もし緑谷出久にミギーが付いたら (破邪矢)
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侵入

皆さんどうも破邪矢です

まず最初に謝罪がございます
活動報告で「第一話しか書かない」と堂々と宣言しましたが
話が長くなり分割したほうが読みやすいと思ったので
取りあえず2話まで書くことにいたしました
毎回 有言実行することができず申し訳ありません

それでは本編をどうぞ


事の始まりは中国 軽慶(けいけい)市「発光する赤児」が産まれたニュースだった

その後 世界中で「超常」を持った者が確認され 原因も判然としないまま時は流れた

いつしか「超常」は 「日常」に__「架空(ゆめ)」は「現実」に

 

そして現代 世界総人口の約8割が何らかの “特異体質”=“個性”を持つ超人社会となり

その“個性”を悪用する(ヴィラン)

(ヴィラン)の脅威から“個性”を用いて人々を救う仕事『ヒーロー』が生まれ脚光を浴びていた

 

 

 

 

 

___見えるか‼? もう100人は救い出してる‼ やべえって‼ まだ10分も経ってねーーーって‼ やべーって!!!めちゃ笑ってんよ!!!」

 

HA HA HA HA もう大丈夫! 何故って!? 私が来た!!!

 

物心ついたころから見続けている 憧れのヒーローの動画

何千 何万回も見たけど 毎日の習慣のように見ている

彼のようになりたいと思いながら

 

「今年で中学に上がって‥‥ もう8年か」

 

通常 個性の発現は4歳までと言われている

8年前 4度目の誕生日を迎えた僕__緑谷(みどりや)出久(いずく)は“個性”が発現しなかった

僕は憧れのヒーローと違い“個性”が無い 世界でも2割の“無個性”の人間だった

人は生まれながらに平等じゃない これが齢4歳にして知った社会の現実

 

「三年後に雄英(ゆうえい)入れてるかな僕」

 

国立雄英高校

 

例年 偏差値は75を超え倍率は300倍 その人気の理由は 多くのトップヒーロー__無論 緑谷憧れのヒーローも輩出したヒーローになるための学科

すなわちヒーロー科があるからであった

 

緑谷はヒーローなることを諦めていなかった 8年前のあの日を最初で最後の挫折にするためにも

 

 

 

 

 

短針は11を超え あたりも静まった頃

 

「もう遅いから寝よ あれ?」

 

何気なく見た窓の外に ()()()がゆっくりと落ちていった

 

「雪じゃないよね?今4月だし」

 

窓を開けて手に取って見てみると

()()は テニスボールぐらいで 緑色の細菌を拡大したようだった

 

「どう考えても自然にできたんじゃなくて 誰かの“個性”で作られもの まさか(ヴィラン)?」

 

ひとまず警察に電話しようと思い ソレを机に置いたその瞬間

 

パクンッ ニュル

 

ソレは 中から刃物で切ったかのように静かに開き

トロリとした液体と共に 小さなヘビのような生物が出てきた

 

ウヲァォァーーーー

 

奇声を上げながら尻餅をつき壁まで後ずさりした緑谷

 

「びっくりした~ ヘビみたいっだたけど 生物を作る“個性”何て聞いたことないぞ…」

 

などと色々考えている間に ソノ生物は机の端まで移動し

彼の頭に飛び乗り 耳から体内への侵入を試みる

 

「まだ机の上に居るのかなぁ」

 

机の上を恐る恐る確かめる一方

耳からの侵入をイヤホンに邪魔されたソノ生物は 鼻の方へ移動していた

 

「ヘクチッ」

 

緑谷はくしゃみをしたことにより ようやくソノ生物が 自分の体についていたことに気づく

 

「いつの間に!? 何でッ!」

 

そしてソノ生物は 尖った部分をドリルのように回転させ 緑谷の右腕に潜り込む

 

「いでっ‼ も‥‥もぐりこんだ!?!?」

 

ズズズズ

 

不自然な膨らみが気味の悪い感覚と共に皮膚の下を頭めがけて突き進む

 

「ヒィィィィィィ~~

 

奇声を上げつつも 耳につけていたイヤホンのコードを腕にぐるぐる巻き 懸命に抵抗する

 

「ぐぐぅぅ~~~ んぎぃ~~~‼」

 

「出久!どうしたの出久?」

 

かっ かふけけ~~~(たっ 助けてーーー)

 

左手と口でキツく腕を縛る息子を見て 駆けつけた母親 緑谷インコは一瞬思考が停止する

 

「ちょっと‥‥腕なんか縛ってどうしたの?」

 

「ほどいちゃダメッ ヘビ!ヘビが穴あけて腕に入って来た」

 

「ホント!? 腕みせて」

 

慌てて息子の腕を取り隅々まで確認する

 

「こんなにキツく縛って血が止まったらどうするの…… でも 入ったにしては穴が見当たらないよ」

 

「うそッ 確かに入ってきたはずなのに‥‥」

 

「寝ぼけてたんじゃないの?何もなくて良かったけど 明日になっても違和感があるなら病院つれていってあげるから 早く寝なさい」

 

「うん 分かった ごめん……」

 

