スレイヤーズネギま!(仮) (タカヒロオー)
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2ーA編
0限目 プロローグ~リナ、転生!~


祝!スレイヤーズ原作復活記念作品です。

色々リナが壊れますが気にしないでください。(笑)


ぷろろ~ぐ

 

SIDE:リナ

 

「…一体ここはどこなのよもう!」

 

…ある日ナーガに誘われてお宝探しに訪れた古代遺跡。すぐに見つかると思ってた宝物どころか、金貨1枚見つからないんでやんの。それどころか…

 

「…ねぇ、ほんっとにこっちであってるんでしょうね、ナーガ?」

 

「ほーほっほっほっほっ、愚問ねリナ!…そんなの行き当たりばったりに決まってるじゃないの?!」

 

…やっぱりかぁ~っ?!今更ながらナーガに期待したあたしがバカだったわ…

 

「仕方ない、もう少し先まで…ん?何、あの光は?」

 

何か通路の先に光が見える…もしかしてお宝?それとも出口かも。

「どっちでもいいわ、あそこまで行ってみましょ?」

 

あたしは急ぎ足で光の方へ向かう。

 

「はっ、そうはいかないわよリナ!お宝だったら山分けよっ!」

 

あたしの様子を見てナーガも駆け出す。そうはさせるもんですか?!

 

あたしとナーガは張り合うように猛ダッシュ!…あれ?

 

光は近づくほどに輝きを増して…あれは魔力の光だわ!

 

「ちょ、ちょっとナーガ止まって?!なんか様子が変よ!」

 

あたしは走るのを止めてゆっくり行こうとした。でも…

 

「そんなこと言って抜け駆けするつもりでしょ?その手には…おわっ?!」

ズルッ!

 

足を滑らせたナーガはあたしに寄りかかり…

 

「ナーガ、あんたなにをするの…ひえぇ~っ?!」

 

「こうなったら一蓮托生よリナっ!」

 

あんたと逝くぐらいならダイオウグソクムシといっしょの方が100倍ましじゃあっ?!…と~ま~ら~な~い~っ?

 

あたしとナーガはもつれあったまま光の中へと飛び込み…意識を失った。

 

 

 

 

『…きろ、こら?』

 

…ん~、誰よ…あともう少し…

 

『起きないと酷い目にあわすよ?』

 

「…ふわぁ~っ…あ、あれここは…あたしいったい…?」

あたしが目を覚ますとそこは何もない真っ白な世界。そしてあたしの目の前に立っていたのは…

 

「あ、あたし?!」

 

そう、そこにいたのはあたし自身。…ただし髪と瞳の色が金色で、服装は白いドレス。さらには黒い3対6枚の翼…

 

『やっと目覚めたかねぼすけ。』

 

「あ、あんたいったいだれよっ?!」

 

あたしが尋ねると彼女はニヤリと笑って答える。

 

『…こうやって会うのは初めてだね。あたしの名前はルシファー。…あんたたちが〈金色の魔王/ロード・オブ・ナイトメア〉って呼んでる存在だよ。』

 

…!? この人が?!

 

…あたしは昔故郷のねーちゃんと旅をしてた頃にとある賢者に口伝で教わった事がある。

 

〈異界黙示録/クレアバイブル〉。…水竜王の知識を纏めた本の中に記された異世界の魔王…それが〈金色の魔王〉。

 

この世界の〈赤眼の魔王〉・シャブラニグドゥの上位に当たると言われている…あたしの知る限り最高位の魔族。

 

『…残念だけどそれは間違い。教えてあげるよ、ほんとのあたしを…』

 

彼女がそういうと同時にあたしの頭の中に知識が流れ込んでくる…えっ?

 

その全てを理解したあたしは愕然とした。

 

あたしは賢者から聞いた知識を元にある呪文を構築し、1度だけ発動させた。…その時はある人のプライベートビーチを死の入江と化したのだが…

(…あたしはそんなもんの力を借りていたの?)

 

あまりの事実に身も心も凍りつく。

 

『…そう、この世界を構築している存在、〈混沌の海〉…それがあたしだよ。』

 

そんな危なっかしいもん、よく制御できたなあたし…

 

『ま、正直奇跡だね。あんな不完全な詠唱で…感心するよ。』

 

…ほめられてるんだかけなされてるんだか。

 

『あたしからすれば最大限の賛辞だよ?…それよりここからが本題。さっきの光なんだけどさ、あんたたちの世界とこの混沌の海をつなぐ門みたいな物だったんだ。』

 

ふんふん、それで?

 

『それってあたしが間違えて開けちゃったんだけど…』

…だから何よ?正直いやな予感しかしないんだけど?

 

『…2つの世界で時間の流れが違うから、もし戻ったとしても何十年経ってるかわかんない。…ごめんっ!』

 

…マジで?!それであたしはどうなんのよ?

 

『それでも元の世界に帰りたいなら返してあげる。もしくはあんたが望むなら…他の世界に転生するか。』

 

転生?それってあたしがあたしじゃなくなるってこと?

 

『あ、心配はしなくていいよ。あんたの人格や記憶、能力はそのまま残してあげるから。転生だから最初からだけど…どうする?』

 

ふ~ん、面白そうじゃない?

 

「その話のったぁ!…でもその世界、魔法使えんでしょーね?」

『それも大丈夫、体系は少し違うけどこっちの呪文も使えるようにしとくから。あとあたしもあんたについてくからよろしく~♪』

 

…な?! ついてくるってあんたこの世界はどうすんのよ?

 

『ついてくっていってもあたしの一部、端末みたいなもんだよ。多分あんたは向こうの世界でも事件を巻き起こすから、あたしが助けたげる。』

 

事件を巻き起こすってナーガじゃあるまいし…って?

 

「ルシファー、そう…」

 

『あ、これからはあたしのことは〈エル〉ってよんで?あたしの名前って向こうの世界でも魔王の名前らしいからさ。』

 

「さいですか…じゃあエル、あたしと一緒に痴女丸出しの格好した乳でか女来なかった?」

別に心配してるわけじゃないけど…一応ね。

 

『あ、あのナーガって人なら今から行く世界に転生させたよ?もっともあんたとは別の場所だけどね。』

 

…なんかまた将来腐れ縁になるような気が…ま、なんとかなるでしょ。

 

『それじゃ…ほいっと!』

 

エルが手をかざすと目の前に虹色の光。

 

『ここをくぐったらもう戻れないよ…覚悟はいい?』

 

エルの問いかけにあたしはサムズアップで返す。

 

「うん…行くよ、新たな世界に!」

 

決意を胸にあたしとエルは虹色の光に身を投げた。

 

 

 

 

 

…とまぁ、そんなことがあってからはや9年の月日が流れ去り…あたしは新たな家族や友人と出会った。

 

エルのいうとおり、どーやらあたしはトラブルを招く体質らしい。そのせいであたしは色々な物を失ったわ。でも…かけがえの無い大切な物も得た。それは…………………

 

弟♪

 

え、聞こえなかったぁ?仕方ないわね、もう一度だけ言うわよ…弟よ♪

 

前世のあたしにとって兄弟姉妹とは恐怖の対象でしかなかった…でもあの子がそれは間違いだと気づかせてくれた。

 

歳は同じでも後に産まれたんだから弟には違いない。

 

そんな子があたしに『お姉ちゃん♪』ってなついてくれた時あたしは真理に目覚めたの…『弟は愛でるもの』って事に。

えっ、キャラが違う?…そんなの転生して生まれ変わったんだから当然じゃない?

 

ま、そういう訳で次回からはいよいよこの天才魔導師たるこのあたし、リナ・スプリングフィールドと最愛の双子の弟、ネギが遠い異国・日本で先生になって大暴れっ?!

 

次回も見てくんないと暴れちゃうぞ?




ご感想やご意見、ご指摘、評価などいただけたら励みになりますので、よろしくお願いいたします。(ペコリ)


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1限目 お子ちゃま姉弟、麻帆良へ!

いよいよ本編開始です。

では、どうぞ!


NO SIDE

 

〈金色の魔王〉エルの手違いにより、異世界に転生した元リナ・インバースことリナ・スプリングフィールド。9歳になった今年、双子の弟ネギと共に魔法学院の卒業式を迎える…

 

SIDE:リナ

 

『…え~卒業生の諸君、この学院でよく頑張ってきた。だが、これからが…』

 

…ふわぁ~ぁ…いつもながら長いなぁ、校長の話…もうちょっとなんとかなんないもんかしら?

 

『それでは卒業生代表、ネギ・スプリングフィールド君は前へ!』

 

「ハイ!」

 

お!我が最愛の弟、ネギの晴れ姿!…デジカメどこだっけ…あ、あったあった。

あたしはデジカメでネギの晴れ姿を撮影する。

 

『…ん~、リナ・スプリングフィールド君?』

 

なによ、あたしは忙しいんだから邪魔しないでよ?

 

『…君も卒業生なのだがね、んんっ?!』

 

…あ。

 

しまった、ついつい…でもこれはネギが可愛すぎるからであって…

 

『いやだから君も卒業生代表でしょ、前に出て!』

 

「…リナ、写真は私が撮っておくから心配する事ないわよ、安心なさい。」

 

少し恥ずかしそうにそう言うのは、あたしとネギの保護責任者でもある従姉のネカネねーちゃん。

 

「わかったわよ…その代わり後でコピーよろしく!」

あたしは立ち上がると壇上へ。

 

校長先生とネギは呆れた表情ながらも待っててくれた。

 

「もうリナお姉ちゃん恥ずかしいよ…」

 

「まぁネギ君、いつもの愛情表現だから気にしてはおらんよ。」

 

校長先生はそういうと卒業証書を読み始め、座学の首席であるネギに証書を渡す。そして…

 

「実技首席、リナ・スプリングフィールド君…卒業おめでとう!これからもがんばるように。」

 

「はいっ!ネギと一緒にがんばりますっ!!」

 

校長先生から記念の楯を受け取ったあたしは壇上でVサイン!…ネカネねーちゃんはなんでか顔を隠してたけど。

そして式が終わって…

 

「リナ、ネギ!」

 

最後のホームルームが終わって帰りの道を歩いていたあたしとネギを呼び止めたのはネカネねーちゃん、そして…

 

「…相変わらず仲いいわねあんたたち…見てるこっちの方が恥ずかしいわよ?!」

 

「あ、アーニャ…そういやアンタもいたんだっけ。」

 

この子の名前はアンナ・ユーリエウナ・ココロウァ。小さい頃からの幼なじみで、あたしたちはアーニャって呼んでる。

 

「いたんだっけは無いでしょ?!…それよりあんたたち、見習い先は決まったの?」

 

そう、あたしたちは魔法学院を卒業したら一人前の魔法使いになるために仕事につく決まりになってる。…まぁ研修みたいなもの?

そしてその行き先と内容は卒業証書に浮かび上がる事になっているのだ。

 

「そういうあんたはどうなのよ?」

 

あたしが尋ねるとアーニャは自慢げに答える。

 

「わたし?わたしはロンドンで占い師よ!…同じイングランドだしよかったわ。」

 

「ハイハイ、よかったわね…さて、あたしの行き先はっと…お、どれどれ…はいっ?」

 

…卒業証書に浮かび上がった文字を見てあたしは唖然としてしまう。そこには…

 

『姉弟2人で日本の麻帆良学園で先生をする事』

 

…なん…だと?

 

これなんの冗談よっ、あたしたちはまだ9歳よ?「校長先生、これは何かの間違いじゃ…いくらなんでも無理です!」

 

 

ネギが校長先生に直談判してるのも無理無いわ…ん?ちょっと待って…

 

(これってしばらくネギの事一人占め?!…むふっ、むふふふっ…)

 

「…わかりました校長先生。この修行必ず成し遂げてみせます!」

 

「リナお姉ちゃん?!」

 

「ち、ちょっとリナ本気?」

 

ネギは当然として、ネカネねーちゃんとアーニャも不安そうだけど…

 

「いいっネギ、どっちみちこれクリアできないと正式な魔法使いにはなれないんだし…大丈夫、2人でやればなんとかなるわよ、ね?」

「リナお姉ちゃん…うん、わかった!僕もやるよ。」

 

よっしゃあっ!

 

「リナ、ネギ…ほんとに大丈夫なの?私心配だわ…」

 

「な~に、行くことになる麻帆良学園は儂の知り合いが校長だから融通は利かしてくれるじゃろう。…だがくれぐれも魔法の事は秘密厳禁じゃぞ?もしバレるようなことがあれば…」

 

…あれば?(汗)

 

「…妖精オコジョの刑のうえで死ぬまで牢獄行きじゃ。」

 

…ま、まぁバレなきゃいいんでしょバレなきゃ?日本に行くのは初めてだけど楽しみっ!

 

そして数日後…あたしとネギは遠く離れた麻帆良学園都市へと辿り着いた。

 

SIDE:ネギ

 

初めて乗った日本の電車は学生さんで物凄く混んでる。

 

「…これが通学ラッシュってやつかしら?」

 

リナお姉ちゃんも目を白黒させてる。ウェールズじゃこんなことなかったから…

 

周りのお姉さんが視線を こっちに…子供が珍しいのかな?

