少女と戦車と役人と (夜郎自大)
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第1話:国有財産法です!

「分かりました。勝ったら廃校を撤回してもらえますね?」

 

 中央合同庁舎7号館東館8階の一室は重苦しい空気に包まれていた。

 このフロアには文部科学省の初等中等教育局と学園艦教育局の執務スペースがある。その一角の静かであるべきこの応接室も普段であれば外から内線のコール音や職員の喧騒が聞こえる筈だが、彼らの耳には今それも聞こえない。

 

文部科学省学園艦教育局財務課長の辻廉太は困惑していた。確かにこれまでも「全国大会に優勝すれば…」、「大学選抜に勝つようなことがあれば…」とは口にした。しかし、それはあくまでもコメント、感想に過ぎなかったのである。辻が座っているソファにかかる力はわずかばかり強くなった。

 

「今ここで覚書を交わしてください。口約束は約束ではないようですからね」

 

 目の前で手書きの「せいやくしょ」へのサインを迫る県立大洗女子学園の生徒会長角谷杏は、確かに自らの言葉で学園生徒に「廃校」を申し渡したのだ。であれば、学園艦の「処分」について納得したのではなかったのか。さらに、生徒たちも艦からの退去に応じ、大きな混乱はなかったと報告を受けている。その経緯が辻の困惑を加速させていた。

 

 そして辻の困惑には大きな原因があった。そもそも、「処分」の撤回をここで誓約することは明らかに辻の職掌を超えているのである。今までの役人としての経験によって、こちらから具体的に何かをすると明言することは避けてきたが、ここで明確に、文字に残る形で撤回を迫られても辻の困惑が増すばかりなのである。

 

 辻は少女の左右に座る3人の大人に助けを求めるように右から順に目を向ける。全国戦車道連盟理事の児玉七郎はその立場と年齢に見合った物憂げな表情で腕を組み沈思している。高校戦車道連盟理事長の西住しほは端正なスーツ姿を自ら誇るかのように背筋をしっかりと伸ばし、射るような目で辻にサインするよう促している。そして一番左端、陸上自衛隊の制服に身を包んだ蝶野亜美一等陸尉は明後日の方向に顔を向け、ツンと澄ました顔でいた。見渡す限りこの場に辻を助ける者はなく、蝶野に至っては辻が窮するのを楽しんでいるかのように見えた。

 

 遂に、困窮した辻がこの案件について持ち帰るべくして口を開こうかとした時、その沈黙を破って蝶野が噴き出し声を立てて笑い出した。余りにも唐突で辻は勿論、横に座る三人も呆気にとられている。

 周りの視線に気付き流石に場に沿わないと悟ったのか、軽く咳払いをして蝶野は先ほどの澄ました表情に戻った。

 

「いや大変失礼しました。流石に今ここでサインをしろと言うのは、おそらく課長の裁量の範囲を超える部分もあるかと思います。一度担当から「廃校」の件についてお話を伺った上で、今角谷さんが言った条件で試合をするのかどうか協議すると言うのはいかがでしょう?」

 

 確かに辻にとってありがたい提案ではあったが、ひどく不愉快でもあった。相手から面と向かってお前には裁量がないと言われ、辻の憶測ではあるが先ほどの自分の窮状も含めて笑われたのだから面白い筈がなかった。だが面白くないとは言え、実際に裁量がないのだからこの提案を断るのは得策とは言えなかったのである。

 

「分かりました。では、当課の艦船・施設管理班の担当を紹介します。詳細はそちらで。必要に応じてスポーツ庁の担当にも連絡するということで」

 

「お待ちください!」

 

 西住しほが口を開く。既に頭の中を次の案件に切り替えようとしていた辻は再び面を食らった。

 

「先ほど、あなたはご自身に裁量が無いことをお認めになりました。では、誰ならこの件について判断できるのでしょう?」

 

「西住さん、ちょっと」

 

 児玉が辻の様子を伺いながら小声で制止するが、西住は続ける。

 

「私は、この件についてこの場での決着を所望します。どなたかは知りませんが、この件について権限を持っている方をお呼びください」

 

 辻は素早く頭を回転させ、記憶から文部科学省内部部局文書決裁規則や国有財産法、同施行令の財産処分に関する条項を手繰り寄せる。

 

 学園艦が船舶であることを考えれば、その「処分」をすることができるのは、国有財産法第8条第2項及び同施行令第5条第1項第二号の規定に従い、各省各庁の長、即ち文科省にあっては文部科学大臣となる。

 一方で、同法第9条には、「各省各庁の長」は「事務を部局等の長に分掌させることができる」とあることから文科省内において行政として「処分」の実質的な最終判断を下せるのは学園艦を所管する学園艦教育局長ということになる。

 とすれば、この場で決着させるという西住の要望を叶えるには学園艦教育局長を呼ぶのが適当であろう。

 

 だがしかし、と辻は思い止まる。

 これまでの彼女たちの話を聞いて、局長が今ここで決断を迫られた場合、ほぼ間違いなく否と答えるであろう。

 

