黒の剣士と幼馴染みの進む道(リメイク中) (雪楓❄️)
しおりを挟む

設定+プロローグ

 

 

 

 

 

 

 

 

桐ヶ谷和人

 

プレイヤー名 キリト

 

原作通り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一ノ瀬 紗倉

 

今作のヒロイン

 

プレイヤー名 サラ

 

ログイン時 14歳

和人の幼馴染み。家が隣同士であり家族ぐるみの付き合いである。和人とはゲームを通して仲良くなり、βテストも一緒に応募したが落選してしまったためβテスターではない。

性格は、大人しくとても優しい。が、怒るととても怖いためキリトが無茶をすることの抑止力に多少なっている。

容姿は、肩に掛からないぐらいの長さの茶髪。顔は綺麗よりは可愛いほうである。

 

主武器 槍(ユニークスキルはもしかしたら…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜紗倉side〜

 

 

やっとできる。

βテストは、落選しちゃったけどあれだけ和人がハマるってことは相当期待ができる。

 

そろそろ正式サービス開始ー。

ちゃんと和人のこと見つけられるといいな。

 

「リンク・スタート」

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

〜サラside〜

 

私は、初めてのフルダイブに感動して、呆然と立ち尽くしてしまった。

 

「早く和人と合流しなきゃ」

 

そう思い、和人との合流場所にいくとそこにはどこぞのRPGに出てきそうな勇者顔の青年が立っていた。

 

「あのー…」

 

「はい?何か用ですか?」

 

「いえ、ここで知り合いと待ち合わせしていまして。」

 

「もしかして、紗倉か?」

 

「てことは、もしかして和人??」

 

「あぁ、そーだよ。ここでは、和人じゃなくてキリトって呼べよ」

 

「良かった〜。ほんと、会えなかったらどーしようかと思ってたよ。それにしても、キリトって安易な名前だねー。ちなみに私は、サラだからね。よろしく」

 

「サラだって、人のこと言えないじゃないか。まぁ一先ず、合流出来たことだし武器や行こうぜ。」

 

「そーだね。案内よろしくね!」

 

 

 

 

〜武器屋へ向かう途中〜

 

「おーい。そこのにぃーちゃん。あんたβテスターだろ?

序盤のコツちょいとレクチャーしてくれねぇか?」

 

「あぁ。俺は別にいいけど。。サラは?」

 

「うん。別にいいよ!むしろ、大歓迎だよ!」

 

「わたくし、クラインというものです。独身22歳。彼女募集中!」

 

「アハハ…」

 

「はぁ…。クラインお前、これはアバターだからもしかしたら、男かもしれないんだぞ?」

 

「ちょっとキリト?どういう意味かな?」(ニッコリ)

 

「いえ。なんでもありません。」ヒヤアセ

 

 

 

「…俺はキリト。よろしく」

 

「私はサラです。よろしくお願いしますね、クラインさん」

 

 

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

その後、クラインさんと一緒にキリトにソードスキルについて、教えてもらいました。

 

ちなみに、みんなの武器は

 

キリト 片手剣

 

私 槍

 

クラインさん 曲刀

 

って感じです。

 

 

「しっかし、すげぇーよな。未だに信じらんねぇよな、ここがゲームの中だってことが」

 

「ですよね。私もログインした時は感動で立ち尽くしちゃいましたし…」

 

「だろ?マジでよかったぜ。この時代に生まれてよぉ」

 

「サラもクラインも大袈裟だなぁ」

 

「まぁでも、確かにこの世界はこれ1本でどこまでも行けるんだ。……仮想世界なのに現実より生きてるって感じがする」

 

 

「それで、2人ともこれからどーする?まだ続けるか?」

 

「あったりめぇよ!と言いたいところなんだが、一旦落ちるわ。5時半にあっつあっつのピザが届くからな」

 

「準備万端ですね。」

 

「おうよ!…って、ありゃ?ログアウトボタンがねーぞ?」

 

「何言ってんだ、クライン。一番下の方に……」

 

「な?ねーだろ?」

 

「私の方もないよ?」

 

「まぁ、今日が正式サービス初日だからな〜。こんなバグもあるだろ。今頃、運営は半泣きだろーけどな」

 

「お前もな、クライン。今、5時25分だけど」

 

「しまったぁぁーーー。俺様のピザとジンジャーエールがあああぁぁ!!」

 

「それにしても、おかしいと思わないか?」

 

「そりゃおかしいだろーよ?バグなんだからよぉ」

 

「いや、ただのバグじゃない。ログアウト出来ないなんて今後の運営に影響する大問題だ。」

 

「確かに、言われてみればそうだよね。ほかに、ログアウトする方法はないの?キリト」

 

「…ない。プレイヤーが自発的にログアウトするにはこれ以外に方法は。。」

 

ゴーン、ゴーン、ゴーン

 

「えっ!?なに!?」

 

視界が光に包まれ、光が収まったので目を開けたら…

そこは先程迄いたフィールドではなく、何故か"始まりの街"でした。

 

 




今回は、ここまでです。

今後もこのような、感じで書いていこうと思います。
アドバイス、意見など、受け付けてますのでよろしくお願いします。

話は出来次第どんどん投稿していこうと思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第1話 〜デスゲーム開始〜

〜サラside〜

 

広場に転送されて少ししたら、上空に真っ赤なローブを着たアバターが現れた。

 

「プレイヤー諸君、私の世界へようこそ」

 

(私の…世界?)

 

「私の名は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の存在だ。」

 

(あれが、茅場晶彦。でも、何のために集めたんだろう?)

 

「諸君らは既に、メインメニューからログアウトボタンが消失していることに気づいていると思う。しかし、これは不具合ではない。繰り返す、これは不具合などではなくソードアート・オンライン本来の仕様である。」

 

「し、仕様だと…?」

 

横にいるクラインさんが小さな声で呟いた。

キリトも唖然としているのか、口を開いている。茅場晶彦はそんな事は気にしないかのように続けている。

 

「諸君らは今後、自発的にログアウトする事はできない。また、外部からの強制ログアウトも有り得ない。もし、それが試みられた場合ーーーー」

 

私は、その先の言葉を予想して固まってしまった。

 

「諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される。」

 

脳の破壊。それはつまり人の死を意味する。

私は恐怖のあまり、声も出なかった。

 

「脳を破壊するって。あいつ、頭おかしいんじゃねぇか?なぁ?キリト」

 

私はクラインさんの質問に対する、キリトの答えに、安心を求めた。が、それは無情にも現実を突きつけられてしまった。

 

「いや、可能だ。ナーヴギアのマイクロウェーブの原理は電子レンジと同じだ。リミッターさえ、外せば脳を破壊できる。」

 

更に、キリトは説明を続ける。

 

「それに、ナーヴギアには大量の予備バッテリーが搭載されてる。外部からの強制ログアウトは不可能だ。」

 

「ほんとに…?」

 

 

 

「なお、誠に残念なことに実際に警告を無視してプレイヤーの家族、友人がナーヴギアの解除、破壊が試みようとした例が少なからずあり、その結果ーー」

 

一瞬の静寂の後…

 

「―――既に二百十三名のプレイヤーが、現実世界から永久退場している」

 

茅場晶彦のアバターの周りにはその事件のニュースらしき

画面がいくつも表示された。

 

そして、茅場晶彦はさらに続けた。

 

「しかし、十分に留意してもらいたい。今後、このゲームにおける一切の蘇生手段は機能しない。HPが0になった瞬間、諸君らのアバターは永久に消滅し、同時に…諸君らの脳はナーヴギアによって破壊される。」

 

(HPが0になった瞬間…?)

 

私は想像出来てしまった。死ぬ瞬間を。

そして、理解もした。このゲームは本物であると。

 

 

「諸君らが解放される条件はただ一つ。このゲームをクリアすればよい。諸君らが、現在いるのはアインクラッド最下層。そこから、その層の迷宮区を攻略し、最上階にいるボスを倒せば次の層が解放される。それを繰り返し、アインクラッド第百層にいるボスを倒せば、ゲームクリアである。」

 

「クリア…?第百層だと!?ベータじゃ、ろくに上がれなかったんだろ!?」

 

「では、最後に一つ。諸君らのストレージに私からのプレゼントを入れておいた。確認してくれたまえ。」

 

全プレイヤーがその言葉に従い、ストレージを確認する。

 

「手鏡……?」

 

そこには、リアルよりも少し大人の女性らしい自分が写っていた。

次の瞬間…

先程のように、光に包まれる。

 

 

 

光が収まるとーー

 

そこには、14年間慣れ親しんだ自分の顔があった。周りをよく見てみると野武士面の男の人と、よく知っている女顔の少年がいた。

 

「キリト…!?と、…クラインさん??」

 

「オメェさんら誰だ?」

 

「サラと、…もしかして、クラインか?」

 

「てことは、オメェさんらがキリトとサラか!?」

 

周りをよく見ると、先程よりも男女比が明らかに変わっていた。スカートを履いた男性などなど……

 

「けどよぅ、何だってこんなことを…」

 

「どーせ、すぐに説明してくれるさ。」

 

キリトが空中のアバターを指さして言った。

 

 

「諸君らは今、”何故?”と思っているだろう。何故SAO及びナーヴギア開発者である茅場晶彦はこんなことをしたのか?と」

 

茅場晶彦はゆっくりと続けた。

 

「私はこの世界を作り、観賞するためにSAOを、ナーヴギアを作った。そしてその目的は、既に達成せしめられた。………以上で、ソードアート・オンライン正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の、健闘を祈る」

 

最後にそう締めくくり、アバターは消滅してしまった。

 

 

 

〜キリトside〜

 

アバターが消滅した後、広場は叫び声と悲鳴に埋め尽くされていた。

 

(このままじゃ不味いな)

 

「サラ、クラインちょっと来い!」

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

「サラ、クライン俺はこれから次の村に向かう。2人はどうする?」

 

俺は2人の顔を見ながら続けた。

 

「さっき、あいつが言っていたことが本当ならばこの辺のmobはすぐに狩り尽くされる。MMORPGの供給するリソースは決まっている。そのためにも、次の村を拠点にした方がいい。」

 

「わ、私はキリトに着いていく。もう、覚悟も決めたから…」

 

「悪ぃな。俺は広場に置いたきたダチを置いては行けねぇよ。」

 

「そうか…。なら、何かあったらいつでもメッセージ飛ばしてくれ。」

 

 

「おう!じゃあな。俺だって、こう見えて前のゲームではギルドの頭張ってたんだ。オメェさんにならったテクでどうにかしてみせらぁ」

 

俺は、サラの手を引いて歩き出した。

 

「キリト!サラ!おめぇら、案外可愛い顔してんな。結構好みだぜ。おれ!」

 

「お前もその野武士面の方が何十倍も似合ってるよ!」

 

「クラインさんも、そっちの方が好みですよー!」

 

走り出して、振り返った時にはもうクラインの姿は なかった。

 

 

(紗倉だけは、絶対に現実に帰してみせる!)

 

 

 




今回はここで終わりです。

そこで質問何ですが、もしサラにユニークスキルを持たせるとしたら攻撃系か、サポート系どちらがいいですか?活動報告にてアンケートを取るので良ければお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話〜森の秘薬クエスト〜

〜サラside〜

 

キリトに先導してもらい、道中に出てきたモンスターを倒しながらホルンカの村に到着した。

 

「この村で、受けられる"森の秘薬"ってクエストの報酬で優秀な片手剣が手に入るから受けようと思うんだけど、サラはどうする?」

 

「う〜ん。槍のクエストって無いんだよね?」

 

「あぁ。ソードアートオンラインって言うだけあって、片手剣とかのクエストは第1層でもあるんだけどな。」

 

「じゃあ、私も手伝うよ!」

 

「よろしくな!じゃあ、俺はクエスト受けに行ってくるからちょっと待っててくれ。」

 

「うん。わかった」

 

キリトは、どこかの民家の中に入っていった。

 

(あの辺の、椅子にでも座って待ってよ)

 

「やぁ。そこのオネェーちゃん」

 

「きゃぁっ!?」

 

「ニャハハハ。面白い反応ありがとナ」

 

「むぅ…ところで、あなた誰ですか?」

 

「オレっちは、アルゴ。これでも情報屋やサ」

 

「私は、サラです。よろしくお願いします」

 

「じゃあ、サーちゃんだナ」

 

自己紹介が終わって、アルゴさんに変なアダ名を付けられたところでキリトが戻ってきた。

 

「お待たせ。ん、そこの人は?…」

 

「おいおい。忘れられちゃうなんてオネーサン悲しいナ。キー坊」

 

「その呼び方。まさか、アルゴか!?」

 

「ニャハハハ。ちゃんと覚えてたカー。オネーサン嬉しいゾ」

 

「それで何の用だ?」

 

「一つはキー坊が、人を連れてたから挨拶に来たってだけサ。もう一つは、これを作る手伝いをして欲しいんダ。」

 

「それは攻略本ですか…?」

 

「サーちゃん、よく分かったナ。」

 

「わかったよ、アルゴ。その代わりに調べて欲しいことがある。」

 

「いいゾ。手伝って貰うんダ。で、何を調べればいいんダ?」

 

「ーーーーー。を調べてほしい」

 

キリトが何を言ったのかは、よく聞こえなかったけど多分私には聞かせたくなかったんだと思う。

 

「わかったゾ。じゃあ、契約成立だナ。」

 

そう言うとアルゴさんは、どこかへ消えてしまった。

 

「どこか行っちゃったね…」

 

「あぁ。まぁ、クエスト行こうぜ。」

 

「そーだね。」

 

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

数時間後

 

「落ち…ない…」

 

「キリト〜。βテストの時もこんなに落ちなかったの〜?」

 

「いや、βの時の方がまだ落ちたと思う… 」

 

そう言いながら、キリトは目の前のリトルペネントを屠ったところで明るいファンファーレが流れた。キリトのレベルが上がったらしい。

 

「おめで…」

 

そう言おうと思っていたら

 

パン、パン、パン

 

と拍手のような破裂音が聞こえた。

 

「「っ!?!?」」

 

 

「レベルアップおめでとう。」

 

そう言いながら、片手剣とバックラーを持ったプレイヤーがこっちに歩いてきた。

 

 

 

〜キリトside〜

 

拍手をしながら、プレイヤーがこっちに歩いてきた。

 

「誰だ?」

 

「あ〜。ごめんごめん。僕の名前は、コペル。君たちも森の秘薬クエストやっているんだよね?」

 

「はい。そーですけど。」

 

「僕も手伝っていいかな?僕もやっているんだけど、なかなか落ちなくてさ」

 

「…サラどうする?」

 

「効率も上がるんだし、いいんじゃないかな。2人より3人の方が楽そーだしね。」

 

「じゃあ、よろしく頼む」

 

「こちらこそよろしく!」

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

数十分後

 

「なかなか、出てこないね〜。」

 

「あぁ。ドロップ率もそーだがポップ率も随分落ちてるな」

 

そんな愚痴を言いあっていた。

 

「あっ!キリト、"花付き"だよ!」

 

「あぁ。けど、"実付き"がいるな。」

 

「じゃあ、僕が"実付き"のタゲを取るから2人で速攻"花付き"を倒して合流して」

 

「…わかった。行くぞ、サラ」

 

「うん。わかったよ」

 

 

 

「はぁぁぁっ!」

 

レイジスパイクでHPを5割程削る。

 

「やぁぁぁっ!」

 

サラの、ツイン・スラストでリトルペネントのHPが1割まで削られた。

 

「はぁぁぁ!」

 

片手剣を横に一閃。目の前のリトルペネントはポリゴン片へと変わった。

 

「キリト。胚珠は?」

 

「あったぞ!コペルは…!?」

 

「…ごめん」

 

「おい、だめだろ…それ」

 

コペルのバーチカルが、頭の実を破壊した。

 

バァァン

 

破裂音が鳴り響いた。

 

「…ほんと、ごめん」

 

「コペルさん、何を!?」

 

コペルは、俺達の視界から消え茂みへと消えていった。恐らく、隠蔽スキルをとっていたのだろう。

 

「MPKか…」

 

"MPK"…モンスタープレイヤーキル。

恐らく、俺が今手に入れた胚珠が目当てだろう。

 

「…そうか、コペル。お前知らなかったんだな…」

 

「隠蔽スキルは確かに便利なスキルだけど、"視覚以外で相手を探すmob"には効果が薄いんだ…例えば、【リトルペネント】とかさ…」

 

「うぁぁっ!?」

 

コペルが消えて行った茂みの方に集まってきたリトルペネントが2、3匹行っていた。

 

「…悪いが、サラを巻き込んだお前を助けるつもりはない」

 

俺はそれだけ、コペルが消えていった方へと呟き自分たちの方に向かってきているリトルペネントの群れと対峙した。

 

「サラ!とりあえず、生き残るぞ!」

 

「うん!」

 

俺達は、ホルンカの村へと走り出した。

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

「はぁ、はぁ、はぁ。何とか生き残ったな」

 

「はぁ。はぁ。そ、そーだね。ほんとに良かった。」

 

あれから、ホルンカの村の方へと目の前にいるリトルペネントを倒しながら2人で走った。

 

「…それじゃあ、俺はクエストをクリアしてくるよ。あ、あとこれサラにあげるよ」

 

「ん?これって胚珠?」

 

「あぁ、さっきもう一つ落ちたんだ。一応、アニールブレード手に入れといて損はないだろ?」

 

「う、うん。それもそーだね」

 

「じゃあ、行こうぜ」

 

俺は少し早歩きで民家へと向かった。

 

「あ、待ってよ〜」

 

サラは急いで立って、小走りでこっちを追ってきた。

 

(あぁ、ほんとに一緒に生き残れてよかったな。)

 

俺は改めて、幼馴染みの大切さに気がついた。

 

 

 

 

 




本日の投稿はここまでです。

話し方など、多少変なところがあるかもしれませんがご了承ください。

サラのユニークスキルについてのアンケートを活動報告で行っているので宜しければそちらもお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話〜新たな出会いと攻略会議〜

今回は、あのキャラが出てきます。
1人は、今作において多分1番扱いが難しくなるであろうあの方です。

もう1人は、お楽しみってことで。どうぞ!


〜サラside〜

 

デスゲームが始まってから2ヶ月ほどが経った。

私とキリトは、今第1層の迷宮区にいた。

 

「あと、どれくらいあるの〜?これ」

 

「さぁな。けど、あと少しだとは思う」

 

私の愚痴に答えてくれるキリト。

そんな話をしながら歩いていると、前方に1人のプレイヤーがいた。

 

「やぁぁぁっ!」

 

その剣は、まるで流星のように美しかった。

 

「今のはオーバーキル過ぎるよ」

 

 

私が剣に見とれていると、キリトはふとそんなことを言った。

 

(確かに、今のはソードスキル使わなくてもよかったのかな…?)

 

「オーバーキルで何が悪いのよ」

 

「今のはソードスキルを使わなくても、通常攻撃で事足りたってこと。ソードスキルは集中しなきゃいけないし、帰り道のことを考えたら体力は出来るだけ温存しておいた方がいい。」

 

「そう…なら、関係無いわ。私、帰らないから。」

 

一瞬耳を疑った。

このデスゲームで、ただでさえ精神的に疲弊するというのに迷宮区に潜りつづけるなんて…死にたいとしか思えない。

 

「…いつまで潜っているつもりですか?」

 

「…ずっとよ。今までもずっと潜り続けたし。武器の予備もポーションもたくさん買ってあるからまだ大丈夫でしょ」

 

「そんな、他人事みたいに…」

 

「…何日間続けているんだ?」

 

「さぁ?…3.4日ぐらいじゃないかしら。忘れたわ。

もういいでしょう?そろそろ、モンスターが復活するから行くわねーー」

 

「…そんな戦い方していたら、死ぬぞ?」

 

「そう。でも、…どうせみんな死ぬわ。それが早いか遅いかの違いよ」

 

そう言うとフェンサーさんは、歩いていってしまった。が、数歩歩いていってしまったところで糸が切れたように倒れてしまった。

 

「「あっ!?」」

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

「んっ。」

 

「あっ。大丈夫ですか?」

 

「…何で助けたの」

 

「…別にあんたを助けたわけじゃない。あんたが持ってるマッピングデータがなくなるのは残念だと思っただけだよ」

 

「素直じゃないな〜」

 

「はい、じゃあこれ。」

 

フェンサーさんは、そー言いながらキリトにマッピングデータを渡した。

 

「あっ。あなたも攻略するなら、これからトールバーナって言う街で攻略会議があるらしいので一緒に行きませんか?」

 

フェンサーさんは少し考えて

 

「… わかったわ。」

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

トールバーナ広場

 

「わぁ。もうこんなに人がいるんだ。」

 

広場には、40近い人がいた。

 

「いや。ボス攻略ならこの人数はちょと心許ないな。」

 

「…そっか。」

 

そんなことを言いながら私とキリトは、後ろの方へと座った。

周りを見渡してみると、先程別れたフェンサーも無事に到着したようだ。

 

 

「はーい!それじゃあ、始めさせてもらいまーす。」

 

青髪のいかにも好青年と言った容姿をしたプレイヤーが広場の中心にいた。

 

「まずは、今日は俺の呼びかけに集まってくれてありがとう!」

 

「おれの名前は、ディアベル。職業は…、気持ち的にナイトやってます!」

 

周りからはツッコミや、笑い声が起こる。

 

(凄いなぁ。もうみんなの心を掴んでる)

 

「俺達のパーティーは今日、ボスの部屋を発見した。」

 

その言葉に周りもどよめき、先程よりもずっと真剣な表情になった。

 

「…ここまで、2ヶ月も経ったけど俺達でこのボスを倒して、このゲームはクリア出来るんだってことを"始まりの街"で待っている人達に証明しなきゃいけないんだ!それがここにいる俺達トッププレイヤーの義務なんだ。そーだろ、みんな!」

 

ディアベルさんの言葉は、みんなを奮い立たせるには十分すぎるようだった。

 

「よし!じゃあ、近くにいる人や仲間とパーティを組んでくれ!」

 

「なっ!?」

 

「えっ!?」

 

私もキリトも、完全に忘れていた。

そんなことをしているうちに周りの人達はどんどんパーティーを組んでしまって私とキリトは完全に溢れてしまった。

 

「…どうしよう?」

 

「とりあえず、2人でパーティーを組んでおこう。他にも溢れた奴は…っと」

 

周りを見渡すと、フェンサーさんと青いフードを被った人が溢れていた。

 

「じゃあ、キリトがフェンサーさん誘って来て。私はあっちの青いフードかぶってる人の方に行ってくるから。」

 

「わかった」

 

私は青いフードに人の方へと移動した。

 

 

(随分と小柄だなぁ。もしかして、女の人かな?)

