魔法少女リリカルなのは~カレイドの魔法…少年?~ (朱羽総長)
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プロローグ 前編

無謀にも二作目投稿ー!
後編は明日の8時頃投稿予定


 

 八月の中旬。暑い昼の時間帯。僕はそんな中、走っていた。

 

「暑い…。さっさと帰って読もう」

 

 腕の中には四冊の本を入れた紙袋。

 先程駅の地下にある本屋で買ったものだ。

 

「まさかラノベ買いに行ったら本屋のくじ引きで図書カードあたるなんて」

 

 小遣いが貯まったので買えなかったラノベ二冊を買いに行った本屋でやってたくじ引き。

 それで当たった図書カードを使い欲しかったコミックを二冊買った。

 

「それにプリヤの新刊出てたとは。楽しみだ」

 

 コミック二冊の内一冊は最近ハマった魔法少女もの。これの本編が好きだから試しに読んだらハマった。

 タイトルは「fate/kaleid linerプリズマ☆イリヤ」

 昔見た魔法少女の作品が当時の僕には重すぎてこういった魔法少女系の作品は避けていたが、これにはハマってしまった。

 タイトルは何だったけ?り…りりかる?

 駄目だ。前過ぎて思い出せない。

 家帰ったら調べてみよう。まずは家に帰ろう。

 

「ん?」

 

 不意に視界に黒い物体が映った。

 視線の先の横断歩道。家に帰るのに通る道だ。

 その中央に黒猫が居た。

 

「おぉ、久しぶりに見たかも黒猫」

 

 そんなことを考えながら辺りを見回す。

 今年の夏は暑い日が多かったので外に出ることはあまりなかった。

 ここら辺に来るのもかなり久々だ。

 久しぶりに見る物が他にないかな、と。

 

 横断歩道の先のアパートのベランダの鉢植えがなんか揺れてたり、黒スーツのおっさんが職質受けてたり、トラックが爆走してきてたり…爆走?

 

「って、マズい!?」

 

 トラックはこのままだと猫のいる横断歩道を通過する。止まる様子はない。

 

「一か八か!」

 

 荷物を投げ捨て駆け出す。

 自慢ではないが脚は速いほうだ。走って猫を拾う。

 そのまま一気に駆け抜ける!

 

 

「ハァ、ハァ…なんとかなったー」

 

 トラックに引かれそうになりながらも猫を連れて渡りきり、今は地べたに座り込んでる。

 

「お前大丈夫か?」

 

 抱えていた猫に話し掛ける。怪我とかは無さそうだ。指を一舐めして離れていく。

 

「さて、戻りますか」

 

 歩道の向こう側に置いてきた本を回収しようと立ち上がる。

 

 

「あ、危ない!」

「へ?」

 

 声のしたほうを向くとすぐに頭に激痛が走る。

 不意打ちだったのでそのまま倒れる。

 赤く染まった視界にはさっきの黒スーツのおっさんと警官がこっちに走ってくるのが見えた。

 周囲には土とレンガと思われる物の欠片が見える。

 

(まさか、さっきの植木鉢…)

 

 そこで僕の意識は途絶えた。

 

 

 

                  

 

 

「なんとか二人で収められましたか。二人で済んだのを喜ぶべきか、二人も殺してしまったと嘆くべきか。この先のことはあいつに任せましょう。自業自得です」                    




プロローグとあともう一話だけは完成してるので、12日までは毎日投稿予定。
感想、アドバイス頂けるとありがたいです。


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プロローグ 後編

2話目投稿。
ISのほうも書かないと…


「何処だ?ここ」

 

 目を覚ますと白い空間に立っていた。

 視界一面の白。真っ白と表せる位だ。

 

「夢か?…おっ」

 

 キョロキョロしてると足下にさっきまで持ってた袋が置いてあった。

 

「中身はしっかりあるみたいだし読むか」

 

 どうすればいいかわからないので勝手に行動する。

 買った本は、「fate/extra」、「緋弾のアリア」、「境界線上のホライゾン」、そして「プリズマ☆イリヤ」だ。

  色々なラノベを読んでいるがこの二冊は後回しにしていた。

 extraはゲームをクリアしたので漫画も読んでみようという考えから。

 

 

そんなこんなで体感で5時間後。

 

「終わったーー」

 

 ホライゾンでてこずったが読み切った。

 今回も面白かった。

 

「で、本当にここ何処だ?」

 

 白い空間にいるのは変わらない。どこかが変わった様子も見当たらない。

 

「読み終わりましたかー?」

「ん?」

 

 後ろから声が聞こえたので振り返ると、そこには白く長い髪で顔の見えない女の人(声と体系から)が立っていた。

 

「えーと、どちら様?」

「神様です!」

 

 …頭の可笑しい人のようだ。

 

「失礼ですね。神様ですよ、下級ですが」

 

 下級とかあるんだ。あれ?今声出してたかな?

 

「心を読んでますので」

 

 なるほど。

 で?下級神様(仮)は何の用で?

 

「(仮)は要りません!いや、私のミスであなたの運命を変えてしまったのでお詫びを」

 

 変えた?どこを?

 

「あなたは本来トラックに引かれて死ぬ予定だったんですけど、私のミスで植木鉢で…ププッ…」

「おいこら、何わらってんだよ」

 

 殴ろうかな?この人神様らしいけど殴ろうかな?

 

「あぁ、待ってください!謝りますから」

 

 握り締めていた拳を解く。

 

「サーセン」

 

 速攻で殴った。謝られてる筈なのにすんごいムカついた。

 

「ちょ、やめ、いやすいません、ってなんで神術の障壁ぶち抜けて…」

 

暫くお待ちください。

 

「ハァ、ハァ、あなたには転生してもらいます」

 

 殴った。何発かバリアみたいのに防がれたけど三発は入った。

 ちょっと落ち着いたので今後の話。

 

「転生?」

「はい。アニメや漫画の世界に似た世界に行ってもらいます。二次創作とか読まないんですか?」

「うん」

 

 そういったものがあるとは知ってていたが読んだことはない。

 友人はかなり読んでたみたいだが。

 

「で、なんかほしい能力とか要望ありますか?」

「制限は?」

「特典はその人の人生の価値がポイント化されて、そのポイントと交換になります。ポイントがどれくらいあるか、欲しい特典がどれくらい使うかは教えられますよ?」

 

 うーん。アニメや、漫画の世界か。

 バトル系だと死ぬかもな。

 なら、

 

「性別は男で、後はお任せ。」

「…はい?」

「いや、その世界で生き残れて僕が扱える用なもので。あっ、あと特訓できる場所をお願い」

 

 これくらいは出来て欲しいが、大丈夫だろうか。せっかく二度目の人生を過ごせるのだ。長く生きたい。

 

「まぁ、分かりました。5才ぐらいになったら届くと思うのでお楽しみに」

 

 神さん(これでいいかな)はそう言って指を振る。

 すると、上空に穴が開き、

 

 直径2メートルはある金タライが頭部に直撃した。

 

「あ、転生先はリリカルなのはの世界ですよー」

 

 薄れゆく意識の中、神さんのそんな声が聞こえた。

 

 

神(下級)side

 全部任されちゃいましたか。なら出来るだけ強くしちゃいましょう。

 あの世界は先に一人転生者居た筈ですから絶対ぶつかりますよね。

 で、さらに彼が知っている物…さっきの本で選ぶとして。

 あっ、先にポイント確認しないと。

 2000位あればいいけど…えっ?

 ………初めて見たかも、七桁なんて。

 これだけあったら何でもできるなぁ。

 そうだ、あれが有ったはずだから、それに組み込む形でこれらを……。

 

 

このあとこの能力作製は2年程掛かったとか。

 

 

 




明日、投稿したら不定期になるかと。
感想、アドバイス頂けるとありがたいです。


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転生と特典

今回からめちゃくちゃ設定入りますσ(^_^;


 どーも。神さんに転生させてもらってから5年経ちました。

 明日は5歳の誕生日です。

 いやー、たった5年で色々とあったなぁ。

 生まれて2年で親が死に、姉と2人っきり。そこからは各地を転々として、去年海鳴市へやってきた。

 …ジャングルとか孤島とか行ったときはどうしようかと思ったけど。

 

「悠斗、お姉ちゃんちょっと出かけてくるから。明日には帰ってくると思う」

「わかった。いってらっしゃい」

 

 そういえば名前は変わらなかった。

 前世同様、碧崎悠斗(あおざきゆうと)になった。

 さっき話しかけてきたのは僕をジャングルとかに連れてった唯一の肉親、姉の碧崎

紅音(あおざきあかね)。5才年上なのだがちょくちょくいなくなる。前は1ヶ月帰って来なかったこともある。

 親が死んだ時にかなり沈んでたけど、怪しまれない程度に2才を演じて慰め続けた結果復活。

 

 さて、姉が出かけてしまったから家には一人。

 隣の家に居る女の子も今日は病院だったような。車椅子で生活するの大変だろうな。

 床に寝っ転がる。

 

「ひまー…」

 

…………………………

 

「ハッ!……寝てた」 

 

 いつの間にか寝ていたようだ。

 今の時刻は20時。最後に覚えてた時間はたしか14時だから、6時間も寝てたことになる。

 

「夕飯作ってしばらくしたら寝よう」

 

 姉がちょくちょくいないせいか家事はとても得意だ。

 夕飯を食べ、テレビで暇をつぶし、布団に入る。

 

「…寝れない」

 

 昼寝したせいか全く寝れない。

 どうやって寝ようか考え始めると、

 

 ピンポーン。

 

 呼び鈴がなる。

 こんな時間に誰だ?

 

「はい」

「宅急便です」

 

 こんな遅い時間にわざわざ届けるか、普通。現在の時刻0時。

 ドアを開け、5歳児でもギリギリ持てる箱を受け取る。

 

「僕宛て?」

 

 箱を開ける。

 すると中には…

 

「初めまして、マスター」

 

 六芒星を緑色のした鳥の羽がつけられたらリングで飾られたナニカが話しかけてきた。

 

「…………………」

「おや、マスターではないのですか?って、何故閉めるので」

 

 パタン

 

 箱を閉めて背を向ける。

 神さん、確かに任せちゃったけどさ、これは無いでしょ。

 あれと共に戦えと?いや、みた感じあの二本とは違うみたいだけど…

 

「どうかしましたか?」

「うわぁ!?」

 

 いつの間にか背後に迫ってた。

 

「ところで碧崎悠斗さんはどこでしょうか?」

「僕だけど…」

 

 あっ、停止した。

 確かに中性的な顔だし、髪も長いけど男だよ?

 

「おっ、」

「お?」

「男の娘ですか!?」

「うん、男の子だけど」

 

 なんか食い違ってる気がしなくもないけど。

 ともあれまずは何故か興奮してるこれを止めようか。

 

 

 しばらく経ち、目の前にはさっきの羽生やした六芒星リングが浮かんでいる。

 

「改めて自己紹介を。私はカレイドステッキのエメラルドです」

 

 一礼してくる。こちらも礼しながら考える。

 カレイドステッキ

 それは「プリズマ☆イリヤ」に出てくる魔術礼装。

 クラスカードと呼ばれる物を集めるために主人公達が使うのだが、それに宿っている精霊の性格がはっちゃけてたんだよなぁ。

 

「ちなみに私はあの二本をベースに創られた特別型です。性能も私の方が上です」

 

 性能が上。それは元からチート級の更に上ということになる。

 性格は…大丈夫だろうか。

 

「問題ありません。性格、口調はほとんどサファイアをベースとしていますから」

 

 なら、大丈夫…かな?

 って、あれ?

 

「心読めるの?」

「はい。プライベートなことはあまり聞こえないようになってますが意思疎通の向上のために搭載されてます」

 

 便利なのか不便なのか…。

 後で考えよう。

 

「えっと他に特典は?」

 

 この杖だけということもあり得るが聞いておいて損はないだろ。

 

「ダンボールの中に本が数冊入っています。あとはその内わかるでしょう」

 

 本?なんの?

 疑問に思いながらもダンボールを探る。

 エメラルドが入っていた下に本が数冊あった。

 

「えーっと、『猿でも出来る初級魔術』、『宝石魔術のススメ』、『好きな異性の落とし方』」

 

 最後のが疑問だが、置いておこう。

 魔術か。確かに役立ちそうだ。

 

「それと」

 

 エメラルドが声をかけてくる。

 

「ここは『魔法少女リリカルなのは』の世界なので魔術回路はありません。リンカーコアから魔力を使い発動します」

 

 リリカルなのは、そういえばそんな名前だったような。

 昔見た魔法少女アニメ。

 

「あと、私もインテリジェントデバイスという扱いになってます」

 

 そうなのかー、と流す。デバイスとかいわれてもよく分からんしレイジングハードとかと同じと考えよう。

 なんか名前が違う気がするけど。

 

「あっ、そういや、カレイドステッキがあるってことは…」

 

 原作ではカレイドステッキは英霊の力が込められた七枚のクラスカードを集めるために使われていた。

 ならクラスカードも…

 

「えぇ、まぁ、一応」

 

 言葉を濁すエメラルド。

 何かあるのだろうか。

 

「実はクラスカードですが…」

「うんうん」

 

 

 

 

「この世界に五十枚以上存在してます」

 

 

 

「うんう…はっ?」

 

 思考が止まった。

 

 やりすぎです、神さん。 

 




次の更新は未定。
バトルパートになるかと。
感想、アドバイス頂けるとありがたいです。


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初戦闘

今回は長めです。

戦闘描写って難しい…


 エメラルドから話を一通り聞いてから数時間後、僕は夕食の買い出しに商店街へ行っていた。

 五歳ということもあってか商店街の人達がオマケしてくれたりもする。

 よってスーパーよりも安く済むのだ。

 

(ちょっと眠いかな…)

 

 話終わったのが1時頃。五歳児にはつらい時間だ。

 一眠りして起きたら昼頃。

 朝食という名の昼食を食べ、エメラルドと話をし、時間を潰した。

 

「姉さん帰るの夜になるみたいだし、何にしようかな?」

 

 野菜が安かったから、野菜炒めかな。

 でも、冷凍庫に肉も残ってたし肉じゃがとかもいいかな。

 

「料理出来たんですね。驚きです」

「うわっ、なんでいるの!?」

 

 エメラルドが髪の中から話しかけてきた。

 

「居ましたよ?最初からフードの中に」

「気づかなかったよ…」

 

 フワフワと僕の髪で姿を隠しながら浮いている羽付きリング。

 この先もこんな感じが多いんだろうなぁ。

 などと考えてたら、

 

「悠斗様、結界が展開されました!」

 

 エメラルドが真剣な声で言ってきた。

 結界…?魔法関係か。

 この世界の主人公、えっと、た…たか…何だったかなぁ?なのはって名前はわかるのだが。

 ともかく、その子関連だろうし任せてしま…

 

「結界の魔力パターンからクラスカードの黒化英霊と推測!」

 

 僕関係っぽかったです。

 

 

 

第三者side

 

 少女は困惑していた。

 家族の邪魔にならないように晩ご飯の時間まで公園で時間を潰そうとしていた。

 けれども、変に絡んでくる銀髪の男の子が気持ち悪くて場所を変えようと歩き始めたときだった。景色が一変したのは。

 周りに人気は無く、空はさっきまでの夕暮れから灰色の空になっていた。

 目の前には一人の男。

 所々に赤い液体のようなモノが付いた黒い鎧。

 手には槍を。

 足下にはさっきの男の子が倒れている。

 

(こわい…)

 

 少女は駆け出した。

 自分でもよく分からないが、逃げなきゃいけないと思ったから。

 幼い彼女には分かるわけも無かったが、それは命の危機を感じた時の生存本能。

 走る。走る。

 このまま走れば母親の働く店がある。

 まだ母親がいる筈だ。

 助けを求めたら。

 そんなことを考えて、立ち止まった。

 

(おかあさんの…おしごとのじゃまになっちゃうかも…)

 

 立ち止まってしまったのが悪かった。

 突如、後ろにあった民家が爆発した。

 

「きゃっ!?」

 

 少女は吹き飛ばされ地面に転がった。

 燃えている民家の中から出てきたのはさっきの男。

 その目は少女を捉えていた。

 真っ赤に染まった目が怖くて、彼女は早く逃げようとした。

 だが、立てない。

 右膝から血が流れていた。

 足に力が入らない。起き上がれさえも出来ない。

 這ってでも動こうとするが、身体が石にでもなったかのように重い。

 もがいている内に、男はすぐ近くまで来ていた。

 手にしている槍を掲げ、少女に振り下ろそうとしている。

 その表情は、無表情だが笑ってるように感じた。

 少女は、目に涙を溜め、呟いた。

 

「たすけて」

 

 同時に槍が振り下ろされた。

 槍の先は少女の心臓目掛け進み、

 

 

 

身体のすぐ隣の地面に刺さった。

 

「えっ…」

 

 途中で男に光るナニカが当たり、手元がずれたのだ。

 そして、光るナニカは再び男に飛んでくる。

 

 

 小型化された数百発のナニカが雨のように。

 

 男は槍を振り回し、ほとんどを叩き落とした。

 何発かは当たり、男にダメージを与えたようだ。

 男は倒れている少女から距離を取り構える。

 ほぼ一瞬の間に変わった状況についていけない少女。

 そんな中状況は更に変わっていく。

 

「おぉ、出来た!」

 

 彼女の目の前に、足から緑の羽を生やした淡い緑のマントをつけた少女(?)が現れた。

 

 

悠斗side

 

 エメラルドから結界が展開されたと言われた後、急いで家に帰り荷物を置いて公園に向かっていた。

 

「というかエメラルド」

「何でしょう?」

 

 急ぎながらもまだ髪の中にいるエメラルドに話しかける。

 

「確か黒化英霊って、鏡面界に行かないと会えないんじゃなかったっけ?」

 

 原作ではそうなっていた。

 鏡面界という世界の影にある世界。そこで黒化英霊との戦闘は繰り広げられていた。

 

「確かにこの世界でも鏡面界はありますが、この世界に散らばったクラスカードは色々と違うのです」

 

 散らばった、というのも気になるがこれも今じゃなくていいだろう。

 

「このクラスカードは三パターンに別れています。

一つ、境界面での発動。これは知っている通り、境界面での戦闘で手に入ります。

二つ、発動がしてない。最初からカードのまま。

そして、三つ目。今回のパターンですがカードが発動し、こちら側の世界に現れるタイプです。結界を作る奴もいれば作らないのもいます。」

 

 長々とご苦労様。

 発動してないのが楽そうだな。

 

「いえ、これは発動してないだけで逆にいつ発動してもおかしくないのです」

 

 探せるの?

 

「はい。カードは一定の魔力が籠められており、それが漏れていることもあるので探知可能です」

 

 で、今回の相手はこっちで結界を作った奴か。

 

「はい。それであってます」

 

 エメラルドの指示に従い公園を目指す。

 しばらくして、

 

「あと30秒で公園に着きます!」

 

 そうして走ってると、公園が見えてきた。そのまま公園に突っ込み、

 

「結界への干渉成功」

 

 景色が変わった。空は灰色で、人気が感じられない。

 特に何も考えてなかったが、あれで良かったのか突入。

 

「黒化英霊の他に生命反応!一般人のようです」

「はっ?」

 

 巻き込まれてる?一般人が?

 

「魔力値が高い人間が巻き込まれたようです」

 

 そっか、魔法少女の世界だから魔力ある人がいてもおかしくないな。

 助けに行かないと。

 

「さぁ、転身を!」

「…なんかテンション高いね、エメラルド」

 

 形状をステッキに変えて言ってくる。

 状況的には合ってるんだろうけど、乗り気じゃないんだよなぁ。

 原作のみる限り恥ずかしい格好になりそうだし。

 

「今回は非常事態なのでそこまで拘れませんよ!」

 

 

 心を読んでそう言ってくる。

 信じてやるしかないか。

 

「それじゃあ、世界観的に掛け声はセットアップでいきましょう」

「はい、はい。エメラルド、セットアップ」

 

 身体が光に包まれ、光が消えると服装が変化していた。

 さっきまでのパーカーが、黒をベースにした長袖のシャツに。

 ズボンも黒のジーンズに変わった。

 背中には淡い緑のマントが着いてた。

 

「どうです?」

「あの愉快型魔術礼装が作ったとは思えないほど普通だ…」

 

 マントは若干恥ずかしいがこれくらいなら問題なし。

 

「じゃあ参りましょう」

「うん」

 

 フワリと、浮かぶ。

 空を飛ぶイメージ。それをはっきりと想像する。

 

「そうです。その調子で」

「こうか?」

 

 不安定ながらも飛べてる。

 もう地面から25メートル位は離れたかもしれない。

 

「あっ、なんかあそこで爆発起きたけど」

「あそこですね、きっと」

 

 燃え上がる民家に向かって飛行する。

 民家のすぐ近くでは、槍を持った男が女の子を殺そうとしてた。

 

「いや、ダメだろ!?」

 

 ステッキを振る。

 ステッキから緑の魔力弾が飛び出し、男に当たった。

 

「あれ?」

「無意識だったんですか?まぁ、いいです。追撃を!」

 

 ステッキを構え想像する。

 男までの距離と女の子に注意するとなると砲撃を駄目かな。余波で怪我するかも。

 

「なら、散弾で!」

 

 エメラルドの先端から魔法陣が出現し、魔力弾が撃ち出される。

 魔力弾は途中で分裂し、数百の魔力弾になった。

 それらの内、何発かは当たったようで男が女の子から距離を取る。

 

「おぉ、出来た!」

 

 成功したことに喜びながら二人の間に入るように降りる。

 

「エメラルド、障壁って出来る?」

「当然可能です」

 

 言うやいなや正面に大きな魔法陣が現れた。

 女の子のほうを振り返り安全を確認する。

 

「大丈夫?」

 

 コクンと頷きながら、

 

「男の子…?」

 

などと言ってきた。

 くそ!そんなに女っぽく見えるのか?

 

「まだ幼いのですから仕方ないかと」

「…エメラルド、ありがと」

 

 そうだよ!子供だからそう見えるだけだ!もう少ししたらきっと…。

 

(まぁ、悠斗様は変わらない気がしますが黙ってますか)

「それよりも悠斗様」

「うん?」

 

 エメラルドが話題を変えてきた。

 ちょっと真剣な声で。

「何?」

「障壁がそろそろ限界なのですが」

 

 障壁を見たらあの男がガンガン攻撃しまくってた。

 …防音機能も付いてるのかな、これ?

 

「確認ですがあれ(・・)は持ってきましたか?」

「うん。一枚忘れたけどそれ以外は全部」

 

 ポッケの中にあるモノを触って確認する。

 

「それではこの子を連れて距離を取り、安全な場所に置いてから仕掛けるでどうでしょう」

「それがいいかな」

 

 女の子を運ぼうと思い歩きだそうとした。

 偶然目に入った光景に声を荒げる。

 

「エメラルド、予定変更!彼女を連れて上へに行く!脚部に魔力集中!」

「り、了解!」

 

 足に魔力が流れ込む。一気に女の子に接近して抱き上げ、飛翔する。

 直後、

 

串刺城塞(カズィクル・ベイ)ィィィ!」

 

男を中心に半径数百メートルに槍や杭が生える。

 間一髪のところで逃げ切る。

 宝具を使ってくるなんて。

 宝具は英霊達が生前に築いた伝承、伝説を形にした「物質化した奇跡」。

 切り札と呼べる力を持つが、その分自身の真名がばれる危険性もある。

 よって、これで確信が持てた。

 あの男の真名が。

 

「此処にいて」

 

 少し離れた民家の屋根に、女の子を降ろす。

 頷いた少女の頭を撫で、再び空へ。

 

「思わず撫でちゃったけど大丈夫かな?」

「頭がパニックみたいだったので大丈夫だと思いますよ」

 

 男を見下ろす位置まで戻ってきた。

 あちらは見上げ、こちらは見下ろす。

 

「やりますか」

 

 視線がぶつかると同時にどちらも動いた。

 男は槍を構えこちらに突っ込んできた。

 空中でバックステップをしながら障壁を二枚展開する。

 

「まずは、これ!」

 

 ポッケからカードを取り出す。

 カードには弓を持った男性の絵と、『Archer』の文字。

 

「多分合ってる!限定展開(インクルード)!」

 

 カードをステッキの先端に当て、限定展開(インクルード)と言う。

 限定展開(インクルード)

 カードの使い方の一つであり、クラスカードに宿っている英霊の武装等を、エメラルドなどのカレイドス テッキを媒介に、一時的に具現化することが出来る。

 もう一つ、正しい使い方があるが、今の僕では出来ないらしい。

 今使ったのはアーチャーのクラスカード。

 エメラルドが形を変え、弓に変わる。

 

「これで……って駄目じゃん!?」

「悠斗様、前!」

 

 目の前で男が槍を横薙に振ってきた。

 しゃがんで回避し、右に転がり立って、また離れる。

 

「そっちじゃないです!もう一つの」

「分かった!」

 

 弓だけじゃ何も出来ないよ。

 弓をステッキに戻して、もう一枚のアーチャーを取り出す。違うところがあるとすれば、さっきのの縁が青だったのに対して、これは赤というくらい。

 

「使える武器来い!限定展開(インクルード)

 

 ステッキは次に、二丁の白と黒の拳銃に変わった。

 

「あれ?これ見たことあるような…」

「後ろ、来てますよ!」

 

 振り返ると、男が近づいてきてた。

 銃を構え撃つ。

 銃声と共に弾丸が撃ち出された。

 男の右肩に当たり、一瞬止まる。

 だが、すぐさま体勢を立て直し、再び向かってくる。

 

「反動は、こちらで無くしますから撃ちまくっちゃってください」

 

 連射。バックステップしながらとにかく撃つ。

 男は鎧を着ているが、ダメージは通ってるようで、所々から出血してる。

 

「あっ、弾切れです」

 

 二丁拳銃がステッキに戻った。

 

「はい!?」

 

 突然のことで驚いてると、男は一気に接近し、突きで攻撃してきた。

 

「物理保護全開!」

 

 槍は身体に当たったが、直前に張られた保護障壁のおかげでダメージは無かった。

 

「ていっ!」

 

 眼前の男の顔面に魔力弾を一発ぶち込む。

 男はうめき声を上げながら下に落ちてく。

 

「はぁ、はぁ、エメラルド、どういうこと?」

「あの銃は、最初に展開された時の弾数を使い切ると自動で解除されるようです」

「なる程」

 

 さて、どうするか。

 あの男のクラスはランサー。

 そして真名は、小説「ドラキュラ」のモデルとされ、 ワラキアの独立をトルコの侵攻から保った、キリスト教世界の盾とまで言われる高潔な武人でルーマニアの英雄。串刺し公、ヴラドⅢ世。

 

「どうします?もう一枚のカードをつかいますか?」

「うん。それで行こう」

 

 先ほどまでのとは違うカード。

 綱を引き、何か乗り物に乗っている人が描かれてた。「Rider」と書かれている。

 

限定展開(インクルード)

 

 ステッキが光を放ち、思わず目を瞑る。

 光が収まり、目を開けると、

 

「………」

「…どうしましょうか、これで」

 

 右腕がなんか機械で覆われてた。

 肩から全て。擬腕っぽいけど。

 殴れと?槍相手に肉弾戦?

 

「えっと、解除で」

「分かりました」

 

 ステッキに戻る。流石にあれは厳しいと思う。

 

「来ますよ!」

 

 民家の屋根に登ってきたランサーは、浮かんでるこっちを見て、ジャンプしてきた。

 

「イメージ固めて…砲撃(ファイア)!」

 

 今までより強い魔力弾を撃つ。

 それはあっさりと避けられたが、

 

「そこ!散弾(ショット)!」

 

 散弾を撃ちだし、命中させる。

 ランサーは地面に落ちる。

 

「トドメ!収束砲撃(ファイア)!」

 

 魔力を収束し、狙い撃つ。

 それは魔力弾というより魔力砲と呼べるものだった。

 

「グォォォ!」

 

 直撃し、小さな爆発が起こった。

 煙が晴れた先、ランサーが居た場所にはカードが一枚浮いているだけだった。

 

 




次は前と同じくらいの量になるかと。
感想、アドバイス頂ければありがたいです。

ISも進めないと( ̄。 ̄;)


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独りの少女とQ&A

戦闘描写だけではなく、説得系も苦手だなぁと思う今日この頃。




 

「ランサー、ゲットっと」

 

 地上へ降りてカードを回収する。

 これで五枚。あと十倍以上もあると考えると気が遠くなる。

 

「今回は案外楽でしたね」

「いや、どこがだよ。ヘトヘトだよ」

「初回からリミッター外す覚悟してきたのですが」

「えっ、リミッターとかあるの?」

「はい。ですがあまり使いたくないので、死んでも良いって覚悟が決まったら言って下さい」

「何が起こるんだよ…」

 

 話しながら置いてきた女の子の所へ向かう。

 

「あっ、結界が」

「英霊が消滅しましたから当然かと」

 

 灰色の空が徐々に崩れていく。

 急いで、放心状態の女の子を抱き上げ近くの公園に降り、転身を解く。

 

「えっと、大丈夫?」

「……」

 

 コクンと頷いてくる。

 よく見ると膝を怪我している。

 

「うわ、大丈夫?」

「だいじょうぶだから、おろして」

 

 女の子を抱き上げたままだったので地面に座らせるように降ろす。

 彼女は立ち上がろうとするけど、立てないらしい。

 怪我が痛いのだろう。

 

「痛いでしょ」

「いたく、ない…もん」

 

 涙目で言われても…。

 仕方ない。

 

「ごめんね」

「えっ?…うわっ」

 

 女の子を背負う。僕の方が多少高いからと、エメラルドが身体強化してくれてるからこそ出来る。

 入口近くの蛇口まで運び、一度降ろして、ポッケから大きめのハンカチを取り出す。

 水で濡らし、怪我してる箇所に巻く。

 

「これで大丈夫な筈。痛かったでしょ」

「いたくなかった…の」

 

 強情だなぁ。まぁ、子供ってそんなものかな。

 

「…は、いい子だから」

「…いい子ねぇ」

 

 最初のほうは聞こえなかったがどうやらいい子でいたいらしい。

 詳しく聞くと、父親が大怪我で入院。

 そのせいで母親と姉は仕事で、兄は修行で忙しくなってしまったと。

 だから迷惑掛けないようにわがままも困らせることも言わないいい子でいようとしているらしい。

 

「馬鹿だなぁ…」

「グスッ、ばかじゃないもん」

「ほら泣かない、泣かない。でもさぁ、一つ言わせてもらうけど」

「うん」

「遠慮しすぎ」

「ふぇ?」

 

 可愛らしい反応が返ってきたがスルー。

 

「えっと、我慢しすぎってこと。僕達みたいな年の子供はもっと甘えていいんだよ」

「けど、」

「けども、なにもない!そのせいで独りきりなんてことを知ったらお母さん、悲しむよ?いいの?」

「やだ!…だけどおにいちゃんもおねえちゃんもいっしょにあそべないし、おともだちもいないし」

 

だんだん声が小さくなっていく。

 

「ならなろう」

「えっ?」

「僕が友達になる。そうすれば君は独りじゃない」

 

 目の前の少女を抱きしめる。

 ふぇ、という可愛らしい声がまた聞こえたが続ける。

 

「だから我慢の時間はおしまい。よく頑張ったね。これからは一人じゃないよ。僕もいる。ううん、僕がいる。辛くなったら呼んで。嬉しいことを誰かに話したいときも呼んで。君の友達が必ず行くから」

「…ほんと?」

「ほんと」

「…うん!」

 

 その後はその子を背負い、家まで運んだ。途中、色々な話をした。

 最近見た綺麗な鳥や、面白い雲の型。

 そんな一見したらしょうもないこと、だけど彼女からしたらそんなことでも誰かに話せるのが嬉しいらしい。

 僕も精神が肉体に引っ張られるのか、そういったものにも興味が湧いてきていたから退屈はしなかった。

 勿論、さっきまでのことは内緒にしといてもらうことにしたけど。

 

「ここ?」

「うん」

 

 喫茶店「翠屋」。確か姉さんが美味しいと言ってた店だったような。

 

「じゃあここで」

「…ねぇ」

 

