幻の英雄その絆は幻ではない (ナカタカナ)
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主人公設定

  

 主人公設定

 

 名前 エル・クレイ・ダルク

 

 年齢 推定 十六歳(実際は十四歳)

 

 容姿 ・黒髪で少し髪が長い イメージは精霊使いの剣舞に出てくるカミトのレン・アッシュベル・瞳の色は明るいオレンジ神装機竜を使うと瞳の色が神装機竜の色と同じになる

 

 ・身長は少し低く、その事を本人は気にしている 

 

 主人公は昔、帝国で人体実験を受け味覚、痛覚、両腕、両足、右目がない

 

 温かい食べ物を口にすると泣く。

 

 キレると、口調がとんでもなく悪くなる。

普段とのギャップがあり過ぎて面白い。

 

 らんま1/2のように水を被ると女の子になる。

お湯をかけてもらうと、男に戻る。

 

 記憶はないが、帝国に連れていかれる前は古都国の王子様、夜架の弟だった。

帝国に連れていかれた後の事しか覚えていない。

 

 神装機竜

 

 サラマンドラ 血のように紅く、禍々しいオーラを放った神装機竜

 

 詠唱府(パスコード) 我が身を喰らえ、血肉に飢えた災厄、飢えよ、飢えよ、飢えよ、我が血肉を糧とし

現世に顕現せよ、《サラマンドラ》

 

 神装 喰らいつくす物(ブラッド・ブラッド)

 

 効果、自分が決めた機竜からエネルギーを奪い自分の力とする。

更に、自分の任意で他の機竜から奪った力を譲渡することが出来る。

 

 人化した時の容姿、灼眼のシャナのシャナで神も瞳も赤い

 雪月花 真っ白な神々しい神装機竜 

 

 機攻殻剣(ソードデバイス)の色は赤黒い色をしている。

左腕に収納されている。

 

 詠唱府(パスコード) 時さえも凍てつけ、汝の白は何者にも染められはしない、我が敵を死の花園へと

迎え入れろ《雪月花》

 

 神装 純白の世界(エンド・タイム)

 

 効果、時間を停止させる、または自分の時間を早めるが脳に大きな負担がかかる為いろんなところから血が出る

 

 人化した時の容姿は、精霊使いの剣舞のエスト

 

 機攻殻剣(ソードデバイス)の色は真っ白い雪の様な色をしている。

右足に収納されている。

 

 ファーブニル 蒼い神装機竜

 

 詠唱府(パスコード) 我が身は全て呑み込みし者、我が道をけなす物に、我は慈悲などと甘い事はしない

眼前の敵を呑み込め《ファーブニル》

 

 神装 万物の完食(ザ・ファイナル)

 

 効果 自分に向けられたすべての攻撃を吸収し倍にして放つ

 

 人化した時の容姿は、問題児たちが異世界から来るそうですよの黒ウサギ

 

 機攻殻剣(ソードデバイス)の色はシアン色をしている。

左足に収納されている。

 

 デルピュネー 薄紫色の神装機竜

 

 詠唱府(パスコード) 気高き誇りを持つ者よ、汝の見せる幻で、我が敵を翻弄せよ《デルピュネー》

 

神装 増殖する幻想(ファンタズムパーティ)

 

 効果、自分の分身を作り出す。一人一人の能力は本人と全く一緒。さらに分身から違う神装機竜に

接続・開始(コネクト・オン)出来る。

 

 家庭教師ヒットマンREBORNのマーモンの大人の姿

 

 フィルフィのテュポーンの事を母さんって呼んでいる。

 

 機攻殻剣(ソードデバイス)の色は薄紫色で吸い込まれるような色をしている。

右腕に収納されている。

 

 神装機竜は物心つく前から持っており、人体実験を受けている時は隠していた。

 

 ルクスとは、昔帝国お実験から逃げ出した時にボロボロになっている所を助けてもらった。

 

 その後、ルクスと共に帝国を滅ぼし、点々としていたが操縦技術が女王の目に留まり、女王の直属騎士団

 

 機械科騎士団(マシンナイト)の団長に任命された。

 

 

 

 

 

 機械科騎士団(マシンナイト)

 

 女王の直属騎士団で、全員体のどこかが機械になっている、その為普通の人より機竜の適性が高い

 

 今所属している人数はエルを抜くと六人で王国の七頭(ロード・セブン)と言われている。

 

 メンバーは機竜の大会には出れないが一人で幻神獣(アビス)を複数相手出来るらしい

 

 エルはその中の団長で、王国の規格外(イレギュラー)幻神獣喰らい(アビス・イーター)と呼ばれている。

 

 実力は未知数で、幻神獣(アビス)を三桁は相手にできる。

 

 リーシャとは、何回か顔を合わせたぐらいだが、王女としての仕事をして疲れた時によく愚痴を聞いたり

城を抜け出した時に、一緒に王都を周ったりした。

 

 

 




 少し書き忘れていたことがあったので、付け足しました。


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黒き英雄と幻の英雄

 黒き英雄それは、アーカディア帝国の千二百機の機竜をたった一人で破壊した機竜使い(ドラグナイト)

だがしかし、黒の英雄の裏には四機の神装機竜が手伝いをしていたと言う噂があった。

 

 それが裏の英雄彼らは黒の英雄と共に三千機の機竜を破壊した者

その正体は誰も知らない、いや知っている人物は居るには居るがごく少数だけいた。

 

四機のうちの一機は血のように真っ赤な神装機竜

四機のうちの一機は雪のように真っ白な神装機竜

四機のうちの一機は海の底のように蒼い神装機竜

四機のうちの一機は薄気味悪い薄紫色の神装機竜

 

 だがみんなは知らない、四機のうちそのすべてをたった一人の少年機竜使い(ドラグナイト)

操縦していた事なんて・・・

 

 

 

 

 僕は今学園に向かっている。

理由は学園長に呼ばれたからだ、学園長とは昔少しだけ縁があって学園長の妹と仲良くなった。

そして僕は機竜使い(ドラグナイト)だ、そして僕の正体は幻の英雄と呼ばれるものだ。

五年前のクーデター時に色々やらかした奴だ。

 

 そして僕は学園に着き、学園長の居る部屋に居た。

「久しぶりです」と軽く挨拶して頭を下げる。

「久しぶりね、幻の英雄君」と茶化してきた。

「ちょ、それは内緒って言ったじゃないですか」

「大丈夫よ、ここには私と君しかいないんだから」

 

 「それで、どういった件で僕をここに呼んだんですか、女王様にいきなり学園に通えなんて言われた時は

ビックリしましたよ」

「ごめんね、女王陛下直属の騎士団の団長を呼ぶくらいの事ではないんだけど、えーっと、君にはここで手伝いをしてもらいたいんだけど」

「へえ、手伝いですか、どんなことをすれば良いですか」

 

 「簡単よ、整備士の手伝いや教官として手伝ってほしいんだけど」

少しだけだが、口元がニヤリと動いたのを僕は見逃さない。

「それで、僕を呼んだと、一応僕って女王陛下の騎士なんですけど、裏では、まあ別に良いですけど、他にも何か隠してますよね」

 

 「別に隠してたわけじゃないんだけど、もう一人ここに手伝いが来るわ、君がよく知ってる人よ、それと女王陛下が君に一言、『騎士団の事は副団長君に任せて思いっきり学園生活を楽しみなさい女王の命令よ』

だって」

「楽しんで来いって、それに僕の知ってる人って誰ですか」

「まあまあ、もうすぐここに来ると思うからそこに座ってて」と言われ僕はすぐ近くの椅子に座ろうとしたら

中に人が入ってきた。

 

 「あれ、も、もしかしてルクス君?」

「へっ、エル君?」ルクス君は目を開かせて驚いている。

「そうだよ、久しぶりと言いたいところだけどなんで連行されてるの」

 

 「なんだ、この覗きの知り合いか」と新王国王女リーズシャルテアティスマータ王女が言った。

「リ、リーシャ様、お久しぶりです。それにルクス君覗きなんて最低だよ」

「ご、誤解なんだよぉぉぉ」涙目で訴えてくる。

「なんだ、エル貴様か久しいな、エル貴様も元気そうで何よりだ」

 

 「それで、この件は不幸な事故って事で良いのよね」

「はい」

 

 「良いの、私は君がそんな事する子じゃないって事は分かってるから旧帝国元第七皇子ルクスアーカディア君」

「元皇子」「ですが学園長」ルクス君を連れてきた二人の女の子が抗議する。

 

 「それより、変態私と決闘しろ」

リーシャ様は一歩前に出てルクス君にそう言った。

 

 すると、周りの野次馬は「良いな、面白い」

「良いぞ、良いぞ男なんてやっつけちゃえ」などの声が飛び交う

 

 「ウフフ、そんなに簡単に行くかしら王とのトーナメントで賞金稼ぎをしていて、いまだ

無敗、無敗の最弱なんて異名で知られてるそうよ」

「変態のくせに、無敗だと気に入らないな」

リーシャ様はそう言いながら機攻殻剣(ソードデバイス)を抜き刀身をルクス君の方へ向けた。

 

 「良いか、ルクスアーカディア勝負は機竜での一騎打ちだ、私に負ければお前は犯罪者として牢獄行き

勝てば無罪放免で働いてよし、良いな」

リーシャ様は不敵な笑みを浮かべながら鋭い眼光をルクス君に向けていた。

 

 「学園のみんなにも伝えろ、新王国の姫が旧帝国の皇子をやっつける見世物だとな」

吐き捨てるように言いながら自身の機攻殻剣(ソードデバイス)を鞘に入れた。

 

 野次馬共の黄色い声がさらに増える

「新王国の姫?」

 

