翠星のXラウンダー (オービタル)
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プロローグ

今回は翠星のガルガンティアをベースにガンダムAGEの機体“ガンダム レギルス”に搭乗しての作品にしてみました!!


星空が煌めく最中、世界の四分の一を支配する帝国『エリクセリア』が燃えていた。街や建物が燃え崩れ、人々は逃げ惑う中、炎の中から黒く巨大な翼を広げ、翼から赤き閃光を放つ粒子を発射し、大地を裂いている天使が暴れまわっていた。そしてそれに立ち向かう白く巨大な悪魔が拳から黄色い光剣を放ち、黒き天使に突き向ける。悪魔の頭部の中にいる、赤と白に塗り分けられたスーツを着用しており、ひび割れたマスクの中には復讐の瞳を持つ銀髪の青年の姿が目に映る。

 

「ここで終わらせる……覚悟しろ『シド」!!」

 

シドと言う巨大な機械天使が、翠に輝くモノアイを光らせ、翼から六基の大砲を展開し、砲口から深紅の光剣を放ち、白き悪魔『ガンダム レギルス』を睨む。

 

「レイラの家族とエルフのこの仇、取らせてもらうぞ!!」

 

青年は愛する者の家族と民の命を奪われた怒りと憎しみと絶望を抱き、白き悪魔『レギルス』と共に漆黒の天使『シド』に立ち向かうのであった。

 

 

 

 

 

『目標座標RLG\00567136458745\……………』

 

薄暗い空間、見たこともない文字が並ぶと同時に、ノイズが発生する。

 

『“SID”Coor\n……………0xFFFFFFFF NULL ^M\0…K mpfen000D8B9A723E9FF198X8D99AF199281910 "%s(error %d)"**--0x0000001D………………… ################EXA#####–DB^H^H^H^H^H^H^H Vous mourezsivotre##9D02B9EA09F0A1 Biosv3.0 Wii Format^H^H^H^H^H^H^H^H^H^H?.(y/n)_ 02984BA7D98EB098F8BA98C0982877CB094B289A0D98B207 andrayda hat sich die Gestalt\n\0\0^B………… 29847B8D7B2987G77A987E7A09809482B89D0A9881737019 0X09A09B8A0X07D9839D moriraiiiiii G.F.S.\0G.F.S.\0G.F.S.\0G.F.S.\0G.F.S.\0G.F. S.\0G.F.S.\0G.F.S.\0G.F.S.\0G.F.S.\0G.F.S.\0 0x57 0x41 0x4B 0x45 0xA0 0x55 0x50 0x2E 0x00^B^B 0x57 0x41 0x4B 0x45 0xA0 0x55 0x50 0x2E 0x00^B^B』

 

すると空間が明るくなり、星空が見えてくる。森が燃え、巨大なクレーターの中心点に何かが光っていた。何か大きくて、流動経路が紫に光っていた。そしてその大きな遺物から巨大な翼を持った機械の怪物が現れ、頭部のモノアイが緑な光るのであった。

 

っと、彼は重い瞼を開き、窓から光が射す部屋にて目を覚ます。辺りを目だけで確認すると、天蓋付きのベッドの上にいた。天蓋から垂れ下がるカーテンと装飾が施されていた。

 

「ここは……何処……?」

 

彼はゆっくりと起き上がり、さっきの夢の事を思い出す。

 

「(また……あの夢を見た。これで何回目なんだろう……それに、あの大きな物と巨大な翼を持ったあれ…)」

 

彼は夢の事を考える大きな遺物とその遺物に取り付く巨大な翼を持つ魔獣。

 

「(何でだろう……あれを見ていると、懐かしく感じる。何でだろう……ダメだ、思い出せない…)」

 

彼は深く頭を抱えると、気づいていなかったのか、誰かが部屋に入ってきた。

 

「あぁ!ウィルが目を覚ました!!」

 

「?」

 

