不幸をあなたに (黒猫街夜)
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日常

初投稿の黒猫街夜です!皆様どうぞよろしくお願いします。


「ふぁぁ~。」

 

男は布団の中で幸せそうな顔をしながら惰眠を貪っていた。

男は現代の常識に照らし合わせると明らかに違和感のある格好をしていた。左目を隠すかの様に巻かれた包帯、黒い生地に赤い桜の花びらを散らした浴衣、だがこの男の格好はここ、幻想郷では全くおかしく無い。何故なら幻想郷の文化は江戸時代あたりで止まっているのだ。

すると何かが近ずいてくる気配を感じた。

 

 

「起きたのか~?」

「 ん?...あぁお前かルーミア」

「朝起きたらおはようなのだ〜」

「...勝手に俺の家に上がっておいて言うことかよ...」

 

頬を膨らまして文句を言ってくるが知ったことではない。

ルーミアは人喰い妖怪ではあるが、男の作った料理を食べてからは人間を食べずにいる。

 

「で? 何で此処に居る?」

「ご飯を食べに来たのだ!」

「へいへい、何となく分かっちゃいたけどな」

 

そう言いながら床に落ちていた黒色の手紙を踏まないように台所へと向かう。

 

「...片付けないの?」

「面倒臭いからいい」

「ふーん…私が片付けてあげようか?」

「じゃあよろしく、1箇所に纏めて置くだけでいいぞ」

「分かったのだ~」

「...口調の安定しない奴め」

台所に行くとガチャっと扉の開く音と共に、喧しい声が聞こえてきた。

 

「ルーミアー!出てこーいー!」

「チ、チルノちゃん、ルーミアちゃんほんとに居るか分かんないでしょ」

「居ないのかな?」

「いや〜お兄さんの所に居なかったもう心当たりないよ?」

 

...うるさいのが4匹増えた。

ルーミアの方を見てみると手紙がきちんと重ねて端っこに避けてあった。だが肝心なルーミア本人が居なかったので、軽く見回すと既に戸の方に向かっていた。

それを見て今日は騒がしくなると理解し割と二度寝したくなった。

「 皆おはようなのだ〜」

「あ!ルーミアみっけ!」

「ルーミアちゃんおはよう」

「本当に此処にいたね…」

「でしょ?」

「おいバカ4人と保護者、今日は何しに来やがった?」

 

来ていたのは、チルノ、大妖精、リグル、ミスティアの4人だった。

この4人はルーミアと仲が良く、今日の様にルーミアがいるとこんな感じでよく家にくる。

 

「あ!幸裏(こうり)!遊びにきてやったぞ!」

「チルノちゃん 、違うでしょ…」

「ルーミアを探しに来たんだよ」

「此処にいるかもと思ってね、来てみたんだよ」

「そうか、なら用事は済んだな。じゃあさっさと帰れよ」

「ご飯は食べてくのだ~」

「チッ!」

 

このまま誤魔化せないかと思ったがしっかりと覚えていたようだ。

正直忘れて帰ってくれた方が色々と楽だったのだが。

 

「いや迎え来たんだからかえr

「ご飯!?ならあたいも食べる!」

「はぁ!?いや帰れやルーミア迎えに来たんだろうが!」

「食べたら遊ぶ!」

「あぁもう!大妖精お前の相方何とかしてくれよ!」

 

大妖精にこの状況を何とかさせようとするが、ここで予想外の方から援護が来た。

 

「でも私の時はすぐ分かったって言ったのだ〜」

 

...向こう側に。

 

「いやそれはお前1人なら何とかなると思ったからであってさすがに5人は面倒臭いぞ!」

「あたい冷たいデザートが食べたい!」

「図々しいぞ⑨!」

「⑨じゃないもん!」

 

我ながら醜い争いをしていると分かってはいるがやはりとてもじゃないが5人分の飯なんて面倒臭いにも程がある。

なのでどうにか逃げようと考えを走らせるが、ルーミアが側に来て満面の笑みで

 

「デザートまだなのか~?」

 

...こんな笑顔で言われたら逃げるに逃げられなくなってしまう。

 

「はぁ...分かったよ餡蜜でいいよな?」

「わーい!餡蜜!」

 

まるで子供の様にはしゃいでいるチルノを見ていると、まぁこれも悪くないかと、そう思えた。

 

