Make me life! (Clear2世)
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Make me main
Make me prolog


ミリオンライブのSS増えろ。と常日頃から思っていました。シンデレラガールズのSS作品はハーメルン、ネット上に投稿されてる数は膨大な量ですよね。
それらと比べたら、圧倒的に少ないミリオンですがその少数派の一員としてやってきたいと思います(続くとは言ってない)
あらすじにも書いてありますが、更新はあってないようなもの。でもって中身もなくてないもの。原作のキャラ設定とかもこのSSでは変わる可能性が高いので、原作設定を重視する方やP以外あり得ないって方は見ないほうがいいかと。所謂注意事項ってやつです。
あ、後基本グリマス寄りではなくミリシタ寄りになります。何故かと言うとグリマス側は昔やってましたが、何時ぞやか機種変更したタイミングでアカウント忘れたからです。


右手にポテチ。左手にはコーラを。

ソファーに横になってだらけつつ、それほど大きくないワイドテレビでアニメ鑑賞。

休日にしたいことをする。それがたとえ自堕落であろうが、世間から白い目で見られようがそんなのは関係ない。

ビバ!休日!!たとえ誰であろうと、この嗜好の時間を邪魔することはできないのさ。

 

『俺たちリトルバスターズは……永遠だ!』

 

いやー、しかし『リトルバスターズ!』は何度見てもいい作品だ。

原作はゲームだが、友情をテーマとした作品で多くのユーザーの涙腺を崩壊させたことで有名なのだ。

リトルバスターズ以外にもここのブランドが制作したゲームはいくつかあり、どれも泣きゲーとして出来た精鋭作品ばっかりだ。

当然俺は全作品プレイ済みだし、アニメ化したやつだって見た。リトルバスターズの方はエロゲ版もやったしな。

……え?学生なのにいいのかって?大丈夫大丈夫。ここR-18じゃないから、この程度何の心配もいらないいらない。

 

 

にしても、幼馴染ねぇ。

アニメやらギャルゲーのヒロインとしてはド定番&超王道。やたら家庭的だったり、献身的だったり、才色兼備だったり……色々と属性を付与しやすくもある役。

現実にそんな女子がいるわけねーだろとか誰だってそう思うだろうな。実際俺だって思ってるわけだし。

しかも、この幼馴染というのは、ほとんどの作品で主人公に少なからず好意を抱いてることが多い。物によっては序盤から好感度がカンストしてるのがざらだ。

 

『○○く~ん。一緒に登校しよ~』

 

『○○君…起きて。もう朝よ、早く起きないと遅刻しちゃうわよ』

 

『○○。今日良かったら家に来ないか?……か、勘違いするなよ。べ、別にお前の体調が心配なだけであって、母さんが連れてこいと言うから……はっ!?ち、違うぞ!今のなし!てっきり、本音が……っ』

 

『○○君……だ、ダメだよ……こんな放課後の教室でなんて……』

 

はっ!こんなもんは幻想だ!

美少女の幼馴染なんて一種の都市伝説みたいなもんだろ。仮にいたとしても、月日が経つにつれて疎遠になっていくだろうしな。小、中、高と全て同じ学校で同じ学園とか宝くじ一等当てるよか低い確率だぞ。

……いや、今のはちょっと大げさだったな。三等くらいにしとくか。宝くじ買ったことねーから知らんが。

 

まぁ、つまり何が言いたいかと言うと、そんなギャルゲーみたいなシチュは二次元でしか存在せず、現実にはそうそういないってことだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――コンコン

 

……今日は他の家族みんな出払ってるから、邪魔されずにのんびりできたと思ったんだけどな……

一旦再生を一時中断してから、重い腰を上げて――――窓ガラス(・・・・)の方へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうっなんで鍵閉めちゃうの!いつも開けたままにしといてって言ってるじゃん!」

 

金具を下げるとガラガラッと若干耳障りなレールの音を発させ、我が部屋へ乗り込んでくる。

アニメキャラにも劣らず、一度聞くと耳にも記憶にも印象が残る特徴的な声。もう何度聞いたことになるだろうか。

良く動画のコメントなんかに、「親の声より聞いた」なんて残されてるのを目にするが、実際それに匹敵すると言っても過言ではない。

 

「……このご時世2階の部屋だとしても、鍵の戸締まりは必須だろ」

 

「だいじょーぶ、だいじょーぶっ。今までだって盗みが入ったことなんてないっしょ。」

 

「目の前に現在進行系で不法侵入をしている不届き者がいるんだが?」

 

「アタシはいーのっ。もう何百回、何千回ってやってるんだから」

 

すぐ側にあるベッドの縁に腰をかけ、いつも通り持参している濡れハンカチで自分の足を拭いてる不法侵入に、皮肉を言ってみるのだが、悪びれる様子はない。

 

「こっちに来る時は窓から渡ってくんじゃなく、ちゃんと玄関から来て、向こうのドアから入ってくるっていうフローを踏まえてだな」

 

何のために合い鍵を渡したんだと思ってるんだ。

 

「えー~だってこっちの方が楽だし速いもん」

 

わざわざ、ハンカチを濡らしてきてまでするんだったら、大差ないと思うが……まぁ、このやり取りもかれこれ何百回としてるが、一向に治すつもりはないみたいだから別にいいんだが。

 

「……あ。ひょっとして心配してくれてる?にゃははっ。心配性だな~~蓮は。大丈夫だって。万が一に備えて下にはマットが引いてあるんだし、これまでだって落ちたことはないんだし」

 

そう。こいつが余りにも隣の自分の家の窓から、こっちの部屋も渡ってくる行為を昔っからしてくる為、見兼ねた

双方の両親が考えた妥協策ってのがこの案である。

 

 

 

唐突にやってきた茶髪の見た目ギャルな今時風に見える女子。やたらフランクに接してき、服装は彼女のお気に入りのTシャツを若干……いや、かなり肌蹴させ、その中にタンクトップを着ている。要はとんでもなく無防備な格好ということだ。

こいつは俺が異性ってことに気にしてないのか……思春期真っ最中な男子には刺激が強すぎるだろ、ホント。

人懐っこい笑みを浮かべてる彼女に俺はさも当然のように言い放つ。

 

「そりゃ心配するだろ。大事な――――幼馴染なんだから」

 

 

 




露骨に名前を隠して行くスタイル。
オリ主君の名前は一回だけ出ています。忘れても問題ないです。


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Make me prolog2

投稿する=ミリシタとかのソシャゲのやることがない。
で合ってます。
つまり、イベントとか始まったら……しかもイベントが複数重なると……後は言わなくてもわかるな?



アタシ……所恵美には幼馴染がいる。アタシたちのお母さんが学生時代の頃から親友同士で、すっごい仲がいい。

どのくらいかって言うと、二人が結婚して姓が変わった後、向こうの旦那さんとアタシのお父さんに相談し、隣同士に一軒家を建てるくらいには。

いいよねーそういう関係。長年経ってもお互いが信頼できる仲って。

 

 

アタシにとってはその相手が蓮になるのかな?あ、蓮ってのはその幼馴染の名前ね。

優しくて、気が利いて、色んな人から頼りにされる。兄貴気質って言うのかな。本人はめんどくさがったり、そんなことはないと否定するけど、アタシは全ッッッ然そんなことないと思う。アタシが聞いてる限りだと、蓮の評判は同級生に先輩、後輩からも良いことばかり聞くし。

 

 

そんな蓮とは幼稚園から、小学生、中学生、高校生……ずっとクラスが同じってことは流石になかったけど、それでも通ってる場所は一緒。高校二年生になった今でもね。

何をするにも一緒……なーんてことはなかったけど、蓮と一緒に遊んだりすることは他の友達と比べても多かったかな。

 

 

幼稚園の頃は公園の砂場で忍城を一緒に作ったな~~当時のアタシは忍城なんて知らなかったけど蓮は知ってたっけ。

アタシがお母さん役で、蓮がお父さん役。――――が蓮の浮気相手役のおままごともやったよね。3人でやるならコレだろ。と配役を考えたのはやっぱり蓮。どうやら、蓮のお父さんとお母さんが夜中やってるやり取りを参考にしたって言ってた。実際は蓮のお父さんは浮気してたわけじゃなく、上司の人に付き合いでスナックに連れて行かれたんだって。

……お二人が夜にプロレスごっこをしてる中、そんなことを言ってたぞって当時の蓮はアタシに教えてくれたけど……当然ながら、夜のプロレスごっこなんて本当の意味をアタシが知る由もなく……気になったアタシがお父さんたちに尋ねて、困らせたこともあったっけ。

いくら自分の息子と言えども、せ、セ…………スを!他の人に見られたくはないよね。アタシだったら軽く死ねる。

 

 

小学生に上がってから、一緒のクラスにはなれなかったけどアタシたちが疎遠になったりはしなかった。

この頃ってお互いが異性だってことを意識しだしたりして、男の子からしたら女の子と遊んだり、一緒に行動したりするのって恥ずかしくなっちゃうみたい。それを指摘して、からかったりする男の子もいたりするものだから、余計に今まで仲が良かったのに急に遊ばなくなったりするんだってさ。

 

 

でも、アタシと蓮はそうはならなかった。

たしかに、アタシと蓮がクラスも違うのに遊んでる様子を見て、からかってくる男の子はいたよ。

お前らいつ結婚するんだーとか、女と遊んで恥ずかしくねーのかよとか、蓮は俺たちと野球する方が楽しいに決まってるだろとか。複数人で言ってくる一部の男子がだけど。

そういう時は決まって蓮が

 

 

「いや別に?」

 

「恵美と遊んでる方が楽しいから遊んでるだけだけど」

 

「俺が誰と遊んだってお前らには関係ないだろ」

 

「……あ、ひょっとして羨ましがってるの?自分たちは女の子を遊びに誘えないからって羨ましいわけ?ねぇねぇ、今どんな気持ち?目の前で楽しく遊んでる俺たちを見てどんな気持ちなのねぇねぇ?」

 

何も動じることなく言ってくれてたよね。……嬉しかったなぁ。蓮がいない時を見計らって、アタシに言ってくる男の子たちがいたから、ホントは蓮もアタシなんかよりも男の子たちと遊んだ方がいいのかなって思ってたから。

……でも、暴力で解決するのは良くないと思うけど。

そんな相手の子を煽るようなことばっか言ってたら、頭に血が登って喧嘩に発展するのもおかしくないわけで。

相手の子が蓮に殴ったのが始まりで、それからは蓮も反撃しだし大暴れしちゃって……周りの子が呼びに行った先生が止めに入ってきてくれたお陰で、その場は収集がついた。

ま、後々アタシたちと蓮の両親に相手側の両親を交えて色々あったんだけど、最終的にはその男の子たちも謝って反省してくれたみたいだったし、蓮もやりすぎたって謝ってたしね。

それ以来、からかってた男の子たちが何か言ってくることはなくなった上に、それどころか蓮とその男の子たちの関係が悪化せず、遊んだりする光景も見るようになったんだよねー。

……今思うとあの男の子たちって蓮に嫉妬してたんじゃなくてひょっとしてアタシにだったりするんじゃ…………この頃からだっけ、蓮の人気が男女問わず上がり始めたのは。

 

 

 

 

 

 

「そりゃ心配するだろ。大事な――――幼馴染なんだから」

 

……なんでそういう嬉しくなるようなことを何事もなく言ってくるのかなぁ、この幼馴染は。

Lineで今日友達とカラオケに行くんだけど、一緒に行かないかって朝連絡したんだけど、いつまで経っても既読がつかない。蓮は基本、短文のLineはアプリを開かずホーム画面で確認することが多い為、短い文章だと既読がつかない為、伝わったかどうかがわからない。ただ、内容を確認してくれた時は返信してくるんだけどね。

なので、様子を見に行くためアタシはいつも通り、アタシの部屋の窓から屋根を伝って蓮の部屋に侵入した。

予想はしてたけど、蓮はアニメ鑑賞に夢中でアタシのLineには気づかなかったみたい。

 

「そ、そっかそっかぁ。大事……大事なんだ、えへへへぇ」

 

蓮にそう言われて、アタシは顔がにやけてしまう。とても見せられる顔じゃないと思うので、蓮から背ける。

何気なく言ったんだろうけど、それってつまり、本心からってことだよね?やばいやばい、意識した途端余計頬の緩みが増していってるよこれ絶対!

