MHWの5期団君(主人公ではない)になってしまった男 (ヘタレのゆみ)
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モンハン世界は世知辛い

「飛べヒトの子よ。願わくば異界で幸の多からん人生のことを」

 

 

新作の狩ゲーをプレイしてついにHR100に到達しひと段落したので、これからはペースを落として様々な武器を使えるなというところでこの事件は起きた。

 

Bラン大学に無事入学の決定した春休みの毎日の中で俺はひたすらにモンスターハンターワールドにハマっていた。というのもds系列になってからは一切触っていなかったモンハンが新作となってps系列に帰ってきたからだ。

小中学校時代の青春を思い出させるこの新作はやはり寝食を忘れてプレイしてしまうのもしょうがない。

 

今これを見てくれている諸兄もきっと同様に感じてくれていることだろう。

だが、この寝食を忘れてというのも限界があった。

まぁ、そう気づいた時には床にぶっ倒れていたんだが。そして、今生での意識はそこまでだった。

 

次に目を覚ましたのは、どこかの部屋の一室だった。俺の泥臭くも精一杯の物語はここから始まるのだった。

 

「よう!!目は覚めたかい?」

朝日に目を覚まして、声をかけてきたのは茶髪のチャラそうな粗末な服を着た若い男だった。

 

「ああ、目は覚めたがここはいったい何処なんだ?それとアンタは誰だ?」不躾な質問だが現状把握の為に取り敢えず聞いてみることにした。

 

「オイオイ何日か前に自己紹介したばっかじゃねぇか。何でも屋のライルだよ。ちゃんと覚えといてくれよなぁ。同室だから仲良くしようぜって話したろ?まぁ、オマエには無視されたがな」

 

オイ!この世界の俺はなにやってんだよ。同室の奴とぐらいは話しとけよ。仕方ない。取り敢えずここは話しを合わせておこう。

「いや、悪かったな。あの時はどうにも腹の調子が悪くて人に構ってる余裕がなかったんだよ。」

 

「改めて俺の名前は・・・」いやどう考えてもこの体は俺の体じゃないし、この世界での名前も分からないんだが。

 

「俺の名前はザインだ。これから宜しく頼むよ。」本名が渡辺在人(アリヒト)だからその読みを変えただけの安直なものになってしまったがたぶん大丈夫だろう。

 

「食あたりならしょうがねぇっていうことにしといてやるか。こっちこそ宜しく頼むぜザイン」

 

「で始めのザインのここは何処かっていう質問はズバリ船の上だ。」

「船の上?っていうことは目的地は何処だ?」

「ああ、船の上で目的地は夢の新大陸の調査拠点アステラだ。」

 

その拠点の名前を聞いて俺は耳を疑い、息を飲んだ。それは恐怖かはたまた興奮かどちらともいえないモノを感じたからだ。いや、だかまだあのMHWの世界と確定したわけではない。単に拠点の名前が同じなだけかもしれない。

 

「悪い、もう一度拠点の言って貰えるか?」

 

「おう!いいぜ。調査拠点アステラだ。詳しくいうなら40年以上も前から建設されてきて、さらに今年は古龍渡のせいで俺たちみたいな末端のハンターにまで五期団の第3船部隊として声がかかったみたいだからな。特に今回は超大型古龍ゾラ・マグダラオスの痕跡発見に貢献したなら金一封と他にも様々な褒賞が貰えるようだし、俄然やる気が出るよな。」

 

確定だ…。40年前、ゾラ・マグダラオス、5期団これらの単語から推測されることはどう考えてもMHWの世界に転生したということだろう。

 

「急に黙っちまってどうしたんだよ?また腹痛か?」

「ライルは色々と詳しいなと感心してたんだよ。それと第3船部隊っていうことは、ほかにもいるんだよな?」

「そりゃあいるぞ。第1船部隊は推薦組やアステラの関係者達で第2船部隊はアステラに行く前からの一般的なハンター達と調査員とその護衛、そして我らが第3船部隊は傭兵や冒険者、盗賊に孤児と何でもありで、仕事もまだ未開の地を調査する為のヤバげな奴さ。俺たちは150人と数こそ多いが、ようはエリート達や調査員たちの肉壁さ。ザイン、オマエ流石に知らなすぎてヤバイぞ?」

 

適当な言い訳でその会話を乗り切ろうとした時に急に体に大きな揺れを感じた。

 

「うぉ。なんだこの揺れは!?」

「いったいなんなんだ?」

もしかしてもう、ゾラ・マグダラオスの背中にぶつかる場面まですすんだのか?だがあの場面は夜だったはずだぞ?

 

慌てて部屋の外に出て見ると多くの人たちが慌ただしく走り回っていた。

「だれか甲板に上がって外を見てきてくれ!!」や「誰が前方の確認をしなかった!?」、「さっきまで前には何もなかったはすだぞ!?」と言い合っている男たちを尻目に他のハンター達とどうように俺とライルも外を確認してみることにした。

 

「なんだ…あれは?」俺は何ともなしに呟いていた。

明らかに船の前に青く光る体の一部が見えていた。そしてその体から一気に稲妻が放たれる。

 

ウォォォォン!!

けたたましい叫び声が俺たちの体を貫いた。その時には甲板の一番前にたっていた男たちの体は雷に打たれズタボロにされていた。

 

その時、誰かが叫んだ。

「ラ、ラ、ラギア、ラギアクルスだ!!」

 

「おいライルこれヤバイんじゃないのか?この船って何か武器とかないのか?」

「あるわけゃねぇだろ。この船はモンスターの囮にされてんだよ。だからこそ人数も多いんだぞ!?」

 

こんな転生したばっかで海の藻屑になって消えてたまるかよ!!

「誰か!?素材玉とツタの葉はあるか!?煙玉を撒きまくればどうにか逃げれるんじゃないか?」

とそこでスキンヘッドの厳ついゴリラ見たいな男が俺の意見に賛同してくれた。

「おう、大砲やバリスタがないんじゃ確かにそれぐらいしかねぇな。ボウズの言う通りにしようぜ?何?煙で前も見えなくなるって?そんなこと知るか

兎に角前に進んでアステラにつけさえすればあとはどうにかなるんだ。つべこべ言わずに手を動かしやがれ!!」

「剣士は煙玉を作り続けてくれ!!ガンナーの奴らは何でもいいから足止めに弾丸をありったけ打ち込んでくれ!!」

 

 

 

〜1時間後〜

 

あの後、多くのハンター達の助けにより命からがらアステラ近海まで逃げきることができた。だが、ラギアクルスの攻撃のせいで俺たちが乗った船は今にも沈みそうだったので、仕方なく小船に乗り換え最低限の積荷だけを持ち船を放棄することにした。

 

「マジで死ぬかと思ったが、どうにか逃げきれてよかった…。あとさっきは何の根拠もない俺の提案に乗ってくれて助かったよ。えーと…」そういうと厳ついゴリラ見たいなおっさんが急に立ち上がり、

「おう。そういえばさっきは自己紹介してなかったな。俺の名前はゴーランっていうんだ。これから宜しくな。にしてもさっきの煙玉を投げるっていう機転はなかなか良かったと思うぜ」

「そういって貰えると助かるよ。こっちも宜しく頼む」

そういって俺たちは互いに握手を交わし、ライルなども含めた三人で話し合っているうちにとうとうアステラまで着くことができた。

 

急な異世界への転生それも、モンスターハンターの世界かつ他人の体に転生するという何とも奇妙な事になってしまったがもう一度人生をやり直せるというのはいいものだ。不安がないといえば嘘になるが、これからをこの世界で精一杯生きてみようと思う。

 

「さぁ、いっちょやってみますか!!」

 

 

 

 

MHW五期団君(主人公ではない)に転生した男

 

プロローグ エンド

 




初投稿かつ始めてかいた小説なので、駄文でも優しくして下さい!!ハチミツあげますから!!