 

 

 

 

 

ピピピピッ ピピピピッ ピッ__

 

「ふぁ~ はぅぁ 腕はちょっとしびれるけど 夢‥‥じゃないよな」

 

ならば昨日の出来事は何だったのか

 

「とりあえず着替えるか あれ?」

 

全く身に覚えが無いが 床に本が散乱していた

 

「何でだろう…… 気味が悪いな」

 

昨晩母に言われた通り 疲れているのかもしれない

だが‥‥

 

「たまごの (から)?」

 

机の上にいまだ存在する 乾燥しきった殻が 昨晩の記憶の一部は本物であることを物語っていた

 

「腕以外特に異常はないし まさか急に“個性”が発動する‥‥訳ないか」

 

もし昨日の記憶が本物であるなら 一種の“個性”を手に入れた気がした出久だった

 

 

 

 

 

朝食は サラダとベーコンを添えた目玉焼きだった

 

「お母さん おかわり」

 

「出久珍しいねぇ あんた朝おかわりなんていつもはのしないのに」

 

確かに普段ならほとんどしない

 

「何でだろう? なんかお腹すいてる感じが…」

 

「出久は体が細いから たくさん食べて母さん嬉しいけど」

 

「‥‥ごめん」

 

「謝らなくてもいいわよ 行ってらっしゃい 気を付けてね」

 

「うん 行ってきます」

 

 

 

 

 

学校に向かう間も出久は昨晩の事が気になっていた

 

「何だったんだろう?体に異変は無いし そもそもアレは何だったんだ?誰かの“個性”‥‥ダメだ分からない 何にしてもやっぱり警察に話した方がいいのかな‥‥ブツブツブツブツブツブツ‥‥

 

失敗した‥‥

        残念だ‥‥

 

「今何か声が 気のせいか?」

 

    残念だ‥‥

         「オイ デク」

               失敗した‥‥

 

(気のせいじゃない 何処から?)

 

声の主を見つけようと耳を澄ませた途端

 

「オイ デク!!!」

 

「うわああ‼ かっちゃん」

 

「俺が歩くのジャマすんな ドケ

 

彼の名前は爆豪(ばくごう)勝己(かつき) 緑谷出久の幼馴染であり“個性”は“爆破”

 

「ジャマをしようとしてる訳じゃ……ないんだけど」

 

「何だ デク テメェェェ」

 

爆豪は右手を振りかぶり緑谷に殴り掛かっ‥‥る事は無かった いや正確に言えば出来なかった

 

「オィ デク」

 

「何? かっちゃん」

 

「俺をバカにしてんのか」

 

「‥‥ごめん 何の事?」

 

「じゃぁナンなんだよ この右手はぁ~」

 

「エッ?」

 

恐る恐る目を開けてみると爆豪の右手を緑谷の右手が受け止めていた

 

「えッ エっ何で?」

 

「ぶっ殺す!!」

 

「ヒィィィィィィ~~」

 

緑谷は脱兎のごとく走り出し爆豪の元から逃げ出した

 

「ハァ ハァ 何なんだ一体 昨日から色々変だぞ」

 

夢でも見ているのかと思い 自分の頬をつねってみるが

 

「イタッ 夢じゃないんだよな」

 

ただ痛いだけである

 

「そう言えば ここ何処だろう?」

 

爆豪から逃げたときに道を確認していなかった

 

「知ってるとこの近くなんだろうけど‥‥スマホで調べるか」

 

スマホを取り出し周辺に 目印になる様な建物があるか見渡すと

 

横断歩道に()()()()()()()()()()()()()が 目に留まり

次いで ()()()()()()()()()()が目に入った

 

「・・・・・・!!!!」

 

理屈ではない ()()()() ()()()()

 

考えるより先に 体が動いた

 

漫画であれば ここでカッコよく子供を助けるだろうが

現実はそう上手く行くようにできてない

横断歩道にたどり着き 男の子を抱きかかえた瞬間

目の前に迫った車への恐怖で 彼の体は硬直した

 

ギキィィィッーー

 

車の運転者がようやく気づき ブレーキを踏む

しかし どう考えても止まることが出来る速度では無かった

 

(あぁ ダメだ 僕 死ぬんだ‥‥)

 

緑谷は自らの死を予感したが その予感は唐突な浮遊感で掻き消え

 

「ぇ」

 

右肩と背中に激痛が駆け巡ることにより復活した

 

バゴゥッ

 

「ッッ‼ ヱ"ハァッ」

 

緑谷の体はボンネットを凹ませていた

 

(何で 生きているんだ? 僕)

 

理由を求め ふと右手を見てみると 手の甲に目玉が出現し 指が金属のようになっていた

 

(へ?)