 

「ねぇボクたち何処へ行くの?この先は中学と高校だよ!」

 

はい、僕とお姉ちゃんは中等部の校舎に向かう途中なんです。

 

「そっかー…中等部は次の駅だから気をつけて行きなよ?」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

『…次は、麻帆良学園都市…お降りの方は…』

「どうやら着いたみたいね…いくわよネギ!」

 

うん、お姉ちゃん!

 

僕たちは手を繋ぐと歩き出す…目指すは中等部の校舎!

 

NO SIDE

 

こうして修行の第一歩を踏み出したリナとネギの姉弟。果たしてこの先、どんな出会いが待っているのか、それはまだ誰も知らない…。

 




次回はアスナと木乃香が登場予定。他にもサプライズ?


ご感想やご指摘、評価などいただければ幸いです。どうかよろしくお願いします!


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2限目 運命の出逢い

なかなか前に進まない…では本編どうぞ。


NO SIDE

 

リナとネギが麻帆良の駅に降り立った頃、2人の運命を担う少女たちの歯車もまた、回り始めるのだった。

 

 

 

SIDE:明日菜

 

『登校中の生徒に連絡です。今週は遅刻撲滅週間です。遅刻した生徒は…』

 

「のわぁ~っ?!…ち・こ・く・だぁ~っ?!」

 

ヤバい、今日は早く行かなくちゃいけなかったのにぃ!

 

「すまんなぁアスナ、ウチの用事に付き合ってもうて。」

 

謝ってきたのはあたしの親友で寮のルームメイト、近衛木乃香。

 

「それはいいんだけどさ…なんであんたが新任の教師迎えに行かなきゃいけないのよ?」

「おじいちゃんに頼まれたんよ~。」

 

実は彼女、学園長の孫娘だったりもする。

 

「…だいたいさ、学園長の知り合いだったらそいつらもジジイやババアじゃないの?」

 

「そうかなぁ…でも『今日は運命の出会いあり』って占いにはでてるえ?」

 

ピクッ!

 

木乃香の言葉に思わず耳が反応するあたし。木乃香の占いはよく当たるのだ。

 

「マ、マジ?!」

 

「…しかも回転しながら好きな人の名前を10回言って最後に『ワン!』って鳴いたら願いがかな…」

 

「高畑先生、高畑先生、高畑先生…(×10)…ワンっ!」

 

よし、言い切ったわ!これで…そう思いながら木乃香の方を見るとその引いた表情は…えっ?!

 

「まさか本気にするとは思わなんだわ…?!」

 

冗談…だと?…いくら木乃香でも承知しないわよ?!

 

「それはそれとしてアスナ足早いなぁ~、わたしローラーブレードやのに?」

 

…悪かったわね体力バカで。あたしがそう言おうとすると…

 

ふわっ…

 

何か真横に風を感じてそちらを向くと、そこには赤い髪の毛の子供…9~10歳ぐらいかな?

 

「あの~…あなた、失恋の相がでてますよ?」

 

………え゛?!(怒)

 

あたしは思わず足を止めると…

「なんだとコンガキャーっ?!」

 

「ひえ~っ?!…な、何か占いの話をされてたみたいなので…」

 

おどおどしながらも話を続けるガキんちょ。むか~っ!

 

「どういうことよ、適当な事言ってたらただじゃおかないわよ?」

 

「い、いえ…でもかなりドぎつい失恋の相が…?!」

 

まだ言うかこの口は!あたしはガキんちょの頭をわしづかみにして吊り上げる。

 

「い、痛いですぅ~っ?!」

 

「止めといたり~なアスナ?まだちっちゃい子やんか。」

 

「あたしはガキんちょが嫌いなのっ!…第一、ガキんちょが一体中等部に何の用が…」

『…リナ・ストラ~ッシュ!』

 

バキッ!

 

「がはっ?!」

 

突然した声と共に、今度は女の子が飛び蹴り!あたしとガキんちょはブッ飛ばされる。

 

「あたたっ…いったいなんなの…」

 

「なんなのじゃないわよ!」

 

身体を起こしたあたしの前に立ちはだかったのはガキんちょと同い年ぐらいの女の子。

 

「あんた、あたしの最愛の弟になにしてくれんのよ?!その罪、万死に値するわっ!」

 

「弟?!あんたお姉ちゃんならちゃんと教育…」

 

「お黙りっ!ちょっとばかり身長と胸があるからって馬鹿にすんな!!」

な、なんなのよこの子?

 

「あんな君たち?ここは麻帆良学園の中等部の校舎で、初等部は1つ前の駅やで?!」

 

「そ、そうよっ?!わかったならさっさと…」

 

 

「いや、ここであってるよアスナくん、木乃香くん!」

 

(えっ…今の声ってまさか…)

 

あたしが声のした校舎の2階を見上げると、そこにはヤングアダルトな男性の姿。

 

あの人の名前はタカミチ・T・高畑先生。あたしの憧れの人。

 

「お、おはようございます高畑…『タカミチっ!久しぶり~っ!(×2)』…え゛っ?!」

 

(こ、この子たち高畑先生と知り合いなの?)あまりな展開に戸惑ってるあたしに高畑先生の言葉が追い討ちをかける。

 

「2人とも本当に久し振り、そして麻帆良学園へようこそ。…いいところでしょう、『ネギ先生、リナ先生』?」

 

(え゛っ…?!)

 

超斜め上の予想外な展開に声の出ないあたし。

 

「せん…せい、なん?」

 

唖然とした表情で尋ねる木乃香に2人のガキんちょ…リナとネギは互いに見合って頷いた。

 

「あ、はい。…今日よりこの学園で英語を教える事になりました、ネギ・スプリングフィールドです。よろしくお願いします!」

 

「…あたしはリナ・スプリングフィールド。ネギはあたしの弟よ。化学の授業を受け持つわ…とりあえずはよろしくね♪」

…ち、ちょっと待ちなさいよこんなガキんちょらが先生なんて…

 

「大丈夫だよ。2人ともこう見えて大卒資格持ってるからね。」

 

いつの間にか降りてきた高畑先生…だ、大卒資格ぅ?!

 

「あと、僕の代わりに君たち2ーAの担任と副担をしてもらうから。」

 

「え、そ…そんなの嫌です!このガキんちょら…じゃなくてこの子たち失恋…失礼な事ばっかり?!」

 

「でも本当の事…」

 

「本当っていうなぁ~っ?!…大体あたしはガキんちょが嫌いなのっ!あんたらみたいに無神経でチビで…」

 

あたしが怒鳴るのを弟のほう…ネギはムスッとした顔でにらみながら聞いてる。一方のお姉ちゃん…リナは少し離れた所からこっちをにらんでぶつぶつ言ってるみたいね。「…………ん………ハ、ハクチンっ?!」

ぶわっ!

 

…?! ネギの奴がくしゃみした途端に一瞬つむじ風が。何よ、今、の…

 

周りの醒めた視線にふと自分を見ると、な…

 

「なんであたし下着姿にっ?!」

 

「…毛糸のクマパン…お・子・ち・ゃ・まね♪」

 

リナが小馬鹿にした口調で呟く。でもそれより…

 

「…高畑先生にみられた、クマパン…な、なんで~っ?!」

 

朝の校庭にあたしの悲鳴が響き渡った…

 

SIDE:リナ

 

ふふっ…どうやらうまくいったみたいね。

 

実はネギってくしゃみすると魔力が暴走して武装解除〈フランス・エクセルマティオ〉が暴発するのよね~。

だからあたしはちょっとネギの鼻をむずむずさせてくしゃみを誘発させた…ってわけ。

 

(…まさか毛糸のクマパンとは思わなかったけど。)

 

というわけで場所は変わって今は学園長の部屋。

 

「いったいどういうことなんですか、学園長先生?!」

 

ただいまアスナが学園長先生に絶賛クレーム中。でも…

 

「まあまあアスナちゃんや…そうか、修業の為にここで先生を、しかも姉弟2人でか…」

 

「は、はい…よろしくお願いします…」

 

もう!相変わらずネギは堅苦しいわね?…まぁ、そこが可愛いんだけど♪

 

「しかしまぁまずは教育実習じゃな…とりあえず3学期の間頑張るのじゃな。」

「は、はいっ!」

 

…どうやら話は終わったみたいね。

 

「…そうじゃ、もう1つ言いわすれとったわい…アスナちゃん、木乃香。しばらくネギ君とリナちゃんをお前たちの部屋で預かってくれんかの?」

 

「わたしはえ~よ~。」

 

「なっ?勝手に決めないでよ木乃香?!」

 

それはこっちのセリフよ?!…とは言っても仕方ないか。

 

コンコンっ!

 

「おう、入っておいで。」

 

「失礼しますわ、学園長先生。…雪広あやか、参り…?! 」

 

ノックの音の後入って来たのは黄色の髪のロングヘアーの女の子。でも何かあたしとネギを見て硬直してる。

「げ、いいんちょ?!…いったい何しに来たのよ?」

 

「今日からわたしたちの担任と副担になられるお方たちをお迎えにきたのです!…ところで、そちらのお二人は?」

 

「…この子たちがその先生やでいいんちょ。男の子がネギ君、女の子がお姉ちゃんのリナちゃんや。そんでネギ君とリナちゃん、彼女は雪広あやか。ウチのクラスの委員長や。」

 

木乃香がお互いを紹介してくれた。

 

「ネギ・スプリングフィールドです。よろしくお願いします、雪広さん!」

 

「リナ・スプリングフィールドよ。リナでいいわ、よろしくね。」

 

「…雪広あやかでございます。以後、お見知りおきを。…じゃ、クラスに案内しますわね。」

 

さぁ、いよいよ生徒たちとご対面ね、どんな子たちか楽しみだわっ!

 




原作1話終わるのになぜこんなにかかる…まだ半分だぞ(苦笑)

ご感想やご指摘、評価などお待ちしています!


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3限目 初登校、初授業、そして初バレ?!

この辺から少しずつキャラ設定などが改変されます。ご了承のうえお読みください。(ペコリ)


SIDE:あやか

 

あたくしの名前は雪広あやか。麻帆良学園の学園長先生からのご依頼で、3学期から新たに来られる先生方をお迎えにいくことに。

 

…一応、学園長先生から『2人とも年下なので、目をかけてあげて』とは聞いてはいました。しかしそのお姿を見た瞬間にわたしは感じましたの。

 

「天使きたーっ!」と。

 

弟のネギ先生はとても9歳とは思えないほど凛々しく、愛らしく…

 

姉のリナ先生もまた年相応の可愛さの中に感じる姉弟愛の深さ…あぁ、2人ともお持ち帰りしたいですわ!

 

(はっ?!)い、いけないっ…わたしの使命はお2人を我がクラス・2ーAの生徒たちに紹介して馴染んでもらうことですわ!

それにしても…緊張の面持ちでついてくるネギ先生と口笛吹いてどこいく風のリナ先生、同じ双子とは思えませんわね…

 

 

SIDE:ネギ

 

…ここに僕たちが教える生徒たちが?

 

「はい、麻帆良学園中等部2ーA…わたしや木乃香さん、それとそこのおサルさんのクラスですわ。」

 

「誰がおサルよこのショタコン?!」

 

「ショタコンとは何ですかショタコンとは?!」

 

「2人ともやめよなー、先生らの前やで?」

 

取っ組み合いを始めそうな雰囲気の2人を止めてくれたのは木乃香さん。

「「う…?!」」

 

「あ、ありがとうございます木乃香さん!」

「お礼なんかえーよ。ネギ君とリナちゃんはこれからウチらの先生なんやから…あ、それとこれは高畑センセから預かり物や♪」

 

そういって木乃香さんが渡してくれたのは…クラス名簿?

 

「ほら、ウチのクラスは留学生が多いから。早く覚えられるようにちゃうかな?ほらこれはリナちゃんの分や。」

 

「…ありがと。」

 

あれ、お姉ちゃんの木乃香さんを見る目が怖い…なんでだろ?

 

「さ、それでは入りましよう、皆さん待ってるはずですよ?」

 

 

まず最初にいいんちょさんがドアを…ってあれは?!

 

ふと扉の上を見るとドアの隙間に黒板消し…ダメだ、いいんちょさん気がついてない?!…よしっ?!

 

僕は黒板消しを止めようとしてふと気づいた。

 

(ダメだ、魔法がバレちゃう?!)

 

でもどうしたら…

 

『んもぅ…エル・エル・カオス・オーシャンズ…魔風[ディム・ウイン]!』

 

次の瞬間、後ろから起きた突風に僕といいんちょさん、更にはアスナさんと木乃香さんが巻き込まれて…

 

「うわあぁ~っ?!(×4)」

 

 

ドンガラガッシヤーン!

 

僕たちはそのまま教室の奥まで吹っ飛んだ。あ、あれ…痛くない?

 

 

「だ、大丈夫ですかネギ先生…?」

 

「も、もうなによ今の風は?!」

これっていいんちょさんとアスナさんが庇ってくれた?

 

「あ、ありが…」

 

「わ~っ、ごめんアスナ、いいんちょ?!」

 

「てっきり新しい先生かと…」

 

「…というかその子だれですかー?!」

 

倒れた僕たちに駆け寄ってきたのはベリーショートの女の子とあと2人は…双子…?身長は僕と同じくらいのそっくりな子達だ。

 

「この方が新しい先生ですわ、お3人方。それとあともう1人…」

 

「おまえら~っ?!」

 

大きな怒声と共に飛んできたのは…予想通りリナお姉ちゃん。今回は…ハリセンではっ倒した?!