 「リーズシャルテ・アティスマータ、私の名だよ」

「まさか、「アティスマータ新王国第一王女お前の帝国を五年前に滅ぼした新王国の姫だよよろしくな

元皇子様」え、」少し挑発するように言うとルクスは「ええええええ」と驚いている。

 

 「ええええ、ってルクス君知らなかったの」

「う、うん雑用ばっかで知らなかった、それより今までどこで何してたの」

「え、あ、うん色々あって今は女王陛下直属の騎士団の団長を務めている」

「そうなんだって、へっ、出世しすぎじゃないか」

 

 「ほんとだよ、人生何があるかわかったもんじゃないよな、ハハハ」

「ハハハ、じゃないよどうしよう決闘だなんて」

「大丈夫だろ、ルクス君なら絶対に」

 

 「お姫さまって強いの」

「うーん、噂によると学内戦では無敗らしい」

「へぇ、ってメッチャ強いじゃん」

「大丈夫だって、無敗ならルクス君も一緒だろ、ほんとはルクス君にも僕の騎士団に入団してほしいんだけどな

無理だよな」

 

 「うん、雑用があるしでも良かった、腕と足と右目ちゃんと治ってる」

「ああ、なんとかな、でも全部機械なんだ、そのせいで女王陛下直属騎士団 機械科騎士団(マシンナイト)の団長なんてしてるからな」

僕はそう言いながら自分の手袋を外しルクス君に見せる

 

 ルクス君は少し引き攣った顔を僕に見せる、そして僕は手袋をもう一回はめる

「それより、ルクス君分かってると思うけど、黒い機攻殻剣(ソードデバイス)は使ってないよね」

「うん分かってるよ、エル君も四本の機攻殻剣(ソードデバイス)は使ってないよね」

 

 「良いや、僕の場合は四本あるってことで一本ぐらい使ってもばれないよ」

「そういえば、一本も機攻殻剣(ソードデバイス)を持ってないように見えるけど

どこにあるの」

 

 僕は自分の義手を少しずらすと綺麗な薄紫色をした刀身が見えた

「ここにあるよ」刀身に指を指してそう言った。

 

 「わっ、ほんとだ、使いにくくないの」

「うん、このままでも詠唱府(パスコード)を唱えれば機竜は呼び出せるよ」

「そうなんだ、でもくれぐれもばれないようにしないとね」

 

 そう言いながらルクス君は妹のアイリちゃんの部屋に入っていった。

 

 「さーて、僕はどうするかな」

僕は一度、自分の部屋に行ってみた。

 

 部屋の前まで来た、きっと一人部屋だよね

ガチャ部屋に入ると誰も居なかった。

 

 「良かった、誰も居ないや」安心して僕は部屋の中に入った。

部屋に入ると早々僕は自分の義手から機攻殻剣(ソードデバイス)を引き抜き手入れを始めた。

 

 始めは右腕に入れていた、薄紫色をした綺麗な機攻殻剣(ソードデバイス)から手入れを始めた。

「はぁ、ルクス君って昔からトラブル体質だったよね」とぶつぶつと愚痴を言っていた。

 

 次は真っ赤な綺麗な紅色をした機攻殻剣(ソードデバイス)

ずっと見ていると、自分の目まで真っ赤に染まりそうだ

 

 その次は海の底のように蒼い色をした機攻殻剣(ソードデバイス)

刀身を綺麗に拭いていくと更に蒼くなったかのように錯覚する

 

 最後には真っ白い雪の様な綺麗な機攻殻剣(ソードデバイス)で終わりだ

綺麗なのは変わりないがこの剣は神々しいオーラを纏っているかのような感じがする。

 

 「はぁ、終わったあっ、もう時間だ早く演習場に行かないと試合が見れない」

僕は五本の機攻殻剣(ソードデバイス)を持って演習場に向かった。

五本と言うのは、四本は神装機竜なのだから

 

 演習場に着くと三和音(トライアド)の三人に隣に座るように言われた。

「各機障壁展開、それでは新王国第一王女リーズシャルテ様対旧帝国元第七皇子ルクスの対抗試合をこれより

執り行う」

教官がそう言った瞬間、周りからすごい歓声が上がった。

 

 「両者、準備を」

教官の言葉と共に二人は自身の機攻殻剣(ソードデバイス)を引き抜き詠唱府(パスコード)を唱えた

 

 「来たれ、力の象徴たる紋章の翼竜、我が剣に従い飛翔せよ《ワイバーン》」

するとルクス君は蒼い光に呑み込まれ汎用型機竜ワイバーンを纏っていた。

 

 「なんだ、ただのワイバーンかルクスアーカディア、神装機竜、《ティアマト》

、私の機竜はそこいらの物とは違うぞ」

リーシャ様の機竜は真っ赤な色をした神と言っても過言ではない機竜だった。

 

 神装機竜とは世界で一つしか確認されていない希少種の装甲機竜(ドラグライド)

その機体は汎用機竜を遥かにしのぐ

 

 だが同時に、精神力と体力の消耗、操作難度もケタ違いだ

 

 それと同時に神装機竜を使えるリーシャ様が血反吐を吐くようなどりゅくを重ねてきた結果だろう。

 

 それに対してルクスが操るのは汎用機竜のワイバーン、これだけでも十分力の差があるが僕はルクスは負けない

と思っている。

 

 「模擬戦(バトル)開始(スタート)

 

 審判の声が聞こえると二人は同時に飛び出した。

しかし、先に動いたのは《ティアマト》を纏っているリーシャ様だ

そして、ルクスの方へ機竜息砲(キャノン)を向けた。

 

 ルクスはそれに対して、機竜牙剣(ブレード)を抜き対峙する。

それに構わずリーシャ様は撃った。

 

 竜の吐く炎の如く強烈な一撃がルクスの纏ったワイバーンの元へ向かった。

しかし、その砲撃はルクスの元へは行かず隣にそれたが、ルクスはすぐに本来の砲撃の軌道上へ押し出された。

 

 「なっ・・・」

 

 『流石だ、神装機竜を使わなくても十分に戦えるな』

 

 このままいけば、リーシャ様がルクス君に勝つと言ったところまで行った。

リーシャ様は、特殊武装 七つの竜頭(セブンスヘッズ)を出して、更に追い込む

ルクス君も、なんとか持ちこたえていたが、リーシャ様は更に神装 天声(スプレッシャー)を使うが

 

 流石に、これは無理があったようで、リーシャ様の機竜が暴走を始めた、するとなんとそこに

幻神獣(アビス)がやって来た。(しかも二匹)

 

 片方の幻神獣(アビス)は、闘技場にやって来た。

僕の予想だと、ルクス君がリーシャ様と共に戦って勝つと思う。

 

 だから僕が今やるべきことなのは、避難誘導に間に合わなかった、人を助けてもう一匹の幻神獣(アビス)

・・・・・・ぶっ倒す。

 

 覚悟を決める。

 

 もう一匹の居場所は、闘技場の外だ

不味い、闘技場にいる人達を狙っている。

すぐに仕留める。

 

 

 「 時さえも凍てつけ、汝の白は何物にも染められはしない、我が敵を死の花園へと迎え入れろ

 

来いよ、《雪月花》」

 

 

 

 

 僕は真っ白な光を僕を包む。それと一緒に僕の瞳の色も白くなる

光が晴れると、僕は真っ白い、白くて、白い、神装機竜を纏っていた。

 

 『久しぶり、です。最近ちっとも使って、くれない、寂しいです』

 

 「ごめん、でも、もしかしたらこれから使うかもしれない、だから力を貸して」

 

 『そんな事、あたりまえ、です』

 

 僕と今、会話をしているのは、僕の神装機竜〈雪月花〉だ

 

 「行こうか雪月花」

 

 僕は、雪月花の特殊武装死の花園(デス・ガーデン)を展開した。

この武装は、大きな両刃剣の形をしている。

 

 僕は、ガーゴイル型の幻神獣(アビス)に向かって突撃した。

 

 「あぁぁぁぁぁっ、てめぇら、全員喰らってやるッ」

 

 幻神獣(アビス)の後ろから刺した。

 

 「GYOOOOOOOO」

 

 「痛いか、痛いよな、でもな僕は痛くねぇぇぇぇぇんだよ」

 

 悲鳴を上げる幻神獣(アビス)から死の花園(デスガーデン)を引き抜き

一刀両断した。

 

 幻神獣(アビス)の血が、僕にたっぷりとかかる。

 

 「ははは、今宵は宴だ」

 

 『エル、お姫様、危ない』

 

 雪月花の声を聞き、僕は闘技場の方を見た。

幻神獣(アビス)が、リーシャ様を攻撃している所を、ルクスが助けようとするが、武装が壊れて動けそうにない。

 

 「ちッ、純白の世界(エンド・タイム)

その瞬間、世界が止まった。

 

 止まった世界の中で僕は独り(・・)動いて幻神獣(アビス)を一刀両断する。

二つになった体をさらに横に一閃する。

 

 これでは終わらない、このガーゴイルはリーシャ様を狙ったんだ。

 

 「これだけで終わると思うなよッ、くたばれぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

 無限とも呼べるほどの斬撃を繰り出し、幻神獣(アビス)を切り刻む

縦、横、斜め、切り上げ、振り下ろす、突き刺す、右から左下へ、左から右下へ、斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る

斬る、そして、千回の斬撃を繰り出した後、純白の世界(エンド・タイム)を解く。

 

 その瞬間動き出す世界。

独り(・・)だけの世界から解き放たれる。

 

 「リーシャ様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 「ル、ク、ス・・・へっ」

 

 「大丈夫ですか、リーシャ様(お姫様)

 

 僕が変な声を出しているリーシャ様に声をかけると同時に、幻神獣(アビス)は粉々になり

僕の体から、血が噴き出した。

 

 ブシャァァァァァァァァァァァァ

 

 「少し、やす、み、ます」

 

