ハリー・ポッターと黄金の君 (◯のような赤子)
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~コラボ~
異世界から転生者を召喚したようですよ?


本編じゃないのでサブタイはこんな感じに

というわけで深緑 風龍様の“Subterranean Electron World”とのコラボです
(人様のキャラを動かすことがこんなに難しいとは(汗)


時系列的にはアズカバンが終わったあたり
ネタからメタまで何でもありのギャグ&シリアスのカオス空間をお楽しみください




「__というワケで円卓を増やそうと思う」

 

 

“円卓の間”に私の円卓を呼び、シャドウの淹れてくれた紅茶を飲みながら、今回彼等を召集した理由を話すと「急に何言ってんだ」って顔でこちらを見て来やがった

 

するとスッと黄金の獣が円卓を代表して挙手してきたので顎で促す

 

 

「・・・恐れながら黄金の君、円卓を召集した理由は分かりましたが・・・いきなりすぎません?」

 

「犬ッコロの言う通りだよ陛下―!それにさー、あんまり言いたくないけど陛下にもうこれ以上円卓なんて必要ないでしょー?」

 

「白トカゲの意見などに賛成したくありませんが、わらわも同感です。御身はすでに“偉大なる黄金”・・・この間世界に発表されたではありませんか」

 

 

そう、この身はすでに“黄金”ですらない___今の私は1000年ぶりに生まれた“偉大なる黄金”

 

 

「あぁ、あの時は大変だったな」

 

 

各国から祝辞を挙げに大統領や総理大臣、更には普段あまり関わりの無いアジアの王族が「ウチの息子(次男や3男)を是非!」と来たり(全員舐めてんのかと帰した)イギリスからエリーがわざわざ「嘘乙wwプゲラwwww」と王室総出でからかいに来たり(ただ私の姿を見た瞬間、顔つきを変えて祝辞を申してきたが・・・だからアイツやりにくいんだよ)

他にも聖槍を返せとか某最大宗教がトチ狂ったこと言ってきたり(槍を見せたら全員跪いて祈りだしたし・・・コイツ言っとくけど杖の時よりマジウゼェェェエエエ!!!!からな!?)

 

 

「だからこそだ、卿等も最近私のせいで忙しかろう?だから雑事を任せる円卓(雑用)が欲しくてな」

 

「ガハハ!!おう!忙しいぞ!御身から槍を奪おうとする不埒者、更に美しくなられた黄金の君を極東に伝わる「竹の姫」の如く一目見ようと馬鹿が集まって来ておるからなぁ」

 

「他にも御身を恐れ、強硬的な方法で御身の秘密を探ろうとする魔術結社・・・最近は恐らくイギリス王室と思われますが“黄金の夜明け”がチラホラと・・・」

 

 

「でもどうせエリーのことだから証拠は一切ないんだろ?」とニールに問えば、すごく申し訳なさそうに肯定したので卿のせいではないと告げておく

(てかアイツ等まだいたのか、名前が気に食わないから100年前に潰したのに)

 

「てか陛下ぁ、雑用なんて今更必要ですか?全部そこの雑用大好き分身蝙蝠ヤローにやらせりゃいいじゃないですか」

 

「・・・トグサ殿、もしかしてそれって私のことですか・・・?」

 

「あん?それ以外誰がいんだ?」

 

「あぁ・・・羨ましいですわウォーカー、陛下の雑用など何たる光栄」

 

 

ウォーカーが軽くキレてコチョウを睨むが、コチョウが手のひらにドス黒い炎を出すと、すごすごと引き下がった。だからお前のヒエラルキー低いんだよ・・・

 

 

「ウィラトリア様、雑用など全てこのシャドウに任せていただけますれば」

 

「ならんよシャドウ、卿は今も多くの仕事を任せておるのだ。私の子にも、孫や子孫にも卿は必要だ。過労などされてはたまらんよ」

 

「我が君、恐れながらこの身を老体と侮ってくださるな。我が身が御身の円卓であることをお忘れか?」

 

「言い方が悪かったな、これは気分転換なのだよ」

 

 

そう言うと視線が私に集まった

 

 

「そういえば黄金の君、円卓を増やすと言われましたが・・・アテはあるのですか?」

 

「ふむ、ようやく本題に入れるな。私が今回円卓に加えようとしている者、それは・・・」

 

 

 

 

___悪魔だ_____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悪魔を加えようと思う__そう言った瞬間、3者3様といった感じの反応を皆が示した

あんなモノをと顔を顰める者、斬りたいと手元の刀をチキチキ鳴らす者、そんな低種族など私に相応しくないという者

 

 

「陛下、そんな汚物など!清廉なる御身にはふさわしくありませんわ!!」

 

「私もクソ狐にさんせーい」

 

「でもよぉ、姉さんに姐さん。陛下が欲しがってんだぜ?」ウズウズ

 

「お前はただ斬りたいだけであろうが」

 

「アラン殿の言う通りですよトグサ。せめて刀から手を離してそういうことを言いなさい」

 

「我が君、ある意味ではウォーカー殿もまた悪魔を言える存在なのでは?」

 

 

概ね反対(一人を除く)といったところか、だが__

 

 

「ウォーカーには盾の役割がある。それに言ったろう?気分転換だと」

 

「__?それはどういう?」

 

「私は王だ。あの時、正式に臣民に王として君臨することを許してもらった。・・・が、思うのだよ、綺麗なだけの王などつまらんではないか」

 

 

何より私が決定したのだ、ならばそれで決まり

コチョウが変わらず反対してくるが、それを獣が押しとどめ

 

 

「・・・安心しました」

 

「ん?」

 

「あの時・・・御身は変わられた、“黄金の君”ではなく“偉大なる君”へ・・・ですが・・・御身は変わらず暴君であらせられる」

 

 

それが何よりも嬉しいと獣が涙を浮かべ、私を見て来る

 

 

「変わらんさ、私は私。ウィラトリアを・・・卿等の主を舐めてくれるな」

 

「分かっております。未来永劫、御身の狗であることをどうか・・・」

 

「良い、許す。それは卿等も同じだ。私の為に死ねる栄誉に感謝しろ」

 

 

ザザっとその場で跪く我が爪牙達

 

 

「さ、では悪魔召喚の準備でもしようか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()を見ながら召喚陣を円卓を退け、描く

 

 

「__ふむ、こんなもんかな」

 

「・・・あの・・・黄金の君?その手に持つ物は・・・」

 

「ん?決まっているじゃないか、マンガだよ、マンガ」

 

 

え、っと全員絶句といった感じの顔をしてるけど・・・何で?

 

 

「陛下!?何故マンガなのですか!?」

 

「あん?舐めるなよウォーカー、マンガだぞ!?人類(リリン)が生み出した文化の極みにして人生の教科書に私が指定したんだ!!マンガに書いてあるなら間違いないだろう!?」

 

「なんすかその漫画に対する絶対の信頼は!?いや、日本人として嬉しいですよ!?でも納得いかねぇ!!」

 

 

ギャーギャーと煩い円卓を黙らせて、取りあえず何回かやらせろとお願いすると、しぶしぶと言った感じで了承してくれた(ただ万が一を考えてか、全員剣を抜いているが)

 

では始めるぞと言い、呪文を唱える

 

 

「コホン、では・・・“アル・エリ・エロ・アロ・ルロ・・・「ちょっ!?待った陛下!!」・・・何だトグサ」

 

「今何呼ぼうとしました!?」

 

「何って・・・『ムヒョロジ』の魔元帥を・・・」

 

「いやカッケーけど何で!?」

 

「だって今年アニメ化だs「メタ禁止ィ!!」っチ」

 

 

やはりトグサ、流石日本人。このネタに反応するとは・・・(結構欲しかったんだけどなぁ)

 

 

その後は普通の呪文に変えたのだが・・・ちょっと酷くない!?

 

何故か出てくるのはおかしな悪魔ばかり

三つ揃い赤いスーツのさすデミや(絶対言う事聞かないから強制的に返した、何よりアイツいないとアインズ様が困るし)あくまで執事な超イケボ悪魔(帰る直前、何故かシャドウと紅茶淹れ対決を行い、終わった後ガッチリ握手してた。てかイギリス行って来い)

 

変なのばかりな為、有名所(サタンとかベルゼブブとか)にまつわる呪文を唱えてみるも・・・

 

 

「・・・もう嫌・・・」

 

 

出て来たのは・・・

 

 

「お、なんや嬢ちゃん!ワイに何か用かいな?よっしゃ!ここは一丁オッちゃんが手ぇ貸したr「アザゼルは呼んでも“アザゼルさん”は呼んでなぁぁああい!!!」←お帰りいただきました

 

 

マジどうなってんだよ!?えぇ!?黄金の魔力だぞ!?何より王族で美少女!!しかも処女でこの世界でもかなり貴い血を持った美少女ォ!(大事なこt)に寄ってこないなんてお前等本当に悪魔か!?←(実は影でコッソリと神獣3匹が神気垂れ流してました。なお、それでも悪魔が来たことにビックリしたとかなんとか)

 

 

「~~~~っええい!!これだけは唱えたくなかったが、もう知らん!!」

 

「っ!黄金の君、いったい何を!?」

 

「いやwwちょっとお手伝いをねwwじゃなかった。いいからお前等は黙って見てろ」

 

 

今までの召喚では私の魔力のみ(それでも悪魔には極上すぎると言われた)だったが、カリっと指を噛み、血を陣に混ぜる

 

 

「っぅ!!陛下!!」

 

慌てふためくコチョウを下がらせ、今度こそ本命の呪文を唱える

 

 

「__“素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 祖には我が大師シュバインオーグ。

  降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

 

閉じよ(満たせ) 閉じよ(満たせ) 閉じよ(満たせ) 閉じよ(満たせ) 閉じよ(満たせ)

 

繰り返すつどに五度

ただ、満たされる刻を破却する____Anfang(セット) __告げる

 

汝の身は我が下に、我が命運は我が剣に

我が声の寄るべに従い この意、この理に従うならば応えよ”____!!」

 

 

明らかに今までとは違う感触を感じ(流石Fa○e)思わずガッツポーズを取り、出て来た悪魔を確認しようとすると、獣達が大慌てで私を下がらせた

 

いきなり何だ、と問いかけると冷や汗を顔に浮かべながら獣が信じられないことを言ってきた

 

 

____出て来たのは”神”だと____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__思わずまたかと僕は思った、また転生(・・・・)かと

 

(マジ何度目だよ、シン・ゴジラになったり色んな世界行ったり・・・勘弁してくれ。嫁や夫、子供が僕にはいるんだぞ!?)

 

 

他にもブツブツ文句を垂れ流したかったが・・・ちょっとそれどころではないらしい

 

 

「で、誰アンタ等?」

 

 

キィン__と突如襲ってきた相手の刀を僕が持つ魔剣ダークネスムーンで受け止める

 

 

「っ!?この俺が斬れねぇだとぉ!?」←超喜悦

 

「っ!・・・この剣で切れないものなんてないハズなんだけど・・・」

 

 

おかしい・・・僕の直感がここが『ハリー・ポッター』の世界だと告げている

しかし・・・

 

 

「トグサ!退きなさい!!」

 

「あぁん!?んな勿体無いことできるかよ!!なぁ姐さん!俺が斬れねぇ!斬れねぇんだぜこの悪魔!!俺にくれよ!なぁ!」

 

「じゃあトグサ―!___そのまま死んで私にその席返せやゴラ」

 

 

刀を持った男(日本人かな?)が慌てて僕から離れると、すぐ目の前にあり得ない熱量を持った炎と、ドス黒い呪いに包まれた炎が目の前に迫っていた

別にこの程度なら触れても問題ないが、帰った時にフランやこいし達が煩いし、心配するので取りあえず切り捨てた後、服に燃え移らないよう避ける

 

(というか・・・先程も思ったがここ本当に『ハリー・ポッター』か?あの綺麗な女の人達、完全に神クラスだよね。しかも・・・)

 

 

__目の前の男なんか完全に主神超えてるじゃん___

 

 

 

「・・・神か・・・キサマのような存在が下界に・・・黄金の君の前に立つなど何たる不敬か、死を持って償え、名も知らぬ神よ」

 

「えぇ~・・・機嫌が悪いのはこっちもだよ。勝手に呼んでおいてソレ?あと神風情を一緒にしないでくれない?これでも僕“創造王神”なんで(黄金の君?)」

 

 

互いにピリピリと・・・常人では耐えられないような殺気と神気が部屋に充満し始め__どちらともなく手に持った刀と剣が交差する

 

キン_キンと認識不可な速度で互いに部屋中を駆け回る(てか広いなここ)

数回目のつばぜり合いになり

 

 

「・・・ねぇ、何でその姿してるの?牙で僕のこと噛めばいいじゃん」

 

「っ!私の正体を・・・!?」

 

「簡単に分かるよ、君はどの転生先でも有名だしね。ここでは“神々の黄昏(ラグナロク)”を生き延びたんだ、ふぅん・・・」

 

「・・・意味の無いことを・・・!キサマに我が牙が届くとは到底思えん、何より・・・!!」

 

 

つばぜり合いから互いにいったん離れる

 

 

「この姿は黄金の君たる、あのお方からいただいたのだ!!我が名を刻め!神を超えた神よ!!我が名は“獣”!!黄金の獣なり!!」

 

(“黄金の獣”・・・?それって『Dies irae』のラインハルト卿じゃあ・・・ってアレ、あの顔・・・まさか!?)

 

メリクリウスと出会う前のラインハルト卿!?___と僕が驚いていると、それを好機と彼_黄金の獣が飛び込んで来た

咄嗟に迎撃しようとするも、それはできなかった。なぜなら・・・

 

 

「そこまで。キサマ等・・・ここは私の国で私の城だぞ?自重しろ」

 

 

黄金__そうとしか形容できない少女が・・・しかし、その手に尋常じゃない力を秘めた槍を持って僕達の間に突如現れたからだ

初めは僕の友にして主君であるギルガメッシュのような雰囲気かと思った、だが違った

先程は彼をラインハルト卿のようだと思ったが・・・それは間違いだった

黄金に輝く髪と瞳、チラリと見える腕と足だけで彼女の身体が人体として完成された黄金比率で彩られているとイヤでも分かってしまう

 

先程彼が言った“黄金の君”そしてこの威光・・・間違いない

 

 

「・・・君がそこの彼が言った“黄金の君”・・・かな?」

 

正解(エサクタ)と言えば卿には通じるだろう?なぁ____私と同じ転生者(・・・・・・・)君?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・おかしい、私はただの雑魚悪魔を呼んでちょっとしたお願い(雑用&使いっパシリ)を優しく(脅して奴隷化)しようとしてただけなのに

 

 

「・・・何コレ、何でガチバトルが始まってんの?」

 

 

突然トグサが斬りかかり、それを防ぎやがった(スゲェ、あいつ私の“黄金領域”にもキズつけるのに)

更にはアルヴィーとコチョウの連携もいとも簡単に切り捨て(あれ?)

今は私の獣と当たり前のようにバトってる(アルェ~?)

 

この辺から私は呼んだ悪魔?神?とやらに疑問をもった。というのもハッキリ言ってこの世界には神など存在しないし(それは獣が確認済)そもそも“神々の黄昏(ラグナロク)”を生き延びた神格持ちでもアイツは最強だ。ゆえに私は欲したのだから

 

この辺りから私は疑問が尽きなかった、今の私ですら苦労するコイツと普通に戦えてるアレが普通の神や悪魔風情ではないと

そして、私の疑問は確信へと変わったのは召喚した神とやらが発した一言

 

「っ!?ラインハルト卿!?」

 

 

(あ、決定だわコイツ、転生者だわ)

 

 

いや~転生者ってホントにいるんだな~(←おまいう)と思いながら、取りあえず私のクレーリア城を壊されてはたまらんと思い、彼等を止める準備をする

 

 

「陛下!?一体なにを!?」

 

「アレ等を止める準備だよニール」

 

「危のうございます陛下!!」

 

「あん?ではウォーカー、お前が止めるか?」

 

 

すると見ていたウォーカー、ニール、アランがブンブンと顔を横に振っていた。おい、それで良いのか私の円卓ェ・・・

 

(まぁ分からんことは無いがな、危機管理能力も無い阿呆などいらないし)

 

そう思いながら、杖を手に持ち、私以外では初代しか担うことができなかった聖遺物を召喚する

 

 

「『形成(Yetzirah)』」

 

 

杖が砕け、黄昏のような光と共に、私の瞳の色も変化するのを感じる

光が収まると、私の手には1本の槍__聖槍が握られ、其の名を呼ぶ

 

 

聖約・運命の聖槍(ロンギヌスランゼ・テスタメント)

 

 

ヒュっと軽く振り、『姿眩まし』と『姿現し』で彼等の間に現れ、矛先を転生者へ、柄の方を獣の喉元に当て__

 

 

「・・・君がそこの彼が言った“黄金の君”・・・かな?」

 

正解(エサクタ)と言えば卿には通じるだろう?なぁ____私と同じ転生者(・・・・・・・)君?」

 

 

 

 

 

私がたまたま呼び出した悪魔ではなく神、もとい転生者。名はラーク・エタンセル・キュアノス・パンセリノス・アルカディア・エデン (ガルッチかエデンと呼んでくれと言われたのでガルッチと呼ぶことにした)

 

なのでこちらもウィラと呼んでくれと言った

ん?初対面で得体の知れない相手なのによく許したって?なに、簡単な話だ

 

 

※数分前

 

「・・・何故、僕が転生者だと?それにそのネタ(エサクタ(正解))・・・まさか!?」

 

「そういうことだ、何なら証拠を見せようか?」

 

「一体どうやって・・・」

 

 

スゥっと息を吸い__

 

 

「クラナドは?」 「人生」 「セイバーは?」 「俺の嫁」 「オォン!?私の嫁に決まってんだルロォ!?」

 

「「YEAAHH!!」」パァン!__ピシ ガシ グッ グッ

 

 

な?簡単だろ?

 

円卓も最初は得体の知れない相手&神ということでかなり警戒していたが、ゆっくり話したかったので、今は獣とシャドウのみを残してあとは退席させた

 

 

互いに元同郷(私も多分、前世は日本人だと思う。今更ながら)ということで話が進む進む

自己紹介も終えたとこでシャドウが紅茶のおかわりを淹れてくれたので、ひとまず一息つくことにした

 

 

「__っ!美味しい、今までいろんな世界を回ったけど、これが一番だな」

 

「だそうだぞシャドウ?喜べ、神・・・それも幾多の神々の上に立つ創造王神からの褒め言葉だ」

 

「それは光栄、ですが私としては御身自身のご感想をお聞かせ願えますかな?」

 

「パーフェクトだシャドウ」

 

「感謝の極み」

 

 

頭を下げ、スっと静かに視界の端へ身を寄せるシャドウ

 

 

(しかし・・・創造王神・・・か)

 

自己紹介の時に聞いたが・・・とにかく色々スゴイ

“幻想の担い手”“五代目創造王神”とやらにして何度も転生を繰り返しているらしく、その全ての記憶があるだとかなんだとか

転生したのは何も“人型”だけでなく、ゴジラ(シン・ゴジラ?って言ってたけどそんなゴジラいたっけ?確か『ファイナルウォーズ』で終わったはずじゃ?)や、なんとニャルラト・ホテプ(San値ピンチ!)に転生したこともあるらしい!(よく正気を失わなかったものだ)

 

念の為、『黄金の瞳』で色々見ようかとも思ったが、何か私のゴーストが急に囁いてきたので止めて正解だったな(外なる神の心なんか覗いたら絶対発狂するもん)

だがそれはガルッチも勘づいたらしく、「見ない方がいいよ」と言われたので大人しく従うことにした

 

 

 

「___ヴぇ!?お前“男の娘”!?嫁も夫もいて、しかもそれはあのフランにこいしにイリヤだとう!?リア充め!!爆発しろ!!」

 

「いや、ウィラにだけは言われたくないよ!?何、君の円卓!?美男美女!?王族の生まれで長い歴史の中で3人目の逸脱者!?はぁー!やってらんないね!これだから転生者はチートで嫌いなんだ」

 

「いや卿にだけは言われたくない!神!?しかも二次嫁が本妻で3人!?一人私のメイドに寄こせや!!」

 

「誰が嫁をメイドに!・・・いや、メイド姿で奉仕してもらいながら上目遣いで・・・うん、取りあえず今回無理やり連れて来られたんだ、メイド服で許してやるよ」

 

「上から目線でくるな、私はこの城の主で王だぞ?」

 

「僕は神だけど?てかウィラって雰囲気ラインハルト卿だけど、喋ったらギルみたいに暴君なんだね」

 

「うん、ちょっと待とうか。今ギルっつった?」

 

「あぁ、英雄王ギルガメッシュさ。僕一応彼の臣下・・・ってどうしたの?」

 

「もう嫌この転生者・・・」

 

「__?ところでウィラの特典は?転生したなら神に会って特典の一つや二つ貰ったんだろう?」

 

 

さしずめ、ラインハルト卿関係かな?とガルッチが私に聞いてくるが・・・

 

 

「あーいや、私は神などには会ってないよ」

 

「え、でもその容姿にさっきの槍って・・・」

 

「我が王族は家名をエル・ドラドと言う。王位継承権は金髪金眼、この膨大な魔力も先祖代々受け継いだものだ。槍もそうだ、ただ私以外では初代黄金__ヴァンシエル陛下しか使えなかったらしいがな」

 

 

そこまで言い切り、何となく唇を湿らせたかったので紅茶を一口飲む

 

 

「・・・そもそも私は死んだのかどうかすら分からん・・・前世の記憶などオタク関係しかなく、性別すら思い出せん、歳もそうだ。卿は悩んだことはないか?“私は誰でどこから来たのか?”__と」

 

「・・・うん、何度も悩んださ」

 

 

続けてガルッチも独白する。自分が嫌いでならなかったと、他人が信用できず仮面を被りながら生きていたと・・・そう言うガルッチを私は他人とは思えなくなっていた

 

似ているのだ、在り方が。何度も悩み、最近ようやく「あぁ、私は(ウィラ)なんだ」と受け入れることができた私、悲しんでくれる人がいるとようやく認識できた私とあまりにも似ていた

 

容姿もそうだ。本人は男の娘(証拠見せようかと言われた時はマジDies iraeぶっ放そうと思った)らしいが、どうみても女にしか見えない

アクアマリンのセミロング、右の瞳は虹色、左の瞳は空色とまさに宝石としか言いようがないくらいに美しい

袴を履き、軽く着崩した着物から覗く肌は極上の色気に包まれていて、先程部屋を退出しようとしたコチョウが思わず喉を鳴らしていたほどだ(まぁ次の瞬間「浮気とは良い度胸だ」と冗談を言ったら最後のガラスをぶち破るが如く身を投げ出して反省していたが)

 

私に負けず劣らずの美しさは我が円卓すら魅了するらしい(トグサはノーコメントで、言わなくても分かるだろうし)

 

 

「でもさ、そう言いながらウィラ、君悩んでないだろう?」

 

「あぁ、答えはすでに得たからな」

 

 

卿もそうだろう?と返してやれば、ガルッチもコクリと頷いた

 

 

「うん、家族には助けられてばかりだよ。こればっかりは神でも関係ないみたいだ」

 

「私もさ、王であろうと・・・いや、王だからこそ家族に支えられ、民草や臣下に助けられている」

 

 

互いに微笑みながら家族を思い浮かべていると、私の後ろのほうから何やらグスグスと泣く声が聴こえてきた

なので振り向くと、獣とシャドウが互いに泣いていた。何事かと聞くと先程の私の言葉に歓喜したそうで、微笑みは苦笑へと変わっていた

 

 

 

 

__異世界から来た転生者とのお茶会はまだまだ続く____

 

 




ということで次回に続きます
ちなみに作者はシン・ゴジラちゃんと見てます(映画館に二回見に行きました)

ネタの数々に皆様は気づけたかな?


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転生者が異世界へ帰るそうですよ?

※注意
今回下ネタあり


そして前回と負けず劣らずのネタ回です

それと様々な対立を煽るような描写がありますが
あくまで作品の中の出来事と割り切ってください
(全てが全て、作者の考えではないのであしからず)

ついでに言えば______作者は「たけのこ派」です(震)



___膨大な魔力が渦を巻き、世界がソレ等がぶつかり合う度悲鳴を上げる。その中心には・・・

 

 

「うぉぉあああああ!!!ガルッチィィィイイイイ!!!」

 

「がぁぁあ!!ウィラアァァアアア!!!」

 

 

神すら殺す槍を掲げ、世界すら破壊できるソレを血走った眼で突きつけるウィラ

神々すら地に落とせる力を、矮小な人間の少女へ全力を賭して放とうとする創造王神ガルッチ

 

それを眺める黄金の獣とシャドウ、他の円卓皆も思う

何故こうなった__と

 

 

全ては僅か数十分前、全てはその一言から始まった

 

 

 

 

 

 

初めて私以外の転生者に出会ったということもあり、私は久々に楽しいお話しに興じていた

 

 

「そういえばガルッチ、お前男の娘(・・・)とか言っていたが」

 

「ん、あぁそうだよ。何ならこの場で証k「殺すぞキサマ」冗談だよ、冗談。で?それがどうかした?」

 

 

この話は先程もした。だがその中で一つ気になることがあったのだ

 

 

「その・・・お前、子供いるんだよな?」

 

「うん、僕と奥さん達の間、それと僕自身が産んだ子が全部で15人以上いるよ」

 

 

思わずクラっとなった。だって15人だぞ15人!!どんだけ子沢山・・・もとい、やることやってんだよ!?

 

顔が赤くなるのを感じながら、ガルッチにあることを問いただす

 

 

「なぁ、ガルッチ・・・」

 

「何?急に改めて」

 

「__って  じ?」

 

「え、何?聞こえない」

 

「~~っ!!その、子作りってどんな感じなんだ///!!?」プシュー///

 

「・・・え?」

 