 

「あのぉ〜、もし良かったら私達とパーティー組みませんか?」

 

「あっ、いいんですか?」

 

「う、うん。私たちも2人しかいなくてさ」

 

「うん!じゃあ、よろしくね。私、フィリアって言うんだ!」

 

「私は、サラ。よろしくね、フィリア!」

 

 

 

〜キリトside〜

 

(あのフェンサー、アスナと言うらしい。

パーティーを組んだのはいいが、無言の威圧感?というヤツが凄いのでサラよ早く戻ってきてくれ!)

 

そんなことを考えていたら、サラが青いフードの人を連れて戻ってきた。

 

「キリト。こちらは、フィリアさん。」

 

「よろしくな。フィリア」

 

「うん。よろしくね、キリト」

 

挨拶が終わったところで、

 

「そろそろ組み終わったかな?それじゃあーー」

 

「ちょお待ってんかぁー!!」

 

そんなことを言いながら、イガグリ頭をした関西人?が広場に降りていった。

 

「ワイは、キバオウっちゅうモンや。ボス攻略の前に言わせてもらいたいことがある!」

 

嫌な予感がした。

 

「こん中に、今まで死んでいった二千人に詫びぃいれなアカンやつがおる筈やで!」

 

「キバオウさん、君が言うやつらとは……元ベータテスター達の事かな?」

 

ディアベルはとても落ち着いた声音で、キバオウに訪ねた。

 

 「せや!ベータ上がりどもは、こんクソゲームが始まったその日に”はじまりの街”から消えよった。右も左も分からん九千人のビギナーを見捨ててな!やつらはウマい狩場やボロいクエストやらを独占して、ジブンらだけポンポン強うなった後はずーっと知らん振りや!こん中にもおる筈やで!ベータ上がりっちゅうのを隠してボス戦に参加しようとしてる小ズルイやつらがな!」

 

身体が震えてしまう。

キバオウはさらに続ける。

 

「そいつらに土下座さして、溜め込んだ金やらアイテムやらを全部吐き出してもらわな、パーティーメンバーとして命を預けられんし、預かれん!」

 

未だに身体が震えてしまっていると、サラが俺の手を握ってくれた。

 

「…大丈夫。キリトは何も悪くないよ。ビギナーの人のための攻略本作るの手伝ってあげたでしょう?」

 

その言葉に少し、救われた気がした。

 

 

〜サラside〜

 

キリトが震えていたので、手を握って言葉を掛けた。

きっと、キリトはクラインさんを置いていってしまったことに責任を感じているのだろう。

私には慰めにもならない言葉しかかけることはできなかった。

 

 

広場では、ガタイのいいエギルさん?がキバオウに何かを言っていた。

キバオウは、言いくるめられたようだが多分納得はしてないと思う。

 

(と言うか、あの攻略本って無料だったの!?)

 

隣を見るとキリトも驚いていた。

 

「えっ?私も無料で配ってたの貰ったよ?」

 

「えぇ。私も貰ったわ」

 

「「500コルが…」」

 

アルゴさんには、後でお・は・な・ししなきゃ。

 

 

「さて、先程エギルさんが言っていた攻略本だけど…実は…最新版が発行された!」

 

ディアベルの発言に、集まっていた人全員が驚く。

 

「それによると…ボスの名前は【イルファング・ザ・コボルトロード】で、【ルイン・コボルトセンチネル】という取り巻きが、最初とボスのHPが一段減るごとに三体ずつポップする。ボスの武器は片手斧とバックラーだが、四段あるHPバーの最後の段がレッドゾーンに入ると、曲刀カテゴリのタルワールに持ち替える。取り巻きの方はポールアックスを使用する……とのことだ」

 

その情報を元に、各パーティーに役割を分担していった。私たちは、取り巻きの相手らしい。

 

 

「最後に、金はシステムによる自動均等割り、経験値は敵を倒したパーティーのもの、アイテムはゲットした人のものとする!異存は無いな!」

 

誰も異存はないようだ。

 

「よし!明日は10時に出発。遅れないようにしてくれ!じゃあ、解散!」

 

アスナさんは少し不満そうにしていたが、キリトがそれを納得させていた。

 

「じゃあ、今から少しPスイッチとOTローテの練習をしよう」

 

 

「「スイッチ?POTローテ?」」

 

「なっ!?もしかして、2人ともパーティー組むのはじめてか?」

 

「う、うん。そーだよ」

 

「…何か悪い?」

 

キリトは思いっきり頭を垂れていた。

 

(こらこらキリト。そんなにあからさまに落ち込まないの。)

 

私たちは、スイッチの説明などのため私たちが今泊まっている農家へと行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




少し長くなってしまいました。

フィリアを出したのは、作者が好きなキャラクターだからってだけで特に意味はありません!

それにしても、アスナの喋り方って難しいですね…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話〜第1層ボス攻略前夜〜

本日、2話目です。

今回は、少し少なめです。


それではどーぞ!


〜キリトside〜

 

今、俺とサラが泊まっている農家にいるんだが…

女子だからなのだろうか、説明するだけだったはずなのだが、、現在1人部屋で待たされている。

 

こうなったというのも、この農家にお風呂があったのが原因なのだが。そーまでして入りたいものなのだろうか。

それに、あの大きさのお風呂に3人はちょっと狭いような気もする。

 

 

コンッ、コンッ

 

「ん?誰だ?」

 

ガチャッ

 

「よぉ。キー坊」

 

「なんだ。アルゴか」

 

「なんだとは、オネェさん悲しいナ」

 

「…それで、今度はなんだ?」

 

「例の件。今日中なら、3万9千8百コルまで出すそーダ」

 

「…サンキュッパか」

 

「どうダ?」

 

このやり取りも何度目か。聞かれるまでもなく俺の答えは決まっている。

 

「売らないよ。いくら積まれても売るつもりはない。」

 

「…そーカ。依頼主にはそー伝えておくヨ。」

 

(これ以上、しつこくされるのもなぁ…)

 

「アルゴ、依頼主の口止め料っていくらだ?」

 

「千コルだヨ」

 

「じゃあ、千二百コル出す。依頼主の名前を教えてくれ」

 

そう言うとアルゴはどこかにメッセージを送っていた。

大方、依頼主に確認を取っているのだろう。

 

「教えても構わないそーダ」

 

「そうか。それで誰なんだ?」

 

「キー坊もよく知っているヤツダ。今日、広場で大騒ぎしていたからネ」

 

「…キバオウか?」

 

「ご名答だヨ」

 

(依頼主があいつだと分かったが、何故だ?)

 

4万コル近くあれば、俺の剣と同等のスペックのものを作れるのだ。

【アニールブレード】は確かに序盤でこそ優秀な剣だが、決して珍しい武器ではない。

 

「…悩んでも仕方ない事だと思うゾ」

 

「…あぁ、そーだな」

 

「そーだ、キー坊。装備変えたいから隣の部屋借りるゾ」

 

「あぁ。……ん?ちょっと待てアルゴ」

 

俺の声も虚しく、アルゴは隣の部屋のドアを開けてしまったーー

 

ーーしかも、最悪な事に丁度3人がお風呂から上がったところに…

 

「「「きゃぁぁー!?」」」

 

そんな悲鳴とともに、俺は飛んできた何かに意識を奪われた。

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

〜サラside〜

 

さっきは思わず、キリトにものを投げてしまった。

未だに少し、思い出すと恥ずかしい。

隣の2人に関しても、アスナさんは時々睨んでるし、フィリアさんも時々顔を赤らめていた。

 

「…えっと、じゃあ説明するけど」

 

「まず、簡単に言うとPOTローテって言うのはーーーー。スイッチはーーーー。ってことなんだけど、ここまで大丈夫?」

 

「えぇ。」

 

「うん。大丈夫だよ!」

 

多少気まずそうなキリトの説明に、2人とも理解したようだ。

 

「それで、明日は俺とサラがソードスキルでセンチネルのポールアックスをはねあげさせるから、そしたら2人はすかさずスイッチしてくれ」

 

「わかったわ」

 

「うん!」

 

「あとは、ーーーーーーーーーーってことぐらいかな。じゃあ、今日はこれで。明日は頑張ろう」

 

キリトがそー締め目くくり、2人を街の宿まで送っていった。

 

「キリト。明日は絶対に勝とうね」

 

「そーだな。サラは絶対に俺が守るよ」

 

「ありがと。無理だけはしないでね。」

 

「あぁ。わかったよ」

 

(キリトに守ってもらうだけじゃなくて、私もキリトを守れるぐらい強くならなきゃ)

 

そう思って見上げたアインクラッドの夜空はとても綺麗だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




えー、POTローテとスイッチの説明に関しては長くなりそうだったので省略させていただきました。

あと2話ぐらいで、第1層終わらせたいと思います。

アンケートの参加お願いします。
今回も読んでいただきありがとうごさいました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話〜第1層ボス攻略〜

〜サラside〜

 

今、私たちはボス部屋の前にいる。

 

 

「俺から言えることは一つ、勝とうぜ!」

 

「おぉ〜!!」

 

ディアベルさんの言葉に、その場にいる全員が反応する。もちろん私たちを抜いてだが。

 

「キリト、無茶だけはしないでね」

 

「サラこそ。無理するなよ」

 

そう言いながらキリトは私の肩を叩く。

 

「…行くぞ!!」

 

と言いながら、ディアベルさんはボス部屋の扉を開いた。

レイド全員がなだれ込むようにボス部屋へと入っていく。中まで進むとボス部屋に明かりが灯り、玉座に鎮座する王【イルファング・ザ・コボルトロード】が玉座から跳躍する。

 

「グルアァァァーーー!」

 

コボルトロードが雄叫びを上げると同時に、その横に取り巻きであるコボルト・センチネルがポップする。

 

「…攻撃開始ーー!!」

 

その言葉を合図に、レイド全員が突撃していく。

こうして、第1層ボス攻略が始まった。

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

カンッ、カンッ

 

「スイッチっ!」

 

そう叫ぶとフィリアさんはすかさずセンチネルに攻撃をする

 

「やぁぁっ!」

 

フィリアさんのアーマー・ピアースがセンチネルの喉元へと吸い込まれセンチネルのHPを削り取る。

 

「ナイスです!」

 

「ありがとう♪」

 

キリトたちの方を見ると、あちらも順調のようだ。

しかし、キバオウさんがキリトに近づいていき何かを言った後少しキリトの表情が曇ったように見えた。

 

(…どうしたんだろう)

 

そんなことを考えていると、またセンチネルがリポップした。

 

「…フィリアさん。行きましょう」

 

「うん!」

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

「…サラ、お疲れ」

 

キリトたちの方もひと段落したようで、こっちに来た。

アスナさんはフィリアさんと話してるようだ。

 

「そっちもお疲れ様。それにしても、あの2人とんでもなく凄いね」

 

「…あぁ。正直あれほどとは思ってなかったよ」

 

「ちょっとぉ〜。2人とも気抜きすぎだよ!」

 

フィリアさんに注意されてしまった。確かにまだボス戦の最中なのだ。

コボルトロードの方を見るともう最後の1段がレッドゾーンに入る直前まで削られていた。

 

「グルアァァァー!!」

 

コボルトロードは持ってた片手剣と盾を放り投げた。

 

「情報通りみたいやな」

 

「…下がれ!俺が出る!」

 

私はそのディアベルさんの行動に疑問を感じた。

 

(普通ここは、全員で攻撃がセオリーなんじゃ…?)

 

「グルルゥ」

 

コボルトロードは低い唸り声とともに武器を引き抜く。

私は、その武器を見た瞬間嫌な予感がして気付いたときには走り出していた。

 

「だめだっ!!全力で、後ろに跳べー!!」

 

キリトの忠告が背中から聞こえた。

 

コボルトロードは、飛び上がりそれによりディアベルさんのソードスキルは空振りに終わる。ディアベルさんは技後硬直のせいでコボルトロードのソードスキルをもろに受けてしまった。

コボルトロードは、追撃するようにソードスキルを発動。私はその斜線上に入りソードスキルを発動した。

 

「はぁぁぁっ!」

 

私のソードスキルが当たったことによりコボルトロードのソードスキルはキャンセルされたが、私は弾いたことにより吹き飛ばされてしまった。

 

 

〜キリトside〜

 

一瞬目を疑った。

先程まで、隣にいたはずのサラがコボルトロードのソードスキルを止め吹き飛ばされたのだ。

 

「サラっ!!」

 

俺は全力でサラの元へと向かった。

 

「…大丈夫か!」

 

「う、うん。大丈夫だよ。」

 

「人には無茶するなよって言ったくせに。自分がしてるじゃないか」

 

「アハハ…面目ありません」

 

「無事で良かった。…立てるか?」

 

「うん。ありがと」

 

サラは俺の手を取って、立ち上がった。

ディアベルの方を見ると、フィリアとアスナが回復ポーションを無理やり飲ませていた。

 

「…ディアベル、なんで1人で突っ込んだ」

 

「お前もβテスターなら、わかるだろ?」

 

「…LAボーナスか」

 

LAボーナス…ラストアタックボーナス。唯一無二のレアものをラストアタックを決めた者にだけが手に入れることが出来る。

 

「あぁ。…俺はこの通り、当分動けそうにない。済まないが、ボスを倒してくれないか」

 

「わかった。任せろ」

 

そうディアベルに告げ、俺はコボルトロードの方を見据える。

 

「…私も行くよ」

 

「私も行くわ」

 

「私も」

 

サラ、アスナ、フィリアが俺の横に並んだ。

なんとも頼もしい、パーティーメンバーだ。

 

「…よし。手順はセンチネルと同じだ」

 

「「「りょーかい!」」」

 

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

カンッ、カンッ

 

俺はヤツのソードスキルをキャンセルし続けていた。

 

「スイッチっ!」

 

その言葉と同時にアスナとフィリアが走り込んでくる。しかし、その時コボルトロードの目が妖しく光った。

 

「アスナッ!」

 

「フィリアさんっ!」

 

2人は声に気が付きは間一髪のところで避けるが、ケープが壊れてしまう。2人はそんなことを気にする素振りもなくソードスキルを叩き込んだ。

ーーケープが壊れたことで、2人の素顔をが晒される。そこには美少女と呼ぶべき少女がいた。それこそ、レイド全員がボス戦だということを一瞬忘れて見惚れてしまうぐらい。

 

「…私も外そうかな。邪魔だしこれ」

 

そう言いながら、サラもケープを外した。ーー再び、レイドメンバーは目を奪われてしまった。

 

その際、俺への視線が強くなったのは気のせいだと思いたい。

 

「グルルゥ」

 

「…次、来るぞっ!」

 

俺はコボルトロードとの撃ち合いを再開した。

 

そして、何度目かの撃ち合いの際…俺は読み間違えた

 

「…しまーーっ!?」

 

俺は後ろにいた3人を巻き込んで吹き飛ばされてしまった。

 

「っっ!!」

 

 

コボルトロードの刀が眼前まで迫ってきた。

 

「うおおらあぁぁぁ」

 

その時、誰かがコボルトロードの刀を弾いた。

 

「あ、あんたは…」

 

「いつまでもアタッカーにタンクをされてちゃ面目がない。あんたらが回復するまで支えるぜ!」

 

「…あんたは。」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

 

「「「「うおぉぉぉ」」」」

 

エギルたちが、コボルトロードにソードスキルを当て続けるがコボルトロードのHPはなかなか減らない。

 

「グルアァァァ」

 

コボルトロードがエギルたちをなぎ払い、飛び上がった。

 

「まずいっ!」

 

おれはソニック・リープで斜め上に飛び上がった。

 

「届けぇーー!!」

 

俺の剣はギリギリのところで届き、コボルトロードは転倒状態になる。

 

「サラ、アスナ、フィリア!最後の攻撃一緒に頼む!」

 

「うん!」

 

「えぇ」

 

「分かったよ!」

 

 

「グルアァァァ」

 

俺とサラがコボルトロードの攻撃を弾き、アスナとフィリアがコボルトロードにソードスキルを当てる。

その後ろから、俺とサラがソードスキルを発動する。

 

「これで…」

 

「終わりだぁー」

 

俺のバーチカル・アークとサラのツイン・スラストの二連撃によりコボルトロードは爆散音を残しポリゴン片へと変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでです。

ちょっと無理やりな展開だったでしょうか?
作者の文章力ではこれが限界でした。すみません

感想やアンケートへの参加、待ってます。
今回も読んでいただきありがとうございました


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話〜ビーターと〇〇〇〜

1日空いてしまってすいません。

サラの立ち位置などを考えていたら、あまり考えがまとまらず昨日は投稿できませんでした。


それではどうぞ


〜サラside〜

 

"Congratulation"

 

その文字とファンファーレの様な音によって、私たちは漸くこの戦いが終わったことに気がついた。

 

「「よっしゃー」」

 

周りはこの戦いに参加した人達の喜びの言葉で溢れていた。

勝利により目の前のウインドには経験値やらコルやら手に入ったアイテムやらが表示されていた。

 

"You got a last attack bonus"

 

(ん?ラストアタックボーナス?最後の攻撃がたまたまキリトと同時になったのかな?)

 

キリトの方を見ると同じ様なウインドが出ていた。

 

「Congratulation。見事な剣技だった。この勝利はあんたらのもんだ。」

 

エギルさんがそう賞賛してくれると、周りからも少なからず賞賛の声が上がった。

 

「2人ともお疲れ〜♪」

 

「お疲れ様」

 

「ありがとうございます。お二人もお疲れ様でした」

 

「ありがーー」

 

キリトが感謝を述べようとした時ーー

 

「なんでやっ!!」

 

キバオウさんが叫んだ

みんなが唖然としてる中キバオウさんは続ける

 

「なんでっ、なんでディアベルさんを見殺しにしようとしたんやっ!!」

 

「…見殺し?」

 

キリトは訳が分からない様子で聞き返した。

しかし、"見殺し"という明確で残酷な言葉に周りもザワつく。

 

「そうやろが!ジブンはボスの使う技、知っとったやないか!あの情報を伝えとったら、ディアベルはんは危ない目にあわずに済んだんやっ!!」

 

当のディアベルは俯いているだけだった。が、キバオウの叫びによってレイド全体が、会議の時のような疑心暗鬼になりかけていた。お互いに「そう言われてみれば…」や、「攻略本に載ってなかったよな…」といった疑問をぶつけ合っていた。

 

「おいおいあんたらなーー」

 

エギルやアスナたちは宥めようとするがキバオウたちのパーティーメンバーは止まらない。

 

 「きっとあいつ等、元ベータテスターだ!ボスの使う武器や技、知ってて隠してたんだ!他にもいるんだろ?元ベータテスターども、出て来いよ!!」

 

その一言でレイド全員、自分以外の全員を疑い始めた。

 

(このままじゃ、βテスターとの溝がさらに深まってしまう。でも、どうすれば、、、)

 

「…サラ、ごめん。」

 

キリトの小さな呟きが聞こえ、私はキリトの方を振り返った。

そして、わかってしまった。キリトがこれから何をしようとしているのかを。

 

(そんか事をしたら…和人がっ!)