 機竜が解けるとともに、僕は倒れる。

薄れていく意識の中で、僕が最後に見たのは、涙でグシャグシャニなっている。

お姫様の顔だった。

 

 

 

 

 

 



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幻の英雄の弱音

 リーシャサイド

 

 「はぁ、またエルに助けてもらった。あったのは数えるくらいだが

昔から、愚痴を聞いてもらったり、王城を抜け出した時とか、助けてもらったな」

 

 『初めてだよ、私を全力で助けてくれたのは、でもどうやったんだ・・・』

 

 「ルクスアーカディア、あいつも中々頼りになるやつだったな」

 

 「男のなかにも、頼りになるやつがいるんだな」

 

 

 

 

 

 エルサイド

 

 僕は黒い空間の中にいた。

そして、四人と会話をしていた。

 

 「ご主人、近いうちに、不穏な気配がするから気を付けておけ」

 

 「ありがとう、気を付けるね」

 

 僕に忠告してくれたのは、僕のもう一つの神装機竜《デルピュネー》だ

フードで隠れて見えない、顔は口元だけ見せている。

口元はニヤリとしている。

 

 この表情をしている時は、大体悪い事を考えている時だ。

 

 「そ、それで、デル、みんなはどうしたんだ」

 

 「私が、幻を見せているから、ここには来ない、だから」

 

 デルは、こっちにソロソロトくる。

なんか悪い予感がする。いや、口が三日月の形になってるんですけど。

 

 「あ、あの、口元が怖いんですけど」

 

 「気にしない、それより、操縦が上手くなるように私が、私の事を教えてあげる」

 

 「い、いや、何でローブを脱ごうとシテルンデスカ」

 

 「私を全て知ってもらうため」

 

 「だ、だめだよ」

 

 「大丈夫、私を知れば、負担は軽くなるから」

 

 「そ、それでもだめ」

 

 すると、デルはフードを取った。

そこから出てきたのは、美少女とか言うレベルじゃなかった。

それを越えて、超絶美少女だった。

 

 紫色の髪に、薄い紫の瞳がこっちを見てくる。

その瞳には、顔を赤くした僕の顔が映っていた。

 

 その瞳に見られているだけで、意識が飛びそうになる。

 

 「デル、やめろ、幻を見せるのは止めろ」

 

 「あーらら、失敗しちゃった。まあいいかまた今度ね」

 

 デルの言葉と共にの僕の意識は覚醒した。

 

 

 

 

 意識が覚醒して最初に目に入ったのは知らない天井だった。

起きてみると、体中に包帯がまかれていた。

そして、そのすぐ横にはリーシャ様がいた。

 

 「お、起きたのか」

 

 「はい」

 

 「その、なんだ、助けてくれて、ありがとう、傷は痛むか」

 

 「いえ、大丈夫です。それよりリーシャ様こそ怪我はなかったですか」

 

 「ああ、お前が助けてくれたおかげで」

 

 「良かった、それなら」

 

 「そ、それでだな、お前に見てもらいたいものがあるんだ」

 

 「なんですか」

 

 「少しあっちを向いててくれ」

 

 「分かりました」

 

 

 

 

 「もういいぞ」

 

 「なんですか・・・ってなんて格好シテルンデスカ」

 

 「ち、違う、こっちだ」

 

 リーシャ様が指を指すところを見ると、とある紋章がついていた。

 

 「それは、旧帝国の・・・」

 

 「そうだ、私は五年前、旧帝国に囚われた」

 

 「それ以上は言わなくていいです。

僕も、リーシャ様に見せないといけないものがあるんで見てくれますか」

 

 「ああ、良いぞ」

 

 僕は自分の両腕、両足の人工の皮膚を外した。

 

 「そ、れは」

 

 「僕も、昔旧帝国の人体実験の被害にあいました。

そこでは、毎日薬漬けの日々でした。薬を打たれては、次の薬を打たれて、また次の薬を打たれる。

そして、僕は右目、両腕、両足を失いました。

そして、僕は外に捨てられた。

外に出て思った事は、ソラってこんなに広いんだ、やっと地獄の日々から解放されるって思っていた。

そこへ、あなたの母君が見つけてくれたんです」

 

 僕が昔の事を話していると、リーシャ様の顔は段々と歪んでいった。

 

 「そして、僕は四肢を失った為に、こんな風に機械にすることが出来た。

こうして、体の一部が機械でできた者たちでできた集団が機械科騎士団(マシンナイト)の団長になりました

『本当は、四肢を貰った後に、ルクス君たちと会って、幻の英雄になったけど』

そんなときでした、初めてあなたに出会ったのは、毎日王女としての振舞い方を勉強して疲れているあなたが中庭

で横になっているのを見たのは」

 

 「そう言えばそうだったな、あの時は愚痴を聞いてもらったな」

 

 「嬉しかったんです」

 

 「なにがだ」

 

 「僕と、同年代くらいの人と話したのは、会話の内容はあれでしたけど」

 

 「まあ、確かにな」

 

 「僕は、この時、ニコニコしながら愚痴を吐いているあなたを見ていると、彼女も王女とはいえ

れっきとした、少女なんだなって」

 

 「当たり前だろ、私だって愚痴くらいは吐くさ」

 

 「そして、話終わった後、笑顔になったあなたを見ると、僕は誓いました。

あなたと、あなたの母君に一生仕えようと思いました」

 

 「なっ、何を言ってるんだ貴様は」

 

 「それだけ、うれしかったんです」

 

 「そ、そうか、まあ今日はこれくらいにして、もう休め」

 

 「はい、そうさせてもらいます」

 

 

 

 

 「・・・というわけで、彼らが今日からこの学園に通うことになった、ルクス・アーカディアと

エル・クレイ・ダルクだ。なれないと思うが、仲よくしろよ」

 

 今、この教室には僕と、ルクス君しか男子はいない。

しかも、ほとんどがどこかのお嬢様だ、場違いにもほどがある。

 

 「えっと、ルクス・アーカディアです。よろしくお願いします。・・・」

 

 「僕は、エル・クレイ・ダルクです。えぇと、何か困ったことがあったら、隣のルクス君に頼んでください」

 

 「ちょ、何言ってんの」

 

 「「「「キャァァァァァァァァァァァァァ」」」」

 

 「うるさい、黙れ。

席は、えぇと・・・好きな所に座れ」

 

 僕とルクス君は開いてる席に座ろうとしていた。

 

 「あっ、ルーちゃん」

 

 「えっ」

 

 『ルーちゃん、ルクス君ってルーちゃんって呼ばれてたんだ』

 

 「フィルフィ?」

 

 「そうだよ、久しぶりルーちゃん」

 

 周りは、ピンクの髪をしているルクス君の知り合いと思われる、女の子が口にした

(ルーちゃん)って言葉にすごい反応している。

 

 「なんだ、知り合いか?」

 

 「はい、幼馴染です」

 

 「だったら、そこにしろ、エルはどうするんだ」

 

 「僕は、立ったままでもいいですよ」

 

 「「「「「それなら、ここに座って良いよ」」」」」

 

 僕がそう言うと、ほとんどの人がそう言ってくれた。

嬉しいけど、なんかリーシャ様が怖いんだけど、いやなんかスタ◯ドが見えるんだけど

 

 「そ、それだったら」

 

 僕はリーシャ様の隣まで行った。

 

 「隣、座らせていただいてもよろしいですか」

 

 「か、かまわん」

 

 「ありがとうございます」

 

 「「「「「キャァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」」」」」

 

 さっきよりも、大きな声が教室に音の爆弾のように落とされた。

 

 「お前ら、黙れ・・・・・・・よしそれでは授業を始める。

教科書を開けろ」

 

 教科書を開けろって言われても、僕はまだ教科書を貰っていない、

 

 「あのー、すいません、リーシャ様」

 

 「なんだ」

 

 「教科書を見せてもらっても良いですか」

 

 「良いぞ、ほら」

 

 「ありがとうございます」

 

 向こうでは、こっちと同じようなやり取りをしていた。

 

 

 

 

 

 そして、授業が終わり僕達はクラスメートに囲まれていた。

「ねえねえ、ルクス君、雑用をしているって本当」

 

 「はい、それが僕の役目ですから」

 

 「だったら、私も依頼していいかな」

 

 「はいはーい、ルクっちへの依頼はこの箱へ、そしてエルっちへの依頼の箱はこっち」

 

 ティルファーさんがなんか勝手な事をしている。

 

 「ちょ、何勝手にシテルンデスカ」

 

 「そうですよ、僕は雑用なんかしないですよ」

 

 「おい、エル」

 

 「なんですかリーシャ様」

 

 「お前に頼みたい事があるんだが」

 

 「何なりと、お申しつけください」

 

 「な、何故そんな喋り方をするんだ」

 

 「冗談ですよ、なんですかリーシャ様」

 

 「その、だ、な、お前には私の騎士として働いてもらいたいんだが」

 

 「そんな事ですか」

 

 「そんな事とはなんだ」

 

 「僕は、今までもそしてこれからもずっと、あなたと、あなたの母君へ仕えますよ」

 

 「そ、そうか、だったらいいんだが」

 

 リーシャ様は、ほっとしたようで、こっちを見てくる。

 

 「というより、僕の方こそ、ずっと仕えさせてください」

 

 「う、うむ、貴様はずっと私達に仕えていろ、これは命令だ分かったな」

 

 「承知しました、お嬢様じゃなくて、お姫様」

 

 すると、周りの女生徒がカァーって顔が赤くなっていった。

リーシャ様も顔が赤いが、どこか嬉しそうな顔をしている。

 

 「ちょっと、良いかしら」

 

 すると、そこへ水色の髪をした少女がこっちに来た。

 

 「なんだ、クルルシファーか」

 

 「さっき、学園長がルクス君とエル君を呼んでたから」

 

 「あっ、はい分かりました」

 

