μ'sと仮面ライダーの物語 外伝 ~日常編~ (シーチ)
しおりを挟む

園田海未誕生日記念 破廉恥な勘違いと甘いキスの誕生日

海未ちゃん、お誕生日おめでとう!
ギリギリ間に合いました~…
はい、本編がアニメ2期に入ってからやりたいことで言っていた、番外編のような日常ストーリーを書く小説をとうとう始めました!
小説説明の方でも書いた通り、思いついた時に思いついた話を書くだけなので、更新スピードはかなり不定期になると思います…誤字脱字や意味不明な言葉も本編以上に多くなると思いますので、それでも良ければ見てください!
そして、最初の話はいきなりお誕生日記念ストーリーです。もう終わりかけですが、今日、3月15日は園田海未ちゃんのお誕生日ということで、海未の話を書いてみました!優と付き合った設定の海未の未来の話です。あまり文章が成り立ってなかったり、優と海未がただイチャイチャしてるだけかもしれませんが、ご了承ください…これからも誕生日のメンバーがいる時は、それぞれの記念ストーリーをかけたらいいなと思います。
では、どうぞ!


~side海未~

今日は3月14日。明日は私にとって特別な日。そう、明日は私の、園田海未の誕生日です。さらに、明日はいつもよりも特別な誕生日。明日、私はとうとう20歳、本当の成人をするのです!なのに…なのに…

「なのになんで、優はなんの誘いもないのですか!」

「まぁまぁ、海未ちゃん。」

今、私は穂乃果の部屋で穂乃果と話しています。

「だって、去年の誕生日は1ヶ月も前からソワソワしながら、予定を聞いてきたのですよ!はっ…すみません…穂乃果の気持ちも知らずに勝手に相談して。」

私は、ついどうしようもなくなり、穂乃果に話してしまったことに気が付き、咄嗟に謝りました。

その理由は、アイドルを終えてμ's9人は、お互いの好きな相手に告白しました。凛と花陽は当たり前の様に付き合いましたが、他の私たち7人は全員が同じ相手、仮野優を好きになっています。そして、選ばれたのは私でした。当時はかなり驚きました。しかし、喜びの中、他の6人の気持ちを考えると素直に喜ぶことは出来ませんでした。しかし、他の6人は、海未ちゃんは私たちの分まで素直に喜んで、幸せになってほしいと言われました。

そして、それから約2年、私と優との付き合いは続いています。他のみんなも、優とは友達としてよく会っているらしいんですが。すると、穂乃果が、

「別に気にしてないよ?海未ちゃんは、恋愛には疎いからねぇ…μ'sの中でも、最後の最後まで優くんのことが好きだって気づかなかった人の1人だもんねぇ。それに、穂乃果は優くんのことが好きだったけど、それでも海未ちゃんを応援している身でもあるんだよ?それに、海未ちゃんにはいつも迷惑かけているから。だから、いつでも相談して?」

「穂乃果…」

私は穂乃果の言葉が、とても頼もしく、とても成長をしたと思いました。しかし、その気持ちは次の一言でかき消されてしまいました…

「だから、海未ちゃん!」

「はい?」

「今度、レポート手伝って!」

「……」

私は穂乃果の言葉に、私の感動を返して欲しいと思いました。そう思いながら、私は穂乃果に少し力を込めた笑顔を見せました。

「穂乃果?」

「うぅ…だって、全然終わらないんだもーん!」

「はぁ…しょうがないですね、今回だけですよ?」

こうして、結局いつもいつも手伝ってしまう私は、とても甘いのでしょうか…

「でも、優くんに限って、海未ちゃんの誕生日を忘れるなんてことないと思うなぁ。」

「私、最近思うんです。優は、本当は私のことを好きではなくなってしまったのではないでしょうか…」

「えっ、なんで!?」

「だって…だって…」

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 穂乃果〜

「だって…だって…」

俯いて答えようとしている海未ちゃんに、

「だって?」

と、聞き返した。

「だって、優はキスの1つも言ってこないのですよ!//」

「へ?」

海未ちゃんが言いそうにもなく、穂乃果の考えていたことと真逆のことを言ってきた海未ちゃんに、穂乃果はポカンとしてしまう。

「えっと、どういうこと?」

「優と付き合ってからもう2年ぐらい経つのに、まだ1度もキスしようと言われたことすらないんですよ!」

「えぇ、それは…(絶対、優くんヘタレているだけだだよ…流石にそんなこと言えないけど…)」

「それは?」

「えっと…多分、海未ちゃんに『破廉恥です!』って言われると思ったんじゃないかな?私も海未ちゃんはそう言って、そういうことはしたくないと思ってたし。」

「えっ、そう思われていたんですか?」

「まぁ、ね…」

「わっ、私だって、好きな殿方とキスの1つや2つぐらい…//」

「ふぅーん、海未ちゃんも結構破廉恥だね~」ニヤニヤ

「なっ//そんなこと…」

「けど、優くんだって、海未ちゃんのことが好きじゃなくなったわけでは、絶対にないから安心していいと思うよ?明日だって、何か用意してるんじゃないかな?」

「そうでしょうか…」

「うん、絶対そうだよ!じゃあ、海未ちゃん!」

「はい?」

~side out~

 

 

 

 

 

~side 海未~

「はい?」

私が、穂乃果の言葉に聞き返すと、

「ちょっと早いけど、お誕生日おめでとう!」

そう言って、穂乃果が私にプレゼントの包み紙を渡してくれた。

「穂乃果…ありがとうございます!」

「もう、海未ちゃんったら、毎年のことなのに毎年涙目になってるじゃん!」

「すっ、すみません…でも、親友からのプレゼントは、いつまで経っても嬉しいのです。ありがとうございます。」

「あと、これも。」

「これは?」

「ことりちゃんから。留学中だから、直接渡せなくてごめんって。」

「ことり…後でお礼を言っておかなければなりませんね。」

 