 

もう一度見てみると 右手は元に戻っていた

 

「今こっちの方から凄いブレーキ音がしたが‥‥ 大丈夫ですかー」

 

偶然近くをパトロール中だったヒーロー『デステゴロ』

事故車を見つけ確認に近寄る

 

「少年よ大丈夫か? 怪我は無いか?」

 

痛みで喋ることの出来ない緑谷は身動きで男の子の存在を伝える

 

「君が助けたのか? スゴイな」

 

「__スミマセンッ この近くで灰色半袖を着た男の子を見ませんでしたか?」

 

男の子の母親が事故に気付き 血相を変えて周辺の人々に聞いていた

 

「そこの奥さん 男の子は無事です 彼が助けてくれました」

 

「ありがとうございます 何とお礼を言ったらいいか‥‥」

 

「お礼は私ではなく彼に それと奥さん これは交通事故になるので警察に連絡します 恐らく事情聴取を行うので 搬送された後 警察が来るまでその病院にいてください」

 

「はい 分かりました」

 

その後 救急車が到着し 緑谷と男の子は搬送された

 

 

 

 

 

「今回は助かったからよかったけど 今度から無茶はしちゃだめだぞ」

 

「はい すみませんでした‥‥」

 

「母さんも心配したのよ」

 

「ごめんさなさい‥‥」

 

その後の警察の取り調べで“無個性”だとばれるともの凄く怒られた

時刻は午前12時で 学校に行けなくもなかったが 大事を取って自宅に帰ることにした

 

「出久は自分の部屋で休んでなさい」

 

「はい」

 

自身の部屋に戻り鍵とカーテンを閉めた緑谷

 

「僕の右手じゃないのか?」

 

今回の事故で 自分の右手に何かが起きた事を理解した

 

「どうやって確かめれば‥‥」

 

考えてみれば 爆豪も今回の事故も 右手は緑谷の体を守るかのようだった

 

「だったら」

 

右手を高く上げ 机の角に向かって振り下ろす

 

「痛く 無い」

 

しかし右手は直角に凹んでいる

 

「感覚が‥‥消えてる」

 

クイ

 

「あっ」

 

パクッ

 

「ああっ あっ」

 

中指と人差し指の間が徐々に割れて口に 中指と薬指が目に そして人差し指と小指が手に変化し

 

「ザンネン‥‥ダ‥‥オレ‥‥ミギテ‥‥シッパイ」

 

彼の右手は喋り出した

 

「僕の‥‥右手は?」

 

「クッ‥‥チマッタ‥‥ヨゥ」

 

「うそ でしょ」

 

あまりの出来ごとに思考が追い付かない出久

 

「コトバ‥‥マダスコシ‥‥デキナイ‥‥オシエテ‥‥イズク」

 

「君は何なんだ」

 

「ツカレタ‥‥ネムイ」

 

「ちょっと待って 聞きたい事がたくさんあるんだ」

 

右手はゆっくりとごく普通の姿に戻っていき

 

「ねぇ ねぇってば!!」

 

必至の問いかけも虚しく ただの右手に戻った

 

「出久~ どうしたの? ねぇ 出久~」

 

来ないで! ‥‥何でもないよ 大丈夫だから」

 

「‥‥そう 何かあったら言ってね」

 

「うん‥‥」

 

カタカタ カタカタ

 

「ダメだ それらしき情報が無い」

 

考えられる限りのキーワードでパソコンで調べてみたが 全くヒットしなかった

 

「僕みたいな目にあった人は居ないっていうことか‥‥」

 

出久は 何とも言えない孤独感とほのかな優越感を感じた

 

 

 

たいした情報が見つからないまま夕方を迎え 夕飯のカレーを食べた

 

「もう体は大丈夫なの? 出久」

 

「痛みはするけど 大丈夫だよ おかわり」

 

「食欲があるなら大丈夫みたいだけど 今日は早く寝るのよ」

 

言われた通り部屋に戻りベットに横になった出久

 

「右手の事はお母さんには‥‥いや こんなこと誰にも言えない」

 

それに 自分でもまだよく分かってないのに 説明のしようがない

 

「警察に言ったら病院で色々検査されて騒ぎになるだろうし どうすればいいんだろう‥‥」

 

 

 

 

 

静岡県あたりの某所

 

「アイツ‥‥デク 緑谷出久だよな」

 

放射状に金髪な少年は一人呟いた

 

 




如何だったでしょうか?

題名などから 分かった方はいらっしゃるかと思いますが
今回の話の流れは ほとんど寄生獣になっております
次の話でようやくヒロアカっぽい話の流れになる予定です(あくまでも予定)

最後まで読んで下さった方々ありがとうございました


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変化

皆さんどうも破邪矢です

前回2話で終わると言ったがあれは嘘だ また話が長くなって3話になった
有言実行が出来ねぇ…… ヒロアカSSの沼に嵌っていく…… 「予定」とは?……

まぁ それは置いといて
本編をどうぞ


ピピピピッ ピピピピッ ピッ__

 

「__朝だ‥‥」

 

窓から柔らかな光が注がれる 気持ちの良い朝

 

「眠っている訳じゃない」

 

目の前には 日常とはかけ離れた光景

 

「夢じゃなかったんだ‥‥」

 

夢と思うような記憶は現実であった

肩の付け根から右手の先に至るまで 緑谷の体に繋がってはいるが全く別の生物になり 部屋の本を読みあさっていた

 

「何をやっているの?」

 

目を疑うような非日常を前にしても 受け入れてしまえばどこか冷静になり ごく普通に元右手に話しかける

 

