これはネクロマンサーですか?~いいえ、ネクロマンサー(偽)の皮を被ったバグです~ (Aura)
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プロローグ

初回だったのとプロローグを分割にしたくなかったために8000字オーバーとなっておりますが次回からは3000~4500前後くらいになると思いますのでよろしくお願い致します。


突然だが皆さんは神様を信じているだろうか?

 

「僕....は..も..しも...本当に...居るのなら....この手で殺すとまで行かなくても....絶対..に..殴り飛ばす!!」

 

血溜まりに倒れながらも薄れ行く意識の中で恨みを込めて吐き捨てる。

 

何故そんな事を突然言い出すのか?と聞かれれば話は数時間前に遡る。

 

~数時間前~

 

その日は雲一つない快晴で、昼寝するには丁度良さそうな陽気でこのまま講義なんてサボって昼寝でもしようかなんて考えながら大学の講義に行く為の準備を済ませ、鍵を閉めたのを確認し、家を後にした。

 

「んっ? なんか騒がしくないか?」

 

イヤホンで音楽を聞きながら大通りで信号待ちしているとなんだか周りの人達が騒いでいる事に気がつきイヤホンを外し、周りで騒いでる高校生と思わしき男女の話が耳に入り、内容を掻い摘んで整理すると...。

 

・どうやら近くで地元では有名な高級ホテルでテロのような事が起きたらしい。

 

・犯人は5人の男性で犯行目的はホテルで開かれていたパーティーに招待された製薬会社の研究職員夫婦とその娘拉致して研究データと身代金を要求しようとするも計画は半分失敗に終わり、夫婦は多少怪我をするも軽症だったが娘が拉致られて現在も逃亡中。

 

・犯人はこの近くに潜伏しているかもしれないから注意する様にニュースが流れてるらしい。

 

・ちくわ大明神

 

.....最後のに関しては突っ込まんぞ!

 

(まあ、何はともあれそうそう潜伏してるテロリストになんて遭遇するようなある意味宝くじの一等が当たるような出来事には遭遇しないだろ)

 

なんて今思えばどう考えてもフラグです!本当にありがとうございました!なんて事をしたせいで腕時計が壊れてたらしく、メールが届いたのでスマホのホーム画面を確認したところ遅刻ギリギリの時間な事に気がついていつもは使わない裏路地を走って曲がり角を曲がろうとしたところで曲がり角を曲がった先にある廃墟に真っ黒なワンボックスから5人の男性らしき怪しさ満点の集団プラス縄で素巻きにされて気絶か眠らされている12~13くらいの少女を担いで入って行くところだった。

 

(あっ....見事なフラグ回収乙)

 

等と考えながらも幸い恐らくテロった犯人達にはバレていない様なのでこのまま引き返してから警察に通報すればあの子も助かるだろって考えて道を引き返そうとしたんだが()()()()()()()()()()()()()()廃墟の方へ堂々と進み正面から侵入。

 

(え、えっ? なんで....勝手に廃墟の方に進んでるんだ!!??)

 

なんてパニックになりながらも必死で何とかしようとしたがまるで()()()()()()()()()()()()()()()()()かの様に進み続け、ついには()()足元に転がっていた鉄パイプ片手に犯人達に突っ込み、こちらに背中を向けていた3人の男性の後頭部を殴って気絶させるとそのまま残り2人へと相手が銃を構え、何かを騒いでいるにもかかわらず足を進めたせいで肩・足・胸と撃たれ、どう考えても致命傷な傷を負いながらも残り2人を鉄パイプで殴って気絶させ終わるとまるでこの身体に用はないとばかりに力が抜けて自分の血で出来た血溜まりに沈み、薄れ行く意識の中こんな事が出来るのは神様とかそんな存在だけだろうと考え、冒頭に戻り、今度こそ意識を完全に失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.......ここは?」

 

目を覚ますと上下左右どこまでも続くかのような白い空間に佇んでいた。

 

「目が覚めたかの?」

 

「貴女は?」

 

「童は其方たち人間が神と呼ぶ者じゃ。名を天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)と申す。」

 

背後から声が聞こえたので振り返ると烏の濡れ羽色の様な美しい腰まで届く黒髪と巫女服に身を包っているThe 大和撫子の様な女性が佇んでいた。

 

「....何となく何が言いたいのか分かりますが此処は何処で、何故神の貴女が僕の前に現れたのでしょうか?」

 

この不思議空間や神々しいオーラから恐らく厨二の痛い人でもなければ電波系の危ない人でもない事から恐らく本当に神なのだろう。

 

(出来ることなら今すぐにでも息の根を止めてやりたいが此奴がやった保証はないし、もしかしたら本当は神以外の奴が何かした可能性もあるからまずは話を聞かないと....)

 

「色々と言いたい事があるじゃろうし、恨みや憎しみもあるじゃろう。だが、冷静に物事を見極められるとは()()()()()()()()()にもかかわらず生前は中々の器と人格者だった様じゃな。まずは話しの前に勝手に其方の思考と心を覗き見る様な不快な事をしてしまい誠に済まない。」

 

「....まあ、よくある転生モノの小説とかだとテンプレだから少し驚きまし、不快感はありますが一々気にしてたら話が進みそうにないのでとりあえず話を進めて貰っても良いですか?」

 

「う、うむ。 それでは言い訳になってしまうのじゃが―――」

 

女神は頬を引きつらせながらも僕に何が起きたのかの説明を始める。

 

要点をまとめると....

 

・まずは本来なら僕は死ぬはずじゃなかった。

 

・なら何故死んでしまったかと言うと本来場で死ぬのはあの拉致された少女で、その少女は女神様曰く『其方に分かりやすく説明するとハイスクールDxDに出てくる聖書の神陣営の敬虔な信者で、下級天使3名と中級天使2名のお気に入りだったからと言う理由だけでその天使達が勝手に其方の運命は狂わせられたのじゃ!!』と、女神様も説明のさなか我が事の様に激怒して下さったことから説明の途中で今までの無礼を謝り、続きを促すと更にとんでもない事が判明する。なんと件の天使共は僕を操り少女を助けたことがばれたら処分されるので僕を勝手に殺しただけじゃ飽き足らずに自分たちの保身の為に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()らしい。

 

・次に当然そんな事されてしまった僕は本来なら存在そのものが消えるはずだったが、突然自分が生み出し、納める国で不自然なイレギュラーを感知した女神様がすぐさま今居る所謂神域と呼ばれるここに僕の魂とかき集められるだけの存在の痕跡を集めてくれたことでこうして名前や記憶に欠損は確かに存在するけれど話すことが可能である程度の人格も残すことが出来たそうで感謝してもしきれない。