 

その言葉を口から発することは私には出来なかった。

 

「ハハハッ」

 

キリトは全ての空気をぶち壊すように高らかに笑った。

そして、ふてぶてしい表情を作った。

 

「…元、βテスターだって?」

 

キリトはそのままキバオウたちの方へと歩いていく。

 

「俺をあんな"素人連中"と一緒にしないで貰いたいな」

 

キリトはこの場にいる全員を見下したようにして言い放った。

 

「な、なんやとぉ!?」

 

キバオウは怒鳴り返した。

 

「よく思い出せよ。SAOのクローズドβテストはとんでもない倍率の抽選だったんだぜ。その千人の中に本物のゲーマーが何人いたと思う?」

 

キリトが何をしようとしているか私にはわかっていた。わかっていても、止めることは私には出来なかった。

 

 

「βテストに当選した千人のうち、殆どはレベリングのやり方を知らないどころか満足に戦う事すらできない雑魚だっんだよ!今のあんた等の方が’まだマシ’さ」

 

キリトは周りに有無を言わせず、見下したように続ける

 

 

「だが、俺は違う。俺はβテスト中、誰も到達出来なかった層までたどり着いた。ボスのソードスキルを知っていたのも上の層で刀を使う相手と散々戦ったからだ!…他にも色々知ってるぜ。情報屋なんか問題にならないぐらいな」

 

キリトはそう締めくくった。

 

「なん…なんなんやそれ。……そんなんもうβテスターどころや無いやん…もうチートや!チーターやんそんなんっ!!」

 

キバオウが掠れた声で叫んだの皮切りに

 

「チーターだ!!」

 

「そうだ!ベータのチーター。だから、ビーターだ!」

 

ビーター。誰かがそう叫んだ。

 

「…ビーターか。いい名前だな……そうだ、俺はビーターだ。元テスター如きと一緒にしないでくれ!」

 

そう言うとキリトは、先程のラストアタックボーナスであろうまさに悪役と言った漆黒のコートを着た。

 

「転移門のアクティベートは俺がしておいてやる。主街区まで少しあるから、ついてくるなら初見のmobに殺される覚悟をしとくんだな!」

 

キリトはそれだけ言うと歩いていってしまった。

 

(…私は何も出来なかった。せめて、キリトを1人にしないようにしなきゃ…)

 

私は、キリトの後を追うようにして走り出した。

 

 

「…ジブン、どこに行くつもりや?」

 

階段の手前でキバオウさんに呼び止められてしまった。

 

「…彼のところですけど?」

 

私がさも当然のように返すと

 

「お、お前、ビーターの味方をするのかっ!?」

 

さっき、キリトのことをビーター呼ばわりしていたプレイヤーが叫んだ。

 

「味方…?」

 

私は、自分でも驚く程低い声で言った。

 

「…私は彼のパートナーです。味方もなにも、私が彼を信じていなくて誰が彼を信じるんですか?…大の大人や彼よりも大きいあなた達が、まだ中学生ぐらいの彼をあれだけ寄って集って糾弾して楽しかったですか?…それならば、私は彼を守るために彼の所に行きます」

 

私は、思い切って言い放ち、先程手に入れた【コートオブ・ミットデイ】を着た。

非難が飛んでくるのも覚悟していたのだが、キバオウたちのパーティーは黙ってしまった。

それどころか

 

「…まるで、聖女のようだ」

 

 

なんて言う的外れな呟きが所々で聞こえてきた。

 

(…聖女ってなによ、、確かにこのコートは見た目某ゲームのジャンヌ・ダルクみたいだけどさ)

 

私は、内心ツッコミながらもう何も反論が無さそうだったので階段を登った。

 

 

〜キリトside〜

 

(はぁ…やっちゃったかな。紗倉に怒られるだろーなぁ)

 

そんなことを考えていると、後ろの階段から人が上がってきた。

 

「キリトっ!」

 

今まさに考えていた相手がそこにはいた。

 

「…サラか。付いてくるなって言わなかったか?」

 

「覚悟があるなら、来てもいいって言ってたよ。」

 

俺は自分の言葉を思い出して、ため息を吐いてしまった。

 

「それに、あそこにいる人たちに私はキリトの味方だって宣言してきちゃったしね」

 

(…なんてことを)

 

そう思ったが、現実でのサラの行動力を思い出して口に出すのはやめた。

 

「そんなことより、キリト?私言ったよね?無茶だけはしないでって」

 

サラは貼り付けた様なとても怖い笑顔で言った。

 

「そ、そーは言ってもだな。あの時はあれしかーー」

 

「ーーだからって、キリトが背負うことないでしょ!?」

 

「は、はい……」

 

俺はいつの間にか正座させられていた。

 

 

 

 

 

「ーーーーー。キリトはもっと周りを頼りなさい!」

 

サラの有難いお説教も、現実なら俺の足が痺れて感覚が無くなるであろう頃には終わった。

 

カツッ、カツッ

 

サラのお説教が終わったタイミングで、3人の人物が上がってきた。

 

「…2人とも少しいいかしら?」

 

「…アスナさん、フィリアさん。それにディアベルさんも」

 

アスナとフィリアが来るのは、サラが来た時点で何となく予想はしていたが…ディアベルまで来るのは意外だった。

 

「…サラ、あなたが言うだけ言っていなくなってしまうから大変だったのよ。」

 

「そーだよ?キバオウのパーティーにいたあの人が非難しようとしたらほかの人たちが「聖女様を侮辱するなっ!」とか言ってもう大変だっただから!」

 

「…アハハ」

 

(サラは、何をしてきたんだ?…本当に)

 

すると、今まで沈黙していたディアベルが

 

「…キリトさん、ほんとに済まなかった。サラさんも本当に助けてくれてありがとう」

 

俺は謝られた意味がわからなかったが、ディアベルの表情を見て何となくわかった。

 

「いや。あんたは、俺に出来なかったことをやったんだ。これからもプレイヤーたちを引っ張っていってくれ」

 

「いえいえ。助けられて良かったです。」

 

「…ありがとう。また、次の街で会おう。」

 

ディアベルさんは頭を下げそう言うと、振り返って戻っていった。

 

「あ、あとエギルさんと…キバオウさんから伝言。」

 

俺はまた驚いていてしまった。

エギルはまだしも、キバオウから伝言とは。。

 

「エギルさんからは、「また一緒にボス戦をやろう!」で、キバオウさんからは「ワイはやっぱり自分のことは認められん! 今日は助けてもろたがワイはワイのやり方でクリアを目指す。」だそうよ」

 

アスナは少し声真似をしながら伝えてくれた。

 

「そうか。ありがとう…君たち2人は強くなる。だから、もし信用出来る人にギルドに誘われたら断るなよ」

 

「…あなた達は?」

 

「私たちは、当分二人かな?ちょっとあそこには戻りにくいし…」

 

「なっ!?サラはもどーー」

 

「ーーなにかな?キリト」

 

「いえ。なんでもありません」

 

俺は即効否定した。

 

(…危ない。殺されるかと思った…)

 

「…それじゃあ」

 

「じゃあね♪」

 

そう言って、2人も戻っていった。

 

「さて、キリト案内よろしくね」

 

「わかりましたよ、お嬢様。」

 

「なっ!?」

 

顔を真っ赤にした、サラはスタスタ歩いていってしまった。

 

(…結局、紗倉にはかなわないな)

 

俺は自嘲気味に笑うと、サラを追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでです。

サラの【コートオブ・ミットデイ】のイメージは、fgoのジャンヌ・ダルクの衣装です。



アドバイスにあった情景描写を意識して多めにいれてみましたがどうでしたか?

感想、アドバイスよろしくお願いします。
あと、活動報告にてアンケートを行っているので参加お願いします。

今回も読んで頂きありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話〜黒猫と聖女〜

〜サラside〜

 

私たちは今、第11層に来ていた。

今は最前線が第26層なので最前線ってわけではありません。

では、何故?って思うかもしれませんがただの素材集めです。って、私は誰に説明してるんでしょうかね。

 

「キリト〜、素材は集まった?」

 

「あぁ、これだけあれば十分かな」

 

「じゃあ、戻ろっか」

 

「そーだな」

 

私とキリトは主街区の方へと歩き始めた。

 

 

 

少し歩いた所で、私たちはモンスターと交戦中のとあるパーティーを発見した。

 

「キリト、どーする?」

 

「…少し様子を見てからにしよう。」

 

キリトに言われた通り、私たちが少し様子を見ていたところモンスターが集まってきてしまった。

 

「…キリトっ!」

 

「あぁ。」

 

私たちはそのパーティーを助けるために走り出した。

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

〜主街区【タフト】〜

 

「我ら月夜の黒猫団と命の恩人であるサラさんとキリトさんに乾杯っ!」

 

「「「乾杯〜!!」」」

 

「「…乾杯。」」

 

今、私たちは先程助けたパーティーと祝賀会?をしている。というのも、先程無事に助けた際どうしてもお礼がしたいということで渋々私とキリトは着いてきたのだ。

 

「ところで、キリトさん。失礼だとは思いますが、キリトさんたちのレベルって今どれぐらいなんですか?」

 

ギルドマスターであるケイタさんがキリトに話しかけていた。

 

「…えっと。。」

 

キリトは何故か言いづらそうにしていたので私が代わりに言ってあげた。

 

「40くらいだよ」

 

キリトに少し驚いた顔で見られる。

 

(…仕方ないでしょ。どうせフード取ったらわかるんだし)

 

そう、私は何故かとても有名らしい。【聖女】なんて恥ずかしい二つ名まで頂いて。

 

「そ、そうなんだ。もし良かったら、ギルドに入ってもらおうと思ったけど攻略組の人じゃ無理でしたね」

 

「…ケイタ、歳も近いようだし敬語はやめよう」

 

「あぁ。…改めてよろしく。キリト、サラさん」

 

すぐに敬語から普通の話し方に戻せるあたり、流石のコミュニケーション能力だなっとサラは思った。

 

「…あの、サラさんもし良かったらフード取ってみて貰えませんか?」

 

ずっと静かにしていた、黒猫団の紅一点のサチさんが私にそう言ってきた。

 

(やっぱり、そう思うよね)

 

「うん。いいよ」

 

そう言うと、サラはケープをとった。

 

「「「「………………。」」」」

 

何故かみんな黙ってしまった。と思ったのも一瞬で

 

「「「「せ、せ、聖女様〜!?」」」」

 

黒猫団の面々のその叫び声は酒場全体に広がり、その場にいた全員がこちらを見る。

 

「お、おい。本物だぞ」

 

「すげぇ、綺麗だな」

 

「で、でもなんで、聖女様がこんな所に?」

 

各々様々な反応をみせていた。

 

(……やっぱりこーなった。)

 

「すごい人気だな」

 

キリトはニヤけた顔で言ってきたので、思いっきり足を踏みつけてあげた。

 

「っ!?」

 

(自業自得よ)

 

私は未だに驚いたままの黒猫団を見て、

 

「それでサチさん?…これでいいかな?」

 

「あ、うん。ごめんね、事情も知らずに」

 

サチさんは申し訳なさそうに言った。

 

「ううん、大丈夫だよ」

 

私がそう言うとサチさんはとても安心したように息を吐いた。

 

「それにしても、生の聖女様が見られるなんてラッキーだなっ!」

 

「だなっ!」

 

ダッカーさんとササマルさんは何故かとても喜んでいた。

 

「ダッカーさん、その聖女じゃなくてサラって呼んでほしいんですけど…」

 

「ダッカー。サラさん、ほんとに聖女様みたいな見た目だけど本人が少し嫌がってるんだからちゃんと呼んであげようよ。」

 

「う…。ごめんっ!」

 

ダッカーさんは何故か土下座していた。

 

「いえ。頭上げてください」

 

私がそう言うとダッカーさんはすぐに顔をあげた。

 

「…サラさんが聖女様ってことは、キリトは【黒の剣士】かい?」

 

私と一緒ということでキリトもバレたようだ。

 

「…あぁ。」

 

キリトが肯定すると、ケイタさんは嬉しそうに続けた。

 

「もし良かったら、僕たちのコーチをしてくれないかな?」

 

これには流石の私も驚いた。

隣を見るとキリトも驚いているようだった。

 

「…俺が【黒の剣士】ってことが分かったってことは、もう一つの二つ名も知っているだろ?」

 

「【ビーター】のことかい?…最前線でどうかは知らないけど、僕達中層プレイヤーからしたら【ビーター】は希望の証なんだよ」

 

「…希望の証?」

 

キリトは少し戸惑い気味にケイタさんに聞いた。

 

「あぁ。最前線を【聖女】とたった2人で踏破していく姿は僕らにとってはクリアへと希望なんだ!」

 

ケイタさんはとても嬉しそうに熱弁したいた。

 

「そ、そっか。それじゃあ、少しサラと相談してくるから待っててもらえないか?」

 

「わかった」

 

キリトはそう言うと、私をつれて廊下へ出た。

 

「…俺は受けてもいいと思ってる。」

 

「私はキリトの意見を尊重するよ?キリトがそんな事言うの珍しいから」

 

「なっ!?」

 

キリトは顔を少し赤らめていた。

 

「それじゃあ、アスナさん達には私から連絡するね?」

 

「…あぁ。よろしく頼む」

 

キリトは少し不貞腐れながら私に頼んだ。

私は、フレンドリストからアスナさんの名前を探した。

 

《キリトと二人で少しの間、最前線を抜けます。》

 

それから少しすると返信が帰ってきた。

 

《わかりました。あなた達2人に抜けられるのは正直辛いのですが、2週間までなら大丈夫です。》

 

(…堅いなぁ)

 

アスナさんからの返信を見て、そんなことを思っているともう1件メッセージが来た。

 

《もう、キリトと2人も抜けちゃったら大変だよぉ〜。アスナも最近怖いし。出来るだけ早く戻ってきてね》

 

…フィリアさんからだった。

現在では、お二人共キリトの言葉通りギルドに入っている。

しかも、攻略組最強ギルドに浮上してきた血盟騎士団の副団長を二人して務めており【閃光】と【蒼雷】と言う二つ名までつけられている。

 

(いいよねぇ。2人とも二つ名がかっこよくて。私なんて聖女だよ?聖女。)

 

そんなことを考えているとキリトに声をかけられた。

 

「…それで、なんだって?」

 

「あ、あぁ。2週間までならいいって」

 

「そうか」

 

キリトはそれだけ言うと、黒猫団の方へと戻っていった。

 

 

 

 

私たちが戻ると、ケイタさんたちはとても楽しそうに話をしていた。なんでも、黒猫団のみんなは私たちのファンらしい。

 

「えっと、一応許可が貰えたのは2週間。それまで、明日から俺とサラでコーチするけど、厳しくいくつもりだからそのつもりでよろしく。」

 

「ありがとう。…厳しくってどの程度かな?」

 

キリトの言葉にケイタさんが恐る恐る聞いてきた。

それに対して、私は笑顔で

 

「もちろん、最前線で通用するぐらいですよ♪」

 

と言ってあげた。

すると、何故だろう黒猫団の皆さんの顔が真っ青に見えた。

 

「それじゃあ、明日ここに10時集合で」

 

「じゃあね」

 

私たちはそれだけ告げると自分たちの宿屋に戻っていった。

 

(サチさんたち、動けてなかったけどラグってたのかな?まぁ、いっか。明日から頑張ろう!)

 

 

 

 

 

 





黒猫団との出会いでした!

サラの周りからの評価とビーターに対する評価を書いてみたのですがどうでしたか?

ちなみに、フィリアの二つ名の理由は服装が青いのと短剣使いなので素早いかなと思ったのでそうしました。
今作では、トレジャーハントよりも戦闘を優先しています。

今回も読んで下さりありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話〜黒猫団と噂〜

〜サラside〜

 

私とキリトは黒猫団のコーチをするために昨日の酒場に来ていた。

 

「あっ。みんな居たよ」

 

黒猫団のみんなはもう既に集まっていた。

 

「キリトさん、サラさん今日からお願いします」

ケイタさんはそう言いとても綺麗に頭を下げた。

 

「…それじゃあ、行こうか」

 

キリトは恥ずかしそうにそう言うと、足早に圏外へと歩いていった。

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

「…テツオ、スイッチ!」

 

「お、おう」

 

黒猫団の特訓はほとんどキリトがやってくれている。

と言うのも、私よりもキリトの方が圧倒的に知識があり教えるのが適任だと私が判断したからだ。

 

(…それにして、バランスが少し悪いかなぁ)

 

現在の黒猫団は、とてもバランスが悪い。

前衛を支えられるのがテツオだけしかいないのが原因だと思う。

 

(それに…)

 

私はサチさんの方を見る。

 

(…あれじゃあ、前線に出てきたら危ない)

 

私がそんなことを考えていると、今日の訓練は終わった。

 

 

 

 

〜主街区【タフト】〜

 

「それじゃあ、また明日」

 

「…あぁ。また、明日…」

 

キリトが挨拶をすると、黒猫団のみんなは何故かとても疲れた様子で挨拶を返した。

 

(…今日は軽めだなって思ったんだけどなぁ)

 

サラの常識も少しズレてきていた。

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

〜夜〜

 

「なぁ、今の黒猫団どう思う?」

 

不意にキリトがそんなことを聞いてきた。

 

「バランス。バランスがかなり悪いと思う。…それに、サチさんは戦うべきじゃない」

 

「…確かにな。サチは、モンスターと戦うことを怖がってる」

 

(…やっぱりキリトも気が付いてたんだ)

 

その時、1件メッセージが届いた。

キリトの方を見るとキリトにも届いていた。

 

(もしかして、攻略のことかな?)

 

などと思いながら、メッセージを見てみるとケイタさんからだった。

 

《ケイタです。サチがいなくなりました。

僕達でフィールドを探してみます。宜しければ、圏内で見かけたら教えて下さい。》

 

サチさんがいなくなってしまったらしい。

キリトを見ると驚いていたので、多分同じ内容なのだろうと思った。

 

「サチさんの事だから、多分圏内にいると思う」

 

「あぁ。俺もそう思う。俺の追跡スキルで探すからサラも着いてきてくれ」

 

「もちろん♪」

 

そう言うと私とキリトは主街区である【タフト】へと向かった。

 

 

サチさんはとても簡単に見つかった。私たちの見立て通りフィールドには出ておらず圏内の橋の下に居た。

 

「サチさんっ!」

 

「サ、サラさん!?」

 

私が話しかけたことで少し驚いたようだ。

 

「…サチ、みんなが心配してる」

 

「…うん。ねぇ、サラさん、キリト3人で黒猫団のみんなからこの街から……ううん、このゲームから逃げよう?」

 

「なっ!?それって駆け落…ち…?」

 

キリトはかなり驚いて言っていた。が、そもそも3人で駆け落ちと呼ぶのだろうか…

 

「ふふっ、冗談だよ。…そんな死ぬ勇気もないのにね」

 

サチさんは自嘲気味に言った。

 

「サチさん、あなたは死なないよ。黒猫団は十分強いギルドだし、私たちがもっと強くなるように訓練もする。…それに、あなたが無理して戦う必要もないんだよ?」

 

「え?どういう…」

 

私の言葉にサチさんは少し困惑していた。

 

「サチさんは、生産職って聞いたことある?別に、戦うことだけがギルドの力になることじゃないんだよ。生産職でギルドの裏方を支えるのだって、立派にギルドの力になることが出来てるんだよ。」

 

「……生産職、か。私、あとで相談してみる」

 

「うん。それがいいよ」

 

 

 

 

その後、黒猫団のみんなと無事合流でき、私とキリトはサチさんの生産職転向について話した。

ケイタさんも最初は困惑していたが、サチさんが抱いていた恐怖を知りみんなも認めていた。

 

「それじゃあ、あとはみんなの問題だからちゃんと話し合ってくださいね」

 

「本当にありがとう。キリト、サラさん」

 

 

 

 

〜キリトside〜

 

俺達が黒猫団を鍛えはじめて、2週間たった。

黒猫団は今では、十分最前線で戦えるレベルにもなりプレイヤースキルもかなり上がったと思う。

 

「それじゃあ、俺とサラは前線に戻るけどケイタ達もすぐに上がってこれると思う。…ただ、ダッカー。もう分かってると思うけど同じこと繰り返すなよ?」

 

俺が少し怒りながらこんなことを言うのにも理由がある。

 

サラがフィリアに呼び出されいなかったので俺が、ケイタにギルドホームの相談をされ【始まりの街】に一緒に行った時のこと。

ダッカー達にはいつもの酒場で大人しくしているように言っておいたはずだった。

しかし、俺とケイタがその酒場に戻ると何故かフィリアとサラが居た。

 

「どうして、サラとフィリアがここに居るんだ?」

 

「もしかして、この人が【蒼雷】のフィリアさんかい?」

 

「あぁ。ケイタは初対面だったな。こちら、ギルド【月夜の黒猫団】マスターのケイタ。こっちはギルド【血盟騎士団】の副団長の 【蒼雷】(笑)のフィリア」

 

「…キリト〜?」

 

フィリアからとてつもなくドス黒いオーラが出ていたので、取り敢えず謝っておいた。

 

「そ、そんなことより、なんでサラとフィリアがこんな所にいるんだ?今日は最前線にいたんじゃ無かったのか?」

 

すると、慈愛など感じられない笑顔をしたサラがこちら向いて言った。

 

「それがね…私、今日フィリアさんと一緒に27層のトレジャーボックス探しをしてたの。そしたら、ダッカーさんたちを見つけたから少し後をついて行ったら案の定、罠に引っかかってさ。私たちがギリギリ部屋に入れたから良かったけど危なく死ぬところだったんだよ?結晶も使えなかったしね…」

 

「…ダッカー、どういうことだ?俺は、酒場で大人しくしているように言ったはずだけど?」

 

俺はサラに少しビビりながら、ダッカーに聞いた。

 

「俺らなら行けると思って、少し家具の分を稼ごうとー」

 

「それで、死んだら元もこうもないよね?」

 

「ひぃッ!本当にごめんなさい」

 

ダッカーはとても怖がっていたので、俺はダッカーの肩に手を置いて囁いた。

 

「今回は助かったから良かったよ………だけど、次サラを危険な目に合わせたらわかってるな?」

 

「は、はい!」

 

「ま、まぁ、2人ともみんな無事だった訳だしさ。ね?」

 

俺とサラはフィリアに止められ、宥められた。

 

 

そんなことがあったわけで、俺はわざわざ念を押すように言った。

 

「わ、分かってる。もう聖女様に誓ってあんなことはしません!」

 

ダッカーは笑いに変えようと少し巫山戯たのだがそれがいけなかった。

 

「…ダッカーさん?」

 

と、そこには神もビックリの聖女様がいた。

 

「ひぃっ!す、すみませんでしたー!」

 

ダッカーは素早く土下座を決め、周りのみんなは軽く呆れていた。

 

「ゴホン、ゴホン…キリト、サラさん。2週間も僕達を付きっきりで鍛えてくれてありがとう。いつか、2人に追いつけるようにこれからも頑張るよ!」

 

ケイタは、わざとらしく咳き込んだ後お礼を言ってくれた。

 

「いや、俺達も楽しかったし。みんながしっかり上がってきてくれることを楽しみしてるよ」

 

「うん、うん。頑張ってくださいね、これからもサチさんに会いに来るついでに様子見に来ますからね。サボったらダメですよ」

 

「「「「っ、はい」」」」

 

全員とてもいい返事をしていた。

 

「サラ、キリト、本当にありがとう。これからもアイテムが必要なことあったら私の所に来てね」

 

サチは、結局生産職に転向したがしっかりとギルドに馴染めている。元々知り合いだったというのもあるだろうがそれよりもこのギルドの雰囲気がそうさせているのだと俺は思った。

 

「うん。サチさん元気でね」

 

「サラも無茶したらダメだよ」

 

「それじゃあ、また今度」

 

俺達は挨拶を済ませて、最前線へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

それから数日後…

中層プレイヤーたちの間にはとある噂が流れた。

一つは、【黒の剣士】の訓練は覚悟して臨まなければ着いていけない。

もう一つは、【聖女】は怒らせてはならない。【蒼雷】はとても優しく、最後の頼りであるため敵に回してはいけない。

もう一つは、【聖女】を危険に晒すなら【黒の剣士】に殺される覚悟をするべきである。と…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回で月夜の黒猫団の話は終わりです。
生存ルートでしたが、どうでしたか?
この後もちゃんと出てきますので安心してください。

次回も楽しみにしていて下さい。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話〜ビーストテイマーの少女〜


2日間も投稿サボってしまいすみませんでした。




 

 

〜第35層【迷いの森】〜

 

〜キリトside〜

 

(サラとは別行動ってことで、森に来てみたはいいけど中々動かなさそうだな。)

 

俺は今、あるパーティーを付けていた。

その理由というのも、前線でオレンジギルド【タイタンズハンド】に襲われギルドが壊滅してしまったという人物に【タイタンズハンド】を牢屋に送ってほしいという依頼を受けたからだ。

 

しばらくすると、なにやらパーティー内で揉め事が起き1人の少女がパーティーから離れ1人進んでいってしまった。

 

(あの子大丈夫なのか…?それにあいつ今、笑った…?)

