ガルパンってなによ?ただの大洗の生徒よ(現在、更新遅れ中 (白桜)
しおりを挟む

もし転校先が違ったら?(別ルート的な存在)
もし転校先が違ったら?(聖グロリアーナ女学院編)


―聖グロリアーナ女学院学園艦・演習場― 

 

 「どうします隊長?わたくし達しか残ってませんがこのままつづけますか?」

 

 「――!?――――――!!」

 

 だめですね、先ほどの被弾で通信系が死んだみたい。

何度も話しかけてもなんて言ってるかわかりませんし、この様子では向こうも同じ状態と思うべきね。

隊長に指示を聞きたかったけど……後で隊長から怒られそうね、あーこわいこわい。

まぁ、その時は素直に怒られつつそっとお菓子に誘うとしましょう。

隊長の食事姿、見てて楽しいからついつい誘ってしまうのよね、ちょっとダージリン様の気持ちがわかっちゃうかも。

 

 「戦車長、隊長がハッチから顔出してますよ。何か叫んでるみたいですよ」

 

 「隊長が?通信機が死んでることに気づいてくれたのね。感謝感謝」

 

 いつの間にか私たちの砲手がハッチのから戻りながらそう報告してきた。

というか、今は隠れてるからってハッチから顔出すのはいいのかしら?べつに出てはいけない理由は無いんだけど、なんだか不穏な気配がするの。

そんなことは無いと信じて私も顔を出す。

 

 「隊長ー!こちら通信系が死んでますのー!!後ー!隊長とーわたくし以外生き残ってませーんのー!!ご指示を―!!!」

 

 「なんですてぇー!!!わたくし達のみですのーぉー!!!!ぐぬぬ……ひとまz――」

 

 それは突然でした。

隊長と話すためハッチから顔を出し、これからどうするか話してました。

一言二言交わしてると突然に隊長車両の間近で爆発と共に土埃に包まれていった。

少しして土埃が晴れていき隊長車両が姿現すと、白旗がぴょこっと立つのが確認できた。

……なんでさぁと内心で呟くもすぐさま。

 

 「操縦手!すぐに後退!!即座撤退よ!!!」

 

 次がくる前に車内に戻りハッチを閉めると同時、車両が後退を始める。

後退から数秒後、先ほどまで居た場所が爆発。

すぐに後退してたおかげで被害はなく、この隙に一生懸命逃げることにした。

 

 その後について言うと、すぐに撃破されました。

逃げた先に敵車両が待ち伏せがおり私が気付いた時にはもう手遅れ、車両に白旗が立つことに。

ちなみに、隊長車両を撃破したのは自走砲からの砲撃でした。

自走砲怖い、自走砲怖い、自……

 

 「……自走砲怖い、自走砲怖……ん?あれ、ここはどこ?」

 

 気づけばお茶会に参加していた、自走砲の恐ろしさに混乱してたのにおかしい。

聞いたら模擬戦終了後、戦車から降りた私がいつまでたってもぶつぶつ呟きながら動かないから隊長が運んでくれたとのこと。

ぶつぶつしてた私はかなり暗い何かを纏いし怖かったとか、そんな私を運んでくれた隊長には感謝を。

 

 

 

 お茶会はそれほど長くはなかった、模擬戦の反省と先輩方からの教えが主で最後ちょこっとお茶とお菓子タイムの内容でした。

うーん、隊長は本当に愛されてるねダージリン様に。

隊長と話されてるダージリン様、オレンジペコ様や他の方達と話されてる時と何か違う気がします。

隊長×ダージリン様。

……これはいい、良過ぎるわ!!

 

 ちょっとして落ち着いた私、とても熱く興奮したのはみんなには内緒に。

いけませんわ、お嬢様らしくないことをしてしましたね、オホホホ。

 

 「何をしてますの?なにかありましたの?」

 

 「いえいえーちょっとしたことを思い出してたんです。問題ないですわ隊長」

 

 「それならいいですわ。それにしても先ほどのお菓子、美味しかったですわね皆さん」

 

 「――――」

 

 いけませんわね、隊長のことを考えてテンションが高くなってたなんて言えません。

気をしっかりしないとね。

お菓子食べに行った帰り道の私たち、お茶会後にお菓子食べに行くのはどうって?

デザートは別腹ってよく聞くでしょう?

それよそれ、細かいことを気にしては聖グロでは生きていけませんわ。

……戦車道は常に消費し続けてるの、太る心配は無くてうれしいね。

 

 お茶会終了後、模擬戦中に思いついた 隊長とお菓子いっしょにどうですか?作戦を実行に移したところ、隊長が他の皆さんもいっしょにとなり私たち小隊戦車長4人によるお菓子タイムと。

お菓子タイムの出来事はそうね、お嬢様学園に居ても関係なくみんな女子高生ってことだった。

 

 そうそう、途中何度かお嬢様がする紅茶の飲み方を隊長は練習してたけど、隊長は本当に頑張り屋さん。

聖グロにふさわしいお嬢様になるって何度も聞いてたけど、そうなることを祈りたいわ。

あきらめずに挑戦?していく姿見てると、年上である私ももっと頑張らねばといつも思うよ。

 

 

 

 隊長達の会話をちょっと後ろから聞く帰り道、3人とも楽しそう……いいな。

私たちの小隊が出来てもう数週間経つけど、私だけどうも距離をあいてる気がする。

いえ、ちがう。

 

 「私があけてるだけかもね」

 

 この4人の中では私だけが学年が違う、それに1年生が私たちの隊長。

べつに私は隊長が1年だからや2年だからとかは気にしないけど、どうも周りの中には気にする人がいるみたい。

学院内でなく外、それはちょっとややこしい所ではっきり言ってめんどくさい。

普通に聖グロに入学してたらこんな悩みは無かったと思うけど、私は転校してきた身。

とある戦車と共に転校したことによりそこに興味持たれた現実なのよ。

この学院にはそういうところがあるのは転校前から知ってたけど、ここまでとは……現実はめんどうなものね。

 

 

 

 「どうかしましたの?さっきから静かですわよ」

 

 隊長が私を見てた、いつの間に。

気づけば私と隊長との距離が思ったより離れていた。

他の皆さんは気付かないうちに別れてたみたい、別れの挨拶はしたような気はするから反射的にしたのかな。

 

 「ご気分でも悪いのですの?」

 

 「いえ、ちょっと考え事をしてただけで問題ないですわ」

 

 「そう、それならいいのですわ」

 

 ほっとした、心の内を知られなくて。

隊長はそれっきり何も言わず歩く、時たま気になるのかうずうずなさってる。

うずうずな隊長、それも可愛いね。

 

 お互い何も話さない、静かな時間が流れていく。

隊長の部屋と私の部屋は少し離れておりここで別れる、隊長に別れの言葉を言い歩いていく。

 

 「今は言えなくてもいいですわ。でも、何かお困りなら力になりますわ」

 

 「だから……溜め込まないでくださいませ。わたくし以外にも皆、気になさってたわ」

 

 ごきげんようと、隊長は歩む。

隊長の前にいた私、どんな表情だったのか知らない。

だけど、その言葉には……

 

 

 

 ちょっと話は変わりここで大洗の町についてふれる。

大洗は北関東に位置する茨城県にある港町であり、水族館や海水浴等により観光スポットかなり有名な町でもある。

他にも聖グロと同じく学園艦内にある大洗女子学園と繋がりが深い町で、昔には何度もこの町で戦車道の試合が行われていたことでも知られている。

ちなみに聖グロの学園艦の母港は同じく関東にあるけど、これはいいかな?

そんな関東にいる住んでる人なら知られている大洗の町、なぜ唐突にふれたかというと……

大洗の地に私が今いるから。

 

 「今日はいい天気、こんな日は外でお茶にするのが一番」

 

 私たち聖グロと大洗女子学園の親善試合と書かれた横断幕を見上げながら、ここに居る理由を思い出すのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




搭乗戦車について

転校前:??? →転校後:??? → 転校から少し経った:?????ー




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

大洗学園の日々
ガールズ&パンツァーってなんだっけ?(仮)


2018/03/31に1部文章や単語を追加


 「本日は晴天なり」

 

 そうふと浮かんだことを言う。

今日は雲が見当たらないよき天気であり、日差しによって心地よい温度である。

私は今とても眠い、この心地よい状況のおかげで。

 

 私は残された最後の力を振り絞って頭を机から離すと、頭にくっつくようについてきた紙がひらひらと落ちていくのが見える。

机に落ちた紙はさっきまであった帰りのホームルームにてみんなに配られた物。

選択科目を選べという内容で、剣道や戦車道といったよく見かけるものから忍道や仙道といったほかの学校には見かけないものまである。

 

 「ん?おかしいなこれ」

 

 おかしい、なんで選択科目内に戦車道があるんだろう。

私が通ってる学校である大洗女子学園、長いから大洗か学園でいいか。

大洗には戦車道なんてなかったはずだけどいつの間に復活したんだろうか、私は選ぶ気がないのについ考える。

 

 「そういえば帰りのホームルーム前にあったあれで説明でもあったのかな?」

 

 そう、帰りのホームルーム前になぜか選択科目のオリエンテーションなるものが生徒会によって開催された。

なぜかほかの選択科目は全く触れずに戦車道、それも昔っぽい映像を流し戦車道の成績優秀者には特典があると説明で終わった謎の出来事であった。

私は疲れで睡魔と戦闘をくりあげていたがほぼ敗北であったために映像部分は力尽きていた。

昔っぽい映像がどんな話だったのか今となっては気になってしまうが、映像部分に復活した理由もそこで説明あっただろう。

 

 「どうしようかな?どれ選ぼうかこれは重要すぎて迷うね」

 

 「どれに人気があるのか少し知りたいな……ただ知れるとは思えないけど」

 

 私は普段の学園内では1人で過ごすことが多い……そう、友達がいない。

友達ってなんだろうね……あーあ、周りのみんなは友達らしき人と仲良く帰っていく。

私もあーいったことしてみたいですが、最初の1年から大洗で過ごしていたら結果が変わっていたのかなと思ってしまう。

 

 私がここ大洗の生徒になったのは高校2年になる前の春休みの間。

世間でいう転校生になるのかな私は?

