止んだ時雨は宵の内 (春宵)
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設定 設定集 オリ主周辺編

出身世界設定

 

妖怪達が幻想となり、負の感情から生まれるはずの妖怪が生まれなくなり、歪んだ姿で人の死体を拠り所にして、沈んだ兵器を再現した化け物(深海棲艦)が人を脅かすようになった世界。

艦娘は人間の女性の中でも適性があった人

(イレギュラー的に家族に適性が高い人がいる場合は男性でも適性がある場合がある)を改造したものや、

そのクローン(人を改造したものをオリジナルという)

本作では宵雨(クローンと人の融合体)と山風(オリジナル)の兄妹が該当する。

 

オリ主

 

名前  宵雨 (艦としては白露改造型陸上航空戦艦 宵雨)

読み  よいさめ

本名  宵月 麗音

種族  深海棲艦兼七尾の狐(一時的になら九尾化も可能)

誕生日 11月19日

年齢  15歳(身体年齢で実際は7歳)

身長  172.1㎝ 

体重  58kg

髪色  黒 (※1の条件下では白交じりの黒)

瞳   水色(※1の条件下では赤と茶色のオッドアイとなり瞳孔も拡張される)

趣味  機械いじり、山風弄り

好物  時雨煮、ドーナツ、鍋、カレー、麻婆春雨、おにぎり、緑茶

(後者5つは、口にするとなぜか涙が出るらしい)

宝物  時雨の形見の髪留め、白露型用ツギハギ制服(時雨用ベース)

 

駆逐艦時雨 改二を成長させた(胸はまな板だが)様な姿をしている。

一際目立つ赤い髪留めは彼が友人であった時雨に送ったものであり、

彼自身が見つける事が出来た唯一の遺留品でもある。

 

※1 彼の行える妖怪、深海棲艦としての姿への変化のこと。

 

 

詳細としては変化をすると力が強く、五感は鋭くなり、さらに五本の尻尾が生えてくる。

また生えてくる尻尾は20cm砲として使用できるようになる。(1つは舵に使われるが)

人型本気モードなら冷気を撒き散らし続ける七尾もしくは吹雪を纏う九尾へと変化する。

(七尾までなら時間制限は無いが、冷気が抑えきれず、気温も低下するので人外と気づかれないために抑えている)

また、完全に獣の姿に変じることも出来、その場合は瞳の色が赤と茶色のオッドアイの

二m以上ある純白の七尾の狐へと変わる。

 

 

説明

 

艦娘時雨の適性があった稀有な男性であり、幼い時に生き別れた妹である山風の艦娘としての姉妹となった時雨(彼からすると異性で一番の友人)の艦装核を破損した心臓の代わりにすることで生き延びている。

生前に時雨が書いていた遺書にあった時雨の遺志を継ぐことを目標にしたものの守ることができず、

せめて死者の分まで遺子を愛するという志を新たに立てている。

彼が時雨の姿をよく模倣している理由は、見た目が変わった結果

時雨の家族に避けられてしまい、時雨の遺志であった

「時雨が命を捨てて守った家族を時雨の替わりに守る」

という志を果たせなかったことを未だに引きずっているからである。

 

 

作中で彼が行っている任務と偽装

 

息抜き出来そうな仕事として原作メンバーを補助する役目を受けている。

ストーリーは知らず、原作キャラでは織斑一夏、織斑千冬のみ知っている。

また要注意人物という事で更識楯無のプロフィールを書籍にて暗記させられている。

軍人ではなく企業のパイロットとプロフィール上では明記しており、

所属会社はステラ社としている。

また元々は孤児でありISの適性が見つかる前までステラ社によってイタリアで保護されて里親を募集中だった日本人という設定で、

更識家に調べられても元の戸籍が存在しない

(この世界へと来たばかり)ため素性は動きや言動からしか分かり難い。

偽名として月華《つきはな》宵雨と名乗っている。

 

通常状態搭載武装一覧

 

肩部35.4㎝多目的砲 一門

腕部特殊攻盾 イージス改

腕部内蔵ワイヤーフック

脚部三連装ミサイルポッド 二門

 

手持ち武装一覧

 

偏光ビームライフル アビスレイ

携帯式核弾頭 ロストルーラー

刀 二振り (銘はグリムリーパーと蛇咬)

 

 

宵雨の搭乗機体

 

 

可変機構試験導入型IS ステラマーレ

 

見た目

 

通常のISと比べて軽装の銀の騎士の背部にスラスターが付いたような姿、

フルスキン型で荷重を分散させる構造をしている。

またパックによって色が変わる。

待機形態はオレンジのリボン付きの髪留め。

 

説明

 

ステラ社が自社防衛のためという名目でデュノア社より買った

ラファールより取り出されたコアを使い、

宵雨がメッサーラ改を造った経験を生かして作り上げたIS

拡張領域を大幅に拡張することでそこに入れた追加アーマーやブースターを

格納することが可能となり追加装備によって変形先を変化させることで、

多様な環境に適応させることに成功した。

環境によって三つのパックの内の最適な物を選択し、戦闘することが出来るが

全ての形態で個別の弱点が存在するため万能とは言い難い。

三世代機だが篠ノ之束の技術とは別の方向で次世代の技術が使われており、

新たな機能をパックに機体自身が搭載させる可能性もある。

基本的に弾や機体のエネルギーは宵雨も作っているが、

赤き極光はジェネレータの補助が無ければ、外部に察知される。

またトネールフレッシュの弾は作れないので積み込んでおく必要がある。

 

武装

 

 

コールドハルバード

 

ステラマーレの基本装備でどのパックでも使用出来る。

ハルバードをISに搭載するという目的で作成された武装で

細かく刺突、斬撃、打撃を切り替えつつ

関節を凍らせて動きを鈍らせていくのが主な戦い方となる。

 

 

三連装ハープーンガン

 

ステラマーレは実弾兵装を持っていなかったため

試験運用後に急遽作られた武装。

水中でもビーム兵装ではないので威力が落ちず水中戦での主武装ともいえる。

 

 

ビームライフル

 

機体本体の武装を充実させるために搭載されたビームライフル。

アビスレイより威力は有るが、連射性を重視しているため威力は低め。

 

パックによる変化

 

 

ステラマーレアンタレス

 

 

見た目は真っ赤な騎士のような姿で、背中には円形の大型ジェネレータと大型ビームライフルが取り付けられている。

また、一部装甲はミサイルポッドに換装することも出来る。

変形の際にステラマーレアンタレス自身のアーマーに取り付けられた

大型のジェネレータによって強力な火器のエネルギーを賄い

大火力で戦線を押し上げる事を目的とした姿で

動きが遅く飛行能力が低いが瞬間火力と射程に優れ、

高い汎用性を誇るため基本的にはステラマーレはこの姿である。

 

武装

 

 

赤き極光

 

ステラマーレ最大の威力の装備

威力ではなくビームの温度を極限まで上げた結果、

音も無く当たった相手を溶かせるようになった両手持ち用のビームライフル。

アンタレスの時のみしかエネルギーの関係上使えないが、

 

攻撃自体はビームだけでなく温度でもあるため

防御してもその部分の装甲を溶かして歪めてしまう。

 

 

ステラマーレミルファク

 

 

見た目は金色の騎士で通常と比べると、大量の小型スラスターが増設されている。

また、背中には大型のビームハルペーと

大型の蛇の刻印がされた黒色の盾、アイギスが取り付けられている。

 

アイギスには耐ビームコーティングが施されており、

ビームをある程度弾くことが出来る。

此方の形態は近距離用の強襲機で、

盾で守りつつ懐へ入り素早く撃破することを目的としている。

そのため装甲が厚く瞬間的な加速に優れ耐久が高くなっている。

しかし旋回性が低く、推進剤の消費が激しいため長期戦には向かない

 

武装

 

 

大型ビームハルペー

 

取り回しに難があり重いものの、

敵を引き寄せながら切る事を想定した設計になっているため

盾を構えた相手を背中から切る事が出来、

懐に入った相手に対し前後から攻撃しやすくなっている。

変形機構が搭載されており通常のビームサーベルとしても使用できる。

 

 

アイギス

 

蛇の刻印がされた黒色の大楯、ビームを弾き、熱にも強く出来ている。

強度は異常なほどで理論上核の直撃を三度まで耐える事が出来る。

(宵雨自身は防御して二度耐えるのが限界)

実を言うと他の姿でも使用可能だがアンタレスは赤き極光で両手が塞がり、

アルタイルは空いた片腕に基本的にコールドハルバードを持っているため、

実質ミルファクか通常でしか使われない装備となっている。

 

 

ステラマーレアルタイル

 

見た目は銀騎士のままで、右腕に超電磁砲がついており、

背中には大型の翼が取り付けられている。

機動力と旋回性に優れるが、装甲が薄く扱いにくい。

この姿はハイパーセンサーの感度と各種ソナーやレーダーを用いた

索敵機の機能を持っていて、持ち前の速さで得られた情報を迅速に届ける。

また。、この姿は亜音速戦闘用に開発されたもので、

メッサーラ改と同じような性能のため宵雨が一番得意としている形態である。

生半可なパイロットでは乗りこなせないが、メッサーラ改に比べれば遅いので

(メッサーラ改は秒速950mであり宵雨はハッチを開けて射撃をしながら飛べる)

宵雨は普通に乗りこなしている。

最高速度は秒速760m

 

武装

 

 

トネールフレッシュ(フランス語で雷の矢)

 

右腕の超電磁砲の事で、専用の弾の他に専用のタンクを外付けする事によって、

タンク内の液体を好きな形に変質させて超電磁砲の弾として打つことも出来る。

この弾だけは宵雨の体内で作られていない。

 

 

 

名前  山風

読み  やまかぜ

本名  宵月 佳苗

誕生日 2月21日

年齢  15歳

身長  145.2㎝

体重  43.6㎏

髪色  緑

瞳   水色

趣味  料理、宵雨に甘えること

好物  オムライス、ドーナツ、鍋、カレー、麻婆春雨、おにぎり、緑茶

(後者5つは、口にすると故人を思い出して涙が出るらしい)

宝物  銀のロケット(中身は白露型、改白露型全員+宵雨の集合写真)

白露型用ツギハギ制服(山風用ベース)

 

 

説明

 

宵雨の実の妹であり、宵雨が心臓代わりにしていた艦装核の持ち主であった時雨の妹であり、入渠中だったためテロによって沈められることがなかった艦娘。

別行動だったため生き残った東風谷 夕立とこの山風は、

宵雨に姉妹を託した時雨が命をかけて生き延びさせた艦娘の生き残りに当たる。

後に彼女は深海棲艦となった姉妹達に沈められかけるが、

深海棲艦化していない頃の宵雨がかばって、姉妹たちを沈めた事により生き残った。

この戦いの結果宵雨も沈んでしまい、目の前で沈んでいく家族の姿がトラウマとなった結果一人で眠れなくなり家族に依存するようになった。

未だに宵雨が生きているこの世界が夢のように感じることがあるらしい。

偽名として月華 山風と名乗っている。

 

 

山風の搭乗機体

 

 

高機動遠距離射撃型IS トルメンタ

 

見た目

 

大型の全身を覆う青い細身のフルスキン機で、

背部に姿勢制御と旋回性向上を兼ねた可変翼が取り付けられており、

取り付けられた大型のスラスターによって機動性を確保し、

旋回性能を上げるために羽の角度も任意で変えられるようになっている。

最高速度はリミッター付きで秒速260m

リミッター解除時に秒速500m

高速機動システム作動時に秒速780m

 

 

説明

 

宵雨が山風の為に急ピッチで作り上げた機体。

元々はオーバースペック過ぎて製造されていなかった機体だったが、

山風の技術ではステラマーレのような機体は扱いきれないと考えた宵雨によって、

安全性と操作性を重視した機体へリミッターをかけることで対応している。

機体各部の流用が多い理由は、

短時間で考える必要が有ったため機体をゼロから考えられるほど時間がなかったためである。

 

 

 

武装

 

粒子加速式ビームライフル

 

