ハイスクールD×M (ノイヨウ)
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旧校舎のディアボロス
1話
遥か昔、地球上で、小さなナニかが動き始めた
最初は小さく、ただ小さいだけの生命だった。自身の意思では動くことができず周りの環境の影響を受けてようやく動くことができた。そうやって生きていくうちに僅かだがナニかは自分から動き出せるようになる
自分が生きるため、もっと大きくなるため
動き始めるとまず自分より弱いものを喰らった。弱いものといっても今の地球上で一番強いのは喰らい始めたナニかだが。そして、ナニかは弱いものを簡単に自分の糧にすることができた
ナニかは喰らい続けた。喰らい続けて自身が変化してきたことに気づいた
左右に二つずつ出っ張りがあるのだ。それを自覚したナニかは動かずにはいられなかった。より遠くへ、より早く獲物をナニかはさらに強く大きくなっていった
ナニかはハッキリとした形を得た。ただ、周りを見てもまだ小さいままでハッキリとした形を得ていない
ナニかは今までの住処である水中から出て陸に立った。泳ぐことに特化した体では陸上で動くとなると不便とナニかは感じ取った。
ナニかはすぐに陸上に適した体へと変化する。ナニかの強みはその進化の速度にある
ナニかは数年で環境に適応し進化する。そして、ナニかはあらゆるものを喰らい取り込む。そして、取り込んだものを解析して理解する
そう、ナニかは最初の生命オラクルにしてオラクル細胞の集合体アラガミであった
っていう物語を考えたんですけど、どうですか?」
「却下だ」
「即答!?」
「あのな?最近発見された原初の細胞オラクルで妄想するのはいいけど実際何をしてどう生きていたのかは謎なんだ。直接調べてないお前が変なことを言って広げたら大変なことになるんだよ」
「む〜。狛ヶ津くんはどう思いますか?オラクル細胞について」
「意外とその話みたいに普通の生物の進化を早く行っただけじゃないか?」
「私もそう思うんですよ!」
放課後になり各々が帰路につく
そうだ。あの話はオラクル細胞の進化と同じだ。最初が違うけどな
「残念。オラクル細胞だけのアラガミは比較的新しいんだ。原初は俺自身レトロオラクル細胞だよ。ん?」
狛ヶ津は周りに人がいないことに気づく
「道間違えたか?」
「変わった匂いがするなぁ」
「そうか?毎日風呂入って普通の洗剤使って洗濯もしてるのになぁ」
「美味そうな匂いだ」
「あ、そっち。確かに昼飯うまかったからなぁ」
「この俺が喰らってやろう光栄に思え。上級悪魔である俺の糧となるんだからなぁ!」
「あっそ」
「……は?」
さっきまでは普通の人間が目の前にいたのに今の前にいるのは腰部分から尻尾を生やした人間?がいる。そしてその尻尾が俺の腹を貫いていて
「あぁぁぁぁぁあ!!?」
頭が理解した途端体に激痛がはしる
「何故だ!?この俺は上級悪魔だ!何故俺が人間ごときに!?」
目の前の人間は特に興味もなさそうに俺を見る
「それがお前の限界だよ」
「ふざける」
言葉が続く前に尻尾を振るい悪魔の命を奪う。昔からやってきたことだ弱いものを喰らい取り込み力とする
「そこまで強くない悪魔だったな。威張ってるだけで。何級だったかな、たしか……ダメだ話聞いてなかったから覚えてないや。ま、いいか帰ろう」
「ただいま」
返事はない。数年前までは猫がいた。白と黒の仲のいい猫だった
「元気にしてるだろうか」
家族はいない。いるはずがない。最初の生命だから
「狛ヶ津様。報告があります」
「何かあったのか?」
「最近ここ駒王で人外による不穏な動きが見られます」
「不穏な動き?ここは管理者がいるはずだろ」
「いえ、その……」
「ん?」
「たく、なんで直接会わないといけないんだよ」
あのあと部下から被害が出てからしか管理者が行動しないという情けないことだった
駒王学園オカルト研究部部室の前に立ち狐の仮面をつけて勝手に入る
「駒王の管理者はいるか」
突然の来訪者に警戒からか顔を顰める
「私がそうよ」
赤い髪の女子生徒が返答する
「そうか。お前が管理者か」
「それで、何か御用かしら。不審者さん」
「簡単に言おう。ここの管理を辞めて冥界に帰れ悪魔」
「どういう意味かしら?」
「どういう?それはこっちのセリフだ。貴様は管理者の自覚があるのか?」
「当たり前じゃない!ここは私が治める」
「人外のせいで殺された人や家族の前でも同じセリフが言えるのか?自分の管理が行き渡っていなかったせいで犯罪者に殺されたって」
「……」
「そういえばつい先日堕天使に一人殺されたそうじゃないか、たしかそこの男子生徒だったかな?俺も昨日はぐれ悪魔にあったな、上級だったか?まあ、すぐに死んだけど」
「はぐれ悪魔までも……」
「言っておくが誰一人として人間を殺すなって意味じゃないぞ」
少し驚いた表情で管理者は狛ヶ津を見る
「まともな人間が死ぬのを許さないんだ。根っからの悪など知ったことじゃない」
「……」
「何も言わないか……。こんなことなら大戦で三大勢力が滅びた方が良かったのかもな」
「なんですって……?」
「ん?」
「あの戦いで全員が二天龍と命をかけて戦って勝利を手に入れたの。それを侮辱するのはグレモリーの名に誓って許すわけにわいかないわ!」
グレモリー管理者はそう言った。後ろに立っていた眷属もグレモリーの発言を聞きそれぞれが構える
「命をかけて戦った?ははははは!これは傑作だ!黒の獣がいなければ全滅していたくせに。あたかも自分達が勝ちを手に入れたように教えるとはな!はははは!ダメだ腹が痛い!お前ら笑いのセンスあるぞ」
我慢の限界がきたのかグレモリーは紅の魔法を狛ヶ津に放った
グレモリーの眷属は今の一撃で終わったと確信して構えを解いた
「いくらなんでも力を過信しすぎだろ」
ハッとなりグレモリー達は無傷の男を見る
「まあ、殺すかどうかは置いておくとして。そこの男子生徒は堕天使に殺されてすぐなんだろ?なら、その堕天使を殺してから話すとしよう。それじゃ」
「待ちなさい」
「なんだ?今すぐ冥界に帰ってくれるのか?」
「違うわ。あなたの名前よ、教えてもらえるかしら」
「……キュウビ。マガツキュウビ」
言い終わると姿が消えて見えなくなる
「今のってまさか……」
「おかえりなさいませ」
「ああ、今帰った」
「話し合いはどうでしたか?」
「ダメだな。緩すぎる。三大勢力も同じだ」
「では、如何いたしますか?」
「放っておけ。ただし監視体制を強化しろ。根っからの悪は捨てていいがそれ以外は守れ。強敵なら最悪俺を呼べ」
「了解致しました」
書いたのはいいけどどうなんだこれ需要あんのか?
マガツキュウビだぜ?神機使いや神器持ちならまだしもマガツキュウビだぜ?
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第2話
そして、思ったより個人個人の口調がわかりにくい…
2話ですどうぞ
はぐれ悪魔だったものが崩れ落ち、血溜まりを作り上げる
「お疲れ様です」
「ああ、これぐらい大したことじゃない。俺は他の場所に行く、後は任せた」
「はい。お任せください」
「いつも済まないな」
一言言うとそのまま他の場所へと転移して消える
「遅くなって済まない。報告の奴は?」
「はい。現在はこの建物の中に潜んで大人しくしているようです」
「そうか。なら各員オラクル状態で待機。俺の合図まで状態を維持しろ。乱入の可能性もあるから警戒は怠るなよ」
『了解』
「うまそうな匂いがするな」
またかと思いつつも言葉を発する
「はぐれ悪魔だな?ここに来るまでに人間を何人喰らった」
「覚えていないなぁ」
「そうか。なら己の罪を数えながら死んでいけ」
はぐれ悪魔が顔をしかめると同時に腕が吹き飛ぶ。痛みによる悲鳴を上げているが知ったことではない
「お前が喰らった人間もそうやって死んでいったんだろ?次はお前が喰われる番だ」
あがきなのかはぐれ悪魔が睨みつけてくるが、どうでもいいと言わんばかりに今度は獣の脚部を吹き飛ばす
「罪を数え終わったか?さあ、いくつだ」
口を開いた瞬間頭が吹き飛ぶ
「言っただろ。罪を数えながら死んでいけと、聞くつもりは初めから無い」
帰るために来た道を戻ろうとすると待機していた部隊から連絡が入る
「赤髪の者が数人を連れて中に入りました」
「赤髪?そいつの他に金髪の男子と銀髪の女子はいたか?」
「はい。確認済みです」
「そうか。なら、各員待機を解除。各自帰投しろ」
「了解」
連絡を切り帰ろうと動き始めたとき扉が開いた
「はぐれ悪魔バイザーあなたを消滅しにきたわ!」
「遅かったなグレモリー」
「あなたは!」
「もう一度言う。遅い。お前が来るまでにはぐれ悪魔を二体仕留めた」
「そのようね」
「そこの新人くん一つ教えてやろう」
「な、なんだよ」
「ドラゴンは良くも悪くも人を引き付ける。でもこのままいくと運命に合う前に最弱の君はあっという間に死ぬ。せいぜい死なないように強くなることだ」
「ま、待ってくれ!運命ってなんだよ!」
「それはすぐにわかることさ」
「堕天使が?」
「ここ最近頻繁に目撃されています」
「そうか。堕天使とつながりがあるやつはどれぐらいだ?」
「堕天使が3シスターが1悪魔祓いが多数です」
「シスター?身元は分かるか」
「聖女アーシア・アルジェントだと思われます」
「何?なぜそれほどの人物が堕天使に…まさか!おいアルジェントの神器はたしか聖母の微笑みだったな!」
「そう記録されています。まさか堕天使は!」
「ああ、そのまさかだろう」
「ここか」
廃教会の前に立つと振り返り部下に告げる