 「それでは、お姫様しばし出かけてまいります」

 

 僕と、ルクス君はクルルシファーさんの後をついて行った。

 

 

 

 

 

 行き先は、学園長室ではなく、学園の中庭だった。

 

 「あの、ありがとうございます」

 

 「なにが」

 

 「助けてくれたんですよね・・・多分」

 

 「ふーん、子供っぽいのに頭は結構回るみたいね」

 

 「それで、お嬢様、何か話があるんですよね」

 

 「そうよ、あなた達に依頼を頼みたいの」

 

 「良いですけど、エル君は」

 

 「うーん、内容によるかな」

 

 「そう、それじゃ依頼の内容を言う前に、あなた達は(黒き英雄)と(幻の英雄)って知ってる」

 

 「はい、まあよく聞きますし」

 

 「まあ、それくらいは仕事の都合上よく耳にするけど」

 

 「一人で、千二百機の装甲機竜(ドラグライド)を破壊した黒き英雄と

その裏で、三千機もの装甲機竜(ドラグライド)を四機の神装機竜に乗って破壊した・・・幻の英雄」

 

 「あなた達には、探してほしいの、黒き英雄と幻の英雄」

 

 返事に困ったな、どうしよう。

流石にこの依頼を受けるわけには行かないが、ここで断ると、怪しまれるな。

 

 ゴーン

 

 『ラッキー、ナイスタイミング』

 

 「午後の授業が始まるわね。次は装甲機竜(ドラグライド)の実技演習だから急いだほうがいいわ」

 

 「そうですね、それではまた」

 

 僕とルクス君は急いで演習場に向かおうと思ったが、不味い、昼食を食べるのを忘れていた。

 

 「はぁ、昼飯抜きか、堪えるな」

 

 「それより、急ごう」

 

 「そうだね、ライグラリィ教官が怖いからね」

 

 

 

 

 

 

 昼食抜きでの疑義の授業はきつかった。

ものすごくきつかった。しかも装甲機竜(ドラグライド)の演習なんて、腹が空きすぎて意識飛びかけたし。

 

 そんな事があったが、今は夜だ。

ゆっくりと休憩をしたいんだが、なんとティルファーさんが用意した雑用箱の中身を見ると

とんでもない数の雑用依頼があった。

 

 僕は、月明かりが綺麗な中庭で、少しトレーニングをしていた。

トレーニングと言っても、流石に簡単なものだ、普段はもっときついトレーニングをしているが

今日は腹ペコで、力が出ない。

 

 今なら、どんなまずいものでも美味しく食べれる気がする。

『まあ、味なんて感じないんだけど」

 

 「ここに居たのか」

 

 後ろから声が聞こえてきて振り返ると、青い髪をした三和音(トライアド)の一人三年のシャリス先輩が

いた。

 

 「シャリス先輩、どうしたんですか」

 

 「いやな、あとで、女子寮の大広間に来てもらえると嬉しいんだが、というより来てくれ

来てくれないと、お姫様が起こると思うからな」

 

 「分かりましたって言いたいんですけど、大広間ってどこでしたっけ」

 

 「はぁ、私について来てくれ」

 

 「お手数をおかけします」

 

 

 

 

 こうして、シャリス先輩の後ろをついて行った僕だが、シャリス先輩から念のために正装に着替えといてくれって言われたため、僕は何を着るか迷っていた。

こういう時って、たいてい騎士の格好をしていたからな、シャリス先輩に聞いてみよう。

 

 「あの、シャリス先輩、正装ってどんなのが良いんですか、僕タキシードとか持ってないんで」

 

 「普段、君はどんな格好でパーティにでるのかね」

 

 「騎士の格好ですけど」

 

 「なら、それでいいじゃないか」

 

 「そうですよね」

 

 僕は、一度寮の部屋に戻って機械化騎士団(マシンナイト)の正装に着替えた。

機械科騎士団(マシンナイト)の正装は白いシャツを下に着込み、黒い長ズボン

そして、白いシャツの上から、全員色違いのブレザーのような物を着て、更に黒いマントに金の糸で機械科騎士団(マシンナイト)の紋章が刺繍されている物を羽織り、紅いネクタイを締める。

僕のブレザーのような物の色は薄紫色をしている。

そして、右目の所だけが、見えるようになっている、白い仮面をつける。

 

 この格好を最後にしたのは、あの人(女王様)に学園に行くように言われた時だったと思う。

 

 そして、廊下を歩いていると銀髪の二人組がいた。

そこには、ルクス君とルクス君の妹のアイリちゃんがいた。

 

 「良かった、念のために正装を持って着といて」

 

 「ははは、僕なんか場違いみたいで落ち着かないんだけど」

 

 「確かにね、僕もほとんどこういうパーティには出ないから」

 

 「でも、仮面は取っておいたほうがいいと思うけど」

 

 「うーん、どうしようかな、これは機械科騎士団(マシンナイト)の団長を示す仮面だから」

 

 「そうなんだ」

 

 「でも、どっちみち外さないといけないと思うので、外しておいたほうがいいですよ」

 

 「そうなんだ、ありがとうアイリちゃん、それじゃ外しておくね」

 

 僕は仮面を外し懐にしまった。

 

 そして、アイリちゃんが誘導してくれる通りに進むと大広間ではなく、食堂の前まで来た。

 

 そして、ドアを開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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朱と幻の涙の理由

 食堂に入ると・・・・・・・・

 

 「編入、おめでとう」

 

 少女たちの声が聞こえてきた。

 

 「へっ」

 

 辺りを見回すと、ミートパイやサンドウィッチ、キノコのパスタ、チキンソテーにコンソメスープのような物

御馳走が並んでいた。

 

 僕は、混乱しすぎて何が何だか分からなくなっていた。

「これって、まさか」

 

 ルクス君は何か分かったようだ。

 

 僕はビックリしすぎて、まだ頭の中での整理が終わっていない。

 

 「そうだよ、君たちの編入祝いだよ」

 

 シャリス先輩が教えてくれた。

やっと、理解できた。

 

 ルクス君は、一言呟いた。

 

 「もしかして、僕達もために」

 

 「そうだよ、私達で企画したパーティだよ、でも料理はみんなの手作りだから元皇子様の君や

騎士のエル君には、粗末かもしれないがな」

 

 周りのみんなからの言葉で、僕は泣きそうになった。

でも、流石にここで泣くわけには行かない。

 

 何とかこらえた。

 

 『耐えろ、耐えるんだ、ポーカーフェイスだ、頭をクールにするんだ』

 

 「ルクス、エル、此度は大義であったな、今日は思う存分に楽しむがよい」

 

 『リーシャ様、まずい泣きそうなんです。それ以上は止めて』

 

 「YESリーズシャルテ様は『あなた達にお礼とお祝いをしたくて企画しました。少しでも楽しんでくれれば

嬉しいです』と、言いたいようです」

 

 『うん、分かったからそれ以上は言わなくていいよ』

 

 「ち、違うぞ、一年のくせに何勝手に訳しているんだ」

 

 「ありがとうございます。リーシャ様」

 

 「ありがとうございましゅ」

 

 「その、なんだ私も一品作ってみたから後で食べてくれ」

 

 コホンと、咳払いしたリーシャ様は

「乾杯と行こうか」

 

 「「「「「カンパーイ」」」」」

 

 「エル」

 

 「なんですか、リーシャ様」

 

 「その、これ私が作ったんだが、食べてくれ」

 

 「はい、分かりました。いただきます」

 

 渡されたのは、温かいスープだった。

透き通った。金色のスープいかにもおいしそうだ。

 

 そして、僕は口にした。

 

 コクリ、スゥーと、温かいスープが僕ののどに伝った。

 

 『ダメ、もう無理』

 

 「お、おい、エル何故泣いてるんだ。そ、そんなにまずかったか」

 

 「い、いえ、美味、じぃでしゅ。本当に、本当に美味しいです。

ありが、とう、ございます。本当にほんとーに美味しいです。こんなおいしいものは初めて食べました」

 

 「お、大げさだな、でも良かった」

 

 僕の目からはポロリポロリと大粒の涙が頬を伝ってスープの中に落ちていく。

味は分からない。でも美味しい。温かくて、心が、体が、暖かくなる。

味は分からなくても、リーシャ様の、やさしさが、伝わる。

 

 「リージャ様、ありがとうございます」

 

 「喜んでくれてよかったぞ」

 

 「そんだけ、泣いてくれると、私達も、準備した甲斐があったからね」

 

 「私の作った奴も食べて」

 

 そう言って、サンドウィッチを貰った。

 

 一口食べる。

また、ポロリと涙が、落ちる。

二口目を食べる。また大粒の涙が落ちてくる。

 

 「エル君、大丈夫」

 

 「ルクス君、大丈夫だよ、でも止まらない。

涙が止まらないんだ」

 

 「あの、アイリ何故エルさんはあんなに泣いてるんですか」

 

 「エルさんは、昔色々あったんです。それの所為であれだけ泣いてるんでしょう」

 

 「おいしい、美味しい」

 

 僕は渡されたものを全て口に入れる。

 

 『いつまで泣いてんのよ』

 

 『そうです。いつまで泣いてるの、ですか』

 

 『はわわ、泣かないでください』

 

 『大丈夫?』

 

 「あれ、どこから声がするの」

 

 「へっ、誰」

 

 すると、僕の四肢が光り出した。

 

 光が収まると、四人の美少女がいた。

 

 「だ、だって、うれしかった、んだもん」

 

 「はいはい、分かったからもう泣かない」

 

 「良し、良し、です」

 

 「全く、だらしないわね」

 

 「フフフ、そのまま私の胸で泣きなさい」

 

 僕は今、デルの胸に顔を埋まっている。

そして、雪月花が頭を撫でてくる。はぁ、暖かい。

 