1年間一緒に居られてないけど2年生の始まりはみんなと一緒、新しく来た私でも友達が何人か出来るはずとそう信じて新しいクラスでの生活を始まった。

1年からの友達同士で話す子も多いなか、初めて見る私にも声をかけてくれる人は何人もいた。これなら友達できるかなっと思っていたけど、肝心の私が話をうまく続けられずに嫌われてないけど友達でもないという状況となった。

なったというけどそうだと私は思っている。

友達はいいとして、ひとつどうしても知りたいことが生まれた。

それは、

 

 「戦車道か。この大洗にそもそも戦車が残ってるなんて思えないけど今から用意するのかな?」

 

である。

 

 戦車に限らず、あらゆるものは長くつかったりするには点検や修理をする必要がある。

それらをするためにはかならずいるものがあるそう、お金である。

それに点検や修理は1度のみでなく使い続ける間は何度もする必要があり、そのたびお金がいる。

使い続けるならまだそのためにお金を使うのはいいけど、使わないのにお金を使うとなると無駄だと判断されることも。

あと使うだけでなく所持するだけでもお金がかかる使わない、所持するだけの戦車はとてもお金がかかるだけならば少しでも大洗のために戦車を売っててもおかしくない。

戦車道を選んでも戦車がない、そんなことになるのではと。

さすがに生徒会もそんなことにならないようにしてると思うけど、とても心配。

 

 「考えるのはまたあとでいいか。今日はもう帰るとしよう……友達と帰ってみたいな一度くらいは」

 

 そういえば履修届でひとつ恐ろしい?ことが書かれてある。

それは、希望のない生徒や記載不備または提出期限を守れなかった生徒は自動的に戦車道の選択になると下のほうに書かれている。

そんなことで忘れず問題ないように出すためにとても重要で大事な選択科目の履修届を鞄にしまい教室から出る。

 

大洗に転校してから学園にある女子寮に住んでいてる私はこの後特に予定がないために女子寮に戻ることにした。

学園から出ると先ほど教室の机から感じたとおり、心地のよい暖かい日差しを感じる。

 

 日差しを浴びながら歩いていると、どこからか話し声が聞こえた。

ふと誰が話しているのか気になって見回すが、話したと思われる人はいない。

誰なのか知りたくなった私は声が聞こえたほうに足を向けた。

聞こえたほうに歩いていると見覚えのある3人が横に並びながら歩きつつ話していた。

どうやらちょこちょこ聞こえてたことから想像すると選択科目をどうするか話していたようだ。

そう、私もこのことについて迷っておりほかの人はどうするのか知りたく、誰が話しているのか探す。

 

 見つけた。

3人は私とは違うクラスの子であり真ん中にいるのは私と同じく今年になってから転校してきた子だ。

確か、西住なんとかさんと言ったはず。

違うクラスである私はお昼時の食堂や休み時間、登下校で何度か見かけることがある。

いつも1人で見かけていた西住なんとかさんが複数人で、それも友達同士の会話をしているなんて羨ましいと思ってしまう私がいた。

 

 少し遠い目していたけど3人に意識を戻す。

どうやら両脇の子が西住なん、めんどくさいから西住さんでいいや。

西住さんに戦車道はどうかと進めてるようだけど、どうも西住さんは戦車道に抵抗があるみたい。

少し雰囲気が暗くなった西住さんを見て両脇の子はそれほど強く戦車道を進めずに話を変える。

どうやら西住さんの雰囲気が戻ったようで明日のお昼ご飯を何するのかとか聞こえてきた。

 

 選択科目についての話は終わったようなので私は帰ろう。

来た道をまた歩き出すと同時にふと思い出したことがある。

それは、戦車道でとても有名な家がいくつかあることを。

そしてそのなかには同じ苗字がある、そう西住さんと同じ西住家である。

西住流とも呼ばれ、統制された一糸乱れぬ陣形からの圧倒的な火力にて短期決戦で敵と決着をつける戦術を得意にする。

あと西住流といえばもう一つ、戦車道の名門であり戦車道全国高校生大会9連覇という戦車道最強校の黒森峰女学園に後継者って呼ばれている人がいると聞く。

 

 「西住さんはもしかして、もしかするのかな?」

 

 もしそうだとしたら生徒会から勧誘がありそうね。

選択科目のオリエンテーションや履修届から見て生徒会はかなり戦車道に力を入れてるようがわかる。

その理由はよく知らないけどきっと生徒会なりの理由があるはず、それなら戦車道に詳しい西住さんを逃さないはず。

でも、さっきの暗くなった様子からきっと西住さんは戦車道を選ぶことはないと思う。

生徒会とはいえ無理やりに選択させるなんてことはしないと思うけど、すこし気にしとこう。

 

 「さて、早く寮に戻って何か食べよっと」

 

 選択科目や西住さんのことを考えていたせいか急におなかがすいてきた。

部屋の冷蔵庫に何があったっけと思い出しながら歩度を速める。

 

 




―おまけ―

そうそう私も転校生だけど元の高校は戦車道がないところだったのよ。
なので私にはきっと生徒会からお声はかからないでしょうね。
選択科目何にしようかなー迷う私ね。
(鞄についた試製1号戦車改のキーホルダー触りつつ寮に急ぐのであった)




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

何やら戦車道復活したんだね。これでようやく話が進むってカンペにあるよ(進む・・・・・・はずよ

 「本日も晴天なり。これは先週と同じよね……でも、いいか」

 

 朝のホームルームが終わったところでふとそう呟く。

先週と同じようなことを呟いた時とは違い、眠気には負けていない。

代わりに先週に配られた選択科目の履修届が、机に上に置かれている。

そうそう、ホームルーム始まる前も終わった今も教室内は賑やかのまま。

今日で選択科目届けの締め切りとあって、皆その話題で一色。

私はこれにしたやあの子はこれしたとか、彼方此方で聞こえてくる。

以外にも戦車道に興味を持ってる人が多いのか、戦車道の名も聞こえる。

 

 「これは私が思ってる以上に戦車道人口多くなりそうね」

 

 そこまで戦車道には女子に魅力あるものなのか。

そうであれば私も選ぼうかっと、考えてしまいそうね。

因みに、机に置いてある履修届の戦車道には丸をつけてない。

私が今のところ選んだのは香道、すなわち戦車道以外を選んでる。

 

 決めたのは昨日。

放課後になり寄り道せずに寮に戻った私。

ご飯を食べたり洗濯したりとやることをしつつも、選択科目はどうするかを考えていた。

それらを終え、部屋にある机に履修届を置きどれにするかお菓子食べながらじっくりと考えた。

これぞというのがやっぱ無く、結局寝るまでに決まらず。

朝起きて登校するギリギリまで考えたが、決められなかった。

じゃあ何で、香道にしたって?

理由は特にないけど、お香の知識があれば役立つかなってね。

今後の生活で疲れた時に、癒しになるかなって思ったのは内緒。

 

 「戦車道といえば、いつも疑問に思うことがあるのよね」

 

 私の疑問は少し置いといて、大洗で今ナウでホットな戦車道について。(表現少し古いかな…)

戦車道は華道や茶道と並ぶくらいの人気のあるもの。

世界各地に存在し、その地その場所の戦車道があるくらいなの。

と言うわけで、世界中で女子の嗜みとして受け継がれている。

我が日本では、礼節のある淑やかで慎ましく凛々しい婦女子を育成を目指す武芸となってる。

そんな戦車道にも、専門誌はある。

それは月刊戦車道と呼ばれ、今の世でも人気あると聞く。

専門誌以外にも戦車道に関する専門店があり、ここ大洗学園艦内にも1店舗あったりする。

もう何年も戦車道がないここ大洗でよくも生き残ってこれたものと、感心するよ。

あと、戦車道にはちょっとした都市伝説もどきがある。

それは、戦車道をやるとモテるとよく女子の間で有名だけど……

実際のところ、モテるのかは永遠の謎ね。

 

 あと、戦車道は名の通りかつてこの陸の王者であった戦車を使う。

戦車の攻撃方法は今も昔も砲弾である。

まぁ流石に、戦車が昔の実戦に使われてた砲弾は使われず連盟が公認した物を使っている。

それは、よく分らない改造の砲弾であり、戦車内にいたら直撃幾ら貰っても死ぬないとか。

ただ偵察や一時退避?等で戦車外の時に、流れ弾もらった時はどうなるか不明らしい。

まぁ、どんな対策しても戦車から撃ち出された砲弾は生身にとってオーバーキルしかないよね。

 

 あと戦車自体にもちょっとした工夫があると聞く。

それは、戦車の装甲には砲弾と同じように連盟公認のものを使ってる。

車内には安全のためよく分らないものでコーティングされ、かなり安全と聞く。

かなりとつけた理由は、時たま被弾によって火災があったりするから。

他にも、川に落ちて浸水する可能性もある。

 

 試合形式は、相手チームの全ての車輌を行動不能にする殲滅戦。

両チームから各1輌をフラッグ車とし、相手のフラッグ車を先に行動不能とした側が勝者となるフラッグ戦の2種類がある。

連盟によって、どっちにするのか決める。

でも、フラッグ戦でなく殲滅戦になることもあるって聞いたことがある。

あと、連盟非公式であり非公認の戦車競技である強襲戦車競技もあるけど……

これは今は置いときましょう。

 

 そうそう、さっきから何回か出てる連盟とは日本戦車連盟のことよ。

連盟の軽く説明ね。

連盟は日本国内の戦車道の指導や管理を行い、公式戦などを開催運営している組織。

高校や大学だけでなく、社会人も対象である。

今の理事長はオジサマ?とか聞いたことがあるけど見たことないなー

 

 戦車道についてはここら辺までで、いいかな?

ちょっと話題は戻るけど。

いつも思う疑問とはそれは、どこから戦車を仕入れてくるのかという点ね。

どっかの工場から買ってるのか、それとも連盟が直接販売してるのか……

 

 「私、とっても気になるんです!」

 

 

 朝のホームルームから時間が経ち今はお昼!

私は今、学園の食堂にいるのであった。

本日の私の昼食は海鮮丼、君に決めた!

選ばなかったけど他にもあって迷うのよね。

チーズが乗っかっててあっつあっつジューシーそうなハンバァァァグ定食や金平ごぼうに納豆。

おかわりは有料のお味噌汁にご飯の定食などがあった。

私に食レポなんて期待されても困るから食事シーンはカットカットカットにします。

因みに、学食の定食のご飯は大盛り無料となります。

そこの君!

腹は減っては何とかだし、多く食べてもいいのよ?

 

 「っ!!何事?」

 

 賑やかな食堂だけでなく学園中に突如、警報音のようなものと同時に放送が流れた。

放送内容は聞こえたが確認のため、近くの壁にあるディスプレイを見る。

ディスプレイには生徒会からの緊急の呼び出しと表示とあり、ある生徒名が表示されてた。

その名は。

 

 「西住。西住みほさん」

 

 まさか西住さん下の名前を今知ることになるとは、夢にも思ってなかった。

少しして離れたところから席を立つ音が3つも聞こえた。

多分、呼び出された西住さんに昨日の帰り道で西住さんと共に居た2人でしょう。

西住さんは子犬っぽいか生徒会に負けそう?だけどあの2人と共であれば問題ない気がする。

 

 「にしても、生徒会は何で西住さんにこだわるのかな?」

 

 「ちらっと聞いた話だと昨日、西住さんのクラスまで直接行ったとか」

 

 「ふむふむ、戦車道が何か大洗に意味があるのかな?」

 

 そして気づけば、西住さんのことが気になっている私。

知り合いでもないんだけど……西住さんには何か秘められし魅力があるのかな?

西住さんのこれからに幸多いことを願う。

 

 「さて、教室に戻って授業の用意するか」

 

 

 お昼のちょっとした騒動?から時間が経ち今は放課後。

って、これってお昼でもしたような気も?

まぁ、いいか。

明日から選択科目が始まるとか、帰りのホームルームで聞いた。

あと選択科目は途中で変えても問題ないって。

にしても、変えてもいいなんて変わってる気がするけど。

因みに、さっきも言ったけど私が選んだのは弓道よ。

えっ?

さっきとは選んだのが違うって?