「ウィルが目を覚ましたと他の者に伝えてくれ!」

 

現れたのは、銀髪で後頭部に髪を巻いている青年であった。

 

「はい!」

 

青年はメイドに伝法を伝え、メイトが急いで伝えに行く。

 

「ウィル、何があったか覚えているか?」

 

青年は彼の名前である『ウィル』に問う。ウィルは頭を抱え、思い出そうとすると、頭から激痛が走る。

 

「つっ!!いったぁ〜」

 

「大丈夫かい!?急に動いてはいけないよ」

 

青年はウィルを心配そうにする。

 

ウィル…“ウィリアム・メルトロナス”。5歳半になったばかりだ。小国『メルトロナス』の王国家の三男で姉二人を含めれば五番目の末っ子王子となる。温厚な人達に囲まれており、辛い事も一切なく幸せに育てられてきたとの事。しかし、家の階段から転がり落ち、頭をしこたま打ったことで大騒ぎになったと……。

 

そして、そんなウィルを心配する少年の名は『オリヴァルト・メルトロナス』こそ、ウィルの八歳年上の兄で、聡明で名高い王国の王太子。

 

「ウィル、大丈夫かい?傷どう?」

 

「うん、大丈夫(兄さんたら、心配しすぎだよww)」

 

ウィルはオリヴァルトのブラコンに呆れていると、また扉が開く。

 

「…兄様」

 

入ってきたのはウィルの一番姉でオリヴァルトの妹。『レイネシア・メルトロナス』であった。彼女は可憐で儚げな雰囲気を纏った十二歳。

 

「ウィルが嫌がっていますよ、病み上がりなんですから、そこまでにしてあげてください」

 

レイネシアが笑っているような怒っているような笑顔で、オリヴァルトに注意する。

 

「は…はい」

 

「(相変わらず怖いなぁ、レイネシア姉さんは……)」

 

ウィルはそう思っていると、二番目の兄と姉である『ヒューバート・メルトロナス』と『ステラ・メルトロナス』がやって来た。

 

「ウィル!大丈夫か!?」

 

「もう痛くないの!?」

 

「頭はもう痛くないですけど、大丈夫です」

 

「「「「ほっ…」」」」

 

四人はウィルの安否確認に安心する。ヒューバート・メルトロナスは一番兄のオリヴァルトと違って、体育系のノリと筋肉主義で、いつも鍛錬に育んでいる。ステラ・メルトロナスはウィルの歳に近く、性格は勝ち気だけど、愛嬌があって憎めない。

 

そして心配しに見に来た五人兄弟の父母。国王『アルフォンス・メルトロナス』と王妃『アリス・メルトロナス』も安心していた。

 

ウィルの父王 アルフォンス・メルトロナスが統治する【メルトロナス】と言う立憲君主制国家。アトランティカ大陸西方に位置し、隣国である【エリクセリア帝国】との同盟国となる。農饒な土地から農業は盛んであり、真面目で勤勉な国民性から技術に優れた技術立国でもある。

 

そしてそんなメルトロナスでも思わぬ事に、北西の辺りに、奇妙な遺跡が帝国の同盟国である『スライバル商業連合』の商人や調査団達が報告して来た。遺跡の中には奇妙な鋼鉄でできた構造物や数十メートルもある異形な人形が発掘された。

アルフォンスは王妃やウィル達を連れて、遺跡の中を見学する。中に入ってみると、見たこともない文字や遺物、そして奥に行くと噂の異形な人形が並んでいた。帝国騎士や王国騎士達が人形の頭部にある椅子に座ると、人形が動き出し、さらに人形が神話に出てくるドラゴンへとなる。

その中で、一番目立つ人形があった。奥の間にある白き異形な人形であり、ドラゴンとは思えなく、人型とも言える姿であった。騎士達がその人形に乗ろうとするが、鍵が掛かっており、扉が開かなかった。

 

「父上、あの人形は?」

 