「俺が入った後出てきたやつの追跡を命じる。拠点だけわかればいい深追いはするな」
『了解』
「各員散開!」
指示すると部下たちは数人単位でわかれ、廃教会を取り囲むようにして待機する
「行くか」
扉を開け廃教会の中に入ると、神父らしき青年が立っていた
「おや?お面なんてつけてここに何の用でございましょ?」
「ここに聖女がいると聞いてね」
「そうでございましたか。申し訳ないけど今は会えないわけでございまして」
「そうか」
「よければこのフリード・セルゼンが伝えといてあげましょうか?」
「いいよ。堕天使と悪魔祓いと一緒に地下にいる直接本人に会えばいいだけだから」
「あんたもくそ悪魔の仲間かい?」
「失礼だな。悪魔の仲間なわけがないだろう?」
「まあ、なんにせよ。あんたにはここでオブジェになってもらいましょ」
「愉快に素敵なオブジェってか?いいねぇ、手慣らしにお前から作品に仕立ててやるよ」
光の剣と銃を取り出すが即座に銃が破壊され、フリードが怒りながら距離を取る
「おま!これ高いんだぞ!どうすんだこれ!」
「知ったことじゃない」
「ぶっ殺す!!」
フリードが剣を振るうが、その剣は狛ヶ津の左手に摑まれ光が握りつぶされる
「うっそお!?バケモンじゃん!あーもう高かったのに、俺ちゃんこれじゃ金欠まっしぐらじゃん」
「で?素手で戦うかい?」
「んなことするわけないじゃん。ばいちゃ」
懐から取り出し地面に叩きつけると強烈な閃光が視界を奪う
「スタングレネードか!」
視界は奪われたが数秒で復活してフリードを探すが、すでに姿はなく逃げた後だった
「逃げたか。アルジェントが優先だ」
そんな時外の部隊から連絡が入る
「先ほどグレモリー眷属がそちらに侵入しました」
「了解。引き続き警戒を続けろ。それからフリード・セルゼンの行き先を作戦終了時に報告しろ」
報告が終わるとちょうど扉が開きグレモリー眷属が入ってくる
「なんでお前が…お前も堕天使とグルだったのかよ!」
「堕天使と?言葉には気をつけろよ蜥蜴野郎」
威圧すると恐怖からかすくんでしまっていた。勿論時間が惜しいので狛ヶ津は眷属たちを無視して地下祭儀場へと入っていく
階段を下りていき扉を蹴破るとそこには数人の悪魔祓いと堕天使が一人いた
「あら、どなたかしら?悪魔じゃないみたいだし、天使でもないってことは人間かしら?」
「おい」
「下等な人間が何かしら?」
「お前まさかアルジェントから神器を抜いたな」
「そうよ。私はこの至高の力を手に入れるために行動してきたのよ」
「アーシア!」
「遅かったじゃない悪魔の皆さん」
「助けに来たぞ!」
「遅かった。一歩遅かった。不甲斐ない。もっと早く行動していれば」
「おい!どういう意味だよ!」
眷属が掴みかかろうとするが、その手をはじく
「神器を抜かれたものは死ぬ。この意味が分かるな?」
アーシアの死にショックを受けたのか眷属が無言になる。もどった眷属は言葉を発する
「レイナーレェェェェ!」
激情している眷属を見ながら口を開く
「グレモリー眷属、少し下がってろ。久々に頭に来た」
「至高の力を手に入れた私と戦うつもり?悪魔祓いもこれだけいるのに?」
「うるせえよ」
睨むと悪魔祓いたちの頭と胴が分かれる
「え…?」
突然のことに堕天使と眷属たちが言葉を無くすなか、尾を振るって堕天使の腕を刈り取る
「な!?」
「遅いんだよ!」
驚いている間に腹に膝蹴りを食らわせる
「カハッ!?」
「根っからの悪人が何人死のうが関係ないけどな、悪を働いたことのない人間を殺すのは断じて許さん!」
「無駄よ、私にはこの聖母の微笑みがあるんだから!」
「はははは!おめでたい奴だ」
「なに?」
「それなら死にたくなるまで殺せばいいだけだ」
「!?」
手始めと言わんばかりに足を切り捨て、腕を引きちぎる。叫び声が上がるが知らん顔で再生してきたレイナーレの体を再び切り、千切り、引き裂く
何度目かわからない再生で再び体が戻ると同時に腹に風穴を開ける
「至高の力を得たんだろう?諦めるには早いよなぁ!逃げ出すには早いよなぁ!立てよ、早く早く!もっと早くゥ!」
グレモリー眷属が引いているのがわかるが関係ない。神器を持ち主のところへ返してやるだけだ
「どうした?至高の力を俺に見せてくれるんじゃないのか?ええ?レイナーレさんよぉ!」
腕を千切り、足を切り捨て、腹に風穴を開ける。レイナーレの目が虚ろになっても止まることはない
「所詮はこの程度か。いい加減遊ぶのも飽きた。それを返してもらおうか」
「イッセーくん!私を助けて!このバケモノが私を殺そうとしているの!私あなたのことが大好きよ!愛してる!だから一緒にこのバケモノを倒しましょう!」
イッセーが耐えるように顔を歪ませる
「いっせーくん!イッセーくん!!イッセーくん!!!」
「ふざけるな!俺をだまして!アーシアを殺して!今更俺に助けを求めてんじゃねえよ!」
その怒りの声でイッセーの神器から音声が発しイッセーの力が増加する。それを見た狛ヶ津は立っていた場所から移動してイッセーとレイナーレを直線状にさせる
「お前が決着をつけろ」
「ああ」
絶望した顔のレイナーレの前にイッセーが立ち力を込めた拳を振りぬいた
「わ、わたしは…」
「もう黙れ」
胸に腕を突っ込むと小さな黒い石を発生させレイナーレの力と寿命と能力を吸い取っていく
「い、嫌!死にたくない…!」
「もう遅いんだよ」
吸い取りが終わると腕を引き抜きもう片方の腕で魔力を放ち消し飛ばす
「終わったか」
拳の中にある石が小さくなっていき中から神器が出てくる
「おい」
「な、なんだよ」
「ほら」
イッセーに差し出された手には神器がある
「アルジェントの神器だ」
「イッセー!」
「部長!」
「よくやったわ」
「いや、ほとんどはあいつで、俺は一発殴っただけで…」
「あなたが?」
「久々に頭にきてな。ああ、アルジェントは神器を戻して転生させればおそらく生き返る。それじゃ俺は帰る」
「あの!」
イッセーに呼び止められ立ち止まる
「ありがとうございました!」
そんな彼を見て少し微笑むと
「ああ。元気でな今代の赤龍帝」
『え!?』
驚きの声を聞きながら家へと転移した
今回は前回より約1000字ほど多くなりました。
終盤に小さな黒い石が出てきましたが、もちろんわかりましたよね?あれですよ、あれ
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戦闘校舎のフェニックス
第3話
「ん?この感じはフェニックスだな。何か話し合いでもしているのか?」
ま、知ったことではないが
「入るぞ、グレモリー。アルジェントの生存確認だが…」
泣いているイッセー、引いている男、あきれているグレモリー
「ふむ。冥界の二家が何かの話し合い中に意見が割れてレーティングゲームで勝敗を決めることとなり駒を紹介したが女性ばかりなのを見て赤龍帝が羨ましがっている場面というとこか」
「「なんでわかった!?」」
「部屋が女性だらけなのとイッセーが羨ましがるのを見れば一目でわかるだろ…。んでメイドさんがいるってことは魔王の両家への決め事か?」
「初めましてグレイフィアと申します。今回は両家の婚約の件で」
「婚約ねぇ」
「突っ込んじまったがリアス、誰なんだこの人間は?」
「彼はマガツキュウビって名乗ったわ。私の滅びの魔法を受けても無傷だし、黒と白の尻尾を生やせるから人間かどうかは怪しいけど」
マガツキュウビという名前とリアスの言葉を耳に入れたグレイフィアとフェニックスの男の顔にわかりやすいほどの変化が現れ、フェニックスの眷属たちは体が震えている
「リアス。俺の聞き間違いじゃなければ彼はマガツキュウビで、君は彼に滅びの魔法を放ったって言ったのかい?」
「ええ言ったわ。だって彼いきなり管理者をやめろとか、大戦が終わったのは黒の獣のおかげって言うんだもの。三大勢力をバカにしてるのよ」
「……はぁ、無知は罪って聞いたことあったけどこういうことなのか。わかりたくなかった……」
「お嬢様……」
フェニックスの男とグレイフィアが狛ヶ津に近寄ると頭を下げた
「ライザー!?グレイフィア!?あなたたち何してるの!?」
「お嬢様も、早く」
「なんで私が!」
「リアス」
「嫌よ。悪魔をバカにしてきた無礼者に頭を下げられるわけないでしょ」
「いい加減にするんだリアス!彼が大戦を止めた黒の獣本人なんだぞ!今までの君の発言が彼の逆鱗に触れれば悪魔は滅びるだけなんだぞ!」
「……」
「「リアス!」」
そんな険悪な雰囲気を止めようと狛ヶ津が口を開く
「まあまあ、俺は怒ってないから。とにかく落ち着いて、な?」
「「は、はい……」」
「なあ、木場。そういえば黒の獣ってなんだ?」
「さっき二人が言ったように過去に起こった三大勢力の大戦を止めた張本人なんだ。ただ……」
「ただ?」
「三大勢力が死力を尽くして二天龍、赤龍帝と白龍皇と拮抗を保たせていたんだけど、黒の獣が乱入してそれは全て無駄になったんだよ」
「三大勢力がやられたのか!?」
「ううん逆だよ。二天龍が一方的に殺されて喰われたんだ、黒の獣に。殺された二天龍はその後どうにかして転生して神器になったってわけさ」
「神や魔王にすらとどきうる神滅具の一つの二天龍でさえ一方的に……?」
「うん。しかも二天龍は生前の方がより力を振るってて強力だったって話だよ」
「あの時に比べれば平和だし、俺は別に滅ぼすとかは思ってないから」
「そうですか……」
「にしても魔王か……先代は死んだんだろ?今は誰がやってるんだ?」
「今の魔王ですか?」
「ああ」
