地球防衛軍5 俺は普通の一般人です! (師匠@ゲーム実況者)
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Season1 スーパールーキー(笑)誕生
#1 祝!EDF入隊!(やけくそ) 【ミッション1~13】
師匠と申します。
今回はあまりに好きすぎて地球防衛軍5の二次創作を書いてしまいました。
気まぐれなので続くかわかりませんがよければお読みください。
2/5 21:54 ミッション番号の区切り間違えていたので修正しました。
2/14 主人公の想定年齢を変更
「似合っているぞ、新入り!」
ど う し て こ う な っ た ?
命の恩人であり、先輩に当たる人物、軍曹(本名は知らない)にそんなことを言われ、俺は心のなかでそう呟いた。
軍曹の周囲にはよく知る人たちが立っており、「馬子にも衣装だな!」や「レーションの味には慣れたか?」などとまるでからかうように声をかけてくる。
あんなの(レーション)食い続けてるけど全然慣れねーよ!(怒)
そんなことを思いつつ、彼らから視線をそらして、空へと向ければ、そこには黄金の装甲に覆われた巨大な円盤が複数、堂々と浮遊しているのが見える。
全長はどれくらいだろうか?少なくともドームぐらいはあるんじゃないか?どこのとは言わないが。
再び軍曹たちを見ると彼らの手にはアサルトライフルのような──というかそのものなんだが、そんな物騒なものが握られている。
物騒な世の中だなーなどと現実逃避しつつ、最後に俺は自分の身体へと視線を向ければ、なんとそこにはガチガチのボディーが!
自分が着ているのは服ではなく、全身を覆う堅牢な装甲。胸部にはEDFという文字がはっきりと刻まれている。
そして俺の両手には自身の身長と同じぐらいの盾と黒くずっしりとした槍のような兵器。
そう、"兵器"である。
なぜこんなことになったのか……それは今から5ヶ月以上前に遡ることになる。
5ヶ月前のある日、俺は全地球防衛機構軍───通称『EDF』の基地の地下にいた。
基地にいた、と言っても俺は軍人ではなく民間人だったため、フェンサーとかいう役職の人が使う、ぱわーどすけるとん?とかいうものの簡易タイプを用いて荷物運びとかの雑用をやるのが主な仕事だった。
いや、───仕事のはずだった。
しかしそんな俺を待っていたのは突然の警報と出撃する戦車やロボット(コンバットフレームとかいうらしい)。
さらには警報を冗談だと思っていた案内役の職員さんが巨大な蟻のような怪物に喰われてしまう瞬間を目の当たりにしてしまった。
そして襲われる直前だった俺の窮地を救ってくれたのが、軍曹たちレンジャーチームの人たちだった。
そこから先は怒濤の展開だった。
外部と連絡がとれず、何があるか分からないから、ということで自衛のためにフェンサーの基本武器を手渡され、使い方を教えてもらった。
そして軍曹たちについていき、基地から脱出。
しかし外で待っていたのは基地内部より圧倒的多数の怪物が暴れている地獄であり、いきなり自衛するはめに……。
やっと倒したと思ったら、今度は敵を転送してくる謎の建造物が降ってきて怪物が送られてきたり、壊した直後に追加でアホみたいな数降ってきて対応することが出来ず、結果、基地から撤退。
その後は軍曹の「もうすぐ家に帰れる」という言葉を信じながら進むも、どんどんと襲ってくる侵略生物α種(蟻)や、侵略生物β種(蜘蛛)と戦ったり、超巨大な円盤(後にマザーシップと名称)から出てくる人を襲うドローンを撃退したり、マザーシップからの攻撃で死にかけたり……
さらにはEDF司令より敵の正体が宇宙からきた地球外生命『プライマー』だと伝えられたりして……
どこのSF映画だよ!!
もう俺の精神的ライフはゼロよ!!
何より辛いのは周りの人の俺に対する評価だよ!!
まるで俺のことを出来る民間人みたいな目で見るのヤメテ!
俺が優先して人を襲ってる怪物倒してるのは目の前で死なれると夢見悪いからだし、たくさん倒してるのは必死こいてやらないと俺がやられるからだよ!
俺はどこにでもいるようなパンピーです!
だから何度もさりげなく軍に勧誘しないでください!!
……なんて心のなかで叫んでいたけど、現実とは非情であった。
結局、俺の願いは届かず、軍曹たちに諭される形で、EDFに軍人として入隊することになりました。
半ば強制的に入隊の手続きを行ったあとはひたすらに軍人としての最低限の基礎的な知識や武器について学び、さらに訓練も受けた。
そして約半年の時を経て俺は、再び戦場へと降り立つこととなったのだ。
今度は、正式な戦士として───
とまぁ、これがこれまでの経緯である。
文字にすると大したことないように思えるけどめっちゃ苦労してるからな!?
全世界の人口は敵の侵攻が始まってから8割まで減少してしまってるし、空軍は割りと役に立たないし(辛辣)、何より2ヶ月で出来ると言っていた新型機とやらは遅れに遅れて5ヶ月かかっているし……。
もはや絶望的な状況といっても過言ではないです。
ちなみに両親はやはり、というか残念ながら死んでました。
入隊して間もない頃、部屋に来て軍曹が教えてくれました。
軍曹は申し訳なさそうな表情してたけど、まぁいまこの世界で生きている方が奇跡だからね。仕方ないよ。
とは言え、やっぱ育ててくれた親の死に目にいられなかったのは辛かったなぁ……。
迷惑かけたのに結局なんも親孝行してやれなかったし……。
頭では分かっていたけど、心は納得できなくて、さすがにちょっと悲しくて泣いちゃったわ。
ごめん。平和になったら、必ずちゃんと墓建てるからな……。
あ、あとそのとき同い年ぐらいのウイングダイバーの娘に泣いてる現場みられて慰められたのは消したい思い出です。
超恥ずかしい……!!
まぁ、そんなこんなで戦場へと舞い戻ってきた私ですが、今回はたぶん余裕持てるんじゃないかな?
なんせついに新型機とやらが完成したんだからね!
遅れてきたんだ、その実力は期待できる『残念ながら、全滅しました……』だろう───?
…………嘘だろ?
通信機から聞こえてきた戦略情報部の声にフェンサーのマスクの下で俺は驚愕の表情を浮かべる。
え、なに?もう失敗してるの!?
どういうこと!?なのに攻撃作戦実行するの!?
新型機なしであのテレポーションシップとかいう円盤落とせっていうの?
いや普通に無理です無理です。
空軍の爆撃にも耐えて、唯一の撃墜例が戦術核による攻撃なんだから、たかが歩兵の攻撃なんか通るわけないじゃないですか……
え?なに軍曹?怪物を落としてくるとき開いたハッチの中に光るものがあった?あそこならダメージあるかもしれない?
何言ってんのこの人……(困惑)
ハッチの下とか怪物に囲まれるだけじゃん!
シップ落とす前に死ぬよ!
上層部も受け入れるなよ!『健闘を祈る』じゃねーよ!!
藁にもすがる思いってのはわかるけどそれならそれでちゃんとした部隊組もうよ!行き当たりばったりはダメだって!!
やだ帰りたい!待って軍曹、突撃しないで!
ヤメロ俺はまだ死にたくないんだーーー!!
※
なんとか無事、生き残れました……。
生き残れたけど……、こんなのルーキーにやらせるようなものじゃないでしょ。今回は何度か本当に死を覚悟したよ……
まぁ、民間人のころも結構な頻度で死を覚悟してたけどね……
え?どうやって生き残ったのかって?
シップのハッチが開いたらある程度砲撃しまくって、そのあと目の前に出てくる怪物をシールド構えながら無心になって処理して……を繰り返してたらなんか終わってたよ……
生きるのに必死で何やったか覚えてない……
てか、なんか素晴らしい手際だったとかでまた俺の評価上がってるんだけど!何で!?てか俺何やったの!?
止めてウイングダイバーちゃん!そんなキラキラした目と称賛の言葉を俺に向けないで!
「私も負けてられませんね!」って、大丈夫だよ!最初から君の方が優秀だから!
俺なんて足元にも及びませんって!
なんでみんなこんな民間人崩れのなんちゃって軍人に期待してるんだよ!
俺なんてフェンサー(笑)がいいところだよ!
最前線なんてやってられるか!
俺は出来るだけ安全な戦場で生きたいんだよー!!
つづく?
主人公(名前未定)
原作主人公。
元民間人の現軍人(笑)
プライマーの基地襲撃に巻き込まれ、なし崩し的に戦うことになる。
生き延びるため必死に戦ううち、才能ある戦士としてみられるようになってしまう。
年齢は24ぐらいだと考えてます。
兵科はフェンサー
選んだ理由は最初に使っていた、というのもあるが、何よりも『一番安全そうだから』
主人公の見解として
・レンジャー:逃げるの無理そうだからやだ
・エアレイダー:ビークルとかロマンだけど自衛武器少ないから死にそう
・ウイングダイバー:そもそも女じゃねーよ俺
という考えの結果、フェンサーを選んだ
ちなみに今回の主人公の武器は
表
左:ブラストホールスピア 右:ディフレクションシールド
裏
左:ガリア重キャノン砲 右:タワーシールド
という守り重視してる装備
原作プレイしてて思ったけど、主人公順応性とか高すぎるよね。
あとフェンサーの控え武器ってどこにしまってあるんだろうね……
軍曹
民間人だったころの主人公を間一髪で救った軍人。
主人公のことは将来性が期待できる貴重な人材であると考えている。
彼が心の底から人類のために戦っていると信じている。
作者の想像ではたぶん40代ぐらいのダンディーな人じゃないかと考えてる。
いつかこの人の視点とかやってみたい。
ウイングダイバーちゃん(名前未定)
主人公と同年代のウイングダイバー。
正確には主人公よりも若干年下だが、軍人としては先輩に当たる。
割りとフランクなため、主人公も砕けた感じで相手してしまっている。
期待の民間人として話題になっていた主人公がどんな人か気になっていたとき、偶然にも泣いているところを見かけてしまい慰める。
それ以降、彼のことを純粋に気にかけるようになる。
作者が若干恋愛脳なため登場することになったキャラ。
この娘の視点とかもやってみたい。
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#2 そういえばウイングダイバーちゃんって俺の先輩なんだっけ…… 【ミッション14~15】
師匠です。
昨日に引き続き投稿しちゃいました。
ちょっと今回はシリアス入っちゃってます。
二話目にして作風が変わりそうですが、このゲームを原作にした以上避けられない内容ですのでご容赦ください。
けど長続きさせませんのでご安心ください。
それではどうぞ!
M14 駆除
先日のテレポーションシップ撃墜作戦から数日後、再び俺に出撃の司令が出た。
今回はウイングダイバーチームと共に出撃するらしい。
うん、出撃するのはいいんだ。俺もなんちゃってとは言えEDFに所属しているからね。
けどさ、なんで俺は特定の部隊に配属されてないの?普通は決まったチームで動くよね?実際、軍曹のチームも最初に会ったときからメンバー同じだし。
なのになぜ俺は一人で色々な部隊と出撃するんだろう……
嫌われてる訳じゃないよね……?(震え声
これ以上考えるのはやめよう。
とりあえずブリーフィングルームへと向かって…………
あれ?
見慣れたウイングダイバーの方がいるけど……
あ、手を振ってこっち来た!やっぱりか!
今回の作戦ダイバーちゃんと同じなのか。
というか、そう言えばダイバーちゃんって気軽に呼んじゃってるけど彼女は俺の先輩なんだっけ……?
……確か軍って上下関係とか規律に厳しいとか聞いたような────
……………………
気安く話しててすみませんでしたぁ!
これからはちゃんと敬意をもって先輩に接したいと……え?そんなに畏まらなくていい?入った時期も2、3ヶ月しか違わないし、年も近いから今まで通りでよいと……?
でも、ここ軍ですし…………ああ、わかったから!そんな目で見ないで!!
というか周りの先輩方も笑ってないで注意してくださいよ!!
え?同じ戦場で戦うのに堅苦しい間柄は良くない?
…………ぐぬう。それを言われてはなにも言えないじゃないですか……
まぁ、先輩が───いえ、ダイバーちゃんがそう言うならいいのか。
それで、作戦の方は?
スカウトチームの情報だとα種、β種が確認されていると……
ふむ、わかりました。武器の方用意してくるのでまた後で合流しましょう。
それでは。ダイバーちゃんもまた後でね。
※
というわけでダイバーちゃんたちウイングダイバーチームと共にやってきました今回の作戦エリア。
はい。もう怪物が普通に見えてますよ。
しかしαもβもそれぞれヤバイんだよね……
α種は装甲を溶かす酸を吐くし、β種は遠距離まで届く糸を吐き出すんよね。さらになぜか知らないけどあれ食らうと装甲が痛んでいくらしい。
つまり両方とも近づいたらアウト。
まあ今回に限った話ではないのだけどね!
なのでこちらも遠距離戦やってやる!ということで今回は誘導兵器持ってきました!
行くぜ怪物ども!全員爆殺してやる!
先手必勝じゃオラーーー!
───ってギャーーーー!なんかすべての怪物がこっち来たー!?
しかもミサイル撃ち込まれたくせに一撃で沈んでないし!
これじゃあヘイト集めただけじゃん!!
うわぁぁぁぁめっちゃくるぅ!?
ミサイルリロードには時間かかるしそもそもこの距離だと巻き込まれかねない……!!
結局、至近距離での戦闘かよクソッタレがーーー!!
※
死ぬかと思った……(恒例
いや、まぁ今回は自業自得に近いけど、後半のアレはひどかった……
何せ敵を倒しきったと思ったら俺の真下から怪物が沸きだすんだからなぁ……!!
しかも情報にはなかった赤色α種だったしよぉ!アイツら硬いんだよガワが!
そんなやつらに周りを囲まれたときの絶望感は半端じゃなかった……
先輩やダイバーちゃんたちの援護もあってなんとか生き延びたけど……二度とやりたくないね!!
あとまたしても俺の評価が上がってました(謎)
ウイングダイバーの先輩たちから「新人とは思えない行動だな」やら「やはりお前は噂通りの優秀で勇敢な戦士なんだな」やら「お前にならアイツも任せられるな」とか言われたんだけど何のこと!?
噂ってなに!?ちょっと待って意味深な笑みを浮かべて去らないでください!!
なんなの!?不安になるじゃない!
結果それ以上の話は聞けず、放置されました。
……とりあえず噂については忘れよう。
さて、メディカルチェックも受けたし、とりあえず今日はゆっくりしようかな────ってあれ?ダイバーちゃん?
この後?特に用事はないけど……?
一緒にご飯?今日のお礼?
何のことだろう?お礼されるどころかお礼する側な気がするけど……
まぁ、ダイバーちゃんみたいな可愛い娘とご飯食べれるのに断る必要ないよね。
喜んでお付き合いさせていただきます!
◇
M15 巨船破壊作戦
ダイバーちゃんたちとの作戦以来、小規模の怪物退治にばかり参加していた俺に上から新たな大型作戦への参加の通達が来た。
今回はレンジャーチームと共に進軍し、周囲の怪物とドローンを除去。
その後、ブラッカーと呼ばれる戦車などで上空のマザーシップを攻撃する、といった作戦内容らしい。
またしても、無茶じゃないかと思える作戦だが、やるしかないのが現状である。
いつもならぐちぐちと心のなかで文句をいう俺であるが、今は割りと気分がいいので文句をいうようなことはないです。
なんと訓練中に偶然にも効率よく距離をとることが出来る方法を見つけたのである。
まさかあんな移動方法があるなんてなぁ……。
実戦でどこまで通用するか分からないが、前よりマシになったのは明らかなのだ。
成功の有無はさておき、とりあえずやるだけやるしかないな。
さて、今回の武器を申請しにいくかな。
※
やってきました作戦エリア。
今回は前回の失敗を踏まえて、ちゃんと選んできました。
───と言ってもまたミサイルなんですけどね。
ドローンいる以上はこれないとキツいからね。
とりあえず、想像してたより敵の数少ないし、さっさと片付けちゃいましょうか!
……通信で聞こえる、宇宙人とやらが気になるけど、それはあとにしよう。
これで、───最後っ!
左手に備えられた二連装の槍で最後に残ったα種を処理する。
これで、周囲の怪物は全滅したはず、あとは上空のマザーシップに攻撃して作戦終りょ『何か来るぞーー!!』────えっ?
通信機越しに聞こえた声に俺は空へと視線を向ける。
視線の先には、透明な筒を備えた謎の飛行物体が3隻、こちらへ向かってきているのが見えた。
遠目だからよく分からないが、筒の中になにか入っているように見える……
徐々に近づいてくる飛行物体。
それにつれて筒の中に入っているものがハッキリとしてくる。
おいおい……嘘だろ───!?
数百メートル先に滞空する飛行物体の中にいる存在───二足で立つカエルのようなエイリアンに俺は目を見開く。
そこで俺は先ほど聞こえた通信の内容を思い出した。
『俺は、宇宙人を見た……!』
『エイリアンの目撃情報があります。人間に酷似した生命体だそうです』
『頭がひとつ、目がふたつ、手足がふたつずつ、二足歩行だそうです』
────さっきの通信で言ってたのはコイツらのことか……!!
だが一つ言わせてくれ……!
人間に"酷似"はしてねぇよっ!!
どう見ても歩くカエルだよっ!!
頭があって手足があって二足歩行だったら人間と酷似してることになるの!?
なんて心のなかでツッコミを入れているうちに、カエル型エイリアンが降下してきた。
ってちょっと待て!アイツらが持ってるのって銃じゃ…………!
俺がそう気づいたときには、すでにやつらはこちらに武器を向けていた。
『──────────────!!』
エイリアンは何か聞いたことない言語を口にしながら、手にした銃で攻撃を仕掛けてきた。
─────うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!??
奴らの攻撃を受けた部隊が悲鳴を上げる。
そして、その部隊は二度と起き上がることはなかった。
おいおい、一撃かよ……!
心のなかでそう毒づきながら俺は急いでシールドとミサイルを構え、臨戦態勢をとる。
それは俺だけではなく、他のレンジャー隊員や、合流したウイングダイバーチーム(ダイバーちゃんのチームとは別)も同じだった。
今回ばっかりは、マジで気ぃ抜いたら死ぬぞ……!相手の動きに注意しろ俺!
そう自分に言い聞かせ、俺たちはエイリアンの退治を行うのだった。
※
死闘を繰り広げること30分近く。
あれから何人か犠牲を払ってしまったが、なんとかエイリアンを全て排除することに成功した。
アイツら、知能があるのか建物の影に隠れるとかして回避行動をとるなんてことしやがった……
おかげでこっちの被害は甚大だ……
「地上に降りたエイリアンを殲滅しました」
レンジャーチームの隊長が、撃破報告を行う。
誰もがこの現状に言葉をなくしている。
今までの敵とは異なる、知性ある敵の出現に誰もが沈んだ表情を見せる。
そんな俺たちを嘲笑うかのように、上空に更なる飛行船がやって来た。
しかも、さっきよりも多い5隻という編成で。
は……、ははは……。どうやら俺はここまでのようだなぁ……
3隻からきたエイリアン相手に半数減らされ、ようやく殲滅出来たってのに、さっき以上の戦力で来られて勝てるわけがない……
そう考え、俺は諦めの声をこぼす。
通信で撤退するよう指示が出ているが、この数では撤退すら不可能だろう。
そう考えていると、今回一緒に作戦に参加したレンジャーチームの人たちが俺のもとへとやってくる。
そして、信じられないようなことを口にした。
「俺たちが残ってエイリアンの足止めをする。だから新人、お前は逃げるんだ」
──────は?
……いや、いやいや!何言ってるのこの人は?
そんな、アンタらを見捨てて一人だけ逃げるなんてこと出来るわけ……!!
「俺たちはレンジャーだ。フェンサーであるお前のように高速移動はできない以上、どうしても奴らの攻撃にさらされてしまう。ならば、俺たちが足止めして、一人でも多く逃げさせ、戦力を残すことが大事だ」
だったら俺が残って時間稼ぎして、隊長たちが逃げた方がいい!新人の俺を逃がしたところで大した戦力には────!
「新人だからこそ、だ。さっきの戦いを見てて思った。お前はまだまだ強くなれる。もう限界が来ている俺たちとは違ってな」
「そういうことだ。未来ある戦士のために足止めできるんだ。最高にカッコいい死に際だろ?」
「もちろん俺たちだって最初から死ぬ気じゃない。出来る限り生き延びれるよう努力するさ。だから、お前は逃げてくれ」
隊員たちは笑いながら俺にそう言ってくる。
なんで……誰も彼も俺に期待するんだよ……!
俺なんてどこにでもいるもと民間人の一般兵だぞ……!なのになんで……
そんなことを考えているうちにレンジャーチームの人たちは首に下げたドッグタグを引きちぎり、俺へと手渡してくる。
「こいつを持っていってくれ。……あとは頼んだぞ、スーパールーキー!」
「じゃあな!ちゃんと逃げ延びろよ!」
「お前の戦う姿、元民間人とは思えないぐらい様になってたぞ!」
次々と俺にタグを手渡し、エイリアンへと向かっていくレンジャー部隊の隊員たち。
俺が何かをいう暇もなく彼らは去っていってしまった。残された俺のもとに、戦闘が始まった音が聞こえてくる。
───────っ!!
俺はその音に背を向けるようにして、スラスターを吹かして、その場から去っていく。
懐にしまった軽いはずのドッグタグは、今まで手にした何よりも重く感じた……
つづく
主人公装備
M14 駆除
表 左:ブラストホールスピア 右:ディフレクションシールド
裏 左:アームハウンド 右:アームハウンド
補助 ダッシュセル シールド保護装甲
誘導ミサイル兵器であるアームハウンドによる殲滅を考えていたが失敗。
結果、表の装備で戦うことになった。
M15 巨船破壊作戦
表 左:ブラストツインスピア 右:NCSキャノンショット
裏 左:アームハウンド 右:ディフレクションシールド
補助 ダッシュセル アドブースター
対ドローン用にアームハウンドを装備してきた。
表の装備の組み合わせについては次回説明。
なんかシリアス気味に終わりましたがこんなのは長続きしません。
というかそんなの無理!
ちなみに覚醒フラグとかではないのでご安心を。
カエル云々についてはプレイしててみんな思ったのではないでしょうか?
出来そうなら今日中にもう一話あげたいところですが……出来るかなぁ?
ちなみに連投が続くのは最初のうちだけです。
お気に入りしてくれた20人以上の方、ありがとうございます!
これからも頑張りますので、これからもお付き合いよろしくお願いいたします。
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#3 いまになって思うけど、アレって空中制御ミスったらヤバイやつだよな…… 【ミッション16】
師匠です!
昨日のうちに投稿しようと思ってましたが無理でした(´Д`)
とりあえず出来る限り続けていきたいと思いますので、これからもお付き合いください。
とりあえずシリアスは今回でおしまいです。
投稿二話目にしてお気に入り登録者が50人を越えました!
感謝しかありません!ありがとうございます!
M16 孤立
「───!お前か!無事だったか……!」
通信から聞こえてくる誘導に従い向かった先にいた軍曹が、俺を確認し、そう声をかけてきてくれる。
周囲にはいつもの軍曹の部隊の面々に、フェンサーが数人、そしてダイバーちゃん含めたウイングダイバーが数人といったところだった。
「お前は確かデルタチームだったな。他のメンバーは……」
軍曹のその言葉に、俺はしまっていたドッグタグ数枚を取り出し見せる。そして、彼らの顛末を軍曹に伝える。
俺の話を静かに聞いていた軍曹は、話を聞き終えると、渋い顔でうなずいた。
「…………そうか。わかった。よく生き延びてくれた」
それだけいうと背を向け、俺のもとを去ろうとする。
え、ちょっと……!このドッグタグは回収しないんですか!?
俺の言葉に軍曹は首だけこちらに向ける。
「───それはアイツらがお前に託したものだ。もうすでに確認はした。あとどうするかはお前次第だ」
それだけいうと、軍曹は今度こそ俺のもとを去っていった。
どうするか、って……言われても……
手元に残されたタグを見つめて一人俺は考え込む。
そして軍曹の召集がかかるまで考えたが、結局答えは出なかった……
*
アイツらは人間に似ている。
武器を使い、敵を目視し、動く相手を確実に狙ってくる。
そこに勝機がある、
そう軍曹は言った。
つまりこう言うことだ。
───エイリアン相手に対人戦法を取る。
お互いに目で見て、相手を見つけて攻撃するのであれば、小さく隠れやすいこちらの方が有利である。
行動を見た感じでは、人間ほど賢くはないとみられる。だから身を隠しながらの攻撃でやつらを倒していく、という作戦らしい。
そしてその作戦は想像以上に上手くいった。
レンジャーは小回りが効くため、上手く建物の影などで立ち回り、ウイングダイバーはその自由性で相手を翻弄し、フェンサーはスラスターダッシュを駆使して相手が武器を構えるより早く視界から消えるという手法で着実にエイリアンを倒していった。
エイリアンとの戦闘開始から30分近く経過したぐらいだろうか。
俺が通算で五体目ぐらいのエイリアンを倒し、ふと戦況を確認するため振り向いたときだった。
200メートルほど離れた先にいたレンジャー隊員の一人の背後にあった建物の影から、偶然にもエイリアンが姿を表し、レンジャー隊員の姿を見つけてしまった。
────まずいっ!!
