無双のその先へ (人間性の苗床マン)
しおりを挟む

始まりの神話大戦
駆ける天翼


まだ処女作が序盤ですが、作者は暴走します、爆走街道まっしぐらです。

そんな作者の願望および欲望まみれの一品を召し上がれ!


さてさて、ここは何処か?と問われましても、私が造られ、生きている赤い灰塵が空を覆う崩れかけた世界、その上空にございます。

 

さて、何故上空にいるかというと……

 

 

 

 

―――正直、目的が果たせそうにないので、アヴァント・ヘイムから抜け出してきました♪

 

 

 

 

申し遅れました、私の名前はジブリール。

天翼種(フリューゲル)の最終番個体にして番外個体で、唯一の男性個体(・・・・・・・)でございます。

 

何故私を男性個体にしたのかは解りませんけど、流石に。

だってセンパイ方は皆女性個体ですし。

 

 

そして、アヴァント・ヘイムを抜け出してでも実行したい目的、それは―――

 

 

 

 

―――我が創造主、戦神アルトシュの打倒です♪

 

 

 

 

センパイ方は私がどのような理由で造られたかは、恐らく図りかねているでしょう。

 

 

ただ、私は主が陰鬱そうに玉座におはすのを見て、そして幻想種(ファンタズマ)を撃破し、龍精種(ドラゴニア)を単独で葬った時の果てない期待と闘気を孕んだ目を見て、ふと思いました。

この方は、自らを打ち倒す存在を待っているのではないか?と。

 

実際、抜け出しても天罰は落ちていませんしね?

 

さぁて!最強に勝つために見聞を広げましょう!!

 

そして、目指しましょうか……弱者のまま、最強を打ち倒す、その一手を―――

 

 

 

―――同時刻、ちょうど人間が機凱種(エクスマキナ)に唇を奪われていたそうな―――

 

 

 

 

 

「ん~、ないですねぇ……」

 

ジブリールです。う~ん?あの後、自らの蔵書を全て読み返してみましたが、あまりいいものはありませんねぇ……

 

「一番可能性があるのは、機凱種(エクスマキナ)ですかねぇ……」

 

正直アルトシュ様の攻撃を模倣しても、決定打にはなりませんし……

 

「そういえば、まだ人間は生きていたのですねぇ」

 

これほどの過酷な環境をどう生き延びているのでしょうか……

 

「んぅ?」

 

もしかしたら、そこ(最弱)に可能性があるかも……!

 

「そうと決まれば、行動開始ですね!」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

精霊を駆りながら、空を舞う。

これは結構気持ちいいんですよ?

 

「ふぅ、結構近くまで来ましたかね?」

 

かなり飛んできたので、気分的に疲れましたねぇ……

もうすぐ目的地というか、観察に適した場所に着きますね。

 

にしても、廃れてますねぇ……

 

自然を流用して生活しやすくしていますし、いざとなれば即逃走できるのでしょうね。

 

「……おや?」

 

一人の人間が恐らく帰ってきたのでしょうが、隣にいるのは……

 

「まさか、機凱種(エクスマキナ)?」

 

何故こんな所に?

見たところ単独行動中の様ですが……

少し魔法で聞いてみましょうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

「心の解析、ですかぁ……」

 

機械にできるのでしょうか?

まぁ、かなりの自己破綻を引き起こしているようですし、その破綻がどう影響するかですねぇ。

 

「でも、自主的に解析しようとして連結体(クラスタ)接続凍結ですか……」

 

自主的にやろうと思った、ですか……

 

「この二人をしばらく見続けましょうかねぇ」

 

 

実に楽しみでございますね!

この二人がどう動くか、二人ともまだギクシャクしてますけれど、それは両者の少しの思い違いが原因のようですし、いずれ解消しますから。

 

そして、それを解消した二人がどんな解答を教えてくれるのでしょうかね♪

 

今は私はこそこそと影から見守っていましょうかねぇ。

 

来るときが来たら、顔を出して、二人に協力するというのも面白いかもしれませんねっ!!

 

さぁてそれではぁ!!

 

 

 

 

 

 

私の戦争(ゲーム)を始めましょうか!

 

 

 

 

 




お粗末様です!

ちゃんとありふれの二次創作の続きも描きますので、作者(バカ)をこれからも宜しくお願いいたします!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

物語は激動へ

モンハンワールド楽しすぎィ!!
ダクソ3と一緒にやっているので書く暇がねぇぜ(言い訳)

すんません遅くなりました。

というわけでクライマックス目前へ!頑張っていきましょー!!


∬*£¢年§#月¢£日

 

しばらく経って、あの二人結婚しました!

 

いやぁ、いいものを見せてもらいましたぁ♪

異種族間の結婚。戦争の最中でお互いが怨みあっているこの世界での初めての例ですね。

 

多分、後にも先にも異種族間の結婚はこの二人だけでしょう。

 

そして、人間達は『幽霊』として活動を開始したようですねぇ。

 

リク・ドーラを中心にあらゆるペテンで他種族を誘導して、衝突させる。

その衝突の際に発生するであろう、それぞれの陣営最高の一撃の衝突。

その衝突で生まれるエネルギーをシュヴィ・ドーラの武装で地殻下へ誘導、星のみを穿つ。

 

成る程、そんなやり方もあったのですね!

でも、それだとかなりの確率で『星杯(スーニアスター)』はアルトシュ様の手の中で顕現を果たすでしょうね。

 

それをどうするのか、見物でございますね♪

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「にしても、やっぱり上手くは行きませんよねぇ。」

 

リク・ドーラが霊骸に侵食されて、除染液での治療を受けているのを見て思う。

 

「でも、とても上手く立ち回っていましたね。」

 

本当にビックリするほど、全て上手く誘導している。

 

「さて、そろそろ参りましょうか。では……」

 

 

 

 

 

 

―――今、姉であるカブリールに襲われているシュヴィ・ドーラを助けて顔見せ、ですかね?

 

 

 

 

******************************

 

 

 

 

「……ごめん、ね―――リク……」

 

空から天の一撃が落ちてくる。

それを防ぐ手立ては自分にはない。

約束は果たせなくなってしまった。

でも、せめて指輪だけは。リクに貰った心の証だけはッ!!