 

 

ピコンッ

 

 

 

「ん?」

そう言って、スマホの画面を見る穂乃果。すると、

「ふぅーん…やっぱりね。」ニヤニヤ

と、ニヤニヤしています。

「どうかしたのですか?」

「ううん、なんでもないよ~それより、海未ちゃん。今から、ちょっと優くんに渡しておいて欲しいものがあるんだけど、渡してきてくれない?」

そう言って、穂乃果は封筒を1つ渡してきました。

「今からですか?」

「うん!」

「ですが、日をまたぐ少し前ですし、急に行っては迷惑かと…」

「大丈夫!お願い~」

「はぁ…分かりましたけど、これはなんなんですか?手紙?」

「うーん、それは内緒。でも、中は絶対に見ちゃダメだよ?」

「そう言われると見たくなってしまいますが、分かりました。帰り道なので、届けてきますね。」

「ありがとう!」

 

 

そして、私は穂乃果に言われたため、優の家に穂乃果から預かった封筒を届けに行きました。

それにしても、いきなり渡してこいなんて、なんなんでしょうか…穂乃果にはやっぱり、いつまで経っても世話をやきますね…

 

ピーンポーン

 

私がチャイムを鳴らしましたが、反応がありません。

出かけているのでしょうか?でも、こんな夜中に…もしかして、浮気!?やっぱり、優は私のことはもう好きではなくなったのでしょうか…

そう思いながら、私はなんとなく優の家のドアノブに手をかけると、

「鍵が空いてる…?」

なぜか鍵が空いていました。私はどうしても気になったので、優の家へ入ることにしました。

それにしても、なぜ鍵が空いているのでしょうか…?優は普段から鍵は閉めていますし、そんな不用心ではないと思うのですが…

そう思いながら私はリビングへ入り、ドアを閉めました。すると、電気は消えていて、人の気配がありません。

「やっぱり、いないのでしょうか…仕方ありません。優に連絡して帰りましょう。」

私は、優の携帯へと電話をかけました。

 

プルルルルッ プルルルルッ

 

