仮面ライダーカオス ~何でもあって、何でも無い~ (彼是)
しおりを挟む

始まりの朝

 仮面ライダーTRPGのマスカレイドスタイルを見てて思いつきました。
描きたい事を書いたら満足してしまったせいで短編です。

感想を貰いモチベが上がったので修正しました。



 朝、目が覚めたら違う世界に来ていたらいいのにと思った事は無いか?俺はある。というか毎日思っていた。

 

 

「はぁはぁ」

 

 

 子供の時からそうなったら面白いのにと思っていたし、大人になってからはつまらない日常から逃げたいと更に強く思った。

 

 

「はあ・・はあ・・」

 

 

 じゃあ今は?そうだな・・・

 

 

ゴビゴボボパゴパシバ?(鬼ごっこは終わりか?)

 

 

 平和で女の子といちゃいちゃ出来る世界ならいいな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 その日はいつものように一人暮らしのマンションで目が覚めた。

ベットから起きて、いつもの様にテレビを付けてコーヒーを入れる。

 

 

『香川県未確認生命体対策班SAULの見解では』

 

 

 ん?と疑問に思い、朝のコーヒーを入れる手を止めてテレビを見る。

 香川県・・・未確認生命体対策班SAUL?なんだその聞きなれない言葉のオンパレードは?

 ちなみ俺の住んでいる場所は京都なので香川県では無いし未確認生命体なんて聞いた覚えも無い。その対策本部SAUL?なんだそりゃ?

 

 

 ドラマか何かだと思い、コーヒーを入れてから長年使ってへたった座椅子に座り、テレビをぼーと眺めていた。

 

 

 内容は未確認生命体が各地に出現したという事。

更に過去に確認された未確認生命体以外の種類の未確認生命体が多数確認された事で対策本部は各地に支部を作り対応するので安心して欲しい。

 もし未確認生命体または怪しい人物、物、現象があれば至急電話してくれとの事だった。

 

 

「へぇ~中々よく出来てるじゃん」

 

 

 俺は昔見てた【仮面ライダー】【クウガ】【アギト】を思い出していた。【仮面ライダー】の世界のニュースが実際に放送されたらこんな感じだろうな。

 

 

 新しい仮面ライダーか?と思いつつ夕方からアルバイトの俺は時間が惜しいとテレビはそのままで朝飯を作る。メニューは目玉焼きとパンだ。シリアルは切らした、後で買いに行こう。

 

 

『新しい未来の構想を・・・スマートブレイン社がお送りしました』

 

 

「・・・・」

 

 

 今懐かしい名前を聞いた。スマートブレイン社?それは確か【仮面ライダー555】に出てくるヤバイ会社だった気がする。最近のライダーは昔の作品を取り入れてるんだな~

 

 

 朝食を準備をした俺はテレビを回し面白そうな番組を探す。

 

 

『シブヤ隕石跡地の再開発計画は議会が』

『回る風の街【風都】をめぐる2泊3日の観光ツアーが』

『鴻上ファウンデーションの美術館爆破事件について警察は』

『ユグドラシル・コーポレーションが支援するこのプロジェクトでは』

 

 

「・・・・・」

 

 

 俺は立ち上がり寝室のパソコンを立ち上げる。時間は無いが真新しい椅子に座り、ニュースや掲示板を調べる。

 大手のニュースから出来るだけ情報を集め、まとめてから掲示板のニュース板や怪しげな噂まで調べ判断する・・・・結果。

 

 

「ふぅ・・・」

 

 

 長時間触っていたので肩や目が痛い。時間を見ると2時間も作業していたようだ。体を楽にするため椅子にもたれると椅子がギィと軋む音がする。 

ぶっちゃけバイト先からすごい件数の電話があったが無視した。些細な事である。後悔しかない。

 俺は立ち上がり部屋を隈なく捜索し携帯のデータを弄くりまわす。

 

 

「マジか・・」

 

 

 調べた結果だが俺は別の世界に迷いこんだらしい。

 部屋の間取りや財布の中身や携帯の中身やエッチな趣味まで完全に俺だったが世界情勢は違うみたいだ。

 

 

 この世界は【仮面ライダー】の世界だ。

 

 

 【仮面ライダー】とは元の世界の長寿特撮シリーズで親父の世代から確か今でもやっているレベルの作品だ。

シリーズ内でまちまちだが基本的に地球規模のヤバイ話が多い。でこの世界はこの【仮面ライダー】世界が色々混ざってる。

 

 

混ざってる作品は

 

【クウガ】確定    未確認生命体の記述あり

 

【アギト】確定    上記と同じ理由

 

【龍騎】未確定    ネットの噂で鏡の中の化け物の記述あり

 

【555】確定     スマートブレイン社あり

 

【剣】確定      なんと人類基盤史研究所(BOARD)のホームページ発見!パソコン便利すぎ!!

 

【響鬼】未確定    ネットの噂で山で大きな蟹に襲われて鬼に助けれてたという噂あり

 

【カブト】確定    シブヤに隕石落ちてる・・・

 

【電王】未確定    噂はなかった・・・がありそう

 

【キバ】未確定    吸血鬼事件などあったがよくある噂の可能性が・・

 

【ディケイド】確定  これは説明いいわ

 

【W】確定      風都あったしな・・・

 

【オーズ】確定    調べたらメダルの記述が出てきた。マジパソコンぱねぇ!

 

【フォーゼ】確定   宇宙飛行士の中にラスボスさん発見

 

【ウィザード】未確定 噂はあったが見分けが難しい・・

 

【鎧武】確定    ユグドラシル・コーポレーションあるしな

 

 

後は・・・わからん!ぶっちゃけこれぐらいしか見てない!だからわからん!他にもネットの噂にはパーカーが浮いてたとか車が回ってたとか宇宙人やらツインテールが襲われるやら喋る指輪だとか知らん!でもこれだけは安心できる要素があった。

 

 

『クライシス帝国は今何をしているのか?』

 

 このスレを見た時ホッコリした。なんだ見た事ないが歴代チートの【てつを】の兄貴がいるなら安心だ。

 とりあえず俺は携帯のバッテリーを抜き携帯を止め疲れたのでゆっくり寝る事にする。バイト?今日は許してくれ明日電話する・・・・もっと平和なな世界がよかった・・・

 




ちなみに設定だけは色々あります。かなり書いてしまってるんで感想は次回の作品に活かす。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

始まりの日

短編なんで後数話です。



 朝目が覚めたら世界チェックする。世界広しといえ朝起きて世界チェックするヤツは俺ぐらいだろう。でやっぱり元も世界に戻ってないね。

 

 

 お腹が減ったしまずはご飯を食べよう。昨日はお昼から爆睡で晩ご飯も食べてないしね。

冷蔵庫に何も残ってなかったのでインスタントラーメンを食べる事にする。

 

 

 ラーメンを食べながらテレビを見るとやっぱり世界はやばかった。

 なんでも先日、宇宙人?の【アルティメギル】なる奴らが大々的に宣戦布告してきたらしい。

 ちなみにこの世界はわかってるだけで【クライシス帝国】【ショッカー】【ドグマ帝国】【ゲルショッカー】等から宣戦布告されている。

 なんだそのスパロボ的状態は・・・人類が何をした!!・・・色々してるわ・・・

 

 

 これはますます外に出れないと思っていたら急に外に出たくなった。なんだろ?この外に出ないとダメっていう感情が出てきたという説明しか出来ない不思議な体験だ。

 俺は鋼の意思でその感情を抑える。

 外に出て化け物に襲われたらどうする?保証は?まず生き残るかもわからないのに?てかこれ完全にヤバイ電波出てるよね?うぉぉぉ!絶対に出ない!出ないぞぉぉぉ!!と考えてたら不意に何も感じなくなった。

 

 

 もう大丈夫だな。と伸びたラーメンを食べながらテレビの続きを見ていると外からキン!ガン!といった明らかな戦闘音がする。

 

 

(・・・工事の音だ。そうだそうに違いない)

 

 

 そう思っていたら怒鳴り声や明らかに人の声じゃない雄叫びがする。

 

 

(・・・逃げるか・・・)

 

 

 昔ファンだった者として生ライダーは見たいが成長した俺は命が最優先だった。

 隠れている選択はあったが、もし入って来られたら絶望しかないので俺は逃げるを選択する。

 準備をして靴を履く。こんな事に使う為に買ったわけではないランニングシューズを久し振りに履き、マンションのドアをしゃがみながら開きサッと隠れながら外に出た。

 

 

「オオオオオォ!!」

 

「くっ!思ったより強いな」

 

『油断のしすぎだ』

 

 

 ちらりと見ると駐車場で【仮面ライダー】姿ではなく変身前だろうか?釣り目のイケメンの青年が剣を振り回して化け物と戦っていた。

 イケメンは変わった模様の蒼い色のコートにレイピアの様な細い剣を持ち、剣で化け物の出す触手を刺したり切ったりしていたが苦戦しているようだ。

 

 

「オォォオオオオォォ!!」

 

 

 化け物は全身が黒色くシワシワな体に羽と触手が6本生えた姿でまるで人型のレーズンみたいなヤツだ。

 

 

「ちっ!ジル!」

 

『あいよ』

 

 

 イケメンがジルと叫ぶとイケメンの蒼い指輪から蒼い炎が出てレーズンを牽制する。てか変な声は指輪が話してるのか。

 

 

「ガアアアァァ!!」

 

 

 レーズンはもがきその炎から出来るだけ離れようとする。

 

 

 

「よし。終わらせるか」

 

 

 イケメンがそう言うと剣で目の前に円を描く。そうすると円が光り輝き、そこに剣を突き刺すと蒼い光が溢れて来た。

 

 

「まぶし!」

 

 

 気が付くとイケメンの立っていた場所には蒼色の中世の甲冑着た騎士が立っていた。

 

 

「ガ、ガァァァァ!!」

 

 

 レーズンはその姿を見て少し後ずさったが大きな奇声を上げ騎士に触手を向けた。

 

 

『ふん!』

 

 

 騎士がその言葉を発した瞬間に触手が切られ、唖然とするレーズンの姿がそこにあった。

 

 

(は、早ぇぇぇぇ!!)

 

 

 ちなみに俺の肉眼(1.2)では瞬きしたら触手が無くなったのでもしかしたらバリアかも知れない。

 

 

 

『今だ!ソウジ!』

 

「はぁぁ!」

 

 

 騎士は地面を砕き一瞬でレーズンを通り過ぎた。すれ違い座間に剣で胸を貫き、何やら赤い玉を取り出して砕いた。

 

 

「オオォォォ!!」

 

 

 レーズンの心臓なのかそれを砕かれたレーズンは体を膨張させ爆発した。

 そしてそのレーズンの死骸?肉片?大きく飛び散り、その一つが運悪くこちらに飛んで来た。

 

 

「ひぃ!」

 

 

 べチャリと生暖かいが冷たい感触という意味不明な感覚に襲われる、その瞬間に破片で汚れた場所はジュウジュウと音を立て消えていくという不思議体験をしていると。

 

 

『!?誰だ!!』

 

『あ~、まずいぞソウジ。気が付かなかったが人がいる。もしかしたら血に染まった(・・・・・・)可能性がある』

 

『なんだと!?』

 

 

 すごい焦った声が聞こえるんだが・・・とりあえずやばそうだ。謝って貰ったりお礼を言う雰囲気じゃないのも幾らコミショな俺でもわかる。逃げよう。

 しゃがみながらの地面に手を付きながら猛ダッシュで逃げる俺。塀のおかげか俺の姿は見られてないから人ごみに逃げれば大丈夫。

 

 

ドゴン!

 

 

 ドゴン?と後ろを見るとこれまたびっくり!先ほどの騎士がいた場所は地面がひび割れまるで重い何かがすごい力でジャンプしたような光景になっていた。 

 

 

ガン!

 

 

 上の階で大きな音がして軽くマンションが揺れた。これはアレですね。上の階に降りたんですね。

 必死に考える。まず隠れる?無理。袋のねずみだし。上に行く?無理!話せる雰囲気じゃない。

 

 

(下しか無いのか・・・)

 

 

 凡夫の俺はその考えしか出来ず、諦めて必死に走る。顔が見られる?ここに居た方が確実にやばいわ!

 

 

『そこか!』

 

 

 でも全然ダメだった。必死に階段下りたら追い着かれた。

 

 

「待ってくれ!俺は何も見てにゃい」

 

 

 噛んだ。死にそう。

 

 

『どうだ?』

 

『あ~ダメ。アウトだ』

 

『・・・・そうか』

 

「待って!噛んだだけじゃん!噛んだらダメなのかよ!?」

 

『ちげぇよ。噛んだ事が問題じゃない』

 

『ジル』

 

『コイツだってせめてなんで殺されるかわかった方がいいだろ?』

 

 

 よくないです。出来ればほって置いてください。

 

 

『さっきのヤツは【ホラー】といって、わかりやすく言うと化け物だ。その化け物の返り血を浴びたお前を俺達は殺さなくてはならない』

 

 

 おいぃぃ!?説明が理不尽!?浴びたから殺すとか!?

 

 

「待って!つまりアレのせいで俺死ぬの!?」

 

『そうだ。ソウジそろそろ時間だ』

 

『・・・ああ。すまない』

 

「ま」

 

 

 俺は最後まで口に出す事が出来なかった。

 

 

 

 気が付くと俺は地面とキスしていた。体はだるいし服も穴が開いている状態だが生きていた。

 

 

「ははは。夢か」

 

 

 身体に不調は無いか軽く確かめ、問題なさそうだったのでとりあえず俺は自分の部屋に戻り、服を着替え風呂に入る事にする。・・・・下着を替えたかった。

 

 

「はぁぁぁぁ」

 

 

 風呂に入りゆっくり今日の出来事を考える。俺死んだ?いや生きてるしな~化け物かぁ~【ホラー】って言ったけ?そんなバイオレンスな【仮面ライダー】は知らないし【仮面ライダー】ぽくなかった。

 

 

「ん~~」

 

 

 考えても仕方ない。とりあえず生きている事に感謝しよう。てか今日も仕事・・・

 そう思って体を洗う為に湯船から出て、鏡を見ると胸あたりが赤くなっている事に気がついた。

 

 

(なんだこれ?)

 

 

 触ると少し膨れていて心臓とは別に鼓動していた。

 嫌な汗が止まらない。風呂に入って熱いぐらいだったはずなのに今は寒くて震える。

 

 

《あ、あ゛あ゛~……んっん!!……テステス……俺に気付いたか?まずは落ち着けって》

 

(え?今…)

 

 

 声が聞こえた気がしたので周りを見渡すがもちろん誰も居ない。

 

 

《誰もいねぇよ。ここには俺とお前だけだ》

 

「だ、誰だ!?」

 

《あ~誰と言われればお前だ》

 

「え?ちょ・・と」

 

《まずは落ち着け。ちいとばかし面倒だが説明してやるから》

 

「あ、ああ」

 

 

 俺は風呂場で深呼吸をして落ち着こうとする。てか思ったより落ち着くのが早い。まあこの数日色々あったし慣れたのか?

 

 

《落ち着いたか?》

 

「ああ」

 

《なら先に自己紹介といくか。俺はお前のもう一つの心臓【コア】だ》

 

「こ、コア?」

 

《そうだ。お前は一度死んだ。あの【魔戒騎士】に殺されたんだ》

 

「………」

 

 薄々気が付いていた。さっきまで着ていた服に空いた穴は貫通してたし、アレが夢だと思えない。この幻聴が俺の妄想で俺の頭がおかしくなってたとしても俺にはそれは妄想なのか現実なのかわからない以上自分を信じる他は無い。

 

《いいか?続けるぞ?俺の元はあの【ホラー】だがお前の中に入り一緒に死んだはずだが……何故か生き返ってお前と一体化して【コア】になった。俺には俺の、お前にはお前の意思があるから正確にお前と俺は違うが元は同じだ。まあ一蓮托生だ》

 

(【ホラー】?・・あの化け物が俺に取り付いたのがお前って事なのか?)

 

《違う違う。取り付いたとは違う。寄生でもない。お前と言う【ホラー】は滅んだが【ホラー】の特性は残った・・つまりお前は人間であり【ホラー】であり、お前は人間側、俺は【ホラー】側に分かれただけで俺とお前は二人で一人って事だ》

 

(!?考えがわかるのか!?)

 

《そらそうだ。俺はお前でもあるんだぞ?続けるぞ?俺は【ホラー】だった記憶もある。俺はもう死ぬのはごめんだ。だからお前に教える事がいっぱいある。これから色々教えてやるから一緒に楽しく生きようぜ》

 

(なんか言い方がこれから死にかけるみたいに聞こえるんだが・・)

 

《そうだが?》

 

(はぁ!?なんでだよ!ふざけんなよ!?)

 

《俺に言われても困るんだが・・・【魔戒騎士】に言え》

 

 

 俺は【コア】?の説明を受けた。どうやら俺は【ホラー】の特性も持っているそうで見つかれば【ホラー】を狩る【魔戒騎士】に殺されるそうだ。

 【魔戒騎士】と【魔戒法師】は人類を【ホラー】から守っている集団で世界の裏側から守っている守護者らしい。

 【ホラー】は人の強い負の思念【陰我】に餌に魔界からやってくる化物。魔界から出てきた時は【素体ホラー】と言うノーマルの姿だが人や物に取り付くと個体の存在に進化するそうだ。また死んでも魔界に帰るだけで存在は消滅しないそうだ。(肉体は滅ぶが)

 魔戒騎士はそんな【ホラー】と日夜戦う存在だがいくつかルールがある。その一つに【ホラー】の血を浴びた者、【血の染まりし者】を殺す事だ。

 【血の染まりし者】は血を浴びてからその命は100日となり、【ホラー】にとっても極上の餌となる。血に染まりし者の末路は「気絶することも許されない激痛の中で悪臭を放ちながら溶け崩れていく」らしい。

 これは正確には【ホラー】になるらしい。共食いに会い糧になるか、肉体が耐え切れず死に【ホラー】になるか……

 

 

(え?つまり俺の命は後100日?)

 

《いや。お前は既に一度死んでいる。更に【ホラー】にもなってるから【ホラー】にも【魔戒騎士】にも狙われるな》

 

(は?)

 

《つまりコウモリは嫌われるだよ。人でもあり【ホラー】でもある存在はどちらからも狙われる》

 

(………)

 

《あ~追い打ちをかけて悪いがまだあるぞ?ちなみにお前は【アギト】も覚醒しかけてる》

 

(ア、【アギト】?それってライダーの?)

 

《ああ。つまり既にお前の敵は【魔戒騎士】【ホラー】【アンノウン】だ》

 

 

 【アギト】とは【仮面ライダーアギト】に出てきた進化する力だ。段階に分かれていて基本的に超能力を得てその次の段階で【仮面ライダーアギト】に変身する。【アギト】を持つ者なら誰もが【仮面ライダーアギト】になれる可能性がある。

 【アンノウン】は【アギト】を狩る者で【アギト】を発現した者を絶対に殺す存在で最上位種は竜巻等の超自然災害を起こせる。

 俺はその話を聞いた瞬間に何かが折れる音が聞こえた。俺が何をした?子供の時、親のせいで周りから虐められてそれでも精一杯人様に迷惑かけずに生きてきた。成人してからも極力、人に迷惑をかけないように生きてきたのに……願ったのが悪いのか?こんな俺でも幸せな世界に行けたらいいのにと思ったのがダメなのか?