 

典開(レーゼン)、【進入禁止(カイン・エンターク)】ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや、諦めるのには少し早いと思いますが―――ご安心を、貴女は死にはしませんので。」

 

 

 

修復術式が展開される。外界と術式内部が断絶される。

 

 

落ちてくる天撃は―――――

 

 

 

―――――それを上回る天撃に打ち消された。

 

 

 

 

 

 

 

「ジブリールっ!?何故ここにいるの!?」

 

「お久し振りですね、ガブリール姉さま。何故?と問われましても、シュヴィ・ドーラを救出するためにございますが……

まあ、それは今関係ありませんしね?それではこれにて撤収させていただきます、創造主(アルトシュ)様にお伝え下さい、今度はその腰を上げさせてご覧に見せますと。」

 

「っ!?待ちなさい!!」

 

そう騒ぎ立てる小さくなった姉を軽くシカトして森の耳長族(エルフ)の旧都へ転移する。

 

さぁ、幕引き(クライマックス)の時間にございます。

 

それでは――――戦争(ゲーム)を始めましょう。

 

 

 

 

********************************

 

 

 

旧都たる私の拠点へ転移して、シュヴィ・ドーラの回復を待つ。

 

元々機凱種(エクスマキナ)の持つ自己修復能力に私の修復術式が合わさって、かなりの速度で体が再構築されている。

 

「もうそろそろ、ですかね?」

 

しばらくして、損傷は殆ど回復して、シュヴィ・ドーラが目を覚ます。

 

「……ここ、は……?」

「私の拠点にございます。」

「……ッ!?天翼種(フリューゲル)……!?」

「酷い反応のされかたでございますねぇ……

一応貴女を救出したのでございますがねぇ。」

「…天翼種(フリューゲル)が、私を…?」

「貴女の中の私達の評価はどん底のようですね……」

「……首、大好きの、戦闘狂だから、当然……」

「まぁ、首の献上は天翼種の基本にございますが。

それより、リク・ドーラの所へ向かわなくていいのですか?」

「……そう、だ!―――リクの所へ、行かないとッ!!」

「私も連れていって下さいますか?彼とは話をしてみたいと思っていまして。」

「…リク、に、何をする気…?」

「疑い深すぎではありませんか……?

まぁ、いいでしょう。私は戦神アルトシュ、我が創造主を倒したい。貴女達は『星杯』を取りたい。どちらにせよ、『星杯』を取るにはアルトシュ様の打倒は不可避ですよ?なので、協力を申し出ようとした次第でございます。」

「…アルトシュの、打倒は、不必要…」

「残念ですが、不可避にございます。

仮に、精霊回廊の元潮流を穿ったとしても、アルトシュ様は『神髄』の力により、精霊回廊から放出されるエネルギーを上回る力を己に定義できます。ので、精霊回廊を穿った場合、かなりの確率で『星杯』はアルトシュ様の手の中で顕現いたしますよ?」

「…そん、なぁ…」

「だからこその協力願いです。アルトシュ様を倒せばその問題はありませんので。そして、私はアルトシュ様に誓った、アルトシュ様を打ち倒すという誓いを履行しなければならない。貴女達は『星杯』を手に入れることができ、私は誓いを果たせる。これ以上ないWIN WINな関係だと思いますが、如何いたします?」

「……わかった、連れて、行く―――でも、怪しい動き、したら―――あなたを倒す……」

「どうぞご自由に。そういえば自己紹介をしておりませんでしたね。私の名は――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――ジブリール、と申します。

 

 




書けたっ!
ついに書けたっ!!

これからも更新頻度はこれくらいになるかもしれません。

誠に申し訳ないです……

それでも読んでくださり、本当にありがとうございます!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

終戦へ向けて

リク登場!

ゲームが楽しすぎるぅ!!

んな訳で投下します!


「ここが、貴女方の隠れ家ですか?」

「……そう」

 

シュヴィ・ドーラに連れられて洞窟のような場所へやって来る。

 

私も例にならい獣皮のローブを纏い、精霊は体内循環に留めている。

 

そこに隠蔽魔法を重ね掛して見た目以外は人間となる。

 

 

「そこに……誰か居るのか?」

 

 

憔悴したような声が奥の部屋から響く。

 

「……ただい、ま―――リク」

「シュ……ヴィ―――なのか……?」

「……うんっ」

「シュヴィ?シュヴィっ!!」

「リクっ!!」

 

二人がハグしあう。

お熱いですねー!

 

「無事だったんだなっ!本当によかったッ!!」

「……うんっ!ただいまッ!!」

 

しかしながらぁ―――――

 

「あのー、仲がよろしいのは大変結構なのですが、私のこと―――忘れてません?」

 

「「……あ」」

 

「というか……お前、何だ?」

 

そうリク・ドーラに問われる。

ならば、顔合わせの時間にございます♪

ローブを脱ぎ捨て、姿を曝して名乗る。

 

「私は天翼種(フリューゲル)、『番外個体』ジブリールと申します。

用件は―――私に創造主(アルトシュ)を倒させて欲しいのです」

 

「……天翼種が、それも『番外個体』が―――何故?」

 

「それが……私が造られた理由だからです」

 

「戦神を倒すのが―――造られた理由?」

 

「最初はただの推測でした……何故自らは造られた?敵を排除するため?それは先輩方でも普通に可能です。

では何故?我が(アルトシュ様)は常に倦怠に沈んでいる。しかし『挑む』という言葉、それには強く反応を示す。

なれば強者である己、それに『挑む者』或いは『天敵足りうる者』が現れることを願っているのではないか?と推測しました。

そして、それは私が12年前に龍殺しを成した時に、主が言ったその言葉に答えがありました。

『龍を殺すに至ったか、【番外個体】よ―――我が羽よ、お前は余を弑するまでに強くなるか?』と……」

 

「それは……」

 

「すなわち、主は己を越えることができる者を探している。そして、私は主に不完全性故の、主さえも倒しうる力を示すために造られたのだと確信いたしました」

 

「それじゃぁ、どうやって神霊種(アルトシュ)を倒すんだ?」

 

「ほう?弱いから無理などとは言わないのですね?」

 

「そんなんじゃ俺ら人間はとっくに滅んでるっての」

 

「フフ♪それもそうにございますね♪」

 

「……リク、打ち解けるの、早い……」

 

「だってよ?弱者でありながら強者に挑む?最高に愚かじゃねえか、まるで俺達『幽霊』のように!」

 

「えぇ、弱者だから強者に勝てない?そんな道理、一体何処に存在するので?」

 

「……そう、だね―――確率論に『0』は、ない……」

 

「では、これからの道筋を共にするにあたって何かやりませんか?例えば、『幽霊』の合言葉【同意に誓って(アッシェント)】の復唱だとか?」

 

「ああ、そうだな!じゃあ三人で復唱だ!」

 

「―――せーの……」

 

「「「同意に誓って(アッシェント)ッ!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

*********************************

 

 

 

 

 

 

「さて、リク。もうそろそろ、いいんではありませんか?」

 

「あぁ、そうだな―――其処にいるやつ、誰だ?」

 

 