 彼女をドアの前に立たせて帰ろうとすると、呼び止められた。

 

「名前…。」

「名乗って無かったね。碧崎悠斗だよ。悠斗でいいよ」

「ゆうとくん…。わたしはたかまちなのは!なのはでいいよ」 

 

 電話番号を書いた紙(いつの間にかエメラルドが用意)を渡し、別れを告げて家に向かう。

 

「なのはちゃんね。…うん?なのは?高…町」

 

 もしかして…。

 

「はい。主人公です」

「あの子が!?」

 

 確かに見覚えあったけど。

 

「まぁ、だからといって問題ないしいっか」

(いいんですか…)

「わかりました。それと帰ったら色々報告と質問しましょう」

「誰に?」

「あなたが言う神さんにです」

 

 

 

 

「で、どうやって?」

 

 帰宅し、一息ついてからエメラルドに問いかける。

 

「こうやってです」

 

 ガションと、音をたてながらアンテナと二つのカメラが生える。

 いつの間にか六芒星が形そのままでマイクみたいになってた。

 

「なんか見たことが…」

「私自身、把握仕切れていないフォームチェンジの一つ、テレビ通信形態です」

 

 そうだった。これは何でもありだった。

 

「通信開始します」

 

 カメラの一つが壁を向き、ノイズを映す。

 しばらくして、神さんの姿が現れた。

 

『お久しぶりです。元気そうですね』

「どうも。一応元気です」

 

 五年ぶりの再開。喜びは…特にないな、うん。

 

『それで?用件は?』

 

 特典、その他について質問したいことがあることを伝える。

 

『わかりました。一つずつ解消していきましょうか』

 

1 クラスカード

 

「多すぎないですか?」

『まぁ、気にしない方向で。サービスだと思って』

「サービスって」

 

 50枚以上はいくらなんでも…。

 

『でも、その世界を生き抜くならあっても困らないとは思いますけど』

「そんな厳しい世界でしたっけ?」

『…あぁ、そうでした。無印しか知らないんでしたね?その内わかりますよ』

「分かりたくないなぁ」

 

2 訓練場

 

『流石に段ボールには入らなかったけど、送りました』

「どこにですか?」

『地下』

「地下!?」

 

 家に地下なんてあっただろうか。

 

『まぁ、探してみてください』

 

3 黒化英霊

 

「カードが色々な所に散って、黒化英霊してるようなんですけど」

『見てましたよ。ランサーの一枚目確保おめでとうございます』

「ありがとうございます。…じゃなくて」

『だってそのほうが訓練になるかなぁって』

 

 その気持ちは有り難いけど少し迷惑だ、なんていえない。

 

『あっ、でも基本一般人には害ないですよ』

「基本!?」

 

4 エメラルド

 

そういや、リミッターとか言ってたので聞いてみた。

 

『リミッターつけてますよ。ちゃんと』

「何故に?」

『本来カレイドステッキは二本で一つ。けど二本もないためエメラルドは、一本で二本分の力を持ってます。まぁ、使うには覚悟要りますが…』

「…何起こるの?一体」

 

 覚悟って…。

 

5 夢幻召喚(インストール)

 

「使えないのは何故でしょうか」

『こっちでロックしてます☆』

「ちょっ、待ってください!潰れます、潰れます!」

 

 おっといけない。思わずエメラルドを握り潰してしまうところだった。

 

『まぁ、理由としてはチート過ぎってとこですね』

「あー、なるほど」

 

 確かに初っ端から使えたら強すぎかな。

 

『教えませんけど、ある条件を達成したら使えるので』

 

 

 

『後は何かありますか?』

「無いです」

 

 聞きたいことは多分ない。…うん、多分。

 

『こっちから伝えたいことがあるのですが』

「何ですか?」

『ポイント残ってるんですけど…どうします?』

 

 残ったのか。まぁ、使い道わからないからなぁ。よし。

 

「じゃあ、必要な時に連絡するのでその時まで保留で」

『わかりました。それでは』

 

 映像が途切れる。

 一気に疲れが襲ってきた。

 一息ついた程度じゃ疲れはとれないようだ。当たり前か。

 

「寝てくる。姉さん帰ってきたらおこ…「ただいまー」…して」

 

 どうやら休めるのはかなり先なようだ。

 




後半の神さんとの会話は、簡単な設定です。
これからもちょくちょくあんな感じで増えるかもしれません。


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動き出す物語

テストでかなりの時間が空いてしまいました(T_T)
今回から原作にちょろっと入ります。
ではどうぞ


 カンッ!カンッ!と、固いものがぶつかり合う音が空間に響く。

 音を響かせているのは二人の男。

 一人は高校生位の青年に対し、もう一人は小学生位の少年だった。

 二人は両手に小太刀サイズの木刀を持ち、闘っていた。

 少年が右の刀で下から攻めると、青年は左の刀で軌道を逸らしながらもう片方で少年目掛けて突きを放つ。

 少年は体を左に反らすことで回避し、バックステップで下がる。

 追撃するかのように青年は少年に向かって走り出す。

 

「セイッ!」

 

 少年は焦らずに右の木刀を逆手に持ち替え、向かって来る敵の顔目掛けて全力で投擲した。

 小学生が投げたとは思えないような速度で飛んでくる木刀に、青年は驚いた顔をするが難なく右の刀で叩き落とす。

 少年は青年へ木刀を投げると同時に相手の右側へ体を低くしながら駆け寄り、右わきから左の肩へ向けて切り上げる。

 しかし青年は突然消え、刀は空を切り、首に木刀が添えられた。

 

「…参りました。けど、神速は反則ですよ、恭也さん」

「最初にルールで言われてないから有りだ、悠斗」

 

 青年は高町恭也、少年は蒼崎悠斗。

 時々見られる朝の出来事だった。

 

悠斗side

「いけたと思ったんですけどね…」

「いや、良かったぞ。神速がなければ負けてたかもしれない」

 

 床に座り込みながら恭也さんと反省会。といっても大体は僕の反省。

 

「でもこれで今年5連敗ですよね、僕」

「そうだな。トータル146戦21勝125敗だ」

 

 いわなくても分かると思うが、21勝が僕で、125勝もしてるのが恭也さんだ。

 少し前からなのはちゃんのお兄さんである恭也さんと、朝に道場で模擬戦をしている。毎日は無理だから時折ではあるが。

 

「ほら、さっさとシャワー浴びてこい。学校に遅れるぞ」

「あっ、そうですね。じゃあ、失礼します」

 

 道場を後にし、シャワーを借りて汗を落とす。

 この道場は高町家の物で、家に併設されてる。汗かいた後は家でシャワーを使わせてもらい学校に向かう。

 ちなみに朝食は自分で作って持ってきている。

 

 

 道場で朝食(おにぎり)を食べ、制服に着替えて家の前で待つ。

 

「悠斗くん、お待たせ~」

 

 家から友達、幼なじみともいえる高町なのはが出てくる。

 彼女とは、小学校に入る前に知り合い、それ以降仲良くしている。

 

「じゃあ、行こうか」

「うん!」

 

 こうやって、道場で動いた後は一緒にスクールバスの乗り場まで一緒に行くことになっている。

 もう、約3年目になると思うと時間の流れは早い。

 そう3年目である。なのはと初めて会った時からそれだけの時間が経ち、小学3年生となった。

 

 バス停に着くと、すぐにバスは来た。

 バスに乗り奥の座席へ向かうと、

 

「おはよう、なのはと悠斗」

「おはよう、なのはちゃん、悠斗くん」

 

 金髪と紫に近い黒髪の少女達がいた。

 クラスメイトのアリサ・バニングスと、月村すずかだ。

 

「おはよう、二人とも」

「おはようなの」

 

 挨拶をかえして、座る。右になのは、左にアリサが座っている。

 このメンバーで一列に座るときは何故かこの二人が隣にくる。

 

「二人が一緒だったってことはまた恭也さんと?」

「うん、そうだよ」

「よくついていけるわね」

「まぁ、鍛えてるし」

 

 半分ほんとだ。特典の一つ、地下訓練場と、ある事情からそこの生活スペースで暮らしている居候に手伝ってもらい生身でのトレーニングをやっている。

 もう半分は、自分でも分からない。小学校に入ってからなんか月日が経つ内に、スペックが上がってる気がする。

 

 

 それが神さんの仕業と分かるのは少し後のお話。

 

 

「って、悠斗何それ」

「えっ?…あっ」

 

 アリサがなんかニヤニヤしながらこっち見てるので、視線の先をたどると、自分の手のひらのようだ。

 そこにはマジックペンで「蒼崎悠斗」と書かれていた。

 

「なんで…フフッ…自分の名前書いてんのよ。名前忘れるようなこと…プッ…あったの?」

「ち、ちょっとしたミスだよ。ってか、そんな笑いをこらえるようなこと?」

 

 内心ヒヤヒヤしていた。

 この手の名前は、昨日のカード集めに必要だったからだ。

 カードは現在11枚。この数年で増えた。

 未だに夢想召還(インストール)は出来ないけど。

 

「…………」

「なのはちゃん、悠斗くん睨んでどうかしたの?」

「うん?なんでもないの」

 

 カード集めを知っているなのはからの視線が怖い!最近、カード集めに関する話題になるとこうなる。

 すずか、ナイス!

 

 

そして時間は飛んで、放課後。

 

「将来?」

「そうなの」

 

 帰り道、さっきの四人で歩いていた。僕以外はこのまま習い事らしい。

 しかし将来か…。

 

「うーん、ないかな」

「つまんないわね。もっと考えなさいよ」

「考えろって言われても」

 

 アリサが心底つまらなそうな顔をして文句言ってくる。

 

「悠斗くんなら何でもできそうだけど…」

「そんなことないよ、特に絵とか」

「「「確かに」」」

 

 そう、僕は絵を描くのが苦手だ。いや、苦手よりも向いてないが正しい。

 この前もリンゴを描いた筈なのに、完成したらカボチャになってた。

 後ろで見てた先生も何が起こったかか分からなかったらしい。

 

「まぁ、なんか仕事探して普通に過ごせたらいいかな。仕事見つかるか分からないけど」

「欲が無いわね。ま、まぁ?もし仕事が見つからなければ、私専属の…その、付き人にしてあげても…いいわよ」

 

 顔を赤くしてアリサが言ってくる。

 ふむ、付き人か…。要するに執事ってとこか?

 

「無理かな。流石に自転車で車に追いつけないし」

「誰もあの借金執事並みのスペックは要求しないわよ」

「あっ、そうなの?ならそれもいいかな」

 

 これでもしもの時の職は確保出来た。アリサも働き手が見つかったからか、笑顔だ。いや、なんかにやけてる。

 すると、なのはが突然声をあげた。

 

「悠斗くんは、翠屋で働くの!」

「あー、それもあるか」

「看板娘として!」

「ちょっと待とうか、なのは」

 

 看板娘って、僕男だよ。

 確かに去年、なのはのお母さんの桃子さんに頼まれてメイド服で手伝ったけど。

 

「悠斗くんがメイド服で働いた時のお客さんの数がすごかったって!」

「あぁ、主に女の人が多かったような」

「「やっぱやらなくていい」」

「あっさりと手のひらをかえした!?」

 

 しかも何故かアリサまで。

 女の人が多かったといっても、人形みたいだとかで、可愛がられただけだし。

 

『……けて』

 

「!」

 

 なんだ?声が…。

 

「ねぇ、今声が聞こえなかった?」

「えっ?何も聞こえなかったけど」

「どうかしたの?なのは」

 

 なのはにも聞こえたらしい。

 

『助けて…』

 

 まただ!どっから聞こえているんだ?

 

「こっち!」

「ちょっと、なのは!」

「二人共!行こう、すずか」

「うん!」

 

 走りだしたなのはをアリサが追い、僕とすずかも後に続く。

 

 なのは達に追いつき、見つけたのは…、

 

「イタチ?」

「多分フェレットじゃないかな」

 

 フェレットらしき動物が倒れていた。首にはなんか赤いビー玉サイズの宝石をつけてる。

 ん?…魔力を感じる。

 

「この辺に動物病院あったかな」

「確かあっちに槙原動物病院が、あった筈よ」

 

 ひとまずフェレットを病院へ運ぶことになった。

 

 

 夕飯にカレーを作ろうと材料を買ってきたが、ジャガイモや肉を見てたまには肉じゃがもいいかもと考える。作り方知らんが。

 結局カレーを作りながら、今日のことを振り返る。

 フェレットを病院へ連れて行った結果、命に別状は無しとのこと。

 今は病院に預かって貰ってる。

 問題は誰が引き取るかだ。

 アリサとすずかの家は犬と猫が沢山いるから無理。

 となると、なのはか僕となる。

 なのはは、翠屋では無く本家で飼えばなんとかなるかもしれない。

 僕も姉さんの許可さえおりれば可能。

 ってか、姉さん帰ってこない。ここ1ヶ月。何してるか謎だ。

 

「…何作ってるのですか?」

「あっ、エメラルド。カレーだよ」

「…肉じゃがになってますが」

「え?あれ?」

 

 おかしい。何故肉じゃがに…。

 一口味見する。

 

「どうですか?」

「…なんかカレーの味がするけど肉じゃがだ」

「「……………」」

 

 なんとも言えない空気に包まれた夕方だった。

 

 

 

「そういえば、今日どこ行ってたの?エメラルド」

 

 案外美味しかったカレー肉じゃがを食べてリビングでくつろぎながら、エメラルドがいなかったことを思い出して聞いてみた。いつもなら髪の中にいるのに。

 

「いえ、ずっと居ましたよ」

「どこに?」

「すぐ近くに」

 

 そんな訳ない。誰かしら気付く筈だ。こんなのが浮いてたら。

 

「気づかなくて当然かと。こうしてましたし」

 

 エメラルドの姿が消えていく。

 

「なにそれ!?」

「モードチェンジNo.18霊体化モードです。簡単にいうとステルスです。」

 

 また変な機能を…!?

 前は、アンテナ生やして、空中にモニター作ってテレビ見たりできる『ワンセグモード』、下部分からマジックハンドみたいなのを生やして料理する『クックモード』とか相変わらず謎過ぎる。

 

「それもただのステルスではなく、サーヴァントの霊体化と同じ原理です」

「…もういいや。なんか疲れた」

 

 はぁ、とため息つきながら自分の部屋に向かう。

 

『助けて下さい!』

 

 突然声が聞こえた。昼間と同じ現象だ。

 

『僕の声が聞こえるのならお願いします!力を貸してください!』

「これは…」

「始まるようですね」

 

 エメラルドが僕の部屋からポーチを器用に持ってきながら告げる。

 

「リリカルなのはのお話が…」

 

 今まで忘れてたことの始まりを。

 

 




次は未定。
感想、アドバイス頂けるとありがたいです。


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魔法少女、誕生

月一投稿になりかけてることが最近の悩みです(T_T)
ルビ振り直しました。

読み直して、おかしいとこがあったので9月中に修正します。←修正完了しました


「エメラルド、こっちかな」

「はい。魔力反応からして病院から離れて行ってるようです」

 

 声の聞こえたい場所、正確にはSOSを出した人(?)のもとへ走っていた。

 

「結界張れないのも厄介だよね」

 

 本来なら結界張って、飛んでいくのがベストだが相手に下手に警戒されるのを防ぐため使えない。

 

「急ぎましょう」

「どうかした?」

「接触しました」

 

 

「なのはさんが」

 

 

なのはside

 

 突然聞こえてきた声。今日の帰り道で聞いた声と同じだった。

 その助けを求める声に反応して、家を抜け出し動物病院へ向かった。

 確証はないけど、あのフェレットさんが関係あると思う。

 

「はぁ、はぁ、着いた」

 

 槇原動物病院。声のする方へ走ったらやっぱりここだった。

 どうやって中に入ろうか考えていると大きな音が響いた。

 

「きゃっ!」

 

 昔に聞いた爆発の音だった。

 病院の敷地内で起こったようで、壁が一部崩れていた。

 そこから黒いナニカが現れる。

 それは形が定まってなく、至る所に触手が生えていた。

 その怪物はなにかを追っているようで、私を無視して触手を動かした。

 地面を砕いて土煙が起こる。

 煙の中からこっちに昼間のフェレットさんが飛んできたので両手でキャッチした。

 

「来て…くれたんです…ね」

「ふぇっ?喋った!?」

 

 しゃべるステッキなら見慣れてるが、動物がしゃべることに驚いてしまった。

 

「お願いします。力を貸してください。あなたには素質が」

「今は逃げるの!」

 

 フェレットさんが喋っているが、黒い怪物がこっちに向かってくるので、言葉を遮り後ろへ駆け出した。

 

 

悠斗side

 

「移動してます。それと私達のとは違う結界が張られているようです」

「どこに向かってる?」

「このままだと、公園のほうです。初めて闘ったときの」

「懐かしいなぁ。去年から行ってないし」

 

 僕とエメラルドはさっきより速度を落として走っている。

 目標は移動してるみたいだから、急ぎすぎても体力の無駄。相手の場所が分かるなら、向かってる場所への抜け道やらを使ったほうが速い。

 それに、

 

「なのはがいるなら多分大丈夫」

「ですね」

 

 

 

なのはside

 

 フェレットさんを連れて公園まで来た。あの怪物は意外に遅いみたい。

 余裕ができたので呼吸を整えてフェレットさんに話しかける。

 

「それで、さっきの話だけどなんなの?」

「は、はい。僕はこの世界にある探し物のためにやってきました。でも、僕だけでは不可能に近いです。だから…素質のある人に手伝ってもらおうと思って…」

「探し物ってカードみたいなもの?」

「いえ、違います」

 

 悠斗くんの集めてるカードかと思ったが違うようだ。残念。

 悠斗くん、前にあのカードを手に入れるため黒い人と戦って大ケガしてたし、心配だなぁ。

 見た目に合わず無茶するし、危ないからやめてほしい。

 昨日もよく分からないけどやってたみたい。

 そういえばここは、悠斗くんと初めてあったキッカケ、槍を持ったおじさんに襲われた場所だ。あの出来事からここに来るのは怖さから避けてたけど、今度悠斗くんやアリサちゃん達と来るのもいいかも。

 

「あの…」

「にゃ!?ごめんなの。考え事してた」 

 

 フェレットさんが声をかけてくれたお陰で我にかえった。

 素質のある人。私のことのようだ。

 

「なにをすればいいの?」

「手伝ってくれるんですか!?」

「うん!」

「ならまずは…!危ない!」

 

 フェレットさんが声を荒げる。後ろを向くと黒い怪物がそばまで来ていた。

 向かってくる怪物から逃げるように右側に転がる。

 怪物は私達がいたベンチを砕いて止まる。

 起き上がった私の方へ向きを変え、さっきよりも速く突撃してくる。

 

「逃げて!」

 

 腕の中でフェレットさんが逃げるように言ってくるがそれじゃいつまでも同じことの繰り返しだ。

 私は即座に空いてる右腕に力を込めるイメージを浮かべ、すぐそばまで来た怪物目掛け

 

 

思いっきり振り抜いた。

 

 

「…えっ?」

 

 フェレットさんの驚く声が聞こえる。

 当然だ。怪物は殴られた方向に飛んでいき茂みの中に落ちた。5メートルくらい先の茂みに。

 

 

結人side

 

「今の魔力…」

「なのはさんですね」

 

 路地裏などを使いながら移動していると、よく知る魔力を感じた。

 なのはだ。絶対。

 

「魔力強化教えといて良かった…のかな?」

「こういった事件に巻き込まれた際の防衛手段としては良かったと考えますが…どうでしょう」

 

 二人して、過去の出来事を思い出す。

 それは彼女に魔力強化を教えたときのことだ。試しに全力での一発を、転身した自分にやらせてみたが、

 

「まさか…物理保護抜いてくるとは」

「いや、砕かれたが正しいと思う」

 

 両腕の骨を折られるとは…。

 ってか、確かあの物理保護トラックの直撃にも耐えられる設定にしといた筈なのに。

 

「相手、無事かな?」

「…急ぎましょう」

 

 

なのはside

 

 結人君に教わった強化で黒いのを殴ったれたけど、すぐに復活して追ってきた。

 今はフェレットさんを連れて、物陰に隠れている。

 

「聞きたいことは色々あるけど、今はこれを使ってください!」

「これ?」

 

 フェレットさんが私に使うように言ったのは、赤い球体の宝石だった。

 

「どうすればいいの?」

「僕が言うことを復唱してください」

 

 足元に魔法陣が現れる。

 

「我、使命を受けし者なり」

 

「我、使命を受けし者なり」

 

「契約の元、その力を解き放て」

 

「契約の元、その力を解き放て」

 

「風は空に、星は天に」

 

「風は空に、星は天に」

 

「そして、不屈の心は・・ この胸に 」

 

「そして、不屈の心は・・ この胸に 」

 

「「この手に魔法を!」」

 

「「レイジングハート、セット・アッープ!」」

『スタンバイレディ、セットアップ』

 

 次の瞬間、赤い球体、レイジングハートが光を放ちなのはの身体が宙に浮く。

 

「次は自分が考えるレイジングハートとバリアジャケット、防護服の形状をイメージして!」

「えっと、こうかな…」

 

 目をつむってイメージすると、金色のパーツと赤い宝石で造られた杖と、学校の制服に似た服でガントレットと脚甲つけた姿になっていた。

 

「す、凄いの!」

「前、前見て!」

 

 地面に着地し、驚いてると前から黒いのが突進してきていた。

 

「!」

 

 避けることは間に合わない。目をつむり、これからくる衝撃に備える。

 

「……?」

 

 待ってもこない衝撃に、不思議に思い目を開ける。

 そこには、星形の壁によって体の中心から拘束されていた黒いのがいた。

 

「これは…?」

「これって…」

 

 目の前の光景に驚きながらも、どこかで見たことのあるそれを思い出そうとしていると、

 

「なのは、何その格好…」

 

 空から私たちを見下ろす、私よりもファンタジーっぽい格好悠斗君がいた。

 

 

悠斗side

 時は遡り、なのはが変身する前のこと。

 

 

「ここにいたみたいだな」

 

 公園に来たはいいが何もない。

 いや、あるにはあった。荒れた茂みと、なのはの魔力。

 

「殴ったみたいだね、なのは」

「でしょうね。強化以外教えてませんし」

 

 ってか、殴られて無事な敵かー。

 

「黒化英霊じゃないよね」

「はい。改めてサーチしましたが違いますね」

「反応は?」

「今は…ここから西に…!!」

「!!」

 

 黒化英霊並みの魔力を感じた。けどこれは…。

 

「「なのは(さんですね)だね」」

 

 強化教えてたからこそ分かる魔力だ。量が桁違いだけど。

 

「あっちだね」

 

 走って行けなくもないが、あれだけの魔力を放出してるとなると、ただ事じゃない。

 

「じゃあ、やるよ」

「はい」

 

 エメラルドがステッキに変わる。

 

「セット・あ「多元転身(プリズムトランス)」っ…ぷ?」

 

 光に包まれ、服装が変わる。肘まで覆う白い手袋、黒をベースにした半袖、白に緑のラインが一本入った長ズボン、半袖で膝まで届く大きさの黒と黄緑色のコートを纏った姿になる。

 これが前とは違う、ちゃんと登録した戦闘服だ。正直言うと、これでも恥ずかしい。けど我慢だ。これ以外はイリヤのか、美遊のの色違いになってしまうのだから。

 

「って、エメラルド。なんで急にキーワード変えたの?」

「気づいたんですよ…」

「何に?」

「世界観に合わせるのでは無く、正しい起動ワードの方がスペック高いのだと!」

(まぁ、本当に正式な詠唱は長すぎて時間かかりますし、これでいいでしょう)

 

 テンション高いなー。けど、実際に送られてくる魔力のペースが早い気がしなくもない。

 それに特に問題もないし、これでいいかな。

 

「じゃあ、行こう」

 

 空へ浮かび、魔力を感じた方へ急ぐ。

 すると、黒い泥(?)みたいなものが制服っぽい変な格好のなのはに突撃しようとしていた。

 

「よっと!」

 

 黒いのの通る道の先、なのはの少し前に座標を固定。奴の体の真ん中がそこを通るタイミングで障壁を展開。拘束具代わりにする。動けなくなったのを確認して、聞きたかったことを聞くとしよう。

 

「なのは、何その格好…」

「私もよく分からないの!」

 

 …まぁ、あそこのフェレットが何か知ってるみたいだし後で聞こう。

 

「それよりも、これどうすればいい?」

 

 ステッキで黒いのを指す。

 

「えっと君、レイジングハートにはあれを、ジュエルシードを封印する術式がはいってます。心を落ち着けて、心の中にあなたの呪文が浮かぶ筈です」

「…………うん。分かった」

 

 なのはが黒いのの前に立ち、呪文を告げる。

 

「リリカルマジカル。封印すべきは忌まわしき器、ジュエルシード。封印!」

 

 機械っぽいステッキの形状が変わり、魔力で出来た帯のようなものが現れる。

 それらは黒いのを貫き、後には青い宝石が残った。

 

「これがジュエルシードとかいうの?」

「はい。ありがと…ござ…」

「あっ、フェレットさん!?」

 

 フェレットが倒れた。事件が落ち着いて気が抜けたのだろう。

 

「ともかくなのはの家に行こう」

「うん。お願い!」

 

 なのはを近くに寄せ、転移の魔法陣を展開する。目的地はなのはの家の近く。なのはが抜け出したこと、士郎さんにはバレてるだろうし。

 

「ん?」

「どうかしたの?」

「何かありましたか?悠斗様」

「いや…エメラルド、周辺になんかいる?」

「…いえ、3キロ圏内には何もいませんが」

「何か見られてた気がしたけど気のせいかな…行くよ」

 

 そして、違和感を感じながらもなのはを抱え移動した。

 

 

 

第三者side

 

 

 悠斗たちがいた場所、その遙か上空、高度5000メートルにそれはいた。

 黄金に輝く空飛ぶ船。

 

「あれがもう一人の転生者で、僕と戦う運命の少年か」

 

 その船に座するは金の髪の少年。少し古めかしい双眼鏡を手に持っている。

 恐らくそれの効果で、結界内の悠斗たちの様子を見ていたのだろう。

 

「さて、今日はこれくらいにしてアレを探さないと」

 

 そんな言葉を呟き、轟音と共に船は姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 




次回も未定。感想、アドバイス頂けるとありがたいです。

…量減らそうかなφ(.. )


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人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて……馬?

ISのほうが一部データが消えたて、こっちのほうが早かったので先に。
ではどうぞ( ・∀・)つ

前の話の最後、変えてみました。


 ジュエルシード

 21個あり、それぞれに番号が入っている。ロストロギアと呼ばれる物で、その能力は、『願いを叶える』というもの。それがこの海鳴市に落ちた。

 これがフェレット、ユーノから聞いたことを簡単に纏めたものである。

 

 あの後の話をしよう。士郎さんと恭也さんの夜出歩いたことへの説教はなんとかごまかして、なのはの家に泊まった。

 そこで、ユーノから色々事情を聞き、暴走する可能性があるとのことで、そんな厄介なことは極力起きて欲しくないから協力すると決めた。なのはも協力することを決めた。

 なんとなく原作がこんな話だったようなと、思い出してきたがこれからのことは少ししか分からない。

 分かってることは、

・植物巨大化

・猫巨大化

・金髪の少女

くらいだ。

 

 そして、今日はあの日から既に一週間が経っている。その間の出来事を簡潔に思い出す。

 

 事件翌日

 神社にて犬の暴走体出現→なのは、魔力弾で牽制→隙をついて接近からのガゼルパンチで終了。

 その約2日後

 アリサやすずかとプールへ→エメラルドがジュエルシードを探知→暴走体になろうとしてたところをなのはが砲撃で鎮圧して終了。

 

 なのはってこんなに強かったっけ?

 というか、ガゼルパンチなんていつ覚えた?

 そしてエメラルド、お前は魔術側じゃなかったのか?なんだよ赤外線とか。そしてレイジングハートもよくついてたな、それ。おかげでジュエルシードは探しやすいが。

 

「ぼーっとするな!」

 

 突然聞こえてきた声に、ハッと我に返る。思い出してる場合じゃないんだった。

 今僕は翠屋JFCというサッカークラブの助っ人として、試合に参加している。

 試合をいつもの三人と見に来たのだが負傷者が出たので、監督の士郎さんに頼まれて参加している。

 前から来る相手からボールを奪い、近くの仲間にパスする。

 その後はパスが繋がりゴールを決める。

 僕?本気で攻めると色々マズいからサポートだけだけど。

 

 

 試合は二対一で翠屋が勝った。その祝勝会を翠屋で行うことに。

 

「悠斗!もっと前行きなさいよ!」

「そんなこと言われても」

「そうだよ、アリサちゃん。悠斗君サッカー初めてらしいし」

「でも上手だったよ?」

 

 ここでもいつもの三人とです。

 周りからの嫉妬混じりの視線が…特に気になんないや。学校で慣れてるし。

 

「ちょっと聞いてるの!?」

「うん?あぁ、ごめんアリサ。で、何?」

「だから……」

 

 と、いった感じで宴は進み暫くして解散した。

 

 

「んー、疲れたー」

「あはは、アリサちゃん凄かったよね」

 

 現在、なのはと二人で買い物のために商店街に向かってる。

 エメラルド?知らんよ。なんか消えてた。

 姉さんもまだ帰ってこないし、今日もなのはの家に泊まることにした。

 別に寂しいとかじゃないよ?もう二週間帰って来ないからって違うからね?