 

 

「ふざけんな」

 

 

 なんで俺がこんな目に合わないとダメなんだ?生まれ?運命?ふざけんな!!神様がいるなら俺の事が嫌いなんだろ。こんな仕打ちで試練だとかほざく奴らは頭がおかしい。

 

 

《おうおう。いい感じに怒ってる所、申し訳ないがまだ悪い話は続くんだなぁ~。お前が一度死んで生き返ったってどこかで聞いた事ないか?あるよな~そう!【オルフェノク】だ!いや~俺が言うのもなんだが詰め込みすぎじゃないか?まあ寿命は大丈夫だろ、たぶん》

 

 

 【オルフェノク】一度死んだ人間が覚醒して蘇り、進化した存在。自然的に生まれる事もあれば【オルフェノク】に殺され生まれる事もある。【オルフェノク】は変身できて【仮面ライダー】と戦えるほど強いが・・・進化を急激にした結果、寿命が短く【オルフェノクの王】の力によって最終進化しないと数年生きれない。

 

 

《現在、お前は【人間】【ホラー】【アギト】【オルフェノク】であり。敵対組織は【魔戒騎士】【ホラー】【アンノウン】は確定だな》

 

 

 俺は風呂場で泣き叫んだ。怨み事やどうでもいい愚痴を垂れ流し、声が枯れるまでそれは続いた。




主人公のリアクションが軽い?設定はあるんだよ・・・




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

変わってからの日々

《どうだ?すっきりしたか?》

「ああ・・」

 

 俺は風呂場で泣き叫び落ち着いたので鼻声でコアに返事をする。

 

《まあ、俺が言うのもなんだが元気出せよ。悲しい話はここまでだから、ここからは楽しい話をしようぜ》

(楽しい話?)

《ああ。そろそろ風邪引くから出ようぜ》

 

 確かに風呂場で泣いていたから体が少し寒い。俺は熱めのシャワーを浴び体を温めてから風呂を出て身支度を済ませリビングに戻って来た。

 

《さあ!ここからはいい事を話すぜ。まず【ホラー】についてだ。【ホラー】の特性を持っていると言ったよな?じゃあその特性は?》

(えっと・・・人の強い負の感情【陰我】を餌にする?)

《そう!そうだ!お前は【ホラー】でもあるから【陰我】を吸収できる!それはそれだけ強くなれる!》

 

 さっきからすごく話し辛い。なんだろ?誰も居ないのに頭の中で会話するのがこんなにも話辛いなんて思わなかった。

 

《お前・・・話聞けよな!?》

(ああ。ごめん。なんかすごい話辛くて・・そうだ)

 

 俺はこないだ買った猫のストラップを机の上に置く。お腹の膨れた三毛猫が両前足で招き猫の手をしてるヤツだ。

 

「これでよし」

《よし。じゃぁねぇよ!?お前ふざけてんのかぁ!?ああ!?ふざけてねぇ!?》

「おう。結構まじめだからな。やっぱり話がしやすい」

《クソが!!せめてコレ変えろや!!》

「あ~他に無いわ」

《ファッキン!!》

(思ったより荒れてるなぁ・・)

 

 傍から見れば猫のストラップに話しかける痛い俺だが話がしやすいしいいんだ。

 

《・・・はぁ・・・でお前は【陰我】を食べれる強くなるわかったか?》

「そんなにテンション下がる事か?」

《事だよ!!なんなんだ!?このマスコットは!?あぁ!!イライラする!!》

 

 しばらく【コア】はぶつくさ言ってたが次第に元気が無くなっていって最終的に諦めたようだ。

 

《続き言うぞ》

「ああ。頼む」

《【アギト】は昔から人間にある能力で超能力だな。それも発現していてお前の今ある能力は【コミニュケイト】一種のテレパシーで相手の言葉がわかる》

「言葉?」

《外国人だろうが魔界語だろうがわかる。だがもちろん文字は読めんがな》

「すごく・・・微妙です」

《知ってた。まぁ無いよりマシだろ?一応上位まで覚醒できれば【アギト】になれるんだから・・・つっても、もしかしたら【ギルス】もありえるのか》

 

 【ギルス】とは不完全な進化をした【アギト】で強さは【アギト】と同じだがデメリットのオンパレードだ。幻聴、老化現象、体への後遺症と扱いが酷い。

 

「そうか・・・【ギルス】はやだなぁ~あの人の扱いも相当酷くてキレそうだったし」

《わかる。幸せにしてやれよ!っと思った・・んん!話を戻すぞ?》

「はい」

《後は【オルフェノク】だな》

「じゃあ変身だな。いや~なに怪人になるんだろ?オクラ・・は嫌だな。せめてアルマジロならいいわ」

《・・・その事だがよ。無理なんだわ》

「へ?」

《変身》

「な、なんで?【オルフェノク】だよね?」

《お前の体を調べたんだが体は確かに【オルフェノク】なぜか変身因子が少なく変身できねぇな》

 

 【コア】の話では【オルフェノク】は特別な因子を持って【オルフェノク】なんだがその因子はあるが変身できる因子では無い為ぶっちゃけ欠陥品。

 もし寿命が短いなら寿命が短いだけの存在らしい。原作ヒロインかな?

 

 ただし【オルフェノク】である為【オルフェノク】専用の変身ベルト【ライダーズギア】は使えるそうだ。

 

「い、意味ねぇ!?てかほぼデメリットじゃねぇか!?」

《だがほら!ベルトがあれば変身できるだろ?》

「まず手にいれれねぇよ!」

《生き返ったんだからいいじゃねぇか!てか俺に言われても困るわ!》

「そ、そうだな・・すまん・・」

《いや、こっちもすまねぇ。まぁ少しは人間より強くなってるしこれからもしかしたら変身できるようになるかもな》

「だったらいいね・・」

 

 変身できない怪人なんて何の役にも立たない一般人じゃないか!

 

《さて、ここまではおまけでここからが本番だ。【ホラー】には【素体ホラー】という何の能力を持たないノーマルと特殊能力を持った【ホラー】がいる話はしたよな?仮にノーマルとネームドと呼ぶがお前はまだノーマルだ。言いたい事はわかるよな?》

「・・つまり俺はまだ強くなれる?」

《そうだ!俺達はまだまだ強くなれる!殺される?いやいや!相手を殺す位になぁ!でもまだ無理だ。だから力を蓄えようぜ!》

「あ~別に相手を殺すはいいかな・・・」

《はぁ!?何でだよ!?いや!!いい!思うな!聞きたくない!》

「言うけど、別に殺した程のヤツもいないしどちらかと言うと殺されたくないから強くなりたいかな?」

《はぁぁぁ!?お前【魔戒騎士】に殺されただろ!?なんとも思わないのか!?》

「そら思うけど風呂場で泣いたら思ったよりすっきりしちゃって・・」

《(こりゃやりすぎたな・・まあ仕方ねぇか・・)》

《まあ、強くなる事に異論はねぇんだろ?ならまずは強くなろうぜ?》

「そうだな」

《そんな、お優しいお前にはちょっと辛いだろうが【ホラー】を強くするのは【陰我】だ。それを喰らうしかねぇ、できるのか?》

「・・・それってさ・・・こんな事出来ない?」

《ん?ああ・・なるほど・・・そりゃ確かに出来そうだ。ちぃとばかし効率は悪そうだが》

「まあ、何事も安全に行こうよ」

《だな。とりあえずお前は早く店長に電話しな》

「うん」

 

 俺は3日ぶりに仕事先に電話した。

 世界が変わってどうなってたか不安だが俺はちゃんとその店で働いていた。

 ちなみに無断欠勤で滅茶苦茶怒られた。普通のバイトだったらクビにしてるが普段からまじめに働いているからって心配していた方が大きいらしい。まじめに働いててよかった。

 

 

 

~~数日後~~

 

 

《ギャハハッハハ!!笑いが止まらねぇ!スゲーよ!めっちゃ【陰我】が喰えてる!》

(仕事中だから静かにしててくれる?)

《あ~あ。すまねぇ。

 しっかしお前のアイディア最高だな!数日でこれほど【陰我】が喰えて【魔戒騎士】にも見つかり難いなんてここは最高の職場だ!既にネームドになった【アギト】【オルフェノク】の力は上がったし、いいこと尽くめだな!》

(あの~仕事中・・)

「あんた!聴いてるの!?」

「あ~すみません」

「この台壊れてるんじゃない!?どうして当たらないのよ!?」

 

 今、俺は目の前のおばちゃんの機嫌を取っている。

 ここは死ぬほど煩く光輝く有害なタバコの煙で曇っている店内。

 店の中には機嫌が悪そうな人が埋め尽くし柄の悪い連中等が椅子に座り、遊戯台で遊ぶお店・・・・パチンコ屋だ。

 

 実際パチンコ屋はそれなりに綺麗だが柄の悪い連中も多くいることも事実だし機嫌が悪い人も多いが・・・この店は特に多い。

 それは何故かって?俺がいるからさ・・・

 

 俺の【コア】への提案はパチンコ屋の客から【陰我】を少しづつ喰えないか?と言う話だった。

 実際の【ホラー】にできるか知らんが俺は出来た。

 ちなみに【魔戒騎士】の警戒に最大限の結界を割り振ってるので普通の【ホラー】の結界の数倍秘匿性が高い。

 その分凄まじい量の力を使ってるが・・・まさかの終始+である。パチンコ屋怖えぇぇぇ・・

 

「ふん!まあいいわ!これを当てたら波が来るはずよ!!」

《いや。来ねぇだろ》

(来ないだろうね)

「はぁ・・」

 

 俺は白熱するおばちゃんからそっと逃げ出して一息つく。

 俺も元々パチンコを嗜む(月10万程)があの人らはどうやってそんな金を捻出しているんだろう?年金?貯蓄?生活保護?わからんが俺は週1回ですら月10万は溶けてたぞ?毎日朝から晩までいるおっさんやおばちゃんは一体幾ら使ってるんだよ・・・

 

《借金だろ?昨日違う奴だが明細が財布から見えたぞ?》

(マジかよ・・すげーな)

 

 俺も相当負けたが借金はしなかったぞ。今はもうやめてるし。

 真面目に働いたらアホらしくなった。

 

《しっかし本当にここは【ホラー】に取っていい環境だわ。欲望と負の【陰我】の渦がすげー》

(本当にな。俺でも感じる程に力が湧くし)

 

 数日前まで普通の人間程度だったが今では車ぐらいなら持ち上げれそうだしな。

 

(しかし【コア】本当に【魔戒騎士】にはバレないのか?)

《ああ。大丈夫だ。この結界は相当力を入れてるのもあるが元は強くなった【アギト】の力を元にしたからな。もしバレるなら【アギト】の力を持った【魔戒騎士】だけだがそんなヤツはまずいねぇから大丈夫だ》

(本当かな~)

 

 実際にバレてないし問題なく強くなってるからバレるまでこのままだろう。

 客から【陰我】を喰ってるが死にはしない、ちょっと疲れるぐらいだ。

 普通に【陰我】を喰う事で100手に入る所が俺のやり方だと0.5ぐらいしか入らない、でも一人からそれでもパチンコ屋はアホみたいに客が来るから実質毎日2000は手に入る。

 普通の【ホラー】は毎日に100ぐらいや一回に2000らしい。

 

《ククク・・もっとだ!もっと欲望を吐き出せぇぇぇぇぇぇ!!》

 

 まあ【コア】が結界にいるからって【ホラー】の力をスゲー使って客の理性のダガを外しまくってる理由もある。

 だからこの店は最近めっちゃ出るけどめっちゃ飲まれると評判になった。

 そら、使いまくればいつか出るよ・・・お店もわかってるみたいだしそれなりに頑張ってるから余計お金が回る。

 

 客が使う→店が儲ける→店がそれなりに出す→客の中にすごく勝つ人間が出る→羨ましくてもっと使うのループ、からの出てるし客いるしで他の客も来る連鎖で凄く忙しい。

 ちなみにお店がガッツリ勝ってますニッコリ。

 

《ひっひっひひ!もう、こんなに力が出るぜ!このままいけばいつか【黄金騎士】も【メシア】も倒せるぞ!》

「そいつらはわからんが無理だと思うよ?」

 

 やっと仕事が終わり、タバコ臭い休憩所で一息つく。

 【コア】は最近いい感じに天狗になってるがわかる気がする。

 数日でこれだけ強くなったんだ。実際は知らんがこのまま数ヶ月頑張れば確かにあの【魔戒騎士】は余裕で倒せそうだ。

 

「お疲れ様です」

「ああ、お疲れ~」

 

 同僚(年下)の子も休憩所に来たので【コア】との会話は心の中でやる。

 

《なんでコイツ同僚なのに敬語なんだ?》

(さあ?年下だからじゃない?)

《コイツ社員にもタメ口だぞ?》

(そういえばそうだね)

 

「お疲れ~」

「あ、お疲れ」

 

 他にも後輩や先輩が戻ってきて休憩所が手狭になったので先に休んでいた俺は先に失礼することにした。

 

「じゃあ上がります。お疲れ様です」

「「「お疲れ様です」」」

 

 俺はマスクにネックウォーマーにニット帽と完全防具で店を出る。

 何故かって?一応【ホラー】には気配があるらしく【魔戒騎士】の持つ【魔導輪】と呼ばれる喋る指輪等に探知されるそうだ。

 だが俺は人間でもあるおかげで相当、至近距離か【ホラー】の力を開放しないと気付かれないらしいが顔は覚えられている可能性があるため念の為に隠している。

 一応冬だし体調不慮で休んでいた事にしていたので問題ない。

 

(街中でも外せないのは辛い・・)

《我慢しろ、どこにアイツがいるかわからんからな》

 

 どうやら【魔戒騎士】はエリアで管理しているらしくあの俺を殺したヤツはこのエリアの【魔戒騎士】らしく出会うならあの【魔戒騎士】らしい。

 

(面倒だな)

《もう少しの辛抱だな。もう少し力が付いたらぶっ殺すか?》

(いや、それはいいです)

 

 帰りは自転車なので駐輪所に行き自転車を取り帰る。

 自転車はもちろん安全運転、人を引いたらアホらしいし面倒だ。

 

 家まで後半分ぐらいまで来た。

 この辺は住宅街と商店街の間で人が多くて走り難いので人にぶつからないようにゆっくり走る。

 

《あ~うざってぇ・・コイツら皆殺しにしてぇ・・》

(めっちゃ物騒なこと言ってる・・)

《あ!このクソババア!急に入るんじゃねぇ!引き殺すぞ!》

(気持ちわかるが伝わらないし諦めてくれ)

 

 急に割り込んでくるおばちゃんからフラフラ動く学生を避けつつ帰り道を走る。

 

《あ~やっぱり力を貯めて全員ぶっ殺そうぜ?》

(いや~平和が一番ですわ)

《かぁぁ~!なんでだよ!気に食わないヤツもぶっ殺せるんだぜ?》

(特にいないかな)

《っけ!つまらねぇ・・・・!?避けろぉ!!!》

「っ!?」

 

 【コア】と話していたら急に【コア】が急に叫んだ。

 その事に驚きハンドルを切ると俺が進む場所に大きな黒い杭が飛んできて凄まじい音がして地面に刺さる。

 

「な!?」

《呆けるな!上だぁ!》

「!?」

 

 上を見ると更に杭が飛んでくるのがわかる。

 周囲の人にぶつからないように気を付けながら転がり、杭を躱しながら杭の飛んでくる方向から誰が飛ばしているのか確認する。

 

《来るぞ!》

 

 【コア】のその声と共に辺りにドゴン!と音を粉塵が撒き散らされる。

 粉塵の中心地には地面が大きく凹みひび割れた所に体中緑で黒い杭だらけの人型が立っていた。

 

「な、なんだ!?アイツ!?」

ズル。ガベダバ・・・(ふむ。避けたか・・・)ガグガザバドブデンザ。(流石高得点だ。)ババ々ダボギレゴグザ・・(中々楽しめそうだ・・)

《コイツ・・【グロンギ】か!》

「【グロンギ】!?」

 

 【グロンギ】とは【仮面ライダークウガ】で出てきた種族で【ゲゲル】と呼ばれるゲームをしている敵だ。

 【ゲゲル】の内容は様々で1週間で人間を20人殺すや10日で30人戦士を殺す等、内容、人数等バラバラだ。

 

ゾグ?(ほう?)パダギグ【グロンギ】ザドギデデギスボバ?(私が【グロンギ】だと知っているのか?)バサザバギパザジャギ。(なら話は早い。)パダギンバラゲパ【メ・サボウ・ゼ】。(私の名前は【メ・サボウ・デ】。)【ゲゲル】ビジョシゴラゲゾボソグ(【ゲゲル】によりお前を殺す)

 

《クッソ!?よりにもよってズかよ!?》

 

 【グロンギ】には階級がありそれによって強さが変わる。

 一番上からン、ゴ、メ、ズ、べとなっている。一応強さ別と言っても過言は無いがもちろん多少前後する為ズでもメと同じレベルの奴もいる。

 ちなみにこの階級を上げるのが【ゲゲル】だ。

 

「キャァァ!!」

「うわぁぁ!!化物だぁ!!」

「逃げろぉぉ!!」

 

 【グロンギ】に気が付き近くにいた人が逃げ惑う。

 俺もこの隙に逃げるぜ!

 

ビガガン!(逃がさん!)

 

 逃げようとした俺に向かって、【グロンギ】の身体が一部膨れ上がり黒い杭を7本程飛ばしてくる。

 

(そうやって飛んでくるんだ!?)

《馬鹿!!変なこと考えんな!》

 

 上手いこと避け後ろの壁に黒い杭が刺さる。

 コンクリートの壁を貫き杭の8割程めり込んでるので刺さると穴が開く。

 

《当たったらやべぇぞ!》

「わかってる!」

 

 身体に力を入れるとリミッターが解除されるのがわかる。俺の体は【陰我】を取り込み、【ホラー】の力を強化しそれにより【アギト】【オルフェノク】の力も一緒に強化された。

 

《これは・・ずっと追いかけて来そうだな》

(なら【コア】アレを試すか?)

《アレか・・いいねぇ!!そういう意味ではコイツは最高の餌だな!》

「ほら、着いてこい!」

 

 俺はここから離れる為に高くジャンプして近くの家の屋根に降り、そこから屋根を飛び人気の少ない所へ向かう。

 

ビゲスバ!(逃げるな!)

 

 俺の後を【グロンギ】は追いかけてくる。時折俺に杭を飛ばしてきたが上手いこと避けるか手で弾き直撃を回避する。

 

(手ぇ痛ってぇぇ!?何で出来てんだよ!?鉄以上に硬いしザラザラしてるせいで摩擦で弾いてもダメージが入るとか・・・コイツ相当強くないか?)

《たぶんメの中でも中々の強さだろうな、流石にゴじゃあ無いな》

(丁度いいぐらいか?それともちょっとヤバイ?)

《怪しいな。戦闘の経験値が違うから普通に戦えば100回やって100回負けるな》

(普通にやれば負けるか・・)

《そうだ。普通にやればだ》

 

 上手いことあそこまで誘導しなくては・・・タイムリミットはわからない。逃げるだけならいくらでも逃げるが俺のタイムリミットは【魔戒騎士】【ホラー】に見つかるまで。

 相手にタイムリミットがあるかは知らんが確実に俺の方が短いだろう。

 更に言うと俺はコイツに用が出来た。正確に言うとコイツの力だが・・・

 

《おい!そろそろだぞ!》

(オッケー)

「くっ!?」

 

 俺は杭のせいでヨロけた振りをして目的地に比較的に近い路地に転がり落ちる。その後全力ではなく程々の速さで走る。

 

ズズズ。ゴビゴボボバ?ギギザソグ(ふふふ。鬼ごっこか?いいだろう)

 

 騙されるのに慣れてないのか、はた又強者の余裕なのか俺に着いて来てくれる【グロンギ】さんマジ感謝です。

 

「はぁはぁ」

《もう少しだ。そこの角を曲がれ》

(ああ)

 

 マラソンとかすると来て頭がスっとすると言うかこう、クリアになる時がある。

 俺は走りながら、ふと元の世界について考えていた。

 

「はあ・・・はあ・・・」 

 

 そういえばこうやって走ったのはいつ以来だろう?大人になってからは身体も動かさないし目的も無く働いていただけでダラダラしてたなぁとか。

 出来ればこんなキツイ世界じゃなく女の子とイチャイチャ出来る世界に行きたいなぁとか思っていた。

 

《お~し。よく頑張ったな目的地到着だ》

 

 俺は路地の先の廃工場の中へ壁や物を多少破壊しながら転がり入る。

中は埃が舞っており今ではこの工場には殆ど人は入って無いだろう。

 

ゴビゴボボパゴパシバ?(鬼ごっこは終わりか?)