 

 

「……驚いた。まさか天翼種が此方側に味方するとは……」

 

「それより、貴方。名前は?」

 

「名前は無いが、呼ばれている通り【全連結指揮体(アインツィヒ)】と名乗ろう」

 

「アインツィヒ、ですか。一体何のご用で?」

 

「シュヴィ・ドーラの作戦には不備がある。それを報告するとともに、戦略を補正するために来た」

 

「戦略に不備だと?」

 

「シュヴィ・ドーラの作戦を実行し、もしこの先『通行規制(アイン・ヴィーク)』を予定通り設置、起動しようとも全火力の衝突を収束は偏差で不可能。加え、現在『連結体(クラスタ)』で行動しようものなら相手側に感知され、交戦となる確率が98%」

 

「何だって?それじゃあ一体……ッ」

 

「付随して報告する。機凱種は受けた攻撃を模倣、再現し兵器を作成することが可能。複数の連結体を使えば、全衝突火力を70%以上で再現可能」

 

「でも、それでは……」

 

「そして、この作戦を実行しようとリク・ドーラは『人間』は敗北しない」

 

「何?」

 

「何故ならば、我ら機凱種は機械。ただの道具(・・・・・)であるが故に」

 

「……お前、何言ってるのかわかってんのか?」

 

「これが、我ら機凱種の意志であるが故に。そして―――死を覚悟した時にシュヴィ・ドーラが、我らに遺そうとした遺志でもあるが故に」

 

「シュヴィ―――お前……」

 

「……あの時は、ジブリールが、観察してるって、気付けなかった、から……」

 

「でも、死というのは覚悟するものではありません。どんな状況でも、無様でも、足掻き続けて、最後に最高の結果を残すまで戦い続ける。それはリクのやっている事と変わりありません。貴女も、どんな状況でもリクに倣い、共に歩み続ければよいのです。絶対に諦めてはなりませんよ?」

 

「……ん、わかった……」

 

「……よし、それじゃあ作戦を提示するぞ……」

 

「どんなん命令であろうと、我らは忠実に従い、こなしてみせよう」

 

「それじゃあ……」

 

 

―――このふざけた戦争を、終わらせよう―――

 

 

 

 

 

×÷×÷×÷×÷×÷×÷×÷×÷×

 

 

 

「にゃはぁ~!可愛いにゃあ!修復術式が疎ましいにゃぁ~!せっかくぅ、こんなちっちゃいガブちゃんに会えたっていうのにぃ~♪」

 

アズリールは修復術式中のガブリールの回りを八の字飛びで飛びまわる。

そのウザさ故にガブリールは修復術式に籠ったのだが、この姉、反省する気はさらさらないらしい。

 

その神殿に、神殿の主が顕れる、それだけで周囲の空間がねじ曲がり、空間が拡張、収縮を繰り返す。

 

―――――【最初番個体(アズリール)】よ、【番外個体(カブリール)】 はどうした―――――

 

 

響く荘厳な声音。瞬間的に跪く。その言葉のみで幻想種(アヴァント・ヘイム)を震わせる、絶対強者である主様(アルトシュ様)

 

「天撃の使用により、修復術式中にございます。アルトシュ様」

 

―――――ほう?天撃をか?―――――

 

「はい、そして報告します。もう一人の【番外個体】、ジブリールが本格的に動き出しました」

 

―――――ククッ、そうか、そうか―――――

 

その、最強故に常に倦怠に沈む主が、普段見せることのない獰猛な笑みを浮かべる。

 

「どうかなされたのですか?」

 

―――――やっと、ようやっと、余を弑する者が現れるのか、ククッ、クハハハッ!―――――

 

「御身に敵うものなど、いるはずがございません。番外個体でも決してあり得ません」

 

互いを殺し、殺され、その都度に魂を肉体を磨きあげる【戦争】。その概念の権化たる主に、敵うものなどいるはずがない。故に主は常に勝ち、蹂躙という戦いとも呼べぬものを見つめ、常に倦怠に沈むのだから。

 

殆んどの有象無象は、その最強を前に挑むことも、拒むことも忘れ逝く。そんな……

 

―――――挑む者なき最強に、果たしてどの様な意味がある?―――――

 

その笑みを一転、冷めた表情で地上を見下ろした。

 

その時だった―――

 

 

 

×÷×÷×÷×÷×÷×÷×

 

『全【戦闘体(ケンプファ)】、【偽典・天撃(ヒーメアポクリフェン)】用意……』

 

アヴァント・ヘイム。その後方で……

 

『照準、偏差固定―――殺すなよ(・・・・)?』

 

『『『『【了解(ヤヴォール)】』』』』

 

争いを終局へ導く、歴史的な一斉総射が行われた。

 

×÷×÷×÷×÷×÷×÷×

 

切羽詰まった、一人の天翼種(フリューゲル)声がアヴァント・ヘイムに響き渡った。

 

「後方に熱源を感知ッ!!これはッ―――天撃ッ!?」

 

瞬間、アヴァント・ヘイムを掠めるように放たれた幾条の破壊の閃光。

それは紛れもない、自分たちの切り札で―――

 

「な、なんにゃあ!?一体誰が天撃を撃ったにゃ!?」

 

「不明です!アヴァント・ヘイム内からは何の反応も……!」

 

―――そして、思い出す。ジブリールの活動を報告される前に伝えられた、カブリールが天撃を使うに至った要因―――

 

「にゃはぁ~、ナメた真似してくれるにゃぁッ!鉄屑(スクラップ)ッ!!」

 

―――――くは、ククッ、クハハ、クハハハハッ!!―――――

 

混乱の中、矢継ぎ早に指示を出したその瞬間。

 

辺りに響き渡る哄笑。

 

その声音を轟かせる偉容に、皆が目を剥いた。

 

―――――そうか!貴様らか!余を弑さんとするものはッ!存外早かったなぁ!クハハハハッ!!―――――

 

 

「し、失礼ながらアルトシュ様!機凱種(エクスマキナ)ごときに御身の相手が務まる訳が……」

 

―――――機凱種(エクスマキナ)?なんのことだ?―――――

 

なおも狂暴な笑みを浮かべ、笑い続ける主の言葉は、リーダーとして指示を飛ばしていたアズリールの思考を一瞬で絶ちきった。

 

―――――約束を果たしに来たか、我が息子よ……フフ、だがまぁ、最強たる余に相対するは最弱たるのも道理。なぁ、“猿”―――――

 

黄金に輝く瞳で地上を睨む。

龍精に森精に地精(ざこども)が虫けらのように集っている。

そして、その神意を、右の腕を掲げ、世界の法則をねじ曲げながら告げた。

 