 彼女たちの言う「スポーツ振興」や「戦車道の推進」が、この財政難の中にあって1年あたり千数百億円の歳出削減を覆す根拠にはなりえない。根拠がないものについて否という判断を下すのは役人の常識であり、その考え方は立場が上になればなるほどより堅固になっていく。それを高校生の試合の勝ち負けで判断するなど、局長クラスでは絶対にありえないのである。

 

 そういった点で否と言う判断自体については辻も異存はない。しかし、今回については懸念もある。

 

 辻が懸念するのは相手方の感情的な部分である。女子高生はともかくとして、目の前にいるのは戦車道連盟の意思決定に深く関わる面々である。全国戦車道連盟理事長はそこまででもないが、高校戦車道連盟理事長が喧嘩腰であり、局長の決定を不服として一波乱起こしかねない。

 この場で戦車道連盟との関係が決定的に悪化すれば、プロリーグ設立や国際大会の誘致等を控えるスポーツ庁の競技スポーツ課長や国際課長あたりは猛り狂うだろう。そしてそのとばっちりは、おそらく自分ではなく主に生涯学習政策局の人間が蒙ることになる。スポーツ庁はともかくとして、生涯学習政策局の人間を考えると何とも忍びない話である。

 

 結果、辻は「そもそも論」に立ち返ることを選択した。一度、論点を整理する必要があるとも感じたからである。

 

「率直に申し上げますとこの文部科学省に、県立大洗女子学園の「廃止」、即ちあなた方が仰るところの「廃校」を撤回する権限はありません。そもそも、「廃止」を決定する権限すらも文科省にはないのです」

 




 はい、というわけで第1話です。読みにくくてスイマセン。
 学園艦教育局の事務分掌は実際の初等中等教育局の事務と一部を除きほぼ同様のものを想定しています。本当は文科省の事務分掌的に辻さんを大臣官房会計課長にしたかったのですが、ガルパン公式HPに「学園艦教育局の役人」とあったので、そこの設定は崩さないようにしました。なので会計課に属さない国有財産管理を学園艦教育局財務課の扱うべき事務とし、辻さんを財務課長にしました。
 ちなみに、ストーリーを考える上で国有財産法第6条「普通財産は、財務大臣が管理し、又は処分しなければならない。」の条文に一瞬怯えたのは内緒です。


国有財産法第8条
行政財産の用途を廃止した場合又は普通財産を取得した場合においては、各省各庁の長は、財務大臣に引き継がなければならない。
ただし、政令で定める特別会計に属するもの及び引き継ぐことを適当としないものとして政令で定めるものについては、この限りでない。
2 前項ただし書の普通財産については、第6条の規定にかかわらず、当該財産を所管する各省各庁の長が管理し、又は処分するものとする。

国有財産法施行令第5条
法第8条第1項ただし書の引き継ぐことを適当としない財産は、次に掲げるものとする。
二 立木竹、建物で使用に耐えないもの、建物以外の工作物、船舶及び航空機で用途廃止をするもの。

国有財産法第9条
各省各庁の長は、その所管に属する国有財産に関する事務の一部を、部局等の長に分掌させることができる。



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第2話:設置条例、あります!

「率直に申し上げますとこの文部科学省に、県立大洗女子学園の「廃止」、即ちあなた方が仰るところの「廃校」を撤回する権限はありません。そもそも、「廃止」を決定する権限すらも文科省にはないのです」

 

「馬鹿にしないでいただきたい!」

 

 西住は机を強く叩いた。今まさに辻に飛びかからんとする勢いである。それを蝶野が宥めて話を続ける。先ほどまでの顔とはうって変わり、凛とした表情で真剣な眼差しを辻に向ける。

 

「辻さん、大洗女子の子たちは辻さんの言葉を信じてここまで戦い、奇跡的にも優勝を勝ち取ったのです。余り翻弄するようなことは仰らないでもらえませんか」

 

「何度でも申し上げますが、事実として、文科省にも私にも、「廃校」を決定する権限も、撤回する権限もないんですよ」

 

 辻は、蝶野の目線を真正面から受け止めることなく、あくまでも事務的に言い放った。

 

「裁量がないのですから何もできません。あなたも自衛隊とは言え、役所の人間なんだから分かってるでしょう?」

 

 蝶野の凛とした表情がわずかに歪んだ。最後の一言は、蝶野に対する辻の意趣返しであった。

 蝶野が口を堅く結んだのを見計らったかのように児玉が口を開いた。

 

「では、誰が大洗女子学園の「廃校」を決定し、撤回できるのでしょう?これまでのお話を聞いていますと私のような疎い者には、さも「廃校」が文科省で決定されたというように聞こえるものですから」

 

「県立大洗女子学園は、県立ですから決定権は茨城県にあります」

 