 

「あたしの可愛い弟に何してくれてんのよアンタら?!…覚悟はできてんでしょーね?」

「ひ、ひえ~っ(×3)?!」

 

こ、これはマズイ…と言うか…

 

『…お姉ちゃん、今魔風で吹っ飛ばしたのお姉ちゃんだよね?』

 

僕とお姉ちゃんは双子なせいなのか、心の中で会話ができる。

 

『ナ、ナンノコトカシラー?』

 

『ふ~ん、とぼけるんだ…お姉ちゃんの事嫌いに…』

 

『…ゴメンナサイ、ワタシガワルイデス!』

 

 

…身代わりはやっ?

 

「…と思ったけど初めてだから勘弁してあげるわ。だけど次からは…?!」

 

「も、もうしませ~んっ?!」

 

どうやらあの子達も反省したみたい。

 

「はいはい、皆さん席について!…それではネギ先生、リナ先生、自己紹介を。」

 

「は、はい…ええと、僕は今日からまほ…じゃなかった、英語とこのクラスの担任を受け持つ事になりましたネギ・スプリングフィールドです。…よ、よろしくお願いします!」

 

「…同じく、化学と副担を受け持つリナ・スプリングフィールドよ。ちなみにネギはあたしの弟…迂闊に手をだしたらさっきの子達みたいになるから。…ま、しばらくの間よろしく。」

 

僕とリナお姉ちゃんが自己紹介すると一瞬の静寂の後…

 

『か、かわいいぃ~っ!』

 

皆が一斉に寄ってきて僕もお姉ちゃんももみくちゃに?!

「何歳なの~っ?」

 

「あ、あの、10歳で…?」

 

「どっから来たの、何人?!」

 

「…ウェールズよ、英国人でいいんじゃない?」

 

「今どこに住んでんの?」

 

「今のところどこにも…」

 

「ねぇ、君たちって頭いいのっ?!」

 

「一応大卒資格はあるわよ。…それより離して、ぷりーず…」

 

お姉ちゃんも抵抗できず…凄いパワーだなこの人たち。でもなんとか歓迎されてるみたいだからよかった…。

 

「それじゃそろそろ…ん?」

 

なんだかあちこちから視線を感じる…誰だか解らないけど。

 

でも1人だけは解る…あの人、アスナさんがこっちをにらんでる…さっきは悪いことしたからなぁ…でも因縁吹っ掛けてきたのはあっちだし、うん。

 

僕は気にせず授業をはじめた。ところが…

 

SIDE:リナ

 

「気にすること無いわよネギ。慣れればなんとかなるって?!」

 

「ううっ、お姉ちゃん…」

 

その日の放課後、あたしとネギは校庭を散歩していた。

 

結果からいえばネギの初授業はさんざんだった。

 

あのアスナって女と委員長が取っ組み合いの大喧嘩で授業どころではなくなったのだ。

 

「…はぁ、一度タカミチに相談してみようかな?」

…それもいいかもね。それにしても…

 

「なんなのよ、あのアスナって子?!あたしたちを目の敵にしてさ!」

 

あたしはタカミチからもらったクラス名簿を見る。

 

クラス番号8番・神楽坂明日菜。へー、神楽坂って名字なんだ、変わってるの。

 

「お姉ちゃん、僕あの人と上手く付き合えるか心配だよ…」

 

ん~、第一印象が最悪だったもんね、あたしたち…おや、あれは?

 

ふと階段の方を見ると1人の女の子が大量の本を持ってふらふらしながら歩いてる…あの子確か…

 

「…あの子うちのクラスの子だよお姉ちゃん…27番の宮崎のどかさん。」

「あんなにたくさん本持って、前見えてないんじゃ…あっ?!」

 

くきっ?!

 

「あっ…きゃあああっ?!」

 

ほら言わんこっちゃない!…ネギ、サポートお願いっ!

 

「うんっ!ラス・テル・マ・ステル・マギステル…」

 

「エル・エル・カオス・オーシャン…翔封界[レイ・ウィング]!」

 

ネギが落下速度を軽減させてるうちに、あたしは高速飛行の呪文でのどかをキャッチ!…ふう、危なかったわ…

 

「リナお姉ちゃん、大丈夫…あ?!」

 

どうしたのよネギ、何が…げ。

 

ネギが指差す視線の先にいたのは、買い物袋を下げた神楽坂明日菜と雪広あやかだった…出勤初日でなんでこうなるのよ~っ!




ついにばれてしまったリナとネギ。果たして2人の運命は?!

多分次回で原作1話が終わります。なんで1話だけで70ページもあるんだよ~?!


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4限目 わずかな勇気が本当の魔法

やっと原作第1話が終わります。長かった…(苦笑)


NO SIDE

 

階段から転落しかけた宮崎のどかを救出する事に成功したリナとネギ。だが偶然その場に居合わせた神楽坂明日菜と雪広あやかに見られてしまう。

 

果たして2人の運命は?!

 

SIDE:リナ

 

あ~、なんでこうなんのよっ?!

 

せっかくのどかを助けて一安心…と思ったら、なんでそんなとこにアスナといいんちょがいるのよ?!

 

「あ、あんたたち…?」

 

「ネギ先生、リナ先生、今のは…?!」

 

その時後ろで気を失ってたのどかがもそっと動いた…まさか目を覚ました?

 

「…はっ?!」

 

えっ、アスナがネギ連れて何処かへ…速っ?…ダメだ、見失った…でも追いかけないと…

 

あたしが駆け出そうとしたとき、後ろから肩に手が…そういえばあやかの事忘れてたなぁ…

 

「リナ先生、説明しといただけますよね?!でないと…」

 

…仕方ないか。でもその前に場所変えるわよ。…のどかが完全に目が覚める前にね。

 

「…わかりましたわ。それではこちらに…」

 

あたしとあやかはまだ気を失ってるのどかを階段の側にもたれさせるとその場を離れ…

 

「ここなら他の方には伝わりませんわ。」

 

つれてこられたのは外れの喫茶店の奥まった席。…なるほど、ここなら大丈夫そうね。

「…で、どこまで見ちゃったの?」

 

「わたくしたちも宮崎さんが落ちるのを目撃して駆け寄ろうとしたら急に落ちるスピードが遅くなって…気がつけばリナ先生が宮崎さんを…」

 

…ほぼ一部始終じゃん。こりゃ本気でオコジョの刑?

 

「心配しないでくださいリナ先生。わたくしは別にあなた方をどうしようとは思いませんわ。」

 

へっ?それってどーゆー事?

 

「わたくしも常々思っているのですが…どうもわたくしたちのクラス、2ーAには何故か特殊な方ばかり集められてるように思えて…そうでなければリナ先生やネギ先生もこんな簡単に受け入れられるはずが…」

 

…! それは…魔法を知っているネカネねーちゃんですら、あたしたちが先生するのを不安がってたのだ。普通の生徒が不審がらなかったのは確かに疑問に感じるかも。

 

「…ですからリナ先生、正直に教えてください…リナ先生とネギ先生は何者なのか、今の現象の理由を。大丈夫、秘密は必ず守りますわ。」

 

真剣な目で話しかけるあやか。…ふう、わかったわよ。

 

「その代わりお願い、あたしは最悪どうなってもいいからネギだけは守ってほしいの…OK?」

 

それを聞いたあやかは涙目になって答える。

 

「もちろんですわ!妹に頼まれて嫌っていう姉なんて姉じゃありませんものっ?!」

…?! あ、あの~っ、いつからあたしたち姉妹に…?(汗)

 

あたしは頼る人を間違ったかと一抹の不安を感じながらもこれまでの顛末を説明する。

 

「…魔法使い…ですか。それは…」

 

まぁそれは当然の反応とは思う。元々ここは魔法のない世界、簡単には受け入れられるわけが…

 

「魔法少女キター…ですわっ!」

 

…受け入れられたっ?しかも食いつき方おかしくないっ?

 

「リナ先生みたいな可愛いお子様が魔法少女だなんて…あ、鼻血が…」

 

今わかった。あやかは…ショタコン、しかも真性の。

 

「わかりました。リナ先生とネギ先生は必ずわたくしがお守りしますわ。アスナさんもわたくしが説得しますから。」

ほんとに?!…う~みゅ、真性ショタコン恐るべし…。

 

「さて、今何時…いけない!リナ先生、行きますわよ!」

 

えっ、どこにっ…ってうわっ?!

 

あやかはあたしの手をとると何処かへ向かって駆け出した。いったいどこへ…

 

ってここは2ーAの教室?!

 

ガラララッ!

 

扉を開けるとそこは…?

 

「あ、いいんちょとリナせんせーだ!」

 

「よかった~、これで全員集合だね♪」

 

こ、これっていったい…そう思って黒板の方を見ると…

 

『ネギ先生とリナ先生、ようこそ麻帆良学園へ!歓迎パーティー』

…は?これって…?

 

「…実は当初から歓迎会を開こうと企画してまして…わたくしとアスナさんは買い出しの途中で。」

 

 

はー、なるへそ。そういうことか…よく見るとネギとアスナもすでに他の生徒たちと騒ぎあってる。

 

「…どうやらアスナさんも引いてくれたみたいですわね。まぁ後で念を押しておきますわ。」

 

はぁ…どーにか切り抜けたみたいね。

 

「うぅ…お姉ちゃん…怖かったよぅ…」

 

ネギが泣き面で寄ってくる…アスナ、あんたいったいネギに何したのよ?次第によっちゃあ許さないわよ?

 

「…何もしてないわよ。さっきの件の事を詳しく聞いて、あたしに協力してもらう約束をしただけ。」

 

約束?

 

『アスナさん、タカミチの事が好きなんだって。だからタカミチの本当の気持ちが知りたいから手伝えって…』

 

…な~る、ネギは読心術が使えるからそれで…か。でも…

 

『ネギ、確かあんたの読心術って…あ。』

 

あたしが確認する前にネギはタカミチに近づき手をオデコに。あれじゃバレバレよまったく?!

 

そうこうしていると「パイパン」とか「クマパン」とか…クマパンはわかるけどパイパンって…ネギ、あんたまさかっ?

 

あ、アスナが外に飛び出していってネギがあとを追っていった。

 

あたしはタカミチに近づき話しかける。

「やぁ、リナ先生。楽しんでるかい?」

 

「えぇ、それなりにね。…それにしてもタカミチ、あんたアスナの事どう思ってんの?マジな話で。」

 

あたしの質問にタカミチは困った表情を見せる。

 

「アスナくんは大事な教え子…それ以上でもそれ以下でもないよ。それがどうしたんだい?」

 

(…どうしたって…うん、頑張れアスナ。)

 

あたしが遠い目をしながら心の中で呟いてると…

 

ドンガラガッシャン!

 

…な、なに今の音?教室の外から聞こえたけど…

 

「何事ですの?!今のそ…うお…ん…は?」

 

いち早く廊下にでたあやかが声を詰まらせる。

 

いったい何が…って…え?

 

階段で繰り広げられてたのは、アスナとネギが抱き合うシーン。

 

「アスナぁ…、いったい何やってるのよ!」

 

「ち、ちが、これは…」

 

「違うんです、誤解です!」

 

2人は慌てて否定する。うんうん、ネギが悪くないのはわかってる。悪いのは…

 

「あたしだって何もしてないわよっ、ただ…こ…」

 

問答無用、おしおきよ!

 

「必殺、スリッパストラッシュ!」

 

スパパーン!

 

「あだっ?!あんたそのスリッパどこからっ?」

 

あぁこれ?英国女子の身だしなみよ。

「アスナさん、あなたって人は…恥を知りなさい、恥を!」

 

「だから違うって…ほらあんた…先生からも何か言ってくだ…」

 

「(プシュー)…き、記憶を失え~っ?!」

 

「やめえ~ぃ!」

 

…何このカオス…もー好きにして…

 

こうしてあたしたちの歓迎会はドタバタのうちに終わり…。

 

あたしとネギ、アスナ、木乃香、あやかは寮への帰り道。

 

「はーっ、今日はほんとにひどい目にあったわ…これもみんなあんたたちのせいよっ!」

 

「…最後のは自業自得な気がするんだけど…」

 

「何か言った?!」

 

「べっつに~?」

 

アスナの愚痴は止まらない。

 

「…だいたい、お姉ちゃんはともかくネギ君、確かに頭はいいみたいだし魔法も使えるらしいけど中身はただのお子ちゃまじゃん?そんなことで先生なんてできるの?!」

 

アスナの言葉に落ち込むネギ。仕方無いじゃない、まだ慣れてないんだからさ。

 

「アスナ~、電車来たで~っ!」

 

少し前を歩いていた木乃香が振り向き声を掛けてくる。

 

「さて、帰ろっか…ところであんたたち、帰るとこ…仕方無い、うちに来なさいよ。」

 

あれ、どういう風の吹き回しよ?!

 

「…ま、さっきのアンタのセリフはちょっとぐっときたかな?」

セリフ?