「あぁ、あれか…あの人形はどうしてか動かないのだ。奥の間にあったのか、恐らくあの人形は“王騎”かもしれない。エクセリア帝国第一皇太子である【アルマディオス・エリクセリア】に届けるつもりだ。」

 

「「「「「えぇ〜〜っ!?」」」」」

 

どうやら、ウィルを含む五人兄弟は白い人形に乗って見たかったと。だが操作は難しく、まだ解明されていない部分もあると言うのだと。ウィルは恐れ知らずに、白い人形に触れる。

 

「……?」

 

すると頭や心に感応波が流れる。ウィルは胸に触れ、感じ取る。

 

SID(シド)……》

 

「………シド?」

 

【シド】と言う名前を言うと、ウィルの頭の中にあるものが映る。それはここではないどこかの世界の戦争であった。ここにある人形ともう一つ、完璧に人型と言える人間達が争っていた。さらに、星の海でも戦っており、その中に白い人形と青い人形がさっきの夢で見た黒い翼を持つ魔獣と戦っていた。すると白い人形が映ると同時に、文字が浮かび上がる。

 

GUNDAM LEGILIS(ガンダム レギルス)

 

「……ガン…ダム…レギルス?」

 

するとレギルスが振り向き、目が二つへと変形した。それは王騎と言うより、【白い悪魔】であった。

 

《“Xラウンダー”の少年よ……地平線の彼方へ》

 

「っ?」

 

《EXA–DBを解放せよ》

 

「何?」

 

するとレギルスのスリットアイが翠へと光り、流動経路が青白く輝く。

 

《っ!?》

 

調査団達が人形の異変に気付く。

 

「おい!何か光っていないか!?」

 

「これ…動くのか!?」

 

「離れろ!!」

 

そしてレギルスのスリットアイがツインアイへと変わり、頭部両サイドに内蔵されている頭部バルカンから、ビームバルカンを放つ。調査団は急いでレギルスから離れると、レギルスは威嚇射撃で離れらせ、足元にいるウィルに手を差し伸べる。

 

《行こう……》

 

「…………」

 

ウィルは勇気を出し、レギルスの拳に乗る

 

「「「「「「ウィル!!」」」」」」

 

アルフォンス達がウィルを呼ぶが、ウィルはレギルスのコックピットに入る。中は座席と全天周モニターであり、二つの操縦桿があった。ウィルは座席に座り、操縦桿を握る。すると操縦桿や足元のペダルに誰かの手が浮かび上がる。勇人はその他に従い、ペダルを踏む。するとレギルスが前に動き出す。次に右の操縦桿に搭載されているコントローラーが右へ捻る。それも従って動かしてみると、右へ方向転換する。すると画面上に数字が並ぶ。

 

 

【目標座標/Galactic Alliance of Humankind(人類銀河同盟)8735401】

 

 

座標が特定すると同時に、奥の間の歯車が光り、バラバラになる。バラバラになったかけらが徐々に形を変え、巨大なワームホールを作り出す。レギルスの各部のスラスターが点火し、ワームホールへと入っていった。

 

「ウィル!!!」

 

そしてワームホールが暴走を始め、消滅した。それと同時に、他の人形が砂へと変わっていく。

 

「何が…起こっているのだ!?」

 

アルフォンスはこの状況を鵜呑みに出来ることもなく、ウィルの捜索をするも、何の証拠も懸命な捜索も虚しくウィルが見つかることはなかった…………

 

 

 

ある宇宙での13年後……。

 

「長きに及んだ漂白の時代は終わり、我ら人類は遍く銀河に繁栄の世界を手に入れた。

それが【アヴァロン】…麗しき理想郷、科学の英知と開拓の意志が築き上げた楽園の輝きを見よ……これこそが諸君の故郷、4億7000万の全市民が諸君の勇気と前進を称え、名誉ある兵士達の名を胸に刻んでいる。

讃えよ、人類銀河同盟に約束された久遠の未来を…。ここより、人類の悪なき挑戦は始まっていくのだ…だが諸君……忘れてはならない、この非常なる宇宙の深淵には時に容赦ない悪意が潜む事を。我ら人類の前途を脅かす【ヒディアーズ】の張遼を断固として阻止すべし!斯様なことを生物に人類の革新を阻まれてはならない!