 

「それよか、何か用があるんじゃ?」

 

「はぇ?あ、うん。コレだよコレ。蓮アタシのLine見てないでしょ?」

 

そうだった!……あ、顔元に戻った。

アタシはスマホを手慣れた操作でLineのトーク画面まで移動し、腕を組んで立ってる蓮の前に突き出す。

 

「えー何々……カラオケか」

 

「そ。どうせ暇でしょ?蓮今バイトしてないんだし」

 

「まぁな。短期で良いのが見つからなくてな」

 

本人曰く、1つのバイトを集中的にやるのも悪くはないんだが、折角なら色んなことを経験しておきたいんだって。

蓮って昔からなんでもできたイメージが強いけど、それってやっぱこういう所なんだろうな~

 

「なら遊べれる内に遊びに行かなきゃっ、アニメ見るのは何時だってできるでしょ」

 

一体何を見てたのかな~~。リトルバスターズ?う~ん……どっかで見たことあるような。どこだっけ…………あ!思い出したっ。これたしかゲーセンのクレーンゲームの景品に置いてあったじゃん!

このアニメは見たこと無いからわからないけど……今度フィギュアとか取ってきたら喜んでくれるかな?

あ、でも蓮の好きなキャラがわかんないな~~。

……あ、このパッケージに書かれてるピンク髪の女の子が好きそう。

 

「まーそうだな。またいつバイト入れるかもわからんし。行くか」

 

「よっしゃ!そうこなくっちゃ!それじゃ早く準備して。アタシが片付けたげるからさ」

 

「いや、そのくらいは俺が」

 

「いーのいーのっ、アタシがしたくてするんだから。ほら、早く早く」

 

少し渋ってたみたいだけど、納得してくれた蓮は部屋から出て一度1Fに降りてった。

 

「よーしっ、アタシの本気見せたげる!」

 

袖をまくり、力こぶを作るように腕を曲げて気合を入れる。

アタシは蓮が戻ってくるまで、鼻歌交じりに少し散らばってるDVDのパッケージや漫画を整理していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高校生になった今でも、アタシと蓮の関係は昔から変わらない。




原作との違いその1
Q.恵美のお兄ちゃんは?
A.恵美のお兄ちゃんは犠牲になったのだ……オリ主の登場により……犠牲にな。

ちなみにこの話ではまだ恵美はアイドルにはなってないです。
まぁ、元々ストーリーとか時系列とかあってないようなものになると思いますが……プロローグってことでどうか一つ。


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Make me sister

明らかにおかしいタイトルだけど、このSSは健全なのでなんの問題もないネッ。
タイトルが全てと言ったが


























アレは嘘だ。


人は寝ている時、突然体がまったく動かなくなる現象いわゆる金縛りに陥ることがあるという。

金縛りっていうと、心霊的な何かが関わってると思う人も多いだろう。だが実際はそういうわけではないというのが科学的に証明されてるらしい。

ま、そこら辺のことはさておき……どうやら今の俺は金縛りにあっているようだ。

誰かが俺の上に乗っているような重みを感じ、腕は……左手がなにかに掴まれてるようで動かしにくいが、右手は普通に動かせるな。足は……これもまた左足だけが動かしにくい。

って、この時点で金縛りじゃないだろ。アレか、意識が覚醒したばかりだからか、考えが上手くまとまらない。

とにかく、目さえ開けてしまえば

 

「見慣れた天井ちょっと待て」

 

確かに真っ先に視界に入ったのは真っ白に染まった何の変哲もない天井。

それはいい、然程問題ではない。問題なのは俺の胸辺りから足先まで感じる温もり。

少しだけ頭を上げると、人一人分ぐらい盛り上がった掛け布団が。

過去の経験から推測すると、俺が体験したのは金縛りではない。

ゆっくりと掛け布団を捲っていくと、まずは黄色のブーメラ……じゃない、アホ毛が。

さらに手を進めていくと、見慣れた黄色の髪の毛が。

 

「やっぱりな……」

 

もうめんどくさくなったので、一気に捲るとそこには案の定、俺の上に乗って寝息を立てる妹がいた。

左手が動かせなかったのは、妹が右手で握っていたからか。で、左足が動かせなかったのは……まるで逃しはしないと主張するように妹の足が巻き付いていたからか。

で、腹辺りに感じるこの異性特有の柔らかい感触は……道理で心地よい感じがするわけだ。ていうかコイツ、俺より二つ下だってのに発育よすぎないか?恵美のやつもアタシの時より絶対でかかったって言ってたしな。

……って、俺は妹相手に何考えてやがんだ。たしかにコイツは可愛いし、昔から俺の後を犬みたいに追っかけてきてたし、甘やかしたくはなるがそれは家族愛だからであって、決して不純な想いではなくてだな――――

 

「んー……」

 

俺が心のなかで葛藤しあってると、敷布団を剥ぎ取られて寒気を感じたのか、妹がもぞもぞと身動ぎしだした。

 

「はれぇ……おにーちゃん?…………えへへへぇ、おにーちゃん。ぎゅーーーっ」

 

舌っ足らずでこちらの顔をじーっと見つめてきた後、満面の笑みで抱きついてきてくる。

おうふ……制服越しからでも感じる感触と、思わず撫でたくなる笑顔の破壊力がやばい……控えめに言っても天使やな、うちの妹は。

 

「おはよう翼。良く眠れたか?」

 

「おはよ~~。……むぅ、ほら、おにーちゃん。おにーちゃんもぎゅーって抱きしめてよ」

 

「はいはい」

 

好きにさせていたというのに、うちのお姫様は不満だったご様子。要望に答え、右腕を腰に回してやり左手を頭の上に置いてやる。

すると、膨らませた頬はあっという間に空気がなくなり、こちらの胸元に顔をすり寄せてくる。

我が妹ながら、小動物みたいだな……

 

 

 

伊吹翼。我が妹にして天使。

シスコン?うるせぇ!かわいい妹をかわいいって言って何が悪い。

ちょっと癖っ毛気味ではあるけれど、翼の明るさを象徴するような綺麗な髪の毛。翼が風呂に入った後、髪を梳かしてーとかねだって来るときがある。昔からやっていた為、しょうがないのかもしれんが、俺が遠回しに断ろうとすると『ダメぇ……?』などと捨てられた子犬のような目で見てくる。

かわいい妹からそんな目で見られたらダメとは言えず……これに限ったことではないが、翼からのお願いを俺は中々断れない。いやまぁ、内容にもよるが。

そんなこんなで、俺が甘やかし気味であった為今となっては翼は甘え上手な小悪魔と化し……2個下の我が妹はお兄ちゃん離れができないお兄ちゃん娘になってしまったのだ!

 

 

いやまぁ、俺だけじゃなくて父さんも母さんも甘かった所はあるが。特に父さんは俺よりもダダ甘だったからな。

うちの娘は嫁にやらん!とか酔っていなくとも、素で宣言するくらいだし。

ち、違う。俺は悪くねぇ……俺は悪くねぇ!翼が目に入れても痛くないくらいかわいいのが悪いんだ!俺は悪くねぇ!!

 

 

……コホン。親善大使さんごっこはさておいて、さすがに翼が悪いことをしたらそれは兄として当然叱るぞ?

甘やかす時は甘やかすが、怒らなきゃいけないとこはちゃんと言っておかないとそれは翼の為にならんしな。

俺とてそこら辺の区別はしっかりしてるつもりだ。

家は両親共働きだし、父さんは今単身赴任で家に帰ってくるのは3ヶ月に一回くらいだし、翼に厳し目(それでも世間一般からしたら甘いだろうが)の母さんも朝から夜遅くまで仕事だったりするしな。

なので、必然的に翼と関わる時間が一番多いのは俺になるのだ。

世間一般の兄妹ってのはそんなに仲が良くないってのを良く聞く。実際周りの奴も俺と翼の仲が良すぎないかなんて言ってくるのは日常茶飯事である。

仮に翼から「お兄ちゃんなんて……大っ嫌い!!」なんて言われた日には翌日、部屋で首を吊る自身がある。

 

 

「時に翼よ?」

 

「んふ~~、なーに?」

 

「お前はなんで俺の布団に?」

 

そう。寝る前の記憶の引き出しを引っ張り出してみるが、翼が俺と一緒に寝た覚えはない。

翼からそっと離れると、綺麗な真紅の瞳がこちらを捉える。

……我が妹ながら身内フィルターを差し引いたとしてもかわいい妹だよな。

翼と同年代の男共はどう思っているのやら。俺に対してやたらスキンシップが激しいが、クラスメイトの男子にもこんな風にボディタッチとかしているのだろうか。

むむ……見知らぬ男子にすら嫉妬してしまうのか俺は。シスコンなのは自他共に認めて入るが、翼の恋愛は自由だ。

俺がとやかく言うつもりはない。

 

「えっとねー、おにーちゃんがいつまで経っても起きてこないから起こしにきたんだけど……」

 

「おう」

 

なんかオチが読めた気がする。

 

「気持ちよさそうに寝てるおにーちゃんを見てたら、なんか眠たくなっちゃって……あはっ」

 

だと思った。

普段は翼が起きるより早く俺のほうが早く起きることが大半だ。だいたい、翼が俺を起こしに来るのではなく、俺が翼を起こしに行くケースがほとんどである。

俺はそんなでもないが、翼は朝に弱い。起こしに行っても、素直に起きることの方が珍しい。

 