「はぁ・・ああ・・・はぁ・・一旦・・逃げるのは・・・はぁ・やめだ・・」

 

 壊れた壁から【グロンギ】が工場に入ってくる。背に夕日が照ってるせいかクッソ強そうに見える。

 

《実際クッソつぇぞ。覚悟はいいか?出来るだけサポートはするが動くのはお前だ》

(ああ)

《戦いの基本だが熱くなるなよ?冷静に動け》

(おう!)

 

 俺は前もって準備をしていたレバーの【オブジェ】に力を注ぎ起動させる。

 

 【オブジェ】とは【陰我】が自然と溜まりやすい物の事でこれを【ゲート】に魔界から【素体ホラー】が現世にやってくる。

 

 起動した【オブジェ】は自動で下がり、工場全体に結界を張る。

 この結界は仕事先と同じで【魔戒騎士】や【魔導輪】にされる事は無い。ただし、発動は別だ。結界の発動には流石に【ホラー】の力が出てしまうのでなるべく早くアイツをなんとかする事に変わりは無い。

 

ボ、ボセパ!?ビガラ!バビゾギダ!?(こ、これは!?貴様!何をした!?)

《さぁ・・行くぜぇぇぇぇぇ!》

「はぁぁぁぁ!!」

 

 俺は【コア】に力を注ぎ、全身に力を循環させ、血管から筋肉までしっかりとコーティングし自分を覆うイメージをする。

 

「《変身!!》」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最初の戦い

以上で書きたかった文を書き終わったんでここまでの短編です。


ボ、ボセパ!?(こ、これは!?)

 

 【ゲゲル】為に【リント】の街に降りてきて私は獲物を探した。

 私の【ゲゲル】は5日で【リントの戦士】以外の強い【リント】を10人殺す事。あちらこちらにいる、あの白と黒の動く箱に乗る青い服の【リントの戦士】を殺せないのは残念だが【ゲゲル】は難しくなくては面白くない。

 そう思い街を飛び回り見つけのがコイツだった。

 

 【ゲゲル】には高得点が存在する。過去【クウガ】以外にも我々と戦った者や化物がいて、最大の敵の【クウガ】は殺せば最高の武勇を、他の戦士や化物を倒せば【ゲゲル】の高得点や【ガガル】や【武器】を先に作って貰えたりと美味しい獲物だ。

 

 街で見かけた時は随分と弱そうな高得点だと思ったが・・・コイツはなんだ?

 

 胸には真紅の蠢く目玉、関節部分と内側の血管部分には灰色に近い白い色の蠢き鼓動している管と塊が付いており、先ほど無かった真っ黒いしなびた触手が背中から2本生えている。

 

バンザ!?ボギヅパ!?(なんだ!?コイツは!?)

 

 私も一度高得点は殺したことはあるし、他の者の話を聞きそれなりの高得点の話を知っているがしかし・・・コイツ何なんだ!?

 

「・・・・来ないのか?」

 

 何を言っているかわからないが先ほどの何かを狙う目では無く、アレは挑発する目だ。

 

ズザベスバ!(ふざけるな!)

 

 先ほどまで逃げ回っていた者が私を挑発するなんて・・・許さん!

 

 

 

 

 

《さぁてぇ、目的はわかってるな?》

(ああ)

「ハッ!!」

《いいか?見えない攻撃じゃないんだ!目を瞑るなよ!》

 

 【グロンギ】が牽制なのか黒い杭を3本飛ばしてくる。

 それを【コア】の指示通りしっかりと見て・・・受け止める!

 

ガッン!!

 

「ン?」

 

 俺は身体に這わしている灰色のプロテクターを動かして左腕に集中させ一本はそれで受け止め残りは躱す。そしてその受け止めた杭を物影に投げ右腕に集中していたプロテクターを全身に戻す。

 

《まずはなんとかなりそうだな》

(ああ。事前に受け止めれるか杭を弾いていてよかった)

 

 飛んでくる杭を弾き威力偵察した所ギリギリ杭は受け止めれる事はわかっていたが・・・ここからが問題だ。

 

バサ!ボセバサゾグザ!!(なら!これならどうだ!!)

 

 一本でも受け止められた事に起こったようで【グロンギ】は数多くの杭を飛ばしてくる。

 

《おい!》

(わかってる!)

 

 俺は少し屈みながら杭を躱しつつ、先ほど杭を投げた物影に向かい身を潜める。

 

ゾグギダ!ババデデボギ!(どうした!かかってこい!)

 

 【グロンギ】は俺を射殺そうと物影に隠れてるのも気にせず杭を何十本も飛ばし続ける。

 

(まだか!?そんなに持たないぞ!)

《わぁてるよ!クッソ!思ったよりキツいぞこれ!》

(はぁ!?お前が言い出したんだろうが!?)

《思ったよりってっつってんだろうがぁ!!なんとかするからお前は回避と回収に専念しろ!・・・ってあぶねぇ!?》

「え?っつあぁぁ!!」

 

 【コア】と話していたら杭が遂に壁にしていた物を貫き俺の右腕を抉り取った。

 

「あぁぁぁ!!!痛ってぇえぇぇ!!?」

《おい!おい!!大丈夫だ!傷は浅ぇ!》

「あぁぁ!?浅いだぁぁ!?クッソ痛てぇよ!?」

 

 傷口が暑くて、身体が震えて、痛くてどうしようもないく喚きたくなる。まさかこんなに痛いと思っていなかった。

 

《おい!しっかりしろ!!このままだと死んじまうぞ!!》

「あぁががああぁぁぁ!!」

 

 更に杭が俺の脚を掠り、肉を抉り血が引き出る。

 このまま横になっていたい。痛みにのたうち回っている間はなぜが痛みがマシになっている気がする。

 

《ちっ!クソが!》

ゴギ(おい)

「あ、ぐあぁ!」

 

 急に腕の痛みだけだったのが腹部に強い衝撃と痛みを感じ、次は背中に痛みが走り上からパラパラと何かが落ちてくる。

 どうやらいつの間にか来た【グロンギ】に腹部を蹴ら壁に激突したようだ。

 

バンザゴンザラパ?(なんだそのざまは?)ゴセゼロビガラパボグドブデンバ?(それでも貴様は高得点か?)

「あぁ、ああぁぁぐぐぁぁ」

 

 【グロンギ】が何か言っているが痛くて苦しくて吐きそうで辛くて限界だった。

 なんで俺がこんな目に遭わなくてはいけないんだ?ふざけんなよ!と思う気持ちも痛みの前では無力だった。

 

ズン。(ふん。)ジョグギブベザバ。(拍子抜けだな。)ガビゾゾラゼンギゲギパゾグギダ?(先ほどまでの威勢はどうした?)ゾセ!(ほれ!)

「あ・・・」

 

 【グロンギ】は倒れている俺を抉れている腕の肘の部分を足で思いっきり踏み潰した。その衝撃で建物が揺れ【グロンギ】の足の部分を見ると見慣れた俺の右腕は無く、そこには真っ赤な花が咲いた様な後が見えた。

 

ゾグザ?(どうだ?)ボセゼグボギザジャスビグゼダバ?(これで少しはやる気が出たか?)

「あ・・・ああああぁぁっぁぁぁ!!!!」

 

 何かの喪失感と余りにも現実味のなさで俺の泣きながらもう片方の腕で無い腕を探す様に【グロンギ】の足を退かそうとする。その光景を見た【グロンギ】はため息を吐き、無事だった左腕を杭で貼り付けにする。

 

「ぐぁぁ!?・・ああぁ・・」

ロググボギダボギレスドゴロダダグ・・(もう少し楽しめると思ったが・・)ズン!(ふん!)

 

 【グロンギ】は興味を無くしたのか俺を蹴り壁にめり込ませる。蹴りの衝撃で杭に刺さっていた左腕がぶちぶちと嫌な音を立てて引きちぎれた。血が吹き出て辺りを赤く染める。俺がただの人間だったら死んでいる量だ。

 

「・・ぁ・・・・ぁ・・」

ヅラサババダダ(つまらなかった)グボセゼボグドブデンパギブ。(がこれで高得点は死ぬ。)ゴパ【シンド】(後は【リント】)ゾバギンドパパンジドボソゲダボン(を10人殺せばこの)【ゲゲル】ロゴパシバ(【ゲゲル】も終わりか)

 

 その時。なぜかその言葉が耳にすっと入った。【リント】を10人殺す?【リント】?人間?俺も人間?俺と・・この苦しみ痛みを他の人に?そう思うと意識がカッ!と開けた。

 

 ふざけるなよ?どうして痛みや苦しみを振りまける?どうして傷つけて平気なんだ?どうしてほっといてくれないんだ?

 

・・・バビ?(・・・なに?)

 

 俺に背を向け外に出ようとしていた【グロンギ】が立ち止まり俺の方を見る。

 

 俺は無い腕を必死に動かし頭で体を支え、膝を使い肩を壁に押し付けゆっくりと立ち上がる。

 

ゾグ?(ほう?)ゴンビズゼダヂガスバ(その傷で立ちがるか)

「ぃ・・か・・せ・・」

 

 行かせたら・・・俺のように不幸になる人間が増える。痛みを苦しみを撒くコイツはここで止める!

 

ゴンゲンギンビガギゾロググボギザジャブ(その戦士の気合をもう少し早く)ザギデギセダダボギレダロボゾ・・・(出していれば楽しめたものを・・・)ベガギパブダゲギヂョグギダ(願わくば成長した)ビガラドダダバギダバダダ(貴様と戦いたかった)

 

 【グロンギ】は俺の頭に向けて大きめの黒い杭を1本飛ばす。

俺は避けれる状態じゃなかった。諦めたくない。しかし本能でわかる。おの杭が刺されば死ぬ。

 

(すまねぇ【コア】・・・)

 

 杭が俺に当たる直前に背中の触手が杭を弾く。

 

バビ!?(なに!?)

「コ、【コア】・・・?」

《ふぅ・・間に合ったかぁ・・・ったっく、あのまま死んだふりでもしてればよかったのによぅ・・・どうして立ったんだ?》

(えっと・・・許せなかったから?)

《お前やっぱアホだわ》

(酷い!)

ゴグギゲダゴンバロボグガダダバ(そういえばそんなものがあったな)

 

 【グロンギ】は更に数本俺に向かって杭を打ってくるがその全てを触手で弾き【グロンギ】に打ちか返す。

 

バンザド!?(なんだと!?)ブブ(っく)!」

 

 まさか打ち返されると思っていなかったのか【グロンギ】は驚きながら飛んで来た杭を対処する。

 

(どう?回収出来た?)

《当たり前だ。だからこうやってあの杭も弾けてるだろ?》

(そういえばそうだね)

バサ(なら)ボセゼゾグザ!(これでどうだ!)

 

 【グロンギ】が正面から踏み込んで俺を殺そうと突撃してくるがそれも4本の触手を前に展開し弾き工場の外に放り出す。

 

バ!!?ぐぐガァ!?(なっ!?っぐあぁ!?)

 

(じゃあいくか)

《おうよぉ!》

 

 

 

バビグゴビダンザ!?(何が起きたんだ!?)

 

 死に掛けていたアイツに止めを刺そうとしたら背中にあった触手に杭を弾かれあろう事か弾き返されただけで屈辱だったのに放り投げられるとは・・・更に触手の数が増えていた。

 

()ブブブ・・・(くくく・・・)ビュグゴベボゾバルバ・・・(窮鼠猫を噛むか・・・)

 

 少し前に神官に【リント】は追い詰めると強くなる者が居ると言われた事を思い出した。

 

 工場から私を追って出てきた戦士に驚愕する。

 先ほど潰し、引き千切った腕が不完全ながら元に戻っていた。

 

(まさか再生能力まで持っていたとは・・)

 

 あの情けない姿はワザと見せたのか?私がアイツと戦う資格があるか試すために?

 

 ありえる。引き千切れた腕を治す再生能力にあれほどの触手を温存する意味が無い。

 

(舐められたものだな!)

 

 私はメのサポウだ!舐めるなよ!

 

 

 

 【グロンギ】を追って工場を出て立ち止まる。

 

《クッククク・・・さぁって・・・第二ラウンドだぁ・・・いくぜぇぇ!!》

(ああ!)

 

 腰に両手を置くと中央に漆黒の丸い宝石が入ったシルバーのベルトが出現する。そこに手を当てると凄まじい音と共に漆黒の宝石から七色の光が溢れる。

 

「《変身!!》」

 

 不完全な腕と足には金色のラインが入った黒い皮膚の様な膜が張り、顔の下半分と間接や血管の辺りに先ほどより濃くなった灰色のプロテクターを張り巡らせ、胸には真紅に蠢き輝く眼球・・【コア】が周囲を威圧し、背中の触手は4本に増えまるで羽の様に揺らめく、最後に中心の宝石に赤、灰色、黒、白色の渦巻きが起きているベルトが輝く。

 

ボ、(こ、)ボセパ!?(これは!?)ブ、【クウガ】!?(ク、【クウガ】!?)ギジャ!?(いや!?)ヂガグ!(違う!)ビガラ!バビロボザ!?(貴様!何者だ!?)

 

《ククク・・やっこさん大分慌ててるなぁ~相棒(・・)!言ってやれぇ!お前が誰かってなぁ!》

 

「俺は人であり化け物であり、同時にそのどちらでもない・・・【仮面ライダー】・・・・【仮面ライダーカオス】だ!」




まだまだストックはありますが・・・まあいいでしょう。気分が乗ったら投稿します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ライダーキックだぁぁぁ!!

 待たせたな(震え声)。まだ書き終わってないけど上げます。とりあえずストック切れるまで定期的にあげます。
 


 【コア】が鼓動する度に力が血液の様に全身に行き渡り俺の身体を急速に治し強化し変異させるのがわかる。しかし不思議と怖くは無かった。

 

 グッと拳に力を入れる。ギュッとゴムを握った時になる音に似ている音がする。

 

 前まで車ぐらいと言っていたが今はトラックぐらいならいけそうだし走ってる車を止めれそうだ。

 

 そして遂に名乗ってしまった・・・【仮面ライダーカオス】だ。この名前を名乗ったからにはもう逃げれない気がする。

 

【仮面ライダーカオス】ザド!?(【仮面ライダーカオス】だと!?)ズザベダボドゾ!?(ふざけた事を!?)

 

 そう言って【グロンギ】は俺に向かって殴りかかってくる。どうやら【リント】の言葉は使わないが理解できるようだ。

 

「はぁぁ!!」

「グッ!」

 

 【グロンギ】の攻撃を右手で逸らし空いた左手で顔を殴ろうとしたが空いている手でガードされてしまった。

 

「じゃあコレならどうだ!」

 

 俺は4本の触手を使い【グロンギ】を捕まえようとするが、相手も相当警戒しているようで躱すか腕で弾く。

 

「ハッ!!」

「ぐっ!」

 

 触手を操るのに集中したスキを見逃さずに【グロンギ】は触手を避けたと同時に左腕をこちらに向け膨張させ杭を飛ばしてきた。

 

《触手はなれてぇねぇからどうしてもスキが多いな》

(そうだね。でも勝つよ)

《ほぅ。言い切ったな。どうした?いつものお前らしくねぇな》

(そうかな?)

《そうさ。でもまぁ・・悪くねぇな》

(そっか)

 

 俺は触手を操るのを一旦諦め拳に力を込める。

 【クウガ】では封印エネルギーと言える物を相手に注ぎ込んで倒していた。もしかしたら拳にもその封印エネルギーを溜めれるのではと試したら。

 

「あ、できたわ」

ゴ、ゴンヂバサパ【クウガ】!?(そ、その力は【クウガ】!?)ジャザシビガラ!【クウガ】バ!(やはり貴様!【クウガ】か!)

 

 俺の拳にうっすらと光の膜が出来ている。これがたぶん封印エネルギーだろう。

 

「俺は【仮面ライダーカオス】だ!」

ぐガァぁ!!(ぐあぁぁ)

 

 驚いてガードが間に合わなかったのか、うまい事腹に一発入れてやった。

 

「グ、グアァァァァ!?」

 

 ダメージは与えられたが身体に変化はなさそうだ。明らかに封印エネルギーは不発のようだ。

 

(あれぇ?おっかしいなぁ。【クウガ】の封印エネルギーで身体にひび入るのでは)

《いや、そんなに【クウガ】の力ねぇから》

(それもそうか)

 

 ここでネタ晴らしをすると俺の【ホラー】の能力は吸収だった。正確には【ホラー】【アギト】【オルフェノク】の全部合わさってだが。

 

 俺が試した事とは【グロンギ】の力を吸収して【クウガ】の能力を手に入れれないか?という事だった。

 

 元は同じ力だったはずなのでいけるのではないのかと試した。

 どうやって【クウガ】の力を吸収したのかは杭を吸収した。杭は元は【グロンギ】から出ている物だし力を込めてるだろうしいけるのではと【コア】にずっと触手で吸収して周ってもらった。

 結果・・・

 

《大体20%ぐらいだな》

(な、無いよりマシレベルだ・・)

 

 たぶんこのベルトとか足で限界だろう。つまり封印エネルギーも20%か・・・

 

《でも【クウガ】を手に入れたおかげで他の能力が活性化したから大幅なパワーアップにはなったな》

(なら他の力を手に入れればもっと強くなれそうだね)

《ああ。でもまずは目の前の敵に集中しろよ》

(おう!)

 

 触手を操るとスキが多くなるので攻撃と同時に動かせばスキが減るのではと試す。

 

 左腕で【グロンギ】に殴りかかりついでに触手を一本同じ様に動かす。

 

「はっ!」

「ッグ!」

 

 右手は受け流され触手は顔を逸らして避けられたが、先程の攻撃はダメージになってるようで先ほどより動きにキレが無い。いけるぞ!

 

「はぁぁ!!」

 

 更に踏み込み相手の懐に入り裏拳で【グロンギ】の心臓部分を殴る。触手は鞭の様に撓らせ左右から挟むように同時に攻撃する。

 

「グアァァァ!!」

 

 先に鞭をガードするしかなかった【グロンギ】は裏拳が当たる直前に杭を出し直撃を防ぐ。

 カウンターを受けた俺の右腕の掌は酷い有様だったが【グロンギ】は衝撃で廃工場に吹き飛び距離が空く。

 

「ぐ、ぐぅぅ・・」

《お前アホだろ》

「違うんだ。あまりにも思い通りに身体が動くからつい・・」

 

 昔イメージ通りに動けたらスポーツとか楽しいだろうなと思っていたが実際に動いたら予想以上に楽しい。なんちゃって中国拳法とか出来る。だが今回の代償は右拳だ。

 

《あ~こりゃ治すのに時間がかかるぞ》

(マジか・・・)

 

 しかも戦闘が不利になった。調子に乗るんじゃなかった・・

 

 廃工場に飛んで行った【グロンギ】を追いかけて中に入る。

 埃が舞い夕日も落ち、周囲も暗くなってるせいですごく視界が悪い。

 

《まずいな・・》

(どうした?)

《相手は戦闘のプロだぞ?素人に毛が生えたレベルのお前が戦えたのは相手のプライドを刺激し熱くさした事もあるが一番は怒涛の変身で驚かしたからだ。その熱くなって冷静じゃないはずの【グロンギ】がいないのはなんでだ?》

 

 ガタ

 

 廃工場の奥から物音と共に黒い杭がいくつか飛んでくる。

 

(!?杭が見えねぇ!?)