「見ての通りさ 勉強だよ」

 

右手だったソイツは図鑑を広げながら そこに載る生物に次から次へと体を変化させていた

 

「普通に喋れるようになったんだね‥‥君は何なの 誰かに作られたの?」

 

「分からん」

 

「でもあのヘビみたいなのが 君の正体なんでしょ もしかして宇宙人?」

 

「宇宙人?なんだそれは?」

 

「宇宙から来た人‥‥君の場合は生物か」

 

「確かに地球上の生物の本を調べても わたしの事は載っていなかった」

 

「何か覚えている事は無いの?」

 

質問を終えるたびに疑問が出る緑谷

 

「私は自分がどこから来たのか知らない 私の一番古い記憶は"脳を奪えなくて残念"という気持ちだ」

 

「脳を⁉ まさか右手の次は僕の脳を奪うつもりじゃ‥‥」

 

「それが出来るならとっくにやっているさ だが無理だ 脳を食わずに成熟してしまってはもう遅い 残念なことだ」

 

まるで人間が項垂れるような動作で残念がる

 

「もし脳を奪えてたら?」

 

「多分頭が変形する人間に似た生物になっていただろうな」

 

「それは気持ち悪いね‥‥そもそも何で僕だったの」

 

「偶然だ 君を選んだわけではない」

 

あらかたの質問を終えた緑谷は考え込む

 

(これは誰かの“個性”なのか? だとしても生物を生み出すような“個性”何て聞いたことが無い‥‥他人の体に侵入して寄生する“個性”? 自分の体を分裂させる“個性”? 肉体を変化させる“個性”? 動物になる“個性”? “個性”だとしたら複合型の可能性が高い‥‥仮に“個性”だとして 使った本人の意思が全く反映されていない そんな事があるのか? でも もしこれが(ヴィラン)のやった事だとしたら‥‥ブツブツブツブツブツブツ‥‥

 

「何をブツブツ言っているんだ イズク」

 

「‥‥もしかして声に出てた?」

 

「何を喋っているかは分からんが うるさい」

 

「ごっ ゴメン」

 

「なにか言う事があるなら言ってくれ」

 

緑谷は自身の考えをまとめ まだ聞きたいことはあったが一つ提案をする

 

「取りあえず病院に行こうと思うんだけど‥‥」

 

「何のため?」

 

「色々検査した方がいいと思って‥‥もしかしたら君が切られるかもしれないけど」

 

「それは困るな わたしは出久の血液から養分をもらって生きている」

 

「なんだかダニみたいだね」

 

「したがって もし実験や研究のために切断されると 枯れて死んでしまうのだ」

 

「そうなんだ」

 

「それにイズクだって右手を失うことになるんだぜ お互い損じゃないか」

 

「お互いっていうか‥‥僕の右手を君が食べちゃったんじゃないか」

 

不満を聞き考える右手

 

「ならばこうしよう 私が眠っている間は今まで通り 君が自由に動かせるように回路を繋ぐ」

 

「はぁ?」

 

「それで良いだろ?これからはお互い協力し合い生きることだ それ以外に道は無い」

 

自分の命にかかわることになるとよく喋るようだ

 

「そんな事勝手に決められても」

 

「疲れたので眠る」

 

「ちょっと待ってよ 都合が悪いからって」

 

「大事に使えよ」

 

右手は元の姿に戻り 同じく感覚も戻った

 

「これ僕が片づけるのか」

 

散らかるだけ散らかった自分の部屋を見て 緑谷はため息をついた

 

 

 

 

 

階段を下りると緑谷の母がどこかに電話をかけているようだった

 

「もしもし緑谷インコです はい昨日の事故で体を痛めたので‥‥今日は自宅で安静にさせます ええ はいご迷惑をお掛けしてすみません はい では」

 

「お母さん おはよう」

 

「今学校に休むって連絡したから 今日は家でゆっくり休みなさい」

 

確かに昨日の事故で一応体は無事だったとはいえ あまり外に出て活動しない方が良いだろう

 

「うん わかった ありがとう」

 

「朝ごはんもしっかり食べてね」

 

「はい」

 

朝ごはんは焼き魚とみそ汁だった

 

「お母さんリモコンは?」

 

「食器棚のとこ 天気予報でも見るの?今日は学校行かないのに」

 

「ちょっとね」

 

ピッ

_続いてのニュースです 

昨日 静岡県あたりの○○市▷∇で 殺害事件が発生しました 

この家には夫婦と息子二人が住んでおり 殺されたのは妻と息子二人と見られていますが 遺体の損傷が激しく殺害方法・凶器などについては一切分かっていません』

 

「家から結構近いじゃない 怖いね」

 

「家庭内での犯行はヒーローも警察も止めるのが難しいからね 早めに捕まればいいけど」

 

今の超常社会になってから 強盗や万引き・誘拐などの目に見える形の犯罪はもちろん増加したが 家庭内・近隣住民間での殺人事件の発生件数や 実際に殺害まで至った割合も増加している

多くの専門家が「一昔前のアメリカの銃社会」の状態になったから とこのデータを評しているが具体的な解決策などは出ていない

 

