ある薬師魔女のお話 (通りすがりのめいりん君@すきょあ)
しおりを挟む

始まり—魔女の門出ー

 Twitterで「#魔女集会で会いましょう」を見て書かずには居られなかった。
 手書きで書いたの写してるだけだから、妄想録には影響無いと思います。


 子供を拾った。

 否。なんか家の前に捨てられていたから、とりあえず保護せざるを得なかった。

 暖かくなってきたとはいえ、まだまだ冷える外に放置するわけにもいくまい。

 歳は一歳から二歳くらいの幼子でモノが付いていることから男であることは判った。

 子供は寒さと飢えのせいか酷く衰弱していたため、とりあえず身体を暖めて、緩めの粥を作って少しずつ食べさせる。

 この時に秘薬を混ぜて一緒に飲ませたのだが、初めは薬の苦さが駄目で飲み込んでくれなかった。

 仕方がないので、久々に魔女の薬事書を引っ張り出して苦味を抑える工夫をして何とか食べてもらえたけど、お陰で貴重な材料を使う羽目になった。

 こういうのは大人しく薬用の溜飲ゼリーかなんかを使った方が確実だし楽だと思う。

 私は魔女だ。古くから続く魔導を受け継いでいる者だ。

 特に私は薬や生活に役立つ様な魔法に長けているのだが、はっきり言って現代に魔導や魔法は必要がなくなっていている。

 これは文明の発達に伴い魔法でやらずとも機械で済む様になったから。

 それに、今の世じゃ魔法は想像(フィクション)のものだと思われている。

 近所でも私を魔女だと知る者は居ないはずだ。

 魔女の中には未だに不老長寿の秘術を使う者も居ると聞いているが、私の師匠は不老長寿を好まなかったし、私も秘術は使ってない。

 要するに私は魔女ではあるが、人と同じ様に歳をとる。

 当然、人間の社会で生きている。

 ……何が言いたいかと言うと、私はまだ独身なのに子供を引き取りたいとは思わない。

 今は食事が終わってぐっすり寝ているので、この隙にパソコンでどうすれば良いのかを調べてみると、基本的にはこうした子は役所を通して施設に預けるべきらしいのだが、施設の評判はお世辞にも良いとは言えず、その後の扱いを知って引き取れば良かったと言ってる人がかなり居る。

 ちなみに私が親権を得ることも出来るらしい。

 かと言って私が引き取らねばならぬ義理も無いのだが……。

 さてどうするかと考えを巡らせていると、いきなり家の中に泣き声が響き渡った。

 声のするリビングに駆け込むと、子供が私を見るなりよちよちと駆け寄り抱きついてきた。

 やがて泣き止むと、今度は私がお母さんでは無いことに気づいたらしく不安そうに「ママどこ?」と問いかけてくる。

 いや、私に聞かれても解らないんだけど。

 話を聞こうにも、まだ会話が出来るほど言葉を覚えていないようで、辛うじて自分の名前が言えた程度。

 トモ。それがこの子の名だ。

 これからどうしようか迷った挙句、私はこの子を引き取ることにした。

 何で気が変わったのかは解らない。

 もしかしたら泣き喚いて母を求めるこの子を見て情が湧いたのかもしれないな。

 私も、親がいなかったから。

 それに私とて魔女だ。自らの子を捨てる人の業に腹が立ったのかもしれない。

 代わりになれるとはおこがましい事は思っていないが、少しでも独りの寂しさを共有できたら良いなと思う。

 と言っても、私は人間社会で生きる身。当然仕事だってしているから常に見てる事は出来ない。

 元々、家の中でも出来るような仕事ではあるが、それでも週に数回は外に出なくてはいけない。

 そこで、私は使い魔を呼び出してはどうかと考えた。

 今までは黒魔術や召喚術を人の道を外れた術だと日常で使わないようにしてきたが、どうせ子を育てるなら弟子にしたい。

 だから魔女らしく遠慮せずに魔法を使って育ててやろうと思ったら気にならなくなった。

 専門では無い召喚術に少し戸惑ったものの他には、特に問題もなく呼び出すことに成功した。

 それも下級魔族とは運が良い。

 種族としては一番オーソドックスな人魔種で小間使いにも最適な種だ。

 もしかして私ってば才能あるんじゃ無いかしら。

 と言うのは冗談で、実は魔女集会で知り合いの召喚術師に教わった術式に少し手を加えただけ。

 優秀なのはその魔女であって私では無い。

 今度の集会でお礼を言っておこう。

 呼び出した悪魔は小汚い姿だったので家のことを簡単に説明して、私の服も着られるものがあれば着ても良いと伝え、後は家の片付けと子守を頼み、私は財布とローブを引っ掴んで買い物に行く事にした。

 薬を飲ませた時に流動食が食べれるのは解ったので、普通の食事も取れるか確認したりダメだった時のための離乳食などや、おやつになる物を買わねばならない。

 ついでに子供服も少し買っておくとしよう。

 そのせいで、特に買うものが他にあったわけではないのに帰る時の私は何故か両手いっぱいの荷物を持っていた。

 私は悪くない。布が安かったのが悪い。

 こう言う時、自分が魔女で良かったと感じる。何と言っても浮術は魔法の基本だ。

 重かろうが浮かせてしまえば関係ない。

 とは言え両手が塞がっていることには変わりなく、箒を目の前に溜息を漏らす。

 持てないのは仕方ないので周りに気をつけながら浮かせて、とりあえず人気のないところまで移動し、幻影の魔法を使ってから箒の枝に手に持った荷物を次々に下げていく。

 やっぱり、空間転移の魔法を覚えるべきだろうか?

