異世界転生でメタルギアというチートは大丈夫か? (コレクトマン)
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SNAKE IN FANTASY
異世界転生でメタルギアというチートは大丈夫か?


またやってしまった………。何で新しいネタを思いつくとついつい書いてしまうのだろうか(泣)

………始まります。


 

 

初めましての方は初めまして。俺は“花谷亮(はなやりょう)”という元陸上自衛隊の一人だった人物だ。なぜ過去形なのかというと、俺は今この白い空間で神と名乗るご老人(以降、神様と呼称)が俺に死んでいる事を告げられた。いきなりの貴方は死にました宣言された俺は何故そうなったのか理解できないでいた。

 

 

「相当参っているようじゃな…無理もない。お主は帰りの途中に建設中のビルから鉄柱が落っこちて、そのままお主の身体を貫いたからのう」

 

「いやっ、それ以前に何故俺は天国でも地獄でもないこういう虚無の世界っぽい真っ白な所にいるのか分からん状態なのだが…」

 

「それはな、お主に別世界に転生してもらうからじゃ。儂等神々のルール上、想定外で死んだ人の魂を元の世界の輪廻転生が不可能なのじゃよう」

 

 

…どうやら俺は、元の現代に戻ることは叶わない様だ。仕方なく俺は、神と名乗るご老人こと神様に別世界について聞くことにした。

 

 

「…処で神様?一つ聞きたいことがあるのですが、その別世界とやらはどんな世界なのですか?」

 

「フムゥ…一言でいうならば、剣と魔法が存在する中世ヨーロッパ風のファンタジーな世界じゃ。無論、その世界には魔王が存在するから注意がいるがのう」

 

 

それを聞いた俺は、正直言って絶望しかけた。そんなパワーインフレなファンタジーに転生させられるとなるとすぐに死ぬ可能性がいくつか浮かび上がった。所謂、武器も持たずに虎に挑むのと同じ状況である。

 

 

「心配しなくても良い。その為に、お主には特典を授けようと思っていたところじゃ」

 

 

すると神様は神特有?の読心術で俺の表情を読み取ったのだ。そしてネットでいう二次小説恒例の“テンプレ転生”の一つ、特典である。その特典の内容を神様に聞いてみようとした。

 

 

「…とは言っても、お主の特典は既に決まっておるのでな。特にお主が喜びそうな特典じゃ」

 

「何ソレ、怖イ……というか、俺が喜びそうなやつ?」

 

 

俺が喜びそうなやつのことを考えるとなると、あのメタルギアシリーズに出てくるあの兵器達の事であろうか?もしそうだとすると、これは嬉しさが湧き上がってくる。

 

 

「あぁ…先に言っておくが、転生する際に今のお主の歳じゃあ心持たないので人生をまたゼロからやり直してもらう」

 

「まぁ確かに…転生にはそれ相応の代償があるもんな」

 

「とは言え、転生したとして前世の記憶が引き継がれるのじゃがな…」

 

 

神様のとんでも発言で本当に恐怖を抱いたのは初めてだったりする。まぁ…生前で得た陸自の格闘技術や射撃技術は忘れたくないからな。万が一の対人戦になった時の護身術には打って付けだな。俺は神様からどうやって転生するのかを聞き出した結果……

 

 

「転生方法は、儂が独自に考えた方法で転生させる。とりあえず後ろに向いてくれ」

 

 

神様に言われるがままに俺は後ろに向くと、何やら神様は俺の背中に何かを取り付けた様だ。すると突然俺の身体が浮かび上がった………うん?アレッ?これは確か………

 

 

「まさか………フルトン回収!?」

 

「メタルギア式のな。ほな、逝ってらっしゃい!」

 

「神様ちょっと、なんか字が違うんですが?!そもそも俺はこういうの初めてなんですけどアアアァァーーー!!!?」

 

 

フルトンの気球によって急激に上昇した俺は、神様に言いたいことを最後まで言えずにそのまま遥か彼方上空へと飛ばされてそのまま俺の意識が暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガレス暦566年

 

 

あれからどれ位の時間が経ったのだろうか?意識が薄らと戻った俺はその事を確認しようと目を開けると、一人の男が俺を抱きかかえていた。

 

 

「リョウ、もうすぐご飯になるぞ」

 

「………ダァ(はい)?」

 

 

目を覚ました時には、俺は赤児まで若返っていた。………マジでぇ?

 

 

それから12年………

 

 

ガレス暦578年

 

 

このファンタジーな異世界に転生してから十二年もの年月が経った。一応改めて挨拶をさせてもらう。俺は花谷亮ことこの世界では“リョウ・スネーク”と呼ばれている。何故かメタルギアの主人公であるスネークと同じコードネームが苗字としてついた様だ。この苗字は偶然義父親の苗字が同じスネークだったので付けらたそうだ。……これについては若干嬉しかったと思う俺がいる。元々俺は親知らずの捨て子だったのだが、嘗て傭兵だった義父親に拾われて以降12年間一緒に暮らしている。この12年の間で義父親が病によって亡くなり、俺は早めの一人暮らしに入った。……何かと両親の話をすると恋しい気持ちになってきた。

 

 

………話を戻そう。このファンタジーの世界には四つの国家が存在する。財経と軍事を合わせた人種とエルフ、ドワーフといった亜人種達が共存共栄する『マナカ共和国』。人種主義を表徴し、亜人や魔族、悪魔達を滅ぼすといった侵略軍事国家『ドーヴァ帝国』。マナカ共和国同様に人種と亜人が共存共栄し、貴族と王族政治の平和主義国家『ギリス王国』。魔王を信仰する魔族や悪魔達が成り立ち、“亜人滅ぶべし”と唱えるドーヴァ帝国や己が国に喧嘩を吹っかける者には“魔族や亜人に仇なす人間滅ぶべし”とドーヴァ帝国にも負けぬ侵略国家『ネシア法国』。…いきなりラスボスである魔王の国が堂々と出ていることや魔王を信仰するのは魔族と悪魔だけの件にツッコンだ方は居るのだろうか?因みに俺はマナカ共和国生まれだ。……一応各国の領土を確認した結果、ドーヴァ帝国が侵略国家なだけある為かやや面積が広い。対してマナカ共和国とギリス王国はドーヴァ帝国程ではないが領土の面積が広かった。そしてネシア法国は火山地帯に国を築いた為か溶岩を応用した兵器で着々と領土を広げている。

 

 

各国は色々な形で国が成立している。先ずマナカ共和国は海岸線に国を築いた為に海岸都市国家として有名だ。鮮度がいい魚を食べられるのは此処だけであろう。次にドーヴァ帝国は領土が広い為か、畑で採れる作物が他の国よりも質が良い。そしてギリス王国はある山岳地帯で鉱石の鉱脈が発見されて以降鉱石には困る心配がない。又、ギリス王国でしか採掘できない貴重な鉱石がある事で有名だ。最後にネシア法国は魔族や悪魔達が暮らすだけのことはあるのかネシア法国独自の魔法学が他の国よりも優れていた。

 

 

これらを見る限りでは中々面白い成り立ちではあるが、やはり各国には裏の世界が存在するらしい。マナカ共和国の港区にはたまに奴隷商人の船がやって来ることがある。流石に町中で奴隷を売り出す訳にはいかないのか奴隷商人の船内で販売している様だ。ドーヴァ帝国では人種主義が故か亜人差別と亜人の奴隷が多いそうだ。ギリス王国は貴族、王族政治が故に一部の貴族は民衆から税金を巻き上げるという黒い噂が流れている。そしてネシア法国は人間を奴隷の様に強制労働させて国を発展しているそうだ。人間は腐るほどいるが故にたまに人間を捕縛し奴隷として労働者を確保しているという噂が流れていた。……まるでブラック企業だな。とりあえず俺の見方でいうとマナカ共和国がアメリカでドーヴァは旧ソ連(ロシア)、ネシア法国はナチス(ドイツ)でギリス王国は日本といった感じである。

 

 

そして俺は今現在、マナカ共和国の成人式に参加している。何でも俺たち人間は十二の歳になると大人として認識されると同時に成人証明書と呼ばれるパスポートが発行される。これが無いと傭兵稼業や商人稼業といった行動や他国の入国が不可能なので参加せざる負えなかった。もし万が一紛失してしまった場合は手数料として再発行してくれるそうだ。無事に成人式を終えた俺は家を売って旅に出た。そしてマナカ共和国の港町“ルズベリー”で港区にある小型船を買い、船旅へと繰り出すのであった。そこまでは良かった………しかしそこで予想外な展開に巻き込まれるのをこの時の俺は知る由もなかった。

 

 

「…何かと天気が悪いな。なんか嫌な予感がしてきた」

 

 

航海の中で悪天候と遭遇してしまった俺は何とか帆が破けない様に仕舞い込むその時、突如上空に何かの裂け目が開かれる様な音が上空に聞こえた。俺はそっと上を見上げると、このファンタジーには似合わないワームホールが生成されていたのだ。魔法陣なら分かるがワームホールとなるとこれは予想外である。すると俺の身体に異常が起きる。

 

 

「のわっ!?……もしかしてこれっ………ワームホールに吸い寄せられているのか!?」

 

 

そう判断した時には既に時遅し、俺と俺が乗ってきた船がワームホールに吸い寄せられるのであった。そしてこの時に俺はつい無意識にこの現象を利用してあのシーンを再現してしまう。

 

 

「ボスーーーー!!」

 

 

俺はワームホールに引き寄せられる間際に走馬灯ならぬネイキッド・スネークことBIGBOSSがヘリに乗って燃え上がるマザーベースから離脱する姿が見えたような気がした。後の恥ずかしき黒歴史の一ページになることを今の俺に知る由もなかった。こんなことなら実家で旅の下準備でもしておけば良かった。まさかこのまま地獄(ディーテ)に行く事になるなんてな………あぁ、短い人生だったなぁ。そして何も出来ぬまま只ワームホールに吸い寄せられてそのまま視界が暗転して意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………こい………ま…………………

 

…まち…………い………此奴…………

 

 

何やら会話が聞こえる。俺は地獄にきてしまったのか?何とか確かめる為に目を開いて周りを確認する。すると周りにいたのは人であり、黒いバラクラバを被った人たちが居た。

 

 

「おっ。目を覚ました様だな」

 

「大丈夫か?自分が誰だが分かるか?」

 

 

そのバラクラバを被った人の装備をよく見ると、MGSPWに出てくるマザーベースの戦闘スタッフが使用するBDUを来ていたのだ。……もしかして俺、ワームホールを通してメタルギアの世界に来てしまったのだろうか?

 

 

「此処は………何処だ?」

 

「此処か?お前が居るのは天国でも地獄でもない。俺達のような傭兵達にとって最後の居場所。天国の外側(アウター・ヘブン)だ」

 

 

俺の疑問に答えてくれたのは、MGRに出てくる黒い新型の特殊作戦用義体を装備した“雷電”とそっくりな人物であった。

 

 

「……雷電?」

 

「ん?確かに俺はライデンだが、俺はお前に会うのは初めてだぞ」

 

 

…どうやら思った事が口に出てしまった様だ。此処は一旦、誤解を解く為に俺は雷電そっくりな人物に説明をするのであった。

 

 

「あぁ、ごめん。俺が知っている人物とそっくりだったからつい……」

 

「そうか……では自己紹介はしておこう。俺は“ジャック・ザ・ライデン”。お前は?」

 

「…俺はリョウ。“リョウ・スネーク”だ、宜しく」

 

 

ライデンが俺の名前を聞いた途端、まるでお目当ての人物が見つかった様な顔をしていた。アレ?何か嫌な予感がする…………

 

 

「スネーク?まさか、お前が神が言っていたボスか?」

 

「へっ?俺が………ボス?どういう事?」

 

「………その様子からすると神から特典についての説明が省かれた様だな。その特典の内容を説明する為にもこのカセットテープをレコーダーに入れて再生してくれ」

 

 

ライデンに言われるがまま渡されたカセットテープをカセットテープレコーダーに差し込んで再生ボタン押してテープを再生させる。

 

 

[あー…おほんっ。これを聞いているという事はライデンに会えたということじゃな。何故お主がボスと慕われておるのか不思議に思っているかもしれん。お主の疑問を聞いてやれぬが、予めの疑問の答えは整えておる。先ず特典じゃが、お主の特典である傭兵団ことプライベート・フォース(PRIVATE FORCE)である『ジェフティ』と身体能力強化(大)に様々な銃器や装備品、食料などを開発するハニカム構造上の海上プラントのマザーベースがお主の特典じゃ。何気にチートかもしれんが、もっとチートであるメタルギアは開発可能じゃ。メタルギア以外の大型兵器である“ピューパ”や“クリサリス”、“コクーン”に“ピースウォーカー”も開発可能じゃ。無論、AIポッドがなければ意味が無いからのう?それと念のために、スタッフらはお主がやったPWとTPPのスタッフを参考に編入させておいた。最後にお主をサポートする為にAIポッドである独立型作戦支援用プログラム『ヴェスタAX-7』がこのマザーベースに保管されておる。詳しい詳細はライデンに聞いてくれ。それでは、良き第二の人生を送れることを…]

 

 

その言葉を皮切りに神様が録音したカセットテープの記録再生が終わった。神様……なんか最後、投げやり感あるのだが……

 

 

「……とりあえず、大体は分かった。今後の方針として何だが、今はここに留まることにするよ」

 

「色々とすまない。後であの神にはお灸をすえるためにHANASIをつけておく。先ずは、メタルギアZEKEの格納庫に向かうぞ。そこに神が言っていたAIポッドが保管されている」

 

 

何やらライデンが恐ろしい事を口にしていたのだが………ライデンの恐ろしい部分を考えるの一旦やめた俺はそのままライデンの後について行き、メタルギアZEKEの格納庫に向かうのであった。……というか此処にZEKEがあるんだな。

 

 

メタルギアZEKEの格納庫に到着すると、ZEKEの横に例のAIポッドが接続コネクタに接続された状態で姿を現した。するとAIポッドが俺たちが近づいたことに気づいたのか、ポッドの円形レンズが緑色に発光した

 

 

〈多数の生体反応を感知。その内、ジェフティの司令官らしき人物を捕捉。システム再起動開始〉

 

 

そのAIポッドから発する加工された男性の声を皮切りに緑色に発光していたレンズが消点する。しばらくすると、レンズから再び緑色に発光された。

 

 

〈独立型作戦支援用プログラム『ヴェスタAX-7』再起動完了。お待ちしておりました。ジェフティの司令官、リョウ・スネーク。私のことはヴェスタとお呼びください〉

 

「お…応、分かった。宜しくなヴェスタ」

 

 

取り敢えずヴェスタと挨拶を交わした後、ライデンからある事を告げられる。

 

 

「スネーク……早速で悪いが、しばらくの間ここで過ごしてもらう」

 

「ん……俺が此処で過ごす?どういう事?」

 

「これにはちゃんとした理由がある。スネーク、もし此処を出る時に宿に止まるほどの額を持っているのか?」

 

 

そのことを聞かれた俺は直ぐにポーチの中を確認すると、成人式で受け取った成人証明書以外無くなっていた。これにショックを受けた俺は地面に膝をついて両手を地面につけて落ち込んだ。

 

 

「マジか………俺の全財産が無くなってしまった。………泣けるぜ」

 

「そういう事だ。それともう一つ、お前には此処のボスとしてVRスニーキング訓練と射撃訓練と近接格闘術(CQC)訓練を9年間行ってもらう」

 

「……そういう現実は知りたくもなかった」

 

〈ボス、これも貴方の為です。“習うより慣れろ”です〉

 

「それを言うなら“千里の道も一歩から”だろ?…つまりそういう事だ。厳しめにやるつもりだ、予め覚悟する様にな」

 

 

こうして俺は、神様からもらった特典であるPF『ジェフティ』のスタッフ達とハニカム構造状の海上プラントマザーベースにメタルギアZEKEを得た俺は、この9年間ライデンの指導の下マザーベースでVRスニーキング訓練やジャングルでの一週間サバイバルを行うのであった。………これじゃあ俺がTPPのヴェノム・スネークの立ち位置だな。サバイバルの方はBIGBOSSなんだがな……

 

 



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サバイバルは危険を伴うがこれは予想外である 前編 

「スネーク、VR訓練で敵に見つからずに無事にエリアを通過しろ」

「ライデン、完全ステルスはまだ早いと思うのだが……」

「関係ない。………やれ」

「……勘弁してくれ」

〈ボス、どんな時でも諦めずに。“諦めたらそこで試合終了”です〉

「ヴェスタ、どっかのアニメのセリフを有用するな」

「メタるな。……第二話、始まるぞ」




 

 

俺は今現在、大変に危機的な状況に置かれている。一人のエルフの少女を庇いながらサバイバルナイフを片手にエルフの少女を奪わんとする傭兵達と戦闘に入っている。何故そうなったのか、少し時を遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガレス歴579年

 

 

俺はライデンの指導の下、最初の訓練としてVRスニーキング訓練を行った。難易度はBIGBOSSで敵に見つかったら即任務失敗である為に俺は何度も見つかってはライデンにどやされた。それを1年間訓練を続けた結果、完全ステルスを50回中45回成し遂げるというレベルまで成長した。そして次の訓練は現地調達訓練を兼ねたジャングルでの一週間サバイバルを行うのであった。そのためにサバイバルナイフと野戦服を装備して必要な物は其々ポーチの中に入れている。…なおこのサバイバル訓練では銃器の使用が禁じられているので持っていけなかった。元々俺は生前の頃、陸上自衛隊として過ごしてきたのでこの手のものは俺の十八番だ。取り敢えずポーチには水源を確保する為にペットボトルで作った俺お手製携帯式簡易ろ過装置とゴムに縄を入れる。そして腰には水が入った水筒に空の水筒を一本ずつ装備する。最後にサバイバル中に負傷などした時の治療用のアイテムと薬物をポーチの中に入れる。因みにサバイバルナイフはMGS4のスタンナイフを使用している。そのスタンナイフを右肩のナイフポケットに収納してヘリポートに向かう。ヘリポートではライデンがUH-60ブラックホークのカスタム機の搭乗席に乗って待っていた。

 

 

「スネーク、サバイバル訓練の前に先にこれを渡しておく」

 

 

そう言ってライデンは無線機とフルトン回収装置、MGS5に出てくる情報端末『iDROID』が渡された。これ一つあればマップ確認とマーカーポイントを指定出来る故に開発プラントで開発状況を確認する事が出来てetc…といった感じ色々と便利な端末なのである。

 

 

「フルトンにiDROIDか…」

 

「あぁ…必要な物は確かに渡した。ヘリに乗れ、このままドーヴァ帝国領の密林地帯に向かう」

 

 

今回のサバイバル訓練の内容は、敵領土内で出来るだけ敵に見つからず如何に密林地帯で一週間の間SURVIVE(生存)出来るかが肝となる。ヘリに乗った俺は、そのまま目的の密林地帯の近くまでヘリに運んで貰うのであった。

 

 

そして目的の密林地帯に近づくとヘリは密林地帯近くで降下し、俺が降りられる所まで降下した後に俺はヘリから降りてそのまま密林地帯に侵入するのであった。俺はある程度密林の中を歩いていると無線機からCALL(通信)が入ってきた。俺は無線機の周波数を合わせてその通信をつなげる。

 

 

『スネーク、聞こえるか?』

 

「あぁ、聞こえる。周波数も問題なく正常だ」

 

『そうか。よしっ…これより密林地帯でのサバイバル訓練を行う。スネーク、お前はここ一週間の間この密林地帯で生存してもらう。水と食料、武器などは密林地帯で現地調達してもらう。そこは盗賊や帝国兵士がたまに巡回することがある。なるべく敵に見つからない様にしろ。もし如何しても排除せざるおえない場合は現地調達した物で対応しろ』

 

「分かった。……だがもし、現地調達してない時に敵を捕捉した場合は?」

 

『祈れっ』

 

「何にだ………」

 

『後、一週間経った時にはスネークの端末に回収地点(リカバリーポイント)を表示させて、そこにヘリを向かわせる。それともし緊急時の時には周波数を148.50に合わせろ。直ぐにヘリを送らせる。俺からは以上だ。………一週間後にまた合おう』

 

 

ライデンからの通信を皮切りに密林地帯一週間サバイバル生活が開始されたのであったのだ。この時の俺は水を確保する為に密林の中で獣道を探した。ある程度歩いていると獣道を発見してそのまま獣道を辿っていくと湖を発見した。そして俺はポーチの中から簡易ろ過装置を取り出してそのろ過装置に湖の水を入れて少し待つとろ過された水が少しずつ溢れ出てきた。俺はそのろ過された水を手のひらに集めてその水を飲む。前世の経験がここで蘇ったのか、無事にろ過されている事が飲んだ事で確信した。食料に関してはこの密林の中で俺がよく知る果実が少なからず実っていた。他には野生の動物達もいた。特に動物に関しては、気配を殺してある程度接近したのちにナイフで頭を突き刺してその動物の命を終わらせた。そしてその動物を解体して食料と動物の毛皮を入手するした。因みにこのスタンナイフの刃は血が滲みにくい加工を施されているので水でさっと洗う事で血を直ぐに洗い落とせるのだ。寝床を確保する為に無人の洞窟などを探していると滝の音が聞こえたのでその音のする方向へ向かうと滝が発見した。その滝の裏側をよく見てみると天然の洞窟があった。俺はそこを拠点として無事に寝床を確保した。サバイバル初日はまずまずといった成果で一日を終わらした俺は、先ほど入手した動物の毛皮で敷き布団風簡易ベットや明日の狩猟用の罠を作り、そのまま就寝した。

 

 

二日目………

 

 

朝になって俺は滝から流れる水をろ過装置に入れて飲み水になるまで空の水筒の口に差し込んでろ過されるの待っている間、食料と材料を確保する為に拠点から離れる。ある程度歩いて昨日作った罠を設置していると野生の熊を発見した。俺は熊に己の存在に気づかれない様背後に回り、スタンナイフを引き抜いてそのまま駆け出した。駆け出した足音に反応したのか熊は後ろを振り向こうとするが一歩遅かった。俺を目視した時にはスタンナイフがその熊の頭に突き刺さり、そのままスタンナイフから高電圧が発して熊の脳を焼き、そのまま力尽きてこの世から去った。そして俺は、その熊を解体して熊の毛皮と熊肉という大成果を得るのであった。さらに少し歩くと何かしらの足音が聞こえたのでそこらにある草むらの中に隠れる。野戦服がリーフ迷彩だったので足音の主に気づかれずにやり過ごすことが出来た。通り過ぎた足音の主を確認すると動物の皮で作られた毛皮の防具を着た男が二人いた。装備からして野盗の類と判明した。その野盗の装備の中で弓が確認された。あれはこのサバイバルにとって貴重な遠距離用の武器だ。なのであの弓と矢を拝借する為にその野盗達の後を追った。野盗の後を追って数十分、すると野盗の一人は用を済ませたいのか一人を置いて茂みの中に入った。俺はこの機を逃さず一人となった野盗に気づかれぬ様背後にひっそりと近づいた。

 

 

「……ったくよー、今回はあんまり良い収穫はねえな。女にもありつけねえし、酒や食料すら手に入らねえときた。はぁー、今日はついてね……」

 

 

………何やら愚痴をこぼしている様だが関係ない。俺は昨日狩猟した動物のグリル兼陽動用の囮を野盗に当てない様に野盗の真横に向かって投擲する。………空腹状態の敵にとっては食い物は神様の恵み物かもしれないな。

 

 

「ん…何の音だ?おっ!食い物だ!」

 

(……チャンス!)

 

「んあ?……ブホォッ!?」

 

 

そして俺は野盗が囮の方に目がいっている隙に左手でスタンナイフを抜き、CQCで野盗の右手を掴んだと同時にスタンナイフの峰部分で野盗の首元に当てると同時にそのまま野盗を流すかの様に地面に叩き込む。その衝撃で野盗は一発で気絶した様だ。その隙に弓と矢が入った矢筒だけを拝借してその場から離れた。囮にしたグリルの方はそのままにしておく事にした。思わぬ収穫を得た俺は直ぐに拠点に帰投した。

 

 

そして拠点についた俺は先ほど拝借した弓の状態を確認した。

 

 

「フム……鉄製の弓か、状態はそこそこ良いと言った方か。弓の弦もまだ持つな………」

 

 

弓の状態を確認した後に弓の試し射りを行う為に拠点から出ると滝の音とは違う水しぶきの音が響いた。

 

 

「……音?確認するか」

 

 

俺はその音が気になったので試し射りからその音の正体を確認する為にその音の方に向かうのであった。その場所にたどり着くとムチか何によって身体が傷だらけの金髪の少女が下半身が川の水に浸かりながら倒れていた。服装はボロボロの布で作られた簡易な服を着ていた。そして俺はその少女の耳をよく見てみると普通の人の耳長さが倍で尖っているのを確認するとある種族であることが判明した。

 

 

「……エルフか。それも、奴隷の」

 

 

俺は倒れているエルフの少女の脈を確認する為に少女を一旦川から引き上げようとした時に少女の顔を見て一瞬頭の脳裏である人物がフラッシュバックしてきた。

 

 

その人物の容姿はエルフの少女のと瓜二つで、メタルギアZEKEを操縦してBIGBOSSを図ろうとした女スパイ。しかしBIGBOSSに敗れ、そのまま海に落ちて消息を断つのだった。だが、事実上その少女はまだ生きていたのだ。カリブ海洋上を漂流中にベリーズの漁師に救助され、キューバ南端グアンタナモの米軍の収容キャンプで尋問を受ける。CIPHERにより二重スパイの嫌疑を掛けられており、救出のためにマザーベースにいたある少年が向かうが失敗、二人を救助する為にBIGBOSSが潜入することになる。 少年の弁から死亡したと思われていたが、収容所内で生存しており、救助に成功する。 だがその体内にはスカルフェイスによってトラップのための爆弾が仕掛けられていた。帰還中のヘリ内で少年が少女の異変に気付き、同乗していた衛生兵により体内の爆弾は摘出されたかのように思えたが、実はもう一つの爆弾が仕掛けられており、それを知っていた少女はボス達を救うためにヘリから飛び降りて、爆炎の中に消えていった。いや、死亡したと言うべきであろう。 その爆弾によってこの世を去った少女の名は『パス・オルテガ・アンドラーデ』。齢17歳で亡くなった悲しき少女である。

 

 

「………パス?いやっ違う。彼女はもう………」

 

 

俺はあくまでパスと瓜二つの人物だという事に分かっていたのだが、戸惑いを隠せないでいた。多少の戸惑いを抱きながらもエルフの少女の脈を確認した。脈は動いているが衰弱している事には変わりはなかった。

 

 

「……とにかく、この少女を一旦拠点に戻って応急処置しないと!」

 

 

そして俺はそのエルフの少女を抱きかかえて急いで拠点に戻った。拠点に戻った後に症状を簡易ベットに寝かした後に俺は野戦服の上半着を脱いで少女の上に毛布の様に掛ける。その後俺は、無線機に周波数を緊急時用の周波に合わせて通信を入れる。

 

 

「こちらスネーク。ライデン、聞こえるか?」

 

『どうしたっスネーク?帝国兵士にでも見つかったのか?』

 

「そうじゃない!サバイバル中に衰弱したエルフの少女を発見した。今は拠点の簡易ベットで少女を寝かしたが現状の物じゃ少女の容態を改善することができない!」

 

『何だって!……分かった。だが直ぐにヘリを送ることが出来ない』

 

「どうして?」

 

『ちょうど今日がヘリのオーバーホールの日だったんだ。明日にはヘリをそちらに向かわせる。それまでその少女を看病と治療を行なってくれ』

 

「……了解した」

 

 