「サーゼクス・ルシファー様、アジュカ・ベルゼブブ様、セラフォルー・レヴィアタン様、ファルビウム・アスモデウス様の4名です」
「サーゼクス?サーゼクス、サーゼクス……。あ!あの時の小僧か。そういえばあんたも大戦の時だったか見たような」
「あのマガツキュウビ様……」
「硬いなぁフェニックス君もっと砕けていいんだよ?」
「いや、その、難しいです……」
「そういえば婚約の話の続きだったね。婚約かぁ……俺のことは考えたことなかったなぁ……億超えても独り身かぁ……言ってて悲しくなるな」
「もしよければ俺の妹を紹介いたしましょうか?」
「妹さんを?なんか妹さんにわるいなぁ……」
「一応妹に会うように言っておきます」
「すまないねフェニックス君。さて、レーティングゲームのことだけど。フェニックス君はプロだし、体質もその名のとうりだろうから勝敗なんて決まったようなものだけどやるのかい?少し不公平な感じもするが」
「では、十日ほど修行させるというのはどうですか?」
「なるほど、いいんじゃないかな?グレモリーはどうだい?」
「ハンデのつもり、ですか?」
「ハンデもなにも、感情だけで戦い抜けるほど優しい世界じゃないと知っているはずだよ?フェニックス君とグレモリーの兵士が女王にプロモーションしたらどうなる?勝てるか?」
「わかりました……」
もっともたった十日ほどで差が埋まるとは考えにくいが
「にしても純血悪魔か、随分とこだわるな。大戦を始めた時点で純血が厳しいのはわかってたはずなんだけど」
「マガツ キュウビ様もしよければ修行に付き合っていただけませんか?」
「どうしたグレイフィア?」
「いえ、そのまま修行に付き合って成長を間近で見るのも面白いかと思いましたので」
「……まあ、悪くはない」
「では、よろしくお願いします。ではまた」
「失礼します。マガツキュウビ様」
「ああ、またな」
消えた二人を見届けてグレモリーたちの方を向く
「さて、なんやかんやでお前たちに付き合うことになった。別に結婚は俺の知ったことじゃないがすぐに負けるのは嫌だろ?なぁ……」
日をまたぎグレモリーの別荘へ
「さて、各自の修行は始まったか」
見回してそれぞれの修行の様子を見る
「イッセーは教わってるのか?十日しかないんだから新しいことを始めないほうがいいはずなんだがな」
そう言いつつイッセーたちの元へと歩いて行く
「イッセー」
「あ、はい。なんですか?」
「そんな無駄なことはやめて体力と筋力をつけろ。付け焼き刃で習った剣術や徒手空拳で勝てる相手じゃないぞ。あとは魔力の操作程度だな。そっちは空き時間にでもやっておけ」
木場の剣を見る
「木場の剣は魔剣か。神器か?」
「はい。僕の神器は魔剣を作り上げる神器です」
「剣か」
「どうかしましたか?」
「いや、昔使ってたのを思い出してな」
「相手してもらってもよろしいでしょうか?」
「構わない」
答えた時点で既に手に剣を持っている。ジグザグと何度か折れ曲り剣というよりは槍の先端のような形状をしている。木場が禍々しい雰囲気を感じているとマガツキュウビが口を開く
「俺の武器は全て神殺しの武器でな。呑まれるなよ」
「は、はい」
「いくぞ」
「はい」
木場が返事をしたら、その首に剣が添えられていた
「集中するのが遅かったな。昔じゃ死んでたぞ。もっと鋭敏になれ。ほら打ち込んで来い」
木場が両手に魔剣をだしマガツキュウビに切りかかるが片手で防がれていき最後には弾かれてしまう
「筋はいい。だが遅い。見とけよ」
そう言いマガツキュウビは木にむけて剣を一度振るうと木に五つの切り傷ができる
「一回一回切っていたんじゃ遅い魔力でも纏わせて二回ぐらい切れるようにしろ」
それだけ助言すると別の場所へと移動する
トレーニングしている小猫を見つけて声をかける
「仙術は使わないのか?」
「!?」
「別に強制してるわけじゃない。使えなくはないんだろ?」
「使いたくないだけです」
「そうか」
「あなたは使い方を知っているんですか?」
「知らない。俺一人で生きていくのに仙術程度必要ない」
「そうですか」
「主の将来がかかっているのにこの体たらくか。木場はいい、アルジェントもヒーラーで初戦だしこだわらない。だが塔城は過去を恐れて姫島は自分の血を嫌って本来の力を使わないか……」
はぁと息を吐きだし一言吐き出す
「まったく話にならんグレモリーの負けだな」
気分が乗らず遅くなってしまいました。申し訳ないです
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第4話
「久しぶりだなサーゼクス」
「君は、いや、あなたは」
「大戦以来だな。そういやグレモリーの婚約はお前の家の望みか?」
「はい。血を重んじる考えが強いので今回のように納得の出来ないような事態も起こります」
はぁ、と息を吐き続ける
「別に急いで結婚することはないだろうに、出生率が低いのはわかるが、生きてる年月を考えれば望まぬ婚約などしなくてすむはずなのに」
「もっともです」
「どうせ上の老人どもが踏ん反り返って威張り散らしているだけだろう。俺が全員失脚させるか?」
「さ、さすがにそこまでは……」
「さて、ゲームだが、お前はどっちが勝つと思う?やはり妹か?」
「兄としては妹ですが、実力としては……」
「俺は絶対にフェニックスが勝つと思うぞ」
「理由をお聞きしても?」
「簡単だよ。主人の将来がかかった一戦なのに過去を恐れたり、血を嫌ったりしてる時点で論外だ。全力が出るわけがない。手を抜いている。話にならん」
「そうですか……」
開始してすぐはグレモリー眷属が優勢気味だったがすぐに塔城が落とされ、フェニックスの駒を倒したらすぐに姫島と木場が落ちる
「もう決まったな」
「まだ、試合は……」
「無駄だ。一誠はたしかに諦めないだろう。だがな一誠の身体が持つかな?この間まで人間だった奴が少し鍛えただけで神や魔王すら屠る神器の力に耐えられるとでも?」
案の定一誠はグレモリーと合流してフェニックスと対峙するが、アーシアは封じられ、一誠は倍加に身体が耐えられず血を吐き出す
それでもフェニックスに殴りかかるがカウンターを腹にもらう。グレモリーが隙を見て滅びの魔力を放つがそこは不死鳥のフェニックス、すぐに回復してしまう
それでもなお一誠はフェニックスに殴りかかろうとする
「ここまでだな」
殴りかかろうとした拳が止められ、カウンターをしようとしたフェニックスは手で制される
「もう終わりだ。これ以上は無意味危険と判断する」
「どうして!?」
「グレモリー。お前が王なら気がつくはずだ。もう一誠の体は限界だ。それによく見ろ」
「!!」
「こいつはもう気絶している。やるだけ無駄だ」
「お疲れ様イッセー……。ありがとう…朱乃、裕斗、小猫、アーシア……イッセー。ふがいない私のためによく頑張ってくれたわり私の負けよ、投了します」
「さて、お疲れ様だ。ライザー君」
「いえ、この程度は」
「婚約の件だけど君もあまり乗り気じゃないんだろう?」
「そ、そんなことは」
「見てればわかるよ最初の時から嫌々じゃなかったかな?家のことは心配しなくても俺から言ってあげるよ。グレモリーも好きな人と結ばれたいみたいだしね。君も、だろ?」
「よくわかりましたね」
「だてに長くは生きてないよ。さて、まずはサーゼクスに言いに行こう」
「はい」
サーゼクスの元へ二人で向かった
「サーゼクス」
「はい、なんですか?」
「婚約の件だけど」
「どうかしましたか?」
「ライザー君は解消したいらしい。グレモリーと同じように好きな人と結ばれたいらしい。両家の説得はできるか?難しいようなら俺も加わる」
「ええ、任せてください」
「頼んだよ」
婚約の件をサーゼクスに任せた後ライザーが人を連れてくるまで部屋で待っていた
「さて、グレモリーとフェニックスの婚約は無くなったとして。これからどう過ごしていくのやら」
そんな時ドアがノックされる
「ああ、どうぞ」
「失礼します」
入ってきたのはライザーと前に話していたライザーの妹と思わしき人物
「紹介します。妹のレイヴェル・フェニックスです」
「お初にお目にかかります。レイヴェル・フェニックスと申します」
「はじめまして、マガツキュウビだ。ああ、座ってくれ。立ったままだと来てくれたのに示しがつかない。紅茶でいいかな?」
「お構いなく」
「いいんだよこれぐらい。紅茶を三人分頼む」
了承の礼をして部下が一度部屋から出ていく
「レイヴェルさんも突然の話でごめんね。兄の婚約でドタバタした後だっていうのに」
「い、いえ。大丈夫です」
「嫌ならいいんだ。無理強いはしない。突然の話だったわけだしね」
「……か?」
「ん?」
「仮面を取っていただけますか?」
「レイヴェル!?」
レイヴェルの本性を開かせとでも言うような発言にライザーは驚くがマガツキュウビは特に気にしないようにその問いに答える
「ああ、すまない。これは流石に失礼だったね。ライザー君気にしないで普段は外して生活しているわけだし抵抗はないよ」
そう言い狐の仮面を外し素顔をあらわにする
「じゃあ、改めて自己紹介を狛ヶ津九尾。本名マガツキュウビだ」
言い終わったタイミングで部下が紅茶と茶菓子を持って部屋に入って来た。そして、会話や視線の邪魔にならないようにそれぞれの分を置いて部屋から出ていく
「どうぞ、遠慮はいらないよ」
レイヴェルとライザーはカップを手に取り口へと運び、紅茶を口に含む
「美味しい……」
「気に入ってくれたようで良かった」
「聞いてもよろしいですか?」
「ん?何をだい?」
「どうして私とマガツキュウビ様の婚約の話が出て来たのでしょうか?」
