バーチャルyoutuberIFストーリー (ゆう12906)
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バーチャルyoutuberたちが異世界で魔王を倒すそうです①
(うう……意気揚々と出発したのはいいものの、いったいどうすればいいのじゃ……)
暗闇で中が全く視認できないダンジョンの前に、のじゃおじは不安の色を隠せないでいた。
大草原の中にポツンとある岩のドーム。その入り口から長い下り階段が続いている。一見するとただの洞窟のようだが、のじゃおじには他とは全く違う何かを感じていた。
(なんなのじゃ、なんなのじゃこの禍々しいオーラは!)
1か月ほど前から最深部に気配を感じるのだ。それも、ただの人間とは明らかに違う、もっと異質な何かが。特に実害はなかったのだが、町の人々は気が気でならなかった。そこで、調査を申し出たのがこの狐娘だ。
ただ、彼(彼女?)の予想以上にこの空間は異質だったようで、先ほどから一歩が踏み出せずにいる。
(もう時間なのに、なんで誰も来ないのじゃー)
そもそも、彼だって1人でのこのこ来たわけでない。最近急激にフォロワーが増えたツイッターでバーチャルyoutuber仲間を誘ったのだ。
結果了承してもらうことができ、コンビニバイトの自分がここまで成長した感動をしみじみ感じたが、約束の時間になっても一向に訪れない。
そんな紆余曲折を経て、こうして耳を長くして待っている。
(早く、早く助っ人してくれないと困るのじゃ……町のみんなに頼りにされたのに、うう、世の中世知辛いのじゃ……)
そんな悲痛な願いが通じたのか、
「のじゃおじさん、お待たせー☆」
「あっ!」
のじゃおじの顔から涙が枯れ、ぱあっと光が差し込む。きっと彼(彼女)にとって、目の前の人物は神にも近い存在だったのだろう。
金髪のサイドテールに特徴的過ぎる髪飾り、胸元とお腹が大胆に開いている上半身、股下数ミリのスカートと全体的に露出している彼女はピースサインを目の横にやり、
「ハロー、ミライアカリだよ!」
お得意の自己紹介を畏まった。
「ミライアカリちゃんさん……助けに来ていただきありがとうございますなのじゃ」
ぺこり、コンビニバイトで培ったお辞儀で感謝を伝えた後、さっそく本題に入り始めた。
「で、お願いしてた調査なのじゃけど、この中に突入しなければならないのじゃ」
「え……ここ?」
「そうそう、だから護身用の武器を、と言ってたはずなのじゃけど、」
「あ、うん、もちろん……」
あからさまに目をそらすエゴサーのお姫様は、それでも明るい声で、
「何も持ってきてないよっ! けど大丈夫、なんとかなるって‼」
「のじゃ⁉ え、本当に平気ですか?」
のじゃおじの語尾が取れるくらいあっけらかに言い放った。
「モンスターなんかいないから、多分!」
「……それはきっとフラグってやつなのじゃ」
「問題ない問題ない! いざとなれば……」
「おお、画期的なアイテムでも⁉」
「ここが……あるから……」
「のじゃあっ⁉」
自分の胸を指差したミライアカリに戸惑いを隠せないでいた。
「そ、そこまで無理せんでいいのじゃよ⁉」
「だってこれを解決したら町の英雄でしょう? そしたらチャンネル登録者だって……」
「そんな方法で増やしたって何の意味もないのじゃー!」
ブンブン腕を振って必死に訴えかける。
(マズイ、これでは戦力に数えられないのじゃ……むしろわらわが守らないと)
ため息をついて、肩を落として、状況が全く変わっていないことを再認識する。
そんな薄幸美少女狐娘に神は情けをかけたのだろうか、新たな人影が太陽をさえぎった。
「こんにちはー」
「おお、この声は!」
背中の空いたノースリーブのシャツ、ピンと伸びる銀髪のアホ毛がヘルメットを貫通している姿を、のじゃおじは思い浮かべて振り返る。
「シロちゃんさん! ――うわわっ⁉」
が、半回転した瞬間飛び上がってしまった。