 じゃなくて、早く抜け出さないと、って抜け出せない。

「ちょ、し、死ぬ、息が出来な、い」

 

 「フフフ」

 

 「はぁ、はぁ、はぁ、死ぬかと思った」

 

 「おい、エル」

 

 「は、はい、なんでしょう」

 

 「そいつらは、誰だ」

 

 「え、ええと、僕の仲間です」

 

 「そうか・・・・・・死ねっ」

 

 「なんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

 リーシャ様が、僕を殴ると、僕は意識が飛んだ。

 

 

 

 

 リーシャサイド

 

 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、でお前らはなんだ」

 

 「私達は、エルの仲間よ」

 

 「そうか、ならどうやってここまで来たんだ」

 

 「ええと、私達は機竜だから」

 

 「機竜だと、なぜ人間になっている」

 

 「分からないわ、まあとりあえず言える事」

 

 「なんだ」

 

 「私達は、エルの味方。

そして、エルはあなた達の味方だから、私達もあなたの味方」

 

 「そうか、どうだ、お前たちも食うか」

 

 「良いの、ですか」

 

 「よろしいのですか」

 

 「ありがたくいただくわ」

 

 「フフフ、うれしいわ」

 

 「まあ、良いぞ食え」

 

 「「「「いただきます」」」」

 

 

 

 

 四人は、食べた。

一口食べた。

 

 「良し、食べたな。白状しろ」

 

 「なにをですか」

 

 「こいつはなぜこれだけ泣いたのか」

 

 「ちょ、リーズシャルテ様それは聞いては」

 

 「それは、いえないわ」

 

 「そうか、ならいい」

 

 「言っておくけど言わないわよって、言わなくていい」

 

 「ああ、まあ大体分かるからな」

 

 「そ、そう、まあ強いて言うなら、やさしくしてもらったからですね」

 

 「そ、そうか」

 

 リーシャサイドアウト

 

 

 

 

 

 

 気が付くと、自室のベッドの上にいた。

チュンチュンと、小鳥のさえずりが聞こえてくる。

 

 昨日の事はあんまり覚えていない。

でもリーシャ様が作ってくれたスープを食べて号泣したのは覚えている。

 

 「はぁ、思い出しただけで恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい・・・死にたい」

 

 ベッドでしばらく悶えてから顔を洗い、歯を磨き、朝食を食べに行った。

廊下を歩いている途中で、ルクス君がまた何かやらかしたみたいだが、まあラッキースケベでも起きたのであろう

いつもの事だから、気にしない。

 

 朝食を食べ終えた僕は、授業を受けに行こうかと思ったが、今日は休日の為授業は休みだ。

そう言えば、昨日、リーシャ様に工房(アトリエ)に来いって言われたからな、向かうとするか。

 

 

 工房(アトリエ)に着くと、先にルクス君がいた。

 

 「あれ、エル君どうしてここに」

 

 「リーシャ様に呼ばれただけだよ」

 

 「そうなんだ、僕もそんなところかな」

 

 「来たか、エル」

 

 「どうして僕を呼んだんですか」

 

 「二人に見てもらいたいものがあったからな」

 

 「「見せたいもの?」」

 

 「見てもらいたいと言う物はこれだ」

 

 リーシャ様が指を指す方を見ると、一機の機竜がいた。

姿は、汎用機竜の《ワイバーン》と《ワイアーム》が混じったような機竜だった。

そう言えば、リーシャ様って機竜の技術者としてもすごいって聞いた。

 

 「まさか、これ」

 

 「そうだ、私が作った。世界にたった一つのオリジナルの機竜だ」

 

 「すごいです」

 

 「流石、お姫様」

 

 「フフフ」

 

 リーシャ様は得意げに二本の機攻殻剣(ソードデバイス)を引き抜いた。

 

 「降誕せよ。天地の対なる楔、穿たれし混沌の竜。《キメラティック・ワイバーン》」

 

 すると、奥の方へ見えていた。機竜がリーシャ様の背後に回っていた。

 

 「どうだ、すごいだろ、幻玉鉄鋼(ミスリルダイト)幻創機核(フォース・コア)を加工できれば

他にも、もっと色々出来そうなんだけどな、それと機体の性能はなかなかの物なんだが、機攻殻剣(ソードデバイス)を二本同時に使わないといけないのがちょっとネックなんだが」

 

 「それでもすごいですよ、エル君もそう思うよね」

 

 「はい、素晴らしいと思いますよ」

 

 「そ、そうか」

 

 「でも、気を付けてくださいよ、後ろの焦げた跡とか失敗した時のでしょ」

 

 「失敗は成功の母だ」

 

 「だからと言って、授業中寝るのは止めてくださいよ、ライグラリィ教官にリーシャ様が寝ているのをばれないようにするのも大変なんですから」

 

 「そうか、だから最近やけにライグラリィ教官が私を叩かなくなっていたんだな」

 

 「それと、ルクスお前の《ワイバーン》も整備班に頼んで修理してもらったからな」

 

 「ありがとうございますって、何でドリルがついてるんですか」

 

 「ドリルは浪漫だろ」

 

 「いやいや、僕はこういう武装が使えないのでちゃんと取り外してください」

 

 「チェ、折角取り付けてやったのに」

 

 「ちゃんと外してくださいよ」

 

 「分かった、分かった、それとエルにルクスお前たちには騎士団(シヴァレス)に入団してもらうからな」

 

 「へええええええ」

 

 

 

 

 そして、午後僕達は、大きな広間に装衣を纏って何人もの生徒たちが集まっていた。

 

 「シーズシャルテ様、本当に彼らを騎士団(シヴァレス)に入団させるのか」

 

 知らない女生徒が僕達を見た後そう言った。

 

 「当たり前だ、実力はこの後見せてやる。その為に機竜を整備したのだからな」

 

 騎士団(シヴァレス)に入団するには中級階層(ミドルクラス)以上であること

メンバーの過半数が実力を認め、入団を許可してもらうの条件がある。

 

 そして今は、三年生はいないが、過半数はここに居るそうだから、こうしてリーシャ様は僕達を入団させようとしているのだそうだ。

 

 僕は神装機竜を持っているため、一人で戦うが、ルクス君は汎用型の《ワイバーン》の為

リーシャ様が《キメラティック・ワイバーン》で一緒に戦うらしい。

 

 戦う相手は僕は騎士団(シヴァレス)三和音(トライアド)と半分のメンバーで、ルクス君は三和音(トライアド)を抜いた半分の人とだそうだ。

ざっと見た所軽く三十人はいるな。

 

 先に戦うのは、ルクス君たちだった。

 

 だけど、結果は勝ったがルクス君は一度も攻撃していない。

ずっと防いだりしていた、その間にリーシャ様が敵を落とす。

そんな感じで、ルクス君の入団は認められなかった。

 

 「ああああ、もう、エル貴様は本気で戦えよ、本気を出さないと怒るからな」

 

 「仰せのままに、お姫様」

 

 「それじゃ、始めよっかエルっち」

 

 「そうですね、僕こそ良いんですか、神装機竜を使っちゃって」

 

 「構わないさ、その分こちらも本気で行くからね」

 

 「おぉ、怖い、それじゃ行こうか

時さえも凍てつけ、汝の白は何者にも染められはしない、我が敵を死の花園へ向かい入れろ《雪月花》」

 

 僕は白い神装機竜を纏うと、瞳の色も白く変化した。

 

 『はあ、今度の相手はあいつら』

 

 「そうだよ、出来るだけ破壊するのは一部だけにしてね」

 

 「試合、開始(バトル・スタート)

 

 女生徒の掛け声とともに、僕は《雪月花》の神装を使った。

 

 「純白の世界(エンド・タイム)

 

 前は、時間を止めたけど、今回は僕の時間を早める。

時間を止めるより負担は軽いから、これくらいなら鼻血が出るだけで済む。

 

 僕だけ加速した世界の中で動く。

近くにいた《ワイバーン》を叩き落とす。

その次は、その横の《ドレイク》次はその横、その後ろ、その下・・・・・・

 

 これで最後、最後はシャリス先輩の《ワイバーン》を落とした。

 

 そして、全部落として神装を解く。

ここまでの時間は三秒だから、僕は千分の一の時間の中で動いていたから、0,003秒でこの戦いは終わる。

 

 「これで良いですか」

 

 「へっ」

 

 「今、何が起こったの」

 

 「はっ」

 

 「えっ、負けたの」

 

 「はや、エルっち、どうやったの」

 

 「リーシャ様、勝ちましたよ」

 

 「良くやった、エル、流石私と母の騎士だ」

 

 「こいつは入団していいと思うよな」

 

 「「「「「「はい」」」」」

 

 「それより、どうやったんだ、っておい、鼻血が出ているぞ」

 

 「だいじょうですよ、これくらい」

 

 「そうか、ならいいんだが」

 

 「ええと、さっきのですよね、あれは僕の神装純白の世界(エンド・タイム)です。

能力は、周りの時間を止めるか、自分の時間を早めるかっていう能力です。

さっきのは、自分の時間を早める方の能力で、千分の一の世界で僕はあなた達を落としました。

三秒くらいだったので、時間としては0,003ですね」

 

 「そ、そんなのチートじゃないか」

 

 「そんなことないですよ、使うと、脳に負担がかかって全身から血が噴き出したりしますし」

 

 「そうか、だからあの幻神獣(アビス)を倒した時血が噴き出たのか」

 

 「ご名答」

 

 「全く、心配させよって」

 

 「それで、僕は合格って事でいいんですよね」

 

 「うむ、これから一緒に頑張るぞ」

 

 「はい、お姫様」

 

 

 

 

 こうして、僕は騎士団(シヴァレス)に入団した。

僕は、次の日、リーシャ様と王都へ買い物に行った。

 