 

~~~~っ!!鈍い奴だ!この私が恥を忍んで聞いているのに!!

 

 

「わ!私には子を授かる使命がある!王家を私の代で途絶えさせるワケにいかんし・・・その・・・後学として少し・・・///」

 

 

俯きながらもそう聞くと、コイツ急にニヤリと嫌な笑みを浮かべ・・・

 

 

「あぁ、そりゃ凄いよ?○○(ピー)しながら○○(ピー)なんて普通だし、それ以外にも○○(ピー)を嫌がるイリヤに無理やり飲ませるなんてもうすごく勃()ピーしてそれをそのまま気絶していたフランに○○(ピー)して・・・あぁ、僕の旦那もすごいよ?デカイ○○(ピー)○○(ピー)○○○(ピーーーーーー)___」

 

「~~~~~っ!!!?もういい!!それ以上言うな!!耳が穢れる!!」

 

 

顔がケムリを上げそうになるのを感じ、手で隠す。そると「まぁウソだけどね」と言われたので思いっきり呪いを込めた『ira ira ira』を召喚したが全部一瞬で消えた(マジ転生者理不尽○ね)

 

 

「酷いなぁ、僕は聞かれたから答えただけなのに」けらけら

 

「嘘じゃないか!!わ、私はホントに!!」

 

「はいはい、ウィラちゃんも思春期だもんね~wそういうの気になるお年頃かwwよぉし、お兄さんに任せろー!」バリバリバリ

 

 

手元に財布(・・・何故マジックテープ?)を出し、その中からホイと渡されたのは・・・

 

 

「な!?なななな///!??」

 

「あれ、エチケットだからウィラも一つくらい」

 

 

そう、渡されたのはエチケット用のアレ(・・)、しかも薄い、すごく薄い

 

 

「いるかンなもん!!『黄金の火』ィィィイイ!!!」ボオウッ!!

 

 

マジふざけんな!!とフーっフーっと息を荒げ、ガルッチを睨む

 

 

「でも王族ってそういうのかなり早い気がするけど・・・」

 

「王族に変な偏見持つな!!それに私はする時はそのまま授かると決めておるのだ!!そんな物いらん!!」

 

「へぇ、じゃあ相手は?」

 

「・・・へ?」

 

 

再びニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべ

 

 

「その感じじゃ好きな人はいるんだろう?誰?ハリーとか?それとも僕も知らないこの世界の住人?」

 

 

今すぐこの余裕そうな顔を剝ぎたくなった、エル・ドラド家に伝わる拷問でもしてやろうかこの転生者もとい神

 

だが、もう一人の私(あの泥じゃないぞ)が「逆に考えるんだ、相談してみればいいさと」とまるで星の運命を持った一族の始まりの父親みたいなことを言ってきたので、コホンと咳払いをし、取りあえず相談してみることにする(どうせコイツ本編に出ないし・・・多分)

 

 

「ハリーじゃない、彼は私のタイプではないからな。言っとくが別の王族でもないぞ?結構王族同士の結婚は面倒だからな」

 

「・・・あぁ、どちらが婿とか嫁に入るか決めるのがか」

 

「ほぉ、頭が回るな。まぁそういうことだ」

 

「うーん、僕的にハリポタ世界で当たりはルシウスかな、結構好きなキャラなんだよね」

 

(へぇ、意外と趣味が合うな。だが・・・)

「訂正しろガルッチ、卿から見れば物語の登場人物にすぎないかもしれんが、彼はこの世界で生きるれっきとした人間で、私の友だ」

 

「それは・・・うん、素直に謝るよ、ゴメン」

 

「分かれば良いさ」

 

「でも誰?それ以外だと血筋から考えて・・・ドラコ?それともシリウス?」

 

「ドラコも良い男だ、だが足りないな。シリウスなど論外だ、我がエル・ドラド家を差し置いて何が王家か、何がイギリス魔法界の王族か。そんなもの我等だけで良い」

 

「・・・嫌いなの?シリウス」

 

「シリウスがではない、ブラック家が、だ。つい最近もこの城に呼んで王号を返上させ、しかと私に跪かせたしな」

 

「・・・ギルといい君といい、王様ってのはホントに・・・」

 

 

__?何を頭を抑える必要があるのだろうか?気に食わないから潰す、基本だろう?(むしろ家系ごと潰さないことに優しさを感じる所のはずだが?)

 

 

「まぁいいや、で?ウィラの好きな人って?」

 

「うっ・・・恥ずかしいな、なんか」

 

 

そういえばこんな感じの恋バナ?ってのはしたことがない。何故かジニーも他のホグワーツの女生徒達全員が私と付き合うのは金持ちのイケメンと決めつけるのだ

だから少し新鮮な気持ちと共に打ち明けた

 

 

「て、てんてーだ///」

 

「・・・ごめん、誰?」

 

「すっスネイプてんてーだ!何だ!悪いか!?確かに鷲鼻だし髪の毛ワカメだし、陰険だしグリフィンドールを毛嫌いしてるし、ハリーを嫌ってるけど初恋の人の子供だから守ろうとしてもそれが全部裏返って、逆に勘違いされまくるけどでも凄く良い人で、恩はちゃんと返すし、礼儀も実はなってるし、それにすごく可愛い人なんだぞ?ホントだぞ!?私が薬の作り方教えてる時に「私のことは先生と呼べ」と言ったらイヤイヤながらもちゃんと先生って返してくれたし、それだけでもう顔が真っ赤になるの隠すの大変だったし、セブルスなら私を王としてじゃなくて一人の女性として愛してくれるって信じてるし、絶対赤ちゃん可愛がってくれるもん!セブルスの髪の毛クンカクンカしたいし、時々ワザと太ももチラリってすると顔をプイって背けて「教師をからかうものではない」って!!ねぇ!マジあの人可愛くない!?初めてあった時からあの人に○してほしくてたまんないんですけど!!ねぇ!私どうしたらいい!?」

 

「知るかンなもん、発情期の猫かお前」

 

 

キサマァァアア!!!と獣が突貫するもすぐさま私が『黄金の鎖』で雁字搦めにし、シャドウに窓から捨てるように言うと、シャドウは言われた通り、獣を引きずり窓からゴミの如く投げ捨てた(ヤベ、今日生ごみの日だったっけ?)

 

するとガルッチは頬をポリポリ掻きながら

 

 

「まぁウィラの言う事も分かるよ、僕も前はここじゃないハリポタ世界でホグワーツの生徒になったことあるけど、うん、確かにあの人良い人だよね・・・って、そんな殺気ぶつけないでよ、盗らないって」

 

「・・・フン、当然だ。彼は私の獲物だ、誰にもやらんよ」

 

 

スネイプご愁傷さまとか聴こえたが、気のせいだな、うん

 

 

 

その後は普通の中身の無い、他愛のない話ばかりだった

だが・・・途中からその雲行きが怪しくなる

 

 

「そう言えば同郷で思い出したが・・・最近、カップ麺食べてないな」

 

「__プっw王族wwカップ麺www何?ジャージでズルズルってwwwww?」

 

「舐めるなよ?ジャージは動きやすいし、カップ麺も中々・・・」

 

「え゛!?マジ・・・?」

 

「あぁ、最近食べてないなぁ・・・」

 

 

___赤いき○ね

 

 

私が溜息をつきながらそう言うと、ピクリとガルッチが反応し

 

 

「いやいやいや・・・何で赤いの?普通緑のた○きでしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピシリ__と物理的な音がウィラの方から聴こえる

 

 

「・・・はぁ?何も分かってないな、緑などかき揚げではないか」

 

「いやいや、そっちこそただの油揚げじゃん。それくらいどこの家庭にもあるでしょ?」

 

 

王様ってそんなことも知らないの?とガルッチが言い、互いがズイっと額を合わせ___

 

 

「・・・たけのこ」

 

「きのこ」

 

(ブチ)「うどん」

 

(カチン)「蕎麦」

 

 

ガタリ__と互いに立ち上がるが、ウィラがやれやれと頭を振り

 

 

「・・・ふぅ、少し冷静になろうか、この手の議論はすでに何回も行われている」

 

「・・・そうだね、ちょっと白熱しそうになったけど、これはいけないな」

 

 

ハハっと互いにそれだけで諸人を魅了してやまない笑みを浮かべ

 

 

「そうだウィラ、お詫びじゃないけどさ」

 

 

はいコレ__とガルッチがウィラに手渡したものは

 

 

「__?何だコレ?」

 

「あぁ、僕これでも愉悦部員だからさ。だから『超究極天元突破激辛麻婆豆腐』。言っとくけどコレ、ギルに出したら“エヌマ・エリシュ”で世界ごと否定された劇物だから。それもうすぐ会うアンブリッジにでも食わせてやりなよ」

 

「うわぁ・・・何コレ・・・赤通り越してもう紅とか朱じゃん・・・まぁくれるなら貰うけど」

 

 

「取りあえずウォーカーで試すか」と被害者1号が決まると、それに続きガルッチが手渡したものは

 

 

「じゃーん!“GゲーマドライバーΩ₋Mark2”!!これ結構僕のお気に入りでさ!元々は『ファンタズム』って仮面ライダーに変身するベルトなんだけど___」

 

 

気分良く渡した物の説明をするガルッチ

するとウィラはしばらくガチャガチャと扱い___

 

 

「・・・ファンタズム?知らんな。何だ、アマゾンとかそういうのの亜種か?」

 

 

その言葉にピシリと固まるガルッチ。そして「まさか・・・」とウィラに

 

 

「・・・ウィラ」

 

「うん?」

 

「君・・・平成派(・・・)?それとも昭和派(・・・)?」

 

 

そう、これもまた大多数が争い、流された血は膨大な議論

ゆえにガルッチは願う、どうかこれだけは自分と同じであってほしいと

 

 

「何だ、決まってるじゃないか」

 

 

二コリとガルッチですらドキリとする笑みを讃えるウィラを見て、安心するガルッチ

だが・・・それは次の言葉で崩壊する

 

 

「ほっ、そうだよね!やっぱり平s「昭和」・・・は?」

 

「だから私は昭和派だ。何だ最近のライダーは、いちいち恰好付けやがって。別にイケメンなんぞいらん。昔のように濃く、そして泥臭く!」

 

 

「あと」と続くウィラの言葉をもう聞きたくないとガルッチは反射的に耳を塞ごうとする。これ以上はもう我慢できないと

しかし無常にも、その美しい神すら魅了するウィラの声がガルッチへと届く

 

 

「今のライダー・・・バッタじゃないからライダーじゃないじゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___ザワリっ・・・!!___

 

 

「おい今なんつったテメェ・・・バッタじゃなかったらライダーじゃねぇのかア゛ァン!?」

 

「っは!当たり前だ、石ノ森先生の素晴らしいデザイン、何よりあの作品は社会風刺をしていたからこそ重みと共感、そして子供らがヒーローに憧れたのだ」

 

「デザインなら平成も負けてねぇだろうが、多彩なギミックに子供は心躍り、子供と共に見る奥様方でさえハマる面白さ!」

 

「でも所詮はイケメン俳優目当てではないか、奥方はGAROを見るべきだ。アレは良い、見事な面白さがある」

 

「っ!さっきと言ってること違うじゃないか!!アレバッタじゃねぇぞ!?」

 

「アレは初めから異端なライダーとして生まれたのだ。そして目当ての層も初めから奥様向け・・・平成はもっと見る層を絞り込むべきだと思うぞ?」

 

 

互いにキスできそうな距離で、しかしその眼光は今すぐ目の前の分からず屋をぶち殺したいと殺気立ち、それに呼応するかのようにお互いの背後が陽炎のように揺らめき、円卓の間を魔力の暴風が襲う

 

 

その殺気と魔力に充てられてか、黄金円卓の皆が部屋になだれ込んでくる

だが二人はそれを見もせず、無視し

 

 

「This way(来いよ) 城を壊したくない」クイ

 

 

髪の毛を逆立て、まるでどこかのゴンさんの如くガルッチを外へ連れ出そうとするウィラ

だがガルッチはその必要は無いと言い

 

 

「この世界じゃ脆弱すぎて本気だせないからさぁ、ステージは()が用意してやるよ」

 

「それがキサマ本来の喋り方か・・・まぁよかろう、せいぜい私を興じさせよ___雑種」

 

 

ガルッチの主が如く、傲慢不遜にそう言い切るウィラに更に腹立てながら

 

 

「じゃあ見せてやるよ!」

 

 

両手を胸の前へやり、思い浮かべ、唱えるはガルッチが心に刻んだ心象風景

 

 

「『真・無限の刃製』___!!」

 

 

 

その言葉に腕を組んでいたウィラも僅かに目を見開く、そんなことまでできるのかと

黄金円卓すらも巻き込み、顕現するは赤銅に染まった大地___ではなく夜空を覆い尽くさんがごとき星空。ほうき星が流れ、青く輝く月が優しく輝き、それに呼応するかのように草原に光がユラユラと佇む

それだけではない、辺りを見渡せば草原に埋もれるかのようにポツポツと、しかし膨大な数の剣が立ち尽くす

どうだと言わんばかりにウィラを見やるガルッチの後ろには見事としか形容しようがない桜が1本

 

確かに素晴らしいとウィラは思う。流石は転生者、流石は彼の英雄王の臣下・・・流石は神々の頂に立つだけはあると。だが___

 

 

「・・・くっ、くは・・・くはははは!!!」

 

 

笑い、嗤う。どこまでも馬鹿にしたように、どこまでも自分こそが頂点であると言うがように

 

 

「素晴らしいなガルッチ!えぇ!?それともお前の主が如く贋作者(フェイカー)とでも言おうか?くはは!!」

 

 

青筋がガルッチの額に浮かぶが我慢した

この程度の煽りはギルガメッシュで慣れていた、何より囁くのだゴーストが

 

彼女は今からとんでもないことをしてのけると

そしてそれは正しかった。ウィラはスっとその手に杖を持ち

 

 

「だが・・・その程度・・・まさかこの黄金の君ができないとでも?」ニィ

 

「っまさか!?」

 

「そのまさかさ、卿に黄金の景色を・・・我が魂に刻まれた景色を見せてやろう」

 

 

優雅に、まるでダンスを踊るように杖を振るい

 

 

「権限せよ!!『あぁ、我が麗しのクレーリア』!!」ヒュっ

 

 

ガルッチの世界を塗りつぶすように、白亜の宮殿と大庭園が織りなす美しき世界が顕現する

 

この瞬間、この勝敗はどちらがどれだけ相手の世界を侵食できるかという内容になった。どれだけ自分の意見(昭和or平成)を押し通せるか__

 

しかしその勝敗はつかない。世界を半分に分かつように、ウィラの方は白亜の宮殿、ガルッチはポツリと立つ桜が印象的な風景とで別れ、そのまま拮抗したからだ

 

 

「へぇ・・・やるじゃないか」

「ほう・・・やるではないか」

 

 

「「転生者(神)(王)風情がぁぁああ!!!」」

 

 

叫びと共に、互いが手を前にやる

 

 

形成(Yetzirah)!!聖約・運命の聖槍(ロンギヌスランゼ・テスタメント)!!」

 

 

 

「『ラッシュマッチレス』!!『バンバンシューテング!!』

 

戦術Lv3!『変身』!!」

 

 

 

ヒュオっと槍を横なぎにする音と同時に、『ガッシャット!』の掛け声が聴こえ、そこにはエミヤキリツグのような衣装を着たガルッチが銃口をウィラへと向けていた

 

 

「まさか銃(最新=平成)に勝てるとは思わないよね?」

 

「ふん、キサマはこういう言葉を知らんのか?『原点こそサイコー(=昭和)』だと」

 

 

暫し獲物を相手に向け、静寂が訪れ__

 

 

「・・・ククっ」 「くはっ・・・」

 

「アハハハハハハハハハハハ!!!!!!」

「くははははははははははは!!!!!!」

 

 

「ウィラァァアアアアアア!!!!」

 

「ガルッチィィィィイイイ!!!!」

 

 

 

世界をかけた戦いが始まった

 

 

 

 

 

 

 

戦闘の音が至る所から聴こえる

ガルッチはその有り余る身体能力と神としての超常の力

ウィラは『姿眩まし』と『姿現し』そして『黄金の瞳』を用いた未来予知で互いが互いに攻防を繰り返す

 

それをウィラ率いる黄金円卓はただ眺めることしかできなかった

初めは胡蝶やアルヴィーが間に入ろうとした、だがそれをシャドウが止めたのだ。「これはプライドをかけた決闘である」と

 

話が入ってこなかった彼等はシャドウから話を聞き、ある者は流石陛下と感涙し、内容を完全に把握したとある日本生まれのサムライは「なんつー下らないことで・・・」と完全にやる気を失い、今はポテチを食べながら皆で見守っていた

 

 

「・・・アレ、シャドウ殿―?そういえばクソ犬はー?」

 

 

そう、何とこの場には常に傍にいなければならない黄金の獣の姿だけがなかった

すると・・・流石はこの世界最強の神獣と言うべきか、『黄金の鎖』で亀甲縛りになりながら、器用にピョンピョンと跳ねながら次元の壁を無理やり切り裂き入ってきた

 

 

「ン゛―!!ンフゥ゛―!!!(訳:黄金の君!黄金の君の魔力がこれほどまでに!一体何が・・・!?)」

 

 

猿轡をはめられ言葉にならない言葉を発しながらも、主の安否を問うこの姿に本来ならば彼等円卓は「何と素晴らしい忠誠心なんだろう!」と感激するところだろう____普通ならば

 

だが彼等は普通ではない、常にウィラの傍に侍りたいと願い、胡蝶などは獣の称号を常に欲してしるのだ。ゆえに次の瞬間起こった光景は・・・

 

 

「ンフゥー!?ン゛ン゛―!!!?(訳:なっ!?止めなさい!!ちょっ、ヤベっ!!)」

 

「アハハハ!!イイ様だねクソ犬ゥー!!死ね!!そして陛下の傍に少しでもアルちゃんは近づくのだー!!」ゴウっ!!

 

「おほほ!今が好機ですわ!!お前が死ねば次席である、わらわが獣!黄金の獣となりてっ!!・・・あぁ・・・我が君・・・御身の肌に今度こそわらわは舌を這わせ・・・」

 

「ちょうどいい獣殿、ヒマなんだよ。陛下も手ェ出してほしくないみたいだし・・・アンタならいくら斬ろうがそうそう死なねぇし?久々に斬らせろや」スチャ

 

「ガハハ!!たまには筆頭をボコるのも楽しいと思わんか?あぁ、余は勿論思うぞ!!思うとも!!」

 

「最近、ミスラが抱かせてくれないんですよ・・・だから鬱憤晴らしさせてください」

 

「日頃の恨み日頃の恨みィィイイ!!!何故私だけが毎回あんな目に!?たまには変わってくださいよぉ獣殿ぉ・・・」ユラリ

 

 

流石の黄金の獣でもこのメンツに無抵抗は本気で死ぬとシャドウに縋り付く

 

 

「ンフー!!ンンン゛ー!!!(シャドウ殿!!私達は同じ主君を崇める臣下にして友ではありませんか!!どうかっ!!)」

 

 

するとシャドウはスゥっと獣と円卓の間に立ち・・・

 

 

「フゥ・・・ふぁ!?」

 

 

スチャリ__と腰から金色の短剣を抜く

 

 

「獣殿・・・我が君は今まで散々貴方の失態をお許しになられましたが・・・このシャドウは一時の忘れたことはございませぬぞ?」ニコォ

 

 

この日、親であるロキに裏切られて以来・・・約5000年ぶりに黄金の獣の称号を与えられた神狼は本気で泣き叫んだ

 

 

 

 

 

「____ふぅ、あ゛~・・・やっぱ気持ちいいなぁオイ」

 

 

目の前のズタボロの獣を放置し、渡草は上空を見やる。そこには・・・

 

 

「お前みたいな懐古厨がいるから、やれ原点がサイコーだとか、イケメソ俳優乙wwとかガキが知りもしないくせに喚くんだよぉ!!」

 

「私が知るかンなもん!!アマゾンを昔のままリメイクしろ!!ただひたすらケケェー!!だけでいいんだ!!何より何だ今のウルト○マン!?何故喋るのだ!?ゼロの声がマモーだった時の私の驚きがキサマに分かるか!?」

 

「それには俺も同感だよ!!タロウの声がジャッキー・チ○ンだった時のあの驚き!!でも映画の毒蝮さん達俳優の起用はマジ感動したよ!!」

 

 

「・・・喋るのか・・・今のって。いや、この前見た時はまだデュワ!!だった気が・・・まぁいいか」

 

 

ポリポリと自分の故郷が生み出した最高のヒーロー達を思い浮かべていると

 

 

「トグサ―!もう止めるのー?今ならマジこの犬殺せるよー?」

 

「あー、俺はもういいっスわ姉さん、殺せて当たり前の獣殿なんか意味ねぇし」

 

 

そう、渡草はただ黄金の獣を斬りたいワケではない、絶望的に強い強者を斬ってこそ意味があると渡草は思うのだ

 

 

「だからちっと、アッチに混ざって止めてきますわ。そろそろ陛下のご両親方も帰ってくるし」

 

 

その言葉に「へ?」と固まる他の円卓を無視し、渡草はスゥっと息を吸い__

 

 

「陛下ぁー!そこの悪魔ぁー!俺―!!

 

 

 

 

アルフォード(・・・・・・)派っス」

 

 

 

「『Dies irae』!!」 「『滅塵滅相』!!」

 

何たることだろうか、真の敵は身内にいたということもあり、ウィラは聖槍から自ら生み出した世界すら壊れるほどの力を込め

ガルッチもまた以前赴いた世界で出会った「生きてるだけでサイコーさ!」「友達の数は無量大数」が座右の銘のカレー大好きお兄さんからもらった世界どころか、多元宇宙すら破壊できる力の塊を渡草へと放つ

 

するとガシリ!!__と今だに黄金の獣を「フハハ!!どうだ!無様を晒せ獣殿ぉ!」と調子こいて踏んでいたウォーカーを掴み

 

 

「・・・へ?」

 

「おら盾野郎ォ!!務めを果たしてこいやぁ!!」ブォン!!

 

 

測ることすら馬鹿馬鹿しい力の奔流へウォーカーを放り投げ、その後ろから自身も全力で斬る、斬る、斬る!!

本来ならこの程度でこの二つの力は止まらない。だがガルッチの『滅塵滅相』は本家ではなかったこと、互いの力が干渉し合って、おおよそ削れていたこともあり、何と対消滅を起こした

だがその程度で二人の怒りは収まる事はない

ヒュっと認識できない早さで渡草の前へ現れ

 

 

「ガルッチすまない・・・まさか真の敵が我が円卓におったとは・・・」

 

「いいんだよウィラ、気付けなかった僕も悪い」

 

 

互いに目を見合わせる。するとガルッチは銃を二丁取り出し、片方をウィラへと投げる

パシィ__と受け取り、ガルッチと背中合わせになり

 

 

「・・・合言葉くらい知ってるだろう?」

 

「私を誰だと思っている、ゲームはmust die modeまでクリア済だ」

 

キリキリ__と引き金を引き

 

 

「「Jack po_「ちょいと待った」

 

 

「えぇー」と顔を顰める二人を無視し、今現在正真正銘日の本生まれのこの男が諭すように話し出す

 

 

「陛下ぁ、聞いていましたがこの前「アギト」見て何て言ってましたっけ?」

 

「うん?そりゃ「マジおもしれー!!アギトサイコー!!」・・・はっ!?」

 

「それと悪魔だか神だかよく分かんねぇ姉ちゃん」

 

「おい、僕は男の娘だって・・・」

 

「そりゃ悪ぃ、でもよぉ、初代があったから今があるんじゃねぇの?」

 

「それは・・・」

 

「二人がどれだけ俺の国が好きかは分かった、でもなぁ、あの国生まれの俺から言わせてもらえれば、どちらが良いとか悪いも無ぇ。どちらも最高で最強だ」

 

 

「どちらも最高で最強」__反芻するように互いに呟き

 

 

「・・・そうだな、私が悪かったガルッチ。そうだよな、時代が移り変わるにつれて・・・世代が変わろうと熱くなれることこそが素晴らしいのだ」

 

「僕もゴメン・・・初代があったからこそ今があるのに・・・あぁ、ファン失格だな」

 

「いやそんなことは」「いやいや、そちらこそ」と先程の世界すら滅ぼす攻防はなんだったのかと、のほほんとした空気を感じ

 

 

「ところで陛下ぁ、そろそろご両親が帰ってきますが出迎えはいいんですかい?」

 

「・・・何!?こうしちゃおれん!!何故今まで教えてくれなかったのだ!?」

 

「いや、だって陛k「言い訳無用!!」・・・えぇ・・・」

 

 

ガルッチも来るようにウィラは言う、もう我等は友だから両親に紹介したいと

しかしガルッチは首を振り

 

 

「・・・そろそろ帰らなくちゃ、嫁が心配して待ってる」

 

 

その言葉に思い出す、そういえば自分は悪魔を召喚しようとして、彼はここへ強制的に来たのだと

 

 

「そうか・・・卿にも待つ者がいたのだな、そういえば何故卿はここへ来た?卿ならば召喚くらい、いくらでも拒否できたであろう?」

 

「うーん・・・何故か拒否できなかったんだよねぇ・・・でも、今なら理由が分かるよ」

 

「__?それは?」

 

「僕等は友達になるために、こうして次元の壁すら超えて出会ったんだ・・・ってね」

 

「ガルッチ・・・キモイぞ」

 

「はぁ!?良い感じに人が締めてやったってのに何だよソレ!?」

 

「くはは!スマンな、冗談さ」

 

「んだよ、ったく・・・」

 

 

 

渡草がそろそろ本当に時間がヤバイと告げる(他の者は今だに獣イジメに夢中な為。ウォーカー?あぁ、良い奴だったよ)

 

 

ガルッチの心象風景『真・無限の刃製』が淡く、幻想的に輝き出す。どうやらこのまま帰るらしい

 

ウィラの顔に少しだけ翳りが生まれる、自分以外の転生者・・・ようやく見つけた完全に対等な相手がいなくなるのだ

それに気が付いたのか、ニヤリと、最後のイタズラと言わんばかりにガルッチはウィラの耳元に近づき・・・デカすぎる爆弾を落として行った

 

 

「スネイプのアレ(・・)、偶然トイレで見たけどさぁ・・・かなりデカイよ?」

 

「・・・へ?・・・・・・・・・・ふぁ///!?」

 

「あはは!じゃあね~」

 

 

 

 

 

 

 

(あ・の・野郎ぉ!!最後の最後になんつーモンをっ!?・・・で、でもそうか・・・うん、私ちゃんと・・・その・・・///)ポっ

 

ブンブンと顔を振り、改めて消えた景色を思い浮かべる

ガルッチの心象風景はとても美しかった、私は生涯あの景色を忘れることは無いだろう

 

 

「・・・というかまた呼べば来るのでは?・・・うん、無いな。私以上に濃いキャラなどいらんよ」

 

 

でももう一度会って話したいと思う矛盾は人としての性だろう、次は彼の嫁も是非連れて来てほしいものだ!(だってフランにこいしにイリヤだぜ?)

 

(さて・・・)

 

 

「トグサ、先程は助かった。良いセンスだ」

 

「いやぁ、陛下から褒められるなんて、今日は良いh「卿はアルフォード派か・・・」・・・うん?」

 

「第3勢力など無粋の極み・・・そもそもキサマ日本人だろう?何故日本語のお菓子を食さんのだ」

 

「あ・・・いえ、それは・・・」ダラダラ

 

 

ピっ、と親指で首を切る仕草をし__

 

 

「ギルティ」

 

 

冷や汗を掻くトグサをいったん放置し、今だに獣を嬲っている円卓へ声をかける

 

 

「陛下!もう終わったのですか!?もうしばしお待ちくださいませ!わらわが獣の称号を御身の御前にて手に入れてみせましょう!!」ボゴっ!!バキィ!!

 

「そんなモン放っておけ、そんなことよりサッカーしようぜ!!ボールはトグサな!!」

 

「はぁ・・・はぁ!?陛下!?マジ何言って・・・」

 

「ワタシ・フカイ・ダカラシネ」

 

「何故に片言!?うぉ!?姉さん!?マジ勘弁!!」

 

「お前を殺せばアルちゃん3席!陛下の傍!!陛下のお傍ぁー!!」

 

「くはは!良いぞアルヴィー!!さぁ、皆でそこの11(イレブン)を駆逐しろぉ!!」

 

「何スかその11(イレブン)って!?スゲェ反逆したくなるんスけど!?」

 

 

ギャーギャーと騒ぎながらもトグサがアルヴィーの劫火を切り捨て、アランが更に楽しそうに続き、その後ろからコチョウが皆殺しにせんと、黒い劫火で燃やそうとする

 

だから更に激をいれる

 

 

「我が声に従え!!我こそは黄金!黄金の君なり!!さぁ、我が騎士達よ!!」

 

 

 

今日も楽しい一日にしようか__!!

 

 




これにて深緑 風龍様とのコラボ回終了です
本当に貴重で楽しい経験ありがとうございました!

終わり方が強引ですみません(汗
(これ以上は1万2千文字とかになりそうだったんで)

前回も言ったとおり、他の方のキャラを動かすことがこんなに大変だとは・・・(汗
ガルッチこんなキャラで良かったですかね?


上でも言ったとおり、今回の内容はかなり煽りに煽ってましたが
全部が全部、作者の思いではありません
ただ何故戦隊物や、ウルトラマンに声優を使うのかは分かりませんが・・・昔ながらの「デュワ!」とか「ヘアっ!!」が良いです(映画のミラーマンとか確かグリリバでしたよね?ビックリしました)
勿論声優使うなってことではないですよ?作者声豚ですしおすし
ただ何故今になって?感が強いだけです

あとGAROは実写版のほうが好きです


ちなみに黄金の獣は生きてます、ウォーカーは死んでます(ただし生き返る)


次回からは再び本編に戻ります

この場を借りて、再びコラボを持ちかけてくれた深緑 風龍様に感謝を
久々にネタだらけの話を書くことができました
本当にありがとうございます!


読んでいただいている皆様方もお付き合いいただきありがとうございます!

これからも是非、「ハリー・ポッターと黄金の君」をよろしくお願いしますm(__)m


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原作開始前
黄金の誕生


何となくの思いつきで書きました



「『7月の終わりに闇の帝王を倒す男の子が、帝王に3度抗った両親のもとに生まれるであろう』」____

 

 

(・・・なんということじゃ)

 

ダンブルドアは驚愕し、確信した。この予言は本物でおそらくヴォルデモート__トムを倒す為に必要なのものだと

 

しばらく思案に頭を沈めていると再びトレローニーがガクガクと__先程よりも更に激しく震えだした

 

(なっ!?再び予言じゃと!?)

 

 

この時ダンブルドアは知らなかった、目の前の偉大な予言者の玄孫だけでなくイギリス中全ての預言者が皆同様の状態に陥っていると

 

 

そして___

 

 

【「__黄金は蘇る 偉大なる黄金が もはや誰もが彼のお方に跪くことしかできない 闇の帝王も偉大なる魔法使いも 最も偉大なりし 黄金の君には__」】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この予言はイギリスの魔法界のみならずヨーロッパ中を震撼させた

 

『黄金の君』かつてこの名で呼ばれた者などたった一人。いや、たった一つの一族しかいない

その者達はこのグレートブリテンの目と鼻の先__フランスと挟まれたドーヴァー海峡の孤島に国を作り1500年以上もの間滅ぼされることもなく侵入者を拒みつづけたヨーロッパ最古の神秘

 

そして魔法省やダンブルドア、更にはヴォルデモートを最も悩ませたのは予言の1節にある『偉大なる黄金』だ

 

 

 

この名称で呼ばれた者など歴史上本当に2人しかいない

 

一人目は初代黄金__突如現れたった一人でヨーロッパの魔法界全てを支配した最悪の暴君

二人目は10代目の黄金__祖先とは違い魔法普及に生涯をささげ、あのホグワーツ創始者達4人を鍛え上げた魔法界の父

 

 

 

後者ならまだいい、しかし前者ならば何と最悪なのだろうか

 

 

 

 

 

 

 

「どっどうするのだダンブルドア!?下手をすればこの魔法界は!!私はお終いだぞ!?」

 

「落ち着くのじゃファッジ、まずはあの国へフクロウを飛ばし事を確認するのじゃ」

(なんとしても敵対だけはならぬようにせんと・・・)

 

 

「・・・フン!!所詮は予言しかも「黄金」だと?馬鹿馬鹿しい!1000年近く生まれなかった真の黄金が何故いまさら生まれるのだ!?」

 

「でっ、ですが我が君・・・」

 

「くどいぞルシウス、まずは俺様の予言からどうにかするべきだ。なぁ___セブルス?」

 

「・・・その通りでございます我が君。現にダンブルドアも黄金よりもまずは予言の子の確保に移ったようです」

 

「流石はセブルスだ、その調子で引き続き俺様に仕えよ」

 

「・・・はい」

 

「どちらにせよ・・・忌々しいことに今の俺様では黄金の領地には入れぬ・・・いや、あそこは魔法族にとって墓場と同じよ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__おんぎゃあ!__おんぎゃあ!

 

 

バタバタ「陛下!!おめでとうございます!!」

 

「おぉ!!生まれたか!!して、どっちだ!?」

 

「女の子でございます陛下!!」

 

とある国、とある王室に世継ぎが生まれた

 

助産師が腕に抱いたモノを自らの主君にそっと渡す

王はそれを優しく壊れ物を扱うかのように受け取り愛しい王妃の下へと行く

 

「__よくぞ生まれてくれた、王妃よ・・・よくぞ頑張ってくれた」

 

「えぇ・・・私達の赤ちゃん、さぁアナタ・・・私にも見せて?」

 

赤子をそっと妻の横に置く

 

「何て可愛いんでしょう・・・この子が、次の黄金になるのね」

 

「あぁ、それで・・・名前は決めたか?」

 

そう言われ、王妃はそっと赤子のあまりにも金色に__黄金に彩られた産毛を撫で

 

 

 

 

 

「__ウィラ、この子の名はウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリアよ」

 

 

 

その国が大勢の国民の祝福に包まれた数か月後___とある民家で一人闇の帝王から生き延びた赤子が発見された

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__・・・生まれて3年程がたち、自身の意識がハッキリしてきたころ、私は自分が転生者と呼ばれる者だと気づいた

初めはかなり戸惑った、知らない前世の記憶が一気に脳を占領し始めたから。だが何とか正気を保つことができた

どうやら私の前世はかなりのサブカルチャー好きだったらしい、その手の記憶が大半だ

特に『ハリーポッター』なる作品には心躍った。

だって魔法を使うなんてまさに夢のようじゃないか!

今はこうして落ち着いた考えをしているが私もまだまだ3歳児だということだ

 

 

 

 

 

「__ははうえ」ぽてぽて

 

「あら、ウィラ?どうかしたの?」

 

私の母の名はオレンシア・ゴルドーン・クレーリア(エル・ドラド名は王族の血を受け継ぐ者しか名乗れないらしい)

同性・・・というか幼い私から見てもすごく綺麗な女性でとても優しい最高の母親

 

父とはそれなりに歳が離れているが政略結婚ではないらしい。むしろその辺の話を興味本位で聞いたら目の前でずっとイチャイチャしながら話し出しやがった・・・(お互いに一目惚れだったようだ)

 

 

「__ん?二人共どうした?こんな所で?」

 

「ちちうえ」

 

「あらアナタ?政務は終わったのですか?」ニッコリ

 

「おっ、おう・・・でも私だってウィラと遊びたいんだ、いいじゃないか」

 

 

この人は私の父、第78代エルドラド王国国王ジブニール・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア

だいぶ歳をとっているが(だいたい50くらい?)見た目は若い。旅の最中に母と出会いその場で告白し次の日には国に連れ帰り結婚(スゲェ)

 

ここまで話して分かるとおり・・・私は王族、しかも次代国王になることが決定している

私が将来治めるこの「エルドラド」はドーヴァー海峡の間にある島国で国民は200万人程の小国だ

だが1500年以上続くかなり古い家系で王族と言っても私と両親しかいない。理由は国令で「王族とは王と妃、次代の者のみ」と決まっているためだ(親族同士の争いを無くすためだと思われる)

 

 

「ちょうどいい、ちちうえ、ははうえ、ウィラはききたいことがございます」

 

「おぉ!ウィラはもう難しいことが言えるのか!流石私達の娘だ!」

 

「もうアナタ、いちいち驚かないの。ウィラ、なあに?」

 

 

今から聞くことは馬鹿らしい、だが折角以前とは違う世界に生まれたんだ、可能性に縋ってなにが悪い

 

 

「この世界に・・・魔法はありますか?もしあるのだったら教えてください!」ペコリ

 

 

両親が目を見開いてこっちを見てくる、だが我が家はかなり古くから伝わる血筋だ。それに____何かを常に感じるし、肌が時折ピリピリするのだ

 

なにか知っていてもおかしくないし、無いとしても所詮は子供の言うことだ、真に受けないだろうと思っていると・・・

 

 

「__本当にウィラはすごいなぁ!!聞いたかレシー!?この子はもう魔法を感じ取ったぞ!?」

 

「えぇ!ジル!やっぱりこの子は『黄金の君』に相応しいわ!!」

 

 

父が私を持ち上げ高い高いしながら喜ぶ、・・・というか怖いから降ろしてほしい

 

(・・・まさか本当にあるのか?というか『黄金の君』って何だ?私は別に全てを愛してないし聖遺物・・・は家にありそうだが『流出』なんてできないぞ!?)

 

「あっあの、ちちうえ、怖いので降ろして・・・っ!」

 

「おぉスマンスマン!いやぁ嬉しくてついな!」ハハハ!

 

「その、まだ答えてもらってません」

 

「分かりましたウィラ、愛しい我が娘に私達が知恵を授けましょう」

 

「・・・では」

 

「あぁウィラ。魔法はある!我がエル・ドラド家はヨーロッパ最古の魔法一族、遥か1500年以上前から最古の神秘をその身に抱擁している。勿論ウィラ、お前もな」

 

 

そう言って私の頭を父がワシャワシャと乱暴に、暖かく撫でてくれる

 

(・・・本当にあったんだ、しかも私、魔法使いなんだ!)

 

 

次の日には国民全てに私は改めて披露された

 

 

 

 

 

__汝、ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリアよ。其方こそ、次代「黄金」に相応しき者なり__と_____

 




ウィラは転生者ですが前世の記憶はオタク関係のみで
性別はおろか名前すら憶えてません

本人は神様にすら会ってないしそもそも死んだかどうかも
分からない状況です

感想など待ってます


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黄金と入学

続けて投稿


あれから8年がたった

 

色々あった・・・まさか本当にハリポタ世界だったとは!

事の発端はまず両親(母も魔法使いだった)が使う魔法がどれも聞いた覚えのあるものばかりでこの時はまだ半信半疑だったが、シャドウと呼ばれる屋敷僕妖精が魔法を教わったその日の内に現れ「アナタの狗にしてください」とかお前はどこのメニアックなニーソ娘に仕えるシークレットサービスだよ!?と叫ばなかったあの日の自分を褒めたい

 

そのときついでだから色々シャドウに聞いた。この世界が本当にハリポタなのか、私が生まれたこの家のこととか

 

とりあえず何か闇の帝王(笑)とか生き延びた赤子(同い年らしい)とかの発言がでた為確定した

 

ただ解せないのはこのエル・ドラド家だ

 

 

前世でもハリポタでもこんな国は存在しなかったし先祖はなんかヨーロッパ征服したりゴドリック達創始者の師匠やってたりと全然知らないことばかりだ(てか滅茶苦茶すぎんだろ)

 

遥か昔からイギリスやフランスと表と魔法界含め何度も戦争をし全戦全勝。今は国同士で国交を行いエルドラドは重要な中継地として栄えている

 

そこまで聞いてあまり考えることはやめた。どっちにしろ国が違うし私は王族だ、イギリスにあるホグワーツに行くこともないだろう___と思っていたのに・・・

 

 

 

 

「はぁ~・・・」

 

「どうかされましたかな?黄金の君」

 

「いや、少し考え事をな・・・」

 

 

この者は私に仕える『黄金の獣』

代々エルドラドの王は「黄金円卓」というものを持ち、12人の部下を持つことになっている

 

全て自らの足で世界を巡りスカウト(内容は話し合いだったり殺し合ったり)、そこには種族も生まれも関係ない完全な実力主義だ

その「黄金円卓」の中でも最も強い者が名前を捨て、王の最側近である『黄金の獣』を名乗ることが許される

 

 

・・・そう、私はこの国の王・・・第79代エルドラド王国国王ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリアとなった

 

 

理由は色々あるが、一番はやはり年老いた父だろう(ダンブルドア?あんなワケ分からん人外に片足突っ込んだ100超えと父を一緒にするな!)

 

 

 

転生者にありがちな転生先の親を親と思えないなんてことは私にはなかった。二人共誰よりも厳しく、そして際限なく愛情を私に注いでくれた。

・・・それでも一度だけもしかしたら本来生まれるハズだった子を私が押しのけたかもしれないと思い、両親に私が転生者であることを明かしたことがある

 

 

だが・・・二人共泣きながら私に謝ってきた「そんな悩みを抱えていたのに気付けなくてゴメン」と「私達の・・・ウィラという娘はアナタしかいないのよ」と__その日は家族みんなで同じベッドで抱き合いながら寝た。あの日の暖かみを忘れることはまずないだろう

 

 

『黄金』の仕事は多忙だ、それもそうだろう国王なのだから。しかしそれだけではない、このエルドラドは常に国王が特殊な魔法で覆っている。この魔法が1500年もの間他の魔法使いから守ってきたのだ

だが父ももう60近く、その魔法を展開し続けることも辛く私がそれを行うことを決めた(この魔法は王のみにしか使えない)

 

幸い私の保持する魔力量は父の100倍近く(エル・ドラド家は膨大な魔力量で有名らしいが私はその中でも最高クラスらしい)余裕で使えるし展開し続けれる

 

 

 

 

「我が獣よ、お前はこれを見たか」ピラっ

 

「申し訳ありません黄金の君、これは?」

 

「・・・ホグワーツからの入学許可証だ、読んでみろ」

 

黄金の獣(彼に名は無い、しいていうなら黄金の獣こそが名だ)に渡して目の前のお客(・・・・・・)にも聞こえるように朗読させる

 

 

 

『ホグワーツ魔法魔術学校 校長 アルバス・ダンブルドア

マーリン勲章、勲一等、大魔法使い、魔法戦士隊長、最上級独立魔法使い、国際魔法使い連盟会長

 

親愛なる第79代エルドラド王国国王ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア殿

 

 このたびホグワーツ魔法魔術学校にめでたく入学を許可されましたこと、心よりお喜び申し上げます。教科書並びに必要な教材のリストを同封いたします。

 新学期は9月1日に始まります。7月31日必着でふくろう便にてのお返事をお待ちしております。 

 

敬具

 

副校長 ミネルバ・マクゴナガル』

 

 

読み終わった獣がプルプルと渡した手紙を殺さんばかりに睨みつけている

 

 

「・・・ふざけているのですか!?我が黄金の君を!!国王を別の国の校長ごときが!!」

 

「我が獣よ、お前は私のモノだが私がいつお前のモノになった?」

 

「ッ!?もっ申し訳ありません!!黄金の君!!どうか・・・っ!!」

 

「よい、許す」

 

 

 

__私の喋り方に関しては許してほしい。私は仮にも王だから常に偉そうに、しかし決して自分が偉いのではなく上に立つ者としてこのように話しなさいと母からきつく言われたのだ

 

 

 

 

「__シャドウ」

 

「ここに」スッ

 

 

王位をついでシャドウも正式に私のモノとなった

シャドウはそこらの屋敷僕とは一線を隔す。なぜなら彼はなんと初代の時代からずっと仕えてくれているのだ!(1500歳普通に超えてんだぜ?)

声もキイキイとうるさくないし自分ですると言っても癇癪など起こさずやんわりと諭される

我がエル・ドラド家もシャドウを宝物のように思ってきたし私自身尊敬さえしている

何より彼はどの代でも「黄金円卓」の第12席次に決まっている(ちなみに今は私が第1席次だ)

 

 

「紅茶のおかわりを」

 

「すでにご用意しておりますウィラトリア様」

 

「ほう?流石だな」

 

「もったいなきお言葉」

 

 

 

何時の間にか淹れられた紅茶を口元に持っていけばなんと香しいことか、味も文句のつけようがない!

 

 

「__美味しい、お前の紅茶を飲んでは他のが飲めなくなるから困る」

 

「初代様も同じ事を言っておりました。歴代の「黄金」もまた一様です」

 

 

 

このエル・ドラド家は代々金髪金眼で当主は「黄金」の名で呼ばれる。それは父も同じだ

 

ちなみに父上はまだ死んではいないぞ?私も王位と国を覆う術式だけ受け継いでまだ政務や国交は父に任せっきりだ

 

 

 

「ウィラトリア様、お客様がどう反応していいのか困っております」

 

「おっと、そうだった。どうされたルシウス(・・・・)殿?紅茶は嫌いかな?」

 

「__い、いいえ・・・少し考え事を・・・」

 

「ふむ、この手紙、卿はどう思われる」

 

 

 

この男はルシウス・マルフォイ。あの有名なフォイの父親で私は原作を思い出した時から一度会ってみたかったキャラの一人だ

 

彼は私の予言を聞いてヴォル様がいなくなりすぐさま私が王位継承した際謁見してきた

 

彼が闇の陣営なのは勿論知っているが私には関係ない、今や良き友人だ

 

 

 

「やはり・・・陛下を自らの陣営に入れようとしているとしか・・・」

 

「フン、だろうな。あの腹黒ジジィの考えそうなことだ、その点、卿等「闇の陣営」は回りくどいことはしないからな、好感を持てるよ」

 

「あの・・・あまり大きな声では・・・」

 

「問題はない、この国では魔法は使えん(・・・・・・・・・・)。それは卿が1番分かっているだろう?」

 

「えぇ、まぁ・・・と言うか・・・もしかして陛下はダンブルドアがお嫌いで?」

 

「当たり前だ、予言が出回った所為で当時忙しかった父上の下にあのクソジジィアポも取らずに来やがった!!いち魔法使いが他国の王にだぞ!?一体何様だっ!?」

 

 

更に言うつもりはないが私が継承した時もしつこく謁見しようとしたので昔から好きではなかったのにもっと嫌いになった

あのジジィ「謎のプリンス」が始まる前に私が殺してやろうか・・・っ!?

 

 

そう言うとルシウスの顔が綻ぶ。だが悪いな、私はお前達「闇(笑)の陣営」なんぞ興味ないんだ

 

 

「おいルシウス、分かっていると思うが・・・」

 

「っ!勿論です!陛下!!我々の陣営は決してエルドラドに手は出しません!!・・・まだ命が惜しいので」

 

 

チラっと獣を見るルシウス。まぁコイツには獣の正体を言っているからな・・・そりゃ怖いわ、私も正直よく勝てたなと思ったもん

獣だけじゃない、我が黄金円卓は化け物の集まりだ

 

 

「・・・マジで世界征服してみようかな」ボソっ

 

「ウィラトリア様、準備はいつでもできております」

 

「我等が黄金円卓は黄金の君の走狗でございますゆえ」

 

 

呟いたつもりがコイツ等には聞こえていたらしい。いや冗談だよ?

 

 

「冗談だ本気になるな。__?どうされたルシウス殿、顔が青いぞ?」

 

「はっ、はは、いっ、いえなんでも・・・」カタカタ

 

「__?まぁいい、そういえば卿の息子も今年ホグワーツだったな」

 

「えぇ、名をドラコと申します」

 

「(フォーイwww)そっ、そうか・・・確か「生き残った男の子」も同い年だったな。彼もホグワーツに入るのかな?」

 

「・・・おそらくは、あのダンブルドアが彼の者を求めないハズがありません」ギリっ!!

 

「ふむ、・・・卿はまだソチラにいるつもりかな?私はいつでも卿を受け入れる準備はできているぞ?」

 

 

そう、私としては彼の家だけでも助けたい。そう思えるものを彼は持っている

 

 

「・・・何故、そこまで私のような者を気にかけてくれるのですか?私がアナタに近づいた理由も気づいておられるでしょう?」

 

 

彼もまたダンブルドアと同じように自らの陣営に私を取り込もうとしてやってきた、そんな事は初めて会った時から分かっている

 

 

「当たり前だろう?というかそんなに卿等にとって予言とは大事なのか?」

 

「当然です!アレは予知に等しいのですぞ!?ましてやアナタは「黄金の君」!!しかも「偉大なる黄金」と呼ばれたお方だ!!誰もアナタの発言を!行動を!無視することなどできないっ!!」

 

 

 

凄い剣幕でルシウスが迫ってくる

 

預言の内容は私も聞いた。正直「ふーん」くらいしか思わない

 

生まれたばかりの頃は「ハリー達を救おう!」と思っていたが・・・今の私はウィラトリア、1つの国を総べる今代の黄金の君だ。他国の少年少女よりも我が民草のほうが遥かに大事に決まっている

 

 

「・・・ウィラトリア様」

 

「ん?もうこんな時間か。済まないがルシウス殿、次のお客が来る。卿はもう帰られよ、卿にとっては面倒な客だ」

 

「それはどういう___ッ!?」

 

 

・・・どうやらルシウスの反応からして来たようだ

 

振り返らずにそのお客に話しかける

 

 

「まったく・・・お前には時間を守るという事ができんのか?_____ダンブルドア」

 

 

そう、私の後ろには偉大(笑)なる魔法使いアルバス・ダンブルドアが来ていた

 

 

「___ほっほ、なに、5分前行動というやつじゃウィラ殿、息災でなによりじゃ」

 

「・・・陛下、これはどういうことですかな?」

 

「言ったろう?客だと。なぁに、卿が心配する間柄ではないよ。言ったとおり私はこの老人が嫌いだ」

 

「おおう、相変わらずツンツンじゃな。ところでウィラ殿、何故マルフォイ家の者がここに?」

 

 

静かに殺気立ちながらそう訊ねてくる。・・・馬鹿だなぁ魔法は一切使えないしこの場には___黄金の獣もいるというのに

 

 

 

「・・・ご老人?黄金の君に対して何なのですかその態度は?___喰い殺されたいですか?」

 

「ッ!?いや・・・済まんウィラ殿、どうかこの通りじゃ」

 

 

そう言いながらこちらに頭を下げるダンブルドア・・・本当に気に食わない、謝りながらもずっとこちらを見定めようとしていやがる

 

 

「・・・ルシウスは私の友人だ。今世紀最高の魔法使いは王の交友関係にも口を出される気か?」

 

「いやいや、流石の儂もそこまではせんよ。そうじゃなぁ・・・あの小さかったウィラ殿ももう国王か、何かご祝儀でも?」

 

「・・・キサマの贈り物などいらん、そしていい加減にしろよ?私とお前が会うのは今日が初めてだ」

 

 

魔力にモノを言わせて無理やりこの老人を黙らせる。私も獣も我慢の限界だし___何よりシャドウが本気でヤバイ、まだ原作も始まってないのに流石にマズイ

 

 

「ルシウス、いつまでソコにいるつもりだ?私は帰れと言ったハズだが?」

 

「もっ、申し訳ありません陛下!!」

 

「シャドウ、彼をお送りしろ」

 

「・・・御意」

 

「あぁそれと、何故私が卿を目に掛けるのか言ってなかったな」

 

「黄金の君・・・ここでいっていいので?」

 

「そこの老人に何ができる?普通に国際問題だぞ?」

 

「確かに」

 

「__ルシウス、私はアナタのことが気にいっている。我が国に迎え入れてもいいと思えるくらいには」

 

「「!?」」

 

 

ダンブルドアも驚いているがまぁいい、どうせ何もできないし彼の助けに少しでもなればいい

 

 

「卿の家族を思う気持ちは本物だ。私はな?そういう愛に生きる殿方は好ましく思うよ」

 

「・・・陛下・・・」

 

「あぁそれと・・・次からは敬称なんぞ使わずウィラと呼んでくれ。友に陛下とよばれるのはそのぅ・・・すこしムズ痒い」ポリポリ

 

「しっ、しかし・・・っ!?」

 

「くどい、私が良いと言ったのだ。誰にも文句は言わせんよ、なぁ?ダンブルドア殿?」

 

「・・・ウィラ殿がそうおっしゃるのなら・・・」

 

「というか私はお前に名前で呼んでいいと一言も言ってないんだが・・・まぁいい、生徒になる(・・・・・)んだ。それくらいは許してやる」

 

「・・・なんじゃと?」

 

「聞こえなかったのか?仕方ない、もう一度だけ言ってやる。__私、第79代エルドラド王国国王ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリアはここにホグワーツ魔法学校に通うことを宣言しよう___これでいいか?」

 

「・・・本気で言っているのですか!?陛下!?」

 

「ウィラでいいと言ったろう?__まぁ理由はいくつかある。が、まだここで言うつもりはない。どうせ日刊預言者新聞が噂を聞きつけやってくる、その際に明かそう」

 

 

最後にそう締めくくり今度こそルシウスをシャドウに送らせる____さて、面倒だがこれも王の責務と思いジジィの相手をしてやろう

 

先程までルシウスが座っていた席に座らせ獣を私の後ろにつける

 

 

 

 

 

 

 

「___美しい庭じゃ・・・これがウワサに聞く「クレーリア城の大庭園」か・・・」

 

「そうだ、1500年以上もの間守り続けてきた物の1つだ」

 

 

 

このクレーリア城は初代黄金が愛しい女性の為に建て、その女性の名前をつけ共に暮らしたことで有名な城だ。歴史にも載っているほど古い

 

 

「我が獣よ、ここから先このご老人が何を言おうと手を出すな。よいな?」

 

「黄金の君のお心のままに」

 

 

獣に釘を打ち舞台は整った

 

 

「さぁ、本音で語り合おうか?ダンブルドア殿?」

 

「・・・分かった。では__何故ルシウス・マルフォイなんかと懇意にしておる?あやつの正体を知らぬワケではあるまい?」

 

「あぁ、闇(笑)の陣営だろ?ヴォルデモートの配下だ」

 

「・・・ならば分かるじゃろう?あやつは・・・」

 

「お前と同じように自陣営に引き込もうとしている・・・だろう?」

 

「__ッ!?・・・そうじゃ・・・」

 

「その為に私をホグワーツに入れた」

 

「・・・そうじゃ、それに今年は例の少年も入学する」

 

「・・・確かポッター家の者だったな。かつては「聖28一族」にも入っていた」

 

「よく知っておるのう・・・」

 

「どうでもいいがな。「聖28一族」の王は「ブラック家」と言われているが本来は我がエル・ドラド家だ、知っていても不思議ではないよ」

 

 

これは事実だ。確かに我が家にはマグルの血も流れている、だがそれ以上の価値がエル・ドラドの血にはある。だから今だに全魔法族の王と讃えられているのだから

 

 

「だからこそじゃ、今年から魔法界はおそらく激動の次代に突入する。ヴォルデモートはまだ死んでおらん、力を蓄えておる」

 

「だろうな、仮にも我等を差し置いて帝王を名乗ったんだ。そう簡単には死ぬまい」

 

 

というか私の場合原作のおかげで知っているんだが・・・これは流石に家族にも言えない

 

 

「・・・我々は恐ろしい、ゆえに優秀な者を少しでも守ろうと「笑わせるな」・・・なに?」

 

「本音を言えよダンブルドア。私は自分の予言を知っている、怖いんだろう?・・・この「黄金の君」が」

 

「ッ!?・・・何故・・・予言を・・・」

 

「私は国王だ、協力者なんぞヨーロッパ中にいる。それにお前が父上に言ったんじゃないか。全部父上が教えてくれたよ、別に隠す意味もないしなぁ」

 

「・・・ジブニール殿・・・貴殿には魔法界のことなどどうでもいいのか・・・っ!?」グっ!

 

「当たり前だろ?そちらがどうなろうと我が国は関係ない、魔法界が滅んでも表と貿易を続けるだけだ、現に今もそうしている」

 

「__それが1国を背負う王の物言いかッ!?なぜ正義の為に立ち上がらん!?」

 

 

(正義・・・ねぇ)

 

 

「それは誰が決めた正義だ?」

 

「なに?」

 

「ヴォルデモートは魔法族の繁栄の為に、お前はマグルとの共存の為に。はたから見ればどちらも正しいしどちらも間違いだ」

 

それに___

 

「それはお前が望む正義だろう?お前が周りに押し付けた正義だろう?」

 

「ッ!?ちがっ「全ては善の為に」__!?なぜそれを・・・!?」

 

「なぜ?なぜだと?」

 

 

身体を乗り出し彼の瞳をのぞき込む

よく二次創作では「キラキラと輝いている」と描写されるが・・・私の目には子供のように怯えた眼にしか見えない

 

 

「『我が黄金の瞳は全てを見通し、我が金糸は宝石以上に輝く』__「黄金」のことはお前が誰よりも詳しいと思っていたが・・・拍子抜けだな・・・お前、今私が開心術をかけていることにも気づいてないだろう?」

 

 

そういうと焦って閉心術をしだすダンブルドア。・・・なんだ、以外とカワイイ所もあるじゃないか

 

 

 

「ありえぬ・・・エルドラドでは・・・この国では魔法は全て使えぬハズじゃ!?」

 

「言っても対抗手段がないから話してやるよ。正確には別に使えないワケじゃない、ただ私が使って良い者を選んでそれ以外の者が使えないだけだ」

 

 

私の言葉にダンブルドアは絶句するしかない、それもそうだろう。私がその気になれば敵を丸裸にしたうえでこちらだけ使い放題だ、これが攻略不可能と言われたエルドラドの防御機構の内の1つだ

 

 

 

 

だがまだ半信半疑らしい、だから証拠を見せてやろう

 

 

「使えるようにしてやろうか?(パチン)ほら、もう使えるぞ?」

 

 

 

杖を急いで取り出し魔法を使いだす

 

 

(・・・アレがニワトコの杖か・・・うん、イラネ)

 

「何ということじゃ・・・これなら・・・ッ!!」

 

「あぁ、ヴォルデモート陣営のみ使えなくしてお前達のみ使えるようにもできる・・・が、そもそもだ、私は誰にもつく気は無い」

 

「なぜじゃ!?」

 

「ヴォルデモートの支配する世界に興味も無いし、お前の語る正義はあまりにも安っぽい。ペラッペラなんだよお前」

 

 

 

これは原作の時から思っていた。正義を語りハリーを犠牲に?しかも決めた後も後悔に揺れていた?なんとハリーに不誠実だろうか・・・

 

 

犠牲を是とするなら迷うべきではない

犠牲を非とするなら絶対に守り通すべきだ

私は国王としてそう教わった

 

 

片や20世紀最高の魔法使いと言う名の「ただのレジスタンスのリーダー」

片や国を導く王としての道を歩む私

 

もとからお互いに理解などできるはずがない

 

 

「まぁホグワーツに入学している間は生徒くらいなら守ってやるよ、目的も果たさないといけないし」

 

「・・・目的?それは一体・・・」

 

「お前が心配することじゃあ無い。そもそも私は国連にも加入している王だぞ?他国の子供に手なんぞ出せるか」

 

「ではなんじゃと言うのじゃ・・・」

 

「一つは見聞を広める為だ。もしかしたら我が黄金円卓の席次が1つでも埋まるかもしれん。・・・あぁ!安心しろ?お前程度はいらん」

 

「・・・じゃろうな、儂程度の魔法使いがその席に座れるとは到底思えん」

 

「最低でも私の代はホグワーツ創設者くらいの力量は欲しいな」

 

「・・・無理じゃろ?」

 

「あぁ、無理だな。あともう一つは・・・」

 

 

 

「・・・もう一つは?」

 

 

 

 

 

「_____私のフィアンセを探すことだ」

 




屋敷僕は妖精さんなので「じゃあ1500年生きてもいんじゃね?」と
このように

エルドラド王国は国連にも加入している表でも有名な国です
国民はマグルと魔法族が魔法の存在を知った上でごく普通に生活
しています


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黄金と預言者新聞

夜が投稿できないので今のうちに


日刊預言者新聞独占インタビュー

 

 

 

 

~『魔法族の真の王族!?その名は『黄金』!!』~

 

 

 

 

すでにこの新聞を手に取った者は知っているだろう!!なんと今年のホグワーツにエルドラド王国国王であらせられる第79代エルドラド王国国王ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア陛下がご入学されることが決定した!!

 

ホグワーツ側に問いただすもダンブルドアは黙秘。理事に問い合わせると理事長であるルシウス・マルフォイ氏がこの事実を肯定。しかも氏はあのウィラトリア国王とも懇意にあるというから驚きだ!!(詳しくは記事を参照にされたし)

 

 

もはや隠すまでもないが読者の諸君は知っているだろう、そう!!陛下はあの予言に刻まれた「黄金の君」であり史上2人しかいない「偉大なる黄金」を冠している

 

ゆえに我々預言者新聞は長年謎に包まれたエルドラド王国に取材を敢行、そして独占インタビューに成功した!!

 

まず王国に着いた我々は伝承通り魔法が使えなくなった!!

この国ではマグルも魔法族も関係なく普通に共存して生きている。

諸君等には分からないだろうが、魔法が使えない恐ろしさを我々は確かに味わったのだ!!(確かめたい方は行ってみるべし)

 

次に我々を歓迎したのは国民だ!取材道具が全て魔法道具だった我々は一切取材できなくなっていた。だが彼らはそんな我々に快くペンや羊皮紙を与えてくれたのだ!

 

街はとても美しくまさにエルドラド(楽園)だった!我々記者団も家族がいなければ仕事を忘れ永住していただろう

 

美男美女が多く、普段はマグルの観光客で溢れているらしい。

街を見下ろすように建てられているのは彼ら「黄金」が住まう黄金宮「クレーリア城」だ!!

誰もが一度は読んだことがあるであろう初代黄金が書き残した「あぁ、我が愛しきクレーリア」に書かれたとおり、遠目から見てもこれ以上ない美しさだった

 

あまりの美しさに立ちすくんでいると我々に声がかけられた!そこにはこれまた有名な世界最古の屋敷僕妖精であるシャドウ殿がいた(いくら屋敷僕と言ってもこれほどの存在に敬称を付けないワケにいかないし、取材に行く前にダンブルドアやマルフォイ氏から口酸っぱく言われた)

驚くことに彼は普通の屋敷僕と違いボロを着ておらず、上等な執事服に身を包んでいた

我々は彼にも取材を敢行した

 

 

__その服は?____

 

「ウィラトリア様からいただいたものでございます。代々黄金の君が変わると新しい主より服をいただく決まりになっておりますゆえ」

 

 

__今までに変わった服は?

 

「30代前ほどでしょうか、東洋の「ブシドー甲冑」なるものをいただきました。見た目はゴツかったですが普通の甲冑と比べ動きやすかったです」

 

 

__ウィラトリア陛下に何かご不満は?

 

「申し訳ありませんが国の情勢に関わるのであまり言えませぬ、・・・しいて言うならもっと我々をこき使ってほしいですな。あの方は我々に対して優しすぎる」

 

 

__・・・イギリスや他の国の屋敷僕の扱いについて何か思うことは?

 

「特には、彼らがあの生き方を選んだことも理解しておりますし・・・まぁ言えることはエルドラドはいつでも屋敷僕を受け入れるということくらいですな」

 

 

__最後に・・・初代黄金の君について何か一言

 

「・・・最高の主にして最高の騎士団長でございました・・・クレーリア様を、我々を決して見捨てず国を建国なされた・・・偉大なる我が君。しかし・・・至高の君は間違いなくウィラトリア様でしょう。あの方の才は初代黄金の君に勝るとも劣りませぬ」

 

 

エル・ドラド家が代々黄金円卓を築くことは有名だ。しかもシャドウ殿は唯一初代から円卓に入ることを許された存在だ(円卓は黄金が変わるごとに同じく変わる)

 

更にこれは後から判明したのだが・・・ウィラトリア陛下を名前で呼び、「我が君」と呼ぶ事を許されているのは円卓内でもシャドウ殿だけだ。この事実だけで彼がいかに重要なポストについているかお分かりいただけるだろう!!

 

 

 

たくさんの使命に燃えた屈強な兵士達を横目に我々は巨大な城門を潜り抜けた。するとそこには・・・_____まさにエデンが広がっていた・・・

 

どうか文字で伝えることのできない我々を許してほしい!!だがしょうがないのだ、それほどまでに美しい大庭園が広がっていたのだから(白黒写真でもこの美しさは伝わることだろう)

 

再び目を奪われる我々にこれまた再び声がかけられた(シャドウ殿ではない)

声に反応し正気に戻った我々記者の目の前には・・・___今代の『黄金の獣』が

 

 

「獣殿、どうされた?」

 

「シャドウ殿、黄金の君がお待ちです。少し急いで連れてこられよとの命令が」

 

 

___我々を横目に談笑を始める黄金の獣殿(彼に名は無く「黄金の獣」こそが名だ)

『黄金の獣』__それはかの名高き黄金円卓最強の称号、黄金の君の最側近しかその名を名乗ることが許されていない

 

彼もまたまさに「黄金」の名が相応しい容姿だ。そのローブに見え隠れする肉体は服の上からも黄金律に彩られていると分かる

容姿端麗で歩く度、金糸が宙を舞う。彼を黄金と呼ばずして誰を呼ぶのだ

 

ではこちらです__とついに我々は「魔法界_至高の景色10選」にも選ばれたクレーリア城に入った!!

 

目の前を獣殿が歩いてくれた為、こちらにも取材を敢行する

 

 

__あなたにとってウィラトリア陛下は?

 

「我等円卓の第1席次、黄金の君に仕えることは至上の喜びにてございます」

 

 

__名前を呼ぶことは許されないとお聞きしていますが?

 

「そのとおりです。黄金の君の名を円卓内で呼ぶことを許されるのはシャドウ殿だけです」

 

「ついでに補足するのなら『我が君』と呼ぶことも・・・ですな」

 

 

__・・・たった今シャドウ殿が補足された内容にご不満は?

 

「とんでもない!!シャドウ殿の功績は我々円卓が束になっても敵いません!!それに黄金の君を名で呼ぶなど恐れ多すぎて・・・」

 

 

__・・・もしかしてイヤイヤ円卓に入ったのでh「記者殿・・・?」__ッ!!?しっ、失礼しました!!

 

「当たり前です!私は黄金の君との勝負に敗れ、自ら仕えさせてほしいとお願いしたのです!!・・・本来「黄金の獣」も私以外の者のほうが・・・」

 

「無礼であるぞ獣殿、其方を置いて獣の称号に相応しい者はおらん。それに其方は我等が黄金の君が見定め獣となったのだろう?ならば誇られよ」

 

「・・・申し訳ありません、失言でしたシャドウ殿」

 

「よい、其方は本来、我々円卓のまとめ役なのだぞ?私のような末席に二度といわせるな」

 

 

__・・・こちらも失礼しました

 

「いえいえ、こちらも醜い所を・・・さっ。他にご質問は?」

 

 

__では、黄金の獣殿は・・・人間ではない・・・と

 

「えぇ、今は人化の術でこのナリをしています。というか円卓内は人間のほうが少ないですよ?」

 

 

__もしかして獣殿は人狼ですか?

 

「・・・あのような下賤な輩達と同じにしないでください、違います。たかだか人狼ごときが名乗れる程、この黄金の獣の名は軽々しくありません」

 

 

__ではご種族は?

 

「申し訳ありませんが国の戦力を明かすことになるので・・・でも1つ言えることがあるとすれば・・・私は「神殺し」の力を持っています」

 

 

 

__っ!?それはどういう・・・!?

 

「これ以上はちょっと・・・黄金の君からもこれ以上は言うなと言われているので・・・さぁ、こちらです。つきましたよ?」

 

 

話に夢中になり過ぎて来た理由を忘れていた

気付けば我々は玉座の間の前まで来ていたのだ!!

 

誰かがゴクリとツバを飲み込む音が聴こえる。それもしょうがないだろう

扉を隔てた先に・・・今代の黄金の君がいるのだから!!

 

 

「ウィラトリア様、シャドウでございます。お客様方をお連れしました」

 

「うむ、入れ」

 

 

__まだ幼い少女ゆえの甲高くも心地よい声色が耳に響く。あぁ、声までもが黄金なのかと思っていると扉が開き

 

 

 

 

____我々は遂に黄金を視界にとらえた

 

 

 

豪華な玉座に座り頬杖を突きながら足を組んでいた。普通なら背伸びした子供にしか見えないが・・・黄金は違った・・・

豪華に着飾ってはいるが全て彼女の美しさの前では彼女を彩る演出にしか過ぎない。その美しいまでの四肢は色白く、将来を考えずにはいられない

その髪は伝承通り黄金に輝き、その瞳もまたあり得ない程に黄金を讃えていた・・・

 

 

誰かが呟いた「あれはまさしく黄金だ」と、確かにそうだ。それ以外に彼女を表す言葉が見つからない

 

 

気付けば我々は陛下を前に跪いていた・・・本能が悟ったのだ「あれには誰も勝つことが出来ない」と

 

ここに来てようやく我々はこの部屋に充満するおびただしい量の魔力に気づいた

 

・・・感じた者の感想は・・・はっきり言って「理解不能」だ。20世紀最高の魔法使いと称されるダンブルドアでさえ彼女の前では赤子同然だろう(これは決してかの国に対するリップサービスでは誓って無い)

 

 

「・・・いつまでそうしているつもりだ?」

 

「黄金の君、魔力!魔力!すごい漏れてますから!」ヒソヒソ

 

「がはは!!流石は黄金の君!見ろ!顔を青くしてらぁ!!」

 

「アラン殿、相手は陛下のお客人ですぞ?失礼な態度をとられるな」

 

「仕方ねぇよ、アランの旦那だぜ?まぁお前の意見には賛成だがなニール」

 

「あなたも口がなってないですよトグサ」

 

「・・・獣殿」

 

「黄金の君の御前ですよ?皆口をつぐみなさい」

 

「まぁいい、というか魔力か、忘れていたな・・・ほら、これでだいぶラクになったろう?面てを上げろ、私が許す」

 

 

その声にようやく身体が動き、前を見据えると・・・陛下の横に獣殿とシャドウ殿を含めた8人の腰に黄金の剣を差した__黄金円卓が並んでいた

 

 

「よくこんな所まで来たな。魔法使いにとってこの国は死地となんら変わらないのに」

 

 

__ __ッ!!陛下におかれましては・・・

 

「よい、省略しろ。悪いが私もまだまだ子供とはいえ忙しいんだ、私の質問に答えてからそちらの質疑応答といこう。__どうしてココに来た?」

 

 

__記者ですので・・・

 

「ふむ、なるほど・・・仕事を全うする者は好ましいな」

 

 

__それに・・・そちらが受け入れてくれたのでまず大事にはいたらぬかと・・・

 

「まぁそうだな、こちらから受け入れてキズを付けてお返しするワケにはいかん。イギリスとの国交になにかあってはいかんしなぁ」

 

では次だ

 

「どこまで答えてほしい?__そちらから提示せよ」

 

 

そう言いながらニヤニヤとこちらを見定めだした!!・・・正直我々はこの仕事を受けたことを非常に後悔した。だってそうだろう?相手は子供とはいえ国王・・・それも音に名高き「黄金」だ!!陛下はあぁ言われたが次の瞬間首がとんでもおかしくないし、我々のせいで予言に言われた「偉大なる黄金」をイギリスの敵にしてしまうかもしれないのだ!!

 

 

__・・・陛下が答えれる分で充分でございます

 

「うむ、まぁ無難だな。少しつまらないが・・・まぁ職務に忠実な諸君等に応えるとしよう」

 

 

__あっ、ありがとうございます!

 

「よし!存分に聞いてこい!あっ、スリーサイズと体重は聞くな?明日魔法省がどうなっても知らんぞ?」ニッコリ

 

 

__もっ勿論でございます!!

 

「さぁて、何が聞きたい?」フフン

 

 

__では・・・前国王であらせられるジブニール陛下とお妃であらせられるオレンシア様はいずこに?

 

「・・・なんだ、そんなことか。今回卿等は私を取材しにきたのだろう?だから呼んでない」

 

 

__心配はされなかったので?

 

「当たり前だ!いくら私が11歳とはいえ1国の王だぞ?卿等の相手は私一人で充分だ」

 

 

__では・・・彼らが陛下の円卓で?

 

「そうだ、私が世界中を巡り1人1人選んだ」

 

 

__腰の剣は?

 

「我がエル・ドラド家に伝わる円卓の証だ、私が授けた。最も、シャドウだけは初代黄金が授けたがな」

 

「我が君、それでも私がお仕えするのはあなた様のみでございます」

 

「分かっている、皆も私の期待に応えろ」

 

「「「「はっ!!」」」」

 

 

__もしかして剣は国宝では?

 

「そうだな、以前大英博物館が1本1億ポンドで売ってほしいといわれたが・・・冗談じゃない。何故家宝を売らねばならん」

 

 

__億っ!?ゴホン・・・彼らは皆人外ですか?

 

「いや?人間はトグサを含めて3人だな、悪いが他の者達の種族は明かせないぞ?」

 

 

__勿論でございます。何故エルドラド王国では魔法が使えないのですか?

 

「うーん・・・まぁいいか。神秘は更なる神秘の前に太刀打ちできないことは知っているな?」

 

 

__えぇ、まぁ

 

「そういうことだ。エル・ドラド家は1500年以上続く最も古い一族だ、我が家に伝わる魔法で全ての魔法を打ち消しているにすぎない」

 

 

__・・・それはどんな魔法使いも?

 

「ついこの間ダンブルドアが来たが何もできなかったしなぁ。現にヴォルっゴホン闇の帝王(笑)もこの国に何もできなかっただろう?」

 

 

__・・・聞いてはいけないことを聞いたような・・・

 

「危なくなったら我が国に家族を連れて逃げてこい、私が許す。勿論この記事を読んでいるであろう者達もな」

 

 

__我が国の聖28一族について何か一言

 

「ルシウスに頼まれたか?まぁいい・・・お前達の真の王はここに在り__以上だ」

 

 

__その・・・マルフォイ氏との関係は?

 

「友人だよ、よくお茶を飲む。そちらではどう思われているか知らないが、少なくとも私は良き友だと思っているよ」

 

 

__結構こちらに?

 

「あぁ、この前私から行こうか?と聞いたら全力で首を横に振られてなぁ・・・伝えてくれ、結構キズついたと」

 

 

__必ず。陛下は有名であらせられますから

 

「ホントだよ、預言者め!よくも私の予言なんかしたな!?」

 

 

__陛下はご自身の予言を知っておられるので?

 

「知ってるよ、ったく、お前等の上司なんかうっとうしいぞ?こんな少女のどこがそんなに怖いんだ?」

 

 

__・・・円卓の皆さまが俯いておられますが・・・

 

「あん?何だお前達、言いたいことがあるならハッキリ言え」

 

「イエ・・・ナンデモナイデス」ダラダラ

 

「・・・正直獣殿を倒した時点でもう人間じゃないと言うか・・・」

 

「本能がこの人に逆らうなと言うか・・・」

 

「よし!お前等、後で覚えとけよ?」

 

「「「「「ヒィィィイ!?」」」」」ガクブル

 

 

__そっそういえば陛下はホグワーツに入学されるのでしたね!

 

「ん?あぁ、やっと本題に入ったか」

 

 

__なぜホグワーツに?

 

「知らん、ある日突然届けが来た。大方、ダンブルドアが予言を恐れて少しでも私と接点を持ちたかったのだろう」

 

 

__・・・今の話は聞かなかったことに・・・

 

「好きにしろ、どうでもいい」

 

 

__では同じ年に入学すると噂される「生き残った少年」について一言!

 

「ポッター家の者か・・・まずは哀悼の意を・・・卿のご両親は真の英雄であらせられる。常、そのことを忘れるな・・・」

 

 

__・・・あの、本人については?

 

「はっきり言って興味はない。あれはご両親が守られただけであって、あの者は何もしていないだろう?あれは闇の帝王(笑)がただ自爆しただけだ」

 

 

__ですが生き残っただけでも凄いと思います

 

「そうか?私なら赤ん坊の時でもあんなやつの魔法はこの血が跳ね返すだろうし、今なら全盛期でも普通に倒せるぞ?」

 

 

__そっ、それはエル・ドラド家の者だけだと・・・そういえば陛下は杖はもうお持ちで?

 

「あぁ、我が家に伝わる家宝を削り出した特注品だ。私しか使えんよ」

 

 

__素材をお聞きしても?

 

「とある聖遺物・・・とだけ言おう」

 

 

__聖っ!?・・・分かりました、これ以上は聞きません

 

「そうしろ、寿命を縮めたくないだろう?」

 

 

__もう必要品は買われたので?

 

「いや、いくつかは今度ダイアゴン横丁で買うつもりだ・・・とくにペットがなぁ・・・中々難しい・・・っておい、何でそんなにお前等目を輝かせる?とくに獣、お前が正体を現したらただのラグナロクの再現になる」

 

 

__学校にはお一人で通うのですか?

 

「勿論・・・と言いたいが流石に立場がなぁ・・・我が円卓を数名連れていく」

 

 

__そうですね・・・アナタ様は国王であらせられますから

 

「うん、もうこのくらいかな?もういいか?」

 

 

__はい!!貴重な体験をありがとうございます!!

 

「こちらこそ、卿等との会話は楽しかった。また取材があれば前向きに検討しよう」

 

 

__っ是非!!本当にありがとうございます!

 

「なにか土産物でも渡したいが・・・何か欲しいものは?」

 

 

__・・・では・・・許されるのならば陛下のお写真を

 

「うん?そんなもので良いのか?もっとこう「金持ってんだろう!?」とか「お宝よこせ!!」とかじゃないのか?」はて?

 

 

__そんな!?滅相もない!!お写真だけでも充分ですっ!!

 

「うーん・・・まぁ卿等がそれでいいのなら・・・私も女の子なんだ、可愛いく撮ってくれよ?」

 

 

__勿論でございます!!では____

 

「いえーい!」ニコっ

 

___パシャリ

 

 

__これは!?・・・家宝にしても?

 

「あはは!大袈裟だなぁ!イギリス人はリップサービスがうまい、よし!私がホグワーツに入学する真の目的を言ってやろう!」

 

 

__ __!?そのような事が!?

 

「うん、と言うかそれのみが目的と言っていいな」

 

 

__ではお聞かせください!

 

「主な目的は2つだ。一つは見聞を広め、我が黄金円卓の席次を埋めるためだ。王の仕事はただ玉座に座すだけに非ず常に国外にも目を向けねばならない、黄金円卓もそろそろ1席くらい埋めたいからな、ちょうどいい」

 

 

__そういえば陛下は第1席次でしたね

 

「ついでに言えば騎士団長でもあり、国の最高戦力でもある」

 

 

__遮ってしまい申し訳ありません、2つ目をお願いします!

 

「これが一番重要だ、2つ目は・・・____私の婚約者を見つけることだ」

 

 

__・・・え?今なんと・・・?

 

「聞こえなかったのか?婚約者!フィアンセだよ、フィ・ア・ン・セ!」

 

 

__なっ!?なぜ?まだ早すぎるのでは!?

 

「そうか?お前等の「聖28一族」なんぞ子供が生まれた瞬間には決まるだろ?流石に国民の男性と結婚する気は起こらないしなぁ」

 

 

__陛下は結婚願望をお持ちで?

 

「当たり前だ。私の代でエル・ドラド家の血を絶やすワケにはいかん、良い殿方が見つかればよいが・・・」

 

 

__・・・ちなみに理想は?

 

「・・・家族を大事にしてくれる人がいいな、子供好きだとなお良い。最低でも5人は欲しいな!大家族ですごしたい!」

 

 

__年齢や血筋については?

 

「どうでもいい、何なら80過ぎのジジィでもいいし、赤子でもいい。私を愛して子供を授けてくれるならそれで充分だ」

 

 

__血筋にはこだわらないと!?

 

「おいおい、我が家系を見ろ。何度もマグルと交わっている、まぁ大半は他国の王族だがな。血なんて我が黄金があれば充分だ、現に父上と母上は恋愛結婚だし、歴代も全員そうだ。エル・ドラド家は政略結婚なんぞせん」

 

 

__しっ、失言でした!平にご容赦を!!

 

「・・・まぁいい、さっ、帰られよ。楽しかったのは本当だ、また会う日を楽しみにしている」

 

 

__ __ッ!!はい!!ありがとうございました!!

 

 

 

 

ウィラトリア陛下は文面からも分かる通りとても気さくな方で、あれぞまさに王!!という感じであった!!

しかし驚きだ!!まさかご入学される目的が婚約者探しとは!!

陛下はあぁ言われたが、どうか読者の皆よ、勘違いだけは起こしてくれるな。彼のお方は我々のような庶民ではとても手が届かない!!(撮られた写真を見れば一目瞭然だろう)

 

まさに至高、まさに黄金と形容するしかない美貌の持ち主を一体誰が手にするのか!?

 

 

我々はこれからも取材を続けるつもりだ!!

 

 

 

「~特集『エルドラド王国独占インタビュー』より~」

 

 

 

 

 

 

___その日、日刊預言者新聞は初の1日売り上げ部数が1200万を突破。特にウィラの写真は切り抜かれ、多くの者がポスターに引き伸ばし、街のいたるところで新聞を取り合い喧嘩する男達の姿が見れたとかなんとか・・・____

 

 




黄金の獣の容姿は水銀と出会う前のラインハルト卿と
ほぼ変わりません

黄金円卓はウィラを含め9人です


赤子でもいい←( ゚Д゚)マジで!?


ウィラはかなりの美少女です

そのうちウィラの絵も描きたいと思います

感想など待ってます


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黄金と杖職人

・・・作者の目が腐ったんでしょうか
一晩明けると評価がオレンジとなりお気に入りの数が
エライ増えてます

本当にありがとうございます!



__今、私はついにイギリスの土を踏みしめ『ダイアゴン横丁』を歩いている・・・が

 

 

「・・・どうしてこうなった・・・」

 

 

「陛下ァァア!!」 「キャー!!写真よりカワイイー!!」  「サインください!!」  「これ!息子のプロフィールです!!」  「ウィラトリア陛下―!!」  「キャー!!獣様ぁー!!」  「獣様よぉー!!」  「獣殿ぉ!!これ!息子のプロフィールです!!」

 

 

周りには人、人!人!!えぇい!!うっとおしいッ!!

 

「しょうがありません、黄金の君は存在さえも黄金ですので」

 

「黙れ獣、キサマが素顔をさらすからこうなったんじゃないか」

 

「それは黄金の君もです」

 

「何故王である私がコソコソしなきゃならんのだ」ふんっ

 

 

今回獣しか連れて来なかったのは失敗だったなぁ・・・仕方がない__

 

 

「__我が獣よ」

 

「はっ!」

 

「__跳べ」

 

「御意」

 

 

そう返された瞬間__私の身体は宙を舞った。特に驚くこともない、獣に抱えられ地上30mくらいの場所にいるだけだ(まぁ先程まで周りにいた者達は口を開けて見ているが)

 

 

(取材で買い物すると言ったのは失敗だったかな?)

 

 

てかなんだアレ・・・なんでイギリスの魔法使いが我が国の国旗を持って待ち構えているのだ!?お前等は極東の国民か!?確か私って怖がられてるんだよな!?それともアレか!?そうやって私を油断させて暗殺しようってか!?えぇいおのれ魔法省とダンブルドアめッ!!(酷い風評被害)

 

 

 

 

「黄金の君、これからどちらに?」

 

「そうだなぁ・・・」

 

(ホグズミートはまだ行く気ないし、買い物も正直ほとんど揃えてんだよなぁ・・・有名な場所を取りあえず見て回るかな?ほら、私って一応ファンだったみたいだし?)

 

 

「まずはオリバンダー杖店に行こう」

 

「ですが黄金の君はもう杖をお持ちで・・・」

 

 

そう、取材でも話したとおり私は自分の杖を持っている。・・・しかも杖本体は裏庭にあった2000年以上前から生える神樹(種類は古すぎて分からなかった)杖の芯は聖遺物・・・何と聖槍を削り出したものだ(黄金とか言うからあるかな~?と宝物庫を探してみれば、まさかホントにあったとは・・・)

 

しかもコレ、メチャクチャ精神汚染してくる・・・なんだよ、「我に身を捧げよ」とか「プロテスタントの雌豚共がッ!!」とか、お前実は本体マフラーじゃね?と何回思ったことか!

私?この程度全然ヨユーですケド?私を汚染したければその3倍は持ってこい!!

 

 

「ただの観光さ、それに・・・うまくいけば会えるかもしれない」

 

「__?誰か意中の殿方でも?」

 

「まさか、ただのファンだよファン」

 

「まぁ分かりました、しっかり捕まってください!」

 

獣が一気に急降下しだす。が、私は一切捕まらない。獣も理解しているらしく、あぁ言いながらも私をしっかりと壊れ物を扱うように優しく腕に抱きしめる

 

 

 

 

 

(・・・ここか)

 

 

{オリバンダー杖店 ~創業 紀元前382年}

 

 

(・・・本当に本のとおりだ・・・今更だが私本当にハリポタの世界に生まれたんだな)

 

店の外見はとても営業してるとは思えないほど古く、今にも崩れ落ちそうだ

 

「・・・黄金の君、本当に入られるので?言いたくはありませんが・・・ここは『黄金』にはふさわしくありません」

 

「我が獣、この店には敬意を払え。少なくとも我が家系よりも更に古い、ここには歴史が刻まれている」

 

「失礼しました」

 

「よい、私を思ってのことだろう?よい、私が許す」スっ

 

~チリンチリン~

 

扉を開ければ埃っぽさについ顔をしかめそうになるが、我慢だ。これもまた歴史の重み、そしてハリポタ世界の醍醐味だ

 

そう考えていると部屋の奥からドタバタと急いでこちらにやって来る音が聴こえる

獣が私を守ろうとするが彼を押しのけ前に出る

 

 

 

 

「__おっ、おぉ!!陛下・・・ッ!!」

 

「初めましてかな?オリバンダー老」

 

「ッ!!陛下におかれましては・・・」

 

「よい、ご老人を跪かせる趣味などない。それに今はプライベート、ここにいるのはただのウィラトリアだ」

 

「・・・では」

 

スっと立ち上がりこちらを見下ろす

 

(クソっ、身長が小さいのも考えものだな、首が痛い)

 

 

するとこちらの状態に気づいたのか軽く腰を曲げてきた!流石英国、紳士の国だ

 

 

「・・・悪いな」

 

「いえ、こちらこそ見下ろす形で申し訳ありません・・・本日はどうして我が店に?」

 

「なに、我が国でも卿の杖はよく耳に届くのでな。済まないが・・・買うつもりはない、だが見ていいか?」

 

「おぉ!!なんたる光栄!!ささっどうぞですじゃ!!先程から杖達も陛下に心良く平伏しております!」

 

「・・・本当に杖の声が聴こえるのだな、説明が欲しい、卿の杖を私に紹介してくれ」

 

「分かりました!!ところでそのう・・・そちらの方が噂の?」

 

「あぁ、我が獣だ。紹介しろ」

 

「では・・・初めましてオリバンダー老、私は黄金円卓第2席次、『黄金の獣』でございます」スっ

 

「おぉ!!これはこれは!!いやはやアナタ様も凄まじい!!店に入られた瞬間杖達が一斉に恐怖に怯えましたからな!!」

 

「・・・お前何かしたか?」

 

「いえ、別になにも」

 

 

 

そうこうしているとオリバンダーが喜々として杖を取り出し見せてきた

 

(やっぱ折角来たんならアレ聞かないとな~、ファン失格だよ)

 

 

「オリバンダーの杖は一本一本、強力な魔法を持った物を芯に使っております。一角獣のたてがみ、不死鳥の尾の羽根、ドラゴンの心臓の琴線。一角獣も、ドラゴンも、不死鳥もみなそれぞれに違うのじゃから、オリバンダーの杖には一つとして同じ杖はない。もちろん、他の魔法使いの杖を使っても、決して自分の杖ほどの力は出せないわけなのです」

 

 

(そう!!これこれ!!)

「ほう?手に取っても?」

 

「ぜひ!!アナタの記事を読んだときから一度でいいから我が杖を振るってほしかったのですじゃ!!」

 

そう言って杖を渡してくる

 

「本体は柳、芯は1角獣の角、しなやかで乙女に従う」

 

振ってみると瞬間杖が霞となって消えた

 

「なんと!では本体は柊、芯はヴィーラの髪の毛、我儘だが強い」

 

振るうと確かにこちらに逆らうのを感じる

 

「・・・生意気な」

 

軽く魔力を込めると粉微塵になって消えた

 

「おぉう・・・このようなことが起こるとは・・・っ」

 

「あー店主?もういいから・・・」

 

「なりませぬ!!もう一度だけ!!もう一度だけチャンスを!!」

 

「あっハイ」

 

 

凄い剣幕で見てくるから素で返してしまった。すると奥のほうから戻ってき、その手には2本の杖が___

 

 

(待て、片方の杖は・・・ッ!?)

 

「この2本はかなり持ち主を選ぶ、さぁ、陛下」

 

「・・・そっちは?」

 

「おぉ!!流石お目が高い!!本体は柊、芯は不死鳥の尾羽根」

 

(・・・やはりハリーの杖か、流石に壊れるかもしれないしなぁ・・・)

 

「もう片方は?」

 

「ッ!!こちらは・・・出したものの流石の陛下でも・・・」

 

「よい、早く言え」

 

「では・・・本体は月桂樹、芯は・・・神獣「フェンリル」の抜け落ちた毛の化石でございます・・・」

 

 

その言葉に後ろを振り向けば照れながら獣が笑っている

 

(このヤロウ!!これが分かってたから私を入れたくなかったのだな!?)

 

 

「・・・かつてフェンリルが封印された場所に長年通ったこのオリバンダーの誰かが作ったものです」

 

「年代は?」

 

「それが分かりませぬ・・・正直このような杖を誰が使えましょうか・・・その気になればこの杖の持ち主は神でさえ殺すでしょう」

 

「だろうな。ダンブルドアもヴォルデモートでも使えまい」

 

「当然です。黄金の君以外が触れた瞬間殺してますよ」

 

「__?獣殿は何かご存知で?」

 

「さぁ?何のことやら」

 

「試してやろう、柊のほうはいらん。どうせ私の魔力には耐え切れん、月桂樹をよこせ」

 

「でっですが陛下・・・っ!?」

 

「くどい、このウィラトリアが神殺しをとくと味わってやろう」

 

 

初めは戸惑っていたが・・・私の気に耐えられなかったのだろう、うやうやしく献上してきた

 

 

 

 

__握ってみれば何とおもしろい!コイツ、この私を喰い殺そうとしてきやがった!!

・・・だから教えてやろう、思い出させてやろう

 

 

(仕える喜びを・・・この私の狗になる悦びをなぁ!!)

 

「・・・跪け、誰の許しを得てこの私を殺そうとしておる?」

 

 

 

先程よりも濃密に魔力を杖に流し込む・・・すると___どうだ?

 

 

 

 

 

「・・・そんな・・・まさかっ!?」

 

 

 

「・・・く、ふふっ、はは!アハハハハハハ!!よい!実によい!!おい獣!!お前は本当に忠犬だなぁ!!惚れ惚れするぞ!?見ろ!うって変わって今度は私にすり寄ってくるぞ?クハハハっ!!」

 

「我が魂、我が肉体、勿論毛先1本でも全ては黄金の君の為に存在しますゆえ」

 

「あっ・・・あり得ん!!フェンリルが!?神獣が人に媚を売っておる!!杖が陛下を恐れておる・・・!?」

 

「当たり前だ、我こそは『黄金』。王とは神の上にすら立つ頂点であるがゆえ」

 

(さてと・・・)

 

「悪いがオリバンダー老、この杖は破壊する。このような物存在するだけで害悪だ」

 

「・・・でっですがそれはアナタに懐いて・・・っ」

 

「狗は1匹だけでいい、しかもなんだコレは?簡単にケツ振りやがって、このアバズレが!!」

 

「・・・黄金の君・・・?」シュン

 

「お前じゃない杖だ、どっちにしろ・・・これは人の手に余る。オリバンダー老、良いな?」

 

「・・・アナタ様以外に誰が使えましょうか?・・・その杖はもうアナタ様の物ですじゃ」

 

 

 

その言葉を聞き届け全力で魔力を開放(・・・・・・・・)する、・・・オリバンダーが「杖が!?杖が全部死にかけておる!?」とかなんとか言っているが無視だ無視

 

 

 

「・・・悪いが私の獣は一人だけでいいんだ、それに私以外にお前が使われるなんて許容できん、許せ」ボソっ

 

 

最後のトドメと言わんばかりに更に魔力を上乗せする。すると____

 

 

 

 

 

__パキィィーン_______

 

 

ガラスのように透明になり、粉々に砕け散った

 

(・・・やはりこの程度じゃ無理・・・か)

 

 

 

 

「済まないなオリバンダー老、今回壊した分は全て返済しよう。好きな金額を言うといい」

 

 

「・・・なんと恐ろしいお方じゃ・・・陛下、アナタ様の魔力に耐えられる杖とは一体・・・」

 

 

恐る恐るこちらを伺いながらもその眼は我慢できない子供のようにギラついている

 

 

 

 

「・・・いや、金額を「そんなものどうでもよいですじゃ!!」・・・えぇ~」

 

「お金などいりませぬ!!それよりも儂はアナタ様の杖が見たい!!どうかっ!老い先短い老人に情けと思って・・・っ!!」

 

「・・・どうされますか黄金の君?」

 

「う~ん・・・触らないと誓えるか?」

 

「勿論ですじゃ!!陛下の使われる杖なら国宝も同然!!儂のような、いち杖職人にはとても!!」

 

「そういう意味じゃないんだが・・・まぁ何とかなるか」

 

 

 

言いながら羽織ったローブの内側に手を突っ込む・・・相変わらずマジうるせぇ、テメェ厠に捨てるぞオォン!?

 

 

「ほら、これだ」スっ

 

「__ぉおお!?こっ、これが!!陛下しか持つことを許されぬ・・・!!名は・・・名はなんと!?」

 

「エクスキャリヴぁ(ゴホン)いや、とくには。私の次の代が生まれたら捨てる気マンマンだし」

 

「そんな勿体ない!!・・・本体は!?」

 

「裏庭に2000年以上生えている神樹だ、悪いが名は知らん」

 

「なんと!?あの「魔法遺産100選」に名を連ねるあのご神木ですじゃと!?」

 

「あぁ・・・というかその「魔法遺産100選」とか「魔法界_至高の景色10選」とか殆どウチじゃないか」

 

「・・・芯は・・・本当に・・・」スッ

 

「おっと!触るな?精神が汚染されるぞ?」ヒョイ

 

「___っは!儂は何を・・・」

 

「芯にある聖遺物に中てられたな、まったく、油断も隙もない杖だ」フンっ

 

「・・・何の聖遺物か聞いても?」

 

「聖槍だ、欠片を埋め込んである」

 

「・・・それほどでなければ・・・いや、陛下なら納得ですじゃ」

 

「あぁ、・・・できれば私の全力に耐えられる別の杖が欲しかったが・・・」ぽりぽり

 

「・・・ご容赦くださいですじゃ、そのような杖は・・・我々人類には不可能ですじゃ!!」

 

「おーい、私も人間だぞー?・・・ってなんだその顔、「マジで!?」って顔するな!!特に獣!!お前は正真正銘の人外だろうが!?」

 

「いや、私を屈服させるなんて神でもありえませんでしたよ?」

 

「当然だ、私は王だぞ?」フフン

 

「いやはや・・・本当に貴重な体験ができた・・・陛下、ありがとうございます」スっ

 

「よい、私も楽しめた。国に帰ったらさっそく宣伝しよう「オリバンダーの名に嘘は無し」とな」

 

「__ッ!!光栄の極み!!」

 

「ではなオリバンダー老、長生きされよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に締めくくり外に出てみれば・・・

 

 

 

 

 

 

「あ~やっぱりこうなるか・・・」

 

 

 

 

 

大勢の魔法戦士とファッジ魔法省大臣がそこにいた____

 




横丁の人達が歓迎した理由は
恐ろしいと噂されていた黄金の君が新聞のおかげで
以外とお茶目だと分かったからです


ウィラ「この杖ウゼェェェエエエエ!!!!」←だからエクスキャリヴァー


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黄金とにゃんこ先生

夏目友人帳とは関係ありません


どーしよっかなぁー

 

 

私はオリバンダー老の店から次の目的地「マダム・マルキンの洋装店」の店に歩いて・・・そう!この私が歩いて!!向かっている

 

 

まぁ、正直歩く事はいいんだ、嫌いじゃないし国内を見て回る時も国民と同じ目線で考える為に歩くことを心がけている

 

 

 

 

(・・・うっとうしいな)

 

周りの一般魔法使いが私に気づき騒然としている

 

 

(・・・まぁこの状況では・・・な)

 

 

「___国王殿!!お止まりください!!陛下!!」ズカズカ!

 

 

先程オリバンダーの店で魔力を開放したことによって居場所がバレたのだろう、ファッジと大勢の魔法戦士らしき者達がずっとついてくる。・・・はっきり言って私に媚を売ろうとしているのが見え見えで不愉快だ

 

 

「うるさい、それに今の私はただのウィラトリアだ、ただ歩いてなにが悪い」コツコツ

 

「何をしているお前達!早くウィラ陛下をお止めしろ!!」

 

「ほう?それがイギリス流か、王のプライベートを邪魔するとは・・・女王もさぞかし大変だろう」

 

「黄金の君、どうされますか?何なら私が・・・」

 

「たわけ、お前は国の最重要機密だぞ?この程度で正体を晒すな」

 

「__失礼しました・・・」

 

「よい、・・・しかし・・・流石に民の迷惑か」

 

 

 

立ち止まり再び彼らに囲まれる

私は一般人に迷惑をかけるつもりはない。それは暗君であって名君ではない

 

 

 

(ゆえにヴォルデモートが嫌いなんだが・・・ダンブルドアも似たようなものか)

 

 

 

「やっ、やっと止まってくれた!お久しぶりですウィラトリア陛下」ゼーハー!

 

「ファッジ魔法省大臣、久しいな。さっさと本題に入れ、私は買い物の途中だ邪魔するな」

 

「いえ、我々は陛下の買い物が少しでも円滑に済むようにと!」

 

「卿等の所為でちっとも進まん、周りを見ろ。こんな少女を大勢の大人で囲んで・・・目立ちまくっていると何故気づかん」

 

「そっ、それは!?我々はただ!護衛をと・・・っ!!」

 

「獣がいる。それで充分だ」

 

「・・・ファッジ殿?先程の発言はこの黄金の獣を馬鹿にされたのですか?」

 

「ちっ、違う獣殿!!私はっ!!」

 

「そもそもだ・・・一体誰が私を狙う?ここは魔法省のおひざ元、卿の管轄だ。何か問題でも?」

 

「うっ!?・・・い、いいえ・・・」

 

「・・・卿の心配など起こらんよ、むしろ卿等がいるほうが起こりそうだ」

 

「・・・ッ!?」

 

「自らの足で歩き民草と触れ合うことも王の務めだ、帰られよ。私に卿等の国の在り方を特と見せろ。よいな?」

 

「しっ、しかし・・・」

 

「・・・私としては再び魔法省と国交を再開してもいいと思っていたが・・・ふーん」

 

「なっ!?・・・わっ!分かりました・・・!!」

 

「ん~聞こえんなぁ~?」

 

「お前達!引くぞ、陛下の買い物を邪魔するな!!」

 

「しかし大臣!!」

 

「早くしろ!!陛下の気が変わる前に!!・・・ウィ、ウィラ陛下?これでよろしいので?」

 

「うむ、あぁそれと・・・もし私のフィアンセ探しを邪魔してみろ?」

 

「・・・どうなるのですか?」ゴクリ

 

「別に?・・・ただ_____魔法省をこの世から抹消するだけだ」

 

 

 

 

すごすごとファッジ達が帰って行く。すると______

 

 

____ウォォオオオオオオ!!!

 

 

「(ビクゥ!?)なっ!?何だ!?」

 

 

「ウィラ陛下バンザーイ!!」  「超クールだよアンタ!!」  「陛下―!ウチで買い物してー!」  「俺の息子は良い男だぞー!」

 

 

急に周りで見ていた者達が騒ぎだした!・・・少し王としての覇気を出しすぎたかな?

 

 

「えぇかなり、ですがそれでこそ黄金の君でございます」

 

「・・・私の心を当たり前のように読むな、えーとスマン!通してくれ!今日中に買わなきゃいかんのだ!」

 

 

「うぉおお!かわええー!!」 「陛下お声もカワイイー!」

 

 

「__っええい!ラチが空かん!!こうなったらッッ!!「お待ちなさい!!ウィラ陛下!!」ッ!?この声は・・・!?」

 

 

声に反応して振り向けば黒いローブを翻し、歳を感じさせぬ確かな足取りでこちらに向かってくる___マクゴナガル女史が

 

 

「ウィラ陛下、杖をしまいなさい。我等がイギリス国民に手を出すことは許しません!」

 

「・・・勘違いしてくれるなマクゴナガル女史、私はただ「姿くらまし」をしようとしただけだ」

 

「・・・それだけの魔力を込めてですか?」(なんという・・・ただ相対しているだけで飲まれそうだわ、これが・・・『黄金』!!?)ゴクリ

 

「魔力は仕方ない、これでもかなり抑えてるんだ勘弁してくれ」

 

「なっ!?これでですか!?・・・ここから先は私が案内します。周りの者は速やかに陛下に道を空けなさい!!」

 

 

そうピシャリと言った瞬間に人ゴミが左右に分かれる・・・スゲェ、なにコレ私もしたい

 

 

 

 

そのまま獣を引き連れて3人で歩いていく__が正直私の心境は

 

 

(すげー!マクゴナガルだ!やっべぇ超カッケェ!!背筋ピーンて!ピーンてしてるよ!?信じられるか!?この人ハリポタ随一の萌えキャラだぜ!?ふぉおおモフモフしてぇぇええ!!)

 

 

 

 

「・・・マダム・マルキンの所でよろしかったですね?」

 

「ん?あぁ、まさか副校長である卿に案内されるとは」

 

「アナタ程のVIP、それも現国王なのですからこれでも無礼にあたるのではと内心冷や冷やしてますよ」

 

「いや、今は完全なプライベートだし今年から私も卿等の生徒になるのだ、今の内に私の扱いに慣れたほうがいい」

 

「・・・本当にホグワーツに?あの記事はどこまでが真実ですか?」

 

「全てだ、円卓探しもフィアンセのことも」

 

「・・・本当に大変でした、ホグワーツでフクロウがどれだけ過労で倒れたと思いですか!」

 

「知らんよ、それに私の予言が出回った時なんかもっとすごかったらしいぞ?」

 

「・・・知っていることも真実ですか・・・」

 

「なんだ、卿はそれを確認しにきたのか?それともこれはダンブルドアの差し金かな?」

 

「いいえ、違います。アルバスは私が今陛下といることすら知りません」

 

 

__どうやら本当のようだ、というかダンブルドアは私が開心術を使えることを言ってないのか?先程からだだ漏れだぞ?

 

(まぁ言わなくていっか、そのほうが入学したときおもしろそうだし)

 

 

「さて、つきました。申し訳ありませんが人払いはしておりません」

 

「よい、許す、案内ご苦労。マクゴナガル女史、ここで出会ったのも何かの縁だ、何か欲しい物は?」

 

「・・・私を買収するおつもりで?」

 

「そんな卑怯なことはせんよ、本当に好意だ。さぁ、申すがよい」

 

「・・・では」ゴクリっ

 

 

__ん?何故獣をチラチラ見ている?おい!?頬を赤らめるな!?萌えるぞ!?いいのか!?国王が婆さんに萌え殺されるぞ!?

 

 

「おっ、黄金の獣様!!」

 

「はい、何でしょう?」

 

「記事を見たときからずっとファンでした!あの・・・サインをください!!」バッ

 

「えぇ、構いませんよ(サラサラ)はい、どうぞ」スっ

 

「ありがとうございます!家宝にしますわ!!」

 

 

・・・スキップしながら帰っていくマクゴナガル。うわ~周りもドン引きじゃん

 

 

 

「・・・よかったな、いいよなお前!私なんかサインねだられたことないんだぞ!?」

 

「黄金の君がサインなんかしたら下手すれば王令になるじゃないですか・・・」

 

「それでもしたいんだよ!?何なら「黄☆金」だけでもいいから!!」

 

「そんなの書いたら円卓内で取り合いか殺し合いが始まりますよ?まぁ最終的には私が勝ちますが」

 

「フンっ、もういい!早く入るぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやらマクゴガナルが連絡していたらしく私が入店してもマダム・マルキンに混乱は見られなかった、ただ・・・・

 

 

「まぁ!さすがは陛下!!どんなお召し物もお似合いですわ!!」

 

「・・・あの」

 

「さぁさぁ!次はこれを!__まぁ!素敵!!どんな物も似合いすぎて迷ってしまいますわ!!」

 

「・・・あのっ」

 

「黄金の君の髪の毛は本当に美しいですわ!!伝承通りにして記事に偽りなし!!安心してください!!宮廷服職人に負けないよう全力を出させていただきますからっ!!」

 

「あのっ!!・・・私、ホグワーツの制服を買いに来ただけなんですけど・・・」

 

 

さっきからずっと着せ替え人形だチクショーメ!!

 

 

しかし・・・ホントに腕は良い、喋りながらもちゃんと寸法は正確だし店内に見える服のデザインも悪くない、なにより・・・

 

 

「良い生地だ・・・」

 

 

そう、生地も私に合わせ特上だ!手触りなんか普段着となんら変わらん!

 

 

 

「マダム、これほどの生地をどこで?」

 

「いえいえ!陛下がホグワーツにご入学なされるということで、・・・もしかしたら当店をご利用なされるかもしれないと思い、少し奮発しましたわ!」

 

「だろうな、中々だ・・・イタリア産か?」

 

「流石は陛下!素晴らしいご慧眼です!こちらはイタリアから急いで入荷いたしました!」

 

「いや、マダム、卿の腕も素晴らしい。何よりも売りつけようとせず、本当に似合う服を探そうとするその心意気がまた良い」

 

「いっ、イヤですわっ陛下!何だか急に暑く・・・」パタパタ

 

「謙遜なされるな、卿の腕は我が宮廷服職人にも決して負けん・・・どうだろうか?私に仕えぬか?給料は弾むぞ?」

 

「ごっご冗談をっ!」

 

「冗談ではない、私は欲しいと思ったらすぐに行動しなきゃ気がすまん。して、返事は?」

 

「__・・・申し訳ありません陛下、失礼ながらお断りさせていただきますわ」ペコリ

 

「ふむ、理由を聞いても?」

 

「私の至上の喜びは当店をご利用なされた生徒様方がこれでホグワーツに入れるんだ!と喜ぶ顔を見ることでございます。そしてその子が大きくなり子を儲け再び当店をご利用なされる・・・これこそが職人にとって最も満たされる瞬間でございます」

 

「____素晴らしい、・・・分かった諦めよう。こちらこそ無礼を働いた、許してほしい」ペコっ

 

「あっ!?頭をお上げください!!」

 

「いや、これに王位は関係無い。一人の人間の誇りを一人の人間が穢すとこだった・・・済まない」

 

「おっ!お願いします!!分かりました!!分かりましたから!!」

 

「__ありがとうマダム、ではいち客として注文があるのだがよいか?」

 

「えぇ!お任せを!!」

 

「制服は他の者と変わらぬ生地にしてほしい、たまには下の者の召し物を着ることも良い経験だ」

 

「・・・分かりました!その代わり寸法は完璧にさせていただきます!!」

 

「うむ、そして・・・ローブの生地からデザインの全てを任せたい。金の心配はするな?いくらでもかけよ」

 

「・・・え?よろしいので!?」

 

「あぁ、ただあまり豪華にはしてくれるな?欲しいのは今私が着ているようなのではなく、シックで落ち着いていながらも品位あるローブだ、頼めるか?」

 

「__そうせよ、とご命令を」

 

「悪いが卿は臣下でもなければ国民でもない、ゆえに頼むのだ」

 

「では、必ず!!一度でいいから王族の方に私の手がけた服を献上することが夢だったのですわ!!」

 

「入学までには間に合わせてくれよ?あと出来しだいでは私の代のみでよければ王室御用達店にさせてもらおう」

 

「・・・はい?」

 

「じゃあな、楽しみにしている」

 

 

 

 

マダム・マルキンの店を出て暫く後になにやら絹を裂くような悲鳴が上がるが・・・まぁこのダイアゴン横丁では日常茶飯事だろう(たぶん、きっと、おそらく、めいびー)

 

 

 

 

「黄金の君?流石にリップサービスがすぎたのでは?」

 

「いや、あれは本当にプロ中のプロだ。それにたまには別の職人が手掛けた服も着たい、女の子なんだ、オシャレもしたいし・・・宮廷服職人には悪いが最近飽きてきた」

 

「・・・国に帰れば彼らが泡を吹いて倒れる姿が目に浮かびます」

 

「何もクビにするワケじゃない、公務用の服は流石に彼らにしか任せんよ」

 

「次はどちらに?」

 

「そうだな、ペットショッpッ!?」

 

遠くに巨大な毛むくじゃらが見える、そしてその足下にはクセ毛が特徴的な少年が・・・おそらくこちらを向けばメガネをかけているはずだ

 

 

 

 

 

 

(・・・そうか、彼も今日だったのか)

 

「___黄金の君?」

 

「・・・なんでもない、行くぞ我が獣。ペットになるかもしれん動物を脅すなよ?」

 

「それは了承しかねます、第一・・・黄金の君は確か動物に嫌われやすいはずでは・・・?」

 

「っぅ~!!うるさい!!バカぁ!!」

 

 

 

その後のウィラ

 

「見ろ猫だ!にゃ~ん♪」

 

「・・・」プルプル

 

「黄金の君が話しかけておられるのですよ?何と不敬な」ゴゴゴ

 

「」ぽっくり

 

「猫ちゃんが死んだ!?この人でなし!!」

 

「人じゃないので」

 

 

「ネズミとカエルか・・・アルヴィーが食べるかな?」

 

「黄金の君、流石にそれは酷すぎるかと。ですが彼女なら黄金の君からいただいたものは何でも食べると思いますよ?」

 

「・・・やめた!円卓がネズミを食べてましたなんて知られたら事だ」

 

「飼うという選択肢は無いのですね」

 

「だってネズミとカエルだし」

 

 

「フクロウか・・・おっお前は賢いから私が優しいって分かるよな・・・?」ス

 

「ケーっ!!ケーっ!!」バサバサ!!

 

 

 

「うぅ・・・獣ぉ!!」うわーん!

 

「ペットはまた今度ですね」よしよし

 




ぬこから見たウィラ__シャモ星人から見たブロリー

ネズミ(ハハッ!)&カエル__((っぶねぇぇぇぇええええええ!!?))

フクロウ__コイツはやべぇ!!生まれついての王だ!!王族クセェ匂いがプンプンしやがるぜぇ!!飼われたら最後ッ野生の本能を忘れちまうッッ!!この女王にはそれだけの『凄み』があるッ!!


感想など待ってます


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~賢者の石編~
黄金と主人公


ようやく主人公が出せます
(ウィラとは一切絡みませんが)


僕の名前はハリー・ポッター

今まで叔父さんや叔母さん、従兄弟のダードリー達ダーズリー家に引き取られずっと虐められながら生きて来たけど、ある日を境に人生が全部変わった!

なんと僕の両親は魔法使いで僕自身も今年からホグワーツという魔法学校に通うことが決まったんだ!!

 

ハグリッドという毛むくじゃらの巨人なような人(でもすごく優しんだ!)に連れられて「ダイアゴン横丁」という魔法の街で買い物(パパとママがお金を残してくれていた)をし、至る所で「生き残った男の子」と呼ばれてハグリッドに真実を教えてもらった

 

パパとママの事、ヴォルデモートの事、僕の傷の事、魔法界での僕の扱いの事

 

・・・正直信じられなかったけど全部ホントだった

 

そして僕は今、ホグワーツ行きの汽車に乗ってホグワーツに向かっている

 

 

(途中『黄金の君は!?乗ってないのか!?』とか、とにかく黄金、黄金ってなんのことだろう・・・?)

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇハリー聞いてる?」

 

「っ!・・・ごめんロン、考え事してた」

 

彼はロン・ウィーズリーこの汽車に乗ってすぐに友達になってくれた!

彼は生まれながらの魔法族で僕が知らないことをいっぱい知っていてすごく面白い!

 

 

 

「いや、いいよ。でもムカつくよなー!何なんだよ!あのハーミーとか言うヤツ!!偉そうに言いやがって!!」

 

「うん、確かにあんな言い方されたらムカつくよね。ところでロン、1つ聞きたいことがあるんだけどいいk「やぁ(ガララ)ここにハリー・ポッターがいるって聞いたんだけど」・・・君は?」

 

「僕はドラコ、ドラコ・マルフォイさ」

 

「ッ!?・・・マルフォイ家のやつが一体なんのようだ!?」

 

「ふん、お前はウィーズリー家の者だな。相変わらずムカつく赤毛だ、やぁ、君がハリー・ポッターかい?」

 

「うん、そうだけど・・・」

 

「こんなヤツと付き合うことはない、どうだろうか?僕が友達を紹介してあげるよ」スっ

 

「・・・いいよ、友達なら自分で選べるから」

 

「__っ!?」

 

「よく言ったハリー!!で、さっき何を聞こうとしてたの?」

 

「うん、みんなが言ってる『黄金』ってなに?」

 

「__っ!?君は『黄金の君』を知らないのか!?」

 

 

__?どうしたんだろう?ロンもマルフォイも凄い顔でこちらを見てくるけど・・・

 

 

「・・・はっ!こいつは驚いた!まさか英雄様はかの王族も知らないとは」

 

「・・・王族!?」

 

「そうだよハリー・・・こんなヤツと同意見なのはイヤだけど・・・『エルドラド王国』っていう国くらいは聞いたことがあるよね?」

 

「うん、ドーヴァー海峡に浮かぶ島国でしょう?観光地として有名だって」

 

「そこの王族は1500年以上続く古い魔法使いの家系なんだ、ヨーロッパで最も古い家系だよ」

 

「えぇ!?でもあそこ、マグル達も普通に知ってるよ!?国連にも加入してるホンモノの国だし!!」

 

「ふん、かの国は特殊でね、うまくマグル達から隠れているんだ。まぁ僕の場合、父上に頼めばいつでもいけるからね!ウィーズリーは可哀想に、父上のようにコネさえあれば」

 

「どういうことだマルフォイ!!」

 

「おや?ウィーズリー家は新聞さえ買えないのかな?あの記事はかなり有名なのに」

 

「あぁ読んだよ!!どうせお前の父親がウソでたらめを書かせたんだろう!?」

 

「ッ!!あれは全て真実だ!!父上は逆に記者団を止めたんだぞ!?」

 

「ねぇ!一体なんの話をしてるんだ!?」

 

「ハリー!いいかい?今年はハリー・ポッター!生き残った男の子!つまり君がホグワーツに入学する以上にビッグニュースがあったんだ!!」

 

「それってなんだい?」

 

「ふん、簡単なことさ。エルドラド王国の現国王であらせられる第79代エルドラド王国国王ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア陛下・・・通称「黄金の君」がホグワーツにご入学されるんだ。正真正銘の国王だよ」

 

「__ッ!?えぇ!?だって・・・国王だろう!?一体何歳なんだ!?」

 

「・・・信じられないだろうけどハリー、僕達と同じ11歳だ」

 

「え!?ちょっと待って!?11歳で国王!?」

 

「正確には女王陛下だ、ハリー、皆お前なんかよりも陛下が乗っていないか血眼になって探しているよ。まったく、馬鹿な奴等だ。陛下は乗っていないというのに・・・」

 

「何故お前が知っているんだマルフォイ!?」

 

「記事にも載っていただろう?父上と陛下は友人の間柄だ。それくらい我がマルフォイ家はいくらでも教えてもらえるのさ」

 

「~ッ!!あぁそうかよ!!、マルフォイなんかと仲良くするなんて・・・よっぽどその女h「ッ!?ウィーズリィィイイイッッ!?」(ビクッ)なっ、なんだよ?」

 

 

 

__・・・急にドラコが大声を出したからビックリした、それはロンも同じだ。でもなんであんな大声を・・・あんなに怯えてるんだろう?

 

 

「ハァーッ!ハァーッ!__ッ!!・・・ウィーズリーお前今何を言おうとした!?」

 

「何って・・・マルフォイ家と仲がいい国なんてロクd「止めろ!!もし黄金の耳に入ったらどうする!?」・・・大袈裟すぎるだろ?何怖がってんだ?」

 

「お前ッ!?お前は自分の父親に何も聞いていないのか!?いいか!?エルドラド王国は1500年以上イギリスとフランスを相手に戦争をして全戦全勝!!あの記事にあったことは全て本当だ!!ダンブルドアでさえ陛下に勝つことは不可能なんだぞッ!?」

 

「・・・どうせ、僕達を脅してるんだろう?馬鹿にするな!!」

 

「・・・いいかこれは本気でイギリス魔法界を心配して言ってるんだ。分かりやすく教えてやる・・・今代の黄金は予言で『偉大なる黄金』と表記されている、ウィーズリー、流石に分かるだろう?」

 

 

 

ドラコがそう言うとロンの顔が一気に青ざめる

 

 

「そんな・・・嘘だっ!!」

 

「嘘じゃない、ホグワーツについたら父親にフクロウを飛ばして聞いてみろ。多分今頃魔法省も職員達全員に言い聞かせている頃だ。そしてポッター・・・」

 

「なっなんだマルフォイ」ビクっ

 

「やはり話について来れてないな、じゃあお前にも事のヤバさを分かりやすく教えてやる・・・お前が倒したとされる『闇の帝王』・・・あの方はお前の家を襲撃したな?」

 

「・・・だったらなんだよ」

 

「・・・あの方の全盛期でさえエルドラド王国には一切手を出せなかった・・・出さなかったんじゃない、出せなかったんだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__マルフォイは最後に

 

 

 

「あのお方を決して怒らせるな、これは正真正銘の親切心だ。僕の家は懇意にしていると言ったが・・・正直、恐ろしくてたまらない」

 

 

と言って出ていった___

 

 

 

 

 

 

 

「・・・クソっ!!『偉大なる黄金』だって!?下手すりゃ最悪じゃないか・・・ッ!?」

 

「ロン、その『偉大なる黄金』って?」

 

「あぁハリー、・・・昔からエル・ドラド家の当主、つまり国王だね。彼らは代々『黄金』の称号を受け継いでいるんだ」

 

「うん、前にテレビでやっていたよ。すごいよね!金髪金眼だなんて!王様もお妃様もすごい綺麗だったよ!!」

 

「あーうん、今回はその娘が入るんだけどね。・・・でね?歴史上たった二人だけ「偉大なる黄金」と呼ばれた『黄金の君』が存在するんだ」

 

「どんな人だったの?」

 

「一人は第10代目黄金の君、彼は魔法界普及の為に生涯を捧げ今から僕達が通うホグワーツを創り上げた創始者4人を育てたお師匠様なんだ!!まさに「魔法界の父」と呼べる『偉大なる黄金』だよ!!」

 

「へぇー!!そりゃすごいや!!」

 

「だろう!?その証拠に魔法界にはマーリン勲章という勲章がある!でも一番上じゃあない!!その名は《黄金勲章》!!歴史上今だ誰一人も受け取ったことがないまさに最高勲章だよ!!」

 

「そんな物があるの!?それで、もう一人は?」

 

「あー、うん、・・・もう一人は初代黄金の君、こっちはマグル達にもすごい有名なんだろう?」

 

「うん、クレーリア城とかの歴史的建造物やエルドラド王国の生みの親だよね?」

 

「彼はある意味歴史上最も偉大で最も悪逆な王だったよ」

 

「え?なんで?」

 

「・・・彼はたった一人で、そう!たった一人でヨーロッパ全土を支配下に置き独裁的で悪逆の限りをつくした最低の魔法使いだったんだ!!」

 

「__ッ!?ヨーロッパを支配!?」

 

「あぁそうさ!!・・・それでも偉大と言われる所以はヨーロッパ全土を支配なんて彼以外誰もできていないし、魔法使いの治める国を建国した功績があまりにも大きすぎるんだ。

だからこの二人をさす言葉として『偉大なる黄金』が使われる・・・なのに」

 

「なのに?」

 

「分からないのかハリー!!今日僕達と同じ学校に入る女の子は3人目の『偉大なる黄金』になることが約束されている!!10代目のような賢君なら問題ないさ!!・・・でも初代黄金のような人だったら・・・」

 

「・・・だったら?」

 

 

 

 

「・・・下手をすれば本当にイギリス魔法界は滅ぼされると思う・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___ふっ、待たせたな!みんなのアイドルウィラ陛下だぞっ☆

 

 

「では父上、母上、行ってまいります」

 

「グスっ、あんなに小さかったウィラがもう学校に・・・ッ!」

 

「あなた・・・この子も大人の階段を昇っているのよ?祝福してあげないと」くすん

 

 

・・・正直少し後悔してる、ホグワーツに入るのは夢だったし見聞を広めるためというのも本心だ

 

でも両親には相談するべきだった、「お前の行動は全て民草の為になる」とあとから肯定してくれたけど・・・せめて国民に是非を問うべきだった

 

 

 

「・・・勝手にホグワーツ入学を決めたこの親不孝な娘をお許しください、・・・でもっ、それでもウィラはっ!!」

 

「安心しろ、大丈夫、私達はちゃんと分かっている。むしろ謝るのは私のほうだ、私がもう少し若ければっ!!」

 

「違いますっ!!父上の所為ではありません!!ウィラが自分で王位を受け継ぐことを決めたのです!!」

 

互いに責任は感じていた。私は国王でありながら国民を置いていく事に負い目を、父は老いてまだ子供である私が王位を継ぐしかなかった事に

 

 

「あなた、ウィラ、その話はさんざんしたでしょう?・・・ウィラ」

 

「・・・はい、母上」

 

「きっとこのタイミングでホグワーツから届けが来たのは運命なのでしょう。ですからしっかり学び、国のため、国民のために大きくなって帰ってきなさい。学び舎とは文字通り学んで帰る所なのですから」

 

「はい」

 

「・・・そうだな、ウィラ、お前はもう国王・・・黄金だ。子供らしく遊び存分に王として、黄金の名に恥じぬ行いに勤めろ」

 

「はい・・・っ!」ぐすっ

 

「辛くなれば私達を思いだせ、前世の記憶に飲まれそうになれば私達が必ずお前を救い出す」

 

「はいっ!!」ポロっポロっ

 

「風邪をひかないようにね?シャドウ達に頼りっきりはダメよ?」

 

「はい、はいっ!!」ずびっ

 

「・・・愛しているウィラ、私達の可愛い娘」

 

「父上っ!母上ぇ!愛してます!!ずっと!!生んでくれてありがとうございます!!」

 

 

 

 

 

__しばし家族で抱きしめ合う

 

 

 

 

 

(あぁ・・・この両親の下に生まれて本当に良かった・・・愛してます)

 

 

 

 

 

 

「さっ!国民がお前の門出を祝おうと待っている!」

 

「行きましょう?第79代エルドラド王国国王ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア」

 

「はい!!」

 

 

 

我が家が誇る大庭園、そこには_____

 

 

 

ウォォオオオオオオオオオオ!!!陛下!!ウィラ!!ウィラ!!ウィラ!!ウィラ!!

 

 

____大勢の国民が私を見送りに来ていた

 

 

「___これほどの数が・・・私を?」

 

「そうだ、これがお前が守ってきた・・・これからも守るべき民草達だ。・・・ウィラ、前国王として其方に告げよう___其方はまことの君主である。ゆえに忘れるな、其方の歩みこそが黄金の道を作り出す。憶するな、自らを疑うな、・・・お前こそが真の「偉大なる黄金」だとこの場にいる全員が思っているよ」

 

 

 

 

 

___もう・・・涙が止まらないっ、私はここまで愛されていたのかっ!

 

・・・初めはハリポタ世界に生まれて喜ぶだけで良かった、王族に生まれ、何不自由なく生きていけると・・・

 

 

 

(__もう一度、愛すべき者達に誓おうっ!!)

 

 

 

涙をぬぐい決意を固める

 

 

 

「___我が円卓の騎士達よっ!!」

 

「「「「「はっ!!」」」」」

 

 

『聞け!!我が臣民達よッッ!!』

 

 

ソノーラス(響け)を使い声を飛ばす(今更だが、国民は全て魔法のことは知っている)

 

 

 

 

『私はこれよりホグワーツという学校に入学する!!しばしの間国を離れねばならん!!』

 

 

「そんな!?」  「陛下ぁ!!」  「ウィラ陛下ぁ!!」

 

『安心しろ!クリスマスとイースター休暇には帰ってくるし私が卿等の王であることに変わりはない!!」

 

 

スゥっと深呼吸をし、今度はちゃんと『黄金の君』へと感情を変える

 

 

『___・・・7年後・・・私は夫となる男を連れ再び卿等の上に君臨しよう』

 

 

気配の変化を感じとり皆が静かになる

 

 

『ゆえに何も恐れるな、卿等の黄金は常に輝いている。この輝きを1000年先まで続くよう、私は世界を見る!!我が(かいな)に抱かれとくと見よ!!我が歩みこそが____真の黄金であることをっ!!』

 

 

 

_____ウオォォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!ウィラ!!ウィラ!!ウィラ!!ウィラ!!ウィラ!!ウィラ!!ウィラ!!

 

 

 

_________さぁ!出発だ!!

 

「アルヴィー!!獣!!シャドウ!!今回は卿等を連れていく!!アルヴィー!!人化を解け!!派手に行こう!!」

 

「まぁ陛下ったらー!ス・テ・キ♪_____ッッ!!!ゴアァァアアアアア!!』

 

 

アルヴィーを本来の、ウェールズの白き龍(・・・・・・・・・)の姿に戻し頭に乗る

 

 

「では行ってまいります!!」

 

「おう!!国政は全て任せろ!!危なくなったら国の守護魔法を解け!!3日くらいなら私も持つ!!」

 

「フィアンセが決まったら一度は見せにくるのですよー?」

 

 

アルヴィーが勢いよく飛び出した!獣が私をしっかり捕まえ、シャドウが認識不可能呪文をアルヴィーに掛ける

 

 

 

 

 

 

「さぁ!!向かうはホグワーツ!!行くぞ!!」

 




ウィラは興奮したり家族だけになると
一人称が「私」から「ウィラ」になります


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黄金と組み分け

お気に入りがとうとう200件突破しおった・・・
黄金の君に変わり感謝の極みを


ホグワーツのみんなー!胃薬の準備はいいかなー?



_____というワケだ。私は列車に乗らず、自分の足でホグワーツに向かう。

え?手紙が届くのが遅いって?ヴァカめッ!!わざとに決まっているだろう!!

 

__追伸

そちらの生徒になれば国王扱いはしなくていい。普通の生徒として接してくれ

 

組み分けには必ず到着する

 

 

   ___第79代エルドラド王国国王ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリアより』

 

 

 

校長室にはそれぞれの寮監が集まっていた。理由は一つ、ウィラが乗っていないと車掌から連絡があったからだ

 

だがその問題もたった今解決した

 

 

「・・・これは本物の手紙ですかな?」

 

「セブルス、間違いないじゃろう。この蝋印は間違いなくエル・ドラド家のものじゃ、更に持ってきたフクロウもあちらの王室用じゃ」

 

「ふむ・・・陛下は意外とお茶目であらせられますなぁ」

 

「フリットウィック教授!冗談ではありません!!どれだけこちらが心配したと・・・っ!!」

 

「まぁミネルバ、落ち着くのじゃ、車掌に連絡を取り、問題ないと伝えてくれぬか?向こうも顔を真っ青にして胃を痛めながら待っておるじゃろう」

 

「分かりました、ちょうどもうすぐ汽車が到着する時間です。直接伝えましょう」

 

「・・・ですがこの手紙はたった今来たのでしょう?組み分けに間に合うのでしょうか?」

 

「分からぬ、じゃが・・・必ず来るじゃろう」

 

「なぜ分かるので?」

 

「スプラウト教授、ウィラ殿はこう言っておるがそれでも1国を背負う国王には変わりない。嘘はつかんじゃろう」

 

「分かりました、では伝えてきますので」

 

「頼んだミネルバよ、さて、先生方も行こうとするかのう。組み分けの準備をせねばならん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハリー達1年生の組み分けが始まった

 

それぞれの名が呼ばれ、寮が決まるたびに大きな拍手があがる

 

「___グリフィンドール!!」

 

__ウォォオオオオ!! やった!! ハリーを取ったぞ!!

 

魔法界の英雄、ハリー・ポッターがグリフィンドールとなりその日一番の歓声が上がる

 

だが一部の生徒や教師陣の顔色は優れない__なぜなら

 

ザワザワ 「陛下は?」 「残りの列にそれらしいのがいないぞ!?」  「1年生の話だと汽車に乗ってなかったって」  「なに!?本当か!?」  ザワザワ

 

___ウィラの姿がどこにもないからだ

 

 

最後の1年生が呼ばれ、さぁ組み分けが終わろうとした時___扉が開き・・・ついに『黄金』が現れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____時間は少し戻り

 

 

 

 

___「えぇい!!この馬鹿者!!ワイバーンなんか放っておけばいいだろう!!」

 

『え~だって陛下―、ワタシがいない間にあいつ等調子こいて飛んでんだよー?追いかけたくなっちゃうじゃーん!』

 

「黙れこの白トカゲ!!遅れたらお前のせいだぞ!?」

 

超絶美少女ウィラ☆ただいま遅刻の真っ最中(マジでふざけるな!!)

 

「黄金の君、そろそろ本当にお時間が危ういです」

 

「クソっ!シャドウ!!あとどれくらいで着く!?」

 

「おおよそ20分程度かと、おそらく組み分けもそろそろ終盤でしょうな」

 

「なに!?もっと急げアルヴィー!!間に合うと私が言ったんだ!!私に恥をかかせる気か!?」ゲシゲシ!!

 

『蹴らないでぇ~!分かったからー本気出すからー!』

 

___ゴウッッ!!___

 

 

 

「・・・これならなんとかなるか?」

 

「えぇ、本当にギリギリでしょうが」

 

「まぁいい、組み分けにさえ間に合えば文句はない。シャドウ、私の身なりを整えろ」

 

「仰せのままに我が君、・・・ほう?良いローブですな」

 

「あぁ、マダム・マルキンは本当に良い仕事をしてくれた。名簿に書いてくれ、私の得意先にする」

 

「__黄金の君、見えました」

 

 

獣の言葉に見てみれば、すでに目の前にホグワーツが見える

 

 

「支度は?」

 

「すでに、終わりました」

 

 

アルヴィーから飛び降り人化の術をさせ早歩きで組み分けが行われているであろう大広間へと向かう

何?走れ?ヴァカめっ!王とは常に優雅でなければ!!(って前世で見たアニメで言ってたような・・・更にソイツは弟子に後ろから刺されて死んだような・・・うん、勘違いだなきっと!)

 

 

 

「獣、もう一度身なりを確認しろ、私に恥をかかせるな」カツカツ

 

「・・・完璧です」

 

 

その言葉に頷き扉を獣とアルヴィーに開けるよう促す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰もが目を見開いた___『黄金』がついに現れたからだ

 

 

 

 

 

生徒の名前を呼んでいたマクゴガナルがまず正気に戻りその名を呼ぶ

 

 

 

「・・・第79代エルドラド王国国王ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア・・・陛下」

 

「おいおい、卿は生徒に敬称をつけるのか?すまないがやり直してほしい」

 

普通の声量で喋ったはずなのに耳にしっかりと心地よい音色が響く。まさに記事にも書かれていたとおり声まで黄金だ

 

「__・・・ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア!!」

 

その言葉に満足するように笑みを浮かべ『黄金』が歩みだす

 

誰もがその美しさに目を奪われた__制服は確かに他の生徒と変わらないが、肩に羽織るように掛けたローブは動く度に鴉の濡れ羽のような光沢を演出し金糸で編まれた前紐がコツコツと歩く度に彼女の髪の毛と同じ黄金に輝く

 

中央を絶世の美男美女と執事服を着た屋敷僕を連れ、威風堂々と歩く様はまさに彼女が生まれついての王だと誰もが改めて認識するしかない

 

何よりも目を奪われるのは彼女の黄金色を讃えた髪の毛と瞳だ、そして誰もが『黄金』にまつわる一説を思い出す__『彼の者の眼は全てを見通し、その髪まさに至上の宝石以上の輝きなり』__

 

____皆が息をすることを忘れる中

 

 

 

「・・・遅刻ですよ?」

 

「申し訳ない、だが間に合っただろう?」

 

「えぇ、ギリギリですが・・・」

 

「よかった、・・・それで組み分けるのかな?」

 

「____ッ!?おっ、おぉ!!!この魔力!?この雰囲気!!もしや貴女様は黄金の君では!?」

 

「ほう?そういうお前からは私と似た魔力を微かにだが感じる・・・なるほど。組み分け帽、お前は我が先祖が作り出した物だな?」

 

___!?

 

事態を見ていた誰もが驚く。それもそうだろう、組み分け帽子とは創設者達が作りだした物と今まで言われていたのだから

 

「仰るとおりでございます!!私は10代目黄金の君に作られ創設者達4名によって完成させられました」

 

「10代目・・・『偉大なる黄金』か、ホグワーツ建設にも関わったのかな?」

 

「いいえ、ですが・・・」

 

「そこまでです!あなた1人に時間をかけるワケにはいきません!!」

 

「うむ、確かにマクゴガナル女史の言う通りだ」

 

 

そういうと椅子に座り足を組む。それだけの仕草に思わず息を飲んでしまう

 

 

 

「まっ、待ってくれマクゴガナル殿!!私程度が黄金の君を測るなど!?」

 

「よい、許す。この私にふさわしい寮を決めよ、職務を果たせ」

 

「__ッ!!でっ、では・・・マクゴガナル殿」

 

その言葉にマクゴガナルが帽子を乗せる

 

(・・・流石に全部見られるワケにはいかんなぁ、駄目なとこだけ閉心術かけとこ)

 

「・・・うぅむ・・・難しい・・・難しすぎる・・・決められないぞ・・・」

 

 

__5分が過ぎた、俗に言う「組み分け困難者」であると分かりようやく辺りが騒めき始める

 

 

 

「・・・もうしばらくかかりそうか?」

 

「はい・・・申し訳ない」

 

「ふむ、ちょうどいい」

 

そう言うと目の前の生徒達を見渡し

 

「自己紹介といこうか、私は第79代エルドラド王国国王ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア。ウィラと呼んでくれ、敬称はつけなくていいぞ?同じ生徒なんだから」ニコ

 

そう言われても誰もが辛うじて乾いた笑いしか出てこない。それもそうだ、気軽に喋りかけてはいるが相手は正真正銘の王族、それも王様だ。下手なことなど誰が言えようか

 

「むぅ・・・反応が悪いな・・・何か聞きたいこととかあるか?__あぁ!忘れていた、彼らは我が黄金円卓の騎士達だ、私の護衛を務める。おい、自己紹介しろ」

 

「黄金円卓第5席次、アルヴィーでーす!みんなよろしくネっ☆」

 

「黄金円卓第12席次シャドウと申します。まぁ、まだ9人しかいませんが」

 

「黄金円卓第2席次、黄金の獣です。黄金の君をどうかお願いします」

 

 

 

 

だが誰も何も反応することなどできない、流石に見かねたマクゴガナルが___

 

 

「・・・皆さん、これは滅多にない経験です。何か質問なさい、あなた方はこれからの7年間ずっとこの調子でいくつもりですか?」

 

「・・・感謝する、マクゴガナル女史」

 

「あなたに感謝されるなんて光栄の極みです。・・・さぁ!!早く質問をなさい!!__パーシー・ウィーズリー!!」

 

「えぇ!?僕ですか!?」

 

「あなたは栄えあるグリフィンドールの監督生でしょう!?この場を借りて他国の王に勇気を見せなさい!!」

 

「ぅえ!?はっはい!!陛下!!ごっ!ご質問をおよろししいでですか!?」ガクガク

 

「おーい、しっかり喋ろ。あとウィラで良いといっただろう?もう1回」

 

「~っはい!!ウィラ様!!ご質問があります!!」

 

「・・・まぁ及第点だな、よい、許す」

 

「汽車に乗っていなかったと聞きましたがどうやって来たのですか!?」

 

「あぁ、ここにいる騎士達は人間ではない、人化の術をさせていてな、アルヴィーに乗ってきた」

 

「その・・・アルヴィー様の正体を聞いても?」

 

「・・・まぁいいか、流石に獣はダメだが・・・アルヴィーはドラゴンだ。ウェールズ地方に伝わる伝説の白い龍だ」

 

その言葉と共に見せつけるようにアルヴィーは尻尾を出し、皆騒然とする

 

「あっ・・・ありえないでしょう!?」

 

「まぁ信じる信じないは卿等の自由だ。・・・パーシー・ウィーズリーとか言ったな?」

 

「っ!?はっ、はい!!」

 

「よくぞ私に問いを投げてくれた、卿の勇気を私は讃えよう」

 

「__ッ!!はい!!ありがとうございます!」

 

「__・・・ええい!!グリフィンドールなんかに負けてたまるか!!ウィラ様!!私はスリザリン監督生のマックリー・フォウリーと申します!!」

 

「よい、許す」

 

「はっ!記事にあった内容は全て本物でしょうか!?」

 

「あの日刊預言者のか、そうだ。私はフィアンセを探しにホグワーツに入学した」

 

「レイブンクロー監督生チャールズ・ディエゴと申します!!フィアンセに何か条件などは!?」

 

「くはは!いいぞ!こういう雰囲気は嫌いじゃない!!条件は記事のとおりだ。私を愛してくれて子供を5人程生ませてくれればそれでよい。子供好きならなおよい!卿が立候補してみるか?」

 

「いっいいえ、恐れ多い・・・///」

 

「ハッフルパフ監督生カリアス・クラールと申します!!ウィラ様はすごくお綺麗ですが何か特殊な美容法などをしているのですか!?」

 

「いいな!質問が女の子らしい!美容法か・・・とくになにも?あまり偉そうだから言いたくないが王族が綺麗なのは当たり前だ。それに・・・卿も充分魅力的で綺麗だと思うぞ?」

 

「はぅっ///!?」バタン!  「おい!しっかりしろ!?」  「駄目だ・・・落ちたな・・・」

 

「・・・ウィラ陛下「ウィラだ」・・・慣れませんね、・・・ミス・エル・ドラド?そろそろ決まったのでは?」

 

「そうだな、どうだ帽子?」

 

「・・・無理です・・・黄金の君を決めることなどできません・・・」

 

「・・・そうか、まぁもういいがな」

 

そういうと組み分け帽子を外し、席を立った

 

「マクゴガナル女史、ダンブルドア校長殿」

 

「・・・何じゃろうか?ウィラ殿」

 

「この学校の生徒達はおもしろいなぁ、決めた!まずは1週間ごとに寮を変えさせてくれ!それから私の入る寮を決めよう!!いかがかな?」

 

「なっ!?・・・校長」

 

「ううむ・・・難しい、しかし・・・部屋はどうするんじゃ?エルドラド王国から毎日通うワケにはいかんじゃろう?」

 

「問題ない、さっきついでに組み分け帽子の記憶を覗いt「なんですって!?」__そんなに驚かなくていいだろう?マクゴガナル女史」

 

「組み分けを覗いた!?ありえません!!一体どれほどの防御魔法がかけられていると・・・」

 

「なぁに、簡単な話さ」

 

言いながらマクゴガナルの眼を覗く

 

「我が黄金の瞳は全てを暴く、ダンブルドアに聞いていないのかな?」

 

(・・・っ!?まさかこの子!?開心術を!?)

 

「正解だ、まぁ普段から使うつもりはないから安心したまえ。逆に私の中を覗くなよ?__国賊として処刑してやる」チラッ

 

「」ゴクっ

 

「・・・まぁまず覗くことは不可能だろうよ。さて、校長殿。部屋は問題ない、すでにある」

 

「・・・どういうことじゃ?」

 

「どうやら創設者達が黄金が来た時用に専用部屋を作ったようだ、だから問題ない」

 

「__!?そんなものが!?本当か!?組み分け帽!?」

 

「あぁ・・・確かにある。3階廊下の中央、黄金の魔力がないと現れない仕組みとなっている・・・まさか私の防御機構が破られるとは・・・」

 

「殆ど部屋の情報しか見ていないから安心しろ。我が黄金の名に誓って見たものは誰にも喋らぬよ」

 

「・・・信じましょう」

 

「・・・一番初めの寮はどこがいいかな?___おっと、忘れてた。おい!ハリー・ポッター!!」

 

ウィラの言葉に一斉に視線がハリーへと集まる

 

「なるほど、そこか」コツコツ

 

ウィラが歩きだし、ハリーへと向かうと二人に間に居た生徒達がモーゼのように道を空ける

 

(うっはww何コレwwwでも少し寂しいな・・・)

 

「(ゴクっ)・・・なっ何でしょうか?ウィラトリア陛下・・・」

 

「はぁっ、・・・何回言えばいいんだ。ウィラでいいウィラで。まぁいい、卿がハリー・ポッターか?」

 

「はっ、はい・・・」

 

「別にとって食ったりせん、あまりビクビクするな。私が虐めてるようじゃないか・・・」

 

「ごっ!ごめんなさい!!」バッ!!

 

「あーもう、いいから、頭を上げろ。もっとしっかりしろ!卿は「生き残った男の子」だろうに・・・」

 

「でも・・・僕なにも覚えてないし・・・いや、覚えてないです」

 

「敬語もいい、堅苦しい。今の私は卿と同じホグワーツの生徒だぞ!?友達になるかも知れんヤツに敬語なんて使われてみろ?泣くぞ!?」

 

「・・・へ?・・・泣く?」

 

「そうだぞ!?いいのか!?泣いていいのか!?王様泣かしたらエライことになるんだぞ!?」

 

「っぷ、あはは!なにその言い方!!」

 

「・・・ふっ、ようやく笑ったな」

 

「っあ!?ごっ、ごめんなs「よい」・・・え?」

 

「卿には笑顔がよく似合う。・・・キズを見ても?」

 

「え?うっうん」スっ

 

(・・・コレか)

 

そう思いながらハリーの顔に手を添える

 

 

「ッ///!?なっ///!?ななn「動くな、よく見えん」・・・ハイ」

 

(・・・確かに強いな・・・これが愛の力か)

 

「ヴォルっ・・・闇の帝王に付けられたんだ」

 

「よい、私にとってあの程度恐れるどころか何の価値も無い。__ハリー・ポッター・・・」

 

「はっ、はい!」

 

「卿のご両親は真の勇者であらせられる。そして常忘れるな、卿は「魔法界の英雄」と称されているがまだ何も成していない、これから成していくのだ。よいな?」

 

「・・・はい!」

 

「良い返事だ__・・・汝に幸多からんことを・・・」

 

 

___っ___

 

 

「・・・へ?____・・・ホワァァアアアア///!!?」

 

「嘘だろおい!?」  「ハリーの額にキスを!?」  「キャー!!映画みたい!!」  「ぐぬぬハリーめぇ!!」ギリっ!!  「アイツ、全男子を敵に回したな」  「あぁ!!」

 

「さーて!・・・パーシー!パーシー・ウィーズリーはどこだ!?」

 

「ここです!!ウィラ様!!」

 

「卿もグリフィンドールか・・・校長殿」

 

「__・・・ハッ!?意識が飛んでおった!!なんじゃ?」

 

「最初の寮はグリフィンドールに決めた!」

 

「・・・理由を聞いても?他の寮の生徒が儂を殺さんばかりに睨みつけておるでな・・・」

 

「ハリー・ポッターともう少し話がしたい!だが1番の理由は・・・」

 

「理由は?」

 

「私に1番初めに質問したパーシー・ウィーズリーの勇気に応えたい!!まっこと大儀であった!!」

 

 

 

 

 

 

その言葉を聞き、グリフィンドールの生徒達が間を空けたあと一斉に阿鼻叫喚となる

 

ウォォォオオオオオオ!!! 陛下を取った!! ウィラ様を取ったぞぉぉぉおおおお!!!

 

 

 

 

「よぉパーシー!!俺はお前が兄貴で良かったって初めて思ったよ!!」

 

「あぁ!!真面目が取り柄なパーシー!!マジで本当お前最高だぜ!!」

 

「はっ、はは、僕もう死んでもいいや・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

その後しばらくはハリーと談笑しようやく「ウィラ」と呼んでもらえるようになった(やったぜ)

だがロンや他の連中はまだ私を見てはヒソヒソと囁いている・・・まぁ我慢しよう、これも黄金の君の宿命だ

 

 

 

食事(ぶっちゃけシャドウのほうがうまかった)が終わるとダンブルドアが1年生に様々な注意事項をし、次に全校生徒へ注意を呼びかける

 

 

 

(4階の右廊下か・・・3頭犬くらいワケないしいつか遊びに行くか)

 

「では最後に皆で校歌斉唱じゃ!・・・流石にエルドラド王国の国家は流せんぞ?」

 

「馬鹿にするな、分かりきっておるわ!早くしろ、私はさっさとグリフィンドール寮を見たいんだ」

 

「おぉう・・・まさか生徒に命令される日が来るとは思わなんだ」

 

「はーやーくー!眠いからさっさとしろ!!」

 

 

「分かった、分かったから・・・では、__2、1、ハイ!_____」

 

 

 

 

 

ダンブルドアが杖先から校歌の歌詞を出し、それぞれが思い思いのメロディーを歌い出す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__その日、黄金の歌声に酔いしれた者達が大量に保健室に運ばれたとかなんとか・・・

 




ウィラ胃薬被害者リスト  _車掌(New!) _組み分け帽子(New!) _パーシー(New!)

感想欄で皆様フォイの胃を心配されてますがウィラは基本寛大ですよ?
スリザリンが真の力を発揮するのは来年以降です
(今年?ウィラにとってはジャブ スリザリンにとってはボディーブロー)

額のキスに深い理由はありません「黄☆金モード」のせいです


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黄金と獅子寮

続けて投稿


「ウィラ胃薬被害者リスト」は面白くない止めい!!
という声があればすぐさま無くします




______職員室

 

 

「___まったくあの子は!!歌声まで黄金とはどういうことですかっ!?」

 

「まったくです・・・校長、マダム・ポンフリーが怒りに満ちていましたよ「どんな歌声を聞いたら身体が金ぴかに光出すのですか!?」と・・・」

 

「おぉうスプラウト教授、ポピーには後で甘い物でも持っていこう。・・・流石の儂でもあんなモン予想がつかんよ、まっこと黄金の家系とは恐ろしいのう・・・」

 

「校長、一つ問題があります。ウィラ陛下が点数をとられた場合どうされるので?」

 

「そこじゃよ、セブルス。儂としてもどうしたらよいか・・・」

 

「わっ、私はっ!あっ明日の準備があるのでっ!」

 

「おぉクィリナス、分かった。しかし・・・ニンニクの匂いはちと考えものじゃぞ?」

 

「わっ!分かっていますっ!ではっ!」

 

「では私もこれで」  「おぉう!あれが伝説の!えぇ!私は分かっていました!この私も陛下と同じように偉大な預言しy「はいはい明日の準備をしましょうねー」ズルズル

 

 

 

「うむ、・・・しかし本当にどうしたらよいか・・・フリットウィック教授、何かないかのう?」

 

「そうですなぁ・・・いかがでしょうか?陛下だけ別に点数を持たれるというのは?」

 

「というと?」

 

「陛下が点を取られれば最後の寮杯決めの時に陛下の点を加点する。といった感じです」

 

「しかしそれでは陛下にもしものことがあってはいけません、もし点を入れるよう脅迫などあったら・・・」

 

「いや・・・ミネルバよ、それでいこう」

 

「アルバス!?」

 

「・・・今から話すことはここだけの話じゃ、ミネルバ、セブルス、フィリウス、ポモーナ、よいな?」

 

「「「「」」」」コクっ

 

「・・・ウィラ殿は脅迫されても決して公平な判断を崩さんじゃろう、何より誰が国王を脅すのじゃ?」

 

「しかしアルバス、万が一のことが・・・」

 

「あり得んよ・・・ハッキリ言って儂ですらウィラ殿に勝つことは不可能じゃ。記事に書かれた通り、儂と彼女とでは天と地ほどの開きがある。これは事実じゃ・・・」

 

「__ッ!?・・・まさか闇の帝王でも勝てぬと?校長」

 

「セブルス、それはお主が一番よく知っておるはずじゃ。ヴォルデモートでさえあの国には一切手を出せなかったのじゃぞ?・・・お主も先程試したじゃろう?」

 

「えぇ、開心術を掛けてみましたが・・・」

 

「何か見えたのですか?」

 

「・・・黄金の風景しか見えず、更には気づかれておりました」

 

「なんと!?スネイプ教授の開心術を!?」

 

「・・・やはり予言は本物じゃった・・・彼女は間違いなく『偉大なる黄金』の3人目となるじゃろう」

 

「・・・アルバス、何故陛下をお入れに?最初は耳を疑いましたよ?相手は他国の王族・・・それも現国王なのですよ!?」

 

 

それは職員全員が思ったことだ、あまりにも無謀すぎる。現に今もヨーロッパ中からホグワーツにフクロウが送られてくるのだ

 

 

「・・・初めはヴォルデモートに対抗するため黄金を味方につけようと思うた。相手は子供、こちらから言い聞かせれば何とかなると・・・予言に記された「偉大なる黄金」とヴォルデモートが手を組むことだけは何としても阻止せねば!!と意気込んだ。じゃが・・・黄金は違った」

 

「アルバス・・・」

 

「彼女は強い、強すぎる。その気になれば初代黄金と同じようにヨーロッパを支配するなど簡単なことじゃろう」

 

「アルバス、そうならない為に私達大人がいるのではありませんか!?」

 

「そうじゃ、儂もそう思いウィラ殿に言った「魔法界がどうなってもよいのか!?」とな」

 

「・・・なんと返されたのです?」

 

「「知らん」と、「王とは臣民を第一に考え他国より自らの民草を優先するのは当たり前だ」・・・と。・・・儂の考えが甘かった、アレは生まれついての王じゃ」

 

「そんな・・・」

 

「分かるぞフィリウス、儂も同じ反応をした。じゃが・・・そもそもじゃ、王でもない儂等にあの子の心を理解できるワケがなかったのじゃ・・・それは前国王であるジブニール殿も同じじゃよ」

 

「以前謁見しに行ってましたね?」

 

「11年程前に祝辞と力を貸してほしいと親書を持ってな」

 

「返事は?」

 

「読んだあと目の前で破られたよ、「何も成さず他国の王に縋り付くとは何事か!!」とな、・・・まぁアポも取らずに行ったしのう」

 

「・・・校長、流石に非常識ですぞ?」

 

「儂もどうかしとった。じゃがセブルスよ、儂も予言を聞いてそれだけ焦っておったのじゃ」

 

「・・・コホン、話を少し戻しましょう。何故校長ですら陛下に勝てないと?」

 

「『黄金の血』じゃよ、ハリーにかかっておる守りとはまるで比べものにならん。エルドラド王国と同じように彼女には一切の魔法は効かんじゃろう、それこそ1500年以上前のものでなければ・・・」

 

「そんなもの・・・」

 

「そうじゃ、あるワケがない。このホグワーツでさえ1000年、しかも創設者達を育て上げたのは10代目黄金・・・偉大なる黄金じゃ。更にエル・ドラド家は膨大な魔力でも有名じゃが・・・ミネルバ」

 

「えぇ、以前会った時も異常な量で「姿くらまし」をしようとしていました。漏れ出す魔力だけでアルバス、あなたと同じくらいです」

 

「っ!?ですが先程は何も感じませんでしたぞ!?」

 

「指輪をしておった、以前はなかったが・・・恐らく国宝の1つじゃろう。あれで抑えておるのじゃ」

 

「・・・聞けば聞くほどに常識が崩れ落ちますな、ではアルヴィーという少女も本当に?」

 

「嘘はつかんじゃろう、先程イギリス中のドラゴンやワイバーン達が一斉に怯えだしたと連絡があった。間違いなく「ウェールズの白き龍」じゃろうて」

 

「・・・ちょっと待ってください、確かアルヴィー殿でさえ第5席次なのでしょう!?最低でもその上に更に4人化け物がいるというワケですか!?」

 

「ウィラ殿が第1席次、獣殿が第2席次。・・・間に3と4がおるわけか・・・」

 

「・・・吾輩、急に休みたくなってきましたぞ」

 

「安心しろセブルス、絶対に逃がさんよ、ホグワーツは家族じゃ。幸いウィラ殿はイギリス国民に手は出さんと誓ってくれた。我々もよっぽどのことをせん限り大丈夫じゃ」

 

「それを聞いて僅かながらに安心しましたぞ?テストの答えが違うと言って黄金の怒りに触れたくありませんからな」

 

「あり得んよ、あんな感じではあるが間違いなく彼女は賢君じゃ。国民からも非常に人気は高い」

 

「・・・フィアンセ探しも本当に」

 

「まず間違いないじゃろう。更には円卓を埋める騎士を探すことも」

 

「・・・まさかアルバスを!?」

 

「いや無い。以前ハッキリと言われた・・・「お前程度はいらん」と」

 

「まぁ・・・最低でも「グィバー(白き龍)」でないと無理ですな。・・・考えたら本当に胃が・・・っ」

 

「頼むから倒れてくれるな、お願いじゃから」

 

「とにかく!点数は陛下専用にして最後の寮杯決めの時に加点という形でよろしいですかな?」

 

「そうじゃのう、明日にでも本人に聞いてみるか」

 

「明日のグリフィンドールの初授業は私ですので終わり次第聞いてみましょう」

 

「頼んだぞミネルバ・・・ハァーっ・・・こんなことなら黄金に関わらんほうが良かったかもしれぬ」

 

((((ほんとうにッ!!余計なことを!!))))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フハハハー!!控えろー控えろー!この方をどなたとあらせられる!!第・・・えーと・・・まぁどうでもいいや!!ウィラ陛下であらせられるぞ!!控えろー!!」

 

「ゲハハハー!!お前達も俺達の弟のように黄金人形にしてやろうかっ!?ウィラ陛下を馬鹿にする者は全て黄金人形へと変貌してしまうのだー!!ゲヘヘ!!」

 

「「ロンみたいにっ!」」

 

「うるさいぞ!!フレッド!ジョージ!!お前達もこうなればいいんだ!!」ピカピカピカ!!

 

「「うおっ、眩しっ!!」」

 

__あははははは!!

 

 

現在私はグリフィンドール寮の中にいる。初めはみんな私とどう接していいか分からなかったようだが___

 

「おぉ!!そこにいるのは陛下の作品「黄金のウィーズリー」じゃないか!!それにフレッドって誰だ?ここにいるのは黄金円卓第19次席のブラッドだぜっ!」

 

「皆もこのアホな弟のように「黄金のほにゃらら」にしてやるぜ!!というか俺はジョージじゃないぞ?ここにいるのは黄金円卓第87次席のフォージだぜっ!」

 

「くははは!!よい!実によいぞ!!我が黄金円卓が誇る最強の双子よ!!さぁ!!皆をこの黄金のペンキでジャンジャン金ぴかにしてしまえ!!」

 

「「「ロンみたいにっ!!」」」

 

 

__あははははははは!! 陛下おもしろーい!! いいぞー!ロン!!

 

(本当にこの双子の性格に助けられた、感謝しかない)

 

 

今はグリフィンドールの談話室にみんなで集まってこうして双子とふざけ合っている

 

 

 

 

「いやぁ、それほどでも(照れ)でも本当に悪かったなロン・ウィーズリー、まさか私があんなに音痴だったとは!?全てが黄金に彩られた私にあんな欠点があっただなんて先祖になんと謝ればいいのだ!?」

 

「・・・あーウィラ様?アレはそういう意味じゃ・・・」

 

「そうそう!パースや他の連中が倒れたのはそういうことじゃないって!てか凄ぇよな!どうしたら倒れた連中があんな金ぴかになるんだ!?」

 

「いいなぁ~陛下、イタズラし放題じゃねえか!____そうだ!俺達に協力してホグワーツ中金ぴかにしようぜ!そう!!はいせーのっ!!」

 

「「「「「「ロンみたいに!!」」」」」」

 

「なんだよみんなして!?僕をイジるなぁ!!」ピカー!!

 

「あはは!!いやぁ!学校とはこんなに楽しいものなんだな!」

 

「へ?陛下学校行ったことないんですか?」

 

「うん、生徒を鼓舞するために視察はあるんだけどな?忙しすぎてそんな暇なかったんだ」

 

「いつから国王やってるんですかー?」

 

「ええといつからだっけ?おーいシャドウ」

 

「9歳からですな、ウィラトリア様が黄金の君になられたのは」

 

「9歳から国王!?へぇースゲー!!」

 

「なんでウィラ様は国王になったんだ?」

 

「おい!?フレッド!!ジョージ!!敬語!敬語!!」ピカー!

 

「いや、よいロン・ウィーズリー。というか敬語も敬称も本当につけてほしくないんだ、お願いだから」

 

「でっ、でも!?あなたは黄金の君でっ!!」ピカー!

 

「・・・やはりか、みんな私が怖いのか?」

 

 

私の言葉で一気に空気が静かになる

 

 

(・・・寂しいな、ナルトもこんな気持ちだったのかな・・・)

 

 

 

「・・・確かに私は黄金の君だ、国王だ」

 

「「「「「「・・・」」」」」」

 

「自らの意志でなったし後悔も一切無い、・・・でも、私だってまだ卿等と同じ子供なんだ!みんなと遊んで笑いたいじゃないか!!」

 

「「「「___!!」」」」

 

「・・・友達が欲しいんだ・・・だから・・・」

 

「おいおいウィラ!黄金にそんな顔は似合わないぜ?」

 

「そうだぜウィラ?君には黄金色の笑顔が似合うぜ?」

 

「フレッド・ウィーズリー、ジョージ・ウィーズリー・・・」

 

「「フルネームなんてつまらない!俺達もう友達だぜ?」」

 

「__っ!フレッド!!ジョージ!!」

 

「「なんだいウィラ?」」

 

「__っ大好き!!」ガバッ!!

 

「・・・なぁ兄弟」

 

「何も言うな兄弟」

 

「「もう死んでもいい」」

 

「ズルいぞ双子!!」 「ごめんねウィラ様―!」 「でも様付けだけは許してー?」

 

「うん!全然いい!全然許す!」ぱぁっ!

 

「おおう・・・見ろよ、笑顔まで黄金だぜ・・・」

 

「カッコいいよな、ウィラの「よい、許す」って」

 

「・・・分かったよ、フレッジョの質問に答えてあげてウィラ様」ピカー!

 

「あぁ、分かった!私が王位を受け継いだ1番の理由は父が老いて国の守護魔法を展開し続けるのが難しくなったからだ」

 

「・・・そういえば記事に書いてた、本当にエルドラド王国に入ったら使えないの?」

 

「あぁ、はっきし言って不可能だ。ダンブルドアでさえ何もできんよ」

 

ザワッ  __本当に?  あのダンブルドアが?

 

「本当だ、神秘は更なる神秘には打ち消される。この中であの新聞を読んだ者は?」

 

 

私の質問に大半の生徒が手を上げる

 

 

「・・・あー、ごめんウィラ。僕つい最近までマグルと住んでたから」

 

「おや?・・・あっ、そっか忘れてた」ボソっ

 

「ウィラ?」

 

「いや、ではマグル生まれの者は?言っておくが私はマグル生まれだからといって差別などせん、我が臣民の大半はマグルだし私にもマグルの血が流れている、そこの円卓なんて全員人外だぞ?」

 

「アルちゃんはドラゴンでーす!」

 

「私は秘密で」

 

「見てのとおり屋敷僕でございますれば」

 

ちょこちょこと手が上がりだす

 

「自信を持て、父を・・・先祖を誇れ」

 

 

___ようやく手が上がりきったかな?

 

 

 

「よし、では軽い授業をしよう。神秘は更なる古い神秘には太刀打ちできない、何故だか分かるか?____そこの、名前は?」

 

「ハーマイオニー・グレンジャーです。・・・ウィラさん」

 

(ハー子キター(*´▽`*)!!)

「ではグレンジャー、答えよ」

 

「基本的に神秘とは古いほうが力関係が強いから・・・です」

 

正解だ(エサクタ)!私が教師なら卿に点数をあげていた!新聞を読んだり我がエル・ドラド家を知る者は知っているだろうが私の血筋は1500年以上前まで遡る」

 

「ロンから聞いたよ、世界でもっとも古い王族でしょう?」

 

「魔法族ではな、極東の国の皇帝の血筋は2600年ほど続いているが・・・まぁ今は置いておこう」

 

ザワザワ __極東スゲー!! ウィラ様より更に1000年も!?

 

「静かに___よし、魔法界で私より古い血、魔力を持つ者はいない。今もエルドラド王国は私が魔力で覆っているからあの国で魔法を使いたければ私より更に古い魔力を持つしかない」

 

「・・・え?不可能じゃね?」

 

「あぁ、不可能だ。これが今まで他国の魔法使いが一切脅威足り得なかった我が国の秘密だ」

 

「え!?知って大丈夫なの!?」ピッピカー!

 

「知っても意味がないからな、言ったろう?不可能だって」

 

「___ちょっと待って!こんな所からなんて無理よ!?」

 

「何故だグレンジャー」

 

「だってそんな魔力の量あり得ないわ!?本で読んだの!「エル・ドラド家は数日ほどしか国から離れられない、膨大な魔力を常に消費してるから」って!確かにエル・ドラド家は魔力があり得ない程多いとは聞いてるけど・・・」

 

「簡単な話だ、私の魔力保有量は歴代でもトップでな。大体歴代黄金の100倍だ」

 

「ッ!?嘘よっ!!だって黄金の魔力は最低でもダンブルドア校長と同じくらいだって校長の書いた本に・・・!!」

 

「ならダンブルドアに聞いてみろ、肯定するぞ?今はそこまで感じないだろうが・・・」スっ

 

「・・・それは?」ピカピー?

 

「我がエル・ドラド家の宝物庫から引っ張りだした指輪だ。これで魔力の大半を封じている」

 

「・・・ウィラ様の家の宝物庫って・・・それって国宝じゃ・・・」

 

「あぁ、魔法界の価値的には10万ガリオンくらいかな・・・ってどうした?みんな顔を真っ青にして?」きょとん

 

「・・・今の今まで気軽に喋ってたから忘れてたけど」

 

「・・・そういえばウィラって王族なんだよな・・・」

 

「__?_?まぁいい、流石に外せないぞ?酷い魔力酔いに襲われるだろうし。それとも誰か付けてみるか?」

 

((()))ブンブンブン!!

 

「そうか?別にこの程度いくらでもあるんだが・・・」

 

(((((黄金の財力ヤベェェエエエエ!?))))ダラダラ

 

「あの~ウィラ様?バーパティ・パチルと申します」スっ

 

「ふむ、述べよ」

(あれ?・・・あぁあれか!吹き替え声優がみゆきちの!)

 

「___様のサインを・・・」ボソ

 

「ふぇ?ごめんもう1回」

 

「お!・・・黄金の獣様のサインをください!!」バッ!!

 

「ずるい!!」  「そうよバーパティ!!」  「私だって色紙持ってきたのよ!!」

「獣さまぁ~!!」  「獣みたいに滅茶苦茶にして~!!」  「獣様ぁ!これ私のプロフィールです!!」

 

「あーうん・・・好きにすれば?」

 

「「「「「キャアァァアアアアア///!!!!!」」」」」ドドドドドド!!!!

 

(またコレかよ・・・分かってんのか?コイツ人間じゃないんだぞ?ってオイィィィイイ!?ハー子!?お前もかよ!?・・・でもハー子って結構ハーミー・・・じゃなかったミーハーだったな・・・)

 

「あはは、押さないで、私はどこにも行きませんから」キラ☆キラ☆キラ☆←女生徒目線

 

「キャー!獣様が私に笑ってくれたわ~///!!」  「何言ってんの私よ!!」  「違うわ私!!」  「獣様ぁ!これ私の弟のプロフィールです!!」

 

 

 

 

 

 

(____よっようやく終わった・・・)げっそり

「はい次~誰か何かある~?」

 

「あっあの!」スっ

 

「ふむ、卿の名は?」

 

「ねっ、ネビル・ロングボトム・・・です」おどおど

 

(キャー!後半スーパーイケメンタイムキタコレ!)

「ほう?聖28一族か、ではロングボトム」

 

「あのっ、黄金円卓について・・・」

 

「いいな!まだまともに紹介してもらってないし!」

 

「ちょうどいいから紹介ついでに教えてくれよ!!」

 

「そうだな、黄金円卓は代々の『黄金の君』が傍に置く直属の部下のようなものだ。王である黄金が変われば円卓も変わる、王が自ら世界を周りスカウトするんだ。シャドウ以外は戦って私が勝ち円卓に入れた、腰に差してある黄金の剣がその証だ。身の回りの世話も全て彼らにしてもらっている」

 

「え?もしかしてよくある服を着せてもらったり、身体を洗ってもらったり?」ピーカ!ピカピッ!

 

「その辺はシャドウにしてもらっている、シャドウ、前に」

 

「御意」スっ

 

「・・・否定しないの?」

 

「だって全部本当のことだし。ボタンなんかかけたことがない・・・てまたこの空気か」

 

 

___ズゥ~ン___

 

「だって・・・住む世界が違いすぎるっ!!」

 

「王族って・・・王族ってのはホントに!!」

 

「続けるぞ~?シャドウは黄金が変わろうと円卓第12席次に必ず入ることが約束されている、初代黄金の時代から生きる最古の屋敷僕だ」

 

「それに黄金の君の執事長も兼任しております」

 

「すごい!!私屋敷僕を見たの初めて!」

 

「ねぇウィラ、屋敷僕って?」

 

「大体どいつもこいつもこんな感じで背は小さく子供くらいで細長い手足を持ち、身体に不釣合いなほど大きなギョロっとした目玉をしている。顔の両側にコウモリのように先の尖った耳が垂れ下がっているのが特徴的だな。特定の主人をもち、主人のために無償で奉仕する生き物だ。『屋敷』しもべと言われるとおり建物について建物内の家事全般を引き受け、主の言うことは絶対で主の命に逆らうことがない、つまり自由や意思を認められていない」

 

「そんなっ!?酷すぎるわ!!」

 

「お前ならそういうと思ったよグレンジャー。安心しろ、シャドウにはそんな常識通用しない」

 

「仰るとおりでございます。ただ命令をきくだけの下僕などウィラトリア様の配下にはふさわしくありません」

 

「ついでに言うならコイツ私が寝坊すると平気で殴ってくるからな!?お前本当に私を主と仰いでいるんだよな!?」

 

「それは寝坊するウィラトリア様が悪いのですぞ?小さい頃なんて何回寝ションb「わー!!わー!!お前ふざけんなよマジで!?」これは失礼www」

 

「・・・あー、屋敷僕を知らない人は勘違いしないでね?このシャドウって屋敷僕、本当に例外中の例外だから」ピーカァー!

 

「ついでに言うならハリー、屋敷僕は普通の魔法使いの家にはいない」

 

「あぁ、ふつうよっぽどの金持ちじゃないと彼らを持っていないんだ」

 

「・・・持つなんて言い方は嫌いだ、シャドウは我がエル・ドラド家が誇る最高の宝物だ!良い機会だから言っておくが、私はシャドウを馬鹿にする者は殺しても許さん、たとえそれが友達でもだ。よいな?」ゴオッ!!

 

「「「「「」」」」」ゴクッ

 

「ウィラトリア様、次にまいりましょう」

 

「分かった、次はアルヴィー、お前だ」

 

「はいはーい!アルちゃんでーす☆!」

 

「確かドラゴンなんだよね?・・・それも『ウェールズの白き龍』

 

「あぁ、流石にイギリスでの知名度は抜群か」

 

「・・・なぁ、どうやってドラゴンを?」

 

「というかどうしてドラゴンを騎士に?」

 

「どうせなら歴代最強の黄金円卓を創り上げたかったんだ。本当は赤い方が欲しかったんだが封印されている上に見つからなくてな、仕方なくコイツにした」

 

「仕方なくって・・・」チュー!!

 

「仕方なく負けちゃいました~テヘっ☆もう陛下ってスゴかったのよー?ワタシを飛べなくした上で見下しながら「お前で我慢してやる」って!キュンっしちゃったー!ねぇ陛下―?もう一回だけでいいから今すぐ戦り合いましょ~?」グリグリ♡

 

「ふざけるな。また山を五個ほど更地にする気か?」グイグイ

 

「・・・もしかして一年前の魔法界の山が五個消えたのって・・・」

 

「あぁそれ私とこいつ」ゲシっ ああん♡

 

「うわぁ・・・」ヒクッヒクッ ピカ!?

 

「次、黄金の獣」

 

「ご紹介に上がりました、黄金の獣と申します」スっ

 

「以上、終わり」

 

「え?それだけかい?名前は?」ピカァ?

 

「こいつに名は無い。『黄金の獣』とは代々黄金円卓におけるその代の最強に与えられる称号であり名だ。だから獣が名前だ」

 

「他にはなにかないの?」

 

「悪いがコイツの正体は国の最高機密でな、おいそれと言うワケにいかんのだ」

 

「・・・アルヴィーさんよりも強いの?」ゴクリ

 

「当然じゃーん!アルちゃん程度じゃこの犬ッコロには逆立ちしても勝てないのよねー」

 

「へ?犬?」ピカー?

 

「・・・このお喋りな白トカゲが!?えぇ!?次は羽をもぐどころか焼いて喰うぞ!?アァン!?」ゲシゲシ!!

 

「あぁ~ん♡もっと蹴ってー!もっと激しくしてぇ~ん♡」あっあっ

 

「ハァーッ!ハァーッ!・・・はっ!?」

 

「あー・・・うん、大丈夫だよウィラ様?僕達何も見てないから」ピッピカ!

 

「「「「「」」」」ウンウン

 

「っぅ~っ///!?お前マジで後で覚えてろよ!?」

 

「後じゃなくて今k「黙れ!!」ピシャン!・・・あふん♡」ビクッビクッ

 

「コホン、とりあえずこんなところかな?誰か円卓に名乗りを上げる者はおるか?今なら2席空きがあるが」

 

(((((誰がそんな化け物の集まりに入るんだよ!?))))

 

「・・・ウィラトリア様、そろそろ」

 

「うん?もうこんな時間か、話しているとあっという間だな。ほら、立て白トカゲ」

 

「ウィラは言ってた場所で寝るのか?」

 

「グリフィンドールでは寝ないのか?」

 

「申し訳ありませんがウィーズリー様方、我が君は国を離れても王、国王でございます。黄金の寝姿を他者に見られるワケにはいきませぬゆえ」

 

「・・・私としては女子会とやらをパジャマでしたかったぞ」

 

「なりませぬ、これは我等が黄金円卓の総意。どうか・・・」

 

「・・・分かった、臣下の頼みを聞かぬわけにはゆかぬ、ではな皆の衆。また明日の朝会おう」

 

「じゃあねー♪」ノシ

 

「では、今夜の黄金の君はとても楽しそうでした」ペコリ

 

 

 

 

 

____ギィ・・・バタン

 

 

「・・・なぁみんな何か言いたい事は?」

 

「そうだな、思ったこと一斉に言おうぜ」

 

 

「「「「「「「「「「黄金ってスゲェ(凄い)・・・」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____コツコツ

 

 

 

「__皆、良い方ばかりでしたな」

 

「そうだな、本当に優しい人ばかりだ」

 

「陛下―、グリフィンに決めたらー?」

 

「いや、流石にそれは他の寮に失礼だ。というかお前の事だから同じ蛇としてスリザリンを勧めるものとばかり思っていた」

 

「えぇ~?だってあれバジリスクのクソガキでしょー?何でこのワタシが陛下に勧めなくちゃいけないのよー?」

 

「スンスン・・・下にいますね(・・・・・・)。まだ寝ていますが・・・殺しますか?」

 

「いや、それは来年でいい」

 

「・・・何かその瞳に見えたので?」

 

「別に?ただ知っているだけだ」

 

「・・・転生した際の記憶ですか?」

 

「・・・この真実を我等黄金円卓のみに教えられた事は我等の至上の誇りでございます」

 

「あぁ、だが勘違いするな、私はこの世界を物語だと思ったことは一度もないよ。私はこの世界に生まれ父と母、国民に愛され生きている。それは卿等も同じだ」

 

「陛下・・・」 「黄金の君・・・」

 

(そうだ、皆生きている。『ハリー・ポッター』なる創作小説の世界じゃない、皆親から命を授かりそして死ぬ。無駄に死んでいい命なんてあるはずがない)

 

そう思っていると3人が私の前に跪く

 

「「「我等が命、偉大なる黄金の君と共に」」」

 

「・・・当然だ、卿等は私の物だ。我が円卓の騎士達よ、我に付き従え」

 

「「「はっ!!」」」

 

「さて、部屋に行こう。もうクタクタだ」

 

「ご冗談を、3日間不眠不休で私を倒したのは誰ですか?」ふっ

 

「黙れ犬、明日の毛づくろいをしてやらないぞ?」ふふん

 

「さっ、つきましたぞ?我が君」

 

「ここか・・・第79代エルドラド王国国王ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリアが命ずる、『我こそは黄金なり』」

 

 

___ゴゴゴゴッ!!

 

「・・・ほぉ、素晴らしいっ!」

 

 

 

そこはまさに我等エル・ドラド家の者にふさわしい調度品に溢れかえっていた。天蓋付きのキングサイズのベッドは全て金糸を編んだシルクとなっており、身支度を整える3面鏡は濡れたかのように磨かれている。小物の類も普段私が付ける物と何ら変わらない

 

 

 

 

 

 

「・・・なぁシャドウ、ホグワーツに私以外の黄金は?」

 

「いいえ、10代目様もホグワーツが出来上がる前にご崩御されましたので」

 

「そうか・・・」__ジャラ

 

 

 

 

手にとって宝石の類を確かめる___この部屋には黄金に対する感謝と敬意がありありと見えた

 

 

 

「・・・どんな気持ちだったんだろうな?来てほしい、見てほしい人達が見に来てくれないって・・・」

 

「黄金の君・・・」

 

 

「・・・ありがたく使わせてもらおう、・・・創設者の4人よ、確かに来たぞ?確かに見させてもらったぞ?卿等4人が求めていた黄金は確かにここにいる。・・・私は・・・ウィラという女の子はここにいるんだ・・・」

 

 

 

__豪華なバスタブに身体を預け、アルヴィーに身体を流してもらいネグリジェをシャドウに着せてもらう。ベッドに身体を潜りこませればあとはもう寝るだけだ

 

 

 

「・・・獣?」

 

「はい、黄金の君」

 

「・・・命令だ、私が寝るまで手を繋げ」

 

「寝るまでといわず起きるまで、私は貴女様のお傍にいます」

 

「・・・ばか_____・・・すぅー、すぅー」

 

 

 

「我等円卓はずっと貴女様のお傍に____」

 




ウィラ胃薬被害者リスト  _車掌 _組み分け帽子 _パーシー _スネイプ(New!) _ダンブルドア(New!) _マダム・ポンフリー(New!) _マクゴガナル(New!) _フリットウィック(New!) _スプラウト(New!) _(実は隠れた所で非常に恐れられてる)ゴースト全員(New!)(近づいただけで浄化しそうだからピープスでさえ近寄らない)




ダンブルドア(まぁこれで襲われれば黄金や円卓の実力が分かるしいっか!)

覚えてますか?この獣殿、顔はラインハルト卿なんだぜ?あのラインハルト卿が超☆爽やかスマイル・・・だと



念の為軽い補足を

ウィラの血の守りは全ての魔法関係に効力があるワケでは
ありません
ちゃんと抜け穴もあるし、ウィラも自覚してます

ウィラは友達も探しています
国ではやはり国王ということでそういう存在は一人もいませんでした

指輪の金額は1ガリオン=870円程度とあったのでこの金額に
(10万ガリオン=8700万円=・・・ファッ!?( ゚Д゚))

円卓はこの世界が小説として前世では成り立っていたとウィラから教えて
もらった上で主として敬愛しています
そしてウィラが円卓のみに教えたのはそれだけ頼りにしている証明と
独りで全て抱えていてとうとう心が壊れそうになった事があるからです
普段は黄金の君としてカリスマに溢れていますが
本当はか弱い女の子です


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黄金と初授業

ホグワーツの時間の進み方がいまいち
よくわかりません
「あれ?なんか時間系列おかしくね?」と思っても
許してください何でもry



___み!  きみ!   が君!

 

 

(・・・誰だ?それにいつもと違う香りがする・・・)スンスン

 

 

「我が君・・・ごめんっ!」

 

 

__ゴッ!!_____

 

 

「っぅ~!?(ガバッ!!)またかシャドウ!?普通に起こせんのか!?普通に!?」

 

「おはようございますウィラトリア様、普通に起きない貴女様が悪いのですぞ?」

 

「起きられましたか、おはようございます黄金の君」

 

「陛下―!朝だよー?」

 

「んあ?・・・ここどこだ?私の部屋じゃない・・・」しょぼしょぼ

 

「ウィラトリア様、ここはホグワーツの「黄金の間」でございます」

 

「・・・あ!そうか、私・・・ホグワーツに入学したんだった・・・」

 

「そのとおりにございます、アルヴィー殿!ウィラトリア様を浴室へ、朝の沐浴をされよ!」パンパン

 

「はーい!陛下―?さっ、こっちですよー?」

 

「んぅ」ゴシゴシ

 

「ダメですよー?御身の玉眼にキズがついてしまいます!さぁ陛下、ネグリジェを脱がしますよー?」シュル パサっ

 

「・・・ばんやーい」ぽけ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___・・・ふぅ、朝はやはり風呂に限るな!やぁ諸君!私だ!!

 

 

「黄金の君、本国の新聞でございます」スッ

 

「ん、シャドウ」バサっ

 

「本日はアールグレイとなっております」コポポポ

 

「ん、(ペラ)___うん、今日も良い腕だ」

 

「恐縮でございます、それを飲んだら早速お召し物を。朝食は大広間となっておりますゆえ」

 

「陛下―、髪を整えますよー?」シャッシャッ

 

「んー・・・アルヴィーお前の櫛さばきは本当に気持ちいいな、また寝てしまいそうだ」~♪

 

「恐縮ですー♪」

 

「では陛下、制服のほうを」

 

「ん、通せ___・・・やっぱり安物を選んだのは間違いだったかな?肌がちくちくする」

 

「買い直しますか?それとも宮廷服職人に仕立てさせますか?」

 

「・・・いや、いい。選んだのは私だしマダム・マルキンが仕立てたのだ。彼女を侮辱することになる」

 

「然様で」

 

「ローブのほうを・・・」

 

「・・・うん、どうだお前等?完璧か?」クルっ

 

「完璧でございますれば」 「パーフェクトゥ!!」グッ! 「黄金の君はいつでも完璧です」

 

「よし!ホグワーツ最初の朝だ!気合い入れていくぞ!!」

 

「「「はっ!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

____ザワザワ

 

「・・・ミネルバ、グリフィンドールのあの1角は?」

 

「・・・陛下の席です」

 

 

「あのーウィラさm「悪いが話しかけるな」あっハイ」

 

「ようウィラ!よk「公務の邪魔だしばし待て」・・・なぁロン、これなに?」

 

 

ウィラの席の目の前には書類の山、山!山!!ができており、高速で目を通していくつかの書類にサインをしている

 

 

「みんなゴメンねー?陛下今お仕事中だからー!」

 

「アルヴィー!・・・さん、仕事って・・・」

 

「申し訳ありませんポッター殿、これらは本国から届けられた国王宛ての書類です。悪いですがこれ以上先へ通すワケにはいきませぬ、機密書類もありますので」

 

「そーそー!グリフィンドールもスリザリンもレイブンクローもハッフルパフも!!・・・これ以上先に入ったら命がないわよ・・・?」ヒュンヒュン!

 

 

ウィラの周りに各生徒達が何事かと見ているが・・・誰一人近づけない、それもそうだろう。ウィラを囲むようにアルヴィーが自らの尻尾を振り回し牽制している、どうやら本気のようでその紅い瞳は縦に瞳孔が割れていた。しかし・・・会話は聞こえてくるので

 

 

 

 

「黄金の君、各国の魔法首脳陣から祝辞が届いております」

 

「捨てろ、どうせおべっかばっかりだ。目を通す必要はない」シャッシャッ!

 

「こちらは魔法の存在を知っている各王族からの祝辞です」

 

「1番上にイギリス女王のものを置いてくれ、ここは彼女の国で今の私は世話になっている身だ。菓子折りもいくつか選んでおいてくれ、後で私自らが選ぶ」シャッ!

 

「本国の国民からの手紙です」

 

「絶対に捨てるな、目を通した後もだ。臣民の意見ほど貴重なものはない」シャッ!

 

「本国に残った円卓からです「出番寄こせ」と」

 

「こう返してやれ「死ね、もしくは死ね!」とな!!」シャッ!!

 

 

 

 

「・・・王族ってスゲーのな」

 

「いやこの場合は国王って大変だなが正解だろ・・・」

 

 

 

 

「____ふぅ、取りあえず急ぎの書類はこんなものか。シャドウ、本国に届けろ、フクロウはならん。重要書類もあるのでな」

 

「御意___」バシュン______

 

 

 

 

「・・・あれ?ホグワーツって「姿くらまし」や「姿あらわし」できないんじゃ・・・」

 

「・・・いや、やっぱ陛下の屋敷僕妖精だからそんな常識通用しないんじゃね?」

 

 

 

「んー!(ポキっポキ)____あれ?獣、その手に残った手紙の類はなんだ?」

 

「えぇ、こちらは・・・」チラっ

 

(・・・あぁ、そういうことか)

 

 

獣の持つ手紙をよく見れば見たことのある蝋印がチラホラある。それに私が気付いたと同時に以前お見合い写真に写っていた顔(・・・・・・・・・・・・・)が一斉に騒めきだす

 

 

 

(ん?あれはフォイ!あそこにいるのはフォイフォイじゃないかww!!なんでソワソワしてんだ?悪いがルシウスは送ってきてないぞ?私の性格をようく知っているからな!!)

 

 

「よい、言え。どこの誰の書簡だ?」

 

「では__それぞれの聖28一族からと各魔法学校からの転入のお誘い、おぉ!なんとホグワーツの校長からも手紙が!」

 

「よい、全て燃やせ。アルヴィー!」

 

 

 

 

獣が空中に全て放り出し、アルヴィーが意図を察して口から業火を吐き出す

 

 

ボォォォオオオオウ!!!

 

 

______ザワッ!?

 

 

 

全て塵も残らず燃え尽きたことを確認し聖28一族と見られる生徒を見渡し

 

 

「卿等の当主に伝えよ「私が選ぶ、邪魔するな」と、__校長殿」

 

「・・・なんじゃ?」

 

「手紙など出さず直接来い、私はいつでもホグワーツにいるのだからな」

 

 

 

ザワッ  どういうこと?  あれたぶんお見合い写真じゃね?  え?ホント?  キャー!!テレビみたい!!

 

 

「騒がしくしてすまんな!卿等もまだ朝食をすましてなかろう?席に戻り食事とまいろう!」

 

 

__うお!?なんでグリフィンドールの席にスリザリンが!?  うっ、うるさい!!

 

 

 

 

 

「さて、先程はみんな相手にできなくてすまなかったな」

 

「ウィラって毎朝あんな感じなの?」カチャ

 

「そうだぞポッター、済ませる物は朝のうちに終わらせるに限る」パク

(不味くはない・・・が、やはりシャドウのほうが上か)

 

「ねぇねぇウィラ様!さっき燃やしてたのってもしかして・・・?」

 

「うん、お見合い写真だ」

 

「キャー!!みんな聞いた!?お見合い写真よー!!」  キャー!!  キャー!!

 

「正確には聖28一族のものばかりだ。ったく、どいつもこいつも元々は別の婚約者がいるだろうに、難儀な奴等だ」はむっ

 

「え?・・・まさかウチも!?」ガタっ!!

 

「ロン、安心しろ。卿のご両親はそんな愚かなものは寄こしておらんよ。・・・というかお前金ぴか治ったんだな」

 

「あーうん、朝になったらなぜか黄色いネズミがいたけど」あはは

 

「あれ何だったんだろうね?なんだか放電してるみたいだったし、自分で窓開けて跳び出したときはホントに焦ったよ」モグモグ

 

「そっ、そうか・・・」

(え?それなんてピカ○ゥウ?)

 

 

 

 

「アナタ達!いつまで食べてるの?もうすぐ授業が始まるわよ!!」

 

__カツカツ

 

 

「・・・何だあいつ?」

 

「・・・さぁ」

 

「まぁいいさ、グレンジャーの言うとおり遅れてしまう」

(ツンなハー子カワユス(*´▽`*))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室に入るとすでに数名の生徒が座って授業が始めるのを今か今かと待っている。そして卓上には1匹の黒猫が

 

 

(ふうん、確かに見事な変身術だ。だが・・・分かっているだろう?)

 

 

 

フフンと黒猫に笑いかければ猫が溜息をつくような仕草をする。悪いが我が瞳を欺くことなんて不可能よ

 

 

 

 

 

 

「なにしてるのウィラさん、って・・・わぁ!見て!猫がいるわ!!」

 

「そうだな、マクゴガナル女史のペットかな?」

 

フシャー!!

 

(・・・そんなに怒んなくてもいいじゃないか)

 

 

 

私とハー子の声に反応して生徒達が猫の周りを囲む

 

ちなみに獣とアルヴィーは部屋の隅に置いている(流石に授業の邪魔だ)シャドウ?どうせクレーリア城の清掃に大忙しだろ

 

 

 

「へぇー、先生って猫が好きなのかな?」スッ

 

「ハリー止めときなよ、もっもしかしたら先生が変身してるのかも」おどおど

 

「あはは!ネビル!そんなのありえn「ロングボトムの言うとおりだ」へ?」

 

「良い毛並みだ、撫でてもよろしいかな?ドラゴンを触ったことはあっても猫はないんだ」スッ

 

 

 

私が撫でようとすると手をすり抜け黒猫がスウっとマクゴガナルに変わる(にゃんこー)

 

 

 

「「「「・・・」」」」唖然

 

「・・・何をしているのですか?席につきなさい!」

 

 

 

 

 

マクゴガナルの言葉に反応して皆一斉に席に着く

 

 

「・・・触りたかったのに」

 

「ミス・エル・ドラド、ここでは貴女も生徒です。さぁ、席について授業を始めますよ!」

 

 

 

私が最後に席に着いた(適当な女生徒の間)のを確認し部屋の隅に目をやる

 

 

「・・・まぁこれはミス・エル・ドラドの立場上しょうがないですね、目を瞑りましょう」

 

 

「感謝します、マクゴガナル殿」

 

「アルちゃん達動かないし喋らないから安心してー!」

 

 

「分かりました、ではこれより「変身術」の授業を始めます。「変身術」とはこのホグワーツにおいても1・2を争うほどに危険で複雑な魔法です、いい加減な態度をとる者は二度とこの授業を受けさせませんのでそのつもりで」

 

 

 

 

 

 

 

 

授業が始まった。内容は黒板に書かれた内容を羊皮紙に書き写したり、基本的な魔法術式を書き写したりだが__

 

 

(__分かりやすい、全部習い終えているがこれはいい復習になる。それに今まで気付けなかった箇所まで見えた・・・本当にすごい教師だ)

 

 

「__はいそこまで!ではこれよりマッチ棒を配ります、配り終えたらマッチ棒を針に変えてみせなさい」

 

 

皆が自分の杖を取り出す

 

 

 

「わぁ!それがウィラ様の杖?すごく綺麗・・・」

 

「・・・あまり見ないほうがいいぞ?それに普通の杖だ」

 

 

 

女生徒の言葉にマクゴガナルがこちらに来る

 

 

「それが噂の・・・その杖だけで魔法遺産確定でしょう」

 

「いえ、私しか使えない杖なんてあっても意味はありません。王位を子供に継がせたら捨てます」

 

 

「__貴女から敬語を使われるとは思いませんでした」

 

「__?何故ですか?生徒が先生に敬語を使うのは当たり前でしょ?」はて?

 

「まぁいいでしょう、ミス・エル・ドラド、針に変えてみせなさい」

 

「はい__」スゥ__

 

 

 

私が魔法を使う瞬間をみんな固唾を飲んで見ているのが分かる

 

 

 

 

(・・・あれ?)

 

「・・・先生」

 

「どうかしましたか?」

 

「・・・針の形が分かりません」ダラダラ

 

「・・・はい?針くらい見たことがあるでしょう?」

 

「その、裁縫とかは宮廷服職人に全部任せてまして・・・剣とか薬品は触らせてもらったのですが・・・」

 

「「「「「・・・」」」」」

 

「___ハァーッ、こんなこと予測できますか!王族というのは皆こういうものなのですかっ!?」ピシャリ!!

 

「あの、その・・・ゴメンナサイ・・・」ダラダラ

 

「分かりました!!皆が変える様を見ていなさい、誰か、出来たらミス・エル・ドラドに見せてあげなさい!ほんとにもう・・・」

 

 

 

膝に手を乗せて誰かが出来るのを待つ

 

(だってしょうがないじゃん!?私の前世の記憶オタク関係しかないしマジで今の人生で針なんて見てないんだもん!!)

 

 

俯いていると「おぉー!!」と声が聴こえる・・・確かハリーかハー子が成功するんだっけ?

 

 

 

「ミス・グレンジャーこのクラスでは1番の出来です、グリフィンドールに5点」

 

「やったわ!」ピョンピョン!

 

あ゛~ハー子がピョンピョンするんじゃ~^^

 

「ミス・エル・ドラド、これが針です。さぁやってみなさい」ス

 

「へぇーこれが針」ヒョイ

 

「針であるのならばいくらでも装飾しても良し、色を変えても良し。まぁ・・・できるのでしたらですが」

 

「(ピク)言いましたね?ならば・・・」スゥ

 

 

 

マッチ棒に杖を向け普段身に着ける小物の装飾を思い浮かべる。色などはたった1色しかない

 

 

 

「___ッ!?これは・・・っ」

 

 

 

 

 

そこには黄金色に輝く針があった、装飾など針のクセにこれだけで誰もが大金を積みたくなるほど美しい

 

 

マクゴガナルが手に取ってまじまじと見つめる

 

 

 

「かつてここまで美しく見事な針に変えた生徒がいたでしょうか・・・素晴らしい、ミス・エル・ドラドに20点」

 

「・・・ん?私に20点?」

 

「後で説明します、皆さん!御覧なさい!ミス・ウィラトリアが素晴らしい変化を起こしました!」

 

「うわスゲェ」 「キレー」 「下手すりゃガリオン金貨よりも輝いてらぁ」

 

「・・・ふん!」

 

途中ハー子が私を睨んでくるがどうしろと・・・

 

 

 

「ではこれで授業を終了します、今回の授業内容を復習して羊皮紙2枚程度に書いて提出することが宿題です。次の授業には間に合わせるように、いいですね?」

 

「あの先生、さっきのこと」

 

「そうですね、ちょうどいいので皆も聞くように!知ってのとおりミス・エル・ドラドは正確にはグリフィンドールの生徒ではなく無所属となっています」

 

「先生、いつウィラの寮が決まるのですか?」ス

 

「ミスター・ポッター、それは誰にも分かりません。おおよそ1年後にミス・エル・ドラド自身に決めてもらいます」

 

「ウィラ様グリフィンドールに入っちゃえよ!」  「ウィラ様―!」

 

「お静かになさい!まだ話は終わってないのですよ?___よろしい、よって寮が決まるまでミス・エル・ドラドが取った点はミス・エル・ドラドのみのものとします」

 

「ですが先生、寮杯決めの時私の持つ点は一体どうしたら・・・流石に個人で4寮と争えとは言いませんよね?」ス

 

「勿論です。よってミス・エル・ドラドの点は寮杯決めの時に貴女が好きな寮に好きなだけ点をお入れなさい。いいですね?」

 

「へ?」

 

「分かりやすく言えば貴女は今20点を持っています、全部グリフィンドールに入れてもよし、グリフィンドールに10点、ハッフルパフに5点、レイブンクローに5点といれてもよいのです」

 

「ヒュー!そこでスリザリンを出さないなんてさっすがー!!」

 

「お黙りなさい!ロン・ウィーズリー!グリフィンドールから-1点!」

 

「「「おいロン!!」」」

 

「ごっ、ごめん」ビクっ

 

「ですが先生!それではあまりにも不公平です!!ウィラさんだけ特別扱いがすぎます!!」ス

 

「えぇ私も同意見ですミス・グレンジャー、ですがこの規格外にはこれしかないのです」

 

「・・・質問を変えますがウィラさんの魔力保有量は本当に校長よりも?」ス

 

「貴女はとても勤勉な生徒です、記事も読んだことでしょう」

 

「・・・では」

 

「そうです。校長ですらこの目の前の黄金には決して敵いません、こんな狭い場で指輪を外せばその瞬間我々は酷い魔力酔いにあうでしょう。話を戻しても?」

 

「」コクっ

 

「よろしい、ですからミス・エル・ドラド。この場で誓いなさい」

 

「__?何をですか?」

 