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あれから、無事にアステラに着いたはいいものの俺たちの船の乗組員からは60人弱が死亡や行方不明になったと聞いた。今回俺たちが生き残れたのは煙玉も多少の効果はあっただろうが、乗った小船が偶然にも6人のみという少人数だったからであろう。というのも、中型船で先に脱出しようとしたハンターたちは軒並みラギアクルスによって沈められたからだ。やはりモンスター達も多くの餌を求めていると思われる。

そして、翌日…

 

「総司令殿より、明日から始める実地訓練に向けた激励の言葉である!!皆!!傾聴!!」そのずんぐりむっくりした胴鎧(どうみてもハイメタ)を付け、胸に何かの羽根をつけた男が言った後、白髪に鋭い眼光を宿す男が壇上に現われた。

 

「皆、知っているものもいるとは思うがここで挨拶をさせて貰おう。私は、ここの調査拠点アステラで総司令を務めているロドニアスだ。諸君達にはこれから厳しく辛い現実が待ち、その困難を打ち砕き新大陸の調査を進めてもらうことになるだろう。だが、諸君達には決して諦めないで貰いたいなぜなら、その困難を超えた先に我らの祖国の為の利益を生み出すことになるのだから。いや、持って回った言い方はよそう、自分たちの栄誉と富の為に資源を調査しモンスター達を討伐しろ。以上だ。後は頼むぞソードマスター」

 

総司令がそう声を掛けた後ろにはレイア装備で全身を包み、飛竜刀葵を背中に掛けたただのハンターとは隔絶した雰囲気を持つ男が立っていた。

「では、ここからは総司令に変わって儂が話そう。儂はここではソードマスターもしくは先生などと言われて若いハンター達を鍛えると供にこの拠点アステラの防衛も担っているものだ。しかしソードマスターは恥ずかしいから、拠点防衛隊長とでも呼んでくれ。自己紹介はこれくらいでいいだろう。

さて、では今回の五期団の目的は、ここのところモンスターの活動が活発の兆しにある「古代樹の森」と「大塚蟻の荒地」の環境調査、モンスターの征伐、最後にゾラ・マグダラオスの痕跡を集めることだ。ここまでで何か質問はあるか?」

 

「はい、先生!!質問があります!!筆頭リーダーになった俺は具体的に何をすればいいでしょうか?」骨と金属から作られた分厚い大剣(おそらくアギトだろう)を携えた男がそう質問した。

ソードマスターは呆れて肩をすくめてながら、

「全くお前は…。リーダーになったんだから少しは自分で考えろ。まぁ、今回は皆に説明する為もあるからいいが…。確かに先ほど私のした説明では、何をどう調査すればいいかが分からないとは思う。基本的には、推薦組は自分の受付嬢と相談し適宜決めて貰い、研究員と護衛のハンター諸君は研究員の指示に従って貰う形となる。他のハンター達は拠点にある掲示板から適宜依頼を受注し、依頼が完了し次第受付嬢に報告という形になる他にも様々な任務に参加してもらう形となる。また明日朝7時には拠点入り口前に集合し実地訓練となる。遅れるなよ!!それでは、歓迎会を楽しんでくれ。」そういってソードマスターは、立ち去っていった。

 

総司令とソードマスターの演説が終わって30分後には、宴会が始まり皆楽しく飲み、食い、歌い、賭け、と散々に騒いでいた。そん中で当然俺たちも…

 

「取り敢えず無事アステラに着いた記念てことで一杯飲もうぜ、ザイン!!」

「そうだなライル。俺たちも飲むとするか。そういやゴーランのおっさんはどこだ?」

「よう!!飲んでるか二人とも!?」

「ゴーランの声デカすぎるだろ…。まぁ、それはともかく死んだ奴らには悪いけど俺らは全員無事にたどり着けてよかったよ」

「そうだな、ありゃあ運が良かったな」とゴーランが言えばライルが、

「そんな辛気臭い話しすんなよなぁ〜、今は飲んで食って騒ごうぜ!!」

「おう!!そうだな。今日は飲んで食って嫌な事は全部忘れちまおう。」

 

それもそうだと俺は思い直し酒を飲んで、上手い肉を食って今日の宴会は騒ぎに騒ぎまくって大満足だった。まさか、異世界に来てラギアクルスの襲撃はあったもののこんな楽しい時間をすごせるとは思ってもみなかった。

 

だから、そう俺たちは、俺は浮かれていたんだ…。

ここが本当はどんな世界かってことも忘れて…

 

 

ーーーーーーーーー

 

そこは宴会をしている外とはうって変わって静かに二人の男達が話していた。

そう一人は総司令、またもう一人はソードマスターだ。

「ソードマスターいやナインよ。今回の五期団は流石に浮かれすぎではないか?本当にアイツらは此処が何処で何をしにきたかわかっているのか?」今日の五期団達をみて不安そうに語る総司令とは裏腹にソードマスターは気軽そうに、

「いや、儂は十分に大丈夫だと思っておるぞ。聞けばラギアクルスをその機転と行動力で撒いた奴らがいるそうではないか?」

「いや、確かにそういう奴もいるにはいるが、どうもこの様子を見ているとな…」

「それは心配しすぎだろうさ。それに、何の危機意識も持たずに明日の訓練…、いや古代樹でのサバイバルに参加すれば死ぬことになる。それにそういった志しの低い連中に数だけいて貰ってもこまるだけだ。良い振い落としになると思うがな?」その些か残酷とも取れるソードマスターの言葉を聞き総司令は、

「全く、ソードマスター様は厳しいことだ…。まぁ、確かにお前の言うことも一理はあるな。だが、いくらギルド本部の人手不足とはいえあまり死なすのはマズイ。そこは頼むぞ。」

「分かっておる。アステラ総司令殿の面子を潰すことはしないといっておこう。」

「さぁ、儂らも飲むとしよう。」

「そうだな…(不安は残るが、いまさらどうこう言っても仕方あるまい後は若者達の力にかけよう。)」

 

こうして苦労人二人の夜は更けていった…

 

 




此処まではまだ説明会と準備なので盛り上がらなくて申し訳ないです。
総司令には便宜上、ロドニアスさんにしました。
ソードマスターはナインさんにしました。
気に入らない方がいたら申し訳ない。
文字数はどれくらいが読みやすいのか分からないので、もしこれくらいの分量があると読みやすい。という案がありましたらお教え下さい。


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実地訓練という名の…

 

「ッ頭いてぇ…。」

 

昨夜の宴を開けて朝、まぁ予想通りに二日酔いになった。これはしょうがない。ラギアクルスに追われた恐怖はなかなかのものだったのだ。まして、つい先日まではただの大学生だった俺だ。この恐怖を忘れるには酒を飲むしかなかったんだ。こういう時に大人だったら酒か女かみたいに言うだろうが、彼女いない歴=年齢の童貞に女は無理だった。いや、まぁ、それはいいんだ。よくないけど…

 

そういや、ライルとゴーランはどこいったんだ?正直昨日は飲み過ぎてなんだか記憶もあやふやだ。

周りをよくみてみれば、この大部屋には沢山のベッドがあった。そこに昨日の酔い潰れた五期団の全三部隊総勢300人余りが眠っていた。ちらほらと空いてるいるベッドはもう起床したのだろう。

そうして自分も起きてみれば、みな二日酔いの頭を抱えながらも、一様に外に行く準備をしていた。そうだった、今日は朝から古代樹の森で実地訓練だったな。早く拠点入り口前に行かなくては…。

 

集合場所にはソードマスターもとい拠点防衛隊長は既におり、半分ぐらいのハンター達も既に集まっていた。皆の防具はレザーやチェインが殆どで武器は、太刀、片手剣、双剣、チャージアックス、スラッシュアックス辺りが多く、ランス、ガンランス、ハンマー、大剣は重さを嫌ってか少なく見える。笛はいなかった。また、なぜかガンナー職はほとんどいない。なぜだろうか?