「え、どうしたのですか?」
「どうしたもこうしたも、何ですかその手に持ってる物騒なやつは!」
異世界とはあまりにもかけ離れている黒い鋼鉄のそれに、のじゃおじは戸惑いを隠せない。
「これですか? これはAKMっていいましてですね、シロが一番大好きなアサルトライフルなんですよ☆」
「銃の種類を聞いているわけじゃないのじゃ! なんでそんなものを……」
「ええー、だってダンジョンってことは絶対モンスターでるじゃないですか。そしたらこれで、ぱいーん☆ってやるんです! ふふ、楽しそうー」
「それどころじゃ済みそうにないのじゃ……」
「すごーい! これで敵をやっつけるんだね! シロちゃんって強いんだ!」
「へへ、ありがとうございます」
「背中は任せたぜ相棒!」
「ふっふっふっ、任せられました」
(なぜか2人は意気投合してるし……磁石のS極とN極は仲がいいってことじゃろうか……)
あまりに強烈すぎるメンバーに、のじゃおじの頭は鳴りっぱなしだった。
というわけで勢いで初めた新シリーズ、いかがだったでしょうか。
基本的にはのじゃおじツッコミ役で進むかな? まだこの先何も考えてないのでまったくわかりません。
「これいい!」と思っていただけたら高評価、お気に入り登録よろしくお願いします。なんだかユーチューバ―みたい(笑)
では!
追記 たくさんのお気に入り、ありがとうございます。次回の更新は2月10日……は多分きついです。他に書きたいのがいろいろあって……おそらく2月17日になります。
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バーチャルyoutuberたちが異世界で魔王を倒すそうです②
「ところでのじゃおじさん、カメラ回してる?」
ダンジョンの奥へとつながる階段を下っているとき、ミライアカリがのじゃおじの肩を叩いた。
「へっ? ――いや、特には用意しておらんのじゃけどお、もしかして持ってきてる……」
「あったりまえだよ! こんな動画映えするシチュエーション、中々無いと思わない?」
「そりゃあそうかもしれないけど……どうするのじゃ、モンスターが出てきてカメラを壊されたら。結構高いでしょう?」
「へーきへーき、どうせ6000万借金あるし」
「だったら余計節約したほうがいいのじゃ……」
「なーんだ、そのくらいだったらちょっと傭兵やればすぐに稼げますよ」
「いちいち発言が物騒なのじゃ!」
そのまじめすぎる性格ゆえ、2人のボケ全てに突っ込みを入れ続けながら1段、また1段と降りていく。数メートル先は真っ暗で、頼りになるのはちっぽけな松明だけだ。
石造りの階段は冷たく、のじゃおじの心を不安で包んでいく。もし、1人だけで来ていたら……そんな想像までしてしまう。
「あっ、あれ、あそこから広くなるんじゃない?」
うつむいていた狐娘は気が付かなかったが、キズナアイに間違われた彼女が指差した先には光がうすぼんやり輝いていた。
のじゃおじの脳内にいろいろな可能性が駆け巡る。あれは自然の光なのか、それとも――、
「どうするのですか? 突入しますか?」
「安全に行きたいところじゃけどね……ここで立ち止まってても仕方ないし、覚悟を決めるしかなさそうじゃ」
パンパン、頬を軽くたたき、目を見開いて腹を決める。
「よーし、ゆっくり、ゆっくり……」
のじゃおじ、ミライアカリ、シロの順番で最後の段を降り、今まで頭のすぐ上にあった天井が一気に取り払われる。
「うっわー、広いね!」
「いかにもボスが出てきそうですね」
「……不自然すぎるのじゃ」
奥まで続く、巨大な大穴が3人を出迎えた。天井には岩のつららがいくつも経ち、地面にもところどころ岩が連なり侵入者を追い立てるように見えた。
入口からさらに進めば進むほど光が強くなっていく。このあたりに何かがあるのは明白だった。
「とりあえずあたりを探索してみるのじゃ。まさかこんなだだっ広いところに仕掛けが無いわけなかろう」