この時に限って運悪く、ヘリはオーバーホール中との事だった。明日にはオーバーホールを終えたヘリが回収しに来るらしいので俺は少女の介護を行うのであった。少女の容態は主に外傷による傷や短時間とはいえ川に浸っていた為か発熱が酷かった。俺は少女の応急処置を行う為に治療を行うのであった。

 

 

治療を始めてから数時間が経った。少女の容体は一時的に安定した。……あくまで一時的なので油断はできない。そして俺は少女が起きた時の為に熊の毛皮を加工して簡易毛布を作り上げる。そして加工した毛皮の毛布を上半着の野戦服と入れ替える様に被せた。その次に熊肉を加工された木の串に刺して焚き火に当てながら調理していった。焚き火から“パチッ”と音を立てながら熊肉を焼いていると先程まで気を失っていた少女が目を覚ました。

 

 

「う……うん………?此処は………何処?」

 

「ん……目を覚ましたか?」

 

「え………?ヒッ!?い……嫌っ……来ないで………!」

 

 

目を覚ました少女は俺を目視した途端、恐怖の対象が近くにいるかの様に酷く怯えていた。………ドーヴァ帝国の亜人差別や奴隷としての扱いがここまで酷いとは流石の俺でも予想外だった。何とか少女を落ち着かせる様に説得を試みる。

 

 

「待て、落ち着け。俺はドーヴァの人間じゃない。俺はマナカの人間だ」

 

「マナカ……?………本当?」

 

「あぁ、今はちょっと訳ありでこのドーヴァ帝国領土内に不法入国してサバイバル生活している時に君を見つけたんだ」

 

 

俺がマナカ共和国の人間だという事を少女に説明したことで多少落ち着いた様だ。俺が不法入国してサバイバル生活していることは少女にとってどうでもよかったそうだ。

 

 

「……ごめんなさい。私……今までドーヴァの人達に酷い仕打ちを受けていたからあまり人を信じられなくて……逃げてきたの」

 

「そうか………」

 

 

取り敢えず少女の気持ちが落ち着いたことを確認した後、先ほど焼いていた熊肉を確認した。一部が焦げ付いていたが、ちゃんと焼けていることを確認するとスタンナイフを使ってバショウ科の葉に似た葉の上で熊肉のグリルを一口サイズまでカットした後に少女に葉っぱごと手渡す。

 

 

「あの…これは?」

 

「熊肉を焼いたグリルだ。まだ熱いと思うから火傷には気をつけろ」

 

「あっはい。あの……ありがとう………ございます」

 

 

少女から礼を言われた後に何かと安堵する俺がいる。おそらく俺は唯の偽善者なのかもれない。俺はBIGBOSSでもヴェノム・スネークでもない、俺は俺でしかない。そう考えながらも少女の礼に答えながらも出来上がった熊肉のグリルを食した。味に関して一言いうなら“もっと食わせろ!”と言うくらいに美味だった。

 

 

少女の看病と食事を終えた後には既に外は夜中になっていた。俺は少女からあることを聞き出した。

 

 

「なぁ、今更かもしれないが名前を聞いてもいいか?俺はリョウ、リョウ・スネーク。スネークと呼んでくれ君は?」

 

「………私はシャーリス。シャーリス=プラント」

 

「シャーリス………いい名だ」

 

「そう……かしら?」

 

「ああ、親からもらった名は良いものだ。俺の場合は………」

 

 

エルフの少女ことシャーリスは俺の名前について聞きたそうな感じをしていた。

 

 

「貴方の場合……?スネークさんの名はご両親から貰ったのではないのですか?」

 

「いやっ俺の場合は赤児の時から両親の顔すら知らず捨てられていたんだ。その捨てられた所に偶然一人の傭兵が俺を拾ってくれたんだ。後の義理の父親何だがな」

 

 

それを聞いたシャーリスは一瞬に青ざめた。奴隷生活が長かった為かすぐに謝罪してきた。

 

 

「ご……ごめんなさい!私、つい無神経で……」

 

「いやっもう慣れたから大丈夫だ。それよりももう夜だ。明日には俺の仲間が迎えにくる。その時に君もそこに連れて行く」

 

「は……はい。その……何処へですか?」

 

「俺たちにとって最後の居場所。天国の外側(アウター・ヘブン)さ」

 

 

シャーリスのような過酷な運命にあってきた子はこの世で沢山いるだろう。だからこそなのか俺はシャーリスを俺たちの家へ連れて行こうと思ったのだろうか。もしそうだとしたら俺はとんでもなく最低な偽善者だな。これじゃBIGBOSSやソリッド・スネークに殺されそうだ。そして俺たちは明日に備えて就寝するのであった。

 

 

同時刻、ドーヴァ帝国街“ヴォルフ”

 

 

ドーヴァ帝国街“ヴォルフ”である奴隷商人が己が持つ店内で傭兵達を集めてあることを説明しようとした。

 

 

「傭兵諸君、儂の依頼を受けて感謝する。依頼内容はギルドに貼ってあった依頼書に書いてあった通りじゃ。うちの商品が儂の目を盗んで勝手に逃げ出しおった。そこでだ、お前さん達傭兵に依頼じゃ。儂の商品であるエルフの小娘を儂の所に連れ戻してくれ。無事にその小娘を連れ戻した者には、その逃げ出した奴隷をタダでくれてやろう!」

 

 

奴隷商人から連れ戻したエルフの少女をタダでくれると傭兵達に伝えたら傭兵達の指揮は向上し、やる気が上がるのであった。

 

 

「無論、早い者勝ちじゃ。エルフの小娘を先に見つけた者とするからのう。おそらくはグラーヴェ・ジャングルに逃げ込んだ可能性が高い。何せ彼処は隠れる場所としては打って付けの場所じゃ。儂からは以上じゃ、それじゃ頼んだぞ!」

 

 

奴隷商人の説明が終わるや否や傭兵達はエルフの少女が逃げたと思われるグラーヴェ・ジャングルに向かうのであった。その場所こそスネークが今サバイバル生活を送っている場所でもあったのだ。



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サバイバルは危険を伴うがこれは予想外である 後編

「ヘリに乗り込む際に治療用の道具を忘れるな」

「了解です」

「副司令、諜報班から連絡です!」

「諜報班から?…あぁ、俺だ。何?それは確かか?…分かった、それはこちらで対処してスネークに伝える。あぁ……引き続き頼むぞ」

「今のは?」

「諜報班からスネークがサバイバル訓練している場所に傭兵達が向かっているとの情報が入った。万が一の為に俺も出る。だから、アレを持って来てくれるか?」

「分かりました!今すぐアレを取って来ます!」

「あぁ…頼む。第三話始まるぞ」




 

 

三日目………

 

 

奴隷エルフの少女シャーリスと出会ってサバイバル生活が三日が経った。朝になったことに気づいた俺は身体を起こした。

 

 

「ん……朝か。予想外な事が起きて中止となったサバイバル訓練も終わりか。……短いサバイバル生活だったな」

 

 

そう呟きながらも俺はシャーリスを起こしに向かった。

 

 

「シャーリス、朝だぞ」

 

「…スネーク?もう朝なの?」

 

「あぁ、そろそろ此処から離れるぞ[CALL]……ん?ちょっと待ってくれ」

 

 

シャーリスと会話中に無線機から通信が入ってきたのでシャーリスとの会話を中断して通信を送ってきた者の周波数に合わせる。

 

 

『スネーク、面倒な事が起きた』

 

「ライデン?どういう事だ」

 

『その密林地帯にドーヴァ帝国の傭兵達が向かっていると諜報班から連絡があった』

 

「何だって!」

 

『恐らくだが、ドーヴァ帝国の奴隷商人が傭兵を雇ってエルフの少女を連れ戻そうとしているようだ。分かっていると思うが敵に見つからず回収地点に向かってくれ』

 

「分かった。出来るだけ善処する」

 

『もし回収地点に敵がいた場合はヘリで一掃するつもりだ。一応分かっていると思うが…』

 

「あぁ、分かっている。衰弱状態の少女をフルトン回収はしない」

 

『それで良い。兎に角、少女を連れて回収地点に向かえ』

 

 

ライデンからの通信が切れると俺はすぐにシャーリスに今起きている状況を説明した。

 

 

「シャーリス、どうやら厄介な状況になった様だ」

 

「え……?どういう事なのスネーク?」

 

「どうやらドーヴァ帝国の奴隷商人が傭兵を雇って君を探しにきた様だ」

 

 

それを聞いたシャーリスは恐怖心に駆られたのか再び青ざめた。

 

 

「まさか……あの人が……!」

 

「落ち着け、今は此処を出て俺の仲間が迎えにくる場所まで敵に見つからずに行くぞ」

 

「無理よ……私はもう逃げられない。だからスネーク、せめて貴方だけでも……」

 

「駄目だ、何が何でも君を連れてこの場所から脱出する。それに、既にこの密林地帯の最短ルートは端末(コイツ)に覚えさせてある」

 

 

そう言って俺は端末を取り出して起動させて直ぐにマップを開く。

 

 

魔法具(マジックアイテム)?貴方のそれは一体………?」

 

「厳密には違うが今はそう認識しても良い。まずこのAと書かれている所まで行くぞ」

 

 

俺はシャーリスを連れて拠点を放棄して回収地点まで向かうのであった。因みに言い忘れていたが、この世界の共通言語は日本語で文字は英語であるのでシャーリスも英語の大文字くらいは分かっていたそうだ。シャーリスと共に回収地点に向かっている途中に俺は一旦シャーリスを草むらに隠れる様に指示を出して俺も草むらの中に隠れる。すると進路上に二〜三名の傭兵が徘徊していた。

 

 

「ここまで索敵範囲をひろげているとはな………シャーリス、此処の草むらから動くな。彼奴等を無力化してくる」

 

「わ……分かったわ。気をつけて……」

 

 

シャーリスが俺の無事を祈って草むらに隠れている間に俺は、スタンナイフを引き抜いてそのまま傭兵の背後にこっそりと近づく。すると傭兵は何かを口にしていた。

 

 

「エルフの小娘となると結構良い女かもしれねえな。……へへっ、考えただけでたまんねえぜ!」

 

 

……明らかにこの傭兵は結構ヤバイ人物だと認識した俺は他の傭兵がいないかを確認した後にスタンナイフを高電圧モードに切り替えた後に高圧電流を帯びたスタンナイフの平面部分を傭兵の背後に当てると高圧電流が傭兵の身体全体に回った。

 

 

「あばばばばばばばーーっ!?」

 

Sleep(眠れ)…」

 

 

高圧電流を浴びた傭兵はあまりの電撃耐えきれずにそのまま気絶した。俺は直ぐに気絶させた傭兵から離れて草むらの中に隠れた。すると他の傭兵達が戻ってきて気絶した傭兵を発見したのであった。

 

 

「ん…?彼奴、何やってんだ?」

 

「さぁ?未だに奴隷の事に考えすぎて頭がイカレてんじゃねえか?」

 

 

……どうやら気絶させた傭兵は人望の方は結構低い様だな。そんな事を考えながらも俺はそこらへんにある石ころを拾って今やってきた傭兵達の後ろ側に向けて投げた。

 

 

「…ん?何の音だ?」

 

「どうした?」

 

 

傭兵達が俺の投げた石ころの音に反応して後ろに振り向いた瞬間を狙ってそのまま俺はCQCで傭兵二人を連続で地面に叩き伏せた。

 

 

「ごっ?!だぁぁ!?」

 

「次!」

 

「何っ!?ブゥゥウ?!」

 

 

一人目は右手で右手首を掴んでスタンナイフを持った左手で相手の首根元にスタンナイフの峰部分を当てながらそのまま相手を叩き伏せる様に引い倒した。そして二人目は此方に気づいたのか俺の方に視線を向けるが俺はお構いなしに左手で相手の胸元に手を当てたと同時に右足で相手の足を払い、そして左手に重心を掛けて相手を叩き伏せる。その衝撃で二人の傭兵は気を失うのであった。CQCを見たシャーリスは唖然としていた。…まぁ、この世界にとって近接格闘術を使う者はいない為か中々お目に掛かれないのだ。

 

 

「凄い………!」

 

「クリア。………さて、此奴等が気を失っている内に移動しよう。このまま真っ直ぐ行けば目的の回収地点だ」

 

 

俺はシャーリスに安全である事を知らせた後にそのまま回収地点に向かうのであった。この時の俺は失念していた。俺達の後から追ってくる者達の存在に………

 

 

この何処までも続く密林地帯を歩いて数十分、回収地点まで敵に見つからずに慎重に移動していると密林の道の終わりを告げるかの様に目の前には広い草原が広がっていた。

 

 

「……ようやくこの密林から出られたな」

 

「あの……スネークさん?スネークさんのお迎えの人が居ないのですが?」

 

「あぁ……それか、少し待って欲しい。今から通信を入れて聞いてみる」

 

 

シャーリスは俺達PFの軍事用語に理解できないでいた。その事を気にせずに俺は周波数をライデンに合わせて通信を入れた。

 

 

「こちらスネーク。ライデン、俺達は無事に密林から脱出して回収地点に居る」

 

『そうか。今は俺と医療スタッフの二名ヘリに乗ってそちらに向かっている、その場で待機してくれ』

 

「了解した」

 

 

ライデンとの通信を切った後、シャーリスに迎えがもう少しで来る事を伝えた。

 

 

「あと少しすれば俺の仲間が迎えがくる。仲間の中に治療が得意な奴がいるからそこで治療してもらえば何とか助かるだろう」

 

「そうですか。あの……スネークさん、色々とありがとうございます」

 

「気にするな。偶々俺が彼所でサバイバル生活をしてから君を見つけた様なものだし」

 

「それでもです。本当に……ありがとうござい“ザクッ”…あぐっ!」

 

「ッ!?シャーリス!」

 

 

突如とシャーリスの右足腿にクロスボウ用の矢が突き刺さっていた。その突き刺さった場所から血が流れていた。

 

 

「シャーリス!大丈夫か!」

 

「す…スネーク…さん」

 

「動くな、今治療する!」

 

 

俺はシャーリスの右足腿に突き刺さっているクロスボウの矢を摘出しようとした時に密林の方から多数の気配を感じ取った。その密林から次々と傭兵達が出てきたのだ。その内の一人はクロスボウを装備していた。おそらく奴がシャーリスを狙って矢を放ったのだろう。俺はシャーリスの治療を断念してスタンナイフを引き抜いて構えた。そしてそれが今現在(前編の冒頭)に到る。

 

 

「へへっ……ようやく見つけたぜ!」

 

「!…くっ、他の傭兵達か!」

 

「おう兄ちゃん、よくも俺の獲物を独り占めしようとしてたな?」

 

「はぁっ?何言ってんだてめえ、あの小娘は俺のだろうが!」

 

「巫山戯んな、アレは俺んだ!」

 

「黙れカス共!アレは俺の物だ!」

 

 

何やら傭兵達がシャーリスの事で言い争いを起こしていた。俺はその隙シャーリスの方に向かおうとするが、先ほど言い争いしていたクロスボウを持った傭兵が俺の足下にクロスボウの矢を放った。

 

 

「おっと!変な動きを見せんなよ?その奴隷の命が大事なら大人しくしているかここから失せるんだな!」

 

「……クソが!」

 

「スネーク…さん。私に構わず……逃げて……下さい…!」

 

「いやっそれは出来ない相談だ。むしろ奴らは俺をそのままにしておく訳がなさそうだがな…」

 

「へっへっへっ!分かってんじゃねえか、兄ちゃん?だったらこの後どうなるかを知っているって訳だな?」

 

『ぎゃはははははっ!』

 

 

かなり不味い状況だな。流石にこの数相手にシャーリスを守りながら戦うのは難しい。銃器とかあれば話が別だが、今はそんな物は持って来ていない。この絶望的な状況で答えは一つだけであろう“現実は非常なり”と思われたその時、何かしらが接近してくる音が聞こえた。

 

 

「な…何だ?この音は?」

 

「この音は………ヘリ?…まさか!」

 

 

俺はその音ことローター音である音がする方向に目を向けると、ライデンや医療スタッフを乗せたUH-60ブラックホークの改良機こと“UTH-66ブラックフォート”が此処にやって来たのだ。これを見た傭兵達は驚きを隠せずに慌てていた。

 

 

「な…何だあの怪鳥は!?」

 

「で…デカ過ぎる?!」

 

「………ちょうど良いタイミングで来たか、ライデン!」

 

 

ヘリの中ではライデンが高周波ブレードを背中に取り付けられている専用の鞘に納めてスネークの方を見た。

 

 

「…待たせたな、スネーク」

 

『此方“トリスタン”、ボスと重要人物を確認!重要人物の方は負傷している模様!』

 

「分かった。トリスタンはランディングゾーンを確保するまで上空で待機。俺はスネークを救助する」

 

『了解!ご武運を!』

 

「あぁ。……出るぞ!」

 

 

ライデンはヘリのドアを開けてそのまま百メートルの高さから飛び降りて地面に着地した。普通の人間なら落下死する位の高さであるがライデンは人間では在らず、ジェフティの医療施設のサイバネティクス技術によって改造されたサイボーグである。……誰がどう考えてもジャック・ザ・リッパーですね、本当にありがとうございます。そんなこんなでライデンは地面に着地した後にスネークの方に目線を向ける。

 

 

「スネーク、無事か?」

 

「あぁ、何とかな。それよりもシャーリスを……!」

 

「シャーリス?そのエルフの少女のことか?」

 

「あぁ、クロスボウを持った奴がシャーリスの足を」

 

「そうか。………スネーク、少女を抱えて俺から離れろ」

 

「!………分かった」

 

 

ライデンの言う通り俺はシャーリスの下へ駆けつけた。駆けつけた時にはシャーリスは足腿に刺さった矢の痛みに耐えきれずに気を失っていた様だ。兎に角俺はシャーリスを抱えて巻き添えを食わない為に離れるのであった。

 

 

「な!?な〜に逃げようとしてんだてめえ!?」

 

 

ボウガンを持った傭兵がクロスボウを俺に向けて、引き金を引いて矢を射出させた。このまま俺の背中に刺さると思われたその時、ライデンは背中に装着してある専用の鞘から高周波ブレードを引き抜きその矢を両断する。

 

 

「んな?!矢を斬り落としたっ!?」

 

「待て………貴様等の相手は、俺だ」

 

「く……クソがっ!カッコつけてんじゃねえ!!」

 

 

すると痺れ切らしたのか傭兵の一人がヴァイキング・ソードと呼ばれる剣を片手にライデンの腹部に突き刺した。この時に傭兵はライデンの腹を貫いて殺したと確信をした。

 

 

「ライデン…!」

 

「へっ……へへっ、何が“貴様等の相手は俺だ”だ!口だけが達者な………ん?」

 

 

傭兵はライデンを突き刺した時に付いた返り血を見た。その返り血は赤い血の色ではなく白い血の色が付いていた。それこそサイボーグになった者が流す人工血液“ホワイトブラッド”である。余りにも不気味すぎる白い血を見た傭兵は血の気が引いてライデンから距離を取った。

 

 

「な…何だよこりゃ!?コイツの血が…白い?!」

 

「…フフフフフハッハッハッハッハ!」

 

 

ライデンは腹部に剣が貫かれたのにも関わらず不気味にも笑い出す。するとライデンから通信が入る。通信の主はマザーベースにいる医療班のスタッフのサイバネティクス技術者の人こと“ブライ”である。

 

 

『おいっライデン!お前何つう事を仕出かしてるんだ!?いくら自己修復用ナノペーストを持っていってあるとはいえ人工血液を生成するのが面倒なんだぞ!!』

 

「そんな事はどうでもいい。ブライ…俺の痛覚抑制を外せ」

 

『な…何言ってんだライデン!そんなことしたら…』

 

「やるんだ!」

 

『…だぁクソッ!マジで帰って来い、帰ってきたら説教だからな!』

 

 

そう言ってブライはライデンの痛覚抑制の設定を変えるように操作すると剣が突き刺さっていた腹部の激痛がライデンの身体全体に伝わった。

 

 

「っ!うがあぁぁぁあああ!!?」

 

 

ライデンは貫かれた腹部の激しい痛み襲われ、高周波ブレードを手放して腹部に刺さっている剣の握り部分を両手で掴む。

 

 

「ライデン!?まさか…痛覚抑制を?!」

 

「な……何だ?あの白髪の野郎…急に苦しみだしたぞ?」

 

 

この時に傭兵達はライデンから逃げれば良かったのだが既に遅かったのだ。この人斬りジャック(ジャック・ザ・リッパー)に目をつけられた最後、誰であれ生きて帰れないのだから。するとライデンの瞳が紅く染まり、不吉な笑みをしながら血に飢えた獣の様に傭兵達を睨む。

 

 

「痛みだ…これでこそ、戦いだ…!」

 

 

ライデンは腹に突き刺さっている剣を引き抜くと、その傷口から多量の人工血液が溢れ出た。しかしライデンはそんな事すら気にしていないのか狂気じみた笑いをしながら赤いオーラが発していた。これは雷電の本性であるジャック・ザ・リッパーを表した状態“リッパーモード”であるが何故この世界のライデンに宿っているのか不明である。

 

 

戦場(ここ)が俺の居場所…それが俺だ…」

 

 

傭兵達はライデンの異常な行動に驚きもした。そして何よりライデンがもはや人間でないことを改めて認識したのであった。

 

 

「クソッ!楽な仕事だと思ったにの何だってこんな化け物と遭遇しちまったんだ!?」

 

「こうなったら、殺られる前に殺れだ!」

 

「野郎ぅ、ブッ殺してやる!!」

 

 

三人の傭兵達がライデンの周囲を囲った後にライデンに剣を突き刺した傭兵はライデンが落とした高周波ブレードを拾ってライデンに斬りかかる前にライデンが手に持っている剣で高周波ブレードを拾うとする傭兵の手の甲に突き刺す。

 

 

「ぐぎゃあぁぁああ!?お、俺の手が?!」

 

 

傭兵の悲鳴を皮切りに他の傭兵達はライデンの死角から斬り掛かろうとする。するとライデンが右足で高周波ブレードの握り部分を器用に引っ掛け持ち、背後から斬り掛かる傭兵の腹部に突き刺す。

 

 

「がはぁっ!?」

 

「!野郎ぅ!!」

 

 

突き刺したと同時に右足から高周波ブレードを引っ掛け外し、その後から斬り掛かって来た傭兵の攻撃を避けながら先ほど高周波ブレードを突き刺した傭兵から引き抜き、そのまま大円陣を描くかの様に前と後ろの傭兵達を横一閃に振るい、血しぶきが舞、傭兵達の胴体を真っ二つにする。真っ二つにされた傭兵達は断末魔をあげることなく絶命した。…これはシャーリスには見せられない光景だな。剣に手の甲に刺されたままの傭兵は同業者達の無残な死を目撃した時には自分だけでも助かろうと必死に手の甲を突き刺さっている剣を引き抜こうと左手を伸ばそうとするが、無慈悲にもライデンは左足で剣の柄頭を踏みつけて更に深く差し込みより抜きにくくし、さらに高周波ブレードで傭兵の右腕を斬り落とす。右腕を斬り落とされた激しい痛み襲われ悶え苦しむ傭兵などどうでもいいかの様にライデンは高周波ブレードで横に一閃すると、血しぶきが舞うと同時に悶え苦しんでいた傭兵は上半身と下半身が別れるかの様に上半身が高周波ブレードでなぞった通りの横に滑るように落ちていった。そしてライデンは残った下半身を残った傭兵の方に蹴り飛ばす。ここまで起こった出来事は約15秒間である。

 

 

「ひ…ひいぃっ!?」

 

 

残った傭兵は恐怖した。三人掛かりとはいえ一気に瞬殺されたのだ。そしてライデンは高周波ブレードに付いた血を指で拭き落とすと同時にブレードを傭兵に向ける。

 

 

「どうした?俺を殺すんじゃなかったのか?フハッハッハッハッハッハ!まだまだ貴様には俺の…人斬りの本性を教えてやる。見ておけ、これが俺の戦いだ!」

 

 

ライデンが傭兵に殺意を向けるのを皮切りに“ニンジャラン”で傭兵との間合いを積めて“斬撃モード”で傭兵を斬り刻み、最後にと言わんばかりに“斬奪”で傭兵の心臓をえぐり出し、そのまま握りつぶした。そしてリッパーモードが解除されたのか赤いオーラが消えていた。その時にライデンは痛覚抑制を外してある為か腹部に貫かれた傷のダメージが徐々に痛み始めたのだ。ライデンは直ぐに自己修復用ナノペーストを取り出して握りつぶすと液体が飛び散り、貫かれた傷が瞬く間に修復されていったのであった。

 

 

「はぁっ…はぁっ…ふぅ…何とかランディングゾーンを確保したな。…だが、帰った後には説教か。ブライに殺されそうだな…」

 

「あれは幾ら何でも軽率な行動をとったライデンの自業自得だ。いくら俺たちの痕跡を残さぬ為とはいえやり過ぎだ」

 

「なぁスネーク、すまないが俺と一緒に怒られてくれないか?」

 

「自分で巻いた種は自分で片付けろライデン。トリスタン、こちらスネーク。ランディングゾーンを確保。そのまま降下してくれ」

 

『了解!これよりランディングゾーンに降下する!』

 

 

ヘリのパイロットのTACネームである“トリスタン”に着陸地点を確保した事を告げるとトリスタンはヘリの高度を落としてそのまま着陸する。そしてヘリに乗っていた医療スタッフがドアを開けていつでも治療出来る様にと準備を終えていた。

 

 

「ボス!早くその少女をヘリに!」

 

「分かっている。ライデン、一旦マザーベースに帰還するぞ」

 

「あぁ…分かった」

 

 

俺はシャーリスを抱えながらヘリに乗っている医療スタッフに手渡してヘリに乗り込み、ライデンもヘリに乗り込む。全員ヘリに乗り込んだ事を確認したトリスタンはヘリを上昇させて高度を上げる。

 

 

『上昇開始!』

 

 

ヘリが上昇し、ある程度高度に達するとそのままマザーベースの方角に機体を向けてそのままその方角に進ませてドーヴァ帝国領土から離脱するのであった。

 

 

『離脱します!』

 

 

俺はある程度離れた事を確認した後にヘリのドア閉めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘリの中では医療スタッフがシャーリスの右足腿に突き刺さっている矢の摘出と止血を行っていた。

 

 

「どうだ、シャーリスの容態は?」

 

「無事に脈は安定しています。少しでも遅かったら危なかったでしょう。幸いなのはあの矢に毒が盛られてなかった事ですね」

 

「さてっ…此処からが問題になって来たぞスネーク」

 

「あぁ、だが今はマザーベースに戻ってシャーリスの本格な治療が先だ」

 

 

その後は無事に俺たちはマザーベースに帰還し、シャーリスはヘリポートで待機していた医療スタッフ達が搬送した。このサバイバル訓練はシャーリスという少女の予想外な事態で中止になった。………サバイバル訓練が中止になった後は射撃訓練や近接格闘訓練が通常の倍のレベルに跳ね上がっていたということをこの時の俺は知る由もなかった。



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どの世界でも人材確保は当たり前なのか?