 あれがあればどれだけ荷物を持っていようが、一瞬で家に着くから楽だろう。

 そんな風に独り言ちて私は箒に腰掛ける。

 既に魔法で姿を隠しているのでそのまま飛び立ち、帰路へと着く。

 幻影魔法(ミラージュ)はあくまでその場しのぎの術だが、飛んでいる間はローブが私の姿を隠してくれるので“人に”見つかる心配はない。

 ちなみに魔女のローブと言えば黒のイメージがあるかもしれないが、これにはちゃんとした理由がある。

 古来から魔女は闇に生きる者で、その闇に溶け込むために黒い服を着るようになり、そこから更に性別やシルエットさえも隠せるローブとなった。

 つまりはカモフラージュだ。

 当然ながら昼に黒いローブを着ていたら目立って仕方ないので黒ではなく、白や空色のローブを着る。

 まぁ、中には目立つためにあえて派手な服を好む魔女もいるが、あくまでも少数派。

 また、魔女のローブは手作りが多い。

 これは自らの手で作ることにより自分の魔力が伝えやすくなったり、魔術的な工夫が出来るからだ。

 自分で作らない者は師から貰ったか、もしくは不器用で作れない者のどちらか。

 これだけ魔女の手が加わる物だ。当然ながら魔女集会ではローブを自慢しあったりすることもある。

 大抵はただの自慢話で聞き流すだけだが、時々その手があったかと思えるような工夫をしている物に出会えたりするので全く役に立たないわけではない。

 勿論、私もローブにはしっかりと工夫をしてある。

 師匠が編み出した方法で、生地の合わせ方や色、縫う方法を駆使して服そのものに魔術効果を付与する。

 これを利用して、私はローブに幻影魔法を仕込んでいて術式を省略して術を発動出来るようにしてある。

 実の所、私が専門にしている薬術には法的に禁止されている素材を使ったりもするので幻影魔法は非常によく使う。

  物にローブを被せて発動してしまえば、一瞬で幻影に包まれて何が隠してあるか、そもそも物があるのか発動させた本人以外は例え犬だろうとわからなくなる。

 これはただ見えなくするだけでなく『そこには何もない』と認識させる魔法だからだ。

 師匠の下にいた時は誰かに怪しまれたら魅了化(チャーム)の魔法薬で無理やりここから帰らせたりしていたが、これは最終手段で乱暴な手だから出来れば使いたくない。

 この先トモを育てて行けば魔導を教える機会もあるだろうが、薬の扱いは徹底的に教え込まねばなるまい。

 薬というのはちょっと使い方を違えるだけで簡単に毒となり得る。

 本当、少し考えただけでも我が師がどれだけ偉大だったかを思い知るね。

 私を人間として育て、それでいて魔女としての世界も教えてくれた。

 上手な世渡りも、家事も、今の私は全て師のお陰で生きている。

 残念ながら一昨年にその寿命を全うしてしまったが、彼女はとても幸せそうに息を引き取ったのを今でもハッキリと覚えている。

 だから私も塞ぎ込む事なく、前を向く事が出来た。

 今度は私が師になる番。

 上手くできるか解らないけど、今まで師に教わってきたことを思い出してトモに教えていこう。

 師のことを思い出し、家を出るときとは打って変わり元気に玄関を開ける。

 ただいまと言いながら開け放たれた戸の先には、散らかり放題だったものは何もなく開放的な空間が広がっていた。

 ちらかった物は何もなく、床に積んであった書物は本棚に、研究レポートなどの紙類は分類ごとにファイルの中に分けて保管され、窓の桟に指を這わせても塵一つつかない。

 一瞬、家を間違えたかと思って表札を見てしまった位、家の中は様変わりしていた。

 いや、これが本来の姿なのかもしれないが。

 また、家の中に何やら鼻をくすぐる甘い匂いが漂っていた。

 匂いに誘われるようにトモが居るリビングへ入ると、出かける前に呼び出した悪魔が料理の手を止めて「おかえりなさいませ」と言いながらパタパタと駆け寄ってくる。

 驚いたことに悪魔は呼び出した時とは比べものにならないくらい綺麗になっていた。

 あまりにも違う印象に思わず誰かと問いかけてしまったほどだ。

 ボサボサの髪でよく見えなかった顔と布切れを身体に巻いただけのせいで男かと思っていたが、目の前に居る彼女は間違っても男には見えない。

 シンプルながら単調ではない、身体の各所が絞られたくらい服の上から、派手ではないもののしっかりと主張をした白いフリルのついたエプロン。どこからどう見てもそれはメイドの姿だった。

 どうやら、掃除の後に風呂を使って私の服を着ただけらしいがそれだけでここまで変わるのは、元の素材が良いためだろう。

 目はパッチリ、鼻は高く、口は赤みがかったピンク。まるでお人形さんのようだ。

 サイズもピッタリ、悔しいがとても可愛い。と言うか、メイド服なんて持ってたっけ?師匠が作ったものだろうか?

 買った布で悪魔の服も作ろうかと思ったが、様子を見るに余ってる私の服で十分そうだ。

 でも気に入ってるみたいだしメイド服なら作っても良いかな?

 そんな事を思いながら視界を巡らすと、物陰からこちらを見るトモと目が合った。

 チラチラと悪魔の方を見て居ることから考えるに、気づいたら居なくなってた私が悪魔にでもなったと思ったのかもしれない。

 私がおいでおいでと手招きしてあげると少し悪魔に怖がりながらもよちよちと近づいてくる。

 足元まで来たトモを抱き上げると安心したように笑った。

 つられる様に私も微笑みながら「これからは私がお母さんになるよ」と言う。

 トモは何のことかよく解って無さそうだったが、成長するうちに解る様になるだろう。

 その時はトモを傷つけない様に優しく包み込んであげるとするさ。

 それから、羨ましそうにトモを見つめる悪魔の方にも顔を向けて「これからよろしく」と伝えた。

 パァっと嬉しそうに笑った悪魔に名を聞くと、名は棄てたので私につけて欲しいと言われたので“友”からとって、『ユウ』と名付けた。

 誰かの名前を考えるなんて初めてだったけど、喜んでくれて私も嬉しい。

 さて、これからはこの三人での生活が始まる。まずは、そうだな。

 明日の昼にでもトモを私の養子にするため役所へと出向くとしますかね。

 

 

 

To Be Continued



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

始まり—ユウの思い出—

手で書いたものを打ち直すってクソだるい二度手間してる気がしてる今日この頃。
PC使いたい。


 私の名前はユウ、悪魔だ。

 翼も牙も爪も無い姿だが、これは私がそういった種族というだけで力がない訳ではない。産まれつきだ。

 私達人魔種は昔から上級悪魔に仕えてきたメイドや執事の様な事をして生きてきた種族である。

 私も魔女(今の主人)に仕える前は魔界でとある悪魔の下で働いていたのだが、ある日その悪魔が武力抗争に負けて死んでしまい、仕えていたもの達は皆散り散りになってしまった。

 別に珍しい話ではない。魔界は実力が全てで、弱いものは強いものに従うか死ぬかのどちらかなのだ。

 ある者は新たな主人に仕え、ある者は悪所と呼ばれるスラムで体を売り、ある者は私の様に当てもなく彷徨っていずれ死ぬ。

 今でこそ人間の社会に慣れて魔界が如何に残酷な場所かを理解したけれど、魔界に住んでいた時はそれが当たり前で仲間が死んでも特に何も思わなかった。

 あの時ロクに食事を得られず、雨風を凌ぐことすら満足に出来ずに死の淵にいたのを覚えてる。

 きっと永遠に忘れることはないだろう。

 初めて死というものを実感し、私は恐怖に震えた。

 今までは死ぬことなんてなんてこと無いと思っていたのに、いざ死にかけてみたら怖かった。死にたく無いと心から思ってしまった。

 助けが欲しくとも、そんな事をする者が魔界にいるはずがない。

 これまで散々仲間を見捨てて来たのは私だ。でも仕方がないだろう。それが当たり前だったのだから。

 絶望に打ちひしがれ、徐々に身体の力が抜けて行くのを感じて私は静かに目を閉じる。

 やがて身体が浮遊感に包まれ、いよいよ私は死んだのだと思い観念して目を開くと私は何処とも知らぬ場所に立っていた。

 色んな物が散乱し、床には本が積み上げられた小汚い部屋で目の前には一人の人間が、いや魔女が居た。

 何が起きたのか理解が追いつくよりも先に、契約を迫られた私は流されるままに魔女と契約し、それが終わると魔女は家の説明を簡単にしてから買い物に行ってくると言って私に片付けと子守を頼んで嵐の様に出て行った。

 後に残された私は少しぼーっとしてから、ようやく事態を飲み込んでハッとする。

 どうやら私は助かったらしい。契約をしたおかげである程度の魔力を貰えたのか身体にある程度の活力が戻っていた。

 あの魔女がどんな者かは解らないが、少なくとも優しいとは思う。

 魔女は私のボロ雑巾みたいな姿を見て自らの服を使っても良いと、それと湯浴み場も好きに使えと言ってくれ、お腹が空いているならレイゾウコと言う箱の中に少しなら食べ物があると言ってくれた。

 その代わりに仕事をしろと言う事らしい。

 片付けは見れば解るが、子守とは誰の事を言ってるのかと思ったら別の部屋に幼子が寝ているのを見つけた。

 先程の魔女とは違い完全な人間の様だが、あの魔女の食物用だろうか?

