カードファイト!!ヴァンガード ~僕等の日常はここから変わる~ (cross104)
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序章 ヴァンガードの始まり
至らぬ点も多々あるでしょうが、よろしくお願いします!
ちなみにこの作品にアイチ君達は出てきませんので、ご了承ください。
それでは、まずプロローグ的なものを…。
それは、今から少し、未来のお話。
何があったか、突拍子もなく爆発的にカードゲームが流行。
今や世界のカードゲーム人口は数億人を超え、カードゲームは人々の生活の一部になっていた。
些細なもめごとであれば、カードゲームで決着をつけるのが当たり前ともなっていた。
そして、数あるカードゲームの中でも、もっとも人気なのが「ヴァンガード」。
カードゲームといえばヴァンガード、と、子供から大人まで皆口をそろえて言う程の知名度だ。
カードゲームが普及し、それを知らない人はごく少数だ。
そして今、その少数派に所属する四人の青年が、もっとも人気である
「ヴァンガード」に出会う・・・。
とりあえずこんな感じで…。
次から本編に入ります!
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一章 僕等の日常
主人公たちの紹介もせずにいきなり名前を出してしまいますが、お許しください。
人物紹介についてはもう少し先になるかと思います。
それでは、どうぞ~
そんな世界の中の日本のある一軒家。
青年達四人が集まって何やら作業をしている。
「なぁなぁ。ここ、どう解くんだよ?」
「あぁ、ここは・・・」
四人のうちの一人が隣の青年に問う。
質問を投げかけた青年はシャーペンで頭をポリポリとかき、しかめっつらで説明を聞いている。
この青年の名は、嵺山 直斗(たかやま なおと)。
そして、直斗の質問に答えているのが、水川 利樹(みずかわ りき)。
利樹の方は眼鏡をかけている。
「で、ここがこうなるわけなんだが…。」
「…うっが~~~!!わからん!」
「わからんのかい・・・!」
利樹が説明を終えてチラッと直斗をみると、案の定直斗は頭を抱えて天を仰いでいる
そんな様子を呆れた目で見つめ、右手を額に沿えて頭を横に振っているのは、上田 裕哉(うえだ ゆうや)。
そしてまた彼も眼鏡を装備している。
そんな様子を見て、最後の一人が
「ハハハハハハハ!!迷える子羊達よ!筋肉のことなら私に任せろ!さぁさぁさぁ!どこの筋肉の鍛え方がわからんのかね?お兄さんに言ってみなさい!」
と、そんなことを言っているのは、神田 将弘(かんだ まさひろ)。
筋肉筋肉言っているが、服の上からでは言うほど筋肉がついているのかはわからない。
そんな彼もまた眼鏡を・・・というわけではないようだ。
「「「筋肉は今、関係無ぇから。」」」
と、三人に一気に言われねじ伏せられる将弘。
「はぁ、お前ら受験まで後二週間ねぇぜ?こんな調子で大丈夫かよ・・・。」
溜息交じりに利樹が話す。
そう、彼ら四人は中学三年生。四人で同じ高校に行くために奮闘しているのだ。
「そうは言ってもさ、俺達結構頑張ったぜ?正直これなら皆絶対合格だろ?」
と、直斗が気だるそうに話す。
「確かに。でもな・・・。」
そう利樹が区切り、直斗の目の前に座り、
「四人の中でいっちばんバカで一日あけると覚えた大半のものがすっとんでくどっかのバカが一緒の高校行こうって言うから今やってんだろうがあぁん!?」
と、利樹が直斗の頬を右手でギュゥと潰す。
直斗は口を3にしてまるでアニメのようにだらだらと涙を流しながら
「ふぁい、しゅびまぜん・・・」
と謝罪をする。
「まぁまぁ、その辺にしとけよw」
と、笑いながら裕哉が止める。
将弘はなぜか腕立てをしていた。
「はぁ・・・。まぁ、とりあえずいい時間だし、解散するか。」
「「「うえ~い!!」」」
利樹の解散を合図に三人はよくわからない声を上げ解散していく・・・。
------------
「なんだかんだで、みんな合格できましたなぁ~。」
将弘が頭の後ろで手を組み、しみじみと呟く。
「あんだけやったんだ。当然だよ。」
利樹が突っ込むように言う。
「とりあえずこれで後顧の憂いは無くなったわけだ!」
直斗が両腕を上げ天に向かってガッツポーズ。
「それ、使い方あってんのか?・・・まぁとにかくよかったよかった。」
裕哉が少し疑問をぶつけたが、すぐにどうでもよくなったようだ。
実は今日はとある高校の入学式だったのだ。
そしてその高校は四人が志望し、受かった高校であった。
そんな入学式を終え、ほっとしていた四人のもとに、一枚の何かが降ってきた。
「・・・あ?」
その微妙な影に三人は気づかなかったが、利樹だけが気づいた。
ピタリと上を見て止まった利樹に気づいた先行していた三人は首を傾げながら利樹に近づく。
利樹は降ってくる何かをジャンプして手に入れた。
「どうしたよ?利樹?」
裕哉が尋ねる。
「なぁ・・・これ、何だっけ。見たことある気はするんだけど。」
そう言って、利樹は手にしたカードを見せる。
その面には、「Vanguad」の文字。
それを見て一人・・・将弘だけが答えることが出来た。
「それってさ、ヴァンガードじゃね?」
「「「ヴァンガード・・・。」」」
将弘の答えに、他の三人は聞き覚えのあるような無いような名前に戸惑っていた。
「あ~・・・中学の時の部活の連中がやってたから知ってるんだけどさ。
最近、一気に世界規模でカードゲームが流行してるだろ?そのカードゲームの中で、今最も人気が高いやつ。
それがヴァンガード、だよ。」
「あぁ、そいや確かに俺の部活のやつらもやってた気がする。」
将弘の説明にうなずく利樹。直斗や裕哉も同様にうなずいていた。
そして、利樹は表面を見る。
「・・・ん?この三角は何て読むんだ?バミューダ・・・候補生リヴィエール、か。」
「あぁ、それは、△(トライアングル)、と読むんです。」
利樹が呟いた瞬間に後ろから声がかかる。
それと同時に四人のゆるっとした空気が一気に張り詰める。
真顔になり、全員で一斉に振り返る。
四人は睨んでいるわけではなかったが、その眼光は鋭かった。
「おやおや、少し驚かせちゃいましたかねぇ・・・。」
振り返った四人の目の前にいたのは、動揺し、冷や汗をかいている男性だった。
その男性は、おじさんと呼ぶにはまだ若く、しかし青年と呼ぶにはもう遅いくらいの歳の、言わば「お兄さん」であった。
男性の姿を確認し、店のエプロンをしているため、どこかの店員だと理解した四人は安堵のため息をついた。
「あ~。えっと、すみません。それは僕の店のものなんです。・・・君たちは、このカードを知らないのですか?」
「あ、はい。俺・・・僕たちは、あまりそういうのには手をつけたことがなくて・・・。」
店員の質問に、先ほどのカードを返しながら、利樹が答える。
「ふむ、そうですか・・・。よし!なら僕が君達にヴァンガードを教えてあげましょうか!」
と、唐突に店員が提案をする。
四人は少し驚いたが、直斗が
「どうするよ?俺は別にかまわないんだが。」
そう聞くと
「そうだな。悪くないんじゃないか?」
「今まで勉強ばっかでつまんなかったしなぁ。」
「俺、実は皆がやってるの見てちょっと興味あったんだよね~。」
利樹、裕哉、将弘の順で肯定に似た返事をする。
店員は少し待ち、彼らに異論がないと判断すると、
「よし!決まりですね!それでは・・・っとそうそう!自己紹介がまだでしたね!