「っ!」

 

 黒い杭がこの視界の悪さで見えず運良く何本かは触手と左腕で弾けたが少し脇を掠ってしまった。

 

 右手で掠った部分を抑えていると更に別の方向からガタっと音がして杭が飛んでくる。

 

「くっぅぅ!!」

《ちっ!アイツ一番嫌な事を・・》

 

 今俺達の一番困る事は死ぬ事だ。つまり最悪逃げられてもいい。触手があるおかげで接近戦はいい勝負が出来るが【グロンギ】に冷静に狩り(・・・・)をされるのが一番困る。

 

 【グロンギ】は更に別方向から物音と主に攻撃してくる。目が慣れて被害は減らせたがこのままだとジリ貧だ。

 

 5回ほど攻撃をされて始めの脇の傷から頬、左足、右肩を掠り、体力と精神力はガリガリ削られる。

 

「はぁ・・はぁ・・」

《くっそ!せめて視界がよければ・・・》

 

 ガタ

 

「!?」

 

 また物音が聞こえてそこから杭が飛んでくる。しかし今回何故か違和感を感じた。

 

(なんだ?さっきと違う気がする・・)

《なに?なんだ?何が違うんだ?・・後ろだぁぁぁ!》

「!?しま」

ドダダ!(取った!)

 

 触手で弾いた時に気付いた。飛んでくる杭の数と強度が違う!

 その時にはもう遅く【グロンギ】は右腕をデカイ杭に変化させ物音せず背後に移動してきて飛びかかってくる。

 

 

(間に合え!?)

 

 俺は気が付いた瞬間身体のプロテクターを攻撃が当たるであろうお腹の辺りに集中させる。

 

「うぁぁぁ!!がぁぁぁ!!!」

バンザド!?(なんだと!?)

 

 プロテクターは少しだけ間に合って直撃は避けれた。身体に少し刺さったが杭を止め事が出来た。

 そしてその後プロテクターが順次集まってくるのでそのままプロテクターで拘束する。

 

「ぐぐぐぅぅ!!」

《よぅし!!よくやった!離すなよ!》

ゲゲギ!ザバゲ!(ええい!離せ!)

「ぐっ!」

《気張れ!》

「ぐぐぐ・・」

 

 プロテクターで杭を拘束しつつ吸収していく。ちょっとづつ力がこちらに流れているのがわかる。

 

ヂ、ヂバサグ・・・(ち、力が・・・)ボギヅラガバブデデギスボバ!?(コイツまさか食っているのか!?)

 

 わかった所で遅い!腕を吸収しているので【グロンギ】は思いのほか力が出せないようだ。

 

《もっとだ!もっと寄越せぇぇぇ!!!》

ぐ・・・パ、ザバゲ!(ぐっ・・は、離せ!)

 

 【グロンギ】の身体が膨張して体中から杭が飛び出してくる。

 

「ぐっ・・離、なすかぁぁぁぁ!!」

バビィィ!?(何ィィ!?)

 

 顔の下半分を保護していたプロテクターまで吸収に回しているので杭が頬をパックリと切り裂いたがそれでも俺は離さない。

 

ヂィィィ!(ちぃぃぃ!)

「なっ!?」

 

 【グロンギ】は吸収している腕からプロテクターが徐々に伸びている事に気付くと左腕で自分の右手を切断し俺の腹を蹴り、その衝撃でかなり離れてしまう。

 

「ぐっ・・な、なんて奴だ」

「ハァハァ・・・ビガラァァァァ!!(貴様ぁぁぁぁ!!)ジュスガン!(許さん!)ゼダダギビジュスガンゾォォォォォォ!!(絶対に許さんぞぉぉぉぉぉぉ!!)

 

 片腕を失い【グロンギ】は怒りのまま吠える。先ほどまで少し余裕があった気がするが今は完全に切れている。

 

《ゲップ・・失礼》

(どうだ?)

《ああ。大分手に入れたぜ。攻撃に集中させて封印エネルギーは50%だな》

(十分!)

 

 俺は試したい事が出来たので足に封印エネルギーを集中させ走り出す。

 

ボソギデジャス!(殺してやる!)ゼダダギビボソギデジャス!(絶対に殺してやる!)

 

俺が走り出したのを見て【グロンギ】も走り出す。その姿を確認して俺は触手を全て最大に伸ばし【グロンギ】に向け攻撃する。

 

 【グロンギ】は残った左腕を大きな杭に変化させる。自分の右腕の血でその杭は真紅の杭になっていた。

 

「ハァァァァァ!!」

 

 【グロンギ】は狙い通り(・・・・)俺の触手を弾く。

 

 俺は【グロンギ】が触手を弾いた瞬間に飛び上がる。【グロンギ】からしたら触手を弾いた瞬間俺の姿が消えたように見えただろうな。

 

ギベェェェェェ!!!?(死ねぇぇぇぇぇ!!!)

 

 【グロンギ】が俺の姿を確認した時は・・・

 

「!?」

「もう遅い!!」

 

 ジャンプし空中で急速に加速し【グロンギ】に向かう。先ほど弾かれた触手は周囲に食い込み、俺を急速に巻き取る。これが俺の

 

「ライダーキックだぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

「!?」

 

 走りと触手での加速でかなりの速度になった俺の蹴りは【グロンキ】の真紅の杭を風圧と封印エネルギーで弾き胸に向かって行く。

 

パリン!!

 

「なっ!?っぐぁぁぁ!?」

「!?」

 

 ライダーキックが決まる瞬間に結界にヒビが割れ真っ白な手斧が飛んできて俺をに当たる。

 運良く封印エネルギーが集中している所でよかったが身体にあたっていたら死んでいた。

 

 【グロンギ】はその光景に一瞬唖然としていたが結界も崩壊し始めているし先ほどのライダーキックのせいで真紅の杭にヒビがいってる事に気づき冷静になったのか逃走してしまう。

 

「あ、くっそ!」

《おい!やべぇぞ!結界が壊された!》

「わかってるよ!」

 

 俺は飛んできた手斧を回収して出来るだけ早くその場を後にする。

 

 【グロンギ】を逃がしたのは辛いがあの傷だ。当分は動けないだろう。しかしこの手斧は・・・

 

《・・・・おい!アレ見てみろ》

 

 【コア】が言う方向を見ると結界が無くなっていく風景に白い光る輪っかが見える。

 

「・・・【アンノウン】」

 

 天使、使徒。神の使いで【アギト】を殺す者。

 遥か昔、世界を創造した一人創生者【テオス】の【闇の力】の下僕がそこにはいた。

 

《おい!今の状態で【アンノウン】はやべぇ!逃げるぞぉ!》

(ああ!)

 

 俺は地面を蹴り廃工場の天井を突き破り屋上に出る。

 触手を先行させジャンプしては触手に引っ張らせ全力で逃げる。

 

 【アンノウン】の姿は確認出来なかったが、あの輪っかは絶対に【アンノウン】だ。

 アイツ等は凄くしつこい。【アギト】の力は遺伝しやすいので【アギト】の発言者を一人見つけたらその親類まで襲う奴らだ。

 

 今の状態は非常にヤバイ。全身に大ダメージに慣れない身体に俺達の罠結界を軽々砕くあの攻撃力はマジでヤバイ。たぶんあの【グロンギ】より強い。

 

(どうだ!追って来てないか?)

《ああ。今の所は追っては来てねぇ》

 

 街外れの廃工場から隣町まで逃げてきた。夜で視界が悪かったのが良かったのかどうやら逃げられたようだ。

 

「はぁはぁ・・・」

《大丈夫か?》

(ああ・・)

 

 俺は隣町の路地に身を隠し一息付く。周囲には表通りのお店の残飯や生活ゴミ等が置いてって中々酷い匂いがしたが見つからないようにする為に我慢した。

 

《・・・・どうやら逃げ切れたみたいだな・・》

(ああ)

 

 本当に逃げ切れたかはあやしい。【アンノウン】の中にはテレポートが出来る個体がいたはず。特にこの手斧を投げてきた個体の姿を見ていないのでなんの個体かわからないので対策すら出来なのが辛い。

 

《しっかしまさか【グロンギ】に引き続き【アンノウン】まで会うとはな》

(【アンノウン】にはいつか会うと思ってたけどね)

 

 なんせ【アギト】絶対殺すマンだしな。俺達の結界が【アギト】の力をベースに作ってる以上時間の問題だったがタイミングが酷い。

 

《とりあえずここにいても仕方ねぇ。戻ろうぜ》

(そうだね)

 

 少しゴミっぽい臭いが移ったかもしれないが仕方ない。歩きではしんどいし、電車で帰ることにした。ちょっと周囲の目が気になった。【アンノウン】許すまじ。

 

 

 

 




 グロンギよりも強いアンノウン。アンノウンより強いホラー。じゃあオルフェノクは?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦いの後

 今回は繋ぎのお話。だから短いです。


 なんとか無事に帰ってこれた。途中帰り道と買い物している最中身体のに付いた路地裏の臭いのせいで周囲の目が気になりメンタルをガリガリ削られてすごくしんどかった。

 

《いや。もっとあるだろ?》

(あったけど・・・)

 

 バイト《餌場》からの帰り道で【グロンギ】に襲われ罠にかけたら殺されそうになって【クウガ】の力をギリギリで手に入れて復活、【グロンギ】を追い詰めるもあと一歩の所で【アンノウン】《【アギト】絶対殺すマン》に邪魔され逃げられる。

 

《まあ、そんな所だな》

(とりあえず風呂だ。お腹も減ってるけど風呂入りたい)

《お~お~入ってこい入ってゆっくりしろ》

 

 家に戻り、風呂を沸かし、沸かしている最中に買ってきた食材等をしまい風呂に入る。

 

「あ~疲れた~なんでこんな目に遭うんだ」

《そりゃそういう運命なんだろうな》

「運命とか本気でないわ」

《ああ。マジでない》

 

 そんなバカ話をしつつ身体を清めて食事を作ってご飯を食べる。今日のメニューは麻婆豆腐だ。

 

《あ~クソ。腹へった~早く作れよ》

「ハイハイ」

 

 フライパンに多めに油を引き、潰した刻みニンニク、生姜を入れて油に味と香りを加える。

 

《かあぁぁ!この匂いたまらん!》

「わかる。美味しそうな匂い」

 

 【陰我】を喰らいはじめて少ししてから【コア】と味覚、嗅覚、触覚(一部)を共有し始めた。触覚はまさかの口の中限定だ。痛みは共有せず食べた味、触感、香りだけ共有だ。

 

 ミンチを入れて火が通ったら豆板醤やラー油で辛味と旨味を加える。

 

《おい、豆板醤入れすぎじゃね?》

「いやいや、こんなもんだよ」

 

 旨味と辛味を加えたらスープを加える。スープの中身はスープの元、味噌、醤油、砂、酒をベースに作る。これらが辛味、旨味、甘味になる。

 

《・・・・・めっちゃ赤いぞ?》

「そう?こんなもんじゃない?」

 

 正直な話俺達には食事は娯楽で【陰我】を喰らっていれば生きていけるらしいが人間として食べた方がいいらしく、食費がかかるが食べている。

 

 肉を潰さないように丁寧にかき混ぜる。

 

《・・・やっぱり豆板醤入れすぎだって。クッソ辛そうな匂いがすんぞ?》

「大丈夫大丈夫」

 

 ちなみに《コア》は食事が大好きで辛いものやすっぱいのが苦手な所謂子供舌だ。

 

 煮ったら味見をする。ここで味を調えて後は豆腐を入れる。豆腐は俺は賽の目に切らずにスプーン大きめに掬っていれる。

 

《おいぃぃ!やっぱり超辛いじゃねぇかぁ!》

「大丈夫だって後で食べる時はそこまで辛くないから」

 

 俺は豆腐の中までアツアツは好みじゃないので煮たったら一旦火を止め、水溶き片栗粉を少しずつ入れてとろみを出す。この時火を止めないと早く固まるし水溶き片栗粉を一片に入れたらとろみの調整が難しい。

 

《あ~クッソ辛そうな匂いと真っ赤なじゃねぇか・・・》

「大丈夫大丈夫」

 

 このままだと粉っぽさが出るので弱火でもう一度煮立たせる。これで粉っぽさも消えるし味が引き立つ。煮立ったら酢を少しだけ加え酸味を出す。で・・・

 

「ここで山椒をたっぷりと加え器に移す。最後にごま油を垂らして完成だ!」

《やっぱり辛そうだぞ!》

 

 俺はここで山椒を入れる。山椒大好き。凄く山椒のピリ辛と唐辛子の辛さは違うからクッソ上手い。

 

「麻婆豆腐は辛味、甘味、酸味等が全部入るから美味しいんだよ」

《ホントかよ・・》

 

 米も炊けているのでテーブルに水、米、麻婆豆腐を並べて・・・

 

 

「《いただきます!》」

 

 まずは麻婆豆腐をレンゲで掬って・・・うん!山椒のビリからで唐辛子の辛味が抑えられて丁度いい!。ごま油の香りで食欲も刺激されるし豆腐の中が程よいからパクパク食べれる。

 

《うっんめぇぇぇぇぇ!!!でも辛れェェェェ!!》

「うん。でも美味しいでしょ?」

《ああ。舐めてたわ。辛いが旨みがやべぇ》

「で・・これをご飯の上に少しかけて・・」

《あ~絶対美味い。それは絶対美味いわ》

 

 うん!美味い!コツは御飯を少しだけ固めに炊く事だ。余れば焼き飯に出来るし雑炊にしても美味しい。

 

 

《いや~満足満足》

「うん。美味しかった。こうゆう辛味もいいでしょ?」

《ああ。ちょっと舐めてたわ》

 

 食事を終えまったりする。テレビでは今日のニュースがやっていた。

 

『本日、夕方頃京都都内に未確認生命体が出現しました。また未確認生命体は2体出現していたとの情報もあるため近隣の皆さんは注意して・・・』

 

 これは【アンノウン】の事か?それとも俺の事か?

 

《いや、お前の事じゃね?【アンノウン】の出現場所は違う場所だったし》

「あ~確かに」

 

 【グロンギ】は街中に出てきたからニュースになってたが【アンノウン】は町外れの廃工場だ。確かにニュースでは京都都内って言ってたな。

 

「まさか俺が未確認生命体厚かになるなんて・・・」

《まあそんなこともあらぁな》

「ねぇよ」

 

 翌日、仕事終わりに仕事先の結界を改良する。結界は紙に俺の血で魔界文字を書いた呪符を建物に設置して発動していた。この方法は【ホラー】の術式を使い、【アギト】等の力で発動していたので【魔戒騎士】に探知されなかったが・・・

 

「【アンノウン】には探知されるよね」

《ああ。奴らの探知能力はピカイチだからな、今までよく探知されなかったな》

「運が良かったんだね」

 

 どうしようか?安全に【陰我】を喰らう為には【ホラー】の力を隠す結界が絶対に必要だ。【ホラー】の力は【魔戒騎士】に、【アギト】の力は【アンノウン】を呼び寄せてしまう。【クウガ】の力は結界なんて張る事は出来ない。

 

《【魔戒法師】の力ならどっちも大丈夫なんだがな》

「確か【魔戒騎士】の技術職だよね?」

《近からず遠からずだな》

 

 【魔戒法師】とは筆、札、僕等のアイテムを作ったりアイテムで【ホラー】と戦う人達らしい。あの喋る指輪も【魔戒法師】が作ってるらしい。

 

《【魔戒法師】には【ホラー】を閉じ込める結界なんかも作り出せるからそれを使えば【魔道輪】に探知されずに【ホラー】の力を使えるのに・・》

「まあ、無いものをねだっても仕方ないよ。とりあえずあるもので何とかしなきゃね」

 

 どうしよう?逃げられた【グロンギ】もどうなるかわからないしこのまま力を付けずに生活するのは非常に怖い。

 

「先輩。どうしたんっすか?そんな隅に座って?」

 

 職場の結界を張っていた場所に長く居すぎたみたいで、後輩に声をかけられてしまった。

 

「ん?ああ、ちょっとな。俺はそろそろ帰るけどお前はどうする?」

「あ~俺はもう少しここでゆっくりしてくっす。最近物騒なんで気を付けて帰ってくださいよ」

「ありがとう。じゃあ、お疲れ」

「お疲れ様です」

 

 これで今の俺の強くなる方法は無いわけだが・・・なんか仕事をやめた感覚というか喪失感がある。

 

《あってもおかしくねぇよ。【陰我】を喰う事が出来なくなったんだ。これからどうする?》

(ん~やっぱり人は襲えない。どうにかして結界を張る方法を探そう)

《だな。人を襲うのもいいが、俺はパチンコ屋があってたな》

 

 帰り道は今まで使っていた道を変え違う道から帰る。あの騒ぎで行き難いもあるけれど、あの【グロンギ】に待ち伏せされるのが怖い。

 

《しっかしどの道を通っても変なヤツはいるな》

(まあね)

 

 今【コア】が言ってるのはブンブンと騒音を立てながら走るバイク数台だ。

 

《アイツらなら死んでも大丈夫じゃないか?》

(気持ちはわかるけど・・・)

 

 騒音は迷惑以外の何者でも無いので嫌いだが喰い殺すか?と聞かれればNOだ。

 

 無事、襲撃されずに帰ることが出来た。毎度襲撃されても困るがぶっちゃけこの街には【魔戒騎士】【グロンギ】【アンノウン】が居るからそれなりの確率でヒットしそうだ。

 

《まあ、【グロンギ】は集団で行動するからこの街に相当数いるかもな》

 

 【グロンギ】には階級が存在すると同時に【ゲゲル】を管理する神官職の【ラ】。主に技術班で主に【ゴ】の武器を造る【ヌ】がいる。前回の【グロンギ】は【メ】。【ゲゲル】を監督する【ラ】は確実で、もしかしたら上位の【ゴ】、その武器を造る【ヌ】もいるかも知れない。

 

 

 部屋に戻り今日はソース焼きそばを作り、美味しく頂く。

 

 

《あ~ソースの香ばしい匂いと濃い味がうめぇぇ》

「うん。キャベツもいい感じで美味しい。そういえば、あの【グロンギ】はどうしたんだろう?」

《あ~死んでんじゃね?あの蹴り攻撃で相当ダメージがあるからな》

「もぐ、そうか。もぐもぐ、なら新しい【ゲゲル】が始まるかもね」

 

 その時、適当につけていたテレビのニュースから緊迫したようなアナウンサーの声がする。

 

『本日5時頃、京都市の立体体育館に未確認生命体が現れました。当時、巡業で訪れていた大相撲所属の力士が多数襲われ・・・』

 

《あ~噂をすればってやつだな》

「・・・うん」

 

 【仮面ライダー】界の中でも【グロンギ】は中々酷い設定だ。人類を【リント】と呼び【リント】を殺すゲーム【ゲゲル】をする。作中の中でも【リント】に歩み寄る【グロンギ】は殆ど居らず、残虐な性格を持つものが多い。

 

《狩りに行くか?》

「・・・」

 

 ぶっちゃけあの時・・・【グロンギ】を蹴り殺そうとしたのが不思議で仕方ない。やっぱり俺は【グロンギ】に殺されそうになった事で殺そうとしたのかな?殺人犯は殺していいって理論は余り好きでは無かったが自分で体験した事で変わったのかな?

 

《どうする?俺はどっちでもいいけど》

「俺は・・・」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間 グロンギ族

 後数話でストックが切れます。まあ書いてるんでどんどん上げます。


「グッ!!グギギギィィィ!!がアアァァァ!!!!1」

 

 深夜の森の中に不気味な声が木霊する。周囲生き物はその声と物々しく重く湿った空気を恐れ姿を消している。

 

「ギギ!!ガガガァァァァ!!アァァァァ!!!」

 

 声の発生源の近くには小屋があり、どうやら小屋の奥の洞窟の中から声が聞こえていた。

 

ガガ!!(ああ!!)グスゲぇ!!(うるせぇ!!)ザラサゲソ!(黙らせろ!)