視線の先でレンジャー隊員が背後に立つエイリアンの存在に気づくも、どうやってもエイリアンが攻撃する方が早い。
あの至近距離では間違いなく助からないだろう。
その瞬間、脳裏に俺にドッグタグを託した隊長たちの姿が浮かぶ。
『あとは頼んだぞ、スーパールーキー!』
───こんな俺を信じて、命を懸けて逃がしてくれたレンジャーチームの先輩たち。
───俺に期待してくれる周りの人たち。
民間人上がりの新人に何を期待してやがるんだ、って声を大にして叫んでやりたい。
あの人たちや他の皆が言うほど俺はすごくないし、出来ることなら今すぐ逃げ出したい。
───けど、だけど!さすがに続けて二度も目の前にいる人を見捨てられるほど、俺は人間性捨てちゃあいねぇんだよ!!
いまこそ、あのとっておきの移動手段を使うときである。
そう考え、俺は武器をツインスピアとキャノンショットに切り替える。そして、補助装置のアシストを受けながら、キャノンショットに備えられたブーストジャンプとスピアに備えられたスラスターダッシュを同時に起動させる。
すると、俺の身体は放物線を描いて空を飛び、圧倒的な速度で移動する。
上方向に移動するブーストジャンプと横方向に移動するスラスターダッシュを組み合わせることで空中機動をも可能とする。
これこそが、訓練中に偶然にも編み出した移動方法、名付けて『ブーストスラスター(仮)』である。
ぶっちゃけ、割りと勢い強いし、高度もあるからまだ使いたくなかったけど、四の五のいってる場合じゃない。
俺は200メートル余りの距離を一気に詰め、エイリアンとレンジャー隊員の間に割り込む。
なんか周りがざわっ、としたような気がするけどそんなこと考えている場合じゃない!
今すぐにでも攻撃してきそうなエイリアンに俺は先手必勝で攻撃を撃ち込む。
ツインスピア、キャノンショット、そしてトドメのツインスピア。
たったそれだけでエイリアンは絶命してしまった。
……やっぱ、こいつらも生物である以上頭やられたら再生は出来ないか。
思っていた通りの収穫を得ることが出来た俺は、レンジャー隊員の無事を確認すると、この作戦をはやく終わらせるため、残り少なくなってきたエイリアンのもとへと向かうのだった。
※
あれからの話をしよう。
エイリアンに囲まれ、生存は絶望的だと思われていた俺たちだったが、軍曹の鋭い観察眼による機転の聞いた作戦によって無事、誰一人欠けることなく帰ってくることが出来た。
さすがに無傷、というわけにはいかなかったがそれでも重傷者すら出なかったのは奇跡なのではないだろうか。
メディカルチェックを終えた俺は、自室にて横になりながらそんなことを考える。
そして、今日の作戦を思い出し、懐にしまっていたドッグタグを取り出し光に翳す。
結局、本当にこれは俺に渡されてしまった……。
…………あの人たちが俺を逃がしてくれたから、あのレンジャー隊員を救うことが出来た。
あの人たちの言葉がなかったら、あのとき俺は動くことはできなかっただろう。
そんなことを考えながら、俺は先ほどのことを思い出す。
作戦終了後、助けたレンジャー隊員が俺のもとへとやってきて、お礼を言ってきたのだ。
『─────ありがとう。お前のおかげで、俺は生き延びることが出来た。感謝する。お前は本当に、スーパールーキーなんだな』
───"スーパールーキー"
その言葉は俺にとって忌まわしいものだった。
誰も彼もが俺なんかにそう言って期待する。
俺にはそんな実力も、期待に応えられるだけの力もないのに……。
だから、"期待の新人"、"スーパールーキー"などの言葉は俺にとっては忌み嫌うワードでしかなかった。
けど、いまはそうじゃない。
俺の実力は大したことないし、相変わらず周りの期待には応えられるとは思えない。
だけど、だからといって今までのようにその言葉から逃げるのはやめだ。
あの人たちが俺に託したものが無駄にならないよう、その言葉に見合う実力がつくよう、少しずつでもいいから頑張っていこう。
それがきっと、託してくれたあの人たちに俺が出来る最大の手向けだろうから。
世界を、地球を救うなんて大それたことは考えない。ただ手の届く限り、手を伸ばしたら助けられる限りの人たちを助けよう。
そう覚悟を決め、手に握るタグをしまいこんだとき、部屋のドアがノックされる。
はい、どちらさまで────ってあれ?ダイバーちゃん?
なにか用?……うん?また一緒にご飯食べようって?
いや、いいけどなんか最近多いような……って、待って!行くから引っ張らないで!?
ダイバーちゃん距離近いよ!!そんなことされたら勘違いしちゃうでしょ!?
その後、ダイバーちゃんに引っ張られていく俺たちの姿はウイングダイバーの先輩方や軍曹たちに見られ、見守るような笑顔で見送られた。
そういうのと違うからね!?というか楽しんでないで助けてよ!?
そんな俺の思いは届くことなく、俺はダイバーちゃんに食堂まで引っ張られていくのだった。
つづく
【捕捉情報】
主人公
今回の件で意識が少し変わり、戦いに前向きになる。
といっても根本の逃げ腰というか民間人根性は変わらない。
シールドを捨て、スピアとキャノンショットにしたのはこの立体機動を使うため。
この動きも、多分この世界だととんでもないものに見えるんだろうなぁ……
あ、あと武器説明とかいるだろうか……?
次回はウイングダイバーちゃん視点をお送りしますのでお楽しみに!
評価9をつけてくれた豆助さん、ありがとうございます!
そして新たにお気に入り登録してくれた方やその他の読者の方々にも本当に感謝です!
ありがとうございます!
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Others View 【ウイングダイバー その1】
ということで、どうも皆さんおはこんばんちは!
師匠でっす!
朝起きたらなんか評価バー赤く染まってるわ、お気に入り3桁になってるわ、ランキング15位になってるわと驚きすぎて、寝起き早々爆笑しました。
そのあともどんどんお気に入りや評価してくれる方増えていって感謝しかありません!
拙作を楽しんでくれてる方がたくさんいますので、頑張って続けていきたいと思います。
今回は前回予告した通り、暫定ヒロインのウイングダイバーちゃん視点です。
私が初めて彼を見かけたのは、多分彼が入隊したばかりの頃だと思う。
彼とのあの出会いを、私は一生忘れることはないだろう。
───なぜなら、泣いている彼を慰める、というシチュエーションでの出会いだったのだから。
彼と初めて出会ったその日、地球外生命体『プライマー』の駆除作戦に行っていた。作戦を終えた私は自室へと戻ろうと施設内を歩いていた。
そんなとき、偶然にも彼が休憩室にいるのを見かけたのだ。
期待の新人、ということで有名な彼───聞いた話だと私より少しだけ年上らしい───の姿を知っていた私はどんな人なのだろうか気になり、話をしてみたく、彼に近づいたのだった。
近づいていくうちに、私は彼が静かに涙を流していることに気づいてしまった。
予想外の状況に、あと少しのところで私は足を止めてしまった。
そんな私に気づいたのか、彼はこちらへと振り返ると驚いた顔になり、すぐに服の袖で涙をぬぐうと気まずそうな笑みを浮かべた。
「えっと……大丈夫、ですか?」
そんな彼になんて声をかければいいのか分からなかった私は、結局当たり障りのないことを口にしてしまった。
「え?あ、あぁうん、大丈夫だよ。大したことじゃないから」
そう言って笑う彼だったが、あまり大丈夫そうには思えなかった。だからだろうか、初対面にも関わらず踏み込んでしまったのは。
「あの……、厚かましいかもしれないですけど、お話聞きますよ?そういうのってあまり溜め込むとよくないって言いますし……」
「……そう、だねぇ。それじゃあご厚意に甘えてみようかな」
不躾なことをいったにも関わらず、彼はそう言って私に話してくれた。
両親がすでに死んでしまっていたこと、死に目に会えなくて申し訳ないこと、親孝行してやれなかったこと、などと口にしていた。
彼は頭では分かってても心が納得出来てなくて自然と涙が出てしまった、と恥ずかしそうに笑っていた。
「ごめんね。暗い話聞かせちゃって……」
「ううん。私から言い出したことなんですし、気にしないでください」
「……そっか。でもありがとう。言ってた通り、結構気が楽になったよ」
彼は曇りが晴れた表情そう言うと、立ち上がり伸びをする。
「───さて、と。そろそろ俺は部屋に戻ろうかな。改めて話聞いてくれてありがとね。……あ、あと、泣いてたことは内緒にね!」
「あはは、分かりました。これから大変でしょうけど、頑張ってくださいね」
「ありがとう。それじゃあまた会うことがあればよろしく」
それだけ言うと彼は休憩室を後にしていきました。
これが、私と彼───新人くんの出会いでした。
◇
最初に会ったとき以降、私と新人くんが会うことはありませんでした。
私は現場に出るウイングダイバー、新人くんはいくら戦場を経験したとはいえ、まだ基礎が足りてなく多くのことを学んでいる最中です。
でも時々新人くんの話は聞いてました。
民間人のころから戦果をあげていた人物だ。やっぱり皆、気になっているのだろう。
そしてそんな彼は、正式な戦士としての初陣でとんでもないことをしでかしました。
そのことについて知ったのは新人くんの初陣で出撃した日の先輩たちの会話からでした。
「───聞いたか?あの期待の新人、単独でテレポーションシップを落としたらしいぞ」
─────はい?
私は一瞬自分の耳を疑いました。
新人くんが今日、初陣として出てるのは知ってましたが内容までは知らなかったため、先輩に詳しく話を聞いてしまいました。
どうやら新型機による攻撃は失敗し、どうするか話し合っていたところ、軍曹の情報からテレポーションシップのハッチ内部は弱いのでないか、という話になり、急遽そこを狙って攻撃するという作戦になったそうです。
急遽決まった作戦にも関わらず、新人くんはまるでわかっていたかのように近接戦闘用の装備と遠距離戦闘用の装備を持って出撃していたらしく、フェンサー特有の機動性を活かして単独で二機、仲間と協力して残る一機のテレポーションシップを撃墜してしまったとのこと。
また手際も完璧でシップをギリギリまで狙い撃つとすぐに近接に切り替え、地上の怪物を倒していき、処理したらまた狙撃する、という行動で確実に落としていったそうです。
その話を聞き、私はいてもたってもいられず、帰投している彼のもとへと向かっていきました。
数ヶ月前に泣いていたあの彼がいきなりそんな戦果をあげるなんて……!
ちょうど部屋に戻ろうとしている彼を捕まえ、私は称賛の言葉を贈りました。
「おめでとう新人くん!すごい活躍だったらしいね!これは私も負けてられないね!」
その後もちょっとだけ言葉を交わし、疲れているだろう彼を解放しました。
でもなんで新人くん、微妙にひきつった笑いだったんだろう……?
◇
新人くんのテレポーションシップ撃墜から数日後。なんと新人くんと作戦が一緒になったのです!
どうやら上の方たちは、新人くんの成長を見込み、多くの経験してもらうため、特定のチームに組み込まず、色んなチームと同行してもらうことにしたようです。
まぁ、そんなことどうでもいいんですけどね!噂の新人くんと同じ作戦に出れることのほうが重要です!
そんなことを考えているとブリーフィングルームの扉が開き、例の新人くんが入ってきました。
なんか嬉しくなった私が新人くんに向かって手を振って近づいていくと、彼は驚いたような顔をしていました。
作戦同じだって知らなかったのかな……?
私がいつも通りの調子で話しかけると、彼は急に頭を下げてきて、敬語で話すようになりました。
どうやら今更ながらに私が先輩であることに気づいたらしいです。
私が年も近いしそんなに畏まらなくていいと言っても彼は渋っていました。
今更敬語使われるのはなぜか分からないけどもやっとする……
私が膨れっ面で彼を見ていると、彼は降参してくれたのか、今まで通りの話し方に戻ってくれました。
それだけなのに、私はなぜか嬉しくなりました。
その後はブリーフィングを行い、装備の準備のため一旦新人くんとは別れることになりました。
準備を終えた新人くんと合流した私たちは作戦エリアへと出撃したのですが、現場での新人くんの動きは、本当に新人なのかと疑ってしまうほどの実力でした。
開始早々誰よりもはやくミサイルを眼前のβ種へと撃ち込み、敵の意識をほとんど持っていってくれました。
私たちウイングダイバーにとって、β種の糸はとても脅威です。それを分かってなのか、ほとんどのβ種を彼が請け負ってくれたおかげで、私たちは比較的安全に他の怪物を片付けることが出来ました。
途中、エネルギーリロードのため着地した無防備な私を狙い、β種の糸が飛んできて、ヤバイ!と思いました。
しかし、その瞬間、新人くんが素早く割り込んできて、糸をシールドで跳ね返したあとに間髪いれずに槍で倒してくれたおかげで、私は無事でした。
そのあと新人くんはすぐに他の怪物のほうへ去っていってしまったので、お礼を言うことは出来ませんでした。
……ちょっとだけ。ちょっとだけですけど、颯爽と私を助けてくれた新人くんをカッコいいと思ったことは内緒です。
新人とは思えない動きを見せる彼でしたが、最も驚かされたのは、一番最後のときでした。
彼は突然足下から出てきた赤色α種に囲まれるという絶望的な状況下で紙一重で攻撃を回避し敵を倒していくという、到底真似できないような動きをしていたのです。
その光景には私だけではなく先輩たちも唖然としていました。
その後、我に返った私たちで新人くんを救出。無事作戦成功となり私たちは帰投しました。
帰投後、助けてもらったお礼ということで、新人くんとご飯を食べにいきました。
◇
次に新人くんと作戦が同じになったのは、人に似たエイリアンと初めて交戦したときでした。
その時は新人くんとは作戦エリアは違っていましたが、敵の勢力が強すぎたため、一時撤退。体勢を建て直すため、生存者は集合するとのことで私たちは合流地点に向かいました。
合流地点に到達した私たちでしたが、その場所に新人くんはいませんでした。
不安に刈られた私でしたが、少し遅れて新人くんは到着し、安心しました。
しかし合流した新人くんはいつもと様子が違っていました。
フェンサーのパワードスケルトンに包まれているため、表情は見えませんでしたが、どこか辛そうにしているように感じました。
この中で新人くんと最も付き合いが長い軍曹が彼のもとに行き、話を聞いていました。
どうやら、味方のレンジャー隊員の人たちが命を懸けて彼を逃がしてくれたそうです。彼は、仕方ないとはいえ味方を見捨てて逃げてきた、ということになります。
そんな経験は今までなかったのでしょう。新人くんはとても辛そうに見えました。
私は彼に声をかけようとかけようと思いましたが、なんと言って声をかければいいのか分からず、結局声をかけることは出来ませんでした……
※
軍曹の観察眼によって立てられた作戦でエイリアンを撃破していると、突然私の隣を何かが通りすぎていくのを感じました。
敵の攻撃かと思い振り返った私の視線の先にいたのは、フェンサーなのに、何故か宙を舞って移動している新人くんの姿でした。
私が唖然としているなか、彼はエイリアンとレンジャー隊員の間に降り立つと、二連装の槍でエイリアンの腕を吹き飛ばしました。さらに間髪いれずに身体へ散弾らしき攻撃を撃ち込み、攻撃でひるんだエイリアンの頭へと、トドメの槍を撃ち込む姿が、私の目に映りました。
人に酷似したエイリアンを作業のように、淡々と倒してしてしまうその新人くんの姿に、私は恐怖を感じてしまい、少しの間動くことが出来なくなってしまったのでした……
そのあとは、彼が率先して活躍したおかげで、素早くエイリアンを殲滅することが出来、私たちは誰一人欠けることなく帰投することができました。
帰ってきてからメディカルチェックを受けた私は、自室にて今日のことを思い出していました。
エイリアンの頭を容赦なく狙い、何事もなかったかのように倒す新人くん。
その姿に私は恐怖を感じてしまった……
帰投した時の会話で、アレは、あのとき危なかったレンジャー隊員を助けるためにとった行動だったと知りました。
彼がとても優しく、民間人だったときから率先して隊員や民間人を襲っている怪物を倒していたということを私は先輩たちから聞いていた。
なのに、彼に恐怖を抱いてしまった。
そのことがとても恥ずかしい……
彼は多くの人を助けるため、自分が出来ることを最大限にしていたというのに、私は───
私も彼に負けてられない。
彼ばかりがあんなことをしなくてもいいように、少しでも私がそれを負担できるようになるためにも、私ももっと強くなろう!
とりあえずお疲れさまということで新人くんをご飯に誘おう!
そう考え、私は彼の部屋へと足を向ける。
「いつか、正式に新人くんと同じチームになれたらいいな……」
そんなことを一人こぼしながら私は新人くんをご飯に誘いにいくのだった。
つづく
【本文捕捉】
ウイングダイバーちゃん
主人公より半年ほどはやく入隊したが、実戦経験はあまり変わらない割と新人なウイングダイバー。
主人公の戦果がぶっとんでいるだけで、彼女も比較的好戦果を残している。
主人公にとってエイリアンはカエルにしか見えないが他の人にとってはどうやらあれが人間に似ているようで、その認識の齟齬によって主人公が仲間を助けるため、人に近い存在を冷徹に殺すという悲しい宿命を背負った──と勘違いされている。
ちなみに主人公に対して恋愛的な意識はなく、お気に入りの仲良し隊員、といった認識。
それはいつまで続くかは、お楽しみ……
はい、というわけでウイングダイバーちゃん視点をお送りしたわけですが、上手く書けてたでしょうか……?
たまにこうやって別視点からのものも投稿していきたいと思っております。
いまは連続投稿出来ておりますが、いつまで続くかはわかりません……
失踪はしないように努めますので、どうかこれからも本作品をよろしくお願いいたします。
お気に入り登録してくださった400人以上の方々ありがとうございます!
そして評価をしてくれた方々
☆10 エリスさん、SAIFAさん、e.u33さん、unikurageさん、otherさん、浮遊さくらさん、ととのけあさん、桜井栞さん
☆9 THUGA__さん、ヘクトールさん、スキン集め隊さん、アウフさん、キーチさん、黒ジャージさん、店員シモさん、金津器さん、ふぇふぇさん
☆8 ikutachiさん、カルデスさん、スタンドNさん、マローネさん、縦横無尽さん、赤毛のアドルさん
☆7 zs6008さん、コギツネさん、楽しい一時をありがとうさん、宮之阪さん
☆5 111さん、setaさん
本当にありがとうございます!
低評価も一人いましたが、やっていく以上しょうがないこと、と割りきってますので!
何かありましたら気軽に感想ページにコメントください。
それでは、また次回お会いしましょう!
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#4 むしゃくしゃしてやった。反省も後悔もしている。【ミッション17~20】
師匠です!
昨日、ランキング15位でびびってた私ですが、今朝起きてみたら4位とかなってました。
しかもお気に入りが1000件突破!さらにUAも15000を越えました!
ほんの気まぐれで書きはじめた作品がこんなことになるなんて……
嬉しいのと驚きとでいっぱいです。
これからもよろしくお願いします。
2/9 フェンサーは顔が見えないの思い出したので台詞の変更をしました。
M19 殲滅計画
カエルモドキエイリアンとの戦闘からはや二週間。
あの絶望的状況を新人ながら乗り切った、ということから3日ほど休暇をもらった。
その間に色々あったが、今回は割愛させていただく。またどこかで語ることがあるだろうし。
ゆっくりと休暇を過ごしてからはまたプライマーたちとの戦闘の日々が始まった。
休暇明け最初の作戦は、市街地に存在するカエルモドキ───コロニストとα種の殲滅だった。
この作戦はレンジャーチーム数隊との出撃だった。
とりあえず殲滅が最優先、といわれたため拡散タイプのミサイルであるブラッドストームというものと、改良されたらしい初期に使っていたブラストホールスピア、そして連射に強いデクスターという散弾銃で作戦に望んだのだが───
いや、ブラッドストーム強すぎません?
敵の頭上で拡散して着弾と共に爆発するからめっちゃ効率的にα種倒せたんだけど……。
カエルとの戦いも、あの戦いで慣れたのか、スピア2発頭にぶっ込んだら普通に倒せたし。
数がめっちゃ多かったのが唯一辛かったことかな……。最終的には結局α種相手に近接戦挑んでたし……
おっと、勘違いするなよ?俺は戦闘狂じゃないぞ。そうせざるを得なかっただけだ。
レンジャー隊員の人たちは信じてくれなかったけどな……
その作戦を完了してからは街中のα種やβ種の殲滅や避難の補助とかをやってて、次に参加した大型作戦が二日ほど前に参加した地下洞窟の調査だ。
作戦は先行部隊と後続部隊の二分隊編成で行われ、俺は後続部隊に配置された。
のはいいんだが、なぜか俺だけ単独で潜らされた。
───ふっざけんなよ!?こっちは一応任用期間的にはまだ新人扱いのはずだぞ!?
しかも理由が新型武器の調整のため俺だけ後続部隊の中でもさらに遅く投入されるとか……
あまりの扱いにむしゃくしゃしたので、付いていくはずだった後続部隊と交戦している敵を目視した瞬間、攻撃ぶち込んでしまったよね。
そのおかげで後続部隊の人たちは助かったみたいだし、問題ない問題ない(目そらし
しかし、新兵器のフォースブレード、強かったわぁ。斬撃飛ばしてるのに味方に当たり判定ないとかあれどうなってんの?
……まぁとくに困ることなかったから考えるのやめて使ってたけど。
そのあとは怪物を殲滅しつつ先行部隊と合流。
そして広いところに出たと思ったら、コロニストが怪物連れて待ってたため交戦。
戦っているうちに、奥にあった大きな穴や地面から続々と怪物やコロニストが姿を表したため、作戦続行を断念。敵を殲滅しつつ撤退してきたのがことのあらましである。
そして現在は新たな作戦として、高層ビルが並び建つ区域に向かっている途中である。
今回はα種しかいない、という楽なミッションだが、どうやら付近で別の部隊が、最近見つかった超巨大生物と交戦しているという情報を受けている。
これあれでしょ?高確率でこっちくるでしょ?
そんな嫌な予感を感じたため、俺はそっちでも対抗できるように装備を持ってきた。
一番はこれを使わないことなんだが……
そんなことを考えながら、俺たちは現場へと向かうのだった。
…………フラグじゃないよな?
※
残念!フラグでした!!(怒)
α種の殲滅が8割近く完了したころに通信が入って、超巨大生物『エルギヌス』が作戦エリアを通過する、との情報が入ったんですよ。
まぁ、その時点でその姿がもう確認できてたんですけどね……
もうアレだ、これはリアルゴ○ラですわ……
そんなこんなで乱入してきたエルギヌスと交戦したんだけど、もうサイズが違いすぎるからね!
ヤツの一挙一動が即死級の威力誇っててヤバかったです……
念のために持ってきた散弾迫撃砲と、火力がずば抜けているボルケーンハンマーを構えて俺は、全神経を集中させて戦ったのだった。
エルギヌスと交戦すること一時間弱。
タンク部隊などが遅れて合流し、攻撃によってダメージは与えているもの、倒れる様子は見えずこのまま耐久戦が続くかと思われていたが、突然エルギヌスが撤退。
それに合わせる形で俺たちも一時撤退することとなった。
◇
M20 帰途の遭遇
エルギヌスとの長い戦いを終えた俺たちは、オペレーターの指示を受け、基地へと帰っていた。
途中、他エリアで別の作戦を行っていたチームと合流し、そこにはダイバーちゃんが属するウイングダイバーチームの姿もあった。
ダイバーちゃんはこちらの存在に気づくと、いつもの明るい表情でこちらへと近づいてきた。
ウイングダイバーの先輩たちは突然向かっていくダイバーちゃんに一瞬驚いた顔をするも、向かう先が俺であると分かると一転してニヤニヤとした笑みを向けてきた。
いや、だからそういうんじゃないんですって……
そんなことは露知らず、ダイバーちゃんはすぐそばまでやって来ると楽しそうに話しかけてくる。
「新人くん!作戦お疲れさま。そっちは大変だったんだって?」
そっちもお疲れさま。
うん、まぁ大変とかいうレベルじゃなかったような気もするけどね……
俺のその言葉に苦笑いを浮かべるダイバーちゃん。
そのあとは向こうの作戦がどういうものだったのか、とか先輩たちとの会話で面白かったことなどを楽しそうに教えてくれた。
ダイバーちゃんの話を聞いているとき、俺は今更ながらダイバーちゃんの際どすぎる格好に気づいた。
前の作戦のときはあまりに死にもの狂いで戦ってたせいで、気にする余裕なんてなかったけど、こうやって改めてみてみるとウイングダイバーの格好って相当露出多いよな……
しかも今気づいたけどダイバーちゃん割とスタイルいいし……
あ、やべ……意識したらなんか恥ずかしくなってきた……
「それでね───ん?どうしたの新人くん?私の方をじっと見て?なにか気になることでもあった?」
えっ?ああ、いや………その…………
下心はなかったとはいえ、素直にダイバーちゃんの格好見てた、なんて言ったら100%アウトだし何て言おう……
頑張れ、俺の脳ミソ!起死回生の答えを見つけるんだ……!
脳をフル回転させ俺は最適解を模索する。
そしてひねり出した答えは───!
───いやぁ、やっぱりダイバーちゃんって可愛いな、って思ってね!
「えっ!?ええっと……その……あ、ありがとう……///」
…………バカ野郎かよ!?他にあっただろ!?俺の脳みそぜんっぜん使えねーな!?
自分の頭の使えなさに絶望しつつ、ダイバーちゃんの様子が気になった俺はそっと視線をそちらへと向けてみる。すると、そこには───
「可愛い……可愛い……ふふっ♪」
なんて小さく呟き嬉そうにするダイバーちゃんの姿が。
何この子可愛すぎるんですけど!?