「我々教師陣は貴女の・・・黄金としての公平な判断の下、点を配分することを願っています。貴女なら誰もが納得する理由で入れてくれると信じてますから」

 

「・・・先生、私が脅迫に屈したり金に目が眩むと考えなかったのですか?」ス

 

「一体誰が黄金の君を脅すのですか、それに貴女はお金なんか目にもかけないでしょう?王とは本来与える者をさすのですから」

 

「そりゃそうだ、センセー!ウィラ様がつけてる指輪10万ガリオンらしいでーす!」

 

「___(クラッ)いっ、一体ホグワーツの年間運用費何年分ですか・・・っ!?」フラフラ

 

「・・・分かりました。黄金の名に誓って」

 

「えぇ、お願いします。では授業は終わりです!次の教室に向かいなさい!先程の件はミスター・フィルチに張り出してもらいますのでもう一度確認するように!」

 




ウィラ胃薬被害者リスト_車掌 _組み分け帽子 _パーシー _スネイプ _ダンブルドア _マダム・ポンフリー _マクゴガナル _フリットウィック _スプラウト _ゴースト全員 _各魔法大臣(ファッジも含む)(New!) _聖28一族(New!) _各魔法学校校長(New!)



もしウィラの公務を邪魔したら?←次の瞬間身体と首がサヨナラグッバイ

今だかつて主人公の寮が決まらなかったssがあっただろうか・・・



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黄金とてんてー

ウィラのオタク魂が火を噴くぜ☆


ガヤガヤ___

 

 

 

 

 

「ウィラ様全部グリフィンドールに入れてよ!」 「そうだぜ他の寮なんかに入れることねぇよ!」

 

「悪いが黄金の名に誓った、全てを見て最後に判断を決める、何人の意見も聞く気はないし、それは教師でも同じだ」カツカツ

 

 

「次は__げぇ!?魔法薬だ!!しかもスリザリンと合同だって!?」

 

「ほう?スリザリンか、確か地下だったな」コツコツ

 

 

 

 

 

 

 

部屋に入るとまぁホントに仲が悪いようでグリフィンドールとスリザリンが中央からキレイに左右に分かれて座っている(勿論私はグリフィンドールの方に座っているがな!!)

 

 

 

(・・・ただ・・・うっとおしいな)

 

「ウィラ陛下におかれましては・・・」

 

「くどい、今の私はただのウィラだ。いったい卿で何人目だ?スリザリンには学習能力がないのか?下がれ」

 

 

さっきからスリザリンの生徒が列を作って私に会いに来る。マジでうっとうしいしイライラしてきた

 

 

 

「__ん?お前は・・・」

 

「__へいかっ!じゃなかった、始めましてウィラ様、マルフォイ家の者です」ス

 

「げぇっ!?マルフォイ!?」

 

(げぇっ関羽!?じゃないんだからwww)

「おぉ!やはりドラコか!以前ルシウスから写真を見せてもらった、なるほど卿がルシウスの息子か」

 

「覚えてもらっているとは光栄です。もしよろしければ他の者を下げさせますが」

 

「そうしろ、どっちにしろもうすぐ授業が始まるし何より合同授業とはいえこれじゃあグリフィンドールの迷惑だ」

 

「・・・分かりました、おい!マルフォイ家の次期当主であるこの僕が命令する!下がれ!!」

 

 

フォイフォイの言葉にスリザリンの生徒達が下がる。流石は「聖28一族」筆頭と言いたいところだが・・・親の7光使いすぎだろ

 

「ではこれで、一言おかけしようとしただけですので」

 

「うむ、卿のいるスリザリンを見に行くのが少し楽しみになった。ルシウス殿によろしくな」ヒラヒラ

 

「__っ!!はいっ!!必ず!!」

 

 

 

 

 

「ねぇ、ホントにウィラってマルフォイの親と仲いいの?」ヒソ

 

「そうだよ!!あんな奴の家なんか付き合いもつなよ!!」

 

「悪いがポッター、ロン、私の交友関係に口を出すな。それにルシウスは中々良い男だぞ?家族の話をしてる時なんか目を輝かせるし・・・」

 

 

 

私にグリフィンドールの生徒達から信じられないという目が向けられる。ロンがまだ何か言おうとした瞬間扉が勢いよく開き、ローブを翻しながらスネイプてんてーが入ってきた

 

 

 

(キャー!!スネイプてんてー!!くんかくんかスーハースーハー!!あぁあ!!てんてーのワカメヘアーの匂い嗅ぎたいお!!)

 

 

 

てんてーは教壇に立ち出席を確認していく__どうやらハリーを見つけたようだ

 

 

 

 

「ハリー・ポッター、我等がスターだな」

 

(うひょおおおお!?なんちゅー色気あるヴォイス!!ステキっ抱いて!!)

 

「・・・ミス・・・エル・ドラド、御機嫌うるわしゅう」スっ

 

「先生、私は生徒で貴方は教諭です」

 

「・・・確かにそうだ、間違いを正してくれて感謝する。ミス・エル・ドラドに1点」

 

「ふざけるな、当たり前のことを言っただけで点数?魔法薬の授業とは王族に媚びへつらう時間か?」

 

「・・・ミス・エル・ドラドから-2点!」

 

「そう、それでいいのですよ先生?」ニコ

 

「うわぁ、怖え~」ヒソヒソ

 

「私語は慎みたまえ、この授業では杖を振り回すだけの馬鹿げたことはやらん、魔法薬調剤の微妙な科学と厳密な芸術を学ぶ授業である」

 

(キャー!!素敵ポエムキター!!(*´▽`*)ハスハス!)

 

 

 

「・・・ポッター!!」

 

「っ!?」ビクっ

 

(キャー!!再び名シーンキマシタワー!!)

 

「アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」

 

ハリーは突然の指名に目を白黒させながら隣のロンと顔を合わせている、ハー子が手を上げているがてんてーは完全無視だ

 

「どうしたのだ、早く答えたまえ!」

 

「その…わっ…わかりません。」

 

小声でハリーが答えるとスネイプは嘲笑うように「有名なだけではどうにもならんな」と続け周りのスリザリン生もクスクスと笑う

 

「さて、ポッターもう一つ質問だ。ベゾアール石を探すとすればそれはどこを探すのが一番だ?」

 

 

ハリーは相変わらずしどろもどろするだけだ、そして諦めずに手を伸ばすハー子。・・・ん?私は何してるかって?うっせーな!堪能してんだよ!!

 

 

「どうしたのだね、わからんのか?」

 

「はい…」

 

「授業が始まる前に予習しようと思わんかったのかね?」

 

「ハーマイオニーが分かっているようなので、聞いてみたらどうですか?」

 

ハリーがそう言うとてんてーは少しため息をついた

 

 

「なんと嘆かわしい、私は貴様に聞いているのだぞ、そのふざけた態度は無礼すぎるな、よってグリフィンドール-15点」

 

「そんなのありかよ!?滅茶苦茶だ!?」

 

ロンが席を立ちあがり声を荒げてスネイプを睨みつける

 

「吾輩は貴様に発言の許可を出した覚えはないぞウィーズリー・・・-15点だ。これ以上授業の妨害をするようなら退室してもらうぞ」

 

そう言われて悔しそうに席に座るロン、まぁ一気に30点も無くしたんだそうなるわ

 

「ではミス・エル・ドラドにも答えてもらおう、まさか王族が勉強不足でした・・・などエルドラド王国の品位に関わる。どうかな?」

 

 

その言葉に隅にいる獣とアルヴィーが殺気を放とうとするが目で黙らせる。・・・てんてー冷や汗掻くくらいならやらなきゃいいのに。でも・・・

 

 

(キター(*´▽`*)!!任せろオォン!?どれだけこの時の為に覚えたと思っていやがる!?)

 

「ではまずアスフォデルの球根の粉末にニガヨモギ、さらに数種類の材料を混ぜると『生ける屍の水薬』という非常に強力な眠り薬になります。成分が強すぎると、一生眠り続けることもあるとか。そしてべゾアール石とは山羊の胃から取り出す石のことです。大抵の毒薬に対する解毒剤になりますが、入手が難しい代物でもあります」ふふん(ドヤ!)

 

「・・・流石はエルドラド王国国王といったところですな、ミス・エル・ドラドに30点」

 

「おや?妥当な点ですな、てっきり100点くらい入れてくるものと思いましたが」

 

「ミス・エル・ドラドは公平な判断をお求めだろう?」

 

「えぇ、誰かさんに黄金色の景色を見せるくらいには」

 

「・・・フン、ところで諸君、何故ミス・エル・ドラドが答えたのにそれを書かんのだ?」

 

 

その言葉に急いでペンを走らせる音が一斉におこる。というかハー子、今のは私悪くないだろう!?何故後ろからにらみつける!?ものっそい視線感じるんですけど!?

 

 

 

 

 

書きとりが終わり今はおでき等を治す簡単な薬の調合を行っている____何故かドラコと

 

 

 

「ウィラ様はこんなことまでできるのですね」グツグツ

 

「ん?まぁな、一応魔法族の王でもあるんだ、このくらいは出来ないと。あとドラコ、敬語もいらん。堅苦しくて不愉快だ」グツグツ

 

「でっ、ですが・・・」グツグツ

 

「くどい、この私がいいと言っておるのだ、誰にも文句など言わせんよ」

 

「・・・分かったよウィラ」グツフォイ

 

「うむ、それでよい。あっ!それはそうじゃない、こっちのほうが早くて適格なんだ」ポイ

 

「待てミス・エル・ドラド、そのような方法聞いたことがない。でたらめを言うな」

 

「先生、これはエルドラド王国では普通ですよ?その証拠にほら」

 

「っ!?馬鹿な!?もうできている・・・だと!?」

 

「(ブwリwイwチ)えっ、えぇ」プルプル

 

 

私とドラコが作った薬の出来は完璧だったようで、てんてーは目を驚かせている

 

 

「・・・ミス・エル・ドラド他にもまだエルドラド王国式の調合はあるのか?」

 

「えぇ、流石に秘薬の類はダメですが『生ける屍薬』や『ポリジュース薬』、『真実薬』でしたら教えてあげても別に問題ないですよ?」

 

「なんと!では今度でいいので是非吾輩の研究しt「うわぁぁあああ!?」_っ!?なんだ!?」バッ!!

 

 

どうやらネビルが原作通り大鍋を溶かして中身を浴びたようだ、スリザリンの生徒が大笑いしながら指を差している

 

 

「ポッター!!隣にいながら何故ロングボトムを止めなかった!?グリフィンドールから-10点!!」

 

ハリーが俯いて申し訳ない顔をしている

 

「ちょうどよかったなロングボトム、ミス・エル・ドラドとマルフォイが完璧に調合した薬がここにある。二人に感謝しろ」ジュウジュウ

 

「ヒック、グス、はい。ありがとうございます!!」ジュウジュウ

 

「皆もよく見ておけ、あとミス・エル・ドラドに40点、これは魔法界に貢献する情報も含めてだ。そしてマルフォイもよくやった、スリザリンに20点」

 

 

 

 

 

 

__そのまま授業が終わり外に出ると周りのグリフィンドール生の目線が痛い

 

はぁー、私の所為じゃないのに・・・_____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なに考えてんだよウィラ!?スリザリンなんかに点数をあげるなんて!?」

 

「私がやったんじゃない、スネイプ教授だ。あとロン、様付けしなくなったな、そっちのほうがいいぞ」カツカツ

 

「でっでも、ウィラ様のおかげで僕助かったしっ!」オドオド

 

「そういうことだ、とりあえず談話室に行こう。宿題とかを終わらせないと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宿題などを終わらせるといつの間にか夜になったので大広間へと向かう

 

 

 

 

__ウィラ様―!! こっちで食べてー!!

 

私が大広間に着いた瞬間歓声が上がるのでとりあえず手を振っておく

 

__キャー!!手を振ってくれたわー!! 俺に振ったんだ! いや俺だ!!  手を振る姿も優雅だわー!!

 

 

(おおう、何でもいいんかい・・・)

 

「陛下はどこに行っても人気者ですねー!」

 

「黄金の君ですからね、当たり前です」

 

「でも正直少しは静かに暮らしたいぞ・・・戻ったか、シャドウ」

 

「はっ!」バシュン

 

「遅かったな」

 

「申し訳ありません、私がいない間メイド達がサボっていたので」

 

「シャドウ殿のレベルを求めるのは間違いだよー?全然キレイじゃん!」

 

「足りませぬな、空気中にチリがあるだけで許せませぬ。・・・なのにこの学校ときたらっ!!」

 

「よい、ここは我がクレーリア城ではないのだ」

 

 

 

歩きながら席を探すが中々空いてない___おっ!はっけ~ん

 

 

 

 

 

「ここ、よいか?」スっ

 

「ふぇ?__ぶふぉ!?ウィ、ウィラ様!?」

 

「やぁ、パーシー。昨日は済まなかったな、大丈夫か?」

 

「えっ、えぇ!素晴らしい歌声でした!!」

 

「いや、私が歌うと皆金ぴかに光り出すくらい音痴なんだろう?お世辞なんて・・・」ズウ~ン

 

「いえ!そんなことは!?__あ、どうぞ!!」ガタッ

 

__あれ?

 

「何でみんな席を離れるんだ?__え?もしかして私嫌われてる!?」ガーン!

 

「違います!!だってまたご公務されるんでしょう!?」

 

「へ?あぁいや、あれは朝だけだ。夜御飯くらいは普通に食べるさ」スっ

 

「・・・ウィラ様食べ方もすごくキレイだわ」

 

「ん?あぁ、卿等は4年生か。そりゃ食べ方の汚い国王なんてイヤだろう?」

 

「俺達のほうが年上だけどウィラ様には敬語使いたくなるよな!」 「分かる分かる!やっぱ王族ってスゲーな!」 「嫉妬も微塵も沸かないもん」

 

 

「(モグモグ)うん(モグモグ)うん(モグ)・・・うん」

 

「あれ?もう食べないんですか?・・・もしかして不味いとか?」

 

「いや・・・不味くはない、こんな美味しいイギリス料理は初めてだ」

 

「じゃあなんで?」

 

「不味くはない・・・が・・・ダメだな、舌が肥え過ぎて受付けない・・・」

 

「・・・へ?これで!?こんなに美味しいのに」

 

「ホントに済まない、・・・ちょっと別の料理を出していいか?」

 

「・・・いいんじゃない?」 「エルドラド王国の料理でしょう?」 「え!なにそれ見たい!」

 

「じゃあ・・・シャドウ」パチン!

 

「すでにご用意しております」

 

「うお!?いつの間に!?」 「スゲー!超豪華!!」 「普段からこれを!?」 「これって王室専用ですか!?」

 

「うん、大体こんな感じだ____うん、やっぱこれだな!」

 

「一口ください!」

 

「いいぞ?はい、あーん」ス

 

「ふぁ!?え!?いいんですか///!?」

 

「うん、あーん」

 

「あ、あーん///(パクっ)_____」カッ!!

 

「うお!(ビクッ)おいセラス!目ぇ見開いてどうした!?」

 

「噛んだ瞬間に肉汁がジュワ!っと溢れ出し舌の上ですぐさま溶けた!?ソースは様々なフレーバー、野菜の味に溢れ喉を通せば鼻から爽やかに抜けていく!!うーまーいーぞぉぉぉおおおおおお!!!!」ゴワッ!!!

 

セラスが!?  セラスが口から黄金色の光線を!?  何が起きたんだ!?  黄金?・・・あ

 

 

「・・・え~・・・どこのミスター味っ子だよ・・・」ボソっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____明日で1週間、グリフィンドールは今日でお終いだ。

 

みんなが談話室に集まって私を見送ってくれる

 

 

「ウィラ!楽しかったぜ!!また今度一緒にイタズラしようぜ!!」

 

「虐められたら俺達にいいな!黄金のペンキで塗り固めてやるよ!」

 

「うん、卿等といるのはホントに楽しかった。あ!言っとくけどちょこちょこ来るぞ?次は校長室にペンキを放り込もう!」

 

「「「ロンみたいに!」」」

 

「うるさいぞ!!フレッジョ!!てかウィラまでイタズラに巻き込みやがって」ピカー!

 

「何を言ってるんだロン、私は昔から結構お茶目だぞ?1回だけシャドウに冗談で靴下を渡してなぁ、いやぁあの時の表情ときたら!」クスクス

 

「ウィ、ウィラさん!ありがとうございました!!」ペコっ

 

「お?やっと様付けを止めてくれたなロングボトム、いやネビル。おっちょこちょいな所は直しておけよ?・・・3巻の時えらい騒ぎになるからな」ボソっ

 

「ウィラ、明日からスリザリンだろ?大丈夫かい?」

 

「ハリー、安心しろ。あいつ等に私をどうこうする度胸なんぞ無いよ、どこもここくらい失礼で全然いいんだがなぁ・・・」ポリポリ

 

「俺達グリフィンドールは勇気の証!!」

 

「無礼でなくてどうして勇気を示す!!」

 

「そうだ!!俺達はグリフィンドール!!騎士の寮だ!!」   「ウィラ様にもっともふさわしいのはグリフィンドールだ!!」 「いいぞー!!」  「そうよそうよ!!ウィラ様―!必ず帰ってきてー!」  「またお話し聞かせてー!」

 

「必ず遊びに来る!そういえばグレンジャーは来てくれてないのか?」

 

「けっ!あいつなら「明日も早いからもう寝るわ」だってさ!まったく、なんて友達思いなやつだ!」

 

「まぁそう言うなロン、明日も早いのは本当だし女の子の心は繊細なんだぞ?うかつに口を滑らせてトイレに逃げられるなよ」

 

「へ?どういう意味?」

 

「さぁな?あぁ、最後に言いたいことがある、少し聞いてほしい、今日まで私はグリフィンドール生だが明日からはスリザリン生。つまり卿等の敵だ」

 

「「「「・・・」」」」ゴクリ

 

「え?じゃあウィラもスリザリンみたいなことをしてくるの?」

 

「シェーマス、最後まで聞け。言っておくが私は卑怯な手など好かん、正々堂々と卿等と競い合う。せっかくだ・・・ならばこの私に、黄金の君に「流石はグリフィンドール」と言わせてみせろ!」ニヤり

 

「・・・いいねぇそれ、いいぜ?勝負だぜ、ウィラ!」

 

「俺達だって正々堂々とした勝負は大好きさ!来い!」

 

「「というわけで頑張れ1年!!」」

 

「えぇ!?ていうかホントだよ!?ウィラと競い合うの僕達じゃんか!?」ピカッ!?

 

「ロン、大丈夫だ。グリフィンドールには魔法界の英雄がいるじゃないか」

 

「・・・ウィラにそう言われると何だか嫌味にしか聞こえないんだけど」

 

「当たり前だろ?勿論嫌味だ!!」

 

「ひどくない!?」

 

「くはははは!!魔法界の英雄如きが王であるこの私に勝てるとでも?よい、許す!存分に我を楽しませろ!!くははは!!」

 

「おおう、魔王モードのウィラになっちまった・・・」

 

「でもこれでウィラの「よい、許す」も聞き納めかー」

 

「皆様いかがでしょう?せっかくですから写真でも撮りましょうか?」

 

「おぉ!良いアイデアだシャドウ!!よし、そうしよう!」

 

「いいなそれ!!みんなで暖炉を囲んで撮ろうぜ!!おーい、リーも来いよ!」

 

「ポーズ決めようぜ!どうせだからウィラの「よい、許す」な!右手は前に!」

 

「なんかようやく俺の名前呼ばれた気がしたんだけど・・・まぁいっか!」

 

「言っとくけど僕達1年生が1番前だかんな!?ハリー達も来いよ!!」ピカー!

 

「でもロン眩しすぎて近寄れないよ!」

 

・・・さらばだロン、ピチュワ!! 「あれ?金ぴかが消えた?」

 

「おぉっと!真ん中は私、このウィラだ!!黄金とは常に輝くものだからな!!わはははは!!」

 

 

 

「では_____撮りますがよろしいでしょうか?」

 

 

「「「「よい!許す!!」」」」  ____パシャ!!

 




ウィラ胃薬被害者リスト _車掌 _組み分け帽子 _パーシー _スネイプ _ダンブルドア _マダム・ポンフリー _マクゴガナル _フリットウィック _スプラウト _ゴースト全員 _各魔法大臣(ファッジも含む) _聖28一族 _各魔法学校校長
              ↑
            変わりなし



・・・あれ?このフォイ、フォイのクセして地雷避けまくるぞ?
まぁ最初の一年くらい見逃してやんよ



その後しばらくグリフィンドール内で「よい、許す」が流行り
誤ってマクゴガナルやスネイプにしてしまう者が多発し
点数が大幅に減らされまくったとか



感想等待ってます


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黄金と蛇寮

UAが1万突破しました
ウィラトリア様に変わり感謝の極み



後半納得のいかない所が多々ありますが
どうしてもこれ以上にならないので投稿します

おや?フォイフォイの様子が・・・




__昨日グリフィンドールと別れてすぐに寝た。今日もシャドウから文字通り、文字通り!!叩き起こされた(なんで毎回殴ったあと良い笑顔なんだよ)

 

 

「今日からスリザリンか」

 

「えぇ、それにどうやら本日はグリフィンドールとまた合同で何かやるようですな」コポポ

 

「ん?・・・あ!確か今日じゃん、飛行練習!だいぶ記憶がとんでるな~」ポリポリ

 

「黄金の君?記録は取られていないので?」

 

「いやぁ前世に囚われているようで何かイヤでな。というかなんでアルヴィーは今朝から唸ってるんだ?病気か?」

 

「昨日までは元気に走り回っていたんですが。イヤですよ私、トカゲの病気なんぞかかりたくありませんからねぇ」

 

「酷くない!?アルちゃんこれでも『ウェールズの白き龍』だよ!?一応犬ッコロと同じ神獣の類だからね!?」ウガー!!

 

「ハッ、たかだか2000年程度しか生きていない小娘が私と同じ神獣?せめて4,5000年生きてから出直しなさい」

 

「朝からなぜ犬とトカゲの喧嘩なんぞ見なくちゃいけないんだ。アルヴィーいいから答えろ、何故機嫌が悪いんだ?」

 

「う~・・・だってスリザリンって寮章「蛇」でしょう?バジリスクでしょう?」

 

「あぁ、そうだな」

 

「何で陛下があんなクソガキを奉ってる寮に入らなくちゃいけないの!?てかなんでバジリスク!?普通「クサリヘビ」とかでしょう!?」イヤー!!

 

「・・・つまりお前は自分より遥か格下に嫉妬してるのか?蛇が描かれた寮に私が入るのが嫌なんだろう?」

 

「う゛っ!?だって・・・どうせ入るならワタシの中に・・・!」ポッ

 

「うわーないですね、トカゲの発情期なんて見たくないですよ。その辺のイグアナとでもしてきたらどうです?」

 

「なんでそこでイグアナ!?フツーそこは「グィバー」なんだから「ドライグ」とかを出すのがフツーでしょう!?」

 

「おい、いい加減にしろ。そろそろ大広間に行く時間だ。シャドウ」

 

「すでに準備は整えております。我が君、本日も実に美しい」

 

「王族が美しいのは当たり前だ。ハラが減った」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大広間につくとグリフィンドール生達が手招きしてくるが

 

 

「悪いな、今の私はスリザリンだ」カツカツ

 

 

 

その言葉に何人かが信じられない目をしてくる

 

(ほう?流石は主人公、逆に燃えているな)

 

 

 

 

そのままスリザリンの席に行くと皆一斉に席を空ける

 

 

「ほう?準備がいいな、ご苦労、終わるまで話かけるな」ペラっ

 

 

 

 

そのまま公務をするが・・・視線が不愉快だな

 

 

「・・・」ス

 

「ん、スマンなアルヴィー」シャッ!シャッ!

 

 

 

 

 

 

 

「んっ(ポキッ)ふぅ、さて、朝食だ。おーい!ドラコー!」

 

「なっ!?・・・何だいウィラ!!」タタッ

 

 

 

ザワッ!?   陛下を呼び捨てだと!?  敬語も使ってない!?  本当だったんだな・・・

 

 

(ほう?中々強かじゃないか)

 

「隣いいかい?ウィラ」

 

「もちろん、私が呼んだんだ一緒に食べよう」

 

「あぁ!それとこの二人はクラップとゴイル。おい、挨拶しろ」

 

「クラップです」ペコリ 「ゴイルです」ペコリ

 

(二人合わせてプリキュアってかwwウェww吐くわwww)

「あぁ、よろしく。私はウィラトリア、ウィラと呼んでくれ」スゥ

 

「・・・グリフィンドールでも言われただろうけど、ウィラの食事作法は完璧だね。すごくキレイだしこのまま一枚の絵にしたいよ」スッ

 

「卿も中々だ、なんだドラコ?この私を口説いているのか?」

 

「フィアンセを探しに来たんだろう?・・・僕じゃダメかな?血筋もいいし伝統にも精通している」

 

(おうふ、マジか)

「それはこれからの卿次第かな?第一血筋なんかどうでもいいし私に赤ちゃんを産ませてくれればそれでいい」

 

「な!?あっ!赤ちゃっ・・・///!?」かぁっ

 

「ふふっ、どうした?顔が赤いぞドラコ?」パクっ

 

 

 

 

「・・・なんだかウィラ楽しそうだな・・・」

 

「理解できないよ!!なんでマルフォイの奴なんかとっ!?」ギリィっ!!

 

「あっマルフォイがこっち向いた!___うわドヤ顔してきやがった!?」

 

「あの野郎っ!!次の時間覚えてろよぉ・・・っ!?」

 

 

 

 

 

「__ふふん、馬鹿な奴等だ」

 

「どうかしたか?」

 

「いやっ!なにも!それよりウィラの屋敷僕の淹れた紅茶は最高だね。ウチの屋敷僕にも真似させたいよ」

 

「ドラコ殿、感謝の極み」コポポ

 

「・・・ドラコ、彼は私の尊敬する騎士だ。名称ではなく名前で呼べ」

 

「ごっ!ごめんよウィラ!シャドウ殿も済まなかった。許してほしい、この通りだ」ペコっ

 

「いえいえ、私なんぞに頭を下げられるな」

 

「・・・シャドウ殿は世界最古の屋敷僕と聞いたが」

 

「あぁそうだ、初代黄金の時代から黄金を受け継ぐ者に仕える決まりとなっている」

 

「家じゃないんだね」

 

「初代様に言われましてな。「仕えるべきは家ではない、人だ」と」コポポ

 

「おや?それではお前は初代に言われイヤイヤこの私に仕えているのかな?」

 

「お戯れを、ウィラトリア様は至高の君。歴代で最も輝く黄金の君でございます。これからもどうか」

 

「よい、許す。せいぜい我を満足させよ。卿等もだ、よいな?」

 

「「「はっ!」」」

 

「・・・カッコイイなぁ。ウィラ、他の円卓の人ってどんなだい?」

 

「うーん、そもそも人間のほうが少ないからなぁ・・・」

 

「円卓の席次ってやっぱ強い順?」

 

「基本はな。黄金が第1で獣の称号を持つ者が第2、シャドウが第12だけは決まっている。あとはそうだな、強い順だ」

 

「・・・「グィバー」よりも強いって・・・」ヒクッヒクッ

 

「グリフィンドールでも言ったが1年前の山が5個消えた事件、アレは私とアルヴィーだ。ドライグの居場所は掴めなくてな、コイツで我慢した」

 

「へっ、へぇ~、その時他の円卓は手伝ってないのかい?」

 

「馬鹿を言うな、こちらの力量を示さずして何が王か。そもそもシャドウ以外は全員タイマンでぶっ飛ばして忠誠を誓わせた。じゃないとコイツ等クラスは言う事を聞かん」

 

「当ったり前じゃーん!なんで多数で挑むような臆病物にこのアルちゃんが従わなくちゃいけないのー?あ、陛下は別ねー?タイマンすごく楽しかったー!また羽がもげるくらい激しいのしようよー!」ビタン!ビタン!

 

「一番苦労した円卓は?」

 

「獣だ。本気で死ぬかと思った」

 

「封印が解かれて何千年ぶりに起きてみれば目の前に人間(朝食)がいましたからね。つい本気を出してしまいました」

 

「人がせっかく起こしてやったというのに、・・・黄金を継いですぐだから2,3年前か?それから3日3晩の殺し合いだ」

 

「へ?でもその時は別になにも壊れたってニュース聴いてないけど」

 

「我が家に伝わる古代魔法に異世界召喚があってな?そこでやった」

 

「せっ、世界を召喚!?」

 

「あれは凄かったですね。人間にしてはやるなと思いました」

 

「おい、何故お前が上から目線なんだ?お前が下で私が遥か格上だ」

 

「失礼しました黄金の君」

 

「・・・ねぇウィラ、獣殿の正体って何だい?数千年前ってことは神獣だよね?」

 

「悪いが言えない、国の最高機密だ。知りたければ私を敵に回せ、そうすれば獣を使って殺してやる」

 

「わっ!分かったよ!!冗談だよ冗談!!」

 

「___さて、授業は中庭か。案内を頼んでも?ドラコ殿」ス

 

「!__喜んでエスコートさせてもらうよウィラ殿」ス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中庭ではまたいつものごとくグリフィンドールとスリザリンが睨みあい、暫くするとマダム・フーチがやって来て箒の横に並べと言えわれたのでその通りにする

 

「いいですか?箒の上に右手を出して、はい【上がれ】!!」

 

 

 

周囲から「上がれ」と声が聴こえるが__どうやら中々うまくいかないようだ

 

 

「上がれ」スウッ

 

「流石だなドラコ」

 

「まぁね、ウィラもやんなよ」

 

「では、上がれ」

 

__ビクビクっ スゥッ

 

(えぇ・・・無機物が怯えんなよ・・・)

 

 

 

 

 

暫くたったが大半が上げることに成功しなかったようだ。マダム・フーチが直接箒を拾うように言い、握りかたや跨りかたを見て行きながら指摘していく

 

 

 

「ミスター・マルフォイ、その握り方は間違っています」

 

「何!?」

 

「しっかりと直すように、おや?ミス・エル・ドラド、握り方が分からないのですか?」

 

「はい先生、普段は箒じゃなくてドラゴンに乗るので・・・」

 

「まっ、まぁしょうがないですね・・・では皆さん基本は分かりましたね!私が笛を吹いたら地面を強く蹴るんですよ!数メートル浮き上がったらすぐ降りること、いいですね?では__2!1!__」

 

「うわぁぁああああ!!」

 

「ロングボトム何をしているのですか!?早く戻ってきなさい!!」

 

(やはりこうなるか)

 

 

 

杖を用意し、備える。____っ!落ちた!!

 

アレスト モメンタム(ゆっくり落ちろ)!!」

 

 

呪文を唱えるとネビルがフワフワと無重力にいるように降りてくる

 

 

「ミス・エル・ドラド、今のは・・・」

 

「すみません先生、勝手に呪文を使って。でもとっさの状況だったので」

 

「えぇ、良い判断です。助かりました。ミス・エル・ドラドに10点、私は念の為ロングボトムを保健室に連れていきます!さ、立てますね?」

 

「はっはい・・・ウィラさん、また助けられちゃった」

 

「友達なんだ当たり前だろ?」

 

「私が連れていっている間誰も箒に乗ってはいけませんよ!乗ったらクディッチの「ク」を言う前にホグワーツから出ていってもらいますからね!!」

 

 

 

マダム・フーチがネビルを連れて消えたとたんに周りが騒ぎだす

 

 

「ウィラ、ネビルを助けてくれてありがとう。さっきの呪文は?」

 

「対象を無重力にする呪文だ。一応上級魔法の一つだな」

 

「へぇスゴイや!やっぱりウィラはグリフィンドールだよ!!」

 

「(ムカっ)はん!さっきの間抜け顔を見たか?君が助けなきゃきっと大けがしてただろう」

 

 

 

ネビルが落ちた所に思い出し玉があるのをドラコがどうやら見つけたようだ

 

 

「これはロングボトムのか?これで飛び方を思い出していれば君に迷惑もかけなかっただろうに」

 

「それを返せマルフォイ!!」

 

 

私から二人に視線が移る

 

 

「嫌だね、これはヤツに見つけさせる」

 

 

 

ハリーが殴りかかる___がドラコはひょいと箒に乗りお手玉のように遊びだす

 

それを見てハリーも箒に乗りだす

 

 

(ふーん、大人っぽいかな?と思ったけどやっぱりフォイはフォイフォイだな。カワイイとは思うけど・・・うん、今のとこない!)キッパリ

 

 

 

「ダメよ!また減点されちゃうわ!!」

 

 

 

ハー子の制止を振り切りフラフラと上がるがすぐにそれは修正された

 

するとハー子がこっちにキター(*´▽`*)

 

 

 

「ウィラさん!あの二人を止めて!!このままじゃまた減点されちゃうわ!!」

 

「何故?私はスリザリン。なぁに、ドラコとハリーのせいで減点されても私は痛くも痒くもない」

 

「そんな!?それが王様の言うことなの!?」

 

「然り。王とはつまり暴君でなければならない。好き勝手に行動を起こし民草を幸せにする、それこそが最優の王だ」

 

 

ハー子が絶句しているが・・・悪いが考えを変えるつもりは無い

 

 

 

「そんなことよりいいのかグレンジャー?__動いたぞ」

 

 

ドラコが何かを叫び思い出し玉を思い切り投げた!それを追うようにハリーが急加速する

 

 

(凄い才能だな・・・ドラコもいいセンスをしているがハリーの方が一枚上手か)

 

 

塔の壁に玉が激突しそうになるがすんでの所でハリーがキャッチする。アイツ今日が初めてだろ!?主人公補正ってスゲー(私?私はほら、黄金だから)

 

 

ハリーが玉を掲げ降りてくると一斉にグリフィンドールに歓声が上がる。逆にドラコ達スリザリンは少し残念そうだ

 

__と、マクゴガナルがやって来た。おめでとうハリー!これで最年少シーカーが誕生だね!!

 

 

 

 

しばらくしてマダム・フーチが戻ってきた、どうやら残りの時間は適当に飛ぶだけでいいようだ

 

「ウィラ、一緒に飛ばないかい?エスコートするよ?」

 

「いや、私はのんびり飛ばさせてもらうよ。それにドラコ以外の生徒ともゆっくりお話ししたいし」

 

「あー・・・そうか、確かに君を独り占めはよくないもんな」

 

「それに私は箒にはほとんど乗らん、大体アルヴィーか他の円卓だ」

 

「ドラゴンを乗り物扱いって・・・」

 

「中々乗り心地はいいぞ?夏なんて鱗がひんやりして気持ち良いし」

 

「へぇー、じゃあ僕は飛んでくるよ。僕の美技に酔いしれてくれ」

 

(ブフォwwww跡w部w様www)

「わっ、私のことは気にせず存分に飛んでこい・・・っ」プルプル

 

 

 

 

しばらく一人で飛んでいたがとくに話しかけて来る者はおらず、そのまま授業は終わった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼ご飯を食べているとどうやらドラコとロンが決闘をするようだ

 

(・・・これには関わらないでおこう、もし本当に決闘したり無かったことにしたら物語が進まなくなる)

 

 

 

 

 

 

 

今はドラコと一緒にスリザリン寮に向かって歩いている

 

「見たかい?あいつ等本気でこの僕が決闘につきあうと思ってるのか?馬鹿馬鹿しい」カツカツ

 

「狡猾だなと取りあえず言っておこうか」カツカツ

 

「まぁね。・・・ところで何故アルヴィー殿は機嫌が悪いんだ?」

 

「自分より格下の蛇の寮章が気に食わないのさ、なぜクサリヘビじゃないんだと」

 

「えぇ~・・・」

 

「気にするな、さて・・・ここか」

 

 

 

 

 

部屋に入るとなぜかすぐに生徒に囲まれた____へ?なに?金寄こせ!!跳べよオラ!!ってか?

 

 

「っ!?何だお前達!!ウィラに失礼じゃないか!!マックリーこれはなんだ!?」

 

「・・・ドラコ、俺達にも紹介させてくれよ。おい1年!ドラコを部屋に戻せ!!」

 

「止めろ!離せノット!!僕にこんな事をして父上が黙っていると・・・っ」

 

「・・・おい」

 

 

少し魔力を漏らし私に注意を集める

 

 

「なっ、なんでしょうか陛下・・・?」

 

「ドラコを離せ、・・・ドラコ、部屋に戻っていろ。私とどうやらお話しがしたいらしい」

 

「でっ、でもウィラ!?」

 

「くどい、そして何かあったらすぐにルシウスの名を出すな。自分で勝負しろ情けない」

 

 

 

どうやら私の最後の一言がショックだったようだ、すごすごと引き返していく

 

 

「ほら、これでいいんだろう?それで?」

 

「ではこちらへ」ス

 

 

マックリーがうやうやしくふるまうと生徒達が中央から割れ、その先にある暖炉前の椅子の中で一番上等な物に腰かける

 

 

「・・・ふん」ドカッ

 

 

コイツ等・・・そういうことか・・・

 

 

 

「要件を済ませようか、私とコネを持ちたいんだろう?」

 

 

するととたんに何人かが顔色を変え始めた

 

 

「何人かは見覚えがあるな・・・聖28一族の者か」

 

 

その言葉に反応して数人が前にでる

 

 

 

「先日陛下にご質問をさせていただきました。マックリー・フォウリーと申します」

 

「マーカス・フリントと申します」

 

「グラハム・モンタギューです」

 

「・・・セオドール・ノット。ドラコの友人だ」

 

「なっ!?・・・パンジー・パーキンソンです」

 

「ミリセント・ブルストロードです」

 

「ダフネ・グリーングラスですわ」

 

「ふーん、で?」ギシっ

 

「・・・何が」

 

「どうせこの場にいる殆どが親から私に媚を売ってコネを作れと命令されたんだろ?」

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

「ところでセオドール、卿は私を敬う気持ちがないな」

 

「・・・なぜ同い年の奴なんかに敬語を使わきゃなんねんだ?それにドラコだって使ってないんだ!俺だって・・・」

 

「ノット!失礼ですわ!!」

 

「___あははは!いいなお前!度胸のある男は嫌いじゃない!何だ、面白い奴もいるじゃないか!」

 

「なっ!?陛下・・・よろしいので?」

 

「うん、正直媚を売るような奴等ばかりだったら即行で出ていこうと思ってたんだ。つまらんからな」

 

「「「「っ!?」」」」

 

「皆セオドールに感謝しろ、これより我等は同じスリザリン、同胞だ」

 

 

 

 

 

私の言葉が徐々に浸透し、理解した者は膝から崩れ落ちるか歓声を上げ喜んでいた

 

 

「ウィラ!何事だい!?」ガチャ!!

 

「来たかドラコ、卿は良き友人を持っているな」

 

「_?どういうk「ドラコ!!俺やったぜ!!」うぉ!?なんだ急にどうしたセオ!?」

 

「聞けよドラコ!!俺のおかげでウィラがスリザリンの仲間入りだ」

 

「くははは!いいなセオドール!いきなり呼び捨てか!よい!許すぞ?くははは!」

 

「・・・ホントに何なのさ・・・」

 

「それではグリフィンドールでもしたが質問タイムと行こう!私も色々聞く、せいぜいこの黄金の君を満足させてくれ」

 

「「「「はい!」」」」

 

「さぁて、なにか質問は?」ギシっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくお互いに質問をし、今はスリザリンの中でも主な聖28一族と談笑をしている

 

「__ウィラさんって特に美容を気にしてないの!?嘘でしょう!?」

 

「一体どうやったらこんな美貌を維持してるのでしょうか・・・」

 

「他の者達にも言っているが王族が綺麗なのは当たり前だ、それは卿等貴族も同じであろう?」(ただしパーキンソン、テメェはダメだ)

 

「確かに、上に立つ者は優雅で美しくないとな」

 

「ノブリス・オブリージュですか、でもウィラ様ってこういう話しないのかと思っていましたよ」

 

「マーカス、それは勘違いだ。私は卿等聖28一族の頂点、つまり王だ。貴族の考えも理解はしているよ」

 

「そういえばウィラって僕達聖28一族の血は流れてないのかい?」

 

「・・・そういえば無いな、うちは恋愛結婚だからだいたいは他国で知りあった一般人とか王族ばかりだな」

 

「・・・それってマグルの血じゃ!?」

 

「そうだ、私の中にはマグルの血が流れている。なんだ、純血じゃないといけないのか?」

 

「・・・いえ、ウィラ様だけは特別ですわ!」

 

「そうよ!そんなの関係ないくらいウィラ様の血は高貴だもの」

 

「すごいよな、代々金髪金眼なんて」

 

「まぁな、それが黄金の君である証だ」

 

「ウチの家族もこれくらいの美男美女に生んでくれればなぁ」

 

「おいモンタギュー、生んでくれた父と母には感謝の意を示せ。親を尊敬しない奴は嫌いだ」

 

「もっ、申し訳ありません!」

 

「・・・そういえば・・・この中で親が『死食い人』は何人いるんだ?

 

 

そういうととたんに静かになる

 

 

「___やっ!ヤダなぁウィラさん!そんなの・・・」

 

「よい、全て知っておる。そもそも私はルシウスとも懇意の仲だ、今はどうか分からないが以前はこの私を闇(笑)の陣営に誘い込もうとしていたしな」

 

「・・・ウィラ、勘違いだけはしないでほしい。全員の親があのお方の陣営と言うワケじゃない」

 

「・・・そうか、ならこの話はこれくらいにしておこう」

 

「うん、僕の家は有名だからいいけど他の人は流石に・・・ね?」

 

「あぁ、こちらこそすまなかった」

 

 

 

___どうやらそろそろいい時間のようだ、お(いとま)させてもらおう

 

 

「この中の闇(笑)の陣営に言っておく、頑張って私をお前達の陣営につけてみせろ。あぁそれと・・・フィアンセの件だが」

 

 

男達が顔を上げる

 

「はっきし言ってこの中にタイプはいない、もっと努力してくれ。ドラコ、それはお前も同じだ。今のお前からはちょっとしか魅力を感じんよ。せいぜい友達止まりだ」

 

 

 

じゃあまた明日と声をかけ寮をでていく

 

 

 

 

 

 

(少しきつい言い方だが・・・まぁこれで立ち直らなきゃホントに私を口説く権利なんてないぞ?)

 

 

「さて、お前達、少し寄り道するぞ」

 

「陛下―、どこへー?」

 

「ちょっと確認をな?動くな、魔法をかける。___『我等を全ての者から隠したまえ』」

 

杖を振って自分と2人にかける。シャドウ?あいつは自分で隠れられるから

 

 

 

 

 

しばらく歩きグリフィンドール寮の前で待つ___良かった、どうやらちゃんと4階にいったらしい

 

 

 

 

部屋に戻り術を解く

 

 

「何の確認だったんですかー?」

 

「4階廊下に行ったかどうかだ。これで話が一気に進む」シュル

 

「・・・あぁ、確か賢者の石が保管されているんでしたっけ?」

 

「まだだな。しばらくは『みぞの鏡』を見に行ったり、スネイプやダンブルドアとの談笑がメインだ」パサっ

 

「・・・ウィラトリア様、お召し物を脱ぎ散らかすクセを直してください」

 

「別にいいじゃないか。すぐに風呂に入るんだし」

 

「一応私と獣殿は男なのですぞ?」

 

「お前達人間じゃないから私の裸見ても何とも思わんだろう?それに今更だ。アルヴィー、身体洗ってくれ」

 

「はいはーい!」すっぽんぽーん!

 

 

「「・・・はぁーっ」」

 

 




_車掌 _組み分け帽子 _パーシー _スネイプ _ダンブルドア _マダム・ポンフリー _マクゴガナル _フリットウィック _スプラウト _ゴースト全員 _各魔法大臣 _聖28一族 _各魔法学校校長 _スリザリンの一部の生徒達(闇の陣営勢)(New!)

人間が見たら?=アバダケダバラァァアアアア!!!×100

○フォイの友人が反骨精神を出したおかげで皆様が心配していたフォイフォイの胃はギリギリ守られたようです____・・・今年はね?

ウィラは自分に媚を売って来る手合いがこの世で最も嫌いです

マグルの血=穢れた・・・あっ(察し)

Q,もしセオドールがあそこで従順な態度にでていたら?

A,「失せろクソ虫共、便所のチリ紙にも劣る」


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黄金と初恋相手

多分レイブンクローの扱いがこれほど酷いssって
無いと思う

あと話の展開上どうしてもグリフィンドール
が多めに出てきます
ご了承ください




次の日にスリザリンに合流するとドラコ達から「君にふさわしい男になるから待っててくれ」と力強く言われたが・・・いや別になったからといって結婚するとは一言も言ってないよ?

 

途中「闇の魔術に対する防衛術」の授業があったが_____

 

 

 

「・・・何だこの部屋は・・・こんな教室で先生は授業を生徒に受けさせるのですか?」

 

「ひっ!もっ、申し訳ないがミス・エル・ドラド・・・わっ、私はちょっと臆病なもので・・・」

 

「知っておるよ、吸血鬼に襲われて以来ニンニクが手放せないんだろう?我儘は言いたくない、言いたくはない・・・が」

 

「なっ、何か?」

 

「いや、どこかの自称闇(笑)の帝王ですらこの私にキズ一つ付けられないというのに我慢してまで授業を受ける意味があるのかな?と」

 

「っ!?でっ!ですがっ!!」

 

「これは冗談で言うのだが伝えてくれないか?「そんな所に隠れてないでさっさと殺されに来い」と」

 

「っぅ!?」ギリっ!!

 

 

いや~あの時の顔ときたらwwさぞかしヴォル様はご立腹だっただろうwwwwプゲラww

 

 

おっと忘れてた。あれからもう3週間程がたち、私はまたグリフィンドールにいる。1年間は自由だから各寮を回っているのだ

 

え?ハッフルパフとレイブンクローはだって?

 

キングクリムゾン!!時間は飛び、行った結果だけが残るッッ!!・・・ではこっからダイジェストでお送りしま~す

 

 

 

レイブンクローの場合

 

 

「ウィラ様!!どうかウィラ様の杖を調べさせてください!!」

 

「あーうん・・・触らなければ別にいいけど、ほれ」ス

 

「おぉ!!これが!!お前等!!何としても謎に包まれた黄金の魔力を解析するぞ!!」

 

「「「「オォォオオオオオ!!」」」」

 

 

___30分後______

 

「砂場でお城を作って貫通させるとスゴク快感を感じたの!!アナタの身体も穴だらけにしてあげるわ!!」

 

「レイブンクローという巣の中心はこの俺なんだよぉ~!!クェェエエエ!!」バサっバサっ

 

「ぬふぁぁぁああん!!力がっ!!力が溢れてっ!!ぬふぁぁぁああん!!」

 

「ハァァアアア燃え燃えしてぇぇえええ!!ホグワーツのお城たんマジ燃え燃えしてやりてぇぇええええ!!」ボォッ!!

 

「血管から注入すれ(食べれ)ば数倍の魔力になるっ!!これがドーピング(D)コンソメ(C)スープ(S)だ・・・ッッ!!」ゴシカァン!!

 

「誰か魔界探偵呼んでこい」

 

 

 

 

 

 

ハッフルパフの場合

 

 

「あ゛~ダメになるぅ~」

 

「ふふん、どうだ?すごいだろう、極東の「おこた」という暖房器具は!!」

 

「うぃらさま~、これは~?」へにゃ

 

「それも極東の「オフトゥン」なるものだ」

 

「ふぉぉおおおお!!ぷりきゅーあ萌えぇぇえええ!!」  「3分間舞ってやる!!」  「40秒で支度しな!!」  「かーまーはーまー波ぁぁあああ!!」  「燃えろ!!俺の小宇宙!!」

 

「「「「「「「あぁ゛~ダメになるんじゃあ^^~」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

____思い返したらあれ?私結構ヤバいことしかしてなくない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____「スネイプ教授、ここはこうした方が良いです」グツグツ

 

「ほう、どれ。・・・何と!こんな方法が!」グツグツ

 

 

今は以前から頼まれていた魔法薬の精製法をスネイプてんてーに教えている

 

 

「今までミス・エル・ドラドが教えてくれたことはどんな本にも載っていなかったし、吾輩自身全く想像もしなかったものばかりだ・・・エルドラド王国とはなんと素晴らしい!!」

 

「ありがとうございます。そう言っていただけることは国王としてとても嬉しいものです」ニコ

 

「聞いてもよいか分からぬが・・・具体的にはどのような仕事を?」

 

「大体の国の運用は大統領や大臣達に任せています」グツグツ

 

「『君臨すれども統治せず』ですな?」グツグツ

 

「えぇ、まぁだいたいそんな感じです。なので基本は公務や他国への視察・・・まぁ視察と言っても大体は世間話ですね。ホグワーツに来る前も女王とお茶会しただけですし」ポイ

 

「・・・とんでもない交友関係だ。イギリスであろう?女王とは」

 

「えぇ、同じ女王としてとても尊敬してます。後は国内を回って臣民と触れ合ったり、兵士達の前で演説を行い叱咤激励ですかね、けっこうおもしろいですよ?」ぽーい

 

「・・・それを言えるのは君くらいなものだろう」

 

「生まれついての王ですから」ふふん

 

「ふっ、否定できんな。どこでこれほどの腕前を?一見適当なようで恐ろしく適格だ、正直腕は吾輩以上だな」

 

(キャー!!てんてーが笑ったわー!!)

「一応魔法族の王でもありますので。魔法も大半は使えますよ?」

 

「・・・まさか3年生や4年生レベルも?」

 

「まさか、その程度なわけないじゃないですか!無言呪文に悪霊の火までなんでもござれ、それは先生が一番分かってるでしょう?」スウ

 

「っ!?よせ!!吾輩を覗くな!!」バッ!!

 

「・・・ふふっ、私を覗こうとしたくせに♪」

 

「・・・やはりあの景色を見せたのはわざとか・・・っ!?」

 

「えぇ、良い演出だったでしょう?それに先生も中々の閉心術で、私でも少し本気を出さないと見るのは難しいようです♪」

 

「・・・どこまで見た!?なにを・・・っ!?」

 

「そうですねぇ・・・取りあえず・・・___ヴォルデモートやダンブルドアなんか捨てて私の下へ来い」

 

 

 

そう言うと杖をとんでもないスピードで私に突きつける・・・が

 

 

「___っ!?」

 

__チャキ_____

 

「・・・下がれ、この私がまだ話してるんだ」

 

 

 

スネイプにアルヴィーと獣が本気の殺気を放って剣を喉元と心臓に突き立てている

 

 

「ですが陛下、この者は御身を傷付けようとしました。どうか・・・っ!!」

 

「お願いします黄金の君、このまま殺させてくださいっ!!」

 

「ならぬ・・・そもそもだ」ス

 

スネイプの杖の先を私の喉元にやる

 

「そもそも・・・この程度の魔力で我が黄金の血の守りを突破できるとでも?」ニィ

 

 

もう一度下がれと言ってようやく二人が引き下がった、スネイプは脂汗を掻きながら必死に倒れまいとしている

 

 

「はっ、はっ!___・・・何が目的だ・・・!!」ギリっ

 

「私がここに来た理由は二つ、1つはフィアンセを、2つ_____卿を我が円卓に加えたい」

 

「__ッ!?__馬鹿な・・・」

 

「ダンブルドアなんかいらん、初めから私の目的はスネイプ、卿だけだ。卿にはそれだけの価値がある」

 

「一体何を・・・私にそのようなk「リリー・ポッター」__っキサマ!?何故それを!?」

 

「我が黄金の瞳は全てを見通す。・・・捨ててしまえ、ダンブルドアなんか。私がハリーを・・・卿を守ってやろう」

 

「・・・理由を言っていないぞ!!煙にまくな!!」

 

「これは失礼(クスクス)・・・私はなスネイプ、愛の力を本気で信じている」

 

「・・・」

 

「卿ほど愛に生きる男を私は知らない、・・・とても好ましく思う。正直・・・貴方のような誠実な人がタイプなんだ。だから・・・死んでほしくないんだ・・・ハリーに辛くあたる理由も知っている。私は貴方をちゃんと理解している。だから・・・『バシュン!!』・・・」

 

 

スネイプが私に魔法を撃ったが・・・私は全くの無傷だ

 

 

「___っぅ!?・・・出ていけ・・・今すぐここから!!未来永劫出ていけ!!」

 

「・・・済まない、卿のプライドを傷つけた。このことは決して誰にも言わないし見せない。ハリーやダンブルドアにもだ・・・」

 

「誰が許すものか!!この黄金の化け物めっ!!出ていけ!!」

 

「・・・ごめんなさい。でも・・・それだけ貴方が好きなんだ。・・・もう近寄らないし目も決して合わせない・・・______さようなら・・・」ギィ・・・

 

 

地下の研究室を出ようとするが・・・

 

 

 

「・・・待てミス・エル・ドラド・・・」

 

「・・・」

 

「何故それを吾輩に話した、黙っていれば吾輩の怒りを買うこともなく、お前の心など誰も覗けないというのに・・・」

 

「・・・知っててほしかったんだ、___貴方は決して一人じゃない、たった一人でもここに理解者はいるよって・・・」

 

「・・・ミス・エル・ドラド、お前は今日から・・・吾輩の敵だ。そしてお前から-200点!!」

 

「・・・はい」

 

「だが・・・この魔法薬の知識は本当に魔法界を根底から覆すものばかり、よってミス・エル・ドラドに230点」

 

「___っ!」

 

「・・・誰にも言わないでくれ・・・理解者などいらん。ただ・・・覚えておいてくれればそれでよい」

 

「__はいっ!」

 

「・・・化け物と言って悪かった。本心じゃないんだ・・・こちらこそ許してほしい」

 

「あのっ、いえ・・・本当のことなので」

 

「いや・・・ミス・エル・ドラドは人の母と人の父との間に生まれたのだ、お前は間違いなく人の子だ」

 

「っぅ!?」

 

「話は変わるが・・・どこまで見た?」

 

「・・・ハリーに関わることは大体」

 

「・・・リリーもか?」

 

「・・・(コク)はい」

 

「本当にそれだけか・・・?」

 

「っ信じてください!!本当なんです!!全力でやってないし・・・古いほうはノイズが酷くて・・・」

 

「(ほっ)よくはないがまぁいい。さ、帰りなさい。・・・また薬品の調合を頼む」

 

「・・・いいんですか?」

 

「フッ、あまりにも惜しいんでな。せいぜい吾輩に知識を教授するんだな」

 

「はいっ!是非!!」ぱあ

 

「__ぅ!?・・・ゴホン、さぁ帰りなさい。吾輩はこれから用がある」

 

「・・・ダンブルドアの所ですか?」

 

「・・・まさかまた開心術を使ってないだろうな?」ギロっ!

 

「いえいえ!!まさか!!貴方には二度としません!!」ブンブン!!

 

「誓えるか?」

 

「我が黄金の名に誓って」

 

「・・・ならよい、行きなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・黄金の君、先程のことは本気ですか?」カツカツ

 

「・・・何だ急に」コツコツ

 

「陛下、何故あのような者を円卓に?あの者は御身の円卓に相応しくありません!」カツカツ

 

「それを決めるのは私だアルヴィー。・・・開けろ」

 

 

部屋に戻っても二人が質問攻めしてくる

 

「それだけではありません!!本気なのですか!?」

 

「・・・何の話だ?」

 

「陛下!とぼけないでください!!その・・・タイプだって!!」

 

「・・・だr「スネイプ教授です!!」・・・///」ぽっ

 

 

私の様子に二人が絶句しているけど・・・

 

「いっ、いいじゃないか!その・・・凄く・・・素敵だし・・・」かぁっ

 

「まさか・・・!?初めからフィアンセは!?」

 

「うん・・・スネイプ先生」

 

「でっ、ですが御身とはあまりにも年齢が!?」

 

「いいじゃないか、父上と母上なんか30歳近く離れてるんだし」

 

「いっ・・・いけません!!貴女様は生徒!!彼は教師なのですよ!?」

 

「・・・禁断の関係って何か燃えない?」

 

「「燃えません!!」」

 

「そんなー(´・ω・`)」

 

「シャドウ殿も何か言ってやってください!!」

 

「そうです!!そもそも何故先程は陛下を守らなかった!?不敬であるぞ!?」

 

 

そう、先程も今もシャドウは一切動かず何も言ってこない

 

 

「・・・ウィラトリア様自身が選ばれた方です。それにこれはウィラトリア様ご自身の問題なのですぞ?」

 

「ですが・・・ッ!?」ギリっ!!

 

「・・・とにかく邪魔するな、これは私の初恋だ」

 

「・・・前世の時からですか?」

 

「うん、多分な。・・・正直リリー・ポッターが羨ましいよ、あんなに思われているなんて」ギシっ

 

「何を見られたのですかな?」

 

 

彼の心は今でもリリーに釘付けだ、死んだ今でもリリーを・・・そして彼女の息子であるハリーの幸せだけを願っている

 

(・・・『ハリー・ポッター』の小説の記憶を思い出した時、まっ先に思い浮かんだのはスネイプの死に際だった・・・永遠に一人の女性を愛するその姿に心を打たれ・・・そして悲しかった・・・)

 

「・・・悪いが言えない、黄金の名に誓った」

 

「・・・分かりました」

 

「とにかくこの話はこれでお終いだ。どっちにしろ、私はいつか彼に告白する。これは決定事項だ」

 

「・・・御意」

 

「・・・納得いかないけど・・・まぁ陛下が決めたことだもん!アルちゃん達が口出しすることじゃないもんねー!」

 

「そういうことだ、風呂に入ろう、薬の匂いが酷くて堪らん」

 

「正直ずっと鼻が曲がりそうでしたよ・・・」

 

「まぁ私もかなりキテたからな、獣はとくにきつかっただろう」

 

「・・・上がるまで待っていられませんのでご一緒に入っても?」

 

「いいな、4人で久々に入るか」

 

「ウィラトリア様・・・もう少し抵抗を持ってください、貴女様は女性なのですぞ?」

 

「この黄金の肢体を恥じる理由も隠す理由もない!鏡よ鏡?世界でもっとも黄金に輝き美しいのは誰だ?」

 

「陛下でございますぅー!」(裏声)

 

「そういうことだ。シャドウ、今日は泡タップリのお風呂がいいな、遊ぼう!」

 

「はぁっ・・・御意」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『チョコモナカジャンボ』」

 

__バニラモナカジャァアンボゥ!!__ピョン!

 

(・・・無駄になんかうまいな・・・)コツコツ

 

 

今現在スネイプはダンブルドアに急ぎの用があると言い校長室に向かっていた

 

 

 

 

カチャ「校長、スネイプです」

 

「おぉセブルス、一体何があった」パリパリ

 

「・・・取りあえずそのアイスを食べることを止めてもらえますかな?」

 

「どうじゃった?ガーゴイル像はちゃんとうまく歌をk「食うのを止めろ老いぼれ!!」流石に言いすぎじゃないか・・・?」

 

「先程以前言われたとおり、ミス・エル・ドラドに魔法を撃ちこみましたが・・・」

 

「なんと!?それで・・・どうじゃった?」

 

「校長の言うとおり全くの無傷でした。しばらく観察しましたが痛がる素振りもありません」

 

「そうか・・・ウィラ殿の言うとおりじゃったか」

 

「おそらく他の呪文も同様です。やはり彼女には一切の魔法攻撃が通用しないと見てまず間違いありませんな」

 

「開心術も同様か?」

 

「えぇ、あの時はわざとに心を見せたのでしょう。その証拠に今回は入る以前に遮断され、更にはこちらの方を逆に見られました」

 

「なに!?どこまで見られた!?」ガタッ

 

「本人が言うには・・・最悪です、ポッターの情報をほぼ見たと本人が言っておりました」

 

「本人じゃと?なぜわざわざ彼女がお主に・・・」

 

 

__好きなんだ   __貴方は決して一人じゃない

 

 

「っ!?」かぁっ!

(いやあり得ん!!吾輩の心はリリーの物だ!!それにあの子は教え子!!20歳といわずに離れているのに・・・っ!?)

 

「どうしたセブルス?顔が赤いが・・・」

 

「いえ、何でもありません。それより・・・」

 

「うむ、ハリーのことじゃな。どうしたらよいか・・・」

 

「・・・一度彼女とサシで話し合われてはいかがでしょう?」

 

「ううむ・・・やはりそれしかない・・・か」

 

「では吾輩はこれで、明日の授業の用意があるので」クルっ

 

「待つのじゃセブルス」

 

「(ピタ)・・・何ですかな?」

 

「本当にハリーの事しか見ておらんと言うたのじゃな?何か他には?」

 

「さぁ?吾輩でも何をどこまで見られたのか分からないほどの開心術ですぞ?それもまた話し合ったらどうですかな?」ギィ・・・バタン

 

「・・・直接話し合うしかない・・・か」ギシっ

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇウィラ!宿題なんかしないでさ!遊ぼうよ!」

 

「僕達今からハグリッドの所に遊びに行くんだ!ウィラもおいでよ!」

 

「ハグリッドもさ、またウィラと話しがしたいって言ってたよ?」

 

「悪いな、ちょっと今から用事がある」

 

「どこに行くの?」

 

「校長室」カツカツ___

 

「「・・・へ?」」

 

 

 

 

 

「『チョコモナカジャァァアアンボウゥゥゥウ!!』」

 

__おっ!!分かってんじゃねえかお嬢ちゃん!バニラモナカジャィアアァアンボゥ!!__ピョン!

 

「うむ、卿も良い歌声だ!まるで吉川○司みたいだな」コツコツ

 

 

___ギィ・・・

 

「来てやったぞ校長殿」

 

「おぉ、よく来たなウィラ殿!何か飲むかね?」

 

「バーホーデンのココアを、ミルク増し増し砂糖有り有りで」

 

「うむ、少し血糖値が怖いが儂もそれにしよう」コポポポ

 

 

ダンブルドアがコップを置き、どちらともなく飲みだす

 

 

 

「__ほう?以外と淹れるのがうまいな」

 

「・・・流石にちと甘すぎるのう」

 

「で?何の用だ?わざわざ『憂いの篩(ペンシーブ)』に記憶のほとんどを移してまで」

 

「・・・いつ覗いた?」

 

「いや別に?どうせそうだろうと思ったまでのことだ」

 

「・・・恐ろしいカンじゃな、それも黄金の成せる技か」

 

「いいから早くしろ、こっちは貴重な休憩時間だ」

 

「その前に二人っきりで話がしたい、獣殿達を外にやってくれんか?」

 

「断る。護衛を離す王などどこにいる」

 

「しかし・・・」

 

「安心しろ、お前達、命令だ。何も聞くな、何も見るな、何も反応するな」

 

「「「・・・」」」

 

「な?これでいいだろう?」

 

「では・・・単刀直入に聞くがどこまでセブルスの記憶を見た?」

 

「スネイプから聞いているだろう?ハリーのことだけだ」

 

「信じる証拠は?」

 

「無い。だが黄金の名に誓って、そして彼の心は二度と覗かんとも誓おう」

 

「・・・分かった・・・信じよう」

 

「次はこっちだ・・・私に杖を向けるよう、仕向けたのはお前か?」

 

「・・・そうじゃ」

 

「だから嫌いなんだよ。で?結果は満足したか?」

 

「・・・本当にエルドラド王国と同じようにお主には魔法が効かんのじゃな」

 

「そうだ。たとえ魔具を使おうと使った本人の魔力で放出されたものは効かん。次はキサマが質問して来い、そろそろ本題に入ろうじゃないか」

 

「ハリーのことじゃ、今彼はヴォルデモートに狙われておる」

 

「あぁ、クィレルの頭に寄生しているな」

 

「っ!?・・・そこまで分かっておるのか」

 

「当然だ、我が瞳は全てを見抜く」

 

「では・・・」

 

「分かっているさ、ハリーに経験を積ませてやるために邪魔するな。と言いたいんだろう?」

 

「・・・そうじゃ、邪魔してくれるな。ハリーには脅威と戦う術が必要じゃ」

 

「確かにな。今の彼じゃあ虫けらみたいなヴォルデモートにさえ勝てん、それは彼に掛かっている防御呪文を持ってしてもだ」

 

「・・・お主に見えぬものなどないのか」

 

「・・・あるさ、私だって分からない、知りたいことは沢山ある」

 

「それは?」

 

「言うつもりはない・・・というかいい加減開心術を諦めろ、さっきから気持ち悪くてたまらない」

 

「・・・気づいておったか、儂にはセブルスと違い何も見せてくれんのじゃな」

 

「嫌いだからな、その点では毛先1本程ヴォルデモートのほうがマシだ」

 

「ウィラ殿、お主は儂等の敵か?」

 

「さぁ?向こうにも伝えたがせいぜい私に一生懸命媚を売っとけ、ま!売った瞬間捨てるがな」

 

「・・・女心は難しいのう」

 

「安心しろ。卿が運営する今のホグワーツが楽しいのは本心だ、生徒を守る手助けくらいはしてやるさ」スっ

 

「それを聞いて安心したぞい。もう行くのか?まだココアが残っておるが」

 

「飲み過ぎたらこの後お昼ご飯が入らなくなる、ご馳走様」

 

あぁあと____

 

「『真実薬』は私には効かんぞ?誰かの淹れた飲み物は飲む前に必ず解毒薬を飲むようにしているからな」

 

「・・・なぜ分かった・・・真実薬は無味無臭、それに解毒薬など聞いた事が無い」

 

「エル・ドラド家に伝わる秘薬の類さ、誰にも教えていない、な。あと人間には分からないがウチには鼻が利く犬ッコロがいるからな、部屋に入ってすぐ教えてくれたよ」

 

 

もう一度「ご馳走様」と言って部屋を出ていく

 

 

 

 

__カツコツ カツコツ

 

「・・・陛下、ワタシにあの者を殺す許可を」コツコツ

 

「なぜ?」カツカツ

 

「なぜ?なぜですと!?御身をあのクソジジイは試しハメようとしたのですよ!?万死にあたいします!!」メキメキっ

 

「人化を解くな、ホグワーツが壊れる」

 

「ハリー・ポッターの事もよろしいので?」

 

「取りあえず今年は様子見だな、あとは『みぞの鏡』を見学しにいくだけだ」

 

「御意」

 

「腐っても主人公なんだ、それに彼に掛かっている防御魔法も中々だ。愛の力とは本当に偉大だな」

 

「ですが我々の手にかかれば紙屑同然です、それは黄金の君も同じのはず」

 

「敵じゃないからなぁ・・・それに今は友達だ」

 

「今は・・・ですか」

 

「おいおい、深い意味なんて無いよ。あとはハロウィンを待つ、そこから物語は急展開しだすからうまく立ち回らないとな」

 

「ウィラトリア様は名女優でもあらせられますからな、余裕でしょう」

 

「ハリウッドにでも出演するか?・・・いや、いいなそれ。「本物の王族ハリウッドデビュー!しかも国王!?」とか面白そうだ!」

 

「お止めください、黄金の君には生涯我等黄金円卓の頂点でいてもらわなくては・・・」

 

「そうだな、せいぜい私の為に馬車馬のようにこき使われて私の為に死ね」

 

「光栄の極み」

 

「さーて!ごっはんー!ごっはんー!」~♪

 

「あの不死鳥美味しそうだったなー!ねー陛下―!今日の晩御飯は焼き鳥がいいなー!」

 

「そうですか?あの不死鳥たかだか1000年くらいしか生きてないんでしょう?もう少し肉を円熟させないと」

 

「どうされますかウィラトリア様、何だったらその辺で狩ってきますが?」

 

「えぇ~・・・絶対フォークスじゃんソレ、というか不死鳥って食えるのか?」

 

 

__カツコツ カツコツ____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(___なんという・・・まっこと恐ろしきはヴォルデモートでは無く黄金じゃな)

 

「歴代校長・・・は魔力に怯え逃げたか・・・儂なんか直で充てられたというに」

 

__カタカタ フィ~  

 

「フォークスも入った瞬間から怯えっぱなし、アルヴィー殿・・・頼むから美味しそうって目で見らんでくれ・・・というか不死鳥が怯えるとは・・・ハァ~、何か儂、独り言と溜息が増えた気がする・・・」

 




ウィラ胃薬被害者リスト _車掌 _組み分け帽子 _パーシー _スネイプ _ダンブルドア _マダム・ポンフリー _マクゴガナル _フリットウィック _スプラウト _ゴースト全員 _各魔法大臣 _聖28一族 _各魔法学校校長 _スリザリンの一部の生徒達 _クィレル(New!) _歴代校長(New!) _フォークス(New!)


Q.取りあえず一言良いですか?

A.よい、許す

では・・・やっとタグに「スネイプてんてー救済予定」を付ける事ができるぞぉぉぉおおおおおお!!!!!!(この日をどれだけ待ったことか!!)


ウィラが産まれた時 ジブニール51歳  オレンシア19歳←・・・(;^ω^)
             ↑
        お巡りさんこの国王です!!

どこかのホグワーツの校長は正義の味方を語りながら教師に命令して
無理やり生徒を攻撃させ薬物漬けにするのが趣味だそうです
(なんか字面が酷ぇな・・・)


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黄金と本音

トロールは犠牲となったのだ・・・
古くから伝わる黄金・・・その犠牲にな・・・



「へぇ、4階廊下に化け物ねぇ・・・」

 

 

ハリーとロンが小声で説明してくる

 

 

「うん、でかい3頭犬でハーマイオニーが足元に扉があったって」

 

「よく気づいたよなあいつ」

 

「それだけ周りを良く見ている証拠だ。というか3頭犬くらいでビクビクするな、アルヴィーのほうがよっぽど凶暴だぞ?」

 

「いや・・・ドラゴンと比べられても・・・」

 

「ウチの兄貴がドラゴンを研究する仕事しててさ、アルヴィーさんのこと話したんだ。そしたら「人化を使い喋るドラゴンだって!?しかもグィバー!?是非一度研究させてくれ!!」だって」

 

「卿の兄上に伝えろ、次に研究するとか言ったら卿の愛しいドラゴンをイギリスから1匹残らず駆逐してやる。とな」

 

「絶対伝えるよ・・・」

 

 

 

しばらくするとフリットウィック教授が入ってきた

 

そう!勘の良い者は気づいただろうが今日はハロウィン!そして今は呪文学の授業だ!!

 

原作とは少し違いハリーのペアは私、ロンは変わらずハー子のようだ

 

 

 

 

「いい?『レヴィオーサ』よ!貴方のは『レビオサー』!」

 

(おーいハー子―、言い方がちときつすぎやしやせんか?)

 

 

ロンに言った後ハー子が羽を浮かせる、あぁいうのをホントの秀才って言うんだよなぁ・・・

 

 

「ウィラ、こうかな?」

 

「ふむ、少し違うな」

 

「む、じゃあ手本見せてよ」

 

ハリーが少しむっとした顔でこちらを見る

 

(はぁぁああ!!ショタかわえぇぇえええ!!ていうか手本か・・・普通にやったんじゃ面白くないな)

 

「いいだろう・・・『ウィンガーディアム・レヴィオーサ』」ビューンヒョイ

 

「わぁすごい!ホントに浮かんで・・・え?」

 

 

ハリーの他に先生まで信じられないという顔で目の前の光景を見ている

 

 

そりゃそうだ、だって____教室中の羽全てを浮かせてるんだもん

 

 

 

更に渦を巻かせ教室を真っ白に染める

 

 

 

「素晴らしい!!これほどの数を浮かせ更には自由自在に操るなど!!ミス・ウィラトリアに30点!!・・・ミス・エル・ドラド?」

 

「くはっ!くはははは!!さぁ踊れぇ!!くははははははっ!!」ビュオォォォオオオ!!

 

「ウィラ!?ちょっと落ち着いて!!」

 

「Ho-hooooooou!!レッツロック!!イエァァアアア!!」

 

「ミス・エル・ドラド!!落ち着きなさい!!ミス・エル・ドラドォォオオ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・調子乗ってごめんなさい・・・」ズゥ~ン

 

「結局-10点も引かれちゃったね」

 

「でもすごかったじゃないか!!先生もあそこまでできる生徒なんか初めて見たって!!」

 

「ウィラさんって結構ノリいいよね、ロックミュージックとか好きなの?」

 

「昔やったゲーmコホン、まっ、まぁな」

(っぶねぇぇ!?デビクラとかプレ2とかこの時代にあるわけねえじゃん!!)

 

「それと比べあいつときたら!だから友達がいないんだよ!」

 

 

ロンがそういうと後ろから足早やにハー子が過ぎ去っていく

 

「・・・今の聴こえてたみたいだね」

 

「構うもんか、ホントの事だし自業自得だよ」フン

 

「はぁ・・・やっぱりこうなったか・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕食の時間になった。他の女子に聞いたがどうやらトイレにずっと籠っているらしい、時折すすり泣く声も聴こえたようだ

 

 

(・・・流石に放っておけないな)_ガタ___

 

「あれ?ウィラさんもういらないの?こんなに美味しいのに」

 

「もうお腹いっぱいだ、それに流石にもうカボチャ料理は飽きた」

 

「どこかいくの?」

 

「トイレ、少し食べ過ぎた」

 

 

 

 

__カツコツ

 

 

「お前達手を出すな、トロール如き私一人で充分だ」

 

「陛下でも過剰過ぎですよー?」

 

「黄金の君、あまり遊びすぎないように」

 

「どうかな、相手の出方次第だ。一端散れ、お前達の気配で来なかったら意味がない」

 

 

3人に「気配遮断・認知不可呪文」をかけ女子トイレに入る

 

 

__ぐすっ

 

「・・・グレンジャー、いるのか?」

 

__ビクっ「・・・ウィラさん?・・・何しに来たの?」

 

「泣いていると聞いて心配したんだ、大丈夫か?」

 

「嘘よ!どうせ私を笑いに来たんでしょう!?」

 

「違う、泣いている女の子を笑う奴なんて最低だ」

 

「・・・いつもそう、いつもそうやって何をしても自身満々で全部私の遥か上を行って!!」

 

「グレンジャー・・・」

 

「王族だから何よ!国王だからって調子乗らないで!!私がどれだけ・・・頑張ってると・・・っ」

 

(そうか・・・私が追い詰めてたのか・・・)

 

「最低だな・・・私」ボソっ

 

「え?」

 

「グレンジャー、卿がどれだけ努力しているかはよく知っているつもりだ。卿の真面目な姿に私がどれだけ心打たれ、そして負けたくなかったか・・・」

 

「・・・嘘言わないで、どうせ庶民だって嘲笑ってるクセに・・・アナタなんかに私の何が分かるというの?」

 

「__っ!?お前に私のなにが分かるって言うんだ!?」バァン!!

 

「っえ?」

 

 

扉を無理やり空けハーマイオニーの胸倉を掴む。もうダメだ、我慢できないっ!!

 

 

「みんなと仲良くしたいだけなのに!!何処に行ってもウィラ様!!誰も私を・・・ウィラのことをウィラと見ずに国王としか見ないじゃないか!?」

 

「ウィラさん・・・」

 

「お前に国王の気持ちの何が分かる!?ウィラがどれだけ悩んで・・・どれだけっ・・・努力したと・・・っ!!」

 

「だって・・・貴方は天才なんでしょう?努力なんて・・・」

 

「だからといって努力しない者に人の上に立つ資格なぞ無い・・・。王になったのもそうだ・・・こんなお子様がなって国民に嫌われないか・・・どれだけウィラが悩んだか分かるか!?父の・・・大人の期待に絶対に応えないといけないプレッシャーがお前に分かるのか!?」

 

「でもそれは・・・」

 

「あぁそうだ!!ウィラが選んだ!!でもそうしないと祖国が滅ぶ!!それにお前だって自分で選んでここにこうしているんじゃないか!!」

 

「っ!?」

 

「悲劇のヒロインを気取るな!!・・・お前も私と同じだ!ハーマイオニー、お互いいつも良かれと思って行動して、理解されなくて・・・」

 

「・・・そうね、正直嫉妬してたんだわ・・・私」

 

「それは私だって同じだ・・・秀才ってこういうことを言うんだなと思い知らされたよ」

 

 

 

「・・・あの「あの・・・・」」

 

「・・・ハーマイオニーからどうぞ」

 

「・・・じゃあ・・・ごめんね?ウィラ、私を探しに来てくれたのに・・・酷いこと言って。・・・そうよね、王様が簡単な仕事なワケないのに・・・ホントにごめん」

 

「私の方こそごめん・・・悲劇にヒロインとか言って・・・」

 

「ううん、ホントのことだもん。・・・ねぇ、ウィラって呼んでいい?」

 

「もちろん、私の方こそハーマイオニーって呼んでも?」

 

「えぇ、もちろんよ!これからよろしく!ウィラ!」

 

「うん!ハーマイオニー!!」

 

「ねぇウィラ?早速だけどもう少し言い方優しくしたら?」

 

「いや、あぁは言ったが小さい頃からこんな感じだし・・・やっぱり私は生まれながらの王だよ」

 

「ふーん、そういえば・・・ウィラって興奮すると一人称が名前になるのね」

 

「なぁっ///!?」

 

「ふふっ!ウィラって案外、ううん、可愛いわ!」

 

「からかうな!・・・って何だか臭い・・・」すんすん

 

「ホントだ。なにコレ、さっきまでこんな匂い・・・って!?」

 

 

 

 

・・・あっ・・・そっか・・・

 

 

 

「______グォォォオオオオ!!」ビリビリ

 

__ブォン!!__バキィ!!

 

 

 

「キャァァア!!なんでトロールがホグワーツに!?」

 

 

(やっべ完全に忘れてたぁぁあああ!?)

 

 

__ヤバイよハリー!!女子トイレから声が!?  __きっとハーマイオニーだ!!ハーマイオニー!! 

 

 

ロンとハリーが急いで女子トイレに入って来た

 

 

 

「きゃー、えっちー」(棒読み)

 

「違う!!・・・ってウィラ!?どうしてここに!?」

 

「ハーマイオニーが心配でな」

 

「僕達もそうなんだ、でもまさか閉じ込めた先にいたなんて・・・」

 

「それよりいいのか?こっちにトロールが来ているが?」

 

 

私の声に3人が振り向くと勢いよくトロールがこちらにこん棒を振り回し襲ってくる

 

 

__だが甘い

 

 

「『プロテゴ』(盾の呪文)」

 

 

__ガキィン!!  ゴア?ゴアァァ!!! ガキン!ガキン!!

 

 

 

「・・・嘘、これって盾の呪文!?かなり高度な呪文よ!?」

 

「ほう、流石ハーマイオニーもう見破ったか」

 

「すごい・・・トロールの攻撃が全然届かない」

 

「でもこのままじゃ破られちゃうよ!!」

 

「仕方ないな、みんなには内緒だぞ?」

 

「・・・ウィラ?」

 

「卿等に『黄金』を見せてやろう__『プロテゴ・マキシマ』(最大の守り)」

 

 

 

__・・・どうやらマクゴガナル達が近くに来たらしいがちょうどいい・・・

 

 

 

(ダンブルドア、これがお前の知りたがっていた私の実力だ)

 

 

 

「__『黄金の火よ』!!」ヒュオ!

 

 

私が呪文を唱えると杖から津波のように金色の光が出てトロールに纏わりつく

 

 

「ゴアッ!?ガァァアアアア!?」ブンブン!!

 

「無駄だ、これは『悪霊の火』ですら燃やし尽くす劫火だ。光栄に思え、この呪文は円卓以外に使ったことがない」

 

 

崩れ落ちる前にトロールの身体は灰も残さず燃え尽きた

 

 

「すごい・・・」

 

「ホグワーツでこれを使うのは初めてだ。久しぶりに使ったからな、加減を間違えた」

 

「・・・ねぇ、貴方達どうしてここに?」

 

「ハーマイオニーの姿が見えなかったから探しに来たんだ、トロールが学校に侵入したって、だから心配になって・・・」

 

「・・・あんなこと言ってごめんよ?」

 

「ううん、いいのよ。私のほうこそごめんなさい」

 

「ウィラも無事でよかったよ、さっきの魔法は?」

 

「そうよ、あんな魔法見たことも聞いたことも無いわ。それに貴女、まだ実力を隠してたのね?」

 

「いやぁ、使う機会が無かったんだ。それにあの魔法については先生達が来てまとめて説明しよう」

 

 

言っているとマクゴガナルを筆頭に先生達が女子トイレに入ってくる

 

 

「一体これは・・・どういうことですか!?」

 

 

そりゃトイレに金粉が舞ってたらそうなるわ

 

 

 

「あの・・・その・・・」

 

「説明なさい!何故あなた方はこのような場所に?」

 

「マクゴガナル先生、それh「私の所為なんです!」

 

「_?どういうことですか?ミス・グレンジャー」

 

「その、本でトロールの倒し方を読んだので楽勝だと思って一人で探してたんです!そしたらウィラさんと二人が探しに来て・・・ウィラさんが助けてくれたんです!」

 

 

マクゴガナルが怪しむような目付きでこちらを見て来る

 

 

 

「・・・スネイプ教授」

 

「・・・申し訳ないマクゴガナル教授、このような魔法見たことがない・・・」

 

「・・・ミス・エル・ドラド、貴女の仕業ですね?一体どんな・・・」

 

「校長先生なら分かると思いますが・・・『黄金の魔法』です」

 

「__!?・・・分かりました、あなた方の話しを信じましょう。ですが愚かな行為ですよ!ミス・グレンジャー!!大人でさえ討伐に苦労するトロール相手に子供が一人で!?貴女には失望しました!よって1人につきグリフィンドールから-5点!ミス・エル・ドラドもです!身の程を弁えなさい、アナタ達はまだ学生なのですよ!?」

 

 

3人・・・とくにハーマイオニーはショックだったようだ

 

マクゴガナルに促され大広間へと向かっていく

 

「待ちなさいミス・ウィラトリア、先程も言ったとおりトロール討伐は大人でも苦労します。貴女のその技量に30点あげましょう。彼らもその勇気を讃え一人につき10点」

 

「・・・ありがとうございます」

 

「さ、貴女も行きなさい。この件は校長にも報告します」

 

「分かりました」

 

「待てミス・エル・ドラド・・・円卓は?」

 

「ちょうど部屋で待機中でしたよ?スネイプ先生。ちょっと・・・ハーマイオニーとちゃんと二人っきりで話しがしたかったので」

 

「・・・分かった、行きなさい」

 

ペコリと頭を下げてトイレを出るとクィレルが怖がってうずくまっていた

 

「みっ、ミス・エル・ドラド!無事でなにより!」プルプル

 

「えぇクィレル教授、ところで大丈夫ですか?大事なターバンが取れ掛かっていますが」

 

「_っ!?」バッ!!

 

「危ない危ない、知ってますか?どうやら最近の寄生虫は頭に寄生するのがブームらしい」ボソっ

 

「きさまっ!?」

 

「どうかしましたか?ではこれで」

 

 

 

 

今度こそ3人の後を追う

 

 

 

(・・・分かっているだろうな?期を見て姿を現せ)

 

トンっと肩を叩かれた、どうやら通じたようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女子トイレにダンブルドアがやって来て検分が始まった

 

 

 

「・・・校長、この魔法は何ですか?それになぜトロールがいた所だけこのように燃えたのでしょうか?」

 

「ふむ・・・おそらくは『盾の呪文』、それも『プロテゴ・マキシマ』を使ったのじゃろう」

 

「__!?あの年齢でそれほど高高度な呪文を!?あり得ません!!」

 

「いえ・・・校長の判断が正しいかと、先程見えた光量に比べあまりにも範囲が狭すぎる。トイレ全域に『プロテゴ』をかけたとしか言いようがありませんな」

 

「ですが何故『プロテゴ・マキシマ』だと?」

 

「それくらいでしか防げないんじゃよ、・・・『黄金の魔法』は」

 

「なんなのですかな校長、その『黄金の魔法』とは」

 

「エル・ドラド家に伝わる魔法じゃよ、ヨーロッパ最古の魔法にしてその呪文は魔法使い十数人を必要とする大魔法に匹敵すると言われとる・・・儂自身本物を見るのは初めてじゃ」

 

「あの子は・・・盾の呪文を使った上でそのような呪文を・・・?」

 

「しかもピンピンしておりましたな」

 

「おそらくはもう数回呪文を唱えても全く平気じゃろう、近くに円卓も待機しておったハズ・・・これは彼女からのメッセージじゃ」

 

「メッセージですと?」

 

「そうじゃセブルス、こう言いたいんじゃろう。「これが私の力だ、円卓や血の守りだけじゃない」__とな」

 

「もし・・・あの子が悪に落ちた時アルバス、私達は彼女を止めることができるのでしょうか?」

 

「そうならぬことを祈るしかないじゃろうミネルバ。これまで以上に彼女に注意を払わなければ・・・さて、生徒達を安心させねば」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____あの小娘が!!この俺様をよくもコケにしてくれたなぁ!!

 

「わっ、我が君っ!どうか落ち着いて・・・」

 

____黙れ!!キサマ如きいつでも殺してやれるのだぞ!?

 

「もっ、申し訳ありません!!我が君!!」

 

____忌々しい黄金が!!必ず八つ裂きにしてやる!!

 

「でっですが・・・アレにはどんな魔法も通用しません」

 

____ふん、「賢者の石」さえあればたとえ「黄金の血の守り」があっても負けることはない。クィレルよ

 

「はい」

 

____なんとしても「賢者の石」を手に入れるのだ!まずはダンブルドアの守りを突破せねば・・・

 

「それについて我が君、すでに手を打ってあります」

 

____ほう?ならば暫し楽しませてもらおうか。ウィラトリアにダンブルドア、最後に全てを手にするのはこのヴォルデモート様だ__!!

 

 




ウィラ胃薬被害者リスト _車掌 _組み分け帽子 _パーシー _スネイプ _ダンブルドア _マダム・ポンフリー _マクゴガナル _フリットウィック _スプラウト _ゴースト全員 _各魔法大臣 _聖28一族 _各魔法学校校長 _スリザリンの一部の生徒達 _クィレル _歴代校長 _フォークス _お辞儀さん(New!)


やーい!お前の頭にサナダ虫~!

キサマァァ!!?(ビキビキっ)←ウゾウゾ

ssだとよく使われる印象がある『プロテゴ・マキシマ』
映画だと最終決戦時にホグワーツ城に使われたくらいなんですね


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黄金とみぞの鏡

何が写るのでしょうか


ハロウィンが過ぎ11月になった、とうとうハリーがクィディッチの選手として初陣を迎えたようだ、先程からロンが大声で大広間の入り口で叫んでいる

 

「ハリー!とうとうクィディッチの季節!!つまり君が代表選手としてデビューする日がきたんだ!!」

 

「うん・・・そうだねロン」

 

「どうしたんだいハリー!?元気を出さないでd「ロン」ピィ!?」

 

「悪いがマジで黙れ、クィディッチが大切かもしれんがこっちも大切なんだ。10分でいいから黙れ」ガリガリガリ!!

 

「ねぇハーマイオニー、いつも以上にすごい量の書類だけど・・・」

 

「ロン、静かにしてあげて?この3日間くらいずっと徹夜してるらしいの」

 

「3日!?なんd「ロン!!」(ビクっ)ごっごめんなさい・・・」

 

「・・・正直僕なんかよりウィラのほうが心配だよ。ハーマイオニー、何か聞いてないの?」

 

「なんでも明日までにそれぞれの王族や国、更には各国の魔法省からのパーティーのお誘いに返事を返さないといけないらしいの。ほら、ホグワーツは24日までだから。それにいつもの公務までしないといけないらしいし・・・」

 

「王族のっ・・・王族のパーティーだって!?どんなパーティーなんだろう」ヒソヒソ

 

「少し教えてもらったけど名だたるメンツばかりだったわ、正直ファッジ魔法大臣の名前が霞んでみえたもの」

 

「大臣が!?・・・ホントに住む世界が違うなぁ・・・」

 

「えぇ、でも大切なお友達だもの。私がしっかり支えてあげないと!」フンス

 

「良かったね、仲直りできて。僕達もハーマイオニーと改めて友達になれて嬉しいよ!」

 

「私もよハリー、今度3人で湖の近くでお弁当でも食べましょ?」

 

「おい!!僕が仲間はずれじゃないk「ロォォォン!!キサマァァアアア!!『シレンシオ』黙れ!!」ムー!!ムー!!」もごもご

 

「あー・・・うん、今のはロンが悪いね」

 

 

 

 

 

___ワイワイザワザワ

 

 

「全く、人の気が立っているというのに。おいロン感謝しろ、その気になればトロールと同じ運命を辿らせることもできたんだ」

 

「それって思いっきり殺s「アァ゛ン!?」・・・ナンデモナイデス」ダラダラ

 

「ウィラ、大丈夫なの?」

 

「あぁハーマイオニー、大丈夫だよ?私黄金のゴンちゃん!今ネフェルピトーをボッ!!ってしてるの!・・・ところでなんで卿は筋肉ムキムキマッチョマンの変態なんかになってるんだ?」フラフラ

 

「かなりヤバイよね・・・」

 

「もう!・・・ねぇウィラ?これ私が調合した気付け薬なんだけど・・・」チラ

 

「申し訳ありませんが・・・他人の作った薬など我が君n「いただこう」(キュポン)っ!?いけませんウィラトリア様!!」

 

「うるさい黙れ、友達が私の為にせっかく作ってくれたんだぞ?飲まねば失礼だ」

 

「なりません!!御身にもしものことがあったら・・・っ!?」

 

「お止めください黄金の君!解毒薬は飲んでいないのでしょう!?どうか!!」

 

「あの・・・ウィラ、無理して飲まないで?飲まなくても私達の友情に変わりはないわ!」オロオロ

 

「いや、卿を信じてる」ゴクゴク

 

「」ゴクっ

 

「____・・・っぅ!?」ガタっ

 

「っ!?キサマァァアアア!!!」メキメキ!!

 

「そんな!?ウィラ!?ウィラ!?イヤァァアアアア!!?」

 

 

 

「____なーんてな!」ピョコン!

 

 

「「「「「・・・へ?」」」」」

 

「フハハハ!!見事に騙されたな!?ヴァカめっ!!このウィラt「バカァァアア!!(バチン!!)」あべしっ!?」

 

「バカッ!!貴女の立場でそれは無いわ!!その証拠に今私アルヴィーさんに殺されかけたのよ!?」

 

「__ぶったね!?親父にもぶたれたことないのに!!」

 

「知らないわよ!!見なさいよ周りを!!」

 

 

ハー子に言われたとおり周りを見るが・・・

 

 

「・・・え?みんな本気で信じたの?」

 

「「「「「「「」」」」」」」コクっ

 

(おい!?何で教師陣もそんなに私を睨むんだ!?ちょっとしたお茶目じゃないか!?)

 

 

「・・・はぁ~・・・ビックリさせないでよ、ホントにハーマイオニーが毒殺したのかと・・・」

 

「失礼ね!!しないわそんなこと!!・・・元気になった?」

 

「うん!すごいなハーマイオニーは!卿等も見ろ!!」ピョンピョン!

 

「冗談が過ぎますぞ!?私や獣殿はともかくアルヴィー殿を見なされ!!」バッ!!

 

「ひっぐ、ぐす!陛下゛ぁ゛~!!よがったでずぅ~!!ホントにっ、ひっぐ!本気でこの学校ごと全て殺し尽くしてやろうとっ!!うわぁぁああん!!」びえーん!!

 

「あっ、アルヴィー?悪かった!ホントに悪かったから!泣き止んで!ね?」オロオロ

 

 

「・・・え?俺達ウィラのイタズラで本当に死にかけたの!?」

 

「うわ~・・・マジかよ(ドン引き)俺達でもあれはないわ~」

 

「いやっ、私はただハリーの緊張をほぐそうと・・・」

 

「「「「限度ってもんがあるだろうが!!?」」」」

 

「はぁ~・・・でも、確かに緊張は解けたよ。ありがとうウィラ。・・・ウッド、いけそうだよ!!」

 

「よし!!ウィラ嬢の冗談で死にかけたがクディッチさえできればその後死のうがどうでもいい!!ナイスなジョークだウィラ嬢!!」

 

「ウッド、死んだら次のクディッチできないから。まったくこのクディッチ馬鹿は・・・」

 

「まぁいい!!今日の試合!!絶対に勝つぞ!!」

 

「・・・って待って!なんでスリザリンがこっち来るのよ!?」

 

 

アリシア・スピネットの声に見てみれば確かにスリザリンの席からスリザリンチームがこちらにやって来る

 

 

「何だ!お前達!?ここはグリフィンドールの席だ!!勝手に来るなマーカス!!」

 

「ふん!相変わらずうるさい奴だなウッド、お前等に用はない。我々はウィラ様に会いに来たんだどけ」

 

「スリザリンなんかがウィラ嬢に一体なんの・・・「どいてくれウッド」ウィラ嬢!?」

 

「そうか、今日はグリフィンドール対スリザリンだったな」

 

「えぇ、ですので一言激励をと思いまして」

 

「うん、今の私はグリフィンドールだが卿等のことも応援している、見応えのあるプレイを私に見せてくれ」

 

「ありがとうございます。聞いたかお前達!!ウィラ様が見られるのだ!!必ずスリザリンが勝つぞ!!」

 

「「「「「おう!!」」」」

 

マーカスがスリザリンに声をかければ大勢の声が大広間に響く。それに満足したかのようにもう一度私に会釈をし、席に戻っていく

 

 

 

 

「___ウィラ!!一体何考えてんだよ!?君はグリフィンドールなのにあんな奴等を応援するのか!?」

 

「声が大きい、向こうに聴こえているぞ?」

 

「聴かせてやってるんだよ!!質問に答えて!!」

 

「ふむ・・・卿等全員同じ考えか?」

 

 

グリフィンドールの全員が一斉に頷く

 

 

「・・・ウィラ、君は誰の味方なの?」

 

「ハリー、正確には「どこの?」だろ?答えはどこでも?だ」

 

「おい!ふざけんなよ!!」

 

「流石に怒るぜウィラ!?」

 

「そう言われてもなフレッジョ、私にとって大切なのは寮などではなく友達かどうかだけだ」

 

「・・・だが納得いかん!!」

 

「はぁっ・・・仕方ないな」

 

 

グリフィンドール席を立ち、辺りを見渡し____

 

 

「彼らには声援を、ならばグリフィンドール・・・卿等騎士達にはこの黄金が勝利の祝福をしてやろう。心して拝聴せよ」

 

 

ウィラの気配が先程とは打って変わり、王としての気配を滲ませる。

 

誰もが彼女の姿から目が離せない、それは先程鼓舞してもらったスリザリン、更にはレイブンクローやハッフルパフも同じだ。そこには『黄金』が顕現していた

 

一通りグリフィンドール生が座る席を回り____

 

 

 

「___卿等にはこの私、ウィラトリアがついておる!!ならば騎士の務めはただ一つ!!王に勝利を献上してみせろ!!宿敵を倒した先にこそ真の栄光がある!!真の栄誉をこの黄金が授けよう!!しからば卿等の成すことはっ!!」ビリビリっ!!

 

 

「__勝利を・・・」ボソ

 

「聞こえん!!それでこの黄金に勝利を献上する気かっ!?」

 

「勝利を!!」 「グリフィンドールに勝利を!!」 「そうだ!!我等には黄金がついている!!」  「恐れることなどない!!」

 

「そうだ!!恐れる者などどこにもいない!!騎士の務めを果たしてみせろ!!強者達よ!!」

 

 

__ウォォォオオオオオオ!!

 

 

 

 

静かになりはじめもう一度スリザリンへと声をかける

 

 

「卿等のことも応援はしてる、だが・・・祝福は彼らに、だ」ふふん

 

「・・・それでも必ず勝ってみせますよ・・・!!」ギリっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前11時頃になり、クィディッチの会場は満員となっている

 

(本当に授業が全部休みなんだな、てかそれでいいのかホグワーツェ・・・)

 

 

流石にこの場では無粋なので近くに獣達はつけず、少し離れて警護してもらっている

 

 

 

「ウィラ、本当に体調は大丈夫なの?」

 

「うん、ハーマイオニーの薬のおかげだ、ありがとう」

 

「そんなことないわ、でももし少しでも悪くなったらスグに言って?」

 

「分かってるって」

 

 

ハー子とはあれからかなり仲良くなった、無事ハリー達とも仲直りしたようでホントに安心した(実際ハー子がいなかったら「賢者の石編」で絶対ハリー死んでるだろ)

 

 

「見てくれよウィラ!ハーマイオニーが動くライオンの旗を作ってくれたんだ!!」

 

「そりゃスゲー!!流石ハーマイオニーだ!!」

 

後ろから大声が響く、・・・メタな話しになるが私とハグリッドはすでに会って話しもしたぞ?ホントだからな!?

 

 

「ハグリッドうるさい、寝不足には卿の声はちと辛い。始まるまでもう少し声のボリュームを下げてくれ」

 

「おう!スマンなウィラ」

 

 

 

 

『本日は我等がグリフィンドール対スリザリンという宿命の戦い!!司会はワタシ!!リー・ジョーダン!!それでは選手入場です!!』

 

 

会場にリーの声が響くと同時に両サイドから堂々とした態度で選手達が入って来た!

 

 

マダム・フーチが間に立ち____ホイッスルが鳴らされた!

 

 

 

 

互いに激しい攻防が繰り返される

 

 

 

(これは面白いな!テレビ画面で見るのと目の前で見るのとではまるで迫力が違う!!)

 

 

しばらくしてハリーを見てみるとブラッジャーに襲われてはいるがまだ箒の操作はしっかりしているようで、うまく立ち回っている

 

 

が次の瞬間箒が突然暴れ出した!

 

 

「なんだ!?ありゃ一体どうなっちょる!」

 

「どうなってんだよ!?まさかスリザリンが箒に細工を!?」

 

「ロンありえんぞ、箒に呪いをかけるなど一流の魔法使いでもなければ無理だ!生徒なんかにできるワケがねぇ!」

 

「それにここにはウィラがいるのよ!?いくらスリザリンでも流石にそんなことできないわ!」

 

(全く無粋な奴だ)

 

 

「___っ!貸して!!」

 

「おい!何すんだよ!?」

 

「犯人を双眼鏡で探すのよ!前に本で読んだの!犯人は必ず口を動かしながら片時もハリーから目を離さない人物よ!」

 

 

しばらくすると「見つけたわ!」とハーマイオニーが指を差した

 

 

「スネイプよ!スネイプがハリーに呪いをかけてるんだわ!」

 

「馬鹿な!あり得ん!!」

 

「私止めて来る!!」

 

 

そう言い残しハー子が人ごみに消えた

 

(これで「放火魔ハー子」の誕生だね!これから毎日教師のローブを焼こうぜぇ?てかw)

 

 

しかし気に食わんな、私の愛しいてんてーが疑われるのはまぁしょうがない。どうせこの頃の三人は人の話し聞かないし

 

 

(だがクィレル、お前は私の楽しみを邪魔したんだ。これくらいは返させてもらおう!!)ギンっ!!

 

 

「~~~ブツブツ__ヒッ!?」ビクっ!?

 

 

私が殺気を放つと同時にてんてーのローブから火の手が上がる、クィレルも驚いているようだが正直それどころではないだろう。辺りを見回し冷や汗を掻いている

 

 

その後ハリーは動きを取り戻し、その場で急降下を始めた。どうやらスニッチを見つけたらしい

 

 

あとはハリーがスニッチを飲み込んで吐き出し試合はグリフィンドールの勝利となり、こうしてハリーのクディッチのデビュー戦は大成功となった

 

 

 

 

 

 

 

「ウィラ!待って!!ちょっと私達に着いてきてほしいの!」

 

「あぁ・・・ハーマイオニー・・・すまないが・・・もう・・・げん・・・k」ドサっ

 

「ウィラ!?しっかりしてウィラ!!」

 

「獣殿よく受け止められた。申し訳ありませんがハーマイオニー様、ウィラトリア様はずっと我慢されていたようです」

 

「__まさか薬が効いてなかったの!?」

 

「どうやらそのようで、・・・我々にも悟らせぬようにするとは・・・」

 

「そんな・・・私・・・」

 

「それだけ嬉しかったのでしょう、献上品でもなく友達からの贈り物というのは」

 

「ウィラ・・・」

 

「申し訳ありませんが我等はこのままウィラトリア様を寝室に運びます。マクゴガナル殿に事情を説明して本日の授業は出られないとお伝えしてもらっても?」

 

「えぇ、分かったわ!シャドウさん任せて!」タタタッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・ここはどこだ?

 

「・・・知らない天井・・・でもないか」

 

「陛下!」 「黄金の君!」 「ウィラトリア様!」

 

「お前達・・・私はどうして・・・」

 

「寝不足で倒れたんですぅ~!!陛下起きてよかった~!!」うわーん!

 

「彼女の作った薬は効いてなかったんですね」

 

「そのようだな・・・どれくらい寝てた?」

 

「13時間程は、今は深夜1時です」

 

「ふむ・・・ちょうどいい、どうせクリスマスは国に帰るんだ。今のうちに今まで行けなかった4階右廊下や『みぞの鏡』を見に行こう」

 

「分かりました陛下―!お召し物を着てくださーい!寒いですよー?」ファサ

 

「ありがとうアルヴィー」

 

 

 

 

 

 

 

__4階右廊下の部屋

 

 

「クゥ~ン・・・」

 

「何だ、全然おとなしい犬じゃないか」オォォォオオ

 

「ただの3頭犬でしたか、てっきり本当に冥府にいたケルベロスかと」ゴゴゴ

 

「陛下―!この犬ッコロ食べてもいいんですかー?」ドドドドド

 

「アルヴィー殿、貴公はもう少し我慢を・・・」

 

「止めろ、ハグリッドのペットだぞ?さて、ここはもういい。次に行こう」

 

 

 

 

 

私達はみぞの鏡があるであろう場所に向かっている。正直3頭犬にはガッカリした、せめて一吼えくらいしてみせてほしかったが

 

 

「次は当たりだといいな」カツカツ

 

「本人が一番欲しいものが写るという鏡でしたか。円卓が見ても意味はないでしょう」カツカツ

 

「なぜだ我が獣よ」

 

「我等は黄金の君、貴女様に仕えることこそが最上の望みですので」

 

「そうか?ウォーカーはまず鏡に映らないだろうし、アルヴィーは食い物が写りそうだ」

 

「酷いですよ陛下―!ワタシがどれだけ御身を思っていると思いですかー!」

 

「ふふっ、悪い。・・・これか・・・さぁて私の望みはなにかなっと」

 

鏡にかけられた布を取り鏡を見る

 

 

 

そこには成長した私と____スネイプ先生が優しく笑いながら隣に立って・・・っ!!

 

 

「キャァァ///!?」バサっ!!

 

「黄金の君!?」

 

「はぁーっ!はぁーっ!・・・うそ、今度会う時どんな顔したら・・・っ///!?」プシュー

 

「何を見られたのです?」

 

「言えない!!絶対に言わない!!お前達!聞いてきたらクビだからな!?いいか絶対に聞くな!!」

 

「・・・それは以前陛下がおっしゃった「押すなよ!絶対に押すなよ!?」ってことですかー?」

 

「ちげぇよ!?なんでダチョウ倶楽部しなきゃいけないんだよ!?___はぁー・・・出てこい、いるんだろう?」

 

 

私がそう言うと1拍置いてダンブルドアが出て来る

 

「・・・気づいておったか」

 

「当然」

 

 

ダンブルドアがこちらに近づいてき円卓が剣を構えようとするが止めさせる

 

 

「これは写った者の望みが写る鏡か」

 

「そうじゃ、正直お主にも望む物があるとは驚きじゃった」

 

「そりゃ私だって欲しい物の1つや2つくらいあるさ」

 

「何が写ったか聞いても?」

 

「私がキサマの校長室にペンキをぶちまけていた」

 

「・・・あれは本気で焦ったぞい、しかも中々取れない呪いまでかけおって」

 

「楽しかったぞ?お前には何が見える?」

 

「そうじゃな、百味ビーンズの当たり味を腹イッパイ食べておるよ。さぁ、もう戻りなさい、風邪を引いたら大変じゃ」

 

「・・・ふん、狸めが。お前達、行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

朝になるとみんなから凄く心配された、驚いたことに他の寮やあのマクゴガナルまでがお見舞いに来ていたようで私の姿を見たとたん思いっきり抱きしめて来た!

 

「あぁミス・エル・ドラド!どれだけ心配したと・・・!」ギュっ!

 

「あー・・・はは、ごめんなさい」

 

「いえ、無事で何よりです!お友達の所に戻りなさい」

 

 

 

 

「ウィラ!もう無茶しないで!薬が効いてないのなら無理して付き合わなくてよかったのに」

 

「ハーマイオニーが作ってくれたんだ、それに返事も全て書き終えた。もう大丈夫だ」

 

「ホントに良かったよ」

 

「すごかったんだぜ?マクゴガナルなんかアルヴィーさんに「お見舞いさせろ」って食ってかかってさ、お互い一触即発だったよ」

 

 

 

 

 

 

しばらくいろんな人が入れ替わり私に一言言いに来てくれたが・・・正直それだけでかなり疲れた

 




ウィラ胃薬被害者リスト _車掌 _組み分け帽子 _パーシー _スネイプ _ダンブルドア _マダム・ポンフリー _マクゴガナル _フリットウィック _スプラウト _ゴースト全員 _各魔法大臣 _聖28一族 _各魔法学校校長 _スリザリンの一部の生徒達 _クィレル _歴代校長 _フォークス _お辞儀さん _ホグワーツ全校生徒(お茶目☆で殺されかけた)(New!) _フラッフィー(New!)


以前言ったとおり『みぞの鏡』のようにただ反応を示す物や
相手の術を跳ね返す系の魔法に対し『黄金の血の守り』は発揮されません
攻撃魔法や悪意のある魔法には完全防御となります
(つまりお辞儀さんマジ泣き)

じゃあナギニに攻撃させればいいんじゃなかって?円卓の人外共がハラ減ったって


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黄金とクリスマス休暇

そういえばクリスマスの人ウィラの杖の中いるじゃん


12月になった。今週の私はグリフィンドールだが様々な寮の名家の生徒が自分の家で行われるクリスマスパーティーの誘いをしてくる

 

今も大広間のグリフィンドール席にドラコや他のスリザリンが誘いに来た

 

 

「やぁウィラ、今年のクリスマス休暇は君も実家に帰るんだろう?だったら我が家に遊びにこないか?むしろ僕達がエルドラド王国に行ってもいいかな?」

 

「すまんがクリスマス休暇は予定がびっちりで遊べないんだ」

 

「へぇ、やっぱり王族同士の付き合いとかあるのかい?」

 

「うん、ホグワーツからの帰りに女王に挨拶しにいかないといけないし、国に帰って国民に声かけ。クリスマスの後ろ1週間は各国の王族パーティーに参加しないと」

 

「そっ、そうなんだ・・・やっぱり貴族と王族じゃ住む世界が違うね。普通女王陛下なんて絶対に会えないよ・・・」ボソ

 

 

_?なんでドラコ含め皆顔を引きつらせているんだ?

 

 

「ふむ・・・毎年ウチでもパーティーやるから来年の1日だけでよければ招待しようか?」

 

「是非!!父上達もいいかな?」

 

「うん、どっちにしろルシウスは誘うつもりだったしちょうどいい」

 

 

そう言うとドラコ達はスキップしながら戻っていく

 

 

 

「ウィラ!何でマルフォイ達だけなんだよ!?僕達友達だろ!?」

 

「うん?誰も卿等を誘わないとは言ってないぞ?」

 

「・・・え?だって」

 

「クレーリア城に彼らだけしか入らないとでも?心外だな、ホグワーツの全校生徒が入ってもまだ余裕だ」

 

「何か久々にウィラが王族だって思いだしたよ・・・」

 

「なぁ、王族のパーティーってどんななんだ?やっぱとんでもない金かけるんだろう?」

 

「そうだなディーン、大体はお互いの国をどうより良く繁栄させるかを話し合うな。あぁそういえば・・・」

 

「そういえば?」

 

「確か以前1000ガリオンくらいの壺を王族が連れて来た子供が割って笑ってたな、「とりあえずケガするなよー」って言いあったっけ」

 

 

「「「」」」フラっ

 

「おい!ウィーズリー家が全員倒れたぞ!?」 「こっちも話しを聞いてた何人かが倒れた!!」

 

 

「ロン、大丈夫か?」

 

「そんなにあるなら少しくらい分けてよ!?ウィラには分からないだろうけど3ガリオンでも大金だからね!?」

 

「ほんとウィラと話してるとお金の価値観狂うよ・・・そのローブいくらだっけ?」

 

「そうだな、200ガリオンだっけ?普通はいくらなんだ?」

 

「5ガリオンくらいだよ!!何で40倍も違うの!?」

 

「でも制服はごく普通だぞ?」

 

「いや、それが当たり前だから」

 

「そういえばハーマイオニーはさっきから喋らないな、何を調べてるんだ?」

 

「ニコラス・フラメルよ、あの後ハグリッドの所に行って彼がこの名前を出したの」ペラ

 

「ウィラは何か知ってる?ニコラス・フラメルのこと」

 

「知ってるよ?ダンブルドアの友人で賢者の石を作った男だ」

 

 

そう言うと3人の顔が驚いている。そりゃ知ってますよ~、だって原作呼んでるんだし

 

「そうよ!どうして忘れてたの!?」

 

 

ハー子が本を取り出してページをめくり出した

 

 

「ニコラス・フラメルは賢者の石を作った錬金術師でダンブルドアも精製に関わったと書いてあるわ!」

 

「なんだいその賢者の石って」

 

「賢者の石はあらゆる金属を黄金に変え、不老不死の薬である『命の水』を作る材料でもあるわ」

 

「へぇー!なんだかウィラの為にあるような物だね!」

 

「いらんよそんなもの。所詮は純粋な黄金ではなく魔法で生み出された紛い物だ。興味ないね」

 

「ロン、そこじゃないだろ!不老不死!スネイプはそれを狙ってるんだ!」

 

「なんでスネイプが?」

(一応話合わせとこ)

 

「ウィラには言ってなかったけど僕見たんだ!スネイプがハロウィンの後足を引きずってた!きっと3頭犬にやられたんだ!それにクディッチの時僕を落とそうとしてた!」

 

「それとこれと何の関係が?そもそも本当にスネイプが卿を落とそうと?」

 

「でもきっとスネイプさ!それに納得だよ、不老不死なんか誰もが欲しがるもん。僕も正直欲しいし」

 

「ロン!貴方って人は!」

 

「うっ、だってしょうがないだろう?ハリーやウィラだって欲しいよな?」

 

「うーん・・・まぁ少しは欲しいかな」ポリポリ

 

「私はいらない、不老不死なんか生きながら死んでいるようなものだ」

 

「へぇ、ウィラのことだから「黄金とは永遠に輝くもの」とか言い出すかと思ってたわ」

 

「アルヴィーや獣に聞いてみろ、二人共2000年以上生きてる」

 

「獣さんは何年生きてるんですか?」

 

「5000年ほどですね」

 

「ごっ!5000年だって!?」

 

「正直退屈ですね、初めの2000年程は良いですが後はすることもないので適当に人間を殺しまわってました」

 

「アルちゃんもそんな感じかなー?『ウェールズの白き龍』ったってドラゴンに変わりないからブリテン駆けずり回って殺しまくってたー!」

 

「・・・聞けば聞くほどとんでもないよね・・・」

 

「人間じゃないからな、とにかく不老不死などいらん。私には子供を産む使命がある」

 

「・・・ホントにフィアンセを探してるの?誰か良い人いた?」

 

「うーん・・・内緒、それともハリーかロン、候補してみるか?」

 

「お金持ちになれるの!?」ガタっ

 

「あぁ、ただし私の夫になるのなら無駄使いは許さん。国民の血税だからな、私自身無駄使いは一切してないぞ?」

 

「へ?だって・・・」

 

「ハリー、ウィラがある程度良い恰好をするのは当たり前よ、貧乏な恰好じゃ王様なんて務まらないわ」

 

「でも良い生活できるんだろう?人も顎で使い放題!何でもやりたい放題じゃないか!」

 

「ロン、お前は常に書類に追われたいのか?生活も常に誰かが傍にいて自由な時間なんてほぼないぞ?」

 

「うげ!?じゃあ無理だ!」

 

「よく我慢できるね」

 

「それも含めて覚悟を決め王になったからな、ハリーとロンは休暇中は残るんだろう?」

 

「帰りは汽車?」

 

「いや?アルヴィーに乗って帰る。・・・明日が最後か、プレゼント楽しみにしてる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・いや、確かに楽しみにしてるとは言ったけどさぁ・・・

 

 

__超☆山盛りのプレゼント

 

 

「・・・何でこの部屋にあるんだ・・・」

 

「メリークリスマスでございます、黄金の君」

 

「ウィラトリア様、メリークリスマスです」

 

「メリクリだよー!陛下―!」

 

「うん、メリクリ。ところで我が獣よ、これは?」

 

「はい、各国の王族方やホグワーツのご友人方からのプレゼントでございます」

 

「そうじゃねえよ!何でこの部屋にあるんだ!?はっ!まさかサンタさんの正体は伝説のスニーキングミッションの達人だった!?」

 

「陛下違うよー?流石に貢物を放っておくのは悪いって話し合ってねー?だからちょっとしたサプライズー!」

 

「貢物言うな、クリスマスプレゼントと言え。・・・父上や母上からは?国民からは何もないのか・・・?」

 

「ウィラトリア様、これを」ス

 

 

シャドウが一枚の写真を渡してきた、見てみると・・・クレーリア城の大庭園で父と母、そして大勢の国民が集まり花で『MERRY XMAS!!』と描かれている

 

 

「___っ・・・ありがとう・・・愛してますっ!」ぎゅ

 

「黄金の君、今日帰られるのです。その言葉は私達ではなくこの写真に写られた皆様方に」

 

「うん!これは宝物だな!・・・そういえばお前達は何もくれないのか?」

 

「黄金の君のほうこそ、我々には何もないので?」

 

「・・・仕方のない奴等だ」ポスっ

 

 

椅子に座り右足を前に出す。すると流石我が騎士達、即座に私の前に並び跪いて頭を垂れてきた

 

 

「ほら、もう一度私に忠誠を誓わせてやる、キスをしろ。まずはシャドウお前からだ」

 

「光栄の極み、これからもどうか貴女様に仕える事にお許しを・・・」ス

 

「よい、許す。どうかこれからも我がエル・ドラド家の繁栄に力を貸してくれ」

 

「はっ!」

 

「次、アルヴィー」

 

「はーい!いいんですかー?こんなご褒美アルちゃん達だけもらっちゃってー?」

 

「帰ったらあいつ等にもさせてやるよ。取りあえず今だけはお前達だけだ」

 

「~~っ!!さいっこうです陛下!!最高のプレゼントをありがとうございます!!」ス

 

「ふふっ、お前の忠誠は相変わらず心地いい。次、我が獣よ」

 

「はっ!」

 

 

獣が私の足を持とうとするが___顔に足をグイグイ押し付け

 

「ところでプレゼントは?まだ何も貰ってないが」ニヤニヤ

 

「黄金の君、これまで以上の忠誠を貴女様に・・・」

 

「ふぅん・・・何を当たり前のことを偉そうに、だがまぁよい、我が獣よ」

 

「はっ!」

 

「・・・いつも感謝してる、これからも私を・・・ウィラの事を守ってくれ」

 

「__っ!?かっ、感謝の極み!!黄金の君、我が全てを貴女様に・・・」ス

 

「うん・・・さて!プレゼントを空けるとしようかな!」

 

「これ全部ですかー?数えたら1000個以上ありましたよー?」

 

「・・・おうふ、やる気を削ぐようなことを言うなよ・・・」

 

「申し訳ありませんが我が君、中身の確認はすでにすませておりますので平に容赦を」

 

「まぁそれはしょうがないな、取りあえず手伝え。一応言っとくがちゃんと贈り主とプレゼントはメモしておけよ?」

 

「御意、ところでウィラトリア様」

 

「んー?」ガサガサ

 

「・・・本当に贈られたプレゼントはアレで良かったので?」

 

「まぁなー、正直ここ(・・)にあっても勿体ないだけだ。彼ら(・・)も生徒達の為になるのなら喜んでくれると信じているよ」ゴソゴソ

 

「我が君がそれでよければ」

 

「これは・・・ハリーか、「目薬」?こっちはハー子で「腱鞘炎用の軟膏」?・・・え?どゆことすか?」

 

「おそらくは黄金の君の書類仕事の多さを心配されたのかと」

 

「陛下―!こっちは赤毛からですー!」

 

「ん、マフラーか、あの3人の中では一番プレゼントらしいな。・・・手作りっぽいな・・・もしやこれはロンの母君が編んだ物ではっ!?」

 

「みたいですねー!手紙に「息子がいつも大変ご迷惑をおかけして申し訳ありません」ですってー!」

 

「・・・すごい・・・家族以外から手作りなんて初めてもらった・・・早速巻かせてもらおう!」

 

「先に全部開けてからです。じゃないと汗を掻いてしまいますからね」

 

「う・・・分かった、ジャンジャン開けろ!でないと帰るのが遅くなるからな!」

 

 

 

 

__何とか全部開けきった・・・マジで疲れたぞおい!?

 

ちなみにドラコ達や他の寮からも大勢からプレゼントが届いた!ただ自分のブロマイドを入れたのだけは全て燃やし尽くした(惚れ薬関係は前もってシャドウ達が抜いておいたようだ)

 

 

部屋を出て早速ロンの母君が編んでくれたマフラーを巻いて城を歩いて回る

 

 

 

「やぁ、素敵なプレゼントをありがとうウィラ。ちょうどお礼を言いに行こうとしてたところなんだ」

 

「メリークリスマス、ドラコ。ちょうどいい・・・はいこれ」ガサっ

 

「__?これは?」

 

「私に自分のお見合い写真や「惚れ薬」を贈ってきたスリザリンの馬鹿共だ。あとよろしく」カツカツ

 

「・・・え?・・・(パラパラ)・・・なんでダフネの名があるんだ・・・」

 

 

 

「ウィラ様ぁぁああ!!本当にあのような物をいただいても!?」コフーコフー

 

「あぁ、あれには「DCS」の本当のレシピが載ってある。存分に活用しろ、そのほうがおもs・・・面白いからなっ!」プルプル

 

「ふぉぉぉおお!!おっ!お任せを!!そのうち尿検査でも検出できない「DCS」を献上させていただきます!!」ゴシカァン!!

 

「ぶふぉwwwww!!」

 

 

 

「うあしゃま~ろして私達にはぷれじぇんとがにゃいのれすかぁ~?」ふにゃあ~

 

「・・・流石にこれ以上だらけさせるワケにゆかぬでな?スプラウト教授からもどうにかしてくれと言われたし」

 

「しょ~れすか~」

 

 

 

「・・・ねぇウィラ・・・アレは一体どういうこと?」プルプル

 

「ん?やっぱりイヤだったか?そうだよなぁ・・・とくにハーマイオニーはプライドが許さないよなぁ・・・」ぽりぽり

 

「___!!そうじゃなぁぁぁあああい!!何でプレゼントがどう見ても完ッッ全な宝石(・・)なの!?」

 

「しかもこれ・・・ペチュニアおばさんが着けてた物より明らかに高そうなんですけど・・・」

 

「そらそうだ、普段私が着ける物とそう大差ない上物ばかりだからな」

 

「~~~っロンやネビルを見なさいよ!!」バッ!!

 

「うへへ~ルビーだぁ~これで僕大金持ちだぁ~^^」

 

「」チーン

 

「はぁっ・・・『エネルベート』(活きろ)」ヒュン

 

 

「うけけけ!!こr『バシュン!!』__はっ!?僕は一体・・・うわぁぁあああ!?なっ!何だこの宝石!?」

 

「あぁきっと僕はもう死んでr『バシュン!!』__はっ!?え?夢じゃないの?______」チーン

 

「その宝石が贈り物じゃない。その宝石には1回だけ使える『プロテゴ・マキシマ』がかけられている、使いたい時は宝石に魔力を流せ」

 

「え!?ウィラってそんなトンデモ上級呪文使えんのかよ!?」

 

「ディーン、私が誰か思い出せ。『黄金の君』を甘く見るな」

 

「・・・は!思いついたぞ!!盾の呪文が切れたらこれを売って・・・っ!!」

 

「悪いがロン、呪文を使えば宝石は粉微塵になる。『最大の守り』をかけるだけでも壊れるギリギリだったんだ」

 

「よくウィラの魔力に耐えれたねこの宝石」

 

「1000年程たっているからな、正直私から見ても宝石の中じゃ特上だ。だからと言って売ろうと思うなよ?流石の私も怒るぞフレッド!!ジョージ!!」

 

「「ビクッ!!」」

 

「どこ行くんだ?確かお前達クリスマスは残るんだよなぁ・・・?」

 

「あっ、当ったり前ダルrrrrォ!?」ダラダラ

 

「するわけねえじゃんチクショーめ!!」

 

「大切に使え、闇の魔術でも簡単に跳ね返す」

 

「・・・ねぇ、何人に贈ったの?」

 

「そうだなぁ・・・取りあえず名前を覚えた奴全員」

 

「「「「ぐはぁ!!」」」」  「おい!!ウィーズリーの4兄弟が全員血ぃ吹いて倒れたぞ!?」

 

「ハリーとハーマイオニーのプレゼントはとてもありがたかったよ、ロンも母君に伝えてくれ、最高にありがたいプレゼントだったと。みんなもありがとう!最高のクリスマスプレゼントだ!」

 

「3人で話しあってさ、ウィラっていつも書類仕事してるだろ?だからあぁいうのが良いかなって」

 

「・・・正直すごく恥ずかしいよ、ママに前ウィラと友達になったって言ったらさ、あんなものをプレゼントしようとするだなんて・・・」

 

「ロン、手作りのプレゼントほど嬉しいものはない。その証拠にこうしてマフラーを巻いているんじゃないか」

 

「止めなよ!そんなの君にふさわしくないんだから!!」

 

「何が私にふさわしいかは私が決める。今度お礼のフクロウを送ろう」

 

「きっとママ気絶するぜ?君のフクロウのクセに豪華すぎるんだよ」

 

「金ぴかすぎるもんね、前フクロウ小屋にいったら他のフクロウに王様扱いされてたし」

 

「なに?調子に乗ってるな、今度しからないと」

 

「・・・ねぇウィラ?本当にあんなプレゼント貰ってよかったの?」

 

「あぁ、ちょっと最近宝石が大量に手に入ることがあったのでな。彼らも生徒達の為なら喜んでくれると思う」

 

「はぁ!?これだけの財宝が一気に!?一体誰だい!?」

 

「まぁいいじゃないか、大切に使ってくれ」

 

「うん、ダーズリー一家にばれないようにしないと・・・」

 

「僕もママ達に取られないようにしないと」

 

「そうしろ。特にハリー、卿はただでさえ厄介事に巻き込まれやすいだろうしな。いつかそれが卿の命を救うだろうよ」

 

「ウィラがそう言ったら何だか当たりそうで怖いわ」

 

「私も外れる事を願っている。じゃあな、休暇明けにまた会おう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスマス休暇はすごく楽しかった!エリーは相変わらず私を甘えさせてくれるし国に帰れば国民が大勢出迎えてくれた、とくに私が国王となって毎年行っている『身分なんか関係ねぇ!今日は無礼講でパイ投げじゃ!!』祭は大成功で終わった

最後の休日は予定を空け家族だけですごした・・・正直このままホグワーツになんか行きたくなかったけど・・・まぁしょうがない

 

 

『陛下―!ホグワーツが見えましたよー!』バサっバサっ

 

「早いな、あの時とはえらい違いだ」

 

『ちゃんと謝ったじゃないですかー!それにワタシの気配を垂れ流してるので10年程はホグワーツ周辺にドラゴンは寄って来ませんよー?』

 

「あれ?それって・・・まぁいいか、降下の用意を。もうダンブルドアあたりが気付いているだろうしな」

 

 

ホグワーツの中庭に降りていくと大勢の生徒や教師達がこちらを見上げているのが分かる

 

(お!ハリー達はっけ~ん!)

「おーい!」ノシ

 

「おーいじゃないわよ!?ちょっとウィラ!!目立ち過ぎよ!!何で普通に汽車で帰って来ないの!?」

 

「ふははは!!何故この私が普通にせねばならん!!さぁ生徒達よ!我が黄金の輝きに平伏せぇ!!ふはははは!!」

 

「ミス・エル・ドラド!!このドラゴンは・・・っ!!」

 

「あぁマクゴガナル先生、アルヴィーですよアルヴィー」

 

「では・・・これが・・・!?」

 

「そうですね、ウェールズの白き龍『アルヴィルヘミナ・グィバー』の真の姿です」

 

「すげぇな!!ウィラ!ちぃとばかし撫でてもいいか?」

 

「悪いがハグリッド、ペットのように言うな。彼女は我が黄金円卓の第5席次、さすがに無礼だ」

 

「おっおうスマネねぇ・・・つい興奮しちまって・・・だってしょうがないだろう?こんな美しいドラゴンは生まれて初めて見た!!」

 

「ふふん、そこは同感だな。さて、城に入らせてもらおう。___どいてくれ」

 

 

ザっと生徒達が左右に分かれる・・・この光景どこかで見たな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日がたち話がだいぶ進んだ。ハリーの2回目のクディッチはスネイプが審判をし、その後ハリーがスネイプがクィレルを脅す所を見たというのだ

 

他にもハリー達がハグリッドの所にドラゴンを見に行き150点引かれたり罰則として禁じられた森に入りヴォルデモートと会ったりと色々あった。こういう夜起こるイベントは私の寝室が離れているため関わることが難しい

 

 

 

「まぁどんまいとしか言いようがないな、元気だせハーマイオニー」

 

「だってこの私がまさか減点されるなんて・・・ショックだわ・・・」

 

「優等生さんは違うな、まさか点が引かれるほうに目がいくなんて。ハリーなんて襲われたんだぞ!?」

 

「うん、でもこれで全て分かったよ。スネイプはヴォルデモートの手下、死喰い人の残党で、石を使ってヴォルデモートを復活させようとしてるんだ!」

 

「その名前を言うなよハリー!!」

 

「確かにつじつまがあうけど・・・この学校にはダンブルドア校長もいるしウィラだっているのよ?校長ですら勝てない黄金の君がいるし先生達も石を守るために頑張ってるんだからハリーは安全よ」

 

「うん・・・そうだね。ウィラはダンブルドアから何か聞いてないの?校長室にはちょくちょく行くんでしょう?」

 

「なにも聞いてないな、おおかた学生にはあまり話したくないのだろうよ」

 

「ふぁ~取りあえずもう寝ようよ・・・眠くなっちゃった」

 

 

 

 

ロンの一声で解散しそれぞれが自分の部屋に戻るが・・・振り返ってハリーの顔を見てみれば不安そうに表情を歪めていた

 




ウィラ胃薬被害者リスト _車掌 _組み分け帽子 _パーシー _スネイプ _ダンブルドア _マダム・ポンフリー _マクゴガナル _フリットウィック _スプラウト _ゴースト全員 _各魔法大臣 _聖28一族 _各魔法学校校長 _スリザリンの一部の生徒達 _クィレル _歴代校長 _フォークス _お辞儀さん _ホグワーツ全校生徒(一部の者達が今回何かとんでもないプレゼント渡された) _フラッフィー



パイ投げ祭は普通にウィラや円卓も参加します

感想欄でも言いましたがウィラは
黄金律(お金)+B__使い続けても個人ではとても消費しきれない
黄金律(肉体)B__人としては最上級の美しさ、同性から見ても一切の嫉妬も沸かない
のステータス持ちです


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黄金とテスト

学期末テストが数日に迫った

 

授業は無くなり皆が自習となったため所属する寮が決まっていない私はあっちへ行ったりこっちへ遊びに行っている

 

ちなみに一番おもしろいのはレイブンクローだ、以前私の杖の影響で「電子ドラッグ」みたいな魔法や「DCS協会」なるものを発足させた為、足を運んでは爆笑したり杖の影響を取り除いている

 

 

ガリガリガリガリ!!_____

 

皆がペンを走らせ必死の形相を浮かべている、大広間も図書室も、どこの談話室に行ってもそうだ

 

 

「はっはっは、みんながんばれー(棒)」

 

「何のんきに紅茶なんか飲んでんだよウィラ!?僕達がどれだけヤバイか分からないのかい!?」ガリガリ!!

 

「それは卿が普段から勉強しないからだろう?自業自得だ」

 

「ウィラは余裕だね、勉強しなくていいの?」

 

「普段真面目に取り組んでるからな、一応幼少の頃から勉強はやってたしそれにホラ、私って国王で黄金じゃん?」

 

「・・・今だけは貴女をぶん殴ってやりたいわ」ガリガリ!!

 

「と言うかハーマイオニー、卿に復習する必要があるのか?お前なら今のままでも上の成績を取れるだろう?」はて?

 

「ふん!いいウィラ!?勉強ってのは普段のコツコツとした溜めが大事なのよ!成績が貼り出されたら目に物言わせてやるんだから!!」ガリガリガリ!!

 

「ふふん、その勝負受けてたつ。黄金に敗北の二文字はない」

 

 

チラっと他の寮も見てみるが・・・

 

 

 

「ドラコ!絶対にウィラ様に勝て!!お前くらいしか期待できないからな!!」

 

「任せろマーカス!勝って必ずウィラに告白するんだ!っておい!?クラップ!ゴイル!!用紙にお菓子が載っているからといって食べるんじゃない!!」

 

 

 

「我等が『DCS』には更に先がある!!おい!マイケル!これを注入して(食べて)みろ!!」

 

「どれどれ(チュウウ)_____うわらば!?」ブシュウウ!!

 

「マイケルが後ろに下がりながら身体が縮んで頭が爆発したぞ!?」

 

「ん~?間違ったかな~?」

 

 

 

「最近『マリカ☆まぎか』が熱くてさ~主人公がマドンナ的な存在で」

 

「俺の唄を聴けぇぇえええ」

 

「身体が軽い!もうテストなんて怖くない!」

 

 

 

(・・・なにこのカオス・・・おい誰だよこんな風にしたのは!?)←コイツです

 

 

 

 

 

 

___テストが始まった

 

 

呪文学はパイナップルをテーブルの端から端までタップダンスをさせるという内容だった

 

 

初めは普通に躍っていたが急に動きが激しくなり自分の葉をちぎってギターのように弾きだした

 

 

__Lifeless corpse as far as the eye can see――――!!

 

The eye can see―――――!!!

 

みやっけさぁぁぁああああああん!!!!

 

 

(なんでパイナップルがデスボでシャウトしながら歌ってんだよ・・・しかもみやけさんて誰だよ・・・)

 

「素晴らしい!!ミス・エル・ドラド!!パイナップルを躍らせながら歌まで歌い出したのは貴女が初めてですぞ!!」

 

「あーハイ、アリガトウゴザイマス」

 

 

 

 

 

変身術はネズミを嗅ぎ煙草入れに変身させる内容だった

私はエル・ドラド家が使い続けている物を思い浮かべやったのだが・・・

 

「なんと素晴らしい!!これほどまでに緻密な細工は生まれて初めて見ました!!ミス・エル・ドラド?貴女の家にはこれ程の物が?」

 

「あーはい、私が煙草に近づかせてもらえないのでしっかり見ていませんが多分本物はこれ以上だと思います」

 

「そうですか・・・一度自宅訪問してみても?」

 

「えぇ、先生なら大歓迎ですよ?」

 

 

 

 

他にも色々な試験があったが殆どの教師が感嘆の息をもらしていた、ただ・・・

 

「ミス・エル・ドラド、其方に試験は無用だろう。戻ってよし」

 

「スネイプ先生・・・そんなにウィラのことが嫌いに?」ウルウル

 

「っ!?ちっ違う!私以上の腕前のお前に試験をしてもしょうがなかろう!!」

 

「でも・・・先生に見てもらいたいです・・・」

 

「~っ!?分かった!見てやるからその眼は止めなさい!」

 

(・・・しゃ!)隠れてガッツポーズ

 

__となった(計☆画通り)

 

ついでにてんてーにキズ薬を渡した、まだ足を痛そうに引きずっていたからだ

 

「先生、あの・・・」ス

 

「・・・これは?」

 

「私が調合した薬です、先生足を怪我してるみたいだから・・・」

 

「・・・ミス・エル・ドラドの作った薬ならさぞ効くだろう、ありがたく使わせてもらう」

 

「っ!はいっ!」ぱぁ

 

 

 

 

 

 

 

試験が全て終わり部屋に戻ってのんびりしようとしてるとハリー達がすごい勢いでこちらに走ってくる。__なんだ?まさか今までのテスト前の嫌がらせの仕返しか!?いいぜ来いよ!!杖なんか捨ててかかってこい!!

 

「ウィラ!!大変なんだ!!」

 

「野郎ォぶっ殺しtって・・・はい?」

 

「さっき皆で話をしていて気が付いたんだ、ハグリッドがドラゴンを欲しがっているところに卵を持った奴が現れるなんて都合がよすぎるって!」

 

「それで私達、さっきハグリッドに聞いてみたの、卵を持ってきたのはどんな人なのかって」

 

「ハグリッドの奴、顔は覚えてないって言うんだ、それにそいつにフラッフィーを手懐ける方法を教えちゃったらしいんだ!」

 

「校長先生に伝えようとしたけど・・・魔法省から呼び出されて居ないらしいの!」

 

「こうなったら・・・僕たちで石を守らなきゃいけないんだ、だから今夜抜け出して行こうと思う。できればウィラにも着いて来てほしいんだけど・・・」

 

「ふむ・・・分かったいk「なりませぬ!」・・・シャドウ?」

 

「なりませぬぞウィラトリア様、御身にもしものことがあれば・・・」

 

「ふん、所詮はヴォルデモート如きだろう?相手にならんよ」

 

「・・・どうしても聞いてはくださらぬか」

 

「無論、そもそも何故私がお前如きの頼みをk「御免!!」__っ!?おい!!お前達離せ!!」ジタバタ!

 

「申し訳ありません陛下!ですがシャドウ殿の言い分に一理あるかと」

 

「今だけは黄金の君!たとえ貴女様の命でも聞けませぬ!!どうかお許しを!!」

 

アルヴィーと獣が私を持ち上げそのまま部屋へと向かう

 

「そんな!?シャドウさん達は例の人が蘇っても良いっていうの!?」

 

「このままじゃ魔法界全部が危ないんだよ!?」

 

「そうだよ!!僕達で救わないと!!」

 

「・・・調子に乗るなよクソガキ共」

 

 

シャドウの雰囲気がガラリと変わり3人を黙らせる

 

 

「キサマ等は我が君に危険な目に合わせる気か?ウィラトリア様は黄金の君、国王であらせられるぞ?なぜ手を貸さねばならん」

 

「でっでも・・・!?」

 

「そもそもキサマ等の言っていることは本当に正しいのか?まさか我が君を罠に嵌めようとしているのではあるまいな」

 

「違うわ!!そんなことするわけが・・・!!」

 

「証明する手立ては?我等黄金円卓にとって最も大切なのはウィラトリア様の安全、キサマ等だけで行くのだな」

 

 

最後にそう言い残し扉の前でアルヴィーが殺気を放ち睨みを利かせるとハリー達は怯えながら帰っていくのが隙間から見えた

 

 

 

 

 

 

 

____「「申し訳ありません!!黄金の君(陛下)!!」ガバっ!!

 

 

部屋に入ると獣とアルヴィーが私を椅子に優しく降ろし、頭を床にこすりつけ謝ってくる

 

 

「よい、私が卿等にそうしろと言ったのだ」

 

 

そう、先程のは全て茶番、私が彼らにそうしろと命令したのだ

 

 

「ですが黄金の君!ご命令とはいえ御身を持ち上げ更には雑に扱いました!この不敬はこの命を持って償わせてください!!」

 

「どうかお願いです!!我等の不敬を償わせてください!!どうか!!」

 

「・・・愚か者、卿等はただ命令を遂行しただけであろう?それとも卿等はこの私が命令しておきながら裁く愚かな王だと言いたいのか?」

 

「いえ・・・ですがっ!!」

 

「よい、許す。それよりもシャドウだ、すまなかった・・・卿には不快な思いをさせてしまったな」

 

「いえ、全てはウィラトリア様のお考え。私程度が泥を被ればいいのならこの老体、いかようにもお使いください。」

 

「いや、卿は我等エル・ドラド家の宝だ。だから謝辞を受け取られよ」

 

「・・・光栄の極み」

 

「卿等もそうだ、これで計画は整った。だから面てを上げよ」

 

 

二人共一切動かず平伏している。だからもう一度言う

 

 

「面てを上げよ、命令だ。王の言葉が聴こえんのか?」

 

この言葉にようやく頭を上げてくれた・・・忠誠心がありすぎるのも考えものだな

 

「ありがたき幸せ」

 

「我等が再び陛下に忠誠を誓うことをお許しください」

 

「よい、許す」

 

「ウィラトリア様、では・・・」

 

「あぁ、あとは計画通りハリー達が侵入した後にゆるりとヴォルデモート見学と行こう。ったく、これならダンブルドアとハリーの成長を邪魔しないと約束しなきゃよかった」

 

「今からでも行きますか?」

 

「愚か者、王が一度約束したのだぞ?そうそうに破れるか」

 

「もっ申し訳ありません!」ガバっ

 

「それに彼らが忍び込むのは夜だ、それまではのんびりしていよう」

 

 

チラリと獣とアルヴィーを見れば今だに申し訳ないという顔をしている

 

 

ベッドに座り二人に声をかける

 

 

「我が獣よ、それにアルヴィー」ポフっ

 

「「はっ!」」

 

「命令だ、サイズを小さくして添い寝しろ。私の抱き枕になれ」ポンポン

 

「でっですが黄金の君!?それでは不敬にあたります!!」

 

「獣殿の言う通りです!御身のベッドに我々のようなものが添い寝など・・・っ!?」

 

「はぁーっ・・・私が命令したんだ、従えないのか?」

 

 

目でこれ以上はないと黙らせる

 

 

 

お互い顔を見合わせ元のドラゴンと狼へと姿を変え、ベッドに入って来る

 

 

『・・・黄金の君』

 

「・・・さっきのことは気にするな、何度も言うとおり私がお前達に命令したんだ。・・・嫌だっただろう?よくやってくれた、褒めてつかわす」

 

『ぐすっ、陛下~!!』

 

「さ、近う寄れ。シャドウ、夜になったら起こしてくれ。次は優しくな?」

 

「それはウィラトリア様次第かと」

 

「ふっ、とにかく任せた。さぁ獣にアルヴィー、我が褒美を受け取られよ」

 

『黄金の君!』ガバっ

 

『うわぁ~ん!陛下―!!』ガバッ!

 

「ふふっ!お前達は相変わらず気持ちいいなぁ、__お休み」

 

『はい!テストお疲れ様でした!』

 

『ゆっくりと寝られてください』

 

「よき夢を、我が君_______」

 




シャドウのあれ、実は全て本心です


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黄金と真なる黄金の真実 ※挿絵有り

こんなタイトルですがついにお辞儀さんが出ます

後半はそれなりに真面目です



__み!  __が君 

 

 

「我が君!御免っ!!」

 

「させるかぁ!?『プロテゴ』!!」ヒュオ ガッ!!

 

「おはようございますウィラトリア様」チッ

 

「お前今舌打ちした!?舌打ちしたよなぁ!?」

 

『陛下―起きたー?』

 

『おはようございます黄金の君』

 

「・・・あぁおはよう、良く寝れた」

 

「入浴はどうされますか我が君」

 

「帰ってからにしよう、今は目もばっちりだ。獣、アルヴィー人化の術を使え。行くぞ」

 

『はいはーい!」スゥ

 

『黄金の君、どう行かれますか?」スゥ

 

「そうだな、正面から堂々と行こう。こそこそするのは性に合わん」

 

「陛下ですからねー!」

 

「了解しました我が君」

 

「途中見た者は殺しますか?」

 

「気を失わせろ、記憶に残すな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__カツカツ____

 

 

「__ん?そこにいるのは生t『ゴキっ!!』__・・・・」ドサっ

 

「フィルチか、会うのは初めてだがタイミングが悪かったな」コツコツ

 

「ニャ~ン」プルプル

 

「ミセス・ノリス、お前は何も見ていない。よいな?」

 

「いいじゃん陛下―!殺そうよー!」ゴゴゴ

 

「ニ゛ゃ!?」ビクゥ!!

 

「さっさと行くぞアルヴィー、こんな猫くらい構うな」

 

「ニャァ~(アブねぇぇええええ!?)」

 

 

 

 

 

途中階段が無駄に動いたりしたが私には関係ない、獣に持ってもらって階段を跳びついに4階右廊下につく

 

 

フラッフィーは獣が入った瞬間泡を吹いて気絶したのでアルヴィーに部屋の隅に放り投げさせる

(ゴールにシュゥゥゥウウ!!超☆エキサイティング☆!!)

 

 

 

足下にあった扉をシャドウに開けさせ先を確認させる

 

「ウィラトリア様、どうやらこのまま下まで続いているようです」

 

「やはりか、アルヴィー」

 

「はいはーい!」メキメキ!

 

翼だけ出させて私達を包み込ませる

 

「アルヴィー殿、分かっておられようが・・・」

 

「勿論だよシャドウ殿―!陛下の御身を決して汚させないよー!獣殿こそしっかり陛下の御身を守ってねー!」

 

「当然です、黄金の君、準備の方は?」

 

「よい、降りろ」

 

「はーい!」ヒュっ

 

 

アルヴィーの翼に包まれたまま浮遊感だけが続く・・・確か「悪魔の罠」があったっけ?まぁ関係ないか

 

 

では諸君!ここから先は軽いダイジェストだ!!ん?何故かって?正解は____

 

 

「なにこれー?邪魔―!__・・・ゴァァアアアア!!」

 

ボォォォオオオオオ!!

 

 

 

「我が獣、鍵を取ってこい」

 

「すでに」ス

 

 

__簡単すぎるもん(はー!べーわー!マジべーわー!!簡単過ぎてマジべーわー!!)

 

 

 

チェスの間につくと壊れているハズの駒が全て綺麗に並んでいる

 

 

 

「思った通り壊れても戻るのか・・・ロンが気絶してるな」

 

「すでに保健室前に置いてきております我が君」バシュン!

 

「流石シャドウ、早いな。では・・・『グラヴィタス』(重力呪文)!!」ヒュっ

 

 

私が呪文を唱えると目の前全てが一瞬で粉々に押しつぶされる__が

 

 

__ズズズズズ______

 

 

「・・・はぁ、所詮は普通の呪文か。いや、この場合はマクゴガナルを褒めるべきかな?」

 

「どうしますー?ワタシが燃やし尽くしましょうかー?」ボウ

 

「おいおい、少しは私にも遊ばせろっと言いたいとこだが仕方ない・・・『黄金の命である!!跪け!!』ヒュオっ!!

 

 

__ゴッシャァァアアア!!  __ググッ __グッ

 

 

「ふん、無駄だ。そんじょそこらの服従呪文とは一線を隔す『黄金の王令』だ、無機物ですら従わせる。私が解かん限りこのままよ」

 

「うっわ!懐かしー!アルちゃんにしたヤツですねー!」

 

「またかけてやろうか?(ふふん)いや、もう必要ないな」

 

「当然でーす!ワタシも円卓の全員陛下にとことん服従してますからー!」

 

「ふふっ、そうだな。みんなカワイイ奴ばっかりだ」

 

 

トロールは気絶していたのでまた『黄金の火』で燃やし尽くした

(そこ!二番煎じとか言わない!!)

 

 

 

 

 

ガチャ「誰!?って・・・ウィラ!?」

 

「やっほうハーマイオニー、助けにきたぜ☆」ヒラヒラ

 

「何で・・・シャドウさん達があんなに・・・!?」

 

(ホントにごめん)

「・・・すまない、『オブリビエイト』(忘れよ)」

 

「えっ・・・」パタン

 

「・・・我が君、よろしいので」

 

「・・・私だってしたくなかった・・・でも・・・」

 

 

そうだ、シャドウのプライドを傷つけてまで私はこの場にいない事になっている。ならば最後までそれを貫きとおさなければ

 

次の扉の前まで来ると目の前に紫色の炎が上がる、スネイプ先生か・・・問題を解いてもいいが・・・メンドくさい

 

 

「我が君・・・感謝の極み」ス

 

「何の話しかな?さて、とうとうお辞儀馬鹿とご対面だ。『黄金の火』よ!!」ボオォォォオオア!!

 

 

 

 

 

 

通路を歩いた先には広間があり、すでにハリーがクィレルを殺した後でハリーは気絶していた

 

 

 

「・・・お前達、これは私の獲物だ」カツカツ

 

「「「はっ!」」」

 

「出てこい寄生虫モドキ。それともこの私が・・・黄金の君であるこのウィラトリアが怖いのか?」

 

 

間違いなく奴はまだこの部屋にいる、だってそう囁くのよ私のゴーストが(マジあれ名作だわ)

 

 

そう思って待っていると霞が集まり顔のようになっていく

 

(うわキモっ!?ホントにもう人間じゃないじゃん・・・)

 

__なぜ分かった・・・

 

「お前も知っていよう、我が黄金の瞳は全てを見通す」

 

__・・・この俺様をここで滅ぼすのか?

 

「うん?いや別に?だってお前が復活しようが私やエルドラド王国には特に関係ないし」

 

__・・・っ!・・・ふははははは!!何ともまぁ、これでは暴君ではないか!!

 

「然り、王とはつまり暴君よ。イギリスの魔法界?結構、さっさと滅べ。国とは平穏の上にあるのではなく屍の上に成り立つものだからな。それに誰が魔法界を支配しようが我がエル・ドラド家が王であることに変わりはない」

 

__・・・初代黄金とはこのようだったのだろうな、まさかこの俺様が誰かについてみたいと思うとは・・・

 

「おや?随分と陶酔した声で語るじゃないか」

 

__あぁ・・・彼こそが俺様の憧れだ、俺様の最終目的は彼のようにヨーロッパを支配しマグルに悪逆の限りを尽くし、魔法族のみの国を建国することだからな

 

「・・・」ピク

 

「待てシャドウ、我慢しろ」

 

「・・・はっ」

 

 

 

この馬鹿は何と言った?初代黄金が・・・あの『最優の至高王(・・・・・・)』とまで言い伝えられている彼に憧れた?

 

(だっ、駄目だっ耐えろ!まっまだ我慢するんだっ!)プルプル

 

 

__ウィラ、今代の黄金よ。この俺様と来い、俺様がキサマの夫となりヨーロッパの・・・いや、世界の半分をくれてやろう

 

「~~~~っ!!あははははははは!!ひぃ、ひぃ!こっ!これは傑作っ!くはははははははは!!!」ゲラゲラ

 

__なっ何だ!?何がおかしい!!

 

 

(『憧れは理解から最も遠い感情だ』まさに藍染の言うとおりだ!!)

 

 

 

「はぁー!はぁー!お前面白すぎ!!魔法使いやめてお笑い芸人目指せ!くはは!」

 

__キサマァァ!!

 

「ふぅ、ふぅー、あー笑った。ヴォルデモート、一つ歴史の勉強をしてやろう、初代黄金が生まれた時代は魔法使いが戦争をしていた。それはヨーロッパ中に広がり魔法族が絶滅の域にまで達しても彼等は戦争を止めなかった」コツコツ

 

__それがどうした!!それと俺様を笑ったことの何が関係ある!!

 

「話しは最後まで聞け、『黄金の命である!!跪け!!』」ヒュオっ!!

 

__グォ!?何故だ!!何故魂だけの存在である俺様が!?

 

 

動けず狼狽えるヴォルデモートを他所に私は黄金の獣に『検知不可能・拡大呪文』をかけられた獣のローブから椅子を出してもらいヴォルデモートの前で座る

 

 

 

「続きだ。彼は絶望した、愛する人々が次々と死んでいく様に。彼は決意した、彼にはそれを為せる力があったからな、ヨーロッパを駆け回り次々と戦場を渡り歩き平定していった。そしてついにヨーロッパ全土を支配し彼は圧政の限りを尽くした。ここまでは誰もが歴史で知っているな?」

 

__だからどうした!?魔法使いなら幼子でもその程度知っておるわ!! ググッ

 

「・・・彼は分かってたんだ・・・このままでは再び戦争が起こると。だから・・・ヨーロッパ中の全ての憎しみや怒りを一人で背負う事を決めた、これが最後の戦争になることを祈って」ギシっ

 

__ __っ!?

 

「・・・シャドウ、昔子守歌の代わりに語ってくれた真実をこの馬鹿に」

 

「はっ!・・・我が君は全て分かっておられた・・・愛しい・・・最愛のクレーリア様と我等円卓、そして無辜なる民を救うべく!・・・クレーリア様を置いて・・・我等に・・・御子息様を託され・・・全ての悪を背負い殺されたのです・・・っ!!」ポタポタっ

 

__ __っ!?・・・嘘だ!!あの悪逆の史上最低の王にそんなもの!!

 

「シャドウは全てを見ている、キサマに否定する術などない。これが・・・我がエル・ドラド家の始まり・・・初代黄金の君、偉大なる黄金、『ヴァンシエル・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア』陛下(・・)の真実だ」

 

__ 嘘だ!!嘘だ!!ならば俺様の憧れは・・・っ!?

 

「あぁ、全部虚構だ。だから笑ったのさ」

 

 

もはやヴォル様は絶句するしかないようだ、だってそうだろう?自分が憧れた理想像が全て勘違いだと分かってしまったのだから

 

 

(・・・そろそろ終わらせるか、もう一人(・・・・)も首を長くして待ってる)

 

 

 

「さて・・・項垂(うなだ)れているところ悪いが気が変わった・・・憧れてるんだろう?彼のようになりたいんだろう?ならば・・・____死ね」スっ

 

 

指輪を外すと同時に私から膨大な魔力が溢れ出す。何をするかを察したアルヴィーがとっさにドラゴンに戻りハリーを包み黄金の獣が更にその上から尻尾で覆い、そしてシャドウはいつでもいけるよう構える

 

 

 

「あぁ!あと私の夫になると言ったな?」

 

__ っ!そうだ!!この俺様はゴーント家の、サラザールの血を受け継いだ純血だ!!キサマ程の女に相応しいのはこの俺様くらいだ!!

 

「くははは!!たかだかサラザールの血如きで偉そうに!・・・それにな?ヴォルデモート」ゴォォオ!!

 

__まだ上がる・・・だと!?

 

(ちょww人が締めようとしてる時に笑わせんなってww!)

「キサマが純血?父親がマグルのトム・リドルがぁ?」

 

__なぜそれを!?

 

「私はなヴォルデモート・・・_____嘘つきが大ッッ嫌いなんだ!!」ヒュオ

 

 

ウィラの膨大な魔力を流された杖が歓喜に震え讃美歌を謳い上げる、黄金の魔力に酔いしれた杖から発せられたその魔法の名は___

 

 

 

 

 

 

 

 

____「『Dies irae』(怒りの日)」______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___ホグワーツから音が消え全ては黄金の光に包まれた____

 

 

 

__この時間、ホグワーツは未曾有の地震に襲われた、更に「禁じられた森」に棲む全ての生物達が怯え決して信じていない、祈るハズがない神に祈りを捧げた・・・

 

__「あぁ・・・どうかこの力が我等に向けられませんように」・・・と

 

 

 

そして震源地の中心は____

 

 

「『黄金を燻らせよ!!我こそは影!!』」ヒュパ!!

 

オオオオオォォォォォォ・・・_____

 

 

 

 

 

「___・・・流石はシャドウ・・・見事な黄金封じの魔法(・・・・・・・)だ」

 

「わっ、我が君・・・!感謝の極みでございます・・・!!」はぁ、はぁ

 

「我が獣、アルヴィー、大丈夫か?」

 

『もー!陛下―!!ソレをするなら先に言ってよー!!その魔法アルちゃんでも死にかけるヤツじゃーん!!』ボフっ

 

「けほっ、けほっ、思わず身を守るために元の姿に戻りそうになりましたよ・・・」

 

「すまんな、あの馬鹿の言う事がどうしても我慢ならなくてな・・・」

 

「我が君・・・あの者は・・・」

 

「よい、分かっておる。・・・まさか本気じゃないとはいえ『対城魔法』から逃れるとは・・・流石の私も驚きだ」

 

そう、ヴォルd・・・こほん、お辞儀さんはどうやら逃げたらしい、当たった感覚が無かった

 

「・・・まさか黄金の君の呪縛から逃れるとは・・・」

 

「腐っても流石は闇の帝王・・・か、以外とやりおる」ふん!

 

「どうしますか?あの者はフィアンセ候補に入れないので?」

 

「はぁ!?ぶっ飛ばすぞ獣!?何であんな「人間止めちゃったおじさん」を!?気持ち悪いから『Dies irae』使ったんだぞ!?と言うか顔がタイプじゃない!!絶対家族を愛したりしないもん!!俺tueeeeeeeee!!って勘違いしてる厨二病なんかと結婚できるかぁ!!」

 

『陛下―!このメガネ何とか守ったよー!褒めて褒めてー!』

 

「あぁ!ナイス判断だアルヴィー!国に帰ったら鱗を一枚一枚丁寧にブラッシングしてやる!」

 

『やったー!愛してます陛下―!!』

 

「我が君、あちらはどうされますかな?」

 

「おっと、忘れるとこだった」カツカツ

 

 

 

 

辺りを舞う埃を吹き飛ばし隠れていたダンブルドア(・・・・・・・・・・・)のもとへ向かう

 

 

「うっ・・・ぐぅ!!」

 

「ふん、『プロテゴ・マキシマ』の5重層か、よく調べているじゃないか」

 

「ゴフっ!ウィ・・・ラ・・・殿・・・」

 

「話しは後だ、まずはキズを癒されよ。ハリーは置いていくぞ?私はこの場にいない事になっているからな」コツコツ

 

「__っ待て!!」

 

「・・・何だ?」ピタ

 

「今『Dies irae』と言うたな!?あり得ん!!それは初代黄金しか使えなかったハズじゃ!!」

 

「使えるから使った、これでいいか?あぁ後ヴァンシエル陛下の真実は他言無用だ。話した瞬間ホグワーツに全力で先程の魔法を撃ちこんでやる」

 

「なぜじゃ!?先程の真実は世界の常識を・・・まさに歴史を変えるのじゃぞ!?」

 

「・・・それがヴァンシエル陛下の遺言だ」

 

「・・・分かった・・・賢者の石は?」

 

「あぁ!どうでもいいから完全に忘れていた!アルヴィー、ハリーのポケットに入っている石を寄こせ」

 

「はいはーい!__んしょ・・はい!陛下―!」

 

「どうでもいいじゃと!?儂はてっきりウィラ殿もそれを求めておったと・・・」

 

「ふざけるな、子供より後に死ぬ母親がどこにいる。・・・それに・・・」

 

「・・・何じゃ?」

 

「・・・ダンブルドア、私は人の人生とは『物語』のようなものと思っている、もしかしたらハリーの生き様がどこかで本になっているかもしれない・・・そう思うとな?終わらない物語なんてただの駄作だよ、人生とは刺激に満ち溢れ終わりがあるから一日一日を大事に・・・一生懸命に生きるんだ・・・だから人生は・・・こんなにも素晴らしいんだ」

 

「____っ!!__・・・そうか・・・お主が・・・儂やトムを嫌う理由が少し分かったような気がするぞい・・・」

 

「ほら、これは卿に返そう。どうせヴォルデモートを釣り上げたら破壊する気だったんだろう?」

 

「そうじゃ、ニコラス夫妻も同意してくれた・・・新たな旅路へ行きたいと」

 

「__ならば祈ろう、彼等に・・・次もまた幸多からんことを・・・」

 

 

 

 

__私は目を瞑り、祈ろうとした瞬間・・・確かに見た___私達がいる空間がまるで祈りを天に運ぶように黄金に満ち満ちていたことを_____

 

 

 

 

 

 




これは裏設定なのですが___初代黄金は神様転生者です
ウィラと違い神様からチート特典をもらって新しい人生を謳歌してました



余談ではありますがウィラが『陛下』と慕うのは初代黄金だけです
(まさにウィラ好みの愛に殉じた男ですから)




【挿絵表示】


ウィラのイメージは大体こんな感じです


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黄金と1年の終わり

徐々に下がっていく平均評価を見ると少し
くるものがありますね(それだけしっかり見てもらえている
証拠でもあるんですけどね)

あと明日から仕事が始まるので
これまでのようなスピードで更新できません
タグにあるように不定期投稿となります

これにて「賢者の石」編終了です



3日後、呼ばれたので校長室に行く

 

 

__あなたも私も?

 

「ポッキィィイイイエ!!」

 

__ハッハァ!!良いお嬢ちゃんだ!!スウィートベイベー!  ピョン!

 

「うむ!私のほうこそ卿のノリは大好きだ!」

 

 

獣に開けさせ校長室に入る

 

「おぉ、ウィラ殿、息災で何よりじゃ」

 

「お前もなダンブルドア・・・治っているな、不死鳥か」

 

「フォークスが儂を憐れんでのう・・・あんな目で見られたのは長い付き合いで初めてじゃった」

 

「フィ~」カタカタ

 

「・・・アルヴィー・・・国に帰った時にコカトリスを食わせてやったろう?その目を止めろ」

 

「・・・はーい」

 

「ほっ、感謝するウィラ殿、ついでに歴代校長も何とk『『『止めろダンブルドア!!!』』』・・・やっぱ止めとこう」

 

「臆病だなぁ、卿等はもう死んでおるのだろう?一体何が怖いというのだ」フンっ

 

「・・・『Dies irae』という文字通りの伝説を使うお主を怖がらぬ者などおらんよ」

 

「ほう?それはお前もか校長殿?」

 

「・・・あぁ怖い・・・怖いとも・・・何故お主にアレが使えるのじゃ?1500年以上初代黄金以外で使えるなど聞いたこともない」

 

「・・・はっきり言って分からない、シャドウも初めて見たとき驚いていた・・・ただ・・・」

 

「ただ?」

 

「・・・いや、おそらく勘違いだ・・・話してないだろうな?」

 

「誓って、むしろヴォルデモートの方に注意したほうがよいと思うのじゃが」

 

「お前なんぞの狸を誰が信用するか、どうせハリー達の件も広める気なんだろう?」

 

「彼等はそれだけの勇気を示した、讃えられて何が悪いのじゃ」

 

「あれは勇気ではなく蛮勇というのだ、勇者ではない、ただの愚か者だ」

 

「手厳しいのう・・・友達なんじゃろう?」

 

「あぁ友達だ、初めてできた・・・な。だが私は王だ、理想論など語れんよ」

 

「ハァ~・・・お主と話しておると胃が痛くなる。知っとるかのう?保健室で胃の痛みを訴える者が急増しセブルスなんぞとうとう授業内容が「胃薬作り」になったのじゃぞ?」

 

「ふぇ?なにそれ知らない」

 

「まぁその件はしょうがないからのう・・・ところで何故お主はヴォルデモートの本名を知っとる?さらにマグルの父のことまで」

 

「それはお前も同じだろう?出生までしっかりと調べているじゃないか」

 

「っ!・・・質問に答えてもらおう」

 

「協力者なんぞいくらでもいる、王に様々な情報を貢ぐのもお前達魔法族の務めだ。臣下の献上品はありがたくもらっているよ」

 

「ヴォルデモートは・・・トムはやはり・・・」

 

「まことに遺憾ながら逃げられた。流石は闇の帝王だけはある。正直逃げられるとは本気で思わなかった」

 

「再び行動を起こすのはいつじゃと思う?」

 

「分からん、少なくとも余波は受けたハズ、そうそう動けんよ」

 

「・・・とにかくじゃ、『Dies ire』はもう使わんでもらいたい。ホグワーツの防御機構は滅茶苦茶、生徒も何人かがパニックを起こした。更には「禁じられた森」の住民達まで儂を責めてくる!__うっ!胃が・・・」ジャラジャラ パク

 

「・・・うん、流石にアレは悪かった・・・やりすぎたよ、すまん」

 

「では・・・」

 

「よっぽど気に食わん限りは使わんさ、例えば吸魂鬼(ディメンター)の大群がホグワーツに入ってきたり・・・とかな」

 

「ありえんよ、いくら儂でもあんな悍ましい者達をホグワーツに入れるなど」

 

「フフン、言質は取ったぞ?」

 

「・・・まさか吸魂鬼まで殺せるのか?」

 

「さぁなぁ、見てのお楽しみだ。では行かせてもらおう、そろそろ見舞いに行ってやらんと」

 

「分かった、儂も後から様子を見に行こう」

 

「・・・彼等には私がいた事を伝えるな、言えば殺す」

 

「・・・分かった」ゴクっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくは大変だった・・・私の魔法のせいでどうやら地震が起きたらしい。部屋の前には自称「ウィラ親衛隊」(気持ち悪いのですぐさま止めさせた)や「ウィラの婚約者」(マジで殺そうかと思った)が列を成し「大丈夫ですか!?」「僕が守ってあげる」など流石の私も笑えない状況だったので全員シャドウと獣に剣をチラつかせアルヴィーに脅sゲフンゲフンお話ししてもらった(瞳孔を縦に広げて火を噴きながら)

 

それもハリー達が目を覚ましてからは収まった、やはりあのジジイは噂を流したらしい

 

そして今私はお見舞いに来ている

 

 

「あの後3人で話し合ったんだ、確かにシャドウさんの言い分が正しいって」

 

「うん・・・ごめんよウィラ?王様を危険な場所に連れていこうだなんてどうかしてたよ」

 

「いや、こちらこそすまなかった。というか3人共宝石は?」

 

「・・・ごめんなさい、私がついていながら忘れてたの・・・正直気が動転してたんだわ」

 

「いや、卿等が無事帰ってこれたんなら別にいいさ。・・・ごめんなさい」ボソ

 

「へ?何か言った?」

 

「いや何も?」

 

「・・・ウィラ、ダンブルドアから何か聞いてないかい?ヴォ・・・例のあの人のこと」

 

「ハリーにはもう言っているだろうが逃げられたらしい、正直さすがこの私を差し置いて帝王などとふざけたことを抜かすだけの事はある」

 

「・・・まさかウィラでも勝てないの?」

 

「あはは!ロン!その冗談は面白いなぁ!__あり得んよ、この私を、黄金を倒せる者がいたならここまでエル・ドラド家は続いていない」

 

「でもっ!それがあの人かもしれないじゃない!!」

 

「ハーマイオニー、サラザール・スリザリンとあの馬鹿、どっちが強そうだ?どこの誰がサラザール達4人を鍛え上げたとでも?」

 

「それは・・・」

 

「仮にアイツが古い家系の生まれでもこのエル・ドラド家を超えることなど不可能だ、だからこそクィレルは私に何もできなかったじゃないか」

 

「そういえば本当にスネイプじゃなかったね」

 

(おっなんか良い流れっぽい!よーし!私の愛しいスネイプてんてーの株を上げてやるぜ!)

 

「そうだろうなぁ、彼とはよく話すからそういう人間じゃないって見抜いていたよ」ウンウン

 

「えぇ!?スネイプと!?どこで!?」

 

「そりゃ彼の研究室で色々話す・・・ってどうした?そんな顔をして?」

 

「ウィラ!!」ガタっ!!

 

「えっハイ」

 

「近づいちゃダメだ!!きっとあいつロリコンなんだよ!!」

 

「へ・・・ファっ!?」

 

「そうよ!!ウィラの黄金の可愛さに目が眩んできっといつか貴女をキズつけるわ!!」

 

「いや、むしろ押し倒しt「ウィラっ!!真面目な話しをしてるんだ!!茶化さないでくれ!!!」えぇ~・・・」

 

「こうなったら校長に直談判してスネイプなんか辞めさせてもらいましょう!!」

 

「ちょっ!?おまっ!?」

 

「学校中に広めるんだ「スネイプはロリコンで女生徒をいつもヤラシー目で見てる」って!!」

 

「止めろぉぉぉおおおお!!?私のてんてーがぁぁあああ!!!!」

 

 

 

この後騒がしい!!マダム・ポンフリーに追い出され、何とか3人を説得(薬の調合を教えたり等の話)これにて「スネイプロリコン説」は永遠に闇に葬られるかと思いきや、むしろ3人の中ではなぜか更に「てんてー悪人説」がこびり付いてしまいましたとさ。ちゃんちゃん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___大勢の生徒が大広間に集まっている

 

 

ザワザワとしていたが今まで保健室で安静にしていたハリーが入ってくると一瞬静かになり爆発的な歓声が上がる

 

ちなみに私はグリフィンドールの席に座っていない。まだ私はどこの寮にも所属してないからだ

ん?じゃあ今どこに座っているのかって?それは・・・

 

「ウィラ殿、どうかな?そこから見える景色は?」

 

「・・・最悪だこの狸め・・・」

 

そう・・・組み分けが行われた・・・全寮から見える中央の少し高い所だよチクショーメ!!しかも__

 

 

「うわぁ・・・ウィラが王様みたい・・・」  「いや、現に国王だろ?」  「・・・何かカリスマ性がヤバイんだけど・・・」  「後ろに騎士を置いて・・・はぁ~カッコイイ~!!」  「ヤベェ、何か平伏さないといけない気がしてきた!」  「分かる!ただ座ってるだけなのに威圧感スゲェよな」  「ウィラ様―!!」

 

(・・・折角仲良くなれてきたのに・・・お前マジざっけんなよ!?アァ!?アバダケダぶるぞクソジジイ!!)

 

「おぉう・・・何か寒気が・・・ウィラ殿、何か?」

 

「・・・別に、いいからさっさと寮杯を決めろ。私を待たせるな」

 

 

足を組んで頬杖を突く。それだけで生徒の大半が息を飲んでいる

 

それを見計らいダンブルドアが立ち上がり

 

 

「また1年が過ぎた!」

 

大広間は今スリザリンカラー一色に染まっている、七年間ずっとそうらしい、でも今年からは違う。原作通りにダンブルドアはここから大量に加点するだろう

 

 

「一同。ご馳走にかぶりつく前に、老いぼれの戯言をお聞き願おう。何という1年だったろうじゃろうか。君たちの頭も1年前に比べて少しは何かが詰まっていれば良いのじゃが・・・新学年を迎える前に、君たちの頭が綺麗さっぱり空っぽになる夏休みがやってくる。ではその前にここで寮対抗杯の表彰を行う。点数は次の通りじゃ。4位グリフィンドール、212点。3位ハッフルパフ、352点。2位レイブンクロー、426点。そして1位スリザリン、482点」

 

 

原作よりもグリフィンドールの点が低い気もするが・・・まぁしょうがない、だって私の真似をしてマクゴガナルやてんてーに向かって「よい、許す」とか言うからだ、だから私は何も悪くない!

 

 

スリザリンは先程から喧噪に包まれている・・・というかドラコ、映画でも見て思ったがお前貴族だろう?ゴブレットで机を叩くんじゃありません!!

 

 

「よし、よし、スリザリン、よくやった。しかし・・・つい最近の出来事も勘定に入れなくてはのう」

 

ダンブルドアのその言葉に騒いでいたスリザリン席が静かになる

 

(・・・本当に狸が・・・彼等もこの日の為に頑張ってきたろうに、良い趣味してるよクソジジイ)

 

 

「では駆け込みの点数を発表しよう、ロナルド・ウィーズリー。ここ何年か、ホグワーツで見ることができなかったような、最高のチェス・ゲームを見せてくれたことを称え、グリフィンドールに80点を与える」

 

 

その言葉にグリフィンドールの生徒達が歓声を上がる・・・というか80点て、見ろよスリザリンを、みんな呆けて口が空いてるぞ

 

 

「次に、ハーマイオニー・グレンジャー。火に囲まれながら、冷静な論理を用いて対処したことを称え、グリフィンドールに80点を与える」

 

 

ハー子が泣きながら喜んでいる・・・うん、素直に私も嬉しい、よかったねハー子、そしてごめんね?いつかちゃんと謝るから

 

 

「3番目は、ハリー・ポッター・・・その完璧な精神力と、並外れた勇気を称え、グリフィンドールに80点を与える」

 

もはや怒号が大広間に響いた、だってそうだろう?270点差があれよあれよと30点差にまで詰め寄ったんだから

 

 

ダンブルドアが手をあげ皆の注目を集め

 

「勇気にも色々ある。敵に立ち向かうのには勇気が必要じゃが、味方の友人に立ち向かっていくのにも、同じくらい勇気が必要じゃ。よって、ネビル・ロングボトム君に___20点を与えたい」

 

次の瞬間爆発が起きた、だがグリフィンドールの何人かは気づいたようだ、・・・そう・・・あと10点足らない

スリザリンはその事実に気づき安堵の息を漏らしレイブンクローとハッフルパフは残念そうだ

ようやくグリフィンドール全体がそれに気づき、ダンブルドアが私を見て来る。それは全校生徒も同じだ

 

 

「もうすでに気づいておるじゃろうがグリフィンドールの諸君、君達が寮杯を取るにはあと10点足らん、そしてここにおられるウィラ殿は1人だけ点数を持っておる。以前から張り出しておる通りこれからウィラ殿の持つ点数を配分してもらおう」

 

ザワザワと、そしてギラついた視線が私に集まる、それはレイブンクローもハッフルパフも同じだ、もしかしたら寮杯を取れるチャンスがここにきて巡ってきたのだからそりゃそうだ

 

「ふむ・・・普通に発表するんじゃ面白くない、ゆえに・・・選べ」

 

「・・・何をじゃ?」

 

「ウィラとして発表してほしいか?それとも・・・『黄金の君』としてか?」

 

 

声が聴こえたらしく辺りが騒然としたので『王の眼光』で黙らせる。悪いがいいかげん耳が痛い

 

 

「・・・もうお主の中では決まっておるのじゃろう?・・・黄金殿」

 

「くはは!よい、ならば王として授けよう。私の持つ点数は?」

 

「・・・428点じゃ・・・」

 

ザワっ __428!?  __たった一人で!?  __レイブンクローも普通に超えてるじゃん!?

 

「ふむ・・・ならば」スっ

 

 

立ち上がり皆を見渡しながら降りていく

 

 

「・・・スリザリンにまずは58点、卿等の団結の強さはまことに見事であった、友と切磋琢磨し互いに高めあう高潔な精神に我が与えよう」カツカツ

 

ザワっとスリザリン席が騒めきこちらに平伏してくる

 

 

「次、グリフィンドールに68点。本当に卿等といるのは楽しかった、何よりも真の勇気を何度見せてもらったことか・・・大儀である。受け取るが良い」コツコツ

 

再び歓声が上がるが構わず歩く

 

 

「レイブンクローに114点、ホントにププっ!ホントに笑わせてもらったww・・・コホン・・・卿等のその弛まぬ研究への熱意に授けよう」コツコツ

 

__フォォォォォ!! ゴシカァン!!

 

 

「wwwwコポォwwゲフンゲフン!!最後、ハッフルパフに188点。何とゆったりとしていたことか、卿等といるのはとてもリラックスできた。感謝の印だ、受け取れ」カツカツ

 

うあ~ありゃりゃした~

 

 

「・・・待つのじゃウィラ殿、それでは・・・!?」

 

「そうだ校長殿、よって今回の寮杯は4寮全てのものとする!!」

 

 

誰も何も口にするとかができない、4寮全てが寮杯など前代未聞だ

 

 

「じゃ、じゃが・・・」

 

「私が決めた、ゆえにこれは確定事項だ。公平な判断を求めたのは誰だ?というかお前あからさま過ぎるんだよ」

 

「ううむ・・・あい分かった、ならば飾りつけを変えねばのう」

 

「いや、その必要はない。これは楽しい1年を過ごさせてもらった礼だ_____卿等に『黄金の景色』を見せてやろう」

 

 

 

 

 

そう言うとウィラはおもむろに杖を出しタクトのように振り始める。大広間の中央で威風堂々とローブを翻す様に誰もが目を奪われ

 

 

 

____黄金の風景が顕現する

 

 

 

「我が命に従い顕現せよ!!『あぁ、我が愛しきクレーリア』!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「___おぉ・・・っ!これは・・・!!」

 

「そうだダンブルドア、ここは我が故郷、我が居城、そして初代黄金が晩年まで愛しき妃であるクレーリア様とすごした1500年前のクレーリア城だ」

 

 

誰もが涙を流すしかなかった、そこには記事に書かれていたとおり決して表現できないほどの美しい景色が広がっていたのだから・・・

 

室内であったはずの大広間は城のテラスとなり、目の前には風に運ばれる花弁が宙を舞う

城の柱は見事な装飾が成され本来冷たいはずの大理石が暖かく足を包み込む

庭を見渡せば何と見事に花が咲き乱れていることか・・・

『黄金』__その風景はまさにそうとしか言いようがないほどに自然と石細工が調和を成していた

 

 

「・・・シャドウ、これはお礼だ・・・本当にすまなかった」ボソ

 

「おぉっ!!我が君・・・何と・・・っ!」ポタポタポタっ

 

「我が黄金の魂に刻まれた風景だ、しかと心にとどめよ」

 

「すごい・・・これがウィラの魔法・・・黄金の魔法か・・・」

 

「あぁドラコ、どうだ?私の故郷は素晴らしいだろ?」

 

「・・・言葉が出ないよ」

 

「くはは!私としては今の景色のほうが好きだけどな!皆もよく聴け!!確かにこの1500年前も美しいが今のクレーリア城は歴史を兼ね備えた至高の風景である!!いつでもいい!遊びに来い!卿等なら国王としていつでも歓迎してやろう!!」

 

「マジで!?」  「これよりすごいの!?」  「絶対行かないと!」  「ウォォォウィラ様最高!!」  「寮杯も俺達のもんだ!!」  「4寮全てな!」

 

ウィラ!! ウィラ!! ウィラ!! ウィラ!!

 

「くはははは!!よい!許す!!我を讃えろ!!我こそは黄金!!黄金の君なり!!」

 

 

 

 

 

 

熱は収まらず私が魔法を解除した後も、どこもかしこも先程のクレーリア城の話で持ちきりだった、あのマクゴガナルでさえ興奮した様子で他の教師に話しかけ、ハグリッドはなぜかおいおい泣きながら肉に齧り付いてた

 

 

 

 

 

翌朝、学年末試験の成績が発表された。私はどうでもいいなぁ~とのほほんと散歩をしていると急にハリー達がこちらに走ってきた!

 

 

(ファ!?何だ!?・・・はっ!そうか!今度こそテストの点が悪かったから復習を邪魔した私への仕返しだな!?いいぜ!かかってこいよオラっ!!元グリーンベレーのこの私に勝てるもんか!)

 

 

「ウィラ!!これ見て!!」ガサっ

 

「野郎ぉぶっ殺sって・・・はい?」

 

「ここよ!!ここ!!」

 

「んー?3位ドラコ、おぉ!あいつやれば出来る子じゃないか!で次が・・・ハーマイオニー!?てかおかしくないか!?何で600点満点でお前786点なんだ!?」

 

「ホントだよ!初め見た時僕達もビックリしたもの!!」

 

「もう!ロン!!そこじゃないわ!!ウィラ!1番上!!」

 

「__?上?・・・・・・ファッ!?」

 

そこには何と私の名前があり、しかも925点!?おかしいだろ!?

 

「おぉ!おめでとうございます我が君!」

 

「おめでとうございます黄金の君」

 

「おめでとー!陛下―!」

 

「ありがとう・・・ってシンジ君ごっこしてる場合じゃねぇ!!印刷ミスだろ!?」

 

「いや、合ってるよソレ。ハーマイオニーが職員室に直接聞きにいったんだ」

 

「えぇーでも・・・えぇー・・・」

 

「もう!もっと喜びなさいよ!歴代でも最高得点らしいわ」

 

「・・・何でこんな高得点?」

 

「そりゃだってウィラだもの」

 

「うん、みんなテストの結果見て納得してたよ」

 

「私も少し悔しいけど・・・ウィラならまぁいいわ!」

 

 

3人と別れた後もいろんな生徒から「おめでとう」と言われたけど・・・流石に高すぎて現実味が沸かなかった

 

 

 

 

 

 

今日でホグワーツに長い夏季休暇が来る、おっと!その前に・・・

 

 

___レイブンクロー寮

 

「ウィラ様!!全員集まりました!!」コフーコフー!

 

「うむ、ご苦労」

 

「では・・・「DCS」の更なる進歩をさせていただく知恵を我等にっ!!」ゴシカァン!!

 

「ボフォwwwわっw分かったwwコホン・・・ではみんなー?この杖の先をよーく見てー」スチャ

 

「へ?なんでサングラスを?騎士様達まで」

 

「いいからいいから、しっかり見ろよー?はい!チーズ!」

 

___ピチュン!____

 

「「「「「・・・」」」」」ぽけー

 

 

 

「__ふぅ、何とか休暇までにできたな」カツカツ

 

「我が君、先程の光は?」

 

「『オブリビエイト』(忘れよ)を改良したものだ、前世で見た映画を真似てな?特定の記憶だけ消せるようにした」

 

「陛下―!「DCS」全部回収したよー!」

 

「資料も全て破棄しました黄金の君」

 

「ご苦労、これでようやく普通のレイブンクローになるな」

 

「ですが「DCS」はどうするので?」

 

「うーん・・・正直捨てるのは勿体無いんだよなぁ・・・とりあえず獣のローブに仕舞っておいてくれ」

 

「御意」

 

「よし、次はハッフルパフだ。いいかげんだらけ過ぎだ」カツカツ

 

 

 

 

 

用事をすませみんなにお別れを言いに駅まで行く

 

 

「ウィラ、休みの間に必ず家族で遊びにいくよ」

 

「あぁ、ルシウスと卿が来るのを楽しみにしている。我がクレーリア城の大庭園は見物だぞ?」

 

「必ず行くよ!じゃ!」

 

「・・・ウィラ、あんな奴と仲良くするの止めなよ!マルフォイなんか百害あって一利なしだよ!」

 

「はぁ・・・ロン、以前も言ったが私の交友関係に口を出すな」

 

「ウィラ、手紙出してもいいかな?と言うか届くの?」

 

「私も気になってたの。お城に入る前にはじかれないかしら?」

 

「普通に郵便で届くぞ?どちらかと言うとフクロウの方が危険だな、円卓の大半が撃ち落とすか食べるから」

 

「うわぁ・・・エロール大丈夫かなぁ・・・」

 

「まぁ何人かのフクロウの特徴は教えてもらったから大丈夫だろ、私こそ手紙を出しても?」

 

「勿論!待ってる!」

 

「あー・・・でもお願いだからあのフクロウだけは止めてね?絶対パパとママが気絶しちゃうから」

 

「私は普通に郵便で送るわ、ただしエルドラド王国の王印だけは勘弁して、まだ家族にウィラの事言ってないのよ・・・」

 

「ふむ、ロンとハーマイオニーは何故だ?別にあれくらいの装飾は王族としては当たり前だし私は国王だ、王印で郵便して何が悪い?」

 

「「私(僕)達は庶民なの(なんだ)!!」くわっ!!

 

「あはは・・・ウィラってホント変な所で天然だよね・・・」

 

「__?__?まぁいい、3人は汽車か」

 

「うん、ウィラはアルヴィーさんに乗って帰るんでしょう?」

 

「あぁ、最後まで頼むぞ、我が騎士よ」

 

「はっ!光栄の極みにてございます、陛下」

 

「じゃあ私達もう行くわ、汽車が出ちゃう」

 

「あぁ、また秋に」

 

 

 

__ポォォォオオオオオオ!!______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「_____行ったか・・・」

 

「・・・寂しいですか?ご友人と離れるのは」

 

「うん、でも・・・また秋には会えるし、それに・・・遊びに来てくれるって言ってくれたんだ___お別れじゃない、再開を約束した」

 

「__我が君、どうやらお客様のようです」

 

 

シャドウの言葉に反応してそちらを見れば・・・何とスネイプ先生がこちらに向かってくるではないか!

 

 

「・・・ミス・エル・ドラド」

 

「なっ!何で!?まさか私を見送りにっ///!?」

 

「違う・・・これを」ス

 

「・・・これは?」

 

「以前吾輩に薬を調合してくれたろう?それとこの1年お前には世話になった、恩返しだ。お前に必要かは分からぬが中には『幸福薬』が入っている、大切に・・・何故泣く?」

 

「・・・ちっ、違うんですっ、嬉しくてっ!だってコレ・・・すごく時間と手間がかかるっ」ポロポロっ

 

「・・・恩は手間をかけて返すものだ、また来年も頼む」

 

「はいっ!!」

 

 

 

 

 

 

___スネイプ先生が校舎に帰って行く

 

 

(私・・・今すごく幸せ・・・先生・・・大好き!)

 

「・・・良かったですなぁウィラトリア様」

 

「うん!」

 

「じゃあ陛下―?帰りますよー?」

 

「あぁ、頼む」

 

 

最後にもう一度ホグワーツを私の瞳に映す

 

 

 

「・・・安心しろ、卿等の求めた黄金はまた来る。まだまだ世話になる。・・・もう6年付き合ってもらうぞ?___創設者達よ・・・」

 

 

 

 

アルヴィーの背に乗り、飛び立とうとした瞬間、何かが聴こえた気がする。いや、きっと気のせいじゃない。確かに聴こえたのだ_____

 

 

 

 

 

 

 

 

4人の声で「ありがとう」って____

 

 




ウィラが『Dies irae』を使える理由は転生者+聖槍のせいだからですが
ウィラは初代黄金が転生者だと疑いはしていますが信じていません
『Dies ire』という言葉もたまたまだと思っています

次回からはしばらく閑話として今まで語られなかった
分霊箱やピーターの話、国王らしいウィラを書きたいと思います


感想等お待ちしてます


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閑話
黄金の国エルドラド


王とは基本腹黒である


とあるハリポタssの作者様が言ってましたが
ハリポタの様々なオリ主が集まったホグワーツ
気になります


「___そう、もう帰るのね」

 

「えぇ、学校も長期休暇に入ったので。国民も私の帰りを待っています」

 

「ふふっ、2年前よりも更に国王らしくなっちゃって」

 

「エリー、貴女ほどの女王(クイーン)からそう言われるのは恐縮です」

 

「あらウィラちゃん、私達の仲じゃない。敬語なんていらないわ」

 

 

__ここはイギリス王室が誇る庭園、私はイギリスの最高権力者・・・エリザベス女王と今お茶会を楽しんでいるのだが・・・____

 

 

 

「いえ、親しき中にも礼儀あり。極東の『ことわざ』にもそうあります」

 

「そう、ねぇウィラちゃん、我が国の魔法使いとやらは貴女から見てどう?」

 

「そうですねぇ・・・何人かは中々の力を持っています。フランスやドイツと比べても層は厚く粒もそれなりに揃っていますね」スゥ チラ

 

「へぇ、貴女の国とどちらが強いのかしら?」コクっ

 

「我が国の方が圧倒的に、それは歴史が証明していますしエリー、貴女自身がよく知っているでしょう?」ヒュっ

 

「あら、どういう意味かしら?」

 

「お爺様から聞いていますよ?第2次世界大戦当時フランスと手を組んで挟み撃ちにしてきたのはどこの誰でしたっけ?それに11年前私の予言を聞いて我がエルドラドに秘密裏にスパイを寄こして来たのも」__~~~~ボソっ

 

「・・・うふふ、本当に・・・駆け引きまでできるの?もう少し子供らしくしなさいな」

 

「申し訳ありませんがエリー、子供のままではどこかの島国が私の国に攻めてくるので」

 

「あら、そんな怖い国があるの?恐ろしいわねぇ。・・・ところで彼女、アルヴィーって言ったかしら?」

 

「えぇ、アルヴィー、こちらに来い」

 

「・・・はっ!」

 

「ねぇアルヴィーさん。貴女は我がブリテンの白き龍なのでしょう?何故他国の王なんかに仕えているの?」

 

「それは・・・」チラ

 

「よい、許す。述べよ」

 

「・・・では・・・女王陛下、私はここにおられるウィラトリア陛下と勝負し、完膚無きまでに負けました。人の身でありながらこのワタシを圧倒する実力をこの身に感じ、そしてこのお方に忠誠を誓ったしだいでございます」

 

「へぇ、ねぇウィラちゃん、一つ提案があるんだけど」__トントン

 

「何ですかエリー」フルフル

 

ソレ(・・)、私の国に返してくれない?『ドライグ』は起こすワケにいかないし少しそちらは過剰戦力過ぎるわ。1匹くらい分けてちょうだいよ」

 

「・・・『ドライグ』の居場所を?」

 

「えぇ、イギリス王室に代々伝わっているわ。何でもエジプトでは『スフィンクス』を、ロシアでは『雪男』を名物にしているのでしょう?イギリスにも一つくらい名物があってもいいじゃない」

 

「お断りします、そもそもコレは勝負に勝たないと言う事など一切聞きませんよ?」ヒュオっ

 

「なら手足と翼をもげばいいじゃない!大切なのは我が国が生きた「神獣」を所持すること、むしろ晒し者にしたほうが他国に対してインパクトがあるわ」

 

「・・・相変わらず、貴女には心底寒気がしますよ」

 

「うふふっ!だって・・・「「王とは暴君でなくてはならない」」あら、覚えてたのね?」

 

「初めて貴女と会った時に言われましたからね。それに真理でもあります」

 

「その答えは?」

 

「王とは自らの国の繁栄と守るべき臣民を第一に考えなくてはいけない。その為ならば他国がいくら血を流そうと利益を損ねてはならない」ヒュっ

 

「正解、満点をあげるわ!ところで・・・今エルドラドと戦争したらどうなるのかしら?」

 

「別に表だろうが魔法界だろうがエルドラドが勝ちますよ、こちらには黄金の獣もいますし」

 

「へぇ、ねぇ獣さん、貴方に核を撃ちこんだらどうなるの?殺せる?」

 

「さぁ、どうでしょうか?所詮は人間が作り出した物ですからね」

 

「人間は時としてなによりも恐ろしいものよ?星でさえ食いつぶしてしまうのだから」__トントン

 

「__・・・ふぅ、あぁ~疲れた・・・」へにゃ

 

「ふふっ、お疲れ様。盗聴魔法(・・・・)とやらは防げた?」

 

 

そう、私は部屋に入ってあらゆる所からこの場所に魔法がかけられていることに気づいた。だからエリーに合わせてもらいながら『逆探知・攻撃魔法』をかけ続けていたのだ

 

 

「えぇ、取りあえず相手は我々の途中までの会話を聴いてお互いの仲が微妙だと勘違いするでしょう。かなり巧妙に隠れていましたから探すのに苦労しましたよ・・・」ふぃー

 

「私達こんなにも仲良しなのにねぇ、もう大丈夫なの?」

 

「えぇ、この部屋・・・というか城全域についでにジャミングをしましたからね、居場所を特定して攻撃したのでもう死んでますよ」

 

「あとで場所を教えてもらってもいいかしら?適当な魔術結社に拾わせに行かせるから」

 

「構いませんよ。というか馬鹿な奴等だ、この私がいる場所に盗聴魔法など・・・」ふん

 

「それだけ怖いのでしょう、だって貴女は『黄金の君』。いつか『偉大なる黄金』になることも約束されているのだから」

 

「彼等が一番恐れているのはエルドラドとイギリスが手を組む事でしょう。お互い魔法に関しては先程も言ったように過剰戦力ですから」

 

「でも貴女一人には勝てないのよねぇ・・・あっ、シャドウさん、おかわりもらえる?」

 

「御意」コポポ

 

「__ん、ホントに美味しいわ。ねぇウィラちゃん、シャドウさんこそ欲しいわ!毎日こんな美味しい紅茶を飲みたいもの!」

 

「ダメです、いくらエリー、貴方が友達だからといってもシャドウだけは決して誰にもあげません!」キッパリ

 

「もう・・・どこの国がメインだった?」

 

「主な国はアメリカ・ロシア・中国ですね、超長距離で耳を飛ばしていました。ヨーロッパは流石に我々を恐れてほとんどいませんでしたね」

 

「あら、これはまた旨みの多い国が、早速魔法省を動かして賠償してもらいましょう!「乙女の秘密を覗くな」って♪」

 

「直接政府同士で話し合ったほうがいいですよ?ハッキリ言って今の魔法省のトップは無能です。外交能力はほぼ無いに等しいでしょう」

 

「・・・そう、ならそうするわ」

 

「__おや?もう時間か。エリーと話していると楽しすぎて時間が過ぎるのが早くて困る」

 

「私もよウィラちゃん、若い子と話すのは良い刺激になるわ。帰りはどうするの?またアルヴィーちゃん?」

 

「普通にクルーザーで帰りますよ?こちらの港に船をつけているので」

 

「ホントにお互い忙しいわね、体の体調だけは気を付けなさいよ?」

 

「えぇ、エリーの方こそ。___ところで・・・先程の盗聴用の会話はどこまでが本音で?」

 

「全部♪グィバーが欲しいのも貴女の国が欲しいのも。・・・でも貴女が生きている内は諦めたほうがよさそうね」

 

「では・・・」

 

「えぇ、女王の命により我がイギリスは向こう100年エルドラド王国と不可侵条約を結びましょう。フランスにはそちらから要請なさいな」

 

「ありがとうエリー、私だってイギリスとはしたくない。お互いに被害が大きすぎる」

 

「でも魔法界のほうはそうは言っていられないのでしょう?」

 

「えぇ、おそらく数年以内にイギリス魔法界では戦争が起きる。首謀者となるであろう人物は大の非魔法族嫌いでエリーの愛する国民を必ず手にかけるでしょう」

 

「・・・分かりました、以前約束したとおりその者達の処分はウィラトリア、貴女に任せます。我がイギリス王国は干渉しません、貴女の好きなように」

 

「ありがとうございます。こちらも約束通り我が国の魔法戦士をイギリス王室の護衛に貸し出しましょう、対魔法装備も上乗せしときます」

 

「・・・使えるの?」

 

「我が円卓の第7席次が鍛え上げた兵達です、存分に使い潰してもらって結構。装備については使ってみてのお楽しみといったところです」

 

「ではそのように。・・・はぁ、もう少しちゃんとした普通のお茶会がしたかったのに・・・」

 

「・・・私だってそうさエリー、学校が始まる前にまた顔を出しにくるよ」

 

「楽しみにしてるわ、じゃあまたね?」

 

「うん、また」

 

 

 

 

 

エリーの居城を出た先にエルドラド王国の旗を掲げた大使館付き外交用リムジンが止まっていたので乗り込む

 

 

「出せ」

 

 

ブロロロ_______

 

 

「・・・ふぅ、あのクイーンと会われる時は毎度緊張しますね」

 

「何言っているんだ、お前は私の後ろに立って話すのは私じゃないか」

 

「・・・陛下・・・ワタシもあの方は怖いです。陛下は恐ろしさの中に暖かく柔らかい光があります。ですが・・・あの方からは冷たい風しか感じません」

 

「とくにお前はそうだろうな『ブリテンの白き龍(グィバー)』・・・本来お前はイギリスの所属だ。イギリスを・・・ブリテンを裏切ったと彼女は感じているんだろう」

 

「ワタシはもうそのような名ではございません!!我が名は『アルヴィルヘミナ・グィバー』。愛しき陛下から与えられた大切な名です!」

 

「分かっておる我が騎士よ。卿をイギリスなんぞに渡してなるものか」

 

「・・・人間とは本当に難儀です。彼女とは友達なのでしょう?」

 

「我が獣よ、覚えておけ。国家に永遠の敵はあれど永遠に続く友情などない。我等は国王、互いに獅子だ。じゃれた次の瞬間喉元に喰い付くのは当たり前のことよ」

 

『___お話し中申し訳ありません陛下、行先は大使館でよろしいので?』

 

「いや、悪いがこのまま帰らせてもらう。駐在大使には悪いが労いの言葉はまた学校が始まった際に言わせてもらおう、私の所有する船着き場に車をやってくれ運転手」

 

『御意』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

船着き場に着くと船長と乗組員、兵士達が私の姿を見た瞬間最敬礼を捧げてくる

 

 

「総員!!陛下に敬礼!!」

 

____ザッ!!

 

「うむ、ご苦労、このまま国へ頼む」カツカツ

 

 

この大型クルーザーは私個人の所有物で中の装備は王族に相応しいものとなっている。いざという時の魔法防御機構に加え対艦ミサイル付きだ

国というのは難儀なもので敵はいくらでもいる、テロリストしかり国家しかり・・・装備はいくらでもあり過ぎて困るという事はないのだ

 

船長に一言労いの言葉をかけ私専用の船室に入ると船が出発すると連絡があったので許可を出す

 

 

 

「___ふぅ・・・ようやく帰ったと軽い実感が湧いたな」

 

「ウィラトリア様さっそくお召し物を」

 

「あぁ、ホグワーツの制服を着て魔法使いに浸るのも悪くはないがやはりいつもの恰好が落ち着く」シュル

 

「黄金の君は生まれながらの王でございますれば」

 

「そうだな、早く国土を踏みしめたいよ」パサっ

 

 

服を着替えローブもマダム・マルキンに作ってもらった物ではなく国王としてのローブを羽織り、部屋に取り付けられた椅子に座る

 

 

「我が獣よ、電話を。国の魔法戦士に先程の盗聴の件を連絡しこちらも死体を持ち帰らせろ、ブリテンに全てを教えてないが万が一ということもある」

 

「御意」

 

 

本国の魔法戦士に盗聴の件を伝え特に中国だけはなんとしても手に入れろと念を押す

電話を切るとなぜかアルヴィーが目を輝かせてこっちを見てくる

 

 

「うん、やっぱり陛下は陛下じゃないとー!あの学校にいた時より今の方が生き生きしてるもん!」

 

「学校も楽しいのは本当だ。ハリー達やドラコ、フレッジョと色々やらかすのは本当に楽しい。だが小さい頃から国を守ってきたしお前達を円卓に加えた時に比べるとどうしても・・・うん、退屈なんだ」ギシ

 

「そういえばホグワーツの地下にいるバジリスク、あれはどうするので?」

 

「殺せ。ペットにしようかとも考えたが流石に見るだけで人が死ぬのはなぁ・・・毒に関してもアルヴィーの方が遥かに強力だし・・・人語が理解できるのなら第9席次か第10席次に入れてもよかったが・・・」

 

「えぇ~あんなクソガキ陛下の円卓にふさわしくありませんよー?何なら今すぐ殺してきましょうかー?」

 

「いや、先に「トム・リドルの日記」・・・って、あぁ!?」ガタっ

 