 

キリトが考えているうちに少女は次のエリアに行ってしまった。

 

(今日はまだ動かなそうだな。…とにかくあの子の様子を見に行こう。)

 

キリトも彼女の後を追った。

 

 

〜?side〜

 

「きゃあ」

 

あたしの体力も半分を切り、回復のポーションも結晶も尽きてしまった。

そして、目の前には【ドランクエイプ】の棍棒があった。

 

(…あぁ、あたし死んじゃうかな)

 

「キュルッ!」

 

あたしと棍棒の間にピナが入り込み、ピナがあたしを守ってくれた。

 

「…ピナぁ」

 

ピナは羽だけを残して、いなくなってしまった。

背後には3体の【ドランクエイプ】が迫っていた。

 

(ごめんね、ピナ。せっかく助けてもらったのに…)

 

そー思ったが、目の前の3体は一瞬にしてポリゴン片へと変わった。

 

 

〜キリトside〜

 

目の前にいた3体を倒すと、少女が泣いていた。

 

「…すまなかった。君の友達、助けられなかった…」

 

少女は、短剣を落としさらに泣いてしまった。

 

「お願いだよ…あたしを独りにしないでよ…ピナ…」

 

それから少女はひとしきり泣いた。

 

 

 

 

「…すまなかった」

 

「…いえ…あたしがバカだったんです…。ありがとうございます…助けてくれて…」

 

少女は嗚咽を堪えながら言った。

よく見ると少女は羽根のようなものを持っていた。

 

「その羽根なんだけど、名前とかって設定されてないか?」

 

そう言うと少女は羽根をタップして、アイテム名を見た。

 

「…ピナの心」

 

そう呟くと少女はまた泣き出してしまいそうになったので慌てて俺は知っている情報を教えた。

 

「待った、待った。その心さえ残っていれば、まだピナは蘇生の可能性がある」

 

「え!?」

 

少女はとても不思議そうな顔をしていたので俺は説明を続けた。

 

「最近わかったことなんだけど、47層の【思い出の丘】って言うフィールドダンジョンに使い魔蘇生用の花が咲くらしーー」

 

「ほ、ほんとですか!?」

 

少女はとても希望に満ちた顔をしていたが、次の瞬間には暗くなった。

 

「…47層…」

 

「手間賃さえ貰えれば俺が行ってきてもいいんだけど、本人じゃないとダメらしいし…それに君の持っているそのアイテムは3日経つと名前が変わって蘇生出来なくなるんだ」

 

「そ、そんな…」

 

再び少女の顔が暗くなる。

 

(ん〜、俺1人じゃキツイかなぁ。仕方ない、フィリアにも手伝ってもらって、サラにはこっちの手助けを頼もう。…………そーいえば、サラが要らないって言って防具があった気が…)

 

「大丈夫だよ。俺と俺のパートナーの奴が一緒に行くし、それにこの装備なら5、6レベルは底上げできる。」

 

俺が要らない装備を送っていると少女は不思議そうな顔をしていた。

装備が送り終わった所で少女がコルを送ろうとしていたので

 

「どうせ使わないものだし、気にしなくていいよ」

 

と言ったのだが、今度は

 

「…どうしてそこまでしてくれるんですか?」

 

と聞かれてしまった。

 

(…なんて答えればいいんだ。)

 

俺は考えた結果、素直に思ったことを言おうと思った。

 

「笑わないって約束するなら言う」

 

「はい、笑いません」

 

少女が真剣な顔でそう言ったので、俺は思ったことを言った。

 

 

「…君が妹に似ているから」

 

すると、目の前の少女は笑った。

 

「笑わないって言ったのに…」

 

「すみません」

 

少女は笑いながら謝った。

 

(…けど、笑えて少しは良かったかな)

 

少女は少しの間笑って、落ち着いたようだった。

 

「何から何まで、本当にありがとうございます。あ、あたしシリカって言います」

 

(…この子が)

 

「俺はキリト。少しの間よろしく。…取り敢えず、街に戻ろうか。俺のパートナーも待たせてるから」

 

そう言い、俺は地図を見ながら街に戻った。

 

 

〜主街区〜

 

「あっ、キリト〜。遅いよ」

 

主街区に着くと、よく知っているフードを被った女性プレイヤーがこっちに走ってきた。

 

「ごめん、サラ。この子を助けてたんだ」

 

「それならそーと、連絡いれなさいよね。若干心配したんだよ?」

 

「ごめん」

 

俺が謝ると、サラは少し頬を膨らませて許してくれた。

 

「それで、この子はシリカ。それでもって、こっちのフードを被ってるのが俺のパートナーのサラ。」

 

「よろしくね?シリカちゃん」

 

「お、お願いします。サラさん」

 

2人の自己紹介が終わったところで、俺たちはシリカの提案でこの層の宿に泊まることにした。

その道中、シリカのファン?のプレイヤーにいちゃもんをつけられたが俺は隣にいるサラの方がバレたら大変だと思った。

サラがフードを被っている理由は、今回の依頼において素性がバレる理由にはいかないからだ。

 

 

「あら?シリカじゃないの?…無事に森を抜けられたようねぇ。いつも一緒にいるトカゲはどうしたのかしら?」

 

赤い髪の女プレイヤーはシリカをバカにするように言った。

シリカが何かを言おうと前に出ようとしたが

 

「おばさん、使い魔が近くにいない理由もわからないの?」

 

かなり怒っているサラが先に発言した。

 

「おば、おばさん!?」

 

「この子の使い魔は私たちが蘇生させるから、おばさんはさっさといなくなってくれないかな?」

 

サラは相手に何も言わせず、威圧していた。

 

「あ、あんた、覚えてなさいよ」

 

赤い髪の女プレイヤーはそれだけ言って何処かへ行ってしまった。

 

「さ、行こうシリカちゃん」

 

サラはシリカの手を引っ張って宿へと歩いていった。

 

 

 

 

〜宿〜

 

〜サラside〜

 

シリカちゃんが絶品だと言うチーズケーキを食べ、今はキリトと2人で部屋にいる。

 

「あのおばさんで間違いない?」

 

「おばさんってなぁ。あぁ、十中八九間違いない。」

 

「それで、私がやる予定だった待ち伏せをフィリアさんにやってもらうだよね?」

 

「あぁ、フィリアなら隠蔽も上手いし問題ないと思う」

 

「そうだね。あとはーー」

 

コンッ、コンッ

 

「ん?」

 

「あっ、シリカです。明日のことについて聞きたくて。」

 

「どうぞ。」

 

キリトが答え、シリカが部屋に入ってきた。

 

「こんばんは、シリカちゃん」

 

「サラさんも居たんですか?」

 

シリカちゃんはとても驚いていた。

 

「居たと言うより、私も一緒の部屋だからね」

 

そう、私とキリトはここ暫く同じ部屋に泊まるようになった。

元々は、別々の部屋だったのだが色々事情があり長いこと同じ部屋にしていたためそれが普通となってしまったのだ。

 

「サラさんって、女性ですよね?それなのに…」

 

シリカちゃんが女性かと確認するのは、私がシリカちゃんが入ってくる前にフードを被り直したからである。

盗み聞きされている可能性がある今は、あまり見せない方がいいと思ったからだ。

 

「うん、そーだよ?」

 

少し悪戯気味に笑いながら言うと、シリカちゃんはとても顔を赤らめていた。

 

「と、ということはキリトさんとサラさんってもしかして…」

 

「さぁね〜?」

 

「サラもシリカで遊んでないで、説明するから少し落ち着いててくれ…」

 

私がシリカちゃんで遊んでいたら、キリトに呆れたような目で見られてしまったので泣く泣くやめた。

 

「それじゃあ、説明するよ。まずーーーーーーーーー。」

 

途中まで話をしたところでキリトが私に目配せをしてきたので私は出来るだけ音を立てないようにしてドアに向かった。

 

「誰っ!!」

 

ドアを開けた時には、階段を降りていってしまっていた。

キリトの方を見ると、不安そうなシリカちゃんに説明していた。

私はフレンドリストを開き、ある人に

 

《明日には依頼完了出来そうです。》

 

とメッセージを送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





今回はここまでです。
少し長くなってしまいました。


アドバイスや意見などがありましたら、遠慮なくお願いします。
サラのユニークスキルについても、まだ活動報告にてアンケートを行っているので意見お願いします。

次回も読んでくれると嬉しいです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10話〜黒の剣士と聖女〜

更新遅れて申し訳ありません。

他のに作品の方に熱が入ってしまったのと、話の構成が中々練れなかったのが原因です。

それではどうぞ


〜第47層〜

 

〜サラside〜

 

「うわぁ〜、綺麗〜」

 

47層に着いた途端、シリカちゃんは花に夢中になってしまっていた。

少しすると、周りのカップルに気がついたのか顔を少し赤くしていたけれど。

 

(周りから見たら私達はどーなんだろう?仲のいい兄弟ってところかな?)

 

「おーい、サラ行くぞー」

 

いつの間にか、キリトとシリカちゃんが出口のところにいた。

 

「今行くよ〜」

 

 

〜・〜・〜・〜・〜

 

道中、シリカちゃんが逆さまになったりキリトが直葉ちゃんのことを話していたりと様々な事があったけど無事に【プネウマの花】のある思い出の丘まで辿り着けた。

 

(それにしても、シリカちゃんと直葉ちゃんって似てるかな…?)

 

「これで…ピナが生き返るんですか?」

 

「うん。けど、ここじゃ危ないから圏内に戻ってからにしてあげよ?その方がピナも嬉しいと思うからね」

 

私がそー言うと、キリトも同感のようで頷いていた。

 

(さて、もう一仕事頑張りますか。…シリカちゃんには後で謝らないと)

 

 

〜・〜・〜・〜

 

帰り道は行きよりハプニングもなく、あったことと言えばシリカちゃんのレベルが一つ上がったことぐらいだ。

 

丁度橋に掛かったところでキリトがシリカちゃんを止めた。

 

「おい、そこで隠れてるヤツ出てこいよ」

 

「ロ、ロザリアさん!?」

 

キリトのその言葉に出てきたのは、先日出会ったおばさんだった。

 

(あくまで、他の人達は出てこないか…)

 

「あら、私の隠蔽を破るなんて中々高い索敵スキルなのね?剣士さん」

 

(いやいや、攻略組なら誰でも破れますよ)

 

なんてことは口に出したら面倒くさそうなので、辞めておいた。

 

「おばさん。回りくどいのはやめましょう?…いや、オレンジギルド【タイタンズハンド】のリーダーロザリアさん?」

 

「あら、お嬢さん知っていたのね?…それじゃあ、プネウマの花を渡してもらおうかしら」

 

「ロザリアさんがオレンジギルドのリーダー?で、でもロザリアさんはグリーンじゃ…」

 

シリカちゃんは困惑していたが、その辺りの説明はキリトに頼もう。

 

「そんな簡単に渡すわけないでしょ?おばさん」

 

私は挑発するように言った。

 

「くっ!…これでもまだそんな口が聴けるのかしら?」

 

案の定頭に血が登ったロザリアは待ち伏せさせていたメンバーを出してくれた。

 

 

(…これで逃げられることもないかな)

 

「キリト、私が行くね。シリカちゃんを宜しく〜」

 

「お、おいサラ!」

 

キリトの静止を無視して、私は前に進みながらフードを取った。

 

「サ、サラ!?それにあの顔……ロザリアさん、アイツ攻略組の【聖女】だ。」

 

「ってことは、あの真っ黒な男は【黒の剣士】!?」

 

「攻略組がこんな所にいるわけないじゃない。それに【聖女】だとしたらあんなに口が悪い訳ないじゃない」

 

「そ、そうだ。【聖女】様があんな口悪女な訳がねぇ」

 

オレンジギルドのメンバーから様々な声が上がる。

 

「サラさんが【聖女】様…?」

 

(…【聖女】のイメージ凄くない!?…それに1人だけ、反応がおかしくない?シリカも【聖女】様ってなによ!)

 

そんなことを考えているうちに、私の目の前にオレンジプレイヤーが迫ってきていた。

 

ザシュッ、ザシュッ

 

(まさにソードスキルの応酬と言ったところかな、この程度じゃHPが減らないんだけどなぁ)

 

「ハァ、ハァ。なんで倒れねぇんだ。」

 

「はぁ、教えてあげるよ。あなた達が私に与えるダメージは10秒間あたり400。私のレベルは77。HPは15000を超えてる。それに、バトルヒーリングスキルで10秒間あたり600の回復があるのよ……あなたたちが何時間攻撃しても私は殺せないよ」

 

「な、なんだよそれ。そんなの反ーー」

 

オレンジプレイヤーの顔が歪んだが、私は気にせずに続けた。

 

「あなたたちもゲーマーならわかるよね?たかが数字で差がつくのがレベル制MMOの理不尽さなの」

 

周りの人たちの顔が絶望に染まるのがわかった。

 

(あとは、キリトに任せよう)

 

私はキリトに目配せをした。

 

「お前らにはこれで牢獄に飛んでもらう。」

 

そう言いキリトは、依頼人から預かった回廊結晶を前に突き出した。

 

「転移ーーーヒッ」

 

ロザリアが転移結晶で逃げようとしていたが、首筋に短剣を突きつけられたことでできなかった。

 

「おばさん、ダメだよ?逃げようとしちゃ」

 

笑顔で短剣を突きつけているのはフィリアさんだった。

 

「あ、あんたは血盟騎士団の【蒼雷】!?」

 

(流石、フィリアさん。有名人だなぁ)

 

1人呑気なことを考えていたサラであった。

 

「おばさんも、牢獄に行くよね?」

 

「あ、あなたたち私と組まない?そしたら、もっとーーー」

 

「いい加減にしてくれませんかね。」

 

私は今まで出したことのないような低い声で言った。

 

「ヒッ。」

 

腰を抜かしたおばさんは、フィリアさんの手によって牢獄へと飛ばされた。

 

「ふ〜。ありがとうございました、フィリアさん。」

 

「ううん、これくらい大丈夫だよ。それじゃあ、アスナに怒られちゃうから私戻るね」

 

フィリアさんはそれだけ言って戻っていってしまった。

 

(やっぱり優しいなぁ。…私なんかよりも、絶対に。)

 

私はキリトたちの方へと戻った。

 

「シリカちゃーー」

 

「せ、聖女様ー!」

 

何故かシリカちゃんが号泣しながら、こっちに向かってきた。

 

「へぇ…?」

 

「な、生の聖女様。握手してもらえますか!?」

 

シリカちゃんの目が凄い輝いてる。

 

「え、あうん」

 

シリカちゃんはなんか凄い嬉しそうだ。

 

「シリカ、…サラが戸惑ってるぞ」

 

「ふぇ?あ、すみません。」

 

シリカはキリトの言葉で冷静になり、自分の今の状況がわかったのか顔を真っ赤にしていた。

 

「いや、大丈夫だよ。それよりも、早く宿に戻ってピナを生き返らせてあげよ?」

 

「は、はい」

 

私はシリカちゃんの手を引いて、街へと向かった。

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

〜シリカside〜

 

(サラさんが、憧れの【聖女】様だったなんて思わなかった。こんなに優しい人でもあんなに怒るんだなぁ)

 

「もう行っちゃうんですか?」

 

「うん。前線からあんまり離れると怖い人に怒られちゃうからね」

 

サラさんは苦笑いしながら言った。

 

「それにシリカも、上がってくればまた会えるさ。もしギルドに入る気があるなら俺が紹介するけど」

 

「あ、はい。お願いします」

 

キリトさんの提案はとても嬉しかった。

少しでもこの2人に近づきたいそー思ったからだ。

 

「その話は、また後にして。さ、シリカちゃん。ピナを生き返らせてあげよ。」

「は、はい。」

 

私はストレージから羽根と花を取り出した。

 

(ピナ。生き返ったら、1日だけのお兄ちゃんとお姉ちゃんの話を沢山してあげるね。)

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

〜サラside〜

 

シリカちゃんと別れたあと、私はキリトと街を歩いていた。

さっきのギルドの話、キリトがシリカちゃんに勧めたギルドは、ケイタさんの所だった。

 

(まぁ確かに、あそこなら私も安心して預けられるけど)

 

「それで、キリト?なんでケイタさんのところなの?」

 

「それは、ケイタたち前衛がいないって悩んでたろ?シリカなら前線をこなせるし、なによりサチもいる。ソロでいるよりも安全だし、それが一番いいかと思ったんだよ」

 

キリトがそこまで考えていたのは少し驚きだった。けど、確かにケイタさんたちのところは安心できる。

 

「そっか。確かにそれは良いかもね」

 

「あとは、シリカ次第だけどな」

 

「シリカちゃんもあそこならきっと、気に入ると思うよ」

 

「そーだといいんだけどな」

 

 

 

その数日後、キリトの思惑通り【月夜の黒猫団】にシリカちゃんが加わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どーでしたでしょうか。

感想で頂いた、黒猫団の前衛の問題に少し触れてみました。

次回はもう少し早く更新できるように頑張ります。
ありがとうございました


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11話〜衝突〜

更新遅れてしまって申し訳ありません。
理由としては、少しリアルが忙しかったのと進撃の巨人2にハマってしまいました。

楽しみにしていてくれた人がいるかは分かりませんが、それではどうぞ


〜56層【パニ】〜

 

〜サラside〜

 

「フィールドボスを村へと誘います!」

 

現在絶賛フィールドボス攻略会議中です!………アスナさんが怖いけど…

 

(確かに今回のフィールドボスはあまりにも村に近かった。だからこそのこの作戦なのだろうけど……。この空気で異議を唱えられるのなんて…)

 

「待ってくれ!それじゃあ村の人たちがーーー」

 

キリトがみんなが思っていることを代弁して言おうとしたが

 

「それが狙いです。ボスがNPCを襲っている間にボスを倒します。」

 

「な!?………彼らだってーー」

 

「…生きているとでも?どうせすぐリポップします」

 

アスナさんが一概に間違っているとは言えない。プレイヤーの命を最優先に考えた場合、あれは最善に近い作戦なのだろうけど

 

「俺はその作戦には従えない」

 

「今回の作戦は、血盟騎士団副団長である私に託されています。」

 

(あれ?そーいえばフィリアさんは……)

 

とふいに私の横を見るとニコニコしたフィリアさんがいた。

 

「こんな所で何してるんですか…。止めてくださいよ…」

 

「私だってアスナ怖いし…。けど、【聖女】様の頼みとあらばやらないとね〜」

 

「なっ//もうその呼び方は辞めてください…」

 

フィリアさんは笑顔でアスナさんの横に戻っていった。

 

「アスナもキリトも、もっと落ち着かないとダメだよ?サラがなにか考えがあるみたいだから聞いてみようよ」

 

とフィリアさんが当然のように私に話を振ってきたせいで、会議に参加している人全員の視線を集めてしまった。

 

「きっと名案に違いない」

 

「おい、お前ら静かにしろ。聖女様が話すぞ」

 

周りのひそひそ話がもろに私に聞こえてきた。

 

(全部聞こえてますよ……。ほんとに誰よ、こんな二つ名つけたのは)

 

「えーと、代案って訳じゃないんだけど。私もアスナさんの案には賛同は出来ないかな。やっぱり、NPCとは言え人が亡くなる瞬間を何度も見せられていい気分はしないし、苦手な人だっていると思うんだ。だから、それで士気が落ちちゃっても意味がなくなっちゃうでしょ?」

 

一部の人は頷いてくれていたから、きっと賛同は得られたのだろ。

 

「流石だ。自分の事だけではなくて他人のことを考えられるなんて」

 

「一生ついて行きます」

 

なんてよく分からないことを言っている人もいたけど…

 

「……それでなにか案があるんですか?」

 

アスナさんが少々怖い顔をしながら言ってきた。

 

「んー。多分、隠しクエストみたいなのがあると思うんだ。だから、それを探すための時間をとって欲しいんだけど………アスナさんは納得出来ないだろうから、お互いの代表によるデュエルでどうかな?」

 

それに反応したのは何故かフィリアさんだった。

 

「うん、それがいいよ!ねっ?アスナ」

 

「……えぇ。こっちは私が出るわ」

 

半ば押される形でアスナさんも承諾してくれた。

 

「それじゃあ、こっちは

 

 

 

 

キリトお願いね」

 

完全な不意打ち。決まったね

 

「なっ!?今のはサラが行く流れだろ!」

 

案の定、キリトは反論してくるが関係ない。私には誠に遺憾ながら味方はたくさんいる。

 

「俺も、黒の剣士がいいと思うぞ」

 

「あぁ、なんたって黒の剣士だからな」

 

「黒の剣士以外考えられないわね」

 

なんて具合に、周りから言われてしまえばさすがのキリトでも断れないだろう。

 

「はぁ。わかった、俺が出るよ」

 

「よろしくね♪」

 

 

 

〜キリトside〜

 

(サラに上手くやられてしまった…後で絶対に文句言ってやろう。まずは目の前の相手に集中するか)

 

「ふぅ…」

 

『3、2、1、Duelstart』

 

「やぁぁあ」

 

アスナは【リニアー】を立ち上げ突っ込んでくる。

俺はそれを【ソニック・リープ】を立ち上げ迎え撃った。

 

キィィィィン

 

アスナの攻撃をパリィしたあと、俺は追撃するように右から切りつける。が、アスナに避けられた。

一旦距離をとり、俺はアスナに向かって突っ込み切り上げるように剣を振った。

アスナはレイピアで受けとめるが、俺はゼロ距離になった所で体術スキルの【閃打】を打ち込んだ。

 

"You Win"

 

【閃打】がクリティカルに入ったので、俺の勝ちとなった。

 

「お疲れ、キリト。アスナさん、数日間時間を貰ってもいいかな?」

 

「えぇ、わかりました。では、5日後にもう一度会議を開きます」

 

会議はこれでお開きになった。

 

 

 

 

 

 

「はぁ、サラがやってくれれば良かったのに」

 

「私よりもキリトの方が相性いいでしょ?私じゃ、あの速さは厳しいよ」

 

と本人はこんなことを言っているが実際、サラの早さも洒落にならない。

 

「よぉ、お二人さん。また派手にやりあったな。どーしてすぐにあぁなるんだ?」

 

「馬が合わないんだよ、きっと」

 

「いや〜、攻略以外では仲がいいんですけどね。」

 

サラは、フィリアと共によくアスナと出掛けているらしい。

 

「まぁとりあえず時間は貰ったんだし、クエスト探し行くか」

 

「うん。片っ端から話聞いていこうー」

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、結果としてはクエストは存在した。クエストによって作ることが出来る睡眠薬入りの餌を与える事でフィールドボスを危なげなく倒すことが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




間が空いた癖に、駄文かつ短文で申し訳ありません。

次回は、圏内事件に行く予定です!
そろそろ黒猫団も出そうかと思っています

今回も読んで頂きありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話〜圏内事件〜

えー、更新遅れてしまい本当に申し訳ありません。

春休み中ということもあり、色々やらなければいけない事が多く他作品共々更新が遅くなってしまっていますが出来るだけ更新していきたいと思いますのでお願いします。


〜59層〜

 

〜キリトside〜

 

サラもフィリアと探索に行ってしまったし、こんな天気のいい日に迷宮区に潜るのは勿体ない。と思って昼寝をしようと思った迄は良かったんだが……

 

「…あなたこんな所で何しているの?攻略組のみんなが一生懸命迷宮区に挑んでいるというのに」

 

「……今日はアインクラッドで最高の気象設定だ。それに、パートナーであるサラがいない上にあんたんとこの副団長の探索に連れていかれてんだ、文句を言われる筋合いはないよ」

 

同じギルドのしかも副団長であるフィリアが迷宮区に行っていないことを言えば引き下がってくれるだろう…

 

「……そーだとしてもねぇ!それに天気なんていつでも一緒じゃない」

 

…ダメでした。

 

「…あんたも寝っ転がってみればわかるよ」

 

これだけ言っておけば大丈夫だろう。と思い俺は昼寝を続行した。

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

「ん〜」

 

久しぶりに寝たな〜。さて、サラ達もそろそろ帰ってくる頃だろうしホームにでも戻ろうかな。

 

(ん?誰か寝てる…………?