すると、

 

~~~♪♪

 

と、優の携帯の着信音が聞こえてきました。

「えっ?」

優は、携帯を置いていってしまったのでしょうか…

私は、暗闇の中光る優の携帯を取りに行こうとして踏み出した時、

 

ピチャ

 

私の足に何かがつきました。私が足についているものに触れると、それは水分のなにかでした。私がそれを拭うと、暗くて良く見えませんが、赤黒いのが分かりました。これは、まさか…

「血…?」

そう、暗闇でなんとなくですが、血のようなものでした。

まさか、これは優の血…?そんな馬鹿な…

私は電気をつけに行こうとしましたが、恐怖で足が震えて動けません。

その時、リビングのドアの向こうから、

 

トン トン トン トン

 

人の足音がしました。

「だっ、誰ですか…」

私が振り返ると、ドアの向こうに人の気配を感じました。

「誰か、いるのですか…?」

しかし、私の問にその人物は答えません。

「うぅ、優…」

私は、恐怖のあまり優の名前を呼びながら、目に涙を浮かべたその時、リビングのドアが開き、

 

 

 

パァーン!!

 

 

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

突然聞こえた銃声のような音に、私は叫び声を上げてしまいました。そしてもう1つ、

 

~♪~~♪

 

優の家の時計が1時間ごとになる音が聞こえてきました。恐らく、0時になって日付も変わったのでしょう…

私、20歳になったのですね…でも、こんな早く死んでしまうのでしょうか…あぁ…最後に優と会いたかったです…

私がとうとう殺されると思った時、

 

「海未、誕生日おめでとう!!」

 

と、電気をつけて出てきたのは、私の恋人で、私がさっきからずっと会いたかった、

 

「優…?」

 

仮野優でした。

~side out~

 

 

 

 

 

~side 優~

「どういう、ことですか…?」

涙目になった海未がそう聞いてきた。

やべっ、ちょっとやりすぎたか…?

「いや、去年の誕生日は普通にお祝いしたから、せっかくの海未の誕生日だから、ちょっとしたサプライズをしようと思ったんだ。」

そう。俺は、去年は普通にお祝いしたので、今年の海未の誕生日は少しサプライズを用意しようと、ちょっと怖めのドッキリをしたのだった。けど、ちょっとやりすぎたな…

すると、

「うぅ…怖かったですよ!グスッ…ゆうぅぅぅぅぅぅ!!」ポロポロ

泣きながら海未が抱きついてきた。

「うっ、海未!?//悪かったな。ちょっと驚かそうとしたけど、結構怖かったか?」

「怖かったですよ!ただでさえ、優は私の誕生日を忘れて、私のことが嫌いになって、浮気しているのかと思っていたのにぃ…」

「えっ!?誕生日を忘れてたはともかく、海未のことが嫌いで浮気!?なんで!?」

「だって…優は、私にキスの1つも求めてくれないし、それでこんな夜中にいなくなってたから…」

「キッ、キス!?」

「はい…私だって、好きになった人とキスとかしてみたいと思うんです…//」

「そっ、そうだったのか…その、ごめん。本当は、俺もキスとかしたいとは思ってたんだけど…」

「えっ…?そうなんですか?」

「あぁ…//けど、海未の事だから『破廉恥です!』って言うかなと思って、俺からはそういう話はやめとこうと思ってたんだけど、違ったんだな…(本当は、恥ずかしくて言えなかったなんて言えない…//)」

「フフッ、穂乃果の考えは、当たっていたみたいですね。そういえば、穂乃果にこれを届けてって言われてきたんですけど、もしかして…」

「あぁ、穂乃果に頼んで日付が変わる少し前に俺の家へ海未に来てもらうようにしてもらったんだよ。その封筒には、特に何もないぜ。」

 

「そうだったんですね。優、改めてありがとうございます。」

 

そう言って、海未は目を閉じてきた。これって、そういう事だよな…//よし、俺!心を決めろ!

 

「あぁ、改めて誕生日おめでとう!海未。」

 

俺は、そう言って、目をつぶって海未に顔を近づけていく…

 

あと、10センチ…

 

5センチ…

 

1センチ…

 

とうとうくっつくと思ったその時、

 

「お兄ちゃーん…誰か来てるの?」むにゃむにゃ

 

寝ていた優奈が目を覚ましてやってきた。

普段なら、ただ彼女である海未が来ていると言うだけだ…しかし、今の俺たちの状況は…

 

「「はっ…!?//」」

 

「えっ…しっ、しっ、失礼しましたー//」

キス寸前の俺たちを見た優奈は、そう言って自分の部屋へと走り去っていった。

 

「「……//……プッ、ププ…」」

 

初めは俺たちも恥ずかしさで無言だったが、この状況に俺たちは吹き出して笑ってしまった。

「ははっ、俺たち、ほんとにタイミング悪いな。」

「そうですね。せっかくのタイミングでしたのに。フフッ。」

「じゃあ、海未。改めて。」

「はい。」

 

 

 

 

 

そして、今度こそ俺たちはお互いの唇を重ね、最高の誕生日をお祝いしたのだった…

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

西木野真姫誕生日記念 医者になるためには…

真姫ちゃん、お誕生日おめでとう!
はい、今回は真姫ちゃんの誕生日記念エピソードです。あれ、真姫ちゃんの誕生日って、4月19日じゃ…はい、2日も遅れてしまい、すみませんでした!いや、4月になって、新しい年度を迎えたので忙しい方も多いと思いますが、僕もその1人なんですよ。←言い訳
ともかく、真姫ちゃんの誕生日ということで、海未ちゃんに続いて2人目の記念エピソードを書きました。日常編を書くと言いながら、今のところまだ誕生日記念しか書いてないですね…また、日常編も時間がある時に息抜き感覚で書こうと思います!
では、ご覧下さい!


〜side 真姫〜

 

〜〜〜♪〜〜♪

 

1人、音楽室でピアノを弾きながらµ’sの次のライブの曲の作曲をする私。私は、将来医学部に入って医者になると決まっている。だから、ずっと私の音楽は終わっていると思っていた。けど、µ’sに入って、作曲したり歌ったり踊ったりしていく中で、私はピアノが、歌が、ダンスが、音楽が…スクールアイドルが好きになっていっているんだと、自分でも気づいている。でも、私の将来は医者になるって決まっている。そんな私が、スクールアイドルをやっているとパパにバレたら、多分許してくれないだろう。最近の私は、ずっとそんなことを考えている。

 