簡易的な粒子加速器を搭載しており、狙撃仕様に改良されたビームライフル。

赤き極光ほどの火力は無いが、その分連発できる。

偏差撃ちがし易い様に、機体内部の画面と連動している。

 

 

ビームマシンガン

 

中近距離で使用される武装で、足止めとダメージの蓄積をしつつ

変形をして逃げることを想定された構造で、あまり一度に撃つことはできないが、

変形することでエネルギーを補充出来る様になっている。

 

 

コールドダガー

 

ビームを無力化する相手に対する対抗策として搭載されている近距離兵装。

武器を受け止めたりしても壊れにくい様に耐久性に特化している。

 

 

5連装ミサイルポッド 二門

 

後退時を考慮してスラスターとともに装着される武装。

威力は秀でていないが、追尾システムを搭載している。

 

 

三世代兵装

 

盾喰らい

 

元々ステラマーレに搭載予定だった三世代武装を積み替えたという設定の武装で

マガノイクタチをブレード仕様に変え、

切る事でもエネルギーを奪えるようにしたもの。

ビームなどを切ることも出来るが、出力が高すぎると吸収しきれず、

エネルギーが逆流してしまう。

これは故意に起こすことも出来、相手の機体にオーバーフローを起こしたり、

他者へのエネルギーの譲渡にも使うことも出来る。

 

ステラ社

 

新生袖付きの上層部である、クレイとアリアが月光からの任務の為に作った会社。

デュノア社の投資を元手に作られており、今でも関係性が深い。

基本的にはISの武装を作成しており、カスタムやIS自体の作成をすることは稀である。

また、社長の関係者はデュノア社の現状を知っており、

いつか恩を返したいと考えている。




宵雨の武装の詳細設定は別の作品に乗せております。


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設定集 2 デュノア社編

原作との相違点。

 

デュノア社

 

改名前はダッソー社という名前の複合企業だった。

原作に比べてISの補助装置を開発するのに長けており、

独自技術としてコア自体が望んでいる場合のみだが、

データを専用の設備に一時的に移して初期化後にデータを送り返す

データ移行設備を開発中。

また、ステラ社(宵雨達)の秘密を隠蔽する手助けをする見返りとして、ステラ社から提供された技術の一つである有線式ビット兵器(名目上は共同開発)を改良して高速切替対応化させた物を三世代兵装として保有している。

(これはステラ社側にも提供されており、シャルロット機はこれを宵雨が改造して、偏向射撃に対応させたうえで、デュノア社に返還されたものを搭載している。)

補足として、シャルロット・デュノア入学時時点で、

コスモスシリーズ一号機としてコスモスが既に完成しかかっている。

(機体組み上げ済み、残りはシャルロットのビット運用データのみ)

 

シャルロット・デュノア

 

原作登場シーン時には既にシャルロット・デュノアとその両親の間で和解が成立済み。

デュノア社の三世代機の開発が順調なので、シャルロット・デュノアはスパイとしてではなく、書類を偽造による入学が発生した場合に気付く事が出来るのかをテストをする為に最初は男子と偽って入学がして欲しいと学園側から依頼された故に男子としての入学したということに変更されている。

その為更識の関係者や織斑千冬などの一部の人間は性別を偽っていることを知っている。

また原作の自身やその周囲を知ったせいか、

織斑一夏の事は良い人だけど強さの割に甘すぎるという印象。

また織斑一夏に惚れた自身がどんな事をしたかも知った為、

最初から織斑一夏を恋愛対象として考えないようにしている。

 

シャルロット・デュノアの機体

 

コスモス(未完成)

ラファール・リヴァイブカスタムⅡ(兵装実験仕様)

 

原作のラファール・リヴァイブカスタムⅡに、

試験的に開発された有線式ビットのプラットフォームを取り付けた物。

四つのビットがプラットフォームの四方に装備されており。

ビット兵器は技術的に先を行っているうえに有線式であるために、

無線式のブルーティアーズに比べて操作の難易度やフレキシブルの発生難易度は圧倒的に低めだが、

射程(ビットは300mまで届く)や自由度では劣る。

また、この機体はシャルロット・デュノアがビットの操作に慣れるための訓練機を兼ねているため、

ビットにはAIが搭載されている。

 

リィン=カーネイションについて

 

コスモスシリーズ二号機として開発予定で、

コンセプトはラファールシリーズのものをさらに進めた形の予定。

こちらの機体はラファールシリーズの弱点などを省みて、高価で適正が必要なビット兵器を廃して汎用性の高い装備に絞り、装着することでエネルギー補給を行えるバッテリーを積み込むことで、誰にでも使える機体を目標にしている。

また、高速切換は技術として会得できるからこそ、

その補助システムを導入することで、ラファールシリーズの際に存在した換装中の隙を減らす事を想定している。



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プロローグ 宵は過ぎ 雨が止んだ日

悪夢は夢想する、自らが未だ彼と彼女で在った時を

 

 

 

昔の彼は呟いた「既に朽ちた僕の身に、どうか未来を紡ぐ時間を」

 

祈りは届かず絡繰りに堕とされた人だったナニカは何も見届けられずに共に立った者達の末路を知ることも出来ずに最後の時を迎えた。

 

 

昔の彼女は笑いながら言った「先に行ってて大丈夫、僕はきっと沈まないから」

 

昔に自分だけを残して逝ってしまった姉妹達の為に、

止まない冬の通り雨が今度は自身の命を燃やして尽くして

助けられなかった姉妹達に再び出会い、そして助けられた事に感謝しながら深い海へと沈んでいった。

 

 

私は夢想した、自分達の末路を

 

 

絡繰りの亡骸は自らの憎悪から生まれ、そして彼の代わりに全てを終わらせた者達の気まぐれによって保存され、

 

 

それからしばらくして通り雨の亡骸は憎悪によって別の何かに成りきる前に死を纏う者達に引き上げられた。

 

彼等は出会い、そして後に未来を変える決意をする

 

全てを終わらせた者は言ったそうだ。

 

「我らを生み出してくれたことへ感謝を込めてクローンとして生まれ変わらせよう」と

 

 

 

悪夢は夢想する、自分が無垢であった時を

 

 

目覚めて最初の一言は、なぜ生きているのだろうだったはずだ

 

そして何故か生きているのかに驚いていたはずだ

 

そして私は自身が前の私のクローンであると教わった。

その時に初めて出会った製作者から人の姿をした戦船を艦娘と呼ぶと説明されたはずだ。

その後の事は私にも分からない、貴方に協力すると言った気がする。

 

そして彼は通り雨に出会った。

絆を紡ぎ、彼女の妹を姉と慕い、そして姉妹を託される。

その後、血を吐き、治療され。

心臓の代用として友の艤装核を入れられたことで姿が変わり。

艦娘もどきとして戦っていたはずだ。

もどきは戦い、過去を失い。

最後に友の遺志を守ろうと手を伸ばし

そしてその手は拒絶され、私は何も出来なかった。

それから彼は亡者になった。

彼に残ったものは後悔と苦しみだった。

 

そして彼は憎しみに飲まれた。

彼女の守った姉妹達が愚者の手に掛かっていたことを知ったからだ。

 

時は巡って彼は悪夢へ変わる事になった。

最後に残った妹を守るため、姉妹を殺して自らの命も失くした時から

悪意に飲まれ、再び復讐に飲まれ、そして彼は罪を犯した。

 

その日から、悪夢は生まれ変わって私になった。

 

そして私は刻み込んだ。私の中に残った彼女が記憶を失くした時を。

いつかの様に笑顔でさよなら

新たな人生に幸が有ることを三人で祈った。

彼女の死は贖罪だったと信じて。

 

そして私は許容した、自分がここに在る事を

失われた者たちの残した物を背負う事で

私はそして決意した、失くした分だけ想おうと

家族が残したこの世界を

 

 

夢想し私はただ笑う、帰らぬ人は忘れられ、名前も顔も欠けていく

 

私が背負うは死者の咎、残った家族は二人だけ

 

私は壊れてただ運ぶ、家族の為にただ運ぶ

 

創った彼等に心配されて

悪夢は新たな使命を受ける

壊れた悪夢は何を思う



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原作介入前 宵に雨が降り始めた日

ここからがこの作品の始まりです。
前話は彼の過去を彼が思いだしているという感じです。
彼自身は幾度となく負った怪我の結果、
メモリが破損しておぼろげにしか過去を覚えていません。
印象深いことは覚えているのですが、
薬物投与で実験体になるまでの事を忘れているので
彼がどうして絡繰りになったのかは知りませんし
知らされていません。
しかし予想はしていますし、山風という実の家族がいるために自身の親の名だけは知っています。


私宛の書類を書き終えたところで携帯が鳴った。

どうやら仕事のようだ。

元々軍人のような物だったので軍を選んだが、最近暇だったのでちょうど良い。

妹の学費の足しにしようと思いながら応答した。

「こちら宵雨、大将からの任務ですか」と

任務のようなので話を聞くと、働き過ぎだから息抜きが出来そうな任務にした

と返答があった。

どうやら彼の部下たちが未来の変容が発生する可能性がある世界を報告したらしい

それで危険度も低そうなので任されたといったところのようだ。

任期は未定、まあ最高でも3年間らしく、分かりやすく言うなら留学らしい。

ついでに高等教育も受けてこいと言われてしまった。

小中学校すら行っていないのにである、どうすべきだろうか。

とりあえず任務を受注して必要物を聞くと筆記用具と鞄と着替えと携帯と返って来た。

ついでに小型のパワードスーツの構想を練っておけと言われてしまった。

後は武器や予備弾倉そして隠しカメラを数台持って出発は一週間後となった。

一週間以内に覚えろと渡された文書はとても分厚かった。

 

 

自宅に帰ると中学生の妹がいた、名前は山風という。

私の可愛い妹であり家に居る唯一の家族である。

任務を受けた事と任期は未定で在る事を言うと予想はしていたが泣きそうになった。

未だ兄離れが出来ていない妹である。

心配なのであまり行きたくはないが行くしか無いだろう

一週間の間家から出ずに勉強三昧になりそうだ。

妹の方が賢いので(私と違いちゃんと義務教育を受けている)

頭を下げて教えてもらうことにした。

心なしか嬉しそうだったのは気のせいだと信じたい。

 

 

 

出発の日、携帯式のポータルを山風から渡された。

宿泊先で使って欲しいらしい、使わないと怒るよとも言われた

スイッチ一つで場所を繋ぐワープ装置のような代物だが、

情報が漏れそうなので正直使いたくは無い。

使ったら絶対に毎晩布団に潜り込んできて可愛いが

少し騒がしいと感じる事になるからだ。、

しかし使わなければ山風が夜にトイレに行けなくなる上、

帰って来るたびに山風に泣きながらポカポカ殴られる事になるので

使うしか無いだろう。

話す事には注意しようと思う。

 

 

 

出発時刻になった、家を出るとそこには私の愛機が立っていた。

搭乗してみると既に移転先の座標へのワープの準備は完了しているようだった。

任務の概要位は聞かせてもらいたいので、

寄り道になるが大将に聞きに行こうと思う。

多分大将は母艦に居るので行ってみようと思う。

 

予想どおり大将は母艦に居た。

話を聞いてみると、説明が有った。

今回の設定は先に潜入している隊員の会社に所属している設定で、

隊員の努力で原作のデュノア社と既にパイプを構築出来ている。

それならばボロを出さないように注意するだけで良さそうだ。

 

とりあえずは納得したので、私は相棒に飛び乗り、ワープゲートに突入していった。



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宵の雨が星の海を作った日

世界を超えるとそこは人気の無い港町の裏通りだった。

昔読んだ小説のような雪国を内心期待したのだが仕方が無い。

外の通りで連絡するとここで待っていれば迎えが来ると返答を受けた。

そのためここでしばらく待つことにした。

 

しばらく待つと黒い車がやって来た。

車の窓から見える操縦者にはどうにも見覚えがある。

迎えというのはこの車だろう、そう思いつつ見ていると予想通りドアが開いた。

「宵雨 迎えに来たぞ」

後部座席から聞き覚えのある男性の声がする、呼び方でクレイであるとわかった。

逃げる意味もないので運転手に一応確認を取ったうえで車に乗り込んだ。

 

