A級4人組のお話。 (うにょんぽつ)
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遅刻魔と女の子

「おまたせ~」

 

「遅い!!」

 

入って来た瞬間怒鳴られる我がリーダー、翔。

 

あーあ、正座までさせられてるし。

 

これは長くなるな、と早々に見切りをつけ本を手に取る

 

隼人の説教の声をBGMにゆっくり本を読み進めていく

 

 

本も終盤に差し掛かり、ちらりと翔を見ると俯きながら口を尖らせながら不貞腐れていて、少し笑みがこぼれる。

 

相変わらずだなあの二人は。

 

微笑ましい目線を送っていると、突然ドアが開き全員がドアの方向を見るとそこには悠介が立っていた。

 

 

「あっ悠介!」

 

「ごめん、待った?」

 

「全然!今怒られてたとこなんだよ」

 

「お前何したんだよ」

 

 

二人仲良く談笑しているが彼らには見えていないのだろうか。

 

後ろで怒りの炎を纏った隼人のことを。

 

 

「お前らいい加減にしろ!!」

 

 

****

 

 

 

「今日の防衛任務のどこ?」

 

「右に同じ」

 

「今日は無いんじゃない?」

 

「バカ。いい加減なこと言うんじゃないよ」

 

 

上から、遼、翔、悠介、隼人である。

 

仲良く固まって本部内を移動する様は大勢の視線を集める。

 

A級に加え全員が顔が容姿秀麗となると、その人気は凄まじい

 

ざわめく隊員をよそに4人はロビーの向かい合ったソファに腰を下ろし、また会話を始めた

 

恐らく時間より早く出てきてしまったんだろう。

 

先程、遼が時計を見て深いため息をついていた

 

 

「超絶腹減りの介だわ」

 

「分かる。腹減り過ぎて鳥になるわ」

 

「ごめん全然分からん」

 

「ていうか周りうるさすぎ。猿かよって感じ」

 

「そういえば俺ニホンザル飼いたいんだけど」

 

「やば。俺犬がいい」

 

「俺は鳥かな」

 

「じゃあ俺はネイバーで。」

 

「お前そんな事言ったらまた目を付けれんぞ」

 

「えーじゃあドラゴンにするわ」

 

「じゃあってなんだよ」

 

 

くだらない話を続けていると誰かがこちらに近づいてくるのを感じ取りその出どころを探す

 

そしてそれはすぐに見つかり、

 

 

「し、翔先輩…!」

 

頬を赤く染めたツインテールの少女が立っていた

 

このまま無視することも出来ないのでこちらのソファに招き入れ、その子と翔が向かい合わせになる様に座る

 

 

「…どした?」

 

「あの、私のこと覚えてないですかね…?」

 

 

出た、ボーダーあるある。

 

ボーダに助けてもらった人がその人に憧れてボーダーに入るってやつ。

 

うちのリーダーは顔もいいから命の恩人というフィルターもかかって熱烈なファンがいるんだよな

 

恐らくこいつはこの子の事を1ミリも覚えていないだろうけど、こういう時のために対策をしっかり叩き込んでおいた

 

 

「…もしかしてあの時の?」

 

「ッ!覚えていてくれてましたか!!」

 

 

ハイ完璧。

 

純粋な気持ちを弄ぶようで悪いが、お互いの最善の道はこれなのだ

 

仕方あるまい。

 

 

そうしてその子も交えて会話をしている内に防衛任務の時間の五分前になりこの場を収める

 

 

「んじゃあ、またね」

「はい!これからよろしくお願いします!」

「おう。行くぞお前ら」

 

 

そう言って席を立ちこの場を離れる

 

オペレーターの隼人とは別れ、3人で防衛任務の場所に向かう

 

向かいながらもくだらない話をしていたがこれは割愛させていただくとしよう。

 

 




今日の一言:イェーイめっちゃホリデー


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防衛任務

I am ヌードル


「なあ、ここでバク宙したらカッコよくね?」

 

「確かに。やろっか」

 

「それ隼人に撮っといて貰おうよ」

 

«えー俺もしたいんだけど»

 

「じゃあその場でしといてよ」

 

「うわ、失敗したら痛そ」

 

