中年ハンターと新人ハンター達が頑張るようです。 (Borubo)
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「プロローグ」G級中年狩人ウワフ村へ向かう。

1

 

とある中年ガンランサーが居た。その場所は遺跡平原で、狩人の隣にはリオレイアが倒れて居た。十分に成長した成体で尚且つ、他の個体よりも色艶が良かったり、脚の筋肉が普通の個体よりも盛り上がっていた。どうやらG級個体だったらしい。

 

その男はオトモの猫二匹と共に剥ぎ取りを済ませるとキャンプへと戻っていった。「やはり歳だな。前よりキツくなってる気がするな」男はオトモ達にこぼす。「あまり無理はなさらないでくださいニャー」男の年齢は46だった。ハンターの寿命は35歳ぐらいまでだ。長くやっても40代前半だ。

 

かつてドンドルマ防衛や、G級と呼ばれるクエストの中でもかなりの猛者達を相手に活躍していた男もやはり来る歳には勝てない。最近はもっぱら、G級でも弱い部類のモンスターしか狩猟していない。

 

それでもやっていけたのは長年の経験からだ。

ここでガンランスという武器の特徴を紹介していこう。ガンランスは盾と砲撃機能のついた槍を使い、硬い守りと強力な砲撃攻撃を実現したロマン溢れる武器だ。

男はハンターをしてきた長い月日の中、世のハンターは様々な独自の変化を遂げて行くのを目にしてきた。水中でも戦えるハンター。モンスターの上に飛び乗り、ダウンさせる技術のあるハンター。訓練所に行けば、

 

「狩技」や、「スタイル」も指導してもらえる。最近ではガンランスには竜抗弾なるものが追加された。スリンガーというものも数年前からハンター必修科目となった。が、男はスリンガーを使わない。使い方がよくわからないからだ。男は時代に取り残されていく感覚がビリビリと迫り来るように感じていた。

 

 

大老殿

 

「今戻ったよ。」老いた男は受付嬢に話しかける。「お疲れ様です。ブローニングさん。大長老様がお呼びでしたよ」「大長老がか。わかった行こう」

大老殿の中央には巨人といっても差し支えない竜人が鎮座していた。

 

「今戻りましたよー大長老」「おお、帰ってきたか。ブローニングくん。」「で、用とは」「ムオッホン!君、もうそろそろ潮時なんじゃないかの?」「イヤミですかな?ゲハハ!!」

 

男はわかっていた。本来自分ほどの年齢でハンターはやっていられない。竜人族ならまだしも男は人の身。老化は馬鹿にできない。だがしかし、もうちょっとだけ、あと少しだけ、続けたいという思いがあった。

 

「冗談じゃよ。わしは君に後続の指導をしてもらいたいのだ」「後続の指導?」「バルバレにHR2のハンター2人組がおる。彼らの指導をお願いできないだろうか。まぁ指導といっても一緒にパーティを組んで狩に行ったりするだけでよい」「…………いいですよ」男は少し考えてから承諾する。「ではこのことは後々通達しよう」

 

ファラクは大老殿を出て行く。

ファラクが出て行ったのを見計らって護衛の一人が大長老に小声で話しかける。「これがあの方の最後の仕事になりそうですね」「うむ。まぁ彼奴も満更ではないかもな。なにせあいつはウワフ村出身なんだからのう」

 

 

 

バルバレに向かう船にて

「ほぉう…こいつらか…」

老いたガンランサー。ファラク・ブローニングは指導対象二人のギルドカードを見ていた。

21歳男。双剣使い ライタ

ウワフ村出身

真面目そうな人といった風貌。

21歳男。剣斧使いのアロ

ウワフ村出身。容姿端麗である。

「ウワフ村…ですにゃ。聞いたことない村ですにゃ。」横で見ていたオトモの「ショウガ」が話しかけてきた。「おや、知らないのか。」「知らないですニャ」「そうか。まぁ、砂漠に近い村だな。」

 

「へぇニャ」ファラクには二匹のオトモアイルーがいる。名前はショウガ、トウフ。ファラクが40ぐらいで雇い始めたのだ。「残り少ない狩人人生、最後の任務と行こうか。ゲハハ!!」「「ハイですニャ!!」」

男はこれを済ませたらハンター引退をすることを決めたのだった。

 



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轟竜編前半 ドリンク忘れてリタする奴

ライタ

HR3

武器 ツインチェーンソー

ザボア一式

 

アロ

HR3

スラッシュアックス(後々追加)

レイア一式

 

ファラク

HR50 G3

武器 ブラックフルボルト

装備グラビX一式

 

 

 

 

「今日でしょ!?新しくら私たちとパーティー組んでくれる人が来るの!」と剣斧を背負った女性が嬉々とした顔で騒いでいる。「そうだが、お前何回聞くんだそれ?」それを真面目そうな男が返答していた。「どんな人なんだろう?ベテランの方って聞いてたけど」

 

ライタ「まぁ、基本的に俺らみたいな駆け出しのお守りをやってくれる人ってのはほとんどハンター引退前の人がやるわけだから30歳ぐらいだろjk」

アロ「カッコいい人がいいなー」

ライタ「やれやれだろ…」

 

(む…着いたがどこにおるのかな?)

バルバレの集会所にて着いたファラクは駆け出し三人組を探していた。(あれかな?)騒いでいる二人組に歩み寄る。

ファラク「よう。君たちは、アロ、ライタだね?」

と、全身をG級グラビモスの希少な素材を使ったグラビモスと思われる装備で固めた者が話しかけてきた。

ライタ「そうですけど。何か?」

ファラク「俺が君たちとパーティを組むファラク・ブローニングだ。ギルドから聞いているな?よろしく」

 

ライタ「よろしくおねがしますだろ」

アロ「よろしくお願いします」

ライタ「その装備…グラビモスのですか?少し俺が知ってるのとは違うような」

ファラク「あぁ。これはG級グラビモスの素材を使ったグラビX装備だ」

アロ「G級!ってことは…」

ファラク「あぁ、俺はGの狩人なのさ。もう歳だから「だった」かね」

Gというのはモンスターの強さを示す。下級、上級。この二つを凌駕する強さを持つモンスターのみがG級指定をされるのだ。Gは生物ではなく、もはや災害と言っても差し支えないレベルである。

 

G級のモンスターは希少だ。稀に見つかる程度でハンターによっては会うことすら無いこともある。だがその強さは折り紙つき、上位のハンターが四人で挑んでも蹴散らされるのがオチである。

G級に指定されるには上位のハンターを10人以上殺害、もしくは再起不能にさせるのが条件である。

そしてそれらを狩るG級ハンターになるのにも高い才能と技術と経験が必要とされ、その人数はとても少ない。今ドンドルマには数名ほどしかG級ハンターはいない。

 

アロ「失礼かもしれませんが今おいくつですか?」

ファラク「驚かれるかもしれないが実は32歳なんだ」

ライタ「あれ、思ってたより普通です」

ファラク「嘘だ。46だよ」ゲヘヘと笑いながらファラクは頭装備を脱ぐ。

 

ヘルムの下からは白いものが混じっている髪の毛と蓄えた口ひげのある顔が出てきた。

ライタ「よ、四十…」

アロ(口をパクパク)

ファラク「驚いたろう?」と頭装備を着直すファラク

ライタ「ホント驚きました。まさか、三十どころかを四十を超えてもハンターを続けているだなんて…」

「ゲハハハ!!よく言われるよ!