 ともあれ、今はぐっすりと寝ているので放っておいても大丈夫そうなので片付け、もとい掃除を始めることにする。

 正直に言って掃除をしている形跡はあるものの片付けが出来ていないせいでお世辞にも綺麗とは言えない。

 とりあえず、床に物があっては掃除もなにもないのでそれを片付けてゆく。

 書物の中には魔導書なんかも混ざっていて、研究レポートらしいものなどもあり、この家の魔女が薬師である事が判った。

 薬師魔女は不老長寿や若返り、不死などの生命に関わる術に長けていると聞いた事がある。

 若く見えたけれど、もしかしたらとても長生きしている方かもしれない。

 物自体は粗方片付いたので、まずは上から順に埃を落としてゆく。

 それから掃き掃除をして、濡れ雑巾で拭いて、最後に乾いた雑巾で乾拭きする。

 掃除は前の主人に仕えていた時以来だが、案外身体が覚えているようで迷わずに身体が動いた。

 まぁ、おかげですっかり埃まみれなので湯浴み場を使わせてもらう事にしよう。

 魔界にいた時は私達下級悪魔は水浴びくらいで湯浴みなんてした事が無く、温かい水が身体に当たり汚れが流れてゆくのを感じて思わず声が漏れた。

 なんと心地よいのだろう。まるで、汚れだけでなく疲れまでもが流れてゆくようだ。

 そうして至福の時間をしばしば楽しんでから、私の着ることができる服を探す。

 魔女が着るものなんて黒いドレスとかばかりかと思ったが、そんな事はなく、魔女が着るには少々華美に思えるようなものまで有った。

 いくつか取り出して身体に当てると、サイズは問題なさそうなのが判ったので、仕える上で動きやすそうな服を探す。

 するとタンスの奥の方から白と黒のドレスのような服が出てきた。

 黒を基調した服で腰部や袖部が絞られたドレスの上にレースのエプロンがついた見るからに使用人のためと思われるその服に私は目が釘付けになる。

 なんと、清楚で華麗なのだろう。決して華美ではなく、でも決して地味でも無い。

 タンスの奥にしまわれていたんだし、使っても大丈夫だと勝手に判断して着てみる。

 長い事しまわれていたのか、皺が寄っていたり少し湿気た臭いがするものの虫食いもなく、問題なく使えそうだ。

 しかも、同じものをもう一着見つけたのでこちらは洗濯して皺を伸ばしておくとしよう。

 なんだかいい気分でリビングへ戻ると、どこからか視線を感じた。

 不思議に思って辺りを見回すと、部屋の物陰から私の方をじーっと見ている幼子と目が合う。

 湯浴みの前はまだ寝ていたので湯浴みしている間に目覚めていたらしい。

 どうやら私を警戒しているので軽く手を振ってみると、幼子はビクッと肩を跳ねさせてからトテトテと移動して別の物陰からまたじーっと見つめてくる。

 隠れて様子を伺っているつもりなのかもしれない。

 一応、私は人と変わらない姿をしているはずなんだけど、ちょっと傷つくなあ。

 ともあれ、警戒されたままでは世話なんて出来やしないので、どうにか出来ないものかと思考を巡らす。

 すると、私のお腹からグゥ〜っと音が鳴り響く。そういえば魔力のおかげで元気にはなったが、食事は取れていない。

 閃いた。

 甘い物を与えてみたら警戒を解いてくれるのでは無いだろうか?

 幼子とは言え、姿を見るにジャムやゼリーのような物なら食べられるはずだ。なにより甘い物が嫌いな子供なんて居ないだろう。

 レイゾウコの中に食べ物があると言われていたのを思い出して開いて見ると中には林檎(りんご)葡萄(ぶどう)などの果実がたくさん入っていた。

 その反面、野菜の類は少なく魔女の食生活が手に取るように解る。

 それにしてもこのレイゾウコと言う道具はとても便利だと思う。

 常に箱の中が冷やされているので、これなら果実が多くともすぐには痛まない。

 術式などは無さそうだけど、どうやって冷気を出しているか不思議に思いペタペタと触ったりして仕組みを探っているとレイゾウコがピーピーと言う音を立てて怒ったので、慌てて扉を閉める。

 開きっぱなしにするなと言う事らしい。賢い道具だ。

 もう一度開けて怒られるのも嫌なので、とりあえず手に持っていた林檎を使ってジャムを作ろうと思ったのだが、困ったことに釜戸(かまど)がどこにも見当たらない。

 レイゾウコや水場がある事からここが炊事場のはずなのだが、釜戸になりそうな物がそもそも無い。

 怪しげな道具はいくつかあるのだが、使い方など想像もつかないと言うか、箱状の物が多すぎて違いが解らない。

 とりあえず、最も怪しいと感じた黒い箱に、太陽みたいな形の鉄の輪が二つ乗った道具に触れて見ると、表面は汚れでベタッとしていた。

 この汚れは料理によるものだと言うことはすぐに解った。我ながら良い勘しているな。

 ひとまず汚れを落として再び見ると、鉄の輪の中心に丸いボタンらしき出っ張りが目についた。

 これだ!と思いその出っ張りを押し込んで見ると火が、…付かなかった。それどころか何も起きやない。

 どうやら箱の上部にはこれ以上弄れるものが無さそうなので、箱の手前側面を見て見る。

 そもそもこの箱、台の上にあるのだがこの箱を置くためにあるとしか思えない隙間にピッタリとハマっており、壁と接していない手前側面しか見えない。

 手前側面には左右に動かせる摘みと、押し込んだ時にカチカチと音のなるスイッチらしきものがあった。

 摘みの両端には『弱火』と『強火』と書かれており、明らかに火に関わるものだと言うことが解るが、摘みを左右に動かしても何も起こらず、スイッチらしきものは音が鳴るだけ。