 そのときに、色々とアクシデントがあったが、特に大変だった事は無かった。

そして、今リーシャ様は僕に向かって涙を流している。

 

 僕が泣かせたわけじゃないよ

 

 「私は、人実に捕らえられて、父は私を見捨てた。

確かに、あの時、私を見捨てるのが最善だったのかもしれない。

でも、それでも、私は・・・父に助けて欲しかったよ。

娘のわ私を選んで欲しかったよ」

 

 「私は、だめだな、王女としての資格なんて、無いんだ」

 

 「そんなことないですッ」

 

 僕は無意識に、彼女を抱きよせていた。

 

 「あなたは、あなたは立派な王女様です。

たとえ、誰かがあなたを王女として認めなくても、僕が認めています。

父に助けてもらいたいと思っても良いじゃないですか。

それが普通なんです。あなただって人間です。それも女の子です。か弱い、か弱い女の子なんです」

 

 「エ、ル」

 

 「僕はずっとあなたを助けます。

何があっても、あなたの味方です。騎士ってものは、たとえ全世界を敵に回しても、最後の一瞬まで仕える物なんです」

 

 「それが、騎士ってもんです。だから僕はこの命、血の一滴枯れるまであなたの為に戦います。

だから、そんな、悲しい顔をしないでください。仕える主を泣かせてしまうだなんて騎士失格です」

 

 「そ、うじゃない、うれしい、んだ、でもお前は母の騎士だろ、

もし、私が母と敵対した時、エルはどっちにつくんだ」

 

 「リーシャ様です」

 

 「へっ」

 

 「たとえ、あなたの母君、僕の恩人を敵に回しても、僕はあなたと一緒にいますよ」

 

 「本当か、本当なんだな」

 

 「当たり前です。だから、もう泣かないでください」

 

 「分かった」

 

 「ありがとう」

 

 

 

 

 

 こうして、僕とリーシャ様との買い物は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 誤字、脱字報告よろしくお願いします。


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暴れ惑わす、暴竜と幻想竜

 リーシャ様とのお出かけを終えた次の日

僕は、朝からいつもの倍以上に特訓をしていた。

 

 『今日は起きた時からずっと嫌な予感がする』

 

 「はっ、あぁっ、かっ」

 

 掛け声とともに、拳を振りぬく。

右、左、右、右、右から回し蹴り、上体をひねってそこから、左フック、左足のかかと落とし。

 

 「はぁ、はぁ、はぁ」

 

 トレーニングをして、気を紛らわせると汗をかいた僕に向かって、さわやかな風が吹く。

 

 「腹、減った」

 

 僕は汗だくのままは気持ちが悪いので、部屋に戻って水浴びをした。

水浴びをしてさっぱりした後は、食堂で美味しい朝食を美味しくいただいた。

 

 その後は部屋に戻って、機攻殻剣(ソードデバイス)の手入れをしていた。

最初は最近よく使う《雪月花》から磨き始めた。

 

 磨き始めて少しすると、四人の美少女が僕の目の前に立っていた。

 

 「どうしたの、人間の状態になるなんて」

 

 「別に、少し歩きたいと思っただけなんだからね」

 

 「はいはい」

 

 「私は、久しぶりにご主人さまとイチャイチャしたかった」

 

 「うーん、甘えるのは後でにしてもらえるかな」

 

 「むぅ、分かった」

 

 「・・・で、二人はどうしたの」

 

 「別に、何か用がないと人間になっちゃいけないの?」

 

 「そ、そんな事は無いけど」

 

 「あぁ、もう、何でいつもデルさんとばかり仲良さそうにするんですか」

 

 「そんな事は無いよ、僕はみんな平等になるようにしてるつもりだけどな」

 

 「そ、そうなのですか、じゃなくて私もイチャイチャしたいですぅ」

 

 「はいはい、ニルも後でね」

 

 今ここに居る少女たちは僕の神装機竜たちだ。

綺麗な絹のような銀髪の少女は《雪月花》僕は雪と呼んでいる。

そして、フードを被って僕の夢に出てきた少女はデルこと《デルピュネー》

青い髪を持ち、頭部にうさ耳のような形をした角を持っているのは《ファーブニル》のニルだ。

最後にツンデレ口調の赤い髪に、紅い瞳を持つ少女は《サラマンドラ》のサラだ。

 

 「とにかく、みんなの機攻殻剣(ソードデバイス)を綺麗にしたら、なでなでしてあげるから」

 

 「「「「分かった」」」」

 

 そして、みんなの分の機攻殻剣(ソードデバイス)を磨き終わったら鐘がゴーンとなった。

 

 『確か、この音は幻神獣(アビス)の出現を知らせる鐘の音だったはずだ』

 

 「みんな、悪いけど、甘えるのは後にしてもらえるかな」

 

 「えぇ、さっき甘えて言いって言った」

 

 「ごめん、でも今は幻神獣(アビス)を倒しに行かないといけないから」

 

 「良いわよ、その代わり・・・」

 

 「その代わり・・・」

 

 「帰ってきたら、何でも言う事を一つ全員分聞くこと」

 

 「分かった、ありがと」

 

 僕はこういう時に集まる場所は確か、第四機竜格納庫だったと思う。

僕は急いで、装衣を纏って向かうともうすでに装衣を纏った少女たちがいた。

 

 「では、全員揃ったところで、通達する」

 

 「大型の幻神獣(アビス)が現れた。

今は、砦にいる者たちが討伐に向かっている。だが敵は大型だ、王都へ向かわれないように我々も遊撃部隊を

派遣して、討伐へ向かう各自指令が来るまで準備をしていろ」

 

 

 

 僕は、準備は終わってるから、何か手伝いをしようかと思ったが騎士団(シヴァレス)のメンバーは

扉の方へ向かっていた。

 

 「皆さん、どこへ行くんですか」

 

 「我々は騎士団(シヴァレス)だからね、こういう時は率先して討伐へ向かわないといけないからね」

 

 「僕も行きます」

 

 「そうしてくれると助かるが、今回はここに残っていてくれ」

 

 「なんでですか」

 

 「まだ君は入隊して間もない、今回は大型の幻神獣(アビス)だ。

その為今回は連携攻撃を主体とし、戦う」

 

 「なるほど、分かりました。気を付けてくださいね」

 

 「ああ、任せておけ」

 

 「リーシャ様」

 

 「なんだ、エル」

 

 「気を付けてください」

 

 「ああ、お前こそ、今回は同行できなくて残念だ」

 

 

 

 

 それから数分後騎士団(シヴァレス)のメンバーはいなくなった。

ここに残っているのは、ルクス君とクルルシファーさんと僕だけだった。

 

 「あれ、クルルシファーさんは騎士団(シヴァレス)なのに討伐へ向かわないんですか」

 

 「えぇ、私はエミル教国からの留学生だから、こういう時手伝うと国から色々言われるのよ」

 

 「なるほど、エル君はなんで」

 

 「今回は、連携攻撃などを主体とするって言われて入団して間もない僕はここに残ってるってわけ」

 

 「そうなんだ」

 

 そこへ、ルクス君の妹のアイリさんが来た。

 

 「だめですよ、兄さん、ただの《ワイバーン》だけで今回は無理です。

もう一本の機攻殻剣(ソードデバイス)も使えない兄さんは何も出来ないんですよ」

 

 「私は、少し気になるから、ちょっと遠くから様子を見てくるわ」

 

 「はい、気を付けてください」

 

 そして、その後ルクス君は幼馴染のフィルフィさんが「笛の音がする」って聞くと

目の色が変わった。

 

 「ごめん、やっぱり僕も行くよ」

 

 「ちょ、僕も行くよ」

 

 僕も、《雪月花》を纏ってルクスの後をついて行った。

 

 

 

 

 

 

 騎士団(シヴァレス)サイド

 

 リーシャは《キメラティック・ワイバーン》を纏って眼前の幻神獣(アビス)に向かって砲撃した。

 

 だが、幻神獣(アビス)は自分の核を爆発させた。

 

 何とか防いだがそこへ竜声が届いた。

 

 『随分と王女ヅラが板についてきたじゃないかリーズシャルテよ』

 

 枯れた声が聞こえてくると一人の男性が現れた。

 

 『だが貴様にはそのような資格はない』

 

 するとリーシャの元へ一筋の閃光が襲った。

 

 『私は、ベルベット・バルトが来たのは王都からではなく帝都からでございます』

 

 『貴様、裏切ったのか』

 

 『何を言うんですか、私は正道に戻ったと言うべきでしょう』

 

 『不意打ちごときで私に勝てると思うのか』

 

 ベルベットは角笛を吹くと幻神獣(アビス)の中から幻神獣(アビス)が生まれた。

 

 「ウソ、私二体以上の幻神獣(アビス)と戦っとことなんてないのに」

 

 生まれたガーゴイルの数は三十

戦力にして、約百二十機の機竜がいるということになる。

 

 リーシャは、《キメラティック・ワイバーン》を解除しもう一方の機攻殻剣(ソードデバイス)

鞘から抜いた。

 

 「目覚めろ、開闢の祖。一個にて軍をなす神々の王竜よ。《ティアマト》」

 

 『リーシャ様、この戦力差では無理です。

撤退しましょう』

 

 『私が時間を稼ぐ、その間に学園に戻ってこのことを伝えろ』

 

 『YES,了解しました』

 

 こうして、ノクトは学園に戻った。

 

 その会話を聞いていたクルルシファーはライグラリィ教官に伝えた。

 

 『協力に感謝するクルルシファー』

 

 それを聞いたルクスは

 

 「リーシャ様を助けに行く」

 

 「兄さんの気持ちは分かります。でもこの世界には出来ない事だってあるんです。

兄さんだって知ってるはずです。

だから、兄さんに出来る事なんて無いんです」

 