って、アスナ!?)

 

「…本当に寝ちまうとは………」

 

この状態のまま置いていくのはかなり不味いので、俺はそのまま近くで周りの監視をすることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くしゅんっ……………ふぇ?」

 

アスナはいつものようなキリッとした表情からはおよそ想像出来ないマヌケな顔をしていた。

 

「やぁ。よく眠れた?」

 

「…………なぁっ!?」

 

自分の状態を把握したらしいアスナは顔を真っ赤にして抜刀の格好をした。が、上手く自分を制することが出来たらしく抜刀はすることは無かった。

 

「……ご飯。」

 

「はい?」

 

「ご飯1回。何でも奢るからそれでどう?」

 

「は、はい」

 

今の状態で断れる奴がいるなら、見てみたいものである。

 

 

〜57層【マーテン】〜

 

最前線から2層下のこの街はある程度大きな街ということもあり、多くのプレイヤーで賑わっていた。

 

(それにしてもアスナもサラに負けず劣らず人気あるんだなぁ。)

 

これだけ多くのプレイヤーがいる中をかの有名な血盟騎士団の副団長様でありこのアインクラッドで5本の指に入るであろう容姿を持つアスナがよく分からない男性プレイヤーと歩いていればかなりの注目を集めるのはわからなくもない。

ここに、フィリアとサラも居たら大変なことになりそうなもんだ。とふと思った俺を恨みたい。

 

「あっ!アスナ〜」

 

この声はまさか……

 

「フィリア、あなたまた攻略サボったのね…」

 

「サボったなんて人聞きが悪いな〜。サラと一緒に探索にいってたんだよ〜」

 

やっぱりこいつサボったのか。どうりで朝急にサラの所に来たわけか。ところで、サラはどーしたのだろうか?

 

「あっ、キリトも居たんだね。今日はサラ借りちゃってごめんね。けど、なんでアスナとキリトがこんな所に?」

 

「それはだなーーー」

 

俺は最後まで言い切ることは出来なかった。

その代わりに思いっ切り抓られた。

 

「さ、さっき頼み事をしてもらったからそのお礼をしに来たのよ!」

 

ほぉ、なるほど。そう言う体でいくのか。

だが、ここで「違うだろ」と本来の理由をアスナの目の前で話せるヤツなど存在しないであろう。

 

「……そんなことより、サラはどーしたんだ?」

 

「あっ、サラならね。ほら、あっちに」

 

とフィリアが指差した方にはかなりの人だかりが出来ていた。

 

「いや〜、あまりにも人多かったからさ隠蔽スキルで逃げてきちゃった」

 

舌をちょっと出しながら言うフィリアはその容姿と相まってかなり可愛い。

 

「はぁ。俺がいってくるよ…」

 

 

〜サラside〜

 

さっきまで隣にいたはずのフィリアもどっかに行っちゃったしどうしよう…

 

「聖女様、握手して頂いてもいいですか」

 

「聖女様ー」

 

周りの人が多すぎて動けない……

 

「ちょっと失礼ー」

 

人の間から全身真っ黒な人が出たきた。

 

「あっ、キリトー」

 

そこには私のパートナーであるキリトがいた。

 

「くそ、黒の剣士が来やがった」

 

「…なぜあいつなんだ」

 

「きゃぁ、黒の剣士様よ」

 

周りの人達から、色々な声が上がる。

キリトも意外と人気あるのよね

 

「サラ、早く行こうぜ。腹減ったし」

 

そう言うとキリトは私の手を引いて人の間を歩いていった。

 

「あっ、サラ大丈夫だった〜?」

 

ある意味先ほどの元凶であるフィリアがこっちに向かって手を振っている。

 

「フィリア。酷くない?」

 

この後少しフィリアさんとお話した。

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

キリトがアスナさんに晩御飯を奢ってもらうと言っていたので私とフィリアさんも一緒にご飯を食べることにした。

 

「さっきはありがとう…」

 

アスナさんが何やらキリトにお礼を言っているが二人にしか聞こえない程度の声の大きさなのでよく聞こえない。

 

「あれって、閃光と蒼雷、聖女だよな?てことは、あの黒いのは黒の剣士か?」

 

流石にこの面子でいると目立つ。

けど、キリトって私と一緒にいない限りあんまりバレないんだよね。中層でも人気あるらしいのに。

 

「……サラは何がいいと思う?」

 

「ん?なにが?」

 

少し考え事をしていたら、キリトに話しかけられた。

 

「欲しい調味料だよ。ちなみに俺はソースな」

 

「ちなみに、私はマヨネーズね」

 

なんかフィリアらしい。

 

「調味料かぁ、私はケチャップかなぁ。アスナさんは?」

 

「私?そうね、お味噌かしら。それと、」

 

「「「「醤油!」」」」

 

みんな一致して、少し恥ずかしかった。

みんなも少し頬が赤くなっている。

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

今のは!?

 

そう思った時には4人ともすぐに席を立ち、レストランを出た。

 

広場に出ると、タンクらしい格好をしたプレイヤーが胸に槍が刺さった状態で吊るされていた。

 

「私がロープを切るから、アスナは中の様子を。キリトとサラは下で受け止めて!」

 

フィリアはそう言うと壁を走り、プレイヤーを吊るしているロープを切ろうとした。

 

が、フィリアが到達する前にプレイヤーはポリゴン片へと変わってしまった。

 

「みんな!デュエルのウィナー表示を探せ!」

 

キリトのその言葉で広場にいた全員が周りを見渡すが、何も見つけることは出来なかった。

 

「くそっ、30秒経った……」

 

私とキリトとフィリアは念のため入口に何人かのプレイヤーに立っていてもらうことにして、中に入った。

 

「アスナさん、誰かいましたか?」

 

「いえ、ここに来てから誰にも会わなかったわ」

 

「あぁ、この教会には誰もいない。俺の索敵スキルを破れるほど高い隠蔽スキルを保持しているなら別だけどな」

 

キリトの索敵スキルを破れる人なんて現状いないだろう。

 

「なんにせよ、無視は出来ないわね。解決まで手を貸してもらうわよ」

 

「そーですね。私としても新しいPKの方法が見つかったとしたらほっとけないですし」

 

「そーだね。血盟騎士団副団長としてもほっとけないしね!」

 

「あぁ、そーだな」

 

と言ってキリトはアスナさんと握手していた。が、その時アスナさんがなにかキリトに言ったのに対してキリトが言い返していたが

 

「ぐわぁ!」

 

……キリトが何かやらかしたのだろう

 

 

右手を摩っているキリトを置いて私とフィリアは広場に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




サラやフィリアの絡ませ方がとても難しいです。

どうでしたでしょうか。
感想、アドバイス頂けると嬉しいです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第13話〜捜査1〜

更新遅くなってしまって申し訳ありません。

オリキャラの絡ませ方などを迷ってしまい、遅れてしまいました。


〜サラside〜

 

その後、事件について事の顛末を最初から知っていたヨルコさんという女性プレイヤーに話を聞くことが出来た。

話の内容を纏めるとこうだ。

・被害者のプレイヤーの名前はカインズさん

・ヨルコさんと一緒にご飯を食べに来ていた。

・先程まで一緒に居たので睡眠PKの可能性はない

・ヨルコさんが塔の中に人影らしきものを見た

・カインズさんは人に恨まれるようなことはなかった

 

ヨルコさん、知り合いが目の前で亡くなったって言うのによく話してくれたと思う。

 

「さて、どうしよっか」

 

私たちはベンチに腰掛けとりあえず落ち着くことにした。

 

「まずは手持ちの情報を検証しましょう」

 

「ロープとスピアだね。PCメイドならそこから犯人を終えるかもしれないしね」

 

アスナさんが提案し、フィリアが答えると言ういつも通りのパターン。

ほんとフィリアが提案とかしてるところ見たことない。

 

「ってことは鑑定スキルが必要だな。サラ達、………持ってるわけないよな」

 

「当然、キリトもね」

 

私の知り合いで鑑定スキル持ちは2人いる。が、両方とも、この時間帯はかなり忙しいと思う。

 

「誰か心当たりあるか?」

 

とキリトが聞くがみんな首を横に振る。

まぁ当然と言えばそーなのだ。フィリアさんもアスナさんもピンク頭の彼女しか知らないし、キリトはキリトでスキンヘッドの彼しか知らない。つまり、私が先程思い付いた2人選択肢にいない訳で手詰まり状態である。

 

「……仕方ない。アイツに頼むか」

 

キリトはそう呟くとすぐさまメッセージを打ち始めた。

 

「キリト、もしかして雑貨屋の店主に頼もうとしてるの?」

 

流石にこの時間帯、忙しい彼に頼むほどキリトも図々しくないだろう。いや、ないと思いたい。

 

「ん?想像してる奴であってるぞ」

 

……やっぱり。

キリト、いくらエギルさんが優しいからって少しは遠慮しなよ……。

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

 

〜50層【アルゲード】〜

 

「うーっす、来たぞエギル」

 

キリトは遠慮なくズカズカと店内に入っていく。

 

「客じゃない奴に"いらっしゃいませ"は言わん」

 

エギルさんがキリトに対してしか言ってないのは、エギルさんの視界に私たち3人が入っていないからです。

一応、よくキリトと一緒に来るけど言われたことはないからね。

 

「相変わらず阿漕な商売してるんだな」

 

キリトが皮肉返しと言わんばかりに決まり文句を言う。

 

「"安く仕入れて安く提供する"ってのがうちのモットーだからなっていつも言ってるだろ」

 

それに対してエギルさんもいつも通りに返してくる。

 

「…後半は怪しいけどなっ」

 

とこれまたいつも通りに腕を合わせる。

確かに後半は怪しい気もする。前半に関しては、先程店から出てきたプレイヤーの落胆ぶりを見ればよくわかる。

 

「……そーいえば、今日はサラと一緒じゃないのか?」

 

エギルさんはわたしのことを普通に呼んでくれる数少ない人だ。あとは、キリトとかアスナさんとかフィリアとか。

あのヒースクリフさんですら、聖女って呼ぶんだから。

あの人そんなキャラじゃないと思うんだけどな……。

 

「あぁ、それなら…」

 

とキリトが私たちの方を指さしたので3人で頭をひょっこり出す。

 

「すみません、エギルさん」

 

と言うとエギルさんはかなり驚いたようにキリトの肩を組み何かを話していた。

多分、アスナさんとフィリアがいることに驚いたのだろう。恐らく、アスナさんの方に。

 

「まぁ、とにかく上がろうぜ」

 

キリトはそう言い上に上がっていき、フィリアもそれに続く。

だから、キリト……少しは遠慮しようよ……。

 

 

「ほんとすいません。エギルさん」

 

「構わないさ。それに問題児2人も抱えてるお前さんらの方が大変だろうしな」

 

確かにこの2人は攻略組トップの問題児だろう。

片や無茶ばかりをし、片や地位に見合わず誰よりも自由である。

 

「まぁあの2人は仕方ないですよ。」

 

ふいに2人を見るとこっちを見て首を傾げていた。

 

 

 

 

「それで、これなんですけど…」

 

私はそう言い先程キリトから預かったスピアとロープをエギルさんに差し出す。

 

エギルさんは私から受け取るとスピアやロープをタップした。

私たちのようなスキルを持っていない人がやってもなんの情報も得られないのだがスキルを持っている人がやると固有名や作った人の名前がわかるらしい。

 

「……ロープの方は一般に流通しているものだ。」

 

…やっぱりか。

元々ロープの方には期待はしていなかった。

むしろ、本命はスピアの方だ。

 

「スピアの方はプレイヤーメイドだな。……作成者はグリムロック。聞いたことないな、一線級の刀匠ではないはずだ。」

 

これは当たりだ。

だが、このスピアを制作した人にあまり会いたいとは思えない。

理由は、このスピアが完全に対人を想定して作られているからだ。いくら頼まれたからと言っても作る人の気がしれない。

 

「……一応固有名を教えてくれないか?」

 

いつの間にか私の横に居たキリトが尋ねた。

 

「"ギルティソーン"。罪の茨って意味だな」

 

"罪の茨"。

何ともそれらしい名前。

 

私が少し考え事に耽っていると、エギルさんの手にあったスピアはいつの間にか問題児2人の手にありキリトがブツブツ言いながらスピアを自分の手に突き立てようとした。

 

パシッ

 

キリトの思惑はフィリアさんとアスナさんによって止められた。

 

「ちょっと何をしているの!それで人が死んでいるのよ!?」

 

「キリトっ!そんなことしたら危ないよ!」

 

流石は最強ギルドの副団長。

アスナさんはともかく、フィリアさんもやっぱりこういう所はしっかりしているのだなと思った。

 

「とにかく、これはサラさんが持っていて!」

 

私はアスナさんにスピアを渡された。

 

(さっき、キリトが止められてたけど実際やってみないと分からないし。)

 

私はアスナさんたちがキリトの方に向いている隙に自分の手にスピアを突き立てた。

 

ガンッ

 

スピアは私の手には当たらなかった。

システム通り、紫色の障壁によって私の手に当たることを阻まれていた。

 

「…やっぱりスピアに特別性はないか。」

 

ふと4人の方を見るとみんな固まっていた。

 

(どーしたんだろ……)

 

と思った次の瞬間

 

「「「「サ、サラ~~!?」」」」

 

この後、みんなに怒られました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





全然進みませんでした、申し訳ありません。

リアルの方が落ち着いたら、もっとしっかりと投稿出来ると思います。

作品に対する意見、アイディア待っていますので遠慮なくお願いします。

今回も読んで頂きありがとうございました




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第14話〜捜査?2〜

更新の間が空いて申し訳ありません。
理由としては、今年受験生ということもあり時間が無いことと話の展開に悩んでいることです。
できる限りしっかり更新していきたいと思うのでお願いします。



〜キリトside〜

 

サラが自分に突き立てた後、俺達は念のため黒鉄宮に行き"カインズ"の生死を確認をした。

結果は………俺達が見た通りだった。

 

「…さて、これからどーしたもんか」

 

「……そうね。ちなみに何か案はあるのかしら?」

 

俺の呟きにアスナが反応した。

にしても、最近アスナの言葉に棘を感じるんだが

 

「……思いつくこととしては3つ。一つ目はヨルコさんの話の裏をとる。二つ目はグリムロックについて調べる。三つ目は殺害の手口について詳しく調べるってとこだな」

 

俺はとりあえず思い付いたことを簡潔に答えた。

 

「一つ目は少し難しいんじゃないかな?私たちの人数じゃ人手が足りないし、事件のことを言えば人手は集められるかもしれないけど不確かな情報を流すわけにはいかないし」

 

とフィリアが問題点を的確に洗い出す。

こういう所は伊達に攻略組トップギルドの副団長をやっていないなと思う。

 

「フィリアさんの言う通りだね。てことは、必然的に二つ目か三つ目だけど…。とりあえず、明日までに考えるってことでいいんじゃないかな?」

 

「……そうね。もう時間も時間もだし、また明日にしましょう」

 

サラが纏め、アスナがそうしめた。

 

「す、すまんが俺は商売の方があるから明日からは……」

 

「あぁ、わかってるよ。ありがとな」

 

別にエギルはこの事件の犯人が怖い訳では無い。ただこの残忍な事件を起こした犯人と会った時に冷静でいられる自信がないのだ。

もちろんこの場にいる俺達はエギルの優しさがわかっているから何も言わない。

 

「それじゃあ、今日はお開きってことで」

 

俺のその一言でみんなそれぞれ去っていく。

と言っても俺とサラは同じ所に帰るわけだが……。まぁ同じと言っても隣の部屋だが。というのも去年のクリスマスのこと。俺はフィリアに誘われレアアイテムを落とすというイベントボスを倒しに行ったわけなのだが、このイベントボスと言うのが半端な強さじゃなく俺とフィリアもかなりギリギリで倒すことが出来きたのだ。しかし、この事がサラに漏れなくバレて条件としてサラと一緒に住むということでお許しを頂いた。お陰でこの事以来余程のことがない限り俺とサラは一緒にいる訳で周りのプレイヤーからは羨望と嫉妬の視線を浴びており、【聖女の守護者】というよく分からない二つ名まで付いているらしい。

 

「…どうしたの?キリト」

 

「いや?別になんでもない」

 

…サラと居られるこの時間がずっと続けばいいな。

 

 

〜サラside〜

 

翌日

 

私はキリトが少し用があると言うのでフィリアとアスナさんと待っているところ。

 

あの後、私とキリトが借りている部屋がある層に戻ったら聖竜連合のシュミットさん?が私とキリトからスピアを横取りしていった。

まぁ横取りと言っても、私と目が合った瞬間になんかすごい勢いで頭を下げてキリトに貰ってたけど。周りに沢山いた聖竜連合の人たちは何のためにいたんだろう?

 

…それにしても、フィリアとアスナさん。私服可愛いなぁ。2人とも青と赤という、各々のパーソナルカラーと言っても過言ではない色を取り込んでおり先程から通り過ぎるプレイヤーが3度ほど立ち止まる位似合っていてかなり可愛い。

それに比べて、私は普通と言っても過言ではない服装である。さっきからすごい見られてるけど、こんな格好すら似合ってないのかな?

 

〜フィリアside〜

 

〜数分前〜

 

待ち合わせの時間より少し早く来たんだけど、かなりビックリした。

だって、待ち合わせ場所に行こうと思ったらそこに天使かと思う位透明感を感じさせる格好をしたサラが立っていたから。

格好は至ってシンプルで、白いセーターにちょっとクリーム色っぽいロングスカート。露出が多いわけでもない。だけど、それを着ているのがサラというところが問題なのだ。

それに、いつもは隣にいる真っ黒くろすけのキリトがいないせいで周りに男性プレイヤーの壁が出来始めてる。と思ったらなんか女性プレイヤーがちらほら。

これは急がないとと思って、後ろから来たアスナの手を引いて急いでサラの元へと向かった。

 

〜キリトside〜

 

念のためと思い、クラインへ一応事件の話をしに行きサラたちとの待ち合わせ場所へと向かった。

 

 

 

待ち合わせ場所へと行くと何故か全員私服で、いつも通りの格好をしているのは俺だけだった。

しかし、こう見ると3人ともかなりレベルが高いと改めて思う。3人から少し離れた所にはプレイヤーの壁が出来ている所を見ると俺の感性は間違っていないのだろう。

それにしても、幼馴染みとは言え最近あまり私服姿というのを見ていなかったせいなのかサラの格好を見た時は一瞬息をするのを忘れた。

 

「…すまん。少し遅れた」

 

「ううん。大丈夫だよ、そんなに遅れてないしね」

 

フィリアが笑顔でそう言ってくるが、かなりヤバイ。何がヤバイってフィリアレベルの人が笑顔でそんなこと言ってくるんだ、フィリアの事しっかり知らなかったら惚れてもおかしくないと思う。

 

「…それで今日はどうしようか?」

 

サラが改めて今日の目的を明確にすべく、話を切り出した。

 

「そうだなぁ。この人数なら、殺害の手口を詳しく検証するのが1番なんだが…。俺達の知識じゃこれ以上はな」

 

「そうね。せめて、もう少し詳しい人がいればいいのだけど。」

 

「でも、キリト以上に詳しくて尚且つこのことを口外しない人なんていないんじゃないかな?」

 

フィリアの言う通りだ。この事を口外しないほど信頼が出来る奴なんてそうそういない。それにこのSAOに精通している奴なんて……居た。たった1人。

 

「……いるぞ、このSAOに誰よりも詳しくて口外しなさそうな奴が。」

 

「そんな人居たかなぁ?」

 

フィリアとアスナはわかっていないようだが、サラは何となく気が付いたようだ。

 

「キリト、まさかとは思うけど……」

 

「まさかも何も、聖騎士様を呼べばいいじゃないか」

 

「「へ?」」

 

「……やっぱり。」

 

フィリアとアスナはかなり驚いているのだろうか、フリーズしている。

 

「つわけで、飯奢ってやるからアルゲードに来てくれってメッセよろしく。」

 

俺はそう言うとサラに聞こえないように続けた。

 

「……ついでにサラも一緒。って送っておいてくれ」

 

そう言うとフィリアはまたまたポカーンとした顔になったがすぐにメッセージを飛ばしてくれた。

 

「え、でもなんでサラのことを?」

 

フィリアが俺の耳元まで来てわざわざ聞いてきた。

 

「…この前少しな。あいつを慕っていたいのなら聞かない方がいい。」

 

うん、あれは話すべきじゃない。むしろ、俺の中だけで留めておかなければ血盟騎士団が崩壊してしまう可能性もある。

 

「そっか。じゃあやめておく」

 

「あぁ、やめといた方がいい。それとフィリア、その服似合ってる」

 

フィリアにそう言うと、フィリアは本日3度目のアホ面になりすぐさま顔を赤くした。

 

「あ、ありがと//。けど、それはサラに言ってあげてね」

 

フィリアはそう言うとアスナたちの方へ戻っていった。

先程アスナにも服装について言ったのだが、アスナにも同じことを言われた。

俺がサラたちの方へと向かって行くとサラが話しかけてきた。

 

「フィリアと何の話をしてたの?」

 

「大したことじゃないよ。言い忘れてたけど、その服かなり似合ってる」

 

この言葉に嘘はない。が、この場合に似合ってるという安易な言葉で片付けていいのかは俺には分からない。

 

「あ、ありがと///」

 

サラは顔を真っ赤にして、フィリアたちの方へと歩いていってしまった。

 

(…アルゴにバレたらまた弄られそうだな)

 

俺はサラたちの方へと向かい、4人で待ち合わせ場所である【アルゲード】へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




キリトがキリトじゃない!って思った人すみません。
キャラ崩壊してしまいましたね、ほんとすみません。ですが、次回のヒースクリフはネタバレになりますがヒースクリフではないと言っても過言ではないと思います。
あと、全く話が進展せず申し訳ありませんでした。


次回も楽しみにして頂けると嬉しいです。
感想、アドバイス貰えるとやる気が出るので遠慮なくよろしくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第15話〜捜査その3〜

また更新期間が空いてしまい申し訳ありません。

今回の話はヒースクリフのキャラ崩壊がすごいかもしれません。


新作について、アンケートをとっているので参加して頂けると嬉しいです。


〜キリトside〜

 

もう慣れ親しんだ転移の音と共に、まるで魔法使いを思わせる風貌でヒースクリフは来た。

 

「すみません団長、このバ……男がどうしてもと言うので」

 

アスナさんよ、今バカって言おうとしなかったか?