「まったく……年頃の女の子が気安く一緒の布団に入ったらダメだろ」

 

「こんなことおにーちゃんにしかしないからいいのー」

 

兄冥利に尽きることを言ってくれるじゃねぇか……!じゃないじゃない、俺はチョロインか。

全力でタップダンスを踊ろうとする衝動をグッと抑え、翼を諭そうとする。

 

「そういうことじゃなくてだな、お前はつい最近とはいえアイドルになったばかりだろ?だってのに兄相手とはいえだな」

 

そう、妹はアイドルだったのです……うん、翼に聞いた所服を買いに行った所、定員にモデルの依頼をされ、ファッションショーをすることになったらしいのだが、その後にプロデューサーと名乗る男に765プロダクションの39プロジェクトの一員としてスカウトされたらしい。

夕食の時、母さんが保護者として765プロダクションに手続きに行き、「あの星井美希ちゃんに会ったわよ~~、いやぁアタシファンになっちゃったわ~~」だとなんとかサインもらったのどうこうやたら自慢してた。

星井美希とか765プロダクションはあまりアイドルに詳しくない俺でも名前くらいは聞いたことがあるくらいには有名。

765プロダクションの公式サイトを見てみたが、あの星井美希ってアイドルどことなく雰囲気が翼に似てる気がするんだよなぁ……なんか俺の第六感がそう告げている。

 

翼自身もすっごいノリ気でいて、「私のファン第一号はおにいちゃんだねっ!はい、私のファンクラブの会員証だよー」なんて、手書きの翼が書かれた手作りらしき会員証を渡された。

まぁ、アイドルのことはようわからんが、何事にもチャレンジするのは良いことだと俺は思っている。翼がどういう目的でアイドルをやったのかは教えてくれなかったが、せっかくなんだし、頑張りなと俺個人的には応援している。

ちなみに、この話を聞いた父さんは

 

「絶対に認めんぞぉ!!うちのかぁいいかぁいい翼ちゃんにあんなハレンチな衣装なんて……衣装なんてパパは認めんぞぉ!世のマゲッツ(※蛆虫のこと)共に翼ちゃんを思春期男子特有のエロイ目で見させてたまるかぁ!!!翼ちゃんはパパと結婚するんだい!!ほら、翼ちゃん!パパが通販で買ったこの衣装を着てみないかい!?」

 

激流の如く反対していたが、翼の「お父さんなんて……だいっきらいっ!!!」発言にKOされた。

当時うちの食卓で飯を食べていた恵美からもうわぁ……とドン引きしていた。

その後、母さんに夜通しで折檻されていたようで……やたらツヤツヤしていた母さんと体にある成分をすべて摂取されたかのようなゲッソリとしてた父さんが印象的だった。

 

 

「だーいじょーぶっ。うちの事務所って恋愛とか自由みたいだし、お兄ちゃんと週刊誌に噂されるなら私は別にいいかなーって」

 

えぇ……それでいいのか765プロ。他のプロダクションとかもそんな感じなのか?有名所で言うと346プロとかも961プロだとかだが。

……それにしても、今なんか引っかかった所があったが……

 

「とゆーわけでっ。おにいちゃん、ドーン!」

 

「うぉっ!」

 

考えている所、翼に両手で押し倒された。唐突のことだったので、そのまままた布団の上に倒れた所を翼が馬乗りになる。

 

下から見上げる形になる翼の表情はさながら餌を目の前にした虎のような捕食側の目だ。

甘いものも大好きな翼だが、どっちかと言えばビーフステーキとか焼肉が好きな肉食系である。

い、いやー。さすがのお兄ちゃんも物理的に食われるのは嫌かなー!

 

「おにいちゃん……最近おにいちゃん成分が不足してるし、ちょっとくらい補給しても……いいよね?」

 

アカン。目が据わってる。舌なめずりをし、俺の胸元辺りに指を這わせてくる今の翼を見る人が見れば、たまらないものがあるだろう。

今の俺からしたら別の意味でたまらないものがあるが。

 

「最近アイドル活動ばっかりで、おにいちゃんと遊べないし……皆と歌ったり踊ったりするのは楽しいけど、それでも私はおにいちゃんと一緒のほうがいいんだもん……」

 

「つっても、先週の日曜日に買い物に付き合わなかったっけ?」

 

「……………………昨日私がレッスンしてる中、恵美さんとカラオケ行った」

 

それが本音か!

フイッと明後日の方向を見て口を尖らせる翼。

てか、昨日の今日でもう知ってるのか。大方、恵美が翼にLineか電話で喋ったんだろうが。

 

「たしかに行ったけど……翼には予定があったししょうがないだろ?」

 

「むぅ~~~そうだけど、そうだけどっ!私も久しぶりにおにいちゃんと恵美さんと歌いたかったのにぃーー!」

 

ボスボスと腰を上げては下げて、俺の体に衝撃を与えてくる。

レッスンで嫌というほど歌ってるだろ?

……なんてことは口が裂けても言わない。さすがにそこまで空気が読めない男ではない。

 

「ちょ、ごふっ。お、重いからやめろって!」

 

「あ~~!重いって言った!女の子に重いなんて言ったらダメ!」

 

「さらに激しくすんなって!ヘビー。You are heavy!」

 

「流暢に英語で言ってもダメっ!」

 

「あーダメ!そんな朝から激しくしたら(意識が)逝っちゃう!翼がベリー重すぎて逝ってまう!」

 

「名指しで言ったな~~~!もーっ許さないんだからっ!このっこのっっこのっっっ!イッちゃえ!意地悪なおにいちゃんなんてイッちゃえ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、アンタたち朝っぱらから何してんのっ!」

 

このやり取りはいつも通り窓の向こうから勘違いしてやってきた恵美が来るまで収集はつかなかったとさ。

 

 

 

 




オリ主君の名字は伊吹だったとさ。
翼みたいな妹がいたら甘やかす自身あります(キリッ
今日はバレンタインですね。ミリシタではお気に入りのアイドルからチョコをもらえますが、皆さんはどうでした?
私はもちろん恵美からもらいました。勘違いしてしまうやろ……!















とまぁ、世間はカップル同士がイチャイチャしてる最中私は引きこもってSS書いてますよっと……あれ、なんだろう。目から汗が……


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Make me schooldays

こんなサブタイですが、鮮血の結末みたいな展開はこのSSでないです。多分。


「そういえばさ、翼って最近どうなの?」

 

「どうつっても、別段変わりはないぞ」

 

週の初め。学生は勉学に励むため通学。社会人は自身の生活のために通勤を。

前者である俺たちは馴染みのある制服に袖を通し、学園へ向かう。

恵美と昨日の番組見た?だとか、数学の宿題ちゃんとやった?だとか、主に恵美が話題を振ってくるのに対し返答していく。

昇降口で学園用の靴に履き替え、現在は恵美と共に自分のクラスへ向かう最中。色んなとこから視線を感じるがまぁ、これもいつも通りである。

好奇、羨望、嫉妬。良い意味の視線は恵美に。悪い意味の視線は8割型俺に向けられている。

モデル経験のある恵美は女性誌に載ったこともあり、女生徒からの知名度も高くその気さくな性格から憧れを持つ生徒も少なくはない。

男子生徒?言うまでもない。なんでお前みたいな奴が所と登校してんだやら、彼氏ヅラしてんじゃねーよだとか、モテル秘訣を教えてくれだとか色々言ってきたりした。去年よりかは頻度は減ったものの、それでも数は減ってはいる。

それよりも、最近は翼がアイドルとして活動し始めてはそれに関して言ってくる奴が増え始めてきた。

妹を紹介してくれなんて抜かすチャラ男死すべし慈悲はない。

 

「最近の私かわいくなった?なんて言ってじゃれついてきたりするし、宿題やるの忘れたから手伝ってくれって泣きついてきたりしてるしな」

 

「アイドルになったからって、そんな変わらないんだね~。蓮と翼の仲は相変わらずかー」

 

「そりゃぁ、前よりかは減ってるけどな。忙しくなってるのは間違いないんだし」

 

「だよねー。あ、ほらほらっこれ見てよ」

 

自分の鞄を漁り、色々と付箋の貼られた雑誌を取り出しこちらに見せてくる。

元々距離は近かったが、これは傍から見たらイチャついてるようにしか見えないくらいのレベルで恵美が寄ってくる。

こういう所が噂される原因なのだろうが……恵美はどう思ってんだろうか。

俺?言いたい奴には言わせておけ。以上。

 

「それなら知ってるぞ。期待の新人アイドル現るってやつだろ?」

 

恵美が該当のページを見せてくる前に、手で制し担いでる鞄から、恵美の持ってるのと同じ雑誌を取り出す。

驚く俺を見たかったのか、不満声を上げる。

知らない振りをして相手の話に合わせるというのも付き合いとしてやったほうが良いとは思う派の俺だが、相手は如何せん恵美である。

やったら途中でバレて、ファミレスで俺の奢りコースになるのは目に見えている。

 

「えぇ~~!なんで知ってるのさ!これ発売したの一昨日なんだよ?」

 

「翼が発売日前から絶対に買え買えって勧めてきたんだよ」

 

「あぁ……」

 

自分でシスコンなのは理解してるが、翼も割りとブラコンなんだよな。俺とも翼とも付き合いが長い恵美は全てを理解したような顔をする。

 

『明日はね~~……なんとなんとぉ!私の特集が載った雑誌の発売日なんだぁー。買ってね?買ってね!?観賞用、保存用、布教用で最低3つ!後日読んだ感想聞いちゃうからね!』

 

発売日前日、いつも翼が寝る時間になるまでずっと俺の部屋に居座り続け、ありとあらゆる手でおねだりし続けていた。翼の活動状況は聞いてるとはいえ、こういうのが発売されたら買う気でいたしな。

実際恵美がモデルで活躍してた時の雑誌だって持ってるしな。部屋の床に置いて積んである為、本人に購入したのはバレている。

ちなみにちゃんと3つ買った。今日持ってきたのはクラスメイトに布教する用。

 

「アタシの見通しが甘かったか……蓮のシスコンっぷりは筋金入りだよねホント」

 

「別に普通だって」

 

同じのを3冊買ったことは黙っておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんなーおっはよー!」

 

「はよっす」

 

元気よく挨拶する恵美とは対照的に低めのテンションで挨拶する俺。

ちらほらと返ってくる挨拶。お互い自分の席に向かい、HR教室内を見渡すと来ているのは半分ちょっとってとこか。

HRまではまだ時間もあるし、みんな各々の時間を過ごしている。雑談する者、携帯やゲームを弄る者、寝る者、慌てて宿題する者。

恵美はというと、さっそく周りの女子たちに囲まれて楽しそうに雑談している。

俺?俺は一人でかわいい妹の特集が載った雑誌を見ています。

まぁ、特集だけじゃなくてちゃんと話題のコーデとか他のモデルの娘がどうだとかも見たりするけどな。

……お、346プロのアイドルじゃないかこれ?ってことは中々特集の競争倍率も高かったんじゃねーか。

 