「なぁライデン、サバイバル訓練が中止になってから他の訓練のレベルが上がってないか?」

「サバイバル訓練が中止になった以上、その差を埋める為に必要以上にあげておいた」

「そうか……本当に勘弁してくれ」

「それと神からお前の特典のことで何かしらのミスが発見された」

「ミス?どういうことだ?」

「それも含めて話す。……第四話始まるぞ」


 

 

サバイバル訓練が中止となってから一ヶ月が経った。エルフの少女ことシャーリスは、マザーベースの医療班の治療により衰弱していた身体は無事に回復していった。そして俺とライデンは司令部内のブリーフィングルームでマザーベースの()()()()を抱えていた。

 

 

「スネーク、端末でスタッフの数を確認したかも知れんが一応言っておきたいことがある」

 

「あぁ…分かっている。このマザーベースにはスタッフが足りない。全班を合わせても60にも満たない」

 

 

そう、それは人材不足である。マザーベースの甲板数は動物保護と隔離プラットフォームを除いて計28個の甲板が作られている為に約700人まで人材を収納することが出来る。しかし今のマザーベースはその人材の人数が足らずに人材不足に陥っているのである。司令部と警備、戦闘班だけで数えると計15人しかおらず、他の班は10人ずつしかいなく、全体を含めるとマザーベースには計55人しかいないのである。

 

 

「スネーク、ここは一旦フルトン回収や仕事を求める傭兵らを勧誘してスタッフを増やそう」

 

「そうだな、だがドーヴァ領以外の傭兵にしてくれ。亜人に対して敵意剥き出しの奴をここには置けない」

 

「そのつもりだ。マナカやギリスには悪いが、俺たちが活動出来る為に兵士を頂くとしよう。スネーク、良い人材を見つけたら敵に見つからずにフルトン回収をしてくれ」

 

「あぁ…分かってる」

 

 

マザーベースの人材確保の為に俺は装備を整える為にブリーフィングルームを後にするのであった。今回の人材確保においてセカンダリ武器はスターム・ルガーMarkⅡをベースに開発された麻酔銃“WU SILENT PISTOL”とプライマリ武器はFN FNCをベースに開発された突撃銃(アサルトライフル)“AM MRS-4”を選択し、サポート武器はスピーカー機能が付いた“アクティブデコイ”と睡眠ガスを溜め込んだ非殺傷用投擲武器“睡眠グレネード”。それと研究開発斑が暇つぶしにアニメ作画技術でパスをモデルに色々な衣装を着た雑誌“パスちゃんのコスプレ集”を持っていくのであった。…何故こんな物を開発したのかは今の俺には分からなかったが、相手の注意を引く位は出来るだろう。主に男性だけ性欲を持て余しそうだが……(汗)そしてスーツの方はMGS4に登場したスニーキングスーツを着用するのであった。あらかた準備し終えた俺はヘリポートで待機しているトリスタンが操縦するヘリに向かうのであった。

 

 

ヘリポートに着くと車椅子に座っているシャーリスとその車椅子を押す女性医療スタッフに俺が来るのを待っていたライデンの姿があった。

 

 

「む…来たか、スネーク」

 

「あっスネークさん!」

 

「ライデン、それにシャーリス?もう脚は良いのか?」

 

「ううん。此処のお医者さんに無理言って此処まで車椅子?という物で運んで貰ったの」

 

「正確には押して貰ったと言うべきかしら。あっ…お疲れ様ですっボス!」

 

 

医療スタッフが俺に敬礼を送ると同時に俺も敬礼で返す。これが全スタッフ達の俺に会った時の日常だそうだ。…今思い返せば、シャーリスをマザーベースに連れて帰って来たと同時に医療班のスタッフ達にシャーリスを預けてから三日が経った時にシャーリスが目を覚まして、今の現状と俺が此処の組織(ジェフティ)のボスだと初めて知った時の顔が可愛かったな。

 

 

「あぁご苦労。俺は今から此処の組織の増員の為に仲間を集めに行くところだが……ライデンは俺を見送りに来たのか?」

 

「大体はそうだが、お前が仲間を集めに行っている間俺はマナカの港町で募集広告を回してスタッフの確保を行う」

 

 

ライデンから別の方法でスタッフの確保を行うことを聞いた俺はヘリに乗り込んで人材確保の為に手始めとしてマナカ共和国領土にいる兵士を回収しに行くのであった。ヘリが離陸する際にシャーリスは右手で俺に向けてVサインのピースを見せた。…あのサインを教えたのは医療スタッフ達かな?とりあえず俺はシャーリスに左手でピースを見せて俺は人材確保の為にマザーベースを後にした。

 

 

ヘリでマザーベースから離れてから数分………俺は端末を取り出してマップを開いてマナカ領とギリス領の中間を位置する城郭都市“アダムス”から2km離れた平原地点に着陸する様にトリスタンに指示を出す。アダムスは十年前にマナカとギリスがドーヴァ帝国に対抗するという共通の目的で同盟の証としてこの城郭都市アダムスが築かれたのだ。目標地点にヘリで運んでもらった後にヘリのドアを開けてヘリが降下して俺が降りても大丈夫な高度まで待機した。そしてその高度に達したのを確認したのちにヘリから飛び降りてスタッフ確保を行うのであった。

 

 

『どうかお気を付けて、ボス』

 

「あぁ…そっちもな」

 

 

俺が降りたこと確認したトリスタンはヘリを上昇させて一旦マザーベースで燃料補給のために一時帰還する。そして俺は端末を取り出してマップを再び確認する。今現在いる平原から北東の方角に共和国軍か王国軍の何方かが設営した前哨基地がマップに映し出されている。俺は其処で人材を確保する為にその前哨基地に潜入する為に下調べをする為に前哨基地を見渡せるの場所まで向かうのであった。前哨基地を見渡せる所まで辿り着いた俺はアナライザー機能を搭載した双眼鏡で前哨基地を巡回する兵士達を目視する。因みに分かったことがあるとすれば此処の兵士達はギリスの兵士達である事が分かったのであった。アナライザー機能でその兵士の能力を割り出す。目視した処兵士達の内一人が優秀な人材であることが判明した。

 

 

「戦闘向きのエルフの男性が二人、開発向きの人間とドワーフの男性が一人ずつ。そして特殊技能持ちのエルフの姉妹が二人か………男性はともかく、女性相手だとやり難いのは確かだな」

 

 

あくまで人材確保の為に非殺傷行動で行うので問題はないのだが、前世だったら誘拐犯で警察に逮捕されるかもしれなかったなと思う俺がいた。そんなことを考えながらも俺は敵前哨基地に潜入するのであった。

 

 

スニーキングスーツのオクトカム機能で草むらの色と同化してカムフラージュ率を上げながらホフク移動していると前哨基地の外でレザーアーマーを装着した目当ての兵士がいた。しかしその兵士の手にはマスケットと呼ばれる銃が所持していたのだ。俺は一瞬戸惑いもしたが此処は異世界である分マスケットが早期に開発されていてもおかしくはなかった。マスケットの存在を確認できなかったあたり諜報班の人手不足があって確認が遅れたと思う。…早めに人材を確保して練度を上げなければならないな。その目当ての兵士に麻酔銃の銃口を頭に向けて引き金を引くと銃口から麻酔弾が発射され、その麻酔弾はそのまま兵士の頭に突き刺さった。

 

 

「…?今何か刺さっ…た……様………Zzz」

 

 

兵士は麻酔弾の麻酔薬で眠りについたのを確認した俺はすぐに回収せず他に兵士がいないか確認すると、他の所を巡回していた兵士が麻酔銃で眠れされた兵士を発見する。

 

 

「おいっどうした!」

 

 

兵士が眠らされている兵士の元に駆けつけて様子を確認した。俺はその隙を逃さずその駆けつけた兵士の頭に麻酔銃を向けて眠らされている兵士を起こされる前に引き金を引いて起こそうとする兵士の頭に当てる。

 

 

「ん?何だ…急に……眠気………が………Zzz」

 

 

二人を眠らせたのを確認した後に俺は眠らせた二人を前哨基地内の兵士にバレないよう一人ずつ少し遠く運んだ。その後、眠らせた兵士を起こそうとした兵士をアナライザーで確認すると拠点開発に特化していることが判明した。そして俺は二人の兵士の後ろ越しにフックを引っ掛けてそのままフルトン用の気球を飛ばす。一応死亡事故が起きないように気球は小さめになっている。小さめとはいえ人を空に飛ばせるほどのパワー?がある為に回収が楽になった。そして最後にワイヤーを少し長めにしてある。気球が100mまで到達するとフックに引っ掛けられた兵士は宙に浮かんでそのまま50mまで飛ばされ、上昇していった。そして二人目の兵士にも取り付けて気球を飛ばすと眠っていた兵士が目を覚ました。

 

 

「……ん?此処は…どこだ?」

 

「おはようさん、兵士殿。そして逝ってらっしゃい」

 

「むっ!貴様、何者…アァァァアアア!?」

 

 

兵士は俺に何者かを聞き出そうとしたが、そのままフルトンで空中に飛ばされるのであった。そしてフルトンを回収するのはトリスタンとは別のヘリのパイロットで、TACネームは“パーシヴァル”と呼ばれる者がヘリの機首左下部にV字に開く回収用アームを装備したヘリでアームを伸ばしてワイヤーを回収用アームで挟み、アームを縮ませてヘリのドアの方に回転し、パーシヴァルのヘリに乗り込んでいる回収班が気球を掴みだしてそのままヘリの中に入れて気球からワイヤーを外し、ワイヤーを専用の巻き取り装置に引っ掛けてワイヤーを巻き取り、俺にワイヤーフックを取り付けられた兵士を回収するのであった。二人目の兵士も同じ方法だった為同様である。

 

 

『こちらパーシヴァル、無事にフルトンを回収し兵士をヘリに収容した。この調子で頼みますボス』

 

「あぁ…そっちも哨戒している竜騎兵に注意しろ」

 

『了解です!』

 

 

…言い忘れていたがこの世界にはドラゴンが実在する為、ワイバーンに乗る竜騎兵がギリス王国に存在する。話を戻して俺は今のペースを維持しつつ気配を消して前哨基地に再び潜入し、次々とフルトン回収していった。そして残るエルフの姉妹は外の巡回に向かった為かこの基地にはいなかった。しばらく待っているとエルフの姉妹が巡回を終えて戻ってきた。姉妹は基地内のある一室に入ると基地内を徘徊していた兵士達が突然と姿を消したことに気づいたのか、かなり警戒していた。

 

 

「お姉ちゃん、これって……」

 

「うん…此処の人達の気配が全くない。此処にやってくるオークやオーガと戦闘になった形跡がないわ。……かといって帝国や法国の者がやったとは思えないわ。ルーナ、警戒しながら此処から離れるわよ」

 

「分かったわ、お姉ちゃん」

 

 

エルフの姉妹は警戒しながらも前哨基地から離れる為にドアを開けると“カチンッ”と金属の擦りあいの音がなった。

 

 

「…ッ!トラップ!?」

 

 

エルフの長女がトラップと判断したのか(トラップ)解除用の魔法陣を目の前に展開して解除を試みる。……しかしエルフの長女は勘違いをしていた。そのトラップは魔法の物ではないことを………

 

 

「…あれ、何も起きない?………っ!?」

 

 

すると扉の左下置かれた筒の様な物から水色のガスが漏れ出して、そのガスはエルフの姉妹に覆った。

 

 

「これは…眠気を……起こす……ガ…ス………Zzz」

 

「お姉ちゃん……何だか眠い………よ………Zzz」

 

 

エルフの姉妹は覆った水色のガスを吸ってしまった影響で眠りについたのであった。何故こうなったのかというと1分前………

 

 

俺はエルフの姉妹がある一室に入ったことを確認した後に向かい側の扉の右下に睡眠グレネードが倒れない様に設置し、そのグレネードの安全ピンに紐を結び付けてその紐をドアに貼り付けた後にそこら辺にあった人が入れる位の木箱に入り込んで即席トラップドアが掛かるまで待機した。そしてエルフの長女がドアが開かれて睡眠グレネードの安全ピンが外れた。するとエルフの長女が何かしらの魔法陣を目の前に展開するが何も起きなかった。…俺の感ではアレはおそらく魔法による罠を解除する魔法陣かも知れない。…だが俺が仕掛けた簡易式罠は魔法とは無縁の罠だった為に効果はなく、睡眠グレネードから睡眠ガスが吹き出し、エルフの姉妹はそのガスを吸い込んでしまい眠ってしまう。眠ったこと確認した俺は一人ずつエルフの姉妹を外に運んでフルトン回収装置のフックを取り付けてそのままエルフの姉妹を回収し、前哨基地の制圧を完了するのであった。そして俺は無線機でライデンに繋いで通信を行う。

 

 

「こちらスネーク、予定通りにスタッフの確保が完了した」

 

『そうか、こちらも傭兵達を誘って見たら四〜五人を雇うことが出来た。スネーク、そのままヘリで危険領域(ホットゾーン)から離脱してくれ』

 

「了解した」

 

 

ライデンの通信を終えた後にフルトン回収装置のフックで自分自身に取り付けて気球を飛ばし、ワイヤーと繋がった俺は気球の後を追う様に空へ上昇してパーシヴァルが操縦するヘリに回収してもらいそのままマザーベースに帰投するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、ギリス王国の竜騎兵に見つかる事無く無事にマザーベースに帰投するとヘリポートでライデンが待っていた。俺はヘリから降りてそれぞれの成果を話すのであった。

 

 

「ご苦労だったな、スネーク。そっちはどうだった」

 

「あぁ……戦闘向きと研究開発向きが二人ずつ。戦闘向きは男性エルフが二人で開発向きのはドワーフが一人と人間が一人。そして特殊技能持ちのエルフの姉妹の二人、他は前哨基地に居た奴らを含めて計十人を回収して来た」

 

「そうか、こっちは傭兵を五人を雇う事が出来た。その傭兵の中で面白い奴が居てな、少し待ってくれ」

 

 

そう言ってライデンはニンジャランでベースを駆け抜け、ある傭兵を連れてくる為に向かうのであった。そして数十分後にはライデンがロシア製IMZ・ウラルのモデル“ウラル・ギアアップ750cc”を運転してこっちに戻って来た。そしてウラルの右側に接続してあるサイドカーにはフードを被った傭兵が初めて馬車以外の乗り物に乗っている為か少しビビりつつもサイドカーにしっかりつかまっていた。

 

 

「待たせたな、こいつが俺が言ってた面白い奴だ」

 

「ちょ…ちょちょちょ!?何だよこれ?!馬車何かよりも数倍早ぇし、こんなのがまだあるのかよ!?」

 

「正確にはバイク以外にも多数の乗り物があると思えばいい。ほらっ彼が此処のボスだ」

 

 

ライデンに言われて俺を見た傭兵はサイドカーから降りて、俺がジェフティのボスであるかどうかを確認した。

 

 

「あっ…えっと、貴方が此処のボスですか?」

 

「あぁそうだ。……それでお前は?」

 

 

傭兵は己のボスであること確認するとフードを下ろして素顔を表して自己紹介をした。

 

 

「あっ、お…俺はジョニーっていいます!以後、よろしくお願いします!」

 

 

俺は傭兵の素顔を見て内心動揺した。その傭兵の素顔はMGS4の“ジョニー佐々木”そのものであったからだ。俺は内心動揺しながらも挨拶を交わした。

 

 

「そ…そうか。よろしく頼む」

 

 

するとジョニーから何かしらの音が鳴ると腹を抑えて蹲った。…ジョニー一族の持病である下痢もこの世界でも同じなのか?これを見ていたライデンは呆れていた。

 

 

「うっ!……は……腹が……!?」

 

「またか……此処のトイレの場所まで案内してやるから付いて来い。スネーク、また後で」

 

「あーっ…!?漏れる〜?!」

 

 

ジョニーは尻を抑えながらもライデンについて行ってトイレに向かうのであった。こういう光景に若干呆れつつも俺はファントムシガーと呼ばれるタバコを取り出して吸うのであった。このファントムシガーは薬効植物の特殊調合により体感的な時間経過を早めるタバコなのだがその様な効果は無く、ただの電子タバコとなっていた。因みに煙の方は若干テレビの砂嵐の様な青白い煙で、味の方はメントールである。こうして俺たちジェフティのスタッフ集めの1日目が終わった。



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武器商人の中に高性能じいちゃんが居るのはおかしい

「人材を確保して来たものの、やはりすぐには仲間入りにはならないか」

「当然だろう、俺達の様な謎の組織に誘拐されたのだから当然警戒もする」

「…だよな」

〈何はともあれ、我々にはより多くの人材が必要不可欠なのは代わりありません。マナカやギリスには申し訳ないのですが、我々の活動の為に人材を引き抜くしか他ありません〉

「…とにかく人材を沢山集めよう。次の課題の移行はそれからだ」

「無論そのつもりだ。……第五話始まるぞ」


 

 

人材確保から数日が経ったある日、俺は射撃演習場で銃のメンテナンスをしていた。俺がメンテナンスしているのは“M4カービンライフル”。M4はM16サービスライフルから発展した米軍正式採用のカービンモデルであり、俺にとってこれは銃の中で一番好きなやつでもある。俺が今メンテナンスしているM4はライフル越しでもCQCができる様にとカスタマイズされた物だ。ハイダーはCQC対応のを使用しており、サイトは“EOTech 512 ホログラフィックサイト”でレールシステムには“バーティカルグリップ”が装着されてある。他は余分な物なのであまり付けていない。M4のメンテナンスが終えるとライデンが何か困った様な顔つきで射撃演習場に入ってきた。

 

 

「ライデンか…どうした?そんな顔をして…」

 

「スネーク、面倒なことが起きた。派遣させていたスタッフが帰投した際にスタッフの跡を追ってきたのか、ある武器商人が俺たちのマザーベースを特定された。今でも武器商人を乗せた船がマザーベースに近づきつつある」

 

「……確かかライデン?」

 

「あぁ……一応戦闘班と警備班を総動員して警備を強化している。…後は武器商人達の出方次第だ」

 

 

俺は武器商人の正体を確かめる為に銃のメンテナンスを中止して司令部まで足を運ぶのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わってその武器商人は、数日前にある傭兵が他の同業者が謎の球体に空高く連れ去られた所を目撃したという情報を入手する。傭兵曰く、その連れ去った犯人とおもしき人物も何かに引っ掛けて自身もその球体に取り付けて空に向かってその場から去っていった。その時にその傭兵は空を見上げていたら謎の怪鳥が先ほど空に向かってった人物を連れ去る様に口らしき物で挟んでそのままマナカ共和国の方に飛んでいったそうだ。

 

 

(謎の球体……それに空高く連れ去られた……そして怪鳥。……そう、そういう事ね)

 

 

その情報を頼りに武器商人は護衛を数名引き連れて木製の商談船でその人物と謎の怪鳥の跡を追いかけていた。怪鳥が向かっていった方向に舵を取りながら前進していると人の手によって作られたと思われる鉄で出来た島を発見した。武器商人の護衛に付いて居た者達はその光景に唖然していた。ある者はありえないと…またある者は興味と冒険心を抱いた。そして当の本人である武器商人はその鉄で出来た島………否、海上プラントのことを知っていたのだ。武器商人こと彼女はリョウと同じく現代で予想外な死を遂げて神の手によって転生された転生者なのだ。

 

 

「ねぇメイ?あの鉄で出来た島、何かと興味が沸かない?ちょっと行ってみようよ!」

 

「ちょ…ナナ!?幾ら何でも危険です!メイ、あの島には近寄らず別の進路を進みましょう!」

 

「いえ…大丈夫よミレイ、彼処こそ私たちが追っていた怪鳥の巣よ」

 

「えぇ!?あの島が?」

 

「フッフ〜ン♪やっぱり当たりね!それじゃあメイ?彼処に上陸っていう事でいい?」

 

「えぇ、それで良いわ。……正確には怪鳥の巣ではなく、その怪鳥の主人の島だけどね

 

 

こうしてメイと呼ばれる武器商人は護衛のナナとミレイと共に海上プラントことリョウの拠点であるマザーベースに商談船で進路を取らせるのであった。そしてある程度近づくと空から妙な音が響いた。その妙な音で護衛のミレイは慌てふためき、ナナはミレイの慌て様に面白がっていた。そしてメイは、空から聞こえる妙な音は聞き覚えのある音であることが判明した。

 

 

「……ローター音?やはりこの音は……ヘリ!」

 

 

そう気付いた時にはナナ達がいう怪鳥ことマザーベースから離陸したヘリが三機がメイ達が乗る商談船を囲んだ。そしてヘリのドアが開かれるとそこにはM16A2にM203を装備した戦闘スタッフと警備スタッフがメイ達に照準を向けながらいつでも射撃できる様に銃を構えていた。

 

 

「怪鳥の中に人が?!それにあの銃は一体…?」

 

「あらら、向こう側は結構大胆な歓迎ね。ねぇメイ、此処から先どうする?」

 

「心配ないわ、こっちが妙な動きを見せなければあっちは攻撃してこないわ。ミレイ、貴女は白旗を持ってきて」

 

「…分かりました。すぐ持ってきます!」

 

 

ミレイは一度船内に戻って白旗を取りに行った。そしてメイは今でも警戒しているヘリを見上げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、商談船を目視したとスタッフの情報をもとに武装させたスタッフ達を乗せたヘリを三機その場に向かわせた後に俺はM203を取り付けられたM16A2を持ち、マザーベース司令部の甲板上で待機していたジョニーから双眼鏡を受け取って確認すると商談船を目視するのであった。

 

 

「……あれが武器商人達の船か」

 

「あっはい、今のところはヘリに囲まれて以降これといった動きがありません」

 

「そうか………ん、あれは……白旗?」

 

「へ?……商談船から白旗ですか?」

 

「あぁ…どうやら攻撃の意思はない様だ。だが警戒はまだ解かない方が良いな」

 

 

俺はその商談船に対して少し嫌な予感を感じた。迂闊に攻撃しない様に商談船を包囲しているヘリのパイロットやヘリに乗っているスタッフに通信越しで攻撃禁止令を告げた。するとジョニーはまたなのか腹から音が鳴り出してそのまま腹を抑えて蹲った。

 

 

「あっ…?!は…腹が……!?」

 

「……はぁ、またか。こういう時に限ってお前なあ、SB(シリアスブレイカー)だぞ。とにかくお前はトイレに行ってこい」

 

「す…すいませんボス!と…トイレ〜!?」

 

 

ジョニーはトイレに向かって行ったその時に商談船を囲んでいるヘリに乗っているスタッフから通信が入る。

 

 

『ボス、商談船から武器商人のボスとおもしき女性からボスに会いたいと言っておりますがどういたします?』

 

「俺にか…?何故俺に会いたいのだ?何かしらの罠か?」

 

「それを決めるのはスネーク、お前自身だ」

 

 

俺は武器商人の意図を読めず考えているとライデンがやってきたのだ。…いきなり背後から話かけるのは辞めてほしい。俺自身にも頭上に!マークが出そうで怖い。

 

 

「スネーク、武器商人である彼ら……いやっ彼女達の対応の判断はボスに任せる。彼女達をマザーベースに迎え入れるか、そのまま立ち去らせるかを……」

 

「…何か最初の所だけ投げやりになっていないか?まぁいい、彼女達は………」

 

 

数秒経って俺が出した決断は…………

 

 

「……その武器商人のボスとその護衛をマザーベースの司令部に連れてきてくれ」

 

「…分かった。お前が決めたことだ、俺はお前の指示に従う」

 

 

そう言ってライデンは司令部から離れて商談船を囲んでいるヘリ三機に指示を出す。果たして俺が決断した行動は吉と出るか凶と出るかは判らない。

 

 

それから十分が経った時に商談船を囲んでいたヘリ三機が戻ってきたのだ。その内一機はヘリポートに着陸し、ヘリのドアが開かれるとそのヘリから少し露出しているチャイナドレスを着た女性とその女性の護衛らしき二人が降りた。武器商人の護衛の内一人は白髪で肌も白く、眼の光が無い蒼い眼。武器商人のボスの趣味なのか現代の白いスーツをモデルに作られた礼装を着ていた。見た目は何かと可愛らしい容姿なのだがその反面、何かと恐ろしい物を感じられる。そしてもう一人は白髮の女性とは正反対に黒髮の女性であり、より鍛え抜かれた肉体と筋肉質が印象に残るくらいである。服装は動きやすさを重視してのことか私服に専用のロングブーツ、ジャケットを着ている。そして右目部分には医療用眼帯が着用していた。それと背中に布で巻かれた長物を背負っていたが中身が何なのかは判らない。武器商人のボス、マザーベースのボスこと俺。転生者同士の初の対面であった。

 

 

「初めまして…と言うべきか?俺はこの拠点のボスのリョウ・スネークだ」

 

「初めまして、この鉄の島……いえっ、海上プラントの主様?」

 

 

その武器商人のボスの言葉を皮切りに俺は驚いた、何故彼女が海上プラントのことを知っているのかを。そう考える前にスタッフ達が一斉にM16A2を武器商人のボスに向ける。そして武器商人の護衛の二人もボスを守るために懐から“コルト M1851 ネイビー”を引き抜いてボスの前に立つ。武器商人の護衛がパーカッションロック式シングルアクションリボルバーを持っていることに驚いたがそれどころではないと俺はスタッフ達に攻撃中止告げる。武器商人のボスも護衛二人に銃を納める様に静止した。

 

 

「よせ、此処で厄介ごとを起こしても俺たちが損するだけだ」

 

「よしなさいナナ、ミレイ。彼ら今後、良い関係のお客様になり得るかもしれない方々よ。だから銃をしまいなさい」

 

「メイ……分かりました」

 

「は〜い、分かりましたっと!」

 

 

互いのボスは部下達に銃を降ろす様に伝えた後に再び会話を再開するのであった。

 

 

「それじゃ改めて、私は“睨美帆(ニーメイファン)”。私のことはメイと呼ばれているわ。そして私の護衛として付いて来ているのは私の私兵、“ナナ”と“ミレイ”よ」

 

 

武器商人のボスこと美帆からナナ達のことを紹介する。ナナは俺に和かな笑みで手を振り、ミレイはお辞儀をするとそれ以外のことは興味が無いのかそのままそっぽ向いた。

 

 

「それと、あともう一人護衛が付いて来てるのだけど…」

 

「もう一人?他にも護衛がいたのか?」

 

「えぇ、恐らくなのだけど……ミレイ?」

 

「はいっメイ。引きずり出します」

 

 

美帆はミレイに何かしらの指示を聞いたと同時に背中に背負っていた布を巻いていた物を取り出し、布を巻き取ると先ほど懐にしまったコルト M1851 ネイビーの魔改造品なのかカービンライフル版のコルト M1851 ネイビーカスタムを俺たちの前でお披露目したのだ。そしてミレイはそのカービンライフル風コルト M1851 ネイビーを構えて拠点開発プラントの方に向けてそしてそのままを下ろし、引き金を引いてパーカッションロック式特有の銃声が鳴ると同時にミニエー弾が拠点開発プラントの真下に飛んでいく。すると拠点開発プラントから老人の悲痛な叫びの様な物が聞こえた。俺のスタッフの中にはドワーフを除いで老兵はいないはずなのだが明らかに老人の声が聞こえた。そして老人の悲痛な叫びが止んで数秒経つと今度は拠点開発プラント近くの海面で水しぶきが上がった後に謎の爆発による水柱が上がると同時に悲痛な叫びの主らしき老人の声が聞こえた。

 

 

『ジ・エンド!』

 

 

……いや待て、待て待て待て。何でそっちにコブラ部隊の高性能じいちゃん“ジ・エンド”がいるの?するとナナが今起こっていることはどういう事なのかを説明する。

 

 

「いや〜ゴメンね?今ミレイが撃ったのはもう一人の護衛ことストーカーなの。家のお爺ちゃんは何かとメイにぞっこんでストーカーしてるよのねぇ?」

 

「いやっそれ以前にそのストーカー爺さんを撃ち殺すのはどうかと思うのだが……」

 

「大丈夫よ。あのおじいちゃん、何かと不死身っぽいからすぐ復活してくるわ」

 

 

ナナがそう言うとヘリポートの上空から光が降り注ぎ、その光の中からダークエルフの老人がこの世界の単眼鏡をスコープ風に取り付けたパーカッションロック式ライフルのカスタム品を持って復活してきたのだ。容姿からしてダークエルフ特有の黒人肌と耳が長いことを除けば完全にジ・エンドという名の高性能じいちゃんそのものであった。因みに余談だが、その高性能じいちゃんの服装はジ・エンドと同じMOSS迷彩であった。