それは気にしないのですよ、気にはしてはいけませんまだ履修届を出す前だったし。

 

 「西住さんはいったい何に選んだろうね選択科目は?」

 

 お昼の呼び出しにより生徒会へ行った西住さん。

そのあとのことはわからずじまい。

多分、戦車道を選ばなかったのが原因と思ってるけど呼ばれたからって選ぶかはどうか。

まぁ、明日になったら分かることでしょうけど……気になる気になる私。

 

 「明日が楽しみね。とってもとっても」

 

 そうつぶやいて今日も席から立つ、今日も変わらずに1人で寮へ。

 

 「戦車道を選べば私にも友達出来るかな……」

 

 そんなつぶやきには何にも、反応がない放課後であった。

 




六号重戦車(日本陸軍版)がフラッグ車でその左右をエクセルシアー重突撃戦車とチェールチリ(チャーチル)歩兵戦車Mk.Ⅲ。
その左右前方にはT-80とバレンタインXIが2両ずつによる計7両にての見事なV型隊形で走行してる場面と、それらから離れた場所にて待機していたビショップ自走砲2両がT-80とバレンタインXIからの情報をもとに砲撃する場面があり、なかなか見ごたえのある映像が初回の戦車道授業で流れたと後々に聞いた。

どこかで見たことがある映像かな?
ふと、とある昔のことを思い出す私であった。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦車道の授業が始まるねそろそろ。私?弓道の用意しないとね

 

 「本日も晴天なり。これは2日連続よね……でも、いいか」

 

 朝のホームルームが終わったところでふとそうつぶやく。

なぜかまた同じことをつぶやいたけど気にしない私、多分ずっとこの事を繰り返すと思うから。

 

 

 

 今日も眠気には負けておらず、今は1時間目の授業の用意を終わったところである。

クラスの皆は昨晩は何の番組を見たとか髪型決まってるねとか、何気ない会話でにぎやかだがその中に、今日から始まる選択科目についても聞こえてくる。

今日の最後の授業が選択科目(もう次からは選択授業でいいか。)で、予想だけど初回授業だから説明や授業内に使う物を購入するための用紙配布で終わりそう。

私は弓道(けっして香道ではないぞ!そうだよ!!)を選んだので購入となると各自が使う弓道用の矢、弓懸、矢筒、弓道着、雪駄や弓に張るための弦や胸が怪我をするのを防ぐため胸当て等の小道具のはずね。

 

 ここでうろ覚えな弓道情報をここで!

おおざっぱでうろ覚えなところでごめんだけど間違ってるところがあってもそこは優しく聞いてね。

最初に弓道で使う弓は和弓と呼ばれており、アーチェリーで使われるのは洋弓とは長さが違う。

矢をつがえるところから矢を放つまでの動作が弓道、アーチェリーでは違ったりする。

アーチェリーについては別のところで詳しくありそうなのでここでは省略。

弓道は矢を放つまでの動作のことを射法八節と呼び、実際に弓を使うときはこれを覚えないといけない。

簡単に言うと、足踏み→胴造り→弓構え→打起し→引分け→会→離れ→残心、となってる。

 

 足踏みは、足の開くことであり姿勢の基本になり開き方は2通りある。

左足の開きは同じだけど次の右足の開き方が違うのである。

ちなみにすべての教えがそうかは分らないけど、足の開く幅は自分の矢の長さになる。

 

 胴造りは、足踏みと共に姿勢の基本となる。

弓構えは、自分の体に向かって真正面に構えるのと左斜め前に構える2通りがある。

この時の構え方によって打起しと引分けが少し変わっていくけどここでは省略っす。

 

 打起しは、弓構えで構えた状態から弓矢を持った両拳を上に持ち上げる動作で引分けは、矢が唇の高さにくるまで左右の拳を開いていくこと。

会は、矢が唇の高さにきていったん心を落ち着かしつつ的に狙いをつけて離れで矢を放つ。

残心は、矢が放たれた後の姿勢で1度息を吸って再び落ち着いく。

 

 おおざっぱだけどこれ以上は、もう体力の限界なので射法八節はここらへんで。

 

 矢とかの道具類をすべて書くと疲れるから一部だけを!

上では触れてないけど、弓に関しては学校所有のを使うことが多いけど自分用を最初に買う場合もある。

矢の長さは左手の先から首の中心までとなっており人によって長さが違うから、間違えてほかの人の矢は使わないように注意ね。

ちょっとした話だけど弓と矢の種類には竹製のがあるけど、これはすこし高かったりするし手入れが少し大変とも聞くよ。

弓懸は右手に装着する物で鹿の革でできてる。

湿気に弱いから保存するときは弓懸の中に乾燥剤を入れるのを忘れたらだめよ!

あと、ちょっと高かったりするかもね?

 

 最後に、上に触れたけど胸を怪我しないように胸当てについて。

これは胸が大きい人は射法八節の離れにて弦があたることがあるけど、この時の弦は勢いがよくとても痛い。

痛いだけで済むといいけど時によっては怪我することがあるから、必要な人は胸当てを使用しよう!

思った以上に長くなったうろ覚えでおおざっぱな弓道情報についてはここで終わり。

 

 「さて、そろそろ1時間目の授業が始まるね」

 

 

 

 朝のホームルームから時間が経ち今はお昼!

私は今、学園の食堂にいるのであった。

 

 「本日の昼食はハンバーグ定食、君に決めた!」

 

昨日のお昼に選ばなかったチーズが乗っかっててあっつあっつジューシーそうなハンバァァァグ定食にした。

ボリューミーでおなか一杯になるあっつあっつのハンバーグだけでなくついてくるごはんが大盛り無料という育ち盛り真っ最中の女子高生にはありがたい存在なのだ。

ただ……痩せたいと思ってる子にはきつい存在なのはここだけの話。

私に食レポなんて期待されても困るから今回も食事シーンはカットカットカット!!

私の食レポは多分これからもないだろうね、きっと。

 

 

 

 お昼のおいしい時間から時間が経ち今は選択授業が終わった後って、これって昨日と似てる気もするけどスルーで。

お昼から選択授業までは特に何もなく進んだから言うことがないね。

私の選んだ弓道の選択授業は朝のホームルームでの予想通りで、この1年間どんなことをするのか説明や矢や弓懸などを購入するための用紙配布で終わった。

 

 

 

 少し早く選択授業が終わったために私はすこし歩き回ることにした。

考えもなく行先を決めずに歩いたせいか気づけば森の中に迷い込んでいた。

一度立ち止まり周りを見るとすこし先に学園が見えるため戻ることは問題ないと分かり、

学園が見えるならこのまま歩き進んでも問題ないと判断し再び歩き出す。

 

 「ん?何か油っぽいにおいがする?」

 

 「いったいどこから?こんな森の中に何で油、それも燃料っぽい感じのが」

 

 歩き出しすこし経ってからにおいがするのに気づき、においの出所が気になりにおいがする方へ進路を変更する。 

進路を変更し少し経ったところ前方の茂みの間から大きな物体が見えてきた。

危険がないか少し気をつけつつ近づいていくと物体の正体がわかった。

 

 「これはまさか戦車?それもこれは軽戦車っぽい」

 

 「なんでこんなところに……それにしてもボロボロで汚れてるね、このチェコ製軽戦車は」

 

 まさか戦車を見つけるとは、まったくもって驚きである。

この戦車はきれいに清掃し整備をしたら以前のように動くのかな?

動けばいいのにと、そう思ったところ後方から物音が聞こえてくる。

できるだけ物音立てないように近くの茂みに隠れつつ物音がする方を観察する。

どうやら複数の足音と話し声が聞こえるところから、単独でなく複数人がこちらへ接近してると分かり出会わないように急いでこの場を離れた。

 

 「……さっきの戦車、もう少し見たかったな残念」

 

 離れつつもさっきの戦車の方へ振り返りそうつぶやく。

本当にどんな戦車か調べたかったなと、何度も心に思ったのであった。

 

 

 

 本来の授業終了時間までに学園に戻ることができた私であったが、森の中を歩き回ってたので服のいたるところに葉っぱや小枝等がくっついていた。

さすがに学園に戻る前にきれいにしたほうがいいと思いはたいてきれいにする。

きれいになったかどうか確認するけど問題なさそう。

 

 「蟲もくっついてないしこれなら戻ってもいいね」

 

  

 

 

 学園に戻ってから時間が経ち放課後となった今、帰る用意をすでに終え教室から出る。

寮に戻る前にもう1度さっき見つけた戦車があった場所に寄ったが、私が離れた後に移動されたのかもうそこにはなかった。

もうなかったことに残念に思いつつも移動されたということは誰か必要なところに行ったんだろうね。

それならそれのほうがとってもいいこと、そう思えた私はきれいに整備され生まれ変わった戦車を思い浮かべながら寮へと帰った。

 

 「生まれ変わった戦車()よ、戦車()のこれからを私は楽しみにしてるね」

 

 

 

 




―余談―

(私が森にて戦車発見後、後方からの物音に気付き離れた後のこと)

 「あれ?おかしいですね……」

 「どうかしたんですか五十鈴さん?」

五「みほさん。いえ、さっき花の香りと共に鉄と油の香りと言いましたがそれ以外にもあったものでして」

西「そうなんですか?でも、ほかには何にもありませんけど何かあったのかな?」

五「気のせいかもしれませんね。気にせず戦車があったこと生徒会に連絡しましょう」

西「そうしましょう」

 っていうことあったかもね。


 


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

もし戦車道授業で戦車戦闘があるなら私、少し見てみたいね

 

 

 放課後になりすぐには寮には戻らず選択授業内で見つけた戦車が気になりもう1度見に行った私。

だけど、あった場所にはもう無く少し寂しさを感じるのも、あの戦車にはどんな人が乗りどんなふうに動き回るんだろうという寂しさではない楽しみも生まれた。

悲しみと楽しみが混じってる私、あんまり無いことなのでもう1ヶ所寄り道しようとある場所に向かう。

 

 追加の寄り道、それはある程度近づいただけで分かってしまう油と鉄の香り。

そう、何処かというと自動車のことならなんでも任されで有名な自動車部の拠点ガレージである。

なんでここに来たって?

それは私と同じクラスメイトであるツチヤが自動車部に所属してるからついでに様子見である!

 

 

 

 つい先日に授業で使う物を忘れ教室で困ってた私、その私を見て声かけてくれた人がいた。

 

 「どうしたの?なにかあったの?」

 

 「……忘れ物、私としたことが」

 

 そう言いつつ暗くなっていく私、それにたいし声かけてくれた彼女はニコニコしながら私の忘れた物を貸してくれた。

その日の放課後に貸してくれた物を返しに行くと、声をかけてくれた時のような笑顔で迎えてくれた。

私はお礼を言いつつふと鞄に入れっぱなしだった物を思い出す。

思い出した物をとりに戻り、途中で戻ったことに悪く思い始め急いで戻る。

 

 「……これ、お礼。どぞ」

 

 「えぇ?別にお礼なんていいのに…って!いいの!?」

 

 渡した物は学園近くのファミレスのドリンクバー無料券4枚、悪そうに受け取りつつもとても嬉しそうな雰囲気で包まれるのを見て渡して正解とひそかに思った。

 

 そのあと彼女と別れるまでの間、少し話した。

彼女が部活にそろそろ行くと言ったので私も寮へ戻るため自分の席に戻ろうとすると

 

 「そうだ!ツチヤっていうの覚えててねー」

 

 「……いいの?呼んでいいの?」

 

 「いいよ!かもーん!!」

 

 

 

 という流れで彼女、ツチヤの名を知った私であった。

その後の日からはツチヤが暇なそうなときに近づいたり、すれ違った時に少し話すようになった。

 

 あれ?