 

・そして最後に件の天使たちはそんな罪を犯せば存在を消したところで翼が黒く染まり、堕天することすら気がつかなかった様であっさりばれて現在は地獄の最下層にある阿鼻地獄と呼ばれる最も辛い所に未来永劫収監されることが決まり、二度と日の目を見ることが無いそうだ。

 

「―――と、言うわけで愚か者たちにはきっちり制裁をし、監督不行な上司や聖書の神からも其方へのお詫びをしっかりとぶん取って来たから安心するとよいのじゃ♪」

 

「お詫びですか? それは生前の行いとかは関係なく天国に行ける的な物でしょうか?」

 

「いや、今回の場合はイレギュラーにイレギュラーが重なってしまった為に其方には転生してもらうことになっておるのじゃ」

 

「特典を1~3つ授けて剣と魔法の世界やラノベやアニメやゲームの世界に転生させて進ぜよう!!的な俗に言う神様転生と呼ばれてるあれですか?」

 

「うむ! 因みに過去に別の世界の危機でどうしてもしなければ不味い事態になった事から神様転移と呼ばれるものは数回程度あったが今回の其方の様な神様転生と呼ばれるものは其方が初めてなのじゃ♪」

 

「え!? そ、そっかぁ....よくよく考えたらそんなイレギュラーな事がしょっちゅやってたら世界が無茶苦茶になるだろうし、神様がミスって殺しちゃったテヘペロ☆なんてやらかすわけないですもんね」

 

「うむうむ! なので童も仕事がない時や休憩時間にその手の小説を読んで『そんなミスやる者なんぞ居たら今頃世界は滅びておるわ!!』みたいな感じで笑い飛ばしておったのじゃが童のミスではなかったがこの様な機会があるとは年甲斐もなく気分が高揚しておる!!」

 

「なんだか神様と言っても僕ら人間とそれ程感性とかは変わらないんですね」

 

「まあ、確かにそういうイメージはあると思うが大体は宗教的と言うか政治的な関係で威厳とかなければならぬ場面がある時は其方らがイメージするような厳粛な神々って感じじゃがそれ以外ではそれ程違いはないからのぉ。

とと、思った程話し込んでしまって脱線してしまったが其方には先程言ったように転生してもらうことになっておって、転生先は所謂チートを与えても問題ない世界にしなければならなかった影響でハイスクールD×Dをベースにした限りなく近い並行世界に行ってもらうことになってしまったのじゃが、こちらで勝手に決めてしまったのと彼奴らからのお詫びも含めて特典は今から引いてもらうクジでランダムじゃが5つ与えることになっておるからそうそうパワーインフレ激しい世界でもやっていけるじゃろ」

 

「え!? 確かに転生するならなるべく平和な世界とかが良かったってのは本音ですが5つもランダムのクジとは言え貰ってしまってもいいんですか?」

 

「よいよい♪ 5つと言っても完全にランダムじゃから物凄い微妙な物かもしれぬし、デメリットが高い例えば直死の魔眼の様なメガネで抑えなければ発狂コースみたいなやばい物から他の神々がノリノリで入れた手から和菓子が出るとか頭に花が咲くだけの超能力みたいなしょうもない物も交じっておるから最低でも3つは与えないとあの世界では転生させたけど速攻死にました!では転生させた意味がないし、目も当てられぬからのぉ」

 

と、苦笑しながらいつの間にか用意したのか神社のおみくじの時の番号が書かれた棒が出てくる筒を手渡される。

 

「なんとく想像は出来ておると思うがおみくじ感覚でその筒を逆さにして出た棒に巻き付けてある紙に特典が書かれておるから一々数字を確認して引き換えるなんて面倒な事はしなくて済むから気軽に引いてしまうとよいぞ♪」

 

「なんだか僕よりも女神様の方がノリノリな気がしますけど....そういう事ならとりあえずまずは1回目を引いてみますね」

 

苦笑いを浮かべながら少し緊張しながらも筒をひっくり返し、少し振ると1本の紙が丁寧に巻きつけられた棒が出てきたので手に取って紙を広げてみると....

 

・Fate風ステイタス表示で幸運&黄金律EX(文字通り規格外なので正し必ずしも幸運だったり、富が舞い込んでくるとは限らない。例.とんでもなく厄介な事に巻き込まれたり、一時的に破産なんて感じになってから結果的に後々プラスになる)

 

「「.........」」

 

あんまりにもあんまりな内容に一瞬固まり、女神様と目を合わせ―――

 

「「だ、誰(じゃ)!? こんなふざけた物を入れた人は(者は)!?」」

 

―――と、息ぴったりなツッコミを入れてしまう程だった。

 

「え、えっと....因みにチェンジするこt「無理じゃ!?」デスヨネー」

 

あっさり無理と言われ思わず頭を抱えて落ち込んでしまう。

 

「ま、まあ....まだ後4回チャンスがあるのじゃから落ち込むこともないじゃろ?」

 

「そ、そうですよね! まだ4回もありますもんね!」

 

と、気を取り直し2回目のくじを引き、紙を広げて確認すると....

 

・これはゾンビですか?のユークリウッド・ヘルサイズの肉体・能力・装備(衣服・下着・プレートアーマー・ガントレットの一式とおまけで大鎌になるペンといくらでも書けるメモ帳)

 

「.....僕....男なんだよなぁ」(遠い目)

 

「いやいや! それよりも重要なことあるじゃろ!」

 

「....幸運EXって呪いに加えて迂闊に声が出せない・感情を出せない・表情も出せないの三重苦とか現実逃避シナイトヤッテラレナイト思ウノデス」

 

「ま、まだじゃ! もしかしたらあと3回で何かしら取り返せるかもしれぬ!」

 

「.....今のがフラグにならないと良いなぁ」

 

遠い目でフラグにならないように祈りながらくじを引き、紙を広げる。

 

・緋弾のアリアの初代シャーロック・ホームズの身体能力に加えある程度の頭脳(正し原作通り盲目となるデメリットとは他に伊Uメンバーの能力は特典に含まれず、別特典の為使用不可能)

 

「神は死んだ!」

 

「生きておるわ! しかし迂闊に声が出せない・感情を出せない・表情も出せないの三重苦+盲目とか呪われてるとしか思えぬのぉ。まあ、それくらいせねばいくら何でもチートどころかバグキャラになってしまうから丁度いい調整ではあるがこれでは生き地獄じゃな」

 

「幾らなんでもこれは酷すぎませんか?」

 