「じゃあ作って来るから大人しくしとけよ」

「分かったのだ~」

『『『『はーい!』』』』

 

台所に行きそこにかけてあったエプロン付け、餡蜜を作りだした

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ほら出来たぞ」

「餡蜜♪餡蜜♪」

「美味しそうなのだ〜」

「その...すみません。私たちの分まで」

「食い終わったら帰れよ?流石にこれ以上お前らのお守りをするのはゴメンだぞ」

 

取り敢えず全員分のデザートを作り終え、自分の昼飯を作るため立ち上がる。

 

コンコン

「幸裏さ~ん。居ませんか〜」

「あぁ客か。居るぞ、入ってこい」

 

ドアを開け入って来たのは首抜けの赤蛮奇だった。

 

「今日は何の用だ?」

「影狼と姫に手紙を届けたいのです。」

 

手紙の配達。それこそが幸裏のやっている仕事である。

 

「今日中か?」

「はいお願いします」

「じゃあ今から行ってくるわ」

「お願いします。...あのすみません、1つ聞きたいのですが...何故エプロン付けてるんですか?」

 

空気がピシリと音を立て固まった。

するとそこでようやく赤蛮奇が、誰かが奥に居ることに気が付いた。

 

「? 誰か来てるんですか?」

「...ああばか4人と保護者がな…」

 

それを聞き苦笑いをしている赤蛮奇が何となくイラついたので、デコピンを1発叩き込むと涙目になっている赤蛮奇を無視し手紙を届けるために出かける準備をする。

 

「じゃあ行ってくるわ」

「どっか行くのか〜?」

「ちょっと仕事にな」

 

そう言うと不幸の手紙の付喪神、幸裏は空を飛んだ。

 

 

 

 




出来れば感想お願いします!!


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霧の湖

花粉症でくしゃみが止まらない黒猫街夜です。
では本編どうぞ。


幸裏は霧の湖に向け飛んでいた。

赤蛮奇の依頼で手紙を届けに来たのだ。

湖の上空に到着し、手紙の届け先であるわかさぎ姫を探すが、全く姿が見えなかった。

 

「最初はわかさぎ姫か、呼べば出てくるか?」

 

大きく息を吸い込み。

 

「わかさぎー!出てこーい!お前宛に手紙があるぞー!」

 

湖に向け呼びかけてみるが返事が無く、不思議に思い下に降りていく。わかさぎ姫はあまりこの湖から外に出ることは無く何時も此処に来ればいるのだが、今日はいないのだろうか?

では何処に行ったのか、全く検討が付かずに悩んでいると、湖から泡が上がって来るのが分かった。

 

「ぷはぁ!幸裏さんお久しぶりです~」

「ああそうだな。ほら手紙、赤蛮奇からだ。」

「あら~じゃあお返事書かなくちゃですね~ 」

 

わかさぎ姫は呑気な顔をしそういった。

そこでふと疑問に思った事を聞いてみた。

 

「そういえば、さっき呼んだんだが何ですぐ出てこなかった?」

 

するとわかさぎ姫は若干顔を赤くして、消え入りそうな声で

 

「あぁえっとその~...わ、笑わないでくださいね?」

「?分かった」

 

わかさぎ姫の様子に疑問を覚えながら了承する。

 

「.......寝てました...」

「へ?」

「だから寝てたんです!」

 

顔を完全に赤く染めながら恥ずかしそうにそう声を荒らげた。

 

「あ~起こしちゃったか。それはすまん」

 

これは完全にこちらが悪いので素直に謝罪する。

するとわかさぎ姫は微妙な顔をして。

 

「そんな素直に謝られたらもう怒れないじゃないですか~」

「そんな理不尽なこと言われてもな・・・」

 

あんまりな言い草に思わず苦笑いを浮かべていると、不満を覚えたのか、上目遣いで睨んできた。

 

「そんな顔されてもどうしようもないぞ?」

「そこは何とかして下さいよ~」

「何をどうしろってんだよ?」

 

もはや苦笑いしか浮かばなかった。

その後も、2人で談笑していると、わかさぎ姫が急に何かを思い至った様子で、一言。

 

「そういえば幸裏さんお仕事の途中じゃなかったんですか?」

「あっ」

「…どうするんですか?もう日が暮れますよ?」

 

わかさぎ姫の言葉に愕然とし、空を見上げると確かに太陽が沈みかけていた。 会話に夢中になり仕事のことをすっかり忘れてしまっていた。

 

