デート・ア・ライブ 〜天使を纏いし最古の王〜 (多趣味の一般人)
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いつもの日常…しかし異変

さて、2作品目です!そこそこ面白く書いていきたいです!それでは、どうぞ(= ・ω・)っ


ある日、いつもの様に五河士道は目覚めようと目を開けた。すると目の前に、ピンクのパンツらしきものが見えたと思った瞬間、

 

ドゴォ!

 

「グフッッッ!!」

「あはははは!!グフだって!陸戦用だー!!」

突然お腹の辺りに衝撃がきたと思った時、お腹の辺りから士道の妹である五河琴里の笑い声が聞こえてきた。

「………妹よ…少しいいか…?」

「ん?なんだ愛しのおにーちゃんよ!」

愛らしい顔で士道の方へ顔を向ける琴里。その顔を見ると怒る気になれなくなった士道。やはりシスコンか。

「……兎に角すぐにそこから降りてくれないか?朝飯作れないだろ?」

「それは困るな!よし!今からおにーちゃんに朝ご飯を作る任務を与える!」

「はいはい、分かったから早く降りてくれ。」

「おー!」

「ぐっ!?」

降りる瞬間、腹の真上でジャンプしたせいで、お腹を蹴られた様な衝撃が再び士道を襲った。

「…たく、しょうがないな。」

しかしやはりシスコンの士道は琴里を怒ろうとしない。さっさと起きて通っている学校の制服に着替え、リビングへ降りていく。

「ん?テレビ見てんのか?」

「うん、なんかまた空間震が起きたんだって。」

「またか…。」

ここ最近、少しずつではあるが空間震の頻度が増している様に感じる士道。何かの前触れなのか、少しばかり不安になる士道。

「……まぁ、考えても仕方ないし、朝飯作るか。」

気にしても仕方ないと考え、朝食を作る士道。

「………予定より早いかな…。」

テレビを見ていた琴里から何か聞こえた気がした士道。

「ん?どうした?」

「ん、あんでもあーい。」

気になり聞いてみたが、返ってきた返事に違和感を感じた士道は琴里の近くまで移動し、

「こら、朝飯前にお菓子を食べるんじゃない!」

そう言って琴里が咥えていたチュッパチャプスを引っこ抜こうとする。しかし、負けじと顎に力を入れる琴里。

「ぐぬぬっ!なんでこんなに力あるんだよ!?」

「んんん〜!!ん〜!!」

意地でも離さないつもりの様で、いくら振り回しても顎の力を強める琴里。

「……はぁ、仕方ない。ちゃんと朝飯食べろよ?」

「ん!おー!おにーちゃん大好きだぞ!」

「あぁ、俺もだよ。さ、早く食べよう。」

そうして、五河兄妹は仲良く朝食を食べた。

 

 

「おーい、琴里!そろそろ学校行くぞ!」

「おー!分かったぞ!おにーちゃん!」

朝食を食べ終え、色々準備した2人が靴を履き家を出る。

「よし、琴里の学校も今日は昼までなんだろ?」

「うん!そうだよ!」

「なら、久しぶりに昼飯は外で食べるか。」

「本当!?なら、『デラックスキッズプレート』が食べたい!!」

「近くのファミレスのメニューかよ…。本当に琴里はそれ好きだよな?」

「うん!」

「まぁいいか。」

「いいの!?」

「あぁ、今日は特別だぞ?」

「やったー!!大好きだぞ!おにーちゃん!」

嬉しさのあまり士道に抱きつく琴里。余程嬉しかったようだ。

「ほら、早く行くぞ。遅刻しても知らないぞ。」

「うん!行こっか!」

そうして、2人は学校へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピキーーーーン……………

 

 

 

 

 

遥か上空にて、ガラスの割れる様な音が響く。しかし、その音を聞いた者は誰もいなかった。

 

 

そして、本来ありえないIFの物語が…幕を開けた。




第一話と言うことで、今回は短めです。良かったですか?良かったら、感想よろしくお願いします!
それでは、また次回εε=(((((ノ・ω・)ノ


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第1章…英雄王との邂逅
激動…しかし威光


遅れてすみませんm(__)m色々あって遅れました。今回は主人公出ます!それでは、どうぞ(= ・ω・)っ


途中で琴里と別れ、学校に到着した士道は新しい自分のクラスを確認し、教室に向かっていた。

「さて、今年はどんな1年になるかな〜?」

そんな事を気楽に考えながら歩いていると教室に着いた士道。自分の席を確認しようと黒板を見た時、

「よっ!士道!」

「ん?なんだ、殿町か。」

背後からよく知る人物から話しかけられ、そう言い返す士道。

「何だとはなんだよ。相変わらず酷いねぇ〜士道君は。」

殿町が少し悲しそうに言うが、士道には演技にしか見えない為意味は無い。

「おい、そのわざとらしい演技やめろよ。見てて恥ずかしいぞ?」

「…そんな事言うなよ!まぁいいや。」

「いいのかよ。」

そんな漫才じみた会話をしていると、

「貴方は、五河士道。」

「え?」

突然、見知らぬ女生徒が士道に話しかけてきた。士道はいきなり見知らぬ女生徒に話しかけられ、少し困惑した。

「私の事、覚えてない?」

「えっと…ごめん、知らないな…。」

「そう…ならいいわ。」

気にしたふうもなくそのまま自分の席に座った女生徒。とそこへ、

「おい士道!お前あの鳶一と知り合いなのか!?」

と、隣の殿町からそう聞かれた。

「いや、知り合いも何も俺は知らないぞ?誰なんだあの子?」

士道は思った事をそのまま言うが、

「はぁ!?お前あの鳶一折紙を知らないのか!?全国模試でも1位とか言う頭のおかしい数字を叩き出した超天才だぞ!?」

「へぇ、凄いんだな、あの子。」

そんな事を聞いても士道はそんな事しか思えなかった。

「へぇって、お前なぁ…。」

殿町は心底呆れたふうであった。

「ん?あっ、そろそろチャイム鳴るな。早く席に着こうぜ、殿町。」

「お前本当にマイペースだよな…。」

そしてそのまま時が過ぎ、学校での説明を聞き終わりそれぞれがどこかへ遊びに行くなり、家に帰るなりしている最中、士道も琴里の所へ行く準備をしていた。

「おーい士道。昼飯一緒に食いに行かね?」

と、そこで殿町からそんな提案をされる士道。

「すまん、昼飯に関しては既に予定が埋まってるんだ。」

「そうなのか。って事は琴里ちゃんか?」

「あぁ、そうだ。だからすまん。また今度な。」

「おう!分かったぜ。んじゃま俺はそのまま帰るかな〜。」

と、殿町が教室から出ようとした瞬間、

 

フォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!

