

「そう……お父さん、少しインディードに行ってきましょう」

 

 妹の声に反応し、復帰した母が父に話しかける。

 

「いや、急に何を言ってるんだお前h……」

 

「いいから、アタシの言う事に従ってればいいんだよこのドグサレ脳停止クソ鈍感オヤジがぁーー!! いいから行くんダヨ!!」

 

 ()()()羅刹と化した母に引きずられ、父は退出して行った。

 

「もうお兄ちゃんは長くないよね……。兄妹だもん、解るよ……」

 

 心の底から寂しそうに妹が語る。

 

「お兄ちゃんはチェリーだったよね……。だからね、せめて最期に、私で卒業させてあげるね」

 

 息――があるのかどうかは分からないが――も絶え絶えの自身の兄を尻目に、妹は性器を露わにする。

 そして、兄を持ち上げると自身の花園へとゆっくりと侵入させる。

 事前に用意していたのか、その花園の準備は既に万全のようだ。

 

「んっ///」

 

 と妹から声が漏れ、グチョグチョという音が部屋を満たす。

 妹は、兄でピストンするスピードを徐々に上げながら、空いている手で自身の敏感なトコロを刺激する。

 

「んぁ……あ……ァん。あのね、聞こえているかは分からないけどね、んっ……私、お兄ちゃんの事が、ずっと……アァ!!」

 

 その言葉を言い終えることはなく、兄妹は果てる。

 その姿は何よりも高貴で、愛に満ちていたそうな。

 そして、そこには、いつの間にか。少女が独り、遺されていた。

 

 

 

 




 どうも……。最期の、行為シーンで精神的に途轍もなく疲労しているバ烏です……。
 名作もじりシリーズももう3作目に突入してしまい、どんどん暴走して行ってしまっています。
 あくまでリレー小説なのであって、私がこのような性癖で構築されている事は無い事をしっかり覚えていただきたい(真顔)。
 さて、今回のテーマは『性』と『家族』です。(なお、この後書きを書いた当人以外は思いつきもしていなかった模様)
 『性』は私たちの永遠のテーマです。
 では最期に。
 これまでも、これからも、原作者様、本ッ当にごめんなさーーーーい!!

(※この後書きもリレー小説友達の一人が書きました。ですので、今後もこのような物があるかは分かりません。ちなみに、私もこれを書いた友人とまったく同じ気持ちです……)


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その肆 『思考理解不能探偵 コンナン』

待たせたな!


俺の名はグレカフール・ザムザ。ただのしがないサラリーメンさ☆

 

朝起きると身体がチンポになっていた。

カリがぶっつぶつでどす黒い、吐き気を催すような汚物ッ!

 

余談ではあるが、幼馴染の毛利蘭もカリがぶっつぶつでどす黒い。

 

ある日俺は遊園地で謎の(ピル)の取引を見てしまった。

 

……最初の話?

そんなものはなかった、いいね。

 

しかし取引に夢中になっていた俺は背後から来ている黒ずくめのチンポに気づかなかった。

 

「ちんぽ!?」

 

振り向いた俺は思わずそう叫んだ。

 

しかし時は既に遅く、俺の亀頭は奴のブツに飲み込まれてしまっていた。

しかし何ということだ!

彼のブツは避妊具をつけていなかった!

 

「あのねぇ 僕のねぇ 左脳は革命的なまでらりtywy

ラリってて、連結した右足はマニュアルとオートマのいいとこ取りなんだよぉ❗

今からフリップボウルズクラブにイって来るのぉ」

 

とかほざいて、おまけに1足す1足す1は3とか言いやがる。

 

なるほど確かに彼は中毒者だった。ピルのな!!

 

僕は逃げる。

できたら彼は殺しておきたい、いや殺さなくてはならないような気がしたけど、まず僕は逃げた。

 

殺したところで彼は次起きたとき道路の一部になって入るかも知れない

 

まず彼は憎い?尊い?

どっちでもいい

もぅ  ヒィィィとでぇぇぇぇ‼

 

まぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまままぁままぁまぁまぁまぁま

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何もないぞ

 

駄菓子菓子。

 

俺の人生はまたここから始まって行く!

1から始めましょう!

いいえ!ゼロから!

 

僕は足取りが重いことに気付く。そういえば何か飲まされた気がする。

 

なんと言ったか......。

はっそうだ! アポドキシンとかなんとか言ってたような。

いや凄十だっけかな。

 

気がつけば僕のチンポが小さくなっている事に気付いた!(この間約3時間)

 

粗チン! 圧倒的粗チン!!