 県立大洗女子学園高等学校とその付属中学校(通称:県立大洗女子学園)は、その名に「県立」を冠しているとおり、茨城県県立学校設置条例第1条及び第2条に定める茨城県の学校なのである。なので、県立大洗女子学園の「廃止」は、茨城県教育委員会が議案を茨城県議会に提出し、そこでの採決の結果をもって決定されるのであって、本来であれば、文科省があれこれ言う立場にはない。

 児玉はなおも食い下がる。

 

「しかし、文科省が学園艦の統廃合を進めていると私は聞いております。現に近年もBC高校と自由学園が統合しましたし、文科省がその決定と無関係とはいえないのではないですか?」

 

「確かに国有の学園艦にあってその用途を終えたものについて、民間利用が可能な学園艦は譲渡、不可能な場合は解体取壊し等の処分を進めています。ですが、国が所有するもの以外の処遇については、あくまでも地方公共団体や学校法人の判断になります。ですので、BC高等学校と自由学園の統合については学校法人マジノ女学院の経営的判断になります」

 

 児玉の問いはあながち間違いではない。確かに文部科学省組織令に記された職掌の中には学校等の「運営の状況についての評価及びその結果に基づく運営の改善に関する企画及び立案並びに援助及び助言に関すること」とある。しかし、法的な義務が課されていなければ、それを受け入れるかどうかは、それぞれの地方公共団体や学校法人の判断であり、文科省はその意思決定に積極的な介入はしていない。

 

 今度は児玉が困惑する番であった。そもそも決定権のない文科省に何故来ているのかが分からなくなっていたのである。

 

「では、先ほどの「廃校」の件についてお話を聞かせていただけるというのはどういう意味だったのでしょうか」

 

「あくまでも、現状を説明させていただくという意味です。話としてやや複雑ですので」

 

 話を複雑にさせている原因は、茨城県県立学校設置条例の別表において県立大洗女子学園の位置を学園艦としているところにある。これが話を複雑にしている。なぜなら、大洗女子学園が位置する学園艦は文科省が管理する国有財産(船舶)だからである。

 昭和22年頃から実施された戦後復興のための諸施策、傾斜生産方式や計画造船といったものの副産物として誕生した学園艦は、その耐用年数が過ぎない内から国有財産特別措置法第3条の規定が適用され、文科省を中心に地方公共団体や学校法人への貸付や譲渡が進められた。その際、学園艦1隻が茨城県に貸与され、茨城県はその借受けた学園艦上に県立大洗女子学園を設置したのである。

 このような経緯から県立大洗女子学園を「廃止」する権限を茨城県が有し、学園艦という財産(船舶)を「処分」する権限を、学園艦を管理する文科省が有するという国と県との住み分けがなされるようになった。

 それを辻はかいつまんで説明する。

 

「ですから、通常の家の貸し借りを想像していただければ分かるかと思いますが、この場合、国が家主で県が借主なわけです。ですから県が出て行くというものを我々には止めることはできません。そして老朽化が進み借主もいなくなった家についてはその莫大な維持費用に鑑み可能な限り速やかに処分を進めたいと考えている、ということです」

 

「では、善処するも何も、あなた方には最初から何もできなかったと、そういうことですか」

 

 西住が辻に噛みつくが、辻は国会審議を思わせるかのような口ぶりで、やや冷ややかに応対する。

 

「いえ、当然全国大会優勝ともなれば茨城県、特に茨城県議会の動向にも変化が生じる可能性がありましたので、学園艦教育局としてもその動向を注視し、茨城県教育委員会と協議いたしました。協議しましたところ、茨城県議会の文教警察常任委員会の審議に全国大会優勝が影響しなかったことを確認し、それを踏まえて検討した結果、「処分」の方針を変更することなく、進めるべくして進めております」

 

 臍を噛み睨みつける西住を尻目に、蝶野にも辻は目を向ける。

 

「私の裁量の範囲内でやるべきことはやらせていただきました。これ以上のお話は県の教育委員会、茨城県だと教育庁の総務企画部の担当とお話した方が良いのではないでしょうか」

 

 角谷の左右にいる大人たちは三者三様に黙り込んでしまった。児玉はもとの年相応の物憂げな表情で沈思し、西住は親の仇とばかりに辻を睨みつけ、蝶野は悔しさに俯き固く手を握っていた。

 

 辻としては学園艦教育局財務課長として、自らの職掌の範囲内でできることをこの場で示し、実際にしてきたのである。もし、これで恨まれたとしても、学園艦教育局ではなく学園艦教育局財務課の判断が恨まれるだけで、影響は少ないだろうと辻は読んだ。

 

「どうやら、私たちは来るところを間違えましたかな」

 

 辻の読みは正しく、乾いた笑いを交えて児玉がポツリと呟いた。この一言をきっかけにして大人たちの間では諦めムードが蔓延し始めていた。

 

「それが、「廃校」にする気はないって今回も言ってるんですよね、県の教育委員会。」

 

 大人たちは一斉に角谷の方を見た。

 