「ウィラトリア様、何か?」

 

「忘れてた・・・分霊箱やピーター・ペテュグリューのこと・・・うわぁーショックだわー」

 

「分霊箱?ピーター?」

 

「あぁ・・・分霊箱はまぁいいどうとでもなる、ロンが飼っているデブネズミがいるだろう?」

 

「・・・あぁ、あのネズミにしては変な気配のする」

 

「あれ、実は人間」

 

「・・・うわぁ・・・もしかしてずっとネズミに化けてあの赤毛の家で飼われてるんですかー?誇りはないんですかねー?」

 

「無いだろ、自分可愛さにハリーの親を売ったクソだ。・・・ヴォルデモートは一度蘇らせる気でいたが・・・まぁいい。『アズカバン』が始まりシリウスが脱走したあとにダンブルドアにくれてやろう、そっちの方が世間も関心が高いだろうし。もし捕まえた後逃げ出せば魔法省に恩も売れるしこちらも色々お願いがしやすくなる」

 

「それはいつ頃で?」

 

「2年後だ、私の前世の記憶が確かならあと6,7年で全て終わる。その後はそうだな、またゆっくりと公務に励みながら円卓探しもおもしろいかもな」

 

「___はい、はい、ではそのように(ガチャ)ウィラトリア様、船がもうすぐ国に着くと船長から」

 

「おぉ!ついにか!シャドウ、船を降りる前に私を含め卿等の身なりを整えろ。国民にだらしのない恰好を見られるワケにいかんのでな」

 

「今さらじゃないですか?クリスマスの時にやった『身分なんか関係ねぇ!今日は無礼講でパイ投げじゃ!!』祭の時なんか黄金の君も含め我らが円卓の大半がパイ塗れでしたよ?」

 

「あれはいいんだよあれは!王様も含めて国が一つになって馬鹿騒ぎできるなんて他じゃありえないからすごく楽しい!って子供から届いた手紙にも書いてあったぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エルドラドの港に着いた瞬間国民達が一斉に歓声をあげてくれる

 

「陛下―!!」 「おかえりなさい!!」 「ウィラ様―!!お疲れ様です!!」

 

 

まだ幼い子供達が私に花束を渡してきたので受け取りお礼を言う。・・・うん、帰ってきたんだ

 

 

「みんな!ただいま!!」

 

 

もう一度歓声が上がり、我が国の魔法使い達が箒に乗って魔法で花火をあげてくれる

 

他の国や魔法使いは勘違いしているが別にエルドラドでは魔法が使えないワケではない。私や政府が厳格に審査し、この者は使っても問題無しと判断した者だけに私が使えるよう守護魔法をかけ直すのだ

 

 

首都の『ヴァンシエル』をリムジンに乗り、そのままクレーリア城へと入っていく

 

 

 

「第79代エルドラド王国国王ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア国王陛下の凱旋である!!総員っ!!敬礼っ!!」ビッ!!

 

「「「「「はっ!!」」」」」__ザッ!!

 

 

 

爪先まで見事にピシリと伸びた敬礼にこちらも敬礼で返す

 

 

「ごくろう、卿等の務め大儀である。近衛兵長、総員を職務に戻せ」

 

「はっ!!黄金の君のお心のままに!!」

 

 

非常時じゃないからそこまで真面目に・・・いや、これはいけないな。今の私は国王、ホグワーツの生徒ではないのだ。ならば彼等の忠誠を心よく受け取らなければ

 

 

ん?何故か兵長が男臭い笑みを浮かべ他の兵を見ている

 

 

「陛下、ホグワーツはどうでしたかな?」

 

「ん?・・・あぁそういうことか、楽しかったぞ?無駄に声の大きい髭面の兵長はいないし大酒飲みの兵たちもいない。うむ!存分にゆっくりできた!」

 

__ははは!! __相変わらずな御方だ!! __陛下の憎まれ口がどれほど恋しかったか!!

 

「はっはっは!!我等一同陛下のお帰りを首を長くしてお待ちしておりました!!あと髭面の大酒飲みとは誰のことですかな?ここには国に命を捧げるイケメンしかいないハズですが」

 

「くはは!たわけめ!よい!今日は私が帰った記念すべき日だ。せいぜい酒をがぶ飲みしてお前のところのネムリアにケツを叩かれてこい!」

 

「おぉ!!みんな聞いたか!?とても国王とは思えない言葉使いと陛下のありがたい言葉である!!陛下のご命令だ!!今夜は飲みまくるぞぉぉぉ!!」

 

ウォォォォォオオオオオオ!!!!____

 

「あぁ兵長、すまんが父上と母上は?帰りの報告をしたいのだが」

 

「あぁ!それなら___」チラ

 

 

ジルが私の後ろに視線を送るのでつられて後ろを向こうとするが___突如目の前が真っ暗になり、ほのかに暖かい手の温もりと大好きな匂いがする

 

 

「だーれだ?」

 

「_ぁ」

 

「うふふっ、お帰り___私達の可愛いウィラ」

 

 

ゆっくりと瞼の上の手がのけられ今度こそ振り返ってみれば___父と母が優しく微笑みながら私を見つめている

 

 

「おかえりウィラ、私達の愛しい娘よ」

 

「父上!母上!__ただいま帰りました!!」

 

 

 

 

 

ようやく帰ってきた・・・私の愛しい人達が待つ私の愛しい国

 

 

 

 

 

____黄金の国__エルドラドに______

 

 




学校ではごく普通の女の子のようにはしゃいで遊びますが
ホグワーツを1歩出ればガラリと黄金の君に変わります


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黄金円卓

普通にギャグ回(?)です


クレーリア城の中で家族で談笑しながら昼食をとる。普通なら行儀が悪いと言われそうだが今は家族団欒の時間だ、よっぽどマナーの悪いことをしない限り誰も気にしない

 

 

 

「ほう!600点満点中900点超えか!流石は私達の自慢の娘だ!」

 

「もう父上!たかだかテストで大袈裟です!」

 

「うふふ、親というのは子供が何をしても嬉しいものよウィラ?ハリーやハーマイオニーっていう子達とは仲良くしてる?」

 

「はい!とても楽しいです!とくにロンの兄であるフレッドとジョージはとてもイタズラ好きでこの前ダンブルドアの校長室に中々取れないペンキを放り込みました!」

 

「あら、それはいけないわ。あの無礼者はどうでもいいけれど後の校長に迷惑がかかるわ」

 

「うむ、レシーの言う通りだ。あの老害はいつか殺っ・・・ゴホン、後で使う者に迷惑をかけてはいかんぞ?」

 

「はい・・・ごめんなさい父上、母上」

 

 

会話を聴いて分かるとおり、ウチはダンブルドアが大ッッッ嫌いだ!!つねに自分側が優位に立とうとする様は自らの思い通りにならないことは無いと思っているようでおこがましい

 

 

「そういえば父上、今年のクリスマスパーティーにマルフォイ家や魔法族の友達を誘いたいのですがよろしいですか?」

 

「構わんよ?お前の友達なら私達も大歓迎だ!しかし・・・彼等はこのエルドラドに来るのか?魔法族が?」

 

「そうねぇ・・・一応エルドラドで魔法が使える事は秘密になってるし少し国民の魔法使い達も使わないようにさせないと」

 

「・・・やっぱり止めときます、せっかく使えるよう彼等は試験を乗り越えたのです。彼等に不自由な思いをさせるくらいなら・・・」

 

「よい、ウィラ、皆お前の頼みなら聞いてくれる。その日くらいただのウィラでかまわんさ」

 

「もう!アナタはウィラに甘すぎです!」

 

「母上は・・・反対ですか?」チラ

 

「いいえ?大賛成です!ウィラのお友達なのでしょう?それに・・・ウィラ、貴女は確かに今代の黄金の君です。ですがまだ子供なのですよ?もっと我儘を言ってほしいくらいだわ!」

 

「__!ありがとうございます!」ペコリ

 

「うむ、そういえばフィアンセ候補は?見つかったか?」

 

「あっ・・・そっ、そのう・・・///」

 

「おぉ!見ろレシー!顔を赤くするウィラも可愛いなぁ!」

 

「そうねジル!だって私達の娘よ?可愛いに決まってるじゃない!」

 

「そっ!そういえば母上は何故父上と?30歳も歳が離れているのに・・・」

 

 

そう、以前も聞いたのだが母が私を生んだのは19歳、父は当時51歳!

思わず私の中のベアード様が「このロリコンめ!!」と叫んだのはしょうがない

 

まだ先生の事を話すのは恥ずかしいのでとりあえず話をそらす

 

 

「あら?前も話したじゃない、フランスの魔法学校にこの人が遊びついでに視察しに来て私に突然告白してきたの!」

 

「あぁ、今でも鮮明に思い出す。あれはレシーがまだ17歳だった時だ。木漏れ日を浴びながら本を読んで休憩しているレシーを見かけてなぁ、あまりに美しいので気づけば「結婚してほしい」と跪いて告白していた」

 

「でね?私も何故か「あぁ、私この人の赤ちゃん生むんだ」って感じちゃって・・・運命だと思ったの!だからこの人について行ってみればまさかあの「黄金の君」だとは思わなかったわ!」

 

「え、でも父上の容姿で普通気づきそうなものですが」

 

「それだけ会った瞬間ジルに心を奪われてたの!もうやだぁ!恥ずかしい!」

 

「ふはは!王とは欲しい物は奪ってでも手に入れるものよ!それにレシー、心を奪われたのは私も同じ、いや、今では私こそがお前のものだ・・・」

 

「それは私のほうよジル。年月を重ねるごとに私のアナタに対する思いが胸の内から溢れそう・・・」

 

「お前こそ日に日に美しくなる。黄金の輝きを超える者がいるとすればレシー、それは其方を置いて他にいない・・・」

 

「ジル・・・」

 

「レシー・・・」

 

「ちょっ!娘の前でいちゃいちゃするの止めてくれません!?分かりました!お互い今だにラブラブなのは分かりましたからぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日__円卓の間

 

 

 

「いいなぁアルヴィー殿は、陛下を何度も背中に乗せてさぁ・・・」

 

「ふっふーん!いいでしょウォーカー!それに陛下ったらお前は私の物って・・・キャ///!」ボウっ!

 

「火が漏れてますわよ白トカゲ。何よ、わらわのほうが絶対生徒達に受けが良かったのに」

 

「がはは!!仕方あるまい!黄金の君が決められたことだ!文句を言うでないコチョウ」

 

「円卓も全員が集まるのも久しぶりだなぁ、1年ぶりだっけ?」

 

「そうですね、陛下がホグワーツにご入学された時が最後ですから」

 

「皆様、そろそろウィラトリア様が来られる時間かと」

 

 

 

 

___カチャ「皆さん、もう揃っていますか?」

 

「おぉ!獣殿!久しいなぁ!」

 

「えぇ、アラン殿のほうこそ。__黄金の君が来られます、用意はよろしいでしょうか?」

 

 

 

獣の言葉に皆一様に気を引き締め先程までの雰囲気は一切なくなる

彼等こそは代々エルドラド王国国王が作り出す今代の『黄金円卓』

ウィラが誇る最強の騎士達だ

 

 

 

「では___黄金の君の御入場です」

 

 

円卓のまとめ役でありその名を名乗る事が唯一許されている黄金の獣の言葉と共に皆が一斉に跪き臣下の礼を取る

 

 

 

__コツ__コツ__コツ__

 

 

足音が彼等しかいない『円卓の間』に響く

誰も頭を上げない、全員が目を閉じ最愛の主人の言葉を待つ

 

 

「___許す、面てを上げよ」

 

「「「「「「はっ!」」」」」」

 

黄金の声色に面てを上げてみれば彼等の主、今代の黄金、そして黄金円卓の騎士団長

 

__ウィラトリアが上座に足を優雅に組んで座っていた

 

 

それを確認し皆自分の席へとつく

 

 

 

「では・・・まずは紅茶でも飲もうか」

 

 

 

 

 

「____皆様、紅茶は回りましたかな?」

__黄金円卓第12席次__シャドウ

 

 

「うん、やっぱりこれですねぇ」

__黄金円卓第8席次__ウォーカー・ノエルバイン

 

 

「この1年間どれだけこの味が恋しかったか・・・」ホロリ

__黄金円卓第7席次__ニーゲンベルグ・L・ロウ

 

 

「がはは!お前達は味にうるさすぎるのだ!余は食えて飲めれば何でもよいわ!!がはは!!」

__黄金円卓第6席次__アラン・O

 

 

「もー!アランは声がうるさい!!アルちゃん達の耳がおかしくなったらアランの所為だからねー!」

__黄金円卓第5席次__アルヴィルヘミナ・グィバー

 

 

「まぁまぁアルヴィーさんや、旦那が話しを聞くワケねぇだろ?」

__黄金円卓第4席次__トグサ・ナカガワ(渡草 中川)

 

 

「ふん、このような下品な者をなぜ陛下がお選びになったのか!わらわのように美しい者だけが陛下にふさわしいというのに・・・」

__黄金円卓第3席次__コチョウ(胡蝶)

 

 

「コチョウ殿、決められたのは黄金の君ですよ?流石に不敬かと」

__黄金円卓第2席次__黄金の獣

 

 

「よい、許す。それにコチョウの物言いに関しては今更じゃないか」

__黄金円卓第1席次__ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア

 

 

 

「あぁ!陛下!貴女様の美しい黄金のご尊顔を合いまみえるこの日をどれだけ待ったことか!なぜこの胡蝶を選んでくださらなかったのですか!?」

 

「へい胡蝶の姐さんや、あの場で1番インパクトがあるのはアルヴィー殿じゃないか」ズズ

 

「トグサ、音を出すんじゃありません。ここは貴方の生まれた国ではないのですよ?」

 

「ん、すまんねニール」

 

「コチョウ、トグサの言ったとおりだ。それにお前すぐ調子乗って「陛下のために!!」とか言って暴走するじゃないか」

 

「全ては陛下への愛深きゆえですわ!!」カっ!!

 

「ほらー!すぐそうなるじゃーん!このワタシを差し置いてその席に座ってるんだからもう少し自覚もったらー?このビッチー!」

 

「違います!わらわはただ愛を求めて!!」

 

「あーもう姦しい!!黙れお前達!!何のためにこの私が円卓を召集したと思っているのだ!!」

 

「そういえば・・・何故なのですか陛下?」

 

「一つは私がいなかった間に何か起きなかったかの確認だ。手紙は読んでいたがクリスマスは忙しすぎて召集できなかったからな。ニール、魔法戦士の教育は?」

 

「ほぼすんでおります黄金の君。この円卓の後にブリテンに派遣する戦士達の選抜を行おうと思います」

 

「うむ。我が国を代表して送り出すのだ、向こうに失礼のないよう念を押しとけ」

 

「はっ!」

 

「アランにトグサの馬鹿コンビ、我が国に忍びこもうとした間諜や魔法使いは?」

 

「ひでぇなぁ陛下、へいへいその目は勘弁してくださいよぉ前世は俺と同じ日本人だったんでしょう?・・・間者の類は警察や軍関係にいましたが全て切り捨てました」

 

「魔法使いは分かりやすいので変な服装の杖持ちは一応ビザを確認して怪しい者は全て送り返しましたぞ黄金の君、がはは!」

 

「ふむ、知り合いには今度手紙ついでに注意しておくか・・・。次、コチョウ」

 

「はっ!」

 

「狐を使った諜報・情報収集は?」

 

「はっ!アメリカやロシアはそこまで問題ありません、街に狐がいても彼等からしたら少し珍しいくらいなので・・・ただ・・・」

 

「ただ?」

 

「お許しください陛下!!お詫びにこの命を御身に捧げます!!」ガバっ

 

「お前の命などすでに私の物だ。いいから早く」

 

「・・・はい。日本ではやはり私の力はほぼ使えず、式も全て国土を踏んだ瞬間蒸発してしまいます」

 

「ヒュウ♪さすが俺を捨てた国、いつかその結界も切ってみたいねぇ」

 

「いい加減にしなさいトグサ。黄金の君の御前でこれ以上無礼を働くなら噛み殺しますよ」

 

「すまんね獣殿、ちと久々に陛下と会ったからさ、興奮してた」

 

「日本はまぁ予想がついていた、お前を封印した国だ。だが・・・中国は?やはり昔お前が暴れた影響か?」

 

「いえ・・・その・・・」

 

「・・・キサマはこの私に二度も同じことを言わせる気か」

 

「もっ申し訳ありません!!あの・・・べるんです」ボソ

 

「ん?何だって?」

 

「・・・食べるんです、あの国。「今日は狐の煮込みだ美味いぞう!!」・・・とか言って私の可愛い眷属を・・・」

 

「おっおう・・・それはドンマイだな・・・あの国ホントに色んな意味でパネェ・・・」

 

「ウィラトリア様、まだあの話が済んでおりませぬ」

 

「あっそうだ!よく聴け、これは全員に関係する話だ」

 

 

その言葉に全員が息を飲んでウィラの言葉を待つ

円卓の召集はホントに久しぶりだ、よほど大切な知らせだろうと固唾を飲んでいると・・・

 

 

 

「次、ホグワーツに誰がついて来たい?」

 

「「「「・・・はい?」」」」

 

「だーかーらー次の護衛は誰がするんだ?言っとくけどシャドウとアルヴィーは無しな、せっかくだからローテーションでいこう!」

 

「そんなぁ!?何故獣殿だけ確定しているのですかー!?」

 

「アルヴィー殿、私は『黄金の獣』。黄金の君の最側近!でありますので」どやぁあ

 

「私は別に構いません。1年分の塵を全て落としたいので」

 

「・・・シャドウ殿、この前メイド達が泣いていましたよ?「塵のない空気なんてないのに」って」

 

「ニール殿、それは甘えです。我が君やジブニール様にオレンシア様の住まうこのクレーリア城にそのような空気無用!」くわっ!!

 

「いいから早く決めろー、言っとくけどお前等戦って決めるなよ?やったらマジ殺すから」

 

「でしたら陛下!わらわをお連れくださいまし!御身の玉体を入浴させるのは男なんぞにさせるワケにいきませぬ!!」

 

「いや、別に獣なら何回も見てるし着替えもお願いする。お前はまだダメ!」ビシィ!

 

「そんな!?」ガーン!!

 

「・・・あのぉー陛下?もしかしてこれが召集した本命ですか?」ス

 

「うん、お前達がスパイを放っておくワケないし、魔法使いに関してはエルドラドにおいては無力もいいところだ」

 

「おうふ・・・陛下ぁ、俺達だって忙しいんですよ?」

 

「主が呼んで呼ばれたら来る、当たり前の話だ。それにクリスマスはこんな風にゆっくり卿等と話せなかったからな。ちゃんと元気にしてたか直接会って話して確かめたかったんだ」

 

「・・・ありがとうございます」

 

「よい、とりあえずじゃんけんで決めるか」

 

「黄金の君、それではあまりにもニールとトグサが有利すぎますぞ?」

 

「なんだアラン、卿は人間に勝てぬのか?それでもこの私の円卓かな?」ニヤニヤ

 

「がはは!!そう言われては引き下がれますまい!!おらニール!!トグサ!!こい!!」

 

「とりあえずウォーカーとアラン、ニールとトグサでじゃんけんして勝った二人だ。能力は使うな」

 

「黄金の君!グーを出して殴り殺すのは!?」

 

「なし、人化を解いて分かりにくくするのも駄目!」

 

「てか聞いたかウォーカーにニール、俺達旦那に殺されるとこだったぞ?」ヒソヒソ

 

「トグサ、貴方が避けないはずないでしょう?ウォーカーも蝙蝠になれば簡単ですし・・・あれ?死ぬの私だけじゃないですか?」

 

「いやぁ、なってもアラン殿の場合ほとんど削られるので再生にすごく時間かかるんですよ」

 

「普通な!普通のじゃんけんな!じゃあいくぞー?」

 

「陛下ぁぁああ!!わらわ!!わらわのこと忘れてる!!」

 

「邪魔」ゲシっ 「あふん♡」

 

「まぁいいや、第4席次の力を見せてやるかねぇ」グっ

 

「がはは!!トグサぁ!!余が人間如きに負けるワケなかろう!!」ミシっ

 

「はぁ、なぜ私、じゃんけんで下手すれば死ぬんでしょうか・・・」ス

 

「でもやっぱ陛下のお傍は楽しいです!」グっ

 

「まぁいっかー!国内回ってヘンなのいたら焼き殺そーっと!」ビタンビタン

 

「シャドウ殿、とりあえず円卓を片付けましょうか」

 

「そうですな獣殿、最悪アラン殿の余波で代々受け継いだ円卓が壊れるのだけは避けねば」パチン!

 

「陛下ぁぁああ゛!!置いてかないでぇぇえええ゛!!」びえーん!!

 

「あぁもうコチョウ邪魔!!獣!!この駄女狐を剥がせ!!」

 

「了解いたしました。さぁコチョウ殿!同じイヌ科として恥ずかしいです!」グイ

 

「イヤァァアアア!!へいかぁぁああああ!!」ズルズル

 

「くはははは!!じゃあいくぞ!!___じゃあんけぇん!!」

 

 

 

 

「「「「____ぽぉぉおおおん!!!!」」」」

 




円卓は愉快で笑顔が絶えないアットホームな遊ぶだけで
死人が出る職場です


円卓の持つ剣については形が何人か特殊で

剣__ウォーカー、ニール、アルヴィー、獣、ウィラ(ホグワーツでは差さない)

短剣__シャドウ

グレートソード__アラン

刀__トグサ

かんざし__コチョウ

となっています
公務などでウィラについて行く時はシャドウとアラン、トグサ以外は普通の剣を腰に差しています
(戦う時は上記の形状で戦います)


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~秘密の部屋編~
黄金とマルフォイ家


「秘密の部屋」はかなり原作改変する予定です
なにかタグを増やしたほうがいいんですかね?



学校が始まる3週間ほど前、、父が家族に神妙な顔をして「みんなでエルドラド王国に行こう」と言い出した

勿論僕は子供のようにはしゃいだ!何故なら学校では他の生徒に偉そうな事は言っていたがエルドラド王国に行ったことは無かったし国王をしているウィラを見たことも無かったのだ

 

 

 

それから1週間がたちこちらに迎えに来てくれたマグルの運転するクルマという乗り物に乗りどうやら船着き場を目指すようだ

 

 

「父上、何故箒や暖炉を使って向かわないのですか?」

 

「ドラコ、お前も知っているように彼の国では魔法は使えん。以前闇の帝王の命でエルドラドに箒で偵察に行った死食い人が近づいて落ちた所を見た事がある、暖炉などはそもそも使えるワケがない」

 

 

そう言う父上の顔は少し青ざめていて、母上も同じような表情をしていた

 

 

「・・・それにしてもウィラも少し失礼だ、僕達にマグルを寄こすなど」

 

「っ!?ドラコ!!それは決してあの方の前っいや、あの国の国民に聞かれてはならない!!」

 

「(ビクっ)なっなぜですか?僕達魔法族のほうが優れていてマグルのような下等種を馬鹿にするのは当たり前のことじゃないですか」

 

 

「・・・いいですかドラコ、私はまだ陛下にお会いしたことはありません。ですがルシウスの話を聞く限り陛下はマグルと魔法族をとくに分けて考えてはいないのでしょう?それに陛下は臣民を愛しております。いくら貴方が陛下の友人だとしても次の瞬間首が飛んでもおかしくないのです」

 

「・・・ですが母上、学校でのウィラはとても明るく面白い女の子でした。以前父上が話してくれたようにはとても・・・」

 

「ドラコ、それはお前が『黄金の君』であるウィラ様を見ていないからだ・・・初めて私が謁見した時のあの方はまさに王であらせられた・・・」

 

「・・・どういう意味ですか?」

 

「今回会えば改めてきっと分かる。それに運転手はマグルではない、魔法使いだ」

 

「えっ!?だってこんな変な乗り物を・・・」

 

「『認識阻害魔法』をマグルが突破できるワケがないだろう。おそらく国外で活動する魔法使いだ」

 

 

父の言葉を聞いて驚くしかない、だってそうだろう?

魔法使いがマグルの生活をしている?彼には魔法族としての誇りはないのだろうか

 

 

「とにかく約束しろドラコ。エルドラド王国についたら絶対にマグルを見下すような発言はしないと。私がこれまで築いたウィラ様との信頼を壊すようなことだけはしてくれるな」

 

「・・・分かりました」

 

 

 

 

クルマが港につくとそこには『認識阻害魔法』がかけられた大型帆船が鎮座していた!

僕があまりの大きさに見惚れていると中から金色の剣を腰に差した男が出て来た

 

 

「お久しぶりですルシウス殿。私のことは覚えていますか?」

 

「もちろんですニーゲンベルグ卿、こちらは妻のナルシッサに息子のドラコです。さ、挨拶を」

 

「初めましてニーゲンベルグ卿、紹介に預かりましたナルシッサ・マルフォイです。いつも主人がお世話になっております」

 

「初めまして、息子のドラコ・マルフォイです」

 

「これはご丁寧に、私は黄金円卓第7席次、ニーゲンベルグ・L・ロウと申します。こちらこそ御子息様であるドラコ様のことは陛下がいつも楽しそうに話されております。それとニーゲンベルグ卿など、どうかニールとお呼びください」

 

 

この人(?)がウィラの黄金円卓の騎士!?一見細身で物腰が凄く柔らかく見えるのに・・・

 

 

ニール殿に案内されそのまま帆船に乗り込むと静かに船が動き出した

 

 

「いつも思いますがわざわざ迎えにこのような船を用意していただきありがとうございます」

 

「いえいえ、ルシウス殿は陛下のご友人、国賓と何ら変わりません。この後は失礼ながらいつも通りマグルの船に乗り換えさせてもらいます」

 

「え、ニール様はマグルではないのですか?」

 

「これ!ドラコ!」

 

「あははナルシッサ殿、子供らしくていいじゃありませんか。ドラコ殿、私は円卓の中で唯一純粋な魔法使いです。勿論腰に差した剣も飾りではありませんよ?」

 

「・・・私も初めて聞きました・・・その・・・大丈夫なのですか?」

 

「えぇ、構いませんよ?円卓内の種族を明かせないのは黄金の獣殿のみ。その証拠にアルヴィー殿の事はドラコ殿から聞いているでしょう?」

 

「えぇ、まさか獣殿の他にあれほどの存在までいたとは・・・」

 

「え、まさか父上、獣殿の正体を?」

 

「っ!?そっ!その・・・ニール殿っ」

 

「・・・まぁ誰にも言っていないようなので勘弁しましょう。ドラコ殿、それ以上お父上に聞かれるな、ルシウス殿には家族にも決して言うなと念を押して教えられたので」

 

「そういうことだドラコ。私に聞いても絶対に答えられない」

 

「・・・分かりました」

 

 

その後は僕を置いてニール殿と父と母が話しをしていたので一人で獣殿の正体を考える。気になってしょうがないのだ

 

 

(以前ウィラは数千年と言っていた、間違いなく神獣の類だ。けど「グィバー」ですら勝てない神獣って・・・まさかリヴァイアサンやバハムート?いやまさか!・・・でも彼女ならありえそうだな・・・)

 

 

 

 

船を乗り換えエルドラド王国の裏側につく

するととたんに僕の身体から魔力の流れを感じなくなった!急な出来事にオロオロし母も急に辺りをキョロキョロしだし父に僕達二人共咎められた

父の落ち着いている様を見てようやく落ち着きを取り戻しニール殿が案内を再開してくれる

どうやらいつも父上はここから城に入るらしい、僕としては観光で有名な市内を見て回りたかったのに・・・

 

 

「言い忘れていましたが本日皆様方のお世話を私がさせていただきます、どうかご容赦を」

 

「分かりました。陛下はどちらに?」

 

「玉座の間にてジブニール様とオレンシア様とご一緒にお待ちです」

 

 

こちらに。と案内されて僕達は城に入った

 

中は・・・あぁ・・・ウィラの言った通りだ

あの時見せてくれた1500年前のクレーリア城も素晴らしかったが歴史を重ねた今の城は何と雄大で時代を重ねた美しさがあるのだろうか!

 

 

「・・・これドラコ、口が開いてますよ」

 

「__っ!ごめんなさい母上」

 

「気持ちは私も分かります、このような美しい城初めて見ました。ですが今私達は高貴な身分としてこの場にいるのです。ルシウスに恥ずかしい思いをさせてはなりません」

 

「・・・はい」

 

 

 

 

 

ついに玉座の間の前についてニール殿が先に入っていいかどうかを確認している

僕達家族は緊張で思わずツバを飲み込んでいた

 

 

__ギィ「ではマルフォイ様方、どうかご入場されてください」

 

 

 

 

中に案内され____そこには黄金に輝く王家がいた

 

中央の玉座にウィラが座りその隣には前国王であるジブニール様とお妃のオレンシア様、ウィラの後ろには獣殿が立っていた

 

ウィラの様子はホグワーツにいた頃と全然違う・・・豪華なローブに身を包み足を組み頬杖を突く様は威風堂々としていて、立っているだけで失礼にあたると思いその場で膝をつきそうになった

 

僕と母上がそのようになっている中ただ一人父上は堂々と玉座に近づいていく

 

(すごい!流石父上だ!)

 

 

その様子を見て僕達も勇気が湧いた!

母上も何とか持ち直し、二人で父の後を追う

 

そして父上が跪いたので僕達も焦って父の真似をする

 

 

「陛下におかれましてはお元気そうで何よりです。この度は私のみではなく妻と息子まで招待してもらい何とお礼申し上げれば良いやら・・・」

 

「よい、面てをあげよルシウス。それに以前も言ったハズだ、卿にはそのように呼んでほしくはないと」

 

「ウィラの言う通りだルシウス殿、我等の関係はそのようなものではない」

 

「皆さん顔を上げてください。今日はウィラのもとへ遊びに来たのでしょう?」

 

 

ウィラの黄金の声の後に厳かにお腹に響くこれまた黄金の声が続く、オレンシア様も何と美しい声色をしていることだろうか!

 

 

「感謝します・・・ウィラ様」

 

「ふむ・・・まぁよい。父上、母上、テラスを借りますよ?ドラコに大庭園を見せてあげたいのです」

 

「はははウィラ!この城はすでにお前の物だ、私達にいちいち断りをいれることはないだろう」

 

「でもやっぱり親に使っていいか聞くのは当たり前だと思います」

 

「えぇ、勿論いいわよ?私達も途中まで見送りましょう」

 

「おっお待ちを!!お2人にそのような・・・っ!?」

 

「構わんルシウス殿、其方はウィラの友人。ならば親として少しくらいもてなすのは当たり前だろう?」

 

「では皆様方、失礼ながらこの黄金の獣とニーゲンベルグ卿が案内したいと思います」

 

「よい、許す。頼んだぞ我が騎士達よ」

 

「「はっ!」」

 

 

円卓の騎士達に連れられ、かの有名なクレーリア城を歩く。それだけで自分が特別な存在だと勘違しそうになるが・・・

 

 

「ウィラ、この前来た友達にはちゃんと菓子折りを渡したかね?」コツコツ

 

「ハーマイオニーのことですか?いやぁなぜか受け取ってくれなくて」カツカツ

 

「もうジル?この子の友達のことまで口を出すんじゃありません」カツカツ

 

 

前を歩く3人のオーラに中てられ一切そんな気が起きない。僕も貴族としての自覚はあるがここまで王族と貴族ではその高貴な気配が違うとは思わなかった

・・・というかウィラはあの『穢れた血』をこんな場所に呼んだのか?あんなマグル生まれの庶民なんかこの場所にはふさわしくないというのに

 

それに・・・ジブニール様とオレンシア様歳が離れすぎてないか?たしかジブニール様は年齢でウィラに王位を譲ったんだよな?オレンシア様どう見ても20代にしか見えなんだが・・・

 

ついチラチラとオレンシア様を見る。僕は今まで一番美しい女性は母上だと思っていた、だがオレンシア様を見ているとその考えが変わりそうだ

 

 

「あら、どうかしたドラコ君?」

 

「あっいえ!申し訳ありません!!」

 

「いいのよ別に、ウィラの友達なんだし」

 

「レシー、どうやら彼はお前に見惚れていたようだ。まぁ私が選んだ女だ、それもしょうがなかろう」

 

「でもジル?私もう30代よ?もっと若いウィラを見ればいいのに」

 

「あぁレシー、以前も言ったが其方の美しさの前ではたとえ黄金であろうと霞んで見える。日に日に美しくなるお前に惹かれない男などいようか」

 

「ジル、それはアナタもよ。年月を重ねる度にアナタの黄金は輝きを増すわ。どうか私をずっと傍に置いて」

 

「レシー・・・」

 

「ジル・・・」

 

「・・・あーこの二人は置いといていいから早くテラスに行こう。というか娘の友達の前でイチャイチャするの止めてもらえません?」

 

「いいじゃないウィラ!貴女もいつか私達みたいにラブラブしたくなるわ!」

 

「良い男を捕まえろよ?まぁお前が選ぶ男なら間違いないがな!」

 

 

(・・・え?なんで急にアットホームな雰囲気になっているんだ?)

 

 

そのままお2人は互いに抱き合ってどこかへ行かれてしまった。・・・というかホントに凄く仲がいいな、僕なんか見てるだけで胸やけがしてきたぞ・・・

 

 

「すまんな3人共」

 

「その・・・ウィラ・・・陛下?」

 

「なんだドラコ、急に畏まって、というか全然話しかけてくれないから何事かと思ったぞ」

 

「いやその・・・ホグワーツにいた時と全然違うから・・・」

 

「これドラコ!」

 

「いや、よいのだナルシッサ殿。卿も別に私に敬称をつける必要などない」

 

「ですが・・・」

 

「私がよいと言っているのだ。それにドラコ、今の私は生徒ではなく国王だ。あんな雰囲気を普段から臣民や臣下の前で見せられるか」

 

「・・・ドラコ、ウィラ様はそんなに今と違われるので?」

 

「はい父上、冗談もよく言うし何より一緒にいて凄く楽しいです」

 

「学校が始まるまであと2週間ほどしかない。国王としての責務を今の内に果たさなければな」

 

「黄金の君、つきました」

 

「ご苦労我が獣、さ、3人共入られよ」

 

 

 

ウィラの声にテラスに出てみれば___なんと綺麗で壮大な庭園が広がっているのだろうか!

 

その光景に思わず身を乗り出してしまう

 

 

「すごい!母上も早く!」

 

「こっ、これドラコ!」

 

「くはは!よい、我が庭を見てそれだけ感動してくれているのだろう?私も嬉しいよナルシッサ」

 

「はっはい、ありがとうございます」ペコリ

 

「うん?礼を言うのは私の方だが・・・まぁよい。どうだろうか?庭を眺めながらお茶でも」

 

「では本日はこのニーゲンベルグが淹れさせてもらいます」ス

 

「頼んだニール」

 

 

 

 

美しい庭を眺めながら4人でお茶を楽しむ、母上もどうやらウィラに慣れてきたようだ

 

 

「・・・美味しい。ニール殿は淹れるのがお上手ですね」

 

「いえ、私など・・・シャドウ殿のほうが遥かに上ですよ」

 

「そういえば卿等にも『屋敷僕』がいたはずだ、何故連れて来なかった」

 

「流石に貴女様の御前にあのようなボロ着れを纏ったものなど・・・」

 

「ふむ、普通の屋敷僕とやらを見てみたかったが・・・まぁいい」

 

「ところでこれほど広大な庭をどうやって管理されているのですか?魔法は一切使っていないのでしょう?」

 

「メイド達や庭師が日々頑張ってくれているよ、今朝も労いの言葉をかけてきたとこだ」

 

「そういえば一つ聞きたかったんだけど、この国では魔法使いも暮らしているんだろう?」

 

「あぁ、話しているとは思うがここにいるニールも魔法使いだ。だいたい国民の3割がそうだな」

 

「・・・不満とか言われないの?その・・・魔法を使えないことに」

 

「時折そのような親書が届くこともある。だが全ては民草を守る為だ、なるべくそれが伝わるように日々精進しているよ」

 

「陛下、民も陛下のお考えを良く理解しております。それに私を含め魔法が使えないことに不満などありようがありません」

 

「だと良いが、時には国外に行かせて使わせた方がいいのかもな。ニールお前はどう思う?」

 

「私程度が御身に意見するなど・・・」

 

「よい、許す。臣下の意見を聞き入れるのも王の務めだ」

 

「では・・・良い考えではないでしょうか?一度魔法使いに是非を問うのもいいかもしれません」

 

「なるほど、そうしてみるか」

 

「ニール殿は確か第7席次でしたな。魔法の腕もかなりのものでは?」

 

「ルシウス殿、残念ながら私は魔法の腕で円卓に選ばれたわけではありません」

 

「では?」

 

「私がニールを選んだ理由はどちらかというと剣の腕だ。あまりにも放置しておくのが惜しかったのでな、もう一人の人間の円卓もそうだ。剣で選んだ」

 

「その人の席次は?」

 

「第4席次だ。今は市内を見回っている」

 

「っ!?アルヴィー殿よりも強いのですか!?人間が!?」

 

「ついでに言うなら日本人だな。私を殺そうとしてきたので返り討ちにした。・・・正直あいつ以上の剣豪はこの世に存在しないんじゃないか?」

 

「彼は剣に全てを捧げていますからね、今は黄金の君、貴女様の忠実なる騎士です」

 

「へぇ、一度会ってみたいなぁ」

 

「いずれはホグワーツに連れていく」チラ

 

「っ!・・・ドラコ、どうせならお願いしてこの大庭園を歩いてみないか?」

 

「!よろしいのですか父上!」

 

「あぁ、構わんよ?ニール、ドラコを庭へ案内してやれ。私はもう少し二人とお茶を楽しむ」

 

「え?ウィラ達は来ないのかい?」

 

「ウィラ様のご指名です。ドラコ、私達の庭もこのようにしたいのでしっかりと見て来てもらえませんか?」

 

「分かりました母上!ではニール殿、お願いします!」ペコリ

 

「了解しました、では陛下、私はこれで」

 

「うむ、しかと紹介しろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・よし、行ったな

 

「・・・様子を見ていたが・・・どうやらドラコには言わなかったようだな」

 

「・・・えぇ、ですが陛下・・・本当にコレ(・・)を?」

 

「そうだナルシッサ、私が持って来いと言った」

 

 

 

そう言うとナルシッサが恐る恐る「検知不可能・拡大呪文」がかけられた手持ちバッグから一冊の本を出してきた

 

 

そう___『トム・リドルの日記』だ

 

獣に受け取らせ確認させてから私に渡してもらう

 

 

 

「ふぅん、これが卿等に預けられたヴォルデモートの持ち物か」

 

「っ!?・・・そうです。ですが・・・何故私がそれを持っていると?」

 

「別に情報提供者などいくらでもいる(原作知識)それにおもしろいじゃないか、あのヴォルデモートの日記なんて」

 

「今回連絡があった時は心底驚きました・・・「闇の帝王に渡された物を持ってこい」など・・・」

 

 

そう、今回ルシウス達を呼んだのはこの日記を手に入れる為だ。ついでにドビーも連れて来てほしかったが・・・まぁよしとしよう

 

 

「ドラコにも私の国を見てほしかったのも本心だ。それに・・・」

 

「・・・なんでしょう?」

 

「いや、持ってこなかったら卿等の立ち位置がハッキリ分かるなと・・・な?」

 

「ッ!?私達を・・・試したと・・・」

 

「そうだ、そろそろ私の返事を聞かせてほしくてな。もし持ってこなかったらそこでこの関係は終わりだった」

 

 

そう言ったとたん二人とも酷く怯えだし顔を真っ青にしている

 

 

「ハっ、ハっ、いっ・・・今すぐ・・・ですか・・・?」

 

「うーん・・・まぁ取りあえずは持ってきたしまだ勘弁しておこう。というか何故私につかん、そんなにたかだかヴォルデモートが怖いのか?」

 

「だって・・・っ!あのお方はまだ・・・っ!!」

 

「本当に・・・ウィラ様が言う通り・・・」

 

「あぁ、死んでない。今も魂だけで浮遊している、いずれは肉体を取り戻すだろうな」

 

 

彼等にはヴォルデモートのことは伝えてある。というか最初から死んだとはあまり信じていなかったようだ

 

 

「答えろ。もう1度聞くぞ?私につかない理由はなんだ。貴族の暮らしとはそんなに良いものか?毎日魔法省の監査に怯えながら?」

 

 

正直に言わないと殺すと念を押す

ルシウスやマルフォイ家のことが気に入っているのは本当だ。『死の秘宝』の最後、ドラコの為にハリーの生死を誤魔化したナルシッサ、そして全てを捨ててまでドラコを守り抜こうとしたルシウス

・・・死んでほしくないし殺したくもない、だが国益が最優先だ。そこは例えハリー達でも変わらない

私は『黄金の君』・・・国王なのだから

 

 

「・・・確かに今の地位を捨てることが出来ないのも真実です・・・夫は今の魔法省に多大な権力を有してますから・・・」カタカタ

 

「ふむ、ルシウス、当主として全て述べよ。理由次第では・・・というか私だって卿等を見捨てたくない・・・どうか真実を言ってほしい」

 

真摯な態度でお願いし、ポツポツとルシウスが語り出す

 

 

「・・・確かに貴族としての生活が捨てられないのもあります。ですが・・・私は「聖28一族」筆頭、私には他の純血の一族を守る義務がある!・・・それに・・・ドラコは今の「マルフォイ家」に誇りを感じている・・・あの子に・・・不自由な生活を送らせたくない・・・!!」

 

 

思わず目を見開いてしまった

理由の中にドラコがあるのは分かっていた、でもそこに誇りがあるとは思ってもみなかった

何故ルシウスが蝙蝠のような態度をとっても直接手を出してくる敵がいなかったか分かったような気がする・・・

 

 

「ですからウィラ様の返事を今だ返すことはできません・・・まずは「聖28一族」の当主達で話し合わなければ・・・」

 

「どうかお許しください!この通りです!!どうか・・・私達のことはいかようにもしていいのでどうかドラコだけは!!」ガバっ!!

 

 

「そうか・・・卿等にも確かに守るべき者がいるのだな・・・ナルシッサ殿、どうか頭を上げてほしい。・・・私が間違っていた」

 

ナルシッサが頭を上げると同時にこちらも頭を下げる。当然だ、彼等の誇りを、愛を・・・私は踏みにじった

 

 

「へっ、陛下!!どうか頭をお上げください!!」

 

「いや、私は卿等の誇りを踏みにじったのだ。そこに身分など関係ない・・・申し訳ないルシウス殿、私が勘違いしていた。卿はまことの貴族であらせられた」

 

「お願いしますウィラ様!どうか・・・っ!!」

 

「・・・私の気がすまない。我が獣よ」

 

「はっ!」

 

「私の指を折れ」スっ

 

 

マルフォイ夫妻が仰天しているが関係ない、これはケジメだ

私はマダム・マルキンを含め二度にわたって人の誇りを傷つけた・・・もし次もこのような事があってはならない。例え誰かが許しても私が許さない

 

 

「・・・御意」グっ

 

 

_____メシリ

 

 

(~~~~っ!!!!痛いいたいイタイ痛い!!?!??!何だコレ!?アドレナリンが出てないとこんなにも痛いのか!?ニールの奴め今までの稽古は手加減していたな!!打撲とは比べものにならないじゃないか!!!獣の時は興奮してたから痛くなかったが漫画とかのアレ絶対ウソだろう!!?)

 

 

凄まじい痛みに膝をつきそうになるが私のプライドがそれを許さない

汗が噴き出る中、唖然としているマルフォイ夫妻を視界に入れ

 

 

「っ、ぐぅ!!・・・これで許せ・・・ルシウス」

 

「はっはい!!」

 

「どうかこれからも私の友達でいてほしい・・・それと返事についてはまだ暫く待つ、しっかりと自分達が後悔しないように良く考えナルシッサ殿と相談しあうがよい」

 

「ウィラ様・・・」

 

「ふっ、そんなに怯えたような顔をするな。先程も言った通り卿等の誇りにキズをつけた私こそが悪いのだ、罪には罰を・・・それはこの私も変わらん」

 

「いえ・・・私はここに本当の陛下のお姿を見たような気がします」

 

「くはは!私はいつも素d・・・うぐぅ!?」

 

「ウィラ様!!」ガタ  「陛下!!」ガタ

 

「ふぅ、ふぅ、すまんが今日はこれでお開きだ・・・シャドウ!」

 

「ここに・・・我が君!?」

 

「よい、自分でやった。それより二人をドラコと合流させよ、存分に庭を見せた後帰ってもらえ」

 

「・・・御意」

 

「ではルシウスにナルシッサ、本当にすまなかった・・・今度は本当に旅行に来い、土・日・祝日は我が国で観光ができる」

 

「必ず」

 

「・・・」ペコリ

 

 

 

 

 

シャドウがまだ何か言おうとするが目で黙らせ二人を連れて行かせる

それと同時にようやく膝をつく

 

 

「黄金の君!!今すぐ治療室へ!!」

 

「あぁ・・・任せた・・・骨折ってこんなに痛いんだな」はっ、はっ

 

「人間は弱く脆いものですから・・・」

 

「化け物が・・・人間をなめるな」

 

「もちろんです、貴女様にそれはよく見せられました。失礼します」

 

 

 

そういうと獣が私を持ち上げる、俗に言うお姫様抱っこというやつだ

そのまま治療室に連れていかれるが・・・私が「トム・リドルの日記」を手放すことはなかった

 




というわけで日記ゲットだぜ
若かりし日のお辞儀さんは黄金の魔の手から逃れることが出来るのか

ウィラはダンブルドア以外に実は魔法が使えることを教えてません
ダンブルドアだけに教えたのは「あの秘密主義者が誰かに話すわけがない」と
ある意味で信用してるからです


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黄金と日記

お気に入りが400件を超えました
皆様の支えでこの作品はなりたってます
本当にありがとうございます!

ふと思いお気に入りしてくださいました方々の名前を
見ていると普段読んでいる作品の作者様方の名がちらほらと・・・
見るたんびに軽く焦ります



あの後城に常在している治癒者に骨折を治してもらい、マルフォイ家を送りにシャドウと入れ替わったニールと合流した

 

ちょうど見回りから帰ったコチョウとトグサがいたので今は5人で「円卓の間」に集まっている

 

 

「どうだコチョウ、この中なら卿が1番魂に関して詳しいだろう?」

 

「・・・確かに邪悪な魂を感じます。よくもまぁ人間如きがここまで穢れたものですわ」

 

「人間の悍ましさはお前がよく分かってるだろ。まぁいい、これがちゃんとした『分霊箱』だと分かれば御の字だ」

 

そう、私は『秘密の部屋』編だけは大幅に介入する気マンマンだった

なぜならこの年が一番人が死ぬ可能性が高いからだ、バジリスクを殺すことが確定していてもこのお辞儀馬鹿がジニーを使って何をするか分かったもんじゃない

 

 

「ニール、普通の呪文をかけろ。反応が見たい」

 

「では・・・『インセンディオ(燃えろ)』」

 

ボウッ!!っと炎があがり___消えた後を見てみると一切燃えた形跡がない

 

 

「ふーん、ホントに無傷だな」ヒョイ

 

「黄金の君!むやみに触らないほうが・・・っ」

 

「獣、それに卿等にも以前話したはずだ。この日記にはまだそんな力は無い、まずは文字を書いて魂を吸わさねばな」

 

「陛下、ちょっち貸してもらえませんかねぇ?その分霊箱とやらを切ってみたくてしょうがねぇ」ウズウズ

 

「我慢しろトグサ、これはおもしろい玩具なんだぞ?」

 

 

てきとうにページを捲るとみんなが私の席に集まり覗いてくる

羽ペンを手に持ちインクをこぼせばスゥっと吸い込まれていく。すると「おぉ~」と声が上がった

 

 

「ふふん、見てろよ?」

 

 

__僕の名前はハリー・ポッターです

 

 

「黄金の君?なぜ彼の名前を?」

 

「しっ!いいから見てろ」

 

 

私の書いたインクが吸い込まれ文字が浮かび上がり出す

 

 

__初めましてハリー、僕の名前はトム・リドルと言います

 

__ごめんなさい間違えました。私はLです

 

__?ハリーでは無いのですか?

 

__すみません冗談です

 

__ところでここはどこですか?ホグワーツではないようですが

 

__違います

 

__では一体・・・

 

__ようこそヴォルデモート、ここがお前の墓場だ

 

 

そう書いたとたん日記から人影が飛び出した!

 

そこにはまぁまぁイケメンの若かりし日のヴォルデモート・・・トム・リドルがいた

 

 

「ハロー☆闇の帝王(笑)久しぶりの外の空気はいかが?」

 

「・・・キサマは誰だ・・・何故僕の正体を知っている!?」

 

「な!分霊箱にこうして魂を分けると本体とも連絡がつかないから状況がいまいち分からないんだ」

 

「ほう・・・以前ドイツに出張していた頃にヴォルデモートの噂は聞いていましたがこれまたヘンなものを・・・不老不死にでも憧れたのですか?」

 

「正解だニール、まぁ結果はあの通りだ。馬鹿はハリーに滅ぼされ、このカスみたいな魂もこの場で消える」

 

「っ!?この僕が倒された!?ありえない!!」

 

「いちいち狼狽えるな、狼狽えるんじゃない、お前は闇の帝王なのだろう?」

 

「・・・どういうことだ・・・将来の僕に一体何が・・・っ!?」

 

「あーそうか、もう少し魂をやらねば把握しきらんか。ならホレ」

 

 

日記に適当に文字を書いてやる・・・なるほど、これが魂を吸われる感覚か。というか『黄金の血の守り』が発動してないな・・・やはり私の考え通り「魂を吸い出される」というのは呪いでも呪文でもない抜け穴か・・・

 

 

「___っ!?・・・ふははは!!なるほど!!確かに大人になった僕が赤ん坊のハリー・ポッターに倒された記憶がある!!だがここにヴォルデモートは復活した!!ふはははは!!」

 

「おめでとう。そらお前達拍手をしてやれ」パチパチ

 

__パチパチパチ

 

「ありがとう。君の名は?ハリーじゃないだろう?」

 

「まぁ私の記憶を全部覗くのは流石に不可能か」ポリポリ

 

「__?まぁいい、それじゃあ僕の日記を返してもらえないかい?それは君がさっき言ったとおり僕の命綱なんだ」

 

「ふーん、返してほしいか?」

 

「・・・あまり僕を怒らせるな・・・次に生意気な事を言ったら・・・」

 

「殺すか?どうやって?杖も無いのに」

 

「杖など無くてもこの僕はっ___!?なっ!?はぁ!?」

 

 

ようやく自分が魔力を練れない事に気が付いたようだ

 

 

「あははは!そうだ!その顔が見たかった!!見ろお前達!この間抜けな面を!」

 

「陛下!笑えませんですわ!!御身の魂が削られる様をこの胡蝶がどのような思いで見ていたと・・・っ!?」

 

「まぁ許せコチョウ、これは私の後に続く「黄金」の為にも必要だった。言い伝えにも「血も守りは魂の干渉すらも防ぐ」とは言われていなかったからな、確かめたかった」

 

「待て!?『黄金』!?今『黄金』と言ったのか!?」

 

「ようやく気が付いたか?改めて初めましてトム・リドル。私は第79代エルドラド王国国王ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア___今代の黄金の君だ」

 

 

そう言うと即座にトム・リドルが逃げようと扉に走っていく___だが

 

 

「コチョウ軽くでいい、炙れ」

 

「御意」

 

 

日記をコチョウの目の前に持っていくとコチョウの手からドス黒い炎が上がる

 

 

 

「___ぐあぁぁああ!!?馬鹿なっ!?火など分霊箱には効かないハズだ!?」

 

「ただの火じゃない、狐の怨霊が宿った「呪い火」だ。人間がくらえば肉が爛れ骨まで腐る」

 

「狐だと!?たかだか獣畜生にこの僕の日記っガア゛アァァアアアアア゛!!!?」

 

「誰が獣畜生だって?たかだか人間の魂風情が生意気な・・・その獣畜生にこうして燃やされているお前はなんだ?キサマは陛下の玩具であろう?もっと我が君を喜ばせる為にもせいぜい(さえず)れ」

 

コチョウが尻尾を1本生やし更に炎を大きくする

 

「アァァアアア゛!!!止めろぉ!!僕が悪かったから燃やさないでくれぇ!!!」

 

「そこまで」パチン!

 

コチョウに命令し止めさせる

 

「誰がお前のモノだって?お前は私のモノだが私がいつキサマのモノになった?」

 

「っ!?申し訳ありません陛下!!どうかお許しを!!」ガバっ!!

 

「・・・次は無い、さっさと尻尾を仕舞え、そんな命令はしていない」

 

 

私達が話している間もトム・リドルは逃げることができない。身体からプスプスと煙を上げ起き上がれないからだ

 

 

「・・・臭いですね、これが魂が燃える匂いですか」

 

「そのようだなニール、我が獣よ、お前にとっては香しい匂いか?」

 

「いえ、肉と魂が揃って初めて芳醇な香りを持つ極上のエサとなりますので」

 

「へぇ、これまた面白い意見だな獣殿」

 

「私もトグサの意見に同感だ。では・・・次は直接燃やしてみるか」パチン

 

「っ頼むからもうっ!!ア゛アァァァアアア゛!!?」

 

「うるさい『シレンシオ』(黙れ)」ヒュっ

 

 

しばらくコチョウにトム・リドル本人を燃やさせ様子を見る____どうやら痛みはあるようだが消えることはないようだ、その証拠に悲鳴を上げつつも少しずつこちらに近づいて来る

 

 

(うわキモ、ルパンvs複製人間のマモー思い出したわ)

 

 

ん?らしくないって?何でこんな酷いことを?

だってどうせ全部壊れるんだし先程も言ったとおり私の子孫達の為にも色々試さないと

 

私は別に善人ではないし博愛主義者でもない。普通に殺せと命令することもあるし・・・そもそもトロールを殺したように私自身何度も誰かを殺した事だってあるのだ

初めは嫌だったし吐いた・・・でもキレイ事だけで国を守れるワケがない

別に自分を正当化したり誰かの所為・・・この場合は国だ。そうしてるワケでもない、ただウィラトリアとして生まれたからには・・・王族として生まれたからには果たさなければならない義務がある・・・覚悟をとうの昔に決めただけだ

 

コチョウを止め日記を『黄金の瞳』で見てみるが・・・まだ壊れる気配がない。流石は最も悍ましい闇の魔術と言われることはある

 

 

 

「・・・なぁ陛下頼むよ・・・もう我慢の限界だ」

 

「ん?でもまだニールで試してないし」

 

「陛下、私なら普通に『悪霊の火』で燃やします。どうでしょうか?トグサ殿にやらせてみては?」

 

「そうだなぁ・・・よし、日記は斬るな、アイツを切れ」

 

「御意」

 

 

その言葉と共にトグサの姿が消えた!__と同時にトム・リドルの目の前に現れる

 

 

「__不斬流___『斬り斬り舞』!!」ヒュボ!!

 

 

___トグサはマグルだ、一切の魔法も使えない。だが勘が異様に鋭く日本に居た頃はそれで魔法の存在に気づき思ったらしい__「あぁ・・・魔法を切ってみてぇ・・・」と

 

・・・正直初めて会った時はかなり驚いた、日本に視察しに行った際私や獣が気配を悟った瞬間目の前に現れ「お前さん等強いな、斬らせてくれや」ときたものだ

 

普通のマグルと思い私は初め遊び感覚で相手をしたが私が放つ魔法を全て斬られ、流石にマズイと思い獣を盾にし『黄金の魔法』で決着をつけた

 

そのまま放置しエルドラドに帰ると数日後に何と門の前で土下座をしていた、何でも私に惚れ込んだらしく実力も人間の中ではハッキリ言って異常だったので、持て余した日本から引き取る形で私に忠誠を誓わせたのだ

 

 

「・・・へぇ・・・やっぱ魂だけの存在はまだ斬れないか」

 

「・・・くく・・・ふははは!!そんな玩具でこのヴォルデモート様が死ぬワケないだろう!?」

 

 

・・・流石に魂は斬れなかったらしい・・・まだ(・・)・・・だが

 

 

「・・・申し訳ありません陛下・・・今だ我が道先は見えず」

 

「よい、許す。卿ならば必ずそれを成し得ると信じている」

 

「・・・感謝の極み」

 

「そんな事どうでもいい!!この僕を今すぐ逃がせ!!」

 

「おや、コチョウ殿の火が消えたらすぐコレですか。次は私が喰い殺しましょうか」

 

「いやいや獣殿、愛しい陛下を馬鹿にしたこの不届き者は最後までわらわが・・・」

 

「待て。トグサ、卿は魂だけでは斬れぬと言ったな?」

 

「はっ!その通りでございます陛下」

 

「ならば・・・魂の宿った日記なら・・・斬れるな?」スっ

 

「そうせよ・・・とご命令を」

 

「ならば斬れ、斬らねば殺す。私の命に従えぬお前()などいらんよ」

 

「ふはは!!黄金殿!!気でも狂ったか、えぇ!?そんな見掛け倒しの剣でこの僕が殺せるとでも!?」

 

「なぁにやれば分かる。出来なければキサマは自由だ」

 

「・・・本当だろうな」

 

「我が名に誓おう」

 

 

椅子に座り足を組んだまま日記をトグサの前に放り投げる

 

 

「あぁトム・リドル、言っとくが・・・」

 

「___不斬流居合__」チャキ

 

「____私の騎士を舐めるな」

 

「__『音斬り』!!!」

 

 

__音は無い、刀を抜いた音もだ___だがトグサが納刀する所作を終わらせると・・・

 

 

____ザンっ!!!

 

 

「っ馬鹿なぁぁああ!?僕の日記が!!ヴォルデモート卿の分霊箱がぁあ!!!?」

 

 

一度しか斬っていないハズなのに日記はバラバラに切り裂かれていた

 

 

「・・・大儀である、我が騎士よ、褒美を望め」

 

「・・・私という刀が折れるその日まで御身の傍に」

 

「よい、許す・・・気分はどうだ?」

 

「いやマジサイコーですわ、今なら獣殿にも喧嘩を売れそうだ」ニィ

 

「やりますか?久々に人の肉を味わえそうですねぇ・・・」ザワっ!

 

「お前じゃない、そこの自称闇(笑)の帝王様だ」

 

 

見てみるともうすでに身体の大半が消えていた

最後の意地なのだろうこちらを睨みつけ

 

 

「これで勝ったと思うなよ!?ヴォルデモート卿は不死身だ!!僕が破壊されようがまd」ボォォォオウ!!

 

「・・・はぁ、ニール。まだ聞いている最中だったのに」

 

「御身にあれ以上耳障りなノイズを聞かせるワケにはまいりません」

 

「まぁいいか、これで後はバジリスクを殺すだけ・・・そういえばジャンケンて誰が勝ったっけ?」

 

「黄金の君、ニール殿とウォーカーです」

 

「あそっか!てか臭い、『スコージファイ(清めよ)』」

 

呪文で燃えた匂いと残った塵を消す

 

「ニール・・・じゃバジリスクは流石に無理かぁ・・・」

 

「陛下、勘弁してください。ウォーカーなら死のうが関係ないのでは?」

 

「でも攻撃力がなぁ・・・仕方ない」

 

「はい!わらわ!わらわが立候補します!!」ピョンピョン!

 

「だからお前はまだダメだって、我が獣よ」

 

「ここに」

 

「久しぶりに暴れろ。元の姿になるのも許す。確実に殺せ」

 

「黄金の君のお心のままに」

 

「うむ、ついでに必要の部屋の分霊箱も壊すか?まぁ後で決めればいいか!」

 

「陛下ぁ、俺の経験上「後から」は忘れやすぜ?」

 

「その時はハリー達に任せる。・・・というかもう1つ何か忘れてるような・・・」はて?

 

「そんな事より陛下、奪われた魂は大丈夫なので?」

 

「ほんの少しだ、どうやら私は魂も常人と比べ遥かに大きいらしい。全然問題ない」

 

「ほっ、よかったですわ。御身の黄金の輝きに燻りなど必要ありませんから」

 

「当たり前だ。我こそは黄金、黄金の君だ。卿等の黄金がその輝きを失うことだけはありえん。ゆえに・・・」

 

 

ザッと四人が跪く

 

 

「私のために働き私の為に死ね。我が黄金の輝きの先にこそ卿等の求める物がある」

 

「「「「我等黄金円卓、その主命しかと聞き届けたり」」」」

 

「よい、許す。さて、明日はダイアゴン横丁に買い物に行かないと。準備するから解散な、あと獣とトグサは殺り合うなよ?やったらマジ殺すから」

 

「分かっております黄金の君、私も準備を手伝いましょう」

 

「俺はどうすっかなぁ・・・ウォーカーでも虐めるか?」

 

「あら、ならわらわも着いていきましょう。最近身体が火照ってしょうがなくて・・・」

 

「・・・コチョウ殿、それはどちらの意味で?」

 

「勿論戦いですわ♪あの子中々死なないから良いサンドバッグですし♪」

 

 

「あれ?皆さん円卓の間に集まって何してるんですか?」カチャ

 

「おっ!ちょうどいい!お前さんを探してたんだ。さ、中庭に行くぞー?」

 

「ウォーカーちょっと多めに蝙蝠出して、トグサとどちらが多く殺せるか競いますわ」

 

ガシっ!!「え?ちょっ!?助けて陛下!!殺される!?私この二人だとマジで死にます!!」

 

「ウォーカー・・・強く生きろ」グッ!!

 

「イヤァァアアア!!!また再生に時間かかるぅぅうう!!!」

 

 

__次の日にウォーカーの様子を見に行ったニールが首を横に振り「彼は犠牲となりました・・・ニッポンという戦闘民族・・・その生贄に・・・」と私に言ってきた

 




トム・リドルの時はイケメンだったのに・・・
(ヴォル様も大好きですよ?)
ウィラがまぁまぁと言った理由は
だって円卓がイケメソなワケないじゃん

トグサにとってのウィラは侍がお殿様に惚れこむ感じに近いです
トグサは口や素行が少し悪いですがウィラはそのマグルとしては最高峰の実力に免じ多少は許します
流石に時間と場所は選びますが


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黄金と詐欺師

ウィラが本気でキレます
勿論怒らせるのはあの人

後半ウィラが暴君と化します

それと今回地の文がナレーション形式と
ウィラ視点で結構入れ替わります
読みにくいかもしれませんが
どうかご容赦ください



去年と同じように黄金の獣を引き連れ『ダイアゴン横丁』を歩く

ちなみにこの私に箒や『煙突飛行粉』等の移動手段の選択肢は無い。箒よりも乗り心地の良いものに普段乗っているし『煙突飛行粉』は髪に着いたりするから嫌いなのだ

 

てかまたみんなエルドラドの国旗持って待ってたよ・・・今回はいつ行くとか誰にも言ってないのに・・・

 

声が上がる度一応手を振る、すると何人か気絶していたが・・・大丈夫か?え、何、今回はちゃんと最初から指輪付けてるよ?

 

囲まれて歩けなくなりそうになる度、獣に空を跳んでもらう

獣しか連れてこないのは理由がある。だいたい人外連中は少しでも不敬だと思うとすぐ殺そうとするし・・・ウォーカーに関しては魔法界において悪い意味で有名過ぎる

シャドウは逆に良い意味で有名だ(これは私にとっても凄く誇らしい!)

ニールは何故か女性が群がり、トグサは「とりあえず斬っていいですか?」と煩いのだ

(こう見るとコイツ等某骸骨魔王様の守護者レベルでメンドクセェ・・・そのうち「流石陛下!!」とか言い出しそうだな)

 

 

「黄金の君、毎回こうでは御身に負担がかかります。どうでしょうか?私が全員喰い殺しましょうか?」

 

「阿呆、お前は私の名を後世において最悪にしたいのか。この程度王として当然の責務だ」

 

「申し訳ありません・・・」

 

「よい、許す。頼むから「さす陛」とか言い出すなよ?今更魔導国なんて国、建国したくないからな」

 

「__?分かりました。どこへ向かえば?」

 

「本屋だ、教科書を買わないと」

 

 

チラリとリストに目を通すとそこには

 

 

泣き妖怪バンジーとのナウな休日

ギルデロイ・ロックハート著

 

グールお化けとのクールな散策

ギルデロイ・ロックハート著

 

バンパイアとバッチリ船旅

ギルデロイ・ロックハート著

 

エトセトラエトセトラ_____

 

 

(完全にコイツの事忘れてた・・・映画で見た時はおもしろいキャラだな~くらいにしか思わなかったけど・・・どうしようか・・・コイツがいるとコチョウを連れて行けないし・・・今回アイツ選ばなくて正解だったな、絶対会った瞬間殺すもん。裏切りや嘘にうるさいし・・・そもそもロックハートいたらルーピン来ないじゃん。私あの人の授業結構楽しみなんだけど)

 

 

そんな事を考えているとどうやら着いたらしい。すぐさま辺りが騒がしくなりザワザワしだす

 

 

「陛下―!!」 「あれが黄金の君・・・」 「ウィラ様―!!サインください!!」

 

「あーすまんが通してくれ!てかさっきサインくれって言ったな?おっしゃ!喜んで書くぞ!この日の為に何度『黄☆金』の練習をしたことか!」

 

「なりません、申し訳ありませんがレディ、どうか私で我慢していただけませんか?」

 

「はっはい///!!」カァっ!

 

 

何と私の間に入り込みそのまま流れるようにサインしやがった!

 

 

「おまっ!?私がどれだけこの日を楽しみにしていたと!!」

 

「黄金の君、以前も言ったように御身のサイン等あまりにも価値が重すぎます」

 

「だから「黄☆金」なんじゃないか!少しくらい茶目っ気出してもいいだろう」

 

「駄目です。いくら貴女様が我が主とはいえ、それをなだめるのも臣下の役目」

 

「くぅ!?お前・・・私がそう言われると強く出れないと分かって言ってるだろ・・・」

 

「全ては黄金の君の為、それに良き主君は臣下の助言を聞き届ける者と私は思っておりますよ?」ニコ

 

「・・・良い性格になりやがって・・・分かったよ、今回は我慢してやる。さっさと教科書買って帰るぞ」

 

「御意」

 

 

周りの者を下がらせ店に入る___へぇ、やっぱり本の数がスゴイな。ラノベとか売ってないかな?

てか店に入った瞬間から杖が煩い・・・というかメチャウザい

何だよ、「ヴァカめ!!その程度でこの私とやり合おう等1000年早いわぁ!!」って、意味分かんねぇよ・・・というか聖剣や聖槍ってウザいのがデフォルトなのか?それとも救世主がこんな性格だったのか?立川辺りでジョニー・デップと間違えられて喜んでたし

 

 

 

店内を見渡していると・・・何とルシウスが見慣れない男と殴り合いをしているではないか!

ということはまさか彼はアーサー・ウィーズリーか?じゃあハリー達もここにいる?

 

 

(取りあえず止めさせよう、確かこの後ハグリッドが来るハズだけど、それまで殴り合いさせるのは店の迷惑にもなるだろうし)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルシウスとアーサーが互いの胸倉を掴み合い力の限り相手を殴る、周りにいるハリーやハーマイオニーは目をパチクリさせ動けないでいるが

家族であるドラコやロン、フレッドにジョージなど「そこだ!いけ!」と更に油を注ぐ

辺りに本が散乱し何度も踏みつけられ店員などは必至になって止めようとするがその度に両者から脅すような目付きで睨まれ止めようがない____だが・・・

 

 

「そこまで」

 

 

決して張り上げるような声量ではないのに不思議と耳に良く通る声が響く

瞬間ルシウスの動きが止まった、それもそうだろう、彼は何度もその声を聞いているのだから

アーサーも同時に止まる、幼い子供の声と分かっていても絶対的君臨者であると魂が悟ってしまったのだ

その場の者が声のした方を見ると・・・そこには『黄金』がいた

 

 

「双方拳を納めよ、この場はこの私、エルドラド王国国王ウィラトリアが治める。しからば両人とも我が声を聴くが良い」

 

 

両方・・・とくにウィーズリー家やハリー達はとくに驚いた

ホグワーツにいた時とは全然雰囲気が違う、ただ立っているだけで失礼だと身体が勝手に膝をつきそうになる

 

これが王・・・これが魔法界で闇の帝王以上に有名な『黄金の君』

 

 

「ウィラ・・・様、何故・・・」

 

「何だルシウス、私はこれでも学生だぞ?教科書を買いに来て何が悪い」

 

「いえ、そのような・・・」

 

「ふむ、更にハンサムになったな。嫌いじゃないがこの場には二人共ふさわしくない。『エピスキー(癒えよ)』」

 

 

ウィラが杖を振ると瞬く間に二人のキズが治っていく

 

 

 

 

 

「これでいいな?本に関してはルシウス、卿が弁償しろ。貴族の務めを果たせ」

 

「ッ!御意」

 

 

 

 

突然の命令にも関わらず口が何時の間にか返事をし頭を下げていた

お金を払い、この場にはいられないとマルフォイ家はウィラにもう一度頭を下げフローリシュ・アンド・ブロッツ書店を出ていく

そしてその場には先程と打って変わりポカーンと事の成り行きを見ていたアーサー達ウィーズリー家が残された

 

 

 

 

 

 

「・・・っ!!おっお初にお目にかかります陛下、私はロン達の父でアーサー・ウィーズリーと言う者です」

 

「わっ私はその妻のモリー・ウィーズリーです!普段は息子達が大変ご迷惑を・・・」ペコペコ

 

「よい、こちらこそ初めまして。私は第79代エルドラド王国国王ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリアだ、どうかウィラと呼んでほしい。それに普段から卿等の御子息達に世話になっているのはこちらの方だ」

 

「いえいえ!そんな!陛下を名で呼ぶなど・・・」

 

「父さん気にし過ぎだって!だから年々髪の毛が薄くなるんだぜ?」

 

「てか今日のウィラいつも以上に凄い豪華だな!元気にしてたか?」

 

「フレッド!ジョージ!陛下になんて失礼な事を!?」

 

「くはは!よい!卿等はやはりそうでないと!皆久しいな、そちらこそ元気だったか?というか全然手紙くれなかったな、正直寂しかったぞ」

 

「あーいやその・・・パパとママが恐れ多いって普通の手紙じゃなくてもっと高級なので送ろうとしたんだけど・・・」

 

「ウチにはそんなお金はない!」

 

「だから送れなかったんだ悪い」

 

「別にそんなの気にしないのに・・・手紙欲しかったなぁ」

 

「ウチも似たようなものね、ホラ、この前家族でエルドラド王国に行ったじゃない?それ以来手紙なんか恐れ多いって」

 

「え、ハーマイオニーエルドラド王国に行ったの!?いいなぁ・・・僕テレビでしか見たことないや。あと僕は手紙出したんだけど・・・途中で屋敷僕、シャドウさんじゃないよ?ドビーって子が邪魔してきたんだ」

 

(__?何故ドビーが・・・まさか私が日記を壊したことを知らなかった?でもまぁもう気づいてるだろうしこれ以上何もしてこないだろう、たぶん)

 

 

一応話しを合わせる為ドビーの事を聞こうとした瞬間・・・

 

 

「ハハハ!これはこれは!彼の名高きエルドラド王国国王ウィラ陛下ではありませんか!まさか貴女もこのギルデロイ・ロックハートのサインを貰いに?なんたる光栄!ハリーに続きこのような著名人が私を含め3人もこの場に集まるとは!ハハハ!」

 

 

やっぱいるよなぁ・・・てかコイツの所為か!杖がやけに煩いのは!?おいおいおいロックハートが近づくたびコイツ私を汚染する量が増えてやがる!?変に対抗しようとするな!!ヤベ、軽く吐きそう・・・前に三倍は持って来いと言ったが誰が10倍近い量で汚染しろと言った!?

 

 

「やっやぁロックハート殿・・・サイン会については正直知らなかったんだ。私はただ教科書を買いにきただけで・・・」

 

「ハハハ!ご謙遜を!いいでしょう!この私が陛下にサインを献上しようではありあせんか!」

 

 

(ウゼェェエエエエエ!!!!!無い!!マジで無い!!色んな政治家や野心を持った人間と会ってきたがコイツがダントツで無い!!エルドラドの国民だったらマジ処刑を命ずるレベルだ!!)

 

 

「いえ、黄金の君は本当にただ教科書を買いに来ただけです。どうかこれ以上黄金の君に近づかないでいただきたい、不敬ですよ?」

 

 

(おぉ!流石我が獣!頼むからそのまま遠ざけてくれ!本気で苦手なタイプだ)

 

だが私の願いも虚しく・・・

 

 

「ん~?中々のイケメンですねぇ、貴方が噂の黄金の獣殿ですか!いや噂はかねがね!ですが女性人気は渡しませんよぉ~?そう!この世の全ての女性は私のファンですからね!」パチン☆

 

 

瞬間黄色い声援が一斉に上がる

おい嘘だろ!?別にそういう目で見た事ないが獣の方が遥かにイケメンだぞ!?だってヴァンシエル陛下とそっくりにしたんだし!!てか獣にまで声援上がってるじゃねぇか!?もう超音波兵器だよ!鼓膜破れるって!

 

 

「そんなもの私にはどうでもいい、貴方が近づいた瞬間黄金の君の顔色が悪くなりました。もう一度言います、今すぐ黄金の君の目の前から消えなさい」ザワっ!!

 

 

・・・マズイな、かなりキレてる・・・てか神獣怒らせるレベルのウザさって凄いな、見ろよ・・・

 

 

「ハハハ!きっと私の笑顔に流石の黄金の君も参ったのでしょう!いやぁこれだから私のような者は罪深い!」

 

「キサマっ!!」

 

「止めろ獣よ!」

 

「っ!?ですが黄金の君!!この者は・・・っ!!」

 

「・・・私なら平気だ、それにそんな命令は出していない」

 

「・・・申し訳ありません・・・この罰はいかようにも・・・」

 

何とか獣を落ち着かせ私の前に跪かせる

いつものように「許す」と言おうとすると・・・

 

 

 

「ハハハ!流石騎士様!カッコイイですね~!では私も」スっ

 

 

 

まるで呼吸するくらい当たり前のように、ごく自然すぎる動きに私はおろか獣ですらその場から動けなかった・・・世界がスローモーションのように遅くなり、そのままロックハートが私の手を取りそして・・・

 

 

 

 

チュっ

 

 

 

___数瞬遅れて・・・フローリシュ・アンド・ブロッツ書店が軋んだ(・・)

 

いや、書店だけではない。この書店があるダイアゴン横丁そのものが確かに揺れたのだ

ペットショップの生き物達は一切動かなくなりただ震えているだけしかできない。それどころか何匹かは気絶、またはその心臓を止め死んでいた

 

その元凶は自然災害でも無ければ黄金の獣ですらない。たった一人の少女_____ウィラが本気で殺気を放ったのだ

 

 

揺れはした、だがウィラの殺気に気づいた者は黄金の獣だけだ。何故なら全てこの目の前の詐欺師に中てていたのだから

だが殺気を中てられ更には揺れにすら気付けなかった超マイペース野郎ことギルデロイ・ロックハートはというと・・・

 

 

「ハハハ!どうです?私も中々様になっているでしょう?」

 

「____殺す!!!」

 

 

黄金の獣が牙を剥き出し噛み殺そうとする___がウィラが獣に指先で暗号を出したのを見てかろうじて動きを止める

 

 

___私が処す、コレは私の獲物だ手を出すな____

 

 

ロックハートは気づけない、何故なら彼にとってはこの書店にいる者全てが自分のファンであり、その顔には絶対喜びの笑顔が浮かんでいると信じて疑わないからだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆえに彼はウィラが帰る瞬間まで気付けなかった

 

普段黄金色に輝くその表情が一切の輝きも、燻りも無い完全な無表情(・・・・・・)だったことを

 

 

 

そのまま成り行きを見ていたウィーズリー家とハリー達と共に書店を出る。だが誰もウィラに話しかけることが出来ない、それは獣であっても同じだ

 

そしてようやくウィラが口を開くが・・・相変わらずその表情は何も写していない

 

 

「・・・ハーマイオニー・・・キサマあの男をどう見る」

 

「(ビクっ)え・・・えぇと・・・多分獣さんを知らなかったらロックハート先生に憧れたかも知れないけど・・・今はとくに何も」

 

「そうか・・・悪いがウィーズリー夫妻、私は帰る。できればそこの御息女の紹介や卿等とゆっくり話しをしたかったが・・・あいにく今の私は機嫌が悪い」

 

「(ゴクリ)わっ分かりました・・・どうかお気をつけて」

 

「うむ、あぁそれとモリー殿、これだけは伝えたかった」

 

「な・・・なんでしょうか?」

 

「去年のマフラーはすごく嬉しかった・・・今年も是非卿の手作りプレゼントが欲しい」

 

「っ!あっありがとうございます!」

 

「じゃあな皆の衆、あぁそれと・・・あれはただの詐欺師だ。まともな授業等期待するな」

 

「・・・え、どういう意味?」

 

「自分で考えろ、じゃあな。これ以上話していると思わずキサマ等を殺しそうなんでな」

 

 

そう言いながらハリー達を一瞥する。その瞳は相も変わらず黄金色を讃えてはいるが・・・それ以上に憎悪が見てとれた_____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カツ・・・カツ・・・___

 

 

普段喧噪に包まれているダイアゴン横丁がそこにだけ足音が響く。その足音の主は豪華の極みを尽くしたローブに身を包みその髪の毛と瞳は黄金色に輝いている

だが彼女を視界に入れた者はその瞬間誰も動けず呼吸すら忘れてしまいそうになる

そこには彼女のあり得ない美しさに目がいってしまうのもあるが・・・それ以上に本能が訴えるのだ・・・「今動けば死ぬ」・・・と

 

物音一つ立てずに彼女に道を空け、そのまま一言も口を開かずウィラは郊外へと歩いていく。いや、歩きながらも呟いてはいた

 

 

延々と呪詛を唱えるかの如く『スコージファイ(清めよ)』と

 

 

 

 

 

 

そのまま人っ子一人もいない場所へつき、ようやく自身の最側近へと話しかける

 

 

「・・・我が獣よ、私は爪先へのキスは許しても誰にも今まで手の甲に許したことはない・・・」

 

「・・・存じております」

 

「あの詐欺師の本を出せ」

 

 

黄金の獣がローブからロックハート著の本を出したのを確認し、指輪を外し半径5㎞に渡り『認識不可能呪文』と『プロテゴ・マキシマ』を10層も重ねる

 

そのまま膨大な量の魔力を杖に込め、杖先を本に向け・・・

 

 

 

 

 

 

「____『アバダ・ケダブラ』!!『アバダ・ケダブラ』!!『アバダ・ケダブラ』!!『アバダケダバラ』!!アァァアアアアア゛『アバダ・ケダブラァァァアアアアアアアアア』!!!!!!」

 

 

 

まず本が散りじりに消え、その場の半径500m程の草花が枯れ不毛の大地が形成されていく。だがこの程度では怒りが収まらず

 

 

「命令だ、動くな、躱すな・・・できれば死ね」

 

 

獣の返事すら待たず『黄金の火』が空まで届く火炎旋風を形成する、その間も『黄金の命』でひたすら「死ね」と繰り返し更には『Dies irae』を何度も放つ

 

そのたびに『プロテゴ・マキシマ』が悲鳴を上げるが・・・そこはウィラ本人の魔法、何とか残り3層まで耐えた

 

 

 

空から見れば何と酷い有様だろうか・・・半径5㎞以内に大きなクレーターが何個もでき、場所によっては表面がガラス化してしまっている

とくに中心部・・・黄金の獣がいたであろう場所など30mほど陥没している

 

何とか気が収まったのだろう、荒い息を上げクレーターを降りていく。そこには辛うじて人の形を残した黄金の獣が横たわっていた

だがウィラが謝ることはない、むしろ思い切り蹴り上げ

 

 

「何故死んでいない、私はキサマに死ねと命令したハズだが」

 

「ゴフっ!・・・も゛っ申し訳ありまs『グラヴィタス・マキシマ(超重力呪文)』__ガッ!?」

 

 

更に陥没させながらも黄金の怒りが収まることはない

 

 

「・・・分かるか?私のこの気持ちが・・・この怒りが!?」

 

「ゴァっ!?」

 

「返事をしろ、この私が訪ねておるのだぞ?アァ゛!?」ヒュっ

 

 

__ズン!! ズン!! ズンンン____!!

 

 

「ガッ!!あ・・・貴女様の・・・怒りは・・・ごもっともです!!御身の・・・清らかなお体を・・・まことに申し訳ありません!!」ググっ

 

「当然だ、これは当然の報いだ。なぁ、お前は『黄金の獣』なんだろう?あの程度の詐欺師から私を守る事すらできないのか?」

 

「申し・・・わけ・・・ありませんっ!!」

 

「ふん、そればかりだな。・・・命令だ、私を守れ」

 

そう言い今度は自分自身に『グラヴィタス・マキシマ』を放つ

すると今だ超重力に苦しんでいる獣があり得ないスピードでウィラをかばうように自身の身体で覆う

 

 

「ふっ・・・!!ぐっが・・・っ!!」

 

「・・・キサマの血が私の顔についた・・・使えん駄犬だ。次、『黄金の火』」ヒュっ

 

 

黄金色に輝く劫火がウィラに迫る。すると今度は尻尾を出し主と自身のローブと剣だけは決して燃やさぬよう覆い隠す

このローブと剣は黄金の獣の唯一と言っていい宝物だ、何故ならこの二つはウィラ自身が獣に授けた物なのだから・・・だから絶対に汚せない

 

獣が今度こそ自らの血で大切な主を汚さぬよう必死の表情で耐えしのぶが・・・ウィラはそれを無表情で見つめ今だに魔法を一切解こうとしない

 

 

 

___暫くたち飽きたのだろう、自分に向けていた魔法だけを解き、倒れ込む黄金の獣を眺める。その間も皮膚が真っ赤になるまで手の甲を服に擦り付けていた

 

 

 

「・・・何と穢らわしい、舐めろ。詐欺師何かよりも使えない犬のほうがまだマシだ」

 

 

そう言いながらワザと高い位置に手を持ってき、今だ超重力のかかっている獣にもう一度無理やり立たせる

 

 

「・・・なぁ、お前に分かるか?この・・・っ・・・この私のっ!!初めてを・・・っ!!!あんな詐欺師が奪いやがった!!!」

 

 

そう、どんな事であろうと王の初めてとはそれだけで極上の意味を持つ

与えるのならばそれに見合った功績を携えた勇者でなければいけない、でなければこれまで褒美やウィラ自身が祝福を与えてきた者の名にキズがつく。ウィラが最も怒ったのはそこだ

 

 

 

 

初めて頬にキスしてくれたのは両親だった、今でも忘れない、どれほど嬉しかったか

初めて額にキスしてくれたのは母だった、私が熱を出し寝ずにずっと看病してくれて、治った時に「よく頑張ったね」とご褒美にしてくれたのだ

初めて爪先にキスを許したのは・・・今目の前で無様に這いつくばっている獣だ、シャドウではない、彼は元々は初代黄金の物。正真正銘私に初めて仕えてくれたのは目の前の獣だ

 

私にとってキスとはそれほどに重い意味を持つ、だからまだ口同士でなど両親にさえ許していない・・・なのにそれを・・・っ、この黄金に気軽に触りあまつさえ許していないのにキスだと!?万死に値する!!!!

 

だが・・・殺すワケにいかない・・・私は誓った・・・『黄金の名』において「イギリス国民」は殺さないと(流石に直接危害を加えてくる者は例外だが)

だから殺せない・・・この名をそんな安っぽい物にするわけにはいかないのだ

だから獣で憂さ晴らしをした、コレは私の物だ。それに何度も言った通り「私の為に死ね」るのだ、最上の栄誉だろう

 

 

 

 

 

「・・・いつまで舐める気だ、キサマの犬臭い匂いが私に移ったらどうする」

 

「・・・本当に申し訳ありませんでした・・・どうか私に「自害しろ」と命令を。喜んで御身に心臓を捧げます」

 

「いらん、汚い。そもそもキサマは私の物だ、それに『黄金の獣』は一代につき一人と決まっているのだぞ?務めを放棄する気か?」

 

「そんな!?滅相もございません!!御身が私を捨てるその日までどうか・・・っ!!」

 

「・・・もう一度だけこの私に忠誠を誓わせてやろう。ついでだ、首輪もつけてやる。それを見てしかと誰が主でキサマが誰の物か思い出すがよい」

 

 

その場で靴を脱いで片足を上げる。そうすればうやうやしく獣が両手で私の足を支えそのまま爪先にキスをする

それを見計らい

 

「『黄金の鎖(グレイプニル)』」

 

 

細くも決して千切れることのない鎖をネックレス状に獣の首にかける

 

 

「おぉ・・・これは!」

 

「懐かしいだろ?お前を捕まえた時と同じ鎖だ。いや、この場合は北欧を思い出したかな?」

 

「いいえ!貴女様とお会いした日を思いだしておりました・・・あの日から貴女様の所有物となり、黄金の獣の名を与えられたことを忘れた日はございません!!」

 

「しからばこれをもって汝を再び『黄金の獣』に任命する、と同時に今回の失態も帳消しにしてやろう」

 

「感謝光栄の極み!再び仕える喜びを感じることにお許しを」

 

「よい、許す。・・・さっさと服を着直せ、ローブは守り通したんだろう」

 

 

今の獣は文字通りズタボロだ。だが後悔も反省もない、これは当然のことだ。だから獣も何も言わず服を着直している

 

 

「終わったな?では帰る」

 

「恐れながら黄金の君、あの男・・・どういたしますか」

 

「サインで伝えたハズだ、私が裁く、殺しはしない。・・・死んで終わらせてなるものか!!教えてやろう・・・天と地の狭間には『クルーシオ』以上の苦痛があるということを!!この侮辱は未来永劫払い続けてもらうぞ!!忌々しい詐欺師めがっ!!!」

 

 

 

 

 

 

___それはもはや死刑宣告以上の意味を持つ。1500年以上昔から黄金に纏わる伝説にこう言い伝えられている

 

 

 

 

____黄金の怒りに決して触れてはならない。もし触れたのならひたすら死ねる事だけを祈れ____と

 




ロックハート終了のお知らせ

理由___ウィラをマジギレさせた

今回は本気ではありますがまだ全力全壊ではございません(全壊はこれで合ってます)


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黄金とホグワーツ特急

今回かなり難産でした・・・

てか感想欄が岩心に対してエライことに・・・
岩心さんって二次創作だと結構優遇されるイメージがあるので
このような扱いにしましたが正解だったようですね



そこには黄金が住まうクレーリア城において決してあり得ない光景が広がっていた

 

ここはウィラの私室の一つ、通称「オタクの間」だ

ウィラが古今東西ありとあらゆる漫画やラノベを集め、もはや見ることすら不可能とされているグッズ関係が綺麗に整理整頓されている。漫画など「観賞用」「保存用」「布教用」に全てに透明なカバーがかけられ、ウィラ自身が丹念に『防護呪文』をかけていた

 

そう・・・過去形だ。何故なら部屋の中は本がバラバラに散らかり足の踏み場等一切無い、昨日あれからも怒りが収まらなかったウィラが八つ当たりしたのだ

 

そんな物で散乱した部屋をメイド達が嫌な顔一つせずあくせく片付けている

 

 

「陛下・・・これなんか手に入った時あんなに喜んでいたのに・・・」

 

「何があったんでしょうか?心配です」

 

「獣様にも当たられたらしいわ」

 

「そんな!?私の獣様が!?」

 

「こら!不敬ですよ?あの方は陛下の所有物、私達程度の存在がそのような考え許されません!!」

 

「そうですねぇ・・・みんなはここに来てどれくらいですか?私は6年前陛下に拾われてきたんですけど」

 

「私はまだ2年です。あの日・・・陛下に拾われた恩を忘れたことはありません」

 

 

そう、このクレーリア城でウィラの世話等をするメイドの殆どは元孤児だ

雨水で喉を潤し時には鼠等を食べ飢えをしのいでいた。そんなある日黄金色に輝く子供に拾われてここにいるのだ。「宛てが無いなら私の下へ来い、仕える喜びと栄誉を与えよう」と

 

 

「陛下ってホントに可愛いくてカリスマに溢れてるのよね~、ジャパニーズマンガを語る時なんか目をキラキラさせて公務の時はガラリと雰囲気変えるんだもの!最高のご主人様よね!」

 

「分かる!そういえば以前ジャパンで陛下の特集が組まれたらしいわよ?確かタイトルは『アニメを愛する国王』だっけ?」

 

「ウソ!?何で教えてくれなかったの!?私録画してない!!」

 

「でもその番組陛下は以前撮られた映像だけで本人喋ってないし後から外務大臣が抗議したらしいわよ?何でもこちらに確認も無く勝手に番組作ったんだって。で!あそこにジャパンが謝罪に送ってきたデラドンボールの作者が描いた陛下の似顔絵があったんだけど・・・」

 

「・・・陛下・・・本当に大丈夫でしょうか・・・」

 

「あとは円卓の皆様に任せましょう、どちらにしろ私達メイドの仕事は陛下やジブニール様にオレンシア様が快適に過ごせる空間を作ること。この部屋以外にも仕事は沢山あるのです!シャドウ様に怒られたくなかったら手を動かしなさい!」

 

「「「はい!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの詐欺師に不快な思いをさせられて二日たった

城のみんなには迷惑をかけた・・・とくに私のあの部屋はメイド達の憩いの場でもあったのに(薄い本とか)

 

父と母も心配してくれて思わず久しぶりに甘えてしまった

ただ事情を聞かれて話してしまい、もう少しでイギリスと戦争になるところだった・・・

 

 

 

 

 

__カツ___カツ___

 

 

「・・・コチョウ達のお仕置きはもう治ったか?」

 

「はい、久々に死ぬかと思いました・・・冥府の劫火でもあそこまで酷いことになりません」

 

 

私の事情を聞いた円卓・・・とくにコチョウとシャドウだ。獣を地下牢に入れ拷もn・・・お仕置きしたのだ

 

 

「まさか・・・コチョウの奴9本全部(・・・・)出したのか?」

 

「そのまさかです。流石は極東で時折神と同列視されるだけはあります」

 

「まぁアイツは色々お前以上に特殊だからな、神から生み出されたお前でもそうなるか・・・」

 

 

目当ての場所に着いたので顔を上げる

 

そこには『偉大なる黄金』『始まりの黄金』そして私が唯一敬愛するヴァンシエル・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア陛下の肖像画があった

 

 

「やはり私とよく似てますね」

 

「たわけ、陛下がお前に似てるんじゃない。お前を陛下に似せたのだ、勘違いするな」

 

「申し訳ありません・・・」

 

 

獣が私に頭を下げるが・・・私の心はそれどころじゃなかった

 

部屋に八つ当たりしても気が収まらなかったのでコチョウのモフモフの尻尾に癒してもらおうと彼女を呼んだのだ・・・そこでこう言われた____

 

 

__御身はわらわが出会った中でも最上の君・・・覇王では無く王でございます。ならば歩むべきは覇道ではなく王道・・・どうか・・・わらわ達を置いてそちらに行かないでくださいまし・・・

 

 

コチョウ以上に様々な王を見定めてきた者を私は知らない・・・だからかなりショックだった・・・

 

私は自他共に認める王だ、覇王では無い、覇道など興味もないし歩みたくもない。私が目指す最高の君主とは常に民と歩み続ける王だ

 

だが・・・獣に魔法を放った時の私はどうだった?まさに血と暴力に塗れた覇王だったのではないか?

 

 

「・・・陛下・・・貴方様が今の私を・・・御身の子孫をどう思われますか?貴方が使ったとされる聖槍を私は受け継ぎました・・・ヴァンシエル陛下・・・貴方様はどんな気持ちでエルドラドを建国成されたのですか?どんな気持ちで・・・クレーリア様や民の為に死んでいったのですか・・・?」

 

 

陛下の絵は何も語りかけてはくれない、静かに微笑んでいるだけだ

この『黄金の瞳』には何も映らない・・・この方ならこんな時どうするのだろうか・・・

 

だが・・・声だけは確かに聴こえた・・・

 

 

「恐れながら黄金の君、私はヴァンシエル陛下とお会いしたことはありません。ですがこれだけは言えます!私はヴァンシエルなる男に負けても仕えはしなかったでしょう、それは他の黄金円卓の者達にも言えること。我等が君はウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア様、貴女様だからこそこうして集い忠誠を誓ったのです!!」

 

 

・・・背後で獣が声を張り上げる、きっと跪いていることだろう。その程度振り向かなくても分かる

 

 

「・・・誰がキサマ等の物だ、自惚れるな獣風情が」

 

「・・・」

 

「・・・そうだ・・・卿は黄金の獣・・・ただ一人黄金円卓においてその名を名乗ることが許される最強の座・・・この私の最側近」

 

「黄金の君・・・」

 

「もう大丈夫だ。・・・コチョウも言ってくれたじゃないか__我こそは最上の君、黄金の君である」

 

「っそのとおりでございます!我等の頭上に輝けるは黄金、貴女様のみです!」

 

「礼を言うぞ獣、そしてコチョウにもだ。おかげで私の目指す王道を今一度確認できた」

 

「その言葉、コチョウ殿が聞けばそれだけで朝廷を滅ぼしそうです」

 

「ふふっ、確かに!さぁて行こうか、ニール達を随分待たせている。獣、我に付き従え」

 

「永遠に共にあります、黄金の君」

 

 

 

 

今回連れて行くニールとウォーカーと合流し、私のクルーザーへと向かう。と言うのも今回は汽車でホグワーツに向かうためだ

 

 

「卿等にも心配かけたな、ニール、コレクションを買い直すから私の持つアメリカの○○株を1000程船の電話を使って売りに出せ。レートは確認していないが10万ドルくらいにはなってるだろ、余りは全て公共事業や福祉に回せ。金なんぞすぐに溜まる、少しでも民に還元しないと」カツカツ

 

「御意、・・・陛下、もう落ち着かれましたか?何ならウォーカーを使って憂さ晴らしでも」

 

「私は構いません、この命で陛下がいつまでも輝くのであれば」

 

「私は暴君ではあるが暗君ではないよ。・・・いや、でもどうせ死なないんだしそれもいいかも・・・?」

 

「そういえば黄金の君、()は今回連れてこなかったので?」

 

「アイツなら勝手について来てるだろ、確かに彼はペットではあるが同時に互いを認め合った友だ。彼を籠に閉じ込めるようなまねはしたくない」

 

「ではそのように」

 

 

 

 

 

 

 

船がイギリスにつき、まずはエルドラドの大使館へと向かい、労いとエリーへの忙しくて今回はいけないという謝辞の手紙を託す

 

 

 

リムジンに乗り世界一有名な駅、キングス・クロス駅を目指す。すると途中見知った顔が___

 

 

「ん?あれは・・・停めろ運転手」

 

 

___ザワっ!  え、リムジン!? どこのセレブだ・・・? てかこのナンバーって外(交)車じゃ!?

 

 

「・・・えっ、何で?」

 

(ガチャ)「お久しぶりですハーマイオニー殿、覚えておられますか?」

 

「え、獣さん!?」

 

「そのとおりです、黄金の君が是非一緒にと。そちらは御両親方ですか?そちらもどうぞ、シャンパンも備えておりますので」

 

 

 

ハー子を拾いそのまま向かう、残念ながら御両親は乗ってこず、首をすごい勢いで横に振られハー子を乗せた瞬間どっかに行った(何でみんな私が提案すると横に振るんだろう・・・)

 

 

「何でだ・・・夏休み私の両親とも会ったじゃないか・・・」

 

「やりすぎよ!!外(交)車なんて人生で乗る機会なんてないわ!!貴女ホント何様よ!?」

 

「王様だが?何か飲むか?シャンパンとドンペリならある」

 

「飲まないわ!!というか何でお酒ばかりなの!?しかもどれも高すぎぃ!!」

 

「王族の社交界では普通だ、しょうがないなもう・・・ニール紅茶」パチン!

 

「御意」

 

「あれ?シャドウさんとアルヴィーさんは?」

 

「今回はコイツ等だ・・・そういえば会うのは初めてだな、自己紹介しろ」

 

「初めまして素敵なレディ、私は黄金円卓第7席次ニーゲンベルグ・L・ロウと申します。此度は陛下の護衛を勤め上げるべく参上いたしました。よろしくお願いします」ニコ

 

「ひゃっ///はい・・・///!」

 

「私はウォーカー・ノエルバイン。ニール殿と同じように陛下に仕える黄金円卓第8席次でございます」

 

「はい・・・お願いします///」っぽぉ~

 

「・・・おい、私の友達を口説くな、見境無しかキサマ等」

 

「__?何のことですか?」

 

「いや、ニール殿はいつもじゃないですか。それに私には御身の輝きしか見えておりません」

 

「__はっ!そうよウィラ!あの後大丈夫だった?その・・・あの人にキスされたこと・・・」

 

「・・・」ニッコリ

 

「・・・これ以上は止めとくわ」

 

「ありがとうハーマイオニー、さ、駅につくまで時間はまだある。色々話しながら紅茶を楽しもう」

 

 

 

 

 

 

 

 

__駅につくと急いで9と4分の3番線をくぐり抜けた、というのも何故か私達が到着した瞬間私の身分がバレそうになったからだ!

 

 

「何でバレそうになった・・・ちゃんと車は遠くに停めたし・・・普通の服に眼を隠すサングラスまでしてるのに・・・」

 

「そりゃそうなるわよ!!言うの忘れてたけど貴女その服最高級ブランドでしょ!?」

 

「え、そうなの?プライベートはだいたいコレだしブランドなんか興味ない」

 

「セレブが載ってる雑誌以外で見たことないわそんなの・・・」

 

 

ハー子と話しながら汽車に乗ろうとすると生徒に何人かが近づいて来る・・・またか・・・

 

 

「あの・・・陛下私は・・・」

 

「下がれ、今の私はただのウィラだ。それともこの私を不快な気持ちにしたくて近づいてきたのかな?もう一度言う・・・下がれ」

 

 

そう言えば生徒達がすごすごと引き下がっていく

この光景は去年もあった、私に顔を覚えてもらおうと貴族の生まれや名家の者が部屋の前でひたすら出待ちしていた事もあった。それだけ黄金の・・・国王と親しいというブランドが欲しいのだろう(もしくは両親に言われてだろうな)

 

 

一連のやり取りを見られて他の生徒達も私に気づいたようだ、騒めきが大きくなるがいつもの事だ気にしない

 

そのままハー子と共に空いていたコンパートメントに座る

 

 

「毎回思うけど・・・ウィラって本当に大変ね」

 

「あぁ、勘弁してほしいよ。今の私はただの生徒なのに・・・」

 

「いや普通の生徒は得点を配分しないと思うわ」

 

「言い方を間違えた、今の私はただの王にして生徒だ。・・・お尻が痛いな、獣、クッションを出してくれ。ハーマイオニーのぶんもな」

 

「御意」

 

「わぁ!すごい!そのローブ『検知不可能・拡大呪文』がかけられているの?すごい難しい呪文なのに!」

 

「ニールがかけた、彼は魔法使いなんだ」

 

「きっと凄い魔法使いなんでしょうね、だって貴女の騎士様なんだもの」

 

「クスっ、ハーマイオニー殿、私は確かに魔法使いですが魔法の腕で選ばれたわけではありません」

 

「そういうことだ、そもそも魔法使いならこの私さえいればいい。他の魔法使い等邪魔なだけだ」

 

「じゃあウォーカーさんは魔法使いじゃないの?・・・そういえばどこかで見たことがあるような・・・」

 

「私は・・・確かに魔法は使えますが・・・」

 

「コイツについてはホグワーツに着いて説明しよう。どっちにしろ向こうで必ず聞かれるんだ」

 

「__?まぁ貴女がそういうなら」

 

 

 

その後も色々話した。普段こんな感じで女友達とおしゃべりしないから凄く楽しかった!

 

ただ・・・

 

 

「でね?バーパティとラベンダーなんか毎日獣さんのサインを眺めて!」

 

「コイツの何がいいんだか」

 

「もう!貴女は毎日見てるからそう言えるのよ・・・って・・・え!?なにアレ!?」

 

 

 

ハー子が窓の外を見て驚愕しているので私もつられて見るとそこには___

 

 

「・・・何で車が飛んでるんだ・・・?」

 

 

 

 

 

 

 




ウィラが獣をヴァンシエルに似せたのは
尊敬する人に近くにいてほしいという気持ちが
あったからです
(それでも本人と獣は違うとちゃんと割り切ってます)




活動報告に思い付きで初代黄金のダイジェスト書いてます
もしよろしければどうぞ


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黄金と2年目のホグワーツ

サクサク書けたので投稿します


汽車が駅に到着した、だが私の心は先程の車のことでいっぱいだった

 

(何故だ・・・まさかドビーは私が分霊箱を壊したことを知らないのか?だとしたら別の意味で危ないな、腕の骨折どころじゃ済まなくなる危険性もある)

 

 

ハー子は本当にあの車に乗ってたのがハリー達だったのか気になり汽車が到着した瞬間探しだした

 

 

私も汽車を降りホグワーツに行く為馬車へ向かう、するとそこにはセストラルがいた

 

 

勿論私には見えている___『死を認識しないと見ることができない』一見ハリポタ世界は夢と希望に溢れているが時に残酷だ

 

 

「天馬の一種ですか、そういえば森にはユニコーンがいるのでしたっけ?」

 

「そういえばそうだな、獣、ユニコーンってどんな感じだ?」

 

「処女しか興味の無い変態ばかりですよ、私は面白がって殺しては血を無理やり別の個体に飲ませてましたね」

 

「私もしたことあります、ルーマニアでもユニコーンはいたので。中々楽しめますよ?『ユニコーンの血を飲んだ者は呪われる』ですから血を飲んだユニコーンは何とか死のうと自ら火に飛び込んだり殺してくれと懇願して来るのです」

 

「えぇー・・・お前等いつから愉悦部に入部したんだよ・・・」

 

「というか陛下、何故かセストラル達がこちらを見て怯えているのですが」

 

「どうせ今の話を聞いたかウォーカーと獣の気配だろう」

 

(((いえ違います、そこの貴女です・・・)))ガクブル

 

 

 

 

 

 

 

 

城に着き大広間へと向かう途中スネイプてんてーが見えた!(キャー!てんてー!)

ただその前をハリー達が歩かされていたので大方暴れ柳でも折ったのだろう

 

(・・・何かおかしくないか?去年は分かる、ほぼ原作通りだった。だが今年はすでに私が色々介入し日記もすでに破壊済だ、何か感じる・・・早めにバジリスクを殺そう)

 

 

「黄金の君?何か考え事でも?」

 

「いや、何でもない。それよりウォーカーだ、大広間に入った瞬間杖を向けられても攻撃するなよ?」

 

「・・・ご迷惑をおかけし申し訳ありません・・・」

 

「それも含め円卓に入れたのだ、卿の悪名あればこそ私は卿を円卓に誘いたくなった。ならば誇れ」

 

「・・・感謝の極み」

 

「うむ。さて、吉と出るか凶と出るか・・・」

 

 

獣達に扉を開けてもらうと・・・

 

 

____ザッ!!!

 

 

先程まで騒いでいたであろう生徒達に静寂が訪れる、それもそうだろう。教師陣が一斉に私・・・いや、私の後ろにいるウォーカーに杖を向けたのだ

 

 

「はぁ・・・やっぱりこうなるか・・・」

 

「ミス・エル・ドラド!!貴女は一体何を考えているのですか!?」

 

「どうしたんですか先生方!王様に杖を向けるなど失礼な!・・・もしかしてこれはホグワーツ流の私の歓迎会ですか?では私が本にように見事な立ち回りをいたしましょう!」

「ミスター・ロックハート!!何をふざけているのですか!?・・・ミス・エル・ドラド・・・汽車から連絡を受けた際私は耳を疑いました!!」

 

「__?何故ですかマクゴガナル先生」

 

「ウィラ殿・・・お主の後ろにいるのは・・・あのノエルバイン(・・・・・・)じゃな?」

 

「そうですよ校長、彼の名はウォーカー・ノエルバイン。_____吸血鬼です」

 

 

数瞬のち・・・大広間が一斉に阿鼻叫喚となる。その様は去年のトロール如きではない

 

 

__ノエルバイン!?あの!? イヤァァアアア殺される!!? 頼むから殺さないで!!

 

 

 

ウォーカーの名は私が与えた、彼がデイウォーカー(日の光を浴びる者)だったからだ

 

ノエルバイン、この名を知らぬ魔法使いはいない。現に騒いでいる者の大半は魔法使いの家系の者だ。『ノエルバインの悲劇』___そう言えば誰もが知っている。史上最悪の吸血鬼が起こした事件

100年程前のある晩500人程の魔法使いの村に住む全員が殺された・・・首に血を吸われた痕を残して

痕が全て同じだったので魔法省は犯人を一人と断定、以来その吸血鬼を100年に渡り追い続けた

だが・・・長い歴史の中で送り出された魔法戦士は1200人、その全てが生きて帰ることは無かった・・・全てウォーカーが殺したのだ

 

彼と出会ったのはルーマニアの奥地だった、それほど強いのなら私の騎士にふさわしいとピクニック気分で行ったのだ!

初めは「吸血鬼を下僕とするなんてインテグラのようじゃないか!」とはしゃいだ

だが・・・はっきし言って弱かった・・・私から言わせてみれば「ただ死ぬしか能が無い」奴だったのだ(何故誰も討伐できなかったのか不思議に思ったものだ)

 

100回程殺して飽きたので帰ろうとすると、どうしても私に着いて来たいと言うので『dies irae』に耐えれたらOkと言いそれなりに全力で放った(確か国有林の7分の1が消えたっけ?当時はどこが核を撃った!?と騒ぎになったものだ)

 

 

結果見事に耐えきり、彼は円卓内でも唯一その死んでも蘇るという特性を活かし私の『盾』となった

 

 

 

(・・・いい加減煩いな・・・)

 

 

『ソノーラス』(響け)を使い騒いでいる者達に一言告げる

 

 

『騒がしい、静かにしろ。たかだか吸血鬼じゃないか、思い出せ、去年連れて来たアルヴィーなんかドラゴンだぞ?卿等はドラゴンより吸血鬼が恐ろしいのか?』

 

 

 

そう言うとようやく生徒達が落ち着きを取り戻す

 

 

 

「確かにそうじゃが・・・ううむ・・・」

 

「安心しろ、襲わせはしない。もし生徒を襲えば私が殺す」

 

「・・・あい分かった・・・さ、席につきなさい」

 

 

 

 

 

 

 

組み分けの時間となり新一年生達が名前を次々と呼ばれる。でも私の心境はそれどころじゃなかった。何故かって?

 

 

「・・・申し訳ないミス・エル・ドラド、あの不埒な男には吾輩達からきつく言っておこう」

 

「いっいえ・・・そんな///」

 

 

そう!何と私の隣にはスネイプてんてーが座っている!思わず初めてダンブルドアに感謝するくらい嬉しかった!!(ナイスゥ!(建前)ナイスゥ!!(本音)

 

 

私が座っている席は何と驚け!教師達と同じ所だ!(どうしてこうなった・・・!?)

 

まぁ理由は分かっている、と言うのも私は結局所属する寮を決めず去年と同じように各寮の授業を回ることに決めたのだ!

組み分け帽子が最後まで決められなかったのもあるし、1年間4寮を回りそれぞれの良い所を見た私としては今のように回りながら授業を受けたくなったのだ

ダンブルドアも初めは渋っていたが仕方ないと了承してくれた(何故か教師達は胃薬を飲んでいたが・・・何で?私良い子じゃん)

 

 

席に座る途中詐欺師が私にウィンクしてきた・・・あぁ・・・何という無礼者か・・・

 

(必ず罰は受けてもらう・・・だが安心しろ、殺しはしないさ・・・殺しは・・・な)

 

 

組み分けが終わり宴の時間となった、なので折角だから隣にいるてんてーと沢山お話ししよう!

 

 

「先生、今年も先生の研究室に行っても?」

 

「勿論だともミス・エル・ドラド、吾輩も頼もうとしていた所だ」

 

(ほあぁああ!!てんてーに求められてる私!やべ、ニヤケそう)

「とても嬉しいです、先生と議論を交わすのはすごく楽しいですから」ニコ

 

 

 

「・・・見なよハリー、あの時あれだけ不機嫌だったウィラが笑ってらぁ」

 

「・・・スネイプと何話してるんだろう・・・僕だったらあんな奴と話すくらいならロックハートの自慢話聞くほうがまだマシなのに」

 

「・・・もしかして・・・ウィラってスネイプ先生のことが好きなんじゃないの?」

 

「はぁ!?ハーマイオニー気は確かかい!?あんな奴嫌いになる理由はあっても好きになる奴なんか世界中どこ探してもいないよ!!」

 

「でもロン、ウィラって去年もスネイプのこと庇ってたよね?」

 

「アレは実際僕等が間違ってただけさ、クィレルが犯人だなんて思うもんか。十人中十一人がスネイプを犯人だと思うに決まってる」

 

「あ!ロックハート先生がウィラに・・・」

 

 

「ハハハ!何の話しをしてるんですか~?スネイプ先生いけないなぁ~!王様を独り占めなんて!私にも加わらせてくださいよぉ!」

 

「・・・」(ピシっ)

 

「獣殿我慢です。陛下ご自身が我慢されておられるのですよ?」ボソ

 

「ですがウォーカー!あの者は黄金の君をまるで物のように!?」ヒソヒソ

 

「陛下はお望みではありません、それに言われたではないですか。アレは陛下の獲物です」

 

「・・・分かりました」

 

 

「・・・先生、申し訳ないが体調が急に優れなくなった」

 

「ミスター・・・ロックハート、悪いがもうじき宴も終わる。席に戻るといい」

 

「おや?もうですか!いやぁ美しい女性を見てると時間の進みが早い!」パチン☆

 

「ッ!?」ガタッ!!

 

「・・・よせ、吾輩にお前を止めさせるな」ボソ

 

「っ!・・・すみません」

 

「いや、気持ちは吾輩も同じだ・・・何故校長は吾輩では無くあのような男を・・・っ!」

 

「・・・先生、ご安心を・・・すぐ消しますから」

 

「どういう意味だ・・・」

 

「さぁ?おっと宴も終わるようです、続きはまた今度」

 

 

 

 

宴が終わりダンブルドアが挨拶を始めた

 

途中新しい『闇の魔術に対する防衛術』の教師として詐欺師が紹介され、爽やか(私から見れば胡散臭い)笑みを浮かべるが・・・1年生の女子しか反応せずその1年生の女子も大半が私の後ろにいる円卓の3人に目を奪われている(はっ、ざまぁ見ろ)

 

 

すると最後にダンブルドアが私のほうに視線を向け、それにつられて生徒達も私を見て来る

 

 

「皆気になっておるだろうが彼女はエルドラド王国国王、ウィラ殿じゃ。彼女がここに座っておる理由を2年生以上は知っておるじゃろうが彼女はどこの寮にも所属しておらん、ゆえに今年からこのような祝い事の席は我々教師と同じ席に着いてもらうことになった!ウィラ殿、できれば一言ほしいのじゃが」

 

 

そう言われ、私も席を立つ

 

 

「紹介に預かった。知っている者も多いだろうが私は第79代エルドラド王国国王ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア、気軽にウィラと呼んでくれて構わん。私は確かに国王だが今は卿等と同じ生徒だ、だからそのように扱ってほしい。あと私の後ろにいるのは我が黄金円卓の騎士達だ、私の護衛を務める。新一年生達は先程の事を知らんから言っておくが緑の髪の男、名はウォーカー・ノエルバイン、あのノエルバインだ」

 

するとやはりと言うべきか軽い騒ぎが起こる

 

 

「静まれ、ノエルバインなる吸血鬼は死んだ、ここにいるのは私の騎士であるウォーカー・ノエルバインだ。そもそも卿等が入学する一年前私はドラゴンを連れて来たのだぞ?考えてもみろ、吸血鬼とドラゴンどちらが怖い?」

 

 

するとやはり一年生達も落ち着いてきた・・・というかたかだか吸血鬼やドラゴン程度何が怖いのか・・・獣やコチョウは更にヤバイのに・・・

 

 

「ハハハ!皆さんご安心を!この私、ギルデロイ・ロックハートがいる限りどんな野蛮な生き物も取るに足りませんから!ハハハ!」

 

(あぁ・・・ウザい・・・コイツもウザいし杖もウザい・・・折るぞテメェ・・・あぁん?てか詐欺師風情がこの私の騎士を野蛮だと?決めた、殺してくれと叫ぶまでいたぶってやる)

 

例の魔法(・・・・)を使うと決めていると宴が終わり生徒達も自分の寮へと歩きだした

私も色々と・・・そう色々と疲れたのでハリー達に話を聞くのは明日にして「黄金の間」に足を向けようとするが・・・

 

 

「ハハハ!ウィラ(・・・)!驚いたかい?さっき紹介にもあった通り今年からこの私!ギルデロイ・ロックハートが防衛術の先生さ!気軽にギルデロイ先生と呼んでくれて構わないからね!」パチン☆

 

 

____だ・れ・が・キサマなんぞに名前を呼んでいいと言った?

 

 

きっと今の私はすごい表情をしているのだろう、マクゴガナルやダンブルドアが私を見て顔を青くしている

 

 

「そこまでですぞミスター・ロックハート、ミス・エル・ドラドはどうやら慣れない汽車で疲れたようだ。___ミス・エル・ドラド今すぐ戻れ」ボソ

 

「・・・・・・助かります・・・」

 

「ちょっと先生!私はただ!!」

 

「ミスター・ロックハート!彼女はいくら生徒であっても国王、失礼をとってはなりません!・・・ミス・エル・ドラド、貴女の明日からの授業表を後で部屋に持っていってもよろしいですか?」

 

「えぇ、マクゴガナル先生なら大歓迎です。紅茶を用意してお待ちしてます」

 

 

そのまま大広間を出る。途中何やら騒いでいたが・・・それどころじゃない

 

 

 

___コツ__コツ____

 

 

「・・・陛k「アバダケダバラ」____・・・申し訳ありません・・・」

 

「部屋についたら取りあえずあと五回殺させろ、気が収まらん」

 

「御意」

 

「獣殿、私はてっきりダンブルドア程度の魔法使いとばかり」

 

「・・・言い訳は致しませんニール殿、全ては私の不手際」

 

「当然だ。そしてニール、アレは魔法使いではなく詐欺師だ・・・着いたな、『我こそは黄金なり』」

 

 

 

 

__部屋は相変わらず綺麗なままで私を暖かく出迎えてくれた、それだけで少し気持ちが落ち着く

 

 

「クレーリア城以外でこれを言うのは初めてだな・・・ただいま」

 

 

椅子に座りニールに紅茶を頼み、マクゴガナルが来るのを待つ

 

 

「・・・やはりシャドウと比べると・・・なぁ」

 

「シャドウ殿と比べられる時点で光栄です。これからも精進いたします」

 

「まぁ確かにな、だが卿の腕なら店も出せる」

 

「恐れながら陛下、私は死ぬまで貴方様の騎士です」

 

「よい、許す。せいぜい私を満足させろ」

 

 

しばらくすると部屋にノックが響く、どうやらマクゴガナルが来たらしい

 

ニールに扉を開けさせるとマクゴガナルが部屋の内装を見た瞬間目をしどろもどろさせていた

 

 

「このような部屋が・・・ホグワーツに・・・」

 

「ようこそマクゴガナル先生、この部屋に他者が入るのは貴女が初めてです」

 

「・・・ミス・エル・ドラド、貴女の立場も理解しています。ですが・・・この部屋はあまりにも豪華すぎませんか?」

 

 

マクゴガナルがそう言うのも無理はない、この私から見てもこの部屋は素晴らしいのだ(流石にクレーリア城程ではないが)

 

 

「ですが先生、これらは全て創設者達4人がいずれ来る『黄金』の為に用意してくれた物です。ならば受け取らなければ彼等の義理を踏みにじる事になる」

 

「・・・それが貴女の判断ですか?」

 

「えぇ、黄金の君としての」

 

「・・・分かりました。ハァっ・・・生徒達の何人かがやけに高価な宝石を多数持っていましたが・・・謎が解けました、更に何故その宝石に魔法がかけられていたのかも」

 

「・・・彼等も生徒のためなら喜んでくれると思ったんです」

 

「まぁ貴女からの贈り物です、売るような者はまずいないでしょう。ですがもう少し貴女は金銭感覚を養うべきです!友人からの贈り物が宝石など!貴女ならどう思いますか!」

 

「え、とくには・・・」キョトン

 

「・・・エルドラド王国の徴収税が心配だわ・・・」

 

「む、失礼ですね。これでも無駄使いはしない主義ですし、私が国王になってからはエルドラドの貿易額は鰻登りです。証拠を見せましょうか?」

 

「いえ結構、これ以上私の胃を虐めないで・・・」

 

(・・・え?先生もなの?)

 

 

一端話しを止めニールが淹れてくれた紅茶にお互い舌鼓をうつ

 

 

「どうぞマクゴガナル殿」コポポ

 

「ありがとうございます____・・・何と美味しい・・・!素晴らしい腕ですわニーゲンベルグ卿!」

 

「ニールで大丈夫です。それに私程度の腕、シャドウ殿のほうが上です」

 

「・・・大変失礼と分かってはいますが・・・人間・・・ですか?」

 

「えぇ、ごく普通の魔法使いです」

 

「(ホッ)よかったです、ですが・・・あのノエルバインが生きてしかも貴女の騎士になっているとは・・・」

 

「世間では死んだとされていますからね、血も出会ったあの日から一滴も飲ませてません」

 

「・・・自分でもおかしな質問だと思いますが、その・・・平気なのですか?」

 

「マクゴガナル殿、私にとって血とは殺した証のような物。それにこの程度我慢できなければ陛下の騎士など務まりません」

 

「・・・伝説と随分違いますね。分かりました、校長にもそう伝えておきましょう」

 

「助かります。何度も説明などしたくもないので」

 

「では、これが今年の貴女の時間割です」

 

 

渡されて目を通すが・・・グリフィンドールが多いな、ダンブルドアの差し金か

 

 

「分かりました。明日はさっそく先生の授業ですね、楽しみです」

 

「それは良かったです。・・・ところで・・・ミスター・ロックハートと一体何が?」

 

「・・・先生、マクゴガナル先生、人には聞かれたくない事に一つや二つあるものです」

 

「・・・分かりました」ゴクリ

 

 

 

 

マクゴガナルが出ていこうとし、ニールとウォーカーが見送りに行く・・・先程から何故獣は動かん

 

 

「・・・何をしておる。キサマ客人を前にして随分良い身分だったな」

 

「っ申し訳ありません!ですが・・・」

 

「何だ」

 

「・・・どうやらバジリスクが起きたようです。今は寝ぼけているようなので今暫くは動かないでしょうが・・・」

 

「何?・・・馬鹿な・・・スリザリンの継承者はいないし・・・お前の気に中てられたか?」

 

「ありえません、私はこのホグワーツで一度も「神獣」としての気配を出していないのですよ?」

 

「獣殿、もしやアルヴィー殿では?」

 

「理屈が合わん、何故今なのだ・・・少し急ぐか、今度の休日に殺しにいこう。何か嫌な予感がする・・・」

 

「・・・黄金の瞳に何か写りましたか?」

 

「いや、でも感じる・・・今年は去年と比べなにかがおかしい・・・勘違いであってほしいが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「___そうか・・・ミネルバよ、どうやらノエルバインが生徒を襲うことはなさそうじゃな」

 

「えぇアルバス、あの様子ではあの子の命令に絶対服従でしょう」

 

「去年は『ブリテンの白き龍』今年は『至上最悪の吸血鬼』・・・まことに恐ろしいのう・・・」

 

「先程ロックハートを見る目を見ましたか?」

 

「うむ、人とは目だけで殺せるのかと思わず思ったわい」

 

「アルバス・・・私はあの子の予言を知っています。いえ・・・魔法界で知らぬ者などいないに等しいでしょう・・・ですが今まであの子を・・・ミス・エル・ドラドを怖いと思ったことはありませんでした」

 

「・・・まさか予言が差した『偉大なる黄金』とは初代の方なのか・・・?幸いセブルスが去年と同じように監視を申し出てくれておる。今まで以上に注意深く監視せねば」

 

「・・・やはり『黄金』をこのホグワーツに入れたのは間違いではなかったのですか?」

 

「たとえそうじゃとしても儂等がヴォルデモートに勝つためには彼女が必要じゃ、黄金の持つ力はそれだけ強大じゃからな、ミネルバ、お主も悟られぬよう彼女のことを頼んだ」

 

「・・・分かりました」

 

 




何故バジリスクが目を覚ましたのかはいずれ語りたいと思います


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黄金と防衛術の授業

しばらくウィラは不機嫌です
(彼が同じホグワーツにいるので)

さて、いつ退場させようか



朝になり公務を終わらせ早速ハリー達に昨日の車のことを聞く

やはりと言うべきか駅構内に入れず仕方無くロンの父君の車で来たようだ

 

 

私は昨日と同じく教師陣の座る席で食べている。と言うのもてんてーと少しでも話したかったのだ!(言わせんなよ恥ずかしい!!)

 

ちなみに昨日の件で詐欺師は私から一番離れた席になった

正直半径30キロメートルにアレがいる時点で不愉快だが、てんてーといる時間には代えられない

 

しばらくするとグリフィンドール席で怒号が響く、どうやらロンに『吼えメール』が届いたらしい

 

(・・・良い母君じゃないか、ロン、勘違いするなよ?それだけお前のことが心配だったんだから)

 

手紙が自ら破られると、とたんにスリザリン席からゲラゲラと嘲笑う声が聴こえる。___なので無言呪文でとりあえず『シレンシオ』(黙れ)を放つ

 

 

「__っ!?」 「~~~っ!!」

 

「人の家族を笑うな、不快だ。次はその口を呪文では無く針で縫い合わせるぞ?」

 

「「「「~~~~っ!!!」」」」コクコク!!

 

 

ドラコは笑うことは無かったが周りを見て顔を青ざめている

 

 

「・・・ミス・エル・ドラド、吾輩の生徒達に手を出すな」

 

「当然の事をしたまでです。私は家族を馬鹿にする人間が大っ嫌いだ」

 

「やりすぎだと言っておるのだ、ミス・エル・ドラドから-50てn・・・チッ、そういえばお前からもう点を引く事はできないのだったな」

 

 

そう、私はどこの寮にも所属していない為点数など無意味だから止めてくれと頼んだのだ

ゆえに私には点を足される事も引かれる事も無い、別に惜しくもないしそんな物に左右されるよりも学校生活を楽しみたいのだ!

何よりこの私を評価するだと?1年の時は楽しめたが今では我慢ならんな

 

 

食事を終え、一応私も取っている「日刊預言者新聞」を読んでいると・・・

 

 

「・・・ふぁ!?」

 

そこには・・・

 

『~~ダイアゴン横丁の郊外に謎のクレーター!?

 

先日ダイアゴン横丁に未知の揺れが観測された!

記者が向かうとペット達が大量に怯え、何匹も死んでいた!生き物に詳しい学者に聞くと「よほど恐ろしい何かを感じたのだろう」と今回のクレーターが関わっている可能性を示唆した!

 

そう!先程から何度も言っている通り郊外に大規模なクレーターが発生していたのだ!

酷い所では深さが30m程もあり、所々がガラス化していた!このような光景は様々な場所を取材した記者でさえ見たことが無い!

 

しかも当日には何と今現在も世間を騒がせ続けているエルドラド王国現国王!ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア陛下がダイアゴン横丁に買い物をするため来訪されていた!当日陛下はとても不機嫌だったようで・・・_____』

 

 

新聞から顔を上げてみると・・・生徒から先生まで皆が私のほうを見ていた

 

 

__じー・・・_______

 

「ちっ、違う!!私は知らない!あー!シラナイナァ・・・!!!」ダラダラ

 

「・・・ミス・エル・ドラド、吾輩の目を見ろ」

 

「・・・」プイ

 

「目を逸らすでないわ!!キサマだな!?」

 

「はて?何のことですかな?すみませんが私への質問はエルドラド王国の大使館を通してお願いしたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・ふぅ、何とか誤魔化しきったな!!(たぶん)

てんてーからは「今度吾輩の研究室に来たら覚えておけ」と言われたが・・・マジすか!?何だよご褒美じゃんか!

 

ただ・・・軽く国に問い合わせた所、預言者新聞とイギリス魔法省からの問い合わせがスゴイらしい、ゴメン外務省・・・今度何か奢るわ

 

 

 

朝食を済ませ私はグリフィンドールと共に最初の授業である『変身術』の教室へと向かう

 

すでにマクゴガナルがいて、授業開始の時間になると共に出席を取りはじめ私の番になる

 

 

 

「ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア」

 

「はい」

 

「よろしい・・・ですが残念です、貴女なら必ずグリフィンドールを選んでくれると思ったのに」

 

「そうだよウィラ様!」 「今からでも遅くないからグリフィンドールになっちゃえよ!」

 

「いやぁ、何か縛られる感じが嫌いで・・・それに去年4寮を回りましたがどこも良い所です」

 

「そうですか・・・分かっていると思いますが貴女への点の足し引きは無く、そもそも点数すら持つことはありません。本当によろしいのですね?」

 

「えぇ、それも含めてどこにも所属しないと決めましたから」

 

「なんと勿体ない・・・初め私達教師は貴女を自身の監督する寮に入れようと躍起になっていたのに、貴女さえいればある意味寮杯獲得は確実ですからね」

 

「だからこそです。私がいては他の生徒達の努力が無駄になる・・・そんなの悲しいじゃないですか」

 

「何と!そこまで考えていたとは!教師を続けて長いですが貴女のその視点には時折驚かされます」

 

「それは光栄です先生、私も貴女のことは尊敬していますので」

 

「おっと、私としたことが無駄話が長くなりました。では早速ですが夏休みの課題を出してもらいます」

 

「「「「えぇ~!!」」」」

 

「いいから出すのです!もしやっていなかったら課題の量を増やし今週中に出してもらいますからね!!」

 

 

 

___マクゴガナルの授業は相変わらず分かりやすくて、彼女がいかに優れた教師か毎度のこと思わされる

 

他の授業も初日ということもあってか全てグリフィンドールと一緒だった(どんだけ依怙贔屓するんだよダンブルドア・・・)

 

全て去年と比べて難易度があがり、とくにロンやネビルが悲鳴を上げていた

悲鳴と言えば『薬草学』の授業がスリザリンと合同であったが・・・

 

「ミス・エル・ドラド!何故耳あてを付けないのですか!」

 

「え、だってスプラウト先生、ホラ」ズポっ

 

「っ!?みんな今すぐ耳を塞いで・・・え?」

 

 

私が無造作に引き抜いてもマンドラゴラが悲鳴を上げることは無く、むしろ私にお辞儀してきた(どこかのお辞儀大好き馬鹿じゃないからしなくていいんだよ?)

 

 

「・・・ワケが分かりません・・・説明してくれますね?」

 

「私の『黄金』に反応してるんですよ、どんな植物でも大抵は私を前にこのようになります。以前『暴れ柳』に近づきましたが勝手に大人しくなりましたよ?」

 

「こんな所にも作用するのですか貴女の血は!?どれだけ規格外なのですか!?」

 

「黄金ですので」

 

 

__と言った感じで全然授業にならなかった(ちなみにドラコは映画通り指を噛まれ、ネビルの引き抜いたマンドラゴラは悲鳴を上げようとした瞬間私に気づき、勝手に枯れた・・・何故だ・・・)

 

 

 

 

 

 

そして・・・とうとうあの授業の日となった・・・今回もグリフィンドールだ

 

 

教室には生徒達が持ってきた教科書(その数何と7冊!)その全てにはあの詐欺師の顔がっ!!バーパティやラベンダー何か顔を赤くしてやがる・・・何がいいんだか

 

 

「あれ、ウィラさん教科書は?」

 

「捨てた、そんな紙屑同然のモノなど・・・他の教科書に失礼だ」

 

「そこまで言わなくてもいいじゃない!良い本よコレ、面白いし」

 

「ラベンダー、面白い本が読みたいならジャパンの漫画を読め。あちらのほうが遥かに面白いし胸躍る」

 

「でもこれロックハート先生ご自身が書かれた教科書よ?全部ホントのことみたいだし」

 

「くはは!なるほど!マスメディアがどうやって民衆を操るか今見たような気がするぞ?くはは!」

 

 

「・・・ねぇロン、何だかウィラまた機嫌悪くない?」

 

「ハリー、僕も今同じことを言おうとしてたとこだよ」

 

「・・・今だけは少し離れておきましょう?ラベンダー達も少し退いてるし・・・」

 

 

授業の時間となり・・・詐欺師が堂々と自信満々と言った感じで入ってきた

人の功績を奪い騙す・・・まさに詐欺師の鏡だな

 

入ってすぐ適当な生徒から本を取り上げ、本と同じタイミングでウィンクする

女子が黄色い声を上げようとするが・・・私の雰囲気を察してかとっさに黙り込む

 

すると詐欺師がまるで舞台のように大袈裟に肩をすくめ喋り出す

 

 

「ふぅ、まぁ私を前にしてはこうもなりますか!やぁ諸君、私だ!ギルデロイ・ロックハート!勲三等マーリン勲章、闇の力に対する防衛術連盟名誉会員、『週刊魔女』において五回連続『チャーミング・スマイル賞』受賞!」

 

 

その後もまぁつらつらと喋る喋る・・・不快だ、あぁ不快だ・・・人がいなければウォーカーを5、600回殺してる所だ

 

ようやく喋り終えたかと思うと・・・今度は部屋の隅にて待機している獣達を視界にとらえ・・・

 

 

「おぉっとぉ!何故部外者がここに?もしやウィラの騎士達は私のファンだったのかな?なら済まないねぇ、サインは授業の後まで待ってくれないかい?」

 

 

___お願いです黄金の君、殺させてください!!

 

___陛下、私も同感です。どうでしょうか?上空1000フィートまで連れて落とすというのは・・・ザクロのように弾けますよ?

 

___言いたくはないですが・・・これほどまでに憎悪を抱いたのは初めてです

 

___コイツの前にキサマ等を殺すぞアァン?

 

 

「ははは!どうしたのですか、急に手をパタパタさせて!もしかして恥ずかしくてそうしてるのかな?なら安心したまえウィラ!勿論君が1番目だ!」パチン☆

 

 

___ピキ・・・っ

 

 

ガタガタ!!  ___キィー!?キィー!!  ガタガタガタ!!!

 

 

詐欺師の持ってきた籠が激しく揺れ、私の近くにいたバーパティとラベンダーが私から離れた・・・だろうな、今の私から漏れてる魔力を感じないなんて・・・なんたる無能だ

 

 

「おや?そういえばどうしてウィラは私の本を持ってきていないのかな?忘れたなら仕方ない!今この場で私のサイン入りを・・・」

 

「いらんよ詐欺師(・・・)、必要無いから捨てた。早く授業を始めろこの無能が、やはり詐欺師風情が教師の真似事などできるワケもないか」

 

 

ザワっ!! __詐欺師?先生のこと? __何言ってんのよ!いくらウィラさんでも怒るわよ!? __でもあの雰囲気のウィラに一切気づいてなかったみたいだぞ? __違うわ!アレはそれだけロックハート先生がすごいっていう証拠よ!!

 

 

「あ・・・はは、ウィラ?一体何のことだい?この僕が詐欺師だって?まさか!」

 

「この私が命令したのだぞ?詐欺師風情が・・・誰がキサマなんぞにこの黄金の名を呼んでいいといつ言った?」

 

「っ!いい加減にしないか!いくら私が有名人で君の人気を奪うのがイヤだからといって!!」

 

「はぁ・・・言葉も通じないか・・・良いだろう」

 

 

いい加減サル以下のクソと話すのに嫌気が差したので席を立ち、先程から煩い籠へと足を向ける

 

 

「いいかグリフィンドール、とくにコレに騙されてる女子達。これから私がこの詐欺師の化けの皮を剥がしてやろう・・・」コツコツ

 

「っ席に座りなさい!今は授業中だ!それにこの中には世にも恐ろしい生き物が!!」

 

「はん、笑わせるな。ピクシー風情が・・・そら、キサマは本にも載り、このホグワーツに教師として招かれる程度には有能なのだろう?___ならば示せ」

 

 

杖を振り籠に魔法を中てる____すると中からピクシー達が一斉に飛び出してきた

 

 

___キィー!!キィー!!

 

 

部屋中を飛び回るピクシーに生徒達が騒ぎたてる

だが私や円卓の周りには一切寄ってこず、生徒もそれに気づき私の傍や円卓の周りに集まりだした

 

 

「そら、何とかしてみろ。生徒はこの通り無傷、さぁ・・・やれ」

 

「いっいいでしょう!このロックハートが見事に退治してみせましょう!!」

 

 

 

詐欺師が呪文を唱えるが不発に終わり、更には何と魔法使いの命でもある杖を奪われた。もはやこの無能はただオロオロするしかない

 

 

「は・・・はは、じゃっじゃあ後は任せr「『グラヴィタス』(重力呪文)」ぐへぇ!?」

 

「くはは、おやぁ?おやおやぁ?どうした?まさか本にも載るほどの偉大な魔法使いがたかだか一生徒に任せて逃げ出すのかな?」

 

「ア゛っガっギィ!?ウィ、ウィラ・・・っ!?私に魔法を使ったな!?-100点!!イヤなら早くこれを・・・!!」

 

「別に、そもそも私に点数など関係ない。朝軽くダンブルドアが説明していたが・・・まぁ聞くワケないよな」

 

__え。ホントにピクシーにも? __じゃあ・・・ウィラさんが言ったことって・・・!?

 

「っ!?違う!!先程のは何かの間違いだ!!」

 

「ほう?ならば・・・ほら、魔法は解いた何とかしろ。おいピクシー共」

 

__ビクっ!!  ギッギィー

 

「言葉は分かるな?命令だ、生徒には手を出すな。その無様に倒れ伏している男のみ手を出してよい。さ、グリフィンドール諸君、高見の見物といこうじゃないか。この偉大な凄い魔法使いなら杖無しでもピクシー程度なんとかできるだろう。なんせグールや吸血鬼と散歩したり旅行したりしてるんだ、その素晴らしい手腕を見せてもらおうか・・・」

 

 

 

 

 

しばらく皆で眺めていたが・・・結局何もできず、最後は惨めに泣き出した

その光景を見てようやくこの詐欺師の本領を女生徒達も悟ったようだ、終業の時間にもなれば皆幻滅した表情で詐欺師を眺めてそのまま去っていった

 

 

「ヒッグ・・・ヒグ!何故こんなことを!!私が君に何をしたっていうんだ!?」

 

「・・・何も分かってないなお前、というかまだしらばっくれるのか」

 

「へ?」

 

「簡単だ______お前は黄金の怒りに触れた・・・詐欺師風情が王であるこの私に気安く触れ、あまつさえ許しも無しにキス・・・あぁ・・・何度殺そうと思ったことか・・・」

 

 

___ピシィ!!パキン!!

 

_____ドサッ・・・ドサドサドサドサッ!!

 

 

「ピッピクシーが・・・ヒィ!?しっ死んでる!?」

 

「安心しろ、キサマは殺さん。だが・・・他人の功績を奪った罪は必ず償わせる・・・必ずな・・・」

 

 

 

ピクシー達の死骸の山に放心している詐欺師を放り、次の授業へと向かう

 

 

 

 

 

 

 

夕食の時間にもなれば他の寮にも詐欺師の噂が広まったようだ、席にいない詐欺師の名前が至る所から聞こえる。どうやら部屋に引きこもっているらしい。私もアレの顔を見ないですむのは僥倖だ

 

 

(・・・ふぅ、ようやく少しスッキリしたな)

 

「ウィラ殿、食事が済んだら少し校長室に来てくれんかのう?」

 

「ちょうどいい、私もキサマに用があった」

 

 

 

合言葉を唱え校長室へ向かう

 

『杉の子○里』

 

__ん~今日は機嫌が悪いみたいだなぁ、まぁそういう日もあるよな!__ピョン!

 

「すまんな、次会う時はきっといつも通りだ」コツコツ

 

__楽しみに待ってるぜぇ?

 

 

 

 

「おぉ、来たかウィラ殿」

 

「早く本題に入ろう、私もキサマに用がある」

 

「おそらくお互い同じことじゃろう、ロックハートのことじゃ」

 

「あぁ、あの詐欺師な」

 

「分かってはおったがやはり名前は呼ばんのじゃな」

 

「呼ぶ価値も覚える必要もないからな____なるほど、詐欺の証拠を掴む為にこのホグワーツに入れたのか」

 

「・・・さらりと儂の中を視んでほしいのじゃが」

 

「生徒にさらりと『真実薬』を飲ませるお前に言われたくない」

 

「むぅ・・・あれは悪かった・・・分かった、分かったからこれ以上はホントに止めてほしい」

 

「全く思っていないくせに、あぁ、スネイプは今のままで構わん。彼と薬学の話をするのは私自身楽しみにしてるんだ。むしろ止めさせるな」

 

「・・・視るの早すぎるじゃろ・・・『閉心術』がまったく間に合わん」

 

「当たり前だ、私だぞ?話しを戻そう、詐欺の証拠を掴みたいんだよな?」

 

「そうじゃ」

 

「なら私も協力しよう、アレがこのホグワーツにいること自体我慢ならん」

 

「やはり・・・あのクレーターは・・・」

 

「はん、何の話だ?まぁ確かに不機嫌だったかもしれんが。獣、何かあの日にあったか?」

 

「いえ何も、御身はいつも通り外遊されただけでしたので」

 

「・・・何も言えんわい」

 

「ついでに言うなら何も視えない・・・だろう?ニールとウォーカーを視ようとしても無駄だ。それとアレをホグワーツから追い出した後は勿論アズカバン行きだよなぁ?」

 

「そうじゃが・・・一体何を考えておる」

 

「知らんでいい、追い出す時は私を呼べ、借りは返す主義だ」

 

 

そのまま校長室を出て「黄金の間」を目指す

 

「楽しみだ・・・とてもとても楽しみだ・・・獣、本国のほうでも軽くでいい、調べさせろ」

 

「御意」

 

「・・・陛下、まさかあの魔法(・・・・)を使うつもりですか?」

 

「アレの罪状次第だ、一番軽くて一生『アズカバン』送りだな」

 

「重ければアレ(・・)ですか・・・」

 

「私の領域にズカズカ入り込んだアレが悪い、そうだろう?」

 

「勿論です黄金の君」

 

「・・・ハァ・・・アレ(・・)を人間がくらうのですか・・・以前私が御身の戯れにどれほど苦しんだか・・・」

 

「ちゃんと解いてやったし、どんな拷問でも口を割る事はないと言ったのはお前だぞウォーカー」

 

「ですがあの魔法は無理です、人間だと簡単に精神崩壊しますよ?」

 

「考えはある・・・まずは証拠を掴むぞ、それまでは精々教師ごっこを楽しませてやろう」

 

 

 




ウィラが『グラヴィタス』を好んで使う理由は使った相手が無様に平伏すからです
完全な暴君ですね


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黄金とバジリスク

酷いタイトル詐欺だなおい


※「直視の魔眼」の表記を「バジリスクの眼」に変えました
ややこしくしてすみません


翌日から私は『防衛術』の授業には行かなくなった。当然だ、あんな奴から学ぶことは何も無い

 

 

「ん?ウィラじゃねぇか、お前さん今授業中だろ?こんなとこで何しちょる」

 

「やぁハグリッド、少し森に入らせてもらうぞ」

 

 

ゆえに今しかバジリスクを殺す時は無いと感じた、理由はこの時間なら生徒がうろつくこともなく、そもそも「禁じられた森」に入る者などまずいないからだ

__今しか本来の獣の姿(・・・・・・)を見られない時は無い

 

それに森に来たのには他にも理由がある。というのもホグワーツの防衛機構程度で正体を現した獣の気に耐えられるハズがない。ゆえに「3階女子トイレ」が使えないのだ

それに私の「黄金の間」には一種の『隔離呪文』がかけられていた、そんな魔法を使いそうなのはあの4人の中でもサラザールしかいない。何より我が家に伝わる文献ではどうやら10代目黄金はとくにサラザールを可愛がったようだ

1000年以上誰にも場所がバレなかった「秘密の部屋」。ならば「黄金の間」と同じような『隔離呪文』がかけられているハズ、それなら獣の気にも何とか耐えられる

なによりバジリスクは原作では排水溝を通っていた、必ず森にもそれがあると私の勘が告げている

 

 

「いかん!何考えちょる!いくらお前さんでも『禁じられた森』に入るなんぞ・・・あり?」

 

「危険なワケないだろ・・・この私だぞ?『ブリテンの白き龍』さえ配下にし、あまつさえ円卓も連れて来た。いったいどこが危険なんだ?」

 

「しかし・・・ダンブルドア先生にバレたら俺が大目玉くらっちまう」

 

「そうか・・・あー!残念だなぁ!今度ハグリッドに私のペットを見せてやろうと思ったのに!そうか・・・本当に残念だ」

 

「なに!?お前さんのペットだとう!?見たい!!どんな生き物だ!?」

 

(ふっふっふ、流石ハグリッド。この手の話にはめっぽう弱いな?これぞ「黄金流 会話術」!!)

 

「私から言わせてもとても美しい、この黄金にふさわしい奴だよ彼は」

 

「おぉ!と言うとオスか!・・・あー!俺は何も見ちょらん!さ、ファングに餌をやらねぇと!・・・今度の休日は?」

 

「ふふっ、良いだろう。ついでにハリー達にも紹介したい、連れて来ても?」

 

「勿論!頼むから先生にだけはバレんでくれ」

 

そう言いながらイタズラ小僧のように笑いながら私にウィンクをし、そのまま小屋の中へ帰っていった

私は割りとハグリッドのことが好きだ、彼ほど純粋な人間(まぁ半巨人だが)を知らないし、先程のウィンクもどこかの詐欺師と違ってすごく魅力的だ!・・・でも生き物関係だとこうして軽く暴走するんだよなぁ・・・まぁどんな人間にも欠点はあるか(もちろんこの私にはそんなもの無いがな!)

 

 

そのまま3人を引き連れ「禁じられた森」の中へと入っていく

 

 

「黄金の君、以前から思っていましたが・・・あの男、半分人間ではないですね。匂いが違います」

 

「流石獣、彼は半分巨人だ。だが誰にも言うなよ?彼をキズつけたくないからな」

 

「分かります。見た目はあれですが良い人柄のようですね」

 

「おぉ!分かるかニール!そうなんだ、今度軽く話してみろ、以外とおしゃべりだ・・・しかし・・・やけに静かだな」

 

 

森には多様な生き物や魔法生物で溢れかえっているはずなのに、私達の足音以外何も聴こえない

しばらく歩き_____ようやく目的の生き物が見つかった

 

そう・・・ケンタウロスだ

 

森を掻き分けた先に彼等はいた、どうやら私達に気づいていたらしく全員膝を折り曲げ頭を下げていた

 

 

「ふむ、どうやらこちらには気付いていたらしいな。よい、許す。面てを上げよ、名を名乗れ」

 

「・・・拝謁の栄感謝いたします黄金の君、我が名はフィレンツェ」

 

「ほう?この私を知っておるのか」

 

「火星が教えてくれました、御身がこの日この時間に来ると。何より隠し切れないその王気、更には御身の輝く金糸と玉眼が何よりの証」

 

「一つ問いたい、何故これほどにまで森が静かなのだ。虚偽は許さん、真実を述べよ」

 

「・・・私がお答えします、我が名はロナン。その・・・」

 

「ヒマではない、早くしろ」

 

「では・・・そちらにおわす方はもしや・・・『神獣』では?」

 

「そうだ・・・なるほどな、卿等森に住まう者にはこれでも分かるか」

 

「おぉ!やはり!!」

 

「・・・馬風情が・・・ケイローンならともかく調子に乗るな」

 

「止めろ我が獣よ、ここは褒めるべきだ。よくぞ見破った、褒めてつかわす」

 

「っ!感謝の極み!!黄金である貴女様に褒められるなど何たる栄光!!」

 

「うむ、悪いが先程も言ったとおりあまり時間が無い、案内してほしい場所がある」

 

「どうか我等に命令を」

 

「調子に乗るなよ駄馬風情が・・・キサマ等はいつ黄金の君の臣下となった?不敬であるぞ!!」

 

「っ申し訳ありませぬ神獣殿!!」

 

「キサマこそ黙れ、この私が話しておるのだぞ?」

 

「・・・すみません」

 

「何に対して機嫌が悪いのかは知らん。だが今のキサマは黄金の獣、何の為に首輪をくれてやったと思うておる」

 

「はい・・・」

 

「そしてすまんが卿等は私の臣ではない、ゆえに頼むのだ」

 

 

機嫌の悪い獣を宥め、マゴリアンと言うケンタウロスに案内をさせる・・・何でコイツ機嫌悪いんだ?

 

 

「クスっ、御身には分かりにくいでしょうが私やウォーカーも獣殿の気持ちが分かります」

 

「何なんだ一体」

 

「正直言って気に食わないのです。騎士でも無い者がそう振る舞う様は見ていて虫唾が走ります」

 

「・・・申し訳ない・・・だが我等はもとよりこういう性なのだ・・・」

 

「・・・まぁ陛下に免じて許しましょう、精々役に立ちなさい」

 

「何でお前等が偉そうなんだよ・・・」

 

「感謝いたします騎士殿・・・そちらは神獣、そちらは吸血鬼、そちらは人間でありながらも何と素晴らしい戦士なのか!何より今代の黄金の輝き!まさに地上に君臨した星々の輝きだ!!」

 

「ほう、その言い方はまるで私以外の『黄金』に会ったかのようだな」

 

「恐れながら・・・昔一度だけ遠目に拝謁させていただきました・・・確か御身から四代程前かと」

 

「それくらいだと考えられるのは曾お爺様・・・レブラスか・・・しかし彼は殆どの時間ををエルドラドにいたハズだが?」

 

「円卓を探していたようでした。遠目でも私が見えたらしく失礼ながら口を読んでみれば「あと100年先で出会っていれば・・・」と栄誉なるお言葉を」

 

「くはは!悪いが私の代では卿はいらん!諦めろ」

 

「勿論です!そのような!!・・・まさに貴女様こそ『偉大なる黄金』でございます」

 

「よい、許す。卿に褒美をくれてやろう、卿等の子孫に我が威光を語り継げ」

 

「っ!・・・何かあればご一報を、我等ケンタウロスは貴女様の声ならば風より速く駆けつけます」

 

「くはは!聞いたかお前達!コヤツの方がよほど騎士らしい!」

 

「陛下がおっしゃったのではないですか・・・堅苦しいのは嫌いだと」

 

「そうだっけ?まぁいいや、お前達が私の騎士であることには変わりない」

 

 

暫くはマゴリアンの背に乗せてもらい先へと進む・・・乗せてもらって悪いがあまり良い乗り心地ではないな・・・

 

 

「しかし・・・面白くない。この私がいるのにユニコーンもキメラもアクロマンチュラさえ出て来ぬとは・・・」

 

「恐れながら黄金殿・・・御身の王気ではそれも致し方ありません・・・先程は黄金の獣殿の名を出しましたがそれ以上に御身の気はこの森に影響を与えております」

 

「まぁ私だからな、具体的には?」

 

「・・・以前・・・何やら途方もない魔法を放ちましたな?」

 

「・・・あぁ、ヴォルデモートの時か」

 

「以来この森の住民は眠れぬ夜を過ごしました。あの魔法は・・・人の子が使うものではございません」

 

「一つこの黄金が卿に知恵を授けよう、王とは生まれた瞬間から王。ゆえに普通の子等と比べるな、流石に不愉快だ」

 

「っ!?・・・申し訳ありません、どうかこの首で我が一族だけはなにとぞ!!」

 

「よい、許す。そもそも私は暴君ではあるがむやみやたらに首を狩る暗君ではない_____着いたか」

 

 

森を抜けた先にはホグワーツの裏側が見えたのでマゴリアンの背中から飛び降りる

そこにはやはり私の読み通り古い排水溝があった

 

 

 

「・・・匂います、確かにバジリスクです」

 

「こちらも『黄金の瞳』で確認した、『隔離呪文』がかけられているな。マゴリアンとか言ったな?案内ご苦労、大儀である」

 

「ありがたき幸せ!!」

 

「ついでに頼みがある。今から5分後に我が獣を放つ、気に中てられ死にたくなかったら今すぐ逃げろとこの周辺の生き物に告げろ。それは卿も同じだ。遅れるなよ?間違いなく影響を受けるからな」

 

「っ!今すぐに!!」

 

 

マゴリアンが駆け出し一声吼える。すると今まで静かだった森が急に騒めき生き物達が我先にと私達から離れていく

 

 

「我が獣よ、絶対に逃がすな。流石の私でも『バジリスクの眼』には抗えない、生物としての格は悔しいことにアチラのほうが上だ」

 

「分かっております、油断の隙も無く、確実にあの小僧を殺しましょう」

 

「ウォーカー、万が一の時は・・・」

 

「私が盾となり『バジリスクの眼』を受け、その間にニール殿が御身を逃がす・・・ですね?」

 

「うむ。ニール、授業はあと何分で終わる?」

 

「20分程です陛下」

 

「では3分だ、3分で殺せ。私も上から『隔離呪文』をかける。それで卿の7割程度は耐えられる」

 

「クスっ、たかだか蛇如きが・・・何と言う光栄な死に方でしょうか」

 

「___時間です」

 

「では・・・『黄金の名の下に命ず、黄金の獣よ!!我が命に従い真たる姿を晒せ!!』」

 

 

___ここに王命は下った・・・そしてウィラの目の前には・・・1匹の巨大な狼が・・・

 

 

___アォオオオオオオオン!!!!!

 

 

瞬間まるで神代の時代に逆戻ったかのように、膨大な神気が森に満ちる

木は太古の原生林のように・・・それまでいなかった妖精達が突如現れ歓喜に震え踊り出す

 

 

「たわけ!!吼える暇があるならさっさと行ってこんか!!」

 

『っ今すぐ!!』

 

 

主に叱咤され、獣がその美しい金と銀の混じった巨体を風のように排水溝へ投じる

 

それを見届け

 

 

「___黄金の命である!!今この瞬間この場を我が領地とせん!!『黄金領域』!!」ヒュっ!!

 

 

黄金の獣が思わず神気を漏らした周辺にまで『隔離呪文』・・・それも絶対領域とまで言える領域展開を行う

 

 

「___ふぅ、ったくあの馬鹿が」

 

「相変わらず凄いですね・・・見てくださいよ、この周辺だけ3000年は遡ってますよ?」

 

「主に尻拭いさせるなど、とんだ駄犬だな。決めた!今日の毛づくろいは無しだ」

 

「・・・陛下、念の為周囲3キロに分身である蝙蝠を放ちました。今の所ダンブルドアも気づいていないようです」

 

「良い判断だウォーカー、引き続き見張れ。油断はするな」

 

「御身の盾としての務めを果たしあげて見せましょう」

 

「うむ。あと何分だ?」

 

「___いえ、もう来ました」

 

 

ニールの言葉通り、振り返ると人化の術で人間に戻った獣が返り血を全身に浴びこちらに近づいてくるではないか

 

「証拠は?」

 

「こちらに」プッ!

 

___ドチャっ

 

 

口に咥えたバジリスクの頭部を吐き捨て、うやうやしく跪きその手に持った戦利品___『バジリスクの眼』を差しだして来る

 

「ウォーカー」

 

「御意」

 

とりあえずまだ効力が残ってる可能性があるので試しにウォーカーに見てもらう

 

「・・・死ねませんね、念の為人間であるニール殿も」

 

「そうだな、ニール」

 

「・・・問題無いですね、どうやら身体から切り離されれば効力を失うものかと」

 

「ふーん、一応私の眼で確認を行う、獣、瞳をお前のほうに」

 

「はっ!」

 

 

最終確認として『黄金の瞳』で検査するが・・・魔力も特殊な力も感じない

 

 

「___うん、問題ないな。寄こせ」

 

「御意・・・というか『黄金の瞳』で見るなら別にニール殿の確認はいらなかったのでは?」

 

「愚か者、私はまだ死ぬワケにいかん。まだ子供を産んでいないのだからな。それにもしニールが死んでもこの私の為に死ねるんだ、本望であろう?」

 

「勿論でございます。その時はどうか陛下自らの手で埋葬の儀を行っていただければ」

 

「そうだな、そうしてやろう・・・うん、もうイラネ。『黄金の火』」

 

 

私は別にバジリスクが欲しかったワケでも『バジリスクの眼』が欲しかったワケでも無い

ただコイツがいると邪魔だったので殺した、だからこの眼ももう用済みだ

 

 

「さて・・・戻ろうか、次は私の愛しいてんてーの『魔法薬学』だ。遅れるワケにゆかん」

 

 

 

ザッ__ザッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__秘密の部屋の最奥

 

 

 

 

 

 

 

____ピキ・・・ピシ・・・

 




というワケで僅か1行で退場したバジリスク

獣が難なく殺せたのは文字通り格の違いです


これにて「秘密の部屋」編終了しません


次回__さよなら詐欺師


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黄金の怒り ※挿絵有り

__これは神罰もなければ裁きでもない、ただの怒りである__



※注意

グロ無理な方や虫が嫌いな方はハグリッド達のところまで見てブラウザバックを推奨します



今年の心配事もこれで無くなりあとは詐欺師を裁くだけ

 

ただドビーは今だに見つかっていない、どうやら普段はマルフォイ家におり、有事の際のみホグワーツに『姿現し』しているようだ。早めに捕まえて事情を説明したいが・・・まぁこちらも姿を現した瞬間終わる

 

あれからも私は一度たりとて『防衛術』の授業には出なかった。他の教師から苦言を言われるかと思いきやむしろ肯定された。ダンブルドアが詐欺師のことを話したのかな?

 

 

休日となったのでハグリッドに約束した通りハリー達を連れ彼のもとへ向かう

 

 

「ラベンダー達だけじゃないわ、あの人に騙されたってみんな怒ってたの」

 

「でもさ、この前から急に前みたいに調子づいてさ、何だか気味が悪いよ」

 

「何?どういうことだ?」

 

「一応アレでもまだ教師だから僕達授業には出てるんだ。そしたらこの前自分の本を題材に演劇をやろうとか言い出してさ、シェーマスが「いい加減にしろこの詐欺師!!」って言ったら奴さん何の事だか分からないって表情してそのまま劇を始めやがったんだ!」

 

「勿論誰も参加しなかったわ。そしたら「ハハハ!じゃあお手本を見せてあげよう!」とか言って私達を無視して始めたの。防衛術の授業はもう寝るか他の授業の復習の時間よ」

 

「ほとんど寝てるさ、勉強なんか君くらいしかしてないじゃないか」

 

「少し引っかかるが・・・まぁ、そうしていれば噂が消えると踏んだのだろう。放っておけ、じき捕まる」

 

「何で分かるの?」

 

「私の名で魔法省そのものに通達した。「ホグワーツに教師を名乗る詐欺師有り」とな」

 

「うげっ!?君魔法省にも顔が効くの!?」

 

「当たり前だロン、私はあの『黄金の君』だぞ?ファッジ程度いくらでも動かせる」

 

「相変わらず・・・ウィラってホントにとんでもないわ」

 

「そういえばハグリッドにペットを見せに行くんだろう?どこにいるんだい?」

 

「なぁにハリー呼べばすぐ来る_____ハグリッド、約束通り来たぞ」

 

「おぉ!ようやくか!ハリー達もよく来た!・・・しかしどこにもお前さんのペットが見当たらんのだが・・・」

 

「仕方ないな、では・・・来い!ヘルメス!!」

 

 

彼の名を呼びながらハリー達に上を見るように言う

すると真上にある太陽にポツリと黒点ができ、徐々に大きくなりこちらへと近づいて来る

 

___フィィーッ!

 

 

「___おぉ!!確かにウィラの言っとった通りだ!!何と美しい鷹だ!!」

 

「へぇ!それがウィラのペット?すごくカッコイイね!」

 

「そうだ、名はヘルメス。この私の唯一のペットにして友、そしてこれからはこのヘルメスが私宛の手紙を届ける。ヘルメス、挨拶を」

 

__フィ~

 

「すごい!言葉が分かるの!?何て賢いのかしら!それに良い名前ね!」

 

「フフン、だろ?ギリシャの神から名を貰った、飛行速度は時速300Km以上。それにこの毛並みこの勇ましい瞳・・・まさにこの私に相応しい」

 

「300!?『ニンバス2000』でも到底追いつけないじゃないか!」

 

「ロン、だからヘルメスと名付けたんだ」

 

「ウィラ!触ってもいいか?」

 

「止めとけハグリッド、私以外には決して懐かん、眼を抉られるぞ?それに見せるだけだと言ったハズだ」

 

「え、円卓の人達にも懐いてないの?」

 

「ハリー殿、ヘルメス殿と我等はあくまで対等、同じ主君を持つ身です。それに以前彼にペットなど何と羨ましいと言った事があります」

 

「ふふっ、何て返された?」

 

「「私は貴方がたが羨ましい」と、自分では決して御身の騎士足りえないから悔しいと返されました」

 

「獣さんヘルメスの言葉が分かるの!?」

 

「ハーマイオニー思い出せ、そもそもコイツは人間ではない・・・可愛い奴め、そうか卿もこの私の騎士になりたいのか?だが騎士は何人もいるがペットは卿だけだ、ゆえに誇れ」

 

__フィー!

 

 

その後もハリー達はしばらくヘルメスに見惚れていた、私もすごく誇らしい!

やっぱペットって良いなぁ~、それにコイツ本当に賢いし。正直ペティグリューより賢いんじゃないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___あれから数日たった。私は昨日の夜から自室に籠り魔法省や本国のほうから届いた報告書に目を通していた。調べるとまぁ出るわ出るわ

 

 

 

「『詐欺師の名が売れ出したその日のからの記憶喪失者48名』・・・信じられない数だな」

 

「陛下、イギリス魔法省・・・ファッジが御身の提案を受諾しました。『全てはウィラ陛下のお心のままに裁かれたし』と。その後アズカバンへ投獄するようです」

 

「こちらも魔法省からです。『ロックハートの親族、交友関係者を洗うも誰一人彼の詐欺師を覚えておらず』。なんと・・・アレは家族にまで手を出したのですか」

 

「・・・まさに冒涜の限りだ・・・アレは分かっているのか、腹を痛め生んだ我が子を母親が覚えていなのだぞ・・・父もそうだ・・・家族を裏切るなど・・・」

 

「黄金の君、一端休憩しましょう。昨日から一睡もされていないのでしょう?」

 

「そうさせてもらう。幸い教師達に今日は授業に出ないと伝えてあるからな、2時間程仮眠を・・・」

 

(バタン!)「陛下!急ぎお伝えしたいことが!!」

 

「ウォーカー!黄金の君の部屋にノックも無しだと!?不敬であるぞ!!」

 

「っ申し訳ありません獣殿!ですが・・・」

 

「よい、卿が血相をかかえておるのだ。で?どうした?」

 

「はっ!たった今ヘルメス殿がこれを!」

 

 

ウォーカーがエルドラドから届いた手紙を私に渡してくる

 

 

それに目を通した瞬間_______私の中で何かが壊れた

 

 

 

 

 

 

__大広間

 

そこには今日の活力を養う為大勢の生徒が朝食を楽しんでいた

 

 

「あれ、ウィラが見当たらないね」

 

「そういえばそうだね、どうしたんだろ?」

 

「さっきマクゴガナル先生に聞いたんだけど、今日はお休みするらしいわ。何でもロックハートの詐欺の証拠を集めてるらしいの」

 

「へぇ、じゃあもうあの詐欺師もお終いだね!」

 

「うん、いい加減僕を引き合いに出すの止めてほしいよ。別に僕は英雄でも何でもないのに」

 

「へん、見なよあの顔」

 

 

ロンの言葉にハリーとハーマイオニーがロックハートを見る

 

 

「ハハハ!聞いてくださいよスプラウト先生!何故か生徒達が私のことを指さして何かヒソヒソと!いやぁ!有名人は辛いなぁ~ハハハ!」

 

 

「うわぁ・・・あのスプラウトが凄い表情してらぁ」

 

「というかどうしてあの人何も堪えてないのかしら・・・流石に不自然だわ」

 

「ぼっ僕もおかしいと思うんだ・・・ディーン達も何だか気味が悪いって」

 

「ネビルもそう思う?違和感しかないよね、まるでウィラから言われたこと忘れてるみたいだ」

 

 

朝食を味わいながらそれぞれが友人と談笑を楽しむ

 

そんな中誰かが言った

 

 

「・・・ねぇ、何だか寒くない?」 「そういわれれば・・・」 「でも温度は変わってないみたいだけど」  「ヤダ、何でかしらないけど鳥肌が・・・」

 

 

異常な事態だった、温度は変わらないのに寒気が止まらない。いや、ホグワーツの学校そのものが恐怖を抱いていた

 

誰もが異常事態だと感じ、ダンブルドアでさえ鳥肌が収まらない

そんな中この男は・・・

 

 

「ハハハ!皆さんどうしたんですか!もしかして一斉に風邪を引いたとか?ならこの私にお任せを!風邪薬くらい今すぐこの場で作れちゃいますから!ハハハ!」

 

 

だが誰もロックハートのことなど見向きもせず、大広間と廊下を隔てる扉を見つめている

 

まるでとても恐ろしいナニかがそこから現れるのを直感したかのように・・・

 

 

「・・・校長」ゴクリ

 

「うむ・・・先生方、念の為杖を・・・」

 

 

そして____ゆっくりと扉が開く

 

 

「____ウィラ?」

 

 

ザワっ  ウィラ様?  あれ、確か今日は休むんじゃ・・・

 

 

軽い騒めきが起きてもウィラは顔を上げない

 

 

 

 

そして騒めきが静まりだし、ダンブルドアがどうかしたのかと声をかけようとした瞬間

 

 

「『クルーシオ』」

 

「へ?ギャァァアアア!!?」

 

 

何のためらいも無くウィラは『クルーシオ』・・・闇の魔術をロックハートに使った

 

 

周りはただ唖然とするだけだ。まさかあれほど誇り高く、まさに黄金の輝きそのものであるウィラが闇の魔術を行使したのだから・・・

 

何とか正気に戻りダンブドアが止めようとする

 

 

「ウィラ殿!!自分が何をしておるのか分かっt・・・っ!?」

 

 

もはやダンブルドアでさえ黙るしかない、何故なら友と語り合う時あれほど楽しそうに笑う目が・・・怒り(・・)に満ちていたからだ

 

 

誰もが口を開けずロックハートの悲鳴だけが木霊する大広間をカツカツとウィラが歩き出す

 

 

「・・・あぁ、分かってるさ・・・これは裁きだ」

 

「裁きですって!?ミス・エル・ドラド!貴女が何故そこまで怒りに満ちているのかは分かりませんが、それが闇の魔術を使っていい理由にはなりえません!!」

 

「ほう、では・・・人の記憶を奪うことは良いのだと?」

 

「・・・どういうことじゃ」

 

「コレはな、忘却術の達人だ。いやそれだけしか能が無いと言っていい。噂を聞きつけその者の下へ行き、話を聞いてその者の人生をかけた成果を全て奪う・・・まるで追剥ぎだな」

 

「じゃが証拠は・・・?」

 

 

ダンブルドアのその言葉に黄金の獣が大量の羊皮紙を大広間全体にバラ撒く

 

そこにはロックハートが自身の文字でどこで誰からその功績を聞き、どのような内容だったのかが事細かに書かれていた

 

それは生徒達の目にも止まり、今だにロックハートを信じていた女子生徒達が膝から崩れ落ちる

 

 

「ウィラ殿、どこでこれを」

 

「そこで無様に苦しみ悶えている詐欺師の部屋からだ。どうしても確認しなければいけないことがあったのでな・・・」

 

「一体何を確認したのじゃ」

 

 

ダンブルドアがそういうと・・・再び凄まじい怖気が全員を襲う

 

 

「先程エルドラドから通達が届いた・・・どんな内容だったか・・・分かるか?」

 

 

 

次にウィラが口を開いた瞬間・・・何故これほどまでに怒っているのか誰もが納得した

 

 

「コイツはな・・・エルドラドの・・・私の臣民(・・・・)を手にかけた・・・!!これが証拠だ!!」

 

 

ウィラが一枚の羊皮紙に『拡大呪文』をかけ、その場の全員に見えるようにする。そこには・・・

 

 

___ご報告

 

『フェニックスの涙』の複製品である『黄金の祈り』を作成された○○氏がイギリス旅行から帰って来たあと自らの功績全てを忘れていることが判明

 

これにより『フェニックスの涙』ほどの効力が無くとも絶大な治癒能力を持った薬の精製方法が永遠に失われることになったことを第79代エルドラド王国国王ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア陛下へご報告いたします____

 

 

 

 

もはや誰もが絶句するしかなかった。フェニックスの涙が引き合いに出される程の効力を持った薬、そしてその名につく『黄金』の2文字

 

 

「彼はこの私自らが直接家に向かい祝辞を告げた男だ!!彼は光栄なことにこの薬に『黄金』の名をいれてくれた!!薬の効果は実証済みでもうじき生産され『聖マンゴ病院』にも入荷する予定だった!!このクズはそれを自らの自己顕示欲の為に全てドブに捨てやがった!!これから何人も助かる予定がこの男のせいで何人も死ぬ!!」

 

 

それは怒りだった・・・誰よりも民を愛した王はその民の為に怒り狂っている・・・これから助かるハズだった命のために怒り嘆いているのだ

 

 

「この手紙が今朝届き、急いで部屋に行き確かめた。ダンブルドア、キサマが持つその羊皮紙を読んでみろ」

 

 

ウィラに促され目を通す、「次に出す予定の内容」と書かれたそこには確かに『黄金の祈り』の文字があった

 

 

「何ということじゃ・・・もはやアズカバンどころではない!」

 

「それに今コイツの中を視たが・・・なるほど。何故詐欺師とバレていないと思っていたのか分かった、コイツ自分自身に『忘却術』をかけやがったな」

 

 

その言葉に何度目か分からない騒めきが起こり、そこらかしこで「本当か?」という声が上がる

 

 

「我が黄金の瞳は全てを見通す。だがあの日あの「防衛術」の授業の記憶だけ全くない・・・自分すらも欺くのか・・・そうまでして名声が欲しいのか!?何とか言え!!」

 

 

『クルーシオ』をようやく解きロックハートに真実を語らせようとする____だが

 

 

「かっ・・・は・・・はっハハ・・・何のことだい?私はロックハート!この私の偉業は全て本とファンが知っていr「『クルーシオ』!!!」ア゛ァァアアアア゛ア゛!!!」

 

「ハァー!ハァー!!・・・情けをかけてやろうかとも思ったが・・・もうダメだ・・・」

 

 

そう言うウィラの目はどこまでも冷たく、どこまでも透き通るような純粋な殺気で満ち満ちていた____

 

 

 

 

__「生徒達は今すぐ出ろ」___ウィラは殺気も、その膨大な魔力を隠そうともせず生徒を見据え命令を出した

 

勿論誰も逆らえず、教師に連れられ一端自分達の寮へと戻っていく。もはや授業どころでは無かった

とくに『聖マンゴ病院』に家族が入院している者はあらんかぎりに今は縄で縛られたロックハートを殺さんばかりに憎しみを込め睨みつけながら大広間を出る。そこには何とあのネビルでさえも涙を流し親に仇のように睨みつけていた

 

 

そしてその場には最悪の犯罪者ロックハートとホグワーツの責任者としてダンブルドア、マクゴガナル、闇の魔術が行使される可能性を考慮してスネイプ。そして今だ怒りが収まらない黄金の君と付き従う黄金円卓3人だけとなった

 

 

「先にキサマ等にこれを見せておこう」

 

「これは?」

 

「イギリス魔法省からの親書だ。これにより、この詐欺師がアズカバンに送られる前にまず私が裁く権利が譲渡される」

 

「何ですって!?それは本当なのですか!?」

 

「・・・間違いない、ファッジ大臣のサインまである・・・いつの間にこんな物を用意したのじゃ」

 

「どうでもいいだろ、なぁ、どんな気分だ詐欺師?」

 

「アズカバンだって!?一体私が何したっていうんだ!ただ本を書きみんなに夢を与えた!これの何がいけないんだ!?」

 

「キサマ分かっているのか!?個人がその人生をかけた功績を奪い!あまつさえキサマの下らない自己陶酔のせいでこれから大勢が死ぬのだぞ!?」

 

「ヤダなぁ!何言ってるんですかスネイプ先生!私は誰も殺してない。ただつまらない個人の所業を誰でも楽しめるお話しにしただけです!まさに大業ではないですか!」

 

 

それは酷い言い訳だった。「ナイフで刺したら死ぬとは知らなかった」「まだ誰も死んでないから別にいいじゃないか」「私は自分の手を汚していない」そんな感じだ、まさに子供の駄々より酷い

 

誰もが怒りを通りこして呆れる中

 

 

「そうか、では詐欺師、キサマに大業を為させてやろう・・・光栄に思え・・・この魔法をくらって正気を失わなかった者は歴史上ただの一人もいないのだから」

 

 

ウィラだけはその黄金色の瞳にドス黒い怒りを讃えていた

 

 

「・・・先生方、できればここから出ていってほしい・・・この魔法は闇の魔術以上に最悪だ」

 

「スマンがウィラ殿、儂はこのホグワーツの校長として、この詐欺師をホグワーツに招いてしまった責任がある。どうか最後まで見届けさせてほしい」

 

 

ウィラが『黄金の瞳』で確認したがそれは正真正銘の本心だった。それはマクゴガナルもスネイプも同じだ

 

 

「・・・分かった。ならば卿等には最後まで見届けさせてやろう。おい詐欺師」

 

「私は詐欺師ではない!私は誰もが讃える本の作s・・・」

 

「『黄金の命である 決して自殺するな 決して舌を噛むな 決して精神崩壊するな』続けて命令する『決して・・・そう、決して精神崩壊を許さん』」

 

 

これでこの詐欺師は他殺される以外死ぬことも、その精神を壊すこともできなくなった

 

 

____そして史上最悪の呪いがかけられる

 

 

「『ira(怒り) ira(怒り) ira(怒り)』」

 

ウィラがその呪文を唱えると____大広間全体が蠢いた

 

 

ゾゾゾゾゾゾゾ_____

 

 

「な・・・何じゃ!ホグワーツ・・・いや、この大広間が!?」

 

「何ですかこの音は・・・」

 

「これは・・・羽音?」

 

 

教師陣3人が状況確認する中、詐欺師は冷や汗が止まらない。彼はようやく悟ったのだ

 

 

__この何か分からない呪文は自分一人に向かっているのだと

 

__この悪寒は勘違いでもなんでもないと

 

__自分が一体誰を怒らせ、誰の物に手を出したのかを

 

__この眼前で今だ無表情に自分を見つめる少女・・・彼女が『黄金の君』であることを・・・

 

 

だがもう全てが遅い、すでに『怒り(ira)』は下された

 

 

そしてようやく4人はその蠢く者の正体を知る。それにいち早く気づいたのはスネイプだった

 

 

 

「あれは・・・虫?」

 

「虫じゃと?・・・っ!?それじゃあ!?」

 

「まさか・・・この蠢く全てがそうなのですか・・・?」

 

 

そう、それは小さな小さな虫だった。踏めば難なく殺せるであろう虫。ただ・・・その数は大広間全てを覆っているが

 

次第にその距離を詰め、そして一斉に主に命令されるまま詐欺師の肉に喰らいつく

 

 

___ギチギチギチギチギチ!!!

 

「ギャアアァァァアアア゛!!?フゴッ!?口の中g・・・がっがっ!?」

 

 

ギチギチと咢を鳴らし、足に腹に顔に・・・すぐさまロックハートを蟲団子で覆う

 

ダンブルドア達はその悍ましい光景に目を離すことさえできず、茫然と目の前で人が蟲に喰い殺される様を見ていることしかできない

 

 

「ウィラ・・・殿・・・何じゃこの呪文は・・・一体何が起きておる」

 

「『ira(怒り) ira(怒り) ira(怒り)』これは黄金の怒りに触れた罪人を裁くための呪いだ、身体を蟲に生きたまま喰われ・・・しかし死ぬことは決してありえない」

 

 

ウィラのその言葉にもう一度ロックハートを見てみると確かに時折その蟲だらけの身体を陸に揚げられた魚のように跳ね上げ、呻くような声を出している

 

 

「この蟲の名は『チェンジミート』名のとおり寄生してその身体を食いちぎりながら自分を宿主と同化させ、喰らった先から卵を産み落とし再生を続ける」

 

 

つまりこういうことだ、「食って増えて食って減る」それがただ永遠に続くだけ

そう・・・半永久的だ

 

その証拠に先程まで大広間を埋め尽くしていた蟲はほぼいなくなり・・・その分だけロックハートの肉となったのだ

 

だが・・・真の恐ろしさはこれからだ

 

 

「身体と同化しても肉を食うことを止めず、蟲の寿命が尽きるまで永遠に身体を蝕まれる激痛が襲い続ける。最後は脳まで食われしかし意識は食われた本人のまま・・・これがだいたい200年くらい続くかな?」

 

 

その言うウィラの顔は今だにどこまでも無表情・・・いや、もはや興味も無いかのように杖の先をイジっている

 

 

そしてダンブルドア達は黄金に纏わる伝説のある一文を思い出していた

 

 

__黄金の怒りに触れてはならない。もし触れたのならばひたすらに死ねることだけを祈れ___

 

 

精神が崩壊するような激痛に襲われようと死ぬことはできない、舌を噛んで自殺しようにも『黄金の命』がそれを邪魔する

 

 

報告を受けた魔法省が到着し、ロックハートを引き取る時にはすでにそこに人間はおらず

 

ただ憐れにも蟲と同化したもはや蟲でも人間でも無い謎の生き物がそこにいた

 




正直かなり評価や感想が怖いです(やりすぎたかな・・・)

詐欺師程度でこの有り様
カエルババァだとどうなるのでしょうか


無表情ウィラ

【挿絵表示】


分かる人はすぐに誰を元に描いたか分かると思います



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黄金と風評被害

今回は軽い後日談的な話と後半ギャグ回です


たくさんのご感想、評価本当にありがとうございます!
お気に入り登録も500人を突破・・・だと


本当に大勢の皆様方に支えられて
この作品は成り立っております

これからも黄金の君ことウィラをよろしくお願いします



次の日から三日間、ホグワーツは休校となった

 

理由はいくつもある

 

 

一つは最悪の犯罪者だと分かったロックハート

あんな男を慕っていたのかと大勢の女子生徒が精神崩壊を起こしたのだ

 

更にはダンブルドア宛てに次の日には「何故犯罪者を教師にした!」とイギリス中から抗議の『吼えメール』が大量に届いた。中には「お前なんか校長にふさわしくない!」「陛下が通う学校に詐欺師だと!恥をしれ!!」というものも含まれていたがコレ等は後日、預言者新聞の取材に応じたウィラ本人が新聞を通して黙らせた。「あれは確かに正しい判断では無い。だが間違ってはいない」と

 

二つ目、そのダンブルドアが体調を崩したのだ。ダンブルドアだけではない、あの場にいたマクゴガナルにスネイプまでもが体調不良を訴えた

3人共『不死鳥の騎士団』として活躍していた頃に人が死ぬ所を見たこともある。しかし人が謎の生き物に変えられる・・・などの光景は見たことが無く、悪夢に魘される夜が続いた

ゆえに彼等はあの光景の思い出を『憂いの篩』に封印し、「ウィラがロックハートに裁きを与えた」という記憶しか残さなかった(そのせいで預言者新聞から「何故何も語らない!」と抗議されてしまうのだが)

 

三つ目、フェニックスの涙と比較される程の『黄金の祈り』

この存在を知ってしまった、家族が『聖マンゴ病院』に入院している生徒達が絶望してしまったのだ

とくに症状が治ることは不可能と言われている生徒達は嘆き悲しんだ

中にはウィラに懇願し、どうか『黄金の祈り』を貸してほしいと言う者もいたが、ウィラが首を縦には振らず「私は臣民を優先する義務がある」とバッサリ切った。だがこれはしょうがない、そもそもウィラは英国民ですらないし、一国を背負う国王だ。だから歯を食い縛りながらも言われた者達は耐えるしかなかった。何よりウィラがとても悲しそうにそう告げるのだ、それ以上言えるハズもない

だがあまりの悲しさにロックハートを殺しに行こうとする者、ただ涙を流しまるで人形のようになってしまった者などの心のケアが必要だった

 

そして最後___ウィラが一時的にエルドラドに帰ったのだ

自国民が手にかけられ、本当はまっ先に被害者の下に行きたかった。だがその間はあの詐欺師をのさばらせる事になる。ある意味であの時もっとも苦悩したのはウィラかもしれない

 

 

 

 

当然イギリス魔法界、しいては魔法省も混乱の渦となった

 

 

「何故今まであのような男をのさばらせていたのだ!?」

 

「ですがファッジ大臣・・・貴方もつい先日までマーリン勲章を授与されようとしていたではありませんか」

 

「しっ知らん!私がそんなこと言うワケないだろ!!・・・詐欺師が奪った『黄金の祈り』の精製方法は見つかったか?」

 

「いえ・・・どうやら暗号で書かれていたようでロックハートが殴り書きと間違え捨ててしまったようです」

 

「そんな!?エルドラド側からも「それだけは返せ」と何度も手紙が送られてきたのだぞ!?あんな男処刑してしまえ!!」

 

「ですが大臣、ウィラトリア陛下が自ら裁き、そして処刑しなかったのですよ?うかつな行動は避けるべきかと」

 

「うっ!?・・・まっ、まさか私まで・・・あのような・・・ウプっ!?」

 

 

そう、ファッジもウィラがどんな呪いをかけたのか、『黄金の魔法』とはどんなものかと興味本位でロックハートを見てしまったのだ

その証拠にこの場にいる他の職員まで顔を真っ青にして俯いている。あれが世界最古にして全魔法族の王___『黄金』を怒らせるとどうなるか・・・この場の全員がそれを確認していた

 

何よりエルドラド王国は建国以来常勝無敗、ヨーロッパ魔法界において最強の国家だ。そんな所の怒りなど買いたくもない

 

 

____だが・・・

 

「エヘン、エヘン!」

 

 

どこにも馬鹿はいるもので____

 

 

「大臣、少しご提案が」

 

「おぉ!アンブリッジ上級次官!何か良い案が?」

 

「えぇ大臣、そもそも陛下は我等イギリス国民を勝手に裁いた無法者です。むしろこちらからガツンと言われたほうがよろしいかと」

 

「なっ!何を言っておるのだ!?陛下にはこちらから好きにしてくださいと親書を送ったのだぞ!?」

 

「ですがそれもエルドラドを盾にした武力外交、とても国王のすることではございませんわ」

 

「・・・アンブリッジ上級次官、貴女は今何を言っているのか分かっておられるのですか・・・?」

 

「もちろんですわ♪そもそも陛下は今や我がイギリスのホグワーツに通う身、生徒です。普段世話してあげてるのは我々魔法省ではありませんか。ねぇ、私何か間違ったこと言ってる?」

 

「・・・いえ・・・」ウプっ

 

「しかし・・・いやいかん!今回はできるだけアチラ側の意向に従うのだ!でなければ私は終わりだ!!他の職員にもできるだけ穏便にすませるよう通達するのだ!!」

 

 

ファッジがアンブリッジをいったん黙らせ話しを進める。しかしアンブリッジが先程言ったことは全て本心だ、何故たかだか生意気な小娘一人の御機嫌伺いなどしなければならないのか・・・と

 

 

そして数年後・・・彼女は後悔する

この世でもっとも怒らせてはならないのは誰か・・・全てを失いようやく知ることとなる

 

 

 

 

 

一方エルドラド王国も各閣僚達が集まり緊急会議を行っていた

 

 

「外務大臣、イギリス魔法省は何と?」

 

「はっ!「精製法はすでに捨てられもうどこにも無い」と・・・ふざけるな!!陛下の臣民を害し、あまつさえこちらの要求にも従わぬなど・・・!?」

 

「大統領、どうかご決断を!!」 「エルドラドの意志をあちらにキチンと伝えましょう!!」

 

「しかし・・・陛下が何と言われるか・・・」

 

「大統領!!我等が至上の君主、黄金の君であらせられる陛下に従わず彼等は侮辱したのですよ!?貴方はそれでも陛下の臣ですか!!」

 

「黙れい!!陛下を侮辱されこの私が黙っていられるとでも!?あのお方が姫であらせられる頃より見守り続けたのは誰だと思っている!?」

 

 

この場にいる閣僚達はウィラに忠誠を誓った者ばかりだ、それが今回悪い方向に向かった

『陛下の臣民を手にかけた』この事実だけで過激な方向へと会議が展開される

 

____その場に彼等の主君が現れるまでは____

 

 

「ならば____っ陛下!?」

 

 

大統領のその言葉に閣僚達が遥か年下の少女に対し、一斉に跪き臣下の礼を取る

 

そこには侮りやからかいの雰囲気など一切無い、心からの心服が見てとれた

 

 

「・・・急ぎ帰ってみれば、まぁ下らない会議を・・・大統領」

 

「はっ!」

 

「キサマ何を考えておる。キサマ等閣僚が第一に考えるはこの私ではない、民草だ。イギリスに戦争だと?恥を知れ!!」

 

 

ほぼ寝ずに急ぎ帰ってきたのだろう、ウィラの目元には隈が見てとれる。しかし年上の閣僚を叱咤する様はまさに絶対的な君主だ

 

 

「そもそも父上と母上は何と言っておった」

 

「はっ!・・・「ウィラがそのようなこと望むはずがない」・・・と」

 

「然り、戦とはすなわち民草を犠牲にすることである。国の下に流れるは敵の血だ、我が民では無い。そもそもアレはすでに私が裁きイギリスに渡した、もう終わったんだ」

 

「恐れながら上告します!魔法省はしかし『黄金の祈り』の精製方法を書き起こした暗号文章はすでに存在せぬなど戯言を!!」

 

「おそらくは事実だ。私があの詐欺師の中を視ても同じ内容だった。・・・○○氏は?」

 

「今は自宅にて療養中です・・・記憶を無くしていたこと自体気づいていなかったのですから・・・」

 

「そうか・・・私はこれから○○氏の下へ向かう。魔法省には詐欺師を聖マンゴに移しアズカバンには送るなと告げろ。どうせ吸魂鬼(ディメンター)でもあの状態では何もできん、せいぜい入院費を200年払い続けさせろ。卿等はこのエルドラドを背負う身、ならば務めを果たせ」

 

「はっ!」

 

「「「全ては黄金の君のお心のままに!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくたち休校が明けた頃_____イギリス魔法界は___ホグワーツは歓喜に包まれた

 

 

それは日刊預言者新聞の大見出しに載っていた

 

 

 

____『黄金の祈り』の製作者○○氏に黄金の奇跡!!

 

 

先日世間を騒然とさせた史上最悪の詐欺師、ギルデロイ・ロックハートは何とアズカバンではなく聖マンゴ病院に急遽入院することとなった!

 

彼の弁護を引き受けた弁護人に聞くと

「・・・何も話したくありません・・・あんなッゥプ!あんな悍ましい呪い!!一体誰が!?彼はもう何も喋ることも・・・!アレ以上の裁きなんてアズカバンにすら無い!!」

 

 

と証言してくれた!だが語ってくれた弁護士の顔は真っ青で、何を見ればあのようになるのか記者にも想像がつかない!

 

一応詐欺師ロックハート氏が入院した聖マンゴ病院にも取材を応じたが一切の情報を遮断

そこにはまるで何者かの陰謀とその何者かへの畏怖を感じた!(記者も気になるがこれ以上は命が惜しいのでこの話は終わりにしよう)

 

そして今回の新聞を手に取った読者の諸君はもう見出しを読んで歓喜に震えているだろう!

 

そう!記憶を喪失していた『黄金の祈り』の製作者○○氏が何と記憶を取り戻しつつあるのだ!まさに我々の祈りが天に、いや、黄金に届いたのだ!!

 

はっきし言おう!!全てはウィラ陛下のおかげだ!

 

ロックハートを魔法省に引き渡した陛下はそのままご自身の国、エルドラドへとご帰還され、その足で今回の被害者である○○氏の下へ赴かれた!

 

初めはあまりのショックに陛下はその玉眼から聖女の涙以上に尊い涙を流され、ひたすら○○氏に頭を下げられたらしい!(この一文だけでいかに陛下が慈悲深いお方か読者諸君も分かってもらえるだろう!)

 

そして陛下は○○氏にご自身が大切な恩師からいただき、普段から肌身離さず持っておられる『幸福薬』を授け「これでしか償うことのできない無能な王どうか許してほしい」と言われ、○○氏は「陛下からいただくなど・・・これ以上の幸福が無いことを今この場で証明しましょう」とその場で『幸福薬』を服用。すると失われた記憶の一部が蘇り、精製方法を少し思い出したというのだから驚きだ!!

この報告を受け、魔法省は他の被害者にも試しに『幸福薬』を投与したが・・・残念ながら○○氏のような奇跡が起こることは無かった

これぞまさに『黄金の祈り』が届いたと言わずして何だと言うのだ!!

 

○○氏の記憶がいつ完全に取り戻せるかはまだエルドラド王国側からも報告は無い。だが○○氏が再び『黄金の祈り』を作れる日が必ず訪れることだけは確定だ!!

 

○○氏にはこれからも『幸福薬』が投与される予定だ!本来『幸福薬』は精製が難しく、そして莫大な金がかかる事で有名だが○○氏の場合何と全額をエルドラド王国が負債する形となったらしい!

 

 

イギリスの難病で苦しむ読者諸君!諸君等が救われる日はもうまじかに迫っている!!___

 

 

 

「ネビル!新聞読んだか!?」

 

「うん!うん!ウィラ・・・本当にありがとう・・・っ!!」グスっグスっ!

 

「マクゴガナル先生!ウィラはまだ帰ってきてないのですか?」

 

「えぇ、ミスター・ポッター。おそらくは各方面への説明に大忙しなのでしょう。校長もエルドラド側に問い合わせましたが国も忙しいようで返事はまだ帰ってきてません」

 

「グラップ!ゴイル!新聞を読んだか!?」

 

「」チーン! 「ドラコ・・・今俺達花粉症なんだ」ズズっ

 

 

 

 

___しばらく世間やホグワーツが喜びに包まれる中、とある朝礼にダンブルドアが全校生徒を大広間に集めた

 

 

「諸君、まずは非礼を詫びたい。儂はあの男が詐欺を働いておると知り、証拠を集める為にこのホグワーツの教師に据えた。じゃがあの男は儂の想像を遥かに超えた犯罪者じゃった、そのような者を生徒の前に出したこと・・・本当にすまん」

 

 

スリザリンから非難の声が上がりそうになるが、ダンブルドアがその頭を深く下げたことによって黙りこむ

いくら相手が間違いを犯したとはいえ、ダンブルドアは正真正銘偉大な魔法使いだ。そんな老人から頭を下げられれば喉まで出かかった溜飲を飲み込むしかない

 

 

「さて、これも大事なお知らせじゃが次はもっと大事じゃ____ウィラ殿が今日!このホグワーツに帰って来る!!」

 

 

瞬間まるで大砲を撃ったかのような歓声がこの大広間を包み込む

 

 

ワァァアアア!! __やった!! __私、陛下に会われたらまず謝らないと・・・ __ウィラ陛下!!本当にありがとう!! __詐欺師を捕まえてくれて! __ウィラ!君のおかげでママが助かるよ!

 

 

「うむ、うむ、そうじゃのぉ儂もとても嬉しいわい」

 

「校長先生!ウィラはいつ帰ってくるんですか!?」

 

「ウィーズリー君、それは儂にも分からん。今彼女は世界中に知られてしまった『黄金の祈り』の説明、製作者○○氏の身柄の安全確保、ロックハートの魔法省への説明。文字通り世界中を相手にエルドラド王国の国王として指示を出しておる。今日帰ってこられること自体が信じられんのじゃ」

 

 

ダンブルドアからの説明に皆驚愕するしかない、分かってはいたことだが国王とはそれほどまでに忙しいのかと

 

 

すると大広間の扉が開き____

 

 

「ウィラだ!!ウィラが帰って来た!!」

 

 

ハリーの言葉に生徒も先生も扉を見る

 

そこには華奢な肩を上下させ、玉のような汗を浮かべ急いできたことが一目で分かるウィラが立っていた

 

 

「はぁ、はぁ、校長!そこを退け!!良い知らせがある!!」

 

 

あの時とは違い、まさに黄金のような笑顔を浮かべながらダンブルドアに命令する

 

 

「おぉ!勿論じゃよウィラ殿!さ、こちらへ」

 

 

ほとんど寝ていないのだろうか、時折足をもつれさせ、黄金の獣に時折支えられながらも弱さを感じさせない足取りで壇上に立つ

 

 

「聞け!!『黄金の祈り』の製作者○○の記憶は10年以内に取り戻すことが判明した!!最低10年だ!もっと早まる可能性もある!!」

 

 

全員にその言葉が伝達し、再び歓声が上がろうとするが

 

 

「あぁ!先生!スネイプ先生!ありがとうございます!全部先生のおかげです!!」

 

 

スネイプの名を嬉しそうに大声で呼び、抱きつくウィラを見てはピシリと固まるしかない

 

 

「っ///!?離せミス・エル・ドラド!吾輩に抱き着くな///!!」

 

「いいえ!離しません!!先生がくれた『幸福薬』のおかげなんです!あぁ!何とお礼を言えば良いのやら!」

 

 

ザワ! __え、じゃああの『幸福薬』ってスネイプが!? __でも何でウィラ様に・・・ __どうでもいいじゃん!スネイプ先生見直したぜ!! __アンタ良い人なんだなー!

 

 

「~~~~っ///!?えぇい!!いい加減にしろ!!離しなさいミス・エル・ドラド!!」

 

「先生のおかげで沢山の人が!私の愛する臣民が救われました!ありがとうございます!ありがとうございます!」ポロポロ

 

 

嬉しそうに涙を流されては流石のスネイプも無理やり引きはがすワケにはいかず、普段毛嫌いしているグリフィンドールもこの時だけはスネイプを讃える声を上げた

 

 

___ウィラが次の瞬間爆弾を投下するまでは・・・

 

 

「先生!何でも(・・・)言ってください!何でもします(・・・・・・)!先生が欲しいなら何でもあげます(・・・・・・・)!!」

 

 

 

 

ピシリ・・・と今度は物理的な音が大広間に響いた

 

全員が・・・ダンブルドアやマクゴガナルまでスネイプの方をギギギと首から音を上げながら見つめる

 

対するスネイプも先程までは恥ずかしさに顔を真っ赤にしていたが、今ではダラダラと冷や汗をかいている

 

その胸元では今だにヒシっと背中に両手を回し、グリグリと嬉しそうに顔を擦り付けているウィラを見て生徒達が___

 

 

__スネイプキサマァァアア!! __ふざけんなよスネイプ!! __羨ましいぞクソヤロォォォオオ!!! __イヤァァア!!私のウィラ様がぁぁあ!! __俺達の黄金を汚すなぁ!! __このロリコン野郎!! __全部計算してたんだなロリコン!! ローリーコン!!ローリーコン!!

 

 

先程までの讃える声が一斉に罵詈雑言へと変わる。そこには寮の垣根など無く、スリザリンまでもが杖を突きだしありったけの呪いをかけようとする。それはグリフィンドールも同じだ

 

だがその全てが抱き着いているウィラの『黄金の血の守り』によって消え去ってしまう

 

 

この光景はスネイプが全4寮から-300点ずつ引き、ようやく正気に戻り顔を真っ赤にしながらウィラがスネイプに『グラヴィタス』をかけるまでしばらく続いた

 

 




ということで蛙ババァにフラグが立ちました
そしてファッジは今回神回避


ウィラは確かに10年以内に記憶を取り戻すと言いましたが・・・
10年以内にイギリス魔法界に入るとは一言も言ってません
(これからの国交次第ですね)

あとウィラは「攻め込む」のは反対ですが「侵略してくる」に対しては喜々として
報復します(エルドラドのお国柄的にも防衛線において絶対的な優位性を持ってますからね)


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黄金と校長の相談

「秘密の部屋」何話くらいかかるんだろう
長すぎてもあれだし・・・悩み所ですね


それと前回感想やお気に入りをしてくださった方に感謝しましたが
誤字報告もまたちゃんと確認し、修正しております
本当にありがとうございます!



あの後恥ずかしさとあまりの眠気にすぐさま「黄金の間」に戻り寝た

 

・・・国に帰っても大変だったがまさかホグワーツに帰ってきても大変だとは思わなかったぞオイ!?

「てんてーロリコン説」の否定にどれだけ尽力したことか!(まぁ私的には是非ともロリコンであってほしいけど!)

しかもあとからてんてーの研究室に呼び出されて・・・

 

 

「ミス・エル・ドラド!!キサマの所為で吾輩がどれだけ!!」

 

「ふぇ・・・でっでも、先生にお礼したくて・・・ただ・・・ひっく、それだけで・・・っ!」

 

「っ!?あぁもう!!分かった!分かったからそんな目で吾輩を見るな!!」

 

 

となった(いや女の涙は武器と言うがホントだなー)

 

でも本当に感謝してる。てんてーのおかげで○○氏は救われ、結果的には大勢が救われるのだ(これは全校生徒にもちゃんと説明した)これで少しはてんてーの株も上がるかな?

 

生徒達からもたくさんのお礼と謝辞を言われた。とくにネビルが喜んでくれて私も嬉しかった

 

 

(さぁて、これで今年もあとは全力で楽しむだけ!何して遊ぼうかなー?またフレッジョ達と一緒にダンブルドアに『絶対に消えない黄金のペンキ』でもぶちまけるかな?)

 

 

 

 

 

 

一方校長室ではダンブルドアが軽く頭を抱えていた

 

イギリス中からの抗議、預言者新聞からの質疑。これらはウィラがダンブルドアを肯定してくれたおかげで何とか静まることとなった

だがそれ以上に・・・今年の『闇の魔術に対する防衛術』の教師が消えてしまい、授業が全くできなくなっているのだ

 

 

「あやつを捕まえる証拠は今年いっぱいはかかると思うておうたが・・・いや、あのような者早く捕まって正解じゃ。しかし・・・」

 

 

チラリとある試験管のようなガラス管を見る、そこには『~ウィラがロックハートにかけた呪いの記憶 決して見るな~』とダンブルドア自身の文字で書かれており。自分でその記憶だけを抜いたと一目で分かる

 

 

「・・・儂は一体何を見たんじゃ?彼に関してはウィラ殿が裁きを与えたとしか記憶が無い。じゃが・・・視るなと儂自身の魂が告げておる・・・従ったほうがよい・・・か」

 

 

そんなことよりも防衛術の教師を決めなければと思考を変える

スネイプは駄目だ、彼は前々から防衛術の教師を希望しているが今の彼は『魔法薬』の教師。しかもウィラからマンツーマンで教わっているおかげか前よりも更に洗練され、今やダンブルドアでも薬作りの腕なら敵わないものとなっている