 

『ネギ、あんた何て言ったのよ?』

 

『えっ、ほら…昔おじいちゃんが言ってた、「わしらの魔法は万能じゃない、わずかな勇気が本当の魔法だ」ってあれ…』

 

あぁ…確かにあれはあたしも好きな言葉だな。

 

「このまま頑張れば…そしたらアンタもいつかは立派な先生になれるかもね♪」

 

アスナ…ちょっと難しいところもあるけど、悪い子じゃないみたいね。

 

「えっ?!それじゃわたくしの部屋には…?」

 

…あやか、今日のところは諦めなさい。また遊びには行ってあげるからさ。

 

「本当ですわね、絶対ですわよっ!」

 

あやかも木乃香も優しいいい子だし、なんとかうまくやれそうね…

 

あたしは空に浮かぶ月を眺めながら、そんなことを考えてた…。




あやかは2人にとってのお姉ちゃん(ネカネさん的な)になっていく予定です。


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5限目 最強《妹》危機一髪?!

今回の話、ほのぼのと感じるかホラーと感じるかは…貴方しだいです(笑)


SIDE:あやか

 

『『あやかお姉ちゃん♪』』

 

…あら、リナ先生にネギ先生…いつものスーツ姿じゃなくリナ先生はピンクのワンピース、ネギ先生は水色のパーカーにカーキ色の半ズボン…

 

『二人ともよくお似合いでしてよ、リナ先生、ネギ先生。』

 

わたくしがそういうと2人はふくれた顔。

 

『もう…そんな他人行儀はやめてよ、あやかお姉ちゃん♪』

 

『そうそう、もうあたしたちはあやかお姉ちゃんの弟と妹なんだから…リナ、って呼んでくれていいんだよっ♪』

 

はにかんだ笑顔で答えるリナ先生…いや、わたくしの可愛い妹・リナ!『あぁ…もう我慢できませんわ、リナぁっ!』

 

わたくしは可愛い2人の弟と妹に抱きつく。

 

「…うわぁ?!抱きつくなこのショタコンっ!」

 

…はいっ?

 

ドゲシッ!

 

顔面に痛みを感じて目を覚ますとそこに立っていたのはスーツ姿のリナ…先生。

 

「せっかく一緒に登校したげようと思って起こしに来たのになによ『我慢できませんわ』って…一体どんな夢見てたのよ…?!」

 

そ、そんなの言えるわけ…?!

 

「わ、もうこんな時間…ほら、さっさと支度して学校行くわよっ!」

 

ま、待ってくださいまし?!…わたくしは制服に着替えるとリナ先生と一緒に寮を飛び出し駅に向かう。

 

「あ、いいんちょや…おはよーさん。」

 

「おはようございます、あやかさん!」

 

「げ…朝からアンタと一緒なんてついてないわ。」

 

それはこっちのセリフですわアスナさん?

 

…でもリナ先生に続いてネギ先生にもお逢いできたのはラッキー以外の何者でもありませんわ!

 

今日はきっと素晴らしい1日になりますわね。

 

そして授業が始まって1限目は化学…そう、リナ先生の初授業!

 

「え~と…改めて自己紹介ね。とりあえずこの3学期化学を担当するリナ・スプリングフィールドよ。あたしが教える以上は赤点なんか許さないから覚悟しておきなさい…いいわね?!」

リナ先生の決意表明にわたくしは思わず拍手を贈る。

 

「…別に拍手までしなくていいわよ。じゃ最初に…」

 

そうやって始まったリナ先生の授業。初めはみんな興味半分で受けてたみたいですけど…その10歳の子供とは思えない落ち着きぶりと、ウイットに富んだ授業に皆真剣な表情に。…バカレンジャーの5人もさることながら、あのハカセさんや超さんまでまともに参加なさってましたのはビックリでしたわ。

 

それで2限目はネギ先生の英語の授業だったのですけど…アスナさんがなんやかんやと因縁吹っ掛けるせいもあってドタバタに。

 

…あぁ、ネギ先生落ち込んでおられてるにきまってますわ…お慰めしないと。

いったいどちらに…

 

「ヤッホー、あやか。」

 

「リナ先生?!どうなされたので?」

 

リナ先生から話しかけていただいたのは物凄く嬉しいのですが…

 

「なによ。…ネギどこかで見なかった?…授業失敗したって聞いたからさ、励ましてやろうと思ってさ。」

 

あぁ、やっぱりリナ先生はお姉さんなのですわね…わたくし感動ですわ!

 

…おや、あれはネギ先生。いったい何を…?

 

「で…できた!これを飲めば人間だけじゃなくてあらゆる異性にモテモテに…これならアスナさんも喜んでくれるはず!」

 

ネギ先生は何か液体の入った瓶を片手に教室の方へ走っていく。

 

「ネギ先生…リナ先生、今のはいったい?」

 

「あのバカ…多分今のは惚れ薬よ。」

 

「惚れ薬?!」

 

リナ先生は首を振りながら話を続ける。

 

「あれを飲むと一定時間モテモテになるわ。だけど…」

 

その時教室の方から大声が…

 

「「「「ネギ先生ーっ♪」」」」

 

「ひえ~っ?!ア、アスナさん助けて~っ?!」

 

…ネギ先生が複数の生徒に追い回されてる…なんでですの?

 

「あ~あ…あの薬って特定の人じゃなくて飲んだ人のことを周りの人が無差別に好きになる薬だから。…たぶんネギがアスナあたりに飲まされたのね。」

 

そんな…早く助けに行かないと!

 

「…行きたいのはやまやまなんだけど、今行くとあたしたちも影響受けちゃうから…ま、ネギならなんとか逃げ切れるんじゃない?!」

 

あ…いわゆる『ミイラ取りがミイラ』というやつですわね…ネギ先生、どうかご無事で…

 

「だいたいさー、ネギよりもあたしの方が薬関係は得意なんだからあたしに相談すりゃ良かったのに。」

 

え、そうなんですの?!

 

でもリナ先生は化学の先生ですから納得ですわね。

 

「ちなみに…これがあたしが造った惚れ薬♪…この薬の匂いを嗅いで初めて見た人に一目惚れって訳よ。…まぁ、効果は数時間だけど。」

リナ先生はポーチから取り出した香水の瓶を玩ぶ。…あぁ、そんな乱暴に扱ったら…?!

 

ビシャッ!

 

「ひやっ?!」

 

リナ先生の持っていた瓶の蓋が外れ、リナ先生は中身を頭から被ってしまう。

 

「大丈夫ですかリナ先生っ?!」

 

わたくしはハンカチを取り出すとリナ先生の顔を拭こうと…えっ?!

 

「……………………」

 

なんだかリナ先生の様子がおかしい。なんだかぼうっとした表情でこっちを見てる。

 

「リ、リナ先生?!」

 

「…先生なんていっちゃやだぁ…リナって呼んで、『あやかお姉ちゃん』?」

ぐはっ?!…いきなりの爆弾発言にわたくしは大ダメージをくらう。

 

「…あやかお姉ちゃん?」

 

「はぁ、はぁ…なんてことでしょう、あのリナ先生が…」

 

わたくしは乱れた息を整えながら改めて彼女をみる。

 

本来凛々しいはずの瞳にはハート型の虹彩が浮かび、甘えたような表情でこっちを見ている。…あまつさえ両拳を口元に当てて。

 

(…ま、まずいですわ…このままじゃわたくし壊れてしまいそうですわ?!)

 

わたくしの想いも裏腹に、リナ先生…いや、リナさんがピタッと寄り添ってくる。

 

「ねぇあやかお姉ちゃん…ぎゅうっってしてほしいの…」

 

…………はいいいっ?!

 

上目遣いに見上げるリナさんが…とっても可愛い。でも…

 

(だ、駄目ですわ?!今のリナさんは薬のせいで自分を見失ってるだけ…)

 

「リナさん落ち着いて…貴女にはネギ先生という大事な弟さんが…」

 

かろうじて言葉にしたものの語尾が小さくなってしまう。

 

「ネギ?うん、ネギも大好きだよ、だって可愛い弟だもん。だけどあやかお姉ちゃんはそれと同じくらい大好き!…だから…」

 

リナさんはさらに身体を寄せてくる。仄かに香るのは…ミルク石鹸の匂い?

 

(あぁ…あぁ…も、もうだ…)

 

わたくしはとうとうリナさんを抱きしめてしまった。

 

幼い頃果たせなかった夢…弟・妹を抱きしめるという夢を予期せぬ形で実現できた。

 

「…えへへ…大好きだよ…あやか…お姉…ちゃん…すぅ…zzz…」

 

あ、あら…わたくしの胸の中でリナさんは寝息をたてて眠ってしまいましたの…。

 

「…疲れてましたのね。…今はお休みなさい…リナ。」

 

わたくしは眠るリナさんの頭を撫でながら膝枕をしてしばらく過ごしましたわ。

 

SIDE:リナ

 

…あたしが目が覚めると、そこは校庭。そして…あやかがあたしを膝枕しながら眠っていた。

 

(えっ…な、なんであたし…あぁっ?!)

 

瞬時に記憶が蘇る…あやかに甘えてた記憶も。

 

思わず顔が真っ赤になったのがすぐわかった…くぅ、一生の不覚っ?!…でも、嫌じゃない。むしろ嬉しかったかも。

 

「しょうがないなぁ…今日だけだよ、《お姉ちゃん》♪」

 

あたしは再び寝転び、あやかの膝枕を堪能するのだった…

 

…同じ頃ネギがのどかに襲われそうになり、アスナに助けられた事を聞いたのはその日の夜のことだったけど。

 




いかがだったでしょうか(笑)。

活動報告にてアンケートもやってますので是非ごらんください。

ご感想やご指摘、評価なども戴けたら励みになるのでよろしくお願いします!


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6限目 集結、未完の大器たち!

ここからはメインストーリー重視になる予定です。

では本編どうぞ!


SIDE:リナ

 

「…居残り戦隊バカレンジャー?…なによそれ?」

 

あたしとネギが麻帆良に来てからはや2ヶ月が過ぎた頃、ネギとあやかが話すのを聞いてたあたしは思わずそう口に出す。

 

「あぁ…バカレンジャーというのはウチのクラスで成績の悪い5人組…アスナさん、佐々木まき絵さん、綾瀬夕映さん、長瀬楓さん、古菲(クーフェイ)さんの事ですわ…このクラスには学年でのトップ5が3人もいるというのに…はぁ。」

 

…ま、あやかが溜め息つきたくなるのもわかるわね。このクラスには超天才児のチャオとハカセがいて、あやかも常にトップ5を維持してる。にも 関わらず、毎回クラス順位は最下位争い…原因がこの娘たちなのは間違いないところなんだけど…

「この5人は高畑先生も重点的に補習されてましたし、引き続きお2人にも補習をお願いいたしますわ。」

 

「わかりました。それじゃ…」

 

「あ、ごめん。あたしはパス!」

 

あやかのお願いをネギは承知したみたいだけど、あたしはやんわりと断った。

 

「リナ先生?」「リナお姉ちゃん…何で?」

 

不思議がる2人にあたしは指を振りながら理由を説明する。

 

「…あのさ、『最下位脱出』なんて目標低くない?どうせだったらトップ目指しなさいよトップを!」

 

「そ、それは確かにそうですが…でもどうやって?!」

 

「…とりあえずバカレンジャーの5人はネギとあやかに任せるわ。その間にあたしは…」

そういいながらあたしはクラス名簿を開き、ある5人に赤ペンで丸をつける。そして…

 

「この5人の学力を底上げするわっ!」

 

バンッ!

 

あたしがテーブルの上に広げたクラス名簿をネギとあやかが覗きこむ。

 

あたしが赤丸をつけた5人、それは…

 

 

出席番号5番 和泉亜子

 

出席番号17番 椎名桜子

 

出席番号22番 鳴滝風香

 

出席番号23番 鳴滝史伽

 

出席番号28番 村上夏美

 

の5人。

 

 

「この5人をトップクラスを狙えるところまで強化する…それがあたしの作戦よっ!」

 

あたしが言うのをネギは感心してるみたいだけどあやかは不安そう…なによ、何か文句ある?

 

「…も、文句などありませんわ?!…ただ…なんでこの5人ですの?」

 

…なーる、選んだ理由がわからないから…

 

「…だったらあやか、アンタこっち手伝ってよ。あっちはネギ、任せたわよ?」

 

「ふえっ?!…うん、頑張ってみるよ!」

 

うん、素直でよろしい。

 

それじゃあ早速、きょうの放課後に今の5人は…そうね、化学実験室に集合しましょ。あやかは手配お願い。…理由はその時話すわ、それでいいでしょ?」

 

「わ、わかりましたわ。」

あやかの返事を確認したあたしは席をたち職員室へ向かう。…ふふっ、放課後が楽しみね!

 

SIDE:あやか

 

そして時間は過ぎてその日の放課後、わたくしと亜子さん、桜子さん、風香さん、史伽さん、夏美さんは化学実験室に集合していた。

 

「…ねぇねぇ、なんでわたしたち集められたの?」

 

桜子さんがもう何度目かわからないくらい同じ質問。

 

「…わたくしに言われましても困りますわ…リナ先生が集めろとおっしゃったんですから?」

 

「だからなんでボクらなのーっ?」

 

「わたしたち成績悪くないですよ~っ?!」

 

…そう、鳴滝姉妹の言う通り、ここに集められたメンバーは成績は悪くない…どころか2ーAの中では上位に部類する。

「そうよね…わたしら赤点もとってないし…」

 

「苦手科目もないしなぁ…なんでやろ?」

 

夏美さんと亜子さんも腑に落ちない様子ですわね…。

 

(リナ先生…あなたいったい何をしようと…)

 

ガラッ!