 

で、早速君たちのクエストに同行したいんだが、確か今日君たちは丁度昇格試験を受けるらしいじゃないか」

アロ「はい、そうなんですよ」

ライタ「ターゲットはティガレックスです。」

ファラク「ほう。ティガレックスか」

 

ティガレックス。

四足歩行型の飛竜種で陸上での活動に長けており、他の飛竜種もティガレックスとの戦闘は避けるほどと言われているモンスターだ。特徴はその咆哮で、他のモンスターの方向と違い、その咆哮は衝撃波として受けたものは大ダメージを食らってしまうのだ。

 

 

アロ「ハイ。狩猟地は氷海です」

ファラク「俺はこれから狩りに向けて飯を食おうと思う」

ここで食事について簡単な説明。

食事とはその名の通り飯を食べることで、食事をすることにより一時的に、攻撃力や防御力を上げたりする効果がある。

ファラク「では後ほど」

 

 

ファラク「待たせたな。これで準備オーケーだ。」

アロ「こっちもです」

ファラク「あ、そうだ。俺に対しては敬語は使わなくていいぞ,堅苦しいのは嫌いでな」

アロ「あ、はい。じゃなくて。わかったわファラク」

ライタ「わかっただろ」

ファラク「意外にもすぐ馴染んでくれそうです助かるな!ゲハハ!!」

 

氷海

 

アロ「あ、ホットドリンク忘れた」

ライタ「またか」

ファラク「しゃあないから俺のを分けてやるよ」

アロ「ありがとう」グビっとのむアロ。

ファラク「よし。では準備はいいな?これからティガレックスがいそうな場所。つまりは捕食対象のポポ達の所へ向かうぞ。」

ライタ「準備okだろ」

ファラク「うむ。では行こう」

氷海の気温はとてつもなく寒く凍てつくような世界だが、ホットドリンクを飲んでいる三人はそれを物ともせず進んで行く。

アロ「あ!はちみつだ!」

ライタ「おいおい。そんなことしてていいのか?」

ファラク「ゲハハ!!懐かしいな。俺も駆け出しの頃は蜂の巣見つけるたびに取ってたよ!もう少しでポイントに着く。蜂蜜は回復薬グレートの材料になるし、とっちまえ!」

アロ「うん!」ガサゴソと採取しまくる幼馴染とファラクにライタはため息をつく。

ファラク「そっちも取っちまえ!」

ライタ「これはとんでもない人がお守りについただろ…」

 

そして暫くして……

 

ファラク「着いたな。ここが洞窟前。ポポ達の溜まり場だ。」

洞窟の前の少し急な坂のようになっている地形。そこにはポポが五頭ほどのしのしと歩いていた。

ファラク「暫くここで見張るか。あそこが段差になっているからそこの陰に隠れよう」

「「了解」」三人は段差の陰に隠れた。

暫くして…

ファラク「む……来たな」

ライタ「え?ティガが?」

アロ「まだ見えないけど」

ファラク「なんとなくだ。雰囲気を感じたまでよ」

アロ「あ、あれって」

バサ…バサ……ドシン!!と大きな音を立てて黄色い肌に青い模様のある飛竜が降りて来た。いや、降って来た。

ファラク「来たな……ヤツだ……!」

 

ライタ「アレがティガレックス…」

ファラク「だが今は待て。ポポを襲い出すはずだからそこを狙って不意打ちするぞ」「「了解」」

ティガレックスは近くに居たポポに向かって猛然と走り出す。ティガレックスは陸上での活動に長けており、その速度は50キロにも及ぶという。

 

ポポ達が気づいて逃げ出そうとしたがもう遅い。ティガレックスはすでにポポ達に飛びかからんとしていた。

 

ティガレックスは狙いを定めていた一匹のポポに飛びかかりその強靭な力を使い強引にねじ伏せた。バコン!!という音が響く。そしてそのままティガレックスはポポの喉を噛み砕き、絶命させた。その豪快さと無慈悲さに、思わずアロがこぼした。

アロ「なんだか可愛そう」

ファラク「これも自然の摂理だ。よし、行くぞ。」ファラクはなんとも思っていないのかティガレックスの後ろへと回り込む。ティガレックスは食事に夢中でこちらには気づいていない。

そして、死角になっていた後脚に突き、突きと蓮劇を加える。「喰らえ。」

ボボボン!!!!!

 

二撃目で深く刺した銃槍がティガレックスの内部で重低音を響かせる。装填している砲弾を一気に放出する。「フルバースト」だ。その勢いで突き刺した突き刺さっていたガンランスは抜け、ティガレックスの左後ろ脚に激痛が走り転倒する。

 

「凄い」いつしか二人の口から言葉が出ていた。だがらすぐに我に帰り、

ファラクの「畳み掛けろ!」の声とともにティガレックスに向かって猛然と駆け出した。

 

 

 

 

 



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ポロリもあるよ!轟竜編終了

これにて完結です。(轟竜編は)


転倒しているティガレックスに襲いかかる3人。

アロはスラッシュアックスの斧携帯にし、振り回すように攻撃をする。

アロ「ハアッ!ハアッ!!」ティガレックスの腹部には傷が増えていく。

ライタは前腕を攻撃してが弾かれてしまった。ガキン!と甲高い音が響く。

 

ライタ「成る程、ここは硬いのか」

ファラクは弾を装填し直し、フルバーストで開けた後脚の穴に向け、また突きを今度は先ほどよりも深く刺し、フルバーストを撃ち込んだ。

ファラク「喰らえ!!」

ボボボッ!!!

ティガレックスは悲痛の叫びをする。そして、立ち上がろうとした。

ファラク「ム….お前ら!退がれ!起き出すぞ!……!いや、これは!」

 

ティガレックスは起き上がると同時進行で咆哮を放ったのだ。

いくらモンスターの素材で作った鎧で身を固めようとも、鍛えようとも、所詮は人の身。飛竜との圧倒的な力の差は到底埋められない。

ティガレックスは息を吸い込み、そして、咆哮を放った。

「ガアァァァァアアアア!!!!!!!」

 

ライタはすんでのところで衝撃波の効果範囲外へと逃げた。しかし、アロは逃げるのが少し遅れたようで咆哮をを食らってしまう。想像を絶する衝撃がアロを襲う。

「きゃああ!!」

 

アロは勢いよく転がって行く。鎧は半壊し、左の肩からは出血している。息は上がりまくり、傷も深く満身創痍だった。

「マズイ!」

ティガレックスは地を蹴り、アロにむかって猛然と駆け出した。

 

しかし、突然ティガレックスが腹を地面に擦りながら、スピードを落として行く。そして完全に止まった。ティガレックスは何が起こったのかわからなかった。左後脚が使いにくくなっているのは知っていた。だが、「たった今完全に使い物にならなくされた」ことは予想できなかったのだ。

 

ファラクはそれを見ていた。ライタが、ファラクが傷つけていた場所を正確に切り刻んだのだ。

ライタ「ふぅ…全く。ファラク!頼むだろ!」

ティガレックスは首を曲げ、ライタの方へ見る。

ティガレックスの脚に血管が浮き出て行く。そして、今までよりも大音量で怒鳴った。

 

「ガルァアアアアアアアア!!!!!!!!」

ティガレックスの怒り状態である。

ティガレックスは使えなくなった足以外をフル活用して、ライタへ向かって突進する。そのスピードは先ほどの比ではないほど速かった。

 

ファラクはその隙にアロに回復薬グレートを飲ませる。

飲みきったアロの体の傷はみるみるうちに癒えていく。

「おわわ!」

ライタは辛うじて横に前転して躱す。しかしティガレックスも諦めていない。すぐさまドリフトをかけながら進行方向を再びライタへと向け、驀進した。

(これは流石に…マズイだろ)