僕はこの後ろのカードショップ、カード・セントラルの店長、天道 進(てんどう すすむ)です!
よろしくお願いしますね!さぁ、ではご案内しますよ!」
なんとこのお兄さん、店員でなく店長だったのだ。
そして四人に自己紹介を返させる暇も与えずずんずん進んでいく店長・天道。
まず四人はここにカードショップがあったことに気づいていなかったため、ポカンとしていた。
その後…
「「「カード・セントラル・・・。」」」
直斗、裕哉、将弘が呟く。
(カード・セントラル・・・。「カードの中心」、か。短絡的で直球な名前だな。)
と口には出さないが利樹は心の中で呟き苦笑する。
「皆さんどうしたんですか?早くこちらへいらしてください!」
何だかみなぎっている店長に急かされ、四人は顔を見合わせてから、歩きだした。
* * *
「お。おいおいおい・・・。」
店に入った瞬間、直斗はそう呟いた。
店内は外見以上に広く、ショーケースがずらりと並び、中にはカードがぎっしり入っている。
他にも大量のトライアルデッキ、ブースターパックは勿論、カードケースやスリーブ、ストレージボックスなどのアイテムも充実していた。
さらにその奥には広いスペースがあり、自分の腹くらいの高さの机の前に立ったり、低い机の前に座ったりして、各自何かをしていた。
その「何か」とは、カードファイトは言うまでもなく、デッキの構築だったり、ブースターパックの開封だったり様々だ。
「ふふふ。びっくりして声も出ない、といった感じですかね?」
絶句する四人を目の前に、店長はどこか誇らしげに言った。
「とりあえず、君達は初めてなので、言わずともわかると思うであろうところも含めて一から説明させていただきますね?」
店長の問いに頷く四人。
店長はそれを見て説明を始める。
彼はその場ですぐ左を指し、
「それじゃ、まず入ってすぐ左。ここが、レジになります。欲しい商品を手にとって、ここに持ってくれば会計が出来ますよ。」
利樹は店長の説明に合わせて目を動かす。
左のレジカウンターを見た時、レジ打ち機の前にもブースターパックがおいてあることに少々驚いた。
次に店長の手につられるように先ほどのショーケースや商品棚のスペースをみる。やはり何回見ても膨大な量だ。慣れるには時間がかかりそうだ、と息をつく。
そして再度左を見たとき、レジに座っている女性を発見した。正直、先ほどの時には全く気付かなかったのだが…。
「「・・・あ。」」
その女性は可愛いというより綺麗であり、相当な美人であったが、顔立ちに少し幼さを残していた。
その顔に見とれていたわけではなかったが、利樹はその女性を凝視する形になってしまっていた。
その視線に気づいたのか、女性がふっと顔をあげたとき、利樹の目の焦点もしっかりとし、目がばっちり合う形になった。
「あ・・・えっと、初めまして。水川、利樹って言います・・・。」
「ご、ご丁寧にどうも・・・。私は、大谷 千春(おおたに ちはる)です。よろしく・・・。」
利樹は何か言わなければまずいと判断し、とっさに自己紹介をする。
それに合わせ千春と名乗った女性も自己紹介。
そのやりとりに気付いた店長は
「あぁ、彼女はいつもこの店を手伝ってくれてるんですよ。バイトなのにもうたっぷりシフト入れてくれて大助かり!」
そういって千春を称えた後、
「そう言えば皆さんのお名前を聞いていませんでしたねぇ。」
「あ、はい。先ほども言いましたが、俺・・・僕は水川利樹と言います。」
「僕は嵺山直斗です。よろしくお願いします。」
「あ~・・・、僕は上田裕哉です。」
「神田将弘っす!よろしくです!」
店長のわざとらしい問いに律義に答える四人。
「利樹君、直斗君、裕哉君、将弘君、ですね。よろしくお願いします。
あぁ、それと、もっと楽にしていただいて結構ですよ。一人称は俺でも僕は気にしません。」
店長はにこやかに笑い、そして
「それでは、商品スペースの向こうのファイトスペースでヴァンガードについて教えます。
皆さん、準備はよろしいですか?」
たかだかカードゲームを教わるだけだとわかっているのに、そういう言い方をされ、無駄に四人は緊張する。
そして
「・・・ja(ヤー)。」
「OKです。」
「はい、大丈夫です。」
「イェス、マム!」
四人は各々返事をする
「ふふふ、良いお返事です。それでは行きましょうか。ついてきてくださいね!」
店長は千春に何か言い、デッキを二つ受け取り歩き出す。
四人も息をのみ後に続いた。
そして、四人の日常は、ここから変わる。
この話はカードに触れたことのない主人公四人の日常から、カードへ触れたことによって未知の領域に進む非日常へ変わる瞬間…の、つもりです。
次はファイトルールになります。
わかる方には退屈なお話になるかと思いますが…。
そういう方は飛ばしちゃってもいいのかな、とおもったりもしてます。
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二章 非日常への一歩
前話のあとがきにてお話しした通り、わかっている方は見なくてもいいのかな、と、思ってます。
見る見ないはお任せします。
進についていきたどり着いたのはファイトスペースの一角だった。
スタンド式ではなく、椅子がある方だ。
これからヴァンガードを始める利樹たちに興味があるのか、周りの人たちはチラチラと利樹たちを見ている。
利樹はあまりいい気分ではなかったが、そんなことはお構いなしの進は、とりあえず座るように四人に促した。
四人が一列に座るのを確認した進も、四人に向かい合わせになるように座る。
「まずはカードの種類から、ですね。」
と進が切り出し、手にしたカードの山から二枚を選び、四人に見えるように見せる。
そのうち一枚は名前が表記されている下の部分が黄色で覆われており、もう一つは黒で覆われている。
「この黒いカードの方は、ノーマルユニットと言います。黄色い方は、トリガーユニット。ここにかいてありますね。」
と、進が指差す場所には確かにノーマルユニット、トリガーユニットとかいてある。
「トリガーユニットには、色々面白い効果があるんですが、それはまた後ほど。次に、グレードの説明ですね。」
進はどこからかマットを取り出し、広げた。
円が前列に三つ、後列に三つで計六つあり、青い円が前列中央にある。他のすべての円は黄色だ。
青い円の前に緑色の半円もある。
進は青の円の上にカードを裏向きにしておいた。
「この青い円はヴァンガードサークル、黄色い円をリアガードサークルと言います。
まず最初に、ヴァンガードサークルに、ユニットを選び、このようにして置きます。そして、デッキをシャッフルし、準備完了です。
ヴァンガードファイトを始める際に、この裏向きのカードを表にするんですが、その時に発する掛け声があるんですよ。」
と、進はニヤリと笑い、視線を移す。その視線の先には小学生二人が今からファイトしようとしているところだった。
利樹たちは何気なくそれを見ていたが、突然その小学生二人が
「「スタンドアップ!ヴァンガード!!」」
などと言うから仰天した。
「立ち上がれ、先導者…。あれがファイトを始める合図となります。
とりあえず、こちらもやってみましょうか。…利樹君。お願いできますか?」
「え!お、俺ですか!?」
利樹が素っ頓狂な声を上げる。
その声に直斗ら三人は苦笑し、カウンターにいた千春が不思議そうに視線を送る。
「えぇ。じゃぁ…これで双方準備が出来ました。行きますよ…。」
何もわからない利樹のため、ヴァンガードサークルに置くカードは進が選んだが、デッキシャッフルくらいはと、利樹にやらせ、特定の位置にデッキをおかせた。
そして…
「スタンドアップ!ヴァンガード!!」
「す、スタンドアップ、ヴァンガード!」
進は元気に声を張り上げ、それと同時にカードを表向きに。
利樹はそれにならうように少し遅れてカードをめくる。
「この最初におくカード。これこそがまさにヴァンガード、先導者です。
ヴァンガードは、この場から決して動くことはありません。