 

その時リナ先生が到着され、こちらを向いて話を始めた。

 

「みんな集まってるわね?…あやかから聞いてるかもしれないけど、次の定期テストで2ーAが1位になるようアンタたちにはあたしの補習を受けてもらうわよ。…ちなみに拒否権はないからよろしく~っ!」

 

「なっ?!(×6)」

 

リナ先生のあまりに軽すぎる宣言にわたくしたちは絶句する。

「な、なんでよ先生?!わたしたち…」

 

「そ、確かにアンタたちはバカじゃない…むしろできる方だわ。でもね…ちゃんと理由があるのよりゆーが。」

 

そう、わたくしが知りたかったのはそこですわ!どうしてこのメンバーなのか…

 

「…もっとも理由は簡単よ。この5人の共通点は『きっかけがあれば伸びる』っていうこと。例えば…そこの双子っ!」

 

「えっボクたちっ?」

 

いきなり指差されて驚く風香さんと史伽さん。

 

「そうよ。アンタたちの過去のテストの成績を調べたんだけど…アンタたち、毎回ほとんど同じぐらいの点数なのよね。仲がいいっていえばそれまでだけど…もしかしてお互いに遠慮してるんじゃないかと思って。」

…!…確かに鳴滝姉妹の成績はほぼ同じ…双子だからって思ってましたが考えてみればそんなわけありませんわ。

 

「だ、だってボクと史伽はいっつも一緒だから…ね、史伽?!」

 

「う、うん。…わたしも お姉ちゃんと一緒が…」

 

2人の返答にリナ先生は深い溜め息。

 

「はぁぁっ…あのね、あたしとネギも双子だけど、あたしたち通ってた学校を1、2位で卒業したわよ?」

 

「え…えぇ~っ!(×2)」

 

「でもそれはお互いをライバルにして切磋琢磨したから。こんな近くに1番のライバルがいるんだから競いあえばいい結果が出るんじゃない?」

 

「「……………」」

 

塞ぎ込み考える風香さんと史伽さん。先に答えを出したのは…

 

「…リナせんせー、後に産まれた妹でもお姉ちゃんに勝てますかぁ?」

 

ふ、史伽さん?

 

妹の史伽さんは姉の風香さんと違ってどちらかといえば臆病なところがある…ってイメージだったのですが…?

 

「もちろんよ。なにも全てで勝てと言ってるわけじゃないわ…アンタも風香も得意なもの・苦手なもの違うんだからさ。とりあえず得意なもので勝てばいいじゃん…ね♪」

 

リナさんの励ましに頷く史伽さん。そして…

 

「お姉ちゃ…いや、風香っ!」

 

「ふ、史伽がボクのこと呼び捨て?!」

 

呆気にとられる風香さんに構わず史伽さんは…

 

「わたしは今まで風香と一緒だったら後はどーでもよかった。だけどリナせんせーが教えてくれたから…わたしは風香を越えるっ!」

 

史伽さんのその目は真剣そのもの…なるほど、これが「きっかけ」…。

 

「ぐぬぬ…史伽のくせに生意気な!お姉ちゃんの壁は簡単には越えさせないよ!」

 

「望むところですぅ!」

どうやら鳴滝さんたちはやる気満々みたいですわね!

 

…となると気になるのは亜子さん、桜子さん、夏美さんの3人ですわ…いったい彼女たちにどんな「きっかけ」が…?!

SIDE:亜子

 

わわわっ…なんかリナ先生の一言で風香ちゃんと史伽ちゃんがやる気モードっ?!

 

特に史伽ちゃんはいつものびくびく感が消えてまるで別人や…。

 

なんなんやろ、リナ先生ってお子ちゃまのはずやのに…物凄いオーラを感じんねん。

 

「で、次は亜子と夏美ね。」

 

来た!

 

「アンタたちに言いたいことはね…『自分が主役のドラマくらいは楽しみなさい』ってことよ。」

 

………!!!

 

「アンタら2人の共通点はね、自分に自信が無いこと…違う?」

 

リナ先生の言葉にウチは驚きを隠されんかった。確かにウチは自分に自信が持たれへん。それはウチの身体に刻まれたキズのせい。2ーAのみんなはなんも言わんけど…

ふと隣の夏美をみると彼女も驚いた表情…もしかして夏美も?!

 

「いい?人生にアンコールなんて無いし待っていても無駄なの。せっかく今を生きてるんだからさ…とりあえず今回のテスト頑張ってみない?何か見えてくるかもよ♪」

 

その時ウチは知らんうちに泣いとった。だってこんなにウチのことを見てくれた人はおらんかったから…

 

「リナ先生…こんなウチでも輝けるんやろか?」

 

「わたしでも…主役になれますか?」

 

思わず尋ねる夏美とウチにリナ先生は満面の笑顔でサムズアップ!

 

「それは努力次第。でもアンタたちが望むんだったら手伝ってあげるわよ…どうする?」

もちろんウチと夏美の答えは1つや!

 

「「はい、よろしくお願いします!」」

 

リナ先生…ウチはもう迷わへん、泣いても傷ついても立ち直って、主役のフィナーレまで演じてみせるで!

 

NO SIDE

 

「…どーやら亜子と夏美も気合い入ったみたいね。それじゃあ補習のほ…」

 

「うお~い?!わたしをスルーしないで?!」

 

授業を始めようとしたリナを止めたのは桜子。

 

「わたしのきっかけはどーなったの?」

 

「…あ。」

 

「え、まさか…(汗)」

 

「ごめん、忘れてた。」

 

「うっそ~~~~~ん?!」

 

まるでム〇クの叫びのような表情になる桜子を見てリナは頭を掻く。

 

「ま、それはそれとして…桜子、アンタは頑張り次第ではあやかにだって勝てるかもよ?」

 

「マジですか?!ど、どーしたら…」

 

「…それを教えたら頑張るって約束する?」

 

「するっ!何すればいーの?!」

 

桜子の答えを聞いたリナは何故か苦笑い。

 

「簡単なことよ…猛勉強しなさい。」

 

「…はい?!」

 

「あ、あのリナ先生…それはあまりにも…?!」

 

当たり前すぎる答えにあやかが疑問を口にする。

 

「…あやか、桜子の中学入ってからの全テスト調べたんだけどさ…この子選択式の解答の正解率、100%なのよ。」

「…ひゃ、100%っ?!」

 

さすがにあやかも同様を隠せない。

 

「…選択式の解答っていっても2択なら50%、択なら25%、複数回答ならさらに正解率は下がるはず…それでもこの子は100%なのよ。にもかかわらず…」

 

リナはここで言葉を切り、桜子の方をにらむ。

 

 

「成績が安定しない理由はただ1つ…筆記型の回答が壊滅的なのよ!…で、ここからは推測なんだけど…桜子アンタ、選択式の解答もなにも考えずに適当に答えてない?…間違ってたらごめんだけど。」

 

あまりに失礼なリナの言い草…でも桜子は唖然とした表情に。

 

「な、なんでわかったのっ?」

 

「そんなの一目瞭然じゃない?…というわけでアンタは筆記型の回答の正解率をあげなさい!…この学校のテストは選択式の解答と筆記型の解答の割合が五分五分だからアンタは500点満点の250点は確定…これは凄い才能なのよ?」

 

リナが言うのを黙って聞いてた桜子は決意をしたかのように頷く。

 

「…わかったよリナせんせー!とりあえず今回のテスト頑張ってみるね!」

 

「その意気ですわ桜子さん!…それにしてもランダムに選択した答えが正解率100%って、どれだけ幸運ですのあの子…?!」

 

「…あやか、それを言っちゃあ野暮ってものよ。ま、5人ともやる気だしてくれたみたいだし、早速補習始めるわよ!」

 

『お~~~~~っ(×6)』

 

 

 

こうして始まった底上げ補習。しかしこの時、同時進行していたネギとバカレンジャーが行方不明になろうとは誰も知るよしがなかった…




一応次回で2ーA編は終わる予定です。

皆様のご感想やご指摘、評価が励みになります。

どうか応援よろしくお願いします!

なお活動報告にてアンケート引き続きおこなっているのでよろしければそちらもよろしくお願いします。


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7限目 決着、期末テスト!

今回で2ーA編が終わります。

それでは本編どうぞ!


SIDE:リナ

 

学年末テストまであと3日…あたし率いる通称「学力底上げ隊」(命名・桜子)は確実に実力を着けつつあった。

 

「それじゃ風香、徳川家康に支えた忍者としても有名な武将の名前は?」

 

「そんなの簡単だよ~!服部半蔵に決まってるじゃん!」

 

「じゃあ史伽、『proof of myself』の意味は?」

 

 

「うんっ…と、『自分自身の証明』ですぅ!」

 

うんうん、2人とも順調ね。…もともと遊ぶ事が大好きな双子たちはクイズ形式でお勉強。これがはまったらしく、今ではノンジャンルでも正答率は2人とも8割を超える。さらに…

「はい、ここまで!…今日の正解率は風香が87%、史伽が89%で史伽の勝ちね。」

 

「やったですぅ!」

 

「え~、また史伽の勝ちぃ?」

 

結果に喜ぶ史伽と悔しがる風香。…そう、対抗させる事で相乗効果を狙う意味もあるのだ。

 

「これで風香に勝ち越しですぅ!」

 

「くっそ~、リナせんせー、もう1回っ!」

 

もちろんこの2人だけじゃない。

 

「『トンネルを抜けるとそこは…』」

 

有名な小説を暗記してるのは夏美。演劇部の彼女には「役柄になりきって話を暗記しろ」っていってある。

 

実は彼女、地味めな印象とは裏腹に演技力には定評があるらしい。あんな分厚い台本暗記できるんだったら教科書の小説くらい楽勝でしょ?

 

 

亜子と桜子もそれぞれ猛勉強、ぐんぐん成績をあげてる…あやか、アンタもうかうかしてられないわよ?

「えぇ…まさかここまでとは…ただ、桜子さんはどうして選択問題をまともにやると間違えますの?」

 

あたしに聞かないでよあやか…どーして真面目に考えた答えが間違えて、鉛筆サイコロの答えが100%なの?…謎だわ。

 

「ま、今回は時間無いから選択問題は考えずに書かせるしかないわね。」

 

でも今の段階で5人の成績は確実に20点以上あがってる…あとはあの子たち[バカレンジャー]が頑張ってくれたら…

 

『た、た、大変ですぅ?!』

 

大声をあげて入ってきちたのはのどか。

「…どうしたのよのどか、落ち着きなさい…」

 

「あ、リナせんせー大変ですぅ!…ネギせんせーとアスナさんたちが図書館島行ったきり連絡つかなくなったんです?!」

 

…なん…ですってぇ?!

 

「図書館島…確か麻帆良学園の郊外にある貴重な書物を貯蔵しているあそこですか…どうしてネギ先生たちはそんなところに?」

 

あやかの疑問に木乃香が答える。

 

「えっと~、なんでも図書館島にある頭をよくする魔法書があるらしいと…」

 

なんなのよそれは?そんな都合のいいもんあるわけが…

 

「えっと…たしかクレアなんとかって言ってたよーな…」

 

ぶぶ~っ?!

 

ち、ちょっと待って…

 

「…ち、ちょっとのどか?アンタまさかそれって異界黙示録[クレアバイブル]って…」

 

「は、はいっ!リナせんせー知ってらしたんですね。」

知ってらしたも何も…!異界黙示録といえばあたしが元々いた世界に伝わる水竜王の記憶。

 

黙示録とは言うものの、どちらかといえば情報ベースと言うべき存在でそれこそ世界の運命を変えられる代物だ。

 

(なんでそんなもんがこの世界に?!…でも確かにアレだったら…?)

 

もし写本であったとしても、ちょっと頭をよくする事くらい容易いはず。

 

「…でも不味いですわ…いかなバカレンジャーとはいえ、全員0点扱いにされたら1位どころか最下位確定に…?」

 

…確かにまずいわね…でもネギのやつどうしてクレアバイブルなんか…?

 

「あれ?リナせんせーはご存じないんですか?」

腑に落ちないあたしにのどかが話しかけてきた。

 

「…え?なんのこと?」

 

「ネギ先生がいうには、今回のテストで2ーAが最下位を脱出しないと…お2人はクビだそうです。」

 

…な、何よそれ?!あたしそんなの…あ、そういえば…なんかネギだけ学園長先生に呼ばれてたけど…。

 

「…大馬鹿ねネギのやつ…なんであたしに言わなかったのよ?!」

 

「…多分心配かけたくなかったのでは?」

 

そうかもしれないけど、それでも甘えて欲しいのよ姉としては!

 

「まぁそれはともかく…あやか、補習組頼める?あたしは学園長先生に話つけてくるわ。」

あたしはあやかに目配せすると、のどかと一緒に学園長室に向かう。

 

「ところで誰がクレアバイブルの情報を?あれって誰でも知ってるって代物じゃないんだけど…。」

 

「あ、それはゆえが~…ゆえ、そういう情報につよいんです。」

 

夕映…あ~、バカブラックね。確か図書館探検部だっけ?