確かにユークリウッド・ヘルサイズのスペックに加えてユークリウッド・ヘルサイズの弱点ともいえる身体能力をカバー出来、あのチート探偵の身体能力とある程度の頭脳があればかなり有利になるがデメリットの盲目が今までのデメリットに加わったことでメリットよりもデメリットの方が高い為に思わずネタに走ってしまったのは許して欲しいし、女神様の言う通り下手したら生き地獄...いや、逝き地獄(誤字だと良いなぁ)コースにこのままだと亜音速で突入しそうな勢いである。

 

「ええい!! こうなったらどうせ幾ら引いても悪化するだけなんだから呪いでも何でも受け入てやる!!」

 

と、意気込んでクジを引いた結果がこちら。

 

・C³ -シーキューブのフィア・キューブリックの拷問処刑器具「箱型の恐禍(フィア・イン・キューブ)」(当然原作通り呪われています(笑)。しかも上記のデメリットとは別にフィア・キューブリックの姿にはならずルービックキューブ形状で使えるのはwi〇iとかに乗っている作中で使用した機構のみしか使用出来ませんので精々頑張ってください(爆)

 

「「...............物凄い腹立つ(のじゃ)!!」」

 

「絶対これ入れた神様は性格最悪でしょ!!」

 

「まったくじゃ!! しかしこれで更にまずくなってしまったの♪」

 

「そうですね♪」

 

「「HAHAHA.....どうしよう(なのじゃ)」」

 

それから数十分僕と女神様は冷や汗を流しながらどうにか出来ないかと必死に考えたが打開策も出なければラストのクジを引いてからでないともしも打開策が見つかったとしてもクジの結果次第では打開策が使えない場合もあるという結論の元最後のクジに全てを賭けた結果がコレ。

 

・獲得特典によるデメリットの全ての消去。そして体質や本質などによるモノは任意でon・offの切り替えが可能になる。(例.吸血鬼の肉体を貰った場合に発生する日光や十字架、銀の弾丸などの弱点を普段はoffにして弱点をなくし、同族とかと会う時に等に怪しまれないようにonにする等の救済処置に使用できる。)

 

と、言う内容で今までの悩みに悩んでたデメリットがもしかしたら一気に帳消しにできるんじゃないかって内容だった。

 

「こ、これがあればもしかしてもしかしますかね?」

 

淡い期待を胸に震える声で女神様に質問する。

 

「......もしかするとどうにかなるかも知れぬがこれを考え出した者に聞かねば少々不明な点があるのじゃ。しかしこの特典を考えた者の名が分からなければ質問しようもないのから困ったのぉ」

 

「.........ん?」

 

特典が書かれた紙を良く読み返すと下の方に伊耶那美命 (イザナミノミコト)とご丁寧に書かれていた。

 

「あの~....女神様?」

 

「なんじゃ?」

 

「この特典書いたの日本神話をあまり知らない僕ですら知っているような大物女神様の名がかかれているんですが?」

 

「なんじゃと!?」

 

眉間にしわを寄せて悩んでいた様子から一転し驚きの表情に変わり、僕の手から紙を少し乱暴に取ると右手を右耳に当ててまるで電話するかの様に一人で話し始めながら少し離れて行ったことから恐らく伊耶那美命様に質問しているのだろう。

 

それからしばらくして何故か目に涙を浮かべている女神様が戻ってきた。

 

「どうでしたか?」

 

「どうやら今まで悩んでいたデメリットのバーゲンセールは回避でき、ユークリウッド・ヘルサイズの言葉にしたモノが現実化する力は意識することで使用できるように変更され、感情を動かすことや感情によって表情を変えたりする事で起きる厄災は起きない代わりに無限ともいえる魔力を生み出す心臓と不老の力が宿る血の影響で寿命が物凄いことになってしまうのじゃ。そして箱型の恐禍の呪いは所有者には無効化されるが神器(セイクリッドギア)として所持する形に落ち着くみたいじゃが正直強すぎる力を持つバグキャラと化してしまったことで転生してすぐに三大勢力に目を付けられて封印しようとしてくるかもしれぬ」

 

「え!? 滅茶苦茶やばくないですか!!」

 

「うむ、正直やばいのぉ。故に其方の肉体はある程度の年齢で送り出すことに加えて力の使い方と向こうの世界には魔法が存在することから幾ら膨大な魔力があろうと知識がなければ扱えぬことは分かっておるので予め其方を送り出す際に其方の魂に情報を入れて送り出す事が決定したから安心すると良いのじゃ♪ それと転生先の世界の日本神話の者達に其方の後ろ盾を頼んでみた所三大勢力がの者達が日本で許可な好き勝手しておるわ、二天龍とか呼ばれておるトカゲ共がもうすぐ大暴れするみたいな預言とかもあることから其方の受け入れは大歓迎の様じゃ♪」

 

「確かに色々と支援したりしてくれるのはありがたいんですが転生先って原作開始までどれだけかかるんですか!? それと向こうの日本神話の神々に後ろ盾の話を付けてくれたことには感謝してもしきれませんがそんな事が出来てしまう女神様って一体.....」

 

「よいよい♪ それと其方は生前日本神話に関わらず神話関係はアニメやゲームの知識程度であまり詳しく知っておらんかった様じゃし、そもそも童は日本神話の主神なんじゃが記録に残ってるのは僅か1回のみじゃから知らぬのも無理はないのぉ」

 

「え!? 主神なんですか!?」

 

「うむ! まあ、基本は裏方で表は天照達に任せておるから其方に分かりやすく説明するなら少し違うところもあるが童と天照達はオーナーと経営者の様な関係じゃな!」

 

「oh....一気に俗ぽくなりましたけど何か納得しました」

 

「まあ、細かい事を気にしてるとそれこそ神話は大抵関係性とか複雑じゃから何となくで理解しておれば問題ないのじゃ。 それと転生に関してじゃが肉体が女から男に変えたり、特典に万が一の不具合など起きないようにする為色々と調整するのに時間がかかっておるから終わるまで折角じゃから談笑でもしておるかのぉ」

 

「何から何までお手数かけてしまって申し訳ありません。そしてお気遣い頂きありがとうございます!」

 

「よいよい♪」

 

しばらく談笑したり、向こうでの注意事項や日本神話への接触する際に本人確認の品として翡翠製の勾玉を貰い転生の準備がついに整ったようだ。

 

「それではこれより転生に入る。と、言っても其方の後ろにある障子を開けて一歩踏み出せば一瞬意識を失って気がつけば転生しておるとは思うが其方の今世の肉体は元ネタがネクロマンサーだけに恐らく冥界で目覚める事になるじゃろうが1時間程待ってもらえればすぐに高天原へと転移させるからなるべく悪魔どもには見つからぬようにの」

 

「あ~.....やっぱりユークリウッドの性質上そこは変えられないんですね」

 