 

と、警報が鳴り出した。

「え?これって空間震警報?」

『これは、訓練では、ありません。繰り返します。これは、訓練では、ありません。直ちに近くのシェルターに避難して下さい。空間震の発生が予想されます。繰り返します。…………』

「おいおい、嘘だろ?マジでくるのかよ…。」

「………。」

本物の空間震がくると言う放送を聞き、冷や汗を流す殿町と士道。

「み、みなさーん!!慌てずにシェルターへ避難して下さーい!」

と、そこへ士道達のクラスの担任である岡峰珠恵が生徒達を避難させる為に大声でそう言った。

「………とりあえず避難しようぜ士道。」

「そうだな。」

そう言ってシェルターへ向かう士道達。途中で士道は少し気になる事があり、自分のケータイを見る。

「ん?士道?何見てんだ?」

「いや、ただちゃんと琴里の奴も避難してるかなって思ってさ。」

「流石に避難してるだろ。」

「そうだといいんだけど……。」

そして、ケータイのGPSで琴里のケータイの位置を確認する士道。

「なっ!?」

しかし、琴里のケータイのGPSは士道の家の近くのファミレスの所にあった。

「あいつ…嘘だろ!?」

そう言うと同時に走り出す士道。

「え!?おい!士道!どこ行くんだよ!?」

急に走り出した士道に驚きそう叫ぶ殿町。しかし、士道はその問いに答えず走る。

(あいつ…まさかさっきの放送聞いてもファミレスに残ってんのか!?あのバカは!!)

学校からファミレスへの最短ルートを走る士道。と、ファミレスの近くへ来た瞬間、

 

ピカッ!!

 

と、何かが光ったと思った次の瞬間、

 

ドカーーーーーーン!!!!!!!!

 

「うわあああ!!!?」

突如物凄い爆発が士道を襲った。幸い爆発が起きたのは士道より少し離れた場所だった為士道は怪我をせずに済んだ。

「…イテテ…なんだよ…。」

そう言って起き上がる士道。そこには、

「…!?……これって……。」

士道の目の前には、まるでスプーンでくり抜かれたかのように丸く陥没しているクレーターがあった。周りの建物は瓦礫となり、車の残骸もそこら中に四散していた。

「………………ん?あれは……。」

その光景に呆然としていた士道は、そのクレーターの中心部分に、一人の少女が立っているのに気付いた。

(何であんな場所に?それにあの子…不思議な感じがする?それにあれは…玉座?)

と、そんな事を考えていた士道に、その少女は目を向けた。見られたと思った瞬間、その少女は一瞬で士道の目の前に移動した。

「…うわっ!?」

突然の事に驚き尻餅をつく士道。

「あ…………。」

しかし、その目の前の少女の美しさに、声を失った。全てを吸い込むような瞳と艶やかな黒髪。その全てが美しく見えて、士道は何も考えられなかった。ただ呆然とその少女を見ていた。

「……おい、貴様。」

「え?」

「貴様も……私を殺しに来たのか?」

無表情な目で、静かに、しかし悲しそうにそう聞く少女。そしてその少女は、その手に持った大剣を上に振り上げ、再度聞いてきた。

「貴様も…私を殺しに来たのか?答えぬなら、今ここで貴様を殺す。」

「え……あ………。」

未だその美しさと、殺されると言う恐怖から声が出ない士道。しかしその少女は、

「沈黙か……。ならば……死ね。」

無慈悲にそう言って大剣を勢い良くその大剣を振り下ろした。

(あ……俺…死ぬのか…?)

ただ呆然と、自身に向かってくる大剣を見つめ、そう思う事しか出来ない士道。自分が死ぬと思い、全てを諦めかけたその瞬間、

 

ガキーーーーーーン!!!!

 

「な!?」

「…え…?」

突如、士道の目の前に金色の波紋(・・・・・)が現れ、その中心の部分から剣が現れ、その少女の大剣を受け止めた。

「…フン!何事かと思い来てみれば……中々に面白い存在がいるではないか。そこの女もただの人間ではないが…そこの男もまた、普通の存在ではないな(・・・・・・・・・・)。」

と、両者共に呆然としていると、上空からそんな声が聞こえてきた。

「上か…!?」

「………。」

その少女と士道は、共に上を見る。

 

 

そこには……()がいた……士道はそれを本能的に理解した。彼はこの世全ての王であり、法であると。全ての英雄達の原点にして頂点。歴史に名を残し今なお語り継がれている人類最古の王であると。その手の知識が乏しい士道ですら、その事を理解するのに1秒もかからなかった。その存在を見た瞬間、脳が理解したのだ。故に士道は思った。

 

(……凄い……。)

 

ただそれだけ、しかし今の士道が思える事はそれしかなかった。ただただ凄い。存在自体が自分とは違う。そう思わせるだけの威光が、()にはあった。

 