 「僕は、あの日から、目標は変わっていない。

帝都を滅ぼすために、僕は大切な物を護るためにあの敵を倒す」

 

 「手伝うよ、ルクス君」

 

 僕は震えるルクスの肩に手をかけながらそう言った。

 

 「大丈夫だよアイリ、君を一人にはしない」

 

 「そうだよ、アイリちゃん。僕が君のお兄さんを助けるから」

 

 「分かりました、でも機竜の調整は保証できません」

 

 「ありがとう」

 

 「クルルシファーさんも来て、援護ではなくリーシャ様を助けるために」

 

 

 

 

 

 その頃リーシャは《ティアマト》の特殊武装をフルに使いガーゴイルを倒していた。

 

 残るガーゴイルは十数体

 

 『すまない、私達は先に撤退する。

機竜の損害がひどすぎる』

 

 『分かった』

 

 

 そしてリーシャは笛を持つベルベットに向かって攻撃した。

 

 ベルベットを追い詰めていくリーシャだが体力の消費が半端ない。

それに加えベルベットは消費していない。

勢いが減っていくリーシャに対してベルベットは反撃している。

 

 「その命、散らすがいい、偽りの姫よ」

 

 それを

 

何とか防ぎ反撃したリーシャだったが、ベルベットは帝国に伝わる扇の一つ

神速制御(クイックドロウ)を使ってリーシャを攻撃し、リーシャは力月その場に倒れた。

 

 そして、倒れているリーシャの前にベルベットは剣を振り下ろす。

 

 だが、その刀身は弾かれた。

 

「エ、ル」

 

 「なんですか、リーシャ様」

 

 そこへ現れたのは《雪月花》を纏ったエルだった。

 

 「フン、貴様はその奴隷を助けるのか」

 

 「こいつには、腹の下に帝国の紋章が刻まれている。

私が、刻んだ紋章がな」

 

 「もういい、お前は黙れ」

 

 「はっ、貴様はどうするつもりだ、百機の機竜に合わせ、十数体のガーゴイル」

 

 「リーシャ様、僕も秘密があるんで見ててくれますか」

 

 僕は《雪月花》を解除し、右腕を天に掲げ唱える。

 

 「気高き誇りを持つ者よ、汝の見せる幻で、我が敵を翻弄せよ《デルピュネー》」

 

 僕は薄紫色の神装機竜を纏った。

 

 「エル、これは」

 

 「たった一機で何ができる」

 

 「一機じゃない」

 

 「増殖する幻想(ファンタズム・パーティー)

 

 すると、僕がさらに三人増えた。

 

 「な、なんだと」

 

 三人は《デルピュネー》を解除し詠唱府(パスコード)を唱えた。

 

 「時さえも凍てつけ、汝の白は何者にも染められはしない、我が敵を死の花園へ迎え入れろ」

 

 「我が身はすべてを呑み込むもの、我が身をけなす者に、我は慈悲など甘い事はしない眼前の敵を呑み込め」

 

 「我が身を喰らえ、血肉に飢えた災厄、飢えよ、飢えよ、飢えよ、我が血肉を糧とし、現世に顕現せよ」

 

 「「「《雪月花》《ファーブニル》《サラマンドラ》」」」

 

 そこへ現れたのは、白い神装機竜に、青い神装機竜、紅い神装機竜最後に薄紫色の神装機竜の四機だ。

 

 「四機の神装機竜だと、まさか貴様は」

 

 すると後ろから、幻神獣(アビス)がやられていく音がし見ると漆黒の神装機竜がいた。

 

 「漆黒の神装機竜、あいつもまさか」

 

 「さぁ、あの日の続きを始めよう。

帝国を滅ぼした五年前の戦いを、五年の時を経て最後にしようか、なぁベルベット・バルト」

 

 

 

 

 

 

 四人に増えた僕が一斉にベルベットに向かって、言い切った。

 

 最弱と幻想、最強と偽り、その二つが交差した時だった。

 

 そして、紅い機竜《サラマンドラ》を纏った僕が神装を使った。

 

 「喰らいつくす者(ブラッド・ブラッド)

 

 この神装は、自分の任意で相手の機竜からエネルギーなどを奪い自分の力にすることが出来る。

それだけではなく、更に自分の任意の機竜に力を譲渡することも出来る。

 

 百機の機竜から奪ったエネルギーを他の自分と、ルクス君に譲渡した。

 

 「なっ、エネルギーが奪い取られた」

 

 ベルベットの顔が歪んだ。

 

 「どうした、クソみたいな面がさらにクソみたいになったぞ」

 

 「き、貴様ッ、だ、だが流石にこの数を相手できると思うなよ」

 

 「はぁ、全くなんであなたの頭はそんなに残念なんだ」

 

 「仕方ないよね、女を侍らせることしか脳にない、クズ男なんだから」

 

 「まぁ、それでも帝国に伝わる奥義の一つ神速制御(クイックドロウ)を使えるようになるまで特訓したのは

評価できると思うけどね」

 

 「そうだね、でも無駄なのに」

 

 「「「「僕達も使えるよ神速制御(クイックドロウ)」」」」

 

 その直後、四本の紅い、白い、蒼い、薄紫色の閃光がベルベットの後ろ、百機の機竜たちの方へと向かった。

 

 その直後、後ろにたたずんでいた百機もの機竜はまさに神速と言える速さで破壊されていった。

 

 そして時間にして約六秒、百機あった機竜はベルベットの機竜を残し、無残に破壊されたのであった。

 

 「な、何故だッ」

 

 「ベルベット、僕の顔に見覚えは無いか」

 

 後ろから、《バハムート》を纏ったルクス君が竜声を使いベルベットに問いかけた。

 

 「これは、これは第七皇子様、知らなかったとはいえ、様々な無礼をお許しください」

 

 「やめてください」

 

 「それで、皇子様はなぜそちらにいるのでしょう」

 

 「それより、ベルベット、こいつらを連れて撤退しろ」

 

 「それは出来ませんね」

 

 「そうか、なら・・・死ね」

 

 《サラマンドラ》をまあ取った僕はベルベットに向かって接近して一閃した。

それを受けたベルベットの機竜は破壊され、地面に落ちた。

 

 「もういいよね、ルクス君」

 

 「そうだね、エル君お疲れ」

 

 僕達は地上に降りてリーシャ様の前まで行った。

 

 「終わりましたよ、お姫様」

 

 そこで僕の意識は闇に呑み込まれていった。

 

 

 

 

 

 



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ルクス君、エル君争奪戦


 ルクス君が少しキャラ崩壊します。
最後に方は読むときに気を付けてください。


 目が覚めると、知らない天井が目に入った。

辺りを辺りを見回すと、リーシャ様が寝ていた。

リーシャ様が僕の傷の手当てををしてくれたのかな

 

 僕は体中に包帯がまかれている。

正直体へのダメージはほとんどないんだけどな。

まぁリーシャ様が一生懸命に手当てしてくれたと思うから嬉しい。

 

 『あらら、目が覚めたの』

するとデルの声がした。

 

 「どうしたの、デル」

 

 「別に、そう言えば約束はちゃんと守ってよね」

 

 「なんの事かな」

 

 「「「「お・ぼ・え・て・ま・す・よ・ね」」」」

 

 「はい、しっかり覚えてます」

 

 「覚えてるのならいいわ」

 

 「ははは」

 

 「それより、まだもう少し休みたいからねてもいい」

 

 「仕方ないわね、良いわよ」

 

 「ありがとう、みんな力を貸してくれて」

 

 「「「「何を今さら」」」」

 

 こうして僕は眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、何でこんな音になってるのかな」

僕は今、放課後の校舎を走っていた、全力で

多分ルクス君も走っていると思う。

 

 僕とルクス君は、獣だらけの学園を逃げていた。

なぜこんな事になったかというと少し前までさかのぼる。

 

 僕とルクス君はレリィ学園長に呼び出されていた。

僕とルクス君がこの学園に来てまだ二週間ちょっとしかたっていない。

でもほんとに色々あった二週間だった。

 

 ルクス君がのぞき扱いされたり。

その後のルクス君とリーシャ様との決闘の時に幻神獣(アビス)が乱入したり。

学園に編入して編入祝いの料理で泣いてしまったり。

旧帝国の残党が学園を襲いに来て幻の英雄と黒き英雄の正体がばれたりとなんとも色々とあった二週間だった。

 

 そして今度はなんだ。

内容右派僕とルクス君への雑用依頼が多すぎて困ってるとのことだった。

 

 「そこでね私は考えたのイベント『ルクス君エル君争奪戦』をね」

 

 レリィ学園長の手にある二枚の赤い紙

内容はこの神を時間までに持っていた人は一週間どちらかのものを独占して以来を頼めるとの事

 

 「ウソですよねレリィさん」

 

 「今から一時間頑張ってください」

 

 「ちなみにルールは、全員機竜の装着は禁止、くれぐれもお嬢様たちを怪我させちゃ駄目よ」

 

 

 

 

 

 「「いいいいやぁぁぁぁぁぁぁ」」

 

 二人同時にレリィさんの学園長室を飛び出した。

 

 「そうだ、エル君、僕の紙とエル君の持ってる紙を交換しない」

 

 「そうやって、僕を売る気だろう」

「違うよ、他人のを持ってると絶対に渡せないって思って全力で逃げようとするでしょ」

 

 「そうかな、まぁいいや、でも誰かに取られたら、僕ちょっと怒っちゃうかもしれない」

 

 「ひぃぃぃぃぃ」

 

 こうして冒頭へと戻るわけだが、僕は今ルクス君の紙を持っていない。

何故かって、別に取られたわけじゃない。

 

 絶対に見つからない場所へ隠しておいた。

 

 今考えると、自分のを隠しておいた方がよかったと軽く後悔している。

なんで青の時ルクス君の提案を呑み込んでしまったのだろう。

 

