少年と少女は海色の夢を見る (カウン)
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設定紹介
Configuration Data


休止と言っておきながら投稿です…。と言っても内容整理しておこうかな、って思ったのでここにまとめておきます。

それと補則ですが、休止が終わり次第昔投稿したものをリメイクしていこうかと思っています。表現が少し変える位だと思いますが、それまで待っていただけると幸いです。


主人公……IT企業のエリートの父と、教育熱心の母、その期待に応えるような天才の姉に囲まれて、家族から疎外されえしまった内気な少年。勉強はそこそこできているが親に求められた期待には届かなかった。

親から強制させられていた剣道のお陰か、動体視力がとても良い。

中学校までは剣道で気を紛らわすことが出来たが、高校に入ってから親に部活を入ることが止めさせられ、友達が出来ず虐められてしまった。虐められていたからか、昔より他人にすごく優しくする。

ちなみに艦これのデータは指令レベルが110、嫁艦の夕立は101で、その他は89ぐらいとまちまち。始めた理由は広告で見たから。以前から日本史に興味があった。

 

 

 

夕立……主人公のケッコン艦。ゲームの最初の頃から居て中から主人公を心配し、自分に何か出来ないか必死に考えていた。そんなタイミングで自分は沈んでしまったが死んでしまった主人公に体を貸せる事を知り、快く了承した。主人公が変わってからは両目とも緑色。

但し、主人公が心配で意識がたまに戻ってくるらしい。

 

 

この世界線の艦娘……この世界線の艦娘は戦争の記憶が残ったまま、建造される。同じ艦はこの世界に一隻しか存在しない。そして、戦争後からの記憶は無く、沈んだ後や、気が付いたらこの世界に来るようだ。

ちなみにドロップすることは珍しい。

 

 

 

この世界線の妖精さん……この世界線の妖精さんは艤装の中には居らず、艤装の整備等で鎮守府内に残っている。鎮守府が出来るとご飯を貰いに集まって来るようだ。そのついでとして、仕事を任せている。

 

 

 

秋山怜香……夕立の提督で、この世界線の秋山 真之の子供。実技試験も筆記試験もどちらも高い点数で軍の学校を卒業した。両方とも自分の実力だが、周りからは親に根回ししてもらったなどと言う嘘の噂などが広がっている。そのせいでか偵察任務等の危険なものが回されてくる。剣道の腕がすごく、小型船の上からイ級を斬るなどをしたこともあるらしい。

本人は結構マイペースで、自由に動いていることが多い。

 

 

 

鎮守府……とある島の中にある前線の鎮守府。前線にあってもあまり敵が来ることは無く結構平和。

食堂と武道場、それと出撃ポートがある。食堂では妖精さんが食事をつくってくれている。

 

 

 

吹雪……提督の初期艦で提督の自由ぶりに振り回されている。夕立とは何か特別な縁を感じていて、仲良くなりたいと思っている。

こちらの世界線でも努力家の様だ。

 

 

 

 

不知火……吹雪とほぼ同時に着任した艦。なので、吹雪とは案外仲が良い。夕立のことはまだ何かあると疑っているようだ。

しっかりしているがスイーツや可愛い物に興味のある女の子。

 

 

 

 

蒼龍……怜香が着任後、娘の為にと秋山 真之が自分の鎮守府から移って貰った一隻。腕は良いのだが過去の記憶が邪魔をし、攻撃に支障をきたす事が多い。日常では、ぐだぐだしていることが多く、提督と気が合うようだ。

 

 

 

 

飛龍……基本的には蒼龍の近くに居ることが多い。本人は辛そうにしている蒼龍をいつでもささえられる様に、とのこと。他の艦娘とも仲が良く、吹雪は良く部屋に招いて、お菓子などを一緒に食べている。

 

 

 

 

秋山 真之……この世界線では、日本海であった大規模な深海棲艦の作戦で作戦を立案し、成功まで導いた張本人。その時に出会った戦艦三笠と共に、今は各地の深海棲艦を討伐しているようだ。

 

 

 

時雨……ドロップでこの世界に来て、深海棲艦に襲われていた所を遠征中の夕立達に助けられた。戦時中はいろいろなことが重なり、夕立と会うことが無かったので今までの分を取り戻すかの如くべっとりとくっついてることが多い。それでも、他の艦と居ることもよくある。

多分この作品で一番キャラが崩壊してるよ…。

 

 

 

Iowa……米国棲姫としてこの世界に来たが、倒されたことによってもとに戻った。沈んでいないのにこの世界に居る。人になれて今まで見てきたものを使えると本人はこの世界に来れたことを喜んでいる。

 

 

三笠(オリジナル艦)……日本海であった大規模な深海棲艦の作戦で秋山 真之のもとに着任した艦娘。一人称は

我。見た目はア〇レンの三笠だが、中身は全く違う(作者はア〇レンの三笠を知らないです…)。Iowaのことはめんどくさい奴と思っている。

 

陽炎…不知火の姉、1年前に作戦で轟沈。

 

黒山藤次郎…データには処刑とだけ残っている。




新しい情報が増え次第、随時更新していきます。


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本編
Bye REALWORLD


はじめまして!。
趣味で始めるので、
生暖かく見てくれるとうれしいです。


あぁ、僕には何も残っていない

 

「僕が死んでも誰も悲しまない。」

 

だからここに来た。これから僕は死ぬ。

死ぬしかないんだ。

 

 

僕は、いじめを受けていた。

 

家族は僕の事を見捨てた。

 

そもそも僕はこの世にいらなかった。

 

父と母、それに姉はとても、天才だった。

 

両親は姉の世話しかせず、馬鹿な僕は忘れられた

物のように扱われていた。

 

そんな僕が楽しんでいること

それは艦これだ。

 

親の目を盗みこっそりやっていたんだ。

秘書艦は夕立、

明るく元気な彼女に励まされて生きていれた…。

 

だけど一週間前学校でイベントをしていたとき…

_____________________________________________

 

「…やっぱ、甲だときついな…、夕立が大破か…

帰還しよっと…」

 

「おい、何やってんだぁ!」「ひぃ!」

 

「お前、面白いそうなのやってんじゃねぇか」

 

彼らはそう言い僕のスマホを取ったんだ。

 

「お、おい…返してくれよ…」

 

「それで返す馬鹿がいるかよ!。なんだこれ?。

進撃っと…、ほらよやっといてやったぜ」

 

その時に大げさだか、僕は僕自信が死んだ気がした。

 

そいつからスマホをぶん取り、廊下へと駆け出す。

 

外へ走りだし夕立の轟沈を見て、泣いた。

 

犯人はその時の行動に怒り、いじめはエスカレート、

 

その結果がこれだ…。

 

全身痣だらけ、顔以外全てがぼろぼろだ。

 

両親からも何も言われずクラスもみんな黙っている。

 

それならいっそ楽になろうそう思いここに来た。

 

反りたった崖、下には海、ここから落ちれば楽になる。

 

「夕立はもう居ないんだ。早く逝こう。」

 

僕は笑いならが躊躇いもなく飛び降りた。

 

_____________________________________________

 

 

 

 

 

ここは…どこだろう…。

 

天国と呼ばれる場所だろうか…。にしては青い。

 

そんな誰もいないはずの場所に一人の少女がいた。

 

「やっと、会えたっぽい!。ここに来たってことは貴方がてーとくさんね。」

 

…状況が飲み込めない…。

 

 

 

なぜ、目の前に夕立が居るのだろう。

 

「」

 

「あはは。相変わらずっぽい!」

 

「て、提督って僕が?」

 

「それ以外に誰か居るっぽい?」

 

そう言い微笑みながら指輪をみせつけてきた。

 

確信はないが一週間前に沈まされた夕立だと僕は思った

 

「じゃあ、ここは天国なの…?」

 

「ううん、少し違うっぽい!」

 

「だったらここは」

 

気がつくと僕の周りがひかりだしていた。

 

「艦娘って沈むと魂だけ霊界に行くんだって。」

 

ゆっくりと僕の体が沈んでいく。

 

「つまり、今の私の沈んでいる体は空っぽなの

だから、私の体を貸してあげる。」

 

微笑みながら彼女は言っているがつまり

 

 

彼 女 は 消 え て な く な る 。

 

「ま、っ、待ってよ!。

まだ話したいことだってあるんだ!

それに、それが出来るならなら夕立が帰ることも出来るんじゃないか!?」

 

そう、言ったとき、沈んでいく自分の体に対して、

彼女の体は上に引っ張られるように

ゆっくりと上がり始めた。

 

「私は、もうだめっぽい…。」

 

尚も彼女は笑っていた。

 

「今の私に出来ることはてーとくさんに

幸せを知って貰うことっぽい!。私は十分だった…

今度はてーとくさんの番っぽい!」

 

「でも そ ん なこ と って …ううっ」

 

涙は止まらなかった。なにせ僕を支えてくれた、大切な思い出そのものだから。

 

すると、夕立はこちらを覗くように見てから小走りで僕に駆け寄ってきた。

 

そして、僕の唇に勢いよく夕立の唇がぶつかった。

 

「私はてーとくさんに会えて幸せだったよ!。

大好きだよ!」

 

そこで僕の意識は完全に沈んだ。深く淡い青の中へ。



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goodmorning NewWORLD

出来ればほのぼのした感じに出来たらいいんですけどね。
出来るように頑張ります!。


青い…ただ一面に…青…。

 

それと、ゆっくり沈む感覚。

 

脳内ではさっき夕立に言われた言葉が反響していた。

 

『私はてーとくさんに会えて幸せだったよ!。

大好きだよ!。』

 

なんで僕なんかのためにこんなことを…。

 

そんなことを考えていたら下の方が明るくなってきた。

 

てか、そもそもほんとに夕立の体に入るなんてこと出来るのだろうか。

 

夕立を疑っている訳ではないが不安になってきた…。

 

ふと気がつくと目の前が真っ白に──────────

 

 

─────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けると見知らぬ天井が出迎えた。

 

「あ!目を覚ましましたね!。」

 

声から私は明るいと伝えて来るような心地よい声が聞こえる。

 

軽く記憶が飛んでいる…。ここはどこだろうか…。

 

「大丈夫ですか?。今司令官を呼んできますね!。」

 

そう言って、元気よく病室を飛び出したのは吹雪…。

 

え、なんで吹雪…。あ…………………。

 

 

 

 

『私はてーとくさんに会えて幸せだったよ!。

 

大好きだよ!。』

 

まるで、決壊したダムのように今までの足りなかった記憶が流れてくる。

 

ほとんどが辛い記憶だが、夕立のことに敵うものはなかった。

 

「僕のせいで…ぼくの……っ!」

 

 

 

 

 

 

─────────────────────────

 

司令官がいきなりつれてきたボロボロだった少女、名前は[夕立]と聞いている少女が目を覚ましたのだが……。

 

「はぁ…司令官、どこに行ったのでしょうか…。」

 

自由に行動する司令官を私は見つけることが出来ませんでした。

 

夕立ちゃんに申し訳ないと思い、無意識のうちに頭を下げて、病室に入室しました。

 

 

「すみません。司令官見つかりませ え?!。

なんで泣いているんですか!?どこから痛むんですか!?。」

 

するとそこには、自分の名前を呼びながら泣く夕立ちゃんの姿が……?。

 

「うぅ… ゆ うだ ち …。」

 

「え?夕立が貴女じゃないんですか?。」

 

私の質問に対して解けない数学の問題に向き合ったような顔で夕立ちゃんはこちらを見てきた。

 

夕立ちゃんはゆっくりと手を何度も開いて閉じる。

 

続いて窓に映る自分をみて笑ったり眉をさげたり、顔を触って。

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!?!?!」

 

………いきなり叫びました…えぇ…?!。

 

 

 

 

─────────────────────────

 

 

「落ち着きましたか?。」

 

「はい…。」

 

数分間パニックになり、今やっと状況が理解出来た。

 

「つまり、私はとある島に漂着てしてたところを

遠征中だった吹雪さんに助けて貰った…。」

 

「はい、かなり酷い状態でしたよ。」

 

これは自分の推測だが、あのイベントの時に夕立は

沈んだ時に別の世界に飛ばされたのでは?。

 

確かにこの目で夕立が沈むのは見た。今でもくっきりと脳裏に焼き付いているのだもの。

けれどもこの夕立の体は生きている。

 

「そんな話、あり得るのかな…。」

 

「なにか言いましたか??。

それより、吹雪`さん`はやめてください。

吹雪でいいですよ。同じ駆逐艦じゃないですか。」

 

それと、彼女の笑顔を見ながら、まともに会話している自分に驚いた。これも彼女の体だからだろうか…。

 

自分は死ぬ前ではまともに話を…

いや、まず話しかけられなかったか…。

ほんとに夕立様々だ。

 

「じゃあ、吹雪ちゃん…で、私も自己紹介を…夕立です。呼び方はお好きにしてください。」

 

「なら、夕立ちゃんで!。」

 

 

 

それから吹雪に現在のこの世界の戦況を聞いた。

今の戦況はゲームの艦これと同じく海域を解放している

状況とのことだ。

 

「そ、それで提督さんはどちらに?」

 

「さっき探したんですけど見付からなかったんだよね。

それと出来れば敬語も…。」

 

 

「起きたのか?。」

 

いつの間にか窓が開いており、そこに長い黒髪の女性が

立っていた。

 

「」←びっくりしてる。

 

「もう、司令官!窓から入ってこないでください!。

というか、どこにいっていたんですか?。」

 

「悪かったわ吹雪、ちょっと散歩したくなったの。

ここの提督の秋山怜香よ。貴女の名は?。」

 

ここでふと、夕立が着任したときの台詞が頭をよぎった。

 

「こ、こんにちは、白露型駆逐艦夕立です。よろしくです!。」




出てる人がアニメっぽくなっちゃいましたね(笑)。
でも、にゃしいの方は出さないつもりなんで…。

提督はオリジナルの人ですけど……。
後々本編で語るつもりです。


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My first friend

やっぱり文章力が足りないですね…。



※補足…少しだけ内容を変更しましたが激しい変更点はありません。


「他のみんなはまだ出撃中だから紹介はできないけど

鎮守府内だけでも紹介するから…立てる?」

 

「はい…痛みはないです。」

 

すっごくクールビューティーな感じだ。

例えるなら加賀さんかな。

 

そんなことを考えていると、僕が立つ時に手を出してくれた。

 

「あっ…ありがとう、ございます…。」

 

そのまま僕の手を引いて提督と僕は病室をあとにした。

 

 

 

 

 

 

鎮守府を見て回ったが、あまり鎮守府とは思えない小ささだった。

部屋も少なく、今着任している艦娘は4人と、本当に小規模だった。

 

「なんでこんなに艦娘が少ないんですか?。」

 

素朴な疑問だった。ここまで強そうな雰囲気の提督の鎮守府が少人数なのか。

 

「それは、私が着任したのが1週間前だったからね。」

 

以外な回答が帰ってきた。風格からして歴戦の提督と言われても違和感がないのにだ。

 

「それで、夕立、これから貴女はどうする?。

元の鎮守府はどこ?。」

 

どこと行っても…、と考えてたら察してくれたらしい。

「行く宛が、ないなら一時的にうちにくる?。」

 

 

 

 

 

「夕立ちゃんは元の鎮守府の場所、覚えてないんだ。」

 

「うん、今回の怪我で忘れちゃったっぽくて…。」

 

今は、吹雪と海岸を散歩していた。理由は出撃している艦隊を出迎えるためだそうだ。

 

「だったら、思い出すまで、私がお世話してあげる!」

 

得意気な顔で胸に手をあてる彼女を見て、少し笑ってしまった。

 

「あー、なんでわらうの!。」

 

そういえば笑ったのはいつ以来だろうか…。

 

「笑ってた方が夕立ちゃん可愛いからもっと笑った方がいいよ。」

 

「あ、えぅえ?!////」←動揺中

 

「笑顔は人を幸せにするからね!。

『笑う門には福来る』とも言うしさ!。」

 

僕には無関係の吹雪にここまで言われるのがよくわからない。

 

「どど、どうして赤の他人にそこまで言うのさ…。」

 

「赤の他人?、なにいってるの?。

もう夕立ちゃんは私の`友達`だよ!。」

 

友……達……。自分の人生じゃ一生聞かないかと思っていた言葉だ。

それを聞いてなぜか、自然と涙が流れた。

 