 

取り敢えず周りの観察はそれぐらいにしておいて、自分の武器と防具の確認をしようと思う。武器は片手剣のハンターナイフIを選択した。この選択が吉と出ると恐と出るかは分からないが、ガードが出来、身軽さを重視して片手剣を選ぶにいたった。

正直に言って大剣は無理だった。なぜかって?ただ単純に重すぎた。同じ理由でハンマーもダメだったし。やはり武器の中では太刀、片手剣、双剣辺りが身軽さを考慮すると安パイな気はする。

なにせこの世界、モンハンのくせにアイテムポーチがデカイリュックサックなのである。このリュックがデカイのにも意味があり、ハンモックや肉焼き機、砥石、回復薬、着替え、食料(1日分)を考えれば仕方のないことだろう。これは身軽にしないと動きも取れないと妥協した結果、片手剣に止むを得ず決定となった。まぁ、訓練やフィールドワーク、モンスターの討伐に慣れればまた武器を変えていくチャンスもあるだろう。そう納得しておく。

 

そして防具は先行特典お馴染みのオリジンシリーズだった。これは何故か始めから着ており妙にフィットしたので良いとしよう。これに加えて「追い風の護石」が腕に巻かれている。この世界でまだスキルがどのように発生するのかは未知数だがそこのところもこれこから検証していきたい。

さらにスリンガーだが装備されていない。これにはマジかよ!?と思ったが従来の通りに投げろということだろうか?これはこれでどうにかなるはずだ。

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

「では諸君検討を祈る!!一週間後にまたこの場所で会おう。死ぬなよ!!」ソードマスターからの諸説明が終わると、

「訓練開始!!」ソードマスター付きの副官から開始の合図が出された。

 

 

始めに半分ほどしか集まっていないように見えたのは推薦組と調査員を抜いた第3部隊の面々と現地の新人ハンター30人を合わせた全員で120人ほどらしい。

つまり、彼ら推薦組と調査員の護衛は別の訓練があるらしくこちらの訓練には参加しないようだ。

ソードマスターからは一週間の間、古代樹の森か大塚蟻の荒地で生き残ることが課せられた。しかもこの二ヶ所を選ぶ方法がクジ引きというのだから呆れた。

またハンター同士で殺しあうこと以外は一切のことが禁止されていない。との説明もされた。このルールにはかなりビビっている。なにせ殺し合い以外はしても良いということなのだから。 流石に初日から盗みを働く奴はいないだろうが、警戒するに越したことはないはずだ。

 

「おーい。ザイン。お前も俺たちと一緒に組まねぇか?」

そんな様々なことで悩んでいる俺に、チェインメイルに全身を包んだ二人組を連れたライルから気軽な声がかかった。

「おおライルか。一緒に探索出来るなら心強いよ。後ろにいる二人は誰だ?」

「ああ、コイツらは…オットーとサンテっていう昔からの腐れ縁でな。あまり話すのは得意じゃないんだがまぁ、良くしてやってくれ。」

そう言われたライルの仲間二人は会釈を返してくるだけで、俺とは目も合わそうとしなかった。

「確かに得意じゃなさそうだな…。そういやライル達の武器はなんなんだ?」

「ああ。俺が片手剣で後ろの二人は両方とも太刀だよ。そう言うザインは何の武器使ってんだ?」

「俺もライルと同じ片手剣だよ。それで、俺たち4人だけでメンバーはいいのか?」

「悩むとこだが…。ザインと俺たちの4人だけじゃ、この古代樹を歩くには少しばかしキツイかもしれねぇ。もう何人か人を集めるか。」

そんな会話をしていると俺らの後ろから、二人組の男女から声を掛けられ、自己紹介をした後にその男女を合わせた6人で古代樹の森を進むことになった。

6人というより俺とライルに任せるということだったので、一先ずは新人でも倒せるだろうと言われるアプトノスやジャグラスなどを拠点入り口より少し進んだ先の海のまえで狩り、その日の食料とした。

この際に、俺とライルは何事もなくアプトノスとジャグラスを仕留めることができたが、男女の二人はビビってしまって使いものにならなかった。ライルの仲間もジャグラスにはビビって剣を振る得ずにいた。

 

そしてこの時に気付いたのだが、どうやら俺の体には転生する以前の肉体プラス、モンハン世界での肉体的経験もそのままフィードバックされていることが分かった。

というのもつい先日まで包丁しかもった事のない俺が効率良く無駄のない動きでモンスターに剣を当てられるはずもないからだ。これはこの世界を生きぬく上でかなりのアドバンテージになる。とはいえ、大型のモンスター達には油断出来ない。

 

そうして、さらに今日の寝床を探す為に、森の中を数時間かけて歩いた。そうすると高台を囲むように樹木が生い茂っている場所を見つけたので其処を拠点とした。

ここまで来る道中でも薬草や食べられそうな木の実をいくつか採取しておいた。今日の夕食はこの木の実と肉を焼いた物になる。

 

「これで今日の食料は手に入って安泰だ。なぁ、ザイン?」

「そうだな。この調子なら小型モンスターと木の実をとりながらでどうにか一週間耐えられそうで安心したよ。」

「そうだザイン、今日の寝床の用意と食い物の準備はオットーとサンテの奴にさせてくれよ。」

「急にそんなこと言ってどうしたんだよ?別に普通に手伝うぜ?」

「いや、その…な?あんまりオットーとサンテの奴が役に立ってなかったのはザインだって見てたろ?だからせめてこれくらいはな?」

「まぁ確かにあまり役には立っていなかったが、そこまで言うなら二人に任せるよ。悪いな。」

「いやいや、良いってことよ。むしろ今日は頑張ってくれてありがとよ!!」

 

 

 

「まぁ、これでザインお前とはさよならだ。悪いな…」

 

この去り際にライルが呟いた言葉が俺に聞こえることは無かった…。

 

 

 

ーーーー夜ーーーー

 

 

そうして俺たちが夕食の肉を食べている時にそれは起こった。

「グッ!?これは…なんだ?体が痺れて動け…な…い…」突然体が痺れ出しまだ動く首だけで周りを見てみると男女の二人組も同様に蹲っていた。

しかし、ライル達3人は悠然と立ち上がり痺れて動けない俺たちに皮肉げな顔で言った。

 

「悪りぃな…ザイン…。実は俺たち3人組は小さな盗賊団でな。俺たちみたいなモンスターにビビっちまう奴らじゃ、今日のお前みたいにモンスターを毎日倒すのは無理なのさ。たとえそれが小型モンスターでもな。それにな警戒心の薄い奴や善良そうな奴をずっと狙ってたのさ。」

 

「な…ん…だと…?」もう俺にはわけが分からない。まさか俺はモンハン世界に来てモンスターではなく人に殺されるのか?それも転生後たったの数日で?

 

驚愕に動けないでいる俺のすぐ横で、男女の二人組はオットーとサンテに首を搔き切られて生き絶えた。

 

「まぁ、でもよザイン。お前にだけはラギアクルスに追われてる時に世話になったからよ、命だけは助けることに決まったのさ。それと、盗賊の掟でな、こうやって森の奥地で殺さない時には必ずナイフ一本置いてくのさ。なんでだかわかるか?」

 

こいつ何を言ってやがるんだ?ナイフ一本置いていった所で…!?