「珍しいな、人の多いこんな場所まで来るなんて、気分は悪くなっていないようだが・・・。」

私はクレイにそう言った。

クレイの返答を要約するなら

任務なので仕方なしという事だった。

 

「しばらくおとなしくしとけ、マスコミにすっぱ抜かれると面倒だ」

クレイもそう言っているので、しばらく機体の構想を練っておこうと思う。

 

大きな建物に着いた、ここが私の所属する会社だろう。

玄関前にstella dittaと書いてあった。

一応クレイに聞いてみると、予想通りここが私の所属会社だと返答があった。

そのまま話を聞いていると、私は開発課へと配属予定の様だという事が分かった。

どうやらここでクレイとは一時的分かれる様だ。

代わりの案内を寄越すと言うのでロビーで少し待つことにした。

 

しばらく待つとアリアがやって来た。

案内は彼女が引き継ぐらしい。

内心知り合いが案内でホッとする一方で

上層部の二人がそろっている事に驚きつつも表面に出さないようにアリアについて行くことにした。

 

アリアについて行くと、機械がたくさん設置された区間に着いた。

ちらほらと見覚えのある機械がある、ここで機体や武装の開発をしているのだろう、

そう思いつつ見回しているとアリアから説明があった。

 

「分かっていると思うけどここのドッグで機体の改良や武装の作成をしているの。うちは技術的には最先端なのよ。」

 

その後、クレイやアリアにこの世界では敬語を使うようにと注意を受けつつも、

社長室や食堂を案内され、割り振られた部屋になぜかいる山風と共に今日は休む事になった。

 

 

次の日から、アリア特製サンドイッチとリンゴジュースを持って朝早くからドッグに入り浸って機体の開発を始めた。

構想を練った結果、この世界にはなくて私が得意としているような機体を作る事にした。

どうせならこの会社の名前であるステラ(星という意味)を使った名称にしようと思う。

だが、最初はコアを解析して、どの技術が使用可能かを調べておく。

 

「相棒、これを解析出来そうか?深海化も考慮に入れておきたい。」

そう相棒に声をかけ、ISコアを渡すと、

リョウカイ、カイセキチュウ・・・。ハソンリスクアリ。

セイノウテイカカイヒノタメリスクカイヒヲセンタク・・・。

カイセキカンリョウヨソウジカンハサンジカンデス。

という文字が近くのモニターに浮かんで来た。

時間が勿体無いので先に他のことをしておく。

「まずは初期案である狙撃機の為に・・・。」

(アングラー、三世代機のカタログデータの用意頼んだ。)

作成する機体のスペックが高すぎると目立ちすぎるので、

参考にするためのカタログデータを、いつの間に寄港していた(反応があった)マッドアングラーに姫級の指揮能力を使って頼んでおく。

 

双方の結果が出るまで武装の開発に注力する事にした。

事前に渡された資料に三世代機は専用の特殊兵器が必要だと記載があった気がするので、曲がるビームを打てるビームライフルを作成しようと思う。

「とりあえず、設計図を作ろう。そして意見を求めよう。

この会社の技術レベルはこの世界では最高クラスだけど、既存の技術から離れ過ぎたものは怪しまれる。新たな発見をすれば、内容によっては争いの種になる。かといって、セーブし過ぎれば戦い抜けなくなる。ギリギリを見定めなければならないか・・・。

なかなか難しいところだけど、ここが正念場だ、頑張らないと。」

 

相棒の表示した三時間後、相棒を訪ねてみると結果と改造案、深海棲艦化を行った時の被害範囲が表示されていた。

検査結果から見ていくと、どうやら高度な自己学習能力や自我を持つ人工知能をコアに詰め込み、外装である機体を覆うビームシールドを発生させられるようにしてあるらしい。

そしてリアルタイムで作成者にデータが送られているらしく、送信機能にすぐに気づいてデータを遮断したもののイレギュラーとして認知されただろうとのことだった。

次に深海棲艦化だが意志を持つ関係で強制的に行えば、激しい抵抗を受けるうえデータの破損、被害範囲の増大、さらには製作者にこちらの情報を流す可能性が有るらしい。

幸いにもコア自身と対話をして好感触を得られたとのことなので、早急に敵対はないと思う。

 

機体二つ目の案を煮詰めていたら、マッドアングラーから三世代機のカタログデータが送られてきた。

カタログデータをもとに、公開されている戦闘データの存在するものはマッドアングラーが手直しをしたうえで寄越したようで、一部の機体には公開されていないであろう情報が加えられていた。

ここから、構想上の機体を三世代準拠に改正していくのかと思うと頭が痛くなりそうだ。

 

しばらく機体データと見比べていて、興味深い事一つと面白くない事を二つ見つけた。

興味深い事としては、ビット適性が高いパイロットが集中することでビットからの射撃を曲げることができるという表記を見つけた。

ご丁寧に理論まで書いてあるため、改良すれば三世代武装の開発に大きな前進が見られるだろう。

そして面白くない事の一つ目は、この世界の技術はちぐはぐで技術面でどこまでやっていいのか判断に苦しむという事だ。

ビームを曲げる技術を持っていたり、空間を固めて砲台を作り空間を弾丸として撃つ装備が有ったりするのに、この世界ではビーム兵装がまだ開発され始めたばかりらしく、

うちの会社がビーム兵装においては独走状態らしい。

そして、面白くないことの二つ目は初期案であった狙撃機が、スペックの高さ的に没になりそうだという事だ。安全装置やリミッターを掛ければ、三世代機程度の性能に落ち着くだろうが、私が乗ると逆にそれらが邪魔になってしまうだろう。

初期案は凍結させておいて、二つ目の案を形にしようと思う。

 

「二つ目の案は、というかコンセプトは多戦況対応機だったかな?

高機動を用いて近接から中遠距離戦までをこなす機体。つまりスラスターを増やせば、しかしエネルギーの消費を増やしすぎてはいけないし・・・。

実弾装備を増やす・・・いやこの会社はビームに強いという事になってるからそれは出来ないか・・・。とりあえず保留にして気分転換にビームライフルを改良しよう。」

 

そんな風に悩んでいたが一週間後からある妙案が浮かんだ。

機体一つでは多様な戦況全てには対応できないため、ストライクガンダムのようなパックを用意して、拡張領域を拡張して詰め込めないかというものだ。

とりあえず、拡張領域の増加を狙ってみる事にした

 

 

しばらくして、気分転換に改良していた曲がるビームが打てるビームライフルが完成した。

自由に操作できることに重点を置くあまり火力が低くなってしまったが妥協するしか無いだろう。

 

ポータルが繋がらなくなった。

どうやら山風の部屋のポータルの存在がばれてしまったようだ。

いさめられ続けて諦めたという通信が入ったので、

情報漏洩を防ぐために自室ですら気が抜けない生活から逃れられそうだ。

これから自室で機体の名称の考案が出来そうだ。

 

その二日後、機体の名称が決まった。

星の海を直訳したステラマーレにしようと思う。

それなら星座にかかわる名称にしたほうが良いということで、パックの名前を一から見直すことになった。

 

 

題材の星座が決まった。

さそり座、ペルセウス座、大鷲座をモチーフにしようと思う。

細かい設定を煮詰める作業を先にしてから設計をするためにクレイやアリアにも意見を求めようと思う。

 

 

時間が合った時に意見の交換をした結果、

基本的にバランスが良い高火力機、強襲機、高機動機にすることになった。

幸いにも機体のデータは豊富なので短い期間で作る事ができそうだ。

 

「高機動機にする為に機体の重量を減らして・・・半重量力場で飛ばしているとはいえ滑空飛行の機会はあるだろうから、空気抵抗は減らして、パック接続用のコネクタを付けて・・・。

高速飛行する以上、対Gはある程度つけないと・・・。

そうだ、パック換装の都合上装備は沢山は積めないんだっけ・・・。

取り付けないと勝手はわからないし、簡単にしよう。

取り敢えずは前者の問題はパックの性能で補うとして・・・。

あぁそういえば装備の厳選もしないといけないんだった・・・。

あぁ・・・これは徹夜コースだなぁ。材料の調達もあるし。」

 

 

色々悩み抜いて、試行錯誤した結果、原型が出来た。

パックも大体は出来上がっているので、近日中に取り付けて正常に稼働、飛行出来るかを確かめることが出来そうだ。

しかしせっかく作った特殊兵器が搭載しにくくなってしまったので、

サブのような拡張領域に搭載して、必要に応じて取り出すことにする。

 

 

機体が完成した。

ヒルドルブのように非常に扱いにくい機体となったが、

私の専用機なので、心配は無さそうだ。

 

早速試験運用して私用にカスタムしていこうと思う。

 

相手はアリアが直々にアルーフを使ってしてくれるようだ。

機体の性能差があるうえ私は機体に慣れていない分、

善戦できるかすら怪しいがやれるだけやってみる事にする。

 

 

模擬戦の結果、瞬殺だった。

ビームライフルは弾くことができたものの大量のビットの波状攻撃になす術も無く、

アリアの不慣れな近距離戦に持ちこむ事すら出来ず、

エネルギー切れを起こしてしまった。

通常の状態で使用できる近距離兵装を急いで開発しようと思う。

 

近距離兵装の開発の試作型として

使われていないコールドブレードを応用して大型のハルバードを作った、

出力を上げすぎたため刃の近くが凍り付いてきているが

機体の動きを止めることに使えそうだ。

私自身の冷気と合わせれば妨害の幅も広がるため、そのまま搭載しようと思う。




因みに機動力こそステラマーレに劣るものの、
核搭載機なので火力では宵雨に軍配が上がります。
戦艦砲や機体のハッキング能力も搭載しているので、
宵雨単体でかつ核を使わなくとも、
ある程度のエースなら生身で倒せます。
(流石にアムロのガンダムなどは対策しないと倒せない)


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宵の雨を追いかける嵐

機体がおおよそ完成したので、機体の予備パーツを作っていると、クレイに呼び出された。

作業が終わり次第来てほしいとの事なので、作業がひと段落したら向かう事にした。

「社長、何か御用ですか」

少し言い方に違和感が残るが、慣らして行くしか無さそうだ。

「内密にせねばならないことなので、社長室までついて来てくれ。」

 

クレイの社長モードは初めて見るが、別人のような気がするほどの変わりようだ、

などと思いつつも分かりましたと言っておとなしくついて行くと、

社長室にはアリアがすでに来ていた。

 

社長室の扉を閉め誰も来ないことを確認するとすぐに素に戻ってこう言った。

「俺らにとっては面倒だが、お前にとっては良いニュースかもな。

どうやらお前が任務に出かけたことで拗ねたブラコンがお前を追ってこっちへ来るそうだ。」

それだけ伝えるとしばらく忙しくなりそうだといって、アリアとともに退室していった。

言い方にいつもよりとげがあったうえ、面倒と言っているという事は、

山風の経歴の偽造や隠蔽、戸籍の用意を丸投げされたのだろう。

それを私に話すという事は、任務で行くであろうIS学園にもついてくると通知があったという事であり、

まず間違いなく山風用の機体が必要になるので先に考えておこうと思う。

 

まずは数日かけてデータベースから山風の戦闘データを洗い出すことで適性を調べて、

ISコアにデータを記録することにした。

データ的には元々艦娘なので、やはり射撃が得意のようだ。

しかし演習でのペイント弾使用ですら人に向けて撃つ事は無いので、

人が乗っているものを撃つことには抵抗が有るだろうし、殺してしまうことを恐れそうだ。

山風には酷だがオートで反撃するシステムをつけることを考慮しておこう。

その他で見ていくと、私が宵雨として一度沈んでからは、よく狙って打つ癖が付いてしまっているようだ。

日常的なところも少し見てみると、相棒に乗せての空の旅の時の記録が出てきた。

読んでみると、相棒の揺れは特にひどいのもあるだろうが

姿勢制御システムが搭載されているにもかかわらず、

気持ち悪くなったという記載があったので三半規管はそこまで強くなさそうだ。

そこから考えるに狙撃機が適任だが、山風はテストパイロットとして登録される可能性が高いので、

山風の機体は私の機体を実験機として得られた技術で作られた機体としておくべきだろう。

流石にそんな機体のデータは少ないので、時間がかかりそうなので、後回しにすることにした。

特殊兵装についてはマガノイクタチや粒子加速器を再現できればそれで事足りそうだ。

これらのデータは大将やフロンタルが持っているはずなので、協力を求めるべきだろう。

その時に狙撃銃のデータ詳細などをもらっておこうと思う。

 