…最初に裏返して置くヴァンガード、これをファーストヴァンガードと呼びます。ファーストヴァンガードは、絶対グレード0でなければなりません。」
と、進が指差す位置、カードの左上にはGRADE0と記載されている。
「ヴァンガードはこの毎ターンの最初に、同じ、もしくは一つ上のグレードに「ライド」出来るんです。」
「ライド?」
利樹が首をかしげると、進は目を光らせ、
「見せてあげましょう!ライドというものを!まずはデッキから五枚引きます。これが最初の手札になります。そして…
マイターン、ドロー!」
と言い、デッキの上から一枚引くと、そこで何かに気付いたのか動きが止まる。
利樹たち四人が不思議がっていると、進はドローし、高らかに上げた右腕をごく自然に戻し、
「言い忘れてましたが、最初に引いた五枚の手札、一回だけ好きな枚数入れ替えることが出来るんです。出来るだけグレードが1,2,3と揃う手札になるように入れ替えたほうがいいですね。手札は大丈夫ですか?」
「あぁ…。はい、大丈夫です。」
利樹は問われ確認する。五枚のカードの左上を左から順に確認し、そう返事をした。
「なら安心です。気を取り直して…
僕は「小さな賢者 マロン」にライド!」
と進は手札から一枚取り出し、ファーストヴァンガード「ういんがる・ぶれいぶ」の上に重ねた。
「このヴァンガードに重ねることをライドと言うんです。さて、では「ういんがる・ぶれいぶ」の効果で、他のロイヤル・パラディンがライドしたのでリアガードにコールします。」
「…え?」
進はマロンに重ねられたういんがる・ぶれいぶをマロンの下のリアガードサークルに置いた。
「普通、手札からヴァンガードのグレード以下のグレードのユニットをリアガードサークルに置ける…あぁ、このことをコールって言うんですけど、そのコールが出来るんですが、その普通のコール以外に特殊な方法で…と言ってもユニットの効果でですが、それでコールすることをスペリオルコールって言うんです。かっこいいでしょ?」
「え、はぁ、まぁ…。」
と進に問われ曖昧に返事する利樹。
「さて、先攻は攻撃できないことになっているので、次は利樹君のターンですね。どうぞ。」
「あ、じゃぁ、俺のターンです。」
進に促されドローする。
「あの、ソウルってなんですか?」
利樹は遠慮がちに進に聞く。
「ソウルって言うのはヴァンガードの下にあるカードですね。
そこにカードを入れたり、時には取り出したりする効果を持つユニットがいますよ。」
「…じゃぁ、「マーメイドアイドル リヴィエール」にライドします。」
カード一枚一枚の効果をしっかり読み、長時間試行した末のライドだった。
「えっと、ソウルに候補生のリヴィエールがいるので、パワーは常に+1000されて8000になります。それと…」
利樹は候補生のリヴィエールの効果を確認し、
「今度は候補生リヴィエールの効果です。マーメイドアイドルのリヴィエールがライドしたので山札から七枚を見て、スーパーアイドルかトップアイドルのリヴィエール一枚を…手札に加えます。」
そう言いつつ利樹は山札の上から七枚を見、「トップアイドル リヴィエール」を見つけ、進に見せ、手札に加え、残り六枚を戻してシャッフルし、デッキを置く。
「後攻はアタック出来るのでそこの説明もしますね。まず、アタック出来るのは前列の三体のみ。また、アタックの対象になるのも同じです。
アタックはユニットをレスト、横向きにして行います。
同じパワー同士がぶつかる場合も多々ありますが、その時はアタックが通るようになってます。」
「へぇ、攻撃側が有利になってるんですね。」
裕哉が感心している。
「まぁ、そうしないとかなりファイトが長引いちゃいそうですしねぇ。
それと、アタックの際に非常に重要になるのが「ブースト」です。」
「ぶーすと?マッスルブースト?」
一人で盛り上がっている将弘はさておき、ブーストとは何ぞやと進に聞くと、今度はカードのグレード表記のすぐ下のマークに指を置いた。
「ブースト出来るユニットは限られています。この三本の矢印、これがブースト出来るユニットである、ということです。そして、そのブーストとは…
後列に置いたブーストできるユニットをレストすることで、そのブーストしたユニット分のパワーを前にいるユニットにプラス出来るんです。」
「ま、マジか…!」
直斗が驚愕の声を上げる。利樹は黙って聞いていた。
「ブーストできるユニットはグレード0と1、グレード2はインターセプト、グレード3はツインドライブ、という風に各々に効果があります。まぁ、そのあたりはこれから説明していきます。さて、利樹君が行動したくてウズウズしてるようなのでここまでにしましょう。すみません、どうぞ?」
「はい。じゃぁ「マーメイドアイドル セドナ」をコールします。
そして、セドナでブーストしてパワー+8000、パワー16000のリヴィエールでアタックします!」
マーメイドアイドル リヴィエール 16000
VS
小さな賢者 マロン 8000
「ふむ…それでは、」
多少思案した進は手札から一枚を手に取り
「僕は「ふろうがる」でガードします。」
「…!?」
利樹は驚愕の色を隠せなかった。
「あはは、びっくりしましたか?まぁ、防御側もただではやられない、ってことです。
相手がアタックしてきたとき、手札から「ガーディアン」としてコールできるんです。ガーディアンはこの「ガーディアンサークル」に横向きにしてコールします。そして、このカードの左に書いてあるのがガード力です。これがガードするユニットのパワーに加算されます。」
フィールドに存在した前にある緑の半円。それはフィールドが二つ合わさることで、それは楕円形を形作っていた。これがガーディアンサークル、である。
今場に出ている「ふろうがる」には、盾のマークがあり、そこに10000と記載されている。
「ガード力は基本的に、グレード0が10000、グレード1,2が5000ですね。グレード3はまずガーディアンとして機能しません。あぁ、でも、ガーディアンとしてコール出来るのは、ヴァンガードのグレード以下のグレードだけですから、気を付けてくださいね。
また、先ほど言ったグレード2のユニットが待つ能力、「インターセプト」も関係してきます。
インターセプトとは、前列にいるグレード2のユニットをガーディアンとしてコールすることを言います。レスト、スタンドは関係無いです。」
一通り説明し終え、一呼吸おいた進はファイトを進行させる。
「さて、この「ふろうがる」のガードを受けてマロンのパワーは+10000、よって18000となりました。」
「う…じゃあ攻撃は通りません、か。じゃぁこれで…」
「はい、ちょっと待ってください。」
利樹が落胆し、ターン終了を宣言しようとしたところを進が制す。
「え?」
「ヴァンガードがアタックした際、「ドライブチェック」を行うことが出来るんです。」
利樹ら四人はきょとんとしている。
進は続ける。
「リアガードがアタックした時は出来ないので、まさにヴァンガードの特権、ですね。
ヴァンガードが相手ユニットにアタックした時、山札のトップ一枚を引くんです。これがドライブチェック、です。」
「…えっと、それって、何の意味があるんですか?」
利樹が意味不明とでも言いたげな顔をしている。
進はそれを見て苦笑した。
「まぁ、とりあえずやってみてください。あ、引いて確認することを「トリガーチェック」と言いますが、トリガーチェックしたカードはこの「トリガーゾーン」に横向きにして置いてください。」
フィールドで言えばデッキの上に存在する横長の長方形。これがトリガーゾーンだ。
利樹は進に言われるままトリガーチェックのため一枚引き、トリガーゾーンに表にして置く。
そのカードは、「ドライブカルテット バブリン」。
「ふふ、思った通りでましたね。トリガーユニットが!」
「トリガーユニットって…さっきの黄色の…。」
と裕哉が言う。
進はしっかり反応し
「はい!先ほどのそれです!