 

「おい。ここでは【リント】の言葉で話せ」

 

「チッ」

 

 小屋の中には数人の男女が各々に座っていた。【グロンギ語】を話した、痩せこけた身体に白いタオルを頭に巻いた作業服の男は、ボロボロのソファーに寝転がり。【グロンギ語】を注意した大男は、柔道着のような物を着て目を瞑り椅子に座っている。

 

「彼女は【ゲゲル】を成功させたわ。彼女の方が貴方たちより上よ」

 

 壁に置いてある少し錆びたドラム缶の上に乗っていた、可愛らしい紺色の学生服を着たサイドテールの中学生ぐらいの女の子はそう言うとドラム缶を降り部屋の中央に移動する。

 

「さて・・・次は誰がゲームをするの?」

 

「俺だ!俺がやるぜ!」

 

 女の子の発言に機嫌を悪くしていたソファーの男は嬉しそうに飛び上がり椅子を壊しながら着地する。

 

「【ギャッラ】ねぇ~。【ガブル】はどうする?」

 

 その発言に【ギャッラ】と呼ばれた男は先ほどの嬉しそうな顔を歪ませる。

 

「・・・私が行く」

 

「あぁ!?俺が行くって言ってるだろが!?」

 

 【ガブル】と呼ばれた男がそう言うと【ギャッラ】は大きな声を上げる。その発言を聞いても【ガブル】は我関せずと話す。

 

「私はアイツの次に【メ】に上がった。次は私だ」

 

 その話を聞いていた女の子が腕を組み考え始める。その姿を見た【ギャッラ】は更に顔を歪め抗議する。

 

「いや!俺だ!俺の番だ!」

 

「私だ」

 

 二人は立ち上がり睨み合いを始める。何か切っ掛けがあれば殺し合う雰囲気に女の子はため息を吐く。

 

「アァァァァアアァァ!!!」

 

「アアァァ!!!うっせぇぞ!!【マドラ】!!黙らせろ!!」

 

 その言葉を聞き【マドラ】と呼ばれた女の子は頭を抱える。

 

「だから【ギャッラ】、【メ】の貴方に【ゴ】の【サポウ】に意見する権利は無いわ」

 

「だったら!次の【ゲゲル】は俺だ!」

 

「いや、私だ」

 

「ああぁ!?」

 

 二人また言い争いを始める。言い争いと森に木霊する叫び声をBGMに【マドラ】は考える。

 

(正直【ゲゲル】はどっちにやらしてもいいけど問題は【ン】。彼は飽き性だからいつ動くかわからない・・・【ゴ】に上がった【サポウ】はたぶんもう駄目だから、この二人の内どちらかを【ゴ】に上げないと・・・でもこの街で【ゲゲル】をするには【サポウ】が戦った【クウガ】は危険過ぎる・・・二人はほぼ【サポウ】と一緒ぐらいだし、ここで【ゴ】になられず死なれるとかなりマズイし・・)

 

 思考の海に潜っているとふと二人が外に出ていく姿が見える。どうやら殴り合いで順番を決める事に決まったらしい。正直【ゲゲル】以外で殺し合いは御法度だが・・順番を決めるだけだし大丈夫だろう。そう思いもう一度思考の海に潜ろうとした時に違和感を感じる。

 

(ん?そういえば・・・)

 

 違和感が気になりそちらに思考を移すと声が止んでいる事に気が付いた。この数日聞こえていた呪詛、叫び声、悲鳴が聞こえない。

 

(・・・流石にあの傷じゃあ無理だったわね・・)

 

 ここに来た時点で身体の崩壊は始めっていたし、よく【ゲゲル】を成功させたと思ったぐらい気力で持っていたのだ。寧ろここまで生きれると思わなかった。

 

(後で処理しとかなきゃ)

 

 死体の処理の事を考えると憂鬱だが仕方ない。【ゲゲル】を失敗した者はその代償に死体も残らず爆発四散するが【ゲゲル】以外・・・自然死した者は死体は残る。

 

(?)

 

 そう考えて周囲から音が消えている事に気が付く。あの二人の音が聞こえないのだ。予想では殴り合いをしているものだと思ったが違ったのか?

 

 ドッゴン!!!!!

 

「!?」

 

 凄まじい音と共に周囲が揺れる。その衝撃でパラパラと天井のホコリが落ちてきて、寝ていた遠くの鳥達が一斉に羽ばたく音が木霊した。

 

(音の方角は・・・・洞窟!?)

 

 洞窟の方から音がしたので【マドラ】は小屋を飛び出し洞窟へ向かう。

 

 洞窟は暗く湿気が強く奥から酷い匂いと生暖かい風が吹いてくる。【マドラ】は服に汚れが付かない様に器用に奥に進んでいく。

 

 いくつかの分かれ道を通り、奥の大広間に辿り付いた時に音の原因がわかった。

 

 大広間と呼ばれた場所はかなり開けており100人程が入れる空間になっている。光源は光る特殊な苔で辺りに生えている為夜目が効かずとも程々には全貌が見える。

 

 大広間には大小様々な大きさの棺が辺りに乱雑に転がっており蓋の空いている物がほんとんだ。そんな大広間の中心部分が大きく抉れていた。抉れている中心には見たことの無い棘棘の人型の【グロンギ】がいて、壁にめり込んでいる二人をじっと睨んでいた。

 

「・・・サ・・【サポウ】?」

 

 私のその言葉に棘の【グロンギ】はこちらを見た。目は赤黒く光り、見られただけで心臓が止まるかと思う程の威圧感受ける。

 

「・・・【マドラ】・・」

 

 その言葉と共に威圧感は消えて行き、ずっと息を止めていたことに気が付いた。

 

「はぁ・・はぁ・・・」

 

 【グロンギ】最強はの称号は【ン】。私達【グロンギ】が持っている力を【ゲゲル】で徐々に開放していき、最後に【ン】と戦い勝った者が【ン】を受け継ぐ。

 

 私は【ラ】。【ゴ】に昇格した後【ラ】の神官職に就くか【ン】への昇格を目指すかの選ぶ時にに【ラ】を目指した者。【ン】も見たこともあるし私自体【ゴ】の力を持っているが・・・

 

(こ、これが【サポウ】!?)

 

 【ン】程の威圧感を最大開放していない状態で放ち、周囲の光景を見るとその攻撃力も凄まじい。【ゴ】でこれほどの力を持った【グロンギ】は見た事が無い。

 

「・・・グ・・」

 

 その凄まじい力を出した【サポウ】は膝を付いた。どうやら身体は治っておらず未だ危ない状態のようだ。

 

「ググガァ・・」

 

「ググ・・・」

 

 壁にめり込んだ二人も意識を取り戻したのか呻き声が聞こえる。ぱっと見た感じ【ギャッラ】の方がダメージが多そうだ。

 

 まずは【サポウ】の治療する為に【サポウ】に近づく。【ラ】の神官には様々な能力があるが私の能力は傷を少し癒すことが出来る。先程までの【サポウ】は崩壊が始まっていた為効果は無かったが今の【サポウ】は効果があるだろう。

 

 二人は後回しだ。正直【ン】を満足させる為には【サポウ】が一番だろう。この二人はスペアで【ゲゲル】をさせその間に【サポウ】を治療し準備を整え【ゲゲル】をさせる。

 

「・・・・・」

 

 【サポウ】の限界をきて身体が元に戻る。その姿をみて【マドラ】は愛おしそうに髪を撫でる。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

やらかし為に再投稿 周りの変化

 やってしまった・・・ストックを投稿してしまいました。これが正しい時系列です。ごめんね・・・


 【グロンギ】の襲撃から数日後。俺の身体と周りの変化を聞いて欲しい。まず俺の身体の変化だが傷の治るスピードが滅茶苦茶上がった。切り傷ぐらいなら1分もかからない。更に視力も跳ね上がった。プロボクサーも真っ青な程の動体視力に、とんでもなく遠くまで視れる視力になった。

 

 

 

「このプロテクター変身しなくても出るようになったね」

 

《ああ。これも【クウガ】のおかげかねぇ》

 

「たぶんね」

 

 

 

 変身したら出てくる液体金属のような灰色のプロテクターが変身前・・生身の身体に出てきた。便利だし身を守れるからいいんだけどね。

 

 

 

 後は・・・・

 

 

 

 

 

「ん?」

 

《なんだ?》

 

 

 

 その日、仕事から帰ると玄関に灰色に青い蝶蝶のリボンがしてある手紙が落ちてる事に気が付いた。

 

 

 

「手紙・・・誰だ?」

 

 

 

 手紙なんて今まで貰う事なんて無かったし書く事も無い・・・誰だろう?しかも部屋のポストに直接ってのかよくわからん。マンションの下にポストがあるだろう。そう思い裏返すと・・・

 

 

 

「・・・・は?」

 

《っ・・・マジかよ・・・》

 

 

 

 裏には見たことがあるロゴと【スマートブレイン社】と書いてあった。

 

 

 

(・・【コア】・・)

 

《・・周囲には誰もいねぇよ》

 

 

 

 俺は急いで手紙を開け、中身を見る。要約すると話がしたいから今晩ディナーでもどうですか?って事だった。

 

 

 

 俺は壁にもたれ掛かり、そのまましゃがみ込んだ。膝が震えているのがわかる。

 

 はっきり言って怖かった。【魔戒騎士】【グロンギ】に襲われ死にそうになったし実際に死んだがここまでの恐怖は無かった。這いよる恐怖。理不尽な恐怖では無く、底無し沼や深い海の底、に近い本能的な恐怖だ。

 

 

 

《・・・迎えが来たが・・・どうする?》

 

「・・・・」

 

 

 

 【コア】が迎えに気が付いたみたいだが・・・はっきり言って断れない。俺にここから手紙が来る時点で俺の正体はバレている。どこだ?どこでバレたんだ?まず俺は【グロンギ】と戦った時しか変身していない。もしかしら【アンノウン】から逃げる時に?

 

 

 

ピーンポーン

 

 

 

 俺の部屋のチャイムが鳴る。逃げる選択肢は無い。もしここで逃げたら一生追われる日々だろう。ここで逃げずに話を聞いてから考えた方が現実的だ。

 

 

 

「・・・はい」

 

 

 

 部屋の扉を開けるとそこには高級そうな黒いスーツ姿の、目が細く不快にならない程度の笑みを浮かべた、物腰が柔らかそうな年配の男性が立っていた。

 

 

 

「お初にお目にかかります。私スマートブレイン社の京都支部【黄瀬 康也きせ こうや様】の付き人の【黒谷 大鬼くろたに おおき】という者です。お迎えに上がりました」

 

 

 

 【黒谷】さんと名乗る人は綺麗な一礼をして、手をどうぞ進んでくれと言わんばかりに廊下に向ける。

 

 

 

(【コア】・・)

 

《ああ・・この爺さんはヤベェ・・・あの【グロンギ】より強ぇ》

 

 

 

 笑顔の奥に潜む凄みと言うか雰囲気がヤバイ。あの【グロンギ】も歩き方、話し方、雰囲気で強者の余裕のようなモノを感じたが、この【黒谷】さんは立っているだけ、一礼しただけ、話しただけで威圧感が半端じゃない。

 

 

 

「どうかされましたか?」

 

 

 

 【黒谷】さんは俺が一向に動かないから警戒心を上げたようで表情や話し方は変わっていないが雰囲気に変化が現れる。

 

 

 

 じんわりと汗をかくし喉も渇いてきて緊張しているのもわかる。

 

 

 

「いえ・・・」

 

 

 

 俺は震える足でゆっくりと歩き出す。玄関を出るとマンションの前に黒い高そうな車が停めてあった。

 

 

 

「頭にお気をつけください」

 

 

 

 【黒谷】さんが車の後部座席の扉を開けてくれるので後ろに座る。座席が思った以上に柔らかくてでこんな状況でもテンションが少し上がってしまう。

 

 

 

《・・・思ったよりフカフカじゃねぇか・・》

 

「っ」

 

「どうかされましたか?」

 

「い、いえ・・」

 

(ちょっと笑わせるのやめてもらえます?)

 

《しゃぁねぇだろ?そう思ったんだからよ》

 

(これからどうなるかわからないのに呑気な事を・・・)

 

《わかんねぇからだよ。あの爺さんだけで俺達は勝てねぇんだ。殺す気、実験台にする気ならとっくにされてるよ》

 

(確かに・・)

 

 

 

 言われて見ればそうだ。

 

 

 

 【スマートブレイン社】とは【仮面ライダー555】に出てくるヤバイ会社で【オルフェノク】の会社だ。表向きは家電から食品まで手がける大企業だが、裏では【オルフェノク】の支援、教育、実験、捜索等を手広く行っている。社員、特に上層部はほぼ全員が強力な【オルフェノク】だ。

 

 

 

 【スマートブレイン社】の最終目標は【オルフェノクの王】を探し出す事でその王を護衛する鎧が【ライザーズギア】・・・【仮面ライダー555】だ。

 

 

 

 車の中ははっきり言って快適で、考え事するにはうってつけだ。金持ちの高級車乗る気持ちがわかった。

 

 

 

 さて、考える事はいつくかある。一つは【スマートブレイン社】の目的、もう一つは俺の身の振り方だ。

 

 

 

 目的は・・・なんだろ?俺の身体(深い意味は無い)が目的なら拉致されてるだろうしなんだろ?

 

 

 

《案外普通に御飯呼ばれただけかもよ?》

 

(ねぇよ)

 

 

 

 ありえるとしたら俺の変身後の姿を見られて警戒されているかな?まずどうやって俺の姿と場所を特定したかだ。監視カメラ?・・・・あ。

 

 

 

《・・・なる程・・・それは確かにありえるな》

 

(ああ。確か【スマートブレイン社】は自社の人口衛生を持っているはず・・)

 

 

 

 作中で【仮面ライダー555】が上位フォームに変身する時、人口衛生からの信号で変身していたはずだ。その人工衛星が地表の映像を記録していたなら俺の行動もわかるだろう。

 

 

 

 つまり詰んでる・・・誤魔化し聞かないからある程度真実は話さないとマズイだろう。またこれから生きるのに【スマートブレイン社】に反抗は出来ない。

 

 

 

《まずは【オルフェノク】だって事は説明は絶対にいるな》

 

(うん。後はどう?【ホラー】は無理でも【アギト】ぐらいは言っておく?)

 

《いや・・・まずは中途半端な【オルフェノク】である事は伝えよう。なんでプロテクターの事は聞かれたら自分から言って全身変身は出来ないって言おうぜ》

 

(嘘は言ってないしね)

 

《ああ。【オルフェノク】で全身変身は出来ないしな》

 

 

 

 交渉事でもなんでもそうだが人間は思ったより嘘を見抜く力がある。特に上に立つ人間はそれに敏感な人が多く受け取り方次第と言うのは重要だ。後は信用だ。ぶっちゃけ身の振り方だが【スマートブレイン社】の配下になるなら御の字だろう。最悪は実験体、時点で敵認定だな。

 

 

 

 そんな考え事をしていたら車は街の繁華街と住宅外を抜け、企業の自社ビルが立ち並ぶビル街へと入っていった。

 

 

 

 ある大きなビルの地下に入り、自分のマンションの敷地よりも大きなスペースの駐車場を抜け警備員が守っている更に奥のホテルの入口らしき場所が見えてきた。

 

 

 

 車をその入口で止めるとドアを警護していたスーツ姿のドアマンが車のドアを開けてくれる。

 

 

 

「ようこそいらっしゃいました。どうぞ」

 

 

 

 手を差し出してくれるのはいいが、床が真っ赤な綺麗な絨毯なんですか踏んでいいんだよな?これ後で請求とかされないよな?

 

 

 

《なんでそんな事を気にしてんだ》

 

(だって・・・)

 

 

 

「こちらの絨毯を進まれまして、中に入られましたら案内専用の者がいますのでご安心下さい」

 

「あ、はい」

 

 

 

 ドアマンの人が俺がどうしたらわからないのを察して教えてくれる。顔を恥ずかしそうに見れば超イケメンスマイルで返された。女の子だったら惚れてる。

 

 

 

《恥ずかしいな》

 

(うっさい)

 

 

 

 俺はゆっくりと車から降りてドアマンさんの言う通り中に入る。

 

 

 

《ちなみに気づいてたか?アイツらも中々強いぜ?》

 

(マジで!?)

 

 

 

 【コア】に脅されながら中を見ると高そうな調度品に下品にならない程度の装飾が至る所にされていた。そして真ん中にスーツ姿のポニーテールの女性が立っていた。

 

 

 

「お待ちしておりました。ここからの案内を努めさして頂きます。【柿原 恵かきはら めぐみ】と申します。【黄瀬 康也様】がお待ちですので早速案内指していただきます。こちらへ」

 

 

 

 そう言って【柿原さん】はゆっくりと綺麗な姿勢を保ったまま奥の方へ進んでいく。

 

 

 

《あの女も結構やるな》

 

(もうやだ・・・)

 

 

 

 周りを自分より強い人に囲まれているせいか胃が痛くなってきた。はっきり言って帰りたい。

 

 

 

 結局【柿原さん】の後を付いていく。床は凄く高そうな絨毯が引いてあり、奥に天使の装飾がされた専用エレベーターがあった。

 

 

 

「どうぞ」

 

「あ、はい」

 

 

 

 エレベーターが空き俺が先に入り【柿原さん】が次に入り、15階のボタンを押す。

 

 

 

ウーン

 

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・」

 

 

 

 エレベーター内にモーターの動く稼働音だけが響く。控えめにいって凄く気まずい。

 

 

 

「あ、あの・・」

 

「はい。どうかされましたか?」

 

「えっと・・・今から会う・・えっと・・」

 

(名前なんだっけ?)

 

《覚えてねぇよ》

 

(マジか・・)

 

「・・・【黄瀬 康也様】でしょうか?」

 

「・・はい・・・どんな方ですか?」

 

「そうですね。私どもからすれば恩人です」

 

「・・恩人ですか?」

 

「はい。詳しくは【黄瀬 康也様】からお伺い下さい」

 

 

 

 話をしているとエレベーターが止まり、扉が開くと街を一望出来る大きなラウンジになっていた。【柿原さん】は俺を奥の方へと案内してくれる。

 

 

 

 奥には短髪黒髪のメガネにスーツ姿の中年男性と先ほどの執事の人が立っていた。恐らく中年男性が【黄瀬 康也】だろう。

 

 

 

「本日は来ていただき、ありがとうございます。私が【スマートブレイン社 京都支部代表】の【黄瀬 康也】です。どうぞよろしくお願いします」

 

 

 

 そう言って【黄瀬さん】は綺麗な一礼をした。目は優しそうで見た感じこの中で一番弱そうだ。強さ=上ではないのかな?

 

 

 

「ささ。どうぞ座って下さい。直ぐに料理の方を始めさせますので。ここの食事は美味しいですよ」

 

「そ、そうですか・・」

 

(なんか思ってたのと違う・・)

 

《だな。なんか普通の食事みたいだな》

 

 

 

 俺は【黄瀬さん】の正面の椅子を【柿原さん】に引かれたのでそこに座る。そして【黄瀬さん】が座り、執事の人は【黄瀬さん】後ろへ。【柿原さん】は俺の後ろに立つ。

 

 

 

「・・・・」

 

「そう緊張なさらないで下さい。と言っても難しいでしょね。では食事前に少しお話をしましょう」

 

 

 

 【黄瀬さん】は笑みを浮かべながらそう言った。見れば余り特徴の無い顔をしていると思ったが目の色が左右若干違う左が少し金色に見える。

 

 

 

「私共【スマートブレイン社】の事はどこまでご存知ですか?」

 

「・・・・手広く事業を拡大している大企業・・」

 

「はい。その通りです。そしてもう一つの顔を思っています。それが【オルフェノク】の為の会社です」

 

「・・・【オルフェノク】・・」

 

「死んだ人間が新たに進化した存在を我々は【オルフェノク】と呼んでいます。ああ。大丈夫ですよ。ここにいる者は皆、その【オルフェノク】です。貴方を含めて」

 

 

 

 【黄瀬さん】はそう言うと変身した。見た目はトカゲとクワガタを足して2で割った様な姿でギョロリとした目と灰色の身体が特徴的だった。

 

 

 

(やっぱり気付かれてるな)

 

《まあ、ここまでは予想通りだな》

 

「・・・驚かれないんですね」

 

「あ、いいや。十分ビックリしましたよ」

 

《こっのバカが》

 

(やってしまった・・)

 

 

 

 【黄瀬さん】は人間体に戻るとこちらをじっと見た。どうしよう・・・そうだ!