 ……誰に言ってるんだろ。

 

「あ、あれって」

「ん?あ、キーパーの人とマネージャーの人だ」

 

 なのはが川沿いの道にいる翠屋のサッカーチームのキーパーとマネージャーを発見した。

 荷物からして、まだ帰り道なんだろう。

 

「何してるんだろ」

「男のほう顔真っ赤だし、告白とか?」

 

 こっそりと隠れながら二人して見る。何をいってるかは分からないが予測はできる。

 あっ、なんか出した。

 青い綺麗な宝石みたいだな。拾ったにしては形も整っているみたいだし、買ったのかな?でも、どっかで見たことのあるような……

 

「「って、ジュエルシード!」」

 

 宝石がなんなのか思い出した僕は、すぐさま二人の下へ駆け出した。

 間に合わないと判断すると、右手をピストルのように構える。

 周りに人はいない。構えた指先から黒い魔力弾を放つ。

 

「ガンド!」

 

 Fateの赤い悪魔がよく使う初級魔術。(どちらかというと呪術らしいが)

 北欧の呪いが起源であり、本来なら物理的干渉を持たず対象の体調を一時的に崩す程度のもの。

 そう、本来なら。

 この魔術は使い手の魔力によって物理的破壊力を得るなどの追加効果が付く場合がある。

 僕は転生特典の本から学び、練習しまくったところ、威力自体はピンポン球程、されど速度は銃弾クラスといったように込める魔力の量と密度を変えることで自由に変化を行えるようになった。

 

「いたっ!」

「どうしたの!」

 

 突然、手を抑え宝石を落とした少年に少女は驚きながらも近くに寄る。

 まだ、ジュエルシードに近い。

 もう一つ別の魔術を使おうとしたとき、突然周囲の空間が変わった。

 

「これって…っ!」

 

 嫌な気配を感じ、横に跳ぶ。転がりながらさらに距離を取る。

 何かがさっきまでいた場所を通り、地面が削られる。

 

「悠斗君!」

「大丈夫!それよりジュエルシードを」

 

 なのはに無事を伝えながら、高速で突撃してくるそれを回避し続ける。

 衝撃波が周囲を削り、巻き込まれた二人の内、少女の声が聞こえた。

 

「何これ?何なの?」

 

 少女はうずくまっていた。彼女の近くをあの何かが通り過ぎたのだろう。そして、それに怯えてしまった。少年は気絶中。

 

「やだ。助けて。私たちを守ってよ(・・・・・・・・)!」

 

 足元のジュエルシードが光を放ち、彼女らを飲み込みながら大きな樹が生えた。

 

「何…これ?」

 

 その樹はざっと見た限り、河の向こう岸まで広がっており、高さは東京タワーと同じくらいでは?と疑う程だった。

 

「なのは!悠斗!」

「お二人とも大丈夫ですか?」

 

 ユーノがエメラルドに乗って(しがみついて?)やってきた。

 

「ユーノ君!ジュエルシードが!」

「分かってる。誰が張ったかは分からないけど結界も張られてる。二人とも早く準備を!」

 

 やっぱり結界か。確かにこのサイズだ。二人でやった方がいいだろう。

 

「ごめん。なのはとユーノの二人でやって」

「え?」

「悠斗君?」

「僕らはあれをやるから。任せていい?」

「…分かったの。けど、無理しないでね!」

「ちょっ、なのは!?」

 

 なのははユーノを連れて離れていった。

 カードのことも、さっきの速い何かを見ているなのはは分かったらしい。

 ユーノには後で説明しよう。

 

「エメラルド」

「はい。|多元転身〈プリズムトランス〉」

 

 転身をして、空を見上げる。

 

「人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死ねってあるよね」

「ありますね」

「実はさっき人の告白シーン邪魔しちゃったんだけど…あれ、馬でいいのかな」

 

 そこには、長い髪で両目をバイザーで隠した妖艶な女性。

 それが翼の生えた馬に乗っていた。

 

「ペガサスですね。天馬ともいうので馬でしょう」

「あれに蹴られたら死ぬよね」

「蹴るよりも挽かれるが正しいかと」

「ミンチかー」

 

 ほのぼのと話しているが、絶賛回避中。

 少しだけ浮いて、目を強化して地面を滑るかのように回避する。

 今の僕はほぼ魔力無限。強化も限界までやれる。

 

「そろそろ反撃しよっか」

「そうですね」

 

 カードを一枚取り出す。

 

限定展開(インクルード)

 

 エメラルドが形を変え、鎖になる。先端が三本爪のようなものになっており、物を持つことも出来る。

 

「重っ!」

「両腕の強化もしときましょうか」

「よろしく」

 

 エメラルドも簡単なものであれば魔術を行使できるそうで、こうやって時々任せたりする。

 

「よし。少しマシになったところでやりますか」

 

 対象、ライダーの黒化英霊はこちらへ直進してくる。

 タイミングを合わせて、鎖の名を叫ぶ。

 

「縛れ、銀鎖(アルジェント・シェイナ)!」

 

 鎖は僕の思うように動き、ライダーを拘束する。

 

「そいやぁぁぁ!」

 

 そのまま地面に振り下ろす。が、逆に叩きつけられた。

 

「ぐっ!この!……ってあれ…」

「何ですか?…おぉ」

 

 起き上がって視界に映ったのは巨大な大樹(そのまんまだけど)を桃色の魔力砲が貫いてる様子だった。

 

「凄い」

「ですね…って悠斗様!」

「えっ、あっ」

 

 エメラルドの声に反応し上を見てしまったのが悪かった。

 ライダーがバイザーを取りこちらを見ていた。その目は怪しく光り、僕らからそらそうとはしない。

 

「石化の魔眼です!なんとか保護全開で石化は防いでますが」

「身体が動かないって…詰んだ?」

 

 持っていた鎖の付いた短剣が形を変えて、光の手綱に変わる。

 それはペガサスに付き、ペガサスの力を強化する。

 ペガサス、石化の魔眼、光の手綱。

 最初から分かってたけど、改めて認識した。

 

 ライダー、その真名は英霊、いや反英霊であるメデゥーサ。ギリシャ神話に名高いゴルゴン三姉妹の末妹。姉達を守るために化け物と化した存在。

 

 そしてその宝具は、あらゆる乗り物を制御し、能力を向上させる手綱。

 流星のごとき光を放ち突貫する対軍宝具。

 

「詰み…ですね」

 

 エメラルドの残念そうな声が聞こえた。

 そして、

 

騎英の手綱(ベルレフォーン)!」

 

 視界が眩み、身体を衝撃が襲った。

 

 

 




よくあるなのは魔改造(仮)
……タグいれようかなww
次も未定
今年中にはもう一話投稿したいと思ってます


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決意

短かったから早く出来上がった。
相変わらずの駄文ですが、どうぞ


 

「…生きてる。すんごい痛いけど」

「生きてますね」

 

 ライダーの宝具。それを前に魔眼で動けなくなった僕達は死を覚悟して、襲い来る衝撃に身を構えてた。

 そして、衝撃は来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 横からの桃色の砲撃による衝撃が。

 

 

 

 

 吹き飛ばされ、地面を転がり、ボロボロになって宝具を回避した。

 オマケに何故か魔眼も解けた。

 

「視界から消えたからか?」

「それよりも服直します。それなりの対魔力製だったのに、片腕分吹き飛ばされるとは」

 

 横からで良かった。正面からだったらトラウマになってたかも。

 起き上がって状況確認。

 

「あれ、なのはは?」

「…サーチ完了。約二キロ先です」

 

 二キロ先からでこの威力とか。

 なのは…恐ろしい子!

 

 それはそれとして、ライダーだが、ペガサスは消えて地面に立っている。魔眼もまた隠したようだ。

 僕との距離はおよそ600メートル。

 中心に大きなクレーターがある。

 

「流石に宝具連発は無理なようです」

「なら、訓練パターンその1で行こう」

 

 カードを一枚取り出し、口にくわえてクラウチングスタートの体勢をとる。

 

「おーい、おん!(よーい、ドン!)」

 

 強化した足で走る。全力疾走。

 ライダーは鎖を振って攻撃してくる。

 迫る短剣を杖で弾いて、一気にライダーの懐へ。

 くわえてたカードを片手に持ち直す。

 

限定展開(インクルード)『ランサー』」

 

 エメラルドが禍々しい槍へと姿を変える。ヴラドの槍だ。

 戦闘パターンその1。

 

「格闘でごり押し!」

 

 槍と短剣がぶつかり合い、離れ、またぶつかる。

 参考にするのは今まで戦ったランサーの動き。

 時折蹴りが来るが、ガードして槍で突く。

 それを続けている内に、ライダーが下がった。

 

(来るか!?)

 

 片手を地面に、もう片方はバイザーに。

 面を上げると同時に、バイザーを外した。

 

「それを!」

 

 下を向いていた顔が持ち上がろうとした瞬間に僕は行動に移った。

 顔を上げたライダーの魔眼の先には誰もいない。

 

「待っていた!」

 

 ライダーの体を後ろから槍が貫く。

 ライダーの後ろへ転移し、心臓目掛けて突き出した。

 ライダーの体が霧状に消滅して、カードだけが残った。

 

「ライダーゲットっと…」

 

 結界が崩壊を始め、元の河辺に戻った。

 服装を戻して、その場に座り込む。

 

「疲れたー!」

「お疲れ様です。今回も昨日に続き怪我が無くてなによりです」

「前のアーチャーが異常だったんだよ。障壁は砕かれるし、魔力砲も砕かれるし…」

 

 以前大怪我負ったアーチャー戦を思い出しながら、エメラルドとしばらく話していると。

 

「悠斗くーん」

「あ、なのは、ユーノ。二人ともおつか…グハッ!」

「怪我無い!?大丈夫!?」

 

 なのはの声がしたので、その方向を向いて声をかけると、運動音痴のなのはがそう感じさせないスピードで突っ込んできた。

 さらに押し倒されて体触られまくった。

 

「いや、大丈夫だから、落ち着いて…力強い!離れない!」

「…はぁ、はぁ、はぁ」

「息が怖い!?エメラルド、ヘルプ!」

「わかりました。…エメラルドチョップ!」

「あだっ!?…はっ、私は何を?」

 

 エメラルドの一撃で我を取り戻したらしい。

 この後、自分のやったことを思い出して暴走しかけたなのはにもう一撃振り下ろされたことは余談だろう。

 

 

「それで、ジュエルシードは回収できたんだよね?」

「うん」

 

 なのはを完全に落ち着かせてから、数分後。本来の目的であった買い物を済ませて帰宅中。

 

「悠斗君」

「何?」

「…今回のことでね、改めてジュエルシードの危険性を知ったんだ。家を潰して広がっていく根っことか、街にそれが広がってくのとかね」

 

 まぁ、確かに危険だよな。怪獣映画みたいとか思っちゃったけど。

 

「結界があったから誰も怪我してないけど、無かったら大変なことになってたと思うの。だから私は、ユーノ君のためだけじゃなく、私達の街の為に、必ず集めるって決めたの」

「……」

「だから、その、」

「手伝うよ」

「えっ」

「元々手伝うって言ってたし、それにそんな危険なことになのはだけにやらせるつもりはないよ。なのはは、(友人として)大切な人だし」

「た、た、たい、きゅう…」

「えっ、ちょっ、なのは!?」

「…若いですね」

 

 にやけ顔で倒れたなのはは、帰ってくるのが遅いということで探しにきた恭也さんによって連れていってもらった。

 

 なんとも締まらない一日だった。

 

 

おまけ

 

 じばらくしたある日。

「そういえばなのは」

「何?」

「あの時の砲撃ってタイミング良かったけどどうして?」

「あれ?あれは、悠斗君が危ないって気がして」

「えっ、見てた訳じゃないの?」

「ううん。あえて言うなら勘」

 

 …恐ろしい。

 

 

 

 

 




さて、今年中にもう一話行けるだろうか…。
クリスマスもお正月もネタはあるけど、キャラが出揃ってないからなぁ。無理か。
感想、アドバイス頂けるとありがたいです


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碧崎悠斗のとある1日

なんとか今年中に投稿できた(´▽`)

今回はオリジナル、悠斗のある1日の様子です。
ある人物の言葉使いあってるかな?

ではどうぞ!


「テスター?」

『はい』

 

 ライダーとの戦いから数日。

 学校から帰ってきて、特にすることも無くゴロゴロしていると、神さんから連絡が来た。

 

『最近私たちの管轄ではないのですが、転生の特典にクラスカードを望む人が増えているのです』

 

 まぁ、ちゃんと使えれば英霊の力手に入るからね。

 

『ですが転生ポイントが少なくて、カードだけとかの人が結構いるのです』

 

 カードだけでも夢想召還(インストール)はできなくは無いからな。

 僕は出来てないけど。

 

『なので、そういう人たちのためにクラスカードを使ったアイテムを用意しよう、と上司が…』

「なるほど。けど、なんで僕?」

 

 それこそクラスカードだけの人とかに任せればいいのに。

 

『理由としては二つ。一つは、私達の管轄でカードを使ってるのがあなただけなのです。それにちゃんと使えるかも怪しいものを他の担当に任せるのも、ちょっと…』

「……まぁ、いいですよ。転生させてもらったことには感謝してるし、それくらい」

 

 本音言うと、そんな不安定なもの危険だからやりたくないけど、今の生活が楽しいのは神さんのおかげだし。

 

「で、もう一つは?」

『…いずれあなたに必要になるからです』

 

 必要。そういえば効果とか聞いてなかったような。

 

「そのアイテムの効果って?」

『その効果は

 

 

 

 

 

 

……以上です』

「…それ、必要になるときってきてほしくないなぁ」

『使うかはあなた次第です。といってもいざその時になったら使うとは思いますが』

 

 うん、使う。絶対使う。

 

『試しに、一つ送ります。使ったら感想をください』

「わかったよ」

『それではまた』

 

 モニターが消え、近くの床に魔法陣が浮き出る。

 その中から箱が一つ現れ、魔法陣は消えた。

 

「それみたいですね」

 

 今まで映像を映してたエメラルドが話しかけてくる。

 箱を拾い上げ蓋を取る。

 中には普通より大きめの、長方形のパスケースが入っていた。

 一枚しか入らないようで、裏には魔法陣が描かれていた。

 

「これか…」

「見てるのも良いですが、確か約束があったのではありませんか?」

「えっ、もうそんな時間?」

 

 時計を見ると三十分も経っていた。

 隣の幼なじみに家に来るように言われてたんだった。その時間まで暇だったからゴロゴロしてたところにあんな話聞くから、忘れてた。

 

「一応持っとくかな?」

 

 パスケースをポッケに仕舞い、家を出る。

 歩いて数歩。我が家の右隣の家の前につく。表札には『八神』と書かれた家。

 ピンポーンと、呼び鈴を鳴らす。

 

『はい』

「僕だけど」

『今開けるからちょっと待ってなぁ』

 

 ガチャリと鍵を外す音が聞こえたのでドアを開けて中に入る。

 

「二分遅刻や」

「ごめん。ちょっと野暮用で」

「まぁええわ。上がって」

 

 車椅子の少女に迎えられ、家に上がる。

 この少女は八神はやて。なのはよりもちょっとだけ長い付き合いの幼なじみである。

 某女だらけの学園にいるワンサマー風に言うと、なのはがセカンド幼なじみではやてがファースト幼なじみとなる。

 

「足の調子は?」

「変わらずや」

「そっか」

 

 生まれた時から足が悪いらしく、今も病院に通っている。

 こうやって調子を聞くのは何時ものことだ。

 ちなみにはやての担当の先生の連絡先を持ってたりする。

 

「なんか食べたい物ある?」

「んー、今日はいいわ。部屋行こ」

 

 週に二回、こうやって家を訪れている。はやての親は幼い頃に死んだらしく一人暮らしをしている。

 姉さんと様子を見に来たり、姉さんがいないときはお互いの家に泊まったりしてた。

 今は週二回だが、最初のころは五回だったのだ。学校やなのは達との付き合いもあるので、なんとか説得(二週間かけて)して今に落ち着いた。

 一日でも欠けると、すごい落ち込む。一度だけなったが、涙目でなんでで来なかったかを問い詰められ、殴られる。それは痛くないのだが、機嫌を治すのに丸一日使わなければならないのだ。

 

「…………」

「…………」 

 

 主にこの家でやることは、料理を作ってみせたり、部屋でのんびりと過ごしたり位だ。

 今は部屋でお互い本を読んでる。無言が続いているが、彼女はこうやってるだけでも嬉しいとのこと。

 

「…ん、終わった。はやて、これの次の巻どこ?」

「そこの本棚にあるはず」

 

 本棚から探す。

 …前より恋愛小説増えてるなぁ。確かこれって障害持った女の子が、自分を支えてくれる男の子に恋する物語だっけ?

 自分も似た境遇だから共感してるのかも。恋してるかは知らんが。

 えっと、これは料理本。これが心理クイズの本。で、あった。これこれ。

 

「…………」

「どないしたん?固まって」

「は、はやて、この本って…」

「あぁ、その二冊な。前に掃除したときに出てきたんよ。でも、読めなくてなぁ」

「もらっていい?」

「ええよ。どうせ、捨てようか悩んでた物やし」

 

 目当てのファンタジー系の小説の隣。

 そこに並んでた二冊の本を貰うことにした。

 タイトルは『Rune』、『Fraga raca』。

 前者はそのままの意味で『ルーン』。中をパラパラッと見たがFateのルーン魔術についてのことのようだ。

 そして、問題は後者。

 『Fraga raca』、これはアイルランド語で日本語に直すと『フラガラック』となる。

 『フラガラック』とは、同じくFateの物。ただし、ルーン魔術とは違う現存する宝具である。

 特典で貰った魔術教本の中にアイルランド語で書かれたものがあったため学んでいた。と、いうか姉さんがほぼすべての言語使えるから教えてもらったし。

 この本を少し読んだところ『フラガラック』の製造法が書かれているようだ。 

 

(なんでこんなのがあるかは知らないけど、黒化英霊との戦いでは役立つ)

 

 思わぬ所で新しい力を手に入れられた。

 

 

 その夜。

 

「今日は何を?」

「ルーン魔術の勉強かな。宝石は昨日やったし、今日手に入れたからどんなのか気になるってのもあるから」

 

 訓練場でエメラルドの問いに答える。

 ほぼ毎日の日課として、魔術教本をよんだり、仮想敵で戦闘訓練したりしてる。

 時折、居候が試作型ガジェットとかいうのを用意してくれる。魔力で創られた影みたいな仮想敵よりも戦いがいがあって助かってる。

 

 一時間後。

 

「そろそろ寝ようかな」

 

 読んでたページにしおりを挟み、寝る準備をする。

 携帯を確認すると、なのは達からメールがきてた。

 

「えっと、週末にすずかの家でお茶会か。わざわざ全員で送ってこなくっても一人でもいいのに」

 

 参加することを伝えてベットに横たわり目を閉じて、眠りについた。

 

 

 




言うまでもなくこれで今年最後です。
読んでくれた方々に感謝を。
感想、アドバイスお願いします。

それでは皆さんよいお年をm(_ _)m


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猫に追われるお茶会

あけましておめでとうございますm(_ _)m
…2月ですが。

遅くなってしまい申しわけありませんでした。
理由としては、活動報告に書いてあることがほとんどですので気になる方はどうかそちらをご覧ください。
今年もどうかよろしくお願いします。
では、新年一発目、どうぞ!


 現在僕は、月村家へお邪魔している。

 すずかからお茶会のお誘いがあったからだ。

 メンバーは何時もの四人。後は、別の部屋(多分)に恭也さんと、恭也さんの彼女の月村忍さん、後は月村家のメイドさん二人がこの家にはいる(他は知らない…)。

 

「昨日ね…」

「それで?…」

「それほんと!…」

 

 三人娘は何か話して盛り上がっているが、内容を聞いている余裕はない。

 

「……………………………………」

「「「「「…………………………」」」」」

 

スッ(身体を右へ)

ザッ(右へ移動)

 

「……………………………………」

「「「「「…………………………」」」」」

 

スッ(身体を左へ)

ザッ(左へ移動)

 

「……………………………………(・・;)」

「「「「「………………………… ( ・_・)ジッ 」」」」」

 

ダッ!(後ろへ駆け出す)

ダダダッ!(追いかける)

 

「なんなのさーーー!」

「「「「「ニャーーーーー!」」」」」

 

 何故か猫に狙われてます。

 なんかした!?…何時も通りだけど。

 そして、そのまま部屋を出た。

 

 

三人娘side

「相変わらずなんであんなに好かれてるのかしらねぇ」

「それも毛並みが金色の子たちだけにね」

 

 アリサとすずかは悠斗が走り去って行った方角を見ながら言った。

 それになのはも苦笑しながら頷いた。

 

「さすが金色殺し(ゴールドキラー)

「「金色殺し(ゴールドキラー)?」」

 

 すずかが呟いた単語に疑問を浮かべるなのはとアリサ。

 

「お姉ちゃんが考えたの。ほら、悠斗君って何故か金髪の人に好かれやすいと思わない?」チラッ

「そうなの」チラッ

「うっ…な、何よ」

 

 ちらちらとアリサを見ながら話をするなのはとすずか。

 

「でも、確かに私の親も気に入ってるし」

「翠屋に来る金髪の外人さんとか、ハーフの人に気に入られてるの」

「「………」」

 

 アリサが自分の家を悠斗が来たときのことを思い出して、言うとなのはも翠屋を手伝って貰ったときのことを思い出した。

 そして、沈黙。

 

「あ、紅音さんはどうなのかしら」

 

 空気を変えようと、アリサが別の話題を出す。

 

「どうなんだろう」

「……」

「なのは?」

「なのはちゃん?」

 

 無言のままのなのはに二人は話し掛ける。

 

「紅音さんなら、何が起こってもおかしくないの」

「えっと…」

 

 ちょっと遠い目をしながら話始めたなのは。

 

「話すようなことじゃないと思って話さなかったけど、あれは一年生の冬のことなの。珍しく雪が1日降った日に紅音さんは帰ってきたらしいの」

「あ、あったね。1日中雪が降った日」

「去年はあまり降らなかったわね。で、何があったのよ」

 

 アリサが続きを促す。

 

「その次の日に家に帰ってきた挨拶をしに来て、お土産くれたの」

「…なんだったの?」

「…イタチの骨」

「「イタチ!?」」

 

 さすがに予想外だったのか驚く二人。

 

「うん。骨格標本っていうのかな。まるまる一匹」

「そんなの持ってきて大丈夫なの…?」

 

 本人の知る由もないが、その骨はラーテルという動物であり、「世界で最も勇敢な動物」でギネスブックに載っている。

 不屈の精神力を持つともいわれている。

 ちなみに骨にそっくりな模型である。本物ではない。

 

「…今どこなんだろ?」

「そもそも何してるのかしら」

「ほんと謎な人だよね」

 

 そんな話をして笑ってると、なのはは強力な魔力を感じた。

 ユーノからの念話がきた。

 

『なのは!』

『ユーノくん!』

『ジュエルシードだ』

『うん。でもアリサちゃんとすずかちゃんが。それに悠斗君も』

『僕に考えがある。悠斗も気づいただろうし遅れて来るよ』

 

 ユーノは鳴き声を軽くあげて、ジュエルシードの方角へ走り出す。

 なのははユーノの考えを悟り、ユーノを追うといって二人から離れた。

 

 

悠斗side

 

「助かった…。ノエルさんが来てくれて本当に良かった」

 

 猫に追われてた状況を途中であったノエルさんがなんとかしてくれたので、今はゆっくりとみんなのところへ戻っている。

 

「災難でしたね」

「まぁね…ん?」

 

 視界に猫が映った。こんなところにもいるんだなぁ、と思いながら抱き上げる。

 

「あぁ、これくらいの人なつっこさがいいなぁ」

(おや?この猫、たしか原作でジュエルシードを発動させたのでは?)

 

 猫を抱っこしながら進もうとすると、大きな魔力を感じた。

 

「これは!」

「ジュエルシードだね」

 

 猫を地面に下ろして、感じた方角へ向かう。

 

 

なのはside

 

 どんな時も油断しない。

 悠斗君が前にそんなこと言ってたのを思い出し、バリアジャケットを展開して向かった先には

 

「「……………………」」

 

 猫さんがいた。巨大な金の毛で所々に白い線の入った猫が。

 唖然としてしまう。

 

「えっと…」

「多分大きくなりたいって願いが叶ったんじゃないかな?襲ってくる気配はないし、結界も張ったから早く封印しよう」

「う、うん。レイジングハート」

 

 レイジングハートの先端を猫に向けた。その時、背後から金の光が猫さんに命中した。

 

「ニャァァァァ!」

 

 苦しそうな声を上げ、倒れていく。

 背後を振り返ると、そこには金の髪をしてマントを羽織ったツインテールの女の子と、赤いコートを着て、オレンジの帽子を被った男の子がいた。

 

「魔導師?」

 

 女の子のほうが私を見て、何か言ったがそれよりも私はその子を見て思ったことがあった。

 

(悠斗君に、会わせないようにしないと!)

「あの杖に、魔法形態。間違いない、僕と同じ世界の住人だ」

 

 ユーノ君が横で呟いた。

 

「ロストロギア、ジュエルシード」

 

 女の子の持つ杖が金の刃の鎌に変わる。

 

「申し訳ないけど、貰っていきます」

 

 そう言って、襲いかかってきた。

 後ろへ跳び、回避する。

 けれどもそれを読んでいたかのようにすぐに距離を詰めてくる。

 

『プロテクション』

 

 レイジングハートがとっさに障壁を張って守ってくれた。

 一度下がったのを見計らって、空へ上がる。

 そのまま猫さんのほうへ向かう。

 

火銃(ひがん)!」

 

 今まで何もしてなかった男の子が指先から火の玉を撃ちだしてきた。

 急停止し、障壁で防ぐ。

 

「なぁ、フェイト。まずは、な…この子から倒しとこうぜ。邪魔されても面倒だし」

「…そうだね」

 

 鎌を持った女の子(フェイトって名前みたい)と指先に火を灯した男の子が攻撃をしてきた。

 

そのころ。

 

「あれ?どっち行けばいいんだ?」

「ここさっき通りましたね」

 

 主人公は迷っていた。

 

 




ここがいつも同じことでつまらないとリアルの友達に言われたため、試しに色々してみたいとおもいます。
まず今回は、各ヒロインの悠斗への好感度メーターみたいなのを。
基準としては50以上で友達、100以上で親友、150以上で親友以上恋愛対象未満、200以上で恋愛対象です。
ついでに500以上でヤンデレ初期です(^_^;

なのは 260
アリサ 250
すずか 155

これは現状のです。
感想、アドバイスお願いします!


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お茶会終了

テスト期間なう。
…なにしてんだろ。進級かかってるのに( ・_・)

まぁ、今回はかなりムリヤリかなぁと思わなくはないのでお気をつけて。
では、どうぞ。


 海鳴市

「で、着いたぞ」

『はいはい、こちら暇人二号』

「仕事しろよ」

『してるわよ。あんたの案内』

「そうかい」

『じゃあ確認するわよ。あなたの任務は?』

「この海鳴に落ちた石っころと闇の書の監視だろ?」

『正解。ついでに闇の書に関してはなんかしようとする奴は管理局の人間でも排除していいそうよ』

「石のほうは?」

『アースラをそっちに向かわせるからほっといていいそうよ』

「アースラ?…あぁ、なるほど。じゃあ今ドンパチやってるのも放置でいいな」

『結界張ってるならいいでしょ』

「適当だなぁ」

『うるさいわね。仕方ないでしょ、今部隊長も我らが特攻隊長も留守なんだから』

「は?この任務出したのその特攻隊長だよな」

『なんか、「大連続狩猟行ってくるー!」って叫んで仕事行ったわ』

「意味わかんね」

『ついでに、さっき10メートル級のドラゴン山積みにしててっぺんでピースしてる写真きたわ』

「流石だわ」

『これ終わったらオフなんだって』

「あー、ドラゴンも可哀想に。オフ前だとあの人容赦ないからなぁ」

『ちなみに出てったの一時間前』

「なんかもう驚けねー。てか部隊長はどうしたよ」

『三提督とお茶して、上層部に悪戯してくるって』

「…さて、石と闇の書の監視頑張りますか」

『あ、そういえば後で画像送るからその人物は排除しなくていいそうよ。あと石っていうのやめなさい』

「闇の書に関してはりょーかい。けど、石って言ってなんか問題ある?」

『一応あれロストロギアよ?』

 

 

「でも、たったあれっぽっち(・・・・・・・・・)の魔力込められてるだけの石だろ?」

 

 

『…はぁ、もうどうでもいいわ。頑張れ』

「頑張る。通信終わり」

 

 

 

悠斗side

 

 迷子状態からなんとか抜け出し、庭を走っていた。

 

「なのはさんが交戦中のようです」

「交戦!?ジュエルシードの暴走体と?」

「いえ、魔導師のようです。数は二人。場所は少し離れてますね」

「暴走体のほうは?」

「このまま行けば到着します」

 

 少し速度を上げる。暴走体のほうを先にどうにかしよう。

 

「到着……と、」

 

 猫だ。でかい猫が倒れてた。

 

「なに…これ…?」

「暴走体かと」

 

 顔のほうへ周る。

 

「あっ、この子一番懐いてた子だ」

「そういえばそうですね」

 

 一応警戒して、転身して猫に触れる。

 撫でながら簡単に治癒魔術を掛けていると目を覚ました。

 

「ニャア」

「お、起きた」

 

 顔をこすりつけてくるが、サイズがサイズなのでほんの少し浮かないと対応出来ない。

 

「さて、危険性はないしなのはのほうに急ごうかな」

「この子は置いとくんですか?」

「あー、どうしようか」

 

 多分このままにしたら追いかけてくるし、また眠らせるのも…。今は落ち着いてるけど、暴れ出すかもしれないし。

 

「…ねぇ、エメラルド。この猫、人乗れるよね?」

「まぁ、このサイズですし」

「人が乗れるってことは、言い方悪いけど乗り物だよね」

「そうですね…まさか!」

 

 腰のカードホルダーからカードを出し、猫を空いているもう片方の手でなでる。

 

「協力してくれる?」

 

 問いかけると頷いた。

 

「ありがとう」

 

 

 

なのはside

 

 女の子の魔力弾をよけ、男の子の攻撃を防いで、また避ける。時々当たるか、掠るけど、それを続ける。 

 そうやってる内に、猫さんからだいぶ離れた場所にきた。

 

「はぁ、はぁ…」

「なのは、反撃するんだ!攻撃しても非殺傷にされてるから大怪我はしないはず」

「うるせぇ!」

 

 男の子が火の玉を放ち、下にいたユーノくんを攻撃する。

 

「レイジングハート!」

『ディバインシューター』

 

 魔力弾が男の子目掛けて飛んでいく。

 男の子は避ける素振りも見せない。

 魔力弾は男の子に当たり、当たった箇所は炎に包まれた。

 

「えっ…?」

 

 驚いて、止まってしまった私目掛けて黄色の魔力弾が直撃する。

 そのまま地面に落ちる。

 男の子が少し降りてきて、口元を少し緩めながら言った。

 

「残念だったね。俺の体は炎で出来ててな、攻撃は基本効かないんだよ」

 

 空にいる女の子のほうを向く。

 

「こいつはこっちで捕獲しとくからフェイトはあの猫のとこに戻れ」 

「捕獲…?放置でもいいんじゃ…」

「この先邪魔されないようにだよ」

 

 さらに近づいて来ようとする。

 ユーノ君のほうを見ると、赤いバインドで縛られていた。

 体も重い。どうしようかと考えていると、なにか大きな、それこそ怪獣映画で聞こえそうな地響きが聞こえてきた。

 

「…あん?」

「あれって…」

 

 二人の視線の先をなんとか向く。そこにはこちらに駆けてくるさっきの猫さんがいた。

 

「はっ、わざわざ来てくれるとはな!なら先にやるか」

 

 男の子が炎を片手に集め始めている。

 なんとかしないと。そう考えたが、

 

騎英の(ベルレ)… 」

 

 聞こえてきたその声に、安堵して

 

手綱(フォーン)!!! 」

 

 意識を手放した。

 

 

悠斗side

 

「見えた!」

 

 猫に乗り、エメラルドのガイドに従って進むとなのはと他二人の姿が見えた。

 女の子の攻撃でなのはが落ちた。

 

「なのは!」

 

 僕の声を聴いてか、猫が速度を上げた。

 こちらに気づいた男の子がなにやら炎を集めている。

 

限定展開(インクルード)、ライダー! 」

 

 エメラルドの型が変わり、鎖付きの短剣が現れる。

 さらにそれは手綱へと変化していき、猫に装備される。

 クラスカード『ライダー』、その真名メデューサの宝具が一つ。

 

騎英の(ベルレ)… 」

 

 あらゆる乗り物を乗りこなし、対象の能力を1ランク上げる黄金の手綱。

 

手綱(フォーン)!!! 」

 

 さっきよりも速くなった、強化された猫の突撃は男の子に技を放たせる間もなくぶつかり、吹き飛ばした。

 

「なん…で!?…」

 

 そんな声が聞こえたが無視した。

 方向を転換し、女の子も狙うがこちらは回避された。

 あまりこの猫に無理をさせるのも悪いと思い、なのはの近くで停止させ降りる。

 背後から接近する気配。

 速い。なのはに比べたらかなり。

 でも、英霊に比べたら遅い!