『警察は事件以来 行方不明の夫が犯行に及び逃走したとして調査しています』

 

(僕みたいな人のニュースはやってないのか‥‥)

 

実際には同じような目にあった人のニュースなのだが 分かるはずもなかった

 

『続いてのニュースです

東京都◆◆区のアパートで火災が発生し 焼け跡から二人の遺体が発見されました

この家には20代の夫婦二人が住んでおり 遺体はこの二人のものと思われます 火元は不明ですがこの夫婦が二人とも燃焼系“個性”の為 “個性”が暴走した可能性があるとして警察は調査をしています』

 

「珍しいね」

 

「何?出久」

 

「このニュース “個性”の暴走なんて小学校位にはなくなるのに‥‥」

 

『なお 遺体は二体とも頭部に激しい損傷がありましたが 原因は不明です』

 

「僕の(右手の事)とは関係ないか‥‥」

 

この事件も関係しているのだが この時はまだ知る由もない

 

「ごめんね 出久」

 

「エッ あ」

 

先の発言は 右手の事を知らない母からすれば『“個性”ない僕には “個性”の暴走は関係ない』という意味に取れる

息子__緑谷出久が“無個性”で生まれたことに 少なからず責任を感じている母にとっては 聞かなかったことには出来ない言葉だったのだろう

 

「ちっ 違うよお母さん さっきのはそうゆうのじゃなくて 大丈夫 気にしてないから‥‥」

 

母は返事をせず その後も重苦しい空気の中 朝食の時間は過ぎていった

 

「ごちそうさまでした 部屋戻ってるね」

 

「うん」

 

緑谷は自室に戻るまでのほんの短い距離がとても静かに感じられた

 

「“個性”とは何だ? イズク」

 

「起きてたんだ」

 

部屋のドアを閉めた途端 右手が喋り出した

 

「さっき君の脈拍が変化した その様な状況では目が覚める」

 

「そうなんだ それで?“個性”について知りたいの」

 

「ああ ノートに色々書いてあったが 理解が完全には出来なかった」

 

「僕も完璧に分かってる訳じゃないけど‥‥ていうかアレ読んだの⁉」

 

「読んだよ『将来のためのヒーロー分析』 “個性”の説明がとても分かりやすかった」

 

『将来のためのヒーロー分析』__緑谷がヒーローになるべく 様々なヒーローの“個性”や技の長所・短所などを記したノートである

 

「あ ありがとう(あんまり他人(ひと)に見られたく無かったんだけど )」

 

出久は持ち前の知識を全て__“個性”の発現から現代までに変化した社会や “個性”の考察に至るまでを右手に説明した

 

「ふむ 大まかな分類や特徴は分かったが‥‥根本的なことはいまひとつだな」

 

「今も研究している人がいるけど 発生原因とかは分かって無いみたい」

 

「‥‥ふむ‥‥」

 

どうやら右手には まだまだ“個性”に疑問が残っているようだった

 

「あのさ 僕から提案なんだけど」

 

「なんだ?」

 

「君の名前を決めたいんだ」

 

「いらん わたしは人間ではないしペットでもない」

 

「でも 名前が無いと話するときに不便だし」

 

「‥‥では『ミギー』と呼んでくれ」

 

「何でミギー?」

 

「右手を食って育ったからミギー」

 

なんとも安易な名前の付け方である

 

「ミギーか‥‥ずいぶん単純だね」

 

「わたしからすれば 名前にそこまでの意味があるとは思えん そういえば‥‥君は一度『デク』と呼ばれていたな」

 

「かっちゃんのこと?」

 

「『かっちゃん』? 人間にしては変わった名前だな」

 

「名前じゃないよ 『かっちゃん』はあだ名 本名は爆豪(ばくごう)勝己(かつき) ノートにも書いてあったでしょ」

 

「“個性”が“爆破”の」

 

「そう そして『デク』っていうのはあだ名‥‥と言うより蔑称だよ 何もできない木偶の芒の意味でね」

 

「‥‥そうか わたしは疲れたので眠る」

 

右手__ミギーは再び眠りに就き 緑谷に感覚が戻った

 

「なんか‥‥色々ありすぎたな」

 

遡ること30時間 そこから今に至るまでは 間違いなく人生で最も濃厚な時間 見たことのない生物が体内に侵入し‥‥腕が変形し‥‥喋り出し‥‥“個性”が溢れかえる超常社会においても 中々考えられないようなことが起こった

無論 この出来事が彼に良い影響を与えるとは限らない だが…彼が背負って生きてきた"無個性"の烙印 無条件に否定され 馬鹿にされ 見下された8年間

もし"無個性"じゃなければ

何度そう思ったことだろう

 

「僕はもう‥‥」

 

夢と思うような記憶は現実であった

今の彼には他者と違う特徴__

 

「"無個性"で‥‥平凡な」

 

自在に変形し高い知能を持つ右手__ミギー

 

「デクじゃ無い!!!」

 

夢では無かったのだ

"無個性"では無い 別の何かになった その事実が緑谷にとっては嬉しかった

 

 

 

 

 




如何だったでしょうか?