―――――総員、構えよ―――――

 

「「「なぁ!?」」」

 

告げられた言葉に全ての天翼種(フリューゲル)が目を見開く。

慌てた様子でアズリールが進言する。

 

「ア、アルトシュ様!?恐らく奴等(エクスマキナ)の狙いは神撃にございます!!」

 

“神撃”―――アルトシュの力を、全ての天翼種(フリューゲル)の天撃に載せて放つ、万神必倒無双の一撃。

 

間違いなく、機凱種の狙いはその一撃の模倣。

だが、それさえも―――

 

―――――それがどうした?―――――

 

その一言で、正気を取り戻したアズリールが叫ぶ。

 

「総員、天撃構え!その全てをアルトシュ様に捧げるにゃ!主はこの天地の狭間において最強!小賢しい者共の愚かな作戦を前に、何を恐れ惑うにゃ!」

 

その叫びに呼応して、天翼種たちがその力を開放。アルトシュの腕に捧げる。

アルトシュの白銀に煌めく十八の翼がその輝きを増してゆく。

 

―――――己が分際をわきまえよ、小賢しき塵芥ども―――――

 

―――――足掻けもがけ、地を這う虫けらが如何に群れようとも天に及ばぬと終に識れ―――――

 

 

宇宙の法則が慟哭し、その腕に“最強”が定義される。

世界が嘶き、その一撃の開放を畏れ喚き戦く。

 

―――――待ちわびたぞ、我が天敵よ―――――

 

その言の葉と共に、各々の種族の最高火力と、終焉の一撃が解き放たれた。

 

 




かゆ……うま。

疲れたぁ!矛盾が所々あって書き直しの連続。やっと終わったじぇー!!

次回、アルトシュ死す!
デュエルスタンバイ!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

終焉、不殺の神降し

ドーモ。皆=サン。ユマサアです。

MHFたのすぃーです。
交流猟団に入ってましたが、コミュ症の私には荷が重かった……
ソロ猟団という素晴らしいものがあったなんてッ!!
もう狩り尽くすしかない(錯乱)

さて、アルトシュ戦です。

オリジナル能力が出ますので、お楽しみに!


放たれる三つの種族の破滅の光。

 

―――虚空第零加護(アーカ・シ・アンセ)森精種(エルフ)が作り上げた、森神カイナースの加護刻印をもって機能する幻想種(ファンタズマ)の核を自壊させる際に起こる精霊の連鎖的崩壊に指向性を持たせた兵器。

その原理上、巻き込む相手の精霊量が多ければ多いほど威力が増すものであり、全弾術式を開放すればそれこそ神霊種(オールドデウス)さえその破壊の燃料に変える凶悪な魔法。

 

―――髄爆(ずいばく)、不活性化した神霊種(オールドデウス)の神髄を起爆させる、対神霊種(オールドデウス)用の決戦兵器。

刻印術式により作動する爆発の威力は単発で大陸を丸ごと焼き払う、地精種(ドワーフ)の切り札。

 

その凶悪な代物、それぞれ十八発と十二発。

そこに、契約に従い命を捧げで行われる龍精種(ドラゴニア)従龍(フォロワー)による破壊の閃光、崩哮(ファークライ)を八発。

 

そして、全ての天翼種(フリューゲル)の全力の天撃を束ね、戦神アルトシュが己の力と共に放つ“神撃” 。

 

一発でも種族ごと滅ぼせる天撃が幾千発、そこにアルトシュの神髄の力が加わればどうなるか―――

 

その神撃は、虚空第零加護(アーカ・シ・アンセ)十八発、髄爆十二発、崩哮(ファークライ)を八発。それらを全て呑み込み収束し、破壊の摂理として渦巻いた。

 

それは、地に近づくだけで岩盤を揮発させ削ってく、世界の終焉を告げる光と化した。

 

 

 

そして、その終焉は唐突に逸れた。

 

 

逸れた終焉の輝きは、地を削り、山を揮発させながら進み、その先に待機していた幾千機もの機凱種(エクスマキナ)を包み消していく。

 

そして、遠く離れた地の裂け目に立つ三つの影。

リクとシュヴィ、そして戦闘体(ケンプファ)機凱種(エクスマキナ)の少女。

 

 

「11クラスタ、4807機の導入により、72.8%再現設計成功。同期します、《典開(レーゼン)》」

 

瞬間、少女の手から数多のコードが伸び、それを形の造っていく。

 

「Org.0000【真典・星殺し(ステイル・マーター)】託します」

 

それは、巨大な塔のような銃砲。

地の裂け目にその砲口を向ける、星殺しがそこに顕現した。

 

「それでは、わた、当機はこれより戦闘に向かいます……お二人とも、ご武運を」

 

そう、飛び去っていく最後まで機械と己を偽った少女を見送って

 

「……さて、あとはアイツらがやってくれるのを信じて待とう」

「……きっと、成功……する、よ……」

「あぁ……」

 

 

×÷×÷×÷×÷×÷×

 

「大人しく、主を殺されろって言うつもりかにゃア!!鉄屑(スクラップ)がァ!!」

 

縦横無尽にアヴァント・ヘイム上空を飛び回り玉座の間を目指し、攻撃を加えようとする天翼種(フリューゲル)を的確に殺さず(・・・)アヴァント・ヘイムの陸地へと落としていく機凱種(エクスマキナ)

それだけではない。アヴァント・ヘイムの周囲まで囲い尽くす機凱種(エクスマキナ)はこれを好機と攻めてくる他種族に対しても人命を削ることなく、その船体のみを落としていく。

 

鉄屑(スクラップ)がァ!うちら(フリューゲル)が“天撃”だけのバカの一つ覚えとでも思ったのかにゃァ!」

 

とアズリールは叫び、頭に浮かぶ光輪を複雑に破綻させ、眼前にその歪みをぶつける。

空間転移(シフト)”、天翼種(フリューゲル)の行える悪夢の所業の一つ。空間を歪ませて視認した場所、一度訪れた場所に転移する戦線を無視する悪夢のような代物。使用時に生じる空間の歪みを、眼前を飛び交う機凱種(エクスマキナ)に叩きつけ、何機かが蒼い光を放って爆散するのを視界に捉え、そこで全ての力を使いきったアズリールは玉座の間に続く扉に寄りかかる。

 

そこに、絶望的な言葉が聞こえてきた。

 

「【解析体(プリューファ)】より、【指揮体(ベフェール)】へ、天翼種(フリューゲル)空間転移(シフト)原理、解析完了」

 

「なぁ!?」

 

機凱種(エクスマキナ)は、受けた攻撃を解析、模倣する種族。今まで、自己作用故に解析されることのなかったそれを攻撃に使用した。それを遅蒔きながら思い出し、後悔するアズリールの耳にその行動の結果が入ってくる。