 

「わざわざ来てもらって悪かったな。ヒースクリフ」

 

「いや構わない。かの黒の剣士にご馳走になれる機会なんて滅多にないだろうからね。……それにサラくんと食事なんて光栄な機会滅多にないだろうからね。」

 

おい、後半のそれを俺に耳打ちするな。

別にサラとの食事ぐらい約束さえすればいつでもできると思うんだが。

 

「…とりあえずキリト案内よろしくー」

 

血盟騎士団の衣装に着替えているアスナとは対照的に私服のままなフィリアの一言で移動することになった。

 

(フィリアも一応、副団長なんだよな…?)

 

俺は浮かんだ疑問を捨て、とりあえず案内することにした。

 

 

〜サラside〜

 

キリトが連れてきてくれたのは、おおよそこのメンバーを食事に誘うような所ではなかった。

隠れ家的なお店かと思ったけど、それも違うらしくお店の見た目通りのラーメン?が出てきた。

 

「…これは断じてラーメンではない。」

 

確かにヒースクリフさんの言っている事は正しいと思う。ラーメンと呼ぶには味気なくかと言って具体的に何かと聞かれたらラーメンと答えるしかない。

 

「あぁ、俺もそー思うよ。そんなことよりも本題なんだが。」

 

(キリト、そう思うならなんでここ選んだの?)

 

パートナーの食事のセンスは置いといて、ヒースクリフさんも時間がないと言ってたし事件の説明からしないと。

 

「今回の事件の大まかな流れはーーーーーーーーってところです。」

 

「ふむ。ではこの偽ラーメンの味だけ答えるとしよう。」

 

(ヒースクリフさん、どれだけ根に持ってるの……)

 

彼のラーメンへと愛はかなりモノなのだろう。

証拠にスープまで綺麗に飲み干してるし。

 

「あぁ、それで今思いついてる案は三つ。一つ目は、正当なデュエル。二つ目は、既知のスキルを組み合わせたシステム上の抜け穴。ーー三つ目は、未知のスキルによるもの」

 

確かに私たちが考えられるものはこの三つだけだろう。昨日、キリトと考えを出し合ったのだから多分これ以外に思いつく人がいるとしたら相当SAOに詳しくなきゃ無理だと思う。

 

「……三つ目の可能性は除外して良い。」

 

「随分断言するんですね。」

 

「あ、あぁ。私はこのゲームを作った茅場晶彦とは顔見知りなのだが彼は少なくともフェアネスは貫いていたからね」

 

まぁ、彼頼み込んで貰ってゲームをやった結果こんなことに巻き込まれてしまったのだがね。と首を振りながら言っているし多分本当に顔見知りなのだろう。

 

「あんたの神聖剣を除いてはな。」

 

キリトは少し挑発気味に言うが、ヒースクリフさんに不敵な笑みを浮かべられてしまっていた。

………そう言えば最近、キリト隠れてよく圏外出てるんだよね。ちゃんとお話聞かなきゃ。

 

「………それじゃあ、デュエルの可能性は?」

 

私が少し物思いに老けていたら、麺を啜るのに一生懸命になっていたフィリアが漸く口を開いた。

 

「それなら気になったんですけど、winner表示って一つの時と二つ出る時があるんですけどあれってどうやって決まってるんですか?」

 

私の単純な疑問はヒースクリフさんによってすぐに解消された。

 

「winner表示は、決闘者同士の距離が10m以内ならば1つ。それ以上であればそれぞれの目の前に出るようになっている。表示されないということは有り得ない」

 

「てことは、デュエルの可能性もなしか…。」

 

フィリアさんの言う通りだ。

あの時、フィリアさんの索敵にもキリトの索敵にも何も引っかからなかったということはあの教会には誰もいなかったことになる。そーなると、カインズさんのところになんの表示も出ないなんてことは無いはず。

 

「それじゃあ、こういうのはどうだ?まず、圏外でカインズ氏のHPをあのスピアで一撃で消滅させる。その後で回廊結晶を使ってあの教会に送る。」

 

キリトはヒースクリフさんにどうだ!と言わんばかりにドヤ顔をしている。

 

「ふむ。その可能性はないとは言い切れないが、もしあのショートスピアで中層のタンクのプレイヤーのHPバーを全損させようと思ったら少なくともレベルは100は必要だろうがね」

 

「「「ひゃ、ひゃく!?」」」

 

思わず驚いてしまった。

 

「キ、キリト。分かってるよね?私達がどれだけやってるのか?」

 

「あ、あぁ。」

 

実際、キリトは暇さえあればレベリングに行こうとするので一緒について行っている私も攻略組トップクラスのレベルがあると自負しているが、それでもついこの間85を超えたところだ。

 

「もし、そんなプレイヤーがいるのならば私が既に血盟騎士団に勧誘しているがね。……もし良ければ君たちも入って貰いたいものだがね」

 

確かにそんなプレイヤーがいたら有名になってるはずだし、そもそも現状でそのレベルに達するなんて物理的に不可能だ。

あと、ヒースクリフさんなにちゃっかり勧誘してるんですか。キリトもなにが「俺は別に要らないだろ?」よ。ヒースクリフさんも否定してよ。

 

「私から言えることは1つ。この世界において目に見えているものは全て正しい。逆にそれ以外の情報を簡単に信用してはわかるものも分からなくなってしまうから気をつけたまえ。」

 

小難しい。

案の定、キリトとフィリアは頭の上にハテナマーク出ちゃってるし、アスナさんに関してはラーメン?が入ってた丼ぶりと睨めっこしちゃってるし。

 

「それでは、私は失礼するよ。」

 

ヒースクリフさんは立ち去る前に少しキリトと話をしてからギルドへと戻っていった。

 

 

〜キリトside〜

 

ヒースクリフがわざわざ耳打ちしてきたからどんな重要な話かと思ったら

 

「サラくんとの会合ならばいつでも時間を作ろう。むしろ、毎日あっても構わない。それと、サラくんを我がギルドにもし入団させることが出来たならば我がギルドの全精力をもって君の希望を叶えよう」

 

あの変態が。

なんでも、サラのファンクラブは会員数5000人を超えるトップクラブらしい。もはや、それで攻略ギルドでも作ればいいと思うのだが。噂では、血盟騎士団員も聖竜連合の奴らもほとんど入ってるらしいし。

あいつら、俺のことサラの守護者だのなんだの呼んで目の敵にしてくるんだよなぁ。

そんな変態共のトップこそがあの男、"性"騎士ヒースクリフである。最早、知らないのはサラとアスナぐらいなものでフィリアは悪ふざけ半分で会員である。

と言ってもこの3人。なぜか自分自身のファンクラブについては知らない。鈍感なのやら、ただ関心がないのか分からないがアスナのファンはまだしもフィリアのファンにはよく睨みつけられるのでやめて欲しい。

そんなにフィリアと関わりたいのならば、トレジャーハントにでも誘えば喜んで行くのだろうに。

それよりも、3人中2人のファンクラブのトップがあの変態というのは問題ではないのだろうか。

ちなみに、残りの1人はクラインらしいが……。

 

 

〜ナレーターside〜

 

自分のファンクラブがあることに気がついていないのはキリトも同じである。

ちなみに、ファンクラブのトップはもちろんヒースクリフである。

 

 

 

 

 

 

 




キリトもキャラ崩壊しかけていますね。

次回、とその次あたりで圏内事件に蹴りをつけようと思います。

次の更新は、ワートリもしくはアスタリスクになると思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第16話

更新遅れて申し訳ありません!

言い訳するつもりは無いんですけど、どうやって圏内事件終わらせようかと考えていたら中々話が纏まりませんでした。

それでは短いですが、どうぞ


〜サラside〜

 

ラーメンもどきによる会食から少し経ったが、事件に進展はなかった。

実際、手詰まりの状況で今はキリトとアスナさんがシュミットさんとヨルコさんの会話の見張りをしていて私達とら別行動をしている。

 

「フィリア、今回の事件ってやっぱりなにかおかしくないかな?」

 

「うん、私もそう思うよ。まぁけど、まだ違和感があるだけでなんとも言えないけどね」

 

確かに、違和感はあるのだけれどそれが何かと言われれば答えることは出来ない。

答えは分かっているのに、その証拠がないという感じだ。

 

「ただ、ヒースクリフさんの言ってたことを考えるとやっぱりこの事件おかしいんだよね……。」

 

私は1度カインズさんが亡くなった時の状況を思い出すことにした。

 

 

 

 

〜キリトside〜

 

……ヨルコさんが死んだ…。

室内だから、安全だってたかを括ってた。

 

目の前で、ヨルコさんがPKされたシュミットは見るからに顔を青ざめさせていた。

 

「……あのローブは……グリセリダのものだ。間違いない………これはグリセリダの復讐なんだ……。」

 

シュミットは両手を床につき乾いた笑い声を上げた。

 

「そうだよな、幽霊なら圏内だろうが……関係ないもんな…………。ははっ、ははは……」

 

流石に俺でも、2度もあんなものを目の前で見せられたら信じざるを得ない。

 

それから少しの間、沈黙が流れた。

 

「すまんが、ギルド本部まで送ってくれないか?」

 

「えぇ、わかったわ」

 

「あぁ、俺も構わない」

 

事情を知らなければ笑い飛ばしただろうが、俺には彼を笑うことは出来なかった。

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

シュミットをギルドへと送り届けた後、サラ達との集合場所へと向かった。

 

「…はい、これ」

 

攻略の鬼こと、血盟騎士団のアスナが俺に食べ物を恵んでいる!?

 

「えっと…、くれるのか?」

 

「この状況で、それ以外なにがあるのよ。見せびらかしているとでも?」

 

有り難く、包みを受け取った。

 

「そろそろ耐久値が切れるから、早く食べた方がいいわよ」

 

「じゃあ、…いただきます」

 

包みを開けると中身はバケットサンドだった。

俺は見た瞬間に、食欲を抑えられず口を大きく開き1口齧った。

 

「……美味い……。」

 

いつもサラが作ってくれるご飯に負けずとも劣らない。こんなものがアインクラッドにあったなんて……。不覚だ。

 

「でも…、こんなの一体どこで?」

 

「売ってない。」

 

「…へぇ?」

 

今なんと仰いました?

 

「……私だって料理ぐらいするわよ」

 

あのアスナが料理!?

嘘だろ……。

 

「それなら、いっそ売れば儲けられたのになぁ。なんて……」

 

「……キリト、それ本気?」

 

「…ひいっ!………あっ」

 

今にも射殺さんとするサラとアスナの視線を受け、思わずバケットサンドを落としてしまった。

 

パリーン

 

もしかして……。

 

 

 

〜サラside〜

 

キリト達との待ち合わせ場所に着いたら、またキリトが馬鹿なことを口走ってたから思わず怒ってしまった。

それに驚いたキリトがバケットサンドを落としてしまったら元も子もないと言うのに。

 

パリーン

 

……今のって……。

 

キリトの方を見るとキリトも何かに気づいたみたいだった。

 

「ねぇ、キリト。もしかして今回の事件って……。」

 

「あぁ、今回の事件で死んだ人は」

 

「「誰もいない」」

 

…ハモってしまった。……少し恥ずかしい。

 

「……どういう事かしら?」

 

アスナさんはまだわかっていないらしく、聞いてきた。フィリアさんに関しては、驚き過ぎてまだ混乱しているようだった。

 

「…とりあえず、晩御飯まだなのであそこのレストランにでも入りませんか?」

 

未だ混乱しているフィリアの手を引き、私達はレストランへと入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




遅れた癖に全然進んでなくてごめんなさい。


これからは、ちゃんと週一投稿して行きますのでお許し下さい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第17話

今回から基本はサラの目線で書いていきたいと思います!!
突然で申し訳ないです
キリトたちの目線になる際は今まで通り、〜sideと書きますので安心して下さい。


未だに困惑している2人だけど、キリトの説明を聞くにつれて徐々に理解しているように見える。

 

「ーーだから、ヨルコさんもカインズ氏も確実に生きてる。試しに、ヨルコさんの現在位置調べてみろよ。まだフレンド登録したままだろ?」

 

キリトに促され、アスナさんはフレンドリストを開いて確認をしている。

 

(……アスナさん、いつの間にフレンド登録してたんだろ…。)

 

私がアスナさんのコミュニケーション能力の高さに驚いている間にアスナさんは確認を終え、キリトと何やら話している。

 

「それにしても、結局グリムロックさんは何がしたかったんだろうね〜」

 

(……そう言えば…………まさかっ!?)

 

フィリアの何気ない一言だったが、私がそれに気付いたころに丁度アスナさんとキリトも何かに気付いたようだった。

 

「えっ!?どうしたの?」

 

「説明は途中でするから、着いてきて」

 

フィリアの手を取り、急いでレストランを出た。

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

〜19層〜

 

「キリトっ、もっと早くできないの!?」

 

19層に着くなり、アスナさんとフィリアさんとは別行動をし私とキリトは馬に乗って急いでヨルコさんたちの元へ向かっている。

 

「無理だよ、これ以上は。それにもう着く」

 

馬に乗って数分で目的地が見えた。

目的地には、計6名のプレイヤーのカーソル。うち3つはイエローカーソル。

 

(………やっぱり……ん?)

 

ヒヒィン

 

そんな馬の声と共に、私は地面へと落とされる。

 

「……ちょっ、キリトっ!?」

 

同じように地面に落とされたキリトを睨む。

 

「いや、馬の操作って難しいんだって。」

 

こんなのが攻略組トッププレイヤーで大丈夫なのだろうか………。

 

「……poh。あなた達がこんな所でなにしているの?」

 

「ほぅ、黒の剣士に聖女様とはな」

 

状況としては圧倒的にこっちが有利。

一人で三人も相手にするのは少々厳しいものがあるけど、キリトがいれば話は別。

 

「いくらお前らでも、俺とサラを相手にして無事でいられると思うのか?それにあと数分すれば援軍も到着する。俺らに加えて攻略組30人を相手にしてみるか?」

 

キリトの挑発にジョニーブラックが反応したが、pohによって止められる。

 

「……suck。」

 

pohは巨大な包丁を収めると、ボロボロのマントを翻し指を鳴らした。

 

「黒の剣士、いつかお前を聖女をかっ捌いた血の海に転がしてやる」

 

そう言いpohは2人を連れ歩いて行った。

 

(……私はあなた達になんか負けないけどなぁ)

 

と少し不満だったのは別の話。

 

 

 

 

「さて、ヨルコさんお久しぶりです。カインズさんは初めまして。」

 

シュミットさんの麻痺が抜けたところで、話を始めた。

私達が何故ここに来たのか、シュミットさんたちが何でこんなことをしたのかなど。

 

「ヨルコさんたちは、この計画をグリムロックさんに話したんだよな?」

 

ラフィンコフィンがここに来たことを説明するのにはこれを外すことはできない。

さっき、フィリアから確保したと連絡が来てたからそろそろ着くはず。

 

「……えぇ。最初は渋っていましたがなんとか説得して武器を作ってもらいましたから。」

 

「酷いことを言うようだけど、グリムロックさんが反対していたのはグリセルダさんの為じゃないです。誰かがこの事件の真相に気が付くのを恐れたからです。ですよね?グリムロックさん」

 

私は丁度到着したフィリアたちの方へと、目線を移しながら言った。

 

「…久しぶりだね、みんな」

 

薄ら笑いを浮かべ、何事もないかのように振る舞う男。

 

「……グリムロック、あなたが本当にグリセルダさんを……?」

 

ヨルコさんの消えそうな声に対して、薄ら笑いを浮かべたままの男は言った。

 

男曰く、彼女とは現実でも結婚している夫婦であったこと。彼女と共にSAOに囚われ恐怖したのは自分だけであったこと。変わってしまった彼女が完全に自分から離れる前に殺して自分のものだけにしようとしたこと。

 

「あなたのそれは所有欲だわ!」

 

アスナさんが、男の主張を切り裂いた。

彼の抱いていたのはただの所有欲。そこに愛情なんてものは存在しない。

 

「……あなたは最低な人だよ」

 

まだなにかを言おうとしている男にフィリアがトドメを刺す。

 

これには流石の男も堪えたらしく、膝をついた。

 

「…みなさんありがとうございました。あとは私達に任せて下さい。それと巻き込んでしまってごめんなさい」

 

ヨルコさんは静かに言い、2人共にグリムロックを連れて森の奥へと歩いて行った。

 

 

4人が見えなくなるまで見送ったところで、アスナさんが呟いた。

 

「ねぇ、3人なら結婚した後に相手の違う一面が見えたらどうする?」

 

突然の質問に私もフィリアさんも驚いた。

なにより、あのアスナさんがそんなことを質問したことが信じられなかった。

 

「ラッキーって思うかな…」

 

「「「えっ…?」」」

 

質問に答えたのはなんとキリト。

これには驚きを隠せない。

 

そんな反応をされたからか、キリトは頭を掻きながら続けた。

 

「だって、結婚するってことはそれまで見えてた面は既に好きなわけで……その後に新しい面も好きになれたら……その2倍じゃないですか……」

 

「さすがキリトだね〜」

 

「うん、キリトらしいよ」

 

私もフィリアも同じ意見みたい。

そんなキリトだからこそ、私はキリトを信用して背中を預けられる。

 

「…変な人」

 

アスナさんはそう言いながらも少し顔を赤くしている。

 

「な、おい自分たちはどうなんだよ!?俺だけでずるいぞ!!」

 

恥ずかしさから顔を真っ赤にしているキリトを置いて、市街地へと歩き出した。

 

ーありがとう

 

そう言われた気がして、後ろを振り返ると強い意思を秘めた瞳をした美しい女性が立っていた。

私の見間違いだろうと思って、3人の方を見ると3人とも口を開けて魅入っている。

 

(……グリセリダさん、任せて下さい)

 

次の瞬間には、もう誰もいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんとか、圏内事件終わらすことが出来ました!!

次の更新出来るだけ早くしたいと思います!

それでは!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第18話


どうもお待たせしてしまって申し訳ないです
言い訳はサラのユニークスキルが思いつかなかったのが大きな原因です……


待ってもらえていたか分かりませんが、これからも更新頑張りたいと思うのでよろしくおねがいします

それとお気に入り数100に超えました!皆さんありがとうございます




 

「いらっしゃいませ〜って、サラかー。」

 

「一応、お客さんにそんな態度でいいの?」

 

「いいのよ、あんた達にまで気を使ってたらやってられないわよ」

 

目の前の少女はピンク色のショートヘアに、エプロン姿とその容姿は鍛冶屋という職業とは大きくかけ離れているが腕はこのアインクラッドにおいてトップクラスである。

 

それはさておき、久しぶりにキリトと別行動をしてまで、私がわざわざリズのところに来たのにはちゃんと理由がある。

 

「はい、これお茶。…それで今日は何の用?」

 

「あ、ありがとう。これなんだけど強化出来るかな?」

 

そう言って私はこの間突然現れた武器をリズに見せる。

 

「…なによ、これ。初めて見たわよ、こんな種類の武器!!」

 

リズが驚くのも無理はない。

長いこと攻略の最前線で戦い続けて来たがこんな種類の武器は見たことがないし、正直聞いたこともない。

 

「片方は槍に旗が付いたもの、もう片方は片手剣のようなものかしらね。どこで手に入れたの?こんなもの」

 

「えっとね……、誰にも言わないんで欲しいんだけど」

 

装備してしまえばバレてしまうことなのだが、やはりギリギリまで隠しておきたいのがゲーマーとしての性なのだ。

 

「この間スキル欄見てたら【裁定者】っていうスキルがあってそれと一緒に勝手にストレージに……」

 

「なるほどねぇ、それは隠しておいた方がいいわね。それでこの武器なんだけど、他にもアイテムみたいなもの入ってなかった?」

 

なぜリズが他のアイテムのことも知っているのかと思ったが、今更隠す必要もないだろうということで素直に一緒にあったアイテムを渡す。

 

「はい、これ」

 

「よし、これで強化出来るわよ、足らない分のアイテムは私からのサービス。今度バイトしてもらうから」

 

そう言うとリズは奥の仕事場へと武器とアイテムを持っていってしまった。

 

(……私も多分持ってのに…。)

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

リズが仕事場に入ってから数十分後。

 

ガチャン

 

「お待たせ!!いい武器が出来たわよ!」

 

そう言ってリズが抱えてきた旗と剣は先ほどよりも、若干の装飾がついただけで見た目には差ほど変化はない。

 

「ありがとう、リズ」

 

リズから2つとも受け取り装備してみるが、腰に剣は装備されたのだが旗が現れない。

 

「あれ?ちゃんと装備されてるのに…」

 

何度フィギアの装備欄の部分を見てもしっかりと装備されている。

 

(……何でだろう。もしかしてもう装備されてるのかな)

 

そう思い、右手に旗を持つイメージをしてみると右手に旗が現れた。

 

「へぇ、便利ねその旗」

 

リズの言う通り、わざわざ街中でこの大きな旗を持つ必要がないのはかなり嬉しいし、意識するだけで旗を出し入れ出来るなら戦闘でも幾らか有利になる。

 

「リズ、ありがとう。私これから行くところあるから、これで」

 

「わかってるわよ、そのうち新しい客引っ張ってきてね」

 

私はリズに別れを告げ、熟練度上げのためにある場所へと向かうことにした。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

周りが暗くなってきたこともあり、熟練度上げを引揚げ家に帰ることにした。

 

(それにしてもこのスキル。完全にサポートメインだなぁ)

 

【裁定者】

・回復、防御ボーナス20%

・看破能力

 

スキル

・リュミノジテ・エテルネッル

 

この二つがこのスキルを装備するだけで付く。

看破能力というのは、索敵スキルの上位互換のようでどんな高い隠密スキルでも看破でき相手の情報もかなり細かいところまで見れる。

熟練度も800を超えたが出てきたスキルはこの一つのみ。その一つも完全な防御スキル。

その代わりなのか、旗と剣と言うだけあり槍と片手剣のソードスキルは使える。

 

(……キリトには話した方がいいのかな?)