分かった方がいるか分かりませんが
正直途中から「早く正体不明の生物からミギーになれよ……」
と思いながら書いてました(地の文めっちゃ面倒)

次回は犬との戦闘シーンまで書く予定です(あくまでも予定だ 予定なのだ)

最後まで読んで下さった方々ありがとうございました


おまけの没ネタ

ピッ
_続いてのニュースです 
本日未明 静岡県あたりの○○市▷∇で 四人家族の内三人が殺害される事件が発生しました
この家には夫婦と息子二人が住み その内の一人 夫である範馬勇次郎(38歳)の行方が分からなくなっています 警察は行方不明の夫が犯行に及び逃走したとして調査しています』


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仲間

皆さんどうも破邪矢です

またしても やってしまいました
私はいつになったら有言実行出来るようになるんでしょうか……
愚痴ばかりでスミマセン

それでは本文をどうぞ



事故に遭ってから初の登校日 緑谷の体もすっかり回復し元気に朝を迎えた

 

「お母さんおはよう」

 

「お早う出久 ご飯出来てるよ」

 

「うん」

 

ピッ

__焼け跡より発見された夫婦二人の遺体ですが 二体ともに火災では考えられないほどに頭部が損傷しており殺人事件の可能性があるということが警察関係者からの情報で判明しました

続いてのニュースです 三都府県で同一の方法で殺害されたとみられる殺人事件が発生しました

先日 全身を刃物のようなもので切り裂かれた遺体が東京都で発見され 遺体の損傷具合などから 犯行現場から遺体の一部が持ち出された可能性が高いとみられています その他にも2件の類似した事件が大阪・宮崎で発生しており警察は関連性を調査しています なお被害者3名の身元はいずれも判明しておりません

 

「このニュース怖いねぇ ほら新聞にも載ってる」

 

見出しには『三都府県でミンチ(ひき肉)殺人発生!』とかかれていた

 

「遺体はひき肉のようにズタズタにされ一部から犯人のものとみられる唾液が検出……食べてるのか?人を?」

 

母から新聞を受け取り 詳しく読んでみると 発生した地域は大阪・宮崎・東京と離れた場所で起きているのが分かる

被害者は主婦や会社員 犯行場所は路地裏や庭先などで共通点は無く金銭などの所持品を荒された様子も無かったようだ

 

「強盗殺人じゃない……集団の快楽犯かな? 今時珍しい」

 

色々な意味で「個性的」な今の超人社会において 複数の人間が同じ思想をもって犯行に及ぶテロのなどの集団犯罪は昔に比べて減少していた

 

「犯行声明を出してる訳でもないみたいだし……なにが目的なんだろう? それにしても酷い事件だ」

 

「出久 そろそろ出ないと遅れるよ」

 

「ホントだ 急がなきゃ」

 

母の言葉に時計を見ると普段出る時間より3分ほど過ぎていた

 

パクパク ムシャムシャ ゴクン

 

「ごちそうさま 行ってきます!」

 

「気をつけてね」

 

「ハーイ」

 

家を出て少し経つと緑谷は電話でもかかって来たのか右手に携帯を持ち耳に当てる

 

「興味深いニュースだな」

 

声が出たのは携帯では無く右手だった

 

「ちゃんと決まりを守ってくれるんだね」

 

二人は外で目立たない為の決まりを作っていた

"個性"に溢れるこの世界で約2割 同年代ではさらに低い割合の"無個性"である緑谷 そんな彼の右手が急に喋ったり変形したりしたら周囲の人間が騒ぎ目立つのは火を見るより明らかである

 

「君が変に目立つとわたしに危害が及ぶからな 用心に越したことはない ところでさっきのニュース 少し気にならなかったか?」

 

ひき肉(ミンチ)殺人の事? 今時集団犯罪何て珍しいとは思ったけど……」

 

「違う 焼け跡から見つかった死体の方だ」

 

「あぁ 殺人事件かも知れないって言ってたやつ? そりゃ多少気になりはしたけど」

 

「あの事件で死んだのは二人だけでは無いかもしれん」

 

「それってどういう……」

 

「思い当たらないならいい 私の思い過ごしかも知れん それはそうとイズク」

 

「何? また"個性"について何か質問?」

 

「今日の朝からどうも感情が落ち着いてないようだが 何かあったのか? 」

 

「そんな事が分かるの!?」

 

「前に言っただろう脈の変化を感じ取れると そこから食欲や眠気等が判別出来る 昨日の夜から今にかけての君は興奮しているように思えるが……学校という所はそんなに楽しいものなのか?」

 

自分が浮かれていることを ミギーに聞かれて初めて気が付く緑谷

だが気分が高揚するのも無理もない 事故に遭ってから__いや ミギーという『個性』を手に入れてから初の登校 彼を"無個性"とバカにした者を見返したような気になるのは当然と言っても良いだろう

 

「……いや そんな事無いよ 休んでた分授業についていけるか心配なだけ」

 

「そうか ならいい この間のように事故に遭うなよ」

 