 

 

 

「じ、実は【オルフェノク】に付いては少し知っていました」

 

「ほう。誰からお聞きになりましたか?」

 

「それは・・化物から・・」

 

「・・化物ですか?」

 

「はい。ある日、仕事帰りにいきなり襲われてある工場で戦いました。その時にその化物からある程度聞きました」

 

 

 

 どうだ!【グロンギ】にある程度聞きました。確認しようにも、あの【グロンギ】を見つけ出して確認するしかない。そんな事まず不可能だ。これで誤魔化せるはずだ。

 

 

 

「そうですか。あの化物に・・お体の方は大丈夫ですか?一応お仕事をされているようなので食事に招待したのですが・・・よければ当社の【オルフェノク】専門の医療班を・・」

 

「だ、大丈夫です!全然大丈夫です!超健康体です!」

 

「そ、そうですか・・」

 

 

 

 【オルフェノク】専用の医療班・・・絶対に断る!

 

 

 

《解剖はマジ勘弁》

 

(だな。流石にこの身体を見せるワケにはいかない)

 

 

 

 俺の身体は【オルフェノク】【アギト】【ホラー】【クウガ】の特性が全部中途半端である為【オルフェノク】の専門家が調べたら一発でおかしいとわかるだろう。

 

 

 

「しかし相当お強いのですね。あの化物・・【グロンギ】を追い返せるなんて」

 

「ははは・・・・・は・・・・は」

 

 

 

 今なんと言った?【グロンギ】?なんで知っている?

 

 

 

《落ち着けよ。顔に出ると突っ込まれるぞ?》

 

(あ、ありがとう・・)

 

 

 

 危ないところだ。俺一人ならもう露見していただろう。しかしなんで知っていたのだろう?

 

 

 

《恐らくでいいか?》

 

(ああ。頼む)

 

《確か原作【クウガ】で【グロンギ】についての九郎ヶ岳遺跡の石碑があってそれを調べてるはずだ。でその後【アギト】でも一応【グロンギ】の対策班として【SAUL】があった。つまり【SAUL】はそれなりに【グロンギ】について調べている。その情報を【スマートブレイン】は知ったってところか》

 

(なるほど・・・確かにありえそうだ)

 

 

 

「それほどお強いのでしたら大丈夫だと思いますが、本題に入りますと我々の仲間になりませんか?」

 

「・・・仲間ですか?」

 

(遂に来たな)

 

《ああ。本当の戦いはこれからだな》

 

(・・・・言いたかっただけだろ?)

 

《ああ》




 さて、どうしよう?色々キャラ出したが全部伏線回収出来るかな?
とりあえず作中の強さは素体ホラー<グロンギ<主人公<アンノウン<オルフェノク=ホラー名前あり ですかね。たぶん


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

提案の答え

 いや~本当にすみません。前回の投稿をミスりました。数話先の話を上げていたのでまだ見て無い人は前の話を見てください。

 
 タケヤマダヒトシさん感想ありがとうございます!後書きにて質問にお答えします!
 


 我々の仲間・・つまり【オルフェノク】史上主義の【スマートブレイン社】に入れと言うことか。ぶっちゃけメリットはある。

 

 

 

 一つはその豊富な資金力で生活をカバー等してくれるし、訓練相手に困らないだろう。

 

 

 

 もう一つは世間への影響力だ。もし俺が変身して事件を起こしてしまっても【スマートブレイン社】なら簡単・・まではいかないが揉み消してくれるだろう。

 

 

 

 デメリットはやはり俺の身体の事だ。バレたら人体実験待ったなしだ。実際原作ではやってたはずだしな。

 

 

 

 更にこいつらは【オルフェノク】の特性の一つ、【使徒再生】というオリジナル【オルフェノク】が人間の心臓を灰化させると、適正があれば【オルフェノク】として復活する。もちろん【オルフェノク】になれない者は死ぬ。

 

 

 

 この【使徒再生】だが比較的【オルフェノク】になる可能性が高い。といってもの数億分の一から数百数千分の一ぐらいの差だがな。なので【スマートブレイン社】はこの方法で【オルフェノク】にした挙句、このままだと寿命で死ぬよ?仲間になって王を探そうよ!と言ってくる奴らだ。

 

 

 

「ええ。同じ【オルフェノク】同士です。仲良くするのは当然です。我々の数は人間より少ないですから、もし人間に【オルフェノク】とバレたら殺されるかもしれません」

 

 

 

 よく言うよ。こっちも殺してるしそら相手も殺しにかかってくるよ。この辺は主張はみんな違うからいいけど・・・問題は最後の完全の脅しですよね?

 

 

 

「・・・・」

 

「返事はいつでも構いませんよ。まずは料理でも食べましょう」

 

 

 

 そういったら奥から料理が運ばれてくる。スープからスタート?つまりフルコース?食い方わかんねぇ・・・

 

 

 

(【コア】わかる?)

 

《えっと・・確か・・・外側から使う?》

 

 

 

「前菜の枝豆のスープになります。外側の丸い大きなスプーンでお召し上り下さい」

 

「あ、はい」

 

 

 

 持ってきてくれたウェイターさんが笑顔で親切にも教えてくれた。このビルの男はイケメンばかりだ・・・泣けてきた。

 

 

 

《ほれ!合ってただろ?俺の記憶力も中々だな》

 

(あ~そうだね)

 

 

 

 そんな感じにウェイターの方々にマナーを教えてもらいつつ食事を楽しんだ。思ったより安心して食べれてるのは吹っ切れたのかな?

 

 

 

「ふふふ。楽しんで貰えて私共も嬉しいです」

 

 

 

 ・・・食事で【黄瀬さん】の事忘れてたなんて言えねぇ・・

 

 

 

《・・・ま、まあ仕方ねぇよ。美味い飯だったしな》

 

(確かに・・)

 

 

 

 金持ちはこんな料理を食べてるのか・・いいなぁ・・・

 

 

 

 食後にデザートを食べ【黄瀬さん】と同じようにナプキン?で口を軽くふく。

 

 

 

「満足されましたか?」

 

「ええ。ありがとうございます」

 

「それはよかったです」

 

 

 

 そういって笑顔になる【黄瀬さん】ん~やっぱりこう見るとただの仕事が出来る人にしか見えない。

 

 

 

「今日は忙しい中ありがとうございます。おかげで楽しい食事になりました」

 

「え?あ、えっと・・どうも」

 

 

 

 ?なんかもう帰らしてくれる雰囲気なんだが・・・え?マジで?

 

 

 

「おや?不思議そうな顔ですね?」

 

「えっと・・・はい。もっと話があるのかなっと」

 

「話はありますが、そう話でもありませんし我々を信用して頂く時間もいるでしょう。ですので詳しい話は次回以降にいかがでしょう?」

 

「は、はい」

 

「よかったです。では私の専用名刺をお渡ししておきますので今度は前もって食事の招待をさして頂きますね」

 

 

 

 【黄瀬さん】は笑顔でそう言った。え?マジで終わり?次回って・・マジで?

 

 

 

 その後用事があるらしく【黄瀬さん】は席を離れ、俺も無事にそのまま家に返してもらった。家について名刺を受け取り車は離れていった。

 

 

 

「マジ?」

 

《あ~本当に食事だけだったな》

 

「だね」

 

 

 

 ある程度話したが身構えていた手前、本当に食事だけと言っても過言じゃないレベルだ。最悪実験台だろうし・・・なんだったんだ?

 

 

 

「まいっか」

 

《だな。とりあえずは様子見だな》

 

 

 

 

 

 これが最近あった出来事。身体の変化はプロテクターが変身前にも出せるようになった。そして周りの変化は【スマートブレイン社】から勧誘を受けている。あの後も数回誘われたが勧誘ってか食事会?報告会?勉強会?かな?

 

 

 

 内容も場所もばらばらで、こないだは中華店だった。そこで【オルフェノク】がどう言った存在なのか?【スマートブレイン社】は何をしているか?を教えてくれた。ちなみに【黄瀬さん】の情報も知った。歳は36で結婚していて、子供が1人いるらしい。更に愛妻家で必ず定時で帰るそうだ。どうでもいいか・・・

 

 

 

 一応生活出来てるし力も少しだが強くなっている。【クウガ】【アギト】は普通に生活していても強くなるが、やっぱり【ホラー】の【陰我】を喰らう方が圧倒的に強くなる。どこかで狩場を作るしかないか・・

 

 

 

《そう簡単には出来んがな》

 

(だね。ここ最近、怪人も出ないし平和だから今のうちに強くなりたかったけど・・)

 

《仕方ねぇよ。変に動いたら【魔界騎士】に【アンノウン】が出てきたらヤバイからな》

 

 

 

 他にいい方法は無いかな?【アギト】でも無い【ホラー】でも無い力で結界を張れる力・・・・

 

 

 

《あ~あるにはあるかな?》

 

(マジで!?)

 

《ああ。でも無理だな》

 

(なんで?)

 

《そら、【ウィザード】の魔法、【ガイム】の【ヘルヘイム】、【カブト】の【ワーム】の技術、【龍騎】の【ミラーワールド】だからだよ》

 

(う~ん)

 

 

 

 【ウィザード】の魔法は指輪が無いとダメ、【ガイム】の【ヘルヘイム】は専用のゲートが必要、【カブト】の【ワーム】は人類の敵だし・・・ワンチャン【ミラーワールド】だな。

 

 

 

《で?どうやって【ミラーモンスター】を見つけるんですかね?それともライダーになるか?》

 

(無理だね)

 

 

 

 人間諦めが肝心。とりあえずは身体を鍛えるしかないね。

 

 

 

《鍛えとけばもしかしたら【鬼】になるかもしれないしな》

 

 

 

 【鬼】とは【仮面ライダー響鬼】に出てくるライダーの事で修行によって自らの肉体を変容させ、【鬼】となる能力を得た者たちだ。つまりこの世界でも鍛えて鍛えて鍛えぬいたら【鬼】になれるかもしれない。

 

 

 

《まあ条件はあるだろうがな》

 

 

 

 そら鍛えただけで【鬼】になれば【鬼】まみれになってしまうからな。条件・・・なんだろ?自然?音?

 

 

 

《最悪【鬼】を喰えばいいさ》

 

(ダメ、却下)

 

《っち。なら・・そうだな。変身の道具の【変身音叉】を喰らってみるか?》

 

(それなら賛成。でもまあ・・・とりあえず今を考えよう)

 

《だな》

 




 長文注意。
 ホラーの血を浴びた人間は改造等で治りますか?との話ですが基本無理です。

 原作でもホラーの血を浴びると血の後は消えて無くなります。これはホラーの性質によるものだと考察してます。俺はホラーは寄生体だと思っています。精神や魂に取り付き、吸収し増殖する存在だと。だから人の【陰我】を餌に強くなると思います。

 そして【ホラーの返り血を浴びた者は、100日後には激痛と共に醜く腐って死んでいくと言われている。 100日目には地獄への一本道、黄泉の森を通過する。】とありますがこれをホラーと人間の魂が融合していく時間が100日、激痛と共に醜く腐って死んでいくとはホラーの栄養不足のリバウンド、地獄への一本道、黄泉の森を通過する。とはホラーになり魔界に帰る。100日前に殺せばセーフな理由は完全融合してないから剥がれると言う解釈です。

 結論としては 魂を何とかすれば何とかなる。です。主人公?死んでるから・・・(ネタバレんご・・・)

 あ、ファントム(ウィザード)なら何とかなるね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

更なる戦いへ

そろそろストックが無くなります。せめて区切りのいい所まではこのペースで投稿します。


《今日は【これからだ】見ようぜ》

 

「え~【アニマル100連発】でしょ」

 

《かぁぁ!わかってねぇなぁ~【これからだ】の話が飯時にいいんじゃねぇか》

 

「そうかな?ちょっとどろどろしすぎだよ。飯時は動物見よう」

 

《動物はいいだろ昨日見たし【これからだ】にしよう》

 

「【これからだ】は一昨日スペシャルみたから【アニマル】見よう」

 

「《・・・・・》」

 

 

 

 【コア】の見たい【これからだ】という人生どん底から這い上がる姿を見るドキュメンタリーを見るか、俺の見たい【アニマル100連発】という動物番組を見るか・・・・

 

 

 

「よし、ここは次のコマーシャルを当てて決めよう」

 

《上等だ禿げ。必ず当てるからな》

 

「は、禿てねぇから。てか誰が禿だ!」

 

《俺は・・・動物だ!動物が出る!》

 

「おい!無視かよ!じゃあ俺は・・・会社のCMだ」

 

 

 

 こんな感じに【コア】と仲良くやってる。もう【コア】と生活して3ヶ月近く・・・そら仲良くなるよ。今ではこうやってCM当てるゲームをするぐらいだしね。

 

 

 

 テレビではちょうど番組が終わり

 

 

 

「《・・・・・・》」

 

 

 

 会社だ。基本的にCMは会社、商品のアピールに使う。そこから動物を使うCMはかなり少ない。絶対に会社の方か早い

 

 

 

 と思ってるだろ?このバカは。ククク・・・甘めぇ・・甘めぇなぁ!この番組のCMはかなり動物に寄ってるんだぜぇ?会社より商品寄りだ!つまり・・・

 

 

 

『驚きの白さ!アタック!家族の汚れをしっかり落とす!』

 

 

 

「クソがぁぁぁぁ!!」

 

《ヒャハハハ!!!俺の勝ちだ!》

 

 

 

 テレビにはいつも俺が使っている洗剤と家族(犬あり)の洗濯物を洗う光景が見える。

 

 

 

「あああぁぁなんでだよ!!」

 

《ほら!間抜け!チャンネルを変えな!!ハリー!ハリー!》

 

「っく・・」

 

 

 

 俺は【コア】に言われた通りにチャンネルを変える。テレビには物々しい効果音と共に人気番組司会者が番組説明をする。

 

 

 

 

 

 くっそぉ・・・今日は猫が多く出るから見たかったのに・・・

 

 

 

「ん?」

 

《あぁ?》

 

 

 

 急に番組の上の方に緊急速報が出た。

 

 

 

『本日お昼頃、京都市××の××高等学校で5人の生徒が亡くなりました。警察はこの事件を未確認生命体事件として捜査してると発表』

 

 

 

「これって・・・」

 

《ここからちょっと行った所だな・・・・》

 

 

 

 ここから2駅の場所で自転車で行ける距離だ。しかし・・・5人・・・かなり多い。【グロンギ】の【ゲゲル】だろう。【アンノウン】の可能性もあり得るが【アンノウン】は特性として【アギト】と【アギト】の血族を狙う。学校に5人血族がいる可能性はほぼ無いだろう。

 

 

 

《どうする?》

 

「・・・」

 

 

 

 はっきり言って嫌だ。痛いのも嫌だし戦うのもそうだ。しかも・・・【グロンギ】をどうする?殺すのか?それとも吸収?・・・・非常に困る。でも

 

 

 

「行く」

 

《ほぉ?》

 

 

 

 嫌だけど。もしあの時、俺が倒し損ねた【グロンギ】だったら・・・俺の責任だ。高校生が5人も死んだ責任を取る。

 

 

 

《いや、それはおかしいだろ?》

 

「おかしくないよ。違うな・・・誰が言おうと俺の責任だ」

 

 

 

 殺した奴はもちろん悪い。でも逃がした奴、見て見ぬふりをした奴も悪い。俺はそう思ってる。もし俺があいつを倒していれば・・・殺すのか?それは・・・やっぱりわからないがこれはおれが背負わないといけないものだ。

 

 

 

《はぁ・・・アホ、ボケ、カス》

 

「な、なんだよ?」

 

《いやぁ?殺されて、殺されそうになっても変わらない奴を見て、自分の不幸に嘆いただけだ》

 

「コ、コイツ・・」

 

 

 

 言いたい放題だな。でもわかる。俺は綺麗事を言ってる。殺すのは嫌だ。もで助けれなかった事を嘆く。ハッキリってクソ野郎だ。テレビを見て可哀想、酷い、でも何もしない奴らと同じだ。でも・・・

 

 

 

「俺には力がある。ある以上出来る事をするよ」

 

《はぁ・・・まぁしゃぁねぇか・・・》

 

 

 

 適当な事言ってやらないより適当でもやった方が絶対にいい。

 

 

 

「とりあえず明日休みだし行ってみるか」

 

《オーケー。探知はしといてやるよ》

 

「ありがとう」

 

《さぁてと。そう決まったら飯食べようぜ。腹減って仕方ねぇよ》

 

「・・・ああ。そうしよう」

 

 

 

 テレビを見ながら少し冷めた御飯を食べた。大変美味でした。

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、現場の学校へ向かった。学校の周りは野次馬と記者だらけだ。正直後悔した。何か残ってるか調べに来たがこれは酷い。

 

 

 

《どうした?行かないのか?》

 

「・・・行けねぇよ・・・」

 

 

 

 こんな状態で聞けるかよ・・・遺族方々にもそうだし流石にこの野次馬や記者の連中はかなり酷い。確かに記者は情報を正確に伝える義務があるかもしれんが流石に張り込みすぎだ。これじゃあ日常生活に支障が出る。

 

 

 

《わぁってるよ。でも行かないと始まらねぇぞ?》

 

「確かにその通りだが・・・」

 

 

 

 せめて杭の攻撃だったかだけでもわかればアイツの【ゲゲル】かわかるんだが・・・もし違っても相手の攻撃手段がわかるかもしれない・・・どうしよう?

 

 

 

「ちょっといいかい?」

 

「え?」

 

 

 

 学校の方に注意が言ってて気づかなかったが後ろに警察官達がいた。え?なんで?

 

 

 

「話を聞きたいんだが構わないよね?」

 

 

 

 見れば俺の後ろに二人、更に学校から二人来ていた。めっちゃ警戒されてる。

 

 

 

(な、なんで?)

 

《そらぁ、お前の格好だろ》

 

 

 

 事件のあった場所近くの電信柱の後ろにニット帽、マスク、ネックウォーマーの男がいれば声もかけたくなるだろう。

 

 

 

(マジか・・・)

 

《まぁしゃぁねぇな》

 

 

 

 俺はマスコミに見られないように警察に連れて行かれた。

 

 

 

「あそこで何してたんですか?」

 

「事件があったので・・・見に行ってました・・・」

 

「ふ~ん。家からニ駅も離れてるのに?」

 

「・・・はい・・」

 

 

 

 一番近くの交番の奥の部屋で警察とOHNASIしている。机の向かいに目つきの鋭い男一人、俺の後ろに一人、部屋の隅に一人。なんでこんなに警戒されてるの?事件は未確認生命体だろ?・・・犯人じゃ無いが警察恐るべし。

 

 

 

「なんでなんな格好をしてたんですか?」

 

「・・・体調を崩したく無いから・・」

 

「へ~そうですか」

 

「・・・・」

 

 

 

《全然信用されてねぇな》

 

(本当にね・・)

 

 

 

 後ろから物音がする。チラリと見れば更に警察官が二人交番に入ってきた。

 

 

 

(なんでだよ!どんなけ来るんだよ!)

 

《お前なんかしたのか?》

 

 

 

「・・・ちょっと検査に協力してくれるかな?」

 

「け、検査ですか?」

 

 

 

 二人が来たとたん目の前の警察の表情が変わり、検査をしたいと言ってきた。

 

 

 

「・・・・してくれますよね?」

 

 

 

 あ、吃ったせいでめっちゃ怪しまれた。ど、どうしよう・・・

 

 

 

「検査って・・何するんですか?」

 

「ちょっと血液検査と薬品検査ですね」

 

「・・・・・・」

 

 

 

 け、血液検査だと・・・更に薬品だと・・・

 

 

 

《ちなみに後ろの方々は銃を手にかけてるぞ》

 

(嘘だろ!?)

 

 

 

 なんで!?どんなけだよ!

 

 

 

「・・・・どうですか?」

 

 

 

 返事をしない俺に痺れを切らしたのか警官の態度が変わる。これはヤバイ。

 

 

 

(ど、どうしたらいい!?)

 

《あ~これは詰んだかな?》

 

(なんでそんなに呑気なんだ!?)