 

キリトも最近は隠し事をしているようだったが、キリトに隠し事をするのに気が引けてしまい迷う私だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ユニークスキルのスキルなど案がありましたら、活動報告の方にユニークスキルについてのアンケがあるのでおねがいします

あと、感想お待ちしております


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第19話



亀更新で申し訳ないです……。
こここら、若干オリジナル回が増えると思いますがご了承ください。


あと、フィリアの誕生日が決定しましたね!!
かなりうれしいです!!
皆さんはSAOで推しのキャラいますかね?
もしいたら、共有できたら嬉しいです!!


それでは本編どうぞ


 

………キリトが行方不明になった。

 

今までも、1日中どこかにレベリング行ったりすることもあったし時々朝までどこかに潜っていることなんてザラにあった。

それに今回は、あのフィリアと一緒じゃないらしい。フィリアはよく私かキリトを連れてトレジャーハントに行くから時々こういうことがあるのだけど今回はフィリアはギルドの方で事務仕事らしい。

それを抜きに今までは連絡があったのだけど今回はそれすらないのが気にかかる。

アスナさんの話では、リズも連絡がつかないらしく行方不明らしい。

 

(………あのバカ。何やってるの?)

 

私はその日、眠らずにキリトのことを待った。

 

 

 

 

 

 

 

(……帰ってこない)

 

翌朝になってもキリトは帰ってこず、連絡すらも寄越さない。

 

(リズも連絡つかないし、何してんの2人して。)

 

連絡すらないことにイライラしながらも、追跡不可になっている2人の居場所を交互で見ながら待つこと数時間。

 

漸く2人の居場所がマップ上に出てきた。

 

(………ここって…)

 

結果から言えば、2人とも同じフィールドにいた。

 

(………さて、リズのお店に行こう)

 

私は2人に心配させた報いを受けさせるため、急いでリズの店へと向かった。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

〜49層 リンダース〜

 

カラン

 

(……開く。もう帰ってたか)

 

どうせなら2人が帰ってくる前に店の前で待ってようかと思ったけど、それは叶わなかったらしい。

 

「………お邪魔しまーす」

 

いつもならば、元気よくリズが挨拶してくれるのだが今回はそれはなく代わりに店の奥から小気味よい金槌の音がした。

 

(……珍しい。そんなに集中してるなんて)

 

リズはどんな時だろうとお客が来れば飛んで出てきていたが、それだけ今作っている武器に集中しているということだろう。

 

(あ、終わった)

 

小気味よく聞こえていた金槌の音が止んだところで、私は奥の工房の方のドアを開けることにした。

 

ガチャ

 

「……へぇ、キリト。それが隠してたものかぁ」

 

私がドアを開けると丁度キリトが新しい武器でソードスキルを試しているところだった。

それも両手に武器を持った状態で。

 

「……なっ、サラ!?」

 

「サラ、どうしてあんたがここに?」

 

突然私が出てきたことで驚いたのか2人ともかなり面白い顔になっている。

 

「……2人とも、まずは言う事あるんじゃないかな?」

 

この2人にはまず説教をしなければいけない。

何故って?

誰にもどこに行くかも伝えず、みんなに心配かけたからである。

 

「……えっと、サラさん。申し訳ございませんでした!」

先に土下座をしたのはもちろんキリト。

リズはキリトが土下座したことで少し驚いたあと落ち着いてから私に謝った。

 

「えーっと、サラ心配かけてごめん。」

 

「うん、リズはいいよ。どうせキリトが巻き込んだだけだろうし」

 

元々、リズに説教するつもりなんてない。

大方、キリトが巻き込んだだけだと思うから。

キリトが巻き込まない相手なんて、フィリアぐらいだと思う。フィリアはキリトと似てるし、むしろ2人揃うと大変なぐらい。

 

「……さて、キリト言い訳はないかな?」

 

「え、あちょっと待ってくれ。頼む」

 

キリトは必死に懇願してくるが、私は知っている。キリトが反省していない事ぐらい。

元々引き篭もりのくせに、好奇心の塊でゲーマー魂に火をつけ無理ばかりするキリトに何を言っても無駄なことは知っている。

 

キリトに1発お仕置きをしようと拳を振り上げたのだが……

 

「…リズ!!心配したよー!」

 

思いもよらぬ乱入者によってそれは阻まれた。

 

「…あ、アスナ」

 

「リズ、心配したんだよ?メッセージは届かないし、いったい昨夜はどこにいたのよ!私黒鉄宮まで確認しに行っちゃったんだからね!」

 

「ご、ごめん。ちょっと迷宮で足止めくらっちゃって…」

 

「迷宮!?リズ1人で?」

 

アスナさんが驚くのも無理はない。

職人職のリズが迷宮で足止めを食らうなんてことは殆どないに等しい。

まぁその原因を作ったのが、私の幼馴染みだと思うと申し訳ないけど。

 

「ううん、あの人と……」

 

そう言って、リズは私の足元で土下座中のキリトを指さした。

すると、アスナさんは口を開けたままフリーズした。

 

「……えっと、サラじゃないよね?」

 

「はい、そうですね」

 

「じゃあ、その下で土下座してるの?」

 

「えぇ。ごめんなさい、真っ黒のせいで」

 

私がそう言うとアスナさんはもう一度ポカンと口を開けてフリーズしてしまった。

「……どういう状況?」

 

「これが多大なるご迷惑を掛けたので、説教中ですね」

 

「あ、なるほどね。」

 

これで納得してくれるアスナさんもアスナさんだろう。

常日頃から、フィリアとキリトに手を拱いている私たちの間だから通じるものでもある。

 

「さて、それじゃあ私はお暇するので後のことはお願いします」

 

そう言って私は工房の方から出た。

理由は言うまでもないだろう。だって、アスナさんのキリトを見る目が明らかに以前とは変わっていたから。

あそこの空間に私がいるのはとても辛い。

 

(………キリトモテるんだよね。私はキリトのことどう思ってるんだろう……)

 

今まで幼馴染みのゲーム仲間としか思ってこなかった。

それで今までは良かったんだと思う。でも、アスナさんやシリカちゃん、そしてリズのキリトに対する表情を見ていると嫌でもわかることもある。

 

(……私が近くにいていいのかな)

 

幼馴染みだからという理由だけで近くにいて、みんなの恋路の邪魔になっていいのだろうか。

 

私の心の呟きに答えてくれる人は誰もいなかった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第20話


遅くなってごめんなさい

展開などがあまり納得がいかず、長々考えることになってしまいました。

それでも、短いですがご了承ください…。


それでは、本編へレッツラゴー


キリトの行方不明事件からはや数ヶ月。

今の最前線は70層。

ゲーム開始当初は、絶望的にも思えた100層も気付けば残すところあと30層と言ったところである。

 

「そーいえばいいの?アスナにばっかりキリト預けてて」

 

今も絶賛潜り中の私だが、私の隣にいるのはキリトではなくフィリアさん。

詰まるところ、キリトと最近一緒に居づらい。

理由は簡単で、ここ半年ぐらいでアスナさんがキリトのことを好きだということが目に見えて分かってしまったから。幼馴染みだからという理由で、今まではキリトの隣に居ることに何の違和感も無かったんだけど、アスナさんのその気持ちに気がついて以来なんだか申し訳なく思えてしまうことが増えたからである。

 

「うん、気持ちがハッキリしてない私が隣にいるのはアスナさんに申し訳ないしさ」

 

「サラも大概だね。自分の幸せより他人の幸せってかぁ」

 

フィリアは少し馬鹿にしたような口ぶりで言ってくるが、これでも色々と相談に乗ってくれている。

元々アスナさんの相談も受けていたらしく、少し責任を感じているらしい。

 

「とはいえ、サラもちゃんとしないと!どっちに転ぼうが私はサラの友達だからね!」

 

「あ、うん。ありがとう。」

 

フィリアは笑顔で私に手を振り、血盟騎士団本部の方へと戻って行った。

 

(………私はどうしたいんだろう)

 

私のキリトに対する思いは喉にささった魚の骨のように、モヤモヤするものだった。

 

 

 

 

 

 

「それでわざわざ俺に相談に来るか?」

 

モヤモヤして仕方がなかった私が来たのは、リズのお店に続いて私の憩いの場となりつつあるエギルさんのお店。

時々、こうして話をしに来るが大抵はお店の手伝いをさせられることがほとんど。

 

「エギルさんって既婚者だなぁって思って、それで何かアドバイスを頂けないかと…」

 

「そうは言ってもだなぁ…」

 

傍から見たらお父さんとその娘にも見えなくもない私たちの会話風景も、ここアルゲードの街並みを加味すると些か異質な風景に見えないことも無い。

 

エギルさんは大分考え込むと、閃いたかのように私に話しかけた。

 

「サラにとって、あいつはどんな存在なんだ?」

 

私がどう思っているかではなく、キリトの私の中での立ち位置を聞かれるとは思わず、そう言えば考えたこと無かったとも思い私は1度考えてから答えた。

 

「……うーん、多分手の離せない弟…そんな感じだった。ですかね?」

 

「だった?」

 

私の「だった」という過去の表現をエギルさんは、疑問に思ったらしい。

それでも、私の中では「だった」であっているのだ。

 

「…確かに今でも、世話が焼けるって思うことはあったんですけど、それでもこの世界に来てからは何処か頼りがいがあるというか…なんというか……」

 

確かに向こう側の世界にいる時と今ではかなり状況が違うのはわかっている。

そういうときだからこそ、人間の本質的なものが現れるとも私は思っている。

第1層でキリトを非難したプレイヤーたちだって、もしかしたら向こう側の世界では人格者だったかもしれない。逆に、キリトのように向こうでは全く頼れないのにこちらの世界では誰よりも頼れる人もいるかもしれない。

だからこそ、私はこの世界に来たことに後悔はない。

 

「なんだその、なんというかってのは」

 

「……それがわからないんですよね…。」

 

「聖女様にこんなにも想われてるなんてしれたら、キリトのやつ翌日には追いかけ回されるだろうな」

 

「…洒落になりませんよ…」

 

それはついこの間のこと。

たまたま、私がソロで熟練度上げをしていた時のことなのだが…。

わざわざ隠す必要もないだろうという考えの元、私はいつでも【裁定者】の装備をしている。

結果的に、傍から見た私の装備は腰に差してある片手剣のみ。それに加えて、最近キリトと一緒にいないことやキリトがアスナと一緒にいることが周りも何故か周知のことらしく翌日の新聞に【聖女乱心。黒の剣士、乗り換える!!】という大見出しで乗っけられるという事件があったのだ。

後から聞いた理由によると、私が槍を装備せずに高難易度ダンジョンに繰り返し潜っていることが何故か[キリトに捨てられたことによる、ショック]ということになっていたらしい。

この新聞が出た翌日には、私とキリトの家は2つ並んでいるせいもあり囲まれてキリトは私のファンクラブだとか言う人たちに一日中追いかけ回されていた。

仕方なく、私が事情を説明して何とか引いてもらったがあの時私が事情を説明していなければどうなっていたかと思う。

この事件は、結局【黒の剣士が聖女に見捨てられた!!】という新聞によって幕を閉じた。

 

「あの新聞以来、パーティーに誘ってくる人が増えてフィリアなしじゃ、フィールドにも出れないんですから!」

 

私がキリトを見捨てたと勘違いした人が、私がフリーになったと思ってやたら誘ってくるのだ。

とくに、聖竜連合とか。あとは事情を知っているはずの血盟騎士団とか月夜の黒猫団とか。

あのふたつに関しては完全に確信犯である。

月夜の黒猫団はケイタとサチが最近くっついたらしく、ダッカーが荒れているとかなんとか。ともあれ、月夜の黒猫団が攻略組に参戦してくれたおかげで私たちソロプレイヤーの肩身も少しは広くなったので助かってはいる。

血盟騎士団に関してはもう手遅れだろう。

まず団長と副団長の片割れを変えるべきだろう。

団長は団長でやたら私をラーメンに誘ってくる。誘うなら、せめて血盟騎士団への入隊にして欲しい。

あとは、副団長の蒼雷(笑)さん。確かに頼れる。だけど、その前にあの人殆どギルドの仕事してない。殆ど毎日、私を誘ってトレジャーハントに出掛けてる。この間、アスナさんがフィリアが仕事しないってボヤいてたから間違いない。

あとは、クラディールさんという下心丸出しの人。あの人は本当に無理だった。なんというか、瞳の奥に隠しきれてない下心のようなものが溢れ出ていた。

 

(………やばい、まともな人がアスナさんしか………)

 

これからの攻略組の行く末が心配になる私であった。

 

「まぁ頑張れ」

 

あからさまにテンションが落ちた私を気遣う様なエギルさんの言葉が心に染みる。

 

「……ありがとうございます………それじゃあ」

 

私は落ち込んだまま自分のマイハウスのある階層まで戻った。

 

 

 

 

 

 

「~♪~~~♪」

 

(……綺麗な歌声…)

 

さっさと寝ようと思って、転移門広場から最短距離を進もうと思った私だったがその歩みは彼女の歌声によってとめられた。

SAOでは殆ど趣味のスキルである歌唱スキル。

そのスキルだけではない、他に何かある。そう感じるほど、彼女の歌は素晴らしいものだった。

 

 

 

私が聞き惚れている間にも、周りには人が集まってきていて演奏が終わる頃には大観衆となったいた。

 

(………彼女、凄かったなぁ)

 

私は観衆が自分の方に来て囲まれないとも限らないので彼らが彼女へと集中している間に、人混みをかき分け家への帰路に着くことにした。

 

 

 

 





感想待ってます~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第21話

お久しぶりです。

更新遅くて申し訳ないのですが、これが限界なのでお許しください。


それではどうぞ!


キリトとは未だに昔のように四六時中一緒にいるということはないが、前ほどは距離もなく時々一緒にダンジョン攻略に繰り出す程度には仲は回復していた。

それでも、アスナさんへの遠慮なのか、それとも私自身が自分に負い目があるのか、確かなことは分からないが以前のようにキリトに接するのは私にとってとても難しい事のように思えた。これに関してはもう少し時間がかかる、それが私の見解だ。

 

(………それにしても久しぶりの1人だけど…これは中々心細い…)

 

久しぶりに1人でダンジョン攻略に来たのはいいのだが、よくよく考えてみれば自分1人でダンジョン攻略に来ること自体が殆どなく誰かと一緒に潜ることが多かったため話し相手が誰もいないということがここまで心細いものだとは思わず、改めてソロを自称して頻繁にボッチでダンジョン攻略をしているキリトの凄さを身に染みて感じる。

 

(…それにしても、本当に誰にも会わない……)

 

普段なら喜ばしいことなのだが、1人で心細いことに加えてこのダンジョンの雰囲気がなんとも恐怖心をそそってくる。そのため、ホラー系が苦手な私としては現状はかなり酷な状況である。

 

(…………仕方ない…………さっさと進もう…)

 

今更うじうじした所で引き返す訳にもいかないため、前に進む他はない。

私は出来る限り周りの雰囲気を気にしないように前へと進んだ。

 

 

◇◇◇

 

パリッンという機械音とともに、リザードマンはその姿をポリゴン片へと変えた。

 

(……そろそろ中間地点ぐらいかな?)

 

入口付近でうじうじしていた私だったが、いざ進んでみれば中は大したことはなく至って普通のダンジョンと変わらなかったためかなり順調にここまで進んできた。

元々、このダンジョンにポップするエネミーのレベルは攻略組トップを誇る私のレベルからすれば警戒するほど高くもないため楽に進めるのが当然と言えた。

ちなみに、キリトとはレベルはギリギリ勝っていると言ったところなので油断は出来ない。

 

「「「うわぁぁぁぁぁ」」」

 

「っ!?」

 

私の居る場所からかなり先から聞こえた悲鳴。

明らかにプレイヤーのものだ。

私は考えるよりも先に足が動き出していた。

 

 

 

 

全力で飛ばして少し走ると目の前から血盟騎士団の制服を着た青年が走ってきた。

 

「……君は…ノーチラス君!?」

 

「えっ…あ、サラさん」

 

その走ってきた青年はよくフィリアの無茶ぶりに付き合わされている血盟騎士団員で、私もよく知る人物だった。

 

「……なんで、君がこんな所にいるの?」

 

彼の剣の腕は確かに血盟騎士団でも高い部類に入る。だが、彼には致命的な欠陥がある。

そのため、滅多に前線には出てこない。

 

「そ、それは……」

 

「ううん…やっぱりそんなことはいいや。それより、さっきの悲鳴の原因知ってる?」

 

「こ、この先で僕たちのパーティーが大量のモンスターに襲われてて……」

 

彼はそこで口篭ってしまう。

その理由は彼の口から聞かなくても、私には分かってしまった。いや、彼を知る人物ならば分かってしかるべきことなのだろう。なぜなら、それこそが彼が前線に出てこない最大の理由なのだから。

 

「……襲われてるのはあなた以外のパーティーメンバーでいいの?」

 

「は、はい。多分……」

 

「……わかった。ほら、行くよ!!」

 

「………えっ?」

 

私は呆気に取られているノーチラス君の手を握ると、先程よりも速くダンジョン内を駆けた。

 

 

◇◇◇

 

 

大量のモンスターが1箇所にポップしてるというだけあって、道中は全くと言っていいほどモンスターとは出会わなかった。

 

「……あそこね」

 

遠目で見ても分かるほどの大量の影。

あの中にプレイヤーがいるとするならば、生きて帰れるのなんてどっかの真っ黒くろすけぐらいなものなのかもしれない。

 

モンスターの影へと近づくと、ノーチラス君の言う通りその中には5つのカーソルがあった。

だがそのうちの一つだけ、異様な程にHPが減っておりレッドゾーンに突入しようとしていた。

 

「…不味い……」

 

私は旗を出現させ、地面へと突き立てる。

 

「………我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)」

 

 

この時ほどこのスキルに感謝することはなかった。

【我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)】。簡単に言えば超広範囲のサポートスキル。私から半径20メートル以内のプレイヤーの体力を全回復し状態異常も回復。さらに、防御力up・全状態異常への耐性upのバフを5分間付随する。

 

「………聖女の盾」

 

このスキルは簡単に言えば身代わり。

指定したプレイヤーが受けるダメージを全て私へのダメージとするというもの。

今回私が指定したのは、もちろん私の後ろにいるノーチラス君。

 

「………凄い…」

 

ノーチラス君から見れば、先程まで半分を切っていた全員のHPが急に全回復したのだから驚くのも仕方がないような気もするが、私が君をわざわざ連れてきた意味を考えて欲しいものである。

「……ノーチラス君、早く!!私はこの状態だと動けないの」

 

「………えっ。無理ですよ…サラさんも、知ってるでしょ」

 

「………………知ってる。でも、それは貴方が死ぬ可能性があるからでしょ?大丈夫、貴方へは絶対にダメージは通らないから」

 

「……………。」

 

私の言葉にノーチラス君はただ下を向いて俯いてしまう。先程、全回復させたとは言えあれだけのモンスターに囲まれているため徐々にだが彼らのHPは確実に減り続けている。

 

「………早く!!!!私の事なら心配いらないよ?攻略組、トッププレイヤーの実力を信じて!」

 

私の言葉が届いたかはわからない。

それでも、ノーチラス君は動いた。今までの彼を払拭するかのように。

 

「………やれば出来るんだね」

 

大量のモンスターの中へと突っ込んで行った彼の背中は、私にどこかキリトを連想させた。

キリトほど頼り甲斐は無いかもしれないが、それでも仲間のために恐怖心を捨てて突っ込んでいく姿はキリトの背中とそっくりだった。

 

「…………さて、私も援護しようかな」

 

幾らノーチラス君が戦えるようになったからと言って、あの量を裁くのは一苦労である。

先程ノーチラス君を動かすために少し嘘をついた。別に【聖女の盾】を使っていても私は自由に動ける。

 

「……紅蓮の聖女(ラ・ピュセル)」

 

超広範囲殲滅スキル。

私のHPの半分と引替えにして腰に下げている剣から放つ一撃。

既存のソードスキルとは比べ物にならないほどの威力だが、自身のHPの半分を代償に放つと考えれば納得も出来る。

 

私の一撃によって、プレイヤーに集っていたモンスターは全てポリゴン片へと姿を変え中心に居たプレイヤーも無事なようだった。

 