前の話数では話している場面無いでしょうって?

……細かいことはいいのさぁー

あれ?

今思ったけど、相手の名を知ってちょこちょこ話するってもしかして……友達だったり?

……友達か聞いてないし、不安だから友達未満にしとこっと。

 

 唐突のツチヤとの出会い振り返り終了。

 

 

 

 ツチヤとの出会いを振り返っている間に自動車部の拠点ガレージに着いた……って?

ありゃ、ここは自動車部が使ってるのでないね。

うっかり間違えて、他の場所に来たっぽい。

にしても、自動車部以外にもガレージ使ってるのは知らなかった。

 

 「ここって、どこが使ってるんだろう?」

 

 扉が開いてるから覗いてみると……

 

 「ありゃありゃ?あぁ、ここにあったのねあの戦車は」

 

 「戦車は見つかってもう少し見たいけど、目的の自動車部に行かねば」

 

 「じゃあね戦車よー」

 

 その後、無事に自動車部が使ってるガレージに着いたのはいいが既にツチヤ達は帰っており誰もいなかった。

 

 

 

 謎のガレージから寮へ戻った私はお風呂やごはん等をぱぱっと済ませて近くにある本棚にむかった。

しばらくガサゴソ本棚漁りをしてたけどある本を見つけた私は、漁りの結果少し荒れた本棚から離れご飯食べていた机へまた戻った。

 

 本棚から持ってきたのを机に置くとおおざっぱに本を開くが、どうも見たかった内容でなかったようで本を閉じもう1度本を開くがそれまた違ったようだ。

3度目はさすがにと思ったのか大人しく?目次を開きそこから何ページなのか探すことにした。

私が今読んでる本、それは世界中の戦車道で使われている戦車が網羅されてる図鑑。

なんで図鑑を探してたかというと私が見つけた戦車について調べたかったからだ。

いろいろと調べた結果、おそらく38(t)戦車、それもちょっと独自に改造してる感じみたい。

 

 「んーD型やF型とどう違うんだろうこの38(t)戦車?さっぱりわからないねこれ……」

 

 38(t)戦車についてはそれほど詳しくない私は見つけた38(t)戦車と図鑑の38(t)戦車がちょこちょこ違うのに気づきにらめっこしたけどさっぱりにおわった。

しばらく考え続けたが浮かばないため諦めることにする。

 

 図鑑とのにらめっこを終えた私は図鑑を本棚に片付けると一気に眠気が襲ってきた。

なんとかベットまでたどり着くと同時に力尽くように意識が遠のく。

 

 「……おやすみんごす」

 

 

 

 

 「本日も晴天なり。もう恒例化しつつあるねこれ。でも、いいか」

 

 

 

 朝のホームルームが終わったところでふとそうつぶやく。

もう恒例化としたつぶやきをしつつまだ少し眠気が残る私は、机に置いてある教科書で隠しつつ欠伸をする。

 

 昨日の深い眠りから覚めると遅刻ギリギリになりそうな時間であることに気づきとても慌てて学校の用意をした。

昨晩、図鑑探しの前に用意は大半していたため、朝の用意は朝ごはんの時間と身だしなみくらいしかかからなかったのはとても助かったと昨晩の私を褒めたい。

遅刻しないように猛ダッシュで部屋を出たおかげで遅刻せずに済んだが……

 

 「ひとつ気になることがあるのよね。」

 

 そう気になることがあるのだ。

それは猛ダッシュで登校中にふらふらと歩く大洗の制服を着た子と出会った。

さすがに遅刻ギリギリとはいえ見捨てていくのもと思い肩を貸しつついっしょに登校することになった。

学園の校門が見え始めたところで肩を貸してた子が、もう大丈夫だから先行くようにと言ってきたため先に行くことにした。

風紀員が遅刻の知らせる頃には、ギリギリ校門を突破しており遅刻にはならなかった。

私はそのまま下駄箱へ向かったが……肩を貸したあの子は間に合ったのだろうか?

それが私の気になることである、どうか間に合ってますようにと心から願うばかりであった。

先生が教師が入ってきたため意識を前に戻す。

 

 

 

 朝のホームルームが終わってから時間が経ち今は2回目の選択科目授業中である。

今回も昨日に続きほかより早く授業としては終わったためまた周りを歩いてる。

昨日、ガレージで見かけたあの戦車があれからどうなったんだろう?

気になって再び、あのガレージへ向かうことに。

 

 「うん?なにやら洗剤っぽい香りがするのなんでだろう?」

 

 ガレージへ近づいてくると昨日には無かった香りを感じる。

何か洗ってるのだろうかとガレージからはばれない位置を確保し、何してるのかガレージのほうを見る。

 

 「あーなるほど。戦車達を洗ってたのか、それは大変なことね」

 

 ガレージ前にかなり汚れてる戦車が5両並んでおり各戦車に数人ごと集まって洗ってるのが見れる。

おそらくだけど数人ごとに洗ってるが洗った戦車に洗った人たちが乗る感じかな?

昨日、私が見つけた38(t)戦車も3人?いや1人がブラシをもって洗い、別の1人が洗ってる子に指示を出してるようだ。

最後の1人は、何してるんだろう?

2人の様子やほかの戦車の様子を見てるようだけど……ブラシの子を手伝わなくていいのかな、1人だと大変だと思うけど。

まぁ、問題ないからそうしてるのだと思うことにし5両の洗車の様子をじっと見る。

しばらく見てたけどこれ以上はさすがにと思い教室に戻ることにし、そっと気づかれないように離れる。

ばれてないと思ってるけど、なんだか最後ちらっとこちらに視線を向けた子がいた気がする。

38(t)戦車やほかの戦車の様子を見つつ干し芋を食べていた生徒会長さんにまさかね?

 

 「こう言ったらあの子たちに怒られそうだけど、あえて言おう。」

 

 「もう少し、あの子たちの水着や濡れた体操服姿を見たかったと」

 

 そう、濡れるためなのか洗ってる子達は濡れていい姿であった。

水着はまだ夏場なら見れるけど濡れてる体操服姿はっと、さすがにここまでにしておく

私の何かのために!!

 

 

 




―余談―

(私が洗車中のガレージから離れた後のこと)

 「ん?どうかしましたか会長?」

角「いやー何でもないよ河嶋?それより、どう終わりそうこれら?」

河「えぇ、なんとかみな終われそうです」

角「そう、ならこの後は自動車部にまかせるかぁ」

河「事前に自動車部には連絡してますのでこちらが終わり次第来てもらいます」

角「あとは任せるからね。私はのんびり見てるからねー」

角「(んーそれにしても、さっきの子は誰だろうね?)」

角「(今のところ戦車道選んでる子はここにいる子ですべてだし……)」

角「(これは何か面白いことになりそう)」

 もう1度さっきの子がいたほうへ視線を向けた。



 っていうことあったかもね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

そうそう、戦車道を選んでない子でも事前に申請してたら見学してもいいんだって

 「ふぅ……さっきは良きもの見れたね」

 

 覗き見をし、ちょっとした興奮することになった戦車道のガレージ。

それから場所は変わり、今は自分の教室にてのんびりと席に座ってる。

先程までの光景を思い出し顔がにやけそうになるが、ふと疑問が浮かぶ。

 

 それは彼女達はいったいどこで自分達の汚れを落とすのかと。

昨日見つけたと思えし戦車達は、誰からも見てもかなり汚れていた。

野晒しに置かれていただろう、戦車のあちこちが限界に来てるのは想像がつく。

そのため戦車道に使うためには一度、おもいっきし整備する必要がある。

では整備しようしても、汚れを落とさないといけない。

そのために頑張って戦車の洗車をしていた彼女達は当然、全身余すこと無く洗剤や泡、水まみれであった。

まぁ、38(t)戦車にいてのんびりと干し芋食べてたあの人はそれほど汚れて無いと思うけどね。

 

 ……あっ、今思い出したけど38(t)戦車のそばにいた人達ってうちの生徒会か。

それなら生徒会は38(t)戦車に乗るっぽい?

たぶん戦車道の隊長は会長さんがするから、38(t)戦車が隊長車両になるのか。

38(t)戦車も悪くはないと思うけど、並んでいたなかにあったIV号戦車がいいと思うけど……

 

 

 

 おっと話がそれたね。

今日は洗車、ならさっき着ていたのは水着や体操服といった汚れてもいい服。

それなら着替えの服を用意してるはず。

服は更衣室で着替えたらいいけど、流石に全身泡まみれの状態を放置するのはどうかと思う。

戦車乗りとはいえ、うら若き乙女である。

そこらへんはどうか気にして欲しいものさ。

 

 そう言えば、ツチヤがシャワー室みたいのが自動車部のガレージにって言ってたね。

そこの借りるのか、それとも水泳部かね?

どっちにせよ、もう春になってしばらく経つけど風邪には気をつけて欲しいものよ。

そうだ、自動車部のシャワー室ってどんなのだろう?

気になるからあとでツチヤに聞こっと。

 

 

 

 

 放課後になり、これからどうするか考える私。

昼休みにツチヤが確か、今日の部活はとても忙しいとか言ってたのを思い出す。

学園に今夜は泊まる申請を出してるし……何か購買や自販機で差し入れでも買うか。

差し入れには何がいいのか考えてると前から私の名を呼ぶ声が。

 

 「ん?どうかしたのツチヤ。今日、ドリンク券あげるって言ったけ?」

 

 考えすぎてたのか視線が机に落ちていた。

顔をあげるとツチヤと同じクラスのはずの女の子が立っていた。

どうやらツチヤが声をかけてきて、何かあったっけと思いだすが何も浮かばなかった。 

そう言えば鞄に確かドリンク券あったと思い出し、それかなっと。

ちょっと待ってね、ツチヤに告げ鞄から探そうとする。

すると、

 

 ―違うんだよー別の事だよ。でもドリンク券は貰うね―

 

っと返ってきた。

 

 「なら、どうかしたの?ツチヤはこれから部活でしょうに。それも泊まるんでしょう?差し入れをあとで持っていくけど、何がいい?」

 

 「んーなら、珈琲かな?あと、ラーメンに焼きそばが欲しい!たくさんね!!」

 

 そう言えばラーメンってツチヤが好きなものだっけ?