天使かよ……
なんてことを考えていると、前方で歩きながら談笑していた隊員が声をあげる。
「待て!…………何か聞こえるぞ…!」
そんな声が聞こえ、耳をすますと確かになにかガリガリといった音が聞こえる。
それに気づいた周りの隊員が音の原因を探し、辺りを見渡す。
俺もダイバーちゃんも同じように警戒して辺りを見る。
そして、その音の発生源は姿を表した。
「───見ろ!怪物がいるぞ!赤いやつだ!!」
「砂のなかを移動してるのか!?」
視線の先────海岸沿いの砂浜から、数えきれないほどの赤色α種が姿を表した。
「赤色α種……!新人くん、急だけど迎撃の用意を───って、新人くん?」
隣でダイバーちゃんが何か言っているが俺には聞こえていなかった。
あの大量の赤色α種を目視した瞬間、俺のなかで何かがプツン、と弾けたのを感じた。
─────フ……フフ……フフフ……!
さっきはエルギヌス乱入してきて、やっと終わって帰れると思ったら今度は赤色α種だと……?
─────ざけんなぁ!!こちとらここ最近キッツイ作戦ばっかで、キャパもう限界なんだよ!!いい加減にしやがれ雑兵どもがぁ!!
「新人くん?ちょっと大丈夫?」
ダイバーちゃん、ちょっと行ってくるわ。
「あ、返事してくれた……って、え?」
ダイバーちゃんの返事を聞くことなく、俺は構えていたボルケーンハンマーと散弾迫撃砲を構えてブーストスラスターを利用して怪物のど真ん中に飛んでいく。
くたばりやがれ怪物どもがぁ!!
空中から真下に向けて迫撃砲を発射。
爆風と砂塵が舞うなかに限界までチャージしたハンマーを叩き込む!
爆発系の攻撃が続いたことで、俺の周囲のα種がほぼ全滅する。
舞っていた砂塵が収まりだし、開けた視界にこちらに向かってくるα種たちが見えた。
俺は武器をブラストホールスピアとシールドに換えると迎撃の構えをとった。
かかってこいや、化け物どもがぁぁぁ!!
───こっから先についてはあまり記憶に残っていない。
気がついたときには殲滅が完了しており、こちらへと飛んでやってくるダイバーちゃんの姿が見えていた。
……って、あれ?なんか近づいてくるダイバーちゃんの顔が怖いんだけど……?
俺のもとまでやって来たダイバーちゃんは、着地すると詰め寄ってきて、ものすごい剣幕で怒ってきた。
「もう、新人くん!一人で突っ込むなんて危ないこと、なんでしたの!!」
いや、あの……なんといいますか……、むしゃくしゃしたといいますか……フラストレーションが溜まっていたといいますか……
「言い訳しないの!!心配したんだよ!!」
はい……すみませんでした……
全くもう……!と言って怒るダイバーちゃんにただただ平謝りする俺たちの後ろから他の隊員たちがやってくる。
「ははっ、見ろよあんな活躍してたスーパールーキーも女の子の前には形無しみたいだぞ」
「怪物相手には強くても、女性相手じゃダメダメなんだな」
「ふふっ、あなたたちまるでダメ夫とそれを注意するお嫁さんみたいね」
「嫁っ…………!?も、もう先輩!からかわないでくださいよ!!」
ダイバーちゃんが顔を真っ赤にして、俺たちのことをからかったウイングダイバーの先輩のほうへ向かっていく。
それを呆然と見ていると、ウイングダイバーチームの隊長さんがこっちにやってきた。
「おやおや、さすがのスーパールーキーも彼女の前ではたじたじかな?」
彼女じゃないんですけど……まぁ、これは俺が全面的に悪いですからね……
「君が結構な数の怪物を引き連れてくれたお陰で、今回の迎撃はとてもスムーズに行うことが出来た。そこは感謝しよう」
え?は、はぁ……
「だが、彼女が言っていた通り、あの行為はとても危険だ。今後は控えるようにな。お前に何かあると、アイツが悲しむからな。お前も彼女を悲しませたくないだろう?」
いや、だから彼女じゃないんですけど……まぁ、今後は注意します。
「そうか。……そうだ、帰ったら今夜アイツのことご飯にでも誘ってやってくれ。戦ってる間、ずっとお前のこと心配してたからな」
そう言うと、隊長さんは俺のもとを離れていき、他のダイバーの人たちのもとへと歩いていった。
そのあと、俺は他の隊員さんたちにダイバーちゃんとの関係をからかわれながら基地へと帰投していったのだった。
ちなみに隊長さんに言われた通り、ダイバーちゃんを帰ってからご飯に誘いました。
何故かわからないけど、とても喜びご機嫌なダイバーちゃんを見ることができました。
周りの人からの温かい視線は気にしないことにしました。
だから、そういうんじゃないんだってば……
つづく
【本編捕捉】
主人公
単独での洞窟突入、エルギヌス乱入、赤蟻のポップによってストレスが限界を振り切り、暴れてしまうという事態をやらかした。
この一件でより注目されるようになってしまったが、自業自得である。
ダイバーちゃんとの関係をからかわれるが、本人は釣り合わないと思っているため、このように否定を続けている。
はい、というわけで、4話お送りしました。
前書きでも触れましたが、ランキング4位、お気に入り1000件越え、UA15000越えを達成しました。
しかもルーキー日刊では栄光の1位……!
卒論の気分転換ではじめたこの作品がここまで来るとは予想してませんでした……
こんなに評価してもらって申し訳ないのですが、連日投稿はここまでになります。
卒論が追い込みにかかっていて、またストックも尽きたので、これからは書け次第投稿していくことになります。
待ってくださっている方々には申し訳ないのですが、何とぞご容赦ください。
評価してくださった方々、大変ありがたく思っております。
一人一人名前を書きたかったのですが、多すぎるため省略させていただきます。
これからも本作品をよろしくお願いいたします。
ご意見、ご感想などお待ちしておりますので気軽に書き込みください!
それじゃあ、またな!
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#5 デカい機械ってロマンあるけど、限度ってものがあるよな 【ミッション21~23】
どうも、おはこんばんにちは。師匠です!
いや、一週間お待たせしてごめんなさい。
とりあえず14日に卒論無事提出して完了したので、またこれから続けていきたいと思っております。
細かい話はあとがきにて。
それではどうぞ!
M22 前哨基地 偵察戦
俺のストレス爆発による特攻事件(通称、ダイバーちゃん激おこ事件)から一週間。
その間に色々なことがあった。
まずは事件翌日。
軍曹に呼び出され、通信越しにだが作戦指令本部長と話すことに。
昨日の単独特攻は誉められたことではないが、その行動によって駆除が比較的楽になったのは確からしく、今回はこれといったお咎めはなし、ということになった。
いや、もうホントに安心したよね。
あのときはなにも考えず突っ込んでたけど、後からこれって相当やばいんじゃね?って気づいて冷や汗だらっだらだったからね。
そのあとは本部長といくつか会話を交わし、その場を後にしたのだった。
それから三日後、初の夜間任務に参加することとなった。
今回はウイングダイバーチーム"スプリガン隊"というエリートチームとの作戦だった。
俺はダイバーちゃんのチームや他のチームとも行動を共にしたことがあり、彼女たちもいい動きをしていたと思っていたのだが、スプリガン隊の面々は動きのキレが違った。
というか俺、コロニスト相手に被弾数ゼロで倒すとか初めてみたんですけど……
俺はというと地上の赤色α種、β種をガトリングとスピアで処理してました。
作戦エリアが工業地帯だったため、出来るだけ被害を少なくするのが割と大変だった……
どうやら俺の方に怪物が来てたおかげでコロニストの処理が大変楽だったとスプリガン隊の方々からお礼言われました。
作戦自体は彼女たちの活躍もあり、比較的楽に終わったのでよかった。
一つだけ難点があったとすれば、エリートチーム故なのか、少しだけ自尊心が強かった、ということだろうか。まあ俺はそんなに気にならなかったからいいんだけども。
……それより俺、なんか最近囮役みたいなことばかりしてない?
それ以外の日は休みだったり、訓練だったり、哨戒任務だったりと過ごしていた。
そして今日、新たな任務が発令され召集された。
─────一夜にして都市部に出現した超巨大要塞『前哨基地』の偵察が今回の任務となるらしい。
今回の任務は、情報が皆無なため相応の覚悟をしておいてほしい、と伝えられた。
いや、だからそんな極地に新人送るなよ……
と言いたいところだがすでに正式登用から二ヶ月。
普通なら新人扱いされなくなる頃合いなのでもう文句は言えない。
……まぁ、新人とか関係なく極地経験してるんですけどね(遠い目
とりあえずスカウトチームの報告でドローンとα種は確認できているらしいので、それに対応できる装備は持っていくとしましょうか。
※
というわけで、作戦エリアへと来たわけですけど、早速帰りたいです……
とんでもない数のドローンにそれなりの数のα種。何よりも前哨基地が想像を絶する大きさで、なんかもう言葉をなくしたよね。
とりあえず情報収集が主目的なため、ドローンとかを排除しながら進むことになった。
ちなみに今回はレンジャーチーム、ウイングダイバーチーム、フェンサーチームの合同にさらにコンバットフレームの同行という大部隊での出撃であるため、楽ではなかったが比較的安定して戦うことが出来たため、基地へと順調に近づいていくことが出来た。
─────途中までは。
戦況が変化したのは前哨基地への攻撃が無効と分かり、指令本部が撤退の合図を出そうとしたときだった。
基地から追加で出てきたドローンや、基地に備え付けられている小型砲台の対処に辟易していると、隊員の誰かが何かに気づき声を上げた。
「───基地の砲台が動き出したぞ!!」
その声に誰もが基地に目を向けた。
そこには、今まで沈黙していたはずのあからさまにヤバそうな超巨大砲台が複数起動している光景が見えた。
─────アレはやばい。
理屈云々無しに、俺の本能が警鐘を鳴らしていた。
さらに追い討ちをかけるように、追加で大量のドローンが基地より排出。状況は一気に不利に追い込まれた。
撤退をしようにも、この数のドローンを無視すれば、一般人たちが過ごしている市街地のほうへと向かってしまうため、ここで迎撃するしかない。そのため、撤退することができない状況である。
厄介なのはドローンだけだはない。今まで動いていた小型砲台に加え、明らかにヤバイサイズの超巨大砲台、さらに さっき気づいたが中型サイズの砲台も起動しているため、そちらの対処も行わなくてはならない。
まさに地獄。そんな言葉が似合う状況である。
幸いにも砲台からの攻撃は歩兵でも回避できる速度の攻撃がほとんどのため、また戦うことが出来た。
俺が攻撃を回避しつつ、ミサイルでドローンを処理しているときだった。
ふと視線の端に赤く輝き出す巨大砲台が写った。
───────っ!!
そしてその直後、全身をかつてないほどの悪寒が襲い、とっさに武器をシールドに切り替えその場から跳び去った。
瞬間、俺の十数メートル目の前を真っ白な光線が横切り、ほぼ同時に爆風と衝撃が俺を襲った。
そのあまりの勢いに俺は耐えることが出来ず思い切り吹き飛ばされた。
咄嗟にスラスターを噴かし、空中制御を行ったおかげで無事着地できたが、視界の先にある街は全く無事ではなかった。
もとより廃墟じみていた街だったが、今の一撃で一部は更地に、余波を受けた範囲もボロボロになってしまっていた。
幸い、と言っていいのかわからないが、攻撃範囲にいたのは俺だけのようで、他の隊員には被害はなかったようだ。
とりあえず、巨大砲台の様子を見る限り、今すぐに次の攻撃が来るわけではなさそうなので、今のうちにドローンの処理をしておくことにしよう。
巨大砲台の危険性を(身をもって)実感した俺は他の隊員にその事について伝え、基地からの砲撃に怯えながらもドローンの駆除を行っていった。
そしてついにドローンも数えきれるほどになったころ、ようやく撤退が始まった。
撤退しつつ、残されているドローンを排除していく。殲滅を終えた俺たちは、追加のドローンがないことを確認し、作戦エリアを後にしたのだった。
今日この日より、我々EDFに新たなる脅威が立ちはだかることとなったのだった……
◇
M23 楔の山
前哨基地の偵察任務から数日。俺に新しい任務が下った。
内容は山岳部に降下された転送装置───テレポーションアンカーの破壊とその周囲の怪物の処理である。
今回の作戦は軍曹率いるレンジャーチーム、ダイバーちゃん所属するウイングダイバーチーム、そして何度か一緒の作戦に参加させてもらったことのある顔見知りのフェンサーチームという知り合いばかりの編成だった。
今回の作戦指揮は軍曹が担うらしく、軍曹の指示のもと作戦前ブリーフィングが行われた。
アンカーは全部で9本。三ヶ所にそれぞれ3本ずつ配置されているらしい。さらにアンカーの下には護衛するかのようにエイリアンも確認されているとのこと。
その情報を聞き、俺は今回の装備を確定させる。
ブリーフィング終了後、すぐに俺は装備の申請を行うために武器庫へと向かった。
「……………………」
その様子を、軍曹が意味ありげな表情で見ていることに、俺は気づくことはなかった。
そして時は進み、作戦エリアに到達。これから作戦を開始するというところで軍曹が声を上げた。
「さて、これより任務を開始するわけだが、その前に……新人!」
えっ!?あ、はいっ!!
急に軍曹に声をかけられ、驚いて少し声が裏返ってしまったが返事を返す。
なんだろう……、俺なんかやらかしたっけ……?
不安になる俺に軍曹が近づいてくる。
「一つ聞きたい。新人、なぜお前はこの作戦に"その装備"を選んだ?」
……えっ?
「フェンサーには他兵種に比べ武器の選択幅が多い。しかし、多くの者は使い慣れた武器を使用する。そんな中、お前だけは毎回武器を変えて出撃する。そしてその選択は必ずと言っていいほど、その作戦に合った装備だ」
まあ、そうなるように選んでますからね……
「いつも作戦の報告を聞いて、お前の行動には驚かされている。だからその実績からお前を信頼して聞きたい。今回の任務、お前の中でどんな対処法が浮かんでいる?」
軍曹の言葉にいつしか全員が俺の方に注目している。
……え、これもしかして言わないといけない流れ?
ぶっちゃけあまり現実的ではないというか、負担が大きくなってしまうというか……
「構わん。あくまで案として聞きたいだけだ」
……わかりました。俺が考えたのは────
軍曹の真剣な表情と周りの視線から、俺はあくまで案として考えていた作戦を口にしたのだった。
※
結果として、俺の案は採用。そして作戦は予定していた作戦時間より恐ろしいほど早く終わった。
俺の考えた作戦だが、実に単純な作戦である。
離れた場所からアンカーを攻撃し、それに気づき、こちらへとやって来る怪物を各個撃破する、というだけのものだ。
ただこの作戦はアンカーの特性上、早く壊さないと怪物がどんどんと増え、窮地に陥るという大きな問題を抱えている。
そのため、誰かがアンカーを攻撃し、残りの人たちでやって来る怪物を倒すという方法に必然となってしまうため、あまり現実的ではないと考えていたのだ。
……なのに、軍曹や他の隊員の人たちは二つ返事で迎撃役を引き受けてくれた。
そのため、間近まできた敵は味方に任せ、俺は持ってきたガリア重キャノン砲でひたすらアンカーを攻撃&もう片方に装備してきた高高度強襲ミサイルで近づかれる前にやる、といった戦法をとり、全アンカーの破壊を完了させたのだった。
帰投の際、多くの人が俺の作戦を称賛してくれた。そんな彼らに、皆の協力があったおかげだと感謝を伝えていると、ダイバーちゃんがすぐ近くまでやって来ていた。
「お疲れさま。今日は大活躍だったね」
そっちこそ、お疲れさま。俺はただ撃ってただけだからね。作戦が成功したのは迎撃してくれた他の皆のおかげだよ。
「ふふっ、いつの間にか新人くんも立派になっちゃったなぁ……。もう新人くんってのは合わないね」
そう言って笑うダイバーちゃん。
その表情から微妙にだが緊張しているのがわかった。
「……その、だから、これからはキミのこと名前で呼んでもいいかな……?キミも私のこと名前で呼んでいいからさ」
……え、名前で?
「うん。もうキミも新人なんて呼ぶような存在じゃなくなってきたし、ね?……ダメかな?」
そう言ってちょっと不安そうな顔をするダイバーちゃん。
……その表情をするのはズルいなぁ
ううん。別に構わないよ。
そんな表情をされたら断れるはずはなく、名前呼びを許可することになった。まあ、別に困ることないからいいんだけどね……あの目を輝かせてニヤニヤしてる先輩方にからかわれる未来が見えること以外は。
なんて思いつつ視線をダイバーちゃんに戻すと、先程とは反して笑顔になっていた。
「えへへ、よかった。それじゃあ改めて。……これからもよろしくね、"ソウゴ"くん!私のこともこれからは名前で呼んでね!」
えっと……うん。こちらこそよろしく、"ミソラ"ちゃん。
「うん!よろしくね!!」
名前を呼ぶととびっきりの笑顔を見せてくれるミソラちゃん。
そのあとは何事もなく、無事に基地へと帰投したのだった。
余談だが、基地に帰ってから予想通り先輩方にからかわれたことをここに記しておく。
ちくしょうめ……!
つづく
【補足情報】
主人公
ついに主人公の名前がソウゴと判明。
作者が名づけくそ苦手なので適当に引用。
由来は、某天の道を往くカブト虫ライダーの名前をもじっただけ。
ウイングダイバーちゃん
こちらも名前判明。
由来はウイングダイバー→空を飛ぶ→ソラ→ミソラといった感じ。
安直だが良い名前ではないかと思っている。
はい、一週間もお待たせして申し訳ありません。
とりあえず卒論は終わりましたので、執筆する時間は取れるようになると思います。
今後とも、よろしくお願いいたします。
それではまた次回!
感想、ご意見などお待ちしております!
くれると作者大変喜び、テンション上がるので、どしどし書いてください(笑)
次の更新は月曜か火曜ぐらいにはあげたいと思っております。
次回をお楽しみに!!
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Others View 【ウイングダイバー その2】
ということで皆さんおはこんばんちは!
師匠です!!
なんとか火曜日に間に合わせることが出来ました。
今回は二度目のダイバーちゃん、ミソラちゃん視点です。
書きたい視点が多過ぎて話が進まないのがネックです……
エイリアンの襲撃から、すでに多くの日が過ぎました。
あのエイリアンのせいで、多くの人々が被害に合った。それは私たちEDFの隊員だけではなく、一般の人々たちもです。
私たちが行った作戦が初の殲滅例だったらしく、その方法を伝えてからは被害が著しく減ったらしい。だが、未だに被害は続いています。
多くの人が喪った悲しみに暮れるなか、新人くんは前しか見ていないかのように戦い、彼の実力の本質を現し始めていました。
戦場をくぐり抜けるたび、確実に成長を続ける新人くん。この間は、ついにエイリアンをたった二撃の突きで倒してしまったらしい。
この事に私は驚き、頼りになるな、と思う反面、いつ彼が壊れてしまうか心配になってしまった。未だにエイリアンを攻撃するのに躊躇する隊員がいるなか、新人くんはただ淡々と確実に頭を貫いているらしいです。
彼を支えられるように、私も頑張らなくては!
そう思い、努力を続ける私でした。その間にも、新人くんの話は聞こえてきます。その話を聞くたびに、よりいっそう頑張ろうという気持ちが湧いてきます。
そんな感じで訓練や任務を繰り返し過ごしていたある日のこと。
私たちイーグル隊が山岳部で怪物の殲滅任務を行う同日、新人くんも街中で怪物の殲滅任務があると、朝食のときに教えてくれました。
朝食を終えるとお互いに頑張ろうね!と言って彼とは別れた。そして少ししてから、私は任務に出撃したのでした。
※
山岳部での殲滅任務が終了し、帰投する途中。話のネタとして新人くんのことを話していると、チームの隊長がふと思い出したように私に声をかけてきました。
「街中での任務……?それってさっきの報告のやつか?」
「はい?何ですかそれ……?」
私が首をかしげていると、隊長は任務中にあって通信報告の内容について教えてくれました。
なんでも、新人くんのいる作戦エリアに別区域で戦っていた怪生物エルギヌスが乱入。大暴れし、結構な被害が出たらしいです。
その話を聞き、新人くんの安否が気になり、不安になってしまった私は、若干のパニックに陥ってしまいました。
「そ、そんな……!急いで救援にいかないと!場所は!?場所はどこですか隊長!」
「落ち着け。今から行ったところでもう間に合わん。それに、既に作戦は終了。重傷者が出たものの奇跡的に死者は無しだ」
隊長の言葉に慌てていた私の心が落ち着いて行くのを感じました。それと同時に、その重傷者の中に新人くんはいるのかが今度は気になってきました。
しかし、それがわかっていたのか、隊長は呆れた声で言葉を続けました。
「ちなみに新人は軽症。誰もが相手の大きさに物怖じするなか最前線で戦い、そんなことをしたにも関わらず怪我が少ないという馬鹿げた報告もあるぞ」
…………ちょっと、新人くんにお説教しないといけないかもしれないですね。
未知の生物相手に新人が前線で戦うなんて危なすぎる。……けど、あの新人くんのことだし、もしかしたら理由があるのかもしれない。とりあえず話を聞くだけにしよう。
隊長の続けた言葉に、心のなかでこの後の予定を立てていると、海岸近くで新人くんが参加していた任務の参加隊員たちと合流しました。
それはつまり新人くんもいるということで────!
私がちょっと辺りを見回すと、見慣れた黒とくすんだ金色のカラーリングをしたフェンサーが、目に映りました。
私はさっきまで考えていたことなど忘れ、彼の───新人くんのもとへと駆け寄っていきました。
「新人くん、作戦お疲れさまっ!そっちは大変だったみたいだね?」
「そっちこそ、お疲れさま。……うん、まぁ大変とかいうレベルじゃなかったような気もするけどね……」
そう言って肩を少し落とす新人くんの姿に、苦笑いを浮かべるしかなかありませんでした。
そんな新人くんを少しでも元気付けようと、私はいろんな話を新人くんにしていきました。
どれくらい話していたかわかりませんが、話をしていると、ふと新人くんがじっとこちらのことを見てることに気がつきました。
「それでね───ん?どうしたの新人くん?私の方をじっと見て?なにか気になることでもあった?」
「えっ?ああ、いや………その…………」
気になった私が声をかけると、彼は慌てた様子を少し見せます。しかしすぐにこちらを向くと、
「いやぁ、やっぱりダイバーちゃんって可愛いな、って思ってね!」
ふぇっ……!?
予想外の言葉に戸惑ってしまい言葉がでない私。
と、とりあえずなにか言わないと……!
「えっ!?ええっと……その……あ、ありがとう……///」
とりあえずお礼を言って新人くんから顔を背ける。
なんだろう、ありきたりな言葉なのにすごく嬉しく感じる。
「可愛い……可愛い……ふふっ♪」
無意識のうちに笑みがこぼれてしまい、ニヤニヤが止まらない私。たぶん端からみたら気持ち悪い光景だったでしょう。
しかしそんな何とも言えない雰囲気もすぐに吹き飛んでしまいました。
突如として姿を表した赤色α種の大群。その対処に追われてしまったからです。
ただそんな事態よりももっと驚くべきことが起こりました。
なんと、さっきまで会話してた新人くんが突然、一人で赤色α種の群れに突っ込んでいってしまったのです!!
さすがの私もビックリして追いかけようとしましたが、先輩から援護するよう頼まれ、仕方なく新人くんの方へ行くのは諦めました。
───私は、このとき後で絶対に説教してやる!と強く心に誓ったのでした。
その後、倒しては湧き倒しては湧きを数回繰り返し、上空からの空爆による支援もあり、無事に殲滅が完了しました。
私は、案の定というか相変わらずほとんどダメージを受けた様子の見られない新人くんのもとに駆け寄り、お説教をしました。
流石に自分が悪いとわかっているのか、新人くんは素直に私に怒られていました。
そんな私たち二人の様子が面白かったのか、多くの人が私たち(どちらかというと新人くんがメインかな?)をからかってきました。
なかでも先輩の一人が言った『夫婦みたいだ』という言葉を聞き、一瞬新人くんとの新婚生活を頭に浮かべてしまった私は、とても恥ずかしくなり新人くんから逃げるように先輩を追いかけるのでした。
帰投してから、新人くんが心配かけたお詫びということでご飯に誘ってくれました。
初めて向こうから誘ってくれたことがとても嬉しくて、私は終始笑顔だったと思います。
…………なんか、恥ずかしいです……
◇
新人くんの単独特攻があった日から幾日か経ちました。
どうやらあの件について新人くんはお咎めはなかったようです。彼が特攻したことで偶然にも彼が囮となり、結果として他の隊員たちの負担が減ったため、今回は処罰無しということらしいです。
そんな新人くんは昨日、初の夜間任務に出ていたらしいです。
しかもなんと、あのウイングダイバー部隊屈指のエリートチーム、スプリガン隊との作戦だったとお昼に会ったときに教えてくれました。
感想を聞いてみたら、
「うーん、作戦自体は楽だったんだけどねぇ……。ちょっと性格というか人当たりがあれだったからなぁ……」
そう言って新人くんは苦笑いを浮かべていました。
そのあとに彼は自然な表情で付け足して言いました。
「任務自体は楽だったけど、俺は君たちと一緒に行動する方が気が楽だから好きだな」
新人くんはそれだけいうとそれじゃ、と言って自室に戻っていきました。
彼が最後に言ったその言葉が嬉しくて、私は少しその場でニヤニヤしてしまい、通りすがった先輩たちに不思議そうな顔で見られました……
そんなことがあった日から少し経ったある日。
私たちイーグル隊は全員休暇をもらっており、皆で集まって他愛ない話をしてました。
そんなときでした。話の話題が、新人くんのことになりました。
「そういえばミソラ、お前あの新人と仲がいいんだっけ?」
「まぁ、仲はいいですけど……なんですか、またからかうんですか?」
前に夫婦とか言ってからかってきた先輩にジト目を向ける。
しかし、先輩は首を振ってそれを否定する。
「違う違う。今日、大型の偵察任務があるだろう?確かあの新人、任務のメンバーに選ばれていたが、なにか聞いているのかと思ってな」
───────え?