「そうだね、まず奥まで行って全体を確認してみようよ!」
「ちょっと、単独行動は……」
のじゃおじの制止はどこへやら、自分のスカートの短さも忘れ、目を><にさせて駆けまわる。
「ああもう、いったん落ち着くのじゃ!」
「ストップ」
「へっ⁉」
後を追っかけようと右足を踏み出した瞬間、シロイルカの左手に止められた。
「シロ、分かっちゃうんですよね♪」
「はあ、」
「このままだとアカリちゃんが大変な目に合うこと」
「よく分からないんじゃけど、それならなおさら止めに行かないと」
「いえ、その必要はないですよ。――ちょっと、下がっててね♪」
「は、はいっー!」
顔中に笑顔の花を咲かせた後、背中のAKMが引き抜かれる。
その表情は、凡人から見たら思わずチャンネル登録したくなる可憐さだっただろう。だが、のじゃおじ、あるいはシロ組はウラを知っている。
「いくぜいくぜー! 私は1発の銃弾っ、風さえも、デュエリストが左右するんだー!」
「……色々混ざってるのじゃ」
ぼそっとつぶやいたツッコミはスルーされ、引き金に指が伸びる。
「いってみヨーカドー!」
パァン、乾いた音が洞窟全体に響く。
初速1000km/hほどで発射された7.62mm弾が一気にミライアカリまでかけぬけ、横をすり抜け、
「きゃああっ!」
ミライアカリの悲鳴とほぼ同じタイミングであっただろうか。何かと交錯した。
「……やったぜい」
「まさか、これを狙って?」
「はい! 危ないところでしたね」
開いた口がふさがらないのじゃおじだったが、すぐに我に返って状況を整理する。
(シロちゃんが攻撃したということは……明らかな敵意を持つ人物がアカリちゃんに危害を加えようとしたこと。ああ、無事に済みそうにないのじゃ)
「の、のじゃおじさーん!」
「大丈夫じゃったか? 単独行動は危ないとあれほど……うおっと!」
きびすを返したミライアカリに半泣きで抱き着かれ、ちょっとだけ邪念が湧くがすぐに首を振り前を見つめる。
「だれじゃ! こそこそ隠れないで出てくるのじゃ!」
レスポンスはすぐだった。
「ほう、バレてしまっては仕方ない」
「あなたは……」
逆側の階段から出てきたのは、意外な人物だった。
のじゃおじと共通点がある、といったらあながち間違いでもないだろう。どちらが初の男性バーチャルyoutuberであるのかは永遠の謎だが。
「ばあちゃるさん⁉ なぜあなたが……」
「はいはいはいはいはい、いったん落ち着いて。別にばあちゃるもね、君たちに危害を加えようってわけじゃあないんだよ。ただね、この先には魔王様がいるからね、できればこのまま引いてほしいかなーって思うんだ」
「うう、あの饒舌な語り……うらやましいのじゃ」
「悔しがるのソコ⁉」
「それは変な冗談だとしても……今魔王なんて物騒な単語がでたから、引くわけにはいかないのじゃ。アカリちゃんを傷つけようとした罪、重いのじゃ」
「えっ、あれただのじゃがりこだよ?」
キョトンと首をかしげる馬刺し好きのばあちゃるだったが、2人はすでに聞く耳を持っていなかった。
「問答無用! シロちゃんさん!」
「おほー☆ ウマ組を殲滅できるチャンスですね!」
もちろん、のじゃおじだって荒い手は使いたくなかった。けれど、町の人からの期待は山よりも高く海よりも深い。手段は選んでいられなかった。
「ちょちょちょちょちょ、いくら馬のような強靭さを持ってるばあちゃる君でもさすがにそれは耐えられない……って聞いてるかー!」
パァン
「ふう……ヘッドショットだぜい」
第二話でした。ばあちゃるほどカマセが似合うのはいない。
ちょっとずつキャラ崩壊している気がする……僕の作品ではお約束。
他に東方(オリ主と大妖精がラブコメする)の作品書いてるんですけど、そっちではさとりさんが変態になってます。そちらもぜひご覧ください。
お気に入り、高評価お待ちしております! PCの方は横のボタンから、スマホの方は下のチャンネル登録……こっちはyoutubeだった。
では!