そう、あまりにも惜しいのだ

 

 

「うむむ・・・あまりあの科目は評判が良くないからのう・・・今から探しては間に合わんし・・・リーマスにはすでに来年からとお願いしておる、今更変えるワケにもいかん・・・どうすれば・・・」

 

 

するとふと、1つ妙案を思いつく

いるではないか、このホグワーツに自分以上の魔法の腕を持ち、どんな魔法も効かず決して誰にも侮られない____絶対的な存在が

 

「しかし・・・問題は彼女が受け入れてくれるかどうかじゃ、円卓もどう反応するか分からんし・・・また抗議の『吼えメール』がもしかしたら大量に・・・うっ!胃が・・・スマンがフォークス、胃薬を・・・」

 

__ピフィ~

 

「スマンのう(パク)・・・はぁ、とにかく一度ウィラ殿に相談してみるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

てんてーに抱き着いてしまった(そこ!ニヤニヤしない!)数日後、ダンブルドアに呼ばれたので校長室に向かう

 

 

「黄金の君、毎回こちらから赴く必要があるのでしょうか?むしろあちらから来てもらうほうが当然かと」

 

「いえ獣殿、陛下のおわす部屋にあの男はふさわしくありません」

 

「ニールの言うとおりだ、卿等人外ももう少し人間を知るといい。あんな老人誰が入れるか」

 

「失礼いたしました、これからも精進します」

 

「私は一応人間社会に紛れた頃もあったのですが・・・」

 

「家畜を眺める目でだろう?そんなもの紛れるとは言わん____ついたな」

 

 

 

__おっ!今回は機嫌良いみたいだな!何か良いことでもあったか?

 

「・・・まぁ・・・すっ少しだけ・・・///」

 

__ハッハァ!嬢ちゃんそれは恋ってもんだ!おっしゃ!俺が他のガーゴイルのメスに惚れた時の話を・・・

 

「どうでもいいので早く入れなさい。黄金の君を待たせるなど何たる不敬か」

 

__むぅ・・・良い話なんだけどなー。・・・合言葉は?

 

「___Are you ready?」

 

__Let,rock!! 

 

「イエェェェア!!」 __イエェェェア!!

 

 

パァン!!

 

 

__ハッハァ!相変わらずサイコーな嬢ちゃんだ!!ン~Sweet Lady__ピョン!

 

「うむ!卿の方こそ相変わらず良いノリだ!今度ゲーム貸そうか?」

 

__マジで!?

 

「陛下、ダンブルドアがお待ちですよ?」

 

「もう少し話したいのに・・・」

 

__いいから行きな嬢ちゃん!また今度はしゃごうぜ?

 

「あぁ!必ず!」

 

 

 

 

 

「おぉ!来たかウィラ殿」

 

「毎回同じこと言ってないか?お前」

 

「ほっほ、お約束というものは大事じゃよ」

 

「まぁ否定はせんが・・・で?今度は何だ?もしかしてまたペンキをかけられたいのか?よっしゃ!今すぐ用意を・・・」

 

「勘弁してくれ・・・儂がいくら『スコージファイ』しても取れんし・・・手で洗濯しないと取れんとは一体どうなっておるのじゃ」

 

「苦労して汚れを落とすと気分良いだろう?それにいいぞ金は、金ぴかもいいし黄金なら更に良い」

 

「それでもじゃ。・・・ところで聞きたいのじゃが・・・ウィラ殿は詐欺師にどんな魔法をかけたのじゃ?」

 

「何?」

 

「どうやら儂自身が記憶を抜いたようでのぉ、マクゴガナル教授やスネイプ教授も同じことを言っておった」

 

 

そう言われ、試しに『開心術』で視てみるが・・・本当に私が呪いをかけた所だけキレイに無い

 

 

(・・・そうか・・・流石にアレには耐えられなかったか・・・)

 

「ウィラ殿?」

 

「・・・ダンブルドア校長(・・)、それは消したままの方がいい。二人にもそう告げろ・・・これは本心からのお願いだ」

 

「・・・何をしたのじゃ?」

 

「知らない方が幸せな事もある、今回がまさにそれだ。・・・記憶を抜き出す前の卿の判断は間違いではないよ」

 

「むぅ・・・そうか・・・なら二人にもそう告げよう」

 

「そうしろ、で?今回は何の用だ?くだらん内容だったらマジでペンキぶちまけるぞ」

 

「じゃからそれだけは・・・その・・・言いにくい事なのじゃが・・・」

 

 

そう言いながらこちらをチラチラ見て来るダンブルドア、うぇ、キモ!!良い歳こいたジジィが女の子をチラチラ見るんじゃありません!!

 

 

「キモイ、マジキモイ。早くしろ、ウォーカーに血を吸わせるぞ」

 

「え?勘弁してください陛下!こんな枯れを通り越した屍クラス絶対不味いですって!」

 

「・・・そこまで言わんでも・・・酷すぎじゃろ。泣くぞ?儂マジ泣きするぞ?」

 

「泣け、そして死ね」

 

 

言った瞬間コイツマジで泣きやがった・・・しかも嘘泣きだし・・・

 

 

「グス、グス、こんないたいけな老人を虐めるなどn「『Dies ir・・・』」分かった!!儂が悪かったからそれだけは!!」

 

「嘘泣きなんかするからだ、は・や・く・し・ろ」

 

「では・・・ウィラ殿、お願いがあるのじゃが」

 

「ふむ、お前が私にお願いなど珍しいな。普段なら利用しようとしか考えないクセに」

 

「・・・隠しても意味が無いから否定はせん。じゃが今回ばかりはウィラ殿以外に頼む者がおらん」

 

「内容しだいだな、聞こうか」

 

「ウィラ殿・・・防衛術の教師をしてみらんかね?」

 

「・・・はい?」

 

 

今コイツ何て言った?私が?教師?

 

 

「実は詐欺師が捕まってしまったせいで今年の防衛術の教師がおらんくなってしまった。今年いっぱいかけ、証拠を掴む予定だったのでな」

 

「・・・ダンブルドア殿、発言をよろしいか?」

 

「勿論じゃよニール殿」

 

「では・・・それはそちらの不手際では?それに何故陛下が教師などしなければならないのですか」

 

「・・・そもそも今年中に捕まえる気だったのなら来年は決まっているのだろう?それを連れてくればいいじゃないか」

 

「そうなのじゃが・・・彼にはすでに来年からとお願いしとる。それを今更変えるというのも・・・」

 

「そんなこと黄金の君には関係ありません!何故黄金たるこのお方が教師など・・・!」

 

「ウィラ殿以外におらんのじゃ・・・生徒に決して舐められず、誰もが納得する人物が」

 

(彼・・・ルーピンか)

「ふむ・・・他にも理由があるな?話せ」

 

「・・・実は・・・ロックハートのせいで生徒達が教師に不信感を抱いておる。これはゆゆしき事態でもある。・・・ウィラ殿なら信用も信頼も抜群じゃ、どうかこのとおり!頼む!」ガバッ!

 

「・・・頭を上げろダンブルドア、卿は仮にも校長。いくらこの私が相手でもそう簡単に頭を下げるものではない」

 

「いや、これくらいせねば。儂もおかしな頼みをしておるとは分かっておる、しかし・・・」

 

「・・・はぁっ・・・まぁ話しを聞いて面白そうではある」

 

「「陛下!?」」 「黄金の君!?」

 

「意外か?でも面白そうじゃないか、上に立つ立場としていつしか誰かに物事を教えることもこれからあろう」

 

「ではっ!」

 

「しかしだ、話がいきなりすぎてこの場では返事ができん。少し考えさせてくれ」

 

「勿論じゃ!良い返事を期待しても?」

 

「そう急くな、そうだな・・・明日までには返事を約束しよう」

 

 

それから「黄金の間」に戻るまでも3人からひっきりなしに質問された

 

 

「黄金の君、本気ですか?御身自身が人に物事を教えるなど・・・」

 

「何だ獣、その言い方ではまるで私にその資格がないように聞こえるぞ?」

 

「っ違います!!」

 

「うるさい、急に大声を出すな」

 

 

そのまま部屋に戻り、いつもの定位置である椅子に座る

 

 

「ですが陛下、獣殿の言い分が正しいかと。御身自らなどあまりにも身に余る光栄が過ぎます、どうか・・・」

 

「ウォーカー、今回の件この私も関わりがある。ならば多少なれど責任は取らねばならん」ギシっ

 

(しかしなぁ・・・教師か・・・私が教えるとただの帝王学になるぞ・・・)

 

 

そう考えながらも実は結構ノリノリだ!

だって先生だぜ?「廊下にバケツ持って立ってろ!!」とか人生で一度は言ってみたい言葉第765位くらいには入るぞ?

 

 

「ですが陛下・・・」

 

「なんだニー・・・ル?」

 

「__?どうかされました?」

 

「そうだ!ニールお前がやれ!」

 

「はい?私ですか!?」

 

「あぁ!教師の経験ならこの私相手にあるじゃないか!」

 

「ですが御身に教えたことは剣の使い方のみですよ!?」

 

「構わん、それに卿を選んだ理由は確かに剣の腕でもあるが、卿はもともと近衛兵長!魔法の腕もなかなかではないか!」

 

「でっですが!?」

 

「そうだ決めた!!私とニール!そして魔法の試し打ち相手にウォーカー!うん!完璧だな!!そうしよう!!」

 

「はいぃ!?何故私まで!?それに魔法を打つ相手なら私よりも獣殿のほうが!?」

 

「おや、ウォーカー。まさか生徒程度の脆弱な攻撃をこの黄金の獣である私に受けろと?」ニッコリ

 

「ヒィっ!?ちっ違います!!お願いですからその爽やか恐ろしい笑顔を止めてください!!」

 

「そもそも獣では魔法耐性が高すぎる、私しか魔法が通らないじゃないか。それにお前も一応魔法使えるだろ?杖渡してあるんだし」

 

「確かに・・・御身から杖はいただきましたが・・・」

 

「乗る気にはならんか?では二人に命令だ、私と共に教師をしろ。この私の傍にいられるんだ、光栄であろう?」

 

「確かに光栄ではありますが・・・あぁ!もう!分かりました!謹んでこの黄金円卓第7席次ニーゲンベルグが引き受けましょう!!・・・ウォーカー!」

 

「はいぃ!!」ビシィっ!!

 

「貴方は末席、まさか陛下の御意向に逆らうワケないですよねぇ・・・」ニッコリ

(道連れは一人でも多いほうがいい!!)

 

「まっまさかぁ!私程度が・・・は、はは」

(今絶対道連れって考えたでしょうニール殿!?)

 

「まぁ二人共安心しろ、基本は私が教える。ニールは補助、ウォーカーにも普通の魔法しか撃たんよ。ならばよかろう?」

 

「ほっ、補助と聞いて安心しました」

 

「普通の魔法ですか・・・私はてっきり『黄金の魔法』とばかり」

 

「たわけ、それでは私以外誰も使えんではないか。覚えられないものを教えてどうする」

 

「・・・あれ?黄金の君、私は?」

 

「邪魔、部屋の隅で埃でも食ってろ」

 

「そっそんなぁ・・・」ズゥ~ン

 

「くはは!よしこれで行こう!!「GTO」読んで一度でいいからやってみたかったんだ!!」

 

「あぁ・・・また漫画の影響ですか」ヒソヒソ

 

「どうしますかニール殿、その内生徒を無理やりバイクに乗せて建設中の高速道路に突っ込んだら」ヒソヒソ

 

「するか馬鹿!!というかウォーカー読んだのか?アレ」

 

「いやぁ、最近漫画にハマッちゃって・・・とくにヒラコーなる方が書かれたヴァンパイアが主人公の漫画はサイコーですね!」

 

「だろ!初めお前を探したのもあの漫画の影響なんだ!まぁ結果は見てのとおり旦那の下位互換以下だったがな」

 

「漫画以下って・・・」ズゥ~ン

 

「__?何落ち込んでるんだ?まぁいいか!朝になったら早速ダンブルドアにOKと伝えよう!」

 




というワケでグレートティーチャー黄金(GTO)爆誕です


今回の話の展開が特殊な目を持った主人公がいる最近ハー子まで人外化した
某作品と似通ってますが
あちらの作者様には許可をいただいております
アイデアをお借りすることを了承していただき本当にありがとうございます!



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黄金と末妹

GTO始まるよー

今回滅茶苦茶難産でした・・・
(何回書き直したか・・・)

ようやくあの子が出ます
そしてウィラ視点ではなく他者視点で今回進行させていただきます
それに伴い、くどいほどに『黄金』の単語が出ますがどうか
ご了承ください

いつもとちょっと雰囲気違うかも?

ではどうぞ





私の名前はジネブラ・ウィーズリー。みんなはジニーって呼ぶわ

 

 

ホグワーツから入学届けが来た時、私は胸躍った。たくさんいる兄達が通い、パパとママも通ったホグワーツ。何よりようやく「魔法使いなんだ!」という実感が湧いて楽しみで仕方なかった!

 

それにロンやフレッドとジョージが夏休みの間ずっとあの人のこと・・・ハリーのことを話してくれてたの!

『魔法界の英雄』__ずっと憧れだったし会うのが楽しみだった!

 

でもそれ以上に会いたい人ができた・・・ロン達が何度も言うの

「あれこそは黄金だ」「ウィラ以上にキレイな人なんかいやしない」「なぁジニー。羨ましいだろ?俺達王様と友達なんだぜ!」

 

そう、魔法界において誰もが知るエルドラド王国、そのエルドラド王国において若干9歳で国王に即位・・・『黄金の君』・・・ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア陛下

 

彼女・・・というか黄金の家系について魔法界で知らない者はいない

私が彼女を知ったのは記事だった

ただの白黒写真、でも白黒でよかった

もし動いたり色があれば私はご飯も食べずに1日中眺めていただろう

写真からも分かるカリスマ性、笑顔は色が無いのに黄金に輝いていた

 

ハリーが来てからも私の心は彼女が気になってしょうがなかった!

だって同じ女の子で歳もあまり離れてないのに王様なのよ?

きっと絵本の中のお姫様以上に優雅できらびやかで・・・世の中の女性の夢を全て叶えて全てを持っている人・・・一度でいいからお話ししたいと私はホグワーツ入学する前から思い続けていた

 

 

 

 

 

あの時は本当に奇跡だと思った、ロックハートがサイン会をするということでハリー達の買い物にママと一緒に着いていったのだ

 

そこで彼女と初めて出会った

『黄金』___まさにそれ以外に表す言葉が無い

髪の毛は金髪なんかでは無くまさに黄金色で・・・瞳の色までが黄金色に輝いていた、その身体も女性や男性が視界に一目入れればもう追わずにはいられないほどに美しい黄金比率に彩られていた。存在全てが黄金としか形容のしようがない

 

その後ろに引き連れてる従者の人も男の人なのにすごくキレイで・・・正直ロックハートがブサイクに見えた

 

ずっと憧れた人がそこにいる!私は嬉しくて嬉しくて・・・そして恐怖を抱いた

 

 

 

ロックハートがあの人にキスした瞬間、私の世界は色を無くし、私は目の前の黄金に「殺される」と思った

無表情に・・・しかし黄金色に・・・あの人はその瞳に黄金色の殺意を携え私達に話しかけた

蛇に睨まれた蛙どころではない・・・恐竜が蟻を何の感慨も無く踏む潰すような錯覚に襲われた(もちろん私達が蟻だ)

 

・・・あの人が従者の人を連れて帰っても私の中から恐怖が消えることは無く・・・それまで楽しみだったホグワーツに入学することが嫌になった・・・だってあの人がいるのよ!?

 

 

 

・・・だから朝礼で行われる目の前の光景は夢だ悪夢だ・・・お願いだから夢なら醒めて・・・!

 

 

 

「では諸君!新しい闇の魔術に対する防衛術の教師・・・ウィラ殿じゃ!ウィラ殿、どうかご起立願いたい!」

 

「紹介に預かったウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリアだ。卿等と同じ生徒の身にありながらこの度今年限定で教師となった。しからば異議ある者は唱えるがいい、この私が受け付けよう」

 

 

そう彼女が言うと、瞬間生徒達が大喝采を上げるが・・・冗談じゃないわ!みんなあの人の怖さを知らないからそんな態度ができるのよ!!

 

皆忘れたのだろうか・・・ロックハートに彼女は平気で『闇の魔術』を使ったのよ!?そんな人が!私達と同じ子供が!教える立場の教師!?

 

もちろん文句なんか言えるワケもない!もし文句を言えば瞬間あの『ノエルバイン』が襲い掛かってくるだろう!

 

 

話しを聞いていると明日からさっそく私達グリフィンドールの1年生が初授業らしい

 

暴君の最悪の授業が始まると思った・・・そしてソレは半分正解だった・・・

 

 

__翌日私達は何故か競技場に集められた・・・朝起きると部屋に何故か置いてあったジャージを着て・・・

 

彼女も同じようにジャージ(金ぴかの)を着てその手にはジャパンの竹刀?(これも金ぴか)を持って一言___「さぁ!ランニングをしよう!」

 

・・・その後は最悪だった・・・

 

 

「イヤァアアア!!無理!もう走れません!」

 

「くはは!そうは言いながらも全員走っておるではないか!!ウォーカー!最後尾の者を襲え!!獣もニールも獲物を追い立てろ!!くはは!」

 

「獲物!?今獲物っつったぞあの人!?」 「お願いします!!ウィラ様少し休憩を・・・!!」 「いやぁぁ!?蝙蝠の大群が!!あのノエルバインがぁぁああ!!?」

 

「先生をつけろ!!闇の魔法使いに出会ってまず最初にすることはなんだ?知ってる魔法で迎撃する?命乞いをする?どれも不正解だ!魔法なんぞ子供が大人の腕に敵うワケがない。命乞いなどしても無駄、殺してくれと言うようなものだ。では・・・正解は?はい!ミス・ウィーズリー!!」ビシィ!!

 

「ヒィっ!?わっ!分かりません!!」ゼーハー!

 

「何ぃ?聞こえんなぁ?もっと大きな声で!グリフィンドールから-1点!」

 

「そんな!?」 「横暴だ!!」 「何て暴君だ・・・」

 

「くはは!!然り!然り然りぃ!!王とは暴君でなくてはならない!ゆえに我こそは暴君!!黄金なりぃぃ!!そら庶民共!!我を楽しませろ!!王は退屈であるがゆえになぁ!くはは!!」

 

 

ひたすらに走る走る走る!!もう何週したか分からない!

 

 

「そして正解は『逃げる』だ。逃げて逃げて逃げ続け仲間の助けや奇跡が起こることを祈れ。そして逃げる為に必要なものは?はい!ミス・ウィーズリー!」ビシィ!

 

「まっ!また私ぃ!?あぁ!待って!えぇとえぇと・・・体力?」

 

正解だ(エサクタ)!だから走れ!泥臭く走り続け体力をつけろ!これぞまさに青春!!」

 

「ふざっけんなぁぁ!!」 「そういうアンタは走ってねーじゃねぇか!!」 「てか何だよそのふざけた玉座!?」

 

 

そう、この人はこう言いながらも自分は走らず何と足を組み、頬杖を突きながらずっと玉座のような椅子に座りながら空を!そう空を玉座で飛びながらずっと追ってきてるのだ!!(マジふざけんな!!)

 

 

「空飛ぶ絨毯があるなら空飛ぶ玉座があってもいいじゃない!!それに私は国王だぞ?なぜ走らねばならんのだ?」

 

 

(あの王様・・・絶対本気でそう思ってる!!)ゼーハー!ゼー!

 

 

 

こうして私達1年生最初のウィラさんが教師を行う防衛術の授業はずっと走って終わった・・・

 

 

 

 

 

 

 

二日後もまた防衛術の授業があった。誰もが筋肉痛に悩みながら「もう走りたくない・・・」と言っていたが相手はあの『黄金』・・・逆らえば何が待ってるか分からない。朝の私達1年生を見てロン達が「一体何があったの!?」と聞かれたが誰も話す元気がなかった

 

 

しかし私達の思いとは違い、談話室の掲示板には

『本日の防衛術の授業は8階廊下に普通の恰好で来てください』

と黄金比率で書かれた綺麗な文字で張り紙が出されていた

 

 

言われたとおり8階廊下に行く。しかしどこにもそれらしき部屋は無く、しばらく歩き回っているとある壁の前に「『黄金が授業を行うにふさわしい教室』と念じながら3回この前をうろつけ」と書かれた張り紙があったので言われた通りにする。すると___

 

 

「うわっ!何だコレ!?」 「すげぇ!壁から扉が!!」 「ねぇ、先に入ってよ」 「え、ヤダよ!」 「でも入らないと先生に何言われるか・・・というか何やらされるか」

 

 

と誰も怖がって入らなかったが最終的に皆恐怖に怯えたようだ。恐る恐る一人、また一人とまるで死刑囚のように入っていく

 

どんな地獄が待ってるかと思いきや・・・そこには天国が広がっていた

 

部屋の内装は教室とは思えないほど豪華な装飾が施され、椅子は普段私達が座るような物ではなく一人一人が肘掛け付きのソファーとなっており、机もそれぞれが黒檀の最高級品だ

 

そして机の並びは講堂のように生徒が見下ろす形ではなく、平らに並べられ奥の方だけが一段高くなっており____その中央に玉座の如き豪華絢爛な椅子にウィラ先生が後ろに円卓の3人を携え紅茶を飲みながら優雅に座っていた

 

 

「__ん、来たか。分かってくれてよかった。さ、好きな席に座れ。出席を取るぞ」

 

 

しばらくフリーズしていた身体がウィラ先生のその言葉にようやく動き出し、おっかなびっくりといった感じでそれぞれが椅子に座る

 

 

「うわ!なにこれ!?身体が沈む!?」 「僕こんなソファー初めてだよ!」 「ちょっと!豪華すぎないこの教室!?」 「あの・・・先生この教室は?」

 

「ここは『必要の部屋』というものだ。別名『あったりなかったりする部屋』。目的が変わるごとに部屋の内装や大きさが変わる。今回は『私が授業を行うにふさわしい部屋』と考えたらこうなった」

 

(((豪華過ぎるだろ!?(でしょ!?)黄金ってスゲー!!!)))

 

「一昨日は悪かったな。あの後よく考えたら「アレ?これただの体育じゃね?」と思い今回から普通の授業となった。もう走らせんしウォーカー達にも襲わせんから安心しろ」

 

 

何人かはあからさまにホッとした表情をしていたが・・・まだ私の中にはあの本屋の恐ろしさがこびりついて離れない

 

 

「一昨日に引き続き我が黄金円卓の3人にも協力してもらう。お前等、挨拶しろ」

 

 

後ろに控えていた3人が前に出て自己紹介してくれる・・・前から思ってたけど円卓ってイケメン多すぎない!?今自己紹介してるニーゲンベルグさんなんてマジタイプなんですけど!?

 

 

出席を取り終えたあとの授業は本当にマトモだった・・・何回か詐欺師の授業を受けたけどあれとは比べものにならないほど学べることが多い

 

 

「___ゆえに卿等がまずまっ先に覚えるべきは『武装解除』の呪文だ。これなんか当たればその瞬間魔法使いは杖を奪われ無力になる。それは大人だろうが変わらんからな。このあとはひたすらそれの練習をしようか」

 

 

ガリガリガリ____

 

(確かにそうだ、偉大な魔法使いとされてるダンブルドア校長だって杖使ってるんだし・・・この人本当に優秀なのね、教え方もすごく分かりやすい・・・)

 

 

「だが昨日も言ったが基本は逃げろ。確かに卿等グリフィンドールには耐え難かろう。だが覚えておけ。勇気を示すのは良い、だが自分と相手の力量を見間違えるな。それは勇気ではなく蛮勇と言うのだ。勇者ではない愚か者だ。それに逃げることも勇気、臆病者と笑う者こそただの道化だ」

 

 

そこにいるのは教師でもあり王でもあった。私も含めみんなが先生の黄金色の声音に・・・王の言葉を拝聴していた・・・

 

 

すると誰かが手を上げ

 

 

「あの・・・陛下、じゃなかった先生。先生も逃げることがあるのですか?」スっ

 

「くはは!この私が?この黄金が逃げるだと?ありえんよ。・・・そうか、卿等は私の事・・・というか黄金についてあまり知らんのか。まぁそれは今度教えよう。そして答えはNoだ。私は黄金の君、エルドラド王国第79代国王である。ゆえに私に敗北は決して許されん。私の負けはすなわちエルドラドの滅びに直結するからな」

 

 

・・・言葉が出なかった・・・この人は・・・私とあまり年の変わらない目の前の女の子はこんなに小さな身体で1国を背負っているのだとようやく考えが追い付いた

 

それは詐欺師を許せないハズだ・・・気軽にキスなど祖国を舐められたに等しい

 

でも・・・そこまでこの人のことが分かってもまだ恐ろしい

 

 

 

残りの時間は言ったとおり『武装解除』の呪文の練習時間となった

先生と騎士様達は一人一人を見回ってそれぞれに指導してくれた

 

 

「『エクスペリアームズ』!!」ヒュっ!

 

「違う、手の角度はこうだ。私が後ろから補助につく。さ、やってみろ」

 

「ひゃっ!ひゃい///!えっ!『エクスペリアームズ』!!」ヒュっ!

 

「おぉ!そうだ!やればできるじゃないか!」

 

「きっ恐縮です・・・///!!」

 

 

・・・ただ男女関係なく皆顔を真っ赤にしてたが・・・(私?・・・ノーコメントで・・・)

 

 

「ふむ、ミス・ウィーズリー。いや、ジニーと呼んでも?」

 

「・・・お好きにどうぞ」

 

「卿も少し違うな・・・私が手本を見せよう。__『エクスペリアームズ』!!」ヒュオっ

 

 

ザワっ!! __え、早い! __見えたか?  __いや、全然!

 

 

「卿等も鍛えればこれくらいすぐ出来る。どれ、ジニー、手を借りるぞ?」

 

 

そう言いながら先生が後ろから私の手を優しく掴んでくれる

 

(やだ・・・すごく良い匂いがする・・・それに睫毛もすごく長いしそこまで黄金色なんだ・・・改めて見ると全部負けてる・・・ううん、こんなの勝負にすらなるわけがない)

 

 

「__ニー?ジニー!」

 

「っ!はい!何ですか!?」

 

「いや、ボーとしてたから・・・大丈夫か?」

 

(顔近い///!!)

「ひゃっひゃい!大丈夫です!!」

 

「そうか?なら杖を振れ、いくぞ?」

 

「はい!『エクスペリアームズ』!!」

 

「いいぞ!それだ!皆ジニーを見ろ!1年生にしては覚えがいい!グリフィンドールに20点!」

 

「っ!ホントですか!?」

 

「私は冗談は言うが嘘はつかんよ。ジニー、よくやった、大儀である」

 

 

授業が終わる頃にはもう、私の中の恐怖はどこかへ行っていた___

 

 

 

___「授業が終わったら軽く残ってほしい」と先生に言われた

 

 

「あの・・・何ですか先生」

 

「まぁ座れ、ニール、紅茶を頼む」

 

「御意」コポポ

 

 

先生が騎士様に紅茶を頼んでしばらく待つ___うわぁ、紅茶を淹れてるだけなのにカッコイイ!

 

 

「どうぞレディ」

 

「あっありがとうございます!____っ!何これ美味しい!こんなの飲んだことない!」

 

「ふふっ、いいな、私の騎士が褒められるのは気分が良い」

 

「先生、それで・・・何でしょうか?」

 

「ふむ・・・ジニー、お前・・・私が怖いのか(・・・・・・)?」

 

「っ!?」

 

 

・・・急に目の前に蛇が、いや・・・黄金の怪物が現れた・・・

 

 

「うっ・・・あっ」カタカタ

 

「別に怒ってるわけじゃないさ、ただ・・・流石に悲しいんだ・・・卿の兄君達とは友達なんだ、卿とも是非友達になりたい。だから・・・話してくれないか?」

 

 

「とりあえず飲んで落ち着け」と言われるがままに飲む

 

 

(何でバレたの!?なにこの人・・・もしかして心が読めるの!?)

 

チラリと先生を見るが・・・こちらをその綺麗な黄金色の瞳で見つめるだけだ

 

 

もう一口だけ飲み覚悟を決める・・・最悪家族だけでも許してもらおう・・・

 

 

「・・・えぇ・・・怖い・・・すごく怖いです・・・貴女が・・・」

 

「理由を聞いても?」

 

「初めて会った時を覚えてますか?フローリシュ・アンド・ブロッツ書店です」

 

「あぁ・・・覚えてるさ」

 

「私・・・先生に会うのすごく楽しみにしてたんです。だって貴女はあの『黄金』・・・国王です。どんな生活をしてるのかとか、きっとお姫様みたいな生活してるんだろうなとか・・・色々聞きたくて」

 

「くはは!確かに姫だった時もあるよ。今では王になってしまったが・・・そうか、私に会うのを楽しみにしてくれていたのか」

 

「でも・・・っ!あの時の先生・・・っ。すごく・・・すごく怖くてっ!私っ!殺されるって!憧れの人に殺されるって本気で感じたんです!!」ポロポロ

 

「・・・」

 

「正直ホグワーツに来るのも嫌でっ!少しでも失礼働いたら何されるか分からないって!だって貴女は王様で!権力なんかすごくあって!・・・正直兄達が毎晩楽しそうに先生のこと話すのが信じられなくて・・・」

 

「ジニー・・・」

 

「でも間違いでした!先生すごく優しいのに・・・あの時詐欺師に対してあんなに怒ったのも分かります・・・王様があんなことされて怒らないわけないですものね?」ポロポロっ

 

「ジニー」

 

「先生、私のこと殺しますか?あははしょうがないですよね?こんなどこにでもいる女の子が王様にこんな失礼なこと言って・・・でもお願いですから家族dっ!?」

 

 

・・・言葉が続かない・・・だって

 

 

「ごめん・・・ごめんなジニー?」ギュっ

 

 

___先生が抱きしめてくれたから・・・

 

 

「そうか・・・私が怖がらせたのか・・・私・・・最低だな・・・ごめんね?本当にごめんっ!」

 

「っ違います!先生は悪くなんか・・・勝手に怖がった私のほうがっ!」

 

「いや、気付かずあのような怒気を垂れ流した私のほうこそが悪いのだ。お前は何も悪くない・・・全部私の所為だ・・・」

 

 

・・・この人のことが分からない

怒る時はそれだけで死ぬと錯覚させ、一昨日のようにとことんふざける時はふざける。かと思いきや今日はすごく真剣に授業を行ってくれてまさに人を導く王だった・・・

そして今は私なんかのために本気で謝って泣いてくれてる・・・

 

(あぁそうか・・・人間なんだ・・・王様っていう生き物じゃなくて誰よりも人間らしく喜怒哀楽に満ちてるんだ・・・)

 

 

「ゆえに誓おう。これから私は決して・・・卿を怖がらせはしないよ」

 

「・・・何に誓うんですか?」

 

「この『黄金』の名だ。私にとって何より重く、そして誇りである」

 

「・・・一昨日の授業は怖かったです」

 

「私じゃない、ウォーカー達が悪い」

 

「私・・・先生のこと憧れてもいいですか?私みたいな庶民と・・・友達になってくれますか?信じていいですか?」ポロポロっ!

 

「願え、そうあれかしと御覧見せよう。そしてジニー?私の中では共に茶を飲んだ時点でもう友達だ」ニコ

 

「っうわぁぁぁん!!先生!先生!ごめんなさい!勝手に怖がって!ごめんなさい!」

 

「うん、こちらこそごめんね?」

 

「色々お話ししたいんです!ヘンなこと聞いても怒りませんか?」グスっグスっ

 

「私の方こそ色々聞いても?魔法使いの暮らしには興味があったんだ」

 

 

 

 

___この日、私ジネブラ・ウィーズリーに新しい友達ができた

 

 

最高のその友達はいつも絶え間なく・・・黄金色に輝いてた____

 

 




というワケで初のジニー登場です


実はホグワーツ特急くらいで出す予定がここまで来てしまいました(汗

とりあえずジニーがウィラのことを怖がってるという設定は詐欺師初登場会から決めていたのですが
どうやって友達になるか、どうやって接近させるかなど考えてるうちにこういう感じに

ちなみにジニーは『開心術』を疑ったようですが
ウィラは一切使っておりません
(フツーに今までいろんな人間を見て来て培った観察眼です)


次回(予定)___ドラコ、穢れた血




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黄金と努力する貴族

ドラコの扱いがようやく決まりました

何とかあと4話くらいで秘密の部屋終わらせたいです




私が教師を初めて2週間程たった

以外なことに私の授業は好評らしい(ただ走るのだけはマジ勘弁と言われたが)

でも・・・正直な話みんなニール達が目的だろう!?そうなんだろう!?

私分かってんだかんね!女子がニールや獣に熱い視線送ってるの!!(あとついでにウォーカー)

 

 

(まぁいっか!ジニーとも仲良くなれたし!)

 

本当によかった!何よりジニーの笑顔を見て日記を破壊したのは間違いなかったと思えた

 

 

 

「ミス・エル・ドラド、何か考え事かね?」

 

「あっ、いえ大丈夫です!」

 

 

今日は週に一度のてんてーに薬作りを教える日だ!いやマジサイコー!!だっててんてーの悔しがる顔や嬉しそうな顔、スリザリンの生徒を褒めたりグリフィンドールを貶したりと色んなてんてーを独占してんだぜ!?

 

(ほぁぁああ!!真剣な顔マジカッケェ///!!やべ、鼻血出そう・・・!)

 

 

でも・・・相変わらずエル・ドラド呼びなんだよなぁ・・・そろそろその・・・うぃ、ウィラトリアとかウィラって呼んでくれても・・・///

 

 

 

 

__トントン

 

「ん?どうかしましたかニール殿」

 

「しっ!ウォーカー」ちょいちょい

 

「・・・あぁ」

 

 

__これでいいですか?

 

__えぇ、獣殿も少しお付き合いください

 

__構いませんよ?どうかしました?

 

__その・・・本当に陛下はこの男を?

 

__・・・えぇ、私だってあまり言いたくはありませんが・・・そのとおりです

 

__なぜ陛下はこんな鷲鼻を・・・だって見てくださいよ!ワカメヘアーですよ?ワカメヘアー!

 

__あぁそんな・・・黄金の伴侶にこのような・・・何歳離れてると!?

 

__いや、ニール殿にだけは黄金の君も言われたくないでしょ。奥方は何歳でしたっけ?

 

__え?15歳ですが何か?

 

__うわぁ・・・改めて聞くと吸血鬼の私でもドン引きですよ・・・貴方今34歳でしょう!?確か陛下付きのメイドのお一人でしたっけ?

 

__そうですよ?すごくカワイイ自慢の妻です!

 

__まぁ5000歳超えてる私から言う事はないですが。それにジブニール様とオレンシア様も黄金の君とこの男以上にお歳が離れてるではありませんか、あと以前黄金の君から「このことには口を出すな」と釘を刺されてしまいまして・・・

 

__ですが!黄金に彩られた陛下の家系にっ!いや確かに陛下の子供ならどんな男と結婚しても美男美女なのは決まってますが・・・

 

 

__グツグツグツ___

 

「・・・ミス・エル・ドラド、お前の騎士達は何をしておるのだ・・・」

 

「あぁ、きっとヒマなんでしょう。テキトーに手をフラフラさせてあげればそれで満足しますよ」フリフリ

 

__キサマ等ァァァアア///!!!黙れ!!マジ黙れ///!!いいじゃないか!私が誰に惚れようが結婚しようが!!てんてーマジ舐めんなよ!?この人ただのツンデレだぞ!?性格マジ滅茶苦茶良いからな!?

 

__ですが陛下!

 

__次私の視界で暗号やってみろ。ニール、ミスラに二度とメイド服を着させてやらないしウォーカーお前は2千回殺す。獣は二度とモフモフ無しだ!

 

__そんな!?ミスラにあの恰好で色々ご奉仕してもらうのが唯一の楽しみなのに!?

 

__マジで本当に消滅します勘弁してください・・・

 

__モフモフが!私のモフモフがコチョウ殿に全部奪われる!?

 

 

「ね?テキトーにあしらってやればあぁやって喜びますから」ニコ

 

「いやどう見ても落ち込んでおるのだが・・・まぁいい、そういえば最近ドラコと話したかね?」

 

「いえ?何だか忙しそうだったので。急にどうしたのですか?」

 

「・・・アヤツめ、まだ言ってなかったのか(ボソっ)・・・いや、明日ヒマがあるなら競技場に行くといい」

 

「__?まぁ分かりました。あぁそういえば私も先生にご相談が・・・」ぽーい

 

「・・・っ!?いや待て!今どのタイミングで放りこんだ!?まだ吾輩が羊皮紙に書いておるではないか!」

 

「クスクス、さぁ?先に相談に乗ってくれると約束してくれるなら・・・あとから手取り足取り教えてあげますよ?先生♪」ぽいぽいぽーい!

 

「だからまだ・・・!くぅ!?分かった!できるだけ叶えよう、だからもう一度初めから!」

 

「ふふっ!本当に駄目な教え子ですね♪せ・ん・せ・い?」

 

「こんのっ!?・・・はぁー、吾輩をここまで振り回すのはダンブルドアかお前くらいだ・・・で?吾輩に一体何を頼みたいのだ?」

 

「今私が防衛術の教師をしているのはご存知ですね?」

 

「無論。本来なら吾輩がなるハズだったが・・・まぁお前なら文句は無い」

 

「ありがとうございます。ですがやってて一つ思うのです・・・彼等には実戦がまるで足りてない・・・と。なので先生」

 

 

__私達二人の名で『決闘大会』を開きませんか?

 

 

 

 

 

 

次の日、てんてーに言われたとおりドラコに話しかけようとすると向こうから久々に話しかけてくれた

 

 

「やぁウィラ、今ヒマかい?」

 

「ちょうどいい、私も卿に話しかけようとしてたところだ・・・というかその恰好・・・」

 

 

そう、ドラコは緑を基調としたスリザリンカラーの服装・・・それはクィディッチでよく見かけるユニフォームだった

 

 

「気づいてくれたかい?そうなんだ!僕も今年からクディッチの選手!しかもシーカーさ!」

 

「おぉ!それはめでたい!おめでとうドラコ!私も嬉しいよ」

 

「ありがとう、君からの祝辞なんてサイコーさ!それに見てくれよコレ!ニンバス2001!最新型の箒さ!・・・実は君に褒めてもらいたくてずっと隠れて練習してたんだ・・・中々話せなくてゴメンよ?」

 

 

そう言いながら恥ずかしそうにドラコは頭を掻いている。ふふっ、本当に可愛げのある奴だなぁ

 

 

「くはは!カワイイ奴め!どうせ今から練習しに行くんだろう?私もついて行って良いか?」

 

「もちろん!他のスリザリンのチームメイトもウィラなら大歓迎さ!」

 

 

 

ドラコについて行くと先程言われたように他のスリザリン生から熱烈な歓迎を受けた

皆私やドラコを取り囲んで色々楽しませようと話題を振ってくれる

 

(たまにはいいな、こういうの。言い方が悪いが安っぽい王様気分も中々オツなものだ)

 

 

競技場につくと向こうからグリフィンドールのユニフォームを着たハリー達がこちらに向かってきた

 

 

「っウィラ嬢!?どうしてスリザリンなんかと・・・!」

 

「久しいなウッド、私はどこの寮でもないのだぞ?別にスリザリンといてもいいじゃないか」

 

「でも何て言うか納得いかねぇぜ!」

 

「てか何でスリザリンがここに!?」

 

「そうだマーカス!!どういうことだ!今日は俺達が競技場を使うはずだぞ!?何故スリザリンが来ているのだ!?」

 

 

ウッドがそう言うとマーカスが懐から一枚の用紙を出してきた

 

 

(・・・あぁそうか!今日がドラコのお披露目会か!あれ?ということはこの後・・・)

 

 

「『新シーカー育成も兼ね、競技場を使うことを許可する __セブルス・スネイプ』・・・何だよコレ!?てか新シーカー?誰だよ一体」

 

 

ロンのその言葉に堂々とした態度で(ドヤ顔しながら)ドラコがスリザリン生の奥から出て来る

 

 

「この僕さ」フフン

 

「・・・ルシウス・マルフォイの息子か・・・!」

 

 

グリフィンドールの誰かが嫌悪感丸出しでそう呟く

そういえばルシウスと最近連絡取ってないなー、元気にしてるかなアイツ?あとでドラコに聞いてみるか!

 

 

「そうさ!それに見ろよポッター!」

 

「っはぁ!?ニンバス2001!?どこでそれを!?」

 

「流石のウィーズリーでもこれくらいは知っているか。父上さ!父上がチームメイト全員にプレゼントしてくれた!このニンバス2001を!!」

 

 

ドラコの言葉にスリザリンのチーム全員が自分の持つ箒を上に掲げる。グリフィンドールはその光景を見て唖然とするだけだ

 

 

「悔しいかい?なら君達も買ったらいい。これでクディッチは我々スリザリンのものさ!」

 

 

(おぉ!煽る煽る!)

 

まぁ今回の件に関して私は口出しする気は無い。そもそも敵を煽って冷静な判断をさせなくするのはスポーツにはよくあることだ(ボクシングとか)

少なくとも敵を煽り、より良い道具を用意するのは間違いではない

 

と私が一人思っていると・・・

 

 

「ふざけないで!そんな箒無くたってグリフィンドールは負けないわ!それにこっちの選手には少なくともお金なんかで選ばれた人は一人もいないわ!」

 

 

ハー子がドラコの言葉に大声でそう返した。するとドラコの表情がみるみるうちに歪んでいき、怒りに満ちた顔となり・・・思わず私は天を仰いだ・・・

 

(あぁ・・・こういうことだったのか・・・すまないがハーマイオニー・・・お前が悪い(・・・・・)

 

 

「誰もお前なんかに意見を聞いちゃいない!!この『穢れた血』め!!」

 

 

瞬間、グリフィンドール生が騒ぎ立て、フレッジョはドラコを殴ろうと、ロンは杖を抜き呪いを放とうと、そして言われたハー子は泣きそうな表情になっていた

 

 

「この・・・っ!!ナメクジくらえ!!」

 

ロンが呪文を放とうとした瞬間、私も杖を抜き

 

「『フィニート・インカンターテム(呪文終われ)』」

 

「っ!?何すんだよウィラ!!君正気かい!?」

 

「あぁ正気さロン」

 

「ウィラ!!コイツは俺達のハーマイオニーに!!」

 

「この御曹司が何言ったか分かってんだろうな!?」

 

「フレッド、ジョージ。確かに酷い言葉だな。『穢れた血』・・・だがドラコ・・・それはこの私の中にも流れて(・・・・・・・・)いると知って言ったんだろう?」

 

 

私のこの一言に周りも一気に温度が低くなる

 

 

「っ!?そっそれは・・・!?」

 

「以前も言ったが私は別に純血でも何でもない。いわゆる混ざりもの(・・・・・)だ。・・・そういえば貴族は自分達に流れる血を差して『青い血族』とも言うらしいなぁ?どうする?本当に青いか試しにこの場でぶちまけるか?」

 

「ぁ・・・あっ」カタカタ

 

「・・・だがドラコを裁く前に・・・ハーマイオニー」

 

「っ!・・・なっ何?」

 

ドラコに謝れ(・・・・・・)

 

 

すると再び騒然とするグリフィンドール。まぁそうなるな

 

 

「何言ってんだよ!!ハーマイオニーが何でこんな奴なんかに・・・!!」

 

「そうだ!」 「ハリーの言うとおりだ!!」

 

「今回ドラコが『穢れた血』と言った事以外、私はスリザリンの味方だ」

 

 

信じられないという顔で私を見て来るハリー達。・・・しょうがない、証拠を見せてやろう

 

 

「少なくともドラコは正真正銘実力でシーカーを勝ち取った。ドラコ、手を見せろ」

 

 

そう言うとドラコが躊躇ったので少し無理やり手をグリフィンドールに見せる___そこには夥しい血豆の数々があった__

 

 

「これが証拠だ。ドラコがいかに努力し、文字通り血反吐を吐いたと分かるだろう?」

 

 

ドラコの手を見てハリーですら言葉を失った

 

 

「ドラコ、何故隠した」

 

「だって・・・努力なんて貴族らしくないし・・・その、恥ずかしいじゃないか」

 

「たわけ、努力に恥ずかしいも何もあるか。努力する者は等しく美しい。私がもっとも評価するのは才有る者ではない、泥臭く・・・ひたすら歩き続ける者だけが称賛に(あたい)すると思うておるよ」

 

 

そう私が言うとドラコが顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうにはにかむ。うん、良い表情だ

 

 

「でも・・・ニンバス2001なんてズルイじゃないか!!」

 

「それの何が悪い?クディッチのルールブックに『最新の箒をチーム全員に用意してはいけません』なんて書いてないだろう?彼等はあくまでスポーツマンシップに則って箒を用意した・・・それの何がいけないんだ?」

 

 

まるで理解できないという顔でグリフィンドールが私を見てくる・・・もう少し説明がいるか・・・

 

 

「言い方が悪いが金も力だ。現に有名なクディッチのチームは優秀な選手を金で集め、自身のホームグラウンドを金で用意し、金でより良い箒を買う。まさかこれもズルイとでも?

確かに卿等から見ればズルイだろうさ、だが関係無い第3者から言わせてもらえればグリフィンドール、卿等もルールを捻じ曲げ優秀な1年・・・ハリーを手に入れたじゃないか。あの時他の3寮から何て言われた?ウッド」

 

「・・・お前達だけ・・・ズルイと・・・」ギリっ!

 

 

こう言われては流石に何も言い返せないらしい。グリフィンドールは黙りこむしかない。・・・スリザリンが調子こく前に釘を刺さねば

 

 

「だが自分達が金を持っているからと言ってそれをひけらかすのは気に食わん。たかがか貴族風情が偉そうに・・・それが許されるのは魔法界においてこの『黄金の君』だけだ。覚えておけ」

 

「でもウィラ・・・マルフォイはハーマイオニーのこと・・・!!」

 

「努力を馬鹿にされたんだ・・・努力の全てを金という理由にされた、私でも怒るさ。ドラコ、言っとくがお前も悪いんだぞ?自分が苦労して買ったわけでも無い箒を自慢気に・・・趣味が悪いな」

 

「ご・・・ゴメン・・・」

 

「はぁっ、私じゃない、ハーマイオニーに謝れ。そもそもそんな差別用語使うな。言っとくが私の国ならその言葉を使った時点で重罪だ」

 

 

しばらく考えるような仕草をし、ドラコがノロノロとハー子に近づきそして・・・

 

 

「・・・すまなかったグレンジャー・・・僕が悪かった」

 

 

頭を下げしっかりと自分の非を認めたドラコ。うん、次はこっちだな

 

 

「ハーマイオニーお前もドラコに謝れ。・・・1年生の時、努力を馬鹿にされ嫌がったのはどこの誰だ」

 

「・・・そう・・・ね、確かにアレは最悪だった・・・私のほうこそごめんなさい。私・・・貴方のこと勘違いしてたかも・・・」

 

「うむ!これでよし!仲良きことは良いことだ!」

 

「だがウィラ嬢!確かにウィラ嬢の言いたいことは分かった!箒の性能など関係ない!!それでも勝つのは俺達グリフィンドールだ!!しかし今日競技場を使う予定だったのはグリフィンドールで・・・」

 

「残念ながらウッド、書類というのは用意した方が勝ちだ。目で見える証拠というのはそれだけ重要性が高い」

 

「そんな!?」

 

「だがマーカス!調子に乗るなよ?後出しはいつの時代も卑怯だ。狡猾ではない卑怯というのだよコレは」

 

「・・・肝に銘じておきます。ですが・・・今日使うのは我々でよろしいですね?」

 

「あぁそうだ。なんだグリフィンドール、納得いかないか?」

 

「っ当たり前じゃないか!!」

 

「では言い方を変えようか?1日でハリー、お前ドラコに負けるのか?」

 

「っ!僕がこんな奴に負けるワケないじゃないか!!」

 

「何?ポッター、この僕がお前に負ける?ハッ!笑えない冗談だ」

 

「なら1日くらいくれてやれ。次はちゃんとマクゴガナルに書類を用意してもらってこい。何度も言うが今回スリザリンが後から書類を用意したのは確かに卑怯だ。しかしそれ以外・・・全員がニンバス2001を持つことは卑怯でも何でもない、全力で勝ちに行くことは一切間違ってないからな」

 

 

ここまで言ってようやくグリフィンドールも納得してくれたようだ(まぁ何人か・・・ロンとかロンとかロンとかは納得してないようだけど)みんな競技場から出ていく

 

 

「ありがとうウィラ、君のおかげで・・・」

 

「あん?言っとくが私はまだ『穢れた血』と言ったことを許してないぞ?」ゴゴゴ!

 

「ヒィ!?ごっ!ゴメンよウィラ!君に言ったワケじゃなくて・・・」

 

「私嫌いだなー!貴族だから!純血だからとソレをひけらかすお子様は!」←自分は除く(だって王様だもん!)

 

「わっ分かったよ!君の前では二度t「私の前だけ?」っ一生!一生言わないから!」

 

「・・・あのウィラ様、そろそろドラコを許してもらえませんか?練習の時間が・・・」

 

「ん?使ってもいいと言ったが練習する時間をくれてやるとは一言も言ってないぞ?」

 

「そっそんなぁ!?」

 

「くはは!卑怯者には罰だ!これに懲りたら喧嘩をいちいち売りに行くなヴァカめっ!」

 

 

その後もずーっとスリザリンをからかい続け練習時間を潰してやった(まぁこれで懲りてくれるだろう)

 

 

「あぁそんな・・・貴重な練習時間が・・・」

 

「ぼっ僕のデビュー戦が・・・」ガクっ

 

「まぁいいじゃないか。ドラコ、卿に一言、言っておくことがある」

 

「__?何だいウィラ」

 

「安心しろ、努力はしかと卿に応えてくれる。さっきはあぁ言ったが・・・私は努力する者の手が一番好きだ」

 

「__っ///!ぼっ僕頑張るよ!必ず勝つ!だから応援・・・いや、見ててくれないか!?」

 

「うん、楽しみにしてるよドラコ」

 

 

 




実際スリザリンも大概ですがグリフィンドールもズルイのでは?
(ファイアーボルトとかグリフィンドールの試合にリーの実況等)

おもしろいので全然良いんですけどね

そして常にハブられるハッフルパフとレイブンクローェ・・・
(この作品ではどうしよう・・・)


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黄金と決闘大会

過去最長になってしまいました・・・

話の展開上、物語の流れが前後しますが
ご了承ください
それと今回も地の文がウィラとナレーションで入れ替わります
読みにくいかもしれませんがご了承ください

そしてハロウィンはぶっ飛ばします
日記もないしバジリスクもいない。何も起こるワケないので・・・





 

 

 

 

__とある日の土曜日、ホグワーツは朝から沸きに沸いていた

 

というのも今日の夜、ウィラが『決闘大会』なるものを開くと張り紙を各所に張り出していたのだ

 

場所は大広間を貸し切り。内容は決闘の所作を学び、魔法使いとしての品格を養うこと。そしてウィラから見れば実戦経験がまるで足りていないため、今回である程度それを補おうというものだった

 

 

「でもさ、なんで相方がスネイプなんだろうね」

 

「さぁ、何でもスネイプと話している時にこの話になったらしいわ。だから相方をお願いしたんだって」

 

「理解できないよ。どうせならウィラ一人でやるほうがみんな盛り上がると思うんだけどなぁ」

 

「そっそういえばウィラってそもそも戦えるの?僕、ウィラが自分で戦う所想像できないんだけど・・・」

 

 

ネビルの言葉にハリー達も確かにと思う

確かに詐欺師に対してウィラは魔法を行使したし、防衛術の授業中も人に手本を見せるために魔法を使う時はある

しかし誰かを相手に戦う?まだ蹂躙しながら笑っているウィラを思い浮かべるほうが簡単だ

 

 

「でも去年聞いたけどアルヴィーさん達を円卓に加える時は真剣勝負したらしいよ?」

 

「アルヴィーさんってそもそもドラゴンじゃない、魔法使いじゃないわ」

 

「しかもドラゴンやあのノエルバイン相手に勝ってるんだよね?うわぁ・・・僕初めてスネイプのこと可哀想だと思ったよ・・・」

 

 

各々が様々な思いを抱えながら時間が過ぎていく

スネイプを可哀想と思う者、逆に消し炭にしてほしいと思う者、ウィラにカッコイイところを見せて婚約者に立候補しようと思う者、その才能を認められ円卓の一人を師匠のように持ってしまった者

 

 

そしてホグワーツは夜を迎えた___

 

 

 

 

ハリー達が大広間につくとそこにはすでに大勢の生徒が集まっていた。大広間の椅子は全て撤去され中央には舞台が置かれ、皆その周辺に集まり今か今かと待ち望んでいた

もしこれがロックハートの催し物なら呆れた顔やロックハートに黄色い声を送る女子生徒等で溢れかえっているだろうが「あのウィラが面白いことをしないハズが無い」と皆期待に満ちた顔をしている。それはハリー達も同じだ

 

すると舞台の奥からいつものように円卓を引き連れウィラがスネイプと共にやって来た。それだけで歓声が上がる

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、結構集まったな」

 

「・・・帰って良いか?」

 

「おやぁ?まさか先生は約束も守れないのですか?いいんですよ?もう授業しなくても」

(嘘ですお願いですからてんてーのニホイもっと嗅がせてください!!)クワッ!!

 

「クッ!あの時簡単に頷いた吾輩が憎い!・・・まぁよかろう・・・彼の名高き『黄金』の胸を借りさせてもらおう」

 

(カモン!私のちっぱいで良ければ!やべ、自分で言って悲しくなってきた・・・)

「えぇ存分に」クスッ

 

 

 

「・・・ねぇハーマイオニー、いつも思うけど何でウィラってスネイプと話してる時楽しそうなんだろうね」

 

「私に分かるわけないわ」

 

「きっと今からボコボコにするのが楽しみなんだよハリー」

 

 

てんてーとお喋りはホントに楽しい!いつの間にかもう舞台の中央についちまったぜ☆

とりあえず辺りを見渡し

 

 

「よく集まったな。張り紙にも出した通り今宵ダンブルドアの許可をもらい「決闘大会」を開くことになった。今回は遊びでもあり授業でもある。しかと決闘の所作を学び、卿等に役立ててほしい。そして今回私と共に進行してくれるスネイプ先生だ。皆盛大な拍手と感謝を」

 

 

パチパチとまばらにしか拍手が上がらず、大半は苦虫を潰したような顔をしている

えぇ~・・・てんてーどんだけ嫌われてんだよ・・・スリザリンくらいしか拍手してないじゃん・・・

 

「それから我が円卓の騎士達にも協力してもらう。我が騎士達よ」

 

 

私のその言葉に3人が軽く前に出てお辞儀する、それだけで今度は割れんばかりの拍手と黄色い歓声が至る所から上がり出す

 

 

(ちょ!おまっ!?酷くないか!?泣くぞ!?てんてーだって人なんだからね!?)

「あの・・・先生?」チラっ

 

「・・・何かねミス・エル・ドラド、ところでこの時間中に何人かの生徒が変な病気にかかるかもしれんが吾輩のせいではないのであしからず」ゴゴゴ!

 

「アッハイ。コホン・・・ではまずは遊びと行こうか!ウォーカー!」

 

「はっ!」

 

 

掛け声と共にウォーカーがその身を全て蝙蝠に変え、生徒達の間を飛び交う。軽い悲鳴が上がるが・・・初めの頃少しイジメ過ぎたかな?

 

 

「逃げるな!遊びと言ったハズだぞ?」

 

「でもウィラ!!これのどこが遊びなんだよ!?」

 

「良く聴け!この蝙蝠は卿等を襲わずただ飛ぶだけだ!そしてこの蝙蝠を一番多く撃ち落とした者には優勝賞品を贈ると約束しよう!さぁ存分に魔法を撃つがいい!!」

 

 

とたんに打って変わって目の色を変えながら魔法を撃ち出す生徒達。みんな現金だなぁ・・・

 

 

しばらくは1年生や2年生達も一生懸命撃ち落とそうとするが・・・途中で気づいたようだ

そう、ウォーカーにはなるべく避けるように言っておいた。無駄打ちすればただ魔力を消費し、更に小さい蝙蝠に中てること自体至難の技だ

 

 

「こっこんなの中るワケないじゃないか!」ゼェゼェ

 

「くはは!ようやく気付いたか?しかしドラコ、5年生や6年生を見ろ。しっかり見極め最小限の呪文で落としているではないか」

 

 

5年生以上は流石に私の意図に気づいていたようだ。そう、私は「遊びでもあり授業でもある」と確かに言ったのだ。聞いていないほうが悪い

 

 

「それに・・・3年生を見ろ、一人今だ落とし続けてる猛者がいるぞ」

 

 

1、 2年生達が私の見る方向へと目を向ける

 

(ふむ・・・勝者は決まりだな)

 

 

「そこまで!ウォーカー」

 

__チキチキ_____はっ!」

 

「誰が一番多かった?」

 

「あそこの者でございます。陛下」

 

(流石だな)

「では___セドリック!こちらに来い」

 

 

5,6年生や7年生が軽く抗議してくるが流し、セドリックをこちらへ呼び寄せる

 

 

「ニール、流石はお前の弟子だな」ボソっ

 

「まだ弟子などではありませんよ。精々育てばいいと思っているだけです」

 

 

そう、以前ニールがセドリックを一目見て「この者を育てても?」と私に伺ってきたのだ

それ以来ニールはセドリックを鍛え上げている

 

以前私の影響でハッフルパフがグダグダになった時もただ一人だけ影響を受けず一人一人にタオルケットをかけていた思い出は今だに新しい、流石『公式チート』(だって話せば紳士、顔はイケメン!性格良し!運動神経良し!何コイツ・・・完璧超人かよ・・・)

 

ちなみにこの関係は誰にも言ってない。言えば「一人だけズルイ」という声が必ず上がるためだ。そしてニール曰く「才能は彼以外見る価値ある者等一人もいない」だそうだ

 

一度だけハリーは?と聞いたがそれも「我が強すぎです。彼は英雄足り得ますが戦士にはなれません」とバッサリだった

 

 

「久しぶりだねウィラ、本当に僕なのかい?」

 

「うん、久しいなセドリック。間違いなく卿だ。で?褒美は何がいい?好きに望め」

 

「・・・何でもいいのかい?」

 

(おや?珍しいな。ここまで意見してくるとは)

「構わんよ」

 

「じゃあ・・・あとでいいから先生(・・)と決闘をさせてほしい。僕がどれくらい成長したか先生に恩返しとして見せたいんだ」

 

「・・・私ではないんだな?」

 

「あぁ、ニーゲンベルグ先生さ。先生には色々教えてもらった・・・だから先生、お願いします」

 

「クスっ、小僧が・・・生意気な。陛下、私は構いません。この小童にまだまだだと教え込まねば」

 

「はぁ・・・お前等本当に師弟だよ。分かった。では褒章はそれとしよう」

 

「ありがとう。じゃあまた後で」

 

 

そういいながらハッフルパフの集まりにセドリックが戻っていく。あるぇ~?アイツあんなに好戦的だったっけ?

 

 

「自信を持たせたんですよ。優しすぎる性格のせいで折角の才能が発揮されていませんでしたので」

 

「楽しそうだな・・・言っとくが剣は使うな、私は「イギリスの魔法戦士」を育てることを許容したのであって「エルドラドの魔法戦士」を育てろとは言ってないのだからな」

 

「存じております。まだ剣は教えてませんよ」

 

(教える気マンマンじゃねぇか・・・)

 

 

 

 

 

「なぁセド!ウィラ様に何お願いしたんだ?」 「もしかしてフィアンセに立候補とか?」 「はぁ!?ズルいぜセドリック!」

 

「違うよ!それにお願いごとは内緒、どうせすぐ分かるし・・・ほら!ウィラがスネイプ先生と始めるみたいだ」

 

 

 

 

 

「では遊びも終わった所でスネイプ先生、こちらへ」

 

 

今まで離れて私を見ていた・・・もとい監視かな?てんてーがこちらに戻ってくる。それを見届け生徒も再びこちらに注目しだした

 

 

「これよりは決闘の所作だ、まずは相手にお辞儀・・・ププっwwコホン!お辞儀をする」

 

「・・・ミス・エル・ドラド、何故笑った」

 

「いやぁどこかのお辞儀大好き自称「闇(笑)の帝王」を思い出しましてw」

 

「・・・確かにあの方はお辞儀の角度にすらうるさかったが・・・笑うものではない」

 

 

そう言いながらてんてーがこちらにお辞儀してきたので私も返す

てんてーはまさに歴戦の戦士といった感じの厳格なお辞儀だった(マジカッケェ・・・惚れ直したわ)なので私もまた王に相応しい所作で優雅にお辞儀する

 

 

「次は杖を構える。本来なら私も構えるべきだが・・・あいにく構えたことなどなくてな」

 

「吾輩は構わん。ところで何を持って勝敗を決める?お前に魔法が効かないのはこの場の全員が知っておろう?」

 

 

私の授業では時折「魔法界最強の守りを見せてやろう」と『黄金の血の守り』を何度か見せたことがある。だからだろうか、皆勝負にすらならないという顔で見て来る

 

 

「では私に中ったと見て判断できたら私の負け、先生は杖を失ったら負け。これでいきましょう」

 

「・・・手加減はせぬぞ」スっ

 

(キャー!構える姿もカッコイイ///!)

「無論、手加減などしたら殺しますよ?」

 

 

 

 

 

スネイプが目を更に鋭くさせ、ウィラを睨みつけながら眼前に杖を構える。それに対しウィラは構えもせずただ微笑んでいるだけだ。だが空気は間違いなく張詰め、生徒はそれに飲まれていた

 

 

「3つ数えたら術をかけましょうか。獣、数え始めろ」

 

「では・・・1・・・2・・・3!」

 

「『エクスペリアームズ』!!」

 

 

瞬間スネイプは杖を目にも止まらぬ速さで振り抜き『武装解除』を放つ

それに対しウィラは杖を構えもせず___

 

 

「愚か者め!『防護呪文』とは本来こう使うのだ!!」

 

 

ローブを翻す。するとスネイプの放った『武装解除』の呪文はバシュン!と音を立てローブに弾かれる

 

 

「っ!?」

 

「くはは!どうしたスネイプ!杖が止まっておるぞ?」ヒュオっ!

 

 

そう語り掛けながらもウィラもまた無言で『武装解除』を放つ。その光景に上級者は「もう『無言呪文』が使えるのか!?」と驚き、下級生は「何故呪文を唱えず使えるのか」と考え込む

しかし呪文を放たれたスネイプはそれどころではない

 

一つ一つが途方も無い大きさで迫ってくるのだ。しかもかなり速い。普通に唱えていては間に合わない為、無言の『プロテゴ(盾の呪文)』でなんとか凌ぎ切っているが当たる度盾が悲鳴を上げる

 

しかしスネイプとてただではやられない。防ぎながらも合間合間にウィラへと呪文を放つ

 

しかしそれも再びローブをウィラが翻す度掻き消される

身体を回転させローブを翻し、杖から呪文を放つ様はまるで舞を踊るかのようだ。事実誰もがこれが決闘であることを忘れ、ステップを踏むように立ち回るウィラに見惚れていた

 

 

「くはは!中々やるではないか!では・・・これはどうだ?」

 

 

その言葉と共にウィラの杖から放たれ続ける呪文の量が一気に増大する。それはまるで濁流の如き凄まじさであった

 

 

「っ!『プロテゴ・マキシマ』(最大の守り)!!」

 

 

あまりの量にもはや『無言呪文』では対処しきれないと悟り、とっさに呪文を口に出し、その暴力的なまでの呪文の数々を何とかスネイプは防ぎきろうとする__だが

 

 

「今度は足が止まっておる!それでは殺してくれと言うものだ!!」

 

 

今だ杖からありえない量の呪文を放ち続けスネイプへと駆け寄り更に密度を上げ続ける

 

たまらずスネイプは横へと跳び移るが・・・

 

 

「っ!・・・参った・・・降参だ」

 

 

そこにはいつの間にかウィラが立ち、杖をスネイプの眼前へと掲げている

 

 

「ならば杖を捨てろ。敗者は勝者の言う事を聞くものだ」

 

 

スネイプがその言葉を聞きカツリ・・・と杖を足元に落とした音だけが大広間に響く

誰もが先程の攻防いや・・・圧倒的なまでの力量差に息をすることさえ忘れ、今だ茫然としていた

やがて一人、また一人と拍手を送り、ようやく我に返った生徒達が二人に割れんばかりの拍手を送る

 

 

「・・・これが『黄金』の力か・・・いや、お前は本気ではなかったな」

 

「それは先生もでしょう?本領である『闇の魔術』すら使わず・・・まぁ楽しめましたよ」

 

「先程のローブ、あれは一体・・・」

 

「このローブには前持って『防護呪文』をかけていたのですよ。エルドラドではこのようにローブに呪文をかけ、呪文は攻撃に割り当てます」

 

 

その言葉に誰もが雷に打たれたかのような思いを感じた

「ローブに『防護呪文』をかける」__そんなこと思いつきもしなかった

 

 

「・・・さすがはヨーロッパ最強の魔法国家だな・・・魔法が使えない国土の中でここまで進歩していようとは・・・」

 

「最強たる由縁の一つですよ。今度こそスネイプ先生に盛大な拍手を!よくこの私相手に戦った!大儀以外の何ものでもない!」

 

 

ウィラのその言葉に今度こそ大きな拍手が巻き起こる。あんな素晴らしい勝負を見せられては流石のハリー達ですら拍手せずにはいられなかった

 

 

 

 

 

てんてーとの楽しい勝負が終わった後、原作通りペアを作らせ、それぞれに勝負するよう指示する。ジニーやセドリック等の優秀な生徒は以前私が教えた通り、まずは避けることに集中し、返す刀で相手を戦闘不能にしていた

 

ただハーマイオニーはミリセントと途中キャットファイトをおっぱじめていたが・・・何があったんだ?

 

ハリーもまた原作同様ドラコと戦った。というかてんてーがそうするよう指示したのだ。私もこれを了承し、原作とどう変わるか見ていたが・・・ほとんど流れは変わらず、ドラコが蛇を召喚し、ハリーがそれに語り掛けていた

私は別に「蛇語使い(パーセルタング)」ではないので何言ってるか分からなかったが多分「お前の席ねぇから!」みたいなことを言っていたと思う(おそらく、きっと、たぶん、めいびー)

まぁバジリスクがいないから「へぇー珍しいね!」でこの件は終わった。ただスリザリン生やてんてーはかなり驚いていたが

 

 

(さて、時間も時間・・・そろそろセドリックを呼ぶか。さっきからこっちをソワソワしながら見てくるし)

 

 

「ではそろそろ最後のイベントとしよう!ニール!こちらへ来い!」

 

「御意」

 

ざわっ! __え、何するんだろう? __キャー!ニール様―!

 

「卿等に我が騎士の力を軽く見せてやろう。そして相手はセドリック!お前も上がって来い!」

 

「っ!ありがとうウィラ!」

 

「えっ、おいセド!まさかさっきの頼みって・・・」

 

「うん、僕のほうからお願いしたんだ。じゃあ行ってくるよ!」

 

 

 

__「すぐに終わらせます」とニールが私に言い・・・そして本当にすぐ終わった

 

一瞬だった。セドリックはまず「見」に徹しようとしたが、気付いたら目の前にニールがいて次の瞬間には『武装解除』で吹き飛ばされた

 

周りも唖然とするしかなかったらしく、しばらくポカーンと口を空けていた

 

 

「イタタ・・・先生、酷くないですか?」

 

「まだまだ脇が甘いのです。見に徹するのはいいですがそもそもそれは避けれればという前提があります。あの場合はひとまず牽制目的で呪文を放ち、相手の動作を一つ遅らせるが正解です。これからも精進なさい」

 

「・・・先生、どうして先生は僕に教えてくれるのですか?正直・・・全然分かりません。あの日突然「鍛えてあげます」って・・・確かに学ぶことは多いのですが・・・」

 

「簡単な話しですディゴリー。才有る者が埋もれるのはあまりにも惜しい・・・それだけです」

 

「・・・」

 

「まぁ今日はかろうじて反応できていたので良しとしましょう。次は更に厳しくいきますからそのつもりで」

 

「っ!はい!ありがとうございます!」

 

 

 

「彼、ニールさんと何話してるのかしら?」

 

「さぁ、そんなことより凄く早かったね!流石ウィラの騎士!ハリーには見えた?」

 

「うーん・・・少しだけ。でも身体があんなの反応しようがないよ」

 

「でも見えただけでも凄いと思うわ!流石ハリーね!」

 

「そういえば君「パーセルタング」だったんだね。どうして言ってくれなかったの?」

 

「パーセ・・・何?」

 

「パーセルタングよ、蛇と話せるの。魔法界でもそうそういないわ!」

 

「そうなの?僕てっきり魔法界じゃ普通だと・・・」

 

「かなり珍しいよ!・・・あれ?もうイベントも終わりかなぁ」

 

 

 

どうしよっかなー、時間も時間だけど・・・あまりにもあっけなさすぎるんだよなぁ・・・仕方無いな

 

 

「スネイプ先生、最後にもう一つよろしいですか?」

 

「ふむ・・・確かにこれで終わりとはいかぬか。夜も遅い、これで最後だ」

 

 

生徒も私の声が聴こえたのか三度(みたび)こちらに意識を向けてくる。うん、ちょうどいいな

 

 

「卿等に問いたい、卿等は魔法戦士なる者をどれだけ知っている?ハリー」

 

「え、僕?確かダンブルドア校長がその魔法戦士長的な感じだった気が・・・」

 

「そうだ。本来魔法戦士とは杖を使い魔法を行使して戦う者を差す。だが・・・エルドラドにおいて魔法戦士とはそのような意味ではない」

 

「__?どういうこと?」

 

「それを今からお見せしよう。ニール、久しぶりに私に剣の稽古をつけてくれ」

 

「御意」

 

「え!?でもウィラ剣なんか持ってないじゃないか!それに・・・使えるの?」

 

「おいおいロン、忘れたのか?」

 

__この私が黄金円卓第1席次であることを____

 

 

 

 

 

 

最後の見世物として舞台にはニールとウィラが向き合っている

 

するとウィラが___

 

 

「『我が命に従い顕現せよ。我は黄金!我こそは黄金円卓第1席次!騎士の頂点たる騎士団長である!』」

 

 

そう唱えると突如ウィラの手元に黄金色の波紋が起き、中からニール達円卓が持つ金色の剣よりも輝く黄金色の剣が現れる

すると先程まで右手に持っていた杖を左手に持ち替え、右手に剣を握り、スネイプとの決闘では決して構えなかったが今は剣を前にして構えを取る、それはニールも同じだ

 

 

「これは・・・そうか、だから吾輩の時は構えなかったのだな?杖だけで構えたことは無いゆえに」

 

「その通りです先生、我が国において戦士とは剣を持つ者のみ・・・魔法だけなど話にならん」

 

 

言い終わったウィラの表情に笑みはなく、真剣な表情へと変わっていた。そこには遊びの雰囲気などない

 

 

「陛下、どこまで(・・・・)やりますか?」

 

「5割だ。全てを見せる意味もないからな」

 

「ではそのように・・・ッ!!」

 

 

先程のセドリックのように一瞬でウィラの懐に飛び込み、剣を振り下ろす

 

 

「甘い!!」

 

しかしそれを杖の先に展開した『プロテゴ』で防ぎ、返す刀で剣をニールへと突き立てる___がそれをニールもまた展開した『プロテゴ』で防ぎきる

 

この間僅か1秒__

 

 

「学生生活で鈍っていると思いましたが・・・杞憂でしたね」

 

「舐めるなよ。私の騎士風情に負けるこの黄金ではないわ!」ヒュッ!!

 

 

キン!キン!キン!__と剣のぶつかる音だけが響く

右手で剣を互いに振り下ろしながら左手の杖で『プロテゴ』を展開し続け、時折その呪文を抜けてくる剣撃もローブに前もって仕込んでいた「防護呪文」で防ぎきる

 

誰もが息を飲んで見るしかない。スネイプでさえ別のことをしながら難しい呪文の分類である『プロテゴ』は展開できないというのにこの二人はそれを意図もたやすく行っている

 

 

(・・・侮っていたのは吾輩のほうか・・・先程は本当に遊びだったのだな。しかも我々魔法使いは接近戦に弱い・・・これでは『黄金の血の守り』が無くともダンブルドアでさえ攻撃を中てることは難しいぞ・・・)

 

 

生徒でさえ、目の前の光景を行うことがいかに難しいかが理解できる。何より目の前に剣が迫ろうと決して臆さない胆力・・・『黄金』とはここまで別格なのかと思うしかない。そしてそれは円卓であるニールも同じだ。「黄金円卓に名を連ねる者」__今まではただのウィラの腰巾着だと・・・所詮は顔で選ばれた者だと・・・ならば自分もウィラの近くに侍る資格があると勘違いしていた者達はもはやそのような考えを持つことすら不可能になった

何よりも・・・

 

 

「・・・美しい・・・」ボソっ

 

 

ドラコのその一言に周りの者が何度も頷き返す

そう、何よりもこの光景が美しすぎたのだ

 

剣は煌びやかに舞い、ダンスを踊るかの如く、近づき顔を見合わせ避けるためにタップを踏む・・・これを舞と言わずしてなんと言うのだ

 

 

いつまでも見ていたい・・・しかし終わりというものは必ず来るもので・・・

 

 

「・・・引き分け・・・か」

 

 

『防護呪文』を抜け、互いの喉元に剣を突き立てている。誰がどう見ても引き分けだ

 

 

「・・・いいえ・・・恐れながら御身は今だ成長途中です。それに対し私はもう成長の余地が無い・・・試合は引き分けですが勝負は陛下、貴女様の勝ちです」

 

「この私に勝ちを拾えと?」

 

「それに・・・御身はまだ本気ではありませぬ。『黄金の魔法』は使われず、そもそも王たる御身が戦場に立つことはあり得ませぬ。私は陛下に戦ってほしくて剣を教えたわけではありません。ご自身を守る最後の(つるぎ)の意味で教えたのです」

 

 

しばらくニールをウィラが睨みつけ__

 

「・・・臣下の言葉を聞かぬワケにはゆかぬ・・・か。あい分かった・・・そろそろお前には勝ちたかったなぁ・・・」

 

「フッ、1年後にはもう勝てませんよ」

 

 

互いに笑いながら剣をニールはその腰に、ウィラは再び波紋の中へと戻し舞台から降り始める

 

その間、一時も拍手や歓声が鳴りやまぬことはなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____クチャ・・・パキン・・・グチュ

 

我が生まれ落ち、まず目に見えたのは首の無い母の死体だった・・・

我が卵の中にいた時から母は語ってくれた。偉大なる主のこと、その主から我等はマグルという人間種をこのホグワーツなる場所から滅ぼさねばならないこと

そう語る母の顔を見ることはなかった。卵の中だったのだしょうがない。しかしそう語り掛けてくる母の声がとても誇らしいものだったことは覚えている

 

しかし・・・母には悪いが我には偉大なる主のことも、マグルなる人間種のことも頭にはない。あるのはただ一つ・・・身を焦がすような憎悪だ

 

誰が母を殺した!!我々が何をしたというのだ!!

 

憎い憎い憎い憎い憎い!!人間が!!全てが憎い!!

 

 

上のほうで声が聴こえる・・・我が母を惨たらしく殺しておいてコイツ等は何を喝采などしているのか・・・我の中の憎悪が更に膨れ上がる

 

クチャリ・・・と母の死骸を貪る。生まれ落ちたばかりの我では魔法使い相手でもかなり危うい・・・ゆえに喰わねば・・・我と同じ・・・いや、我以上に強大な力を持った母の死骸を食らい力を・・・誇りであるこの巨体を育てねば

 

ゆえに喰わねばならぬ・・・最愛の母を・・・首の無い、敗者であるこのエサと成り果てた母を喰わねばならぬ

 

そして力を蓄え終えれば・・・我は殺そう・・・必ず殺し尽くそう・・・マグルも魔法使いも関係なく・・・全てを殺そう

 

 

クチャ・・・バキン・・・パキっ____

 




正直今回文章がかなり自信ないです(汗
(面白く読んでいただけたのでしょうか?)

すんごい書き直しまくりましたがこれが限界でした
そして上の方で何も起こるワケがないと言いましたが・・・アレはウソだ

予定ではあと2~3話で「秘密の部屋」終了です



※ここからはエイプリルフールということで嘘予告です
(何とかこの日に間に合ってよかった)



それは突然の裏切り__


「何故だ・・・お前は私に忠誠を誓ってくれたじゃないか・・・答えろ!!シャドウ!!」

「申し訳ありませんが・・・私が真の忠誠を誓うは過去と未来においてただ一人・・・ヴァンシエル様のみでございます」


シャドウの言葉と共に突如1500年の眠りから覚めるは__史上最悪の暴君

其の名は「始まりの黄金」 其の名は「偉大なる黄金」 其の名は「ヨーロッパの支配者」


「ヴァン・・・シエル陛下・・・」

「・・・これが現代か・・・何とも臭い・・・ゆえに滅ぼそう・・・私は全てを愛するがゆえに」


世界を滅ぼすは人でも兵器でも無く『愛』である


「よくやったシャドウ、よくぞ私を甦らせた」

「『私の血を濃く受け継ぐ者は必ずクレーリアの血も濃く受け継いでいる。ゆえにクレーリアを甦らせる為にまず私を甦らせろ』・・・誓いを忘れた日は一日たりとてありませぬ我が君」

「フッ、「僕の肉と私の血」・・・よくぞここまで残っていたものだ」

「ヴァンシエル陛下・・・貴方は一体何を!?」

「あぁ、我が子孫よ・・・安心しろ。お前を触媒にクレーリアを現世に蘇らせるだけだ。お前は私の愛に包まれ永遠にクレーリアとして私と共に生きるのだ・・・光栄であろう?」


それは決定事項・・・それは王の中の王からの王に対する命令・・・


「っシャドウ!!いやっ!いやぁぁああ!!」

「・・・ゴフっ・・・ウィラ・・・様・・・」

「やはり・・・私を裏切っておったか・・・この黄金の肉体に呪いとは・・・」

「ヴァン・・・シエル様・・・貴方様は誰も愛してなどおらずクレーリア様以外を全て滅ぼすおつもりですね?・・・確かに御身は至上の君・・・しかし・・・我が最愛の君はウィラトリア様ただ一人!!」


そして身命を賭して主の未来を紡ごうとする臣下


「あぁクレーリア・・・さぁ、私と交わりふたたび子を成そう・・・我等は今日をもって原初のアダムとイブになるのだ!!」

「ふざけるな!!我が名はウィラトリア!!父と母からいただいた名だ!!クレーリア様などではない!!」

「お前などいらん!!私は全てを愛する!クレーリアがそう望んだからだ!!ゆえに全てを愛した上で全てを壊し、全てを拒絶する!!」


「ならば死ね!!」 「ならば我が愛を受けてみせろ!!」

「「Dies irae!!!」」


『偉大なる黄金』と『歴代最高の黄金』がぶつかり____


「・・・やれやれ・・・弟子達を置いて「時間遡行」してみれば・・・これはこれは死んだはずの我が祖先・・・ヴァンシエル様ではありませぬか・・・」

「お前は・・・っ!?」

「・・・10代目・・・?」

「ふむ、我が子孫よ・・・此度の私は其方に味方しよう・・・さぁ、今宵のグランギニョールエデンを始めようとしようじゃないか」


胡散臭い雰囲気の時間旅行者は現れ混沌の渦は更に広がり続ける__そして


「馬鹿な!?この私が・・・神にすら愛されたこの私がっ!?」

「おぉ、おぉ!!これが我等の完成形!!ゴドリック・・・サラザール・・・お前達がこの場にいないのが可哀想でならない・・・」

「・・・時よ止まれ・・・お前は美しい・・・『流出』魔法・・・」


ここに・・・『真に偉大なる黄金』は生まれ落ちる___




「劇場版「ハリー・ポッターと黄金の君『偉大なる黄金集まる時 真の黄金は生まれ落ちる』
みんな見てくれよな!私との約束ダゾ☆」

西暦3XXX年4月1日公開予定!!(嘘です)


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黄金と這いずる者

とうとう佳境に入ります

それと今回からちょくちょく
この前書きと後書きに
とある『黄金』の話しを盛り込んでいきます
そちらもどうかお楽しみください




あと一か月もすればクリスマス、しかしこのホグワーツではその前に一大イベントがある

そう、クディッチだ

 

何故突然このような話をしたかというと、明日がその日なのだ!

対戦の組み合わせはもはや伝統と言ってもいい「グリフィンドール対スリザリン」

ちなみに私はもう正式にどこの寮にも所属していないので、どの寮も応援はしない。というのも寮の各監督から私が応援するとそれだけでモチベーションが違いすぎる(応援された方もされなかった方も)のでなるべく公衆の面前では止めてほしいと言われたのだ(まぁそのあとから「裏でジャンジャンしなさい!」と言われたが)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何?すまないがハリー、もう一度言ってくれ」

 

 

朝食を久しぶりにグリフィンドール席で食べていたら、聞き捨てならないことをハリーが私に話し出した

 

 

「うん、決闘大会のあとグリフィンドールの寮に戻る時、僕確かに聴こえたんだ・・・「殺し尽くしてやる」って」

 

「ロン、ハーマイオニー、卿等には聴こえたか?」

 

「それが全然!僕はハリーの聞き間違いだと思うんだよなぁ・・・もしくはさ、ピープスのイタズラだよ!ホラ、奴さんハロウィンじゃ「絶命日パーティー」に呼ばれなかったし、ウィラの近くじゃイタズラなんてできないだろ?きっとアイツさ!」

 

「私も何も聴こえなかったわ、ハリーだけ聴こえたっていうことは「パーセルタング」が関係してるのかしら?ハリー、あの時マルフォイが召喚した蛇だったんじゃないの?」

 

「うーん・・・かもしれないけど・・・でもそれにしては凄い憎しみの篭った声だったような・・・」

 

 

ハリー達がああじゃない、こうじゃないと話し続けているが・・・私はもうそれどころではない

 

(・・・あり得ない・・・この時期にハリーが聴こえるとなるとバジリスクしかいない。しかしアレはもういないハズだ。原作でもたった1匹しかいなかったし、念の為エル・ドラド家の古文書も調べた。10代目黄金が残した資料には「サラザールは1匹の幼い今だ力に目覚めていないバジリスクを可愛がっているが・・・いやはや、いつサラザールが傷ついてしまうのか、私は不便でならない」__と書いてあった・・・どうなってるんだ)

 

 

話を聞いていた獣にアイコンタクトで確かめるがやはり殺したらしい。確かに私もソレは確認した、バジリスクの生首も瞳も全て燃やし尽くした。だが・・・急に襲ってきたこの悪寒は何だ?

 

 

朝食を終え、私の防衛術の授業まで時間がある為、いったん「黄金の間」に戻り改めて再確認する

 

 

「どうなっておるのだ・・・獣、本当に殺したんだよな?」

 

「黄金の君、それは御身も確かに確認されたはず。何よりこの黄金の獣の名に誓い、あの時、あの場所で、あのバジリスク以外命ある者(・・・・)はおりませんでした」

 

「そうだ・・・いや、分かってはおるのだが・・・」

 

「陛下、『黄金の瞳』には何も映らないのですか?」

 

「ニール、私も眼も万能では無い、限界がある。それに・・・私は予測はできても予知はできん、それができたのは『完全覚醒を果たした瞳を持ってしまった』10代目黄金のみと言い伝えられている」

 

「陛下、いったん「秘密の部屋」を見てきましょうか?」

 

「お前では無理だウォーカー。あの時は獣だからこそ『隔離魔法』を突破できた。私がいれば問題ないが・・・今は教師の身、時間が無い。獣、今この場で「秘密の部屋」の気配を探れ」

 

「御意」ザワッ!!

 

 

獣からしたら僅かながらも私達からすれば莫大な神気が部屋に充満し始める

だがこの程度・・・私は本来の姿の獣を屈服させたし、何よりこれくらい澄ました顔で流さなければ私は彼の主たり得ない

しかし・・・二人にはかなりキツイようで

 

 

「ふっ、グッガ・・・っ!!こんな・・・密室でっ!?」

 

「ぐぅ!耐えなさいウォーカー!この程度・・・我等は栄えある黄金円卓第7、第8席次!!黄金の君であらせられる陛下の騎士なのです!!」

 

「っはいッ!!」

 

「当然だな、耐えねば捨てるぞキサマ等・・・まだか?」

 

「もう少しお待ちを・・・補足しました。あの場所には相も変わらず私が殺した首の無い死骸のみです。・・・ただ何者かが喰らったのでしょうか、痛みの具合が早すぎますね」

 

「どうせ蜘蛛などの虫だろ。もういいぞ」

 

「御意」__フッ

 

「っハァー!ハァー!!」ガクッ

 

「ハッ、ハッ!・・・相変わらず・・・陛下は平気ですね」

 

「この程度そよ風にすぎんよ。コイツと本気で殺し合ってみろ、どうとでもなる」

 

「黄金の君、今度円卓の訓練でそれを入れてみますか?」

 

「えっ」 「ちょっ!?」

 

「どうせ私とコチョウ、アルヴィーと何故かトグサしか耐えられんだろう」

 

「あぁ・・・まぁトグサ殿ですからね。「何だこれ、斬っていいか?」とか言って私の身体事斬りそうです」

 

「・・・否定できる気がせん・・・アイツ生まれる星間違えただろ・・・絶対サイヤ人か何かだって。ところでそこでホッとしておる間抜け共」

 

((ギクッ!?))

 

「弛んでおるな。ニール、私の学生生活について来てそんなに退屈か?ウォーカー、お前はあと何回死ねば学習するのだ?」

 

「もっ申し訳ありません陛下!!」ガバッ!

 

「なにとぞ!!なにとぞご容赦を!!」ガバッ!

 

「まぁいい、よい、許す。次の授業はお前達をメインで虐めるとしようかな?くはは!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___ズルっズルっ

 

・・・何なのださっきの気配は!?あんな者この世界にいていいハズがない!!

もう少し我が母の下から離れるのが遅ければ間違いなく見つかっていた・・・

 

___ズルっズルっ

 

だが・・・間違いなくアレが我が母を殺した者だ。なるほど・・・我等を殺しえる者など『赤蛇様』と『白蛇様』しかいないと思っていたが・・・彼の神獣相手では納得するしかあるまい

 

___ズルっズルっ

 

しかし・・・アレは何故母を殺したのだ・・・狼は無駄な狩りなどせず、食う時しか獲物を殺さぬ誇り高き者達だ。まさか・・・人間程度に仕えているのか!?いや、だが・・・そうだ・・・それしかあり得ない!!

 

___ズルっズルル

 

もとよりこの身は復讐者!!ならば死は覚悟している!!

全てを殺そう、全ての人間が集まる時こそ我が憎悪は実を結ぶ!!待っていろ・・・神獣の主よ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日をまたぎ、とうとうクディッチの日となった。今だ何かしらの不安が拭えないが・・・考えすぎだろうな

 

そしてハリーには悪いが是非ドラコには頑張ってほしい、努力というのは確かに報われないものだがそれでも決して無駄ではないのだ!

 

 

 

「___ん、来たかねミス・エル・ドラド」

 

 

今回は私も臨時教師ということで特別に先生方の応援席に座らせてもらった(もちろん隣はスネイプてんてーだ!)

 

 

「お待たせしました、もう始まってますか?」

 

「いやまだだとも。円卓の者達は座らなくてよいのか?」

 

「別にいいですよ、置物ですよ置物・・・邪魔、後ろに行け」ゲシっ

 

「そっそんなぁ・・・私ルーマニアにいた時からクディッチ見たかったんですよ?」

 

「知るか。そもそも吸血鬼が応援などしては生徒が委縮するではないか」

 

「・・・以前から疑問に思っておったのじゃが・・・何故ウォーカー殿は日光を浴びて平気なのじゃ?」

 

「コイツはディウォーカー(日の光を浴びる者)ですよ校長、弱点だらけの弱者などをこの私が臣下に迎えるわけないでしょう?」

 

「・・・どうりでヨーロッパ中に出没できたワケじゃ」

 

「まぁ今はどうでもいいじゃないですか。ホラ、始まりますよ!」

 

 

 

 

『さぁさぁ!皆様お待たせしました!!もはや伝統とも言っていい因縁の対戦!!グリフィンドール対スリザリン!!では選手入場です!!』

 

 

リーの開催を告げるアナウンスが流れ、割れんばかりの拍手が入場してきた選手に贈られる

ダンブルドアやマクゴガナル、更にはてんてーまでもが拍手を選手に贈り応援する

 

(うん、やっぱりいいな。前々から「是非クディッチをエルドラドでも!」と親書が多数送られてくるし・・・こりゃ帰ったら国会で話し合いだな!)

 

 

試合開始のホイッスルが鳴らされ____始まった!

 

やはり何度見てもこの高揚感は心地いい!自分が選手になったワケでもないのにここまでワクワクするとは・・・クディッチ恐るべし!

 

 

「ウィラ殿にはちと退屈かのう?ニール殿との立ち合いは噂で聞いておるよ」

 

「いや全然!というか邪魔だから話しかけるな!っいいぞ!行けドラコ!!」

 

 

私が声援を送ると・・・あの馬鹿!こっちを見るな!!スニッチを追え!!

 

 

しばらくすると・・・おかしなことが起こり始めた

やはりというべきか、2つあるブラッジャーの内1つが執拗にハリーを追いかけ始めたのだ

 

 

(ドビーめ・・・ようやくこの私の前に現れたか)

 

 

ハリーは巧みに箒を操り何とかブラッジャーを避け続ける。だがスニッチを探す余裕は全くなく、ドラコも余裕ぶっこいて大笑いしている

 

途中フレッジョのどちらか(流石にこの距離では見分けがつかない)が何度も援護の為、ブラッジャーを弾き返すが、その分守りが薄くなりスリザリンが得点を荒稼ぎしている

 

 

「これで我がスリザリンの勝ちで決まりですなマクゴガナル教授」

 

「お言葉ですがスネイプ教授、クディッチの真の面白さはスニッチを取るまで勝敗が分からないことです!あぁ・・・ポッター、何をしてるのですか!」

 

 

『黄金の瞳』でブラッジャーを見ると・・・確かにシャドウとよく似た魔力の波動を感じる、間違いない。暗号でこっそりとウォーカーに合図を出す

 

 

__対象を捉えた、必ず競技場にいる。捕まえろ。だが決して傷つけるな

 

__御意

 

 

チキチキとウォーカーが秘密裏に身体の一部を蝙蝠に変え、会場の舞台裏に回り込む。

うん、とりあえずはこれで良いな。悪いが私はお楽しみを邪魔されるのは我慢ならんのだよ

 

 

まだ見つからないのだろう、ブラッジャーは今だハリーを追いかけ続けている

 

と思うと急にハリーがドラコに突っ込んでいった!どうやらスニッチを見つけたらしい

それと同時にブラッジャーもハリーを追うことを止めた。見つけたな

 

 

__陛下、屋敷僕を捕らえました。殺しますか?

 

__たわけ、私は無傷のままにしろと言ったハズだぞ?クディッチが終わるまでそのままにしておけ

 

__申し訳ありません・・・御身のお心に従います

 

 

ウォーカーの暗号を見届けフンっと鼻を鳴らす。まったく・・・もう少し調教が必要だな

 

 

結果、邪魔が無くなり腕の骨を折る事も無く、ハリーが箒から立ち上がり___スニッチを掴んだ!

と同時に大喝采と終了を告げるホイッスルが鳴り響いた

 

てんてーは唖然とし、マクゴガナルはピョンピョンと歳も考えず大喜びしている(あぁ゛~マクゴガナルがピョンピョンすr・・・誰得だオイ!?)

 

チラリとドラコも見るが・・・泣いていた・・・すごく悔しそうに泣いていた

 

(うん、確かに慢心などはあったが・・・カッコ良かったぞドラコ。次こそは努力の証をこの私に見せてくれ)

 

 

 

試合が終わり、選手達がそれぞれ互いの健闘を称える握手をし終えベンチに帰ろうとした瞬間____私の意志に関係なく突然『黄金の瞳』が発動した

 

 

「っ!?なっ!?グッが・・・っ!?眼が・・・何故だ!?」

 

 

周りも突如私が慌てだした為、驚いてこちらを見ている

だが・・・私の視線は競技場の真ん中・・・芝生に覆われたグラウンドを捕らえて離さなかった

 

(マズいマズいマズいマズい!!何かがあそこから出て来る!!)

 

 

「ウォーカー!!ドビーはもうどうでもいい!!今すぐ全員を隠せ!!」

 

「陛k「早くしろ!!」っ御意!!」___チキチキチキ

 

 

駄目だ!間に合わない!!そう思い、瞬時に私は杖を抜き

 

「『グラヴィタス エクステンシヴ』(広範囲重力呪文)!!」ヒュオッ!

 

 

___ズウゥゥゥン!!

 

 

__ぎゃっ!? __がっ! __何!?

 

「ウィラ・・・殿!急に何を・・・」ググッ

 

「止めろ!!顔を上げるな!!何も見るんじゃない!!」

 

「黄金の君!御下がりください!!」

 

「ニール!!お前も・・・っ!?」

 

 

それはとうとう現れた・・・グラウンドの土の中から這い出てその真っ赤な舌をチロチロと出し、生徒を・・・誰かを威嚇していた

 

獣がとっさに私を隠そうとしたが・・・私は視てしまった・・・

 

 

____絶対不可避の『死の魔眼』を____

 

 

だが・・・こんなところでも我が『黄金の血の守り』は発動するらしい

結果的に私は死ななかった____だが私の視る景色は突如真っ赤に染まり・・・

 

ポタ・・・ポタポタタ

 

 

「ウ゛っ・・・ア゛ぁ!アァァア゛!?目が・・・目がァァあ゛!!」

 

「ッゥ!?黄金の君!ウィラ様!!ウィラ様ァァアアア!!?」

 

 

 

 

__この日・・・私は視力を失った・・・最後に見たのは愛しいスネイプ先生の顔でも私の為に我を忘れ、ひたすら私の名を呼ぶ黄金の獣の姿でもない・・・

 

一心不乱にバジリスクに立ち向かう一つのブラッジャーだった・・・____

 

 

 

 

 

 

 




「___いやはや、まさか二匹目のバジリスクとは・・・命ある者・・・それはつまりまだ生まれていない者(・・・・・・・・・・)は含まれない。黄金卿は目を失いこれからどうなることやら・・・しかし彼の黄金卿がこのままでは終われますまい・・・いやはや、これだから時代を跨いだ『覗き見』は止められない」

「うわぁ・・・見ろよサラザール・・・先生また一人でブツブツ呟いてるよ」

「ゴドリック、あのお方は我等では途方もつかない物を見ておられるのだ。邪魔するでない」

「うん?おぉ、我が愛弟子達よ。どうかされたか?」

「カール先生、何見てたの?」

「これ!ゴドリック!」

「女の子を覗き見てた」

「「えっ」」

「女の子が(苦しみ)悶えて(痛みに)喘いでるとこ見てた」

((変態だぁぁああああ!!?))

「いやはや、愛弟子達に変態扱いとは・・・ゾクゾクするではないか」

「やっぱ変態じゃねぇかアンタ!!」

「・・・彼の名高き『黄金』だからとついて来たのが間違いだったか・・・!!」

「いやはや・・・しかし・・・カール(・・・)か、ゴドリック、私はもうその名を捨てたはずだぞ?もはやこの身は『黄金』ですらないのだからな」

「でも・・・」

「これ、そのような顔をするでない。今の我が名は『メリクリウス』・・・「黄金はもはや世界を虚ろうだけの金属と成り果てた」のだ」

「・・・ゆえに・・・『メリクリウス(流動する金属)』・・・水銀ですか」

「いやはや、流石はサラザール、そこまで分かったか。さぁ、もう夜も更ける。ヘルガとロウェナがお腹を空かせて待っている。我等の愛しいホームへ帰ろう」



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黄金と目覚め

「いやはやこれはこれは、我が麗しの賢き姫君と眠り姫ではないか。いかがなされた?」

「師よ・・・私達をこんな辺境に閉じ込め・・・貴方は一体何を考えておられるのですか」

「むにゅ・・・先生ロリコン?私達にナニする気?」

「いやはや・・・流石にそれは傷付くなぁ・・・まぁ幼子を閉じ込めておるのは否定せんが・・・これこれ、そんなに離れるでない」

「・・・サイテーですね、今更ですが」

「こんな所・・・森しかないじゃん」むにゃむにゃ

「ヘルガよ、だからこそだ。汝等はまだ幼く穢れを知らぬ。世界に絶望する前にまずはこの美しき景色を心に刻むのだ」

「確かにここの生活はお屋敷ではとても味わえない、それに好きです。ですが・・・世界とはそんなに?」

「ロウェナ、私の眼を見ろ。何が見える?」

「綺麗な・・・黄金色が見えます」

「この眼は過去も未来も、はたまた別の世界線まで見通す・・・私はゆえに視てしまった・・・だから国は・・・家族は価値が無くなったのだよ」

「むに・・・じゃあ私達がここにいるのもソレがカンケーしてるの?」

「はてさて、どうだろうか?宿題だよ、明日答えを聞こう」

「__?どこか行かれるので?」

「なぁに、ちょっと未来(・・)にね。本来『俯瞰者』とは干渉しないものだが・・・さて」


__眠った獅子を起こしに行こうか____



突然の怪物の出現に、ホグワーツはまさに大混乱となった

 

ウィラが咄嗟に呪文を唱え、ソレを真正面で見た者はウィラを除き、誰一人いなかった。しかし姿を見なかったといえば嘘になる

突然の『グラヴィタス』__何事かと、つい顔を上げてしまった生徒が何人もいた。そして口々にこう言った

__巨大な蛇を見た___と

 

そして持っていた鏡などの反射する物を通してその怪物の顔を見た者は皆『石』になった

これらの情報を元にダンブルドアは怪物を『スリザリンの怪物』__『バジリスク』であると断定し、全校生徒を大広間に匿い、授業は全て閉鎖となった

 

 

生徒は初め戸惑い混乱した

突然のバジリスクの出現・・・スリザリン生は何か知らないかと問い詰められ、それにスリザリン生が反発するという悪循環がすでに生まれていた

人は密室に閉じ込められるだけでパニックを起こす。ならば化け物がすぐ扉の向こうにいるかもしれないと言う最悪の状況で混乱するなというほうが不可能な話だ

 

それでもいくつか希望はあった

バジリスクはあの後すぐ出て来た穴に逃げ込み、それ以来姿を現していないこと

ホグワーツの教師達が力を合わせ、大広間全域に『プロテゴ・マキシマ』をかけたこと

ホグワーツの校長が今世紀最大の魔法使いアルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドアだということ

そして・・・自分達にはあの『黄金の君』ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリアがついていること

 

だが・・・

 

「ウィラはどこだ!?」 「ウィラ様助けて!!」 「何でこんな時にいないんだよ!!」 

 

そう、ウィラはこの場におらず、もう3日も「黄金の間」から出て来てない

勿論ダンブルドアは最初に今の現状全てを説明した

ウィラのおかげで誰も死んでいないこと。ウィラは眼を痛め療養中であること

しかし生徒には関係ない

 

「ふざけんな!!王様だろ!?助けろよ!!」 「だから助けてもらったじゃない!!」 「今じゃなきゃ意味ないだろ!?」

 

 

「・・・ハリー、大丈夫?」

 

「うん、ロンとハーマイオニーは?」

 

「私は大丈夫。ロンは?」

 

「僕は平気さ。フレッジョもパーシーも。ただ・・・ジニーはかなりショックだったみたい」

 

「ジニー、ウィラのことすごい好きだったもんね。場所によってはお姉様って呼んで慕ってたし」

 

「そうね・・・でも今はこの状況を何とかしないと・・・このままじゃ暴動が起きちゃうわ!」

 

「みんなウィラのこと好き勝手言いやがって・・・!誰のおかげでこうして助かったと!!」

 

「ねぇ、ウィラに会いに行かない?僕、「透明マント」持ってきt「イカンよハリー」・・・っ!?校長先生!?」

 

 

隅っこでコッソリとハリー達が企んでいると急にダンブルドアが現れた

 

 

「なっ何のことですか?僕達何も・・・」

 

「残念ながらハリー、ウィラ殿の下へは辿り着けん」

 

「_?あの、失礼ながら校長先生、どういうことですか?」

 

「ミス・グレンジャー、3階廊下・・・ウィラ殿のおる「黄金の間」には誰も入れんよ。ウォーカー殿が姿を変え大量の蝙蝠を放っておる」

 

「え、行ったんですか?」

 

「ロン・ウィーズリー、そのとおりじゃ。儂も話しをしたいと思い、昨日ウィラ殿の見舞いに行ったのじゃが、門前払いされてもうた。それに酷く怒っておられた。純粋な魔法使いであるお主ならノエルバインの怒りがどれほど恐ろしいか・・・分かるじゃろうて」

 

その言葉にロンは顔を青ざめ何度もうなずく。確かに史上最悪の吸血鬼が怒っている所になど近づきたくもない

 

 

「念の為言っておくが『透明マント』は意味を成さん、それほどの数が今3階廊下におる。触れた瞬間襲い掛かってくるぞい」

 

「でも校長先生・・・僕達・・・このままじゃ嫌で!何とかしないと!!」

 

「おぉハリー、何と勇敢なことじゃろうか!・・・しかしそれは勇気では無く蛮勇と言うのじゃよ。この件はすでに魔法省、それに儂等教師も動いておる。あと二日じゃ、あと二日の辛抱じゃよハリー」

 

 

 

 

__ハリー達もあの言い方なら納得してくれるだろう、ウィラが彼等に授業中何度も送った言葉だと考えながら、ダンブルドアはマクゴガナル達教師陣の下へ戻る。

 

やはりと言うべきか、ハリー達の様子を見に行って正解だった

彼等に言った言葉は全て真実だ。ウィラの下へは誰も行けない・・・それはバジリスクでさえもだ。そもそもあの部屋を一度だけ調べたが中の許可、もしくは黄金の血にしか反応しないことが分かった

ゆえにダンブルドアは生徒達だけでも入れてくれぬかと聞きに行ったのだが・・・

 

 

__入れろ?入れろだと?陛下が今どれほど苦しまれておるか知っててそのような戯言を!?ならば生徒もろとも全て殺してくれる!!

 

 

 

目から血の涙を流し、あのノエルバインが殺意を丸出しにして吼えた。ならば本気も本気だろう。ニールもまた同じだ、目は虚ろながらも殺意だけは溢れんばかりに滲ませていた

 

魔法省や自分達が動いていることも本当だ。ただ・・・

 

 

「校長・・・やはりまずはこの状態を何とかせねば我々は動けませぬぞ。まさかスリザリン生を犠牲にして他の寮だけ救うおつもりですかな?」

 

「セブルス、今だけは儂を信じてほしい。誰一人も決して見捨てぬよ」

 

「校長先生、今この場にいない先生方には自分の部屋を出るなと『守護霊呪文』を飛ばしました」

 

「ありがとうミネルバ、ハグリッドには?・・・うむ、ならば良いのじゃ」

 

 

そう、今は自分達教師が目を光らせているから生徒達は口喧嘩だけで済んでいる。だがその目が無くなれば酷い状況に陥ることは目に見えていた

 

ハリーを行かせてもいい。だが彼はヴォルデモートに対する最終兵器のような物だ、万が一を考えてしまうと行かせるワケにはいかなかった

 

 

「先生方、とにかく二日じゃ、あと二日で魔法省から危険生物対策室の者達が来てくれる。それまで何とか持たせるのじゃ」

 

『はい!』

 

 

色よい返事を聞いて取りあえずは満足する。しかしこの空間の不満が爆発するまでそう時間が無いことをダンブルドアは感じていた

 

(こんな時ウィラ殿がいてくれれば・・・今こそあのカリスマ性が必要じゃというのに・・・いや、いない者のことを考えてもしょうがない)

 

 

何より___彼女は()を失った

ダンブルドアはかつて『黄金』について調べたことがある。その中に「黄金の証とは『黄金の髪の毛』と『黄金の瞳』この二つをもって王位継承権と成す」と書かれていた

 

ウィラはもはや『黄金の君』ですらない、ならば預言の『偉大なる黄金』は生まれないことを意味する

確かに今回の事件は最悪だ、しかし『偉大なる黄金』の誕生があり得ない今となっては。とダンブルドアは誰にも悟られること無く一人安堵していた___

 

 

 

 

 

 

 

バジリスクの出現から三日、ウィラは今だ眠り続けたままだ。いや、一度だけ意識を取り戻し

 

__暗い・・・何故灯りを・・・いや、何だ・・・眼の上にこれは・・・いやっ、イヤァァアアアア!!?

 

自身の眼に被せられた包帯を触り、バジリスクの目を視たことを思い出し発狂した

そこには普段の威厳ある王の姿は無く・・・酷く弱弱しい少女の姿しか無かった

 

 

「___あぁ・・・獣殿・・・陛下は・・・陛下はお目覚めに?」

 

 

やつれた顔でニールが黄金の獣に問いかける。この3日間この3人は一睡もせずウィラの眠る「黄金の間」を守護し続けていた

もちろん最初はエルドラドへと護送しようとした、だがウィラがそれを許しはしなかった

 

__「自分はもはや王でも父と母の娘ですらない」と目に被せられた包帯を血で滲ませて・・・

 

 

獣もまたやつれた顔で首を横に振る

 

「・・・起きてはおられるのです・・・ただ・・・」

 

「やはり・・・眼のことがショックで?」

 

 

ウィラにとって『黄金の瞳』とは王の証であり・・・何よりも転生者(・・・)である自分と父と母を繋げる証でもあった。「自分は決して異物ではない」__という愛情の証でもあったのだ

 

 

「獣殿・・・どうか我が願いを叶えていただきたい」

 

「ウォーカー・・・キサマ・・・まさか黄金の君を見捨て死のうなどと言うまいな?バジリスク程度の猛追がそんなに苦行か!?」

 

 

そう、ウォーカーが大量の蝙蝠を3階廊下に放ったのは何もダンブルドア達を近づけさせない為ではない。あれからウィラや3人の匂いを覚えたバジリスクが何度も奇襲をして来ているのだ

 

勿論、黄金の獣が出ればその瞬間終わる。しかしバジリスクは毎回黄金の獣が「黄金の間」にいる間だけ襲い掛かってき、獣が出撃しようとする瞬間逃げてしまうのだ

ならば黄金の獣がずっと見張っていれば良いという話になるが、今の陛下の傍には獣殿が必要だとニールとウォーカーが言い張った

 

 

「そのような死など・・・!!しかし我が身は陛下を・・・黄金たるあの方を守ることが出来なかった!!私は陛下の『盾』です!!ですが盾としての務めを果たせぬなど・・・死を持って償う以外何があると!?」

 

「図に乗るなよ吸血鬼風情がっ!!それを決められるは黄金の君のみ!!我等には死を選ぶ権利など無い!私も・・・あのお方の最側近など・・・!何の為に私は『獣』の名を与えられたのだ!?」

 

「・・・お二方はまだ良いではありませぬか・・・私など・・・陛下の騎士でありながら与えられた命は「逃げろ」など・・・私は・・・私はっ!!」

 

 

3人が3人共後悔しかなかった

何故生徒を見捨て命に背いてでもあのお方を守らなかったのか

何故眼を押さえた瞬間あのお方のすぐ傍にいられなかったのか

 

理由は分かっている、ウィラが近くではなく後ろへと彼等をやったこと。そもそも存在しないハズのバジリスクの出現など誰が予想できようか

 

それでも・・・後悔以外の思いが沸いてこなかった

 

 

「・・・全ては黄金の君が落ち着かれて決めてもらいましょう、もとより我等に決定権など無い・・・ウォーカー、私はたとえあの方が王位継承権を失おうと最後までお傍にいます。貴方はどうしますか」

 

「無論、我が身は陛下、ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア様に生涯の忠誠を誓いました。しからば、末席なれどどうか・・・」

 

「私も同じく。あぁしかし・・・今回の不始末は陛下自らに殺していただければ何と光栄な・・・獣殿、今しばらく陛下をお願いいたします」

 

 

 

黄金の獣が部屋に戻り、最愛の主君が眠るベッドへと寄り添う。今までは肩を震わせ、嗚咽を上げ、一切こちらを振り向いてくれなかったが、ようやく眠りにつかれたらしい。規則正しい呼吸音が聞こえる

 

 

ここまで目の前の少女の存在が自身にとって大きくなっているとは思わなかった

また裏切られると思った、信用などする気もなかった、家族に見捨てられ封印されたあの日からこの世界に存在する全てが憎かった

しかし・・・今では何と狂おしいほどにこの方に心酔しているのだろうか

初めて出会った日のことは今も鮮烈に覚えている

封印が解け、最初はただのエサとしか見ていなかった。自分を目覚めさせ更には自ら供物になろうとは、何と殊勝な心掛けを持ったエサだと。しかし・・・

 

__神狼風情が・・・この私がエサだと?ならばとくと教えてやろう・・・キサマが格下で私が格上だと・・・ご主人サマが誰かその身に調教し尽くしてやろう!

 

それから三日三晩死闘を繰り広げ、お互い血を流していない箇所が無くなった時___

 

__・・・もう良い、小娘よ・・・我を殺せ。我が父とオーディンに裏切られ、封印されたあの日から我に生きる気力などもはや無い・・・その身を我が首を持って英雄と成せ

 

 

そう、後から知ったのだが、自分は神話のようにオーディンをこの牙で噛み殺していない。父ロキとオーディンは我が牙を恐れ、神々を集め自身を封印したのだ

どうせこの娘も英雄志望だと思った。だが良い、我を確かにコレは倒したのだと・・・これでようやく真の眠りにつけると・・・だが

 

 

__ふざけるな!!まだ何も見ていないじゃないか!まだ卿は何も成していないじゃないか!!なぁ・・・頼むよ・・・たくさん見せてあげるから・・・卿が眠りについていた間世界は・・・こんなにも美しく・・・だからお願い・・・私のこと・・・ウィラを助けて

 

 

そっと、額にかかる髪の毛を避け不敬と分かっていながらも髪を軽く撫でる

あの日からこの方は一度も約束を違えなかった、世界を自分に見せてくれ感じさせてくれた

以前自分は「ウィラトリア様だからこそついて来た」と言った。アレは正真正銘の本心だ

たとえ王位がはく奪されようと、エル・ドラドの性が名乗れなくなろうと・・・自分は永遠にこの方の狗だ、走狗だ。それだけでいい、それ以上は何も望まない

 

 

滂沱の涙を流し、その小さな手を握りしめ、殺したいほど嫌いな父や神に祈る

 

「・・・オーディンなら・・・御身の眼を治せるハズなのに・・・あぁ・・・どうか神よ・・・この身を八つ裂きにしてくれて構わない・・・どうか・・・黄金の光をもう一度っ!」

 

 

しかしその望みが叶うことは決してあり得ない、もはや神などこの世におらず、封印されていたからこそ、黄金の獣の名を与えられたこの神狼は『神々の黄昏(ラグナロク)』から逃れることができたのだから・・・神が祈りを聞き届けることはもはや無い。しかし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「___たわけが・・・神に祈るくらいなら何故主君であるこの私に祈らん」

 

 

王は確かに臣下の願いを聞き届けた____

 

 




ちょっと思った以上に長くなりそうでしたので
いったん、ここで区切りたいと思います

余談ですが10代目黄金ことメリクリウスのお話しは全て時系列がバラバラです
(いきなり話が進んだり、次の話では昔に戻ったり)
これはワザとしています
だからと言って毎回「前書き」と「本編」が同じ話数でリンクするとは限りません
(「謎が謎を呼ぶ」といったものを目指してます)


そして前回『視力を失った』の表記で気分を害された方がいたので他にもいることを考慮し
この場を借りてお詫び申し上げます
ただこれから先、タグにもあるように『残酷な描写』(四肢欠損等)の表現が度々ある
可能性があります(おもに10代目黄金とかメリクリウスとか水銀とかのせいで・・・勿論本編もですが)

次第に過激な描写が増えていくことを考慮して
今後『ハリー・ポッターと黄金の君』の楽しんでいただければ
と思います


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黄金の覚醒 ※挿絵有り

___声が聴こえた



「あぁ、こ  ま  来て   我が    やはり   し  
    麗しの君  恋をし   ど   跪か てほしい   
             あぁ、あぁ・・・
やはり君か・・・君こそが・・・我が女神。目を覚まされれば大広間へと向かうといい(・・・・・・・・・・・)。そして・・・祝おうではないか、この出会い、この素晴らしき逢瀬に。祝おうではないか、喜ばれるといい、花よ。今宵、貴女様は与える(・・・)のではなく与えられる(・・・・・)のだ。我が愛をどうかその身の奥深くに刻ませておくれ・・・我が花嫁よ」



__何も聞きたくなかった、何も考えたくなかった、何も・・・もはや何も視えることも見えることも無い

しかし何も写さぬハズのこの瞳はかつての情景を映し出す

 

それは私が父から王位を継承した日、私が唯一跪いた日、父に・・・そして何より民に誓いを立てた日

 

あれはまだ私が王となる前、父が話してくれた

 

 

「ウィラよ、覚えておきなさい。我等が王たる由縁は王冠を被るゆえにでは無い、ならば何をもって王成りうるか・・・お前に分かるか?」

 

「_?_?ちちうえ、ウィラにはわかりません!」

 

「はっは!正直でよろしい!ウィラよ、我が瞳を見よ、何が見える?」

 

「__キレイな黄金色が・・・それと私がいます」

 

「そうだ、我等は王冠を戴くがゆえに王なのではなく、この黄金色に輝く髪と瞳を持つがゆえに『黄金の君』たりえるのだ。これこそがこのエルドラド王国を治める者の証なのだ」

 

「・・・もし・・・それを無くしたら?」

 

「永きに渡る我等の中には視力を失った者、戦火に巻き込まれ身体の大半に火傷を負った者などもいたそうな。そして・・・彼等は等しく王位継承権を無くしたそうだよ」

 

 

・・・誓いをたてた

 

 

__我、今より卿等の頂に立つ者なり。我が身、我が全霊を持って卿等の繁栄を約束する者なり。ゆえに我を讃えよ、我を賛美せよ、我こそは___っ!!

 

 

(黄金・・・か・・・ははっ、では今の私は何だ?一体誰だ?)

 

惨めに布団に潜り、3日間眠ることにすら怯え、震え、臣下であるはずの黄金の獣に背を向け、ただただひたすら嗚咽を漏らすことしかできない私は誰だ?

この身はもはや王でも黄金でも・・・父から受け継いだ証を失い、母に縋ろうとしている___この(転生者)は誰なのだ?

 

 

数多の思いが脳内を犯し、数多の後悔がこの身を犯す

 

獣が私を慰めようとする__それを私は拒絶する

獣が私の身を清めようとしてくれる__私は更に怯え、拒絶する

 

分かってる・・・獣だけは絶対に私を裏切らないと・・・私がたとえ王位継承権をはく奪されようと絶対最後までついて来てくれると。しかし__信じたいが怖いのだ・・・「もうお前に用は無い。存在価値など無い」と言われることが・・・

 

自分がこの世界において異物だと分かっている。父と母を騙し続け、今だに以前の私にとってこの世界が「ただの物語」だった・・・と話せていない

 

(あぁそうか・・・これは罰だ・・・家族を騙し続けた卑怯者への罰・・・くはは、何が王か何が黄金か・・・)

 

 

頭の中で答えのない自問自答を繰り返し・・・気づけば私は寝た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____起きられよ我が女神、さぁ、私に見せておくれ、視せておくれ、魅せておくれ。

今宵の(とばり)はまだ落ちきっていないのだから___

 

 

 

 

 

 

__声が聴こえた気がする

あれほど眠るのが怖かったのに・・・何故だ・・・誰かの声が聴こえた気がする

何故これほどまでに私の頭はスッキリしているのだろうか。まるで今まで見えない鎖に雁字搦めにされ、牢獄に閉じ込められていたような錯覚さえ感じてしまう

 

声が聴こえた・・・「大広間に向かえ」と。そして私は何故かそれこそが最良だと感じてしょうがなかった

 

声が聴こえる

 

 

「神よ・・・どうかっ!!私の身を八つ裂きにしてくれて構わない!!どうか今一度!このお方に黄金の輝きをっ!!」

 

 

臣下が・・・我が獣が求め訴えている・・・ならば主君である私はそれに応えねばならない

 

あぁ、だが・・・その前にこれだけは言わねば

 

 

「___たわけが・・・神に祈るくらいなら何故主君であるこの私に祈らん」

 

 

 

 

 

「____っ!?・・・ウィラ・・・様」

 

「誰が私の名を呼んでいいと許しを与えた?だが・・・まぁいい、今回だけは許す」

 

 

獣は眼前の光景を信じられない気持ちで見つめていた

先程まで憐れに泣き叫ぶ、惨めな少女であった主君がその身に今まで以上の覇気を携え自身に語り掛けているのだから

 

 

「___ぐぅッ!がっ!?」

 

 

ウィラが起き上がろうとするが、身体は動かず、包帯から更に血が滴り落ちる

 

 

「ッ無理をしないでください黄金の君!」

 

「はぁ、はぁ、くぅっ!・・・我が獣よ」

 

 

我が獣(・・・)__あぁ、あぁ!何と甘美な響きだろうか!もう一度この方にそう呼んでもらえる、もう一度最愛の主に命令していただける!

そう考えるだけでもう獣は涙を止めることができなかった

 

 

「はい!はい!獣はここにおります!黄金の君たる貴女様の臣はここにおります!!」

 

「頼みがある・・・私を今すぐ大広間へと連れて行け」

 

「なっ!?何を!!御身は動けないのですよ!?それに・・・」

 

 

そう、ウィラの眼は見えていない。それもそうだろう、今もその小さな手をフラフラとさせ、獣を探しているのだから

 

 

「ならば運べ、いつものように、これまでのように。私に触れる栄誉を今一度、卿に与えよう」

 

「しかし・・・!」

 

「私は行かねばならん、そして伝えねばならん_____ここに・・・王の帰還は果たされた・・・と」

 

 

 

 

 

 

 

 

___動いた!あぁついに動いた!!何故我が魔眼を受けて死ななかったのかは分からぬ、しかし、ならば直に噛み付き我が毒を流し込むまで!

今までは死ぬワケにいかぬと・・・あの忌々しい金色のクソガキを殺すまで神狼の牙を受けるワケにゆかぬと思い、避け続けていた

だがもうその必要はない!!さぁ殺そう、もはや理由などどうでもいい!殺したいから殺すのだ!我こそはバジリスク!蛇の王!!ゆえに我の決定は何よりも正しいのだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいスリザリン!!お前等何か知ってんだろ!?」

 

「今すぐ言えよ!お前等のせいで・・・ウィラは!」

 

 

もはや限界だった。フレッジョ達ウィラと仲の良かった者達を筆頭にスリザリン以外の3寮がスリザリンの集まりへと突貫したのだ

 

 

「ふざけるな!!」 「ウィラ様のことが心配なのは自分達だけみたいな顔しやがって!!」 「こっちだって被害者がいるんだぞ!?」

 

「僕達は何も知らない!!」

 

「おいマルフォイ!本当だろうな!?」 「嘘ついたら許さねぇぞ!!」

 

 

もはやこれまでかとダンブルドアが教師に杖を抜かせようとした瞬間

 

__ドンドンドン!!

 

 

大広間の扉を叩く音が響き、皆の身体が瞬時に硬直し、扉から目が離せない

「とうとうバジリスクが来た」__誰もが息を飲む中ついに扉が開き

 

 

「・・・嘘よ・・・お姉様・・・いや、イヤァァアアアア!!?お姉様!!お姉様ァ!!」

 

ジニーの悲鳴が木霊する。その声に続き何人かの生徒が膝から崩れ落ちる

 

 

ウィラは黄金の獣に抱えられ、目には包帯を巻き、その四肢をダラリと力なく垂れ下がらせていた

 

咄嗟にジニーが駆け寄ろうとし、ニールがそれを引き留める

 

「どいて!!退いてください!!お姉様が!!」

 

「聞きなさいジネブラ殿!陛下は生きておられます!!本来ならば絶対安静のところを陛下自らのご意志でここに来られたのです!!」

 

 

一端ジニーを下がらせ、再び獣が歩みを進める

誰もがそれを見守り、近づこうとするが何故だか足が進まない。途中__

 

 

「・・・あぁ、ジニーか・・・私なら無事だ・・・卿等の求める黄金は・・・ここに」

 

「お姉様・・・ウィラ・・・」

 

「我が獣よ・・・ダンブルドアの下へ・・・これで終わらせる」

 

「ですが・・・いえ、御意」

 

「ウォーカー、構えておけ・・・今こそ務めを果たす時だ・・・」

 

「ッは!!」

 

「ニールよ・・・卿に逃げろと言ったことはどうか忘れてほしい・・・卿は我が誉れだ・・・誇られよ」

 

「あぁ陛下・・・っ!」

 

 

 

 

 

 

「ふっ、ぐぁ!」フラッ

 

「黄金の君!」

 

ダンブルドアは驚愕した

まさかあの状態から・・・バジリスクの魔眼を見て死ぬどころかこうして目の前に立っているとは

しかし、ダメージは大きいようで目には包帯を巻き、やはり一切見えていないようだ

更には足下はおぼつかず、獣に支えられて何とかかろうじて立っていられるような状態だった

 

 

(これがあのウィラ殿じゃと・・・これではただのか弱き少女ではないか)

 

「ダンブルドア・・・そこにいるのか?」

 

「・・・あぁウィラ殿・・・どうしてここに?何故「黄金の間」で待っていなかったのじゃ」

 

「見えずとも分かる、聞こえずとも分かる・・・ゆえに私は来た」

 

 

そう言ってウィラは振り向き

 

 

「卿等に告げよう!!私は・・・黄金は今ここにいる!!卿等が求め訴えた黄金は確かにここにおるぞ!!」

 

 

もはや生徒達に恐怖もパニックも無くなった

先程までスリザリンに詰め寄った者達も、詰め寄られたスリザリンも皆安堵の表情を浮かべ、中には跪いてウィラに対し祈りを捧げる者までいた

ここに王の帰還は成された__しかしダンブルドアだけは納得していなかった

 

(黄金、黄金じゃと?もはやウィラ殿にはそれを名乗る資格は無いハズじゃ。じゃが・・・何なのじゃこの覇気は!?)

 

 

弱弱しい、今だにその目からは血が時折流れ落ちている。しかし絶対的なオーラを纏い、迷える民衆を一瞬でまとめ上げてしまったこのカリスマ、この輝き・・・まさに王ではないか

 

同時に円卓の3人も驚いていた

3人はダンブルドア以上に黄金について・・・ウィラがどんな思いで黄金を名乗り上げるのかを知っている

勿論資格などこの3人にはどうでもいい、ただひたすらにウィラ個人、ウィラそのものに心酔しているのだから

だがウィラにとってソレは何よりも尊く、何よりも大事なものだ。彼女は決して軽々しく王を名乗ることは無い

 

 

「あぁ『プロテゴ・マキシマ』か・・・だが・・・足りんな・・・」

 

 

杖を抜く。それだけで美しい金糸が舞い、徐々にいつもの調子を取り戻していくウィラ

もちろん彼女は今だ王位継承権である瞳を無くしたままだ

だがもはや・・・この生まれながらの王には何も関係ない

 

 

「我が命に従え 我こそは王 我こそは生まれながらの覇者にして黄金なり!ならばここに我が領域を展開せん!!顕現せよ!『黄金領域』!!」ヒュオッ

 

 

教師達が渾身の力で展開した『プロテゴ・マキシマ』

しかしそれは更に強大な力を持った、たった一人の少女の魔法に屈し上書きされる

 

 

(馬鹿な!ありえん!!『黄金の魔法』じゃと!?それは『黄金』たる者にしか・・・もはやウィラ殿には使えないハズじゃ!?)

 

「・・・視えずとも分かるよダンブルドア・・・今の私は・・・うん、たぶん絶好調とかいうやつだ」

 

 

ウィラが領域展開を終えると同時に___それは再び彼女達の下へ現れた

大広間の壁が突如粉砕し、中より現れるは蛇の王バジリスク

 

 

「やはり現れたか・・・なるほど、この私の匂いを追ってきたな?ったく、原作でも思ったが蛇とは本当にしつこい・・・お前の崇める白いクサリヘビなどあんなに可愛い奴なのに」

 

 

ウィラの言葉は誰にも聞こえない。皆もはやそれどころではなかった

 

バジリスクもついに相対した仇を前にすぐさまその魔眼を向け、殺そうとする

 

しかしウィラの絶対守護領域は魔眼の呪いすら通さず、それを理解したバジリスクは今度はその巨体を薄いベール状の黄金の輝きへとぶつける

だが生徒達全員を守り続けるその魔法はどれだけの質量がぶつかろうと壊れる様子は微塵も無く、ただただそこに在り続ける

 

 

「すごい・・・こんなことまでできるんだ・・・」ボソ

 

まさにハリーの言う通りだと近くの者全員が思った

『広大な焼却呪文』に『絶対守護領域』____これが魔法族の王、全ての頂点、自分達が求めた__これこそが『黄金』

 

 

言葉を失い見守るハリー達を横目にコツ__コツ__と王はその歩みを進める

 

 

「何故お前が存在するのか、いや・・・私がいる時点でそれは無粋か・・・」

 

「黄金の君、御下がりください!ここは私に・・・!!」

 

「誰にも渡さんよ・・・辱められた貶められた恥をかかされた・・・卿等の主君として私は私を取り返す!!」

 

 

誰もが彼女の両脇に退き道を空ける。その足取りはしかと大理石を踏みしめ、今だ見えていないハズなのにバジリスクへと一直線に向かう

 

そして包帯を無造作に手にかけ____

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

「あぁ・・・お前が()えるよバジリスク」

 

 

ここに二度目の誕生を黄金は果たした

閉めきっているハズの大広間に風が舞い、その美しすぎる髪の毛が宙を靡く

ウィラの眼には確かな光が宿り、黄金を・・・いや、もはや黄金を超えた黄金色をその眼に讃えていた

 

(・・・これが覚醒した瞳・・・か。なるほど・・・最悪(・・)だな・・・)

 

 

「ウィラ殿・・・お主眼が・・・」

 

「あぁ、ダンブルドア・・・視えるとも・・・ハリー!キサマ「蛇語使い」だったな?バジリスクは何と言っておる」

 

「えっ、えぇと・・・「憎い、今すぐ出てこい卑怯者!」って」

 

「ふむ、やはりそうか・・・私も同じ言葉が聴こえ(視えて)るよ。では___参ろうか」

 

 

誰もウィラを止めることができなかった、それほどまでに散歩をするが如く当然のように結界からバジリスクへと歩みを進めたのだ

 

 

「陛下!!」チキチキ

 

「邪魔をするなウォーカー、これは王の語らいでもある。先程あぁは言ったがもはや卿等の出番は無い、座して待つがいい___お前もだドビー、そのまま消えていろ。決して姿を現すな」

 

(ビクっ!)「__ッゥ!?・・・黄金卿・・・」ボソ

 

「あぁ、そういえば卿等は私達をそう呼ぶのだったな。悪いことは言わん、卿には恩がある。黙して帰られるがいい」

 

「はい・・・」

 

 

 

 

 

誰にも知られずに来ていたドビーに語り掛け、帰ったのを確認しバジリスクを見据える、もはやバジリスクの魔眼を持ってしてもこの『黄金』を殺すことも呪うことも不可能になった

 

 

__何故だ!?何故死なん、何故何の効果も無い!!キサマ、人間なのか!?

 

「あぁ人間だとも。弱く、脆く、哀れで矮小で・・・怖がりなただの女の子さ・・・だが・・・王である」

 

 

キレイだと、ウィラは思う

純粋なまでの殺意、『黄金の瞳』を持ってして視えるバジリスクの魔眼の何と美しき魔術構成だろうか

生まれたばかりであろう映画で見たバジリスクよりも少し小さな身体。しかしそこには蛇特有の膨大な筋肉が渦巻いている。もしこの尻尾が自分に当たるだけで、それだけで死は免れない。まさに蛇の王に相応しい巨体が目の前にあった

 

そしてそれをバジリスクも気づいたのだろう

巨体を揺らしウィラめがけ、鋭い一撃をお見舞いする。大理石は割れ、大量の粉塵が宙を舞う

 

「っウィラ!!」 「ウィラ様!!」 「陛下!!」

 

 

間違いなく死んだか大怪我を負ったと誰もが思った

 

 

「____ふむ・・・この程度か?」

 

 

当たっていない。ウィラはその場から一歩も動いていないにも関わらず、バジリスクはその一撃を外したのだ

 

__ッ!このぉッ!!死ね死ね死ね死ねぇぇああああ!!

 

 

尻尾を真上から振り下ろす__が、当たらない

毒液を吐き掛ける__が当たらない

口を空けて丸飲みにしようとする__が当たらない

 

 

「・・・アイツ・・・何やってんだ?」

 

ロンがそう言うのも無理はない。ウィラは先程も言ったとおり一歩も動かず、ただ見据えている。では何が起きているのか

 

簡単な話だ__バジリスク自身が当たる直前、無意識に攻撃を逸らしているのだ

 

 

「・・・これほどか・・・しかし普段からこれでは少々不便が過ぎるな、制御せねばならんか」

 

 

もはやバジリスクなど、どうでもいいと言わんばかりに眼を押さえ

 

 

 

「あぁ、まだやってたのか?もういいぞご苦労__平伏せ」

 

 

ただの言葉、ただの一言にバジリスクはその身体を地面に縫い止められたかのように動けなくなる

 

 

__ガッ!?何をした・・・!?これは何の呪文だ!?

 

「呪文ですらないよ、これは・・・ただ、そうだな・・・キサマの格を私が上回った・・・それだけだ」

 

 

コツコツ__と、動けないバジリスクにウィラがその目前まで歩みを進め、魔眼を覗き込む

瞬間バジリスクは恐怖した。赤蛇様なら分かる、白蛇様なら分かる、あそこで自分を殺そうと警戒し続けている神狼なら分かる

黄金よりも輝くその瞳に睨まれただけで、心臓が動きを止めそうになる。だが自分は誇り高き蛇の王!何より__

 

 

__何故母を殺した!!母が一体何をしたというのだ!?

 

「あぁ、そういうことか・・・なるほど、ふぅん・・・蛇にも愛があったか。素晴らしいな、感動したよ。だが・・・邪魔だったのでな。だから殺した、だから死ね」

 

__ふざけるな!!キサマ何様だ!?

 

「王様だよ。誰よりも我儘で暴君で・・・しかし感謝もしてる・・・おかげでこの眼が覚醒した。いや・・・謝罪しろが正しいか、おかげで眼が覚醒してしまった・・・謝ってくれないか?」

 

__何を言っているのだ・・・何のことを・・・っ!

 

「私が異物であることなど以前から分かってはいたよ、しかし・・・存在しない者まで生み出して、そうか・・・そこまでして『ハリー・ポッター』を完成させたいか・・・まぁ、謎解きはまた今度にしよう。選べよバジリスク、どう死にたい?獣に殺される?私自身の手で殺される?それとも・・・原作通りハリーに『ゴドリックの剣』で殺されたいか・・・選びたまえ」

 

__ッ!!我こそはバジリスク!蛇の王ぞ!!ならば誇り高く戦って・・・!!

 

「死なせんよ、本来キサマは当て馬だ。ハリーを更なる成長へと導くな。しかし何故か今回私の覚醒へと繋がってしまったが、はてさて・・・これが誰の意志かは知らん。だがこの私が誰かの手の平で踊るなど辛抱堪らん、ゆえに・・・自害しろ。良い、許す。この私が許しを与える」

 

__っぁ・・・あぁ・・・っ!!

 

 

手をポンっと鼻先に乗せ、人の王は蛇の王へとゆっくり命を下す

 

 

「心臓の鼓動を止めよバジリスク、なぁに痛みなど無い。卿は何の恐怖も、痛みの無く、この黄金に看取られその短き生涯を終えるのだ・・・さようなら、卿のことはたぶん今年いっぱい忘れんよ」

 

 

ウィラがその手を退け、生徒達の方へと振りむいた時__すでにバジリスクは死んでいた

言われたとおり、自ら鼓動を止めたのだ

 

ここにホグワーツ史上最悪の事件は終わった

しかし誰もこれで終わったと思うことが出来なかった。それほどにまで静かに勝負はついてしまったのだから

いや、そもそもこれは勝負ですらなかった

 

 

ウィラが近づいてもジニーもハリー達ですら誰も喋り掛けることができず、ただ道を空けることしかできない

そしてその先には臣下たる3人が跪き

 

 

「・・・ただいま我が黄金の獣よ」

 

「おかえりなさいませ・・・偉大なる黄金の君」

 

 




絵に時間かけすぎて遅くなりました(汗
とりあえず今回はこれで終了です
あとは1話か2話やって「秘密の部屋」を終了したいと思います

ところで・・・どうしようか・・・ウィラが強すぎて
お辞儀馬鹿がヤバイ(汗
(どう考えても絶望しかないんですが・・・)

一応いくつか展開を考えてはいるのですが・・・このままで
大丈夫でしょうか?

それとメリクリウスこと10代目黄金が本編と関係したり絡むことは
ほぼあり得ません
(夢に出て来たって?夢は所詮夢です)



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黄金と隠し事

昨日、活動報告で「もう一か月は待ってほしい」と書いていながら・・・できました(汗
お待ちいただいていたかは分かりませんが
2週間ほど更新できず申し訳ありません(汗

全然思い浮かばず悩み続けていました

この2週間色々ありました
仕事で怒られまくったこと
とあるハリー・ポッターの小説がついに完結したこと(ベヨ姉さんお疲れさまです!)
夢の中で波旬と共に水切りして遊んだこと (∴)ナァ、俺ノ水切リハウマカッタカァ?
他にもラインハルト卿とお茶会と様々なことがありました
(何故マルグリッドは出て来てくれなかった!?あぁ我が女神ィィィイイ!!)


今回で「秘密の部屋」編は終了です
いくつか「あれ、あの件は?」と思われるでしょうが、それは後日談に回します
とにかくそろそろ更新しないとヤバイと思ったので
いつもと比べ、拙い文になっているかもしれませんが
どうか暖かい目で読んでいただければ幸いです

次回からいつも通りになると思うので
ではお楽しみください



バジリスクが死んだことにより、大広間では死骸を退け、大騒ぎのパーティーが行われていた

疑いをかけられたスリザリンも疑いをかけた3寮も関係無くお祭り騒ぎを繰り広げていた

ウィラが大広間を退室する前に「あらぬ疑いをかけたスリザリンに謝れ」と命令し、誰も逆らうことができず、確かに悪かったとスリザリンに謝り、それを許したのだ

 

何より今この瞬間だけは寮の垣根など関係無い

死ぬかもしれない恐怖は無くなり、今だけはただ生きていることに感謝したかったのだ。そして命の恩人であり、今回の功労者であるウィラに感謝を伝えたいと誰もが思ったが、先程も述べたとおりウィラは今この場にいない。顔についた自身の血涙を洗い流したいのもあったし、あれから一度もちゃんと身体を休めていないのだ。その為いったん休憩すると言い残し自室である「黄金の間」に戻った

 

 

 

 

 

 

 

 

__椅子に座った瞬間、目の前で3人が腰から私が授けた剣を下し、跪いた。あーもう、うっとおしいな

 

 

「・・・で?」ギシっ

 

「どうか・・・我等に罰を。我々は・・・御身の傍n「良い、許す」・・・黄金の君」

 

「あれは私の落ち度でもある。卿等は命を全うしようとしただけだ、ゆえに此度、卿等に対し私から何か言うこともすることも無い。これからも私に仕える栄誉を許す」

 

「ですがっ!?」

 

「そんなことよりさっさと風呂を沸かしてくれ、汗や血がベタ着いて気持ちが悪い。それに・・・今はキサマ等よりもこの眼だ。あぁ本当に・・・覚醒してから分かったが・・・最悪の代物だなコレ」

 

「どういうことですか?っまさか何か不調が!?」

 

「なわけないだろ。視界は良好、身体もただ疲れているだけ・・・むしろ視え過ぎるくらいだ」

 

「__?見え過ぎる?」

 

「私以外で覚醒を果たしたのは10代目黄金ことカール・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリアただ一人。彼はありとあらゆる過去と未来、更には別の世界線まで視えていたと言い伝えられている。黄金の眼を差して「ありとあらゆるものが視える」と言われるのは彼の所為だ」

 

「・・・もしや・・・御身もまた」

 

「そうだニール、視えている。まぁ完全覚醒はしていないから全てではないが・・・つまらんな、知りたいと思ったらすぐに分かってしまう・・・未知が全て既知に感じてしまう・・・よくもカールはこんなものを我慢できたものだ」

 

「それは・・・大丈夫なのですか?」

 

「かろうじて制御はできている。その証拠にウォーカー、私の眼を見ろ。瞳の色がもとに戻っているだろ?」

 

 

私の言葉に失礼しますといいながらウォーカーに瞳を覗き込み確認してもらう。どうやら眼の色は戻っているようだ__良かった(・・・・)

 

 

「・・・確かに、ですが・・・」

 

「魔力の質と量が変わった・・・だろ?それは仕方ないし特に問題はない。さ、風呂に入ろう。獣、脱がしてくれ」

 

「御意。ニール殿、ウォーカー、出なさい。いくら貴方達でも黄金の君の肌を見ることはなりません」

 

「分かっています」

 

「陛下、大広間には顔を出すのですか?」

 

「あぁ、疲れたから軽く顔を出して戻るさ。その時は声をかける、それまで出ていろ」

 

 

 

 

獣に服を脱がしてもらい、そのまま引き連れて浴場に入る。獣に裸を見られても今更恥ずかしさなど無い、そもそも今まで一度も一人で風呂など入ったことがないし、この1年間、毎日のように洗ってもらっているのだ。それにコイツ人間じゃないし

 

 

鏡に映る自分を見る、そこには華奢な少女らしい身体に自分でも美しいと思う金糸・・・そして黄金色に輝く瞳と膨大な魔力・・・

 

 

「・・・人の身には余るな」

 

「恐れながら黄金の君、今更かと。今でも小さなか弱き人間の少女に負かされた日を夢に見ないことはありません」

 

 

失礼しますと獣が私の手を取り、優しく洗ってくれる

 

 

「何だ、不満か?ならばホレ、今ならキサマの爪牙でこの柔肌をキズモノにできるぞ?」

 

「お戯れを、我が名は黄金の獣。御身の爪牙であり、永遠に下僕であることを心の底から望む貴女様の忠実なる狗です」

 

 

その言葉に振り向き、獣の顔に手を添える。・・・どうしても言わなければいけないことがあったからだ

 

 

「・・・黄金の君?」

 

「・・・すまない・・・私は・・・お前のことを信じられなかった。許してほしい・・・」

 

「黄金の君・・・」

 

「怖かったんだ、恐ろしかったんだ・・・否定されることが・・・私は転生者だ、本来この世界にいてはならない存在だ。お前に世界を見せると誓った、だがアレは同時に私がこの世界にいていいと言い聞かせる為に・・・私は・・・お前を利用しただけだよ・・・最低だろ?それでもお前は私の・・・ウィラの傍にいたいと思うのか?」

 

「それのみが私の望み・・・至高の黄金たる貴女様の爪牙である栄誉をどうか」

 

「そうか・・・______ありがとう」ボソ

 

 

私の最後の言葉に一瞬驚いたような顔をし、すぐに今にも泣きそうな笑顔になる。本当にカワイイ奴だな・・・本当にありがとう・・・

 

 

 

 

 

 

身体を洗い終え、着替えをすませ大広間へと向かう。途中フレッジョ達の悪戯グッズがいたる所で弾けていたが・・・大盤振る舞いし過ぎだろ・・・

 

 

「そういえば我が獣、一つ卿に問いたい。何故あの時私のことを偉大なる黄金(・・・・・・)と呼んだのだ?」

 

 

そう、確かに私の眼は覚醒した。10代目黄金と同じような状態ではあるが・・・それだけで偉大なる黄金とは普通呼ばない。その証拠にヴァンシエル陛下は眼の覚醒などしていなかった

 

 

「・・・分かりません、咄嗟に口から出た言葉があれだったので」

 

「そういえば確かに言われていましたね」

 

「ふむ・・・やはり・・・か。そうか、そういうことか」

 

「?どういうことですか」

 

「私は以前卿等に言ったな?この世界は前世において『ハリー・ポッター』という物語だったと」

 

「えぇ」

 

「あのバジリスクはな、抑止力のような物だったのだ。物語を原作通りに進めるため・・・ハリーの成長を促す為の・・・な」

 

「・・・ですが陛下、以前御身のお話しではエル・ドラド家そのものがその話の中では存在しなかったとお聞きしています。その時点でその原作とやらから逸脱しているのでは?」

 

「そう、そこだ。恐らくこの世界は原作通りになるべく進もうとするだろう。間違いなく私がいくら介入しようとヴォルデモートは必ず復活する。だが・・・二ついる(・・)。『ハリー・ポッター』という物語、そして・・・私という物語・・・この二つがこの世界においてせめぎ合っている」

 

「それは・・・申し訳ありません、話が何だか難しすぎて・・・」

 

「あぁ、理解しろとは言わんよ。これはただの独り言・・・ただ頭の隅にこういう話があったな程度で構わん」

 

「・・・ふがいない我等をお許しください」

 

「良い、許す。____着いたな、さて!難しい話も終わりにして、このドンチャン騒ぎに興じようか!お前達、分かっていると思うが私はけっこう派手好きだ」

 

「黄金の君、すでに用意は済ませております」

 

 

そう言った獣の手には___私お気に入りの『絶対に落ちない黄金のペンキ』がバケツ並々に入っていた

 

 

「くはは!良い!実に良い!!ニール、ウォーカー、開けろ!さぁ、大広間を私色に染め上げるぞ!!」

 

 

 

 

__この日、大広間は黄金色に染まった。後にこの日の出来事を『黄金ペンキ事件』と呼ぶようになることをまだ誰も知らない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間後、突如重要なお知らせがあるとダンブルドアが生徒達を大広間に集めた。その内容は

 

 

「____えっ、そんな!?休校だなんてっ!」

 

 

「諸君等が驚くのも無理はなかろう、じゃがこれは皆の為、そしてご両親方の為にも必要なのじゃ」

 

 

このホグワーツの生徒の多くの親は魔法省務めだ、その為今回の件を知る者も多く、不安に駆られる者も少なくはなかった

そのため親達による「そんな危険な生き物が野放しになっている学校など閉鎖してしまえ」という抗議が多発。森番のハグリッドが連れて来たのではという疑いもあったが彼を慕う生徒や卒業生達、更にはウィラが庇い、危うくアズカバンに送られる所を未然に防がれた

 

 

結果的に閉鎖まではいかなかったが、ホグワーツの隅々まで調べ直すということで落ち着いた

ダンブルドアもこれには了承するしかなかった、魔法省から専門家や優秀な魔法使いを招き、約半年以上をかけて洗い直すのだ

始めるなら早いほうが良いということになり___今年度のホグワーツはクリスマスを持って終了となった

 

 

 

「__『100味ビーンズ』」

 

___ピョン!

 

 

解散した後、ハリーはダンブルドアに「校長室に来てほしい」と呼ばれた

 

 

__カチャ「あの、校長先生?」

 

「おぉ、来たかねハリー。何か飲むかね?」

 

「いえ、あの・・・話って何ですか?」

 

「ハリー、儂が君に話があるのではなく、君が儂に何か話が・・・聞きたいことがある。違うかね?」

 

「っ!・・・実は」

 

 

ハリーはいくつか悩みを抱えていた

自分が実は『蛇語使い』だったこと、本当はスリザリンに入れば偉大な魔法使いになれると組み分けの時に言われたこと、自分が本当はグリフィンドールではなくスリザリンに入るべきだったのではないか。そして・・・

 

 

「お願いです!ホグワーツにいさせてください!手伝いでも雑用でも何でもしますから!!・・・僕には・・・僕にとってホグワーツこそ帰るべき場所なんです!!」

 

 

ガタリと椅子から立ち上がりダンブルドアにそう告げるハリー

そう、それこそが今一番悩んでいることだった。あそこに・・・ダーズリー家に自分の居場所なんかあるハズも無い

それをダンブルドアは優しく見つめ、一つずつ諭していく

まずはハリーに組み分け帽子を持たせ、その中に手を入れるよう言う。ハリーが言われた通りにすると中から1本の剣が出て来た

 

 

「これは・・・?」

 

「あぁハリー、そこに書かれた文字を読んで見なさい」

 

 

そこには『ゴドリック・グリフィンドール』と書かれていた。そしてそれは真のグリフィンドール生にしか抜けない剣だとダンブルドアがハリーに告げる

 

 

「ハリー、君はまさしくグリフィンドール生じゃ。それは儂も、その剣も、ウィラ殿でさえそう思っておるハズじゃ」

 

「それは・・・すごく嬉しいです。けど・・・」

 

 

ホグワーツにいさせてほしいと言う返事をまだ聞いていない。そうハリーが言おうとすると

 

 

「ハリー、生徒を・・・お主達を危険な目に合せぬよう休校としたのじゃ。ゆえにいくらお主の頼みでもそれだけは聞けんよ」

 

「でも・・・それじゃあ!」

 

「落ち着くのじゃ、そもそもハリー、お主はそれを友人に言ったのかね?」

 

「・・・えっ」

 

「君には良き友人が大勢おる、そして親友も。ハリー、友とは何も危険な時だけに助けを求める存在ではない、困った時に頼ることのできる唯一無二の存在なのじゃ。そして君は今こうして困っておる。違うかね?」

 

「それは・・・」

 

「まだ学校を閉めるまで1月程ある。その間に親友であるロンに相談すると良い。きっとウィーズリー家は君を優しく、暖かく迎え入れてくれるじゃろうて。それでも駄目ならもう一度儂に相談してくるといい、まぁきっと彼等は断りはせんと思うのじゃがね」

 

 

そうだ、自分には親友が、ロンがいる。確かに今学期の始まる前ロンの家に泊まらせてもらったがあそこはすごく暖かった。家族とはこういうものかと思ったほどに

ダンブルドアに相談して良かったとハリーが更にダンブルドアに対して尊敬の念を大きくして校長室を出ようとした瞬間、校長室の扉が開きフローリシュ・アンド・ブロッツ書店で見た顔__ルシウス・マルフォイが入って来た。そして・・・

 

「・・・ドビー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__翌日、朝食時

 

 

 

 

「___そうか、ドビーはハリー、お前が解放したのか」

 

「うん、てか何でウィラはドビーのこと知ってたの?」

 

「忘れたのかハリー、私とルシウスは友人だ。それに私にもシャドウという屋敷僕がいるからな、何より・・・彼には恩がある。私が解放しようかとも思ったが手間が省けたな」

 

「けっ、あんなムカつく連中と仲良くなんてよくできるよ。僕ならとっくに縁を切っているだろうさ」

 

「そもそも貴方そんなつもりもないじゃない。ねぇウィラ、本当に眼はもう大丈夫なの?私・・・心配で」

 

「ジニーからも同じことを言われたよ。私なら大丈夫さハーマイオニー、我が黄金の瞳はしかと卿を映し出しておるよ」

 

「黄金で思い出したけど・・・あのペンキなんなの!?誰も落とせないしダンブルドアがこの前ローブを手洗いしてるの僕見たんだけど!?」

 

「そりゃそうだ、あのペンキは『黄金の魔法』の産物だ。私以外の魔法使いでは決して落とせんよ」

 

「何その無駄に洗練された無駄に凄い無駄な魔法・・・いろんな意味で凄すぎるよ」

 

「くはは!私は王だぞ?獅子は兎にも全力を出すように王は遊びにも全力を出すものだ!ではまた後でな、授業の準備を先にして卿等を待っておるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___クリスマス直前、ホグワーツは今日で終わり、長い長い休暇になる

私は生徒達を回り、別れの挨拶をすませハリー達と汽車を待っていた

 

ドラコにも挨拶しに行ったが、スリザリンの生徒に囲まれたくさん感謝された。曰く、私のおかげで助かったとか、3寮が頭を下げて済々したとか。まぁあの件は不安だったのは分かるがそれでも罪も無い者を疑うのはやはり・・・うん、あまり良い気分じゃない

 

『秘密の部屋』の存在は結局、誰も知らないままだ。そしてあの後一度だけ私自ら赴き、確認した

すでに獣が殺した首の無いバジリスクの死体は骨のみになっており、片隅には一つ生まれた形跡がある卵が転がっていた

それを見た獣が全力で謝って来たが、しょうがない。きっと獣が確認した時は生まれてすらいなかったのだろう、あの時獣は「命ある者」と言った、生まれていない命など探りようもない

それと『秘密の部屋』の隠された小部屋で一冊の日記を見つけた。まだ読んですらいないが休暇中にゆっくり調べるとしよう

 

 

 

 

「そういえばハリー、クリスマス以降はどうするのだ?叔父上の家には帰りたくないと言っていたが」

 

「聞いてよウィラ!僕、あの家に暫く帰らなくてよくなったんだ!」

 

「それはどういう・・・あぁ、ロンか」

 

「よく分かったねウィラ、そうなんだ!パパとママに説明したらいくらでも泊まっていきなさいだって!」

 

「ただ・・・ダンブルドアは夏の間は必ずあの家に戻れって・・・何でだろ」

 

(守りの魔法の件か)

「まぁ基本あのジジィの言う事など聞かなくて良いが、今回だけは言う通りにしておけ」

 

「でも・・・」

 

「ウィラの言う通りよ、きっと校長先生にも何か考えがあるんだわ」

 

「ハーマイオニーの言う通りだ、そういえばハーマイオニー、今年はエルドラド王国に来るのか?何なら私が街を案内してやるが?」

 

「うーん、まだ分からないわ。それに・・・王様自らが出歩いたら絶対観光どころじゃないでしょ」

 

「いいなぁ、ハーマイオニーは・・・僕の家貧乏だから国外旅行なんて行ったことないや」

 

「僕も、というか旅行自体ないなぁ・・・」

 

「ふむ・・・なら楽しみにしておけ、春くらいに卿等にサプライズをプレゼントしよう」

 

「え、何そのサプライズって」

 

「まぁお楽しみと言うやつだ・・・来年を楽しみにしておけ」

 

「そういえば貴女、来年も教師をするの?結構人気だったじゃない」

 

「ジニーも聞いておいてって言ってたよ。どうするの?」

 

「残念ながら来年の防衛術の教師は決まっているよ、あくまで私は中継ぎだ。いい加減生徒に戻らないと。来年から選択科目もあるし」

 

「ウィラは何を選ぶの?僕達は取りあえず『生物学』を取るつもりだけど」

 

「うーん・・・私は『マグル学』を取ろうと思う」

 

「え、何で?」

 

「ロン、私は魔法使いの王でもあるが、我が国ではマグルも大勢住んでいる。彼等の王としてもっと理解を深める必要がある。結構大変なんだぞ?マグルと魔法使いでは主張してくる内容が違ってくるからな。一人一人とは言わんが・・・それでもまぁ、なるべく彼等の思いには応えねばならん」

 

 

 

話をしていると汽車がようやく来たので乗り込む

 

 

「それじゃあな」

 

「__?ウィラは同じコンパートメントに来ないの?」

 

「少し公務がある。卿等の前でするワケにはいかん。それに駅に着けば私の国の外務官が迎えに来る。別れを言うヒマもないだろうからな」

 

「へぇ、相変わらず忙しいんだね」

 

「手紙、今度こそ待っているぞ?それとロン、卿の母上に礼を言っておいてくれ。プレゼントありがとう。と」

 

「必ず伝えるよ!じゃあね!」

 

「それじゃあね、ウィラ!私もこんどこそ手紙を出すわ!」

 

「僕も出せるよう努力するよ!じゃあね!」

 

「うん、また来年」

 

 

 

 

適当なコンパートメントに入り、腰を下ろす

 

 

「黄金の君・・・恐れながら・・・何故、彼等に嘘を?」

 

 

実は公務など無い、ただ・・・彼等から・・・人から離れたかった。それはこの3人も同じだ

 

 

「頼む・・・今だけは一人にしてほしい、理由は聞くな、命令だ。何も聞かず私が呼んだ時全て無かったことにしろ・・・いいな・・・っ?」

 

 

睨みを効かせてコンパートメントから一端獣達を追い出し、『防音呪文』をかける

あぁ、ようやく一人になれた・・・そう思った瞬間、汗が噴き出し動悸が止まらない

 

 

「っぅ・・・!?ぐっ・・・がぁ!?」

 

 

眼の制御ができた__半分はウソだ

確かに過去も未来も何も視えないようにすることはできた。ただ・・・あの日から・・・バジリスクを殺し、覚醒したあの日から・・・ずっと声が聴こえる

 

 

【___えして   返してよ!!ソコは私の居場所なの!お前なんか・・・異物がいていい場所じゃない!!】

 

「だ・・・まれ・・・!!煩い煩い煩い!!ここは私の居場所だ!!ウィラの居場所だ!!」

 

 

声がずっと聴こえていた、だが誰にも・・・それこそ獣にも一切何も教えなかったし悟られることもなかった。だがもう限界だ

 

 

【私から奪ったくせに・・・その名も!身体も!!本当は私に与えられるハズだった!!お前は王でも何でもない!!私から・・・パパとママを盗んだドロボウよ!!】

 

「違う!!私は、ウィラは望まれて生まれて来たんだ!!父と母はウィラを愛してくれている!お前みたいな・・・生まれなかった存在が私を否定するな!!」

 

 

今この瞬間にコイツと決着をつけなければいけない。誰に相談できる?生まれなかった存在が私に語り掛けてくると、誰が言える?コレを処理できるのは私しかいない。何より・・・これ以上彼等に心配をかけたくなかったのだ。それに国に帰ればコチョウがいる、彼女は決して私の異変を見逃さず追及してくるだろう。そして私はソレに逃れる術を持たない。私は彼女に嘘がつけない・・・そう契りを交わした

 

 

「黙っていろ!!眼を通して別の世界線からこの私に・・・ウィラに干渉してくるなぁぁあああ!!!」

 

魔力の全てを眼に集め、無理やり封印を施す

 

 

「っあッ!?ガっ・・・!?ア゛ァァ゛ァアアア!!?」

 

 

あの時以上の痛みが私を襲い、眼から再び血涙が流れ出す

 

 

(我慢だ!!我慢しろウィラ!!こんなワケの分からん力に振り回されるな!!私の名はウィラトリア!父ジブニールと母オレンシアの一人娘にして黄金に名を連ねる者だろうお前は!?だから・・・っ!!)

 

「私の中から・・・出ていけぇぇぁぁああああ!!!」

 

 

ピシリ・・・と何かが壊れた音が聴こえた

 

 

【っ!?・・・まぁいいわ・・・私は貴女なんか認めない・・・必ずソコは返してもらうわ】

 

「__ハァ、ハァ・・・くはは・・・本当に・・・クソみたいなものを・・・グゥっ!?」

 

 

何とか抑え込むことができた、そして・・・確認した・・・そうか

 

 

「敵がいる・・・私に干渉し、ウィラトリアという異物を攻撃してきている。くはっ、くははははは!!いいだろう!!お前がっ!お前が私の敵か!!ならば壊してやる!!原作も!流れも全て壊してやろう!!私は生きたい、愛されたい・・・ゆえに・・・私は全てを壊すとここに誓おう・・・なぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

___世界(ハリー・ポッター)よ・・・_____

 




「あぁ・・・貴女様は一つ勘違いをなされておられる。世界はこれほどにまで、貴女に干渉する術すら持ちえないのに・・・だが、まぁこれはこれで都合が良い。植えた種はすでに芽を出し順当に彼女の腹を犯し続けるだろう。いやはや、しかしあれほどまでに我慢なされるとは・・・流石は我が子孫、そうきたか。あぁそれでも・・・悲しいことだ。貴方様のその努力は報われることなく、我が女神はついに縛鎖を千切り、その美しいまでの姿を我が前へと晒すのだ」

__貴女に恋をした・・・どうか跪かせてほしい、花よ___

「それまではどうか待っていてほしい・・・私は必ず、貴女様のいる世界へと至る。ではまず手始めに___他の全ての世界線を滅ぼすか」


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閑話
黄金と我儘


前半マジメですが途中から軽い百合、最後はただのギャグです

しばらく閑話が続くと思います




パァン__と何かを叩く音が鳴り響き、まだ幼さの残る少女の身体が床へと崩れ落ちる

 

それを誰もが顔を真っ青にし、ある者は心配を、ある者は自らの主君の尊顔がキズ付けられたと憤慨するが何も言えるわけがない

叩かれたのは娘で叩いたのは父だ、それを母は沈痛な面持ちで見つめる

 

 

 

 

 

 

国へ、クレーリア城に帰り着いた瞬間、父と母が出迎えてくれた

ただいまと言おうとした瞬間、父から無理やり手を引かれ、城の中へ連れて行かれた

 

そして今に至る。初めて・・・父から手を上げられた

 

 

「・・・何故だ、ウィラ」

 

「申し訳・・・ありません」

 

「ッ!!それは何に対し謝っておるのだ!?」

 

「ジブニール様!!それ以上はどうかっ!」

 

「黙れ!!黄金の獣よ、確かに汝等『黄金円卓』が我が声に耳を傾ける必要はない。だがこれは我々の、家族の問題だ!!部外者は黙っておれ!!」

 

「ウィラ・・・何故ジルが怒っておられるか・・・分かりますか?」

 

「瞳の・・・覚醒を黙っていたから・・・」

 

「あぁ、違う・・・違うのウィラ!」

 

 

母上が今にも泣きそうな顔で私にそう告げる・・・お願いですから・・・そんな顔しないで

母の肩を抱き寄せながら父が懐から一枚の紙を出して来た、そこにはエルドラド王国の調印と機密院の印鑑が押されてあった

 

 

「イギリス魔法省に忍ばせた間者から知らせがあった」

 

 

続けて父上が内容をその場で読み上げる、内容はこうだ

ダンブルドアが魔法省にSOSを出した時、私に何があったかも説明していたらしい。まぁそうだよな・・・私は魔法界においてもトップクラスのV・I・Pだ

バジリスクが出現し、私がその眼を見てしまい命こそ助かったが眼を・・・視力を失ったことが書かれてあった

 

 

「ウィラ、今一度問う。何故私が怒っているか・・・分かるか?」

 

「王位継承権を失い国を・・・民を危険に晒したからですか・・・?」

 

「ッ!?お前は何故っ!!」

 

「ジル!!お願いもう止めて!!」

 

 

再び私を引っ叩こうとする父を母が止めようとする。私は今だに床に這いつくばったまま顔を上げることが出来ない

・・・アレの声を聴いてから分からなくなってしまった・・・私は本当に愛されているのだろうか・・・もし、もし王族としての継承権を失っても・・・父と母はウィラのことを愛してくれるのだろうか・・・

 

そう考えていると私の前で父が膝から崩れ落ち、何事かと顔を上げると___ギュっと父が力強く、痛いほどに、けれどすごく暖かく私を抱きしめてくれた

 

 

「愚か者・・・っ!私とレシーがどれだけお前を心配したとっ!?私達が・・・私達がどんな気持ちでお前の帰りを待っていたと思うておるのだ!?この馬鹿娘が!!」

 

 

ポロポロと父上が涙を流す。私は父が泣くところなんか初めて見た

父ジブニールは決して弱みを見せない人だ、誰が相手でも堂々とした態度で私が目指す君主としての理想像の一人。そんな人が涙を・・・私の為に涙を流してくれている?

それが私の顔へと落ち、まるで私自身が涙しているかのように頬を伝い落ちる

 

 

「・・・めんなさい・・・」ボソ

 

「今回知らせを受け、私がどんな気持ちで・・・っ!何度・・・お前に王位を押し付けてしまったと後悔したことか・・・っ!!」

 

「っ違います!!それは私が!ウィラが望んだことです!!父上は何も悪くありません!!」

 

 

これだけはたとえ父の言葉でも否と否定する

何度も幼いころから、それこそ王となった9歳の頃から父は何度も私に謝ってきた

私がもっと早くレシーと出会っていればと、もっと若ければお前に・・・ウィラに普通の女の子としての時間をもっとあげられたのにと

確かに私に普通の子供としての時間など無いに等しかった。幼い頃から姫として、時期国王としての勉強に明け暮れていたし、そもそも前世の記憶がある私に普通など・・・あるワケも無かった

何度も話した、それこそ初めはケンカもした。まだ早い、お前はまだ9歳なのだぞ__と。

それでも私は望んだ。国に、故郷の力に少しでもなりたかったし・・・何より私をウィラと呼んでくれて前世の記憶持ちだと明かしても愛してくれた父と母に少しでも恩返ししたかったからだ、だから王になると誓ったあの日から後悔だけは一度も無い

 

そうしていると父上が徐々に力を抜いていき、入れ替わるかのように母が私を抱きしめてくれる

瞬間ふわりと私の大好きな匂いに包まれたような感じになり、父と違い母の抱擁は弱弱しく・・・震えていた

 

 

「ぁ・・・」

 

「・・・無事で良かった・・・私のウィラ、私達のウィラ・・・私達の、大切な娘」

 

「  めんなさい・・・ごめんなさい・・・!ヒッグ、ごめんなさい!ははうえぇ、ちちうえぇ!」

 

「えぇ、えぇ、いいの・・・貴女が無事帰って来てくれただけで・・・おかえり」

 

「うわぁぁああん!!ごめんなさい!!心配かけてっ、会いたかったです!恋しかったです!!」

 

 

涙が止まらない、もう12歳にもなるのに母の胸に抱かれ泣いて謝ることしかできなかった。それを母も涙しながらも優しく私の髪を撫でてあやしてくれる

父も私達をその大きな身体で包み込んで抱擁してくれた

 

今この瞬間だけは王族も何も関係無く___ただ家族の再会を分かち合っていた

 

 

 

 

暫く3人で抱き合っているといつの間にか私の円卓も、見守っていた兵士やメイド達もいなくなっていた。恐らく気を使ってくれたのだろう、それが何よりもありがたかった

 

目を見せてと母上から言われたので、今だ涙の跡を拭わぬまま母上を見つめる

 

 

「本当に・・・大丈夫なの?私が見える・・・?」

 

「はい、ウィラの大好きな、愛してやまない母上の顔がしかと見えます」

 

 

すると再びワっと母が私を抱きしめて泣き出した・・・こんなにも心配させてたなんて・・・私は何という愚か者だ

 

 

「レシー少しすまない、ウィラよ、私は瞳の覚醒までは聞いておらぬ・・・真か?」

 

「・・・はい、何なら今この場で・・・」

 

 

スゥ、っと瞳に魔力が集まり徐々に変質していくのが感じ取れる__同時に・・・

 

__ドクンッ

 

(ッ!?アレが来る・・・!?だがこの場だけはどうか・・・!!)

 

 

絶体これ以上二人に心配させたくない!と思っていると

 

 

「良い、お前が冗談でそのようなことも言うまい。それに・・・私にはよくは分からんが何やら良くない気配を感じる。良い、良いのだウィラ」

 

 

気付かれた!?__と思わず父を見ると

 

 

「忘れたか?私も同じ『黄金』だ。直感力だけならお前にも負けんよ」

 

 

そうだ、父もまた私と同じ『黄金』__私と同じくその見通す力も本物だ

 

 

「・・・いずれ全てお話しします。ですから・・・どうかっ!」

 

「えぇ、何も聞きませんとも。今だけはただ・・・抱き締めさせて?」

 

 

ギュっと今度は力強く母が私の身体を包む、父もそうだ、母の上からウィラの事を包み込んでくれる。だから私もいっぱい、いっぱい感謝の気持ちが伝わるよう__力いっぱい抱きしめ返した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

獣達円卓と兵士、メイドは彼等の邪魔にならぬよう出て行こうとシャドウから言われ、その通りにした

確かにウィラの最側近は黄金の獣だ。だがこのクレーリア城において、彼の黄金の家系に1500年以上仕え続けるこの屋敷僕の言葉を無視するような愚か者は一人もいない

何より・・・知らせを受けて以来__

 

 

「獣殿」

 

「何ですかシャドウ殿」

 

「何?何ですと獣!!キサマっ!?わらわの愛しき陛下の身も守れず、そのような蒙昧をッ!?」ォォォオオ!!

 

「ねぇー、ニールゥー?何か良い分あるー?あっ!喋んないほうがいいよー?・・・殺すから」ボゥっ!

 

「ウォーカー、お前今度こそ斬り殺し尽くしてやろうか?あぁ、安心しろ?陛下もきっといらねぇさ・・・使えねぇ盾なんかあっても意味ないだろ?アァ゛!?」キチ_キチ_

 

「うむ、余も此度の件・・・本気でこれほどまでに不愉快な思いは初めてだ!!」ミチミチッ!

 

 

残された円卓は文字通り殺したいほどに殺気立っていた

彼等は一人残らずウィラに心酔している。死ねと命令されれば喜んで死に、足を舐めろと屈辱的な命令をされても嫌な顔一つせずに躊躇いなく実行するだろう

そんな中、ただ一人世界最古の屋敷僕は落ち着いていた。それを見て胡蝶の怒りが更に加速する

 

 

「シャドウ!!何故お前はそれほどまでに落ち着いていられるのだ!?わらわの君が!わらわの君の美しきお身体がもう少しでキズ物になる所だったのだぞ!?」

 

「・・・落ち着きなされコチョウ殿、何よりも・・・わらわの君(・・・・)?ウィラトリア様を我が君と呼んでいいのはこのシャドウただ一人のハズですが?不敬であらせられますぞ?」

 

「キサマァ・・・屋敷僕風情がぁ!!」

 

 

この場には兵士がいる、戦闘もこなすメイドもいる・・・だがそれは何の意味もなさない

この場にいる8人の『黄金円卓』、彼等の一人一人がウィラが世界を巡り厳選し、過去と未来において最強であると太鼓判を押された一騎当千の強者達だ

実力で言えば最下位のウォーカーですら、ヨーロッパ全土を恐怖に貶めた最悪の吸血鬼。更に言えば第5席次であるアルヴィーですら天龍と称される最強のドラゴンだ、もし彼等がその力を開放すればもはや国の一つや二つ簡単に滅ぼせる

 

 

次第に開放されていく膨大な殺気にあてられながらも、兵士もメイドもかろうじて意識を保っていた

彼等もまた王族に仕える忠義がある、意地がある。たとえ身体が千切れようともこの争いを止めようと必死の覚悟を決めていると__

 

 

カチャ__「んふふ~♪父上~♪母上~♪」

 

「ん?どうしたウィラよ」

 

「何でもないです!ただ呼んだだけでーす」ニヨニヨ

 

「あらあら、すっかり昔みたいに戻っちゃって」ニコニコ

 

「だって、甘えてほしいって言ったのは母上のほう・・・あん?お前等何してんだ?」キョトン

 

 

父と母の腕に抱き着きながら、彼等の主君、クレーリア城の主にしてこのエルドラド王国の最高権力者__ウィラが人には見せられない程の笑顔を浮かべ、広間から出て来た

 

瞬間、先程の雰囲気が嘘のように霧散し、一斉に跪く

 

 

「何かあったのか?おい獣」

 

「いえ、その・・・「何もありませんでしたよ?」・・・シャドウ殿」

 

「我等は我等の頭上に君臨なされるウィラトリア様の素晴らしさを再び讃え、噛みしめていた最中でございました。その最中、此度の獣殿達の不始末・・・御身がいかがなされるかを話している折、つい物議が白熱してしまいましたゆえ」

 

「ふーん・・・そうか。獣達には話したが此度の件、私にも非がある」

 

「ですが陛下!!」

 

「黙れコチョウ。卿は私の決定に異議を唱えるのか?良い、ならば述べよ」

 

「ッ!・・・いいえ、御身の決定に逆らうなどあり得ませんですわ」

 

「よってお咎めは無し!これからも私に仕えろ。なぁに、次こそは騎士の本懐を遂げてくれるのだろう?」

 

 

ウィラの問いかけに三人が前に出て

 

 

「「「至高の黄金たる御身に誓って!!」」」

 

「良い、許す。そ・ん・な・こ・とよりも~♪」

 

「おや、何やら先程と比べ機嫌がよさそうですな」

 

「分かるか!流石シャドウ聞いてくれ!今度父上と母上と買い物をするんだ!3人でだぞ!3人で!」

 

「おぉ!それはそれは!さぞかし御身も嬉しゅうございましょう!」

 

 

シャドウに嬉しそうに語るウィラ。どうやらあの後、家族3人で話し合い、ウィラに我儘をもっと言ってほしいとジブニールとオレンシアが言ったようだ

それを聞いて円卓の者達は確かにと思った。彼等の主ウィラは実は驚くほどに無欲だ、確かに我儘ではある、だが強欲では無い。まだ幼いながらも凄まじい慧眼と直感で王に即位してたった2年で国の収入を1.2倍に引き上げた。株を買えば必ず爆発的に伸び、テレビで特集を組まれればその番組の視聴率は80%以上と国民からの人気も非常に高い

しかし当の本人は最低限の王族としての贅沢しかせず、余ったお金は全て民に還元しようとする。更には個人としての夢は国の繁栄と子供を産むこと。結婚したい(・・・・・)では無く、子供が欲しい(・・・・・・)と彼女は口にする

王としては文句のつけようがない。その証拠にウィラは直接政治に口を出すことは滅多に無いが、与党、野党含めウィラの発言を無視する者など一人もおらず、ウィラの一言で全て決まることさえあるのだ

まさに生まれながらの完成された王。だが、子供らしさを見せることはそうそう無い。年頃の娘のようにオシャレしたいと言うことも無く、「別に化粧など軽くでいい」と言い、服も基本無頓着だ。ご飯についても好き嫌いはほぼ無い(ただしアルヴィーとアランの作った飯だけは絶対に口にしない)

言ってしまえば子供らしくないのだ。そんな主がまるで子供のようにはしゃぎ、嬉しそうに笑っている。この光景を見ればもはや先程の争いなど無価値に等しい、何よりこの円卓内においてケンカはしょっちゅうだ

誰もが目の前の家族の営みに微笑む中__

 

 

「・・・何故なのですか・・・わらわはこれほどまでに・・・御身のことを」

 

 

胡蝶だけは俯き、唇を噛み締めて血を滲ませていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__国に帰って2日後、私は執務室で対応に追われていた

書類と睨めっこしながら隣に立つ獣に今後の予定や誘いの数々を確認してもらい、それぞれに指示を出す

 

 

「ヘルメス、この手紙をルシウスの下へ。恐らくドラコがクリスマスに私の所へ来いと言った話をしているだろう。彼等には悪いが今年のクリスマスは無しだ」

 

__フィー!

 

「獣、各国の王族へもそう伝えろ。今年は私と父の代わりに大統領に向かわせる。彼にもすでに了承は取ってある・・・家族サービスを邪魔して悪いとは思うが」

 

「黄金の君、大統領から御身へ伝言です。「陛下のお心のままに、忠義を果たしてまいります」と」__ペラ

 

 

『黄金の獣』とはただ私の隣に立ち、戦闘を行うだけが能では無い。最側近という事は秘書も兼ねているのだ(初め人間界の常識を教えるのにどれだけ苦労したことか)

 

 

「そうか・・・2か月後くらいに私の予定を空けておいてくれ、お礼に食事に誘おう」

 

「御意。そういえば今年の『身分なんか関係ねぇ!今日は無礼講でパイ投げじゃ!祭』の開催はどうされるのですか?」__ペラ

 

「勿論開催するぞ!アレは私の国王即位の祝いの日も兼ねているからな、やらないワケが無い!!」

 

「では各報道、各行政にもそのように伝えます__そろそろお時間では?」

 

 

そう!今日なのだ!2日前3人で出かけようと約束し、今日久々に家族3人で羽を休める!ただ・・・これはかなり無理な話だった

私がお願いしたのは3人(・・)、つまり護衛も円卓も全て退けてほしいとお願いしたのだ

これは本来なら絶対あり得ない。王族が、国王が護衛も付けず出歩く?普通なら馬鹿な話だ

正直絶対無理だと思ったが・・・父上と母上は滅多の言わない私の我儘がすごく嬉しかったのだろう、本気(・・)を出した

 

 

__あぁ、近衛兵長か?悪いが2日後ウィラ達と出かけてくる。何?護衛?・・・付けたらキサマ等一族もろとも国から追い出すぞ?

 

__行政長?えぇ、ちょっとお願いが。今度三人で買い物に行くの!え?警察や軍を付けます?ウフフ、そう言えば最近ちょっと面白い写真を手に入れたの!貴方によく似た顔の人がS・Mクラブで豚のように這いつくばって女王様プレイを!・・・ね?言いたい事・・・分かるわよね?ね?

 

 

(母上ェ・・・そんな写真なんで持ってるんですか・・・絶対機密院を勝手に動かしたでしょう・・・?アレ、本来そんな使い方じゃなのに・・・)

 

 

まぁいいや!そんなことよりお出かけだ!!

 

 

「分かっていると思うが・・・」チラ

 

「存じております。御身がどれほどこの日を楽しみにしておられたことか、円卓はお任せください。絶対行かせないので」ニコ

 

「シャドウへの命令権も一時的にお前に譲渡する。さて、では後は任せた。着替えはコチョウにお願いしたから書類の整理と各国への対応を大統領達政治家へ伝えろ。念を押してどこかが部隊を動かしていないか確認しろ。最悪機密院を動かせ。私は楽しみを邪魔されるのが我慢ならんのだよ。ヘルメス、ルシウスへの手紙を頼むぞ」

 

 

私に一礼し、飛び立つヘルメスを見届け、胸に手をあてその場でお辞儀をする獣を横目に部屋を出ると、コチョウが待っていた

 

 

「では行くか」

 

「御意・・・」

 

 

 

 

 

普段なら公務用の衣装を着て、市内を闊歩するのだが今日は違う。王も公務も全ていったん忘れ、ウィラという一人の女の子として、家族と一緒に過ごすのだ!

 

 

「いやぁ、歳が近いとはいえミスラがいて助かったな、コチョウ、着させてくれ」

 

 

コチョウが失礼しますと言って私が今着ている服を脱がし、メイドの一人にしてニールの妻ミスラ(15歳)から借りた普通の服を着させてもらう

普段着ている服は高すぎて、一目で私だとバレてしまうと昨日メイド達に言われたのだ!

 

着てみたが・・・

 

 

「・・・何なのだこれは!?ブカブカではないか!!え、アイツ身長私と同じくらいだろ!?・・・はっ!胸か!?おっぱいか!?えぇいニールも所詮おっぱい星人か!?貧乳はステータスだ!希少価値だ!!・・・私だって可能性はあるんだぞ?母上はバインバインだし・・・」

 

 

ミスラから借りたパーカーに『縮小呪文』をかけ、『ちっぱいになる呪い』もついでにかける

 

 

(・・・あれ?さっきからコイツやけに大人しいな、普段なら私を脱がした瞬間ルパンダイブか足に頬擦りしてくるのに)

 

 

チラリと振り向きコチョウの様子を伺うと俯いて何か考え事をしているようだった

 

 

「・・・陛下、どうしてもわらわを連れて行ってもらえませんか?」

 

 

・・・あぁ、それか

着替えを終え、コチョウに昨日も話したことを告げる

 

 

「却下だコチョウ。私は言ったはずだぞ?誰一人として着いてくることはならんと。私の我儘に父と母が全力を出して応えてくれたのだ。卿には悪いが・・・」

 

「・・・なぜ」ボソ

 

 

コチョウが何か呟いたと思った瞬間__コチョウが尻尾を出し、私はその場へと優しく、割れ物を扱うかのように押し倒される。抵抗もできないよう両手も尻尾で拘束され、上にコチョウが乗り掛かる

 

 

「・・・キサマ何のつもりだ。この私が誰か分かっていような?」

 

「っ!・・・陛下が・・・陛下がいけないのです!わらわがどれだけ御身のことをお思いか分かっておられるクセに!!」

 

 

今にも泣きそうな顔でコチョウが私にそう詰め寄る

 

 

「何故わらわを選んでくださらないのです!?何故わらわをホグワーツへ連れて行ってくださらないのです!?何故ッ・・・何故わらわに獣の称号を!御身に侍る資格をお与えくださらないのですか!?」

 

 

以前から何度もコチョウは私にお願いしていた。『黄金の獣』の名を与えてほしいと、私に相応しいのは自分であると__あぁ、だが

 

 

「お前では駄目だ」

 

「ッゥ!?何故!?」

 

「確かに卿の毛並みは美しい。金色に輝くその毛皮。私から見てもお前以上に美しい女は母上しか知らぬ。あぁ、確かに卿こそは『黄金』の傍に常に寄り添う『黄金の獣』の称号が相応しかろうよ」

 

「ではっ!」

 

「でも駄目なんだ・・・アイツじゃないと・・・アイツが私の『黄金の獣』じゃないと嫌なんだ・・・私の初めてをアレにくれてやった・・・この意味が分かるな?」

 

 

そう、足へのキス・・・服従する喜びを初めて与えた臣下はアイツだ。絶対に口にすることは無いが・・・嬉しかった

達成感があった、あの神獣を服従させた達成感が。何より私が初めて王として認められたと感じたのだ

私にとってアイツもまた、私が黄金の君であるという証のような物だ。だからアイツ以外考えられない

 

 

そんなことを考えていると・・・ん?何でまた服を脱がそうとするんだ?

 

 

「おい!時間がないのだぞ!?」

 

「陛下が、陛下がいけないのです!!わらわの事をこんなにも焦らして!あんな犬っコロに与えて何故わらわに・・・!?だったらわらわにも御身の初めて(・・・)を・・・っ!!」

 

 

(・・・ファッ!?ちょっ!待て待て待て!!コイツ確実にアッチの意味で私の初めて奪おうとしてるよな!?そうだよな!?だって目がヤバイもん!!)

 

 

フーっ、フーっ!っと息を荒くしながら私の履いた短パンのベルトに手をかけだす

 

 

(おいぃ!?マジ止めろ!!私は女同士でするつもりなんかない!!てんてーが!てんてーが良いです!!)クワッ!!

 

 

・・・ヤバイ、ふざけてる場合じゃねぇ!!

幸い手は空いたが杖まで届かないし、剣なんか召喚したらそのまま私に突き刺さりそうだ

 

(考えろ!考えろ!!この色ボケ駄女狐を止める何かいい方法を!!)

 

 

「陛下!これも愛なのです!!御身への山よりも高く、海よりも深い愛ゆえに!!さぁ!わらわとやや子作りを!!」

 

 

 

(仕方無い!これだけは嫌だったが・・・とにかくこの場だけでも逃げ切らねば!!)

 

 

スっとコチョウの頬に手を添え__

 

 

「コチョウ・・・私も卿が愛おしい」

 

「っへ、陛下///!?ついにわらわの思いが!!」

 

「あぁ、私は卿の全てを愛している。その毛並み、その(かんばせ)・・・卿こそ私にふさわしい・・・」

 

 

身体を起こし、コチョウの手に指を絡ませる・・・ん?何だかヘンなタワーが立ちそうな気が・・・気、気のせいだよな?えぇい!こうなったらヤケだ!!

 

 

「コチョウ・・・私に卿を愛でさせてくれ」

 

 

そのまま後ろに回り込み、顔に手を這わせもう片方で尻尾を軽く撫でる

 

 

「ひゃん///!?陛下っ!そっそこはぁ///!?」

 

「何故耐えられん、柔肌を撫でただけで何故・・・コチョウ、卿の私への思いはその程度か?」

 

「ちっ違います!わらわは!」

 

「ならば耐えろ、ほうら・・・」

 

 

耳元で囁きながら尻尾の付け根あたりを触れるか触れないかのギリギリで撫でる

 

 

「あっ、やっ、やぁ///!」

 

 

ガクガクとコチョウの身体が震え、その私から見ても魅力的な口元から蠱惑的な銀糸が溢れ出す・・・もう少しだな

 

 

「そういえば・・・初めてが欲しいのだろう?」

 

「そ、そうれすぅ///」ハァ、ハァ

 

「ならばくれてやろう、私の所有物であると・・・卿に身体に刻み込もう」

 

 

カプリ、と首筋に噛み付き

 

__チュー

 

「はぁぁん///なっ!何を!?」

 

「ほはえひははひほひふはーふふぉふふぇふぇひゃっへはふほは」

(訳:お前に私のキスマークをつけてやっているのだ)

 

 

もはやコチョウに私の言葉すら届いていない、目も虚ろになってきた

トドメを差してやろうと思い、最後に尻尾の付け根をカリっ、カリっと引っ掻いてやる

すると艶やかな声を上げてパタリ・・・と倒れ込んだ。ふっ、勝ったな!

 

 

「ふぅ、私に勝とうなど1000年早い!!くははは!!」

 

 

おっと、いい加減出掛けないと。父上と母上が門の前で待ってる

 

コチョウを放って部屋の外に出ると・・・やっぱりいたか

 

 

「陛下―?大丈夫―?」

 

「アルヴィー、お前初めからいただろ?」

 

「うん!あのクソ狐が陛下に無礼働かないか気になってさー!」ビタン!ビタン!

 

「分かったから尻尾を振り回すな。てかいたなら止めろよ」

 

「だってー!私も・・・その・・・///」ボウっ!

 

「照れ隠しに火を噴くな、ったく・・・分かってるだろうが」

 

「大丈夫ですよー?アルちゃんはどっかの万年発情狐と違って陛下のお言葉に従いますからー!」

 

「そうか、なら良い」

 

「・・・ところで陛下―」

 

「分かってるって、好きにしろ。全力でコチョウを止めろ」

 

「やったー!殺していいですかー?」

 

「どうせ殺せんだろ?あぁ、言っとくが城を壊すな。元の姿に戻ってもいいが外でやれ、封印解除も無しだ」

 

「えぇー、そろそろ封印の一つくらい・・・」

 

「たわけ、お前等神獣が暴れていいワケないだろ。憂さ晴らしならまた今度あそこ(・・・)でやらせてやる」

 

「ホントですかー!!なら我慢して取りあえずボッコボコにしてきます!!」

 

「良い、許す。私の代わりに存分に躾けろ。じゃあな」

 

「はーい!いってらっさーい!」

 

 

アルヴィーにコチョウのことを任せ、門へ向かおうとすると・・・

 

 

__おらぁ!!死ねこのクソ狐!!

 

__ガフっ!?し、白トカゲ!?陛下は!?わらわの陛下はいずこへ!?

 

__ハァ!?ざっけんなし!陛下がお前の物!?殺すぞ色ボケクソ狐がぁ!!

 

__お黙りなし!爬虫類風情が!!哺乳類に勝てるとでも思っているのですか!?あーやだやだ!どうせそんな若い姿をしているのも実年齢を隠すためでしょう!?これだから年増は!!

 

__アルちゃんまだ2000歳だし!!お前のほうこそたかだか1000歳だろ!?年上敬えやゴラァ!!何でお前が第3席次なんだよ!?寄こせやぁぁああ!!

 

__ふん、わらわの方が強いからに決まっているでしょう?そんなことも・・・あぁ、爬虫類風情が理解できるワケもありませんでしたわ

 

__(ピキっ)・・・表出ろよ、久々にキレちまったゼ☆

 

__上等ォ!今度こそ燃やし尽くしてやりますわ!!

 

 

 

「・・・何だかすでに城の上の方が煩いんですケド・・・あー!知らない!ウィラ何も聴こえてないもん!」

 

 

まぁ後は獣達が何とかしてくれるだろう(きっと、めいびー)

 

 

気分を変え、門へと向かう。さぁ!今日は家族水入らずで楽しもう!

 




というワケで次回に続きます
基本、円卓はウィラがいなければとっくに世紀末になっています
胡蝶とアルヴィーはしょっちゅう喧嘩してはどちらがウィラの近く(席次)にふさわしいか競い合ってます
いやぁ!仲良きことは良いことだ!!(目ソラシ)



ちなみに忠誠心的には

      
胡蝶(子作りしたい)>>>アルヴィー(愛の壁)>黄金の獣(忠誠心)=シャドウ>>>>>>>残りの円卓

です

別に残りの円卓が低いわけではありません
逆に胡蝶や獣達のほうが異常なだけです(特に胡蝶(汗)


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黄金の家族 ※挿絵有り

遅くなりすみません(汗
最近『転スラ』にはまっちゃって全巻買って読んでました
転生する機会があったらスライムになりたいと思います
(てかマンガのリムル様可愛い過ぎません!?)



今回はほぼ他者視点です
国民や周りの人間から見たウィラをお楽しみしただければ幸いです




__その日の朝、パン屋を営むトムは朝の仕込みに追われていた

彼は元々サラリーマンであったが2年前、一念発起して念願だったパン屋を起こした

結果は大盛況とまでは行かないが、家族を養えるだけの売れ行きを見せており、雑誌で軽く紹介されるまでの人気を見せていた

今日もお客さんに満足してもらえるようにと丹精に生地をこね、焼き上げ店頭に並べて行く

するとチリン、チリンと来店を告げる鐘の音が鳴り響き__言葉を失った

 

 

「父う・・・父様!ここです!以前、オルカが美味しいと言っていたパン屋!」

 

「ほう、ここがそうか。レシー、段差がある。さ、手を取ると良い」

 

「ありがとうジル。んー、良い匂い」

 

 

見間違えるハズが無い!あの黄金色に輝く髪、今は色眼鏡で隠してあるが外せば間違いなく宝石よりも美しい瞳が垣間見えるはずだ。何より老齢の男性に寄り添う美しい女性・・・間違いない!この方々は!!

 

 

「へ・・・いか!?」

 

 

パクパクと言葉を失いながらもかろうじて口に出せた、絶対にそうだ!

彼等こそ自分が住むこのエルドラド王国の国王にして絶対的権力者・・・エル・ドラド家に相違ない!

 

 

「ちっ、違うぞ!?誰のことだ!?あー!知らないナァ!!ね!父上!母上!!」ダラダラ

 

「うむ、彼の王族が護衛も付けずに・・・なぁ?」

 

「そうねぇ、あっ!これ美味しそう!店員さん!これくださいな!」ニコっ

 

 

オレンシアお妃様が笑顔で自分に注文してくる!?何なのだこれは!?夢か!?

 

 

「はっはははははいぃぃぃぃぃ!!!よっヨロコンデ!!」ガクガクブルブル

 

 

指を差されたパンをトングで掴もうとするが・・・駄目だ、手が緊張して震える!!

かろうじて彼の王家は他のパンに目を取られ、こちらには気付いていない

陛下であらせられるウィラトリア様がイギリスにある学校に通われていることはテレビで見た。ゆえに今は滅多に会うことが出来ないご両親と共に羽を伸ばされておられるのだろう

その証拠に以前テレビで見た威厳あるお顔は、父であらせられるジブニール様と母であらせられるオレンシア様の間に挟まれ、まさに華、いや、黄金色の笑みを浮かべられておられる。それを見たジブニール様は薄く笑みを讃え、オレンシア様は少女のような笑顔で笑いかける

 

 

(落ち着け!落ち着くんだ俺!!無礼があってはならない!!陛下がお家族と共に俺の店に来てくれたんだ、陛下の臣民としてしっかりと接客せねば!!)

 

 

子供だからと決して侮ることは出来ない、もし不敬だと思われたらこの店は・・・自分の家族はお終いだ

トムは以前まで勤めていた会社の上司に怒られ、二日はかかる仕事を半日で終わらせた時以上の集中を見せ、彼等がトレー(王族がトレーとトング!?)で持ってきたパンを落とさぬよう、潰さぬようにテキパキと袋に入れて行く。そう、全ては家族の為に!!

 

 

パンを入れた袋を前国王であるジブニールが受け取りお金を払おうとする

 

 

「いえいえいえいえいえ!!?受け取れません!!!」

 

「何を言っておるのだ。汝が汗水流して焼いたパンであろう?それに我等は客だぞ?さぁ、受け取られよ」

 

 

数瞬迷いながらも頭を深く下げ、まるで授かるかのように厳かに両手を上げお金を受け取る

「つりはいらん、なぁに先行投資だ」とジブニールが告げ、片手にはウィラを、片手にはパンの入った袋を下げ、オレンシアの腰に手を回し、トムの店を出て行く

瞬間、彼の身体はカウンターに倒れ込んだ。そう、彼は家族を守り切ったのだ!

 

 

__カチャ「さぁて!今日もジャンジャン焼いて儲けて・・・ってアナタ!?どうしたの!?」

 

「は、ははっ、あぁお前・・・俺は・・・守り抜いた・・・ぞ」__ガクっ

 

「アナタ!?アナタァァアアアア!!?」

 

 

 

 

 

 

 

適当に座って食べる場所を探す為、首都である『ヴァンシエル』を歩き回る

 

 

「しかし・・・何でバレそうになったんだろう。父上、何ででしょうか?」

 

 

私の今の恰好は普通のハズだ。冬という事もあり、ベレー帽を被り上はパーカーにダッフルコート。下は短パンにストッキングと普通の女の子の恰好だ。流石に眼が見えるとバレる可能性が上がるので私は薄い色の入った伊達眼鏡を、父はロングコートにサングラスをかけ、母も父と結婚する前はよく履いていたというジーパンに薄いコートを着ている・・・うん、どっからどう見ても普通の家族のハズなのだが←(オーラと髪の毛、オレンシアが一切顔を隠していない)

 

 

「私にも分からぬ・・・完璧な変装のハズだが」←(オーラの元凶その1)

 

「まぁいいじゃない!あっ、あそこに座って食べましょ!」←(一番の元凶)

 

 

 

 

 

 

__その日、記者であるリサは悩んでいた。最近良いネタが無く上司から「今すぐ探して来い!!」と無茶ブリをさせられたのだ

 

 

(あんのハゲ~!!そう簡単にないからネタなんでしょうが!?そんなのも分からないの!?その少ない髪の毛ブチ抜くぞオォン!?)

 

 

だが上司の命令に逆らえるはずも無く、仕方なしに首都を歩いて記事になりそうなネタを探していると

 

 

(・・・嘘・・・え、アレってウィラトリア様!?嘘ぉ!!?横の超ナイスミドルってジブニール様でしょ!?じゃああのキレイな人・・・オレンシア様じゃん!!何で王族がこんな平日の朝から公園でパン食べてるの!?)

 

 

現国王であるウィラと前国王のジブニールは目を隠しているため、まだかろうじて似た人の可能性もある。だが・・・オレンシアはその美貌をあられも無く晒し、隠す気すら無い。この国でもっとも美しいと表される人物を見間違うなど記者としてあり得ない

 

 

(ヤッベェェエエ!!特ダネがネギどころか金塊持って歩いてキター!!)

 

 

これは大チャンスだ、とリサは思う

彼の王族の記事は内容に関係無く、発行すれば即売り切れ続出。ゆえにどの雑誌もつねにアポを取ろうと躍起になるのだがどれも即断られる。まぁ当然だろう、王族がそう簡単に取材に応じるワケが無い

ゆえに今この瞬間自分は何と幸運なんだろうとリサは思う。王族の・・・特にウィラの写真などは本人が今イギリスの学校に通い、滅多に国内にいないというのもあり破格の価値が付いている

国民からの人気も歴代でもトップクラスで、彼女がテレビで微笑めばそれだけで死にかけのジジイがその場で腹筋を始め、海が割れたとか←(全て本当。ちなみに海はハッチャけたアルヴィーが同じく発情したコチョウと共に割った。その時イギリス海軍が演習中で駆逐艦が数隻巻き込まれたとかなんとか)

 

 

少しでも彼等の生活を知れれば!とコソコソと後ろから回り込み、耳を傾ける

 

 

「__ん、美味しいですね」

 

「うむ、中々だな・・・たまにはこういう庶民の味も良い物だ」

 

「はい、ジル、あーん♪」

 

「あーん(パク)・・・お前の味がするよレシー」

 

「もうやだジルったら!ウィラもいるのに!」

 

「母上!私も!私にも!」

 

「えぇ勿論よ。ウィラ、はい、あーん♪」

 

「あーん♪(パク)」

 

 

(えぇぇぇ!!?何アレ!?確かにジブニール様とオレンシア様がラブラブなのは有名だけどさぁ!!え、マジこれ見ていいの!?おっと、メモの準備を)ササッ

 

 

「レシー、其方にも」

 

「あーん♪ん~美味しい~♪何てお店だったかしら?またいつか行きましょう!」

 

「確か・・・『トム・クノレーズ』でしたね」

 

 

その言葉を聞きリサがメモを取る。王族が通った店など特ダネ以外の何物でもない

後日、この話が記事になった時、とあるパン屋が悲鳴を上げるのだが・・・まぁこの場では関係無い

 

 

メモを取り終え、覚悟を決めて話しかけようとする。流石に勝手に写真を撮るなどという不敬を働くワケにも行かない、ゆえに一言声をかけ写真の一枚と軽いインタビューをしようと近づく

 

 

「あ、あの~もしk「動くな」・・・っ!?」

 

 

後ろから無機質な男の声と共に背中に何か・・・筒状の物が押し当てられているのが分かる

 

 

「動くな、喋るな。分かったら黙って頷け」

 

__コ・・・クリ__

 

 

「良し、こっちへ来い」

 

 

どんどんウィラ達から離され、公園の死角へと連れて行かれる。すると彼女を追うように公園にいた人間が数人着いて行く

 

 

「・・・あれ?」

 

「どうかしたのウィラ?」

 

「いえ・・・何か人が減って来たなーって」キョロキョロ

 

「ふむ、まぁ平日だからな」

 

「そうですね・・・考えすぎか・・・?」ボソ

 

「ねぇウィラ!次どこ行きたい?私、貴女に服買ってあげたいのだけれど」

 

 

食べ終わり、談笑しながら公園を離れ、次の目的地へと向かう____それを公園にいた全員(・・)が見届け

 

 

「ポイントB、陛下が移動された。送れ」

 

『ポイントB了解、こちらはこのまま護衛を続ける。そちらは何か異常あったか?送れ』

 

「こちらポイントD、怪しい女が王家に近づいたので拘束した。これから尋問を行う。送れ」

 

『ポイントB了解』

 

『こちらポイントA、ポイントCと合流した。そちらは即尋問を行い、陛下方に仇名す存在であれば抹殺しろ。送れ』

 

「ポイントD了解、以降は任せる。終了(ピッ)___さて、キサマ・・・何の目的で高貴な方々に近づいた。嘘を言えば・・・分かるな?」

 

 

 

 

 

 

 

__「ふぅ、何だ、ただの記者か。行くぞ」クイ

 

 

幼さの残る顔の青年と見られる男性がリサに『忘却術』をかけ終わると同時に周りにいた部下達が『姿眩まし』でその場を離脱する。そんな中、命令を出していた青年が一人残る

 

 

「・・・あれ、ここは・・・」

 

「あぁ良かった、起きられましたか?」ニコ

 

「(うわ可愛い男の人!)ひゃい///!あ、あの・・・私」

 

「気を失っていたみたいですね、ちょうど救急車を呼ぼうとしていたのですが」

 

 

そう言う青年の手には確かに携帯が握られ、こちらをホっとした顔で見て来る

 

しばらく異常が無いか青年が確認し、リサが公園から出て行く。それを青年は先程とは打って変わり、無表情でリサの背中を見送る

 

 

「ハウンドからチャーリーへ、尋問対象はただの記者だった。『忘却術』をかけたのでこれ以上の尋問は不可となった。送れ」

 

『チャーリーからハウンドへ、キサマ・・・またか』

 

「はん、悪いなクソジジィ。だがこれが俺なりの陛下への恩返しだ」

 

 

青年はエルドラド王国における最強の特殊部隊『機密院』の隊員の一人だ

その任務は様々だが、主な任務は王家に逆らう者の抹殺・・・それは勿論、このエルドラド王国に住む国民も対象に入る

ウィラは一度もそのような命令を出したことは無いが、彼等にとって最も大切なのは国では無く王族・・・その高貴な血を守り抜くことだ、万が一があってはならない。だが・・・

 

 

『いい加減にしろレオ、俺としてはお前のやり方には賛成だ。だが覚えておけ、時には彼女の命に逆らってでもお守りするのが俺達の仕事だ』

 

 

青年__レオは優秀だ、それは今連絡を受けている部隊長も認める。しかし彼はしょっちゅう命令違反を犯すのだ。もちろん非常時には躊躇いなく人の命を奪うこともあるが__

 

 

「分かってるよ義親父(・・・)、一服したら俺もそっちに合流する」

 

 