先輩のその言葉に、私は頭のなかが真っ白になりました。
その任務については聞いていました。
一夜にして現れた超巨大基地。それの偵察任務が本日あると。前情報がまったくない上、敵の基地への接近であるため、死亡の危険性がもっとも高いということも。
そんな任務に新人くんが参加していると聞いて、私は気が気でありませんでした。
「そ、そんな!新人くんはまだ経験浅いのにどうして……!」
「それはヤツがそれだけの戦果をあげているからだろうな。なんせあのスプリガン隊のメンバーですらヤツの実力を認めたほどだしな」
「私の見立てでは、あいつは既に小隊長レベルの洞察力と実力を持ってるんじゃないかと推測しているよ」
「というかミソラはあの新人のことになると反応が過剰だねぇ。やっぱり"そういうこと"なのかい?」
私の反応と異なり、なぜか焦りを全く見せずいつも通りに過ごす先輩たち。
その姿に私は少し怒りを覚えました。
「なんで、先輩たちはそんなに呑気にできるんですか?」
「いや、だってあの新人だぞ?フェンサーのくせに空を飛び」
「エイリアンを瞬殺し、怪物の大群や空爆のなか生き残るようなやつだぞ?」
「むしろどうやったらアイツが死ぬのか教えてほしいぐらいだよ、私たちは」
そう言って笑う先輩たち。その言葉に、どこか納得してしまう自分がいました。しかしやはり安心しきれない自分もいます。
そんな私の心情を悟ったのか、隊長が連絡用端末を操作しながら言いました。
「……ふむ。そんなに心配なら自分の目で確認してこい。ちょうど部隊が基地に帰ってきたそうだぞ」
「─────いってきます!!」
その言葉に私はその場から去り、全力でゲートの方へと向かっていった。
その時の頭のなかには新人くんの安否しかなかった。
「……いやぁ、青春してますなぁミソラのやつ」
「これは応援とからかい甲斐がありますねぇ」
「ほどほどにしてやれよ。……まぁ、ミソラが本気なら協力してやろう。あの新人ならミソラの相手として悪くないからな」
だから、後ろでそんな会話が交わされていたことを知るよしもなかったのです。
ちなみに新人くんは、ボロボロにはなっていましたが、元気な姿で帰ってきてました。
◇
ふふふ……!
今日はとてもいいことがありました!
なんと!新人くんとお互いに名前で呼び合うようになったのです!
きっかけは今日の任務でした。
今回の内容は山岳部での怪物の排除、及び怪物を転送してくる塔の破壊でした。
参加は軍曹たちレンジャーチーム、私たちウイングダイバーチーム、中堅レベルの実力を有するフェンサーチームに新人くんという大型編隊となりました。
作戦指揮は軍曹だったのですが、現場にてなんと軍曹が今までの実績から新人くんの考えを発表するように頼んだところ、
「……作戦自体はすごくシンプルです。敵が増える前に塔を集中狙いで破壊。それと並行するかたちで敵を殲滅するという作戦です。一応、遠距離狙撃用にキャノン砲は持ってきましたが……、俺が狙撃役になるとすると、皆さんに迎撃役を頼まなくてはいけません。なので、この作戦はあまりオススメできないというか……」
作戦の説明と共に欠点を述べた新人くん。
彼はきっと、この作戦が否定されると思っていたのでしょう。
しかし─────
「なるほど、いい作戦だ。流石と言わざるを得ない」
「いわゆる固定砲台ってやつか?」
「悪くない作戦だ。つまりはお前を護衛すればいい、ということだろう?」
各チームリーダー、いや、私含めて全員がその作戦に乗りました。
新人くんは信じられないと言った表情をしていました。
そんな彼に軍曹は諭すように言いました。
「お前の作戦は確かに危険だ。だが、危険のない任務など存在しない。それなら、確実性の高い方法を選ぶのが、EDFの戦士として正しい選択だ。俺たちは必ずお前を守ってみせる。だからお前は塔の破壊に専念してくれ」
「…………わかりました。ただ、俺も援護はします。そのために高高度から攻撃するタイプのミサイルを持ってきたんです」
「……そうか。なら、任せたぞ」
軍曹の言葉に覚悟を決めた新人くん。
それだけで雰囲気が変わり、なんか頼もしく見えました。
結果として作戦は大成功。
予定されていた作戦時間を大幅に短縮する形となりました。
皆に囲まれ、称賛の言葉を浴びせられている新人くんの姿を見て、私はこう思いました。
─────もう、新人くんなんて言えないな。
多くの隊員に頼りにされ、皆の期待となっている新人くん。
もう『新人くん』は似合わない。
今まで新人くんとずっと呼んできたため他の呼び方なんて考えたことなかった。
─────せっかくだし、この際だから名前で呼んでもいいかな……?
そんな考えが私の頭に浮かぶ。すると何故か少し緊張してくるのを感じた。
緊張をなんとか押し殺して、私は彼に近づく。
「お疲れさま。今日は大活躍だったね」
「そっちこそ、お疲れさま。俺はただ撃ってただけだからね。作戦が成功したのは迎撃してくれた他の皆のおかげだよ」
私が声をかけると、いつもの優しい雰囲気で彼が答えてくれる。
「ふふっ、いつの間にか新人くんも立派になっちゃったなぁ……。もう新人くんってのは合わないね」
緊張が先程より強くなっていく。
ただ彼と話しているだけなのにドキドキしてくる。
それでも、なんとか言葉を紡いでいく。
「……その、だから、これからはキミのこと名前で呼んでもいいかな……?キミも私のこと名前で呼んでいいからさ」
「……え、名前で?」
私の提案に不思議そうな声を出す彼。
それだけでさらに緊張が高まる。
「うん。もうキミも新人なんて呼ぶような存在じゃなくなってきたし、ね?……ダメかな?」
これで断られたらイヤだなぁ……。
なんて、不安になっていたけど、
「ううん。別に構わないよ」
彼はそう言って私の提案を快諾してくれた。
それだけで、さっきまでの不安は吹き飛んで、私の心はただただ嬉しさに満たされた。
「えへへ、よかった。それじゃあ改めて。……これからもよろしくね、"ソウゴ"くん!私のこともこれからは名前で呼んでね!」
私は笑顔で彼の名前を口にする。
すると彼───ソウゴくんも私の名前を呼んでくれる。
「えっと……うん。こちらこそよろしく、"ミソラ"ちゃん」
名前を呼ばれただけでまた私の心が嬉しさに包まれる。
私は、ソウゴくんの言葉に、とびっきりの笑顔で答える。
「うん!よろしくね!!」
私がなぜこんなにも彼に反応してしまうのか。
それに気が付くのはまだもう少し先のことです。
つづく
はい、というわけで今回はミソラちゃんの視点でお送りしました。
今回の話は主人公の視点では語られなかったことが多くあったかと思います。
こういう感じでこれからも何回か主人公視点では語られないシーンを書いていきたいと思います。
ちなみに次回はお待ちかね軍曹視点をお送りしたいと思ってます。
長くなりすぎないよう頑張ります!
早くもう一人のヒロイン出して修羅場りたい……!
とりあえず次の更新は週末を予定してます。
頑張りますので、応援よろしくお願いいたします!
それでは、またな!!
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Others View 【軍曹 その1】
師匠です!
気づけばこの作品もお気に入り2,000件突破!UAも50,000を越えるということになりました。
書き始めた当初はこんなことになるなんて思ってませんでした(笑)
今回は軍曹視点。
結構難産でしたので変なところがあるかもしれません。
その際ははっきりとコメントください。
直せるならその場で直しますし、修正が難しければ今後に生かします!
それでは本編どうぞ。
初めてアイツを見たときから、ヤツは何かを持っていると気づいていた。一体その"何か"がなんなのか、俺はすぐに知ることとなった。
自衛のためEDFの基本装備を渡し使い方を教えたあと、脱出のため基地内部を移動していた際のことだ。行く先々で怪物と遭遇、その度に駆除を俺たちは行っていた。
状況が状況なため、もちろんアイツも戦っていた。しかし所詮元民間人、戦うことに慣れていないのか危なっかしい姿を見せていた。だから俺もヤツのことを救助対象としか見ていなかった。
その考えが覆されたのは基地を出てからだった。
基地の外には内部より多くの怪物がおり、隊員たちと戦闘を繰り広げていた。もちろん俺たちも援護のため戦闘に参加した。その最中で俺は見たのだ。
ヤツが相手の酸を跳ね返し、怯んだ隙にスピアを撃ち込むその瞬間を。
その動きの無駄のなさに俺は驚かされた。
さらにヤツはスピアに搭載されているスラスターを利用し、相手の裏取りを許さない動きを見せていた。
それは、経験のない民間人にしてはあり得ない光景だった。
何より驚いたのはヤツの危機察知能力だ。
自分に関する危険はもちろんのこと、ヤツは近くにいる他の隊員の危険すら把握し、カバーを行っていた。
それをみた俺は確信した。
─────アイツは俺たちの
基地を捨ててからの戦闘でその思いは真実味を帯びてきた。
類い稀なる戦闘センスに、周囲の誰かを助けようとするその心意気。
こいつは必ず化ける。そう確信していた。
そしてその考えは見事当たることとなった。
アイツが正式にEDFの隊員として出ることになった初めての任務。ヤツは俺たちと共に戦場に出ていた。
全身をくすんだ金と黒の装甲で包んだヤツは、新人とは思えない雰囲気を纏っていた。
そしてそれは雰囲気だけではなかった。
ヤツはその初任務にて、今まで歩兵によって落とせたことのない敵輸送船を単独で落とすという快挙を上げたのだ。
作戦立案はあくまで俺だ。だが、そもそもその作戦はその場で伝えたとっさにのものであって、あらかじめ伝えていたわけではない。だから、対応できるような装備を持っていたヤツには驚くしかなかった。
それに、その作戦を実際に行えるかは本人の実力に関わってくる。それを踏まえていうのであれば、アイツはやはり切り札となる可能性を多分に含んでいるということだ。
俺は作戦を終え帰投するヤツの後ろ姿を見て、口元を緩ませるのだった。
◇
その後、ヤツの可能性に気づいた上層部は、多くの経験を積ませるため、あえて固定のチームには入れず、多種にわたるチームと行動させることとした。
その目論見は上手くいき、ヤツは数々の任務にて戦果を上げ、経験を積んでいった。
そんなヤツが精神的にも一皮むけたのは、二足歩行のエイリアンが初めて襲撃してきたときだった。
アイツが参加していたレンジャー部隊、デルタチームがエイリアンに囲まれた。
隊員たちはその前の戦闘にて戦力は減退、さらに疲労が残っており、とても勝てるような状況ではない。
その状況下でデルタチームが出した結論が、ヤツ一人を逃がすという選択だった。もちろんアイツはその結論をすんなり受け入れることはできなかった。だが、結果として、そうすることとなった。
アイツは隊員たちの思いの込められたドッグタグを持って一人合流地点へとやって来た。
俺は、アイツがまだ心に迷いを抱えていることに気がついていた。
どれだけ戦果をあげようと、所詮は元民間人。人が多く死ぬこの戦場はヤツにとって非日常な世界だろう。
だから、ヤツがここで挫けるようならば、戦場から下げてやるという考えを俺は持っていた。実際、何人か仲間の死によって心が壊れ、退いていったやつもいる。アイツの心が壊れきってしまう前にどうにかしてやろうという思いが俺にはあった。
だが、ヤツはそこで挫けることはなかった。
敵の殲滅作戦の途中までずっと迷いを抱えていたアイツは、目の前で失われそうになった一人の隊員の命を目にして、迷いを振り切った。
誰も予想してなかった、フェンサーの立体機動で瞬間的に隊員のもとへと移動したヤツは武器を構えていたエイリアンを反撃の隙を与えずに倒した。
そしてその後もその立体機動で敵を翻弄し、倒していた。その姿に多くの隊員が士気を上げ、結果、死者を出すことなく作戦を終えることができた。
そして帰投の途中、俺はヤツについて考えていた。
迷いはなくなった。だが、あの人間に酷似した生命体を躊躇いなく殺すその姿に、俺は不安を感じてしまった。いや、不安ではなく"危険性"、と言った方が正しいか。とにかく、迷いがなくなったことが良いのか悪いのか、俺は判断できなかった。
だが、そんな考えもすぐに捨てることになった。なぜなら、ヤツがウイングダイバーの一人と腕を組んで歩いていくのが見えたからだ。
楽しそうな表情をするウイングダイバーの隣で困ったような戸惑ったような表情を浮かべるアイツはさっきまでの不安を感じさせない、いつものアイツだった。
それを見て、俺は考えを改めた。
ヤツが危なくなりそうならば、その前に俺たちが手をさしのべてやればいい。あのウイングダイバーのように、ヤツに日常を与えてやればいいんだと俺は考えることにした。
「…………俺は俺でやれることをするか」
俺はそう一人呟くと、開発研究部へと足を向ける。
アイツのため、多種の武器の開発を依頼しに行くのだった。
◇
エイリアン襲撃の件で一皮むけたヤツは今まで以上の活躍を見せるようになった。
アイツと任務を共にしたやつは皆、「頼りになるやつ」「期待の新人は伊達じゃない」「ちょっとイカれてるけどいいやつ」などと口にしている。
多くの任務をアイツがこなしていく中、任務を共にした隊員たちの証言で、俺はヤツが戦果をあげている理由が一つわかった。
アイツはフェンサー最大の利点である武器の多様性を最大限に生かしているのだ。
フェンサー以外は基本的に武器を二つしか持つことはない。それ以上持つと行動に制限がかかってしまうからだ。
それに対してフェンサーはパワードスケルトンのおかげで左右に二つずつで2セット武器を持っていくことが可能だ。
だが、いくら多く持っていけるとしても使いこなせなければ意味がない。フェンサーの武器は種類が多く、組み合わせが豊富だ。しかし、使いなれない、と言った理由で武器を毎回固定にしている隊員がほとんどだ。上もそれを理解しているため、部隊ごとに装備を揃えさせている。
しかし、ヤツは違う。毎回任務ごとに武器の組み合わせを変えているのだ。ブリーフィングで得られる敵の種類や地形、それらの情報を考慮した上で武器を選択して戦場へ臨んでいるのだ。
戦いを始める前から有利にして動く、当たり前のことでありながら実行が難しい"理想"というやつをヤツは実行しているのだ。
多くの武器を使いこなすヤツは、順応性・適応性が他の人間よりずば抜けているのだろう。そう考えればあの実力にも納得できる。
だが、それがすべてよい方向へ向かっているわけではない。残念ながらヤツは悪い方向でも吹っ切れてしまったようだった。
その証拠が今日起こった事件である。
それは作戦を終えた複数の部隊が合流し帰投している最中のことだった。
海岸線沿いにて赤色α種が出現。現場の判断にて戦闘に移ろうとしていたその時だった。
突然ヤツが武器を構えて敵中心地へと特攻。アクティブとなった赤色α種とそのまま戦闘へと移ってしまったのだ。
普通に考えればこれは重罰行為である。
しかし、現場の隊員たちの証言からあれが度重なる無茶な出撃によるストレスの蓄積が原因だったらしいこと。そして、ヤツのその行動により敵のターゲットが分散し、戦いがスムーズかつ安全に進んだことにより、今回は特例で罰則はなしということになった。
だからといってなにもしないというわけにはいかないため、俺が付き添う形でヤツと作戦本部長での回線越しでの会合を行うこととなった。
会合自体は長くなく、今回の件についての注意とこれまでの功績についての話だけで終わった。
そしてヤツが去った後、残された俺と"あいつ"は親密に会話を交わす。
「軍曹、アイツは思っていたより普通のやつだな」
「どういうことだ?」
「いや、戦果や今回の件を聞き、俺はどんな戦闘狂が出てくるのかと想像していたが……どこにでも居そうな、そんな青年が来たものでな。少し拍子抜けしてしまったよ」
「確かに、これといって特徴のないやつだからな、アイツは」
俺と本部長はさっきまでいたアイツの姿を思い浮かべ二人して苦笑する。
「だが、アイツは英雄の素質を持っていると俺は思うんだ」
「……ほう、それはなぜだ?」
俺の言葉に本部長は純粋な疑問を抱く。
そんなやつに、俺は確固たる答えを口にする。
「───自分の命すら危うい極限状態の中、誰かを気にして助けようとする。そんなヤツが英雄になれないはずがないだろう?」
アイツは民間人の頃からそうだった。
戦いなんて経験したことがなく、その場の誰よりも恐怖を感じてたはずなのに、どんな危険な状況でも、それでも目の前で危ないヤツがいたら手を出してしまう、そんなバカみたいにお人好しなやつだった。
けど、そんなやつだからこそ、多くの仲間たちに認められ、愛されているんだろう。
俺の言葉に、一瞬虚を突かれたような表情をするやつだったが、すぐにフッと笑みを浮かべる。
「……そうだな。あの新人なら、俺たちを救う英雄になってもおかしくはないな」
「ああ、アイツはきっと俺たちにとっての
「……そうだな。近々、夜間任務があり、その作戦はスプリガン隊を向かわせようと思っている。あの新人にはそれに参加してもらおうと思うのだが、どうだ?」
「権限はお前の方が上だろう……。まぁ、ヤツならスプリガン隊と行動を共にしても問題はないだろう」
「そうか。ならそう通達しておこう」
こうして、ヤツのスプリガン隊との合同作戦の予定が決まった。
そして、任務後のスプリガン隊の報告から、俺の予想は正しかったことが証明されたのだった。
◇
今日、俺は確信した。
アイツは────ソウゴのやつは隊長としての資質さえ有している、と。
今日あった山岳部での作戦にて、俺はその判断を下すことになった。
久しぶりにアイツと作戦を共にすることとなり、いい機会だということで俺はヤツを観察することにした。
今まで聞いてきた情報通り、ヤツはブリーフィングの時点で色々考えているようで、考え込む表情になっていた。
俺は今回の任務がちょうどいい機会だと考え、現場にてやつに考えていることを開示するよう言った。
ヤツの考えていた作戦はシンプルだった。
固定砲台となる誰かがアンカーを攻撃し、こちらへと向かってくる怪物をその他の者で抑え込む、といった作戦だった。
ヤツはその作戦を最悪一人でも行おうとしていたのか、狙撃武器と殲滅武器をセットで装備していた。
しかし、実際に行われたのはヤツ一人を固定砲台として全員で護衛するという結果だった。
その結果、想定された作戦時間を大幅に短縮することとなった。
驚くべきは、ヤツの考えた作戦に誰も異を唱えることなく実行に移したことだ。アイツはまだ新人。にもかかわらず、ヤツの作戦に誰もが賛同した。それは相当の信頼がなければ実現しないことだ。
ずば抜けた戦闘センス。強い人助けの意識。高い洞察力。
それに加えて、周りからの強い信頼に作戦思案に長けた思考。
隊長としてやっていくために必要な要素が揃っていることに俺は気がついた。
「(これは…………ヤツに隊長を任せてみるのもありかもしれんな)」
多くの隊員に囲まれ称賛を受けるヤツを見て俺はそんなことを思った。
帰ったら、本部長であるあいつに、真面目に思案するよう提案しよう。今はまだ少し早いが、そう遠くないうちに、ソウゴのやつもチームを持つにふさわしい存在になるだろう。
そんなヤツの未来を想像しながら俺は基地へと帰投するのだった。
つづく
はい、というわけでお送りしました軍曹回。
結構詰め詰めで書いてしまったのでぶっちゃけ上手く書けてる気がしません……
そのへんご容赦願います。
個人的にゲームやってて、軍曹と作戦指令本部長が親しげな会話してたので、その辺を考慮して今回は書いてみました。
たぶんあの二人は同期かなんかなんじゃないかな?と想像しながら書いてます。
前書きでも書きましたが、お気に入り2,000件&UA50,000突破ありがとうございます。
今後も頑張って続けていきたいと思っております。
しかし、自分は4月から社会人として働き出すので、4月以降は更新がゆっくりになると思われます。
3月中に出来るだけ進めるつもりではいます。
そんな感じですが、これからもよろしくお願いいたします。
次回はやっと主人公視点に戻ります。
更新は水木辺りを想定しておりますので、お待ち下さい。
ご意見ご感想お待ちしてます!
ほんじゃ、またな!!
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#6 カッコつけたけど、実はめっちゃ相手すんの怖かったです…… 【ミッション24~25】
皆さんおはこんばんちは!師匠です!
水木あたりに更新と言っておいて結果金曜日になってしまい申し訳ありません。
大学卒業のかかったテストがあり、そちらの勉強をしていたので更新できませんでした……
今日、無事に終え、卒業確定しましたので、これで安心して更新できます(笑)
今回はちょっと原作と違いを出してみました。
それでは本編どうぞ!
M23 降下艇飛来
山岳部でのアンカー破壊作戦から数日。
戦況は決して優勢、とは言えないがそれなりに安定した戦いを行えるようになっていた。
どうやらそれも俺が行った戦法を基に行動を行った結果らしい。そう軍曹が教えてくれた。
いやいや、さすがにそれはない。
俺の戦い方なんて、所詮素人が考えたものなんだし、使えるわけないやん。
そんな感じのことを俺が言うと、軍曹はフッと笑って「お前ならきっとそういうと思った」って言ってきた。
いや、違うって。絶対勘違いだって。
やめてよ、ホントなんで俺の評価そんな高いの?まだ俺頭おかしいレベルの戦績あげてないでしょ?
……まぁ、助かってる人がいるなら何でもいいか(諦め)
そんな感じのやり取りがあったのがつい先日。
今日もミソラちゃんと朝食を一緒にしていた。
……というか、最近ほぼ毎日ミソラちゃんが俺のこと起こしにくるんだけどなんで?いや、美少女に起こされるのは嬉しいし、朝弱い方だからありがたいっちゃ、ありがたいんだけども。
そんなことを頭の片隅で考えつつ、目の前のミソラちゃんと会話を交わす。
「ソウゴくんは今日出撃?」
うん。市街地より少し先での哨戒任務だけどね。ミソラちゃんは?
「私はお休み。ここ3日間連続で出てたからね」
そういえばそうだったね。お疲れさま。でもだったら今日は俺起こさずにゆっくり寝てれば良かったのに……
「うーん、あんまり寝すぎるの私好きじゃないし……。それぐらいならソウゴくんとこうやって一緒にご飯食べたりお話しする方が有意義だと思ってるからね♪」
そう言ってはにかむミソラちゃん。
なにこの子ホント天使なんだけど……!
すさんだ俺には眩しすぎる……
そんなバカなことを考えながら、俺はミソラちゃんとのご飯の時間を楽しむのだった。
※
朝食を終えた後、俺は指定されたエリアにレンジャーチームと共に向かい、敵を殲滅。終えてからは二時間ほどかけてエリア内の哨戒を行った。
そして現時点での安全を確認でき、帰投しようとしたその時だった。
突然、情報部から通信が入った。
『エイリアンの揚陸挺を確認。市民が残る市街地に向かっています。付近にいる隊員は至急向かってください。エリアは───』
通達されたポイントはいま自分達のいるエリアから近いエリアだった。
通信を聞いたレンジャー部隊の隊長が声をあげる。
「聞いたな!幸いにもポイントはここから近い!急いで向かうぞ!」
「「「了解っ!!」」」
「いい返事だ!新入り!お前は先行して住民の避難を少しでもやっておいてくれ!俺たちもすぐに向かう!」
了解です!!
一瞬、一人で行かせんのかよ、と思ったが急を要する状況であるため、その言葉をグッと呑み込み、慣性ジャンプ(ブースターとスラスターの同時運用のアレ)を用いて一人、一足先に現場へと向かった。
現場に到着すると、既にEDFから連絡があったらしく住民の避難が始まっていた。
自分も避難誘導をしつつ周囲を警戒していると、レンジャーチームの隊員たちが到着した。
そして、それとほぼ同時にエイリアンの揚陸艇も目視できてしまった。
「クソッ、まだ民間人が残っているというのに……!総員、前進してエイリアンを食い止めるぞ!」
「民間人が救助を求めています!民間人の救助を優先させますか!?」
「厳しいことを言うが民間人は自主避難させろ!エイリアン以外には目もくれるな!」
隊長のその言葉と共にエイリアンの降下が始まった。
『まだ市民の避難が終わっていない!エイリアンをこのエリアで食い止めろ!』
「「「「了解!!」」」」
本部からの通信をきっかけに、エイリアンとの戦闘が開始された。
今回の自分の装備は、エイリアンとの戦闘を想定していなかったとはいえ、比較的安定した装備だ。
表には汎用性の高いスパインドライバーとシールドの組み合わせ、裏には機動用に新兵器のダイナモブレードと軽量迫撃砲だ。
想定外とはいえ、普段の戦闘時と大差ない兵装だったため、エイリアン相手に優勢に戦うことができた。
味方のレンジャー隊員の負担を減らすためにも積極的にエイリアンの相手をしていた。
なんとか努力したものの、カバーしきれなかった民間人が犠牲になってしまった。
その事実に耐えつつ、降下してきたエイリアンを殲滅すること二度。ようやく周囲の民間人の避難が終わった。
自分も、レンジャー隊員も疲労が見え始めてきた。
─────そんなときだった。
視界の先に、新たな揚陸挺が映った。
まだ来るのかよ……と辟易していると、俺はあることに気がついた。
─────揚陸艇内のエイリアンの色が違う……?