 

 

「やれやれ………また、儂の寿命が削られてしもうたわ…」

 

「もうおじいちゃん、もう老いらくの恋は終わっているんだからメイのストーカーを止めたら?」

 

「それは出来ん!」

 

「止めなさい。でないとまた海に落としますよ?」

 

 

ミレイがドスが入った声でジ・エンド風ストーカー爺さんに警告するが、ストーカー爺さんはそれでも引き下がらなかった。

 

 

「それは出来ん!」

 

「では…また海に落ちなさい」

 

「ぬ!?……だあああぁぁぁぁぁ!!?」

 

 

ミレイのハイキックがストーカー爺さんを蹴飛ばし海の方に落とした。…いや、流石にこれはやり過ぎであろう。

 

 

「思い残す事は…無い」

 

「いやっあるだろう普通…(汗)」

 

 

ストーカーじいさんの断末魔と言うか遺言?を呟いたと同時に俺は無意識にツッコンだ。そしてストーカーじいさんは海に着水して再び爆発して水柱を上げるのであった。

 

 

『ジ・エンド!』

 

「また自爆か………俺も人のことを言えないがこれだけは言う、これはひどい」

 

「いえっ…あのストーカーはメイに雇われる前に悪魔に寿命を対価にしてまた蘇って復活するの術式を埋め込まれているのでまた復活して来ます」

 

「寿命を対価って、何それ怖い。………因みに今を含めて何回死んだんだあの爺さんは?」

 

「今を含めて16回は死んでいるわね。まぁすぐ復活するけどね♪」

 

 

ストーカー爺さんの死亡回数をミレイに聞いてみるとミレイの代わりにナナが答えた。それを皮切りにまた天から光が降り注ぎ、ストーカー爺さんが舞い降りて来た。

 

 

「やれやれ……これで16年分持っていかれたわい」

 

「あなたの自業自得です。少しは反省しなさい」

 

 

美帆の護衛達の茶番?を聞き流しながらも俺は美帆に話の本筋である“ある事”を聞き出す。

 

 

「……話を戻すが、貴女方は一体何なんだ?武器商人にしては只のでは言い訳に過ぎない。貴女方の目的は……」

 

「そのことを説明する前提で接触してきた……と言えばいいのかしらね?確かに私達は武器商人であることには変わりないけど、それは表向きの話よ」

 

 

すると美帆の雰囲気が一変した。多少は明るめに振舞っていたのだが本題に入るにつれ冷徹な表情になった。

 

 

「裏の世界では私や貴方の様に転生者。主に悪質な転生者を抹殺ことを目的としたギルド兼武器商人、それが私達の組織“ヴァナルガンド”よ」

 

「ヴァナルガンド………それに貴女が、転生者……」

 

 

美帆から自分が転生者であることを知った俺は内心驚いていた。俺以外にも転生者がいるということ美帆が説明しなかったら知らないままでこの世界を過ごしていたかもしれない。そして俺は美帆が言う悪質な転生者とはどういう事なのか気になったので聞いてみた。

 

 

「…少し話を変えるがいいか?貴女がいう悪質な転生者とはどういう意味だ?まるで俺や貴女以外にも他の転生者がいるみたいな口ぶりなのだが…」

 

「貴方のいう通りこの世界には貴方や私以外の転生者がいるわ。事実上ドーヴァ帝国には大魔導士“レイ・アデランス”という男がいるでしょ?」

 

「あぁ……ドーヴァの優秀な魔導士と言う事は諜報斑から聞いているが。……まさか奴も?」

 

「えぇ、彼も貴方や私と同じ様に神によって転生された者よ」

 

 

この事を知った俺はもしやと思い頭の中で情報を整理し、一点に収束することである答えにたどり着いた。この時に俺は独立支援AIであるヴェスタに通信を入れて神様からヴェスタに保管されている録音データが無いかを確認を取らせた。

 

 

「ヴェスタ、神様からメッセージなどの録音データなどは無いか?」

 

〈ボス、その質問は貴方以外の転生者と遭遇したと肯定してよろしいのですね?〉

 

「あぁ…そうだ。ヴェスタ、神様が予め入れた録音データをiDROIDにアップロードしてくれ」

 

〈了解。アップロードを完了次第メッセージを起動させます〉

 

 

ヴェスタが俺のiDROIDに神様のメッセージをアップロードしている間俺は色々と考え込んだ。すると美帆が俺の通信相手が誰なのか気になり、俺に聞いて来た。

 

 

「あら、その端末で誰と話していたの?」

 

「すまないが…秘密事項だ。ただ言えるなら…神様の伝言を持つ物と言えばいいか?」

 

 

美帆は何やら一部納得してない様子を見せながらこれ以上聞いてこなかった。するとヴェスタから通信が入る。

 

 

〈アップロード完了。メッセージを起動します〉

 

[あーっ……このメッセージを聞いていると言う事はお主以外の転生者と遭遇したという訳じゃな。無論これは想定内でもあるが故にお主に伝えて起きた事がある。何故お主以外の転生者が居るという疑問も抱いているかもしれんが、その疑問も想定内でもある。だがまずは、お主に儂からある依頼を受けてほしい。その依頼は、ある転生者達の抹殺じゃ。転生者の中には特典を利用して世界を我が物とせんとする者や己が快楽の為に殺戮を尽くす者が数少なからず存在する。これを聞いたお主はこう思っているのだろう、“何故俺がそんな事を”とな。儂等神々も色々な対策をしているのだが限界があるのじゃ。お主には申し訳ないが、この世界のバランスを保つ為にこの依頼を受けて欲しい。じゃがお主の組織では厳しいと思うなら“ヴァナルガンド”というギルドを探して見るといい。儂からは以上じゃ、幸運を祈る(グッドラック)この世界の蛇よ…]

 

 

神様のメッセージが終えると俺は頭を抱えた。何せ今俺の目の前には神様が言っていた組織(ヴァナルガンド)なのだから。すると今まで黙っていたライデンが口を開いた。

 

 

「スネーク、遅かれ早かれこうなる事は必然だった。お前の指示は今後の俺達の明日にも影響がある。お前はどうする?スネーク」

 

「………本来なら傭兵として人生を送ろうと考えていたのだが、どうやらそれは叶わぬ夢になったようだ。ならば俺が取る道は一つだ、神様の依頼を受ける。そして……」

 

 

俺は美帆達の方に向けてそのまま美帆の方に向かう。

 

 

「武器商人兼ギルド“ヴァナルガンド”よ、俺達のジェフティ(PF)は君たちの武器の提供兼俺達のビジネスの協力を申し込む」

 

「そう……細かい条件は後でいうとして、私からも貴方達の使う武器の提供と私が行う交渉(ネゴ)の協力を申し込むわ」

 

「じゃあ…細かい条件を置いて、今は」

 

「えぇ…交渉は今のところ成立ね。今後とも宜しくね、スネーク?」

 

「あぁ… 宜しく頼む、美帆」

 

 

こうして俺達は武器商人ことギルド“ヴァナルガンド”と協力関係を築き、今後の悪質転生者の対処を共に行動するのであった。その後に俺はファントムシガーを一服吸いながらも明日回収して来た傭兵やエルフの姉妹の説得を考えるのであった。

 



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この世界の月光は生物兵器か何かだ

〈ボス、貴方が回収してきた兵士や雇用した傭兵達と共にレクリエーションを行なっては如何でしょうか?〉

「急だな、何か利点があるのかヴェスタ?」

〈はい。これには二つの利点があります。一つ目はこちら側に引き入れるきっかけを作る事と、射撃能力を確認するという点があります。そして二つ目は、仲間になる事を想定しての交流を深めるのが二つ目の利点です〉

「気が早すぎるのだが……まぁ、出来るだけのことはするつもりだ」

〈その意気です。……第六話始まります〉

「ん?……セリフを取られたような……?」


 

 

スネークが武器商人兼ギルド“ヴァナルガンド”とビジネスパートナー?関係になってから数日が過ぎたある日のこと。マザーベースには人材確保した者達を収容する専用のプラントが存在する。そのプラントの甲板上に建てられているのは収容所という名ばかりのホテルが存在する。そこではスネークによって回収されたエルフの姉妹と傭兵達は男女別と個室に分けられていた。個室内はウォシュレットにシャワーとバスタブ、ふかふかのベットに海一面を見渡せるバルコニーが存在する。なおバルコニーには脱走防止の為か指紋が付きにくい強化ガラスで出来たボックスに包まれいた。そこはまるで実験動物が逃げ出さない為の檻の様に。食事に関してはスタッフの中にシェフに向いている人物が数人いた為、その人等を配給班として配置した。三つ星とはいかないが味には期待できる料理を振舞っている。そんな収容所とは似つかない場所でエルフの姉妹の長女であるリーナは、マザーベースからどうやって脱出すべきなのか考えていた。

 

 

「この鉄で出来た島に連れられてから既に数日……此処の兵士達が私達に対する待遇といい、此処の警備も他の国とは比べ物にならないほど厳重……此処の組織は一体何なの?」

 

「お姉ちゃん、考えすぎだよ。此処の人たちは悪い人たちじゃないし、此処まで待遇が良いのも理由があるかも知れないよ」

 

「その理由が分からないからあまり信用が出来ないのよ。此処の組織は私達や他の傭兵や兵士達を誘拐して何をするのか分からないし、だから一刻も早くこの鉄の島から脱出する手段を見つけないと……」

 

 

リーナはそう考えているとドアが開かれ、そこから女性スタッフが入って来た。

 

 

「貴女達、出かける用意をして。ボスが此処にいる全員に会いたいとの事よ」

 

「ボス?此処の組織のボスはどういう風の吹き回しなのかしら?」

 

「それはボスに直接聞くといいわ。ボスは今、一階のロビーで貴女達や他の者達を待っているから」

 

 

リーナは相手の事情などどうでもよく、ただ単にそのボスの行動に理解できなかった。もし私達がこの鉄の島から脱出する手段を持っているかも知れないことを承知の上で私達や他にも捕まった兵士達に会ったとして何のメリットが得られるのかを今の私には分からなかった。仕方なく私達はその女性兵士の指示に従って一階のロビーに向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は今、収容所と名ばかりなホテルの地下に作られた射撃演習場で人材確保という名の拉致したギリスとマナカの兵士達に“M1911A1 コルト ガバメント”ハンドガンを渡して演習用標的(ターゲット)で得点を競っていた。これは俺が個人的で考えついた物で理由が二つある。一つはプチ射撃大会というレクリエーションでこちらに勧誘し、引き込もうというのが狙いである。そしてもう一つはちょっとした兵士達の射撃評価でもある。特にマスケット銃を扱っていた兵士は飲み込みが早く、標的のマーカーの急所である頭部に二回も当てた。他は胴体か肩部といった所しか当たらなかった。他にはM1911A1の反動(リコイル)の衝撃を肘を曲げて吸収する者もいた。

 

 

「ヘヘッ…!楽勝だぜ!」

 

「そこのお前、もう一度撃ってみろ」

 

「おっ?良いぜ…俺の早撃ちを見とけよ!」

 

 

先ほどその肘曲げによるリコイル吸収法を行った自信満々な兵士が同じことをすると一発目の銃弾は正確に的の頭部に直撃させ、二発目の銃弾は出ずに排莢口で.45ACP弾の不発弾が詰まる。この兵士は弾詰まり(ジャム)を起こしたのだ。

 

 

「あ……あれっ!?弾が出ねえぞ?何で?」

 

「…貸してくれ、直してやる」

 

 

俺は兵士からジャムったM1911A1を回収しマガジンキャッチボタンを押してマガジン(弾倉)を抜き取り、スライドを何度も動かして不発弾を取り除く。

 

 

「今お前が撃っていたのはオートマティック……つまり自動拳銃だ。パーカッションロック式やシングルアクションとは違い、反動を逃がす撃ち方には向いていない。どちらかというとリボルバー向きだ」

 

 

そう言いながら俺は不発弾を取り除いたM1911A1をジャムらせた兵士に渡す。だが当の本人は少し落ち込んでいた。兵士はこの射撃演習場にあるパーカッションロック式拳銃をリボルバーの撃ち方でコツコツと磨いて来たのだ。だがその技術が自動拳銃には向いていないことがショックだったのだろう。

 

 

「マジかよ……」

 

「だが早撃ちは見事だった。…いいセンスだ」

 

 

早撃ちに関して褒められたことに嬉しかったのかその兵士は右手で小さくガッツポーズをするのであった。するとエルフの姉妹を迎えに行っていた女性スタッフがエルフの姉妹と共に連れて此処にやって来た。そして女性スタッフは自分の任務を全うしたことを兼ねて敬礼をする。

 

 

「ボス、エルフの姉妹を連れて来ました」

 

「あぁ…ご苦労。お前はいつも通りの配置に戻ってくれ」

 

「了解」

 

 

返事を皮切りに女性スタッフはそのまま射撃演習場を後にした。そして俺はエルフの姉妹に挨拶を交わすのであった。エルフの長女だけは俺に対して警戒をしているけどな。

 

 

「はじめまして……と言えばいいか?俺は此処(ジェフティ)のボスのリョウ・スネークだ」

 

「貴方が此処の?まだ若いのね」

 

「まだ13だからな。……君らの名は?」

 

「そう言えばまだだったね。私は“リーナ・フェルト”。基本的にはリーナと呼ばれているわ。こっちは妹のルーナよ」

 

「ルーナだよ。よろしくねおじさん」

 

 

エルフの次女ことルーナに俺のことをおじさん呼ばわりされる。…俺ってそんなに老け顔だっけか?

 

 

「…すまないが俺はおじさんほどの歳じゃないのだが」

 

「え、そうなの?」

 

「ルーナ、あまり相手を揶揄わないの。ごめんなさい、うちの妹が…」

 

「いやっ気にしてはいない。ところで俺が君達を呼んだ理由なのだが…」

 

「えぇ、大方私達を勧誘でしょうけど私達は貴方の仲間にはならないわ」

 

「えぇ〜、お姉ちゃん…別におじさんの仲間になってもいいじゃん」

 

 

リーナの返答は既に決まっていた様で仲間になるつもりはない様だ。ルーナの方は仲間になっても良いと意見が分かれた。俺は無理強いせずリーナの意見を尊重することにした。

 

 

「…君が言うなら無理強いはしない。此処を離れる際には俺達が船でマナカまで送るつもりだ」

 

「あら、以外ね。てっきり無理にも仲間に引き込もうと思っていたのだけど」

 

「そこまで俺は落ちてはいない。兎に角、此処を出る準備が出来たら俺のところに来てくれ。今しばらく俺は此処にいるつもりだ」

 

 

俺の問いに“そうっ…”と答えた後にリーナ達はそのまま荷物を取りに戻る。そして俺は無線機にある周波を合わせて通信を入れる。

 

 

『あらっスネーク?私達に何か用かしら?』

 

「あぁ…この前人材確保の時に回収したエルフの姉妹をマナカに送るために君達の船にエルフの姉妹を乗せてもらいたいのだが…」

 

『へぇ〜、スネークの誘いを断る人なんているのね』

 

「フルトン回収……向こうからすれば異質な回収法で此処に連れてこられたんだ、誰だって警戒もするさ」

 

『そういうものかしら?』

 

「そういうものだろう。……それで君達の報酬は何を望む?」

 

 

俺は美帆にビジネスとしてエルフの姉妹を送るという仕事を依頼の報酬についての事を話しだした。

 

 

『そうね……私達のところにはイメージを物質として具現化し、生成させる“錬金の壺”があるから良いのだけれど、やっぱり貴方のスタッフが作った武器の設計図が欲しいところね。設計図があれば部品などは錬金の壺で生成できるしね』

 

「そうか。……で、具体的にはどんな設計図が欲しいんだ?」

 

『M72 LAWよ。最近耳にした噂なんだけど、ドーヴァ帝国の方で巨大な魔導兵器を作っているとの事らしいから対戦車ロケット弾が必要なのよね。貴方のスタッフから聞いたことあるでしょう?』

 

 

美帆が言うようにドーヴァ帝国では兵士や騎士団以外にも魔導兵器と呼ばれる物を使う魔導士を中心とした部隊が存在する。諜報班のスタッフからその話を聞いていたのだが、まさかアレがこの世界で独特な姿で存在していることには驚いたけどな。

 

 

「あぁ…まさかMGS4の“IRVING(アーヴィング)”…元い、月光擬きがドーヴァ帝国で開発されていたとはな」

 

 

IRVINGこと月光はアームズ・テック・セキュリティ社が創り出した無人二足歩行兵器。MGS4では歩兵にとっては厄介な敵であり、その上“ブローニングM2重機関銃”や“TOW対戦車ミサイル”、“発煙弾発射機”などを搭載できるハードポイントがあり、特に人工筋肉で出来た脚を使っている為に高い機動力と脚で行う格闘ができる分、味方にとっては最強の無人兵器であり、敵にとっては最凶の無人兵器であるのだから。唯、この世界の月光は重機関銃や対戦車ミサイルは俺たちジェフティにしかない為に代わりとして魔力を帯びた触媒結晶を埋め込んだ杖を取り付けられており、火力に関してはその杖の魔法で補っているそうだ。…というか、無人機に魔法を使わせる以前にこの世界には無人機の概念があるのか?

 

 

『そうね。それと貴方の言うその月光と呼ばれる兵器なんだけど、此処の世界では合成獣戦車(キメラタンク)と呼ばれているわ。その合成獣戦車なんだけど、黒い噂ではエルフやドワーフの筋肉を剥いでその合成獣戦車の脚の材料にしたり、脳も同様に剥いでAIでいう頭脳ことスーパーコンピュータ代わりに使われているわ』

 

 

これを聞いた俺は流石に血の気が引いた。ドーヴァ帝国が創り出していたのは生物兵器に近い存在だったのだ。それも亜人であるエルフやドワーフの脳や筋肉を使っているのだ。恐らくドーヴァ帝国は、亜人は人にあらずと言わんばかりにこの様な非人道的なことを平然とやってのけているのであろう。

 

 

「合成獣戦車……鉄の歯車(メタルギア)とは違うコンセプトか。それも亜人達を材料扱い……これは国として駄目な方ではないのか?」

 

『そうね……本来なら駄目なんだけれど、ドーヴァ帝国の皇帝が作り出した条例であるが故にドーヴァ帝国の国民は何とも不自然に思わないのよ。…いえっ、そうせざる終えないと言う方が正しいかしら』

 

「そうなると……その皇帝が転生者という可能性は?」

 

『不明よ。……少なくとも白でも黒でもない灰色なのは確かね』

 

 

美帆からドーヴァ帝国の皇帝が転生者であるかを聞いてみたが、結果は不明だった。もしも自国の民が皇帝に反乱を起こした時には見せしめとしてその反乱を首謀者やそれらに加担した者を処刑するということも美帆から聞いた。

 

 

『それと…あなたのスタッフから聞いていると思うけど、ドーヴァ帝国では内部分裂が起こっているということは聞いている?』

 

「あぁ……何でも亜人の扱いや反乱者の処理に嫌気をさして二つの派に分かれたことはスタッフから聞いている。亜人を見下さず、人種同様に扱うことに抗議するハト派。亜人を見下し、道具や何かしらの材料としか見ないタカ派。俺から見ればハト派はKGBで、タカ派はGRUと言ったところか…(そのタカ派にはヴォルギンみたいなそっくりさんがいそうだな。……なんてな)」

 

 

スタッフから聞いてた情報だとドーヴァでは内部分裂が三日前に起きたそうだ。主な原因はおそらく、あの月光擬きの生産に関係しているのであろう。何せエルフやドワーフを月光を作り出す為の材料、脳と筋肉が必要とするのだ。魔族滅ぶべしと唱えるドーヴァ帝国らしからぬ行動だな。もしろ何方が魔族なのやらと訴えたくなるほどである。

 

 

「……とにかく、エルフの姉妹を乗せる船を頼む。M72 LAWの設計図は船の船長に渡す」

 

『商談成立ね。毎度武器商人ヴァナルガンドご利用くださいましてご贔屓に、有り難うございます。またどうぞ♪』

 

 

美帆と商談を終えて通信を切ってリーナ達がまだ戻って来ない事に気付いた。

 

 

「遅いな………少し様子でも見に行くか」

 

 

そう言って俺は荷物を纏めに行ったリーナ達の様子を確認するためにホテルに向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はリーナ達の様子を確認する為にホテル内のリーナ達の個室前に着くとその個室のドアが開きっぱなしであった。あからさまに不自然だった。俺はM1911A1を引き抜いて構えを取り、そのまま警戒しつつも個室内に入る。個室に入って五、六歩くらいゆっくり歩くと押入れから足音らしい音が聞こえ、その方角に銃を向けると背後から声が聞こえた。

 

 

「武器を捨てなさい」

 

 

背後にはリーナが弓を持っていつでも射抜ける様にと矢を弦に掛け、そのまま俺に武器を捨てる様に命じる。俺はそのままリーナの言う通りに武器を地面に置いた。

 

 

「こっちを向きなさい。ゆっくりと…」

 

 

今度はリーナの方に向けと命じられて俺はそのままリーナの方に向ける。

 

 

「……何のつもりと言いたいが、何が目的だ?」

 

「貴方のことは完全に信用していないことは知っているでしょ。私達を船が停泊している所まで案内しなさい」

 

 

流石の俺は呆れの言葉が尽きなかったのか顔が表に出た。そのことに気が触れたのかリーナは俺を少し脅す。

 

 

「貴方……巫山戯ているの?いいから私達を……っ!?」

 

 

リーナが言い切る前に俺は既に行動していた。左手で弓を掴み、右手でリーナに裏拳をかますと同時に左腕を掴みそのまま背負い投げをした。リーナが投げ飛ばされると同時に弓を手放してしまい、俺はその弓を使って倒れ込んだリーナの首元に弓のリム部分を当てて拘束した。

 

 

「一体…何が……っ!」

 

「信用できないのは分かるが、俺たちを敵に回すのはまだ早い」

 

 

リーナを拘束中に先程足音が聞こえた押入れからルーナがリーナのありざまに呆れつつも両手を上げて降伏してきた。

 

 

「はぁ〜っ……だから此処の人たちは悪い人たちじゃないって言ったのに。だからそんな感じになったりするんでしょ?……この駄姉ちゃん」

 

「ちょっ…ルーナ!?」

 

「……お前の妹さんはこんなにも腹黒い性格だったか?」

 

 

ルーナの意外な裏の性格を知ってしまった俺は、リーナを拘束から解放してそのまま弓を返してリーナ達を船の停泊所であるドックまで案内する。リーナ達を連れてドックに到着すると美帆が用意してくれたと思われる船が停泊していた。俺はその船の船長に会うために船に乗りこむ。そして船長と会い、確認をしたと同時に俺はM72 LAWの設計図を渡した。その後はリーナ達を船に乗せて、その船はそのままマナカまで出航するのであった。その光景を見届けた俺は、いつもの様にファントムシガーを取り出して今日の1日を終えたかの様に一服するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リーナ達をマナカに送り返してから一ヶ月が経ったある日、俺やライデンはいつも通りにスタッフを集める為に現地回収や傭兵達の雇用をしながら日々スタッフ達を集めるのであった。そんなある日、ライデンからあるエルフの姉妹がジェフティに雇用して欲しいと申し出があった為、俺はそのエルフの姉妹と面接する為に出向くのであった。唯…そのエルフの姉妹は一ヶ月前と数日前にフルトン回収したあの姉妹であることは今の俺には知る由もなかった。

 

 

「お久しぶりだねおじさん!私、“ルーナ・フェルナンド”っていうの。そしてこっちは私のお姉ちゃん!」

 

「……“リーナ・フェルナンド”よ。その……あの時はごめんなさい」

 

 

このエルフの姉妹は一度ジェフティの誘いを断って一ヶ月後には今度は自らジェフティに雇われる為に戻ってきたのであった。……正確にはルーナの我儘でリーナを巻き込んで此処に戻ってきたと言う方が正しいだろうか。この何とも言えない光景に俺は一言呟いた。

 

 

「……何だこれ?」

 

 



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マザーベースのスタッフ達は元気の様です?

「あー………一ヶ月前、お前をCQCで投げ飛ばしてしまって本当にすまなかった」

「い……いえ、私も方も得体の知れない組織に拉致られて脱出することしか考えられなかったから謝るのは私の方よ」

「もう駄姉ちゃん、おじさん達のことをちゃんと理解しないからこんな感じになっちゃったんでしょ?」

「ルーナ……もう堪忍して(泣)」

「……あまり姉をいじめてやるな。俺みたいな名の知れぬ組織に拉致られたんじゃ誰だってあの行動を取らざる終えなかったんだ。もうその辺にしてやれ」

「は〜い!……あっ第七話はっじまるよ〜!」


 

 

エルフの姉妹ことリーナ達がジェフティに雇用されてから数日、マザーベースのスタッフの人数は今では500人弱位に集まってきたのであった。今のマザーベースは活気が立っていた。

 

 

「……気付いた時にはこの人数になっていたとはな」

 

「それほどスタッフ集めに没頭していたことだな。これはスネークの訓練内容を見直す必要があるな」

 

〈ですがライデン、ボスや貴方の働きがあったからこそ為し得たことです。今しばらく休息を入れてはどうでしょうか?〉

 

「……それもそうだな。スネーク、今は俺たちの体を休めるとしよう。俺は義体のメンテナンスをしてくる」

 

「あぁ……そうさせてもらう」

 

 

ヴェスタの言う通り、俺とライデンは日々スタッフ集めに没頭してきた体を休ませる為に休息を取るのであった。そして俺は身体を休めながらもマザーベースの各班の活動を思い出すのであった。

 

 

戦闘班のスタッフ達は傭兵兼冒険者としてマザーベースの外へ出張し、ギルドでクエストを受けるのであった。たまに帰ってくるスタッフ達からお土産を持ち帰ってくるのが他のスタッフ達の楽しみでもあった。

 

 

戦闘班とは違いマザーベースを守る為に結成した警備班は、マザーベースの甲板やマザーベース周辺の海上を警備するのが日課という自宅警備員化している様に見えるのは俺だけであろうか?それと時たまに名の知れぬ海賊達がこのマザーベースに襲撃してくる時があった。その時の警備班は情け容赦なくスウェーデンのFFV社で開発された無反動砲である“カールグスタフM2無反動砲”や“ブローニングM2重機関銃”をぶっ放すと言う事件が起きたのは余談である。

 

 

研究開発班では現代やMGSシリーズの銃器や重火器、携行武器の開発を日々を送っていた。その中には何故かR指定クラスの本やコミックなどが開発されていた。……何でそんな物を作りたがるのだろうかうちのスタッフ達は……(汗)。他には人間が携行できるサイズのレールガンまでも開発され、さらにはダンボールを使った特殊なダンボールなどが開発されていた。見た目はなんちゃって戦車の“ダンボール戦車”。このダンボールは二人で被ることを想定しており、前列が操縦士、後列が砲手でダンボール戦車の主砲からカールグスタフM2無反動砲に使われる砲弾である84x246mmR HEAT 751 対戦車榴弾が発射される。他にも“救命ダンボール”と呼ばれる物までも開発された。これも二人で被ることを想定されているがこの救命ダンボールの真価は、瀕死状態の兵士を蘇生させることができるダンボールなのだ。瀕死状態の兵士をその救命ダンボールを被った兵士が救命ダンボールに入れて数秒待つと速攻で蘇生されるという中々チート級なダンボールなのだ。……何でこんなダンボールを作ったのだろうか、うちのスタッフ(略 (汗)。でも、そんなダンボールを作ってくれて嬉しいと思う俺がいる。

 

 

支援班、諜報班では事前に偵察、索敵をして俺たちをサポートしている。補給品が詰まったダンボールを送らせたり、マザーベースから支援砲撃を行い戦闘を有利に進めさせたり、敵の配置の報告の精度、更新頻度が良くなった。これは良い意味で生存率が上がった。

 

 

医療班ではスタッフの負傷や病気などを治療する為の人員が増えた為にスタッフの回復速度が早くなった。そのおかげでフルトン回収した負傷兵の死亡率が格段に下がった。それと余談だが、ジョニーが下痢止めの薬を処方を要請している。

 

 

そしてマザーベースにとって食料は欠かせない為に、新たに食料調達班が設立した。食料調達班ではその名の通り食料を調達する事を目的とした班で、あらゆる場所に生息している牛や羊、山羊や熊などを麻酔銃で眠らせてフルトンで回収するのである。他にはマザーベースの甲板上で釣りをして魚介類を釣り上げる者もいた。そして俺はある程度身体を休めた後にはマザーベース司令部の甲板上を歩き回るのであった。甲板を歩いていると、食料調達班のスタッフが甲板の端っこで釣りをしていた。するとスタッフが俺に気づいたのか振り向いて確認をして敬礼をした。無論、俺も敬礼を敬礼で返す。

 

 

「お疲れ様です、ボス!」

 

「あぁ…ご苦労。今のところ釣りをしているのか?」

 

「はい、今さっき撒き餌を撒いて餌が付いた釣り針を海に入れたところです。後は釣り針に魚が掛かるまで待つだけです」

 

 

俺が“そうかっ”と一言いうと、先程海に投げ込んだ釣り糸に変化が起きた。その釣り糸の動きが釣り竿までにも伝わってきたのだ。

 

 

「おっ!こいつは掛かった!」

 

 

スタッフは餌に掛かった魚を釣る為に釣り竿を持ち上げると、釣り竿の3倍以上の重さを感じ取った。

 

 

「重っ!?コイツは恐らく大物か?!」

 

「何だって!?俺も手伝うぞ!」

 

 

俺もスタッフが大物を釣り上げるのを手伝う。その大物は釣り糸を通してグイグイと引っ張られて釣り竿にも引っ張られている感覚が確かに感じていた。大物の魚と格闘してから数分、いつの間にか他のスタッフ達がぞろぞろと集まっていて、俺たちが大物を釣り上げるのを見届けていた。

 

 

「ボス!絶対釣り上げて下さいね!」

 

「大物を期待しています、ボス!」

 

「ゴチになります、ボス!」

 

「いやっそれ以前にお前らも手伝ってくれよ!?」

 

「おいっよそ見してる場合じゃ……?!」

 

 

釣り竿を持っていかれない様に持っていたスタッフがツッコミを入れると、釣り竿に引っ張られてそのまま俺とスタッフは海の方に落ちてしまうのであった。

 

 

「うぉぉおおー!?」

 

「アァーー!?」

 

「「「ボスーー?!」」」

 

 

スタッフ達は海に落ちてしまった俺たちを救助する為にボートで降りたのであった。……正直あんな目にあうのはこれ以降であってほしいと思ったのは余談である。

 

 

[駄目だスネーク!未来が変わってしまった!タイムパラドックスだ!]