「えぇ!?。なんで泣いてるの?!なにか悪いこと言った?!。」

 

「ぐすっ うぅ… ありがとう… 吹雪 ちゃん… 。」

 

僕にとってはとてつもなく重い 重すぎる言葉だった。

 

吹雪は優しく、僕をを抱きしめた。

 

「………私が居るから、今は存分に泣いて。」

 

静かな海にしゃくり泣く声が小さく、響いた。

 

 

 

 

 

「落ち着いた?。」

 

「はい、ごめんなさい。吹雪ちゃん…。」

 

あれから僕は15分ほど、泣いて落ち着いた。

 

「いいって、これくらい。何かあったら我慢しない方がいいんだよ。」

 

「うん…、今は言えないけどいつか……。理由は…。」

 

「あの~、お二人さん?お熱いのはいいけど、提督がお呼びですよ~w。」

 

僕たち二人は顔を硬直させ首を120度ほど回転させた。

 

そこには空母、飛龍と蒼龍がにやにやとしながらこちらを見ていた─────。

 

「───────!!」←声にならない叫び

 

 

 

 

 

 

「いや~、ごめんね。驚かすつもりはなかったんだけどねw。」

 

「でも、声かけなきゃずっとイチャイチャしてそうだったもんね~。」

 

「すみませんでした///。」

「ごめんなさい///。」

 

「それで用件はなんですか?。」

 

「なーに忘れてんのさ、私たちを出迎えるんじゃないの~?」

 

しまった、と吹雪と顔を見合わせた。すると飛龍が

 

「ま、問題ないからいいんだけどね。それと出撃組が帰ってきたから提督が紹介したいんだって。」

 

と言ってくれた。

 

「了解です。行こう、吹雪ちゃん。」

 

「うん!。」

 

幸せ……昔はわからなかった、けど少しずつわかってきた気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、執務室に行き、この鎮守府に居る全員の艦娘に紹介された。

 

 

「とりあえず、うちで引き取ることになった夕立よ。」

 

「夕立です。よ、よろしくお願いします。」

 

「不知火です。こちらこそよろしくお願いします。」

 

「飛龍だよ。これからよろしく!。」

 

「蒼龍だよ~。よろしくね。」

 

「改めて、吹雪です!。よろしくね、夕立ちゃん!。」

 

そこで、ふと思った事をいってしまった。

 

「なんで着任1週間で、空母が2隻も?。」

 

「あぁ、それはね、私の父がこっちに移してくれたの。」

 

お父さん?。秋山…秋山………。

 

「もしかして秋山 真之さんの子供…?。」

 

「よくわかったね。そう、私の父は秋山 真之よ。」

 

秋山 真之…、誰もが日本史などの、授業で習う、

日露戦争を勝利に導いた、海軍の人物である。

 

それなら、着任1週間で空母2隻は納得できるが…、

秋山さんの子供に怜香なんて名前の子は居なかったはず…。

そうなら、ここは異世界で間違いないようだ…。

 

「そうなんですか。すごい方ですよね。」

 

すると蒼龍さんが苦笑いしつつ

「ボートで突っ込んで駆逐イ級を刀で切って倒したんだよね~。」と一言。

 

え、なにそれ怖いと恐怖が走る。

 

「でもあれは大破してたって言ってたじゃん。」

 

そういう問題じゃないと思いますが…。

 

「まぁ、歓迎会でもしましょうよ!」

と吹雪が言った。

 

みんなから同意の声があがる。

僕は、

私は、自然と笑っていた。



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After the festival

題名のセンスと文のスキルを高めたいですよ…(笑)。

追記…中身を大幅に変更しました。


歓迎会は順調に進み、途中で、不知火と話した。

 

「夕立さん、ちょっといいでしょうか?。」

 

「なんですか?。不知火さん?。」

 

「夕立さんは、練度はいかほどなのですか?。

初対面の人に迷惑だとは思いますが、これから艦隊に入るのであれば、知っておきたいので。」

 

うーん。これはどうなんだろうか……。

もしゲームと同じ状態であれば、今の夕立は、

 

「101です。」

 

そう、ケッコンカッコカリしたあとに失ってしまった。

その証拠に薬指には、銀に光る指輪がある。

 

「思いの外高いですね…。ボソッ

ケッコンカッコカリしているなら元の鎮守府の提督とは仲が良かったのですか?。」

 

 

「…………。」

 

これにはどう答えるべきか…と少し苦いような顔になっていたようだ。

 

「すみません。これは不知火の落ち度です…。」

 

それを悟ってなのか、不知火はその質問を取り下げてくれた。

 

まぁ、言いにくい原因は僕なんだけど…。

 

「ぼ、僕は大丈夫なので…。そんな暗い顔をしないでください。」

 

「だったら、この不知火、全力でサポートさせてもらいます!。

何かあったら私を呼んでください。喜んでお手伝いさせていただきます。」

 

なんで…。

 

「なんでそんなにもみんなは優しいんです?。」

 

「優しい?、当然のことですね。それに夕立さん、助けて欲しそうな顔してますし。」

 

助けて欲しそうな顔…?、と疑問が出てくる。

 

「なんかあったら言ってくださいね。では。」

 

が、そう言って不知火は去っていった。一瞬不思議に思ったが気持ちは晴れていた。

 

「はい。よろしくお願いします!。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、そろそろお風呂に入りましょう。」

 

それは歓迎会が始まって2時間たった頃に提督から言われた一言だった。

普通の女の子だったらただの言葉に過ぎない。

だが、僕からすれば

 

「え」

 

ま ぁ こ う な る な

 

「なんで、え、なの?。」

 

みんなからの視線が僕に集まる。

 

「い い いや、なんでもないです。」

 

そう言って、慌てた顔のまま顔を左右に振った。

 

「もしかしてなんか、隠してることでも~?。」

とニヨニヨしながら飛龍が聞いてくる。

 

「本当になんでもないですって。」

 

「じゃあ行きましょう。」

と、提督が。

 

「いこ!夕立ちゃん!」

と、吹雪までもが逃げ道をふさいてきた。

 

「うぅーー……もぅ…。」///

 

僕は渋々みんなとお風呂に向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

脱衣場に着くと、みんなが次々に脱ぎ始める。

 

はわはわと口元を押さえていると、飛龍が近づいてきた。

 

「…?…あ、夕立ちゃん両手上げて。」

 

そう飛龍に言われたが、なぜかわからずとりあえずしたがった。

 

「こ こうですか…?」///

 

「そーれっ!!」「!!?!?」/////

 

すると、僕の制服は(夕立のものだけど)飛龍の手によって上へと飛ばされた。

 

そのまま下を見ると夕立の慎ましやかな、けれど主張の激しいモノ(・・)が目に飛び込「はにゃぁぁぁぁぁぁあ!?!?……あれ???」/////

 

奇声をあげると提督さんも、吹雪ちゃんも、不知火さんも、二航戦の二人もこちらを見ている…。

 

「な、なんでもありません。」///

 

そう言ってからもう一度視線を落とすと、確かに綺麗だったが、興奮はしなかった。何故だろう…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お風呂は入渠用と入浴用のものがあるようで、入渠用は小さく、入浴用とは別の部屋にあるらしい。

 

「あぁ^~。疲れがぴょんぴょんするんじゃ~^。」

 

「疲れがぴょんぴょんってなにさ。」

 

蒼龍と飛龍のやりとりを尻目に、隣に居る泡でモコモコになった提督に疑問を投げ掛ける。

 

「ん、なに?」

 

端から見たら羊のような提督が返事を返す。

 

「毎回お風呂はみんな一緒に入っているんですか?」

 

いくら上司と部下とは言え、一緒にお風呂に入るのは疑問だった。そんな企業、生きているうちに聞いた覚えはない。

 

「うん、その日のみんなの心境とか、報告書だけじゃわからないことなんていっぱいあるもの。」

 

そうなのか、と納得しつつ身体についた泡をシャワーで流す。鏡を見ると濡れて髪のボリュームが減った夕立のと蒼龍…蒼龍?!と驚いて勢いよく振り替える。そしてそのまま立ち上がってしまった。そのまま蒼龍の顎へ。

 

 

刹那、ごん!と鈍い音と共に僕の精神はまた、深い闇へと落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう蒼龍…、夕立が気絶しちゃったわ…。」

 

「………ごめんね!」テヘッ!

 

 

─────────────────────────

 

「ねぇ、〇〇君一緒に帰ろ…」

 

そう声をかけても、〇〇君は振り向いてはくれない。

 

誰一人として、僕の存在を認めてはくれない。家族ですら、だ。

 

誰にも理解されずに、道端の石ころのように、

気にされることなく死んでいくような気がした。

 

孤独というより、「空気」。

 

まるで最初からそこに居なかったような、そんな感じ。

 

 

こんなのもういやだ。誰か、僕を、み ツ け テ。

 

─────────────────────────

 

「お、起きたね。」

 

そこには医務室の天井と提督が写っていた。

 

「気絶したのだけれど……大丈夫?、かなりうなされていたわ。」

 

体が小刻みに震えていた。声に力が入らない…。

 

「は は ぃ ごめんなさい。」

 

「?、なんで謝るの?。」

 

そこで、提督は布団を直そうとしてくれたらしいが

そのときの僕にはそうは見えなかった。

 

「ひぃッ!ごめんなさい、ごめんなさい。」

 

「……。夕立」

 

そう言って提督は、そっと僕を抱きしめてくれた。

 

「…!。」

 

「悪夢なんて、忘れちゃえばいいの。どんな怖い夢だったか私は知らないけど、貴方はここに居るんだから。

夢のことなんて、気にすることはないわ。」

 

貴方はここに居る…、なんか、心を読まれた 、みたい。

 

「す みま せん。今日、泣きすぎ ですよ ね…。」

 

「泣くのは、悪いことじゃないから。

今は何も考えず、泣いていいのよ。」

 

 

 

 

 

─────────────────────────

夕立は散々泣いた後、疲れて寝てしまった。

 

彼女にどんな過去があったのか、なにが彼女をここまでさせるのか。

 

「やっぱ、迅速に過去を調べるべき…か。」

 

 

 

 

こうして、夕立としての僕の初日は終わった。

 

そして夜は何事もなく静かに過ぎていく。






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Confront with enemies

んぁ…。朝だ。起きないと。

 

そう言えば今回は悪夢を見なかった。

 

顔を洗って朝食を食べなければ…。

 

そう思いベッドから降りようとしたとき、ガラスに写った自分を見て気がついた。

 

「夕…立…。」

 

 

 

 

 

「おはよう!、夕立ちゃん。昨日はよく眠れた?。」

 

みんなが使う食堂で吹雪が話してきた。

 

「うん。おはよう、吹雪ちゃん。朝早いね。」

 

現在は朝の6時頃だった。

 

「私は、朝に強いってよく言われるからね。

夕立ちゃんこそ、結構早くない?。」

 

「私は、もともとこの時間に起きなきゃいけなかったから。」

 

「へぇ、そうなんだ。あ、ここの食堂はね、鯖の味噌定食が美味しいよ!。」

 

などと話していたらいきなり、騒がしく警報が鳴った。

 

「敵襲!敵襲!、偵察部隊と思われる深海棲艦、イ級駆逐艦4隻が近海で目撃された、今起きている艦娘は直ちに出撃準備を!。」

 

提督の声で敵襲が伝えられた。

 

吹雪は顔を引き締め、こちらを見てきた。

 

「夕立ちゃん、出撃できる?。」

 

…わからない、だが、心の奥底で戦いたい衝動のようなものがあった…。

それに他の人が起きるまでに時間がかかるだろう。

なら──

 

「足止め、ぐらいなら…。」

 

「わかった、じゃあ、着いてきて!。」

 

僕と吹雪は朝の鎮守府を走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここの世界の艦娘の出撃方法は、各個人のポートから出るようだった。

例えるなら、アニメの出撃の場所が、一人づつあるかんじである。

 

「夕立ちゃんの、出撃ポートはまだ出来てないから

私の出撃ポートを使って!。

妖精さんには艤装を用意しておくように言っておいたから!。」

 

と、吹雪は言い残し、自分の出撃ポートに入った。

すると少したってから、

 

「吹雪型駆逐艦、一番艦、吹雪!、出撃許可を!。」

と、勇ましい声が聞こえた。

そのあと提督の声で了承され、出撃したようだ。

 

吹雪が居ないのを確認して、僕も出撃ポートに入った。

 

そこには夕立のつけていた艤装がきれいに並べられていた。記憶を頼りに艤装をつけたが、肝心なことを思い出した。

「海の上移動出来るのかな…?。」ボソッ

 

僕は現実では運動は出来ない方の人間だった。

 

だからこそ、ローラースケート等で転んでいる人を思いだし、足手まといになるかもとも、考えた。

 

でも……、少しでも吹雪の、皆の、力になりたい。

ポートに浮かんでいる足の艤装を履いた。

 

だから──────

「白露型四番艦、ゆ、夕立、出撃許可を!。」

 

僕も戦う

 

「あまり無理はしないでね。夕立の出撃を許可する!。」

 

すると足の艤装が下のカタパルトに固定されているのに気がついた。その時には、加速していた。

 

 

 

 

 

目を開けるとそこは一面の青だった。

僕は海に立てていた。

 

多分、推測だが夕立のおかげだろう。

「ありがとう。夕立…。」

そう呟き、吹雪の後を追いかけた。

 

 

 

その後、吹雪と合流し、深海棲艦が目撃された、近くについた。

 

「うん、この近くだね。気をつけてね、夕立ちゃ…わっ!。」

 

深海棲艦からの砲撃だった。奇跡的に二人には当たっていなかった。

 

「夕立ちゃんは向こうの2隻をお願い!。こっちの2隻は私がやっつけちゃうんだから!。」

と、意気揚々に吹雪は行ってしまった。

 

20メートル先くらいにイ級が2隻…。

敵を前に、何故か恐怖は無かった、

むしろ、心が、戦いを、望んでいた。

 

「さぁ、素敵なパーティーしましょ!。」

 

─────────────────────────

 

「まさかこの、不知火が寝坊するとは…これも落ち度です…。」

 

現在、不知火は深海棲艦の目撃場所に向かっていた。

 

「どことなく夕立さんは心配です。いぞがないと。」

 

「あ、あれは…。夕立さん!、そんなところに立っていたらきけ…。」

 

瞬間、夕立の片目が紅に光った。




次回は、戦闘回です。頑張ります…!。


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First battle

夕立の目の色は改二は赤ですが、ここの夕立は普段は両目とも緑色なのです!。


「さぁ、素敵なパーティーしましょ!。」

 

イ級の砲撃が来る。そう思った瞬間に体を撚る。

すぐ右を砲弾が通りすぎる。

 

もう一体のイ級が砲撃の為に口を開くそこに

走りながら、こちらから砲撃を撃った。

 

走りながらだったので軽く逸れてしまった。

 

「…これで小破ってところかな?。」

 

まだ距離が100メートルほど空いている。

 

先程のイ級が砲撃の構えをした。

 

なら…。とそのまま、正面に突っ込んでいった。

 

イ級はそれに反応するかのごとく、砲撃。

 

それをスライディングを応用し、ギリギリで避ける。

 

体勢を直すと、砲撃をしていない方のイ級が噛みつこうとこちらに向かって来た。

 

夕立はイ級に足をかけ、上に飛ぶ。

 

そして相手の死角である真上から連装砲を叩き込む。

 

そのまま落ちていき、イ級の背中を踏みつけた。

イ級はそれを喰らい、轟沈した。

 

「んー、こんなで、終わりっぽい?。」

 

もう一体のイ級が仲間を沈められたのが頭に来たのか、

砲撃体勢にうつった。

 

「遅いっ、ぽい!。」

 

そう言い、イ級の頭の部分を夕立は思いっきり殴り飛ばした。

 

その殴った体勢のまま、流れるように砲撃を行う。

 

「す、すごい…、不知火の出る幕もありません…。」

 

今の一撃で、イ級は沈んでいった。

 

夕立は空を見上げ不敵に笑っていた。

 

─────────────────────────

 

「ゆ、夕立さん?。」

 

「不知火さん?。来てくれたんですか?。」

いつの間にか不知火が助けに来てくれたようだ。

 

「今さっきですけどね…。遅れてすみませんでした。」

 