英雄達よ、大いなる試練の時に奮起せよ…無念の地に散った犠牲を、今尚危機に瀕している。未来の同胞達を忘れるな!」

 

長官の演説を聞く人類銀河同盟兵士達は勇気を胸に、巨大な惑星間戦争に挑む覚悟をしていた。そしてその中に軍服着て勇ましい青年へと変わったウィルがいた。



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エピソード01 漂流者

 

先の演説を脳波で映像のように目で通し、映像が切り替わり、人類銀河同盟の国家である蛍光ピンクと緑色に塗り分けられたウィトルウィウス的人体図がシンボルマークが映る。

 

『総員、共同レム睡眠を中断。機体ナンバー、G-0712搭乗員、ウィル少佐は速やかに覚醒されたし』

 

「うっ……」

 

『脳波計測、基礎律動異常なし。血中乳酸値、アドレナリン分泌量共に正常値。覚醒プロセス完了』

 

渋いの声が響き、ウィルは眼を開ける。

 

「ッ……レギルス、突入まであと何分だ?」

 

『銀河同盟標準時において、エルゴ領域突入まで、後306秒である』

 

「良し…」

 

ウィルは冷静でありながら、ウィル小隊の隊員に通信する。

 

「ネロ、クリス、アービー、リーシャ…とっとと起きろ。」

 

『『『『は!はい!』』』』

 

新兵四人であるネロとクリストファーとアービーとリーシャは緊張しながら、上官であるウィルに返事する。

 

「ウィル小隊、各機に告げる。睡眠啓発の時間は終了だ。まだ寝ぼけている奴がいるなら、俺が尻を引っ叩いて起こしてやるからな」

 

ウィルの通信を聞いていたクリストファーが小声で呟く。

 

『お〜…恐々♪』

 

「クリストファー、聞こえてるぞ」

 

「申し訳ございません!!」

 

「……作戦を説明する。後300秒後にエルゴ領域へ突入、スイングアウトした先はヒディアーズの巣の目と鼻の先だ……本作戦は人類銀河同盟のあらゆる勢力を結集した奇襲攻撃である、ここでしくじれば後はない。ヒディアーズに喰い殺されるだけだ。絶対に生き残れ…」

 

『『『『ウーラ・サー!』』』』

 

四人は敬礼と共に掛け声を上げると、機体に搭載されている対話インターフェイスAI【レギルス】が告知してきた。

 

『告知 ウィル少佐の士官は15万6085時間を経過した。本作戦終了後、貴官に第二級限定市民権とアヴァロンへの六週間の渡航滞在を申請する権利が与えられている。』

 

「アヴァロンに行けるのか……」

 

『アドレナリン分泌量に変化なし。貴官の反応は相変わらず期待値を満たしていない』

 

「なぁ、レギルス…アヴァロンってどんな所なんだろうなぁ。」

 

『異議。アヴァロンとは市民の権利が保証される場所である。貴官には自由飲食、自由睡眠、並びに生殖の自由が与えられる。人類銀河同盟の軍務から一時開放される場所である』

 

「そうか…俺はアヴァロンと言うやり、図書館の本に載っであった場所『楽園』って言う場所に行ってみたいんだ…」

 

「『楽園』……あなたの願いですか?」

 

「…どうだか?機械であるお前には分からないだろうなぁ。」

 

『私はパイロット支援啓発インターフェイスシステム。貴官がより多くの成果を獲得する事で存在異議を達成する。』

 

「ご苦労様…お前はいつも俺の為に頑張っている」

 

『少尉、上官が無駄話をして、どうするのですか?』

 