そんなことを考えて作曲に身が入らなかった私は、今日は帰ることにした。家に帰ってきた私は、自分の部屋へと帰ってきた。

「はぁ…」

『真姫、どうしたんだ?ため息なんてついて。』

「キバット…別に、なんでもないわ…」

ため息をついた私に話しかけてきたのは、コウモリ型のロボット、キバットバット5世。私に仮面ライダーキバに変身する力を与えてくれた張本人…いや、張本コウモリ?語呂悪いわね…

『なんでもないやつは、そんな顔してないぜ?』

「それは…」

『真姫、素直じゃないところがあるからなぁ。』

「べっ、別に!そんなこと、ないわよ…」

『本当にそうか?さっきの作曲だって、全然進んでなかったじゃねぇか。』

「なっ、見てたの!?」

『最近、真姫が元気なかったから、なんとなく様子を見に行ったんだぜ。』

「元気がないわけじゃ…」

『スクールアイドル、のことか?』

「ヴェェ!?なんで…?」

『まだ少ししか経ってないけど、真姫は俺様の相棒だからな。なんとなく、分かるぜ〜。でも、スクールアイドルのことなら、あいつに言ってみるのが1番じゃないのか?』

「あいつ?」

『優のことだよ。』

「優…でも、これは私の問題だし、優やµ’sのみんなに頼るわけには…」

『はぁ…』

「なによ?」

『別に。(真姫といい、優といい、µ’sにはなんでこうも誰かを頼ることをしないやつらばっかりなんだ…?)』

「はぁ…」

ため息をつきながら立ち上がった私に、

『ん、どこ行くんだ?』

キバットが聞いてきた。

「とりあえず、お風呂に入ってくるわ。」

『そうか、じゃあ行くか。』

「まさか、一緒に入るき?」

『えっ、違うのか?』

「入るわけないでしょ!」

『なんだよ、じいちゃんは渡と入ってたぜ?』

「渡って誰よ…?それに、あなたのことは、パパだけじゃなくてママにも言ってないんだから!お風呂には、1人でどこかに入ってって!」

『えぇ…じゃあ、穂乃果ちゃんとかことりちゃんのとこに行くか…』

「だめよ!優か蓮のとこに行ってきなさい!」

『えぇ、わかった…』

そう言って、キバットは飛んでいった。あの、変態コウモリめ!っていうか、コウモリ型のロボットなのに、お風呂って入るのね…

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side キバット〜

真姫のやつ、もうちょっと誰かを頼ってもいいんじゃねぇか?

真姫の家を出て、俺様は優の家へと飛んできた。

『優、いるかー?』

「ん?キバットか。どうしたんだ?」

『いや、真姫に風呂に入りたいんなら、優か蓮の所に行ってこいって言われたんだよ。』

「そういうことか。俺は別にいいぜ。」

『おっ、サンキュー!』

「俺もこれから入るとこだったし、入るか?」

『あぁ!』

 

俺様は、優の家の風呂に優と一緒に入っていた。

「へぇ、真姫が何かに悩んでるねぇ…」

『多分スクールアイドル関係のことなんだろうけど、なにか心当たりないか?』

「ん、スクールアイドル…?もしかして…」

『おっ、なんか心当たりあるのか!?』

「あぁ…穂乃果に真姫がスクールアイドルの勧誘を受けた時、真姫は『私ね、大学は医学部って決めてるの… だから、私の音楽はもう、終わってるって訳…』って言ってたんだ。でも、スクールアイドルになりたい花陽の背中を押した時、穂乃果に誘われて真姫もスクールアイドルになったんだ。だから、もしかしてまだその事を考えているんじゃないかな…」

『そういうこと、だったのか…』

「まだ、分からないけどな。」

 

ふぅ、さっぱりしたぜ〜。優の家で風呂を入り終えた俺様は、真姫の家に帰ることにした。

それにしても、俺様に出来ることは何かないか…真姫は、俺様があの時真姫に戦わないかと聞かなければ、こんな危険な目にあうことはなかったはずだ…最終的には、真姫自身が戦うことを選んだんだとしても、俺様にも責任がある。だから、俺様は出来る限り真姫をサポートしたいと思っている。戦いに関することでも、違うことでも。って、こんなこと言うのは俺様のキャラじゃないか。

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 真姫〜

次の日、1日の授業を終え、µ’sの練習の休憩中。

「真姫、さっきのステップ少し遅れてたぞ?」

優が私に言ってきた。

「あっ、ごめん…」

「最近ちょっとぼーっとしてること多いけど、やっぱり悩み事があるのか?」

「えっ?やっぱりって…?」

「昨日キバットから聞いたんだよ。」

「まったく、お喋りコウモリ…まぁ、ちょっとね…」

「もしかして、医者になる私が、スクールアイドルをやってていいのかって、考えてるのか?」

「えっ…!?」

私の考えが、優に当てられて私は戸惑ってしまう。

「やっぱりか…前にも言ったけど、真姫の人生は真姫自身のものだ。真姫以外の誰のものでもないんだから、真姫がやりたいことをやったらいいと思うぜ。お父さんに、スクールアイドルについて何か言われたのか?」

「いえ、パ…お父さんには言ってないわ。スクールアイドルをやってること。」

「えっ!?そうだったのか?」

「うん。マ…お母さんにしか言ってないの。お母さんは私の意見を尊重するって言ってくれたけど、お父さんは反対すると思うから…」

「そうだったのか…俺になにか力になれることがあったら、なんでも言ってくれ。いつでも力かすから。」

「ありがとね。」

 

 

そして、練習を終えた私たちはそれぞれ帰ることになった。練習を終えた時、街に怪物が現れたため、優と蓮は向かっていった。私や穂乃果、変身出来る人は一緒に戦うと言ったが、今回は大丈夫と言って2人は向かっていった。本当に大丈夫かしら…?あの2人、無茶なことをすることがあるのよね…

私がそんなことを考えながら、帰り道を歩いていた時、

「うっ…うぅ、うわぁ!」

前を歩いていた仕事帰りであろう男性が、突然苦しみ出して倒れた。

「えっ!?だっ、大丈夫ですか?」

その事に驚きながらも、私はその男性に駆け寄って問いかけた。すると、その男性から、オレンジ色のバグのような模様が浮かび上がっていた。

「これって、バグスターウイルスっていう…」

夏休みに大量感染があったバグスターウイルス、通称ゲーム病。その時、感染したにこちゃん達からこのバグのような模様が出ていたのを思い出した。

「どっ、どうすれば…キャッ!?」

すると、その男性から何かが出てきた。その何かは怪物へと変化した。