「ああ、そのことはね。グレモリーとライザー君の婚約の話になった時に俺がつい、億を超えても独り身か言ってて悲しくなるなって言ったらライザー君がレイヴェルさんを紹介しますか?と言ってくれたから今こうやって対面してるってわけだよ」
「そうでしたか……」
「ああ、もちろん。レイヴェルさんに好きな人や付き合っている人、気になる人がいたり、俺が好みじゃなければ断ってくれて構わない。今回の兄とグレモリーのように愛した人と結ばれるのが一番だからね」
「あの……」
「なんだい?」
「お言葉に甘えてこの件はお断りさせていただきたく……」
レイヴェルの回答に沈黙が訪れるがすぐに笑いが起こる
「ははははは!いいよいいよ、全然問題ない。俺は寿命は果てしなく長いからね。これからの生涯で出会いもあるさ。レイヴェルさんも頑張ってね」
「あれ……木場俺たちって結婚を決めるレーティングゲームで負けたはずだよな」
「そのはずだね……」
「なんで食事会になってんだ!?」
「僕が聞きたいよ」
「わけがわからないです……」
「あら、わけを知りたいんですの?」
「どういうわけですか朱乃さん!」
「どうやらライザー様はリアスとの婚約を嫌々受け入れていたんですがマガツキュウビ様とサーゼクス様の手伝いで婚約自体が解消されたみたいですの」
「じゃあ、この食事会は」
「マガツキュウビ様とサーゼクス様とライザー様で決めて行わせたそうですわ」
「な、なるほど」
「あれが黒の獣」
「我々の側に来るとは」
「彼がいれば再び戦いが起きようとも勝ちは決まりですな」
様々な声を聞きマガツキュウビは口を開く
「何か勘違いしている悪魔が多いようだから言っておくぞ。俺は悪魔についたわけじゃない、フェニックス家と魔王と繋がるだけだ。血などにこだわり、他者を嘲笑い愚弄するだけの無能に貸す手は持ち合わせてはいない。わかったな」
拒絶の宣言を聞き会場が静かになってしまったところにレイヴェルがマガツキュウビに耳打ちする
「ああ、忘れていた」
そう言うと仮面に手をかけ、ゆっくりと外す
顔が露わになっていくと一誠とアーシア、小猫の顔が驚愕に満ちていく
「改めて自己紹介といこう。狛ヶ津九尾、本名をマガツキュウビと言う。よろしく頼む」
「「狛ヶ津(さん)!?」」
「九尾さん!?」
「どうしたんだい?イッセー君アーシアさん、小猫ちゃん」
「どうしたってあいつ同じクラスなんだよ!」
「あ!角の席にいた男子生徒か!」
「そうそう。でも、なんで小猫ちゃんまで驚いてたんだ?学年も違うし接点はないと思うんだけど……」
「昔彼の家でお世話になっていた時期があったので……」
「そんなことがありましたの……」
そこにマガツキュウビが移動して来る
「やあ、一誠。調子はどうだ?」
「狛ヶ津、いえ、マガツキュウビ様!」
「狛ヶ津でいいよ。そっちの方が言いやすいだろう?みんなも別に狛ヶ津でいい。それに学校でマガツキュウビなんて言われたら面倒だろう?」
「じゃあ、狛ヶ津で」
「おめでとうございます。狛ヶ津さん」
「ありがとう。で、君たちに質問がある」
「何でしょうか?」
「ゲームの時手を抜いたな?姫島と塔城」
「「……」」
「別に責めているわけじゃない。だがな今後同じような時にまた手を抜いて主人や仲間を危険に晒すつもりか?今回でそれはよくわかったはずだ。よく考えておけ」
返事はないがその瞳には強い意志を感じられた
「一誠」
「お、おう、なんだ?」
「早く強くなれ」
「う……努力します」
「こんなものすぐに慣れると思うんだがな」
そう言って左手に赤龍帝の籠手を出すマガツキュウビ
「「は……?」」
「「「ええ!?」」」
「ちょ、キュウビさんどういうことですの!?」
「どうって赤龍帝の籠手だぞ?」
「そうじゃありませんの!なんで赤龍帝の籠手が二つありますの!?」
「なんだそんなことか」
「そんなこと!?」
「大戦の時に俺が二天龍を喰ったろ?」
当時見た者も話を聞いたことがある者も頷く
「二天龍から得た生体情報を元に能力を修得しただけだ」
「待ってください、それじゃ白龍皇の方も……」
「ああ、出せるぞ」
そう言って右手に白い籠手をだすマガツキュウビ
会場にいた者は声を出すことを忘れていた
「それじゃあ、狛ヶ津の神器ってその二つか?」
「違うぞ。この二つは俺の能力で復元しただけのものだ。俺の神器は、って木場に一つしか見せたことなかったな。簡単に言うとな六種の神殺しの武器だ」
「ろ、六種も?」
「一度に出せる数は一つだけどな。まあ、出す必要なんて今までなかったんだけど。獣形態で蹂躙できるし、三尾で余裕で勝てたしな」
「ん?三尾?そういえば一尾しか見たことないような」
「並みのやつなら一尾でどうにでもなる。魔王クラスになると三尾もあれば十分だ」
「じゃあ、九尾の時って」
「まあ、本気で潰す時とかかな」
会場が無言になってしまう
「大丈夫。悪魔陣営は頭の固いやつらにしか力を使わないから」
「頭の固い?」
「老害ってやつだよ。この会場のそこらへんにいる」
「キュウビさん周囲に迷惑をかけないでくださいよ?」
「そこらへんは問題ない何も無くなるんだから」
「ただのやべーやつじゃん……」
何人かが心の中で一誠に同意した
二天龍を喰ったということを利用して独力で籠手を能力付きで復元するという、やべーやつ感。しかも神器として神機を持ってます
レイヴェルを婚約者→友人に変更
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月光校庭のエクスカリバー
第5話
今教室は賑わっている。なぜか?レイヴェルが転入してきたからだ。いくら悪魔とはいえ人間でいえば高校一年生。学ぶことは多少なりあるはずだ
そんなことを考えていると一誠が声をかけてくる
「レイヴェルさんすごい話題だな」
「ああ、金髪で美少女だからだろう」
一口飲み物を飲むと松田と元浜が駆け寄ってくる
「「狛ヶ津!レイヴェルちゃんと登校してきたけど、どういう仲なんだ!!」」
「「!?」」
クラスの視線が狛ヶ津に集まる
「どういうことだ?」
「「こっちがどういうことだ!!」」
「どういうって家族と知り合い程度だぞ?」
「「あれ?」」
クラス中が思っていた答えと違う答えが返ってきて混乱している時に一誠が耳打ちしてくる
「なあ、そこまで言ってもいいのか?」
「問題ないだろう。それだけで裏に触れられる確率は極めて低いはずだ」
「なら、良いんだけどさ」
数日後の放課後レイヴェルとオカルト研究部の前に行くと中から聖なる魔力を感じとる
「レイヴェル」
「はい、教会の者かと」
それだけ聞くと仮面を手に出し顔につける。服装も学園のものから和洋合わせたような黒一色の服を纏う
そして、中の承認を得ずに中へと入る
「来客中すまないなグレモリー」
「誰だ貴様」
「悪魔の方かしら?」
「いいや、俺は悪魔じゃない」
そんな短いやり取りをし終えるとグレモリーがハッとし口を開く
「ま、マガツキュウビ様!?どうしてこちらに!?」
「いやなに、教会の人間の魔力を感じたから顔を出したに過ぎない」
「マガツキュウビ?神話の神獣か?作り話だろうあんなもの」
「そうそう、神話の中では神獣とも言われてるけど、三大勢力が束になってやっと勝てた二天龍を簡単に屠るような生き物なんているわけないじゃない」
「ふっ、少し前のお前のようだなグレモリー」
「おはずかしいばかりです……」
「え?本物?イッセーくんは知ってる?」
「本人だよ」
「でもそこまで強くなさそう」
「そうだな。神獣とも言われてるが悪魔に手を貸す者として断罪すればいい」
「それもそうね」
「おお物騒だ。つい手加減できなくて殺してしまいそうだ」
「お、落ち着いてくださいマガツキュウビ様!」
「なら、僕が戦いますよ」
後ろにいた木場が前に出てきてマガツキュウビに告げる
「……ダメだ。今のお前じゃ何があっても勝てない」
「何故ですか!あなたの助言で一撃で二度切れるようになったんですよ!あの時より強いはずです!」
「木場。はっきり言って今のお前はあの時よりも弱い。実力云々じゃない単純にお前が見てるものが理由だ」
「僕は今目の前のものを見てる!何故弱いんですか!」
「わかった俺が相手になる」
「!?」
振り返って教会の二人を見る
「悪いな断罪はなしだ。今からこいつにお仕置きをしないといけない」
「ふん。悪魔同士で仲良くか?」
「言ってろ小娘」
教会の気の強い方が仮面の奥底の黄色い目と目があった時心臓を鷲掴みにされたような感覚に陥り呼吸という行動を僅かな間忘れてしまう
「ゼノヴィア!しっかり!」
「はっ!すまないイリナ」
「大丈夫?すごい汗だけど」
「……問題ない」
外に出ると夕日が美しい時間帯だった
そんな中二人の人物が対面している
「行きますよ」
「ああ、いつでもいいぞ」
木場が踏み込むとマガツキュウビの首を狙って突きが放たれるが当たると認識した途端目の前からマガツキュウビの姿が消える
「どこに!」
「視界が狭い」
マガツキュウビを探す木場の横腹に蹴りが迫る。すんでのところで魔剣を盾にするために横腹と足の間に入れるが何もなかったかのように魔剣を蹴り砕き、足は木場の横腹を捉える
「脆い」
その声と同時に木場を蹴り飛ばす
片手ではムリだと判断した木場は両手に魔剣を出しマガツキュウビに肉薄する。当てようと連撃を繰り出すが全て紙一重で躱されてしまい、当てられないことへの焦りが次第に強くなっていく
「当たれ!」
そう強く言葉にして吐き出すが右手を掴まれ、振り下ろした左手の魔剣を自分の右手の向きを変えて自分の魔剣で塞がれてしまう
その魔剣同士が交差しているところにマガツキュウビの膝蹴りが決まり、魔剣は砕け散る