 

「くっ!」

散弾(ショット)!」

 

 障壁を背中に張り、彼女の攻撃が弾かれたのを声と音から理解し、振り返りざま散弾を撃つ。

 全てかわされ、距離を取られる。

 牽制用に撃ったから当たらなくてもいいんだけれど。

 煙で姿を確認出来ないが、さっきの行動から接近型。

 先端に魔力をブレード状にして構える。

 

「予想はついてるけど、目的はなに?」

 

 煙が晴れ、顔が見えた。

 相手は金髪のツインテールで美少女といえる顔立ちをしていた。

 あちらもこっちを確認したようだが、

 

「えーと………」

「…………………………………」

 

 何だろう…顔赤くして、こっち見たまま固まってる。

 

「おーい」

「……はっ!」

 

 顔の前で手を振ったら、なんとか我にかえったらしい。

 すぐ距離を取った。速いな。

 

「えっ、えっと、あの、」

「ちょっと落ち着いたら?」

 

 

 数分後。

 

「蒼崎悠斗です」

「フェイト・テスタロッサです」

 

 まだ顔は赤いが落ち着いたようなので自己紹介。

 

「で、テスタロッサさんは」

「フェイトで…いいです」

「じゃあ、フェイトはやっぱりジュエルシード狙い?」

「は、はい」

 

 名前で呼んだらさらに赤くなったが、無視しよう。

 

「なら持ってっていいよ」

「……えっ?」

 

 驚いた顔でこっちを見た。と、思ったらすぐ俯いた。

 

「な、なんで?」

「まぁ、こっちの封印出来る人は気絶中だし、目が覚めるまで放っとくのも危険だし、後はそっちのお仲間ダウンさせちゃった謝罪ってのが理由かな」

「別にあれは仲間じゃありません」

 

 即答だった。なんか可哀想に…。

 

「勝手について来て、俺の嫁とか言って馴れ馴れしくしてきたけど、ジュエルシード集め手伝ってくれるとかで仕方なく一緒にいただけです」

「そ、そう」

 

 前言撤回。頭がいっちゃってるようだ。

 

「それじゃあ、おいで」

「ニャア」

 

 猫がやってきて近くに寝転がる。

 撫でてあげながらフェイトのほうを向いて言う。

 

「ほら、今の内に」

「は、はい!」

 

 その後は、ジュエルシードを封印してもらい、なのは達が起きない内に帰らせた。

 倒れてた男の子は、エメラルドが「邪魔ですね」と言ってどっかに転移させた。

 そして、なのは達の目を覚まし、猫(元に戻った)を連れてアリサとすずかのとこに戻った。

 

「その子凄い懐いてるね」

「うん、何でだろ?」

((毛並みが金色だからでしょ))

 

 すずかと話してると、他二人が変なこと考えてる気がした。

 

「けど、離れないなぁ」

 

 そう、さっきの猫が頭に乗っかって離れないのだ。

 

「いっそのこと、飼ってみる?」

「いいの?」

「うん。悠斗君なら信頼できるし」

「じゃあ、飼おう。名前は?」

「最近拾った子だからまだ決めてないんだ。任せるよ」

 

 いや、名前つけてあげようよ。拾った時にさ。

 

「そうだなぁ…」

「ちなみにメスだよ」

「じゃあ『レン』にしよう」

「「「早っ!?」」」

 

 別に黒でも銀でもないけど、猫でメスとなるとその名前しか浮かばない。

 その後は少し話して、今日は解散となった。

 なのはと恭也さんと別れて、家への帰り道、どこからか明るい音楽が聞こえてきた。

 

「どこから…」

「はい、もしもし」

「えっ!?」

 

 エメラルドがアンテナ生やして、どっかと話してた。

 リングの部分に0から9までの数字と、受話器のマークが2つ見えた。

 …電話?いや、そのモードいる?

 

「それでは…悠斗様」

「なに?」

「いいニュースです。黒化英霊が見つかりました」

「えっ、ほんと」

 

 確かにいいニュースだ。ライダー倒してからあんま見つかんなかったし、戦力は増やせるときに増やしたい。

 

「あの狂…居候からの情報です。間違いないかと」

「いま、狂人って言いかけてなかった?」

 

 否定しないけど。

 

「そして、少し悪いニュースです」

「…は?」

 

 カメラを出し、映像を映し出した。

 そこには一人の人物が映っていた。

 

「これは少し辛いかと…悠斗様、わかりますよね?」

「…………………」

 

 開いた口が塞がらなかった。

 

「…エメラルド場所は?」

「海鳴温泉です」

「遠いね…、それとわかってるよ」

 

 映像の人物、彼女を指差して告げる。

 

「最優のクラス、セイバー。騎士王アルトリア」

 

 

 

 




今回は宝具、ならびにあっさりリタイアした男の子について。

今回の宝具
クラスカード『ライダー』真名 メデューサ
宝具 騎英の手綱(ベルレフォーン)
ランク:A+   種別:対軍宝具
あらゆる乗り物を制する黄金の手綱。
乗り物だけでなく、幻想種さえも操れる。
また、乗り物の能力を1ランク上げる。
本来はペガサスに使われることが多いが、今回は巨大化した猫に使用。

男の子
文山 大助(ふみやま だいすけ)
転生者。
容姿は銀髪イケメン(想像に任せます)
特典
メラメラの実(不完全)
ワンピースの悪魔の実、火拳さんにあこがれたがポイント不足で、ランクB以上の攻撃は通る。
インテリジェントデバイス 『フレイ』
女型人格のデバイス。大助を嫌っており、従いながらも他のマスター候補を捜索中。

と、まぁこんな感じです。
次はいつも通り未定。
無印さっさと終わらせないと…。
はやくオリジナルに入りたい。
ってか、その前にA'sか。

感想、アドバイスお待ちしてます。


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キャラクター紹介

キャラクター紹介です。
本編はこれを読んだこと前提で進みます。


蒼崎 悠斗【あおざき ゆうと】

 

身長:なのはくらい

容姿:プリズマ☆イリヤのミユ

保有魔力:AA

魔力光:エメラルドグリーン

固有スキル

金色殺し《ゴールドキラー》・B

対魔力・B+

????・A

????・A+

保持技術

宝石魔術(中級)

ルーン魔術(初級)

呪術(初級)

家事全般

家族構成:姉、居候(多数?)

 

 本作の主人公。一人称は僕。性格は温厚。転生者。

 面倒事に巻き込まれやすく、助けを求められると断れない(悪人と分かってる場合は別)。

 前世は普通(本人視点)な生活をしていた。

 転生後は、特典のカレイドステッキ『エメラルド』の契約者となってクラスカード集めをしている。

 

 

スキル説明

金色殺し《ゴールドキラー》

 金髪の生物に対しての魅了《チャーム》のこと。忍命名。

 ただし、Bでは一目惚れなどの効果は同い年か+-1歳のみ。

 それ以上、以下には嫌われ難い、優しくされるといった効果のみ。

 さらに一目惚れは、意外にも薄い効果でしばらくすると、解ける。…ガチの一目惚れにならなければ。

 

対魔力

魔術に対する抵抗力。この作品ではリリカルの魔法も対象とする。

 悠斗の場合は、魔術詠唱が三節以下のものを無効化するが、魔術を使う相手は黒化英霊くらいだと思う。

 リリカル的だと、魔法ランクならびに攻撃力B+以下を無効化する設定。

 込められた魔力量によっては、ランクB以下でも通る場合がある。

 

????

不明。

 

????

不明。リリカル的にいうと、レアスキルに分類される。

 

 

所持カード 12枚

セイバー 0枚

 

アーチャー 3枚

???、???、???

 

ランサー 2枚

ヴラド、??????、

 

ライダー 3枚

メデューサ、????、??

 

キャスター 1枚

???、

 

バーサーカー 1枚

???

 

アサシン 2枚

??、???

 

 

蒼崎 紅音【あおざき あかね】

 

身長:悠斗より10センチ高い

容姿: 蒼崎 青子の黒髪で幼くした感じ

保持技術

家事(全般)

 

 悠斗の5歳上の姉。唯一の家族。

 家に居ないことが多い。中学2年生だが学校に行ってる訳でもない。

 変な土産を買ったり、貰ったり、拾ったりしてくる。

 結構ブラコンとか。

 

エメラルド

 

 神さんから用意された特典の1つ。

 カレイドステッキだが、本来2つで1つなのを1つで2つ分にしているため、リミッターが掛けられてる。

 外すには、死ぬ覚悟がいるとかいらないとか。

 怪しまれないようにインテリジェントデバイスと思われるように、認識阻害がオートで掛けられてる。

 決してデバイスではない。←重要

 

文山 大助

身長:悠斗位

保有魔力:S

魔力光:紅

容姿:銀髪イケメン(想像に任せます)

スキル

メラメラの実(不完全)

ワンピースの悪魔の実、火拳さんにあこがれたが転生ポイント不足で、ランクB以上の攻撃は通る。

 

転生者。目的は、ハーレム?攻撃が通らないのをいいことに鍛練をせず、結果悠斗の攻撃でダウン。

現在は、全治3ヶ月の重傷で入院中。

 

インテリジェントデバイス 『フレイ』

女型人格のデバイス。大剣型。大助を嫌っており、従いながらも他のマスター候補を捜索中。実は密かに悠斗を狙ってるとか…。

スタンバイモードは赤い指輪。

 

 

 




久しぶりの投稿がキャラクター紹介…なんかすいません。

次は4月1日予定です。


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zero

これは、一つの可能性のお話。

 

 

「来たれ、天秤の守り手よ!」

 

「えっと、あなたがぼくのマスターですか?」

 

 

 目覚めると、fate/zeroの世界。

 衛宮切嗣によって、キャスターとして召還された。

 

 

「これからどうしよう?」

「原作ブレイクしちゃいましょう」

 

 

冬木市へ。

 

 

「外に出るの初めてなのよ」

「じゃあ、色々見て回りますか?お、お母さん…」

「あー、もう!可愛いわね!」

 

 

 子供の姿のままだからか、イリヤには兄として、その母親のアイリスフィールからは息子として可愛がられる。

 

 

「貴様、キャスターか?」

「そうだよ。あなたはランサー?」

「如何にも。しかし、珍しいな。キャスターが前線に出てくるとは」

「まぁ、マスターに許可貰ってるし。後ろでチマチマやるのは慣れて無いんだ」

 

 

 二本の槍を持つランサーとの遭遇戦。

 

 

「我こそは、征服王イスカンダル!」

 

「ほぅ、そこの小娘…いや、男か。力を見せてみよ」

 

「セイバーのサーヴァント。名は……名乗ってはいけないのでしたね。危ない所でした」

 

(あれ?あのセイバー、まさか……)

 

 乱入するライダー、その呼びかけに集まるアーチャーとセイバー。

 

 

「ooooooouuuuuu!」

 

「狂戦士め!」

 

「どっかで会ったような、ってこっち来たー!?」

 

 炎を纏いながら襲い掛かるバーサーカー。

 

 

 そして、原作ブレイクのために動き出す。

 

「馬鹿な、蟲が……」

「ほんとに効いたよ、このアーチャーのカード」

 

「えっと、救いに来たよ?」

「……………誰…ですか?」

 

 

「ここに呼び出して、なんのようかな?」

「あなたに、幾つか言いたいことがあったのでお呼びしました。遠坂時幹さん」

 

 

「くっ!?…何故、私を…」

「さよならだ、綺礼」

 

「ランサーのその体質、どうにか出来る……かも」

「「お願いします!」」

 

 月夜の晩。自分のマスターと。

 

「正義の味方…になりたかったんだ。僕は」

「今もそう思ってますか?」

「………………」

「正義の味方なんて、辛い道です。それを覚悟して、なりたいと思ってるならまだ間に合います。切り捨てる覚悟と、貫く覚悟を持てるなら」

 

 

 そして、戦いは最終局面へ。

 

「さぁ、セイバー。一騎打ちだ」

「いいでしょう、ランサー。受けてたちます!」

 

「oooooobbuuuu!」

「騎英の手綱《ベルレ・フォーン》!」

 

「我らが覇道を示そうぞ!」

「来るがいい、覇軍の王よ」

 

 

「どうした?その程度か?」

「悠斗様!?」

「くっ、やっぱ強いなぁ。アーチャーは。どの道消えるなら、やってみようか」

「ほう?何か策があるようだな」

「行くよ、エメラルド」

「…はい。お覚悟を」

 

「「リミッター解除!!」」

 

 

外伝『fate/zero編』開始。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!変な夢見たような…」

 

 聖杯戦争に呼ばれて、色々やらかしてるような夢を見た…気がする。

 

「えっと、今は2時か」

 

 明日、いや今日は海鳴温泉へなのは達と旅行だ。

 もう一眠りしないと、身体が保たないだろう。

 

「おやすみー」

 

 布団に入り、すぐに眠りに着いた。

 

 

 




いや、もう分かったと思いますがエイプリルフールです。
本編進めろよ、とか思われそうですがやってみたかったので…。
ちなみに要望あれば、外伝でやろうかなぁとか考えてます。
まぁ、ないでしょうけど。

本編は5日に投稿予定です。


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温泉旅行

はい、本編です。
ちなみにこれからはキャラ紹介を一応読んでることを前提としてすすみます。

アンケートしたいけど、答えてくれる人いるだろうか(._.)φ


 お茶会から数日後の連休、高町家、月村家、アリサ、僕とはやてで海鳴温泉へ二泊三日の旅行に来ていた。

 初めは二家族とアリサと僕だけだったんだけど、温泉とか行ったことないらしいはやても連れて行きたいと思って相談してみた。

 誰に?

 アリサの父親のデビットさんに。この温泉計画も旅館もバニングス家からだから、デビットさんの許可が出れば誰も文句は言えない。

 まぁ、言う人がいるかは、ビミョーだけど。

 それに、あの人僕のことをアリサと同じくらい可愛がってくれてるから(何故か)、意外とお願いは通る。前に冗談で……思い出さないでおこう。

 

「ふぅ…」

 

 時刻は夕方。旅館内の部屋。窓からの景色を見ながら一息ついた。

 ちなみに部屋割りは高町夫婦、カップル、メイド、女の子、僕といった感じです。

 最初は女の子部屋に入れられる筈だったんだけど、はやてと三人娘が仲良くなったため四人で一部屋を使って貰って、後から追加された部屋に一人になった。正確には、レンもいるけど。

 それに、一人部屋のほうが色々便利だ。

 

「エメラルド、カードは?」

「反応薄いですね。どうします?」

「反応出てくるまで待とう」

「…賢明です。あれと戦うには準備がいりますからね」

 

 部屋の隅で寝てるレンは放置。

 持ってきた鞄から、大きな箱を取り出す。それを置いて蓋を開く。

 中には、幾つもの宝石とアゾット剣、小型の四角い箱が入っていた。

 

「そういえば悠斗様」

「どうかしたの?」

「実はこれを渡し忘れてました」

 

 渡してきたのは一枚のカード。

 てか、どこに仕舞ってたの?

 

「クラスカード?…これって」

「はい。クラス『セイバー』です」

「どうしたの、これ!?」

 

 こんなものを持ってるとは知らなかった。

 

「覚えてますか?メデューサのときを」

「まぁ、最近だし」

「あの日に黒化英霊を見つけたのですが、弱かったので単独で倒してました」

 

 だから、居なかったのか。

 

「申し訳ありません。報告が遅れて」

「そんなのいいから、どっか怪我とか負ってない?」

「はい。大丈夫です。弱かったので」

「そっか。けど」

 

 身体強化をしっかりとかけて、エメラルドへデコピンをする。

 

「ッッ!?」

 

 なんか悶絶してるけど、そこまで痛かったかな。

 ゆっくりと抱えて抱きしめる。

 

「これに懲りたらもうやめてよ。いくら相手が弱くても危険なんだから。なにかあったら悲しむ人がいるんだから」

「……………」

「分かった?」

「はい……」

 

 それからしばらくして、落ち着いて来たころ。

 

「さて、いこ「悠斗、温泉行くわよ!」うか…」

 

 蓋を閉じて、部屋のドアを開ける。

 そこには、アリサとなのは、はやてとその車いすを押しているすずかがいた。

 

「あー、ごめん。後で行くよ。ちょっと用事があって」

「用事?」

「そ、そう、ちょっと知り合いがここに来てるみたいだから挨拶しに」

「…怪しいわね」

 

 アリサが疑いの眼差しを向けてくる。というか、睨んでくる。

 やっぱりあんな嘘じゃ駄目か…?

 

「あぁ、あの人やな。私もさっき見たで」

 

 はやてが僕を援護してくれた。

 

「私の分もよろしくいっとって」

「ちょっ、はやて!?あぁ、もう!早く来なさいよ!」

 

 こっちをチラッと見て、はやては先に行ってしまった。

 三人もはやてを追って行った。

 助かった。

 いや、あんな変なウソでバレてないわけがない。 …チラッと見たはやての目が、「借り1や」と言っていたのが証拠だ。

 

 

 

はやてside

 

「ちょっとはやて!」

「もう、なんや、アリサちゃん」

 

 温泉へ向かってる途中、やっと追い付いたアリサちゃんが騒がしい。

 

「ハァ、ハァ、なんで、そんなはやいの?」

「あぁ、それな。実はこの車椅子…」

「そんなことはどうでもいいのよ!」

 

 なのはちゃんが聞いてきたから、この『車椅子JSカスタム』について教えてあげようとしたら、アリサちゃんが遮った。

 

「全裸の変質者に注意!だって。どこにでもいるんだね、こういう人」

「すずかも余計な話題上げない!」

 

 とてつもなくイラついとるなぁ、アリサちゃん。

 それと、すずかちゃん?視界に看板が映ったからって、そんな変なの教えなくていいで。

 

「悠斗、明らかに怪しいわよ。それに、あんたのも嘘でしょ。なんでそんなことしたのよ」

 

 やっぱりバレてたみたいやな。

 

「んー、ユウくんな、意外と嘘つくときは、ちゃんとした嘘を創るんや。でも、今回みたいなあっさりバレるような嘘のときは、ほんとに隠したい嘘があるときや」

 

 ちなみにユウくんとは、悠斗のことなのは言うまでもない。

 

「だから、触れないでおこうって思ったんや」

「…そう。なら仕方ないわね」

 

 そう言って歩き出すアリサちゃん。

 今まで黙ってたすずかちゃんが近づいてきた。

 

「やっぱり幼なじみだね?悠斗君のこと理解してるんだ」

「そういう訳でもないんや。実際、私にも言えない何かがあるみたいやし。それに幼なじみってだけなら、なのはちゃんもそうやろ」

 

 車椅子を押してもらい、ゆっくりと進む。

 

(ユウくん…いつか話してくれるといいんやけど)

 

 

悠斗side

 

「さて、こんな物かな」

 

 トラップを旅館周辺と、庭に設置し終わってひと息つく。

 

「お疲れ様でした。ですが、意外に種類少ないですね」

「今の知識と材料じゃあんなものだよ。代わりに数で勝負」

 

 三種類の罠をざっと五十ヶ所ほど。

 これでも足りないんじゃないかな。

 

「じゃあ、温泉行こうかな」

 

 そう思って振り返ると、視界の端に金色の何かが見えた。

 

(あれって…)

 

 視界の右端の木、その後ろから金色の髪の毛みたいなのが見えてる。

 

「………あっ、こんなところにジュエルシードが」

「えっ、どこ!?……あっ」

 

 木の後ろから、前会った女の子が出てきた。

 そして、目が合うと「しまった」って顔してから、目を逸らされる。

 訪れる沈黙。

 

「えっと、久しぶりかな」

「えっ、あっ、はい」

「どうしてここに?」

「えっと、追っtじゃなくて、ジュエルシード探してて」

 

 なんか言い掛けてたけど、放っておこう。

 触れちゃいけないって、本能が叫んでる。

 

「そっか。あっ、友達に呼ばれてるからもう行くね。あと、探すのはいいけど、ここらへん危険だから」

「えっ、あの」

「また後でね!」

 

 悠斗は逃げ出した!

 

「なんで逃げるんですか」

「いや、悪いとは思ってるんだけど、念話でユーノからなんか集合かけられてるから」

 

 

 

「で、その女の人はなんて?」

「簡単に纏めると、『関わるとガブッ』」

「その人は犬とかなのか?」

 

 なのはが温泉から出て部屋に戻ってる途中に変な女の人に絡まれたらしい。

 それで、念話で忠告されたから集合かけられたが、そこまで対したことではなかった。

 

「結構重要だよ!?あの子の仲間かもしれないよ!?」

「あ、その子と会ったよ。さっき」

「「えっ!」」

 

 あっ、なのはがorzってる。

 

「阻止…フラ…増えて…」

 

 ブツブツと言い始めた。

 落ち着くまで放っておくしかないかな。

 

「悠斗、危なくなかった!?」

「いや、話してみると普通に話せたよ。」

 

 あの男の子は知らないけど、と付け足す。

 

「…でも、ジュエルシードを狙うなら戦わないと」

「なのはより強いよ、フェイト」

「フェイトっていうの?強いのは分かってるよ。だから、悠斗に任せたいんだけど」

「無理」

「はっ?」

 

 いや、相手が完全な悪人ならいいけど、なんかそうは思えないんだよ。彼女。

 

「怪我させたくないし」

「で、でも非殺傷設定が「ないよ」…えっ?」

「だから、無いんだよ。非殺傷設定」

 

 あまり言えないが、エメラルドはデバイスではない。一応、インテリジェントデバイスという扱いだが。

 英霊相手に躊躇う理由もない。殺らなきゃ殺られる。それだけだから。

 

「それと、ここに黒化英霊いるから気をつけてね。今回のはなのはと相性悪いから」

「分かったよ」

「分かったの。ユーノ君、戻ろ?」

 

 ユーノを連れていつの間にか復帰していたなのはが部屋に戻った。

 ずっと僕の部屋で話してました。

 

「ちょっと休んだら温泉行こう。…そういえばレンは?」

 

 部屋を見回す。

 夜景、荷物、鎖に縛られた本、机、エメラルド、金の猫。

 居た、部屋の隅に。

 どっか行ってないことにホッとして、抱き上げようと、立ち上がり、

 

「って、なんで!?」

 

 鎖に縛られた本、これははやての大切なものらしい。

 なんでここに?はやてが部屋に入ったことは無かったのに。

 

 

「よく見ると、僅かに魔力を持ってるような…」

 

 気のせいかな。

 後ではやてに返そう。

 そう決めて机の上に置いて、部屋を出ようとする。

 

 

 

 

 

その数時間後、ジュエルシードの発動を感じた。

 

 

 




温泉編終わるまでアンケートは、活動報告に載せておきます。
内容は、温泉編のあと、すずかにフラグが建つオリスト『朱月のヴァンパイア』かそのまま本編すすめるかです。
どっちにしろ片方終わったらその後にやるんですが。
アンケートに関しては活動報告で受けます。
あと、感想、指摘待ってます。
メンタル豆腐ですが(^-^;


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黒き騎士王

今回オリジナル魔術が出てきます。
ご注意ください。




 

 

 エメラルドがジュエルシードを感知したのは、午前零時頃のことだった。

 

「行こう」

「カードのほうはいいんですか?」

「そっちも気になるけど、罠にかかれば分かるし、それよりもなのはとフェイトが心配だから」

 

 カードを選んでも持って行く。

 カード全てを持ち歩くことは出来ない。転身後のカードケース、それに入る限界は7枚。

 そして、今持ってるのは12枚。

 セイバー戦の作戦通りに7枚選ぶ。

 

「じゃあ、行くよ」

「はい」

 

 素早く転身して発動場所へ移動した。

 

 

 

「で、どういう状況?」

 

 向かった先は旅館の近く、罠を仕掛けた林から少し離れた場所だった。

 

「この!外れろ!」

 

 全速力で移動してすぐ目に映ったのはユーノと、彼に殴りかかるオレンジの髪で犬?の耳を生やした女性だった。

 思わず拘束してしまった。 

 

「助かったよ悠斗。えっと…」

 

 簡単に纏めると、

 なのはとユーノ駆けつける。

 フェイトとこの女性と遭遇。

 ジュエルシードをどっちが取るかで戦闘開始。

 なのはに襲いかかった女性をユーノが自分ごとここへ転移。

 

「じゃあ、なのは達はまだ戦ってるんだね」

「うん。場所は」

「あ、大丈夫そう。今東の空に桃色の光が見えたから」

 

 罠地帯のすぐ上だな。

 

「悠斗っていうのかい?アンタ」

「そうだけど、フェイトの……お姉さん?」

 

 未だに拘束中の女性が話しかけてきた。フェイトと一緒に居たってことは彼女の関係者なのだろう。

 

「フェイトがアンタのことばっかり話すからね」

「内容が気になるけど、悪い気はしないな」

 

 友達だと思ってくれてるなら、いいけど。

 あっ、一応敵対関係だった。

 

「ここに来たのもフェイトがアンタを…」

「僕を?」

「い、いや、なんでもないよ」

 

 ?変なの。

 まぁ、今は二人のところに行こう。

 この女性、アルフさんとはユーノを襲わず、お互いの相棒同士の戦いが終わるまでここで傍観してもらうことを約束して離れた。

 約束を破るような人じゃなかったし心配無いだろう。

 念のためユーノに護身用の宝石(魔力流すと中の術式が作動)を渡しておいたけど。

 

 

 

 

 

 振り下ろされる黄色の魔力刃を紙一重で交わして、魔力弾を数発撃って牽制する。

 当たりはしなかったけど、距離は稼げたのでその間にいくつかの魔力弾を周囲にホールドさせ、レイジングハートの先端をしっかりと相手に向けて構える。

 

(速い。砲撃は当たらないよね。魔力弾が掠りもしないんだから)

 

 それに比べてこっちは、既に三回もくらってしまってる。

 

(なんとか隙を狙って…)

 

 

(厄介…)

 

 私は視線の先の白い服装の少女を見ながら思う。

 得意の接近戦に持ち込もうとすると、魔力弾と障壁が。

 かといって中距離からの魔力弾は、あっちのほうが操作が上手いから全て落とされる。

 砲撃は出来ないこともないが、足を止めれば周囲の魔力弾に撃ち抜かれる。

 

(やっぱりここは、速い魔力弾を撃った後に一気に接近して斬る)

 

 最悪タックルでもいいや、などと考えて実行に移すタイミングを探す。

 

 

 

 私は杖を、彼女は鎌をしっかりと持ち膠着状態になる。

 

「…!?」

 

 突然、別の方向に身体ごと視線を向けた。

 チャンス!

 

「行って!」

 

 周囲の全ての魔力弾を操り、彼女を攻撃する。

 

「しまっ…!?」

 

 小規模の爆発が連続して起こる。

 

「やった!?」

 

 この時の私は、知らなかった。

 この言葉がフラグだとは。

 

『後方注意!』

「えっ」

 

 レイジングハートの警告とともに、後ろを振り向く。

 そこには金髪の少女が、鎌を振り上げていた。

 

『サイズスラッシュ』

 

 障壁を張るよりも速く、浅くだが切り裂かれる。

 とっさに杖を槍代わりに突き出す。

 あっさりと避けられ、再び斬り掛かられる。

 けど、その刃は突然張られた翡翠色の障壁によって防がれた。

 

「はい。ストップ、ストップ」

 

 近くに悠斗くんがやってきていた。

 

「いつ来たの!?」

「ん?少し前だよ。フェイトは気づいてたみたいだけどね」

「うん」

 

 彼女の名前がフェイトっていうんだー、とかよりも私には驚くべきことがあった。

 

(この子、あんな状況で悠斗くんに気づいてたの!?)

 

 お互いに隙を探しあってた中で、私よりも速く見つけていた、戦闘よりもそっちを優先したことに驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

 

「邪魔したのは悪いと思ってるけど、ここは危ないから別の場所でやってくれないかな」

 

 フェイトとなのはの戦いに介入して、下の罠に関して注意する。

 もし落ちたら危ないからね。

 

「わかったの」

「うん」

 

 二人とも分かってくれたようだ。

 

「そういえばジュエルシードは?」

「あそこらへんに…!」

「!」

 

 なのはが指差して教えようとしてくれた瞬間張られていた結界が上書きされた。

 

「反応あり!西の方角、300メートルです」

 

 現れたらしい。罠地帯の少し前だ。

 

「二人とも、今からこの原因をどうにかして来るからそれまで一時休戦、ってことで」

「悠斗くん!」

 

 なのはは、何するか分かったらしい。

 止めようと、手を伸ばしてくる。

 けど今は構ってられない。もうすぐ罠地帯へ入る。

 その場を急いで離れて、目標へ向かう

 

「悠斗様!後ろ!」

「へ?って、撃ってきた!?」

 

 何としてでも行かせないつもりか、魔力弾を撃ってきた。

 心配性だなぁ。

 同じように魔力弾で相殺して、おまけになのはと(一応)フェイトの両手両足を拘束しておく。

 

 

 カードを一枚構えて、一本の木のてっぺんに立つ。

 視線の先、そこには黒い鎧の騎士がいた。

 目はバイザーで隠され、鎧の所々には赤い、血のようなラインが見られる。

 何よりも一番目を引くのは左手に握られてる剣だ。

 禍々しい黒。けれども、どこか聖なる気配を放ってる。

 クラス、セイバー。

 最優のサーヴァント。

 

「よし、やろっか」

 

 エメラルドを一振り。

 すると、下で幾つかの爆発が起こった。

 罠その1。

 設置系遠隔起動型トラップ『爆発(エクスプロージョン)』。

 魔力を送ることで起爆するトラップ。

 威力は微妙なとこだが、足止めと目くらましには役立つ。

 

限定展(インクル)…!」

 

 カードの展開を中断し、上空へ跳ぶ。

 さっきまで居たところを黒い斬撃が通り過ぎていった。

 爆発によって起きた土煙の中から、黒い霧に包まれたセイバーが現れた。

 

「やっぱり意味なさそうだね」

 

 セイバーの周囲の霧。それは高密度な魔力の霧。

 その前では魔力砲は意味をなさず、剣に纏わせて斬撃として放つことも可能。

 もっとも、先程の爆発程度では霧を使う必要もなく、くらってもノーダメージだったみたいだけど。

 

「さて、どうしよう?」

 

 爆発(エクスプロージョン)はまだある。他の2つは自動だからその内起動するだろう。

 効果があるかは不明だが。

 

速射(シュート)

 

 速い魔力弾を撃つ。

 霧に阻まれて届かない。

 

速射、速射、速射、速射(シュート、シュート、シュート、シュート)

 

 連射しながら、ゆっくりと着地する。

 そのまま、距離を取りながら打ち続ける。

 すると防御しながらただ立ってただけのセイバーは、剣を振り上げる。

 攻撃を防いでる正面、その反対側である背中側の霧が剣に纏われる。

 速射を辞め、魔力砲に切り換える。

 剣は振り下ろされ、黒い斬撃が放たれた。

 それは、魔力砲を裂きながら進み僕へ迫る。

 回避が間に合わないと判断し、足元の爆発(エクスプロージョン)を起動。爆風を利用して横へ跳ぶことで回避。

 ダメージは、ほとんどない。

 あらかじめ物理防御に魔力をまわしていたからだ。

 これは、連続では出来ない。仕掛けてある場所に降りていたからこそ出来たこと。

 さて、他の罠が怖いしここは…。

 

限定展開(インクルード)、ランサー」

 

 白兵戦で挑む。

 ヴラドの槍を手に、地面スレスレを浮くイメージで飛行する。

 近接戦闘では、霧は意味をなさない。

 

「はぁぁぁぁ!」

「……………」

 

 突き、払い、斬り掛かる。

 全てを受け流され、反撃の刃が振るわれる。

 一撃一撃が重い斬撃を強化することでなんとか防ぎきる。

 

「くっ!?」

 

 反撃の暇を与えない程の連撃。

 かわし、防ぎながらゆっくりと下がる。

 距離を置かせないとばかりに、敵は詰めてくる。

 すると、セイバーの足元が緑の光を放ち始めた。

 

(よし!成功!)