 

「よう、このモテ男め。朝っぱらからお楽しみでしたねってか?」

 

……ん?顔を上げると目の前には不機嫌そうな顔をした見る人を不機嫌にさせる不愉快な面をした男が。

 

「えーっと、アースジェットどこにあったかな……」

 

「オイィ!?何探そうとしてんだ!ってなんでんなもん持ってきてんだよ!やめろ!人に向けようとすんな!!」

 

「人じゃないから大丈夫だ」

 

「れっきとした人だ!!俺が何したってんだよ!」

 

すげぇ、数行前に自分が言ったことをもう忘れてるのか。

さすがは学年を代表する有名人。

 

 

俺の目の前でギャアギャアと騒ぎ立てる男は鳥谷渉。名の通りの鳥頭であり、勢いだけが取り柄の男。

先程の有名人とは頭の悪さ加減を意味指す。角刈りに生まれ持った体格の良さ。いやらしい目つき。

モテようと日々奮闘してるみたいだが、成果はなし。

多分俺の友達。友達ってか悪友ってのがしっくりくるな。こいつとは良くないことに、去年から同じクラスメイトだし。

扱いが酷くないかって?こいつは俺から4万近くの借金をしているんだ。返す気も一向にないみたいだし、容赦はしない。

 

「あんなに見せつけるように登校しやがって!」

 

「んなつもりはねーよ。お前の視点からそう見えただけじゃね?」

 

「はぁ!?あんなにくっついておいてそりゃねーだろ!肩が触れ合うほど女子と近寄ったことなんて、俺なんて一度もねーぞ!」

 

知らんがな。

 

「……あ、母ちゃんがいたわ」

 

知らんがな。

この馬鹿の声は四六時中でかい為、今俺らがしてるやり取りはこの教室にいるメンツ全員が聞いてることだろう。

去年俺たちと同じクラスのメンツはいつものことかって感じで気にしていないが、そうでない連中はこちらをガン見している。

あ、恵美もこっち見てる。

 

「なぁ、ホントに所とはなんもねーんだよな?」

 

暑苦しいから、肩に腕を回さないでくれやしませんかね。

 

「いつも言っているだろ?恵美とは仲の良い友達だって」

 

「ほんとかぁ?あんなに仲よくて、付き合ってないなんて信じられねーよ」

 

「渉がなんと言おうと、俺は真実しか言ってないぞ。信じる信じないかは別としてな」

 

このやり取りで違和感を持ったかもしれんのだろうが、俺と恵美が幼馴染だってことは学園の人たちは知らない。

なぜかだかしらんが、高校に上がってからは恵美がみんなには秘密にしてほしいってことで誰にも打ち明けていない。

中学時代は聞かれたら教えていたのにな。なんか心境の変化があったのかね……俺なんかと幼馴染なのが恥ずかしい!とか思われてたらさすがにショックだ。

元祖恋愛シュミレーションゲームのヒロインみたいに、告白し関係性を否定されて振られるなんてのはゲームだけで十分だ。

 

「そうか……そうかそうかぁ!なら、俺にもチャンスはあるってことだな!」

 

そういえば、こいつ恵美に気があるやつの一人だっけな。

入学当初、渉に紹介してくれって頼み込まれた。紹介料として1万払えば考えてやるって冗談間際で言ったのだが……渉みたいに紹介してくれって言った連中は他にはいたが、そういうやつらは大体こう言えば諦めたり、逆上してきたりして紹介せずにすんだ。

しかし、こいつに常識は通用せず……

 

『一万円で彼女ができるなら安いもんだぜ!』

 

さぁ、この台詞でどれだけの馬鹿っぷりかがわかるだろう。

俺は考えてやると言っただけであって、やってやるとは言ってないし、仮に紹介するとしてもお前を売り込むとも言っていない。

さすがに一万ももらっておいて、紹介しないのはあんまりなので一応紹介はしてやったけどな。

結果?紹介したその場で告ってバッサリ斬られてました。

 

「自己完結したか。なら暑苦しいから離れて下さい」

 

「……待てよ?付き合ってもないってのにあんなに密着するか……?ホントのホンッッッッットに付き合ってねーんだろうな?」

 

誰かこいつを引き取って下さい。今の御時世草食系男子が増えつつあるのに対し、渉みたいにガンガン行く肉食系は俺は評価する。

だからといって、ウザイくらいに絡んでこんでほしい。

チラっと恵美の方を見てみると、向こうと目が合い、頑張ってね~とフリフリと手を振られた。

周りの女子友達からは伊吹君も大変そうねぇと言わんばかりに憐れみの視線を送られていた。

俺の周りには味方がいないのかと軽く絶望し項垂れていたら――――

 

「二人とも朝から元気だねぇ」

 

救いの声が天から舞い降りた。

 

「元か、おはよう。このうっとおしい馬を引き取ってくれ」

 

「馬ってなんだ馬って!お前それ俺のことを馬鹿だって言いてぇのか!!」

 

だって事実じゃん。

 

「まぁまぁ、蓮も渉もそこまでにしときなって」

 

渉とは違って話の分かりそうな男子生徒。俺が元と呼んだそいつの名は村山元気。

趣味はアニメ鑑賞にネトゲ。平日は夜更かししまくり、遅刻したり授業中寝ることも多く。休日は家から一歩も出ずネトゲにログインし、ひたすらフレンドと狩りを行う。

ネトゲ界では神すら凌駕すると言われるほどに有名。筋金入りのゲーマーで完全なインドア男。

だが、遊ぶ時は俺たち3人で街に出かけたりはするので引き篭もりってわけではない。

あだ名で呼ぶくらいには元と仲良く、一緒のネトゲもプレイしてるし趣味も俺と合う。

時々恵美も交えてオンラインゲームしたりしてるしな。

 

「渉は一人ぼっちで登校なのに、蓮は可愛い女の子を連れて登校。辛い現実を認めたくないんだよ」

 

普段は温厚な元だが、渉に対しては結構毒舌。元も俺と同じく渉に金を貸してるからな。

貸してる額は俺よか諭吉数枚分あるとのこと。

 

「ちょ!?な、何言ってんだよ!俺は単に蓮の奴が……!」

 

「あっ……(察し)」

 

「なんだその目はぁ!!ちげーからな!?勘違いすんなよ!!」

 

「うんうん、僕にはわかるよ渉。たまには僕が一緒に登下校してあげるから元気だしなよ」

 

「野郎と一緒じゃなんの意味もねーし、嬉しかねぇわ!!」

 

「元気だけに元気だせ……うん、悪くない」

 

「悪いのはお前のギャグセンスだ!」

 

元が来たお陰で、渉の気を別のとこに逸らすことはできたがさらに喧しさが上がった。

俺、渉、元。去年からクラスも同じで、男友達の中では一番付き合いが多いと言えるだろう。

 

 

「ってアレ?蓮が見てるそれって妹さん?」

 

「あぁ。一昨日発売されたもんで、翼の事が書かれてたからな」

 

机の上に広げられてる雑誌を手に取り、興味深そうに眺める元。

学園中……ってわけではないが、少なくともうちのクラスの連中は俺の妹がアイドルをやってるってことは知っている。まだまだ駆け出しとはいえ、妹が有名になってくのは誇らしい。

一抹の寂しさもあるけどな。だってしょうがないじゃないかぁ!あんなに素直でかわいい妹なんだぜ……親父みたいに、嫁に行くなとは言わないが行く前までは見守らせて欲しい。

 

「蓮の妹か。兄とは違ってかわいいよn「てめぇ、翼に手を出したらその薄汚い手を二度と物が触れないようにしてやるからな」ヒィィィイイイイイイイ!?」

 

胸ぐらを掴みドスの聞いた声で威圧してやる。翼が認めた相手ならしょうがないが、少なくとも渉みたいな男を

 

 

『おにーちゃん。この人が私の彼氏なんだ~♪』

 

翼に紹介された日には生きていく気力が根こそぎ奪われることだろう。

 

「蓮は相変わらず妹命だねぇ……」

 

「の、のほほんとしてないでこのシスコンを止めてくれよ元気!し、心配すんなって蓮!俺は年下には興味ねーからs「翼に興味ないだと?貴様それでも日本男児か!!」どっちにしろか!もうめんどいよこいつ!!!」

 

俺らの不毛なやり取りは担任が来るまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー休み時間ー

 

 

数学の教師が退出するとクラス全体の張り詰めていた空気が緩くなる。

あの教師は私語とか気にする割にはそんな教え方が上手いわけでもないからなぁ。俺自身数学は然程苦手ではないから問題ないが、元々苦手な人にとってはますます嫌いになっていくかもな。

学生のやる気も重要だとは思うが、先生の教え方ってのも俺は重要だと思うがね。嫌な先生のせいでこの科目が苦手になりましたってのも少なくはない。ま、学校の先生は単体にではなく多数に教えるから仕方ないかもしれんけど。

特にさっきの授業に疑問点とかあったわけでもなく、ノートにまとめきれてないわけでもないので次の授業までソシャゲのアプリでもやって時間を潰すか。

最近インストールしたのは346プロのアイドルたちが歌って踊るリズムゲーム。346プロのアイドルの顔ぶれはある程度知ってはいたが、どんな曲を歌ってるのとかは知らんかったので割りと楽しめてる方だと思う。

自宅でこのシンデレラガールズスターライトステージ(略してデレステ)を遊んでる時、翼に見られて

 

『なんでミキ先輩が登場するゲームじゃないのー!』

 

頬を膨らませていた。

んなこと言われましても、765プロさんの登場するソシャゲまだないし……

とまぁ、ゲームを起動していざライブをしようと選曲していたら

 

「ねぇ、蓮ちょっといい?」

 

「ダメ。今良いとこだからまた後で」

 

恵美に声をかけられる。今顔を上げたら、確実に俺の貴重な休み時間が奪われるのは確定的に明らか。

さっさと曲を選んで――――

 

「はい、嘘つかなーい。まだ曲すら選んでないじゃん」

 

が、スマホを奪われてしまう。

そういや、恵美もデレステやってるんだっけか。俺が始めると同時に恵美もインストールしてたなそういや。

 

「ひとのものをとったらどろぼう!」

 

「蓮のものはアタシのもの。アタシのものは蓮のもの。だから問題なんてないねっ」

 

なんだその謎理論。ジャイアンもびっくりだわ。

どうやら、相手にしないとスマホを返してくれそうにないようだ。

 

「……で?俺の貴重なスタミナ消費する時間を奪ってまでのご用件は?」

 