 なんかもう面倒くさいからすり林檎でも良いのでは無いかと折れかけながらも何かないか探り、箱の奥から伸びるホースを見やる。

 怪しいとすれば後はこれしか無い。

 ホースの先は壁に取り付けられた金具に繋がっており、その金具にはまた摘みが着いている。

 今度の摘みは何やら回せそうな形をしていて、表面に『しめる』『あける』と書かれていた。

 そのまま回そうにも何かが引っかかり回せなかったが、力一杯回そうとした際に押し込めることに気づき、押し込みながら回すと特に力を入れずとも回った。

 これで摘みは『あける』の状態になったので改めて強火弱火の印がある摘みを動かすもやはり何も起きない。

 ならばとスイッチらしきものを押すと、今度はカチカチと言う音の後にボッとひがついた。

 おそらくはホースから燃料を補給し、火打ち石の様なものでそれに火をつけているのだと思う。

 『しめる』にしてあると燃料の供給をしなくなり、不用意に火がつかなくなる訳だ。

 よく出来ている。ただ火をつける事を簡略化しただけではなく火の強さも左右に動かせる摘みで調節でき、使わないときは燃料元を閉めておくことで火事の防止にもなる。

 だが、それ故にややこしい。まさか火をつけるだけでこんなに時間を使うなんて思いもしなかった。

 他の道具はもう触らずにおいて、主人が帰ったら使い方を聞こう。

 とりあえずジャムは火が使えれば作ることは出来るので火の上に鍋を置く。

 すると、太陽の様な形の鉄の輪のお陰で置いた鍋が非常に安定する。

 これまたよく出来ていると感じながら鍋の中身を焦がさない様にひっくり返してゆく。

 鍋の中には皮を剥き賽の目切りにした林檎と大量の砂糖が入っており、火が通るに連れて林檎から染み出した水が砂糖を溶かしてゆく。

 砂糖が溶けた所で少しだけ蜂蜜を垂らして、水気が減るまで十分に煮詰め仕上げにレモン汁を数的垂らす。

 後は、幼子が食べやすい様に身をほぐしてもう少し火にかければ完成だ。

 ふと幼子の様子を見るために振り返ると匂いにつられたのか幼子がかなり近くまで寄って来ていた。

 まだ物陰に隠れているものの、際ほどよりは近くなったと思う。

 私はもう少し待ってと伝えて鍋に向き直る。

 そろそろ良いかなと思った時に戸の開く音とともに軽快な声で「ただいまー!」と聞こえた。

 どうやら主人が帰って来たようだ。

 声がしたのに中々部屋に来ないなと思っていたらようやく主人が入って来たのだが、何故か唖然としている。

 火を止めて、駆け寄るとポカーンとした顔で「…誰?」と言い放ったではないか。

 仕方ないので貴女が呼び出した悪魔だと伝えると在ろう事か「女だったの!?」と驚愕の声をあげた。

 流石にこの反応には苦笑いが漏れる。

 確かに呼び出された時はボロボロの布を纏いで髪もボサボサだったかもしれないが、これでも私の胸は他者に自慢できる位には大きく、布一枚じゃ隠れていなかったと思う。

 と言うか少なくとも主人よりは大きい。

 男に間違われたのは百何十年と生きて来た中でも初めての事で少しだけ不満で口を尖らせてしまう。

 しかし主人は私の不満など目にも止めず、物陰に隠れた幼子を手招きした。

 相変わらず私のことは警戒しているようだが、魔女には懐いているようで抱きかかえられると顔を綻ばせてキャッキャと笑う。

 主人は幼子—トモと言うらしい—の目を見つめてこれからは私がお母さんになると言う。

 トモは解っていなさそうな顔をして居たけれど、それでも魔女は満足そうに微笑んでから私の方を向いて「貴女もこれからよろしくね」と優しく言ってくれた。

 名前を聞かれたので主人に付けてくださいとお願いすると、少し考えるようなそぶりの後に『ユウ』と名付けてくれた。

 理由を聞くと、幼子の名前から取ったそうで『ユウ』という言葉には“友達”や“優しい”などの意味があるらしい。

 ユウ。私はユウ。何度も頭の中で反芻させる。

 嬉しかった。生まれて初めて人魔種と言う使用人の種族ではなく“私個人”が必要とされた気がした。

 それから主人に甘い匂いの元を聞かれた私はハッとして鍋に駆け寄る。

 火を止めていたので焦げたりはしてなく、良い感じに冷めていた。

 ジャムを作ったことを伝えると主人はみんなでヨーグルトに乗せて食べようと言って、浮かせた箒にぶら下がった袋を漁りだす。

 ヨーグルトを食べている時に道具の事や主人の事を聞いたのだが、なんと主人は魔女でありながら人として生きていると言った。

 通りで華美な服がある訳だ。それどころか不老長寿なんかではなくまた二十年そこらしか生きてないと言うのだからもう驚きを隠せない。

 でも主人はしっかりと魔女だったし、とても優しかった。

 それからの生活はとても充実していて、私は初めて『生きている』と言う事を知ったのだ。

 

 ——そんな新たに始まったユウとしての人生から十年経った。

 

 

 

To Be Continued

 

 

 

 




今回は悪魔の視点から書かれた1話の裏を書きました。

と言っても、サブタイの通りこれは悪魔の思い出であり時間軸としては十年経っています。
何故かと問われれば、察しのいい方なら気づくかもしれませんが、この次はトモのターンだからです。
だってこうしないと時間進まないんだもん。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

成長—トモの記録—

悪魔の記憶で書いたように拾われてから十年経っています。
…ところでやっぱ台詞って欲しいですかね?


 僕のお母さんは魔女だ。

 皆は信じてくれないけれど実際に魔法だって使える。

 僕だって浮術と幻影魔法くらいなら使える。…と言うかこれしか使えないんだけど。

 これだけは魔導の中でも基礎中の基礎らしくて、割と早く教えてもらうことが出来た。

 それでも中学に上がってからなので最近ではあるが、おかげで登下校は非常に楽で重宝している。

 今はまだ魔導がいかに危険か理解してないからとそれ以上の魔法は教えてくれない。でも知識や術式の組み立て方、書き方などは教えてもらっている。

 母さんは薬術の使い手らしくて教わるのは専ら薬や薬の材料のことばかり。

 道端の草から山のキノコに草原の花に至るまでの薬効を知っている中学生なんて全国でも僕くらいのものではないだろうか?

 小学生の時はまだ『物知り少年』くらいの称号も今じゃ『草花オタク』になっている。

 ちなみに通常の薬では全く無意味な雑草だったとしても魔女の薬に使う事は多々ある。これはそもそも魔女の薬が一般的な薬と違うためで、例え他の人が同じ材料を合わせたとしても魔女の薬は作ることが出来ない。

 魔術的な調合により作られる魔女の薬は錬金術の祖と言われ、確かに歴史を辿ると薬は術から派生したもののようだ。

 そのため薬術を専攻していると簡単な錬金術にも触れることになり、簡単なものなら錬金術も使えるようになる。

 母さんはそんな薬術を使う薬師魔女の中でもかなりのやり手で、他者の助けを借りることを嫌う魔女がわざわざ母さんの薬を買いに来る事があるくらいだ。

 まあ、でもそれは母さんが人と同じように過ごしている事も関係していると思う。

 現代に魔女はほとんど居なくなってしまったらしく、残っている魔女も過去の怨恨の為か人と関わるのを嫌い山奥などに隠れ済んでいるそうだ。だからか、人の世界で人の様に生きている母さんを悪く言う魔女もいる。

 それでも魔女集会に来るのは皆どこか寂しさが有るからだとは母さんはの言葉。

 母さんや母さんの使い魔であるユウから話を聞いたり、実際の史実などを比べてみると“魔女狩り”は本当に起こっていた事で、人を嫌うのも仕方のない事なのかもしれないと僕も思う。

 彼女らの中には確かに人を襲い、人を食物とする者も居る。でもそれは僕らが牛や豚を食べる様に食物連鎖の上で人が魔女より下というだけで一概に魔女に非があるとは言えない。

 そもそも歴史を辿れば魔女が人を食らう様になった原因は人だ。

 調べると人が天災などを魔女の仕業と思い違いし魔女に幼子を供物として捧げたのが始まりで、母さんと比較的に交友のある魔女に話を聞いてもやはりそれ以前の食人記録は無い。