 ハイ、というわけで第2話です。前回に引き続きお読みくださりありがとうございました。
 今回は前回以上に雑駁な内容になった気がします。

 本当は学園艦を茨城県に無償貸与したかったのですが、国有財産法でも国有財産特別措置法でも高等学校の用に供する場合は無償で貸与できなかったです。小説を実際に書く段になってはじめて気づいてかなり焦りました。

 あと学園艦の耐用年数ですが、船舶法第4条から第19条までの適用を受ける鋼船のその他総トン数が二千トン以上のものとして15年を想定してます。



茨城県県立学校設置条例
第1条 小学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育を施すことを目的として、別表第1に掲げる中学校を設置する。

第2条 中学校における教育の基礎の上に、心身の発達及び進路に応じて、高度な普通教育及び専門教育を施すことを目的として、別表第2に掲げる高等学校を設置する。


国有財産特別措置法
第3条 普通財産は、次の各号に掲げる場合においては、当該各号の地方公共団体又は法人に対し、時価からその五割以内を減額した対価で譲渡し、又は貸し付けることができる。
一 地方公共団体において次に掲げる施設の用に供するとき。
 ハ 学校教育法第1条に規定する学校の施設。

四 学校法人、社会福祉法人、更生保護法人又は日本赤十字社において、学校施設、社会福祉事業施設、更生保護事業施設又は日本赤十字社の業務の用に供する施設の用に供するとき。


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第3話:負担金、出します!

 いつの間にかUAが1千件を超えていました。こんな内容なのに多くの方に読んでいただき本当にありがとうございます。
 ですが、今回の内容は怒られるかもしれません…。


「それが、「廃校」にする気はないって今回も言ってるんですよね、県の教育委員会。」

 

 角谷の一言で左右に座る大人たちは一斉に彼女の方を見た。

 既に腰を浮かしかけていた児玉は再びソファにかけ直した。

 

「それはどういう意味かな?」

 

「私は全国大会前に話を聞いてるから何となく分かってるんですけど、上手いこと説明できないんで。むしろここは本職の方に聞いていただければと思います」

 

 角谷はあっけらかんと辻にお鉢を回した。辻は苦笑するしかなかった。彼女たちにとっては些細な問題であろうと思い、あえて指摘するのを避けてきたことを彼女はあっさりと口にしたのである。

 

「一般的な目から見れば県立大洗女子学園は「廃校」になると思われるかもしれません。しかし、行政で「廃校」とは行政目的の「廃止」を指すとされています。「廃止」するには茨城県県立学校設置条例から県立大洗女子学園を削除する必要があるのです」

 

 茨城県教委員会の体の良いたらい回しの口実でしかないのだが、県立大洗女子学園、正式には県立大洗女子学園高等学校及び県立大洗女子学園高等学校附属中学校は「廃校」にはならない。今年度、茨城県議会に提出される見込みである議案「茨城県県立学校設置条例の一部を改正する条例」の内容は、高等学校と中学校の位置をそれぞれ定めている設置条例の別表1と別表2について、高等学校を学園艦から大洗町大貫町へ、中学校を学園艦から大洗町成田町に改めるものになっている。なので、県教育委員会の認識としては、県立大洗女子学園を行政目的の「廃止」、即ち「廃校」にするのではなく、学園の「位置を変更するもの」、つまり「移設」なのである。

 

 ただし、単に「移設」といってもその規模は尋常ではない。何せ中学校と高等学校併せて1万人以上の生徒を抱えた学校の「移設」である。学園艦に位置していた時は中学校と高等学校それぞれが隣接していたが、移設後については隣接は愚か、移設先としている旧大洗町立大貫小学校や旧大洗町立夏海小学校の跡地でも到底生徒を収容しきれず、多数あった学科をも解体し、それぞれ陸上にある高等学校や中学校に分散配置することになっている。また、この分散配置も茨城県の水戸市を中心とした大洗町を含む旧通学区域を越え、農業科や普通科の一部に至っては、遠くは久慈郡の県立大子清流高等学校への編入を余儀なくされる者もいるほどである。

 もはや、県立大洗女子学園の移設は「移設」などではなく、学園そのものが解体されると言っても過言ではない。ましてや、それに加えて大洗女子学園が移設された後の学園艦は「処分」されるのであるから、行政のことが分からない人間から見れば、どうしても「廃校」のイメージが先行してしまうのである。

 

「現在の茨城県の方向性としては現時点においても「移設」であると私は聞いております。ですが、「移設」にともなって学園艦は「処分」されますし、学科の分散配置によって一部生徒が転学を余儀なくされることから、「学園」が、実態として無くなる「廃校」と見られても致し方のないことだとも理解しています。あなたの知る学園ではなくなるのですから」

 

 辻はさも同情しているかのような顔で角谷を見た。その辻の表情が余りにも芝居がかっていたのか今度は角谷が苦笑する番となった。

 

「ちょっと待ってください。一つお聞きしたいのですが」

 

 何かに思い当たったのか蝶野が訊ねる。

 