ライタは死を覚悟した。一瞬の遅れで狩人は簡単に命を落とす。呆気ねぇなぁ…とライタは思う。

まぁアロが無事ならいいんだ……あ、乳○見えてる…なんかもう…死んでもいいや……

突然カッ!!と目がくらむほどの照明が一瞬ついた。どうやらファラクが閃光玉を投げたようだ。ティガレックスは一時的にとはいえ目が見えなくなったことにより、闇雲に攻撃をくりだすが、全て空を切る。

 

アロはどうやら全快ではないが復活したらしい。ガサゴソと地面に何か置いている。

「シビレ罠を設置したよ!!」

「よし!」

ティガレックスは視界が復活すると、三人が固まっていたので、そこに向けて走り出す。しかし、突然体がいうことを聞かなり、ダウンした。痺れて動かせないのだ。

これが痺れ罠の効果だ。

 

ファラク「うおお!」

ファラクの銃槍の銃身が青く光り始める。肉質や硬度を完全無視する、銃槍だけの、切り札。

 

対モンスター用機構ーーー 「竜撃砲」

 

「せいっ!せいっ!」アロは剣斧を剣携帯にし、連撃をくわえたあと、剣をティガレックスに突き刺す。するとゴゴゴゴと剣が揺れ始める。剣斧の大技

 

ーーーーーー「属性解放突き」

 

ティガレックスの頭と腹が爆発し、絶対強者はついに倒れた。

「ギャアア……」

三人はティガレックスの息が完全に止まったことを確認し、剥ぎ取りの準備を始める。

狩猟完了である。

 

剥ぎ取り中。

ライタ「にしてもこいつ強かったなー。」

アロ「やっぱりティガレックスは強いね。ていうか、あんまりジロジロ見ないでよ」

 

ティガレックスの咆哮のダメージが鎧を貫通し、インナーがボロ布になっており、左上半身はほぼ全裸である。アロは左胸を隠しながら剥ぎ取っている状況だ。

ライタ「み、みてねーだろ!常考!」ライタは目をそらす。ポロリもあったし、ティガレックスナイス!!と思わず心の中でガッツポーズをする。

 

アロ「はぁ?」

どうやら欲望が口に出ていたらしい。

アロ「サイッテー…」

幼馴染の目がゴミを見る目に変わっていくのを感じつつ、ライタは剥ぎ取りを終えた。

 

その傍、ファラクは考えていた。

ファラク(おかしい…「強すぎる」気がするな…いくら下級とはいえ、レイア装備が一撃で半壊とは……)

アロのライタに対する信用も一撃で半壊である。

 

 

 

三人は集会所に戻ってきた。アロは変えのインナーに身を包んでいる。

アロ「終わりました〜」

三人を見ると否や、受付嬢が走り寄ってくる。

受付嬢「あ!すみません!」

 

ライタ「?」

受付嬢「どうやら此方の手違いで、下位のティガレックスではなくて、上位のティガレックスのクエストを手配してしまっていたみたいなんです!本当に申し訳ありません!!

 

ですが、今回のクエストで上位のティガレックスを倒すことが出来ましたので、アロさんと、ライタさんはHRは5となります。」

アロ「ホント!?」

 

ライタ「飛び級か…」

アロとは対照的にライタの表情は明るくならない。

アロ「ライタは嬉しくないの?」

ライタ「いや、嬉しくないというよりは、実力的にはまだ上位の実力に追いついてないし、大変だなぁって考えてただろ…」

 

アロ「でも、クエスト中のライタ凄かったじゃん!!」

ファラク「ああ、あれは俺も凄かったと思うぞ。」

ライタ「そ、そうか?\\\」

 

二人に褒められ、ライタの顔は少し赤みがさす。

ファラク「まぁなんにせよ。先は長いぞ。若者よ!どれ、昇格祝いに俺がなんか奢ってやるよ!」

ライタ「まじすか!じゃあ俺、アプトノスのステーキがいいな。」

 

アロ「私はアプトノスのハンバーグ!」

ファラク「わかったわかった!まずは席を探そうぜお前ら!」

 

新米の二人はまだまだ未熟な新芽だ。一方熟練狩人はうどの大木。若木と老木の三人の狩りはまだ始まったばかりだ。

 

 

 

 

 



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上位土砂竜編 新しい道具はよくわからん

今回は会話形式を変えてみました。


5

ウワフ村の集会所の昼下がり。

ファラクとアロとライタが飯を食っていた。「今日は暇だねー」アロは頬杖をつきながら飯を食べている。

狩というのはそう頻繁に出来るものではない。連日で狩猟し続けて、

 

いざという時の命取りになりかねないからだ。その為、ギルドでは一度クエストが終わったなら、3日間は休ませている。尚、緊急事態ならこの限りではない。

「アロ、この際だしティガレックスの装備作っちまえよ!素材はたんまりもらったろう?ゲハハ!!」

 

実は前回のティガレックスの下位クエストと間違えて上位クエストを手配してしまったことのお詫びして、ギルドから報酬を二倍多くもらっていたのだ。

「いいかも!私の使ってたレイア防具壊れちゃったしね」

「俺もそうしようかなー」

「ライタもか!お揃いか!いいな!ゲハハ!」

「え?そんなんじゃないだろ」アタフタするライタ。それをじと…っと見つめるアロ

「……………」

「べ、別になんも考えてねーよ!ティガレックスの防具は強いから仕方ないだろ!」

「事実。これからの上位クエストでライタの下位防具のままだとほぼ確実に死ぬからな」ファラクが怖いことを言う。

「だろー?」とほれみたかとでも言いたそうな顔をしてアロを見返すと同時に、背中に冷たいものが走る。(死ぬて!)

「今日は俺行くとこあるから。またな!ゲハハ!」と言い残すとファラクは集会所を出て行った。

残ったふたり。

「ティガレックスの防具作ってもらいに行くか」

 

「うん。そうだね。どんな感じなんだろうね?」

「え?あ、似合うと思うよ」

「え?」

「え?」

「性能とかの話!!」

「し、知ってたわ!」ライタはしまった!という顔になる。

 

 

ウワフ村墓地

 

ファラクは墓の前に居た。そこにはかつて故人が使って居たであろう銃槍が墓標として刺さっている。

ファラクは無言で手を合わせる。その後、久しぶりに村を散策しに出かけるのであった。

 

2日後

 

「今回はなんだ?」

「ボルボロスだろ」ライタは準備しながら答える。

 

ボルボロスとはの獣竜種モンスターだ。とても硬い頭をその強靭な脚力を使った頭突きを得意とする。

獣竜種のモンスターは飛竜種とは違い翼はないが、その分脚力が発達しており、地上での活動に適している。

 

「狩猟地は砂漠だよ」

「成る程。ではクーラードリンクか」

砂漠では昼間はあまりの暑さにいるだけで体力が削られてしまう。これを避けるにはクーラードリンクを飲む必要がある。

「皆用意はいいな?向かうぞ!」

ファラクに続き皆、集会所の砂漠につながる道を歩く。そして小さい洞穴にあるキャンプに着く。

「着いたな。」

「今回は策はあるか?ファラク」

 

「ある。ほら、あそこ見てみろ」

ファラクが指を指す方向には大樽が置いてある。といっても通常の大樽より一回り大きい。

「あれは?」

ファラク「あれは大樽爆弾G。とんでもねぇほど強烈な爆弾だ。あれをボルボロスに食らわせる。罠の近くとかに置いてな」

「成る程だろ。」

 

「では、ボルボロスがいそうな泥沼のある箇所を回ってみよう」

三人はクーラードリンクを飲むと移動を始めた。

 