「これでも頑張った方なんじゃがどうしてもこればかりはのぉ。まあ、それでもなるべく早く捕捉して転移させるので我慢して欲しいのじゃ」

 

女神様が悪いわけではないのに申し訳なさそうな顔でそんな事言われたら罪悪感で良心が痛む。

 

だから―――

 

「いえ、気にしないでください! 本来なら転生なんて機会どころか誰にも知られることなく消えていたかも知れないので女神様には感謝しかないんですし、バグレベルの特典を貰っておいて文句を言うなんて真似は出来ませんよ。何度もしつこいと思われるかもしれませんが本当に女神様には感謝しているんです。」

 

―――誰にも知られずに悪意によって消えるはずだった僕の事を助けてくださりありがとうございました。

 

この姿ではこれが感謝を伝える最後にして最高のタイミングだろうから女神様には僕の事でこれ以上気負って欲しくないし、罪悪感に囚われて欲しくないから笑顔で感謝の気持ちを込めてしっかりと感謝の気持ちを伝える。

 

「ッ!?// う、うむ...まぁ...なんじゃ.....童とはあまり会えぬと思うが今度会った時は酒でも飲み交わしながらゆっくり話そうではないか//」

 

「はい!! それでは行ってきます!!」

 

「うむ、達者での!!」

 

そして僕は障子を開け、新たな生を受ける為に踏み出した。

 

 

 

 

 

「........無事に行った様じゃな。しかし幾ら可能な限り散り散りになった魂と記憶を集めても自らを確立するうえで必要不可欠な名をなくし、更には()()()()()()()()()()にも関わらず、あそこまでしっかりと己を保ち、童がこれ以上気に病まないように気遣うとは....これだから誠に人間は面白いのじゃ♪」

 

一人となった神域で涙を流しながら先程旅立った友の事を思い浮かべ、一人言葉を紡ぐ。

 

「其方がどのような軌跡を歩み、奇跡や絆を紡ぐのかは分からぬが、名がなければ色々と不便じゃからの。故に其方は性別は男じゃが心優しき其方にはこの名が相応しいじゃろ―――」

 

―――其方の名はユークリウッド・ヘルサイズ(心優しきネクロマンサー)じゃ♪

 

沈み行く意識の中で聞こえるはずがないのに確かに聞こえた友の声と与えられた名と友の想いを今度こそ失わないようにしっかりと心と魂に刻み、約束を果たす為に(名を失いし者)から(ユークリウッド・ヘルサイズ)となって何時かこの恩を絶対に変えそうと決意し、今度こそ私の意識は暖かな闇へと沈む。



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原作開始前
これはネクロマンサー(偽)と言う名のバグですか? ~はい、転生先はコキュートスです~


☆10評価並びに☆9評価してくださりありがとうございます!

そしてお気に入り14件もの登録ありがとうございます!




「んぅ.....ここ...は? うっ!?」

 

目が覚めるとうっすらと不気味に光る水晶の様な物が照らし出す薄気味悪く、ネクロマンサーであるはず(ユークリウッド・ヘルサイズ)の肉体ですら吐き気を及ぼす程の負の感情が渦巻き、肌を引き裂くかのような寒さに吐き出す息が瞬時に凍り付き、地面へと重力に従って落ちて砕け散る。

 

「ぐッ~~~~~!!!??」

 

(は、早くしなんとかしないと凍死しちゃう!?)

 

両腕で気休めにもならないけど身体を抱き締め必死にこの状況を何とかする方法はないかと寒さで薄れゆく意識の中で考えるが、余りの寒さに思考が定まらずにどんどんと身体から熱が奪われて眠くなる。

 

「【温めて】」

 

特に意識したわけでもなく、自然と口からこぼれたその言葉には魔力が宿り現実となって先程まで感じた肌を切り裂くような寒さも感じるどころか寒くも、暑くもない適温へと変わる。

 

「....もしかして...今の...が?」

 

自分が今しがた起こした現象が何かを理解すると同時に頭に膨大な量の情報が流れ込み、今度は頭を締め付けられながら頭を思いっ切り叩かれているかのような痛みで意識が飛びそうになるがそれでもその場で数分うずくまって我慢すると収まる。

 

「.......(なるほど。力の使い方は分かったけれどここが何処か分からない)」

 

痛みが引いたことで今現在の自分がどういう事が出来るのか、現在の肉体のスペックはどんなものか、現在の装備と先程現象が何だったのかを完全に理解する事は出来ても自分がどんなところに居るのかまでは分からない事から恐らくこのバグキャラとしか言えない肉体に転生するにあたって女神様も予期せぬ異常事態が起こったと推測できる。

 

(じゃなきゃ捕捉して転移させるって言ってたにも関わらず情報がないのと向こうからの何かしらの接触がないのはあり得ない。)

 

とりあえず色々と考えるのは後にしてまずは知識は持って居ても使えなければ意味がないことから少し考えてから―――

 

「【光源】【鏡】」

 

『ユークリウッドと言えば言葉の力!!』という事で試しにぷかぷか浮かぶ光の玉のイメージで言葉を発し、その後その辺に転がる透明度の高い氷が鏡になるイメージで言葉を発するとイメージ通りの姿見サイズの装飾もない鏡が私の目の前に出来上がる。

 

「.......やっぱり」

 

イメージ通りの現象が何事もなく起こったことで考えていたことが正しかったと理解する。

 

(...この世界の魔法の知識と私の持つ魔法とは詠唱するモノと言うイメージが合わさり()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()())

 

不幸中の幸いだったのがこの力が完全にコントロール可能であり、余程切羽詰まった事態に陥らなければ早々現実化しないという事だろう。

 

(でも、完全にコントロール出来る様になるまではなるべく迂闊に喋らない方がいいかもしれない。それにここまで力が増しているとなるとただでさえ本来のユークリウッド・ヘルサイズの言葉は無差別テロみたいな力だったのにそれが強化されてどれだけの規模で現実化するのかが予想できない。....そもそもこの世界の魔法は魔法陣書いたり、ある程度の魔力操作と属性変換出来ればイメージ通りの魔法が出来ちゃうってどうなの?)

 

等とグチグチと声に出さずに愚痴りながらも姿見で自分の今世の姿を確認する。

 

鏡に映るその姿は青みがかった美しい銀髪、サファイヤの様な透き通った蒼眼で優しそうな目付きなのに表情が無いせいで人形のような印象を与える容姿。そして青いドレスに身を包み、特徴的なプレートアーマーやガントレットを装備したその姿はイラスト通りかそれ以上の美しさと可憐さを持つ紛うことなきユークリウッド・ヘルサイズの姿が映し出されていた。

 

(ッ!? 確か女神様はちゃんと男性にしたって言ってたのにどうしてスカート履いてるの!?)