「だ、大丈夫ですよ。来てくれただけ嬉しいので…。

それで、吹雪ちゃんは…?。」

 

「今さっき戦闘が終わったようで【ピリリリ】、はい。不知火です────。」

 

「夕立ちゃん!。大丈夫だった?!。」

 

そこには少し怪我をした吹雪が立っていた。

 

「私は大丈夫だよ…私よりも吹雪ちゃんは?。」

 

「これくらい、問題ないよ!。」

 

良かった…。と安心していると不知火が提督と通信を終わらせたようだ。

 

「吹雪さん、夕立さんは帰って入渠と補給をしてください。

その後のことは不知火がやっておくので。」

 

私たちは了解し、その場を不知火にまかせ、鎮守府に帰った。

 

 

 

「片目が、元に戻ってる……?。」

 

 

 

 

 

 

「はーぁ、やっぱ朝のお風呂はいいねぇ~。」

 

小破してしまった、吹雪が一人だと寂しいと言って

半ば強引に入渠所につれてこられてしまった。

 

「う、うん。そうだね。」

 

裸耐えるので結構ギリギリなんですけど…。

 

「それよりさ、さっきの夕立ちゃん、凄かったね!。」

 

「ありがとうね…。」

問題はそっちだ。さっきの戦闘で記憶が半分位しか残っていないのだ。

 

「あんな風にかっこよく戦えるって、羨ましいよ!」

 

「吹雪ちゃんも、凄かったと思うよ。」

事実、自分で戦った実感があまりしない。

 

「今度さ、教えてくれないかな?。」

 

僕はなにも答えることが出来なかった。

吹雪の期待の視線がとてつもなく、痛い。

 

「夕立ちゃん?。」

 

「……ごめん…。」

そう言い残し、入渠所を出ていってしまった。

 

 

 

 

「はぁ…昔からの癖なんだよなぁ…逃げちゃうの…。」

 

脱衣場をすばやく出て今は海の見えるテラスで

黄昏れていた。

 

「どうした?。悩める若者よ~。」

 

この悪ふざけの感じは……。

 

「蒼龍さんですね?。」

 

「正解!、よくわかったね~。さぁさぁ、話してみなさいな。」

 

それから僕は、先程のゴタゴタを蒼龍に話した。

もちろん、軽く話は誤魔化したけれども。

 

「うーん。夕立ちゃんって直感で戦ってる感じでしょ?だったら説明出来なくても仕方ないんじゃないかな?。」

 

「そう 、 なんですか?。」

 

「まぁ、そんなもんでしょ!。難しく考える方がだめよ。」

 

「えぇ……。」

 

「逃げるより当たって砕けろってね。

それより、さっき吹雪ちゃんが探してたよ。

行った方がいいんじゃない?。」

 

「わかりました。謝ってきます!。」

 

「うわぁーお……。すっごく速い…。

 

────私も、逃げてちゃ駄目だよね……。」



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Proof of reconciliation

ぐだくだと書いてしまってすみません…。
次回はもうちょっと話を進めますので。


「はぁ はぁ 。」

 

吹雪はどこに居るのか。必死に走って探していた。

 

入渠所を見たが誰も居ない。部屋にも、帰って居ないようだった。

 

「ど こ ?。」

 

「わぁ!」「きゃっ!」

 

角を曲がったとき、出会い頭にぶつかってしまった。

 

「いってて…、大丈夫?、夕立ちゃん?。」

 

「飛龍さん…、大丈夫です。」

 

「朝のときはごめんね。私も蒼龍も朝弱くて…。

準備し終わったときにはもう終わっててね。」

 

「そうだったんですね。そういえば吹雪ちゃんを見ませんでしたか?。」

 

「そういえば、海岸の方に歩いてるのを見たけど…。」

 

「ありがとうございます。」

と、言って、急いで海岸に向かった。

 

「…何かあったのかな?。」

 

 

 

 

 

走りながら考えていた。自分がこんなにも、心から謝りたいと思うなんて。

 

昔は虐められすぎて謝るとこになんとも思わなくなっていたのだ。

 

でも、今は違かった。

 

ここまで、誰かのことを、思うとは、。

 

─────────────────────────

 

「はぁぁぁー…、なんであんなこといっちゃったんだろ私…。」

 

私、吹雪は海岸に来ていた。

来た理由は気を紛らわすため。

 

「いくら親しくなったって感じても、まだ初めて会ってから2日もたってないんだよなぁ…。」

 

なのに私は、人の心も考えず、思ったことをそのまま言ってしまったから…。

 

「うん、謝ろう!。許してもらえなくても、私の気が晴れないから!。」

 

そうと決まれば…、あれ誰か走ってくる?。

 

あ、夕立ちゃんじゃん────ヴぇ!?なんで?!。

ど、どうしよう…怒ってるのかな…?。

 

「ハァハァ、吹雪ちゃん!」

 

「は、はい!」

 

「さっきはごめんなさい!」

「さっきはごめん!」

 

「「え?」」

 

 

 

──説明中──

 

「そうだったんだ…。考えず戦ってるってすごい!!」

 

「そうゆうことだから、説明出来ないんだ…

ごめんね。」

 

「ううん!、気にしてないよ、なら私は見て学ぶから。それで私も同じくらい戦えるようになるんだから!。」

 

「前向きだね。」フフッ

 

「あーー、笑うなんて酷い!」

 

 

────仲直り出来て良かった──。

 

 

─────────────────────────

 

 

「そういえば司令官が夕立ちゃんを探していたよ?

なにかあった?。」

 

「いや…、思い当たることはないかな…。

とりあえず行ってみるよ。」

 

 

 

 

─司令官室─

 

コンコン「く、駆逐艦夕立です。」

 

「開いてるから入って。」

 

ガチャ「提督さん、何でしょうか?。」

 

「秘書艦やってもらおうかなって。」

 

「」

もちろん、やったことあるわけない。

 

「心配しないで、書類に不備が無いか見てもらうだけだから。」

 

「了解です…。」

 

思ったより秘書艦の仕事は辛いものではなかった。

 

だが、部屋には紙が擦れる音だけで

なぜ私が呼ばれたのかがわからなかった。

 

「貴女は、」

 

何時間か経ってから提督の方から話しかけてきた。

 

「貴女は、寂しくないの?」

 

「………寂しいです。────

 

嘘ではない、夕立のことは一生忘れることはないだろう。

 

────でも、みんな優しいのでその優しさに救われてます。」

 

「そう、貴女は強いのね。」ナデナデ

 

提督は微笑みながら、私の頭を撫でた。

 

「?!///」

 

「あ、ごめん。いつもみんなにやってるから…。」

 

初めてだった。頭を撫でてもらうなんて…。

 

「このまま……お願いします…。///」

 

すごく…落ち着く。

 

 

「ごめんね。なんか夕立を撫でてると落ち着いて…。」

 

結局、3分位撫でられてしまった…。

 

「い、いや、私も落ち着くから…また…。///」

 

「私もね、父によく、撫でて貰ったんだ。」

 

「へぇ…、御父さんには今どちらに?。」

 

「確か、今父は…。」

 

─────────────────────────

 

日本海、男は船の上で刀を担いでいた。

 

「重巡ネ級が三隻、そっちに行きます!!」

 

「ふん、面白い…。三笠!、お前の方は任せたぞ!」

 

「はい、お任せを!。」

 

「さぁて…、楽しませてくれよ…。」



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Hugging the sunset

最近、時間が足りないのが怖いです…。
それと、400UAありがとうございます!。
これからも影ながら頑張ります。

追記 艦これ五周年おめでとうございます!。


「父は、今軍の指示で日本海の哨戒任務に当たってたかな。」

 

「あの…、御父さんって何歳なんですか?」

 

「えーっと、確か55歳だったかな…。」

 

「そうなんですね…。」

 

「よし、そろそろまた再開しよ。」

 

「了解です。」

 

また、静寂にカリカリとした、音が響く。

 

しかし、その音はすぐに止まった。

 

「そういえば夕立…貴女、朝ごはんは?」

 

朝にゴタゴタがあったから、すっかり忘れてしまっていた。

 

「食べてませんね、気がつきませんでした。」

 

そういって提督の方を見ると、とても心配したような顔をしていた。

 

「大丈夫なの?!。朝出撃してから、もう4時間たってるのに…?」

 

言われれば確かに気にはなるが、

 

「私、昔から空腹には強いので。」

 

笑いながら言っているが、艦娘が出撃して空腹を訴えないのは異常といっていいのだ。

 

「そう言うものではないから…。

とりあえず簡単な物しかつくれないけど、私がつくってくるね。」

 

「提督さんがつくってくれるんですか?」

 

「えぇ、ちょっと待ってて。」

 

そう言って、執務室からいそぎ足で出ていった。

 

 

 

 

5分ほど経ってからノックの音が聞こえた。

 

「駆逐艦不知火です。司令、入っていいでしょうか?」コンコン

 

「不知火さん、今提督さんはここには居ませんよ。」

 

そう言うと、不知火は、勢いよくドアを開けた。

 

「司令に何かあったんですかっ?!。」バァン!

 

「い、いや、ただ私のためにご飯を… 。」

 

「そうだったのですね。取り乱してすみません…。」

軽く顔をしかめながら、不知火は部屋に入ってきた。

 

「大丈夫です。それと、私秘書艦なので何か連絡することがあったら伝えておきますよ。」

 

「では、先ほど深海棲艦が出た場所での哨戒が終了し、問題が無かった、と伝えておいてください。」

 

それを言って不知火は出ていこうとしたのでお礼を言いたくて引き留めた。

 

「し、不知火さん!今朝はありがとうございました。」

 

すると、不知火は振り向き、表情を変えずに「これくらい問題ないです。」と言い残して去ってしまった。

 

 

 

 

 

 

「やっぱり、朝の好戦的な感じではなさそうですね…。」

 

 

 

 

 

 

更に5分位経ってたから、提督が返ってきた。

 

「つくってきたよ。おにぎりと焼き鮭。」

 

それはどこにでもあるような、おにぎりと焼き鮭だった。

二人分あったので提督も、ここで食べるようだ。

 

「ありがとうございます、いただきますね。」

 

一口、おにぎりを噛った。固さもちょうど良い、美味しいおにぎりだった。

 

「どう?」

 

提督は上手くできたか心配なのか、不安げな様子だった。

 

「美味しいです…!」

 

素直な感想を言うと、嬉しいのか提督の顔が少し綻んだ。

 

「そう…よかった。」ニコッ

 

何故かその顔を見て懐かしい気持ちになった。

いつの日か、どこかで………どこだろう…?

そん なこ と あ っ たっ け ?

あまり 覚えていない…。

 

「大丈夫…?ぼーっとして。」

 

気がつくと提督が心配そうに覗きこんでいた。

 

「わ な、何でもないです。」

 

「そう…。このあとも執務を続けるから出来るだけ早くね。」

 

 

そのあと、つくってもらった物をぺろりと食べ終わった。

 

 

 

 

「提督さん、不知火さんが今朝の戦闘付近での哨戒が終わり、問題が無かった、だそうです。」

 

「わかった。」

 

ふと、外を見ると、水平線に夕日が沈むところだった。

 

「綺麗だよね。」

 

自分も昔よく、嫌な事があったら決まって、夕暮れの海を眺めていたものだ。

 

「はい。とてもそうですね。」

 

「私は、守りたいんだ。この綺麗な景色を。」

 

「だから提督になったんですか?」

 

「いや……違うかな…私は、ただm」「提督~遊びに来たよ~。」

 

そこには、二航戦の二人がいた。

 

「蒼龍ノックぐらいして。」

 

「いいじゃん、それくらい~。あ、夕立ちゃんもいたんだ。お菓子持ってきたから一緒にたべよ。」

 

「もう!蒼龍あんまり提督に迷惑かけちゃ駄目だよ。」

 

その二人の掛け合いを見て、提督は少し呆れ、

 

「…もう執務も終わったし、いいけどさ…。」と。

 

「いつの間に、終わってたんです?!」

 

「これくらいすぐだよ。それより、吹雪と不知火を呼んできて貰える?みんなで食べた方がいいから。」

 

「わ、わかりました。」

 

かくして、夕日に照らされた鎮守府の時間は優しく流れていく。



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Two Navy Holiday

とりあえず話が一区切りしたので、番外編みたいな感じで飛龍と蒼龍の話をどうぞ。


「んねんね、ひりゅー。そこの漫画とって。」

 

「はーいよっと。」

 

「んーー、ありがとね。」

 

「って!いくら非番だからってぐだぐだし過ぎだよ!

ほら、そーりゅー!外行くよ、外!」

 

「えぇー…いいじゃん。第一さ、外行ってもやること無いんじゃ?。」

 

「……そうだけども!そうだ、武道場いこう!」

 

「まぁ、弓の鍛練は毎日やるっていってるからね~。」

 

「ほらほら!行くよっ!」

 

そう言って、飛龍は蒼龍の手を取り無理矢理引っ張った。

 

「わかったから引っ張らないでよ、やだやだぁ!」

 

 

 

 

 

 

─────────────────────────

 

この鎮守府では武道場は、弓道場と剣道場を合併して造られている。

 

その場所で私は目の前に作られた藁の人形を睨み木刀を構えていた。

 

「ふっ!」

 

素早く木刀を頭上から振り下ろし叩き抜き人形の後ろへ、そのまま右足を軸に回り胴に一撃を叩き込む。

 

我ながら悪くない動きだ。

 

もっとも、御父さんには、及ばんが───。

 

「あっ!提督も来てたんだ。」

 

「えぇ、飛龍と蒼龍。鍛練しに来たの?」

 

そうですよ、と返事をする飛龍の後ろに居る蒼龍が苦笑いしつつ、

 

「部屋でぐだぐだしてたら、怒られて引っ張られてきました。」と。

 

彼女たちが戦っている所は見たことあったが、鍛練は見たことはなかった。

 

「それなら、折角だし見ていこうかな。」

 

飛龍はほんと?!と嬉しそうだが、蒼龍は、恥ずかしがっていた。

 

「あんまり人に見られたくないんだよね~…。」//

 

「えー、戦闘してるときは大丈夫なのに?」ニヤニヤ

と、飛龍がからかいながら突く。

 

わざわざ来たのに私のせいで出来ないのは申し訳ない。

 

「なら、私は執務室に戻ろうかな。」

 

「い、いえ嫌って訳では!」//

 

かなり食い気味に言ってきた。

 

「そう…だったら、見させて貰うね。」

 

 

 

 

─────────────────────────

 

 

 

「………。」キリキリ

 

そこにいるのはいつもの飛龍ではない。

 

「ふっ!」ビュン

 

さっきまでここに居た飛龍は消えてしまってような気がした。

 

ズダーーン

 

いつもどうり真ん中を射ぬいていた。

 

「流石、飛龍だね。」

 

「うーーん、まだまだかなぁ…もっと鍛練しないと多聞丸に顔向けできないしさ。

 

で、どうだった?提督。」

 

「飛龍ってすごかったんだね。」

 

提督の感想を聞いた飛龍は、頬を膨らませて

 

「なにそのいつもすごくないみたいな感じ~……。」ムーッ

 

「自業自得よ。いつもふざけてる飛龍が悪いんだから。」

 

「もー、それなら提督にこちょこちょしてやる!」

 

「ちょっ、なんでやめっ」

 

「…楽しそうだなぁ…w」ギャァァァ

 

すると提督が苦しそうにこっちを見て助けを訴えてきた。

 

「ちょ、そうりゅ、みてないで、たすk 」

 

私は静かに親指を立てた。

 

ソーリュウウウウウギャァァァャァァァ

 

 

 

 

このあと、二人とも提督にこっぴどく叱られました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……。」キリキリキリ

 

 

飛龍──テ敵空───撃セシメ、機──隊ハ一応北──避退、兵──結───トス

 

 

ビュン

 

ズダーーン

 

「……やっぱり、邪魔してくるかぁ~…。」

 

私の射った矢は的から少しずれたところに刺さっていた。

 

「これだから、嫌なんだよなぁ…。」

 

「そーりゅー、まだいたの?」

 

「あれ?ひりゅーこそ、帰ってなかったの?」

 

飛龍は、私の射った矢を見て言った。

 

「まぁね。また?」

 

「そ~なのよ。困ったものだよね。まともにできやしない…。」

 

いつも…夢で見る…。あの海戦を。飛龍を 守りたいんだ。

 