そしてその日、その世界にとある王が降臨した。

「フハハハハハハハハ!!では、余興といくか……雑種共よ…!」




今回はここまでぇ!!どうでした!?ちゃんとギル様の喋り方書けてました!?面白かったら、感想とかお願いします!それでは、また次回εε=(((((ノ・ω・)ノ


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提案…しかし驚愕

(;-ω-)ウーン更新速度が安定しない…('ω')もっと頑張らなければ…(使命感)て事で今回もどうぞ(= ・ω・)っ

誤字など修正しました。


「貴様!何者だ!?」

突然現れた黄金の鎧を纏う謎の男が、自身の武器を不可思議な力で防いだ事に驚愕し、そう叫ぶ様に聞く少女。

「ん?何者とは異な事を聞くな女?万物万象、何においてもその頂点に君臨するのがこの(おれ)だ。…まぁ良い。今の我は機嫌が良い。此度の無礼は許してやる。」

「…どこまでも上から目線だな、貴様は…。」

ふと見てみると、黒髪の少女は頭にきているようで肩がプルプルと震えていた。

「ん?ほう?…おい、女。どうやらこのまま話している時間も無さそうだぞ?」

「…なに?」

黄金の男が別の方角に目を向け、少女にそう言ってきた。少女も気になり男の向いた方に目を向けた。するとそこにいたのは、

「……またアイツらか…。」

身体中に機械の武装をしている士道と同い年ぐらいの少女達がいた。真っ直ぐこちらに向かって飛んできていた。

「…ふん、何度来ても同じ事だと何故学習しない…。」

少女の声に、やはり悲しみの感情が感じ取れた士道。

「人間とはそういう生き物だ。同じ事を繰り返し、その果てに滅ぶ生き物だ。…しかし、そんな人間でも未来を変えようと躍起になる奴もいる。あの小娘共もまた、己とは違う存在を殺し、同じ種族を存続させる為に戦うのであろう。…例えその過程で自分にとっての大切な者の命が尽きようともな。」

「……。」

男の話を黙って聞いていた少女は、ほんの一瞬だけ、士道に目を向けた。しかし士道はその事に気付かない。

(なんだ?なんでこんな事に?一体何が起きてんだよ!?)

状況に追い付けず混乱しているようだ。

「…まぁ良い。おい女。貴様はどうする?あの雑種共と戦うのか?」

「…向こうが殺しに来ているんだ。…ならば、戦うしかないだろう。」

「…そうか。…我は他に用事がある故な、今日は手出しはせぬ。」

「…逃げるのか?」

「たわけか貴様。逃げるのではない、用事があると言っている。」

「…そうか。」

2人がそんな話をしている中、少しずつこちらに近付いてくる少女達。士道は何故かいつの間にかその場からいなくなっていた。

「…あの雑種もどき(・・・)もいなくなった様だしな。貴様もそろそろではないか?」

「?」

少女は男が何を言っているのか分からず首を傾げている。

「何、気にするほどの事ではあるまいよ。ではな。」

そう言って男は、金色の粒子になりその場からいなくなった。

「……なんだったのだ?あの男は?」

 

そしてその後、その黒髪の少女と武装した少女達が戦闘を開始し、数分後に黒髪の少女は突然その場から消えたそうだ。

 

 

 

 

 

(……あれ?俺いつの間に気絶してたんたっけ?)

士道は気が付いた時、そう思った。そしてそのまま目を開け、

「……うわあああ!?」

目の前に女性の顔がどアップであった為、驚いた。

「ん?…目が覚めたようだね。取り敢えずは自己紹介をしよう。私の名前は村雨令音。ここフラクシナスの解析官をしている。」

(フラクシナス?なんだそれ?)

「まぁ諸々の説明はまた後でだ。兎に角起きたのなら付いてきて欲しい。」

そう言って令音は立ち上がり、扉に向かって歩いていくが、

 

ガン!!

 

「え!?ちょっと!大丈夫ですか!?」

そのまま扉の横の壁に激突した。

「……あぁ大丈夫だよ。いつもの事なんでね。薬を飲めば一時的に大丈夫さ。実は不眠症でね。」

「一体最後に寝たのはいつなんですか…。」

「ん?……確か30年前だったかな?」

「予想してたのと桁が全然違った!?」

「いや、正確には分からないよ。実際に最後に寝たのがいつか覚えていないからね。それより早く行こうか。」

そう言いつつ、懐から錠剤の入ったケースを取り出し、

 

ざざざざざざざー!

 

ボリボリボリボリ

 

ゴックン…

 

「!?……え!?」

その光景を見て士道はありえないと叫びたくほど驚いた。

「…ん?あぁ、これは一応睡眠薬だよ。これを飲んどかないと後々大変でね。」

「だからって一気にそんなに食べたら体を壊しますよ!?」

「まぁいつもの事だからね。心配ないさ。」

そう言って令音はその部屋を出た。

「あ、待ってください!」

士道も慌てて後を追う。

 

 

 

「さぁ着いたよ。ここだ。」

そして、しばらく歩いて着いた場所はとある部屋の扉。そして令音がその扉を開けるとそこにはアニメなんかでよくある戦艦の管制室のような場所であった。

「やっと来たわね、士道。……いや、お兄ちゃん(・・・・・)。」

「え?」

士道にとって、毎日聞いていた声が聞こえた。

「なによその顔は。妹の顔を忘れたの?ほんとにバカね。」

「え?…え??」

いつもの妹とは、全然喋り方が違う為士道はとても混乱していた。ただでさえ少し前に殺されかかっていたのだから無理もないだろう。

「…まぁあんな状況に巻き込まれてたらそうなるか…。まぁいいわ。士道、今から貴方に重要な事を教えるわ。いい?」

「え?あ、あぁ…。正直まだ色々と整理がつかないけどな…。」

「そこは追々整理すればいいわ。…兎に角、今の状況はとても深刻な状況よ。…まさかお兄ちゃんがプリンセス(・・・・・)と接触するなんて思わなかったわ。」

「プリンセス?」

誰の事なのか分からず、首を傾げる士道。

「えぇ、少し前に士道に剣を向けた黒髪の女の子よ。あの子はね、精霊(・・)って言う存在なの。」

「……精霊?」

「そ。分かりやすく言うなら、一人で天変地異を引き起こせる存在よ。」

「は!?なんだそれ…デタラメ過ぎるだろ!?」

「そりゃだって、空間震(・・・)を引き起こしてる存在よ?それぐらい苦もなく出来るに決まってるじゃない。」

「…え?空間震ってあんな女の子が起こしてるのか!?」

あの可憐で美しい少女が空間震なんて災害を引き起こしてると聞いて驚く士道。

「精霊は()そうよ。」

「皆って…まさか精霊っていうのは沢山いるのか?」

「えぇ、今確認されているだけでも、それなりにいるわ。……ただ、この前のは初めて見た…と言うか、男性の精霊(・・・・・)なんて初めて見たわ。多分今まで誰も見た事無いかもね。」