「まさ…か…じ…さつ…する…ためか?」

「その通りさザイン!!やっぱしオメエは良い頭してるぜ!!だがここでお別れだ。アバよ。せいぜい元気でな!!」

そう捨てゼリフを残したライルと二人は身包み剥いだ俺と男女の死体、そして一本のナイフを残して去っていった。

 

 




次こそ盛りあがるはず…


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俺の体が麻痺してから既に2時間は経過しただろう。そうしてやっと痺れが抜けてきた体で辺りを見回すとやはりナイフ一本しか落ちていなかった。武器と防具同様に荷物も全て持っていかれたようだ。

 

「クソ!!気の良い奴だと思ったのに!!あんな奴ら信じた俺がバカだった。」

 

悔やんでいる場合ではない、兎に角今はこれからのことを考えなければ。武器も防具もないこの状態では何も出来ない。

たとえリアルなモンハン世界でも植生や生態環境はそこまで変わらないはずた。ということはだ…ゲームの中の知識が使える…。

幸いにして雨は降っていない。この深い森の中しかも夜中だ、そこまで遠くは進めないはず。足跡を辿れば追いつけるはすだた。

しかし、ライル達の足跡を闇雲にただ辿っても武器のない今では、他のモンスターの餌食になるだけだ。

ならば、他の道具とゲームで頭に叩き込んだマップを駆使すれば奴らをたとえ武器がなくとも、殺すまではいかなくとも武器ぐらいは奪えるはずだ。

その為にまずは、どうにか動けるようになった体で集めた光蟲、煙玉、ハジケクルミ、モンスターの糞これらの道具で奴らの目を潰しその隙に武器だけでも取り戻す。

ゲームプレイ時に覚えたマップを洞窟を使って奴らの前に先に回りすれば可能なはずだ。

そして、ここに残る二人の死体を上手く使えば……

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

俺は30分ほどかけて樹木で出来上がった洞窟を抜け出し、ライル達の背後に出ることが出来た。やっと見つけた…。

 

 

「やったなサンテ!!これなら、当分の食料も金銭も確保出来た。しかも武器と防具のオマケ付きだぞ!!」

 

「へへへ…笑いが止まらないぜ。あんな簡単に騙されてくれて、オマケに武具まで奪えた、こりゃ最高の日だ!!これも全てあのバカども騙してくれたライルのおかけだぜ。」

 

「やめろやオットー…。、ありゃあ、アイツらの頭がお花畑過ぎただけだぜ。まぁ、アイツらの武具と道具は俺らがキチンと使ってやれば報われるってぇもんだぁ。(悪りぃな。ザイン。お前の武具は俺が有り難く使わせて貰うぜ)」

そんな事を言いながら浮かれた気分で、ライル達は昼間に別で見つけておいた拠点へと向かっていた。

 

すると突然の彼らの目の前に強烈な閃光が放たれた。

「グワッ!!」、「ッ…!?」、「目がぁーー!!」なんの備えもしていなかった彼らは目を閉じ蹲ることになった。

突如として足音が響き、一番後ろにいたサンテが背後から蹴倒され背中の太刀を取られ、その太刀でサンテの両足を切り裂いた。

さらに未だ蹲るオットーは太刀で背中を袈裟斬りにされた。

そして、太刀の振られる風切り音を聞き咄嗟に身を投げ出したライルはどうにか、その上段からの一太刀を躱すことが出来た。そこで、目を開けたライルは目の前の光景に驚愕することになった。なぜならそれは、つい数時間前に身包み剥いで後はもうモンスターに喰われて死ぬだろうと思っていた男が目の前に現れたからだ。

 

「おまぇぇぇ!!!ザイン!!どうやってここまで来やがった!?それに途中にいるモンスターになんで喰われなかったんだ!?」

 

「ハッ!!笑わせるなよ、ライル?お前が良く知ってる方法でモンスター達は撒いたのさ」

 

「よく知る方法だとぉ!!ッ!?(いや、しかしそんな煙玉だけで逃げて来たのか?そんなバカな!?)」

 

「その顔はようやく気づいたか?そうだよ、また煙玉を使ったんだよ。」

 

「チッ!!イチイチ小細工ばっか使ってセケェ奴だ!!」

 

「テメェに言われたくねぇよ!!このコソ泥が!!」

 

その言葉と共に二人の剣は切り結ばれた。

間合いの有利を図って剣先で確実に傷を与えていくザインに対して、ライルの片手剣のリーチでは盾を使った防御で耐えることしか出来なかった。

しかし、良く手入れがされていなかったのか盾に当たり続けた太刀の剣先は突如として折れた。

そこをチャンスと斬り込んだライルに対してザインの手からライルの顔面に向かって何かが投げられ、そこで炸裂した。

 

「ぐぉぉぉ!?ザイン!!テメェまた小細工おぉぉ!!剣で戦え!!」

 

「誰がするかよ!!剣が折れて油断したテメェが悪いんだよ!!」そうゆうとともにライルの右手の片手剣を足で蹴飛ばし、マウントを取り顔面に拳を振るい続け、最後に両脚をへし折った。これで後は…

 

「ぐわぁぁぁぁぁ!!!!なんなんだ、てめぇここまでやって殺さねぇのか?」

 

「ライル……、お前は俺が殺す価値もない。後はヤツの餌になるんだな…。」

 

「ヤツのエサだとそんな奴どこ…」

オオォォォンン!!

ライルの言葉を遮って甲高くも低い雄叫びが轟いた。

「アンジャ……ナ…フ…、なんであんな化け物が!?」

 

「なんの準備もしないで来ると思ったか?もし俺が死んでもお前らも道連れち出来るように、俺はお前達が殺した二人組の死体を巻きながらずっとアンジャナフにここまで付けさせて来たのさ。ライル…、お前らにはモンスターの餌がお似合いだよ。」

 

「クソがぁぁぁぁ!!この人で無し野郎がぁぁぁ!!」

 

俺はそんな事を吼えているクズを無視し取り返した荷物と武具を持ち、これからただの餌場となるそこを一瞥して去ったいった。

 

ーーーーーーーー

 

両脚を折られ身動きの取れない俺の目の前では、今まさに地獄の様な光景が広がっていた。そう、今さっきアンジャナフの咆哮で目を覚ましたサンテが喰われているのだ。

其れもまだ意識がありながら脚から喰われている為、ひたすら俺に助けて求めていやがる……、俺も時期にお前と同じになるっていうのによ…。

 

それに背中の傷だけで一番負傷の少なかったオットーは目を覚まして、いの一番に「すまん。二人ともおれぁ、まだ死にたくないんだ!!脚が動きそうなのは俺だけだし逃して貰うぜ!!今まで楽しかったぜ!!」と逃げだした。

まぁ、その数秒後にはアンジャナフの火炎ブレスで消炭となったがな。

 

「ライルぅ…助けて…助けてくれぇ…」

 

「サンテよぉ、お前もぅほとんど死んでるんだぜ?それに俺ももう脚が動かなくて直ぐにお前と同じく喰われる運命だ。諦めな…」

 

「あぁぁぁぁ、そんなぁぁぁ、死にたくないぃぃぃ」

 

サンテを喰い終わったアンジャナフがとうとう俺の目の前に大きな顎を開けた。

 

まるでそれは地獄の釜が俺を待っているように見えたんだ……

 

 

オオォォォンン!!!