 

私は大慌てで鎧の隙間から片手を入れて胸を触り、もう片方の手でスカートの上からアレがあるか確かめしっかりと男性の肉体であることに安堵したと共にこの見た目じゃ男性物は似合わないだろうし、サイズも合わないだろうなぁと遠い目になりながら少しの間現実逃避すること数分後にあることに気がついた。いや、気がついてしまった。

 

(いつの間にか一人称が自然と私に変わってて、女性物を着ていることに焦りはしても嫌じゃないどころか自然と受け入れられてる。)

 

前世の私は女装癖のある変態だったのかと絶望したがよくよく思い出そうとしても前世の自分の名前どころか明確な服装も、居たであろう家族の姿も名前も思い出せず、最後の死因となったあの事件の事ですら明確な殺意と恨みや憎しみの感情はあるが所々虫食いであることに気がつく。

 

(.....幾ら記憶の欠落あるとは言え、こうもあっさりと受け入れているこの状況に納得は行かないけれど恐らくこれもあの天使達がやらかした事に原因がありそう)

 

そう結論付けると益々負の感情が膨れ上がるのを感じるが、今はそれどころではないので一旦落ち着きを取り戻し、もう一つの問題について考える。

 

(.....やっぱり元が元だったとはいえさっきから鏡に映る姿を見る限り僅かにしか表情が動かないところを見ると相当努力しないと対人関係で苦労しそう。それに神器や肉体のスペックや魔力操作なんかの確認もしなきゃいけないし、一面氷しかなくてしかも明らかにやばそうなモノ達が氷漬けにされてるこの場所がまともなはずはないのだから早く脱出する術を探さなきゃ)

 

それからしばらくの間様々な確認を一通り終わらせ、分かったことをまとめる。

 

・まずは魔力操作に関しては問題ないどころか息をするように自然と身体の内から溢れ出る膨大な魔力すらも操れることが判明し、余分な魔力は女神様が気を利かせてくれたのかペンへと何故か変わる血の様な色の大鎌に流すことで予備の電池代わりにすることも出来れるのと攻撃に転用したりするが何となくノリでソウルイーターに登場する鎌職人の少女の魔女狩り再現行けるんじゃない?ってノリでやったことで判明した。(再現に関しては魔力を込め過ぎて魔女狩りと言うより鬼神狩りの様な感じになってしまって辺り一帯を吹き飛ばしてしまったけど私は悪くない)

 

・肉体スペックはシャーロック・ホームズ並の頭脳があることによってある程度動かしたことでどれだけ動けて、今の身体で最も最適な筋肉や骨格の動かし方を発見し、すぐに実行しても脳内のシュミレーション通りに動けたことからかなり高いがまだまだ伸びしろがある事が判明したので鍛えていく必要がある。(なんせ幾らバグキャラだとしてもパワーインフレ万歳の世界だから慢心して死にましたじゃ目も当てられない)

 

・神器に関しては問題なく知識に存在する全ての機構の展開が出来たことから不具合はないと判断。(ただ、使用時は何故か瞳の色が蒼眼からフィアの様に鮮血の様な赤色へと変化する)

 

・最後に脱出に関してはとりあえず魔法で可能な範囲にサーチをかけてみたけれど何処にも出口らしき場所がないことから外から出なければ絶対に出る事が出来ない監獄の様な場所であると推測でき、一面が氷に覆われ、氷漬けにされて居るモノ達しか居ない事とここから少し歩いたところに()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()があったことに絶句し、恐らくあれが原作で名前だけしか知らなかったけれど龍喰者(ドラゴンイーター)・神の毒・神の悪意・最強の龍殺しと呼ばれるサマエルであろうと推測し、確信が持てたことでここがコキュートスであると考えられる。

 

以上の事から女神様がこっちを捕捉するまで私はコキュートスで缶詰となって過ごさなければいけないと言う難易度ルナティックな状況に置かれています。

 

(これ、なんて無理ゲー?)

 




御閲覧いただきありがとうございます!

タイトルから察し、本文で何となく次回のフラグに気がついた人もいると思いますが次回は高町式O☆HA☆NA☆SIによる説得回となります!!(誰がなんと言おうと話し合いであり、友達(奴隷)作りです)

一体ユーはなにエルを説得(物理)し、友達(奴隷)にするのかはなるべく早く投稿できるように頑張りたいと思います!

最後になんちゃらエルに関してはオリキャラとして登場させようかと考えていますのでご理解の程よろしくお願い致します。


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これはネクロマンサー(偽)と言う名のバグですか? ~いいえ、私の名前はサマエルです(前編)~

評価9→10への変更していただきありがとうございます!
そして投稿してまだ、それ程日にちが立っていないにもかかわらずお気に入り39件もの登録ありがとうございます!

タイトルからわかる様にサマエル(メインヒロイン)の登場回です。

メインヒロインなのに高町式交渉術からのお友達(奴隷)になる(不憫な)子ですが少なくともコキュートスで封印され続けた挙句に利用されるだけ利用されるよりはマシなはず...多分、きっと、メイビー。

そしてサマエルをオリキャラ化させるに辺りサマエルが封印された経緯などはある程度元ネタ(神話)に沿いながらも変更しますが、あくまでユーの居る世界は原作に似た世界なので経緯が違ったり、原作通りにならない場合もこれから先増えて行くと思いますのでよろしくお願い致します。

<>ないはメモ会話・【】ないは言葉の力・『』に関してはネタばれになるので推測してみてください!


しばらく現実逃避しながら言葉の力と魔法を合わせた場合に起こる現象を思いつく限り小さいことから幾ら魔法が便利な物でもあり得ない、例えば氷の中で燃え続ける白炎や生み出した反物質をクリスタルの様な魔力を固めた結晶の様な何かの中に入れて安定させる(適当に壁に向かって投げたら結晶が砕けた後には一瞬にして壁が初めからなかったかのように大穴を開けて消失)と言った現象まで可能とする事が分かったので、とりあえずこのまま同じ場所に居ても仕方ないのでどうせなら原作で少しだけ名前が出てたサマエルに会いに行ってみることにしました。

 

(それにこれがあればサマエルを蝕んでいる悪意や呪いを消すことは出来なくとも()()()()()がある。それなら言葉の力で対象を移し替えてから可能な限り魂の穢れや汚染を浄化し、ドラゴンは使い魔に出来るみたいだから使い魔にしよう。そうすれば私が守ってあげるだけでこんな寒くて、辛くて、寂しい所で苦しみ続ける事なく温かいお日様の下で過ごせる。一人...は....辛くて、寂しい。)

 

知らず知らずのうちにいつの間にかペンから血の様に赤い大鎌へと変わっていた大鎌を強く握り締め、何故か涙が頬を伝う。

 

この身体は女神様が言うには元になったユークリウッド・ヘルサイズの魂も人格も記憶もないと談笑している最中にふと気になって質問した際に答えてくれたことからこんな事を想うのは可笑しいかもしれないけれど―――

 

(今の涙はきっと大きすぎる力で自分を押し殺さなければ自分の大切な人や友人や関係のない赤の他人までをも巻き込んでしまうが為に自らを犠牲にし、自ら一人で居続ける優しすぎる貴女(ユークリウッド・ヘルサイズ)の涙なのかな? もしもそうなら貴女の分まで沢山の大切なモノを見つけて、幸せになる...から....だから...少しだけ...ほんの少しだけでも貴女に私の想いや思いが届きますように...)