「 やばい!忘れてた!」

「もう、ばんきちゃんに怒られても知りませんよ?」

「すまん!また今度な!」

「はい、待ってますね~」

 

わかさぎ姫に別れを告げもう1人の届け先である今泉影狼の元に急いで向かう。すると自分の家の近くに差し掛かった所で、向こうから小さな影が5人分近づいてきた。その影の中にひときわ目立つ金髪を見つけて、大体誰なのか察すると見つからない様に高度を下げる。

しかし。

 

「 あっ幸裏!見つけたのだ~」

 

何故かルーミアに見つかってしまった。

 

「…よく分かったな?」

「何となくなのだ~」

 

何となくで見つかったことに若干不安を覚えるがこの際気にしない事にする。

 

「おぉー!ルーミアよく気づいたな!」

「すごいねルーミアちゃん」

「ん~何かこう幸裏の匂いがするのだ~」

 

…気にしない事にする!!

「それよりお前ら今から帰るのか?もっと前に帰ってるかと思ってたぞ」

 

何せもうそろそろ太陽は沈み、夜がやってくる時間帯である。なのに今から帰るというのはいささか遅すぎると思うのだ。餡蜜を食べたらすぐ帰るように言ったはずなのだが。

 

「あの後餡蜜食べたらみんなで寝ちゃったのだ~」

「...お前らもか...」

「お前らもってどういう意味?」

「あぁ、わかさぎ姫の所に行ったら彼奴も寝てたんだよ。」

説明に納得したようで、何度も頷いている。

「てことはお前ら結局遊ばなかったんだな」

「幸裏の餡蜜が美味しいのが悪い!!」

「ぶっ飛ばすぞ」

「まぁチルノの気持ちは分かるけどね」

「うん、分かる」

「分かるのだ~」

「み、皆んな失礼だよ…」

「お前ら次から大妖精以外デザート無しな」

『『『『嘘嘘嘘!ごめんなさい!?」

「…お前らな~ちょっと現金すぎるだろ」

 

あのルーミアが語尾を伸ばさずに全員の息が綺麗に揃ったのを見て流石の大妖精も若干引いていた。

そうこうしているうちに、また話し込んてしまった。もう少し話していたいと思うがまだ仕事も終わって無く、彼女等にも寺子屋がある。

 

「お前ら早く帰って寝ろよ?遅刻なんてしたら先生に怒られるぞ」

 

それを聞き彼女達は揃って顔を青ざめた。それ程先生の怒りの頭突きが怖いのだろう。

 

聞き分けのいい彼女達に苦笑いをし、そのまま別れ影狼が居るで在ろう迷いの竹林へと急いで向かう。




どなたか感想か評価して下さってもいいんですよ|´-`)チラッ


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迷いの竹林

エントマ戦闘回来たァァァァァァァァァァァァァ!!
いや~嬉しくって深夜なのに書いちゃいました。オーバーロード面白いよね
では本編どうぞ


チルノ達と別れ影狼が居るであろう迷いの竹林へと向かっていた。

迷いの竹林は1度足を踏み入れると360度周りが竹であり、自分が本当に真っ直ぐ進んでいるのか分からなくなってしまうという天然の迷路だった。

そして幸裏は。

 

「…何処だここ」

 

絶賛迷子中だった。

 

迷いの竹林に入って少しするとまるで方向が分からなくなり、完璧に迷ってしまった。

 

「やっぱり妹紅に道案内を頼むべきだったかな~」

 

いつもなら迷いの竹林に行く時は迷いの竹林の案内人であり焼き鳥屋もやっている妹紅に頼むのだが、いかんせん今日は時間がおそすぎた。なので妹紅に頼むのは気が引けてしまい1人でも何とかなるのでは?と思い来てみたが甘かった。

 

「まさか入ってから2.3分で迷うとはな。迷いの竹林名は伊達じゃないってことか」

 

何とかして今日中に影狼の元にたどり着きたいがこれでは難しいかも知れない。

上空から探そうにも常に深い霧が立ち込めているため不可能なので実質詰みである。

 

「どうしたもんかね~このままだとマジで赤蛮奇に怒られかねないんだよな」

 

どうしたものかと悩んでいると、ガサッ という 音が聞こえた。思わず身構えると出てきたのは黒い毛並みを耳が見えた。

それを見て音の主が誰なのか察し、同時に警戒して損したと安堵した。

 