泥沼のある地帯

 

「いたな」

「ボルボロスは下級の時も狩ったことあるんだけど上位のは強そうね」

「ああ。下位は平均的な個体。上位は栄養状態が良かったり、戦い慣れしてて強いやつが扱われる。下位の時と同じようにやると即刻BC送りだ」

「き、気をつけるだろ…」

 

「よし、じゃ、あそこに樽G置いてくれ。その近くにシビレ罠を置こう。」

離れたところに大樽爆弾Gとシビレ罠を設置した。

「じゃあここに誘導だ。三人ぐらいでーーー」ファラクが向かおうとすると……

「その必要はないだろう。さっき石を拾って置いて良かった」

 

ライタは石を左腕に装着しているスリンガーと呼ばれる道具に装填する。

そして、パチンコの要領で、ボルボロスに向かって石を打ち出したのだ。

かなりの距離はあったが、そこまで届いたようだ。

石はボルボロスの胴体にあたり、こちらへと走ってくる。

「ほう…スリンガーというのはそういう使い方なのか」

「ていうか、こうやって使うものだよ…」

「新しいものはよくわかんなくてな」

ボルボロスはこちらを見つけると、息を吸い込んだ。

「ボアアアアアアアア!!!!」

ファラクは盾を使い耐えるが、他の二人は思わず耳を抑えて硬直してしまう。人はモンスターの咆哮で固まってしまう。その隙にモンスターはハンターに攻撃をする。単純な策だが、決まりやすい厄介な技だ。

 

二人が動けないのを確認するとファラクは盾でガードしたまま無理やり前進して行く。そしてボルボロスの咆哮が終わるや否や、ガンランスを抜き一発攻撃を加える。

「俺だけみとけよ」

 

ザシュと音を立てて

刀身がボルボロスの腹を切りつけるが、纏っている泥でダメージはそんなに与えられていない。だが、注意を引くのはこれで十分だった。ボルボロスは、その場で回転し尻尾をファラクにぶつけようとする。それを盾を使い受け止める。その間に硬直から溶けたアロとライタ。ライタはまたスリンガーをボルボロスに向けて放つ。今度はライタにターゲットを移したようで猛ダッシュしてくる。が、そこはシビレ罠を設置していた場所。ボルボロスはシビレ罠を踏み抜き、動けなくなる。

 

「今だ!」ファラクは落ちていた石を拾いそのままの勢いで大樽爆弾Gに投げつけた。盛大な爆発音とともにボルボロスの泥は肉ごと吹っ飛ぶ。まだ痺れているらしい。

属性解放突き、鬼神乱舞、龍撃砲を叩き込む。

ボルボロスはうめき声を上げ痛みに身をよじる。かなり弱ってはいるようだ。

しかしまだ倒れない。

「ボアアアアアアア!!!!!」

と怒りの咆哮をあげる。

「嘘!これでもダメなの!?」信じられないといった顔のアロ。

 

「これが上位だ!!ここからは小細工は通じない!ガチンコだ!」武器を構え直すファラク。

「行くぞ!!」ライタの叫びが響き渡った。

 

 

 

 

 

 

その後1時間の激闘の末

「ボアアア……」

断末魔「あげて絶命するボルボロス。

剥ぎ取りを始める三人。

「にしてもボルボロスってこんなに強かったんだね」

「流石上位だろ。ティガレックス防具に変えておいて良かっただろ…全く」

 

ファラクはゲハハと笑う

「お前ら今回結構いい動きしてたし、才能あるかもな!ゲハハ!!」

「ファラクにそう言ってもらえると嬉しいわ」

「なんか安心感があるだろ」

「そりゃ年の功って奴だな!昔からアプケロスの甲より年の功って言うしな!ゲハハ!」

 

「なんにせよ、暫くは素材集めね。もっと強いモンスターの武器とか作りたいわ!」

「俺もワクワクしてきたわ!」

「若いっていいねぇー。ではそろそろお暇するとしようか」

 

三人は剥ぎ取りを終えるとキャンプで一泊してから集会所へと戻って行くのであった。

 

 

 

 



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中年狩人の青き日の想い人 前半

ある日のこと

 

村の外れで10歳ぐらいの男の子がしゃがんで泣いていた。そこに若い女性が話しかけた。モンスターの牙をペンダントのように首から下げて、薄いピンク色の髪をポニーテールにしている、可愛い女性だ。

 

「君、どうかしたのかい?」女性は防具と背中に銃槍を背負っており、ハンターのようだ。男の子は声を絞り出す。

「お父さんが死んじゃったの…」女性は男の子の近くでしゃがみこみ目線を合わせるようにする。

「お父さんが?かわいそうに…でもここにいたらお母さん心配してるんじゃないかな?」穏やかな声で話す女性。「お母さんはいないよ。」「そうなの…」女性は考える。そして

「君…名前は?」

 

男の子は泣きじゃくる。

「ファラク…ブローニング…」

「ファラクね。私はモナ・アーヴィング。ファラク君。私の家に来なよ。」

そう言ってモナはファラクの手を引いて歩き始めた。

 

モナの家にて

「落ち着いた?」

「うん………」

「ブローニングさんの子だったんだね…」ファラクブローニングの父、

アブナーブローニングは今日、リオレウスとの戦闘で命を落とした。

アブナーは人当たりも良く面倒見もいい男だった。早くに母親を病気で亡くして以来、ファラクを男手一つで育ててきた。

 

モナもよく狩りで助けられた存在だった。

「無理なら話さなくていいんだけど、お母さんとか親戚とか…」

「わかんない。俺はお母さんに会ったことない…親戚も…」

「そうかい……よし。私が君を引き取ろう」

 

「…引き取る?」

「うん。引き取る。だって行くところもないんだろう?」ほっとけないしなぁとモナは心の中で付け足した。

「うん……有り難う…」

「いいさいいさ。私のことは気軽にモナ様って呼んでくれてもいいんだよ?」場の空気を和らげるためかモナはふざける。

「モナ様…」

まじめに答えるファラク

どうやらそれがツボにはまったらしく笑い転げるモナ。

「アハハハ!!真面目に答えた!!面白いねーファラクは!」

「な、何がおかしいんだよぉ!」

 

それからはモナとファラクの二人の生活が始まった。この時、モナは16歳。ハンターになりたてだ。ファラクは10歳。ケンカしたこともあったが、笑いあったりすることも多い、仲のいい姉弟のように見えただろう。

 

駆け出しとはいえモナはハンター。何日も帰らない日もある。時には傷だらけで部屋に運び込まれてきたこともあった。ファラクのためにもいち早く昇格して行く必要があったのだ。

 

ファラクはそんな時は一人でご飯を作ったり家事をしていた。

 

ファラクはモナへ恋心を抱いていた。

 

14歳の時、ファラクは近所の女の子から告白された。ファラクはそのことをモナに話した。

「……….って言われたんだけど、どうすればいいのかな」

「ファラク告白されたんだー。中々隅に置けない奴よのー君も」うりうりーとファラクの脇腹を肘で小突きまくるモナ。

 

「なー!もう!モナに聞いた俺がバカだった!」照れ隠しをするファラク。実際は答えなど聞いていなかった。自分はモナが好きなのだ。ほかの娘とは付き合いたくない。

「ごめんごめん。でも、16になったら働ける年齢じゃないか。ここで付き合うってことは結婚するかもしれないじゃない?ファラクは将来何になりたいんだい?」

 

「ハンター」

即答だった。

「俺は…ハンターになりたい」

「ハンター・・・」モナは一瞬面食い、復唱するように言う。「なんでハンターなんだい?」「モナの手伝いをしたい」

「私の……………」

「うん」

 