なら焼きそばは誰だろう。

自動車部の内に好きな人にいたんだ、覚えとこ。

眠気対策に珈琲はわかるけど麺類に合うんかな……一応おにぎりとかも追加っと。

 

 「珈琲にラーメン、焼きそばね?それだけじゃなんだし他にも持っていくよ」

 

 「えー!それだけあれば十分、他はいいよーありがとう紫苑」

 

 「なら、またあとでねツチヤ」

 

 そう、ツチヤ達と別れる……はずが、それを止めるかのように声が。

 

 「ちょ、ちょっと待ってください!ツチヤ殿!用件がまだです。えっと……」

 

 「あぁ、ツチヤと同じでいいよ呼び方、紫苑でいいから。貴女は?」

 

 そのまま別れそうになったツチヤに焦った様子の秋山優花里と名乗る子。

同じクラスの子で間違いない、だって毎朝の出欠確認で最初に聞くし。

くせ毛にシフォンショートボブっぽい髪形をした、元気いっぱいそうな子ね。

思いだしたけど、さっき戦車の洗車メンバーにいたわね。

どの戦車に乗るのか気になる。

まぁ、そんなことは今は置いといて用件なんだろう?

 

 

 

 ツチヤでは少し不安になったのか、秋山さんが用件を話してくれた。

簡単にまとめると、

 

 戦車の洗車が終わり自動車部に引き渡せたので後片付け等をしてた。

 そこに生徒会長から着替え終わったら生徒会室に来るようにと。

 生徒会室に行くとツチヤもいた。

 会長から同じクラスの紫苑を戦車道に誘えないかとのこと。

 そのため同じクラスであるふたりに任され今に至る。

 

 用件はわかったところで疑問が。

なんで私が戦車道に誘われるのか、誰にも戦車道について話したことないのに。

それについて、秋山さんに聞いてみると。

 

 「どうやら、わたし達が洗車してるのを見てる生徒に会長が気づいたようです」

 

 「それで誰なのか気になり調べたら、紫苑殿と思いだしたと」

 

 あーそれを聞いて理解した。

最後にちらっとこちらに視線を向けたのは、会長さんだったのか。

干し芋を食べながらだったから、戦車以外に気にしてないと思ったのに。

感がいいのか、ただ私が見つかりやすかっただけなのか……

転校手続きや挨拶とかで何度か会長さんには会ってるから、覚えていてもおかしくはないけど。

……まさか、生徒全員を覚えてたりするのかな?

転校生だからすぐに思い出せたと思っとこ。

 

 「生徒会、かなり戦車道を重視をしてる。だから、見に来ていた私が興味あると思ったのね」

 

 「あと、ツチヤと秋山さんを選んだのは悪くはないと思うよ」

 

 生徒会長さんって策士だったりするのかな?

友達とクラスメイトから説得されたら、悪くとも見学くらいと思ったんだろうなー

興味があって戦車道を選んだり、興味が無くとも見学ならでもいいんだろうね。

見学から興味もってくれる流れもあるし。

今回手応えなくても何度か試し、それでもダメなら諦める感じかな?

まぁ、特に選ぶ気がないから断っておこ。

目の前で入ってくれるといいな、そう願いし不安そうな秋山さんには悪いけど。

 

 「せっかく誘ってくれたけど、ごめんねツチヤに秋山さん。戦車道のみなさんのこれからが良きことを願ってるから」

 

 ―あとで差し入れと共にドリンク券持っていくね―

 

そう、ツチヤに伝え鞄持ち歩きだす。

すると、秋山さんが

 

 「あ、あの!紫苑殿は明日の朝、予定はありますか!?」

 

 「明日の?……何時頃?」

 

 「9時頃からお昼くらいまで。その時間帯は予定は空いてますか?」

 

 「9時からねぇ……」 

 

 明日の9時から昼までね。

何か私はあったかなー? 

なかったと思うけど、何かあるのかね。

明日と言えば学校休みの土曜日、学校関係の行事は記憶のかぎり無かったはず。

行事でないなら、部活?

でも私は特に入ってないし、助っ人でもない。

なら……まさか。

 

 「秋山さん。もしかして、明日戦車道でなにかするの?」

 

 「はい!明日の午前中、戦車道の特別講師として自衛隊から教官が来てくださるのです。何するかは、まだ生徒会長殿でも分かってないようですが……」

 

 「自衛隊から教官が……?よくもまぁ、うちの生徒会はそんなところから呼べたものね」

 

 ―それに、教官ねぇ……まさか、あの人が来るのかな?それなら、会いたいけど―

 

っと、小声で呟いた。

呟きに反応したのか秋山さんがどうかしたのか聞いてくる。

まさか聞こえていたのかと思いつつ、なんでもないよと。

まぁ、普通の授業なら見に行く気もしなかった。

だけど、教官が誰か気になるしどんなことをするのか見てみたいから。

 

 「私、関係ないけどいいの見に行っても?」

 

 「えぇ!それは問題と思いますよ。会長殿も、もし来たいって言ったら来てもらってと」

 

 「なら、秋山さん達から私が見に行くこと伝えてもらえない?会長さんには悪いけど」

 

 「そう言うことならわたしから伝えておきます。紫苑殿がどんな感じだったのか、帰る前に教えてと頼まれてましたので」

 

 「なら、よかった。じゃあお願いするね。ツチヤはまたあと、秋山さんは明日ね」

 

 ふたりの挨拶の声を背に、教室から出る。

にしても、私が戦車道にね。

今まで戦車を見つけたり、戦車洗車をちらっと見てたけど見学につながるとは。

まぁ、いいや。

明日は特に予定が無く、家でごろごろするだけだったし。

そんなよりも見に行く方が楽しそう、ふたり……いや、3人か。

彼女達には少し感謝を思いつつ、寮へと戻っていく。

 

 「明日、良き天候になりますように」

 

 




―おまけ―

ちょっと話が違うけど、馬術には古い流派があるみたい。
古流って言って、4流派の事をさすらしい。
その中には大坪流っていう流派がある。

この流派を作った人は室町幕府の足利将軍家の師範をしてたらしく、有名とか。
 
 鞍上に人なく、鞍下に馬なし、正に絶妙の至境 
 己を正しうして馬を咎めず

流派を作った人が残したと言われてる言葉。
人馬一体を説いたこれらの言葉は現代の馬術にも通じるとか。

この流派は秘密にせず世に広げたから、多くの分派や支流を生まれた。
そのうちのひとつに、とある流がある。
それは佐々木流。

弓馬の名手であったとある戦国大名さんが、大坪流を学んで作ったもの。
その人は弓は日置流の印可を受け、馬は大坪流の分派である佐々木流。
武将の方面に才多そう、きっと戦に強かったはず?

大坪流は馬術専一で馬上武芸を深く扱わないと。
でも、佐々木流は騎射の方も少しはいれてたとか?

まぁ、昔からおじいちゃんが何度も言ってたことで、それが本当かは知らないけど。
間違ってる情報かもしれないから注意ねー

まぁ、おじいちゃんがそんな話する時はこれで終わるのが常。

 人馬一体のように操り、一射に全てを

おじいちゃんは、そんな風に乗りなさいってね。

今の私には難しい。
うまくできないけど、いつかうまくなりたいなー



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦車道授業に講師と言う名の教官が来るんだね。……嫌な予感、いきなり模擬戦しそう

 「うーん、予定通りに起きれてよかった」

 

 布団をたたみ、カーテンを開ける。

今日もいい天気、昨日願っといてよかった。

歯磨きや昨晩に用意済み鞄の確認を終え、布団のそばに置いた服に着替える。

目覚まし時計が2度目のアラームが響かすなか、朝ごはんの用意を。

 

 「1度目で起きないときの保険だったけど、止めるのめんどくさいな……」

 

 と言うことで、勝手に止まるまで放置。

本日の朝ごはん、ご飯にお味噌汁と塩鮭焼き。

シンプルな和食を美味しく食べたのち、流しに持っていき水につけておく。

そうそう、昨晩に秋山さんからメールがあった。

集合時間等を後ほど連絡したいと、昨日教室で別れるときにアドレス交換していた。

 

 「確か、8時30分までに教室にいたらいいとか。さて、今の時間は」

 

 まだ、7時の半ば。

流石にここから2度寝は死亡フラグ、とはいえ部屋ですることも特にない。

土曜の朝早い時間、いつもの番組を見るのもいいけどやめておこう。

部活に入ってないから、基本的に土曜は学校に行かない私。

なので、休みの日は家でごろごろかゲームかテレビで過ごすことが多い。

その結果、予定がない限り休みの日は起きるのはいつもより遅い。

まぁ、今日はお誘いあったから普段通りに起きたけど。

 

 「さて、少し早いけどもう出るか」

 

 学園に着いたら自動車部のガレージでも寄ろっと。

お泊りで疲れてるだろうし、何かまた持っていこ。

途中のコンビニで、珈琲やおにぎりを買うの忘れないようにせねば。

鞄を持ち電気の消し忘れ等が無いか確認し、靴を履く。

そうだ、出る前に。

 

 「行ってきます」

 

 

 

 

 ありがとうございました―

 

 コンビニ店員のちょっと眠そうな声と共に、コンビニから出る。

部屋を出る前に決めてた通り、珈琲とおにぎりを買った。

ある程度余裕を持って買ったから、自動車部も喜んでくれるかな?

あと、誘ってくれた生徒会長さんやツチヤに秋山さんにあげるお菓子もついでに。

これはあとで会ったときにでも渡すか。

 

 コンビニから学園まではカットカットカット!

だって特に何も無かったし、問題ないよね。

学園校門には8時くらいに着き、まだまだ時間に余裕があった。

これなら自動車部に寄っても、問題なさそう。

そう思えたとき、校門前に生徒がいるのに気付く。

 

 「おはよう。貴女も戦車道関係者?時間に余裕もって行動することは、風紀にとってもいいことよ」

 

 「おはよう。休みの今日もお疲れ様ね、風紀委員長さん。関係者で無く、今日は誘われたの」

 

 「そう、それなら今日は楽しみなさい。迷惑かけないように気をつけて」

 

 校門に立っていた風紀委員長、みどり子さんと別れ自動車部ガレージに向かう。

そうそう、なんで休みの今日にみどり子さんがいたと言うと簡単。

今日は、自衛隊から戦車道の特別講師が来るから人手がいる。

それで、風紀委員と生徒会メンバーが裏方さんとして助っ人に呼ばれたと。

昨日の秋山さんがくれたメールに、ちらっとそうあった。

 

 そう言えば大洗の風紀委員ってある意味、不思議な組織なんだよね。

みんなの髪型がおかっぱで、身長もだいたいと言うか完璧と言うか同じ。

髪型に関しては大洗女子学園風紀委員の伝統で、身長は145cmと決まってるとか。

100を超える人数が所属する風紀委員。

よくそんなにいたものね……

 

 

 

 「今の時間は、8時25分。うん、遅れずに教室に来れた」

 

 ん?

いつの間に教室にいるだって?自動車部はどうしたかって?

いやー自動車部には行ったのよ。

ガレージに着いて声かけても無反応、それで中を覗いたら御疲れで自動車部の皆は寝ていた。

流石に起こすのは悪いと思い。

 

 お疲れ様です。近く寄ったので差し入れです、紫苑より

 

とメモ書きと共に買ったのを置いてきた。

その後、時間が微妙に気づき慌てて教室に移動し今となる。

 

 もう少しで、迎い兼今日の案内してくれる人が来るとか。

秋山さんのメールでは誰なのか書いてなかったけど、誰が来てくれるんだろう?

少し楽しみにしつつ、鞄に入れてたペットボトルの珈琲を飲む。

いつの間に買ったって?