 

《そら吹っ切れるからだ》

 

 

 

 そんな風に一触即発の雰囲気に外の刑事は入ってきて目の前の刑事に耳打ちする。

 

 

 

「・・・・・」

 

「はぁ!?・・・ちょっと待ってろ!」

 

 

 

 目の前の刑事が警護が消えるぐらい怒りながら部屋を出ていく。代わりに奥に居た刑事が俺の監視に目の前に座る。

 

 

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

 

 

(めっちゃ気まずい・・)

 

 

 

 少しするとドン!と音がした後扉がゆっくり開き、先程出て行った耳打ちした刑事さんが戻ってきた。

 

 

 

「お待たせしてすみません。検査の必要無くなりましたので・・・ご協力ありがとうございます」

 

「え?」

 

 

 

 どうしたんだ?何があったんだ?そしてどうして目が笑ってないんですか・・・

 

 

 

「・・・」

 

「・・・・・・・」

 

 

 

 交番を出る時もすごかった。全員が協力ありがとうございますと言いつつ目が笑ってなかった。更に最初に出て行った目つきの悪い刑事さんは完全に睨んでたよ・・・

 

 

 

《ちなみに付けられてるぞ》

 

(マジで?)

 

 

 

 どんなけだよ!確かに未確認(【グロンギ】【アンノウン】【オルフェノク】等)だけど犯人じゃないよ!寧ろ犯人を止めに来たよ!

 

 

 

(ちなみに何人?)

 

《あ~一人だな》

 

(目つき悪い人?)

 

《流石にわかんねぇな》

 

 

 

 ほぼ100%あの人だろ!最後めっちゃ睨んでたし!まず銃に手をかける!?いくらなんでも警戒しすぎだ!

 

 

 

《いやいや。普通だろ?お前が未確認なら死ねるぜ?》

 

(まあ・・・確かに・・・)

 

 

 

 ぶっちゃけ普通の銃じゃ未確認にダメージを与えられない。問題は・・

 

 

 

(《神経断裂弾》)

 

 

 

 神経断裂弾とは【仮面ライダークウガ】に出てきた警察の銃の弾で、打ち込んだ弾丸が内部で炸裂し神経組織を連鎖的に爆発させる。はっきり言ってヤバイ弾だ。【グロンギ】の【ゴ】のレベルで通用するのだから一般配備される弾じゃない。でもこの世界ではどうだろう?

 

 

 

《そら普通に使ってるだろうな》

 

(だろうね)

 

 

 

 更にいえば【アンノウン】には聞かない描写があったが・・・この世界では改良され効くだろう。もしくは違う弾になってるだろう。

 

 

 

(今度【黄瀬さん】に聞いてみるか・・・)

 

《だな。たぶんこの件もアイツだろうし》

 

(え?あ、あ~そうかも・・)

 

《てか、それ以外ねぇよ》

 

 

 

 確かにそれなら納得出来る。俺が警察に任意同行された事を知った【黄瀬さん】が手を回した。それが一番可能性が高い。つか本当にそれ以外わからん。警察からしたら怪しすぎる奴に検査すら出来ない圧力が更に疑いを強めてるんだな。

 

 

 

 後ろから付けてきた警察に内心申し訳なく思いながら、とりあえず帰りの為駅に向かう。交番のあった住宅街を抜け、現場の高校を通り駅の近くのショッピングモールに差し掛かった時だ。

 

 

 

《・・・・あ~言いたくねぇなぁ・・・》

 

(?どうした?)

 

《言いたくねぇが言わなかったら文句言われそうだし言うわ。この近くに【ホラー】がいる》

 

(え?)

 

 

 

 急にそんな事を【コア】言われ周囲を見る。何も感じない。てか【コア】便利すぎ。

 

 

 

(ちなみになんで言いたくなかったんだ?)

 

《そらぁお前が首を突っ込むからだろ》

 

(・・・ま、まあそんなんだが・・・)

 

 

 

 戦いは嫌い、でも人は助けたい。しかも敵を倒殺したいと思うわないし出来ればそんな事はしたくない。偽善、身勝手そんな言葉が頭を駆け巡るが動けないほどでもない。

 

 

 

《やっぱり行くのかよ》

 

(うん。場所は?)

 

《そこのショッピングモールだ》

 

 

 

 とりあえず行ってから考えよう。悩むぐらいならやれ。いい言葉だ。

 

 

 

《忘れてるかもしれんが警察はどうする?》

 

(あ~巻こう!)

 

《なんで濱口?》

 

(な、なんとなく・・)

 

 

 

 やや滑った感じにするがマジで巻かないとダメだ。どう巻こう?

 

 

 

《あ~走るか?》

 

(・・・それしかないか・・)

 

 

 

 迷ったがそれしか思いつかなかった。なので・・

 

 

 

「っ!」

 

 

 

 後ろから焦った声がしたが気にしてられない。俺は角を曲がった瞬間にもうダッシュする。出来るだけ曲がりながらショッピングモールを目指す。ぶっちゃけ追って来てる刑事さんの脚力で俺に勝てるわけがないので割とあっさりと巻くことが出来た。

 

 

 

 このショッピングモールは大きく一階に食品、二階にファッション、三階に

 

映画館フードコート等の娯楽施設が入ってる

 

 

 

(ここのどこだ?)

 

《あ~3階の奥だ》

 

 

 

 玄関に入ってチラリと案内を見ると三階の奥は映画館のようだ。

 

 

 

(映画館・・・のどこだ!)

 

《あ~左真ん中だ》

 

(左真ん中!?わかんねぇよ!あ~!とりあえず近づいたら教えてくれ!)

 

《ああ》

 

 

 

 俺は人ごみをうまく避けてエスカレーターを目指す。しかしエスカレターは人が多く走って上に上がることは出来なそうだ。

 

 

 

(っち。階段は・・・あそこか!)

 

 

 

 エスカレーターのさらに奥に非常階段が見えたので走って向かう。非常階段は広く人も居なかったので大幅に進むことが出来た。

 

 

 

「はぁはぁ・・ど・どこだ・・」

 

《左の方たぶん・・・7番シアターだ》

 

 

 

 案内所を見れば7番シアターは左真ん中だ。さて・・ここからどうしよう?チケットを買ってる暇はあるのか?

 

 

 

《ねぇだろうな。もし奴さんが殺る気ならもう終わってるぜ》

 

(マジか・・どうしよう・・)

 

《しゃぁねぇな。貸し一つだ》

 

 

 

 【コア】は俺の足元から影の様に触手を伸ばし、俺から遠く離れた警報を押した。

 

 

 

ジリリリリリリ!!

 

 

 

「なんだ!?」

 

「どうしたんだ!?」

 

「キャアァァ!!」

 

「うわぁぁぁぁ?!!」

 

 

 

 火事警報だったようでスプリンクラーも動き出し、警報も含めて映画館は大混乱になった。

 

 

 

(ごめんなさい!)

 

《ついでにカメラも壊しといたぜ》

 

(流石!)

 

 

 

 この混乱でカメラを壊してくれて助かった。【スマートブレイン社】の件もあるし出来るだけ見られたくはない。

 

 

 

 外に出る人を上手いこと避けて奥に進む。【コア】に頼み子供が怪我をしない様に触手で誘導するのも忘れない。

 

 

 

《ったく。なんで俺様がこんな事を・・》

 

(そう言ってもやってくれる【コア】は流石ですわ)

 

《貸し二だからな》

 

 

 

 ある程度人が減り、俺の目的の7番シアターにたどり着いた。

 

 

 

「【コア】中に人は?」

 

《いる。というかこの中は【異界】になってるみたいだ》

 

(【異界】?)

 

 

 

 【異界】とは【ホラー】の結界の一つで、自分の世界を作り出し現世から隔離する。中級以上の【ホラー】が多く持つ力らしい。

 

 

 

「入れるのか?」

 

《モノによるが・・・これはキツそうだぜ》

 

「・・・無理すれば?」

 

《入れるだろうな》

 

 

 

 俺は7番シアターの扉に手をかける。触った瞬間にひんやりと冷たさとは違うナニカを感じる。

 

 

 

(これが【異界】?)

 

《ああ・・そうだ。現世とは違う【ホラー】の心の世界だ》

 

 

 

 じっと意識を集中させる。イメージは潜水に近いかもしれない。この扉は力だけでは絶対に開かない。【ホラー】の特性があるせいか分からないが【異界】の本質が少しだけわかる。

 

 

 

 【異界】とは【ホラー】の他者への欲望で出来きた結界だ。巣の様に使われたり罠に使われるのもその為だろう。この【異界】はどうやら巣の役割を持っているのだろう。入る事、出ることは許さないと強い意思を感じる。

 

 

 

(入れろ)

 

 

 

 その中に入る為には【異界】をこじ開ける程の力か相手の許可がいる。

 

 

 

《入れろ》

 

 

 

 俺の能力は【喰らう】事。吸収し喰らい自分の物にする力だ。

 

 

 

《(入れろ)》

 

 

 

 触手を扉全体に万遍無く浸透させる。ゆっくりと正確に確実に喰らう吸収する。

 

 

 

(ぐっ・・)

 

 

 

 吐き気と頭痛が凄い。強い酒を浴びるほど飲まされトイレに駆け込み、頭をハンマーで叩かれ続けているみたいだ。

 

 

 

 【クウガ】や【アギト】の力の様な純粋な力ではない【ホラー】を取り込むと言う事は、その【陰我】を取り込むという事だ。更にこれは【異界】だ。【陰我】【ホラーの欲望】を取り込むという事は・・・

 

 

 

《きたぜ。キたぜ。キタぜ。キタゼ》

 

(コ、【コア】?)

 

 

 

 【ホラー】の力が増え、【ホラー】に侵食される。

 

 

 

「?あ・・・ああアアああああアアぁああぁあっァァァっぁぁ!!?!!」

 

 

 

 身体を、体を、心が、こころが痛い、いたい。消えていく。

 

 

 

 大事な何かが消え、その隙間を埋める様に【欲望】が【陰我】が抉りこんでくる。身体を裂き心を引き裂き、溢れ出し溢れる程になっても止まらない。

 

 

 

《あががやけにヶヵぁあjカカっかかカカ》

 

 

 

 微かに残る意識で後悔している。なぜ?俺は他人の為にここまでしたんだ?なぜ?途中でやめなかったんだ?なぜ?俺は殺されて生き返ったのにこんな事をしているんだ?

 

 

 

 意識は狂い身体が膨張している姿を見ても後悔し疑問に思い続ける。

 

 

 

 なぜ?俺は身を犠牲にして他人を助ける?なぜ?他人を傷つけてはいけない?なぜ?他人で遊んではいけない?

 

 

 

 ねじ込まれた【欲望】と【陰我】が馴染、俺を再構成する。

 

 

 

 なぜ?自分を犠牲に他人を助ける? タスケタイカラ

 

 なぜ?幸せになれないの?どうして?

 

 殺したい ダメだ 他人を苦しめたい だめだ 喰らいたい 程々になら

 

 

 

 少しずつ意識が俺に溶け合ってくる。

 

 

 

 人を助けたい。いい格好がしたい。ヒーローになりたい。困ってる人を助けたい。楽がしたい。死にたい。仕事したくない。食べたい。喰らいたい。他人を貶したい。金持ちになりたい。幸せにしたい。幸せになりたい。壊したい。自分より不幸な人間を壊わし救いたい。助けたい。助けたい!

 

 

 

 意識が戻って行くにつれ自分の中で何かが変わった事を理解していく。身体に力が宿り、心は蠢き囁く。

 

 

 

《あ~あ~聞こえてるか?》

 

「聞こえてるよ」

 

 

 

 先程より【コア】の声が鮮明に聞こえる。【コア】は俺だ。しかし【ホラー】でもある。【ホラー】を喰らった吸収したから、より【コア】との関係が強くなったのだろう。

 

 

 

《それはよかった。どうだ?気分のほうは?》

 

「・・最悪だよ」

 

《なら大丈夫だ》

 

 

 

 扉には手をかけたままだし、周りにはまだ声が聞こえるという事はそれほど時間は経っていない。扉に触れている手からは先ほど感じたナニカは変質し暖かさすら感じる。

 

 

 

《さぁ行こうぜ?相棒》

 

「ああ」

 

 

 

 扉を押すと簡単に開く。コンディションは最悪。変身もどうなるかわからない。でも・・・俺の【欲望】の為に戦おう。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【ガリキス】

 近頃本気で小説がうまくなりたいと思ってきました。書くことが大事だと思うので、これかもどんどん書いていきます。


 シアターの扉を開くと薄暗く、内部は何かの体内の様な光景に警戒レベルを引き上げる。奥から吹く生暖かい風が頬を撫でる。匂いはしないが不穏な空気に顔を顰めてしまう。

 

 

 

《かぁ~強くなったからわかるがコイツは厳しいぞ》

 

 

 

 一歩踏み入れた瞬間に更に雰囲気が変わった。言うなれば殺気だ。スポーツをしていた人ならわかるが試合会場に入った感じでこの肌を刺す力は俺より強いだろう。

 

 

 

「最悪助けて逃げよう」

 

《だな》

 

 

 

 奥に進むと構造状ありえない下りを進む。奥に行けば行くほど敵【ホラー】の力を強く感じる。これは勝てないかもしれない。

 

 

 

《・・・相手にはもうバレてるから助けて逃げろよ》

 

「ああ」

 

 

 

「ぅぅぅぅ」

 

 

 

 奥から声が聞こえる。光も見えるからそこにいるんだろう。

 

 

 

「【コア】捕まってる人の人数と場所はわかるか?」

 

《おう。ここから6メートル程先に14人、更に奥に2人だ》

 

 

 

 人数が少ない。この映画館のレベルなら100人近くいてもおかしく無いはずだ。まあ人が極端に少ない映画もあるがな。

 

 

 

「ぁぅぁぅぁぃぅぅぅ」

 

 

 

 マジでやばそうな声が聞こえる。呻き声とは違う聞いたことも無い声が聞こえる。しかもたぶん一人。

 

 

 

《大当たりだ。たぶん【ホラー】と一緒のヤツからだ》

 

「・・・・」

 

 

 

 奥に進むと酷い光景が広がっていた。手前の14人には浅黒い長細いワームに捕まり気絶していた。そして奥に虚ろな目をした女の子と、蚊や甲虫と人間を混ぜた【ホラー】が男の頭に長く鋭い管を刺していた。声を出していたのは刺されている男性で虚ろな目に口からヨダレを垂れ流し呻き声を上げている。

 

 

 

蚊蚊蚊(カカカ)。まさかお主が来るとはな【アブゾ】』

 

「【アブゾ】?」

 

《・・・・・マジかよ・・》

 

『人には言ってはおらぬ【アブゾ】に言うておる』

 

 

 

 【アブゾ】?まさか【コア】の事か?

 

 

 

《ひさしぶりだな【ガリキス】》

 

 

 

 【ガリキス】?まさかの知り合い!?

 

 

 

蚊蚊蚊(カカカ)。久しいの~最後にあったのは魔界かの~?まあいいわ。お主の目的は・・・これか?』

 

 

 

 【ガリキス】と呼ばれた【ホラー】が指さしたのは隣の女の子だ。てか【ガリキス】は【コア】の声が聞こえる?

 

 

 

《そうとも言える。開放してくれるのか?》

 

蚊蚊蚊(カカカ)。ワシがすると思うか?』

 

《しねぇわな》

 

「ぁぁぁぁ・・・」

 

 

 

 話をしてる間に刺された男はシワシワになり消えてしまう。頭に管を刺された時点で助けてなさそうだったがアレは人の死に方じゃない。

 

 

 

蚊蚊蚊(カカカ)。恐怖に犯され、記憶を吸われ、命を吸われ、死んで行く者はほんに美味じゃな』

 

 

 

 【ガリキス】は虫の表情で愉悦に浸る。

 

 

 

 ああ・・コイツは無理だ。話をするとか折り合いをつけるとそう言う次元じゃない。人間が御飯を食べるように【ホラー】は人の【陰我】を喰らう。食べ物人間を調理して苦しめて食べる。

 

 

 

(【コア】)

 

《わぁってるって》

 

『何をする気じゃ?』

 

《なにがってそりゃ・・》

 

「《変身!》」

 

『!?』

 

 

 

 変身して調子を確かめる。前より少し黒い皮膚の膜が黒く厚くなった気がする。そして背中の触手が強くなってる。先端に針が出来て更に突き刺す事に特化した。

 

 

 

《「気に食わないお前をぶっ飛ばすんだよ!!」》

 

 

 

 先手必勝とばかりにまずは触手を2本先行させる。と同士に残りの2本で後ろの人質を助ける。どう助けるかって?とりあえずワームを倒すだけだよ!

 

 

 

 ガッガガガッ!!

 

 

 

 ・・・ガッガガガッ?

 

 

 

『キサマ・・』

 

「マジかよ・・・」

 

 

 

 俺の進化した触手は【ガリキス】の装甲を軽く削る撫でる程度しか出来なかった。さて、ここからどうしよう?防御力が高すぎて倒せない。防御力が高いヤツは攻撃力は低い理論はゲームだけだ。

 

 

 

 【ガリキス】から、先ほどとは比べ物にならない殺気を感じる。思わず殴りかかろうとしていた腕を無理やり逸らしその場から退避する。

 

 

 

『ッ蚊カ!』

 

 

 

 【ガリキス】は灰色の羽を大きく広げる。羽から黒く輝く鱗粉が舞い触れるモノを侵食する。

 

 

 

「あぁぁ・ぁぁ」

 

 

 

 隣に居た女の子はその鱗粉を受けて真っ黒になった。それは繭の様に女の子を包み込む。床のボロボロのコンクリートは侵食されると真っ黒な砂になった。

 

 

 

「ッグ・・」

 

 

 

 この鱗粉はヤバイ!見れば生き物に当たれば黒い繭になり、無機物は灰になる。か・・・本当にそうか?

 

 

 

『いや。俺の記憶が確かならアレは獲物を守る技であり敵を殺す技だ』

 

 

 

 俺の記憶ねぇ・・・まあこの話は後ででも出来るしまず生き残ればな!【ガリキス】は羽を羽ばたかせ、空中に上がる。ああ・・マズイ。それはマズイ!俺は飛び上がり【ガリキス】を思いっきり殴り付ける。鱗粉が身体に触れると凄まじい熱と激しい痛みを感じる。どうやら鱗粉は熱で邪魔者を焼き殺すようだ。

 

 

 

蚊蚊蚊(カカカ)!効かんよ』

 

 

 

 殴り付けた衝撃で地面へ落ちたがダメージは無い。アイツ硬すぎない?降ろすだけで俺の全身大やけどなんだが・・しかし・・

 

 

 

『時間は稼げたな』

 

『ん?』

 

 

 

 俺は後ろにいたワームを一斉に貫き殺す。これと同時に触手を使い人質を出口に向かわ。範囲は数十m。とりあえず部屋から出せば何とかなる。

 

 

 

蚊蚊蚊(カカカ)なるほど・・なるほど・・だからワシを落としたと』

 

「ああ。後は・・ん・・グッ・・ググァァァァァ!!!」

 

 

 

 繭になっている女の子を持ち上げる。繭に触れると腕が焼き爛れるが持てる!

 

 

 

「うおおぉぉォォ!!」

 

 

 

 繭を思いっきり入口に向かって投げる。うまくいけば・・よし!上手いこと入口を塞げたぞ。これで時間も稼げるし【ガリキス】が怒れば隙も付けるだろう。

 

 

 

蚊蚊蚊(カカカ)よいぞ。もっとワシを楽しませろ』

 

 

 

 っち。獲物を触られて怒るどころか薄ら笑いかよ。やりにくい。今の状況を一言で言うとやりにくい。グロンギは力に酔ったガキのイメージだが、【ガリキス】は余裕を持った老人のようだ。昔、田舎の爺さんと将棋をした時を思い出した。俺が最善の手やいい手を打ってもニヤニヤと薄ら笑いをしていたあのクソじじいと同じ顔だ。

 

 

 

『お~お。いい感だ。アイツは相当遊んでるぞ?本気だったらもう死んでるぞ』

 

(マジかよ。どんなけ強いんだよ)

 

『そらそうだ。【深淵の7柱】の一人だしな』

 

(【深淵の7柱】?)