 

―――大鎌を地面に突き立て、両手を胸の前で組み、目を閉じて祈る。

 

          『ありがとう 頑張って』

 

一瞬....ほんの一瞬だけそんな聞こえないはずの声が聞こえた気がする。

 

(もしも今のが例え幻聴だったとしても応援されてしまったのだから期待に応えないとね)

 

今だに流れ続ける涙を拭いまずはこの世界で最初の友達を作る為に苦しめられ続ける者を救い出す為の一歩を踏み出す。

 

(どんな理由があってこんな酷い目に合っているのかなんて知らない。これが単なる偽善であることも分かってる。助けたことで沢山の人に迷惑をかけ、命を狙われるかもしれないけれど....だけれど...それでも....私が助けたいから助けるだけ)

 

「『だって一人は寂しいのだから』」

 

なんだか()(ユークリウッド・ヘルサイズ)が一瞬合わさったような気がするけれどきっと気のせいだとは思う。それでもなんだか身体の内から温かい物が身体全体に広がってさっきまでのまるで()()()()()()()()()()()()()()()様な違和感があったのが嘘の様に身体が軽い。

 

(もしかして私は認められたって事なのかな? もしもそうだったら嬉しいな)

 

そんな思いを胸に心なしか軽くなった足取りで歩み続ける。

 

(待ってて...必ず...助け出して見せるから!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時計もないし、太陽もなければ星もない真っ暗闇のせいで何十分か何時間たったか分からないけれどついに目的のモノを発見した。

 

(やっぱり 間違いなくサマエル。それに..これは....幾らなんでも酷すぎる)

 

十字架に磔にされ、太い釘を身体中に打ち付けられた状態で拘束具で全身を封じられている為に辛うじて見える黒い翼とオーラから恐らく上半身は堕天使、下半身が東洋のドラゴンのような細長い姿は蛇を思わせる。

 

何より目を引くのが拘束具の隙間から除く地肌には傷がない所はない程様々な酷い火傷や切り傷に加えて刺し抉られた様な傷等の痛々しい傷跡が瘡蓋にならずに血を滴らせたままなの姿で広がっている所を見るに恐らくわざと傷が治らないようにする効果が拘束具か釘に織り込まれてると推測できる。

 

(こんな状態だけでも酷いって言葉が生易しく思えるのにも関わらず魂までをも呪いや悪意によって汚染され続けている)

 

更に酷いことに傷口が呪いによって壊死すれば化膿して激しい痛みが伴う段階までに再生されてまた、壊死するのを繰り返しながら肉体を痛めつけるだけではなく全体を覆い尽くす程の膨大な呪詛によって魂までをも魂がギリギリ壊れない範囲で蝕み、汚染することで精神的にも犯し尽くす悪意の塊。

 

(正直何があったかなんて知らないし、分からないけれど幾ら何でもやりすぎ。吐き気がする!!)

 

誰がやったのかなんて知らない。だけれど....こんな事をする者は碌な奴ではない事だけはよく分かった私は奥歯を噛み締め、もしもこれをやった者が生きているのならこの子が望まないにしても生きているだけで必ず不幸になる人が大勢出るのは分かり切っているのだから必ず消そうと決意し、まずはこの悪意の塊を除去しなければどうすることも出来ないのでまずは悪意を取り除く為にペンに変えていた大鎌を取り出し目の前の地面へと突き立てる。

 

「【悪意に満ちた呪詛】【 この大鎌へと宿って】」

 

始めは抵抗するかの様に私の方へと禍々しい闇そのモノの様な漆黒の瘴気が向かってきたが態々目の前に大鎌を突き立てたことで推理通りそちらに引き寄せられてあっさりと中に入り込み始めると後は魔力を流し込み続けるだけで勝手に入って行ってくれるので物凄く楽に封印することが出来たがこのまま触れば恐らく私の事を蝕む事は火を見るよりも明らかなのでとりあえず突き立てたまま放置し、釘や拘束具を外す作業へと移る。

 

「【咎人を拘束するモノ】【 砕けて、消えて】」

 

しかし魔力が消耗する感覚はあったにもかかわらず釘も拘束具には罅一つ入らなかった。

 

「.....?」

 

その後も何度か言葉を変えて魔力を消耗するだけで特に変化がない。

 

(もしかして何度か言葉を変えたけれど唯一、一度も変えてない言葉が存在する)

 

もしもサマエルが()()ではないのなら―――

 

「【偽りの罪を着せられし者】【不当なる拘束は砕け落ちて】」

 

 

万が一の事も考え、少し多めに魔力を注いだせいで釘と拘束具どころか磔に使用されていた十字架までもが塵となって消えてしまった。

 

(...............き、きっと強度に問題があったのね 私は悪くない)

 

「......ッ!?」

 

どうやら少し現実逃避している間に目覚めてしまったようだ。

 

<起きた?>

 

とりあえず下手に会話してる最中に言葉の力が発動しても不味いから自分に念の為の翻訳魔法をかけ、無駄に高性能なメモ帳(幾ら使ってもページがなくならない&書いた言葉が読む側が最も馴染みある言葉に変換される)で会話する。

 

「GAaaaaaaaa!!!!」

 

「―――ッ!?」

 

突然獣の様な方向をあげ、血を辺り一帯にまき散らしながら襲い掛かって来た。

 

(くっ.....油断した)

 

幾ら呪詛を移し替え、拘束具や釘を塵にしたとは言え目の前に見ず知らずの者が立っていれば理性を完全に失っているサマエルがメモを読むはずもなければ襲い掛かってこない保証なんてどこにもなかったにも拘わらず、強大な力を手に入れたことで知らず知らずのうちに慢心していたことが原因だとは思う。

 

(でも、そんな事よりも早く何とかしないと失血死の恐れもある。それに加えて急激な力の消費で今まで汚染されて壊死していたところから浸食と崩壊が始まっている!?)