トリガーユニットはここで本来の力を発揮します!この右上を見てください!」
そこには黒い台座のような物が描かれており、上に赤い字で「引」と書いてある。
台座(?)の側面には+5000の字。
「トリガーには四種類あります。
・「引」の赤字のある「ドロートリガー」
デッキから一枚カードを引けます。
・「醒」の青字のある「スタンドトリガー」
レストしているリアガードをスタンドできます。
・「黄色い星」のある「クリティカルトリガー」
ユニットのクリティカルを+1出来ます。
・「治」の緑字のある「ヒールトリガー」
ダメージが相手以上なら一枚ドロップゾーンに置き回復できます。
が、デッキに四枚しか入れられません。
こんなところですね。また、すべてのトリガーに、ユニットにパワー+5000を与える効果がついています。
だから今回の場合、ドロートリガーなので、利樹君は一枚ドローして、いづれかのユニットにパワー+5000出来ます。」
「…え、ってことは…」
利樹は何かに気づいたように声を上げる。
進は満足そうにうなずき、
「流石、気づいたようですね。
そう、ヴァンガードであるリヴィエールに+5000を与えればパワー21000となり、攻撃を通すことが出来るんです。
あぁ、トリガーチェックで出たカードはトリガーだろうとそうでなかろうと手札に加えてくださいね。」
「…じゃぁ、トリガーの効果で一枚ドロー。そして、ヴァンガードにパワー+5000!計21000でアタックします!」
利樹は一枚ドローし、高らかに攻撃を宣言する。
「いいですね。それでは、自分のヴァンガードに相手ユニットのアタックがヒットしたので、「ダメージチェック」を行います。
先ほどのドライブチェックに似たようなものです。ヴァンガードにヒットした時だけ、一枚チェックし、「ダメージゾーン」に置きます。」
フィールドの左。縦長の長方形がダメージゾーンだ。
進がチェックし、出たカードは「沈黙の騎士 ギャラティン」。
「ダメージチェックでもトリガーが出た場合、効果は適用されます。
ただし、ダメージチェックで出たカードは絶対にダメージゾーン送りです。
このダメージは「クリティカル」で決まります。普通の状態では全ユニットはクリティカルは1です。しかし、先ほどのトリガーがクリティカルトリガーだったなら、与えるダメージは2となっていました。またユニットの効果でクリティカルはあがったりします。
そして、先にダメージゾーンにカードが6枚たまった方の負けとなります。」
進はそう説明し終えたとき、ふと何かを思い出したかようにあっと声をあげ、
「先ほどのドライブチェックには、今度はグレード3が関係してきます。グレード3が持つ能力は、「ツインドライブ」。グレード3のユニットがヴァンガードの時、ドライブチェックを二回行える、という優れものです。」
「…つまりトリガーが出る確率が増えるのか。」
直斗がふんふんと頷く。
「それだけじゃないな。一気に手札が二枚増えて次の相手のターンの時にガーディアンとして出せるユニットが増えるわけだ。」
裕哉が付け加える。
「…グレード0,1はブースト、グレード2はインターセプト、グレード3はツインドライブか。」
将弘はそれぞれのグレードの能力を確認する。
進は笑みを浮かべてうんうんと頷き、
「さて、これで説明は終わりです。でも勝負はこれからですよ。
さぁ、続けましょう、利樹君。」
「…はい!」
1ターン終了
利樹 ダメージ0
進 ダメージ1
* * *
「ダメージトリガーチェック…負けました。」
負けを確認した利樹はふぅ、と一息つく。
進は微笑みながら
「いやぁ、初めてとは思えない戦いぶりですね!感心しました!」
と利樹を称賛するが
「いやいや、そんなことないでしょう。」
利樹は苦笑してそう返す。
利樹はあれから進に3ダメージ、計4ダメージしか与えられていなかった。
「いえ、それこそそんなことはありませんよ!
初めて説明を聞いてのあの呑み込みの早さ!驚かされました!
他の三人もしっかり聞いて理解してくれてたようですし!」
「ど、どうも…。」
直斗が恐縮そうに頭を下げる。
「よし、じゃぁ少し待っててくださいね!」
と急に席を立ち店の奥に引っ込む進。
四人でポカーンとしているとすぐに進は戻ってきた。
手には三つのデッキ。
「利樹君、直斗君、裕哉君、将弘君!君達にデッキをあげます!
利樹君にはさっき使ってもらったデッキを。三人にはこれを。」
と、利樹以外の三人に手にしたデッキを配る。
「それは適当に繕ったデッキなので、こちらの損害は少ないですので安心してください!そのままでは弱いので、ブースターパックを買って強化することをお勧めします。
デッキは50枚構成、トリガーユニット16枚、それ以外はノーマルユニットで構成してください。また、同じ名前のユニットは四枚までしか入れられませんのでそこも注意してください。
お好みでデッキを強くしていってください!」
「え、ホントにいいんですか?」
裕哉が驚いて尋ねる。
「えぇ!君達はきっと大物になる!そんな予感がするんですよ!」
進は何だか興奮しているようだ。
「あぁっと、最後にまた少しだけ説明を、さらっとさせてください。
「ソウルチャージ」、「ソウルブラスト」、「カウンターブラスト」についてです。
・Vと書かれた四角とオレンジ色の四角が描かれている「ソウルチャージ」
デッキトップから指定された枚数ヴァンガードのカードの下にソウルとしてた めること。
・Vと書かれた四角と青色の四角が描かれている「ソウルブラスト」
ソウルから指定された枚数をドロップゾーンに置くこと。
・紫色の四角が描かれた「カウンターブラスト」
ダメージゾーンにある表向きのカード(コスト)を指定された枚数裏返すこ と。
こんなところですね。この三つの効果についてはユニットの能力を発動する際によく使われますので、覚えておいてくださいね。」
「はい、何から何までありがとうございます!」
元気よく礼を言うのは将弘。
そして、
「よし、じゃぁとりあえず皆しっかりルール覚えるためにファイトするか!」
直斗が提案し、三人が賛成する。
そして、ぎこちなくだがファイトを始める四人。
その様子を、進は満面の笑みで眺めていた。
うわああああああああああああああああああ!!
何というか本当にごめんなさいとしか言えません!
説明を無理やりに詰め込みすぎました…orz
僕はもとより説明下手でほんとにもう…ごめんなさい!
さて、次はちょっと離れてやっとこさ人物紹介を。
カード屋とか高校についても説明を入れるつもりです。
それでは、読みにくくてすみませんでした!