でも、体は正直で あの戦いが 怖いんだ。

 

それであっても、飛龍は 戦っている。私は────

 

「もー!そんな怖い顔しないで!そーりゅーのそんな顔見ると私まで不安になっちゃうんだから。」

 

「でも…………!「でもじゃない!」

 

私は飛龍に抱き締めてられていた。

 

「私は元気なそーりゅーがいいんだよ?だからさ、立ち直るまで私が支えていくよ。」

 

飛龍は抱き締めるのを止め、肩に手を置いたまま、思いっきり笑って見せた。

 

「それが、二航戦ってものでしょ!!」

 

「はは、やっぱひりゅーには敵わないね~。」

 

「よしっ!今夜は飲もうよ!ぱーっとさ」

 

「それは違う人の~。てか明日は出撃だけどいいの?」

 

──────

 

まっててね、飛龍、いつか必ず 貴女を助けるから。



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Rain stops sometimes 1

GWのせいで戦闘シーンが調子に乗ったかもです(言い訳)。


今は夜。雨は静かに降り続いている。止む気配はない。

 

あぁ…また僕は沈むのか…。

 

前は孤独(ひとり)じゃなかったんだけどね。

 

今度ばかりは、僕の幸運も続かないらしい…。

 

まぁ、周りでみんなが沈むよりかはいいけどさ。

 

それでも、まだ足掻いてみようかな…。

 

会いたいよ……、白露型のみんなに…!。

 

 

─────────────────────────

 

現在、自分たちは鎮守府から少し離れた海域に来ていた。

 

今回は遠征の帰りである。

 

因みに、自分が鎮守府に来てからもう1週間たった。

 

ある程度のことには慣れたけど、やっぱり、お風呂は…。

 

「夕立さん、ボーッとしてますが、大丈夫ですか?」

 

最近のことを振り返ってる場合じゃないと思う。

 

敵が居なくても戦闘海域なんだ。気を付けないと…。

 

「はい、大丈夫でs「不知火ちゃん、夕立ちゃん!向こうの方で深海棲艦が何かを追いかけてるんだけど…。」

 

そのとき、吹雪が見たものは何かを追いかけるように動く深海棲艦の艦隊だった。

 

「何故、あのような行動をしているんでしょうか…?」

 

不知火は不思議そうに首を傾げた。

 

わからない。けれど何かに呼ばれているような気がした。

 

「たすけなきゃ、いそがないと。」

 

「え、ちょっと!夕立ちゃん!何でそっちの方に行ってるの!?」

 

なにかが、きこえる…。

 

「なにか見えたのかもですね、私達もついていきましょう。」

 

懐かしい、暖かいような記憶。

昔、自分ではない誰かが会いたいと望んだ。

 

だが、その望みは絶たれ私は沈んだ。

 

今度こそは、会ってみせる。

 

だから、僕は譲った。

 

─────────────────────────

 

もう…だめか……。さい ごはせめて、みんなの もとで…

 

瞬間目の前に居た重巡の深海棲艦が凄い勢いで横に飛んで行った。

 

僕の眼には優しい色の髪が飛び込んできた。

 

「もう、手出しはさせないっぽい!!」

 

はは…夕 立…

 

深海棲艦の艦隊は突然のことに驚きを隠せないようだ。

 

その先頭の深海棲艦に夕立の深い蹴りが入る。

 

それに反応して敵は戦闘体制にはいる。

 

無理だ、数が違いす…「沈めッ!!」

 

そこに遠方から砲撃が飛んできた。

 

その砲撃はしっかりと敵の頭をとらえていた。

 

「夕立ちゃん、前に出過ぎだよ!」

 

「それどころじゃなかったぽい!」

 

「ぽい?夕立ちゃんどうかした?」

 

「ううん、気にしないで!」

 

話ながら夕立は、敵の格闘攻撃をいなしていた。

 

そのリ級の腕を踏み台に距離を取りつつ手に持った魚雷を投げつけた。

 

「これで、どう!?」

 

投げた魚雷に砲撃を撃つ。その攻撃でリ級は爆炎に飲み込まれる。

 

夕立は軽く息を吐く。

 

「夕立、危ない!」

 

真横から別のリ級が砲撃体制に入っていた。

 

「────ッ!!」

 

夕立はよつん這いの姿勢になりその砲撃をかわした。

 

そのまま、リ級に飛び込み、殴って海面に叩きつけた。

 

「無駄に抵抗しないでくださいね。」

 

夕立はリ級に連装砲を向けて脅しをかけた。

 

他の深海棲艦も、ほとんどが大破していた。

 

「今すぐおとなしく帰ってください。」

 

さっきまでの夕立とうってかわって、物静かな感じがした。

 

その言葉は、誰も傷つけたくはない、と滲み出るようだった。

 

 

 

 

 

 

それで深海棲艦の艦隊は帰っていった。

 

あ れ… あ ん しん して …

 

─────────────────────────

 

去っていく深海棲艦を見ていたら時雨が倒れて──え。

 

「時雨ねぇさん!?大丈夫っぽい?!」

 

「ぽい?、夕立さんこそ大丈夫ですか?。」

 

「そんなことはいいんです!それよりも…」

 

心配でたまらないのは…。

 

 

 

「大丈夫だよ、疲労とか怪我のせいだね。」

 

「……良かったぁ。」

 

隣では不知火が提督さんに連絡をしていた。

 

改めて、顔を見てみると、心のどこかで安心感が生まれていた。

 

「とりあえず、鎮守府に連れていきましょう。話はそれからだそうです。」

 

そう、不知火は言った。これからどうなるんだろうか…。

 

 



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Rain stops sometimes 2

一番好きな艦娘は時雨です(関係ない)。

盛大に遅刻してすみませんでした…。
それと、来週は忙しいので投稿を休ませてもらいます。
遅刻したうえに休みになってしまって…、ほんとにごめんなさい!。


もう何度目だろうか。

 

「───────────」

 

「扶桑…!そっちは!」

 

「──、魚雷? !」ボォン

 

こうやって

 

「駄目だ!山城!」

 

「あ─たは、しあ─せに─って」ドォォン

 

みんなの沈んでいく姿を

 

「最上!、危ない!」

 

「ごめ─ね、」ガァァン

 

見せられているのは。

 

「満潮──ッ!!」

 

「み──を、─願─」ニコ ドォォン

 

例え夢だとしても

 

「いかないでよ、あさぐも、やまぐも」ポロポロ

 

「─────、──」

 

「────、────」

 

僕は────

 

「うぅッ……」ポロポロ

 

なんて無力何だろうか。

 

「うぁぁぁぁぁぁぁぁあーーーーーー!!」ポロポロ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…あれ?どこだろう、ここは。

 

気がつくとそこはふかふかのベットの上だった。

 

不思議に思い辺りを見渡す。時間は夜、窓の外は雨が降っていた。

 

その窓に肘を突いて外を眺めている人が居た。

 

「あ、起きたんですね。体は大丈夫ですか?」

 

優しい色の髪の毛が動き、振り向く。

 

「夕 立……。」

 

今まで押さえていた感情が溢れるのを感じた。

 

「うぅ……よかった。よかったよ…。」ポロポロ

 

「あ、え、あぉ、大丈夫ですか?。」オロオロ

 

やっと心の雨が弱まった、そう思えた。

 

─────────────────────────

 

現在の時刻は○一○○。

秘書艦の仕事も終わり、時雨が心配になって来て、外を眺めてたら、まさか起きるとは…。

 

「ごめんね、みっともないところを見せて。」

 

目を擦りながら彼女は言う。

 

「改めて、初めまして白露型2番艦、時雨だよ。」

 

「こちらこそ、白露型4番艦、夕立です。」

 

すると時雨は悲しそうな顔をした。

 

「……なんでそんなに他人行儀なんだい?」

 

え………?。

 

「久しぶりの感動の再開なんだ、それとも忘れた の?」ウルウル

 

目を潤ませながら迫ってくる…。

自分にも姉は居たが話したのは記憶にあるので5回程だった。

 

だから、どう接すればいいか、わからなかった。

 

「ごめんなさい、お姉様。どう接すればいいか…。」

 

「」

 

時雨は口をあんぐりと開けていた。

 

「な、なんでお姉様、なんだい?」

 

「なんで…と言われても…こんな感じでは…?」

 

自分の中の姉への話し方はこんな感じだった。

 

そう言うと時雨は寂しそうな声で答えた。

 

「そんなにかしこまらないでよ…。僕は夕立に慕われたい訳じゃないんだから。」

 

まず、人と余り接することがなかったのでこれが自分の当たり前だった。

 

「でもそれだと、お姉様に迷惑じゃないですか?」

 

「夕立…僕は全くそんなこと思わないよ。あ、迷惑なのはお姉様と敬語、かな。」

 

やっぱり、ここの人たちはみんな優しい。

 

自分の当たり前が次々に壊されていく。

 

「だったらなんと呼んだら?」

 

「助けてくれたときに言ってたので良かったのに。」

 

「時雨ねぇさん、でいいの?」

 

「そうだね、堅苦しいのは合わないよ。」

 

「わかったよ。時雨ねぇさん。」

 

「これからも、よろしくね。夕立。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────────

 

朝、吹雪が慌てふためいて私の寝室に入ってきた。

 

「しし、司令官!どうひよう!夕立ちゃんが部屋に居ないんです!」

 

「まぁまぁ、落ち着いて吹雪。多分あそこにいると思うし。」

 

私には夕立が居るところに検討はついていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりね。」ハァー

 

「なんか犬みたいですね…。」

 

夕立は時雨にしがみつくようにして寝ていた。

 

それはまるで、今度は離さないと告げているようだった。

 

「やぁ、君がここの提督だね。」

 

「そうよ、私は秋山 怜香、貴女は?」

 

「僕は白露型駆逐艦、時雨。これからよろしくね。」



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Rain stops sometimes 3

誰も待っていないと思いますが
お待たせしました。
主人公は心の中では自分のことを僕と呼んでいます。
時雨と紛らわしいですよね…。


眩しい朝の光りに叩き起こされるように、僕は目をうっすらと開けた。

 

「おはよう、夕立。」ニコッ

 

「 え … ? 。」

 

「今日は僕が頼んで夕立にここの案内をしてもらうよう、提督に話は通したから、」

 

何故、自分がここで寝ているのか、私は昨日の夜のことを思い出す。

 

「そっか…あのまま…」///

 

僕にとって誰かと寝るなんてあり得ないことだった。

 

「それじゃあ、着替えて案内お願いね。」

 

「はい、お姉様。」

 

「え、昨日の呼び方は…?」シュン

 

間違ったことをいってしまったと思い慌てて訂正する。

 

「ごご、ごめんなさい!時雨ねぇさん!」

 

すると満足した様子で、うんそれでいいね、と呟いた。

 

やはり姉には敵わないんだな、と苦笑いした。

 

 

 

 

 

そこから僕は、時雨に鎮守府の案内をした。

 

「ここが、出撃ポートだね。出撃の時はここから出るんだよ。」

 

時雨はまじまじと見ていた。

 

「こんなところから出れるようになったんだね…。」

 

「艤装の整備は妖精さんたちがやってくれてるんだ。」

 

と、近くに来た妖精さんを手に乗せて時雨に見せた。

 

妖精さんは艦娘たちの艤装の整備や、鎮守府の施設の管理など、細かい作業を頼んでいる。

 

「わぁ……可愛い…。」

 

妖精さんは敬礼をしていたが、時雨の言葉に照れて恥ずかしがってるようだ。

 

「ほら、困ってるから…次の場所に行くよ?」

 

「うん、またね、妖精さん。」

 

そうして僕たちは出撃ポートを後にした。

 

 

 

 

そこから食堂、武道場と紹介して、最後に執務室へ向かった。

 

「ここが、執務室。提督さんは大体はここに居るよ。」

 

「大体?」

 

「座っての仕事より動いてた方がいいんだって、駆逐艦 夕立です。」コンコン

 

少しの間があき、中から了承の声が聞こえる。

 

「こんにちは、提督さん。」

「やぁ、提督。」

 

「夕立に時雨ね。どう?建物の構造はわかった?」

 

「うん、少し小さめだけども、すごくいい鎮守府だね。」

 

そう言われた提督は少し満足そうな顔をし、すぐに表情を戻す。

 

「時雨、君は気がついたら海域にいた、と言うことでいいの?」

 

「そうだね、目を開けたら僕は人の体を持っていた。」

 

後から提督に聞いた話だが、このようなことはかなり稀なことらしい。

 

この世界の艦娘は大方が建造にて、目を醒ますようだ。

 

だが、ほんの少しの確率で、それが海域で起きることがあるらしい。

 

「だったら、話は早い。うちの鎮守府に来ない?」

 

そう聞かれた時雨は迷うことなく頷いた。

 

「断る理由なんてないね、行く場所もないからさ。」

 

「そう、なら部屋を決めないとだね。空いてる部屋は……、そう言えば夕立の部屋って二人部屋を一人で使ってるよね?」

 

「……はい ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが夕立の部屋なんだね。」

 

「うん……。」

 

提督は部屋を一人で使っていた僕のためにと、時雨の部屋をここにしてくれた。

 

「僕は、家具とかがないから暫くは夕立のを借りるね。」

 

まだそれくらいならよかったが……。

 

「ベットが……一つしかないんだよね…。」

 

「え?それがどうかしたかい?」

 

時雨はきょとんとした顔でそう言った。

 

「だってそれだと……。」///

 

「嫌かい?昨日だってそうだったじゃないか。」

 

「だって…恥ずかしいし…」ゴニョゴニョ///

 

すると時雨は笑みをうかべて、こちらへ迫ってきた。

 

「え?なんでこっちに来るの?、時雨ねぇさん?何か言ってよ。ねぇって キャァッ!」

 

目を開けると僕はベットに押し倒されていた。

 

いわゆる床ドンと言うやつだ。

 

「ちょ t ま っ 」

 

「何が恥ずかしいんだい?夕立?ハッキリと言ってよ。」

 

「いゃ、 ぁの その …」オロオロ///

 

「これくらい、姉妹なら普通じゃないか。」

 

そう言って時雨は顔を近づけてきた。

 

「くぁwせdrftgyふじこlp。」プシューー///

 

そこで僕の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……まずい、気を失ってたらしい。

 

右側が暖かかったので首を回してみてみると時雨が寝ていた。

 

「………。」///

 

恥ずかしかったから起こそうとしたがその手を時雨の頭の上に乗せた。

 

「これからも、よろしくね、時雨ねぇさん。」ボソッ//

 

その手で頭を優しく撫でた。

 

そして、これからの生活を楽しみに思い静かに手を離した。



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On the coast where sleeps fall

この度は勝手に休んでしまいすみません。
生活が忙しくなって手が付けれませんでした。

お詫びとして今回、少し長くしておきました。
少しでも楽しんでもらえたらうれしいです。


僕は白露型駆逐艦、「時雨」。

 

少し前にこの鎮守府に着任した。

 

今は、僕の妹の夕立と一緒に朝食をとっている。

 

「……?、どうしたの、時雨ねぇさん。こっちを見て。」

 

「いや、なんでもないよ。ただ、一緒に食事をとれていることが嬉しくてね。」

 

「そっか…、そうだよね。」

 

そんな会話をしていると吹雪が来た。

 

「あ、おはようございます!、時雨さん、夕立ちゃん!。」

 

「おはよう、吹雪さん。」

「おはよう、吹雪ちゃん。」

 

夕立と仲の良い吹雪が夕立の隣に座った。

 

そこから、吹雪と夕立は話はじめてしまった。

 

…姉としては友達ができているのは嬉しいがなんとも言えない複雑な気分になった。

 

なので、食事を終えて同じ非番の吹雪と話してみることにした。

 

「吹雪さん、暇だったら、海岸に散歩しにいかないかい?」

 

「え…?海岸、ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吹雪は何故誘われたのか、あまり解っていなかったがとりあえず着いて来たようだ。

 

「あの…なんで私は誘われたんでしょう…?」

 

「夕立とは……夕立とはどういう関係なんだい?」

 

「へ……?」

 

吹雪はそんなこと聞かれるとは思ってもなかったのか拍子抜けた顔をしてる。

 

「なんでそんなことを聞くんですか…?」

 

「僕は姉として、夕立がしっかりとした付き合いをしているか気になってね。」

 

そう言い終わるやいなや、吹雪に笑われた。

 