初めての会話から5日経つ その間お互いに何度も言葉を重ね(主な会話は"個性"に関するものだが) 更にミギーは緑谷からパソコンの使い方を教わり様々な知識を吸収し 人間の生活をある程度理解したようだった

だが__

 

「ミギーには……分からないだろうな 僕の気持ちは」

 

常に体は繋がっている しかしお互いの事を完璧に理解できているわけではない ただミギーからすれば「種族からして違うのだから当たり前」としか思わないだろうが

 

(でも 現実問題(ヴィラン)とかに遭遇したときに 意志疎通はしっかりと出来た方が良いな そうすれば作戦をたてながら戦えるし……まてよ その場合"個性"の無断行使になるのか? ミギーは誰かの"個性"によって生まれたものだろうけど……"個性"によって作られた道具や空間の犯罪利用になるのか?犯罪利用されることが明らかな場合罪に問われたケースはあるけど そもそも僕とミギーの思考や行動は体の一部が繋がっているだけで……だとしても行動の大部分は僕が決めることが出来る そうなると僕じゃなくミギーの意志で攻撃したとしても 僕の責任になるのか? ブツブツブツブツ……

 

「イズク「えッ 何?」止まれ!!」

 

「ミギー 人混みのなかで急に喋らないでよ 知っているひとがいたらどうするの?」

 

「今それどころではない 仲間だ!!! 仲間がいるぞ!!!」

 

緑谷からの注意を気に止めず しゃべるミギー

 

「人前で喋るときは携帯使ってるふりを……仲間!? もしかしてミギーの? 分かるの?」

 

「あぁ 直線にして約200m 今まで感じたことは無かったがハッキリと分かる……向こうもこっちに気付いているようだが動く気は無いようだ」

 

「距離と考えてることも分かるんだ……」

 

「わたしも初めて分かったがその様だ 行くぞ イズク」

 

よほど興奮しているのか口調も行動も早い

 

「まってよ もしかしたら頭を乗っ取られた人かもしれないんでしょ?」

 

「そうだな その可能性は高い」

 

「だったら 近づかないでヒーローや警察に連絡しないと……あれ? 無い!」

 

どのポケットを探ってもスマホが見つからない

 

「わたしが持ってる」

 

いつの間に取ったのかスマホはミギーの元にあった

 

「ヒーロー ましてや警察を呼ぶのはもっての他だ 右腕を失いたいのか? それに わたしは自分が何者なのか分からない それを知るために仲間に会うことは合理的だろ?」

 

「そうかもしれないけどさぁ……」

 

そのまま学校に向かおうにもミギーが電柱にからだを絡ませ 仲間のもとに行く意思を見せる

 

「君だってわたしという存在を理解した方が 今後の生活のためになるかもしれない」

 

「はぁ……分かったよ 」

 

「よし 行くぞ」

 

(学校遅刻したらどうしよう……)

 

ミギーの情報をたよりに緑谷は住宅地を歩む

 

「家からそんなには離れてない こんな近くにいたんだ」

 

「数日家を出なかったから感知することが無かったんだろう そこの角を右に 直線にして約50m……これは……」

 

「どうしたの ミギー」

 

「どうやら食事中らしい そこの角を左」

 

「食事? まさか!」

 

嫌な予感がしたのか緑谷が駆け出す

 

クチャクチャ

 

「犬が 犬を食べてる」

 

目に写ったのは犬の共食いという余りにも異様な光景

 

「オマエ……ナカマ ……カ? ニンゲンノ……アタマガノコッテイル」

 

「同種ではあるな」

 

寄生犬とでも言うべきそれが振り向くと 6つに裂け口のようになっている頭部が見えた

 

「オマエハ……バショニ……オレハシュルイニ……フマンガアル」

 

「逃げろ!! イズク」

 

「えっ 何で 仲間なのに?」

 

「なぜだか知らんが 人間の脳が残ったままの我々に異常なまでの殺意を抱いている」

 

「ッ 分かった」

 

逃げ出した瞬間 足があった場所を形を刃のようにし硬化された触手が空を切る

 

「いつまでッ ハァ 逃げればッ いいのッ」

 

「止まれ ここで応戦する」

 

指示通り見晴らしの良い公園で足を止める

 

「何で ここで?」

 

「上を見ろ」

 

言われた通りに上を向くと 先程の寄生犬がコウモリのような翼を生やし飛んでいた

 

「飛んでる!? そうか 寄生箇所を翼に変形させて……そういう使い方もあるのか……」

 

「だが賢い判断ではないな」

 

ミギーはからだを細く伸ばし高さ10メートルほどにいる寄生犬に肉薄する

 

キンッ ギャイン

 

金属音とはまた違った低い音を出しながら互いの刃を交える

 

「早すぎて見えないけど……凄い」

 

寄生犬が力で押し負け体勢を崩すと ミギーはすかさずとどめを刺す

 

ドスッ

 

からだを元に戻したミギーは心臓を掴んでいた

 

「ミギー それって」

 

「あぁ ヤツの心臓さ」

 

「オノレ……キサマ」

 

心臓をえぐられた寄生犬は力なく倒れ寄生部分が枯れていく

 

「寄生部分の大半を羽にしたことで死角が増えた だからわたしが勝った」

 

情の欠片も感じさせない声で言い放ち心臓を握りつぶす

 

「ウっ……」

 

感触こそないが緑谷にとってその光景は直視できるようなものではなかった

 

 

 

 




如何だったでしょうか?