 

生きるものが絶えた樹木の広場には、ただ一匹の雄叫びが轟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 




アンジャナフ、みんな最初は苦戦したはず。


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飛び出てビックリ

ライル達から武具と荷物、オマケの6人で集めた食料を一人で消費できる。

これで、肉などを天日干しで乾燥させれば保存も出来るので、既に一週間分の食料は確保出来たといえる。

 

また、武具も片手剣二本に太刀一本を回収出来ているので武器についても安心出来る。

防具は重すぎるのとアンジャナフが直ぐそこまで来ていることもあり、自分の防具を取り返すだけで泣く泣く諦めることになった。

しかし、これで後は大型モンスターに警戒しつつ、このリアルになった古代樹の地形と生態系のゲーム自体との差異を確かめつつ生活していけば、実地訓練もといサバイバルを乗り切れるだろう。

今日は朝からモンスターを倒し、ライル達に嵌められ、やり返し、と1日目なのにイベントが目白押し過ぎた。

流石に疲れがピークに達しているし、もう夜も更けているこのまま始めについた樹木に囲まれた拠点で寝てしまおう。

そうすれば嫌なことも忘れるはずに違いない…。

 

ーーーーーーーー

 

 

開けて2日目は昨日あんなことがあったばかりで、一般人だった俺の心は少しばなり疲れてしまったんだろう。その日丸一日は拠点を出ずに肉と薬草だけを食べて寝る。という無駄な1日を過ごしてしまった。明日から本気出そう…。

そうして3日目も食って寝るという昨日と同じ無駄な1日を終えた。

 

いくら食料があり安全が確保されているといってもこのままではマズイと思い古代樹の探索兼武具の素材になりそうなものを探す事にきめた。出来れば魚も確保したい。肉ばかりは飽きたんだ。

 

今日は朝から即席の本当に釣れるか怪しい釣竿を持ち、拠点を出ていくらも歩かない内に大きな湖を視認することができた。

「ここなら魚も釣れそうだし、水も確保出来そうだな。」

というのもここ数日は自分の拠点からは、距離のある森の中の小川まで水を汲みに行っていたのでここにこんな大きな湖があることはかなりの朗報だ。

というか、なんで俺は今までこんなにも近くにある湖の存在に気づかなかったんだ?……食って寝てばかりの生活を送っていた自業自得だと気付いてしまった……忘れよう…。

 

「釣りミミズ」、まぁ処遇普通のミミズで釣りを始めて1時間ほど経っただろうか。

あの砥石の代わりになることで有名な「キレアジ」と「サシミウオ」をそれぞれ2匹ほど釣る事に成功した。サシミウオは食べれそうだが、キレアジは刀も研げる程の鱗を持っているなら食べれるのだろうか?

 

アプトノスの親子がのんびりと水を飲んでいる傍らで、もう少しばかり釣りをしていると今日で一番強い引きがかかった。

「クッ、この引きはかなりの大物だな。絶対釣ってやる!!」

そうして自分の持てる限りの力で竿を引くと、竿の凄まじいしなりと共に湖の中から竜ほどもありそうな巨大な魚影が上がってきた。腕に折れそうななほどの圧がかかり、そしてそのままその巨大を釣り上げた。

俺は目を疑った。なにせ釣りあげたものはジャンボジェットほどもありそうな巨大に青い体に背ビレを備え、竜と魚の合いの子のような顔をしたやつ。

 

そう……ゲーム時代にカエルが大好物なことと亜空間タックルで有名な、あのモンスターだったからだ。

 

「ガノトトス!!こっちの大陸にもいるのかよ!?勘弁してくれ…、こんな装備勝てっこない…、取り敢えず逃げよう!!」

 

ガノトトスが陸でまだビタンビタンと跳ねてのたうち回っている間に俺は颯爽と逃げ出した。

ある程度ガノトトスから離れた場所でうしろを振り返ると、既に二足歩行で立ち上がっていた。

ガノトトスが急に現れた(俺が釣ったのが原因)ことに驚いたアプトノス達が逃げ回るが、朝食を見つけたとばかりにアプトノス達に向けてガノトトスの口から高水圧のブレスが発射された。

ズバンだかスパンだかの音を残してガノトトスの目の前にいたアプトノス達は、ブレスによって真っ二つに千切られた。千切れたアプトノスめがけてガブリと大きな口を開けて捕食しだした。

 

「ヤバすぎるだろ…、ブレスの威力…。ゲーム時代は吹き飛ぶだけだったのに、体が両断されるとか…。これじゃあ、人間があのブレスを浴びだら一溜まりもないな。」

 

しかもガノトトスがいると判明したからあの湖を使うことはもう出来なくなってしまった。俺はワザワザ魚を釣る為に自分のことを餌にするつもりはない。

もし、行くとしてもしかっかりと装備を整えてから討伐することにしよう。ガノトトスのヒレは、水属性武器の貴重な素材になるからな。

 

ーーーーーーーー

 

 

ガノトトスから逃げて拠点に戻った俺は、サシミウオを火で焼き昼食にした。

その後、今度は湖とは逆側にあたるハジケクルミなどが取れる比較的浅い森側に行こうと思っている。

そうゲーム時代はプケプケの巣だった場所と言えば分かる人には分かるだろう。これからその周辺を探索しゲーム時代との差異を確かめたい。

しかし解毒薬のない状態でのプケプケとの接触は避けたい為、細心の注意を心掛ける必要があるだろう。

 

鬱蒼とした森の中の獣道を歩いて行くと少し開けた場所に出た。

 

「ここがプケプケの巣なのか?にしてもやけに広いな…。ここまでゲーム時代とはマップに違い出るものなのか…。ラギアクルスやガノトトスにも出会っているし今更か」そんなことを考えていると大木で隠れた巣の奥の方から、人の話声らしきものが聞こえてきた。

 

俺はライル達のこともあって簡単に人を信じられなくなっている。その為にまずは遠くから様子を伺おうと声の方へと慎重に近づいていった。

遠目から見て取れるのはランスを持った細身の男と大剣を持った大柄な男、加えて弓を持った女一人だった。

なにやら3人は言い争っていたようだが、

大柄な男の怒鳴り声により言い合いは中断され、三人はゆっくりとした足取りで大木の奥の巣へ向かっていった。

 

俺は、コイツらを付けていけばこの世界でのプケプケはどの程度の強さなのかを見極められると考えてさらに観察することに決めた。

寝ているプケプケに対して斬りかかったことで三人の戦いが始まった。

彼らの戦い方は連携が全く取れておらず、女の降らした曲射からの石の礫がランスの男の視界を塞ぎ、ランスの槍と大柄な男の大剣がぶつかりとそれはもう散々で彼らの戦いはまるで参考にはならなかったが。

 

しかし、プケプケに関しては得るものがあった。プケプケの毒はどうやらそう危険ではなく、継続的に毒を付着させられない限りは大丈夫なようだ。

逆に気をつけるべき攻撃はあの長い舌を伸ばす行動だ。なぜなら、あの舌で武器と防具ごと絡めとられたランスの男がそのまま縊り殺されたからだ。

その後、大剣の男もプケプケにマウントを取られ碌なダメージも与えられずに毒を浴びせられ続けて生き絶えたようだ。

唯一生きているのはアンモニア臭を漂わせてプケプケの前で震えながら座りこんでいる女だけだ。

そして、プケプケも三人と戦闘をしたことから若干の疲労が見て取れる。これはプケプケを仕留めさらに女も手に入れるチャンスだ…。

今のうちに背後から太刀で連撃(鬼神切り)を叩きこめば羽根ぐらいはもげるはずだ。

まぁ、俺は見てるだけだったからハイエナと呼ばれてしまうかもしれない。だが、俺は英雄や正義の味方じゃあない…、転生してまでお人好しはバカを見る…生き汚く行動しないでどうするか。生きてこそ意味がある。

 

 

プケプケの背後に回りこみ気づかない内に、まず上段からの一太刀、「ハァッ!!」返す刀の一太刀「セイッ!!「ハァッ!!」もう一つオマケの上段斬り!!プケプケの方羽根を斬り落とせた!!