«バカ。しねぇわ»

 

「一応気をつけてね」

 

「んじゃあ、準備できたら言って」

 

 

 

そう言って軽く体をほぐす

 

肩を回したり、腰を回したり、手首を回したり。

 

どれも3種3様で個性が強く出ている。

 

 

«ん。準備出来たよ»

 

「りょーかい。行くぞ」

 

 

せーの、の合図で一気に4人が宙に舞う

 

トリオン体の3名は一階建ての高さまで舞い、さながらそれはイルカのようだ

 

そしてオペレーター室の隼人も綺麗に成功し、トリオン体の3名には劣るが、かなりの高さを舞った

 

飛んだ高さのことで翔と悠介が争っているたがこれは遼が上手くまとめ、事無きことを得た

 

 

(子どもか…。いや、子どもか。)

 

どうやら遼と、翔と悠介の間には精神年齢の差があるらしい。

 

 

«あ、来るよ»

 

 

と、言った直後に翔と悠介の前に大きなゲートが現れる

 

直前に言ったのは隼人からのイジワルだなと察し、翔の顔から好戦的な笑みが浮かぶ

 

 

「こりゃ一本取られたぜ。…行くぞ!」

 

「あいよ」

 

 

翔が孤月を、悠介がアステロイドを出し背中を預けるようにして戦闘を開始する

 

 

翔の方にはモールモッド2体で戦闘用が来てくれた嬉しさで自慢しようと悠介をみるとこちらもモールモッド2体とだったらしい。

 

少し口を尖らせながらトリオン兵に近づき、襲い掛かる足から避けながら弱点を斬る。

 

鮮やかに二つに割れたモールモッドを見て隼人は思わず口笛をふく

 

 

「へへっ」

 

 

残りの一体も同様に真っ二つに斬る。

 

肉眼でモールドモッドのブレードを視るのは難しいと評されているが、個人的には動体視力の問題だと翔は思っている。

 

 

後ろを振り返ると悠介がメテオラでネイバーを粉々にしており思わず苦笑する

 

これを喰らったネイバーはひとたまりもないだろう

 

 

 

「あれ、遼は…?」

 

 

遼のことを思い出し居た方向を見ると、

 

 

「うざ」

 

眉間に皺を寄せながら本を片手にネイバーを斬っていた

 

遼の方もモールモッド2体だったらしく、これもまた硬いと評されている足を飛ばし軽やかに弱点を貫いた

 

 

「遼かっこいいんだよなーあれ」

 

「それな。育ち出てるわ」

 

「ねぇどういう事それ」

 

 

わらわらと3人で集まりどこからともなく会話が始まる

 

 

「ていうか!隼人イジワルしたでしょ」

 

「確かに!!忘れるとこだったわ危ねぇ」

 

«だって俺らの中ではイジワル及びイタズラは自由化されてんじゃん»

 

「そうだけど!死ぬかもしれなかったんだよ??」

 

«お前らが死ぬわけねぇじゃん。バカ»

 

「まあ…確かに」

 

 

口ではこう言ったが隼人からの絶対的な信頼に少し照れる一同。

 

まあ、ここにいる全員は隊の中の為なら命すら顧みないヤツしかいないからな。

 

 

「そういえばなんで遼本持ってんの」

 

「え?読んでたからだけど」

 

「いやいや何読んでんの?!訓練中に読むとかバカでしょ」

 

「それくらい面白いってことだろ。ちょ、見せて」

 

«あ、それ僕があげた本だ。読んでくれてるんだね»

 

「おう。めっちゃお気に入り」

 

「うぇ、文字がいっぱい…」

 

 

そうしてあっという間に時が過ぎ、防衛任務終了の時間になった

 

 

 

 



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迅さん

最近暖かいよね


防衛任務を終え、じゃれ合いながらも歩いて本部に帰る。

 

一時期は歩くのが面倒だと故意に緊急脱出を起こして帰るのがこの隊で流行ったがそれはもう飽きたらしい

 

もっともその理由は後付けで本当は仲間の中で戦った方が楽しいから、というらしいが。

 

 

 

 

「あ、迅さんだ」

 

「本当だ。なんか近づいてきてるよ」

 