劣化版の二点がクレイを通じて送られてきた。

どうやら機密保持の関係でデータは送れなかったらしい。

一度解体して機構が解れば修理できるようになるのでしばらく研究することにした。

 

 

研究が終わったころに山風の来る日が決まったと連絡があった。

二週間後の一月二十日らしい。

それまで母艦で狙撃の練習をしているらしい。

学校関係の引継ぎは無事に終わったようで安心した。

機体の完成を早める必要がありそうだ。

 

急ピッチで機体の作成を行うことにした。

時間が足りないので外装などは別の機体を流用して、

内部は星の海の構想時に構想だけで作らなかった機体を遅滞戦闘用に改良して、

姿勢制御プログラムを搭載し、マガノイクタチの機構を簡易にした盾喰らいと

ビーム収束装置を取り付けた機体という構想が浮かんだが、

扱いにくくなるため武装は最低限にして、AIの補助をつけようと思う。

作成の際にビームライフルは狙撃用だけでなく、ビームマシンガンも用意しておき、

攻撃を受けそうな場所の装甲を厚めにしておけば

安全性が増すので、機動性の面に注意しながら改良していけば良さそうだ。

徹夜すれば二日程度で作れそうなので、頑張ろうと思う。

 

機体の作成中に新たなアイデアが浮かんだ。

狙撃時の反動軽減用の変形があった機体があったらしいので、

武装のいくつかに固定用の小型パーツをつけられるようにしておいた。

反動や横やりによって照準がぶれると困るので、すこしでも軽減できれば良いのだが。

機体が陸専用になりつつある気がしてきた。

 

機体の名称は吹雪を表すトルメンタにすることにした。

山風にとっては初めての機体なので多めに予備パーツを作れるようにしておこう。

 

スペックを比べてみるとリミッター付きでは操作性以外は私の機体のほうが高くなったので、

操縦性を追求した機体と発表してもらえるようにクレイに頼んでおくとしようと思う。

これでこちらに少しでも多くの矛先が向くようになればいいが…。

一応山風に護身術を伝授しておくことにしようと思う。

 

山風がやってきた、

自室に戻ってきたら飛びついてしばらく離れなくなったが、

寂しい思いをさせてしまったこともあるので諦めることにした。

 

少し経って山風が表舞台に出ることになった。

想像通り山風はテストパイロットとして扱われるそうだ。

それと同時にステラマーレ、トルメンタの紹介と試乗の様子を見せ、

変形機能の紹介をするそうだ。

技術者として私が有名になると同時に、ステラ社も有名になったようで、

取材がある様になりしばらくは忙しくなりそうだが、

織斑一夏がISに乗るのはもう少し後なので、私の出番はもう少し後になるだろう。

それまでステラマーレは、操作の難しさから誰も乗りこなせなかった機体

という事になるので、盗まれないようにしておこうと思う。

山風に操縦を教えつつ、山風に勉強を教わればIS学園の学力に何とか追いつけそうだ。



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宵が彩る二つの風

時間は少し飛び、織斑一夏がISを動かす日がやってきた。

ISを初めて男が動かしたというニュースは瞬く間に世界に広がり、

国を挙げて検査する国も出てきたようだ。

私はもともと動かせるので検査に通らないわけもなく、

瞬く間に二人目であると世界に知れ渡ってしまった。

これで私もめでたくIS学園行きが決まったわけだが、織斑一夏とは違う時期となった。

理由は、クレイの好意によってデュノア社との非公開の合同訓練に参加してから

IS学園に入学することになったからだ。

この訓練はデュノア社から後の三人目ことシャルル・デュノアが、

ステラ社からは私と山風が参加するそうだ。

実を言うとデュノア社の社長のアルベール・デュノアらには

クレイの不注意で異界の存在だとばれてしまっているらしく、

それならばという事でグルとしてクレイが脅しまがいのことをして

味方に引き入れたらしい。

その為、私はシャルル・デュノアが

実はシャルロット・デュノアという女の子であることも知っているし、

アルベール達が、ストーリーから外れすぎないように

配慮してくれているのも理解している。

この結果、どこまで原作と外れるかは知らないが、いざこざは減りそうだ。

シャルロットの男装プラス男性としての偽装も、

理由は男性と虚偽しての他者の入学の対策の訓練の一環として

学園より秘密裏に要請があったからという原作からの変化

(まず原作を知らなかったが)まで起こり、

お咎めと同時に織斑一夏にシャルロット・デュノアが惚れるイベントが

(シャルルからそんなイベントがあると聞かされた)おおよそつぶれてしまっただろう。

 

 

デュノア社との合同演習の日になった。

参加者は一つの部屋に集められるそうなので薄々感付いていたが、

同じ部屋で寝泊まりするようだ。

なぜか二人部屋に三人で泊まるようだし、せめて会社ごとで分けれなくとも、

男女別の部屋にしてほしいと感じた。

どうせ別にしても同じ布団で山風と眠ることになるだろうから

別に構わないのだが、見られると恥ずかしいのだ。

 

寝る前にシャルルも日本語が分かるため、山風が無理して怪談をし始めた、

私の種族は妖狐でお化け側なので試しに停電を局地的に起こしたうえで狐火を出して、

妖怪の幻影を見せて驚かしてみると泣いてしまった。

これで夜に山風と同じ布団で寝ても怪しまれにくいだろう。

もし同じ布団で寝た事を追及されても、

今日の山風は怖くて一人では眠れなかったとごまかす事にする。

 

夜中に山風に起こされた。

トイレくらいなら付き添ってやれるが、

結構な頻度で起こされるのでどうにも寝にくい。

これは自業自得なので我慢するが、シャルルはどうなのかと見てみると、

シャルルも怖くてあまり眠れないのかカタカタ震えながら私の布団にもぐっていた。

抱き枕代わりに山風でも抱っこさせれば安心しそうだが、

山風は基本的に私から離れようとしないので、

強制的に私も同じ布団で眠ることになる。

男女で同じ布団に入るなどいかがわしいことをしたと思われそうなので避けたいが、

原因は私のうえ明日に響くと会社に迷惑がかかるので覚悟を決めることにした。

シャルルからも男として扱っていいよと言われているので問題無いだろう。

 

次の日の朝、やはりうるさく追及された。

二人から何かしらの追及があるとは思っていたが、

説明を受け、しばらく考えた後で山風は矛を収めたものの、

シャルルは恥ずかしいのか顔を合わせると

そそくさとどこかへ逃げていくようになってしまった。

その状態のままのものすごく気まずい雰囲気の中で今日の訓練が始まった。

 

訓練後の時間にシャルルと戦う事になった。

シャルルはもしかしたら言葉ではなく拳を交えて意思を伝えるタイプなのかな、

などと考えると顔に出ていたのかジト目で否定されてしまった。

どうやら戦って吹っ切れたかったらしい。

しかし山風は受けてくれなかったので仕方なく私に模擬戦を申し込む事にしたそうだ。

どんな理由だろうと手加減は無用とのことなので

殺さぬ程度に本気でかかることにした。

 

アリーナに移動する途中で作戦を考えた。

シャルルは多彩な武器の高速での切り替えを得意としているが、

実弾兵器なのでいつかは弾切れを起こす。

そして一番の弱点は機体に慣れていない事だ。

ビットのデータ取りの為に機体を替えたばかりの為、

経験は私より少ないだろう。

そこを狙っての強襲や、切り替えの際の一瞬の隙を窺っての

スタートの合図と同時にアルタイルへ変形して行う、高速戦闘をすることにした。

時間を掛け過ぎれば、エネルギー切れを起こすので防御にだけ集中されれば不味いが、

その場合、水銀をレールガンで撃ち出して倒す事にする。

普通、戦場においてこのような戦法など愚の骨頂で、

ステルスからの奇襲などをすべきだが、

ISの試合は一応スポーツに当たるので正々堂々を戦う事にした。

 

 

試合開始と同時にアルタイルへ変形しつつ、コールドハルバードで切り付ける。

シャルルが受け流しつつカウンターを合わせてきたので、

後ろに下がって回避しながらレールガンを撃つ。

レールガンで発生した煙を目くらましに、コールドハルバードを構えて切り抜ける。

レーダーの強化でシャルルの居場所は分かるので、

ヴェントなどの射撃を細かな旋回で躱しつつ

反転してレールガンを撃つ。

煙から出てくるところを待ち構えていると思われるので、

変形時に排熱された熱と冷気によって集めた水から作った即席のチャフを撒いて

その中でアンタレスに換装後、当たらないように偏差撃ちで赤き極光で攻撃。

周囲の温度の上昇でシャルロット機のパーツが歪み、

行動が阻害された事で出来た隙に、威力を絞った赤き極光を当てて止めを刺した。

 

模擬戦は私の勝ちに終わった。

こちらの得られたものとして、非殺傷での無力化が予想以上にしにくく、

武装の数が不足していると感じた。

拡張領域に電磁パルスグレネイドやマシンガン、

ラケーテンバズのような携帯兵器を搭載すべきだろう。

この戦いで危ない所も有ったので、まだまだ精進が足りていないことも痛感した。

好き勝手にやってしまったがシャルは吹っ切れられたのだろうか?

分からないが、すっきりとした顔をしていた気がする。

 

この戦いの後、結果的にシャルは吹っ切れていて、

私とシャルルがちゃんと仲直りして、

私はシャルとこれからは呼んでいいことになった。

シャルルは替わりに私を普通にヨイサメと呼ぶらしい。

仲が深まったという事でいいのだろうか?

 

その後は大きな出来事も無く、シャルに変成器と小型トランシーバーを渡したり、

学園では気づいていないふりをしてバレそうになったら

フォローを入れることになったり、

三人で料理会をして、各々の料理のレパートリーを増やしたり、

山風がシャルルを見ても隠れなくなって、シャルちゃん呼びし始めたりした。

そんなこんなで合同演習は終わり、

面倒ごと盛りだくさんのIS学園に三人で向かって旅立った。



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原作開始 宵風が出会うは紡ぐ者達

飛行機に揺られて8時間強、車に揺られて三時間弱、モノレールに乗って三十分、

やっとの事で学園に着いた。

私含めた全員は織斑千冬が担任を務める一年一組に編入する事になった。

私たちを除いてもう一人編入して来る人が居るらしく、

その人と合流してからクラスへ向かうそうだ。

その人はラウラ・ボーデヴィッヒという名前で、軍で部隊を任されている軍人らしく、

私とは話が合いそうだが、織斑千冬にどん底から救い上げられたという話を聞く限りで、

更にこのくらいの年で今までずっと兵器として扱われ続けたともなれば、

織斑千冬の狂信者のようになっているだろうと思う。

そうだとすれば、多分クラスで一回はトラブルになると考えたほうがいいだろう。

 

ラウラ・ボーデヴィッヒと合流した、少し内面を言葉から探ってみたが、

思ったより面倒そうだと言う印象を受けた。

自己紹介には無関心、クラスメイトの話にもおおよそ無関心だが、

織斑一夏の時のみ憎しみで満ち満ちていた。

自分の自己紹介は名前以外無く、緊張も無い様なので、

これでは自己紹介も真面にせず織斑一夏とトラブルを起こすだろう。

言葉遣い的に常識というものが欠如している可能性があるが、

この物語の重要人物の一人であったと教わっているので、

教えてやりたいが、頼ってきた時だけにしようと思う。

そんな事を考えつつ編入するクラスへと向かった。

 

一年一組に着いた、五十音順で自己紹介するらしく、

最初は山風、次に私でその次がシャルそして最後にラウラ・ボーデヴィッヒ

という順番になった。

何事も無く終わればいいが、おそらくそうはならないだろう。

全く、初日から不安になってくる。

 