「まだ!」
そう言うと一撃の破壊力重視の大型の魔剣を作り出す
それを見たマガツキュウビが口を開く
「無様」
その一言が木場を怒らせた
力のままに魔剣を振り下ろす。振り下ろす。振り下ろす。ただ、やはり一度もその魔剣には擦りさえしない。木場が肩で息をしている隙にマガツキュウビは落ちていた枝を拾い上げると木場にどうにか見える速さで木場に一瞬で接近する
「!?」
驚く木場をよそに枝を振るうと木場は剣士の癖か魔剣で枝を防ごうとする
教会の二人はその様子を無意味と感じていたがすぐに驚くこととなる
「なんで……」
木場が漏らしたのは驚愕の声。理由は自分の魔剣がそこらへんに落ちていた枝によって砕かれたからだ
教会の二人も木場のように訳がわからないといったような顔をする
戦いは終わったので口を開く
「木場、確かにお前は前よりは強くなった。だがな、今目の前を見ていない奴が目の前のやつに勝てると思うなよ」
信じられないといったような顔をするグレモリー達と教会の二人。そして、砕けた魔剣を見ながら呆然とする木場を見ずにその場を去っていくマガツキュウビ。レイヴェルはみんなに礼をしてからマガツキュウビの後を追いかけた
「あんなことをしてしまってよかったのですか?」
「大丈夫だ。むしろあれぐらいしないと目を覚まさないかもな」
「目を?」
「あいつは聖剣しか見ていない。仲間が心配していることに目を向けていない。あれじゃ、肝心な所で失敗するだけだ」
「俺様の剣の餌食になってもらいやすかぁ!」
フリードが隙のできた木場に聖剣で斬りかかろうと跳んだ時、声が響き渡った
「やかましい」
突如現れた声の主にフリードは蹴り飛ばされ地面に叩きつけられる
「またお前か。変な魔力を飛ばしやがって」
「マガツキュウビ様!」
「お前らもいたのか」
そこにゼノヴィアとイリナが駆けつけるがフリードはすでに閃光弾を叩きつけておりその場から姿を消していた
「ちっ、人間のくせにあれで生きていたのか」
木場、ゼノヴィア、イリナはフリードを追うためにすでに駆け出して何処かへといってしまった
「ったく!何なんだよ!」
「何なのかしら」
「部長!?」
「会長!?」
部長、会長、グレモリーと生徒会長が追って駆け出した三人を見る一誠と匙の背後に姿をあらわす
「初めましてマガツキュウビ様、ソーナ・シトリーです」
「こっちでは初めましてだね。蒼那」
「え?」
仮面を消して素顔を見せる
「久しぶりだな。俺だよ。九尾だ」
後ろで匙が驚いているが、夜間なので一誠が注意していた
ソーナも驚いているのか目を見開いてキュウビを見ている
「きゅ、九尾くん!?お、お久しぶりです」
「お久しぶりってこの間もすれ違ったじゃないか」
「すれ違っただけで、その、話はしなかったので……それに人間だと」
「ははは。それにしても相変わらず照れ屋なんだね。初対面ってわけじゃないんだしさ」
「それは、そうですけど……」
「そうだ、お姉さんは元気かい?あの人とにかく絡んできたからよく覚えてるよ」
「元気ですよ、元気すぎて困るほどですけど」
「それなら良かった。あの人は笑顔が一番似合うから」
驚いていた匙に後ろからつつかれ今までのことあれこれを聞き出されている間ソーナはリアスと会話した
「ちょっとソーナ、あなた。知り合いだったの?」
「はい、かなり昔の頃助けていただいたんです」
「助けてもらった?あなたが?」
「はい。人間界に来ていたところをはぐれに襲われました。その時に」
「助けてくれたのが彼と」
「そうです」
「じゃあ、何で恥ずかしがるの?知り合いなんでしょ?」
「それは、その……いいじゃないですか……」
「あら?もしかしてあなた……彼の事」
「言わないでください!」
レイヴェル 婚約者→友人に変更
さすがに全く知らず、興味もなかった人とたった数日で結婚まで至るのは無理がありすぎると思い変更しました
キュウビ(今より小さい)はソーナが子供の頃にあっていて、ソーナは狛ヶ津のことをキュウビにそっくりな人だと思っていました
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第6話
体調を崩さないように気をつけましょう。体調を崩すと後々僕みたいに苦労しますよ
夜、静かな夜だ
ただ一部を除いては
「またか。騒ぎすぎだ」
そう短く呟き騒ぎが起こっている学園へと跳ぶ
和洋合わせの服をまとい、素顔を仮面で覆って
「神が死んだ……」
神がいないことに驚愕、狼狽しているとき学園の結界が破壊され何者かがグラウンドへと落ちてきた
結界は破壊されるもすぐに違う誰かが少し広めに結界を張る
「一体なんだ!?」
煙がはれていくと見えてきたもの
「なッ!?」
3本の尻尾を生やした狐面の男だった
「誰だ貴様」
「お前は確か……コカビエルだったか?俺に怯え竦んでいた小僧が随分と立派になったなぁ」
「まさか貴様!」
コカビエルがキュウビの正体に気づいた時にはもうコカビエルを見ていなかった
「なんだ、教会の。神がいないって知ったのか」
「そうだ……」
「……たしかに神はいなかった。でもな、神を思って行動してきたことに嘘偽りはないんだろ?神を思って人に悪事を働く外道を倒してきたんだろ?」
ゼノヴィアは頷く
「なら、お前の神は、お前の中にいる。お前が神と認めたものがお前の神だ。俺はお前の活躍を認めよう、よくやったな」
ふと、強い視線を感じ上を見るとコカビエルが嬉しそうな、興奮しているような顔をしている
「黒の獣、マガツキュウビか!戦争のしがいがある!」
「戦争?」
「ああ、もう一度始めるのさ、三大勢力で戦争をな!」
コカビエルが言い終わると仮面を外して素顔をあらわす
外すと同時に生徒会組がやって来る
「それは承認できないな」
「なんだ、貴様も今の生活じゃあ物足りないだろう!マガツキュウビ !」
「俺が戦うのはいい。だがな、無関係の人間を巻き込むことは断じて許さん」
「なら俺を止めてみろぉ!」
「いいだろう」
一言放っただけであたりの温度が下がった感覚になる
マガツキュウビは地面を蹴りコカビエルに近づく
コカビエルはこれを光の槍で撃ち落そうと投擲する
光の槍が当たると同時にマガツキュウビは霧散する
「なに!?」
驚くと同時に背後にマガツキュウビを見つける
「遅い」
そう言うと翼を喰らう
コカビエルは声を上げる前にマガツキュウビを振り払う
マガツキュウビは四肢を地面に着き獣のように着陸する
先程はなかったがその背に黒い翼が生えていた
「もう、取り込んだの……」
グレモリーが呟くが、マガツキュウビはそれに目を向けない
翼は邪魔なのですぐになくなり、二足で立ち上がる
そこでマガツキュウビは口を開く
「相変わらず弱いな」
「舐めるなぁ!」
コカビエルが怒り頭上に巨大な光の槍を作り始める
「でけぇ……」
一誠や皆が恐怖、驚愕様々な顔を見せる
その光の槍が放たれマガツキュウビに迫るがマガツキュウビはその場から動かない。近づいてきた光の槍を腕を払うとその槍が腕に当たり槍が砕ける
続けて同じサイズの槍が作り始まるとそれを気にかけずにマガツキュウビは尾の先端を一点に集め、先端の中心部から黒い石が生成されていく
「それは!!」
コカビエルが驚いている。急いで光の槍を投擲するが遅い
「殺生石」
巨大な光の槍はマガツキュウビに届く前に小さくなっていき消滅した。それと同時にマガツキュウビの力が増えていった
「どうした、その程度かコカビエル?」
「っ!」
コカビエルが悔しそうな顔をするが、殺生石は未だ輝いている。吸収はまだ終わらない。コカビエルの魔力が吸われ続けてる
「そんなもの!」
再び石に向けて光の槍を投擲するが、石に当たる前に虚しく消えていく
「お前は殺す」
そう言うと腰の部分から血のように赤い尻尾が6本生える
後ろにいるみんなは圧力からだろうか、頬に汗を垂らしながら固唾を呑んで見守る
マガツキュウビが腕を突き出すとコカビエルの腹に穴が開く
コカビエルは吐血するがそんなの関係ないと言わんばかりに追撃する
まずは空いた穴に殺生石を生成して全てを吸い取る
「きっ、さまぁ!?」
「殺すと言ったはずだ」
魔力を吸われ能力を吸われ寿命を吸われ、全てを吸い尽くす
残りカスとなったコカビエルを尻尾で叩き落す
「無様だな。最初の威勢はどうした?強気の姿勢はどうした?戦争を始める意気込みはどうした?俺を倒せると少しでも思った考えはどうした?傲岸不遜な態度はどうした?強者たらんとしたお前はどうした?」
コカビエルは答えない、答えられない
「お前の存在に価値は無い」
九つの尾に魔力を集中すると、そのままコカビエルに向けて撃ち出す
コカビエルは最後の抵抗か、障壁を出すも何もなかったかのように魔力がコカビエルを飲み込む
煙がはれるとそこには何もなかった
「9本はやり過ぎたか、普通に3本でよかったな」
それから空を見上げて口を開く
「いるんだろ、白龍皇」
「なんだ、バレてたのか」
「俺の中にあるのと同じ力なんてこの世に二つしかないからな」
「いずれは君とも戦いたいな」
「寝言は寝て言え。全てを喰らうぞ」
「……コカビエルを回収できないのは残念だが、帰らせてもらおう。アザゼルも君がいたなら納得するだろう」
帰り際に赤龍帝と少し話していたが、次の再開を楽しむらしい
「えっと、何かな?」
「あなたは言いました、お前が神と認めたものがお前の神だ、と。なら今の私の神はあなたです」
「……一ついいかな?」
「はい。何でしょうか」
「自己紹介しないか?僕は君の名前を知らないんだ」
「……あ、そうですね。ゼノヴィアです。よろしくお願いします」