 

『あ~・・・クッソ強えぇ【ホラー】集団の一人だ。詳しくは生き残ったらだな』

 

蚊蚊蚊(カカカ)相談は終わったか?そろそろ行くぞ?』

 

 

 

 【ガリキス】は羽を再度広げ、触覚をすり合わせ奇妙な音を出す。その音に共振するように周囲の影から、先程倒したワームが5匹這いずり出てくる。その見た目からわかったことがある。

 

 

 

(コイツら・・・ボウフラか!?)

 

 

 

 クネクネと特徴的な動き、【ガリキス】が蚊の【ホラー】だから下僕もボウフラか!?

 

 

 

 ボウフラは急に動くのをやめて真ん中からパックリと割れる。中から白い【ガリキス】に似た奴らが出てくる。【ガリキス】より人間に近く、甲殻が少ない。

 

 

 

『コカカカカ・・』

 

 

 

 また凄い鳴き声だな。5匹同時に鳴いたせいで部屋全体が揺れたぞ。しかも・・・

 

 

 

『強えな』

 

(ああ。思ったより強い)

 

 

 

 ボウフラの時は一撃で倒せていたが成体は無理そうだ。てか当たるか?5匹は次第に身体が乾き、色が黒色に変色し始める。羽を大きく広げ、俺を威嚇している。

 

 

 

『ふむ。幼体の時に攻撃してくると思っていたが・・・そこまで阿呆では無いか』

 

「あ、当たり前だろ?せっかく遊んでくれそうなんだ。待たないと損だろ?」

 

蚊蚊蚊(カカカ)言いおる』

 

 

 

 あっぶねぇ・・・よかった・・・ボウフラの時に攻撃しなくてよかった。いや、攻撃しようとしたが【ガリキス】の殺気で動けなかっただけだが。

 

 

 

『コカカカカカ!!』

 

 

 

 一匹の泣き声が開始の合図と言わんばかりに一斉に襲って来た。まずは一直線にきた奴を・・・殴る!

 

 

 

「オラァ!!」

 

『コカカ!』

 

 

 

 口の管で俺を刺そうとしてきた顔面に力いっぱい殴りかかったが、とんでもない急旋回で避けやがった!なんだ今の動き!?

 

 

 

「グッ!」

 

『コカカカ!!』

 

 

 

 驚いている所に後ろから別の個体に攻撃され、左腕が裂け血が吹き出る。クソが!色々取り込んでそれなりに戦えるようになった気になっていたが・・・これはキツイ!

 

 

 

『コカッカ!』

 

 

 

 空中からの奇襲!読めていたが・・・避けれない!避けれないなら・・・

 

 

 

「うっ・・っらぁ!」

 

『コカッ!?』

 

 

 

 背中を引っかかれ、大きく傷ついたがその反動を利用して顔面を殴る。ブヨっとした【ガリキス】とは違う触感に驚いたが・・・

 

 

 

『効いてるぞ!』

 

「ああ!」

 

『ほうほう』

 

『コ、カッカッ・・』

 

 

 

 弱った奴を先に倒すは定石!触手で刺し殺す!ここで1匹でも倒しておきたい!

 

 

 

『コカカ!!』

 

「っちぃぃ!!だよな!」

 

 

 

 もう一匹が触手の前に出てきて羽を盾に身を守った。最初に攻撃してきた1匹。殺せは出来なかったが飛べない奴1匹、ダメージ大の奴1匹。後は・・あ?

 

 

 

ピチャリ・・ピチャリ・・

 

 

 

 ・・・地面に落ちた俺の血の舐めてる2匹・・・マジかよ・・こんな時にサボってるのかよ・・確かに全員で来られたらヤバイけどさ・・

 

 

 

ピチャリ・・ピチャリ・・

 

 

 

 ・・・なんか一回りデカくなってね?血を舐めてパワーアップしてるのか!?そんなのアリかよ!?

 

 

 

『『ピギャァァァァァ!!』』

 

 

 

 一際大きくなった2匹は泣き声は変わるし、前足?は鎌のように鋭く変化している。2匹にダメージ与えたら、2匹強化されたぜ・・ん?血を摂取して強化?

 

 

 

『『ピギャァァァァァァ!!』』

 

「あ」

 

 

 

 そ、そういえば俺の背中を攻撃した奴もいるじゃねか。しかも2匹。腕を攻撃してきた奴、背中に攻撃してきてカウンターした奴。マジで?強化4匹、飛べない奴1匹?俺は背中と左腕に大きな傷。嘘だろ?




 主人公の名前を考えていません。てか出さない縛りです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【深淵の7柱】

 ここまで読んでくれてありがとうございます!

 これにてストックが切れました。次回は未定。早ければ明日、遅ければ来月ですかね?


 さて、絶望的な状況だがまだ身体は動く。恐怖で足はガクガクだし、血が出てるから脳味噌からのアドレナリンがヤバイ。

 

 

 

 『命は大切に、だぞ』

 

 (わかってるよ)

 

 

 

 とりあえず出口は塞いでるが脱出方法は確保している。問題は・・・

 

 

 

 『蚊蚊蚊カカカ』

 

 

 

 あのニヤついている奴だ。アレは気がついている。俺が触手を出口に設置して巻き取る事で脱出しようとしている事に気づいてニヤついているんだ。

 

 

 

 (お前の友人は性格悪いな)

 

 『あぁ?友人だぁ!?違うな!アレは敵だぁ!!アレは俺達の敵だァァ!!』

 

 (そうだな。アイツ何か弱点とか無いのか?)

 

 

 

 まずは強化している1匹の突進を身体の軸をずらし避ける。先程違い目が多少慣れてきたのか上手いこと避けれた。次の2匹は空中を飛び、鎌を振り下ろしてきた。速度が速いという事は・・・

 

 

 

 (進めば避けれる!!)

 

 

 

 鎌を振り下ろす直前に前に出る。進むと同時に方向転換は出来ても急に戻る事は出来ないだろう。

 

 

 

 「ふぁ!?」

 

 

 

問題があるとするとコイツラの事をまだ舐めていたようだ。戻る事は出来ないが・・・・止まる事は出来たようだ。俺が通り抜けると急停止。からのバックしてきやがった!

 

 

 

 「うおぉぉぉぉ!!」

 

 

 

 走る!これ以上無い程に走る!向こうも遊んでるのか俺をバックで追いかけてくてる。問題は前から鎌を前にした奴が襲ってくる。1匹目・・・左!2匹目・・・スライディング!からの・・・3匹目は・・・ジャンプ!

 

 

 

 『弱点ねぇ・・・まぁ。遊ぶ所だな。強者の余裕だな』

 

 「しっってるよ!」

 

 

 

 完全に遊んでるからな!後ろから1匹が俺の全力よりやや遅め。前から鎌を構えて突撃してくる。【ガリキス】に向かおうとしたら前から突撃してくるか、後ろの奴が速度を上げやがる。触手でチマチマ牽制は出来ても奴らはバカじゃない。得意の回避力と鎌で対応してきやがる。しかも弱らした奴は事ある事に出口に向かおうとしやがる。

 

 

 

 (後ろのうざい奴だけでも何とかしたい)

 

 『難しいな。触手で狙えばカバーリングしてきやがる。なんであんな奴守ってるんだ?』

 

 

 

 確かに。遊びだろうがアイツだけ強くならない理由が無い。羽がボロボロだし強くする必要が無いとか?なら守る必要も無い・・・遊び・・・遊び?

 

 

 

 「な、なあ?は、はぁはぁ・・・【コア】・・・アイツ遊んでるんだよな?」

 

 『あぁ?そうだな』

 

 「じゃあ・・・はぁはぁ・・・ルールは?」

 

 『・・・ほぅ。なるほど、な。それを俺に探せと?』

 

 「ああ!」

 

 『オーケー!オーケー!任せろ!時間・・が来るまで逃げないで、戦うってものも乙なものだなぁ!』

 

 

 

 これで俺は走る事に専念出来る。後は【コア】への情報の為色々試すか!まずは触手で後ろの奴を狙う!が・・ダメ!ルール違反と言わんばかりに後ろの奴のスピードが上がる。更に他の障害物ホラーの鎌の範囲、間隔が狭くなった!?

 

 

 

 『LV2って所かな?』

 

 (どちらかと言うとLV3かな?)

 

 『でもまぁ・・・ルールはわかったぜ』

 

 (マジか!早いな!)

 

 『簡単な事だ。たぶん強化された4匹が攻撃兼防御だ。俺達を襲い、弱点を守るのが目的だな。あの雑魚は出口に辿り着く事が目的だろうなぁ。で俺達の勝利条件は』

 

 「『あの雑魚を倒すこと』」

 

 『蚊蚊蚊カカカ漸く気が付いたか。さて・・・ここからじゃなぁ~』

 

 

 

 わかったなら話は簡単だ!2本の触手を使い、羽無しを狙いこれで後は2匹。後の1本・・は入口近くにアンカーの様に設置する。これで・・・

 

 

 

 「仕込みは終わりだ!」

 

 

 

 これで障害物は2匹。ここを抜けれれば・・

 

 

 

 『・・・・・・・』

 

 「ん・・・な、アアァァァァ!?グアァァァァァァ!!」

 

 『おい!どうしたんだ!おい!っちィィ!!』

 

 

 

 急に頭が割れそうな程の音が聞こえたと思ったら耳が聞こえなくなり、並行間隔を失い、耐え難い頭痛に見舞われた蹲ってしまう。後ろから鎌が迫ってきたのは奇跡的に背中を更に大きく傷つくだけで済んだ。

 

 

 

 (な、なにが・・・)

 

 『おい!起きろ!ふざけんなよ!!』

 

 

 

 【コア】の酷く焦った声が聞こえる。視界が歪み、掠れ、ゆっくりと暗くなっていく。視界の端には薄緑に発光しながら羽を揺らしているヤツが見える。

 

 

 

 (ぁ・・・ぁ・・・ぁぃつか・・・)

 

 

 

 まさかそんな技を使うとは思わなかった。油断は無いつもりだったが経験不足かな?

 

 

 

 『終わりかの~。つまらん』

 

 『ピギャァァァァ!!』

 

 『おい!立て!このままだと本当に殺されんぞ!!』

 

 

 

 わかってるって・・・でも身体が動かない。今は頭痛は無いが身体は動く気配はしない。なんか戦うとこんなのばっかりだな。

 

 

 

 『諦めんな!お前が死んだら俺も死ぬんだぞ!!立て!立てぇ!!』

 

 

 

 変身も解け、このまま攻撃されたら死ぬだろう。立ちたいが立てない。もう殆ど目も見えないが何故か周りより頭がクリアだ。大丈夫だ【コア】。ギリギリだが間に合ったよ。

 

 

 

 『何を!?』

 

 

 

 ズバァァァァ!!

 

 

 

 『ピ、ピギィィィ!?』

 

 『ほう・・・』

 

 

 

 出口から蒼い炎を纏った斬撃が2つ、部屋を分断する。一つは俺を追いかけていた【ホラー】を容易く切り裂き、跡形も無く焼滅した。そして残りの一つは音を鳴らしていた雑魚を焼滅し、【ガリキス】に防がれる。

 

 

 

 『ふん・・・招かれざる客か・・・』

 

 

 

 【ガリキス】はつまらなさそうに呟き、先ほどのニヤニヤ顔を止め、怒りにも悲しみにも見える表情へ変わる。残る3匹は身体を変化させ、先ほどより二周りほど大きく細くなり、鎌に4足には白と赤のラインが浮き出てくる。

 

 

 

 『『『蚊蚊蚊カカカ』』』

 

 

 

 出口の繭は蒼い炎で燃え、中から小学生ほどの女の子が出てきた。そしてその奥から蒼色の中世の甲冑着た騎士がレイピアを構え入ってくる。

 

 

 

 『わかってるなソウジ?』

 

 『ああ』

 

 

 

 そこには俺達・・を殺した魔戒騎士が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ッシ!』

 

 

 

 蒼迅騎士はレイピアを構えると【使徒ホラー】との間合いを一瞬で詰める。

 

 

 

 『蚊カ!?』

 

 

 

 【使徒ホラー】が蒼迅騎士に気が付き、両手の鎌で切り裂こうと腕を振るった。

 

 

 

 『・・・一』

 

 

 

 振るわれた鎌は空を切り裂く。しかし蒼迅騎士は既に【使徒ホラー】の移動しており、別の【使徒ホラー】の近くにいた。

 

 

 

 『ほう。中々やるの~』

 

 

 

 【ガリキス】の呟きに答えるモノはいない。蒼迅騎士を攻撃しようと2匹の【使徒ホラー】は同時に羽を震わせ、発光し鎌を振るう。

 

 

 

 『・・・二三』

 

 

 

 蒼迅騎士がそう呟くと【ガリキス】のほうへ向かい歩き出す。【使徒ホラー】の鎌は蒼迅騎士に触れるであろう瞬間に3匹・・はバラバラになり霧散する。

 

 

 

 『・・・』

 

 『ふむ・・・』

 

 

 

 蒼迅騎士はレイピアを再び構えると、蒼い指輪をレイピアに当てるとレイピアが蒼く光る。【ガリキス】はその光景を見て、中足を顎に持って来て思考する。

 

 

 

 『ソウジ!やめろ!』

 

 『やれやれ。ワシの用事・・はすんだんじゃが・・・死ぬ気かノゥ?』

 

 『ッ!?』

 

 

 

 【ガリキス】から凄まじい殺気を感じ、蒼迅騎士は思わずレイピアに力を入れる。見れば軽く振るえ、よく聞けばカタカタと言う音がする。

 

 

 

 『・・・』

 

 

 

 魔道輪ジルの警告の意味はわかる。しかしソウジは魔戒騎士【ホラー】を狩る者だ。その使命に人生を捧げている。その彼は目の前の【ホラー】に勝てないからと引く訳にはいかなかった。

 

 

 

 『蚊蚊蚊カカカ・・・うむ。気に入った・・・少しだけ遊んでやろう』

 

 

 

 【ガリキス】は羽を広げ手足を広げ、立ち上がる・・・・・。

 

 

 

 『ッ!?』

 

 

 

 ソウジに油断は無い。異界を探知し、この場所に足を踏み入れた時に【ガリキス】の事をジルから聞いた。しかしソウジは何時【ガリキス】が座ったのか気が付かなかった。

 

 

 

 【深淵の7柱】

 

 

 

 魔戒騎士にも称号があるように【ホラー】にも階級・・・というより通り名がある。その一つが【深淵の7柱】だ。

 

 

 

 白夜の魔獣 レギュレイス

 

 

 

 ホラーの始祖 メシア

 

 

 

 メシアの涙 エイリス

 

 

 

 等の代表があるがそれは極一部だ。【ホラー】は魔界からゲートを通り現世に現れ、魔戒騎士によって封印され魔界に還される。そしてまた現世へ現れる。それは全世界に発生する現象であり災害だ。そしてその多くは対策・・されている。しかしまた対策のされていない存在・・・それが【深淵の7柱ガリキス】だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (よ、予想外だ・・・)

 

 

 

 一瞬意識が飛んでいた俺は変身が解け、気が付いた時に気絶してる振りをして、戦況を隠れ見していた。俺はシアターを開けっ放しにして【ホラー】の気配を近くの魔戒騎士を探知させ、中にいる【ホラー】を倒させる、もしくは任せるという作戦だったが・・・

 

 

 

 (まさかここまで差があるとは・・・)

 

 《アイツじゃあ厳しいな》

 

 

 

 確かにソウジは強い。しかし【ガリキス】はもっと強い。

 

 

 

 圧倒的

 

 

 

 まさにその言葉が的確だ。昔、RPGゲームでめちゃめちゃレベル上げてボスをボコボコにしてた事を思い出した。ほらほら攻撃してこいよ!きかねぇし、効いても回復するがな!てきな事を思い出した。

 

 

 

 (てか今の現状の方がヤバイ)

 

 

 

 そらそうだ。俺のダメージは大。そしてどっちが生き残っても逃げ切れるか妖しい。まずは体力回復を優先しないとこのまま殺される。

 

 

 

 (どうよ?)

 

 《あ~厳しいな。異界だから【ホラー】の事はバレるか妖しいが栄養が足りねぇ》

 

 (異界は無理か?)

 

 《アホかぁ!こんな状態で異界を吸収すれば【ホラー】に飲み込まれんぞ!》

 

 

 

 しかしこのままだとヤバイ。ゆっくりでも出口に近づきたいがこの状態で動いたらバレるだろう。顔バレしたらマジでヤバイ。殺されるんご・・・

 

 

 

 『ッ!ッハァァッ!!』

 

 

 

 そんなくだらない事を考えていたらソウジが動いた。構えていたレイピアを【ガリキス】に振るう。俺には蒼い線がいくつもの走り、蜘蛛の巣に見えた。

 

 

 

 『ふむ。そんなものか』

 

 『!?』

 

 

 

 【ガリキス】はそんな攻撃を受けても無傷だった。どういう事だ?俺の触手は表面だけとは言え傷はついた。でもあの俺の触手より強いであろうレイピア攻撃を受けて傷がつかないはずは無い。

 

 

 

 『化け物が!』

 

 『蚊蚊蚊カカカ!!』

 

 

 

 ソウジは焦りとも取れるほどの大声を上げ、もう一度レイピアを振るう。そしてその度に線が走るが今度は【ガリキス】が器用に全て捌いているのが見えた。というより【ガリキス】が見せた。

 

 

 

 (ああ・・・アレは無理だ)

 

 

 

 先ほどまで、もしかしたらソウジなら勝てるのでは?不意打ちして二人で戦えば倒せるのでは?と思っていたがアレは無理だ。大人と子供ならまだ戦えるが、アレは戦いですらない。

 

 

 

 『残念じゃが時間切れじゃ』

 

 『なに!?ッ!』

 

 

 

 【ガリキス】は攻撃を全て捌き、腕を軽く・・振るう。その風圧でソウジが吹き飛ぶ。間に合うように振られた腕のおかげで、防御出来たソウジは今の所は立っている。

 

 

 

 『まだだ・・・ッ!?ガッ!?』

 

 

 

 防御出来たはずだった。ダメージをある程度受け流し、まだまだ戦えるはずだった。しかし現状はもう一度レイピアを構えようとした瞬間、身体の彼方此方から火花が散り、ソウジはあまりのダメージに膝を付く。

 

 

 

 『ソウジ!』

 

 

 

 ジルの悲痛な叫びが異界に響く。この結果は当然だ。レベルが違いすぎるのだ。【ガリキス】が何をしたか?それは腕を振るって、目に見えない程小さい【使徒ホラー】で攻撃だけだ。そしてそのダメージを吸収して【ガリキス】の体力は全快だ。【ガリキス】と戦うなら最強の魔戒騎士【牙狼】、もしくは最上級【ホラー】レベルが必要だ。

 

 

 

 『グッ・・・ガッ・・・』

 

 

 

 ソウジはレイピアを地面に突き立て身体を支え立ち上がる。誰が見ても戦況は明らかだ。まさかの一撃で戦況が変わるとは・・・

 

 

 

 (どうする?どうしたらいい?)

 

 《どうもねぇよ。アイツが言っただろ?時間切れだ》

 

 (?どういう事・・・)

 

 

 

 パン!

 

 

 

 (!?)

 

 

 

 異界に大きな音だが、この状況に似合わない音が聞こえる。この音は拳銃の発砲音。まさか・・・

 

 

 

 「・・・は、離れろ!未確認!」

 

 

 

 そこに居たのは、拳銃を構え足をがくがくと震えながらも、そこに立っているのは目つきの悪い刑事さんだった。

 

 




 描写めちゃ難しい。戦闘というよりみんなに読んで貰えているか不安です。

 後は【ガリキス】の話が終わったら幕間を1つ入れて、ストックを溜める(小説の勉強も含め)る予定です。で・・・幕間の内容を募集します。何もなければアルテメギス(俺ツインテール)の話にします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。