 

とにかく体が熱い、それに僕のムスコは僕とは違う生物かってくらい独立して動いている。

無人駅の濡れ犬でもこんな動きはしないだろう。

 

仕方がないから今日は家にいることにした。

 

体の変化。

乳首が5cm位になってしまった。

それも120歳の魔女の乳首かってくらい黒く萎れて、ひび割れていた。

 

あの頃僕は若く、仕事にも慣れ始め、ギラギラしていた。誰よりもタフで、気後れしたようにデリケートだった。放屁のベテランとなったおちんちんもすごく元気だった。

 

だが、ある日を境に去勢をすることになってしまった!

 

病的なまで煙草を吸った。そのお陰か、マニアだと思い込んだ僕は832個のライターを集めた。大抵のことは忘れてしまうのに、これは性格だった。朝起きてフィルターをちぎってタバコを吸い、ビールで顔を洗って。ムスコにヒルを吸い付けて仕事に出掛けた。

 

しかし家を出て駅の改札を通る時に不思議なことが起きた。

 

テレビのセックス 今世紀の終わり 蚊に刺されたムスコ 何もかも退廃していて気分はドンドンエロチックになっていった。

そんなわけで僕は黒服に出会った。

 

その黒服の男は焼きそばを食べながら自分のコンタクトレンズとコカコーラゼロを海苔と朝食べた扇風機と混ぜ合わせながら僕に呟いた。

 

「ヤラナイカ?」

 

背筋が凍った。

 

その瞬間、僕は薬を吸わされた。

 

そう、ただの薬では無い。

 

 

媚薬。

 

きれいなフォームだが、素人臭いピストンの夢を見ながら、僕は倒れた。

 

彼はコンドームを付けていなかった。

 

だがコンドームは、つけていた。

 

きおつけよう。

 

「あひっ」

 

 



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その伍 『全面青い』

まさか更新されるとは
どうやってたかも覚えてないです


俺の心には青い空が広がってる。それは形容しがたい青。もう病気レベルの青。頭がおかしくなりそうなくらいの青。

青。青。青。

「ほら、みろよみろよ」

そう声が響いた

「これが青か....」

「楽しみにしていたぞ。いきなりだが君に頼みがある」

「どうか私の願いを引き受けてくれないだろうか。頼むよーちくわ大明神。」

真っ青を背景に彼はそう言った。

彼は両性具有の天使のような目をしていた

「なに、とても簡単だよ。ある男から荷物を受け取ってほしいんだ」

彼はその魅力的な見た目から想像出来ないような低い声でそう頼むのだった

荷物……とは?

僕は彼にそう問うた

「え?」

「荷物?が何かって?荷物ってのは彼女から送られてくるものさ。それは諦めのいいヘラのような、孤独なゼウスのような女。ディルドを愛している人さ。それより昨日はよく眠れたかい?」

「ええぐっすりでしたよ。そんな風に寝れた日の朝はコーヒーがうまくてね。」

「年中うまいわボケ。なにわろてんねん。」

 

そうやって話しているとどうやら彼は極東にある青いコーヒーを目指して旅に出るということがわかった。

「私が旅から戻ってくるまでに荷物を届けてくれ」

「荷物をって……あなたがどこに居るわかりません」

「私はどこにでもいるさ

きみが「青」を望めば、私はどこでもね。

君が望む青に、私は為れるだろうか」

彼はそう言って旅に出た

 

 

いつの間にかベッドから目が覚めた

机の上には箱がある

変な夢だった。そして、いやにリアリティのある夢だった。白昼夢と言ったほうが近いかもしれないくらいには。

「これが荷物?」

独り言を呟く

「なんだか寒いな」

本当は寒くもないし熱くもない

そもそも暑いか寒いかなんて人間が決めたもので誰が暑い寒いもあったもんじゃない

彼は禁断の荷物を開けた。

プレゼントを見る子供のように

中には何もない。ただの箱。虚無。

箱には何も入ってないのだ。

「なんだ?何も入ってないぞ」

「何もないはずがないだろ、奴は荷物を送ってくると言った。」

そう。彼の言うとおりなのだ。何もないはずなんてない。

見えているはずの物が見えていない。

あるはずの物がそこには無い。

箱の中に手を入れると不思議な感触がした

ぐじゅりと歪む。手にへばりつく。

取り出した手にはなにもついてはいなかった

箱を閉じた。考えることが多すぎる。これをだれに?何処に?私は届けるというのか。

考えていくうちに、この箱には一つの規則性があると言うことに気がついた。

この箱手を入れる毎に表面の色が変わっている

中身は……よく分からない。変わっているのか、変わっていないのか。或いは、僕自身の感覚が歪んでいるのかとも思えてくる。それくらいに〝よく分からない〟としか形容できなかった