「うわっ、なんか嫌味ったらしい言い方。まぁまぁ、いいじゃんちょっとくらい。後でジュースおごったげるからさ」

 

「いや、別に物をもらってまで気にするわけじゃねーから。……さっきの授業でか?」

 

「あーうん。ちょっとどうしてもわかんないとこがあってさー」

 

恵美の手には数学の教科書とノートが。去年はお互い違うクラスだったが、授業終了後にこっちのクラスにやってきて俺に質問してくる時があったからな。

本来なら俺よりも先生に聞いた方がいいだろうが、恵美曰く俺でもどうしてもわからなかったら先生に聞くとのこと。

頼られているのは悪い気はしないのでいいんだけどね。……多少プレッシャーはあるが。

 

「どの辺りがわからないんだ?」

 

「この不等式の証明ってやつなんだけど」

 

隣の席の(たしか池田さんって女子)イスを借りて俺の真横に座り、教科書を広げる。

……てっきり俺は席ごとくっつけて来るかと思ったんだが……まぁいいや。

 

「証明か……まぁ、ここらは苦手なものとして鉄板だわな」

 

「でしょ!あの先生解説してたけど、何言ってるかさっぱりでさ~」

 

「竹山(数学の教師)はガンガン進んで行くタイプだからなぁ。授業に追いつくにはある程度復習なりしとかないと付いてけないぞ」

 

「うぅ~……もうちょっと出来の悪い生徒にもわかりやすくゆっくり解説してほしいのに……」

 

教科書に突っ伏し、唸り声を上げる恵美。

そんな恵美を他所に、俺は恵美がどうノートをまとめてるか確認する。

うん、予想はしてたが。板書されてたことしか書いてない。いや、真っ白白なノートよりかは全然いいんだけどな。理解はできなくても、ちゃんとノートは取ろうって意志はあるみたいだし。

どっかの渉っていう馬鹿はわからなくなった瞬間に授業放棄するからなぁ……そんなんだから、万年赤点生徒なんだぞ。

 

「ほれ、顔上げろっての。俺が分かる範囲で教えてやるからさ。まずは俺のノートを見てみな」

 

「はーい。…………おぉっ!なんかめっちゃくちゃわかりやすく書かれてる!」

 

俺の場合ただノートを取るだけじゃなくて、自分なりに考えをまとめ、板書されてることだけじゃなく先生が口にした大事なとこっぽいとこも書くようにしてる。

後で清書するのはめんどくさいので、なるべく最初の内に綺麗に書いといたほうが手間が省ける。

まぁ、清書したほうが頭のなかに入りやすいって人もいるだろうけどね。

 

「取り敢えずは俺のを参考に自分のノートに書き写しな。その後で解説していくからさ」

 

「はいっ蓮先生!」

 

そう言ってノートに書き込んでいく。

先生……中々悪くない響きだ。家庭教師のバイトとかやってもいいかもな。

給料も悪くないって聞くし。

 

 

 

……それにしても、恵美の手ってスラッとして細いよなぁ。俺の手と見比べても大きさも太さも全然違う。

女性だから当たり前なんだろうが…こう改めて見ると、恵美が男女共に人気があるのがわかる。

まつ毛も長いよなぁ。ちょっと勝ち気な目元も、今真剣にノートを取ってる様は中々グッと来るものがある。

目線をさらに下げてくと、Yシャツの第一ボタンが外されている為、俺よりも白く健康的な肌が露出されている。

……そのさらに下は男にはなく、未知の双丘が――――

 

 

「……ん?どうかしたの?アタシの顔になんかついてる?」

 

俺の視線に気づいたのか、こっちに横目で視線を向けてくる。

ってさっきから俺は何考えてんだ!!いくら相手が俺だからって、こっそりとガン見するのは良い気がしないだろう。

 

「目と鼻と口がついてる」

 

「そりゃついてなかったら困るって……」

 

よし、流石俺。これで内心動揺してることを悟られてない……はず。

俺の小学生並みの返答に呆れ顔になる恵美だったが、引き続き作業に戻る。

……さっきみたくずっと盗み見るのもアレだし返却されたスマホでデレステの続きでもやるかな。

 

 

「はぁ~~、アンタたちってホンット仲いいわよねぇ」

 

と思ったが、ため息混じりに呆れた様子でこちらに近寄ってくる人物。

程よく日焼けした小麦色の肌に、最近流行りのギャルメイクを施したフェイス。腕には幾つものの別々の色を持ったブレスレットが身に付けられている。

染めたであろう茶髪の髪も相まって、遠目からでも彼女がギャルだということがわかるだろう。

 

「あ、カナ」

 

「水木か。別にこれくらい普通だろ」

 

水木佳奈多。それが彼女の名前だ。

恵美とは去年から同じクラスであり、この学校の同性の中では一番のマブダチとのこと。

見た目は恵美よりもギャル度合いが高い物の、中身は割りと常識人で成績も毎回上位にいる。

品行方正……とは言い過ぎかもしれないが、うちの学校は学業を疎かにしなければ割りとぬるい所があるので、先生も水木にはとやかく言わない。

 

俺との関連性は当然ながら恵美繋がりである。恵美が俺を遊びに誘うとき、彼女もたまに付いてきたりするからだ。

人によっては彼女の外見で敬遠するかもしれないが、俺自身人は見かけよりも中身なので、特に気にしていない。

むしろ、明るく取っ付き易い性格なので俺は結構彼女を気に入ってたりする。

 

「おはよ、メグ、イブ。いやいや、アンタらの仲睦まじっぷりは度を超えてるっての。遠目から見てもイチャついてるようにしか見えないみたいな」

 

「え、そう?ね、ね蓮。アタシたち恋人みたいに見えるって!いや~~~照れちゃうなぁ」

 

水木の冷やかしに対し、人差し指に髪を巻き付け、空いた方の手で俺の肩を揺する恵美。

いつも恵美と行動してるとこうやって水木が冷やかしにくるのが鉄板となりつつあるが、なぜだろうか。

彼女が言ってくると大して不快に感じないのが不思議だ。人柄なのだろうか?

ちなみにイブとは俺のあだ名である。伊吹→イブキ→イブ。である。

どこぞのトラブルな漫画に出てくる暗殺者の名前みたいだが、俺は特に気にしてない。

 

「つっても、普通に勉強を教えてるだけだが」

 

「普通~?そんな肩が触れ合うほどの距離だってのに?ならアンタは私が同じ距離で迫ってきたらどうすんの?」

 

「別にどうもしないが、強いて言うなら、今後は敬語で接する」

 

「他人行儀になるほどイヤなんじゃない……はぁ~これでいてホントに付き合ってないってのが信じられないってホントに」

 

なんて言われましてもね。幼馴染だってことは恵美に口止めされてるしな。

周りがなんて言っても、俺たちはまだ付き合ってないのは変わらない事実である。

 

 

「ったく、蓮が付き合ってないって言ってんだから付き合ってねーんだよ。これだからスイーツは……」

 

さっきから聞いていたのか、自分の席に座ったままこちらに体を向けて言い放つ渉。

野太い声を耳にした途端、さっきまで俺たちを微笑ましいものを見るような表情だったのが、目障りな存在を目の当たりにしたかのような表情に切り替わった。

 

「は?急に会話に割り込んで来ないでくんない?つか、私の視界に入ってくんな。マジウザイ」

 

「あぁ!?それはこっちの台詞だっつの!テメーみたいなビッチと同じ空気を吸ってるって思うと、吐き気がするぜ!」

 

「あっそ。ならどっか行けば?そのまま永久に帰ってこないでいいし」

 

「なんで俺が出ていかなきゃなんねーんだよ!てめぇが出てけ!!!」

 

エスカレートしていく無益な言い争い。そう、この二人頗る相性が悪い。

顔を合わせる度に互いを貶す言葉で会話のキャッチボールを始める。渉曰く、水木みたいな典型的なギャルは皆ビッチだとのこと。

俺から言わせて貰えば、水木はそんなテンプレなギャルじゃないと思うがな。

水木の方は見かけで判断する男は嫌いとのこと。後生理的に渉の事が嫌だとさ。

 

「まーた始まったよ。毎度のことだけど、良くやるねぇ」

 

「だねー。口ではあんなこと言ってる二人だけどさ、案外お似合いなんじゃない?」

 

「「誰がこんなやつと!!」」

 

「息ぴったりじゃねーか」

 

元と恵美の言葉に仲良く否定する二人。

 

「こんな男になら誰にでも媚を売ってそうな女なんて死んでも嫌だね!!」

 

「アンタみたいな知性も品も欠片もない男なんて願い下げ。大体、アンタだって女なら見境ないんじゃないの?」

 

「何言ってやがる。俺は女なら誰だって良いわけじゃねーよ」

 

「……どうだか」

 

疑惑の目を向ける水木。そうだな渉。お前は女なら誰でも良いわけじゃなくて

 

「かわいい女の子にしか興味ないからなっ!!」

 

だよな。一定の基準値を満たしてなきゃストライク範囲外だもんな。

他のクラスの一部の男子共は「勇者だ……」「男らしいぜ……」「後先考えない発言……渉らしいぜ」なんて(悪い意味で)尊敬の眼差しを向けていたが、ほぼ全ての女子からは侮蔑と軽蔑の視線を向けていた。

 

「あっそ。死ねば?」

 

「あんだと!?人が折角答えてやったってのによ!」

 

「いやー、誰も渉の回答なんて求めてなかったけどね」

 

「だよな。気が散るから、早く席にお戻り」

 

「お前らどっちの味方だよ!?」

 

少なくともお前の味方じゃないことだけはたし――――いや、味方でもいいか。

最初のうちは味方だと思わせておいて、信頼を築き上げておき、最後の最後で寝返る。

ジャンジャジャーァン。今明かされる衝撃の真実ゥ!!