 

「グルゥォォォ!!」

プケプケが痛みに低い唸り声を上げるがそんな事に構っている暇はない!!そのまま鬼神斬りでたたみかける!!尻尾を振り回した反撃が速度は遅いが襲ってきた!!すかさず下段の切り払いで距離を取る。

「そう簡単にはいかないか…」

仕切り直しとばかりに威嚇行動を取った後に、俺の視界を覆い尽くすほどの毒のブレスが噴射された。吸い込まないためにその急いで離れたが…、ブレスでプケプケの姿も見失ってしまった。

「ブレスでプケプケの姿が見えない!?クソどこに行った?」

 

紫の霧で覆われた真横から足音が響くと共に、俺の横腹にプケプケの両足による強烈な蹴りが叩き込まれた。

「グッッッハッッ!?ゴフッ…。」

意識を失いかねないほどの痛みだが、プケプケの姿を視認できた!!

それに奴は今、捥がれた羽根のせいで着地に失敗し地面に倒れこんでいる。

「ここで…殺しきる!!」

 

「イェェェァァァーーーー!!」右からの一太刀、左からの一太刀、上段からの斬り落とし、そして……

 

「とど…めだ!!鬼神…大回転…斬りイィィィィ!!!」あらん限りの力で太刀をプケプケの首向けてぶん回した。ゴムの繊維を何百本も千切るような感触が手に伝わると共にプケプケの首は宙に舞った。

 

「ハァ……ハァ……。終わったのか…。ッ!!腹にいいのを貰ってしまった。さっさと回復薬を飲んで傷を治さないとな。」

 

ところであの弓の女はどこいった?

「あっ、気絶してやがる…。重労働になるが死んだ二人の荷物とあの女を回収して拠点まで運ぼう。プケプケも剝ぎ取っとかなきゃな…。」

 

こうして俺の4日目の探索は、波乱を含みつつも無事に終了した。

 




戦闘描写が難しくて死にそう…

プケプケは皆さんは苦戦しましましたか?
私は毒に大分苦しめられました。



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失うということ。手に入れるということ。

あの後は何事もなく拠点まで戻ることが出来た。

しかし、毒塗れの道具と潰された回復薬などで回収した意味がなかったことには、拠点まで荷物を運んでから気付いた。

体にダメージを負っていたことで焦っていたとはいえ、確認もせずに回収してきたのは間違いだった。しかもそのせいで胴鎧の一部に毒が付着してしまった。明日の朝はまずそれを洗うことから始めることになりそうだ。

 

それはそうと気絶した弓の女はあれから一向にに目を覚まさない。

恐怖で漏らしたであろう粗末なズボンと下着を脱がせ、水で濡らした布で股と足を拭き、彼女のリュックの中に入った着替えを着せた。

ここで童貞の俺がよく寝込みを襲わなかったと褒めてもらいたい。自分で処理することによってどうにか耐えられた。

 

またライルの時のような二の舞を踏むのは嫌なので、彼女の足と手首をその辺で採取したツタ系の植物を使い3重に縛り、すぐ横の木に縛りつけておくことにした。ここまですれば寝首を掻かれることはないだろう。

 

ーーーーーーー

 

 

朝日に目を覚ますとすぐ横から女の声が聞こえる。

「あ、あの!!この手と足を縛ってる紐を解いて貰えませんか!?昨日はモンスターと戦って、今さっき目が覚めたらこうなってたんです。助けて下さい!!」

先日はプケプケを倒すことに意識を割いていた為に姿をキチンと見ていなかったが、改めて彼女の容姿を見ると黒髪のショートヘア、翡翠色の瞳、ペタンコの胸にシュッとした細身の10代前半の美しい少女だった。

 

「あ、あの…聞こえてますよね?よかったらコレを外してくれると嬉しいんですが…」

 

正直に言おう、彼女に見惚れていた。童貞の俺にこのレベルの可愛さはかなり危険だ…。なんでこんな子が態々危険なモンスター討伐の実地訓練に参加しているのか謎だ。

 

いくら可愛いとはいえ油断は禁物でだ。 一先ずは心を落ち着けて、昨日のプケプケとどうして戦ったかの経緯となぜこの第5期団に参加してるかの理由を聞こう。

 

「縄を解く前に君の名前と何故五期団に参加したかの理由を聞きたいんだ。」

 

「分かりました…。そうですよね…、こんな怪物が沢山住んでいる森の中で出会ったらいくら五期団の同期の方でも警戒しますよね。」

 

「こちらを害する気持ちがないのはわかるが俺も警戒してるってことだ。で、君の名前は?」

 

「私の名前はエルフリィア・ソワレスって言います。孤児院にいたのですが、15歳で成人して孤児院から出なくてはならなかったんです。それで孤児院出の身寄りもない女が付ける職は娼婦かハンターぐらいしか無かったんです。それで友人もハンターになるというので、私も娼婦になるぐらいならと思って五期団に参加しようと思ったんです。」

 

「そうだったのか。ハンターに向いているとは思えないが…。これは偏見みたいで悪いんだが、孤児院にいたにしては口調が丁寧なのは何故なんだ?」

 

「あっ、それはですね…、私…元々は貴族だったんですけど御家の食品家業が上手くいかなくてそのまま没落してしまったんです。それでこの口調なんです。」

 

「それでか。もう一つ聞きたいんだが、何故昨日は勝算も無そうなのにもかかわらずプケプケに挑んだ?」

 

「孤児院から着の身着のまま出た私達にはほとんど手持ちの金銭がなくて、それならバウンティハントに出されていたプケプケを倒して褒賞を手にいれようという話になったんです。でも私はいきなり鳥竜種の討伐を訓練でするなんて危ないから止めよう。って止めたんですけど、ゾイが『絶対に俺が仕留めるから大丈夫だ』って言ってそれにナゴも『ゾイが言うなら大丈夫だ。』って言って付いて行ってしまったんです。そうしたら私も一緒に行かないわけにはいかなくなってしまって。

それで弓を構えた後に私は気を失ってしまったんですけど、2人はどこですか?もしかしてもう目を覚まして何処かに探索に行ってくれてるんですか?」

 

エルフリィアは、確かに目の前で2人が死んだのを目の前で見ているはずだ。それなのにそれを認識していないということは、昨日のショックで記憶が混濁しているのかもしれない。

精神的な強いショックを受けると記憶の混濁を起させるというし早いうちに現実を直視させて乗り越えさせた方が良いだろう。この森の中では、いつまでも悩んでいたら直ぐに死んでしまう。

 

「エルフリィア…、君も昨日目の前で2人が殺されるのは見ただろう?ツライかもしれないが現実を見るんだ…でなければ君も死ぬ事になる。」

俺が意を決してそう言うと意外にも彼女は取り乱さなかった。

 

「そ、そう、です…よね…。分かってはいたんです…でも昨日起こった事が…ゾイとナゴが死んでしまったんだって事が自分だけでは…受け取められ…なかったんです。」

彼女は言葉を途切れさせながら、悲しそうな顔で涙わ溢した。

 

「すまなかったな…。2人を助けられなくて。でも、そうするしかなかった。」

俺は思ってもないような言葉を彼女と彼らへの罪悪感を打ち消す為だけに並べ立てた。

 

「いえ…。いいん…です。私たちの無謀が招いてしまったんだということは理解しているつもりです。この森の中じゃ自分の事だけでも精一杯なのに私を助けてくれた貴方が良い人だって事は分かりますから…。」

 

彼女のその言葉に少し胸を救われた。

「………」

だが俺は何も言えなかった。

 

「そう言えば貴方のお名前をお聞きしていませんでしたね?是非にお名前を教えて下さい。」

 

「ああ、いいぞ。俺の名前はザインだ。姓は無い。」女の子の前だから緊張してぶっきらぼうな自己紹介になってしまった。

 

「ザインさんって言うんですか。いいお名前ですね。私のことはエルって読んで下さい!!親しい人はそう呼んでくれます。これから宜しくお願いします!!」

 