 

『【設計体(ツァイヘン)】より残存機へ、模倣武装【偽典・天移(シュラポクリフェン)】設計完了、同期まで3秒、同期します』

 

『【全連結指揮体(アインツィヒ)】から全機へ、周囲への対応が終了し次第、目標地点へ―――転移せよ』

 

瞬間、前方から玉座の間の扉を撃ち抜く光が奔り―――

 

「しまっ!?」

 

『目標地点視認(・・)典開(レーゼン)》、【偽典・天移(シュラポクリフェン)】ッ!』

 

 

「く、そぉ!」

 

アズリールは力なく這いながら、主の袂へ向かおうと進んだ。

 

 

×÷×÷×÷×÷×÷×

 

 

玉座の間、その奥に存在する偉容に全機がそれが目標であると察知する。

 

 

――――― 待ちわびたぞ、我が宿敵たる者の尖兵よ ―――――

 

―――――さて、我が羽はどうした?―――――

 

「ここにございますよ、アルトシュ様」

 

目の前に転移する。黄金に濡れた双眼を細め、笑みを漏らすアルトシュ様。

 

「さて、アルトシュ様。私、不肖ジブリール。約束を果たしに参りました」

 

―――――フフ、そうか、そうか、さて聞こうか尖兵ども……我が宿敵たらんとする者の名を―――――

 

『……』

 

黙り込む機凱種(エクスマキナ)たち、それを見てさらに笑みを濃くするアルトシュ様。

 

―――――よい、よい……最強たる余に相対するのは誰もが顧みぬ最弱、さもありん―――――

 

そして立ち上がった。瞬間、世界が軋みを上げアヴァント・ヘイムが驚くように鳴動した。

立ち上がった。ただそれだけで、アルトシュ様の存在感、否、存在自体が増大していく。

 

そんな、力学的法則、熱力学的法則にも逆らったあり得ない状況に、機凱種(エクスマキナ)の軍勢が狼狽する。

 

『これはっ、いったい何が起きている!?当機の異常か!?』

『『『否……ッ!?』』』

 

―――――最強は最強であるが故に最強……力の増減など、最強には関係あるまい―――――

 

『……全機、対未知用戦闘アルゴリズムを展開せよ』

 

『そして、この仮説を検証せよ、神髄とは物理的に視認可能か?』

 

『『『【肯定】』』』

 

 

「なら、私がやりましょう一対一で……」

『……いけるのか?』

「そもそもアルトシュ様との約束は一対一での勝負……手出しは無用です。ただ……あなた方の武装を使用させてくれませんか?」

『……了解、我らの武装、貴方に託そう。全機、ジブリールへ武装使用許可を』

『『『【了解(ヤヴォール)】』』』

 

 

―――――そうかそうか、ジブリール……【番外個体(エクストラナンバー)】にして【最終番個体(クローズナンバー)】たる我が羽よ……始めるとするか?―――――

 

「ええ、これが正真正銘、この大戦最後の戦いです」

 

光輪にアインツィヒから預かった四角い武装展開装置をあてる。

 

「“適応”」

 

そう呟くと、四角いキューブが溶けるように消え、光輪が形を変え、複雑な紋様が刻まれる。

 

それを見たアルトシュ様は更にその凶暴な笑みを濃くする。

 

「さぁ、今宵、全てを終わらせましょう」

 

×÷×÷×÷×÷×÷×

 

 

先制はアルトシュの無造作に払われた腕だった。

その一振りのみで、払われた方向の景色が崩壊する。

 

「流石、アルトシュ様と言いましょうか……」

 

崩壊していく景色を視界の端に納め、高速で飛び回る。

 

「此方も仕掛けましょうか、《典開(レーゼン)》【全方交差(アシュート・アーマ)】」

 

基本的な火力武装は精霊回廊の化身たるアルトシュには通じない。

ならば、その精霊に対して猛毒となる霊骸をぶつけるのみ。

霊骸により形成された膜はいとも容易く凪ぎ払われる。

 

それは、想定済みだ。

牽制になるかもわからない漆黒の光の槍を幾本も放つ。

が、アルトシュのもとへ到達した瞬間霧散してしまう。

 

「やはり、これでは無理ですか……」

 

―――――諦めるか?【最終番個体(ジブリール)】―――――

 

「そんな訳っ、ないでしょう!!」

 

目まぐるしく変わってゆく景色、移動によるもの、破壊によるもの、ただの余波で削られたもの。

それらが視界に入り、そして流れていく。

 

飛んでくる精霊の塊を裂けるものは斬り裂き、裂けられぬものは受け流す。

 

避けることは不可能、周囲を通行規制(アイン・ヴィーク)で覆い、受け流してもなお此方へ向かってくる精霊塊を凌ぐも、これにも限界がありそうだ。

 

「……己の推理に、賭けましょうか……」

 

そもそもこの戦い自体が賭けのようなもの。

ならば、あとはこの賭けに勝てるか負けるかだ。

 

「アルトシュ様、私はそろそろこの戦いに終止符を打とうと思いますが……」

 

―――――ほう?如何にして余を倒す?―――――

 

「本当に賭けとなりますが……今からそれを、御覧に入れましょう」

 

そう言って、両の手を掲げる。

精霊が脈動し、その手に不定形な槍を形作る。

精霊を吸収する際、光ごと吸収し黒く暗転していた羽が光を放出し、形を崩す。

 

それは“天撃”。

 

天翼種(フリューゲル)が全身を擬似精霊回廊へと変質させ、精霊をかき集め、それを物理的な破壊として放つ全力の一撃。

 

十二年前ですらアヴァント・ヘイムの一画を消失させたソレは、アヴァント・ヘイムが恐れ戦くまでの一撃へと至っていた。

 

「参ります―――」

 

―――――来るがいい、ジブリール、我が羽、我が息子(・・)よ―――――

 

 

 

 

 

 

 

「―――“天撃”―――」

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、解き放たれた極光がアヴァント・ヘイム地表を揮発させ、アルトシュへ向かい駆けてゆく。

 

 

そして――――

 

 

視界が白く塗り潰される。荒れ狂う精霊の奔流に玉座の間の外にいる者たちも吹き飛ばされそうになる。

 

しかし、それを受けてもなお、アルトシュは健在していた。

 

辺りを覆う粉塵の中、アルトシュの声が響く。

 

―――――見事なり、我が羽よ。が…―――――

 

―――――足りぬ、まさかこれで終わ―――――

 

 

「る訳ないでしょう」

 

真後ろから響いた我が子の声にアルトシュが目を見開く。

 