 

 

……何か神様からタイムパラドックス的なことを言っている空耳が聞こえたのだが、気のせいだよな?そして気づけば既に9年という時が過ぎ去っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガレス歴587年

 

 

俺がマザーベースのワームホール実験で出来たワームホールに巻き込まれてから9年とあっという間に過ぎていた。変わった事といえば8年前にジェフティに入ったリーナ達なのだが、エルフの姉妹はそれぞれ別々の長所に特化していったのだ。姉のリーナは弓での経験がある為か“千里眼”というスキルを持ち、風を読むことが出来る故に弓の狙撃手として研究開発班特製の“コンパウンドボウ”をリーナにプレゼントした。木製の弓とは違ってコンパウンドボウは、滑車とケーブル・てこの原理・複合材料など力学と機械的な要素で組み上げられた近代的な弓なのだ。これを受け取ったリーナは何かと非常に喜んでいた。リーナが使用していた弓(後で調べたところ長弓であることが判明)と比較するとコンパウンドボウの方が射程が長かった。それ以降リーナはコンパウンドボウを愛用し、前まで使用していた長弓はリーナや戦闘班が休める兵舎のリーナの個室に保管するのであった。そして妹のルーナのスキルは“ステルス・ラン”と言うもので隠密性に特化したタイプだった。ジェフティに入る前はこのスキルでモンスターなどの群れに気付かれずに採取系クエストをこないしていたそうだ。この姉妹から分かったことは姉が狙撃手で妹は潜入兵といった感じである。そして今現在はと言うと、姉のリーナは戦闘班偵察チームの一つラット(RAT)パトロール(PT)・チーム01の隊長を務めている。そのチームにはルーナとジョニーもチーム01の隊員として日々偵察任務や情報収集を行なっている。この九年間で大勢のスタッフの確保に成功し、他のスタッフも練度が大幅に成長した為にジェフティはもはや小規模の愚連隊組織ではなく、MSFと同じ“国境なき軍隊”と同じ大規模な組織とかしたのだ。

 

 

一方の世界の情勢はというと、マナカ共和国はドーヴァ帝国が作り上げた生物兵器である合成獣戦車の情報を元にその合成獣戦車への対抗策として8年前にビジネスパートナーとして手を結んだギルド兼武器商人ヴァナルガンドから以前俺が渡したM72 LAWの設計図に書かれているHEAT弾の理論の知識を使い、その理論をモデルに魔導士以外の人間にも使える炸裂魔力弾が一発分の使い捨ての魔導杖“カルバリン”を対合成獣戦車用に国家軍事予算を投入するのであった。マナカ共和国と同盟を結んでいるギリス王国は対合成獣戦車に対抗する為に魔導士や大魔導士などを召集させて新たな魔法を生み出していた。諜報班によるとその魔法名は“ストーン・ランス(大石の槍)”。合成獣戦車の足元に石で出来た大型の棘を生成させて合成獣戦車の脚を狙い、機動力を削いだ後に騎士団が合成獣戦車の隙間の薄い部分に突き刺してトドメを刺すという戦術論を練っていた。ドーヴァ帝国ではハト派とタカ派の内部分裂から内部抗争まで至り、今ではマナカやギリスなどにかまう余裕がなくなったのである。ハト派の主導者は現ドーヴァ帝国の第一皇女“エルザ・ラ・ドーヴァ”はタカ派の主導者兼転生者である大魔導士“レイ・アデランス”と現ドーヴァ帝国の在り方を日中問わず口論を続いていた。それともう一つ、諜報班からの情報によるとタカ派に所属するとある銃士がドーヴァにやって来た「俺がオリ主だ!!」と叫ぶ頭がおかしい男を討滅したとのことだそうだ。明らかにその頭がおかしい男は間違いなく転生者であろう。どうやら異世界転生でハーレムを作ろうと色々とやらかした結果がドーヴァの銃士に撃ち殺された様だ。あまり調子に乗りすぎるのはかなり危険だということを俺はあらめて認識した。そしてネシア法国では、ドーヴァの内部抗争を利用して信仰している魔王の器の製作を開始していると諜報班からの連絡だ。魔王の器とは一体何なのかは諜報班でも調べられなかったが、生贄か何かの準備を行っているのであろう。

 

 

そして俺たちジェフティの戦闘班はいつも通りに各地で派遣させて各国の各町に掲示されているクエストを受けてモンスターの討伐や鉱石や植物などの採取を行い、クエスト報酬で得られる世界共通通貨である“リル”を得てマザーベースへのお土産を買うのであった。研究開発班ではスタッフがだいぶ集まったので二つのあるプロジェクトを始動させるのであった。プロジェクトのうち一つはは“PROJECT REX”で、もう一つは“PROJECT RAY”。REXは核弾頭をレールガンに搭載できる陸戦用の兵器で、RAYは水陸両用の対メタルギア用の兵器。どちらともメタルギアであると同時に、対ネシア法国で万が一魔王がこの世に現れた時の為の対魔王戦の切り札として開発を進めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ドーヴァ帝国“ピープルリバティ城”の皇室でエルザ皇女はタカ派の主導者である“レイ・アデランス”の動きに悩まされていた為にエルザの母である“エフィー・リ・ドーヴァ”皇妃と相談するのであった。18年前、エルザが生まれる前の頃エルザより先に生まれた第一皇子である“リーアン・ゾル・ドーヴァ”がまだ2歳の時にあの者(大魔導士)がやって来てからドーヴァ帝国のエルザの父“アレックス・ア・ドーヴァ”皇帝が変わってしまったのだ。あの者がドーヴァに来る前の皇帝は亜人に対して友好的では無かったものの亜人に対する批判するのは好まなかった。しかし、あの者がドーヴァに来てドーヴァ帝国軍の魔導部隊に加入してから皇帝の亜人に対する批判が激しさを増した。亜人の奴隷制度や合成獣戦車の発案者であろう研究者の開発許可を出したりと非道な皇帝と化していたのだ。今現在の皇帝は、大魔導士レイを皇帝の側近としてレイに騎士の証である“シュヴァリエ十字勲章”を授け、皇帝の右腕として配下に置くのであった。己が大魔導士の操り人形にされている事に気づかずに………

 

 

大魔導士がやって来てから4年後にその事に気付いた母エフィーは、リーアンや生まれたばかりのエルザをレイの側に近寄らせない事を悟られずに引き離し、父であるアレックスの正気に戻す方法を考えていた。しかし……考えてから16年という年月が経ち、エルザは母や狂っている父を助け出す為にエルザは亜人に対する批判行為や亜人奴隷制度の改善や亜人体実験などの非人道的実験の禁止条例を出すなどの案を父に提案するが、父アレックスは「好きにするがいい…」と呆気からんとエルザの提案を了承したのだ。父のあっけからん了承に不気味さを感じたエルザはすぐに父の下から離れ、亜人に対する改善法を他の貴族達に伝えるも殆どの者は亜人に対して憎悪する者しか居なかったのだ。諦めきれない思い抱きながらもエルザはドーヴァの国民に協力を求めた。その国民の大半は皇帝のやり方に疑問を懐いていた者ばかりだったのか、皇女であるエルザの協力を惜しまなかった。その結果……ドーヴァ帝国内でエルザのハト派とレイのタカ派の二つに分かれ、内部抗争に至るのであった。しかし、肝心のエルザの兄であるリーアンはあのタカ派の方についたのであった。今後の行動をどう動くべきか母エフィーと相談するのであった。

 

 

「お母様、兄様があの男のタカ派の方についてしまいました」

 

「そう……。何てこと……リーアンまでもあの男についてしまうなんて……」

 

「あの男が此処に住み着いてから多くの貴族達があの男の操り人形の様にいい様に利用されて、用無しとなれば容易く切り捨てられてく。これじゃ私達皇族や国民たちはあの男の家畜になってしまいます。一刻も早く、あの男の対策を練らねばならないのですが……あの男は私の行動を読み取っているのか、必ずや私よりも先手を取って私を優位を立たせない様になのか私の持てる手段を潰されて来ました。お母様はあの男に関してはどう思っているのですか?」

 

「分からない……確かなのはその男の背後には協力者がいるとしか考えられないわ。私が分かるのは精々その位よ」

 

「そう……ですか。はぁっ………一体、どうすれば良いのでしょうか。私が考えゆる術は悉く潰されて、今では為す術もない状況に追い込まれているのも事実ですし………せめて強力な味方がこの世界の何処かにいるといいのですが………」

 

「強力な味方………はっ!」

 

 

エルザの言葉に母エフィーは何かを思い出したのか、娘のエルザにあることを伝える。

 

 

「エルザ、もしかしたら心当たりのある者達……いえっ、ある組織がいるかもしれません」

 

「お母様、それって本当ですの?……その組織の名は?」

 

「………ジェフティ。ここ最近、国民達の噂で聞いた話によるとその組織はどの国にも属さず、何処かの海の向こうに何時出来たのか分からない鉄の島で移住し、基本的には様々な国のクエストを稼業に活動しているとのことです。そのジェフティの者達は各国の町ごとのクエストを受けたら粗確実にクエストを成功させるというかなりの実力者集団と言っても過言ではありません。その者達の扱う武器の殆どは私達ドーヴァ帝国の技術の粋を結集させて創り上げた“マスケット銃”に酷似している処か、マスケット銃ですら遥かに上回る破壊力と連射力、そして弾丸を込める時間が最短だということです。マスケット銃に弾を込める平均時間は約40秒か50秒弱、しかしジェフティの使う銃は10秒とも経たずに弾を込めることが出来るとのことです」

 

 

これを聞いたエルザは最初はジェフティの使う銃の凄みを感じていたのだが、もしこれが敵側の手に渡っていたらこのドーヴァ帝国の兵士がその銃の前で骸の山が出来上がるのを想像して逆に恐怖した。

 

 

「なんて恐ろしいのかしら、ジェフティの組織が創り上げた銃は………いえっ、正確にはその銃を扱うジェフティの者達なんでしょう………けど、これほど強い者達は他にも居ないわ」

 

「そうね。その組織への依頼がマナカの港町ルズベリーにいるとのことだわ」

 

「それならば使者を送らせて、その組織に協力を仰ぎましょう」

 

 

エルザの行動は早かった。エルザは至急にスネークが率いる組織(ジェフティ)に協力の依頼を受けさせる為に依頼書を書きだし、使者を呼び出して書いた依頼書を渡し、マナカの港町ルズベリーにいるという情報を頼りに使者を送らせるのであった。使者を見送った後にエルザはもう一つの案を思いつくのであった。

 

 

「これで良し、後は……もう一つの案を実行するだけ」

 

「エルザ………あなたもしかして……」

 

 

エフィーはエルザが考えている事を見抜き、心配そうに語る。エルザが思いついたその案とは………

 

 

「お母様……私は、マナカ共和国に亡命します」

 

 

エルザが母エフィーにマナカに亡命することを告げるその同時刻、ピープルリバティ城の玉座の間では父アレックスはいつもの様に玉座に座り、そしてドーヴァ帝国第一皇子リーアン・ゾル・ドーヴァは父と共に大魔導士レイの報告を待っていた。

 

 

「父上、一つ聞きたいことが……」

 

「むぅ?何だ、申してみよ……」

 

「我が妹エルザは何故我々ドーヴァの在り方を背くかの様にハト派の主導者なんかになられたのでしょうか?」

 

 

リーアンはエルザが何故ハト派の主導者になったのかを父アレックスに聞き出そうとしたその時に玉座の間から魔法陣が形成され、そこからレイが魔法陣を経由して現れたのだ。

 

 

「やれやれ……リーアン様も落ち着きがありませんな」

 

「ア……アデランス卿?!戻られたのか?」

 

「えぇ、たった今ですが………レイ・アデランス、ただいま逆賊ローゼン・ハウンド元伯爵の討滅より帰還いたしました」

 

「ご苦労……見事な働きであるぞ、アデランス卿よ」

 

「はっ!それと皇帝陛下、些か耳寄りな情報が……」

 

「ほう?申してみよ……」

 

「はっ!ドーヴァ帝国第一皇女エルザ・ラ・ドーヴァに不穏な動きがあるとの事です」

 

 

この時、レイ・アデランスが新たな波乱を起こそうと行動をするのであった。ドーヴァ帝国の歴史に残る内戦という名の惨劇の序曲の幕開けである。その舞台に蛇の名を持つ者が関わることになることを今のスネークは知る由もなかった。



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ACT.1 PRINCESS LIBERTY
ACT.1-0 逃亡する皇女


「そう……シャーリスも大変だったのね。ドーヴァから逃げきるのに」

「はい……あの時スネークさんに会わなかったら今頃私は、ドーヴァに連れ戻されて飼い殺されていたかもしれません」

「それにしてもあのおじさん、結構不思議な格闘術を使ってたよね?お姉ちゃんに拘束さえているのにも関わらず隙をついて一瞬で投げ飛ばしたし」

「ルーナ……もうその話題を引っ張らないで……」

「えっと……リーナさんも大変なんですね」

「そう言ってくれると助かるわ。……第八話始まるわよ」


 

 

ドーヴァ帝国“ピープルリバティ城”ではハト派とタカ派の抗争が激化して国民も巻き込む膠着状態まで至り、ドーヴァの治安が不安定の領域に陥るのであった。エルザは国を支えゆる国民を第一として己の持ちうる術で国民の安全を確保するのであった。そんなある日、実の母エフィーはエルザを皇室に呼び寄せた。

 

 

「お母様、お話があると聞いたのですが……一体何の話ですか?」

 

「エルザ……ただ単に貴女と話しがしたかったの。あの大魔導士が来てから祖国であるドーヴァは日に日に重ねるごとに平和というものが壊れていく様に感じるの……」

 

「お母様……」

 

 

エフィーは己の生まれ故郷が大魔導士“レイ・アデランス”によって壊される様な恐怖を抱いていた。エルザはそんな母を思いを読み取ったのかそっと近づき、そのまま母エフィーを優しく抱きしめる。

 

 

「お母様は頑張りましたわ。私が産んでくれた事に感謝しています。お母様は私にとって大事な生みの親であり、私の最後の希望です」

 

「エルザ………」

 

「お母様の分は私が頑張ります。そしていつかあの男からドーヴァを取り戻して、民達と共にドーヴァのあるべき姿に戻してみせます!」

 

 

娘の決意に安堵したエフィーはエルザの頭を撫でながら抱き合い、エルザに気づかれない様にある無詠唱魔法を発動させる。

 

 

「…….…ありがとう、エルザ。それを聞けて安心したわ」

 

「お母様………アッ………レ………?」

 

 

エルザは突如と謎の睡魔に襲われた。母エフィーが放った魔法は睡眠の系統魔法であり、エルザはこれを日々溜まっていた疲労がピークを達したことと勘違いした。それが母の最後の別れになることも知らず。

 

 

(アレッ……?何だか…すごく眠い……。私………疲れちゃったの……かしら?)

 

「エルザ………貴女は生きなさい。例え私が…………になったとしても……」

 

(お母様?何で………悲しそうな顔を……?何で?……何………で………?)

 

 

エルザはエフィーの睡眠の系統魔法で深い眠りにつき、その後にエルザの騎士達ことヘルヴィム近衛騎士団が皇室に入って来た。

 

 

「エフィー皇妃殿下、エルザ様は?」

 

「えぇ、眠らせてあるわ。貴方達は何とかあの組織に接触してエルザを亡命させる為にもその手助けをしてあげて下さい。これは私、エフィー・リ・ドーヴァ皇妃の最後の命令です」

 

「yes,your Majesty。必ずやエルザ皇女をその組織に送り届けます。ヘルヴィム近衛騎士団の誇りに賭けて!」

 

 

ヘルヴィム近衛騎士団の団長が今は眠りしエルザ皇女を抱きかかえ、そのままエルザを連れてドーヴァ帝国から国外逃亡を図り、マナカ共和国の亡命を果たす為にスネークが率いる傭兵組織ジェフティと合流する為に行動を起こすのであった。ヘルヴィム近衛騎士団が皇室を去ってから数十分後、ドーヴァの衛兵達がエフィーがいる皇室に一斉に駆け込んでエフィーを国家反逆罪であるエルザの国外逃亡援助罪で拘束されるのであった。その結果、エフィーは正式な判決が下されるまではピープルリバティ城の塔の最上階の個室に幽閉されるのであった。

 

 

一方、眠ったままのエルザを連れて行くヘルヴィム近衛騎士団長は他の騎士達について来るのかを聞き出す。

 

 

「お前達、本当に良いんだな?俺とエルザ様と共に行けばお前達も国家反逆罪で死ぬかも知れんぞ?」

 

「それこそ今更と言うものですよ団長。我々の支えし主人はエルザ様とエフィー皇妃殿下だけです。第一、エルザ様はドーヴァの未来を思って行動してくださったのです。だから我々が何もせずにはいられません」

 

「そう言う事、俺達でエルザ様をお守りいたし、そしてジェフティと呼ばれる組織に協力を仰いでドーヴァ帝国の未来を取り戻すというものまた一興というもの!」

 

「……やれやれ。本当に馬鹿で、本当に……俺の自慢の騎士達だな」

 

 

他の騎士達の決意は固く、国を救うために一度故郷から離れる事になっても愛国心を捨てず、団長とエルザ皇女と共について行くのであった。そして今は騎士団の足となる馬と馬車を調達して馬車の中にエルザを乗せた後、付近の衛兵には国家反逆罪のエルザを探し出す為に遠征に向かうという命令を皇帝陛下から授かったという嘘をつき、そのままヘルヴィム近衛騎士団はエルザを乗せた馬車ごとドーヴァから逃亡するのであった。衛兵は他の衛兵達からエルザやエルザの近衛騎士団の捕縛指令を聞いた時に己が逃してしまったことに気づいた時には既に遅かった。ヘルヴィム近衛騎士団はドーヴァの追手が来ないのを気に、そのまま密林地帯であるグラーヴェ・ジャングルに逃げ込むのであった。密林地帯にある程度進んだ後に馬を休ませる為にその場で停止し、休息を入れるその時にエルザは母エフィーから受けた睡眠魔法の効果が薄れてきたのか眼を覚ますのであった。

 

 

「……え?此処は……馬車の…中?」

 

「エルザ様、お目覚めになられましたか?」

 

 

突如と声を掛けられたエルザは顔を見上げると、そこに居たのは母エフィーではなく、エルザの近衛騎士団である騎士団長がいた。

 

 

「お母様……じゃない?………ジョニー騎士団長?」

 

「エルザ様、どうかお気を確かにお聞きください。貴女様の母君、エフィー様が貴女様の身代わりとなってドーヴァに囚われております」

 

 

これを聞いたエルザは一瞬思考が停止したかの様に混乱に陥った。“お母様が囚われた?私の身代わりに?”あまりにも衝撃的すぎる事実に思考が思うように回らなかった。

 

 

「エルザ様、お気を確かに!エフィー様から貴女様に伝言が残されております」

 

「伝…言……?」

 

「はっ……“エルザ、貴女は生きなさい。例え私が死ぬ事にになったとしても……”それがエフィー皇妃殿下のエルザ様への最後の伝言です」

 

 

唯一家族の中で信頼できる母が命がけでエルザを逃したことにショックを受けたのか残酷な現実を受け止めきれなかった。

 

 

「ジョニー騎士団長………今しばらく一人に………してくれるかしら?」

 

「エルザ様………分かりました」

 

 

ジョニー騎士団長はエルザを一時的に一人にさせる為に馬車から降りるのであった。一人っきりになったエルザは、母は何故己の身代わりになったのか理解できずにいた。信頼出来るだからこそエルザに託されたのか、それとも大事な娘を守る為にあえて遠ざけたのかと思考が空回りするだけで母の本当の理由を見出すことが出来なかった。

 

 

「お母様………どうして私の身代わりなんかを。どうして……………お母……様………」

 

 

今のエルザが出来るのは唯悲しみ、泣くことでしかなかった。唯一肉親である母は、エルザの代わりに囚われたのだ。悲しさに囚われながらもエルザはもう一つ決意する。

 

 

「お母様……私は歩みを止めません。例えその道が茨の道であったしても……私は、いつか必ず戻ってきます!ドーヴァを取り戻し、お母様を助けてみせます……!」

 

 

エルザは悲しみを振り払い、確かな決意を胸に近衛騎士団と共に傭兵組織であるジェフティを探す旅に出るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ドーヴァ帝国街“ヴォルフ”の大広間では多数の国民が集まっていた。その大広間に集まる民衆の中にはジェフティのスタッフが紛れており、ドーヴァの政治的経済状況を偵察していたのであった。そしてある程度の時間になると上空にレイの投影魔法で映し出されたアレックス皇帝の姿があった。

 

 

『これより……第86代アレックス・ア・ドーヴァ皇帝陛下よりお言葉』

 

 

この言葉を皮切りにアレックスは演説台に手にかけて今いる国民や兵士、騎士達に対して力強く言葉を発する。

 

 

『聞け!すべての兵士や騎士、国民たちよ。亜人共に対する差別で発端であるハト派とタカ派の抗争はやがて終わる。マナカ共和国にギリス王国そしてネシア法国、彼らには世界を導くだけの力も権威もありはしない。泥沼と化した睨み合いに我が祖国ドーヴァ帝国が苦しんでいる間、マナカとギリスの二大同盟諸国の経済は飛躍的発展をとげた。そして、我々が祖国の為にと作り上げた合成獣戦車“ビーストナイト”によって三ヶ国はこれ以上の軍拡に付き合うしか手段がなくなった。だが、ビーストナイトを作ったからといって平和が訪れるわけではない。いずれきたる日が来るであろうネシア法国やマナカ、ギリスの二大同盟連合との戦争。それらに打ち勝つ為に、これまで抑えつけられていた諸国の民族主義は活発化するだろう。そして、貧富の差の拡大がお互いの憎しみを煽るであろう。人や亜人は平等ではない。生まれつき足の速い者、美しい者、親が貧しい者、病弱な身体を持つ者…。生まれも育ちも才能も、人間や亜人は皆違っておるのだ。そう、亜人は差別されるためにある。だからこそ人と亜人は争い競い合い、そこに親疎が生まれる。不平等は悪ではない。平等こそが悪なのだ。権利を平等にしたマナカ共和国はどうだ?人気取りを衆愚政治に出しておる。富を平等にしたギリス王国は怠け者ばかり。対するネシア法国だが、我がドーヴァと同じ様に人間を差別し、我々と同じ土俵に立とうしている。しかし、我がドーヴァはそうではない。争い競い、常に進化を続けておる。ドーヴァだけが前へ、未来へと進んでいるのだ。我が妻、エフィー・リ・ドーヴァは我が祖国に対して反逆を企てようとした我が娘、エルザを逃したことで同じ国家反逆罪の罪に掛けられておる。しかし、エフィーやエルザの罪もドーヴァが進化を続けているという証。…闘うのだ。競い奪い獲得し支配しろ。その果てには未来がある。オール・ハイル・ドォーヴァア!!』

 

「「「オール・ハイル・ドーヴァ!!!」」」

 

 

圧倒的な皇帝の言葉に民衆の大半は戦争支持に着手するのであった。もはやこれは一種の洗脳に近い状態でもあった。残りの民衆はエルザを支持するハト派であろう者達はエルザの母君であるエフィー皇妃が国家反逆罪の罪で拘束されていることに驚きを隠せずに唯戸惑うだけであった。

 

 

「……ドーヴァの方も大変なことになってきているな。早急にボスに連絡を入れなければ!」

 

 

ある程度の情報収集を終えたスタッフはこの場をすぐに離れて即マザーベースに帰投するのであった。

 

 

そして“ピープルリバティ城”では演説を終えたアレックスは玉座に戻り、大魔導士レイやドーヴァ帝国将軍“ヴォルギン・ゴードン”にある指令を与える。

 

 

「大魔導士レイ・アデランス、ドーヴァ帝国将軍ヴォルギン・ゴードンよ。お前達を此処に呼び寄せたのは他でもない、アレックス・ア・ドーヴァが命ずる。国家反逆罪であるエルザを生かして連れ戻し、儂の前に突き立てい…」

 

「「yes,your Majesty」」

 

 

この命令を受領した二人は玉座を後にした。そして二人は兵舎に向かいながら会話をしていた。

 

 

「フッフッフッ………久々の狩りだな……」

 

「ヴォルギン将軍……あえて言わせてもらうが、あくまでもエルザ元皇女の捕縛だ。殺しではない」

 

「分かっている。……だが、元皇女が抵抗し、暴れられるのも否定できまい?多少は痛め付けなければ大人しくはならんだろう?」

 

「そう言ってお前は、この前の逆賊の時に首謀者である者を尋問という名ばかりの嬲り殺して重要な情報を聞き出す前に殺してしまったではないか!今度ばかりは俺でも見過ごせんぞ」

 

「フンッ!帝国の障害は外側だけではなく身内にも存在するのだ。身内の中に密偵者がいないと言い切れるか?貴様は知っているかもしれんが………それに、今の私は元皇女捜索の指揮官であることを忘れるな?」

 

 

レイはヴォルギンがエルザ元皇女捜索の指揮官である事に苛立ちを覚えながらも兵舎に歩いていると一人の男がドーヴァでは見慣れぬ銃を片手に銃を回しながらレイ達を待ち構えていた。

 

 

「ようやく来ましたか……」

 

「お前は……」

 

「オセロットか……こんな所で何をしている?」

 

「えぇ。私も……いえっ、我々山猫銃士兵団もエルザ元皇女捜索任務に参加させていただきたく存じます」

 

「何っ?貴様もこの捜索に参加したいと存ずるか………」

 

「………信用できんな。お前みたいな裏表を顔を持つ男なら尚更だ」

 

「貴方の言い分も分かります。しかし、人手が多く必要なのは強ち違いありませんでしょう?」

 

 

オセロットと名乗る男は一ヶ月前にドーヴァにやって来た頭がおかしい男を撃ち殺し、その頭がおかしい男こと転生者からその能力を奪い、己が物にしたスキル“愛国者達の銃(ガンズ・オブ・ザ・パトリオット)”で銃を無から有へと生み出したのだ。オセロットが持つ見慣れぬ銃こそジェフティと同じ現代の銃で“マカロフPM”なのだ。レイ・アデランスは転生者でありながらオセロットのことをより一層警戒していた。いくらこの世界の住人である者が転生者を屠れたとしても転生者の能力でもある特典を奪ったのだ。警戒しない方がおかしいと思わざる終えなかったのだ。

 

 

「……フッ、いいだろう。貴様の手並みでも見させてもらうとしよう」

 

「俺としてはこいつ(ヴォルギン)の次に信用できんが状況が状況だ。今回ばかりはお前の力を借りさせてもらう」

 

「フッ……ご期待にはお答えしますよ、ヴォルギン将軍にレイ・アデランス殿?」

 

 

その言葉を皮切りにオセロットはマカロフPMをホルスターにしまい、そのまま部下を集めにその場を後にした。その時にレイはオセロットの参加希望に対して疑問に思った。

 

 

(あのオセロットという男……一ヶ月前にやって来た転生者らしき男を自慢の早撃ちで始末し、挙句の果てには転生者の特典を奪い、自分の力として物にした。あの男は俺に計画にとって障害になるイレギュラー、だからといって迂闊に奴を消すのは得策ではない。ならば、ヴォルギン同様に散々使いたおして、ボロ雑巾のように捨ててやる!そうすれば俺の計画は成就する。俺は、何としても国を手にいれる!)