「揚陸艇3隻が、作戦エリアに侵入!」
「エイリアンの兵員輸送船が近付いています!」
『非常事態だ! エイリアンの大群が降下してくるぞ!』
本部からの通信と同時に、揚陸挺からエイリアンが降下。
ほとんどがいつものエイリアンだったが、数体は赤い体の個体が確認できた。
色が違う、だけならよかったのだが、残念なことに違うのは色だけではなく、手に持つ武器の形状も異なっていた。
……なんとなく。なんとなくだが、俺の本能があの赤いエイリアンに対してヤバイと警鐘を鳴らしている。
俺はその本能に従い、赤いエイリアンを警戒することにした。だが、赤いエイリアンのヤバさが想像を越えるものだということを俺は身をもって実感することとなった。
戦闘中、赤いエイリアンが武器を構えるのを視界の端に見た自分は、素早く眼前のエイリアンを倒し、赤いエイリアンに対してシールドを展開した。
─────その直後、シールド越しにとんでもない衝撃を受け、俺は大きく後方へと押し飛ばされた。
……っ!?なんだこの衝撃は……!?
かつてないほどの衝撃に驚きを隠せない自分。
装備の耐久値を見ると、今の一撃でシールドのゲージがごっそり削られていた。
シールドで受けたからよかったものの、こんなもの生身で受けたら洒落にならんぞ……!
ちょうど周りにエイリアンが存在しないため、建物の影に隠れ、シールドをリロードしつつ考える。
現在戦闘を行っているのは俺たちだけ。
増援は間に合わないのか、いまだ来る気配はない。
戦っているのは自分以外は全員がレンジャー。
機動性もなく、防御性もそこまで高くない。
そんなのであの赤いのの攻撃を受ければ、待ち受ける結末は簡単に想像できる。
対して俺は機動力もあり、防御性能もレンジャーに比べれば格段に上だ。ならば、俺が前衛として戦うべきなのだろう。
だが、その代わりに俺の死亡率が高くなる。
───もし攻撃から身を守ることができなければ?
───もし立ち回りをミスして背後をとられたら?
……決まっている。そのときは俺が死ぬ。
そんな恐怖が、俺の行動を阻害している。
そんな俺の脳裏にデルタチームの隊員たちの姿が浮かび上がった。
たとえ勝てないと分かっていても……、死ぬと分かっていても、未来のために最後まで全力を尽くした勇敢なあの戦士たちの後ろ姿が鮮明に浮かび上がる。
…………あぁ、俺はいったい何を悩んでいたんだ。
あの日、自室で自分は何を誓った?
手の届く限り、手を伸ばしたら届く人たちを助けると誓ったんじゃないのか?
今、共に戦っている人たちは手の届く場所にいるんじゃないのか?
そう考えた途端、急に体が軽くなった気がした。
死ぬのは怖い。けど、またあのときみたいに誰かを見捨てたらたぶん俺は俺じゃなくなってしまう。
だから─────
迫り来るエイリアンの頭をスパインドライバーで撃ち抜き倒すと、視線を赤いエイリアンへと向ける。
やつの視線の先には他のエイリアンと戦闘中の隊員たちの姿がある。
─────お前たちは、俺がここでブッ潰す!!
俺はそう叫び声を上げながら、赤いエイリアンへと背後から襲いかかっていった────
※
その後の話をしよう。
エイリアンの殲滅は無事完了。
負傷者は出たものの、奇跡的に死者が出ることはなかった。
俺が命がけで赤いエイリアンの囮をしたのが功を成した、と思いたい。
そんな俺は過去最大レベルのダメージを受けてしまったため、治療室へと運び込まれた。
赤いエイリアン相手に、うまく立ち回りつつ戦闘を行った結果、一人で三体を倒すことができた。
その代わりに、身に付けていたパワードスケルトンの耐久値が8割減少、ついでに攻撃を受け止めた際の衝撃で多数のアザや擦り傷を負っていた。
結果、パワードスケルトンの修復が終わるまで(予定では3日)作戦の参加不可、その間は自主訓練するように、との通達が来た。
一番やばかったのはミソラちゃんだった。
俺が治療室に運び込まれてすぐに駆けつけたミソラちゃんは、まず俺の安否を確認してきた。俺の無事が確認できると、ホッと一息つき、そのあとに経緯を聞いてきた。
…………おわかりだろう。
また無茶をした俺はめっちゃミソラちゃんに怒られました。
めっちゃ怖かったです……。
もう無茶しないように!と言われ頷いたけど、ゴメン、たぶんまた俺無茶すると思う。
そのときはまた怒られるんだろうなぁ……なんて考えつつ、俺は治療室を後にしたのだった。
◇
M24 再進撃
新種のエイリアンとの戦闘からはや数日。
パワードスケルトンの修復も終わり、俺はまたいつものようにプライマーとの戦いに戻っていた。
そして休暇をもらっていたある日のこと。
部屋でゆっくりしていると、通信用端末が鳴動した。
手に取り確認すると、軍曹からの連絡だった。
『休みの日にすまない。敵の大規模進行が再開された。休暇であることはわかっているが、お前に増援を頼みたい。引き受けてくれないか?』
※
軍曹からの要請に応え、俺は作戦参加を決めた。というか、ここで拒否なんか出来ないでしょう。
それでも命令ではなく嘆願なところが軍曹らしいというか……。
作戦参加チームにはミソラちゃんたちイーグル隊の面々の姿もあった。
ミソラちゃんは俺の姿に気がつくとビックリしたような顔になる。
おそらく、今日休みのはずの俺がここにいるからだろう。
「えっ、あれっ!?なんでソウゴくんがいるの!?今日は休みじゃ……」
そうだけどね、軍曹に頼まれたから参加することにしたんだ。あの人にはお世話になってるしね。
「そっか。なら一緒に頑張ろうね!……くれぐれも無茶はしないように!!」
りょ、了解……。善処はします……?
目が笑っていないミソラちゃんの笑顔に、ビビりながらも返事をする自分。
そこの先輩たち、笑ってないで助けてよ。
そんなやりとりをしているとブリーフィングが始まる。
戦況、敵の種類、エリアの状況など、詳しく伝えられる。
ブリーフィングを終えると、装備を整え、俺は戦場へと赴いた。
今回はいつものブラストホールスピアとイオンミラーシールドでワンセット、もうワンセットは機動装備としてスパインドライバーとガリオン速射機関砲で参戦した。
本当ならミサイルを使いたかったが、乱戦で味方を巻き込む危険性を考え、断念した。
ブラホシールドで対地、スパインガリオンで対空と対応させることにしたのだ。
作戦エリアの敵の数は尋常ではなかった。
とんでもない数のα種、赤色α種、β種、ドローンが視界を埋め尽くしていた。
しかし、戦い慣れ始めた相手である上、最近は複雑な動きをするエイリアンの相手ばかりして来たこともあり、難なく相手することができた。
α種は酸をシールドで跳ね返し、赤色α種はブラストホールスピアで貫き、β種やドローンはスパインドライバーとガリオン砲で処理していた。
作戦開始からすでに30分を越えた頃。
こちらの消耗が大したレベルではないのに対し、敵の数の減りが早かった。
そのためか、俺は少し油断していた。
眼前のβ種を倒し、振り返った瞬間、目の前に口を開けた赤色α種の姿があった。
─────あ、これダメだ。
咄嗟のことで反応できない俺の頭がそんなことを考える。
若干諦めが入った俺に迫ってくる赤色α種。その輝くキバで装甲ごと噛みちぎられる、そう思った瞬間だった。
「─────ソウゴくん危ないっ!!!!」
そんな声が響くと共に、目の前の赤色α種が弾けとんだ。
消え去った赤色α種のいた場所に、空からミソラちゃんが降下してくる。
「大丈夫!?ソウゴくん無事!?」
あ、あぁうん。おかげで無事だよ。
「よかったぁ……。隊長が「こっちはいいから、さっきから一人奮闘しているあの新人の援護に向かってやれ」って言うから来てみたんだけど、タイミングよかったみたいだね」
ゴメン、助かったよ。ありがとう。
……ちょっと油断してたわ。
「ううん、助けられてよかった…。まだ、戦える?」
当たり前。参加した以上は最後までやりとげるさ。もう油断はしない。一匹残らずブッ潰す。
「ちょ、ちょっと気合い入りすぎな気もするけど……いっか。今からは私がカバーするから、背中は任せてね!」
ああ、よろしく。前は任せてくれ。
「うん!コンビ結成、だね!!」
そう言ってミソラちゃんは笑う。
そんな彼女の笑顔に自然とこちらも笑顔になり、同時にこの子を守ろうという気持ちも湧いてくる。
そんなミソラちゃんの背後からβ種が糸を吐き出そうとするのが見えた。
俺は少し横に動くと、すかさずスパインドライバーで撃ち抜いた。
大丈夫?
「う、うん。ありがと!お話ししてる場合じゃなかったね。ちゃちゃっと倒しちゃおうか!」
ああ。そうだね!
ミソラちゃんと頷き合うと、同時に地を蹴り敵の殲滅を再開するのだった。
※
作戦開始からおよそ一時間経過したころ。
殲滅は順調に進み、残すはあと僅かとなった。
ミソラちゃんの援護が入ってからはそれまでより圧倒的優位に戦えるようになった。
俺が取りこぼしても、ミソラちゃんが確実に倒してくれる。そのためか、いつもより気楽に戦うことができた。
それでも一切の気を抜かず、戦い続けていた。そして、残るは眼前の赤色α種のみとなった。
「───これでっ!」
───トドメッ!
俺とミソラちゃんはアイコンタクトも言葉も交わすことなく、全く同時に最後の怪物へと攻撃を叩き込んだ。
二人の攻撃を受けた赤色α種は一撃で絶命。
レーダーからプライマーの反応が消え去ったのを確認した。
『敵の殲滅を確認!作戦終了だ!』
本部からの通信を聞き、現場に出ていた隊員たちが歓喜の声をあげる。
そんななか、単独回線で、本部長から俺に通信が回ってきた。
『よくやった。……地獄を見たな新入り。よく生き延びた。帰って休め。今日の分の休暇は別日に振り替えてやる』
それだけ伝えられると、通信は切れた。
皆が大規模進行を食い止められたことに歓喜するなか、ミソラちゃんがこちらへやってくる。
「ソウゴくんお疲れさまっ!」
ミソラちゃんもお疲れさま。援護、助かったよ。すごい戦いやすかった。
「私も戦いやすかったよ。ソウゴくん、私のこと気にしてβ種優先して倒してたでしょ?」
……なぜばれてるし。
「ふふっ、やっぱりね。だってβ種だけこっちに一匹も来ないんだもん。そりゃわかるよ」
まぁ、ミソラちゃんが危ない目に遭うのは嫌だからね……。
「……ソウゴくんのそういう優しいところ、私は好きだよ」
そう言ってはにかむミソラちゃん。
恥ずかしいのか、少し顔が赤くなっていた。
そんな彼女を見てると、こちらもなんか照れてくる。
そっか。まあ、ありがとうと言っておくかな……
「あれ?ソウゴくん照れてる?」
照れてません!そういうミソラちゃんこそ顔赤いけど?
「そ、そんなことないもん!ソウゴくんの気のせいだよ!!」
気のせい?
「そう!気のせい!だからこっち見ないで!!」
そう言って俺の視線から逃げるように俺の背中に引っ付いて隠れるミソラちゃん。
そんな彼女の姿が微笑ましく、笑みが浮かんでくる。
……ねぇ、ミソラちゃん。
「……なに?」
帰ったら、打ち上げしようか。
作戦終了と、一時的なものだったけどコンビ結成記念で。
「─────っ!うんっ!!」
俺の提案に元気よく返事を返すミソラちゃん。
顔は見えないけど、きっと笑顔でいるんだろう。その声からなんとなく想像できる。
他の隊員たちから帰投すると声をかけられたため、俺とミソラちゃんは並んでそちらへと向かう。
今日のこのミソラちゃんとのコンビが俺の人生を左右する出来事になるとは、このときはまだ、知るよしもなかったのだった…………
つづく
はい。というわけでお送りしました最新話。
再進撃のミッションは本来なら主人公とレンジャー隊員だけなんですが、この作品ではウイングダイバーを参加させてみました。
ぶっちゃけあのミッションレンジャーだけしか現場に出さないの鬼畜としか思えないんすよね……
そろそろソウゴくんに転機が訪れるかも……?
いったいどうなる主人公!
今後の展開に乞うご期待!!
次の更新は遅くとも水曜日には上げます。上げて見せます!!
ですので、お楽しみに!
感想、評価いつもありがとうございます。
これからも本作をよろしくお願いいたします!
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#7 俺に対するキチガイという評価をそろそろどうにかしないといけないな…… 【ミッション26】
師匠です!
今回はなんとか予定通りに更新出来ました。
今回の話は新展開?を迎えるかも……?
3/8 一部文章の修正。
M26 砲兵
敵の大規模進行の阻止から三日後。
つい先日ショットガンタイプのエイリアンが確認されたばかりだというのに、またしても新種のエイリアンが確認された、との情報が入った。
新たに確認されたエイリアンの武器は長距離狙撃タイプ。収束させたエネルギーを撃ち出すキャノン砲を有しているとのこと。
このロングレンジタイプのエイリアンの攻撃により、前回の作戦エリアは壊滅状態に追いやられたらしい。
今までの尖兵のような前衛とは異なる、明らかに後衛タイプのエイリアンの登場に、誰もが言葉をなくす。
街一つを壊滅に追い込むほどの威力を誇る攻撃、そんなものを受けたらたとえ堅牢な装甲を持つフェンサーですら耐えられるかわからない。
そんな、新たな脅威に誰もが恐怖を感じる中、自分のもとにとある作戦への参加要請が来た。
このタイミングで来る時点で嫌な予感しかしなかった。そして、その予想は当たっていた。
───砲兵タイプエイリアンの撃滅作戦。
それが、俺に要請された作戦の内容だった。
参加は強制ではない。そう軍曹に言われたが、ぶっちゃけ俺に断る気はなかった。
別にスリルを求めてるわけではないし、自殺願望があるわけでもない。
ただ、放っておいて、更なる犠牲が出るのが嫌なだけだ。
そんなわけで作戦への参加を伝えると、軍曹は真剣な顔でただ一言、
「そうか。……死ぬなよ」
とだけ言うと、俺の作戦参加を上に伝えるため、去っていった。
この作戦に参加することはミソラちゃんに黙っていようと思ったのだが…………
「───ソウゴくん!?新型エイリアンの撃滅作戦に参加するってホント!?」
…………なぁんでバレてるんですかねぇ?
軍曹以外、誰にも伝えてないはずなんですけど……?
そんなことを考えていると、ミソラちゃんの後ろからイーグル隊の隊長が近づいてきた。
「私が教えたんだ。撃滅作戦の参加メンバーの一覧が公開されたから、知ってるやつがいないかと確認してみたところ、お前の名前があったのでな。ミソラに伝えてやったんだ」
そ、そうっすか……
予想外の情報の入手方法に、俺は顔を若干ひきつらせる。
視線をミソラちゃんに向けると、彼女は不安そうな顔をしていた。
「ソウゴくん、本気なの?」
……うん、まぁね。
「危ないんだよ?まだ全然情報ないし……」
知ってるし分かってる。それに情報無い状態での戦いは基地偵察のときに経験してるから。
「……命令、じゃないんだよね?怖くないの?」
うん。俺が自分自身の意思で決めたことだ。
ぶっちゃけ、戦うのは今でも怖いし、すごく逃げたくなることがよくある。
「じゃあ、なんで……?なんで参加するの?」
……戦うのは怖いし、死ぬのも怖い。
けどさ、ここで俺が逃げたら他の誰かが参加することになる。それでその人が死んだら、俺は多分耐えられない。
だから、これは俺の自己満足。
自分が苦しみたくないから、それを避けるために戦うんだ。
ミソラちゃんには心配かけちゃうと思うけど、ゴメン。
俺は決めたんだ。もう逃げることはしない、って。
そう言って真剣な目でミソラちゃんと向かい合う。
ミソラちゃんは、そんな俺の姿に少し迷うような素振りを見せると、腕につけてたブレスレットを外す。
そして、それを俺へと渡してくる。
「……そんな覚悟があるなら、私にはもう止めること出来ない。だから、せめて約束だけしてほしい。絶対に!絶対に帰ってくるって……。このブレスレット、ソウゴくんに預けるから、必ず返しに来て……。約束、してくれる……?」
…………ああ、約束しよう。
必ず帰って来て、ブレスレットを返しに来るよ。
俺はそう言ってミソラちゃんからブレスレットを受けとる。
「……約束だよ?まだまだ話したいこと、たくさんあるんだからね!!」
……うん。ありがとう。
ここまで俺のことを心配してくれるミソラちゃんに申し訳なさと嬉しさが込み上げてくる。
気づくと、ブリーフィングが始まるまでもう少しになっていた。
……もうすぐブリーフィングの時間か。
ゴメン、そろそろ行くね。
「……うん。頑張ってね、ソウゴくん!」
ありがとう。行ってくる。
そうミソラちゃんと言葉を交わし、俺はブリーフィングルームへと向かったのだった。
※
ブリーフィングにて、確認された情報や予測から、大まかな作戦が立てられた。
作戦エリアに確認されたのは砲兵タイプのエイリアンのみ。
そしてその砲兵タイプのエイリアンは武器が大きく取り回しが悪いため、おそらくだが近距離戦には弱いとの推測がなされた。
よって、エイリアンを確認し次第、足元まで接近。至近距離からの攻撃で相手を倒す、というのが今回の作戦となった。
この作戦を行うに当たって、俺は単独での遊撃を任された。今のところ、あの慣性ジャンプを使えるのは俺だけらしく、ついていける隊員が存在しないため、こういう措置となったらしい。
もはやソロでの行動は慣れてきたものもあり、その役目を俺は快く了承した。
作戦を実行するために出撃し、エリアへと到着した俺たちは、その壊滅した街の姿に言葉をなくした。
ボロボロに崩壊した街、その先にはライフルキャノンを構えたエイリアンが我が物顔で立っている。
そんなヤツらを睨みつつ、俺は頭の中でこの作戦中の行動を再度浮かべる。
───今回の作戦で俺が重要視するのは二点。
一つ、いかにして早くエイリアンの足元に到達するか。
一つ、到達してからどれだけ早くエイリアンを倒せるか。
この二つが俺が生き残るための重要なポイントだ。
この条件をクリアするため、俺は脳をフル回転させ、装備の組み合わせを考えた。その結果、
移動兼迎撃用に、スパインドライバー+デクスター自動散弾銃。
瞬間殲滅撃破用に、フラッシングスピア+タワーシールド。
補助装備に、マルチチャージャーとバリケードシステム。
という組み合わせになった。
マルチチャージャーはこれ一つでジャンプとダッシュを強化する新システムだ。連続使用できる回数が減ってはいるが、補助枠が一つ空くのはとても有効である。
そしてバリケードシステム。これはシールドの補助として機能し、一体どういう理屈かわからないが、相手の攻撃をシールドで受けた際のノックバックを低減してくれるというものだ。
今回ほど、普段からフェンサーの装備カタログを見てて良かったと思ったことはない。おかげで戦術の想像が楽だった。
『参加チーム、砲兵への接近を開始しろ!やつらを生きて返すな!』
「「「「Yes,Sir!!」」」」
本部からの作戦開始の声を聞き、全員が動き出す。
俺も、スパインドとデクスターを構え、立体機動の用意をする。
───さて、それじゃあ、ちゃちゃっとやっちゃいましょうか!!
※
本部の見立ては正しく、砲兵タイプは接近戦には弱かった。ただ、全く対応出来ないというわけではなく、反応が間に合えば撃てる程度には接近でも戦えていた。
この作戦では俺は無事だったもの、離れた場所で戦っていた隊員数名と、タンク部隊の半数が犠牲となってしまった。
だが、目的はしっかりと果たし、砲兵タイプの殲滅を完了、更に敵のデータの収集もすることができた。
帰投した俺はミソラちゃんに預けられたブレスレットを返しにいった。
その際に感極まったミソラちゃんが抱き付いてきて、それを見ていたイーグル隊の面々にからかわれたのはもはや慣れた光景である。
……慣れたくなかったけどね!
そんなことをしている俺たちのもとに、軍曹がやって来た。
「無事帰ってきたみたいだな、ソウゴ」
あ、はい。なんとか帰ってこれました。
「ふっ……、なんとか、か。相変わらず謙遜が過ぎるな、お前は。聞いたぞ、お前の活躍」
「……ソウゴくん、どんな活躍したんですか?」
軍曹の言葉が気になったのか、ミソラちゃんが詳細を訊ねる。
「今回、ソウゴが担当したエリアで確認された砲兵タイプの総数は24、うちソウゴが倒した数は何体だと思う?」
「えっと……5体ぐらいですか?」
「いいや、─────10だ」
「「「「えぇっ!?」」」」
────ふぁっ!?嘘でしょ?そんなに倒したっけ!?
「一人で敵のおよそ半数を倒した。それだけでも十分な功績だが、まぁそれは許容範囲内だ。……だが今回、お前はそれが霞むほどのことをしていると気づいているか?」
軍曹のその言葉に、ミソラちゃんたちが視線をこちらに向けてくる。
えっ、俺って何かしましたっけ……?
「したさ、とんでもないことをな……。相手の砲撃をシールドに搭載された"ディフレクター"で跳ね返す、といった破天荒な所業をな。そんなこと、お前以外誰も思い付かないし、思い付いてもやろうとはしないだろう」
そんな、俺が頭おかしいみたいな言い方しないでくれます!?
「ごめん、ソウゴくん。これは私も擁護できない」
あっれ!?ミソラちゃんまで!?
いや違うんですって!あれは咄嗟にやったことなんですよ。こう、やばい!と感じて本能的に……!
「お前がそう言うなら、そういうことにしておいてやろう……」
そう言ってニヒルに笑う軍曹。
いや、そういうこともなにも、事実なんですけどぉ……
俺がそんなことを考えていると、軍曹は何かを思い出したような仕草を見せる。
「ああ、そうだ。そういえば最近、エアレイダーの隊員で将来有望なやつを見つけたんだ。お前ほどぶっとんではいないが、それなりに規格外なやつだから、案外気が合うかもしれんな」
だから俺をキチガイ扱いするのやめて!!
というかそんなヤバイんですか?
「ああ、何せ最近確認された高速で動く赤いドローンをエアレイダーのスナイプガンで全て落としたのだからな。それ以外にも無人偵察機を用いた的確な爆撃や航空支援の指示、コンバットフレームによる戦闘など活躍の話がたくさん聞こえてくるほどだ」
「ああ、その話なら聞いたことがあるな……。なるほど、確かにまるでエアレイダー版のお前みたいだな」
「もしかしたら、そのうち作戦が同じになるかもしれんな。その時は、お前たちの動きに期待させてもらうぞ」
そう言うと、軍曹は俺たちのもとを去っていった。
軍曹の言っていた"そのうち"。
それは割りとすぐに訪れるのだった……
つづく
はい、お送りしました第8話。
新たな存在ソウゴくんエアレイダーバージョン。彼が今後どう関わってくるのか、見ものです。
本来ならそのエアレイダー登場まで書くつもりでしたが文章量が増えそうなのと時間がやばそうだったので分割しました。
そっちのほうは金土ぐらいにアップします。
UA80,000突破ありがとうございます!
今後も頑張っていきますので、よろしくお願いいたします!
ご意見ご感想お待ちしております!
それでは、またな!!
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#8 実はエアレイダーでの爆撃に憧れる自分がいます 【ミッション29】
師匠です!
金土に更新するって言いましたがさすがに3日じゃ無理でした(笑)
というか土曜日フルでバイトだから書く暇なんてなかった……
今回はついにあの役職が登場……!
楽しんでください!
M29 アイアンウォール
───それは、突然やって来た。
とある休暇の日の朝、自室で休んでいた時のことだった。
部屋で横になっていると、急に館内放送で警報音が鳴るとともに、放送が入った。
『─────基地内にいる出撃可能な全隊員に次ぐ!至急、大型ブリーフィングルームへと集合されたし!繰り返す、基地内にいる────』
え、何事!?これってもしかして緊急召集!?
突然の事態に若干驚きつつも、EDF制服のジャケットを羽織ると、部屋を出て指定された部屋へと向かう。
途中、俺と同じく休暇だったらしいミソラちゃんと出会った。
「あ、ソウゴくん!放送聞いた!?」
うん、ばっちり。
「これって緊急召集だよね。……何事だろう?」
わかんないけど……、少なくとも今までで最高にヤバイってことだけはわかるよ。だって、いままで使ったことの無い、大型ブリーフィングルームへの召集だ。最高規模の作戦になることは間違いない。
「そう、だよね……」
俺たちは、それ以上会話を交わすことなくただ無言でルームへと向かうのだった。
※
エイリアンの超大型進行。
それが今回の召集の理由らしい。
敵はアサルトタイプ、ショットガンタイプのエイリアンが確認されている。
ただし数が過去最高で、現時点で24体確認されている。さらに上空には揚陸艇も小さくだが確認されているため、追加は確実である。
エイリアンの進行先には未だ避難の終わっていない民間人が多く存在するため、その手前に自分達が展開し、進行を食い止めるというのが今回の作戦らしい。
今回の作戦は過去最高規模のものとなる。作戦指揮は軍曹が務めるらしい。
「今回の作戦は過去にないほどの苛烈さを極めるだろう!守るべき場所は広く、敵は多い。後ろには多くの民間人が控えている。俺たちは鋼の壁となり、彼らを守らなければならない!……作戦名は『アイアンウォール』。全員死ぬ気で、だが死ぬことなく帰ってくるぞ!いいな!!!」
『Sir!Yes,Sir!!!』
軍曹の号令に作戦に参加する全隊員が声を揃えて返事をする。
「作戦は各隊ごとに動け!それから、───ソウゴ!"リク"!お前たちはこっちに来い!」
軍曹に呼ばれ、俺ともう一人、"リク"と呼ばれた青年は彼のもとへと向かう。
「ソウゴ、リク、お前たち二人は特定の部隊に属していないため、俺の指揮下に入ってもらう。……と言っても現場では基本的に自由に動いてもらって構わん。そっちのほうがお前たちは実力を発揮できるだろうしな」
「あの、軍曹……。もしかしてこの人が……?」
リクと呼ばれる青年が俺のほうに視線を向けつつ軍曹に訊ねる。
「ああ。……お前たちは会うのが始めてだったな。ソウゴ、こいつが前に言っていたやつだ」
前に言ってたって……、あの将来有望なエアレイダー、ですか?