モナは考えた。ハンターはとても過酷な仕事だ。腕が良くないと金も入らないし、腕が良ければ良いほど難しいクエストに行かざるを得ないこともあり、命を落とす可能性は増えるばかり、そんな危険な仕事、ファラクにはやって欲しくないというのが本音だった。モナは生まれた時から両親がいない。孤児院で生活していたが、

 

16になれば自分で働いて食べて行かなくてはならない。学のないモナは売春をするか、ハンターになるかの二択しかなかったのである。モナは売春を選ばなかった。周りの女の子達は皆売春を選んだ。自分の時とは違い、ファラクは道を選べる。ハンターになる必要などないはずだ。

 

「有り難う……でも、ファラクは自分のやりたい仕事を選んでもいいんだよ?私は大丈夫さ」

「でも俺は……」もっとモナと一緒にいたいと言いかけて、こう言い換えた。

 

「やっぱりハンターになりたいんだ。」

「そうかい………大変だよ?告白してきた娘とは会えなくなるかもだよ?」

「うん。いいんだ。どうせ断るつもりだったし」

「どうせって……それでなんの武器を使いたいんだい?」

「ガンランス」

「そりゃまた驚いた。」

 

「モナの話を聞く限りでは一番つよそう」

「強いよぉ。ガンランスは」

「竜撃砲とか砲撃とか?」

「その通りさ!わかってるねー」

「よく言ってるじゃん」

 

ハンターになるにはハンター試験を合格しなければならない。16歳からハンターになるには16歳より以前から訓練が必要なのだ。

 

その年から

ファラクはモナから指導を受けていた。

「銃槍を扱うには上半身の筋肉だけでなく、脚の筋肉が必要だよ!!もっと跳ぶんだ!」

今やっているのはバウンディングと呼ばれ、指定された距離をとにかく少ない歩数で到達する練習メニューだ。ハンターをやっていくには、戦闘力、環境知識、体力が必要だ。特に戦闘力は重要だ。

 

「ガンランスはこう持って…そうそうそんな感じさ」

「うん」

「砲撃は結構反動凄いからフォームを綺麗に……」

「このモンスターの特徴は……」

 

そんな生活をすること約二年。遂にハンター試験の日である。

 

テストで試されるのは戦闘力のみ。ジャギィとジャギィノスの群れの討伐。

これが出来なければハンターにはなれない。が、これだけではやっていくことはできない。

「行ってこい。ファラク」

「行ってくるよ」

ファラクは集会所へと向かう。

結局モナには自分の思いは伝えられていない。

 

モナはファラクの背中を見届けた後につぶやく。

「二年であんなに大きくなるなんて……出会った時とはえらい違いだ」

ファラクの丈はモナよりも大きくなっていた。

 

 

「この付近に、ジャギィの群れがある。ドスジャギィは居ない…筈だ。いたらお前が考えろ。ジャギィとジャギィノス、合計7頭を狩猟してこい!遠くから監視用のアイルーを付いていかせるからな!」

地図を見せながら説明する教官。

 

「はい!」

ファラクは砂漠へと向かった。

「よし、ここら辺か」地図を再確認し、ジャギィ達がいると思われる比較的暑くない荒野となっている場所を目指す。

暫く歩いていると遠くで紫色の生物が動いて居た。ジャギィ達だ。

 

ファラクが近づくと向こうも気づいたようで、此方へ向かって走ってきた。

「ジャギィ….デカすぎだろ」

向かってきたのはドスジャギィだったのだ。ジャギィ達の群れのリーダーだ。お前が考えろと言った教官の言葉を思い出す。ジャギィを狩るならばそのリーダーのドスジャギィとの敵対は免れない。やるしかないとアイアンガンランスを構える。

 

ドスジャギィの嚙みつこうとする顎を盾で受け止める。盾の大きさ的に嚙み付けず牙と金属が擦れてガガガと不快な音を立てる。「んのぉ!」銃槍をドスジャギィの腹部に突き刺す。

 

モンスターは痛みに鈍い。まだ気にしてはいなさそうだ。

「まだまだ!」突き刺した銃身から一気に球を全弾放出する。

「ゲアア!」悲痛な叫びを上げるドスジャギィ。いける!と思った時、不意に横からの衝撃に吹っ飛ばされる。

 

ジャギィの雌。ジャギィノスがタックルを仕掛けてきたのだ。

ジャギィノスはジャギィよりも図体がでかい。

そして、ジャギィは群れで「狩り」をするのだ。起き上がったファラクは辺りを数頭のジャギィとジャギィノスに囲まれているのを見る。正面からはドスジャギィそれ以外からはジャギィ達。四面楚歌である。

 

今の装備はチェーン装備。ドスジャギィの攻撃はやばいが、後のやつらの攻撃は軽減してくれる。そう信じよう。ここは一か八か…ドスジャギィはタックルをする構えになる。

 

ここだ! ファラクは竜撃砲を撃つ準備をする。銃身が青く光り始める。

ドスジャギィの方が断然早くタックルを仕掛けた。それをファラクは盾で受け止めるがどんどん押されていく。

周りのジャギィ達がファラクに噛み付く。チェーン装備の形が変わっていくのがわかる。左腕に痛みが走る。どうやらジャギィノスの牙が防具を貫通したようだ。

しかし、ファラクは耐える。耐えて耐えて…バックステップで強引にジャギィ達の前に立つ。そして

「来たぜ…竜撃砲!!」

銃槍が火を噴き、爆発する。

ファラクの周りにはゴロゴロと黒いものが落ちていた。

それは黒く焦げたジャギィ達だった。ドスジャギィも顔を真っ黒にされ息絶えていた。

 

「ひぃふぅみぃ…よし、これでクリアだな」

集会所

 

「おお!戻ったか!で、どうだ?」

教官はアイルーに聞く。「合格ですにゃ。ジャギィどころか、ドスジャギィも狩猟しましたにゃこの人」

 

「なんと!初めての狩りでか!これは素晴らしい!君をハンターとして認めよう!書類を書くからこっちにきたまえ!」

こうして、ファラクはハンターになったのであった。

その日はお祝いだった。

 

「ハンター合格おめでとう!」

「…ッありがとう」ボソボソというファラク。

「照れるなよー。まさか初日でドスジャギィを倒しちゃうなんてねー。君には才能があるんじゃないかい?」

くふふと笑うモナ。

「そんなことないよ。モナに比べたら俺は全然…」

「謙遜するなって!まぁ取り敢えず今日は食べよう!」

「…うん!」

 



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中年狩人の青さ日の想い人 後半

尊厳を捨てて生き延びるか…誇りを持って死ぬのか…


それからというもの、駆け出しのファラクにモナはついて行ってもらって手伝ってもらうことが多かった。ファラクは前よりモナと居られる時間が増えて嬉しく思っていて、それはモナも同じ思いだった。

 

「釣れないなぁ」

「アハハ!釣りが下手だなぁファラクはー。お!来た来た。よっと!」

カクサンデメキンを釣り上げるモナ。

「よくそんなに釣れるね」

「釣りは待つべしさ」

 

 

「うわわわっ!」

「リオレイアの尻尾には気をつけるんだ!」

「よし!狩猟完了!」

「やったじゃないか!」

こんな日々がずっと続いて欲しいと思っていた。

そしてファラクは19歳でHR2、

モナは25歳でHR5になっていた。

 

 

とある日。

 

セルレギオスが砂漠に出現したという噂を聞いた。HR4の狩人四人がクエストから帰ってこないので、調査班を動員したところ、セルレギオスの鱗が突き刺さっている四人の死体が発見された。