考えても仕方ない。どうせ腐る程暇な田舎の文系大学生だ。だが旅に出るにも足がいる。ユフーを訪ねようと思った。

ユフーは小さな町で小さな車屋を営んでいるしがない若者だ。今は彼も社会という歯車の片隅で無邪気に笑っては寝ている。

私は彼に声をかけようとした瞬間。箱が震えたように思えた。

「やぁ、久しぶりだね。お茶漬けでもいかがかな?」

そうして箱を見つめている間に彼はこちらに気づく。なぜお茶漬けなのだろうかという疑問は口にはしなかった。

「いやあ悪い。今はそんな気分でもなくてね。紅茶と茶菓子でも用意してくれたほうがありがたい」

 

 

彼とは廃れたスナックバーで出会った。ユフーとはあだなだが、彼は僕に本名を教えてはくれなかった。冗談とマルボロとビールが好きな男だ。

彼とは4年ぶりに会う。久しい感覚はあるが出来れば会いたくない部類に含まれる類いの人間だ。

 

 

「箱...ねえ。」

そんな私の気も知らず彼は事情を聞いたあとその箱を勝手に手に取り眺めている。

「大したものでもないように見えるけどね。おかしなところがあるわけでも無ければ中に何か特別なものが入ってるわけでもない。ただの木箱じゃないか。ところで4年ぶりだが君の目はブルー色だったけ?黒だと思っていたのだが?」

「えっ?」

僕の目は青くなっていたらしい。片手では僕にtシャツの襟に引っ掻けていたサングラスをわたしてきた。

「これを届けなくちゃいけないんだ」

「誰に?」

「わからない」

「ふむ…」

そう言って彼は背もたれに倒れ込んだ。そして思い付いたように言った。

「いいぜ。車を貸すよ。でも俺も連れてけ。」

「は?あてはないんだぞ?」

「どうせ暇だ。よくわからんけど、ノーヒントって訳じゃねぇんだろ?」

見透かしているようだった。

「ああ…」少し笑って僕は言った。

「青をめざすんだ。」

僕らはトヨタ カローラで町を出た。

町を出てからいくら時間が経っただろうか。もう辺りは暗闇の支配が始まり、地平線には別れを惜しむ橙がさみしく光を放つ。周囲の状況が掴めなくなったその時。

眠気がくる。昨日の夢を見る前に感じた気だるいような眠気を。

「お、おい? どうした、おい!?」

ユフーが焦ったように肩を揺らしてくるがハンドルを握る手からもどんどん力が抜けてくる。ユフーが必死にハンドルを押さえるのが、最後に見えた気がした。

 

 

「やぁ、久しぶりだね。荷物を運び始めてくれたんだね。」

「あんた!?…ここは?」

「君の夢だよ。夢の中で僕らは会えるんだ。」

あの荷物運びを依頼した男がたっていた。いや、正確には立っていないのだが、そこに居ることは確かだった。

「君は次起きたら、またひとつ青を感じる。他が透明になっていくよ。」

 

 

目を覚ますと、路肩に止められた深夜の車内で、ユフーが僕を、呼んでいた。

「おいカフー!カフー!」

僕は起きて、安堵する彼に言ったなぜかわかった。

「東の海に行こう。」

「何言ってんだベイビー俺たちの行く先は決まってんダロウゥ!?俺たちは永遠に止まらねぇ!」

何言ってんだこいつは。

俺も何言ってんだ。

東の海には青がいるという伝説がある....そんな話を大学で聞いたことがある。

確かめに行くにはあまりに情報も足りない。そもそもそんなことに裂いてやる時間なんて物も無い。荷物は荷物だ。届けなければならないのは確かだ。

ところでさっきのは本当にあのあいつなんだろうか?そもそもあいつとは誰なのか。思い出そうにも思い出せない。

考えて行くうちに自分が自分で居られなくなるような....酷い頭痛に襲われている。

「おい箱の色…」

そう言われて確認すると箱の色がまたもや変わっている。それは頭の激しい痛みを表すような荒々しい赤だった。

箱に手を入れてないのにどうしてなのか。

どうして箱の色は変わるんだろう。どうして箱の中身は見えないのに、たしかに手に触れる感触が残るのだろう。

だが今度の中身は打って変わって少し固まり始めているように感じる

とにかく僕らは進まなければならない。近くのコンビニでビールと煙草を買って、僕らは海へ、北東へカローラを駆った。助手席でラッキーストライクを吸う僕に、それ鉛筆燃やしてるみたいじゃね?と聞き、ユフーは一般道を飛ばした。

先は何も見えない。ただ暗い、昏い道を、進む。次第に辺りは晴れていき、景色全てが蒼。一面の青、とまでは言えなくとも、それは誰が見ても青ではある。だが華風と湯風は進む。