「かっ、怪物!?」

「我が名は、アランブラ。」

アランブラ…確か、タドルクエストっていうゲームで、魔法を使うバグスターだったはず…

『真姫、こいつは!?』

私の元へ飛んできて、キバットが聞いてきた。

「あの、男の人から出てきたバグスターっていう怪物。早く倒さないと!キバット、行くわよ!」

『あぁ、キバっていくぜ!』

私はキバットを手に取り、

『ガブッ!』

私の手に噛み付き、その事で私の腰には6つのフエッスルがついた赤いベルトが巻きついた。

「変身!」

私は腰のベルトにキバットを逆さ向きに取り付け、仮面ライダーキバに変身した。

「はぁぁぁぁぁぁっ!」

私はアランブラバグスターへと駆け出して、攻撃を始めた。

「はぁっ!やぁ!」

私は、アランブラバグスターに攻撃するが、アランブラバグスターの杖で躱されてしまう。

「くっ、だったら…」

私はベルトに付いてるフエッスルの中、緑色のフエッスルをキバットの口にさした。

『バッシャーマグナム!』

私は普通のキバとは違い緑色のキバ、仮面ライダーキバ バッシャーフォームに変身した。

私はバッシャーフォームの専用武器、バッシャーマグナムで遠距離からアランブラバグスターへ撃っていくが、

「我が魔法に、その様な攻撃は効かぬ!」

アランブラは魔法で私の攻撃を防いでくる。

「まだまだ、次はこれよ!」

今度は紫色のフエッスルを、キバットにさした。

『ドッガハンマー!』

私は緑から紫色に変わり、仮面ライダーキバ ドッガフォームに変身した。

「たぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

私は走り出して一気に飛び、上からアランブラにドッガハンマーで攻撃した。

「甘い!」

しかし、アランブラの魔法に防がれ、アランブラへ攻撃を当てることが出来ない。

「だったら…!」

『ガルルセイバー!』

私は、最後のフォームチェンジ用の青色のフエッスルをキバットの口にさして、仮面ライダーキバ ガルルフォームに変身した。

「はぁっ、やぁっ!」

「フッ、ハッ!」

 

カキンッ!カキンッ!

 

私のガルルセイバーの攻撃を、アランブラは自身の杖で防いでくる。

「まだまだ、未熟者め!そんな悩み多き者が、私に勝てるわけなかろう。はぁ!」

アランブラが放ってきた魔法の攻撃を受け、私は倒れてしまう。

「トドメだ!」

「うぅ…」

そして、アランブラが火の魔法で攻撃してきた。私はもうダメだと思ってしまった…が、

『デュアルアップ!タドル メグル RPG!ドール ファンダジ〜!』

アランブラの火の魔法は、私の前に現れた火の形をした剣に吸い込まれていった。

「あっ、あなたは!?」

私の前に現れたのは、CRのドクターである鏡飛彩さんが、仮面ライダーブレイブ ファンタジーゲーマーレベル50に変身した姿だった。

「ん、お前は…?」

「あの、夏のバグスターウイルス大量感染の時にお世話になった、µ’sの西木野真姫です。」

「あぁ、学生がマネージャーを務めているスクールアイドルの…お前も、仮面ライダーだったんだな…」

「はい、なったのは最近ですけど…」

「そうか、まだ行けるか?」

「はい!」

『よし、真姫。今日は出血大サービスだ!』

「ん、どういうこと?」

『ガルル、バッシャー、ドッガの3つのフエッスルを俺にさせ!』

「分かったわ。」

「よし、行くぞ。」

『タドルレガシー!』

飛彩さんは、白いガシャットを起動させた。

「術式レベル100 変身!」

『レベルアップ!辿る歴史!目覚める騎士!タドルレガシー!』

『ガルルセイバー!』『バッシャーマグナム!』『ドッガハンマー!』

飛彩さんは仮面ライダーブレイブ レガシーゲーマーレベル100に、私は仮面ライダーキバ ドガバキフォームに変身した。

「これより、アランブラ切除手術を開始する。一気に決めるぞ!」

「はい!」

『キメワザ!タドル クリティカルストライク!』

『ウェイクアップ!』

私と飛彩さんは、同時にアランブラバグスターへ必殺技のキックを放った。

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」

「私にその様な攻撃が効くとでも…なに!?ぐぁぁぁぁぁっ!」

アランブラバグスターは、私と飛彩さんの攻撃で爆発して倒された。

「ホッ…あっ、大丈夫ですか!?」

アランブラバグスターを倒したことで、一安心した私は、感染していた人を思い出し、変身を解除して駆け寄った。感染していた男性は、もう大丈夫みたいなので帰っていった。

「今回は、俺が来るまで持ちこたえてくれて助かった。君がいないと、被害は大きくなって行っただろうしな。」

変身解除した飛彩さんがそう言ってきた。

「いえ、飛彩さんがいないと私は死んでいたので…」

「何か悩み事でもあるのか?思いつめたような顔をしているぞ。」

「……」

黙っている私を見て、

「少しぐらいなら話を聞くぞ?」

「何か、意外ですね。飛彩さんって、あんまり他人に関心がないのかと思ってました。」

「俺も前はそうだった。患者には関わらないと思っていた。しかし、それを研修医に変えられたんだと思う。だから、今は少しぐらいは患者の悩みなども聞いている。だから、研修医のおかげなのかもな。」

「私、親が病院を経営しているんです。私も将来は、医者になろうと思ってるんです。けど、そんな私が、スクールアイドルや作曲などをやっていていいのかって、最近思うんです。」

「……確かに、それは難しいことだな。でも、この事を最終的に決めるのはお前次第だ。それは、お前が決めろ。けど、1つ俺がアドバイスしていいなら、医者になるからといって、やりたいことをやってはいけないということはないと思う。俺は、過去に医者になることばかり考えて、大切な人を失ったことがある。お前にとって、スクールアイドルは、大切なんじゃないのか?」

「はい。やっぱり、私は続けたいです!音楽を、ダンスを、作曲を…スクールアイドルを!」

「そうか。なら、やればいいと思う。」

「はい!」

医者である飛彩さんのアドバイスを聞いて、私はスクールアイドルを続けようと思った。

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 飛彩〜

俺との話を終え、西木野真姫は自分の家へと帰っていった。1人になった俺に、

「飛彩さんも変わりましたね。」

という声が聞こえた。

「研修医…いたのか。」