「私、角谷さんからは大洗女子学園の「廃校」が正式に「決定」されたというふうに聞いておりました。ですが、今までの辻さんのお話ですと大洗女子学園は「廃校」にはならないと、辻さんと我々とで一つ、前提に対する認識の違いが明らかになったのではないかと思います」

 

 この場にいる誰もが蝶野の言い回しに回りくどさを感じたが、蝶野は依然として慎重に言葉を選ぶ。

 

「そうすると、もう一つの前提である「決定」についても我々と辻さんとで、何か重大な認識の齟齬がないでしょうか。すいません、私現場主義なので行政には疎いものでして」

 

 最後の一言は辻にはもう聞こえていなかった。辻の頭は今回の件における「決定」とは何か、県と国との意思決定のプロセス、いつどこで何が「決定」されたのかを頭の中で必死に追いかけていた

 

 そもそも、大洗女子学園「廃校」に関する全ての問題は、茨城県が国に支払う「学園艦の維持管理及び運営に係る負担金」の問題から始まったのである。

 




 ハイ、というわけで第3話です。今回は少し短いです。スイマセン。
 ここから意思決定のプロセスの仮説に入ると流石に説明が長くなるなと…。小説的には蝶野さんが何か思い当たった時点で「まだ、「決定」されたわけじゃありませんよね」とかいうふうに続けた方がよかったのかなとは思ってます。

 さて、今回は書くのに今までで一番苦しみ悩みました。
 だって、辻さん劇場版で「君たちはもう生徒ではない」なんて言うから。
 
 まず、学園の定義って何なのか。確認したところ明確に法律等で定められてはいないみたいなんですよね。

(強いて学園に関する法律を挙げるとすれば「放送大学学園法」に放送大学学園の業務は「放送大学を設置し、これを運営すること」と定められていることから、何となく学園は学校の上位的存在なのかなとイメージできるかと思います)

 私最初学園の名を冠する公立学校なんか全然ないだろうと思ってたんですが想像したより結構あるんですね。びっくりしました。児童福祉法関係の施設を除いて、タイプとしては、併設型中高一貫校、定時制・通信制、その他少数といった感じでそれなりに存在しているようでした。

 ということから県立大洗女子学園は併設型中高一貫校タイプに該当するという前提で、どうしたら彼らを学園の生徒で失くせるのか考えました。(大洗女子学園高等学校にすれば良かったと激しく後悔、修正しました。)

 そのあたりの経緯はまだここでは書けませんが、最終的には「学園艦」の生徒でなくなるという無難なところに落ち着きました。

 あと、大洗戦車道メンバーの連れていかれた旧上岡小学校のある大子町って、全然大洗町から遠いじゃないですか!県立大子清流高等学校への編入・転学設定を出したのは半ばヤケクソです。関係者の方々申し訳ありませんでした。

 大洗女子学園移設先に設定した旧夏海小学校と旧大貫小学校については2017年11月末から2018年2月まで大洗町が跡地利用の提案募集をしていたようです。折角なので大洗女子学園を移設してみました。
 大洗町の財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例を適用すれば、県は学園艦よりも確実に安く学校運営ができるはず…。

次話も、もしよろしければお付き合いください。もうそろそろ、本編劇中に出てきたあるものを使って角谷さんの反撃を書きたいと思ってます。あとちゃんと戦車も出します。

お読みいただきありがとうございました。


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第4話:行財政改革です!

更新遅くて申し訳ありません。


 そもそも、大洗女子学園「廃校」に関する全ての問題は、茨城県が国に支払う「学園艦の維持管理及び運営に係る負担金」の問題から始まったのである。

 

 「学園艦の維持管理及び運営に係る負担金」は茨城県の学校施設管理事業で支出される歳出費用の一つである。県立大洗女子学園及びその学園艦を運営するにあたり、学園艦を維持管理している国に対して、消耗品費や燃料費をはじめとして入渠費用や大洗港以外の港湾施設・通信施設の使用料といった費用の3分の1を負担する経費である。この負担金の費用が経常的に茨城県の教育費を圧迫し、学校としての実績に乏しく、生徒数が減る中で、その費用対効果は厳しい目で見られていた。

 

 事の発端は、今から5年前、茨城県行財政改革推進懇談会が県に提出した「茨城県行財政改革大綱(案)」にあった。この大綱自体は平成7年に策定されてから数次にわたる改定や変更が重ねられており、特に目新しいものではないのだが、5年前に提出された案に基づき改定された大綱の「補助金等の見直し」の項目に「施設等に係る負担金の見直しを検討する。」との文言が加えられたことから大洗女子学園の運命は一変する。

 

 策定された大綱を基に茨城県側は、まず負担率の見直しを国に求めた。勿論国として、国側の負担が増える負担率の見直しは応じるわけにはいかない。学園艦の維持管理に関する費用は、国においてもその費用対効果を長年疑問視され続けてきた。国の行政刷新会議における事業レビュー等で度々槍玉に上がるのを、この負担金の存在によってかわし続けてきたのである。