「すまん…色々あっての事だ。さてと…総員、対ショック体勢。ティレモシースイング開始と同時に全機発信。健闘を祈る」

 

ウィルとネロ、クリストファー、アービー、リーシャは衝撃に耐えるため、眼を閉じた。

 

『艦隊各班、順に突入。ティレモシースイング……スイングイン!』

 

人類銀河同盟の主力艦と駆逐艦及び、空母、ヘクサエレナ級特務艦隊がワームホールへと吸い込まれ、別の星系に辿り着く。

 

『全艦、ワームホール通過確認。空母各艦へ戦域突入支援艇発進せよ』

 

『戦域突入支援艇、限界予定座標まで前進せよ』

 

『量子次元反応弾クローザパス設置部隊、発艦せよ』

 

空母から戦域突入支援艇や量子次元反応弾【クローザパス】を運搬する部隊も発進して行く。そして艦隊に続いて行く。

 

『先方の突撃艦隊は、ブロッサム・セイル確認次第、敵要塞特殊砲の発射口に対し、艦砲射撃を開始せよ』

 

星の陰側を抜けると、目と鼻の先に花のような形をしたラフレシア級要塞特殊砲が見えてきた。

 

「来たか…」

 

『ブロッサムセイル要塞特殊砲に急激なエネルギー増大を確認』

 

「艦砲射撃用意、射てぇ!!」

 

要塞特殊砲の六つの花弁にエネルギー点が光りだすと同時に、主力艦隊、駆逐艦隊の艦砲射撃が開始し、要塞特殊砲の砲口部に炸裂する。

 

『着弾を確認!目標の砲口部に命中!』

 

しかし、五つの内の一つの砲口から、強力な拡散型の生体ガンマ線レーザーが放たれ、先行していた艦列が沈黙して行く。

 

『先行艦列壊滅、残存艦艇も被害甚大!』

 

後列艦隊が一気に残りの砲口部に集中砲撃をする。

 

「後続炉艦砲射撃、着弾!!目標砲口部を破壊!」

 

『敵 要塞特殊砲の沈黙を確認』

 

『よし!ヘクサエレナ艦隊、ディメンストリーム砲発射用意!』

 

6隻のヘクサエレナ級特務艦が新兵器の発射準備をする。

 

『マシンキャリバー隊、出撃!!』

 

「行くぞ、レギルス」

 

『了解』

 

レギルスの音声と共に、支援艇のハッチが開き、各部120機のマシンキャリバーがランスライフルとシールドを構え、陣形ファランクスを形成する。クーゲル中佐のマシンキャリバー【ストライカー】とウィル少佐の【ガンダム レギルス】が飛ぶ。

 

『ヒディアーズの巣はホットジュピター惑星の裏側に直蔵に位置にしている。構成に高圧に維持された防衛プラットフォーム【ブロッサム・セイル】に守られた難攻不落の要塞だ。恒星の輻射熱により、裏側からの移動はままならない。惑星陰側から突破し、巣を攻略する!』

 

『ディメンストリーム、発射!』

 

『発射!!』

 

ヘクサエレナ級特務艦から、次元の渦が発射され、大破した要塞特殊砲を搔き消す。それと同時にヒディアーズの巣から数メートルから数十メートルサイズのオウムガイなどに似た姿をした「宇宙ヒディアーズ」、三枚花のような中型の可搬体の「中型ヒディアーズ攻撃体」、ソーラーセイル状の身体に多数のヒディアーズを収容して対艦ビーム発射器官を備え、強大な攻撃力を持つ「攻撃型ヒディアーズ母艦」、攻撃が通用しない学習能力を持つ「進化型ヒディアーズ母艦」などが這い出てきた。

 

『陰側堅固に守られているブロッサムセイルの要塞特殊砲を新兵器である『ディメンストリーム砲』で無力化。露出した巣を攻略化にできる。我々マシンキャリバー隊の任務は量子次元反応弾クローザパスを設置する部隊の護衛。阻害する敵戦力の全てを排除する。』