 

 

大魔導士レイの野望は己の為の物か或いは誰が為の者かは未だに不明であった。そんな野望を抱きつつもヴォルギンと共に兵舎に向かい、エルザ元皇女捜索の為にも兵を集めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃マザーベースでは、先日ドーヴァの使者から受け取った依頼の手紙を俺は読んでいた。その手紙の内容は、ハト派の主導者であるドーヴァ帝国第一皇女エルザ・ラ・ドーヴァをマナカ共和国に亡命する為の護衛であった。

 

 

「ドーヴァのハト派の主導者が皇女様とは分かっていたが………いやっ、合成獣戦車のことで考えれば嫌でも亜人に対する非人道的手段に訴えることも有りえたか……まさか護衛依頼の目的が亡命のためとはな」

 

 

そう考えていると諜報班のスタッフが血相を変えて俺の方にやって来た。

 

 

「ボ…ボス、大変です!ドーヴァに潜入している諜報班のスタッフから緊急な知らせです!ドーヴァ帝国の皇帝が実の妻である皇妃を幽閉し、今現在逃亡中であるエルザ皇女を探し出す為にドーヴァ帝国軍の一部が動き出したそうです!」

 

「何だって…!直ぐにライデンを呼んでくれ、大至急だ!」

 

「了解です、ボス!」

 

 

スタッフは急ぎライデンを此処に来るように通信で連絡を取る。そして俺は空を見上げながらドーヴァの情報統制に不安を抱くのであった。

 

 

(不味いな……このままではドーヴァは内戦どころかこの世界で世界大戦の様な戦争を引き起こす可能性がある。俺はあまりドーヴァには良い思い出はないが、戦争によって多くの国民が死に、国としての成り立ちが危うくなる。そうなる前に何としてもエルザ皇女を見つけ出さなければ…!)

 

 

俺は直ぐにエルザ皇女を探す為に諜報班に連絡を入れてエルザ皇女をドーヴァの追手より速く見つける様に指示を出す。エルザの存在の有無によって世界の命運が掛かっている事をとうの本人には知る由もなかった。

 



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ACT.1-1 この世界初のバーチャスミッション

「さて、全員そろったな?ラットパトロールチーム01にある救出任務が告げられた」

「救出任務?ライデン、それはスネークからの指示?」

「あぁ、その救出対象なんだが救出対象はドーヴァの元皇女であるエルザ・ラ・ドーヴァとそれを護衛する騎士団の救出だ」

「ドーヴァの皇女…!何でエルザ皇女を救出しなければならないの?」

「自国の兵士に追われる羽目になったのはタカ派とハト派の抗争が激化したといえば分かるか?」

「あっ…そうか!エルザ皇女は確かハト派の主導者!」

「あ、そっか〜…だから同じ国の人に追われているんだね」

「そう言う事だ。今回の作戦はスネークも参加する。細かい説明はコンバット・タロンに乗り込んでからだ」

〈皆さん、今回の作戦は失敗が許されない状況です。皆さんの健闘を祈ります〉

「えっと…ありがとうヴェスタ。あっ…第九話始まります。おうっ!?腹が…」


 

 

ある真夜中にてドーヴァ帝国領のグラーヴェ・ジャングル上空約10,000mである飛行物体が移動していた。その飛行物体の正体はジェフティが開発したアメリカ空軍が使用する輸送機MC-130“コンバット・タロン”である。その輸送機は一人の蛇と少数編成の鼠部隊がいた。それぞれHALO降下の為に俺達は降下用のパラシュートと防寒着衣を装着していた。後の異世界初のHALO降下である。

 

 

「マナカ領上空、高度3万フィート。まもなくドーヴァ領空に近づきます」

 

「降下20分前…機内減圧開始。装備チェック…自動開傘装置のアーミングピンを外せ(アームメインパラシュート)

 

 

輸送機内では作戦指示などを行う為に簡易的空中司令室が設けられていて、ライデンはそこで俺達の支援にまわるのであった。

 

 

「……高気圧などの方はどうだ?」

 

「高気圧、依然として目標地域に停滞中。雲底高度・視程無限(CAVOK)!」

 

「視界も良好か……幸先が良いとはいえ油断出来ないな」

 

 

その頃、俺とリーナ率いるチーム01のメンバーと共に今回の作戦の御浚いをしていた。

 

 

「……予め今回のミッションの内容の御浚いだ。今回のミッションは俺達4人1チームでの潜入だ。目的は元ドーヴァ帝国第一皇女である“エルザ・ラ・ドーヴァ”の救出、及びエルザの護衛騎士団である騎士達の回収だ。出来る事なら全員を回収したいところだが、ドーヴァから放たれた捜索部隊によって人数を削られている可能性がある」

 

「…それじゃあ、俺達は今生き残っている騎士団員を回収しつつもエルザ皇女を救出する形ですか?」

 

「あらかたそうみたいね。今の状況を考えれば有り得なくもないわ」

 

「えーっと…要約するとドーヴァの追手より速くエルザ皇女と護衛する騎士団達を救出すればいいんだよね?」

 

「え?あ……あぁっ、要約するとそんな感じだよ」

 

 

今回のミッションの内容を御浚いする形で説明する俺。リーナとジョニーは俺の説明を理解して、ルーナは俺の説明を大幅に噛み砕いて要約して理解した。ジョニーはルーナの噛み砕き過ぎた内容に驚きながらもルーナの考えが合っている事を肯定する。するとスタッフがそろそろ降下時間が迫っている事を告げる。

 

 

「そろそろ降下時間が迫っている。酸素ホースを機体のコネクターに接続…マスク装着せよ」

 

 

スタッフのいわれた通りに俺達は酸素ホースを機体のコネクターに接続させた後にマスクを装着するのであった。ただ一人だけうまくマスクを着けれない者をのぞいて………

 

 

「あ……あれっ?な…何かうまく装着出来ないんだけど?」

 

「…あんた素人か?」

 

「もうっ…アキバ!こんな時に時間を掛けないの!」

 

「あらら……アキちゃん、こんな時にやらかしちゃうんだから……」

 

 

ジョニーは何故かマスクを着けようにも取り付け方が理解していなかったのだ。その結果リーナ達にどやされる羽目になったのだ。それともう一点、何故ジョニーが“アキバ”と呼ばれているのかというとマザーベースにある娯楽ルームである“秋葉・ルーム”でジョニーがコミック目当てでよく通うのをルーナが目撃して以降、ジョニーのあだ名が“アキバ”と名付けられたのだ。……しかしルーナよ、流石にアキちゃんは無いなと思うのだが……。そんなこんなでジョニーは何とかマスクの装着するのであった。

 

 

降下実施点(リリースポイント)に接近中…」

 

「降下10分前」

 

 

ライデンは機内通信で後部ハッチで待機している俺達に準備状況を確認する。

 

 

「よし…スネーク、それにRPチーム01のメンバー、準備はいいか?」

 

「こちらスネーク、準備よし」

 

「…こちらリーナ、同じく準備よし」

 

「えっと…こちらジョニー、OKだ!」

 

「ルーナも準備オッケー!」

 

 

各員の準備が完了している事を皮切りに機内に取り付けられている赤いランプが点灯し、俺達は降下体勢に入るのであった。

 

 

「機内減圧完了、酸素供給状態確認。降下6分前!後部ハッチ開きます!」

 

 

機内の後部ハッチが開かれると外から眩いほど光が漏れだした。その原因は全員が知っていた。

 

 

「日の出です…」

 

 

時間は既に日の出の時間帯になっており外では太陽が東から登って来たのだ。

 

 

「外気温度、摂氏マイナス46度…降下2分前…起立せよ(スダンドアップ)

 

 

スタッフの指示に従い、俺達は起立して降下体勢に入る。するとライデンから通信が入る。

 

 

「各員へ、時速130マイルで落下する。風速冷却による凍傷に注意せよ」

 

「降下1分前…後部に移動せよ。酸素装置(ベイルアウトボトル)作動」

 

「分かっていると思うが、今回のミッションは失敗は許されない。俺達ジェフティの失敗は…ドーヴァの暴走、世界大戦に似た戦争が引き起こされる。何としてもミッションを成功させるんだ」

 

「「「了解」」」

 

「分かっている…任務を遂行する」

 

ライデンからこのミッションの重要性を改めて確認した俺達は後部ハッチから飛び降りる体勢に入る。

 

 

「降下10秒前…スタンバイ。全て正常、オールグリーン!降下準備…」

 

 

スタッフの言葉を皮切りに赤いランプが消えて、その隣にある緑のランプが点灯し、スタッフが降下のカウントを取る。

 

 

「カウント…5 4 3 2 1」

 

「鳥になってこい!降下開始!」

 

「先に行く、後に続いてくれ」

 

「分かったわスネーク。ルーナ、アキバ、行くわよ!」

 

「りょ…了解!」

 

「分かったわ、お姉ちゃん!」

 

 

ライデンから降下指示を出した時に先に俺は後部ハッチから飛び降りる。それに続いてリーナ達も後部ハッチから飛び降りて降下する。元ドーヴァの皇女エルザを救出する為に………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達が降下してからある程度の高度に達した時に俺はリーナ達にパラシュートを開く様に指示を出す。

 

 

「……よしっ、パラシュート開け!」

 

 

その合図を皮切りに全員がパラシュートを開く為の紐を引っ張り、パラシュートを展開する。そしてそのまま風に乗り、エルザが滞在していると思われる目的地までの最短ルートまで降下するのであった。風に乗りながら降下して密林地帯に入った俺は、降下しながら木の枝などにぶつかりながらも地面との距離を縮める。すると背負っていたバックパックが木の枝に引っかかって外れてしまう。俺は直ぐにバックパックを回収する為にパラシュートを外して地面に転がりながらも着地する。そしてリーナ達も無事に着地してパラシュートを外して全員一度その場で合流する。

 

 

「スネーク、大丈夫?」

 

「あぁ……大丈夫だ。唯、バックパックがあそこの木に引っかかっている。アレを回収しなければ…」

 

「そう……とにかく、お互いマスクと酸素装置を取り外しましょう。マスクの所為で誰がどうなのか分かりにくいわ」

 

「そうだな。全員マスクを外そう」

 

 

そう言って俺達はマスクや酸素装置を取り外して互いに素顔を見せられる様にした。そして俺は木に引っかかっているバックパックを回収する為に木に纏わり付いている蔦を使って登り、そしてバックパックが引っかかっている木にぶら下がりながらも無事に回収してバックパックからサバイバルナイフとMk22麻酔銃を取り出し、さらにMk22専用のサプレッサーを取り出してMk22の銃身に取り付ける。サプレッサーを取り付けた後右手にMk22、左手にサバイバルナイフを持って潜入の体勢に入った。

 

 

「おじさんも結構様になっているね!」

 

「俺はおじさんってほど歳を取っていないのだが…」

 

「ルーナ……とにかく、一刻も速くエルザ皇女と護衛する騎士団達を探しましょう」

 

「みんな!ライデンから連絡が入った。今こっちに俺達の武器が入ったダンボールが四個分こっちに向かっているそうだ」

 

 

ジョニーがそう告げると空から風に乗る音が聞こえてくる。俺達は空を見上げるとそこにパラシュートを取り付けたダンボールがゆっくりと降下しながらこちらに向かって来た。ある程度近づいた時にパラシュートが自動的にダンボールを切り離して自然に消滅していった。そのダンボールには“S”“J”“R”“L”とそれぞれのイニシャルで書かれていた。Sはスネークで、Jはジョニー。Rはルーナ、Lはリーナと言った感じである。

 

 

「よし、それじゃあお互い自分の武器を取り出すとしよう」

 

「武器ねぇ……コンパウンドボウだと良いのだけれど……」

 

「えっと、俺の武器は何なんだ?」

 

「私の武器は何なのか楽しみだな〜♪」

 

 

リーナ達はそれぞれ自分の武器が入ってあるダンボールを開いてその中を覗く、リーナはコンパウンドボウをより潜入任務用に改造したタクティカルボウを手にし、ジョニーはH&K社が製造されたXM8を、ルーナはKBP Instrument Design Bureau社によって製造されたPP−2000を手にした。そして俺はダンボールを開けて中身を確認した後にそのダンボールの中に入った。これを目撃したリーナ達は一瞬理解することが出来なかった。俺が入ったダンボールは人が二人分入れるサイズだった為かガタゴトと動きながらダンボールが壊れていった。そのダンボールの中に入っていた俺の腰側にはマザーベースでメンテナンスをしていたM4 CUSTOMを装備していた。流石にリーナは何でダンボールの中に入ったのかをツッコンだ。

 

 

「スネーク……貴方今何してたの?」

 

「何って……ダンボールに入って支給された武器を装備したんだが?」

 

「いやっそれ以前にボス、わざわざダンボールに入る必要があったんですか?」

 

「何?入っちゃダメなのか?」

 

「いやっ普通にオカシイから、常識的に考えて」

 

「どうして?」

 

「どうしてって………貴方それって素で言っているの?」

 

「そうだが…何か?」

 

「うーん……結論としてはおじさんは大のダンボール好きだって事だね」

 

「……ボスって何かと変わっているといえば変わっているんだがここまでなんて……」

 

「あぁもう………どうしてジェフティのスタッフ達はこうも変人ばかりなの?」

 

「……?」

 

 

変な疑問を抱きながらも俺達はエルザ皇女を探す為にiDROID取り出してマップを確認した。諜報班の情報を基にエルザ達がいると予想される古い廃城に向かおうとすると無線機から通信が入ってきたのを察知した俺は通信を開く。

 

 

『スネーク、聞こえているということは無事に降下が成功した様だな』

 

「あぁ……何とかだが……」

 

『よし……なら今回のミッションの要でもあるエルザ皇女の救出、そしてエルザを守る近衛騎士団の回収だ。無事にエルザと接触した時は通信を入れてくれ。こちらから回収地点を指定する為にiDROIDにマーカーを表示させる。とはいえ、こちらが滞在出来るのも時間の問題だ。予備タンクの燃料を考えてもタイムリミットは4時間…迅速に行動し、無事にエルザ皇女と近衛騎士団の回収してくれ』

 

「了解だ、何とか時間には間に合わせる。これより、バーチャスミッションを開始する!」

 

 

ライデンとの通信を終えた俺はリーナ達にそれぞれ役割分担を指示する。

 

 

「よし、先ずリーナは木に登って高所を確保しつつも騎士達を探ってくれ。次にルーナ、リーナから送られる情報を基に行動し、持ち前のスキルを活かす為に麻酔薬を染み込んだこのハンカチで騎士を眠らせた後にフルトン気球を取り付けてくれ。そしてジョニーは俺と共について来い。それじゃ作戦開始だ」

 

「分かったわ。ルーナ、行くわよ」

 

「うん、お姉ちゃん」

 

「りょ…了解」

 

 

そして俺達は別々に分かれてそれぞれ己の役割を果たす為に行動するのであった。

 

 

リーナとルーナはエルザを護衛する騎士達を探しているとリーナが木の高所から騎士の一員らしき人物を二人発見した。

 

 

「騎士が二人……ルーナ、私が石を投げて相手の注意を引くわ。その間にこっそりと」

 

「背後から眠くなるハンカチで眠らせて気球を付ければ良いんだね?」

 

「えぇ……じゃあ行くわよ」

 

 

リーナは木に登る前に回収しておいた石ころを騎士達の背後に向けて投げる。投げられた石ころは騎士達を通り過ぎてそのまま騎士達の後ろ側に落ちて物音を立てる。

 

 

「ん…?」

 

「おいっどうした?」

 

「何かの音が聞こえた?」

 

「音?俺には何も聞こえなかったが……」

 

「そうか?俺は確かに聞こえた…筈……Zzz」

 

「!?お…おい!どうしたん……だ………Zzz」

 

 

二人の騎士は突如と眠気が襲いかかり、眠気に抵抗できぬまま眠りについた。その眠りの正体はルーナが持つ麻酔薬を染み込んだハンカチとリーナがスネークと同じMk22麻酔銃である。順序としてみるならルーナが騎士の一人の背後に立ってハンカチを振って麻酔薬を振りまいてそのまま騎士を眠らせてもう一人の騎士はリーナが持つ麻酔銃で兜の隙間部分である顔面に狙いを定めて麻酔弾を撃ち込み相手を眠らせたのだ。

 

 

「……ふぅ。何とか眠らせることが出来たわね……」

 

「危なかった〜、危うくバレるところだったよ〜」

 

「ルーナ、少しは緊張を持ちなさい。此処は敵地内だからドーヴァのエルザ皇女捜索部隊と遭遇してもおかしくないのよ。……はぁっ」

 

 

ルーナの相変わらずな軽さに呆れつつも今眠らせた騎士をフルトンに取り付けてそのまま回収されていった。そしてリーナ達は他の騎士達を捜す為に捜索を再開するのであった。

 

 

その頃、俺とジョニーはエルザが居る方角へと進んでいくと急にジョニーが腹を押さえ込んでしゃがみ込んだ。ジョニーの持病である下痢がまた起きたのだ。

 

 

「おうっ?!は、腹が…」

 

「………ミッション開始前に下痢止めを飲み忘れたな。向こうの茂みで用を足してこい」

 

「す…すみませんボス!も、もれる〜〜!!」

 

 

そう言ってジョニーは茂みの中に入って用を足そうとした時にジョニーともう一人の男の驚いた様な声が聞こえた。俺はM4を構えながらもジョニーが入っていった茂みの中に入るとそこにはジョニーと同じ様に茂みで用を足そうとする騎士がいた。その騎士の鎧には何かしらの十字勲章が取り付けられていた。恐らくはエルザの近衛騎士団の隊長格か団長のどちらかを予想したがジョニーはその騎士に対して意外な言葉がでる。

 

 

「お…親父!?」

 

「!?……ジョニー?ジョニー、お前なのか!」

 

「ジョニーの…親父さん?」

 

 

何故ジョニーの父親がここにいるのか疑問に思った矢先、ジョニーとジョニーの父親の腹から下る様な音が聞こえた。

 

 

「おぶぅ!?ま…またか…」

 

「はぅっ!?お…俺も…」

 

 

この時に俺は思った。ジョニー一族は本当に胃腸が弱く、下痢になりやすい一族なんだなと改めて認識した。親の下痢が息子に遺伝してしまったと思うとどう言葉を返せば良いのか分からなかった。ジョニーとジョニー(父)が何とか用を足して喋れる状況になった為に俺はある事をジョニー(父)に聞き出した。

 

 

「それで聞きたい事があるんだが、アンタはエルザ皇女の場所を知っているか?俺達はエルザ皇女を救出する為にやって来たんだ」

 

「エルザ様を?もしかしてアンタ、あのジェフティという傭兵組織の一人なのか?」

 

「親父、正確にはこの人はそのジェフティのボスなんだ。まだ若いけど」

 

「えっ…マジか?」

 

「…色々ツッコミたいところがあるかもしれないが、そういってる場合じゃない。ドーヴァの追手が来る前にエルザ皇女やアンタ等を救出しなければならない」

 

「あ…あぁ、そうだな。とにかく、エルザ様はあの方角にある古い廃城で隠れていらっしゃる。そこまで俺が案内するが良いか?」

 

「あぁ…頼む。迎えのバスが行ってしまう前にあんた等を乗せなければな」

 

 

ジョニー(父)はバスと言う単語に聞き慣れない言葉だった為に理解出来なかったが、何かと大事な事だと言う事は理解しながらもジョニー(父)は俺達をエルザ皇女の下に案内するのであった。しかし、その背後で俺達の後を追う山猫達がひっそりと追尾されている事に俺達は気付く事は無かった。

 





NGシーン


俺達が降下してからある程度の高度に達した時に俺はリーナ達にパラシュートを開く様に指示を出す。


「……よしっ、パラシュート開け!」


その合図を皮切りに全員がパラシュートを開く為の紐を引っ張り、パラシュートを展開する。そしてそのまま風に乗り、エルザが滞在していると思われる目的地までの最短ルートまで降下するのであった。風に乗りながら降下して密林地帯に入った俺は、降下しながら木の枝などにぶつかりながらも地面との距離を縮める。すると背負っていたバックパックが木の枝に引っかかって外れてしまう。俺は直ぐにバックパックを回収する為にパラシュートを外して地面に転がりながらも着地しようしたがパラシュートを外したタイミングが遅すぎた為か地面に着くどころかそのまま飛び越えて崖へと落ちていった。


「うぉぉおおああああああ!?」

「ボ…ボスーーー!?」

「嘘ッ!?スネェェェク!!」

「おじさーーーーん!?」

『スネェェェェェェェク!!』


こうして俺達の任務は始まる前に失敗に終わってしまった。





TIME PARADOX





[ダメだスネーク!未来が変わってしまった!!タイムパラドックスだ!]


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ACT.1-2 山猫との遭遇

〈今回は前回の状況を説明しようと思います〉

「いきなりね…どうしたのヴェスタ?」

〈いえっ…私の出番が無いと暇でしたので、代わりにボスが行っている任務の状況を説明しようかと思いまして〉

「ヴェスタ…メタいよそれ…(汗)」

〈その件は謝罪します。それでは前回の状況を説明します〉


1.エルザ皇女を救出する為にコンバット・タロンに乗り込み、ドーヴァ領でHALO降下を行う。

2.それぞれ降下が完了した後にチームを二手に分かれてエルザ皇女の捜索を開始。

3.リーナチームはエルザ皇女の近衛騎士団を発見した後に次々と回収。

4.ジョニーは持病の下痢で草むらで用を足そうとするとジョニーの父親と遭遇。

5.ジョニー(父)に説明した後にエルザ皇女の場所まで案内される。


〈…以上が前回の状況です〉

「あれっ?確かスネークさんは崖っぷちに落ちたシーンが有ったんじゃあ?」

〈シャーリスさん、それは別世界の話ですのでその話題は無しの方向で〉

「アッハイ……あっそうだ。第十話始まります!」


 

 

俺達は二手に分かれてエルザ皇女と近衛騎士団を探していた俺とジョニーは、偶然にもジョニーの父親兼近衛騎士団の団長と遭遇した。ジョニー(父)に俺がジェフティのボスである事を説明した後にジョニー(父)の案内の下俺達はエルザ皇女がいる廃城まで案内してもらった。廃城に辿り着くとジョニー(父)が俺達にここで待つ様に言われてエルザ皇女がいる部屋に入り、数十秒後にはジョニー(父)から“入ってくれ”と言われそのまま俺達は部屋に入った。

 

 

「エルザ様、この者達があのジェフティと呼ばれる傭兵組織の頭領と一員です。その一員は、俺の息子です」

 

「アンタがエルザ皇女だな?俺はリョウ、リョウ・スネークだ。ジェフティを束ねるボスだ」

 

「えとっ…俺はジョニーって言います。うちの親父がお世話になっております」

 

「貴方達がジェフティの………私はエルザ・ラ・ドーヴァ。ドーヴァ帝国の第一皇女………いえっ、正確には元とだけど」

 

「あぁ……そこらの情報は聞いている。ハト派とタカ派の抗争が激化してアンタの母君が捕まっている事も知っている」

 

「え?何故そのことを…」

 

「うちの諜報班……つまり、情報を収集するスタッフがドーヴァやマナカ、ギリスにネシアなどに潜んで情報収集し、知り得たと言えば分かるか?」

 

 

エルザは謎の傭兵組織であるジェフティが只の傭兵組織ではない事は予め知っていたが、あくまで武器のことだけであって他のことは知らなかったのだ。まさか自国にジェフティの一員が紛れ込んでいたの知ったエルザは改めてジェフティという傭兵組織の恐ろしさを知ったのだ。エルザが驚いてる中、俺はここから脱出する話題に切り替える。

 

 

「…それはともかく、アンタを無事にマナカへ亡命させる。タカ派の連中がアンタを探して来るはずだ。そいつらに見つかる前にここから移動するぞ」

 

「……そう、恐らく大魔導士やヴォルギンの差し金ね……」

 

 

……今エルザはヴォルギンの名を言ったのか?もしかして本当にいるの…?あのヴォルギンが?……勘弁してくれ、あの電撃ホモは燃える男として復活しそうで怖い。

 

 

「どうしたの…顔色が悪いわよ?」

 

「あ……あぁ、すまない。今から俺の仲間に通信を入れるから待っててくれ」

 

 

エルザは通信という言葉に理解できなかったが、他の仲間に連絡を取る手段があると理解した。そして俺はリーナに通信を入れる為に無線機を使い、周波数を合わせてリーナに通信するのであった。

 

 

「リーナ、こちらスネーク。エルザ皇女を無事、発見した」

 

『…本当なのスネーク?なら良かったわ。私たちの方も近衛騎士団の回収は殆どが終わったわ』

 

「そうか。なら、リーナ達は先に回収地点に向かってくれ。俺たちはこのまま皇女を連れて回収地点に向かう」

 

『分かった。…それと一つ報告があるわ、皇女や騎士達を捜索しにドーヴァの兵士の連中がやって来たらしいから出来るだけ接触しないように注意し、脱出してね』

 

「あぁ、分かっている」

 

 

リーナとの通信を終えた俺はエルザに此処から動くことを伝える。しかし、エルザは近衛騎士団の者たちがまだ戻って来ていないことを言うが、そこは俺の仲間が回収したことをいうと少しだけエルザは安堵した様だ。近衛騎士団の団長であるジョニー(父)がいつのまに団員を回収されたのかと思いながらもエルザを護衛しつつも廃城から出るのであった。出たのはいいものの、俺達を除く人の気配が六人も感じ取れた。すぐに俺は周辺の気を配りながらも進むと「動くなっ!」という言葉を皮切りに隠れていた帝国の兵士が姿を現し、俺達の行く手を阻んだ。

 

 

「帝国兵…!」

 

「ちっ……もう見つかったか!」

 

 

敵の装備は長剣型のブロードソードと盾持ちが三人、高所を陣取るクロスボウ持ちが三人といった編成であった。ジョニー(父)はエルザを盾になる様に前に出て、ジョニーはエルザの後方を守る様にXM8を構えながら敵の動きを警戒する。そして俺はMk22とサバイバルナイフを構えながらエルザの側面に立って、敵帝国兵士を警戒しつつエルザを中心に円陣防御の陣形を取った。一触即発の最中、此方に向かってくる足音が聞こえた。

 

 

「やっと会えましたね?エルザ皇女殿下?」

 

 

その者は帝国の兵士とは思えぬ服装をしていた。その者は俺が元居た世界の黒いBDUを来ていたのだ。そして何より、マカロフをガンプレイの特技“ガンスピン”の一つである“フォワード・スピン”をしながらやって来たのだ。……よくよく考えたのだが、この世界ってMGSとファンタジーを混ぜた世界なのか?