 

「……蓮、今すっごいゲスいこと考えてるでしょ」

 

脳内で真ゲスごっこをしていると、恵美が呆れた様子でこちらに顔を向けていた。

なぜバレたし。

 

「んなことねーよ。で、写し終わったか?」

 

「終わったよ。それでね、ココのとこってどうしてこうなるのかなーって思って」

 

「あぁ、ここはだな――――――」

 

眼の前で繰り広げられている渉と水木の争いはいつものことなので、気にもとめず。疑問点の箇所を指差す恵美の講習へと戻ったのだった。

 

 




オリキャラが複数登場しましたが、別に記憶に残さないでも問題ないです。

原作との違いその2
Q.あれ?恵美と翼の出身地って……
A.君のような勘のいい読者は嫌いだよ

Q.あれ?恵美の年齢って……
A.この恵美は原作と違って1歳上ってことになってます。決して執筆中に高2が16歳だと思ったわけなんかじゃない。決して。

ミリマスのSSもっともっと増えろ。
そしたらこのSSも完結できるから。


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番外的なLife
小話その1 セットヴァルエンチン


あぶねぇ……ギリギリ間に合った。
さすがに39人は無理だったよ……だってこれ書き始めたの今日の20時頃だったし。
小話ってことで、メインの話とは関係がありません。未来にこうなるとも限りません。
俺の知ってるアイドルはこんなんじゃねぇ!と言われてもごめんなさいとしか言えません。
ちなみにどのくらい関係ないかというと、このSSとコンマイの野球ゲームのくらい関係がありません。


春日未来の場合

 

「あーーーっ!翼のお兄さんこんにちは!ちょうど良いところに。えっとですね~~今日ってバレンタインじゃないです……あ、ちょっと待って下さい!なんで何も言わず去ろうとするんですかぁ!!安心してくださいっ!ちゃんと静香ちゃんと翼と一緒に作りましたし、味見もしました!会心のできですよっ、会心の出来!ささっ、私が食べさせてあげます。あーんしてください……え?不自然な歯型がついてるって?…………でへへ、実はさっきお腹が空いちゃって……イタッ!ご、ごめんなさい!つい出来心でっ……え?ホワイトデーのお返しは私だけチロルチョコ……そ、そんなぁ~~~!」

 

最上静香の場合

 

「こ、こんにちはっ蓮さん。きょ、今日はいい天気ですね!こういう日は甘いものが食べたくなりませんか?……ならないって?そ、そこは空気読んで食べたいって言ってください!……せっかくのバレンタインデーなのに。……静香のことだから、てっきりうどんを渡してくるんじゃないかと身構えていたって?失礼です!わ、私だってこういう行事にだってちゃんと興味あるんですからっ。もう……ではどうぞ。手作りチョコなんて始めてのことだったので、そんな出来は良くないかもですけど……それと勘違いしないで下さいね。義理ですから、義理ですよ!せっかく作ったのに、捨てるなんてもったいないですし……って、なんでにやにやしているですかっ!勘違いしない――――って頭を撫でないで下さい!慣れないことをしてまで一生懸命な静香かわいい……な、な、なにを言っているんですか!!」

 

伊吹翼の場合

 

「今日はなんの日か知ってるよね?……お菓子会社が売上が鰻登りになる日?そんなロマンチックの欠片もない日じゃありません~。今日はバレンタイン!毎年のことだけど、今年は特に気合入れて作ったんだからー。というわけで、はい。私からの気持ち。クラスの男の子とかプロデューサーさんのは義理チョコだけど、おにいちゃんのはちゃんと本命だから。……だからぁ。ホワイトデーのお返しすっごく期待してるからね。たーとーえーばー……一日中おにいちゃんを独り占めできるとかでもいいよ♪」

 

白石紬の場合

 

「じゃまない…じゃまない。自然に……自然にチョコレートを渡すだけ……ひゃああああっ!あ、貴方はっ!いたのなら声をかけてください!まったく……貴方はそんなに人を驚かせるのが好きなのですか?え?慌てる私を見るのがかわいくて好き……!?あ、貴方はっ貴方は本物の馬鹿なのですか!?い、いいえっ、馬鹿なのですね!わ、私がかわいい……なんて。……そ、その…………~~~~~っ!と、都会に慣れない私をいつも気遣って頂いて誠にありがとうございますっ!これは日頃の感謝の気持ちです!他意はありませんのでっ!」

 

桜守歌織の場合

「蓮君こんにちは。ふふっ、見てたわよ。シアターのみんなからチョコをもらってたみたいね。蓮君も男の子だものね。あんな可愛い子たちから慕われて嬉しくないわけがないものね。……え?私からのチョコレートはないのかって?…………わ、私の何かをもらっても嬉しくないでしょう?――――きゃっ!?え、え?そんなことない?私からもらえるのを楽しみにしていたの?…………あ、あの。取り敢えず手を話してもらってもいいかしら?ううん、嫌じゃ!嫌じゃなかった……わ。………………その……みんなからいっぱいチョコレートを貰うんだろうと思って、甘さ控えめにしたんだけれど……」

 

北沢志保の場合

 

「………………なんですか?さっきからこっちを見て。何を期待しているのかしりませんが、チョコレートなんて用意してませんから。……俺はチョコレートが欲しいなんて一言も言っていない?………………これから営業に行ってきますので失礼します。――――!?ちょっと!だ、抱きつかないで下さい!あぁ、もうっ!チョコをくれるまで離れないなんて……余計上げたくなくなるじゃないですか。……いえ、なんでもありません。はぁ……もう、子供なんですから。しょうがないですね、余りにもしつこいので上げます。……言っておきますが、手作りじゃありませんからね。市販の安――――くはない奴ですから。…………その手に巻いてる包帯はどうかしたのか?って……………………では失礼しますっ!」

 

七尾百合子の場合

 

「…………気になる異性に渡すには……ふむふむ。よしっ!……あ、蓮さん!ちょうどいい所にいました。今日は月が綺麗ですね!え?まだ真っ昼間だろ?……………………い、今のはなしですっ!やり直しを要求しますっ。……太陽がなければ、月は輝け無いって切り替えしたほうがよかったか?って――――っ!ううぅぅ!最初からわかってて聞いてたんですかぁ!!そうですぅ!バレンタインです!蓮さんにチョコを渡したかっただけです!はぁ、はぁ……乙女の気持ちを弄ぶなんて酷いです……はひゃぁ。え?え?え?こ、これって壁ドン――――チョ、チョコよりも百合子を味わいたい――――!?……はふぅ。」

 

この光景を一部始終見ていた数名のアイドルから状況を聞いた軍曹(律っちゃん)委員長(琴葉)により、蓮はお仕置きを受けたという……

 

望月杏奈の場合

 

「……蓮さん。こんにち…は。……ゲームの中で……チョコ上げたけど……本物のチョコも上げたい……から。うん。杏奈、蓮さん好き……杏奈とゲーム一緒にやってくれるし……杏奈に勉強…教えてくれるし。蓮さん、忙しいはずなのに、杏奈に構ってくれて……ありがとう。杏奈、これからも蓮さんと一緒に……いたいな。これ、頑張って……作ってみた…よ。一緒に、協力プレイしながら食べよ……?」

 

天空橋朋花の場合

 

「あら~そこにいるのは蓮さんじゃありませんか~。ふふふ、隠しても無駄ですよ~?今、聖母たる私から、逃げようとしましたよね~?そんなことはない…ですか?なら良かったです~。さて、蓮さん。この後暇ですよね~?仮になにか予定があったとしても聖母の私の方を優先しますよね~?よろしい。ではそんな従順たる蓮さんにご褒美を差し上げます~。いいですか~?蓮さんが他の子達に尻尾を振るのは構いませんが、最終的に私の所に戻ってくれればいいですからね~聖母たる私は寛大ですから~」

 

佐竹美奈子の場合

 

「こんにちは蓮君。その顔は……お腹が空いてるねっ?任せて!腕によりをかけてご飯を作ってあげるから!……え?さっき食べたばかりだから大丈夫?うーん、そう?遠慮しなくてもいいのになー。……あ!それなら、三時のおやつ――――には早いけどチョコレートなんかどうかな。……なーんて、こんな言い訳して渡すものじゃないよね。はい、どーぞっ。私の気持ち。量は少ないかもだけど、ちゃんと想いはたっくさん込めたから、味わって食べてね♪」

 

島原エレナの場合

 

「ヤッホーーーー!レーーーン!ハッピィーーーーバレンタイーーーン!!エヘヘ、ワタシ今日この日をズット待ちわびていたヨ~。大好きな人に想いを伝えれる日ってイイヨネッ!毎日がバレンタインなら毎日が楽しいとワタシ思うナッ。……エレナは毎日ストレートに伝えてきてるだろっテ?うんっ!でもでも~こういう特別な日は普段のワタシと特別な日のパワーが重なり合って普段より、スキスキパワーがバイゾウッ!だ~か~ら~……ハイッ!ワタシの大好きなキモチ!受け取って欲しいナ?」

 

田中琴葉の場合

 

「ハァ……ハァ……ご、ごめんなさいっ!電車が遅れちゃってて……待たせちゃったでしょう?本当にごめんなさい……こんな寒空の中待たせちゃって……え?琴葉に何事もなくて良かった?……うぅ、なんで今日に限ってスマホの充電を忘れてきちゃったんだろう。そんなに待ってないから気にしなくていい?……嘘。ほら、蓮君の手こんなに冷たくなってる……いったい何時から待ってたの?…………に、二時間前!?そんな早くに来てたの!?琴葉からチョコレート貰えるんだと思ったら、居ても立っても居られなくなったって……もう。せめて、喫茶店とか店内で待っていてくれても良かったのに……遅刻しちゃった私が悪いんだから。……それじゃあ、お待ちかねの……私の気持ち。受け取って……くれるかな?」

 

所恵美の場合

 

「……ムスッ。あ~あ。どっかの幼馴染は色んなアイドルからチョコを紙袋一杯にもらってきてー、自分モテモテアピール?良かったですね~選り取りみどりでっ!……みんな日頃の感謝の気持ちで渡してきたものだから、他意はないだろう?……この蓮のバカ!あほ!鈍感!トンチンカン!シスコン!スケコマシ!変態!あんな風に好き好きオーラだしてる娘たちが、義理で渡してくるわけないじゃん……エレナと翼は言わずもがなだし、琴葉だって最近怪しい雰囲気だしてるし……え?シスコンなのは認めるけど、他の罵倒は言われる覚えはない?…………はぁ、シスコンことシスレンがこんなんじゃ、アタシ一人が心配してバカ見たいじゃん……アタシだって、蓮のこと好きなんだよ?