そこには、精霊の枯渇により子供のサイズまで縮んだジブリールが、玉座の頂。そこで白銀に煌めいている宝石の前へ浮いていた。

 

そして、その宝石に手を向け……

 

 

 

 

 

九遠第四加護(クー・リ・アンセ)

 

 

 

 

その、森精種(エルフ)が編み出した霊壊術式の一つ、空間を封印し、それを絶対の防御とする魔法で白銀の宝石、すなわち、アルトシュの神髄を覆う。

 

 

 

瞬間、アルトシュの姿が唐突に霞み始める。

 

――――クク、クハッ、クハハハッ!!――――

 

――――嗚呼、これが……敗北か――――

 

―――実に心踊る、素晴らしい戦い(あそび)だった―――

 

――誇れ、我が子、誉れ高き最弱よ――

 

―貴様らは―

 

(最強)の敵足り得たのだと……」

 

 

そう、空を塗り潰すような白い光を放ち消滅しようとするアルトシュを前に、ジブリールは―――

 

「まだ、貴方の研鑽は終わっておりませんよ?アルトシュ様」

 

その手に握られた白銀の宝石を―――

 

「“適応”」

 

光輪に、基幹術式に押しあて、浸透させる。

複雑な紋様を描いていた光輪が、さらに複雑多岐な、そして神々しい紋様へと変貌していく。

 

そして―――

 

『嗚呼、そうか―――まだ、終わっていないのだな……』

 

「えぇ、これから始まるのです。敗北から学び、高みへと至る、終わりなき研鑽が……」

 

 

そう、自らの中で穏やかに笑う父親と、その瞬間を待つ……

 

そして、星を貫き通す閃光と激震が、世界を包み込んだ―――

 

 

 




今回はここまで!

次回は終戦!

さて、ハッピーエンドに向かって駆け抜けようか……

作者がんばる(白眼)




能力紹介

“適応”

外部の力を己の物にする能力。適応するにはある程度適応する物に対する知識が無ければ適応できないので万能というわけではない。
ただし、理解度が深ければ深いほどその力は馴染み、増大する。
まさにご都合主義。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

終わりと始まり

MHFたのしーれす。

日間3位、だと……ッ!!フリーズした私は悪くない筈……
本当にご評価ありがとうございます!
今回で終戦、その次からは他作品クロスものになります!

頑張ってやっていこうと思いますので、どうぞこれからもよろしくお願いします!


星を穿ち、貫き徹す、幕引きの閃光が放たれた。

 

星を殺す、その一撃を放った二人(リクとシュヴィ)が精霊の奔流に飲まれないように離脱した場所から、光の中心に浮かび上がるものを見つめる。

 

金色ので飾られた、五芒星が縁取られた神々しく煌めく多面体。

 

「あれが、星杯(スーニアスター)

「……きれ、い……」

「あぁ……」

 

暫く見惚れてしまうも、すぐに頭を振って気を持ち直す。

 

「やるぞ、シュヴィ―――」

「……うん、リク―――」

 

 

 

「「ゲームの神様」」

 

 

「ゴミみたいなこの命だが、生まれて始めて祈る!頼むよ!俺たちは勝者じゃない、だから星杯(スーニアスター)には触れられない!」

 

「……でも、神様、なら……でき、る……」

 

「俺たちは、この戦争の結果を見れば敗者だ……」

 

「……星杯(スーニアスター)の、使用権……シュヴィ達、には―――ない……」

 

「だから、敗者なら敗者らしく、神様(他人)に任せるしかない……」

 

「……だか、ら……おね、がい……っ」

 

 

 

そして、その視界に、星杯(スーニアスター)に向かって歩いていく一人の少年の姿を捉える。

 

「……は、ははっ、あははははっ!」

「……ふわ、ぁ……」

 

大きな帽子を被った、目にダイヤとスペードの徴を宿した、不敵な微笑みを湛えた少年が、星杯(スーニアスター)に向かって歩いていく。

 

「やっぱり、居たんだな、お前―――」

「……あれ、が……遊戯(ゲーム)の……神、様……」

 

一度、此方を振り返りその不敵な笑みで笑いかける神様に……

 

「なぁ……また、ゲームしようぜ?今度こそ絶対勝って見せるから―――」

 

寄り添う最愛の少女の手を強く握り、付き合ってくれた仲間たちを思い浮かべ―――

 

「―――俺たち皆で……絶対に」

 

そう、宣誓をする。

 

そして、少年がその手を星杯(スーニアスター)に添えて―――

 

 

 

―――世界が、生まれ変わった―――

 

 

 

 

 

×÷×÷×÷×÷×÷×

 

 

 

天を覆っていた赤い灰塵は晴れ、青く広がる美しい空が広がった。

 

砕け、乾き、荒れ果てていた土は草木が咲き乱れ、小鳥たちが舞い踊る。

 

その、世界が生まれ変わる様子をジブリールは高く聳える山の頂で眺めていた。

 

「これが……空ですか……」

『蒼いな……』

「えぇ、美しい……私たちはこの景色を壊していたのですね……」

『あぁ……』

 

感慨深く、その美しい光景に目を細める。

 

「さて、アヴァント・ヘイムに戻りますか?」

『そうだな……だが急ぐはあるまい?』

「いえ、姉たちがもうそろそろ状況を把握して自らのカイシャクを始めかねませんので」

『……そこまでか?』

お父様(・・・)、もう少し貴方という存在の重要性を考えてくださいな……」

 

そう自らのの中で語る父にカクッと肩を落として、天空に向かって羽を打った。

 

 

×÷×÷×÷×÷×÷×

 

「あ、ぁ、あぁぁあぁあ……」

 

その悲鳴は誰のものだったか、空を駆ける大陸アヴァント・ヘイムを根城とする天翼種(フリューゲル)は皆一様に主なき玉座の間にて項垂れる。

 

戦況を握っていた我らは敗け、主は倒された。

機凱種(エクスマキナ)はとうに去り、その場は重苦しい沈黙と嘆きに包まれていた。

 

「……嗚呼、負けた、終わってしまった……」

「……アルトシュ様は何処に……何処に……」

 

うわ言のようにふらふらと、生気の失せた顔で歩く天翼種(フリューゲル)達。

 

「……あぁ、もう、主は、アルトシュ様はいないのか……」

 

誰の呟きだったか――

 

「……ならば、戦が終わり、主もない我等に、如何なる意味がある……」

 

一人の天翼種(フリューゲル)が、その手に槍を作り出す。

そして、自らの胸にそれを向けて……

 

「誰が終わりと言いました?」

 

そう、澄んだ声が響き、胸に向けられていた槍が砕かれた。

 