 つまり、勝手に餌として人を差し出し味をしめた魔女が人を襲って食らう様になったのは人のせいだ。

 餌を与えていた野良猫が街で商品を漁って食べてしまうのとなんら変わらない。

 母さんとしては、魔女として認められて人の中で生きていければ一番良いと思っているそうだが歴史や時代がそれを許さないのも事実で、僕は物心ついた時から母さんが魔女であることを語るなと言われてきた。

 にも関わらず、母さんはママさん会で“魔女”と呼ばれている。なぜかと言われればそれは僕がバラしてしまったからだ。

 と言っても、僕が今よりも小さい時の事で別に本物の魔女である事がバレたわけでは無い。

 若々しく綺麗な母親の事が魔女と呼ばれるだけ。母さんは言いつけを破った僕を叱りはしたけれど、今じゃ魔女と呼ばれるのを内心嬉しがっている事を知っている。

 ちなみに僕のあだ名は魔女の息子だからとその時から「マジョリティー」になった。

 多分、アイドルグループの曲から取ったのだろうが、中学生にもなって意味もわからずに呼んでいるのはいかがなものだろう。だって一人なのに多数派なんて可笑しいじゃないか。

 まあ最近はちょっと変化して「マジョリー」と呼ばれだしたのだけど…。語感さえ良ければ何でもいいんだと思う。

 叱られてからは一度も人に話した事はないけれど、噂と言うものはなかなか消えないもので中学に上がった直後は他校から上がってきた奴らから「魔女の子供なら魔法を使ってみせろ」なんて言われたりもして、その度に幻影魔法(ミラージュ)を使って逃げていたら別の噂が立ったりもした。

 一応、物陰まで逃げてから魔法を使っていたのだが明らかな行き止まりや道に対して隠れられる場所が無いのに消えたりしてしまったため「トモ」は幽霊じゃないかとか馬鹿らしい噂。

 もしかしたら僕の登下校姿を見たものが居ないのも理由の一つな気がするが今更徒歩で通うのは億劫だ。だって箒で飛ぶの楽なんだもん。

 とか思っているうちは噂が消える事はないだろうな。でも楽を知ると人は流されてしまうものなんだから仕方ないじゃないか。

 そう誰に言い訳するわけでもなく呟いて今日も今日とて箒にまたがり大地を軽く蹴る。

 蹴った反動でふわりと足が大地から離れ空に向かって舞い上がっていく。次第に眼下の家々がおもちゃの様に小さくなっていき心地良い風が頬を撫でた。

 僕はこれが好きだ。身体で風を感じ、鳥と横並びで飛び、空が近く見えるこの景色が。

 ゆったりと風に身を任せて自宅の方向へ飛んでいると、下方から声をかけられた。

 飛行中はローブを使った幻影魔法で“人”には視認できないため、声をかけてくるとしたら魔女かその使い魔しか居ない。

 案の定、声の主は母さんの使い魔であるユウだった。

 彼女は人魔種と呼ばれる悪魔で今は飛行魔法の影響で翼が生えているものの、普段は人と何も変わらない姿をしている。

 ユウは買い物帰りらしく両手に袋を下げていたので僕はその袋を受け取って箒の柄に引っ掛ける。きっと浮術か何かで軽くしてあるのだろうが、それでも荷物持ちは男の仕事だと思う。ユウも喜んでくれてるし。

 ユウはメイド服を愛用しており、今もメイド服姿だ。

 ちなみにメイド服と言っても今時のゴシックなエプロンドレスではなく昔から使われている様なメイド服で袖や腰が絞られているので非常に動きやすい。古き良き使用人の制服。とユウに力説された事がある。

 それほどまでにメイド服を愛しているのだそうだ。

 別にそれは構わないのだが、メイド服のまま学校にくるのはやめてほしい。ユウは身内贔屓を引いたとしてもとても綺麗な女性に見えるから学校中の生徒が騒ぐ。それはもうちょっとしたお祭りレベルに。

 おまけに僕は男女問わず「あれは誰だ」「お前のなんなんだ」と言い寄られるし、正直疲れるんだ。それ以降は絶対に忘れ物しないようになったし、ユウにもメイド服では来るなと固く釘を刺した。

 そもそも街でもコスプレなどではなく本物のメイド服を着こなしている女性なんて居るものじゃないし、近所では謎のメイドはどこの家に仕えて居るのかと言う七不思議の一つにもなっている。

 こうして幻影魔法で姿を消したまま玄関に降り立って家に入ってしまうから誰もこの家に居るなんてわからないのだと思う。ユウも仕事以外で外出するときは流石に普通の洋服を着ているし近所の人もユウが謎のメイドだなんて気づいていないだろう。

 家に入った僕は買い物袋を冷蔵庫の前に置いてユウに一言声をかけてから自分の部屋へと向かう。部屋に入ったらまず鞄を放り投げて制服を脱ぎ捨てる。

 制服はなんだか窮屈な気分になるから好きじゃない。それに汚さないように気を使わなければならないのは面倒だ。だから僕はジャージの方が好き。何と言っても楽だし。

 母さんはジャージの上からローブを羽織る僕をダサいと評したけど家の中に居る分には気にならない。

 着替え終わったら僕はまず学校の宿題をササっと終わらせて机の引き出しから分厚い魔導書を一冊取り出す。この魔導書は中学生になった僕に母さんがくれた課題(プレゼント)で中身は初歩的な調合レシピが書かれている母さんが書いた調合書だ。

 ただし、レシピには空欄の部分が多々とありそのままでは使うことができない。解る範囲の材料と薬の効果などをヒントに自分で残りの材料を調べて実際に調合を行い正解ならば空欄が自動で埋まってレシピが一つ完成する。

 ひたすらそれを繰り返してこの調合書を丸々完成させるのが母さんから課されたもので、期限こそ無いものの材料は全て己の手で集めなければならない。

 勿論、遠出しなくても取れるような素材しか無いし本当にわからなければ母さんもヒントをくれるのだが自然から採集すると言うことは季節なんかも当然絡むため途中まではすんなり行っても今は停滞気味だ。

 だが僕は何としてもこの調合書を完成させねばならない。なぜなら母さんはこの課題を合格した暁には僕を魔導師にしてくれると約束してくれているから。

 今のように魔女の子供として簡単な魔導に触れているのとは訳の違う本物の人外へしても良いと母さんは魔女として(・・・・・)言ったのだ。

 人のまま教えても良いと言ってくれているが、人の身で出来る事というのは限られていて魔力だって大してあるわけでは無いから大きな術は使えない。

 だが魔導師や魔女は別だ。身体が完全に人とは違うものになり魔力の量も格段に上がる。これだけなら良い事づくめで悪いことなんてないのだが、人とは時の流れ方が変わってしまう。

 不老長寿になるわけでは無いので人と同じように歳はとるが、それでも人よりは遅いそうだ。

 それは母さんを見ていれば少し解る気がする。母さんはもう三十路だけど外見だけならまだ二十代前半って所。ママさん会で魔女と呼ばれるのも仕方ないほど若い見た目でも中身は本物の魔女で長生きこそしてなくても知識や振る舞いは人と一線を画する。