うん、昔から。幼馴染としてじゃなくて、一人の女の子として。この気持ちは誰にも負けないし、翼にだって、エレナにだって、琴葉にだって……他のどんな魅力的な女の子が相手でも絶対に蓮は渡したくない。だからさ……アタシだけを見て。連が誰にでも優しいのはわかるけど……それでも私を――――っ!……んっ……ふっ、んんっ………………ぷはぁっ。…………ファーストキス……チョコレートの味するかと思ったけど、まだ誰のチョコも食べてないの?……一番最初のチョコはアタシのにするんだって決めてたの?……もうっ、バカっ。連があまりにも鼻の下を伸ばすもんだから、チョコクラスの男子に上げちゃったよ~~にゃははっ。……って、冗談冗談。冗談だからっ!そんな全てに絶望した顔しないでって!……ひゃぁっ!えーっと……蓮?なんか目つきが怖いんだけど……あ、アハハー。……や、優しくしてね?」




さすがタイトルのヒロインは各が違った……かな?
AS組は書かないのかって?AS組は他の偉大な方々が書いているでしょうし、いらないでしょう?
残りのシアター組は書かないのかって?皆様が書いて投稿してもいいのよ?
さて……しばらくはソシャゲーに勤しむかぁ。


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好感度メガネ

紆余曲折ありながらも、伊吹蓮と付き合うことになった田中琴葉。事務所のみんなに祝福されるが、唯1人。1人だけ別の想い抱く少女がいた。







初めは嬉しかった。親友と幼馴染がくっついたことに。自分のことのように嬉しかった。二人が幸せになれる。そう思っただけでアタシ自身も幸せになれた気分だった。
……でもそれはアタシ本心に向き合いたくないだけの現実逃避だった。
二人が仲良く話してるのを見ると、そこで笑いあってる相手がなぜアタシじゃないのか。
二人が恥ずかしそうに、一つの弁当を食べさせあってるのを見ると、弁当作ったのがアタシじゃなくて、なぜ彼女が食べさせているのか。
二人が楽しそうにデートをしているのを見ると、腕を組み合ってるのが、なぜアタシ相手じゃないのか。
二人がキスしあってるのを見ると……なんで私じゃないの?アタシが幼馴染だからダメなの?どうして?なんで?
二人が幸せそうに繋がっているのを見るとーーーー










なんて感じのめぐみんヤンデレ化の話をエイプリルフールネタとして書いてたんですが、間に合わず消しました。
恵美誕生祭の時にも、ひたすらオリシュー君とイチャコラずっこんばっこんしてる話を書いてましたが、間に合わず消しました。
……うん、こんなことばっかしてるから投稿遅いのよね。
それよか、イベントが重なりまくるのが悪いのよ。つまり、俺は悪くねぇ!!
……誰か書いてくれてもいいのよ(チラッチラッ

ちなみに今回はサブタイから察する人もいるかもですが、某掲示板からのネタ作品です。なので、書き方も普段と違い台本形式なのでご注意を。


このssを見る見当たってのあらすじ!

 

なんやかんやあって、アイドルデビューした恵美!そしてなんやかんやあってプロデューサー見習いという形でスカウトされた蓮!断ろうとした蓮だが、妹に甘かった彼は幼馴染にも甘く、頼み込まれた彼はあっさり陥落!アルバイトってことで765プロで働くことに。プロデューサーからは39組を気にかけてほしいと言われた為、言われた通りになんやかんやしてたら、なんやかんやでプロデューサーを差し置いて、39組アイドルを絆していったのだった……

 

今回はそんな本編とは(多分)関係のない日常の一コマである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

れ「はぁ?好感度が見えるメガネ?大丈夫ですか小鳥さん。3Dになったからって浮かれすぎているんじゃありませんか?」

 

こ「開幕から辛辣ピヨッ!……でもなんだろう。年下の男の子からぞんざいに扱われてるというのに……悪くないわ!」

 

れ「名は体を表すとは良くいいますが……頭の中も鳥が囀りまくっているようですね」

 

こ「あぁっ、待って待って!帰ろうとしないで!」

 

れ「急に呼び出されたから来たと思えば……俺そんなに暇じゃないんですけど?」

 

こ「うぅ……蓮君が冷たい。ちょっとくらいは私に優しくしてくれてもいいじゃないっ!せっかくのお休みなのに、私は休日を返上で会社に出勤。世間のカップルたちは町中でデートしてるというのに、私はこの書類の山とデート?ひどい!あんまりだわっ、私が何をしたっていうんですかぁ!!」

 

れ「普段から妄想して、仕事サボってるからじゃないんですかね?」

 

こ「そ、それは蓮君だって」

 

れ「やることはちゃんとやってますから。俺は仕事を適度にサボりますが、その分速度と品質に定評がありますから。それはサボったせいで、こっちに仕事を回している誰かさんが一番ご存知じゃありませんかねぇ?」

 

こ「ではさっそく説明するピヨッ!!心して聞くように!!」

 

れ「(あ、逃げた)」

 

こ「このメガネをかけると、対象の人物の頭上に、貴方に対してどう思ってるかを数値化されて表示される、優れものなの!」

 

れ「それなんていうラ○スコープ?……あれ?よく見たらデザインもそれっp「違うわ!これは好感度メガネよ!決して!全年齢対象のスポーツゲームに登場するアイテムとは別物!!」完全に意識してるじゃないですか」

 

こ「実はこれ、346プロのとあるアイドルが作った物なんだけれど」

 

れ「アイドルってノーベル賞受賞もんの発明ができるのか……」

 

こ「実験データが欲しいみたいで、モニターをしてくれてる人を募集してるんだって」

 

れ「それで、引き受けたと?」

 

こ「えぇ。でも、私よりも蓮君の方が異性の娘と交流が多いじゃない?」

 

れ「いや、だったら俺じゃなくてプロデューサーさんのほうが適任じゃありません?」

 

こ「そんなことないわっ!このSSはミリオンライブがメインで二次創作なのよ!AS組やシンデレラガールズ組のプロデューサーさんたちのデータは有り余るほどあるんだから!」

 

れ「なんというメタ発言。いくら番外編だからっていいのだろうか……」

 

こ「物凄いブーメランになってますよ。でね、このメガネは1から100までの間で数値化してくれて

01~10 ○したいほど憎い

11~20 嫌悪。視界に入れたくない

21~30 苦手。なるべく会話したくない

31~40 二人っきりだと、会話が弾まない程度の仲。

41~60 普通。面識がなかったりする場合は50。

61~70 友好。友達。

71~80 好き。一緒にいて楽しいと思っている。

81~90 大好き。墜ちるまでもう目前!?

91~99 もう相手は恋の病にかかってる!貴方以外の相手なんて対象外!

100  ゴールインはもうそこ!

って具合かしら」

 

 

れ「なんか、最後の方女性雑誌の恋愛コラムみたいなコメントになってるんですが」

 

こ「試しに蓮君が私をどう思ってるか見てみましょう!」

 

れ「別に見られて困るってわけじゃないからいいですけど」

 

こ「(まぁ、普段から毒舌で困らせてばっかりだからそんなに高くないんだろうなぁ……それはそれでちょっとショック)え?」

 

伊吹蓮→音無小鳥 76

 

こ「あ、あら?思っていたよりも高い!?」

 

れ「え?むしろ低いと思ってたんですか?」

 

こ「い、いや。だってあんなにもうちょっとしっかりしてくださいとか言ってるのに」

 

れ「サボって人に仕事押し付けてる時は、ですけどね。小鳥さん、しゃんとしてれば事務能力かなり高いですし、人間性的にも好きですけどね、俺」

 

こ「なっ……(な、なんていう天然シゴロ!?これがプロデューサーを差し置いて、39プロジェクトのみんなを絆していった彼の力だというの!?)」

 

れ「……小鳥さん?」

 

こ「な、な、なんでもないピヨッ!それじゃあ、蓮君の今日の任務は一定数のアイドルの子たちのデータを取って、レポート形式で提出してくること!」

 

れ「えぇ……さすがにレポートはめんどくs――――」

 

こ「ちなみに、依頼者から報酬はこのくらいの額が提示されてるわ」

 

れ「仕方ないっすねー。他ならない小鳥さんの頼みだし、レポートはかったるいけど、データ取りに行ってきますわ」

 

こ「蓮君、顔のニヤケが隠せてないわよ」

 

れ「しっかし、これで相手が俺をどう思ってるかがわかる…か。さすがに嫌われてはないだろうけど、ちょっと見るのには勇気がいるな」

 

こ「……そうね(346プロのプロデューサーさんも、私たちのプロデューサーさんもだけど、どうしてこうも自己評価が低いのかしら。いや、蓮君は割りと自身たっぷりなとこあるけれど)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

れ「……と意気込んで出ていったのは良いものの……もっと聞いておけばよかったな」

 

れ「(面識ないと50って言ってたけど、友人。もしくは知り合いとしての基準値がおおよそいくつかってのも知りたかったな。……まぁ、いいや。取り敢えず適当に劇場(シアター)辺りをぶらついてれば、誰かに会うだろ)」

 

「あれ、お兄ちゃん?」

 

れ「この声……桃子か」

 

れ「(劇場(シアター)付近で佇んでいたら、背後から声がした。振り返ってみるとそこには39プロジェクトの誇るロリアイドルがいた)」

 

れ「どうしたんだ桃子。休日だってのに、こんなとこで」

  

も「それはこっちの台詞だよ、お兄ちゃん。桃子は今度の公演に備えて、ダンスレッスンをしにきたとこなの」

 

れ「ほぅ。さすがパイセンだな。自分の自由時間を削って、練習に勤しむなんて。そんなプロの鏡である桃子にはお兄さんがご褒美を上げよう」

 

れ「(いつもの踏み台に乗ってるとはいっても、)」

 

も「そ、そんなの当然だよ。桃子はプロなんだもん!……って頭撫でないでよ、子供扱いしないで!」

 

れ「(そんなこといいながらも、振り払わないパイセンであった)」

 

も「もう!それよりもお兄ちゃんはどうしたの?休みだからって、計画性もなく一日を過ごしてちゃダメなんだからね。いくらお兄ちゃんがバイトの立場だからって、桃子と一緒に仕事してるんだから、もっとプロの意識を持って――――――――」

 

れ「おっとそうだ。桃子に渡すものがあったんだった」

 

れ「(桃子パイセンの先輩アピールが長くなりそうだったので、俺はズボンのポケットからあるものを取り出す)」

 

も「なによ。まだ桃子の話は終わって……って、お兄ちゃんこれ!」

 

れ「友達から貰ったもんだけど、俺よりも桃子が持っていた方がいいんじゃないかと思ってさ」

 

も「そうなの!?これ世界でも生産数が少ないって言われてるレアもののシールじゃない!」

 

れ「そんなに凄いもんだったのかそれ……」

 

れ「(元のやつから、部屋を掃除してたら見つかったから上げるよって言われて受け取っただけなんだが……)」

 

も「これ本当に桃子がもらってもいいの……?」

 

れ「あぁ。言っただろ?桃子が頑張ってるご褒美だって。それにシールも俺よりも桃子が持っていたほうが喜ぶだろうしさ」

 

も「お兄ちゃん……ふ、ふんっ。こんなので桃子の機嫌を取ろうとしてもダメなんだから!認めてもらいたかったら、ちゃんと行動で示してよね!………………………………ありがと」

 

れ「うん?なんか言ったか?お兄ちゃん良く聞こえなかったなぁ」

 

も「う、嘘!絶対聞こえてたでしょ!すっごいニヤニヤしてるもん!こっち見ないでよ!!」

 

れ「(喜びを隠しきれず、表情が緩んでいた桃子だったが、俺に見られるのが嫌だったのか後ろを向いてしまった。……っていけね。好感度メガネのことすっかり忘れてた。これを装着したまま町中を歩くのはさすがに抵抗があったから、外していたけど。……桃子か。見るのがちょっと怖いな。最初の頃は今よりもかなりツンツンしてたとはいえ……60前後か?今の桃子なら――――)」