やはりトラブルが発生した。

山風はできるだけ頑張ったし、

私やシャルの時は鼓膜が破れそうなほどの絶叫だけだった。

問題はラウラ・ボーデヴィッヒだ。

ラウラ・ボーデヴィッヒが自己紹介をした後に織斑一夏にビンタしたのだ。

それによってラウラ・ボーデヴィッヒは初日から織斑一夏に惚れているであろう

セシリア・オルコットと篠ノ之箒と険悪な雰囲気になってしまった。

これからしばらく険悪な雰囲気が続くとなると憂鬱になりそうだ。

知り合いしかいない環境になったら思いっきり愚痴るのもいいかもしれない。

 

自己紹介をして席が決まった後の最初の授業は二組と合同のISの模擬戦闘だった。

一度ここで山風と別れ、織斑一夏に連れられて更衣室まで行くことになった。

この際男としてふるまうことに慣れておらず、

この場で着替えようとしたシャルを連れていくことも忘れていない。

他のクラスの人に捕まったら遅刻確定なので、一心不乱に駆け抜けることにする。

この際、胸を圧迫されて浅い呼吸しかできないシャルはお姫様抱っこで運んで行った。

他のクラスの女子のBL妄想の格好の的になるかもしれないがいない事を祈る。

 

更衣室に着くまでの道すがら、織斑一夏にこの学園について聞いてみた。

やはり男一人は肩身が狭いらしく歓迎しているそうだ。

親しみを込めて一夏と呼んでほしいとも言われたので一夏と呼ぶことにしようと思う。

 

更衣室に着いた後、着替え始めたのだがシャルは男の裸に慣れていないらしく

一夏が上半身裸になったときに真っ赤になって恥ずかしがっていた。

私はステラ社特注のものを下に着ていたのでさっさと終えたが

一夏が着替え終えるまでシャルは着替えにくそうなので急かしておいた。

そのとき一夏にはシャルが着替えを見せようとしない理由を

シャルルは背中に大きな手術痕があるという事にして話しておいた。

なんとか私を遮蔽にしてシャルも着替え終えた(ISスーツを下に着ていた)ので良いが

一夏はまだ時間がかかりそうだ。

いつまでも此処に居るわけにもいかないので、先に行っておくと伝えてグラウンドへ向かう。

 

実習開始前に一夏が来ていない理由を織斑千冬に問われた。

着替え始めるのが遅いうえに気が散りまくっていたと言ったら

織斑千冬の雰囲気が冷ややかなものに変わった気がした。

話を終えた頃に一夏が走って来たが

そのまま「遅れるな馬鹿」

と織斑千冬に言われながら出席簿で叩かれていた。

その後に来たセシリア・オルコットと誰か(鳳鈴音というらしい)も叩かれたのだが

一夏が受けたものの方が圧倒的に威力が有った。

しかし一夏が受けたものの方が愛が感じられたので多分、

戦いで死なせないために強めの指導をしているのだろうと考えていたら織斑千冬に

何か言いたい事が有るのかと睨まれながら言われた。

問われたからには答えなければならないだろうと思い、こう返した。

「言いたいことは特には有りませんよ。ただ、

たぶん千冬先生は弟の一夏を愛していらっしゃるんだろうなと思っていただけです。

だからこそ一夏が戦いに駆り出されたときに死なせないようにと

今から厳しく指導をしているんでしょう?」

それを聞いた織斑千冬は

「下衆の勘繰りをする等、よほど教育的指導を受けたいと見える」

と言ったかと思うと私にも出席簿を振り下ろしてきた。

咄嗟に受け止めたものの前の三人とは違い恨みが込もっていたので、

もうこれ以上言うのは(主に頬に赤みがさしている理由など)やめておこうと思った。

最後にお前もちゃんと織斑先生と呼べと言った後、次は無いぞと言って織斑千冬は離れていった。



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宵風の役割と兎のプライド 上

私が織斑先生に叩かれた後で、何か言われた後に急にやる気になった、

セシリア・オルコットと鳳鈴音の二人が代表してタッグを組んで、

先生と模擬戦をすることになった。

肝心の対戦相手は誰なのか気になるので周りを見渡して

ふと空を見てみると何かが飛んできているのが見えた。

飛んできているものをよく見るとISであることが分かった。

あれは確かラファール・リヴァイブだったはずだ。

とりあえずパイロットは誰かを知るためによく見てみると緑の髪が目に入った、

確か緑色の髪をした先生といえば一人しか居ない、対戦相手は副担任の山田先生なのだろう。

そう考えていると想像通り山田先生が下りてきたのだが、

何を間違ったのか一夏を下敷きにしてしまった。

そのままもみくちゃになって砂煙が晴れた時には山田先生の胸をわしづかみにした一夏が見えた。

これがラッキースケベというやつなのかとしみじみと思いつつ見ていると、

後ろから殺気を感じた。

振り返らなくとも分かる、十中八九セシリア・オルコットと鳳鈴音だろう。

と、次の瞬間、私の真横をレーザーが通り過ぎていった。

何とか一夏は躱したが、その次の瞬間鳳鈴音が自らの獲物(双天牙月というらしい)を

組み合わせて投げつけたのだ。

これも何とか一夏は回避したものの無理な姿勢で避けたためバランスを完全に崩してしまっている。

そこにブーメランのように戻ってきた双天牙月が当たりそうになってしまっている。

このままでは主人公が死んでしまうので止めに入ろうとしたとき、

二発の銃声が響いた。

それと同時に双天牙月の軌道が変わり、一夏に命中する事は無かった。

どうやら山田先生が上半身だけ起き上がった姿勢で、精密射撃をしたようだ。

IS学園で教師をしているだけあって腕は確かなようだ、侮っていたが認識を改めようと思う。

それに皆で驚愕していると織斑先生より山田先生は日本の代表候補生だったと伝えられた。

そして興奮冷めやらぬうちに山田先生対鳳鈴音、セシリア・オルコットペアとの戦いが始まった。

 

 

結果としては山田先生の圧勝だった。

シャルがラファール・リヴァイブについての解説をしている九十秒弱で山田先生によって二人は片付けられ、

落とされた二人はみっともなく敗北した理由について言い争いを始めた。

敗北の一番の理由はタッグ戦という環境に対する練度だと思うのだが

声に出すとめんどくさい事になりそうなので声には出さないことにした。

しばらくはそのままだったが周囲から苦笑されている事に気が付くと恥ずかしがりながら列に戻った。

 

 

「これでIS学園教員の実力が理解できただろう。敬意を持って接するように」

とだけ織斑先生が皆に言って授業は再開された。

どうやら専用機持ちが分かれてグループリーダーとなって実習を行うらしい。

しかしそれには問題が有る。練習機の数より専用機持ちの方が多いのだ。

その為、誰かが二人がかりでグループリーダーをすることになり、

私達が一番経験が浅いという理由で山風と協力してグループリーダーをする事になった。

 

「では、各グループに分かれて訓練を開始しろ」

という織斑先生の号令を受け、皆散らばるかと思ったが一夏とシャル

そして私たちのグループに皆が集まってしまった。

どうすべきか困っていたところに

「偏りすぎだ、とりあえず出席番号で分かれろ」

と織斑先生の鶴の一声がかかり、蜘蛛の子を散らすように移動していった。

 

用意されている機体は打鉄とラファール・リヴァイブが三機ずつなのだが、

私たちは主役ではなくわき役でここでの主役はこれから乗る少女たちなので、

私が担当することになる少女たちに使用する機体について聞いてみたところ、

なんでもいいという返答を受けた。

それならお言葉に甘えて独断で決めさせてもらおうと思う。

 

私が選ぶのはラファール・リヴァイブ、選んだ理由はよく知っているからという一言に尽きる。

なぜならステラ社はデュノア社と交流が有るのでラファール・リヴァイブを見ること

(乗ったこともある)は多いうえ、

短い期間とはいえともに訓練していたシャルの機体はラファール・リヴァイブのカスタム機であるからだ。

それに対して打鉄は数度の整備の経験こそあれ搭乗の経験はないので、見慣れた方を選んだわけである。

とりあえず少女たちを待たせているので早くしようと思う。

 

「ISにどれくらい乗った事が有るの?」

と皆に聞いてみると、

基本的に一、二度程度であると返答が有った。

それなら基本的なところを教えるだけにとどめておこうと思う。

「まず乗る前に注意しなければならない事が有るので覚えておいてください。

それはISを立ったまま解除しないことです。」

と言うとグループのメンバーが全員注目してくれたのでそのまま続けることにした。

「立ったまま解除されると落ちてけがをする恐れがありますし、

訓練機は粒子化しないので、次の人が乗ることに苦労します、

そんなことになったら時間不足で織斑先生の雷が落ちる状況になりかねないので本当に注意してください」

と言うとその状況が想像できたのか青い顔をしながらうなずいてくれた。

 

「最初の人から乗ってみてください。わからない事が有ったら遠慮なく聞いてもらって構いませんし、

もし落ちそうになったら全力で助けに行きますので心配しないでください。」

と最初に号令をかけて私のグループは順調に進んでいったが、

残り二人というところで別のグループが騒がしくなった。

どうやら一夏のグループとシャルのグループで何かあったらしい。

シャルに通信を入れてみるとどうやら立たせた状態で降りた生徒が一夏の班に出た結果、

いわゆるお姫様抱っこで一夏が生徒を運び、それが伝播してシャルもねだられている

という状況だと返答が有った。

こちらには軽く釘を刺してあるため伝播してまだ来ていないが時間の問題なので早く終わらせようと思う。



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宵風の役割と兎のプライド 中

訓練が終了した。

 

一夏の班とシャルの班は騒いだことによるペナルティを受けているようだ。

ラウラ・ボーデヴィッヒはうなづいているだけで指導などしていなかったが、織斑先生も思う所があるのか、

お咎めはなかった。

 

罰として授業が終わってから一夏が一人で片付けに行ったので、

帰ってくるまでにシャルと私は着替えに行こうと思う。

 

着替えながら、原作キャラへの対応を協議してみたところ更識簪についてのことが話題になった。

 

シャルが知っている原作ではまだまだ邂逅は遠いはずだが、三世代機開発者である私がいる以上、

邂逅が早まるうえ、一夏ではなく私が更識簪の機体についての相談を受ける展開になりそうだということで、シャルがあらかじめ対処の仕方を考えていてくれたらしく、その対処の仕方とは、

この先あるらしい軍用機の暴走の際の戦力にすることを見据えて相談された場合は協力するという事だった。

さらに、そうするとなると原作ブレイクしてしまうということで、

すでにデュノア社への通知も終わらせてしまったらしい。

そこまでされてしまっては逃げ道も無いのでその通りにしようと思う。

 

 

着替えが終わった後で一夏に呼び出された。

どうやら食事のお誘いのようだ。

シャルや山風も誘っていたが二人は弁当を持っていなかったはずなので、

私が飛行機の中で小腹がすいた時と昼食用を兼ねて作ったサンドイッチを分けようと思ったが、多分足らないと思うので、さらに作ってシャルや山風に分けようと思う。

 

昼休みになって、私たちは屋上にいた。

いつもは賑やからしいのだが、今日はみんな学食に行ったのか誰もいなかった。

訂正、代表候補生たちが居た。

みんな不満そうな顔をしているあたり、一夏が個別で誘ったのだろう。

皆で座った後に代表して篠ノ之箒が不満げに声をかけたが、一夏が

「せっかくの昼飯だし、大勢で食う方がが弁当はうまいだろ。それにシャルル達は転校してきたばっかりで右も左もわからないだろうし」と言うと納得したのか彼女は不満を飲み込んで一夏に弁当を渡していた。

そのすぐ後に声と共に鳳鈴音がタッパーを投げ渡し、

最後にセシリア・オルコットがバスケットを開いて中身を一夏に見せた。

篠ノ之箒と鳳鈴音の時は喜んでいたがセシリア・オルコットの時は笑みが少し引きつっていたため、

多分、セシリア・オルコットは料理下手なのだろう、そんな様子の一夏を見て鳳鈴音は笑っていた。

そんな風な仲良しそうな雰囲気を感じてか、シャルはここに本当にいていいのかと一夏に聞いていた。

それに対して一夏は男子同士仲良しようと返答をしていた。

その後、「わからないことがあったらなんでもきいてくれ。IS以外で」

と言って、鳳鈴音にもっと勉強しろと怒られていた。

そこから言い合いになり、

その途中でセシリア・オルコットが遅くともジュニアスクールのうちに専門の学習を始めると言い、

そこでこちらに一夏が「そういえば、お前らはどうなんだ?」と話を振ってきた。

 