 

恐らく拘束具や釘かはたまた十字架の効果でギリギリを維持されていたことによって今まで崩壊しなかっただけの様で必死に攻撃を避けながらも激しい攻撃をしてくる度にどんどんと壊死が急速に壊死して居なかった所までをも浸食し、崩壊が進行しているのが確認できるために迂闊に攻撃する事も出来ない。

 

(このままじゃ助けるどころか死期を早めてしまう!? どうすればいいの!?)

 

『相手は理性を失った獣 獣達は自分よりも強い力に本能的に従う』

 

(また、あの幻聴? いや、多分()(ユークリウッド・ヘルサイズ)が認めたことできっと彼女が力を貸してくれている気がする)

 

そしてその事を理解すると同時に脳裏にこの状況を打破する為の方法が浮かび上がる。

 

「【止まって】【収納】」

 

相手の爪による攻撃をギリギリ回避するもその息を勢いを乗せた尻尾の攻撃のせいでバランスを崩してしまった為にとっさに少ない魔力を込めて相手をほんの数十秒程度しか止めることが出来ない。

 

(今はそれで十分!!)

 

急いで【収納】と名付けた疑似的な亜空間をあらかじめ作り出し、そこに入れたい物を瞬時に名の通り収納できる便利な収納空間にプレートアーマーやガントレットを収納して抑え込んでいた魔力を一気に全開で解放する。

 

パリン!! ピキピキピキ!!!!

 

と、何かが砕ける音と共に空間に罅が入り始め、膨大な魔力が私を中心にうねりをあげながら渦巻き、特に属性変換して訳ではないせいで多分私の魔力性質(今のところどんな属性やどんな用途に使っても十全に扱える為に詳しいことは不明)の問題なのか膨大な魔力が意図せずとも可視化する程までに膨れ上がった魔力は七色の光へと変わりながらもコキュートス全体へと急速に広がり始めて様々な瘴気や怨念渦巻く負の感情が飽和状態だったにも拘わらずあっという間に私の魔力で塗りつぶされて浄化され、重苦しい感じはなくなった代わりに別の先程とは比べ物にならない重圧が辺りを覆い始める。

 

(..........やりすぎちゃったかも)

 

 

 




御閲覧いただきありがとうございます!

はい、何となく皆様は分かると思いますがユーは頭は良いのにうっかり属性持ちです(笑)
なのでこの先もちょいちょいやらかすと思いますが生暖かい目で見守ってあげてください!

そして今回の話は長くなりそうだったので前後に分けさせて頂きました。
後編に関しましてはなるべく早く投稿できるように頑張りますので今しばらくお待ちください!


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これはネクロマンサー(偽)と言う名のバグですか? ~いいえ、私の名前はサマエルです(中編)~

新たに多くの評価とお気に入り登録94件ありがとうございます!

この先の展開に向けて新たにタグを追加しました!

この度は少々投稿が遅れてしまい申し訳ありません。
出来る限り最低でも週1か2週間に1話は投稿できるように頑張りますので応援の程よろしくお願い致します!


(..........やりすぎちゃったかも)

 

よくよく考えれば何も全開で魔力を放出する意味がないことなんて初めから分かっていたし、何よりも空間に罅入れた挙句にコキュートス全体を覆い尽くして浄化するとかわけが分からない現象を引き起こすレベルの魔力を向けられたら―――

 

「.......」ビクンビクン

 

「.......まあ、こうなるわね」

 

――そこには壊死のえの字どころか傷跡一つなく、仰向けで倒れ、力技でゴリ押して浄化した為に汚染された部分は消滅したせいなのか、帳尻を合わせる様に損傷や汚染が酷かった影響であくまで推測になるが浄化前は20歳前後の見た目だったのが明らかに縮んで10~12歳前後にまで変化し、「生前の日本人がドラゴンを擬人化させたらこんな感じになりそうだなぁ」と思わず遠い目になりながら考えてしまうレベルで翼の生えたラミアみたいな感じだったのが、美しくも青黒い夜の色の様な髪が腰の辺りまで伸び、髪と同じ色の6対12翼のドラゴンの翼が背中から生え、恐らく尾てい骨辺りから伸びる尻尾が特徴的な人形の様な可愛らしい顔立ちをした半龍半人を上手い具合に擬人化させたかのような幼女に劇的(悲劇的?)ビフォーアフターを遂げたサマエルは色々な液体を垂れ流し、地面に水たまりを作りながらビクンビクンと目を回しながら一糸まとわぬ姿で痙攣していた。

 

(...........後々弱みとかに使えるかしら?)

 

魔力を手のひらサイズの板状に固めた物を用意し、そこに目の前のアウトな光景が焼き付いて写真の様になるのをイメージして魔力を流す。

 

「【収納】【クリーン】」

 

とりあえず想像通りの写真の様な物が出来上がったので出来上がった物を収納してから色々とアウトな姿で放置するのも可愛そうなのでぱぱっと言葉の力で綺麗にし、ついでに適当に魔力を編んで背中と尻尾穴が空いた白いワンピースを着せた後に倉庫(疑似的な亜空間)にしまっていた鎧一式を装備し、起きるまで時間がかかりそうなので地面に突き刺したままになっている大鎌の回収に向かう。

 

「.....あれ?」

 

そこにあったのは血の様に赤い大鎌ではなく薄っすらと黄色がかった温かい光を放つまる夜空に浮かぶ満月の様な色へと変わり、半透明の夜空色の青黒い蛇龍の様な物が巻きついた装飾が施された大鎌が地面に突き刺したままの状態で主を待つかの様に佇んでいた。

 

「.......ッ!!??」

 

恐る恐る近づき、大鎌の柄を握った瞬間に一気に膨大な量の情報が頭に流れ始める

 

(うっ...くぅ~!? あ、頭が...わ、割れ...る..様...に...痛い!!!!)