「探したぞ影狼」

「こんな時間にどんな命知らずかと思ったらまさか自分の知り合いだったとはね。それで?こんな時間にどうしたの?」

「赤蛮奇から手紙だ。あいつには今日中に届ける様に言われててな」

「そう、手紙屋も案外大変なのね」

 

赤蛮奇からの依頼である手紙の配達をぎりぎり今日中に終わらせることが出来正直安心した。これでもし間に合わなければ自分の信頼に関わる。何より手紙屋としてのプライドが許さない。手紙屋の仕事は案外ハードなのだ。

 

「ふーんそれなりに元気でやってるみたいじゃない」

「でもこの間転けてそれをたまたま見てた老人を昇天させかけたらしいぞ」

「...何やってんのよあいつは」

 

抜け首の妖怪である赤蛮奇は、名前の通り首が抜ける。しかも赤蛮奇はかなり抜けやすいのだそうだ。

ちなみに赤蛮奇の首が落ちる所を見てしまった老人はその場で気絶してしまい、その後特に問題無く起き上がったのだが、近くに謝ろうと思い申し訳なさそうな顔をしていた赤蛮奇の顔を見て、もう一度気絶してしまった。

 

「じゃあ手紙は受け取ったわよ」

「ふ~これで何とか仕事は終わったな」

「大変ね、ちょっと家で休憩してく?」

「お、じゃあお言葉に甘えて」

 

影狼の好意に甘え、少し休憩する事になった。

その後しばらく影狼が出してくれたお茶を飲みながら、談笑していると空が若干明るくなり始めた。

 

「おっと、もうこんな時間か、悪いな朝まで居座っちゃって」

「いえ気にしなくてもいいわ。私も楽しかったし」

「そうか?ならまた今度遊びに来るよ」

「えぇ、待ってるわね。次来る時は茶菓子でも作って来てよ」

「...持ってきてじゃなくて作ってきてなんだな?」

 

影狼には俺の料理を作ってやった事が無く、更に別に誰かに料理が出来ることを言った訳でもない。なのに何故影狼はその事を知っているのだろうか。

すると影狼はキョトンとした顔で。

 

「えぇ、作れるのよね?この間みすちーが言ってたわよ?」

 

その言葉に膝から崩れ落ちた。

 

「あ、あの野郎面倒を持ち込みやがって...それお前以外は知らないよな?」

 

半分祈るかの様に聞いてみると。

 

「いや?他にも死神と白黒魔女がいたわよ?」

 

帰った来たのは無慈悲な宣告だった。

 

「死神ってサボり魔の小町だよな。ってことは白黒魔女は魔理沙か?」

「えぇそうよ」

 

小町なら人里の団子屋で偶に会うので一応知り合いだが、まだ団子屋以外ではあった事がないので大丈夫だろう。

しかし魔理沙とはそれなりに仲が良く偶に家に遊びに来る。あまり面倒な事はしたくないのだが、既に嫌な予感がしている。

 

「は~面倒臭い事になりそうだ。」

「ほんとに大変そうね。まぁ頑張ってね」

「おう...またな...」

 

もう色々と疲れたのであとはもう、家に帰って休もうと思い飛び立とう

 

「ちょっと大丈夫なの?」

 

とした所で影狼に呼び止められた。

 

「...何だよ?」

「いや、だって貴方...1人で帰れるの?」

「はぁ?別に家に帰るぐらいの事誰でも...」

 

そこまで言いふと思い出した。

そういえばここはかなりの確率で迷う迷いの竹林であり、そして来る時に1度迷っているのだ。

 

「...すまん案内してくれ...」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その後影狼の案内で迷うことなく竹林を脱出する事が出来、ようやく家にたどり着く事が出来たのだ。

そして今日はこのままベッドに行こうとふらつく足取りで自分の家の戸を開ける。

 

「よぉ!待ってたんだぜ!」

 

勢い良く戸を閉めた。

自分の嫌な予感が的中してしまい、軽く発狂したくなったが、何とか我慢した。

 

「落ち着け俺。まだ魔理沙が俺の飯を食いに来たとは限らないじゃないか。そうだよ仕事の依頼かもしれない。いやきっとそうだそうに違いない」

「いやお前の飯を食べに来たんだぜ?」

「うお!驚かすなよ…」

 

あれ、そういえば今魔理沙はなんと言ったのだろう。聞き違いでなければ飯を食べに来たと聞こえたのだが…

 

「...今何て?」

「だから、お前の飯が美味いって聞いたから食べに来たんだぜ」

 

「...はははははははははははははははははははは」

 

この後幸裏は泣きながらチャーハンを3杯作った。

 

 

 




ちなみに今回が今までで1番長いです。まぁ誤差程度ですが。


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目覚めると...