「ISについてなら私は代表候補生にも並べる程度にはわかっているさ」と返すとショックを受けたようだった。

多分、ISのことがあまりわからない存在が欲しかったのだろうが、

私だって第三世代機を作らなければならなかった以上勉強はしてある。

そしてへこんだ一夏は鳳鈴音から

「こいつはステラ社の第三世代機開発者の一人よ、それも二機の。そんな奴がISに対して素人なわけないでしょ」

という言葉をもらいさらに意気消沈していた。

その様子を心配したのか篠ノ之箒が無言で弁当を差し出すことで空気を変え、やっと食事が始まった。

 

「箒、なんでそっちには唐揚げがないんだ?」と一夏が訊くと、

ごまかすかのように篠ノ之箒がダイエット中と答え、

一夏が「お前は太ってないだろ」と言ったことで空気が凍った。

そしてその言葉に反抗するように鳳鈴音とセシリア・オルコットが怒ってこう言った。

「ダイエット=太っているにつなげるんじゃないわよ」

「まったく、デリカシーに欠けますわね」

流石に今の言葉はだめだと思うので、追撃のようになるがこちらからも言っておこうと思う。

「「女性にそのセリフは駄目だよ(だからね)。もう少し考えて発言するようにしようか(しようね)」」

シャルも同じことを考えていたようで被ってしまった。

「お前ら、なんか怖えよ。」

怒りが目から感じられたらしく怖がられてしまった。

そして惜しげもなく体(それも胸を)見ていたのでそれも非難しておくことにする。

「女性の体を凝視するのはマナー違反だよ、やめようね。」

出来る限り穏やかに笑顔で言うことを心掛けたが、一夏が恐れているので、

多分、今の私は怖い笑顔を浮かべているのだろうと予想できた。

それを中断させるようにシャルの携帯からメールの受信音が響き、デュノア社から

用事があるので後で私たちに掛けなおしてほしいという事なので、

さっさと食べて席を離れた。



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宵風の役割と兎のプライド 下

デュノア社からの連絡の内容は、IS学園にシャルが在籍している間はラファール・リブァイブ・カスタムⅡのメンテナンスやチューンを全て私に一任するという事だった。

その結論に至った理由としては私たちがコスモスの開発の際に技術提供したことによって完成した三世代武装のプロトタイプを搭載するにあたって、

その武装を整備することが今のシャルには専用の知識がないため不可能だからであるらしい。

それに加えて、件の武装は初期設定だけされた状態でラファールの背部に搭載されているので、詳細の設定はそちらで行ってもらいたいという旨の追伸も受けた。

仕方がないので昼休憩後の整備演習の時間に設定も行おうと思う。

 

昼休憩の終了寸前にノートパソコンと工具箱と脳波測定器を持って整備室に着いた。

そして授業が始まったのだが、一夏は来なかった。

「織斑はどうした?」

と織斑先生が聞いてくるので、私は

「途中でデュノア社からの連絡があり、途中で抜けたため分かりません。」

と返しておいた。

それに追加として横から鳳鈴音が、

「一夏は腹痛と下痢で保健室へ行っています。結構ひどいらしく昼からの授業には出られそうにないです。」

と言っていた。

「それならば仕方がない。誰か織斑の班を見てやってくれ」

と織斑先生が言うと、シャルが

「僕がやります。少しは役に立つというところを見せたいので。」

と言って立候補した。

「他に誰か機体を見てもよいという者は居るか?」

と織斑先生が訊いたが、立候補者が他に誰もいなかったのでシャルが二班掛け持つことになった。

 

ひと段落したのでシャルの機体の武装設定などに対することを提案してみたところ、

すんなりと承諾を受けられたので、こちらからやっていこうと思う。

 

「とりあえずはチューンの後でデータを打ち込んでおくから、終わったら試験運用をしてもらっていいかな」

 

「了解したよ。不満が有ったらその時に言えばいいんでしょ。」

 

「山風に整備の指示は任せて良い?」

 

「いい、けど・・あたし、自信ないよ?」

 

「大丈夫、知識量も充分だし、どうしてもダメならこちらが説明するからね」

 

「わかった。頑張ってみるね。お兄ちゃん」

 

という会話をした後、まずは専用機三機のチューンを始めた。

 

 

「三機とも関節駆動良好、推進器異常なし、歪み修正完了、武装メンテナンス完了っと。次は例の物のチューンかな。」

 

 

「まずはコネクタ接続をしてっと・・・接続完了。次に脳波データの送信はーっと...完了。後は・・・シャルー終わったら試験運用をよろしくねー」

 

そんなこんなで試験運用をしてもらったところ、やはりまだ慣れていないので動きがぎこちなかった。

こんなことではまともにデータが取れそうにないので、今週中にこの装備に慣れてもらって、

六日後の日曜日の早朝のアリーナとドックの貸し切りの時間に、シャルの動き方に合わせた細部の調整をしようと思う。

 

 

シャルの試験運用の傍らで教え終わった人同士で一夏が腹痛になった原因を探すことになった。

そこで食べたものの材料を羅列していくと原因は意外と早く見つかった。

セシリア・オルコットが作ったサンドイッチにはキュウリやトマトの他に日本蕎麦や蟹と鰻が入っており、

デザートに柿とスイカが有ったうえ、鳳鈴音は酢豚を出しており、

篠ノ之箒は天ぷらを弁当に入れていたために非常に食べ合わせが悪かったのが原因のようだ。

(上にあげられたものの中で天ぷらとスイカ、鰻以外には体を冷やす働きがあり、蟹と柿の組み合わせでは下痢になる恐れがあり、蕎麦と柿に至っては内蔵機能低下による腹痛も発生する。

それに追撃するようにスイカと鰻やてんぷらの組み合わせは胃液を薄め、消化不良を発生させることによって腹痛の波を大荒れにしてしまう。)

一夏のダウンの原因も分かったところでデータの細分化に集中しようと思う。

 

 

授業終了後、シャルと運用方法の再確認を行うことになった。

「この武装は確かセシリアさんのブルーティアーズと基本的な運用の仕方は変わらないんでしょ。」

 

「まあね。これはブルーティアーズのビットに距離の制限が加わった代わりにフレキシブルの簡易化と複雑な操作を行うことを可能にしただけだからね。」

 

そんな話をした後、不安要素はあるけれど頑張って来るねと言い残してシャルは移動していった。



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不良兎の矜持 上

六日後の朝、弁当は山風が作ってくれるというので、いつもよりよく眠れた朝に

シャルの機体の動きを見るためにアリーナで模擬戦をしたところ、

今朝のシャルは妙に攻撃的で、ビットと本体の連携をうまく崩すことが出来ずに負けてしまった。

模擬戦後に話を聞いてみると、

どうやら一夏とラウラ・ボーデヴィッヒとの間で諍いが有ったらしく、シャルたちの横槍で戦闘には至らなかったものの、空気が悪くなってしまい、その後、気分を変えようと浴びたシャワーは、ボディーソープが切れていると勘違いをした一夏に覘かれると

昨日はシャルにとって散々な一日だったようだ。

その後にシャルを落ち着かせていると、織斑先生がやって来た。

「朝早くから装備の試験か?

見たところ試験も一段落したようだし、一勝負しようじゃないか?」

「そうですね。こちらとしても今の腕はどこらへんなのかを知りたかった所ですし・・・その勝負、受けて立ちます。・・・シャルもかまわないでしょ?」

そう話を振るとシャルは無言でうなづいた。

「それでは打鉄を借りてくるから、少し待っていてくれ。」

そう言って織斑先生は立ち去った。

その後の空き時間でシャルがさっきの話の続きを笑いながら話し始めた。

「その後で一夏から謝罪を受けて、今後の対応について話したんだけどね、僕としては暗に相談を勧めたつもりだったんだけど、

結論としては同級生をおろか、織斑先生にすら相談しないという事になったよ。

こんなことで大丈夫かなあ?と心配になっていたら、一夏は何て言ったと思う?

「ここにいろ」だよ?

その後でその理由を教えてくれたんだけど、それがまた穴だらけでおかしくってね。

だって、企業に属している人間の前で在学中の生徒はあらゆる国家、組織、団体に属さないって言うんだよ?

それに同意が無ければそれらの関与を受けないとも言ってくれたけど、

僕らを強制的に同意させることだってできるわけだしね。

それにこれは一夏は知らないんだろうけど、今年の君たちみたいなイレギュラーが居る場合はそちらを守るために必死になって他の人のガードは薄くなるわけで・・・。

それでね、一番面白かったのはその後で、セシリアさんが夕食に来ないことを不審に思って来たんだけどね、

その時の一夏の慌てた顔と言ったら・・・君に見せてあげたかったなぁ。」

と、そんな話をしていると急に空気が変わった。

機体を展開し、武器を構えると小さく足音が聞こえてきた。

そちらからは凄まじいプレッシャーを感じる。

振り向いてみるとそこには織斑先生が居た。

このプレッシャーは実戦さながらだ。久しぶりに血沸き肉躍る戦いが出来るかもしれないことを考えると無性にワクワクしてきた。

 

「それでは十分ちょいしか時間もありませんがシャル、私ペア対織斑先生の模擬戦を始めます。このコインが落ちたら開始にしますがよろしいですね?・・・では」

静寂に私の投げたコインの音が響く。

そして地面に落ちると同時に戦闘が始まった。

最初に仕掛けたのは私だった。ハルバード片手に突撃をし、わざと受け流させて凍結で機動力をそごうと思ったが現実はそんなに甘くなく、余裕をもって回避された。

「なるほど、受け流していたらそのまま凍結させる気だったか・・・。

一度見た相手には警戒をさせることで攻撃につなげやすい最小限の動きを封じ、

出来た隙を無理に突こうと思えばデュノアの五方向からの支援射撃が意識の外から襲い掛かると…。即席にしては良い攻撃だ。」

「瞳の動き方からするに、空気の流れと勘で方向を全て読んでいたでしょう?

全く通じていないのに上手い攻撃とは思えませんって」

「そちらにばかり攻撃させるわけにもいかないのでな。ここらで攻めさせてもらう。」

そう言ったかと思えば、織斑先生は姿を消した。

いや、踏み込みが早すぎて捕らえ切れなかっただけだ。

私でも師匠達ほどではないので本気でやれば捕らえ切れるのだろうが、

世界最強の名は伊達ではなく、純粋な人としてはすさまじいほど高みに居るのだろう。

ここからは考えて行動も出来そうにない、ただ直感のままに行動するだけだ。

打ち合いになれば連携など気にしてはいられないし、せめて遮蔽となろう。

その為にもミルファクへ変形しておくことにする。

「戦闘中、装備を変えるなど高速切り替えでもない限りは悪手だ、まあ下手に隙を突こうとすれば、やはり迎撃出来るのだろうが。」

「さて・・・時間も限られている。ここからギアを上げていくぞ」

そう織斑先生が言った瞬間、太刀筋が変わった。

速く鋭い斬撃を振るったかと思えば、叩きつける様な一撃を振るってくる。師匠の物とは違い、受け流せないほどではないが、

こちらの獲物を振るうには難しい距離に肉薄されてしまった。

このままやれば押し切られるだろうが・・・楽しい。

どうせこのままだと負けるのだし少々博打を打ってみる事にした。

うまくいけば状況は好転するはずだ。

わざと隙の大きいなぎ払いをして・・・懐に飛び込んで来た!