携帯越しに怒鳴って来る自分のような孤児を引き取った物好きなクソ親父を無視して通話を切る。着ているジャケットの胸ポケットに手を入れ煙草を取り出し、味わうかのように紫煙を吐き出す

悪いとは思っている。だがあのお方が愛する国民にだけは手を出したくない、というのがレオの気持ちだ

 

 

(これは我儘だ・・・だが手を出してしまえば俺は陛下に・・・妹に顔向けできない)

 

 

レオは元々エルドラドの国民では無い、血の繋がった両親の顔なんか覚えてすらいない。レオの両親は彼と妹が幼い頃に別れ、彼等は母方に引き取られた。だが母はすぐに若い男と付き合い出し自分達が邪魔だったのだろう・・・人身売買組織に売られそうになった

身の危険を感じ、幼い妹の手を引き港に逃げ込み、適当なコンテナに身を隠し、気付いたらこのエルドラド王国に着いていた

 

身寄りのない子供に世間は冷たかった、だがしょうがないとレオは思う。子を守るはずの母ですら邪魔だと捨てる時代なのだ、だからアレはしょうがなかった

 

必死に唯一の肉親にして自分が無理やり連れて来てしまった妹を守るため、盗みを働いてはボロボロにされた。雨風をしのぐ為、路地裏で生活を続け・・・そしてとうとうお互い動けなくなった

 

(・・・冬は嫌いだ・・・あの地獄を思い出す)

 

 

だが同時に好きでもある。何故ならあのお方に自分が、妹が拾われたからだ

もはや言葉すら出せず(妹はあの時の影響か、今だにうまく喋れない)自分達の名前すら忘れてしまったあの時、奇跡が起きた・・・今でも忘れない

 

 

 

 

__おい!大丈夫か!?シャドウ!!今すぐ彼等を城へ!!

 

__お下がりください姫!!そのような薄汚い孤児に触れるなど!

 

__ふざけるな!!見ろ!!彼等はいずれ我が国を背負って立つ者達だ!!我が民草だ!!民も守れずして何が姫か!!何が『黄金』か!!

 

 

そうして自分と妹は当時、姫であらせられたあのお方に拾われた。後から知って妹と笑ったのだが、あの時陛下が路地裏にいたのは冒険の途中だったらしい

 

 

治療される中、彼女がこの国の姫であると知って恐ろしくなった。彼女は自分達がエルドラドの民だと勘違いしているが、本来は密入国者だ。もう帰る場所なんかどこにも無い。そう思っていると

 

 

__悪いが調べさせてもらった・・・苦労したな・・・済まないが卿等が我が民草で無ければ助ける意味も義理も無い。ゆえに___私に仕えろ。卿等に安寧と栄誉を与えよう

 

 

それから名前を思い出せなかった自分達に名を与えてくれた

「目がまるで肉食科の動物のようだ」と揶揄され、自分はレオ、妹はオルカと名を授けていただいた

 

フゥっと最後の紫煙を吐き出し、自分達を引き取ってくれた義父の下へと向かう。きっと思い切り殴られて説教なんだろうなと思うと・・・何だかおかしかった

 

あれから陛下にお会いしたことは無い。自分には幸い力があった、魔法の才能だ。だから拾っていただいた恩を少しでも返す為、義父に少しでも楽をさせようと『機密院』に入った。自分のような汚れ役が至高の黄金たる彼女に会うなどあってはいけない、何より恐れ多いのだ

(オルカ)は陛下付きのメイドになった。初めは他の侍女に虐められないかと心配したが、彼女達も自分達と同じ境遇だったらしい

 

 

腰に銃を戻し、『姿眩まし』で義父の下へ向かおうとすると仕事用では無く、プライベート用の携帯が鳴った。相手など一人しかいない為、急いで出る

 

『__にぃに?』

 

「あぁ、どうかしたのかオルカ?」

 

『陛下・・・楽し・・・そ?』

 

「あぁ、今は離れているがすごく楽しそうに笑っておられたよ」

 

『・・・今日・・・はや・・・帰れ・・・る?』

 

「努力はするよ、ただ書類が溜まってて・・・」

 

『にぃに・・・が悪い・・・押し付け・・・たら?』

 

「義親父にか?流石に悪い」

 

 

しばらく話して電話を切る、今は仕事中だ。ただ分かりにくいが妹が何となく不機嫌だったのは分かる。義父のコードネームであるチャーリーの座標を確認していると思い出す

 

(そうか・・・今日だ・・・俺達が拾われた・・・誕生日)

 

義父に仕事を押し付けることが確定した。まぁ彼もオルカには甘いから断りはしないだろう

早速合流したらその事を話そうと思いながら義父の下へ向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

___時間がこのまま止まればいいと思った

私は父と母が大好きだ、愛している。それは何も私を生んでくれたからではない、私のことを愛してくれているからだ

かつて私は打ち明けた__前世の記憶があると・・・それでも二人は愛してくれた

今もそうだ、歩きながら父と母の腕に抱き着く。すると父はその大きな手で私の頭を撫でてくれて、母もまた私を抱きしめ返してくれる

 

(あぁ何だ、やっぱりアレ(・・)の言う事なんて嘘じゃないか)

 

 

この刹那が永遠に続けばいいと思った、でも・・・時間だ

少女は王へ戻らなければならない・・・シンデレラの時間は終わったのだ

 

 

「父上、最後に我儘をもう一ついいですか?」

 

「最後と言わず、いくらでも言いなさい。何かねウィラ」

 

「では___」

 

 

 

 

 

私の恩人に・・・バジリスクを退けた勇者に至上の誉れを__あの勲章(・・・・)を授けたいのですが___

 

 

 

 

 

 

 




ちょっと中途半端な感じと無理やり感がいなめませんが
今回はこれで終了したいと思います
(1万字超えそうだったんです(汗)


途中の小ネタ気づく人いたでしょうか?
次回は明日か三日以内に投稿したいと思います




【挿絵表示】


お忍び姿のウィラ
ちょっとポップな感じにしてみました


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黄金と屋敷僕

もう二度と調子こいて「三日後くらいに投稿します」と言いません
(最近マジ話が思いつかねぇ・・・(汗)


あとがきの方に前回記載する予定だった
黄金円卓の強さランキング&色々なランキングを載せています
よかったらどうぞ



父から了承を得たので後は彼を探すだけ・・・なのだが

 

 

「・・・何があった?」

 

 

城に戻るとそこにはコチョウとアルヴィーが無様に倒れていた

 

 

「おかえりなさいませ黄金の君、ご無事でなによりです」ニコニコ

 

 

獣が凄く良い笑顔で出迎えてくれた

どうやらあの後も私について行きたいと二人して駄々を捏ねたようで円卓総出でフルボッコにしたらしい・・・のだが

 

 

「・・・アレは?」スっ

 

 

私が指を差した場所にはコチョウとアルヴィーではなく、ウォーカーとニールが倒れ伏していた

 

 

「ウォーカーがコチョウ殿に対し日頃の恨みだと調子こいたのです。ニール殿はそれの巻き添えですね」

 

「ふーん、コチョウに挑むなど命知らずな」

 

「実際命のストックが2桁になるまで削られたそうで最後の方は本気で謝っていましたよ。ニール殿も奥様に嫌われるから顔だけは止めてくれと」

 

「でも止めなかったんだろ?」

 

「えぇ、誰一人として。実際、最近は実戦が足りておりませんでしたし、私自身止めるなんて勿体無い・・・と」

 

 

確かにそうなんだよなぁ、基本殺し合いしないとストレス溜まり出す連中ばかりだし

良い機会だったかもな

 

 

「お召し物の方を、黄金の君」

 

「いや、シャドウに任せる。ちょうど用事もあったことだし__シャドウ」

 

「ここに」__スゥ

 

 

この場を後は獣に任せ、シャドウを引き連れ私が所有する部屋の一つに入る

上着を投げ捨てるように放るとシャドウが何も言わず受け取る

 

そのまま着替えを任せながらシャドウに話を切り出す

 

 

「シャドウ、一つ卿に問いたい。家を離れた屋敷僕を探すことは可能か?」

 

「難しいですな、自由な屋敷僕は大変珍しいですが、その分好き勝手に放浪を始めます。御身もご存じのとおり屋敷僕の『姿眩まし』『姿現し』は制限がほぼなされておりません。恐らくは世界中を旅していることかと」

 

「そうか・・・卿でも無理なのか」

 

「ご冗談を、ウィラトリア様。難しいのは所詮魔法使いが探す場合。御身の僕たる私にどうか御命令を、我が君」

 

「フっ、流石はシャドウだ」

 

 

下着姿になり、ベッドに腰かけストッキングを脱がしてもらう

 

 

「父上には了承を得た、あとはここに連れて来るだけ。いや、一応貴族連中にも話は通しておくか、記者や他国は・・・事後報告でいいか。どうせ騒ぐしか能の無い連中だ、私の決定に異議を申して来れば相手するのが面倒だし」

 

「何をなさるおつもりで?」

 

「なぁに、少し恩返しをな。命令だシャドウ、2週間後__」

 

 

__ドビーという屋敷僕をここへ連れて来い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__何故自分はこのような場所にいるのだろうとドビーは思う

(おかしいです!おかしいです!!何故ドビーはこのような場所に・・・!)

 

歴史と赴きを感じさせる白亜に彩られた宮殿、深紅に彩られた明らかに高そうな絨毯を何故、自分のような屋敷僕風情が歩いているのだろうか

だが時間は待ってくれず、ドビーを置いて進んでいく

 

クレーリア城『謁見の間』

本来そこには薄汚いボロを纏った屋敷僕などいていいハズなどなく、左右に別れ見守っている貴族達はヒソヒソとドビーを値踏みしている

 

 

キョロキョロと辺りを見回し、前を見据えれば

 

(ヒィっ!!あの吸血鬼がいるのです!怖いのです!!)

 

 

あの時、競技場でハリー・ポッターにケガをさせ、ホグワーツなど嫌な場所だと思わせようとブラッジャーを操っていた

すると背後に突然、あの吸血鬼が現れ

 

__「ご安心を、陛下からはキサマ風情の薄汚いカスを殺すなと御命令いただきました。抵抗してもよろしいですが・・・手足を奪うなとは命令されていないので」

 

 

今思い出しても心臓を握られたような気分になる。だが今はそれどころではない、ドビーより数段高い所、そこには吸血鬼だけでなく・・・いや、吸血鬼が子供に見える程の化け物が集まっていた

サァ__と血の気が引いたような気がする、やはり自分は何かしでかしたのだろうかとドビーは思う

 

 

あの時は何の考えも無く、咄嗟に身体が動いただけなのだ

ハリーの機転でルシウスの下から解放された後、ドビーは世界を見て回っていた

今まで見たことも感じたこともない価値観、働いて給料をもらうなど考えもしなかった!

 

ドビーがエジプトを旅行中__彼が、シャドウが突然現れ一言「我が君、ウィラトリア様がお待ちです」と言い放った

ドビーのようにボロを纏わず、屋敷僕では決してありえない一目で最上級の品質と分かる執事服を纏い、その腰は曲がってはいるが、まるで大地に根を深く張る大樹が如き印象を受ける。何よりもその腰に差された金色に輝く1本の剣__もはや間違えようがなかった

 

ドビー達屋敷僕の頂点、最古の屋敷僕にして全ての屋敷僕の王

そう、シャドウは屋敷僕から王と崇められるほどの存在なのだ。1500年以上一つの家に仕え続ける姿勢、その佇まいは誰にも真似できないほどに洗練されている

 

そしてシャドウの存在こそがドビーがウィラに一目も会わず、協力を申し出なかった理由でもあり、ウィラ達エル・ドラド家の者を『黄金卿』と呼ぶ理由である。王たるシャドウに迷惑をかけたくない、何より自分のような屋敷僕風情がお願いなど迷惑ではないか?__と

 

 

チラリと隣を見れば、自分達の王がいる。茫然としていたドビーに何の説明もなく、彼はドビーを連れて来たのだ

 

よく見ると化け物達もまた王様と同じような剣を腰に差している

 

(もしや騎士様なのでしょうか?では・・・っ!)

 

ここでようやくドビーは彼女に気づく

傲慢不遜に玉座に足を組んで座り、頬杖をつく様はまさに君臨者

彼女こそが今代の黄金卿__ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリアその人である

 

自分に向かって歩いてくるドビーを見て、ウィラは薄っすらと誰もが見惚れる口元に弧を描き__

 

 

「では・・・これより『黄金勲章』授与を行う!!」

 

 

 

 

 

__2週間と言っておいて正解だったな、まさか本当にそれだけかかるとは!

家を持たない屋敷僕を探すことがここまで大変だとは思いもしなかった

 

 

シャドウがドビーを連れ、私が見下ろす玉座へと歩いてくる

 

(・・・ん?何故着替えも何もしてないんだ?私は別に構わんが・・・せっかくめでたい場だと呼んだ貴族連中や円卓が信じられん顔でドビーを見ているじゃないか。まさかシャドウは何の説明もしてない!?・・・いやまさか~)

 

 

そう考えていると目の前までドビーがようやく歩いて来て

 

 

「あ、あの・・・黄金卿、ドビーは何故呼ばれたのでしょうか・・・?」

 

 

(説明してない!?嘘だろオイ!?)

周りに見えないよう、そっとシャドウに暗号を送る

 

 

__おいシャドウ!!お前説明も無しに連れて来たのか!?

 

__無論でございます、ウィラトリアのお考えをいちいち説明せねば理解できぬ屋敷僕など存在するハズがございませんゆえ

 

 

(こんな所でおかしなレベルの忠誠心見せなくていいんだよ!!見ろよお前!そりゃいきなりこんな所連れてこられたらビクビクするわ!!)

 

 

シャドウがまさかの天然を発揮し、思わず頭に手をあて溜息をついてしまう

すると私の機嫌が悪いと勘違いしたのだろう、貴族連中が__

 

 

「無礼な!!陛下の許しも無く話しかけるなど!!」 「この痴れ者が!!」 「黄金卿などと何たる無礼か!!」 「何だその恰好は!?」

 

 

怒声が飛び交い、ドビーが小さな身体が更に小さく縮こまる

 

(流石に止めないと、私は感謝を伝える為に呼んだのだから)

そう思い、一言だけ__

 

 

「良い、許す」

 

 

 

 

 

 

 

 

__まるで世界を敵に回したかのような錯覚にドビーは襲われた

 

(ヒィっ!やっ、やはりドビーは何か悪いことを・・・ドビーは悪い子!ドビーは悪い子!!)

 

 

身体を縮こめ、ビクビクしていると

 

 

__「良い、許す」

 

 

それはまるで天上の調べが如き、美しい声だった。辺りも一斉に黙り込み、怖くて蹲っていたドビーが顔を上げると壇上から美しい少女がこちらへと歩いてくるではないか

 

__その姿は可憐の一言に尽きる、抱き締めれば折れてしまいそうなほどに嫋やか。しかしその身は人体の黄金比と言わんばかりに調律が取られ、その尊顔は幼い少女でありながら将来を見据えずとも美しいの一言しか出ない。何よりも注目すべきはその黄金色に輝く髪の毛と瞳。中央を堂々と歩き、通り過ぎるたび展開していた儀仗兵が跪く。が、その少女は気にも留めない、何故ならそれは当たり前のことだから

大勢の大人たちが彼女__ウィラへと注目を集める中__

 

 

「すまない・・・全ては私の落ち度だ、許してほしい」

 

 

何とドビーの目の前で膝をつき、同じ目線で謝って来るではないか!

貴族もこの行動に目を白黒させるしかない、するとウィラが辺りを見回し

 

 

「何の問題がある?私はキサマ等に前持って伝えたハズだ、「恩人に授与を行う」と。屋敷僕の正装は本来コレだ、シャドウが例外なのだ。そしてシャドウ」

 

「はっ!」

 

「キサマ務めを放棄する気か?私の意志を伝えぬなど・・・無能かキサマ?」

 

「っ申し訳ありません我が君!!どうか!どうかお許しを!!」

 

 

大勢の目の前で、自分を王と崇めてくる屋敷僕の前でシャドウは冷や汗を掻きながら平伏する

 

 

「罰は後で言い渡す。さ、立たれよドビー。私は卿に礼を言いたくて呼んだのだ」

 

 

ドビーの手を取り、周りを見渡して

 

 

「彼は私の恩人だ!馬鹿にする者は我が侮蔑を買うと知るがいい!!」

 

 

覇気を携えウィラが一喝する。もはや誰も文句も小言も言えるハズがなかった

それを満足気に眺め、再び踵を返し玉座に座り込み

 

 

「再開しよう、卿等も祝えよ。めでたき日なのだ」

 

 

 

授与式は粛々と再開した

儀仗兵が今回のドビーの功績を読み上げる、曰く「陛下をお守りした騎士の誉れ」「屋敷僕として勇敢なる振舞い」等々__そして最後に

 

「よって二名の黄金!ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア国王陛下、ジブニール・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア前国王陛下の連名により!ここに黄金勲章を汝に授与する!!」

 

 

 

 

『黄金勲章』__それは魔法界に生きる知恵ある生き物ならば誰でも知る史上最高の栄誉

歴史上ただの一人も授与された者はおらず、この名の前では『マーリン勲章』ですら霞む

それをドビーのようなたかだか屋敷僕が?これは何の冗談だというのが正直なドビーの感想だった

こんな恐れ多い過ぎる物を受け取れない!そうドビーが思っていると

 

 

「どうか受け取ってほしい、私にはそれくらいしか卿に与えられんのだ」

 

「で、ですが黄金卿!ドビーにはあまりに不釣り合いすぎです!」

 

 

再び許しも無くウィラへと話しかけるドビーを見て、待機している黄金円卓、貴族の何名かがピクリを反応したがそれ以上は何も言わなかった。先程彼等の主君たるウィラがその無礼を許したのだ、ならばここでドビーに何か言うということは即ちウィラに逆らうことを意味する

 

 

「そもそも・・・ドビーは別に黄金卿を助けようとしたわけではないのです・・・気づいたら、身体が勝手に・・・失礼ながら守らねば・・・と」

 

「だからこそだ、卿のその素直な気持ち、素直な行動、それこそが黄金勲章に相応しいと私は思うよ」

 

「ですが・・・」

 

「受け取ることに意味があるのだよ、必ず卿等屋敷僕の為になる」

 

「__?それはどういう」

 

「いずれ分かる。なぁに、何なら受け取った後、ドブに捨ててもいい。卿の頼みを一つ聞こう、何でも言ってくれ」

 

 

瞬間、ザワリ__と騒然となる

至上の誉れたる『黄金勲章』をドブに!?更にはあの陛下が頼みを何でも言ってくれ!?

屋敷僕にはあまりにも余る光栄!

 

 

「所詮は勲章だ。だが授け、受け取る。その行動こそに意味がある。だからどうか受け取ってほしい」

 

 

優しく笑みを浮かべ諭すように語り掛ける

その麗しき笑みに覚悟を決めたのかドビーもしっかりとウィラの目を見て

 

 

「つっ、謹んでお受けいたします!」

 

 

その言葉と共に儀仗兵が布に包まれていた『黄金勲章』をドビーのボロに付ける

パチパチとまばらな拍手が贈られる__と

 

「うん?何だ卿等、そのやる気のない拍手は。この私の決定が不満なのか?」

 

 

その言葉に今度は盛大な拍手が鳴り響く

しばらくし、拍手が鳴り止み

 

 

「では次だ。願いは決めたか?」

 

「はい!」

 

「では述べよ」

 

「黄金卿、ドビーは知りませんでした!世界は広く、美しい。ですからドビーはもっと世界を見て回りたいのです!」

 

 

 

【世界は広く、美しい】__思わずウィラは目を見開いてしまった

その言葉は自分に初めて仕えてくれた者に贈った言葉、そして誓いであったからだ

だからだろうか、その言葉を贈られた本人である黄金の獣ですら、この矮小な屋敷僕に親近感を覚えてしまった

 

 

「・・・それが卿の望みか?他には何もないのか?」

 

「はい!今のドビーは幸せです!ですからもっと世界を知り、他の屋敷僕に教えてあげたいのです!自由とは素晴らしい!と」

 

 

そこまで聞き、ウィラは__

 

 

「くは、くはははは!!何たる無欲!何たる無垢!くはは!」

 

 

大爆笑であった。実際、多額の金塊からエル・ドラド家に伝わる宝まで用意していたのに!求めしものは自由なる身!そしてこのドビーはそれをすでに手に入れている!もはや痛快すぎて笑うほかない

 

 

「はぁ、はぁ、いやぁ、久々にここまで笑わせてもらったぞ?くはは!」

 

「あっ、あの・・・黄金卿?ドビーはもしかしてまた何か不敬を・・・」

 

「いやいや、笑って悪かったな。【世界は広く、美しい】。うん、まったくもってその通りだ!」

 

 

チラリと黄金の獣を見てみれば、彼もまた笑顔を浮かべている

 

 

「よろしい、ならば我が名においてドビーよ、卿の自由を保障しよう。好きな場所へ行き、好きに生きよ。これより卿を縛るは卿のみ」

 

「あ、ありがとうございます!黄金卿!」

 

 

ここに世界でもっとも自由な屋敷僕が生まれた。彼を縛るは彼の矜持のみ

 

 

「ついでに卿に言っておこう、海を見に行くといい。幅広く、無限が如きに流れ出す様は生命の脈動を感じさせてくれる。卿に必ず良い影響を与えるだろう」

 

 

これにて授与式は終わり、ドビーは最後にウィラとシャドウにお辞儀をして言われた通り、自由にその場で『姿眩まし』をし、退場した

きっとこれからウィラに言われた通り海を見に行くことだろう__

 

 

 

 

 

 

 

 

__授与式が終わった後も私は気分が良かった!きっと今頃我が国の魔法院や外務省では『黄金勲章』が授けられたことについて、てんやわんやになっているだろうが私には関係が無い

【世界は広く、美しい】__もちろん醜い所もある、私のような立場だとそれが特に顕著に見られることもあるが・・・それでも私はそう思う

 

場所を『円卓の間』に移し、シャドウに一言申す

 

 

「この愚か者が、何が私の意志を理解できぬ屋敷僕はいないだ」

 

「お許しください我が君!」ガバっ!

 

 

シャドウが私の前で頭を必死に床にこすりつけている。他の円卓もそれを他人事のようには見ていないようだ。まぁだろうな、最近正直失敗が多くないか?(私?ホラ、王様だから我儘許されるし。コチョウ?あれは平常運転だ)

 

 

「次、もしやったら私に仕えることは許さん。私が子を産むまで待て」

 

「っ!!・・・ぎょ、御意」

 

 

今にも死にそうな顔で了と告げてくるシャドウ

でも私の子供には仕えて良しと言う辺り、やっぱり私も甘いんだよなぁ

 

 

「お前等もな、私に不快な思いをさせるな」

 

『はっ!!』

 

 

全員が声を揃えて、一斉に跪いてくる

仕草で良しと合図を送ればいつも通りに戻り、シャドウが紅茶をそれぞれに淹れていく

 

 

「にしても聞いたか我が獣よ」

 

「えぇ、御身からいただいたお言葉を、まさかあの場で再び聞こうとは夢にも思いませんでした」

 

「__?陛下―、犬っコロー、何の話―?」

 

 

私と獣の話に興味を持ったのか、アルヴィーの言葉に全員が私の方を見て来る

 

 

「そうだな・・・卿等、この世界をどう思う?良い、好きに述べよ」

 

「アルちゃんは退屈かなー、あ!陛下に仕えることは大好きですよー!なんたってアルちゃんは陛下の物ですからねー!」

 

「余も退屈であるな!再び黄金の君と王の格を競い合いたいものだが・・・」

 

「アラン、卿は私に敗北したではないか。これ以上は卿の格が落ちるというもの」

 

「ガハハ!!確かに!!失礼した黄金の君、謝辞を受け取ってほしい」

 

「良い、許す」

 

「陛下、恐れながら思慮深き御身のお考えを浅はかなわらわに教えてほしゅうございます」

 

 

私と獣だけが分かってる状況が面白くないのか、口元を隠しながらコチョウが先を早く話せと促してくる。ホントに寂しがり屋な九尾だ

 

 

「【世界は広く、美しい】。私が獣に贈った言葉だ」

 

 

その言葉に円卓が軽くザワリとなる。どうやら私が贈ったという箇所が気に喰わないらしい

 

 

「しかと覚えております、黄金の君。ですが一つ、御身に訂正をお願いしたいと思います」

 

「訂正・・・?」

 

「確かに世界は広い、そして美しい。ですが黄金の君、私は・・・いえ、我々はそれ以上に素晴らしいものを存じております」

 

 

獣の言葉に思わず興味を持ち、軽く身を乗り出してしまう

するとコイツ、とんでもないこと言い出しやがった

 

 

「それは黄金の君、貴女様のことです。至高の存在として我等を照らす様はまさに太陽。その魂は決して燻ることをしらず、瞬きする度御身は美しくなられます。我等をあまねく導く貴女様の前では世界すら霞んで見えます」

 

 

うんうん、と他の連中も頷いているが・・・

 

 

「なっ、何を言い出すんだ///!?ベタ褒めしすぎじゃないか!?」

 

「おぉ!陛下が頬を赤らm「煩いぞウォーカー!!」・・・最近ホントに私の扱い酷すぎません?」ホロリ_

 

「何を今更」 「コイツ何言ってんだ?」 「まぁウォーカーですし」 「まぁウォーカーだしなぁ」

 

「ホントに酷いですよ!?コチョウ殿からもこの前「お前はサンドバッグがお似合いだ」っt「あらウォーカー、わらわに逆らう気?」・・・すみません」

 

 

 

しばらく恒例のウォーカー弄りをして、この日は解散となった

これから魔法界、特にイギリスは騒がしいだろうな。なんせ屋敷僕風情(・・・・・)が誰も受け取ったことのない『黄金勲章』を授かったんだ、これで屋敷僕の地位も少しは向上することだろう

以前から思ってはいた、別に給料を払えと言っているワケではない(私も払ったことなんかないし)

もう少し彼等を大切にしてほしいのだ。恐怖で抑えるのではなく、良き隣人として接してほしい。そうすれば彼等もまた応えてくれる(まぁ、私の意図に気づく者が何人いることやら)

 

 

(【世界は広く、美しい】・・・か)

私は今でもそう思う。しかし・・・

 

 

【   せ!!    そ      私の  】

 

__ズキン(チッ!煩い!!お前は引っ込んでいろ!!)

 

 

魔力で無理やり『黄金の瞳』を抑え込む

あれ以来大したことはないが、それでも声は相も変わらず聴こえる

 

 

(世界が敵に回るなら、私は迎え撃つだけだ。あぁ、どれだけ嫌おうと構わんよ。私はお前を跪かせ、足を舐めさせてやろう、屈服させてやろう。何故ならそれでも私は__)

 

 

 

 

 

__世界(全て)を愛しているのだから

 




おそらくこれ以上深く掘り下げないと思うので軽いネタバレですが
この世界にはいわゆる『抑止力』のようなものが存在します
(二匹目のバジリスクがまさにそうです)
そしてウィラはそれに対し、真向から迎え撃つ気マンマンです

それと追記として
エルドラド王国における貴族とは政治家のことを差します
「一世代限りとはいえ貴族位を与えるんだから、国と民の安寧に従事しろ」
という感じです
あと授与式でジブニールとオレンシアの姿がありませんでしたが
基本二人は(おおやけ)の場に出ません
というのもすでに引退した前国王と現国王が同じ場にいると、どちらが偉いか分かりにくく、ウィラを舐める者が現れる可能性があるためです
(ただし、ウィラの王としての振舞いを命令してビデオに撮影させては、二人でキャーキャー言いながら見てます)



それと前回入れようとは思っていたのですが忘れていたので
ウィラ率いる『黄金円卓』のさまざまなランキングをこの場を借りてやりたいと思います
詳しい『黄金円卓』個人の話は『アズカバン』が終わった後の閑話でやりたいと考えております(絵に関しては三大学校編までお待ちください)


※ランキングはウィラは除いています
円卓強さ
黄金の獣>>>>>>>>胡蝶>>>渡草>アルヴィー(場合によっては渡草を超える)>>>>>>シャドウ>アラン>>>>ニール>ウォーカー
上位陣4名は下と隔絶した強さを持ってます。アルヴィー達神獣クラスは基本その力を封印しています

特殊能力
胡蝶>>>ウォーカー>シャドウ>>黄金の獣>アルヴィー>>>>>>>アラン=ニール=渡草

単純なパワー
アラン>>>黄金の獣>アルヴィー>>胡蝶>>>>>ウォーカー>>>>ニール>渡草>>>シャドウ

頭のキチガ○度合
渡草>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>胡蝶>>>>>>>>>>残り

変態度合
ニール>>>>>胡蝶>>>>>>>>>>>>>>>>残り


ちょっと見にくいですがこんな感じです
(ランキングに疑問があればお答えします※ネタバレになりそうな場合はお答えできません)

次回__英国からエルドラド王国に来たそうですよ?
第一話『YES!ウィラが呼びました!』
お楽しみに!


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黄金に招かれた者達~前半~

出来たので投稿します
次回で閑話終了・・・となればいいなぁ



(・・・ヒマだ、あぁヒマだ)

 

春の日差しが暖かな頃、私はヒマを持て余していた

勿論それなりに忙しい、公務を行い、父上に任せている仕事の勉強。更には私にお近づきになりたい各国の政治家やセレブとの食事会(まぁほとんどは断るが。だってどうせ食事会と言う名のお見合いだし)

だがこんなのはいつもやっている事なので、当たり前の話なのだ。言い方を変えれば目新しさがない

 

(学校の宿題・・・はとうの昔に終わらせたしなぁ、何アレ?私のこと舐めてんの?)

 

言いたくはないがこれでも国王、てんてーを驚愕させたように私のレベルはすでに大人ですら敵わないのだ

 

(そう言えばロンから手紙が来てたな、「いくら休みが多いからってこの宿題の量は異常だよ!!ウィラの権限で減らしてくれない!?」だったか。悪いなロン、努力は重ねてこそ意味があるのだよ)

 

それにしてもヒマだなぁ・・・

 

(ハリーなんかいいよなぁ、ロンの家にずっと泊まってすごく楽しいって一緒に手紙送ってくるし。私なんか外遊するだけで供回りが着くってのに・・・そうだ!!)ピコーン!

 

 

「どうされました黄金の君、何やらお顔が楽しそうですが」

 

「ん?あぁいたのかお前、ちょうどいい、文を持て。手紙を書く」

 

「どちらへ?」

 

「なぁに、たまにはアチラ(・・・)から来てもらうのも面白いだろう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__「失礼ながら招待状を、ここは殿上人が住まう至高の城。そうおいそれと入れるワケに・・・ハァ!?し、失礼しましたぁ!!」ガバっ!!

 

「あはは・・・、いや、気にしないでください。お願いだからホントに・・・」

 

 

ギィ__と重々しく重厚な城門が徐々に開きだす

 

 

「おいおいまたかよ」ヒソヒソ

 

「俺達、大丈夫だよな?騙されたりしてないよな?」

 

 

ウィーズリー家withハリーは何故かイギリスを離れ、エルドラド王国に来ていた

と言うのもある日突然ウィラから「遊びに来ない?」と手紙が来たのだ

これにロンやフレッジョは多いに喜んだ、海外旅行など行ったことがないしエルドラド王国といえば観光地として大変有名だったからだ。事実「魔法遺産100選」「魔法界_至高の景色10選」などの殆どがエルドラド王国に集中している

初めはウィラに迷惑がかかるのではとアーサーとモリーは渋ったが、可愛い息子達のお願いには勝てず結局こうして来てしまった。何より移動費や滞在費、更には食事代や衣服代も全て向こうが持ってくれると言うのだ、この誘惑に勝てるわけが無かった

 

 

「貴方・・・私達、何かすごいことになっているのではないかしら」

 

「あぁ、私も少し怖くなってきたよ・・・」ゴクリ

 

 

先程の門番のように、アーサーが招待状を見せる度に誰もが凄い表情をした後に、とてつもなく腰を低くしてくるのだ

だがそれはしょうがない、何故ならその招待状にはエル・ドラド家の蝋印が押されており、招待主が国王陛下・・・ウィラになっているのだ。彼女を主君と崇拝する者から見れば彼等は陛下の大切な客人・・・うかつな対応はできないのだ

 

 

「うわぁ、見なよハリー!僕達、あのクレーリア城に今から入るんだぜ!?」

 

「うん!僕も興奮しっぱなしだよロン!!」

 

 

門の前で待っていると、明らかに先程の門番より上の階級であろう者が急いで走って来た

 

 

「はぁ、はぁ、お待たせしました!念の為確認したところ至急連れて来るようにと陛下からお達しがありましたので私に着いて来てください」

 

 

本当は名高きクレーリア城の大庭園を見たかったのだが、彼があまりにも必死の形相でお願いしてくるので全員が黙って頷き、着いて行く

 

 

「__ではお呼びするまでこちらでお待ちください」

 

 

通されたそこは来客用の部屋だった、だが誰一人として座らず、部屋の扉の前で唖然となっていた

そこには豪華の極みを尽くした調度品で溢れていた。ウィーズリー家が見たこともないような高そうな壺、壁に飾られた絵画は見る目が無い者でも素晴らしいと言う他ない

 

 

「何このソファー、ねぇママ、これっていくらくらい・・・?」

 

「ロン、お願いだからママに聞かないで・・・ホントに座っていいのかしら・・・汚したりしたら・・・」

 

「ねぇ、多分みんなは分からないと思うけど・・・あの絵画、確か・・・」

 

「止めろハリー!!」

 

「そうだ!俺達の胃に穴を空ける気か!?」

 

「お姉様・・・凄すぎ」

 

「は、はは・・・まっまぁみんな、折角だし座らせてもらおう」

 

「でも貴方、もし汚して弁償しなきゃならなくなったら・・・」

 

「その時は私が立替え・・・やっぱり立ったまま待とうか」

 

 

この光景は侍女が紅茶を持ってくるまで続いた__

 

 

 

 

 

 

 

 

__カチャ「皆様お待たせしました。我が君、ウィラトリア様の準備が出来ましたので皆様をこれからお連れします」

 

「シャドウさん、お久しぶりです!」

 

「久しいですなポッター様、ロン様、フレッド様ジョージ様、ジニー様もお久しゅうございます。おや?パーシー様は」

 

「パーシーなら就職直前で忙しくて、初めましてアーサー・ウィーズリーと言います。最古の屋敷僕であるシャドウ殿にこうしてお会いできて光栄です」

 

「モリー・ウィーズリーと申します、シャドウさんに会えるなんて素晴らしいわ!」

 

「いえいえ、私風情など。では皆様、私の後に着いて来てください」

 

 

 

 

 

__コツコツコツ

 

 

「うわぁ・・・スゲェ、俺達本当にクレーリア城の中歩いてんだぜ?」

 

「あぁ・・・なぁ兄弟、もしこの中で『糞爆弾』を爆発させてみたりしたら・・・」ゴクっ

 

「これ!お前達!!馬鹿な事を考えるものじゃありません!!」

 

 

チラリとモリーがシャドウの様子を伺うが特に気にしてないようだ

シャドウからしてみれば彼等は子供。更にはウィラがまだ幼い頃、イタズラとして城中を黄金のペンキで塗りたくった事があるのだ

 

シャドウが廊下を歩き、常駐する兵やメイド、執事が出くわす度にシャドウに目礼を送る。その光景を見て、屋敷僕の扱われ方を知っているウィーズリー家は誰もがビックリしていた

ハリーもまた、マルフォイ家のドビーの扱いを知っていたため驚いていた

 

 

「そう言えばシャドウ殿、『預言者新聞』で記事になっていましたが・・・屋敷僕に彼の勲章(・・・・)が授与されたというのは本当でしょうか?」

 

 

その記事はイギリスのみならず、ヨーロッパを駆け巡った

魔法界において一般では最高勲章は『マーリン勲章』となっている。と言うのも著名人(ダンブルドア等)の多くがこの勲章を授与されているためだ

だが本来の最高勲章は『黄金勲章』。ヨーロッパ魔法界の王である『黄金の君』2名の連名が無ければ決して与えられることのない、歴史においても名前しか誰も知らなかったのだ。その勲章が日の目を見、そしてそれは屋敷僕に与えられた・・・誰もが驚くしかなかった

 

 

「事実でございます、彼の者・・・ドビーと言いましたか、我が君が父君であらせられるジブニール様と連名で授けました」

 

「待って、ドビー?ドビーだって!?」

 

「嘘だろ!?」

 

「__?ハリー、ロンも知ってるの?」

 

 

ジニーの問いかけにハリーとロンは興奮気味に答え、それを聞いていた他の者も驚いていた

 

 

 

 

「___でさ、ドビーをマルフォイの家から解放して・・・」

 

「申し訳ありませんが話はそこまで、この扉の先にクレーリア城の主、我が君ウィラトリア様がお待ちです」

 

「へ?あのシャドウさん、ここって・・・」

 

「『玉座の間』でございます。前国王陛下ジブニール様、お妃様のオレンシア様も皆様方を歓迎したいとウィラトリア様とお待ちです」

 

「お、王族と!?いえいえいえ!!こんな恰好では会えませんって!!」

 

「アーサー様、我が君はそのような事気になさりますまい。そのままの恰好で結構」

 

 

では確認してまいります__とシャドウが先に扉の中に入り、再びウィーズリー家は待つことになった

 

 

「・・・よく考えなくてもウィラのパパって前国王なんだよね・・・」

 

「頭から抜けてたよ・・・どうしよう!?前にテレビで見たけどウィラのママって凄い美人だったよ!?」

 

「おい兄弟、俺の恰好おかしくないか?」

 

「安心しろ兄弟、俺達がおかしいのはいつもの事さ」

 

「もう!馬鹿言ってないで私を確かめてよ!!お姉様の前で恥なんかかいたら死ねる自信があるわ!!」

 

「アーサー、私、王族と会ったことないからどうすれば・・・!?」

 

「私もさモリー、王族との謁見なんてあり得ないと思ってた・・・」

 

 

 

そうこうしているとシャドウが戻ってき、扉が仰々しく開く

 

開いた先でハリー達はただポカーンとするしかなかった

天井はホグワーツと比べものにならない程高く、照明がまるで天から降り注ぐかのように見えた

一目で最高級と分かる赤絨毯、壁には細部にまで細かい装飾が成されこの場が特別で神聖な場所であると分かる

最奥には8人の金色の剣を腰に差した者達が左右に別れ、こちらを見て来る。シャドウやアルヴィーがいることから彼等がウィラの『黄金円卓』なのだとハリー達には分かった

そしてそこから階段があり、数段高い所にある玉座に彼女はいた

ホグワーツで着るようなローブではなく、深紅に彩られた見たこともない最上級のローブを羽織り、いつものように傲慢不遜に足を組み、頬杖をついてこちらを見下ろしている。そんな彼女の左右には父と母であるジブニールとオレンシアがニコニコとこちらを見ていた

 

彼等こそが全魔法族の頂点にして、エルドラド王国の象徴。1500年以上続くヨーロッパ最古の血筋を持つ王族__エル・ドラド家

 

 

ハリー達が国王としてのウィラを見るのはこれで二度目だ。一度目はフローリシュ・アンド・ブロッツ書店、だがあの時とは覇気が比べものにならない。事実ハリー達は次の瞬間ウィラが話しかけるまで呼吸することすら忘れ、ただウィラ達黄金の一族に見惚れていたのだから

 

 

 

 

「・・・くは、くはは!父上!母上!ドッキリ大成功です!」

 

「フハハ!うむ、初めは何故玉座の間かと思ったが・・・彼等には悪いがこれは面白い」

 

「もういいでしょうウィラ?彼等を何度も待たせるのは悪いわ」

 

「・・・へ?ドッキリ・・・?」

 

「うむ!その前に久しいな卿等、息災か?アーサー殿もモリー殿もお元気そうで何より。あ、クリスマスはありがとう。手編みのセーターなど大変だったのでは?」

 

「いや、だからドッキリ・・・」

 

「お前等ももういいぞー。解散しろ解散、お疲れ~」

 

「うぃーす」 

 

「おうトグサ、今からちと飲みに」 

 

「我々も行きますか」 

 

「ですね」

 

「いやぁぁ!陛下ァァア!!」ズルズル

 

「いいから行くよ駄女狐!じゃあ犬っコロー、あとヨロシクー」ズルズル

 

「えぇ、では黄金の君、私とシャドウ殿は引き続き御身に」

 

「うむ、任せた」

 

「いやだからウィラ!?ドッキリって何のこと!?」

 

「まぁまぁ落ち着けハリー。まずは場所を移そうか、ここでは卿等とゆっくり話せんからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

__どこまでもマイペースなウィラに引き連られ、先程とは別の客間に通される

ウィラ達が対面に座り、ハリー達はコの字状のソファーに座り、シャドウがそれぞれに紅茶を淹れていく

 

 

「いやぁ、いきなり玉座の間に通したらどんな反応するかな?って思ったんだ!そこに私の父上と母上までいたらどういう風になるんだろうって!」

 

「止めてよウィラ・・・どれだけ緊張したか分かってるの!?」

 

「ちょ、ロン!ウィラのパp・・・国王様とお妃様がいるから!!」ヒソヒソ

 

「っ!す、すみません!!」ガバっ!!

 

「申し訳ありません!私達の息子が陛下に何たる口を・・・」

 

 

アーサーが頭を下げていたロンの頭を更に低くし、自分もまたどこまでも低く頭を下げる

だがそれをジブニールは朗らかに笑い飛ばす

 

 

「フハハ!良い、汝等は我が娘の友。友の語らいに身分など何が関係あるか!」

 

 

ハリー達はその言葉にホっとすると共に改めてジブニールとオレンシアと見る

ジブニールはある意味ウィラ以上に国王らしかった

髭を生やし、その顔はとても60代に見えない程に若々しい。鋭い目つきは今は穏やかな色を讃えているが、その瞳と髪の毛はウィラと同じく金髪金眼・・・いや、黄金色だ

 

 

「うふふ、ウィラが友達を家族ごと連れて来るなんて!何て良い日かしら!」

 

 

オレンシアは本当に娘を産んでいるのかと聞きたいくらいに若かった

ウィラが芸術品のような美しさならば、オレンシアはまさに女性として最上級の美しさだ。現にこちらに笑いかけるオレンシアに男連中だけでなく、ジニーやモリーまでもが顔を赤らめ見惚れていた

 

 

「むぅ・・・母上は私と父上のものだぞ?誰にもやらんからな!」

 

「あら、ウィラったらヤキモチ?」

 

「フハハ!だが私もウィラに賛成だ、其方を離すなどこの身が滅びようが許せんよ」

 

「私もよジル、貴方達から離れるなんて・・・お願いだからずっと傍に置いてジル?」

 

「レシー・・・」

 

「ジル・・・」

 

((((え、何この空間・・・めっさ甘いんだけど・・・))))

 

 

 

 

__しばらく話していると徐々に緊張も解けたのか、様々な質問がウィーズリー家から浴びせられた

 

 

「__え!?じゃあウィラのマm・・・お妃様って19歳でウィラを産んだの!?」

 

「しかもその時、パp・・・国王様は50過ぎって・・・」

 

「もう!フレッド君、ジョージ君も私達のことは名前でいいわよ?」

 

「フハハ!然り!そして愛の前では年齢など何の意味も成さぬ!!若人達よ、覚えておくがいい」

 

「父と母がこんな感じだからな、だから以前『預言者新聞』の取材に応じた時に__死にかけのジジィだろうが赤子だろうが私を愛してくれればそれでいい__と言ったんだ」

 

「でもウィラの場合お見合いとか多いんじゃないの?」

 

「そうそう!ウチは別にないけど他の聖28一族とか婚約者がいるのが当たり前だぜ?」

 

「我がエル・ドラド家は恋愛結婚しか認めん、私もそうだしウィラもそうだ」

 

「父上の言う通り、それに王族にお見合いなど・・・下心が見え見えではないか。そのような男、この私に相応しいハズがなかろう?」

 

「凄い自信、でもウィラだと納得だね」

 

「お姉様!私、お姉様の部屋が見て見たいです!」

 

「おぉ汝が!ウィラが言っておったよ、可愛い妹ができたと。そうか、名はなんと?」

 

「はひっ!ジ、ジニーです」

 

「そう、良い名ね!これからもウィラのことよろしくね?」ニコ

 

「は、はひ///!」

 

「しかし部屋か・・・別に構わんが・・・どれがいい?」

 

「__?お姉様、それはどういう・・・」

 

「いや、だってなぁ・・・私の部屋の数なんて数えたことがないし。シャドウ、私の部屋は全部で何部屋だ?」

 

「全部で14部屋でございます。ジブニール様が8、オレンシア様はジブニール様と全て同室なので8部屋ですな」

 

「そうだったのか、でどの部屋が・・・どうした?皆項垂れて?」

 

「だって・・・だって!!」 「おかしいだろう!?俺達なんか二人で一部屋だぜ!?」

 

「お姉様・・・やっぱりいいです」

 

「そうか?」

 

「__黄金の君、そろそろ夕食の時間です」

 

「うん?もうそんな時間か」

 

「フハハ!これほどまでに楽しい時間は久々だ!」

 

「えぇ、皆さんもご一緒にどうですか?我が家のシェフが今宵はいつも以上に腕を振るうと言っていましたわ」

 

「いえ・・・ですが」

 

 

アーサーは流石にそこまで世話になるワケにいかないと思った

現に今もまだ緊張し、折角に最高級の茶葉を使った紅茶の味が一切分からず、それは隣で何とか音を立てぬよう飲んでいるモリーも同じだ。だが__

 

 

「フハハ!アーサー殿、ここまでくれば最後まで付き合われよ。何より私は汝ともっと話したくなった。どうかね?夕餉の後に」クイっ

 

「是非!!」

 

 

ジブニールの酒を煽る仕草につい反応してしまった。王族の飲む酒?飲まずにはいられないッ!!

 

「貴方!!」

 

「・・・あ」

 

「うふふ、ならモリーさん。私達は母親同士で盛り上がりましょう!」

 

「へ?・・・わ、私なんかが!!こんなおばちゃんがお妃様となんて・・・」

 

 

それでも流石にこれ以上は・・・と言葉を濁していると机越しにコソッとモリーにオレンシアが耳打ちする

 

 

「もっと貴女とお話しがしたいの、私はあまりこの子に母親らしいことができなかったから・・・もっと母親らしいことをしてあげたいの。だから経験豊富な方の話をずっと聞きたいと思っていたのよ?」ポソっ

 

 

スっと、横に座るウィラの髪を撫で、ウィラを優しく見つめながら語るオレンシアを見てモリーはこの人もまた、子供を誰よりも愛する一人の母親なのだと思った

 

 

「分かりました!私もこのような賢い陛下がどう育ったのかすごく興味がありましたから!」

 

「ありがとう、では行きましょうか!」

 

「えぇ、ではシャドウ、我が獣よ、皆を案内しろ」

 

「「御意」」

 




本当は今回で終わらせたかったのですが
長くなりそうなので次回に続きます


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黄金に招かれた者達~後半~

ちょっと色々詰め込みすぎた感があります(汗


__私達が広間へ入った瞬間、給仕を行うメイドや執事が一斉に博くと共にヴァイオリンの調べが鳴り出す

私達はそれを意に返さず席につく。がハリー達にとっては慣れない景色だったらしく、今も扉の前で呆けていた

 

 

「どうした?席につかんのか?」

 

「え・・・え?何コレ・・・」

 

「何って・・・食事だが?」

 

「いやおかしいだろ!?」

 

「何でメシ食うだけで綺麗なメイドがいたり音楽が鳴り出すんだ!?」

 

「しかも生演奏で!!」

 

 

フレッドとジョージ、更にはロンまでもが喰い気味に言い切り、他のメンバーもコクコクと頷いているが・・・え、普通じゃないの?

 

 

「普通じゃないよ!!ホグワーツでもこんなのなかったじゃん!!」

 

「でもハリー、ここは私の城。クレーリア城だ。そして私達は王族だぞ?」

 

 

そう返すとジニーが「常識が崩れていくわ・・・」とか言ってきやがった・・・失礼な、これが王族の常識だ!

何とか席につかせメイドがそれぞれの首にナプキンを巻いていく。ロン達男達が近くに来たメイド達に見惚れているが大丈夫か?ジニーとモリー小母様が白けた目で見ているが・・・(特にアーサー小父様ぇ・・・)

 

次に執事達が飲み物をグラスに注ぎ、後は乾杯をするだけとなった

 

 

「誰が音頭を取る?父上がやりますか?」

 

「いや、今宵の主賓は其方だウィラ。お前が取るといい」

 

「そうね、よろしくねウィラ?」

 

 

父上と母上にそう言われては私も引けない。それにハリー達もこちらに注目していることだし

席を立ち、グラスを掲げ__

 

 

「海を渡り、国を超え、我等はこうして出会い友となった。今宵の素晴らしい一時(ひととき)に!」

 

 

__チンっ____

 

 

私の音頭と共にそれぞれがグラスを鳴らし、クイっと喉に流し込む

(言っとくけど私達はお酒ではないぞ?大人組は知らないが)

 

それを見届け給仕の者が熱々の鉄板をそれぞれ置いていく。シェフが前持って説明してくれたが、どうやら本日はコース料理ではなくわざわざ日本から取り寄せた和牛のステーキらしい、何でも素材の味を楽しんでほしいとのことだ

 

ナイフを肉に入れれば軽く引いただけで簡単に切れる、口に運べば上質な肉の香りと芳醇なソースの香りが鼻孔をくすぐり舌の上で肉が溶ける・・・素晴らしい!パーフェクトだウォルター!(シェフの名前)

 

だがハリー達はまだ肉に手を出さず、何やら騒々しかった

 

 

「スゲェ!おい見ろよコレ!」

 

「これ・・・もしかして金か!?」

 

「凄く薄い金?ねぇママ、金って食べられるの?」

 

「ママに聞かないでジニー・・・」

 

「何コレ!?舌の上でお肉が溶けた!?」

 

「ウィラ達いつもこんな良いもの食べてるの!?贅沢すぎない!?」

 

「そうか?普通だろ?それとロン、金は食べれるぞ?老廃物を吸着してくれるから美容に良い・・・て聞いちゃいねぇ・・・」

 

 

人が折角説明してやってるのにコイツ等・・・ガッつき過ぎじゃね?

 

 

「フハハ!まぁ良いではないか」

 

「ハフ!ハム!・・・はっ!?す、すみませんマナーを守らず!・・・こんな美味しい肉、人生で初めてで・・・」

 

「フハハ!良いのだアーサー殿、そもそも友との語らいの場でマナーなど無粋の極み」

 

「うふふ、そうね!まだたくさんあるから、たぁんとお食べ?」

 

「「「ありがとうございます!!!」」」

 

 

 

 

__デザートまで食べ終わり、皆も満足したようだ。グラスを傾けながら雑談に今は興じている

 

 

「なぁなぁウィラ、あそこにいた人達がウィラの円卓なのか?」

 

「アルヴィーさんの他にさ、スッゲェ美人の人いたじゃん!お名前は!?」

 

「あぁ、アレはコチョウだ。言っとくが紹介はせんぞ、色々とめんどくさい。何よりアレもアルヴィーや獣と同じ人外だ」

 

「へぇ、あの人も・・・でも納得だね!すごく綺麗だったもの!」

 

(まぁ伊達にその身一つで国を滅ぼしてないからなぁ・・・)

「その言い方は納得できんなハリー、私がまるで負けているようではないか」

 

「ち、違うよ!ウィラもその・・・すっ凄く綺麗だし・・・///!」

 

「あら、ハリー君ウィラに告白?」

 

「そうなのかハリー?スマンが私と付き合いたければ最低でも私より強くなってくれ」

 

「だから違うって!!そしてハードル高すぎない!?」

 

「それ、絶対無理じゃん・・・」

 

「冗談さ、愛してくれればそれでいいよ。ハリー、卿は私を愛してくれるか?」

 

 

顔を近づけ瞳を除きこむ

勿論本気じゃない、軽い遊びだ(だって私にはてんてーがいるし、いつ落としに行こうか)

 

 

「~~~っ///!!」かぁっ!

 

「何故顔を背ける、何故耐えられん。さぁハリー、卿の瞳に私を映しておくれ。翡翠が如き卿の瞳に我が黄金を垣間見せろ、さぁ・・・」ニヤニヤ

 

「うわぁ、ウィラが悪い顔してらぁ・・・」

 

「悪いお姉様、ステキ・・・!」

 

 

流石にからかい過ぎたかな?ハリーの顔から煙が出そうなくらい真っ赤になってるし

あと・・・流石に悪いから言わないがハリーは私のタイプじゃない、それはこの場の男性全員に言える

私が今まで出会った男性の中でいいなと思えたのはスネイプと、自分でも意外だとは思うがネビルだ。彼は確かに臆病者だ、だが彼は男の中の男だと思う(結構やる時はやるしね)

 

冗談だと謝っているとメイドの一人が「そろそろ風呂などいかがでしょう?」と言ってきた

うん、確かにそろそろ良い時間だ

 

 

「お姉様!私、お姉様と一緒に入りたいです!」

 

「もちろんYes!!」___と言いたい所だが・・・

 

「申し訳ありませんジニー様。どのような理由があろうと高貴な身であらせられる陛下のお身体を見せるわけには・・・」

 

 

やはりと言うべきか、その提案にこの場にいる者は良い顔をしなかった。しかもその言葉は本気で私を思ってのことだから、私も声を大きくして言えない

 

 

「そういうことだジニー、悪いな」

 

「・・・いいえ、私の方こそ調子に乗って・・・」

 

「なに、卿が悪いワケではない。だが私も彼女達の主君として、ある程度は言い分を聞かねば」

 

 

ジニーの頬を撫で納得してもらう。途中大人組は場所を移し飲みに、子供組はそのまま風呂に向かいそれぞれの部屋に通すようだ

 

明日の予定を軽く打ち合わせ、私も残っていた用事を済ませようと席を立った____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「___くぅぅ!マジサイコーだったな!」

 

「あぁ!あんなでかい風呂見たことあるか!?」

 

「見てよみんな!このベッド!凄いフカフカだよ!?」

 

 

風呂から上がり、部屋へ通されてもウィーズリー兄弟のテンションは上がりっぱなしだった

今まで見たことも無い調度品の数々、食事は最高の一言に尽き、今いる部屋もまた最高だ

だがハリーだけは少し浮かない顔をしていた

 

 

「おいどうしたんだよハリー!そんな浮かない顔して!」

 

「美味いモンの食い過ぎでハラでも壊したか?もしくはウィラからフラれてショックだったりして・・・!」

 

「違うよ!違うって!いやなんかさ・・・王様って色々大変なんだなって」

 

先程の光景を見てハリーは思っていた

どこに行くにしても必ず大勢の人間が付き添い、ウィラには心落ち着く時間など無いに等しいのではないかと

 

 

「ねぇ、みんなはどう思う?」

 

「どうって言われてもなぁ・・・羨ましいとしか」

 

「だな。綺麗なメイドを侍らせて美味いメシを食う!サイコーじゃん!!」

 

「はぁ~、僕も王族に生まれたかったよ。そしたらコイツ等なんか顎で扱き使ってやるのに!」

 

「くはは!諦めろ我が弟よ!」

 

「くはは!然り!むしろ今から俺達がロンを扱き使ってやるよ!」

 

 

じゃれ合うロン達を見てハリーは思い出す。確かに昼間街を散策した時、そこには笑顔が溢れていた

彼女はまさしく人の上に立つ為に生まれて来たと言える。しかし・・・

 

 

(ウィラだって女の子なんだ。もっとジニーとお喋りしたかっただろうし、自由な時間だって欲しいハズだよ)

 

 

だがこの考えは恐らく自分の勘違いだろうとハリーは思う。何故なら彼女は一度も今の生活を止めてみたいと・・・普通の生活を送りたいと言ったことは無いのだから

常に自分で考え、自分の定めた道を威風堂々と歩き、諸人の憧れであり続ける様は尊敬の念すら覚える

 

 

気付くと疲れていたのかロン達は静かに寝ていた

ロンの両脇をフレッドとジョージが固め、ロンの腹に仲良く足を乗せている。ロンも何やら魘されているようだが、ハリーはその光景を羨ましいと見つめていた

 

「・・・僕も寝よ、おやすみみんな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__喉を炎のように、しかし鼻孔にはまるで数十種類の果実を合わせたかのような芳醇な香りが駆け巡る

 

 

「~~っ!!美味い!!こんな美味い酒は生まれて初めてですよ!!」

 

「フハハ!それは良かった!これは私の秘蔵の酒でな?私自身これ以上に美味い酒など知らぬ」

 

 

場所を移したジブニール達大人組は、今は仲良く酒を飲んでいた

初めは戦々恐々としていたアーサーも、極上の酒に今は気分良くジブニールと共に歓談をしていた

 

 

「えぇ!?そうなのですか!?いやどうりで美味すぎるハズだ!ははは!!」

 

「もう!アーサー!!」

 

「うふふ、いいじゃないですか。お酒は楽しく飲むものですよ?」

 

 

それぞれの隣にモリーとオレンシアがつき、ジブニールはそんなオレンシアの腰に手を回し、優雅に酒を飲んでいた

 

初めは互いの馴れ初めや仲の良さを男同士で自慢し、モリーは顔を真っ赤に染め、オレンシアもまた顔を赤くしながらもジブニールにしな垂れかかる

そして徐々に話は子供の話題へと転換していった

 

アーサーとモリーは口々にウィラのことをべた褒めした。と言うのも二人もまたウィラの預言のことを知っており、今まで見て来てウィラの預言にある『偉大なる黄金』の一節が10代目黄金のような賢君になることを指していると思ったのだ

 

 

「どうやってあれほどまでに賢い子を育てたのです?やはり教育係など王室専用の子育ての仕方があるのですか?」

 

 

アーサーに悪気は無かった、ただ純粋に疑問を投げかけただけだ。だがその問いかけに今まで笑顔だった二人に陰がかかる

 

 

「あ・・・えっと・・・」

 

「あぁ、其方が気にすることではない。・・・レシー」

 

「えぇジル」

 

 

姿勢を正す二人を見て、アーサーとモリーは自分達が何やらとんでもないヘマや聞いてはならないことを聞いてしまったのではないかと酔いも瞬時に醒める

とにかくこちらも姿勢を正し、何を言われてもちゃんと答えられるよう身構える

 

 

これからの内容は決して誰にも話してはならぬとジブニールがアーサー達に告げ、ポツポツと・・・オレンシアがグラスを持ったまま語りだす

 

 

「私達は何もしていないわ・・・あの子は初めからしっかりしてたから」

 

「それは・・・親なら・・・王族ならば良きことでは?」

 

 

それは暗に手のかからない子供であったのだろうとアーサーとモリーは思った。しかし何故オレンシアはそこまで悲痛な顔で語るのだろうか

 

 

「えぇ、でも私はあの子に親らしいことをあまりしてあげれなかった・・・もっとキスをして、もっと抱っこをして・・・もっとイッパイ愛情を注いであげたかった」

 

 

ジブニール達はウィラに前世の記憶があることを知っている。そしてその記憶が時にウィラを苦しめていることも知っていた

勿論この場でこの話をするつもりは無い。これは国家機密以上、自分達家族とウィラの円卓のみが知る秘密だ

 

オレンシアは思う、何故あの子だけが苦しまねばいけないのか。何故誰よりも愛しく、優しいあの子だけがそんな苦しみを抱えねばいけないのか・・・何度思ったことだろう、その前世とやらに一度でいいから会って私の子を虐めるなと言わせてほしいと願ったのは・・・

 

 

「だが・・・あの子は王になった・・・なってしまった。わずか9歳で即位させてしまった・・・子供ではいられなくなってしまったのだ・・・」

 

 

何度ジブニールは自分を責めたことだろうか、愛しい娘の大切な時間を自分の歳のせいで奪ってしまったと。まだ抱えるべきでない重荷を抱え、更にあの子は様々な悩みを生まれながらに持っていたというのに・・・今でも思い出す、まだ幼いウィラが必死に泣くのを隠しながら自分達に謝り続ける姿を・・・

 

二人は思う。もっと自分達を頼ってほしいと・・・だが同時に分かってはいるのだ、ウィラは家族にすら弱味を見せない。そしてそれは意地を張っているのではなく、ただ心配をかけたくないのだろうと・・・自分達を愛してくれているからこその行動だと二人には分かっていた

 

 

「私はもっとあの子に甘えてほしいの。もちろんこれが親のエゴであることは承知よ?立派に一人で立っているのに、私達はその足を引こうとしている。でも・・・私はもっと母親らしいことを・・・もっと私達の愛を感じてほしいの」

 

 

「ゆえに汝等と話したかったのだ。前にウィラから聞いたがウィーズリー家ほど家族が多く、そして大切にする者はおらんと」

 

 

こちらを見据え問いかけてくる国王夫妻を前にアーサーは思う__何で私達なんだ__と

確かにウィラの評価はたいへん光栄であり、ありがたい。しかし自分達は庶民で王族の悩み相談をするような立場ではない。いくらこの場が酒の席だとしても相手は遥か殿上人、あまりにも荷が重すぎる。酔いなどとうの昔に醒め、アーサーはただでさえ薄い髪の毛が緊張で更に抜け落ちるのを感じた

 

どうしようかとアーサーが悩んでいると、今まで黙って聞いていたモリーが突然目の前の今まで手を付けなかった酒の入ったグラスを一気飲みし始めた

 

 

「モ、モリー!?何をしているんだ!?」

 

「んぐ、んぐ・・・ぷはぁー!!黙って聞いていれば何ですか!そもそも私達のような庶民!しかも他国の者に聞かせていい話じゃないでしょうこれは!?ですがえぇ!答えましょうではありませんか!!ジブニール様!!」

 

「むっ」

 

「聞くところによると陛下は自ら望んで王位を継承なさったのでしょう!?ただ漠然とした理由でなったのではなく、しっかりと未来を見据え!確かに陛下はある意味では子供らしくありません!えぇ、大人を顎で使う様があれほど似合う子供がいてなるものですか!!ですが陛下の笑顔!あれは子供にしかできない純粋無垢な笑顔です!貴方達とお話しされる様は見ていて仲の良い親子以外の何物でもありませんでした!!・・・オレンシア様!!」クワっ!!

 

「(ビクっ)は、はい!」

 

「陛下に甘えてほしい?だだ甘だったじゃないですか!!ずっとお2人に抱き着いて!えぇ!?お前はコアラか!?」

 

「も、モリーさん?流石に失礼では・・・てかコアラって」

 

「アーサー!!貴方は黙ってなさい!!」

 

「アッ、ハイ」

 

「で、でも・・・私はもっと悩みとかを打ち明けてほしくて・・・」ビクビク

 

「子供は基本親に隠し事の一つや二つあるものです!!パーシーなんか真面目な顔してベッドの下にあんな本を隠して・・・ママにバレないとでも思ったのですか!!」

 

「モリー、パーシーはここにいないから・・・帰ったら教えてあげよう」ボソ

 

 

 

立ち上がり、顔を真っ赤にしながらモリーは叫ぶ。相手が誰だろうと知らぬと言わんばかりに

最後にもう一口飲み、ガツン!__とグラスを机にたたきつけるように置き

 

 

「・・・ただ信じて待っていればいいのです。子供は必ず親の気持ちに気づいてくれますから。それでも不安なら相手が嫌がるくらい、たくさん抱きしめてあげればいいのです。もちろん行動だけじゃ駄目よ?人は話し合わないと分かり合えない生き物なんだから・・・お互いに思いやっているから多分どこかで、こじれてるんだと思うわ」

 

「・・・何故そう思うのだモリー殿」

 

「見ていれば分かります!お互いに愛情が深すぎるから心配し合って・・・もっとこう・・・えぇ、とにかく一度ちゃんと話し合いなさい!いいわね!?」

 

 

ジブニールはモリーに勢いに飲まれていたがオレンシアはひたすら目を輝かせていた

そうだ、足りないならもっと与えればいいのだ。もっと私達には貴女が必要だと、前世があろうが私達の娘は例えどの世界線(・・・・・)でも、ウィラという子は貴女ただ一人のみだと伝えてあげればいいのだ

 

そっと隣に座る最愛の人の手を握れば、あちらもしっかりと握り返してくれた

嬉しくてつい、目を合わせてはにかんでしまう。この二人の間にはそれだけで全てが伝わった

 

相談してよかった、ウィラの言う通り、この家族もまた素晴らしいものだった

 

ありがとうとモリーに言いたいが、すでにモリーは酔って寝てしまっており、アーサーもまた妻の無礼千万な態度に汗を浮かべこちらを伺っていた__その様子がすごく微笑ましく、何だか悩んでいた自分達が馬鹿に見えて来た

 

 

「フフっ!あはは!」

 

「オ、オレンシア様!!妻が大変な無礼を・・・この罪は妻ではなく、私に全て非が・・・」

 

「もう!悩んでた私が馬鹿みたい!アーサーさん?」

 

「はいぃ!!」ビクゥ!!

 

「__ありがとう、貴方達に聞いて正解だったわ。我が夫ジブニールに代わり礼を申し上げます。本当にありがとう」

 

「そ、そんなお礼など!!あ、頭を上げてください!!ホントにお願いします!!」

 

「いや、妻は悩んでいたのだ。汝等はそれを少しでも軽くしてくれた・・・感謝するアーサー殿」

 

 

ジブニールまで頭を下げたことにより、アーサーの頭はもう真っ白になった

何とかこの場を治めようと出た言葉は

 

「あ・・・はは・・・もう一杯いただけます?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝になり、それぞれが付き添いの者に連れられ、広間へ朝食を取りに集まっていた

ロンは何故か頭の薄いスキャバーズに押しつぶされる悪夢を見たと言い、フレッジョ達はサイコーに愉快な夢を見たとロンを見据えニヤニヤしていた

ジニーはひたすらウィラにサイコーの一日だったと興奮して語り、その横ではアーサーが何故かゲッソリしながらモリーに何やら小言を言っている

 

朝食を食べ終わり、そろそろウィーズリー家がエルドラド王国を離れる時間となった。するとウィラが最後に見せたいものがあると彼等をとある場所へ連れ出した

 

 

そこには一枚の巨大な肖像画が描かれていた

ウィラ達エル・ドラド家と同じ金髪金眼、男性にしては長すぎる髪、しかしその顔はウィラやオレンシア以上に美しく、絵だと言うのに荘厳な気がその場を支配していた

 

「ねぇウィラ、この人って・・・」

 

「そうだハリー、私達エル・ドラド家の始まり・・・エルドラド王国の創始者にして初代黄金・・・『偉大なる黄金』であらせあれるヴァンシエル陛下その人だ」

 

 

その言葉にハリー・・・とくにウィーズリー家魔法使いの家に生まれた者達は驚愕する

この美しすぎる顔を持った男がヨーロッパを支配した史上最悪の暴君・・・しかし描かれたその顔は優しさに溢れ、とてもそう評価された者とは思えなかった。というのもヴァンシエルの存在はあまりにも古く、そして恐怖の対象だったのだ。ゆえに文字でしかヴァンシエルの存在は残っていなかった

何よりウィラが陛下(・・)と呼んだのだ、あの誰に対しても不遜な態度を崩さないウィラが。ジブニールとオレンシアもまた尊敬の眼差しで絵画を見つめている。流石のロンでもこの場でヴァンシエルの評価を口にすることはできなかった。それに__

 

 

「・・・やっぱり似てるよね、獣さんに」

 

 

そう、絵の人物はウィラの少し後ろにいる黄金の獣に似ていたのだ。理由は分からないがウィラがどれだけヴァンシエルを尊敬しているかは分かった

 

 

「あぁ、私がコイツに命じたんだ。少し恥ずかしいが・・・尊敬する方に誰よりも傍で見てほしかった・・・貴方様の子孫はこうして務めを果たしていますと・・・」

 

 

胸に手をあてそう告げるウィラの様子はまるで誓いを立てるかのようにも見えた

 

 

 

 

流石に港まで着いて行くワケにもいかず、ウィラ達はクレーリア城の正門前で見送ることとなった

 

 

「ではな卿等、またホグワーツで会おう!」

 

「あぁ!元気でなウィラ!」

 

「マジサイコーだったぜ!」

 

「また来るよ!」

 

「本当にありがとうございます!お姉様!」

 

 

「・・・アーサー、私・・・昨日の記憶が全然ないんだけど・・・何か知ってる?」

 

「あはは・・・モリー、思い出さないほうが幸せだよ」

 

 

「__・・・ねぇウィラ」

 

「ん?どうしたハリー」

 

「一つ聞きたいんだけどさ、王様ってどんな感じ?その・・・大変?」

 

「何だ今更、大変に決まっているだろう?私の背にはエルドラド王国全ての民が乗っかっている、彼等を導くことが大変でないハズがなかろう」

 

「その、ウィラはさ、普通の女の子になりたいなとか思わないの?」

 

 

その質問にウィラの隣に立つジブニール達も聞き耳を立ててしまう。それは彼等もずっと聞きたいことだったからだ

だがウィラはその質問を一蹴する

 

 

「無いな、我は生まれながらの王。エル・ドラド家に生まれ、父と母の娘であることこそが私の誇りだ」

 

 

そう言い切るウィラの姿はいつも通りだった。いつも通り、どこまでも傲慢不遜

だがこれこそがウィラだとハリーは思う。これこそが人の上に立つ者の正しい姿だと

 

 

「ふふ、あはは!だよね、ゴメンね変な質問して」

 

「まぁ構わんさ、大方昨日の私を見て窮屈な思いをしているのではと心配してくれたんだろう?」

 

「っ!・・・敵わないなウィラには」

 

「当たり前だろう?我こそは黄金___黄金の君である」

 

 

 

 

 

 

ハリー達を見送り終わると母が私を後ろから抱きしめてきた

 

 

「寂しい?」

 

「えぇ、でもまた会えます。それに・・・」

 

 

私は王族、もともと彼等とは住む世界が違う

イギリスに通わせてもらっているだけでも家族にはすごく感謝してる

 

それでも心に湧き上がる寂しさを誤魔化す為、母にもっと抱きしめてと言いたい所だが、流石に恥ずかしい。なので母の腕に手を乗せてそれとなく仕草で催促してみる。すると母は分かってくれたのか先程よりもギュっとしてくれた

 

 

「ねぇウィラ、今日は久しぶりに家族3人で寝ない?」

 

 

その提案はすごく魅力的だった。王となったあの日から私は家族と寝室を共にしていない、甘えてはいけないとどこかで自分を戒めていたのだ

だが本当は一緒に寝たかった、初めの頃は何度寂しさで泣いたことだろうか

私もまだまだ子供、父と母の温もりにまだまだ甘えたいのだ

 

 

「よろしいのですか!?」

 

「うむ、もうじきお前はホグワーツに行ってしまう、こうして家族で過ごす時間も貴重なのだ」

 

「そうよウィラ、私達も寂しいの。迷惑かもしれないけど・・・甘えさせて?」

 

「もちろんです!・・・あの・・・その、お願いがあるのですが・・・」

 

 

恥ずかしさで手をモジモジしてしまう

 

 

(こ、子供すぎやしないだろうか・・・でも、折角母上達が甘えていいって言ってたし・・・うん、そうだ!これはご褒美なのだ!なら受け取るしかないな!うん!)

 

「その・・・ホグワーツに行くまでの間、毎日一緒に寝たいです!」

 

「もちろんよ!ねぇジル!」

 

「あぁ、ウィラ、私達ももっとお前と共にいたいのだ」

 

 

話ながら城へと戻る。右手を母と繋ぎ、左手を父の腕に絡ませて

 

 

「また今度一緒に買い物に行きましょうか。次は私行きつけのお店にウィラをエスコートしてあげる!」

 

「ホントですか!?~っありがとうございます!」

 

 

その会話はとても一国を背負う王のものではなく__

 

 

「愛してるよウィラ」

 

「私のウィラ、私達も可愛いウィラ、愛してるわ。心の底から誰よりも」

 

「はい!父上、母上!大好きです!愛してます!」

 

 

___どこにでもいるような仲睦まじい家族の会話だった

 




これにて閑話終了です
『アズカバン』は早めに終わらせたいですね


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~アズカバン編~
黄金と3年目


サブタイトルはもしかしたら話が進むにつれて
変えるかもしれません

やっとアズカバン編です


__あの時に戻りたいとハリーは願う

ダズリー家に戻るまで、ウィーズリー家にいたあの頃に

家族揃って朝御飯を食べ、ロンとパーシーがフレッドとジョージにからかわれてはモリーが怒り、アーサーがそれを宥め、ハリーとジニーは眺めてはクスクス笑う

アーサーの出勤を見送り、庭に出て来る『庭小人』を誰が一番追い出せるかロンとフレッジョと競い、遊んでお腹が減り出したらモリーが呼びに来る__最高の毎日、これはハリーが心から望んでいた日常だった

 

そして何よりウィラの下へ遊びに行った日、あれこそが楽園(エルドラド)だと何度ロンと話したことだろうか

何もかもが最高だった、だが今の自分はどうだろうか・・・

 

意地悪なマージおばさんを魔法で膨らませてしまった。だがどうしても我慢できなかったのだ

 

 

__お前の親はただのクズさ!働きもせずぐうたらばかりして!そんな連中から生まれたお前もただのクズだよ!!

 

 

今思い出してもハラワタが煮えくり返る思いだ。何度違うと言いたかったことか!

自分の親がどれだけすごいか、自分には王族の友達が・・・ウィラがいると何度自慢したかったことだろうか

だがそれは誰にも言えない、ウィラがイギリスに留学している話は世界中で報道された。だがどの学校に通っているかはエルドラド王国側から話すことはできないと以前テレビでやっていた。言えるワケがない、何故ならウィラはホグワーツ・・・マグルの学校ではなく、魔法界の学校に通っているのだから

 

 

(もうあんな家帰るものか!でも・・・どこにいけば・・・っ!?)

 

 

どこに行こうか悩んでいると、暗闇から犬の唸り声が聴こえた。よく見るとかなり大きい。だが・・・あんな大きな犬プリペッド通りで見たことがない

 

一体アレは・・・と警戒していると__

 

 

「うわぁ!?な、何だ!?」

 

 

突如バスがハリーの前に現れた

 

 

「ハッハァ!よう坊主(キッド)!魔法使いのガキがこんな夜遅くに出歩くなんて、もしかして女とシケこむ所だったか?ハッハァ!そりゃ悪いことをした!OKだ、俺達はもう行くから避妊だけはしっかり・・・」

 

「いきなり出て来て何の話!?そんなことしないから!!・・・これって・・・?」

 

「アーン?何だ知らねぇのか?『夜の騎士バス(ナイト・バス)』だ。俺達ゃ居場所のない魔法使いの子供達を行きたい場所へと連れて行くそう!ナイト様さ!」

 

「おいスタン!馬鹿言ってないでさっさと乗るかどうか聞け馬鹿野郎この野郎!!」

 

「チっ、人が折角カッコつけてるってのに相変わらずうるせぇなぁアーニーは。で?乗るのか?」

 

「う、うん!乗る!乗るよ!」

 

「ハッハァ!オーライ!Let,go!!」

 

 

テンション高めの車掌スタンに言われるがままハリーがバスへ乗り込むと恐ろしいスピードでバスは発進した

 

 

「ヘイ坊や、名前は?」

 

 

この場でハリー・ポッターだと名乗ると面倒なことになると思い、咄嗟にネビル・ロングボトムだと嘘をつく

 

 

「ネビル・・・ネビルか、良い名じゃねぇか!」

 

「おいスタン!さっきからうるせぇんだよ馬鹿野郎この野郎!!他のお客様は寝てるってのに!!起きたらどうせ、うるせぇだろうからちゃんと気絶させろよ馬鹿野郎この野郎!!」

 

「お前の方がうるせぇんだよアーニー!良いから前見て運転しやがれってんだ!」

 

 

スタンの言う通り、目の前にはこのバスが間を通ることが不可能なほど狭い感覚でトラックが二台こちらへ向かってくるではないか

危ないとハリーが叫びそうになるが

 

 

「ハン!ナメンじゃねぇぞこの野郎!!」

 

 

バスがあり得ない程細くなり、トラックの間をすり抜けていく

 

 

「ハッハァ!どうだ見たか!これが『夜の騎士バス(ナイト・バス)』名物のドライブテクさ!!」

 

「だからうるせぇってつってんだろうが!!何だその喋り方!テメェ前はそんな感じじゃなかっただろうが!!」

 

「アーン?いやよ、知り合いのガーゴイルが貸してくれたゲームの主役がカッコよくてよ!ハッハァ!Are you ready Let,rock!! イェアァア!!」

 

 

ハリーを置いてけぼりにしてスタンとアーニーの口喧嘩は白熱する。途中ようやくスタンがハリーの存在を思い出し

 

 

「そういや坊や、どこに行きたい?」

 

「どこでも行けるの?」

 

「ハッハァ!もちのロンさ!!『夜の騎士バス(ナイト・バス)』に不可能はねぇ!天国だろうと地獄だろうとお客様の逝きたい場所・・・じゃなかった、行きたい場所へ連れて行くぜ?」

 

 

スタンの言葉にハリーは少し考える、そしてとある場所が思い浮かぶ

そこは絶対的な君臨者が支配する国、しかし魔法界でもっとも安全な場所だ

 

 

「じゃあ・・・エルドラド王国!」

 

 

キキー!!っとバスが急ブレーキを踏む。かなりバスの中も揺れたが何故か寝ている者達が起きることはなかった

 

 

「・・・おいおい坊や、それだけは無理だぜ」

 

「何で?国外だから?」

 

「アーン、それもあるんだが・・・とにかくあそこだけは無理だ。俺達の一つ前の連中が酒を飲んで調子こいてあの国に爆走していったんだ・・・どうなったと思う?」

 

「(ゴク)どうなったの・・・?」

 

「わかんねぇ、何も分からねんだ。誰一人帰ってこなかったからな・・・それから俺達の業界であの国だけは入国しないようにしてんだ」

 

「あぁ、スタンの言う通りだバカ野郎。エルドラド王国以外だったら天国でも地獄でも、綺麗な姉ちゃんを拝める大人の世界にでもどこでも連れて行ってやるよこの野郎!」

 

 

 

ハリーは次に思いついた『ダイアゴン横丁』と告げ、取りあえず適当な席に座る

新聞を手に取り先程見た大きな犬のことを思い出しながら読んでいると・・・

 

 

「・・・シリウス・ブラック?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハリーがダイアゴン横丁に着くと何故か魔法省大臣__コーネリウス・ファッジその人が出迎えて来た

てっきりマグルに魔法を使ったことを怒られるとハリーが身構えていると

 

 

「あぁハリー!良かった無事だったか!」

 

「え、あの・・・僕を捕まえにきたんじゃ・・・」

 

「何を言ってるんだ!君は魔法界の英雄じゃないか!もちろん君がおばさんを風船のように膨らませたことは聞いてるよ?こちらが向かった時にはもう少しで偏西風で海に飛ばされるところだったらしい!」

 

「それは・・・残念というべきか喜ぶべきか・・・」

 

「っこんな話をしている場合じゃなかった!ハリー!君はあの方の友達だろう!?彼女を止めてくれ!!」

 

 

急に顔を強張らせたファッジに連れられた先には____大勢の魔法戦士が無様にも一人の少女とその従者に跪いているところだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__時は少し遡る。獣と共に私はダイアゴン横丁へ買い物に来ていた

本当は父上と母上も来てほしかったが・・・流石に王家総出で国を後にするわけにもいかない

 

 

「今年からアズカバンか・・・」

 

 

1年ぶりのダイアゴン横丁は相も変わらずエルドラド王国の旗を持って私を出迎えてくれた

手を振ればこれまた去年と同じように何人も気絶していた

 

 

「アズカバン・・・?恐れながら黄金の君、それは?」

 

「イギリスにある監獄だ。ディメンターのクソがうじゃうじゃいる」

 

 

私もアレは嫌いだ。恐ろしいとか怖いとかではなく、ただ単に生理的に受け付けないのだ。あれだ、日本の台所に出る黒くてすばしっこいアレと同じだ、うん

 

 

「あぁアレですか。まだいたのですか?昔かなりの数を殺した(・・・)というのに」

 

「なんだ獣、お前もアレが嫌いなのか?」

 

「嫌いというか何というか・・・雰囲気が(ヘル)に似てるんですよ」

 

「へぇ、そうなのか?ちなみにその妹は?お前の父は『神々の黄昏(ラグナロク)』で死んだことは知っているが、ミズガルズオルムとヘルに関してはどこにも文献が残っていなかったからな」

 

「私にも分かりません、何しろ封印されていたもので。ただもう死んだのではないかと。以前気配を探りましたがどこにもいませんでしたから」

 

「そうか・・・寂しいか?」

 

「まさか!父やオーディンと共に私を討伐しようとした連中ですよ?むしろ私の牙で噛み殺したかったです」

 

「あぁ、だから代わりにディメンターをか」

 

 

 

話ながら今向かっている場所は久しぶりの『マダム・マルキンの店』だ

というのも成長期に入り、制服やローブの丈が合わなくなってきたのだ。しかも聞いて驚け!!何と私のちっぱいも成長してたんだぞ!ホントだぞ!?

初めは「やべぇ、お菓子の食べ過ぎで太った!?」と焦ったが、流石は『黄金の血』!私の身体は相も変わらず黄金比率!胸も測ったらAからBに成長してたんだ!(そこ!50歩100歩とか言わない!!)

 

というわけで目的の場所に着いたのだが・・・

 

 

(アレ~?何これ・・・)

 

そこには『エルドラド王国王室ご用達!!』『ウィラトリア陛下お墨付き!!』と所せましと謳い文句が掲げられていた

 

 

(いや、確かにそうさせてもらうとは言ったけどさぁ・・・商売魂逞しすぎんだろ・・・)

 

 

店内に入ると以前訪れた以上に繁盛していた

マダムは忙しそうに服を縫っていたが、私の顔を見た瞬間仕事を放棄して飛んできた

 

 

「へ、陛下!?何故ここに!?」

 

「何故って・・・服を仕立て直してもらう以外何がある?」

 

「あぁいえ、その・・・申し訳ございません!!」

 

「__?あぁ、表の謳い文句か。別に構わんよ、卿の腕を買ったのは私だ。何よりその商売根性は嫌いじゃない。では頼む、卿の腕を再び私に見せてくれ」

 

 

 

 

 

マダムの腕は以前より更に洗練されていた。何でも2年前から私があの店で服を買ったと噂になり、今やイギリスのみならず他国からもマダムに服の仕立ての依頼が来るのだとか。そりゃ腕も上がるわ

 

 

「黄金の君、次はどちらに?」

 

「書店に行くぞ、教科書を買わないと」

 

 

今年からは選択科目がある。私は『生物学』と『マグル学』、『占い学』の3つだ。え?『占い学』が意外だって?あれだよ、つまらないものほど逆に行ってみたくなるじゃん?それだよそれ。だから一回しか行くつもりはない。第一私は占いなど一切信用してないからな、何度「国の行く末を~」とか「陛下のフィアンセをお探しします!」とか胡散臭い連中が私に謁見を求めて来たことか!

 

 

 

(しかし・・・邪魔だな)

 

「我が獣よ」

 

「はい、先程からこちらを伺う者達が・・・どうします?殺しましょうか?」

 

 

そう、さっきからすごく邪魔だ。私の邪魔にならぬよう隠れてはいるが、おそらく魔法省から送られてきた魔法戦士だろう、以前よりも更に多い

 

 

(シリウス・ブラック対策か)

 

 

新聞の方・・・というよりは前世の記憶でも『アズカバンの囚人』は結構記憶に残ってる

家族のいないハリーにようやく名づけ親が見つかった。と思いきやそれはハリーの親を裏切った人殺しだというのだ。だがそれも全ては勘違い、実は無実でシリウスはハリーの家族を裏切っておらず、ひたすら10何年もの間自分を嵌めたピーターへの復習とハリーの安否。この二つの思いだけでディメンターがいるアズカバンで正気を保っていたというから驚きだ

 

 

「下手な隠れ方だ、逆に目立ってしょうがない。獣」

 

「はっ!」

 

「跳べ」

 

 

以前のように獣に抱えてもらって、いったん広い場所に運んでもらう。すると着いたとたん『姿現し』で大勢の魔法戦士__ついでにファッジまで着いて来た

 

 

「困ります陛下!!勝手に移動されては!」

 

 

ファッジが汗を浮かべて私に話しかけてくるが・・・コイツ何様だ?

 

 

「おい、まずは挨拶だろ。私が何者か知っての狼藉か?潰すぞキサマ」

 

「っ!?こ、これは失礼しました!!なにとぞ!お久しゅうございます陛下、拝謁の栄まことに感謝いたします」

 

 

そう言って周りの者も深々と頭を下げてくる。まったく、初めからそうしていればいいものを

 

 

「良い、許す。久しいなファッジ。で?何用か」

 

 

内容は私の考えた通りだった。初めは何とか脱獄という魔法省の失敗を隠そうと様々な理由を述べていたが、一睨みしていい加減にしろと一喝するとシリウス・ブラックのことをようやく話し出した

 

 

「あまり言いたくありませんが、今の魔法界は大変危険なのです!あの恐ろしいシリウス・ブラックが・・・例のあの人の右腕とまで言われた最悪の犯罪者がうろついているのです!」

 

「ふーん、あっそ。で?それの何が問題?」

 

「な!?」

 

 

そんなに驚くことか?シリウス・ブラックは無罪だと私は知ってるし、何よりこの私をキズつけるなど魔法使いには不可能なのに

 

 

「下げろ、邪魔だ。卿も知るとおり私には魔法が効かん。何より黄金の獣がいる。2年前もこの話はしたハズだが?」

 

「で、ですが・・・!」

 

「お引き取りをファッジ殿。黄金の君の散策を邪魔するなど不敬ですよ?」

 

 

獣がほんの僅かに殺気を放つも今回ばかりは引けぬとばかりにファッジ達は耐えた、以外とやるな

 

 

「~~っ!!今回ばかりは引けません!!御身にもし何かあれば我がイギリスは他国から何と言われるか!!」

 

 

(はーん、それが本音か。なるほど・・・私を前にそう言い切る度胸だけは評価しよう。だが__)

 

「知るか、それは貴国の責であって私には何も関係ない。そもそも脱獄囚たった一人にここまで騒ぐ脆弱性こそが問題だと同じ国を背負う立場から言わせてもらおう」

 

 

そもそも彼、ただの被害者だし。あーもう、うっとおしい。私に侍る資格も持たぬ連中が私の傍に近づくな

 

 

「邪魔だ、3分間待ってやる。私の前からさっさと失せろ」

 

 

 

__こうして冒頭に戻る。3分待つのはヒマだったから3分間クルクルと舞っていたら何故か全員倒れていた・・・恍惚とした表情で・・・

 

 

「おい獣、何故鼻を押さえてるんだ?」

 

「な、何でもありません」(黄金の君・・・何と愛らしいお姿だったのでしょうか!!)

 

 

 

ファッジはいつの間にかいなくなっていた。まぁあんな小者どうでもいいと放置しているとあの野郎ハリーを連れてきやがった

 

 

「はん、卿の手に負えなくなったら子供に縋るのか」

 

「ウィラ!失礼だよ!この人ファッジ大臣だよ!?」

 

「私は黄金の君だぞハリー、数か月ぶりだな」

 

 

止めてほしいとハリーを連れて来たのだろうが、もう終わったんだけどな

とにかく今だけはファッジのいう事を聞いてあげて!と憐れみの目でファッジを見ながら友達に懇願されては流石の私も「だが断る」とは言えない

 

 

「はぁ・・・分かったよ。どっちにしろもう国に帰る時間だったし」

 

「え、じゃあなんでこの人達を・・・」

 

「ん?ヒマつぶし。またホグワーツでゆっくり話そう。あぁそれとファッジ___アレは無実だ(・・・・・・)、調べ直せ」ボソ

 

 

 

ヒマつぶしと言った瞬間、絶句していたファッジにそう告げ今度こそダイアゴン横丁を後にする。確か夏休みの最後の日にロンとハーマイオニーも合流するみたいだし、私もまた来ようかな?

 

 

「黄金の君、なぜあのようなことを?あの者は・・・」

 

「どうせ調べ直すハズがない・・・だろ?分かった上で伝えたのさ。今ならまだ無能の烙印を押されないからな」

 

 

そう答えると獣が口元に手をあて考える仕草をする。ムカつくくらい似合うな~、流石ヴァンシエル陛下と同じ顔

 

 

「・・・なるほどそういうことですか、御身がシリウス・ブラックの無実を証明するのですね?」

 

「ほう?よく分かったな。しっかり私の考えを先読みできるようになったじゃないか」

 

 

だって証拠はロンの鼠だし、簡単に証明できる。それに__

 

 

「“聖28一族の王ブラック家”__冗談じゃない、我がエル・ドラド家を差し置いて何と厚顔なのだ」

 

 

別にハリーの為でもなんでもない、ただ許せないだけなのだ

民を導くつもりも無く、ただイタズラに王を名乗る不快な連中は・・・今までは監獄にいたから会うことはなかったが(何故私があんな汚い場所に行かねばならん。私が会いに行くのではなく、むこうから私に会いに来るのが普通だろ?)

 

 

「だから私の前に引きずり出し、当主として王号を返上してもらおう。魔法界の王族は我々のみで良い」

 

「私も御身のお考えに賛成です。では今年もウォーカーを?彼なら人海戦術で簡単に鼠もシリウスとやらも見つかりますし」

 

「分かってないな、これは遊びだ」

 

「と言われますと?」

 

「私の前にシリウスを跪かせることは確定だ、何故なら私がそれを望んでいるのだから。あとはどれくらいでその二つが見つかるか・・・」

 

「だから遊びと?」

 

「あぁ、折角だ。今年はアランとトグサを連れて行こう。アイツ等なら感は鋭いが探し物は下手クソだ」

 

「なるほど・・・確かに彼等なら御身も楽しんで見ることができるでしょう」

 

 

さて、これで今年の遊びも決まった。ディメンターはホグワーツに来た瞬間滅ぼすし、それ以外で私を害する者は無し。うん、今度こそ楽しい学校生活を送れるぞ!!(フラグじゃないからな!!)

 

(ルーピンも楽しみ!ディメンターを虐めるのも楽しみ!)

 

 

「では3年目のホグワーツも楽しませてもらおうか」

 




エルドラド王国に酔っぱらって突っ込んだ連中は今では忠実なウィラの臣民です
(メシはイギリスより美味い!街は綺麗!何よりイギリスよりメシが美味い!!)

さぁワームテールはウィラの魔の手から逃げ出すことが出来るのでしょうか!
そして殺害予告まで出されたディメンターの行く末は!?


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黄金とお茶会

今回は会話のみ、そしてハリー達は一切出ません!(これハリポタだよな?今更ですが)

それと文字数が結構少なかったので後書きにオマケがあります
ただ今までのウィラのイメージが完全にぶち壊れるのと元ネタが分からないと「どゆこと?」となると思います
それでもよければどうぞ(ホグワーツには次回行きます)



__クレーリア城とそう変わらない規模の城の中を我が物顔で歩く。途中何度か見た顔・・・我が国から王室に派遣した魔法戦士達が私に対し目礼してくる。うん、それでいい。この場で私に跪こうものなら即、私の隣にいる獣が殺しているだろう

彼等は今、私のモノではない・・・彼女のモノ(・・)

 

彼女が待つ部屋に着く、すると・・・

 

 

「恐れながら陛下・・・本物か身体検査を・・・っ!?」

 

 

部屋を守る二人のガードマンの内、一人が私にそう言った瞬間、私の後ろで控えている獣とトグサが常人なら耐えられない程の殺気を放つ。一人はその場で気絶するがもう一人・・・エルドラド王国の魔法戦士と見られる彼は額に汗を浮かべながらもしかと私達から目を離さない

 

 

「・・・ふむ、流石はニールが鍛え上げた猛者だけはあるか」

 

「お・・・それいります」

 

 

首を微かに傾ければ獣達が殺気を放つのを止める

この場にいないニールには私の騎士以外にもう一つ顔がある、剣術指南役だ。私も以前は彼に剣を学んでいた

エルドラド王国にニールを超える魔法戦士はおらず、近衛兵や魔法戦士となる者は全て、一度はニールから剣を学ぶ。まぁ大半は二度と使い物にならないが、それを乗り越えた者だけが私達エル・ドラド家の盾となることが許される(目の前の彼もまたその一人だろう)

 

 

「身体検査か・・・卿は主君の顔すら忘れたのか?」

 

「っ!そのようなことは!!」

 

「冗談だ。彼女が待っている。退け」

 

 

彼もまた務めを果たす我が益荒男。だが今は時間が無い、彼女は時間に煩いのだ(自分は守らないくせに)

 

 

私が一歩踏み出すと、獣が同時に扉を開け、うやうやしく頭を下げる

その先には___

 

 

「あら、遅いわよウィラちゃん」

 

 

彼女__イギリス女王エリザベスが椅子に座り、こちらに微笑んできた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「___そう、シリウス・ブラックは犯罪者ではないと。本当に魔法省は何をしてるのかしら」

 

「仕方ないさエリー、彼等には矜持が無い。あるのは自らの椅子を温めることだけ」

 

 

ホグワーツに行く前に恒例となったエリーとのお茶会を楽しむ

話題は今イギリスを震撼させている犯罪者シリウス・ブラックについて

 

 

「本当に無能ね、()が代わりに統治を任せている(・・・・・・・・)と思ってるのかしら」

 

「任せるからいけないんだ、全て貴女が治めればいいものを・・・モノグサするからこの有り様だ」

 

「そうは言うけどねぇ~、アチラにはかなり古い時期から統治させてあるし・・・面倒ね、貴方はどう思う?___アラン(・・・)

 

 

この席には獣ですら座ることが許されない。何故ならば他に座すのが私とエリー、つまり王だからだ。私達はこの場において同格としかお茶を飲まない

 

 

「んぐ、んぐ・・・ぶはぁ!うまい!!エリザベス、余の好みをようやく覚えたか!」

 

 

豪快にケーキを貪り、マナーなど知らんと言わんばかりにアランが紅茶を飲み干す。席は勿論私達と同じ___では何故アランのみが着く事を許されているのか?

答えは簡単だ、彼もまた私達と同じ()だから

 

 

「うふふ!相変わらず見ていて気持ちが良いわアラン!」

 

「そうか?おいアラン、もう少し落ち着いて飲め」

 

「そうは言うがな黄金の君ィ、狭い箱(車)に閉じ込められては腹が減るというものよ!ガハハ!!」

 

 

アラン・O___彼はとある種族の王だ、その種族は鬼人(オーガ)・・・しかもかつては我がエルドラド王国に戦争を仕掛けて来た張本人

40年前、父がまだ統治していた時に彼は一族を率いてケンカを売って来た。理由を聞いた所「ただ強い連中と殺し合いがしたかった」と言う呆れる以外何も出来ない答えが返って来た

第二次世界大戦のキズがまだ完全に癒えていない時に鬼人(オーガ)という上位種との戦争、そのせいで我が国では死者が多発し魔法使いも激減・・・更には父の円卓が防波堤としてシャドウを除く全員が戦死

何とかアランを捕らえたは良いがどんな兵器でも殺せず(流石に核を個人に撃ちこむわけにいかない、何より国際社会からの非難があった)当時全盛期であった父上の魔法ですらこの鬼人の王を殺せず、仕方無く城の最下層に特注の鎖を用い、他に生き残っていた鬼人と共に封印していた

 

だからこそ私は求めた。と言うか王位を継いで父からアランの話を聞いた時、ハラワタが煮えくり返ったのだ。「私の臣民をよくも害したものだ」と

だが初めてあった時のコイツと来たら

 

 

 

__ほう!ジブニールの奴め、ようやく種を残したか!!ガハハ!娘よ、キサマは良き父君をお持ちだ!しかと孝行せよ

 

 

それはとても負けた者の吐く言葉ではなく、一人の友を自慢気に語るようだった

後で父に聞くと何でも父とアランは40年という長い時の中で互いに友情を持ったらしい。アランは自らを負かした一人の英雄に、父は尊大な態度を崩さぬ一人の男に

だから私も足を運んではアランと話すようになった、彼はとてもエルドラド王国に牙を剥いたとは思えない程、話していて気持ちが良い男だった

「敗者は勝者を讃えねばならない」「ゆえに余はただ座すのみ」__簡単に言えばアランはただひたすら弱肉強食を是とする王だった

 

ゆえに欲しくなった、何よりたった一言が気に入った

 

 

 

__もし今この瞬間この鎖が千切れたら?ガハハ!!なぁに、再び我が軍勢をエルドラドに解き放つだけよ!!余が負けたのはジブニールだ、キサマでは無い!!

 

 

その言葉に呼応するかのように同じく牢に繋がれた鬼人共が活声を上げた、彼等は負けてもアランを王と敬っていたのだ

 

 

「ねぇアラン、イギリスに来なさいな。貴方に相応しい戦場を私が用意してあげる!幸い、最近調子こいてる子供(アメリカ)がいることだし」

 

「あ~・・・スマンがエリザベス、それだけは出来ん。余は黄金の君と盟約を交わしたのだ。それだけは断じて破れん」

 

 

だから解き放ち、鬼人連中の前でアランを塵芥と断じ、跪かせ、その尊大な頭を踏みつけて地面の味を教えてやった。私に逆らうことがどれほど無謀かその身に刻み込んでやった

 

 

「あら、それは魔術的な約束かしら?それとも・・・」

 

「口約束だよエリー。アラン、私はいつでもいいぞ?」

 

 

アランは強かった。肉体もその剛腕も、だがもっとも強いのはその心だと私は思う。でなければあんなこと言えない

 

 

__ゴフっ、・・・ハ、ハハ・・・ガハハハ!!良い!実に良い!!決めたぞ頂に立つ黄金よ!!余は必ず其方にもう一度挑もう!!其方と再び相まみえるまで、余は其方の忠実なる家臣となることをここに誓おう!!

 

 

そう、コイツは必ず私を裏切ると言いながらも私に忠を誓ったのだ、これほど剛毅で大胆な裏切り宣告・・・とてつもなく面白い(馬鹿)じゃないか!

 

 

「黄金の君、今はまだ時ではない。余には分かるのだ!もうしばし待たれよ」

 

「良い、許す。存分に挑み、そして散れ」

 

 

エリーな何のことか分からず面白くなさそうにしているが、話す気など無い。誓いとはそう簡単に口にするものではないからな

それはアランも分かっているのだろう。ばつが悪そうにエリーを見ているが話す気は一切ないようだ・・・時間だな

 

 

「あら、もう行くの?遅刻したっていいじゃない」

 

「時間に煩いお前が言うか、自分は遅刻されたら怒るくせに」

 

「暴君だから私♪今年のクリスマスは顔を出してねウィラちゃん♪」

 

「たまにはお前が来い。ではなエリー、紅茶ご馳走様」

 

 

 

 

 

 

 

 

車に乗ると同時に運転手が発進させる

 

 

「__ふぃー、アランの旦那ぁ、良くあんな怪物とお喋りできるっスね」

 

「ガハハ!!余だからな!」

 

「全くです。恐れながら雰囲気のみなら黄金の君以上ですからね」

 

「悔しいことにな、王として君臨している期間なら彼女の上はいない」

 

 

彼女はまちがいなく怪物だ。こんな人外連中と護衛も付けず話せる胆力(まぁ私が手出しさせないと分かっているからだろうが・・・表のイギリス(・・・・・・)とだけはマジで戦り合いたくない)

だがそれは向こうも同じだ、この私を敵に回したくない。だからこそお互い100年の不可侵条約を結んだのだから(ただしスパイはいくらでも送るがな!)

 

 

「しかしトグサ、良く我慢できたな。卿ならば「王族を斬る感触ってどんなだ?」とか言って斬りかかると踏んでいたのに」

 

「あ、やっぱ分かります?」

 

「当然だろ?卿は我が刃、所有物の考えくらい手に取るように分かる」

 

 

エルドラド王国最強の魔法戦士は間違いなくニールだ。だが・・・この目の前に座る日本人、トグサ・ナカガワは__世界最強の狂人だ

 

 

「殺そうとしたんですけどねぇ~、やっぱあの婆さん化け物だわ。斬りかかろうとした瞬間だけ気を向けてきやがって・・・やりにくいったらしょうがねぇ・・・」

 

 

トグサの言葉に獣とアランが目を見開いている

 

 

「それは・・・本当ですか?貴方がやりにくいなど・・・」

 

「むぅ・・・流石と言うべきか」

 

「驚くことか?相手は海千山千、正真正銘の怪物だぞ?」

 

 

 

話しをしていると運転手から、もうじきキングス・クロス駅につくと連絡があった

 

 

「まぁいい、切り替えろ。特に馬鹿コンビ、命令だ。私の許しがない限り絶対に暴れるな」

 

「陛下ぁ、そりゃ暴れんなよ?絶対に暴れんなよ!?ってフリ・・・」

 

「なわけねぇだろ!?ヴァカめ!!お前等はホントシャレにならん!!」

 

「ご安心を黄金の君、私が殺してでも止めますから」

 

 

獣の言葉を聞いて取りあえず任せたと窓の外を見る、ったく、何でホグワーツに着く前から疲れねばならんのだ!?

 

頬杖をつきながら窓の外を眺めていると・・・見えたな

 

 

「では・・・まずは害虫駆除(・・・・)といこうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__ウィラ達が帰り、今も椅子に座り優雅にエリザベスは紅茶を口に含む

 

 

「はぁー・・・疲れた・・・何アレ?私が誰だか分かってたのかしら」

 

 

そう言う彼女のカップはソーサーに置いた時カタカタと音を立てた

彼女は立つ気が無かったのではない・・・立てなかったのだ

 

 

「あの子も馬鹿ね~、あんな破綻者(トンチキ)を円卓に加えるなんて」

 

 

まるで強がるかのように目を細め、先程の攻防を思い返す。あれほどの死闘はいつ以来だろうか、確かに互いに剣も手も出していない。だがアレは確かに死闘だった

 

 

(あの子このままホグワーツに行くのよね?うーん、どうしよっか。伝えるべきか伝えないべきか・・・)

 

 

悩み、そして決めた

 

 

「まぁいっか、我が民ならばあの程度どうにかしなさいな」

 

 

これがエリザベスとウィラの違い。ウィラは自らの庇護下の者を絶対に見捨てず、エリザベスは自力で何とかしてこそ自らの庇護下に入る資格があるとあえて試練を与える

 

どちらも正しく、どちらも間違っている・・・だが彼女達がそれを議論することも考えることも無い。何故なら彼女達は王なのだから、だからエリザベスはホグワーツに彼等が行くことを伝えるのを止めた。それに偉大な魔法使いとやらならその程度の情報掴んでいるだろうと

 

 

(さーて、次は何して遊ぼうかな?)

 

 

席を立ち、次のヒマつぶしの相手を探し始めるエリザベス。先程まで彼女が座っていた席には一枚の紙が置かれていた。ウィラ達が来る直前まで読み、そして隠した物だった、そこには___

 

 

 

トグサ・ナカガワ___史上最も魔法使いを殺害した非魔法族(マグル)___と書かれていた

 




今回短かったのでオマケ


~もしもウィラのイメージがラインハルト卿ではなく(∴)第六天波旬だったら~


とある国、とある王室に世継ぎが生まれた
 
助産師が腕に抱いたモノを自らの主君にそっと渡す
王はそれを優しく壊れ物を扱うかのように受け取り愛しい王妃の下へと行く
 
「__よくぞ生まれてくれた、王妃よ・・・よくぞ頑張ってくれた」
 
「えぇ・・・私達の赤ちゃん、さぁアナタ・・・私にも見せて?」
 

赤子をそっと妻の横に置く。だが王__ジブニールは一つ不安に思うことがあった


赤子は一切泣いていなかったのだ
だが微かに胸の動きで呼吸をしていることはすでに確認していた為、妻に渡した

そして妃、オレンシアがその赤ん坊を受け取った瞬間___クパァっと額が裂け、3つ目の瞳がオレンシアを見つめた





__・・・生まれた瞬間まず感じたのは不快感__何かが()に触れている
あぁ臭い臭い臭い臭い臭い臭い!何故生んだ、何故生まれた、何故()を一人にしてくれない!?
目を開くと()が見て来た・・・何だこれ
横を見ると()が化け物を見る目で見て来た・・・うっとおしいぞ

__塵が塵が塵が塵が塵が塵が!!目に映るだけでは足りぬ程の(ゴミ)()周り(世界)に溢れていた、目の前の()だけではない、何かが()に触っている、常に離れること無くへばりついている。あぁ何故だ、何故邪魔をする?()の平穏を穢すな




それはあり得ないことだった、赤子が生まれた瞬間からものを考え思考しているのだから
だがそれの思い(渇望)は止まらない




__触れている?目の前の()だけではない。何が?どいつが?潰さないといけない、お前等決して()に関わろうとするんじゃない

しばし思考、そして見つける。この世界の神、生みの親である作者(・・)

__こいつだ、こいつが()に触れている・・・こいつ(作者)さえいなければ()はこんな文字だらけの小説とやらで、読者様()の目に晒されなかった

生まれたばかりのそれは不快感を消し去る為、まだ出来上がっていない声帯から生まれて初めての産声(渇望)を上げる




『____滅尽滅相』



生まれたばかりの首も据わっていない身体から流れ出るは自己愛、自己愛__自分独りで全てはこと足りると、どこまでも稚拙の極みにして汚濁と化した自己愛

渇望はどこまでも広がる、まるで無限、無量大数の如く世界を瞬時に包み込んだ

それは彼女が望んだ世界だった。()にも触れら(抱か)れない、()にも喋りかけられ(関わることも)ない、誰にも愛してもらえない(あぁこれで独りになれた)

こうして世界は滅び、『ハリー・ポッター』という子供も息絶え、世界でも有数の児童小説は無くなった




はい、と言うことでウィラの元ネタが波旬の場合、第一話で終了となります
(良く分からない方は『神咒神威神楽』の第六天波旬と調べてもらえれば分かります、かなり色々な意味でスゴイです)

それと読者様は神様です(迫真)いつも本当にありがとうございます!


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黄金と吸魂鬼

ウィラ「吸魂鬼―!サッカーしようぜ!ボールお前な!」

吸魂鬼「!?」

イギリス魔法省「止めてぇぇええ!!」



アズカバン始まります



ホグワーツ特急に乗り込んで適当なコンパートメントに座る、ハリー達やドラコを探そうとも思ったのだが・・・

 

 

「おう、何だこの狭い部屋は!余が使ってやると言うのに何たる怠惰!黄金の君も良く我慢できるものだ」

 

「そりゃ旦那がデカすぎんスよ、どうすか?俺が軽く胴体斬って縮ませて・・・」

 

「だぁもう!煩い!!アランは我慢しろ!そしてトグサはどんだけ斬りたいんだよ!?てか死ぬわ!!」

 

 

こんな連中、生徒と一緒にできるか!!(マジ人選ミスったな、これだから馬鹿コンビは)

 

特にアランは声がデカい、コンパートメントに『防音呪文』をかけ、私自身にも『耳栓呪文』(アランの声のみ)をかけても普通に聴こえやがる・・・

 

 

「まぁアラン殿ですから」

 

「当たり前に私の心を読むな、まったく・・・おい獣、尻尾出せ。少し寝る」

 

 

獣が尻尾を私に差し出し、ついでに『拡張呪文』をコンパートメントにかけてやる。これで少しは静かになるだろ

 

 

「おぉ!ありがたい黄金の君!よし、では子守歌代わりに余のこれまでの略奪の限りをお聞かせ・・・」

 

「いるか馬鹿!!少し黙ってろ!『シレンシオ(黙れ)!!』」ヒュオ!

 

 

モガモガと口を動かすアランを見て、トグサが爆笑した。なのでこの馬鹿にも『シレンシオ』をかける

今日の私は寝不足なのだ。ホグワーツに行くのは楽しいが、それまでが色々やることが増えるから困る

 

仕方ないから黙ってやるとでも言わんばかりの仕草をする二人にイラっとしながら私は瞼を閉じ、眠りについた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__ハリー達が談笑していると、急に汽車の速度が落ち始めた。ハーマイオニーが時計を確認するも到着まではまだ早い

それに続くように雨足も更に激しくなる。汽車が停止する頃には外が完全に見えなくなっていた

 

 

「どうして止まったんだろう?何かあったのかな・・・先頭車両行ってみる?」

 

「うーん、止めときましょ?きっと上級生が見に行ってると思うわ」

 

「てかこの人こんな状況でも起きないや、こんなのが今年の『防衛術』の教師?絶対ウィラの方がいいのに」

 

「そんな事言っちゃ駄目よロン。ダンブルドア先生がウィラの代わりに連れて来た人よ?きっと凄い先生だわ!」

 

「この前聞くの忘れてたけど、何でウィラ続けなかったんだろ?人気あったのに」

 

「手紙で聞いたら学生生活を楽しみたいそうよ?先生だと偉そうにしてるのが普段から変わらないから面白味がないらしいわ」

 

「うへぇ、ウィラらしいや!・・・まだ動かないのかな?」

 

 

ロンの言う通り汽車は動く気配すらない。それどころか至る所から悲鳴が聞こえ出し、窓に付いた水滴がパキパキと凍り出した

ただ事では無いとハリー達が身構えると__それは現れた

 

その姿は影のように揺らめき、身体はボロボロのローブのようなものをすっぽりと頭まで被り、顔は一切見えない。だがソレの姿は間違いなく人間ではなかった

 

見ているだけで体温が急激に下がるのをハリー達は感じた、カチカチと歯が音を立てるのを止められない

 

するとガラガラと不快な音をソレは出し始めた。その音を聞いた瞬間ハリーが突如、痙攣と共に床に倒れ伏した

ハリーに声をかけようにも目の前の謎の生き物からロンとハーマイオニーは目を離せなかった、すると今まで寝ていた男性が跳び起きるようにソレに杖を差し出し

 

 

「ここにはシリウス・ブラックをマントの下に匿っている者などいない、去れ」

 

 

男性、リーマス・ルーピンがそう言うも謎の生き物・・・吸魂鬼(ディメンター)はその言葉に従う様子も見せず、先程のようにガラガラと音を出そうとすると

 

 

「『エクスペクト・パトローナム』」

 

 

ルーピンがそれより早く『守護霊の呪文』を唱え吹き飛ばす____かのように見えた

いや、実際吹き飛んだのだ。だが飛ばされた先が悪かった

突如、吸魂鬼の先にあるコンパートメントから、ぶっとい腕が伸び、吸魂鬼を掴んだのだ

 

あまりの光景にリーマスさえもポカーンと見ていると、バキバキとコンパートメントの壁が破壊され__

 

 

「ふぁ~、まぁまぁ寝たな・・・」

 

 

茶褐色の肌を持つ大男の後ろからウィラが寝ぼけ眼で出て来た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__気温が急激に下がり出し、パキパキと窓が凍り始める

すると寒いのだろうか、ウィラが獣の尻尾に(くる)まるようにその身を縮こませる____ゆえに彼等はキレた(・・・)

 

 

「・・・アラン、トグサ」

 

「分かっておる獣殿・・・ふんぬッ!!」

 

 

席に座ったまま壁を睨み、アランがその剛腕を振るう。すると菓子でできているかのように頑丈な壁が突き破られ、ナニかを掴んだ

 

 

「__ん・・・何だ、煩いぞ・・・」

 

 

ウィラが寝ぼけ眼をこすりながら身を起こす。目が痛まぬよう、そっと獣がその手を優しく掴む

 

 

「失礼ながら陛下、起きられてください。御身に危険が迫っております」

 

 

普段のひょうひょうとした態度がナリを潜め、渡草が真剣な顔で刀の柄に手を伸ばし、いつでも抜けるよう構える

だがウィラは欠伸をしながら渡草の言っていることなど知らんというようにコンパートメントから出て

 

 

「ふぁ~、まぁまぁ寝たな___ん?ロンとハーマイオニー?何だ、近かったのか」

 

 

まるで何も起こっていないかのようにロン達に手を振る。その間もアランはその手に吸魂鬼を掴み、吸魂鬼はジタバタと暴れている

ようやくソレに気づいたかのように、チラリと視線に入れるやいなや__

 

 

「いつまでそんな汚物を掴んでいるつもりだアラン?さっさと殺せ(・・)

 

 

 

ロン達、とくにルーピンは彼女は何を言ってるんだと耳を疑う。吸魂鬼は殺せない、これは魔法界の常識であり吸魂鬼に対しできることと言えば『守護霊呪文』で追い払うことだけ

 

 

「御意」

 

 

だがその常識はたった今、覆された。グシャリ__と何かが潰れる音と共に吸魂鬼の首と見られる箇所が握り潰され、ドサリとその場で崩れ落ちる

 

 

「(スンスン)黄金の君、2時の方向からもう1匹」

 

「トグサ」

 

「御意」

 

 

ウィラの言葉に渡草が前へ出る。と共にガラガラと音を立てながら吸魂鬼がまるで仲間の死に怒るかのように渡草の魂を、深層意識の恐怖を呼び起こそうとする

 

だが相手が悪かった、ソレに恐怖など無い。あるのはただひたすらに斬ると言う常人では理解できない程の渇望

ゆえに嗤う。嬉しそうに、まるで生まれて初めてその感情を知ったかのように

 

 

「ひゃ・・・ヒャハハハハ!!あぁそうか、これが恐怖か!!良いなお前・・・なぁ・・・」

 

 

ズイっと鼻先が付きそうな程まで距離を詰め__

 

 

「お前はどんな切れ味がするんだ?」__チャキ

 

 

舌なめずりをしながら渡草が問いを投げかけた瞬間にはすでに吸魂鬼は塵と化していた。まるで初めからそこにはズタボロの布きれしかなかったかのように

 

 

「あぁ・・・ヤベェ・・・超気持ちいぃ」

 

「相変わらず変態だなお前。獣、他には?」

 

「いますがこの汽車から離れて行っております。全て殺して来ましょうか?」

 

「いや、いい」ヒュオ!

 

 

黄金の獣に断りをいれながらウィラが杖を振るい、『黄金の領域』を汽車の周り、更に上からもう一つ『黄金の領域』を展開する。汽車から離れようとしていた吸魂鬼は結界の狭間に閉じ込められた形となった

 

 

「私の眠りを妨げたんだ・・・手ずから殺してやろう」

 

 

杖の照準を吸魂鬼の群れに合わせ、放つは魔法界最強にしてウィラ個人最大の消滅呪文

だがそれは放たれることはなかった

 

 

「死ね、Dies ir・・・「待った!待ってくれ!!」・・・何だ一体」

 

 

杖先に込められた尋常ではない魔力の量に気圧されながらもルーピンがウィラを止めに入る

 

 

「もう充分だろう?それ以上は魔法省が黙っていないよウィラトリア陛下」

 

「それは私が決める、そんなことより・・・」

 

 

ヒュっと黄金の獣と渡草が互いに剣と刀をルーピンの首元に突きつけていた

 

 

「黄金の君に意見など・・・」

 

「あぁ、死にてぇのかお前?じゃあ死ねや」

 

「待て、卿等の怒りはもっとも。しかし彼は今年から教師なのだ、だろ?」

 

「っ・・・!あぁ、リーマス・ルーピンだ。頼むから彼等を下げてくれないかい?」

 

「それはキサマ次第だな、先程言った通りお前は教師で私は生徒。だが・・・まだであろう?ならば礼儀を弁えろ」

 

「・・・拝謁の栄感謝いたします陛下、御身の怒りごもっとも・・・しかしアレ等はアズカバンにて必要な存在なのです。どうか怒りを静めていただきたい」

 

「まぁよかろう、下がれ」

 

「「はっ!」」__チャキ

 

「だが抗議はさせてもらうぞ?この私に穢らわしい者を近づけたのだからな」

 

「分かりました・・・」

 

 

 

 

 

 

結界を解くと汽車が動き始めた

取りあえずハリー達の様子を見ると、ロンとハー子の顔は青褪め、ハリーは今ようやく起きたようで私の顔を見るや驚いていた(失礼な)

 

ハリーが席に着いたので私も相席させてもらう。するとルーピンがカバンから板チョコを取り出し、配りだした

 

 

「ウィラトリア陛下には・・・必要ですか?」

 

「敬語はいい、先程は寝起きで機嫌が悪かったんですよ先生(・・)

 

 

受け取りながらそう返す・・・うん、偶には安いチョコも美味しいな

ハリー達もチョコを食べ、少し顔色が戻って来た

 

 

「アレは何だったんですか?」

 

 

額を押さえながらハリーがルーピンに問う

 

 

「ディメンター、吸魂鬼だ。あれはアズカバンの看守のものだろう」

 

 

続けてルーピンが吸魂鬼の説明をする。アレ等は“アズカバン”の看守であり、人の幸福感や生命力を吸い取る事もある非常に恐ろしい存在だとか。心底どうでもいい、所詮はクソに集るハエと変わらん存在など

 

 

「あれが・・・吸魂鬼・・・」

 

「あぁそうさ、アレ等は滅ぼすことなど不可能・・・のハズなんだけどね」

 

 

ルーピンがそこで区切ると私を見て来た、それにつられハリー達も私に視線を向ける

 

 

「教えてほしいウィラトリア陛下、何故彼等は吸魂鬼を殺せるんだい?それともこれも貴女の力かな?」

 

「私は何もしてないよ、剣や刀もただ特殊な錬成で精製された黄金で出来ているだけ」

 

「では何故・・・」

 

 

口元に手をやるルーピンは、ごく普通に知りたいだけのようだ。臨機応変に私への態度を変える所といい中々優秀だな

答え合わせの為、アランとトグサをコンパートメントに入れてやる。彼ならアランの正体も分かることだろう

 

 

「大柄な体格に茶褐色の肌・・・まさか!?鬼人か!?」

 

「ほう、余の正体を見破るとは・・・混ざりもの(・・・・・)にしてはやるではないか!」

 

「ちょっと待って!ウィラ!?それ本当なの!?」

 

 

ハー子が驚いて聞いて来る。ロンとルーピンも同じな所を見るとアレは知れ渡っているのか

 

 

「ハーマイオニー、何驚いてるの?」

 

「ハリー!君知らないのかい!?“エルドラド王国に唯一土を付けた種族”!!40年前エルドラド王国に滅ぼされた種族だよ!!」

 

「それだけじゃないわ!“鬼人は亜人の中でも最も力が強く、中でも王と言われる存在は山をも動かせる”って本に書いてあったわ!」

 

「よく知ってるね、でもハリー、彼女達の言う通りだ。・・・もう存在しないものとばかり」

 

「失敬な奴等だなぁ、こうして余も兵も生きておるわ!たわけが!!」

 

「そして私達に戦いを挑んだ張本人がコイツだ。ハーマイオニーが言った伝説の鬼人の王がアランだ」

 

「・・・なるほど、アラン殿は納得した。だが・・・彼は人間だろう?」

 

「俺かい?自己紹介が遅れたな、渡草だ」

 

「アジア系?響きからしてジャパン・・・妖怪?」

 

 

思わず私もトグサもズッコケた、その考えはなかったな~

 

 

「失礼な奴だ、俺は人間だぞ!?」

 

「だが君は吸魂鬼の影響を受けていなかったろう?ウィラトリア陛下ならまだ納得できる、だが・・・」

 

「はっ!くだらねぇ。人間に限界なんてねぇのさ、本気を出せよ本気を。そうすりゃ魔法使いだろうが化けモンだろうがドラゴンだろうが簡単に殺せる」

 

(いや、それで通用するのお前だけだから。マグルが魔法を・・・それもナマクラで普通に斬った時はマジ焦ったぞ!?)

 

 

 

車掌と少し話してくると言い、ルーピンが出て行った。私も着替える為いったん元のコンパートメントに戻った

 

(アレがリーマス・ルーピンか、『守護霊呪文』といい、結構優秀だし今年は本当に楽しみだ!)

 

 

 

ホグズミート駅に到着し、ホグワーツの敷地に入ろうとした瞬間

 

 

「__?何だコレ?陛下ぁ、何か俺、入れねぇですけど」

 

「“マグル避けの呪文”だトグサ、そういえば卿はマグルであったな__斬れ」

 

「あいあーい」

 

 

ズパァ!__と何かが切り裂かれた音が聴こえ、ホグワーツ周辺を覆っていた結界全て(・・・・)が切り裂かれ・・・って

 

 

「おまっ!誰が全部斬れと言った!?普通“マグル避け”だけだろう!?」

 

「俺が悪いわけじゃないッスよ?脆弱な結界が悪いです」

 

(~っ!これだから破綻者(トンチキ)は!!)

 

 

今のままでは衛星からでもホグワーツが見えてしまうので、代わりに私が“マグル避け”を張ろうとすると__自己防衛機能だろうか、再び結界が作動するのが見て取れた

 

 

「・・・チッ、人が折角気持ち良く斬ったってのに、無粋な」

 

「馬鹿言ってないでさっさと敷地に入らんか!!」

 

 

幾人かが結界が消えたことに驚き騒いでいたが、ハグリッドが迎えに来て急々とホグワーツに向かっていったので私も着いて行く

 

途中、ホグワーツに着いたとたん、ハリー達がマクゴガナルに保健室に連れて行かれた。私の方を見てきたが・・・まぁさっきの事だろうな

 

 

一応目礼を送り、私は大広間に入る。すると大勢の生徒が私に視線を向けるのだが・・・いい加減慣れてくれても良いじゃないか、私も生徒なのだぞ?

するとツカツカと、てんてー(今日も素晴らしいワカメっぷりです!!)が早歩きで私の下へ来た

 

 

「お久しぶりです先生(てんてー)、私に何か用ですか?」

 

「・・・ありすぎて何から言ったら良いものやら・・・始業式が終わったら校長室へ行けミス・エル・ドラド」

 

 

それだけ言い残し、再び来た道を戻っていく。もう少してんてーとお話ししたかったのに・・・

 

取りあえず私も去年と同じように教職員席に座り、おとなしく組み分けが始まるのを待つことにした

 

 

組み分け帽子が去年とは少し違う歌を歌い、『組み分け』が始まった。それにしても10代目黄金も面白い物を作ったものだ、我々エル・ドラド家に伝わる彼の文献とはだいぶ人物像が違うように感じるな

10代目黄金、二人目の偉大なる黄金、カール・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア。魔法界では父だのなんだの言われているが・・・私達エル・ドラド家から言わせれば彼は・・・裏切り者(・・・・)

 

 

ぼぅっと考え事をしていると組み分けが終わり、ダンブルドアが立ち上がり前へ出た

 

 

「新学期おめでとう! 皆にいくつかお知らせがある。1つはとても深刻な問題じゃから、皆がご馳走でぼぅっとなる前に片付けてしまうほうがよかろう」

 

 

内容はホグワーツ特急でのこと、ホグワーツが一時的に吸魂鬼を受け入れていること、そしてそれは魔法省からの要望だと私を見ながら言ってきやがった(分かってるっての)

 

 

「吸魂鬼たちは学校への入り口という入り口を固めておる。あの者たちがここにいる限り、はっきり言っておくが誰も許可なしに学校を離れてはならんぞ。吸魂鬼は悪戯や変装に引っかかるような代物ではない。透明マントでさえ無駄じゃ。姿現しでもしたら外に出ることは可能じゃろう。だが、ホグワーツでは姿現しは出来んようわしが呪文をかけておる」

 

 

ダンブルドアがハリーや双子をしっかり見据えながらそう言う。だが生徒達の視線は私に集中しており、ダンブルドアもまた私の方を見て来た

 

 

「先に一年生の為に言っておくが、彼女は皆も知っておる通り、彼のエルドラド王国第79代国王、ウィラ殿じゃ」

 

 

紹介されたので立ち上がり、軽く見渡して席に戻る。何人かの生徒がヒソヒソと話しているが・・・まぁこれも汽車でのことだろう

 

 

「言い訳やお願いを聞いてもらおうとしても、吸魂鬼は聞く耳を持たん。それじゃから一人ひとりに注意しておくのじゃ。あの者たちが皆に危害を加える口実を与えるでないぞ。絶対に自分から近づいて行ってはいかん。例えどれだけ嫌っていてもじゃ、アレ等は一応イギリスの所有物じゃからのう」

 

(この野郎・・・完全に私のみに向けての言葉だよな!?ルーピンの奴め、さては話したな?あんなのに頼るから最後の方で裏切られるんだよ)

 

 

手をヒラヒラと煽り、早く話を進めろと促す

ダンブルドアがそれを見て、楽しい話に移ろうと話題を変える

 

 

「今学期から新任の先生を2人もお迎えすることとなった。まず、ルーピン先生。有り難いことに空席になっている闇の魔術に対する防衛術の担当を引き受けてくださった」

 

 

すると至る所から「えぇー」と声が上がった、中には私に続けてやってほしいという声まで上がり、ルーピンは少し苦笑いをしていた

 

 

「皆の意見はもっともじゃ、確かにウィラ殿の授業は儂から見ても素晴らしいものじゃった!じゃが彼女もまた皆と同じ生徒、何より去年しかしないとウィラ殿に断言されたからのう」

 

 

それでも軽いブーイングが起こる、仕方ないな

 

 

「彼の腕は私が保証しよう、汽車で吸魂鬼を追い払うのに彼も一躍担った。何より私はまだ卿等と同じ子供、教えを乞う立場なのだ。ゆえに納得してほしい。なぁに、極東には『三度目の正直』というコトワザがある。校長も3年連続で変な者をいれるわけがなかろう?」

 

 

お返しとばかりにダンブルドアを見ながらルーピンを援護する。ダンブルドアは少し苦虫を潰したような顔をしたが、パチパチとまばらな拍手が起こりルーピンは受け入れられたようだ。まぁこれからではあるが、彼が優秀なのは本当だ。もしかしたら『ハリポタシリーズ』の防衛術の教師で一番なのではなかろうか?(あ、てんてーもそういや防衛術の教師やったんだっけ?じゃあてんてーが一番です!!)

 

そのてんてーもまた、気に食わないという顔でリーマスを睨んでいた。うん・・・流石にこれは彼等の問題だ、私が変に間に入ることもないだろう

 

 

そしてもう一人の新任教師はハグリッドだった。魔法生物飼育学の担当であったケトルバーン先生が引退した後を継いだ形らしい

前世の知識で知ってはいたが、つい嬉しくて大きな拍手を贈ってしまう。グリフィンドールや他の寮(スリザリン以外)からも盛大な拍手が彼に贈られた

 

(でも何人か顔色が悪かったけど、何でだろ?教科書も名前は『怪物の本』と仰々しかったがごく普通の教科書(・・・・・・・・)だったじゃないか)

 

 

 

そこで話が終わり、食事の時間となった。後ろでアランが欲しそうに見つめて来るのが少しうっとおしかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「説明してもらうぞウィラ殿」

 

 

食事を終え、てんてーに言われた通り校長室に入るとこの一言。相変わらず礼儀をしらないクソジジィだ

 

 

「さて、どれのことかなダンブルドア?絶滅したハズの鬼人の王か?吸魂鬼を殺したことか?それとも・・・何故マグルがここにいるのか・・・かな?」

 

「一つ抜けておる。何故先程“マグル避け”だけでなく全ての防衛結界を破壊したのじゃ?咄嗟に自動修復をかけねば様々な弊害が生まれておった所じゃったぞ」

 

 

(あぁそれか、私じゃないのに・・・何だ、何か変なことがあったら全部私の所為か?あぁん?)

 

 

取りあえず全部まとめて説明することにした、途中トグサが結界を斬ったと説明すると信じられない顔でダンブルドアがトグサを見ていた

 

 

「・・・まさか、トグサ殿の席次は・・・」

 

「あぁ?第4席次だ。何だ?アルヴィーの姉さんより、ドラゴンより人間が強くちゃいけねぇのか?」

 

「じゃが・・・いや、リーマスの言っておったことはホントじゃったのか」

 

 

少し考えるそぶりをするダンブルドア、そういえば私もアレの件を聞かねば

 

 

「ダンブルドア、約束を覚えているか?」

 

「__?約束とな?」

 

「『私はあの呪文(・・・・)をホグワーツでは使わない、ただし吸魂鬼等がホグワーツに入ってこない限り』__2年前私はそう言ったハズだが?」

 

「う・・・む、覚えておる。じゃが・・・あり得んよ、アレ等には決してホグワーツに入らぬよう、儂も魔法省も言っておるからな」

 

「くはは!卿等風情があり得んとは!良いな、これで今年の楽しみが一つ増えた」

 

 

少しズルだが、私はアレ等が必ずホグワーツに入って来ることを知っている

 

 

「分かってはいる。だが念のため確認したい。ダンブルドア、この私がいる汽車に吸魂鬼などと言うクソを解き放ったのは・・・」

 

「儂では無い、今回の件は儂も全てに反対したのじゃ。それもこれも全て・・・」

 

(おや?シリウス・ブラックの真実を知らないのかな?)

「部屋に戻る前に二つヒントをやろう。お前の知る真実こそが正しいとは限らん、それと太ったハゲ鼠をさっさと捕まえることだ。でなければイギリスの信頼が落ちることになるぞ?」

 

「どういうことじゃ・・・?」

 

「くはは、教えを乞うだけでは人は成長せん。ハリーに問いを投げかける前に卿も今一度悩み、苦悩してみるといい」

 

 

最後にそう言い放ち、私は久方ぶりのホグワーツの自室へと戻って行った

 

 




「なぁ先生、俺、先生の国行ってみたい!」

「いやはやゴドリック、すまないがそれはできんのだよ。私は彼等からすれば裏切り者だ」

「それは・・・何故ですか?」

「おぉ、賢き姫君、ロウェナ。お前でも分からないのかね?私は自ら家族と国を捨て、妹に何の説明も無く王位を継がせ、そして自分はこうして好き勝手にしている」

「・・・もしかしてそれは・・・っ!」

「違うと断言しよう。サラザール、我が愛弟子よ。以前言ったろう?視てしまった、視えてしまった・・・私はこうするしかなかったのだよ。ゆえに私の決定は正しいと言わせてもらおう」

「むに、相変わらず先生の言いたいことよく分からない。舞台役者みたいな言い回しして」

「はは、面白い例えだねヘルガ。まぁ、確かに世界とは一つの舞台とも言えるが」


__あぁ、だからこそ待ってほしい我が女神。私はそう願うことしかできないのだから

(何度も繰り返した、まるで永劫の如くに・・・だが、それも終わりが見えて来た)


「はてさて・・・」


__この世界は当たりかな?ハズレかな?


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黄金と不吉な預言

ちょうどいい所で区切ろうとしたら9000文字超えに・・・orz

それと今回の終盤から数話程シリアスな展開に入ります
(それと同時に某コズミック変質者もどきも頑張ります)



__黄金の獣の朝は早い。誰よりも早く起き、主を起こすまでの間に自らの支度と彼女が読む新聞のアイロンがけを行うのだ

それが終われば風呂を沸かし、紅茶の準備をする。そしてようやく彼女が眠る『黄金の間』へと赴く

毎度のことながら緊張すると黄金の獣は思う。あの方に侍る者として身だしなみはキチンとしているだろうか?しっかりと人化の術はできているだろうか?犬臭くないだろうか?等々__30分程時間をかけ、ここでようやく断りをいれると共に部屋に入室する

 

キングサイズの天蓋付きベッドの中央に彼女はいた

布団を蹴飛ばし、大の字で寝る様は子供らしくて愛くるしい。だがその身は幼さの残る少女と成熟していく女性の間にある者特有の禁断の果実を思わせる色気を放っていた。薄いネグリジェから覗く肌の何と艶めかしいことか

普通の男ならばこの場で彼女に襲い掛かっていたところだろう、だが黄金の獣の心にそのような下賤な気持ちは一切沸かず、あるのはただひたすらに歓喜のみだった。このようなお姿を見せていただける程、自分は信頼されているのだと

 

 

「黄金の君、朝でございます。黄金の君」

 

 

軽く身体を揺らすも彼女は起きない、そもそも彼女が揺すっただけで起きたことなど数えるくらいしかない

なのでもう一度だけ声をかけ、軽く揺らす。だがやはり彼女は起きる気配がない。そこまでし終えると、黄金の獣は薄く笑みを浮かべ__

 

 

「黄金の君・・・ごめんっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハリー達が朝食を食べていると、大広間に黄金色の声が響く

 

 

「お前なぁ!毎回毎回叩いて起こしやがって!!私が馬鹿になったらどうしてくれるんだ!?」

 

「ご安心ください。例え御身が馬鹿や阿呆になろうとも、私が貴女様から離れることはございませんので」

 

「そういうことじゃないんだよ!いつも良い笑顔で殴りやがって!!児童虐待で訴えてやる!」

 

 

話を聴いていた者全員が思う。「それ以前に不敬罪じゃないの!?」と

そんな中、ウィラの姿が見えるとともにドラコがウィラに近づく

 

 

「やぁウィラ、休みの間遊びに行けなくてゴメンよ?一緒に朝食でもどうかな?」

 

「やぁドラコ、別に構わんさ。私も急遽クリスマスの予定を変えてスマンな。それと忘れたか?今から私は朝の公務の時間。その後でよければ一緒に食べよう」

 

「あ、ゴメン・・・じゃあ先にこれだけ渡しておくよ」

 

「__?これは?」

 

 

ドラコがウィラに渡そうとし、横からそれを黄金の獣が受け取りウィラに渡す。その様子を見てドラコがしまったという顔をする。王であるウィラに手渡しなど貴族らしくないと気づいたのだ

 

 

「すまない獣殿、それは父上からさ。ウィラに渡してほしいと言われたんだ」

 

「ルシウスから?そうか、ご苦労ドラコ。ではまた後で」

 

 

 

 

 

 

手紙の内容は簡単に言えば謝罪だった。クリスマスに他の聖28一族と共に行こうとしていたが、彼等の足並みが揃わず結局どっちにしろ行けそうになかったと。それと今年はすでに動き始めているため、私にも恥をかかせることは無いといった感じだった。律儀なやっちゃな~

 

終わったのでドラコを呼ぶ、すると他のスリザリン生も私の周りに集まって来た

別に構わないのでそのまま食事を始める

 

 

(そういえばドラコ、髪下ろしてるじゃん。イメチェン?それともデコが広くなったとか・・・w?)

 

 

まぁそれは流石に聞かないでおこう、似合ってはいることだし

色々な話を周りの取り巻きも含め話していると、内容は私の後ろにいるアランとトグサの話になった

 

 

「__じゃあアラン殿があの伝説の鬼人の王!?鬼人なんて初めて見た・・・」

 

「おう坊主、あまりジロジロ見るでないわ。いくらキサマが黄金の君の友とはいえ、礼儀のなっておらんものに余は容赦せん」

 

「まぁまぁ旦那、落ち着けって」

 

「トグサ殿は・・・アジア系かな」

 

「あぁ、日本人だ」

 

「ついでに言えばコイツはマグルだ」

 

 

私の言葉に純血主義が多いスリザリン生達は信じられない顔でトグサを睨んでいた、だがトグサが軽く殺気を放てば誰もが一瞬で冷や汗を浮かべ、顔を逸らし出した

 

 

「ハン、ケンカ売る相手くらい選べやガキ共」

 

「・・・なんかさ、今年の円卓の人っておっかなさすぎない?」

 

「気にするな、むしろコイツ等に目を付けられたらお終いだと思いながら接しろ」

 

 

そこから話題は今イギリスを騒がせているシリウス・ブラックの件になった。彼はもう『叫びの屋敷』にいるのだろうか?

更にそこから汽車での話となり、私を楽しませようとしたのだろうか、ドラコが吸魂鬼に襲われたハリーの真似をし出した。周りのスリザリン生はそれを見て大爆笑しているが・・・何が面白いのだろうか?アレかな、イギリス流のブラックジョークと言うヤツかな?

 

グリフィンドールの席を見てみると、双子やロンがハリーを宥めているようだった。するとハー子と目が合い、口パクで「早く止めなさい!」と言われた。まぁ私も別に面白くもなんともないし、さっさと止めさせるか

 

 

「つまらんぞドラコ、いつから卿は芸人を目指すようになったのだ」

 

「あっ、ゴメン!」

 

「謝る相手が違うだろう?まぁ構わんが、忘れるなよドラコ?人の失態など笑うものではない」

 

 

席を立ちながらドラコにそう言い、今度はグリフィンドール、正確にはハリー達の下へ歩いていった。というのも私の3年生最初の授業は選択科目である『占い学』をグリフィンドールと一緒にするためだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウィラからもハーマイオニーに言ってやってよ!絶対この時間割おかしいって!」

 

 

ロンがそう言いながら私にハー子の時間割を見せてくる。そこには今から、つまり9時から『占い学』『マグル学』『数占い』と計3つもの教科が同じ時間に並べられていた

本来ならロンの言う通り、こんな時間割不可能だ。だがここは魔法界

ハー子の胸元には銀の鎖で繋がれた『逆転時計』(タイムターナー)が見えた

 

『逆転時計』(タイムターナー)__恐らく魔法界でもっとも便利な道具だろう、一度ひっくり返せば一時間、時間を巻き戻したり進めることができる。マグルの世界、つまり科学の世界では今だ『親殺しの理論』すら確立されてないのに、ホントに魔法ってすごい

 

 

「ロン、不可能ではないよ。私はそれを可能にする方法を知っている」

 

 

ロンが聞いてくるがアレはそもそも普通、手に入る物ではない(私?あるけど興味ないし、私の矜持に反するから使うつもりすらない)なのでテキトーに濁す。説明するのが面倒なのだ

 

(だがこれだけはハー子に言わねば)

「ハーマイオニー」

 

「な、なに?」ビクっ

 

「時間など巻き戻すものではないよ、人は前にしか進めない。狂った時の流れの中では正気を保つことすら不可能だ。ソレは早めにマクゴガナルに返せ、身を亡ぼすぞ?」

 

 

ハー子は考えるように俯き「少し考えておくわ」と言って先に歩いていった、あの様子じゃ痛い目にあわないと分からないな

 

 

「・・・あれ?そういえばウィラも確か『マグル学』取ってなかったっけ?」

 

 

そうなのだ。ハリーの言う通り、私は『マグル学』も取ってある。だが私の場合はハー子と事情が違う

 

 

「あぁ、だが私が『占い学』に出るのは今日一回きりだ」

 

「へ?」

 

「怖いもの見たさと言うべきか、そもそも私は占いなどと言う下らん妄想に付き合う主義はない。未来とは私が定め、歩んだ先こそが未来なのだからな」

 

 

 

話しながら教室へ向かう、場所は北塔の一番上

教室は異様な空気・・・というか、何だコレ、臭い。かつてのニンニクターバン野郎(名前?忘れたよ)と比べても良い勝負並みに臭い。獣もなるべく顔に出さないようにしてはいるが辛そうだ

適当な席に座り足を組みながら待っていると、部屋の奥からまぁ人とはここまで胡散臭くなれるのかと問いたくなるほど胡散臭い恰好をした痩せ細った女性、シビル・トロレーニーが現れた

いったん、私の方を見るとその目をギラギラさせたと思ったら視線を外し、生徒達を見渡し始めた

 

 

「占い学へようこそ。あたくしがトレローニー教授です。たぶん、あたくしの姿を見たことがある生徒は少ないでしょうね。学校の俗世の騒がしさの中にしばしば降りて参りますと、あたくしの心眼が曇ってしまいますの」

 

 

まるで自分に酔っているかのような語り口だった。去年の詐欺師と良い勝負だな。そういえばアレはもう死んだかな?できればもっと苦しみ悶えておいてほしいが

 

 

「皆様がお選びになった教科は占い学・・・そう、魔法の学問の中でも一番難しいものですわ・・・初めに、お断りしておきましょう・・・眼力の備わってない方には、あたくしがお教えできる事は殆どありませんのよ。この学問では書物はあるところまでしか教えてくれませんの・・・」

 

 

じゃあ授業しなくて同好会でいいじゃんと思った私は悪くない。ハー子も信じられないと言いたげにこの胡散臭い教師を見ていることだし

 

 

「いかに優れた魔法使いや魔女であっても、派手な音や匂いに優れ、雲隠れに長けていても、未来の神秘の帳を見透かすことはできません。限られた者だけに与えられる天分とも言えましょう。あなた、・・・そう、そこの男の子」

 

 

胡散臭い教師(この時点で私の頭にこの教師の名前は無かった)がネビルを指名した。急に話しかけられた為か、ネビルが驚き、椅子から落ちそうになっている。

 

 

「おばあ様元気?」

 

「え、えぇ、元気だと思います」

 

「そう・・・私が貴方の立場だったら、私はそんなに自信ありげに言えません事よ」

 

 

トレローニーは鼻で笑いながら、首を左右に振った。

 

その後トレローニーは何かを見つけては、「お前はもう死んでいる」「儞已經死了」など宣告をしていった(何故中国語?)本当にコイツはあのトレローニーの曾孫なのか?私は今ある理由で『黄金の瞳』が使えない(・・・・)。だがそれでも分かる、これは無能の類だと

 

生徒達の間を回り、そしてとうとう私の下へやって来た。先程のように目をギラギラと・・・まるで同類をようやく見つけたとでも言わんばかりに

 

 

「お、おぉぉお!お初にお目見えします偉大なる祖を持つ王よ!貴方様は素晴らしい!掛け値無しに素晴らしい!!その瞳はあたくしと同じく全てを見通す瞳!あぁ・・・もっと近くで・・・」

 

 

感涙したかのように目に涙を浮かべ、私の頬に教師が手を添えようとしてくる

だが私はその手を思い切り弾いた、するとまるで何も分かっていないかのように教師がポカーンと私を見て来る

 

 

「触れるな下郎、誰の許しを得てこの私に触れる?そもそもキサマと同じ?同じだと?不愉快だ、帰る」

 

 

“私と同じ”?不愉快だ、あぁ不愉快だ。王である私と自らを比べようなど何たる傲慢か

 

 

「おっ、お待ちを!!」

 

 

必死の声で胡散臭い教師が引き留めてくるので、振り向いて何だと問う

教師は私が飲み干したカップ(獣が淹れてくれたが茶葉が最悪だった)を手に取りワナワナと震え

 

 

「“真の黄金は他に在り”・・・これはどういう意味ですの・・・?」

 

「・・・知らんよ。何だキサマ、我が父が不倫でもしているとでも言いたいのか?二度と私に話しかけるな」

 

 

そう言い捨てて今度こそ教室を後にする。どこまでも私を不快な気持ちにするのが上手い奴だ

 

(あぁそうさ、“真の黄金”など・・・存在しない、必要無い。ウィラ(・・・)は私だ、私だけだ)

 

 

ズクリ__と疼く眼に気づかないかのように私は円卓を引き連れ『マグル学』が行われている教室へと歩いて行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後になったので、グリフィンドールとスリザリン合同の『魔法生物育成学』のある森の入り口にあるハグリッドの小屋へと行く。『マグル学』は中々だったな。今回は最初の授業と言うことで当たり前に話ばかりだったが、教師がちゃんとしていると分かった時点で万々歳だ

 

着くとそこにはすでに伝統の2寮による一触即発の空気が生まれていた。本当に良くコイツ等飽きないな

 

ハリー達が私を見つけ、話しかけようとするが、それよりも早くドラコが話しかけてきた

 

 

「ウィラと授業なんて久しぶりだね、今日はこれだけで良い日になったよ」

 

「クス、何だ急に、口説いているのかドラコ?」

 

「っ!いや!・・・うん、あぁ口説いてるさ。綺麗だよウィラ」

 

(ほぉ、男らしくなったなドラコ!だが・・・甘いな)

「私が美しいのは当たり前だろ?30点。もっと情熱的に・・・愛を耳元で囁いてくれ」

 

 

こんな風にとドラコに近づく。するとそれだけでドラコが顔を真っ赤にして逃げようとするが、それよりも早くドラコの頭に手を添え、唇が耳に触れるか触れないかくらいの距離で囁く

 

 

「何故逃げる?何故恥じるのだ?この程度で何故・・・あぁ卿よ、お前の腕に抱いておくれ・・・私の腰に手を這わせ、折れんばかりに激しく・・・さぁ・・・」

 

「うっ///あっ・・・///」

 

 

身体に力が入らぬとばかりにドラコが倒れ込む。そんな彼のネクタイを掴みグイっと顔を近づける

 

 

「くはは!まだまだだな!私を口説きたければもっと男を磨いてこい、その程度では靡かんよ」

 

 

周りでは女子がキャーキャー言いながら跳ね回って、男子も顔を真っ赤にしながら何人か「踏んでください!!」と言ってきたが・・・なんで?

 

 

「うわぁ、ウィラって結構大胆?」

 

「当たり前だハリー、エルドラドの女を舐めるな」

 

 

ガチャリと小屋のドアが開き、ハグリッドが出て来た。何だかよく分からないと言った感じで私達を見渡し、自分に着いてくるように言ってきた

言われた通りにすると五分くらいだろうか、歩いた先には柵があり、軽い放牧場といった感じの場所があった

 

 

「みんな、ここの柵の周りに集まれ。そーだ、ちゃんと見えるようにな。さーて、イッチ番最初にやるこたぁ、教科書を開くこったな」

 

 

ハンカチを地面に広げ、言われた通り教科書をパラパラとめくる。だが私以外の生徒は誰一人教科書を開いていなかった、すると

 

 

「どうやるんだ?」

 

「あ?」

 

マルフォイが冷ややかな声でハグリッドに問いかけた。

 

「どうやって開ければいいんですかと聞いている」

 

紐でグルグルに縛られた教科書を取り出し、杖で数回叩いている

生徒の中には紐や縄、ベルトなどで雁字搦めにしている者までいた

 

 

「なんだ?誰も教科書を開いてないのか?」

 

 

ハグリッドは落胆したように肩を落とした、何で皆教科書を開くくらいで質問してるんだ?

 

 

「私は開きましたよ先生」

 

「っおぉ!流石ウィラだ!ほれ見ろお前達!ちゃーんと開いとる生徒がいるぞ!」

 

 

ザワっと皆驚いているが・・・え、どゆこと?

 

 

「君、どうやって?その本暴れたり、噛み付いたりしてきたろう!?」

 

「__?何の話だドラコ?買った時からごく普通の本だろ?」

 

 

ちょっと待って!とドラコが本の紐を外し出した。すると「ガウガウ!」と本が急に暴れ出した!

だが私が触ろうとした瞬間、すぐさま大人しくなった

 

 

「・・・えぇー・・・何か久しぶりにウィラの凄さを見たよ」

 

「まぁ私だからな、だから誰も開かなかったのか」

 

 

ドラコと話しながら軽く表紙を撫でていると

 

 

「ウィラが正解だ、あぁして撫でてやりゃよかったんだ」

 

 

私の場合はそれ以前だったのだが・・・

他の皆も私の真似をして撫でる。すると一斉に大人しくなったようだ

 

 

「ハン!本当に愉快な本だな!背表紙を撫でるのか、思いつかなかったよ」

 

「お、俺はこいつらが愉快なやつらだと思ったんだが。」

 

 

最初の自信はどこへやら、少し残念そうにそう言いながらハグリッドは「少し待っちょれ」と言って森の中に入って行き、 しばらくすると十数頭の鷲のような頭と鉤爪と翼に馬のような体をした生物__ヒッポグリフを片手で従えながら帰って来た

 

 

「ヒッポグリフだ!すごいだろ!」

 

 

再び自信満々と言った感じでハグリッドが生徒にヒッポグリフの近くに来るように言う

確かに全員ヒッポグリフの雄々しさと美しさに魅入られているが・・・

 

 

「あー・・・スマンなぁ、お前さんにはちとつまらんかウィラ?」

 

 

そう、私からしてみれば「ふーん」って感じだ。もっと美しいドラゴンや狐を私は知っている。だがこれは『魔法生物』の授業。興味を持ってもらうにはヒッポグリフは最適だ

 

 

「いや、素晴らしい生き物だよハグリッド。卿の授業を受けて正解だった」

 

「っ!おぉそうだろう!そうだろう!じゃあちっと皆、近づいてみぃ」

 

 

ハグリッドがそういうが、その場に居るほとんどの生徒が動こうとはしない。ヒッポグリフの巨大な嘴と鉤爪が怖いのだろう

 

だが私は知らんとばかりに柵へと近付くと、ハリー達も恐る恐る柵へと近づいた

それに釣られるように、複数の生徒も近付いて行った

 

 

「えぇか?まずいっちゃん最初にヒッポグリフについて知らにゃならんことは、コイツ等は誇り高いっちゅうこった。ヒッポグリフは怒りっぽい。絶対侮辱しちゃなんねぇぞ?そんなことしてみろ、それがお前さんたちの最後になるかもしんねぇからな?」

 

 

じゃあ誰か触ってみたいやつは?とハグリッドが言うが誰も挙手しようとしない、しょうがないと私は手も上げずにヒッポグリフに近づくと横から獣が止めようとしてきた、トグサも同じだ(アランだけは平気でニヤニヤしているが)

邪魔だと手を振り、下がらせる。ったく、心配しすぎだ

 

 

「おぉ!じゃあウィラ!えぇか?まずは礼儀正しくお辞儀を・・・」

 

「いらん。おいキサマ等、跪け(・・)

 

 

私がそう言う前に、ヒッポグリフ達が一斉に膝を折り、頭を下げてきた

 

 

「ふぅん、流石にどちらが格上かくらい分かるか」

 

 

全員唖然としている中、一匹のヒッポグリフの嘴と喉を撫でてやる。気持ちよさそうに喉をグルグルと鳴らしている

 

(と言うかコイツ等凄いな、普通の生き物だったら私が近づいたとたん、逃げるか気絶するのに・・・ヤベ、自分で言って悲しくなってきた・・・)

 

 

「あー・・・まぁウィラだからな、うん。背中に乗ってみるか?」

 

「いや、いい。帰った時にどこぞの白トカゲと犬っコロが嫉妬でヒッポグリフを滅ぼしそうだからな」

 

 

チラリと獣を見れば今にも殺さんばかりの嫉妬をヒッポグリフに向けている。おい止めろ!ヒッポグリフが今にも泣きそうだから!!

 

 

私が離れるとハリーがヒッポグリフに近づいていった。しっかりとお辞儀をし、ヒッポグリフもまたお辞儀を返していた

そのまま空を飛ぶハリーを見ながらいったん、獣達の傍に行く

 

 

「おい馬鹿野郎、昨日もちゃんと撫でてやっただろうが」

 

「ですが・・・御身に触れていただけるなど・・・!!」ギリィ!

 

「なぁ旦那ぁ、何で動かなかったんだ?」

 

「そりゃアレ等風情に黄金の君をキズつける度胸など無いからな!どうだトグサ、後で一狩りせんか?ヒッポグリフの肉は美味いぞぉ?」

 

「美味いぞぉ、じゃない。狩りなど許さん」

 

 

急に悲鳴のようなものが聴こえた為、振り向くとドラコが今にもヒッポグリフ(さっきハリーが乗ってたのと同じようだしビッグパークかな)に襲われそうになっていた

 

軽く爪が掠ったようでドラコが何やら喚いている。そこに更にビッグパークが追撃をかけようとしたので一声かける

 

 

「下がれ、命である」

 

 

私の一言にビッグパークが落ち着きを取り戻し、引き下がった

 

 

「助けてウィラ!死んじゃう!僕死んじゃうよぉ!!」

 

(ハァ、少しは男らしくなったと見直したのに)

「死ぬか阿呆が、どうせお前が彼を侮辱したのだろう?」

 

 

私の言葉に耳も貸さず、相も変わらずドラコが喚いている。この程度で死ぬなら私はとうの昔に死んでるっての

 

その後ハグリッドがドラコを軽々担ぎ上げ、保健室へと連れて行った

他の生徒もショックを受けたようで皆、城へと帰って行ったので私も最後にビッグパークを慰めるように撫で、彼等の後を着いていった

 

 

 

 

 

 

 

夕食の時間になってもドラコは姿を現さなかった、他の生徒もハグリッドが退職になるかもと噂話をしていた

どうせダンブルドアが彼を辞めさせるわけが無いと分かっているので、私は早々に部屋へと戻った。何より・・・

 

 

「ふぁぁ~、ねむ・・・」

 

「・・・黄金の君、あまり言いたくないのですが最近休息は取られておいでですか?何か無理をしていませんか?」

 

 

部屋に戻り、トグサ達を追い出し下着姿になったとたん、獣が私にそう言ってきた

 

 

「・・・何も無い、いいから早く風呂に入れてくれ」

 

「・・・御意」

 

 

 

 

 

 

__すでにウツらウツらと船を漕いでいるウィラを何とか風呂にいれ、ネグリジェを着させ、すでに寝ているウィラをベッドに運び、そっと顔にかかる髪の毛を横にやる

 

獣は思う、最近・・・いや、去年『黄金の瞳』が覚醒したあの日から、目に見えてウィラの膨大すぎる魔力の減りが激しすぎると

間違いなく彼女は何かを隠し、そして抑え込んでいる・・・それが何かは分からないが・・・だが何かを抑え、そして戦っている

 

静かに『黄金の間』を出て、外で待っていたトグサとアランを見やる

 

 

「獣殿、陛下は」

 

「もう寝ています」

 

 

そう聞いて二人は何か考えるように唸る。彼等も最近のウィラが何か隠していると気づいていた

 

 

「コチョウがおらんで良かったわい」

 

「だな、姐さんがいたらややこしい事になってたぜ?きっと」

 

 

彼等は考える。マグルである渡草ですら、その気になれば見えることが出来るほどの莫大な量のウィラの魔力__渡草でも気づけるほどにウィラはその魔力を日々消費していた

 

 

「ですが・・・一体何に?」

 

 

そう、そこなのだ。普段からエルドラド王国に遠く離れたイギリスから魔力を送り、国土全域を覆っても枯渇しない程に彼女の魔力は膨大だ

神話の時代から生きる神獣ですら貫くその魔力は今この瞬間、一体どこに向かい、何に使われているのか・・・そして何故それを隠そうとしているのか・・・

 

ふと、獣の脳裏にあの時のウィラが思い浮かぶ

あの時の姿__怯えるただの少女のようだったウィラの姿を思い出すだけで、獣の心臓は張り裂けそうな気持ちに襲われる

今朝もそうだ。静かに、安心した寝顔を見れてどれほど嬉しかったか、どれほど安堵したことか

 

とにかく今は信じ見守ろうと3人は話し、この日は渡草が部屋の護衛として残り解散となった

しかしウィラを誰よりも良く知る獣は分かっていた。彼女は決して弱音を吐かず、自分達のような存在にすら心配をかけまいとする優しい心の持ち主だと・・・ゆえに心配だった、いつか彼女はその優しすぎる心で自らを押し潰してしまわないかと

 

 

 

そして__その心配は最悪の形で現実のものとなる

 




「真偽とは、善悪とは何か?真実とは偽を排除し残ったもの、善とはすなわち悪を滅ぼし最後に残ったもの・・・ゆえにアレを植えた。貴女様は真か?貴女様は是か?まぁ結果どうなろうと私はただ未知を楽しむだけ」


__種は芽を出し、花を咲かせるだろう


「犯せ種よ、腹を突き破れ芽よ、胎盤より生まれ落ちるがいい花よ。肉を貪り彼女の魂を開放せよ。それこそが・・・」


__女神に捧げる(生贄)なのだから___


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黄金の落日

※注意
今回かなりウィラを追い詰めます

というのも“アズカバン”編はほぼウィラの完全覚醒の為の章だからです
そして今回から数話、転生者であるウィラの悩みを解決していくので
ほぼハリー・ポッターとは関係なくなります

それでもよければどうぞ



__幼い少女が一人膝をかかえ泣いている。部屋には彼女しかいない、幼子が泣いているというのに

だが、それは彼女が望んだことだった。誰にもこの姿を見られたくないからと、父と母ですら少女が日々苦悩し、泣いていることを知らない

ゆえに彼女はただただ泣き続けるのみ

 

 

__ヒッグ、グス・・・ごめんなさい、ごめんなさい・・・っ!私は・・・ウィラは・・・っ!!

 

 

 

 

 

__生まれるべきじゃなかった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・懐かしい夢を見た

幼い頃の私、前世を持ってしまったがゆえに、今の(ウィラ)と知らない(誰か)の狭間で揺れて日々父と母に謝り続け、本当にここに居て良いのだろうかと悩み続けた私・・・

 

今更あんなもの悪夢ですらない。現に汗の一つもかかず、静かに身体を起こすだけだ。だが何故・・・今更あんなものを・・・あれはすでに乗り越えたハズ、なのに・・・

 

 

ズクリ__と眼が痛む。それだけじゃない。『覚醒した黄金の瞳』を抑えつけるために魔力を消費し続けているせいか身体がすごくダルイ

 

 

(駄目だなこれじゃ・・・もう二度と、あんな無様を彼等に晒すわけにはいかない)

 

きっと彼等は私がどれほど無様を晒し、泣き叫ぼうとも私と共にあってくれるだろう。だが駄目だ、それは私が許さない

 

コンコンコン__とノックの音が部屋に響く。まったく、普段なら私はまだ寝ているだろうに。ホント律儀な奴だ

 

 

「失礼します__・・・黄金の君・・・?」

 

「おはよう。なんだ、私だってたまには早起きするさ」

 

 

気付かれないよう、なるべくいつも通りに接する

 

ズクリ__と眼がまるで鼓動を刻むかのように再び疼いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホグワーツに戻って数日、朝食をとるため大広間へ向かう

着いて最近、顔を見ていないドラコを探そうとスリザリンを見るがどこにもいない。いつまで保健室にいるつもりなのだ?

仕方ないので今日はグリフィンドールの席で食べることにした

 

 

「ウィラの言う通りだったね!リーマス・ルーピンは今までで一番マトモな防衛術の教師だよ!授業は面白いし、先生も面白いし!」

 

「ほう?そうかロン、私の授業はつまり面白くなかったと?」

 

「あ、ち、違うよ!?今のはその・・・」

 

「酷いなー(チラ)何かショックで魔法省に圧力かけたくなるなー(チラ)」

 

「ちょ!ウィラが言ったら冗談じゃすまなくなるから止めてよ!!」

 

「そういえば、ウィラって今日が防衛術の授業だっけ?」

 

 

そう、ハリーの言う通り私の3年目初の防衛術の授業は今日これから

本来ならば数日前、ハッフルパフとレイブンクローの2寮合同の際、私も行くはずだったのだがそれは急に中止となった

朝食を食べながらハリーを見やる。恐らくはその前にあったハリー達グリフィンドールのせいだろう

『物真似妖怪ボガート』__名前とは裏腹にこれはかなり厄介な妖怪だ。“一番怖いと思う存在に化ける”。ゆえに大の大人ですら退治するのは意外と困難を極める

 

原作ではハリーにとって、この時期最も怖い存在は『吸魂鬼』となっていた。今話を聞いていてもやはり吸魂鬼にボガートは化けたそうだ

だから私は一人で防衛術の授業を行うこととなった。吸魂鬼ですら恐れずドラゴンすら使役する私の恐怖するものなど、普通の生徒では精神が耐えられないと判断したのだろう。・・・心外だな、この私に恐怖などあるはずも無いのに

 

 

「・・・ねぇウィラ?最近何だか元気が無いように見えるけど・・・大丈夫?何か忙しいの?」

 

 

・・・ハー子にまで心配される程、今の私は疲れきっているのだろうか。後ろを軽く見れば獣達が私を見据え頷いてきた・・・もう少しうまく隠せていると思ったのに

 

 

「あぁ、大丈夫さハーマイオニー。少し・・・最近、眠りが浅くてな」

 

「そうなの?無理だけはしないでね?」

 

「ありがとう。さ、もうすぐ授業だ」

 

 

 

 

 

ハリー達と別れ、いったん私はトイレに行き、顔を洗おうと思った

 

洗面台の蛇口をひねれば勢いよく水が流れ、手で受け顔を洗い流す

 

 

「・・・酷い顔だ・・・」

 

 

鏡を見れば私がいた。肌の色は前よりも白く、眼もどこか虚ろに見える・・・これじゃあ心配されて当然だな

早く戻ろう、あの心配性な犬っコロが待っていると思い、一度目を瞑り鏡を見ると____

 

 

__“もう少しでそこに・・・”

 

「っ!?」

 

 

ナニカが映った・・・ここには私しかいないのに、私じゃない・・・まるで影法師のようなナニカが私を見て笑ったような気がした

 

もう一度鏡を見るも・・・やはりそこには私しか映っていなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室の中では一人の男性__リーマス・ルーピンがガタガタと揺れるタンスの前で緊張していた

 

数日前、ハリーが“物真似妖怪ボガート”を“吸魂鬼”に変えてしまったのを見て、もし彼女が何か恐れるものがあれば、それはもはや生徒を助けながら対処できる代物ではないだろうと思ったのだ

その証拠に、ダンブルドアにウィラのことを聞き出してみれば、まぁ何と恐ろしいことか

 

 

(・・・黄金の君が代々円卓を作り出すことは知っているが・・・彼女の円卓はあまりにも異常だ)

 

 

“世界最古の屋敷僕”“ブリテンの白き龍”“史上最悪の吸血鬼”“鬼人の王”__他にもあのエルドラド王国で最強の名を勝ち取った“魔法剣士”・・・そんな化け物共を差し置いて4席にいる日本人・・・彼など吸魂鬼を切り捨てた

その更に上にいるまだ連れて来たことがないという第3席・・・そして“黄金の獣”

 

そんな連中が心底心酔する彼女が想像する『恐ろしいもの』?

 

 

「・・・本来なら彼女にこの授業を受けさせないほうがいいのだろう。だが・・・」

 

 

それでは彼女だけを特別扱いしてしまう。確かに彼女は特別だ、それは間違いない

しかしそれでも彼女は生徒(・・)なのだ。自分の時のように何の罪も無いのに受けられない授業などあってはならない___これがリーマスの考えだ

 

 

コンコンコン_とノックの音が聴こえると同時にドアが開く

リーマスが顔を上げると彼女がいた

 

 

「では先生、今日はよろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

顔色が悪いと言われた、だがそれを無視する

何かあったのかと聞かれた、だから何も無いと言ってドアを開けるように言う

 

珍しく私の命令に渋々といった感じで獣がドアを開け、その中に入り

 

 

「では先生、今日はよろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「__今日はすまないねウィラ陛下、ちょっとこちらで問題があったんだ」

 

 

一つポツンとある席に座るとリーマスが私にまず謝ってきた

 

 

「構いませんよ、それと陛下はいりません。今の私はただの生徒ですから」

 

「・・・分かったよウィラ。さて、先程からガタガタ煩いこのタンスの中には何が入っているかな?」

 

「“物真似妖怪ボガート”。人がもっとも恐怖する存在に化け、誰もボガート自身の姿を知らず、また見たこともない」

 

「流石だね、君に点をあげれないのが残念でならないよ。では撃退する呪文は?」

 

「『リディクラウス』(馬鹿馬鹿しい)」

 

「素晴らしい!ハーマイオニーでも呪文までは知らなかったよ!」

 

 

恐らくハー子なら知ってはいたが先生に花をあげたと言った感じだろう。幼い頃、私の教師をした者に習い終わった後、教科書の間違いとその教師の説明の間違った箇所を10個程上げたら泣いて次の日から来なくなった事もあったからな、きっとそんな感じだろう

 

それじゃあ始めようと言ってリーマスがタンスの蓋に手をかける。私はいつものようにとくに構えもせず、ただ見据える

 

 

「準備はいいかい?」と少し緊張した面持ちでリーマスがこちらを見て来るので

 

 

「問題ない、そもそも卿は一つ勘違いしている」

 

「__?勘違い?」

 

「この黄金に恐怖など存在せん。卿は幸運だ、なにせボガートの真の姿を初めて見る魔法使いとなるのだから」

 

「それは確かに幸運だね、では・・・っ!」

 

 

__ギィ・・・___

 

 

 

 

 

 

 

リーマスがタンスの鍵を開けると同時に・・・

 

 

 

__パシャっ____

 

 

 

 

タンスの中からドス黒い水や泥水のようなものが溢れ出る

 

 

「・・・これは・・・?」

 

「ハン、何だこれは?これがボガートの正体__・・・っ!?」

 

 

ウィラがまさに馬鹿馬鹿しいと言った感じで杖を振るおうとした瞬間、ボコボコとその黒い泥水が泡を立てながらナニカの形を作って行く

そのまま泥を撒き散らして浮上、腐臭に似た匂いと共に・・・ソレ(・・)はとうとう彼女の前に現れた

 

 

「・・・ぁ・・・あぁっ・・・!」

 

 

その場の誰もが言葉が出なかった、そのボガートが化けた存在があまりにあり得ないがゆえに

 

まるで黄金比率(・・・・)に彩られた四肢を見せつけるように、その身には何も纏わず局部をただ泥のような何かで隠しているだけ

ボタボタと落ちる泥の間からは眩しすぎる程に輝く黄金色の髪(・・・・・)が見え隠れする

そして・・・ソレが閉じていた瞼を開ければそこには__

 

___黄金色に輝く瞳(・・・・・・・)が____間違いない

 

ボガートが化けた存在(モノ)・・・それはウィラそのものだった

 

 

まるで汚泥の中に咲く美しき蓮の花のような印象を受けながらも優秀なリーマスの頭は目の前の光景に疑問を持つ。何故ウィラが自分(ウィラ)を恐れるのかと

だが__その疑問はソレが口を開いた瞬間に解消される

 

 

『・・・あぁ・・・ようやく会えたわ・・・このドロボウ』

 

 

何故ソレがウィラをドロボウと言ったのか・・・だが、今のリーマスにそんな考えをする余裕はない

 

 

(な・・・んだこれは・・・何なんだ!?)__ゾクゾクゾク

 

 

ただひたすらに不快だった、その声を聴いた耳を今すぐ切り落としたくなるほどに気持ち悪かった

 

それは部屋の隅で待機していた獣達も同じだ、まるで頭の中を鋸で削られるかのような印象を与える声だった

そんな存在に話しかけられるウィラはというと__

 

 

「あ・・・りえない・・・ありえない・・・っ!」

 

 

顔は更に白くなり、もはや死人のようだった。滂沱の汗を流し、唇はカタカタと震えている

 

 

『ありえない?ありえないのは貴女の方でしょう?異物のクセして、要らない存在のクセして・・・ねぇ、私から奪ったそこ(・・)(ウィラ)はそんなに良かった?』

 

 

クスクスと眼を細めながら口元に手をやる様のなんと妖艶なことだろうか

ズチュリ__と一歩、また一歩とウィラに近づく

その歩みを見たウィラは・・・

 

 

『取り戻しにきたの、奪われたモノ全てを!パパとママに愛されて良いのは私!お前の居場所なんか初めから無いの!!』

 

「ぅぁ・・・ちが・・・」

 

 

一歩、また一歩・・・後ろへ下がっていた(・・・・・・)。どんな相手にも不遜な態度を崩さず、ドラゴンにすら勇猛果敢に挑んだ彼女が、目の前の存在にただの少女のように怯え、その目には涙さえ浮かべ自身の身体を抱きしめていた

その様子がただ事では無く、この存在こそが最近のウィラを苦しめていた元凶だと察する円卓は__しかし、この場を支配する形容し難い雰囲気に動けないでいた。それはリーマスも同じだ

 

 

『苦しかった・・・いくら叫んでもパパとママは私に気づかずお前を“ウィラ”と呼んで・・・ずっとお前に閉じ込められて・・・でもそれも今日でお終い!』

 

 

嬉しそうに声を上げるソレを、しかしウィラは相変わらず怯えた眼で見るだけ

だが、それも次の言葉を聞くまでは

 

 

『仮初とはいえ、こうして身体を手に入れた!声を手に入れた!!これでパパとママに抱きしめてもらえる!愛してもらえる!もう・・・お前みたいな偽物はいらない!!』

 

 

クルクルと嬉しそうに回りながらバシャバシャと腐臭漂う汚泥を撒き散らすソレ

回る度に局部が見え隠れするが、この場の誰もがただ嫌悪の表情を浮かべ、顔をしかめ、逸らす

 

途中、ピチャリと跳ねた汚泥がウィラの美しすぎる顔に着き、ツーっと垂れる

するとピクリ__とウィラの身体が動き

 

 

「・・・今・・・何と言った・・・」

 

『うん?だからぁ~パパとママに会って愛してる!って伝えて・・・』

 

「っ!!ふざけるなぁぁあああ!!!」

 

 

杖を振り抜き、唱えるは最悪にして不可避の死

 

 

「『アバダケダバラァァアアア!!!』」

 

 

金色の光が杖より放たれ、その泥に塗れた妖艶な身体に当たる

 

 

「ウィラは私だ!!ウィラの父と母だ!!お前のような生まれることすら無かった存在が!ウィラの存在を否定するなぁ!!」

 

 

肩で息をしながらも、杖を力強く握り、泥だらけのソレを今度はウィラが否定する

『アバダケダバラ』__それの与える効果は“死”

だが・・・

 

 

『・・・あはっ!あははは!!効くわけないじゃない!この身は『黄金』!!偽物風情の呪文がこの『黄金の血の守り』を突破できるわけがないじゃない!』

 

 

その言葉を聞いて今度はウィラが駆け出す。左手に杖を持ち替え、右手を前へと出し

 

 

「我が声を聴け!!この身は騎士の頂点たる騎士団長なり!!我が身こそが真なる黄金である証をここに!!」

 

 

黄金に輝く波紋の中から、金色に輝く剣を召喚。そのままソレに斬りかかる

 

 

『っ!?グァっ!?』

 

 

ズパリと切り裂かれ、しかしその身から流れ出るは血では無く泥。黒く粘りつく泥を巻き上げ、苦悶の表情を晒す

 

 

「消えろ消えろ!!私の前から!私の中から!!ここはウィラの居場所だ!!ここが・・・ここがぁァァアアア!!」

 

 

そのままソレを押し倒し、馬乗りになりながら、泥を何度も何度もその身に浴びながら切り付けウィラはただひたすら慟哭する

「ここが私の場所だ」「消えろ」と__

 

 

『グッ、ギィ!?・・・キヒっ、キャハハハハハ!!!おバカさん!今の私はお前の恐怖そのもの!!いくら斬ろうが殺そうが、お前が自分を異物(・・)と認めている限り私が消えるわけがない!!』

 

 

肩から切り裂かれる__が、泥が溢れ元に戻る

腹を、心臓に突き立てられる__が、相も変わらずソレはただ嗤うだけ

 

 

「ア゛ァァアアアア゛!!!!」

 

 

 

 

 

黄金の獣は、いや、黄金の獣だからこそ、それに気づいた

泥に塗れたソレに、ウィラが剣を突き立てる度にウィラの魂がまるで泥に飲まれていくかの如く、汚れていく様に

 

 

(馬鹿な・・・あり得ない・・・!?)

 

 

もし魂の色を見ることができる者がいれば、普段のウィラのその魂に驚愕することだろう

その色は“黄金”。メッキのような張り付けたモノではなく、ウィラの魂はその芯までもが黄金色なのだ

その身はいつか老い果てることは分かっている。だがその魂は未来永劫色あせることだけは断じてない

 

その魂が黒ずんでいく・・・どんな魔法や呪いさえ決して受け付けないその至高の魂が

 

 

「トグサ!!アラン!!」

 

 

恐れが獣の身体を動かし、その言葉が今まで動けないでいたトグサとアランを動かす

 

 

「っ!おう!!」 「うむ!!」

 

 

獣の言葉に動き出すトグサとアラン

獣も動こうと主君を見た時____獣の封印の一つが悲鳴を上げた

 

 

そこには今だ剣を心臓に突き立てられながらも嗤うナニカ・・・そしてそのナニカに首を絞められ苦悶の表情を漏らすウィラ

 

 

「か・・・カハっ!?」__ギリギリ

 

『死ね!死んでしまえ!!ここには私だけあればいい!!』__ググッ

 

 

 

「__うぉぉおおお!!」

 

 

そんな泥にアランはその剛腕を突き立てる

主君と同じ・・・しかし違う顔を思い切り殴りつける

 

壁にバチャリと不快な音を立てながら

 

 

『__不愉快ね、ホントの主は私。この私なの。ねぇ、何故そんなモノを・・・』

 

 

泥に塗れたソレの言葉は続かない、目の前にソレ以上の狂気がすでに刀を抜いて構えていたからだ

 

 

「不斬流__斬り斬り舞!!」ヒュボ!!

 

 

一度で何度も切り付けるという矛盾を渡草はその狂気をもっていとも簡単に行ってみせる

“どんなものも全て斬りたい”__その思いと共に

 

 

『__あぁ、もう!邪魔、邪魔なのよ!!それを殺した後でいくらでも付き合ってあげるし、私の円卓に加えてあげるから!』

 

 

だが死なない、ソレはウィラが恐れる限り消えない、永久不滅の存在・・・その様はまるで神の如く

ゆえに・・・(黄金の獣)がついに動く

 

 

「邪魔なのはキサマだ!!よくも私のウィラ様に・・・ッ!!ウィラトリア様の肌に触れたなぁぁあ!!」

 

 

ザワザワと毛が逆立ち、その黄金とまで形容される美男子の顔が変化し、まるで狼男が如くになる

そしてそのまま__

 

 

『ガルァ!!』

 

 

ソレの喉元に“神殺し”の力が宿った牙を突き立てる、どんな毒よりもどんな呪いよりも強力な主神ですら耐えられない牙は__確かにソレにも効果を及ぼした

 

 

『ア゛ァァァア゛!?な・・・ぜ・・・私が・・・本物・・・なのに・・・っ!!』

 

『消え失せろ!!我が主の下から、我等の前から!!我が身、我が魂まで全ては至高の君たるウィラトリア様の物!!断じてキサマのような穢れた存在がウィラトリア様であるものか!!』

 

『ガ・・・ハ・・・いいわ・・・どうせもうソレはお終い!もう駄目、耐えられない!その時こそ・・・私は(ウィラ)にn・・・』

 

 

聞くに堪えないといった感じで更に牙を深く突き立て、そのままゴキリと頸椎を捻り砕く

するとソレは姿を消し、そのままタンスの中へと消えていった

 

それを見届けると今まで動けず、息をすることすら忘れていたリーマスが

 

 

「ハァ、ハァ・・・何なんだ今のは・・・獣殿は『狼男』なのか・・・?」

 

「キサマ風情と一緒にするな、そんなことよりウィラトリア様は・・・っ!?」

 

 

黄金の獣の獣が振り向こうとすると、ゴトリ__と何かが崩れ落ちる音が聴こえた

 

 

「ッ!黄金の君ィ!!」

 

 

ウィラはその身を縮こませ、その場で蹲っていた

カタカタと手で口元を抑え、瞬きすらせず瞳孔を開き、涙を流していた

コヒュー、ヒュー、と過呼吸になりながらも__

 

 

「ちがう・・・ウィラはウィラ・・・ウィラなんだから・・・私がウィラなの、ウィラじゃないといけないの・・・」ブツブツ__カタカタ

 

 

 

まるで自分に言い聞かせるように、ただひたすら自らの名を呼んでいた

 




何故ウィラがこれほどまでに精神的にボロボロに
そして何故ここまで自分という存在に拘るのかは次回詳しく
説明したいと思います
(ちょっとイジメ過ぎたかな・・・)


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偉大なる黄金の誕生 ※挿絵有り

ほんっとうにすみません(汗
1万3千文字ィ!!
ちょうどいいところでまで、もうちょっと、とやっていたらこんな文字数に・・・(汗

今回までちょっと鬱な展開が続きますが
ようやくウィラのお悩み相談終了です(同時にもうハリポタ世界のボス連中も終了します)

それと今回の挿絵は前回の泥ウィラの姿をまず思い出してから見てください
(下手したらR17・5なんです(汗)


あと今回から『Dies irae』要素が強くなります(タグ追加したほうがいいのかしら?)



「・・・なんということじゃ」

 

 

ダンブルドアは先程駆け込んで来たリーマスから聞いた報告に項垂れていた

ボガートを用いた授業でウィラが過呼吸を起こすほどの精神的ショックを受けたこと聞き、それほどの闇を彼女が抱えていたことに気付けなかったこと。それと同時に安堵もした、そんなモノに生徒が巻き込まれなくて良かったと

 

 

「して、リーマス。お主は何を見たんじゃ?」

 

 

鋭い目線でダンブルドアがリーマスを捕らえる。彼女の様子が今年に入っておかしいことには気付いていた、恐らくは今回ボガートが化けた存在こそがその元凶だろうとリーマスに言うように促すが

 

 

「・・・言えません校長、いえ・・・知らないほうがいい」

 

 

普段から顔色の悪いリーマスが更に顔色を悪くしながら、とある一か所を指を差す

 

 

「ダンブルドア、私が見たものは恐らく貴方が封印した記憶(もの)以上です」

 

 

それは一つの試験管だった。ラベルには『ウィラが詐欺師を裁いた記憶』と書かれ、厳重に封が成されていた

だが、そこまで言われては逆に気になるというもの。好奇心に負け、ダンブルドアが『開心術』でコッソリ視ると___

 

 

「__っ!?ウプっ・・・!!」

 

「・・・視たのですね、しょうがないお人だ」

 

 

ソレはあまりにも美しく、そして醜さで溢れていた。何をどうしたらそこまで醜悪になれるのかと、ダンブルドアは机に突っ伏しそうになるのを我慢しながら、何故アレと対峙してリーマスは平気なのかと問う

 

 

「平気ではありません・・・ここに来る途中、何度吐いたか・・・」

 

「では何故じゃ、何故『憂いの篩』などに封印せんのじゃ」

 

「・・・私はまだ・・・彼女に謝っていない」

 

 

自分のせいだと震えながら、リーマスはダンブルドアに懺悔する

こんなつもりじゃなかったと、まだ子供である彼女を泣かせてしまったと、人の闇など覗くつもりも暴くつもりもなかったと

 

 

「だから、忘れるわけにはいかないんです。私は・・・彼女に謝らなければならないっ!!」

 

「そうか・・・リーマス、儂と共に今からウィラ殿を見舞いに行こう。彼女は保健室かのう?」

 

 

同時に万が一を考え、色々聴取せねばとダンブルドアが腰を上げようとするが

 

 

「校長、彼女はもうホグワーツにいません」

 

「何・・・?」

 

 

リーマスは言う、ウィラはすでに黄金の獣が急いで呼んだシャドウの手により、エルドラド王国に連れていかれたと

リーマスからの説明を受け様々な最悪な展開を思い浮かべ、頭を抱えながら、ダンブルドアはリーマスに、もう一人会う教師がいるからと退室するようお願いした

 

 

 

 

 

 

リーマスが退室すると同時に大急ぎで胡散臭い女性__シビル・トレローニーがやって来た

少し前からウィラについて話があると、今回来るよう伝えたが、今すぐ帰ってほしいとダンブルドアはこれからを憂いながらも取りあえず話を聞く事にした

 

 

「それで、シビルよ。話とは?」

 

「おぉダンブルドア!いつの間に!?もしや私は気づかぬまに校長室へ入ったと・・・!!」

 

 

毎回こうだ、毎回この教師は校長室に来たらこのやりとりをしたがる

以前ウィラにお約束は大事と言ったが、これは無いとダンブルドアは思う

 

 

(本当に・・・何故儂は彼女を教師にしたのじゃろうか・・・偉大な曾祖父を持つとしてもその子孫まで素晴らしいとは限らんか)

 

 

だが彼女はハリーとウィラの預言をした張本人、どれだけ普段が無能でもその力は本物だと、いい加減本題に入ろうと咳払いをしようとした時__

 

 

「あぁ!やはりあたくしは偉大な血を持つ者!!あの方はあたk・・・______“蘇る・・・”」

 

 

ビクっと身体を震わせたと思ったら、トレローニーのものとは思えぬ声がダンブルドアの耳に届く

驚きながらも決して聞き逃さぬようダンブルドアが構え・・・そして恐れに身を振るわせた

 

 

成り行きはあの時、13年前と同じ__それは全てが同じだった

トレローニーだけではない。世界中の預言者達もまた、あの時と同じく一斉に預言を始めた

 

 

 

「『“___蘇る そう あなた様は蘇る 私達は 短い安らぎの中を漂い 御身の望みし世界がやって来る

 

枯れたはずの あなたの命が 再びここに花を咲かせる 刈り入れる者などいない 誰があなた様に逆らえようか

 

おぉ 信ぜよ おぉ 祝えよ

 

震え慄くのをやめよ

 

 

 

世界は今こそ “偉大なる黄金” の誕生を迎えるのだから___”』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リーマスが校長室を出ると同時にトレローニーが駆け込む。リーマスは彼女のことをそこまで知らないが、あまり良い印象を持っていなかった

 

扉を開けたまま、彼女が入ると同時に扉を閉めると__突如リーマスは壁に押しやられた

何事かと驚くと、杖がリーマスの喉元に突きつけられ

 

 

「・・・何か用かな?__セブルス」

 

 

そこには憤怒に燃えたセブルス・スネイプがいた

 

 

「キサマ!!ミス・エル・ドラドに何をした!?生徒にまで手を出すなど・・・そこまで落ちぶれたか!?」

 

「落ち着いて聞いてくれ、私は何もしていない。・・・と言うか珍しいなセブルス。君がスリザリン生以外のことでそこまで怒るなんて」

 

「話を逸らすな!!・・だが、良いだろう。彼女は吾輩の師だ」

 

 

その言葉に嘘は無いし、それはリーマスも知っている。セブルスの薬作りの腕がダンブルドアですら敵わぬものとなったのは、ひとえにウィラのおかげだと

だが・・・リーマスは知っている、この男はその程度(・・・・)でここまで怒らないと。これほどまでに感情を剥き出しにしているのは学生時代__彼女(リリー)以来だと__

 

この場から早く戻りたかったのでそれを指摘する

 

 

「何だセブルス、陛下に惚れたのか?生徒に手を出そうとしているのはd__」

 

 

ガコ__と骨と骨がぶつかる音が響くと同時にリーマスの口元から血が出る、セブルスが思い切り殴ったのだ

 

 

「・・・失せろ、二度と“脱狼薬”は手に入らぬものと思え」

 

 

「あぁ、分かっているさ」と言いリーマスはセブルスから顔を背けながら帰って行く。ウィラがセブルスに頼むまで1か月(・・・)、彼は満月に怯えることになるがそれは自業自得であった

 

 

 

 

 

「・・・そうだ・・・吾輩の心はリリーの物・・・それ以外のものになど・・・っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___“私は生まれるべきではなかったのだろうか(あぁ、そうだよ)

 

___“私は愛されていたのだろうか(そんなわけがないだろう?)

 

 

 

___“貴女様は愛されてなどいなかった(私はただ奪っただけ・・・)

 

 

 

 

 

___『そう・・・本当の(ウィラ)は私、本当にパパとママに愛されていたのは(ウィラ)なの。分かった?___』

 

 

___異物(ニセモノ)さん♪

 

 

 

 

 

 

 

 

___「あ゛あ゛ぁぁあああああ゛!!!?」ガバ!!

 

 

夢を見た・・・どこにも私がいない・・・私ではない(ウィラ)が・・・!!

 

(っ!?私は今、何を考えた・・・?私が(ウィラ)じゃないなど・・・っ!?)

 

 

何やら周りが煩いが、それどころではない

私は髪を掻きむしるように首を振る、先程から涙が・・・心が痛くてたまらなかった

 

 

荒い呼吸を何とか抑えていると、“ピッ、ピッ”と電子音が聴こえ、その音が徐々に落ち着きを与えてくれた

 

 

「・・・知らない天井だ」

 

 

恐らくベッドに寝かされていたのだろう、病院にあるようなベッドに再び寝転がり、人は本当に知らない天井を見上げると、この言葉が出るんだなと一人考えていると__

 

 

__ガチャ!「ウィラ!!」

 

 

走ってきたのだろう、少しやつれた感じの母が扉を開け中に入り・・・ここでようやく私は、ここがエルドラドの病院なのだと気が付いた

 

母に続くように一人、白髪(・・)の老齢の男性が入ってくるが_____誰なのだろう(・・・・・・)

 

よく顔を見ようにも、頭がぼやけて視界も働かないし、何より母が抱き着いてわんわん泣くのだ、その人(・・・)の顔を見るどころではなかった

 

 

 

泣きじゃくる母を、何とか私と老齢の男性(・・・・・)とで必死に宥め(本当に誰なのだろう?目の全然合わせてくれないし)話を聞いた

獣が急いでシャドウを呼び、私を連れ帰ったのだと。そして私は2週間も眠っていたらしい(言われてみれば身体が思うように動かない)

その間に何度もバイタルが危ない領域に入り、父と母は眠れぬ夜をずっとすごしたらしい

 

 

(・・・本当に悪いことをした・・・確か・・・私はホグワーツで・・・っ!?)

 

咄嗟に口を手で隠す、思い出したら急に吐き気が襲ってきたのだ

母が心配そうに覗き込んで来るので、誤魔化すように話を変える

 

 

「あの、母上・・・父上(・・)は?父上(・・)はどこに・・・」

 

 

すると母も男性もショックを受けたように目を泳がし出した、まさか父上に何かあったのでは!?と問い詰めようとすると、今まで一言も喋らなかった男性がようやく口を開き___

 

 

 

 

 

「__・・・ウィラ(・・・)

 

 

 

__・・・目の前が真っ白になった

何故気づかなかったのだろう。何度も聞いた、何度も私の名を呼んでくれたその声に何故・・・何故私は・・・私は・・・っ!!

 

口の中が乾き、声が出ない・・・何とか唾を飲みこみ・・・

 

 

「ち・・・父上・・・なのですか・・・?」

 

 

白髪(・・)の老齢の男性・・・父上はここでようやく私の目を見てくれた・・・そこには確かに輝く黄金の瞳・・・っ!

 

声にならない悲鳴を上げそうになった、自分が本当に嫌いになった、だから首の動脈を無意識に搔き切ろうとした・・・だが

 

 

「良い、良いのだよウィラ」

 

 

そう言って父上は私を思い切り抱きしめてくれた。落ち着く匂い、大好きな匂い、以前よりだいぶ落ちたが分厚い胸板・・・何より頭を優しく撫でてくれる分厚い手が・・・この人が父なのだと雄弁に語っていた

 

 

「ちちうえ・・・っ、ちちうえ!ごめんなさい・・・ごめ・・・っ!ヒグっ、うぁぁああ・・・!」

 

 

泣くじゃくる私を、父はただ優しく撫でてくれた

ここでようやく気が付いた・・・何故父の美しい髪が白髪になったのか・・・

 

 

“エルドラド王国を覆う結界”___それが私の手から離れ、気を失っていた間、ずっと父が変わりに展開していたのだと・・・

以前・・・父は言っていた・・・「三日ならばなんとかもつ」と・・・それを・・・私のせいで・・・!!

 

 

「良いんだよウィラ、良いんだ」

 

 

嗚咽も、泣く資格すら今の私には無い、だがそれでも涙を流し、父に縋り付いてしまう。何と最低なのだ、ただ少し老いただけで!最愛の人に気づけないなんて・・・っ!!

 

だが・・・次の瞬間、それ以上の衝撃が私の心を穿つ

今までただ私を撫で、抱き締めてくれた父の声が上から聞こえてきた

 

 

「・・・全て黄金の獣から聞いた」

 

 

息が・・・時が止まった。いや・・・このまま、それ以上聞きたくないと全身全霊で思った

だが無常にも時計の針は止まってくれず、父の口からそれは語られる

 

 

「・・・お前じゃないウィラ(・・・)が・・・それが今までお前が隠していたことなのだね?」

 

 

死にたくなった、お願いだから・・・(ウィラ)以外をウィラ(・・・)と呼ばないでっ!!

今の私は酷い顔をしているだろう、顔は涙と鼻水でベトベト。必死に父の服に掻きむしるように縋り付く惨めなこのガキは・・・

 

だからこの場で舌を噛みちぎろうと思った、もう・・・何も聞きたくないし、何もしたくない

だが父の胸板に押し付けられた私では何もできない、父も何かを感じたのだろうか、折れんばかりに私をきつく、きつく抱きしめる。母もその上から必死の形相で私の動きを封じて来た

 

 

「お願いウィラ・・・お願いだから話を聞いて、それだけはお願いだから・・・!!」

 

「ウィラよ、お前に隠し事があったように・・・この私にも、オレンシアにも・・・お前に言っていなかったことがある。聞いてくれ・・・私はな________

 

 

 

 

 

 

 

本当は子供など欲しくなかった(・・・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

動けない、杖は無い、死ねない__だから剣を召喚して自らに刺さるよう操作する

だがそれは咄嗟に受けた父の二の腕で邪魔される、なので構わずズプリ、ズプリと腕を貫通させ、私に刺さるようにしていると__

 

 

「っ!!聞け!!ウィラ!聞きなさい!!」

 

 

 

__?ナニカキコエタ?____“いいや、何も”

__モウイイヨネ?______“あぁ、そうだよ。そのまま君の好きなようにするといい”

 

 

「っぅ!?お前も覚えているだろう!?我が父を!!お前の祖父であったウルンストだ!!」

 

 

あぁ・・・その名は覚えてる

幼い頃に亡くなったが、私にすごく優しくしてくれた人・・・いつもニコニコしながら私に色々昔話を聞かせてくれた私の祖父

 

 

「ウルンストは確かにお前に優しかった!!だが・・・それは孫ができたからではない!!ただエル・ドラド家が続いたことを・・・私より優秀な血が生まれたことを喜んでいただけだ!!」

 

 

__カラン__と剣が床に落ち、私はここでようやく父の顔を見る・・・カタカタと震えながら

 

 

「どういう・・・こ・・ですか・・・」

 

「ウィラ、よく聞きなさい。我が父ウルンストは王としては確かに優秀だった!だがな、親としては最低最悪だったのだ!!」

 

 

・・・父の言っていることがよく分からない、なので母を見ると__

 

 

「・・・私が義父様に初めて会った時言われたの・・・「孕め、お前の役割などそれだけだ」・・・って・・・」

 

 

考えられない、だって・・・だって・・・!?

 

 

「私がレシーと出会うまで結婚しなかったのは父の影響だ、あの男はエル・ドラド家の血が途絶えることを何より恐れていたからな。若い頃、何度寝室に知らぬ女が寝ていたことか・・・」

 

 

別の意味で震えが出て来た、私はそんな男に懐いていたのか・・・?

もし・・・もし今も生きていたら・・・っ!?

 

 

「だから・・・結婚などしたくなかった、妻など欲しくなかった!子供ができたら私は・・・俺はっ!!愛する自身が無かったのだ・・・っ」

 

 

祖父に愛されたことなど一度も無く、ただ王として踏ん反り返るあの男の姿しか知らないから__父親(・・)など知らないからどう子供を愛せばいいか分からなかったと・・・父はそう言った

 

「だがな」__と一拍置き、私の頭を撫でながら、額を合わせ互いに目を覗き込む

 

 

「レシーと出会い、運命だと感じた・・・この女を必ず幸せにすると自らに誓ったのだ」

 

「私も・・・この人と結婚するんだと感じた・・・絶対この人と愛の結晶を授かるんだって」

 

 

そう言う二人の薬指には指輪があった、王族とは思えぬすごく質素な・・・だが、二人にとってはどんな宝石よりも大切な指輪

 

__それはお互いに手作りで交換した結婚指輪だった

 

 

「レシーが子を授かったと聞いて・・・正直言おう、怖かったさ」

 

 

ウルンストのようになることが

今まで通り、母を守ることができるのか

生まれた子供を愛せるのか

母と子を天秤にかけるような屑になりはしないか__父はただひたすら色んなものに怖かったと語った

 

 

「だが・・・産まれたお前を初めて抱いた時・・・ただひたすら嬉しかった」

 

「それは・・・次の後継者が産まれたから・・・?」

 

「お前が私の手を握ってくれたからだ、嬉しくて泣いたよ。__何と幼い命だろうか、何と弱弱しく、そして力強く、お前は一生懸命生きたいと・・・そう私に伝えて来た・・・何と愚かだったのだろうと思ったよ。愛せるかなど関係ない、愛せばいいのだ。あの時・・・レシーには悪いが、私が命をかけ、そしてただひたすらに幸せになってほしい最愛が変わってしまった」

 

 

ばつが悪そうに父が魔法で腕を治してくれていた母を見ると

 

 

「ふふ、私もよジル。貴方が抱いたウィラが横に来た時、何て可愛いんだろうって思ったの。そして・・・何があってもこの子だけは守らなきゃって」

 

 

治療があらかた終わると、今度は母がその豊満な胸を押し付け

 

 

「・・・全部聞いたのウィラ、全部聞いた・・・もう一人の貴女、ううん・・・その子は本来生まれるはずだったって・・・私が産むはずだった子・・・なのよね?」

 

「・・・ぁ、ぁ」

 

 

やっぱり・・・私より、あっちの方がいいのだろうかと思っていると・・・

 

 

「ウィラ、私のウィラ、私達の可愛い娘。これだけは言っておくわ」

 

 

スゥっと息を吸い、母が私の目を覗きながらとんでもないことを言ってきた

 

 

「私が産んだ子は貴女だけ、私達の娘はどんな可能性があろうと貴女だけ。私が愛する娘は、今私が抱きしめているこの子だけ!それ以外なんていらないわ!!」

 

 

ズクリ__と、まるで狼狽えるように眼が疼いた

 

 

「よくも私の娘を虐めてくれたわね!?お前なんか知らない!!私の愛する娘の中から出て行って!!」

 

 

ズクリ__と、まるで子供が泣くように眼から涙が出て来た。だが・・・これは私の涙ではない

 

 

「この子は私達の間に産まれたの!!私がそう望んだの!!今なら分かるわ!ウィラは初めからウィラとして生まれる運命だったんだって!前世がある?本当は生まれるはずだった?笑わせないで!たとえ世界がっ、国民がウィラを認めなくても私達が認めるわ!!世界が否定しようが私達が肯定するわ!!私達が愛する娘はこの子だけ!断じてお前ではない!!」

 

 

ズクリ__と眼が疼く

だから魔力も使わず、己の意志だけで押さえつけた。そして流す涙は___ウィラ()の涙だ

 

すすり泣く声だけが3人(・・)しか、家族(・・)しかいない空間に響く

嗚咽しか上げず、縋り付く私を父はただ優しく抱きしめ、小声で母を呼ぶ私を、母はただ私の名を呼んで優しく撫でてくれた

 

 

もう___眼が疼くことは無かった

 

 

 

 

 

 

 

 

__ついて来て欲しいと、腕に包帯を巻いた父と母に支えられながら病院を出る。途中、医師達が慌てて私と父に戻るよう言ってきたが、父は老いても変わらない眼光一つで黙らせクレーリア城へと連れて行かれた

何度も「何をするの」と聞いても、ただ父と母は私の頭を撫でるだけ

 

城に戻っても、父が前もって人払いをしたのだろうか、私の円卓や常駐している兵士達。シャドウすら出迎えてこなかった、だが今はそれがありがたい

そして__城に戻った私を待っていたのは・・・一つの古びたタンス(・・・)

 

喉からヒュっと息が抜けた。汗が止まらない、震えが止まらない

何故・・・と父を見上げると

 

 