教室まで移動中にあった自販機で買ったのよ。

あとでも飲めるように何本も買ったのは内緒。

 

 教室の扉に近付く足音に気付き、珈琲を急いで飲みきる。

開くときには、何とか鞄の中に空のペットボトルを片付けることができた。

入ってきた人が誰か気づき、先に声をかける。

 

 「おはよう、秋山さん。今日はよろしくね」

 

 「紫苑殿、おはようございます。こちらこそ、今日はよろしくお願いします」

 

 「秋山さん、このあとは戦車道使用のガレージに行くの?それとも、生徒会長に会いに行くの?」

 

 「それが、今は忙しいからガレージでいいと生徒会長殿から。なので、このままガレージに行きます」

 

 「そう、ならガレージで会ったら会長さんに挨拶するか。それと、忙しいのに案内してくれてありがとう、秋山さん」

 

 「いえいえ!生徒会長殿に頼まれたとはいえ、私も誘ったのですから気にしないでください」

 

 では、そろそろ行きましょうか

 

っと、秋山さんが歩み出す。

その後をついていく私、移動中は秋山さんがいろいろ話してくれた。

戦車や戦車道に関しての話が休むことが無かった。

 

 それにしても、秋山さんって戦車好きなのね。

話し聞いてるだけでも戦車についてかなり詳しいし、何より戦車道に対する情熱がすごい。

これだと、戦車道の試合のために相手校まで調査に行きそうね。

無いと思うけど、その時があればお土産を頼もっと。

 

 ちなみに、戦車道のルールでは試合前に相手校まで行き調査、俗に言うスパイ活動は認められている。

流石に、戦車破壊や部品隠し等は禁止されてるけど。

でも、相手校に直接行って調べる学校は、今は少ないと思う。

できる人を育てる必要があるし、時間もかかり大変。

とはいえ、戦車道の強豪校はどこも徹底的に調べる。

情報が沢山あるほど、試合を有利にしやすくなるからね。

 

 よそから情報を隠す、よその情報を得ることは情報戦でいいのかな?

強豪校である聖グロはそう言ったことに力を入れてる。

専門のクラスが頑張ってるとか?

大洗も対戦することがあったら、調べられるんだろうなーこわこわ。

 

  「どうかしましたか紫苑殿?何かありました?」

 

 聖グロの魔の手に内心怯えてると、秋山さんがこちらに振り向き立ち止まってた。

どうやら思い耽ていつの間にか立ち止まってたみたい。

それに気付いた秋山さんが、声をかけたくれたのね。

 

 「ちょっと考えしてたの。問題ないから、行きましょう」

 

 「考え事でしたか。では、行きましょうか」

 

 えぇ。

そう答え、再びついていく。

そろそろ、戦車道が使ってるガレージに着きそうね。

 

 さっきの聞いた話だと、まだ教官は来てないからそこで少し待つとか。

何やらイケメンの教官が来るって、秋山さん曰く生徒会長さんが言ってたらしいけど……

きっと違うんだろう―なー

 

 男性も近年、戦車道に関わること増えた。

まぁ、戦車道にかかわる人が少ないけど、男性が戦車に乗るのは昔からある。

そのため、経験豊富の男性が教官に来るのはおかしくない。

とはいえ、復活させたばかりで不慣れ子ばかりの大洗には合わないかな?

それに大洗は女子高、男性に慣れてない子もいるだろうし。

だから、今回は経験が多い女性が選ばれるかな。

私の予想だと……そうね、あの人かな?

まぁ、当たったらアイス買って帰るか―

 

 秋山さんの進む先に、ガレージが見えてきた。

ガレージの前には、先日とは違いとても綺麗でしっかり整備された戦車達が並んでいた。

 

 

 

 

 「ん?生徒会長さん達、生徒会メンバーもまだなんだ」

 

 ガレージに着いたのはいいけど、なにしよう?

秋山さんは、自分が乗る戦車を見に行きたそうだったから見送ることに。

なので今はひとり、そうひとりなのよ。

ここにいるのは皆、戦車道を履修してる。

それに昨日の戦車洗車を見て感じたけど、もうみんなが乗る戦車がもう決まってるんだろう。

各戦車前に集まってるのを見つつ、端っこに立つ私であった。

 

 

 

 「ふーん、秋山さんはIV号戦車なのね。あと、追加装甲つけてないんだ」

 

 ボッチな私は秋山さんが何乗るのか気になり、並んでいる戦車を見る。

すると複数の人がIV号戦車の前にいて、その中に秋山さんが混じってた。

 

 「あれ?」

 

 ふと疑問を。

確かあの戦車は5人乗るのが基本だけど、秋山さん含め3人しかいない。

流石に3人はきついと思うから、誰かひとり遅れてるのかな?

それなら4人、装填手が砲手を兼任にしそう。

戦車に詳しい秋山さんが戦車長するのに、今度のお昼の1品をペット!

遅れてる子が戦車経験者とかなら分からないけど、大洗にまさかねー

 

 ちなみにIV号戦車といえば、車体および砲塔左右側面部に追加装甲してるイメージの私。

対戦車ライフル弾やHEAT弾対策で付けられ、シュルツェンやトーマ・シールドと呼ばれる。

IV号戦車には種類があり、種類によって付けてる物が違う。

 

 「後々、つけるのかな?まぁ、今すぐ要る物でないかあれは」 

 

 

 

 のんびりIV号戦車を見てると、エンジン音を響かせガレージに向かってつっこんでくる物が。

ガレージ前にいる生徒や戦車にぶつからないように、38(t)戦車が急ターンドリフトを決め停車した。

そう言えばこの戦車、並んでなかったのに今気付く。

それまで賑やかだったガレージ前が、驚きにより静かになった。

それにしても……

 

 「よくもまぁ、無茶な走行するものね……それと、事故らなかったことに驚きよ」

 

 ちらっと秋山さんを見ると、見事にショックを受けてる。

戦車であんなことするなんて、誰でも思わないし。

足回りが問題ないといいんだけど……何かあったら自動車部がんば!

キューポラから半身出す会長さんが、どっかの軍曹っぽいこと言ってるなか心配する私であった。

 

 




―余談―

(生徒会長さん達がドリフト決め、軍曹っぽい話しが終わったあとのこと)

 38(t)戦車から降りてきた生徒会長さんにそっと近づく。

 「おはようございます、会長さん。お誘いありがとうございます」

角「あぁ、紫苑ちゃんか、おはよう」

角「急のことだし、来てくれるか不安だったけどよかった。ひとついい?今日来てくれた理由は何かな?」

 「予定なく暇と、今日来る教官が気になったので。何やらイケメンが来るとか?」

角「紫苑ちゃん。絶対イケメン来ないと思ってるでしょう?声と顔に出てるよ」

 「まぁ、もうすぐ来るでしょうしその時を楽しみにしてます」

角「あはは……まぁ、どんな人が来ても今日は、楽しい日になると思うよ。それだけは安心してよ」

 じゃあね、と生徒会長さんは他の生徒会メンバーのもとに行く。



 そんな会話があったような、無かったような?
ちなみに、会長さんには生徒に近い場所であんな走行はほどほどにと伝える紫苑であった。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

実戦は訓練より良いと言うけど……模擬戦を最初からするのはどうかと思うよ教官さん?

 「ほーIII突が開戦の号砲鳴らしたか。当たってないけど奇襲になり、皆慌てそう」

 

 III号突撃砲が先に見つけたのか砲弾を放つ。

そして、この1射が今回の模擬戦第1号となった。

IV号戦車としては、見えない敵から突如の砲撃が来て驚いてるかな。

彼女なら冷静でしょうが、他の子達はそうでない。

他の子を落ち着かせつつ、現状確認や回避等の指示を休む暇なくする彼女を想像できる。

 

 「と思ってるそばから、ハッチから外確認してるね」

 

 ふむふむ、砲塔側面から秋山さんにあの彼女が出てくる。

となると秋山さんが砲手で彼女が装填手か。

にしても、撃たれたのを知るとすぐさま外を確認するとは流石ね。

彼女だけでなく、秋山さんも頭を出すとは。

てっきり彼女だけかと思ってたんだけどねー

 

 「さてさて、IV号戦車はこれからどう動くのか楽しみね」

 

 模擬戦はまだ始まったばかり、さてさてどうなるのやら?

休む暇なく回避し続けるIV号戦車を見つつ、なんで模擬戦が始まってるのかを思い出す。

 

 

 

 

 急ドリフトを決めた38(t)戦車から降りてきた生徒会長達。

生徒会広報さん(名前なんだっけ……思い出せぬ)が、戦車前に各チーム一列ずつに整列するように指示を出す。

整列が終わってもまだ教官が来ず、次第にどんな人が来るのか話すのが聞こえ始める。

整列するなかのひとりが何かに気付いたのか、ふと見上げる。

何も無い晴れた青空が映るなか、その生徒はふと隅っこにある小さい黒い点に気付く。

それから間もなく点が大きくなるにつれ音が聞こえ始め、他の生徒も気付いた時には遅かった。

 

 なんと、生徒達の頭上を大型の輸送機が通過すると何かを投下した。

投下されたのがパラシュートによって減速しつつ着地する。

投下から着地までの間、私含めてみんな茫然したね……

なお、投下されたのは自衛隊最新戦車の10式戦車でした。

……まさかそれに乗ってくるのかと思うと共に登場方法も、もう少し穏やかに出来なかったのかと呆れたのは内緒。

まぁ、あの教官に穏やかなんて求めても無駄なのは知ってるけど……

 

 そうそう予想通りに教官として来たのはあの人でした。

名は蝶野亜美、陸上自衛隊の1等陸尉さんで今も昔も戦車道にて様々な活躍をしてる。

高校時代から名は知られており、全国大会で単騎で敵戦車十五輌抜きや十二時間に渡る激闘の一騎打ちとか、いろいろなことをしてきてる人。

今は自衛隊所属しつつ、実業団リーグで活躍してるとか。

 

 そんな人だからだろうか。

10式から降りた彼女は、生徒達に挨拶した流れのまま模擬戦をすると言った。

初心者が多いなかいきなりそれはと言う意見が出たが、対して彼女はとても分かりやすい訳を話す。

聞いて訳すると、戦車なんて実際に動かしたら分かるからしてほうがいい。

 

 トテモワカリヤスイデスネー

いろいろと、ツッコミたいけど我慢した私であった……

そうそう、彼女は教官だし教官呼びでいいか。

 

 教官のもと整列し直しみなは始まりの礼し、各戦車に乗った。

そこから戦車長等の役割を決めるため、時間をとる。

全チームの役割決まったところで、教官から発進の号令が。

 

 「パンツァー・フォー!」

 

 決して、決して、パンツのあほーでないから注意よ。

わかった?いいね?

 

 

 

 

 少しの間、模擬戦が始まるまでを思い出してた私。

今のIV号戦車がどんな状況か気になり意識を戻す。

そうそう、模擬戦は各車両がそれぞれのスタート地点に着いて間もなく始まった。

 

 生徒が戦車に慣れるように教官のひと言から始まった、殲滅戦形式の模擬戦。

殲滅戦形式、つまり各車両が敵。

他のに会ったら即ぶっぱしろって……彼女と秋山さん以外は戦車に触れて短いと言うのにあの教官は。

もう少しやり方は無かったのかね?