 

 光の中から茨が現れ、セイバーの脚から上に登るように巻きつきはじめる。

 

 設置系自動捕縛型トラップ『茨姫』。

 対象に茨を巻きつけ動けなくさせるトラップ。耐久性はイマイチ。

 

 セイバーは、剣で茨を切り裂いた。

 足止めにすらならない。

 けど、このトラップの特徴は他にある。

 周囲の地面から緑の光と共に、茨が襲いかかり、身体を締め付ける。

 

 これの最大の特徴は、起動と同時に半径500メートル内の同じトラップも起動し、一つの対象目掛けて進むこと。

 

 茨を斬るよりも早く、脚に、腕に、胴に顔に巻きついていく。

 そして、遂に全身を包んだ。

 

 

 

 

 

 

「んー、レイジングハートどう?」

『もう少しお待ち下さい』

 

 レイジングハートに悠斗くんが仕掛けた拘束をどうにか出来ないか考えてもらう。

 やろうと思えば魔力弾ぶつけて壊せそうだけど、威力を抑えるのはまだ苦手だからやめておこう。

 目の前には、同じ状態のフェイトちゃんが。

 

「バルディッシュ、どう?」

 

 同じこと考えていたようだ。

 それに、返答が乏しくなかったのか落ち込んでる。

 …どうせお互いに暇なら。

 

「えっと、フェイトちゃん…でいいのかな?」

 

 顔を上げてこっちを見る。

 

「私は高町なのは。こっちはレイジングハート」

 

 名前、教えてくれないかな?と、目で訴えてみると

 

「…フェイト・テスタロッサ。この子はバルディッシュ」

 

 そう言って答えてくれた。

 

「じゃあフェイトちゃん…でいいかな?」

 

 首を縦に振ってくれた。

 

「じゃあフェイトちゃんは、この拘束が取れたらジュエルシード取りに行ってくれるかな」

「勿論そのつもりだけど。あなたは?」

「なのはでいいよ。私は悠斗くんが心配だから、そっちに行かないと。前みたいなのはやだし」

 

 ユーノくんにゴメンねと、心で謝っておく。後でちゃんと言うけど。

 

「前?なにかあったの?」

「…うん。悠斗くんは、なんていうんだろ?変なカードを集めてて、前に片腕血まみれの大怪我してたの」

 

 あの時の自分は、何の力も無かった。

 たまたま母親に言われて買い物に行った帰り道で、そんな状態の悠斗くんに会った。

 本人はすぐ治ると言ってたし、実際次の日の学校の時にはほとんど塞がってた。

 でも、怪我してほしくない。そう思った。力になりたいとも。

 だから、魔力の使い方を教えて欲しいと頼んだ。

 さっきの魔力弾はやりすぎたかなぁ、と反省してるが。

 

「あっ!」

 

 魔力の使い方で思い出した。

 右手に魔力を集めて、

 

「えいっ!」

 

 思いっきり振る。

 パキンと、小気味いい音を響かせながら砕けた。

 その調子で腕と足を解放する。

 

「やった!フェイトちゃんは…」

 

 フェイトちゃんのほうを見ると、黄色い魔力が体の周囲を渦巻いていた。

 目をつむって集中している。

 魔力は体の表面をゆっくりと覆っていき、目を見開いたと同時に一気に全ての拘束を破壊した。

 

「こう…かな?」

 

 私のを見てやったようだが、強化ではなかったような…。

 悠斗くんならわかるかな?

 

「じゃあ、私は悠斗くんのとこに」

「私も行く」

「えっ」

 

 フェイトちゃんがこっちから目をそらしながら、顔を赤らめ

 

「悠斗は、その、なんていうか、」

(そうだ、この子フラグ建ってたー!?)

 

「じゃ、じゃあ行こう」

 

 そのことに関しては、また後ででもいいと判断して悠斗くんの行ったほうへ行こうとすると、

 

「行くなら速く行こう。今、優勢みたいだけど」

「…わかるの?」

「うん、サーt…じゃなくてなんとなく」

 

 なにか言いかけたけど、気にしちゃ駄目だと、そんな気がしたから流しておこう。

 そして行こうとした私達は、大きな魔力を感じ、そちらへ顔を向けた。

 

 迫る黒い光の奔流。

 

 それが私達の最後に見た光景だった。

 

 

 

 

 




アンケートはまだ続行中です。
詳しくは活動報告で。

感想、アドバイスもお待ちしております


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タオサナキャ

どうも、お久しぶりです。
約2ヶ月。まったく更新できませんでした。
申し訳ありませんm(_ _)m
この調子じゃ無印終わるのはいつになるやら…。

では、どうぞ。


 

 少し時間は巻き戻る。

 

 

「捕縛成功っと」

 

 茨の塊を少し上の位置から見下ろす。

 

「それじゃあ、トドメを…ん?」

「どうしました?」

「いや、あれ何だろうって」

 

 指差した先、そこには透明なチューブのような物が塊から伸びていた。

 

「うーん、どっかで見たことあるような」

 

 前世の作品の何かだろうか?流石に英霊の名前と宝具は覚えているが、他のことは意外と曖昧だ。

 はやての付き添いで図書館に行って、英雄達の伝説は結構読んで忘れないようにしているが。

 

「…まぁ、いいか」

 

 自身の持つクラスカード、その中でも現状最大火力と思われるランサーのカードを取り出す。ちなみにヴラド三世ではない。

 いざ使おうとした時だった。

 

「aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!」

 

 そんな雄叫びとともに黒い魔力が茨の膜を弾け飛ばした。

 

「なっ!?」

 

 魔力放出で対処されるだろうと、かなり厚めに張ったのに破られた。

 それだけじゃない。感じられる魔力量がさっきの数倍になっている。

 驚いてる間に相手は次の動きをみせた。

 剣を両手で握り、刀身に魔力が集まっていく。

 

「ヤバいっ!」

 

 前面に出せるだけの障壁を展開する。

 

約束された(エクス)

 

 剣を振り上げ、言葉を紡ぎ、

 

勝利の剣(カリバー)!!」

 

 黒き一撃が放たれた。

 

 

 

 

「ここらへんかい?フェイトとえっと」

「なのはだよ。高町なのは。で、そうだよ。二人がいた形跡があるのは」

 

 大きな魔力を感じ、ひとまず休戦とした僕と彼女、アルフはなのはと彼女の主を探していた。

 二人の魔力を辿ってみたが、どうやら別の場所に向かったみたいだ。

 

「念話も応答ないし、なにかあったのかな」

「こっちもだよ。一体どこに…」

 

 アルフが喋ってる途中で止まった。

 何か見つけたみたいだが?

 そっちを見て、唖然とした。

 

 そこにいたのは、男性。

 歳はなのはや悠斗よりも年上で、恭也さんくらいだろうか?

 その人が仁王立ちしてる。

 

 

 

………………全裸で。

 

「「へ、変態だぁぁぁぁぁ!?」」

 

 

 

 

 

「うっ……」

 目を開くと視界には結界のせいで少し色が変わった空が見えた。

 生きてる。

 宝具を察知してセイバーの目の前から間隔を空けて障壁を8枚張り、威力が軽減するか試してみたが多少は効果あったようだ。

 どうやら気を失って倒れてたようだ。

 

「がっ…」

 

 起き上がろうとすると全身を激痛が走った。

 よく見ると転身も解けてる。

 

「う、ぐっ………」

 

 痛みに耐えながら起き上がり、近くの樹を支えに立つ。

 

「なんだ…これ」

 

 木々はなぎ倒され、地面には大きく削られ、結界の天井が大きく割れている。

 

(軽減出来てなかった?だったら僕はなんで…)

「そうだ、エメラルド!どこにいるの!?」

 

 今の状況を思い出し、エメラルドを探すが見当たらない。

 確か転身はステッキと使用者が一定距離以上離れると解除されてしまうんだったような。

 

「エメラルド!…ッ!?」

 

 大声を出したからか、身体中を走る痛みが強まり再び倒れてしまった。

 額に水のようなものが流れる感覚がし、手を当ててみると手には血がべっとりとついていた。

 思ったよりもダメージを負ってるようだ。

 前のほうで足音のようなものが聞こえたので見てみると、奴がいた。

 

(セイバー!?…こっちに気づいてないのか?)

 

 セイバーから見て右斜め後ろの自分には気づいてない。

 真っ直ぐ前に進んでる。

 

(セイバーはどこへ行く気だ…?)

 

 視線を動かすと、白と茶色、黒と金が地面に見えた。

 

(なのはとフェイト!?なんで、いやそれよりも二人が…!)

 

 転身の解けた自分よりも、バリアジャケットを着ている二人のほうが危険と判断したのだろうか。

 気を失ってると思われる二人から、注意をこっちにそらすため、身体に鞭打って起き上がりガンドを放つ。

 鎧にあたり、こっちを向いた。

 

「お前の相手は僕だ!」

 

 ゆっくりと下がりながら、攻撃を続ける。

 セイバーには対魔力があるのでこんな攻撃じゃ傷一つつけられない。

 けど、これしかない。

 フッとセイバーが突然消えた。

 

(どこに!?)

 

 周囲を探ろうとした瞬間、目の前にいつの間にかセイバーがいた。

 気づいたと同時に、腹部から痛みが襲ってきた。

 刺された。

 剣は引き抜かれ、蹴り飛ばされた。

 為すすべもなく吹き飛び、木にぶつかって地面に落ちた。

 

「がっ…つぅ…」

 

 考えて欲しい。大人ならともかく、子供の体長に剣を刺された。

 傷もかなり深いし、当然出血もひどい。

 視界がぼやけてきた。

 

(あぁ、死ぬな、これ)

 

 そう考えたら、痛みが感じられなくなってきた。

 しょうがない。やっぱりセイバーは強かった。

 諦めて楽になろうとした。

 

 

 

 

 

 

『悠斗くん!』

『悠斗!』

 

 

 

 

 

「しょうが…な、いで…すませ…られ、るも、んか」

 

 自分が今死んでしまえば、二人も死んでしまう。

 自分はいい。けど、彼女たちはやらせない!

 

 

 

 ミシリと身体の奥底から、罅が入るような音が聞こえた。

 

 

 

 

(倒すんだ…)

【タオサナキャ】

 

(どうやって?)

【チカラガホシイ】

 

「力?それなら」

【チカラナラ】

 

 

【「ココにある」】

 

 右ポケットから、カードを取り出す。

 入れっぱにしていたカード。

 そのクラスは『Saber』。

 

 

 

夢幻召喚(インストール)

 

 

 

 パキリと鎖が砕ける音がした。

 

 

 

 

 




次はセイバー戦決着。
アンケートまだ実施中です。

感想、アドバイスお待ちしております。


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夢幻召喚

どうも、ほぼ一ヶ月間隔の更新です。
そして、セイバー戦完結です。
温泉話は、次で終わらせます。

あと、今回もかなりオリジナル混ざってるのでご注意を。


 

 

夢幻召喚(インストール)

 

 

足元に出現した魔方陣から、膨大な魔力の渦が巻き起こる。

それは、僕を包みこんだ。

全身に力が溢れてくる。

周囲の魔力の渦を片手で払うように振り、消滅させる。

 

 

(これが…セイバー?)

 

 

疑問を抱きながら改めて、自分の姿を確認してみる。

 

正面のセイバーのような、騎士のような格好ではなく、ブレザータイプの制服でどこか近代的だ。

 

手には剣も持っておらず、制服に隠されてはいるが、手甲のようなものが装備されてるだけ。

 

 

「…………」

 

 

セイバーはこちらへと剣を構え、様子を伺っている。

視線をずらして、倒れてる二人を見る。

 

 

(なのは、フェイト。こいつが…!)

 

 

―ドクンッ―!

 

 

身体の中心に、焼き付くような不思議な感覚が巡った。

同時に、このカードの英雄の記憶が、知識が流れ込んできた。

 

 

「!!」

 

 

()の雰囲気が突然変わったのに反応したのか、セイバーが詰め寄ってくる。

さすが弱体化しててもサーヴァント。とても速い。

さっきまでの俺なら反応出来ないかも知れないが、今の俺は

 

 

「一味違うんだよ!」

 

 

後ろへと飛び退きながら、制服の内側へと手を突っ込み、全体的に銀色の物体を取り出しセイバーへと向ける。

 

ガンッ!ガンッ!キキンッ!

 

轟音が響き、セイバーは剣でそれを弾く。

先ほどの銀色の物体、マットシルバーのベレッタM92F。拳銃だ。それも只の拳銃ではない。

見た目こそ普通だが、これはこのカードに宿ってた力の一部。つまり、サーヴァントの武器に匹敵する。

さらに今の感じから、魔力の霧では防げないようだ。

 

 

(さすがに防がれたが、足は止めることができた)

 

 

セイバーとの距離は、目測15メートル。

すぐさま詰められる距離だ。

牽制がてら、右手でベレッタを撃ちながら左手を背中にやる。

 

背中に収まっていた、スクラマ・サクスという形状の片刃刀を抜く。

銃弾を避け、一気に斬りかかってきたセイバーの剣をサクスで受け止め、つばぜり合う。

 

何回か切り結び、再び離れる。

かのエクスカリバーとぶつけ合い、全く欠けた様子も見せないこの刀。

別世界とはいえ、同じエクスカリバーというだけのことはある。

 

 

「aaa!!」

 

 

目の前のセイバーから膨大な魔力が放出された。

魔力放出による強化を本格的に使ってくるのだろう。

 

 

(なら、こっちも)

 

 

自身の魔力を用いて、強化を行う。

エメラルドがいないため、魔力量には限りがあるが、なんとかなるはず。

 

対してあちらは、後ろにうっすらと見えるコードのようなもの。

そこから、半永久的に魔力が流れてきてるのだろう。

 

この状態になって、そんなことが出来る存在を思い出した。あれを英雄と呼べるかは別だが。

 

 

「aa!」

 

 

魔力放出により威力も速度も上昇した剣撃を繰り出してくるが、目を強化し、この英雄の最大の特徴ともいえる力により、全神経が強化されてる今の俺には全て見切れる。

 

 

(そこだ!)

 

 

ベレッタを投げ捨て、横凪ぎに振られた剣を二指真剣白刃取(エッジキャッチングビーク)で掴む。

そして、瞬時にサクスで剣を持ってない右腕を切り落とす。

 

 

「gaaa!?」

 

 

腹の辺りを蹴り飛ばす。

そのまま飛んでいき、木にぶつかって止まった。

宝具は両手でなければ使えないはずだから、これでもう使えない。

 

 

(次此方にまっすぐ駆けて来たときが、最後だ。問題があるとすれば、供給している奴だけど、大丈夫だろう)

 

 

サクスをしまい、両手を地面につけてクラウチングスタートの姿勢をとる。

セイバーは、起き上がりこちらを睨みながらも駆け出す体勢を取る。

 

 

「「っ!」」

 

 

駆け出したのはほぼ同時。

そして、

 

 

(駄目だ、負ける!)

 

 

今の冴えてる頭は、そう判断した。

勝つには、どんな要因でもいい、相手が一瞬でも減速してくれれば…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほんの少し前。

 

「よし、これで…って、縛ったら変な動きしだした!?気持ち悪い!」

 

「我慢して捕まえときな!!」

 

 

気配から、人間じゃないと判断したアルフは全裸へと攻撃を開始した。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

バインドで縛られた全裸目掛けて、全力の一撃を放つ。

 

その一撃をくらった全裸は、ゆっくりと消えていき、その場には『キャスター』のカードと行方不明だったジュエルシードが残った。

 

 

 

 

 

 

 

 

それは突然だった。

 

カクンッと、セイバーが急に減速しだした。

後ろのコードのようなものが消え去り、放出されてる魔力量が減っていた。

 

 

(これなら…!)

 

 

右手を引き絞る。

減速したものの、セイバーは迎え撃つために剣に霧を纏った。

片手な上に、魔力供給が無くなったので一撃で決めようということだろう。

構えは、下から斜め上へと振り上げる形。

けど、それは現状で一番の悪手だ。

だって、その進行上には、

 

 

「…!?」

 

 

最後の罠、『落とし穴』があるのだから。

 

見事にはまり、落ちていく。

穴は深いが、狭い。そんな感じで作った。剣を振り上げることは、不可能なはず。

落ちていくセイバーを見ながら、

 

 

( この姿にあう決め台詞的なものを言ってみますか)

 

 

「この桜吹雪、散らせるものなら散らしてみやがれ!」

 

 

『桜花』

 

時速1236Kmの超音速の突きが、赤い桜吹雪を撒き散らしながらセイバーの頭蓋を貫いた。

 

 

 

 

 

 




それとアンケートですが、予想外に四人も答えていただけて驚きました。
結果は、この温泉話の後はオリスト『朱月のヴァンパイア』に決まりました。
上手くフラグ立たせられるか、頑張ってみます。
…それと、更新も早くするように頑張ります。

感想、アドバイスいただければ嬉しいです。


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つかの間の平和

気がつくと評価がついてた…。
こんな駄文を読んでくださってる方々に感謝を。
今回は短いですが、エピローグ的なものと考えてください。


 

 

一夜明けて、セイバー戦の翌日。

 

 

「優斗!速く来なさい!」

 

 

アリサ、なのは、すずかの三人娘と土産を探しに町に来ていた。

 

 

「あぁ、うん。先行ってて」

 

 

テンションの上がってるアリサがさっさと行ってしまい、それをすずかが追いかけ、なのはは此方を心配そうに見ながら追いかけてる。

 

そして、僕はゆっくりと歩いてる。

 

 

「走ろうかなぁ」

 

「駄目ですよ。朝、全身筋肉痛と腹部と右腕からの出血で大騒ぎしてたのに」

 

 

そう。朝起きて背伸びしたら、全身を筋肉痛が襲い、痛みに悶絶して転がってるとそのせいで、腹部の傷が開いた。

 

で、それに驚いて血を止めれる布を探してたら机に右腕ぶつけて傷が…。

 

 

「今は薬で痛覚減衰してますけど、無茶はしないでください」

 

「わかってるよ。だけど、ウー姉には感謝しないと。こんな薬をこっそり入れといてくれたんだから」

 

 

居候の1人を思い浮かべて言う。

 

あのあとの話をしよう。

僕は、セイバーへととどめを刺した後に糸が切れたかのように寝てしまったらしい。

無事だったエメラルドによってなのはとフェイトは九割回復してる。残り一割?疲労とか、そんなものらしい。

 

で、僕の番なんだが、治療出来なかったそうだ。

なんでも、魔力を弾いてるだとか、なんとかでよくわからない。

あの夢幻召喚(インストール)の副作用だろうか?

ちなみに、戦ってる間の記憶はある。

ポッケから、セイバーのカードを取り出す。昨日手に入れたのではなく、使ったほうだ。

 

簡単な応急処置をして、エメラルドによるアルフとの交渉の結果、ジュエルシードを譲る代わりにこのカードとキャスターを手に入れた。

 

 

(だけど、こんなのも英霊扱いか…いや、反英霊か?)

 

 

キャスターのカードの中の存在を思い浮かべて、思った。

あと、決めた

 

 

(極力使わないでおこう。下手したら全裸だ…)

 

使ったら、全裸か女装。

恐すぎる。

 

 

(で、こっちはこっちで謎だし)

 

 

セイバーのカード。

その力の存在は、緋弾のアリア主人公の遠山金次。通称キンジ。

武装探偵、通称『武偵』を育成する学校の生徒。

特異体質で、『ヒステリア・サヴァン・シンドローム』略して『HSS』を持っている。

性的興奮をトリガーに全神経が約30倍になるというもの。

だけど、昨日はそんなもの(性的興奮)なんてなかったような…?

思い出せたのはそれだけだし、もう一度HSSになればまた変わるかもしれないけど…

 

 

(って、そんなこと考えてる場合じゃないか)

 

 

みんなを追わないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

「すずか、次あっち行かない?」

 

「うん」

 

 

案の定というか、なんというかなのはちゃんははぐれてしまったし、優斗君はどっかに行っちゃった。

アリサちゃんは、私がしっかりと見てないと。

 

 

「ん?」

 

なんとなく気になったのは、ひっそりとある路地裏。

人気もなく、昼間なのに暗い危険そうな場所。

 

なのに、何かに惹かれるように身体が動く。

路地裏の大体真ん中らへん。そこまで進むと、カードのような物が落ちていた。

 

「なんだろ、これ?えっとba…」

 

「すずかー?」

 

 

ハッ、アリサちゃんいたんだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ?

 

 

「ここ、どこだろう?」

 

 

高町なのは。現在迷子です(*`・ω・)ゞ。

 

と、ふざけてる場合じゃない。

 

 

 

(念話で…って今日は魔法禁止なんだった)

 

 

昨日の怪我を、エメラルドさんに治してもらった際に、

 

 

「1日3回までの、傷一つ残らない特殊超回復を施したのでちょっとした疲労以外は治りました。けど、少なくとも1日は魔法の使用禁止です。色々、危ないですから」

 

 

って言ってたの。

今のことで、思い出したけど昨日の優斗くん。

血まみれで、前の時よりも酷いことになってた…。

フェイトちゃん。強かった。優斗くんが介入してくれなかったら負けてた。

 

 

「強く…なりたいな」

 

 

ポツリと呟いた。

 

 

「なにやってるの?なのはちゃん」

 

「優斗くん!?」

 

 

いつの間にか、すぐ近くまで来ていた。

 

「あそこのアクセサリー屋さんに、二人ともいるから、行こう?」

 

「えっ、優斗くんはなんでここに?」

 

「二人に会ったはいいんだけど、アクセサリー屋に入ってったから居心地悪くてね。周辺散歩してたら、なのはちゃんを見かけたから」

 

「そっか」

 

「うん。行こう」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

「優斗、これどう思う?」

 

「似合ってると思うけど、髪の色と同じってのはどうなのかな?」

 

「優斗君、こういうのは?」

 

「へぇ、月のペンダントかー。いいと思うよ」

 

「優斗くん、これ!」

 

「星の…ピアス?まだ早いんじゃないかな」

 

 

優斗様、大忙しですね。

昨日は、あんなことがあったのに。

 

昨日のセイバーとの戦いは、途中から見てました。

けど、夢幻召喚ですか。

おかしいですね?あれを使えるようになるための神がつけた条件、それはクリアしてないはずなんですが…?

厳密には、3分の1はクリアしてますが。

 

 

(もしかすると、私にも伝えられてないことがあるかもしれませんね)

 

 

ひとまず今は、つかの間の平和を楽しみますか。

 

 

 

 

 

 




次から、オリストです。
優斗がヒステリアのことを思い出せないのは、転生してからかなり時間が経ってるのと、fate関係ばかり集中して覚えてたからです。

感想、アドバイスいただければありがたいです。


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朱月のヴァンパイア
すずかの奇行


知らない内にお気に入りが250超えてて驚きです。
ありがとうございます。そしてこれからもよろしくお願いいたしますm(_ _)m

さて、オリストです。
では、どうぞ




 

「すずかの様子がおかしい?」

 

 

温泉旅行から数日。本日は、学校をサボって月村邸へと来ていた。

 

 

「そう。はい、これ」

 

「あむっ。…で、どんな感じなんですか」

 

 

なんでもすずかの様子がおかしいとかで、忍さんに呼ばれたからだけど。

 

 

「えっと、あっ、これもどうぞっと」

 

「はむっ。…なんか恭也さんににらまれそうですね」

 

「まぁ、しょうがないでしょ。両手を猫で埋めつくされてたら」

 

 

屋敷について、椅子に座った途端に猫が殺到し(主に金色)膝の上に両手ごと数匹の猫が乗ってるのだ。

かなり重い。

なので、忍さんに出されたケーキを食べさせてもらってる。

 

 

「で、すずかの様子だけどね。なんていうか、怖い?」

 

「怖い?てか、なんで疑問系なんですか」

 

「私も感じたことの無い雰囲気だからよくわからないのよ。口数少ないし、表情もなんかぼーっとしてるというか」

 

「…何か怒らせるようなことしましたか?」

 

 

温泉旅行から一昨日まで、急に風邪ひいて休んでたからすずかとは会ってない。

昨日行ったときは、休みだったし。

 

「うーん。心あたりが…」

 

「ないんですか?まぁ、それならそれで」

 

「ありすぎて」

 

「なにやってんですか」

 

 

この人の性格的に無いってことはあり得ないとは思ったけど。

 

 

「あと、なんらかの理由といえば…」

 

「?」

 

 

チラッとこっちを見てくる。

 

 

「なんでもないわ。で、悠斗君にはそれとなく探って欲しいのよ」

 

「わかりました。じゃあ、今から学校行きますね」

 

 

今日はすずかも行ってるそうだし。

 

 

「御願いね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校に遅れていき、なのはの休みに驚きながら、すずかの友達等に聞いてみたけど多くが違和感を感じていた。

 

 

『話しかけられなかった』

 

『最近ずっと怖い』

 

『授業とか勇気出して話しかければ会話出来るけど、全然笑顔みせない』

 

 

といったような意見がいくつか上がったのだが、もっとも多かったのは『怖い』。

避けられてるのか?って思ってしまうほど、すずかと話すタイミングがない。

 

 

「それでわたしなんですか?先輩」

 

「仲いいよね。桜」

 

 

放課後の図書室。そこに週4の頻度でいる二年生の『三咲 桜』を訪ねてみた。

名前と顔が間桐 桜に似てるけど、無関係だろう。そうであってほしい。

よくすずかとここで話してるのを何度も見てるから何かわかるんじゃないかと。

なのはは風邪で休み。アリサは、家の都合で今週は休み。

 

「月村先輩なら、きてませんよ。このごろ」

 

「そっか」

 

 

妙に大人びているが、なのはとかもそんな感じだしもう気にしないでおこう。

 

「あっ、月村先輩に会ったらこれ渡しておいてくれませんか?」

 

「うん?いいけど、これは?」

 

「今月の新刊がやっと届いたそうで、月村先輩の好きなシリーズの最新刊です」

 

 

もう放課後だし月夜邸にいけば会えるかな。持ってけば少しは変わるかも。

 

 

「わかったよ。預かるね」

 

「お願いします。あ、あと明日はここにいないので」

 

「何か用事?」

 

「大したことじゃないんですけど、わたし天体観測好きなんです。で、明日は綺麗な満月らしいので色々と準備しないと」

 

「へぇ、満月ね…」

 

 

そういやあんま見たことないな。

というか気にしてらんなかったような。命懸けで。

 

「じゃあ、これで」

 

「うん。さよなら」

 

 

さてと、月村邸に向かいますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

追い返されました。

いや、この言い方じゃ誤解されそうだな。

月村邸に行ったら、インターホンごしに、

 

 

『申し訳ありません。本日はお嬢様方は外出しておりますので、明日またお越しください』

 

 

と、ノエルさんに言われてしまった。

なんか冷たいけど、ある意味普通かな。あの人は。

 

 

「で、持ち帰ってきたわけですか」

 

「まぁ、ね」

 

 

すずかに渡す予定の本も渡せず、仕方ないので持ち帰ってきた。

 

試しにあらすじを読んでみるとファンタジー恋愛物。西洋の貴族と極東の平民の物語。

女の子向けともあって、当然バトルなどないに等しい。

妖怪とかも出てくるし、同じようなものだが魔物やら神話系の生物まで出てくる。

中でも多く出てくる単語は、『吸血鬼』。

fateにもヴラドとか、吸血鬼、ヴァンパイアの性質持ちがいたな、なんて思いながら適当にページを捲ってると、

 

 

「ん?」

 

 

折り畳まれた紙がちょうど真ん中のとこに挟まってた。

前の人が栞代わりに使ってたのだろうか。

紙を手に取り、開いてみた。

 

 

『満月の晩

朱き月とともに

幼き姫は学舎に』

 

 

 

「なんだろう?これ」

 

 

メモってわけじゃなさそうだし、かといって暗号だとしても誰が借りるかわからない本に入れる馬鹿なんて…あるかも。

周りが大人びてて意識してなかったけど、ここ小学校だ。

ふざけてやるのもいるだろう。

 

 

「気にしないのが一番かな」

 

 

元のページに挟み、足元にすり寄って来てるレンの相手をすることにした。

 

 

 

翌日。すずかに会うことは成功したのだが、

 

 

「おはよう…悠斗君…」

 

「お、おはよう」

 

 

なんだこれ。明らかにテンション低すぎる。

目が死んでるし、常に無表情だ。

こんなときに親友二人はいないし、本も忘れるし。

 

一体何があったのだろうか?

 




次は、長くなるかもしれません。
内容不安定ですいません。

感想、アドバイス頂ければありがたいです。


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吸血姫

今日からFate/staynightだーーー!
なのはも四期やるらしいし、色々テンション上がった結果、いつもより早く出来上がりました。

では、どうぞ


 

学校が終わり、今日はなのはの家に行ってみようと思う。

風邪という話だが大丈夫だろうか。

 

 

「ん、悠斗か。なのはの見舞いか?」

 

「はい、恭也さん」

 

偶然遭遇した恭也さんに連れられ、高町家へと到着。

忍さんに会いにいったそうだが、どういうわけか入れてもらえなかったらしい。

てか、年下に愚痴らないでください。

 

 

 

 

 

 

なのはの部屋へと、一応断りを入れて入った。

 

 

「寝てる…」

 

 

顔も赤く、少し呼吸も荒いが静かに寝ている。

起こすのも悪いし、帰るとしようか。

 

 

「あれ?」

 

「悠斗様?」

 

 

寝返りをうったなのはの首筋に、なんか変なものが付いてる。

取ろうと思い近くに寄ると、違う。これ、付いてるんじゃない。

穴だ。二つも。まるで吸血鬼に噛まれた被害者みたいな…。

 

 

(なんか嫌な予感がする…)

 

「エメラルド、なのはをサーチ」

 

「了解です」

 

 

エメラルドから赤外線みたいな光がなのはをスキャンする。うん、もうツッコまないぞ。

 

 

「体内の魔力が上手く循環されてないようです。そのせいで魔力が暴走して熱になってるようです」

 

「なんとかならない?」

 

「無理ですね。外部からは何も効きません。原因をなんとかしないことには」

 

「原因?」

 

「はい。この感じからして恐らく、いきなり八割ちかくの魔力を奪われ、さらにまだ毒、いえ呪いのような何かがあるので」

 

 

呪いね。サーヴァントかと思ったけど、いたかなそんなの。

 

とりあえず、謎は色々出てきたがやれることは無いとのことで帰ることにした。

首の穴は治療系魔術で表面だけでも治したけど。

 

 

 

 

 

 

 

家に帰って、はやての家に行って、夕飯を食べてと平和だった。

その平和は、宿題を済ませた時にきた一本の電話で崩壊した。

 

 

「はい、もしも『すずか来てない!?』ってどうしたんですか忍さん」

 

『すずかが、帰ってないの!…迂闊だったわ、ここ最近記憶があやふやで』

 

「ともかくこっちも探すので携帯にかけ直してくれませんか?」

 

『え、えぇ。わかったわ』

 

 

服をすぐに着替えて外に出る。

子供が夜遅くに外出ていいのかって?バレなきゃ大丈夫。

忍さんの話だと、大体30分前ごろ、つまり23時ごろになってもすずかが塾から帰ってこないので、不安に思い色々なとこに声をかけているらしい。

今は高町家三人と、メイドが街中を探してるらしい。

綺麗な満月が空に浮かんでいた。それを一瞥し、警察に見つからないように気をつけながら探す。

『悠斗!』

 

『ユーノ?どうかしたの?』

 

『すずかの捜索をしてるんだけど変なんだ』

 

 

ユーノも参加してたのか。

 

 

『変ってのは?』

 

『とりあえず悠斗達の学校まで急いで来て』

 

『分かった』

 

 

転身し、学校前まで飛行する。

校門前にユーノがいた。そして、僕も気づいた。

 

 

「なんで校内から、こんなにも濃い魔力が?」

 

 

ジュエルシードの暴走、それに匹敵する程の魔力が溢れてた。

 

 

「そうなんだ。でも調べようにも誰かが結界を張ってて入れないんだ」

 

「結界?」

 

 

そんなものは感じられないけど…。

一歩踏み出し、敷地内に入る。

けれども何も起きない。

 

 

「えっ、なんで!?」

 

「いや、わかんないけど…」

 

「悠斗なら通れる…?いや、魔力量の差かな?ともかく、中を調べてくれないかな悠斗」

 

「なのはは動けないし、ジュエルシードが原因だったら大変だもんね。分かった」

 

 

ゆっくりと校舎へと向かっていく。

見慣れたはずの建物が、恐ろしく、とても禍々しく感じれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「現在感じられる生体反応は2です」

 

エメラルドによる簡易サーチの結果を聞きながら、一番近い反応の場所へと向かう。

けど、二人…?