「?男の精霊っていないのか?」

「えぇそうよ。今まで確認された精霊は皆女の子よ。」

「マジかよ…。」

「…少し話が脱線したけど、士道。貴方には精霊達とデートしてデレさせなさい(・・・・・・・・・・・・)。」

「………は?」

「ん?なによ。聞こえなかったの?」

「いや、聞こえたは聞こえたけど……え?」

ありえない言葉を妹の口から聞いて驚く士道。

「い、いや待て琴里。なんで俺がデートするんだ!?そもそもあの子がデートに応じてくれる気がしないんだけど!?」

「あら、その為のフラクシナスでありラタトスクよ?もちろん貴方を全力でバックアップするわよ。」

「ラタトスク?」

「あぁ、そう言えば説明してなかったわね。このフラクシナスを作ったとある組織よ。非公式だけどね。……因みにここは天宮市から遥か上空よ。」

そう言って琴里は手元のボタンを押した。すると、士道が立っていた場所が透明になり、下に天宮市が見てるようになった。

「うぉわぁ!?な、なんだ!?」

「そんなに驚く事じゃないわよ。一応フラクシナスは空中艦なの。」

それを聞いた士道は、内心凄く興奮していた。

(空中艦……なにそれカッケェーー!!!!)

「…士道、何を考えてるか手に取るように分かるけど、今は少し抑えなさい。ここからが本番の話よ。」

「え?まだあるのか?」

話がまだあると聞き、少し驚く士道。

「当たり前じゃない、この前の黄金の鎧を纏ってたあの精霊……貴方から見てどんな奴に見えた?その時の思った事を言いなさい。」

「………単純に…凄いとしか思えなかった。見た事も無いはずなのに、この世の全てが束になっても勝てないと確信した…。そして…あの人は…王であると脳が本能的に理解したんだ。」

「王?……精霊達の王って事?…いや、それだとあのプリンセスが剣呑な雰囲気になるはずがない。…どういうこと?」

琴里は士道の言った王という言葉の意味が分からず悩むが今考えても仕方ないと思い考える事を一旦やめた。

「はぁ、まぁいいわ。その事に関してはまた今度でいいでしょう。兎に角今は士道に……。」

ふん(・・)この我の事を後回しとは(・・・・・・・・・・・)この世には我の事を知る者はおらぬのか(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)?」

「「「!?」」」

琴里が何かを言いかけたその時、本来ならありえないはずの声が聞こえた。士道と琴里達はその声の聞こえた方に顔を向けた。…そこに居たのは、

「…ふむ、このフラクシナスというのも中々に良い船ではないか。精密に作られ、神秘に似た技術で造られているな。…まぁ我のヴィマーナの方が性能は上だがな。フハハハハハハハ!!!!」

士道を助けた(本人に助けたと言う気は無い)黄金の鎧を纏った男の精霊だった。

「な!?なんでここに!?いつからいたのよ!?」

突如現れた事に驚愕し、声を荒らげてそう聞く琴里。

「いつからだと?貴様が我の事をそこな雑種もどき(・・・・・)に聞いたところからだが?」

「?」

士道はなぜ自分がもどき(・・・)と言われたのか分からなかったが、琴里はそんな事に注意を向けるほど冷静ではなかった。

「ここに一体何しに来たのよ?どうやって来たかは分からないけど、私達を殺しに来たの?」

「ハッ!たわけか貴様は。態々この我が出向いてやったのだぞ?出向いたとあらば、どこに貴様ら雑種を殺す理由がある?此度は貴様らに提案というものをしに来ただけの事よ。」

「提案?」

殺しではなく、ただ提案しに来ただけと聞き、少し疑いの目を向ける琴里。しかし黄金の男は、

「フン、この我を疑うか?そも貴様らを殺すのであれば態々このような場所に来ておらぬ。そうであろう?」

「……確かにその通りね。分かったわ。その提案の内容にも寄るけど、話を聞きましょう。」

「フン、初めからそうしておけば良いのだ。…なに、提案と言ってもただの協力に過ぎん。貴様らに手を貸してやる。」

「は?協力?手を貸す?どういう事よ!?」

突然協力してやると言われ、少し混乱する琴里。令音は黙って男を観察している。士道に至ってはまた状況についていけず呆然としている。

「なに、そこの雑種もどき(・・・・・)に興味が湧いたのだ。故に、ついでだが貴様らにも手を貸してやるという事だ。」

「私達はついでで、本命は士道に手を貸すって事?」

「うむ、その通りよ。もしそこの雑種もどきが命の危機に瀕した場合、この我自らが守ってやるという事だ。…分かりやすく言うなら、護衛の様なものだ。貴様らにとっても、その雑種もどきが死ぬのは本望ではあるまい?」

「……ええ、そうね。士道に死なれるのは困るわ。」

「ならば、我に任せるがいい。」

「…………。」

少しだけ、考える琴里。

(本当にこの精霊に任せるの?コイツが本当に士道を守ってくれるなんて保証はない。…けど、私達も常日頃から士道を護衛出来る訳じゃないのは確か。…それにプリンセスの一撃をなにかの能力とは言え、防いでいる。その実力は恐らくプリンセスと同じかそれ以上。なら、護衛にうってつけなのも頷ける。……条件付きで聞いてみるか。)

「なら、2つほど条件付きで頼むわ。」

「!…琴里、いいのかい?」

それまで黙っていた令音が初めてそこで口を開いた。

「ええ、まぁその条件が了承されればいいんだけどね…。」

「ふむ、やはり条件付きか。良かろう。どんな条件だ?」

「…1つは、士道と私達に一切の危害を加えない事。2つ目は、必ず士道が危機になったら助ける事。条件はこの2つよ。」

「…なるほど。…良かろう。その条件、乗ってやる。」

「…!本当にいいの?」

すぐにOKを貰ったことに少し拍子抜けする琴里。

「良いと言っている。そのような条件であれば、我も貴様らも損はしまい。ならばその条件に乗るというものよ。」

「そ、そう。……なら、士道の事を頼めるかしら?」

「我を誰と心得る?英雄の中の英雄であり王の中の王であるぞ?一度した約束は違えぬ。」

「待った。君今さっき王の中の王と言ったかい?」

「そうだが?」

「………まさかとは思うけど、君の名前ってギルガメッシュ(・・・・・・・)って言うんじゃないかい?」

「え!?それってあの超有名な実在した人類最古の王様じゃない!?」

「ほう?その言葉だけで我の真名を当てるか。…中々に頭の回る奴もいるのだな。」

「お褒めに預かり光栄だね。まさか、本物の英雄王だとは思わなかったよ。」

黄金の男……真名をギルガメッシュと聞き、琴里を初め士道や令音を除くその場いた全てのクルーが驚愕し、固まっていた。

「しかし、貴方程の人物が精霊とは……元は半神だと叙事詩には書いていたが、本当は精霊だったのかい?」

「いや、我は正真正銘の半神。断じて精霊などではなかった。だが、この世界に目覚めてみれば、俺は半神でありながら精霊と言う存在になっていたのだ。本来なら精霊ではなく、英霊と呼ばれる存在になっているはずなんだがな。世の理とは、誠に分からぬものよな。」