「僕の研修期間も、来年の春までですよ。それより、緊急通報が聞こえたと思って来てみれば、真姫ちゃんと話している飛彩が見えたので少し聞いていました。それで、バグスターは?」

「俺とあの子で倒した。」

「優くんの連絡にあったように、真姫も変身出来るようになったんですね。でも、これまでの飛彩さんなら、真姫ちゃんの悩みを聞くなんて考えられませんでしたけどね。けど、それを僕のおかげだと思ってくれていたんですね。」

「なっ!?別に、俺はお前に感謝していないわけではないというだけだ…」

研修医の言葉に、俺は動揺してしまう。

「真姫ちゃんと飛彩さんって、何か似てますね。」

「どこがだ?」

「うーん…ツンデレなとこ、ですかね?では、僕はまだ小児科医の仕事が残ってるんで戻りますね。」

そう言って、研修医は戻っていった。

「なっ、研修医!」

〜side out〜

 

 

 

 

〜side 優〜

「真姫、永夢さんから聞いたけど、昨日大丈夫だったか?」

昨日、永夢さんから真姫がアランブラバグスターと戦ったということを聞いた俺は、真姫に聞いた。

「えぇ、飛彩さんも助けに来てくれたし、大丈夫よ。」

「なら、良かったよ。」

「ねぇ、優。」

「どうした?」

「私ね、やっぱり続けたいと思うの。だから、私これからも続けるわ!スクールアイドル!」

真姫の言葉に、俺の顔は一気に明るくなった。

「そっか、良かった。」

「だから、これからもよろしくね。マネージャーさん!」

「あぁ!」

 

 

こうして、真姫はまだスクールアイドルを続けることを決心したのだった。

 

しかし、そんな真姫がスクールアイドルを続ける事に、最大の壁となるものが立ちはだかるのは、もう少しあとの話。そして、そんなことが起こることを、この時の俺は、考えていなかった…

 

 

 




はい、どうだったでしょうか?
今回は、医者を目指す真姫ちゃんがスクールアイドルを続けていいのかと悩んでいる話でした。そして、医者である、仮面ライダーブレイブの飛彩さんが登場しました。飛彩さんも本編終了後なので、少し丸くなっていましたね。
そして、最後の優の言葉の意味とは…これは、もう少ししたら本編で分かると思います!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

東條希誕生日記念

希ちゃん、お誕生日おめでとうー!!!って、2週間も遅れてるじゃねぇかぁぁ!!

皆さん、2週間も遅れてしまい、本当に申し訳ございません!ここ最近、本当に忙しい毎日でして、2週間も遅れてしまいました…本当にすみませんでした。次のにこちゃんの誕生日には、出来るだけ早く投稿します!

今回の話は、本編の『µ’sと仮面ライダーの物語』の『78話 血が繋がっていなくても…』の少し後の話になっています。本編に少し繋がっている所もあります。

では改めまして、東條希誕生日記念回、スタートです!


〜side 絵里〜

今日1日の授業が終わり、µ’sの練習も終わり、みんなが帰ろうとしている中、私は1つ気になっている事がある。それは、私の親友…東條希が、今日1日、何故か元気がない事。まぁ、希の事だから、どうしたのかと聞いてもなんでもないって答えるだけなんだろうから、まだ聞いてないけど。

「なぁ、希。今日どうかしたのか?元気なさそうに見えたけど…」

「えっ…?そうやった?そんな事ないよ、ウチはいつだって元気やで!」

そんな事を考えたら、優が希に聞いていた。しかし、希の答えは、私の予想通りだった。はぁ、希も人に心配かけたくないって思ってるんでしょうね…そこは、優と似てるかもしれないわね。

そして私は、希に話しかけた。

「希。」

「えりち…?どないしたん?」

「今日、亜里沙が雪穂ちゃんの家で晩御飯を食べさせてもらうらしいのよ。私1人で食べるのもあれだし、帰り一緒にハンバーガーでも食べに行かない?」

「うん、ええけど、珍しいね。えりちが晩御飯にハンバーガーを食べに行こうなんて言うん。」

「まぁ、たまにはいいかなと思ってね。」

こうして、私は希とハンバーガーを食べに行くことになった。

 

私と希は、アメリカ発祥の人気ハンバーガー店、ワックにやって来た。

「「いただきます。」」

そう言って、それぞれ注文した食べ物を食べ始める私達。

「それで、えりちはウチになんか用があったん?」

「えっ?」

「亜里沙ちゃんがいなかったとしても、えりちがハンバーガーを食べに行こなんて言うの、珍しいやん?だから、ウチになんか用があったんとちゃうかなって思ったんよ。」

「…はぁ…ほんと、希には何もかもお見通しね…ほら、今日1日、希が元気なさそうに見えたから、何かあったのかなって思ったのよ。」

「…ウチは元気や「って、優にも誤魔化してたわよ。私には通用しないわよ?」……えりち…」

希が誤魔化そうとした言葉を言い終わる前に、私は希にそう言った。

「大したことやないよ…だから、えりちに言うほどの事じゃ…」

「いいから、言ってよ。私達、親友でしょ?」

「そうやけど…」

「私は希に悩みがあるなら、力になりたい。µ’sに入る前の意地張ってた私に、希がµ’sに加入できるよう色々力になってくれてたように。」

「えりち…実はね…」

私の言葉を聞いた希は、やっと話し始めた。

「この前、いつもの占いをしたんよ。そしたら、優くんに危機が迫ってるって…ただの占いやし、当たるかも分からないけど、ウチの占いって、当たってしまう事が多いから…それに、優くんは普通の人と違って仮面ライダーとして怪物と戦ってる…だから、危険な目に遭うことだっていっぱいあるし、いつだって死の危険があるってことも…」

「希…」

普通の人が占いで悪い結果が出たって言っても、どうせ外れるだろうと思って終わりだと思う。けど、本人も言ってる通り希の占いは、信じられないぐらい当たる。それは私もよく知ってる。だから、本当に優に危機が迫ってるのかもしれないわね…まぁ、優はそんな危機を、これまで何度も乗り越えてきたけど、希がここまで元気を無くすなんて、これまでとは比べ物にならないぐらいの危機が迫ってるのかもしれないわね…

「ウチも本当は、こんな結果の占いを信じたくはないんやけど、やっぱり心配になってしまうんよ…」

「確かに、ただでさえ無茶をしてでも戦う優だもの。それに希の占い結果が重なったら…」

私はその時、優のある言葉が思い浮かぶ…

『俺は、このノーマルデータボトルが壊れたりすると、消えてしまうらしい。』