 

 

「どっちかが原因かな」

 

「わかりませんね。けど、今日こんなところに来ることになるとは」

 

「今日?あ、あれのこと?」

 

 

『満月の晩

朱き月とともに

幼き姫は学舎に』

 

 

あの変な暗号もどき。

関係ないだろうけど、思い出したら関係ありそうに思えてきた。

 

 

「あ、あれって」

 

 

階段を上がり曲がった先に人影が見えた。けど、あの後ろ姿は…。

 

 

「すずかっ!?」

 

 

探してたすずかだった。

思わず駆け寄るが、

 

 

「!悠斗様、後ろへ跳んで下さい!」

 

「えっ」

 

 

エメラルドの警告を聞いたと同時に、すずかから発せられた膨大な魔力により吹き飛ばされた。

 

 

「すずか…?」

 

 

こちらをゆっくりと振り向き、そして姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

ゾクリッ

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…」

 

 

ただ目があった。それだけなのに寒気と震えが起こる。

 

「悠斗様!?」

 

「大、丈夫。それよりも、すずかは?」

 

「いた場所に出現した裂け目を解析、境界面に跳んだと推測されます。しかし、どうしました?」

 

 

不安そうな声色で訊ねてくる。

 

 

「大丈夫。行こう」

 

 

素早く転身し、接界(ジャンプ)する。

エメラルドには大丈夫と言ったが、そんな筈がなかった。

すずかが振り向いたとき、赤い両目と目が合った。

 

 

 

ニゲロ。

 

 

 

黒化英霊という人外たちと戦い慣れてきた中で、いや、今まで生きてきた中でこれ以上ないほどの恐怖を感じた。

言わなかったのは、言葉にすると完全に心が折れてしまうと思ったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

接界(ジャンプ)した先には、玉座に座ったすずかがいた。座ってるというよりは座らされている。玉座ごと鎖で縛られてしまっている。

 

 

「すずか!」

 

 

恐怖は感じられない。駆け寄り鎖を壊そうとする。

 

「に…て…」

 

「えっ?なにを言って」

 

 

すずかが何か言ったようで鎖から、すずかに視線を移すと首にジュエルシードを掛けてることに気が付いた。

 

 

と同時に、下から蹴りあげられた。

 

 

「ガッ、はっ!?」

 

 

物理保護により、怪我はなかったがいきなりの衝撃に息が詰まった。

天井をぶち抜き、上のフロアの天井にぶつかり、そのフロアの廊下へと落ちた。

今通った穴から、後を追うかのように人影が現れた。

 

金色の髪、白のハイネックと紫のロングスカート。

そして、左右で瞳の色が違う虹彩異色(ヘテロクロミア)

 

Extraバーサーカー、アルクェイド・ブリュンスタッドだった。

 

 




そこまで、多くはなかったかな?

感想、アドバイス頂けるとありがたいです。


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|憑依具現《ゴーストインストール》

感想って嬉しいものだなぁ、と昔の感想見返してたら思ったより早く出来上がりました。
今回は、前々から、というかこの作品始めてすぐに考えたオリジナル設定が出てきます。
一応ご注意ください。


あと、後書きを変えてみました。


 

限定展開(インクルード)!ランサー!」

 

 

ヴラドの槍を呼び出し、地面に突き刺す。

 

 

串刺城塞(カズィクル・ベイ)!!」

 

 

アルクェイドとの間を杭が埋め尽くしていく。だが、

 

 

「………!」

 

 

腕の一振り。それだけで発生した衝撃波に八割ほど砕かれた。

唖然としている間、一瞬で目の前に現れた。

 

「くっ…!?」

 

 

爪を伸ばし振りおろした腕を槍で受け止めた、のだが僕を中心に足元から亀裂が走った。

振りおろした腕とは逆の足で蹴り飛ばされ、フロアの端の壁にぶつかった。

 

 

「つっ、何…あれ」

 

「次が来ます!」

 

 

咄嗟にすぐ横の教室へと飛び込む。

同時にぶつかった壁がアルクェイドの一撃で壊される音が聞こえた。

 

 

接続解除(アンインクルード)。アーチャー限定展開(インクルード)

 

 

白銀と漆黒のガバメントを構え、連射する。放たれた銃弾はかわされ、掴まれ、叩き落とされた。

また一瞬で前へと迫ってくる。あらかじめそうくるかもと、備えていたので、ほぼ同時に後ろへ跳ぶことが出来た。

銃口を相手の足下へ向け引き金を引く。

 

 

「武偵弾『焼夷弾(フレア)』」

 

 

爆発が起こり窓側へと跳んでいた身体は、ガラスを破り外へと落ちた。

「よっ、ほっ、と」

 

 

空から降る机の破片やらガラスを避け、地面に着地する。

そしてすぐに、一階の教室に窓ガラスを破って侵入する。

窓側の壁に背を預けしゃがみこむ。

 

 

「痛っ」

 

飛び降りる直前に爪で切られた二の腕を、マントを少し裂き止血にあてる。

下手に治療してその魔力で場所がバレても面倒だ。

 

 

「物理保護が意味をなしてない…。というか、セイバーでもあんな強くなかったよね」

 

「恐らくあれは…確かにすずかさんなら…」

 

「エメラルド?」

 

 

考え事してるのか、ブツブツと呟いている。

だけど、あの強さは異常だ。エクストラの彼女はマスターが原因でかなりの弱体化をしてたとはいえ倒せない相手とは思えなかった。

黒化英霊は、弱体化されるためゲームと同じ、あるいはそれ以下の弱体化が起こるはず。

それに気になることもある。

 

 

「エメラルド。気になることがあるんだけど」

 

「なんでしょう」

 

 

考え事は終わったのか、元に戻っていた。

 

 

「あいつ、一瞬だけど、どこかとパスが繋がってる気配がしたんだ。どう思う?」

 

「…あのキャスター(変態)が残ってれば話は別ですが、そうでないとすると」

 

「すると?」

 

「…マスターが、いるということです」

 

 

ありえない。

口には出さなかったが、そうとしか思えなかった。

 

「悠斗様は、憑依具現(ゴーストインストール)は知っていますか?」

 

「いや、知らないけど」

 

 

何それ?知ってる限りの原作知識にも聞いた覚えすらないが。

 

 

「憑依具現とは、この世界におけるイレギュラーです。回収されてないカードが人を引き寄せ、その人物の身体を乗っ取っていき、最後には人から離れ本来のスペックで具現化されることをそう呼んでいます」

 

「なんで人に…」

 

「魔力を集めるためです。生きている人の身体を介して周囲から魔力を集める。黒化英霊達には、魔力を回収する術がありませんから」

 

 

確かに人によっては微弱ながらも魔力を持ってる人もいるだろうし、魔力も集めやすいのかもしれない。

 

「けど、それとあの強さに関係は?あと、だとしたらあれに憑依されたのは…」

 

「本来のサーヴァント達が現界するには依り代を必要とします。それがマスターであり、山門なんかもいましたね。黒化英霊には、それがありません。よって存在を維持することで魔力やらを使い、スペックが下がってます」

 

「つまり憑依した人物を依り代とすることで、さらに魔力も貯められるから本来のスペックになってるってこと?」

 

「察しがよくて助かります。そして、彼女の依り代は恐らく…」

 

「すずか、ってことか」

 

 

けど、何故すずかなんだ?この街には膨大な魔力を持つなのはを含め他にも魔力を持つ人はいるだろうに。それにすずかには魔力は…。

 

 

「この現象は滅多に起きません。カードが引き寄せるのは、その英霊と本質が似てる人だけだからです」

 

「本質?」

 

「例えばメデューサでいえば、化物になるものと言った感じです。アルクェイドは、真粗、吸血鬼でしょうか」

 

「ちょっと待って。その話がホントだとしたら、すずかは」

 

「すずかさん、いえ、月村家は夜の一族という吸血鬼に近い一族です」

 

 

頭痛くなってきた。今日だけで色々知り過ぎた。キャパオーバーだよ。

けど、色々と不明だったことが分かった気がする。なのはの首筋の穴、すずかがなのはに噛み付き、血と魔力を吸ったのだろう。忍さんの記憶があやふやというのも、それも吸血鬼系の暗示とかで何かあったはずだ。

 

 

「すずかを助けるにはあれを倒すしかないか」

 

「恐らくは。実物と会うのは初めてですから確証はありませんが」

 

「それでも、可能性はあるんだよね?なら、決まり」

 

 

正直、行きたくない。怖い。殺される。

そんな情けない感情が心の奥でチラチラと顔を出してる。

けど、やるんだ。

なのはがいて、アリサがいて、そしてすずかがいる。

それが、僕にとっての一つの日常だ。

覚悟を決め、立ち上がる。

 

「行こう」

 

日常を取り戻す為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パリンッという音と、頭を掴まれる感覚。

 

 

 

 

 

 

 

「えっ…」

 

 

 

 

 

 

思考が追いつくよりも早く、壁を壊す形で外へと引きずり出された。

その衝撃に耐えると、ようやく掴まれてることを自覚した。

 

 

悲しくも、背中をかつてないほどの痛みと、体内からのなにかが折れる音、衝撃に襲われ校舎へと吹き飛ぶのは同時だった。

 

 

 

 

 




後書き新企画。簡単解説のコーナー!


ランサー
もはや悠斗のメインカード。その内出番が…。

焼夷弾
緋弾のアリアに登場する武装、武偵弾の1つ。


キャスター(変態)
もしかして:全裸


憑依顕現
説明は本編にて。簡単にいえば、寄生?


みたいな感じのをやってこうと思うのですが、どうでしょうか?
感想、アドバイス、頂ければありがたいです。


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圧倒的な力

仮面ライダー鎧武見る→仮面ライダーブレイド見る→まどマギ見るってやってたらいつの間にか12月に。

と、とりあえず短いですが投稿。


明日か明後日に長めの投稿します。


 

背中へと全力の蹴りを喰らい、廊下でのたうち回る。

背骨がやられてないことが奇跡だが、何本かは折れたらしい。

痛みに苦しんでると、背中のマントを引っ張られ、上へと投げつけられた。

 

 

「かっ…」

 

 

天井に亀裂を入れ、体勢も直せないまま落下していく。

その腹へと、全力のアッパーを決められた。

 

 

「………!…!?」

 

 

声にならない声をあげながら、階層を突き抜けていく。

遂に屋上へと飛び出し、速度が落ちたことで、体勢を整えようと身体に鞭を打ち、空中で仰向けになる?

 

 

視界に映ったのは、両腕をクロスしその爪から黒い波動を放出させてるアルクェイドだった。

 

 

アルトシューレ。

唇がそんな風に発音してたのを、なんとなく理解し、

 

 

放たれた黒い斬撃に襲われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開ける。天井に大きな穴が空き、そこから朱い満月が見えた。

どうやら、ほんの少し意識が飛んでたようだ。

身体の痛みが無い。

エメラルドが超回復をかけてくれたんだろう。

一日三回までの治療をこの治癒をしたということは、しないとヤバイ状況だったのだろう。

傷や骨折は治っても身体の疲労は消えない。

身体が重い。首を動かすのがやっとだ。

周囲を見回すと、玉座に縛られてるすずかが映った。なんの偶然か最初の場所に落ちたらしい。

 

 

「ゆ、うと…くん?」

 

 

すずかが、光を無くした目でこちらを見た。

 

 

ゾワリと、周囲の魔力が更に濃くなった気がした。

 

 

(すずか…?)

 

 

すずかのほうを見てると、突然首を抑えられた。

視線を元に戻す。アルクェイドがいた。

首を抑え、空いている右腕を振り上げている。

 

 

(絶体絶命ってこういうことかな。勝てる気がしない)

 

 

右腕が振り下ろされれば、確実に死ぬ。

クラスカードは、いつの間にかケースごと消えてた。

 

(ここからの逆転は、絶望的かな。それこそ奇跡でも起きない限り)

 

 

右腕が振り下ろされた。それが、ゆっくりと見える。

終わりか、すずかを助けられなかったな、そんな漠然とした言葉が頭に浮かんだ。覚悟を決めるかのように、ゆっくりと目を閉じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シネナイ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

肉を裂く音と、顔にかかる液体。

 

けれども痛みが来ない。

 

不思議に思い、目を開ける。

 

 

「えっ…」

 

 

そこに映ったのは

 

 

宙を舞う腕と、右腕を無くしたアルクェイド。

そして、なにも無い空間から生えていた剣だ。

 

 

アルクェイドは、すぐさま距離をとり右腕の切断面を抑える。

謎の剣は、ゆっくりと下へと降りていき、それに合わせて裂け目が広がっていった。

 

 

「へぇ、カートリッジを一ダース使ったかいはあったかな、こりゃ」

 

 

裂け目から現れたのは、一人の男。黒と赤のコート。手に持つは漆黒のどこかメカメカしい長刀。

朱い髪をかきあげて、

 

 

「それなりに強そうなのがいる」

 

 

そう言った。

 

 




活動報告更新しました。



感想、アドバイス頂けたら嬉しいです。


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乱入者

ふぅ、急ぎ過ぎたかな、展開。


オリキャラに関しては、As編でまた出てきますのでその時に。


では、どうぞ


 

 

「それなりに強そうなのがいる」

 

突然現れ、そう言った男は持っていた剣を構える。

アルクェイドは、その男を睨みながら傷口から手を離した。

すると、グチュグチュと湿った音と共に斬られた腕が再生した。

 

 

「ますますちょうどいい」

 

 

男の剣から、薬莢のようなものが飛び出す。

 

 

「この後の大きな仕事の準備運動にはなってくれそうだ」

 

 

両者が消えた。

いや、剣と爪(多分)のぶつかる音、そして廊下が所々壊れていってる様子から超高速でぶつかりあってるのだろう。

 

 

(凄い、アルクェイドと渡り合えてる)

 

 

突然、奥の方の天井が崩れた。音も遠くなっていったことから舞台を上の階に変えたのだろう。

 

 

「悠斗様、ちょっと痛いですよ」

 

(エメラルド?)

 

 

さっきまで無反応だったエメラルドが突然話しかけてきた。

けど、痛いって…。

 

 

「はい、ビリビリー」

 

「あばばばば!?」

 

 

全身に電撃流しやがった。

なんかシリアスな雰囲気が少し崩れた気がする。

 

 

「エメラルド!何する…の?」

 

 

抗議しようと身体を起こしたところで気付いた。

あれ?動けてる…?

 

 

「電気マッサージみたいなものですよ。身体の筋肉やら細胞やら神経やらを騙してるのであと、三時間は動けます」

 

 

超回復じゃ取れない疲労などを一時的に取り除く術式を即興で組み上げてたらしい。

ほんと、気の利く相棒だよ。

 

「ありがと。じゃあ、行こうか」

 

「イエス・マイロード」

 

「フフ、何それ」

 

 

 

 

 

 

た 廊下の窓から外へ。上昇して上の階を覗き込む。

うわ…速すぎ。強化した目でようやく追えるくらいだ。

 

 

「「チートだね(ですね)」」

 

 

アルクェイドは所々に傷を、それに対し相手は無傷。

けど、アルクェイドの傷も高速で治るからほぼ無傷といっていいだろう。

あの男の人の武器、魔法陣がなのは達のと似てるような。

 

 

「あれはベルカ式です。なのはさん達のとは違う系統の魔法です」

 

「そんなのあるんだ。じゃあ、行くよ」

 

 

構えたエメラルドの先に魔力弾を形成。飛行と魔力弾、それ以外の余ってる魔力をすべて目と神経の強化。

 

 

速射(シュート)

 

 

速度に特化した魔力弾を撃つ。アルクェイドの鼻先スレスレを通り抜けた。

一瞬止まった隙を、目の前の人が見逃す筈がなく、灰色の軌跡を描きながらアルクェイドの体を横に両断した。

 

 

「よし!」

 

「待って下さい、様子が」

 

 

振り切った姿勢だった男の人が殴り飛ばされる。

切断された上半身のまま、殴ったようだ。

切断面はすぐに繋がっていき、追撃とばかりに爪による斬撃を放った。

 

 

「やらせない!」

 

 

加速し、廊下へと侵入。迫る斬撃の前に立ち、障壁を造り上げる。

厚さを重視。飛行に回してた魔力も障壁へ。ぶつかったと同時に、左側を少し傾ける。すると、斬撃は左側へと、僅かだが逸れて抜けていった。

 

 

 

ミシリッ…

 

 

「ん?」

 

 

変な音が聞こえたと思ったら、足元が崩れるような、いや、崩れてる!

 

 

「ちょっ、うわっ」

 

 

突然のことで反応しきれず落ちていってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

落ちた場所は、またもやすずかの近く。エメラルドが機転を利かせてすずかの上に障壁張ってくれたみたいだけど、それはこっちにも欲しかったかなぁ。

 

 

「あの斬撃対策は取れたけど、倒し方がうかばない」

 

「解析したいんですがあれ相手にそんな暇はありませんよね」

 

「足さえ止められれば…」

 

「止めてからは?」

 

「解析して、ん?」

 

 

明らかにエメラルドのではない声が聞こえたと思い右を向くと、さっきの人がいた。

 

 

「うわっ!?」

 

「おっと、驚かせちまったか?」

 

 

自身のデバイスを杖のようにして立っている人はこっちを見て名乗った。

 

 

「俺はカイトだ。カイト・ウォーカー。お前は?」

 

「碧崎悠斗です。カイトさんは、何故ここに?」

 

「屋上で寝てたら変な魔力感じてな、ウロウロしてたら裂け目見つけてこじ開けた」

 

 

こじ開けたとか、色々すごいけどそれよりも裂け目…?いや、それでこっち来たんだっけ、そういえば。

 

 

「でだ、悠斗。足止め出来ればいいのか?」

 

「えっと、そうなんですけどあれをできる限り動かさないように固定するとなると」

 

「大きなダメージ与えて、バインドとかで捕縛ってところですね」

 

「せめてカードが1枚でもあれば…」

 

「カードってこれか?」

 

 

カイトさんがポケットから取り出したのは2枚のカード。それは紛れもなくクラスカードだった。

 

 

「それです!けどどこで?」

 

「1枚は戦闘中に拾ってな。もう1枚は前に変なの倒したら落ちてきた」

 

 

それって、黒化英霊倒したってことですよね…。

とにかくカードを受け取る。

 

拾ったカードは、『バーサーカー』。

倒したらしいのは、『ランサー』。

 

 

(ランサーは置いておくとして、バーサーカーか。…いや、いけるかも?)

 

 

新しく作ったカードケースにランサーを仕舞いカイトさんの方を向く。

 

 

「こんなのどうですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この玉座、車輪付いてる…」

 

 

すずかをあそこに置いておくのは危険と判断して、なんとか移動させようとしたら玉座に車輪が付いてた。

まぁ、スムーズに移動出来たからいいけど。

 

 

グラウンドの隅に移動させて、光のない目をしてるすずかに一応動かないように言って離れる。

直後聞こえる轟音。カイトさんは上手くいったみたいだ。

 

 

 

グラウンド中央、そこにアルクェイドとカイトさんはいた。

合図がわりに念話を軽く飛ばしておく。

 

「行くよ、エメラルド。バーサーカー限定展開(インクルード)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてと、あいつの言う通りにグラウンドまで叩き出したが、

 

 

(回復速度が速い。あれじゃあ、普通に攻撃し続けても意味ないな)

 

 

振られる腕を回避し、デバイスをひと振り。浅くだか、傷をつけるも、すぐに治癒が始まる。

それを確認しつつ、蹴り飛ばしお互いに距離を取る。

 

 

「カートリッジの予備は、あと三発ってとこか…!」

 

 

合図の念話が来た。じゃあ、行きますか。

 

 

加速して接近。繰り出される攻撃をよけて背後へと身を低くしながら回り込む。

 

 

「ローズ、カートリッジ」

 

『イエス』

 

 

薬莢が1つ飛び出す。同時に自身の魔力がブーストされる感じ。

 

 

「行くぜ」

 

『グレネードスラッシュ』

 

 

灰色の光を纏った剣で両膝を斬りつける。

すぐにその場を離れる。

斬りつけた箇所が光を発し始めて、

 

 

「ボンってな」

 

 

両膝から下が纏めて吹き飛んだ。

斬った系の攻撃ばっかだったが、吹き飛ばせば多少は時間かかるだろう。

そして、多少でも動きが止まれば。

 

 

「絡めとれ、銀鎖!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「絡めとれ、銀鎖!」

 

 

地中を通して移動させてた鎖でアルクェイドの足元から縛り付ける。

エメラルドの意思で動く行きた鎖、さらにあの状態でも解析できるらしい。

 

 

「a…ga!?」

 

「そう簡単には抜け出せないよ。だってそれは、一応聖なる鎖らしいし」

 

 

身体強化で増した筋力を伝播してるし、吸血鬼には銀だろ?銀製かは忘れたけど。

 

 

「Ga.Gaaaaaaaaaa!」

 

「!マズイです、宝具が来ます!」

 

 

エメラルドからの警告が来るけど、この状態じゃあ!

 

 

「カイトさん!?」

 

 

カイトさんがアルクェイドに斬りかかった。だがそれよりも速く宝具は発動した。

 

 

血の姉妹(プルート・ディ・シェヴェスタァ)aaa!」

 

 

全方位へと降りかかる重み。

6倍相当の重力は、物理攻撃に匹敵しグラウンドを大きく凹ませた。最早クレーターレベル。

 

 

「限界です!接続解除(アンインクルード)します!」

 

 

重力によるダメージか、限界を迎えたらしいエメラルドは杖に戻った。

 

確かこの宝具は、ゲームではダメージと筋力、耐久力の低下って効果だったはずだ。

けど、実際にくらってみると速度も低下してる。

アルクェイドだけが速く動ける中、目に強化を行う暇もなく腹部への衝撃と吹き飛ぶ感じがした。

吹き飛び、もはやボロボロの校舎へとぶつかる。

 

 

『解析終わりました!彼女の再生は、本来持つ真祖としての不死性。それの劣化版です。魔力が切れれば発動しなくなりますが…』

 

 

エメラルドが最近完全に覚えた念話で、僕たちに伝える。

 

 

『その魔力は常に供給され続けています』

 

『供給源は!?』

 

『………………』

 

『エメラルド…?』

 

 

突然黙り込んでしまった。

ゾクリとやな予感が全身を駆け巡る。

 

 

『供給源は、すずかさんです』

 

 

駆け出した。

魔力強化した空を飛ぶよりも走ったほうが速い距離だ。

地面を蹴り、宙を跳んですずかの前へと降り立つ。

同時にステッキを掲げ、振り下ろされた刃を止める。

 

 

「なに、してんですか、カイトさん…!」

 

「どけ、あんな不死身を相手するよりもそのガキを始末したほうが早い」

 

「そんなこと、させない!」

 

「このまま時間が流れれば、外へ被害が出るかもしれない。そうすれば最悪、この街が終わるぞ」

 

「そんな…こと…!」

 

つばぜり合いを押しのけ、カイトさんが後ろへと下がる。

眼には明らかな敵意と、抑えているのだろうがこちらを圧倒できるほどの殺気を放っていた。

 

 

「この街にも魔導師はちらほらいるようだが、そいつらとお前でどうにか出来るのか?俺はずっとこの街にいられる訳では無いんだぞ」

 

 

なのはとフェイトか?アルフとユーノの力を借りれば行けなくは…。

 

 

 

 

 

 

 

-―倒れ伏す二人の姿

 

 

 

 

 

 

(駄目だ!!)

 

 

あの二人をもう巻き込めない!それに、なのはは動けない。

外へ出られたら、倒しようが…でも、すずかを…。

 

 

「ッ!悠斗後ろだ!」

 

 

カイトさんの声が聞こえたと同時に後ろから殴り飛ばされた。

 

 

 

 




銀鎖
境界線上のホライゾンのネイト・ミトツダイラの神格武装。自らの意思を伝達し自在に操ることができる鎖。

カイト
オリキャラ。

グレネードスラッシュ
オリ魔法。斬ったヵ所を時間差で爆発させる対再生生物魔法。

血の姉妹(プルート・ディ・シェヴェスタァ)
Fate/EXTRAでの宝具。舞台である月の環境に比べて、地球の環境である六倍の重力負荷を与える強力な技。ただし、この作品では単純に周囲へと六倍の重力負荷を与える技とする。



年内には、オリスト終わる…と思います。
あと1話ですし。そしたら、無印を駆け足で行きます。

感想、アドバイス頂けたら嬉しいです。


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大丈夫

前回、後一話って言いましたね。








…すいません、終わりませんでした_○/|_ 土下座



趣味で書いてるのだから気にしちゃ駄目だと思いつつも、最近お気に入りも減っていくし、色々とネガティブになってるような…。


とまぁ、そんなどうでもいい話はそこらへんに捨てといて、今回は苦手な説教話。
それと、今日中にオリストのラストを投稿します。

これは必ずです。


ではどうぞ!


 

 

咄嗟にエメラルドが障壁を張ってくれたおかげで、ダメージはなくただ吹き飛ばされただけだった。

 

「何が」

 

「アハッ、アハハ」

 

 

後ろを振り向くと、すずかが玉座を離れ立っていた。

ただその目は、真っ赤に染まりどこか狂ったような笑い声を上げていた。

 

 

「すずか…?」

 

「悠斗、しゃがめ!」

 

 

カイトさんが剣を振るい斬撃を放った。

 

 

「カイトさん、駄目だ!」

 

 

障壁を張ろうとすると、それよりも早くすずかは腕を振るいアルクェイドと同じ技を放ち打ち消した。

 

 

「アルクェイドを通して、すずかさんに力が…?死徒化に似た現象が起きているのかもしれません。ですがそんなこと…」

 

「そんな、すずかが」

 

「ちっ」

 

「あっ、させない!」

 

 

斬りかかろうとするカイトさん、その前に立ち塞がる。

 

 

「まだ邪魔するか、悠斗。このまま放っておくとアレに匹敵する脅威が増えるだけだ」

 

「だからって」

 

「…人生の先輩として教えてやる。いいか、救いたいものを全て救うなんて出来ないんだよ」

 

 

その顔は、どこか悲しそうだった。

過去に体験したかのような。

 

 

「お前は、一人の友人と多くの他人、どちらを救いたいんだ」

 

「そんなの…選べるわけが」

 

「…なら、どけ。せめてオレの手で始末してやる」

 

 

そう言ってこちらへと踏み出すカイトさん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その右側から、アルクェイドがカイトさんにタックルをかました。

 

 

「なっ!?」

 

 

そのまま二人は、壁を突き破り廃墟になりかけの校舎へと消えていった。

 

 

「自身のマスター(供給源)が危険と感じたのでしょう。ですがこれは」

 

「うん。チャンスだ」

 

 

カイトさんかアルクェイド、どちらかが戻って来るまでの間にすずかを説得?できればこの状況を変えられるかも。

 

 

「すずか!」

 

 

すずかの前に立ち呼び掛ける。こちらには一瞥もせず、空いた穴へと歩きだす。

 

 

「すずか!僕だ、悠斗だ!」

 

 

脚を固定して、前へと回り込む。

 

「ゆ、うと…くん?」

 

「そう!良かった、まだ意識が」

 

 

ホッとしたのもつかの間、拘束を破り蹴りを叩き込まれた。

服とか障壁のおかげでノーダメージだが、威力が強過ぎる。

衝撃だけは抑えられず壁へとぶつかる。

 

視界へと滑り込むかのようにすずかが目の前に現れた。

 

 

「ガッ!?」

 

 

片手で首を抑えられ、もう片方の手で鳩尾を殴られた。

障壁と服こそあれど、ほぼゼロ距離からの一撃はそれらを無視して身体へと衝撃による激痛を与えた。

 

 

(明らかに人間の出せる、力じゃ、ない…)

 

 

激痛に膝をつく。

両腕を掴まれ、すずかはこちらへと目線を合わせるためにしゃがむ。

 

 

「ゆうとくん……………す…て」

 

「えっ?…ッ!」

 

「悠斗様!!」

 

 

すずかが何かを言ったかと思うと、首筋への鋭い痛み。そして、エメラルドの声を最後に意識は消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はい、バッドエンド√入りましたー!』

 

『全く愚かな○○ですね。お友達を助けるとかカッコつけてたくせに』

 

『そんな可哀想な○○に一度だけ同情してあげます』

 

『だから、』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さっさと、ハッピーエンド(日常)に変えてください』

 

 

 

 

 

 

「ハッ!」

 

 

一瞬、意識が飛んでたらしい。

膝立ちのままだが、すずかが目の前で頭を抑えながらうずくまってる。

エメラルドは無く、転身も解けている。

 

 

「す、ずか」

 

 

手を伸ばそうとしたが、力が入らない。

 

 

「ゆう、と、くん…私を、殺して」

 

 

顔を上げたすずかは、朱い目に涙を貯めそう言った。

 

「さっきの、会話、きこ…えてたよ?ゆ、うとくんでも、出来るならおね、がい…!」

 

「そんな、こと」

 

 

右腕に力が戻ってきた。左ももう少しだろう。

 

 

「なのはちゃん、ゆうとくん、他にも色々な、ひと、傷つけ、て、苦しめて、もう、どうしていいかわからないよ!?」

 

 

こんなすずかを見るのは初めてだ。

瞳は朱く、唇からは血が垂れてる。

 

 

「すずか、僕は人殺しになる気は」

 

「人?違うよ、化け物だよ!」

 

 

頭を抑えてた手を横に振るう。それだけで、壁を抉った。

 

 

「誰かを傷つけ、人の血がないと生きれない、そんな存在だよ?だから、私は!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は人だ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すずかは、ビクッと身体を震わせた。

 

 

「誰かを傷つけたことを悲しんで、後悔して、涙を流す。そんなのは、化け物じゃない!」

 

脚に力を込める。

 

 

「化け物っていうのは、自分の意思で傷つけ、それを楽しむような奴のことだ」

 

 

両手を地面に付け立ち上がる。

 

 

「仮にすずかが、自分の意思でやったって言っても信じない。さっきのすずかの言葉は、涙は、思いは、初めて見せてくれたすずかの本音だ!」

 

 

フラフラな足取りで近づく。

 

 

「それに、さっき言ったじゃないか。ホントの気持ちを」

 

 

肩膝を付きすずかの肩を掴み、視線を合わせる。

そのまま片手で両腕を抑えて、

 

 

「えっ…」

 

 

もう片方の手で頭を抑え、首筋へと押し付けた。

出血してる首筋へと。

 

 

「あっ、ア、アァ」

 

「血が必要?ならいくらでもあげる。多くの人を傷つけた?なら一緒に謝りに行こう。だから、ホントの気持ちを隠さないで」

 

 

すずかの首に掛かってるジュエルシードが発光し始める。

それを握り締め、引きちぎり、

 

 

「煩い、黙ってろ!!」

 

 

そう叫ぶと、光は消えていった(・・・・・・)

石を適当なところへ投げ捨てると同時に、再び首筋へと痛みが走る。

5秒程して、すずかが離れた。

 

 

「戻れるかな…?」

 

「戻れるよ」

 

「許してくれるかな…」

 

「許してくれるよ」

 

「私は、人間でいいのかな…?」

 

「すずかは人間だよ。だから、もう一度聞かせて。ホントの気持ち」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悠斗くん、助けて…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けるよ、必ず」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すずかの後ろ、ざっと距離200メートル程の場所へとアルクェイドが現れた。

所々傷があり、再生してるようだが速度が遅い。

 

 

 

「エメラルド」

 

「はい。それと、悠斗様これを」

 

 

いつの間にか戻ってきてたエメラルドを手に、いつの間にか解けてた転身をし、すずかを庇う様に立ち塞がる。

 

エメラルドが渡してきたのは、クラスカードの束。

消えてたと思ったら、探してくれてたのかな。

今はどうでもいいか。

 

 

限定展開(インクルード)セイバー」

 

 

エメラルドが形を変え、一振りの西洋剣に変わる。

 

 

「さぁ、月夜の悪い夢は終わらせて、明日を迎えにいこう」

 

 




あとがきのなんか変なの、今回は省略。


感想、特に表現とかこうしたら?みたいなアドバイスお待ちしております。…いや、もうほんとに。


それではまた後ほど。


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月夜の終わり

さぁ、今年最後の投稿。

ではどうぞ…。


 

 

 

聖剣『約束された勝利の剣(エクスカリバー)

 

イギリスに伝わる伝説、アーサー王物語に登場する聖剣。

かのアーサー王が妖精『湖の乙女』から一時的に授かった神造兵装。

人々の「こうであってほしい」という想いだけで造られた結晶ではあるが、それ故に幻想の身でありながら最強の聖剣とされる。

 

 

両手で持ち手をしっかりと握りしめ、頭上へと振り上げる。

 

視線の先には、朱き月の化身(アルクェイド)

 

 

お互い動かず、まるで西部劇の速撃ちのような雰囲気を漂わせる。

 

 

 

ガラッ……。

 

 

 

既にボロボロの校舎、その一角が崩れ落ちた時、最後の戦いが始まった。

 

 

「!!」

 

こちらへと高速で迫るアルクェイド。

その姿は見えない。当然だ。

 

 

(全魔力集中…)

 

 

刀身へと光が集まり、収束されていく。

身体強化を全てカット。

今ある全ての魔力をこの一撃に込める!