そして、進行方向がウワフ村と被っているらしく、このままでは村は危険と判断された。

 

緊急でセルレギオスのクエストを手配し、ギルドはHR6~7のウワフ村の最高戦力とも言われる狩人達を派遣した。

更に、ギルドマスターの提案で、ドンドルマからG級ハンターを一人でこちらに呼ぶこととなった。しかしドンドルマとここはかなり離れている。到着には時間がかかるらしい。

 

上位のハンターが四人もやられているということで村は慌ただしくなっていた。ここもやばいだの、俺はここで生まれたからここで死ぬだの。そんな感じである。

恐らく、HR的に今回ギルドが派遣したハンター達が失敗すれば次はモナがいくことになるとファラクは思った。

そして、それは現実になった。

 

観測隊が、バラバラに切り裂かれた四人の死体を観測した。

次の日の朝、モナは他三人と狩猟に向かうことになった。

その前日のモナとファラクの家。安い、台所と、寝室が一緒の部屋にある家。

 

二人は、長机の椅子に隣同士で座っていた。部屋を灯すのは一つのランプのみ。

ボゥボゥと小さい炎が部屋を薄暗く照らす。

「………ねぇ」

「なんだい?ファラク」

「俺たちもここを逃げない?なんかやばいよ…今回のセルレギオス…なんかめちゃくちゃ強そうだよ…」

ファラクはモナに死んでほしくなかった。

「心配してくれるのかい?」

「………うん。」

「ハンターって言うのは…そういうものなんだ…こういうときは行かなくちゃならない。村のためさ」

「で、でも!この村で一番強い四人組がやられたんだよ!?勝てっこないよ!」

 

「コラコラ、勝手に負けるって決めつけない。それに……負けると分かっていても戦わなくてはならない時があるのがハンターなんだ」

モナの目には気高さがにじみ出ていた。しかし、目の奥には少しの怯えが見え隠れしていた。

 

沈黙。ファラクはなんと言っていいかわからなかった。だが。ここで自分の思いを伝えないともう一生思いを伝えられないと思った。

「…………モナ」

「なんだい?」

「俺………モナのこと………」

「んー?」

「その……あの……」

言え!言うんだ!俺!

ファラクはなんとか言おうとする。ここが正念場だ。ガタッと席を立つ。

「モナのことが好きなんだ!」

 

 

言い切った。

顔は自分でもわかるぐらい赤くなっているだろう。だが、これでいいのだ。

頭を下げていると、手が伸びてきて、顎をやさしく持ち上げるようにして、頭を上げさせられた。

そこにはモナの顔が迫っていた。

驚く間も無く

モナはファラクの唇に自分の唇を重ねた。不意打ちだった。

モナはファラクに抱きつき、そのままゆっくりとベッドへと倒れ込ませた。

そしてファラクの上にのしかかったままキスを続ける。モナの舌が侵入し、侵入された方の舌を弄ぶ。モナの体温が寝間着を通して伝わってくる。ドッ、ドッ、ドッとお互いの心臓の鼓動を感じる。

 

暫くして、手をつき、顔を離すモナ。

「ん……はぁ……知ってたよ」モナの吐息が顔にかかる。

思えばこんなに近くで話したのは始めて会ったあの時以来かもしれない。「なん……で?」静かなる興奮のあまり、うまく喋れない。

「私と君の仲だ…それに私も君のこと……好きだ」見るとモナも顔を上気させ、浅い呼吸をしている。

「え…じゃあ……」

「そうだよ…両思いってやつだよ……ファラク君」

「……うん…」

 

「反応薄いなぁ…せっかく…好きな人と両思いってわかったんだぜ?」

ニヤニヤするモナ。

「なんて…反応すればいいかわかんなくて…」

「変わらないね………私は明日行かなくちゃならないから…そんなに長くは出来ないよ……」

「うん……」

そう言うと、モナは自分の寝間着のシャツに手をかけた。

 

 

 

 

 

翌日

「行ってくるよ、ファラク」

「うん…頑張ってな」

「ああ…頑張るさ」

モナを含めた四人はセルレギオス狩猟の為、出発した。

 

 

回収班は、

四人の死体を発見した。モナの死体もあった。腹部をザックリ切られており、ショック死だったのだろう。

次の日、G級ハンターが到着し、セルレギオスを討伐した。セルレギオスはハンターの口述もありG級個体と認定された。

 

 

 

 

 



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最終話 前編 災厄の再来

「む…」ポポの荷車に揺られながらファラクは目を覚ます。驚くほどスッキリとした目覚めだ。

「モナ………懐かしいな」ファラクは首に掛けてあるジャギィノスの牙の首飾りを触る。これはモナの遺品だった。ボルボロス討伐から二年後。

 

野暮用のため、ドンドルマへ買い物に行った帰りだった。「俺の為に頑張ってHRを昇格しようと頑張っていたことが裏目に出て俺の前から消えることになるとは……皮肉だな……」

 

ファラクは懐かしむような、慈しむような顔をする。

そして。久しぶりにウワフ村に帰って来たのであった

「大変じゃ大変じゃ!」

「避難するんだ!」

 

村人たちが慌ただしく動き回っていた。近くにはギルドの関係者が避難勧告をしていた。

「皆さん!直ぐにポポ荷車にお乗りください!ここは危険になります!」

 

ファラクはその関係者に尋ねてみることにした。

「なぁ、これは一体全体どう言うことだ?」

「あ!ファラクさん!今は私は手が一杯なので詳しくお話しすることができません!とにかく、集会所へ行ってください!」

 

「む?あ、ああ。わかった」

ただならぬ予感がし、小走りで集会所へと向かった。

集会所の扉を開ける。中は大勢の狩人がいたが、何時もと打って変わって静寂に包まれていた。そこにはライタとアロもいた。

 

そして、竜人族の若い(竜人族の中では)女性のギルドマスターが口を開いた。

「今、皆さんに集まっていただいたのは、他ならぬ、黒狼鳥と恐暴竜の件です」

 

「!!」

黒狼鳥「イャンガルルガ」

イャンクックに似た、鳥竜種だが、イャンクックとは違い、捕食をしない相手でも積極的に攻撃を加えたり、敢えて相手の縄張りを荒らすことによって戦闘をし、自身の戦闘欲を満たすとても危険なモンスターである。

尻尾には毒があり、戦闘力はとても高く、場合によっては飛竜種を大きく上回る。

 

そして、恐暴竜「イビルジョー」

肉食恐竜のような姿をした巨大な獣竜種のモンスターである。異常な新陳代謝機能を持ち、その食欲は異常という言葉を超える。目に入る物は兎に角喰らう。自身の体の一部の尻尾でさえも切り離されたら餌としかみない。

加えて力もとても強く、戦闘力も極めて高い。

 

「一昨日から、発見された黒狼鳥により、既に上位ハンターが十人以上殺害されました。加えて恐暴竜の痕跡が調査班により、発見されました。姿は確認できませんでしたが、どうやらこちらに向かって来ているようです。状況は最悪です。

そして、ギルドはこの黒狼鳥をG級とします」

 

周りの狩人からおおっと声が上がる。

「しかし、今この村にはG級ハンターがいません。」

「居るぜ。」

一人の中年男性が名乗りをあげる。

皆一斉に彼の方向を見る。

「ここに一人な」

それはGの狩人だった。歳をとり、力は衰えてもたしかに男は狩人だった。

沈黙が場を包む。

 