つまり賭けには勝った。

そのまま刃を振り下ろした織斑先生の手に蹴りを入れた。

ダメージはこちらの方が大きいが、

こちらの蹴りにも手ごたえがあった。

うまくいけば手に痺れが残るはずだが時間不足だ。

朝食の時間となってしまったので、織斑先生に後始末を任せ、シャルを誘って山風と共に朝食を食べに食堂へ向かった。

 

食堂から自室へ帰る途中、人気の無い廊下で誰かの気配を感じた。

正確に言えば気配は消せているのだが空気の流れが微妙におかしいことから気付く事が出来た。

素人はそのようなことは出来ないし、元々居た人物の中でこのような事をする動機が有るのは一人しか居ない、十中八九更識楯無だろう。

気付いていることを示すため隠れている方を見てみたところ気配はすぐに消え去った。

しかしまたすぐに出会う気がするのは何故なのだろうか。

そう考えながら準備をした後教室へ向かった。

 

教室に着いたところで先に来ていた生徒たちが何やら話しているのに遭遇した。

私や一夏、そしてシャルの名が出てきていたが面倒くさそうなので気にしないことにする。

そんな朝を終えいつものように授業が始まったのだが、目に見えてそわついているものが数名居た。

更に言うなら妄想に浸っているのかたびたび上の空になっていた。

妄想に浸る人の中にはセシリア・オルコットや篠ノ之箒が混ざっていたので、一夏関係の事が何かが起こったと予想する事が出来た。

もちろん、彼女たちには出席簿が振り下ろされたのだが、織斑先生は微妙に腕を庇っていた。どうやら、ちゃんと効いた様だ。

そんな一幕を挟みつつ学習は恙無く続き、そのまま本日の学校は終了した。

 

本日はアリーナの予約が取れず、シャルの機体のデータの吸出しを行おうとしたが、

大事になるから覚悟していてねと言い残してシャルもどこかへ行ってしまったため

手持無沙汰になったので一度部屋に戻って本社への報告をしようと私たちの部屋の前に来たのだが閉めた筈の鍵が開いている、何事かと武器を展開して

(私がナイフを持って、服にペン型カメラを仕込み、山風には私の拳銃を渡した)

扉を開けてみると中には裸にエプロンの痴女が居た。・・・訂正。よく見るとエプロンの下に水着

(よりにもよって何故かスリングショット、これでは着てないも同然である)を着ていた。

とりあえず仕込んである隠しカメラの映像をシャルに送り、後で織斑先生の元へ報告しに行ってもらう事にする。

「私たちに何か御用ですか?痴女さん、山風の教育に悪いので即刻服を着てください。」

とだけ言って扉を閉めてしばらく待つことにする。

 

数分してノックをしてみたところ、もう大丈夫よという声が聞こえてきたので部屋へ戻った。

何か用かと言ってもたぶんのらりくらりと交わされるので、反応せざるを得なくなる札を切ろうと思う。

 

「何か用ですか?対暗部の更識家、その当主である更識楯無さん?

いや・・・この名前は党首としての名前で本名は別に有るんでしたっけ。

とりあえず妹さんの事ならあちら側からコンタクトでもない限りは不干渉のつもりですよ?」

と聞くと、バレているとは予想外だったようだが、さすがにプロとだけあってすぐに持ち直された。

 

「言いたいことは沢山あるけど、まずは本題・・・あなたたちは何者?この学園、ひいては妹に危険が及ぶのだとすれば私は私の命を持ってでもあなt(はいはいこんなくだらないことで命を賭けようとしないの)・・・最後まで言わせなさい。まあいいわ、次にどこから私や妹の情報を知ったわけなのかしら?」

 

「教えても良いですが条件が有ります。聞いてから飲むか決めて下さい、多分そちらにもメリットはあると思いますが。」

「それで、条件とは?」

「この学園には機材が足りないため、潜水母艦に機材を搭載して寄港させようという計画が発案されまして、停泊許可が欲しいのです。

もちろん機材は条件付きですが使ってもらって構いません。」

「そうね・・・それ位ならいいけど。妹の機体作成に使わせてあげてね。」

「それでは契約成立という事で。」

「前者の問いの答えは一技術者です。ただ死に物狂いで努力しただけですから。後者の返答としては裏についてある程度知る者であるなら更識については当然知っています。その中でも当主が変わった事と娘の作成中の機体が凍結された事は有名ですからね。」

そんな話をしていると夕食の時間となった。

「これ以上は怪しまれるので帰るわね。細部は今度取り決めることにしましょう」

そんな話の後に夕食へと向かい、布仏本音さんの視線を無視しながら食事を終え、部屋に戻った。



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不良兎の矜持 下

話し合いも終わった。夕食時の布仏本音の視線は多分、更識簪のことだろうが、更識楯無に言ったように、コンタクトが有るまでは動く気は無い。

話し合い中は更識家には私の正体を明かそうかとも考えたが、イレギュラーさえ発生しなければ隠蔽出来ると思うので、報告される可能性が捨てきれない以上、やめておくべきだと判断した。

他に漏れるルートとして、あちらはデュノア社に更識家が探りを入れていると思われるので、そこから漏れるか、私達の機体のデータベースを覗かれるといった所だろうか。

漏れて最悪なのが、日本に報告されてイレギュラーとして処理命令が出る事で、次点に技術開示を求められることだとして考えると、

襲撃や脅しを想定しておくべきだろう。

元々死者をクローン技術で蘇らせた私なら死んでもコアが破壊されなければ何とかなるし、最悪の場合はパンデミックや核で消せるから何とかなるが問題は山風だ。

山風は艦娘といえど生身だから、傷付けられれば苦しむし、私ほど苦痛に慣れてもいない、これ以上追い詰められては壊れてしまうだろう。

長期休暇中に気配察知を仕込んだ方がいいかもしれない。

 

その他に対応策は無いかと考えていて行き詰まってきたので、

シャルの言っていた大事について考えてみる事にする。

そういえば夕食にはセシリア・オルコット、鳳鈴音が居なかった気がするが関係あるのだろうか?

これについてはシャルや更識楯無が把握していると思うので接触を待つ事にする。

と、そんなことを考えていると、部屋の扉がノックされた。

「・・・はーい、・・・何か用?」

と、扉の近くにいた山風が扉を開けると、沢山の生徒達がいた。

一人二人なら山風もある程度対応出来るだろうが、ここまでいると山風は人見知り発動でまともに応対出来ないので、飲み物(と言ってもオレンジジュースしかないが)と紙コップを取りに行かせる名目で山風を下がらせ、代わりに対応する事にした。

「皆さん、何の用ですか?もしかしてマシーントラブルでも起きましたか?」

「そうじゃないけど・・・えっと、これ!」

と、用を聞くと何かのプリントを渡してきた。

「何々・・・タッグトーナメント戦のお知らせ、タッグを組めなかった場合は当日余った人同士のくじ引きで決めるので不満があるなら組んでおく事、と。先日の事もあるし、連携が必要な場面の為かな?

それで、皆さんが来た理由は・・・成る程、タッグのお誘いですか」

「「お願い、私と組んでください!」」

 

「えっと・・・誘ってもらったところ申し訳ないのですが、山風と組もうと思います。山風はあんな感じなので少し心配ですし、何より私達の機体は連携を元々想定しているので。」

そう言いつつ脇に避けると山風に女子達の目線が集中した。

それに気付いた山風はシャワールームに逃げ込んで、顔だけ出して。

「やめてよ・・・放っておいてよ。」

と目を潤ませて言って、また隠れた。

「まぁ見ての通りの人見知り具合なので、流石に知り合い以外と組ませるのはちょっと・・・。」

「そういえば、自己紹介以外で喋っているところ当てられた時くらいでしか見た事無いね。」

「というかほとんど宵雨君が代弁してたような・・・。」

と、話していると納得したようだった。

「まぁ仕方ないかなぁ。私達から見ても流石にあの子を放置するのはダメだと思うもん。」

そんな話をしていたらいつのまにか山風が顔を出してむくれていた。

「むぅ・・・お兄ちゃん・・・取らないで・・・」

「山風ちゃん、取らないからそんなむくれないでいいよ」

女子達のむくれないでいいよという言葉で振り返ってみると山風の機嫌が悪くなっていた。

この様子だと私も友と同じように目を離せば遠いところに行って二度と会えなくなるのではないかと考えているというより、知らない人が大半のこの環境の中で心細いという感情から来ているのだろう。

しばらく構えば機嫌も直ると思うので断りを入れて、帰ってもらってから構う事にする。

「すいません、もう少し話したいところでしょうがそろそろ門限です。要件が火急でないのなら後日にお願いします」

「えっ・・・急いで戻らなきゃ!また明日話しましょう。」

と言って女子達は帰っていった。

 

「お兄ちゃん・・・。あたしと、組んでくれるの?」

「そりゃあかわいい妹だからね。心配なのは本当だし・・・。」

「そ・・・そっか。あ、あのね!あり・・・ありがと」

「それはそうとして山風ー。

そろそろ見た目相応の言動を練習していこうか?

一応は私達は十五歳という事になっているんだからね。」

「うん・・・わかった。頑張って・・・みるね。でも・・・今すぐとはいかないから・・・しばらくは一緒に寝てね。」

と、そんな話をしつつ眠った。

 

次の日の朝、シャルより昨日何があったかの報告があった。

どうやらラウラ・ボーデヴィッヒがセシリア・オルコット、鳳鈴音を怒らせて戦闘に発展、その結果ラウラ・ボーデヴィッヒが二人を圧倒しダメージレベルCまで追い込むという事象が発生したようだ。

理由としては山田先生との対戦結果や想い人のことで煽られたのだとシャルは予想していた。

(少なくとも後者は反応的に正解だと予想している。)

一応はアリーナ内だったので機体の展開はしても構わないのだが、

シャルの予想が当たった場合は衝動的に暴力に走る面々が代表候補生、ついでに言うなら専用機を持っている事になる。

正直言って腕だけでなく性格も加味してそういうことは選考してほしいと思う。

不祥事を起こした時批判されるのは本人だけではないのだから。

そんな事を考えながら話を聞くと一夏に対して擁護しきれない話が入って来た。

なんとアリーナの安全用のバリアをぶった切ったというのだ。

当時観客はまだ居り、素人でも安全用の設備を破壊すれば観客にとって危険であると少し考えればわかるはずなのにである。

この一件を機に一夏の評価を無知から身の丈に合わない正義感に振り回されて周囲を巻き込むトラブルメーカーに変更すべきかもしれない。

このような正義感は美点にもなりうるが周囲が見えていないうちはただの欠点なので早めに気付かせるべきなのだが、なんとなく理解してくれない気がする。

その後、セシリア・オルコット、鳳鈴音の見舞いに行ったらしいのだが、そこで保健室になだれ込んで来た女子達に組んで欲しいと迫られた結果、一夏が咄嗟にシャルと組むと言い出したため止む無く組む事にしたようだ。

一夏は未知数でシャルは厄介、このチームはなかなか面倒そうだ。

シャルの手札は私達も基本的には把握しているが、逆に此方の手札もおおよそは知られているので白式の零落白夜とラファールのパイルバンカーや有線ビットには注意しておこうと思う。

そんな報告を受けていると、時間が迫って来たので怪しまれない様に別れて教室へ向かった。

 

対シャルチームの対策を考えていたらいつのまにかショートホームルームが開始される時間になっていたのか、織斑先生が来ており、連絡として

「本日の模擬戦闘の際に新しく来た面々には見本を見せてもらう。

準備だけはしておく様に。」

とだけ言ってショートホームルームを終わらせた。

今回は女子達に注意しようと思い、わざと遠回りのルートを通ったところ、早かったのもあってかすんなり更衣室へ向かう事が出来た。

 

「今回は射撃戦闘の基本である円状制御飛翔《サークル・ロンド》を行ってもらう。よく見ておく様に。」

とみんなが付いた瞬間織斑先生が言いだすので

「誰と誰でしますか?」

と聞くと「逆に誰となら出来る?」

と、返ってきた。

私自身はデュノア社との合同訓練の一環で行った事が有るだけなのだが、

正直言ってこの機体はこの訓練には向いていないという事が分かっている。

「ラウラさんを除く面子とならやった事がありますが、この機体はこの訓練には向いていませんよ?」

「ふむ・・・どうしてだ?」

「この機体には実弾武装もビーム兵装もありますが、実弾兵装は水中戦用のハープーンガンとレールガンで、

ビーム兵装は絶対防御越しでも搭乗者に軽いやけどを負わせる程度には熱量が有ります。

速力や癖を知っているなら偏差撃ちも出来ますが事故の可能性は拭い切れませんからね。」

「それならラウラと組んでみろ。あいつは不愛想で取っつき難いが腕は確かだし状況判断力も高いからいい経験になると思うぞ。それでは二人組を組んで・・・開始!」

 