「………サラさん……動けるじゃないですか!!」

 

背後からのソードスキルに驚いて未だに膝が笑っているノーチラス君は私に半泣きしながら抗議してきた。

 

「……いやぁ……………それよりもいいの?彼女、待ってるみたいだけど」

 

上手く誤魔化すことが出来ないと踏んだ私は、先程からノーチラス君のことを見ている唯一の女性プレイヤーの方を指をさす。

ノーチラス君も彼女に心当たりがあるようで、少し顔を赤らめると私から顔を背けるようにしてそっちの方へと歩いていった。

 

(…………さてさて、私は帰りますかね)

 

このままダンジョン攻略を進める気にもならず、私は帰ろうと体の向きを変え歩き出した。

 

「「「「聖女様、ありがとうございました!!このご恩は一生忘れません!!」」」」

 

気付かれぬうちに逃げたかったがそれは叶わず、自分よりも明らかに年上の方に思いっきり頭を下げられる。

感謝されるというのは嫌な気持ちにはならないのだが、年上の人に"聖女様"と呼ばれるのはあまり気分がいいものでもない。

 

私は恥ずかしさを隠すため、返事の代わりに左手を振り直ぐにその場から立ち去った。

 

 

◇◇◇

 

無事にマイホームに戻った私だったが、誤算と言うべきことが2つあった。

 

1つ目はキリトに1人でダンジョンに潜ったことを説教されてしまったがキリトにだけは言われたくないと思った、私は間違っていないだろう。

 

そして、もう1つ私にとって誤算だったこと。

それは口止めをするのを忘れてしまったということ。

 

『聖女様は本当に聖女だった!!!2人目のユニークスキル保持者は聖女様!!』

 

と銘打った新聞が翌日発行されてしまったがためにキリト含め周りの人や全く知らない情報屋に追い回される羽目になったのは言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第22話

全作品、更新が滞ってまして本当にごめんなさい。


暇な時を見つけて執筆はしてるんですけど、あまり時間が取れず申し訳ないです。



ちなみに、ロニエを主人公にした作品を書き始めたので宜しければそちらもご覧下さい。


それではどうぞ


ユニークスキルがバレて以降、情報屋から逃げる日々。

そんな毎日も1週間もすればある程度はその数自体も減り、漸く私は自由に街を散策することが出来るようになった。

普段は街の散策などまずしないのだが、今日に限ってはキリトから攻略とレベルリングの禁止命令が出てしまったため泣く泣く街の散策をすることにした。

 

 

(………それにしても、改めて見るとここも活気づいてるなぁ)

 

少し前から、最前線から少し下のここ65層は高レベルのプレイヤーやそのプレイヤーからアイテムを買い取る商人でかなりの賑わいを見せていた。

元々、47層のフラワーガーデンと並んでかなり観光の名所になり得る要素を持っていたこの階層なのだが65層であるということで出現するモンスターのレベルも高く、低階層のプレイヤーからすれば訪れるには勇気がいる階層なのかもしれない。

そんなことで観光客というのは少なかったのだが、どこぞの鼠の情報屋が広めたグルメ情報のおかげで、モンスターの危険もなく楽しめる階層ということで今では沢山のカップルや観光客でごった返しているのが現状。

 

「やぁ、サラさん。こんな所で珍しいじゃないか」

 

「…ディアベルさんこそ、こんな所にいていいんですか?」

 

第1層で助けて以来時々交流自体はしていたディアベルさんだがまさかこんな所にいるとは思わなかった。理由は、ただ単に攻略組がこんな階層にいるとは思わなかったから。

第1層攻略後、ディアベルさんはそのまま攻略組として何層かは行動していた。特にギルドを作るわけでもなく、私やキリトのようなソロプレイヤーたちの中心として大いに活躍してくれていたのだが、彼は50層を超えたあたりで一時攻略組を抜けた。

理由は攻略組の人数の減少。

これだけ聞けば、逆に抜けるのはおかしいのだがディアベルさんは中層プレイヤーの育成のために一時的に攻略組を抜けたに過ぎなかった。ディアベルさんのお陰か、中層プレイヤーの中から攻略組へと参加する人も多少増え、今でも最前線に挑むプレイヤーは200人弱はいる。

最前線プレイヤーがある程度増えた辺りで、ディアベルさん本人も攻略組へと復帰。レベルなどに多少の心配はあったものの、今では攻略組の中でも上位プレイヤーに戻っている。

 

「たまたま買い物に来ていたらね、かの聖女様がお1人で歩いてるとあれば声を掛けない紳士はいないよ。」

 

「………遺言はいいですか?」

 

最近は言われ慣れたこともあってか、あまり気にすることはなくなってきたこの呼び名。それでも、知り合いやある程度の仲の人に呼ばれるのは恥ずかしくて好きではない。

 

「いやいや、冗談さ冗談。ただ最近、キリトくんとあまり上手くいっていないようだったからね。俺のチャンスかなと思ってさ」

 

「冗談言ってると悲鳴あげますよ?」

 

「あながち冗談でもないんだけど……。まぁ折角会ったんだし、お茶でもしていかないかい?」

 

「そうですね……暇なのでお供しますよ」

 

私の了承を得たディアベルさんは行きつけだというカフェのような場所へと私を案内した。

 

 

◇◇◇

 

 

「………アインクラッドにこんな場所が………。」

 

ディアベルさんが私に案内したお店は、ガイドブックには載っていない隠れ家的なお店だった。アインクラッドの中にあるお店とは思えないほど、内装に凝っていて尚且つ現実でもそうそうないオシャレな店内の雰囲気は、私にとってかなりの衝撃だった。

 

「驚いたかい?俺も初めて入った時は驚いたさ、だけどまだ驚くには早いよ」

 

「……………?」

 

ディアベルさんの言葉を理解出来なかった私は別に悪くないとは思う。

アインクラッドでの飲食は基本的に現実以下。それが常識であり、だからこそ私はわざわざ自分で調味料を作っているわけなのだ。

 

席に付き、ディアベルさんに勧められるがままに紅茶を頼み待つこと数分。

私たちの前に出されたのは現実と遜色ない香りと色味をした紅茶だった。

 

(………色味と香りは完璧…。ただ味となると…………。)

 

以前、ある店で紅茶を頼んで飲んだ時のことが思い出される。香りこそこのお店のものには負けるが、色味はかなりの再現度で心が踊ったのを今でも覚えている。

ただその紅茶の再現度はそこまでだった。心躍るまま1口飲んだ私の興奮は一気に底辺まで落ちていった。《味のない紅茶》それがその紅茶に付けられる最高の評価。

そのトラウマが少し頭が過ぎったが、香りがあるという時点でこの紅茶が全くの無味であるという可能性は限りなく低い。

私は決心をして紅茶を一口口に含んだ。

 

「……美味しい…」

 

「だろ?俺も驚いたさ、こんなものがアインクラッドに存在するんだ。ってね。」

 

ディアベルさんのその感想はとても共感出来るものだった。確かに現実の紅茶と比べたら若干見劣りする部分はあるのかもしれないが私にとっては"至高の一杯"そう評せるものだった。

 

「気に入ってもらえたようで何よりだよ。それで、キリトくんとは何があったのかな?」

 

人が幸せいっぱいになっている所で現実をぶつけてくる辺り、この人の性格の悪さというものが滲み出ている。

 

「………それ今聞きますか。キリトとは、ある意味何も無いですよ。」

 

私の言葉にディアベルさんは意味が分からない。そういった顔でこちらを見ている。

 

「何もない。だから、距離を作ってるってことです」

 

私が少し言い直したところでディアベルさんは納得したようで、深く息を吸い込んだ。

 

「なるほど……。どうりでか」

 

「…何がですか?」

 

「いや、幼馴染み特有の悩みってことだろ?それなのに、相手はアインクラッドトップの人気を誇るんだ。それは彼も気が気じゃないだろうね。」

 

ディアベルさんの言っていることはいまいち私には理解出来なかった。

幼馴染み。ということが私とキリトの関係をある意味難しくしているのは大体わかってはいるのだがそれでなぜキリトが気が気でなくなるのか。それは分からなかった。

 

「多分、もう既に君の中でも答えは出ていると思うよ。ただあと一歩踏み出すか現状維持に留めるかは君本人の問題だからね、俺にはどうしようもないことだ。」

 

ここは俺が払っておくよ。と最後に言うとディアベルさんはそのまま席を立ちお店を出ていった。

 

(…………もう答えは出てる。か……)

 

ディアベルさんに言われて改めて気づいた自分の気持ちを、さらけ出していいのか私にはまだよく分からなかった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第23話


今回、少しグダグダ長く?なってしまいました。

大分この後辺りから、かなり考えながら書くことになりそうなので今まで以上に投稿が遅れるかもしれないです。



色々言いましたが、SAOアニメ3期始まりましたね!!!
1話から作画に驚かされましたが、これがあと1年も見れると思うとかなり楽しみです!!4クールということもあって、話の進みが遅くなるかもと思っている人いるかもしれませんがアンダーワールドの話はかなり長いのでその辺の心配はご無用です!!
ちなみに、僕の推しはロニエです!!
ロニエを主人公にした新作も書きはじめたので宜しければそちらもご覧ください。ロニエ×キリトになるかはまだ未定ですが…。

長々話しましたが、それではどうぞ!


「いやぁ、久々に攻略すると疲れる〜」

 

「サラ、サボってる間に随分と老けたんじゃないか?」

 

「…なっ!?キリト…女の子にそんなこと言う人には罰を与えないと。ね?」

 

「いや、今のはジョークというものでだな…………」

 

久しぶりにキリトと2人でダンジョン攻略をした帰り、最近さぼり気味だったせいかかなりの疲労感を覚えた私が1番気にしていることを言ってきたこの男に制裁を加えようと思ったのだが。

 

「………あれって…、キリト五月蝿い」

 

私の看破スキルに引っかかったそれは、この2年近くこの世界で生きてきた私がお目にかかったことがないものだった。

未だにそれの存在に気が付かずに言い訳を続けている幼馴染みを黙らせ私は投擲用のピックを取り出した。

 

(………届くかなぁ。折角見つけたんだから、確実に仕留めたいし…)

 

若干距離的なものに不安を感じ、安くないピックを犠牲にする覚悟を決め私は一投目を敢えて外すことにした。

 

「サラ、……なにを?」

 

未だにキリトの索敵スキル範囲内にはそれの存在は引っかかっていないらしく、キリトは私の行動に疑問を抱いている。

 

「…お願いします!」

 

このデータの世界で運に頼るというのは、摩訶不思議なことだと分かっていても頼ってしまうのが人の性。

私の一投目は狙い通り、目標の真上を通過。それに驚いた目標は私の思惑通り真上へと飛び上がった。

 

「……グッジョブ」

 

私は予め用意しておいた2投目を、飛び上がり無抵抗な目標へ投擲した。

 

 

◇◇◇

 

「……それでこんな量を俺にどう買い取れと?」

 

私がSランク食材である"ラグーラビット"を仕留めたまでは良かったのだが、その後キリトに看破スキルについて勘づかれそうになり誤魔化しながら街へと戻ろうとしていたのだが、その道中さらに3匹のラグーラビットを発見し、キリトが全部余すことなくアイテムをゲット。食材が余りにも多くなってしまったため、こうしてエギルさんに買い取ってもらおうとここに足を運んだのだ。

 

「えへへ、1匹分くらいなら私が料理してキリトと二人で食べ切れると思うんですけどね。4匹となると、料理するのも大変ですし食べ切れる自信もないので。」

 

ラグーラビットを調理するには多分、調理スキルをかなり上げていなきゃいけないだろうしわざわざこんなスキルを上げている人に心当たりもない。

 

「あと1人でもいれば、パーティーでもしようかと思ったぐらいなんですけどね。」

 

これだけの量があれば軽く知り合いを呼んだパーティーぐらいは出来る。私自身、仲良くしている人も手で数えられる程度だし、キリトに関しては多くなる心配は全く必要ない。

 

「だがなぁ…流石に、うちじゃ扱えきれねぇぞ?」

 

「……ですよねぇ」

 

だからと言って、私やキリトに他に宛があるかと言われたらない。

そうなると必然的にオークションにかけるか、NPCに買取って貰うかの2択。他の素材ならば、無料で誰かにあげる選択肢もあるのだが、結局料理スキルを持っていなければダメにしてしまうのがオチであるため選択肢に含まれない。

 

「……うーん」

 

そう唸りながら私が考えていると暇そうに壁によりかかるキリトに来客がやってきた。

 

「よぉ、アスナ。こんなゴミ溜めに何の用だ?」

 

「キリトくんと、サラの反応があったからたまたま近くに来ていたから寄ったのよ」

 

(………ん?アスナ?)

 

私の耳が確かならば、今の来客はアスナさんである。私の知り合いの中で唯一料理スキルを上げている人物。何よりも、私の記憶通りならば、アスナさんの料理スキルは今マスター寸前なはず。

 

「………シェフ捕獲」

 

「……えっと、サラ?」

 

アスナであることを確認した私は、アスナに確認する前にアスナの手を握って不思議なことを口走ってしまった。

案の定、アスナも状況を理解できずに小首を傾げてしまっている。

 

(………アスナさんのこの表情は男子には毒かな)

 

アスナさん程の美少女が小首を傾げて、きょとんとした表情をしている。そう言えば、全世界の男性が見惚れること間違いなしである。などと全く関係の無い話を私が考えている間にキリトもアスナも未だに状況を把握出来ていない。

 

「おい、サラ。急にどうしたんだよ」

 

漸く痺れを切らしたのか、キリトは私の肩を叩いてそう言った。

 

「あ、ごめんね。ただ、プチパーティーを開けるかもしれないって思ってさ」

 

「ほ、本当か!?いや…待てよ。やっぱりなしだ!」

 

「なんでよ!?これだけあったら、開けるよ!」

 

先程までかなり乗り気だったはずのキリトの手の平返しに、驚いた私は少し強めにキリトへと反論した。

 

「………サラの手料理を俺が食べる分が減る」

 

「……だ、大丈夫。どうせ2人だけじゃ大した量作れなかったんだしさ」

 

キリトの不意をついた言葉は今の私を動揺させるには充分すぎるものであった。

 

「……プチパーティー?」

 

キリトのせいで私に手を握られたまま、半分放置されていたアスナも漸く状況を理解し始めたらしく表情を元に戻し疑問をぶつけてくる。

 

「はい。それで、アスナさんって今料理スキルどれぐらいですか?」

 

これでアスナのスキルが900以上ならば御の字。少なくとも、800後半あれば夢のラグーラビットパーティーを開催出来る。

 

「それなら、先週コンプリートしたわよ?」

 

「…………ほんとですか!?」

 

「えぇ…キリトくん、サラどうしちゃったの?」

 

嬉しさのあまりガッツポーズを決めてしまったのだが、それがいけなかったらしい。アインクラッドに来て以来、清楚で大人しい。それが私のイメージだとついこの間、キリトから言われた。確かに元々そこまで活発な方ではなかったが、唯一食べ物のことだけは譲れないものがあったのだ。

 

「あぁ大丈夫。いつも食べ物のことになるとこうなんだ。特に肉好きなんだよ、サラは。」

 

「へ、へぇ。それでさっきのプチパーティーって何?」

 

「あぁ、それはこれを使った料理を沢山作ってパーティーしたいのに俺とサラしか居なくてさ、沢山作っても食べ切れないし、サラも料理するのが大変ってことで諦めてたんだけど……………」

 

しゃがみながらガッツポーズしたままの私を放置して、キリトはアスナさんへの事情説明を続ける。アスナさんも、ラグーラビットは食べたことがなかったらしく、キリトから実物を見せられてかなり驚いていた。

2人目のシェフを捕獲した今私には敵はいない。はずだった。

 

「あ……でも、パーティー開けるほど広いところ知らない……。」

 

「俺も知らないな」

 

「……私も知らないわね。流石にギルドは不味いだろうから」

 

完全に見落としていた事実に、MAXに近かった私のテンションは株価の如く下落していった。

 

「……4人ぐらいなら、私の家を提供出来なくもないけど。」

 

「………本当ですか!?」

 

「えぇ」

 

もはや4人だろうが関係はない。4人いれば、2人の倍はいろんな料理が作れる。

 

「それじゃあエギルさん、これだけ買取って貰えますか?」

 

私は4人分の量だけ残し、あとの残りをエギルさんに買取って貰うことにした。

Sランク食材ということもあり、残った分だけでもかなりの値段になるはず。

 

「お、おい。買い取るのはいいが、俺にも食べさせてくれよ。」

 

「ごめんなさい、エギルさん。今度、機会があれば作りに来るのでそれまで残しといてください」

 

「お、おう。その時は頼むぜ、サラ。」

 

私はエギルさんを説得し、売った分に見合うコルをエギルさんから受け取ると店を出た。

 

「ーーここまでで大丈夫です」

 

「アスナ様、もしやこの素性も知れないやつをご自宅にお招きになるのですか?」

 

私が店を出ると、何やらアスナさんとキリトが血盟騎士団の団員と口論になっていた。

 

(………あれは、誰だったかな)

 

見覚えはあるのだが思い出せない。そんなむず痒い感覚に私が襲われていると、その団員は私の方を見た。

 

「サラ様。遂に我が血盟騎士団にお入りになるのですか?」

 

私を見るなり忠誠を誓うように膝をつく、その団員。

大方、アスナと私がそう言った話をしていたと勘違いしているのだろう。

 

「いえ、私はこれからアスナさんとお食事をするんです。なので、今日はお帰りになって貰えると嬉しいんですけど」

 

さっきのアスナさんの発言からして、この団員が帰ろうとしないのはわかっていた。それにキリトを素性の知れない者と言っている時点で、私が友好的になる可能性は0に等しい。

 

「……しかし…」

 

それでも尚引き下がろうとするその団員だが、既に私は彼への興味などない。

 

「彼は私の大事な人です。それでも、彼は素性の知れない者ですか?」

 

私が上から言うのはかなりお門違いではある。

別に私と彼の間に上下関係なんてものは存在しないし、彼が私の言うことを聞く義理などない。

 

「……くっ。失礼しました。」

 

団員は苦虫を噛み潰したよう表情でキリトを一瞥したあと、その場を去っていった。

 

「……キリトくん、サラって怒らせたらダメな人なのね」

 

「あぁ」

 

「…………早く行こ」

 

 

◇◇◇

 

 

「おーい、遅いよ!」

 

アスナさんの家の前に辿り着くと既に到着していたフィリアがこちらに向かって手を振っていた。

 

「サラ、せめて男はいなかったのか?」

 

4人のうち1人しか男性がいないことにキリトは不満なのか、少し不満そうにそう言った。

 

「居ることはいるけど、誰かしら着いてきちゃう可能性が高かったし、1人だけで呼べる人はエギルさんかクラインさんしかいなかったんだけど、それでも良かった?あと、ヒースクリフさんとか?」

 

最後の一人に関しては、多分呼べば来る。

よくラーメン食べに行くし、むしろよく誘われる。

 

「いや、フィリアで良かったです」

 

「でしょ?」

 

流石のキリトも納得せざるおえなかったのか、渋々ながら現状を受け止めていた。

 

「二人とも、早く入って?」

 

「はい、ほらキリトも」

 

「お、おう」

 

アスナさんに招かれるままに、私とキリトも家の中へと入っていった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

「いや〜、食べたぁ」

 

「だね〜、もう食べられないよぉ」

 

私とアスナさんが作った料理は余すことなく、4人の胃袋の中へと入っていった。

 

「本当に、2年間生きてて良かったって思ったかな。」

 

「そうだね」

 

このアインクラッドでこんなに美味しい食事が出来たのなら本望だろう。1層でよく食べていた黒パン然り、ヒースクリフさんとよく食べるラーメン然り。このアインクラッドの食事は基本的に現実に劣る。

そんな中で現実に勝るとも劣らない食事が出来たのは本当に幸せだったと言える。

 

その後も、4人で世間話や攻略の話などを長々と話し続けていた。

 

「ねね、久しぶりに4人でパーティー組もうよ!!」

 

フィリアの唐突な提案に全員一瞬驚いたものの、私は何となく組んでみたい気もした。

よくよく考えてみれば、この4人でパーティーを組んだのは第1層のボス戦以来1度もない。

 

「私は組みたいかな、アスナさんは?」

 

私は敢えてキリトではなく、アスナさんに話を振った。キリトが断る可能性を減らすために。

 

「私も組みたい。どうせギルドの方は大丈夫だし」

 

敢えてキリトに聞かず、外堀を埋めていく作戦は見事にハマりあとはキリトだけという状況。

ここまで来て断れるほど、キリトの心は強くない。

 

「…………わかった。組む、組むからその視線はやめてくれ」

 

「それじゃあ、明日74層の転移門集合でいいかな?」

 

「私はそれでいいよ。でも、アスナさんあの護衛は……」

 

「大丈夫よ、ちゃんと置いてくるから。仕事熱心なのはいいんだけどね……。フィリアのところの、ノーチラス君ぐらいだと丁度いいんだけど…。」

 

アスナさん曰く、アスナさんの護衛は少しストーカー気質な部分があるらしく、アスナさんがどこに行くにしても着いてこようとするらしい。

逆に、フィリアの護衛であるノーチラスくんはあまり着いてこないらしい。それはそれで護衛として機能しているのかと思うが、フィリアに着いていく方が危ない気もしなくないためなんとも言えない。

 

「そう言えば彼、サラにお礼が言いたいって言ってたよ?なんでも彼女を助けて貰ったって。それに戦えるようになったのを見て欲しいって。」

 

「ノーチラスくん、戦えるようになったんだ。それじゃあ、今度顔出すよ。」

 

あれだけ戦うのを拒んでいた人が戦えるようになるには、かなり勇気が必要だったのだろう。あの時はある意味火事場の馬鹿力のようなものだったかもしれないが、その後戦えるのならば彼の勇気は本物だったということだ。

 

「うん♪そう伝えとくね」

 

その後、少し予定などを話し今回はお開きとなった。

 

 

 

 

(…………茅場晶彦は今何をしてるんだろう)

 

自宅へ戻っている私の疑問はただ自分の脳に反芻するだけだった。

 

 

 

 

 





感想、お気に入り登録して言って貰えるとやる気出ます!!!
なので、どうかお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。