「ファラクさん……帰って来てたのですね」

「ああ、今さっきな」

「ですがファラクさん。かのクエストは一人では身が重いのでは?」

「平気だ。俺はGの狩人だぞ。それに、オトモも連れて行く。ショウガとトウフ。どっちも猛者だ。そしてイビルジョーもイャンガルルガもとても好戦的なモンスターだろう?出会えばお互いに殺しあうはずだ。それを狙う。」

「……………」ギルドマスターは考えているようだ。

「任せろ」

ファラクは強く言う。

「わかりました。ギルドはこのイビルジョー、イャンガルルガの狩猟をファラクブローニングに一任します!」

が、その中で異を唱える者が現れた。

「待てよファラク!」

 

「ファラク!私達も連れて行ってよ!」

アロとライタだ。

二人ともファラクの前に立つ。

「ゲハハ。心配してくれるのか?平気だよ俺は」ファラクは二人に笑いかえす。しかし、同行は認めない。

それでも二人は引き下がる気は毛頭無いようで、アロは続ける。

 

「でも、相手は上位ハンターを10人も殺害しているんだよ?そんーーーーーー」

「「勝てっこないよ」ってか?」

なんでわかったの?という顔をするアロ。

「え?」

「前にもこんなことがあった。俺が若い頃の話だ。G級のモンスターが現れた。村のハンター達はどんどんやられて行った。そんな中で、俺の知り合いも止めに行かなくちゃならなくなった。」

「……………………」

ここにいる全員は沈黙を保つ。

「俺はそいつに言ったんだよ。「勝てっこないよ」ってな。だが、そいつは逃げなかった。……………まぁ結果はお察しだがな」

「じ、じゃあなんで!」

「お前らを守りたいからだよ!!」

ライタの声を遮るが如く言い放つ。

 

あたりを静寂が包む。

「わかってくれ」

今、やっと、あの時から三十年過ぎてようやく、あの時のモナの気持ちがわかった気がした。俺はこの二人を、モナは俺を、「守りたかった」んだ。

「安心しろよ…俺は必ず勝つさ」

 

準備をする為に踵を返して集会所を後にする。

 

ファラクの家

「ショウガ、トウフ。出番だ」

「「ハイですにゃ」」

事情を話しながらオトモ二匹とファラクは装備に着替え始める。

「悪いな、巻き込んじまったって」

「構わないですにゃ。僕達はファラクに恩義があるのですニャ。」ショウガは言う。

「死ぬときは一緒ですにゃ」

トウフも同様だ。

「…有難うな」

 

集会所

「目的地は密林です。」受付嬢が密林へ続く道に案内する。

「わかった。」

「ファラクさん……お気をつけて」

「ああ」

「ファラク。必ず帰ってこいよ」

「約束して」

ライタとアロも居た。

「……ああ。帰るとも。だから待ってな」

 

ファラクは猫タクシーに乗り込む。

大きめの担架の上にファラクとお供二匹が乗り込むと、10名ほどの猫達が持ち上げ、密林へと向かって駆け抜けて行く。

遠くなるファラクの背中。ライタとアロはこれで良かったのかと思った。




加筆修正を致しました。


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最終話 後半 「 」

「」内は最後わかります


「着きましたにゃ」猫タクシーに乗りしばらくすると密林のキャンプ地へと着いた。

「うむ、ご苦労さん」

ファラクは礼を言いオトモ二匹と降りる。

 

(にしても…これはわかりやすいな)

 

手慣れた狩人になればなるほど、相手の気配が掴めるようになるのだが、この気配は新米にも伝わってしまうのではないかと言うほど膨大なものだった。

(だが、これでおおよその検討はついた。そこに行こう)

一人と二匹は歩きだした。

 

 

暫く歩くと二つの咆哮が聞こえた。

一つはイャンガルルガ。

もう一つはイビルジョーのものだ。

 

遠くに二匹の姿が見えた。

ファラクは双眼鏡を取り出し、それを傍観する。

「何が見えますにゃ?」

「待ってな……」

黒狼鳥と、恐暴竜。二匹は対峙していた。

 

「二匹がお互いに睨み合ってるな…こりゃ誘導しなくてすみそうだ」

恐暴竜は走り出した。どうやら黒狼鳥に噛み付こうとしているらしい。しかし、黒狼鳥はそれを右に飛んで躱し、

 

すぐさまとんぼ返りの要領で尻尾を鞭のようにしならせ、正確に恐暴竜の顎を撃ち抜いた。尻尾の先端にある棘が、毒が、恐暴竜を苦しめる。間髪いれず、滞空したまま火球を三連続で放ち、顔に当てる。

 

流石の恐暴竜もこれには答えたようで、怯んでしまう。そこを無慈悲に、豪快にサマーソルト尻尾攻撃で恐暴竜の片足を砕いた。

「ギャアアア……」

倒れる恐暴竜。黒狼鳥は鋭い嘴で、相手の首を二度三度、叩き刺し抜くことで、絶命させた。

「おいおいおい、まじかよ」

「なんですにゃ?」

 

「イビルジョーを無傷で倒しやがったぞあいつ!」

「まさかにゃ!?」

「残念だが現実だ…」

本来イャンガルルガといえど、大半のイビルジョーには捕食対象となってしまう。だが、あのイャンガルルガは違った。それがG級なのだから。

 

「こりゃだめかもわからんね」

「縁起でもない事言うなにゃ」

「すまんすまん。どーんといこうや…いや………その必要はないな」

「……みたいですにゃ」

イャンガルルガはゆっくりとファラク達の目の前に降り立った。

「こりゃ、お強そうだ」

 

イャンガルルガの体躯は通常種より一回り大きい程だが、刻み込まれた無数の傷が、両耳が完全に破壊されているといった風態がこの個体の強さと存在感を醸し出していた。

「ガアア………」

 

 

黒狼鳥とGの狩人はお互いに睨み合いながら一定の距離を保ったまま円を描くように歩く。

まるで密林の生命全てがこの戦いを固唾を飲んで見守っているとような静けさがここにはあった。

 

一瞬。イャンガルルガは突進し足を滑らせながらその勢いを殺さず尻尾でファラクを薙ぎ払おうとする。ファラクはそれを盾で受け流し、イャンガルルガの腹部に潜り込む。

 

背中のウルクスアヴァランガ抜き、突きを繰り出す。

腹部に甲殻はない…それでもイャンガルルの腹部には少ししか突き刺さらない。間髪入れず砲撃を一発叩き込む。

 

イャンガルルガはそれを意に介さずサマーソルト尻尾攻撃を繰り出す。

ファラクはそれをガードする

 

「ぐぅぅう」

ファラクの体は勢いで数メートル後ろへと押し出された。それを足を踏ん張って堪える。

そして、火球ブレスを一発。それを防ぐと、砂埃がまい、一時的に視界が悪くなる。

「目潰しか………しかし」

 

熟練の狩人にもなればたとえ目が使えなくなろうと、モンスターの位置は気配でわかる。

(左か)

 

左からイャンガルルガが嘴で殴るように切りつけてくる。盾で受け流す。相手はその勢いのまま尻尾を振るう。

それをしゃがんで躱し、砲撃を加える。その隙にオトモのショウガはペイントボールをぶつけた。

 

お互いに一歩も譲らない。途轍もなく高等な闘いが繰り広げられている。

しかし徐々にファラクが押していると見られた。

 

「手出しできないにゃ」

「にゃ」

 

闘いが始まってか数時間が経過した。

ファラクの攻撃により、イャンガルルガは確実にダメージを食らい、ボロボロになってきていた。

だがしかし。突然限界は訪れた。

 

「ハァ…ハァ……」

ファラクのスタミナが切れたのだ。

四十八歳という、ハンターとしての寿命はとうに過ぎ去った年齢。

今までは技術でカバーしてきていたが、もうそれは通じない。

 