 例え不老長寿や若返りの魔導を使わなくとも百年ちょっとは余裕で生きるそうだ。

 他にも母さんは言いにくそうなことがありそうだったけど、母さんは捨て子の僕を我が子のように育ててくれたし出来ることなら母さんと同じ景色が見たいと思っている。

 だから調合書を完成させたいし魔導師にもなりたい。本当ならば学校終わりは直帰したいくらいなのだが部活くらいは入っておけと言う母さんの意見で園芸部に入っているため帰る時間はどうしても遅めになる。

 でも良いこともあった。顧問の先生に許可を得て個人的に育てたい草花を育てても良いことになったため調合書を埋めるのに役立てることができる。

 今日はその第一陣が採集出来るまで育ったので摘み取ってきたのだ。後はこれを魔女の作る保存液に入れてけば数百年は軽く持つ薬の材料となる。

 ものによっては乾燥させるだけで良かったりもするのだけど、今回のは水分を飛ばしてはいけないタイプの素材なので保存液につける必要がある……のだが、この保存液がまた面倒な代物で、作るだけでも数時間はかかるし普通なら作り置きを使うんだけど生憎先日使い切ってしまったばかりだ。

 もしかしたらと思ってユウに手持ちがないか聞いて見た所、ユウは母さんの持つ素材を使っているから保存液は作ったことがないらしい。

 羨ましい限りだがユウは母さんの使い魔なのだから仕方ない。

 となれば母さんに聞きたい所だけどユウが言うには昼過ぎから魔女集会の方へ行っているとの事。つまり遅くなるか下手したら今日は帰ってこないと言う事だ。

 僕はため息をつきながら「魔女は助け合いを好まず、助けが欲しくとも薬師をしている魔女はほとんどいない。だから薬師は一人でなんでも出来るようにならなければならない」と言う母さんの言葉を思い出して苦笑する。

 魔導師になりたいのなら面倒がってサボる方法を考えている暇があるなら自分で調合して作れば良い。

 材料は簡単なものなので持っているものでなんとでもなる。ただどうせ作るなら量を作りたいのだが生憎僕は大きなビーカーを持っていない。

 ツボで作るのは非効率過ぎるしどうしようか考えて僕は耐熱ボウルを使ってみてはどうかと思いついてキッチンから訳を話して拝借した。

 火はアルコールランプを二つくらい使えば十分だし、スポイトと温度計もある。

 まるで理科の実験でもするかの様な物ばかりだが、これでも魔導の知識があるものが使えば立派な魔導具だ。…まだひよっこだけど。

 窓をしっかりと開けてから保存液の材料をボウルに入れてアルコールランプの火に当てる。後はひたすら沸騰させない様にきをつけながら煮詰めて行くだけだ。

 およそ今の半分の量になるまで煮詰めるのに二時間、そこから薬品を数滴垂らしてもう一時間。食事が出来たとか言われても途中で火から下ろせないのでユウには悪いけど降りられないと伝えてひたすら煮詰める。

 煮詰め終わったら火からおろして粗熱を取る。この間にユウの作った飯を掻き込んで部屋に戻り、紙に静止の術式を水性ペンで急ぎつつでも確実に書いていく。

 書き終わった紙を粗熱の取れた保存液のに浮かべて紙だけを燃やす。すると水性ペンで書いた術式が保存液に浮かぶので後は手をかざして魔力を込めれば静止の効果が付与された保存液の完成だ。

 時間はすでに22時を回ろうとしているので、急ぎつつでも確実に材料を保存液につけて蓋をする。

 ようやく終わったことで一息つきたいのだが、時間が時間なのですぐさま片付けに取り掛かることにした。

 久々の調合は神経を使ったし、なによりとても時間がかかった。作り方が簡単とはいえもう二十三時前、夕方から作り始めたと言うのに時間がかかりすぎだ。

 勿論、食事や風呂につかった時間もあるので全てが全て調合にかかった時間では無いとは言え、たった一つのものを作るだけで疲れてしまう。

 だからこそ保存液は大量に作るんだけど。

 確かに保存液は時間ばかりかかる薬だが、別にこれに限った話では無い。所詮は初級レベルのレシピしかなく手法も決して難しく無いのにまだ僕が調合書を半分も埋められてないのは、僕の手際が悪いことにも起因している。

 素材が季節的なものだったりすることはあるが、それにしたって取り掛かってから一年半も経っているのだから、採集するタイミングはいくらでもあったはずなんだ。

 調合に使う時間を削るのは難しいけれど、準備や片付けの時間や判断速度など細かい部分に時間をかけ過ぎているのは改善できる。

 例えば、母さんが同じ様に保存液を作ったとしても僕ほど時間がかかることはないだろう。それどころか同時進行で別の調合をしたり家事をやってのけるだろう。

 だって、保存液を作る過程のほとんどはただただ沸騰させない様に煮詰めているだけなのだから。僕はまだ慣れない事もあってどうしても沸騰させるのが怖くて目を離せない。

 別の調合をやろうにも素材を混ぜてしまったり、工程が混同してしまったりする。

 経験の差と言ってしまえば簡単だが、僕にとってはそれがとても歯がゆい事なのだ。

 ため息をつきながら飲み物を求めてキッチンに降りると、いつの間にかに帰ってきていた母さんがダイニングテーブルに突っ伏しているのが見えた。

 部屋に漂う臭いでお酒を飲んだらしいことがわかったので、とりあえず自分の飲み物を入れるついでに水と母さんの作った胃腸薬を持ってテーブルまで持って行く。

 近づくと明らかに酒気を帯びた様子で「うー、うー」と言いながら項垂れているのが解る。弱いくせに随分と飲んだ様だ。

 普段、集会に行って飲む事なんて滅多にないのに嫌なことでもあったのだろうか?

 薬を飲まそうにも項垂れて寝てるんだかなんだか判らない感じだったので、寝かせるために椅子から降ろしてリビングのソファに寝かせる。体格差なんて魔法さえあればなんと言うことはない。

 念のために蓋をしたグラスと胃腸薬とついでに二日酔い用の薬を座卓に置いてから毛布でも取りに行こうとすると、母さんが僕の服を引っ張った。

 目が覚めた母さんに目を合わせてしゃがむと母さんは急に僕を抱き寄せて「ごめんね」と言いながら泣き出した。こんな母さんを見るのは初めてでどうしたらいいか判らずにあたふたしてから、とりあえず僕も母さんを抱き返して僕が幼い頃に母さんがしてくれた様に頭をそっと撫でる。

 何があったのかは判らないけれど、きっと集会で僕の事を色々と言われたのだろう。

 魔女の多くは人間を嫌い、人間は家畜かペット程度と考えているものが多い。そんな魔女の中で人間社会に生きて人の子を育てる母さんは異端そのもので、家に来る他の魔女から聞いた話だと薬師として有名なだけにそうした異端行動を快く思わない魔女が沢山居るのだろうだ。

 家に来る魔女はある程度の理解を寄せてくれて居る者ではあるが、それでも僕の存在を認めたがらない者も居る。だから僕はそれを知った時から集会に連れて行って欲しいとは言わなくなった。

