ウルトラウーマンフェリス (桂ヒナギク)
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第1話:ねこの女ウルトラ戦士

 ねこ座。

 C77星という美しい惑星が、爆発して消滅した。

 猫耳のようなとんがりが頭に二つ付いている、ウルトラウーマンフェリスが、爆風で吹っ飛ばされてきた。

(くっ……!)

 フェリスは向きを変え、地球を目指して飛んだ。

 その後ろから、ヨーダ星人という悪の宇宙人が追いかけてきた。

「待て、フェリス!」

「来ないで!」

 フェリスはヨーダ星人に光弾を投げつける。

 ヨーダ星人は光弾を(かわ)し、フェリスの足元に手を伸ばした。

「俺の(きさき)になれ!」

「誰があんたなんか! 願い下げよ!」

「だったら殺してやる——っ!」

 そこへ、アストラが現れた。

(あ、ウルトラマン!)

 フェリスはアストラに接近する。

「お願い、後ろのやつを!」

 アストラはフェリスの背後に回り込み、接近するヨーダ星人を蹴り飛ばした。

 ヨーダ星人は数メートルほど吹っ飛んだ。

「くっ、覚えてやがれ!」

 ヨーダ星人はおきまりの捨て台詞で退散した。

「ありがとうございます。えっと……?」

「僕はアストラ。君は?」

「ウルトラウーマンフェリス。私の惑星(ほし)はさっきのやつに滅ぼされたわ」

「それじゃあ、君は僕らと同じ境遇なんだ?」

「僕ら?」

「僕の上に双子の兄がいてね。僕たちは王族だったんだけど、マグマ星人に滅ぼされて、今は故郷(ふるさと)がないんだ」

「そうなんだ」

「それじゃあ、僕はこれで」

 フェリスはアストラと別れて地球に向かった。

 

 

 地球。

 ウルトラマンレオが怪獣と戦っている。

 最初は優勢かと思われたが、カラータイマーの点滅により、窮地に立たされるレオ。

 そこへフェリスが現れ、怪獣に蹴りを入れる。

「君は?」

「自己紹介は後で。先ずは敵を倒しましょう」

 フェリスはレオと共に怪獣を攻撃して圧していく。

「はっ!」

「ふっ!」

 フェリスとレオが怪獣を蹴り飛ばす。

 怪獣が怯んだところで、二人は同時に光線を放った。

 光線をまともに食らった怪獣は爆裂霧散、跡形もなく消え去った。

 フェリスとレオは人間態になる。

「僕はウルトラマンレオ。君は?」

「ウルトラウーマンフェリス」

「ウルトラウーマンフェリス?」

「私の故郷は、あのねこ座よ」

 ねこ座の方角を指差す、端正な顔立ちをした人間態のフェリス。

「ねこ座には美しい惑星があってね。でも……」

 フェリスは崩壊したC77のことを話した。

「なるほど、そんなことが……」

「あなたの星はどこ?」

 しし座の方角を指差すゲン。

「それじゃあ、あなたはアストラさんのお兄さん?」

「弟に会ったのかい?」

「うん。星人に追われてるところをね」

「そうなんだ。それで、これからどうするんだい? 行くあてないんだよね?」

「行くあて……旅館にでも泊まるよ」

「でもお金がないと」

「前に知り合った地球人の友達がやってる旅館だから、事情を説明すればきっと」

じゃあね——と、その場を離れるフェリス。

 




一話目、読んでいただきありがとうございました。
フェリスというのは、Felis(フェーリス)の(もじ)りで、元のフェーリスには猫という意味があります。
ねこ座生まれなので、フェリスと名付けました。


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第2話:GUYS

 端正な顔立ちをした長髪の女性。

 彼女は宮崎(みやざき) 聡美(さとみ)。フェリスの人間態である。

 聡美は旅館の一室に泊まっていた。

 雨の降る早朝。

 目を覚ました聡美は、食堂へと向かう。

 シェフが作った朝食を食べ、フロントに移動する。

「おはよう」

「おはよう、聡美」

「泊めてくれてありがとう」

「いいのよ、友達なんだから。それにしても、星人に家を破壊されちゃうなんて、大変だったね。それで、これからどうするの?」

「家を探すわ」

「仕事は?」

「仕事ならもう見つけてあるの。地球防衛隊のGUYS(ガイズ)にね」

「そうなんだ?」

「うん。これから出勤よ」

 聡美はそういうと、旅館を出てGUYS JAPANに向かった。

 そして、GUYS JAPANに到着した聡美は、総監室に行き、挨拶をした後、隊長と共に司令室へ。

「みんな、今日から新しい仲間が増えた。宮崎 聡美くんだ」

「宮崎です! よろしくお願いします!」

 と、聡美はお辞儀をした。

「可愛い女の子か」

 と、斑鳩(いかるが) ジョージ。

「ジョージ、手出しちゃダメよ」

 と、風間(かざま) マリナ。

「クゼ テッペイです。怪獣や宇宙人の分析などを担当してます」

 と、男性隊員。

天谷(あまがい) コノミです」

「アイハラ リュウだ」

 司令室に、ヒビノ ミライが入ってきた。

「おはようございます!」

「ミライくん、遅刻です」

 と、コノミ。

「あれ? こちらの方は?」

「新米の宮崎くんだ」

 聡美はその超能力で、ミライが地球人ではないことを見抜いた。

「あなた、う──っ!?」

 聡美が何か言いかけたところで、ミライがその口を塞いだ。

「何するの?」

 ミライは聡美の耳元で(ささや)くように言った。

「僕はメビウス。僕がウルトラマンなのをみんなは知らないんだ」

「そうなんですね」

「おい、ミライ」

 と、リュウが口を開いた。

「はい?」

「何こそこそしてんだ?」

「別になんでもありませんよ」

 その時、街に怪獣出現の報が。

「GUYS、サリーゴー!」

「「「「「「GIG!」」」」」」

 隊員たちは出撃した。

「聡美くん、君も行ってくれ」

「はい!」

 聡美がミライの乗る戦闘機ガンウインガーに同乗する。

「君の名前を聞いてなかったね」

「私はウルトラウーマンフェリス。ねこ座のC77から来たの」

 ガンウインガーが発進する。

 現地に着いた各戦闘機が、怪獣に向かって攻撃を開始する。

 だが、開戦間も無く、ガンウインガーが怪獣の攻撃を受けて操縦不能に陥った。

「うわああああ!」

 落ちていくガンウインガーからミライの悲鳴が木霊する。

 聡美は懐から猫耳バンドを取り出し、頭に乗せると、フェリスに姿が変わった。

 フェリスは脱出機能で、落ちるガンウインガーから飛び出して巨大化すると、墜落しかけていたガンウインガーを両手で抱え込み、そっと地面に置くと、怪獣に迫っていく。

 怪獣はフェリスの攻撃に怯むが、直ぐに態勢を立て直して反撃してきた。

 フェリスは攻撃を華麗に受け流し。

 怪獣を力で圧し。

 グロッキーになったところで、光線を放って怪獣を粉砕した。

「シュワ!」

 フェリスは空の彼方へ飛び去っていく。

 



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