今の優は、ノーマルデータボトルを壊されるだけで死んでしまうって言ってたわね…だったら、優だけじゃなく、ノーマルデータボトルにも気をつけないといけないって事ね。

「希が心配するのは分かるけど、希がそんなに元気がなかったら、優も心配すると思うわよ?今日だって、練習中ずっと気にしてたし。」

私はそう言うが、

「うん…」

希はやっぱり元気がないまま…

「それに、今は蓮だっているし、それにµ’sの中に、6人も仮面ライダーに変身する事が出来るようになったのよ。変身出来る私達も、優に負担をかけないようにサポートしていくつもり。だから、希がそこまで落ち込まないで。」

「そうやね。今は、えりち達も変身出来るようになったんやし…それに、昔から優くんは危険な目に遭うことが多かったけど、その度優くんは乗り越えてきた。だから、ウチはそんな優くんを信じる!」

そう言って、希はいつもの笑顔に戻った。あれ?希今、昔からって言った?気のせい、かしらね…

 

その後、お互いの食事を終えて、私達はそれぞれの家へと帰っていった。

 

けど、希の占いの結果は本当に当たるから、やっぱり警戒しておくべきよね…希は知らないけど、優は転生者らしいし、ノーマルデータボトルが壊れただけで死んでしまうんだものね…

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 希〜

えりちの言葉を聞いて、ウチも少し元気を取り戻した。けど、やっぱりウチの中に心配は残ってる。優くんは仮面ライダーだからって、無茶をしてでも怪物を倒そうとしてる。そういう所は、昔ウチが会った優くんと何も変わってない。だからこそ、心配になってしまう。優くんの身に、何か大変な事が起こるんやないかと…

 

そんな心配をしながら、ウチは自室のベットで眠りについた。

 

 

翌日…

今日は、いつもより早く目が覚めてしまった。今日は、えりちにも優くんにも、心配かけないようにしないとね。

 

そして、朝の支度を終え家を出たウチは、音ノ木坂学院へと向かう。今日は、µ’sの朝練もないけど、家にいてもやる事がないから、ウチは少し早めに家を出た。

 

ウチが家を出てからしばらくした時、

「東條希だな?」

白い服を着た男の人が、ウチに話しかけてきた。あの白い服、もしかして…いや、もしかしなくても優くんが戦ってる財団Xっていう組織の人やんね…?

「ん?確かにウチは東條希やけど、ウチ、あなたと会ったことあったかな…ウチ、あなたの事、見覚えないんやけど…」

ウチは相手が敵の組織という事が分かってないように、そう言った。

「下手な嘘はつかなくていい。お前が俺を財団Xの一員だと気づいている事ぐらい、バレバレだ。」

「やっぱり、財団Xの人なんやね。それで、ウチに何か用なん?」

「あぁ、悪いが俺と一緒に来てもらう。」

ウチが狙い…?でも、財団Xの人って事は怪物になるかも…けど、ウチが怪物を倒すには、アレを使うしか…けど、今のウチにはアレは使えない…どうすればいいん…?

ウチがそう考えていると、もう1人後ろから人が来て、ウチの口にハンカチを当てた。そこで、ウチの意識は途切れてしもた…

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

俺は今、音ノ木坂学院の通学路を歩いている。今日は、µ’sの朝練も無いため、いつもより遅めに家を出た。やっぱり、昨日希が元気なさそうに見えたのは、気のせいじゃないよな…俺が歩きながらそう考えていると、

 

〜〜〜♪〜〜♪

 

俺の携帯から、着信音が聞こえてきた。

「ん?こんな時間に電話なんて、珍しいな…」

俺はそう思い携帯の画面を見ると、電話をかけてきたのは希だった。

「希から?もしもし?」

俺が電話に出ると、

『仮野優、だな…?』

電話に出たのは、明らかに希の声ではない、低い男の声だった。

「お前、希じゃないな?どういう事だ!希はどこだ!?」

『声を荒らげるな。耳が痛い。』

「ふざけるな、希を返せ!」

『東條希を返して欲しかったら、俺の言った場所に1人でこい。』

「……クッ、分かった…その前に、希が無事か教えろ。」

『いいだろう。東條希、仮野優に何か言ってやれ。』

男はそう言い、恐らく電話先で希に電話を代わったのだろう。

『優くん!来たらあかん!ウチは、大丈……もういいか?』

希が全て話し終わる前に、男はそう言った。

そして、俺は男の言った通りに従って、言われた場所に向かった。

 

 

俺は男に言われた場所に、1人でやってきた。そこは廃工場で、まさによくドラマとかで『返して欲しかったら、1人でこい』と、呼び出される事がありそうな場所。その廃工場の入口にはマスカレイド・ドーパントが2体立っている。さっきの電話で男には、表口から入ってこいと言われたから、恐らく裏にも入れる場所があるのだろう…

そして俺は、その廃工場に入った。俺が中に入ると、希が廃工場の丁度真ん中ぐらいに手足を縛られて椅子に座らされているのが見えた。そして隣には、さっきの電話の相手であろう男が、立っていた。

「優くん!」

俺が来た事に気づいた希が、そう叫んだ。

「約束通り1人で来たぞ。希を解放しろ。」

「その前に、インフィニティドライバーとインフィニティブレス、それにアタックバックルを渡せ。」

「……分かった…」

俺はその3つを外して、男に投げ渡した。

「さぁ、希を解放しろ。」

俺がそう言うが、男は何も言わずに近づいてきて、ある物を取り出した。

『ラストワン』

「ゾディアーツスイッチ…」

男は手にゾディアーツスイッチを持っていた。さらに、いきなりラストワン状態で…そして男は、持っているゾディアーツスイッチを押した。男はペガサス座のゾディアーツ、ペガサス・ゾディアーツに変身した。そして、男の体は蜘蛛の巣のような糸に絡まれた状態で、ペガサス・ゾディアーツの体から出ていった。

「悪いが、東條希は解放しない。」

「なに!?ふざけんな!!」

俺はペガサス・ゾディアーツに変身した男の言葉に怒り、変身も出来ない状態で男に殴りかかった。

「変身もできないお前に、勝てるわけないだろ。ふんっ!」

ペガサス・ゾディアーツはそう言って、俺の顔を蹴ってくる。

「ぐはぁっ!」

俺はそれにより、顔に傷を作って倒れる。

「クッ…まだだ…希は、絶対に返してもらう!あぁぁぁ!」

俺はさらに攻撃をしていくが…やはり変身もしていないため、俺がさらに反撃を受けてしまう…

「ぐぁぁぁぁ…!!」

「優くん!ウチの事はもうええから、優くんだけでも逃げて!」