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別章 紹介
人物紹介には使用クランも書いておこうと思ってます。
施設は二つで名前があがってなかったのもありますが後に頻繁に出てくるのでここで先に紹介しちゃいます。
つまらなかったら飛ばしてもらっても構いませんが、見てもらうと少しはより楽しめるかなと思います。
人物紹介
主人公四人は全員15歳の男です。
・水川 利樹(みずかわ りき)
身長:165cm
体重:51kg
使用クラン:バミューダ△
大星学園高等部一年の保育科所属。人付き合いはあまり得意としない。
スペックとして、容姿は中の上だが運動は出来ない上、勉強は並程度と微妙。
周りをよく見て冷静に判断出来るが、時々ドジをふむ。
・作者コメント:四人のリーダー…って訳では無いんですが、一応この子が本作のメイン主人公です。運動に関してダメにすることで主人公補正を効かなくさせました。
・嵺山 直斗(たかやま なおと)
身長:167cm
体重:55kg
使用クラン:ゴールドパラディン
大星学園高等部一年、情報処理科所属。常にボケをかまし、時には突っ込む。
容姿は完璧、スポーツも出来る。…しかし学問の方はまるでダメ。
だがそのギャップがまた女子からの人気の理由の一つ。
明るい性格から男子からの受けも良い。
仲間想いで、友のためならすっとんでくる。
・作者コメント:イケメンキャラは必要だと思ったんです。でも完璧超人にはさせませんでした。
この子が四人の中のリーダー格と捉えてもらってかまいません。
・上田 裕哉(うえだ ゆうや)
身長:170cm
体重:60kg
使用クラン:ディメンションポリス
大星学園高等部一年生で、電子工学科所属。時に暴走する三人の抑止力であるのだが、自分の趣味の事になるとマシンガントークを炸裂させる。
容姿運動頭脳全てにおいて平均的。
特に面白味もないがだからこそのオールマイティ。
・作者コメント:普通キャラです。言う事も特に無いですね。
ノーマルだからこそ何でもそつなくこなす事の出来る万能さんです。
四人中唯一のツッコミ担当。
・神田 将弘(かんだ まさひろ)
身長:168cm
体重:62kg
使用クラン:ノヴァグラップラー
大星学園高等部一年、デザイン科所属。常に筋肉美の高みを目指す利樹の幼馴染。
四人の中の一番のムードメーカーであり、周りを明るくさせるスキルと魅力を持つ。
容姿は並(筋肉含)、運動はそれなりだが勉強は少し苦手。
普段は馬鹿だがここぞという時に豹変する。
・作者コメント:筋肉キャラにさせてますけどそんなゴリマッチョを想像しなくていいです。軽く筋肉ついてる若者の図です。
熱血キャラもいた方がいいかと思って…。
・大谷 千春(おおたに ちはる)
身長:163cm
体重:48kg
使用クラン:?
大星学園高等部一年で保育科所属の女の子。
成績優秀、容姿端麗、運動神経抜群の完璧さん。
あまり積極的に人と話すことはしないが、話しかけられれば明るく話す。
大星学園の中では有名なアイドル的存在。故にしがらみもしばしば…。
進とは家族ぐるみの付き合いで、店での働きはバイト言うより正規員に近い。
・天道 進(てんどう すすむ)
身長:178cm
体重:65kg
使用クラン:ロイヤルパラディンetc…
カードショップ「カード・セントラル」の店長。
25歳の独身男性。
店長なだけあって、デッキは多数組んであり、客のニーズに応えられるよう尽力している。
利樹達に何かを感じている。何かは彼にもわからない。
・作者コメント:原作と被らないようにしないとな…と、意識して、気がついたら被っててびっくりしました。読み方違うだけやん!
あまり重要な役を担わせようとは思ってません。
保護者の様な立場です。(現実的には保護者の立場がかなり重かったりしますが)
施設紹介
・カード・セントラル
進が立ち上げたカード専門店。
それなりに繁盛し、今はなかなかの規模を誇っている。
時々進代わりに千春の家族が店番をすることもしばしば。
・作者コメント:原作に似たような名前にさせていただきました。
これからはC.Cとでも略しますか←
・大星学園
初等部から成り、大学部まである小中高大一貫という珍しい学校。
千春は初等部からの一貫だが、利樹達は高等部から許されている編入という形で入学した。
高等部から幅広い専門学科を学ぶ事ができる。
実績もあり、地域からの信頼も厚い。
ランクとしては中の上辺りで、割と楽に入れるレベル。
「生徒の自己意識を云々」とか何とかのモットーからか、校則が少ない。
私服での学校生活も許可されている。校章をつける条件付きだが。
自由度が高く、近年流行り出したカードに対して何故か積極的で、学園のあちこちにファイトテーブルを設置している。
作者コメント:こんな自由奔放な学校ないかな…という妄想から生まれた学園。
小中高大一貫だから規模も大きいため、色々事件を起こせそうだ…。
これから新しいキャラ、施設が増えるたび、この様な枠を設けさせていただきます。御了承ください。
次回、またファイトです。←
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三章 非日常は日常へ
そしてとりあえず最初から最後まで一戦バトらせてみます。
上手く書けたら良いんですが…
ちょっと表記を変えたりしてます。
[ ]で括られているのはユニット名
< >で括られているのはクラン
といった具合です。
( )で括られているのは略語なので、これから多用していくつもりです。
利樹達がヴァンガードを始めて数週間が経ったある日の事。
千春は店に入り、店内を見渡す。中にいる客はほとんどが小学生くらいの少年少女だ。
今の時間帯だと納得だ…と思いつつ、千春は商品の整理をしている進に挨拶をし、店員の証であるエプロンをつけ、カウンターに座る。
他にも店員いるが子供達から引っ張りだこだし、基本的にレジは千春の役割なっていたため、その席は空いていた。
だが、レジ係だとしても、子供達からの対象の例外ではないのだ。
千春もとに、早速数人の子供が束になってやってくる。そして、
「ねーねー、これってさ!」
と、デッキ構築のアドバイスをもらおうと質問する。
そんな子供達を見て、千春は微笑んだ。
やはり子供は可愛いものだ、と思いつつ子供達の相手をしていると、側にある自動ドアが開き、
「…あっれー?小さい子ばっかだ…。ちょっと来るの早かったかな…。」
と、とぼけた声が聞こえてきた。
千春が顔をあげると、そこにはきょとんとした顔で、後頭部を掻きながら店を見渡す利樹が立っていた。
それを見た千春は先程までの微笑を満面笑みに変え、
「いらっしゃい、水川君。」
と、恒例の挨拶。
声がした方を見た利樹は、千春の顔を見るやハッとした表情をし、そっぽを向く。
「毎度毎度、殺人級だな…。こんにちは、大谷さん。」
最初に少し呟いた後、しっかりと千春に向き直り、挨拶を笑顔で返す。
今度は千春がそっぽを向く番となったのは言うまでもないだろう。
このやりとりは、既に定番となっていた。
店員、客…皆が一斉にニヤニヤと見ている。
と、我慢出来なくなったか、
「なぁなぁ兄ちゃん!イチャついてないで俺とファイトしようぜ!」
と、少年が利樹が着ている青いチェック柄のアウターの裾を引っ張る。
「あー、はいはいわかったよ…って!イチャついてないわ!!」
子供達数人の手によりファイトテーブルへ運ばれる利樹。
利樹も千春も、元々子供に好かれるタイプではあるが、利樹の場合、以前の初来店時のファイトや、先程のような定番行事のおかげで、店の常連客から声をかけられたり、今回のように子供達に連行されるような場面が多々見られた。他三人も同様ではあるが。