「おいおい。一緒に来る気か?」

 

「はい!!足手纏いとは思いますが頑張ってお役に立ちますのでどうかお願いします!!」頭を下げながら精一杯そう頼んでくる。

 

足手纏いになってもこんな可愛い子の上目遣いからのお誘いを断ることも出来なく

 

「じゃあ、薬草や木の実などの採取をやってくれ。これから宜しく頼む。」

 

ただそう言ってしまった。

だが、残り後2日だけの付き合いと思えばこの関係も悪くないように思える。

「はい!!宜しくお願いします!!」

 

 

「それで早速お願いがあるのですがいいですか?」

また上目遣いでそう言ってきた。

エルは天然の男殺しじゃないのかと思わせられる。

 

「なんだ?言ってみてくれ、今出来ることならやって……」

 

俺の喋りを遮ってエルの小さい体が俺の胸に抱きついてきた。突然の事にどうしようも出来ないでいると

 

「急にこんな事してごめんなさい。でも今はこうさせて下さい…。誰かに縋らないと悲し過ぎてどうにかなってしまいそうなんです…」

 

「ううっっ…うわぁぁぁ……。止めてあげられなくて…2人とも…ゴメンね…」

 

俺は泣き続けるエルをただただ抱きしめ続けた。

 

 

ーーーそれから数時間後ーーー

 

「良し!!恥ずかしい所お見せして申し訳ありませんでした。元気出てきました!!それじゃあ行きましょう。食料確保に出発です!!」

 

泣いて気分も少しは晴れたのだろう。数時間前までの死にそうな表情も幾分か元気を取り戻して回復しているように見て取れる。

これなら、俺なんかの胸を貸した意味もあったというものだ。

女の子1人を元気づけられたのだから上出来だと思おう。

 

「いやいや、元気になってくれたのはいいんだがエルはどこに肉や植物を取りに行くのか分かってるのか?」

「えっと〜。あっちですよ。あっち。」と明らかにガノトトスがいた湖の方角を指しているがその周辺にはあまり食用に適した植物はない。

 

「いや、そっちは特に何も無いぞ」

 

「え、えっと…。じゃあ拠点前の広場辺りをもう一度探しましょう!!何か食用に適したものがあるかもしれません。」

 

他の訓練者達もいるのだから、あまり広場には残っていない気がするが、エルからの折角の提案なので行ってみる事にする。

 

「じゃあ、折角エルが提案したんだからエルの案内で行ってみるか。エルのモンスターへの対応も確認できるしな。」

 

「わ、わかりました。頑張ります」

若干声が震えているが、まだ日も高く広場周辺なら大丈夫だろうと思いたい。

 

「あ、でも大型のモンスターが出てきたらザインさんにお願いします!!」

 

「いや、戦う必要がないなら逃げよう。エルもいるし余計な危険を冒す必要はないしな。プケプケの時も人を助ける必要があったから飛び込んだし。」

 

「そ、そうですよね。戦う必要ないですもんね。大型のモンスターがいたら逃げましょう。」

 

「じゃあ行くかエル。」

 

「はい。ザインさん!!」

 

 




読んでくれている方は退屈で申し訳ないかも知れないが、後1話サバイバルして新しい話に入ります。




ここまで私の拙い話について来ている方に感謝します。


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訓練の終わり

「ザインさーん!!こっちですよ。こっち来て下さい。」

 

「どうしたんだエル?」

 

「この辺りならまだ食べられる植物や木の実があると思うんです。探してみましょう?」

 

「そうだな。ここなら大型モンスターもあまり来ないし、取り敢えず探して見るか。」

 

あの後俺たちは予定通り、拠点前広場の原っぱと海岸の辺りを探索している。

チラホラと俺たち意外のハンター達も見られる。その誰もがこの森で5日目の昼過ぎともなると疲れきった表情をしていることが見て取れる。

そう言う俺もおそらく同様の顔をしていることだろう。

 

「ザインさんごめんなさい。やっぱり他の方達にだいたい採取されてしまっていたようです。」

 

「いや別に良いさ。少しでも植物がとれればまだ干し肉が残っているし、それに後2日なら充分に保つと思う。」

 

「森の中の拠点に肉と魚が幾つか干してありましたもんね。そういえば、ザインさんは一人で今回の訓練に参加したんですか?」

 

「いや、まぁ、始めから一人だったわけじゃないんだけどな。色々と問題が起こって…」

 

「あ…べ、別に話すのが嫌な事なら聞かなくても大丈夫です!!無理に嫌な事を話させるつもりはないので…」

俺のなんとも言えない顔色を見て気遣ってくれているが、後2日とはいえ仲間なら話しておいた方がいいだろう。

 

「そうだな。一応話しておく。簡潔にに言うとだな…、仲間割れというか仲間だと思っていた連中が盗賊崩れ達だったんだよ。それで、そいつらとやり合って俺だけが生き残った。まぁ、それだけだ。」

 

「え?お仲間が盗賊だったなんて…。それじゃあ辛かったでしょうね…。やっぱり聞かない方が良かったですよね?ごめんなさい。」

 

せっかく、元気を取り戻して来たエルをまた暗い雰囲気にさせてしまった。話すべきじゃなかったか?

 

「いや別に、本当に大した事じゃなかったからいいんだ。逆にエルに話せてスッキリしたかもしれない。」

そうだ。俺が倒したのは、仲間ではなくただの盗賊だった。そう思っておこう。

 

「この話はやめにしよう。そうだ、知ってるか?新大陸には古代竜人っていうのが時折出没して助言を与えてくれるそうだぞ。」唐突な話題転換だったが、エルに気遣われたのだろうと思うが彼女もその話に乗ってくれた。

 

「そんな人がいるんですか…。でも助言っていったいどんな事を助言してくれるんでしょうね?」

 

「さあ?詳しくは知らないがなんでもこの大陸で一番使われてる武器とか新種のモンスターの居場所とかを教えてくれるっていう話だが、噂だからなんともいえないよ。イエティみたいなもんだ。」

 

「はぁーそうなんですか。ところでイエティってなんです?」

 

「あ、(イエティとかこの世界にいないだろ!!)あ、アレだ、アレ、あのドドブランゴの小さい奴みたいな!!雪山に時折現れるらしい。たぶん。」

 

「そんなのいるんですか!?ザインさん物知りですね!!」

 

「いやだから噂だって…(危なかった。)エルは何か面白い話ないのか?」

 

「うーんと…面白いかどうかは分からないですけど、コレも噂というか伝説

…御伽噺なのかな?なんでも大っきな竜と古龍が沢山殺され続けるとミラなんとかっていう龍が現れて世界に災厄をもたらす。という話があるんです。実際にシュレイド城っていうお城がその龍との戦いに使われたらしいんですけど、誰も信じてません。私が小さい時に母から寝物語に聞いたのですが少し面白いですよね?」

 

「確かに面白いな。そのなんとかっていう龍にも興味があるよ。」

 

「そうですよねー。なんかロマンありますよねー」

 

ミラ……。ということはこの世界にもいるのかあの龍が。

黒龍伝説…ミラボレアス、ミラバルカンはたまたミラルーツ。

そのどれがいたとしても俺には倒せないし出会うこともないだろうが、頭に留めて置いた方が良さそうだ。

まさか、こんな世間話にその名前が出るなんて…。

 

そうしてエルと話ながら採取を充分にし、道の途中でジャグラスに襲われたもののエルでも充分に小型モンスターなら対処出来ることが分かった。

プケプケの時は仲間がやられて冷静でなくなってしまったから気絶してしまったのだろう。

5日目も無事に終えることができた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

6日目の朝、俺たは比較的近い水場に水を汲みに来ていた。するとすぐ横の森の中から何かの音が聞こえてきた。

 