「よろしくゼノヴィア。僕はマガツキュウビ、人間界では狛ヶ津九尾と名乗ってるから注意してくれ」
「はい」
「そう言えばゼノヴィアの相方は?もう帰ったのかい?」
「はい、神の不在を問い詰めたところ破門になってしまって。彼女は戦闘に参加していないので破門にはなっていないようで」
「そうか、わかった。で、君はどう生活するつもりだい?」
「それは、その……」
「まあ、いきなり破門だから、仕方ないか。家に来なさい一人増えたところ苦じゃない。信徒を守るのも神の仕事だ」
「えっと、匙くんを使わせてまで何の用かな蒼那?もしかして急ぎの用事とか?」
「聞きたいことがあります」
「聞きたいこと?」
「はい。単刀直入に聞きます」
「なんだい?」
「今現在つ、付き合っている人はいるんですか?」
「……は?」
「い、いるんですか?」
「いないけど何で聞く必要があるんだ?フェニックスとの話は結構知られてるはずだろ?」
「お付き合いをお願いしたいんです!」
「えっと……誰と?」
「私と!」
「蒼那と?」
「はい」
「その、匙くんが不憫すぎてなんとも……」
後ろを指差すとその先には匙がなんとも言えないような顔で涙を流している。蒼那のことが本気で好きだったのだろう。それがいきなり現れた最古最強の男に惚れた相手が惚れているのだ、しかも男の正体は同級生ときた、不憫すぎる
「匙には悪いですが、私は本気です。どうなんですか、九尾くん」
「ごめん。でも別に蒼那が嫌いってわけじゃない、そこは間違えないでくれ」
「そ、そうですか……」
「まあ、これからもよろしく」
「よろしくお願いします」
「それでね」
「はい?」
「匙くん、どうしようか」
「……」
「キュウビ様」
「何だ」
「禍の団というテロリストたちが最近になって活動が活発になっています。気をつけてください」
「テロリストか。トップは?メンバーは三大勢力の不満がある元幹部あたりか?」
「トップに無限の龍神、旧魔王の血筋のもの、英雄派などがメンバーとなります」
「あいつがトップか……面倒ごとになりそうだ」
「監視を続けましょうか?」
「トップはお前たちじゃ手に負えない、無視しろ。メンバーも極力無視でいい旧魔王は魔王、英雄派は人外がお目当てだろうしな」
「人はどうしましょうか」
「善は救え、悪は捨て置け」
「了解しました」
連絡係は指示を受けると霧散して消えてしまう
「ゼノヴィア」
「はい」
「近々禍の団関連で面倒ごとが起こる。今のうちに力をつけておけ」
「わかりました」
「いいか。勝てる力じゃない、負けない力だ。そこを間違えるな。まだ実力者相手じゃお前にはキツイだろう」
これでエクスカリバーも終わり、ここまで2話ペースですね
これ終わったらどうしようか……マガツキュウビ inFGO?FGOといえばロストベルトアナスタシア面白かったです。5日の13時ごろにはストーリーが終わってしまいました。あとは手持ち書籍なら魔法科とデアラがありますが長くなりそうですねぇ……てか、マガツキュウビに勝てるやつが思い浮かばない……ここのマガツキュウビ物理無効特殊吸収だしなぁ……
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停止教室のヴァンパイア
第7話
「なあ、蒼那」
「はい?」
「何でこんなに近くに座ってるのかな」
「いいじゃないですか、お昼の時間くらい」
「あのな、視線がすごいんだよ」
現在キュウビと蒼那は隣に座っていて男女からの視線が集中している
「気にしなければいいじゃないですか」
「気にするわ」
そんな時一人の生徒が近づいてくる
「ここにいましたか」
「ん?どうしたゼノヴィア」
生徒が転入生のゼノヴィアだとわかると周りの男子の視線が強くなる
「今夜の予定なのですが」
「ああ、ゼノヴィアに任せるよ。使うものも用意させるし、要望があれば揃える」
「ありがとうございます。では自分はこれで」
「彼女が」
「ああ、同居人だ」
同居人という言葉に反応して男女からの視線がさらに強まる
「……」
「全然怖くないから睨むのはやめろ。ゼノヴィアにそんな感情ないよ。ただ住むところがないから同居してるだけ。てか、蒼那はゼノヴィアが家に来ること聞いてなかったか?」
「あ……」
「忘れてたな」
昇降口で
「あの」
「ん?」
廊下で
「そういえば」
「どうした?」
教室内で
「すみません」
「なんだ?」
教室までのゼノヴィアとの会話だ
それ見ていた松田と元浜が咆哮をあげる
「「なぜイッセーと狛ヶ津だけモテるんだ!」」
「なんでって言われても」
「お前ら3人は煩悩まみれだからだろ」
「いいですかー今渡した紙粘土で好きなものを作ってみてください。動物でもいい人でも家でもいい。自分がいま脳に思い描いたありのままを表現してください。そういう英会話もある」
ねえよ、とクラスメイト達の心の声が聞こえた気がする
「レッツトライ!」
思い描くは原初の獣。九つの尾、毛並み、細い顔。マガツキュウビを作っているとイッセーの周りが騒がしくなる。どうやらリアス・グレモリーの全体像を作ったみたいだ。裸だがな
そんな時ゼノヴィアが肩を叩いて来たので振り返るとゼノヴィアは狛ヶ津の作品を指さしていた
「ああ、これは、キュウビだよ。なかなか上手くできてるだろう?」
「あ、蒼那。それにサーゼクスも、ってことはそっちはグレモリーの父親か」
「九尾くんじゃないか」
「久しぶりだな。はい蒼那これ」
「キュウビですか?」
「そうだよ。英語の授業で無意識に作ってしまってね」
英語で、といった顔を三人はしたが嘘は言っていない
「そういえばこういうイベントに真っ先に現れそうな蒼那の姉は?」
「面倒事が増えそうなので知らせていません」
「なるほど」
歩いていると騒ぎの声が聞こえてくる
「何事ですか?」
騒ぎの場所にはリアスとその眷属たちがいた
「あらリアスここにいたのね。今ちょうどサーゼクス様とおじ様をご案内していたところなの」
「お父様お兄様……」
九尾は騒ぎの元であろう匙のそばにある女性を見るとその女性が九尾に抱きついてきた
「きゅーくーん!!」
「「きゅーくん!?」」
抱きついてきた女性を受け止めてその顔をよく見る
「あー……セラ?」
「うん!覚えてくれてたんだね!レヴィアたん嬉しい☆」
呆然としている後ろの悪魔たちをよそにセラことセラフォルー・レヴィアタンは続ける
「昔の約束覚えてる?」
「約束?別れた時のか?」
「そうその約束☆」
「たしか……たしか……たし、か……」
「ん?どうかした?」
「再開できたら結婚……だったか……?」
「うん!じゃ、結婚しよ☆」
「まてまて、それは小さい時の口約束じゃないか。第一僕は付き合うだとか今は考えていない」
「いいから結婚しよ☆」
「え、えぇ……」
このあと滅茶苦茶断った
「なんかいつも違う魔力を感じたから来てみれば、吸血鬼か」
「ヒィッ!なんか来ました!?」
「無駄だよ吸血鬼くん。君の神器じゃ僕は止められない。それからお前たちも落ち着くんだ」
「でもこいつはアザゼルで」
「それぐらい知ってるよ。俺が何年生きてるのかわかってるのか若造」
少し威圧してからアザゼルへと向き直す
「久しぶりだな、今日は神器でも見に来たのか」
「おうよ。で、お前さんのも見せてくれると俺としちゃ嬉しいんだがな」
「神器に喰われてもいいなら触らせてやるけど?」
「見せてくれればいいんだよ。相変わらず危ない奴だぜ」
少し神器を見せた後各々の神器の扱い方を話しアザゼルは帰っていった
「ふうん、自分の神器を扱いきれないねぇ」
ギャスパーを見るが怯えられている
「ま、仕方ないか」
そう言い手のひらに魔力を集めながらギャスパーに近づいていく
「こ、来ないでください」
「なぁに、すぐに終わるさ」
ギャスパーは恐怖からか目をつぶってしまうが、ギャスパーが考えていた痛みは来ない
恐る恐る目を開けると首に何かを通される
「僕の殺生石を応用した抑制装置だ。これで君は誰も止めることはない」
「ほ、本当ですか……」
「ああ、本当だよ。試しに何か止めようとしてごらん」
石を放るが止まることはなく地面へと落ちていった
「途中でもいいから参加してくれって言われて来てみりゃ、また厄介ごとか」
結界を通り抜けグラウンドに入ると魔術師が転移で送られて来ていて結界内の時間が停止していることが分かった
それを感じ尾を出すのに時間はかからなかった
「全員喰い殺す」
跳ぶと手近な魔術師を捕まえ地面へと叩き落す、獣が咆えた
「彼が来てしまったか」
「ああ、そうらしいな」
「……誰も部屋から出ないでくれ巻き添えを食うからね」
「でも、それじゃ彼はひとりで」
「いいんだ、やつらは彼を怒らせた」
「怒らせた……?どういうことですか」
「そうだね大戦の少し前の時かな」
サーゼクスが目を閉じて語り始めた
「彼には付いてくる人物がいた。それが彼の友であり家族だった人間と吸血鬼のハーフの少女だった。彼は当時も無敵の存在だった。そんな彼に吸血鬼たちから見捨てられた少女が拾われた。少女は特殊な神器を持っているだけでそれ以外に特別な力はないし強くはなかった。むしろ弱かった」
目を開け顔をあげる
「彼は少女と過ごすときはいつも笑顔だった。だけど大戦が始まると少女は誘拐されてしまった」
「誘拐?」
「神器が狙いだったんだよ。停止世界の邪眼がね」
「それってギャスパー君と……」
「そう一緒のものだよ。少女は神器を無理やり暴走させられ体が耐えられずに息を引き取った。そこからはまさに地獄だった。少女の亡骸を取り込んだ彼は戦場で敵対したものすべてを喰らった。魔王だろうが神だろうが二天龍もね。まあ自業自得だったんだよ。自分たちが触れたのは竜の逆鱗が優しく思えるものだったってね。それで三大勢力は現在みたいになっているのさ」