 次に、県は国に学園艦に対する新たな補助金の創設を求めるも、これも陸上にある高等学校との公平性の観点から無理な相談であった。

 そして最後の手段として県は、学園艦の維持管理及び運営に係る負担金の「抜本的見直し」、即ち5年後の負担金の予算措置を取り止めることとし、県立大洗女子学園の「移設」を前提とした「高等学校再編整備のための基本計画」を茨城県高等学校審議会の同意を得て策定、茨城県執行部の県立大洗女子学園「移設」の「方針」が正式に決定されたのである。

 

 国側の動き自体は、茨城県執行部の「移設」の「方針」が決定された後から進み始めている。文科省としても将来的に県立大洗女子学園の、学園艦の学園たる実態がなくなるにあたって、その学園艦の在り方について検討がなされた。検討がなされたといっても、財政的余裕がない中で行政として必要とされない学園艦を保持できるわけもなく、かといって老朽化が進み民間の貰い手があるわけがないのである。文科省としては、茨城県が県立大洗女子学園を移設させるのに伴い、学園艦を「処分」する以外考えられなかった。

 

 これらを踏まえて、3年前に文科省と茨城県とで、大洗女子学園及び大洗女子学園が位置する学園艦の扱いについて協議がもたれ、その協議を要約すると以下の事項が両者によって確認されたのである。

 

1.3年後、茨城県が次年度の学園艦維持管理及び運営に係る負担金を予算計上しないと認められる場合、国は茨城県と締結している学園艦に係る貸与契約を解除する。

 

2.茨城県は学園艦に係る貸与契約が解除される場合、茨城県県立学校設置条例の一部を改正し、現在学園艦に位置する大洗女子学園の位置を変更する。

 

3.国は改正茨城県県立学校設置条例の施行の後、現在大洗女子学園が位置する学園艦を処分する。

 

4.学園艦処分の際、学園艦に事業所を置く者並びに学園艦内の事業所に雇用される者の退艦にあたっては、茨城労働局が事業所の再開又は雇用について補助又は優先的な斡旋を行う。

 

5.県立大洗女子学園生徒は原則として一部学科を除き引き続き同校の生徒とする。なお、一部学科の生徒については他の県立学校への転学の扱いとする。

 

 そして、この両者の確認事項を基に、2年前の3月、茨城県執行部は、1.の経緯を茨城県議会に説明した上で、県立大洗女子学園の移転先となる旧大洗町立小学校2校の譲与受け入れと、その改修に係る業者との工事請負契約の締結、その予算計上について諮り、結果それらは全て可決されている。文科省もその県の動きと併せて次年度の「学園艦」の「処分」に向けた準備を粛々と進めてきたのである。

 

 ここまでの経緯についての説明を終えて、辻は一息つく。

 

「かかるように、「移設」についての「方針」は既に決定されておりますので、認識についての祖語はないように思っております」

 

 蝶野は自らの疑問が氷解したかのように晴れやかな顔になった。そして意地悪く辻に尋ねた。

 

「「移設」についての「方針」が決定されたことは分かりました。ですが「移設」そのものは決定されているのでしょうか?また、「処分」についても決定されていないんじゃないですか?」

 

「確かに、「移設」そのものについての決定はされておりません。また「処分」についてもあくまでも担当部局の「考え」にとどまっております」

 

 必死に他の説明を考えはするものの辻には、こう答えるしかなかった。

 茨城県県立学校設置条例という条例を改正する必要がある以上、「移設」そのものは茨城県議会の議決が不可欠であるし、国にしても、その茨城県議会の議決がなければ具体的に動くことはできないのである。

 

「何かおかしいと思ってたんですよね。最初は年度末で「廃校」って言われてたものが、8月31日付けで「廃校」って言われたものですから」

 

 半ば棒読みのような口調で角谷が話に加わる。

 

「いえ、ですから8月31日の件に関しては、学園艦に重大な損傷が認められたことから、その安全性の観点から学園自体は臨時の休校の措置とし、住民の方々には当初の予定より早く退艦していただいただけでして」

 

「それは本当なのですか?」

 

 辻の苦しそうな説明に対して西住が噛みつく。

 辻は嘘は言っていない。全国大会後、国が「処分」を再検討する際に学園艦の点検を実施したのだが、その際に重大な損傷は見つかっている。辻として後ろめたいのは、県立大洗女子学園の「移設」と学園艦の「処分」が半ば既定路線として進んでいただけに、国も県も当初に予算計上していなかった巨額の工事費用の工面と執行とをためらい、国・県とが協議して、当初は年度末の茨城県議会第1回定例会(通称:3月議会)に「移設」を提案しようとしていたものを、第3回定例会(通称:9月議会)に前倒ししようとしていたところにある。

 

「「決定」されてないってことは、まだチャンスはあるってことですよね?」

 

 角谷が辻に詰め寄る。

 