 

 

 

約束された(エクス)…」

 

 

さぁ、

 

 

勝利の剣(カリバー)!!」

 

 

これで決まりだ!

 

 

 

 

 

放たれた光の奔流は廊下を埋め尽くし天井を消し飛ばした。

 

 

 

薄れていく意識の中、最後に見たものは、宙に浮く『バーサーカー』と書かれたカードだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後の話をしよう。

目が覚めると、すずかの家で寝ていた。

 

見舞いに来た恭也さんの話では、学校の校舎の前にすずかと二人して寝ていたらしい。

その後、すずかは数時間して目覚めたものの僕は三日間寝ていたようだ。

先に起きたすずかがなんとか誤魔化して魔法のこととか黙ってくれたみたいだ。

なんて言ったんだろ。

 

 

とりあえず何か食べようと運ばれてきた料理に手を出そうとすると部屋へと突撃してきたなのは、アリサ、はやての三人に泣きつかれ、質問攻めされ、はたかれ、その対応に追われた。

 

結局何か口に出来たのは、その二時間後の午後四時だった。

 

 

そして今は…。

 

 

 

「さて、選んでもらうわ。記憶を消されるか、パートナーになるか」

 

 

重大な決断を迫られていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

子供組が帰ったあと、忍さんに呼ばれて大広間(?)とでもいうべき場所へとやってきた。

で、夕食を頂き少し経ってから話があると言われた。

 

恭也さん、ノエルさん、ファリンと三方向から監視される中伝えられたのは『夜の一族』について。

そして夜の一族を知った人間への、掟があるらしい。

忍さんが簡単に纏めてくれたが、

 

 

『月村に関することほとんど忘れるか、すずかの婚約者になるか、ってことよ♪』

 

 

なんて纏めてくれやがりました。

 

しかし、どうしたものかな。

記憶消されるのは困るし、嫌だし。

すずかの婚約者…恋人と思っていいのかな?それ自体は嫌ではないけど、掟とはいえすずかの気持ちも聞かずに決まってしまうのも…。

 

催眠系、睡眠系の簡単な魔術なら行使できる。勉強中とはいえ、血文字のルーンを使えばなんとか。

それで今回は切り抜けるか。

けど、恭也さんがいるから変な動き見せたら刀(明らかに真剣)で斬られるだろうし。

エメラルド、どこ行ってるのさ。

 

 

(ん?恭也さん…苦笑してる…?)

 

 

…あぁ、なるほど。

 

 

「忍さん、それホントに婚約者じゃないといけないんですか?」

 

「どういうこと?」

 

「いや、それだと同性とか恋人持ちの人はどうなるのかな、と思って」

 

「それは…」

 

「もういいだろ忍?話が進まない」

 

「む、しょうがないわね」

 

 

周囲に漂ってた真剣な雰囲気が霧散していく。そんなにもたなかったな、この雰囲気。

 

 

「まぁ、友達、親友みたいなものでも構わないわ」

 

「ほっ、良かった。婚約者なんかになってもすずかも困ると思うし」

 

「…喜んで受け入れると思うけど」

 

「何か言いました?」

 

「べっつにー」

 

 

この人何拗ねてんだろ?まぁ、いいか。

 

 

「じゃあ、帰ってもいいですか?」

 

「うん、悠斗君なら勝手に話したりしないだろうしね。責任はいつか取ってもらうけど」

 

「責任?」

 

「帰りにすずかの部屋寄ってきなさい。それで分かるわ」

 

 

 

 

 

 

 

「すずか、いる?」

 

 

すずかの部屋のドアをノックする。

しかし、責任…?なにかしたかな。

 

『うん、入ってきていいよ』

 

「失礼しますっと」

 

 

入った先には何度か見慣れた部屋の光景と、

 

 

「すず…えっ」

 

 

変わらない光景の中、唯一変わってたもの。

すずかの髪の先がうっすらと金色に染まり両眼は赤くなっていた。

 

 

「驚いた?」

 

「それ、どうしたの?」

 

「目が覚めたらこうなってて、切っても次の日にはまた染まってるの。上から染めても元通り」

 

 

もしかして…カードの後遺症?

だとしたら僕のせいか…。

 

 

「あっ、悠斗くんのせいじゃないよ!?」

 

 

表情から察したのか、慌てて否定してくる。

 

 

「私としては困ることもないし、なぜか吸血衝動も落ち着いてるの。それに、これも一つの罰かなって」

 

 

毛先を撫でながらこっちを見つめてくる。

 

 

「…悠斗くん、化け物の私でも友達でいてくれますか?」

 

 

その目には不安と期待、そんな感情が見えた。

言う事は決まってる。

 

 

「言いたいことは二つ」

 

 

ゆっくりとすずかの前まで歩く。

目の前で止まり、デコピン。

 

 

「痛っ」

 

「一つ目、すずかは人間だっていったろ?少なくとも僕はそう思ってる」

 

そして、すずかの手を取り、

 

「二つ目、掟とかそんなのを抜きにしてもこれだけは誓うよ」

 

 

 

タイミング良く窓から月の光が二人を照らす。

 

 

 

 

「すずかが望まない限りこっちから離れることはないよ。ずっと一緒だ」

 

 

 

 

「…ぱり、こ…がこ…んだね」

 

「えっ?何?」

 

 

顔を赤くして俯いたかと思うと、ボソッと何かを呟いた。

 

 

「なんでもないよ、けどそれまるでプロポーズみたい」

 

「えっ、そう?」

 

 

思い返すと「ずっと一緒」とか言っちゃってるし、なんか恥ずかしくなってきた。

 

 

「大丈夫。そんなつもりじゃないのは分かってるから」

 

 

そう言って手を離し、さらに距離を縮めてきたかと思うと

 

 

 

チュッ

 

 

 

 

「…へっ?」

 

 

今、頬に柔らかい感触が…………!?

 

 

「これからもずっと、ずっとよろしくねゆうくん!」

 

 

 

 




約束された勝利の剣
Fate/stay nightのセイバーの宝具。
作者が三番目に好きな宝具。ちなみに一番は全て遠き理想郷、二番目はエアである。

アルクェイド消滅
再生用の魔力も殆どない中、全身を消し飛ばされたため消滅。


すずかの変化
すずかファンの方々、すみません。

ゆうくん!
ミスではありません。


余談ですが、悠斗はこの後すっかり忘れてた全身の激痛に襲われることになります。




今年も一年間ありがとうございました。
また来年も宜しくお願いいたします。
来年こそは、二期まで終わらせてやる…!


それでは皆様よいお年を。






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無印 後編
EXTRAepisode お正月


皆様、あけましておめでとうございます。

まだ、お正月の話は間に合いますかね?

急遽作った短編です。

時系列は、無印開始の年始め。


久しぶりのキャラもいるため、おかしいとこもあるかもですがどうぞ!


 

 

「三、二、一…」

 

 

ポーン…

 

 

「「あけましておめでとうございます」」

 

 

 

現在八神家。

新年のカウントダウンをはやてと二人でしていた。

 

 

「それじゃ、今年も宜しくはやて」

 

「こちらこそよろしくなユウ君」

 

 

毎年の恒例となってることを済ませ、甘酒を飲む。

 

 

「初詣どうする?僕は明日友達らと行くけど」

 

「朱音さん明日、じゃなかった今日帰ってくるんよね。なら、ウーねぇとかとも一緒に行くからええわ」

 

 

一緒に行く?って聞こうかと思ったけど、言うまでもなくわかったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

「悠斗くん、あけましておめでとう!」

 

「はいはい、あけおめなのは。恭也さんもあけましておめでとうございます」

 

「あぁ、あけましておめでとう」

 

 

扱いが雑だー!と横で騒いでるのがいるけど放っておく。

どうせすずかやアリサが来たら落ち着くんだから。

 

 

 

 

その後、二人と合流し最寄の神社へと行く。

ここは訪れる人も多く、毎年混雑するのだが…。

 

 

「あんまりいないな…」

 

 

その恭也さんの呟きに頷く。

ちなみにメンバーは、三人娘に恭也さん+僕。

入り口のところに鮫島さんが車で待ってる。

 

 

「おかしいわね、いくら午後とはいえこの人の少なさは」

 

「だよね…あっ」

 

 

 

声あげた僕に視線が集まる。

 

 

「姉さん帰ってきてるんだっけ…」

 

 

「「「「えっ!?」」」」

 

 

えっ、そんな驚く?

そして、恭也さんはなんで納得したみたいな表情をするの?

 

 

「いや、『海鳴の蒼き朱』が帰ってきてるならこの人気のなさも納得してな」

 

「姉がホントにすいません」

 

 

我が姉、蒼崎朱音は中学生でありながら色々な伝説を持つ。

その伝説はいつかわかるとして、そんな姉が帰ってきたとなれば、町全体が一種の警戒体制に入りかねない。

嫌われてるわけじゃないんだけどなぁ。

神格視されすぎなのか。

 

 

「とりあえず参拝して、例のおみくじひいて帰るか」

 

 

 

ここのおみくじは、子供にも大人にもとても人気だ。

 

内容がシンプルであり、まず大吉とかの結果が大きく書かれている。

その下に今年についての予言みたいな文が書いてある。

最後にラッキーアイテムなどが記されている。

 

 

ただ、前世の記憶を持つ僕からするとラッキーアイテムとか書いていいのか?これ。

子供にも分かりやすくていいけどさ。

 

 

大人にも人気な理由は、予言みたいな文にある。

これがよく当たるのだ。的中率99%といっても良いくらいに。

 

 

 

「まずは私からいくわよ」

 

 

アリサがおみくじを開く。

 

 

 

『 吉

 

年末ごろに大きな出来事が起こるかも?あとは普通に過ごせば、普通です。

 

ラッキーアイテム メロンパン 』

 

 

 

「普通ってなによ!」

 

 

おみくじを地面に叩きつけた。

いや、確かに普通に過ごせば普通ってなんか書き方おかしいけど。

 

 

「次は私かな?」

 

すずかも開く。

 

 

 

『 中吉

 

今年は色々と変化の年です。吉と出るか凶と出るかはあなた次第。初めてのことにも出会うかも

 

ラッキーアイテム 使い終わった映画券』

 

 

 

「ふーん…」

 

 

なんか複雑な顔してる。

なにか思い当たることあるのかな?

 

 

 

「わたしも開くよ!」

 

お次はなのは。

 

 

 

『 大吉

 

運命を左右する一年です。出会ったもの、別れた人、全てに意味があります。

何があっても挫けないで。

 

ラッキーアイテム 白いリボン』

 

 

 

「白いリボン…あったかな?」

 

「今は赤だね」

 

 

しかしなのはは大吉か。珍しい。

毎年中吉と凶の間を行ったり来たりしてるのに。

喜びが無いのは、それだけおみくじの内容に集中してるからなのか。

 

 

「最後は僕か」

 

 

 

『 大凶

 

女難の相あり。悪いことばかりではありませんが、正しい結末へ持ってけるかはあなた次第。シナナイデ

 

ラッキーアイテム 後輩』

 

 

「不吉だ!?」

 

 

最後の『シナナイデ』ってなに!?死にかけるの?

そして後輩ってアイテム扱いでいいの!?

 

 

「うわ、最悪ね…」

 

「後輩…桜ちゃん呼ぼっか?」

 

 

アリサとすずかが同情してくれてる。

桜と図書館でも行こうかな、近々。

 

 

「………………………」

 

 

なのはは不安気だ。まぁ、カード集めのこと知ってるししょうがないか。

 

 

「うにゃ!」

 

「ほら、帰るよ」

 

 

頭を少し強めに撫でて、笑顔で話しかける。大丈夫という意味も込めて。

 

 

「うん、そうだね!」

 

 

また、新しい1年が始まる。

 

予想もつかない、長い長い1年が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はやてのおみくじ結果。

 

 

『 大吉

 

あなたが心の何処かで欲してる物が手に入ります。代わりに何かを無くすかも?やりすぎにはご注意を。

 

ラッキーアイテム 友達』

 

 

 

「「やりすぎってなにを!?」」

 

 

 

二人して叫びました。

 

 




朱音
a'sで詳しくやります。

おみくじ
オリジナルです。

メロンパン
最近シャナ見直しました。



それでは皆様、今年もどうかよろしくお願いいたします。






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地下訓練と管理局

お久しぶりです。
かなり時間が空いてしまいました。
言い訳させてもらうと、テストあったり、ここから無印終了までの構想案が纏めて消えてたりしてたからです。

今回から無印後半。
この話の後からかなりオリジナル混ぜるかもしれません。…一から考え直しなので。

あと、今回は人によっては好ましくない展開かもしれません。ご注意下さい。


 

 

『時空管理局?なんだっけそれ?』

 

 

すずかの事件から数日。

身体の疲労も完全に無くなり、今日の午後には同じく回復したなのはとジュエルシードの捜索に出かける予定だ。

…随分と久しぶりな気がするのは気の所為?

 

 

『説明してなかった?』

 

『されたかもだけど、もう一回お願い』

 

 

朝起きて朝食を食べたりしてると、ユーノから念話がきた。

なんでも時空管理局とかいう組織が来てるんだとか。

 

 

『簡単に言うと、あらゆる世界を行き来する警察…のようなもの。裁判所も混ざってるね』

 

『なんか、裏が多そうな組織だね』

 

 

裁判所と警察が混ざってる組織なんて、悪事働いてももみ消されそうなイメージがある。

 

『確かに悪い噂もあるけど、管理局無しではいられないというのも現状かな』

 

『で?それがどうしたの』

 

 

念話をしつつ、クラスカードを数枚持ち地下へと降りる。

今は居候勢がどっかに避難という名の旅行に行ってるから誰もいない。

 

 

『あっちから接触してきて、色々と事情を伺いたいと』

 

『それ、何時に終わりそう?後、言いたくないことは言わなくていい?』

 

 

今日は夕飯をはやての家で食べる約束だから。

最近は、アリサやすずかが遊びに時々遊びに行ってたのが原因か、行く頻度も減った。

どことなく寂しいけど良いことだと思う。

 

 

『今日の探索は辞めにして管理局との会合を優先しようと思うんだ。本当に言いたくないならいいと思うよ』

 

 

地下への階段を降りる。

居住区のようになってる廊下を抜け一番広い部屋へとたどり着く。

 

 

『分かった。じゃあ、後で』

 

 

たどり着いた部屋、そこは特典で貰った訓練場だった。

 

 

「最近ボコボコにされまくりだからなぁ」

 

「一気に敵のランク上がり過ぎですよね、まぁ元々高いんですけど」

 

 

という訳で訓練だ。

とりあえずカードを使った練習をやって、その後はカード無しでの訓練をやろう。後者を重点的に。

 

 

「おっと」

 

 

カードを取り出して歩き出した瞬間、靴紐がほどけた。

転身してしまえば特に問題ないけど、一応直しておこう。

そう思い近くにあったテーブルにカードの束を置き、壁に寄って靴紐を結び直した。

 

この時、なにか違和感があったような気がしたけど気の所為だと思い無視した。

 

 

「よし!やろうか…な?」

 

 

しゃがんでいた体勢から立ち上がるとおかしなことに気が付いた。

 

 

「テーブルが、ない…?」

 

 

カードを置いていたテーブルが消えていた。確かにこの壁に付いていたのに。

 

 

「エメラルドー、どこー?」

 

「こ、ここ…です」

 

 

服の内側から出てきた。いつの間に…?

表情なんて無いけども、この数年で何となくエメラルドの状態はわかるようになった。

 

 

「眠い?」

 

「恥ずかしながら、新形態を幾つか考えて少し寝不足で…」

 

(寝不足あるんだ…)

 

 

心が読まれてるとわかっててもそう思わざるを得なかった。

 

 

「ところでさ、テーブルが消えたんだけど知らない?」

 

「…?悠斗様、何を言ってるんですか?ここにテーブルなんて最初からありませんよ?」

 

「…アレ?」

 

 

そうだ。ここにはテーブルなんて無かった。本当に久しぶりだから忘れてた。違和感の正体はそれか。

ならさっきのテーブルは…。

 

 

ゴゴゴゴッ!と地響きが聞こえたと思ったらどこからかアナウンスが流れた。

 

 

『これより、シミュレーションシステムを起動します。初起動のため説明いたします。これはルーム内に設置された台座へとクラスカードを置いていただくことで起動します』

 

 

周囲の風景が変わっていく。

白い壁で覆われてた部屋が西洋風の街並みに変わる。

 

 

『ランダムで造られた仮想空間にて、台座へと置かれたクラスカードのデータを読み取り英霊を再現いたします。なお、戦闘力に関しては黒化英霊の二分の一程度を想定しております。戦闘で敗北した場合、治療を施して最初からやり直しとなります』

 

 

つまり…あのテーブルが台座で、この街並は仮想空間だと。

そして黒化英霊を再現するのか。

あと説明長い。

 

 

『クラスカードを七枚確認。フィールドは西洋圏、旧市街地を設定』

 

 

七枚。いや、まさか七体出てくるとか言わないよね?

 

 

『終了条件 サーヴァントの全滅』

 

『カウントスタート。5…4…3…2…1』

 

 

 

『スタート』

 

 

 

直後、光の奔流に呑み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は久しぶりに悠斗くんと探索の予定だったけど、お休みして時空管理局とかいう人達に会うことに。

 

 

「悠斗、遅いね」

 

「うん、いつもなら遅れてもメールとかしてくれるのに」

 

 

いつもの待ち合わせ場所である公園のベンチに座りながらユーノくんと一緒に悠斗くんを待つ。

 

 

「もうすぐ約束の時間だよ」

 

 

会う約束の時間の15分前に元々集まる予定だった。

全然来ないから空き缶を使った魔力弾の操作練習をしてたけど、空き缶が木っ端微塵になってしまい終わった。

 

 

「あっ、メール」

 

 

携帯のバイブレーションを感じメールを開く。

 

 

『from 悠斗

to なのは

件名 なし

さk言ってテくDaサイ、奥レr』

 

 

暗号文…?

 

 

「すまないが、高町なのはさんであってるか」

 

 

ふと顔を上げると男の子がいた。

 

 

「えっと、高町なのはです」

 

「そっか。なら良かった。時空管理局のクロノ・ハラオウンだ」

 

「ユーノ・スクライアです」

 

 

この人が時空管理局の人らしいけど、私より少し年上の男の子だ。

 

 

「話をする前に場所を変えたいが構わないか?こちらの責任者にも会わせたい」

 

「構いません。なのはもいいよね」

 

「うん」

 

「了解した。それじゃあ行こう」

 

 

そして私達は転移した。

 

 

 




訓練システム
…全員倒すまでエンドレス。負けたら最初から。


感想、アドバイスを頂ければ嬉しいです。


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久しぶりに見た地元は海が荒れていた

お久しぶりです。

タイトル…疲れてるのかな、俺?

次は今までのタイトルに戻ります。
こういうのが良いって人がいたら考えますが。

それではどうぞ


……いませんよね?|ω•)チラッ




 

管理局からの接触の日から、悠斗君が消えた。もう今日で一週間だ。

その間に状況は色々変わっていた。

 

ユーノくんが人間だったり、ジュエルシードがロストロギアという危険物だったり、管理局に協力することになったりと大忙しだった。

その間に手に入れられたジュエルシードは1つ。これで私達の所持数は5つ。

フェイトちゃんが持ってる数はわからないけど、最低でも2つは持ってることがわかってる。

 

今日も管理局の飛行船…飛行艦かな?そのアースラに乗ってジュエルシードを探してたんだけど、突然アラームが響いた。

 

 

「なんだ!?どうした!」

 

「海上にて膨大な魔力反応!モニターに出します!」

 

 

モニターに映ったのは海上を暴れる竜巻と、それを押さえつけようとするフェイトちゃんがいた。

 

 

「フェイトちゃん!?」

 

「無謀ね。あれじゃあすぐに魔力が限界を迎えます」

 

「私もあそこに…!」

 

「いや、必要ない」

 

 

アースラの艦長であるリンディさんに私も行くと伝えようとしたら、クロノくんが止めた。

 

 

「彼女は放っておいても自滅する。例え自滅しなくても、弱ったところを確保すればいい」

 

「そんな…!?」

 

「市街地より魔力反応!3つです!」

 

 

新たにモニターに映されたのはマップのような図面。

そこに3ヶ所に点が付いていた。

 

 

「観測魔力AA相当。移動していることからなんらかの生命体かと!」

 

「それが3ヶ所か…こちらも数名魔導師はいるが足止めすら出来るか怪しいぞ」

 

「この現れ方、まるで海上の魔力に引かれたみたいね」

 

 

その突然現れたという魔力反応には心辺りがあった。

悠斗君の探してる黒化英霊とかいうのだ。

 

 

(悠斗君…今何をしてるの?)

 

♪〜

 

「にゃっ!?」

 

 

携帯が急に鳴り、思わず変な声が出てしまった。

相手は…悠斗君!?

部屋の隅へと移動して電話に出る。

 

 

「も、もしもし?」

 

『あ、なのは?ユーノもいる?』

 

「悠斗君、何してたの!?心配したんだよ!」

 

『あ、うん、ごめん。後でちゃんと説明するから。今の状況教えてくれる』

 

「なのは、僕がするよ」

 

 

ユーノくん(フェレットモード)が肩に乗って携帯へとわかり易く纏められた説明をしてくれてた。

そして、それを聞いた悠斗君は。

 

『わかった。ユーノ、どうにかなのはをフェイトの所へ送り出せない?』

 

「…隙が出来ればやれないことはないよ。けど、少し、ほんの少し時間がほしいかな」

 

『なら、その隙と時間稼ぎはなんとか出来ると思う。なのははユーノの指示に従って』

 

「わかったの」

 

 

そうして通話が切れる。

リンディさん達の近くへ戻る。

 

 

「今度は、街中から魔力反応!高速で付近の魔力反応に向かって…いっ、一箇所消失!」

 

「そのままの速度で別ポイントへ移動して…また消失しました!」

 

「何が起きてるの!?」

 

 

 

 

 

――――少し時間は遡り――――

 

 

 

 

 

「……………………」

 

「お、お疲れ様でした」

 

 

ようやく、ホントにようやく終わった。

謎の訓練システムに囚われて約…一週間?

とにかくようやく7体を倒しきれた。

 

 

「トータル697戦。エメラルドがいなければ廃人だったよ」

 

「新機能その1、対ストレス用音波治療が

効いて良かったです。髪が白くなったときはどうしようかと…」

 

 

激痛やら、クリア出来ないイライラでストレス溜まり、髪が某眼帯の喰種になるとこだった。

 

 

「ところで、なんか海の方が凄いことになってるんだけど」

 

「魔力反応凄いですね。試しになのはさんに聞いてみますか?」

 

 

まぁ、なのはとユーノ以外にこの街で魔法関係の人はいないだろうし…カイトさんは連絡先知らないし。

 

 

「さて出るかな…」

 

 

携帯で電話するとあまり待たずに電話に出た。

 

 

『も、もしもし?』

 

「あ、なのは?ユーノもいる?」

 

『悠斗君、何してたの!?心配したんだよ!』

 

「あ、うん、ごめん。後でちゃんと説明するから。今の状況教えてくれる」

 

『なのは、僕がするよ』

 

ユーノが今起きてることや、いなかった間のことを簡単に教えたくれた。

 

 

「わかった。ユーノ、どうにかなのはをフェイトの所へ送り出せない?」

 

『…隙が出来ればやれないことはないよ。けど、少し、ほんの少し時間がほしいかな』

 

「なら、その隙と時間稼ぎはなんとか出来ると思う。なのははユーノの指示に従って」

 

『わかったの』

 

 

通話を切り伸びをする。

 

 

「ん、じゃあ派手に行こうか」

 

「具体的には?」

 

「黒化英霊をなぎ倒しつつ、フェイトのとこへ行く。突然そんなことをする奴が出てくれば多少なりとも動揺してくれるだろうし」

 

「そこをついてなのはさん達が転移出来る隙を造ると?」

 

「うん、じゃあサクッと行くよ。多元転身(プリズムトランス)!」

 

 

 

転身をして、宙へと浮く。

屋根を蹴り一気に加速する。

 

一番近かった出現点。

黒ずくめの骸骨お面がうじゃうじゃいたが、収束砲からの散弾、トドメの魔力刃を使い殲滅する。

この間、約3秒。『アサシン』ゲット。

 

 

 

 

 

次のポイント、黒いコートを着た男にも女にも見える中性的な顔立ちの相手がいた。

接近させるのもするのも面倒だ、そう考えた僕は銃撃してくる相手へと宝石を幾つか投げつけ、砲撃を放つ。

相手の上空へ飛来していった宝石は、合図と同時に爆発し下の相手を麻痺させる術式が起動した。

ほんの一瞬の麻痺。それでも隙だ。

急降下し、通り抜けながら首をはねる。

これで18秒。

またもや『アサシン』をゲット。

 

 

 

 

 

最後の一体。それを確認した瞬間、自分が嫌な顔をしたのを自覚した。

そこにいたのは踊り子。

屋根の上で踊ってる…?

背中から切り抜けてカードを回収する。

何だったんだ?

『キャスター』ゲット。

 

 

 

 

そして海へと向かう。

フェイトを助けるために。

 

 




この世界、喰種は漫画であります。
人気です。


感想、アドバイス頂ければ嬉しいです。


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海魔、招来

お久しぶりです。
そして、すいませんでした!

二ヶ月くらい空いてしまって、ほんとすいませんでした。

理由は…後書きで!


では、どうぞ




 

 

空は暗雲が覆い、荒れ狂う海からは七本の竜巻。その中の一本に、アルフはいた。

 

 

(フェ…イ、ト…)

 

主であるフェイト・テスタロッサは視線の先、別の竜巻に呑み込まれていた。

海のなかにあるジュエル・シードを強制覚醒させたはいいが、ほんの一瞬の油断した隙を突かれ現状になる。

脱出しようにもこの竜巻、どんな原理かは知らないが魔力を吸っていっている。魔法を行使しようとしたが発動した瞬間に吸収された。

 

 

(この、ま…まじゃ)

 

 

酸素も魔力も無くなっていき、もはや僅かな抵抗すら出来ない。

この竜巻を突破するには、恐らく全快のフェイト並の魔力持ちによる砲撃、ならびに大火力の魔法で許容範囲をオーバーさせるしかない。

 

 

(せめて、フェ…イトだけ、でも)

 

 

意識が遠のく。フェイト…。

 

 

 

 

 

絶頂無情の夜間飛行(エステート・レピュレース)!」

 

 

 

聞こえた声と共に体へと走る衝撃。

捕らえていた水柱から、攫われるように外へと飛び出した。

 

 

「ケホッ、ケホッ、あんたは…」

 

 

助け出したのは大きな槍に跨り、恐らく強化した片手で私を掴みながら飛行するフェイトが気になってる奴だった。

 

 

「大丈夫?」

 

「あぁ、それよりフェイトを!?」

 

 

 

直後、空から落ちてきた桃色の光はフェイトを捕らえていた水柱を吹き飛ばし、宙へと投げ出されたフェイトを黄緑色のバインドがその場に固定させた。

 

 

「一……撃…!?」

 

「大丈夫だよ、とりあえず合流しようか」

 

 

そう言ってコイツが見せた笑顔は、どこか信頼出来るものだった。

 

 

 

 

 

 

 

「なのは!」

 

「悠斗君!」

 

 

上空でなのは達と合流する。ユーノも来れたみたいだ。

 

 

「今まで何処にいたの!?」

 

「いや、ちょっとね。それより今はあれを!」

 

 

視線の先にはジュエルシードを内包した水柱。

あれ、なんか1箇所に集まってるような。

 

 

「マズイ、魔力が収束してる!」

 

「悠斗様、クラスカードです」

 

 

ユーノとエメラルドが同時に叫ぶ。

一気に膨張する魔力。そして、それがやみ海中から何かが浮上してきた。

 

 

「うわぁ…」

 

 

クトゥルフ系統の化け物がそこにはいた。ざっと見、全長30メートルはあるだろう。触手がうようよしてて気持ち悪い。

 

 

「タコ?イカ?どっちかな、ユーノくん」

 

「そんなこといってる場合じゃないよ!?」

 

 

うん、なのはが明らかにSAN値下がりそうなアレを見て平気なのには驚きだけど。

ほら、いつの間にか気がついてたフェイトなんて青ざめてるよ。

 

 

「クラスカードもジュエルシードもあの中です」

 

「てことはいつも通り倒して手に入れればいいんだね」

 

 

なのは達はそこにいて、と指示して化け物目掛けて接近する。

迫る触手をかわし、本体を切りつけるが、

 

 

「なっ!?」

 

 

瞬く間に再生した。

驚いた隙を突くように触手が殺到する。

 

 

「悠斗くん!」

 

「悠斗!」

 

 

なのはとフェイトの声が聞こえたが、触手に包まれてしまった。

 

 

「エメラルド!」

 

「はい!いきますよ、新モード」

 

 

ステッキの柄が短くなり、丁度両手で握れるサイズに変わる。先端の鳥の羽が広がり固定される。羽の中心部を側面に魔力刃が形成される。その長さは1メートル。

服にも変化が現れる。両腕の袖が厚くなり宝石が装飾される。

 

 

「『クロスレンジモード(仮)』展開」

 

 

大剣と化したステッキを振るい触手の壁を四方八方に切り裂く。

切り裂いた箇所から爆発していき、外へと道が開けた。

閉じないうちに外へと飛び出す。

 

 

「成功です!」

 

「ちゃんとした実戦では初めてだからね」

 

 

あの修行空間で生み出したモード。カレイドステッキの弱点の一つは、接近戦に弱い。修行空間では特にセイバーに苦戦した。

その弱点を補う為のモードがこの『クロスレンジモード(仮)』だ。

衣装《装甲》の面積を増やし、魔力のほとんどを身体強化と大剣へと注ぐことで接近戦に特化させたものだ。

魔力刃には細工がされており、物体を切り裂くと同時に刃が目に見えないほどの欠片を残していく。それは遅れて爆発する風になっている。対再生向けの機能だ。

これは任意で発動だが、欠けた刃はほぼ無限ともいえるエメラルドからの魔力供給でなんとかなる。

 

 

「しかし、これではきりが無いです」

 

「悠斗くん、ちょっと来て!」

 

 

なのはが呼んでるのでとりあえず戻る。

 

 

「ユーノくん、さっきの説明もう一回お願い」

 

「うん。悠斗たちの攻撃からしてあれは表面が固かったり、魔力に強かったりしてる訳ではないことが確信できた。つまり、コア、ジュエルシードを一撃で封印出来る威力の砲撃で奴を狙うんだ」

 

「確かにちまちま斬っても意味ないしね」

 

「うん、だから以前の回復ので二人の魔力を全快にできない?」

 

「それなら回復を使わなくても。お二人ともデバイスの先端をこちらに」

 

 

こちらへと向けられたデバイスへとエメラルドから放出された翡翠色の玉が吸い込まれていく。

 

『『魔力全回復です』』

 

 

これで準備は出来たかな。

 

 

「僕と彼女、アルフであれの動きを止める。三人はあれ目掛けて今撃てる最大の火力をぶつけて」

 

「けど、触手が邪魔だね。あんなのがうようよしてるんじゃ上手く抑えられないよ」

 

「ならそれを切り落としてからチャージに入る。エメラルド、時間差爆破細かく設定出来る?」

 

「当然です」

 

 

触手は見た感じ60本ほど。全速力で飛びながら切り落とすだけだ。

 

 

「悠斗くん、フェイトちゃん。いっせーのでいくよ!」

 

「わかった」

 

「了解。先行くよ」

 

 

マントを消して多少身軽にして加速する。

ぐるりと一周するように飛び触手を全て切り落とす。

 

 

「チェーンバインド!」

 

「リングバインド!」

 

 

二人がバインドを展開し拘束する。

再生しようとしてる触手は5から10秒の間隔で起こる爆発により阻止される。

化け物の丁度後方へと位置を取りカードを取り出す。

なのはは前方左側。フェイトは前方右側にいる。

 

 

『シューティングモード』

 

『シーリングフォーム』

 

限定展開(インクルード)セイバー」

 

 

二人は砲撃準備、こちらは聖剣を手にチャージをする。

 

 

「「「いっせーの」」」

 

 

 

「ディバイン――バスター!」

 

「スパーク――スマッシャー!」

 

約束された―勝利の剣(エクス―カリバー)!」

 

 

 

放たれた3本の光は、直撃し大きな水しぶきを上げて辺りを光が包む。

目を開けてられない程の眩しさ、そして水しぶきが雨へと変わり降り注ぐ中見たものは、上半身が消し飛び、空中に浮く7つのジュエルシードと1枚のクラスカードがあった。

 

 

「ようやくわかった。私がフェイトちゃんに会いたかった理由。気になった理由」

 

 

向こう側にいるなのはの声にフェイトと二人して顔を向ける。フェイトとなのはは向き合う形になった。

 

 

 

 

「友達になりたいんだ、フェイトちゃんと」

 

 

彼女らしい、そう思った。

 




感想、アドバイス頂けるとありがたいです。



それで、前書きの理由ですが…はい。
非常に言いにくいのですが、





……3作目を書いてました。



えぇ、この更新速度とペースで何やってんだコイツ、と自分でも思うのですが、一度考えたら止まらなく、設定とプロローグ創ってました。


ともかく近日中に3作目出します。
原作は、ハイスクールD×D。
詳しい内容は、活動報告に載せておきます。


今月中にもう1話を目指します。
…………無印があとどれくらいかかるかわからない(涙)


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魔法よりSFじゃないか?ここ

間に合った…!