 

兎に角歯を食いしばり、大鎌を杖代わりに掌が白くなり、血がしたたり落ちる程に強く握りしめがら倒れないように、意識を失わないように耐える。

 

今、意識を手放し、眠りにつけば楽にはなるだろう。

 

けれどもそれではネクロマンサーとしては最低で最悪な選択になってしまうし、私が(ユークリウッド・ヘルサイズ)である存在意義を自ら否定することになってしまう。

 

それに恐らく【悪意に満ちた呪詛】【この大鎌へと宿って】と、特に指定することなく言葉の力を使ったことによって、やらかしてしまったようで、コキュートス全体から膨大な情報と大勢の私に何かを伝えようとする意志が何を伝えたいのか、どうして欲しいのかったのかが全部バラバラでごちゃ混ぜになったまま一気に流し込まれているけれどそれでも一気に浄化済みなおかげで全ての意志と情報が混ざりに混ざって混沌と化しているけれどそれでも共通点がある。

 

その共通点は―――

 

<《《愛する大切な者や物やモノを守りたかった!! 一人一人の力では何も出来なかった私達の想いと思いと魂を貴女へと託します。貴女が例え憎き聖書の神と天使、堕天使、悪魔だったとしても死者の声に耳を傾ける事の出来る貴女へと送る、私達からの最悪な呪いにして最高の贈り物。どうかこの力を使い、今だに死ぬことも出来ずに苦しむ同胞達の解放と命を駒の様に弄ぶ、憎き神々達への裁きを!!》》>

 

―――力が足りずに護れなかった後悔と自分たちの魂を代償にまだ、死ぬことすら許さずに苦しめ続けている者達への鉄槌と囚われ、苦しめ続けられる者達の解放の願い。

 

そして流れてくる情報はどれも原作とは全く違うと言っても良い程に悲惨で神々に天使、堕天使、悪魔と言った者達が人間を奴隷の駒(スレイヴ・ピース)と呼ばれる原作で登場した悪魔の駒(イーヴィル・ピース)の様に種族を変えて悪魔に転生させる為のアイテムなのだがその内容は《大体9割は抵抗することが出来ずに強制的に名前の通り主人に逆らう事が決して出来ない奴隷へと変える》。

 

これを作り上げた三大勢力はこれを使って他の神話勢力を不意打ちし、奴隷へと堕とし、その後は力あるモノ達を奴隷狩りと言いながらまるでゲームをするかの様に欲望のままに蹂躙し、虐げ、最後にはボロ雑巾の様に捨てられて踏みにじられる。

 

その事をよしとしない力の弱い妖精や気まぐれな精霊から始まりドラゴンや妖怪、幻獣に加えて怪物と呼ばれて忌み嫌われた者達をも仲間に加えて奴隷の駒をはじき返す条件である《心の強さ・力溺れず、愛する者を守り抜くために己を鍛え続ける真に強き鋼鉄の精神を持つ者》と、言うかなり厳しい条件を満たした1割もの勇者達が手を取り合い三大勢力に挑むも家族や友、恋人と言った大切な者達を人質にされたり、目の前で殺された人もいれば罠に嵌められ、薬物や呪いで身体の自由を奪われ、目の前で恋人が嬲られながら犯されて殺されてしまった者も多く、幾ら心が強くても相手側はそれを見越して楽しむ為にわざと抜け道を作り、徹底的に見せしめ目的で奴隷となったモノ達の希望をへし折って絶望に叩きこんで二度と戻れないようにとコキュートスに送られ、永遠にその対象が悪夢と思える夢を見続けさせられる呪いで更に精神と心を徹底的にやすりで削り続けられ、逃げ出せないように氷漬けにされる。

 

しかも情報の中にはサマエルの記憶も当然入っており、その内容で最も重要なのは《この計画はアダムとイヴが楽園に居る時から始められていた。そしてもしもサマエルが心を殺し、聖書の神と言う絶対なる存在に弓を引いたことで自分がどんな酷く、辛い目に合うか分かっていながらもアダムを唆して楽園から逃がしたことで奴隷の駒は不完全な物となり、1割もの者達が逃れられる可能性を未来に繋いでいた。》

 

そして最も重要なのはその1割の中に更にほんの一握りの英雄と呼ばれる資質を持ち、この様な絶望的な状況下でも精神と心をすり減らしながら耐え抜き、殆どその存在を薄れさせながらも私がギリギリ何とか耐えられるレベルにまで流れ込むモノを調整してくれている事に驚きと尊敬と畏怖に加えて人間とはここまで強い者だったのかと前世含めて初めて知る事が出来た。

 

(.......これだけ本当の意味での力をこれ以上ないって程にまで示せば味方だった神々に加え、プライドが高い事で有名な幻獣やドラゴン達をも最後の力を振り絞って力を貸す事に納得できる反面、なんだかとても羨ましい)

 

前世の()の事は殆ど分からないけれどきっと羨ましいと思えるって事はきっと誰に本当の意味で共に歩むことが出来なかったのだろうと段々と流れ込むモノが少なくなったおかげで痛みがなくなりつつある頭で考えていると向こうからしたら《まだ生きている私の方こそ羨ましくて堪らない》はずで、本当はこんな事思ったらダメなんだけれど益々羨ましくて、嫉妬してしまう。

 

<私達の生と言う名の壮大で素晴らしい物語はここで幕引きとなる。しかし、貴女の物語はここから私達の文字通り魂と共に歩み始めるのだから貴女は決して一人ではない。時に迷い、もがき、苦しみ、傷つき、絶望する事もあるでしょう。ですが忘れないでください。《私達と貴女は一心同体でありながらこうして語り掛ける事が出来るのはこれで最後となりでしょ。しかしながら常に貴女の事を私達は見守り、共に歩んでいることを絶望してしまった時やふと、思い悩んだ時にでも私達の事を思い出し、決して自分で自分の限界を決める事なく歩み続けてくれることを私達は祈っております》>

 

この言葉を最後に私に流れ込んでいた感覚がなくなり、何処かから光が私の目の前に集まり始めて一つの形へと段々と形作り、それは現れた。

 

――神器(アーティファクト)森羅万象の祈り――

 

神器とは名ばかりでセイクリッドギアとは別の意味での文字通りに人工的で、遺物。

 

だけれどCD程度のサイズの円盤となったそれには様々な種族が円の内側を向き、手を取り合い、中心で《私に何処か似た者が背中から機械の様な翼を生やし、機械の様なデザインの天輪を付けた者》が祈るのを優しく寄り添うように囲む光景が描かれた見ているだけで心が温かくなり、自然と涙が溢れだしてきて頬を涙が伝う。

 

「.......きっと....きっと....何が出来るかなんてわからないけれど私が何とかするから。だから.....安心して....おやすみなさい。そして.....ありがとう!」

 

円盤を手に取り、少しずつ消えて行く光にしっかりと笑みを浮かべて言えたか分からないけれど一つ増えたこの心地が良い温かさと一人で背負うには重すぎる物を背負う覚悟と決意を胸にお別れとお礼の言葉を告げる。




次回でサマエル編が最終回を迎え、ついにこの世界の三大勢力相手にユーが喧嘩を売り始める予定です。

薄々今回の話で気がついてる人は居ると思いますがタグ追加にヒントが隠されていますので何となく推測してみると面白いかもしれません!


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