 僕が魔道士を目指すのにはそれもある。魔道士になってしまえば僕はもう人間ではなくなる。そうすれば母さんは今より少しは立場が良くなると思っているから。

 やがて、泣き止んできた母さんは自白する犯人に似た雰囲気で理由(わけ)を話し始めた。

 実子でもない人の子を責められたとか、人としても魔の者としても半端な育て方では僕が可哀想と言われたとか、何より色々言われる中で何も言い返せない母さん自身が悔しいとすすり泣きしながら吐露した。

 薄々気づいてはいた。母さんが魔女として、母としてどうするべきなのか悩んでいたことには。だから僕に課題を与えた事も気づいてる。

 きっと調合書を完成させてもすぐには魔道士にしてくれないだろう。改めて人を辞める意思があるかきいた上で答えは僕が大人になってからだと言うだろう。何故なら僕はまだ子供で経験も浅いから。

 しばらく静かな時が流れて、ふと母さんを見るとどこかスッキリした様な表情で眠っていた。話して楽になったのかもしれない。

 僕は起こさない様に注意しながらゆっくりと抱きしめられた腕を解いて、毛布を取りにリビングを出る。するといつから居たのかユウが毛布を持って廊下に佇んでいた。

 微笑みながら黙って毛布を渡すユウに小声で感謝の意を述べて母さんに毛布をかける。

 時計を見ると短針が一の字に差しかかろうとしており、それを見た途端に眠気が湧いて大きな欠伸が出た。ユウが声を出さない様にクスクスと笑ってるのみてなんだか気恥ずかしくなる。

 その後、ユウも小さく欠伸をしてから「おやすみなさい」と言い残して自分の寝室へと消えてゆく。

 明日も学校があるので早いところ寝てしまおうと思いながら、すっかり冷めてしまったココアを飲み干して自分の部屋へと向かう。

 収穫してしまった薬草を植えていた場所に次は何を埋めようか、なんて考えながら布団に身体を預け、そのまま睡魔に意識を委ねた。

 

 

To Be Continued……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




書いていて思ったんですけど、トモの大人っぷりがすごい気がした。
いや、まあ学校での姿を描写してなくて、魔女の弟子としての側面しか書いてないから仕方ない気もするんですけどね。

あ、ちなみに次はまた時が数年分進みます。
正直完結まで数年飛びで書かないとおわらn———


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

成長―魔女の感嘆―

忘れていた頃の更新。
相変わらずセリフはない。


 

 時が経つのは早いものだ。気づけばあんなに小さかった子供が立派に育っている。

 先日、目出度(めでた)く電車通学圏内の進学校へ入学を果たしてくれた。それどころか、時間がかかるだろうと出していた課題も中学卒業までに提出されたのである。

 我が子ながら天才なのではないかと舞い上がってパーティを開いたらユウに窘められてしまったけど、親って子に対して馬鹿になるもんじゃない?

 まあ、ただ、箒で飛んで通うのは出来たら止めてほしいのだが。

 今まではすぐ近くの中学校だったから何か有っても誤魔化しが効いたけれど、今度の学校はそれなりに離れている。あくまで“電車通学が可能な圏内”というだけ。

 一応、私の作ったローブと幻影魔法を併用しているから一般人に見られる心配はあまりしなくていいけれど、同業者や物の怪(もののけ)(たぐい)からは見えてしまうのだ。

 悪意を持った相手に襲われないとも限らない。特にあの子はまだ正真正銘、人間なのだから。

 強い魔力を持つ人間なんて怪からしたら格好の獲物。同業者は流石に私の事を知っているから大丈夫だと思うけれど、私も嫌われ者の身だ。私に何か出来なくてもあの子になら手を出せる可能性だってある。

 いっその事、ユウを常にお供させるか?などと考えていたらトモから断られてしまった。

 私は心配なだけなのだが。こうなったら何かあった時用に転移魔法を仕込んだお守りをこっそりと持たせておくしかあるまい。

 それにしても、逞しくなったものだ。私に対して「魔女の子供として勉強してきたんだ」なんて、泣けてくるよ。どうにも歳を取ると涙腺が緩んで仕方ない。

 見た目だけなら私もまだ若いが、もうぼちぼち四十が見えてくる歳だし。

 ……結局、子育てに魔女業にで婚活も出来なかったし。そもそも私の仕事、素性を理解してもらわねば一緒に住むことも出来ないなんて無理ゲーだ無理ゲー。

 尚、ユウは知り合いの魔女の弟子に惚れているらしく、たまに会っては頬を染めている。トモも親の贔屓目(ひいきめ)抜きに見たとて見目は整っている方だ。本人は恋愛に興味なさそうだけれどモテているのは知っている。

 私だけ浮いた話が無い。どこかにいい男は居ないものか、コブ付きで使い魔付きでも気にしない素敵な殿方。

 居るわけ無いか。

 そもそも私も師匠基準で考えれば200年近くは若返りの秘薬を使わずとも間違いなく生きられる。普通の人間が一緒に生きていけるはずがない。

 この国には“天寿”と言う言葉がある。還暦(かんれき)が60年ならば、天寿は250年。人間には無理でも魔女や魔道士ならば余裕で生きられる。事実、過去には天皇から天寿を表彰された魔女だって居る。無論、秘密裏ではあるが。

 これはお師匠様の事だったりする。トモを拾う数年前に文字通り天寿を全うしてしまったが。なんなら300年ちょっと生きたので天寿どころでは無いくらい全うしていたが。

 不老長寿の秘術を嫌い、一切の延命をしなかったお師匠様ですら300年以上生きているのだ。だから私はまだまだ若い。魔女基準で言えば。

 誰に言い訳するでも心の中で言い終えた私はユウに今日の来客予定を聞く。

 今日はいつも来る人間のお婆さんに渡す丸薬と、私の所属する製薬会社の部下が書類を取りに来る程度のようだ。

 薬は昨日のうちに用意してあるし、書類も纏めてあるから後は渡すだけ。

 しばらくは同業者の予約も無い。時間が出来るし趣味のお菓子作りとかしようかな?なんて皮算用をしているとその予定は一瞬で崩れた。

 予期せぬ魔女の来客である。と言っても知り合いだが。

 先程、少し触れたユウの想い人を弟子にしている魔女。彼女は黒霊術(こくれいじゅつ)と呼ばれる戦闘や呪いに関連する魔法を扱う魔女で、私と同じく人間を拾って弟子にしている仲間でもある。

 彼女の名前はアリス・キテラという。私は彼女の過去を知らないが、恐らくは本人だ。お師匠様の更にお師匠様、そのまたお師匠様の時代から私達、薬師院(やくしいん)の家に世話になっている。不老長寿の術よりも薬師院に伝わる若返りの秘薬を好み、何世紀も生きているのだとか。

 そんな彼女だが、風貌(ふうぼう)はギャルそのものだったりする。ストレートの長い金髪に青のカラコン、目を大きく見せるメイクにオーバーサイズのパーカーとホットパンツ。歳を考えろと言いたいが、見た目だけなら20代前半くらいなので許されるのかも知れない。大体いつもそんなギャルファッションをしている。

 ちなみに先程出た薬師院と言うのは私がお師匠様から受け継いだ名前で、トモの名字も戸籍上は薬師院になっている。簡単に言うと、この日本で生きていく上で使っている名前であり、私の薬師としての看板でもある。