外ではキュウビが魔術師の頭を踏み砕いていた
「彼は妻になっただろう彼女と同じ力を持つギャスパー君を同じ最期で失いたくないだけなんだよきっと」
室内に魔法陣が現れるがキュウビが咆哮をあげると魔法陣が強制的にグラウンドに展開され悪魔が現れるが口を開く前に地面に叩きつける
「見つけた」
叩きつけた悪魔を見る
「見つけた」
煙が晴れた先の悪魔を見る
「見つけたぞ、旧魔王レヴィアタンの血筋!」
叫ぶと同時に魔力が噴出し尾の数を増やす
「旧魔王の直系。エリナを殺した旧魔王の血筋。ようやく滅ぼせるこの手で」
「何のこ」
その先は話せなかった。九つの尾が叩きつけられ台詞が遮られた
「俺の前でまた同じことを繰り返すか」
「だからなんのことですか!」
「旧魔王が俺の家族をさらって死なせたんだよ。知らないのか旧魔王の血筋のくせに」
「だからってなぜ私が狙われるのですか!」
「理由?そんなの」
キュウビが身を構えて発する
「お前が旧魔王の行いをまた繰り返そうとしたからだ」
右手に白龍皇の籠手、左手に赤龍帝の籠手、尾の先には九つの殺生石が浮かんでいた
カテレアが構えるより先に殺生石の力で魔力生命力能力が吸収、最大出力がどんどん減少している間、さらに二天龍の籠手の力で半減吸収、倍加していく
あっという間カテレアは死にかけの人間レベルまで衰弱したがキュウビの手は止まらない
殺生石を一つにし吸収した力に数回倍加をかけたものをカテレアの胸に埋め込み、倍加の力を譲渡する
「自分の力ではじけろ。恨むなら先代を恨むんだな」
許容量を超えた力は爆発という形でカテレアの外へと放出された
「終わったよ、エリナ……」
ヴァ―リが裏切ったかどうかですがここでは別に裏切っていません。裏切っても旧魔王の血筋を暴露したらテロ関与ですぐ殺されるし、出番を減らすのはもったいないと思いそのままです。残っていればマガツキュウビと戦闘訓練出来るしね
エリナはまあパッと思いついた名前ですね。エリナ・デア=フォーゲルヴァイデです。見た目と名前のみですが。
蒼那をヒロインポジから外しましたレイヴェル同様すみません
そうそう白龍皇は籠手じゃなくて光翼だろって来る前に言っておくと翼は別に要らないと思ったため籠手にしています。散らす必要もないわけですし。飛行は普通にできます普段は跳んでるだけで
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放課後のラグナロク
第8話
さて、ここでの話の流れはアニメ同様に放課後のラグナロクを先に出し、後にホーリーです。今回も1話で章は終わりです
「冥界に?」
「ああ、部長たちが帰るらしいから付き添いで。狛ヶ津たちにも是非って連絡があったらしいぜ」
「そう言われてもな……」
「あ、ちなみに。来なかったらセラフォルー様が押しかけるらしいぞ」
「わかった。行けばいいんだろ行けば」
「おう、伝えておくからな」
急に停車したため、ゼノヴィアが戸惑っているとアザゼルがやってきて事情を説明した
「要は、眷属の力の確認ってところか」
「ま、そんなとこだ」
相手役になった悪魔を見るため列車を降りると龍の悪魔がいた
「タンニーンが相手役か。んじゃ勝てるはずもないか」
「狛ヶ津も知り合いかよ……」
「そんなに交流はなかったけどな」
「オーディン?悪魔が北欧と同盟か。禍の団対策か」
「ええ、そんなところです」
「そう簡単にいくとは思えないがな。オーディンはいいとしても北欧の他の神が許すかがわからない。拘束や殺害も視野に入れとかないと最悪北欧が割れるぞ」
「マガツキュウビにも特訓相手を頼んでもいいか?」
「断る」
「まあ、そう言わずにさ」
「アホか、俺は教えるためにここにきたんじゃない。第一誰を鍛えろって言うんだ。俺と今生きてるやつらじゃスタイルも力も全く違うぞ」
「あ〜、そこまで否定されるとなぁ……」
「わかってくれたならそれでいい。俺の戦い方なんて学んでもいいことなんかないしさ」
「キュウビ様、そろそろ時間です」
「もうそんな時間か、ありがとうゼノヴィア。じゃあ、行こうか」
「はい」
読んでいた本を閉じ立ち上がると悪魔たちが集まっている広間へと移動を開始する
広間に入ると一人の女性が泣き叫んでいた
壇上には各勢力のトップがいるが普段は見かけない客がいた。ひげを伸ばした男と泣いていた女性
「久しぶりだなオーディン」
「マガツキュウビか」
「エリナと旅をしていた時以来か?」
「お主はあやつ以外に女は作らないと思っていたんじゃがの」
「悪いな、ゼノヴィアは付き人だ」
「……あやつも幸せだったはずじゃ」
「そうか……」
「お待たせして申し訳ありませんでした。オーディン殿相も変らぬご壮健ぶり嬉しく思います」
それからサーゼクスが話し終わり、オーディンが調印を結ぼうとしたその時だった
「異議あり」
「やはり来たか」
転移の紋章が扉のように割れ中から男が出てくる
「我こそは北欧神ロキだ」
「ロキ殿北欧の神といえどそなたにこの場を荒らす権利はない」
「我らが主神殿が我ら以外の神話体系に接触していくのは耐え難い苦痛でね」
「ロキよ。今すぐヴァルハラへ戻るなら許してやらんでもないが」
「許す?ふざけるな老いぼれ」
「主神になんということを!」
「他の神話体系と和議を結んでは我らが迎えるべきラグナロクが成就できないではないか」
「どっかで聞いたような話だな、おい。てめえ禍の団と繋がってやがるな」
「協力関係にあることは認めよう。だがこれは私の意思だ。いでよ我が愛しき息子よ!」
フェンリルが現れ、ロキが指を鳴らすとフェンリルは行動を開始する
飛び上がり柱を蹴ると瓦礫が崩れ落ちるが朱乃の雷撃により被害は防いだがフェンリルは朱乃に狙いを定める
しかし、フェンリルが襲い掛かるよりも先に男が牽制をする
「この娘に手は出させぬ」
「愚か者が」
するとフェンリルの足元から光始める
「隙だらけだ」
「ベルゼブブ!」
するとロキは光と共に消えてしまった
「アジュカ」
「オーディン」
「キュウビか」
「やつを、ロキをどうするつもりだ」
「よくて監獄行きじゃな」
「……そうか」
「許してほしいキュウビよ。今回のことは我ら北欧だけの問題じゃなくなってしまったのじゃ」
「わかってる。俺もそれほどやわじゃない」
キュウビはそのままオーディンの横を通り部屋の中へと消えてしまった
「ロスヴァイセよ。あやつが永遠に近い時を生きて得たものは何だと思う?」
「え?それはどういう」
「やつは力しか得られなかったかわいそうなやつじゃ。家族はおらず、恋人は告げる前に殺され、友は今回の件で監獄行き。どうしたらやつは幸せになるんじゃろうな」
「では、行ってきますキュウビ様」
「ああ、無理はするな」
「ミョルニルが到着したか……」
「どうしたキュウビ?」
「胸騒ぎがする。俺も出る」
「待てキュウビ!お主が行けばお主はロキと……!」
「ああ、わかってる。でもなオーディン」
「なんじゃ」
「俺はもう、遅れたくないんだ」
短く答えるとキュウビは空間転移でゼノヴィアやロキがいる時空へと跳ぶ
転移するとフェンリルが間近まで迫ってきていた。転移の魔力を感じたロキが差し向けたのだろう
そのフェンリルを所謂裏拳で振り払い岩に叩きつけると辺りを見渡す
体に穴が開き倒れる一誠、傷ついたグレモリー眷属とシトリーたち、少なからず疲弊してるだろうイリナとロスヴァイセ、地に落ちたままのミョルニル
そして上空から睨みつけている
「ロキ」
「キュウビなぜここに来た!」
「胸騒ぎがしたからだ。案の定来て正解だったな」
「この件はお前には関係ないことだ」
「関係ならある。そこの青髪は俺の付き人でな、俺はすでに関係者だ」
「ならその青髪を連れて帰れ」
「それはできない話だ」
「……」
「お前はここで捕まえる」
跳躍してロキに対して右手を振るうが障壁に阻まれるが尾を1本出すことで障壁を叩き割りロキは腕をかわしキュウビは地面に降りていく
「ロキ」
目をつぶって名を呼ぶ
「ん?」
「お前はいい友だったよ」
「そうか」
目を開くと尾を9本出し、尾先には9つの殺生石
「考えは変わらないのか……」
「ああ」
殺生石を一つ撃ちだすが障壁に遮られ弾かれる
続けて二つ撃ちもまた弾かれる
「空間置換」
「!」
ロキの上空にはキュウビとミョルニル
「大人しくしてろ」
そのままミョルニルをロキに叩きつけた
「あれ?君はオーディンの付き人の」
「ロスヴァイセです」
「にしても、どうしたんだい?オーディンなら帰ったはず……忘れて置いていったな」
「……」
「家来るかい?」
「今帰った」
「お帰りなさいませ。そちらの方は?」
「ああ。彼女はロスヴァイセ」
「ようやく……」
「え?」
「ようやくキュウビ様がご子息を!」
「落ち着け!」
「なるほどオーディン様が置いていかれたと」
「置いていったていうよりは忘れてったのが正しいがな」
「うぅ……」
「報告が一つあります」
「何だ?問題が起きたのか?」
「いえ、オーディン様からです」
「オーディン?なんだ」
「嫁候補を置いていったので仲良く暮らせとのことです」
「いつに間にこの家を……それ以前に嫁候補だと!?何考えてるんだあいつは!それでお前たちが盛り上がっていたのか。……悪いな君が俺のせいで置いていかれたとは」
「……」
「なあ、もしも、良かったらなんだがここで暮らさないか?」
「え?」
「これは君にしてやれる詫びだ、どうか許してほしい」
「え、その」