やっぱり戦闘シーンは難しいですね
それにあの寄生獣たちのフォルムを文章で表現するのは難易度が高すぎます「あれっ ひょっとして俺の方が小説書くの上手いんじゃね?」
と思った読者様はどうぞお書きになってください
(そしてそれを読ませて)

最後まで読んでくださった方々 ありがとうございました


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対立

皆さんどうも破邪矢です

昨日から色々あって気分が乗ってるので
やる気のあるうちに短いですが続きを書きました

それでは本文をどうぞ


「何故 直ぐに学校に向かわなかったんだイズク?」

 

「……警察に通報しないわけにはいかないでしょ 遅刻はしたくなかったけどさ」

 

寄生犬との対決後 亡骸を埋めようとも思ったが仮に飼い犬であった場合飼い主に余計な悲しみを与えると思い通報した(寄生部分はミギーが切り取って埋めた)

 

「別に死体があろうがなかろうが犬が居なくなったことには代わりはないだろう」

 

「夢や希望を悪戯に否定しないのは残酷なことだよ とてもね」

 

ミギーはそれ以上語りかけることはなく 二人とも無言のまま学校に向かった

 

 

 

 

「これ休んだ分の課題な 緑谷」

 

教室に着いた緑谷に待っていたのは出会って間もないクラスメイトからの優しい声ではなく 無慈悲にも出された課題だった

 

「分かりました ハァ」

 

「それと今日の遅刻はカウントしとくぞ 体はもう平気なんだろう?」

 

「はい 体はもう大丈夫です 遅刻してすみませんでした」

 

遅刻した1時限目のノートを借りながら黙々と課題を進めていった

 

 

 

 

「~~というわけで負の数と負の数を掛けると正の数になる 少し早いが今日はこの辺で終わりにしよう」

 

4時限目が終わり教室が騒がしくなる中

 

「オィ デク」

 

「なに?かっちゃん 課題があるから出来れば「今すぐにツラ貸せ」分かったよ……」

 

教室から離れた校舎外れの階段

 

「テメェ 金曜に病院と警察に行ってたんだってな」

 

「何で知ってるの?」

 

「センコーに聞かれたんだよ 「緑谷が事故にあったみたいだが何か知らねぇか」ってな」

 

「もしかして……ボクのことを心p」「誰が てめェ なんか心配すんだ ボケェあっ ハイ

 

「俺が聞きてぇのは んな事じゃねぇ! 何でそこに行ったかが知りてぇんだよ」

 

「……車に轢かれそうな男の子がいて その子を助けようと

 

対話は爆豪の起こした爆発によって断ち切られた

 

「かっちゃん……何で怒ってるのさ」

 

「……一線級のトップヒーローは大抵学生時から逸話を残している」

「俺も何か箔をつけて雄英に入ってヒーローになるつもりだった」

「“没個性”どころが“無個性”のてめェがよォ~」

「なんで俺より先にいるんだよォ!」

 

あまりに不条理で理不尽な怒りは感情そのままに爆煙を伴った拳になって緑谷を襲う

 

なんか殴る効果音

 

「デク……てめぇ なんなんだよぉその右手は」

 

緑谷の右腕……今はミギーが鞭のように腕を振るい爆豪の鳩尾に入り込んでいた

 

「ミギー!何してるの?」

 

「君に危害を加えようとしていたろ?わざわざ理由もなく怪我をする必要は無い ついでに両手を切っておくか?手の平からしか出ないんだろあの爆発」

 

「良い訳無いでしょ!!何言ってるのさ」

 

「この人間は前にも君に危害を加えようとした また次も襲ってくるかもしれんぞ 不安要素は少ない方がいい 君じゃあ敵いっこないからな」

 

「……君まで僕をバカにするのか」

 

「何か言ったか」

 

「そんな事したらそれこそ警察沙汰になるよ そっちの方が君も困るでしょ」

 

「確かに だが姿を見られた」

 

「喋らないよ 喧嘩で負けた ましてや僕なんかに負けたんだ かっちゃんが言うはずがない」

 

「……分かった 君の方がこの人間についてよく知っているからな」

 

「じゃあ保健室に連れてくの手伝って」

 

「断る じゃあな」

 

ミギーは腕の主導権を放棄したため 緑谷は1人爆豪を担いで保健室に向かった

 

 

 




如何だったでしょうか?

緑谷くんがもう爆豪君に勝ってしまいました(なんか違くね)
余談ですが前に火薬の資格を取ろうと思って「火薬取扱保安責任者」の本を買ったのですが
その中に爆轟(爆発速度2~8㎞/秒 衝撃波があり破壊作用を伴う)という言葉がありまして
そっちの趣味は無いのですが「ほっほう」と思いました

最後まで読んでくださった方々 ありがとうございました


続きが読みたければ書いても良いんですぜ(三次創作バッチコイ)


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