「まあ、そういうことになるのでしょうか?」

 

 正式な決定はなされていない。確かにそのとおりではある。だが、県立大洗女子学園が生き残るためには、9月議会において、茨城県県立学校設置条例の一部を改正する条例が否決される必要がある。しかし、これまでの経緯がある以上それは高い壁であるように辻には思えた。

 

「とにかく、その議会に間に合うように大学選抜との試合をセッティングしてください。話はそれからです」

 

「しかし、急に言われましても…。議会も9月に入る前には日程等が決まるため、今週中に準備を整えなくてはなりませんし。事前の調整等もあるので全国戦車道連盟としても困るのではないですか」

 

 角谷に詰め寄られた辻は、あえてここで児玉に話を振った。急な試合のセッティングとなるため、全国戦車道連盟としても調整が難しいのではないだろうかという計算が働いた。

 

「そんな厳しいスケジュールになるのですか…」

 

 辻の想定通り、ここで児玉が渋った。しかし、ここで角谷は一枚の紙を取り出した。

 

「試合、セッティングしてもらわないと、これを提出せざるを得なくなるかもしれませんね」

 




 ハイ、というわけで第4話です。期間が開いた上、拙い文章で大層読みにくかったと思います。お読みいただきありがとうございました。

 今回は色々面倒な中二的な単語が大量に出て来て面倒臭かったです。

 まず、茨城県側の主体の使い分けが非常に面倒臭い。茨城県なのか、茨城県議会なのか、教育委員会なのかといった感じの奴です。
 自分としては・・・
 茨城県=茨城県議会+茨城県執行部
 茨城県執行部=茨城県知事部局(トップが県知事)
        +茨城県教育委員会(トップが教育長or委員長(?))
        +各種行政委員会(今回は出番は無いけど…一応)

 (というイメージなのですが、合ってるかな?)
 という感じで使い分けたかったのですが、特に茨城県と茨城県執行部の使い分けが多分上手くいってないので、最後まで書いた段階で整理しようかなと思ってます。

 
 行財政改革推進懇談会と高等学校審議会の二つの外部有識者の会議体。この関係性も面倒臭いなと思いまして…。名前的に行財政改革推進懇談会の方が偉そうな感じがするのですが、格的には、高等学校審議会の方が格上なわけですよ。高等学校審議会が茨城県行政組織条例第22条に定められた、教育委員会の求めに応じて審議して意見を言える会議体なのに対して、行財政改革推進懇談会は、あくまでも「懇談会」、言ってしまえば自由に「お喋り」する会なわけですよ(要綱の定めはあります)。
 ただ、この懇談会で出た結論が、行財政改革推進本部っていう知事を中心とした教育長もメンバーに含めた内部の会議で決定されるので、教育委員会にしか意見が言えない高等学校審議会よりも発言力はあるわけですね。


 あと今回、負担金とは何ぞやという話だと思いますが、負担金とはざっくり言うと、国や地方公共団体、民間団体が実施している事業や活動について、その事業や活動が自分たちの利益になってる場合支出できるお金になります。研修会や会議の会費だったり、場合によっては実態として施設の使用料のようなものを負担金として支払ってる場合もあるようです。
 では、なぜその負担金が「補助金等の見直し」に引っかかるかと言うと、行政の歳出科目には節という区分があるのですが、その第19節にあたる区分が負担金補助及び交付金となっており、補助金、負担金、交付金と一括りにされているのです。なので補助金「等」というわけです。

 次回にはようやく戦車の話も出せるし、あと2話程度で終わりかなと思ってます。
 今回も最後までお付き合いくださりありがとうございました。


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第5話:戦車は物品です!

 転職と転居をしまして、ようやく生活も落ち着いて(?)きたので久々の投稿です。
遅くなりまして大変申し訳ありません。


 角谷が手にしていた紙には、「ふんしつ届」とひらがなで大書されていた。辻はその紙に素早く目を通していくのだが、それにともなって顔色はみるみると変わっていった。そこには、大洗女子学園の戦車道部が管理していたⅣ号戦車やヘッツァー、ポルシェティガー等、戦車8両と相当量の燃料、競技用の弾丸を紛失したことが書かれている。

 

「うちの副部長、バカがつくほどの真面目ででしてね。廃校になるんだし、物品の管理とか後片付けなんか役所に任せておけば良いって言ったんですけど、聞かなくて。まぁ、でも折角作ってもらったんだし、今回ここにお持ちしたんですが、これ、どこに出せば良いですか?」

 

 そういって、角谷は横に座っている児玉にも紙を見せる。児玉の顔色もみるみると変わっていく。ここへ来たのは子どものお守り程度に思っていたようだが、「ふんしつ届」を見たことで事の重大さを再認識したようである。

 戦車道はスポーツではあるものの、使用する戦車はまぎれもなく兵器である。弾丸も競技用とはいえ十分に殺傷能力がある。それを目の前の少女は紛失したと言っているのである。それだけでも一大不祥事ではあるのだが、万が一その戦車を原因とした事故など起きようものなら、国や県だけでなく戦車道連盟へのダメージも計り知れないものとなる。