 

 

周防桃子→伊吹蓮 82

 

れ「………………ゑ」

 

れ「(めっさ変な声がでてしまった。え?ちょっと待て。82?80超え??大好きって……え?桃子が!?)」

 

も「?どうしたのおにいt――――なに、その変なメガネ。お兄ちゃんって目悪かったっけ?」

 

れ「視力は両目とも1.5だ。バイトの1つでちょっとな。試供品のモニターをやってるんだよ」

 

れ「(嘘は言ってない。嘘は。……いやいや、82って大分高くね?このラ○スコープ壊れてる?……でも、小鳥さんが俺を測った時の数値は正しかった……と思うし)」

 

も「またバイトの掛け持ちなんてして……いい、お兄ちゃん?何度も言うけどお兄ちゃんは、桃子と仕事してるんだよ。それにそんなダサいメガネ……お兄ちゃんがダサいと、一緒にいる桃子まで変に見られちゃうでしょ」

 

れ「いや、別に俺のセンスで選んだわけじゃ……」

 

も「言い訳無用。今度桃子の買い物に付き合わせてあげる。その時に色々とお兄ちゃんに似合う服とか、アクセサリーとか選んであげるね。今度のお休み、予定空けとくこと!」

 

 

 

れ「……行ってしまった。」

 

れ「(うーん……最初っから、インパクトが半端ないんだが。桃子がねぇ……まぁ、好意を持たれてる事に悪い気はしないけどさ)」

 

れ「心当たりないんだがなぁ」

 

れ「(キツイ態度で、扱いが難しい女の子ってプロデューサーさんから聞いていたが、俺には相手に舐められないよう気丈に振る舞ってる年頃の女の子って印象だったんだよな。俺に対しても最初は突き放されたり、対応も雑だったけど、手のかかる妹って翼で慣れてたしなぁ。どうってことなかった。)」

 

れ「気にせず、話しかけたり、ホットケーキが好きだって聞いて作ってみたり、シール集めが趣味だって聞いたから、俺もちょこっと集めて桃子に見せてみたり、劇の稽古やら台本の読み合わせとか付き合ったり……って、これは他のみんなともしてるか。……あれ?心当たりあるじゃん」

 

れ「(って言ってもこんなもんだぞ?こんなの誰にだってできるだろうし、パイセンがそんなにちょろいはずないだろうし……)」

 

れ「……考えても仕方ない。他に誰かいないか、劇場(シアター)で探してみるか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、蓮さんだ!こんにちはー!」84

 

「えっ、おにいちゃん?ホントだっ、おにいちゃーん!」91

 

「ちょっと!未来、翼!」93

 

れ「お、おぉ。信号機トリオか」

 

れ「(劇場(シアター)に足を踏み込むと、俺を出迎えてくれたのは赤、黄、青の未来と翼と静香だった。こっちにダイブしてきた翼を抱きとめる。……のはいいが、この3人やたら数値高くないですかねぇ)」

 

し「まったくもう……蓮さんが来ると二人がはしゃいで、まともに掃除ができないんですけど」

 

み「そういう静香ちゃんだって、掃除の手を止めてるじゃーん。静香ちゃんだって、蓮さんと会えて嬉しいんじゃないの?」

 

し「貴方達ははしゃぎすぎよ!――――って、なんですかその派手なメガネ……」

 

つ「あれ、ホントだ。おにいちゃん、視力悪くなかったよね?」

 

れ「あぁ。モニターのバイトで着けてるだけだ。断じて俺の趣味なんかじゃないからな」

 

れ「(未来は元々親しみやすかったから……とはいえ、それでも桃子と同じ80超えか。翼は……予想よりも遥かにたけぇ。ザッと見積もって80台くらいじゃないかと思っていたんだが……それよりも、だ)」

 

 

 

し「伊達メガネなんですか?……仮装用だとしても、似つかないデザインですね……」

 

れ「(静香の数値の高さには霞むな。しかも、翼より高いって……普段の態度からしたら考えられないんだが。……それはさっきの桃子も同じか)」

 

つ「だねー。私もそのメガネは似合わないと思うなぁー。……そうだ!私がお兄ちゃんに似合うメガネを探して、プレゼントしてあげる!良い案でしょ?」

 

み「私も私も!翼よりもカッコイイデザインのメガネ選んじゃいますよ~!」

 

し「あのね……蓮さんは好きで掛けてるわけじゃないんだから、渡しても困るだけでしょう」

 

れ「……3人は休日だってのに劇場(シアター)を掃除してんのか」

 

み「へ?えっとですね、さっきまで可憐ちゃんが掃除していたんですけど、可憐ちゃん急に用事が出来たみたいで」

 

つ「遊びに来てた私たちが代わってあげたの。偉いでしょ?ほめて、ほめて~」

 

れ「あぁ。翼は偉いな。自ら進んで、面倒事を引き受けるなんて。よしよし」

 

み「あ~!翼だけずるい!蓮さん、私だって頑張りましたよ。私も撫でてください!」

 

れ「(正面から抱きついていた翼を撫でていたら、未来のやつがこちらに詰め寄ってき、露骨に頭を差し出してきた。ご褒美を強請る犬みたいだ)」

 

み「でへへ~」

 

つ「えへへ~」

 

れ「(もっともっとと催促するように、頭を擦りつけてくる二人。翼は昔から、事あるごとに頭を撫でていたからいいとして、年頃の女の子の頭をこうも簡単に触れていいのだろうか。これが好感度が並程度ならば、嫌悪を抱かれていたのだろうか……)」

 

 

 

し「………………」

 

れ「(さっきから置いてけぼりを食らってる最上の家の静香さん。撫でられ続けている未来と翼を凝視している気がする。……好感度はこの3人の中でトップの彼女だが、性格的に『気安く触れないで下さい!』とか言って払いのけられそうだ。実際この間プロデューサーさんがやろうとして失敗してたし。……試してみるか)」

 

れ「そいじゃ、次は静香の番だな。ほれ、二人ともちょいと離れてくれ」

 

し「は……はぃぃい!?わ、私!?」

 

つ「えぇー!もう?まだまだ撫でられ足りないよ~!」

 

み「はーい。ほらほら、静香ちゃん。蓮さんに甘えようよ」

 

し「あ、甘えないわよ!そんな子供みたいに扱われてなるものですかっ」

 

れ「(未来に背中を押される静香。やはり、プライドの高い彼女からしたら、頭を撫でる=子供扱いされてる。の方程式が成り立ってるらしい)」

 

つ「あれー?静香ちゃん、撫でられてる私たちを見て、羨ましそうにしてなかった?」

 

し「!?そ、そんなわけないでしょ!私はただ、いつまで二人を撫でているつもりなのかしらって思ってただけよ!」

 

み「それって羨ましそうに見てたってことなんじゃ……」

 

れ「未来、正解」

 

し「蓮さん!!」

 

れ「(いつもの鋭い目付きで防御力を下げられてしまった。でも俺は気付いている。さっきから静香が俺の手にチラチラと視線を送っていることを。バレないとでも思ったかぁ!)」

 

れ「なんだっていい静香を撫でるチャンスだ。さぁ、プライドなんて捨てて掛かってこい、静香!」

 

し「う……うぅ~!」

 

れ「(腕を広げてウェルカム態勢に入るが、静香は顔を赤くしたままうなり声を上げてるだけだ。やっぱ好感度つっても、個人差があるのかね)」

 

し「(…………えぇーい!)」

 

れ「おおっ?」

 

れ「(正面から、勢いよく飛び込んできた。予想外の勢いだったので、倒れないように、足元に力を入れて踏ん張る。胸元に顔を埋め、腰に両手を回してる姿は普段の彼女を知る人からしれば、別人なのかと錯覚するだろう)」

 

み「わわわっ、シズカちゃんってば、だいたーん」

 

れ「(実際に未来からは親友の行動に目を見開いているし。翼は……指を咥えてこちらを羨ましそうに眺めている。アレは後でねだりに来る顔だ。にしても、わかってはいたが、静香も背伸びしてるとはいえまだ14歳の甘えたい年頃の女湯なんだよな。腕の中に感じる小さいながらも、感じる暖かさ。……やっておいてなんだが、恥ずかしくなってきた。これ傍目から見たら完全に抱き合ってるもんな……)」

 

し「んっ……蓮さん、くすぐったいです」

 

れ「(このまま抱き合ってるのもなんかアレだったので、空いてる手で静香の頭を撫でてみる。すると身動ぎしたものの、嬉しそうに顔をこすりつけてくる。……初めて彼女と仕事に連れ添った時とは大違いだな。子供扱いせんで!つって、なんでもかんでも1人でやろうとしたもんなぁ)」

 

し「蓮さん……あったかい」

 

れ「(そう考えると、このメガネの数値って正しいのか?いやでも、ギャップ補正がひょっとしたらあるかもだし……よくある出会いが最悪な程、後々デレまくるヒロイン的な。……これ静香にいったら、顔真っ赤にして怒鳴られそうだな)」

 

つ「むぅ~~、静香ちゃん長いっ!次は私の番!」

 

し「きゃぁっ!ちょっと翼!」

 

れ「(我慢の限界だったのか、静香を引き剥がし、俺も前に立つ翼。うん、翼にしては良くもった方だと思う)」

 

つ「はいっ、おにーちゃん。私を抱きしめてもいいよー?」

 

れ「なぜ俺がしたいみたいに……」

 

れ「(まぁ、抱きしめるんですが)」

 

み「蓮さんに抱きしめられてる静香ちゃん、かわいかったなぁ~思わず写真撮っちゃった。でへへ~」

 

し「ちょっ!?なに勝ってに撮ってるのよ!!消しなさいっ」

 

み「えー、こんなかわいい静香ちゃんを消すなんて、とんでもないよ!みんなにも教えて上げなきゃ!」

 

し「なにしようとしてるの!?やめなさい!」

 

み「そうし~ん。…………あれ?翼に送ったはずなのに、みんなから返事がいっぱいきてる?」

 

し「み~~ら~~い~~!!!」

 

み「あわわっっ、静香ちゃんの顔がうどんを食べようとした直前に、横から奪われた時みたいな顔に!」

 

れ「さっきから通知音が鳴り響いてうるさいんだが……」

 

つ「おにーちゃーん♪もっともっと~」

 

れ「はいはい…」

 




取り敢えず投稿。続くかは不明。AS組はどうしたかって?他の作家様がいるので知らないです。
てか、恵美出てねぇ。
基本番外編は恵美含め、39組アイドルと関わる話が多いと思ってください。
最近、ミリシタのイベントストーリーやアイドル毎のコミュの話を妬みとして思いつきまくりやがるんですが……本編が進まなさすぎて書けないです。
……もう本編とかガン無視で恵美とイチャコラしてる話だけでもいいかな?
最近ミリオンのssも増えてきてるし……やったぜ。


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