 

クーゲル中佐の説明に、ウィルはビームライフルを構える。

 

『第一歩列、撃て!!』

 

ファランクス陣形隊のランスライフルから、ビームが発射され、ヒディアーズ達を殲滅していくと同時にヒディアーズも攻撃を開始してきた。次々にマシンキャリバー達がヒディアーズの攻撃に直撃し、宇宙の塵へとなって行く。レギルスのコックピットで、思い描いた事を考える。

 

最後に子供の頃の記憶を失ったのはいつだろう?……余計な感情と記憶は12年前に掻き消され、与えられたのは戦争での貢献、希望、そして死を無駄にしてはいけない事だ。だが、それで戦争は終わるのか?まぁ、良い……これが俺の人生だ。子供の頃のなんて、下らない思い出に過ぎん。

 

マシンキャリバー隊とクローザパス設置部隊がヒディアーズ巣へと近づいて行く。

 

『クローザパス設置部隊前進!ヒディアーズの巣に取り付け!!』

 

『マルチコアキャノン部隊、攻撃体制に入れ!』

 

後方のマルチコアキャノン部隊がヒディアーズに向けて、照射ビームを放つ。そして無力化した筈の要塞特殊砲が再生し始める。

 

『ブロッサムセイルの再生が速すぎます!』

 

『ディメンストリーム第二次はまだか!?』

 

『臨界まで120秒!間に合いません!!』

 

『馬鹿な!!!』

 

再生したブロッサム・セイルからガンマ線レーザーが放たれ、残存艦艇を次々に撃沈して行った。

 

『艦隊主力を直撃!』

 

『作戦継続不能!』

 

『直ちに全艦、撤退せよッ!!』

 

艦隊が全滅したことに、ウィルは戸惑う。

 

「っ!!…クッ!!己れヒディアーズ、まさかここまで再生速度を上げるなんて!」

 

ウィルが歯を食いしばっていると、クーゲル中佐からの撤退の通信が入り、各機に通達する。

 

「クーゲル中佐の命令道理に撤退だ!!ほら、行け!行け!行け!」

 

ネロ達は歯ぎしりをすると共に、襲われている味方機の援護に急いだ。ビームで敵を撃ち落とし、味方機の戦域突入艇までの道を切り開く。

 

「お前達!早く撤退しろ!」

 

「少佐、残って救助するつもりでしょ?なら、俺達も加戦しますよ♪」

 

「私達はウィル少佐にずっと特訓や訓練されて来たですもの!黙って指を咥えながら、撤退するのは嫌です!」

 

「そうです。少佐は差別扱いされて来た私達に声を掛けてくれました。今度は、私達が頑張る番です。」

 

「それに、この借りをずっと待っていたんだ。ここで思う存分返しますから!」

 

「……お前達、分かった!俺を中心に、ネロ!アービーは後方を!リーシャ、クリストファーは後方に配置付け!今から各機に【レギルスビット】を周回させる!」

 

「おっし!少佐のXラウンダー!来たぜ!!」

 

「見てみたかった!華麗に動きながら倒して行くの!」

 

「お前達、遅れを取るな!!」

 

「「「「了解!!!!」」」」

 

ウィルはレギルスの左腕に装備されている【レギルスシールド】からレギルスビットを展開し、ネロ、クリストファー、アービー、リーシャの所へ向かい、機体を覆う。ウィルはレギルスビットをコントロールし、無数に来るヒディアーズを蜂の巣にして行く。

 

「残存エネルギー自動充電が間に合わない、なら!!」

 

ビームライフルを腰部に収納させ、尾部のレギルスキャノンとマニピュレーター内蔵ビームバルカンを乱射する。

 

『援護要請!!』

 

『捕まって動けない!!』

 

逃げ遅れて、クローザパス事ヒディアーズに飲み込まれようとしている設置部隊が映る。

 