「やば俺目合っちった」

 

«はい悠介大戦犯»

 

 

 

「悠介たちじゃん。久しぶり」

 

こんなことを話していると迅さんが俺らに向かって手を上げる

 

あーあ。確信犯じゃん

 

どうせ面倒臭いこと押し付けられるんだろうなと予想し、憂鬱になる。

 

悪い人じゃないんだけどね。

 

うちのリーダーはお人好しだから何だかんだ言って迅さんからの面倒事を引き受けるんだろうなと予想してみる

 

こういう事は外した事がないからほぼ確定だけだど。

 

ぼんやり考えている間にも話は進んでいるようで今週の水曜日、つまり12月18日だけは戦闘しないでくれとのことだったようだ。

 

 

「いいけど…なんで?」

 

「お前らを巻き込んではいけないと俺のサイドエフェクトがそう言っている」

 

「出たよそれ。飽きたから違うパターンにしてよ」

 

「確かに。城戸さんとかも飽きてるよ多分」

 

「え、ウソ……」

 

「なんでそこ本気に捉えてんの」

 

「いや、だってこれ言い過ぎたかなって」

 

 

迅さんが頭を掻きながら言うとそれを見た翔と悠介が爆笑する

 

迅さん意外と天然説。

 

 

「あー笑った。んじゃあ、水曜は大人しく遊園地行ってくるわ」

 

«は?お前学校は?!»

 

「賛成ー。トリガー使えないとか楽しみないじゃん」

 

「一理ある。あ、迅さんもどう?」

 

「行きたいのは山々だけどしなきゃいけないことあるんだよね」

 

「そっか。じゃあ頑張って」

 

「夜道気をつけてね」

 

«なんで遼くん止めてくんないの…»

 

 

迅さんと別れた後、隼人から呆れた声が頭の中で響く

 

声から机に突っ伏している姿が簡単に想像出来て少し笑みがこぼれる

 

隼人はこの隊の中で1人だけ大学生だから色々あるんだろうけど、今週の水曜日はサボれる講義があるのを俺ら は知っている

 

おおかた、勉強詰めの隼人の為の気遣いのつもりで言ったんだろう

 

それに、隼人もそれに気づいているから建前は反対していても心無しか声質が嬉しそうだ

 

 

「あ、電話来た」

 

「誰から?」

 

「聞いて驚け、俺のスイートハニーだ」

 

「は?お前出来たの?マジで?!」

 

«ついにお前も彼女持ちの仲間入りか。歓迎しよう»

 

「あ、先行ってて。後で追い付くわ」

 

「おう」

 

 

背を向けて歩くと後ろで彼女持ち特有の彼女に掛ける甘い声が聞こえて思わず二人で吐く真似をする

 

そして二人で目が合う。

 

同時にニヤリと笑うとやる事はあと一つ。

 

 

全速力で基地に帰った。

 

 

 

 



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同居生活

後書き自己満入ります

閲覧気をつけてください


「「ただいまー」」

 

 

翔と一緒に玄関をくぐる

 

家族でもない僕達がなぜ一緒に住んでいるかと言うと、僕は第一次近海民侵略で家族を亡くしていて、そのとき同じだったバイト仲間の翔の家に転がり込んだ

 

どうやら翔も同じ境遇だったらしく誘い文句が「俺も一人だからさ、来てよ」だった

 

元々相性が良かったというのもあり、今では家族のような存在になりつつある

 

 

「…おーい隼人ー。生きてるかー」

 

 

翔の声で我に返る

 

目の前で手をヒラヒラさせているのが腹立つが僕が悪いので甘んじて受け入れる

 

「ごめんごめん、ボーッとしてた」

 

「まだボケないでよ?うちのオペレーターがいなくなっちゃう」

 

「バカ。まだまだいけるわ」

 

 

軽口を交わしリビングに向かう

 

翔が学生服から普段着に着替えているのを横目にご飯を作るべくキッチンに立つ

 

ほっといたらこいつ何にも食わねえからな。

 

 

「ねえ、今日の夜ご飯のリクエストある?」

 

「んー、お洒落麺」

 

「パスタって言えや」

 

「おれ和食派だからさ」

 