「心配しなくてもいい、俺に話しにくいことがあればゼノヴィアに相談してくれ。戻りたいのなら準備しよう。すぐには決めにくいようだったらここで考えてくれ。俺はちょっと部屋に戻ってるから」
「嫁候補、か……」
思い浮かぶのは一人の少女
「エリナ……俺は君を幸せにしてやれただろうか……。俺が一緒にいさせたから、一緒に暮らしていたからエリナは……あの時オーディンやロキに任せておけば……死ななくてよかったのかもしれない……そうしたらエリナは今も生きてたのかもな……俺が恋をしなければエリナは幸せになったんじゃないのか……」
空を見上げてポツリと呟く
「あの青味がかった瞳を見ているとエリナを思い出してしまう。わかってるさエリナは死んだもう会えない、わかってるさ……」
帰ります。そう伝えに来たはずなのに
『俺が恋をしなければエリナは幸せになったんじゃないのか』
それを聞いた時前にオーディン様が言っていたことを思い出した
『ロスヴァイセよお主は死んだ相手が本当に幸せだったかと考えたことがあるか?』
『考えたことはありますがやはり直接言われないと本心はわからないですね』
『そうか、そうじゃな。あやつは幸せだったんじゃな』
『オーディン様?』
『昔ハーフ吸血鬼が死ぬ数日前に言いに来たんじゃ。私は彼と過ごせて幸せですっての』
『ハーフ吸血鬼?彼とは一体?』
『ハーフ吸血鬼はエリナといっての。彼、そやつの名は』
マガツキュウビ
「マガツキュウビ 様」
「ん?決めたかい?」
「残ります」
「帰らないのかい?主神の付き人なんて出世コースだろ?」
「それでも、私はここに残って貴方と過ごします。彼女の代わりにはなりませんが彼女が幸せだったことを貴方に理解していただくために」
「エリナが、幸せだった……?嘘だ、俺が死なせてしまったんだエリナを、俺が……」
「本当です!オーディン様がおっしゃっていました!彼女が亡くなる数日前に話したら貴方と過ごせて幸せですって言っていたそうです」
「エリナが幸せだった?幸せだった……?そうか……そうか……!」
閉じられた瞼の端から雫が床に落ちる
「幸せだったのかエリナは……幸せにしてやれたのか……」
止まることなく雫は床に落ちる
「よかった……よかった……」
そんなマガツキュウビをロスヴァイセはそっと抱きしめた
最後の一文を抱きしめたか見守ったで悩んだ結果抱きしめたにしました
キュウビ自身はエリナを幸せにできていなかった、オーディンは直接聞いて幸せにできていたと思っていて、微妙にすれ違っていたようにしました。『幸せだったはずじゃ』でキュウビはオーディンの推測だと勘違いしたというわけです。言い方の問題ですね
まあ、そんな過去があったもんでソーナの告白を断ったということになります。まあ、要は自分の恋のせいで想い人が死んだということでトラウマになってたってわけです。それ以外にもエリナを殺した三大勢力ということでどうにも受け入れられず拒絶しているといった感じです
ロスヴァイセがヒロインかな?でもここで言ってもまた、変えますってなったらダメなきが……
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第9話
「手を貸すか?オーディン」
「いいや。あいつらを追え」
「……わかった」
地面を蹴りグレモリーたちの後を追う
「なんだ、これは」
「キュウビ様」
「様はいい。何かあったのか」
「ディオドラがアーシアを」
「ほお?これはこれはマガツキュウビ。随分と遅かったね。せっかくだ、また昔のことを繰り返させてあげるよ」
「下らん挑発だな」
そう言うとアーシアが拘束されている椅子へと近づく
「無駄だよ。それはある神滅具所有者に張ってもらった特殊な結界でね。事が済んだら外してもらう約束だった……でも仮に僕が倒されるようなことになった場合は結界が彼女をのみ込むようにしてもらったのさ」
「なんですって!?」
「君たちにくれてやるくらいなら消した方がましさ。そうだろ!」
「あなたってひとは……!」
「どうだいマガツキュウビ打つ手がないだろう!」
「……」
「一人の女を救えなかったお前にまた同じ気分を味合わせてあげるよ!」
「言いたいことはそれだけか?」
「え……?」
「なるほど。神滅具か。たしかに強力だな。お前たちからすればの話だがな」
結界に触れ力を入れると結界が破壊されアーシアは解放される
「そんな神滅具が……」
アーシアも救出し、オーディンのもとへと跳ぶためにキュウビは先に部屋を出た。オーディンのもとへ向かう途中で後方で魔力の爆発的な増加を感知したためグレモリーの魔力のもとへ戻る
「これは……」
「キュウビさんこれは一体!?」
「覇龍だ」
「困っているようだな」
「ヴァーリ!」
ヴァ―リの手には見かけなかったアーシアがいた。どうやら今は眠っているだけの様だ
「キュウビ~」
突撃してきた黒歌を尻尾で捕まえると同じ方から声をかけられる
「お、キュウビの旦那じゃないですか」
「美猴に黒歌とアーサーかどうしたこんなところで」
「それはこちらのセリフです」
「兵頭一誠は中途半端に覇龍を発動させたみたいだな」
「この状態から元に戻るの?」
「さあな、自分の意思で戻れないとするならこのまま命を削り続け死に至るだろう」
「アーシアが生きていることを伝えれば」
「無駄だ。それに今の彼に近づけるか?死ぬぞ。ま、俺は止めはしないが。その手のプロならそこにいるしな」
「ヴァーリそれは俺のことを言っているのか?」
「暴走してもちゃんと戻ってこれたのなら間違いはないだろう?」
「俺のは暴走って言うよりは怒り狂って暴れたの方が正しいけどな」
みんながキュウビを見る
「ま、早いほうがいいか」
尾を三本生やすと弾丸のように飛び出し、覇龍の頭を蹴り飛ばす
「目を覚ませ。もうそれでいる意味はない」
それでも覇龍は止まる気配はなく、キュウビに襲いかかる
振るわれる腕を避け続けるも突然その足が動かなくなる
「……エリナのか」
目の前で一誠が魔力を溜めはじめる。先ほど感じた強力な魔力の一撃を放つつもりなのだろう
「俺にこれは通じない」
少し魔力を強めるとすぐに邪眼の効果を弾きそのまま覇龍へと近づく
近づくとそのまま両腕で胸を強く打ち後退させ、そのまま顎を蹴り上げる
蹴り上がったのを確認すると続けざまに尾で叩きつける
Divide
白龍皇の籠手の力を使い覇龍の力を減らし始める。一誠もそれに対抗してかBoostと音が上がるが、瞬時に発動した殺生石の影響を受けて倍加されず、失敗に終わった
力を奪われ、減少していくと同時にその姿も小さくなっていき禁手の鎧程度の大きさまで元に戻った
サイズの縮小が止まると、タイミングを見計らってリアスがおりてくる
そこからは一誠がリアスの乳を押して元に戻るというなんとも言えない結末だった
「禍津九尾、久しい」
後ろからの声
「オーフィスか。何の用だ?」
「我、グレートレッド倒す、だから協力して欲しい」
無限の龍神が本当に協力して欲しいのかその手を九尾に伸ばす
「グレートレッドを?何故俺がそんなことをしないといけない」
「静寂を取り戻すため」
「静寂を?」
「そう、静寂を取り戻すため、だから九尾の力貸して欲しい」
「断る」
「何故?」
「お前がいるからあいつがいる、あいつがいるからお前がいる。世界が生まれたから俺が生まれた、俺が生まれたから世界が生まれた。つまりは対極の存在だ、どちらもいないと成り立たんのだよ」
「?」
「どちらかがいなくなると天秤が傾いてしまう。お前とグレートレッドは重りだ、俺と世界でできた天秤を水平に保つためのな」
「お疲れ、オーディン」
「ああ、キュウビか。そっちは大変だったそうじゃの」
「まあ多少はな」
そこにロスヴァイセが下りてくる
「オーディン様」
「おお、ロスヴァイセか」
「ロスヴァイセ怪我はないか?」
「は、はい。私は大丈夫です」
「そうか。よかった、安心した」
キュウビとロスヴァイセの仲を見て疑問に思ったオーディンが口を開く
「お前たちいつのまに親しくなったんじゃ?」
「お前がロスヴァイセを忘れて置いていったときにな」
「おお、あの時か」
「オーディン」
「ん?なんじゃ?」
「ロスヴァイセを俺にくれ」
「……ん?」
「な、な、な……!」
「突然すぎて聞き取れなかったか。もう一度言う」
再度告げる
「ロスヴァイセを俺にくれ」
「そ、そこまで仲ようなっておるとは……。ま、まあわしはかまわんよ、あとは本人次第じゃが」
「……」
「これは俺の我が儘なんだ。俺が君をエリナに重ねただけのただの我が儘。君には君の未来がある。オーディンの言う通りあとは君次第だ」
「ロセ」
「学校ではロスヴァイセと呼んでくださいと言ったじゃないですか」
「いいじゃないかロセ」
「それは、その……。生徒たちに示しがつかないじゃないですか」
「そこまで言うのなら仕方ない。無茶はしないでねロスヴァイセ」
「はい、わかってますよ。心配しすぎです」
「いや、本当に心配なんだ。無茶してるとわかった瞬間に家のベッドに縛り付けて扉に鍵をかけて部屋と家全体に封印結界を施すくらいには」
「ええ!?」
「冗談、仲間に見張りをさせる程度だよ」
「冗談でよかったです」
「まあ、無茶だけは、やめてねロスヴァイセ」
「はいキュウビさん」
エリナ、僕は、あの日から一歩を踏み出せたよ
D×Dには関係ないのですがカルナとアルジュナの能力を合わせたインドのやべーやつを体現したようなキャラを魔法科にぶち込むという話を考えていました(もしかしたら書くかも)
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