「待ってろ!今すぐ助ける!!」

 

ウィルは急いで仲間の元に向かうと、同じ仲間を助けようとするレドとチェイバーが現れる。

 

「レド少尉!」

 

「ウィル少佐」

 

「助けるぞ!!」

 

「はい!」

 

ウィルとレドは急いで仲間の元に向かうと、母艦型クラスのヒディアーズが取り込もうとしていた。

 

「「っ!!」」

 

二人はグラビティ・ウェイバーとレギルスバスターを発射しようとしたその時、二機の所にヒディアーズが襲い掛かってきたが、クーゲル中佐のストライカーが二人を助ける。

 

「レド!ウィル!時間切れだ!戻れ!」

 

「しかしクーゲル中佐!」

 

「レド少尉!もう寄せ!」

 

すでに仲間はヒディアーズに喰われ、クローザパス事爆散する。

 

「くっ!!」

 

「お前達!戻るぞ!!」

 

ウィルもネロ達を呼び戻し、空母へ戻って行くが、ヒディアーズはそれを逃さなかった。するとクーゲル中佐が囮になると、レド少尉を逃し、一人でヒディアーズの大群を相手する。

 

「クーゲル中佐!?……仕方ない!」

 

ウィルもレギルスを旋回させ、クーゲル中佐の後に追い付く。

 

「ウィル少佐、何をやっている!?」

 

「あなただけでは、心細いですからね。最後までお付き合いしますよ。」

 

「……そうか。なら、もう一踏ん張りしてもらおう。」

 

「えぇ♪」

 

ウィルとクーゲルは共に、ヒディアーズの大群の中へ突撃し、クーゲルが放ったグラビティ・ウェイバーが閃光を放ち、ウィルとレギルスと共にワームホールへ吸い込まれた。

 

 

 

 

 

「…………」

 

『脳は計測、基礎律動以上なし』

 

「……っつ」

 

『ウィル少佐の覚醒を確認。蘇生成功である』

 

ウィルは気がつくと、暗闇の中でモニターの光を感じた。

ゆっくりとシミュレーターシートが上がっていく。

 

「うっ……ここは……」

 

『緊急プログラムに基づき貴官の生体機能を人口冬眠によって保管した。経過時間は2400万7458分』

 

『当機も自閉モードにより全システムを停止をしていたが外部刺激に伴い、30分前に再起動した』

 

「何があった……」

 

『事態はパイロットの状況判断を必要とするものである。よって貴官の覚醒プロセスを遂行した。』

 

そして目の前のモニター画面が起動し、目の前にある物が映る。

 

「あれは?」

 

ウィルの目と鼻の先に映ったのは、青と緑で覆われた惑星であった。

 

「……行ってみるか?」

 

ウィルは迷いもなく、レギルスを動かしながら惑星へ向かって行った。

 

満天の星々が浮かび上がる夜空、とある国のエルフの姫が星空を眺めていた。

 

「…………」

 

「レイラ、どうしたのですか?」

 

姫の元に、エルフの女性がやって来た。

 

「お母様…」

 

「まだあの子の事を考えていたのですか?」

 

「…………」

 

「……無理もありません、一月前にメルトロナス王国第三王子“ウィリアム・メルトロナス”が失踪した事……アルフォンス王や御家族が悲しむ姿……」

 

「………ウィルがいない世の中なんて。」

 

「だけど、いつか絶対に見つかると思うよ♪」

 

エルフの王妃がにっこりとレイラに返し、展望クラスから去る。レイラは一粒の涙を流し、呟く。

 

「幼馴染だったウィル……どこに行っちゃったの?……あ、」

 

すると夜空に一筋の流れ星が見えた。

 

「……(どうか、ウィルと再会できますように。)」

 

レイラが流れ星に願いを祈る。その流れ星が白き悪魔と共に帰ってきたウィルとも知らずに……。

 



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