 

「はい、わたしとゆえ、そしてハルナの3人で図書館島をよく探索に…。でも今回はいつもより奥まで行っているらしくて携帯や無線も繋がらなくて…」

なるほどね…そうこうしてるうちに、わたしとのどかは学園長室に到着。

 

「学園長いる?いなくてもはいるわよ!」

 

ドガッ!

 

「リナせんせー、なんで蹴り破るんですか?」

 

「扉は蹴り破るためにあるもんよっ!」

 

「おぅよくきたのぅリナくん…ネギくんの事じゃろう?」

 

あたしが飛び込んできたにも関わらず自然体の学園長先生。

 

「ま、心配はせんでえぇ、ネギくんたちは無事じゃよ…ほっほっほっ。」

 

ち、ちょっと待って?!なんで学園長がそんなこと…まさかっ?!

 

「…宮崎のどかくん、儂はリナ先生と話があるから少し席を外してくれるかのう?…なに、すぐに終わるから。」

 

「は、はい…?」

 

訳のわからないまま、のどかは部屋の外へ。

 

バシュン!

 

その瞬間、学園長室に結界が張られた。…えっ、まさか学園長先生、魔法が…

 

「うむ、確かに儂は魔法使いじゃ。そうでなければ君やネギくんを雇う訳無かろう?」

 

…それもそうね…じゃなくて!

 

「そんじゃネギたちにクレアバイブルの情報を流したのも?」

 

「うむ。もっともクレアバイブルなどというのは唯の伝説…噂話レベルじゃよ。儂の真の狙いは最終課題をクリアする事によって君たちが子供でも先生をやっていけるかみたかったのじゃよ。」

 

なーる、そういうことか…でもどうしてネギだけに?あたしにもいってくれれば…

 

「ふむ…どうやら1人でしょい込む所があるみたいじゃのう。ま、これからの課題じゃな。」

 

ま、あたしの自慢の弟だからね。で、ネギやアスナたちは大丈夫なんでしょうね?

 

「うむ。今は図書館島の奥で皆で勉強中じゃ。…まぁテストまでには間に合うように帰らせるわい。」

 

「頼んだわよ?あの子たちも頑張ってるんだったら本気で1位狙えるからね。」

 

あたしはそういうと扉の方へ。

 

「おや、もう帰るのかのう?」

 

「あたしはネギが無事ならそれでいーの。もちろん教え子も大事だけどね。」

 

 

それから2日後…ネギとバカレンジャーの5人、木乃香は無事帰還。これで一安心…と思いきや。

 

「なんで遅刻してんのよアンタらっ!」

 

バカレンジャーと図書館探検隊、木乃香…さらには学力底上げ隊までが寝坊してテストに遅刻するハプニング…まったくもう!

 

おかげで暫定順位は最下位…ネギはショックで置き手紙してイギリスに帰ろうとする始末。

 

「…やっぱりここだったわねネギ…」

 

「リナお姉ちゃん…それに皆さんも…」

 

すっかり落ち込んでるネギを励まそうとアスナやあやかが引き留める。

 

「馬鹿!アンタは頑張ってたんだから恥じることなんかないのっ!」

 

「そうですわ!悪いのはわたくしたちなのですから、もう一度学園長に…」

 

「…フォフォフォ、儂を呼んだかの?」

 

そ、その声は…

 

「が、学園長先生?!」

 

現れたな、チート仙人。

 

「いや~、すまんかったの2人とも。…実はの、儂が採点した遅刻組の生徒の分の点数が加算されてなくてのぅ…」

 

『え~、何ですかそれっ?!』

 

…そう、〈暫定〉っていったのはそういうこと。(あたしは気づいてたけどね。)

 

「…というわけでここで発表じゃ。まずは佐々木まき絵…平均点66点、よくがんばったの。」

 

「えっ、わたしが66点っ♪」

 

う~ん、まき絵もがんばったじゃない。

 

そして次々と発表されたバカレンジャーの点数は軒並み平均60点越え。

 

そして…次は底上げ隊の番。

 

「次は鳴滝姉妹じゃ。おっ、平均点92点、立派だったぞ。」

 

「やったぁ!」

 

「やったですぅ!」

 

風香と史伽はハイタッチで喜びを分かち合う。

 

「…和泉亜子、94点。村上夏美、90点。椎名桜子、89点…みんな凄まじい成長ぶりじゃな。」

 

「ほんまに?!」

 

「嘘じゃないよね?!」

 

「夢みたい♪」

亜子たちも抱き合って喜んでる。

 

「最後に雪広あやか…素晴らしい、100点満点の1位タイじゃよ。」

 

 

あやかもあたしのサポートでみんなに教えてたからね。人に教えるってのは自分がわかってないと出来ないからある意味最高の勉強法なんだ。

 

「…というわけで、彼女たちの点数を加算、再計算するとの…なんと!2ーAの平均点88・8点、トップじゃ!」

 

『や、やったぁ!』

 

結果が最高の形で覆り唖然としてるネギをバカレンジャーと図書館探検隊がもみくちゃに…でもちょっぴり嬉しそう。

 

「なにたそがれてんのリナせんせー?!」

 

「早く帰ってパーティーするですぅ!」

 

パーティー?祝勝会ってこと?

 

「そ!…あ、費用は心配しないでいーよ、桜子が順位当てのトトカルチョにかけた食券が大穴的中だから。」

 

…仕方ないわね。

 

「さ、帰るわよネギ。みんなを待たせる気?」

 

「は、はいアスナさんっ!」

 

まぁ何はともあれ無事3年に進級できそうで良かったわ…めでたしめでたし…よね?




次回から3ーA編が始まります。

間に短編入れるか、いきなりエヴァ編か…どうしよう?


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闇の福音編
8限目 桜通りの吸血鬼


いよいよ闇の福音・エヴァンジェリン編です。

やっと本編に入れます。


NO SIDE

 

無事期末テストも終わり、リナとネギは正式に麻帆良学園の教員に採用が決まった。

 

それと同時に2ーAから進級した3ーAの担任と副担も継続することに。

 

SIDE:アスナ

 

「ネギ先生、リナ先生…お迎えにあがりましたわよ。」

 

あいも変わらず早いわねいいんちょ…

 

「おはよーさんいいんちょ!…ネギくんとリナちゃんはまだロフトの上で寝てるで~。」

 

あ、馬鹿、木乃香!そんなこといったら…

 

「…?! お2人がまだ寝ておられるっ?…そ、それは起こして差し上げないと…♪」

 

そういいながらロフトの梯子を昇るいいんちょ。

「リナ先生、ネギ先生、そろそろおじか…こ、これはっ?!」

 

いいんちょは昇りきった途端に硬直して動きを止める…ん、なんかあったのかな?

 

「どうしたのよいいんちょ、起こすならさっさと…げ。」

 

ロフトに登ったあたしが見たのは、抱き合って寝てるリナとネギ。しかもネギはリナのほっぺたにチューしてる。知ってか知らずかリナは満面の笑顔…あ、なんかムカついてきた。

 

『こら起きろチビスケども~っ?!』

 

「「ひゃあっ?!」」

 

あたしが布団をひっくり返すと2人とも飛び起きた。

 

「こら!早くご飯食べないと遅刻するわよ!」

「えっ、もうそんな時間っ?」

 

「どーして起こしてくんなかったのよ?」

 

2人はぶつぶついいながらもスーツに着替えて降りてきた。

 

「あ、おはようございますいいんちょさん!」

 

「おはよ、あやか…アンタも毎日あきないわね…。」

 

「朝ごはんできとるからはよ食べなぁ~?」

 

「「いただきますっ!!」」

 

あ~ほら慌てるんじゃないわよネギ?!そんなにこぼして…あ、アンタもなんか食べる?あやか。

 

「…わたくしは朝食は済ませてきたので…」

 

「なら紅茶でもだそか?レモンとミルク、どっちがええ?」

「それじゃミルクで…すいませんね木乃香さん。」

 

「了解~。」

 

さ~て今日から新学期…アンタたちも正式にあたしたちの担任と副担になったんだから、気合い入れて頼むわよ?

 

「はい、勿論です!」

 

「まぁあたしがいれば問題無いって…ごちそうさまっ!」

 

どうやら食事も終わったみたいね…さ、遅刻しないように出発するわよっ!

 

SIDE:ネギ

 

「え~…という訳で、引き続きあなたたちの担任を受け持つことになりました!副担のリナお姉ちゃん共々、よろしくお願いします!」

 

パチパチパチパチパチパチ(×31?)

 

クラス全員からの祝福…ありがとうございます!

 

「え~、それではHRを…?!」

 

なんだ?何か鋭い視線を感じる…僕は辺りを見回しそしてそれが誰か気づいた。

 

(あれは…出席番号26番、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルさん?!…タカミチの名簿には「困った時には相談しなさい」って書いてあるけど…?)

 

僕に何かあるのかな?

 

「…ギ、ネギ!聞いてるの?」

 

ふと我にかえるとリナお姉ちゃん。

 

「ど、どうしたのリナお姉ちゃん?」

 

「どーしたのじゃないわよ?!これからクラス全員身体測定なんだけど、アンタいつまでここにいる気?」

 

…身体測定…ってことは?!

 

「し、失礼しましたっ!」

 

何人かの笑い声の中、僕はあわてて教室を飛び出る。

 

でもその間もエヴァンジェリンさんの視線はこっちを向いたままだった…。

 

SIDE:リナ

 

「し、失礼しましたっ!」

 

あたしに言われてあわてて教室を飛び出すネギ。まったくもうおっちょこちょいなんだから…

 

あたしは身体測定の準備をしながら辺りを見回す。

 

(…でも、気になる視線を感じたわね…)

 

あのエヴァンジェリンって子もそうだけどもう1人、気になったのは…、

 

「………」

 

んっと、あの子は出席番号18番・龍宮 真名(たつみや まな)ね。あの子の目は修羅場を潜ってる…要注意ね。

 

「リナせんせー、まき絵と亜子がきてないんだけど…」

 

…そういえば姿見てないわね。なにかあったのかしら?

 

「2人ともサイズに自信がないんでサボったんだよきっとーっ!」

 

「…風香、それわたしたちは人のこと言えないですぅ…」

 

…確かに。鳴滝姉妹ってあたしと身長変わんないんだよね。…ほんとに中学生か疑うわまったく。

 

「…も、もしかして今噂の桜通りの吸血鬼に…?」

 

ん?何よそれ?!

 

 

「えっ、リナ先生知らないの~、満月の夜になると桜通りにぼろぼろの黒い服を来た吸血鬼が出て女の子を襲うって…今ネットで話題になってるんだよ!」

 

へ~っ…でもこんな極東に吸血鬼なんて…

 

「あと、吸血生物チ〇パカ〇ラって噂も…」

 

「怖っ?!」

 

「それじゃまき絵と亜子はその吸血生物に血を吸われて…?!」

 

「…確かにまきちゃんはなんか血ぃ美味しそうやもんなぁ…」

 

木乃香、さらっと危ない発言は止めてくんない?

 

「…馬鹿馬鹿しい…そんなの都市伝説じゃない?!きっと寝過ごしたかなにかよ。」

 

…まあアスナが多分正解ね。

さ、それじゃあたしも支度を…ん?なんだか表が騒がしいわね…なんかあったのかしら?

 

『あ、ネギせんせー大変!…亜子とまき絵が保健室に運び込まれたって?!』

 

なんですって?

 

廊下で話す夏美の声に反応したアスナやあやかが窓や扉を開ける…あ、馬鹿!

 

「ひいっ?!…あ、あの皆さん…その格好は…?」

 

『…きゃあ~っ?!』

 

…だから言おうとしたのに…。それはそうと2人は大丈夫なの?

 

「あ、それが…?」

 

SIDE:ネギ

 

夏美さんに案内されて保健室にいくと、2人はベッドで眠っていた。

 

「亜子さん、まき絵さん?!」

 

「…桜通りで寝てるところを通りがかった人に見つけられたらしいんだけど…。」

 

看病してくれてた源しずな先生が教えてくれた。しずな先生は2ーAの時の指導担当の先生。

 

「ほら、やっぱり…たいしたことなかったでしょ?」

 

アスナさんはほれ見たことか…的などや顔。

 

「でも2人ともなんでそんなところで…あれ?」

 

僕はまき絵さんと亜子さんから微量の魔力を感じた。

 

『…ネギ、あんたも感じた?』

 

リナお姉ちゃんがこっちをちらりと見て念話を送ってきた。

 

『うん…ほんの僅かなんだけど魔力を感じる…お姉ちゃん、これって…?』

『…こりゃさっきの話もあながち否定できないかもね…ネギ、ひとまずここはお開きにして、後で合流しましょ?』

 

リナお姉ちゃんに小さく頷くと僕は生徒をなだめる。

 

「多分ただの貧血と思いますよ?…あとアスナさん、木乃香さん、僕とお姉ちゃんは放課後用事があるので…」

 

「今日は晩ごはんはキャンセルでよろしく~っ!」

 

「えっ、そうなの?」

 

「お仕事ごくろーさん、気ぃつけてな~。」

 

…どうやら怪しまれずにすんだみたい。ところでお姉ちゃん、さっきの話って?