「ふふっ、なんだ、そんな理由なんですね。」

 

「そんな理由って…。」ムーッ

 

「すみませんね、笑ってしまって。関係は大丈夫ですよ。」

 

「ふーん、本当かい?」

 

「この前あったことだと…─────────────

 

 

それは戦闘を終えて、帰投しているときの話だった。

 

「でさ~、その時の提督と言ったら、もうおかしくって。」アハハ

 

「それは凄いですね。」フフッ

 

夕立と飛龍が何気ない会話をしていた。

 

そこに蒼龍が入り込む。

 

「ねぇねぇ、夕立ちゃん?鎮守府の生活には馴れたの?」

 

「あー、それ私も気になったー。」

 

私も気になったので周囲の索敵は忘れず、聞き耳をたてていた。

 

「はい、皆さんのお陰で慣れることができました。

かなり居心地も良いですからね。」

 

「へぇ~。居心地が良いってのは誉められてるみたいで嬉しいね。」

 

と蒼龍さんが嬉しそうな声をあげる。

 

「誰のお陰で馴染めたのかねぇ。」ニヤニヤ

 

そんなことも露知らず飛龍はからかおうとしていた。

 

「皆さんとても優しかったってのもありますけど…やっぱり吹雪ちゃんのお陰ですかね。」ニコッ//

 

恥ずかしがりながらも夕立はこちらに笑顔を送ってくれた。

 

「あ~~、聞いてるこっちが恥ずかしいよもー。」

 

「そっちが聞いてきたんじゃないですか…。」

 

話を聞いていると蒼龍さんが話しかけてきた。

 

「周囲の索敵は私が代わるから、話してきなよ。」ニヤニヤ

 

「あはは、聞いてたのばれちゃいましたか。それじゃあお願いします!」

 

 

 

「あれ?吹雪ちゃん、周囲の索敵は?」

 

「それが蒼龍さんに変わってもらってね。」エヘヘ

 

すると、飛龍が空気を読んでなのか、

 

「私も蒼龍が恋しいから行ってくるよ、お二人でごゆっくり~。」

 

といって、蒼龍の方に行ってしまった。

 

「……改めて、ありがとうね、吹雪ちゃん。

吹雪ちゃんのお陰で、生きていることがどれだけ楽しいことか、解ったんだ。」

 

「そんなすごいことをしたつもりはないよ。私はただ、吹雪ちゃんと友達になりたかっただけだから!」

 

「ッ……。ありがとう…本当にありがとうね…。」

 

そう言って夕立は私の手を握ってきた。

 

だから、私は、なにも言わずに握り返した。

 

 

 

 

 

──────ってことがありましたね。」

 

「……どんなラブコメなんだい?」

 

「いえ、そんなつもりではないんですよ。」

 

「まぁ、夕立と仲が良いのは解ったよ。」

 

「そう言う時雨さんはどうなんですか?」

 

「僕と夕立との関係かい?だったらこの前…──────

 

「時雨ねぇさん、訓練に手伝ってくれてありがとう…です。」

 

「うん、これくらいのことだったらいつでもいいよ。」

 

僕と夕立は、海上で砲撃の訓練をしていた。

 

「夕立は撃つ直前に手首が右に逸れるからね。そこに注意するといいよ。」

 

夕立はそれに返事をして的を片しに向かった。

 

「はい、お疲れ様。」

 

近くで提督が見ていたらしく、飲み物を渡してくれた。

 

「ありがとう、ちょうど喉が渇いててね。それより、こんなところで油を売っていていいのかい?。」

 

「執務はさっき全部終わらせた。これくらい容易いよ。」

 

そう言って提督は少し自慢げな顔をして胸を張った。

 

「あ、提督さん、来てたんですね。」

 

そこに片付けが終わった夕立が戻ってきた。

 

「夕立、これ提督からだって。」

 

僕はさっき飲んだばかりのボトルを夕立に渡した。

 

「司令官、艦隊が帰投したので報告がしたいのですが。」

 

夕立が、ボトルを飲んでいると不知火から連絡が入った。

 

「了解、今行くからまってて。 ってことでもう戻るね。」

 

それからすぐに提督は戻っていった。

 

「時雨ねぇさん、提督さんはどこに?」

 

「出撃した艦隊が帰投したらしいよ。」

 

そこでほんの少しだけ夕立をからかいたくなってしまった。

 

「そういえばそれ、間接キスになっちゃうね。」ニヤ

 

「え、あぅぅ…やめてよもぉ…。」///

 

「まぁ、姉妹だからこれくらい関係ないさ。ほら、帰るよ夕立。」

 

「…もう。」ボソ//

 

─────ってことがあったかな。」

 

「いや、時雨さんの方が問題じゃないですか!!」ガーン

 

「え、そうかい?」

 

「だってからかう必要ないじゃないですか!」

 

「えぇー…だって可愛いからつい…。」

 

「確かに可愛いですけど、やっていいことと悪いことがあると思うんです!」

 

「可愛いならいいじゃないか。」ムーッ

 

「よくないですよ!」

 

結局、そのあと話し込んでお昼を食べそびれることになった。



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Sea Liberation Strategy 1

生活がかなり忙しくなってきて、書ける時間が減ってますけど頑張ります…!

それと1000UAありがとうございます!これからも精進しますので…暇潰し程度に見てくれれば嬉しいです。


「もうやめてよ、夕立!」

 

僕は、

 

「駄目です!そいつから離れてください!」

 

こんなの、ちっとも痛くない。

 

「私のことはいいから、にげて…。」ポロポロ

 

こんな痛み

 

「そんなこ と で き るわけ な い!!」

 

いくらでも耐えられる。

 

 

─────4時間前

 

「海域の先行偵察、ですか?」

 

「ええ、今回の大型作戦の任務のね。」

 

今日は出撃も無いので、ゆっくり本でも読もうと思ったら執務室から駆逐艦全員に招集命令がかかった。

 

「いきなりで悪いってのも解ってるけど、出来るだけ急いだ方がいいんだ。」

 

「それは、どうして急いだ方がいいのでしょうか?」

 

不知火が僕と同じ事を考えたようですぐさま質問をした。

 

「その海域は、占領されるまで輸入船の航路だったの。だから国からすると急いで解放したい。そして今その海域の深海棲艦の数が何故か減っているの。」

 

「罠の可能性も視野にいれた方がいいんじゃないかい?」

 

「私も、時雨ねぇさんに同意です。そんな大切な海域だったら深海棲艦の数が減ることはおかしいですよ。」

 

 

「それで上の人達は私たちに任せたの。本当に罠だったらすぐさま帰投して欲しい。」

 

提督はいつもの雰囲気からは想像出来ないような真面目な顔だった。

 

「私だって、みんなを危険にさらすことはしたくないの…、でも、私には直接的には守る力はない。」

 

「だから、指揮で貴女たちを守ってみせる…っ!だからお願い…無事に帰ってきて…。」

 

こうして僕たちはその海域へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「なんで私たちの司令官はこうやって、汚れ仕事じみたことをおしつけられるんだろう…。」

 

海域への移動中、吹雪が呟いた。

 

僕も不思議に思っていた。秋山さんの娘だとするとありえないような扱いだ。

 

……いや、だからこその扱いなのかもしれない。

 

父親が偉いからこその周りからの妬み嫉みがあるのだろう。

 

昔の僕にはあまり縁の無いものだったが。

 

「司令官のお父さんの名が知れているのも理由にあるかと思えます。」

 

「そんなことだけで…、酷すぎるよ…。」

 

そう言って吹雪が顔をしかめる。

 

「そんな中でも僕達を守ろうとしてくれてるんだ。なら、僕達がそのぶん頑張ればいいんじゃないかい?」

 

そこに時雨のフォローが入り、吹雪はやる気になって、

 

「そうですよね時雨さん、私頑張ります!」

 

と、手を上に突き上げた。

 

「やっぱり、吹雪は元気だね。」フフッ

 

…この二人いつの間に仲良くなったんだろう…。

 

 

─────────────────────────

 

 

「みんな、敵艦隊が来てる!戦闘態勢を!」

 

そう言って夕立さんは周りに注意を促していた。

 

すると、通信機からの司令官の声が聞こえる。

 

「全員、単縦陣で対応して。」

 

敵艦隊は駆逐イ級が5隻と、少し編成がおかしい気がした。

 

なにせここは敵側からすれば、死守するべき場所である。

 

「敵艦隊からの砲撃、来るよ!」

 

時雨が指示を出し、回避行動をとる。

 

「つまらない…ッ!」ドォーン

 

私は敵の砲撃をかわしつつこちらからも砲撃を撃つ。

 

そのとき、夕立も砲撃をしていた。

 

「当たれッ!」ドォーン

 

夕立の目はどちらとも色は、変わっていなかった。

 

「やはり…なにか条件があるのでしょうか……。」ボソッ

 

 

 

そのあとに、吹雪が放った魚雷が敵艦隊に打撃を与え、残り2隻となった。

 

「やっぱり…おかしい…。」

 

吹雪がそう呟くと夕立も同じように疑問の声をあげる。

 

敵が守るべき場所を手薄にする理由は───

 

その1─守ることが出来なくなった。いやこれは考えられないですね。

 

その2─────ドゴォォォォォォオン!!

 

「何…あれは…?」

 

─────────守るのに人手が要らなくなったから。



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Sea Liberation Strategy 2

色々と忙しく、気がつくと火曜日でした…。

本当に申し訳ないです。それと、来週と再来週の投稿もお休みさせてもらいます。
重ね重ねごめんなさいm(__)m。


ドゴォォォォォォオン!!

 

吹雪の周囲に水柱がたつ。

 

 

「何…あれは…?!」

 

「It is easy to beat you.」

 

向かいの小島の方に身を隠していたようだ。しかし…

 

「この深海棲艦…普通じゃない!?」

 

その深海棲艦は、見た目も話している言葉も日本のものではなかった。

 

だが、僕にはどこの国の艦か直ぐにわかった。

 

(あれは…英語!?でも英国戦艦の深海棲艦なんて聞いたことが…。)

 

「吹雪!大丈夫かい?!」

 

「かすり傷です!」

 

先程撃たれた吹雪はほとんど攻撃に当たっていないようだ。

 

「まって!そっ─でな─が起──てる─!?」ピリザリリ

 

「し、司令官?!駄目です…ジャミングを喰らったかと思われます!」ザァァァァ

 

不知火の通信機から提督さんの声が聞こえたがそれはジャミングに断ち切られた。

 

背中に冷や汗が流れる。他のみんなも動揺が大きいのか動くことはできなかった。

 

気がつくと指先が震えている。恐い、昔の記憶が────

 

「みんな!陣形は崩さずに撤退しよう!」

 

時雨の声が強く響いた。声は揺れていたがみんなを動かすには充分だった。

 

「Sally,go!」ドォーン

 

それと同時に相手の深海棲艦も砲撃を再開した。

 

「くっ……なんて砲撃精度…全力でかわさないと避けられない!」

 

吹雪が砲撃をかわしつつ、後退する。

 

「このままだと…させない!」

 

僕は素早く吹雪の右手に出て、魚雷を放つ。

 

その魚雷は相手に吸い込まれるように入った……

 

「うそ……ッ」

 

はずだったが、相手は戦艦、見る限りダメージは与えられていなかった。

 

「goodbye.」ジャキン

 

相手の砲身がこちらに向けられる。僕は無意識に吹雪の前に出て両手を広げた。

 

「ぇ……、何、 してるの …?」

 

「ごめんね。」ボソッ

 

せめて、もっと彼女の姿で生きていきたかった。

 

でも吹雪を守れて良かった…そう思い静かに目をとじた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だがいくら待っても衝撃が来ることはなかった。

 

恐る恐る目を開けると相手は顔を押さえて僕達の後ろを睨んでいた。

 

(ゆうだち)を傷つけるのは…僕が許さないよ…!」

 

「ねぇ さん…、ありがとう…。」

 

「夕立ちゃん、今のうちに逃げるよ!」

 

吹雪に手を引かれて敵から遠ざかる。

 

「I will not let you escape」.

 

相手はそう易々と逃がさないつもりのようだ。

 

砲撃を撃ちつつこちらに迫ってくる。

 

だが狙っているのは時雨だった。

 

「さすがに不味いかな…。」

 

相手も性能がいいのかだんだんと距離を詰められていく。

 

「…………!。」

 

吹雪は何かを思い付いたような顔で何かを呟いた。

 

「私も攻撃すれば……。」ボソッ

 

惜しくも、僕には何を言っているか聞こえなかった。

 

「夕立ちゃん!先行ってて!」

 

─────────────────────────

 

「どうして?!吹雪ちゃん!」

 

解っていた、このまま逃げていても遅かれ早かれ全滅してしまうことが。

 

だから私は囮になって皆を生かす道を選んだ。

 

「……私が…、私が皆を!守るんだから!」ボシュン

 

気合いを入れて放った魚雷も相手には通らない。

 

まだ…まだ!

 

「あきらめられるかぁぁぁぁぁああああ!!!」ドォーンドォーン

 

愚策とも言える突撃をしつつ砲撃をする。

 

だが、痛くも無いようなリアクションをとり、拳を構える。

 

「 え ? 」バキィ

 

瞬間、吹雪の体は宙を舞っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅっ……。」ヨロヨロ

 

血が流れる。昔の体とは違う事を思い知らされるようだった。

 

でも、何が起こっても私の考えは変わらなかった。

 

「みんな!今のうちに逃げて!!」

 

大丈夫だ…私だけが(・・・・)犠牲になればみんなは、助かるんだから。

 

「Submerged.」ジャキン

 

でも、司令官の命令には背いちゃったなぁ…。

 

……ごめんなさい─────────ドォーン!!。



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Sea Liberation Strategy 3

本当にお待たせしました!。
いつもよりほんのちょっと長くなっているので、暇なときにでも読んでください!。


「なんで、なんで吹雪ちゃんが囮にならないといけないの!」

 

夕立は不知火と時雨に押さえられていた。

 

そうでもしないと、今にも夕立が飛び出して行きそうだったからだ。

 

「夕立、落ち着いて。これは仕方がないんだ。誰かがそうしないと全員がやられてしま「だからって!時雨ねぇさんは吹雪を見捨てるって言うの!?」

 

「仕方ないじゃないか…。」ボソッ

 

「彼女の覚悟を、踏み躙るなんてしてはいけないんだ。だから……」ポロ

 

首筋に冷たいものが当たる。僕の方からは時雨ねぇさんの方は見えなかった。

 

「だから彼 女のため にも ここは 撤 たいす る べきだよ。」ポロポロ

 

「私も………そうするしかないかと…。」

 

不知火の歯痒いような呟きが聞こえた。

 

確かに解っていた。僕一人が行ったところでどうにかなるものではない。

 

でも…!それでもっ!、僕には見捨てることなんて出来ない!