「そうだ。お前と同じでその実力から特定の部隊に所属しない特例のやつだ。リク、自己紹介しろ」
「はい!はじめまして、エアレイダー隊員のリクと申します!今回の作戦ではよろしくお願いいたします!」
あ、うん。よろしく。
「そして、リク。もう知っていると思うが、こいつがかの有名なフェンサー、ソウゴだ」
「ソウゴさんの噂は聞いてます!お逢いできて光栄です!」
待って、なんでそんなにキラキラした目を向けるの!?やめてくれ!!
俺がリクくんから向けられる尊敬の眼差しに怯んでいると、軍曹が俺たち二人に指示を出す。
「さっきもいった通り、お前たちは建前上俺たちの部隊の一員として扱うが、基本的に自由に行動してくれて構わん」
は、はぁ……。いいんですか、それで?
「そっちのほうが行動しやすいだろう。二人でコンビを組んでも構わんし、それぞれで動いてくれても構わん。派手なことをする際だけ教えてくれ」
そう言うと、軍曹は自らのチームの隊員たちとともに去っていく。
残された俺とリクくんは二人顔を見合わせる。
「……どうします?」
どうしようかねぇ……?
揃って困ったような表情を浮かべる俺たち。
そんなとき、俺は前に軍曹が言っていたことを思い出す。
そのことと、今回の戦闘エリアを考慮し、ある考えが頭に浮かぶ。
……ねぇ、リクくん。
「はい?なんですか、ソウゴさん」
俺の呼び掛けに反応したリクくん。そんな彼のほうを向くことなく、俺はモニターを眺めながら悪い笑顔を浮かべながら、ある提案を持ちかける。
───俺にいい考えがあるんだけど、ノッてみない?
※
作戦エリアに到達したEDFの部隊は素早く展開。エイリアンの迎撃体制を整えた。
視線の先にはすでにエイリアンが確認されている。
『作戦の最終確認だ。基本的にはタンクとフェンサーで敵の進行を押し留め、狙撃部隊がエイリアンを処理する。残りのものは上手く立ち回りつつ敵を殲滅する。以上だ!』
『現時点で揚陸艇が3隻確認できます。敵の増援は確実だと思ってよいでしょう。……健闘を祈ります』
本部と情報部からの通信に、戦場に立つ隊員たちの間に緊張が走る。
そして、全隊の準備完了を確認した本部が、作戦開始の令を飛ばす。
『これより、アイアンウォール作戦を開始する!!総員、生きて帰ってくることを目標にしろ!!』
『『『『Sir!Yes,Sir!!』』』』
『総員、戦闘開始だ!!』
本部の掛け声に、雄叫びを上げるEDF隊員たち。
そんな彼らの上空を高速で横切った飛行機が"何かを落とした"。
落ちてきた物体は、こちらへと前進してくるエイリアンの周囲へと落下し、そして──────
──────ドゴォォォォォォォォン!!!
真っ赤な火柱とともに、周囲に轟音が鳴り響いた。
エイリアンたちはその爆発に巻き込まれ、直撃したものは即死、それ以外のものたちも部位欠損が起こっていた。
開幕早々に起きた事態に誰もが唖然とするなか、いち早く状況を理解した軍曹が声をあげる。
「今のは……爆撃機からの支援……。ということは、リクか!!」
軍曹はそう声をあげると、後方に待機するリクへと視線を向ける。
当事者であるリクは、無人偵察機からの映像を確認しながら軍曹の問いかけに答える。
「はい。今のは僕が要請した爆撃機からのナパーム弾の投下です。開幕爆撃によるエイリアンへの撃破と同時に、炎での敵の分断を目的とした攻撃です。……と言っても、考えたの僕じゃないんですけどね」
「何……?ということは……ソウゴか!!」
そこですぐに俺の名前が出てくる辺り、軍曹の中で俺の評価ってそういうことするやつってことなんだ……
そんな俺の内心を知らないリクくんは誇らしげに肯定の返事をする。
「はい!ソウゴさんと僕の合同の作戦です。……ソウゴさん!敵の分断を確認しました!現場の皆さん、位置情報を送ります!」
リクくんの操作する無人偵察機がサーチした敵のマーカーが届く。
確認すると、集まっているエイリアンたちが前方と後方で上手く別れているのが敵マーカーから見てとれた。
「それでソウゴ。お前が考えた作戦というのはどういうものだ?」
軍曹が作戦内容が気になるのか俺に声をかけてくる。しかし、作戦の都合上、"俺に説明をしている暇はない"。
「ソウゴさん!僕が説明しておきます!ナパームの効果が切れるまで残り時間が少ないです!行って下さい!!」
俺に時間がないことを理解しているリクくんがそう声をあげる。
俺はリクくんにありがとう、と告げると移動用装備のダイナモ&軽量迫撃砲を構え、慣性ジャンプにてその場を離れる。目指すは炎によって分断されたエイリアンたちの後方。
エイリアンにとっては通る隙間もない炎の壁も、俺たち人からすれば隙間だらけの柱の群でしかない。その隙間を縫って、俺は単身分断されたエイリアンたちの殲滅へと向かったのだった。
内心、もしかしてこういうのがキチガイ扱いされる所以なのだろうか、という疑問を抱きながら……
※
アイアンウォール作戦はコンバットフレーム、タンクの半数以上が大破、隊員たちもフェンサー部隊がパワードスケルトンの大幅損傷という結果になったが、死者は出ることなく作戦を終えることが出来た。
途中、敵狙撃兵が出てきたときは軽くパニックになったものの、その可能性を伝えておいたリクくんの声かけによってなんとか持ちこたえ、大きな被害が出る前に優先的に倒すことで事なきを得た。
一人最前線へと向かった俺は、複数のエイリアンを相手に、上手くビルなどを背にしてフラッシング&タワーシールドで殲滅をしていた。
途中増援が来たときはダイナモで手足を落とし、迫撃砲で殺る、という方法で敵を倒していた。……今更ながらえげつないことしてたな、俺。
リクくんの空爆支援を受けつつエイリアンとの戦闘を行い、作戦終了まで戦闘を続行した。
そんなこんなで無事に帰ってきた俺が今何してるかと言うと……
「……聞いてる?ソウゴくん?」
ミソラちゃんからの説教を受けております。
なぜこんなことになっているのか、簡単に話しますと……
・俺が去ったあとリクくんが軍曹に作戦を説明する。
・それがオンになっていた通信から全員に通達される。
・ミソラちゃんに危ない作戦してたのバレる。
以上がことのあらましになります。
作戦終了時にいつもなら声をかけに来るミソラちゃんが来ないなぁ……と思っていたら帰投しパワードスケルトンを返却したところを捕獲、連行されました。
「……ねぇ、ソウゴくん。私いつも言ってるよね?あまり無茶なことはしないで、って」
……はい。
「じゃあ今回のは何なの?一人で敵のど真ん中に突っ込んでいくのは無茶に入らないの?」
えっと、その……
「ソウゴくん、なんで人に頼るってことをしないの?なんか最近のソウゴくん見てるとなんでも一人でやろうとしてない?」
………………
ミソラちゃんの言葉に俺は何も言えなかった。その言葉が、あまりにも核心をついていたからだ。
確かに、最近……というか割りと最初の頃から、俺は一人でなんでもやろうとしていた気がする。特に、デルタチームとのことがあってから、尚更に。
今、ミソラちゃんに言われてその異常な精神に気がついた。
何も言えない俺を見て、ミソラちゃんが少し寂しげな表情を浮かべる。
「ソウゴくんが人を頼らないのは決まった隊に属していないからなのかな……?」
……どうだろうね。俺もわかんないや。
自分の思いを素直に吐露する。
ミソラちゃんはそんな俺の手を取ると、しっかりと目を合わせてくる。
「……皆に、なんて言わない。けど、せめて同じ作戦のときは私のことを頼ってほしい。……私じゃ、頼りないかな?」
そんなことはない。俺は何度もミソラちゃんに助けられてるよ。
「……だったら、これからは頼ってね?ソウゴくんとはまだお別れしたくないよ……」
そう言って悲しげな表情を浮かべるミソラちゃん。
そんな彼女に、俺ははっきりと告げる。
……約束するよ。今後はちゃんとミソラちゃんたちを頼る。……俺もまだミソラちゃんたちとは一緒にいたいからね。
「約束、だよ?」
うん、約束。
俺とミソラちゃんはそう言うとお互いに小指を出し、指切りを交わしたのだった。
※
ミソラちゃんとの約束を交わしたあと、端末に軍曹から連絡があり、部屋に来るようにとの通達を受けた。
俺は今回の作戦で怒られるのかな……と戦々恐々としながら軍曹の部屋へと向かった。
しかし、そこで伝えられたのは全くもって予想外のセリフだった。
「ソウゴ。お前には小隊の部隊長を勤めてもらうことになった」
─────わっつ?
つづく
【本編捕捉】
リク
エアレイダー所属の青年。
年齢はミソラちゃんと同じぐらいで考えているのでだいたい22ぐらい。
ソウゴと同じく将来性に見込みがあるため派遣隊員として戦場に立つことが多い。
名前の由来はコンバットフレームやタンクなど陸戦兵器が多いことから陸→リクです。
ソウゴとの今後の活躍に期待!
この作品ではエアレイダーはあらかじめ支援を決めておき、上空で待機している支援機から指定した時のみ支援が来る、という想定で物語は進んでいきます。
手持ち武器は無限弾丸ですけど(笑)
次の更新は、木金辺りだと思います。
頑張りますのでこれからも応援よろしくお願いいたします!
それでは!!
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#9 テメーのあの砲撃、俺は絶対に忘れねぇからな!【ミッション30~31】
師匠です!
まずは謝罪を。
一週間以上更新滞ってしまい申し訳ありません!
先週は卒論のデータ整理や就職先の説明会の補助、就職先へ提出する資料の作成やバイトなどで時間がとれず、月火で仕上げようと思ったら、月曜の夜に38℃の発熱。インフルエンザではなかったものの、今週末が大学の卒業式なため昨日今日と安静にしてました。
そのなかでうまく時間使って書き上げたので、若干不安があります。
変なところがあったらご指摘ください。
今後は活動報告に色々書いていきますので、たまに目を通していただけると助かります。
それでは遅れに遅れた最新話、どうぞ。
M30・31 前哨基地破壊作戦 プランA・B
EDF基地内。
その中の自室へと向かう廊下を俺は呆然とした様子で歩いていた。
頭のなかで、先程の軍曹との会話の内容がずっとぐるぐるとしている。
───「お前には小隊の部隊長を勤めてもらうことになった」
唐突かつ衝撃的なその言葉に、俺の脳が活動を停止させる。
え、いまこの人何て言った?俺に部隊長をやらせるとか言ってなかった?
俺がなにも言わずに固まっていると、軍曹はフッと笑い口元を緩める。
「そう固くなるな。別に今すぐに、というわけではない。今はまだ一緒に組ませる隊員を選んでいる最中だからな」
軍曹の今すぐではない、という言葉に若干安堵するも、部隊長をやるということが現実であるということを認識し、気分が落ち込んだ。
俺が部隊長って……さすがにまだ早いんじゃないですか?だってEDFに入ってまだ一年経ってない新兵に毛が生えたようなもんですよ?
「普通の新兵に毛が生えた程度のやつは、単独でエイリアンの群れに突っ込んだりはしないし、ましてやそれで生き残るなんてことはない。お前は相変わらず自己評価が低いな」
俺の言葉に軍曹が呆れ返った顔をする。そう言われると、何も言えないんですけど……
「これは俺と本部長、そして今までお前と作戦を共にしてきた隊員たちの意見を総じた結果だ。紛れもない、お前の活躍に対する評価なんだ。……それに、今は状況が状況だ。少しでも勝利の可能性が高くなるならその方法を選ぶ義務が俺たちにはある」
…………ちなみに、いつからになるんですか?
「そうだな……。すぐにではとは言ったが、そう遠くもないだろうし、おそらく一ヶ月以内には決まるだろう」
一ヶ月……ですか……
「あくまで目安だがな。それと、リクはお前のところに配属されるのが決まっているから、今後の作戦は一緒のチームとして行動してもらうからな」
あ、はい。了解、です。
「話は以上だ。時間をとらせて悪かったな。下がっていいぞ」─────
自分が小隊長になる、その事実に未だに実感が湧かないでいる。
地球が異星生命体プライマーの侵攻を受けたのがおよそ9ヶ月前。襲撃以来少しずつだが被害が生じているため、いまは急を要している、と理解はしている。だが、いざそれをやれと言われると不安になる。
部隊長になる。それはつまり仲間の命を今まで以上に背負う立場になる、ということだ。
────俺に、そんな役割が果たせるのだろうか……
あーだこーだと色々考えるも、結局答えはまとまらず、結果なにも変わらないまま自室へとたどり着いた。
……とりあえず今日は寝よう。まだ一ヶ月あるんだ。じっくり考えよう。
そう結論付け(現実逃避ともいう)、俺は作戦で疲れた体を休めるのだった。
◇
アイアンウォール作戦成功からあまり日を跨がずして、新たな大型作戦が実行されることとなった。
─────前哨基地破壊作戦
そう、かつて俺がプラズマ砲の衝撃波で吹き飛ばされたあの作戦の相手である。
今回の作戦は基地に接近し敵を一掃。安全を確保できてから工作班によって爆弾を設置し破壊工作を行う、といったプランA。もしもプランAが失敗した際は、重戦車タイタンにて基地の破壊を試みるというプランBの二段構えの作戦である。
現在、作戦エリア周辺には砂嵐が発生しているため、それに紛れる形で基地へと接近することで、敵に察知されることなく近づくことを理想としているらしい。
作戦は三チームに別れて行われ、右側をフェンサーチームが、左側をレンジャーチームが受け持ち、後方で爆破チームとプランBの部隊が待機する、という編成らしい。
そのなかでも俺とリクくんは左側を担当するレンジャーチームと行動を共にするようだ。
「君たちが一緒なのか……、心強いな。アイアンウォールでの活躍はこの目で見させてもらった。頼りにしてる。今回はよろしく頼むぞ」
はい、こちらこそよろしくお願いいたします。
作戦を共にするレンジャーチームの隊員たちと会話を交わし、行動についての話し合いを行った。
そして、その後は武装を手に、作戦へと向かうのであった。
※
作戦エリアに発生している砂嵐は想像以上の濃さで、ほんの数メートル先すら見えないほどであった。
今回はレンジャーチームの護衛をメインとしているため、高機動の組み合わせではない装備を選んだ。
表にはブラストホールスピアとディフレクションシールド、裏にはブラッドストームとガリア重キャノン砲を装備してきた。
ぶっちゃけ、この砂嵐のなかで誘導装置が有効なのか不安だったが、さっきから問題なく使えている辺り、この選択でよかったと思われる。
レンジャーチームと共に砂嵐のなか、敵を駆除しながら基地へと接近していく。
作戦開始から30分ほど経過した頃だろうか……。α種、ドローン、コロニストを処理しつつ接近していると、右側を担当していたフェンサーチームからテレポーションシップを発見したとの報告が入った。
さらに、その通信が入ってすぐに周囲の砂嵐が晴れ始めてしまい、こちらの姿が相手へとさらけ出されてしまった。
しかし、それは相手も同じこと。砂嵐が晴れたことによって、今までブラッドストームしか使えていなかったが、相手を目視することが可能である今なら他の武器も使用出来る。
俺は素早く武器を持ち換えると、接近してきたドローンに向けてスピアを打ち出し撃墜する。
リクくんもスナイプガンを取り出し、敵の処理を行い始めた。
結局、砂嵐が収まったところでやることはいつもと変わりなかったのだった。
※
エイリアンの増援やβ種の出現などを乗り越え、ついに俺たちは基地の付近にまで接近することに成功した。
周囲の敵もほぼ殲滅が完了し、あとは爆弾を設置するだけとなったときだった。
突如、基地周辺に大規模な地震が発生した。
「この振動はなんだ?」
「おい!……動いてるぞ!基地が、動いてる!」
そう、誰かが叫んだ通り、前哨基地が足を生やし、動き始めたのだ。
こんな事態は誰も想定できていないし、予想も出来るはずがない……!
「爆破どころじゃないぞ!」
「まだ設置が途中だ!」
「危険だ! 下がれ!」
「後退ー!」
「爆破チーム、退避する!」
順調に進んでいた作戦がたった一手で覆されてしまった。
たった一手、しかし大きすぎる一手によって現場は大混乱に陥っていた。
『基地から離れろ! 急げ!退却しろ!』
本部から怒号のような通信が入る。
『コンバットフレーム! 爆破チームが撤退するまで、時間を稼げ!』
本部からの通信を耳にしつつ、俺たちは全力でその場から後退をするのだった。
動き出した前哨基地は圧倒的で、時間稼ぎをしていたコンバットフレームをたった一歩で踏み潰すほどの大きさだ。
動きはとてもスローだが、一挙一動が大きく、呑気にしていると簡単に呑まれてしまいそうだ。
俺は殿を勤めつつ、レンジャーチームを先頭に退避を行っていた。
そんな俺の視界にめんどくさいものが映った。
─────このタイミングで、バトルドローンにエイリアンを出してくるのか!!
基地から排出されるおびただしい数のドローン。さらに基地中心部より降下してくるエイリアンたち。
それが、後方を確認していた俺の目に映った。
『後方に狙撃班がいる!彼らと合流後、重戦車の位置まで撤退しろ!』
「了解しました!」
本部からの通信に、隊長が答える。
俺は隊長に、ここで足止めを行いつつ、折を見て撤退することを伝える。
「……すまない、頼む。ただし、危なくなったらすぐに退いてきてくれ。それで君を責めるやつは俺たちのチームにはいない」
……ありがとうございます。
リクくん、あとはよろしく頼んだよ。
「はい。ソウゴさんもお気をつけて」
レンジャーチームの人たちとリクくんを見送った俺は、振り返り敵を見据える。数百メートル先にはドローンが、そのさらに奥にはエイリアンが闊歩している。
まずは牽制がてら、ガリア砲で奥のエイリアンの頭を吹き飛ばす。それによって、エイリアンがこちらの存在に気づき、向かってくる。さらには、ドローンたちも戦闘体制へと移行し、こちらへ飛んでくる。
俺は敵が近づいてくる前に、可能な限りエイリアンを処理していく。
数は多かったものの後方に位置するニクスたちの援護もあり、なんとか接近前にエイリアンだけは全て処理することができた。
厄介なやつは処理できたため、後方へと撤退しつつ、ドローンを破壊していく。
ドローンがある程度まで減ってきたところで、エイリアンとドローンの増援が確認された。
先程より多い数を確認し、あせる俺だったが、そんな俺にリクくんから通信が入った。
『ソウゴさん!こちらは重戦車のところまで撤退できました!こちらと合流し、エイリアンの迎撃をお願いできますか?』
願ってもいない要請に、俺はすぐに返事を返すと、スラスターダッシュでリクくんたちのもとへと後退していった。
リクくんたちと合流してからは、戦車ブラッカー、重戦車タイタン、ニクスの援護を受けつつ、敵勢力の殲滅を行っていった。
殲滅を進めていくうちに基地の砲台が起動、砲撃という驚異が増えたものの、誰一人として諦めることなく、攻撃を続けていた。
その甲斐あったのか、増援としてフェンサーチームやウイングダイバーチームが到着し、新たな戦力となってくれた。
しかし、相手が相手だ。
決して戦況は良いとは言えず、少しずつ少しずつ、劣勢へと追いやられていった。
敵基地への攻撃は無効。こちらの最大攻撃であるレクイエム砲すらものともしない前哨基地。
さらに殺意MAXでこちらを狙ってくる多種多様な砲台たち。
終いには、倒せど倒せど、その都度転送されてくる終わりなきドローンとエイリアンに、隊員たちの士気も尽きかけてきた。
『敵基地に損傷は認められません。これ以上の攻撃は、無意味と判断します』
『そんな悠長な状況ではない! 部隊は壊滅寸前だ!』
情報部からのまるで心がないかのような冷静な通信に、本部が怒りの声をあげる。
現状を把握した本部がある判断を下した。
『基地への攻撃は諦めろ! 各員、基地以外の敵に応戦せよ!』
作戦エリアからの撤退。
それが本部の下した判断だった。しかし、現状を省みるとそれ以外ないと言わざるを得ない。
しかし、まるでそんなことは許さないとでも言うかのように、またしても基地はドローンとエイリアンを吐き出してきた。
『基地はいい! エイリアンとドローンを撃破しろ!このままだと全滅だ! 歩兵部隊、周囲の敵を排除しろ!』
本部からの通達に、誰もが最後の力を振り絞り、敵に立ち向かう。
『基地以外の敵を倒せ!─────各員、生き延びることに専念しろ!』
『『『『Sir!Yes,Sir!!』』』』
思いの込められた本部からの通信に、全隊員が声を揃えて返事を返す。
誰もが残る全てをかけて、エイリアンとドローンを落としていく。
そして、作戦開始から五時間近く経った頃、全身全霊の戦いの末、遂に敵の増援が途切れるときが来た。
この隙を逃すような本部ではない。
『作戦は失敗だ。総員、撤退しろ!』
本部のその命令に誰もが言葉なく撤退を始める。
その表情は皆、疲労と悔しさに満ちていた。
それは俺も例外ではなく、ただただ基地を睨み付けるしかできなかった。
かくして、EDFによる前哨基地への攻撃作戦は、基地の移動要塞化という予想外過ぎる一手により、失敗に終わるのだった。
つづく……
はい、というわけでお送りしました最新話。
ゲームプレイしていて度肝を抜かれた前哨基地です。
これがどれ程の絶望なのかはYouTubeなどで見てみてください。
いや、初見では言葉をなくしますから。
今後の更新ですが、三月中にもう一回更新はするつもりです。
そのあとですが、仕事の忙しさが分からないため、なんとも言えません……
目標としては週一更新を目指したいところですが……そちらも追々活動報告に載せていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、長々と書きましたが今後とも本作をよろしくお願いいたします!
それでは、またね~!(*´-`)ノシ
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#10 洞窟ってこえーな、ってつくづく実感しました【ミッション32~33】
師匠です!
三月中に更新するとか言っておきながら出来なくてすまない‥‥
働き始める前にゲームやっておきたくてそっち優先しちまったんだ‥‥
更に自分、趣味でゲーム実況しててそっちの編集とかもやってて時間とれなくて‥‥
よかったら一度見てみてください(笑)
TwitterのリンクかYouTubeでZK_RusHと調べると出てきますので(ダイマ)
一昨日から働き始めて、とりあえず時間はとれそうなのでこれからもペースは落ちますが執筆続けていきますのでよろしくお願いいたします。
そして大事なことが‥‥
EDF5、DLC配信決定おめでとう!!!
4月11日に配信らしく、翌日オフなので全力で楽しみます!
さっきの話とリンクしますが、プレイ動画上げるつもりなのでEDFがどんなゲームか気になる方はぜひぜひ(しつこいダイマ)
ということで、最新話、どうぞ!!