 

『実はね、桜通に…』

 

NO SIDE

 

「ふう…すっかり遅くなっちゃったですね、のどか?」

 

 

薄暗くなった放課後、のどか、夕映、ハルナの3人は寮への帰り道を急いでいた。

 

「…そーいや桜通の吸血鬼の噂、アンタたちはどう思う?」

 

こういう話が大好きなハルナが残りの2人に尋ねる。

 

「馬鹿馬鹿しいです。そんなの都市伝説に決まってるです!」

 

「だよね~…あ、ちょっと忘れ物しちゃったわ?」

 

そういうとハルナは来た道を逆戻り。

 

「1人で大丈夫~?」

 

「わたしも付き合うです…のどか、悪いけど先帰っててです。」

 

2人はUターンし、その場にはのどか1人きり。

しばらく歩くとそこは…

 

「あ…桜通り…?!」

 

さっきまで噂してた話を思いだし怯えてしまうのどか。

 

「か、風も強いし…ちょっといそご~かな?」

 

サアアァ…

 

風が強くなるなか、足を早める。

 

「こわくない~、こわくないです~…こ、こわくないかもぉ~っ♪」

 

口ずさみながら帰路を急ぐ、その時…

 

ピュウワ~

 

ひときわ強い風が吹き、のどかは人の気配を感じる。

 

「だ、誰ですかぁ?!」

 

のどかの声に応えたかのように桜吹雪の中から現れたのは…?

 

「ひ、ひいっ?!」

「…27番・宮崎のどかか…悪いが少し血をわけてもらうとしようか…?」

 

噂通り、黒く古びたローブに身を包んだ小柄な影がのどかに襲いかかろうとした。

 

「は、はうぅ~?!」

 

のどかは恐怖のあまり気を失ってしまう。

 

謎の吸血鬼がのどかを毒牙にかけようとした次の瞬間…

 

『待てーっ!(×2)』

 

「…………!」

 

SIDE:リナ

 

「僕たちの生徒に何をするつもりですか?!」

 

「おとなしく降参しなさいよ!」

 

今日は満月の夜だからなんかありそうと思って桜通のパトロールしてたらビンゴ!…あれが噂の吸血鬼らしいわね。

 

「ネギ、捕縛の矢いける?」

 

「うん、まかせてお姉ちゃん!…ラス・テル、マ・スキル、マギステル…」

 

呪文の詠唱を始めたネギを確認してあたしは翔封界(レイ・ウイング)を展開、気絶しているのどかを救助に向かう。

 

『風の精霊11人 縛鎖となりて敵を捕まえろ…魔法の射手・戒めの風矢(サギタ・マギカ・アエール・カプトウーラエ)!」

 

ネギの放った戒めの矢が吸血鬼を襲う。だけど…

 

『…もう気付いたか…氷盾(レフレクシオー)。』

 

衝突する直前で矢はすべて霧散、その衝撃で吸血鬼の帽子が舞い上がる。

 

「あ、貴女は…?!」

そう、吹き飛んだ帽子の下から現れたのは…

 

「…凄まじい魔力に的確な判断力…驚くばかりだな、齢10歳の子供とは思えんぞ?」

 

3ーAの生徒の1人…出席番号26番、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。

 

「…やっぱりあんただったのね、エヴァンジェリン!」

 

彼女はあたしの言葉にも動揺しない。この子…できる!

 

「まぁ改めて歓迎のご挨拶といこうか、リナ・スプリングフィールド、ネギ・スプリングフィールド…流石にあいつらの子供(ガキ)だけの事はあるようだな。」

 

あいつらの子供?もしかしてあたしとネギの父さんや母さんの事を知ってるの?!

(これはなんとしてでも話を聞くわよ!)

 

あたしは想いを胸に構えをとった。

 

NO SIDE

 

さて、こうしてリナ&ネギとエヴァンジェリンが対峙しているのを遠く離れた桜の木の上から1人の少女が見詰めていた。

 

(やれやれ、学園長から依頼されてここいらのパトロールをしていたら、なかなか面白い場面だなこれは。…まぁしばらく様子を見させて貰うとするか?)

 

その手に構えていた狙撃銃・レミントンM700を降ろすと少女…龍宮真名は不敵に笑みを浮かべるのであった…




いかがだったでしょうか?

これからは独自設定やオリジナル展開が多くなると思うのでご了承いただけると有り難いです。

ご感想やご指摘お待ちしています。


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9限目 その名は闇の福音(ダーク・エヴァンジェリン)!

リナVSエヴァ第1ラウンドです。

楽しんでいただけることを祈ってます。


SIDE:ネギ

 

「…き、君はうちのクラスの…エヴァンジェリンさん?!」

 

呪文の余波で吹き飛んだ帽子のしたから現れたのは…3ーAの生徒の1人、エヴァンジェリンさんだった。

 

「さすがあいつらのガキだけのことはあるな…齢10歳とは思えん…」

 

え…?「あいつらのガキ」ってまさかこの人父さんや母さんの事を?!

 

「なにもんよアンタ…同じクラスの同級生を襲うなんて何考えてんのよ?!」

 

リナお姉ちゃんの怒声にも全く怯む様子もなくにじりよるエヴァンジェリンさん。

 

切れた指先から流れる血を舐めながら両手に何か…あれは魔法薬?

 

「この世には…いい魔法使いと悪い魔法使いがいるんだよ先生がた?……『氷結・武装解除』!!」

 

エヴァンジェリンさんは魔法薬を投げつけ呪文を発動させる。リナお姉ちゃんは咄嗟に回避したけど宮崎さんを抱えたままの僕は動けない…ここは?!

 

「このっ?!」

 

「ほほぅ、やはり抵抗したか…」

 

な、なんとか耐えられたみたい。大丈夫ですか宮ざ…ってうわっ?!

 

今の武装解除で宮崎さんがほぼ全裸にっ?!…こ、これは…

 

「なんですの、今の音は…?!」

 

「あっ、ネギ!こんなとこでいったい…あ、あんたそれ…?!」

あ、アスナさんにいいんちょさん…ってこれはいやあの…

 

ま、不味い…このままじゃ誤解…

 

「フフフ…」

 

あ、エヴァンジェリンさんが逃げてしまうっ!

 

「…ネギ、あたしが追っかけるわ!あんたもさっさとくるのよ!!」

 

リナお姉ちゃんが高速機動の呪文で後を追う。

 

「あれ…今のって…」

 

「えぇ、あれはうちのクラスの…?」

 

「あ、あの…アスナさんにいいんちょさん!すいませんが宮崎さんをお願いします!僕はお姉ちゃんと一緒に犯人を追いますので心配しないで!」

 

僕はそういうと杖に飛び乗り2人の後を追う。でもどっちへ…?

SIDE:リナ

 

「待ちなさいよこらぁ~っ!」

 

あたしは逃げるエヴァンジェリンの後を追って空中を舞う。

 

(いい魔法使いと悪い魔法使い?…そんなもんは判ってるわよ!)

 

そんなのは当たり前の話でとやかく言うつもりはない。たださっきの一言…

 

『あいつらのガキ』

 

何でかはわかんないけど父さんや母さんの事を知ってるんなら聞き出さないと。…っていたっ!

 

「見つけたわよ、観念なさい?」

 

「速い…はっ!」

 

エヴァ(長いから短縮)は歩道橋から空へと飛び出しそのまま舞い上がる。

 

「なっ、杖も箒も無しで空を?!」

 

基本、この世界では空を飛ぶ際は杖や箒といった補助具を使用する。無しで飛ぶためにはかなりの修行が必要だ。

 

「翔封界[レイ・ウイング]!」

 

ま、あたしにはこの呪文があるから問題ないけど。

 

「ほう…面白い術式だな。」

 

エヴァはニヤッと笑みを浮かべ逃げ続ける。

 

(でも変ね…魔法の技術の割には威力ないし、そもそもなんで呪文の発動に魔法薬なんか…)

 

「こらぁ~、待ちなさいエヴァ!」

 

「…?! 勝手に名前を短縮するな!…あいつらの事が聞きたいんだろ?だったら私を捕まえてみるんだな。そうしたら教えてやるよ!」

…本当に?それなら…

 

「エル・エル・カオス・オーシャン…『風精召喚・牙を剥く獣王』!」

 

あたしの詠唱と同時に11体の狼の姿を象った風の精霊が姿を現す。

 

〈金色の魔王〉、エルの力で転生したせいか、今のあたしの魔力は転生前より多い。まだこの世界の呪文との和合が完全じゃないから全部が全部使える訳じゃないけど。

 

そーいやエルの奴どこいったんだろ、すぐ帰ってくるっていって一度も姿見てないんだけど。

 

『捕まえて(アゲ・カピアント)!』

 

あたしの命令に従って精霊たちが捕縛に向かう。

 

「…くっ?!」

 

エヴァは懐から魔法薬をばらまき精霊を風散させた。

 

(えっ、また魔法薬っ…もしかしてこの子、魔力が弱い?これなら…)

 

やがて魔法薬の弾幕を潜り抜けた精霊がエヴァを捉える…今がチャンス!

 

「くらいなさい…『風花・武装解除(フランス・エクサルマテイオー)』!」

 

あたしが放った呪文の効果でエヴァの服が千切れ…コウモリになって飛び去った。

 

(…ってことはこの子本物の吸血鬼…の割には魔力ないわね~。)

 

ま、あたしの前世でも炎の矢がニンジンみたいな吸血鬼もいたからなぁ…

 

「…やるじゃないか、先生。」

 

屋根の上に降り立ったエヴァをあたしは追い詰めた。

 

「これであたしの勝ちね。…約束通り教えてもらうわよ。アンタの目的、それに…父さんや母さんの事を!」

 

「お前の両親…それはすなわち『サウザンドマスター』と『災厄の魔女』のことか?ふふっ…」

 

(…やっぱり!?この子は何かを…?)

 

あたしは動揺を隠しつつエヴァに近寄る。

 

「と…とにかく魔力も触媒もないアンタに勝ち目はないわっ!大人しく…」

 

「…これで勝ったつもりなら生憎だな…こいっ!」

 

スッ…ズシャッ!

 

エヴァの呼び掛けに応えるかのように屋根の上から誰か落ちてきた…まだ仲間が?

 

「さぁ、呪文を唱えてみろ、唱えられるものならばな…」

 

くっ、なめんじゃないわよ?!

 

『風の精霊11人 縛鎖となりて…あだっ?!』

 

あたしが呪文を唱えようとした瞬間、新たに現れた敵にデコピンをかまされる。

 

「あたたっ、なによも…ってアンタうちのクラスの?」

 

「…紹介しておこうリナ先生。3ーA・出席番号10番の絡繰 茶々丸(からくり ちゃちゃまる)。…私のパートナー、〈ミニステル・マギ〉だ。」

 

「…なんですって、彼女がアンタのパートナー?!」

 

「そうだ。パートナーのいないお前では私には勝てんぞ?」

くっ…まだネギでもいればどーにかなるかもだけど1人じゃ…

 

「おい、茶々丸…やれ。」

 

「…はい、マスター。…申し訳ありませんリナ先生。マスターのご命令は絶対ですので…」

 

エヴァの命令にコクリと頷くと茶々丸はあたしの首を抱き込み締め上げる。

 

「…ふふっ、お前たちがこの学園に来ると聞いてからの半年、危険を冒して準備を進めた甲斐があった…これであいつらが私にかけた呪いも…」

 

(の、呪いっ?父さんと母さん、いったい何を…?)

 

「そうだ…吸血鬼の真祖たるこの私が…お前の両親に敗れてからというもの、力を極限まで封じられて15年もの間あの教室で中学生やらされてるんだよっ!そしてその呪いを解くにはその血縁…お前らの血が大量に必要なんだ!!」

 

…じゃ目的はあたしとネギってこと?!

 

「…というわけだ、悪いが目一杯吸わせてもらうぞ?」

 

や、やばい…だ、誰か助けて…

 

「こら~っ、そこの変質者!…うちの居候になにすんのよ!」

 

ドガッシ!

 

「ハブゥ?!」「あ。」

 

突如現れエヴァと茶々丸を蹴散らしたのは…アスナっ?!

 

「な、なんだ今の力は…か、神楽坂明日菜だと?馬鹿な、どうして一般人のおまえが…まぁいい、2人まとめて…」

 

バンッ!

 

その時どこからか銃声がしたかと思うとエヴァの前に茶々丸が立ちはだかる。そして…

「茶々丸?!その弾は…?」

 

「はい、あの方だと。…ここは引くが上策かと。」

 

「ぐぬぬっ…」

 

エヴァと茶々丸は立ち上がると端へと後ずさる。

 

「ち、ちょっとあんたらが今回の犯人なの?しかも子供を2人がかりで!答えによっちゃあ…」

 

「ぐぅっ…よくも私の顔を足蹴にしたな神楽坂明日菜…お、覚えておけよっ!(イ、イタイ…)」

 

そういうと2人は屋根から飛び降りる…逃げられたか。

 

「でも…ここ8階なんだけど…あの子たちいったい…ってリナ大丈夫なの?」

 

ガクッ…

 

突然あたしは足の力が抜け、へたりこんでしまう。

 

「ははっ…予想外にヤバかったみたいね、あたし…」

 

「リナお姉ちゃん!」

 

「リナ先生、大丈夫ですの?!」

 

あ、ネギとあやかも来てくれたんだ…

 

「もう…アンタってば1人でどうにかしようと思うんじゃないわよバカ! …もしアンタになんかあったらネギが悲しむでしょーが?!」

 

アスナの言葉が胸に突き刺さり…

 

グスッ…

 

「えっ、アンタ…泣いてるの?」

 

「な、ないてなんか…(グスッ…)ないわよっ!」

 

「リナ先生…(ぎゅうっ)」

 

あっ…?