 

なぜなら、僕のことを初めて見てくれた人(ともだち)だから────。

 

泣いているからか、二人の押さえる力が弱まっていた。

 

「ごめんなさい!私には見て見ぬふりなんて出来ない!」

 

二人を振りほどき一歩を踏み出す。

 

背後から僕を止める声が聞こえる。それでも振り返るつもりはない。

 

………これで良かったんだよね──。

 

彼女は迷いのないような笑顔で頷いた。

 

深海棲艦は砲を構えて、今にも撃つような姿勢だった。

 

多分だが砲撃には間に合わないだろう。

 

でも…何がなんでも…吹雪を助けるっ!。

 

 

 

 

 

─────────────────────────

 

「夕立さん…なぜ!?」

 

この状況下であそこにいくのは、わざわざ死にに行くような行動だ。

 

だからこそこの行動が理解出来なかった。

 

「……はぁ、まったくわがままな妹だね。……ま、夕立らしいかな。」

 

時雨は目を腫らしたまま柔らかく笑って夕立を見ていた。

 

「不知火、少し手伝ってくれないかい?」

 

まったく、これだと私自身の心も理解出来そうにないですね。

 

「任せてください。」クスッ

 

この仲間を思う気持ちが。

 

 

 

 

 

 

 

 

夕立は勢いを殺さず突っ込んでいく。

 

深海棲艦は夕立に気付いたようだが、砲身を動かすことはなく吹雪を狙っていた。

 

「このままだと不味いね…。」

 

もちろん私たちも向かっていたが距離が遠すぎて砲撃をしても間に合わないだろう。

 

「私たちでは手だしできませんからね…。」

 

そう言った直後、深海棲艦は砲撃をした。

 

それと同時に夕立は吹雪と深海棲艦の間に飛び込み相手の砲弾を殴り飛ばした。

 

少しだけ砲弾の進路が逸れて吹雪に当たることはなかった。

 

「流石、僕の自慢の妹だね。」ドヤァァ

 

「ここで距離を詰めましょう。」

 

─────────────────────────

 

「え………どうして…?どうしてなの!?」

 

いつのまにか私の目の前には、夕立が立っていた。

 

「それは…もちろん友達を守るためだよ。」

 

そして、彼女は力強く笑って見せた。

 

「Oh…you are crazy?」

 

相変わらず深海棲艦は何を言っているか分りそうにはなかった。

 

「───Yes , I am.」

 

一人を除いては。

 

「ゆ、夕立ちゃん?今なんて「いいから今のうちに距離をとって!」

 

その指示どうり、吹雪は距離をとる。

 

夕立が主砲を構えるがやはり戦艦の装甲を貫けるとは思えなかった。

 

「やっぱり無理だよ!」

 

それを聞いて、夕立は後ろを振り向く事なく呟いた。

 

「無理かどうかなんてやってみなくちゃわからないっぽい!だからここは任せて!」

 

そう言うと深海棲艦に向かって左の回し蹴りを放つ。

 

敵はそれを易々と受け止め、反撃の正拳突きを出す。

 

しかし、その拳を出したところには夕立の姿はなかった。

 

代わりにあったものは─────魚雷だった。

 

「Ahhh! Ouch!」

 

魚雷は拳によって爆発する。その爆発に紛れて夕立が後ろ回し蹴りを敵に叩き込む。

 

「これでぇぇ!どう!?!」

 

敵が後ろに仰け反る。確かだが、初めてまともに攻撃が入った。

 

間髪入れずに時雨と不知火からの援護射撃が撃たれてくる。

 

やった、この調子ならなんとかなるかもしれない。

 

そう思った瞬間、激しい爆音と共に夕立が吹き飛ばされてきた。

 

「う うそ …。夕立ちゃん!?」

 

夕立は敵の砲撃を至近距離で食らったため、身体中ズタズタになってしまっていた。

 

「Do not take trouble.」

 

煙の中から少し傷を負った深海棲艦が出てくる。

 

私が夕立ちゃんを守らないと……。そう思うが足が震えて前に出られない。

 

夕立ちゃんは私を守るために戻ってきたのに……私だって…私だって!

 

気がつくと私の震える手に夕方の手が置かれていた。

 

「だ い じょう ぶ。 これ くらい な れてる から。」

 

ボロボロの夕方はまだ立とうとしていた。

 

「もうやめてよ、夕立!」ポロポロ

 

時雨の悲痛な叫びが遠くから発せられる。

 

「駄目です!そいつから離れてください!」

 

不知火も叫んでいた。でも私は───

 

「私のことはいいから、にげて…。」ポロポロ

 

───私はなにも出来ない……なんて無力なんだろう。

 

「そんなこ と で き るわけ な い!!」

 

失いたくない。分かっているのに、どうして、どうして手が動かないの!?

 

「貴女達は、充分戦ったわ。」

 

後ろから時雨でも不知火でもない声が聞こえ、驚いて振り返る。

 

「大丈夫、後は我にお任せを!」

 

そこには軍服を着た初めて見る艦娘が一人立っていた。



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Sea Liberation Strategy 4

いきなりですが、オリジナル艦娘の三笠です!。
見た目は提督の軍服を着ている黒髪のロング……ア〇レンの三笠思い浮かべてもらうのが手っ取り早いかな…。
そして遅れて申し訳ないです。今後も頑張りますので…。


「あ、貴女は…。」

 

「我は、戦艦三笠!提督の命によりこの米国棲姫を撃破しに来た!」

 

それを見た瞬間、

 

「そ っ か、よか っ た 。」ニコッ

 

「夕立ちゃん!?」

 

夕立は安心したのかすぐに気を失ってしまった。

 

「怜香お嬢様が心配している故、急いで帰投を!」

 

そして、その一言で司令官が動いてくれたと悟った。

 

1時間前──────

 

「まって!そっちでなにが起こってるの!?」ピリザリリ

 

叫んでも不知火からの返事はなかった。

 

「どうしよう……私のせいで皆が…。」

 

おろおろと、動き回る提督。だが、すぐに動きを止め、通信機の方へと向かった。

 

そして、手元を狂わせながらやっとの思いでその通信機に繋いだ。

 

「父さん!お願い、あの子達を助けて!」ポロポロ

 

─────「まさか、提督殿も知らない作戦が怜香お嬢様に任されているとは…(大本営)も腐りきってる…。」

 

三笠が歯痒そうに呟く。

 

「吹雪!三笠さんに任せてここは退こう!」

 

時雨と不知火が後ろから来た。時雨に夕立を任せたら、不知火が肩を貸してきた。

 

「……わからないんですか?貴女も怪我人なんですよ。」

 

「あ、そうでしたね。」

 

忘れていていたのを思い出して苦笑いしつつ、肩を借りた。

 

「では、ここはお願いします。」

 

不知火が律儀に頭を下げて言った。

 

「問題はない。」

 

三笠は短く返事をして素早く向き直る。

 

「Are you strong?」

 

「はぁ、何を言っているかわからないが、我を楽しませてみなさい。」ニヤリ

 

ここからは帰ってきた三笠さんに聞いた話だ。

 

「Fire!」ドォーン

 

私たちを狙って米国棲姫が砲を放った。

 

しかし、

 

「ふん、くだらない!」ドドォン

 

それを三笠が副砲で正確に撃ち落とす。

 

「終わったなら、こちらの番だな!」ブォン

 

そのまま腰に着いていた刀を右上から左下へ振り下ろす。

 

「veryeasy.」ガギィン

 

だが、米国棲姫はそれを擬装で弾いた。

 

「へえ、だが我を甘く見るなよ!」

 

米国棲姫に弾かれた勢いを殺さず放たれた左足の重い蹴りが相手の腹を捉える。

 

「shi───ガハッ!!」

 

米国棲姫は蹴られた腹を擦りながら距離をとるため後ろに飛び引く。

 

「You seem strong.」

 

「だから、何を言っているかわからないと言っているだろう がっ!!」ダン

 

三笠は強く踏み込んで突きを出したが、それを避けて出した腕を脇に挟まれ、カウンターとして連続で拳を顔に受けた。

 

「Hahahaha.」

 

「くっ……これしきで我がやられると思うな!」

 

ここで三笠は、自身も爆風に巻き込まれる事を分かっていながら、この距離で主砲を放った。

 

「What!?!」ドォーン

 

黒煙の中から二つの影が後ろにさがる。

 

片方は大破、もう片方は中破であった。

 

「…そろそろ終わりにしよう。この一撃で!」ダン

 

また、三笠は強く前に踏み込む。

 

「Let's finish it soon!」ドォーンドォーン

 

その向かってくる三笠に対して米国棲姫は容赦なく砲撃を浴びせる。

 

しかし、その砲弾は三笠に届くことはなかった。なぜなら───

 

「この程度の砲撃、ぬるい!」ガァン!

 

その砲弾を見切って切っているからだ。

 

 

米国棲姫は驚き、防御の姿勢をとった。だが、それが仇となった。

 

「この勝負、貰った!」

 

そう言って、三笠はタービンを吹かし更に加速して米国棲姫を真下から切り上げた。

 

「我が砲撃、受けるがいい!!」

 

4メートルぐらい飛んだ米国棲姫に向けて30.5センチ連装砲が火を吹いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そして、米国棲姫を倒した跡からこいつが出てきたんだ。」

 

「ネェサムライ、この艦隊のAdmiralはどこ?」キョロキョロ

 

そこには金髪のスタイルのいい女性が立っていた。

 

「正直に言おう、我、五月蝿いからこいつ苦手だ…。」

 

私、吹雪は苦笑いするしかなかった。



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Sea Liberation Strategy 5

こんにちは。
今回も暇つぶし程度にどうぞ!


目の前の少女は静かに息を繰り返し、起きる様子がない。

 

彼女がこうなってしまったのは自分のせいだ。

 

「はぁ……。」

 

自分自身に呆れ、今日何度目かのため息を吐く。

 

「ため息ばっかしてると幸せが逃げますよー…ってそんなこと言ってる場合じゃ、ないですよね…。」

 

病室の入り口を見るとそこには蒼龍が立っていた。

 

「……飛龍は?」

 

「あー、ひりゅーは新しく来た艦娘にここの施設の案内をしてますよ。」

 

道理で妖精さんが騒がしくうろうろしていたのか。

 

「そう…、他のみんなは?」

 

「時雨ちゃんと不知火ちゃんは目立った被弾はなかったから妖精さんのメディカルチェックで済ましましたよ。」

 

蒼龍はドアを閉め、私の隣の椅子に座った。

 

「吹雪ちゃんは入渠が終わって今はベットで安静にしてます。」

 

「わかったわ…。」

 

上からの命令を無視するべきだったのだろうか?

 

本当に私が正しかったのだろうか?

 

考えれば考えるほど、悩みの種は尽きるどころか増え続けていた。

 

「…提督、あまり思い詰めないでね。」

 

蒼龍からの一言に驚き、蒼龍の方を向く。

 

「え、なんでわかったの?」

 

そう言うと蒼龍は私の鼻をつついて笑った。

 

「そんな難しい顔してたら誰でも分かりますよ。」

 

思っていたほど自分は顔に出るタイプのようだ…。気を付けないと…。

 

「あと、寝てませんよね?無理にとは言いませんけど寝てください。」

 

蒼龍の問は正しく昨日今日と寝ていなかった。でも──

 

「でも、彼女をこうしてしまったのは私の責任だ。だからせめて、彼女が起きたときに直ぐに声をかけたい。」

 

──おかえり。よく頑張ったね。って。

 

「提督の気持ちはよーく理解出来ますけど、起きたときに隣で提督も倒れてたとかだったら、洒落にならないんですから、今日は寝てくださいね!」

 

そう言い残すと、蒼龍は怒って出ていってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんね、夕立ちゃん。私たち(二航戦)が行ってたら何か変わってたのかな…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉ、怜香、起きてるか?」

 

「んぁ……父さん?」コクリコクリ

 

……どうやら眠くなってしまったようだ。

 

そんな私を見て父さんは呆れた表情をした。

 

「はぁ…そこまで無理をする必要はないだろうが。」

 

「そうは言っても…。あ、」

 

反論しようとして立ち上がろうとしたが、足元がふらついて倒れそうになった。

 

「ほれ、言わんこっちゃないだろ。」ガシッ

 

倒れそうになったところを父さんが押さえてくれた。

 

「怜香は昔から色々と溜め込む癖があるからな。気を付けろよ。」

 

そう言って椅子に座らされる。

 

「ごめん…。」

 

「今夜はしっかり寝ろ。これは上官からの命令でなく父の願いだからな。」

 

「うん…。」

 

 

 

 

気がついたら夕方になっていた。父さんが立ち上がったので「帰るの?」と話しかけた。

 

「本部に呼ばれててな。悪いが長居は出来ないんだ。」

 

「そう、気を付けてね。」

 

父さんは振り向いて頭を撫でてきた。

 

「お前もな、怜香。約束(・・)にこだわるのは良いが、自分を大切にしろよ。」

 

「………わかってるよ。」

 

答えると父さんは手を離し帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

父さんが帰ってから数分後、外はバケツをひっくり返したような雨が降っていた。

 

「夕立か…。」

 

今私は執務室に居た。流石に起きるのを待っていて執務をしないわけには行かない。

 

「かなり激しいですね…。」

 

と隣の今日の秘書艦である飛龍が呟く。

 

「これ、提督のお父様大丈夫ですかね?」

 

父さんはああ見えて、忘れ物が多い。多分だが、傘も持っていないだろう。

 

「届けた方がいいね。行こう。」

 

そう言って執務室を出ると廊下の奥から妖精さんが走ってきた。

 

「どうしたんですかね、なんか頼んでました?。」

 

と聞かれたが、思い当たるものはなかった。

 

妖精さんに話を聞いてみると、どうやら夕立が目を覚ましたようだ。

 

すると、飛龍が気を効かせて、

 

「傘なら私が届けてきますよ。早くいってください。」

 

と任されてくれた。

 

「ごめん。」と言い残し、私はいてもたってもいられず走って向かった。

 

病室を開けるとそこにはベットの上に寝ているはずの少女が、起きて窓から外を眺めている。

 

「あ、提督さん。」

 

寝不足のせいか、視界が歪む。それでも夕立の方へと向かう。

 

「心配かけてごめ「おかえり。よく頑張ったね。」ポロポロ

 

音をたてて降っていた(夕立)は気にならなくなった。

 

「うん…、ごめんなさい。」

 

夕立も私の背中に手を回してくれた。そのまま私の瞼は落ちた。



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After tha sea Liberation Strategy

…すみませんでした。
忙しいってこともありましたが文がまとまらなかったり…さぼっていました。
お詫びとしてはなんですが…長くしておきました。
追記、2500AUありがとうございます…!。これからもよろしくお願いします。


「提督さん、寝ちゃった…。」

 

提督は疲れていたのか、僕に語りかけるとすぐに寝てしまった。

 

「……おやすみなさい。」

 

そのまま僕は提督の頭を撫でようとする。

 

「Hi!!この部屋はまだ入っていませんでしたヨネー?」

 

だが、それは部屋のドアを乱暴に開けた外人により妨げられた。

 

「Wow!That's so cool!!これがニッポンで言うユリってやつですか。」

 

「い、行きなり来て何いっめるんですかぁ!」///

 

唐突に来たことと、突拍子も無いことを言われて、動揺しているとその人の背後から足音が聞こえてくる。

 

「もーう!アイオワさん自由過ぎです!ってそこの部屋は駄目です……よ?」

 

後ろから駆け寄って来たのは吹雪だった。

 

「ゆ、夕立ちゃん!?起きたの?身体大丈夫なの?!」

 

ベットに座っている僕を見たとたん、アイオワを押し退けてベットの横に飛び込んできた。

 

「うん、まだちょっとくらくらするけど…、大丈夫」

 

そう言ったとたん、僕は吹雪に強く抱き締められた。

 

「よかっだ………本当に゛よがっ゛だよ…。」ポロポロ

 

首筋に涙が落ちる。それに答えるように僕も背中に手を回す。

 

「苦しいよ…でもありがとう。」

 

「すごく、ニッポンのユリって言うのは激しいのねぇ…。」///

 

アイオワが扉のところでもじもじと困っているような動きをしている。

 

「あ…!す、すみません。」///

 

吹雪は慌てて目元に残った涙を拭うと手を離し、アイオワの横に立つ。

 

「この艦娘(ひと)はアイオワさんです!米国棲姫を倒したところから現れたらしいです。」

 

吹雪は目を腫らしたまま、アイオワの紹介を終えた。すると今度はアイオワが口を開いた。

 

「Hi! MeがIowa級戦艦、Iowaよ。Nice to meet you!」

 

アイオワは笑顔で握手を求めてきたので出された手を握った。

 

「Nice to meet you , too.」

 

うっかりして、昔の癖で英語で返してしまった。

 

「Wow!Can you speak English?! すごいわね!」

 

しかし、自分としては英語は自信がなかった。

 

「少しですよ、本当少し…。」

 

それでもアイオワはとても嬉しそうにしている。

 

「ここのGuileee、英語話せるひとがいなくて心細かったのネ。」

 

「えぇ!?夕立ちゃん、英語話せるの?司令官も駄目なのに…!」

 

考えてみるとそれが普通なのか、と納得していた。

 

「まぁ、自信は無いんですけどね…。えっと、白露型四番艦夕立です。」

 

「ユウダチね、うん…good nameね!」

 

その一言は僕としても、彼女としても嬉しいことだった。

 

「ありがとうございます。」ニコッ

 

「oh……very cute.」ボソッ

「可愛い…。」ボソッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、まだ安静にしていた方がいいと言うことで吹雪とアイオワは病室を後にした。

 

提督さんは僕が起きるまでの間ずっと寝ていなかったらしい。

 

だから、提督さんは後から来た飛龍がおぶって寝室に運んでいった。

 

ここまでで起きてから1時間半位だったが飛龍との最後の方のやり取りはほとんど記憶に残っていなかった。

 

「それじゃ、しっかり寝てね!」と飛龍が言って出ていった後、すぐさまベットに仰向けになる。

 

いつもの病室の天井を見つめていると自然と瞼は落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、僕は目覚めた。夢を見ていたようだが、内容はほとんど忘れていた。

 

外は昨日の夕立を思わせない程の晴天で身体の具合も問題はなく、伸びをしてベットから足をおろした。

 

そこで病室の扉が開き、時雨が現れた。

 

「やぁ、夕立、おはよう。」

 

「時雨ねぇさん、おはよう。」

 

ふと、提督さんの様子が気になり聞いてみる。

 

「提督かい?それなら…執務室でもう執務していたかな。」

 

「えぇ…、無理してなかった?。」

 

すると時雨は苦笑いして、「まぁ、提督は大丈夫とは言ってるんだけどね…。」と言った。

 

その感じを想像すると目を擦りながら必死に執務をする提督が容易に浮かんだ。

 

「ちょっと心配だから行ってくるよ。」

 

そう言って立ち上がって、着替えようと机においてある制服に手を掛けて……

 

「…時雨ねぇさん…、出ていってくれな「いいじゃないか、これくらい。」

 

とかなり食いぎみに断られた。

 

「な、なんでです!?これくらいって言っても恥ずかしいんですけど!」

 

「姉の僕が見てもなんの問題もないじゃないか。」

 

僕の渾身のツッコミはキョトンとした顔の時雨にあっさりかわされた。

 

「そ・れ・に、提督から夕立の身体を拭くようにいわれてるんだ。」

 

時雨は満面の笑みで濡らしたタオルを見せつけてきた。

 

その瞬間、あ、終わったな…。と心のなかで悟る。

 

「じゃあ…拭こっか。」

 

「お願いします。」ハイライトoff

 

─────────────────────────

 

こんにちは!吹雪です!今日は作戦後ってこともあって出撃も休みです。

 

昨日夕立ちゃんも起きたことだし、ちょっとお話に行こうって思って現在向かってます!