「……ジブ、リール……」

「ジブ、ちゃん……?」

 

既に天翼種(フリューゲル)の光輪の面影はなく、神々しく複雑多岐な紋様の光輪を頭に浮かべたジブリールが玉座の間に舞い降りる。

 

「ジブリールゥゥウ!!」

 

一人の天翼種(フリューゲル)が槍を作り出し、ジブリールに向かって突貫する。

 

が―――

 

「十の盟約その一、『この世界におけるあらゆる殺傷、略奪を禁ずる』」

 

盟約の力でジブリールに害なす槍は霧散した。

その盟約の力に捩じ伏せられた天翼種(フリューゲル)は座り込み項垂れる。

 

 

「……ジブちゃん、何しに来たにゃ……」

 

俯きながらアズリールが問うた。

 

「いえ、勘違いされておられるようなので訂正をしにきただけですが?」

「……勘違いだと?」

 

ラフィールがジブリールの言葉に眉をひそめる。

 

「はい、どうやら皆様、アルトシュ様が死したと思われているようですので」

「……殺したのはお前だろう?」

「いえ、アルトシュ様は死んでおりませんが?」

 

「はにゃ?」「うん?」

 

アズリールとラフィールが首を傾げる。

 

「はぁ~」

 

ジブリールはため息を吐き……

 

「―――神髄顕現―――」

 

瞬間、世界が鳴動した

 

「神将意通、神格設定“底辺”」

 

そして暴威を撒き散らしながら……

 

『聴け、我が羽よ』

 

項垂れていた者たちが顔を上げる

 

「アルトシュ……様?」

 

『我等の路は未だ終わらず、我等はこれより研鑽へ入る』

 

「研鑽……」

 

『我らは敗れた……それこそ、本来とるに足らない者共に……』

 

天翼種(フリューゲル)たちの顔に影がさす。

 

『だからこそ、なぜ敗れたか、なにが我等に足らなかったのか……それを、この争いのない。しかしながら遊戯による抗争(・・)が起こるであろう世界にて研鑽を行う』

 

 

『そして、もう一度最強の座へと至らん』

 

 

 

『さぁ、研鑽(ゲーム)を始めよう。我が羽たちよ』

 

 

×÷×÷×÷×÷×÷×

 

 

―――誰にも作られず、誰にも望まれず、誰にも願われず

 

―――ただ己の意思で、獣から二足で立ち上がり知性を手にした名もなき種族、人間……

 

―――そんな君たちに敬意を評し、唯一神として名を与える……

 

―――人類種、免疫(immunity)と―――

 

 

そして―――

 

「知性有りしと自称する、十六種族(イクシード)よ!!」

 

声高らかに、唄うように、不敵な笑みを浮かべた少年の姿をした唯一神(テト)は告げる。

 

「亡き意思【アッシエイト】を継ぎ、種族の同意【アッシェント】を成し、十の盟約に基づく【アッシェンテ】をいざ仰げ!」

 

 

―――今日この日、世界は変わった―――

 

 

―――さぁ!ゲームを続けよう!!―――

 

 

 

 

×÷×÷×÷×÷×÷×

 

 

月日は流れ―――

 

 

 

「……シュヴィ……今まで、ありがとな……」

「……うん……」

「ジブリールも……」

「どういたしまして、ですか?」

「ははっ……」

 

 

一人の人間の命が終わりを迎えようとしていた―――

 

 

「もう一度言いますが、本当にいいのですね?」

「……あぁ、死ぬのなら人間のままがいい……」

「……そうですか」

「……わりぃな、ジブリール……」

「気にしないでくださいな」

 

「……なぁ、シュヴィ……」

「……なぁ、に……リク……」

「……お前はこのまま、この世界を楽しんでくれないか?俺の分まで……」

「……え……?」

「……せっかく、俺達で変えた世界なんだ、楽しまなきゃ損だろ?」

 

穏やかな笑みを浮かべそう言うリク。

 

「……ねぇ、リク……?」

「……どうした、シュヴィ……」

「……シュヴィ……リクに出会えて、本当によかった……」

「……あぁ、俺も……」

「……シュヴィ、本当に幸せだった、よ……?」

「……俺も、幸せだったな……」

 

「……本当に、愛してる、よ……」

「……あぁ、本当に、愛してる……」

 

 

そして、静かに目を閉じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、シュヴィが悪戯っ子のような笑みを浮かべた。

 

 

「……ジブリール、よろ……」

「はいは~い、了解しました!」

 

魔法陣がリクの下に広がる。

 

「この世界、輪廻転生はございません。すべての魂は精霊回廊へ還るがために。ただし、新たに死した魂は暫く肉体に留まります」

 

故に―――

 

天翼種(フリューゲル)化術式、起動しまーす!」

 

「……ジブリール、れっつ、ごー……」

 

「一度は人として(・・・・)死に至った。なれば二度目の人生はどのようになってもいいですよねェ?」

 

「……約束破るの、許さない……」

 

「それでは、参りましょう!!」

 

天翼種化(シフト:フリューゲル)!」

 

 

 

「……あれ?」

「……ジブリール、ないすぅ……」

「成功でございますね!」

「……ってうぉい!?何で生きてるんだ何故羽が生えているぅ!?」

「さようならそして、おかえりなさ~い!」

「……へぇ~い……生き返った、気分……どう……?」

「……ジィブゥリィルゥっ!」

「いえ~シュヴィと以前にゲームをしたときにリクが死んだ際に生き返らせることを賭けの対象にしたチェスをしましてね?それに見事負けまして、生き返らせることになりました!」

「……シュヴィ……」

「……約束、破るの……絶許……」

「はぁ~。分かったよやってやるぁ!本当の終わりまで付き合うよ!」

「……ふ、勝った……第三部、完……」

「シュヴィも染まりましたねぇ……」

 

そんな、何気ない会話をしながら、三人は新たな門出を迎えた。

 

「さて、ではチェスでもしますか?」

「勿論2対1だよな?」

「そっちの方が面白いでしょう?」

「ハッ、何時ものように勝ってやるァ!」

「……ジブリール……かまん、かまん……」

 

「さぁ、ゲームを始めましょう!」

 

 

 

 

 

 

「「「盟約に誓って(アッシェンテ)!」」」

 

 

 

 

旧き神話は永久へ続く―――

 

 

 




ノゲゼロ編完!若干無理矢理感が否めないですかね?

次回からはノゲノラ本編へ!

リクは天翼種になりました!
約束は破ってはいけません(戒め)

後々投稿する予定のIF編は異世界旅行になります。
例えばD×D世界だったりそんな感じにクロスさせていければなぁと思います!