 

あたしはあやかの胸に抱かれていた。…恥ずかしいけどなんかほっとする。

 

…でもパートナーか…なんとかしないとね…

 

 

 

SIDE:エヴァ

 

「ふう…思わぬ邪魔が入ったな、茶々丸?」

 

あの場から逃げ去った私は茶々丸の肩に乗り空の上からあいつらの様子を眺めていた。

 

「はい…ネギ先生はともかく神楽坂さんに雪広さん、それに…」

 

ルルルル…♪

 

「だれだ…ちっ、奴か。…もしもしっ?!」

 

『やぁ、マクダウェル。…相変わらずヤバい事やってるみたいだな?』

 

声の主は何事もなかったみたいに話しかけてきた。

 

「何故止めた…というより吸血鬼に対して聖銀の弾は当たったら致命傷だぞ!」

 

『ちゃんと外してただろ?…今回は只の気まぐれだ、金にならん仕事はしないよ?…それじゃよい夜を。』

 

ブツリ…ツー、ツー…

 

「くそっ?…まぁいい、あの2人にパートナーがいない今がチャンスに違いはない…覚悟するんだな、2人とも。くっくっく…♪」

 

 

 




いかがだったでしょうか?

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10限目 舞い降りた金色

今回あの方が登場します。誰?それは本編をお楽しみに。


SIDE:リナ

 

「…ほらリナ、もっとシャキッとしなさい!あんた先生なんでしょ?!」

 

…うっさいなぁ…こちとらエヴァにいいようにやられて落ち込んでんだからもう少し寝かせてよ…

 

そうやってあたしはふて寝をかましていたんだけど…

 

「もう…起きてよお姉ちゃん、遅刻しちゃうよ!」

 

ガバッ!

 

「こら、なにもたもたしてんのよ、早く学校に行くわよ!」

 

「立ち直り早っ?!…あんたにはネギが1番の特効薬ね。」

 

…ほっとけ。どーせあたしはブラコンよ?!

 

ま、エヴァと顔合わすのは気が進まないけどなんとかなるでしょ?

 

「さぁ、それでは参りましょうネギ先生、リナ先生?」

 

よーし、気合い入れ直してエヴァと茶々丸に説教よ!

 

 

 

てなわけで、学校に来ては見たんだけど…

 

「あ、リナせんせー、ちあーすっ!」

 

「ネギせんせーもおはようさんですぅ~っ!」

 

教室に入って見回すものの2人の姿が見当たらない。

 

「…おはようございますネギ先生、リナ先生。」

 

「のわっ?!…茶々丸、あんたどっからわいてでたのよ?!気配ぐらい出しなさいよ!」

 

背後から突如声をかけられ振り向けばそこにいたのは茶々丸。

 

「すいません…マスターをお探しでしたら今日はサボタージュ…ぶっちゃけずる休みです。」

 

…ほんとにぶっちゃけたわね…ま、仕方ないから昼休みにアスナやあやかも交えて対策会議ね。…あの2人を巻き込みたくはないけど事情を知っちゃってるからね…。

 

そしてその日の昼休み、あたしとネギ、アスナ、そしてあやかの4人は化学準備室に集合、あたしは3人に昨晩の状況を説明する。

 

「ええっ、エヴァンジェリンさんが吸血鬼ですって?」

 

「…常識的に考えたらあり得ないけど、魔法使いもいるんだし…ね?」

 

2人とも半信半疑ながらも理解はしてくれたみたい。

「でもどうやって解決すれば…?」

 

「エヴァちゃんに茶々丸さんってパートナーがいるんだったら、あんたたちもパートナーを…」

 

色んな意見が出るもんのなかなかまとまんない。仕方ない、放課後また…ん、今なんかごそごそって音しなかった?

 

「いえ別に…気のせいでは?」

 

そう?それならいいんだけど…

 

NO SIDE

 

「…今の話聞いた?」

 

「聞いたですぅ!ネギせんせーのパートナーって…クラスに帰ってみんなに報告ですぅ!」

 

偶然立ち聞きした鳴滝姉妹により3ーA全員にパートナー騒ぎが広まった頃…

 

 

SIDE:エヴァ

 

元凶であるエヴァンジェリンは屋上で1人まったりと昼寝の最中。

 

「昼はねむいな…ん?」

 

パシッ!

 

(…なにかが学園の結界を越えて学園都市内に入り込んだ…たいした魔力じゃないようだが…仕方ない、調べると…)

 

スルッ…

 

「な…なんだ今の魔力は…さっきのやつの比じゃないぞ?」

 

…それにこの感じ、覚えが…!?

 

「ま、まさか…いや、それはあり得ん?!」

 

今になって〈あの人〉が私に会いに来るわけなど…馬鹿げてる。

 

「…まぁいい。侵入者を調べるとするか…全く、厄介な呪いだ。」

私はぼやくと屋上を後にした…

 

SIDE:リナ

 

その日の放課後、あたしはあやかと2人でエヴァを探していた。

 

ちなみにネギは3ーAの面々に拉致され、アスナはそれを探してるらしい。

 

「…もう…うちのクラスの皆さんは何を考えてるかわりませんわ…?」

 

「ま、それでもエヴァに拐われたとかじゃないだけましよ。」

 

「それはそうでしょうけど…あ?!」

 

校舎の曲がり角を振り向くと其処にいたのはエヴァと茶々丸。

 

「ほう、リナ先生…それに雪広あやかか。」

 

「…あなた達!ネギ先生とリナ先生の血を狙っていらっしゃるのは本当ですの?!」

あやかの恫喝にエヴァは意外そうな表情を見せる。

 

「なんだ、お前も知ってしまったのか魔法の事を…私が怖くないのか、私は真祖の吸血鬼だぞ?」

 

「べ、別に怖くないですわよ?!それよりもお2人になにかあったらただじゃ…」

 

「ふん…心配するな。我らは次の満月までは何もできん。」

 

「え、どういうことですの?」

 

あやかは不思議そうな表情を見せるけどあたしはすぐにわかった。

 

「なーる、呪いのせいか。」

 

「あぁ…おかげで次の満月までは魔力ががた落ちだ…ほら」

 

エヴァが自分の指で口を拡げると…確かにあるはずの牙がない。

「まぁ次の満月までにせいぜいパートナーを見つけることだな。…それじゃ仕事があるので失礼するよ。」

 

「…失礼しますリナ先生、委員長さん。」

 

そう言ってエヴァと茶々丸はその場を去っていった。

 

「仕事?…確かエヴァさんは委員会活動には…?」

 

あ~、学園長…木乃香のお爺ちゃんの仕事ねたぶん。あの爺さんも謎が多いのよね…

 

「ま、警戒は必要だけどしばらくはあの2人に狙われる危険性は下がった かな?」

 

でも、早くパートナー見つけないと…改めて思ったわ、「魔法使いなんて、呪文唱えてる間にぶん殴られておしまい」って。それをカバーするためには…

チラッ…

 

あたしはついあやかの顔を見上げてしまう。今、魔法の事を知られてるのはアスナとあやかの2人。

 

2人が時たまやってる喧嘩を見てる限り身体能力は高そうだし、やっぱり…

 

「あの…リナ先生、わたくしの顔になにか?」

 

「あ…いやいや何でもない何でもない?!」

 

…駄目だ、まかり間違ってもあやかは教え子、危険な目にあわせる訳には…

 

「…そうですか…何かお力になれることがありましたらいつでも仰ってくださいましね?」

 

あやか…うん、ありがと。だけどパートナー契約には〈あの子〉の力がないと…?『…呼んだ、リナ?』

 

えっ、今の声…まさか?

 

『ここだよ、ここ!…久しぶりだねリナ。』

 

えっ…声のした木の枝の上にいたのは…金色の毛をしたオコジョ。

 

「オ、オコジョがしゃべった…?!」

 

あやかは驚きを隠せないみたいだけど、あたしはこの子の正体を知ってる。

「ホントに久しぶりね…今までどこほっつき歩いてたのよ?」

 

…そう、この子はあたしをこの世界に転生させた張本人…はっきし言ってチートな存在なのだけど…?

 

「ま、あちこち旅してたんだけどね…久しぶりにウェールズに帰ったらアンタとネギが日本で先生してるから助けてあげてってネカネが。…あとちょっと頼まれ事もあってさ。」

「…頼まれ事?なによそれ?」

 

あたしが声をかけるとオコジョはあたしの胸元へ。

 

「アルベール・カモミールって覚えてる?アイツがちょっと悪さしてね…逃げだしたらしいのよ。」

 

げ。…そいつって確か昔にネギが助けた妖精オコジョよね。アイツ、またなんかやらかしたの?

 

「何でも下着2000枚盗んで逃げたらしいよ?…まったく、なにやってんだか…。」

 

し、下着ドロ…ネギ、あんたも友達選びなさいよ…。

 

「どーもネギを頼って日本に来てるらしいって情報があってさ。ま、それはそれとして…あんた、リナの教え子?」

 

「は、はぁ…」

「あたしの名前はエル・インクブス。由緒正しいオコジョ妖精だよ。ま、よろしく~っ♪」

 

「こらエル、あんまり大きな声で喋ら…ん、ちょっと待って?エルあんた、ミニステル・マギの仮契約ってできるわよね?」

 

「もっちろ~ん!…何、仮契約したいの?」

 

「ん、ちょっとうちのクラスの生徒に素行の悪い吸血鬼の真祖がいてさ…パートナーを探してんだよね。」

 

あたしは簡単に事情を説明する。

 

「…ふ~ん、吸血鬼の真祖ねぇ…」

 

エルはなんか考えてるみたい。

 

「ま、今日のとこは1度寮に戻るとしますか?エルも長旅で疲れたでしょ?」

「そうだね~…もしかしたらカモの奴も来てるかもしんないし。」

 

こうしてあたしとあやか、そしてエルは寮に戻る事にしたんだけど…

 

「…だから兄貴、一刻も早くパートナーを見つけて仮契約を…」

 

「でもカモ君、相手の気持ちも考えないと…」

 

「そんなのどうにだってなりますって兄貴!このクラスの女の子は皆いい素材ぞろいなんでささっ、早く…」

 

「…なにしてんのよこのエロガモっ?!」

 

ムギュッ!

 

…早速発見した変態オコジョを押さえつける。

 

「こ、この何しや…げ!リナの姐さんに…エルの姉御まで?!」

「エルから聞いたわよ?下着ドロで指名手配って…」

 

「カ、カモ君…どーゆー事?!僕そんな話…?」

 

さすがのネギも疑いの目でカモを見る。

 

「ち、違うんでさぁ兄貴!これは無実の罪で…」

 

無実の罪?

 

「…じ、実は俺っちには病弱な妹がいまして…」

 

ふんふん、それで?

 

「知っての通りウェールズの冬は寒いっすからせめて暖かい寝床だけでもと思い保湿効果に優れた女性ものの下着を拝借していたら何故か追っ手が…?」

 

「それは立派な下着ドロじゃあぁぁっ!!」

 

スパパーン!

 

「ふげぇっ?!」

あたしは床に置いてあったスリッパでカモをぶっ飛ばす。

 

「まったく…こらカモっ!あんた本当に改心する気あんの?」

 

「も、もちろんでさぁ姉御?!」

 

ほんとでしょーね?…ちなみに1人契約したら?

 

「5万オコジョ$…あ。」

 

「やっぱり金かぁぁぁっ!!」

 

スパパーン!

 

「ウゴェッ?!」

 

あたしは再びスリッパでカモを吹っ飛ばす。

 

「あんたねぇ…ウェールズに強制送還するわよ?」

 

「そ、それだけは勘弁してくだせえ姐さん!ネギの兄貴の為、必ずお役にたってみせますから!!」

「お姉ちゃん、それぐらいにしてあげて。カモ君の面倒は僕が必ず見るから…駄目?」

 

うっ、その目で見つめられると…わかったわよ。その代わり今度ネギの信頼を裏切るようなまねしたら…

 

「は、はい~っ?!」

 

「う~ん…」

 

あれエル、生徒名簿みて唸ってるけどなんかあった?

 

「…あのさリナ、アンタがさっき言ってた吸血鬼の真祖って…この子?」

 

…?! エルが指(前足?)で示したのはエヴァ。なんで解んのよ?

 

「…やっぱり…リナ、明日この子に会わせてくれない?話があるんだ。」

 

「え、えぇ…別に構わないけど…エヴァを知ってるの?」

 

「人違いかも知んないけどね。」

 

なんか神妙な顔つきのエル。いったいエヴァとどんな関係なのかしら…?




次回からはオリジナル展開に分岐するIFルートとなります。

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