 

「あれ…扉が少し空いてる…。」

 

すると、中から予想外な声が聞こえて来ました…。

 

「あぁ!止めて時雨ねぇさん!そこは…ぁん!」

 

扉の隙間から覗くと時雨さんの後ろ姿した見えませんでした。

 

「ふふっ、夕立は可愛いね、こんなところまで…。」

 

「うそ…夕立ちゃん…。」///

 

「待って…本当に駄目だってぇ!」

 

私は真っ赤になって隙間から見ていました。

 

「ほらこっちも………こんなに……。」

 

「はわわわわわ。」/////

 

私は混乱して、とりあえず止めさせようと部屋の扉を開けました。

 

「だ、駄目ですよ!時雨さん!そんな…こと…は?」///

 

でも、私がそこで見たのは夕立ちゃんの身体を拭く時雨さんだった。

 

「ん?吹雪。どうしたんだい?」

「吹雪ちゃん、どうしたの?」

 

恥ずかしさで震えながら「だって…声が…。」と呟いた。

 

「いやぁ、思ってた以上に時雨ねぇさんが拭くの上手くて…。」

 

もう、なにも考えられなかった。

 

「ごめんなさいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!!!」

 

そこから全力ダッシュで走り去った。

 

そこから数日間、吹雪が二人に会うと赤面して走り去るようになったのは、また別の話。



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One day off 1

連絡も無しにお休みをしててすみませんでした。
それと、今月いっぱいお休みをいただきます。理由とすれば、今月がとても忙しく、今月が終われば少し落ち着くはずです。
それから、投稿するのでしばらくまっていただけると幸いです。


Hi!!MeはIowa!少し前からここのGuileeeに着任したわ!

 

今は作戦後ってこともあって出撃は無いんだけど…。

Everydayは楽しいわ!

 

 

「んーーー…、goodmorningね!」

 

そう言って伸びをしながらベッドから起き上がる。

 

今のIowaの部屋には家具はあるがIowaの私物は少ない。

 

それでも、既にゲーム機や漫画などアメリカっぽいものがちらほらと置いてある。

 

Iowaは顔を洗ってから、どこにいって何をしようか考えて服を選んでいた。

 

「ウ~ン…どうしましょうか…。」

 

数秒の思考で結論を出した。

 

「OK!!今日はroughな感じにいきましょう!」

 

そう言ってIowaは灰色のパーカーとジーパンを取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Iowaは着替えを終え、朝食をとるため食堂に向かった。

 

食堂は時間が少し遅いと言うこともあり人は殆ど居ない。

 

「んー、やっぱ日本食は美味しいわね!」

 

なれない手つきで箸を使い身をほぐして鮭を食べていると食堂の入り口から誰かが来た。

 

「もー!蒼龍が起きないからこんなに遅くなったんだよ!解ってる?」

 

目を擦りながらうとうとしている蒼龍とその蒼龍の肩を掴んで前後に揺すっている飛龍が入ってきた。

 

「えへへ~ごめんってば~。」

 

因みに、現在の時刻は9時。いつもと比べるととても遅い。

 

「Hi!ニコーセン!こっちで食べましょう!」

 

そう言って、二人を大声で呼ぶと笑顔で手を振り替えしてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────でさー、そこで蒼龍がね、提督のことを擽り出してねー。」

 

Iowaと蒼龍と飛龍は朝食を食べ終えて30分ほど食堂ので駄弁っていた。

 

「結構擽りに弱かったんだよね~。」

 

くすくすと笑いながら嬉しそうに蒼龍は言った。

 

「oh! I didn't know !今度やってみようかしら。」

 

すると、二人は苦笑いしてやめたほうが良いと促した。

 

「えー何でですか…?」

 

「その後で小1時間程叱られたとしてもやる?」

 

それを聞いて「oh…。」といったIowaを見た二人は顔を見合わせると笑いだした。

 

ある程度話をしたら二航戦の二人は提督の手伝いがあると言って食堂から去っていった。

 

「サァ…これからどうしましょうか…。」

 

そう言って顎に手をあてたまま廊下に出る。

 

うろうろとしながら廊下を彷徨っていると、角からピンク色の頭が飛び出してきた。

 

「え?」「Whats?」

 

 

考えに気をとられて避けることが出来ず、気がつくと押し倒していた。

 

「うぅ…、痛いね…。」

 

ゆっくりと目を開けると少し怒った顔をした不知火がこちらをじーっと見ている。

 

「…なんですか…、不知火に落ち度でも…?」

 

「オチド…?あぁ!落ち度ね!悪いのは考え事をしていたmeのせいね。」

 

そう言って立ち上がると、不知火も立ち上がって頭を下げてきた。

 

「いえ、私も前を見ていなかったのが悪いので…。」

 

「No,problem!これくらい大丈夫!」

 

お互いに落ち着くと、Iowaは不知火の抱えている本に気がついた。

 

「?、その本…sweets?」

 

その本には最近のスイーツが表紙にでかでかとかかれていた。

 

それを見られ、不知火は瞬時に本を後ろに隠す。

 

「き、気にしないでください。吹雪さんから借りただけですから…。あ」//

 

言ってから墓穴を掘ったことに気がついた不知火はもっ

と顔が真っ赤になる。

 

By any chance(もしかして),sweetsが食べたいの?」

 

覗き込むように不知火の顔を見ると顔を真っ赤にしたままこくりと頷いた。

 

「でも貴女には関係のないことです。」///

 

「そもそも食べたくなること事態がおかしいんです。」//

 

いろいろな恥ずかしさが重なってか、不知火は早口言葉のように理由を話してきた。

 

どこか寂しいような顔をして。

 

「私たちは艦娘で、軍艦だから、こんな欲求自体おかしくて…。」

 

「じゃあ!Let's go to eat together!」

 

「!?」

 

そのときの不知火の顔は驚きでいっぱいだった。



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One day off 2

本当に申し訳ないです…。10月に終わるはずのものが1月まで延びてしまいました…。
今後も休止は続くことになってしまいました…。
ですが、隙間を見つけて地道にリメイクをしていこうと思います。
こんな形ですが今後ともよろしくです。


「本当に行ってしまって良いのでしょうか…。」

 

そう呟いて私は水平線を静かに眺めていた。

 

Iowaはパフェを一緒に食べに行こうと言ってからの行動はとても早いものだった。

 

日にちをを直ぐさま決め、司令に外出許可を取り、もうその日がやってきたのだ。

 

不知火はその日何度目かのため息を吐いて静かに目を閉じた。

 

すると、後ろの方から明るい声が飛んできた。

 

「sorry!!少し遅れてしまいましたか?。」

 

声のした方を振り向くと、そこにはGジャンを着て、チノパンを履いたIowaが立っていた。

 

対する私はグレーのパーカーにショートパンツとスパッツだ。

 

「…いえ、時間ぴったりですよ。」

 

アメリカ艦らしい彼女のおしゃれな私服を見て少し羨ましく思ってしまった。

 

私も彼女位自由に慣れたらいいのにと。

 

「oh! lucky! 実は少し寝坊しちゃって…。」

 

そう言って、彼女は子供っぽく笑顔で舌を出しておどけた。

 

「…そうですか。では行きましょう。」

 

私はそう言って、そさくさと先に駅にむかった。

 

「……むー…Please accept some more.」ボソッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この島は深海棲艦との戦いの前線にあるにも関わらず活発に発展している。

 

島には繁華街などもあり、ここに来ると前線に居るとは思えないくらいの栄え様だ。

 

そんな繁華街が写る窓にIowaは釘付けだった。

 

「WooW!! シラヌイ!?あの建物はなに!?」

 

まるで子供みたいに窓にベッタリと張り付いて外を見ていた。

 

「あれは、電波塔です。鎮守府の食堂にテレビがありましたよね、それらの電波を飛ばしているものです。」

 

Iowaは私の話を聞きながら表情をコロコロと変えて聞いている。

 

そんなとき、私たちが降りる駅が耳に入った。

 

「アイオワさん、ここで降ります。降りる準備してください。」

 

すると、Iowaは嬉しそうな笑顔でこちらを振り向いた。

 

「シラヌイ…やっと名前で読んでくれたわね!」

 

その笑顔はとても眩しいもので、それを見た私の心拍数が何故か上昇した。

 

「は!早きゅ降ります!」ドキドキ

 

「アハハハ!噛んでるわよ、シラヌイ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイオワさん、今日は司令官や、吹雪さんたち頼まれたものを買ってからパフェを食べ………って。」

 

駅を出て、このあとの動きを説明しているとき、後ろを振り向くとIowaがふらふらと別の方向にむかって歩いていた。

 

「こっちです!。まったく、ふらふらと勝手に動き回らないでくだ──。」

 

そう言いかけ、Iowaの顔を覗き込むとその目はとても潤んでいた。

 

そしてうわごとのように「ああ……Oh……Finally I stood in the same place.(やっと同じ場所に立てたわ)

 

と呟いた。

 

私はいつもからは想像出来ないようなIowaを見て驚いた。

 

しかし、彼女は目元を手早く拭うとくるりとターンをして動揺している私の鼻をつつく。

 

そして、さっきまでの顔をどこかに置いてきたかのような顔で「フフ、シラヌイ、顔が真っ赤よ。」と言われた。

 

え…かおがまっか?私は慌てて近くのビルの窓越しの自分を見た。

 

「どうしてなのでしょうか…。」ドキドキ

 

私は理解できない真っ赤な自分の顔をまじまじと見つめた。

 

「もしかして、私に見とれてた?」ニヤニヤ

 

そんな私を見てIowaは笑顔でからかう。

 

私はその可能性を頭のなかで振り払ってIowaに言い返す。

 

「そっそんなことないです!早く行きますよ!」

 

そう言って誤魔化してIowaを後ろから押して目的地に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで一通りのものは買いましたね。」

 

鎮守府の必要なものや頼まれたものを買って残すはパフェを食べに行くだけとなった。

 

「yes!早く食べにいきましょ!」

 

そう言ってIowaは私に抱きつきてきた。

 

ほんのりと優しい香りが……っそんなことを考えてる場合出はないと思い返しIowaを振り解く。

 

「い、いきなり何をするんですか!」

 

慌てて言い返すとアハハと笑って謝りながら回した腕を放した。

 

そして、くるりと振り向いて手を差し出してきた。

 

「さぁ、Let's go to eat soon!」

 

私は、顔ではやれやれとした顔をしつつも、内心とても嬉しかった。

 

Iowaの手のひらに荷物を渡して軽く笑いつつ見上げる。

 

「じゃあ、荷物もってください。」

 

why!?なぜ?!と笑いながらIowaと目的の店に歩いて向かう。

 

他愛のない話が笑顔を隠せないほど楽しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は、皆が沈んでいったのを見ていました。」



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One day off 3

お久しぶりです!。2月中に投稿すると言って出来ずすみませんでした…。
久しぶりってこともあって中身を凝ってしまったりしたので楽しんでいただけたら幸いです!。
それとTwitterをやっているので一応アカウントのやつ張っときますね。小説の完成とかを呟きますよー。https://twitter.com/0930Shower?s=09
それではどうぞ!


「…さて、着きましたね。」

 

と、私の隣に居る不知火は呟いた。心なしか声は弾んでおり、今にも跳ねだしそうに感じ取られる。

 

「oh!なかなかにいいお店ね!」

 

両手は提督に頼まれた荷物で塞がっていたが、両手を挙げて感動した様なポーズをとってみる。

だが、不知火には今目の前にあるパフェ(獲物)しか映っていないようで、私の方には目もくれず言葉は耳を通り抜けて行ったようだっだ。

 

「ネ、ネェ、シラヌイ!早速はいりましょう?」

 

始めて見る不知火の姿に戸惑いつつ、肘でつつきながらそう伝えた。

 

「…!……えぇそうですね。」//

 

すると不知火は驚いてこちらを見てから少し顔を赤らめて答えた。私のことを忘れていたのが、恥ずかしいのだろうか?と思い、自分がパフェに負けた腹いせに見つめてみる。

 

「…むーー。」ジーッ

 

「な、なぜ見つめてくるのですか!?早く入りましょう!」///

 

すると私の視線に気がついた不知火は絵に描いたように慌てて、私の腕を引っ張って店に入店させられた。

 

 

 

店の中は事前に吹雪の雑誌を借りて見たものと変わりなくとても綺麗な店内だった。

 

店員に案内されて窓際の席に着くと、不知火は置いてあるメニューを素早く開いてなめ回すように見ていた。

しかし、興奮して私を忘れていた不知火は、さっきと同じように気がつき、おずおずとメニューを私にも見えるようにテーブルに広げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、このプリンパフェを。」

 

不知火は既に雑誌を見て決めていたらしく、即決だった。真面目そうな不知火でも、女の子らしいところがあったことが可愛く、つい顔がにやけてしまう。

 

「な…何故こっち見てにやけているのですか!」

 

「フフッ、シラヌイにも女の子らしいところがあるのねって思ったの!」

 

まだ見ぬ一面が見れたので嬉しく思いつつ、満面の笑みで不知火に返事をかえす。そんなやり取りをみていて店員も微笑んでいた。

 

「も、もう!」///

 

 

 

 

そして注文も終わり、一緒に注文した飲み物を飲みながらパフェを待っていた。

 

ただ、不知火はいつもでは考えられないような、浮わつきっぷりで、今何か言われても反応しないだろう。

 

そんな状態の不知火に待ち望んでいたパフェが来た。

 

「WoW!!写真で見るよりとっても美味しそうね!」

 

そう言っている間に不知火は既にスプーン片手にまだかまだかと、睨み付けていた。

 

「シ…シラヌイ?その…眼が怖いわ…。」

 

不知火は私の注意に少し恥ずかしがりつつも目線だけはパフェの方を向いていた。

 

「すみません…私としたことが…。」//

 

そう口では言ってはいるが目だけはしっかりと獲物(パフェ)をとらえているのが可笑しい。

 

「っふふっ。」

 

不知火の必死さを見ていると、笑いが漏れてしまう。その笑い声を聞いて、不知火は頬を赤く染める。

 

「すみません…。」///

 

 

 

 

 

 

 

 

パフェはとても美味しいもので、私も不知火も満足して帰路に着いた。

 

「だいたい!貴女は軍艦としての威厳が足りません!そんな柔らかいような気持ちで戦えると思っているのですか!?」

 

…不知火に注意されているけど……まあ、問題はないわ。

 

「元に戦っているじゃない。

besides(それに),こんな体を貰えたのよ?せっかくなら楽しまないと!」

 

そう言うと、不知火は先程とはうって変わって驚きと悲しみが混じった様な表情になっていた。

 

What's wrong(どうしたの)?シラヌイ?」

 

うつ向いた不知火が心配になり、軽く肩を揺らすと小さく呟いた。

 

「どこまで…何処まで似ているんですか…。貴女は…。」

 

不知火の顔は今にも泣き出しそうな顔だった。ぷるぷると震え、眼を赤くしていて、いつもの不知火とは大違いだった。

 

「その考え方、その屈託のない笑顔…、Iowaさんは…、私の姉にそっくりなんです…。」プルプル

 

そこから不知火は昔話を、ぽつぽつとこぼし始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

「私は、皆が沈んでいったのを見ていました。」

 

私は船の頃から皆が沈んでいくのを見ていました。

 

霰や、鬼怒さん、それに陽炎も。

 

陽炎は、最初に会ったっきり、あちらの世界(・・・・・・)では会うことは出来なかった。

 

「そして私の姉は、陽炎は、私の知らない所で沈み、陽炎型は不知火型に成りました。」

 

「ね、ネェ、シラヌイ、辛いのなら話さなくていいわ…。」

 

私の顔がそんなに酷いものだったのだろうか?。大丈夫ですと返事を返し、話し続けた。

 

「そのあと私も比島沖海戦で沈みました。そのときに私は心の底から陽炎に会いたいと思っていました。」

 

Iowaさんの目はしっかりと私を見てくれていた。ありがたい、そうでなければ、話す意味がないのだから。

 

「その後、私達は艦娘として生まれ変わりました。」

 

新しい鎮守府で、様々な海域を攻略し日々の生活を過ごしたことも話した。

 

「ですがまた、私と陽炎は、離ればなれになってしまいました。」

 

そのとき、陽炎は戦績が良かったため、少し遠い鎮守府に引き抜かれてしまいました。

そこは戦績は良いものの、悪い評判しか聞かない場所だったのです。

 

「大丈夫、大丈夫!一生会えない訳じゃ無いから!手紙で連絡できるじゃんって!。ほらほら泣かないの!