「なんでしょう今の音?モンスターでしょうか?」

 

「俺が確認してくる。エルはそこで待機して後方にもモンスターが来ないか注意しといてくれ。じゃあ行ってくる。後ろは頼んだぞ。」

 

「はい!!任せてください。」

 

茂みに身を隠しつつ音の発生元に近づいていくと、木々に隠されてボンヤリとだが人とモンスターらしきものが戦っているのが見えてきた。

さらに近づいていくとまず目に入ったのは、大きなデップリとした腹を抱えた黄色巨体と、それに付き従うように小柄な男と長身の女の人間を囲む無数のジャグラスたちだった。

当然その黄色巨体とは群れの長…ドスジャグラスである。

ドスジャグラスは、ゲーム時代に初心者でも倒せる相手であり、武器の試し斬りにも使われていた大型モンスターの中でも屈指の雑魚モンスターだ。

通称、古代樹のサンドバックさん。

しかし、現実に見るとプケプケよりも大きくその迫力は中々のもので初心者ハンターはビビってしまうだろう。

茂みの中から見ている俺も腰が引けており、助けに行こうか撤退しようか迷うところではある。

しかし、またプケプケの時のように他人を犠牲にして不意を突いてもこれからから先、真っ向勝負で戦うことになる可能性、そしてエル自身は知らないがまた人を見捨てたらエルに軽蔑されるかもしれないと考え、今回は彼らを助けることにした。

後ろから雄叫びを上げながら斬りかかりジャグラス達の注意を俺に逸らす。そして、その隙に彼らと合流し逃げる。あわよくばドスジャグラスを討伐する作戦でいこう。最悪は閃光玉で逃げれるから安心して取りかかれる。

 

「ウォォォォ!!」

雄叫びを上げながら太刀で一頭のジャグラスを一刀の元に切り伏せる。

「オイ!!お前らこっちだ来い!!」

 

「あいよ!!ほら、アンタもボサッとしてないで早くくるんだよ!!」

 

「分かってるよ。姉さん!!」

 

「姉さんはやめな、ロウ!!」

 

 

そして、俺を先頭にエルの待つ森の外へ3人で疾走するがジャグラス達も中々のスピードで追い迫ってくる。

そんな時に先程ロウと呼ばれた少年が太い木の根に足を取られ転び遅れる。

「ロウ!!」女が足を止めて後ろを振り返る。しかし、あの数に対して二人でどうにかなるものでもない。

「チッ!!閃光玉を放つ。目を瞑ってろ!!」

激しい閃光が一瞬当たりを包むと、俺と女以外は全員目をやられていた。

 

「ロウは俺が途中まで抱えていく。アンタは先に言ってくれ!!」

 

「でも!!「大丈夫だ。まだ閃光玉が一つある。」…分かった。」

 

「先で待ってるから死ぬじゃないよ!!それとアンタじゃなくて、

アタシの名前はラヴィーナだ!!」

 

「了解だ、ラヴィーナ先に行って待っててくれ!!」

 

 

また、真っ向勝負じゃなく道具頼りになっちまった。

 

「おい。ロウとかいったよな?もう目は大丈夫か?。」

 

「おうよ。大丈夫だい!!ところでアンタは誰なんだ?」

 

「俺はザインだ。今はそういう事いってる場合じゃないのは、周りを見れば分かるよな?」

 

「ヒッ…」

目の前の無数のジャグラスを前に必死に首を縦に振りライトボウガンを取り出した。

 

「俺が前衛をして奴らを近づけさせないようにするから、ロウは後ろを援護を頼む。」

 

「わ、分かった。で、でもこの数に大丈夫なのかよ?」

 

確かに15匹近くはいるので楽ではない。だが…

「半分倒したら、閃光玉撃って後は逃げる!!分かったか?」

 

「あ、ああ!!」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

あれから多少の傷を負いながらもどうにかエルとラヴィーナの待つ森の外まで二人で逃げ切る事が出来た。

そうして、俺らはまたジャグラス達に追われるのも何だと思い、ラヴィーナとロウを連れてエルと共に森の中の拠点に連れ帰ってしまった。

また、警戒心が薄いと思われるかもしれないが、直感で何となくコイツらは大丈夫だと分かる。

 

 

「助かったよアンタ達!!マジでさっきはヤバかった!!そこのお嬢ちゃんもいるこどだし、もう一回自己紹介しとくけど、アタシはラヴィーナ。で、そこでぶっ倒れて寝だしたのがロウ。同期同士よろしく!!」

快活なニッコリとした笑顔と共に手を差し出してくる。

「俺たちも自己紹介しとくが、俺は分かってるよな?「ザインだろ?」…そうだ。でこっちが…「エルフィリアです。宜しくお願いします!!」…エルだ。」

 

とまぁ、こんな感じで自己紹介はすみ、何故ジャグラスに襲われていたのかということを聞くと、なんと巣に迷い込んでしまったらしい。

それで逃げようと思ったらドスジャグラスに見つかり、ジャグラスを呼ばれあの有様になったようだ。

 

「アタシが道に迷っちゃってね〜」

「そうゆうことってありますよね〜」

 

「そういえば、エルはザインとどうゆう経緯で知りあったの?」

 

「えっと〜、それはですね…」

 

ガールズトークが始まったので俺は横で無警戒に寝ているロウを尻目にさっさと寝る事にした。

流石に訓練も明日の昼までだ。

もう何も起こらないだろう。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

そして俺たちは今、四人揃って拠点広場前にいる。

ゾロゾロと他のハンター達も集まり出すが、訓練初日に比べて半数程に減っていることが伺える。

 

ソードマスターが訓練初日のように皆の前に立ち演説を始める。

 

「諸君、よくぞこの苦しく厳しい訓練に耐えた。7日前とは皆の顔が違ってみえるぞ。ここにいる全員がハンターとして無事認められることになる。そして、討伐したモンスターの部位や採取したものなどにより報酬をだす。当然ながらそれは君たちのものだ。また、君たちの頑張りを称して数日ほどの休暇を与えられる事になる…。皆良く頑張った!!私は諸君ら新人ハンター達を誇りに思う。」

 

「では、各自荷物を持って解散!!」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ソードマスターからの御言葉が終わりラヴィーナやロウと一旦別れた後に俺はエルと共にアステラ拠点前にまだ止まっていた。

 

「無事に訓練が終わって良かったですね。ザインさん!!これでしばらくはゆっくり休めますね。」

 

「そうだな。本当に無事に終わって良かったよ。これでエルともさよならだな。短い間だったけど楽しかったよ。」

 

「え……」

悲しい表情をして言葉を失うエル。

俺と別れることに対してそんな表情をしてくれるエルに心動かされて、つい調子の良い言葉を言ってしまう。

 

「ごめん。冗談だ。これからも宜しく頼むよ、エル」

そう言うとちょっと怒ったような顔をしたエル。

「むぅぅ…そういう冗談はよくないですよ!!でもこれからも一緒なのは嬉しいです。こちらこそまた宜しくお願いします!!」

 

 

 

こうして俺の、俺たちの実地訓練は無事に終わりを告げて、ライル達に嵌められたり、プケプケとの死闘を潜りぬけたりもしたが悪いことばかりじゃなかった。

新しいエルという仲間やラヴィーナ、ロウ、ゴーランと言った知り合いも出来た。

 

 

この世界になぜ俺が転生したかの理由は未だによく分かってはいないが、何が何でも生き残り今の平穏と仲間を守っていきたいと思う。

 

 

 




ジャグラスの群れとの戦闘やラヴィーナとエルの会話などをカットしたのに凄い文章が伸びてしまった…。


金冠集めと龍脈石を集めるサイクルはつらくなってきたので、イビルジョーの配信が近そうなのはとても嬉しい今日この頃。


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