涙目になりながら、希は俺にそう叫ぶ。

「そんな事、出来るわけないだろ…希は、俺の大切な仲間なんだ!希を見捨てて、逃げるわけねぇだろうがぁぁ!」

そう叫びながら立ち上がった俺に、

「ふっ、愚かだな…ふんっ!」

再び蹴ってくる、ペガサス・ゾディアーツ。

「ぐはっ!」

その攻撃に、そろそろ俺の体も限界に近づいてきた。

その時、

 

ボコンッ!!

 

大きな音ともに、廃工場の裏口からマスカレイド・ドーパントが2体倒れながら入ってきた。

「なに!?どういう事だ!」

ペガサス・ゾディアーツは何が起きたのか分からない様子。それは、希も同じようだ。

そして、さらにもう1人、廃工場の裏口から中に入ってきた。その人物とは…

「ったく、遅せぇよ…」

「ゆっ、優くん!?」

そう、この俺…仮野優だった。

「悪いな、マスカレイド・ドーパントの数が意外と多くてな。」

もう1人の俺がそう言った。

「どういう事だ!?何故インフィニティが2人!?」

そう、何故俺が2人いるのか…それは、この男から電話がかかってきた時に遡る。

 

 

 

〜30分前〜

「まずいな…どうする…そうだ、これを使えば!」

俺はそう思い、アタックバックルにあるカードを1枚入れた。

『スペシャルアタック コピー!』

 

スペシャルアタックカード 『コピー』…

このカードを使えば、俺自身…又は俺がコピーさせたい人物や物をコピーする事が出来る。さらに、コピーした後はコピーさせた人物と全く同じになれるため、俺をコピーしたら、インフィニティドライバーなども、一定時間のみ2つにする事が出来る。しかし、このカードは『ワープ』などのカードと同様、ライダーエナジーの消費が大きいため、緊急時以外は、使わないようにしている。

 

俺はコピーカードを使って、2人に分身した。

そして、1人は表から希を助けに、そしてもう1人は裏口からこっそりと助けに向かった。

 

 

 

〜現在〜

「と、俺はこのコピーカードを使って分身して、もう1人の俺が裏口から見張りのマスカレイド・ドーパントを倒しながら来たんだよ。」

俺が立ち上がりながらそう言った。

「クッ、小癪な…」

「希、大丈夫か?」

「うっ、うん…ありがとう。」

ペガサス・ゾディアーツが俺の話に気を取られている間に、もう1人の俺が希が縛られていたロープを外している。

「さてと、よくも俺の大事な仲間をこんな目に合わせてくれたな。覚悟しろよ!」

俺は分身していたもう1人の俺と体が重なり、1人に戻った。そして腰に、インフィニティドライバーを巻き付けて、

「変身!」

俺は仮面ライダーインフィニティ レッドメモリーズフォームに変身した。

『スペシャル召喚 インフィニティソード!』

俺はインフィニティソードを手に取り、ペガサス・ゾディアーツへと斬りかかった。

「はっ!やっ!てやぁ!」

俺はどんどん距離を詰めていき、インフィニティソードでペガサス・ゾディアーツを斬る。その攻撃により、ペガサス・ゾディアーツは倒れる。

「仮面ライダーである俺を怒らせるとどうなるか、教えてやるよ!」

俺はインフィニティソードに、フォーゼデータボトルを入れた。

『フォーゼ!ライダー 宇宙ロケット!』

すると、インフィニティソードの後ろから炎が出てきた。俺はその炎でロケットのように一気に飛んで、ペガサス・ゾディアーツへと距離を詰める。

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

ペガサス・ゾディアーツは俺の攻撃を受け、爆発した。そして男の体に意識が戻り、男はゆっくりと立ち上がった。

「くっ…よくも、覚えておきなさい!」

そう言って、男は逃げていった。

「逃げたか…希、大丈夫か?」

俺は希がいる方へと振り返る。すると希は、

「優くん…良かった…グスッ…無事で、良かったよ…うぅ…グスッ…」

泣きながらそう言った。

「ウチ、この前占いやってたら、優くんの占い結果が悪かったんよ…ウチの占いって、よく当たるから、もし優くんに何かあったらって思うと、心配やったんよ…そんな時、優くんがピンチになったから、ウチ怖かった…」

「希…」

希の言う通り、確かに希の占いがよく当たるのは俺も知っている。

「希、ありがとな。心配してくれて。けど、俺は死なないし、みんなの事も死なせない。だから、俺を信じてくれないか?」

「ううん、ウチも優くんを信じる!ありがとう!」

こうして、何とか俺達は無事に帰ったのだった。

〜side out〜

 

 

 

〜三人称視点〜

先程まで、ペガサス・ゾディアーツに変身し、仮面ライダーインフィニティである仮野優に敗れた男が、路地裏へ走って優から逃げていた。男は後ろを振り返り、優が追ってきていないことを確認すると、安心したように前を向く。すると、先程までいなかった人物が、男の前に立っていた。

「ッ!?グラス…様…」

グラス、と呼ばれた謎の男は不敵な笑みを浮かべて男に話しかける。

「せっかく協力してあげたと言うのに、東條希も、仮野優も捕獲できないなんて、使えませんねぇ…」

「それは…」

「もうあなたには、用はありません。」

「まっ、待ってくれ!もう1度チャンスを…グハァッ!」

グラスという男は、躊躇いもなくペガサス・ゾディアーツに変身していた男を射殺した。

「ふぅ…さてと、そろそろ私も、動き出すとしますか…楽しみですね、仮面ライダー…」

〜side out〜

 

 

 

〜side 希〜

仮野優くん…ウチが小学生の頃、初めて出会った初恋の相手。そして、ウチが高校生2年生になった時、また優くんと再会した。けど、彼はウチのことを覚えてなかったんやけど…

そして今の彼は、仮面ライダーとして人々を守るために戦ってる。だから、いつか本当に危ない目に合うんやないかって心配してた…けど、ウチは彼を信じてみようと思う。優くんは、絶対に負けないって…そして、いつかウチの事を、思い出してくれるって…

 

だから、ウチの秘めた想いは、今は胸の中にしまっておこうと思う…

 

 




どうだったでしょうか?言葉や内容が無茶苦茶になってしまった部分が結構ありますね…

最後に、グラスという謎のキャラクターが登場しました。彼は本編ではまだ登場していませんが、もう少し後に登場する事になる人物です。

改めて、希ちゃんお誕生日おめでとう!!

2週間も遅れて、すみませんでした…


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。