 

 

「貴様…精鋭部隊の一つ、“山猫部隊”か!タカ派の兵士が何故ここに?」

 

「兵士──だと?」

 

 

他の帝国兵士も突如と現れた男に警戒しつつも俺達が逃げられない様に退路を塞いでいた。するとその男はマカロフをホルスターに仕舞い込み、頭に被っているレッドベレー帽っぽい物を整える。その時にエルザはその現れた男の正体を知っているかの様に口に出した。

 

 

「……オセロット!?」

 

「何っ?!まさか……山猫(オセロット)の大将!」

 

「フッ、間違えないで欲しい!俺は──オセロット団長だ!」

 

 

……別世界の人間とはいえ、完全にオセロット本人そのものですね。本当にありがとうございますと言いたい且つ、実はオセロットも転生者ではないのか?と疑う位に似過ぎていた。帝国兵士はオセロットが決して侮れる相手ではないという事がひしひしと感じ取れた。何より帝国精鋭部隊所属という事が、オセロットがただ者ではないといった証しでもあった。

 

 

「エルザ皇女は渡さん、さっさと立ち去れ」

 

 

帝国兵士はオセロットを刺激させない様に──何よりエルザを捕らえ、皇帝より褒美を貰い、家族を養う為にエルザを渡しはしないという断固とした態度を示す。

 

 

「山猫は獲物を逃さない」

 

「何だと!」

 

 

しかしオセロットは断固とした態度を見せた帝国兵士の言葉を無視した。その時に俺の第六感が危険を察知したのか俺は咄嗟にエルザを倒させる。後ろにいたジョニーも俺の動きに察したのかジョニー(父)を掴んでそのまま倒れる様に伏せた。その同時にオセロットがホルスターからマカロフを抜きだし、素早く銃身をスライドさせて初弾を排莢した後に目の前の帝国兵士に銃口を向けるとそのまま発砲し、帝国兵士の右胸を撃抜いた。そして高所に陣取っていた近場の帝国兵士に銃口を向けては発砲して心臓を撃抜き、その背後の高所の帝国兵士へ振り向きながら銃口を帝国兵士の頭部に向けて発砲、ヘッドショットを決めた後に左側に居る帝国兵士二人を撃抜いた。僅か数秒───その僅か数秒で、軍人として訓練を受けた帝国兵士四名は、オセロットの早撃ちによって全員が物言わぬ屍と成り果てた。オセロットにまだ撃たれおらず廃城の屋根を陣取っていた帝国兵士はこの一部始終を目撃して恐怖を抱いた。“自分もあの男に何時殺されるのか?”という回答の繰り返しを……。そしてオセロットはマカロフを回しながらも残った帝国兵士に銃口を向ける。帝国兵士は耐えられなくなったのかその場で逃走した。しかし、オセロットはニヤリと笑みを強めて構えていたマカロフの銃口を僅かに右へとずらして発砲した。その発砲した場所には鉄で出来た棒が数本置かれていたのだ。その結果9x18mmマカロフ弾は鉄の棒に当たると跳ねた。この技は“跳弾”と呼ばれる技術で対象物との距離、跳弾させる位置、角度、それらのすべてを緻密に計算した上で可能な絶技である。オセロットは難なくそれをやってのけたのだ。そして跳弾した9x18mmマカロフ弾は逃走した帝国兵士の心臓に喰い込む様に直撃し、帝国兵士はそのまま落下して絶命した。オセロットはマカロフを一旦しまい、最初に撃った帝国兵士に近づく。その帝国兵士は少なからず生き延びていた。オセロットは再びマカロフを取り出した。

 

 

「き……きさ…ま……!」

 

 

帝国兵士は抵抗の素振りを見せた途端にオセロットはその帝国兵士の頭部を撃ち抜いた。最後に射殺した帝国兵士を足で転がしながら、その帝国兵士の背中と地面に挟まれる形だった物───早撃ちの際に落としたベレー帽を拾う。

 

 

「ドーヴァの為とはいえ、同士を撃つのは気持ちのいいものではないな」

 

 

オセロットはマカロフをホルスターへと戻しつつ、同じドーヴァに仕える人間を殺したことを嫌悪するような雰囲気を漂わせる。俺はすぐにジョニーに指示を出す。

 

 

「ジョニー、エルザと騎士団長を連れて隠れてろ」

 

「わ…分かった!親父、エルザ皇女、此方へ!」

 

「えっ?!でも…」

 

「エルザ様、此処は彼に任せましょう」

 

「……分かったわ。どうか気をつけて…!」

 

 

ジョニーはエルザ達を連れてこの場から離れる。するとオセロットは俺を見た瞬間何かしらの疑問も抱いた。

 

 

「ん?お前…エルザの騎士団の者じゃないな」

 

 

数秒間オセロットは考えるとある答えを見出した。

 

 

「なるほど、お前は…噂に聞く傭兵団の者だな?」

 

 

俺はオセロットの問いに答えず沈黙を貫く。するとオセロットは山猫の如く鳴き声を発して、密林に隠れていた他の山猫部隊を呼び出した。そして俺を囲むように山猫部隊の隊員はそれぞれの銃を俺に向けた。…というかこれ完全に例のシーンの再現だよな?

 

 

「あれが…山猫部隊…」

 

 

廃城の瓦礫に隠れているエルザはオセロットが率いる山猫部隊に少しばかり恐怖を抱いていた。俺はMk22とサバイバルナイフを握り直し、いつでも対応出来るように構える。

 

 

「なんだ?その構え方?ハッ…その銃は?」

 

 

オセロットは俺の持つMk22麻酔銃を見て部下達に視線を送り、そして俺を煽る様に嘲笑うと他の部下達も嘲笑う。

 

 

「何はともあれ、邪魔をするなら──」

 

 

オセロットは懐からマカロフを取りだすと指先で遊びながらスネークの周りを気取った風に歩き回ってから、俺を背に新たなマガジンを装填した。

 

 

「死んでもらう!」

 

 

そして一瞬のうちに銃身をスライドさせると、先ほどの兵士たち同様スネークを射殺せんと、スライドを戻しながら構えて引き金を引くと“ヂャキッ”と鈍い音を響いた。その鈍い音の正体はマカロフの排莢口に弾が詰まっていたのだ。オセロットはこの場で弾詰まり(ジャム)を起こした事に戸惑ってしまった。俺はその隙を逃さず、オセロットの右手を抑え、サバイバルナイフの峰部分で首元を抑えたと同時にオセロットを倒させる。その同時にオセロットが持つマカロフを右手で払う様に弾いた。

 

 

「今だ、行け!」

 

「!…了解!親父、エルザ皇女!」

 

「分かった!エルザ様、今の内に」

 

「分かったわ、行きましょう!」

 

 

俺の合図を皮切りにジョニーはエルザ達を連れてこの場から離れた。山猫部隊の兵士はエルザが逃げられてしまう事より隊長であるオセロットをいかに助け出すかを考えた。

 

 

「な…!隊長!」

 

「くっ…構わん、撃て!」

 

 

オセロットから自分もろとも射殺しろと命じたが、兵士はオセロットを射殺せずに何とか救出を試みようと俺に近接戦を仕掛けた。俺は一旦オセロットの拘束を解いて近接戦を仕掛けて来た兵士を拘束した後に麻酔銃をAK-47(ストック無し)を持つ兵士の右肩に麻酔弾を撃ち込む。オセロットは拘束を解かれた隙に移動して弾かれたマカロフを回収しに行った。そしてそのまま拘束している兵士を盾にしながら他の兵士に近づき拘束している兵士を近場の兵士に押し付ける様にぶつけてM63を持つ兵士に絡み付く様に拘束する。すると拘束された時に痛みを生じたのかM63を真上に向けて発砲したのだ。俺はそれをお構いなしにその兵士を放り捨てる様に投げ捨てた。するとM37をもった兵士が先ほどのお返しと言わんばかりに近接戦仕掛けて来たが、俺はそれを払いながらもサバイバルナイフの峰部分を首筋に当てながら拘束し、先ほどのAK-47(ストック無し)を持つ兵士に麻酔銃を向ける。仲間を盾にされて迂闊に撃てない兵士はジリジリっとただ下がりながら相手を刺激させない様に距離を取るしか無かった。そして俺は拘束していた兵士を気絶させて後ろに流す様に放り投げた後に銃口を向けていた兵士を右腕でラリアットの様に兵士の首を引っ掛けてそのまま背負い投げの様に兵士を背負い投げ、そのまま気絶させた。そして麻酔弾を撃ち込まれた兵士に麻酔銃を向けると、兵士は麻酔弾の麻酔薬の効果がようやく効いてきたのか俺の目の前で倒れ込みそのまま眠りについた。オセロットは自分の部下達が戦闘中にマカロフの弾詰まりを直そうとしたが、そうしているうちに部下達は全員気絶させられて残っているのは自分しかいないと判断したのかマカロフを鈍器の代わりに殴りつけようとするが俺はそれを往なす様に回した後に麻酔銃を持ったままグリップを握っている部分で顔面を殴り、そのまま地面に叩き付ける様に倒した。その反動でオセロットはマカロフを手放してしまい、マカロフは地面にぶつかると詰まっていた9x18mmマカロフ弾が地面にぶつかった反動で外れて、そのマカロフ弾はオセロットの横に向かう様に転がっていった。

 

 

「馬鹿な…」

 

 

オセロットは自分がここまで追い込まれることを経験していなかったのか屈辱的な感じを体験した。そんなオセロットを見て俺は銃口を向けながら()()()()をオセロットに言った。

 

 

「初弾を手動で排莢していたな?考え方はおかしくない。だが、聞きかじっただけの行為を実戦で試すもんじゃない。だから弾詰まり(ジャム)などを起こすんだ」

 

「…くっ!」

 

「そもそもお前は自動拳銃(オートマティック)には向いていない」

 

「…?」

 

 

オセロットはオートマティックという言葉は聞き慣れていない為か理解出来なかったが、おそらくはオセロットが使っていた(マカロフ)のことを言っているのを理解した。俺はそれをお構いなく説明を続ける。

 

 

「リコイルの衝撃を肘を曲げて吸収する癖がある。どちらかというとリボルバー向きだ」

 

「くそっ…マナカ人めっ!!」

 

 

オセロットは俺の説教じみた説明に癇に障ったのか懐からダガーナイフを抜き出して切り掛かろうとするが、俺はCQCの技術でオセロットの攻撃を抑えた後にオセロットの腹に一発拳を叩き込み、麻酔銃のグリップ部分で首筋を叩き入れた後にオセロットの肩を引っかけてそのまま地面に叩き付ける様に倒させる。しかしオセロットは執念深い所為なのかまだ気絶しては居なかった。その時に俺はオセロットの執念深さに敬意を表す様にあることを言う。

 

 

「だが早撃ちは見事だった…。いいセンスだ」

 

 

オセロットは左手で俺の腕を掴み、右手で拳銃の形を作って俺に向けた。

 

 

「いい──センス…」

 

 

その言葉を皮切りにようやくオセロットは気を失うのであった。そして俺は無線機で周波数をライデンに合わせて通信を入れる。

 

 

「ライデン、聞こえるか?」

 

『あぁ、聞こえる。スネーク、そっちは大丈夫か?』

 

「ややこしくなってきた。タカ派の勢力と接触した。その中にはオセロットがいた」

 

『オセロット?…ドーヴァの山猫部隊か?』

 

「あぁ……それとエルザから聞いた話だが、ドーヴァにはヴォルギンという将校がいる様だ」

 

『そうか……スネーク、そこはかなり危険な場所の様だ』

 

「気に入らない。嫌な予感がする」

 

『俺も同感だ。リーナ達は先に回収してある。後はスネーク達を回収するだけだ、急げ』

 

「分かっている。ジョニー達は先に回収地点に向かっているが、すぐに追いつく」

 

『あぁ、頼むぞ』

 

 

俺は直ぐにジョニー達の後を追う様に回収地点に向かうのであった。この時の俺は、この世界の歴史に残る1ページを踏み出していることを気付かずにいた。

 




俺は回収地点に向かっている時に無線機に通信が入ってきた。俺は一旦止まり、通信を繋げた。

『スネーク、いる?』

「リーナか、どうした?」

『さっきのお説教は何なの?』

「お説教?」

『タカ派の山猫部隊の隊長にお説教していたでしょう?初弾を手動で何とかって』

『あっそれ、私も気になる!おじさん、あれどういう意味なの?』

「ああ………それか。うむ……奴は新しい弾倉を挿入した直後、薬室内の残弾の有る無しに関わり無く、初弾を手動で排莢していた。ジェフティの中で極一部のマニュアルに書かれているテクニックだ。弾丸を確実に薬室に装填し、空撃ちを防ぐという意味がある。話に聞いたのか、独自で見出したのか……。とにかく奴は何処かでそれを知り、使ってみようとしたんだろう。新しく仕入れたテクニックを披露したいという虚栄心もあったに違いない。だから失敗する」

『そうね……。狩りの時もそうだけど、大抵は結構シビアな場所よね。地道に鍛錬して、自分で得た技術でないとあまり通用しないのよね』

『へぇー……そういえばおじさん、さっきの山猫隊長さんにリボルバー向きって言ってたよね?あれどういう意味?』

「あぁ……奴は発砲時に肘を大きく曲げて反動を逃す動作をしていた。本人にも気づいていない動作の様だが、これは致命的な悪癖にも天与の才能にもなる」

『どういう事?』

『……あっ分かった!きっと山猫隊長さんは自動拳銃を使う時に肘を曲げて衝撃を吸収するから回転不良を起こしやすくなるからリボルバーが良いんだ!』

「あぁ、リボルバー式拳銃なら反動を受け止める必要がない。逆に反動をうまく逃すことは手や腕などの負担を軽減することにつながる」

『……確かに。大口径のリボルバーを持たせたらいい使い手になるかもね。でもスネーク、疑問に思ったんだけど……』

「なんだ?」

『どうして敵である彼にアドバイスなんかしたの?何のアドバンテージも無いのに』

「……あ」

『スネーク?』

「……如何してだろうな。何故だか放っておけなかった……」

『うーん……おじさんは何かしらのライバルとかが欲しかったのかな?』

「さあな、俺にもわからん……」

『……唐変木』

「……?」


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ACT.1-3 嘗ての師

〈今回も前回の状況を説明しようと思います。今回はシャーリスの代わりに睨 美帆がゲストで来てくれました〉

「もうこのコーナーがあなた達の言ういつも通りのものになっているのね…」

〈それは仕様なので仕方がないことです。それでは前回の状況を説明します〉



1.スネーク達はジョニー(父)の案内でエルザ皇女と接触。

2.エルザ皇女と共に脱出を試みるもドーヴァ帝国の兵士たちに見つかる。

3.その時のオセロットが介入して帝国兵士達を射殺。

4.スネークはエルザ達を逃すべく一人で山猫部隊と交戦。

5.無事に山猫部隊を非殺傷で無力化した後にエルザ達の元へ向かう。


〈…以上が前回の状況です〉

「いつ見て思うんだけど、スネークの格闘術(CQC)、本当に強いわね」

〈その強さの秘密は今回の展開で明らかになります〉

「へぇっそう……あっ第十一話始まるわよ?」


 

 

エルザ皇女と共に先に回収地点に向かったジョニー達と合流すべく俺は回収地点に向かっていた。密林を抜けると、そこには岸と岸の間に吊り橋が架けられてあり、その向こうの岸には密林地帯特有の白い花が咲かれている場所に付いた。俺はMk22とナイフを構え、警戒しながら吊り橋を渡った。

 

 

「白い花が沢山……この密林地帯の特有のか。………っ!」

 

 

その時に俺は誰かが此処にやって来る気配を感じた為にMk22をその気配がする方に構えるとそこには戦闘用の白いスーツを着た一人のダークエルフの女性が居た。しかもそのダークエルフの顔を俺は覚えていた。その時に俺は無意識に口からそのダークエルフの名を言った。

 

 

「……ボス?」

 

「久しぶりね、リョウ?いやっ……今はスネークと呼ぶべきかしら?」

 

 

俺が今話しかけているダークエルフの女性の名は“ナターシャ・フィルス”。15年前、父さんがまだ健在だった頃の父さんの冒険者仲間の一人で、俺の師でもある。容姿からして肌と髪の色を除けば“ザ・ボス”そのものだった。だからなのか自然と彼女のことをボスと呼称してしまうことがあった。だが驚きなのはそこでは無い。

 

 

「………」

 

「スネーク、あなたと会うのは何年ぶりかしら?」

 

「ああ、10年と72日18時間ぶりだ」

 

「少し痩せたわね」

 

「声だけでわかるのか?」

 

「分かるわ。あなたのことだから」

 

 

「そうか…」と一言呟くと同時に何故ナターシャが此処(ドーヴァ領)にいるのかが解らなかった。

 

 

「だが、俺にはあんたのことが分からない」

 

「何が言いたいの?」

 

「……どうしてあんたは此処、このドーヴァ領にいるんだ?」

 

「スネーク、以前教えたはずよ。私はあなたの父の仲間であるが元は傭兵。この国に雇われもする」

 

 

そうナターシャが答えた瞬間に彼女の後方に何かが飛び回っていた。その飛び回る音の正体を俺は知っていた。

 

 

「蜂!?」

 

 

その蜂がの群れが出現している所を目で辿ってみると、彼女の後方には合成獣戦車が四体?も待機していた。そして蜂の出現の原因であろう人物が合成獣戦車の上に乗っていた。それ以外にも他の人物も合成獣戦車の上に乗っていた。

 

 

「それに……月光までもか!」

 

「──戦友達よ、また共に戦える」

 

「この日が来るのを待っていました」

 

「またあなたと共に戦える」

 

「お帰り……ボス」

 

 

……いつかはこんな事になることは想定していたが、そのまんまコブラ部隊がこの世界に来ているじゃないですか。何これ?と疑いたくもなるがそう考えてる時間もなかった。その月光達の後ろから深緑色のコートを着たいかにも厳つい男が「くわばら くわばら…」と呟きながら身体から電気を放電しながらやって来た。俺はその男の正体を知っていた。MGS3においてソ連のGRUの大佐で、スネークに敗れた後、スネークに対する憎しみによって燃える男に成り果てた存在。

 

 

「皆、喜んでいる様だ」

 

「「ヴォルギン将軍…」」

 

「ほう…その小僧は私を知っている様だな?では改め、ようこそ──我が国、我が部隊へ」

 

 

ドーヴァ帝国将軍ヴォルギン・ゴードン。その男がその場に来たのであった。俺はナターシャがそっと俺に近づくのに察知してMk22を彼女に向けて問いをかけた。

 

 

「ボス?これは?」

 

「言ったはずだ…私は傭兵。この国に雇われ、ドーヴァ帝国の第一元皇女エルザ・ラ・ドーヴァの捕獲を命に動いている」

 

「何だって!」

 

「その男は?以前話した弟子の一人か?連れて行くのか?」

 

「いや、こいつはまだ幼い。我らコブラ部隊には純粋すぎる。まだ戦場で特別な感情を抱いてはいない」

 

 

一体全体何がどうなっているのか理解できなかったが、一つだけ分かったことがある。今の彼女、ナターシャは俺の敵であることだ。

 

 

「ボス……!」

 

「撃てるのか?」

 

 

そう言われて俺は一瞬迷いが生じてしまった。その隙を逃さずナターシャは咄嗟に俺との距離を近づいた瞬間にMk22の上部を撫でるように触り、顔面に肘打ちをかます。その時の俺は迷いが生じていた為かナターシャの動きについてこれず、防御する間も無く彼女の攻撃を受けてしまう。

 

 

「くっ……!?」

 

 

俺はすぐ体制を立て直し、Mk22を構えるが銃身やスライドが無く、握っていた柄と銃身の下部分しか残っていた。ナターシャにMk22の銃身やスライドを取り外されたのだ。何故ナターシャがMk22の構造を知っているかの様に解体できたのかはスキルによるものであった。そのスキルの名は“構造解析”。触れた物の構造や仕組みを瞬時に理解するという変わったスキルではあるが、CQCとの相性は非常に良く、俺にとっては厄介なスキルである。ナターシャは外した銃身とスライドを俺の方に投げ捨てた時に俺は残ったナイフで格闘戦を仕掛けようとするがナターシャに容易く防がれ、再び顔面にかまされた後にナイフを持っている左腕を持って場所を入れ替わる様に回した後にナターシャは容赦なく肘打ちで俺の左肘を逆方向に曲げさせて骨折させた。

 

 

「があっ…!?」

 

「………」

 

 

骨折によりあまりにも激しい痛みに襲われている最中、ヴォルギンはそっと俺に近づく。

 

 

「…貴様があの女の弟子ある事には驚いたが、貴様にはエルザの居場所を知っている様だな?こやつは捕まえる価値があるな」

 

「それは私がいる時に言ってもらうべき言葉だな」

 

 

ヴォルギンの後方から再び人影が見えた。その男は黒いローブを纏っており、己の素顔を隠していた。だが俺は知っている。この男の正体を………

 

 

「大魔導士……レイ・アデランス!」

 

「ほう…あなたまでも私の名を覚えているとはな……あなたにはエルザの居場所を知っている様だな?吐いて貰うぞ、彼女の居場所を…!」

 

「無駄だ…こいつは何をされようとも決して吐くことはない。そう私が育てた」

 

 

そう言ってナターシャは俺に手を伸ばす。

 

 

「リョウ、あなたは連れていけない」

 

「……元より俺は、そっちに着くつもりはない!」

 

 

俺は残った右腕でただ我武者らにナターシャに振るうがそれすら防がれて腹に肘打ちを食らってしまう。その時に脇腹を骨折する。

 

 

「がはぁっ…!?」

 

 

その時に俺は無意識だったのかナターシャの右腕に巻き付けられていたバンダナを掴んでいた。それでも構わずナターシャは俺を吊り橋から突き落とす。ナターシャに突き落とされ、そのまま悲鳴をあげながら落下していき、その岸の下にある川に着水してただ流されるのであった。

 

 

「……情報を聞き出せなかったのは残念ではあるが、あの男とて只では済むまい」

 

「あの男のことだ。まだいきている可能性があるかもしれんが、今はオセロット達の回収だ」

 

 

ヴォルギン達はそう言ってその場を後にした。ナターシャだけを置いて………

 

 

「………流されてゆけ、私は留まるしかない」

 

 

そうスネークに呟いた後にナターシャもその場を後にするのであった。

 

 

 

あれから30分……

 

 

 

ナターシャによって吊り橋から川へと突き落とされ、流された俺は密林地帯の何処かは分からない陸地に打ち上げられていた。その時に無線のCALL音が聞こえた時に俺は目を覚ますと身体中に痛みが生じていた。俺は何とかその痛みを耐えながら仰向けに転がって無線機のスイッチを入れて通信を送ってきた者の周波数に合わせて無線を開く。

 

 

『スネーク、聞こえるか?』

 

「ああ、何とか……」

 

『スネーク、よく聞け!こっちでスネークのバイタルを確認してみたが、ひどい怪我だ。応急手当てが必要だ。動けるか?』

 

 

俺はライデンに言われた通りに右腕以外の身体を動かそうとするが、思った通りに身体が動けず。痛みが増すばかりであった。

 

 

『しっかりしろ!今救出用のヘリがそっちに向かっている。それまでの間に応急手当てをするんだ』

 

「ああ、分かっている……。自分の容体からして左肘と脇腹の骨折に、左上腕・右肘・右上腕及び腹部の切創と言ったところだろう……」

 

『何がなんでも諦めるな。ヘリが来るまでの辛抱だからな!』

 

「ああ…治療しながら気長に待つ、スネークアウト…」

 

 

そう言った後に俺は無線を切った後に右手に持っていたナターシャのバンダナをポケットの中にしまった後に残った右腕でバックパックにある救急キットを使って何とか自力で応急手当てをするのであった。

 

 

………応急手当てから1時間が経ち、多数の切創や骨折を治療した後にそこら辺に落ちていた木の棒を口に加え、未だに動かず逆方向に向いている左腕を掴み、歯を食いしばってそれを無理やり正方向に曲げ直す。その後は身を安静にする様近くの木に寄り添って救助が来るのを待った。それから30分、作戦開始から既に3時間も経過して既にジョニー達が撤退している頃だろう。そう思った時にローター音が上空から聞こえ、上空を見上げるとUTH-66ブラックフォートが俺を回収する為にやって来た。

 

 

『此方“トリスタン”、ボスを確認!思ったよりも酷い…これより回収します!』

 

 

UTH-66ブラックフォートが高度を落とした後にロープを下ろし、その後に救助スタッフが降下して俺を救助するのであった。

 

 

「此方“メディックチーム”、ボスを確認。これより救助します!」

 

「すまない、助かる」

 

 

そして俺は、ジェフティの救助スタッフ達に運ばれ、ヘリに乗せてもらうと同時にスタッフ達も乗り込んむ。

 

 

『此方“トリスタン”無事にボスの回収に成功!これより離脱します!』

 

 

そしてトリスタンはスネークを回収したのを確認した後にそのままマザーベースの方角に機体を向けてドーヴァ領から離脱するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘリで運んでもらっている最中無線機から通信が入ってきたので通信を送ってきた者の周波数に合わせる。

 

 

『スネーク、大丈夫か?』

 

「ああ…無事に回収されたよ」

 

『そうか、なら後は危険領域からするだけだな『スネーク、大丈夫!?』……おいっリーナ、通信中だぞ!』

 

『そんなのはどうでもいいわっ!スネーク、無事なの!?』

 

「リーナか……こっちは粗方応急手当てを終えたから多少は無事だ。そっちは無事に撤退できた様だな?」

 

『と……当然でしょ!別に……あなたが心配で通信をかけて来た訳じゃ……『なら後で説教するがいいか?』……はいっ……』

 

 

リーナのとの通信が切れたのを皮切りにライデンが俺に何があったのかを聞き出してきた。

 

 

『それでスネーク、一体何があった?』

 

「………かつての師と会った」

 

『かつての師?』

 

「……10年前、俺を冒険者に鍛え上げてくれた師であり。俺と共にこの世界でCQCを生み出した女性だ」

 

俺がまだ6歳だった頃に生きる術を教えてくれた師匠で、そしてなにより彼女と共にCQCをこの世界で生み出したことをライデンに説明する

 

『……なるほど。それで、彼女と交戦を?』

 

「ああ……彼女は傭兵としてドーヴァ側に雇われていた様だ」

 