 児玉は縋るような目で蝶野を見るが、蝶野としても初めて聞く話である。ここにいる女子高生1人を除いた大人4人が困惑の表情を浮かべていたのである。

 

「提出する先はここで構いませんが・・・」

 

 意を決して辻が口を開く。大洗女子学園が管理している戦車は文部科学省の所管する「物品」である。そのため、それを紛失したとなれば学園艦教育局財務課が窓口にならなければならない。

 

「その、戦車は本当に紛失したんでしょうか?」

「副会長が言うにはー、どうも学園艦の中をくまなく探しても見つからなかったって私は聞いてますよ」

 

 角谷は意味あり気な笑みを浮かべて不遜に言い放った。

 そして、辻は訊きながら自分のバカさ加減に無性に腹が立っていた。もはや紛失したか否かが問題なのではなく、戦車という重要な物品が相手方の手に落ちていることが問題なのである。

 強硬手段として警察に紛失について届け出るかも考慮に入れたが、すぐさまそれは否定した。強硬手段を取ったとしても、行政として取るべき手続きは取らなければならない。戦車の紛失となれば物品の亡失として局長を経由して文部科学大臣への報告が必要となるし、そもそも戦車が見つかったとしても紛失するような管理状況にあったことが問題となるのである。

 

「もし、今週中に試合が開かれるとなれば、私たちも戦車の捜索に全力を尽くさせていただきますが、いかがですか?」

「厳しいスケジュールとはなるかと思いますが、いたいけな女子高生の母校の廃校がかかった試合ですし…、戦車道連盟として、何とかしてみましょう」

 

 児玉は戦車紛失という一大不祥事と試合手配の手間とを天秤にかけたようである。

 

 辻としても、選択の余地はない。学園艦を受領した際に作成した受領品リストに戦車も含まれていたのである。受領品の検査が入れば戦車の紛失はすぐに発覚する。それに、最後の頼みの綱であった戦車道連盟に梯子を外されてしまったので、辻としてもこれ以上の抵抗は不可能であった。

 

「戦車道連盟さんとして、スケジュールに無理がないのであれば、試合についてスポーツ庁と協力してセッティングするという方向で進めましょう。ただし、「廃校」がそれで撤回になるかどうかについては、私としても責任を持てるかどうか、精一杯努めさせていただければとは思いますが…。」

 

「それで十分です。辻財務課長のお働きに感謝します」

 

 角谷の言葉に若干の棘があることを辻は聞き逃さなかったが、「廃校」を決める権利は辻にはない。それを決めるのは行政ではなく政治である。勿論、行政側の手間を考えれば現行の方針が望ましいことに変わりはないのではあるが。

 

「それでは、私はこれで失礼しようと思います。このことを他の生徒にもいち早く伝えに行きたいので、それにまだやることは残っていますし…」

 

 そう言って角谷は微笑み、おもむろに席を立ち、呆気にとられる大人たちを後目に一礼し、応接室を颯爽と後にした。

 後には、大人たち4人が残された。

 




 はい、というわけで次回で完結させます。お待ちいただいた方には重ね重ね投稿が遅くなって申し訳ありませんでした。
 戦車が物品となるのはこの小説を構想し始めた時に初めて知りました。


物品管理法 第2条
 この法律において「物品」とは、国が所有する動産のうち次に掲げるもの以外のもの及び国が供用のために保管する動産をいう。
 一 現金
 二 法令の規定により日本銀行に寄託すべき有価証券
 三 国有財産法第2条第1項第2号又は第3号に掲げる国有財産


国有財産法 第2条
 この法律において国有財産とは、国の負担において国有となった財産又は法令の規定により、若しくは寄附により国有となった財産であって次に掲げるものをいう。
 二 船舶、浮標、浮桟橋及び浮ドック並びに航空機
 三 前2号に掲げる不動産及び動産の従物


防衛省所管物品管理取扱規則
別表第1 防衛省所管物品分類表
     会計:一般会計  分類1:防衛省本省  分類2:防衛物品
     次の経費により取得する物品その他防衛省本省に必要な物品
     (項)武器車両等整備費
 
 ちなみに、防衛省で物品が紛失した場合は、防衛省所管物品管理取扱規則の第4章34条に規定がありまして、第8項には、

(前略)物品管理官は、その管理する物品の亡失等のうち次の各号に該当するものがあるときは、速やかに(中略)物品亡失(損傷等)報告書により防衛大臣へ報告しなければならない。(後略)

 物品亡失はおおよそ大臣案件になるわけで、それはガルパン世界で戦車を管理する(?)文部科学省も同じかなと。辻さん、学園艦ごとしれっと戦車持って行こうとしていたとこを見るとおそらく戦車は国の持ち物かなと思って、今回の展開にしてみました。

 残りはエピローグ的な展開になるかと思いますが、頑張ります。


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