「……興味深い話だね。なら、元は精霊ではなかったと?」

「あぁ、その通りだ。何、少し不可思議な現象が起きたと言うだけの事よ。そこまで重要視する事柄ではあるまい。」

「……そうだね。」

「話は以上だ。では、我は散歩をしてくる。そこの雑種もどきには常日頃から、鍛錬をしてやる。鍛錬は明日からだ。明日の朝、5時に家の外に出よ。この我自ら鍛錬場に連れて行ってやろう。ではな。」

そう言ってギルガメッシュは、黄金の粒子となってその場から消えた。

「え?なに?ロストしたの?でもあんなロストの仕方初めて見た…。もう何がなんなのよ…。」

琴里は余程のことに疲れているようだ。士道も固まったままだし、令音は何かを考えているようだし、他のクルー達も状況に追い付けず未だに呆然としている。

「はぁ、いくら考えても仕方ないか……。お兄ちゃん、今日はもう帰りましょ。帰ってゆっくり寝たいわ。」

「……………そうだな。」

そうして、士道達兄妹はその日すぐに家に帰り、晩御飯を食べ、風呂に入りすぐに寝た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、この世界はどのように我を楽しませてくれることやら。……楽しみだ。……フ、フハハ、フハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!」

そして、英雄王の高笑いが、宇宙空間(・・・・)に響き渡った。

 




疲れた………。久しぶりにここまで長く書きました。どうでしたかね?ちゃんとギル様の喋り方出来たかな?良かったら感想お願いします!
それでは、また次回εε=(((((ノ・ω・)ノ


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再開…しかし戦闘

更新遅れてしまい申し訳ないです!今回、ギル様が戦闘します(と言っても、出るのは最初と結構後)。今回はかなり長いですが、どうかお楽しみ下さい!
それでは、どうぞ(= ・ω・)っ


フラクシナスにて、士道に精霊について説明している最中に現れた男の精霊……今までの精霊とは違い史実にも残るあの名高き英雄王…ギルガメッシュが琴里と『士道と自分達に危害を加えない』・『士道が命の危機に瀕した場合、必ず助ける』と言う条件の元に協力関係になってから数日が経ち……

「ゼェ……ハァ……クソっ……めちゃくちゃキツい……。」

朝から士道はギルガメッシュに特訓という名の地獄を体験していた。

「おい雑種もどき。この程度でへこたれるなど、怠けにも程があるぞ?せめてこの程度の鍛錬を余裕で乗り切れるようになるまで力をつけるぞ!」

「そ、そんなぁ〜!」

まだこの地獄が続くと聞き、絶望の声を出す士道。と、そこへギルガメッシュが、

「フン、ではもしこの鍛錬を乗り切ることが出来れば何か褒美を与えようではないか。」

と、言った。その言葉に士道は素早く食いついた。

「ほ、褒美!?一体どんな褒美をくれるんですか!?」

「フッ、貴様の望むモノであれば、余程のことではない限り褒美として与える事は出来よう…。望むのであれば、俺の財宝をほんの少しだけだが与えてやろう。ただし!それもこれも、貴様の頑張り次第だ。ここ数日鍛錬に励んでいるが、貴様が上手く吸収出来なければ強くなれん。今の貴様では、他の精霊達と戦うとなった時すぐに死んでしまうだろう。だからこそ、この鍛錬だ。それに、今いるこの空間には、『死』という概念が存在しない。故に現実世界で死ぬような一撃を受けてもこの空間内では死ぬ事はまず有り得ん。分かったな?現実世界で死にたくなくば、この空間内での鍛錬で強くなってみせろ。」

ギルガメッシュは士道を強くし、容易に死なないように特訓していると言う。

「…な、なるほど…。流石は最古の王様なだけあって色々とぶっとんでるな…。でも、この鍛錬を続けていれば強くなれる…。皆を守れる…あの女の子だって救える…。よしっ!」

士道もそう気合いを入れ、再びギルガメッシュとの鍛錬に励んだ。

 

 

 

 

 

そしてそれから更に数日後、士道はいつも通り鍛錬を終え、学校に向かっていた。(この時点で、士道は人間をやめているが、本人はその事に気付いていない)

「はぁ……やっぱりキツいなぁ…。でも王様も言ってたけど、最初の頃よりは強くなれたっぽいし、成果は出てるんだよな?体力や持久力も付いたし、そろそろ鍛錬の段階をもう一段階上げるとか言ってたなぁ…………俺の身体、持つかな?」

そんな風にしみじみとしている内に学校へ着き、いつものようにその日の授業を受けた。

 

 

そして放課後になり、士道は今日の晩御飯を作るため、家に帰る準備をしていた。

「さてと。今日の晩御飯何にしようかな?……うん、久しぶりにハンバーグにするか。琴里の喜ぶ顔が想像出来るな。」

と、ハンバーグを前に目をキラキラさせて喜んでいる琴里を想像していると、

 

 

フォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!