え?泣いてない?」

 

陽炎はそう私に言いましたがとても心配でした。

 

 

 

 

 

 

 

手紙での会話でも陽炎は明るく、こちらに居たときとかわらないようでした。

 

『私がいなくなったからって、ずっと泣いてるんじゃないでしょうね?(笑)。冗談よ!私が居なくても頑張ってね!』

 

「そんな手紙を見て私も明るくなりました。ですが、それも空元気だったのかもしれません。」

 

いつもとかわらないように手紙が届いた。だが、内容は明るいとはかけ離れたもの。

 

『不知火、今まで黙っててごめんね。私、とある作戦の囮として指名されたの。

 

私、不知火に会えないで沈むなんて嫌だから。こんなところで終わるつもりはないよ。

 

だけど、もし、もしだよ?それでもだめだったら、レイカって言う子の鎮守府に移転して。あそこだったら、私としても、安心だからさ。

 

それじゃ、また会おうね!』

 

「手紙の最後の文は何かで滲んでいました。私は…私は…」

 

頬を何かがつーっと流れた。視界が滲む。それでも、伝えておかないと…。

 

「私は!Iowaさんに同じ様にになってほしくないんです…!だから…。」

 

そこまで言う前にIowaさんは私の涙をハンカチで拭き取った。

 

「No,problem、私がその考えだからって沈む訳では無いわ。」

 

そう言って、私の頭を優しく撫でてくれた。

 

「きっと、辛かったのよね。誰にも話せなくて、姉を攻めている訳ではないけど、楽観的だから沈んだ。そう思って納得するしかなかったのよね。」

 

Iowaさんの手は暖かかった。今まで内に秘めていた事を言ったこともあり、とても優しい暖かさだった。

 

「───っごめんなさい…陽炎っ…。」ポロポロ

 

──────────────

 

私の目の前で泣いている少女は、真面目だからこそ、ずっと抱えていた事を誰にも話せずに居た。

 

私はその事実が悲しかった。泣いている少女を抱き寄せる。一瞬、ビクッと動いたがそのあとから、私の服を掴んで静かに泣いていた。



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After One day off

お久しぶりです!今日【5/18】は時雨の進水日です!
おめでとう時雨!!(関係ない)。
とりあえずこれで、不知火とIowaの話は終わりになります。それでは、どうぞ!!。


水平線の彼方に沈む夕日を眺めていた。静かにゆっくりとした時間だけが過ぎていく。

 

眺めているとあの人を思い出す。まるで太陽のような明るさを持ったあの人を。

 

「確か、いつも会っていた時間が夕方だったわね…。」

 

教えてもらっていたことを思い起こす。陣形のこと、艦載機のこと、そして艦娘のこと。それは今でも私の中に生きている。

 

「Hi!Admiral!!帰ってきたわよ!」

 

顔を上げるとIowaが立っていた。声を掛けてもらうまで気がつかなかった。

背中には不知火を背負っているようだ。

 

「ん、お帰りなさい。なんともなかった?」

 

すると、Iowaは聞かれたことを待っていたと言わんばかりに話し始めた。

 

That's right(それがね),シラヌイがパフェに夢中になっちゃったの!私のことを無視するくらいにね!」

 

背中の不知火は、なにがあったのか疲れはてて寝息をたてている。

 

「不知火、どうかしたの?」

 

そうIowaに聞くとあー、と答えてから「泣いたのよ。シラヌイ。」と呟いた。

 

「し、不知火が泣いたの!?」

 

私は出先で何かあったのか、と焦り聞いた。

 

「No,problem.Admiralが思っているような事は起こっていないわ。」

 

それを聞き、胸を撫で下ろした。だが、何故不知火は泣いたのだろうと不思議に思う。

 

「じゃあ、なぜ不知火は泣いたの?」

 

その一言を言うとIowaは怒りと悲しみの混じったような顔をした。

 

「…彼女が抱えてた秘密を知らなかったの?」

 

そう言われて、理解した。不知火の誰にも話したくないとまで行った過去を。

 

「いえ…不知火からはこれを黙っていて欲しいと言われたからね。」

 

「そうよね…普通は話したくないわこんな事…。」

 

私が知っていたことがわかるとIowaは短くため息をつき、私の横に不知火を背負ったまま、腰かけた。

 

横に来たIowaの顔を見つめると、目元がうっすらと腫れていた。

それを見て不知火があの事(・・・)を話したのも納得がいった。

 

「この子の過去を聞いて、どう思った?」

 

私は純粋にIowaの意見が聞きたかった。過去に不知火達と戦った彼女の意見が。

 

「私は、その提督が許せないわ。シラヌイのお姉さんを踏みにじるような事をして。」

 

彼女は戦場で見せるような殺意剥き出しの表情で拳を握っていた。その拳からはキリキリと音がなり、今にも血が出そうな勢いだった。

 

「Iowa、落ち着いて。そのは男は処刑されたから(・・・・・・・)

 

そう、その男、『黒山(くろやま )藤次郎(とうじろう)』は処刑された。一年前、彼の裏で執り行われていた行為の罪で。

 

「そう…それでも、気分は晴れないわね…。死んだからってなくなるものでもないもの…。」

 

と言って、握っていた拳をパッと開いて、自分の顔の前に持ってきて見つめている。

 

「……Iowaはさ、優しいんだね…。」

 

心からの言葉だった。昔戦っていた敵だったはずなのに、もう気持ちを切り替えて…。

 

「…当たり前よ…。こんな子を放っておく方がおかしいわ。」

 

爽やかな笑顔でそう返された。

 

「…それもそうね。」

 

その笑顔に私も笑い返し、私たちは立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────

 

 

 

「んぁ…ここは…?」

 

寝ぼけた目を擦りながら体を起こす。体の沈みからからしてベットだろう。首をゆっくりと回すと、直ぐに漫画のポスターが目に入った。

 

「Oh!?shiiiiiit!!!!」

 

声のした方からカチャカチャと何かをいじるような音と銃声がなっていた。

 

そちらを見るとIowaが頭を抱えて唸っていた。

 

「こいつ……建築うまずぎるわ!!cheatよ!cheaterよ!!」

 

いつもこんななのだろうか、と軽く呆れつつIowaの様子を見守っていた。

すると、Iowaは視線に気がついたのか、振り向いてこちらを見てきた。

 

「!、シラヌイ、起きたのね?」

 

今やってたゲームに八つ当たりするように電源を切り、

Iowaは私の方に向き直る。

 

「はい……。あの、先程はすみませんでした…。寝てしまって運んでもらうなんて…。」

 

そう言うとIowaは立ち上がってコップにインスタントのココアを注いでくれた。ミルクも混ぜてもらったようだ。

 

「cocoaよ、これを飲んで落ち着くと良いわ。」

 

渡されたココアはいつも飲むものとは比べ物にならないくらい甘い。それでも、私は、それがむしろそれぐらいで良かった。

 

ゆっくりと飲み干してから、Iowaを見て、口を開く。

「私は、もう、これ以上、失うのは怖いんです…。それでも、私、アイオワさんを信じます。」

 

これが、私の答えだ。過去に怯えていたら、陽炎に合わす顔もないから。前に進むために。

 

「シラヌイは強いわね。私だったら立ち直れないと思うわ。」

 

そう言って返してくれた。ずるい、そんな表情をするなんて。視界がゆっくりと歪む。

 

Well then(じゃあ)、ユビキリ?ってやつ、やらない?やってみたいの!」

 

Iowaなりの気遣いなんだろう。私としても形として現れた方が安心できる。

 

「えぇ、約束です。私を残して先にいかないでくださいよ?」

 

「Of course!!絶対よ!!」

 

私たちは約束した。これだけじゃ、心もとないかも知れない。でも、私とIowaには、見えないなにかで繋がったようにも感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何ですか?指切りの仕方に落ち度でも?」

 

「そんな固い表情しないの!もっと笑って!」

 

 

 

 

────────────

 

一方、提督室にて、怜香はIowaと不知火に買ってきた物を確認していた。

 

「うん、私の頼んだ小説も、吹雪の欲しがってた雑誌も、その他もろもろしっかり買ってきたようね。」

 

こういう雑貨が軍から送られてくることは勿論無い。なので月に一回、買い出しと言う項目で、艦娘たちに遊びに行かせるついでに買ってきて貰っていた。

 

「蒼龍と飛龍は洋服…、Iowaは……なにこれ?ゲームっぽいわね。」

 

その日、私は思い出した。

 

「これが、今日の請求書ね。どれどれ……。」

 

パフェと言うものが尋常じゃないくらいに高いことに。

 

「ひ、一人で1500円!?嘘でしょ……?」

 

今後、パフェは1000円以内にしようと決意する怜香だった。



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Junk Island 1

2ヶ月投稿できなくてすみません!。
今回から新章に突入です。



 

「最近、漁船がこの島の近くを通ったときに何者かを目撃したらしい…。」

 

今いる島は、一言で言うならガラクタで出来たような島だった。漂流ごみが波のせいであつまったようなそんな感じだ。

 

 

「はぁ?誰か居たって理由で俺たちはわざわざこんなところに行かされてたのかよ。」

 

同僚が愚痴をこぼしつつ近くのごみの山を蹴り飛ばした。

 

でも、俺は大本営がここに派遣したわけも納得している。

 

「お前…ここは今は深海棲艦の占領下じゃあないが、二週間前(・・・・)までは違かったんだぞ。」

 

「まぁ…そうだがよ。」

 

少し納得していないような曖昧な返事を他所に手に持った銃を構え直す。こんなものあってないような物だが…。

 

「だったらこんなところに人は居ない、それでいいんじゃ………?」

 

まだ不満を漏らそうとした同僚がピタリと口を閉ざした。どうしたと思い同僚の方に向くと何かを指差していた。

 

「…どうやらお前の言った通りみたいだな。」

 

同僚の指差した先には誰かが生活した跡が残っていた。明らかに布団の様なものまであるので確実だろう。

 

「誰かが居るのは確かなんだが…どこにいるか…。」

 

島を見回してもだれも居ない。だが、誰かから見られている気がするのだ。

 

「なにか見つかったか?」

 

そんな不快な気分を紛らわそうと同僚に話しかけようとしたが そこには

 

「…は?」

 

誰も居なかった。

 

瞬間、視界が暗転する。そのまま意識は闇の中へ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「司令官!しーれーいーかーんー!!」

 

気持ちよく木陰で昼寝をしていると、今日の秘書艦である吹雪が頬をペチペチと優しく叩いてきた。

 

「……なに?今日の執務はこなしたはずだけど。」

 

そう言うと、吹雪は手にもった大本営から送られてきた書類を見せてきた。

 

「今さっき届きたての書類です!速達できたんですよ!」

 

「そうだったんだ。また、蒼龍が何かやらかしたのかと思った。」

 

なにかと、色々やらかすからなぁと考えてると、吹雪がそう言うことでは起こしに来ません!と言ってきた。それはそれで起こしてほしいが…。

 

とりあえず、届いた書類の封を開け、中身を確認する。内容は…。

 

「吹雪。」

 

「は、はい!」

 

「早急に皆を執務室に集めて。」

 

吹雪が敬礼をして走り去っていくのを見届けてから立ち上がり、もう一度書類を見る。

 

【緊急:孤島の調査隊について】

 

「これは…急がないとよね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

時雨ねぇさんと不知火さんとで、食堂で話をしていたら、館内放送で執務室への集合が呼び掛けられた。

 

執務室に入ると、提督の表情はいつもの気の抜けた感じではなかった。

 

「今回、集まってもらったのは作戦を伝えるためよ。」

 

そう言うと、あらかじめ書いておいたホワイトボードを出した。

 

「前回の偵察で、解放した海域の中にある島で何者かが目撃されたの。」

 

そう言うとIowaが、わざわざ行かなくてもいいんじゃないの?と提督に尋ねた。

 

「まぁ、そうなんだけど、事態はそれほど単純じゃないわ。」

 

「司令、どうしてなのですか?。」

 

「偵察隊が縄で縛られ食糧や衣服を取られ、船に乗せられて帰ってきたからよ。」

 

皆の表情が同じものになる。頭の上に?を乗っけた様な顔だ。

 

蒼龍が「え、?殺されたー、とかじゃなくて?!」と大声をあげた。

 

「だから、単純じゃないって言ったの。それで、この事から察するにその島の住人は知能を持ってるってことになるわ。」

 

「でも、確認されてる深海棲艦は見逃すなんて知能は持っていない…。

しかも、もともと深海棲艦の占領下だったからそんな危ない場所に居る誰かって…?」

 

と時雨が顎に手を当てて唸るように考えていた。

 

「それを調べるために私たちが行くんですよね!司令官?」

 

そう吹雪が元気よく聞くと提督はこくりと頷いた。だがその次に出た言葉は予想打にしないものだった。

 

 

「島への上陸は私と夕立で。他のみんなは周囲の警戒をお願い。」

 

『ええええええええええ!!?!?!』

 

鎮守府に困惑の叫び声がこだました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にしても…提督は何を考えているのかな…。」

 

時雨がさっきよりも酷い顔で唸って考えていた。

 

「ま…まあ、提督さんにも考えが無いわけではないだろうし…深く考えなくたっていいんじゃないかな…?。」

 

僕がフォローをいれたが時雨は納得がいかないらしい。

 

と言うか、僕自身なぜ僕なのかの検討がつかない。

 

現在提督の乗る小型船を護衛するように回りを取り囲み、進軍している。

 

と言っても、既にこちら側の領海となった海域だ。風も穏やかで、波も少なく、とても深海棲艦が出るとは思えないような海域だった。

 

「提督はたまになに考えてるかわからないからねー。」

と飛龍が返してきた。

 

Sure(確か)、陸上だと艦娘の能力は落ちるわよね…。それが理由?」とIowaが顎に指を当てて提督に尋ねる。

 

すると小型船の中から「この作戦が終わったら理由がわかるから、それまでは待ってて。」と、提督の声が聞こえた。

 

理由が知りたいが聞くのは止めておくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

少ししてから目的の島が見えてきた。ゴミで出来た島。僕にはそう見えた。

 

でも、何故か懐かしい感じがした。



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