 

 そんなことを少し離れた場所から見てる私は思った。

ちなみに今いるのは学園艦艦橋、私以外にもここには教官や複数の学園関係者がいる。

撃破判定とかは普通は飛行船や飛行機で確認するけど、今回は艦橋から確認だってさ。

まぁ、艦橋は少し離れてるけどかなり高いから白旗も見やすい。

確認できるから艦橋でもよかったんだろうね。

それに、ここは空調もしっかりしていいところ。

 

 

 

 「にしても、なかなか当たらないものね。見てるこっちがなんか落ち着かない」

 

 操縦手がいいのか戦車長の指示がいいのか分からないけど、IV号戦車は避けてる。

多分だけど、そうじゃなさそう。

他の車両の子達は戦車に不慣れ。

自分も止まり相手も止まってるならまだしも、両車動いてる。

それで当たる方がすごい。

後、多分だけど。

指示がいいのが操縦手か戦車長で無くて、装填手だと思う。

そう、多分だけどね。

 

 IV号戦車は避ける為にも、動き続ける。

そんなIV号戦車の中はどこに何がいて、どこから砲弾来るとかで賑やかそう。

後から狙われ追い立てられるように動くIV号戦車。

私は遠くから見てるから分かるけど、その先からも残りの3両も近づいてくる。

 

 「挟み撃ち狙いか―前後から狙われたらきついね」

 

 前から近づいてくる3両は、迷いが無くIV号戦車に向かう。

普通なら敵がいないか周辺を気にするけど、それが見られない。

なら、始まる前に話し合いによる挟み撃ちか包囲でしょうね。

 

 「ふーん、考えたものね。確かにこれは悪くないかな?」

 

 手を組んで、この中で唯一の経験者が乗っているIV号戦車を倒す。

誰が考えたのか知らないけど、いいと思う。

さっきちらっと見えたけど、彼女は戦車長でなかった。

とはいえ、何かあるたびに指示を出すと思うから安心できない。

それに何かのきっかけで役割が変わるかもね。

試合中の搭乗員の乗り替えは、ルールで認められてるし。

ふとIV号戦車が進む先が知りたく、さっき見た地図を思い出す。

 

 「ふむ、この先は吊り橋か。挟み撃ちや包囲にもってこいの場所ね」

 

 吊り橋で挟み撃ちされると、どうしようもないからな―

左右は当然無理、ならば前か後ろとしても敵がいる。

それも前はともかく後が3両となると、普通だとつみだね。

これがまだ前後1両ずつだったら、どっちか先に殺っただけでなんとかなりそうけど。

殺られたの見て残った方に隙がでるだろうし、そこを狙えばいいんだけど……

さてさて、どうなるのかな?

 

 「ん?……あれ、減速したの?」

 

 前から突撃してきた八九式中戦車を避けるようにすれ違うIV号戦車。

IV号戦車を後ろから追っていたIII号突撃砲は、八九式中戦車とぶつかりそうになる。

両車はぎりぎり衝突を回避できたが、その間にIV号戦車は距離を離す。

何とか2両を撒いたIV号戦車、そろそろ吊り橋が見えてくるところで減速する。

減速したままで切り株を通過したIV号戦車に飛び乗る人が。

いやー驚いた。

減速してるとはいえ、走行中の戦車に飛び乗るとはなかなかやるわね。

とはいえ……

 

 「ふむ、なんであそこに人が?それも模擬戦の前には見かけなかったし」

 

 模擬戦が始まる前、ここから教官が見てたし現地を風紀員達が見て回ってたはずだけど。

安全確認から今まで誰も気づかれずに忍びこむとは。

まさか、忍者なのかな彼女?

大洗って忍道あるから、否定できないのよね……

どうやらそのまま車内に入ったから参加するっぽい。

外で放置なんて危険だしそれがいいか……って、無線で教官に報告したらいいような?

……まぁ、細かいことはいいか、ちょっと離れてる教官は何も言わないし。

 

 「それに、これで5人揃ったのねIV号戦車は。役割は装填手かな?」

 

 飛び入りの子がこのまま参加するなら、戦車長兼通信手を解消するでしょう。

戦車長、砲手、装填手、通信手、操縦手で兼任するなら、2通りかな?

戦車長兼通信手か砲手兼装填手で、他だとやりにくい。

まぁ、これ以外も見るからこれだけとは限らないけど。

 

 今回は隊を組まない殲滅戦、つまり通信手はいてもすることが無い。

なら、戦車道に関係ない子でも問題ない通信手がいい。

それに形だけとはいえ兼任も無くなる、よきことよきこと。

 

 

 

 「へー煙幕で姿を隠し、その間に橋の確認。度胸があるのか怖くないのかどっちかな?」

 

 橋の手前で減速したからか、III号突撃砲と八九式中戦車との距離が縮まった。

そのため再びIV号戦車は、後方より砲撃の嵐に晒される。

そこでIV号戦車は、煙幕を展開することにより一時的に身を隠す。

後方の2両は煙幕越しに撃つが、狙いが定まっておらずIV号戦車には当たる気配がない。

その間にその先にある橋の状態確認ねー

橋渡りました、ですが橋が脆くて崩れました。

ではいけないから、確認って大事ね。

 

 でも、確認するためには外に出なきゃダメ。

それも、後ろから休むことのない砲撃があるなかで生身で確認する。

こんな状況に慣れてないと、決してできないこと。

被弾しても基本的に安全と言われる戦車道。

だけど、生身ではどう?

安全って言われるのは戦車内にいるとき、生身ではそこまでは言われてない。

それも当然でしょうね。

鉄で覆われてる戦車内と、せいぜい服やヘルメットくらいしかない生身では全く違う。

それに、地面に直弾することによってさまざまな破片や石等が勢いよく周りに飛ぶ。

これに当たるだけでも、怪我は避けられないでしょうね。

怪我するかもしれない恐怖に襲われつつ、確認しに行く。

元強豪校のいたからとはいえ、行ける彼女に心からの称賛を。 

 

 

 

 橋の確認が終わったのか、煙幕に隠れているIV号戦車に進むように合図をだす彼女。

それを受け慎重に進み始める。

橋のなかばを通過した所でいつの間にか少しずれてたのか、右履帯先端が橋桁からでる。

その揺れと共に、何か固いものが激しくぶつかる音と衝撃がIV号戦車を襲う。

III号突撃砲の砲撃が当たったのだ。

煙幕が晴れてきたところを、突撃してきたIII号突撃砲が狙いも付けずに発砲。

それが運が悪く、IV号戦車の左履帯後方上部に当たったのだ。

 

 被弾間もなくハッチから身を出す秋山さん。

外にいる彼女に向かって何か叫んでるけど、離れているこちらでは何かはわからない。

だけど、なんとなく想像は出来る。

 

 「多分だけど……誰かが、負傷か気絶をしたんでしょう。続けての衝撃だったしありえる」

 

 「にしても、撃ったIII突もすごい。橋の上の目標を撃つとはね」

 

 「戦闘中とは言え驚いた。もしが浮んだら、撃てないでしょうし」

 

 「戦車内は安全って言われるけど、安全とは限らないからなー」

 

 「もし橋とかにもし当たってたら、ね」

 

 さてさて、被弾からIV号戦車の動きが無い。

と言うことは、操縦者が気絶かな?

怪我だったらもう何かしら対応してるでしょうし。

怪我でないなら安心、気絶なら時間経てば回復するでしょう。

と言っても……操縦手となるともう終わったかな?

操縦となると慣れがいるから、そう簡単に代われるものでない。

それが出来そうな彼女は、まだ外にいて離れてる。

戻る間に、後ろのIII号突撃砲か八九式中戦車によって撃破と。

あぁ……勇者よここまでか、っと呟こうとする。

でも、することは無かった。

 

 「ほう、動くか。だれか、運転の仕方知ってたのね」

 

 それか、もしかしたらその場で覚えたのか?

再び動き出したIV号戦車、何とか出ていた右履帯先端が橋の上に戻る。

まだ完全に煙幕が切れてないため、後方2両からの砲撃は離れた場所に飛んでいく。

渡り始めたときよりかは、少し速めに進むIV号戦車。

 

 そして、撃破されること無く渡りきったところで一度停止する。

彼女が乗りこむと同時に、後方の八九式中戦車が発砲。

砲塔ぎりぎりを掠めていく、この発砲でギリギリ残ってた煙幕が晴れることに。

これで3両はお互いの姿を確認した。

すぐさまIV号戦車が発砲、反応できなかったIII号突撃砲に命中撃破。

そのすきに八九式中戦車が発砲するが、すでにIV号戦車が動いており当たることはなかった。

IV号戦車が停止しすぐさま反撃、八九式中戦車を撃破。

休む暇もなく急速に接近してきた、38(t)戦車との正面からの同時発砲。

発砲による煙がお互いに晴れ、お互いの様子が分かる。

38(t)戦車から白旗が立ち、IV号戦車は立ってない。

 

 「残りは1両。それにしても一気に動いたものね」

 

 橋から3両連続撃破までじっと見ていた。

橋で終わるかと思いしや状況をひっくり返すとは……流石というかすごい。

それに彼女以外はみな戦車に触れて日が浅い。

ぎりぎり秋山さんはまだ詳しいからとはいえ、そんなメンバーでこんなことができるのね。

もし、このまま経験を積んでいったらどうなるのかな?

今でこれだと、かなりのチームになるでしょう。

ほかのチームがどこまでいくかは、分からないけどもしかしたら。

 

 「もし大会で強豪校ぶつかっても、いいところまで戦えるんじゃないかな?」

 

 そんな、復活したばかりの戦車道チームでは思えないことをつぶやく。

でも、そんなことができたらどんなに面白いことになるかな?

残りのチームリタイアを知り、教官が模擬戦の終わりをしめす勝者のチームを告げる。

教官と共に学園に戻るなか、これからの大洗戦車道が楽しみな私であった。

 

 

 




―おまけ―

模擬戦終了後、始まる前のようにガレージ前に整列する。
終わりの礼と共に、軽く各戦車の点検をし待機していた自動車部に引き渡す。
おそらく、これから整備するだろう。
本当にお疲れさまと思いつつ、ある人に近づく私。
勝利しておめでとうって言いたかったのと、朝遅刻ギリギリだったのが気になったから。

彼女の近くにいた秋山さんが最初に私に気付き、声をかけてくれた。
それにより、ほかの子達も気づき秋山さんが私のことを説明してくれた。改めて名乗り、お疲れ様とおめでとうを言う。
彼女たちはへとへとになっていたが、嬉しそうにありがとうっと。

それからひと言二言交わしたところで、気になってたことを聞いた。
なぜ朝遅刻ぎりぎりだったのか?