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バーチャルyoutuberたちが異世界で魔王を倒すそうです③
「ウバビを倒せたのでここを聖地と呼びたい♪」
「そ、それはなによりなのじゃ……」
(勢いで倒してしまったけど、あそこまでやる必要あったのじゃろうか……)
首を可動域ギリギリまで傾けるのじゃおじだったが、歩を止めるわけにもいかずさらに奥へ進んでいた。
相変わらず数寸先は真っ暗で右足を出すだけでも恐ろしい。普通の狐なら夜目が効くのかもしれないが、狐のおじさんでは当然不可能だった。
「それにしても、どうしてばあちゃるさんがいたんだろうねー?」
「そこなのじゃ。もしや、この異変にはバーチャルyoutuberが絡んでいる可能性も……」
「私たち以外の、ってこと?」
「最近は戦国時代じゃし……アカリちゃんは思い当たる人おらんのか? 例えば……そうだ、友達のエイレーンさんとか」
「エイレーン? あの子ならモエ美と異世界転生してるよ? 百合の世界を作るんだってさ」
素敵な響きの花の名に長い耳がピクンッ、と跳ねた。
「どしたの?」
「へっ? ――いやいや! 気にして無くていいのじゃ」
(そんな世界があるならすぐにトラックに轢かれて飛びたいのじゃあ……というか、ここも異世界のようなものだけど……)
緩んでしまいそうな頬をぐっとこらえ、ミライアカリに顔を見られないよう先導すること5分、
「のじゃおじさん! 扉が!」
始めに気が付いたのは索敵能力抜群のシロだ。
真っ赤に塗られてところどころキズで汚れていて、どこからどう見てもボス戦の合図だった。
「おお、味があるのじゃ……。これを開けたらいよいよボス、ということじゃろうか」
「きっとそうだよ! ほら、あそこにセーブポイントと回復ブロックがあるし!」
「のじゃあ⁉」
確かにSと書かれた手帳といかにもおいしそうなジュースが描かれている箱が置いてあった。
「せっかくだし使わせてもらお♪」
ゲームとかのこれって誰かがこっそりと用意していたのか、頭で理解するのじゃおじを横目に躊躇なくブロックを叩く。
「うおー、元気いっぱい!」
「やった、弾が全部補充されました!」
「どういう原理なのじゃー」
そもそも自分達がバーチャルだからたぶん大丈夫と強引に結論づけて再び扉を見据える。
「みんな、準備はよろしいじゃろうか。正直これから先の展開が全く予想できない。心してかかってほしい」
「任せてよ! どんな敵が来ても和解して見せるから!」
「みんなパイーン☆ってやっちゃえば解決ですよね!」
「正反対なのじゃあ……」
再び頭痛がひどくなるが、ここできびすを返すわけにはいかない。拳に力を籠め、覚悟を決めた。
「さあ、突入じゃ!」
第三話、お待たせしました~。少しネタを補充してました。
サボってた間にどんどんバーチャルyoutuberが増えていく……PUPGのガチ勢とかポケモンのガチ勢とか。あれリアルタイムで実況してるんですかね?
東方のシリーズも今日更新したのでそちらもよかったらぜひぜひ。今回短いのは二本を同時進行してたからなのだぜ。
では!
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