そして利樹も、少し口調が悪くなってしまってはいたが、子供が好きなのだろうと考える。…実際に聞いた事はないが。
と、色々な事を考えながら千春は利樹を見ていた。すると
「あれ?お姉ちゃん、もしかして寂しいの?」
と少女に心配そうな目で尋ねられる。
「そ、そんなことないよ!ほら、私達も行こっか!」
千春は必死で否定し、利樹達のいるファイトテーブルへ幾人の子供を連れて向かった。
子供数人によって連行され、ファイトテーブルへ着席する利樹。
ファーストヴァンガード(FV)をデッキから取り出し、ヴァンガードサークルに裏向きに置き、デッキをシャッフルする。
シャッフルをしながら、利樹は先程の定番行事について考えていた。
…どうしていつの間にこんなことになったのか。
ここに来る度茶化される気がする。
あんな顔で微笑まれたら照れる以外に道はないだろう…。
互いのデッキをシャッフルし終えたところで、利樹は気を切り替える。先程までの思案は全て破棄。
デッキから手札となる5枚を引く。その後のジャンケンにより、利樹の先攻が決定した。
「…2枚チェンジだ。」
「3枚変えるぜ!」
引いた5枚の手札を確認し、不要のカードをデッキに戻し、シャッフルし、また戻した枚数と同じ数だけ引く。
利樹は2枚、少年は3枚だ。
そしてそれが完了したところで、ファイト開始である。
『スタンドアップ・ヴァンガード!』
引き直しの時点で到着していた千春率いるギャラリー勢も同時叫ぶ。開戦の合図だ。
「[バミューダ△候補生 リヴィエール]にライド!」
「[ういんがる・ぶれいぶ]にライド!」
[バミューダ△候補生 リヴィエール]…グレード(G):0,パワー(P):4000,クラン:<バミューダ△>
[ういんがる・ぶれいぶ]…G:0,P:5000,クラン:<ロイヤルパラディン>
利樹はリヴィエール、少年はういんがる・ぶれいぶにライドする。
利樹のターンが始まる。
「マイターン、ドロー。…[マーメイドアイドル リヴィエール]にライド!」
[マーメイドアイドル リヴィエール]…G:1,P:7000,クラン:<バミューダ△>
「そして候補生リヴィエールの効果発動。[マーメイドアイドル リヴィエール]がライドした時、デッキから7枚確認し、スーパーアイドル、もしくはトップアイドルリヴィエールがあればいずれか一枚を手札に加える。」
利樹はデッキトップから7枚を確認し、
「見つけた…!この[スーパーアイドル リヴィエール]を手札に加える。残りの六枚はデッキに戻しシャッフル。
それと、[マーメイドアイドル リヴィエール]の効果な。ソウルに候補生のリヴィエールがいたら常にパワー+1000。つまり、今のパワーは8000だ。
…よし、先攻は攻撃出来ないから、これで俺のターンは終了。どうぞ。」
手札:ダメージ=利…5:0 少…5:0
「よし!俺のターン、ドロー![小さな賢者 マロン]にライド!」
[小さな賢者 マロン]…G:1,P:8000,クラン:<ロイヤルパラディン>
「[ういんがる・ぶれいぶ]に他の<ロイヤルパラディン>がライドした時、リアガードサークルにコールできる!」
少年は、ソウルの[ういんがる・ぶれいぶ]を中央後方へ移動させた。
「よーし、行くぜ!
[ういんがる・ぶれいぶ]のブースト!マロンでアタック!」
[小さな賢者 マロン]
P=8000+5000=13000
vs
[マーメイドアイドル リヴィエール]
P=8000
「ノーガード。」
「ドライブトリガー、チェック…[沈黙の騎士 ギャラティン]。トリガーなしかぁ…」
「そんな簡単出てきたら困るって…。
ダメージチェック…[トップアイドル セラム]。トリガーなし…っと。」
「それじゃこれでターン終了。兄ちゃんのターンだぜ!」
手札:ダメージ=利…5:1 少…5:0
「マイターン、ドロー。…ライド![スーパーアイドル リヴィエール]!」
[スーパーアイドル リヴィエール]
G:2,P:9000,クラン:<バミューダ△>
「まず、ソウルの[マーメイドアイドル リヴィエール]の効果。ソウルに[バミューダ△候補生 リヴィエール]があるとき、[スーパーアイドル リヴィエール]がライドしたら、デッキから一枚ドローする。
次に[スーパーアイドル リヴィエール]の効果。ソウルに[マーメイドアイドル リヴィエール]があるとき、常にパワー+1000。」
これにより、[スーパーアイドル リヴィエール]のパワーは10000となった。
利樹は効果により一枚ドローする。
「…よし、展開するか。
[マーメイドアイドル セドナ]、[パールシスターズ ペルラ]、[パールシスターズ ペルル]をコール!」
[マーメイドアイドル セドナ]
G:1,P:8000,クラン<バミューダ△>
[パールシスターズ ペルラ]
G:2,P:9000,クラン<バミューダ△>
[パールシスターズ ペルル]
G:1,P:7000,クラン<バミューダ△>
「[ペルル]コール時効果発動!こいつがリアガード(R)にコールされた時、場にいる[ペルラ]を一体選んで、このターン中効果を与える。その効果は、
『このユニットのアタックがヴァンガード(V)にヒットした時、一枚ソウルチャージ(SC)し、デッキから一枚ドローする。』
って効果だ。」
「えっと…それってつまり…。」
複雑な効果に困惑する少年。
それを見て利樹は出来るだけ簡潔に説明する。
「つまり、このターン、[ペルラ]のアタックがVである[マロン]にヒットしたら、俺は一枚SCして、一枚ドローするって事だな。」
「そ、そんな効果なんだ…。」
「そそ。さてと、アタック入るよ。[セドナ]でブースト、[リヴィエール]でヴァンガードにアタック。」
[スーパーアイドル リヴィエール]
P:10000+8000=18000
VS
[小さな賢者 マロン]
P:8000
「ノーガード!」
「ドライブチェック…[ドライブカルテット リサッカ]、ゲット、スタンドトリガー。ってスタンドかぁ…。ま、仕方ない。[セドナ]をスタンドして、パワーは[ペルラ]に。」
「ダメージチェック…[ナイトスクワイヤ アレン]、トリガーなし。」
「続けて、[ペルル]でブースト、[ペルラ]でヴァンガードにアタック。」
[パールシスターズ ペルラ]
P:9000+7000+5000=21000
VS
[小さな賢者 マロン]
P:8000
「21000かぁ…。ノーガード!」
「了解。それじゃ、[ペルル]の効果で与えられた[ペルラ]の効果発動。
一枚SCして、一枚ドローするよ。」
「ダメージチェック…[沈黙の騎士 ギャラティン]。トリガーなし。」
「よし、ターン終了だ。」
利樹はターン終了を宣言し、ターンは少年へ移行する。
利樹…手札:4,ダメージ:1
少年…手札:5,ダメージ:2
「マイターン、スタンド&ドロー。…行くぜ!立ち上がれ!俺の分身!ライド![ブラスター・ブレード]!!
[ブラスター・ブレード]の効果!二枚のCB![ペルラ]を退却させる!」
[ブラスター・ブレード]
G:2,P9000,クラン<ロイヤルパラディン>
[ブラスター・ブレード]はVに出た時、CB2をコストとして払う事で、相手のR一体を無条件退却させることが出来る。
「…[ペルラ]は強制退場で退却。」
「へっへーん!どうだ!いんたーせぷとを防いでやったぜ!」
利樹は大人しく[ペルラ]を退却。少年はそれに歓喜しているようだ。
「まだいくぜ!手札から[孤高の騎士 ガンスロット]の効果を発動![ガンスロット]をデッキに戻して、デッキから一枚[ブラスター・ブレード]を手札に加えてデッキはシャッフル!