「ずっと・・・お前が意識を失っている間、考えていた・・・」

 

 

父の言葉に続くよう、母が大丈夫と言うように抱きしめてくる

 

 

「つらいのは分かってる、身勝手なのは分かってる・・・でもこれで終わらせましょう?苦しむのは今日でお終い。安心してウィラ、何があっても私達がついてるわ」

 

 

震える足を、しかし勇気を貰って前へと進める

父が横から肩を抱いてくれる、母が横から何度も大丈夫と声をかけてくれる

 

 

そして・・・再びソレは私の前へと現れた

 

前と同じようにタンスが開いたと思ったら、“バシャリ”と泥水が溢れ出し、泥の中から腐臭と共に現れた

 

 

「っぅ!?」カタカタ

 

 

強烈な吐き気が胃の奥から溢れ出て来る。口を抑え、膝がガクガクと震える

父と母は茫然とソレを見ていた、獣から聞いてもソレがこれほどまでに私に・・・そしてこんなに私が醜態を晒すとは思わなかったのだろう

 

 

スゥ__っと、ソレは眼を開き

 

 

『__あぁ、ようやく私にウィラ()を返しに・・・っ!!』

 

 

ソレの瞳にはすでに私は映っていなかった、それもそうだろう

私だからこそ分かる、最愛の父と母にようやくソレは出会ったのだ

 

 

『パパ!ママ!!』

 

 

嬉しそうに、泥を巻き上げソレは満面の笑顔で駆け寄っていく

__怖い・・・安心してと言ってくれた、大丈夫と何度も囁いてくれた・・・それでも・・・やはり私は“異物”なのでは__と・・・あの時目の前の存在が呟いた、あの言葉が何度もグルグルと頭の中で回り続ける

 

 

「__・・・ウィラ(・・・)

 

 

もう・・・駄目だと思った、今・・・父は確かにアレを見ながらウィラ(・・・)と言った

ガクリ__と膝から崩れ落ちながら、意識を飛ばしそうになった私を・・・_____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___父は確かに抱きしめてくれた

 

 

「『え・・・?』」

 

 

ソレと私の声が重なる

しかし父は、母は構わないかのように私を二人で支えながら、杖を構える

 

 

「ウィラ、安心しなさい。アレは・・・私達の子では断じてないっ!!」

 

 

父の杖から閃光が放たれる、それに続くように

 

 

「何故、ウィラがここまで弱ったのか・・・ウィラ、貴女間違ってるわ。あんな存在が貴女のハズも、私達の娘でもあるハズがないっ!!」

 

 

母の杖からも呪文がソレへと駆け抜ける

あまりの衝撃でソレは二人の呪文を避けず、ただ突っ立っていた。バチンと差し出した手を拒絶するような音が響き

 

 

『__んで・・・何で何で何で!?私よパパ!私なのママ!!ようやく会えたの!ようやく声をかけられるの!!私がっ、私が本物のウィr__!?』

 

「「キサマ(お前)が私のウィラの名を穢すな!!」」

 

 

再び父と母は拒絶し、私を守るように二人は杖から変わらず閃光を放ち、前へ前へと出る

 

 

「相対して理解した!キサマは汚物そのものだと!!キサマのような存在が私の愛する娘の前に現れたこと自体が不愉快極まる!!キサマは断じて“黄金”でも娘でも無い!!」

 

「愛が無い!お前のそれはただ“私達に愛されている自分を愛してる”だけ!!“黄金”に生まれた者なら、私達の家族なら分かっているはず!そもそも何?ママ(・・)?私はお前など産んでいない!!」

 

 

ポタポタと涙が出て来た、だが悲しいのではない__嬉しいのだ

ずっと怖かった・・・本当に私で良かったのか・・・本当に・・・私はこの世界で、この家で生きていいのかと・・・っ!

 

だが理解した、ようやく理解できた

何が“愛されたい”だ、何が“愛している”だ。誰よりも私は愛されているじゃないか、私の愛など今、目の前で繰り広げられている二人の背中に比べれば塵にも劣るではないか

 

 

『~~っ!!何で!?そんなものゴミ同然じゃない!?異物なのよ!?前世なんか持って、赤の他人だって自分で言っているようなものじゃない!!?』

 

 

泥で身を守り、ソレが吼える。だが__

 

 

「「だからどうした(・・・・・・・)」」

 

 

どうでもいいと言わんばかりに二人の声が重なる

 

 

「私の手を掴んだのだ、私に微笑んでくれたのだ!守ると誓った、あの笑顔を!!見守り、慈しみ、ウィラの子を、孫を必ず抱くと決めたのだ!!」

 

「聞いたのよ!生きたいって産声を!!何事にも一生懸命で、一生懸命私達の期待に応えようとするこの子が可愛くないワケないじゃない!!」

 

 

・・・少し恥ずかしくなった。その後も杖を振りながら話すそれは私の自慢話ばかり

 

 

『あ゛あ゛ぁぁああ゛!!!もういいっ!!お前等なんかいらない!!私を認めないお前等なんか死んでしまえっ!!』

 

 

瞬間、泥が部屋全体に広がり、先端を尖らせながら二人を襲おうとする

 

駆け出していた。ここまで手を差し伸べられたのだ、ここまで私は愛されていたのだ。偉大な父と母に今まで守られていたのだ私は__だから__

 

 

___今度は(ウィラ)が守る番だ!!

 

 

「『黄金の守り』よ!!」

 

 

絶体防御と言えるそれを・・・

 

 

『うっとうしい!!お前如きが“黄金”など・・・笑わせるなぁ!!』

 

 

ピシパキ__と黄金のベールに罅が入る。私は目を疑う、この魔法を破れる者など・・・全快した私の全力の魔法を破るなど、それこそ私より強いと言われる初代か10代目くらいしかいないと今まで思っていたのだから

 

杖先がガタガタと震え、私の手から離れそうになる。だが絶対手放さない、私の後ろには絶体に守らねばならない家族がいるのだから!!

 

泥はケタケタと狂ったかのように嗤い、死ねと叫んでくる。だが__

 

 

「ウィラ!」 「ウィラ!」

 

 

私をウィラと呼んでくれる人がいる、愛していると頬にキスをしてくれる人がいる。こんな弱い私を主君と仰いでくれる者達がいる

何より・・・今私が負ければ間違いなく、この泥はエルドラド王国を飲み込み、今生あまねく全てを飲み干すだろう

理解した、これは・・・私とは全く関係ない存在だと、だからっ!!

 

 

「・・・奪われてなるものか・・・ここが私の帰る場所だ、ここが私の守る国だ!壊させてなるものか!!ここが・・・私が産まれ、生きる世界だっ!!」

 

 

今まで異物だと・・・所詮“作られた世界(ハリー・ポッター)”だと一歩引いていたのだ、だが違う

ここが私の世界だ、私の生まれた世界だ。前世など関係ない、“作られた世界(ハリー・ポッター)”だろうが関係ない。生まれたのだ、ならばただひたすらに謳歌するのみ。なにより__

 

 

「私は“黄金の君”なのだ!私の後ろには父が、母が!我が民草が控えているのだ!!」

 

 

ピシリ__と杖に罅が入る音が聴こえる、だが今それに気遣う暇はない

 

(私の杖なのだろう!?応えろ聖槍!!今やらずしていつするというのだ!?)

 

だから構わず全力で呪文を維持し、私の意志を目の前のアレにも、父と母、そして杖にも伝わるよう叫ぶ

 

 

 

 

 

「ならば私は守らねばならない!私の世界(全て)を守らねばならない!!そうだ・・・私は・・・!!」

 

 

__全てを愛しているのだからっ!!__

 

 

 

 

 

パキィン__と、杖が砕けた音がした・・・だから・・・

 

 

 

 

 

 

「____形成(Yetzirah)____!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

__ソレは本来、産まれるハズだったわけでも、ましてやウィラのさかしま(・・・・)だったワケでもない

その正体は狂った3流脚本家__永劫ただ一つを望む水銀の蛇が用意した舞台装置にすぎなかった。全ては女神の黄昏を見たいと願う、蛇の人形

 

そして・・・ソレ、泥人形を通し__ついに虚ろう水銀の蛇は見つける

 

 

『な・・・によソレ・・・』

 

 

泥は目の前に突如現れたそれ・・・いや、先程と全く違う存在となったウィラに目を見開いた

形成(Yetzirah)”の呟きと共に、ウィラの手に握られたそれは__

 

 

「__聖約・運命の聖槍(ロンギヌスランゼ・テスタメント)__!!」

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

目の前に浮かぶソレを、だが確かにウィラはしかと握る

するとウィラの髪が逆立ち、まばゆい黄金の__黄昏(・・)のような光が部屋を包む

 

泥はその光を浴びるだけでパキパキと渇き、泥人形もまたその形を崩していった

 

 

『ふざけるなぁぁああ!!!私なの!!私がウィラなの!!そう言われた(・・・・)!そう作られた(・・・・)!!私が!私がぁぁああ!!』

 

「・・・ようやく化けの皮を剥がしたか」

 

「ウィラ・・・それは・・・」

 

 

オレンシアが問おうとするも、ジブニールが口に手をやり静かにするよう伝える

 

我が子が成長しようとしているのだ。ならばそれを邪魔するわけにはいかない、なにより__

 

 

(あぁ・・・我が祖先、我が始祖ヴァンシエルよ、見ているか?ウィラはついに、貴方様と同格にまでなった・・・1000年ぶりに、『偉大なる黄金』はついにその産声を世界に轟かせたのだ)

 

 

これが終われば世界に伝えよう、父として娘の凄さを世界に自慢せねば__とジブニールはオレンシアを抱きしめ朗らかに笑う

 

槍を持ったまま、佇んでいたウィラが口をようやく開く

 

 

「愛を知らぬ、自己しか愛せぬ存在よ。ならば与えよう、ゆえに・・・壊れろ」

 

『な・・・に!?』

 

「終末の日に非ず、しかしダビデとシヴィラの預言の如くに・・・あぁ、砕け散ろ。私がウィラだ、“黄金”だ・・・どれほどの戦慄が待ち構えていようとも、審判者が来るが如く・・・卿は私の足下に跪くのだ」

 

 

スゥ__っと槍の穂先を泥人形へと向ける

 

 

(マズイマズイマズイマズイ!!?あれだけは受けては駄目だ!!あれを受ければもう私は・・・私はっ!?)

 

 

ウィラの心にもう恐怖は無い、ゆえに本来ならば“ボガート”が化けた存在である泥人形はすでに消えているのだが・・・

 

 

『何で!?何で消えないの!?』

 

 

乾いた泥のように、泥人形はその場でポロポロと崩れ出すだけ

黄昏の光は泥人形を捉えて離さなかった、まるでウィラの愛する世界が“お前など認めぬ”と言わんばかりに

 

恐れを与える存在が、恐れを持ってウィラを見る

彼女の表情は冷たく、日の光・・・まるで黄昏のようだった

そして、完全覚醒したその瞳の色は、もはや黄金色ではなく___黄昏

 

 

時が止まったかのように、静かにウィラは全てを灰塵と帰す呪文を唱える

 

 

 

 

 

 

「『__Dies irae__』」

 

 

 

 

この日__世界は確かに聞き届けた__“偉大なる黄金”__その産声を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__全てが終わり、ようやく始まった。『異物』だから、ここは『物語の中(ハリー・ポッター)』だから__今まで一歩引いた、俯瞰者や読者の気分で見て感じていたのだ。何と馬鹿馬鹿しい話だろうか

 

だから全部話した(・・・・・)。前世の私にとってここは本、物語の世界だったと__私はただ家族に嫌われたり、変な目で見られることが怖かったのだ

だがもう違う、信じるまでもなく、家族は「そんなことで」と笑ってくれた。本当に「そんなこと」だ

父の胸に耳を当てれば力強い鼓動が聴こえる、母の腕は暖かさに溢れている

生きているのだ、皆も私も__それが全てなのに・・・馬鹿だなぁ、私

 

 

“偉大なる黄金”の誕生を世界に伝えようと父に言われたが、それは待ってもらった。“ウィラ”としてのケジメはつけた。だからもう一つ、私の中で決着をつけなければ・・・“王”としてケジメをつけなければならない、だから待ってと父にお願いしたら、ワシャワシャと髪を撫でてくれた

 

ついでにもう一つお願いした(ちゃんとこの世界の住人になったためだろうか、すごく甘えたくなったのだ)

だから今、私は父と母の間に身体を潜り込ませ、ベッドで寝ている

 

隣を見れば、白髪になった父がいる。申し訳なさそうな表情を私はしたのだろうか、「最高の勲章だ」と頬にキスしてくれた

 

隣を見れば、私から見ても美しい母がいる。ギュっと抱きしめてきたので、お返しとばかりにギュっと抱き着くと頬にキスしてくれた

 

変な言い方だが・・・アレの言っていたことはある意味正しかったのかもしれない

確かにあの瞬間まで、私はこの世界にとって異物だったのだろう。だが今は違う、私は今日改めてこの世界に産まれたのだ。だから恥ずかしい話、赤ん坊のように両親に甘えたくなった

 

くぁっと欠伸が出た、色々あったし安心できたのだろう

 

 

「おやすみなさい、父上・・・ははう・・・え・・・」すぅ_すぅ_

 

「おやすみウィラ」

 

「えぇ、おやすみ」

 

「「良い夢を__」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__幼い私が両親に手を繋がれている。その髪は黄金ではなく金髪、目も碧眼、父もそうだ

 

森の中にある小さな家、毎日野山を駆け、疲れたら家で待つ母の胸に飛びつき、魔法の勉強をする_____それはどこにでもある、王族などではない普通の家族、普通の光景だった

 

 

 

___“これが本当はウィラが望んでいた夢?(あぁ、そうだよ)

 

___“どこにでもある、普通の幸せ・・・(そうだよ、そのとおりだ)

 

 

__あぁ、確かにコレは良い・・・何も悩まず、ただひたすらに毎日を謳歌する

そしていずれはホグワーツから入学届けが来て、私はハリー達と素敵な大冒険を始めるだろう。マクゴガナルから怒られ、スネイプに陰から守られる毎日・・・あぁ、確かに素晴らしいな」

 

 

だから____私は後ろを振り向き、姿の見えぬソレ(・・・・・・・)を掴む

 

 

「だが決めた!!私は父と母の娘!ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリアとして!王族として生きるとな!!他の誰でも無いウィラが決めた絶対だ!!」

 

“__っ!?”

 

「キサマか!キサマが私にあのような・・・っ!?私は決めたぞ影法師!!誰がお前なんぞに負けるものか!これは私の物語だ!!壇上にも上がっていない部外者が口を出すな!!」

 

 

夢だろうが関係ない、聖槍をこの場に呼び、矛先をソレへと向ける

 

 

「これが私を苦しめたキサマへの礼だ、受け取れ影法師!!」

 

“・・・あぁ・・・それは流石の私も危ういな・・・」

 

 

 

“Dies irae”__!!

 

 

 

 

 

 

・・・逃げられた・・・が

 

 

「お前が敵か、いつでも来い・・・私は全てを愛すると誓った、ゆえに・・・キサマも()してやるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・なるほど、確かにこれは彼女の歌劇。部外者である私が出張るのはお門違いか___ならば・・・次は私が脚本を書き上げよう、私による、私のための脚本を」

 

 

しかし__

 

 

「いやはや、それはいつになることやら・・・今は女神のおわす世界が分かっただけ良しとしよう。女神を見つけるためにいたずらに世界を滅ぼすことも飽きたことだ」

 

__では皆様

 

 

「もうしばし、彼女の物語を御覧いただきたい。なぁに、これもまた至高

 

では、私の書く歌劇はどうなのかって?

脚本家は3流、その脚本はありきたりだが・・・役者は至高であると保証しよう」

 

 

 

しからば、今暫しのヒマつぶしとして、一人の男の歩んだ人生でもいかがかな?___

 

 




書いてて思ったのですが、オレンシアがこの作品で一番熱い人なんじゃね?


ということでとうとうウィラが完全覚醒しました
この作品の初めのほうで「流出」はできないとウィラに言わせましたが
「形成」はできないとは一言も言ってないですよ?

聖槍の形状がラインハルト卿と違うのは・・・すみません(汗
もう気力が持たなくて、だいたいで描きました(汗


それと現在、深緑 風龍様とコラボをしています
いい加減書かないといけないので、いったん本編はお休みして
次回はコラボ内容にしたいと思います

よければ深緑 風龍様の描くウィラが出る“Subterranean Electron World”(R18)をどうぞ



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偉大なる3人目の黄金

お待たせしました
中々まとまらなかったのと、最近仕事が忙しくて・・・(汗

今回もまだハリー・ポッターに戻りません



あの泥を追い払い、私が私としてちゃんとこの世界に産まれた次の日

ウィラ()としてのケジメをつけ、次は新しい“偉大なる黄金”の誕生を世界に発信するだけ、だが・・・その前に私にはやる事があった

 

ウソをつかない、誤魔化さない・・・そう約束した者にまずは謝らなければならなかった

 

だから今私は・・・

 

 

「よくも・・・よくもわらわに嘘をっ!?御身だけは絶対だと信じていたのに・・・っ!!」ギリギリっ!!

 

 

押し倒され、肩にコチョウの爪が喰い込み、服が血で滲む

アルヴィーがオロオロとコチョウを引き剥がそうとするが、それを獣が首を振り止める

当然だ、約束を一方的に破ったのは私・・・『嘘をつかない、隠し事をしない』

 

黄金円卓第3席次胡蝶__その正体はアジア大陸を駆け回り、その絶世の美を持って時の権力者を振り回し、ついには国すら墜とした“金毛九尾玉藻の前”

その起源は実に古く、玉藻の前と名乗る前は“妲己”として中国を混沌の渦に巻き込み、日本にて陰陽師に討伐され、その身は『殺生石』となり毒を辺りに放出。誰も近づけなくなり、九尾はこうして滅んだ・・・と歴史ではされている

 

だがこの通り、金毛九尾は生きている。私に仕える時に名を与えた胡蝶が言うには「もう人を信じることに疲れた、だからただ見るだけで良かった」らしい

 

妲己、玉藻の前__彼女は人が大好きだった。人の営みが、笑顔溢れる雰囲気が

だから人に化け、大陸を巡った。その内彼女は本気で人に恋をするようになった

「どうかこの営みを永遠に見せてほしい、そして願わくは自分もその輪の中に」と

 

人間に恋をし、ある時は人間の男と交じり子を成したこともあった

しかしそれらが長く続くことは一度もなかった。胡蝶はあまりに美しすぎた。その身を我が物にせんと何度も胡蝶を巡り戦乱が起き、その度に胡蝶の身は男達に穢された

それでも彼女は信じたのだ。人を、人の輝きを・・・でもそれらは全て裏切られた

大陸から逃げ、最後に縋り付いたのが日本だったらしい

上皇はただひたすらに優しかったと・・・本気で最後まであの方の傍にいたかったと胡蝶は涙ながらに語ってくれた。でも・・・

 

 

 

__お、お前が・・・玉藻の前!!お前が朕を殺そうとは・・・この薄汚い女狐がぁ!!

 

 

その思いすらも裏切られた。もう彼女の心も身体もズタボロだった。だから殺生石を生み出し、ただひたすらに関わることを止めたのだとか

 

ポロポロと涙を流し、私を殺そうとばかりに睨みつける彼女をどうして引き剥がせようか

誰よりもキズ付き、ボロボロのこの狐が私は愛しくてたまらなかった。何よりどれだけ汚れ、汚辱に塗れようと、この金毛九尾は美しさを損なうことはなかった

 

円卓が止めないもの私がそれを許さないからだ、獣とシャドウにはこの可哀想な狐の全てを伝えてある。今この場でコチョウの邪魔をしようものなら私はソイツを円卓から追い払うと

 

 

クァっ!!__とコチョウが牙を剥き、爪を立てたまま私の首筋に噛み付こうとする

恐れはない、目も離さず、私はそっと包み込むようにコチョウの頭を抱き、首へと誘導する。これ以上彼女を裏切りたくなかった

 

しかし・・・いつまでたっても痛みは襲ってこず、何故かコチョウはプルプルと震えだした

 

 

「・・・どうした、殺さんのか?卿にはその証がある」

 

 

殺したいのだろう?と問うと、コチョウは顔を振り、私の胸に顔を埋めながら縋り付くように服を握りしめ

 

 

「  ち です・・・違うのです・・・っ!!わらわはただ・・・ただ貴女様に・・・っ!!」

 

 

サラリと顔にコチョウの髪がかかる。私に負けず劣らずのその金毛の何と美しいことだろうか

どうすればいいと聞く、どうすれば私はお前に許してもらえるのかと

 

 

「愛してください・・・お傍に置いてください・・・っ!わらわはもう・・・独りは嫌ぁ・・・!」

 

「愛しているさコチョウ、卿を誰よりも・・・私は全てを愛している。卿の全てを愛しているのだ。誰にも渡さん・・・死んでも卿は私の物だ」

 

 

その言葉を聞いて更に泣き出す。普段なら不敬と断ずるところであるが、今日だけは許すことにしよう

 

 

 

 

 

 

数日後、私はテレビに出ていた。どうしても国民に問わねばならないことがあったからだ

 

それは“私はこのまま君主として君臨していいのか”

一度は父と母を疑ってしまった私に人の上に立つ資格があるのか・・・疑問が疑問を呼び、それすら少し分からなくなっていた

 

だがその全ては杞憂だった

 

私でいいのか?といった問いをしたらその日のクレーリア城の前にほぼ全ての国民が集まったのではと思う程の人だかりができていた。そして彼等が皆一様に口にするのは私の名

 

叫ぶように、懇願するように、どうかエルドラドの太陽であってほしいと彼等は私にそう訴えかけてくれた

遠目とはいえ、国民の前で涙を流したのはあれが最初で最後だ。あれほどの歓喜はこれから先の人生でもそうそうないだろう

 

 

それから更に数日後___全ての準備が整い、私はアレを名乗る日がやってきた

 

 

 

 

 

 

 

世界が震えた

 

その知らせを告げたのはドーヴァー海峡に浮かぶ小さな島国。しかしその国を無碍に扱う国はヨーロッパに存在しない

知っているからだ、かつて1500年以上前に自分達の先祖が彼の国におわす王族の祖に滅ぼされかけたのを

知っているからだ、今の魔法界が存続しているのは1000年以上前に存在した彼等の祖先のおかげなのだと

そして・・・知ってしまった

 

ついに預言は成就されてしまったのだと

 

 

『エルドラド王国第79代国王陛下ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア様

 

“偉大なる黄金”に覚醒』

 

 

この記事が日刊預言新聞より発行された時、ダンブルドアは寿命が縮む思いだった

 

 

「・・・ついに・・・何という事じゃ」

 

 

この数週間、ダンブルドアは生徒達の対応に追われていた。それはウィラが突如誰に言う事も無く帰ったからだ

また恐ろしい怪物が出たのではないかと不安に駆られる生徒を何とか宥め、ようやく落ち着きを取り戻してきた時にこれだ。ダンブルドアはもう何度目か分からない胃の痛みに苦しんでいた

それは何もウィラが偉大なる黄金となったからではない

ダンブルドアはリーマスの記憶を一度見ている、それはつまりあの悍ましい泥を見たということに他ならない

今の彼女・・・ウィラ(・・・)という存在がどちらを指しているのか分からないのだ

分からないがゆえに恐れる、しかしエルドラド王国に「そのウィラは本物か?」など問えるはずもなかった

 

一人悩むダンブルドアの下に、ヘルメスという名の鷹がクレーリア城への招待状を持って来て、更に胃の痛みが悪化するまであと2時間__

 

 

 

 

 

 

「陛下、ただいまヘルメス殿がお帰りになりました」

 

「そうか、ダンブルドアにちゃんと届けたか?」

 

「問題無く」

 

 

獣の答えに良しと返し、私は鏡の前へと移動する。クレーリア城に呼んだ各国の代表達に・・・自分でいうのも何だがお披露目を行うために化粧や衣服を見繕ってもらうためだ

ちなみに招待したのは全て魔法の存在を知る者達のみ、というのも今回私が成った“偉大なる黄金”__これの存在は一般のマグルの世界には伝わっていないのだ、事情を知らぬ者を呼んでも意味がない為、限られた者のみ呼び寄せた(王族は問答無用だ、呼ばなかったらどうせ後から文句が煩いし)

 

 

化粧は私付きのメイドにやってもらっている。本来なら専門職にやらせるのが普通だが、シャドウから日夜鍛えられている彼女達の不可能などない

 

終わったと言われたので化粧台から立ち、その場でクルリと回ってみる

 

 

「うん、どうだお前達。綺麗か?」

 

 

どうやら聞くまでもなかったらしい、全員が私を見てホゥっと溜息をついて頬を赤く染めていたからだ

 

場所を移し、家族が待つ部屋へと足を進める

 

着いて来たメイドと獣がどちらが扉を開けるかで軽く牽制しあっていたので、指を鳴らしシャドウに開けてもらう

 

 

「おぉ、ウィラ!何と美しい・・・!」

 

「えぇ、とっても綺麗よウィラ」

 

他人に褒められても何も感じないが、やはり父と母に褒められると何だかむず痒くなる

二人には先に行ってもらった。私が今回の主賓なので招待客全員が集まって最後に出ていくのだ

 

暫く時間があるので少し考え事でもしよう

まず“偉大なる黄金”になった私・・・何か変わったことはあるか?

答えは否だ、いや、正確には少し違うか

元々私は私なのだ、今までは王家に生まれたゆえにそれらしく・・・王族に相応しい振舞いをしようとどこか肩肘をはっていた

ウィラ、ウィラと自分の名を呼び、自ら存在証明をしようとしていたんだろうなと今では思う

だからといって変わる気は無い、私は私なのだ。なにより・・・

 

 

「ウィラトリア様、そろそろお時間でございます」

 

「黄金の君、ご支度を」

 

 

今までの私を主と崇めてくれていた臣下がいる。ならば変わる必要などどこにあろうか

席を立った私に獣が王冠を、シャドウが王杖を差し出してくるが__

 

 

「要らんよ」

 

「ですが我が君・・・」

 

「あぁ、言葉が足らんかったな、許せ」

 

 

ふと思ったのだ、どうせならいつもの晩餐会のようなものではなく度肝を誰もが抜かすような仕込みがしたいと

何より今回呼び寄せた理由である“偉大なる黄金”自体がかなり曖昧なのだ

 

ヴァンシエル陛下はヨーロッパの支配と魔法使いの国を立ち上げた功績で

10代目のカールは魔法界の普及に身を捧げたという功績で

では・・・私は一体どういう項積でこの二人に名を連ねるのか。今回の招待客の誰もがそれを知りたがっているはずだ

 

 

「だから示すのだ、その為にすまないがシャドウ、王杖は邪魔なのだよ」

 

何より杖はすでに持っている(・・・・・・・・・・)とシャドウに言えば、数瞬考える仕草をしたのち深々と頭を下げて来たので言いたい事が分かったのだろう

 

 

「では行こうか」

 

 

 

 

 

 

何度来ても慣れないとダンブルドアは思う。ホグワーツ、ウィラの通う学び舎を代表し彼は単身で魔法使いの死地エルドラド王国クレーリア城へと足を踏み入れていた

瞬間襲ってきたのは激しい倦怠感、魔力の全てが封じられ、この国にいる間だけはダンブルドアはただの老人へとなり替わってしまう

宮中に入り、辺りを見渡せば自身と同じように気怠いといった顔をしている者がチラホラと見える。彼等もまたダンブルドアと同じく、それぞれの国を代表する偉大な魔法使いであるというのに・・・この場ではその肩書は一切意味を持たない。まるでこう言われているようだ____私以外全てが有象無象だと

 

 

(いや・・・考えすぎじゃな)

 

 

倦怠感によって回らない頭を軽く振り、もう一度辺りを見渡すと見知った顔が二つあった

 

 

「おぉ!ダンブルドア!良かったよ、知り合いに合えて!」

 

「うむ、儂もじゃよファッジ」

 

 

そこにいたのはイギリス魔法省を代表してやって来たファッジと・・・

 

 

「して・・・お主も呼ばれたのかのう・・・ルシウス殿(・・・・・)

 

 

そう、ファッジの隣にいたのはイギリス聖28一族の筆頭にして『死食い人』のまとめ役・・・ウィラの友人としてルシウス・マルフォイも呼ばれていた

 

 

「・・・私がいてはいけないのかなダンブルドア、相変わらず人を疑うことに余念がない」

 

「ホッホ、儂は何も言っておらんではないか。それでは腹に一物有りと言っておるようなものじゃぞ?」

 

 

互いに目を離さず、しばしチリチリとした空間ができあがる

 

 

「よさんか二人共!ここには各国の魔法省や大統領、更には王族までいるのだぞ!?イギリス同士でいがみあっておる場合ではない!」ヒソヒソ

 

 

ファッジが二人に間に入り止める。というのもダンブルドア達を遠目に身ながら各国の者が口に手を添え何か言っているのを見たからだ

確かにこの場は祝いの席。しかしその裏では様々な思惑が流れていることは流石に無能なファッジでも手に取るように分かった

 

 

「・・・確かに・・・では大臣、私はいったんこれで」

 

 

国外の友人も大勢この場にいるため挨拶をと言ってルシウスはダンブルドアから離れる

ダンブルドアもそれを止めることはない、ファッジの言葉は確かに正しいし、何よりこの国に入った瞬間から彼もまた魔法が使えない。多くの騎士が守護するこのクレーリア城で何か事を成すなど誰にもできるハズがないのだ

 

その後ダンブルドアはファッジの各国の代表達との軽い顔合わせに付き合った。驚いたのはその場にいた者達だ

ヨーロッパ全土から集まった魔法大臣達、マグルの大統領や総理に更にはアジアの王族と凄まじいメンツが集まっていた。これだけで主賓である彼の王族の影響力が計り知れないと分かる

 

すると彼等の目の前に、ついにこの国の前国王にして城の元主___白髪となったジブニールが妃であるオレンシアの腰を抱いてやってきた

 

 

「ファッジか、久しいな」

 

「こっこれはこれはジブニール様!この度は我等のような者をお招きいただき・・・っ!」ペコペコ

 

「あら、此度の主賓はあの子よファッジ。招待状をちゃんと読んでないのかしら?」

 

 

ジブニールとオレンシア両名はあまりファッジのことが好きではない。彼等は上に立つ者としての矜持を持たないこの無能が何故イギリス魔法界の頂点にいるのかと思っていた

 

そして・・・

 

 

「・・・ジブニール殿、その髪はどうなされた」

 

「名誉の勲章だ・・・汝もあの子が生まれて以来か・・・ダンブルドア」

 

 

ジブニールがその鋭い双眸をダンブルドアに向けた時、ダンブルドアは歳も忘れて震え慄いた

皺は増え、その美しかった黄金色の髪は白に染まっている。だが衰えていない、十数年前に謁見したあの時から

 

それを悟られぬようにしながら今度はオレンシアへと挨拶を行う

 

 

「オレンシア殿も相変わらずの美しさじゃ、この前マダム・マクシームと久々に会ったが言っておりましたぞ?久々に会って話がしたいと」

 

 

そう、元々オレンシアはフランス人。それも魔法学校として高名なボーバトン校において神童とまで呼ばれた才女だった

だがそれもジブニールと出会うまで、出会ったその日にオレンシアはエル・ドラド家へと嫁いだ

 

 

「うふふ、マダム・マクシームったら。私これでも中退した不良娘なのに」

 

 

礼を言っているようだが、しかしその目にダンブルドアは映っていない

本当にこの王族は変わらないとダンブルドアは思う

初めて会ったあの日から分かってはいたが、エル・ドラド家は好き嫌いがハッキリ分かる王族だ

王族とはこうである、何故人目など気にせねばならんと言わんばかりに

だが何故か逆らったり、失礼を働こうとは思えない。それはある意味この王族のカリスマ性と言えることだろう

 

 

話しが変わるが、こういう場では基本、後から来る者ほど地位が高い。ゆえにこの場にはアジアの王族はいるがヨーロッパの王族はまだ一人も来ていなかった

何故急にこの話を始めたかというと・・・ついに彼女が来たからだ

 

 

「っイギリス王室代表!エリザベス女王陛下御入場!!」

 

 

ザワリと会場が騒がしくなる。が、それは一瞬のみ

それは何故か

 

「あら、良いのよ別に。こんなお婆ちゃんのことなんか気にしないで」

 

 

簡単な話しだ、呑まれたのだ。その君臨者としての覇気に

ウィラですら化け物と形容する彼女に話しかけるなど、そんな勇気は誰も沸かない。特にイギリス国民であるダンブルドア達には

 

ゆえに

 

 

「まだ死んでおらんのかエリー!フハハ!!互いに歳を取ったなぁ!!」

 

 

同格である彼等は平然と話しかける

 

 

「うふふ!あらやだジル!白髪になってまぁ!どうしたの?死ぬの?ねぇ死ぬの?」

 

「お久しぶりエリー!ね?白髪になったジル、すごくカッコイイでしょ!」

 

「相変わらず仲良いわねぇレア、ホントは旦那も連れて来たかったんだけど・・・彼風邪ひいちゃって」

 

 

まるで友人と話すように気さくに話し合う三人。確かにジブニールとエリザベスは分かる、しかしまだかなり若いオレンシアまでその場にいることが、ただ彼女がその美しさだけで王家に嫁いだのではないのだと誰もが悟った

 

三人の会話を誰もが聞いていないフリをしながら聞いていた。そのほとんどが普通の会話であったが時に爆弾発言が飛び交い、話題に上がった国の重鎮達の顔は青褪めていた

ある程度話し終えると、ついにエリザベスは誰もが知りたがっていた内容へと話しを移す

 

 

「で?ウィラちゃんホントに“偉大なる黄金”とやらになったの?まさかただ娘を自慢したいが為にこの私を呼んだワケじゃないわよねぇ?」ニコ

 

 

慈愛の笑みの裏で、しかし彼女はこう言いたいのだ

__早く出せ、この私を差し置いて出し惜しみもいい加減にしろ__

 

 

傲慢な彼女らしい、だが誰もが心の中で頷く

何より誰も認めたくないのだ、1000年ぶりの存在など

 

まるでその言葉を待っていたと言わんばかりにジブニールは更にオレンシアを抱き寄せ、オレンシアもまたその豊満な胸を押し付けるようにジブニールへとしな垂れかかる

 

そして今回の主役はついに舞台へと上がる

それまでも凛としていた儀仗兵達が更にその身を強張らせ、名を告げる

 

 

「エルドラド王国第79代国王陛下にして、この度“偉大なる黄金”として君臨されることとなったウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア様ご入場でございます!!」

 

 

その会場に敷かれた深紅の絨毯を間に人が別れ、中央から人が消える

ギィ__と厳かな音を響かせ扉が開き、ついに彼女が現れた

 

その身に纏うは贅の限りを尽くした深紅のローブ、堂々と中央を歩く様は、だがいつもと変わらないように見える。しかし・・・

 

 

(・・・何かが違う・・・っ!!今までのウィラ殿とは何か・・・!!)

 

 

ダンブルドアだけではない、ウィラを知る誰もがそれを感じていた

その身は人体の黄金律と言っていいほどに美しく、誰もが見惚れる美貌は化粧で更に美しく

だが・・・そこではないとエリザベスは見抜いた

確かにウィラはエリザベスの目から見ても可愛く綺麗だ。初めて会ったあの日から、王になどならずに何度イギリス王室に欲しいと思ったことか

今回呼ばれ、ようやく気付いた

ウィラの美しさ、それは人の美しさではなかった(・・・・)。“サモトラケのニケ”や“ヴィーナス像”のように、彫刻が如き美しさだった。まるでこの世界の存在、同じ存在ではないかのような

しかし、今はどうだろうか

しかと血の通った肌、微かに見える肌の何と艶めかしい

今の彼女は人だ、同じ世界、生きると決めた生気溢れるその姿こそ、今のウィラ___“偉大なる黄金”

 

だが同時の疑問が浮かぶ。なるほど、確かにこの姿はもはや今までの彼女ではないのだろう。だがそれだけで何故1000年ぶりに彼女はその名を名乗ることを決めたのか・・・その疑問は次の瞬間に解決した

 

先も言ったようにこの場の全員は魔法を知る者達のみ、魔法使いも大勢いる

誰かが気付き、またそれが広がる。ウィラの手には本来持たれているハズの王杖は無く、ごく普通・・・と言っても歴史においてこれほど意味のある聖なる力を宿したウィラ本来の杖が握られていた

 

軽い騒めきが起こるもウィラは無視しながらこの場で初の言葉を紡ぐ

 

 

「久しい顔ばかりだ、まずは礼を。そして卿等は今疑問に思うことが多々あるだろう」

 

 

その声は天の調べに等しい音色、ただ話すだけで讃美歌の如く心に響き渡る

 

 

「その全てを一瞬で解決してみせよう、なぁに手間などかけん」

 

 

そう言ってウィラは手に持つ杖を掲げ呟く

 

 

「___形成(Yetzirah)

 

 

パキィン__と甲高い音と共に杖が砕け散る。それをこの場にいる某最大宗教の枢機卿達が信じられないといった顔で見__次の瞬間崩れ落ちる

 

形成(Yetzirah)」__その言葉の後に現れた物は__

 

 

「聖約・運命の聖槍《ロンギヌスランゼ・テスタメント》___」

 

 

世界には何個もの聖槍と呼ばれる物があり、彼等はそれを見定め鑑定し、本物であろうと思われる物をヴァチカンへと持ち帰ってきた

だが・・・目の前の槍を、少女の手に持つソレを見た瞬間、それこそが本物であると・・・神の力を宿す物だと魂が感じた

 

それはこの場の誰もが同じだ

理由や理屈など関係無い、彼女は選ばれた。なるべくして彼女は“偉大なる黄金”へとなったのだと魂で理解してしまった

 

 

「もう説明はいらないな?では祝ってくれ、この素晴らしき日を・・・1000年、いや、1500年ぶりに、聖槍は主を見つけたのだから」

 

 

そう告げるウィラはどこまでも美しく___その瞳は黄昏色を讃えていた___

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__この世界、『ハリー・ポッター』には本来エル・ドラドも、彼等が興した国エルドラド王国も存在しなかった。それはつまり異物であるということだ

 

ゆえに世界はこれまで何度か彼等を歴史から抹消しようとした、所謂“抑止力”というものだ

ただ普通の存在しなかった王族なら、彼等が特別な力などない王族であったならば世界は抑止力など発動しなかっただろう。事実3度のみ、見過ごせぬ強大な力を持った3人の例外以外では一度も抑止力など起こらなかった

 

 

一度目は全ての始まり。強すぎる、あまりに偉大な彼を世界は恐れた

だが同時に世界は滅びへと向かっていた、その流れを止めたのは世界からつま弾きにされていた偉大過ぎる王だ

世界は恐れた、世界ですら止められない流れを彼はその身一つを犠牲にし、しかしそれ以外の被害を一切出さず止めてみせたのだから

 

二度目はもはや理解の境地を超えた存在。全てを視、総べてを支配できるソレに世界は震え慄いた

事実、彼はその力を覚醒させた後、行ったことは自らの国の繁栄・・・ではない

それは楽園という名のディストピア

全てを視た彼は全てを与え、総べてを奪った

考える必要もない、何故なら彼はあらゆる未来を視、最解適のみを国民に与え続けたのだから

もしこれが自分__つまり世界中に広がればどうなるか・・・何度も国を滅ぼそうとしても、しかしその未来さえ彼に摘み取られていき、何時の間にかソレは世界そのものに干渉し始めた

基盤そのもの、つまり偉大なる創始者達の師の位置についた彼に抑止力はもう手も足も出せなくなった

何とかしようとした時にはすでに彼はどこかへ消え、そしてそれはまるでこの世界から消えたかのように観測できなくなっていた

 

そして三度目___つまり今回の3人目の逸脱者ウィラトリア

上記に挙げた二人の良いとこのみを集めたような存在。まさに世界そのものに逆らい続けたエル・ドラド家のある意味集大成と言える存在になってしまった

成る前ならどうにかできたであろう、しかしそれはもう意味を成さない

もし世界が彼の国に干渉しようものならば、間違いなく彼女は世界を手に入れることができる槍と神代の生き残りを引き連れ世界に反旗を翻すだろう。そしてそれに抗う力はもはやこの『ハリー・ポッター』の世界には存在しなかった

 

ゆえにもう、世界は干渉を諦めた。もはや成り行きを見届け、どうか本分である『ハリー・ポッター』という作品さえ完結すればいいと___

 

そしてそれは正解だった、何故か?

 

 

近い未来、邂逅するからだ

 

世界にすら干渉してのけ、全てが既知に感じてしまったがゆえに他の世界へと未知を求めた・・・黄金を、全てを捨ててでもたった一つの結末のみを求める脚本家

 

自己の存在を確定し、生まれた世界の全てが愛しくて堪らない・・・全てを愛すると誓った逸脱しながらも、その在り方を見失わない一人の少女

 

 

自らの存在意義という名の“座”をかけた戦いは、もうそこまできていた

 




次回ようやくハリポタに戻ります

余談ですがヨーロッパにおけるエル・ドラド家の立場は
「出た釘は打たれるが出過ぎた釘は打たれない」
「雉も鳴かずば撃たれまい」
の釘や銃を打つ立場です


ちなみに杖の状態でもウザかった聖槍は今こんな感じです


「お前が私の新しい主か!ヴァカめっ!!この私を振るいたければまず私の素晴らしく儚い刹那で永遠で永劫の時のような伝説をその矮小な身を更に縮こませありがたく聴くがいい!!

彼との出会いはまぁ必然と言えるものだった、何故なら私が認めまた彼も私を認めていたからな。まぁそれでもどちらが主かなど話す必要もないな。いや、小娘たるお前には説明したほうがいいか?ヴァカめっ!それくらい自分で考えろ!!まぁそんな感じであれと私は出会ったのだよ。初めはこの私の聖なる力に振り回されまぁそれはそれは大変だったようだがあいにく私には関係ない。この素晴らしい我が力を世界に示し、崇められればそれでよかったからな。その点では小娘お前は中々だと言えよう。まぁだがそれでもこの私の足下には遥か真下に及ばないがな。とにかく我等は互いに研鑽し合いアヤツは伴侶を、私は素晴らしい紅茶の妖精を手にいれたのだ。何?アレは私もものだと?ヴァカめっ!!お前のものは私のものであり私のものは私のものであることは語るに及ばずお前の家系にもしかと刻まれた当たり前のことだ!その程度も知らんとはやはり小娘だな!!まぁそんなことはどうでもいい


では私の伝説を語るとしよう!!」


ウィラ「UZEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!」


槍が語った紅茶の妖精はシャドウのことです


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黄金と破壊の恋慕

決めました、本当は詰めて早くこの章を終わらせようと思いましたがドッシリと構えて書きます(でないと詰め過ぎて何だか面白くないように感じたからです。キャラそれぞれの思想や軽い勘違い要素など書きたくなったので)

話数がどんどん長くなると思います
それと文字数もなるべく6千~8千文字数に戻したいと思います
(てかこれアズカバンだよな?おいたん全然出てないんですが・・・(汗)まぁこれがある意味一番の原因です)


それとウィラ、ついに本家ラインハルト卿に追いつく←( ゚Д゚)!?
以前のようにウィラの内心と対人時のギャップを楽しんでいただけれれば幸いです



あの後、それぞれの招待客に顔を見せる中にいたダンブルドアと軽く話した。何でもリーマスが酷く落ち込んでいて、スネイプてんてーが私の為に激怒してくれたとかなんとか(流石てんてー!結婚しよ?)彼にはもうじきそちらに戻ると伝えた

 

それからしばらくたち、ようやくホグワーツに戻れる目途がたった。というのも聖槍を見せたせいか、ヴァチカンからの問い合わせがひっきりなしだったのだ(まぁ何かしてくればその日が聖書に書かれた終末の日になるだけなのだが)

 

 

「ふぅん、預言者新聞は相変わらず面白い記事を書く」

 

 

ホグワーツにはシャドウに『姿現し』してもらうため、今私は取り寄せた日刊預言者新聞に目を通していた。あの日のことをどのように書かれているか興味があったのだ

 

内容は簡単に言えばあの日私が招待した連中があまりに豪華過ぎ、更にはエリーまで来たことが特に信じられないといった感じで書かれていた・・・心外な、彼女と私は腹の中を曝け出して互いが互いに0距離で殴り合う程度には友達なのに!(というか相手の顔を見て話してやってるんだ、これを友達と呼ばずして何と言う)

 

他にも聖槍のことも大きく取り上げられていた、やはりアレはやりすぎだったか?

 

あとは軽く流してその辺にバサリと投げ捨てた

 

 

「黄金の君、そのクセは直した方が良いと以前からあれほど」

 

 

“偉大なる黄金”になっても私の呼び名は変わらない、今更変えられるもの変だと感じたので、円卓には今まで通りで良いと告げたのだ

 

 

「そうは言うがなぁ・・・片付けたらお前、メイド達が仕事取らないでくださいって涙目で懇願してくるんだぞ?これもまた王としての務め・・・のハズだ、うん」

 

 

軽く溜息をつきながら紅茶を淹れる獣を横目に私は軽く手を握りしめ、そこに目をやってしまう。それは強大過ぎる力を手に入れたことにより悦に浸っているわけでも、ようやく戻れるホグワーツに対し何か思う所があるわけでもない

 

 

(何故今まで気付かなかったのだろうか・・・私は・・・)

 

これほどまでに全てを愛していることに___

 

 

何か感じるものがあったのだろう、獣がその手を止め私を見つめてくる

そちらに見向きもせず、深く椅子に腰かけ頬杖をつき、どことなく見つめ一人語る

 

 

「いや、本当は分かってはいたのだろうさ。あぁ、今までは自分のことしか考えていなかったからな」

 

 

だが気づいてしまった・・・ゆえにもう止められないのだ、この思いが

 

 

「興味ないものなど無為だと遠ざけた、所詮私に理解できぬ者など塵芥だと烙印を押して通り過ぎた・・・」

 

 

本当は彼等も愛すべき対象であったというのに・・・しかし今の私では色んな意味で強すぎる・・・例えるならば赤子を愛する母がその思いを告げる為、全力で抱きしめるが如くといったところだ。どうなる?簡単だ、赤子はそのか弱き灯をいとも簡単に散らせる。今の私にとってこの世界とは赤子のようなものだ、私の愛には耐えられまい

 

本当は総てを愛してやりたいのに、愛するには万物全てが脆く感じてしまうから・・・

 

 

「だから気付かぬフリをしていただけなのだ、気付けばもう止められないから・・・だが今は思うのだよ。愛でるべきものを愛でず、放置するなど無粋にして失礼の極み」

 

「頭を垂れる弱者も、傅いて跪く敗者も、反逆を目論む不忠もその全てが・・・ですか?」

 

「それだけではない、右も左も分からぬ赤子も、老いてもはや死を待つだけの老人も全てが愛しい。例外はない」

 

 

何より・・・思うのだ、この世の全てがたかだかこんな子供の愛(・・・・)壊れるワケがない(・・・・・・・・)と__信じている

 

 

「ならば何も問題はあるまい、世界を愛するなど当たり前のことだ。生ある者として、私は務めを果たすとしよう」

 

 

 

 

 

今日も朝食を食べ、授業に備える生徒達で賑わいを見せるホグワーツの大広間、しかし今日ばかりは少し様子が違っていた

誰もが手に預言者新聞を持ち、目を通す

 

 

「あ・・・ありえないわこんな記事!!」

 

 

記事を手に取り叫ぶハーマイオニーがこの場にいる者全ての気持ちを代弁していた

 

 

「晩餐会にはイギリス女王、更には1000年以上昔に失われたはずの聖遺物の所有者だったなんて・・・ははっ!もう何がなんだかわからないね!」

 

「うわぁ・・・何て言うか・・・うわぁ・・・」

 

 

彼女の持つコネクションにその宝物庫に眠っていた人類の宝とも言えるであろうトンデモないお宝・・・本当に彼女はどれほど凄くて何者なのだろうと親しい者は改めてヨーロッパ最古の王族である彼女に憧憬を浮かべた

 

 

少し落ち着いてきたのを見計らい、あの場に招待されていたダンブルドアが立ち上がり、生徒を見渡す

 

 

「皆良く食べ・・・てる場合ではないのう、文字を読むことは悪いことではないが、食事中くらいはどうかと思うのじゃが」

 

「校長ズルイぜ!」

 

「何で生徒も連れて行ってくれなかったんだよ!」

 

「うむ、双子の言いたいことは分かる。じゃが・・・儂は辛かったぞ?」

 

「__?何がですかー?」

 

「考えてみてほしい、急に呼ばれたと思うたら辺り一面にはとても話しかけていい相手ではない身分の者ばかり・・・全ての王族がウィラ殿のようだと思うてくれるな」

 

 

言われてみて想像する、庶民やイギリス魔法界の貴族でしかない身分の自分達が遥か格上に囲まれる?どんな絶品料理だって味を楽しめたものじゃない

 

 

「軽い話しがあるのじゃが、今は皆の疑問や質問に答えたほうがよさそうじゃのう・・・うん、元気よく手を上げてくれたミス・グレンジャー、どうぞ」

 

「校長先生、ホントなのですか?ウィラがその・・・“偉大なる黄金”になったって」

 

 

ハーマイオニーのその質問は誰もが知りたがり、預言者新聞だけでなく、その場に居合わせた張本人であるダンブルドアにだからこそ聞きたいことだった

 

 

「事実じゃ・・・記事に書かれた聖槍(ロンギヌス)も・・・彼女は預言が記した通り、歴史に名を刻む3人目となった」

 

 

全てが事実と知り、魔法使いの家に生まれた生徒達は皆、騒然となる

幼い頃より寝耳物語にと聞かされた“最悪の暴君”と“魔法界の父”の話

伝説と言っていい人物達と肩を並べる存在と同じ校舎、同じ時代に生まれたのだ。騒がない理由がない

 

 

「うむ、皆が一番聞きたかったのはまさにそれじゃろう。時は金なりじゃ、ミス・グレンジャーの先見にグリフィンドールに5点」

 

 

ワっと沸くグリフィンドールを嬉しそうに見つめ、睨みつけてくるセブルスを軽くスルーし、ダンブルドアは本題に入り出す

 

 

「さて、嬉しいのは分かるがグリフィンドール諸君、どうかこの老いぼれの話に耳を傾けてほしい」

 

 

その言葉に大広間はすぐさま静寂を取り戻し、ダンブルドアが告げる

 

 

「今日帰ってくるらしいぞ?我等が黄金の君!ウィラ殿が!」

 

 

一瞬ポカンとした生徒達、だがそれも本当に一瞬ですぐさま爆発的は歓声があがろうとする___が、それは突然開いた大広間の扉に注目が行き起こることはなかった

 

何だと注目していると、扉の向こうから赤い・・・しかし至る所に金細工が施された見たことも無い絨毯が中央を走る。巻かれた絨毯が広がっていく度にその中から金粉が舞い、幻想的な光景を大広間に広げる

誰の仕業かなど考えるまでも無い、その証拠にコツコツとローファーを鳴らし自分の城のように歩いて来るのはヨーロッパ王家の頂点と言って良い場所に君臨すると言っていいエル・ドラド家の一粒種にして、歴史に名を刻むことがつい先日確定した聖槍の継承者

 

 

「聞こえたぞダンブルドア、誰がキサマ等のものだ?」

 

 

偉大なる黄金ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリアがホグワーツに舞い戻った

 

 

 

 

 

 

久々のホグワーツだし、いっちょ派手に登場した方が受けがいいとトグサに言われたのでそうしたのだが・・・

 

 

(アレ・・・何か皆ポカンとして全然反応してくれないぞ・・・)

 

「・・・おいトグサ」

 

「フヒュー、フヒュー」(汗)

 

 

あ、決めたコイツ後でシバくと密かに心の中で思う。・・・にしてもいつまで呆けているのだ?え、もしかして帰って来て欲しくなかった!?

取りあえずただ突っ立っているワケにもいかないので近くにいたハリーに話しかける

 

 

「久しいなハリー、それに皆も。・・・何だ、一か月ぶりに帰って来たのだぞ?せめておかえりくらい言ってくれても・・・」

 

 

ガタリ__と音がしたのでそちらを振り向くと、確か彼等はそれなりの家の者達だったか?が跪き__

 

 

『お、おかえりなさいませ!!偉大なる君!!』

 

(あぁ・・・そういうことか・・・なんだ、つまらん(・・・・)

 

 

再びローファーを鳴らし一段高い、『組み分け帽子』が置かれる場所へ行き、獣がローブから私の椅子を出したのでいつものように頬杖をつき座る

 

 

「つまらん・・・あぁ、つまらんぞ卿等。校長、卿はもう私の話はしたか?」

 

 

急に話しかけたためか軽く身体を揺らし、肯定するように頷いたのを見て再び話し出す

 

 

「確かにこの身はもはや黄金ですらなく、星に名を刻むことが約束された“偉大なる黄金”である」

 

 

だが・・・それがどうした

 

 

「そもそも王である私と卿等は今まで語り合ってきたのだろう?ならば今更この名に平伏してくれるな。自らの価値を、友から有象無象に変えてくれるなよ。悲しくて先程跪いた者達の名など忘れてしまった」

 

 

愛していることには変わりない、他国民だろうと、この世に生を受けた者全てが愛おしい。ただ愛しい友から愛しい何某に変わっただけだが

 

 

「友として、卿等にお願いしたい。__祝ってくれ、そして改めて名乗りを上げよう。我が名はウィラトリア・・・ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア。最愛たる父ジブニールと母オレンシアが一人娘にして第79代エルドラド王国国王・・・偉大なる祖を持つ最古の血を受け継ぐ、此度星にその名を刻んだ3人目の___偉大なる黄金だ」

 

 

 

 

これからもよろしくといった感じのことが言いたかったのだが、最近王としての立場で過ごすことが多かった為、少し硬い感じで言ってしまったが伝わったようで何よりだ(だってみんなちゃんと拍手してくれたもん。・・・何故か肩を震わせてた生徒が多かったのが印象的だったけど・・・まぁ問題ないよね!)

 

 

いったんお開きになったので、取りあえず久々に会う友達と語り合いたかったが、数が多いし寮それぞれに行くもの面倒なのでまたそれは授業の時にと部屋に戻った

 

久しぶりの『黄金の間』は何も変わらず私を迎え入れてくれた、そろそろハリー達くらいここに呼ぼうかな?

 

軽くくつろいで、来ると分かっていたので獣に()を部屋に入れるように言う

そこにいたのはダンブルドアだった。獣もダンブルドアも何故といった感じで戸惑っているが構わないと伝えアランとトグサを後ろに控えさせ、紅茶の準備をさせる

 

準備が終わり、私がその香りを楽しんでいるとダンブルドアがいぶかしげといった風に私を見て来るので取りあえず話しかける

 

 

「どうした、飲まんのか?淹れ手は確かにシャドウに劣るが、茶葉は卿でもそうそう手に入らぬ最高級品だぞ?」

 

「・・・いただこう」

 

 

しばし無言の時間が流れる。今ならばこの静寂すら愛おしい

ようやく、といった感じでダンブルドアがカップから口を離す

 

 

「何故儂が来ると分かった、ノックもせずに何故・・・」

 

(まずはそれか)

「バジリスクの時を覚えているか?卿ならば知っていよう、『黄金の瞳』に伝わる伝説を」

 

「うむ・・・『彼の者の眼は全てを見通し、その髪まさに至上の宝石以上の輝きなり』__お主等“黄金”にまつわる伝説をそも知らぬ魔法使いなどおらぬよ」

 

「では10代目黄金・・・カールのことは?」

 

「知っておる・・・まさか!?」

 

「そのまさかだ、知りたいか?___自分がいつ死ぬか(・・・・・・・)

 

 

そう、来ることなど初めから分かっていた。それはすでに既知の一つ(・・・・・)に入っていた

私の瞳はすでに完全覚醒(・・・・)している。退屈は人を殺せると言ったが・・・同感だな、全てがつまらなく感じる

 

__だから私はこの瞳を放棄した(・・・・・・)__

 

 

「もう視えんし、もう視る気も無い。卿が来たここまでの未来までしか見てないからな。だから先程のは冗談だ。そら、笑ってながせ。この私のジョークなどそうそう聞けんぞ?」

 

「な・・・ぜじゃ・・・それほどの力・・・預言者達が一心不乱に目指すそれを捨てるなど・・・!?」

 

「ダビデもシヴィラもさぞ退屈だったであろう、怠惰は人を堕落させる、これはその一つだ。私はまだ堕落するワケにゆかぬでな。なにより・・・つまらんではないか」

 

「つまらん・・・じゃと?」

 

「私は生者であって、読者でも俯瞰者でもない。この身は世界に生まれ落ちた、ただの一つにすぎん」

 

 

理解できんとダンブルドアの顔にそう書いてある。だが先程あぁは言ったが、本音は別だ___それでは愛せぬではないか

対等だからこそ愛せるのだ、だからこの眼はただ単に邪魔だった。だから捨てた

 

 

「安心しろダンブルドア、千里眼は捨ててもそれがこの眼の全てではない。その証拠にちゃんと後でルーピンの下へ行ってやる。スネイプにも『脱狼薬』を作るよう頼んでやるさ、ある意味では彼のおかげで私は今へ至ったのだからな」

 

 

驚く彼にそれが本題だろう?と目で言葉をかける

 

 

「う・・・む、相変わらずの『開心術』じゃな。では頼む。まさか儂もセブルスがあそこまで怒りを露わにするとは思わなんだ」

 

(え、もしかして脈アリ?脈アリですかー!?)

「ちょうどこれから『防衛術』の授業だ、私から声をかけよう。そら、さっさと出ろ。私もヒマではないのでな。あと加齢臭がこの部屋に付いたらどうする。ただでさえ犬臭くならぬよう細心の注意を払っているのだぞ?」

 

「犬?犬などおらんではないか」

 

 

キョロキョロと辺りを見回すダンブルドアの後ろで、見張っていた獣が項垂れているのは内緒だ(だって毎日洗わないと、意外と私は綺麗好きなのだぞ?)←ただし自分の部屋だけは例外

 

立ち上がり、さっさと出ろと暗に告げるとダンブルドアから最後に声をかけられた

 

 

「あの場でも伝えられなんだが・・・ウィラ殿。此度は御身、“偉大なる黄金”の誕生にまずは祝辞を」

 

「ふむ、まぁ本音と建て前を、この私の前でありながらこうも堂々と言い切れる卿の胆力に免じ、この場は受け取ろう。ありがとう、偉大なる魔法使い殿(・・・・・・・・・)

 

「お互い嫌味が好きじゃな」

 

 

スっと、その好々爺とした顔が険しくなり

 

 

「どうかウィラ殿・・・どうかその力、間違った方向に使ってくれるな。初代黄金のことは約束通り、儂が墓まで持って行くと宣言しよう。じゃが・・・お主の持つ力は彼のお方のように世界を総べることができる代物じゃ。じゃから・・・」

 

「愚問だなダンブルドア、それに卿は勘違いしている」

 

「・・・勘違いじゃと?」

 

「卿が決めるのではない、私が決めるのだ。何より私は信じているのだよ」

 

「何をじゃ・・・?」

 

 

言う前に、何故か笑みが零れてしまう。でもしょうがないではないか、それも面白そう(・・・・・・・)だと感じてしまったのだから

 

 

「この私の・・・つい最近浮かんだこの恋慕を前に滅びる世界であれば・・・あぁ、何とイジらしい、愛いではないか。愛いすぎてつい・・・」

 

 

ダンブルドアに近づき、その髭に手を這わせ。子供のような・・・しかし未知の存在を見てしまったがゆえに浮かぶ、子供のように怯え切った眼をしかと見つめ

 

 

「全て()してしまいそうだよ」

 




いかがだったでしょうか?
何か最近自分らしくないと感じたので、初心に戻りこんな感じに

円卓は引き続きトグサとアランに獣です

ウィラはラインハルト卿のように壊すことでしか愛せないのではなく
愛した結果、壊れてしまってはしょうがないといった感じです
(どちらもたいがいタチが悪いですけどね)
獣殿+人間大好き魔王=ウィラとでも考えてください

「私が愛した卿等がそう簡単に壊れるワケが無い!!さぁ耐えてくれ!壊れるまで!!」

「大好き!←(Dies iraeぶっぱ)頑張って!←(Dies iraeぶっぱ)よく頑張ったね!褒美だよ!←(Dies iraeぶっぱ)」

・・・てんてー大丈夫かなぁ・・・(汗


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黄金と学友

最近良いサブタイが思いつきません(汗

今更ながらにUA数が10万を突破して、更には感想数も100件となりました
話数も大台の50話を突破(コラボの時に)

ここまで来れたのはひとえに支えてくださっている読者一人一人のおかげです
我等が陛下、偉大なる黄金の君に代わりまして感謝させていただきます
本当にありがとうございます!!

これからもチート街道爆進しながら全てを愛しつつも、最愛の夫とすべく
あの手この手で、てんてーに魔の手を差し伸べるウィラを暖かい目で見守ってあげてください
(まぁその分お辞儀さんと校長の胃がSan値チェックに入るんですけどね)



ダンブルドアを帰し、彼に言ったように戻って初の『防衛術』の授業に出るため教室を目指す

 

「・・・良かったのですか?」

 

 

獣の問いかけに何が?とは返さない

今まで散々部屋に入れることを拒んでいたのに、急に許したことだろう

 

 

「構わんさ、特に理由も無かったし」

 

 

それに、と振り返り

 

 

「卿等がいるのだ、ならば何も問題なかろう?」

 

 

ニヤリとしながら我が誉れたる騎士達を仰ぐ

 

 

「当たり前っスよ陛下。___俺は貴女の剣だ、それだけでいい。御身の王道に立ちはだかる全てをことごとく切り伏せてみせましょう」

 

「ガハハ!!トグサ!キサマらしくない騎士らしさだな」

 

「まぁたまには良いじゃないスか。それで?旦那はどうなんスか?」

 

「おうとも!御身には恩がある、だがそれだけではない。王と其方を仰ぐワケにはゆかぬ、それは御身も分かっておられるな?」

 

「当然だとも、卿もまた私が認めた王の一人・・・来るべき時の誓いは必ず果たせ」

 

「必ず!だがまぁ、その時ではないのでな。今しばし、偉大なる御身の騎士として傍における栄誉に浸らせてもらおう」

 

 

彼等の答えに満足し、再び前へと歩き出す

獣には問いかけないしその必要すらない、我等の間にはこのような問いかけすら無粋極まる

 

 

 

教室の前に着いたがそこには生徒の影が一つも見当たらなかった。まぁかなり早く部屋を出たし当然だな

 

 

「トグサ、アラン。私が良いと告げるまで誰も部屋に入れるな」

 

「御意」 「御意」

 

 

返事を返す彼等に軽く頷き、獣が扉を開けたので中に入る。そこには酷く憔悴しきったルーピンがいた

 

 

「ウィラ・・・陛下」

 

「ハァ・・・私はあの時敬称はいらぬと告げたはずですよ?先生」

 

 

 

 

 

何故あの時、あぁしてしまったのだろうか・・・

 

 

リーマス・ルーピンはウィラが国に帰ったあの日から、日々自問自答していた

本当は分かっているのだ、あれは誰も悪くない。あのウィラがまさかあれほどの闇を抱えているなど誰が予想できたであろうか?まして自分は記事や噂でしか彼女を知らなかった

 

でも・・・それでも思うのだ

泣かせてしまった、酷く傷つけてしまった

その身は少女でも、彼女は住む世界が文字通り違う、王族なのだ。少し考えればあの小さな身体にどれほどの重みを背負っているか分かっていただろうに

 

だから最初は何とかして謝ろうとした。ダンブルドアに何度も頭を下げ、どうにかエルドラド王国に入国し、彼女に謁見できないかと数少ない知人に頼みに行き、時にはエルドラド王国そのものに手紙を送ったりした

しかしそのどれもが無駄だった。彼の国にダンブルドアの威光など塵に等しく、また魔法使いにとっての死地であるエルドラド王国に伝手を持つ者など皆無に等しく、書いた手紙に返信などあるハズさえなかった。当然だろう、彼女を傷付けた張本人の謝罪など誰が受け入れようか

 

ダンブルドアが正式に招待された時も、本音を言えば着いて行きたかった。何とか元気になったその姿を見たかったのだが、招待状が無ければその瞬間取り押さえられると言われては引き下がるしかなかった

 

その後は驚きの連続だった

“偉大なる黄金”___彼女はあれを克服し、ついには歴史に名を刻んだ

信じられなかった、リーマスの頭には涙を流し、蹲りながら絞るような声で自分の名を呼ぶ彼女の姿しか思い浮かばなかったからだ

ホっとしたのもつかの間。狼男であるがゆえに、満月は理性が飛ぶのが恐ろしい。ゆえにこの学校で唯一、『脱狼薬』を作れる彼は、しかし宣言通り一切薬を作ってくれなかった

後はただ色々な恐怖に今度は自身が怯える番だった

ようやく手にいれた安住の地、だがそれはバレれば吹いて消える藁の家に等しい。何より・・・恐れたのだ、“黄金の怒り”を

誰のせいで苦しめた?誰のせいで彼の王に恥をかかせた?考えれば考える程、眠れぬ夜を過ごした。だがそれは自業自得だと思っていた、なのに・・・

 

目の前に広がる光景は何だとリーマスは狼狽える

 

そこには主従揃って、決して下げてはいけない頭を下げる姿があった。ウィラはほんのごく僅かに、黄金の獣は彼女の代わりにと深々と__

 

あまりの衝撃に声が出ないリーマスに代わり、ウィラが彼に話しかける

 

 

「聞くまでもないが、私の()のことは知っていますよね?随分と眠れぬ日々を過ごしたようだ、申し訳ない」

 

 

確かに知ってはいる。教師に就任したその日、ダンブルドアに言われたのだ。「彼女の『開心術』はもはや神業の如きである」と

言葉にせずとも、彼女には全て伝わるのだろう。でもそれでは駄目だ。人であるからには言葉にしなければ意味がないと、僅かに残った唾で唇を湿らせ、かろうじて声を出す

 

 

「何故・・・貴女が謝ることなど何もない・・・むしろ謝るのは私の方だ、だって・・・そうだろう!?」

 

 

荒げるつもりのなかった声が、ようやく伝えることができると先走る心の声と共に吐き出される

 

 

「全て私が悪いんだ・・・君を苦しめるつもりはなかった!ただ特別扱いなんて・・・それの苦しみがよく分かるから・・・っ!私は・・・ただ・・・っ!!」

 

 

違う、そうじゃないと言いたい声は、しかしただ意味の無い心の慟哭を彼女に告げる

ただ謝りたかった、決して意地悪や、貶めるつもりも何もなかった。ただ普通の生徒と同じ授業、同じ時間を過ごしてほしかっただけだと

 

顔に手をあて、懺悔するようにリーマスが膝をつく。ひと月悩み続けたその姿は、普段から実年齢より歳をとって見えるリーマスを更に年齢を重ねた姿へと変えていた

ウィラは何も言わず、最後まで聞き続け、そして

 

 

「__ありがとう」

 

 

耳を疑った、だから顔を上げた

そこにいたのは、あの時ただ泣きじゃくるしかなかった少女ではなく____全てを背負い、愛すると決意した一人の王の姿があった

 

 

「あの日、あの教室で、卿のあの授業のおかげで、私はようやく気付けた」

 

 

何がと聞きたいが、この身体と口はリーマスのいう事を聞く気配が毛頭無い。王の言葉を拝聴せねばと本能がそれを許さない

 

 

「私も悩みがあったのだよ。“私は誰で、どこに向かうのか”___愚問だろう?だが悩んだ。それこそ自らを見失いそうになるほどに」

 

 

嘲笑うように、今度はウィラが懺悔する

“私は誰で、どこに向かうのか”?そんなこと決まっている

 

 

「そう、決まっている」

 

 

カツカツとローファーを打ち鳴らし、リーマスに近づき、目線を合わせる

 

 

「だが・・・それに今まで気付けなかった。愚かであろう?笑っていいぞ?良い、許す。でも・・・気づけたのだ・・・卿にはまだ言ってなかったが、あの泥との決着は付けた。何よりあの泥と・・・私自身の悩みと向き合うことができたのは卿のおかげだ。おかげ様で私の悩みは総て解決した」

 

 

だからありがとう__とウィラはリーマスに、まるで慈母のような笑みでそう語りかける

 

違うと言いたかった、ただ自分はいたずらに貴女様を傷付けただけだと

 

 

「__っ・・・っぁ・・・っ!」

 

 

だがそれは叶わない

『ありがとう』___その言葉は自らをこれまで責めることしかできず、それまでの生き方で誰かに悩みを相談することもできなかった男の心に確かに響いた

 

 

「先生、貴方は自分が狼男であると震え慄いていますが・・・知っていましたか?涙は人にしか許されていない特権らしいですよ?」

 

 

その言葉に返事はない、教室に響くは一人の男の男泣き

でも・・・それは確かな返事でもあった

 

 

 

__ありがとう__と_____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女、ウィラが大広間に現れた時、彼等はどう思ったか?

いきなりのことに驚愕?それとも瞬きする度美しくなるウィラに見惚れ声が出なかった?

答えは“否”

 

グリフィンドールが今から行われる授業は『防衛術』。つまり先程ぶりにウィラと久々の授業を行うのだ

だと言うのに彼等の顔は優れない

 

声をかけられた、「久しいなハリー」と

それだけで魂が砕け散るとハリーは感じた

一目捉えた瞬間、誰もが感じた。“目の前の存在はもはやこの世界にすら留まれない”と

まるで一個の惑星を目の当たりにしたような、星そのものが彼女という存在に耐えられていること自体が奇跡のような圧倒的な存在感

頭ではなく、彼等の誰もが“偉大なる黄金”__その意味を正しく魂で理解した

 

友であることには変わりない。その証拠にハーマイオニーは先程元気なウィラの姿を見ていたにも関わらず、今も本当に大丈夫かと心配しているのだから

 

ぼそぼそと声が上がる

 

 

「ねぇ、何て話しかけたらいいの?」 「それは・・・おめでとう・・・とか?」 「さっきそれ言ったじゃん」 「でも・・・ウィラはもう、あの偉大なる黄金だよ?」 「それだけじゃないよ、聖槍だよ?あの」

 

 

“偉大なる黄金”だけでなく、キリスト教徒の多いイギリスにおいて聖槍の名はあまりにも大きすぎた。もしあれが偽物ならば、まだここまで彼等は躊躇いはしないだろう。だがそれは否定された、他ならぬ頂点たる教皇が認めたのだ。「あれこそは本物であり、彼女こそ後継者である」と

聖槍(ロンギヌス)のことを聞こうという声は上がらないし、見てみたいとすら思わない。聞いてしまえばもう戻れない

それを聞けば『神とは王に跪くもの』だと認識してしまうから・・・

 

陰鬱としながらも彼等は教室を目指す。それは今までの生活の習慣と言って過言ではない。この空気を前に、英雄であるハリーですら逆らえなかった、彼はまだ子供なのだ。だから

 

 

「はい、ちょっと止まってねー。今陛下、あの男と大切な話しがあるらしいからさ」

 

 

子供の調子を戻すのは大人の仕事だった

 

 

「えっと・・・トグサ・・・さん?」

 

「おう、名前覚えてたのか坊主。陛下でさえ俺の名前、言いにくいって中々覚えてくれなかったのに」

 

 

いや、あの方の場合覚える気がなかったのか?と一人考えるトグサを前に先程の空気は微かに散っていた

 

 

「あの、さっき言ってたお話しって?」

 

 

次はハーマイオニーが聞き、それに答えたのもトグサではなくアランだった

 

 

「さぁ?余達は取りあえず、あのお方からここを良いと言うまで誰も通すなとしか」

 

「え、何それ」

 

 

ロンの呟きに、先程までの雰囲気が裏返り、次々と彼等黄金円卓の二人に質問が飛び交う

帰っている間のウィラに何があったのか、何故マグルがここにいれるのか、本当に歴史の通りに鬼人は滅んだのか等々・・・とにかくもう様々な声が上がる

 

次の瞬間には全て静まりかえったが

 

 

「・・・うるせぇ」

 

 

耳をつんざく、変声期の間にある中性的な大勢の声の中、狂人と主にまで言われた男の殺意に塗れた声は、彼等を黙らせるには充分だった

 

 

「黙ってろガキ、俺は言ったぞ?“陛下は大切なお話しがある”と。何だ、陛下の玉音を手前等邪魔する気か?」

 

 

斬り殺すぞ___その言葉はウソでないことは、お調子者集まるグリフィンドールの生徒達を黙らせるには充分に過ぎた

それを見ると渡草はフンっと鼻を鳴らし

 

 

「んだよ、ツマンねぇ・・・お前等陛下のお友達(・・・)なんだろう?この程度で?あの方と対等?対等だと?試してやる」

 

「オイ、トグサ」

 

「良いじゃねぇか旦那ぁ、それに旦那だってムカつくだろう?囀る連中が、あの方の・・・我等が王に相応しいワケがねぇ」

 

 

だから試すと言った瞬間__彼等は斬られた(・・・・)

首を、胴体を、手足を見るも無残に

男も女も関係なく、臓物を廊下に飛び散らせ、有機物に塊となった彼等が最後に見たものは

ただただ嬉しそうに、子供のように純粋な笑みを浮かべるのはドラゴンを差し置いて、彼女の円卓第4席に座す一人の人間_____のはずだった

 

 

『___・・・っ!?』

 

 

その場には臓物など転がっていなかった、更に言えば誰一人斬られてなどいない。全ては渡草の気に充てられた幻覚

バタバタとその場に倒れる生徒を見て、渡草は「やっぱりこの程度か」と正直ガッカリしていた

しかしそれも、その場にしかと立つ一人の英雄(・・)を見るまでだ

 

 

「ほぉ、アレに充てられて立てるとは・・・人間にしてはやるではないか!!」

 

 

アランの声など無視するように、渡草はガッガッと不機嫌そうに彼__ハリーの下へブーツを鳴らし進める

 

 

「・・・名乗れガキ、じゃねぇと次は本当に斬るぜ」

 

「カッハ・・・ハ、ハリー・・・ポッターです」

 

 

しばし見定めるように、次の瞬間にはうんうん頷き

 

 

「おう・・・おう。・・・いいねぇ、お前。ニールの奴、何が目をかけるモンなんて一人しかいねぇだ。いるじゃねぇか、ここにも」

 

 

他にも惜しいのがチラホラと。と何人か値踏みするような視線を向けるが、向けられた方はたまったものではないと、咄嗟に顔を逸らす

 

 

「気に入ったぜハリー、ニールばかり面白そうなことしてズリィと思ってたとこなんだ、どうだ?いっちょ人を斬る楽しさを俺が・・・」

 

 

ニヤニヤと濁った眼で見られるハリーはもう今すぐあのクソッタレな家でもいいから帰りたいと思っていると

 

 

__カチャ「阿呆かお前、つかふざけんな。キサマのせいで私の人格まで疑われたら次こそ国から追放するぞ?オォン?」

 

「うぉ、ヤベ・・・」

 

 

唯一この狂人の手綱を握れる主君、ウィラが教室から現れたことにより、先程までの擦り切れるような空気が嘘のように霧散し、ようやく息ができると安堵する生徒を放置するように、彼等の前で説教を始めるウィラを見て、皆一様に思う

「あぁ、やっぱりウィラはウィラだ」と__

 

 

 

 

「やぁみんな、待たせたね。それじゃあ授業を始めようか」

 

 

そう生徒に朗らかな顔で語り掛けるのは、この防衛術の教師であるリーマス

その姿を見たとたん、ウィラを除く生徒は皆安堵した。というのもウィラが帰ったあの日から、どこかリーマスは陰鬱とした雰囲気を漂わせていたのだ。しかし先程彼女と話した時、それは解決したのだろう

微かに目元が赤いのが気になるが、以前の楽しく頼りになるリーマスが帰ってきたと内心喜び、そして願った

 

「先生、彼女(・・)をどうにかしてください」と

願いが届いたかどうかは知らないが、リーマスは気合いをいれるようにコホンと軽く咳をし、彼女と、彼女と何か話しをしている吸魂鬼を殺してしまった戦闘民族に視線をやる

 

 

「なぁなぁ陛下、いいだろぉ?何でニールだけ良くて俺は駄目なんだよ」

 

「ヴァカめ!お前のような狂人(トンチキ)がまともに弟子など取れるワケないだろ!?・・・ちなみに良いといった場合は?」

 

「稽古(斬る)稽古(殺す)稽古(俺楽しい)」

 

「絶ッ対言ってることと意味が違う!!あぁ・・・ホントにもう」

 

「コホン!あーウィラ?少しいいかい?」

 

「ほら、さっさと隅っこに行ってろ。何ですか先生?」

 

「少しお願いがあるんだけどいいかな?」

 

 

 

 

リーマスの言ったお願い、それは___

 

 

「・・・はい?すみません、もう一回」

 

「いや、だからその・・・鎮めてほしいんだ」

 

 

(_?鎮める?何を・・・はっ!?まさかリーマス、その歳で厨二病を発症したのか!?止せ!!それは生涯に渡り黒歴史しか量産しない悲しいものだぞ!?)

 

 

「・・・何か失礼なことを言われた気がするけど・・・まぁいい、とにかくウィラ。お願いだからその覇気(・・)を抑えてもらえないかい?」

 

 

いつからここは大航海時代に海賊王を目指す漫画になったのかと疑問に思っていると、「やっぱり気づいてなかったか」とリーマスが詳しく教えてくれた

何でも今の私は以前と比べ物にならないくらい、何ていうか王としての気配が凄いらしい

軽く話すだけでも膝をつきそうになるし、命令なんかされようものなら無条件で従ってしまいそうなんだと(え、ソレ何てギアス?)

 

念の為、先程トグサの殺気にも見事に耐えたらしい(聞いた時はホントに驚いた)ハリーに聞くと

 

 

「何て言うかな・・・今のウィラと話してると・・・怖いんだ、その・・・魂が耐えられないって言うか・・・」

 

 

ぶっちゃけ自分でドン引きした、おかしいな、私はただの王族生まれの王様で、超絶美少女以外はごく普通の女の子のハズなんだけど・・・

冗談だろ?ネビルに笑いながら話しかけるが

 

 

「ウギュ!?・・・」パタン

 

 

・・・気絶した、ヤベェよ・・・このままじゃ私、残りの学生生活ボッチで過ごさなきゃいけないじゃん・・・

 

(・・・仕方ないな)

「我が獣よ」

 

「ここに」

 

 

獣がそう言いながら差し出したハンカチの中にある物を手に取り嵌める

するとどうやらその気とやらが大分収まったのか、皆一斉に楽になったといった顔をし出した

 

 

「ぷはぁ!あ~もう、これでようやく君に話しかけれるよウィラ」

 

「え、ホントにそんなに話しかけづらい雰囲気だったのかロン?」

 

「そうだよ!色々聞きたいことがあったのに君この一か月で変わり過ぎ!!・・・何したの?」

 

「指輪を増やしたんだ」

 

 

ホレと言って右手を見せる。以前は中指だけだったが、今は人差し指と左手にも一つ

 

 

「あれ・・・でもそれって確か一つでも国宝だったんじゃ・・・」

 

「あぁ、でも使わなければ意味ないし、それにどれもこれも国宝とは名ばかりの古臭い宝石だ。なにせ数千年前の代物ばかりだからな」

 

「数千っ!?俺達にくれたあの宝石でも千年物だろ!?」

 

「あぁ、上物だぞ?それとも私のと変えるか?」

 

 

まぁ身に着けた瞬間、あの程度の宝石では砕け散るがと付け加えると、皆ブンブンと首を横に振ったのでそれはなくなったが

 

 

「__ふふ、あはは!」

 

 

急にハリーが笑い出した、それに釣られるように他の皆も笑い出したので、何かと思っていると

 

 

「だって、ウィラ“偉大なる黄金”になったっていうのに、全然変わってないのが嬉しくて!」

 

 

あぁ、それと__

 

 

「お帰りウィラ」

 

 

ハリーに続くように、皆が「おかえり」と言ってくれる

 

 

「うん、ただいま!みんな!」

 

 

 

 

 

 

ウィラと共に部屋を出たダンブルドアの顔色は、彼という魔法使いを知る者が見れば驚愕の一言に尽きただろう

“今世紀最大の魔法使い”

“例のあの人が唯一恐れた魔法使い”

様々な呼称で、その全てが賛辞に等しい名誉を授かる老人は、自らの部屋__校長室に誰にも見られぬよう細心の注意を払い戻ると__

 

 

「ハァ、ハァ・・・ハァっ・・・!」

 

 

荒い息をあげ、その顔色は目の前にドラゴン・・・いや、まるでそれ以上のものと出会ったかのように優れない

 

“偉大なる黄金”__理解はしていたし、あの晩餐会では更に聖槍の気にまで充てられた。しかし・・・

 

 

(今のほうが・・・彼女は本当に同じ魔法使い(・・・・・・)なのか・・・!?)

 

 

見つめられた時、100余年生きるこの魂はただただ悲鳴を上げることしかできなかった。まるでそのまま魂が彼女の瞳に吸い込まれそうな・・・それほどに澄んだ黄昏色の瞳(・・・・・)で彼女は言ってきたのだ、「私は全てを愛している」と

 

“愛”__確かにそれはダンブルドア自身が最も信じるものの一つだ、何故ならこの城にはその愛でもって、確定した死を乗り越えた赤子・・・ハリーがいるのだから

だが彼女は本当に、ダンブルドアの思うものと同じ意味で言ったのだろうか?___

 

 

「・・・“黄昏の君”・・・か」ボソ

 

 

それはあの晩餐会の際、イギリスの頂点に君臨する彼女が言った一言

 

 

__へぇ、面白いわね。感情で瞳の色が変わるなんて。そうだわ!ウィラちゃん!お祝いに私が貴女に新しい名称をあげるわ!__

 

 

元々ウィラもまた、ダンブルドア以上に名称が多いことで有名だ

“黄金の君”

“美しの君”

“届かぬ美”等々___更には今回、“偉大なる黄金”こと、“偉大なる君”まで追加された

そんな中、彼女がつけた名称が“黄昏の君”

 

 

今まで様々な経験をしてきたダンブルドアにとっても、特に今年は頭が痛い

今だどちらに傾くか知れぬ、3人目の超越者

そして対ヴォルデモートの最終兵器とも言えるハリーを狙う。脱獄犯シリウス・ブラック__

 

 

__ダンブルドア、お前が知る全てが真実とは限らんぞ?__

 

 

シリウスのことを考えるたびに、ウィラのあの一言が頭の中を回り出す

彼女は暴君であり賢君だ。ある意味ではこの城で彼女以上に人を導く術に長けた者はいない。そんな彼女が言ったあの一言

 

 

「信じるべきか・・・いや、しかし・・・」

 

 

友人であるピーター・ペテュグリューは殺された(・・・・)、ハリーの両親であるジェームズとリリーはシリウスのせい(・・・・・・・)でまだ幼いハリーを残してこの世を去ってしまった。これのどこを疑えばいいのか(・・・・・・・・・・・・・)

 

 

しばし目を瞑り

 

 

「・・・これはイギリスの問題であってエルドラド王国の問題ではない」

 

 

そう、結局は他国の者であり、いざとなれば国へ彼女は帰ればいいだけのこと

しかしイギリスは今だ、彼女の祝い事で賑わってはいるが脱獄犯の影に怯えている

 

頭を抱える問題は確かに多い、しかし今までも一つ一つ、解決してきたのだ

まずはシリウス・ブラックだと、ダンブルドアはその叡知の詰まった頭をフル回転させ、その逃亡先を予測する

 

 

 

 

もし、今ダンブルドアの前にウィラがいれば、笑いながらこう言っただろう

 

 

 

__嗚呼・・・だからこそ・・・卿等を愛させてほしいのだ__と

 

 




リーマスはただウィラに普通の学生生活を送ってほしかっただけです
(初め個人授業したのは万が一があるかどうかを見極めるためでしたが、速攻で駄目でしたね)



「この私、ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリアが命じる!我が軍門に下れ!!」(ただし忠義を貫くオレンジはすでに沢山いる模様)


ウィラの瞳の色は今まで通り、黄金ですが
感情が高まったり、聖槍を持つと黄昏色に変わります


ダンブルドアは今だに何とかウィラをある程度操れないかと考えていますが、ウィラもまたそれは重々承知で面白いからやってみろと思ってます
基本今のウィラは拒絶はしませんが、全て分かった上で踏みにじります

(例)
「この程度なワケがないだろう!?卿ならば、この程度乗り越えられると私は信じている!!私の愛する(壊したい)卿がこの程度なはずがない!!もっと、もっとだ!!卿の輝きをこの私に見せろッ!!」


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黄金とセブルス

超久々の一日2話投稿
やはり省略しないほうが書きやすいですね


ついにウィラの魔の手がてんてーに伸びます

それと今回後半は、露骨なそういうシーンがあります
(紳士諸君、全裸で待機してそのまま風邪をひきたまえ)←ウソです、身体に気を付けてこれからもよろしくお願いします



ホグワーツに帰って来て、ようやく皆と話せると授業そっちのけでワイワイしていると、流石に看過できないのかリーマスが再び咳払いし

 

 

「さ、今は授業中だよ皆。席に座らない悪いグリフィンドール生は-1点だ」

 

 

その程度で罰になるのか?とリーマスを見やると彼も軽く笑っていることからどうやら本気ではないらしい。しかしもしこれで他寮に負けたらと、負けず嫌いなグリフィンドール生には効果抜群だったらしく、すぐに席についたので私もそれに倣うようにする

 

 

「うん、皆良い子だね。じゃあ出席を取ろうか」

 

 

一人一人の名を呼び、みんなもそれに返事する

 

 

「ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア」

 

「はい」

 

「うん、よろしい。僕からも良いかな?お帰り。それと何度も悪いが・・・」

 

「それは止めましょう先生、もう終わったことに執着するのはイギリス人の悪いところだ。卿等の女王も・・・エリーもホントに終わったことをネチネチと・・・」

 

「あ、はは・・・ゴメン、ノーコメントで」

 

 

さて、とリーマスが授業に入る。そういえば私は彼の授業をまともに受けていないことに気づき、どんな内容をするのかなとワクワクしていると

 

 

「今日はそうだね、いつもは体験型の授業が多いから、偶には座学でもしようか」

 

 

「えー」と皆と共に私も声を上げる。別に座学が嫌いなワケではない、でも普段から座って仕事をするとこが多い私からすれば身体を動かしたいのだ

しかしその認識は授業が始まった瞬間にはどこかへ消えていた

 

 

 

 

 

「____のため、彼等“狼男”は満月の夜に変身し、積極的に人間を襲います。これに関しては“変身した彼等はもはや自らを人ではなく、狼男という種族として捉えているため、人を食物としか認識できない”というのが学術的に最もポピュラーな定説となっています」

 

「・・・ホントに君には驚かされてばかりだよ、ミス・グレンジャー。これは20点あげても問題ない!素晴らしい回答だった!」

 

 

グリフィンドールがハー子に熱い拍手を贈る。ハー子のその知識にも確かに驚いたが何より驚いたのは今行われている授業内容・・・“狼男”だ

初めリーマスがそう言った時の反応は大半が、まだまだ先ではないかといったものだったが私は違う、彼が狼男であることを知っているし・・・それは彼も分かっていることだ

ハー子が熱弁している中、私はリーマスへアイコンタクトした。何故なんだと

それに対し、リーマスは自然な動作で自分の胸元を指で軽く叩いた。「開心術で見てくれ」ということだろうと思い、視させてもらった

 

 

__私の・・・いや、僕が今ホグワーツにいれるのは奇跡に等しい。それは分かるねウィラ?

何より今の僕は不安定だ、薬が・・・『脱狼薬』を彼に作ってもらえなかったからね、それにやっぱり怖いんだ、万が一が

それにいざという時、こうやって軽くでも対処できる方法を一人でも知っていたほうがいい、そうすれば僕のような被害者が減るかもしれないからね__

 

 

何を馬鹿なと思った、彼が優秀なのは私を含め、誰もが知ることだ。全てが愛おしい中でもてんてーが・・・セブルスのことが愛しくて堪らない、今すぐ私と婚約してほしいというこの思いは確かだ、嘘ではない。でもそれとこれとは話が別だ、彼の才は魔法薬を作ることにあるように、リーマスには防衛術を教える才がある。様々な人間と会ってきた私が言うのだから間違いない

 

 

(何よりリーマスが止めてしまっては来年っ・・・あれ・・・?)

 

__来年は一体誰が来るんだっけ___

 

最近・・・いや、“偉大なる黄金”となったあの日からこうだ

前世の記憶が消えていっている(・・・・・・・・・・・・・)

 

ハリー・ポッターという物語が、これからどういう道筋を辿っていくのかがあまり思い出せない

でも・・・正直これに関しては、これでいいと思ってる。そうだ、この世界は決して“誰かが作った物語”ではなく、私が生まれ、私が全力で愛してやまない愛しい世界。もはやこの身に前世などあってないようなものだ、むしろこのまま完全に消えてしまえばいいとさえ思っている

 

 

(っといけない、とにかくセブルスには『脱狼薬』を頼まないと・・・あの薬は元はイギリス発祥。エルドラド王国ではない、私はあの薬の作り方だけは知らない)

 

確か今日はこちらに戻って最初の個人授業の日(・・・・・・)だと思い出していると、リーマスが狼男についてまとめた羊皮紙が宿題だと言い、この日の防衛術の授業が終わった

 

 

 

 

 

 

「あれ、ウィラ次の授業も僕達と同じじゃないの?」

 

「いや、次はマグル学だ」

 

「じゃあ私と一緒に行きましょうよ、久々に帰って来たんだからもう少しお話ししたいと思ってたの」

 

 

勿論と言って私とハー子は他の者と別れ、マグル学が行われる教室を目指す

道中色々なことを話した。ただ意外だったのがハー子が私の晩餐会に行ってみたかったと言い出したのだ

 

 

「だって凄い人ばかりだったんでしょう?私、憧れちゃうわ!それに綺麗な服着たりするんでしょう?」

 

(珍しいな、ハー子がオシャレしたいなんて。もしかしてハー子、色 を 知 る 歳かッ!!?まぁ冗談は良しとして・・・)

 

「悪いがハーマイオニー。私が言うのも何だがな、あのような場は卿のような子供には毒だ。我等のような立場の晩餐会というものはいわば権力の見せあいだ。どちらがどれほど優れていて、誰が見下していい相手か見定める為の・・・な」

 

 

初めて父に連れられ、他の王族の晩餐会に行った日を思い出す。あれこそはまさに権力と思惑入り乱れた蠱毒の壺だ。帰ってずっと母の胸に縋り付いたのを思い出す

 

 

「でも・・・あの場には女王陛下もいたのでしょう?貴女の国の国民と同じで、私も一目あの方に合ってみたいわ」

 

 

ホゥっと憧れの存在を思い浮かべ、吐息を漏らす彼女を今、私はどんな顔で見ているのだろうか・・・

 

 

(どうしよう・・・エリーこそが今の王侯貴族界を蠱毒の壺に変えた張本人で、しかもそれを見て毎回ケラケラ笑ってるって言ったらどうなるか・・・)

 

 

円卓の3人も微妙な顔でハー子を後ろから眺めている。特に私や彼女と同じ立場として、会う機会が多いアランなんかアイコンタクトで「言わないほうがいい」と伝えてきた。当然だ、私とて彼女を怒らせるのは怖い。あんな怪物とやりあうくらいならまだ黄金円卓全員と殺りあったほうが楽だ

 

もうすぐ着きそうだといった直前、私はあることを思い出し

 

 

「そういえばハーマイオニー、アレ(・・)はまだ使っているのか?」

 

 

その言葉にハー子は軽く身体を揺らし、そのまま無言で歩き出した

アレ(・・)とは“逆転時計(タイム・ターナー)”のことだ。今はまだハー子に目立った症状は現れてないが、いずれ狂った時に身を滅ぼすことになる(もしかしたらもう出ているのかもしれない)

しばらく無言で歩いていると、ようやくといった風にハー子が語り出す

 

 

「・・・分かってはいるのよ?マクゴガナル先生にも絶対に気を付けなさいと何度も注意を受けてるもの・・・」

 

「・・・でもまだ手放さないんだな?」

 

 

返事は返ってこない、その代わりにハー子の眼はまだまだと語っている

 

(ホントに・・・卿のその姿勢にはこの私ですら頭が下がる)

「分かった、でも異常を感じたらこの私手ずからそれを卿から引きはがすからな」

 

「うん・・・でもウィラ、どうして他の人・・・ハリーやロンにこれのことを言わないの?もしそれをされたら、私はこれを手放すしかないだろうし・・・」

 

「だろうな、あの二人なら私以上にそれを卿から離そうと躍起になりそうだ」

 

(てかロンならむしろ使わせろと煩そうだな・・・「これを使って馬鹿共を見返してやる!」とか言って)

 

 

同じことを思ったのだろうか、ハー子と目が合い、どちらともなくクスクスと笑ってしまった

 

 

「でもそれだけが理由ではないよ、忘れてないかハーマイオニー?」

 

「__?何が?」

 

「このホグワーツでの・・・本音で語ったのは卿が初めて・・・つまりこのホグワーツで初めてできた対等な友は卿だということだ」

 

 

驚いた__と思ったらボンっ!と顔を真っ赤にしたハー子。でも本当の話だ、あれがあったら私は普通の子と話す術を学べた

ふと、感謝を・・・もっと彼女にこの燻らず、燃え盛る私の愛を告げたくなった

 

まだ顔を赤くしているハー子に近づき、その顔に手を添える。ついでだ、もう一度念押ししておくとしよう

 

 

「うぃ、ウィラ!?顔近いっ///!?」

 

「だから無理してくれるなハーマイオニー。私の愛する卿が倒れてしまっては・・・私はどうすればいい?」

 

「あ、愛・・・っ///!?」

 

「あぁ、卿の全てが愛おしい」

 

 

どれだけ辛酸を舐めさせられようと、決して折れぬその心が。自らの正義を疑わず、ダンブルドアとは違い、真にまっすぐな瞳で見据える卿が・・・嗚呼・・・()したい

 

彼女ならば我が愛にも耐えられるのではないか?いやさ、彼女ならば必ず耐えられる。何故なら私がそう信じているのだから

 

 

「・・・クスっ、くはは!いや、冗談さハーマイオニー」

 

 

だが・・・まだだ、まだその時ではない。彼女は今からなのだ。始まっていない内から私好みに?そのようなこと無粋極まる

 

(何より・・・私はまだ最愛(・・)すら手に入れてないではないか。いかんな、目移りなど)

 

 

「へ・・・?・・・もう!ウィラ!!」

 

「くはは!でも少しは肩の荷が下りたのでは?」

 

 

全てを愛したい、だが時間はまだまだあるのだ

だから今夜はまず、恋人のような甘い時間を過ごしたいと思いながら、まだ怒ってるハー子に謝りながら私達は『マグル学』の行われる教室を目指した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日全ての学科が終わり、夜の帳が落ちた頃___私はとある研究室(・・・・・・)の前にいた

今年に入ってからはこれが初めてだが・・・何度来てもドキドキする

普段自分の身なりにはそこまで気を使わない私だが、毎回このドアの前に来た時だけは違う

 

 

「け、獣・・・どうだ?大丈夫か?」

 

「黄金の君・・・あまり言いたくはありませんが、このやり取りいつもですよね?」

 

「し、しょうがないだろう!?だって・・・!」

 

 

ここはてんてー、セブルスの部屋なのだから

 

 

私は全てを愛している___こう自覚した後も、セブルスに対するこの思いは遮られるどころか天元突破を果たしていた

始めは確かに好きなキャラクター(・・・・・・)だったから・・・その物語に書かれた生涯(・・・・・・・・・)があまりに可哀想で、どうにかしてあげたいと思ったからかもそれない

でも今は違う。本気で・・・一人の男性として、彼のことが愛おしい

 

誰に対しても辛らつで・・・でもその言葉とは裏腹に、目だけは凄く優しくて・・・

負けず嫌いで、誰に対しても心を開こうとしないその姿勢がまるで猫みたいで可愛くて・・・つまり私はもうベタ惚れなのだ。今すぐにでも両親の下へ彼を連れて行き、紹介したい(この時ばかりは本当に我が家が身分に頓着しない王族で助かった)

 

 

「おい、分かってるだろうな?」

 

 

いつもなら、円卓も部屋まで入り彼の一挙手一投足に警戒していたが・・・今回だけは違う

 

 

「存じています、黄金の君」

 

「おう、流石になぁ・・・旦那?」

 

「うむ、余もそこまで馬鹿ではない。なぁに、御身の魅力に靡かぬ者などただのタマ無し。つまり黄金の君にはふさわしくないということよ」

 

 

彼等には外で待っておくように伝えた。いい加減、たまには愛しい人との逢瀬を楽しみたいというところだ

 

 

「ふざけるなアラン、彼がタマ無しだろうと私は絶対彼の子を産むぞ。他ならぬ私がそう望んでおるのだ、この計画を邪魔するものは神だろうと世界だろうと滅ぼすまで」

 

 

そんなもし(・・)を思い浮かべた瞬間、ピシリ__と手の方から音が鳴り、そちらに目をやると指輪の一つが壊れていた

 

 

(ヤベ、これで何個目(・・・)だ?)

 

「6個目ですよ黄金の君、確かに宝物庫にはまだいくらでもありますが、流石にこのペースでは・・・」

 

「私が悪いのではない、この私程度に耐えられぬ世界が悪いのだ」

 

 

まぁそこが愛いのだが。と言いながら獣が新たに出した指輪と交換する

我慢などするつもりはない、この程度で・・・この私程度の存在に壊れてくれるほど、万物全ては脆くない

むしろこれはあれだ、「かっ勘違いしないでよね!まだ本気出してないだけだかんね!」ってやつに相違ない。安心してくれ、まだ私も全然本気を出していない!!

 

 

「では行って来る、静かにしてろ」

 

 

特に返事も聞かず、獣が開けた扉へ身体を滑り込ませる。その先には___

 

 

「こんばんは先生」

 

「ごきげんようミス・エル・ドラド。では・・・

 

 

始めるとするか_____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋に入り、扉が閉まった時にはもう遅かった

乱暴に身体を持ちあげられ、部屋の壁に何故か付いていた手錠を嵌められ机に座り込む形となった

 

 

「・・・何だこれは・・・スネイプ、キサマこれは何の__っ!?」

 

 

それはいきなりのことだった。乱れた髪の間から、伏せていた顔を上げ彼を睨みつけようとした瞬間・・・

 

 

__ピチャ ピチャ

 

 

「ン゛っ!? やめっ・・・!やぁ・・・っ!」

 

「・・・」

 

 

無理やり顔を掴まれ、気付いた時には私の初めてが・・・唇が奪われていた

あまりの悲しさに涙が出て来た、愛しい人の口づけはすごく乱暴で・・・私のことを気遣ってくれていなかった

途中舌を入れてこようとしてきた。怖くなったので、咄嗟に歯を噛み締めるが鼻を塞がれ息ができず、ぷはっと口を開けた瞬間、歯茎をなぞられ味わうように彼の舌が私の舌に絡んで来た。それはまるで蛇のように・・・奥へ、奥へと留まる事を知らず、私の身を貪り尽くす

 

まるで自分から求めてしまったようで・・・羞恥心と恐怖が更に涙を加速させる

 

 

 

荒い息遣いと水のような音だけが・・・誰も入らぬ地下牢跡に響く___

 

 

しばしたち、あまりの突然のことに抵抗すらできないでいるとようやく満足したのだろうか、チュルリとわざとらしく音をたて、唇が離れていくと同時に淫靡な銀色の架け橋ができる

 

 

「はぁ、はぁっ・・・!・・・ひっく、グス、グス・・・っ!!」

 

「・・・何故泣いているのかね?ミス・エル・ドラド、いや・・・ウィラトリア」

 

 

シレっと悪気も無い顔で告げてくるセブルスを私は気丈に睨み返すしかなかった

それが気に食わないのだろうか、杖を振り

 

 

「・・・『セクタム・センプラ』」

 

 

何がしたいのかと思った。この身は黄金、『黄金の血の守り』の前ではどんな魔法も私を傷付けることなど不可能だというのに

しかし・・・彼の目論見はこの私を切り裂くことではなく・・・

 

 

ビリィっ!

 

 

「っひゃ!?」

 

 

杖から不可視の斬撃が、剥くように私の服を切り刻んでいく(・・・・・・・・・)

シャツは微かに胸が肌蹴る程度に、ニーハイソックスもビリビリに破かれる

 

 

「ふむ・・・中々私好みに染まったなウィラトリア」

 

 

満足したのか、呪文を止めしばし熱の篭った目で私を見つめて来るセブルス

今の私は戦火の中、捕らえられ犯される直前の姫騎士のような様だ

もう顔を上げる元気すらない、微かに嗚咽を漏らすしか今の私にはできない

 

 

「な・・・ぜ・・・」ボソ

 

 

私の呟きが聞こえたのだろうか、わざとらしく足音を鳴らせ、私はビクリと反応してしまう

 

 

「何故・・・?何故だと?」

 

 

その声には微かな怒気が紛れていた

肌蹴た肌を少しでも目の前の野獣の眼光を携えた男から隠すように、身体を縮める

 

 

「それはないのではないかね?・・・今まであれほどこの吾輩を誘って(・・・)おきながら」

 

 

セブルスは息を更に荒げながら、私が座らされている机へと近づいて来る

違う・・・私はこんなことを貴方にしてほしくて、アプローチをかけたワケではないと言いたい。でも据えたような目に射抜かれることで声が出ない

 

所詮は王といえど女か。とセブルスが私を視線で舐め回す

 

 

「今までどれほど我慢してきたことか・・・ウィラトリア、恨むならその男の欲望そのものと言っていい自身の肉体を恨むのだな」

 

 

彼のほうに身体を向けられ、閉じた足を無理やり開かれそうになる

 

 

「ふっ・・・!!う、ぐ・・・!!」

 

 

必死に抵抗する私。当然だ、初めて(・・・)をこんな所で散らせてなるものか

 

片手は足首を、もう片方の手は舐めるように私の太ももを這うように撫でて来る

 

艶声をあげそうになるのを必死に我慢しながら何とか外に待機させてる騎士を呼びかけるが、それは『防音呪文』に(はばま)れ叶わない

どうにかせねばと頭を回転させようとするが・・・それは次の彼の言葉の前に霧散する

 

 

「何故抵抗するのかね?こうなることを期待して・・・お前は騎士を外に待機(・・・・・・・)させたのだろう?」

 

 

ふっと、力が抜けるのを感じた。その瞬間を彼は見逃さず、無理やり足の間に身体をねじ込んで来た

気付いた時には遅かった、腰に手を回されイヤらしい手付きで弄られる

 

 

違う!と声を荒げ言いたかった。でも・・・次の瞬間それすらも私にはできなくなっていた

 

 

「では・・・何故魔法(・・)を使い抵抗(・・)しないのかね?ウィラトリア」

 

 

気付いた、気付いてしまった。何故私は彼の言う通り、魔法を使おうと微塵も思わなかったのか

実は期待していた?この身が・・・王たるこの私が、ただの非力なそこらの少女と同じく、男に蹂躙されることを・・・!?

 

そう考えた時には、急に息が荒くなり、頬が熱くなる

それが羞恥によるものなのか、これから行われることに期待してなのか今の私には分からない。でも・・・

 

 

「あぁ、まるで雌だなウィラトリア・・・吾輩の可愛いウィラトリア」

 

 

吾輩のウィラトリア(・・・・・・・・・)

違う、この世の全ては私のものだ。断じて私は誰のものでもない!!でも・・・何故なのだろうか

頭の中でその言葉を反芻した時、脊髄がビリビリと痺れる・・・!

 

頭がぼうっとして動かない。視界は潤み、今の私がどのような表情をしているのかすら判断できなかった

 

 

「ふむ、物欲しそうな顔をしているな。吾輩と同じく、そんなに欲しかったのかね?では・・・」

 

 

グイっと乱暴に髪を掴まれ、鼻先に彼の顔が近づく

 

 

「次はお前から、吾輩にキスしたまえ」

 

 

それは命令だった、初めて誰かに命令された。だが・・・不思議と嫌な気分ではない

 

 

犬のように舌を出し、淫靡な銀糸をポタポタ垂らしながら懇願するように彼の名を必死に呼ぶ。セブルスは満足するようにサラリと私の髪を梳き、腰を密着させてくる

 

 

ギシリ__と机が軋みを上げ・・・私はそのまま彼と一つに(・・・・・)なった___

 

 

 

_______

______

____

__

_

 

 

 

「なぁぁあんてなってくれたらマジサイコーなのに!!」クワっ!!

 

「(ビクっ)・・・いきなり何を叫んでおるのだミス・エル・ドラド、早くこちらに来て教えてくれたまえ」

 

 

ベッドシーンだと思った?残念!私の妄想だよ!!(NDK?NDK?)

 

 

 

 

 

 

グツグツと、鍋を二人で見守る

 

 

「っ!ここで『ドラゴンの爪』だと!?それほどの珍品どこで!?・・・いや、彼女か」

 

「えぇ、アルヴィーから強制t・・・こほん、お願いしたら快く爪切りで切ってくれたので」

 

 

私の前で他の女(ドラゴン)の話なんかしないで!と言いたいところだが、まだそんな関係ではないのだ(焦るな私)

 

薬を作り、二人で鑑定。そこから更に肯定を省略できないか等の議論を交わし終えた後、セブルスに軽い魔法薬のテストを課す(以前ホグワーツに来る前にやることが多いと言った大半がこれだ)

 

(もう3年か、早いな・・・)

 

 

そう、もう3年だ。たいがい欲しいものはすぐに手にいれねば気に食わない私にしては良く我慢できているほうだ

 

カリカリ__と羽ペンを走らせ、真剣な顔で私の用意したテストに挑むセブルスの横顔がすごくカッコイイ・・・(ホントにベタ惚れだな私)

 

 

「・・・ミス・エル・ドラド・・・言いたくないのだが、あまりに難しすぎないか?」

 

「クスクス、おやぁ?でもそれ私が10歳の時全問正解したテストですよ?せ ん せ い?」

 

 

くぅっ!と顔を顰め、更にガリガリと机に噛り付くセブルスを見て、軽い嗜虐心が沸く

なので彼の机に身を乗り出し、テスト用紙の横・・・つまり彼の横で太ももを見せつけるように足を組み、彼に顔を近づける

 

 

「それに・・・いけないなぁ、スネイプ。今の私は卿の教師・・・つまり卿は私の生徒だ。敬語も使えないのかな?」クスクス

 

 

「くぅ!?」と歯を食い縛り、その後すぐに「分かりました」とブスっとした顔をするセブルス

 

(はぁぁああ!!カワイイ!!ホントにこの人可愛すぎ!!え、何でホントにこんなにドストライクなの!?ダメ!ダメよウィラ!これ以上はホントにイケナイ橋を渡ることになるわ!!)

 

 

つい熱の篭った視線を向けてしまうも、テストに噛り付くセブルスは気づいていないようだ

それが少し助かって・・・同時に少しガッカリした

 

 

(・・・何で気づいてくれないんだろ)

 

 

ワザとらしくシャツの胸元は空け、自分で言うのも何だがこの身は男にとって垂涎の的だということくらい分かってる

更にはスカートもいつもより5センチも上げ、今もセブルスがこちらを見ようものなら中がチラチラ見えるというのに

他にもガーターベルトや、普段着けない香水も振り、こんなにもアピールしてるのに・・・

 

やはりあの女が・・・リリーがそんなに良いのだろうか・・・

 

 

(いや、誰が負けるものか・・・!!すでに死んだ亡霊!しかも人妻なんぞに負けてなるものか!!)

 

 

グっと拳を握り、自分を奮い立たせる。それに・・・

 

 

(まぁ最悪、既成事実(・・・・)を作ってしまえばいいだけの話だし!いや~、私女に生まれてよかった!)うん

 

 

「・・・食べちゃおうかな・・・?」ボソ

 

「何か言いましたか先生(・・)?こんな時間に食べられては豚のようになりますよ?いやむしろ太ってしまえ」ガリガリ

 

「残念ながら、この身は“黄金”。つまり我が身に宿る黄金律のおかげで太ることはないのだよスネイプ」

 

 

ダン!!と更にセブルスの前に紙を増やし

 

 

「女性に対し暴言など・・・あぁ悲しい、悲しいよセブルス」

 

 

だから更に10倍な?と言い、顔を更に青褪めるセブルス

 

 

(はぁぁああん///!!キャワワワ!!やべぇ、このままじゃ私、ドSになる!!え、何?M?Mなのてんてー?いいよ!私、どんなセブルスでも受け入れるから!!)ハァ、ハァ!

 

「・・・息が荒いですよ先生?体調が悪いのであれば、どうですかな?今宵はこれくr「帰さんよ」・・・チっ!」

 

「まだまだ夜は長い・・・じっくり、そう・・・じっくり付き合ってやるから安心しろ?セブルス」

 

 

 

 

ウィラが一人で危ない計画を練っている中、獲物として囚われたセブルスはというと・・・

 

 

(・・・何なのだ今日の彼女は!?何故こんなに近い!?何故こんなに煽情的なのだ!?)

 

 

絶賛悶々としていた。先程から実はチラチラとすぐ横に座るウィラの太ももとニーソの絶対領域に目が行くのは内緒だ

 

3年前なら例えこうして彼女が机の上に座り、足を組んだがゆえに見える太ももの付け根に目が行くことはなかっただろう

だが彼女は成長し、今では少女と女性の間という、まさに禁断の果実そのものとなっていた

 

シャツから覗く白い肌、髪を梳きこちらの間違った箇所を指摘する様が何とも艶やかに過ぎる

何よりこれは香水だろうか?鼻孔の前を彼女のサラリとした髪が通る度、あまりの香しさに意識が飛び、そのまま襲い掛かってしまいそうになる

 

簡単に言えばセブルスは絶賛ムラムラしていた

 

 

(あ・・・あり得ん!!吾輩の心はリリーの物、つまりこの身もまた彼女の物ということだ!!だから静まれ我が愚息!!スニベルスよっ!!)クワっ!!

 

 

ガリガリと誤魔化すようにペンを無心で走らせるセブルスを見て

 

 

「___あ、違うそうじゃない。そこで苦ヨモギなどいれてどうする」

 

 

間違いを指摘する為に、しな垂れかかるように彼へ更に近寄るウィラ

本気で何故今回円卓がいないのだ!?とセブルスは一人慟哭する

 

 

 

この日、これ以上彼等の関係が近づくことはなかったが___それも時間の問題だ

 




ウィラも思春期だもん、しょうがないネ
ちなみに言うとウィラの持つ蔵書の中にはごく自然、当たり前のように18禁のウス・異本があります(他にもまだ18禁だった頃の『運命』のPCゲーなど)

途中あんなシーンをいれましたが、ウィラがてんてー好みの女性になることだけは絶対ありえません
むしろウィラがてんてーを自分好みに調教し尽くします(調教系女子って新しくない?)

前世の記憶に関しては、もはやほぼありません
オタク関係に関しては、今のままでもそういう文化が好きなので、失った端から即行で取り戻してます(普通にパソコン使って某ちゃんねるサイトにもコメしてます)

囚われの姫騎士状態ウィラ(妄想)の絵はいつか描きたいと思います


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黄金と男の矜持

__前回のあらすじ__

妄 想 爆 発=TO☆N☆ZI☆TI

「クンカクンカスーハースーハー
カリカリモフモフ!カリカリモフモフ!・・・はっ!?セブルスは現 実 じゃ ない!?

《い い や ま だ だ!!》

我が愛は破壊の情、ならば一度世界を壊して私好みに変えてしまえばいい!!私って超天☆災!!」←(つまり【流出】)※ウィラは【流出】はできません(・・・・・・・・・・・)



結局あの後もいつもと変わらぬただの授業で終わってしまった

正直彼、セブルスにはがっかりした。だってそうだろう!?

 

 

「うむ、うむ。言いたいことは分かるぞ黄金の君。余ならばその場で押し倒し、我が種を溢れんばかりにくれてやるというのに」

 

 

部屋に戻り、愚痴を言うとアランが即行で頷いて来た

 

 

「だろう!?この私が!王たる私がそこらの男に肌を見せるワケがないというのに!!」

 

 

ベッドでジタバタしながら獣の尻尾をとにかくモフる

 

 

「何故押し倒さん!?私はもう子供も生める!覚悟も決め、いざ参らんと行ったのに・・・!!」

 

 

屈辱だった、晩餐会でドレスを着れば私に目を奪われぬ男など一人もいなかったというのに・・・!!

 

 

「恥だ・・・女に恥をかかせるなどっ!!」

 

 

宮中でのパーティーに来た女共が、やれあの男はだの、やれ恥をかかされただの聞かされて、今まではアホらしいとしか思わなかったが想定外だ。今なら彼女達が言いたかったことがよく分かる

 

 

獣はこういう場合何も言わないし、トグサに至っては女を抱くより斬るほうが楽しい狂人だ。だから自然と愚痴る相手がアランになるのは必然だった

 

 

「だがなぁ黄金の君、そもアヤツと御身はまだ恋仲ですらないのであろう?」

 

 

うっ、と言葉に詰まる

それを見逃すアランではない

 

 

「我等鬼人ですら、互いの気持ちを確かめ夫婦(めおと)となるのだ。此度の戦、黄金の君が負けたのも致し方あるまい」

 

「・・・負けてないもん」ボソ

 

「いいや、負けだ。まずは認められよ」

 

 

腕を組み、真剣な顔でそう言われては、私もちゃんとアランと向き合うしかない

 

 

「そもそも焦りすぎなのだ、それに回りくどい。何故その気持ちをあの男に告げん」

 

「だって・・・」

 

 

んー?とアランが軽く睨んでくるが、私は胸の前で指をツンツンしながら茶を濁すしかない

流石に「女の子だから好きな人に告白してほしい」__だなんて言えるワケがない

しばらくし、「ハァ・・・」と溜息をつかれ

 

 

「とにかくだ、今回のような真似もうしてくれるな。身体で迫ろうなど娼婦ではないか。御身が女であろうとそれだけは断じてならん。余に膝をつかせた眩き君よ、どうかその清浄たる輝きを自ら貶めてくれるな」

 

 

「まずはあの男に御身を理解させることから始められよ」と言ってアランは自室に戻り、それが寝る合図となった

 

 

 

 

 

 

朝になっても私の機嫌が直ることはなかった

 

 

「・・・おはようミス・エル・ドラド」

 

「えぇ・・・おはようございます。セブルス(・・・・)

 

 

だからみんなの前で彼のファーストネームで呼んでやった

すると目に見えて焦りながら私にヒソヒソと耳打ちしだした

 

 

「おい!?吾輩がいつファーストネームで・・・!?それにお前は生徒で吾輩は教師だぞ!?」

 

「おや、それを言うならセブルス、卿も私の生徒ではないか。そんなことも忘れたのか?やれやれ・・・出来の悪い生徒ほど可愛いというがセブルス、卿ほど可愛い男を私は知らなかったよ」クスクス

 

 

軽く昨夜の溜飲が下がるのを感じながら、これはチャンスなのでは?と思った

いい加減先に進みたいし、それにそろそろ私のこともファーストネームで呼んでほしいのだ

 

 

「そのような世迷言っ!?」

 

 

流石に揶揄い過ぎたかな?と思っていると、思わぬところから援護射撃が来た

 

 

「別の良いのでは?」

 

「っ!?マクゴガナル教授!?」

 

 

それはなんとあの堅物で有名なマクゴガナルだった

 

 

「貴方とミス・エル・ドラドの間柄はもはやこのホグワーツでは有名ですよ」

 

 

その証拠にと他の先生方も、うんうんと頷いてきた

 

 

「スネイプ教授、確かに貴方はこの栄えあるホグワーツの教授ですが、それと同時にミス・エル・ドラドの生徒・・・弟子のようなものであるとルーピン教授からも聞きましたが?」

 

 

ガバっとセブルスがリーマスの方を見やるとスマンと手だけで平謝りしていた(ナイスゥ!←(建前)ナイスゥ!!←(本音)

 

 

「ならば師のお願いくらい・・・それに可愛いものではありませんか」

 

 

ぐぬぬ・・・と顔を顰めるセブルス、次の瞬間にはクワっ!とこちらを振り向き

 

 

「いいか、特別に許してやるが忘れるな。普段は吾輩が教師(・・・・・)お前が生徒だ(・・・・・・)

 

「えぇ、よく分かりました___セブルス(・・・・)

 

 

ピシリと顔に青筋を浮かべるセブルスを見て、私の機嫌はもはや治っていた。むしろ・・・

 

 

(やぁぁあん///!!何この人!?てかヤベぇ!!ホントにイケナイ扉が開きそう!!どうしよう!?誰か!!二回どころか何回もイケナイ扉開いて弟取り返した国家錬金術師連れて来て!!)

 

 

 

 

 

「おい聞いたかハリー!?セブルス(・・・・)セブルス(・・・・)だって!?ヤバイ僕吐きそう・・・」おえっ

 

 

ウィラとスネイプのやり取りは何も教師陣のみに聞こえたわけではない。というのもいつもと比べ、どこか不機嫌そうだったウィラに皆が注目していただけのことなのだが、それがいけなかった

 

 

「しかもロン!僕スネイプがウィラの弟子だったなんて知らなかった!信じられないよ!」

 

 

やれまさかあの二人はそういう仲なのでは?とゴシップ好きの生徒が囁けば、あんな鷲鼻絶対ウィラの好みじゃないと言った反論が至る所から上がり、挙句の果てには絶対にウィラには魔法が効かないと分かっていても、『服従の呪文』であの男は夜な夜な全校生徒垂涎のウィラの身体をあんなことやこんなことをして楽しんでいるのではといったとんでもない噂まで飛び交う

 

 

「・・・ふんっ!」

 

 

だからだろうか、彼___ドラコ・マルフォイが心底軽蔑した顔で、しかしどこか影があるような顔で周りの生徒を見ていたことに誰も気づかなかった

 

 

 

 

 

「フフフーフーフーフー♪フーフフーフーフーフー♪」

 

 

機嫌よく鼻歌を歌いながら授業が行われる教室へ赴く

廊下を通る度、何故か廊下の一部が金ピカに変わるが些末なことだ

 

 

「おぉう・・・とうとう無機物まで・・・というか陛下ぁ、機嫌良いのは分かるけど・・・何で合衆国国歌?そこは御身の国エルドラドの国歌では?」

 

「Ku-ha-ha!ヴァカめっ!こういうのはノリだノリ!」

 

 

次の授業はセブルスの『魔法薬学』!愛しい人のすぐ傍にいられるのだ、これがテンション上がらずしていつ上がる!?

 

 

 

扉を開いた先には、すでに今回共に学ぶ寮__スリザリンとグリフィンドールが集まり、今か今かと教科書を開いて待っていた

 

私の姿を見たとたん、スリザリン生が立ち上がり恭しく礼を贈ってくる。普段なら媚を売る者など無視する所だが、あいにく今の私は機嫌が良い。なので今回はグリフィンドール側ではなくスリザリンへと足が進んだ

 

 

「やぁドラコ!全然顔を見せに来てくれないからな!私から来てやったぞ!」

 

「っウィラ・・・!?」

 

 

あの晩餐会には特別にドラコも招待状を出したのに来てくれていなかった。ルシウスに聞いても濁した感じで答えてくれなかったし、「これは男の問題です」とか言ってワケ分かんねぇし

だから直接こうして私自ら赴いたのだが

 

 

「・・・ごめん!!」

 

「え・・・」

 

 

ガタリと立ち上がり、ドラコは私の隣から別の席へと行ってしまった・・・

それを見て、円卓が一気に殺気立ち、ドラコが近くに来られた生徒は皆顔を青ざめて「戻れ!!」と言うがドラコもまた凄まじい形相で彼等を黙らせた

 

 

「な・・・んで・・・」

 

 

ただひたすらにショックだった・・・ハリー達を除き、私が最も仲が良いを自負していたのがドラコだ。ある意味では・・・信頼という意味ではこのホグワーツではドラコが一番・・・なのに・・・

 

バタン__と、いつものように勢いよく扉が開きセブルスが入って来るが、私のこの心の喪失感に似た気持ちが消えることはなかった

 

 

 

「___ネビル・ロングボトム」

 

「は、はい!」

 

「ふん、しっかりと返事くらいせんか。-3点。・・・ハリー・ポッター」

 

「・・・」

 

「返事もできんのか、-10点____ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア」

 

「・・・」

 

「_?ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア!」

 

「(ビクっ)あ・・・はい」

 

 

先程のことがショックでセブルスに返事を返しそびれてしまった

すると彼はこちらに近づいてき__

 

 

「何があった?どうしたのだ・・・お前らしくない」

 

「あの・・・いえ、何でもないです」

 

「その反応をされて、はいそうですかと言うわけにいかん。・・・ミス・グリーングラス」ジロリ

 

「っは、はい!」

 

誰だ(・・)?」

 

 

まるで誰かに何かされたのが確定のようにセブルスがそう問い詰める

隣に座るダフネはオロオロしながら・・・それでもドラコへと、他の生徒も視線をやる

すると今度はドラコの下へ行き

 

 

「・・・ドラコ、吾輩はお前を信じている。が・・・彼女に何をした」

 

 

嘘は許さんと普段スリザリンを・・・特にドラコを猫可愛がりしている様からは想像できないほどその目と声は冷たかった

 

それに対し、ドラコは冷や汗を掻きながらも

 

 

「い・・・言えません」

 

「・・・それは言えないほどのことをしたということで良いのかな?」

 

 

歴戦の戦士と言えるセブルスが今度は殺気まで出しながら、もう一度ドラコへと問い詰める

 

 

「知っていようが・・・吾輩は彼女の弟子と言っていい・・・つまりお前は吾輩の師に何かしらの泥を投げた・・・でよろしいのかな?最後だドラコ・・・何をした」

 

 

射殺さんばかりの眼光がドラコを捉えて離さない。それでもドラコはキっと何と今のセブルスを睨み返し

 

 

「どうか先生・・・今だけは聞かないでいただきたい・・・!」

 

 

「何をふざけたことを」とセブルスが言いかけた時、ガタリとドラコは今度は胸倉を掴まんばかりの勢いで立ち上がり

 

 

「僕にも意地があるッ!!あぁ、分かってるさ全部僕が悪いって!!でも僕にはまだそれを彼女に言う度胸が無い!!彼女に会わせる顔がないんだ!!」

 

 

あまりの勢いにセブルスだけではなく、私達全員まで面食らっていると

 

 

「ウィラ・・・さっきはゴメン・・・全部僕のエゴだって分かってるんだ・・・でも待ってほしい・・・」

 

 

顔を俯かせ、決して私の方は見ようとしない。先程のも支離死滅で何が言いたいか全然分からない。でも・・・

 

 

「・・・分かった・・・待ってるドラコ」

 

 

その言葉に掛けた彼の思いだけは伝わってきた。待ってほしいと言ったんだ、それはつまり必ず説明すると言う裏返し

セブルスにもそれが伝わったのだろう。いや、何か男同士で伝わるものがあったかもしれない。ポンっと軽くドラコの肩に手を置き、その後は何事も無かったように教壇に戻り、再び出席を取り始めた

 

 

 

「さて、では今日も素晴らしき魔法薬の神髄へと君達のような不出来な者を誘おう」

 

「おや、もしかしてそれはこの私も含め言っているのですか?せ ん せ い?」

 

「っ!?その呼び方はこの場では止めろ!ミス・エル・ドラド!」

 

「それは失敬、でも気になったのでなセブルス。どうか許せ」

 

「敬語を使えこの場ではキサマが生徒で吾輩が教師、それとファーストネームで吾輩を呼ぶな・・・!!」ピキピキ

 

「フフっ!すみません先生。さ、授業を始めましょう?」

 

 

グリフィンドールの方から「マジかよ・・・あのセブルスが手玉に・・・!?」とか聴こえてくるが、これがもう私と彼の日常会話に等しい。私が揶揄い、彼がそれに怒る

別に怒らせたいわけじゃないけど何て言うかな・・・あれだ、好きな子ほど虐めたくなるというやつだ(歳は向こうの方が圧倒的に上だけど・・・私って年上好きだっけ?)

 

 

 

 

 

 

 

「__ハリー、それを入れるタイミングが早すぎる。また失敗するぞ」

 

「っ!・・・ホントだ」

 

「セブルスではないが、もう少しちゃんと教科書は読め。ネビルは初めから全然違う」

 

「そんな!?」

 

「落ち着け、私はセブルスではない。さぁ、もう一回」

 

 

私は今、セブルスの助手のようなことをしていた。というのも私は彼に教えるほどの腕前・・・つまり学ぶことが本当にないのだ。ならば吾輩の手伝いでもしたまえと言われたので快くそれを受諾し、彼が見るのも嫌なグリフィンドールの方を担当していた

 

 

「・・・ねぇウィラ、なんであんな奴のファーストネームなんか呼んでるの?正直君がアイツの教師をしてるって聞いた時、何考えてんだって思ったよ」

 

「アイツ呼ばわりは関心しないなロン、彼はこのホグワーツの教授。それに正直私の腕について来れる時点で天才と言っていい」

 

「スネイプってそんなに凄いの・・・?」

 

「あぁ、まぁ私程ではないが・・・ダンブルドアが彼を選んだのは慧眼だった。彼と理論で話し合うのは楽しいぞ?私としても新しい発見が多いし、勿論我が家に伝わる秘薬の類は教えてないが」

 

「うへぇ、理論なんてクソくらえだよ」

 

「もうロン!・・・でも何で本当にスネイプ教授のことファーストネームで呼んでるの?」

 

「私が先生で彼が出来の悪い生徒だからだ、あれで中々可愛いぞ?__ですよね先生(・・・・・・)?」

 

 

と振り向きもせず、後ろへ声をかける

ロン達・・・特にネビルなんかヒュっと息が漏れていた

 

 

「・・・無駄話など余裕ですな、グリフィンドールは。一人につき-5点。更に課題も増やしておくのでそのつもりで。・・・ミス・エル・ドラド、こっちに来い」

 

 

顔面蒼白な彼等にまぁ頑張れと声をかけ、私とセブルスはひとまず見守るように教壇の隅に来た

 

 

「・・・何のつもりだミス・エル・ドラド、吾輩にそんなに恥をかかせたいのか?」ピキピキ

 

「そんなつもりはないさ、セブルス。これはアレだ、仕返しというやつだ」

 

「・・・今朝の続きか」

 

「えぇ」

 

 

するとハァっと溜息をつき

 

 

「・・・すまないが、吾輩にはてんで分からん・・・どうすれば許してくれる?」

 

(それはもちろん私と閨を共に!)

「では・・・いい加減私のことも名前で呼んでくれないか?」

 

「__?何故だ」

 

「この名、エル・ドラドは我が誇りだ。しかし親しい者にはやはり名で呼んでほしいではないか」

 

 

しばし考えるような仕草をし___

 

 

「・・・それで人前で吾輩の名を言わないのだな?」

 

「くどいぞセブルス、私は約定は違えん」

 

「・・・分かった、後から呼ぶなと言われても吾輩は聞く耳をもたんぞ・・・ウィラトリア(・・・・・・)

 

(勝ったッ!!第3部“アズカバン”完ッッ!!)

「えぇ、ありがとうございます。スネイプ先生」

 

ふんっと鼻を鳴らし、私とセブルスは今だ悪戦苦闘しながら魔法薬を作る生徒へと目をやる

 

 

(・・・ドラコ)

 

 

その中には当然ドラコもいた。私と目が微かに合うが、すぐさま外されてしまう。それが凄く悲しくて・・・

 

 

「・・・ドラコのことだがな、ウィラトリア」ボソ

 

「・・・え?」

 

「話を先程聞きに行った」

 

「っ!では!」

 

「駄目だ、教えられん」

 

 

何故と問うても彼は固くなに口を噤んだ、その目は頑として吾輩からは言えんと言っていた

 

 

「これは・・・なるほど、確かにドラコの言いたいことも分かる。ウィラトリア、其方には分からんだろうが・・・これは男の問題だ。要約すればプライドの問題とさえ言える」

 

 

“プライド”___それの大切さは分かる。王族もまたプライドの中に生きる者なのだから・・・それでも悲しいかったものは悲しい

 

 

「先程のことは代わりに謝ってほしいと頼まれた、スマンな・・・吾輩で」

 

「いえ・・・そんな」

 

「それと、これだけは絶対に告げてほしいと」

 

 

スゥっとセブルスは息を吸い

 

 

「『君は何も悪くない、ただ僕が臆病で弱虫だから・・・だから今はただ待ってくれとしか言えないこの身をどうか、嘲笑ってほしい』__と」

 

 

 

 

(あぁ、間違ってるぞドラコ・・・真の臆病者は自らをそう揶揄しない。ならばドラコ、卿は(まこと)の勇気を持った素晴らしい男と言える)

 

 

だから待とう、彼の勇気に応えてやろう

その言葉を聞き届け、私はもう一度ドラコへと視線をやる。彼もまた私の方を見ていたが、その目にはしかとした覚悟が見て取れた

 

 

 

 

 

 

授業が終わり昼休み。普段ならばゆっくり臣民から宛てられた手紙を読みながらアフタヌーンティーを楽しむところだが今日は違う

 

コンコンコン__とノックの音が聴こえ、獣が来客を中へ招き入れる

 

 

「で?先程の事とこの私自らが呼んだ晩餐会に顔を出さなかった不敬・・・どう説明してくれる?なぁ・・・ドラコ」

 

 

そこにはドラコがいた。いつものホグワーツの制服ではなく、貴族が着るに相応しい身なりで。それはつまりこの場では生徒でも私の友達としてではなく、一人の貴族、一人の男としてこの場へ赴いたということだろう。だから私もそのつもりで、生徒としての私ではなく、“偉大なる黄金”としての私としてこの場にいる

 

カツカツと真っ直ぐ私の前まで来て、スっと膝を着く

 

 

「・・・まずはお詫びと祝いの言葉を。陛下のご恩を無碍にし、あまつさえその瞬間に立ち会えず非礼を詫びます。それと共に御身“偉大なる黄金”の誕生した時代に共に生まれたことに感謝を」

 

「受け取ろう、だが早く本題に入れ。貴族特有の回りくどい喋り方は好かんとルシウスには教えたはずだが?」

 

 

私は全てを愛している__だが我慢ならんものは我慢ならんし、友とはいえこの場にいるのは一人の貴族・・・格の違いをその身に刻んでやらねば

 

 

「一つ問おう。卿は貴族として私に謝りにきたのか?それとも我が最愛の友として来てくれたのか・・・どちらだ?」

 

 

ピクリ__と顔を上げないドラコが反応した

『開心術』などという無粋な真似はしない。というか私は円卓や家族、友には一度足りとも『開心術』など使ったことがない

 

数秒ほど、考える素振りをし、顔を上げるとそこには男の顔(・・・)があった

 

 

「友達としてだ、ウィラ。僕は君の友として・・・謝りにきた」

 

(あぁ、その言葉が聞きたかった)

 

 

フっとこの場を支配していた王としての圧力を解き、笑みを彼へと覗かせる

 

 

「ようやく私の顔を見たなドラコ。卿と話せぬ日々は寂しく、この寂しがり屋な心が泣かぬ日はなかったよ」

 

「僕もだよウィラ・・・最愛(・・)の君と話せぬ日々は灰色で冷たく・・・君が帰ったと聞いた時はもはや世界に光など無いと感じていた」

 

(・・・ん?今聞き逃してはいけない言葉が聴こえたような・・・)

「くはは!詩人だなドラコ」

 

「知らないのかい?吟遊詩人は今の時代でも人気の職業さ」

 

 

先程とは打って変わり、互いに軽口をたたき合う

しばし穏やかな時間が流れたと思いきや、ガラリと雰囲気が変わり

 

 

「・・・本当にゴメン、君の顔に泥を塗るようなことをして・・・でもっ!」

 

「いいさ、こうして再び卿と話せることのほうが大切だ。・・・愛しい友よ、教えてくれるね?」

 

「・・・うん」

 

 

 

 

 

 

全てはあの気に食わない髭面の大男の授業が始まりだった

開けば噛み付いてくるワケの分からない教科書、毛むくじゃらの・・・ムカツクがまぁまぁ美しい獣

前者は言わずもがなで、後者は鋭い爪と嘴に、この僕でさえ思わずたじろいでいると__

 

 

「おいキサマ等、跪け」

 

 

ウィラはその一言で、凶暴な獣を平伏した

すごい!流石はウィラだと思った。同時に何て美しいんだと

 

 

キラキラと輝く金の川、その双眸は全てを見透し全てを包み込むように優しく

あどけなさの残る顔を前にすれば、女神ですら裸足で逃げ出すその完成された黄金比率・・・

 

彼女に見惚れていると、今度はあのポッターが名乗りを上げた

ムカつくポッター、気に食わないポッター

失敗して恥を晒してしまえと一人ほくそ笑んでいると・・・

 

 

「おぉ!流石はハリーだ!成功だ!」

 

 

あの野蛮人が言う通り、ポッターはあの獣に跨り空を駆けていた

少し離れた場所で何か円卓の方々と話しているウィラの方を見ると、彼女もまた会話と途中で止め、ポッターの方を見ているようだった

 

沸々と・・・僕の中で対抗心が生まれた

ついでに彼女だけでなく、僕も君のようなことが出来るんだと見せたいが為に・・・僕は過ちを犯した

それは何もあの毛むくじゃらの獣に殺されそうになったからではない

腕を切り裂かれ、僕は人目も気にせず喚いてしまった。助けてウィラ!!と

・・・その後は忘れることができない

 

 

ウィラがヒッポグリフを下げた後、僕の方を見てきた

その目はただ一言だけを告げていた

 

お前にはガッカリした___と

 

 

あの野蛮人が僕を担いだ頃には、自分の過ちに気づきただひたすらに叫んだ。「違う!違うんだウィラ!」と。でも彼女はもうこちらに見向きもせず、見て来ても冷ややかな目線を向けて来るだけだった

 

保健室から出たくなかった。それは何も野蛮人とヒッポグリフを嵌めようとしたわけではない

どんな顔をして彼女に会えばいいか分からなかった。そして僕は男として失格だと、だってそうだろう?女の子に助けを求めるなんて

 

授業にも出たくなくて、スネイプには随分無理を言った。こう言っては何だが、この時ばかりは自分が彼のお気に入りで助かったと思った。でも・・・すぐに後悔した

 

 

 

()が急にエルドラドに帰ったと聞いて後悔した。同時に何故もっと早く、君に顔を出しに行かなかったんだろう・・・って

そうこうしていたら父から手紙が来た、“偉大なる黄金”の誕生を祝う晩餐会に、君自らが招待してくれたと、貴族として参上せねばならない・・・と。でも行けなかったよ・・・

 

 

「・・・どうして?」

 

「相応しくないと思ったんだ・・・そんな場所に、今の僕のような者が行っていいワケがないって。馬鹿だろう?」

 

 

ただ君に良い所が見せたくて、ただ君に違うと言う勇気がなくて・・・

 

 

「父上は僕を気遣って、自分から君に言おうか?と言ってくれた。でもそれだけはさせなかった」

 

「何故だ?更に恥を上塗りすることを恐れたか?」

 

「今まで父や家の名を傘にして、ここまで来た。このイギリスで、マルフォイ家を知らず、その上に立てる人間など一握りだけだからね。だからこそ言える。だから僕は恥を知らずに生きて来た・・・っ!!」ギリっ!

 

「・・・」

 

「憧れの君に情けない姿を・・・っ!王たる君に、家臣でも無い僕は恥知らずなことに助けの手を伸ばした!僕は・・・っ!僕はっ!!」

 

 

友達失格だ___

 

 

 

 

最後まで聞き、私は立ち上がりドラコの前まで行く

ドラコは再び項垂れて、それは罪人のように見えた

 

“男の矜持”___あいにくと私は女だ、理解できないしするつもりもない

これはプライドでも何でもない、ただの意地だ

 

だから私は膝を着くドラコをそっと抱きしめる。本当なら()してしまいたい。でも今だけは慈しむように

 

 

「もう良い、ドラコ。自分を許してやれ」

 

「でも・・・」

 

「あぁ、ガッカリしたさ。情けないと思った、女に縋り付く男など跪かせる価値すら無いからな」

 

「・・・」

 

「でも・・・寂しかったぞ、ドラコ?」

 

「っ!」

 

「愛しい・・・卿の全てが今となっては愛おしい。意地っ張りなところも、自分を少しでも良いように見せようとする所も。・・・同じスリザリンを少しでもまとめようと日々努力し、後輩が助けを言わずとも手を差し伸べる卿を私が知らんと思ったか?心外だな、私は言ったはずだぞ?努力する者こそ真に美しいと。あぁ、貴族など私は好かん。でもな、卿程好ましい男を私は知らん」

 

「っ・・・っ!」ポタポタ

 

「今日初めて・・・私は男を見た。言いたいことは分かるな?改めて卿に頼みたい」

 

 

ここでようやく、彼の頭を撫でることを止め、目を見やる。その目は充血していたが、しかと私の瞳を見返してきた

 

 

「ドラコ・マルフォイ、次期マルフォイ家当主殿。私と朋友となってほしい。生涯対等な友として・・・これからも男を見せてくれ」

 

「~~~っ!!こちらこそ!そして必ず!!」

 

 

グシグシと目を擦る様はとても貴族らしくない、だがそれが良い。私と彼との間に身分など無いようなものだ

 

全てを愛している。それは今も、そしてこれからも変わることはないだろう。しかしその中でも大切な宝物は別にある

その宝物が今日___また一つ増えた

 

 




いかがだったでしょうか?


鬼人がお互いの気持ちを確かめる際、彼等は気持ちをその拳へ込め全力で相手へとぶつける
その為、これを見た昔の人間は血で血を争う、魂のぶつけ合いを見てこの儀式を【血闘】または【血魂】と呼び、これが今日(こんにち)における【決闘】(相手を決める為闘う)【結婚】の大本になったと言う説はあまりにも有名である

                     __民明書房『世界語源集 大全』より__



ちょっとドラコがカッコ良すぎましたかね?
ちょこちょここう言った伏線(今までドラコが出て来なかった理由等)を張り、回収していますが、気付いてもらえたでしょうか?
(実はそれなりに伏線張ってます)


それとドラコ、知らず知らずの内に告白し、フラれる


次回は閑話のようなものです


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黄金がいる風景

今回は軽い閑話のようなものです
ホグワーツの休日となっています

他者目線から見たウィラを主題においた話をお楽しみください




ダフネ・グリーングラス

その名はイギリス魔法界において、『聖28一族』として有名であり、ダフネ自身もまた社交界では家名関係無く有名だ

 

あどけない少女でありながら、洗練された仕草は男を惑わすまさに魔女

数多の男に言い寄られても、決して首を縦に振らず、逆に相手をフることに悦を感じていた

思わずといった顔を見るのが楽しくて、彼女はどんどん我儘に、表には出さずとも高飛車な性格になっていくのは仕方なかった

 

ダフネ・グリーングラスは自分こそが世界で最も幸せで美しく、手に入らぬものなど無いと感じていた。事実手に入らぬものや、彼女のお願いを聞かぬ者などいなかったのだ___あの日までは

 

 

ヨーロッパ魔法界の王族エル・ドラド家。その中で自分と同じ歳でありながら王位を受け継いだ、現国王“黄金の君”がホグワーツに入学した

 

初めは「だからどうした?」と思った。所詮は他国の王、自分より綺麗な女など存在しないし、もしそんな者がいれば、少しお願いして痛い目(・・・)にあってもらおうとさえ考えていた

だがそれは、一目彼女を見た瞬間から消え去った

 

 

 

「___ん」

 

 

懐かしい夢を見た。起床してまず最初に思ったことがそれだ

 

 

「おはようございます、ダフネ様」

 

 

ルームメイト・・・まぁ、半純血ですらない『穢れた血』だと知り、自分の立場を教え込んだ後召使いにした彼女に朝の挨拶をされる

 

 

「おはよう、今何時?」

 

「朝の10時ですダフネ様」

 

 

聞きながらも返事はせず、身体を起こし髪を梳かせる

初めは『穢れた血』などと同じ部屋にしたホグワーツの教師を恨んだが、そもそもこのホグワーツには召使いを連れてくることができず、自分で身の支度など貴族として恥だと思っていたダフネは嫌々我慢しながら、初めは彼女に手入れをさせていた。だが今では調教したかいあって、そこそこ上手に奉仕できるようになっていた

 

 

(そう考えると・・・やはりあの方は特別ですわ)

 

 

創設者達自らが用意した部屋、騎士を連れ、あの今世紀最大の魔法使いでさえ、おいそれと話しかけることが出来ない相手

 

 

「もう結構。これから私、用事がありますので」

 

「用事・・・ですか?」

 

「えぇ、お茶会(・・・)にお呼ばれしたの」

 

 

“お茶会に呼ばれた”__その言葉を聞いた瞬間、この『穢れた血』の表情に憧れと憧憬、嫉妬が浮かんだのを見てダフネはほくそ笑む。「あぁそうだ、やはり自分は特別なのだ」と再認識して

 

 

「何?その顔、まだ足りないのかしら・・・」

 

「っ!?お、お許しください!!」

 

 

床に頭を付けた彼女を、ダフネは見降ろしその頭を踏みつける

 

 

「分かればいいの、分かれば」ニッコリ

 

 

「戻るまでに片付けよろしく」と言って、ダフネは庭園を目指す

 

 

 

 

 

 

 

(かぐわ)しい匂いが鼻孔を刺激する。一口飲めば「あぁ、今まで自分が飲んでいた茶葉は腐っていたのか」とつい感じてしまう。それはこの場に呼ばれた他のスリザリン、つまり貴族の出の者もそうだ、皆一様に物思いにふけこんでいる___彼女、このお茶会の主賓にして、“黄金の中の黄金”と名高いウィラを除いて

 

 

「くはは!たかだか紅茶ではないか、それに淹れ手は三流・・・おい獣、不味いぞこれ」

 

 

一口飲んで、すぐ捨てたウィラを見て「何ともったいない!」と声をかけた者はしょうがないだろう。その茶葉は彼のイギリス王室が好んで飲み、貴族ですら入手困難なソレを不味いとウィラは捨てたのだ

 

 

「も、申し訳ありません黄金の君!今一度、チャンスをなにとぞ・・・!」

 

 

絶世の美男子と言う言葉すら(ぬる)く、これまた“黄金”としか言いようがない男性が冷や汗を掻きながら彼女に謝る

彼こそは彼のエル・ドラド家が代々築く『黄金円卓』。その中で最強の者だけが名乗ることが許される『黄金の獣』

紅茶を淹れる為に、真剣な表情はこの場の淑女を皆ウットリとさせ、まだ少女であるダフネですら、その腕に抱かれたいと夢見てしまう

 

 

「___やはり不味い、シャドウをこの場に連れてくればよかった」

 

 

これほど美味しい紅茶を飲んだのは初めてなのに、彼女はこれですら不味いと断ずる

 

 

(あぁ・・・やはり貴族といえど、王族こそが特別なのですわ・・・)

 

 

そう思い、自分はまだこの場で何も発言していないとダフネは軽く焦る

こういう場__つまり上流階級集まる場では、いかに発言し、どれほど力を見せつけるかどうかこそが重要だ

 

 

「まぁ!シャドウ様はこれ以上に?」

 

 

ダフネのその一言に、この場に呼ばれた者はようやくダフネの考えに気づいたのだろう。急いで続こうとするが、すでに遅い

 

 

「あぁ、私が言うのも何だが、彼の淹れた紅茶はエリー、つまり卿等のイギリス女王ですら絶賛するものでな。困ったことにシャドウが淹れた物を飲んでしまっては、もはやその他は飲めなくなる」

 

 

饒舌に語り出すウィラを見て、ダフネは内心笑みを溢す

貴族も王族も、上に立つ者は自分の所有物の自慢が好きだと彼女は知っていたのだ。その証拠にウィラは機嫌良くシャドウの自慢話を始める

 

 

「我がエル・ドラド家の歴史書にも書いてある。シャドウこそが我等エル・ドラド家の真の宝であると。同意見だ、彼には今も世話になりっぱなしだ」

 

「流石は最古の屋敷僕ですわ、イギリスでもシャドウさんは有名ですのよ?」

 

 

シャドウ__その名は事実、イギリスのみではなく、ヨーロッパ全土にウィラと同じく名を轟かせている

1500年以上の時を生き、あの初代よりエル・ドラド家に仕える生き字引。唯一初代黄金を知る彼は、しかしそれで有名なのではない

欲しいのだ誰もが。珍しい物を欲しがる上流階級にとって、シャドウはまさにエル・ドラド家が所有する宝・・・奪うことはそれ即ち、エル・ドラド家の上に立つことと同意

 

 

「いいなぁ・・・ねぇウィラさん、私のとこの屋敷僕と少しの間交換しない(・・・・・)?」

 

 

身の程を弁えぬ馬鹿が。とダフネは内心罵倒する。折角自分が温めた空気をこの馬鹿はぶち壊したのだ、その証拠に

 

 

「おい、キサマ今シャドウを物扱い(・・・)したな?この私でさえ彼には敬意を持って接するというのに・・・何様だ?キサマ」

 

 

先程喋った生徒に氷点下の表情を浴びせかけていた。された女生徒は先程と打って変わりカタカタと震えている

ゴクリ__とダフネは喉を鳴らす。ここが正念場だと

 

 

「ウィラ様、この者も少々浮かれていたのですわ。それも仕方ありません。だって貴女様にこうして呼ばれる機会をワタクシ達、ずっと待っていましたもの」

 

 

黄金の双眸がダフネを睨む。それだけでダフネの心臓は生きて来た中で最大限の警鐘を鳴らし、手は汗でベッタリと濡れていた

 

だが彼女は勝った

 

 

「・・・次は無い。まぁ許せ、それほどシャドウが我がエル・ドラド家にとって大切であるということだ」

 

 

他から見れば、こう見えるだろう。“ダフネの陳謝でウィラは許したのだ”と

この話は噂好きの社交界でも有名となり、しいてはグリーングラス家・・・ダフネに逆らう愚者は更に減ることを意味していた

 

 

(ありがとう馬鹿!おかげ様でこの方に更に顔と名を売る事ができましたわ!)

 

 

他の者はそんなダフネを羨み、同時に妬んだ。恨み妬みは貴族の間ではごく当たり前のこと。しかし王は何も気にせず再び紅茶を含み__

 

 

「あぁ・・・やはり不味いな(・・・)

 

 

貴族達の貶め合いはまだ続く___

 

 

 

 

 

 

突然だった

 

 

「陛下から軽く話は聞いていましたが・・・これはこれは、才ある者が勿体無い」

 

 

声のした方を振り向けば、そこにいたのは世の女性全てが放っておけるハズがない色気を放つ男性がいた。続けてあの人はこう言った

 

__自分がどこまでいけるか試してみないか?____それが僕、セドリック・ディゴリーの人生を変えた師、ニーゲンベルグ先生との出会いだった

 

 

 

 

「よ、よろしくお願いしますッ!!」

 

「おう、チャチャっとやろうか」

 

 

初めは魔法すら使わせてもらえなかった。今の実力を見てやると模擬戦をした時、僕は文字通り手も足も出なかった。先生が杖を抜いた瞬間気絶したからね

だから去年の初めはひたすら身体を鍛えさせられた。先生曰く「何故イギリスの魔法使いは武器である杖を無くした場合を考えないのか・・・戦いの基本は格闘です」とのこと

杖を使い出しても厳しかった。「振るのが遅い、それでは殺してくれと言っているようなものだ」「嫌なら今すぐ言いなさい。やる気の無い者に手ほどきなど、これほど意味の無いことはない」と

何度も疑問に思った、何故僕なんだ?と

きっと先生は僕がもう嫌だと言っても止めもしないし、理由を聞いても答えてくれない(それくらいは分かるようになった)

実際僕がされた仕打ちを聞かれれば、父は間違いなく彼女の国に抗議するだろうし、友達も皆止めろと言ってくれるだろう。でも・・・

 

__大切な者はいますか?世界は優しく、そして残酷です。正義を謳う為に必要なのは折れない精神と力____

 

 

だから僕も聞いた。「貴方にもあるのですか?」と

 

 

 

去年、エルドラド王国に先生が帰ったあとも言われたことはし続けた(勿論父と母には黙って)今日はそのお披露目だ。相手は先生・・・ではなく

 

 

魔法を放つ__斬られる

防御魔法を張る__斬られる

 

だがそれはしょうがない、相手はニーゲンベルグ先生をして“理不尽の権化”と言われたトグサさんだ(その証拠にトグサさんが握ってるのはその辺で拾った木の棒だ)

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・!」

 

「おいおいおい、何だこの(ぬる)い魔法は。どうして本気を出さないんだぁ?アイツみたいに輝けよ」

 

 

本気だと言い返した、これが今の僕が出来る本気だと

 

 

「そうじゃねぇよタコ、限界なんて誰が決めて良いっつった?本気だよ本気。本気を出せば人間に不可能なんざねぇんだよ」

 

 

その気になれば俺のようなマグルだって魔法を斬れるし、本気になれば誰だってドラゴンの1匹や2匹殺せると聞いて僕は思う。「いやその考えはおかしい」と

 

仰向けに倒れ、荒く息を吐いていると__聞き逃せない発言を聞いた

 

 

「ニールの弟子っつうから期待したが・・・興ざめだな。手前みたいなモンが弟子じゃアイツの価値も下がるってモンだ」

 

 

僕は他人(ひと)からよく温厚な人間だと言われる。僕自身、身を焦がすような怒りなど抱いたことがなかった

でも・・・今の発言だけは許せない・・・っ!!

憧れたんだあの人に。ただ相手を倒すのではなく、目的無き力などただの暴力と教えてくれた。本当の騎士である・・・僕が初めて尊敬し、憧れた先生を___ッ!!

 

 

「馬鹿にするなぁぁあああ!!!」

 

 

杖__ではない

身体を起こし、そのままの勢いでタックルをかます

 

 

「合格だ。ンだよ、本気出せんじゃねぇか」

 

 

その言葉を聞いた次の瞬間、鈍痛が頭部を襲い、僕は気絶した___

 

 

 

 

 

初めはただカッコイイと思った

優雅な振舞いや佇まい、大切な者をただひたすら守ろうとするその生き様に憧れた

 

次第に憧れは変わり、あの人に教えてもらえることが嬉しくなった

言葉には決して出してくれないが、出された課題をクリアした時の優しい眼差しを間違えたりしない

 

だから僕は____

 

 

「・・・つつ・・・」

 

 

再び仰向けに倒れていた。今更ながら、生徒から教師まで、誰一人僕が倒れていたことには気付いていなかった。それは何故か?

 

 

「当たり前だ。卿が相手したのはこの私の円卓の騎士だぞ?」

 

 

彼女__ウィラさんが『認識阻害魔法』をずっと張っていてくれていたのだ

 

まだ動けない僕の隣にウィラさんが座り込む。王族が地べたに座るなど、これは意外にもトンデモ無いことでは?と頭が変な方向に回り出す

 

 

「・・・本当に強いねトグサさん。魔法を斬るだなんて理解できないや」

 

「だろうな。この私とてそれをやられた口だ」

 

 

だからアレは今の席次にいる。と聞いて顔だけを、今はアランさんと軽い殺し合いをしている先生曰く「理解できたらその瞬間トンチキの仲間入り決定」とまで言わせたトグサさんへ向ける

 

 

「あれが・・・先生でも勝てない相手・・・“人間の極致”かぁ・・・」

 

「あぁ、アレ以上に強い人間なんぞ私は知らん。アルヴィーと席次をかけた決闘など凄かったぞ?ドラゴンのブレスを真っ二つにしたからな」

 

「・・・本当に人間なの?まだ剣の妖精のほうが納得できるけど」

 

「魔法のまの字も使えん正真正銘のマグルだ。もしジャパンに行ってもアイツの名前だけは出すな。鬼使いや陰陽師などの化け物連中がアイツの居場所を今だに探してるからな」

 

「・・・今の聞かなかったことに」

 

 

風が軽く吹き、互いに気持ち良さに目を細め無言になる

風を浴び、その金の髪を靡かせるウィラさんはそれだけで絵画になるくらい綺麗だった

 

 

「突然ニールが卿を鍛えたいと言った時はビックリしたぞ?アレは才を見る目だけは確かだからな、だが驚いたのはそこではない」

 

「・・・」

 

「クディッチの練習に、ニールの言いつけ・・・大変だなセドリック。何故卿はそこまで頑張る?何が卿をそこまで振るい立たせる?」

 

 

その言葉は純粋な疑問だった、上流階級特有の嘲りや上から目線ではなく

 

 

「・・・憧れたんだ、先生に。だって・・・カッコイイじゃないか」

 

「・・・それだけ?」

 

「うん。僕だって男なんだ。これだけの理由でも、こうしてキズだらけになる理由には充分だよ」

 

 

それに・・・知りたい

 

 

__私にとって大切な者、それは陛下をおいて他なりません。あの方の傍にいられることこそ我が望み、その全て。死してなお、陛下に仕える為に・・・私はこうして剣を取るのですよ___

 

 

誰かの為に。正義の為ではなく、たった一人の為に

先生の名を調べたら驚いた。だってあの人、イギリスのみならずオーストリアから至る王族のロイヤルガードに誘われてた人だったんだ!

 

求めたものは地位や名誉ではなく騎士道__それはどんな生き方で、どんな景色が見えるのか・・・僕はそれが知りたくなった

 

 

「くっ、くはは!そうか、男か!」

 

 

突然ウィラさんが笑いだした。だがそれは馬鹿にしたようなものではなく、愉快で愉快で仕方ないといった風に

 

一通り笑った後、突如ウィラさんは立ち上がり___

 

 

「もう立てるな?『認識阻害』を解除するぞ」

 

 

その言葉に急いで立ち上がろうとすると

 

 

__カラァン___

 

 

目の前に突如、短剣が落ちて来た

 

 

「褒美だ、受け取れ。中々良いものを見せてもらったからな」

 

 

続けて彼女が言った言葉に、僕はどう反応していいのか分からなくなった

 

 

「それは我が国で、“騎士見習い”に渡す合格の証でもある。騎士ではないぞ?ひとまず様子を見るだけの値はあると認めただけだ」

 

 

「これからも精進しろ」と言い残し、ウィラさんは暴れていたトグサさんとアランさんを一瞬で止め(やっぱウィラさんも人間止めt・・・何でもないや)そのまま歩いていった

僕はそれをただ茫然と眺めているだけしかできなくて・・・先生ほどの人間が何故彼女に仕えているのか少し分かったような気がした___

 

 

 

 

 

 

 

皆が僕のことを「グズ」だの「のろま」だのと言う

それに対し、僕が思うことはただ一つ。「まさにそのとおり」

 

ネビル・ロングボトム__それが僕の名だ

これでも栄えある『聖28一族』に名を連ね、父さんと母さんは最後まで“例のあの人”率いる闇の陣営と戦い続けた英雄

ではその息子である僕はどうなのか?

 

答えは___

 

 

「ねぇネビル、君の方はもう『魔法薬学』の宿題終わった?」

 

「う、ううん全然・・・ぼ、僕だけ何故か宿題多いんだよね・・・」アハハ

 

 

ハリーの問いかけに僕は力無く項垂れる。「アイツ、きっと君のことが好きで好きでしょうがなんだぜ?オェっ、自分で言って気持ち悪くなってきた」と吐きそうな仕草で場を盛り上げてくれるのは大切な友達の一人であるロンだ

 

 

「日頃からやっておかないからよ、ネビル?良かったら手伝いましょうか?」

 

 

そう言ってくれるのは二人と仲が良く、だいたい3人でいることから“グリフィンドールのトリオ”で最近通じるハーマイオニー。3人共、僕の自慢の友達だ

 

 

ハリーは“例のあの人”を倒した魔法界の英雄

ロンはその持前の明るさとトークのうまさで時々リーダーシップを発揮してくれる

ハーマイオニーは天才だ、ただその一言に尽きる

 

(それに比べて僕は・・・)

 

 

色んな人から言われる。「もっと堂々としなさい」と。でもそれができないから・・・僕には自信になるようなものなど何一つも無いから、こうしてオドオドしているのに

ホントはもっと堂々としたい。ホントはもっと皆に頼られるような存在になりたいといつも思う

そして彼女に憧れるのだ____

 

 

「同感だな、だがセブルスには私から言っておこう。生徒を虐めて楽しいですか?と」

 

 

宿題があろうと、テストがどれだけ近かろうと僕はウィラが焦ったり、宿題をしている所を見たことがない。だからと言って教師と裏取引しているわけではないのは知っている。宿題を提出したり、その場で課題を読み上げる際のウィラの内容はホントに生徒なの?と聞きたくなるくらい専門的だ

 

 

「そりゃ良い!君から言えばあの高慢チキな野郎の鼻も折れるってt「ただしロン、お前は駄目だ」・・・何でさ!?」

 

「卿の母君から頼まれてな?甘やかさず厳しくしてほしいと。どうやら私が教師をしていたことを噂に聞いたらしい」

 

 

そう、ウィラはただの生徒ではない。様々な特例が許された本当に特別に存在だ。でもそれはしょうがない、だって___ウィラは王族にして、現国王なのだから

 

教師ですら舌を巻くほどに優秀で、すごく綺麗な女の子。最近あの“偉大なる黄金”になったというのに、僕達みたいな庶民に平等に接してくれる彼女に惹かれない生徒などこの学校にはいないと断言できる

 

 

「それにしてもウィラってホントにいつ勉強してるの?僕、ウィラが宿題してるとこ見たことないんだけど」

 

「私もそれ気になってたの。いい加減、学年一位の座を渡しなさいよ」

 

 

今、談話室は宿題に追われる僕達3年生が集まりそれぞれ分からない箇所を教え合っている状況だ。そんな中、突然ウィラが来て紅茶を飲み始めた。曰く「NDK?NDK?」らしい(NDK?)

勉強を軽くこなすウィラのコツを聞こうと、皆手を止めてウィラに注目している。でもそれは意味がなかった

 

 

「虎は何故強いと思う?元々強いからよ。っとまぁそういうことだ」

 

「・・・え、どういうこと?」

 

「分からんか?私だから(・・・・)。以上」

 

 

『はぁ!?』と談話室で声が重なる

 

 

「まぁ真面目な話をすれば、やはり普段からの積み重ねだな。あまり言いたくはないが、私は王族・・・それも次期国王として育てられてきた。卿等とは積み重ねが違う」

 

 

そう言われてはグゥの音も出ない

『帝王学』を筆頭に、ウィラが小さい頃からしてきた科目の多さを聞いた時、あのハーマイオニーですらドン引きしていたくらいだ

 

再びカリカリと羊皮紙に羽ペンを走らせる音が談話室の至る所から聴こえ出す。ウィラもこれ以上は邪魔しないと決めたのか、目を閉じカップに口をつけ始めた

 

でも僕は宿題どころではなかった__見惚れたのだ

僕だけではない、次第にペンを走らせる音が消え、皆一様にウィラの方を見ていた

足を組み直すだけで、その仕草は優雅の一言に尽きる。カップから口を離した時の唇に目を奪われ、女子ですら感嘆の声を漏らしていた。失礼かもしれないが、女子ですら魅了する彼女はまさしく魔女と言って過言ではなかった

 

 

 

 

 

途中からウィラは僕達も宿題の手助けをしてくれるようになった。宿題は?と聞くと、「舐めてんのかと言いたいくらい簡単だった」とのこと(ハーマイオニーの鬼のような顔は忘れることにしよう)

 

 

「ラベンダー、そこは違うぞ?マクゴガナルは惜しい間違いは言ってこないが、それは酷い。もう一度教科書17ページを見直せ」

 

「え・・・(パラパラ)うわホント、てかウィラさん教科書全部覚えてるの!?ウソォ!?」

 

 

ウィラの指摘は凄く分かりやすい。その証拠に今だに去年、ウィラの『防衛術』を学んだ生徒はルーピン先生よりウィラの方が良いと声が上がるほどだ

 

ウィラが皆の間を通り、指摘していく度に驚愕の声と惚けた顔が上がりまくる(その・・・すごく・・・良い匂いです)

 

 

 

順番に見て行き(途中ハーマイオニーが間違っているといい、ウィラが違うと議論が上がったが、結果教科書の方が間違っていたという結果になり、ウィラがすごいドヤ顔してた)とうとう僕の所へ彼女が来た

 

 

「(ペラペラ)違う(ペラペラ)違う・・・(ペラペラ)・・・違う・・・おいネビル、これではセブルスのことを悪く言えんぞ」

 

「ご、ごめんよウィラ・・・」オドオド

 

 

軽く頭を抱える彼女を見て、僕は酷く悪いことをした気分になった。ただでさえ忙しであろう彼女の時間を無駄にさせているのだ。でも・・・

 

 

「いいか?ここはこう、唱える呪文は『いあいあくとぅるふ』だ。『ぐたん』は入れるな、ナニカされるハメになるぞ」

 

 

隣に座り、ウィラはすごく丁寧に教えてくれた(ただ正直緊張してそれどころじゃなかった)

 

 

「生物の召喚には契約が用いられるが、とある6足6節6羽の眷属は呪文だけで呼べるらしい・・・聞いてるか?」

 

「うぇ!?う、うん!聞いてる!聞いてるよ!」

 

「嘘つけ。じゃあ今言った眷属召喚の呪文を言ってみろ」

 

「え、えぇと・・・ケマド・ケラ・・・ごめん」

 

 

ハァっと溜息をつきながら頬杖をするウィラを見て、僕は更に身を縮める

 

 

「僕・・・何やっても駄目なんだ、ウィラも知ってるだろう?グズで、臆病で・・・何しても失敗ばかりで・・・」

 

 

どうして僕は貶すことしかできないのだろう。どうして僕は皆やウィラみたいにもっと堂々とできないのだろうか・・・

 

 

「違うな、間違ってるぞネビル」

 

 

突然何かを否定され、思わず顔を上げてしまった

 

 

「卿の考えくらい分かる。どうせ「ぼぼぼーぼ、ぼーぼ僕なんか何やっても駄目だ」とか思ったんだろう?」

 

「そ、そこまで“ぼ”を連呼はしてないよ!?」

 

 

「まぁいいではないか」と改めてこちらを見て来る

 

 

「卿は何故そこまで自信を持てん?ウチの円卓連中なんか見てみろ、自分こそが私に相応しく最強だと本気で考えてる馬鹿ばっかだぞ?」

 

「で、でも・・・みんな凄い人ばかりだし」

 

「まぁ大半は人間ではないがな。大切なのは信じることだ。『我思ふ、故に我在り』という言葉を知らんのか?自己を作り出すのは自分自身・・・まぁ最近私もそれがようやく分かったのだがな」

 

「で、でも・・・でもっ」

 

 

できないか?と聞かれ、僕は力無く頷く

すると少し考えるように口元に手をやり___ウィラは信じられない・・・でも、すごく嬉しいことを言ってくれた

 

 

「ではこう考えると良い___“私の信じるお前を信じろ”」

 

「__?ウィラが信じる僕?」

 

「そうだ、卿は自分が臆病だと言ったな?何をしても成せないと」

 

「うん・・・」

 

「たわけが。臆病者が1年生の時に友の為に、友に立ち向かうものか」

 

「っ!でもっ、あれは・・・」

 

「何も成せないだと?でも卿は今こうしてそれを克服しようと努力しておるではないか。見ろ、ロンを」

 

「ほえ?何か言ったウィラ?」

 

「あぁしてアホ面晒して勉強もせずにお菓子ばかり。おいロン、母君にはちゃんと伝えるから感謝しろ」

 

 

「出来るかぁ!!?」とロンが大声を上げるが、僕は目の前の王の言葉を聞くとこに忙しかった

 

今まで黙ってウィラの後ろに控えていた黄金の獣さんが「そろそろ時間です」と耳打ちし、ウィラは最後に・・・僕の生涯に渡り、心に秘めた言葉を贈ってくれた

 

 

「ネビル。あぁネビルよ。確かに卿は臆病者だろうさ、だが____卿は男の中の男(・・・・・)だ。しかと我が言葉を刻め」

 

 

友達でありながら王である彼女に言葉は、ただひたすらに心に響き___僕は少しだけ、自分に自信が持てた感じがした

 




ダフネ  

ウィラはダフネの魂胆に気づいています

ウィラ「偶にはこういうのも面白いかと思ったら、予想以上にこの子達、歳の割りにドロドロだったでゴザル(流石エリーの国)」



セドリック

セドリックの稽古はまだ誰にもバレてません
理由?

ウィラ「バレたら面倒だから顔は止めな。ボディーにしなボディー」



ネビル


ウィラ「英国無双とネビルってどこか似てるよね?体格とか性格とか」

ちなみにウィラ曰く、エルドラド王国に英国無双さんが来たら勝てる気がしないとのとこです


次回からアズカバンを終わらせにいきます(おいたんとハゲ鼠覚悟せぇよ?)


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黄金とホグズミート

話の都合上、少し時系列を変更します

原作
ハロウィーン→ホグズミートに行く→クディッチに吸魂鬼襲来→ホグズミート二回目にしておいたん無実の罪を着せられる

今回
ハロウィーン→ホグズミートに行く→二回目のホグズミート、そしておいたん←( ゚Д゚)俺ヤッテネェ!→クディッチに吸魂鬼(ウィラから見ればクソ虫)襲来

ウィラが吸魂鬼を毛嫌いする理由は
「全てを愛していてもウ○コまでは無理」
とのことです

ではどうぞ



あの後、落ち着いたドラコに色々と質問した。というのも私が国に帰っている間に何があったか聞きたかったのだ

ハロウィンはすでに終わり(参加したかった)シリウス・ブラックがどさくさに紛れグリフィンドール寮に侵入し、ハリーを殺そうとしたらしい(まだかろうじてこの辺の原作は覚えている。ちょっと後で軽く紙に書いておこうかな?)

そのせいで寮関係無く大広間で寝泊まりしていたらしいが

 

 

「ホントにウィラのおかげだよ、ありがとう」

 

「面白いことを言うな卿は、私は何もしていないよ」

 

「そんなことないさ!“偉大なる黄金”である君がいるだけで、そこは世界で最も安全な場所だよ」

 

 

私がホグワーツに帰ったその日からそれは無くなったらしい。ダンブルドア曰く、今の私に近づくなどヴォルデモートですら躊躇うのだと

 

ホグズミートにもすでに一回行ったらしく、どこがどう面白いのか、どこを見て回ればいいのか教えてくれるドラコを見て、何だか微笑ましくなっていると

 

 

「その・・・どうかなウィラ、僕に君をエスコートさせてほしいんだけど」

 

 

かなりありがたい提案だ。私もようやくホグズミートに行くことができる。あの魔法使いしかいない村は結構有名なのだ。だが

 

 

「すまないなドラコ、すでに先約がある」

 

 

そう、すでにその日はハー子やロンと共に回る約束をしている

それを伝えると目に見えて面白くないという顔になる。そこには「何故グリフィンドールなんかと」と書いていた

 

 

「許せドラコ、約束は破るワケにはいかん」

 

 

生徒であり王___今更ながら私の立場は結構稀有なのでは?と考えていると、渋々といった感じで頷いてくれた。なので次は一緒に行こうと約束すると、すぐさまパァっと顔が明るくなるのを見てホントにカワイイ奴だなと再び微笑んでしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

ホグズミートに行く当日、私とロンとハー子はハリーに見送られながら校門前を目指す

 

 

「でもさ、ウィラにとってはホグズミートなんか行っても面白くないんじゃない?」

 

「難しい質問だな、今回が初めてだからまだ何とも言えん」

 

「楽しんできてよ、僕は行けないからさ」

 

「任せろ、ロン達では買えないような高価な物でも適当に買ってくるか」

 

「いや・・・遠慮しとくよ、ウィラの言う高価な物なんか貰ってもどうしようもないと言うか・・・」アハハ

 

「じゃあ僕に買ってよ!・・・そう言えばウィラってお小遣い制?パパとママからもらってるの?」

 

「いや?税金の一部だ、それとマグルの世界では投資家としても活躍しているからな。ハーマイオニーやハリーは知っているかもしれんが、これでも長者番付では上から数えたほうが早いくらいには金持ちだぞ?」

 

 

そう言うとハー子とハリーが頭を押さえ始めた。それを見たロンが二人に質問する

 

 

「それ・・・どれくらい凄いの?」

 

「忘れてたわ・・・何で今まで気付かなかったの!?ウィラ!」

 

「うん?」

 

「貴女もしかして“ゴルドーン”の名で投資家してない!?」

 

「そうだが?」

 

「・・・ロン」

 

「おいどうしたハリー、顔色悪いぜ?」

 

「正直言ってね、ウィラ・・・島を何個も持ってる」

 

「・・・はい?」

 

「ロンいい?落ち着いて聞くのよ?今貴女の隣にいる王様はね・・・マグルの世界で10本の指に入るほどの金持ちよ」

 

 

少ししてロンのもはや名物と言って良い大絶叫が響くが私は知らん顔だ。そのまま彼等を引き連れ校門前で許可証を確認するマクゴガナルの所へ歩いて行く

 

 

「ミス・エル・ドラド、許可証を・・・何故ミスター・ウィーズリーはまるでムンクの叫びのような顔をしているのです?」

 

「さぁ?ロン、言っておくが金などありすぎてしまえば使い道など無いに等しい、つまりあっても意味のないものだ」

 

「そういうことですか・・・それを言えるのは貴女くらいなものでしょう。古来からエル・ドラド家周りにおけるお金の動きの異常さは有名ですからね」

 

 

ロンと違った、もはや諦めの境地に入った大人の顔でもう一度許可証をと言われたので、獣から受け取りそれを渡す

ロンは今だにアホ面を晒し、渡す所を見たハー子が質問してくる

 

 

「サインは誰がしてくれたの?ジブニール様?オレンシア様?」

 

「両方だ。お願いしたら互いにイチャイチャしながらしてくれた」

 

 

確認を終えたらしく、マクゴガナルが父と母のサインが入った許可証を返してくれた

 

 

「・・・世界一豪華な許可証です。正直先程の話を聞いていて、受け取った手が震えました」

 

「ご冗談を。王命ならばまだしも、これは保護者からのサインですよ?先生」

 

「あまりお金の無駄使いをしないように・・・と言っても貴女には意味の無い言葉でしょうが」

 

「えぇ、まぁせいぜい経済を回すとしましょう」

 

 

 

 

ハリーと別れ、3人で汽車に乗り、ホグズミートに着いた私を歓迎したのは___

 

『エルドラド王国国王陛下歓迎!!』 『ウィラ陛下万歳!!』等の看板だった。それだけじゃない、至る所から村の住人が出て来て我がエルドラド王国の旗を手に持ち振って来た。ここでもかと思った私は悪くない

 

流石にこのままでは動けないし、二人に悪いので円卓の3人に住人を遠ざけるよう命令した

 

 

「すまないな二人共、今しばし待ってほしい」

 

「いや別にそれはいいけど・・・何か凄いね」

 

「相変わらずウィラってどこに行っても人気ね」

 

「あぁ、偶にはゆっくりしたいが、生憎とこの容姿ではすぐバレるらしいな」

 

 

ようやくと言った感じで住民が落ち着いてきたので移動を開始する。私はこの村については詳しくないので、取りあえず初めはロンとハーマイオニーに案内を頼むことにした

 

 

「まずは『ハニーデュークス』に行こうよ!色々なお菓子が揃っててさ!きっとウィラでも見たことがないお菓子があるよ!その後は有名所を押さえていってさ!最後に『三本の箒』でバタービール!これがオススメの歩き方だね!」

 

 

ロンがそう言うので、私とハー子は異存は無いと彼について行く。だがその前に

 

 

「いつまで着いて来るつもりだ?ハリー(・・・)

 

 

立ち止まり、何もない場所を見る私を「何言ってんだ」といった顔でロンとハー子が見て来る

 

 

「ウィラ?何言ってるの、ハリーがここに来れるはずないじゃない」

 

「いや、いる。ハリー早く出ろ。じゃないとこのトンチキに『透明マント』ごと撫で斬りにさせるぞ」

 

 

後ろでトグサが嬉しそうな顔をしているのが分かる

すると流石にヤバイと感じたのか、ハリーが急いで『透明マント』から出て来た

 

驚くロン達を放置し、ハリーが話しかけてくる

 

 

「何で分かったの!?ビックリさせようと思ったのに・・・」

 

「私の眼に誤魔化せんものなど無いよ。卿はこの1節を知らんのか?“その眼に見通せぬもの無し”__それは透明マントだろうが変わらん」

 

 

頭が追い付いたロンとハー子がハリーに駆け寄り、どうやって城から抜け出したのか問い詰める

なんでもフレッドとジョージの双子に『忍びの地図』というホグワーツの詳細な地図を貰ったらしい。その地図には様々な隠し通路とホグワーツ内にいる人間が映し出されるとのことだ

 

(そういえばそんなのあったな、ということはハリーももうじきピーターの生存に気づくはず・・・そろそろ終わらせるか)

 

 

近々起こるイベント(・・・・)のことを考えていると声をかけられた。何でもこのままハリーも合流して『ハニーデュークス』へ行くことにしたのだとか

 

 

 

『ハニーデュークス』に着くとすぐさま私が来たと話があったのか、店内が騒然とし店主と見られる人物がすぐさま出て来た。落ち着いて見たいので静かにと告げ、店内を見ていく

 

 

(へぇ、確かに色々あるな。品揃いも文句無し!)

 

 

するとロンが私を呼び、とある商品の前へ連れてきた、チラチラと私とその商品を見ていることから買ってほしいのだろう。・・・でもなぁ~

 

 

「ウィラこれ知ってる?『金より輝く黄金の茶菓子』!魔法界でも最高級のお菓子で、僕初めて実物見たよ!」

 

「私も知ってるわ!何でもファッジですら中々手に入らない幻の品なんですって!」

 

 

ハリーもその話しを聞いてすごく食べたそうな顔をしているが

 

 

「そうなのか?これ食べ飽きるくらいには食べたぞ?」

 

 

『へ?』__と店の中で私達の話を聞いていた子供達の声が重なる

 

 

「でっでもこれ、中々手に入らない・・・!?」

 

「あぁ、イギリスではな。良く見ろ。製造元は『エルドラド王国』、つまり私の国だ」

 

「え・・・あぁー!?」

 

「年間800程しか作らぬ頑固な職人でな、その中で出来の良い物を毎年私達王族に献上してくれるのだが・・・正直最近飽きてきてな?でも我が民草の物を無碍にするのも悪いし」

 

「え、じゃあ何でこの前城に行った時に食べさせてくれなかったの!?」

 

「何だ、食べたかったのか?言ってくれればまだ20くらい余ってるから土産に持たせたのに」

 

 

その言葉を聞いて、その場でロンが何かブツブツ言いながら項垂れてしまった(何とあのハー子まで!)

流石に何か悪い気がしてきたので、店主を呼ぶ

 

 

「な、何でございましょうか陛下」

 

「すまんが、全部くれ」

 

「っ!?そ、それは・・・『金より輝く黄金の茶菓子』をですか!?」

 

 

店主が叫ぶように驚き、その声を聞いたロンや他の子供もまた信じられないという顔でこちらを見て来る

 

 

「い、いいのウィラ!?」

 

「何、たかだか1つ30ガリオンだろ?それと___勘違いするな。店主、私は全部と言ったはずだが?」

 

 

高価な品が売れたことが嬉しいのか、急いで茶菓子を包んでいた店主を呼び止め

 

 

「はい?ですから全部こうして・・・」

 

「違う、全部だ。____店の品全部を貰おう(・・・・・・・・・)

 

 

唖然とするハリー達を置いて、獣にローブから取りあえず5千ガリオン入った袋を出してもらうが、店主は反応しない

 

 

「何だ、足りないか?獣、じゃああと5千ガリオン」

 

「いえいえいえ!!充分です!!貰い過ぎです!!と言いますか本気ですか!?」

 

「私は冗談は言うが、この場合卿にとっては質が悪かろう?本気も本気。あぁ、釣りはいらん。ついでだ、このもう一袋も取っておけ」

 

 

茫然とする店主の前に計2万ガリオン入った袋を置き、店を見渡す

 

 

「さて、買ったはいいがこれ程の量。流石に食べきれん。かと言って腐らせるのは勿体無かろう?」

 

 

だから___

 

 

「この場にいる者で分け合うと良い。好きなだけ持って行け。何、遠慮はいらん」

 

 

茶菓子を3つだけ獣に持たせ、そのままハリー達を店から出し、私も店を後にした瞬間、店内から悲鳴のような喜声が聴こえる

 

 

「そら、これが欲しかったのだろう?」

 

 

ポンっと投げ渡すと正気に戻ったらしく、激しく問い詰められた

 

 

「あっ・・・!貴女何考えてるの!?」

 

「君分かってる!?5千!!1万ガリオンも簡単に持ち歩くなんてどうかしてるよ!!」

 

「お願いだからもうこれ以上僕等の常識を壊さないで!!」

 

「と言われてもなぁ・・・買いたい物はすぐ買えるよう、普段から多めに持ち歩いているし・・・それに出る前に言ったではないか、“経済を回してくる”と」

 

「あれ・・・本気だったの・・・?」

 

「当たり前だろ?さ、案内の続きを頼むよロン」

 

 

 

 

 

様々な場所を見て回り、先に言ったように今は『三本の箒』でバタービールを飲んでいた

 

 

「___うん、これがバタービールか。マダム、悪くないなこれ」

 

 

恐縮ですと何度も頭を下げるマダム・ロスメルタから、目の前で何やら黒い雰囲気を出している3人を見やる

 

 

「お・・・お金が・・・金貨が馬鹿みたいに飛んで」

 

「買わないのに投資って何よ・・・お小遣いで悩んでいるのが馬鹿馬鹿しくなってきたわ・・・」

 

「ねぇ・・・いくら使ったの・・・?」

 

「ポン☆っと10万ガリオン程、いやぁ、気持ちいいな!良いことすると!」

 

「使いスギィ!!馬鹿じゃないの君!?知らないよ!?無くなっても!?」

 

「くはは!残念ながらロン、我がエル・ドラド家は今まで1500年もの間、金に関して困ったことなど一度も無い。何より使ったならその分増やせばいいだけのことだ」

 

 

再び3人が黒いオーラは流していると、入口の方によく見知った顔、マクゴガナルとハグリッド、更にはフリットウィックとファッジまでもが入ってくるのが見えた

少し遅れてハリーもその4人に気づき、急いで机の下に入りハー子が咄嗟にクリスマスツリーを動かす。だが足りない

 

 

「私は少し彼等と話してこよう。私がこの場にいることはマダムから伝わるだろうし、注目をここから外すこともできる。その間に隙を見て卿等はこの場を離れろ」

 

「っ!分かったわ!よろしくウィラ」

 

 

ハー子に軽く頷き、マクゴガナル達の下へ行く

 

 

「っ!ミス・エル・ドラド、何故ここに?」

 

「マクゴガナル先生、酷くないですか?ホグズミートに行くのを卿は見届けたはずだ」

 

「なっ!?へ、陛下!?」

 

「珍しいなファッジ、卿がこの場にいることもこのメンツも」

 

「ミス・エル・ドラド、流石に大臣を呼び捨ては・・・」

 

「私はコイツに何も教わっていないし、立場だけならこの場で私が頂点。理由などそれでいいのでは?勿論先生には敬語を使いますよ?生徒ですから」

 

 

そのままハリー達から少し離れた場所に座り、軽い世間話へと移る

正直ファッジの私へのゴマ摺りがかなりのものでうっとおしかったが、徐々に世間話から今注目のシリウス・ブラックへと話題は変わっていった

 

 

「可哀想なピーター、まさかあれほどにまで仲の良かった彼がブラックに殺されるなんて」

 

「そういえばミス・エル・ドラド、貴女はどこまで今イギリスを騒がせているシリウス・ブラックについてご存じかな?」

 

「フリットウィック先生、この私がたかだか犯罪者など興味をもつとでも?」

 

「おめぇさんは相変わらずスゲェ言い方をするなウィラ」

 

「これ!ハグリッド!陛下に対し何という言い方を!?」

 

「構わんよ。そうだなぁ・・・取りあえず気に食わんな」

 

「__?気に食わない?」

 

「えぇ、だってそうでしょう?マクゴガナル先生」

 

 

話していくにつれ、つい力が入ってしまう

 

 

「魔法界において王族とはすなわち我がエル・ドラド家・・・それを差し置いて王?王族だと?民を導く気概も無く、ただイタズラに王であるなどと吹聴して回る一族など・・・あぁ気に食わん___滅ぼしてしまいたいほどに」

 

 

力説していると、何やら彼等の顔色が悪くなってきた

どうかしたのですか?と聞くも何も教えてくれず、小さくマクゴガナルが「初めてシリウス・ブラックに同情したわ」と呟くが・・・はて?気に食わないから潰すのは当たり前では?

それと勘違いしないでほしいが、気に食わないだけであって愛していないワケではない。捕まえたら愛するに相応しい地位まで蹴落とすだけだ

 

それからもシリウス・ブラックの話は続く

彼とハリーの父親が親友だったにも関わらず、彼はハリーのご両親をヴォルデモートに売ったとか___恐らくハリー達はこの話を聞いていたのだろう、ガサリとツリーが動くのを私は見逃さなかった

 

 

(というか、やはりと言うべきか・・・ファッジは調べ直していないのだな)

 

チラリとこの無能に目をやる

私は無能が嫌いだ。しかるべき、諸人を守る地位にありながら甘い蜜を啜ることしか能に無いクズ・・・私が愛する(壊す)価値すら怪しい

 

 

私の中に残る微かな原作知識とすり合わせも終わったので、席を立つ__っと、これだけは言っておかねば

 

 

「おいファッジ、そういえばいつまであのクソ共をこの私の眼前に並べておくつもりだ」

 

「それは・・・吸魂鬼のことですか?」ゴクリ

 

「それ以外何がある?エルドラド側からそれに関する通達は行ったはず・・・卿はこの私にそうまでして不快は思いをさせたいのか?ん?」

 

 

二コリと笑いながら目だけは笑わない。この程度は朝飯前だ

すると目に見えて狼狽えながらも話し出す

 

 

「そ・・・それは・・・わ、私だけでは何とも・・・」

 

 

今も検討中でしてと目を離し、それからは一切合わせなくなった

 

 

「・・・ミス・エル・ドラド、大臣を脅すなど何という・・・っ!?」

 

「くはは、脅してませんよ?今のは国家同士の軽口のたたき合い・・・だよなぁ?」

 

 

実際これくらいの腹の探り合いなくして国家間の友情など成り立たない。しかしファッジはこれさえも苦手らしく、しどろもどろしながら「はっ、はひぃ!」と言うしかできなかった(ホントに何でコイツがトップなんだ?早くスクリムジョールに変われよ)

 

何だか弱い者イジメしている気分になったので、これを最後にお暇させてもらおう

 

 

「ファッジ大臣、ここから先はエルドラド王国第79代目国王としてのお願い(・・・)・・・いや、決定事項だ」

 

「な、何でしょうか?」

 

「ホグワーツの敷地・・・つまりこの私が通う学び舎にアレ等が入った場合・・・どうなるか分かるな?」

 

 

顔を近づけ目をしっかり見て話す。こちらはお願いしている立場(・・・・・・・・・)だ、誠意はしかと見せねば(しかし何故かファッジの顔色が更に悪くなったのだが・・・ははーん、さては私に見惚れたな?)

 

 

「何を・・・するつもりで・・・」

 

 

目を外し、私の後ろにいる・・・正確にはアランだ。彼の性格上、この魔法使いしかいないホグズミートにマグルがいることなど認めたくないが、私の手前それができないと言ったところか、愚かなやつだ

 

 

「さぁ?それは起きてからのお楽しみだ。なに、卿等栄えあるイギリス魔法省ならば、吸魂鬼風情の手綱、しかと握っておると信じておるよ?くはは!」

 

 

 

 

 

 

 

__ウィラが『三本の箒』を出て行った後、すぐさま後を追うようにファッジもまた店を出た

だがそれはウィラを追ったわけではなく、彼はその場で『姿眩まし』を行いイギリス魔法省の自室へ転移した。そのまま大臣が座る椅子にドカリと腰を下ろし

 

 

「__グ、ング・・・プハァ!」

 

 

昼間から酒を煽っていた

 

 

「クソ!クソ・・・っ!!」

 

 

何かに対し悪態をつくファッジ

彼は最近・・・いや、この数年常に悩んでいた。それは今まで経験したこのないことだった。だがそれはしょうがない

 

前魔法省大臣であったミリセント・バグノールドが引退した時、誰もが次はダンブルドアだと思った。それは今も高い酒を次々と空けるこの男も同じだ

しかしそれは本人であるダンブルドアが辞退し、ファッジを推薦したことから無くなった

 

コーネリウス・ファッジ__純血の家に生まれ、今まで特に苦労もせず彼は魔法省大臣になった、なってしまった

だからだろうか・・・温室育ちの彼の身と心はついに悲鳴を上げ始めていた

 

度重なるイギリス側の不祥事__ウィラの通うホグワーツ・・・つまりイギリス直営と言っていい場所では毎年のように事件が起き、その度に魔法省にはヨーロッパ中から抗議が届くのだ

“あの方に何かあったらどうする”“ヨーロッパ魔法界の王族が通うと貴国は自覚有りや?”等々__

 

エル・ドラド家の権威は正直言って異常の一言に尽きる。それは権力のみではない、武力もはっきり言って異常だ

考えてもみてほしい、建国以来常勝無敗?第二次世界大戦の傷跡残る中、鬼人という亜人種最強の種族との戦争ですら、彼の国は勝ってしまった

 

彼女に何かあってはならないと吸魂鬼をホグワーツに差し向けたというのに、何も知らない彼女はいとも簡単に言うのだ。「邪魔だ、下げろ」と__

 

 

「・・・クソっ!!考えれば考えるほど腹が立つ!!」

 

 

実際先程彼女に言った検討中というのも本当だ。今も議会では吸魂鬼をエルドラド側の意向通り下げるべきという声と、今こそイギリスの権威を見せる時と意見が割れていた

このイギリスでも女王ではなく、彼の王族こそに付き従うべきという声は大きい

つまりファッジは今、板挟みになっている状況だ

 

 

 

だからだろうか、温室育ちの彼が・・・特に苦労もせず、今の地位に就いてしまった無能は徐々に壊れ始めていた

 

彼は生粋の純血主義者だ、その為アーサー・ウィーズリーとも仲があまりよろしくない。ゆえに・・・

 

 

「何故だ!!何故誰もかれもあのような・・・っ!!たかだか小娘(・・・・・・)にッ!!?」

 

 

誰も聞いていない、『防音呪文』が施された部屋で、酔っ払いは(のたま)

 

 

「王族だと!?フンっ!所詮は混じり物(・・・・)ではないか!!何故我等のように純血の者が戯言に付き合わねばならんのだ!?」

 

 

誰もが知るように、エル・ドラド家は純血ではない。確かにその歴史はあまりにも古く、初代黄金の妃クレーリアは魔法使いであったが、二代目はマグルを妃に迎えている

 

 

それからもファッジは一人叫ぶ、そして__

 

 

「どうなるか?・・・だと!?知るか!吸魂鬼を殺せるはずがない!!アレはもはや“死”そのものだ!たかだか鬼人やマグルの日本人・・・劣等風情に何ができる!!」

 

 

酔いが回り、うつぶせるように机へと圧し掛かる

 

 

「そうだ・・・アレを制御できているイギリス・・・つまり私こそが凄いのだ・・・このわた・・・し・・・こ・・・」__zzz

 

 

 

こうして無能はその本領を見せ、彼の“偉大なる黄金”はその権威の一部を__イギリス国土に刻むこととなった

 




「捕まえたら愛するに相応しい地位まで蹴落とすだけだ」__完全に暴君じゃねぇか!?

エル・ドラド家に支払われる税金は極々少量です
というのも彼等の場合、特に何もしなくてもお金が集まるからです(以前も言ったとおり、ウィラはFateでいう黄金律B持ちです)


そしてやはり無能は無能・・・いや、ここまでするつもりは無かったんですよ?ただ実はイギリス魔法界って結構ヤバイ状況なんじゃ・・・と伝わりやすくしたら原作以上に酷いことに(汗
(もっとやっても大丈夫ですかね?)





次回予告(試し)


其は何者なるや?___

愚問なり、無知蒙昧。知らぬのなら教えてやろう__


「止めろ!!ウィラ殿!!どうかそれだけは止めてくれぇ!!」

偉大なる魔法使い__アルバス・ダンブルドア


「・・・嘘だろおい」

皆大好きハリーの友人にして、実は彼に会わなければこの『ハリー・ポッター』は成り立たなかったのでは?で有名__ロン・ウィーズリー


「あぁ・・・ならば確かに卿等は“死”そのものであると言えるだろう。ならば死よ、全ての征服者であった汝等から、今こそ私は逃れ出よう

祝えよ___今こそ汝等が征服される時なのだ__ッ!!」

ついに皆の前で盛大にやらかす我等が黄金の君__ウィラ


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黄金の渇望

・・・仕事が忙しく、いざ今回の場面の絵を描こうとしたらまさかのペンを無くしたという・・・(かなりショックです)


※下書きを諸事情で消しました



今回からウィラがとうとうタガを外します
かつてこれほどまでにタチの悪いハリポタ二次主人公がいただろうか(ただし某黄金の暴君は除く)

前半はこの世界における神々の扱いや神獣について
後半はただのウィラ様劇場となっております

見ている最中に、ラインハルト卿のテーマソング『Götterdämmerung』が聴こえてきた方はもう、立派な爪牙の一員です



ある日のこと__

 

 

「へぇ、あの地図に死人の名がねぇ」

 

 

昼食を食べ終わり、部屋に戻ってマンガでも読もうとしていると、ハリー達から呼び止められ、何かと思っているとピーター・ペテュグリューの名が昨夜出て来たんだとか

 

 

「ハリーはそんな時間に何してたんだ?」

 

「ロンのスキャバーズを探してたんだ、見てたらネビルの蛙の名前も出てたから、もしかしたらって思って」

 

 

その後セブルスに見つかり、あわやという所でリーマスが来て助けてはくれたが、怒られ地図は取られたとかなんとか

 

 

「もったいないよ!ハリー、今から二人でルーピンの所から地図取り返しにいこうぜ?」

 

「何言ってるの貴方!先生に言われたんでしょうハリー?もしあれがシリウス・ブラックに取られたら、きっと今頃貴方死んでるわよ?」

 

「その前に僕のスキャバーズが君の猫に殺されたけどね。可哀想なスキャバーズ・・・見てろよ!今からご主人様があの猫の腹からお前を救い出して・・・!」

 

「もう!猫じゃないわ!クルックシャンクスよ!!それに鼠なんかあの子が食べるワケないじゃない!凄く賢いんだから!」

 

「はん、どうだか」

 

 

ギャーギャーと相も変わらず仲の良い二人だ(結婚すればいいのに。あれ?結婚するんだっけ?)

取りあえず二人が落ち着くまでヒマなので、獣の尻尾を毛づくろいしてやることにした

 

 

「だったら獣さんにお願いしてあの子の声を・・・って、何してるのウィラ?」

 

「ん、終わったか。見て分かるだろ?毛づくろい」シャッ、シャッ

 

「あぁ・・・黄金の君、この時間が何よりの至福です」~~♪

 

 

終わったのでブラシを直し、モフモフと堪能していると、向かいの席から3人以外にも見ていたネビル達が来た

 

 

「うわぁ、良い毛並みね!すごく綺麗だわ!」

 

「ふふん、だろ?悪いが触らせんぞ、流石に神獣に触れたら普通の魔法使いなどどうなるか分からん」

 

「ね、ねぇウィラ。獣さんって何の神獣なの?」

 

「というか考えたらありえねぇよな」

 

「神獣なんて普通お目にかかれねぇぜ?アルヴィーさんだってチャーリーの野郎に自慢したらマジ会わせろって煩かったし」

 

「ウィラは他にも会ったことある?神獣に」

 

「教えてほしかったら個人で我がエルドラド王国そのものに喧嘩を売る覚悟を決めろ、これの正体は文字通りトップシークレットだ。他か・・・一応探したけどなぁ」

 

「いなかったの?」

 

「卿等は知らんだろうが・・・うん、たまには神学でもするか」

 

 

その言葉に私の周りに集まった生徒が座り、私もまた椅子に座り直しながら、変わらず尻尾をモフる

 

 

「そもそもこの世界に神はいるか否か?___ハーマイオニー」

 

「難しいけど・・・私はいないと思うわ。だって神様がいたなら世界はもっと平和なはずよ」

 

「残念ながらハーマイオニー殿、神は人を救いませんよ。・・・あのクソ親父ィ・・・私が小さい頃など本当にペット扱いしやがって・・・ッ!!」ギリィ!!

 

「お前の幼少期など知るか、今度リード繋いで市内を散歩してやるよ。そしてハーマイオニー、正確には神はいた(・・・・)__が正解だ」

 

「__?いた?え、いたの!?神様!!?」

 

「あぁ、だからこうして神獣が体育座りしてるんだろ?」

 

 

コホンと軽い咳払いをし、空気を換える

 

 

「“神々の黄昏(ラグナロク)”は知っているな?北欧神話に伝わる言葉だ」

 

 

すると意外にもネビルの手が上がり、彼を指名する

 

 

「うん、確かアースガルズ・・・主神オーディンとその弟分のロキとの間に起きる神々の最後・・・だよね?」

 

「少し違うがまぁ概ねそんな感じだ」

 

 

次第にグリフィンドールだけでなく、他の寮まで集まって来た。何か久しぶりだな、こうして教鞭をとるの

 

 

「神にも格がある。その中でも北欧はかなり上だ。なにせ古いからな、神秘とは古ければ古いほど、その力が増す」

 

「うん、だからウィラにはどんな魔法も効かない。最古の魔法使いの血が流れているから」

 

「まぁ私の話はまた今度にしよう。__でだ、ヨーロッパでもかなり古くからある北欧。その黄昏に巻き込まれ・・・ほぼ全ての神話は滅びた。うん、驚くのは分かるぞ?私もその口だ」

 

 

ザワザワとした声が引くのを待ち、続ける

 

 

「でも待って、じゃあ何でアルヴィーさんやそこの獣さんはこの世界にいるの?おかしいじゃない」

 

「そこだハーマイオニー、やはり卿は目の付け所が良い」

 

 

ヒソヒソと「僕も分かっていた」「知ってた」と声が上がるが、じゃあ言えよ

 

 