「え、オムライス好きなのに?」

 

 

口は動かすが手も動かす。

 

非常に器用な事をしているがこれくらい僕のサイドエフェクトにかかれば余裕のよっちゃんだ

 

 

 

暇になったのか知らないが翔がやたらとちょっかいを掛けてくる。

 

邪魔だからあっち行って欲しい。本当に。

 

 

***

 

「「いただきます」」

 

 

翔がフォークを使って綺麗に口に運ぶ

 

数秒立って美味しいと顔を綻ばせるのを見るのが結構僕のお気に入りだったりする。

 

それを見てから僕もパスタを口に運ぶ

 

うん、美味しい。

 

でも少し味付け濃すぎたかもな。

 

一人反省しながら残りのパスタを咀嚼する

 

 

いつもお喋りが絶えない二人だがご飯の時は静かに食べるという鉄の掟がある

 

鉄の掟はあとつつあるがそれはまたいつか話す機会があれば話すことにしよう。

 

 

 

「「ごちそうさまでした」」

 

 

一息ついてお皿を翔が持っていく

 

本人はご飯のお返しだというが料理は好きでやっているのだから気にしなくていいのに。

 

まあ、今更か。

 

 

 

「あ、遊園地行くって本気なの?」

 

「当たり前じゃん。今更取り消す訳ないじゃん」

 

「まあ確かにね」

 

 

ここで引き下がってはいけないと頭で分かっているのだが、口は意に反してペラペラと動く

 

良く考えると、一度決めたら何が何でもやり通す翔に妥協案は通じないと早々に諦める

 

結局僕が翔を動かしているようで動かされているのだ

 

 

 

****

 

 

「寝る。おやすみ」

 

「ん。おやすみー」

 

 

 

しばらく談笑した後翔がソファから腰を上げる

 

途中から目を擦っていたので限界に達したのだろう

 

足元がふらふらになりながらも部屋へ戻る翔を見送りながらパソコンを起動する。

 

レポートやるか。

 

 




一ノ瀬隊スレPart52©2ch.net


01 名無しさん

※他隊他ヲタ叩き禁止
※スレチコピペ荒らし禁止
※次スレは950踏んだ人が立てる

02 名無しさん

>>1 おつ 新スレおめ

03 名無しさん

>>1 おつー

04 名無しさん

今日一ノ瀬隊見たやつおる?

07 名無しさん

クッソイケメンやったなしかし

06 名無しさん

>>4 それkwsk

07 名無しさん

>>6 ロビーで仲良く談話してただけ。多分防衛任務

08 名無しさん

ため息つく遼さん(´Д`三´Д`*)hshs

09 名無しさん

一ノ瀬隊見れるとか裏山

10 名無しさん

>>8 お巡りさんこいつです

11 名無しさん

それな 滅多にお目にかかれないよな

12 名無しさん

つか途中で話に行った子誰?邪魔なんだけど

13 名無しさん

A級の黒江ちゃんだわ にわかは半年ROMっとけ

14 名無しさん

>>12 お前が邪魔 C級は人権ないから

15 名無しさん

でも>>12の気持ちも分からんでもない

16 名無しさん

てかすれ違った時いい匂い過ぎて

17 名無しさん

それな 他の匂いしなかったから全員同じ香水もあるぞ

18 名無しさん

何それ萌える

19 名無しさん

┌(┌^o^)┐ホモォ…

20 名無しさん

┌(┌ ^o^)┐ホモォ…

21 名無しさん

ボーダーに入れば絶対一ノ瀬隊見れるんか?

22 名無しさん

>>21 いやレアキャラやから分からん 運次第

23 名無しさん

>>21 高確率で4人揃ってるぞ

24 名無しさん

仲良すぎかそれ

25 名無しさん

ワイもそんな友達欲しかったわ

26 名無しさん

>>25 俺がいるじゃないか

27 名無しさん

翔さんと同じクラスの俺は勝ち組

28 名無しさん

>>27 ファッ?その話kwsk

29 名無しさん

翔さん今日ちょっと冷たかったんだけど何かしちゃったかな…

30 名無しさん

>>29 自意識過剰 お前みたいなブスが翔さんに何かの影響を及ぼすわけねーだろ

31 名無しさん

>>29 自分が関係してると思った時点で草

32 名無しさん

隼人さんが一つ年上という事実に撃ち抜かれた

33 名無しさん

隼人さんが2年の教室まで行ってたんだろうな

34 名無しさん

想像すると可愛すぎんか

35 名無しさん

翔さん→正統派
遼さん→爽やか系
悠介さん →ヤンチャ系
隼人さん→インテリ系
の認識でOK?