どうもFGOでサリエリさんをお迎えした黒猫街夜です!
リア友にして同じ投稿者の友人にはよ投稿しろと言われたので投稿です!ふっやりきったぜ…
今そのリア友とにもちょっと手伝ってもらった小説を書いてますので少々お待ちを!
では本編どうぞ!


朝、小鳥の鳴き声が耳に入り目を開けると、窓から光が差し込んでいた。そして昨日の夜にあった出来事を思い出す。昨日は魔理沙に飯を作った後魔理沙を家から追い出し、寝巻きに着替えなんとかベットにたどり着きそのまま寝たのだ。

 

「んっ~昨日はマジで大変だった…これはしばらく仕事休んでもいいよな?」

 

正直に言って昨夜は色々あった為もういい加減休みたかった。

そして一度考えてしまうとそれ以外の考えは浮かばなかった。

 

「よし!今日は久々に休むか!!」

 

そう1人で決意し久々の休みに気を緩めながらひとまず朝ごはんを作るために1階へと降り

 

そのまま崩れ落ちた。

何故ならそこには気持ち良さそうに眠る4人の幼女が居たのだ。

説明するまでもなくチルノ、ルーミア、リグル、ミスティアの4人だった。

4人の保護者的立場である大妖精が見当たらないのが気になったが、とりあえず幸裏は目の前に広がる問題を片付ける事にした。

 

「おい!起きろお前ら!何で俺ん家の居間で寝てやがる!」

「んみゅ?な~に~?もう朝~?」

「とっくに朝だわ!早く起きろガキ共!」

「むにゃむにゃ…後10分...ぐぅ...」

「寝てんじゃねーよ!さっさと起きろぉぉぉぉぉぉ!!」

 

朝寝起きから疲れるやり取りを展開した幸裏は4人をたたき起こし、その場で正座させ、仁王立ちで見下ろしていた。

 

「...何でお前ら俺の家で寝てた?」

「チルノが遊びに行こうって言ったのだ~」

「ルーミア!?裏切ったな!?」

「チルノ有罪《ギルティ》」

「幸裏!?」

「で?大妖精が居ないのはなんでだ?」

「あっそれはチルノが大ちゃんが居たら止めるからって」

「ミスチィーまで!?」

「チルノ死刑」

「死刑!?一体何をする気なの!?はっ!まさかあたいを虐めるつもりじゃ...」

「エロ同人みたいに?」

「リグル、今度余計なこと言ったら口を縫い合わすぞ?」

「はい黙ります」

「でもお兄さん実際何するの?あんまり酷いことはしないであげてね?」

「安心しろちょっとかき氷の氷を作ってもらうだけだ」

 

それを聞き安心したチルノに絶望を与える。

 

「百個ほど」

「百個!?そんな量あたいほんとに死んじゃうぞ!!」

「知らんやれ」

「そっそもそもいくら夏だからってそんなにかき氷なんて食べないだろ!

「備えあれば憂いなしだ、先人の知恵を知らんのか」

「知らない!」

「威張るなバカ」

「今あたいの事バカって言った!?」

「バカにバカって言って何が悪い?」

「バカって言った奴が馬鹿なんだぞ!や~いばーかばーか!」

「お前も言ってるじゃないか。やっぱりお前は馬と鹿だったか」

「あっ!?くそう幸裏はめたな!?」

「チルノ...残念な子...」

「リグルには言われたくないぞ!」

「ちょっとそれどういう意味!?」

「そのまんまだろリグル」

「幸裏は黙ってて!!」

やれやれ、これはちょっと時間がかかりそうだな。

 

「「ゼェ...ゼェ」」

 

リグルとチルノによる軽い喧嘩はお互いの体力切れという形で決着した。

ちなみにその間幸裏は何だかんだ食べ損ねていた朝食を食べていた。今日の朝食は食パンの上に目玉焼きを載せたものだった。

 