イャンガルルガの攻撃を回避するのが精一杯な状況だった。

イャンガルルガが嘴が叩きつけようとしてくるのをすんでのところで躱すと、ついにファラクは膝をついてしまった。そこをイャンガルルガに蹴り飛ばされる。

 

「ぐふぁ!」

木に叩きつけられ、崩れ落ちるファラク。イャンガルルガはゆっくりと迫ってきていた。

「待つにゃ!」

「ご主人に手出しはーーー」

 

飛び込んできた二匹のアイルーをうざったい羽虫を手で払うが如く顔で弾き飛ばすイャンガルルガ。

オトモはファラクと同じ方向に飛ばされ、地面を転がる。

「「にゃにゃにゃにゃにゃ」」

「ダメだったか…すまんお前ら……アロ、ライタ…どうやらここまでのようだ……」

 

イャンガルルガがサマーソルト尻尾攻撃をする態勢を取った。

(くそっ………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 

「うおおぉぉ!!」ライタの声がした。

ライタがイャンガルルガの背中の上に飛び乗ったのだ。

「ガアア!」

イャンガルルガは背中にいるライタを振り落とそうと暴れまくる。

そこに、「ファラク!」アロが駆けつける。「お前ら……」

「はい、これ」

アロはファラクの口に回復薬グレートと、強走薬グレートを流し込んだ。

「む…おお…!おお!!」

ファラクが立ち上がると同時にイャンガルルガはライタを振り払い、ファラクへと突進する。ファラクはそれを盾で防ぐがその勢いに押され出す。盾と嘴がぶつかり合い、ギャリギャリと音を立てる。

 

どうやらイャンガルルガはファラクを押している先の木でファラクを押しつぶそうとしているらしかった。「ぬぅ…!」

しかし…「俺を忘れんなやぁー!!!」

 

ライタがイャンガルルガの背中にスリンガーを打ち込み、再びイャンガルルガの背中の上に飛び乗ったのだ。

「ガアア!!」

イャンガルルガは態勢を崩しかけるが持ちこたえようとする。

 

が、「うおおりゃあああ!!!」「「にゃー!!!」」

追いついたオトモ達の剣豪猫七支刀[宮]とアロの斧モードの剣斧「ヴァーヴルンシンガー」がイャンガルルガの脚を切り払った。

ガギ!と音を立てて、イャンガルルガはその勢いを徐々に殺しつつ崩れる。

 

「「「「ファラク(ご主人)!!!今だ(にゃ)!!!」」」」

 

 

「うおおお!!!!」

 

 

ファラクは相手の突っ込んでくる勢いを活かし、イャンガルルガが嘴を開けたその時、銃槍をその嘴にねじ込んだ。

イャンガルルガの嘴の中の銃槍が青い光を放ち始める。

「喰らえぇ!!」

 

対モンスター用特殊兵装ーーーーーー

 

「竜撃砲!!」

 

 

イャンガルルガの嘴の中で龍撃砲が炸裂した。ドグァ!!!という巨大な音とともに豪炎がイャンガルルガを内側から焼き焦がす。

イャンガルルガは自らの命の光を失っていくのを感じた。

銃槍を嘴から引き抜く。

G級イャンガルルガ、討伐完了だ。

「や、やったぁあ!!!」

「「うおおおお!!」」

「やったにゃーー!!」

と三人と二匹は歓声を上げた。

「……にしてもよく来たな」

「うん。実は………」

 

ファラクが出てから1〜2時間後の集会所にて

「なぁ、アロ」

「何よライタ」

二人は集会所でファラクの帰りを待っていた。

「やっぱり…俺行きたいわ。足手まといにしかならないってのはわかってるんだが」

「奇遇ね。私も」

「お前も同じ気持ちか」

「うん」

「そうときまれば」

「行くしかないわね!」

二人は集会所の外にいたポポ荷車に飛び乗り、密林へと向かった。

ゴロゴロという音に受付嬢が気づいて外に出たが、時すでに遅し。荷車はもう小さくなっていた。

「二人とも!!何してるんですか!」

「ちょっと行ってくるわ!!」

「ちょっとって!ちょっと!!」

 

「こんなことがあったの」

「どこで戦っているのかはペイントボールのおかげで見つけることが出来たしな」

 

「ゲハハハ!!お前らと来たら!こりゃ帰ったら受付嬢はカンカンだな」

「はぁ〜憂鬱だろ」

「そういうなライタ。俺も怒られてやるよ!………………まぁ、なんだ。………有難うなお前ら」

「いいってことだ」

「気にしないで」

「ショウガ、トウフ。お前らもだ。有難う」

「「にゃ!!」

「お前達がいなければ、誰か一人掛けてたら、イャンガルルガは倒せなかっただろうな。 そうだ。アロ、ライタ。」

「何?」

「成長したな」ニッと笑うファラク。

「と、当然よ!」

「ま、まぁな!!」

そっぽを向いて照れる二人。

「さてと……そろそろ剥ぎ取って帰るぞ!」

 

 

 

三人と二匹は集会所に戻ってきた。

「コラー!二人とも!何やってんですか!!」

受付嬢が走ってくる。

「まぁまぁ。こいつらのおかげで俺は死ななくて済んだし、イャンガルルガに勝てたんだよ。だから大目に見てやってくれ」

 

「そうですけど…二人が行ってから心配で心配で……」

見れば薄っすらと目が潤み始めている。

そこにギルドマスターがやって来て言う。

「うふふ。この子。ライタとアロが行ってから自分も行こうとしてたのよ」

 

「「えっ!!」」

驚くライタとアロ。

「な、何を!そんなこと!するわけ!……ないじゃないですか……」

徐々に声が小さくなる受付嬢。

「へぇ〜。あんたがねぇ。」

「なかなかいいとこあるな」

ニヤニヤする二人に

「う、うるさいうるさい!」と赤くなって逃げる受付嬢だった。

 

「あ!待て!」

ライタとアロは受付嬢を追いかけて行った。

「ファラクさん」

「なんだ?」

 

「成長しましたね……」

「それ、ライタとアロに言った手前、あんたに言われちゃ形無しだな!」

ゲハハハ!!と笑うファラク。

「明日から村総出で祭りだな」

「うふふ…ですね」

 

「この村にはアロと、ライタがいる。ほかにまだまだ頭角を現していないだけで、いい新芽が沢山いるだろう。もう俺がいなくても、平気だ」

「………ふふっ。そうですね。貴方も休みなさい。お疲れでしょう」

 

「ああ。そうさせてもらうよ」ファラクは集会所を後にする。だが、ファラクは帰路に着く前に

墓の前に来た。モナのだ。

「よう。」

墓を見つめる。

 

「今日な……少しだけ、あの時のお前の気持ちを理解できた気がしたんだ。

まぁどんなに強くなっても俺なんかお前に比べれば全然……」

 

「謙遜するなって!」

 

「あぁいや!追いついたよな!?謙遜はよくねぇよな!……ん?」

一瞬だけモナの声が聞こえたような気がした。

気のせいだったかもしれない。

だが、確かに聞こえた。

 

ファラクはジャギィノス牙の首飾りを握りしめ、黙祷を捧げる。

しばらくして、ゆっくりと目を開ける。

ふっ…と鼻で笑った後、

「有難うな!また来るわ!じゃあな!!」

と笑顔を作る。

そして、踵を返し、帰路へと向かった。

 

 

 

最終話 後半

「中年ハンターと(元)新人ハンター達が頑張ったようです。」完

 




一応第1部完結です



ここまで読んでいただき本当にありがとうございました!


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