36 名無しさん

まさにだな

37 名無しさん

顔の系統バラバラってすごくね?

38 名無しさん

一つ言えるのは全員絵本から飛び出してきたイケメンって事だな

39 名無しさん

つかボーダーにいるやつもっと一ノ瀬隊の情報くれ

40 名無しさん

それな 一ノ瀬隊に入りたすぎて。

41 名無しさん

40>> もう完成してるから異物は入んな

42 名無しさん

40>>激しく同意



飽きたのでこの辺で終わります。自己満でしたので。


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教室

お腹痛い


空は快晴。天気も上々。

 

だがこの3人の機嫌はすごく悪い

 

悠介は言わずもがな不機嫌そうだし、遼は口は笑っているが目が怖い。

 

そして翔はというと、眉間に皺を寄せて口を尖らしている

 

これは拗ねているのだろうか。

 

放課後だというのに3人からは黒いオーラが発せられていて誰も迂闊に近寄れない

 

そんな気まずい空気の中、不意に翔の携帯が鳴る

 

掛かってきた手前、無視する訳にも行かず眉をしかめたまま電話に出た

 

 

「もしもし」

 

『あ、翔?見たよあれ。中止になったんでしょ?』

 

「…うん、ごめん」

 

 

そう、水曜日の約束が取りやめになってしまったのだ

 

理由は簡単。

 

城戸司令から黒トリガーの奪還に協力せよ、との事。

 

詳しい日付はまだ決まっていないが詳細を聞いたところ、様々なことが重なり水曜日に事が起きると巻が告げていたのだ

 

一応、悠介にも聞いてみたがやはり同意見らしく3人の機嫌は急降下した

 

 

『何で翔があやまんの。また今度いこう?な?』

 

「うん。じゃあね勉強頑張って」

 

『ありがと翔もだぞ?』

 

「うんばいばい」

 

 

そう言って電話を切る

 

隼人と話したことにより少し雰囲気が柔らかくなったがそれでもどこか刺々しい

 

 

「隼人、なんて?」

 

「また今度いこ、だってさ」

 

「っ!俺は明日行きたかったのに!!!」

 

その一言と同時に悠介の波長が一気に大きくなる

 

取り敢えず宥めるが行きたかったのはみんな同じだ

 

やるせない悔しさと行き場のない怒りで強く拳を握り締めていると、

 

 

「…あ」

 

 

翔が不意に顔を上げる

 

その目には輝きが取り戻され心無しか表情も明るい

 

 

「いーこと思い付いちゃった」

 

 

そこからは早かった

 

怪訝そうな遼と悠介を引っ張り出し理由を話す

 

それを聞いた二人はニヤリと笑い一目散に学校を飛び出す。

 

 

 

翔は城戸指令の命令から1つの抜け道を見つけたのだった

 

 

 

****

 

「というかよくそんなこと思い付いたよね」

 

「城戸指令も翔に一杯食わされるなんてビックリだろうよ」

 

「おい、どういう意味だそれは」

 

「そのまんまの意味だよバーカ」

 

 

そう言い残し悠介は走り去る

 

条件反射で駆け出した翔の手を引き、その場に留める

 

恨みがましい目線を向けられるが遼は至って涼しい顔だ

 

いつもの経験から遼には効かないと分かったのか口を尖らせながら不貞腐れている

 

そんな翔を見て満足そうに笑いながら手を離す

 

 

「今追いかけるより後でボコボコにしたほうがよくないか?」

 

 

そんな悪魔な囁きに翔はまんまと乗ってしまい、遼の事を尊敬の意で見つめる

 

また遼は尊敬の意で見てくる翔を横目にまた満足気に笑うのであった

 

 

 



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