「終わったか?」

「そうみたいなのだ~」

「そうか」

 

幸裏は2人に近ずき声をかけた。

 

「おい2人とも飯食うか?」

「「食べる!!」

「うわー2人とも単純だな~」

「そう言ってやるなミスチィーこいつらはそんなもんだ」

「どういう意味だ!?」

「そのままの意味だバカ二人」

「「むきぃぃぃぃ!!」」

「じゃあ朝飯要らねえの?」

「「それは食べる」」

「なら早く座れもう二人は座ってお前らの事待ってるぞ」

 

それを聞くが早いか二人で机に向かい走り出した。

騒がしい朝が一応終わりを見せいざ朝食を...

 

「なぁなぁ幸裏」

「...何だよ」

 

チルノによって邪魔が入るが一応何か言いたそうなので目くじらを立てずに聞いてみることにした。

 

「何であたいが馬と鹿なんだ?あたいは妖精だぞ?」

 

...そういえばチルノは頭がかなり弱い妖精だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はかなり短めです!ルーミアの影が薄くなってしまった…
ではでは帰る前に評価と感想ぜひお願いします!


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完膚無き敗北と糾弾

こっちは久しぶりの投稿です!
すいませんでした!
もう一個の方の小説もぜひ読んで下さい!


朝食も食べ終わり4人を外に追い出す。

追い出すなんて酷い?

知らん。休日に押しかけてくるのが悪い。

 

寝間着からいつもの浴衣に着替え食材を買いに人里に向かう。

幸裏の家は人里から少し離れた魔法の森の境界に位置する場所に建てている。

 

あぁ、休日の朝に何でこんなに疲れなきゃならないのか。

疑問でしかないが、なんだかんだ言って幸裏も楽しんでいるところがあるのでお互い様だろう。

 

すると頭上から何かが近づいてくるのを察した。

気になり上を見上げてみるとそこに居たのは幻想郷の巫女。

博麗霊夢だった。

 

その顔には眩しいくらいの笑顔があった。

しかし何故だろうか?

あの笑顔を見てたら背中に寒気が走ったのは。

 

「よぉ霊夢。久しぶりだな」

 

「えぇそうね。だいたい2ヶ月ぶりぐらいかしら」

 

「そのくらいかな。それで?わざわざ下に降りてきて何か用か?」

 

「いや実はね最近お賽銭がとっても少ないの」

 

「いつもの事じゃね?」

 

「あぁ?」

 

「分かった、俺が悪かったからヤクザみたいな顔と声を引っ込めろ」

 

「…そう。やっぱりあんたの仕業だったのね」

 

「は?一体何を」

 

「言い訳無用!」

 

咄嗟(とっさ)に飛んできた弾幕を避ける。

 

「危ないな!?なんのつもりだよ!?」

 

「うるさい!どーせあんたがうちの賽銭箱になにかしたんでしょ!」

 

問答の合間にも容赦ない弾幕が飛んでくる。

 

「ひでー言いがかりだな!?根拠は一体なんだよ!」

 

「そんなものないわよ!」

 

「ふっざけんな!そんな根拠もなく退治されてたまるか!」

 

「うるさいわね!強いて言うならあんたの能力が根拠よ(・・・・・・)!」

 

「知るか!だいたいなんで俺がそんな事をしなきゃならん!?」

 

いわれなき罪で詰問(きつもん)されていることに軽いイラつきを覚え言い返すが、帰ってきた返答は理不尽極まりないものであった。

 

「それこそ知らないわよ!どうせ私のお賽銭を奪い取るつもりだったんでしょ!」

 

「言いがかりが過ぎるだろ!だいたいな!お前の賽銭なんて俺が何もしなくても元々入ってる方が珍しかったじゃねぇか!」

 

「言ったわね!?ええそうよ!どうせお賽銭がないのなんていつもの事よ!でもね!お賽銭がなかったせいで一週間以上インスタント味噌汁とふりかけだけだった私の身にもなって見なさいよ!」

 

「な、なんて貧乏な…」

 

「うっさいわね!そういうわけだから大人しく私に退治されなさい!」

 

「どういうわけだよ!」

 

「お腹がすいてむしゃくしゃするからストレス発散のために私に殴られなさいって言ってんの!」

 

「八つ当たり!?」

 

「うっさいわね!大人しく退治されなさいよ!」

 