で、[ギャラティン]、その後ろに[マロン]をコールだ!」
[沈黙の騎士 ギャラティン]
G:2,P:10000,クラン<ロイヤルパラディン>
右側前列に[ギャラティン]、その後ろに[マロン]が登場する。
「[ういんがる・ぶれいぶ]のブースト、[ブラスター・ブレード]でアタック!」
[ブラスター・ブレード]
P:9000+5000=14000
VS
[スーパーアイドル リヴィエール]
P:10000
「…([ういんがる・ぶれいぶ]の効果を考えたら、この攻撃は通せないな…。)[ドライブカルテット リサッカ]でガード!」
[ブラスター・ブレード]
P:14000
VS
P:10000+10000=20000
「これじゃトリガーが出ても通らないなぁ…。ドライブチェック…[幸運の運び手 エポナ]!クリティカルトリガーゲット!効果は全てギャラティン]に!」
「おいおい、マジかよ…。」
利樹は落胆する。少年は勢いづいているようだ。
「マジだよ兄ちゃん!いくぜ![マロン]のブースト、[ギャラティン]でヴァンガードへ!」
[沈黙の騎士 ギャラティン]
P:10000+8000+5000=23000
VS
[スーパーアイドル リヴィエール]
P:10000
「いやこれは…ノーガードだな。ダメージチェック…[ペルル]、もう一枚はG1の[リヴィエール]か。トリガーはないな…。」
「いよっしゃ!ターン終了!」
利樹…手札:3,ダメージ:3
少年…手札:4,ダメージ:2
「マイターン、スタンド&ドロー。ライド![トップアイドル リヴィエール]!
[トップアイドル リヴィエール]
G:3,P:10000,クラン<バミューダ△>
「G2の[リヴィエール]にこいつがライドした時、ソウルにG1の[リヴィエール]がいれば、一枚ドローできる。でもって、Pは常に+1000され、11000だ。
続けて、[マーメイドアイドル フリュート]、[トップアイドル アクア]をコール!」
[ペルル]の前に[アクア]、その逆サイドの前列に[フリュート]がコールされる。
[マーメイドアイドル フリュート]
G:2,P:8000,クラン<バミューダ△>
[トップアイドル アクア]
G:2,P:10000,クラン<バミューダ△>
「[フリュート]はRに<バミューダ△>が4体以上いれば、アタック時P+3000する。
いくよ。[フリュート]で[ギャラティン]をアタック!」
[マーメイドアイドル フリュート]
P:8000+3000=11000
VS
[沈黙の騎士 ギャラティン]
P:10000
「うーん…、ノーガードかな。[ギャラティン]は退却。」
「OK。続けて[セドナ]でブースト、[リヴィエール]でヴァンガードにアタック!」
[トップアイドル リヴィエール]
P:11000+8000=19000
VS
[ブラスター・ブレード]
P:9000
「げ!15000要求かぁ…。ノーガード…。」
「了解。ツインドライブ、ファーストチェック…[マーメイドアイドル エリー]。トリガーなし。セカンドチェック…[ドライブカルテット フロース]。ゲット、ヒールトリガー。」
[ドライブカルテット フロース]
G:0,P:4000,クラン<バミューダ△>,ヒールトリガー(治)
ヒールトリガーがトリガーチェック時に出た時、ダメージが相手以上であるならば、一点だけ回復できる。
「俺のダメージは3、君のダメージは2。だから、ダメージを一点回復するよ。ダメージゾーンから一枚ドロップゾーンへ。
トリガー効果のP+5000は[アクア]に。」
「じゃあダメージチェック…[ふろうがる]。ゲットスタンドトリガー!…ってスタンドかぁ…。」
[ふろうがる]
G:0,P:5000,クラン<ロイヤルパラディン>,スタンドトリガー(醒)
スタンドトリガーは、自身のレスト(横向き)しているリアガード一体をスタンド(縦向き)させる効果を持つ。スタンドすることで再度アタックが出来るようになるのだが、自分が攻撃を受ける側では、スタンドの意味は殆どない。
「[マロン]をスタンド。パワーは[ブラスター・ブレード]に。」
「じゃ、[ペルル]のブースト、[アクア]でヴァンガードにアタック。」
[トップアイドル アクア]
P:10000+5000+7000=22000
VS
[ブラスター・ブレード]
P:9000+5000=14000
「そこは、[エポナ]でガード!」
[ブラスター・ブレード]
P:14000+10000=24000
「通らなかったか…。ターン終了。」
利樹…手札:4,ダメージ:2
少年…手札:3,ダメージ:3
「マイターン、スタンド&ドロー!…やるしかない![マジェスティ・ブラスター・ロード]にライド!!」
[マジェスティ・ブラスター・ロード]
G:3,P:10000,クラン<ロイヤルパラディン>
(くっそ遂に出やがった…!場に[ブラスター・ブレード]と[ブラスター・ダーク]がいないのが助けか……いや、これから出されたらマズイぞ…。」
利樹は苦虫を噛み潰したような顔をする。
無理もない。[マジェスティ]はソウルに[ブレード]と[ダーク]がある時、P+2000とクリティカル+1されるのだ。しかもそれは常に、である。
そして更に、Rの[ブラスター・ブレード]、[ブラスター・ダーク]を各一体ずつソウルにいれることで、そのターン中P+10000する。
この効果が発動しないことに安堵しかけた利樹だが、気を引き締め直した。
「行くよ![ういんがる・ぶれいぶ]でブースト![マジェスティ]でヴァンガードにアタック!」
[マジェスティ・ブラスター・ロード]
P:10000+5000=15000
VS
[トップアイドル リヴィエール]
P:11000
「5000要求か…なら、[ドライブカルテット バブリン]でガード!」
[トップアイドル リヴィエール]
P:11000+5000=16000
「よし、ツインドライブ!一枚目…[スターライト・ユニコーン]、二枚目…[武器商人 ゴヴァノン]!ゲット、ドロートリガー!一枚ドローしてパワーはヴァンガードに!」
[マジェスティ・ブラスター・ロード]
P:15000+5000=20000
「しまった…。仕方ないか。ダメージチェック…[スーパーアイドル リヴィエール]。トリガーなし。」
「よーっし、ここで[ういんがる・ぶれいぶ]の効果を使うよ!」
効果は[ういんがる・ぶれいぶ]がブーストした[ブラスター]と名のつくユニットのアタックがヴァンガードにヒットした時に発動する。
アタックヒット時、コストとして[ういんがる・ぶれいぶ]をソウルに置く。そしてデッキから一枚、[ブラスター]と名のつくユニットを手札に加える事が出来るのだ。
少年が手札に加えるカードは…
「俺は[ブラスター・ブレード]を手札に加えるよ!」
少年は[ブラスター・ブレード]を利樹に見せ、手札に加える。
「くっそ…アタック通したくなかったなぁ…。」
少年がデッキをシャッフルする間に利樹は溜息混じりに呟いた。
(でも、アタックできるリアガードはいない…。次、何処まで追い詰められるかだな…。)
「ターン終了!兄ちゃんのターンだぜ!」
利樹が考えを巡らせたところでターン終了の宣言。
利樹…手札:3,ダメージ:3
少年…手札:6,ダメージ:3
「マイターン、スタンド&ドロー。[スーパーアイドル セラム]をコール。」
[スーパーアイドル セラム]は右側前列にコールされた。
[スーパーアイドル セラム]
G:3,P:10000,クラン<バミューダ△>
「行くぞ![ペルル]のブースト、[アクア]でヴァンガードにアタック!」
[トップアイドル アクア]
P:10000+7000=17000
VS