『かなり厄介だな……。かつての師とはいえ撃つことを躊躇ったはずだ』

 

「………」

 

『スネーク、こうなる事はわかりきっていたことだ。そのナターシャという女が敵に回ることを』

 

「分かっている。だが俺は心の内の何処かでそうでないことを願っていたかもしれない」

 

 

正直言って俺は彼女からまだ教えてもらいたい事があった。“戦場での特別な感情”や彼女の祖国であるマナカ共和国に対する“愛国心”。戦場での特別な感情もそうだが、彼女の愛国心は理解できなかった。なぜ彼女が自分の祖国を滅ぼそうとするドーヴァに雇われているのか。それすら理解できなかった。

 

 

『……とにかく、マザーベースに戻ったら本格的な治療を行う。それまでの間は動けない日々が続くだろうが……』

 

「分かってる。俺の身体を治療する事に専念するよ。とにかくマザーベースで会おう」

 

 

ライデンとの通信を切った俺は、身体の痛みと疲労に襲われながらも一旦眠りにつく事にした。

 

 

スネークが回収され、マザーベースに帰還後医療班によって医務室に運ばれ治療から三日が経った……。マザーベースのスタッフ達もいざという時に備えてか戦闘訓練を通常の倍にしてより厳しい訓練を行っていた。そしてチーム01もドーヴァ領で密かに情報収集を行い、合成獣戦車とは違う大型魔導兵器が開発されているとの情報を得る。しかも隠密に写真の撮影に成功し、その写真を確認してみたらMGS3に出てくる大型兵器“シャゴホッド”そのものであった。一応開発コードネームは“カラミティナイト”と呼称されている。武装からして前部ユニットに専用の連射式魔導砲が2問、同対空魔導高射砲を1門、魔導誘導弾マジックミサイルを発射する魔導ランチャーを6門、大型の連射式魔導砲を1門装備している。そして後部ユニットにはRSD-10 ピオネール 中距離弾道ミサイル(IRBM)1基搭載するランチャーと匹敵する対領土戦略魔法を放つ超大型魔導杖“インフェルノ”を搭載されていた。……もうツッコムことに慣れてしまったのかこれだけは言わせてくれ。この展開は完全にスネークイーター作戦とほぼ同じじゃないか?因みに余談ではあるが、シャーリスにこの状態の怪我を聞いた時に卒倒しかかったそうで、その後にシャーリスに怒られた。シャーリス曰く、“作戦とはいえ無理はだめ!”とのことだ。さらに余談でエルザの母エフィー女王は今現在もピープルリバティ城の塔の最上階の個室に幽閉されたままであることをエルザ皇女に伝えたところ少し安堵したそうだ。

 

 

そんなこんなで身体がようやく動ける様になった時にライデンが入って来て現在のドーヴァの状況を聞いた。

 

 

「…そこまで深刻になっているとはな」

 

「ああ……ドーヴァ帝国は今から約二週間後にマナカへ領土侵攻を行い、マナカに戦争を仕掛けようとしている。現在マナカはドーヴァの軍事力に脅威に対抗するためにヴァナルガンドから大量の魔導杖“カルバリン”を購入したあと各兵士たちに一本ずつ支給され、対合成獣戦車を想定した装備でドーヴァを迎え撃とうとしているが、正直言ってマナカ側が圧倒的に不利だ」

 

「ヴァナルガンドの方からはなんて?」

 

「彼らはあくまで武器商人という形で中立を保っているが、それがいつそうも言ってられない状況になるのか分かったものじゃない。それとスネーク、マナカから緊急の依頼だ」

 

「依頼?どういう依頼だ?」

 

 

スネークはその依頼内容をライデンから聴きだすと、ライデンはその依頼内容を説明した。

 

 

「その依頼は、ドーヴァ帝国軍の将軍であるヴォルギン・ゴードン将軍と大魔導士レイ・アデランスの抹殺。及び、謎の傭兵部隊の“コブラ部隊”全員の抹殺だそうだ」

 

「コブラ部隊も……!」

 

「ああ……マナカ曰く、彼らは傭兵達の中で一番の死神だそうだ。それの抹殺依頼がここに来た様だ」

 

 

流石の俺でもこの依頼は受けたくはなかったが、状況が状況だったために受けざるおえなかった。時間がない為に俺はすぐにリハビリを三日だけで済まし、ドーヴァ領に侵入するための下準備を四日で済ました。あと一週間と残された時間が少ない為に今回の作戦は俺とライデンのツーマンセルで任務を行うことになった。再びナターシャと相見える事になることを俺はただ不安を拭いきれないでいた。

 





NGシーン


「そうか…」と一言呟くと同時に何故ナターシャが此処(ドーヴァ領)にいるのかが解らなかった。


「だが、俺にはあんたのことが分からない」

「何が言いたいの?」

「……どうしてあんたは此処、このドーヴァ領にいるんだ?」

「スネーク、以前教えたはずよ。私はあなたの父の仲間であるが元は傭兵。この国に雇われもする」


そうナターシャが答えた瞬間に彼女の後方に何かが飛び回っていた。その飛び回る音の正体を俺は知っていた。


「蜂!?」


その蜂の群れはナターシャを威嚇する様に飛び回り、当の本人は予想外なことに混乱していた。


「くそっ!……(バカな…!?何故……!?)」

「ボス……」


そして最終的に彼女は蜂の群れによって吊り橋から飛び降りてしまう。


「うあああぁぁぁー!!?」


悲鳴をあげながらも川に着水するその直前に彼女の身体が爆発四散した。


『ザ・ジョイ!』


その時にヴォルギンがやって来てナターシャの自爆に少し混迷していた。


「やつの狙いは何だ…」


そして俺は散ってしまったナターシャに哀悼の意を示す様に敬礼をするのであった。



END???


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ACT.1-4 スネークイーター作戦

「スネーク、あらかじめ確認だが今回の任務はヴォルギン将軍、大魔導士レイ及びスネークの師が率いるコブラ部隊の排除が今回の任務だ」

「分かっている。……所で、エフィー女王の救出はどうするんだ?」

「その件についてはリーナ達チーム01が救出任務を行う。俺たちはただドーヴァ領域に侵入し、任務を遂行する」

「成る程。しかし、一緒に行動というわけにはいかない」

「ああ……二手に別れて行動するつもりだ」

「よしっ……ならば行こう。……第十二話始まるぞ」


 

 

エルザ皇女救出作戦が完了してから10日過ぎたある真夜中にてドーヴァ帝国領のグラーヴェ・ジャングル上空約10,000mである飛行物体が高速で移動していた。その飛行物体の正体はアメリカの超音速戦略偵察機SR-71 “ブラックバード”を生んだCIAの高機密偵察機A-12OXCARTのいくつかの派生型のうちの1つであるロッキード社が作った超音速迎撃戦闘機YF-12を改造した機体である。そしてその上に乗せてあるD-21無人偵察機を改造して人一人分が入れる様に改造した機体である。その改造されたD-21の中にはナターシャが付けていたバンダナを頭部に巻きつけたスネークが乗っていた。

 

 

「現在、マナカ領上空、高度3万フィート。ドーヴァ領空に接近中」

 

「間も無くドローン射出ポイントに到達します。ドローン油圧・電圧共に正常。ペイロードへの酸素供給は正常。ペイロード用防寒装置への電力供給異常なし。突風(ガスト)なし」

 

「現在、ドローン切り離しに問題なし」

 

 

パイロット達から各機器に異常がないことを確認しながらもドーヴァ領空にドローンを切り離す準備を進めていた。俺はこの狭い空間の中で出撃前のことを思い返していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マザーベースではスタッフ達が色々と慌ただしく動いていた。マナカとドーヴァが戦争になった時の為の準備やら戦争に巻き込まれた村人達の為の避難用の施設の収容準備などを行なっていた。そんな中俺とライデン、リーナ達チーム01はというと今回の作戦の説明をする為に司令室にあるブリーフィングルームでライデンがスネークイーター作戦の内容を説明する中であった。

 

 

「さてっ……今回の作戦を説明する。本作戦はマナカからの依頼のもとドーヴァ帝国領に侵入し、帝国最新魔導兵器カラミティナイトの調査、破壊。ヴォルギン・ゴードンとレイ・アデランスの抹殺、及び傭兵部隊のコブラ部隊の排除にある。だが、今回の様にHALO降下は無理だ。前回の作戦以来空域の警戒が厳重になった。バーチャスミッションの時の様に上空には近づけない。よって最新鋭の兵器を使う…。失敗すれば、我々…いやっマナカとドーヴァとの戦争が開かれてしまい、いずれ世界を巻き込んだ戦争が勃発するだろう。なんとしてもそれを阻止しなければならない」

 

「…それは解るけど、なんで私たちまで呼ばれることになったのかまだわかってないんだけど?」

 

 

リーナの言うとおり、リーナ達とは全く無関係のはずの任務を聞くことになっていることに理解できないでいた。ライデンはそこの所を説明する。

 

 

「リーナ達チーム01には別の任務を説明するために読んだのが理由だ。今からそれを説明する」

 

 

ライデンが言うにリーナ達チーム01には別の方法でドーヴァ帝国街ヴォルフに潜入し、エフィー女王を救出してもらうのが今回のリーナ達の第一目標で、それが完了次第にスネーク達の援軍に向かうのが第二目標であることを説明した。その時に俺は、中立を保っているヴァナルガンドからは何かしらの援護はないか聞いてみた。

 

 

「ところでライデン。ヴァナルガンドの協力は?」

 

「あくまで武器商人という立場の上で中立を維持する為にギルドを動かすことはできないそうだ」

 

「やはりか……」

 

「だが、状況が状況だ。今回は内通者を潜ましているそうだ」

 

「内通者?」

 

「ああ……その内通者は二人。一人は例の大型魔導兵器カラミティナイトの開発者に紛れて潜入している。そしてもう一人はスネークが一度見知った覚えのある人物だ。そのコードネームの名は“ONE”と“77(ダブルセブン)”。脱出経路は77が用意する手はずになっている。現地で落ち合ってくれ」

 

 

ONEと77。その二人の内通者のうち77というコードネームが気になって俺は考えているとルーナがライデンにあることを聞いた。

 

 

「あっそういえば、お兄さんはどうやってスネーク達と合流するの?」

 

「俺か?俺はスネークが乗る奴とは違うドローンを使ってドーヴァ領に潜入するつもりだ。スネーが先行して次に俺が向かう手はずになっている」

 

「そういえばライデンって確か、サイボーグっていう機械の身体でできているんだっけ?」

 

「ああ……ジョニーの言う様に俺は機械の身体でできている。だが、脳や心は人間であることは忘れないでほしい」

 

 

ライデンの潜入方法を聞き出した後にブリーフィングルームを後にしてそれぞれ支度をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思い返している内にパイロットから連絡が入る。

 

 

「ボス、間も無くドローンを切り離します。どうかご武運を……」

 

 

俺はドローンの操縦桿を握ると同時にYF-12から俺が乗っているドローンが切り離されてラムジェットエンジンが点火して時速4,023 km/hでドーヴァ領空に侵入するのであった。…正直に言ってこれはちょっと吐きそうになったのは余談である。

 

 

その頃ドーヴァ領空でドーヴァ帝国の竜騎兵二騎が上空を巡回していた。一人の竜騎兵は相棒の竜騎兵と雑談をする。

 

 

「なあ、聞いたか?例の噂?」

 

「ああ……例のダークエルフの女傭兵だろう?」

 

「あいつは亜人であるのに関わらず祖国であるマナカを敵に回したどころか、ヴォルギン将軍から信用を勝ち得た謎の多い傭兵だそうだってよ?」

 

「……かなり肝が座っている様だな。しかもそのダークエルフの女傭兵の部下達はその女傭兵の弟子と聞くぜ?」

 

「ああ……だけど、実はもう一人ぐらい弟子が居たんだそうだ。だけどそいつを誘わなかったそうだ」

 

「マジか?何でその誘いを蹴ったんだろうな?その弟子は……」

 

「さあな。それが分かれば苦労は………ん、何の音だ?」

 

 

雑談している最中、正面から何かが空気を切る様な音が発してこっちに向かっていることに気づく。一度警戒して様子を見てみるとその瞬間、何かが横切るとソニックブームが起きて竜騎兵のドラゴンは驚き、暴れだす。

 

 

「うおっ!?こ…こらっ落ち着け!」

 

「ドゥ……ドゥ。何なんだ?今俺たちを横切った何かは?」

 

「分からん。…だがこれは本国にすぐ連絡した方がいいな」

 

「……そうだな。連絡の為にもすぐに戻ろう」

 

 

そして竜騎兵達は正体不明の物がドーヴァ帝国に侵入したことを報告する為に哨戒を中止して帰還するのであった。

 

 

その頃竜騎兵を通り過ぎた正体不明の物体ことスネークが乗っているドローンは目標ポイントに近づくと逆噴射装置で降下する際に人体に影響が出ない速度まで減速する。そして俺を降下させるために下から切り離される様に脱出装置が起動して、俺を脱出させると同時にパラシュートが開かれる。木々の小枝にぶつかりながらも俺は何とか着地することに成功する。そしてドローンはそのまま地表に不時着して動きが止まって数十秒後には自爆して俺たちの技術の盗用防止するのであった。着地に成功した俺はマザーベースに通信を入れる為に無線機をマザーベースの司令部の周波数を合わせるのであった。

 

 

「こちら、スネーク。マザーベース、聞こえるか?」

 

『ああ……聞こえるぞ。無事に着地は成功の様だな』

 

 

その周波数から聞き覚えのある声が聞こえた。忘れるはずもない、何せ()を転生させた神様本人だったのだ。

 

 

「神様?!何でこの周波数に出ているんだ?」

 

『いやあっな、実は天界では非常事態が起きてな…』

 

「非常事態?」

 

『スネーク。君も薄々気づいているかもしれんがこのマナカとドーヴァの展開といい、オセロットの存在といい、君のいる異世界があまりにも異常だ』

 

「……それはつまり、この世界がMGS3の設定がこの異世界に反映されつつあるということか」

 

 

正直に言って俺も薄々そのことに気づいて居た。オセロットの存在。コブラ部隊の存在。ヴォルギンの存在。そして、マザーベースにいるジョニーやライデン、パスと瓜二つのシャーリスの存在。これらが偶然としても出来すぎている。もしナターシャがザ・ボスの立ち位置であるとすると……

 

 

『そういうことだ。今回の件で天界の神族はこれを非常に重く見ている。神が介入してこの異常をなかったことにするか、今を生きる人たちに任せてそのまま見守るかの議論が続いている』

 

「天界の神々達も一枚岩ではないということか…」

 

『うむ……なお、今回の私は神の存在を隠して君のいる異世界に下界して名を“ロイ・キャンベル”と偽っている』

 

「そうか。どうりで何か喋り方が違うと思ったらそういうことか」

 

 

流石にその名前はどうかと思ったが時間がない為そのところはツッコマないでおいた。

 

 

『うむ。…スネーク、私の立ち位置なのだが私はマザーベースの作戦指揮官という形でこの異世界にいる。スタッフ達とは無事に馴染めている』

 

「ああ……俺にとっては戦友でもあり、兄弟家族みたいなもんだからな」

 

『そうか……。さてっ気を取り直すが今回の任務のおさらいだが「いやっそれは十分間に合っている」……そうか。なら私のことは大佐と呼んでくれ。周波数は140.85だ。それからスネーク、今回の作戦で彼女も参加している』

 

「彼女?」

 

 

俺は神様(下界中以降、大佐と呼称)がいう彼女が気になった時に大佐が説明する。

 

 

『君も知っているかもしれんが、シャーリス=プラントが医療専門として君をサポートする』

 

「シャーリスが?」

 

『うむ。何でもスネークの役に立ちたいとのことだ。一応彼女は医療学を勉強してマザーベースからは“癒しの女神”と祀られている。まあ…彼女の知識は役に立つはずだ。必要な時は周波数を145.73にするんだ。それともう一人、サポートをつける』

 

「サポート?」

 

『ああ、君の知っている人物だ』

 

 

そう言って大佐の周波数から割り込む様に別の周波数から通信が入ってきた。

 

 

『は〜いスネーク、元気にしてるかしら?』

 

「美帆…?何で君が?」

 

『確かに私たちヴァナルガンドのリーダーが何故この作戦のサポートに回っているのか気になるでしょうけど、私が送った内通者が心配ってことで参加することになったわ』

 

「心配って……そんな軽い理由でいいのか?もっと大事な事とか……」

 

『そうね……大事な事と言えばオセロットのスキルが気になった次第かしら?とにかく、武器装備、最新テクノロジーの説明は私にお任せね。オセロットが生み出した銃はおそらく他の帝国兵士にも配付されていると思うわ。もしその銃を鹵獲してその銃の詳しく知りたい時は周波数を148.41に合わせてね?』

 

「……分かった。その時は頼む」

 

 

とりあえず美帆から武器装備のことに関してはまた今後頼もうと思った時に大佐は俺に内通者のことを話す。

 

 

『スネーク、内通者のことだがこの先の廃城でヴァナルガンドの協力者の77が待っている』

 

「廃城……10日前、エルザが隠れて居た場所だな」

 

『そうだ。まずは77と合流し、77がこのドーヴァ帝国領の警戒区域の抜け穴の潜入の手はずを整えてくれている。合言葉は、〔愛国者は〕〔ら・り・る・れ・ろ〕だ』

 

「〔ら・り・る・れ・ろ〕?もう少しマシな合言葉は無いのかは言わないでおく」

 

『すまんな、それしか思いつかんからな。スネーク分かっていると思うが君たちの任務失敗は世界の破滅の一歩を踏み出すことを忘れないでくれ』

 

「分かってる、大佐。これよりスネークイーター作戦を開始する」

 

 

そう言って俺は大佐の通信を切ってシャーリスの周波数に合わせて通信を入れる。

 

 

「シャーリス」

 

『スネークさん。その……キャンベルさんから聞いていると思うけど』

 

「ああ、君が医療のサポートなんだろ?頼りにしているぞ」

 

『うん、任せて。それと、スネークさんがいる此処グラーヴェ・ジャングルには多数の野生動物がいるわ。中には肉食動物もいてスネークを押そうと思うわ』

 

「そうだな。だが問題はない」

 

『その根拠が蛇の名があるから?』

 

「そういうことだ」

 

『そう。……でも、これだけは言わせて。スネークさん……いえっ、スネーク。絶対に帰ってきてね』

 

「……そのつもりだ」

 

 

シャーリスとの通信を切った後に俺は今回の潜入に持ってきたM1911 コルト・ガバメントを装備して周囲を警戒しながら暗い森の中を進み、廃城まで目指した。

 

 

俺が廃城に向かっている時に馬の鳴き声が聞こえた。方向からしてドローンが不時着した場所にあった。その方向はバーチャスミッションでエルザを探していた見知った道だった。俺はそこに向かうことにした。そしてドローンが落ちたところに着くとドローンが既に自爆して燃え上がっていた。しかし不可解なことがあった。ここを巡回警備している帝国兵士がまだここにきていないこと。そして何より、誰かが乗ってきたと思われるサドルをつけた白馬がそこにいた。

 

 

「白馬……?一体、誰の馬だ?」

 

 

俺はその白馬に触ろうとすると後方からよく知っている声が聞こえた。

 

 

「命拾いしたようね」

 

 

俺は声が聞こえた咄嗟にM1911を声のした方向に構えるとそこには暗い夜中に紛れられる深緑色のコートを纏ったナターシャの姿があった。先ほどの白馬は彼女の愛馬なのだろう。

 

 

「ボス?」

 

「腕は治ったの?」

 

「どうしてここに?」

 

 

俺は警戒を解かずにM1911をナターシャに向けていた。それでも彼女は一瞬俺を睨みつけた瞬間にコートを脱ぎ捨てて一瞬で俺との距離を詰めてM1911を奪い取り、俺を押し倒した。

 

 

「うぉっあ…!」

 

 

ナターシャは奪い取ったM1911をスキル“構造解析”で仕組みを理解し、弾倉を抜き、銃身とスライドを外すように解体し、M1911の成れの果てと化した物を捨ててナターシャは俺に言う。

 

 

「帰れっ!」

 

 

それでも俺は残ったナイフでナターシャに白兵戦を仕掛けようとするが容易く往なされ、逆に返り討ちにあう。

 

 

「ぐっはぁ!」

 

「帰れっ!この先には我が息子達とタカ派の帝国軍が待ち構えている。武器もなく、任務を遂行できるはずはない」

 

「ボス!!」

 

 

なんとか姿勢を起こしてナターシャにCQCを仕掛けるがまだ俺の中には迷いが生じていた。その結果ナターシャに攻撃を防がれ、俺に膝打ちをかまして回し投げるように俺を流した。

 

 

「どぉっあ!」

 

「もはやお前のボスではない。お前自身がボスである。帰るがいい、お前の帰りを待つ者達の下へ。もう貞操(バーチャス)を示す必要もない。いいか、ここはお前がいるべき所ではない」

 

 

するとナターシャはオセロットに作らせてもらったのかXM16E1をベースに銃身を短く切り詰め、ストックが取り外されて弾倉は100連装ドラムマガジンに変えて大柄なピストルとしての携行性とハンドリングの良さ、ライフル弾のストッピングパワーを同時に得ようというコンセプトに作られた銃“パトリオット”を手に持ち、それを上空に向けて引き金を引くと銃声が響くと同時に5.56×45mm弾が銃身が短い銃口から出て、上空にと飛んでいく。ナターシャは引き金を引きっぱなしでいた為、地面には大量の薬莢がパトリオットから排出されていた。数十秒後に発砲をやめて俺に注告した。

 

 

「これでここも騒がしくなる。今のうちだ」

 

 

すると突如と雨が降り出してきた。すると俺は、ナターシャの背後に霊らしき人物?が俺のことを見ていた。

 

 

「(あいつは……ザ・ソロー?なぜソローが……?)」

 

「南に60マイル行けば国境だ。お前なら走破できる」

 

 

そしてナターシャは自分の愛馬に向かっていく。俺は彼女がいく前に一つあることを聞き出す。

 

 

「……なぜドーヴァに雇われた?」

 

「雇われたのではない。自分に忠を尽くした。お前はどうだ?国に忠を尽くすか?それとも私に忠を尽くすか?国か恩師か?任務か思想か?組織への誓いか?人への情か?」

 

 

そう言ってナターシャは先ほど脱ぎ捨てたコートを拾って纏い着ける。

 

 

「お前にはまだわかるまい。だがいずれは選択を迫られる。お前は私を許せないだろう」

 

「ボス……!」

 

 

ナターシャは自分の愛馬に跨り、愛馬を進ませて俺に警告した。

 

 

「しかしお前に私は倒せない、私を知りすぎているからだ。そのバンダナがいい証拠だ。過去を引きずると死ぬ事になる」

 

 

するとナターシャが愛馬を上半身を上げさせるように手綱を操り、まだ地に伏していた俺の手の甲を踏んづけた。

 

 

「がはぁっ!」

 

「次に会うことがあれば殺す。いいか、このまま帰るんだ!」

 

 

そう警告したナターシャは愛馬を走らせてこの場を去って行った。俺はすぐに立ち上がって無線機で大佐の周波数に合わせて通信を入れる。

 

 

「こちらスネーク。大佐、聞こえるか?」

 

『聞こえているぞ。スネーク、大丈夫か?』

 

「ナターシャが……ボスが待ち伏せしていた」

 

『なんだと!』

 

「彼女はオセロットが作ったのかパトリオットで上空に発砲した」

 

『不味いな、敵の偵察部隊が駆けつけてくるはずだ』

 

 

確かに偵察部隊がここに駆けつけてくるのは厄介だが、何故ナターシャは俺がここにくるのが分かっていたのか理解できなかった。

 

 

「わかってる。しかし何故ここにボスが?情報が漏れているとしか思えない」

 

『わからん。現に敵の配置、地形、兵器情報にはこちらが備わっているはずだ』

 

「それと銃をなくした……。ボスに銃を」

 

『わかっている。スネーク、君はなんとか77がいる廃城まで向かうんだ。くれぐれも敵に見つからんようにな』

 

 

大佐との通信を終えたと同時に俺は近くの茂みに隠れた。すると帝国軍の偵察部隊がやって来た。やって来た偵察部隊の人数は二人。そして二人は不時着し、自爆して炎上しているドローンを目撃する。

 

 

「うぉっ!?なんだこりゃ?」

 

「鉄の塊か何かのようだが、人が入れるくらいのスペースがある。誰かは知らんが敵がこの国に侵入したようだ。探すぞ、まだ近くにいるはずだ!」

 

 

偵察部隊の二人は距離を離さず周辺を警戒しながら歩くの見た俺はこっそりと背後から近づき、そのまま俺はCQCで兵士二人を連続で地面に叩き伏せた。

 

 

「ぐっ?!ぐぉうっ!?」

 

「次!」

 

「何っ!?ぐっはぁ!?」

 

 

この戦法はサバイバル訓練が中止になった時に傭兵二人にやった時と同じように二人を無力化した後に俺は引き続き廃城まで向かった。廃城に待つ77と合流するために………

 





NGシーン


俺が廃城に向かっている時に馬の鳴き声が聞こえた。方向からしてドローンが不時着した場所にあった。その方向はバーチャスミッションでエルザを探していた見知った道だった。俺はそこに向かうことにした。そしてドローンが落ちたところに着くとドローンが既に自爆して燃え上がっていた。しかし不可解なことがあった。ここを巡回警備している帝国兵士がまだここにきていないこと。そして何より、誰かが乗ってきたと思われるサドルをつけた白馬がそこにいた。


「白馬……?一体、誰の馬だ?(そういえば馬って確か食えるんだったけか?まぁ無事に帰ったら食料庫にある馬刺しでも食ってみるか)」


そう考えながらも馬を触ろうとすると後方からよく知っている声が聞こえた。


「ダメよっ!」


俺は声が聞こえた咄嗟にM1911を声のした方向に構えるとそこには誰もいなかった。すると白馬は上半身を上げさせて再び地面に踏みつけると同時に俺に体当たりをして吹き飛ばした。


「どぉっあ!」

「スネーク」


すると白馬の上にはいる筈のないシャーリスの姿があった。


「シャーリス?どうしてここに…」

「食べてみようとか考えたでしょう?」

「俺はなにも…!む?」


俺は再び白馬を見た瞬間シャーリスに怒られる。


「スネーク!食べちゃダメよ」

「いくら俺でもそんなことはしないさ」

「嘘。そんな顔をしていた」


その時に木々に隠れていたナターシャが嫉妬と怒りの煙を上げていた。


「(おのれ、あの小娘……よくも私の愛馬を……!)」


そしてナターシャは機関車の様に走り出して帝国軍に伝えに行った。その時に俺はシャーリスに説教されながも何かが背後から通り過ぎたことに気がついた。


「むっ?」

「聞いていなかったでしょ?」


そしてこの説教はしばらく続いた……


「馬を食べようなんて考えないで。わかった?」

うん

「聞こえた?」

「あぁ」


すると周辺から帝国兵士達がわらわらとやって来たのだがシャーリスは構わず俺に説教を続ける。


「食べる気なのね」

「まさか」

「ダメですからねっ!とにかく、美味そうだなんて言わないでね」

「勘弁してくれないか…」


この光景を見ていた帝国兵士達は呆れながらも万国共通、女を怒らせてはならないことを思いながもスネークに同情していた。すると一人の帝国兵士が説教中のシャーリスを止めようとしたが……


「なぁ…君。彼も十分反省しているわけだしそろそろ勘弁してやってくれ「黙ってて!」…アッハイ」

「言っておくけどあなた時々、任務のこと忘れてない?」

「だがそれは…「黙って聞く!」勘弁してくれ…」


そして俺はシャーリスの説教を何時間も受ける羽目になり、帝国兵士達はそれを見守るだけであった。



END???


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