裂帛(れっぱく)と共に放たれた弾幕の隙間をすり抜け、ギリギリ(かわ)す。

 

「だーくそ!霊夢!これは弾幕ごっこってことでいいんだよな!」

 

「ええいいわよ。さっさとかかってきなさい!」

 

「じゃあ遠慮なく行かせてもらうぜ!」

 

スペルカードを抜き取る。

別に戦闘は得意なわけでも好きな訳でもないのでこんな弾幕ごっこなんてやることないと思ってたんだがなぁ。

 

「不幸 ディザスターレター!」

 

大きく円を描き左右から挟むように攻撃する百は下らない黒い手紙が霊夢に向かう。

 

「しゃらくさい!」

 

しかし霊夢はそんなもの気にもせずに俺に向かって突っ込んで来る。

 

払い棒を前に突き出す刺突(しとつ)で。

 

弾幕が霊夢のいる位置に到達する頃には既に1歩先の位置にいる。

弾幕が追いついていない。

 

「げふぅ!」

 

刺突が綺麗に腹に決まり視界が暗転していく。

 

あぁついてない。

最後にそんな事を考えながら幸裏は意識を閉ざした。

 

♢

 

「ふぅ、スッキリした!」

 

足元に倒れている幸裏を清々しい笑顔で見下ろし最初の一言がそれだった。

 

仕方ないと思う。

この所は食生活があまりにも悲しすぎたのでとてもむしゃくしゃしていたのだ。

 

幸裏には悪いとは思っている。

なので今度インスタント味噌汁を奢ってあげようと思う私はとても優しいと思う。

 

他人が聞けば自分がやっておいて何を言ってるのかとか、そもそもお前のインスタント味噌汁は貰い物だろうとか色々ツッコミが待っていることだろう。

 

しかし霊夢にはそんな自覚はなく、本気でいい事をしていると思っていた。

 

「さて帰るか」

 

「幸裏!?どうしたの?」

 

帰ろうと思い(きびす)を返すと頭上から幼い声が聞こえる。

見上げてみればそこに居たのはルーミアだった。

 

「だいじょーぶよ。ちょっと気絶してるだけ」

 

「...なんで気絶してたのだ~?」

 

こちらを睨みつけながら聞いてくる様子から薄々霊夢が犯人だと勘づいているのだろう。

めんどくさいことにってしまった。

自業自得だが珍しく反省する霊夢だった。

 

「いやちょっとね……弾幕ごっこでやりすぎちゃったのよ……」

 

「ふーん。そーなのか~」

 

声が完全に疑っていた。

まぁこの状況を見ればしょうがないのだが…

実際霊夢が全て悪いわけだし。

 

「はぁ、悪かったわよ。やりすぎちゃったとは思ってる」

 

これは本当だ。

流石にここまで一方的な八つ当たりをしておいて何も思わないほどじゃない。

 

「…そーなのかー」

 

帰ってきたいつものセリフは(かす)かな疑いが含まれていたが仕方ないと。

確実に私が悪いのだから。

 

「ルーミアちゃーん!」

 

頭上から声が聞こえる。

間違いなくいつもルーミアと一緒にいる4人。

 

「わっ!幸裏さん!?どうしたの?」

 

1番に駆け寄ってきた大妖精に揺さぶられているが幸裏は一向に起きる様子がない。

絶対やりすぎた。

 

他のちっこいのも次々幸裏のそばに駆け寄り心配している。

本格的に心が痛くなってきた。

 

いやまぁ100%私が悪いのだけど。

精神攻撃ならとても成功しているからもう許して欲しい。

 

ふと全員の目線をこっちに感じたので何を見てるんだと睨み返してくなるがどう言い訳しても悪いのは私。

言い訳するのは愚策だろう。

 

「はあ~悪かったわよ。ほんとに」

 

「…もう幸裏に八つ当たりはしない?」

 

言葉だけ聞けば子供の舌足らずな声で可愛らしいのだが視線は絶対零度と言っても差し支えなかった。

 

「しないわよ。ほんとに私が悪かったから」

 

一応納得してくれたのか軽く頷いてルーミアが他の4人に話しかけ幸裏を持ち上げる。

 

そしてそのままどこかへ飛んでいった。

 

次からもう少し優しくした方がいいだろうか。

そう魔理沙に言ったら正気を疑うような目で見られたので頭をひっぱたいた私は悪くないと思う。

 



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