「ラウラ、お前はそいつと組んでみろ。速度も装備も全く違うISと訓練した経験というのは役に立つはずだ。」

「お言葉ですが教官、自分で言うのもどうかと思いますが、私はこの学園でも上位に食い込めるほどの腕だと自負しています。少し前までISに乗ったことも無かった素人をそのような者の訓練に付き合わせるのはどうかと思うのですが・・・。」

「ふむ・・・そうだな、確かにお前は強い。だがそこは心配いらないだろう。昨日の朝にデュノア、月華兄のタッグと模擬戦闘をしてな。

少なくとも近接戦においては私と斬り合って八分間で一度、肉を切らせて骨を断つために当たっただけだった。なかなか素養はあると思うぞ」

「それはなかなかだと思いますが、射撃についてはどうなのですか?」

「それなのだがな、模擬戦で後方射撃に徹していたデュノア曰く、試合ならビットなどを使って何とか勝ちを拾える時もあるという強さだが、単純な射撃勝負ではだいぶ迫ってくるだけで勝つことはできるらしい。おまえが仮想敵としているデュノアとは違うが腕は同程度らしいし腕を試してみればいいのではないか?」

「どこまで本当なのかが気になってくるところですが・・・。

分かりました、やってみます。

・・・無愛想と言われ続けるのも嫌なので後で素人への教え方のアドバイスを下さいね。」

そう織斑先生に言ってからラウラ・ボーデヴィッヒは上がって来た。



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私の矜持

教官からの指名で円状制御飛行の見本を見せる事になった。

相手は二人目の男性操縦者、つまりは素人である。

流石に教官の言う事とはいえ、素人に軍人の相手をさせるのは酷だ。

考え直してもらおうと、意見したらフランスの代表候補と同レベルのセンスらしいという返答をされた。

仕方ない、加減は不得意だがダメそうなら加減をしようと思う。

「改めて・・・開始!」

その声を合図にして、私達は飛び上がった。

「開始する。不味そうなら言え。加減してやる。」

「大丈夫だよ。技術に差があっても、初歩さえ出来ていればこの時点では大した差は出ないはずだから。」

そうは言うものの、世界的に言っても稀な男性操縦者なぞ傷つければこちらとしても始末書ものなのだし、教官の汚点なら仕方ないと思えるが、素人を一方的に傷つけると流石に申し訳ないと思うのだ。

「そう言うということは、出来ていると思って良いのだな?」

「信じられてないだろうから改めて言うけど、心配はないよ。」

半ば初対面に近い者の話など信じられないが、恨みっこなしということで開始する事にする。

 

開始直後から分かっていた事だったが、流石はイタリアの機体だ、非常に速い。

普通にすれば追いつかれてしまいそうだが、訓練なので合わせてくれているようだ。

流石に素人に合わせられるのは癪だ、

速度の緩急や高速旋回を織り交ぜて立体的にして墜とそうかと思ったが、何とか踏みとどまった。

と、そこにプライベートチャンネルで通信が有った。

(別にしたいなら、高速旋回や速度の緩急をつけても構わないよ)

・・・コイツは私を軽んじているのか?

先日倒した、鳳鈴音の様に凄まじい才覚を発揮して実力を一足飛びで上げられる者も居るが、

それでも圧倒的に搭乗時間で勝っている者には勝てないのだ。

その鳳鈴音よりも搭乗時間が少ない状態で私と撃ち合えるとも思えないのだが、コイツは思い上がっているのだろうか?

そうだとしたら、そういう状態は早めに挫くに限る、コイツの言う通り軍人の訓練を味合わせてやろうと思う。

そう、コイツの為を思ってするのであって、別にイラついて鉛玉を食らわせてやりたくなったからではない。

「では・・・行くぞ。どこまで食いついてこれるかな?」

私のその声を合図としてこの戦闘は更に苛烈となった。

 

暫く戦ってみたが、なかなか相手が捉えられない。

アイツの機体は火力は低いものの、此方の射撃をことごとく避け、カウンターにハープーンで攻撃してくる。

いくつか受けて分かったのだが、このハープーンは絶対防御が強く働く生身以外の部位に被弾した場合、そのまま突き刺さる様だ。

突き刺さると抜いて武器にできるのはいいが、

放置すれば機体の稼働は阻害され刺さる場所によっては機体から漏電が発生する様で戦いにくい事この上ない。

当たりどころが悪けば機体エネルギーバイパスが破損しそうだ。

そしてそれに追撃する様に環境が悪い。

レールカノンを使いたいが、バリアがない為封じざるを得ないのだ。

 

そうしなくてはならない理由としては、私の悪癖にある。

今朝、先日のことを冷静に思い返してみて気づいたことだが。

戦闘後にはアリーナのバリアが無くなっていた。

あの時は代表候補二人を相手取っていて気づいていなかったが、

教官が止めていなかったら、私は一般生を傷つけていたのだろう。

つまり、私には熱くなると周りが見えなくなる悪癖があるということだ。

その様な事に気づいてしまった以上殺人のリスクに目を瞑ってまで私は勝ちに拘りたいとは思えない。

私が兵器として作られたとしても思ってはならないのだ。

クロア大佐には甘いと言われるかもしれないがやり遂げてこそ、ボーデヴィッヒだ。

これが私の私であるための最後の砦だと思っている。

 

そんな兵器もどきの私にも目標が有る。

だから私はIS世界の厳しさを教えて、半端者を諦めさせて捨て石を減らす事だ。

これこそが私が私の矜持を賭してなさなければならないことだと思っている。

それが出来れば、教官は少しは楽になるだろうか?

私が教官の為に出来る、恩返しになれば良いのだが。

そう私は心の中で言って、この訓練にまた集中し直そうとした。

が、次の瞬間、横から邪魔が入った。

 

「それまで。・・・熱くなりすぎだ、馬鹿共」

 

そう教官から聞かされて、周囲を見回すといつのまにか地上付近にまで降りてきていた。

このような状況になっても自力で気付く事が出来ないとは軍人失格だ

もう少し視界を広げることの方を優先するべきだと強く思った。

 

このことについては後で考えてみるとして、今は一般生の教育に集中しなければ。

教官の犬などと皮肉られる私でも教官の雷など食らいたくはないのだ。



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私の好敵手

訓練を終えて、ひと段落した頃ある考えが浮かんだ。

試してみなければ分からないが、上手くいけば好敵手と言える存在が見つかるかもしれない。

その考えとは、二人目とそれと同等という三人目を呼んで、模擬戦をするというものだ。

この学園の生徒で訓練相手になり得る存在は少なそうだと感じていたが、

今回、円状制御飛行を実演した際に組んだ二人目。

コイツは思ったよりも骨がありそうだ。

あの時は教官から水を差されたが、このままでは消化不良である為、

本日の訓練はこれで切り上げて、勝負を挑んでこようと思う。

あの二人は確か隣のアリーナで模擬戦をしていたはずだ。

今から行って、模擬戦を受けてくれれば良いのだが・・・。

 

「月華宵雨とシャルル・デュノア。貴様らに頼みたいことがある。

・・・私と模擬戦をしてくれないだろうか?」

そう私が言った瞬間、周囲がざわめいた。

観戦していた二人目の妹は疲れるだろうからごはん作って待ってる。

と言って、去っていった。

大方、近くにいれば巻き添えを食らうと思ったのだろう。

今回はダメージレベルCまでする気は無いが、状況によっては周りを巻き込むだろうと予想されるので、好都合だ。

「それはタッグマッチで当たるかもしれない相手に手札を知られるリスクを承知で言っているのかな?」

少し荒い呼吸をしている、三人目がこう返してきた。

二人目は既に持ち直したというのに軟弱なことだ。

反射的にかまわないと返しつつ

頭の中で批判をしているなかで二つの不審点を発見した。

一つ目に、確かシャルル・デュノアはフランスの代表候補の筈、

荒い呼吸がここまで長く続くなぞ、訓練をしている代表候補としては有り得ないという点だ。

という事は体調が悪いか、何かで胸を圧迫しているということになる。

二つ目に男にしては体が角ばっていないという点だ。

むしろ・・・男装の麗人と言った方が違和感が無い。

・・・デュノア社の産業スパイか何かだろうか?

そうだとしたら大変だ、だが気付いた上で泳がせている可能性もある以上、デュノア本人に聞くのは避けるべきだろう。

バレた場合、自殺せよと命令されている可能性がある。

ということは教官に聞いてみるのが得策か。

早速連絡してこよう。

「教官にアリーナの移動許可を得て来る。少し待ってくれ」

 

 

「失礼する。織斑きょうか…先生はいらっしゃるか?」

「何用だ。お前が来るとは珍しいじゃないか」

「アリーナの移動許可をがいただきたくてやってまいりました」

(すいません ここから 手信号 会話する)

「それは構わないが・・・ちゃんと通知しておけよ」

(何か 問題でも 発生?)

「ありがとうございます。ある程度力を計ってきますね」

(三人目 男装 産業スパイ 可能性 泳がせる?)

ここまで手信号で会話すると教官が急に笑い出した。

「なるほど、それで来たのか。私が気づかないとでも?」

「・・・最新技術を見せていいかの指示を仰ぎに来ました」

「ふむ・・・場所を変える、ついて来い」

「・・・はい・・・了解・・しました」

 

教官に連れられて移動した先は反省部屋だった。

中に入って、盗聴器などが無いのを確認した後、教官は徐に話し始めた。

「まず、デュノアの事だが、あいつは白だ。

生徒の警戒心を検査する為に男装して入ってもらっている。

・・・ドイツ軍の情報網にかかってなかったのか?」

「確かに何か動きがあることは把握していましたが、

こちらはもっと厄介な状態になってしまいまして・・・。」

「ふむ・・・それは私に言っても構わないことか?」

「・・・心外ですね。織斑千冬の狗と影で言われる私でも、

話して良いことと悪い事の区別位は出来ます。

その上で話しているのですから、大丈夫です。」

「内容なのですが、ドイツのIS整備士の内の数人に出所不明の金が流れていた事です。

クロア大佐が捜査中に不審な人影を発見し、追跡をしましたが

撒かれたことから察するに、亡国企業の可能性が高いです。

事が発覚したら結果を述べますが他国にも同じような手が伸びている可能性が高いと思います」

「それは他国にも通知済みか?」

「クロア大佐が他のヴァルキリーには通知済みです」

「それなら良いが・・・。何かあったら遠慮なく言えよ?」

「それでは、これ以上は怪しまれそうなのでまた後で」

そう私は言って反省部屋から立ち去った。

 

アリーナに戻ると、目的の二人以外が誰も居なかった。

大方、怖気付いたのだろう。

目的の二人以外が居ないのなら好都合だ。

これならデュノアの本気も見ることが出来るだろう。

折角の機会だ、デュノアには素の状態で戦ってくれるように交渉してみようと思う。

「アリーナの移動許可が下りた。早速始めよう・・・と言いたいが、

私を恐れて貴様ら以外は帰ったようだからから素で接しても良いぞ」

そう私が言ってみたがデュノアは動じなかった。

そして「・・・やっぱり気づいてたか。

まぁ最初から騙せるとは思っていなかったけど」

と、言ってきた。

この言葉に返すとすればこうだろうと、私は口を開く。

「別に知られても問題は無いのだろう?

それならば折角の機会だ。私と本気で戦って欲しい」

そう私が言うと短くため息をついた後、一夏を鍛え直してくる。

と言って、デュノアは立ち去った。

「お互いハンデを付けない為に、今から始めようか。

シャルの事だし、手札を見たら卑怯だと考えただけだろうから」

そう月華宵雨が言ってから、私たちは離れた場所に陣取った。



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