M32,33 洞穴突入作戦 第一段階、第二段階
前哨基地破壊作戦の失敗は、こちらに物質的、精神的共に大きな被害をもたらした。
多くの隊員が負傷。無事経った隊員もその圧倒的技術力の差に心折られている状態だ。
コンバットフレームや戦車も多数が大破し、その多くが使い物にならない状況。
そんな状況下でも、戦いが止まることはない。
やれるだけのことやる、故に新たな作戦が提示された。
かつて発見された地下洞窟。
敵の大量出現により撤退を余儀なくされたあの場所への再度突入作戦が立案された。
奥に巣穴があると予想されるあの場所から、多くの侵略生物が出現していることが確認されたためである。
前哨基地破壊作戦の失敗からあまり日を跨がずして、この作戦を立案することに、本部の焦りが感じられるが、理にかなった立案であると俺は思う。
地下であれば、今回損傷したコンバットフレームなどの兵器を使用することはないため、駆動兵器は修復に専念することができる。
今回の作戦への参加要請が本部より届いており、俺はそれを受諾した。
前回の前哨基地破壊作戦を終えた俺だったが、多少の疲労はあったものの、大きな負傷を負うようなことはなかったので、俺は率先して参加を決めたのだった。
※
洞穴への侵入、及び進行は成功した。
前回戦闘した際のデータから予想していた通り、コロニスト各種、α型二種、β型が洞穴内を闊歩していたが、学習したEDFの隊員たちの前ではそれほどまで大した脅威とはなり得なかった。
故に、この作戦は案外簡単に終わると思っていた。
‥‥だが、世の中そんなに甘くはなかった。
偵察部隊が洞穴内にさらに深部へとつづく縦穴を発見した。
そのため、一時撤退し、装備を整え直してから突入することとなった。
発見された縦穴は深さは推定数十メートル。
足場はほとんどなく、あるのは申し訳程度の橋のようなもののみらしい。
そのため、今回突入するのは軍曹チームとレンジャーチームがもう一小隊。護衛として俺とリクくんに、ミソラちゃん属するイーグルチームから三名ほどが突入部隊として参加した。
残念ながら今回はミソラちゃんは不参加らしい。彼女自身は参加する気満々だったらしいが、今回は経験の多い他の隊員が参加することとなったらしい。
大変不服そうにしていたと、イーグルチーム隊長さんから伝えられた。
それを聞き、頬を膨らませ可愛らしくぶすっとした顔のミソラちゃんが頭のなかに浮かび、笑えてきて、リラックスすることが出来た。
ありがとう、ミソラちゃん。
そんな風に雑談などをしているうちに、どうやら縦穴の近くまで到着したらしい。
全員が気持ちを切り替え、敵との戦闘に備えながら、進んでいく。
穴を抜けた先に広がっていたのは広大な空間に僅かに見える、情報にあった通りの申し訳程度の橋のような足場。その下には洞穴内の暗さもあり、底の見えないほど深い空間が顔を覗かせている。
そんな洞穴内の壁や足場をα種が縦横無尽に歩き回っている。
敵と進むべき道を前にして、レンジャーチームの隊長が静かに、しかし力強く声をあげる。
「ルートは頭に叩き込んである。ついて来い!」
「「「Yes.sir!」」」
隊長の号令に隊員たちが返事を返す。
レンジャーチームの隊長は武器である火炎放射器を手に、進軍を始める。
「火炎放射器で道を開く! 援護しろ!」
進み始めた俺たちに気づいたα型たちが、壁などを器用に伝ってこちらへと向かってくる。
それを確認した軍曹チーム、レンジャーチーム、イーグルチーム、そして俺とリクくんの面々は素早く戦闘体制をとる。
敵の迎撃をしつつ橋へと向かっていく。
橋へと到着し、下を覗くとそこにはやはり暗闇が広がっていた。
─────落ちたら帰ってこれねぇかもなぁ‥‥
底が見えない闇の空間に恐怖を感じつつ、そんなことを思っていた。
そう思ったのは俺だけではないようで、他の隊員も同じようなことを口にしていたのが耳に届いた。
落下しないようシールド(ディフレクションシールド)とブラホ(ブラストホールスピア)を構え、スラスターを出来るだけ使わないようにゆっくり歩みを進めていた。
落ちたら終わり。それを常に心の片隅に置いて戦っていた。そんなときだった。
正面から来る敵を倒すため、少しだけ前に出て敵を倒した直後のことだった。
「─────ソウゴ!!左だっ!!!」
軍曹の叫びが耳に届き、言われた方向へ意識を向けた。そこには酸を吐き出す構えをしたα種の姿があった。
俺はもはや本能でシールドを構え、ディフレクターを起動させた。それと全く同じタイミングでα種から酸が吐き出された。
奇跡的に、酸を跳ね返すことに成功。ノックバックで後ろに下げられたものの、ギリギリで踏みとどまっていた。
────なんとかなった‥‥
そう、気を抜いた瞬間だった。
ピシリ、という音が足元からしたと同時に、世界が急に上へと流れていった。
ちょまちょまちょまちょま───────!!??
咄嗟の出来事にも関わらず状況を的確に判断することが出来た俺だったが、残念ながら言語中枢は機能しておらず、出てきた言葉は言葉になっていなかった。
落ちる瞬間、僅かに俺を呼ぶ声が聞こえたが、そんなこと気にしている余裕など俺にはなく、なすすべなく地下深くへと落ちていくのだった‥‥
◆
「ソウゴさん────!!」
敵の攻撃を受け止めたソウゴさんが暗く深い底へと落ちていくのを見て、僕は声をあげることしか出来なかった。
それは僕だけではなく、他の方々も同じようで、皆しきりに声をあげていた。
しかし、そんなことプライマーには関係ない。
落ちていったソウゴさんを心配する自分達へと怪物たちは襲いかかってくる。
ソウゴさんのことは心配だが、同時に任務遂行も重要である。いまは目の前の敵を倒すことに集中するほうが優先だ。
僕たちは一旦ソウゴさんのことを置いて、敵の殲滅を行うのだった。
※
敵を殲滅し、落ち着きを取り戻すことが出来た僕たちはソウゴさんについて議論することとなった。
結果、出た結論は───
『ソウゴさんの捜索はせず、任務遂行を優先させる』
というものだった。
理由として、捜索へ向かえるのがウイングダイバーのみだが、深さが全く予測できず、安全を確保することができないため、この苦渋の決断をすることとなったのだ。
それに、ソウゴさんならなんとかして生き残ってそうだから、早くこっちが合流してやろう、という軍曹の言葉もあり、僕たちはこの決断を受け入れることとなった。
ソウゴさんが生き残っている可能性なんてほとんどない。でも、そんな僅かな可能性を信じて、僕たちは洞穴を進んでいった。
途中、多くの怪物に襲われることもあったが、なんとか乗り越え、下へ下へと降りていった。
違和感に気づいたのは、敵の大量出現を乗り越えてしばらくしたころのことだった。
イーグルチームの隊長があることを口にしたのだ。
「‥‥‥‥おかしい、さっきから全く敵の気配がしない‥‥」
そう言われ、たしかにその通りだと気づいた。
最後に交戦したのはもうすでに10分以上前になるぐらいだ。
ここまで敵と出会わないのはさすがにおかしい‥‥
敵を殲滅しきった可能性もあるが、万が一のこともあるため、警戒しつつ洞穴内を進んでいく。
そして、僕たちはとんでもない光景を目にした。
「────おい!あれを見ろ!!」
少し先行して進んでいたウイングダイバーの隊員がとある方向を示す。
その方向に視線を向けると、そこには───
「なんだあれは‥‥!?」
「あれは‥‥β型の死体だ!!」
そう、そこにあったのはおびただしい数のβ型の死体だったのだ。
僕たちがここに到着したのはたった今である。
では、この大量のβ型の死体を作り上げたのは誰なのか?
そんなの、もはや考えるまでもない。これをやったのは間違いなく────
「───あっ!よかった、やっと会えたぁ‥‥!」
『ソウゴ(さん)!!』
聞きなれた声と共に姿を表したのは、行方不明になっていたソウゴさんだった。
◆
足場が崩れ、一人地下深くへと落下した自分だったが、幸いにも落下の滞空時間がとても長く、体勢を整え、武器切り替えからのブースト着地まですることが出来た。
なんとか怪我なく着地することが出来たが、完全に軍曹やリクくんたちと分断されてしまった。
落下の際の滞空時間が長かったということは、それだけこの場所がとても深いところであることの証明である。
上を見上げたところで見えるのは僅かな足場や地形のシルエットのみ。戻ろうにも向こうも移動しているため、最悪より離れてしまう可能性もある。
どうすべきかじっくり考えようとしていたら、後ろから気配を感じ、咄嗟にその場から跳び去る。そして振り返れば、視線の先に存在する、α型、β型の団体御一行。
─────まぁじぃ?
そのあまりの量に、軽く意識が現実逃避をしてしまう。
俺は、はぁ‥‥と深いため息をつくと、切り換えたままの武器を構え、前触れもなく敵へとぶっぱなす。
今回は地下洞窟ということで、崩落の危険性を考慮し、爆発系の迫撃砲などを避け、弾幕の張れるハンドガトリングを両腕に装備してきたのだ。
トリガーを引くと、両腕のガトリングから弾丸が雨のように撃ち出される。敵はそれを浴び、どんどん前から順に死体へと変わっていく。
ガトリングがリロードに入ったときや敵がある程度接近してきたらブーストで後方に避難し、再び掃射。場合によっては表武器のブラホで迎撃などを行い、ひたすら地下で戦っていた。
生き残るため、無我夢中で戦っており、気がついたときには、敵の数がもはや数えられる程度まで減っていた。
俺はそのまま残りの敵を排除すると、周りを警戒しつつ、一時の休息をとるのだった。
※
敵の殲滅を終えてから、どれだけの時間が経ったのだろうか‥‥
あれから敵の襲撃はなく、ただ体を休めることに専念していた。何度か、洞窟内に戦闘の音が響き、それが少しずつ近づいてきているのがわかった。
それを感じた俺は、立ち上がると音のした方へと歩みを進めていった。
確信などなく、ただほとんど直感に近いもので動いていた自分だったが、奇跡的に、部隊と合流することが出来た。
───あっ!よかった、やっと会えたぁ‥‥!
安心から、そんな言葉が漏れ、その言葉に反応するかのように、隊員の人たちが次々に俺のもとへと駆け寄ってきてくれる。
「ったく、心配かけさせやがって!!」
「というか、まさか本当に生きているとはな!!」
「ゴキブリよりしぶとい野郎だな、お前は!」
「君は本当に化け物じみてるな‥‥」
「全く‥‥。よかった、ミソラに嫌な報告しなくてすんで‥‥」
皆、思い思いの言葉をぶつけてくる。やはり心配をかけてしまったようだ。
そんななか、軍曹が俺の近くまで来ると、フッと笑って口を開く。
「生きているかもしれない、と言ったのは俺だったが‥‥まさか本当に生き残っているとは。やはりお前は、我々の切り札なのかもしれないな‥‥。これからも、存分に活躍してくれ」
そう言うと、肩を叩いて他の隊員たちの元へと戻っていく。
その後、全員で周囲を探索したところ、最深部と思われる場所を発見。
このまま突入!‥‥ということにはならず、見張りの隊員を要請し、一旦帰還。武器などを整え万全の状態で突入することにしたらしい。
地下の安全を確保したため、フェンサーやウイングダイバーも憂いなく派遣することが出来るようになったため、ものの数十分で監視役が到着。俺たちは一時帰還することとなった。
ふと、帰り際に視線を最深部へと続く穴へと向ける。暗闇でなんにも見えないその場所から、何か嫌なものを、感じ取った。
───下手したら、最深部、やベーかもしれないな‥‥
そんなことを頭で考えつつ、俺は基地へと一時帰還するのだった‥‥
つづく‥‥
いつも読んでくださる読者の皆様、ありがとうございます。
皆様のおかげで、何度かランキングに載り、そこから読者が増えるという素敵な循環が起きております。
感想や評価もとても嬉しく感じております。
今後とも、本作品をよろしくお願いいたします。
次は、目標として二週間以内の更新を予定しております。
仕事も頑張りつつ書いていくので、応援お願いします!
それでは、またね!!
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#11 これを開発した人はいったい何を思って開発したのか気になるが、とりあえずロマンがあるので俺は好きです。【ミッション34】
二週間後には更新するとか言っておきながら結果一ヶ月以上かかってしまいました…
言い訳にしかなりませんが、若干スランプに陥っていたり、モチベーションが下がっていたり、あとは自由な時間が少なくなったことでやりたいこととのバランスがとれずにこちらを後回しにしてしまっていたなどの理由があります。
今後は必ず月一では更新します。出来ればもっと早く……
こんな私ですが、応援いただけますと幸いです。
話は変わりますがDLC2配信されましたね。
まだDLC1の編集が終わってないのでそれが終わり次第やっていきたいと思ってます。
ちなみに私とEDF一緒にやりたいというような人いましたら、izayoi-ken543で検索してフレンド申請してくれればお受けします。基本的に仕事終わりでやるので夜11時とかになりますが……
とりあえず大変長らくお待たせした最新話をどうぞ。
5/22 あとがきにライトニングチームについての説明を加筆しました。
M34 洞穴突入作戦 最終段階
基地に帰った俺たちは、武器の点検及び補給の間に、次作戦のブリーフィングを行うためルームに集合した。
作戦の参加は、引き続き軍曹チームとイーグルチーム、そして俺とリクくんの二人、という感じになっている。
しかし、最深部から敵が湧き出している、と考えた場合、あそこには今までの敵とは一線を画するヤツがいる……。そんな気がするのだ。
今まで通りのつもりでいけば死ぬ、そう第六感が告げていた。
故に、軍曹に自分の予想を伝え、ある提案───というより要望を出した。
「……確かに、お前の予想はよく当たるからな…。わかった、考慮しよう。ちなみに、どの兵科が欲しいとかの要望はあるか?」
えっと、リクくんを護衛できるレンジャーかウイングダイバーが一人欲しいです。あと───
俺の出した最後の要望に、軍曹は驚いた顔をしたあと、フッと笑みをこぼし、了解した、とだけ言うと、その手続きをするために去っていった。
※
基地にてブリーフィングを行い、再び俺たちは洞穴の最深部入り口までやって来た。
作戦に参加するのは、当初の予定通りの軍曹チーム、イーグルチーム、そして俺とリクくん。それに加え、俺の要望によって、俺たちに二人チームメンバーが増えた。
「ソウゴくん、今回はよろしくね!」
一人は数々の作戦を共にしてきたミソラちゃん。
実力も申し分なく、また信頼できる人物であるため、彼女は名指しで指名させてもらった。
そしてもう一人。こちらは軍曹の選抜である人物。数多くいるレンジャー隊員のなかから選ばれたのは───
「改めて、これからよろしくお願いしますね、ソウゴ"隊長"」
そう言って微笑む"彼女"。彼女の名は───
えっと…よろしく、アユミさん。
そう。アユミさんだ。
軍曹曰く、彼女は突撃作戦などの攻撃的な作戦では平均的な実力だが、今回の目的である味方隊員の護衛などといった防衛系では圧倒的な実力を誇る、数少ない女性レンジャー隊員らしい。
そして、俺、リクくん、ミソラちゃん、アユミさん。この四人が、前に軍曹が言っていた、俺を隊長とした特殊小隊らしい。
出発前に集められた俺たちは、軍曹にこう言われた。
『ソウゴ、リク、ミソラ、アユミ。今この時をもって、お前たちに特殊遊撃部隊としての命を出す。部隊長は前もって伝えていた通りソウゴ、お前にやってもらう』
『本来ならもう少し先のことだったが、今回お前が出した要望がこちらの予定していたメンバーとピッタリ一致したのでな。少し予定を早めさせてもらった。正式な辞令が出るのはこの作戦が終わってからになるが、この作戦がお前たちの部隊としての初陣になると思え』
『ソウゴ、リクはもともと隊に所属していないため無関係だが、ミソラ、アユミの両名は隊の移動を命ずる』
『お前たちの部隊の識別名称は"ライトニング"、以後、このコードで呼称することになるから覚えていくように。以上だ』
ライトニングチーム、それが俺たちのチーム名らしい。
このタイミングで、まさか部隊長にされるとは思ってなかったが、今後このメンバーで活動するのであれば、ある意味好都合だ。
出撃前に基本的な作戦と、俺の予想している状況の説明を伝え、それをもとに武器の 選択をしてもらった。
ただ、リクくんにだけ、一つだけ指定した武器を持ってきてもらうことになっているが。
「総員、準備はいいか?これより、洞穴最深部への突入を開始する」
軍曹の言葉に場にいる全員が気を引き締める。
特に俺は、部隊長としてチームの仲間を守らなければ、という思いもあり、よりいっそう気を引き締める。
「全員、生きて帰るぞ…!前進だ!」
軍曹の号令を受け全員が揃って前進する。
ある程度前進したところで、俺は聞きなれた、忌々しい声が耳に届いた。
「おい、エイリアンがいるぞ!」
隊員の一人が声をあげる。その言葉の通り、俺たちの視線の先に、エイリアンが武器を構えて歩いているのが見えた。さらにその周りにα型がいるのも確認できた。
しかし、ここにいるのは多くの戦場をくぐってきた精鋭に近い戦士たちだ。楽に勝てる、という訳ではないが、今さらエイリアン程度に遅れをとるような人たちではない。
軍曹の指揮のもと、俺たちは連携してエイリアンたちを即座に撃破することに成功した。
洞穴内を進んでいくと、足元から水音がした。どうやらここにはどこからか水が流れ込んでいるようで、広い範囲に渡って、水溜まりが出来上がっていた。
このことを軍曹が通信にて伝えると、情報部から返事の通信が入った。
『水があるということは、生物が繁殖するための条件が整っているということです。付近を調査してください』
その言葉に従い、周囲を警戒しつつ先へと進んでいく。しばらくはなんの変哲もない空間が広がっているだけだった。
そんななか、俺たちは衝撃的な光景を目にした。
「おい見ろ! なんだありゃ!?」
隊員の一人が視線の先にある光景に驚きの声をあげる。
視線の先にいたのは、通常個体の何倍───少なくとも十倍近くはある体を持った、α型の姿だった。
「巨大な怪物だ!」
「ビルみたいな大きさだ!」
誰もが予想だにしなかった敵の姿に、若干パニックに陥りかける。
しかし、一部の者───正確にいえば、俺たちライトニングチームと軍曹だけは反応が違った。
「───まさか、本当にソウゴの言うとおりの敵がいるとはな……」
「よ、予想してたとはいえ、実際に目にすると、やっぱり不安になるなぁ…」
そう。俺は敵が巨大であろうことを、可能性の一つとして予測していたのだ。
敵が地下から湧いてくるのであれば、その地下で敵の繁殖が行われているはずなのである。
繁殖が行われるために必要なのは、母体である。だから、きっとこの地下には敵の母体となる生物が存在しているのではないか、と予想をしていたのだった。
ぶっちゃけ、当たってほしくはない予想であったが、当たってしまったものはしょうがない。それに、今回の装備の片方は、巨大な敵を想定した武器にしてきたため、外れていたときは宝の持ち腐れとなってしまうので、そういう意味ではよかったのかも知れない。
「ソウゴ。予想をしていた、ということは何か対策があると見ていいんだな?」
軍曹が静かに語りかけてくる。
それに対して、俺はしっかりと頷く。
はい。万全、とは言いがたいですが、有効な手段を考えてきています。けど、その前に情報部に確認したいのですが、この地下の強度はしっかりしていますか?
『はい?えっと……送られてきたデータを確認しますと、相当な強度を有していますね。大型地震が来ても、それなりに耐えられるぐらいには強固です』
そうですか、…なら、なんの憂いもなく、想定してた作戦が行えますね。
「……おい、ソウゴ、お前一体何をするつもりだ…!?」
軍曹の問いかけに、俺は答えることなく、顔をリクくんのほうへと向ける。すると、彼はそれだけで俺の意図を理解してくれたのか、俺の求めている武器を取り出してくれる。それを確認すると、俺も自分の武器を作戦用装備へと切り替えた。
俺たちの武器を見て、軍曹が驚きの声をあげる。
「レーザー誘導装置……!!それに、それはリバイアサン……!!エアレイダーとフェンサーの組み合わせでしか使用されることのない連携武器を持ってきたのか!」
そう。今回、敵が巨大である可能性を思案していた俺は、前にフェンサーの武器リストにあった超高火力兵器を使用することにしたのだった。
フェンサーの武器のなかには、圧倒的高性能な武器であるが、その代価としてフェンサー単体では使用できない、というある種のデメリットを抱えた武器があったのだ。その中の一つが、今回持ち出した"リバイアサン"と呼ばれる武器だ。
この武器はいわゆる誘導ミサイルで、質量によって持ち運びに制限がかかっている武器である。しかし、その分威力は絶大で、フェンサー武器のなかで随一の破壊力を有しているのだ。
そしてこの武器を使用するのに必要不可欠なのが、エアレイダーの保有する誘導系の装備である。
ビーコンをターゲットに付着させるビーコンガンと、今回持ってきた手動で狙い続けなければいけないレーザー誘導装置の二種類が存在するが、あえて後者を持ってきたのには理由がある。レーザータイプだと、自由な誘導が可能なのだ。また、レーザータイプは操作しなければいけないという不便さを抱えているが、ミサイルのロック時間を早めることが出来るのである。リバイアサンは数十秒という馬鹿げたロック時間であるため、この効果は実にありがたいのである。
リクくんが照射装置を構え、巨大なα型へとその銃口を向け、引き金を引く。それにより、装置からレーザーが照射、敵の体をマーキングする。
そのレーザーが当たっている場所をリバイアサンのサイト内に捉え、ロックオンを開始する。
洞穴内にターゲットをロックオンする音が静かに響く。誰もがそれを静かに見守る。繰り返される電子音、それが長く続く。そして、ついに、ロックオン完了を知らせる音が鳴った。
ロックオン───完了。敵はこちらに気づいてない……。
「ソウゴさん、いつでも行けますよ」
リクくんが敵から視線を外さずにそう言う。
俺は足に力を込め、衝撃に耐える準備をする。
軍曹やミソラちゃん、その他多くの隊員が見守るなか、俺は力強くその言葉を口にする───!
───リバイアサン、ファイア!!
その言葉と共に、俺は両肩に備えたリバイアサンを同時に発射する。
それと同時に、両肩に尋常ではない衝撃が走り、体を通じて足へと届く。
衝撃に備えていたにも関わらずこの衝撃……。弾数制限は負荷を考慮した意味もあるのかもしれない。
解き放たれた二発の怪物は、一向に気づく様子を見せない巨大なα型へと向かっていく。そして、ついにその弾頭が敵へと着弾し────
───ドオォォォォォォォォンッ……!!
かつてないほどの轟音と衝撃が洞穴内に響く。
巨大なα型は爆炎に呑み込まれ、そして───
───その巨体が崩れ落ちた。
『巨大なα型、沈黙を確認しました!!』
『『『おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!』』』
情報部からの通信に、その場の全員が歓喜の声をあげる。しかし、あくまで倒したのは母体と思われる巨大なα型のみ。その足元には多くのα型が存在しており、今の衝撃によってこちらへと向かってきているのだ。
「総員、α型を殲滅しろ!!ソウゴが作ったこのチャンス、絶対に逃すわけにはいかんぞ!!」
『『『Sir!Yes,sir!!』』』
軍曹の掛け声に全員が返事を返し、気持ちを切り替え、α型との戦闘に専念する。
それはもちろん俺も例外ではなく、武器を表の使い慣れたブラストホールスピアとガリオン速射砲を用いて敵を殲滅していく。
ものの十数分で片はつき、俺たちは周囲を警戒しながら奥へと進んでいく。
「ソウゴ、リバイアサンは残り何発だ?」
えっと、リバイアサン一つにつき、装弾可能数は四発なので、残りは合計で六発ですね。
「となると、確実に倒せるのはあと三体、というわけだな……」
ええ、それ以上いた場合は……、ちょっと考えたくないですね……
そんな言葉を交わす俺たちの視線の先に、またしても大型タイプのα型が姿を表す。
「やっぱりだ!」
「巨大なやつがここにもいやがった!」
「巨大な怪物は、一体じゃない!」
「デカいのが何体もいやがるぞ!」
巨大なα型を再び目にした隊員たちが、声をあげる。そこに、情報部から通信が入る。
『巨大な怪物こそ、巣の主だと思われます。駆除してください!』
その通信を耳にしつつ、軍曹が視線を俺に向ける。
「ソウゴ、頼めるか?」
ええ、任せてください。───リクくん!よろしく!
「了解しました!レーザー、照射します!」
リクくんが掛け声と共にレーザーを巨大α型に向かって照射する。俺はリバイアサンのサイト内に敵を捉え、再びロックオンを開始する。
全員が先ほどと同じように沈黙し、そのときをただ静かに待つ。またしても短いようで長く感じる一分にも満たない時間が流れ、そして───
───ロックオン完了!リバイアサン二撃目、ファイア!!
俺の掛け声とともに背中の筒より二発のミサイルが飛び出し、獲物目掛けて飛び立つ。
万が一倒せなかった時に備え、皆が戦闘体勢を取る。が、その心配は杞憂に終わった。解き放たれたリバイアサンは敵へと命中し、その巨体を屍へと変えた。さらにはその爆発の余波によって、周囲のα型を何体か道連れにしてもいた。
「沈黙を確認した!総員、α型を駆除するぞ!」
軍曹の声に従い、全員でα型の殲滅を行う。
殲滅完了後、更に俺たちは先へと進む。その途中で赤色α型と遭遇したが、多少時間がかかりはしたが、無事に殲滅させることが出来た。
更に奥へと進むと、再び大型のα型と通常のα型に遭遇したが、同じ戦法で討伐を終えた。
この時点で、大型の総数は三体。残されたリバイアサンは二発となった。
そして更に進んだ先に待っていたのは───
あー……居てほしくなかったなぁ、"五体目"は……
視線の先に佇んでいたのは、"二匹"の巨大α型と通常個体のα型、そして───
「見ろ! 卵があるぞ!」
「ここは怪物の産卵場だ!」
隊員の誰かが叫ぶ。
そう、そこには遠目から見ても分かるほどに大きいα型の卵と思われるものがあったのだ。
それも10や20なんてものじゃない。少なくとも50はいっているであろう数だ。
『やはり怪物は繁殖するのか! この地球で!』
『エイリアンは、怪物の繁殖場を守っていたようです』
『今ならまだ間に合う! ここですべての怪物の卵を駆除する!怪物の巣を破壊、繁殖を食い止めろ!』
本部と情報部が、その報告を受け、作戦の指示を出す。
それを受け、軍曹が視線をこちらへと向けてくる。
「……ソウゴ、残りのリバイアサンは確か───」
二発、ですね。つまり一体しか倒せません。
「そうか……。ソウゴ、何か考えはあるか?」
……一つだけ。リバイアサンで一体を撃滅後、俺が特攻し、大型のターゲットを取ります。その間に通常個体や卵の処理を任せる、といった作戦ですが…
「あれをお前一人に任せるというのか?さすがにそれは危険すぎる!」
ですが卵は洞穴の天井など高所にも産み付けられています。それに数も多い。出来るだけそっちに人員を割いたほうが効率がいいんです。俺は時間稼ぎとして注意を引きますので、殲滅が終わったら援護に来て下さい。
軍曹が俺の提案した作戦に難を示す。まるで俺を捨て駒のように扱う作戦に同意できないのだろう。
しかし、この作戦が最も効果的なのだ。なんとかして認めてもらわないと……
そう考えていたところに、話を聞いていたのか、ミソラちゃんが話に入ってくる。
「軍曹さん、私がソウゴくんと一緒に巨大α型の意識を引きます」
「何?」
「二人いれば、カバーしあえますし、狙いも分散します。さっきの作戦、二人でも確かに危険ですけど、一人よりましです」
そしてミソラちゃんはこちらへ視線を向ける。
「ソウゴくん。私はもうイーグルチームのミソラじゃないんだよ?アナタのチームの、ライトニングチームのミソラなんだよ。今までみたいに遠慮しなくていいの。だから、頼って?」
そう真剣な声音で告げるミソラちゃん。
その雰囲気に強い意思を感じた。
……そう、だね。それじゃあミソラちゃん、俺と一緒に、地獄のような時間を過ごしてくれるかい?