 閑話休題。

 どうして彼女が来たのか。彼女には先日、秘薬を渡したばかりである。となれば来た理由は恐らく暇つぶし。

 彼女に国境なんて関係ない。先程まで海外に居たとしてもおかしくはない。私の付け焼き刃の転移術とは格が違うのだ。私のは精々50km届くか届かないかだが、彼女は地球の裏にだって飛べると豪語していた。事実、一瞬でアマゾン森林にしか生えていない薬草を取ってきてくれたこともある。

 ユウにお茶を入れてもらいながら聞いてみると、やはり暇つぶしだった。

 どうやら弟子のテオ君が日本の大学に入学したらしく、今日の帰りにここへ寄ると言っていたから来たらしい。

 このテオ君がユウの想い人でもある。彼もトモと同じく捨て子で、アリスに拾われて育っている。特徴は白。彼は先天性白皮症(せんてんせいはくひしょう)を患っており、俗に言うアルビノと呼ばれるメラニン色素に関わる遺伝子疾患だ。そのため美しい薄めの白に近い銀髪を持っている。

 彼はトモとは違い既に人の身を辞めて魔道士へと変容している。そうでもしないと長生き出来ないからだ。初めて会った時には視力もほとんど失い、ローブと日傘無しでは外にも出られないような状態だった。

 今は、視力もほとんど戻り、私の作る紫外線止めクリームがあれば半袖で外に出られるくらいにはなった。魔道士になった今でも私の薬は愛用してくれていて、定期的に買いに来ているのだ。

 聞けば、テオ君が日本の大学に来たのは私の下で薬学を学びたいからだそうで、アリスは少しつまらなそうにしていた。

 今の時代は戦争に魔法が使われることがなくなり、呪術で敵将を呪い殺す。みたいなこともしなくなった。確かに彼女の操る黒霊術はとても強い力を持っている。が、現代社会では廃れてきているのが実情だ。

 アリスが居る限り無くなることは無いだろうが、他の攻撃的な黒魔術の流派の中には潰れた物もある。

 テオ君が人間社会で学び生きていきたいのであれば先人である私のところに来るのもおかしな話ではない。薬師院は古くより人間社会に溶け込んだ魔女でもあるし、私の働く製薬会社は政府と繋がりがある部署があり、魔法のこともある程度は理解されている。というか、そういった場所でないと私達は働けない。

 いくらなんでも何十年と老けないのは怪しまれてしまうから。

 実は、戸籍も数十年毎に変わっていたりもする。そりゃそうだろう例えばお師匠様なんかは明治時代より昔に生まれている訳だが、そんな人間なんて怪しいを通り越して怪異とされてもおかしくない。まあ、元禄(1688~1704)生まれとか誰が信じるんだと思わなくもないが。

 そんなこんなでアリスは私にテオ君をよろしくと頼んだ。人間社会の勉強、人の世で私達が生きるための必要な常識などを教えてやってくれと。

 昔は流派をまたいで修行とか普通だったから、彼女としても面白くないだけで嫌では無いのだろう。

 流石に住み込みは無理だと伝えると、家は別に用意してあるそうだ。安心した。ユウはちょっぴり残念そうだったけど。

 そんな感じでアリスと自分の子達の成長について話していると、予定に会ったおばあさんが来店した。

 おばあさんは店内に居るギャル―アリスの事―を見て少し驚いたような顔をしたが「最近の若い子は本当にべっぴんさんやねぇ……」などと言って流していた。流石の年の功だ。

 軽く、容態を見てから問題ないと見て薬を渡す。帰り際には何か異常があればすぐに病院へ行くようにと声をかけるのを忘れない。

 薬師院で人間の常連さんは貴重な存在になりつつある。それは現代医療が進化したからとも言えるが、かといってオカルトが消えるわけではない。常連ではない人間の客はそこそこ来るのだから。大抵が、仮病薬、惚れ薬、仮死薬目当てだけど。

 前にあったのは感度3000倍の薬がほしいと言う男性だったが、本人の身体に感度5倍くらいになるの薬を投与してカプサイシンを肌に塗った所、悶絶して逃げ帰っていった。

 3000倍とか風が当たるだけで激痛が走りショック死しかねないのではなかろうか。多分、痛風より酷いと思う。

 おばあさんと入れ替わりで部下も来店、書類を渡すついでに軽くお茶していったらどうかと言ったのだが、アリスを見てキョドりながら「遠慮します」と言って帰った。

 これだから童貞は。いや、私も処女なんだけど。

 アリスは面白そうに部下をからかおうとしていたけれど、止めてほしい。彼女は現代じゃもう迂闊に人を殺せないから安心しろと言うが、あの伝説のアリス・キテラに関わった男はみんな死んでいるし。

 そもそも殺す殺さないが無かったとしても彼女は男癖も良くない。あの部下はとてもいい子なのであまり虐められては困るのだ。特にあの部下は初心過ぎるし。どれくらい初心かと言うと薬瓶を手渡す際にちょっと手が触れただけでキョドって落としかけるくらいには初心。

 彼女の態度にため息を付いてから時計を見ると、午後5時を周り日も落ち始めてきたところだった。

 アリスに確認するとテオ君と一緒に飯を食ってから帰るとのことだったので今日の晩ごはんはにぎやかになりそうだ。

 食材の買い出しは予めユウに頼んでおり、既に今日の献立の下ごしらえは済んでいるとの事。私がアリスと話している間も働いていたのだからありがたい。本当なら今日の当番は私なのに。

 丁度、トモがテオ君と一緒に帰ってきたので、私はユウと交代して台所に立つ。休憩がてらテオ君と話して居たらどうだと一言添えて。

 台所では、下茹でがされたキャベツの葉と肉餡が広がっていた。どうやら私が作る予定だったロールキャベツをそのまま引き継いで作ろうとしてくれていたらしい。本当に出来た使い魔だ。

 トモといいユウといい、自慢したくなるくらいいい子に育ってくれて嬉しい。私はキャベツの葉で肉餡を包みながらそう心の中で感嘆した。

 

 

 

 

―魔女の感嘆― 

        了






ざっくりしたキャラ紹介

薬師魔女
「薬師院 ○○(38)」
 名前は決まってるけど、出すタイミングがない。わざわざ出さなくて良いんじゃないかなと思いつつある。名字は作中でも出たように薬師院。
 代々、薬師の魔女が継いでいる世襲制のような名字。

薬師魔女の息子
「薬師院 友(15)」
 薬師魔女に拾われた子供。容姿端麗で、勉強も出来るためとってもモテるが本人は薬のことにしか興味がない。アリスの弟子であるテオと仲が良い。

薬師魔女の使い魔
「ユウ(???)」
 薬師院の名前は継いでいないため、名前は「ユウ」のみ。年齢は一応アリスよりは若い。メイド服をこよなく愛し、メイド服しか着ない。


元キルケニーの魔女
「アリス・キテル(???)」
 若作りの天才。最近はギャルの格好しかしていない。男癖が悪く、飲みに出ると大体男をひっかけている。現在の住処はイギリスだが彼女の転移術に国境なんてものは無い。

アリスの弟子
「テオ・キテル(20)」
 アリスの拾った人間。現在は人を辞め魔術師になっている。アルビノであり色白、銀髪に紫の瞳を持っている。見目麗しいが、同時に気味悪がられやすいため、アイドル(偶像)的なモテ方をする。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。