「アルヴィーはここブリテンに伝わる『白き龍』。それは知っているな?“神々の黄昏(ラグナロク)”が起きたのは約6千年前、それに対しアルヴィーが生まれたのは約2千年前だと本人から聞いている。つまりアレはまだかなり神獣の中では若い」

 

「若い!?2千年も生きて!?あの“グィバー”・・・二天龍が!?」

 

「今この世界に存命している神獣の大半がそうだ、“神々の黄昏(ラグナロク)”以降に生まれた者ばかり・・・まぁそれでも人の手には余るがね」

 

 

本能のままに暴れる神クラスなど、もはや災害以外の何物でもない

 

 

「だから大半は封印されている。卿等が今いるイギリスにも、先程ディーンが言った二天龍、その片割れである“ドライグ”が眠っている」

 

「じゃあ、アルヴィーさんはどうやって?」

 

「アレは封印などされずただ空を漂っていたからな、そこに喧嘩を売って地に落とした」

 

「二、二天龍を・・・」ヒクヒク

 

「一応他にもファブニールや有名所を探したけどな、見つからん。“ドライグ”もそうだ、イギリス王室が居場所を知っているらしいが教えてくれん。おぉ、そうだ!卿等民草が聞けばあの頑固なエリーも喋るかもしれん!おい、誰かイギリス王室にツテを持ってないか?」

 

「そんなの貴女だけよ・・・」

 

 

何人か先程の話を更に発させた議論を交わし、それを見ているとその中の一人が意を決したような顔で私を見てき__

 

 

「その・・・ウィラ様は先程神はいないと言われましたが・・・見せてもらえませんか?」

 

あの槍(・・・)を__

 

 

私の周りが急に静かになり、視線が私に集まる

 

 

「何だ、そんなに見たいか?___聖槍(ロンギヌス)が」

 

 

そう言いながら杖を出す。すると何人か憑り付かれたように杖へと引き寄せられていく。なので魔力にモノ言わせて杖を黙らせ、懐に戻すと全員が正気に戻った

 

 

「・・・うわ!?」 「今の何・・・?」 「俺・・・何してたんだ・・・」

 

「くはは!駄目だな、皆知っていようが私の杖にはその聖槍の欠片を埋め込んである。欠片でソレだ、本物など見ては魂が文字通り砕けるぞ」

 

 

パンパンと手を叩き、これでお終いだと告げ解散させる

その場には最初の三人だけが残った

 

 

「今更だけど・・・世界一豪華な杖だよね、それ」

 

「あぁ、私以外誰も使えんだろうな。一番最初に話を戻そう。脱線させすぎた」

 

「初め・・・あぁ!そうだった!やいハーマイオニー!僕のペット返せ!!」

 

「だ か ら!!違う!!」

 

 

再び始まった夫婦喧嘩を放置し、ハリーが私に話しかけてきた

 

 

「そういえばさ、ウィラのペットのヘルメスって普段どこにいるの?」

 

「“禁じられた森”の中だ。呼べばすぐ来る___ヘルメス」

 

 

小声で言ったにも関わらず、小窓から鳴き声と共にヘルメスが私の腕へとやってくる

 

 

__ピフィ~__

 

「うわぁ!相変わらずカッコイイね!」

 

「だろ?ロンも鼠なんかじゃなく、鷹や鷲を飼えばいいのに」

 

 

「いや無理だから」と夫婦喧嘩を中断し、二人がヘルメスへ近づく

 

 

「お久しぶりヘルメス」

 

__フィ~__

 

「ホントに賢いね、どこで会ったの?ペットショ・・・うぉ!?おいヘルメス!危ないじゃないか!!」

 

「今のは卿が悪いロン。これはプライドが高い。目を抉られなくて良かったな」

 

「どこなのウィラ?」

 

「私が所有する島の一つだ。そこの生態系の頂点にこれがいた・・・いわば王だな。自然が綺麗な場所でな?開発が行われると聞いて守る為に買い取った。だがそれ以前に人間を襲う鷹がいた。テリトリーを荒らす輩が許せなかった・・・だろ?」

 

 

ヘルメスにそう問うと指を甘噛みし、頬を摺り寄せてきた。本当にカワイイ奴だ

 

 

「気概も良く、毛並みに惚れた。島もそのままコイツにくれてやろうとしたら、私について来た・・・それからの関係だな」

 

「し・・・島を鳥に・・・!?」

 

「それだけこれが愛おしいということだ。あぁ、ペットと言えばハーマイオニー」

 

「え、私?」

 

「卿のペット。あれも良い。卿は気づいておらんだろうが、あれには“ニーズル”という魔法生物の血が流れている。かなり賢く、自らが選んだご主人様にはしかと付き従う」

 

「そうなの?私、知らなかった・・・」

 

「ヘン!どうだか!ペットと野良の鼠の区別もつかない奴が賢い?」

 

「では聞こうか?__獣」

 

 

私の後ろに佇む獣に三人の目が行く。そこにはゴロニャーンと喉を獣に撫でられ気持ちよさそうにしているクルックシャンクスがいた

 

 

「彼女が言うには『何故ネズミのような臭い・・・それもあんなハゲてデブったオッサンなんか食べたらコレステロールがマジパないから嫌だ』だそうです。黄金の君」

 

 

「クルックシャンクス!」とハー子が叫び、獣の腕から彼女の中へとクルックシャンクス(言いにくいな)が移動した

 

 

「嘘だ!だって・・・!」

 

(少し酷だが・・・まぁ今の内の方がキズは浅いか)

「ハリー、死んだピーター・ペテュグリューの名が地図に出たんだったな?」

 

「え、うん」

 

「じゃあこういうことだ・・・“ピーター・ペテュグリューは死んでいない”」

 

「っえ、だって・・・!」

 

「おかしいと思わなかったのか?三人共、ピーターが死んだ時の記事は見たか?」

 

 

コクリと三人が頷くのを確かめ続ける

 

 

「私も見た。記事にはこう書いてある__“マグルを複数人巻き込み爆発。排水管にすら穴を空けたそれに巻き込まれたピーター・ペテュグリューは指の先しか残らなかった”__そら、身体ですら残らぬ爆発で何故、指だけが残る?」

 

「それは・・・でも、ありえない話じゃ」

 

「いいや、あり得ない(・・・・・)。人体においてかなり脆い部分・・・まだ大腿骨などの硬いカルシウムを多く含んだ骨が残るほうが納得いく。それに後で写真を見直してみろ、指の断面図は爆発に巻き込まれたにも関わらず、焦げてすらいない。明らかに斬り落ちた証拠だ」

 

 

ついてこれてるか?と確認するも三人共ポカーンとしていた(せめてハー子はついてこいよ・・・)

 

 

「じゃ、じゃあ!何でピーター・ペテュグリューは死んで・・・」

 

ない(・・)。断言できる。こういう時、魔法界というのはアテにならんな。まだイギリス警察(ヤード)の方が信用できる」

 

 

考える三人を置いて、私は用事があると言ってその場を後にした__

 

 

 

 

コツ、コツ__

 

 

「__で、まだ見つからんのか」

 

 

とある階の廊下を歩きながら、アランとトグサに問いかける

 

 

「すみません陛下・・・でも無理だぜ?鼠を探せ(・・・・)なんて」

 

 

そう、私はあの時祖国に帰る前・・・正確には三年生が始まった時から二人にピーター・ペテュグリューを探すよう言っておいたのだ

 

 

「うむ、所詮は小賢しい小物であろう?今更ながら何故王たる余が・・・」

 

「卿は初めから探しておらんだろう?どうせトグサも探すのではなく「斬ったら俺の剣筋が錆びる」といった所か」

 

「いや、一応目に映った鼠は全部殺してますよ?」

 

「私は一度も殺せなど言ってないが・・・まぁいい」

 

 

彼等との会話をいったん止め、次に獣に問いかける

 

 

「来週はクディッチだ。獣、もう一度問う。アレは競技場に入って(・・・・・・・・・・)くると思うか?」

 

必ず(・・)

 

「理由を述べよ」

 

「アレは謂わば“光にたかるハエ”です。絶望や妬み、しかしそれ以上に闇の生き物というのは生に憧れ引き寄せられるものです」

 

「ふむ、続けろ」

 

「恐れながら黄金の君、その時競技場には御身がおられます。貴女様以上に光輝くものは無く、アレ等は処女を食い荒らさんとする強姦魔の如く、身の程も弁えず御身を標とし、その清浄なる光輝な魂に焼き焦がれるでしょう」

 

「くはは!そうか!この私を犯そうと・・・それは怖いなぁ」クスクス

 

恐がるそぶりに見えるよう、掻きし抱くように自分の身体を抱きしめる

 

 

「」ゴク・・・っ

 

「むぅ・・・」ゾク

 

「・・・ヒヒ、あぁやっぱ陛下はこうでなくちゃ・・・陛下、どうかこの渡草に命を」

「ならんよトグサ。卿は知らんが・・・私はダンブルドアと盟約を交わした。『もしこの私の目の前に、クソが来たら好きにさせてもらう』・・・とな。邪魔建ては許さん、座して待て」

 

「・・・ですが」

 

「___ト グ サ(・ ・ ・)?」

 

「ッ!!・・・お・・・お許しを」

 

「あぁ、構わんよ。私の為であろう?良い、許す。嗚呼許すとも」

 

 

私は全てを愛している__

 

 

「ゆえに私手ずから滅ぼしてやろう。私の愛するこの世界に、アレ等は不要だ。何故なら私がそう感じたのだ。ならばすべからず灰塵に帰すまで」

 

 

目的の場所についたので、グルグルと三度回り(・・・・)ながら

 

 

「ではまずは、愛しい我が敵となりうるか否か・・・ご教授願おう____

 

 

 

 

___“物を隠す為の部屋”」

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間後

 

クディッチのシーズンを迎えたホグワーツは、世間を騒がせる犯罪者やホグワーツの周りを飛び回る吸魂鬼など目につかないと言わんばかりに日に日にその熱を上げていた

その証拠に寮は互いに牽制し合い、作戦やメンバーがバレぬよう、同じ寮の仲間が教室移動にさえ警護するしまつだ

 

しかしどの寮にも所属していないウィラには関係ない。むしろ勝利の女神のように、様々な場所から呼ばれていた

 

 

「うん、頑張れ。__うん?あぁ、楽しみにしてる。___何!?『ロートス×ミハイル』だとう!?見せろ!!」

 

 

軽く殺伐とした雰囲気を見せる今のホグワーツに、彼女はまさに清涼剤の如くといったように寮関係無くその姿を現す

 

 

「~~♪」

 

「嬉しそうだねウィラ」

 

 

そんな彼女は今スリザリン寮にいた

 

 

「当然だろうドラコ!こんな珍しいYaoi本などジャパンですらそうそう手に入らんぞ!!」

 

「Yaoi本?何それ、面白いの?」

 

 

読むか?とウィラが奨めるが、ドラコは何か感じ取ったようでそれを拒否する

それを見ていた他のスリザリン生は密かに驚きの声を出す。同じ生徒とはいえウィラは王族、そんな彼女に断りなど信じられない

だが今の二人にはそんなこと関係無い。あの日からドラコはウィラの朋友___そこに身分など無いに等しい

 

 

「明日はグリフィンドール対ハッフルパフか」

 

「うん、早く君に僕の雄姿を見せたいのに残念だよ」

 

 

「だろう、みんな!」とドラコが後ろを振り向けば、「おぉ!!」とスリザリンに鬨の声が上がる

 

 

「くはは!どうしたドラコ、卿らしくない。私はてっきりケガでもすればいいとか言うと思ったぞ」

 

「僕は君の朋友なんだ、ならせめてもっと相応しい男にならないと」

 

「充分だよ、卿とこうして話しているだけで心が癒される」

 

 

だがウィラの言葉とは裏腹に、空は徐々に暗雲に遮られる。まるで明日のクディッチは無いほうがいいと言わんばかりに

空を仰ぎ、ウィラは呟く__

 

 

「楽しみだ・・・荒れるな、今年は」

 

 

 

 

 

前日の天気の通り、外は大荒れだ

雷雨が激しく降り、外に出ることすら憚れる状況であった

 

 

『しかぁし!クディッチに天気など関係ない!我等のクディッチ愛を妨げようなど甘い甘い!!この3倍は持って来い!でおなじみのリー・ジョーダンが今回も司会進行をさせていたたきます!では選手入場ォ!!』

 

 

リーの掛け声でハリー達グリフィンドールと、セドリック率いるハッフルパフがずぶ濡れになりながら競技場へ入って来る。それは彼等に声援を贈る観客席、それを見守る教師席も同じ___ではない

 

 

「ったく、この私を濡らそうなど・・・校長、何故全天候対応型の競技場を作らん」

 

「無茶言わんでくれウィラ殿。しかし感謝する、おかげで風邪を引かずに済みそうじゃ」

 

 

教師席には水滴1つ無い。ウィラが濡れてはならぬとアランが超巨大な金でできた傘を差しているのだ

 

 

「何故アラン殿は金の傘を?ミス・エル・ドラド」

 

「マクゴガナル先生、これは阿呆なのですよ。鍛錬の一種だとか」

 

「ガハハ!!男として生まれたのだ!見よ!この美しき肉体美!!日々の研鑽の賜物よ!!」

 

 

ムン!っと上腕二頭筋を膨らませ、純金でできた柄がギチリと音を上げる

 

 

「おい、握りつぶすなよ?折れてこの私が濡れたらどうする」

 

 

言いながらウィラは隣に座るスネイプのローブの裾をギュっと握る

 

 

「おい・・・ミス・エル・ドラド、何故吾輩のローブを握る?」

 

「」ツーン

 

「・・・ウィラトリア」

 

「何だセブルス、男だろう?卿はまさか女を濡らす癖でもあるのか?」

 

 

額に青筋を立ててローブを思い切り引っ張る

そんなやり取りがされていることなど露知らず、雨音に混じりホイッスルの音が微かになった

数メートル先を見ることすら怪しい中、それぞれのチームは何かしらの方法で適格な支持をチームメイトへと出していく

 

 

「ほう!グリフィンドールは大声で単語を叫び、味方には分かりやすく、しかし我々ハッフルパフや偵察している他チームには分かりにくくしておりますな!」

 

「対するハッフルパフも見事ですわフリットウィック教授。セドリック・ディゴリーは逆にスニッチを探しながら飛び交い、チームの目となり状況を把握・・・素晴らしい選手です!」

 

 

寮の監督であり、今は敵同士でありながらもフリットウィックとマクゴガナルは互いに健闘を称える

 

 

「セブルス、これがあるべき競技の姿というものだ。卿もどうだ?たまにはグリフィンドールを応援したまえよ」

 

「ウィラトリア、吾輩はたまに無性にお前の両親に会い、どう育てたのかを聞きたくなる」

 

(え、それって///!?)

「そんなのまさに王として、玉のように大切に愛されて育てられたに決まっておろう?__ん?現時点で勝っているグリフィンドールがタイムアウト?」

 

 

勝負をしかけるなというウィラの言葉通り、先程まで雨に視界を遮られ、フラフラとしか飛んでいなかったハリーが今ではしかと文字通り、空をかけていた

 

途中とある場所に目が釘付けになったように止まるが、再び箒を操りだす。教師やグリフィンドールがもしかしてスニッチを!?とハリーを目で追うと____

 

 

 

 

 

 

 

 

__パキパキと・・・空気が凍りだした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大雨はいつの間にか止み、雨音は消え静寂が響き渡る__まるで先程の大歓声など初めから存在しなかったかのように

 

雨粒が結晶となり、ダイヤモンドダストの如くキラキラと輝き、その美しい光景に生徒は目を奪われ言葉を失った__わけではない

 

カチカチと、一人、また一人をその歯を打ち鳴らす。だがそれは寒さで打ち震えているのではない

もっと原初__それは魂の叫びであった

 

 

「来たか・・・」

 

 

言葉と共にウィラが上を向く。そこには__

 

 

__オォォォオオオオ______

 

 

空を埋め尽くさんと吸魂鬼が競技場上空に大量にいた。その数が数えることすら難しく、ダンブルドアでさえこれほどの数を見たのは初めてだ

 

そして上空にてスニッチを追っていたハリーはこの大群と鉢合わせし、今は箒を操ることもなく、自由落下となっていた。このままでは彼は割れたスイカのような様になるだろう

 

しかしそれはならなかった。ハリーが地面に突撃したと思いきや、何故か地面はスポンジのような柔らかさ(・・・・・・・・・・・・)で彼を受け止めたのだ

 

それはウィラの呪文だった。しかし誰もそれに気づく事なく、ただ自分達の上にいる吸魂鬼__“死”そのものに恐怖を抱いていた

 

 

 

 

 

___一人の少女と彼女に心酔した騎士達を除いて

 

 

いや、正確にはダンブルドア・・・彼だけは皆が上空の光景に恐れを抱く中、ただ一人別の場所(・・・・)を見___ウィラ(・・・)から視線を動かせなくなっていた

 

誰もが歯を打ち震わせる中、彼女だけはただ一人笑っていた(・・・・・)のだ

まるで初恋が成就した乙女のように、念願が叶う喜びを噛み締めてしるように、その表情は恍惚としていた

 

 

(何故じゃ・・・どうしてそんな表情をこの状況でできる・・・!?)

 

 

回りとは違う恐怖がダンブルドアを襲う中、ウィラは彼の方を見て言葉に出さず、口の動きだけで伝える____

 

 

 

 

 

__“盟約だ(Pactum)

 

 

 

 

 

徐々に教師達が正気に戻り、杖を出し『守護霊呪文』を放とうとするが気づく。“何故校長は動かない?”

故に彼等がダンブルドアを見て、彼の視線を追ってしまうのはしょうがなかった

 

 

 

 

「__ッ!?」

 

 

その時ウィラの表情はすでに先程の恍惚としたものではなくなり

 

 

「___クっ、クク」

 

 

獲物に飛び掛からんとする狩人のものへと変貌していた

カタリ__と静かに席を立ち、今度はしかと口に出し

 

 

「ダンブルドア・・・盟約だ。今こそ2年前の誓いをここに・・・!」

 

 

髪が逆立ち、彼女の目は黄昏色へと変貌していた

それと同時に吸魂鬼に目を奪われていた生徒達もまた、教師と同じく正気に戻る

 

だが・・・それは教師と同じ理由でなったのではない__“死”___それすら生温く感じる何かが彼等の魂を押しつぶさんとしたからだ

 

 

ウィラが言った“盟約”。その意味を教師達は分かるハズも無く。ただ一人それの意味が分かるダンブルドアは今度こそドっと冷や汗が背中を伝うのを感じた

“馬鹿な”“あり得ない”“アレ等を殺す方法など存在しない”__くしくもそれはファッジと同じ考えであった、それこそが常識であると

 

しかし__彼女はその常識を意図もたやすく破却する

 

「では参ろうか」と客席の手摺りにカツリと足をかけ__

 

 

 

「・・・嘘だろおい」

 

 

生徒の中で誰よりも、ハリーの親友であるロンは誰よりも早く正気に戻り、ハリーの下へと駆けていた。ゆえにだろうか、誰もが口を開けぬこの状況で咄嗟に呟くことができたのは

 

 

__コツ コツ コツ___

 

 

()を____さも廊下を歩くように、足音と共にウィラが何もない空中(・・・・・・)を当たり前のように歩く(・・)

 

声が出ないどころではない、目の前の光景は疑いようもなく現実だ

 

 

「何、魔力を固めて足場にしているだけ、簡単な話であろう?」

 

 

誰ともなく呟くその声は、静かな競技場に確かに響き渡った

 

常軌を逸脱した二度の光景。だからだろうか、ダンブルドアは誰よりも早く今から起こるであろう、3度目の逸脱を予感し叫ぶ

 

 

「止めろ!!ウィラ殿!!どうかそれだけは止めてくれぇ!!」

 

 

手摺りに縋り、必死に手を伸ばすも文字通りそれは宙を舞うだけ

 

それでも叫ぶ

アレ等はアズカバンに必要なのだと、絶対悪は無ければならぬと

 

後ろから聴こえるその声に、ウィラは更に笑みを深くし__

 

 

私は全てを愛している(・・・・・・・・・・)。だが例外もある。クソなど愛せるワケもなかろう?だが・・・嗚呼、確かにコレも私が愛する世界に産まれた存在・・・ゆえに壊そう(・・・・・・)

 

 

懐から杖を取り出し、そのまま空中に杖を固定する(・・・・・・・・・)

 

 

「壊すから__壊れないでくれ。クソのようなキサマ等にも、私が愛するに相応しい輝きがあると見せてほしい」

 

 

生徒に震えはない、誰もがウィラによって震わされている(・・・・・・・)大気に飲ま

れていた

世界がウィラに怯えるように・・・あり得ぬことだがその様は、まるでウィラの思い(渇望)が世界を塗りつぶし(・・・・・)流れ出て(・・・・)いるかのようであった

 

 

しかし、眼前に広がる吸魂鬼の大群__ソレ等は意も解せずとウィラへ殺到していく

それはまるで炎に飛ぶ込む蛾のように、これ以上彼女に何もさせんと怯えるように

 

 

「いや、怯えるなど・・・あり得んよ。私は()したいだけだ」

 

 

 

吸魂鬼__太古の昔から存在し、人の幸福を糧とする悍ましき生物。黒いボロを纏い漂うソレ等を人々は“死神”のように扱い、恐れ続けた

 

 

「あぁ・・・ならば確かに卿等は“死”そのものであると言えるだろう。ならば死よ、全ての征服者であった汝等から、今こそ私は逃れ出よう

 

祝えよ___今こそ汝等が征服される時なのだ__ッ!!」

 

 

その言葉を切っ掛けに、雨雲は消し飛び、空が割れる

 

空中に浮かんだまま、ここでようやくウィラは浮かばせていた杖を手に取り

 

 

 

笑みを深く__その黄昏色の瞳を更に深く、深くしていく

桜色の艶やかな唇から、彼女の祈りにも似た詠唱のようなものが紡がれる

 

 

「さぁ、共に謳い上げよう!大いなる祝福を!!卿等の中にあるであろう、我が愛を受け止めるであろう輝きを今ここに!!」

 

 

悲鳴が、いや___悲鳴のような何かを上げ、吸魂鬼達は我先にと彼女から離れていく

 

 

「__ッ!!__ッ!?」

 

 

が、それは叶わない

競技場を__ホグワーツの敷地全てを包んでもなお、有り余る黄金色のヴェールが展開していた

 

 

「何故逃げる?私はただ抱きしめたいだけなのだよ。恐れてくれるな・・・砕け散るほどに愛させてくれッ!!」

 

 

杖も、空も___この世のありとあらゆる全てが彼女と同じ黄金色に輝き____ついに“偉大なる黄金”はその力を世界そのものへと知らしめる

 

 

「『__混沌より溢れよ(Du__sollst)__怒りの日(Dies__irae)___!!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後にこの光景を見た者はこう語る

 

 

誰が予想できようか。空は裂け、ありとあらゆる音が消え、全ての生物が微かな音を立てることすら憚り震え慄いたあの光景を

我等には祈ることすら許されなかった、何故なら祈るべき神は彼女の手元にあったのだから・・・神はゴルゴダの丘で死んだのではなく、あの日、あの場所で人界の王に跪いたのだ__ならば・・・

 

 

_____彼女こそは“神の座”に座る現人神なのかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

混沌より溢れよ(Du__sollst)__怒りの日(Dies__irae)

 

私が今唱えることができる最大の呪文・・・全てを()したいという私の渇望をそのまま現実へと流す呪文

 

壊すから、壊れてくれるな__私が愛するものがこの程度で壊れることなど無いと信じるからこそ、これを放ったというのに・・・

 

 

「・・・ハァ、ガッカリだ・・・所詮クソはクソ・・・か」

 

 

呪文の光が落ち着いた頃、そこには文字通り何もなかった

目測で千に上ろうという数がいた吸魂鬼は、ただの1つも残らず塵すらない。本当にそこにいたのかと思うくらい、あっけなくアレ等は滅びた

 

 

「しかし・・・やはり素晴らしい、見えるか(ウィラ)?」

 

 

下界を見下ろせば、私の愛しい学友が悲鳴の一つも逃げることも無く、私へその視線を集めていた

吸魂鬼という“死”そのものとして恐れられていたソレ等でさえ、慄き我先にと逃げ出そうとしたのに__!!

 

 

「私は全力ではないにしろ、本気で()した・・・なのに彼等は今も人の身を保ち、あまつさえ私を見る勇気があるのだ・・・ッ!!」

 

 

歓喜だった。まだまだこの世界は私の愛に耐えられるという確証がこれでできた!

 

 

「__ック・・・くはははははは!!!嗚呼!ならばもっとだ!!卿等はまだ()せと、そう言ってくれるのだな!?嬉しい、嬉しいよ!!」

 

 

笑いが止まらない。これほどの歓喜は今まであっただろうか

まだ足りないと・・・もっと寄こせというならば

 

 

「無論、その期待に応えるとしよう____それは卿も(・・)だ」

 

 

上空からの俯瞰視点__ゆえに私の目には今、必死になって逃げようとする1匹の大きな黒い犬(・・・・・・)が映っていた

 

再び私の心に歓喜が到来する

卿もまた耐えてくれたのか、もっともっと愛せと私にそう言ってくれるのか__ッ!!

 

 

「失礼した・・・シリウス・ブラック。ただイタズラに王を名乗る不埒な家系と断じていたが・・・感謝してほしい、特別に卿には私の足を舐める栄誉をくれてやる」

 

 

そう呟きながら、私は彼の下へと足を進めていった___

 




いかがだったでしょうか?

ホントに絵に関しては済みません(汗
それと上でも言ったように次回投稿に少し時間がかかります
絵をちゃんと仕上げたいのと、囚われた姫騎士状態ウィラも下絵が完成しているので早く描き上げたいからです

『盟約だ』はラテン語です
エルドラド王国ではラテン語が主流です


神々の黄昏については、何でもある日、突如神々の座に現れたコズミック的雰囲気の男によって起こったとかなんとか


そしてとうとう出しました『混沌より溢れよ(Du__sollst)__怒りの日(Dies__irae)
本気ですが全力ではありません。今回は取りあえず試し打ちといった感じです

※『流出』ではありません。あくまでウィラの渇望を少量世界へと流すだけなので(槍は出してないし、あとあの詠唱は唱えてませんしね。セーフ・・・だよな?)


説明したいので書かせていただきますが、これをさせる為だけにウィラには前世の記憶を無くしてもらいました
覚えていたら「あんなのになりたくねぇ」となるのが目に見えているので

他にも、実は何故ウィラが転生者であるにも関わらず、神様にあった記憶や前世の大半を覚えていないのにも理由があります
(明かすとしても本編完結後の番外編です)

生徒が平気だった理由は本人は忘れていますが、1年の時にプレゼントした『プロテゴ・マキシマ』を込めた宝石が生徒の生存本能に反応して発動したからです
(そのせいで余計にウィラは勘違いをおこしました)


次回予告


「ホ、ホグワーツが・・・千年持ちこたえた結界が・・・」

ホグワーツの良心__ミネルバ・マクゴガナル



「ピーター・・・それじゃあ・・・儂等は今までなんという勘違いを!?」

ニワトコのない状態ではどれくらい強いのか気になりません?__アルバス・ダンブルドア



「ヒィ!?たっ、助けて!!助けてくれハリー!!き、君の両親は私を助けてくれた!なら君もまた・・・ッ!!」

ハゲて太った猫も食べたくないネズミ__ピーター・ペテュグリュー



「・・・すまないが、もう一度」

おいたん__シリウス・ブラック



「聞こえなかったのか?私の足を舐めろ」

やりたい放題楽しいです__ウィラ


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黄金とおいたん

ペンが届かなかったのと、これ以上待ってもらうのも何なので投稿します

あと最近『1room 家出少女』にハマッてました
個人的には『Teaching feering』以来の良ゲーです
(もうね、シルヴィといい夕といい何であんな可愛いんですかね)

と言うか前から聞きたかったのですが、挿絵無い方が良いですか?あまり絵に関する感想が無いので正直みんな邪魔とか思ってないかと戦々恐々してます(実際絵のせいで投稿遅れたりしますし、どっちにしろ円卓の面々は描く気マンマンですが)

一応今回でアズカバン終了です
あと1~3話程後日談をやって、“3大学校編”に入る前の長い長い導入に入りたいと思います



__黒い犬が森の中をひたすら駆ける。まるで何か恐ろしいものから逃げ出すように

実際、彼__“動物擬き”であるシリウス・ブラックはここ数か月、ただひたすら逃げてばかりの生活だった

ある時は自分を追ってきた吸魂鬼、ある時はイギリスの“闇払い”やマグルの警察(ヤード)等。その全てをこの姿で撒いてようやくこのホグワーツ、ハリーに出会えたというのに

 

 

(何故だ!?彼女はこの犬がまるで私であるといわんばかりに・・・ッ!!)

 

 

ハッ、ハッ!と荒い息を上げ、シリウスは森の中を疾走する。しかし・・・

 

 

(マズイマズイマズイ!!確実に距離が・・・どうなってるんだあの怪物は!?)

 

 

振り向かずとも分かる。確実に彼女の魔の手はシリウスを捕らえて離さなかった

ゆえにシリウスは更に足が千切れんばかりに、速度を上げていく

 

『ブラック家』__イギリス魔法界の王家と言われ、事実“聖28一族筆頭”という地位にあったその家を、シリウスは非常に嫌い、家を捨てた

だが、何と言う皮肉だろうか。シリウスはブラック家に生まれたが為に、真のヨーロッパ魔法界の王『エル・ドラド家』に誰よりも詳しかった

と言うのもブラック家は王を名乗りながらも恐れていたのだ

 

いつか彼の王族が報復に来ないか、いつか我等は滅ぼされるのではと

ゆえにブラック家はエル・ドラド家のことを入念に調べ、そして戦慄した。それは幼少の頃、暇つぶしで書庫に入り、エル・ドラド家についてまとめた書物を読んだシリウスも同じだ

 

1500年以上栄え続けた王家。言葉にすればすごいとしか言いようがないが、1500年以上前と言えばもはや神代に等しい。更にその間一度の敗北も無く連戦連勝?何の冗談だと言いたかった

 

だからこそ、シリウスはウィラのいなかったハロウィンにしかホグワーツに侵入せず、これが好機とアズカバンで読んだ新聞に載っていた指の無い鼠、つまりピーター・ペテュグリューを衆目の場に晒そうとしたのに失敗した

 

ウィラが“偉大なる黄金”になったと犬の姿でホグズミートを歩き、そのまま遠目にホグワーツを見た時は毛が逆立った

犬の姿となり、その獣の勘が告げたのだ。「あそこはもはや魔境である」と

溢れる魔力でホグワーツは常に軋み、木々はまさに神代に戻ったかのように生命に溢れていた

 

これ以上先に入れば間違いなく補足されると感じたシリウスは、ただひたすらに潜伏した。あたかも頭上に迫る災害に、ただ身体を小さくさせるかのように

 

だがそれも少し前、つい数時間前までだ

ハリーの親であり、シリウスの最愛の友であるジェームズと同じようにハリーはクディッチの天才だったらしく、その噂を聞いて名付け親としてはどうしても見たくなったのだ

 

 

ゆえにこうして犬に化け、競技場まで足を運んだのだが

 

 

「ハッ、ハッ、ハッ!」

 

「初めましてでいいのかな?あぁ、怖がってくれるな」

 

 

とうとう彼女は・・・怪物はこうしてシリウスの眼前に迫った

直に会ったからこそ分かる。ただそこにいるだけで、ウィラという存在はシリウスを圧迫し、押しつぶさんとしていた

 

 

「分かっていると思うが、バレてるぞ?この瞳の前では“動物擬き”など意味をなさん」

 

 

早く人間に戻れと言われ、シリウスは悩む

確かに家にあった書物にも、「彼の王族にはどんな欺きも通用しない」とあったしそれは事実だろう。でなければこうして直接の対峙などあり得ない、ならばどうする?

 

このまま彼女が勘違いだったと思うまで化けている?

駄目だ。彼女の目は間違いなくこちらの全てを視空かしている

では彼女に襲い掛かる?

駄目だ、どう考えても次の瞬間、自分が死んでいるヴィジョンしか思い浮かばない

 

 

(ならば・・・!!)

 

 

しばし唸り声を上げ、ジリジリと後退し__そのまま背を向け疾走

 

 

「ふぅん・・・」

 

 

何か聴こえた気がするが、そんなことはどうでもいい、とにかく今は彼女から離れ、誰にも見つからない場所まで逃げることこそがシリウスの選択だった

博打に等しかったが、ウィラは追わず、その場で足を止めていた

思わず安堵し、速度を落としそうになったが流石はヴォルデモートの時代から戦士であったシリウス。気を引き締めなお先程以上の速さで森を駆ける

 

速く、何よりも速く。永劫の円環を疾走するよう__!!

 

 

だが・・・シリウスは知らない。ウィラが足を止めた2つの理由を

一つは吸魂鬼の際にかけた『黄金領域』__ホグワーツを覆う結界のその上、その範囲はシリウスですら感知できない、ホグワーツ城を中心に半径数十kmにわたり、中から出ることも外からの干渉すらも完全に隔離していた。そして2つ・・・

 

 

「・・・遅いぞ我が獣。狩りの時間だ、殺すなよ?」

 

「____御意」

 

 

 

 

「____ッギャ!?」

 

突如シリウスの首を掴み、近くの木々へと頸椎が折れんばかりの力で押しやるその男

 

 

「・・・犬が、飼い犬ならまだしも野良風情があの方をお待ちさせているなどと考えると殺したくなる」

 

 

黄金円卓第2席次__黄金の獣が正真正銘の化け物であることを

 

 

 

こうしてイギリス魔法界を恐怖に陥れた最悪の脱獄犯にして、無実の罪を着せられた男__シリウス・ブラックは捕まった

 

 

 

 

 

 

 

 

__夢だ、これは夢だと分かった

 

 

__ふぅん、君がブラックかい?

 

その名が嫌いだった。本当は怖くてしかたがないくせに、それでも地位に縋り付こうとする惨めな様が

 

__何だよ、そんな顔するな。これでも君のことを認めてるんだぜ?グリフィンドールにやってきた王族よ、僕が君の友になろう!

 

いけすかない奴だと思った、やけに態度はデカイし自信家。でも・・・不思議と嫌いになれず、いつしか心からの友として互いに認め合っていた

そして気付けばいつも私達は共にいて、その周りに更に友達が集まって来た

いつも馬鹿をやって、それでもアイツは学校の人気者だった。私にとってそれは誇りでもあった

 

夢が場面を飛びながら続く

 

 

__・・・んだよ、この僕が話しかけてるのに、なんで彼女はあんなワカメの傍にいるんだ?なぁパッドフッド、ちょっとあの鷲鼻をからかってやろうぜ

 

__聞いてくれシリウス!僕・・・リリーと付き合うことになったんだぜ!

 

__シリウス、我が心の友よ・・・子供ができたんだ。それで・・・その・・・君に名付け親になってほしいんだが、どうかな?

 

 

 

 

__逃げろ○○○!決してシリウスに見つかるな!!

 

 

それを最後にジェームズは・・・私の友は・・・ッ!!

 

 

 

「__・・・ジェームズ!!」

 

 

起き上がり、友の名を叫んだ私の前には__

 

 

「・・・えっと・・・僕、ハリーって名なんだけど・・・」

 

 

 

 

 

シリウスを捕まえ、戻った私を迎えたのは沈黙だった。誰も一言も喋らずただただ私を見ていたが、分かるぞ。あんなクソ共が雲霞(うんか)の如く沸いていたのだ、ぶっちゃけ気持ち悪いよね

 

そんな競技場では教師陣が降りており、意識を取り戻したらしいハリーとロン達。そしてダンブルドアやマクゴガナルが放心していた

 

 

「ホ、ホグワーツが・・・千年持ちこたえた結界が・・・」

 

 

(そういえば私が呪文を放った時に、何か悲鳴じみた音が聴こえた気がしたけどそれか!)

 

 

確かにそれなら放心するのも分かる。だが__

 

 

「安心してください、マクゴガナル先生。何の為に我が『黄金領域』を解除してないと思いで?」

 

 

私に気づいていなかったのか、ギョっとこちらを見て来る教師達に続けて言う

『黄金領域』の真価はその強固さだけではない。『マグル避け』だけでなく、衛星からその気になれば動物ですら今のホグワーツに気づく事は不可能だ

気を持ち直したのだろうか、ダンブルドアが息をついたと思ったら、顔を真っ赤にして

 

 

「ウィラ殿、何ということを・・・シリウス・ブラック!?」

 

 

その声に教師達は瞬時に杖を抜き、獣・・・正確には獣が担いでいるシリウス・ブラックに向ける

するとその中からリーマスが飛び出し、まるでシリウスを守ろうとするかのように手を広げる

 

 

「違う!聞いてくれ!彼は何もしていないっ!シリウス・ブラックは誰も殺しちゃいないんだ!!」

 

 

咄嗟のことに殆どの者が動きを止める中、セブルスだけは構わず杖を振りリーマスごとシリウスを撃ち抜こうとする

 

 

「ッ!止めろスネイプ!!彼は何も・・・!!」

 

「退けリーマス!!コイツさえいなければ彼女は・・・彼女はッ!!」

 

 

徐々にリーマスを押して行き、ついにセブルスが獣の眼前にたどり着く

 

 

「渡してもらおうか、その男だけは吾輩の手で八つ裂きにせねば気がすまん」

 

「はっ、ご冗談を。コレは黄金の君の戦利品・・・それに爪も持たぬ人間風情が八つ裂きだと?成程、これがイギリス流のブラックジョークですか。実に下らない」

 

 

苛立たし気な雰囲気も隠さずセブルスが杖を獣に向けようとするが

 

 

「ッ・・・!?」

 

 

喉元に切っ先が当たり、音もなく近づき刀を抜いたトグサは絶対零度の視線で射抜く

 

 

「手前・・・良い度胸じゃねぇか。分かってんのか?コレは陛下の獲物だ。陛下が捕まえた獲物なんだよ・・・手前、戦の作法も知らねぇのか?」

 

 

その眼は指先を動かしただけで、首を刎ねると言っていた

しかし、セブルスにとってもこの男を殺すことはもはや悲願と言っていい

 

 

「この男が・・・この男のせいで彼女(・・)はッ!!」

 

 

“彼女”__その言葉の意味を私はようやく理解し始め

 

 

急激に何かの熱が冷める感じがした

 

 

 

 

それを理解したのはこの大勢がいる中で3人だけだった

黄金の獣はこのお方のお気に入り(・・・・・)の玩具に何か不手際をしたかと戦慄し

渡草は刀を向けたゆえにと静かに笑い

アランは動かなかったことかと牙を剥かせ、闘気と歓喜を纏う

だがそのどれも違う、それがこの騎士達ですら理解できなかったのは、彼女自身がこの感情を表に出すことが初めてだからだろう

 

それは“悲しみ”

 

何故私を見てくれない?何故・・・

こんなにも私の心は貴方だけのものなのに、何故死者であり、違う男と結婚したリリー(ハリーの母親)なんぞだけを見る

 

端的に言えばウィラは嫉妬し不機嫌になったのだ

 

 

「・・・下らん。ダンブルドア、キサマは本物の愚か者だな」

 

「何じゃと・・・?」

 

「私は確かに言ったぞ。“卿の知る真実が全てではない”と・・・どいつもこいつも・・・魔法使いとは無能の集まりか?」

 

 

続けてウィラは言う___その目を酷く冷めたもの(・・・・・)にしながら

 

 

「シリウス・ブラック、彼は無実だ。誰も殺しておらんよ」

 

「馬鹿な!!じゃがコヤツは友を・・・ピーター・ペテュグリューを殺して・・・」

 

 

面倒だと言わんばかりにダンブルドアの言葉を遮るよう、ウィラは杖をホグワーツに向け

 

 

「『アクシオ(来い)』___ピーター・ペテュグリュー・・・スキャバーズ」

 

 

スキャバーズ?と聴こえたままに呟くロンの隣には、意識を取り戻したハリーと追いついたハーマイオニーがいた

どういうことかと聞こうと近づこうとするも、教師達が気絶して、ウィラが捕らえているとはいえシリウス・ブラックに近づかせるワケなどない。ダンブルドアが手で近づくなと遮ると、城の方から何か近づくものが見えてきた

 

 

「ッ!スキャバーズ!?」

 

 

今度こそロンは叫び、飛んできた鼠__スキャバーズをウィラの手前でアランが握りつぶすように掴む

ロンとハリーがアランに離すように懇願するが、彼の主であるウィラはその鼠を冷めた目で見つめ、その様子を見ていたダンブルドアやマクゴガナルなどの聡明な者はブワリと冷や汗が出るのを感じた

 

先程彼女は何と言った?スキャバーズ・・・いや、その前に言った“ピーター・ペテュグリュー”。呪文は先に言ったこの名に反応したのであれば・・・ッ!?

 

「ギュエッ」と悲鳴に似た声を上げ、アランの手の中でジタバタ暴れるスキャバーズを前にリーマスは説明を始める

 

まず彼等が学生の時に作った“忍びの地図”。ハリーが持っていたこれにピーターの名が乗ったこと。それには生きた者しか反応せず死人は乗らない、ゆえにリーマスは今まで裏切者だと思っていたシリウスこそが本当の被害者であり、ジェームズ達を裏切らず、今の今まで独り孤独に戦い続けていたことを

 

しかし誰もが半信半疑だった、だがそれもしょうがないだろう

何故なら今、彼等の目の前にいるのは“鼠”だ。だからこそ、ウィラはその双眸をアランの手元に向け

 

 

「三流芝居は見飽きた、選べよ。このまま鼠として握り潰されるか・・・人として死を迎えるか・・・選びたまえ」

 

 

その場の誰もが身を震わせる声色で、ウィラはプルプル震える憐れな鼠へ話しかけ・・・

 

 

「ッ!?ぁ・・・馬鹿・・・な」

 

 

皆が見る中、鼠はその身を人へと変え

 

 

「ピーター・・・ペテュグリュー・・・!?」

 

 

死人はこうして生者へと蘇った

あのダンブルドアでさえ口を押さえ、あり得ぬ光景に言葉を失い、その鼠であった男に注目する中、ウィラだけは興味も何もかも失せた目で__

 

 

「何故だ・・・___セブルス」

 

 

自分に背を向けるその男の姿に悲し気な瞳を向けるだけであった

 

 

 

 

 

ピーター・ペテュグリュー

彼は今未曾有の混乱に陥っていた

 

シリウス・ブラックの脱獄を聞いた彼は、すぐさまその行動が自分を殺す為だと理解した。もとより自分の危険に目聡く、動物に長年化けていたことでその第6感は凄まじいものとなっていた

だが彼の第6感の警鐘はシリウス・ブラック以上に、危険を告げる存在がいた

 

最古の王族にして、自らのご主人様ですら、その全盛期ですら手を出すことがなかった存在__エル・ドラド家。その中でも歴代最高と名高い才を有するホグワーツに学びに来ている今代の黄金

自然界においても弱者である鼠の勘はこう告げてくる

 

アレだけは駄目だ、近づくだけで押し潰される。何よりアレの傍に常にいる騎士は何だ?何故あれほどの化け物が人に付き従うのか?

それはご主人ですら不可能だと思う他ない状況。ゆえにピーターはその身をほぼウィラの目前に晒すことはなかった

その勘が今年は最大の警鐘を鳴らしたのだ。ゆえにピーターはホグワーツに着くやいなや、ロンの下から離れ、まさに鼠としてこの嵐を乗り切ろうとした(途中、猫が執拗に追いかけてきた時はもう駄目だとも思った)

 

そしてようやく安寧を享受できると思った矢先___彼はダンブルドア達衆目のもとに身を晒していた

 

どうすれば乗り切れる!?と考えていると、懐かしい顔が向こうから走って来た

 

 

「ピーター・・・!!」

 

 

古い友人__リーマス・ルーピンはその普段は温厚な顔に怒りのみを乗せた表情でピーターを睨んでいた

 

 

「ピーター・・・それじゃあ・・・儂等は今までなんという勘違いを!?」

 

 

そう呟くのは今世紀最大の魔法使いにして闇の帝王ですら、おいそれと手を出せなかったダンブルドア。この時点でピーター・ペテュグリューは逃げることは不可能だと感じた

だがその考えは徐々に変わる。かつての親友であるリーマスが彼に対し、罵詈雑言を飛ばす中、今だに周りの人間は半信半疑といった感じであったのだ。何よりこの場はホグワーツ、その気になれば人質には困らない(・・・・・・・・)

何より__

 

 

(な・・・何故・・・何故私は今責められているのだ!?)

 

 

そう、ピーターには理解できない(・・・・・・)

 

あの当時、あの方に逆らうことがどれほど恐ろしかったかこの場の者は知っているのに

自分は助かりたい一心だったし、それが当たり前だった。それに・・・

 

 

__逃げろピーター!決してシリウスに見つかるな!!__

 

 

裏切り売った自分をジェームズは許してくれた(・・・・・・)。どれだけ醜くとも生きることを・・・何を犠牲にしても生きることを友は肯定してくれた!

 

ゆえに彼は考える。必死に考える

どうすればこの場を切り抜けられる?

立ち向かう___馬鹿な、それは自殺と変わらない。この場には今世紀最大の魔法使いと化け物ですら頭を垂れる正真正銘の怪物がいるのだ。自分はまだ死ぬワケにいかない

再び鼠となって逃げる?__無理だ、この包囲網・・・しかもシリウスの“動物擬き”は“黒い犬”。その俊足を持ってしても今気絶していることからそれすら不可能__

 

その時ピーターに天啓が降りた

そうだ、自分は何をしても生きて良いと死んだ友から許された(・・・・・・・・・・)のだ。つまり・・・

 

 

「ち、違う!私じゃない!今そこで気絶しているシリウスに手伝わされて・・・ッ!!」

 

 

なるべく惨めに、憐憫の目で見てもらえるよう怖がり震えながらシリウスを指さす

だが・・・彼は知らないのだろうか?

“その眼は全てを見通す”__どんな虚偽も彼女の前には通じない。そして___

 

 

「キサマァ・・・ッ!!どこまで堕ちるつもりだピーター!!」

 

 

シリウス・ブラックはついに目を覚ました

 

 

 

 

下らない三文芝居が繰り広げられている

鼠は生贄を求め失敗し、次の策を講じようとする・・・ハッ、これはこれで珍獣だ。ここまで意地汚い人間はさしもの私も見たことがなかった

 

これはこれで愛でようがある。安心しろペテグリュー。どれだけ堕ちようと・・・あぁ、私は卿を()そう___

 

 

 

 

 

__と思ったが、それは次のこのクソの行動で考えが180度変わる

 

 

酷く醜い渇望を抱えた声が、私を現実へと引き戻したのだ

 

どうやらシリウスとピーターは彼等が知りうる真実を全てこの場でぶちまけたらしい

ダンブルドアはウンウン唸り、教師達もまた告げられた真実が本当にそうであるか悩んでいるが、どうやら信じる方向になったらしい。まぁそれもそうだろう

 

 

「違う!信じてくれぇ!!ただ私は恐ろしかっただけで・・・ッ!!」

 

 

証拠がこうして喚いているのだから

初めは縋るような目をロンに向け、「可愛いペットを助けてくれ」と、とても尊厳を持つ生き物たる人間の言葉とは思えぬ言葉を吐き、教師達がロンを守るように杖を構える

次にハー子の下へ・・・あ、呪文で弾いた。まぁアレは女子としては無理だわ(うん)

そして最後に・・・

 

 

「あぁ!ハリー!ハリー・ポッター!!君なら信じてくれるだろう!?私は何も悪くない!!」

 

 

何を信じ、何が悪くないのかすら、今のアレには理解できないのだろう。そしてそれが自らの首を絞めていることにさえ

 

 

「ヒィ!?たっ、助けて!!助けてくれハリー!!き、君の両親は私を助けてくれた!なら君もまた・・・ッ!!君のお父さんは勇敢だった!君はジェームズに似て優しい子だろうハリー!?」

 

「ッ!!キサマがジェームズを語るな!!」

 

 

ピーターの身をシリウスとリーマスの二人が拘束し、ハリーから離す

 

 

「~~~ッ!!生きていいと言ってくれた!!ジェームズは確かに言ったんだ!!“逃げろピーター!決してシリウスに見つかるな”と!!あれはきっと遺言に違いない!私は・・・ジェームズの為にも生きなければ!!」

 

 

聞くに堪えないと思っていると、そっと汚物から私を隠すように獣が前に出てくれた

 

 

「・・・私は・・・人とはもっと高潔な生き物であると・・・神々に変わり、この世を統治するに相応しいと・・・そう、信じておりました」

 

「綺麗なだけのものなど存在せんよ。それは卿が慕うこの私とて変わらん。・・・女とは恐ろしいぞ?何せ死者にすら嫉妬するからな」

 

 

自覚し、「くはは」と力無く笑う私を前に、獣はその拳を握るだけだ。彼が何を感じ、何を思うのかは聞かないでおこう

 

(それに)

「そら、あれを見ろ」

 

 

そう言ってハリーへ視線を向ける

 

 

「あれもまた、様々な思いを抱え、それでもなお前へ進もうとする人の輝きの一つ・・・卿に見せたかったものの一つだ」

 

 

 

ピーターの言葉は聞くに堪えなかった。そこにあるのはただ自分が生きたいというとても身勝手な渇望だけ

 

ゆえにハリーは可哀想だと思った。目の前の男は虚構に縋るしか、もはや自己を形成できぬ存在だと・・・彼はただ夢の中でしか生きていないのだ

 

だから・・・その夢を覚まそう。無論ハリーにそのような考えなどない。ただ思ったことを口にしただけ

 

 

「違う・・・ピーター・ペテグリュー。父さんは別に貴方に為に生きろと言ったワケじゃない」

 

「へ・・・?」

 

「そこにいる彼を・・・シリウスを犯罪者にしたくなかったから・・・ッ!だから言ったんだ!!“逃げろピーター!決してシリウスに見つかるな!!”」

 

「___ぁ」

 

「貴方は父に愛されてなどいなかった!!裏切者には怯える生活が相応しいと、父は貴方にそう告げたんだ!!」

 

 

ピーター・ペテュグリューの夢が覚めていく。自らが望み、編んだ万仙の陣は夢の中核を担った友の息子の声、それが真実であると音を立てて崩れようとした___が

 

 

(~~まだだ!!違う違う違う違う違うチガウチガウチガウチガウ!!生きてほしいと望まれた!!だって!!そうじゃなかったら私は・・・私のしてきたことは!?)

 

 

十数年、夢を見続けた彼の前に、英雄の声は僅かに届かなかった

駄目だ、コレは私を救わない__そう断じたピーターは・・・

 

 

「陛下ァ!!」

 

絶体にやってはならない・・・そして言ってはいけない言葉を、その身と共に、絶対的な暴君へと吐き掛ける(・・・・・)

 

 

「お、お慕いしております!何と美しい!!この世の全ては御身の物!すべからく、地上に生きる者全てが御身の臣下でありましょう!!」

 

「・・・」

 

「お、お願いです!!私は何も悪くありません!!全てを見通す目を持たれた貴女様なら、我が身が清廉潔白であると証明できましょう!?」

 

「」

 

「今日よりこの身はエル・ドラド家に忠誠を誓います(・・・・・・・)!!な、何だったら足でも何でも舐めて・・・」

 

 

そこまでが彼女の限界だった

当たり前のことを、さも素晴らしいことのように・・・美しい?当然、この身は生まれた時より諸人の象徴である

全てが私のもの?当然だ、私は全てを愛しているのだから

エル・ドラド家に忠誠?・・・・・・ふざけるな(・・・・・)

 

ピシリ__と空間そのものが罅割れる音がした、だがピーターは気づかず不快な不協和音をその口から奏でるだけ

 

ウィラはとある従者を思い浮かべ、瞳の色を怒りと共に黄昏へと変えていく

 

 

1500年__その身は永遠の栄光を約束された王家の血を受け継ぐ揺り籠

だからこそ、その薄っぺらい忠義を何より許す気はなかった

 

かつてとある青年と共に野山を駆け、彼を王へと召し上げた始まりの騎士達

1500年の栄華を支え、たった一人残された真の忠臣__シャドウの忠義を思い出せば不愉快極まりなかった

まだ10にも満たぬ歳であった自分を信じ、皆ついて来てくれた。誰もが剣を盾を__その命を本気で自分に捧げてくれている。それだけではない

歴史に名も乗らぬ者がいた、だが彼等一人一人を今もなお・・・死して魂だけとなった今でも、ウィラの中に流れる血潮が彼等の忠を忘れることはない

だからこそ__

 

 

「へ、陛下!?な、何か言って「黙れよ(シレンシオ)」~~~~~ッ!?」

 

 

興味が失せた(・・・・・・)

全てを愛するウィラ。『愛情の反対は無関心』__マザー・テレサの言う通り、ウィラは視界からピーターを存在しないものとして扱った

そのままダンブルドアへ冷めた双眸を向け

 

 

「これは卿等イギリスの問題であろう?我等エルドラド王国は此度の件、一切の干渉はせん。獣、トグサ、アラン。ソレに触れるな、我が爪牙が穢れる」

 

「「「御意」」」

 

 

そのままピーターを放置するように、その場から離れるウィラを見て、急いで教師達はピーターを束縛する。先程まで殺気だっていたスネイプやリーマス、そしてシリウスでさえも、今となっては先程一瞬漏れ出したウィラの怒りを前にしてピーターに対する思いは霧散していた

 

 

 

 

その様子を今まで見ていることしか出来なかった競技場の応援席に座る生徒達、彼等はただひたすら先程までの状況の整理に追われていた

雨雲を吹き飛ばし、その身一つで宙に浮かび吸魂鬼を滅ぼしたウィラ。その際彼女が放った『混沌より溢れよ(Du__sollst)__怒りの日(Dies__irae)

相反するウィラの渇望、“壊すから壊れてくれるな”。まさしく災害に等しい魔法に恐怖もした__が

 

誰かが言い出した

「もしや彼女は吸魂鬼から自分達を守る為にあの呪文を放ったのでは?」 「箒も無しに宙を?だからどうした(・・・・・・・)、彼女が特別なのは当たり前のことではないか」 

 

それだけではない、彼女は無実の者を救い、こうして真の罪人たるピーター・ペテュグリューを衆目の前に晒したではないか__と

 

実際、彼等・・・去年バジリスクを殺した所を見た2年生以上の者はそこまでウィラを恐れることはなかった。むしろ彼女の周りであり得ぬことなどもはや存在せぬと

 

 

「ウィラ・・・」ボソ

 

 

誰かが呟き、それは徐々に伝染し__

 

 

『ウィラ!ウィラ!!ウィラ!!ウィラ!!ウィラ!!ウィラ!!』

 

 

その様はあたかも“本来感じた原初を超える恐怖を忘れようとする”かの如く・・・彼等は絶対の王の名を叫び讃えた

 

 

 

 

「・・・すごいな、これが貴女のカリスマかな?」

 

 

糞以下のドブ鼠が逃げられぬと分かり、シリウス・ブラックは一目散にハリーの下へ行っていた。その際、リーマスがやれやれと呆れたような、嬉しそうな顔をし、セブルスは兎に角気に食わないといった顔をしたが、流石に無粋と感じたのだろう、ロンとハー子もまた彼等を二人にして、話をさせていた

それがようやく終わったのか、ハリーもシリウスも互いに嬉しそうな顔をし、シリウスが私の下へと来た

 

 

「おう、敬語使えや手前。この方が誰か分かって使わねぇのか?」

 

 

いやお前(トグサ)だけには言われたくない。まぁ普段は別に良いと許しているのは私だが・・・

するとトグサがかなりアブナイ人種(まぁ千年近く同じ人種同士で殺し合いしてたからね、仕方ない)と分かったのか、私の前に雨で濡れた芝生も気にせず跪き

 

 

「・・・御身はおそらくご存じでしょうが・・・」

 

「知らん、名乗れ。家名も含めて・・・な?」

 

 

心底嫌そうな顔をするが知らんよ。生まれた家の業を背負うのも当主の務めであるぞと目で伝える

 

 

「・・・ブラック家。最悪なことにその当主をやっております。シリウス・ブラック御身の前に」

 

 

腐っても貴族といったところか、ボロを纏っていてもその所作は貴賓に溢れていた

 

 

「うむ、此度は大変であったな」

 

「いえ、陛下にこうして拝謁の栄感謝いたします。それと吸魂鬼、更には我が冤罪を晴らしてもらった御恩、どう返せばいいのやら・・・」

 

 

どう返せばと言われても困る。実際彼等ブラック家にはすごいお宝がわんさか眠っているのだろう

だが所詮は貴族。何より我がエル・ドラド家の宝物庫には無いものなど無いに等しい(実際本物の“不死鳥の涙”も腐るほどあるし)

それはシリウスも分かっていたのだろう、いらんと言うと明らかにホっとした表情をした

 

 

「正直御身に何か言われても・・・できる自信など無かったので」

 

「できぬことを卿は私にさせろと言ったのか?面白いな」

 

「ッ!いえ、その・・・」

 

「くはは!冗談だ、特と許せ」

 

(だがこのままというのも彼にとってはバツが悪いか・・・そうだ!)ピコーン!

 

「ではシリウス・ブラック、此度の件、卿にとっては辛酸極まる日々であってであろう。私としても思うところはある。よって褒美を与えよう!」

 

 

突然のことにシリウスは目を白黒させるが、私は構わず靴を脱ぐ(・・・・)。途中獣達やシリウスから「陛下!?」と声が上がるが、そのまま足を跪く彼の鼻先へやり

 

 

「舐めろ」

 

「・・・すまないが、もう一度」

 

 

思わずといった感じで下げていた頭を上げ、私へ一直線に視線を向けてくる

何故か私が靴を脱いだ辺りから、ピタリと生徒達の声が止まったのでよく聴こえたと思うのだが・・・しょうがないな

 

 

「王の言葉が聴こえんのか?やれやれ、聴く姿勢ができていないようだ___グラヴィタス(跪け)

 

ヒュっと杖を下に向け、ドシャ!っとシリウスが頭から芝生に突っ込む

その間に私はグリグリと濡れた地面に靴下を染み込ませていると、彼は必死に抵抗し

 

 

「な・・・ッ、何を!?」

 

「ん?何って・・・私の足を舐めるのだぞ?これ以上の褒美など無いではないか」

 

 

充分に泥が着いたのを確認し、もう一度ズイっと鼻先に足を当て

 

 

「二度は言わん。聞こえなかったのか?

 

 

 

 

私の足を舐めろ」

 




こんな感じで今回は終了です
実際ピーターってどんな気持ちだったんですかね?
今作では自分は救われているという夢に溺れた狂人として描かせていただきました

エル・ドラド家側からしたら「何かうっとおしいけど、いつでも滅ぼせるしまぁいいか」となぁなぁで見過ごされてました(実際やろうとしたらマジ簡単にブラック家はイギリスから消えてました)

そしてウィラ様、生まれて初めての嫉妬を覚える(ただし相手は人妻+故人+友達のママン)

ちょっと無理がありますが、こうでもしないとこれからウィラが学校でボッチめいたことになるので生徒達の反応はあぁしました
違和感あったらごめんなさい(汗)


ウィラ的には余りある褒美です

「臣でもないし民でもない、でも爪先とはいえ私にキスできる・・・うん、これ以上ない褒美じゃん!!」←ただし忠誠を誓うとか言った瞬間蹴り上げる模様


分かっているとは思いますが、ピーターには逃げてもらいます。でないとお辞儀さん復活ッ!!お辞儀さん復活ゥッ!!の儀式ができないので
そしてイギリス魔法省には更に胃を痛めてもらいます


次回予告


「私、ブラック家当主、シリウス・ブラックは御身の名において、永遠に王号を名乗らぬことを誓います」

内心早くハリーと暮らしたくてたまらないが、叶わぬ模様___シリウス・ブラック


「し、知らない!私のせいではありません陛下!!その証拠にピーターを運んでいた者は全て打ち首にッ!!」

吸魂鬼について色々言いたいけどそれ以上にこちらが冤罪という無様を晒したので何も言えないThe・無能__イギリス魔法省の汚点ファッジ


「貴女アレどういうこと!?女の子が簡単に肌を晒すんじゃありません!!」

作者はパブみを感じます、えぇ感じますとも__ハーマイオニー・グレンジャー


「いや・・・だってあれってこの業界ではご褒美じゃないの?」

ご褒美です__ウィラトリア







「___エヘン!エヘン!」

待たせたな!___カエル


「やれやれ、相も変わらずおてんばなお方だ。陛下の命とあらば向かう他ない・・・か」

エルドラド王国大統領__???


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黄金と衰退の影

お気に入り登録がとうとう1000人突破しました
何か感無量です
思い付きで書いた作品がまさかここまで評価してもらえるとは・・・
いつかそうなればいいなと思っていたのですごくうれしいです
ありがとうございます!


サブタイは色々な意味でこれにしました
あと自分が書く魔法省って何でこんなに酷いんでしょう?(汗





カリカリとペンを走らせる音が部屋に響く

そこはエルドラド王国の中枢、大統領執務室

 

 

「__ふぅ」ギシっ

 

 

溜息をつき、一息入れるこの男こそ5期に渡り国を支え、ウィラが生まれる前からこの席に座る大統領その人である

歳をとったその身体はでっぷりと太り、パツンパツンになったカッターシャツ。エアコンを付けているというのにその額には汗がにじみ、二重顎へと滴り落ちていく。その様子はまるで陸に打ち上げられたセイウチを彷彿とさせていた

 

 

「よし」

 

 

しかしこの国で彼を侮る者はいない。現にウィラが臣と呼ぶ者達の中でも彼はそのひたむきな姿勢で彼女に変わり、国の方針を決めるという大役を担っているのだ

 

 

コンコンコン__「大統領、少し休憩なされよ」カチャ

 

「これはこれはシャドウ卿」

 

 

朗らかに目を細めながら、立ち上がろうとする彼をシャドウは手で座っていてほしいと伝え、コポコポと小気味良い音と共に芳醇な香りが執務室に響き渡る

 

本来シャドウはこのような場所に居て良い存在ではない。彼は政事(まつりごと)が行われる遥か上(・・・)に位置するクレーリア城。この国本来の主の騎士だ

だがシャドウは常にこう言う、己は動かねば死ぬ老害にして、マグロやサメと同じだと

 

屋敷僕の地位は本来かなり低い。それはイギリスの様子を見てもらえれば分かるだろう。だがこのエルドラド王国では違う

神代の時代からこの国の柱として在ったシャドウに敬語を使わぬ者など王族以外に無く、それは歴代大統領とて同じだ

 

 

「恐れ入ります」

 

「なんの、我等の仲ではありませぬか」

 

 

そう言って皺くちゃな顔に軽く笑みを讃え、それに釣られて大統領も口元に紅茶を運びながら笑ってしまう

この方はいつもそうだ。同じ主君を持つ身、ならば我等に身分などなく、ただ黄金たるお方を支えるのみと言っては気にするなとこちらを心配してくださる

 

 

「で、そろそろ行かれるのですかな?」

 

 

その為に今の今まで書類を片付けていたのでしょう?と聞かれ、今度は苦笑いが出てしまう

彼はここ最近、この部屋に缶詰となっていた。20年に渡り大統領を勤め上げている彼が仕事を急いで終わらせる理由などただ一つ

 

 

「私が運びましょうか?」

 

「いえ、貴方を動かしたとなれば私が彼女から・・・陛下からどやされます」

 

 

ウィラがすぐに来いと無茶ぶりをしてきたのだ

シャドウは軽く溜息をつき

 

 

「全く・・・もうすぐウィラトリア様も15歳、そろそろ夫を見つけ、お世継ぎを授かってもらわねばと言うのに・・・」

 

「ハハハ!まったくですなぁ。つい最近まで姫であらせられたというのに、いやはや、歳をとると月日の流れも速くて困りますわい」

 

「そういう言葉はせめて100年生きて言ってほしいものですな。ならば私や我が友、獣殿はどうなさいます?」

 

 

その言葉に再び笑いながら、大統領はジャケットに手を通す

 

 

「やれやれ、相も変わらずおてんばなお方だ。陛下の命とあらば向かう他ない・・・か。シャドウ卿、何か伝えることは?」

 

「早く爺やに子を抱かせてくだされと」

 

 

それは流石に勘弁してくれと手を振りハットを被る

行先はイギリス、ホグワーツ魔法学校である

 

 

 

 

その頃イギリス魔法省はまさに蟻の巣をひっくり返したような様となっていた

アズカバンの看守“吸魂鬼(ディメンター)”、イギリスに住む全てが何故か突如ホグワーツへ向かい、そこで絶滅

殺せぬと言われた彼等が死に絶え、そしてこちらの手綱から放れ好き勝手に動いたことは魔法省を焦らせた

しかしもっとも驚いたのは“死んだこと”だ。吸魂鬼を殺す術など無く、超高等呪文である“守護霊呪文”で追い返すしかないというのが常識だったからだ

だがそれを彼女はいとも簡単にしてしまった

 

 

「今すぐエルドラド側に謝罪を要求しろ!!」 「しかし以前から彼の国は言っていたではないか!今すぐ陛下の通うホグワーツから吸魂鬼を離せと!!」 「だがそれは脱獄犯シリウス・ブラックから守るためだとあれほど!!」 「なにが脱獄犯か!!結局それもまた、我々の勘違いだったではないか!!」 「それに彼の鬼人の王や極東のマグルが殺したとの報告もあったぞ!?」 「キサマは何を言っている!亜人や劣等(マグル)風情が魔法使いにできぬことができるか!!」

 

 

もし、吸魂鬼を殺されただけなら、ここまで議会は紛糾しなかっただろう。だが彼等はまたもや自らの驕りにその身を削られていた

 

十数年、アズカバンという最悪の監獄に無実であったシリウス・ブラックを投獄。更には最悪の時代、被害者の代表としてまつりあげたピーター・ペテュグリューこそがポッター家の悲劇の生みの親だったのだ。なんということだろうか、自分達はそれを彼女から言われていたにも関わらず、調べもしなかった

次第に紛糾の声は小さくなり、徐々に一段高い場所に座るこの魔法省のトップ__コーネリウス・ファッジへと視線が集まる

 

 

「っな、なんだお前達その眼は!?まさかこの私が悪いとでも!?えぇ!?」

 

 

机を思い切り叩き上げ、無能は自らの責任を棚上げしようとする

そんな彼を、まともな思考(・・・・・・)ができる者が問い詰める

 

 

「それでどうするので?吸魂鬼の件を問い詰めますか?それともお礼を?今回もまた、我がイギリスの恥辱を払って下さったのは陛下でありますよ?」

 

 

そんな中、スっと手を上げるのは闇払い局局長__ルーファス・スクリムジョール

 

 

「幸いにも吸魂鬼は再びアズカバンに集いつつあります。まぁ空き巣ができたので他の国から海を越えてやってきているのですが・・・どうでしょうか?この際、イギリスからヤツ等を根絶するのは」

 

 

なっ!?と驚愕の声が上がるが、スクリムジョールは涼しい顔だ。むしろ本気であのような悍ましい生物を看守という責任ある立場に置くのかが彼には以前から理解しかねた

しかしアレもまた、イギリスを強国たらしめる戦力の一角だ。何よりそれではアズカバンの守りはどうするのかと聞かれ、スクリムジョールはまたもとんでもない事を言い出した

 

 

借りればいい(・・・・・)___エルドラド王国から」

 

 

続けて彼は言う。国家には“レンドリース”というものがあり、国家同士で物を貸す制度だと

 

「彼の国ははっきり言って戦力過多も甚だしい、正直彼等の力を借りれるならば借りるべきだ」

 

 

何より同じ人間同士、考えから全て分からぬ吸魂鬼よりも遥かに信頼できるとスクリムジョールは言うが

 

 

「何を言うか!」 「そうだ!!それでは国家としての威信がッ!!」

 

 

このような声が上がることは想定済みだ、ゆえに

 

 

「でも、もし借りることが出来れば十数年前、闇の帝王はあそこまで力を持つことはまずなかった」

 

 

その言葉を聞いてシン__と静寂が広がる

全盛期ですら闇の帝王がエルドラドを攻めなかったのはあまりにも有名な話だ、更に今議題に上がるウィラ、今代の“黄金”、“偉大なる黄金”に傍着く騎士達は分かっている戦力の極一部だけでも“ブリテンの白き龍”に“山河を砕く鬼人の王”と、個で国とやり合えるメンツばかりだ。そして情報では円卓最強のみが名乗れる“黄金の獣”、彼もまた神獣であるということが分かっている

 

 

チャンス(・・・・)だとスクリムジョールは祖国の為、家族が住むこの国の未来の為にも、もっとエルドラド側と親密になるべきだと畳みかけるが

 

 

「__エヘン、エヘン!」

 

 

鈴を転がしたような甘ったるい、可愛らしい子供のような声が会議場に響く

 

 

「ミスター・スクリムジョール、貴方は一体何を考えているのかしら?エルドラドと協力?吸魂鬼を根絶?馬鹿言わないでちょうだい」

 

 

そこにはピンクに彩られた蛙がいた(・・・・)。いや、正確には蛙のような人間だろうか

ギョロリと目を見開き、ドローレス・アンブリッジがその大口から唾を吐き出しスクリムジョールを糾弾する

 

 

「そもそもこれは我がイギリスに対し、エルドラド側が不当な方法で内政干渉しようとしているに等しいのですよ?我々がせっかく贔屓にしてやっているというのに、厚顔無恥とはまさにこのこと。ファッジ大臣、いかがでしょうか?もうあんな国との貿易をお止めになっては?」

 

 

そうすれば自分の立場というものが分かるでしょう?というアンブリッジにたまらず貿易を担う部署の長が反論する。彼はその危うさをキチンと理解していた

というのも今現在、イギリスは表も魔法界も含めそのほとんどを輸入にて賄っているのだ。そしてイギリスに来る物資をいったん預けておく場所__これがエルドラド王国となっていた

 

 

「何を言っておられるのですかアンブリッジ上級次官!!彼の国を通さず物資を通せば莫大な税がかけられるのですぞ!?」

 

 

エルドラド王国はその頂点に座す“黄金”の家系、その恩恵によりかなり裕福な国だ。その為関税も他の国と比べかなり安く、遠く離れた国ですらエルドラド王国を通して輸入するほどだ

それを訴えかけるが両生類擬きにはそもそも言葉すら通じないらしく

 

 

「何故我がグレート・ブリテンが他国の要求に従わなければいけないのです?そもそもそんなの他国がおかしいわ。優れた魔法使い(上位種)たる私達に税をかけようなんて・・・なんてふざけた連中かしら」

 

 

絶句だった。特にとある国(・・・・)から今のままではイギリス魔法界がどれだけこのヨーロッパにおいて危うい立場か教えられたスクリムジョールは、改めてその認識を上方修正した

 

 

「とにかくだ、急いでホグワーツからピーター・ペテュグリューの身柄を引き取らねば。恥の上塗りなど辛抱堪らん!あぁ、そこの君達、急いで行ってきてくれるか?」

 

 

突然ファッジがそう指名したのは、まだ魔法省に入って数年の新人達だ。まさか勉強の為にこの場で話を聞いていた自分達にこのような大役が来るとは思わず・・・更に何を勘違いしたか、これで自分達はエリートだ!と意気揚々と特に準備もしないまま飛び出していった

 

 

「ファッジ大臣、確か今度シリウス・ブラックについてあの小娘から呼び出されていたのでしょう?なら、私も行きましょう♪いい加減身の程を小娘に教えてやりますわ♪」

 

「・・・そうだな。ではアンブリッジ上級次官、よろしく頼む。では私は先に失礼させてもらうよ。“国際魔法法務局”は向こうとの交渉に入ってくれ、いいか?くれぐれもこちらが不利益にならぬよう、弱気な所を見せるな!」

 

 

サァっとその場のごく一部を除き、皆が顔を青ざめるが、ファッジは気づきもせず、そそくさとその場を後にする

 

こうして役者は1つの場所に集結する

全ては彼女が思うままに__

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し時間を戻そう

“ホグワーツ大広間”__何かあれば寮関係無くドンチャン騒ぎが始まり、その時ばかりは教師達も眺め楽しむ・・・のだが

 

 

「・・・おいムーニー、君は教師だろう?止めなくていいのか?」

 

「・・・無茶言うなパッドフット、彼女は君に足を舐めろと命令したんだ。けっこう気に入られてるんじゃないか?」

 

 

捕らえられたピーターを今度こそ逃がさぬよう、今やダンブルドアでさえ舌を巻くレベルにまでなったスネイプが作った“生ける屍薬”で眠らせ拘束。最後までシリウスとセブルスは八つ裂きにと迫ったが、シリウスはハリーに、スネイプはウィラにそれぞれ説得されしかるべき場所で裁くこととなった

 

昔のように互いの友情を確かめ合った彼等に、十数年という壁など無いに等しい。その証拠に今は大広間の隅っこで、昔話に花開かせながら、目の前の光景に頭を抱えていた

 

 

「おい!学年なんか関係ない!!とにかく人間を集めろ!!」 「上級生は前へ出ろ!!」 「今こそ俺達の雄姿を陛下に刻み付ける時だ!!」

 

 

普段ならば小言を言い、軽い呪いを放ちあう4寮。彼等はたった二人(・・)を相手に杖を一斉に振るう

 

 

「__ング、ング・・・ぷはぁ!ヒャハハハ!!!いいねぇ!たまには魔法の撫で斬りも楽しいもんだ!!」

 

「がははぁ!!おうおうおう!!トグサではないがもっと本気を見せよ!!エルドラドの益荒男達との昂ぶりを思い出すわい!!」

 

 

互いに酒ビン片手に渡草は拾ったフォークで片っ端から斬り、アランは上半身裸で剛腕を振るい魔法や呪いを粉砕する

 

 

「嘘だろ!?」 「アレ人間じゃねぇ!!」 「ねぇロン!見てよあの筋肉!」 「ヒュー!まるで鋼みてぇだ!!」

 

 

多くの声が笑っていた

初めは生徒達だけで楽しんでいたのだが、どこからか持ってきた酒ビン片手に「俺達も混ぜろ」と乱入。その様子はまるで“砂場で遊ぶ園児達とそこに来たチンピラ”といった風貌だった

品もクソも関係無ぇと言わんばかりにそのままラッパ飲みを初め、何をやらかすか分からないマグルと鬼人を彼等は怖がっていたが、酒を片手に酔っぱらってゲラゲラ笑う二人を見て、彼等も馬鹿馬鹿しくなったのだ

 

ハリーやロン、更には優等生で知られるセドリック__つまり男連中が馬鹿丸出しで酒飲みに挑んでいく中

 

 

「貴女アレどういうこと!?女の子が簡単に肌を晒すんじゃありません!!」

 

 

飲み物が入ったゴブレットをガツンと机に叩き付け、ハーマイオニーがウィラに説教をしていた

結局シリウスは彼女の足を舐めなかった。義息子とも言えるハリーの前でそんなことをしたくなかったし、何より流石にこれ以上、人としての尊厳を失いたくなかったのだ。しかしウィラは勘違いしたらしく、「生足のほうがいいのか?贅沢な奴め」とその場でニーハイソックスまで脱ぎ始めた。その時競技場に響いた男連中(ダンブルドアも含む)の“ゴクリ”と喉を鳴らす音に辟易したのは何もハーマイオニーだけではない

 

 

「ハーマイオニーの言う通りよお姉様!良い!?男は狼なの!お姉様に汚らわしい視線が行くなんて私が耐えられないわ!!」

 

 

「狼なら普段から傍にいるんだけど・・・」という声は彼女達には聴こえない

 

 

「いや・・・だってあれってこの業界ではご褒美じゃないの?」

 

「・・・確かに」

 

「確かにじゃなぁい!!ジニー!しっかりして!!この世間知らずな王様に常識を教え込むのよ!!それとウィラ!貴女魔法界をどういう風に見てるの!?」

 

「むっ、失礼な。それに私は常識知らずではない、常識が私に合せるのだ!」

 

 

これはどうすればいいのと頭を抱えるハーマイオニーと流石お姉様!と目を輝かせるジニー、そして何が?と疑問符を浮かべコテンと首を傾げるウィラ

 

そんな彼女達を横目についには渡草まで上着を脱ぎ、何故かその相手をドラコがする相撲大会が始まっていた

 

一応「ウィラに感謝を伝える」という項目で始まったこの混沌極まる状況は、もうしばし続いた

 

 

 

 

 

 

「__ふぅ、さて・・・」

 

 

あのドンチャン騒ぎから数日、あの時は何だか色々とエライことになっていた(ドラコがトグサに投げ飛ばされて、大広間の天井スレスレまでネビルがアランに投げられて・・・最後はセブルスとシリウスによる殴り合いだっけ?リーマスが腹抱えて笑ってたのが印象的だった)

 

しかし今日はあの時と違い、ホグワーツは厳粛な雰囲気に包まれていた。まぁ当然だろうな、なにせ偽物とはいえ、彼等は今から王族を失うのだ(・・・・・・・)。そして__

 

 

「・・・無能とは、本当に何をやらせても出来んのだな」

 

 

ピーター・ペテュグリューが脱走した

騒ぎの翌日、自らの汚名をこれ以上、子供達に晒せるかと魔法省はアレの身柄を引き取りに来たのだ。その際ダンブルドア達がピーターが“動物擬き”であり、もう一度逃げ出せばもはや捕まえることなどどうやっても不可能で、この私のおかげ・・・つまり逃げたらどうなるかをあれほど一生懸命伝えたのに・・・聞くところによると身柄を引き取った職員は新人、ファッジ自ら指名したとか聞いたが・・・

 

 

(どうせ、焦って周りが見えず適当な職員に言ったと見るべきか)

 

 

「陛下、お召し物を獣殿が用意できたと」

 

 

トグサに呼ばれた為、いったん思考の海から帰ってくる。所詮もはや終わったこと、そしてアレが逃げようがヴォルデモートが復活しようが我が王国には何の支障も無い。何かあれば助けを求めてくればいい

友を助けるのに理由などないし、何より私は全てを愛しているのだから

 

 

(おっと、また考えてたな。いかんな、集中しないと)

 

 

これから行われるのは学校の行事ではなく、第79代エルドラド王国国王としての公務だ。ゆえにいつもなら飄々としている態度を潜め、トグサも臣としての態度で接して来る

 

 

「むぅ、偽とはいえ王家の退廃・・・か」

 

 

顎の手を添え何か考えるような仕草をするアラン

彼もまた、私がその王号を奪ったに等しい相手だ。何か思うところでもあるのだろうと聞くが

 

 

「いや、どうせなら余が滅ぼしたいと思ってな?己が強者であると勘違いしておる相手の阿鼻叫喚とする様は何度見ても痛快堪らん!」

 

 

・・・どこまで行ってもバトルジャンキーは中毒者(ジャンキー)だった

 

着替えをする部屋まで行き、取りあえず彼等を外で待たせ獣に儀礼用の召し物を着せてもらう

 

 

「あいつは、来たのか?」

 

「・・・そうですね、もうじき到着時刻となります。イギリス魔法省側も同じですね。御身の用意が終わり次第、迎えに行きますのでしばし部屋でお待ちを」

 

 

 

 

懐中時計に目をやり、再び髪を梳かし始める

それが終わり、軽い化粧を済ませた後、待つ間、私の為にと紅茶を用意し終え獣は彼を迎えに行った

 

 

「・・・全く、卿等は私を侮っておるのか?」

 

 

私はもう、“覚醒した黄金の瞳”を使うつもりもない。それでも推理する時間はたっぷりあるのだ。ならば極僅かな手がかりで、我が臣達の動きなど手に取るように分かる

 

 

「“確かな指導者足りえ、責任をしかと取ろうと覚悟が決まっている者”・・・まぁいい、今回でまた、イギリス魔法界が我が国に対しどのような行動を見せるか・・・卿等が用意した演目。あぁ、とくと楽しませてもらうよ」

 

 

 

 

 

 

“ホグワーツ魔法学校”、普段ならば広大な敷地を守る為、結界が張られているが今は影も形も無い。その代わり__

 

 

「相も変わらず・・・何と美しい」ボソ

 

 

黄金に輝く薄いヴェール。魔法使いの家に生まれ、しかし魔力を持たない“スクイブ”である彼は知っている

この薄く輝く幕が絶対とも言える防御力を持ち、普通のお魔法使いが展開しようものなら数百人が命を賭してようやく発動できる大魔法であることを・・・そしてこの大魔法をいとも簡単に発動している彼女の偉大さを

 

 

「ふぅ、ふぅ・・・!何だこれは!?聞いてないぞ!!何故ホグワーツの結界が再生もせずに壊れ果てているのだ!?」

 

 

密かに大統領は聴こえてきた無粋極まる声に、舌打ちをする。この美しさ、そしてあのお方の素晴らしさが理解できない無能など死ねばいいと

 

 

「久しいですな、ファッジ大臣。お元気そうでなにより」

 

「っ!これは、レゴラス大統領!そちらもお変わりないようで」

 

 

互いにその場で握手を交わすが、内心は罵詈雑言の応酬だ

 

 

(何がお元気そうで何よりだ、魔法省にすら顔を出さなかった礼儀知らずの“スクイブ”風情が。こんな家も生まれも使えぬ男を大統領に推すなどエルドラド王国の国民は節穴の集まりか?やはり上流階級ですら無い者など政治に関わらせるべきではないな。今度法案を上げてみよう!そうすれば“聖28一族”辺りが再び任期が終わった私を大臣に戻してくれるだろう!!)

 

(とか考えてんだろうなコイツ。私のことは別に良い。だがもし本当にあのお方が大切になさっている民を愚か者と嘲笑うなら・・・いいだろう。貿易摩擦がいかに恐ろしいか、表も含め勉強といこうではないか。何より陛下が上げられた首級を逃がすなど・・・信じられん。エルドラド王国ならばどんな手を使ってでも死刑にしているところだ)

 

 

ニコニコと挨拶を終えると、ファッジの後ろで控えていたアンブリッジが前に出て

 

 

「エヘン、エヘン!お久しぶりですわ大統領。おっと、挨拶が遅れて申し訳ありません。ウィラトリア陛下の此度、“偉大なる黄金”への襲名。大変うれしく思いますわ」

 

 

挨拶と共に握手をする__が、アンブリッジはまるで“スクイブ”に触れた手が腐るといわんばかりに目の前で、ハンカチで手を入念に拭き、これみよがしに杖を抜き「“スコージファイ”♪」と唱える

しかしそれを見せられてもレゴラスは眉一つ動かさない。20年“黄金”に変わり政界のトップに立ち続けたのは伊達ではない

 

 

「___ご両人、お待たせしました・・・おや?レゴラス殿、付き添いの者や騎士は?」

 

「ご苦労様です獣卿。いや、私より優秀な者などいくらでもいますからな」

 

「それはいけない、貴方は黄金の君の“お気に入り”。何かあっては彼女が悲しまれますよ?」

 

 

獣が到着すると共に、同じ主君を崇拝する者同士会話が広がる

「ではこちらへ」と途中で切り上げ、ファッジ達もまた黄金の獣の後を着いて行く

 

 

 

 

 

「その・・・どうかなハリー、似合うかい?」

 

「うん!すっごくカッコイイよシリウス!!」

 

その頃、今回のもう一人の主役とも言えるシリウスは着替えを終え、ハリーと談笑していた

 

 

「うわぁ、おったまげ!いったいそんな高そうな服どこから持ってきたんだい?」

 

「陛下が貸してくれたんだ。最後くらいらしくしろって」

 

 

それを聞いてハリーは少し暗い表情になる

今からシリウス・・・正確にはブラック家はこれから衰退していくことが決まった。他ならぬ彼等の恩人にして、絶対の王者ウィラによって

唯一ハーマイオニーだけは良く分かっていないという顔になる。ハリーは今まで色々と失ってきたシリウスが更に何かを失うのが悲しくて、そして一応とはいえ同じ“聖28一族”にしてイギリス魔法界の王族の失楽にロンもショックを隠し切れないようだ

 

 

「ハリーは分かるけど、貴方は何を悲しんでるの?」

 

「だって王族が!象徴が消えちゃうんだよ!?」

 

 

それだけではない。一度落ちた家が復興することがどれほど大変か、それはロンですら知っていた

ゆえにロンは同じイギリスの住む者として、更にはドラコまでもがそれだけはどうかとお願いし、大勢がウィラへ懇願しに行ったのだが、己を不快にさせた家など本来ならば根絶やしだと言われては引き下がるしかなかった

 

 

「別にいいさ、私は元々その名に陶酔する家族が嫌で、家を出た口だからね。今更貴族社会に戻るつもりは微塵も無い。今回も陛下がおっしゃった最後の務めとやらでこんな仰々しい服を着てやってるんだ」

 

 

最高級のサテン生地をつまみあげ、乱雑に伸ばした髪を後ろに束ねた姿はまさに王侯貴族だ。しかしその顔色は優れない、逃げたピーター・ペテュグリューのことを考えているのだろう、しかしそれもすぐに消える。逃げた男のことより、今はこうして幸せを噛み締めることのほうが大切だと感じたのだ

 

 

「ねぇシリウス、これが終わったらどうするの?僕・・・もう少し貴方と一緒にいたい!」

 

 

あまりの嬉しさにハリーを思いっきり抱きしめ、ハリーもまた名付け親を抱きしめる

血の繋がりなど関係無い、それは家族の抱擁だった

 

 

「もうしばらく私はホグワーツにいるよ。魔法省からも莫大な慰謝料が貰えることが決まったし、ムーニー・・・リーマスだね。彼の“防衛術”の助手が私のしばらくの仕事さ」

 

 

「さ、彼女が待っている」とシリウスは彼等と共に、大広間を目指す

 

 

 

 

 

 

“大広間”

そこではこのホグワーツの生徒達、そして教師陣が歴史に残るであろう瞬間を目に刻み込んでいた

 

 

「____よって私、ブラック家当主、シリウス・ブラックは御身の名において、永遠に王号を名乗らぬことを誓います」

 

 

大広間の中央。そこで跪き誓いを立てるシリウス。本来ならば魔法で作られた誓約書にサインでもするのだが、真の絶対者である彼女に対し嘘など付けるワケもない

 

 

「良い、許す。これで卿等ブラック家の罪は許されたと知れ」

 

 

その声を聞いてブルリと身体を震わせるファッジ。それと対照的にウィラの後ろに毅然と佇むセイウチを思わせる老人に生徒の注目が集まり、このような儀礼に慣れていない一般の家庭・・・正確には魔法族生まれの者はヒソヒソと声を上げる

 

 

「・・・あれ誰?」 「ウィラ様の後ろにいるってことは、かなり身分が高いんじゃ」

 

「ハリー、あれ誰なの?」

 

「えっ、ロン!あの人知らないの!?エルドラド王国の大統領だよ!?」

 

「・・・ふぁッ!?」

 

「しー!煩いわよロン!」

 

「だってハーマイオニー!大統領だよ!?ファッジと同じくらい偉い人じゃん!」

 

 

それだけではないとハーマイオニーはロンに言う。彼、レゴラスが20年に渡り国を支え続け、王家に変わり国を統治することを許された存在であることを

 

 

「マグルの世界ではかなり有名よ、以前テレビで彼の息子とウィラが実は婚約者同士だからずっと今の地位にいるとか言われてたけど・・・」

 

 

しかしその様子は見た限り無い。その姿は完全に従者と主であった

 

 

「これでいいな大統領、我がエル・ドラド家はこれを持って彼等を許す」

 

「はっ!御身の決定、それに逆らう者など黄金治める王国に存在しませぬ」

 

 

うむ、と頷きその双眸を今度はファッジへ向ける

 

 

「・・・私の予定ではこの後、卿等にアレを引き渡す予定だったのだが・・・で?アレ、ピーター・ペテュグリューは当然、アズカバンにいるんだよなぁ・・・?」

 

 

瞬間、ファッジはまるで鉛の塊を飲まされたかのような錯覚に陥り冷や汗が止まらなくなった

先程の厳かな雰囲気など微塵も無い、これから始まるのは彼女を不快にさせた狼を探すゲームだ

 

 

「そ、その件はその・・・初めから私の所まで話が上がっておりませんでしたので・・・」

 

「おや、おかしいですな。我々の調べではファッジ大臣、貴方が彼等に行くよう命令したと聞いておりますが?」

 

 

何故それを知っている!?と声を大にして言いたかった。しかしそれをこの場で言えようワケも無い

完全に公式の場、更には学生までもが見ているのだ。無能であれど誰よりもプライドの高いこの男は取りあえず

 

 

「し、知らない!私のせいではありません陛下!!その証拠にピーターを運んでいた者は全て打ち首にッ!!」

 

 

すっとぼけることにした。その言葉を聞いて更に幻滅したと表情を変える主従に気づかぬままに

もはや話すことなどないと言わんばかりにウィラが手の甲を向ける。元より彼等をこの場に呼んだのはブラック家の衰退を公けに発表してもらう為だ、それ以外に意味などない

 

ゆえにウィラはもう彼等を帰らせて、わざわざこちら側の意志表示の為に来てもらった大統領を労おうと思ったのだが

 

 

 

 

 

 

 

「エヘン、エヘン!陛下♪発言よろしいでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ピンクの気持ち悪いカエルの置物が喋った・・・だと!?」

 




いかがだったでしょうか?

最初の方はイギリスとエルドラドの政治の在り方を対比してみたいとあんな感じに
イギリスは兎に角まとめきる者がおらず、すぐ怒号が飛び交い
エルドラドはウィラという絶対者を崇め、彼女を象徴とし、まとめ上げられてます


シャドウ「15で子供はまだ早い?なんの、歴代では10代目の妹君であらせられる11代目様など14歳で気づけばどこの男か知れぬ種で身籠っていたというのに」←軽い伏線です


基本エルドラドの政治家はスクイブが多いです
と言うのも、お国柄マグルと魔法使いの両方が暮らす国なので
両方の気持ちが分かる必要がある為です
(この辺も追々書いていきたいですね)


そして酒ビン片手に馬鹿やる二人
彼等は盛り上げ役のような存在です
こんな感じですが、円卓の立場は基本大統領より上です
(ウィラに一番近い存在ですからね)


次回予告は今回無いです
まだ内容がとくに思いついていないので


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黄金を知る者

3パートです

カエル
悪だくみジジイ
おいたん

となっています



ほんっとに今更ながら、この作品は作者独自の解釈が多々あります
「こんな考え方する人間いるんだふーん」程度で流してもらえれば幸いです



一目で猫が好きなんだと分かる

そこには猫、猫、猫__魔法で動き、鳴き声を上げる猫が描かれた皿が所せましと壁に掛けられていた。そして何より入った瞬間目に入るのはピンク一色の壁紙だ。それだけならば可愛らしい少女趣味な者がこの部屋の主なのだとほっこりするところだろう

 

そんな部屋が今、荒れに荒れていた

 

 

「くぁwせdrftgyふじこlp~~~ッッ!!!」

 

 

人とは思えぬ奇声を上げ、大口を開けてまるで今にも蠅を食らわんとするカエルのような人間__ドローレス・アンブリッジは先程までいたホグワーツで行われた侮辱を思い出す

 

 

__おい獣!見ろあの醜悪なカエルを!あれは何だ!?置物かと思ったら人語を語り出したぞ!?

 

__申し訳ありません黄金の君、あのような生き物は私も見たことがありませんが・・・もしやアレは“カエルのような人間”では?

 

__まさか、全てを愛する私が最愛種たる人を見間違えるワケがないだろう?アレは間違いなく“人のようなカエル”だ。ファッジ、何故このような場にピンクのカエルなど連れてきた?確かに私としてはとても面白いが・・・このような場でリアクションを求められても困るぞ

 

 

「オガガー!!ゲゲゲェェエ!!!」

 

 

顔を真っ赤にし、最愛たるファッジの言葉も聞かずその場で“姿眩まし”。ファッジもまた、こんな場所に一人ではいられないと言わんばかりにアンブリッジの後を追った

 

屈辱だった。栄誉あるイギリス魔法界、その頂点たる大臣補佐という最上級の地位にいる自分を無視するどころかカエルと見間違えようなど・・・ッ!!

 

怒りのあまり肌は栗粟立ち、ただでさえカエルと見紛うごとある容姿はガマガエルへと変貌していく

 

 

「・・・ケケケ、ゲーゲッゲッゲ!!__

 

 

 

__潰してやる」

 

 

所詮小国でのさばる古いだけしか能がない小娘が

魔法が効かなければ、単純な暴力で訴えればいいだけだ

ヨーロッパ中が黙っていない?まさか(・・・)、彼等も我々が頭に立ち、ただ一言声かけすればすぐこちらにつくに決まっている。あんな礼儀も知らぬ馬鹿に、今の自分のようにハラワタを煮え繰り返している者は多いハズ

 

 

「まずは円卓の化け物共をこちらにつけなければ・・・まぁ所詮神獣と言っても動物と変わらないのでしょう?なら適当にドラゴンの雄やエサをぶらさげてやればホイホイ着いて来るに決まっています。鬼人もそうだわ、小国に負けた風情で・・・“最強の亜人種”と言う表記も変えさせたほうが良さそうね、まぁ利用した後は捨てるだけだけど」

 

 

ブツブツと呟き、その残念な思考は更に加速していく

 

 

「混ざりものが混ざりものが混ざりものが混ざりものがッ!!見た目しか能がない、人とカエルの区別もつかない無能がッ!!」

 

 

まぁ、見た目だけは良いのだ・・・だから

 

 

「どうせ、まともな教育など親から受けていない・・・えぇ、そうでしょうとも。なんせこんなチャーミングな私を両生類と間違えるくらいですもの♪・・・適当な言葉で乗せて、紅茶に睡眠薬・・・いえ、ここは“生ける屍薬”がいいかしらね?眠らせて、そういう趣味(・・・・・・)の私がこういう時の為に囲った異常性癖者に、数か月に渡り○○(ピー)させて孕ませましょう!起きた時の知らぬ種で身籠った腹を見て、絶望に歪む顔・・・想像するだけでなんて甘美なのでしょう!!」

 

 

ニタリと嗤い、口が耳元まで裂けポタポタと零れるヨダレも気にせずアンブリッジは必死に謝り、その尊大な頭を踏みにじる自分とウィラを妄想する

 

しかし全てが勘違いであり、またアンブリッジはウィラのことを知らなかった

 

 

小国?__世界の名だたる大国が、決して手を出そうとしないのに?

こちらに着く?__まさか、それに・・・イギリス魔法界は各国に対し、エルドラド王国と比べ一足も二足もすでに遅い(・・・・・)。ゆえに断言できる__それだけは絶対にあり得ない(・・・・・・・・)

 

結局最後までアンブリッジは己の犯した全ての間違いに気づくことはない

 

 

 

ヨーロッパだけでなくアジア、更には遠く離れたオセアニアから日本・・・世界そのものを敵に回し見捨てられるその日まで、愚かなカエルは井戸の中で妄想と言う名の大海を泳ぐ真似しか出来なかった

 

 

 

 

 

「___クシュッ!」

 

 

突然悪寒が・・・風邪かな?でも今まで殆ど病気になったことないんだけどなぁ(恋の病なら絶賛負ってるがな!)

 

しかし、彼には悪いことしたなぁ・・・流石に突然大統領を呼び出したのは悪かったか?でも終わった後、軽く話しただけで礼言われたし・・・うん、今度彼の家族も含めディナーにでも誘うとするか!

 

 

獣が慌ててローブをかけようとするが、問題無いと伝えて校長室を目指す

 

 

「でも陛下がクシャミなんて珍しいッすね。誰か噂でもしてんじゃねぇの~?」

 

「だったら普段から止まらないだろ。この私だ、話題など尽きようもない」

 

「しかし、何故今回はダンブルドアの下へ行くのだ?この前黄金の君の間へ通したばかりではないか」

 

「今回はダンブルドアと話すだけが目的ではないからな。久しぶりに顔も出してやらないと・・・てかお前等ハシャギ過ぎ。特にトグサ、卿の国技など普通の人間にかけるでない。死人が出たらどうする」

 

「ん・・・?素人の相撲で死人・・・どういうことッすか?」

 

「だって前にネットで見たぞ!?足を振り上げただけで大地が揺れ、突っ張りをすれば大気を震わせ弾丸のような空気の塊が相手を襲う!!更には空を飛び、荒れた大地を更地へと変える!!・・・ジャパン恐るべし、流石卿を産んだ国だ・・・」ゴクリ

 

「それって『相撲』じゃなくて『Sumou』じゃねぇか!!ネットの海に騙されてますよ!?」

 

「おぉ!ジャパンにはそれほどの強者がウジャウジャおるのか!?しまったなぁ、ケンカ売るなら先にそっちにすれば良かったわい」

 

 

ワイワイ騒ぎながら校長室前にあるガーゴイル像を目指す

見えてくると何故か彼は項垂れており、陰鬱とした雰囲気を見せていたが・・・私にはそれが何を意味するか分かっていた。だから__

 

 

 

 

__悲しいかな、私如きでは・・・君を止めることはできぬのか・・・

 

 

ガーゴイル像の周辺は不自然に薄暗く、何故か彼も周りだけ照明のような灯りが点いていた

するとそれが消え、パッと彼の斜め前が不意に明るくなり、何故か音楽が聴こえだす

 

 

「悪魔(他のガーゴイル)を呼び出し、呼んでは壊し・・・歪んでいるな、正気じゃない。それがお前の__正義なのか!」

 

 

ちょうどいい所にあった椅子に片足を乗せ、蹴り出しさながら舞台のように私は両手を広げ、最後の問には力強く拳を握る

 

 

__俺のような像とは・・・真に愚かな像であり、一度今のような栄誉についてしまってはもはや引き返せない。ただの石の塊である俺が・・・なんと、皮肉な話であることか

 

 

しかしガーゴイル像もまた、その語りを役者のように変え立ち上がり、これまた適当に持った石くれを手の中で壊し、応対しながら粉となったそれをフゥっと私に吹きかける

 

が、そんなことどうでもいいと床に寝そべり

 

 

「ハッ!そんな話に興味ない」

 

 

いったん言葉を切り、互いに目を見合わせる。ここからが正念場だ!

スタイリッシュに一回転しながら立ち上がり、今まで以上に心を込め更にこの演目に没頭する

 

 

「私は_ただ__!そこを通してほしいだけなんだ!!」

 

__校長室だな!!

 

 

胸に手をやり万感の思いを込めて放ったにも関わらず、彼は私の前へ出て右手を天に掲げ、目的にしている場所を叫ぶ

 

 

__君が欲して止まないものは!俺がここで守る校長室への通路だな!!

 

「ハハァッ!そうくるだろうと思っていたよ!」

 

 

再びどこからか持ってきた、今度は長椅子に乗りアランに押し出してもらいながら、獣が懐から取り出した紙吹雪の中、ガーゴイルの前に更に出て笑いあげる。正直かなりテンションアゲアゲだ!だってあの名シーンを私達、再現してんだぜ!?

 

あとはゴツイ装飾を施したこのエアガンを撃って、ガーゴイル像との激闘を初m「させません」・・・え?」

 

「申し訳ありませんが長すぎです。御身の嬉しそうな表情を見れて感服ではありますが」

 

「だったらやらせてくれてもいいじゃん!後少しだったんだぞ!?」

 

__そうだそうだー!

 

 

しかし私達の訴えはこの石頭に通じず、結局私は獣に命じられたアランに担ぎ上げられ、そのまま校長室へ続く通路を上がる

 

 

「ガーゴイルゥゥウ!!」

 

__すまない黄金・・・俺の力が足りないばかりに・・・ッ!!

 

 

そこまでやって互いにグっと親指を立てた。どっちにしろまたここを通るのだ、顎ナス劇場はあれだけではない、最後も決めてこそのスタイリッシュだ!

 

 

__と、ここまでが来る道中での話だな」

 

「・・・長すぎじゃろ、それに獣殿ではないがツッコミ所が多すぎて着いていけんわい。・・・あのガーゴイル、そこまで高性能じゃったかのう・・・?」

 

「いらないならくれ、家でゲームの良い対戦相手になりそうだ」

 

 

遅かったから何かあったのか?と聞かれたから、こうして話してやったというのに・・・何だその呆れた表情は

 

 

「まぁ何もなければ良い、それで・・・お主は自分が何をしたのか分かっておるのか?ホグワーツの結界は修復まで今年度中はかかるし、アズカバンもそうじゃ、看守たる吸魂鬼は全て絶滅・・・まぁこれに関してはヨーロッパ各所から集結しつつあると聞いておるが」

 

「結界は変わりに我が『黄金の領域』を展開し、クソはまぁどうでもいいだろ。ほら、何も問題など無いではないか」

 

「っ!例えそうじゃとしてもあれはイカン!お主はイギリス魔法省を敵にするつもりか!」

 

「__?どれだ?」

 

 

何だその顔、知らないし分からないものはしょうがないじゃないか

ダンブルドアは深々と溜息をつき

 

 

「・・・アンブリッジに間違いなく目を付けられた、アレはかなりしつこい」

 

 

アンブリッジ・・・?そんな奴あの場にいたのだろうかと疑問に思っていると、顔に出ていたのだろう。「カエルじゃ」と教えてくれた・・・え!?

 

 

「あれ人間なのか!?あり得ないだろ!」

 

「まぁ気持ちは分かるが・・・」

 

 

ダンブルドアが何か言っているが、私はそれどころではない

 

 

「ああ・・・全てを愛すると決めたのに・・・父上、母上・・・お許しください。ウィラは不義理な娘になってしまいました・・・っ!」

 

「ショック受け過ぎじゃろ」

 

 

コホンと咳払いの音に、現実へと戻されダンブルドアが顔を引き締めてきた

 

 

「とにかくじゃ、今後のホグワーツは今お主にかかってる。流石の儂や教師達でも個人で集まり、あの結界の維持などできんでな・・・お主の『黄金領域』、アレはどれだけ維持できる?」

 

「はん、舐めてくれるな。この程度なら100年維持しても何も問題ない」

 

「そこまでか・・・今も祖国を覆う結界をお主が展開しておるのじゃろう?」

 

「卿は忘れたのか?この私は今や星に名を刻んだ3人目__“偉大なる黄金”であることを」

 

 

ダンブルドアは驚いているが、これは事実だ。それにクソ撲滅の為に放った『混沌より溢れよ(Du__sollst)__怒りの日(Dies__irae)

あれは魔法ではない(・・・・・・)。いや、魔法ではあるがあれはただ、世界そのものに私の渇望を流すだけ・・・正確に言えばごく僅かな魔力を道しるべとするので魔法とも言えるかもしれないが、まぁ微々たるものだ

 

 

「そういえばシリウス・ブラック、彼をリーマスの助手にしたそうじゃないか」

 

「うむ、本人も生家には帰りたくないようじゃし、以前住んでた家は恐らく蜘蛛の巣だらけで掃除も面倒じゃと。じゃから・・・」

 

「くはは___ダンブルドア(・・・・・・)

 

「ッ!?」

 

 

目を見開く彼を見て、私はついクスクス笑ってしまう

 

 

「嘘はいけないなぁ・・・なるほど、精神防壁を自分で書き換えたのか、無茶をする。だが・・・その程度でこの私を試そうなど・・・舐めてんのか?」

 

(まぁやり方が面白いのは認めよう、記憶を敢えてバラバラにして現時点での思考を読ませないようにしているな。しかしその分こちらは過去を見放題だぞ?・・・ウェ、グリンデルバルドとの若い時の絡みなんか見せんじゃねぇよ。吐くわー、マジこれ私のような純粋なお嬢様に見せるなんて変態だわー)

 

 

「本当にお主は・・・視えるのならわざわざ儂の口から説明せんでも良かろうに」

 

「会話は大切なコミュニケーションにして娯楽だ。魔法使いであるなら王である私に娯楽の一つくらい提供するのが務めであろう?」

 

 

ハリーに対する罪悪感か?と問えばダンブルドアは頷いた

 

 

「・・・あの子には悪いとは思うておる。あの家にハリーを連れて行ったのは儂じゃからな」

 

「だからせめて今だけでも、心優しい名付け親と共にいさせたいと?傲慢だな。別に良いじゃないか、シリウスと暮らしても」

 

「じゃが・・・」

 

「“守りの加護”か?別にいらんだろ」

 

「・・・何じゃと?」

 

「我が国から近衛騎士を貸そう、無論ヴォルデモートが死ぬまで。卿等イギリスの王室にも貸し出した程の精鋭だ。卿でもそうやすやすと勝てんよ」

 

(まぁダンブルドアが何と返すかは分かっているが・・・さぁ、私に娯楽を提供してくれ。“愉悦”というものを味合わせてくれ!)

 

 

そして、やはりと言うべきか、ダンブルドアは私が求めた答えを提供してきた

 

 

「・・・スマンが、信用できん。これはイギリス魔法界の問題であってエルドラド王国ではない。何よりハリーを危険な目に合せることなどできん、あの守りがあるからこそ預言は・・・ハリーは今まで無事じゃったのじゃから」

 

「・・・ック、くはは!!あぁ!そうか!そうきたか!!」

 

 

嗤いが止まらなかった、素晴らしい答え(愉悦)だ!

 

(ハリーを危険な目に合わせたくない?何と言う矛盾!更に預言を口に出したということは卿はやはりハリーを武器としか見ていない正銘だ!手入れを、自分が作った脚本を外れてほしくないという!!__あぁ、素晴らしい)

 

__ごちそうさま

 

 

「何が可笑しい・・・」

 

「いや、笑ってすまんな。しかしそうか、ならばこれ以上は無粋と見なそう。安心しろダンブルドア、お前の願いはきっと叶う。くはは!」

 

 

互いにすり合わせは終えた、後は帰るだけ・・・っと、これだけは親切心として伝えておこう

 

 

「知っているかダンブルドア。かつてイカロスという名の天才がいて、彼はその才により太陽に近づくことを許された。だが彼は何を勘違いしたか知らんが、己こそ太陽にとって代わる存在だと、太陽を地に貶めようとした。結果__」

 

「近づく為に作った蝋の羽は溶け、イカロスは逆に地に落ちることとなった。じゃろ?何が言いたい」

 

「そのままさ、その無駄に優秀な頭脳で考えろ。答えは・・・そうだな、死に際にでも教えてくれ。くはは!」

 

 

 

 

 

 

一人となった校長室で、ダンブルドアは震える手を何とか抑える

今年・・・いや、“偉大なる黄金”となってから、ウィラは全てにおいて以前とは比べものにならなくなっていた

その美貌は更に美しく、その魔力は間違いなく世界で比肩しうる者などいない程に。何より

 

 

「“Dies irae”・・・あれにまだ先があったなど悪夢以外の何物でもない」

 

 

“Dies irae”とは本来莫大な魔力にもの言わせて放つ、世界最強の呪文だ。その威力は山脈ですら破壊し、今でもヨーロッパ各地には初代黄金が放ったとされる跡が『最悪の暴君の跡地』として保護されている

しかし彼女が放った“Dies irae”は殆ど魔力を感じず、また感じた圧は以前彼女が一年生の時のソレとは違っていた

あれはまさに“終わり”だ。吸魂鬼が放つ死の雰囲気ですら比べ物にならない程、明確な“終焉”

 

すでにダンブルドアにウィラをどうこうする気は無かった。1500年起っても今だに魔力の残滓で草一つ生えないなどという、馬鹿げた痕跡を残した初代黄金ヴァンシエル・・・そんな存在と同じ“偉大なる黄金”となった彼女に手を出すなど恐ろしくてたまらない。ゆえに__

 

 

「何としても、ヴォルデモートの復活を阻止せねばならん・・・!!」

 

 

ヴォルデモートもまた、彼女とは違うが王としての才を持つ天才だ。二人の王が互いの意見を曲げるワケもない。間違いなくヴォルデモートは復活した際、彼女とぶつかり合うだろう。そうすれば戦場は間違いなくこのイギリス・・・ホグワーツだ

 

そしてその予想は近い将来的中する

復活したヴォルデモート、だが対峙するのはウィラではなく___“エルドラド王国の歴史そのもの”であることを、まだ彼は知らない

 

 

 

 

 

 

 

__あれから数日、リーマスの助手をしながら生徒に教鞭を振るう毎日

外から見た時あれほど恐ろしかった彼女の魔力が、中にいるとこんなにも安心できるなど知らなかった

 

 

「・・・まだかな」そわそわ

 

「おいパッドフット、いい加減落ち着いたらどうだい?毎日ハリーとは顔を会わせてるじゃないか」

 

 

そうなのだ、彼女のおかげで私は自由に、更にダンブルドアも心良く私がホグワーツに泊まることを了承してくれた。毎日息子と思っているハリーの笑う顔を見れてなんて幸せなんだ!・・・アイツ以外

 

 

「君はよく我慢できるな、えぇ?あのワカメと毎日顔合わせなんて私なら耐えられないね」

 

「そう言いながら朝食では教師の席に着いてるじゃないか、逆に言わせてもらえれば僕を挟んで互いに睨みあうの止めてくれないか?せっかくのご飯が不味くなる」

 

「しかたないじゃないか、ハリーにこの前「教師でしょう?」と言われたんだから。それよりもハリーだ、少し遅すぎじゃないか?」

 

 

この日をどれほど待っていただろう。そう、今日は待ちに待ったグリフィンドール!ハリー達の学年が“防衛術”の授業なのだ!・・・それに彼女も

 

 

「まだ怖いのかい?陛下が。流石に失礼じゃないか?」

 

 

「君の恩人だぞ」と言われてグゥの音も出ない

確かに私はまだ彼女が恐ろしい。いや、この最近で優しい方だという事は嫌というほど分かった

我が友ムーニーの秘密を知っても誰にも言わず差別もしない。何より王族や貴族と言えばマルフォイ家のように傲慢でありそうなのに、彼女は庶民も関係無く平等に接するのだ。あの行動にどれだけの生徒が救われているのだろうか。しかし・・・それでも怖いものは怖い

 

他学年に聞いた彼女の武勇伝

自らの魂に刻まれた心象風景の具現化に、あのバジリスクの討伐・・・そして今回の吸魂鬼殺し

外を見ればそこにはホグワーツを覆う薄い黄金色のヴェール。間違いない、あれがブラック家の書物にあった絶対守護魔法“黄金の領域”なのだろう。祖先の計算によると、あれを発動するには最低でも数百人以上の魔法使い、その全員が命を賭してやっとというのだからホントに驚きだ

 

少し話を戻すが、聞いた中で一番信じられないのは陛下とあのワカメの関係性だ

あんな根暗野郎を弟子にして、王自らが教える?これだけはホントに理解できない。何より朝食の時の彼女の顔だ、何故あんな奴と楽しそうに話せるのか

 

 

「それ、頼むから彼女の前で言わないでくれよ?あと考えないように。あの方の“開心術”を防ぐことも察知することも不可能だし・・・何より僕は彼女の怒りに触れたくない。何で怒るか分からないからね」

 

「あぁ、あの年頃の女の子は何考えてるか分からん。そう考えるとお互い歳を取ったものだ」

 

 

軽口を叩き合いながらもうじき始まる授業の準備を進める。次第に廊下の方から足音が聞こえてきた

 

 

「さ、ハリーに良い所見せたいんだ。頼むぞ我が友ムーニーよ」

 

「それは僕のセリフさパッドフット。それと僕が教師だからね?君はあくまで助手なんだから勘違いしないように」

 

 

 

生徒が集まりその中に陛下やハリーもいた、流石ジェームズの息子!国王陛下と友達とは流石だ!

途中ハリーがこちらを見て目を輝かせてきた。思わず飛び出して抱きしめたくなるが・・・いけない、今は教師、今は助手なのだ。一人の生徒を目につけては他の子達から何かハリーに言われそうだ

 

 

皆が席に着いたのを確認し、出席を取る

 

 

「__ハリー!」

 

「いや、ちゃんとファーストネームの方も言おうか」

 

「だが・・・それじゃあ何だか他人みたいじゃないか」

 

 

私達の漫才のようなやり取りに、皆クスクスと笑うがこちらの計算通りだ。リーマスに言われた通りにやったが正解だったな

進めていくと、ついに彼女の番になった

 

 

「__ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア陛下・・・この度は本当にご迷惑を・・・」

 

「待った。卿は今、教師でないとはいえ助手であろう?私は生徒、教えを乞う立場だ。ならばそのように扱うといい」

 

 

かなり上からの言い方だが、不思議と不快ではない。彼女が生まれながらの王器の持ち主であると分かる

 

 

「・・・分かった。・・・自分で言っときながら違和感がすごいな、皆よく平気だね」

 

 

おどけながら肩をすくめる私に、皆笑ってくれる。うん、教師とは思いのほか良い物だ

 

 

さて、授業の時間となった。今回私は少しブラック家に残っていた資料を集め(クリーチャーめ、まだ生きていたか)恩人である彼女も楽しめる内容にしようと思った

リーマスも面白そうだと乗ってくれたし、あとは彼女の了承を得るだけだ

 

 

「さて、今回はリーマスに代わり私が授業をしようと思う。その前に・・・ウィラ」

 

「__?何ですかシリウス助手」

 

「つい先日まで、ブラック家はエル・ドラド家という存在がありながら王家を名乗っていた。しかし・・・彼等はビクビクしながらそうしていた。それほどまでにこだわってたんだろうね。でだ、実はこのイギリスでブラック家ほど君達に詳しい者はいないと、これだけは自負している・・・どうかな、他人視点から見た君の生まれ、そのルーツをどうか生徒にも語らせてほしい」

 

「っ!面白そうだ!是非やってほしい!」

 

 

楽しそうにワクワクしているその姿に、私は内心ほっとすると同時に嬉しさがこみ上げてきた。なるほど、彼の国が彼女に心酔するワケだ

早速映写機を用意し、一枚の写真を写し出す

 

 

「さて、ここに写る写真。これはドイツだね。何の写真か分かる人・・・そうだね、ロン」

 

「うぇ!?僕!?えぇと・・・クレーター?」

 

「うん、少し外れ。おっとウィラには指さないよ?分かってるだろうし」

 

「くはは!確かにこれは良い。まさかこんなものを持ってくるとは」

 

 

しばし何人か指名するが、ロンと同じクレーター以上の答えは出なかった

 

 

「ではウィラ、お願いしようか」

 

「分かりました。卿等が当てきらなかったこのクレーター、正確には1500年以上前、我が祖ヴァンシエル陛下がヨーロッパ制定の際、放った呪文の跡だ」

 

 

とたんに信じられないといった声が上がる。私も初めは信じられなかったからな、分かるよ

 

 

「これでは分かりにくいだろうが、クレーターの直径は30キロメートル。ドイツだけじゃない、ヨーロッパ各所にも似たように草一つない荒野が広がる場所は多々ある」

 

「先生!何故これがその・・・ウィラの祖先がしたことだと?古すぎて分かるはずないじゃないですか」

 

「うん、ハーマイオニーの言う通り。確かにこれらに関して文献は何一つ残っていない、何しろ神話に等しい時代の跡だからね。では何故これがウィラの祖先の仕業だと分かったか、簡単な話さ。全てのクレーター、これらから全く同じ魔力が検出された。私も若い頃、旅行した際確認した。君達も海外を旅行する際見に行くといい、結構地元でも有名だ」

 

 

ザワザワと生徒達が興味深そうに考察を始める

多少“防衛術”とは関係ない内容だが、偉大な力の一端に触れることも良い経験になるはずだ

 

他にも祖先がまとめた考察や、私自身若い頃に旅した際書いて回った資料などを見せた。特にこのイギリスにも残る戦火の跡について、「実はヴァンシエルはあのアーサー王と戦ったのでは?」という内容はすごく食い付きが良かった。実際、時代的にも会っていておかしくないしね

 

 

「そろそろ時間か・・・リーマス、君から何か言う事は?」

 

「いや、楽しい時間だったよ。最後まで君がまとめてくれシリウス。ウィラ、君からは何かないかい?どうだった?君の家に残る文献と見比べて」

 

 

するとまず彼女はパチパチと拍手をくれ、その表情は非常に満足そうだった

 

 

「いや久々にここまで面白い授業を体験した。イギリス人でまさかここまで我がエル・ドラド家について調べている者がいようとは驚いた!とくにアレ、アーサー王と陛下が戦ったかもしれないというのは良いな!私でも思いつかなかった、夢が広がったよ」

 

 

彼女の話も終わったようなので、皆を見渡し

 

 

「君達は今すごく幸福な時代にいる。闇の帝王が滅び去り、新たな時代を担うのが君達だ。何よりそこに座る彼女、彼の“黄金の君”と共にいられるなど本当にあり得ないことだ。先程も見せた通り“黄金”がヨーロッパ最古の王家にして魔法使いなのは疑いようがない事実だ、そして神話の血を受け継ぐことも。子供ができたら誇りなさい、自分はあの“偉大なる黄金”ウィラトリアと学友であったと!」

 




途中のガーゴイルとのくだり。アレの元ネタ分かった人いるでしょうか?
(てか今更ですが5出るんですよね、ヤベェ、まじ吼えた)


結構リーマスとシリウスの絡みは書いててすごく楽でした
ウィラ様教徒と無意識に成り果てたおいたん
(デコ出しロリはいいぞぉ?)
大人で子供の心を忘れない人って感じを出す為に
少しキザな喋り方させましたが雰囲気出てましたかね?



次回予告


「シシー、恐ろしいな。夜は寒く、しかし上に立って良いと印を与えられ・・・太陽はあまねく全てに恩恵を与え、かつ隷属することに何の躊躇いも持たせてくれない・・・仕方無いな。彼女は生まれながらの王だ」

多分この作品で一番胃が痛い人__ルシウス・マルフォイ



「ハリー、こりゃ無理だぜ?ウィラに使えない呪文なんか僕達庶民にできっこないよ」

早くハー子と付き合えや__ロン



「___何?“守護霊呪文”のコツが知りたい?」

最近胸がおっきくなってきて人知れず狂喜乱舞しました__ウィラ




あの子(・・・)は生徒だぞ!?いつからセブルス・スネイプ、キサマは畜生以下の外道になったのだ!?」

最近ウィラからのアプローチに時々眠れぬ夜を過ごすロリコン予備軍__セブルス・スネイプ



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黄金と手紙

前回、前々回の感想
アンブリッジアレルギーの方多すぎません?

感想を読んでいる時の作者
「・・・酒の味とは変わるものだ」

おかげ様で愉悦成分補給できました
ありがとうございます

これにてアズカバン終了です


それとお詫びを
以前から言っていた「くっ殺ウィラ」と下書きのみしていた絵ですが
下書きを消去し、もう一枚の方も描くの止めました

理由は二つ
一つは下書きそのものが消え、かなり良い出来だった為に気力がなくなったこと
もう一つは投稿した下書きを見直して、気に食わないと感じたからです
それとああいう場面の絵はしかるべき時にと思ったというのもあります
(全部で3つですね、すみません)


ただ円卓は下書きも納得の出来なので・・・敢えて言おう
期待してくれと・・・ッ!!(自分で自分を追い詰めます)



クリスマスが近くなってきた

この辺になるともう私は大忙しだ!

私宛の招待状や、逆にこちらが招待する人間の厳選・・・マジ無理、パーティーなんか滅びればいいのに

しかし現実はそうはいかず、私はこうしてペンを走らせる音と共にSan値も削らしていた

 

 

「___何?“守護霊呪文”のコツが知りたい?」ガリガリガリ!

 

「うん・・・てかホントに毎年凄い量だね、全部招待状の返事?」

 

「ハリー、いくらリーマスが言ったからって今のウィラにお願いするのは止めとこうよ」

 

 

どういうことだと視線を紙とペンにやったまま話を聞くと、なんでもハリーは吸魂鬼に襲われやすい(まぁ絶望とかに染まりやすいだろうし)ので、ダンブルドアがリーマスとシリウスに習うよう言ったんだとか

確か原作では幸せを想像しにくいとかで中々出来ないんだっけ?でも今はシリウスがいる。それでも私の所に来たのは歳が近く、感覚が近くて使えるであろう人間が他にいなかったのだとか

 

軽い休憩も兼ねて聞いていたが、しかし・・・“守護霊呪文”か・・・うーん・・・

 

 

「え、貴女でも使えないの?」

 

「ハリー、こりゃ無理だぜ?ウィラに使えない呪文なんか僕達庶民にできっこないよ」

 

「いや、使えるのは使えるんだが・・・ハリー、卿は確か一度だけ“守護霊呪文(エクセペクト・パトローナム)”が成功したんだよな?」

 

 

たった一度、しかし私はそれを見た

あの後再び吸魂鬼がホグワーツに入って・・・いや、あの時の撃ち漏らしだな。ボロボロで今まで何とか生き延びていたのだろう、それがやり直しとなったグリフィンドール対ハッフルパフの時に出たのだ。再びアレ等からしたら襲いやすい類であろうハリーに向かい、見事ハリーは“守護霊”を召喚した

 

 

「美しい牡鹿であったな。ハリー、それとハーマイオニーなら分かるだろうが、“守護霊”とは本来何かしらの獣の姿をしていることがほとんどだ」

 

「うん、確かリーマスのは狼だったよ」

 

「シリウスも私達見せてもらったけど、彼はブラックドッグだったわ」

 

「そう、つまり己の在り方が“守護霊”を形作る。・・・だから私は使えるが使うワケにいかん」

 

「え、何で?」

 

「私の根本に刻まれた在り方は“黄金”だぞ?私だけでない、父や祖先も呪文を使った際の守護霊は決まっている」

 

 

そこまで言うと流石ハー子。しばし手を顎に当てて考えるとすぐさま答えを出して来た

 

 

「__ッ!?まさか・・・嘘でしょう!?」

 

「おいハーマイオニー、一人納得してないで僕達にも教えてよ」

 

「ウィラ、貴女の守護霊ってもしかして・・・」

 

「そう、ヴァンシエル陛下だ。死してなお子孫を守ろうとは、流石私が唯一敬愛してやまない存在だ」

 

 

あれは確か魔法を習ったばかりの頃だったかな?転生して、習う内にこの世界が『ハリポタ』だと気づき、まずまっ先に使ったのが“守護霊呪文(エクセペクト・パトローナム)”だ

 

降臨された陛下の姿に、私は初めて感動の涙を流した覚えがある

 

 

「だから使えん。特に卿等ヨーロッパ人の魂にはあの方の恐ろしさが刻まれている。ゆえに国際法で私達エル・ドラド家は守護霊呪文(エクセペクト・パトローナム)”を使うことを禁止されている」

 

「国際法って・・・そんなのどこの教科書や本にも載ってないじゃないか!」

 

「ロン、そりゃそうだ。だってこれ裏で決まったこと・・・ヤベ、言っちゃいけないんだっけ?今のオフレコで」

 

 

だから力になれないと言ったら目に見えてハリーが落ち込んだ。そこまで使いたかったのか?と聞くと、何でもシリウスに褒めてもらいたいんだとか。思わず可愛いと頭を撫でた私は悪くない

 

 

「ちょ、止めてよ!その・・・恥ずかしいから」

 

「くはは!良いではないか、努力する者に褒美を与えるのは王の務めである!」

 

 

それとどうやら一度だけ成功した時シリウスとリーマスも見ていたようで、「父親のジェームズを同じ守護霊」だったそうな。だからか・・・そうだな、父君にはいつも近くでいてほしい。それは私も同じだ(今更だけど、私ってファザコン・マザコンだよな?今でも一緒にお風呂入りたいし)

 

 

 

軽くではあるが、私なりの呪文に対するアプローチの仕方を伝え、それで満足したらしく「今すぐ試してみる!」と防衛術の教室へと走っていった。ボガートでも使うのだろう

 

 

ハリー達に手を振り見送ると、今度はドラコがやってきた

 

 

「ウィラ!君の招待状届いたよ!」

 

 

そう、今年は我がクレーリア城にてイギリス“聖28一族”を誘ったパーティーを行うのだ!去年はバジリスク騒動のせいで出来なかったが、今年は無問題!・・・まぁ本当ならば私が“偉大なる黄金”となった記念すべき年。国はおろか国外からも多数の王侯貴族を招待して盛大なパーティーを行わねばいけないのだが、友であるルシウスがせっかく今回の為に走り回って“聖28一族”をかき集めたと聞く。ならば彼の徒労に報いねば

それをドラコも理解したのだろう。今度は打って変わってこちらの様子を伺ってきた

 

 

「でも・・・大丈夫かい?今年は君にとって大切な年じゃないの?」

 

「なぁに、己の息子を私に紹介してくるしか能が無い連中集まるパーティーなどよりも、卿等朋友親子と語らう時の方が遥かに大事。そら、問題などどこにある?」

 

 

心配など無いと笑顔を浮かべるが・・・うん、ゴメン

 

(お願いです今すぐこの返事書かないとマジ色々遅れて城のメイドや特にシャドウから「今年の返事が遅れたら・・・分かっておりますね?準備がどれだけ大変か一度体験させてさしあげましょうか?」って脅されてるんです!だからお願い!!大切なことは全部招待状に書いたじゃん!!お願いですから集中させてください何でもしますから)

 

 

詳しい内容は招待状に書いてあるから、そちらを見るようにと会話を打ち切り再び紙とペンに顔をやるが・・・休憩したいお

 

 

「獣―、尻尾出せ。モフりながら書くから」

 

「ダメです。途中で飽きて投げ出すか、寝てしまうではないですか。今年は特に招待状も招待客も多いので、決して甘やかすなとシャドウ殿から言われております」ニッコリ

 

「・・・ケチ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスマス休暇が来た。今年もいつの間にか部屋に入れられた大量のプレゼントのリストを作りながらの開封の儀式だ

 

 

「えーとこれは・・・え、婚約指輪?キモっイラネ(ポイ)お!これはハー子か、毎年腱鞘炎用の軟膏くれるけど、結構助かるんだよな~。これは・・・ヴぇあ!?え・・・『ウィラ様に踏んでもらいたい大勢の書状』・・・だと!?」

 

 

・・・まぁとにかく色々凄かったとだけは言おう

それとセブルスからも送られてきた!なんでも日頃の礼だとか。どうせならセブルスの子供が欲しいな~・・・な、なんて・・・ッ///!

 

今年はシリウスもいるからハリーも彼の家に行くのかと思いきや、ホグワーツで過ごすらしい。シリウスもハリーと一緒にいるということで、ハー子とロンは家に帰るのだとか、義理とはいえ家族の時間を邪魔したくないのは私も同感だ、だから彼には招待状を出してない。それはウィーズリー家やロングボトム家もだ。まぁ、呼んだ連中が連中だからな、いい加減立場を決めてもらわねば

 

 

「凄いッすね、これとか何スか?ブラジャー・・・?アランの旦那ァ、はいコレ」ポイ

 

「おぉ!これが人間が着けるという『大胸筋サポーター』か!!欲しいとは思っていたが__」

 

「ちがぁう!!ヤメロォ!!気持ち悪い!!二重の意味で気持ち悪いから捨てろぉ!!」

 

「黄金の君、準備は整いましたか?そろそろアルヴィー殿がホグズミート駅に到着する予定です」

 

「もうそんな時間か?では帰るか、我が愛しの王国へ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__クレーリア城に数ある一つの大広間

魔法使いにとっての死地と昔から噂されるエルドラド王国。ここに足を踏み入れるのはイギリスを代表する貴族達、“聖28一族”でもあまりいない

 

 

「ルシウス殿、この度は我々に貴重な一夜を感謝します」 「まさか生きてる内にこの国に足を踏み入れることになるとは」   

 

 

イギリス魔法界貴族筆頭。つい最近王家であったブラック家が地に落ちてその地位が更に盤石となったルシウス・マルフォイに大勢の人間が羨望の目を向ける

それぞれの家の当主、更には親戚等々__それを涼しい顔で捌くルシウスの隣で、次期当主として目を輝かせ学ぶドラコ

 

 

「いえ、この度は全て“偉大なる黄金”、ウィラトリア様の計らいのおかげ。感謝を伝えるべきはあのお方であり、私に言うのはお門違いというもの」

 

次々と挨拶を言いに来ては離れて行く

全員__とまでは言わないものの、これほどまでの貴族が集まることは筆頭たるマルフォイ家で行われるパーティーでもそうは無い

全員ではない理由はそのままだ

このような場所を好まず、また他の“聖28一族”と折り合いが悪いウィーズリー家(ルシウスも一切声をかけなかった)

ロングボトム家はまだ当主と言えるネビルが夜会に一度も出席したことがなく、またオリバンダー家は仕事を優先しゴーント家などそもそも呼べるはずがない。それでも100を超える魔法使い___闇の陣営に所属する者が一堂に会するこの場は一言で荘厳と言えよう

 

 

「__ドラコ、他の子供達とも話してきなさい。お前もいずれは私に代わり当主となる男だ、動かぬ者に人は着いてこないと知りなさい。まぁ、あのお方を見ているお前なら分かると思うが」

 

「っはい!では行ってきます!」

 

 

 

 

__息子であるドラコがいなくなり、今だけはしばしの休息を妻であるナルシッサと共にとっていた

これ程の人間を集めたのは初めてだ。しかし手を抜くという選択肢だけはあり得ない

去年から彼女は言っていたではないか、立場をいい加減決めろと・・・あの時は何故か己に叱責があると待ってくれたが・・・それももう限界だろう

 

 

「・・・貴方」

 

「あぁ・・・分かってる(・・・・・)。だが・・・」

 

 

ドラコから全て聞いているし、魔法省の自分に手のかかった者からも聞いた。“偉大なる黄金”__闇の帝王ならば、彼の吸魂鬼を手下として使役するだろう。それは事実十数年前にも計画されていた、しかし・・・あの方でもソレを滅ぼすことが出来るだろうか・・・?

 

ルシウスは悩んでいた、もう彼女との付き合いも6年近くになる

 

 

___ふぅん・・・卿が・・・私を試すか?良いぞ、許す。ヴォルデモートが滅びても、その身に刻まれた恐怖と忠誠心だけは認めてやろう

 

 

初めからあの方は全てを分かっていた。その上で己を友として迎え入れてくれたのだ。それだけではない、何度も行ってくれたではないか__「卿等を迎える準備はすでにできている」__と

 

 

「・・・シシー、私は・・・」

 

「えぇ、分かってるわ。・・・あの子が生きてくれれば、マルフォイ家は潰えない。ただ幸せになってくれれば・・・」

 

 

恐怖は消えてない、闇の帝王の覇気、そのカリスマも__あの方はまさに闇だ。泥のように渦巻く汚れた黒ではない

暗く・・・どこまでも暗い闇の象徴。鴉の塗れ羽のように艶のある黒。あれを知れば夜を歩くことに憧れない魔法使いはいないと断言できる

 

 

(しかし・・・太陽そのものには勝てない・・・か)

 

 

それと比べて彼女はどうか

 

まさに黄金。エルドラド王国に入国する度ルシウスは思う

誰もが彼女の傍に、彼女の為にその命を燃やすことに躊躇わず、日々その安寧を願う

もし・・・もし自分がこの国に生まれていて、あの方に初めから仕えていればどれだけの栄誉であったことか

イカロスのように、まるで炎に誘われその身を焦がす蛾のように・・・光そのものである彼女に近づいては網膜を焼かれて行く

 

 

「シシー、恐ろしいな。夜は寒く、しかし上に立って良いと印を与えられ・・・太陽はあまねく全てに恩恵を与え、かつ隷属することに何の躊躇いも持たせてくれない・・・仕方無いな。彼女は生まれながらの王だ」

 

「あの方の前では誰もが傅き跪くしかない・・・人の上に立つ為に生まれたような方ですもの。“偉大なる黄金”となられたことも、全ては運命」

 

「ふっ、ウィラトリア様が聞かれれば怒られそうだ。きっとこう言うぞ?「私は私の意志を持って卿等を導くのだ」と・・・決めたぞシシー、私は・・・」

 

 

そこから先は続かない

まだこの場の者は闇の帝王がいないとは言え、“死食い人”ばかり

何よりこの場にいる儀仗兵が、ついに彼の王族が来たことを告げたのだ

 

 

「前国王陛下ジブニール様、及び王妃オレンシア様ご入場!!」

 

 

以前ルシウスが見た時と変わらず、ジブニールは白髪のままだ。しかしそこには老いを感じさせない生命力、黄金に輝く鋭い双眸がこの場の全員を捕らえ目を離させない

オレンシアもまた、いつものようにジブニールに腰を抱かれその胸板にしな垂れかかっていた。子供のように花開いた笑顔を浮かべ、夫の隣に侍る様はまさに良妻賢母を彷彿とさせる 

 

彼等が入った瞬間、一斉に人が群がる。それは滅多に会うことができないヨーロッパ魔法界真の王族への自己紹介、または今だに姿を見せないウィラへのお見合いの紹介等々__

 

この時ルシウスは彼等のように、ジブニール達も下へは赴かなかった

彼等がこのように媚を売って来る相手を心底嫌っているのは付き合いで知っているし、それはまたウィラの朋友たるドラコも同じだ。そんなマルフォイ家を見て賢い者は彼等の真似をして、しばらく待つ

 

少しして、マルフォイ家が挨拶に向かう

 

 

「まっ先に向かわねばならぬ所をお許しください。壮健そうで何よりですお二方」

 

「いや、こちらを気遣っての事であろう?嬉しく思うよルシウス殿」

 

「夫の言う通りですわ、ナルシッサさんもお元気そうで」

 

「ありがとうございますオレンシア様」

 

「あの、ウィラ・・・陛下はまだ来られないのですか?」

 

「あら、良いのよドラコ君ウィラで!あの子から聞いたわ、これからもよろしくね」

 

 

給仕から受け取ったグラスを手に談笑を始める。そこに他の者が入り込む隙間などない、入ろうとしてもそれは礼儀を知らぬ者として今後扱われるだろう

なので彼等はジブニール達の観察に入る。少しでも自らの利益になるよう

 

ジブニールの存在、そしてオレンシアもまた有名だ

互いに一目惚れからの身分や歳の差など関係ない大恋愛。当時フランスから妃をエルドラド王国が突如迎え入れたというのはヨーロッパ貴族の間で噂になったものだ。最近彼等の出会いまでの軌跡が舞台になったとも聞く

白髪となり、もはやジブニールは“黄金”としての継承権を失っている。しかしウィラと同じく後ろに撫でつけられた髪はまるで星々の輝きのように見え、先程も言った黄金色の双眸はまるで銀河に浮かぶ、恒星のように見える

オレンシアもまだ30代という事で、この場の結婚した女性陣の中でもかなり若い部類に入る。それでも今だに学生にしか見えない容姿は流石王家に嫁入りした女性と言えるだろう。華奢な身体にしては大きい胸がジブニールに押し付けられる度、男性陣は釘づけとなり、女性陣から冷ややかな目が送られる

 

話が区切りをつけたのだろうか、ジブニールがグラスを片手に周りを見回し

 

 

「此度は我が娘、ウィラトリアの誘いに来てもらって嬉しく思う。しかし今言ったように今宵の主賓はあの子だ、私ではない」

 

 

それは己はもはや王でも何者でもなく、ただあの子の親であると言っていた。その喋りにルシウスは彼が少し不機嫌になっていることが見て取れた

 

 

(どれだけ・・・ッ!?一体この場に呼んだ者達は何を勘違いしているのだ!?少女だから・・・自分達より幼いからと侮っているのか!?)

 

 

懸念は当たっていた。まだしっかりとウィラに会っていない彼等はごく普通に親に話をつけるのは当たり前と、現当主(・・・)であるウィラではなくジブニールへと群がった

しかしそれもこの瞬間まで。儀仗兵が先程以上に慌ただしくなり、ついに“偉大なる黄金”はイギリス貴族の前に姿を現す

 

まだ姿を現していないにも関わらず、儀仗兵達や給仕がその場で一斉に胸に手をあて跪く

 

 

「第79代現国王にして“偉大なる黄金”“黄昏の君”__ウィラトリア陛下御入場!!」

 

 

カツリ__と足音が広い会場に響く。誰も声を、ヒソヒソ話すらできない。そのカリスマ性は会場全域を飲み込んでいた

 

黄金の鬣が如き髪をたなびかせ、大勢の大人がいようと関係無くその歩みを進める

 

紅いドレスの上に豪華なローブを軽く羽織り、誘うように見せている肩と深いスリットから覗く足が何とも色っぽい

流し目で一人一人を捉え、たった一言__

 

 

「ふむ、思ったよりも多いな」

 

 

集まった者達の殆どが“死食い人”だ。ゆえに彼等はカリスマの頂点とも言える闇の帝王__ヴォルデモートを見て話したこともある

しかし・・・今のウィラはヴォルデモートですら生温いカリスマ性で持ってこの場を支配していた。声を聞いた途端震えが止まらない、それは恐れからではない。魂に刻まれた“黄金”その威光、天上の調べとは斯くありと、彼女の美声に酔いしれていた

 

 

「ふふっ、ウィラ凄く綺麗だわ!」

 

 

誰も動けない中、親であるオレンシアがウィラに抱き着く。ジブニールも更にその上から軽く二人を抱きしめる

 

 

「母上にだけは言われたくないです__何故私はここまで胸が大きくならんのだ(ボソ)コホン。父上も父上ですよ?私の中の理想の男性像が跳ね上がっているのは父上のせいです」

 

「ふはは!まさか娘から告白あれる日が来るとは!__綺麗だよウィラ、婿を取るのが惜しいくらいにな?」

 

 

眩しい__王家が、“黄金”の血筋が一堂に会するとここまで存在感を放つものなのかと誰もが考えていると、いつの間にかウィラの手元にもグラスがあり

 

 

「集まってくれた卿等にまずは感謝を。楽しまれよ、それとある程度時間が立ったらこの場にいるそれぞれの当主殿達と話がしたい(・・・・・・・・・・・・・・)。グラスは持ったかな?では___iubentium(乾杯)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__時が立つのは早い。もうすぐ今年度のホグワーツも終わり、また長い長い夏休みに入る

 

獣が淹れてくれた紅茶を一口飲み、今年あった事に思いを馳せる。ホントに色々あったものだ

 

 

(“偉大なる黄金”から始まり、私という転生者への折り合いをつけた)

 

 

前半は兎に角大変で、後半はシリウス関係・・・待てよ?

 

 

「後半シリウス・・・クソ(吸魂鬼)とクソ(ハゲデブ鼠)・・・全部アイツが連れて来てんじゃねぇか!!ふざけんなオイ!私の楽しい学生生活を返せ!私がどんだけ先生達に怒られたと思ってんだ!!」

 

ビクゥっ!「え・・・私?」

 

 

グリフィンドールで当たり前のように最後の朝食をハリーの隣で食べるこのオッサンに文句を言う(え、私は何故いるって?だって私だもん。うん)

 

シリウスは意外とイケメンで紳士的(らしい。私にはよく分からないが)で寮問わず彼等の“防衛術”の授業は大好評のまま終わった。リーマスも今年に引き続き、来年も教師をすることが決まった

そう、彼はなんと“一年ごとに変わる防衛術の教師”、その呪いを見事に跳ね除けたのだ!これには生徒も教師も喜んだ、毎年変わられては内容や教え方が変わって分かりにくいし正直助かる

 

他にもなんと、今年の寮杯はハッフルパフ!セドリック達が取った。あまりにビックリで一年の時の『レイブンクロー杖洗脳事件』を思い出した私は悪くない(またこの煩いヴァカが何かやらかしたのではとハラハラした)

何でも少しでもセドリックがニールに近づくよう、寮の仲間に「たまには本気を出さないか」って・・・セドリックェ・・・トグサが混じってるぞ

でもまぁ、それで皆をまとめて引っ張った手腕は流石の一言に尽きる。今年の夏休みはエルドラド王国に行ってみたいと言ってたし、ニールも呼びたいと言っていたから褒美として招待しようかな?

 

 

「ウィラは夏休みどうするの?」

 

「また招待してよ!双子がさ、あの綺麗なお姉さんに会いたいって正直煩いんだよ」

 

「・・・ふん、どうせ貴方もでしょ?男っていっつもそうなんだから」

 

「夫婦喧嘩は他所d「「夫婦じゃない!!」」はいはい。済まないが、今年はかなり忙しいんだ。呼ばれてるからな」

 

「__?呼ばれてる?どこに?」

 

「内緒、まぁすぐに卿等にも分かる」

 

 

なら教えてくれとロンが迫って来るがそうはいかない。私はこれでも諸人の象徴たる王、約束事は守らねばならない

何より今回は世界中の国々が関係しているのだ、絶対に成功させねば___『世界クディッチワールドカップ』を

 

 

席を後に立ち、それぞれに最後の挨拶をして回る。途中あの場にいた“聖28一族”の子供達にあの後何を話したのか聞かれたが、まだ話すわけにいかない。と言うよりは彼等の親が話してないなら言うワケにいかない__彼等のこれからの人生を決めることなのだから

 

 

 

 

「___ん?ヘルメス?」

 

 

最後にセドリックに夏休みエルドラド王国に来ないかと話をし終えたあと、ヘルメスが甲高い鳴き声と共にやって来た

私に代わり、獣が彼を肩に乗せ、その足に付いている暗号文の入った管を手に取る

 

 

「・・・黄金の君」

 

「分かった。アラン、トグサ、見張れ」

 

「「御意」」

 

 

誰にも読めないことは分かっているが、念には念をと言ったところだ

宛先は私、更に送り主は何とヨーロッパ魔法協会!魔法界の総本山からの手紙だった

 

 

「ふむ、ふむ・・・はぁ!?」

 

 

驚きのあまり何度も目を通すが内容は不変のまま変わらない

 

 

(・・・最悪だ・・・わ、私の学生生活が・・・セブルスとの二人っきりの逢瀬がっ!!)

 

 

 

後の話になるが__私はこの一枚の手紙のせいで、ホグワーツを退学(・・・・・・・・)せねばならなくなった。内容はこうだ

 

 

 

 

 

__100年ぶりの三大魔法学校対抗試合(トライ・ウィザード・トーナメント)を開催したく、つきましてはヨーロッパ魔法界の王。第79代エルドラド王国国王ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア陛下を最高責任者に任命したい所存でございます

 

良き返事をお待ちしております__

 

            ~~ヨーロッパ魔法協会より~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホグワーツの地下、セブルス・スネイプの研究室では夏休みとなった後もスネイプが日夜魔法薬の研究に励んでいた

 

かつてこれほどまでに何かに没頭した日々があっただろうか。いや、今でも“防衛術”の教師になりたい気持ちは変わりない。しかし最近は新たな発見が日々ある__誰にも邪魔されないウィラとの二人っきりの会話が楽しくてしょうがない

 

 

「・・・吾輩も、毒されたものだ」グツグツ

 

 

思えば己には友と呼べる存在が少なかった。いてもそれは先輩であるルシウスや後輩で今は亡きレギュラスくらいか

だが彼等でも、ここまで話が弾んだことはあったかと問われれば疑問も出る

 

 

「しかし・・・彼女も変わっている。何故吾輩に良くしてくれるのだ」

 

 

己は嫌われ者だ。自覚はあるし、そうなるよう誘導もしている__いざという時誰も悲しまないように・・・誰の記憶にも残らぬよう

 

そう考えると自虐の笑みが出て来た

結局己もまた、憎きピーター・ペテュグリューと同じ夢の中でしか生きていない。初恋という夢の中でしか・・・

 

考えながらも薬を作る手は止まらない。ウィラのおかげでその腕前はもはやイギリスに並ぶ者などいなくなっていた

 

 

「・・・ん?鰓昆布が足りんか」

 

 

買いに行こうとしたが、今目を離せば全て失敗となる

 

 

「__エクセペクト・パトローナム」ヒュっ!

 

 

ゆえにスネイプは守護霊を用いて、店の者に持ってくるよう命じようとするが

 

 

 

 

 

「__ッ!?馬鹿な・・・っ!?」

 

 

ガタリ__と身体が大鍋に当たり、中身が全て零れたが今のスネイプがそれに気づくことはない。それほどのショックが彼の目に入っていた

 

あり得ない(・・・・・)あり得てはいけない(・・・・・・・・・)。守護霊とは即ち己の心の在り方を映し出す鏡のようなもの。ゆえにその時の心象がダイレクトに影響する

しかし・・・これだけはあってはならない

 

 

「・・・ふざけるな・・・っ!吾輩がどれだけ・・・今更変われるワケないだろう!?」

 

 

目元を覆うように、両手で抑えスネイプは認めない

 

 

(何年彼女を思ってきたと・・・っ!あの男が、ジェームズ・ポッターが彼女に目を付ける前から何年この気持ちを抱えてきたと・・・!?子供の頃から彼女を・・・リリーのことだけを思って身を引き、何度あの夜を後悔してきたと思っている!!)

 

 

何より__

 

 

あの子(・・・)は生徒だぞ!?いつからセブルス・スネイプ、キサマは畜生以下の外道になったのだ!?」

 

 

その声は己が憎くてたまらないと万感の憎悪を込め、自らを呪っていた

 

しばらく立ち、フゥっと息を整えもう一度スネイプは己が呼び出した守護霊__雌鹿へと目をやる。これ以上現実から遊離してなるものかと

 

 

 

しかし何度見ても結果は変わらず__

 

 

 

 

 

 

 

___彼の呼び出した雌鹿は、身体の所々を黄金色に輝かせ(・・・・・・・)_スネイプの瞳を見て離さず

 

 

そんな雌鹿の目をスネイプが合わせることは一度も無かった

 




フハハ!誰も予想できなかっただろう!?ウチのウィラが試合や名誉とやらの為に動くワケないではないかヴァカめっ!!

・・・はい、すみません調子乗りました
以前から「炎のゴブレットってウィラ出た瞬間マジ終わるじゃん・・・」と考えこういう展開に
※例__「開幕ぶっぱ(Dies irae)超気持ちいいれす(*´▽`*)」

我等がウィラ様には最高責任者として関わってもらうことにしました


今作では全くでなかった『逆転時計』
ハーマイオニーは早めにマクゴガナルに返してます

バッグビークに関してもドラコが徐々に男になりつつあるので
処刑などは無し。適当に生きてます


アルヴィーが到着したホグズミート駅では
何故かガンランスや大太刀を構えた村人が「一狩りしようぜ!」と構えていたとかなんとか


ハッキリ言っておきますがこれまでは序章、そしてここからが本番です
更にウィラと周りの家臣団がイギリスホグワーツを舞台に大暴れします

他にも『Dies irae』要素(と言うかLight作品要素ですね)が更に強くなります
次の章の為に今まで詠唱も何も言わせなかったと言っても過言ではないです


そして徐々に自覚しつつあるスネイプ
彼がどのように苦悩し、どのような答えを出していくかも楽しんでもらえれば幸いです
(終わり方だけは決めてます。ハリポタss史上見たことがない終わり方と自負しています)



次回予告





「抱きしめてと・・・卿等が言ったのだ。安心しろ・・・壊れてもなお、我が抱擁が卿等を離すことなど__あり得んよ」

黄昏の異名を持つ偉大なる君__ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア


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閑話
黄金と王の在り方


ただの会話回です(まぁ殆どがそうなのですが(汗)


そろそろ10代目黄金カールの語りも入れたいのですが
タイミングを見失ってます


ヨーロッパ魔法協会

 

スイスの首都ジュネーブの名所、三日月形に広がるレマン湖__その地下に本部がある

イギリスからフランス、更にはエルドラド王国も加盟しており、かつて魔法界を存続させた功績を持つ10代目黄金の意志を受け継ぎ、後世に魔法を残すことを目的に作られた組織だ

 

イギリス魔法省以上の権力を一応(・・)有しており、協会の長ともなれば各魔法省大臣でも頭が上がらず、ダンブルドア等の国を代表する魔法使いでもそうそう会うことはない

 

 

ヨーロッパ魔法協会会長

ブルガリア__ダームストラング専門学校校長 イゴール・カルカロフ

フランス__ボーバトン魔法アカデミー オリンペ・マクシーム

 

それぞれが長である彼等は今、跪いていた。相手などたった一人しかいない

 

 

「この私自ら呼び寄せたのだ、詳しく話せ」

 

 

ヨーロッパ魔法界における真の強者にして絶対者。ヨーロッパ大陸を血に染め、また魔法界を救った魔王と救世主の血を色濃く受け継ぐ“偉大なる黄金”ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア

 

彼女は手紙を受け、僅か二日で自身がいるエルドラド王国に来いと無茶ブリをしていた

 

 

「はっ、この度はお目通り感謝いたします陛下」

 

 

老齢した大人がまだ少女であるウィラに対し大袈裟な態度をとるが、協会会長に続き深く頭を下げる二人の校長も皆、いたって大真面目だ

 

ヨーロッパ魔法協会はかつての10代目黄金を信奉しているし、事実彼が存在したからこそ今の魔法界は存続していると断言できる

偉大な血を受け継ぐから彼等は最大限の敬意を持って接する・・・のではない

 

彼等はウィラの父、つまり前代国王ジブニールのことを知っている

カルカロフはかつて“死食い人”であったことから

マクシームはかつての教え子が彼に嫁いだから

 

彼等はジブニールを知っている。黄金の魔法も、今現在エルドラド王国を覆っている結界が馬鹿げた程魔力を大食いすることも。ゆえに恐ろしい(・・・・)のだ

 

 

目の前で傲慢に頬杖をつく彼女は若干9歳で結界を受け継ぐことができた

 

気だるげに足を組む少女は“黄金”と呼ばれる桁違いの魔力で有名な一族の中でも更に化け物と呼ぶに相応しい、馬鹿げた魔力の保有者である

 

こちらを見下ろす黄金に輝くその双眸の内に若干のイラつきが見えること全てが恐ろしかった

ゆえにまずは臣下の礼を取ろうとした。このヨーロッパに住まう魔法使いの頂点とは即ち“黄金”でありウィラだ、ゆえにそれは正しい

 

 

「卿は阿呆か、私が詳しく話せ(・・・・・)と言ったのだ。誰が謁見に感謝しろと言った?」

 

 

ただしそれは普段(・・)ならばだ

先程も言ったように、ウィラは今イラついている(・・・・・・・)

 

彼女は暴君だ、では暴君とは一体何を持って指すものなのか?

圧政を敷く?__それはただの暗君だ。ウィラは何よりも国とは民草無くして成り得ないと理解している

自由気ままに振る舞う?__それはただの放浪者だ。確かにウィラは自由気ままではあるが、何よりも王という職務に全うに准じている

 

 

「何故まずは私に御機嫌伺いした?あぁ、当ててやろうか?

 

 

 

この私に首輪を付けようとしたな(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

そう、ウィラがキレている理由はその一言に尽きる

 

ウィラは我儘だ、それだけは断言できる

セブルスという最愛の人が死人に今だ恋慕を抱いていれば嫉妬し、己が愛に耐えてみせろと吸魂鬼を滅ぼしクソと断じた

両親からはかなり甘やかされて育てられたと、ウィラ自身自覚はある。だがこれには理由があり、ジブニールとオレンシアは幼い頃から一生懸命に次期国王として学び、常に国民のことを案ずるウィラを見て逆に心配になったのだ。これではこの子は駄目になる、人では無く、王という人の心が分からぬ怪物になってしまうと

 

ウィラは確かに我儘だ、しかし無欲である

だからジブニール達は目いっぱい甘やかし、愛情を注ぎ続けた。結果ウィラは甘えていいんだとこの時ようやく理解し、人の証明である欲を持つようになった

 

もし、この時彼等がウィラに甘えることを許さず、王という機械を作り上げようとしていれば・・・己しか愛せぬ、自慰でしか満足できぬ天狗道が生まれていただろう

 

結果ウィラはこの時代において誰よりも先見を持つ賢君でありながら、古き時代の王達となんら遜色の無い暴君となった

 

法とは王ですら縛るものではなく、仕方無く従ってやるもの。ウィラにとって法とはただ示すものであって守るものではない

己を縛る法とは即ち己の矜持のみ。それですら彼女の気分次第だ

 

それを犯されそうになった。それも総べる者である自分を他国の者であり、臣下であるはずの者達が!

 

 

「私は全てを愛している。しかし我が領土に厚顔にも土を付けるというのであれば、それは敵と変わりない。そして敵を愛する方法など・・・全力で迎え撃つことに相違ないであろう?」

 

 

言葉を紡ぐ度に、城の空気が物理的な圧を持って彼等に圧し掛かる。マクシームなどその大きな身体が小さく見えるほどだ

 

しかし魔法協会会長は気丈にもその圧に耐える。それはプライドであり、歓喜であった。己が守る魔法協会が出来た理由、すなわち“偉大なる黄金”とはこれほどの存在であり、それが生まれた時代に己が生きて出会えたという

 

 

「はっ!申し訳ありません。では、お話しさせていたただきます陛下」

 

 

 

 

 

・・・話を聞き終え、まず感じたのはコイツ等の身勝手さだ

 

かつて危険という事で無くなった『三大魔法学校対抗試合(トライ・ウィザード・トーナメント)』を復活させるということで、歴史の長い我等エル・ドラド家が参加することで箔を付け完全に再構。更に彼の話によると対抗試合に出る予定のフランス・ボーバトン校とブルガリア・ダームストラング校がイギリス魔法省を信頼できず、第3者機関を求めたということだ。つまり・・・

 

 

「・・・私は巻き込まれたということか」

 

 

気に食わない・・・それ以外に表す言葉など出ず、コツコツと苛立ちからか無意識に肘掛けを小突いていた

 

何よりイラついた、私自身の浅はかさ(・・・・・・・・)

 

“黄金”の名は絶大だ。古来から絶対不変の王として崇められ、そしてエル・ドラド家はそれに応え続けた

しかし・・・今の私はもはや“黄金”を超えた“偉大なる黄金”。つまり伝説の存在と言ってなんら遜色はない、比肩しうる者などたったの二人しかいない

 

私はそれを特に示すことはせず、たった一度の宮中におけるパーティーしか行っていない。それもただ聖槍を見せただけ

 

端的に言えば今私は舐められていると言って過言ない状況だった。更に言えばこの状況を作ったのは私自身だ、そう考えると先程までの溜飲も下げるしかなかった(私は他人に罪を押し付けるような愚者ではない)

 

 

そこまで理解してしまい、つい頭を抱えてしまう

 

ありとあらゆる可能性の中から再解適を導き出す

どれが一番良い?どれが父と母の名を汚さず、我が王国を千年のものと出来る?

 

・・・その前にまずは目の前で顔を青ざめている彼等に聞くとするか

 

 

「何故、私に・・・いや、我が王国に話を通さず勝手に巻き込んだ。会長、卿には聞いていない。その口を閉じろ。今私は卿ですら巻き込んだ二人に聞いておるのだ」

 

 

これは自信があった。確かに『三大魔法学校対抗試合(トライ・ウィザード・トーナメント)』はヨーロッパ魔法協会がその重い腰を上げるに相応する行事だ。何故ならこの催しはそれぞれの国同士の戦力を知り、また牽制になるからだ。「ウチにはこんなにも勇者足りえる将来を担う魔法使いがいるぞ」という

しかしこの程度ではヨーロッパ魔法協会は動かない。更に言えば目の前にいる会長などという役職が動くことのことですらない。恐らく両国から・・・そしてイギリスから恫喝されたはずだ。イギリスですら牽制できるエルドラド王国を動かし粗を晒せと・・・更に言えば今回参加しないヨーロッパそれぞれの大国も、こちらの動きをつぶさに観察するつもりだろう。なるほど・・・ヨーロッパ全体が個々で暗躍し、奇跡的にまとまったのが今回の話か

 

そしてこの二人の校長は私に対する生贄だろう

マクシームは母上の元恩師(・・・)であるがゆえに、カルカロフは私がルシウスという“元死食い人”と懇意にしているがゆえに

 

事実カルカロフに関しては、そのように上から聞いているのだろう。その眼には私に対する畏怖と侮りの色が見えた

 

 

「その・・・陛下であれば、こちらの意を察し、御身が臣である我等の願いを聞き届けてくれると・・・」

 

「ふん、カルカロフ。確かにこのヨーロッパに住まう者は我が温情を与えるに値する資格をそれだけで持つと言えよう。しかしまずは筋を通すのが道理であろう?礼儀を知らぬ獣を臣とは言わぬ。何より卿のその言葉、まるでこの私を試しているようにも聴こえるぞ?・・・キサマ風情が、王であるこの私を見定めるか!不敬であるぞ!!」

 

 

王という立場にあって、絶対にされてはならぬこととは何か?それは舐められることである

王とはつまり個にして国の象徴だ。民が崇めるがゆえに、今の私は存在する。彼等の期待と信頼、そして誇りを私が穢すことだけは断じてあってはならない。それは私の矜持が許さない

 

 

次にマクシームを一瞥すると、流石は母上の恩師といったところか。いや、この場合は巨人族の血が成せることか

 

彼女は私に気丈にも顔を上げ

 

 

「・・・貴女様に動いていただくには・・・これしかないと」

 

 

無言で続けろと促す

 

目を背けず彼女は続けた。今大会はイギリスが主導で進めており、大会そのものも気づけばイギリスで行われることがすでに決まっていると

 

 

(私の眼のことは知っているだろうに、恐れず真実を言うか・・・成程、母上が尊敬する女傑なだけのことはある)

 

 

「先程会長が述べた通り、私にはイギリスを信用することができません。ゆえに完全に公平な第3者を求めたのです。無論御身に首輪を付ける気など毛頭ありませんでした、ただ・・・」

 

「言え、虚偽は許さん」

 

「・・・断られれば、更にイギリスがつけあがるのは目に見えております。しかし御身が通うのはホグワーツ、イギリスです」

 

「つまりだ。卿は私がイギリスと蜜月の関係にあったと?」

 

 

汗を掻き、しばし考え歯を食い縛るような仕草を見せた後、彼女は確かに頷いた

 

 

 

 

 

 

 

玉座に座り、先程までこちらを睨むように見ていたその双眸を、今度は覆い隠し何か悩むような仕草をするウィラに対し、マクシームは冷や汗が止まらなかった

 

彼女はウィラの母親であるオレンシアのことをよく知っているし、校長になる前は教え子としてたいそう可愛がっていた

そんな彼女が各国を視察していたジブニールという正真正銘の王族に嫁ぎ、更には出会ったその日に「結婚するから学校止めるわ!」と謎のドヤ顔と共に退学した教え子を忘れるなどできそうもない

 

ウィラと会ったのは今回が初めてだ。オレンシアから手紙を何度か貰い、娘がどれだけ可愛いかを綴った手紙を読んでは会うのが楽しみだった

しかし目の前の教え子の娘、ウィラは母の恩師であろうが関係無く、その王威を振り撒いていた

 

絶体という言葉がある。まさに彼女はその体現者であった。王として生まれるべくして生まれた存在であった

母親譲りどころではない美貌、白く細い首筋には同じ女性ですら手を這わせたくなる

 

マクシームは己が巨人族とのハーフであることを知っている。その体力、怪力共に人間を優に超え、簡単に殺すことができることも

だがマクシームはウィラの姿が見えた瞬間平伏という姿勢を取った。己に流れる人と巨人、両方の血がそれ以外を許さなかったのだ

 

嘘をつくことなどできなかった。それは何もウィラの眼、つまり『察することすら不可能な開心術』を恐れたからではない

教師として、人として・・・己が人であるという存在理由の為にもマクシームは心の内を吐露した

 

眉間を揉み解し、流すような目付きでウィラが再びマクシームを見据える

 

 

「・・・確かに私はイギリスに留学している形ではあるが、別に蜜月など育んでいない。本来母上は卿等ボーバトン校に私を通わせたかったらしいが・・・すまんな、それより先に誘いを受けて」

 

「え、い、いいえ・・・」

 

 

気の抜けた返事を返してしまったのはしょうがない。先程とは打って変わり、ウィラの声には覇気がなく、ただたんに話しかけているだけだったのだ

 

 

「流石は母上が尊敬する女傑、ゆえに問わせてくれまいか?何故虚偽を申さんかった、あの返答では私は卿の首を刎ねても何ら問題なかったぞ」

 

「・・・無礼をお許しください陛下。私は教師です。教え子の姿無くとも生徒を導き、正しい姿であり続けることこそが教師のあるべき姿だと存じます。ならば目上の者に虚偽を申すなど・・・私の矜持が許しません」

 

 

するとしばらく口元を隠し、眼を下へやりながら何か考えるような仕草をすると

 

 

「そうか・・・くはっ!そうか!矜持ときたか!なるほど確かに大切だ。私も守り、そして己を縛る唯一の法でもある。うん、矜持か」

 

 

その表情は穏やかだった

今だに着いて行けず、また置いてけぼりになっているカルカロフと魔法協会会長が何事かと見ていると

 

 

「私は求め、マクシーム・・・失礼、マダム・マクシームは見事応えた。ならば私もそれに応えねば・・・うん、矜持が廃るのだよ」

 

 

暫し呆たような顔を3人がし、そして理解する。これは彼女からの最大限こちらを考慮した提案であると、つまりウィラは私に出てほしいと言えと暗に伝えてきたのだ

 

誰も見ていないとはいえ、そう簡単に王が動くことはなってはならない。更に言えば彼等の願いをウィラが叶えたとなればそれだけで威信が増すことは目に見えていた。それはそうだ、ウィラを動かしたことになるのだから

 

ウィラの誠意に応える為、魔法協会会長は誠心誠意心を込め

 

 

「では、我等ヨーロッパの未来を担う子等の催し、『三大魔法学校対抗試合(トライ・ウィザード・トーナメント)』をどうか御覧頂きたい。そして御身にはその最高責任者として彼等を導いていただきたく存じ上げます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__彼等が帰った玉座の間で私は頭を高速回転させていた

 

『クディッチワールドカップ』に『三大魔法学校対抗試合(トライ・ウィザード・トーナメント)』・・・うん、休む暇が無ぇ・・・

 

しかしそれよりも問題がある。『三大魔法学校対抗試合(トライ・ウィザード・トーナメント)』で責任者であるということは、つまりホグワーツの生徒であってはならない。それは当然だろう、平等な立場とはどこにも属してはならないということだ

 

 

「あら、ウィラも退学するの?私とお揃いね!」

 

 

ムニュン_と後ろから母上が抱き着いてきた(少しそれ、私に分けてくれませんか?)

 

 

「するとしても今年だけですね。一応卒業はしたいので」

 

 

うふふと笑いながら、母上が私を抱きしめたまま髪を梳かしてくれる。それがすごく気持ち良くて、母の背に手を回し胸に顔を埋める

 

 

ありがとう、|先生(・・)のお願いを聞いてくれて。私は・・・あの人に結局恩返しも何もできないままだったから」

 

 

私の頭を抱きしめながら、母はもう一度ありがとうと言ってきた。私は何も言わず母の香りを思い切り胸に吸い込む

 

 

「・・・ボーバトン校は楽しかったですか?」

 

 

母は元々フランス人だ。父が視察しに行き、そこで出会い、その日には退学し嫁いだ

一年をかけ更に愛を育み、19歳の時に私が生まれた

最近両親の大恋愛が演劇となり一度だけ見たケド・・・ウン、凄く恥ずかしかった

 

 

「えぇ、良い所よ。本当はボーバトンに貴女を入学させたかったのに、・・・あの腹黒ジジイめ」ボソ

 

 

母がダンブルドアを嫌う一番の理由はそれらしい

 

 

「言っときますけど母上の為ではありませんよ?私は私の為に彼等の願いを聞き届けようとしたのです。偶には国王としてではなく、ヨーロッパ魔法界の主君として立たねばと」

 

「えぇ、分かってるわ。でも言わせてほしいの、ありがとうウィラ。愛してるわ」

 

 

チュっと額にキスしてくれて、私も母の頬にキスを贈り執務室へと行く。その途中シャドウが何時の間にか左背後にいたがいつもの事だ、今更驚くこともない

 

 

「かなり忙しいですな、今年は」

 

「えぇ、黄金の君は実はワーカーホリックなのでは?とつい思ってしまいました」

 

 

先程までずっと私の右背後で佇んでいた獣が冗談交じりでシャドウの言葉に相槌を打つ

 

 

「誰がワーカーホリックだ、彼等が来る直前までゲーム三昧だったのは誰だと思っている」

 

「して、どうなさいますか?ヨーロッパ各所はこれより御身の動向を探り、また権力を手に入れようと動き出すでしょう」

 

 

カカっと皺くちゃに顔を歪めながら心底面白そうにシャドウが笑う。まるで全て無駄だと言わんばかりに

 

 

「ハァっ、本当に人間とは面倒な生き物です。古き時代の人間たちも確かに辛らつ極まる愚者ばかりでしたが、分かりやすく見ていて気持ちの良い生き方をしておりましたよ」

 

「時代とは移り変わり、悪意と執着こそが人を育て上げ星の支配者としたのだ。ならば此度も人類の進歩に繋がる」

 

「では御身はそんな悪意をもろともせず潰す、さしずめ魔王でございますな」

 

「いやそこは勇者だろう?最近やってるPCゲーじゃ赤毛の少年が“この世全ての悪”に飲まれようと立ち上がり、最終的には英霊になったからな」(まぁ実際はただの掃除屋だが。濡場のCG絵もっと増やしてくれ描く神よ!!もしくはモーさんセイバーでsnワンチャン!!)

 

「燦然と黄金輝く魔王ですか、燃えますね」

 

「どちらにしろ我が祖は歴史から見れば魔王と変わりない、事実がどうあれな」

 

 

ニヤリと嗤い、シャドウ達の方を振り向き

 

 

「ならばヴァンシエル陛下という魔王の血を受け継ぐ者として、教育してやろうではないかヨーロッパに。この私が動き、そして我が王国が動くと言うことが何を意味するか・・・騎士達よ」

 

 

ザっとその場で二人が頭を下げる

 

 

「「はっ!」」

 

 

「大統領達貴族連中に伝えろ。2か月後国会を我が名の下に開く。臣下の務めを果たすべく参上しろとな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私に言われた通り、二人はすぐさま通達に行き、執務室の椅子に座りながら宙を眺め、誰ともなく呟く

 

 

「そうあれかしと望んだのだ。ならば嫌がることなど許さんよ?」

 

 

我が愛は破壊の情、愛でるから壊れてくれるな___それでもなお、求めるというのならば

 

 

「抱きしめてと・・・卿等が言ったのだ。安心しろ・・・壊れてもなお、我が抱擁が卿等を離すことなど__あり得んよ」

 

 

__ふむ、そうだな・・・良し!

 

 

「また暫くは忙しくなるのだ、たまにはあいつ等に休みでもくれてやるか」

 




書いてたら何故かマクシームがえらいカッチョ良い人に(何故ぞ・・・)

ウィラ「即行魔法ドロー!これにより、ここから先はずっとエルドラド王国のターンだ!!」


次回からしばらく円卓個々の話となります(今回の閑話が長くなると以前書いた理由がこれです)
絵も描くので時間がかかると思いますが、彼等がウィラとどう出会い、そして何故忠義を貫くようになったのかを楽しんでいただければと思います



次回予告


__時よ止まれ__


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黄金円卓第12席次

__この刹那に等しき時間が 永遠に続けばいいと願った

ゆえにどうか 聞き届けてほしい

自由な民と自由な世界で どうかこの瞬間に言わせてほしい

永遠の君へ願う


時よ止まれ__



焦がれる程の夢を見た

初めてあの方を見た瞬間、己は白恥の亡者となり、気付けば跪き共にいさせてほしいと乞い願った

 

 

 

焦がれる程の熱を見た

あの方から名を貰い、「汝、影であれ」と私はシャドウとなった

 

旅をした、黄金輝く美丈夫と醜悪極まる家を持たぬ屋敷僕の奇妙な旅が

 

次第に人が集まって来た。黄金の輝きに眼を焼かれた私と同じ志を共にした友が増えた。英雄然とした益荒男達と共に、長い旅路の中、我等は目的の無い・・・しかし膨大な熱と共に、輝きと共にあった

 

 

 

焦がれる程の夕焼けを見た

とある村に立ち寄り、しばし滞在することとなった。あの方がそれを望み、我等は是と答えた

そこで焦がれる程の黄昏としか形容の出来ない女性と出会い・・・

 

 

 

 

___運命はカードを混ぜた

 

 

 

 

「・・・恨みますぞウィラトリア様」

 

 

起きた瞬間、口が勝手に動いていた。だがしょうがないではないか

 

 

「屋敷僕に休め(・・)など・・・」

 

 

ある日、ウィラは彼等円卓を集め休暇を取るように言ってきた。何でもまた暫く忙しくなるから、今の内に体を休めろとのことらしい。その一番に選ばれたのがシャドウだ

 

勿論抗議もした、何故己が休まねばならぬのだと

屋敷僕にとって、働くことは生きることに等しい。お家に勤め、身を削るほどの激務の中でこそこの身は至上の癒しに包まれるというのに・・・

 

はぁっと溜息をつき、言われた通り今日は休むことにした。どれだけ物申そうと、ウィラが一度決めたことを早々変えることなど無いと理解しているためだ

 

しかし何をすればいいのか分からない

 

取りあえず着替えをすませ、普段から着ている執事服に袖を通す

普通の屋敷僕は“家”に仕えるものなのだが、シャドウは“個人”__“黄金”に、つまり今現在はウィラに仕える立場である

王位が変わり、その度に服を与えられ忠義を誓うのだが、ウィラが彼に与えてきたものがこれだった。何でも「仕えると言ったら執事だろ?」とのことらしい。ただその後、特殊合金で出来た糸付きの手袋をはめたり、ちょっとマイロードと言ってなどの無茶ブリをして、シャドウが言われたまま、いつも通りの仏頂面でしたのだが、かなり変な空気が流れた

 

 

部屋にいてもやることもないし、取りあえず城の中を軽い清掃チェックと共に出歩くかと、数百年前から与えられた自分の部屋を出たのだが・・・

 

 

「はひッ!お、王様!!本日はお日柄も良く!」

 

 

そこには屋敷僕(・・・)がいた。何てことはない、いくらシャドウがいるとはいえ、それだけで他の役に立つ屋敷僕を雇わないという選択肢にはならない

普段であればボロしか纏うことが許されない一般の屋敷僕でも、このクレーリア城の中では違う

ボロなど黄金住まうこの城にはふさわしくない。ゆえに彼等もシャドウとは一段劣るが、高級感漂う燕尾服にその身を包んでいる

 

 

「・・・私は王などではありません、この身は所詮一介の屋敷僕・・・何よりこの城の主であり、貴方がたの主君が誰かなど・・・分かっているのでしょう?」

 

 

溜息を再び吐きながら、シャドウは思う

“1500年生きる最古の屋敷僕”“黄金の歴史そのもの”と呼ばれるが、それだけだ(・・・・・)

ただ長生きしているだけ。己は後一体何回・・・主が死にゆく様(・・・・・)を見ねばならぬのか

 

 

「はい!我等の主は、名を呼ぶことすら許されない輝きの君にてございます!」

 

 

ウィラはシャドウ以外に名を呼ぶことを許していない。それはこの王国の大統領でさえ、更には彼女の最側近である黄金の獣も同じだ

  

臣下は私の所有物であり、物風情が主の名を呼ぶなと。そして真の忠臣にこそ、その栄誉は与えられるべきだとウィラは言ってはばからない

 

 

「ですが王様は王様です!」 「そうです!王様は凄いのです!」 「黄金卿は素晴らしい主にてございますが、我等の王は貴方だけなのです!」

 

 

・・・何故だろうか、同じ種族同士で同じ言語で喋っているのに言葉が全然通じていない(というか増えた)

 

いつから屋敷僕はこうも人の話を聞かない妖精になったのかと頭を抱え、その手に持った荷物が気になるので聞くと、何でもウィラの所有する書物(・・・・・・・・・・)の一部らしい。どんな内容か、かつて彼女の教育係をしていた者として、気になって見たのだが・・・

 

 

 

『__くぅ・・・っ!ミハ・・・イルっ!!』

 

『名を呼んでくれ、カメラード・・・お前の刹那という人界(ミズガルズ)の果てに、俺の英雄譚(ヴォルスング・サガ)をぶち込みたい・・・ッ!!』

 

 

 

 

パタン__・・・・・・何も見ていないし、何も読んでいない。そういうことにしておこう(一度彼女の趣味を見直させるべきかシャドウは本気で悩む。いや、確かにかつてのギリシャではこういうのは普通だったと聞いてはいるが・・・でもこれは無い)

 

 

落とさないようにと言って、彼等を見送る。途中高く積んだ本が落ちそうになったり、まず前が見えていないからかフラフラとしていたが、彼等はあれが非効率だと気づいていないのだろうか?まぁ落としたら落としたらで、それを理由に全てゴミ箱にぶち込むだけなのだが。あと部屋を片付けるクセを付けてほしい。特に下着を脱ぎ散らかすのだけはレディとしていただけない

 

 

 

 

 

「___ふむ、まぁまぁですな」

 

 

廊下を歩きながら窓の冊子等のチェックを行うが、それなりに行き届いていた

 

 

「シャドウ様、おはようございます」 「おはようございますシャドウ卿」

 

 

歩きながら、会う人間、会う人間がシャドウに会釈しながら腰を折り挨拶してくる

これがイギリスや他のヨーロッパ各所であれば異常な光景だろうが、あいにくここはエルドラド王国

彼が古くから仕えているためか、ウィラを筆頭にエル・ドラド家は屋敷僕を奴隷のように扱うことを禁止している

しかしこの間“黄金勲章”を授与された確かドビーのように、シャドウは給金を貰おうなど考えたこともないし、一度だけウィラが己に給金を払おうとした時、初めて本気で叱った。「主が従者の誇りを踏みにじるなど何事か!!」と

 

思えば成長したものだと、一人廊下を腰に手を当てながら歩く

美しい姫は皆の予想通り、更に美しい王となった

確かに甘やかされ、暴君となってしまったが、そもそも国に仕え奴隷のように働く王など王ではない

王とは誰よりも自己中心的で、しかしその背中に全てを背負い、諸人にとって手の届かぬ象徴でなくてはならない。その点で言えばウィラは合格どころか古代の王に負けず劣らずの最高の王だ

誰も手の届かぬ至高の“黄金”。しかしその姿は孤高ではなく、彼女は常に国や民と共にある

 

 

__私はなシャドウ、気付いてしまったのだよ。全てを愛していると__

 

 

“愛”__確かに彼女は“愛”と言った。だが彼女のソレは普通ではない(・・・・・・)

 

自分が前世の記憶を持つ転生者であると明かしたのは、確かウォーカーが円卓入りした1か月後くらいであったか

ウィラトリアと知らぬ前世の自分との狭間で、己がどんな存在か分からなくなった彼女が泣きながら明かしてくれた。今となってはソレも完全に吹っ切れ、ウィラという少女はこの世界に“一つの個”として産声を上げた

その際気付いた己が心情

 

愛と言っても様々だ

ジブニール達がウィラに親として与える無償の愛。シャドウ達臣下が捧げる忠義もそれと言えるだろう

だが彼女は違う。ウィラの愛は“破壊の愛”だ

壊してしまう程に全てが狂おしい、だが壊れないと彼女は信じている。“私が愛する世界(全て)がこの程度で壊れるワケがない”

 

しかし、彼女も心の奥底では気づいているのだろう

 

 

 

 

この世界はウィラ(彼女)の愛を前に耐えられない__と

 

 

 

 

故に何かと理由を付け、壊してしまわないよう立ち振る舞っている

壊れてしまっては愛せないから、壊れてしまえば己の愛が行き場を失い、今度こそその熱は己ですらも壊してしまうと理解しているから・・・何ということだろうか、ウィラという少女は愛しているがゆえに、そう簡単にソレを示すことができないのだ。何という矛盾を孕んだ歪な在り方なのだろうか

 

 

(・・・いや、それを私が言う資格など無い(・・・・・・)・・・か)

 

 

気付けば足は来た道を戻り、部屋の中へと戻っていた

 

先程まで、今日一日の過ごし方が分からず城の中を歩き回っていたが何をするか決まった

 

 

クローゼットを開け、シャドウがその手に持ったもの___それはみすぼらしいボロ(・・)であった

 

 

 

 

 

「___何?シャドウが私が渡した執事服ではなく、ボロを纏って城を出ただと?」

 

「えぇ、衛兵がそう言っていました。そしてこれを黄金の君にお伝えしてほしいと」

 

 

獣がどこか狼狽えながら私にそう告げてきた。まぁ確かにそれは本来あってはならない、屋敷僕がその身に纏う物は隷属の証だ。それを脱ぐ時は追放された時か、主を裏切った時のみ・・・ゆえに獣は信じられないと言った顔で友を疑い、しかし私に穏便な処遇をしてほしいと乞い願おうとしているのだろうが

 

 

「あぁ、安心しろ。シャドウは別に私を裏切ったワケでもエル・ドラド家から離別したワケでもない」

 

「では・・・何故?御身が与えた執事服。屋敷僕ではありませんが、御身より戴いた召し物を手放すなど・・・」

 

 

自らが身に纏うローブの裾を握りしめ、理解できないと顔を俯かせるが、私はその理由を知っている。シャドウがボロを纏う時は決まっているためだ

そちらに顔を向けず、椅子に座ったまま休憩中に読んでいたマンガに再び目をやりながら、理由を教えてやる

 

 

「墓参りだ」__ペラ

 

「__?墓参り?」

 

 

そうだと言って、マンガをその辺に投げ捨てる(期待して買った同人誌だったが、ハズレだな。もう自分で描いてみようか?)

 

そのまま椅子を回転させ、窓の外へと視線をやる

 

 

「・・・どんな気分なんだろうな?置いて行かれる・・・1500年、ただひたすらに誰かに託され続ける人生って・・・」

 

 

 

 

 

 

__たった一度だけ、たった一度だけ私はウィラトリア様に頭を地に着け、乞い願ったことがある

 

 

“あの場所に行くときだけ、どうか執事服を脱ぐ事をお許しください”__と

 

 

己が所有するものなど何一つ無い。この身は全てをエル・ドラド家に捧げた身。この命、己が“死”でさえも、私には自由など与えられていないし、それで良いとさえ思っている

 

それでも・・・このボロだけは捨てられない___1500年(・・・・・)

 

思えば何と女々しいのだろう

“シャドウ”と名を与えられた時に身に着けていたから、あの方に初めてお会いした時に着ていたから・・・たったそれだけの理由で、どこに腕を通せば良いのかすら分からない、穴だらけのボロを大切に大切に取ってあるのだから・・・

 

 

目的の場所に“姿現し”すらせず、黙々と歩きついに辿り付く

 

そこは“王家の墓”だった

 

エル・ドラド家__王位継承者たる“黄金”は死後でさえ、その身を狙われる

“黄金”の身は死してもなお輝きその髪、遺骨でさえ死後も最上の神秘を含んだ極上の触媒となる

それ故にかつては“黄金”の遺骸を求め、争いが起こった程だ。悲劇を止める為、その身を犠牲にしたあの方の子孫が争いの種を産むなど・・・これ以上の悲劇は無いとどれだけ嘆いたことだろうか

 

 

 

「・・・あぁ、やはり皆変わりない(・・・・・)

 

 

どこかホッとしたような口ぶりで、彼等(・・)に語り掛けるが誰も返事を返さない。当然だ

 

“王家の墓”をグルリと何かが囲んでいる、それはゴーストだ。しかしホグワーツにいるような雰囲気は一切無い

 

 

『・・・』

 

 

時代遅れの鎧を着た者がいた

錆びた剣を胸元に掲げ、いつでも振り抜けるよう構えた者がいた

もはや古すぎて、甲冑ですらなく皮鎧を着た騎士がいた

中には人ですらなく、馬の胴体を持ったケンタウロス。更には巨人族や古き鬼人。英雄と呼ばれる者達ですら尻込みする戦士達がいた

 

 

77人(・・・)___死してもなお、エル・ドラド家に魂だけの存在と成り果てようと、変わらぬ忠義を誓った名も無き歴代の(・・・)黄金の獣(・・・・)”達がいた

 

 

それを眺め、シャドウは墓地には入らず彼等を見て回り

 

 

「・・・オトルル(・・・・)・・・シャルナッハ(・・・・・・)・・・」

 

 

一人一人、噛みしめるように彼等の名を呟いていく

 

己を所詮屋敷僕と侮り、しかし最後は認めてくれた者がいた

共に戦場を駆け抜け、最後は己に託し笑顔で死んだ者がいた

 

 

全員が全員、忘れがたき友であった(・・・・・)。歴史から葬られようとも、己だけは捨てたその名を絶対に忘れぬと誓いを立てた戦友であった

 

 

初めは前王ジブニールが“黄金の獣”から始まり、次第に時代を象徴した益荒男達を遡る

 

途中、ピタリ__と足が止まる。そこは最後(・・)・・・二代目(・・・)黄金が獣の隣、そこだけがポッカリと穴が空くかのように・・・誰かを待っているかのように空いていた

 

先も述べた通り、この場には現国王ウィラの獣を除き“77人”。ウィラは第79代目だ、つまり一人足りないのだ

 

初代黄金ヴァンシエルにも当然“黄金の獣”は存在した。それはシャドウが一番理解しており、故に存在(・・)しない

 

歴史にも一切乗らず、シャドウですら口に絶対にしない存在・・・それこそが“始まりの獣”であった

 

 

「・・・まだ・・・空けているのですか・・・その“獣”は自らその座を捨てた愚か者なのですぞ・・・」

 

 

“始まりの獣”はこの場にはいない。何故なら彼はその名を捨て、主君と定めた男から戴いた名を名乗り(・・・・・)、何より____

 

 

 

 

まだ死んでいない(・・・・・・・・)のだから___

 

 

 

ジっと歴史において、二人目となった獣がシャドウを物言わず見つめる。「それをお前が言うか」と言わんばかりに

 

 

“初代黄金の獣”__彼は獣の称号の他に、もう一つ名を与えられた存在であった。古き時代であったがゆえに、かつて着ていた“貫頭衣(マヒティオン)”。彼はそれを今だに捨てきれず、ボロとなった今でも大切に保管している

 

誰よりも与えられてしまった。誰よりも望まれ・・・こうして己は栄光たる爪牙の参列に加わらず、生き恥を晒している

 

 

歴代黄金の爪牙たる名も無き獣達。英雄(エインフェリア)である彼等が一斉に己の前に参列し、まるで讃えるかのように剣をアーチ状に掲げ、通れと告げてくる。其方こそ、我等が始まりであり、史上の栄誉を一身に受ける権利があると言いたげに

 

止めてくれと叫びたかった、そんな資格は常に逃げ、生きることしかできぬ己には無いと断じたかった

だがこれが、彼等が表せる最大限の敬意なのだと理解してしまえば、死してなお、忠義を貫く戦友を前にしては黙って通ることしかできない

 

 

多くの死を誰よりも見て来た。戦場で、老いで、何度戦友を失い、そして主君達を看取って来たのだろうか・・・ゆえに、何度望んだことだろう

 

 

__時よ止まれ・・・この刹那を・・・この己にとって刹那に等しき一瞬よ、永遠であれと__

 

 

それがどれだけの矛盾を孕んでいるか、分からないシャドウではない

その証拠に何度死にたいと望んだことだろうか、しかし・・・

 

 

__シャドウ、我が愛しき“黄金の獣”よ・・・私は死ぬ。これから生まれるクレーリアと私の子に、せめて明るい未来を・・・笑ってくれ、子を言い訳に使った最低な親だと。・・・シャドウ、後は頼む__

 

 

__へぇ、シャドウっていうんだ!え、ちちうえがつけたの!?良いなぁ~!・・・ねぇシャドウ、ちちうえは・・・どんな人だったの?__

 

 

__いやはやシャドウ、お前は歪んでいる。その矛盾はお前を殺し得ない。何故なら矛はすでにその鋭さを失い、盾もまた錆び付いている。生きながらの屍よ、お前の忠義に応えるために“呪い”でもと思うたが・・・その必要はないようだ。ではなシャドウ。我が麗しの妹君陛下をよろしく頼むよ。私は・・・女神に会わねばならないのだから__

 

 

誰もが皆、自分を置いて逝く。__「後は頼む」__そう言い残して

とある方は己の在り方を“呪われている”と言い残し、魔法界の救世主となった。あぁ、ならば・・・これは確かに呪いなのやもしれぬ、すでにこの身は腐りかけた“トバル・カイン(生きた屍)”やもしれぬ

 

 

ついに戦友の屍を超え、彼はその場にたどり着く

 

ふと思う。もし、この場に彼女がいれば何と言ってくれるだろうか

“黄金”に常に寄り添い、己のような醜悪極まる屋敷僕の手を包み、抱き締めてくれた__“黄昏”の似合う・・・始まりの男と添い遂げた、“黄昏”ならば何と声をかけてくれるのだろうか?

 

 

 

__ねぇシャドウ、私・・・貴方とヴァンに会えて良かった。大好きだよシャドウ。あの人と・・・私の子供をどうか見守ってあげて・・・?__

 

 

 

一際周囲に並ぶ墓の中でも、特に大きく、また中央に崇められるかのように置かれたモノリスを前にシャドウはその女性の名を呟く

 

 

「・・・私は・・・一体いつまで、その言葉をお守りすればいいのでしょうか___

 

 

 

 

クレーリア様・・・」

 

 

 

 

城に戻ったシャドウはすぐさまボロを着替えようとするが、そこへウィラの黄金の獣が待ったをかけに来る。何でもウィラが彼のことを呼んでいるらしい

 

 

「ですが・・・流石にこの恰好では・・・」

 

 

今のシャドウは主であるウィラから受け賜わった執事服ではなく、ボロのままだ。こんな汚い姿を高貴な方であるウィラに見せるわけにいかないと言うが、獣はそのままで良いと告げる

 

 

「シャドウ殿、黄金の君は今の貴方に聞きたいことがあるそうです。黄金円卓が末席、第12席次である貴方ではなく、一人の屋敷僕として聞きたい事があると」

 

 

 

案内され、着いた先で獣はその場を後にした

ここから先は己でさえ部外者であり、無粋であると感じたからだ。そこに微かな嫉妬をシャ

ドウに抱くが、元よりこの屋敷僕の在り方を前にしては神獣ですら何の意味も持たない

 

 

案内されたテラスの先で、ウィラは夕焼けを眺めていた

その姿を見たシャドウは言葉が出なかった

 

風に運ばれた大庭園の花弁が彼女を飾り、またその黄金色の髪も靡いていた。彼女自身を夕焼けが・・・黄昏が優しく彩っている

 

ようやくボソリとシャドウが呟いた言葉は、今の主の名ではなく

 

 

「・・・クレーリア様・・・?」

 

 

そこでようやくシャドウが来たことに気づいたのか、ウィラはこちらを振り向き

 

 

「__ん、来たか。確かに私の名には“クレーリア”の文字があるが・・・珍しいな、卿がその名で私を呼ぶのは」

 

 

靡く髪を手で軽く押さえるウィラを見て、すぐさまシャドウはその場で平伏する

 

 

「っ!?も、申し訳ありません!!我が君!!」

 

 

今シャドウはウィラを差して“クレーリア”と呼んだのではない。目の前の主に別の方を重ねるなど、何たる不敬か

 

しかしウィラは何も言わず、ただシャドウを見つめていた

しばらくし、ようやくウィラは静かな面持ちで彼の名を呼ぶ

 

 

「シャドウ、卿の名を問いたい」

 

 

__?それはどういうことなのだろうか?己の名はシャドウだ。それ以外の何者でもない

 

 

「いや違う。ここにいるのは我が黄金円卓第12席次シャドウではないハズだ」

 

 

理解した。何故この方は執事服ではなく、このボロを纏った己を呼び出したのか。しかし・・・それを言うにはシャドウの忠義はあまりにも高かった

 

 

「良い、許す。問いたいことがあるのだよ。“私に仕えるシャドウ”ではない、“エル・ドラド家に仕えるシャドウ”に」

 

 

その言葉を聞き、しばし目を瞑り・・・

 

 

「・・・屋敷僕シャドウ、御身の前に」

 

 

満足したかのようにクスリと笑い、再び夕焼けを見始める

 

 

「すまないな。と言うのもな?卿に問いたいことなど一つも無い、ただ共にこの黄昏を眺めたかったのだよ」

 

 

シャドウは何も言わず、ただその場に佇む

あまりにその夕焼けが美しくて・・・あまりにもかつてあの方達と共に見た、黄昏の風景に似ていて

 

沈黙がその場を支配するが、それは不愉快などではなくむしろ心地よく、風の音だけが静かに癒しを与えてくれる

 

 

「・・・つらいよなぁ、置いて逝かれるのは・・・」

 

 

その癒しを天上の調べが切り裂く

やはり、この方は全てを見抜かれたうえで自分をこの場に呼びよせたのだと理解する

 

 

「私も人の子だ、いつかは卿等を置いて老いて死ぬ肉の身だ。・・・置いていくのも、置き去りにされるのも辛いと理解しながら・・・シャドウ」

 

 

そこでようやく背を向けていたその表情を、シャドウへと向ける。そこには酷く透明で、何よりも純粋な願いが宿っていた

 

 

「それでも私は卿に生きてほしい。生きていつか私が宿す子に続き、孫に子孫に・・・最後の“黄金”がその洛陽を迎えるその日まで・・・これは呪いだ、シャドウ」

 

 

かつて偉大なる二人目から呪われたこの身が、再び偉大なる3人目によって呪わ(祝福さ)れる

ようやく気付いた、何故誰もが己に願いを託し、死んでいくのかが

 

初代の息子である2代目は、己に黄金を戒める鎖としての在り方を望み、この身に黄金の魔力を相殺する力を与えた

 

皆言葉や行動は違えども、ただ己に生きてほしいと願っていたのだ

 

ゆえに分からない(・・・・・)。分かったのに分からない

震える声でシャドウはウィラに問う。本当にそれが理解できないからだ

 

 

「何故・・・誰もがこの矮躯な屋敷僕風情に祈りを捧げ、生きねばならぬ花と命が散っていく」

 

 

顔を上げたシャドウの瞳には、涙がこぼれ落ちていた

 

 

「もう耐えられないのです!!老いさらばえる支配者達に!我が子に等しき貴女方が死にゆく様に!!何故ッ!・・・戦友(とも)はヴァルハラへと召還されゆく中、何故誰もがこの弱小たる私を置いて・・・ッ!?」

 

 

それは汝、影であれと己を律して来た・・・たった独り残され続けた男の慟哭であった

 

荒く息を吐き、自分が今誰に何を言ったのか理解し顔を青褪める

 

 

「ッゥ!?無礼をっ!私は何という・・・貴女様を・・・屋敷僕風情が我が子など・・・ッ!?」

 

 

慄き震えるその身を、ウィラは優しく抱きしめる

 

 

「良い、許す。あぁ許すとも・・・シャドウ」

 

「ウィラ・・・様・・・」

 

「確かに卿は()だ。我がエル・ドラド家が誇る最古の宝物にして所有物だ。だがそれ以上に・・・気づいていたか?卿がいなければ、エル・ドラド家はすでにその黄昏を終え、私は生まれることもなく、洛陽の陽は王国に陰りとなって射していただろう」

 

 

それは事実であり、だからこそ常にシャドウの眉間には消えない皺が出来ている

優れた王の子が、優れた名君足りえるなど分かるハズもなく、無論長い王国の歴史の中で悪逆極まる愚王もまた生まれてきた。彼等が生きていれば王国に未来はないと分かっていても、相手はどんな魔法も効かぬ“黄金”・・・シャドウは守るべきヴァンシエルの子孫達を幾度となく暗殺(・・)しては、代替わりを促すこともあった

 

ゆえに美しいとウィラは本気で思う

誰よりも傷付き、果てぬ贖罪の旅路を歩き続ける様こそはまさに愚劣極まる最愛の臣であると

 

ギュっとウィラは壊れんばかりに、しかし決して壊れぬよう手加減しながらも抱きしめ続けていると

 

 

「・・・ならば我が君、どうかこの洛陽を見守ることを誓わんとする老いぼれの望み

を一つ叶えていただきたい」

 

「・・・」

 

「どうか・・・ウィラトリア様、どうかもう__我慢(・・)を止めなされよ」

 

 

シャドウはウィラがどれだけ我慢しているか知っている

壊れてしまってはどうしようと、世界が耐えきれなければどうしようと、成してもいないのに恐れをウィラは抱いている

 

 

「・・・」

 

 

スゥっと息を吸い__ウィラこの国を覆う己の魔力を・・・全てシャドウにぶつけた

 

 

「オ゛ッ!?  ァグ・・・ッ!!」

 

 

メキメキと体が軋み、口から血がゴポリと流れるがシャドウは歯を食い縛り必死に耐える。もう何かを我慢し、あまつさえその残酷に美しすぎる感情をたった一人の愛した男(・・・・)にさえぶつけることを怖がるウィラの姿など見たくなかったのだ

 

 

「私は全てを愛している・・・無論それは卿もだ・・・耐えてくれるね?」

 

 

手加減無しにウィラはシャドウを()しにかかる。その今だ誰の男の手にも抱かれていない処女である身を、彼女は臣下の血で真っ赤に染めていく

 

 

どれだけの時間がたったのだろうか、黄昏は今だ落ちず二人を見守り続けていた

 

ふっとウィラが圧縮した魔力を拡散させ、抱き締めた屋敷僕を見ると

 

 

「 ___ヒュ― ヒュ―・・・わ・・・かりましたか?貴女程度の愛で・・・この世界は・・・壊れませぬ・・・だからどうか我が君・・・存分に世界を愛されよ」

 

「うん、ありがとうシャドウ。後で“不死鳥の涙”を用立てよう。それまではどうか、ゆっくり眠っていろ」

 

 

聖母のような笑みを浮かべ、ウィラはこの愚かとしか形容できない屋敷僕に最大限の感謝を伝える

 

 

「本当にありがとう。これで・・・私は全力で、全てを愛していいと理解できた」

 

 

独りごちながら、ウィラは自らの頬に着いたシャドウの血を舌で掬い上げ

 

 

「愛しい卿でこれほどまでに香しいのだ・・・ならばセブルスなら、最愛の男ならば、この身こそが壊れてしまいそうな程に良い香りなのだろう」

 

 

己を抱くあの男の背に爪を立て、獣のように交じり合う様を妄想し、つい下腹部が熱くなる

 

血に染まったウィラを照らす黄昏も、ついに落ちる時間が刻一刻と近づいてきていた

 

 

夜が来る

太陽は城へと戻り、身を清める中、彼女に唯一付き従う正真正銘の夜を代表する怪物が動き出す

 




いかがだったでしょうか?
正直書いている途中何を書きたいか分からなくなってきたので少しワケ分からんとなる方もいると思いますが容赦してください(汗

Q:つまり・・・どういうことだってばよ
A:今まで以上にウィラがハッチャケて魔王めいていくってことさ!!←集中線付き
  

前書きの詠唱は作者的にこのキャラに合うなと独断で決めています
なので別に詠唱事の『創造』ができたりするワケではありません



【挿絵表示】



黄金円卓第12席次シャドウ

司るアルカナは『愚者』
抱く渇望は『永遠の刹那』

仕える主が生きる、己からしてみれば刹那に等しいこの時間が永遠に続いてほしい。しかしそれでは王や国というシステムそのものの否定に繋がるという矛盾を孕みまくった渇望(まぁ練炭も矛盾だらけだしね、しょうがない。てか永遠の刹那って言葉がスゴイですね)


戦い方としては非力であると理解している為、音も無く相手の背後に“姿現し”をし、首を刎ねて戦線離脱という暗殺者めいたやり方
ただし長い黄金との付き合いで、黄金の魔法に対し特効めいた力を持つように(事実この世界において最も主を殺し続けた忠臣)

大きな耳はボロボロになっているが、これは数多の戦場を駆け抜け
己が主を守り通した証にして、シャドウにとっての誉れでもある

その正体は最古の屋敷僕にして、初代“黄金の獣”
しかしシャドウは名を貰い、更にもう一つ戴くなどあまりに不釣り合いだとすぐに辞退し、その後は己が獣であったことを歴史から全力で抹消した

名も残らぬ英雄を2代目黄金は勘違いし、『獣が名前なんだ!』といった感じでそれから黄金の獣に選ばれた者は名を奪われるようになった

ウィラが無意識にしていた枷を外してしまった張本人




次回予告


__かつてどこかで そしてこれほど幸福だったことがあっただろうか 幼い私はまだ貴女のことを知らなかった __


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