 

突如、空間震警報が鳴り響いた。

「え!?また空間震か!?」

再び空間震が起きるかもしれないと思い、他の生徒と同じように急いでシェルターに避難しようとするが、

「え…?」

少しの浮遊感か生まれたと思った瞬間、士道の視界はいつもの見慣れた校舎ではなく、少し前に見たフラクシナスの船内であった。(勿論、士道がフラクシナスに回収された瞬間は、他の生徒達には見られていない)

「あれ?さっきまで学校にいたのに……もしかして、転送装置…なのか?」

士道がそんな風に考えていると、

「やぁ、また会ったね。早速だが、管制室に行くよ。」

と、目の前の扉から令音が士道に話しかけた。

「あ、令音さん。…もしかして、精霊が現れるんですか?この前のあの女の子か……。」

「あぁ、どうやらもう現界したようでね。既にプリンセスが現界したと確認できた。場所は………君の通っている学校だよ。」

「え!?」

あの少女が現れたのが自分の通う学校と聞き、驚く士道。

「驚くのも仕方ない。兎に角今は琴里の所へ急ごう。」

「は、はい!」

そうして2人は琴里達のいる管制室へ急いだ。

 

 

「やっと来たのね士道。遅いわよ!」

「ご、ごめん…。」

「まぁいいわ。それより今はプリンセスよ。いい?士道、貴方は今からプリンセスとコンタクトして、まずはデートに誘いなさい。」

「デ、デートに誘うったって、俺はそんな経験無いぞ?どうやるんだよ?」

「安心しなさい。その為のフラクシナスよ?このインカムをどっちでもいいから耳に付けなさい。そのインカムから私が指示するわ。」

そう言って琴里は士道に小型のインカムを手渡した。

「これでか…。分かった、やってみる。」

「……まぁあのギルガメッシュ……様に鍛錬してもらったんだから、逃げる事になっても死にはしないでしょうけど、くれぐれも気を付けなさいよ。あっちは精霊で、貴方は人間なんだから。」

「分かってるよ。危なくなったら逃げる。指示、頼んだぞ。」

「…えぇ、任せときなさい。さぁ、そろそろ作戦を開始するわよ。」

「おう!」

 

 

そして 、士道はフラクシナスから再び学校に転送された。

「ふぅ……学校、めちゃくちゃだな……。」

空間震の影響で学校は色んな所が崩壊し、瓦礫となっていた。

「……さて…どこにいるんだ?」

と、周りを見ていると、

『士道、聞こえてる?』

「お?琴里か?聞こえてるぞ。」

耳に付けていたインカムから琴里の声が聞こえてきた。

『そう、ちゃんとインカムは正常のようね。…士道、いきなりだけど精霊は学校の教室の中にいるわ……貴方の教室よ。』

「……マジか…。」

自分のクラスの教室にいると聞いて少し驚く士道。

『マジよ、兎に角教室まで行きなさい。本番はそれからよ。』

「分かってる。」

そして士道は教室に向かって歩いていった。

 

 

 

 

階段を上がり、廊下を歩いて教室に着いた士道。

「……ここにいるのか…。」

意を決して扉を開ける。

「……ん?」

扉を開けた音で精霊……黒髪の少女は士道に気付く。

「や、やぁ…また会ったn……」

 

シャンッ!

 

また会ったねと言おうとすると、いつの間にか持っていた大剣の先を喉元に突きつけられていた士道。

「…ヒッ…!?」

突然の事に尻餅をつく士道。

「貴様…私を殺しに来たのか……。」

「ち、違う違う!?そんな事しに来たんじゃないよ!?」

必死にそう言う士道。しかし少女は訝しんでいるようである。

「…怪しいな………ん?お前どこかで見た事があるな?」

「え?覚えていて……ぐっ!?」

今度は前髪を掴まれ強制的に顔を近付けられる。

「また訳の分からない事を言って私を油断させる気か?だがその手には乗らんぞ?目的はなんだ?」

「も、目的なんて……。」

無いと言おうとするが、実際彼女をデートに誘う目的で来ているため、そんな事は言えなかった。

「……………。」

少女は士道を穴が開くのではないかという程睨みつけている。そして士道は、

(琴里!?何でインカムから声が聞こえないんだ!?)

そう、士道のインカムから琴里の声が聞こえず、士道は焦っていた。フラクシナスにいる琴里達も、

「ちょっと!?なんで急にインカムからの通信が途絶えるのよ!?」

「分かりません!!何かのジャミングの様なモノが発生しています!」

「くっ!こんな時に!」

「琴里、どうするんだい?」

「どうするって、士道を一旦フラクシナスで回収するわ!今はどう考えても危険だもの!」

「………いや、私は少し様子見をした方がいいと思うよ。」

「はぁ!?士道が死ぬかもしれないのよ!?」

「もし死ぬような状況になっても、()が助けてくれるはずだ。」

「………分かったわ。あの人を信じて、少しだけ様子見よ。」

と、言うふうに一旦回収しようとしたが、令音の発言もあり今は様子見をしている。

「……どうした?やはり何か企んでいるのか。」

「…目的があってここに来たのは否定しない。でも、それは君を殺しに来たわけじゃないんだ…!」

「なに?では何をしにここに来た?」

「……ただ、君と話したかったんだ。」

士道は自分の思いをそのまま彼女に言った。

「話だと?」

その少女は怪しんだ目で士道を見る。

「……なんで、そんなに悲しい目をするんだ?」

「な、なに?」

突然そんな事を言われ、少し驚いたように聞き返す少女。士道は、自分が今まで思ってきた事を言った。

「…初めて会った時からそうだ……君は目にした人間全てに、口では強気の言葉を言ってるけど、君の目は悲しさでいっぱいだった……。」

「そ、そんなことはない!」

「……本当に?」

少女はそんな事はないと叫ぶが、士道は本当にそうなのかと聞く。

「当たり前だ!この私が…悲しむなど…!」

「……そうやって、苦しそうな顔をしてる時点で、悲しんでいるって事に、なんで気が付かないんだ?」

「……な…に?」

それは、少女にとって自覚の無いモノだった。【悲しい】……少女はこの世に生まれて初めて、その感情(・・)を認識した。余程動揺したようで、士道の髪を掴んでいた手を離す。

「……悲しんでいるのか……この私が?」

「……でも、俺は君を悲しませる様な事はしないよ。」

士道が少女にそう言った。

「…ッ!そんな言葉が信用出来るか!!私はあの変なメカメカとしているヤツらに、『お前は死ななければならない』などと言われたのだぞ!?どうせ貴様も、私を殺そうと……」

「そんな事はしないよ…絶対に。」

「……?何故そう断言出来る?貴様も人間だ……なら、いつでも私を裏切る可能性があるだろう!?」

「………今まで、沢山の人間に否定されて来たんだと思う。でも…俺だけは…絶対に!君を否定しない(・・・・・・・)!!」

「…なっ!?」

心のこもったその一言に、少女は明らかに動揺した。

「…う、嘘だ…どうせそうやって私を騙すつもりだろう!?そんな言葉、信用でき…「例え君がそう思ってても、俺は…俺だけは!君を裏切らない!否定しない!だから、信じてくれ(・・・・・)!」……!」