 「あぁ、見つけた、みんないたわよ」

 

 「ヤバい、見つかった」

 

 そして(お嬢様)達の手には、鞭やロープ、手錠が握られていた。

 

 『まずい、絶対捕まったらいけないやつだ』

本能的に確信してしまった僕は必死に逃げた。

 

 そして、なんとかまいたと思ったら前から今度は大勢のお嬢様が出てきた。

後ろに振り替えるとさっきまいたと思っていたグループがこっちに向かってきた。

右と左を見ると、違うグループがこっちに向かってきた。

 

 そして、ここは気も何にもない平地

 

 「・・・・・・・・・・・・積んだな、これ」

 

 こうして全方向から挟み撃ちを喰らって僕は荷物を引きはがされていた。

 

 「あれ、持ってない」

 

 「紙はどこにやったの」

 

 「知らない」

 

 「ふーん、教えてくれないかな」

 

 「知らないです」

 

 「へぇ、強情だな。今渡してくれたら、痛い事はしなくて済むんだけどな」

 

 「別に痛くても、痛くなくても、知らないって言ってるでしょ」

 

 「みんな、なんとしても口を割らせるわよ」

 

 『だから、言ってることが怖いって』

 

 「そうね、装甲機竜(ドラグライド)なんて乗ってる私達には春なんて来ないんだからせめて

こういう時に、味わっておかないと損だわ」

 

 確かに、装甲機竜(ドラグライド)に乗る少女たちは、ほとんど男の人との出会いがない。

そして、今は思春期と呼ばれる頃だ、誰だって、異性に興味を持つ。

 

 簡単に言えば、この学園にいる男子は、お嬢様たちにとって

最高の獲物って事だ

 

 「やめろ」

 

 どこかで聞き覚えのある声が僕の耳に聞こえてきた。

 

 

 

 

 「リーシャ様」

 

 僕の目の前にリーシャ様が来てくれた。

 

 早く逃げるぞ

 

 そう聞こえてくると僕はいきなりリーシャ様に引っ張られ、気が付くと工房(アトリエ)にいた。

 

 

 「リーシャ様、ありがとうございます。

本当に助かりました。というより、メッチャ怖かったですぅ」

 

 きっと僕は今涙目になっていると思う。

だって怖かっただもん、あれはそこら辺にいる幻神獣(アビス)より確実に怖い。

だって、目がキラキラじゃなくてギラギラしてて、よだれ垂らしてるし、目も血走ってるし

ロープとか持ってぐへへとか呟いてるし、もう何あれって感じだった。

 

 「そ、そうかでももう大丈夫だ。私がここにかくまってやるから」

 

 「本当に、ありがとうございます」

 

 「それよりだ、私は貴様の神装が気になっていたんだが」

 

 「あぁ、良いですよ、リーシャ様だったら教えても」

 

 「そうか、ではあれは何だったのだ」

 

 「前に話した、《雪月花》の神装は覚えてますよね」

 

 「あぁ、確か時間を止めると、自分の時間を早めるだったか」

 

 「そうです。まず《デルピュネー》の神装は」

 

 「かかったな」

 

 リーシャ様はそう声に出すと僕は気りゅの腕につかまれた。

 

 「あ、あのリーシャ様これはいったいどういう事ですか」

 

 「見ての通りだが、私は貴様が誰かの依頼を受けているのがいやなのだ」

 

 「は、はぁ」

 

 「それで、私が依頼書を奪えば貴様は依頼を受けなくて済むってことになる。

だから私は貴様から特別依頼書を奪う」

 

 「その事なんですけど、僕は依頼書を持ってませんよ」

 

 「な、なんだと、誰に取られた、私が今すぐに奪いに行ってくる」

 

 「いや、僕の依頼書はルクス君が持っていて、ルクス君のを僕が持ってるんですけど

ルクス君の依頼書は僕が絶対に見つからない場所に隠したんでここには依頼書は無いですよ」

 

 「そ、そんな」

 

 「大丈夫ですよ、きっとルクス君は僕の依頼書を守ってくれますよ。

だから僕はリーシャ様の依頼だけ受けれますよ」

 

 「そうか、だったらいい、、いやしかし、ルクスは貴様の依頼書をちゃんと守ってくれるのか」

 

 「はい、僕は彼を信じています」

 

 僕は信じる、今僕にできる事はそれだけしかないのだから。ちなみに僕がルクス君の紙を隠している場所は

僕に右腕の取り外しが可能な部分に入れている。

 

 「でも、もしあいつが貴様の依頼書を奪われたら」

 

 「はい、僕はその奪った人の依頼を受けますよ」

 

 「でも、僕はリーシャ様の、あなたの、お姫様の騎士ですから」

 

 「分かった、そこまで言うなら」

 

 「とりあえず、これ外してもらえますか」

 

 「へっ、あぁすまない、今外してやる」

 

 僕は機竜から解放されると工房(アトリエ)のドアがガンガンと叩かれた。

 

 「ここよ、きっとエル君はここに居るわ」

 

 「まずい、見つかった、早く逃げるぞ」

 

 「はい、リーシャ様も逃げましょう」

 

 「私は、ここであいつらを食い止める」

 

 「だめです。僕はリーシャ様の騎士なんだからあなたを守る義務があります」

 

 僕はリーシャ様をお姫様抱っこして、裏口から逃げ出した。

 

 「お、おい、離せ、恥ずかしいだろ」

 

 「ちょっと、がまんじててくださいね」

 

 しかし、裏口から出るとすでに大勢の女子生徒がいた。

僕を見つけると、一斉にとびかかってきた。

仕方ない、秘密兵器を使うとするか

 

 「リーシャ様、しっかりつかまっててくださいね」

 

 僕は左腕のワイヤーを飛ばして近くの木に巻き付けて木から木へと飛び移って行った。

 

 「なによ、あれ、チートよ」

 

 「みんな、こっちよ」

 

 「エル君を捕まえてあんなことや、こんなことを」

 

 『なんか、最後に人にだけは絶対捕まりたくない』

 

 そして五本目の木を飛び移った時に足を滑らせ、僕はとっさにリーシャ様が怪我をしないようにした。

 

 「大丈夫ですか、リーシャ様」

 

 「あ、あぁ、私は大丈夫だ」

 

 「リーシャ様、逃げてください」

 

 「だめだ、貴様を置いて逃げることなどできる物か」

 

 「フフフ、やっと追い詰めた」

 

 「いい加減に、つかまりなさい」

 

 「ははは、残念僕は依頼書を持ってない、僕の依頼書はルクス君が持っている」

 

 「そ、そんな」

 

 「ウソだ、そう嘘っぱちよ」

 

 「ええい、全部脱がしてしまえ」

 

 「それは、だめだよ」

 

 僕がツッコミするとゴーンゴーンと鐘がなった。

 

 

 

 

 

 僕とリーシャ様はルクス君に会いに行った。

道中で大勢の女子生徒が悔しそうな顔をしていたが、僕は知らない。

大勢と言ったが、間違えた道中にあった女生徒全員だ。

 

 そしてルクス君を見つけるとクルルシファーさんと一緒にいた。

でもなんだかルクス君は顔を真っ青にしていた。

 

 「ルクス君どうしたの、顔色悪いよ」

 

 「あら、エル君、これを見て」

 

 クルルシファーさんが見せてきた物を見て僕は全身に電流が流れた。

なんと、僕の依頼書を持っていたのだ。

 

 「ル・ク・ス・君、何でクルルシファーさんが僕の依頼書を持ってるのかなぁ」

 

 「え、えぇと、そのかくかくしかじかでして」

 

 要するに、隠れていた場所が女子更衣室で、クルルシファーさんに見つかって

ルクス君の事を内緒にする代わりに、僕の依頼書を渡したとのことだった。

 

 つまり、僕はルクス君に売られたって事だ。

あぁ、僕は悲しいよ僕は信じてたのにルクス君は絶対に僕の依頼書を守ってくれると信じてたのに

今、僕の体からは瘴気ともいえる物が放たれているだろう。

 

 「あるー日、学園で、ぼくーは、裏切られた。

信じた僕がーバーカー、だとおもいまーした」

 

 森のくまさんの替え歌を大声で歌ってやった。

ルクス君はものすごく、どんよりとしている。

 

 「どうしましょ、リーシャ様」

 

 「どうしようも、ないだろ」

 

 「ところで、エル君、一つ依頼をしていいかしら」

 

 「もう、良いですよ、諦めました」

 

 「そう、だったら、あなたはこれから一週間私の恋人として過ごしてくれる」

 

 「良いですよ・・・へっ、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

 「なんだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 

 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

 

 上から、僕、リーシャ様、ルクス君だ

 

 「あ、あの、そう言う事だったら僕よりルクス君の方が適任だと思います。

ほら、ここにルクス君の依頼書がありますし」

 

 「それは、だめだわ」

 

 「なんででしょう」

 

 「だって、女子更衣室に隠れたり、風呂を除いたりする人が恋人って。心配だわ」

 

 「た、確かに一時あるな」

 

 「いや、納得しないでくださいよ」

 

 「ごめんなさい、ごめんなさい。ごめんなさい・・・」

 

 でもまぁ、僕もクルルシファーさんの言ってることは分かる。

確かに、覗きをする彼氏って言うのは、なんか嫌だよな、それと同じ感覚かな

 

 いや、待て待て、でも、これはこれ、それはそれって事だ

でも、依頼書は絶対だし、もうこれ無理ゲーじゃないか、それもこれも全部、ルクス君の所為だ。

どっかオカルト的な宗教でも入信して、呪術的な事を習おうかな。

 

 この日、僕はルクス君を呪ってやりたいと心の底から望んだ。

 

 『こんのぉ、没落皇子がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

 





 なんかこう、書いてて思ったけど、ルクス君って、あれだよね


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