「もちろん。ソウゴくんが逃げろって言っても最後まで付き合っちゃうからね!」
俺とミソラちゃんはそう言って戦場にも関わらず笑い合う。
そんな俺たちを見て、軍曹は俺の提案に乗るという判断を下してくれた。
「ソウゴ、ミソラ、必ず生きて残れ。この作戦が終わったら、飯ぐらい奢ってやる」
「「Yes,sir!」」
軍曹の言葉に俺たちは同時に返事を返す。
その後は軍曹が作戦を全員に通達し、作戦が実行されたのだった。
※
結果から述べよう。
作戦は想定通り……いや、それ以上の成功となった。
大量のα型、及び卵は軍曹やイーグルチームの方々の尽力もあり、こちらの被害は最低限で撃滅を完了させることができた。
リクくんとアユミさんもそちらに参加していたのだが、リクくんは装備として持ってきていたガンタレットで、アユミさんはG&Mと呼ばれるアサルトライフルで敵の殲滅に貢献したらしい。
そして俺とミソラちゃんがターゲット取りをした大型のα型───識別名称『マザーモンスター』と名付けられた生物との戦いは、まさかの二人で倒してしまう、という結果となった。
俺はスラスターとブースターでマザーモンスターの足元を駆け抜けつつ、ブラホで攻撃。ミソラちゃんは上空を駆け巡りつつ、ドラグーンランスとスターダストキャノンという武器で空中から奇襲。そんな感じで二人で戦っていたところ、予想以上に効果的でお互いにある程度はダメージ(主に地上にいた俺が)受けてしまったが、その甲斐あってマザーモンスターの討伐に成功したのだった。
作戦成功後、基地へと帰った俺たちライトニングチームは正式に辞令を受け取り、晴れて一小隊として登録された。
その後は作戦成功とライトニングチーム発足を祝したちょっとしたパーティーが開かれ、多くの人たちが参加していた。
ただお酒もあったため、酔った人たちの相手がとてもめんどくさかった。特にイーグルチームの方々が俺に絡んできたり、ミソラちゃんをからかったりしていたのが記憶に残っている。
多くの人たちが笑っている、そんな光景に、俺はこれからよりいっそう頑張っていこうと静かに決意する。
この先にどんな苦難が待ち受けていようとも、皆のこの笑顔を守っていこう。俺に未来を託してくれた人や、俺を信じてくれる人たちのためにも、決して止まることなく、平和な未来に向けて、歩みを進めて行こう。
出来ることなら、平和な未来で美人な嫁さんをもらってゆっくり生きていきたい。
そんなことを考えながら、騒がしくも平和な一時を過ごすのだった。
つづく
【本編補足】
・リバイアサン
作中でも言われていた通り、エアレイダーのビーコンがないとただの役立たずに成り下がるフェンサーの単純火力でいえば最大のロマン武器。ただし実際のゲームでの使いどころは案外少ないのが現状である。
ゲームでは作中のように一撃でマザーを沈めるほどの火力はないので勘違いなさらないように。
・主人公
ついに部隊長へと昇格したもと一般人、現逸般人。
あの洞窟にリバイアサン持っていく辺り頭がぶっとんでいるのがよく分かる。
最後の最後で自身のちっぽけな欲望がさらけ出される。
残念だな、地獄はここから本番だ!!
・ミソラちゃん
前に思っていた、いつか主人公と同じ部隊で戦いたいという願いが現実となり少し嬉しく思っている。
主人公と二人でマザーの相手したり、武器にドラグーンランスとスターダストキャノン持っていく辺り、この娘も割りとぶっとんでいるのがわかる。
作者の想定よりヒロイン力を高めていて、本来のメインヒロインのオペレーターちゃんをどう持ってくるかが最近の悩み。でも可愛い。
・リクくん
主人公の下位互換エアレイダー版と影で言われる青年。下位互換といっても悪い意味ではなくアイツほどぶっ飛んだ思考はしてないよな、という意味での下位互換。主人公と行動を共にすることでこれがどう変わってくるのか、それは作者にもわからない…。
・アユミさん
本編初登場の女性レンジャー隊員。
軍にウイングダイバーという戦う女性がいるならレンジャーにもいたっていいじゃない!という作者の発想から生まれたキャラクター。今後はミソラちゃんやまだ出ぬオペレーターちゃんの相談役として活躍してもらいます。
名前の由来は歩兵の「歩」から。
・ライトニングチーム
想定より早く発足したソウゴを隊長とした小隊。
編成された隊員が全兵科一人ずつなため遊撃部隊という役職となった。
チーム名の由来としては、電光石火の如く殲滅を行うソウゴの姿と、皆の希望の光となって欲しい、という二つの意味からつけられた。
ちなみにライトニングチームとファイターチームのどちらにするか迷った。
隊の名前を考えているとき、作者はウルトラマンガイアを見ていた。つまり、そういうこと。
さて、改めて遅くなり申し訳ありません。
最近はある程度仕事に慣れ、前ほど疲れなくなってきたので、もう少し執筆速度早められると思います。
毎日投稿者とかどうやってんだよ…。文才分けてくれ。
時間をかけてでも、完結させられるように頑張りますので、皆さん応援よろしくお願いいたします。
……けどようやく三分の一なんだよなぁ。単純計算で完結まであと約二年かかるんだけど…。新作でる勢いだぞそれ(笑)
とりあえず頑張りますので!
それでは、また!
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#12 完全にこれ、ただの顔合わせだよね。【ミッション35〜37】
一ヶ月更新とか言っておきながら半月近く遅れてしまい本当に申し訳ありません…
仕事が忙しかったり、ゲームしたりで時間とれなくて…
とりあえず次こそは一ヶ月以内に更新してみせますので、どうか、どうか、お待ち下さい!
それでは、本編どうぞ。
M36 宙を舞う殺戮者
ライトニングチームの発足から早二週間。
あの洞窟突入作戦以降、俺たちは多くの作戦に参加した。
民間人の避難誘導や護衛もあれば、敵の殲滅作戦もあった。
そんな中でも、ひときわ厳しい作戦がつい先日あった。
沿岸部にテレポーションシップが集結、多くの侵略生物を投下してきていた。侵略生物は多いものの、普段護衛をしているコロニストがあまり存在せず、またテレポーションシップもその場を動く気配を見せなかった。
これを好機とみた本部は歩兵部隊での接近、及び撃滅を立案した。
この作戦にはもちろん俺たちも参加することとなり、俺とミソラちゃんが前衛、リクくんとアユミさんが後衛となり、作戦へと参加した。
前衛の俺たちは機動力に優れているため、敵の意識を引きつつ敵の撃破をしていた。
地上から俺が、空中からミソラちゃんが、といったかつてマザーを倒したときと同じ戦法でお互いをカバーしつつ戦った。
後衛の二人は、リクくんが手配していたエウロス・バルチャーと呼ばれる戦闘ヘリに乗り込み、上空からの攻撃をしていた。
その作戦で初めて知ったのだが、リクくんのビークルの操作テクニックがとんでもないものだった。
ヘリコプターにも関わらず、敵の攻撃を掻い潜り、テレポーションシップを二つ落とした、といえばそのヤバさが伝わるだろうか……
途中、コロニストの増援や前哨基地の接近などといった事態も発生したが、なんとか乗り越え、見事、全テレポーションシップの撃墜に成功した。
が、その作戦が終わるや否や、新たな情報が通達された。
───新型の侵略生物が確認された。
それが沿岸部での作戦中に伝えられた内容である。
しかもいままで確認されることのなかった飛行能力を有した個体とのことだ。
この新型による被害は大きく、特に空軍の被害が大きかったらしい。
飛行能力を有しているため、機動性が高いことが懸念されるということで、早急な対処を要求された。そのため、一度基地に戻って、すぐに出撃することとなった。
敵の特徴として、空中を自在に飛び回る機動力と、周囲を見渡す巨大な複眼がある。
脅威なのは敵の攻撃方法だ。敵は体下部から巨大な針のようなものを射出し、上空より対象を攻撃するとのことだ。空軍の攻撃機の装甲すら貫く攻撃を人間が生身で受ければ、ひとたまりもない。刺される、というよりもはや押し潰される、の方が正しいだろう。
対象は現在飛行を続け、市街地へと進行している。
予測経路を割り出し、市街地の手前に自分達が展開、敵を迎撃するのが今回の目的だ。
───当たれば即死。
今までも怪物の相手は危険性の高いことだったが、今回は今まで以上に危険な戦いである。
故に今回の作戦はウイングダイバーの出撃が禁止とされた。
一撃受ければほぼ即死とは言え、リスクを背負ってまでウイングダイバーを出撃させるわけにはいかないため、このような措置がとられた。
もちろんその措置はライトニングチームにも適応された。
というか、出撃許可が下りたのが俺とリクくんだけだった。
この指示にミソラちゃんが文句を口にするも、なんとかなだめ、押し留めることに成功した。
出撃まで時間がなく、今回はどう動くべきかと考えながらフェンサー、エアレイダーの兵器リストをチェックしていたとき、あるものが目に留まった。
───あれ?これってもしかして使えたりするんじゃね…?
俺はその浮かんだ考えを、軍曹に伝えたところ、作戦司令部へと通達、そしてやってみる価値はあるとの判断を受けた。
失敗したことを考慮し、歩兵部隊には狙撃武器と誘導兵器の保有を頼み、俺たちは飛行型の殲滅作戦へと、赴くのだった。
※
自分でも引くほど、作戦がうまくいった。
こちらの被害はほぼゼロ。逆に敵は全てが地に落ちる結果となった。
行った作戦としてはこうだ。
1、俺が敵の注意を引くように突っ込む。
2、リクくんがその間にデコイを設置する。
3、置かれたデコイへと敵を誘導する。
4、デコイに群がる敵めがけて空爆&掃射を行う。
5、討ち漏らしを処理する。
たったこれだけを繰り返すことで、飛行型はいとも簡単に全滅したのだった。
今回のこの作戦で判明したことが三つ。
一つは機動力について。
空を飛ぶという今までにない機動力を有しているが、この個体はとっさの機動力に乏しいため、まとまったところを一掃するというのが有効であるということ。
二つは耐久力について。
機動力へと特化したためか、耐久力は他の侵略生物に比べて低く、とても脆弱であることがわかった。遠距離からの狙撃や誘導兵器による攻撃でも落とせるようだ。
そして最後が敵の攻撃について。
敵の射出する針は鋭く危険性が高い代物だが、撃ち出す際に予備動作が見受けられることが判明した。
そのため、それさえ確認できれば、回避は決して不可能ではないと思われる。
といっても、敵が多数で波状攻撃を仕掛けてきた場合はどうにもならないが。
とりあえず無事に帰ってきた俺たちだが、どこからか俺が囮をした情報が流れたらしく、久しぶりにミソラちゃんに説教されました。
誰だ、情報流したやつは…!おかげで一時間近く正座させられたじゃないか!
まぁ、なんにせよ、うまくいってよかった。
◇
M37 怪生物撃滅計画
怪生物エルギヌスへの空爆の成功。
その情報がEDFへと通達された。
情報部によると、空軍による空爆がエルギヌスへと直撃、エルギヌスは瀕死となり横たわっているとのことだ。
この情報を受け、EDFは高エネルギー照射装置付き車両のEMCを十数台投入、ここでエルギヌスを確実に仕留めるための作戦を実行することとなった。
作戦としては瀕死のエルギヌスに空軍が再度空爆を行い、エルギヌスの撃滅を図る、というものだ。
万が一、仕留め損ねたときのことを考え、EDFからEMCを出撃させるということらしい。
ぶっちゃけ、この作戦には不安しかなかった。
あれだけAFVや地上部隊の攻撃を受けてもびくともしなかったエルギヌスが、たかだか空爆程度で瀕死になるのだろうか?
そう思いはしたが、それを口にしたら士気が下がると思い、口にすることはなかった。
ただ、警戒はしておくに越したことはないので、チームの皆には対処できる装備を持ってきてもらうよう伝えておいた。
そして、ブリーフィングを終えた俺たちは、エルギヌス撃滅作戦へと向かうのだった。
※
作戦エリアへと来た俺たちが目にしたのは、街中に横たわり微動だにしないエルギヌスの姿だった。
「怪生物、エルギヌス確認。エルギヌス、活動を停止しています」
『EMCの射程は短い。今のうちに接近する。接近するまで攻撃はするな』
エルギヌスを黙視した隊員の一人が本部へと情報を伝える。
報告を受けた本部は、射程の短いEMCを接近させるよう指示を出した。
「怪生物ってのはあれか!?」
「デカい……!」
初めてエルギヌスを目にした隊員がそんな感想をこぼす。
しかし、そんな感想を気にしている暇は俺にはなかった。なぜなら、横たわるエルギヌスを見た瞬間に、ある可能性を思い付いてしまったからだ。
─────あれ?アイツ寝てるだけじゃね…?
自分でもなぜそう思ったのかわからない。
けど、あのバカみたいにタフなエルギヌスがそうそうやられるとは思わないし、遠目からみたその顔も苦しそう、というより安らかな感じがしたからだ。なんというか、お昼寝してる犬みたいな雰囲気が感じられた。
そんなことを思っていると本部から連絡が入る。
『まもなく空爆を再開する』
その通達に隊員たちがエルギヌスの最期を期待して口を開く。
「空爆によってエルギヌスは動けない。次の爆撃で最期だ!」
「一台一億ドルのEMCも、今回は出番なしか?」
えっ、EMCって一億ドルすんの!?おっそろしい……
そんなことを考えていると、本部からの通信が全員に入った。
『空爆でエルギヌスにトドメを刺す。EMCは万一に備えて待機せよ』
その通信により、エルギヌスに接近していたEMC全車が停止し、空爆のときを待った。
そして、ついにそのときはやって来た。
『空爆開始!』
本部のその掛け声が聞こえると同時に、俺たちの遥か上空を攻撃機が駆け抜けていく。
駆け抜けていく攻撃機から、エルギヌス撃滅用に搭載された爆弾が投下され、的確にエルギヌスへと命中する。
投下された爆弾はエルギヌスへと命中し、紅蓮の炎を巻き上げ、その身を呑み込んだ。
「やったぞー!」
「くたばったか!」
炎に呑まれるエルギヌスというその光景に隊員たちが歓喜の声をあげる。
だが、その声は一瞬で絶望の声へと一変した。
巻き上がる炎の中から、エルギヌスが立ち上がり、周囲を響かせるほどの咆哮を上げたのだ。
その光景に歓喜の声をあげていた隊員たちが悲鳴をあげる。
「エルギヌスが起き上がったぞ!」
「生きてる!」
「空爆に耐えやがった!」
「耐えたどころか、傷ひとつないぞ! やつは動けなかったんじゃない!寝てただけだーっ!」
やっぱりか!!俺の予測が嫌な形で当たりやがったよこんちくしょう!!
そんな俺の内心をよそに、エルギヌスは俺たちを敵と認識したのか大地を震わせながら歩みを進め始める。
「こっちに来るぞ!」
「怒り狂ってる!」
そりゃぐっすり寝てるところを邪魔されたら誰だって怒るわな。それは生物なら皆同じなんだなぁ…
なんて、バカなことを考えつつも、両肩に担いできた武器を構える。
念のために、と持ってきた今回の装備は、重迫撃砲である。
フェンサーの武器のなかでも、射程距離が数キロというずば抜けた数値を有している代物である。もちろんずば抜けているのは射程距離だけでなく、火力もだ。
ただ、射程も威力もバカみたいに高いぶん、発射の反動が凄まじく、パワードスケルトンを着ていてようやく扱えると言うピーキーな武器でもあるのだ。
そんな重火器武器を両肩に背負い、もうワンセットには一応の接近戦兵装として、シールドとブラストホールスピアを装備してきた。
こちらが重迫撃砲を構えると同時に、本部からEMCへの攻撃命令が下った。
『EMC、攻撃を開始せよ!』
本部からの命令を受けたEMC部隊は、暴れ始めたエルギヌスへと狙いを定める。
『EMC、照射準備! 方位修正! 照準固定! 出力上昇!』
EMC部隊の隊長と思われる人物の指揮を受け、部隊が攻撃態勢を整える。
そして、隊長の声が響いた。
『EMC、照射!』
その声と共に十数台のEMCから青白い光線がエルギヌス目掛けて発射される。
攻撃を受けたエルギヌスは一瞬怯んだ様子を見せたものの、EMCの光線を浴びながらもこちらへと前進してくる。
『歩兵部隊はEMCを守れ』
本部から来た、若干無茶な要求に応えるように、歩兵部隊がEMCを守るように迎撃を始める。
もちろん、俺たちライトニングチームもエルギヌスへの迎撃を行った。
俺は地上から、リクくんとアユミさんは攻撃ヘリで上空から、ミソラちゃんは機動力を有してない俺の護衛も兼ね、俺の周囲で援護攻撃をするようになっている。
EMCの攻撃をまるでものともしないかのように歩みを進め、暴虐の限りを尽くすように暴れるエルギヌス。
しかし、まったく効いていないわけではないようで、たまに立ち止まり苦しむ様子が見られている。
「効いてるぞ!」
今まで大したダメージを与えることが出来なかったエルギヌス相手に、多少とはいえダメージを与えることに成功したことで、隊員たちが色めき立つ。
しかし、完全に優勢、というわけではなく、徐々に距離を詰められ、最も近くにいたEMC2台とその護衛をしていた歩兵部隊が犠牲となった。
「くっ………!犠牲を無駄にするわけにはいかない!エルギヌスへの攻撃を緩めるな!ここでやつを必ず倒す!!」
どこかの隊長が声をあげて仲間を鼓舞する。
それに呼応するように歩兵隊員たちの攻撃が強まる。
戦いが進み、さらにEMCが1台、部隊が二つ犠牲となった。
しかし、相手も相応のダメージを受けており、あからさまに動きが鈍っていた。
このままいけば倒せる!誰もがそう思っていたとき、本部へと絶望の知らせが届いていた。
その知らせを持ってきたのは、少し離れたところで周囲の警戒と状況把握をしていたスカウト部隊だった。
『敵影確認!』
『なんだと? 詳細に報告せよ!』
『新たな敵影……怪生物です!』
『二体目の怪生物だと!?』
そんな通信が交わされているなどと露知らず、俺たちは勝利を目前に、全力を込めてエルギヌスへと攻撃を行っていた。
そして、その努力がついに報われ、エルギヌスが悲鳴と共にその巨体を地に伏せた。
「やったぞーっ!」
倒すことが不可能だと思われていた怪生物エルギヌスの討伐に成功。その事実に戦場に立つ全員が討伐成功の喜びに浸っていた。
そんな喜びを吹き飛ばすような通信が直後に入った。
『新たな怪生物が接近している!EMC、フォーメーションを整えろ!』
本部からのその情報に、誰もが息を呑んだ。
それもそうだろう。まさに死ぬほど苦労し、何人もの犠牲を出した末に怪生物を倒したと思ったら、直後に新たな怪生物が現れるなど、悪夢以外の何ものでもない。
誰もが冗談であって欲しい、そう思っていた。
しかし、現実とは非常であった。
ビルをなぎ倒し、新たな怪生物が俺たちのもとへとやってきて、その姿を露にした。
背中に生える無数の太く巨大なトゲ。腕や脚、腹部を覆う分厚く堅牢なる皮膚。そして頭に伸びる二本の角。
エルギヌスと類似しているのはその大きさだけで、その姿は全く異なっていた。
「おい見ろ!」
「怪生物だ!」
新たな怪生物の姿に、誰もが驚き、慌てる。
怪生物はこちらを認識したのか、一直線にこちらへと向かってくる。
歩兵部隊やEMCが迎撃を行う。しかし、エルギヌスのようにダメージが通っている様子が見られない。
怪生物は咆哮をあげると体を丸め、こちらへと回転して来た。
その巨体での繰り出される回転は凄まじく、いとも簡単にEMC3台が破壊されてしまった。
あの巨体でありながら、フットワークが軽く動きが俊敏である。それは、脅威でしかない。
回転による攻撃は、範囲が広い上、被害が甚大だ。危険度はエルギヌスを上回るだろう……。
そんなことを考えていたときだった。ふと、エルギヌスが口から光線を放っていたのを思い出した。
もし、もしもだ。この怪生物も、エルギヌスのような特殊な攻撃方法を有していたら?
その俺の疑問は、直後に現実となった。
怪生物の背中から、多数の岩石が周囲へと射出されたのだ。
その岩石は広範囲に散らばっており、また、まるで燃えているかのように赤く輝いていた。
───燃えているかのように?
その表現から、俺は最悪の未来が頭に浮かび、とっさに声をあげた!
───まずい!全員その岩から離れろ!!
その俺の叫びと同時だった。
赤く輝いていた岩石が爆発し、周囲を地獄へと変えた。
その攻撃は多くの部隊、EMCを巻き込んだ。
小隊が3つ壊滅し、生き残ったのは数人のみ。EMCも3台大破、2台が中破状態となった。
『なぜ二体の怪生物が、同じエリアに現れる!? やつらは引き寄せ合っているというのか!?』
想定外の事態に、本部も慌てる。
すでに部隊の半分が壊滅、まともに動けるEMCも半数を下回っている。
更に、エルギヌスとの戦闘による疲労も蓄積されており、状況は最悪と言えるだろう。
それでも、動ける隊員やEMCは全力で怪生物へと攻撃を続ける。
もちろん俺たちも決して諦めることなく、重迫撃砲やヘリからの銃撃、レーザー狙撃などを怪生物へと撃ち込んでいく。
攻撃が通っているのは間違いないのだが、エルギヌスのときほどダメージになっていないのが、やつの動きから分かってしまう。
『なんという生物だ! エルギヌス以上の生命力を持っているとは! 』
本部も、怪生物のその尋常ではない丈夫さに舌を巻く。
そんなときだった。怪生物はまるで俺たちへの興味を失ったかのように背を向け、どこかへと歩き出す。
これを好機とみたのか、本部から通信が入った。
『やつを倒すためには作戦が必要だ!残念だが、今回は撤退する!』
本部からの撤退命令。これに異を唱えるものは一人もおらず、誰もが無言で撤退準備を整えていく。
エルギヌスを倒すことは出来たものの、代価として出た犠牲は少なくない。
更にはそんな俺たちを嘲笑うかのように姿を表した新たな怪生物によって部隊の半数とEMCの半数以上を失った上に、敵の逃亡を許すという事態となってしまった。
作戦エリアからの撤退中、帰投用車両の中に、情報部少佐からのとある通信が届いた。
『多数のエイリアンがあるエリアへ接近中です。このエリアに現れる敵としては、過去最大の規模です。 現在、防衛プランを立案中です。近日中に、大規模作戦が行われるでしょう。このタイミングで伝えるのは酷だとは思いますが、どうか覚悟しておいてください』
少佐からの通信はそれで終わり、車内に暗い空気が漂う。
怪生物に甚大な被害を与えられた上で行われる大規模作戦。一体、どれほどの犠牲が出るのか予想もつかない。
俺は車内で体を休める仲間へと目を向ける。
出会って間もないのに俺のことを信用し、ついてきてくれるアユミさん。
俺の無茶な要求にも応え、120%の役割を果たしてくれるリクくん。
そして、出会ったときから支えてくれ、いつも俺の後押しをしてくれたミソラちゃん。
三人がいたからここまでこれたし、ただの一般人だった俺が隊長なんて大それたことをやれている。
もちろん、この三人だけのお陰ではない。
民間人だった頃から助けてくれた軍曹やその仲間たち、自らを犠牲に俺を逃がしてくれたデルタチームの人たち、その他にも多くの人に助けられてきた。
きっとどれかひとつでも欠けていれば、俺はここに立てていないだろう。
次の作戦は苛烈を極めるだろう。
だけど、どんな状況でも俺は決して諦めはしない。
仲間を、みんなを守るため、身命を賭して作戦に臨んでみせよう。
それが俺にできる、最大の恩返しだから。
車に揺られながら、俺は一人、そんなことを考えていたのだった。
つづく
【本編補足】
・重迫撃砲
フェンサーの兵装の一つで砲撃系武器のなかでも破格の射程距離を誇る武器。
後半になると射程が6㎞とかどう使うんだよレベルの射程になる。
直撃すると爆発するため地面に固まる敵の殲滅やエイリアンへの攻撃には有効だが、空中の敵や散り散りの敵へはあまり使えない。
爆発好きの作者はよく利用している(笑)
はい、というわけでお待たせしました本編でした。
今回は状況描写が多く、戦闘シーンがほとんどありませんでした。
まあ作者が戦闘シーンの描写が苦手なのもあるんですけどね。
次回、主人公覚醒かもしれません(笑)
いや、まだふわっとしかストーリー浮かんでないのでわかりませんけどね!
次の作戦は地球防衛軍5をプレイした人なら覚えているはずのあのミッションです。
あれは友人二人でやったけど地獄だった…
メインヒロイン登場まであと少し…!
頑張るぞ!!
というわけで、次回をお楽しみに!
近々DLC2の動画も上がると思うのでそちらもよろしければ(笑)
そんじゃ、またな!!
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