士道の…その必死な表情を見て、少女は本当にこの人間は自分を裏切らないのかと考えた。そして…

「………った…。」

「え?」

「分かったと言ったのだ!2度も言わせるな!………今は…お前を信じてやる…。」

「…!」

先程までま嘘だと言っていた少女が、自分を信じると言ってくれたことに、嬉しいと思う士道。

「か、勘違いするなよ!?あくまで貴様から情報を引き出す為に信じてやると言っただけだからな!……そうだ、情報は大事だ、超大事。」

そして、自分を無理矢理納得させるようにそう言う少女。それを見て、まだ完全に信用してくれた訳ではないと士道は考えた。

「…まぁ、今はそれでもいいよ。最初にも言ったけど、俺は君と話をしに来たんだ。」

「そう言えばそんな事を言っていたな。話とはなんだ?」

早速本題に入ろうとした士道だが、そこで肝心な事を忘れていた事を思い出した。

「あ、そう言えば君の名前は?ずっと君って言う訳にもいかないし…。」

そこまで言って、士道は少女の顔が…少し寂しそうな顔になったのを見逃さなかった。

「……名、か……悪いが、私にそんなものはない。」

「…あ…。」

そして、何故そんな事が分からなかったのか…士道は自分を叱咤した。

「……なに、お前がそこまで暗い顔をする必要は無いだろう?………そうだ、名が無いならお前が私に名を付けてくれぬか?」

まるで名案だと言うように士道にそう提案する少女。しかし突然の事に士道は少し硬直し…

「…………えぇ!?」

驚いた。

「む?なにか不満か?」

少し機嫌を損ねたようにそう言う少女。

「い、いや、別に不満って訳じゃ…ないけど……いいのか?俺が名付けなんて…?」

「良いのだ。この私と話し合おうとするなど、お前が初めてだったからな。…そうだ、ついでにお前の名前も教えてくれ。いつまでもお前と呼ぶのは……何故か、少し嫌だ。」

「……!」

前ならそんな事を言わないと思ったが、そんな風に言ってくれるという事は、少しは心を許してくれているのか?と士道は思った。

「……分かった、俺の名前は五河士道。呼び方は何でもいいよ。」

「………シドー……シドー…か。」

噛み締めるようにそう呟く少女。

「…ではシドーよ。私にどのような名をくれるのだ?」

若干キラキラした目でそう聞く少女。士道は名付けなど初めての事でどうするか悩んでいた。

(ど、どうしよう…?きっと下手な名前じゃ殺されるかも…こんな時に琴里と連絡が取れたら…………そうだ…!)

そんな時、一瞬閃いた士道。気に入るかは分からなかったが、試しに少女に聞いてみることにした。

「な、なぁ?『十香』って言うのはどうだ?結構似合うと思うんだけど……。」

「トーカ?………どういう字を書くのだ?」

どうやら気に入ってくれたらしい。

「えっと………こう書くんだよ。」

士道は黒板に白のチョークを使い、【十香】と書いた。

「……ふむ…こう書くのか。」

 

ガリガリガリガリガリガリッッ!

 

そんな音を立てながら、指先で黒板を削り少し歪な形だが【十香】と書いた少女……いや、この瞬間をもって、彼女は【十香】となった。

「……フフッ…シドー。」

少し微笑み、士道に話し掛ける十香。

「ん?どうした?」

「…十香…私の名前は十香だ。…素敵な名前だろう?」

嬉しそうに笑顔を浮かべながら、士道にそう言う十香。その姿は、最初のような悲しみを滲ませた儚い姿ではなく、世界に光を見い出し、幸せと感じている姿であった。士道は、再びその姿に見惚れた。

「…………あぁ、いい名前だな。」

そして、士道は1人の精霊(少女)と打ち解ける事が出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、その時には、もう遅かった。

 

ドガガガガガガガガガカ!!!!!!

 

「「!?」」

急にガトリング砲を発砲したような音が鳴り響き、士道達のいた教室の壁が破壊されていく。幸い、十香が咄嗟にバリアを作り、弾丸から士道を守ってくれたようだ。

「…あ、ありがとう…十香…。」

突然の事に呆然とする士道だが、ちゃんと十香に感謝する。

「ふむ、怪我はないようだな。………あの変な集団……また私と戦いに来たのか…。」

そこには、初めて士道と十香が出会った時、十香目掛けて攻撃を仕掛けてきた少女達の集団であった。

「…………ここは危険だ。早く逃げるのだ、シドーよ。」

十香が士道にそう言う。

「え?で、でも!十香を置いていくなんて…!」

十香が殺されないか心配になる士道。

「大丈夫だ。あのようなヤツらに、私は殺せない。……だが、シドーはただの人間だ。下手をすれば死ぬかもしれない……私は、それは嫌なのだ。折角私を肯定してくれる人間を見つけたのだ……死なす訳にはいかない。」

決意の篭った目で士道を見やる十香。

「……シドー、出来れば……再びお前と会って話がしたい。」

「…十香……。」

そして十香が少女の集団に突っ込もうとした時、空から声が聞こえてきた。

貴様が戦う必要は無いぞ(・・・・・・・・・・・)()。」

「「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」」

まるで空間に響き渡るような声に、その場にいた全員が驚き上を向いた。

「そこの雑種どもはこの我が相手をしてやろう。お前は存分に話をしているがいい。」

「な、何よアイツ!?」

「男の…精霊なの?」

「全身黄金の鎧の精霊なんて、聞いたことない…。」

そんな風に少女達はギルガメッシュを見て言っている。

「でも、精霊であるのなら私達のする事は変わらないわ!皆!二班に分かれて、あの男の精霊とプリンセスをそれぞれ叩くわよ!」

「「「「「「「「「了解!!!」」」」」」」」」

その集団の隊長格らしき女性の号令を聞き、他の少女達はそれぞれ二班に分かれ、士道達とギルガメッシュに向けて砲撃しようとする。しかし、それを許す程ギルガメッシュは甘くない。