景色の全てを蒼に失ってすぐ、とある道ばたに咲く花が目に入る。

緑色の、美しい花だ。しかしカローラに乗っている華風はそれに気がつかない。ユフーは、もう、、、

ユフーはもう...車を止めた。もう…着いたんだ海に。

「で、ここが目的地だってのか?」

「うん。なんとなくだけど……そんな気がする」

見渡す限りの水平線、天上の青々とした清々しい日差し、かつての先人達もこの景色を見ていたのだろうか、

「やっとついたかね」

夢で出てきた男がそこには居た

「おや、受取人も連れてきてくれたのかい?」 

受取人?ここには、私とユフー

そして夢の中の男だけだ。

夢の中の男はじっとユフーを見ている。

ユフーが透けていく。僕は鉄の外側に放り出される。地面が無くなっていく。

夢に落ちる。そう察した。

そして夢の中にたどり着くと、男と僕と女が居た。

「あなたは青に近づいている。でもそれはまだレイテンシーの向こう。」

彼女は言う。

「世界は環状線を喪おうとしている。だから青がいる。君は青の一部にならなければならないんだよ。」

男は言う。

彼女と性行するんだ。君の残響が彼女に触れればユフーは損なわれ、君は青に近づく。

華風は止めどない性欲を、その性を女にぶつける。

青がぐちゃぐちゃに混じり合ったのを、脈動とともに知覚していた。

そう、溶け合っているのを確信していた。そしてもう一つ気がついていた。消えたユフーは何処に行ったのか…

消えた途端に女が現れた…

私は腰を振るのをピタリとやめた。

冷や汗が止まらない。膨らむ想像にみるみるマイサンが萎えてゆく

彼女が言う。

「私に性はないのよ。彼は今私の媒体であるから、彼もまた性はないのよ。」

そう聞くと、安堵のような、新境地に達した興奮か、僕のジョニーは別生物のように生命力を放つ。

目が覚める。あの女は何だったのか。今の華風には分かるわけが無い。

分かりたくも無い。

自分は....

誰なんだ。

これはあの日と同じ感情だ。あの日を忘れるわけが無い。

 

 

「やっとここまできたのか華風」

目を覚ました華風の前に立っていたのは友人のナフーだ。

「君だったのか。全部仕組んだのは。」

そう言われると彼はクスリと笑ってこちらを見る。

「ちゃんと届けてくれたからご褒美…といいたいところだけど。もう一つ。お願いを聞いてくれないかな」

彼は申し訳なさそうに笑っていたが、その目は笑っていなかった。

「なんだよお願いって。」

「簡単さ。世界を壊してほしい。」

俺はそんなバカみたいなことを言ってくるこいつに驚きを隠せず、どう反応すればいいかわからなかったが、さらにナフーは話を続ける。

「どうやって?って聞きたいのかい。その箱を使えばいい。使い方は君次第だけどね。」

そう言って彼は煙のように消えていった

箱を見ると色は紫に変色していた。

「なんだこれ…」

奇妙な旅だった。知らない男が僕に箱を届けろと命じる。命じられるままにここにやってきた。

妙な箱だった。色は変わるし、中身は見えないのに存在している。

青に染まれと彼らは言う。

この世界を壊せとナフーは言う。

 

——ああ、考えてみれば簡単な話だった。

箱の色が変わる。この箱は僕の心を表しているんじゃないかとは気づいてた。

奇妙な出来事が起きる。当たり前だ。ここは僕の心の中なのだから。

僕をここまで導いた彼らが案内人なんだとしたら。

僕の目の前に広がるこの青は、この世界と向こうの境目なんだろう。

宙に身を投げ出す。落ちる、落ちる、落ちる。そして。

 

——とぽん

 

柔らかく、青は僕を呑み込んだ。

 

箱の色は僕のどんな心をあらわしていたんだろう。

赤が苦しみなのは、なんとなくわかる。

それ以外はよく分からないけど。

案内人は僕に言った。

 

わたしはどこにでもいる。君が望むなら。

 

この青い海が境界線で、僕をこちらに引き止める楔なのだとしたら。

紫の箱を開く。

 

「水の中じゃなきゃ、見えないわけだよね」

 

青い海に包まれてなお蒼い泡沫が視界を染め上げた。

 

「僕は望む。荷物を受け取ってもらいたい」

 

心を、あるべき場所に届ける旅は終わったんだ。

……

声が聞こえる。それは頭蓋骨の反響を失った。媒体を越えて、内的も外的も超越した声。そこに性はなく。生も無い。ロゴスすら失った声。

「次君が目を覚ましたら。君は環状の、確かに重要な一点になっている。」

 

私は蒼。限りなく青より青い。



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