今後とも『無双のその先へ』をよろしくお願いいたします!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

終焉の人類最終試練
THE FATALIS WAR GAME


ドーモ。皆=様、お久しぶりです。ユマサアです。

久々の無双更新!

他作品クロス一回目(一章目)は問題児シリーズ!

正直、耀ちゃんのキャラが安定してない感丸出しです。泣ける。

取り敢えず書き上がりましたので投下します。

それでは、ゆ っ く り し て い っ て ね


人類最終試練(ラストエンブリオ)の魔王、アジ=ダカーハ討伐から数ヶ月。

 

箱庭は騒がしき平穏を取り戻し、修羅仏神やそれに属する者達、その下で加護を受けギフトゲームに参加しそれぞれのコミュニティに貢献する者が元気に、しかしながらも殺伐にその生を謳歌していた。

 

ただし、アジ=ダカーハを超える史上最凶最悪の人類最終試練(ラストエンブリオ)がこの神々の箱庭に降臨するまでは、の話だったが……

 

 

┼┼┼┼┼─────

 

 

そんな、平和が崩れ落ちる数刻前、『旧アルカディア同盟』の主格である『ノーネーム』本部───

 

「なぁあにやってやがるんですかァ!この問題児様方ァ!!」

「ヤハハハハッ!向こうがケンカ吹っかけて来たんだ!相手してやんなきゃ向こうに悪いだろ?」

 

笑いながら目の前で土下座する聖銀鎧集団を弄り倒した上で桃髪のうさ耳少女に反省の欠片もない言い訳する金髪の少年、逆廻十六夜。

 

「そうよ黒ウサギ、向こうが売って私たちが買った喧嘩よ?正当性は勿論、報酬もこんなに」

 

そう言って、明らかに箱庭下層では見かけない希少鉱物を含む財宝の山を指差す赤いドレスの少女、久遠飛鳥。

 

「苦労サギ、まだ慣れてないの?」

「イントネーションに悪意を感じますし慣れてたまりますかァ!これを!」

 

ここぞと黒ウサギと呼ばれた少女を名前と状況で煽る、物静かな雰囲気の少女、春日部耀。

 

コミュニティ『ノーネーム』の主力メンバーである。

 

神霊級の恩恵(ギフト)を砕く上に、山河を砕き、その上で星を叩き割る圧倒的な火力に、武器による攻撃を無効化する獅子座の太陽主権を所有した規格外第一人者、逆廻十六夜。

 

神霊の先祖返りにして、その恩恵である制限なき《威光》を持ち、最高峰の希少鉱物である《神珍鉄》をもって精霊たちが作り上げた、純血の龍の一撃さえ防ぐゴーレム『ディーン』を含む様々な恩恵武装を所有する少女、久遠飛鳥。

 

『旧アルカディア同盟』所属であった春日部孝明の娘にしてアルカディア同盟の正当な後継者であり、神獣や幻獣などのあらゆる生命の力を混成し、己の力、武器とする恩恵《生命の目録》とその副作用であるキメラ化を防ぐ、魔王ディストピア由来の恩恵《ノーフォーマー》を所有する少女、春日部耀。

 

そして、軍神、月神、日神の三天から恩恵を授かり、月の兎の種族特性である最高位の恩恵《審判者権限》を所有し、一度飛鳥を救うために煉獄に落ちかけるも帝釈天より神格を授かり転生を果たしたこのコミュニティのツッコミ役兼苦労人である努力家少女、黒ウサギ。

 

彼らは未だ大半が幼子であるコミュニティを支え、人類最終試練アジ=ダカーハを討伐するに至った英雄達。

 

そんな彼らに、再び──

 

「もう!そんなことをやっている、と…?箱庭中枢から連絡?珍しいって、え?」

「どうした?黒ウサギ?」

「箱庭外界から干渉!?一体何者が……っ!?」

「空が、赤く……?」

「黒い契約書類(ギアスロール)……オイオイ、こんな時にかよ!?」

「ま、魔王だ!!魔王が現れたぞ!!」

 

絶望が、舞い降りた。

 

 

─────────────────────────────────────────

 

ギフトゲーム名

“THE FATALIS WAR GAME”

 

・プレイヤー一覧

箱庭全域のあらゆる生命体(コミュニティ問わず)

 

・プレイヤー側 ホスト指定ゲームマスター

人類からの選出であれば誰とも問わない

 

・ホストマスター勝利条件

プレイヤー側の人類に値するものの全滅

あらゆるプレイヤー側の生命の根絶でも可

 

・プレイヤー勝利条件

一、ゲーム盤上の戦争を人類が生き残っているという条件を満たした上で終結し、星杯(スーニアスター)を獲得せよ。星杯は最も力のあるものの前にて顕現する

尚、ホストマスター側の種族の討伐は許可されるが、その他の種族の殺害はプレイヤー側には許されない

 

二、ホストマスターの神髄の謎を暴け

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

 

“戦神アルトシュ”印

 

─────────────────────────────────────────

 

「人類の生存が条件……?まさか──ッ」

「間違いねぇ、これは人類最終試練のゲームだ……ッ」

「こんな短い期間で二度も!?」

「しかもプレイヤーは箱庭全域、つまり一層の神々も参加するってこと……?」

「ということは天軍(ヤツラ)も出張ってくるってことか……!」

 

その瞬間、周囲の光景が捻れ始める。

 

「なに!?」

「これは……ゲーム盤への移動!?」

 

切り替わる視界、十六夜たちは小高い丘の上に立っていた。

 

紅く染った雲、そこに空いている大穴から紅く燦然と輝く月が辺りを照らす。

 

瞬間──

 

 

 

閃光

 

 

 

目の前に一つの渓谷が出来上がった。

 

 

 

閃光

 

 

 

視界の端にあった山が揮発した。

 

 

 

閃光

 

 

 

海と見紛う湖が跡形もなく消し飛んだ。

 

 

「は?」

 

 

目の前に燃え盛るナニカが重力に従い落下してきた。

 

その物体、否、燃え盛るその威容(・・)こそは……

 

「純血の、龍種……」

 

そして、それは上空を睨めつけ息だえ骨を遺し灰となる。

 

その上空を通るは、否、重なるように堕ち行くそれは。

 

「戦艦、なのか……?」

 

そして、月明かりを遮るように影が舞う。

 

その背に影を湛えた一対の白翼を生やした天使のような集団。

 

そして、ソレらの向かう先を見ると何時からそこに現れたのか。

 

陸と見紛う樹木のようにも四角い箱のようにも見える、青い光を湛えた砲台の要塞が、鯨のような遠吠えを発しながら空を翔る。

 

それは、その世界は───

 

 

 

 

 

───完全無欠に、滅んでいた

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む