「おい雑種ども…貴様らの相手は我がすると言ったはずだが?誰の許しを得て…我の言葉を無視している!!」

そう言うと同時に士道達の目の前に黄金の波紋か現れ、その中心から槍や剣などの武器が飛び出していった。

「うわっ!?」

「な、なによこれ!?」

「きゃあああ!!」

「くっ!?なんだこの能力は!?」

「まさか…天使!?」

ギルガメッシュの砲撃により2、3人程少女達が撃墜された。どうやら怪我を負っただけで、死んではいないようだ。

「フン…その程度の防御でこの我の【王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)】を防ぐつもりだったのか?ハッ!この我も舐められたものだな?」

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)?それがお前の天使か!?」

先程の隊長格の女性がギルガメッシュに向けてそう言った。

「天使?……この我の宝具を…たかが天使ごとき(・・・)と一緒にするでない。これは我が財宝達の眠る宝物庫である…断じて天使などではない!…そも、貴様らの言う天使とやらは、今の我では使えん。少しばかり腹立たしいがな…。」

「は?天使じゃない?それに天使が使えない?…………じゃあアナタは一体何者なのよ!?」

訳が分からず、叫ぶように言い放つ女性。

「何者だと?…決まっている。天上天下、この我を超える者はおらず……全ての英雄…全ての王の頂点であり原点……ありとあらゆるモノを収め、神すら降し…人類最古の王と呼ばれ、この世で一番にして絶対的な知名度を誇る王……英雄王…ギルガメッシュである。」

いつにも増して威厳あるその姿…その姿を見たその場にいた全員が…その姿に畏怖した。そして少女達は…本能的に気付いてしまった。自分達はとんでもない相手に挑んでしまったと…。

「理解したか?雑種ども。では…遊びを続けるとしよう。」

そう言って右手を少し上げ、曲げていた右手首を振るような動作をした。すると、いつの間にかギルガメッシュの背後に展開されていた十を超える黄金の波紋から、様々な形の武器達が発射された。

「「「「「「き、きゃあああああああ!!!」」」」」」

少女達は為す術もなく、全員気絶と言う形で全滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ギルガメッシュが少女達に一方的な蹂躙という名の遊びをしている最中、ギルガメッシュの配慮で周りの景色が見えないようになった教室内で、向かい合っている士道と十香(景色が見えないのはギルガメッシュの持つ一つの結界型宝具のお陰)。

「……やはり、あの男は分からない。この私より、強いのは分かる。だが、何か…歪な存在な気がしてならない…。」

十香はギルガメッシュがどういった存在なのか分からず、悩んでいた。

「…と、十香。折角ギルガメッシュさんが話が出来るようにしてくれたんだし…少し話さないか?」

「む?それもそうだな。あの男の事は、今度考えよう。今は話すことが先決だな。」

「うん、そうだよ。……なぁ、十香。少し聞きたいことがあるんだけど……。」

「む?なんだ?」

そして、士道は勇気を出して言った。

「こ、今度…俺と…デ、デートしてくれないか…!?」

緊張のあまり少し噛んでいるが、何とか言うことが出来た士道。しかし、十香はついさっき名前を付けて貰えたばかり。当然反応は……

「む?デェト?とは、なんだ?」

「え??」

これである。デートなんて知らないに決まっている。

「え、え〜と……デートってのは…かくかくしかじか。」

「ふむ、なるほど…要は一緒に買い物?をしたりすればいいのだな?」

「まぁ大体合ってるかな?」

「うむ、分かった。なら、今度そのデェトとやらをしてやる。」

「ほ、本当か!?ありがとう、十香!」

「…そ、そんなに嬉しいのか?」

「え?あ…うん、正直嬉しいよ…!」

「そ、そうか……嬉しいか…。」

若干、士道が喜んでいる事に、嬉しそうに微笑む十香。

「……む?…士道、そろそろ私は消えるようだ。次会う時には、デェトをしよう。」

「え?消えるって?……あれ?十香?」

十香の声が背中から聞こえ、消えるとはどういう事か聞こうとするが、いつの間にか十香がいなくなっていた。

(あ、そう言えば精霊って一定時間で『ロスト』するんだっけ?十香もロストしたのか……。)

予め、琴里から情報を聞いていた為混乱せずにすんだようだ。

「………とりあえずは…何とかなったかな?」

「おい、雑種もどき。話は終わったか?」

周りの景色が見えるようになり、丁度なタイミングでギルガメッシュが士道に声をかけた。

「あ、ギルガメッシュさん!さっきはありがとうございます。無事に話は終わりました。」

「フン…ならば良い。我もそれなりに退屈しのぎは出来たからな。………今夜…貴様の家に行く。そこで貴様ら雑種どもにとって、そしてこの我にとっても重要な話をする。話を聞くのは貴様と貴様の妹のみだ。それ以外は話を聞くことを禁ずる。貴様の妹にも伝えておけ。我はそれまで用事を済ませておく。」

「お、俺たちの家に来るんですか!?」

「む?何か不都合でもあるのか?」

「い、いえ!そんな事はないですけど……。」

「ならば問題無かろう。」

「は、はい……。」

そんな感じに夜にギルガメッシュが士道達の家に来ることが決まった。その後、回収された士道はその事を琴里に話し、琴里も少しばかり動揺したが、重要な話というのが気になり、承諾した。(本当はダメと言えばギルガメッシュに殺されるのではと考えたりしたからでもある)

 

 

 

 

 

 

 

 

そして場所は変わり、天宮市上空。

「………。」

そこにいたのは、ギルガメッシュであった。

「……この世に生を受け、気が付けばギルガメッシュ(・・・・・・・)の肉体……いや、その存在そのもの(・・・・)になっていて、最初は驚いたが……今はもう慣れたものだな。……さて、そろそろ時間か。士道(・・)の家に向かわなければな。」

そういって、その場から消えたギルガメッシュ(・・・・・・・)。彼の呟きを聞いたものは、誰もいなかった。

 

 

 

 




さて、最後でこのあとの話が大体予想出来ると予測しています。いやぁ、書いててかなり疲れましたwこんなに長いの初めてですので……次はISの方を更新したいと思いますので、こっちはしばらく更新出来ないと思います。すみません!では、また次回εε=(((((ノ・ω・)ノ


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