[マジェスティ・ブラスター・ロード]
P:10000
「[世界樹の巫女 エレイン]でガード!」
[マジェスティ・ブラスター・ロード]
P:10000+10000=20000
「通らない、か…。なら、[セドナ]でブースト、[リヴィエール]でヴァンガードにアタック!」
[トップアイドル リヴィエール]
P:11000+8000=19000
「…そこはノーガード!」
「了解、ツインドライブ!ファーストチェック…[セドナ]、トリガーなし。セカンドチェック…G2の[リヴィエール]。トリガーなし。」
「ダメージチェック…[ういんがる]、トリガーなし。」
「お互いトリガーなしか…。よし、次だ。[セラム]でヴァンガード
にアタック!」
「5000要求…なら、[ゴヴァノン]でガード!」
[マジェスティ・ロード・ブラスター]
P:10000+5000=15000
「まぁ、防がれるよな…。これでターン終了。」
利樹…手札:5,ダメージ:3
少年…手札:4,ダメージ:4
「よーし、マイターン、スタンド&ドロー!ここで決めてやる![ダーク]、[ブレード]、[ユニコーン]をコール!」
[ブラスター・ダーク]
G:2,P:9000,クラン<シャドウパラディン>
[スターライト・ユニコーン]
G:1,P:6000,クラン<ロイヤルパラディン>
「[ユニコーン]はRに出た時<ロイヤルパラディン>のユニット一体のP+2000させることができるから、[マジェスティ]のパワーを+2000。
更に[マジェスティ]の効果!Rにいる[ブラスター・ダーク]、[ブラスター・ブレード]をソウルに!これで[マジェスティ]はパワー24000のクリティカル2だ!」
「うお…なんてやつだ…。」
[マジェスティ・ロード・ブラスター]を前に、某野菜人の悪魔のような呻きをする利樹。
「[マロン]を前列に移動させて…。
[ユニコーン]でブースト、[マジェスティ]でヴァンガードにアタック!」
[マジェスティ・ロード・ブラスター]
P:12000+10000+2000+6000=30000
VS
[トップアイドル リヴィエール]
P:11000
「ガード値20000要求か…。仕方ない。手札のG2[リヴィエール]をドロップ![マーメイドアイドル エリー]で完全ガード!」
[マーメイドアイドル エリー]
G:1,P:6000,クラン<バミューダ△>
[マーメイドアイドル エリー]がガードする時、手札にある同じクランの<バミューダ△>のユニット一体をドロップすることで、どんな攻撃も通さない『完全ガード』ができる。
(今ではこのような完全ガードを持つユニットには「守護者」の表記がついてます。ガード値を表す部分が他と違ってかっこいいですよ!)
「げっ!しまった…。まぁいいや!ツインドライブがあるからね!一枚目…[ギャラティン]、二枚目…[幸運の運び手 エポナ]!ゲット、クリティカルトリガー!効果は全部[マロン]に!
いっけー![マロン]でヴァンガードにアタックだ!」
[小さな賢者 マロン]
P:8000+5000=13000
VS
[トップアイドル リヴィエール]
P:11000
「…ここはノーガードで!ダメージチェック、一枚目…[フリュート]、二枚目…[セラム]どっちもトリガーはなし。」
「ターン終了!もう少しだ!」
利樹…手札:3,ダメージ:5
少年…手札:4,ダメージ:4
利樹のダメージは5。後一枚で負けてしまう。つまり…
「…(ここで決めないと、マズイ。)マイターン、スタンド&ドロー![セドナ]をコール!」
[スーパーアイドル セラム]の後ろに[マーメイドアイドル セドナ]がコールされる。
場だけみれば利樹が優勢ではある。
「いくぞ![ペルル]のブースト、[アクア]でヴァンガードにアタック!」
[トップアイドル アクア]
P:10000+7000=17000
VS
[マジェスティ・ブラスター・ロード]
P:12000
「10000か…[エポナ]でガード!
[マジェスティ]・ブラスター・ロード]
P:12000+10000=22000
「まだまだ![セドナ]のブースト、[リヴィエール]でヴァンガードに!」
[トップアイドル リヴィエール]
P:11000+8000=19000
VS
[マジェスティ・ブラスター・ロード]
P:12000
「うっ…そこは[ギャラティン]と[ふろうがる]でガード!二枚貫通!」
[マジェスティ・ブラスター・ロード]
P:12000+5000+10000=27000
「二枚貫通…くるか…!ツインドライブ、ファーストチェック!…G3[リヴィエール]、トリガーなし…」
「よっしゃ!これでこの攻撃は通らなくなった!」
「くっそ、セカンドチェック!…[ドライブカルテット シュプリュ]…!ゲット!クリティカルトリガー!!
効果は全て[セラム]に!」
「えっ、ここでトリガー!?しかもクリティカル!」
この攻撃を凌ぎきれるとほぼ確信していた少年は驚きを隠せないようだ。
少年の手札は残り1枚、リアガードにインターセプト出来るユニットは存在していない。
「もらった![セドナ]でブースト、[セラム]でヴァンガードにアタック!」
[スーパーアイドル セラム]
P:10000+5000+8000=23000
VS
[マジェスティ・ブラスター・ロード]
P:12000
「うっ…防げない… 。ノーガード!ダメージチェック…[ブラスター・ダーク]、もう一枚…!」
これでお互いダメージは5。
もしこれで少年がヒールトリガーを引くことが出来ればファイトは続行されるが…。
少年は躊躇いつつ、しかし意を決し勢いよく山札から一枚引き、
「チェック!…[薔薇の騎士 モルガーナ]、トリガーなし。…負けたぁー!!」
勝敗は決した。
少年は最後にヒールトリガーを引くことが出来ず敗退。
少年が嘆く間、利樹はカードを片付けつつ安堵する。
「…(あ、危なかったぁ〜…)。」
「やったね、水川君。」
不意に上から声を掛けられ、上を見るとそこには…
「あぁ、ありがとう大谷さん。」
ファイトに夢中でギャラリーの存在を忘れてしまっていた。
千春の微笑を見て心が和んでいくのを感じつつ、席を立つ。と、
「ういっす!…って、結構賑わってるな。」
「何だか完全に出遅れたって感じだなぁ。」
直斗と裕哉もやってきた。
しかし何か違和感…
「お、皆来たか!って…あ?将弘はどうした?」
そう。将弘の姿が見当たらないのだ。利樹の疑問も当然だろう。
「あ〜…筋トレしてからくるって、言ってたぞ…。」
苦笑混じりに答えたのは裕哉だ。
「まったく、あいつらしいよな〜。
それより水川!ファイトしようぜー!」
直斗はさっきの少年に負けない位の無邪気さで利樹にファイトを申し込んだ。
利樹は当然承諾し、準備を開始する。
利樹はまた席につき、辺りを見回す。
すると、先程はギャラリーにまわっていた千春、直斗と来店した裕哉も誰かしらと席につきファイト準備をしていた。
「おーい、水川?大丈夫か?」
「え?あ、あぁ、すまん。いいぜ。」
その光景を見て顔を綻ばせていた利樹は直斗の声に我に返る。
「じゃ、行くぜ?」
「あぁ、いつでもいいぜ!」
そして
『スタンドアップ!ヴァンガード!!』
ファイトスタートの合図が、何重にもなって店内に響き渡った。
読んでくださってありがとうございました。
俺がファイトを書くとこんな感じになる、というのがおわかりいただけたでしょうかw
ここをこうしたらもっと良くなる!という御意見などございましたらどんどん言ってください。
次は学園生活にはいっていこうかと。
日常、ですしね。
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