答えは、登校中にふらふらしてた生徒に肩貸して遅れたっと。
その生徒は模擬戦中に、IV号戦車に飛び乗った生徒だった。
そして、先日に私が登校中に見つけ校門前までいっしょの子であった。

理由が知れたし、彼女達は疲れてお風呂に行くことで別れることに。
お互い自己紹介とアドレス交換もして別れた。

別れ際に小さくつぶやいた。
彼女は聞こえた様子もなかった。

 おめでとう西住さん。これからのあなたの戦車道、楽しみにしてますね

さっき見れた彼女、西住さんの笑み。
なんて今日はいい日だった。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

急な模擬戦お疲れ様みんな。そう言えば、聞いた話だけど……戦車が目立つようなことはあんまりしないほうがいいよ

 「本日も晴天なり、もう寝てもいいよね?」

 

 今日もいい天気、お日様のおかげか歩いてても眠くなってくる。

にしても、春になってあんまり雨が降らない気がする。

学校や外出にはいいんだけど、野菜に影響あって欲しくない。

野菜が高くなると、ちょっと困るんだよね―

 

 「寮暮らしの身。少しでも削れるところはそうしたい……」

 

 なんとか軍資金が増えないものかと、登校中に思う。

うんうんと唸り考えてると、前方に見知った人が。

 

 「おはよう、秋山さん。今日もいい天気ね」

 

 「これは紫苑殿、おはようございます。そう言えば……最近あまり雨降ってませんね」

 

 私の方に振り返り挨拶を返してくれた秋山さん。

秋山さんとは、この前の土曜日でも会った。

その日は戦車道の特別講習と模擬戦があり、生徒会長さんからのご招待?で見に行ったの。

ちなみに、突如に始まった模擬戦の勝者は……秋山さんがいたチームでした。

模擬戦とはいえ、初の勝利にとてもうれしいそうだった。

そうそう、その次の日は戦車道の活動は休みとなった。

流石に、何するか分からない生徒会長さんとは言え初めての模擬戦の疲れを考えてかそうしたって。

 

 その休みの日に、秋山さんは同じ戦車メンバーで買い物に行ったとか。

流石に若い乙女にとって戦車の椅子はきついようで、クッションやちょっとした小物が欲しかったと。

買い物中に戦車内を土禁にしたいとか、ちょっとした声が出たらしいけど……

まぁ、土禁は無いとしても小物については置いていてもおかしくはない。

例えば、戦車道の名門校である聖グロ……そうそう、聖グロって聖グロリアーナ女学院で長いから聖グロっと。

聖グロのすべての戦車には紅茶セットがある。

ある理由は簡単、いつでもどこでもティータイムが出来るように。

そんな聖グロにはこんな言葉がある。

それは……

 

 戦車がどんな走行しても皆、一滴の紅茶もこぼさない

 

である。

 

 でも、こう言っちゃ悪い気がするけど聖グロの方々の運転って荒いと思う。

何度か聖グロの試合を見たことあるけど……

具体的なのは出さないけど、パッと何人かそんな気がするのよね。

さっきの言葉は、紅茶をこぼさないくらいに綺麗な運転ができるのか、どんな運転しても紅茶をこぼさないよう立ち回ることができるのか迷う私だった。

 

 まぁ、聖グロのことは置いといて。

戦闘に使われる戦車、その内装は殺風景とも言える。

多少なら女の子向けにしたいのは分かる、どんなの買ったのかな?

流石に外装に関しては、索敵されやすくなるからと秋山さんが必死に止めたとか。

それを聞いて、お疲れ様ねと秋山さんに送った。

このとき買った物は、次の戦車道授業が始まる前に戦車に置くことにしたと聞いた。

 

 そうそう、なんで私が秋山さん達の買い物を知ってるかと言うと。

昨晩に秋山さんから、電話がありその時に聞いたのだ。

少し長電話になったけど、その日あったことを楽しく嬉しそうに話す秋山さんだったから良き時間となった。

 

 まてよ、長電話できるって友達と言えるんではないか?

もう、これは秋山さんとは友達でいいな!

ツチヤに続いて大洗にての友達2人目だ!!

これは、今後もっと増やせそうな気がしてきたな。

わくわく。

 

 ちなみに、昨日の私はどうだったかと言うと……特に無いかな?

ツチヤ達、自動車部に恒例となりつつある差し入れと様子見に行ったくらいね。

模擬戦で少なくない損傷が戦車にはあるから、何度目かの泊まり掛けで修理してた。

直すだけでなく、模擬戦の様子を聞いて違和感があったところを確認しつつ調整もしたっと。

自動車部ってどこかのプロ部隊なのかと、時たま思ってしまうよ私は。

 

 修理してるの見て、ふと感じたことがあるからツチヤ達に聞いたことがあったの。

それは、修理する為の部品とかってどこから調達してるのか。

戦車道に関する物の出費は基本的、戦車道連盟や文科省の学園艦教育局に申請あればある程度の補助とかしてくれる。

だから資金面はいい、だけど物はどうするのか。

 

 一応、ここ大洗学園艦には戦車道の専門店が1店舗ある。

あるが店舗はそれほど大きくはなく、本や小さな部品とかあっても大きな物は無い。

一応、大きな部品とかも取り扱っており、お取り寄せとかを頼める。

とは言え、お取り寄せや注文しようとも、お店は学園艦にある。

学園艦は通常は海の上、それも常に進んでる。

すなわち、お取り寄せしてもすぐには届かない。

注文品がお店に着くには、学園艦が時々港に寄るときか連絡船とかで運ばれないといけない。

と言うことは、修理しようとも部品が無いと言う悲しいことが起こるのでは?

これは戦車道を復活させた大洗にとって死活問題ではないかと、部外者ながら思ってしまう。

 

 この疑問について聞いたところ、ツチヤ達の回答はこうだった。

春休み中に生徒会長さん達が、どこからか基本的な部品を調達してたって。

なので、自動車部に戦車道始まる前に修理等の依頼をしてきた段階で部品はあったと。

恐らく連盟や学園艦教育局に相談でもして、買ってきたんじゃないかとも。

おかげで基本的な物はそろってるから、ありがたいって言ってたね。

そう言えば、ちょっとした……まぁ、細かいことは置いとくとしようか。

 

 

 

 秋山さんと共に登校中、土日の事を話したり戦車道勧誘があったりした。

戦車道勧誘はまぁまぁと流した、外から見てると楽しんだけどね戦車道って。

でも、実際するとなるとどうも……秋山さんには悪いんだけどね。

そうそう、勧誘中の秋山さんに幻想だけどけも耳や尻尾が見えるのは内緒ね。

 

 

 

 

 時間が進み、今は選択授業が終わったところ。

本日の弓道はゴム弓や巻藁を使った練習や的紙・安土と言った直し方の説明とかがあった。

時間いっぱいまであったから今日は戦車道の方は見に行ってない。

どんなことしたのかあとで、秋山さんから聞くとしよっと。

 

 「そう言えば、この前の休みの日に秋山さん達が、買った物を置くとか言ってたっけ?」

 

 いろいろと買ったと聞いたから、どんな戦車になってるのか。

今からとても気になってる私、秋山さんに聞くことが増えた。

車内がきっと、女の子の部屋っぽい部屋になってそう。

 

 「ふと思ったけど、秋山さん達の戦車以外も何か変化はないのかな?」

 

 どうなんだろう?

この前に他のチームさんをパッと見た感じ、しそうな気がしてきた。

まぁ、流石に戦車が目立つことはさせないとは思うから……させないよね?

小物買い物中に戦車を好きな色に塗る意見がでたと、秋山さんから聞いた時の事を思い出す。

……目立ったら駄目なんだけどなーっと、心の奥底でつぶやく私であった。

 

 

 

 特に書くことが無い、変わらない日々が続いていく。

私は、学園生活を中心で自動車部の様子を見に行ったり、戦車道の活動?を遠くから見る日々を過ごしてた。

戦車道のみんなは、日々の練習で戦車の扱いに慣れて行った。

初めて戦車に乗ったあの日と比べて、スムーズに動かしてる。

そんな変わらない日々が流れていく。

それでも、いつかはその時がくる。

そして、その時はついにきた。

 

 

 

 「……ごめんだけど、もう1度言ってくれないかな?」

 

 そうよね、きっと聞き間違いなんだよ今のは。

だって、まさかね。

今聞いた話が本当か、信じられずに秋山さんに聞き直す。

さっきは自身が興奮しすぎて、聞きにくかったのかと思ったのか、今度はゆっくり落ち着いて話してくれた。

そう、さっきと同じことをもう一度。

 

 「そう、聞き間違いでなかったのねさっきの」

 

 「本当にするんだ。あの聖グロと練習試合を」

 

 「はい。今度の日曜日にあると昨日、生徒会長殿が」

 

っと。

 

 

 

 ツチヤや秋山さんといっしょにお昼ご飯を食べてた私。

のんびりしてた私の動きが、一瞬止まった。

あの特別講習と模擬戦から少し日が経った、ある日のお昼のことだった。

 

 

 




―余談―

 「そう言えば、ふと思ったんだけどいいかな秋山さん?」

秋「なんですか紫苑殿!?わたくしで分かることなら何でも聞いてくださいよ!」

 「え、えぇ……なら聞くけど、戦車道に使える戦車は決まってたね?」

秋「えぇ、それは決まってますよ。連盟の公式サイト等に載ってますが、
仕様可能な戦車は、終戦までに設計が完了して試作に着手された車両や、配備されていた車輌と、それらに搭載される予定だった部材を使用した車輌です。
改造に関しては、この2つの条件さえ満たしていれば実在しない部材同士の組み合わせは認められます」
 
 「設計が終わり試作された物または配備された車両は知ってるけど……確か例外的な物なかったっけ?」

秋「例外と言いますと……あぁ!あのことですか!!」

 「えぇ、設計段階で終わった車両についてよ。さっきのでは少なくとも設計が終わり試作を初めてないとだめよね?」

秋「はい。基本的には、先の通り試作段階まで行ってないといけませんが……設計段階の車両についても決まりはあります」

 「確か、相談しろだっけ?」

秋「大雑把に言えばそうなりますね。正確には、設計段階の車輌に関しては、連盟と個別協議を行い判断によってです」

 「判断に時間かかりそうね」

秋「あと設計段階の車両については、補足的な物があります。それは、部材が調達できず再現が困難な場合は、許可された範囲内での改造が認められています」

 「これはややこしい話しが、さらにややこしくなるね」

秋「まぁ、設計段階の車両を使おうとするのが少ないようですが。あんまり使ってる話聞きませんよ」

 「私も聞いたことあったかな……?」

秋「そうそう。使用可能車両についてはもう少し決まりがありますが、少し長くなってきましたので、後1個だけとしましょう」

 「そうねー少し喉が渇いてきたし、このあとどっか行きましょう!」

秋「ほんとですか!行きましょうぜひ!!……こほん。後1個は、一定の装甲を持つ有蓋車でないといけないことです」

 「えーっと、確か自走砲や駆逐戦車等で見かける戦闘室の天井に装甲等が無く中から外が見えるのは駄目でいいよね?」

秋「えぇ、簡単に言ったらそうですね。オープントップとも言われますが、そのタイプのは駄目となってます」

 「あとは、車輌には連盟公認の判定装置とか付けないと駄目とかだっけ?」

秋「はい、だいたいの決まりはこうなってますね。紫苑殿の疑問解決に役に立てたでしょうか?」

 「えぇ、ありがとう秋山さん。助かったよ」

秋「それなら、よかったです」

「じゃあ、さっきも言ったけどどっか飲みに行きましょー」

秋「どこ行きましょうか?」

(どんな風に戦車に小物とか置いたのか聞いた電話にて、そんな会話があったかも知れないね)


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。