という訳で今月中にギリギリ間に合いました。

オリジナル要素強めですが、どうぞ!


 

 

「友達になりたいんだ、フェイトちゃんと」

 

 

…なんていうか、なのはらしいなぁ。

あっちはこのまま戦闘って雰囲気じゃなさそうだし、カードだけでも回収しようかな。

そう考えて動こうとした時、ゾクリと嫌な予感がした。

 

 

 

(どこから、横、下…違う。なら、上!)

 

 

 

上空に大規模な魔法陣が現れる。

その中心から巨大な雷が丁度真下にいたフェイトへと直撃する。

 

 

「フェイトちゃん!?」

 

「フェイト!」

 

 

近寄ろうとする僕となのは、それを妨害するかのように魔法陣から光線が降り注ぐ。

中心のフェイトを囲むように放たれた光は僕らの足を止めた。

 

 

「邪魔!限定展開(インクルード)!」

 

 

クラスカード『バーサーカー』を取り出し

限定展開(インクルード)して、銀鎖を取り出す。

銀鎖を伸ばしてフェイトをたぐり寄せようとするが、雷光が弱まると同時にその姿は突如消えた。

 

 

「こんのぉぉぉ!」

 

 

消えたフェイトに動揺したが、叫び声に反応して後ろを振り向く。

そこには海上のジュエルシードへと接近したアルフと恐らく僕より少し年上の男の子が対峙していた。

 

「邪魔を、するなぁぁ!」

 

 

アルフさんが魔力弾を海面へと叩きつけ水しぶきを盛大に上げて目くらましに使う。

その間にジュエルシードへと迫るが、男の子が周り込むように加速して追いかける。

一瞬の交差。

アルフさんの手には4つのジュエルシード。

男の子の手には3つのジュエルシードとクラスカード…って取られた!?

 

 

「う、ァァァァァァァ!!」

 

 

雄叫びを上げ突っ込もうとするアルフさんを魔法陣が囲み姿は消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蒼崎 悠斗です」

 

「初めまして。時空管理局所属アースラ艦長のリンディ・ハラオウンよ」

 

 

あの後、黒髪の男の子、クロノ君に拘束もとい連行され今はここ、巡航艦『アースラ』の艦長室に連れてこられた。

というか、凄い近未来感。この艦、ロボット物に出てきてもおかしくはない。

 

 

「さて、色々聞きたいけど何から話そうかしら」

 

「そうですね、ではまず……」

 

 

リンディさんの横にクロノが、僕の後ろになのはとユーノがいる中で話が始まった。

 

「君は何者だ?彼女、なのはから存在は聞いてるが」

 

「えっと…」

 

 

なんて答えよう。「魔法少年です♪」なんて答えたらなにされるか。

 

 

「フリーの魔導師です」

 

 

頭を悩ませているとエメラルドが代わりに答えてくれた。

 

 

「目的は?」

 

「住んでる町で変な魔力を感じ、なおかつそれが住民へと被害を出しているのを、手を出さずに見ていられるような人ではないので。私の主は」

 

「あの鎖や槍については?」

 

「ノーコメントです。答える気も理由もありません」

 

「何?」

 

「はいはい、そこまで」

 

 

クロノ君とエメラルドの間に不穏な空気が漂い始めた途端、リンディさんが話を中断させた。

 

 

「詳しいことは後ででいいわ。それで蒼崎君?私達に協力してもらえないかしら?そうしてくれるなら今回のなのはさん達の命令違反は見逃してあげるけど」

 

 

協力。確かにこちらはこの世界の魔法に詳しくない二人。ユーノは詳しいけどフェイトとら戦えるタイプじゃない。

それに組織のバックアップがあったほうが都合がいい。

 

「……じゃあ、こちらからも1つだけ。フェイトに関することはなのはと僕に任せて貰えませんか?」

 

 

話して見た感じ悪い人ではないが、今回のようにフェイトが危険な状態でも効率よく捕らえるために放置するという方法を取るかもしれない。

勿論、それがリーダーとしては正しく仕方のないことだとは分かるがこちらはフェイトのほうが大切でもある。

なのはとフェイト、この二人の決着も着けさせてあげたいし。

 

 

「いいでしょう」

 

「母さ…艦長!?」

 

「こっちは協力を申し込んでる側なのよ。その位の条件は呑んであげてもいいじゃない」

 

「…ありがとうございます」

 

 

申し込んでる側とか言ってるけど、さらりと脅してきてたよね?とかはスルーした。

 

 

そしてなのはと話す間もなく、流れるように開かれた会議に参加させられた。

 

 

「フェイト・テスタロッサへと行われた攻撃と同時にアースラへとも攻撃が行われました」

 

「被害は?」

 

「一部のシステムがダウンしており、現在復旧作業中です。ただ3日は動けないかと」

 

「わかりました。次はクロノ」

 

「はい」

 

 

横に座ってたクロノ君が立ち上がり機械を弄ってる女の人に目線で合図した。

 

 

「今回の次元跳躍攻撃の魔力から犯人の目星が付きました」

 

 

空中へと映像が投影される。

そこには紫の髪の綺麗な女性が映っていた。

 

 

「プレシア・テスタロッサ。僕達と同じミッドチルダ出身の魔導師です。かつては次元航行エネルギー専門の優秀な魔導師とのこと」

 

 

……うん、わからん。まぁ、いいや。

けど、この人がフェイトのお母さん…。

 

 

「ですが、数年前に魔導炉『ヒュドラ』実験の事故、違法研究によって放逐されました」

 

「元々テスタロッサって名前から候補にはしてたけど、フェイトちゃんの戸籍も無かったし決め手がなかったんだよね」

 

「エイミィ」

 

「いいわよ、クロノ」

 

 

女の人はエイミィさんというらしい。

 

 

「さて、問題はまだ見つかってない最後の1個のジュエルシード、そしてフェイトさんね」

 

「ラスト1個なんですか?」

 

 

確かに今回のは数が多かったけど。

 

 

「現在この街に確認出来る反応は0。今回の件で色々な所をくまなく探してる最中だけどね」

 

「最後の1個……」

 

 

何かわすれてるような……

 

 

 

「あっ」

 

「どうかしたの?悠斗君」

 

「最後の1個わかったかも」

 

「何!?」

 

 

そう、すっかり忘れてたがすずかの事件の時のジュエルシード、回収してない。

あれはどうなったのだろうか。アルクェイドの消滅と同時に空間こど消えたのだろうか。もしくは……

 

 

「カイト…長剣のデバイスを使う男か」

 

「はい、多分その人がわかるんじゃないかと思います」

 

 

あの事件をすずか名前を出さずに簡単に纏めて説明した。

 

 

「わかりました。その人物についてはこちらで調べて置きます。とりあえずなのはさん達は家に帰ってもらっていいわ。しばらくは動けないし」

 

学校もあるでしょ、とニコニコと笑顔で言ってくる。

学校……なんて説明しよう。休んでた理由。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(なんで、なんでだよ…!)

 

 

暗闇の中、フェイトの使い魔アルフは歯ぎしりしながら渦具ってうた。

背中の扉、その奥からビシッ、バシッ、と何かを叩く音と自身の主のうめき声が漏れてくる。

 

 

(フェイトはあんたの娘だろ、なんで、なんで!?)

 

 

今すぐにでもフェイトを助けにいきたい。けれど、自分が彼女の母親プレシアに勝てるかは怪しい。

それに仮に勝てるとしてもフェイトはそれを望んでいない。

だからこそ、今までこんなこと(・・・・・)があっても我慢してきた。

今日もまたこれからフェイトはプレシアに……

 

 

(……?)

 

 

どういうことだろうか。いつもならまだ続く音が途絶えた。

今日はもう終わり?もしかしてプレシアに今更ながら罪悪感でも…いや、そんな訳ない。

疑問に思いながらも扉を開けようと取っ手に手をかけた。

 

 

「――――――――――!!」

 

 

「ッ!?」

 

 

フェイトの声にならない叫び声を聞いて反射的に扉を蹴破っていた。

部屋には倒れ伏すフェイト、それを見下すプレシアがいた。

 

 

「フェイト!」

 

 

倒れ伏す彼女を抱き上げる。

気絶しているようだが、その顔は苦痛に歪められていた。

身体のいたる所に鞭による裂傷が見受けられ、満身創痍といえる有様だった。

 

 

「プレシアァァァァァ!!」

 

 

フェイトをゆっくりと床に寝かせ、プレシアへと殴りかかる。

突き出した拳は障壁に止められるが、両の拳でひたすら殴る。

 

 

「アンタはッ!親なんだろ!なんで!こんなことがっ!出来るんだ!」

 

 

障壁にヒビが入り始める。

行ける。

そう思い、拳に籠める魔力を増やす。

あと、一撃。それでこのクソ女に一撃入れられる。

 

 

「くたばれぇぇぇぇぇ!」

 

 

全力の一撃。

それは確実にプレシアの顔面を捉えた。

 

 

「えっ…?」

 

 

捉えた、筈だった。

プレシアと拳の間には1枚の障壁。

それ自体には驚かない。プレシアが自分の攻撃よりも早く展開できるならそうするのが普通だ。

驚いたのはその術式、その黄色の(・・・)魔力光。

 

「なんで…ッ!?」

 

 

背後から焼き付くような痛み。

斬られたと感じながら振り返り、

 

 

「ふぇ、いと」

 

 

鎌へと変化させたデバイスを振りかぶる自分の主を最後に意識は途切れた。

 

 

 




七月も2本を目指しますが、受験がある為確実とは言えないです。


感想、アドバイス頂けるとありがたいです。


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姉さん、スゲーby悠斗

どうも、お久しぶりです。
サブタイトル、これからこんな感じなのでいこうかと思ってますがどうでしょう?
そして7月中に2本は無理そうです。すいません

とりあえず今回、どうぞ!


前回の話でよくわからない表現をしてしまい上手く伝わらなかった箇所があったことを謝罪させていただきます。
すいませんでした。


 

 

アースラでの話し合いの2日経った。

 

 

「ふっ!はっ!」

 

 

朝からクロスレンジモード(仮)にしたエメラルドを素振りしていた。

学校は昨日は行ったが、今日は休むことにした。

 

 

(昨日、というか帰ってきてから散々だったなぁ)

 

 

思い返すのは2日前の夜。

家に帰ってドアを開けると、ガチギレ状態のはやてによる『車椅子アタックJSカスタム』(ベルレフォーンもどき)をモロにくらい気絶。

目を覚ましたら覚ましたで謝られたのと、説教を頂いた。

数日間レンに餌もやらないでいたことと、勝手に消えてたことに怒っていた。

もっとも、消えてた理由は「あの狂人博士のせいなんだ」と、勝手に今はいない居候を犯人にして言ってみたらあっさりと信じられた。

…帰ってきたら実験に付き合ってあげよう。

ちなみにレンは拗ねてるのか、近寄ると離れ抱き上げると暴れて逃げ出す。

爪をたてないとこだけはありがたかったけど。

翌日、高級なキャットフードを買ってきて2時間ほど撫でてあげたら元に戻った。

 

 

 

翌日、学校へ行くとアリサにもブチギレされながらビンタを貰った。痛い。

なのははいなかった間に貰ったらしい。

そしてすずかからは、寒気がするほどのニコニコ笑顔を頂きました。正直、一番怖い。

 

学校からは何してたかの説明を求められたが、なんと言っていいのか分からなかったし、嘘ついて追求されても困るから最後の切り札を使うことにした。

 

 

「姉に呼ばれて」

 

「よし、わかった。もう行っていいぞ」

 

 

…やっておいてなんだけど、姉さんの力凄い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今日は朝から神様(仮)から連絡、もとい通信が来た。

 

 

『お久しぶりです』

 

「今日はなんですか?」

 

 

そもそもこんなに連絡してきていいのかな。

 

 

『いえいえ。ちょっとテストしてもらいたい物とロックの確認です』

 

 

ロック…夢幻召喚(インストール)のことだろう。

 

 

『見た所3分の1しか条件解放出来てないみたいですね』

 

「その条件を教えてくれたりは……」

 

『駄目です』

 

「なんで?」

 

『あのですね、漫画の主人公が最初から覚醒のやり方を知ってたらつまらないですよね。土壇場で、偶然的に覚醒したほうが恰好いいじゃないですか』

 

「いや、こっちマジメに命かかってるんですけど」

 

 

特に上位ともいえる、セイバーやアルクェイドと戦ったことも含めて訴えかけるが、

 

 

『セイバーは中位ですよ?』

 

「なん…だと…」

 

憑依召喚(ゴーストインストール)はともかくセイバーは中位です。上位のは特徴がありますから』

 

「特徴?」

 

『はい。彼らは、言葉を話せる、会話が成り立つだけの理性と意識があります。それでいて人間のように自由気ままに過ごしています。魔力を意図的に隠せるのもいますね』

 

 

マズイ。何がマズイってそんな存在がいることがだ。

理性と意識があるってことは、黒化英霊と違って英霊としての知識や経験、それらを思考して闘うことが出来るというこどだ。

多少スペックダウンしてようと関係ない。それだけで実力を埋めてしまえるのが英霊だろう。

 

 

『とりあえずその話は置いておきましょうか。それでテストしてもらいたい物はこちらです』

 

「いやいや、置いておかないでって、この箱?」

 

 

目の前に転移された箱の蓋を開けると、中にはT字型をした持ち手が3つ入っていた。

 

 

『黒鍵。こちらでカスタムした物でシステムの一部を変えましたが魔力で刃を形成するのは変わりません。詳しくは付属の説明書をご覧ください』

 

 

箱の底に紙が折りたたまれている。

 

 

『とりあえずサンプルということで3本お渡しします』

 

(ダジャレのつもり?)

 

『必要があればエメラルドに伝えて下さい。一週間以内にお届けします』

 

「わかりました」

 

『それじゃあ死なないで下さいね♪』

 

「不吉!?」

 

 

通信は切られた。

しかし黒鍵か。投擲用の物とはいえありがたいな。

エメラルドを除いて近接戦に使えるのはアゾット剣だけだったから。

 

上位の黒化英霊。

今の僕じゃあ勝てないだろうな。

…よし、久しぶりに基礎から鍛え治そう!

 

 

 

 

 

ということで休んで鍛錬してる。

 

 

♪〜〜

 

 

「ん?アリサ?」

 

 

携帯に着信が入った。表示画面を見るとアリサの名前が。

 

 

「もしもし?」

 

『なんで学校休んでるのよ!?声からしてピンピンしてるじゃない!』

 

「あー、えっと、さっきまで風邪引いてた」

 

『…なんかそこまでバレバレの嘘つかれたらどうでもよくなったわ。ところで、これから家に来れる?』

 

「どうかしたの?」

 

『新しいゲーム買ったけど大人数向けで、アンタとなのはが居なかったから今日やろうってなったのよ。来れるなら来なさい。見せたいものもあるし』

 

「見せたいもの?」

 

『昨日珍しい犬…多分犬を拾ったのよ。オレンジで額に宝石の付いてる犬』

 

 

 

 

 

 

 

 




悠斗の姉は二期から本格的に参加です。
ところで私は受験生なのですが、本格的に勉強しなければいけなくなるので来年の三月まで投稿速度が下がると思われます。
コツコツ書いて出来次第投稿します。

感想、アドバイス、頂けたらありがたいです。


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なのはVSフェイト〜前編〜

久しぶりでかなり苦戦しました。
数ヶ月書かないだけでここまでなんて。
今後の事に関してはあとがきにて少し。

というわけで予定ではあと10話ほどで終了予定です。
では、どうぞ。



数日後…

 

 

「眠い…」

 

 

朝早くから海鳴の臨海公園に来ていた。

ここが一番援護しやすく、結界を張るとはいえ周囲への被害が少ない場所だからだ。

 

 

「なのはは?」

 

「さっきからあそこだよ」

 

 

臨海公園に接する海の上、それなりの高さの位置にレイジングハートを握りしめて立っていた。

 

 

「フェイトへは?」

 

「連絡はアタシがした。もうすぐ来る筈」

 

 

アリサが拾った犬、それはアルフだった。

 

 

『フェイトの様子がおかしいんだ』

 

 

アルフからもたらされた情報から、主犯はプレシア・テスタロッサ。

彼女の居る場所は『時の庭園』。

移動する拠点であるそれを特定する為の作戦を決行することになった。

アルフが参加したことであっちが来るのを待つのではなくフェイトへと一騎打ちの果たし状をデバイスへと送ってもらった。

応じなければジュエルシードは管理局の本局へ運ぶ、と脅し付きで。

 

 

『こっちもOK!』

 

『いざという時は僕も出る』

 

 

アースラはここの様子を見つつ、周囲への警戒と『この後のこと』を考えて待機してもらってる。

 

 

「来た!」

 

 

転移魔法で現れたのはいつもと同じバリアジャケットのフェイト。

ただいつもと違うのは目が虚ろなのと首から下げているパープルの宝石を使ったネックレス。

 

 

(何あれ、何の宝石かわからないし変な力を放ってる…)

 

 

そんなことを考えてるとなのはがフェイトへと近づいて行く。

 

 

「フェイトちゃ…」

 

『プロテクション』

 

 

なのはの呼びかけは途中で途切れた。

何故ならフェイトが顔色1つ変えずに斬りつけて吹き飛ばしたからだ。

咄嗟にレイジングハートが防御をしたから怪我こそしてないが、吹き飛ばされたなのはは水柱を上げて海へと沈んでいった。

 

 

「なのは!」

 

「フェイト……」

 

 

ゆっくりとフェイトがこちらへと降りて来る。

その虚ろな目で顔色1つ変えずに口を開いた。

 

 

「勝負は私の勝ち。ジュエルシードと、悠斗を貰っていく(・・・・・・・・)

 

「はい?」

 

 

何を言ってるのだろうか、この子は?

隣でアルフもユーノも困惑…いや、アルフはそうでもないな。

 

 

「なんで僕を?」

 

「知る必要はない。さぁ、ジュエルシードとy」

 

 

言葉は最後まで続かなかった。

フェイトの足元から出現した桃色の光の柱が彼女を呑み込んだからだ。

そして、海中から桃色の光を放ちながら彼女が空へと舞い戻る。

 

 

「まだ…終わってないの」

 

 

髪は濡れ、息は荒くなってる。

それでも、その眼は死んでいない。

砲撃をギリギリで回避したフェイトへと向けられる。

 

 

「勝負なの、フェイトちゃん!」

 

 

空で2人の魔法少女が激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上空で桃色と黄色の光と爆発が連続して起こる。

見た所なのはの防戦一方といったところかな。

砲撃を放つもフェイトはそれを避け、接近する。

なのははすぐさま魔力弾で迎撃するが、それらさえも回避しデバイスを振り下ろす。その一撃を障壁で防御されるとまた距離を取り直す。

この繰り返しだ。

 

 

(エメラルド、気づいてる?)

 

(はい。周囲に変に魔力が流れてますね。まるで霧のように)

 

 

薄く、上の戦いに気を取られていると気づかないくらいの魔力反応が公園に満ちている。

一応、警戒してクロノ達に連絡したほうが、いや、気づいてるとは思うし大丈夫…かな。

 

 

 

 

 

「はぁ!」

 

 

振り下ろされる鎌の一撃をレイジングハートの柄で受ける。

一瞬の鍔迫り合い、魔力弾を四発生成し放つもかわされる。

高速で私の周りを旋回しながら、魔力弾を放ってくる。

それらを防御する。

 

 

(レイジングハート、仕掛けは?)

 

[終わってます。いつでもどうぞ]

 

 

その言葉に心のなかで頷きつつ、魔力弾を放っていく。

左側から集中的に攻めていく。

攻撃を避けるように右へと逃げていく。

 

 

「!?」

 

そして、逃げた先には設置したバインドがある。

 

 

「ディバイン…バスター!」

 

 

動きの止まった所へと砲撃を撃ち込む。

直撃、巻き起こった爆風。

 

 

「これで……!?」

 

 

四肢をバインドで拘束された。

そして、爆風の中から無傷のフェイトちゃんが出てくる。

 

 

 

 

「防御璧ですかね?あのペンダントから発生しています」

 

「じゃあ、さっきまでの魔力弾が防がれなかったのは?避けてたけど」

 

「一定以上の攻撃に反応する物では?…ですがあれはこの世界の魔法の類では無さそうです」

 

「ということは、魔術?」

 

 

ユーノ達から少し離れてコソコソと会話する。

魔術のことは言っても仕方ないし。

 

 

「物作り、マジックアイテム作成のようなスキル、もしくはそういった宝具でしょう」

 

 

そして、見上げた空では決着が着こうとしていた。

 

 




いかがでしたか?

さて、今後のことですが、昔のスマホを掘り出して構想を一から練り直しました。
そこで問題点がいくつか浮上しました。

詳しくは次のあとがきでご報告します。


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なのはVSフェイト〜後編〜

お久しぶりです。

半年……半年経ってました。

いや、ほんとこれ読んでてくれる方、まだいらっしゃるなら本当にすいませんでした。

そして、短いっ!

とりあえず決着。どうぞ。



 

 

「ファランクス……」

 

 

フェイトの背後に多くのスフィアが展開される。

それぞれが帯電して、強い魔力を宿している。

標的は、拘束されているなのは。

だけど、その顔は諦めてなんかいない。

手に持つレイジングハートが淡く輝いた。

 

 

「──撃ち、砕けぇ!」

 

 

各スフィアから放たれる攻撃は、すぐさまなのはを包み込んだ。

爆風が姿を覆い尽くす。

フェイトは、さらにデバイスを持ってない左手を掲げ撃ち終わったスフィアを集め、巨大な槍を作る。

その槍はなのはへと──

 

 

「スパーク、エンド」

 

 

放たれた。

 

 

その一撃は、足元の湖を巻き込む程の爆発を起こした。

 

 

「はぁ、はぁ……これで…」

 

 

 

ゾクッとした。

見てるだけにこっちが。

 

 

 

 

爆風の先、そこには傷つきながらも立つなのはがいた。

 

 

 

 

「レイジングハート」

 

『カノンモード』

砲撃形態へと移行させ、先端をフェイトに向ける。

 

 

「このっ!…ッ!?」

 

 

回避しようとしたフェイトをバインドが拘束する。

 

 

「さっきの!?」

 

 

レイジングハートが光ったあの時、バインドを仕掛けてたんだ。

 

 

「ディバイン、バスター!」

 

 

なのはの十八番、ディバインバスター。

フェイトは、唯一無事だった左手で障壁を張り防ぐ。

長いようで短い攻防。

耐えきったのはフェイトだった。

 

 

「フェイトは疲弊してる」

 

「なのはだって、もう限界だよ!」

 

 

アルフとユーノ、二人の言うとおりどちらも限界だろう。

 

 

「って、なのはは?」

 

 

いつの間にか消えてる。

 

 

「上です!」

 

 

エメラルドの声に反応して上を向くと、

 

 

「何、アレ……?」

 

 

上空に巨大な桃色の球体。

周囲から集まってまだ大きくなってる。

 

 

「使いきれず、ばら撒いちゃった魔力をもう一度集める…」

 

「集束、砲撃…!?」

 

 

いや、なんか脈動してるんだけど。

え?生きてるの?え?

 

 

「受けてみて!ディバインバスターのバリエーション!」

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

 

フェイトは恐らく残りの魔力全部を込めての障壁を展開する。

 

 

「スターライト、ブレイカーァァ!」

 

 

振り下ろした杖と共に放たれた一撃は、周囲を桃色の光に染め、障壁を容易く打ち砕き、光の柱としか表現出来ない景色となった。

 

 

「つ、津波ぃ!?」

 

「防御!防御で!」

 

 

3人とも障壁を張り襲い来る津波を防ぐ。

波も落ち着き、視界の先では落ちて行くフェイトと、それに続くように倒れ落ちるなのはの姿だった。

 

 

「エメラルド!」

 

 

素早く転身し、飛び出す。

後を追うようにアルフとユーノが追い掛けてくる。

 

 

「悠人のほうが速い!なのはは、僕等で救えるから彼女を!」

 

「了解!」

 

 

加速。

間一髪、海に沈む目前、海面に浅く落ちただけのフェイトを救い上げる。

 

 

「よ、しっ!」

 

 

気絶してるだけだが、あんなものをくらったんだ。脳に変な影響出てないといいんだけど。

 

 

「クロノ、急いで二人を」

 

回収してと、続くはずの言葉は空に現れた紫の魔法陣。

雷と眩い閃光を最後に意識は途切れた。

 

 




あとがき
前回言っていた問題点。例を上げるとこんなとこです。
・FGOで鯖増え過ぎて境ホラ、緋アリキャラが必ずしも必要ではなくなった。
・あるラノベの武器(?)の効果がこちらの考えてまだ出してないもの重要アイテムとほとんど同じものだった。


ほかにもありますが特にこんなものです。


あっ、今週中にもう1話投稿します。
多分金曜日です。内容に関して、その他のことでも感想お待ちしております。


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彼女の目的

ギリギリ金曜日。セーフですよね!?

感想に色々な人が書いてくれて本当にうれしいです。
ありがとうございます。

今回は、いざ説明しろと言われると難しいんですが、とりあえずなんか自己理論です。

そこだけ注意です。どうぞ。



 

 

───それは突然だった。

 

 

優しい母、厳しく優しい母の使い魔、元気な私の使い魔。

人と会うことは滅多になかったし、魔法の練習と勉強。その繰り返しの日々だった。それでも幼い私は満足していた。

 

 

その日々が崩れさるまでは。

 

 

母が豹変した。

言葉にすればそれだけ。

いつもの繰り返しは変わらない。

 

それでも、私にはその日々が以前のような暖かく優しいものには感じられなかった。

 

失敗すれば罰を与えられ、成功しても何も言われない。

私の扱いに反抗した彼女の使い魔は、消された。

 

 

いつの間にか私は何も考えなくなっていた。痛みに恐れ、与えられる命令に従う。表面上は普通に振る舞う。

完璧だった筈だ。いつも側にいてくれる彼女が気付いてないほどに。

 

 

何も考えなく、何も感じない。

 

いずれは完全な機械のように母の命令に従うモノになる

 

 

 

……………筈だった。

 

 

 

 

彼に出会った。彼女にあった。

彼を見た時、感情が強く揺さぶられた。心臓は鳴り止まず、顔が熱くなった。

彼女の言葉を聞いた。私を見てくれてる。そのことがとても嬉しく感じた。

 

 

 

 

これから私は最後の計画に使われる。

 

その前にここに来たかった。

 

想いは伝えられなくなったが、せめて勇気を貰いたい。

 

 

眠る彼の顔に、自分の顔を近づける。

 

私は母の道具。

けれども、最期は、最期くらいは…………………………………。

 

 

 

その為の思い出と勇気を下さい。

 

優しく口付けをする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───さよなら────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う……ここは…?」

 

 

目覚めた場所は、暗く小さな部屋。

窓もなく。うっすらと暗いままだ。

監禁されてるような気分だ。

だが縛られてる訳でもない。

 

目を凝らせばなんとなく部屋の内装が見える。

起き上がり部屋唯一のドアに近づく。

ドアノブがない。つまり部屋を出れない。

そこで気付いた。

 

 

「あれ?エメラルド?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初めましてかしら?不思議なデバイスさん」

 

「そうですね。プレシア・テスタロッサ」

 

 

玉座に座る女性と、その前には1本の羽の生えたステッキがいた。

プレシア・テスタロッサとエメラルド。

複数の魔道士達が倒れ付す中、1人と1本は対峙していた。

 

 

「ごめんなさいね、このネズミ共を始末するのに少し手間取って」

 

 

管理局の艦。アースラに所属する魔導師達を瞬殺した彼女はそう言った。

 

 

『人の部下をネズミ扱いとは言ってくれますね、プレシア・テスタロッサ』

 

「殺してないだけ感謝して欲しいわ」

 

 

彼女等の中間に現れた映像に映るのはアースラ艦長リンディ・ハラオウン。

 

 

『本当に、本当にアルハザードへ行けると?あれは伝説上の』

 

「そうね。けど、伝説として残るのなら、それはある。無いものからそんな伝説がある訳ない」

 

『……ジュエルシードを使ってそこへ辿り使くと?不可能よ。それは歪んだ形で願いを叶える。それ以外はただの魔力の塊だわ』

 

「そうね。けど、それが本命よ」

 

 

プレシアの背後映し出された映像に映るのは、彼女の娘であるフェイト・テスタロッサ。

その身体は何重にも鎖を巻き付けられている。

足元には魔法陣。

 

 

『何を……』

 

「願いを叶えるなど、不要な力よ。欲しかったのは膨大な魔力」

 

「まさか…いえ、確かにそれなら……」

 

「流石ね、もうわかったのかしら」

 

「……収束…魔法ですか」

 

『何ですって?』

 

 

続けるようにプレシアは促す。

 

 

「魔力はひとりひとり違いが存在します。観測できないような僅かな違い、魔力光の色、その他色々と。ですが、他人への譲渡を可能とします」

 

 

実際、

 

 

「それは、譲渡時に魔力素へと戻し、その人に合わせた魔力に変質していくからです。魔力素になればリンカーコアで自分の魔力へと変換出来ます。そして、それは恐らくジュエルシードからの魔力も」

 

『けれど、保有限界はあるわ!あれだけの魔力をフェイトさんが幾ら優秀だからって』

 

「えぇ、壊れるわね」

 

 

さらりと、プレシアはそう言った。

 

 

「けど、構わないわ。保有量のほうも問題ないもの」

 

「あの鎖と魔法陣ですね」

 

「正解」

 

 

ジュエルシードがフェイトの上空を円を作りながら旋回し始める。

海上のゴタゴタで奪われた20個のジュエルシード。

 

 

「鎖は魔力を吸収、維持させる類の記号を、魔法陣に関しては合図か何かで作動するプログラミングがされてるのでしょう」

 

「本当に優秀ね、あなた」

 

 

鎖はよく見えないが、鉄ではなく半透明な宝石か何かで造られ、文字が刻まれているようだった。

 

 

「20個のジュエルシードの魔力をフェイトさんの力に変え、それら全てを使って力ずくで空間に穴を開ける。フェイトさんは、いわば砲台、いえ、砲身ですか」

 

『自分の娘になんて事を……』

 

「ふ、ふふふ、あははは…」

 

 

突然笑い出す。

リンディはなにが可笑しいのかと怪訝な顔をする。

 

 

「そこのデバイス、いえ、礼装の言ってることは本当よ。けど、まだ全部言ってないでしょう?」

 

「…………先程の方法は、普通の人間であれば不可能です。魔法陣と自身に魔力を通す道を形成しないと、零れてしまいます。僅かでも漏れればプログラムは崩壊します」

 

『普通の人間…なら?』

 

「そうよ。だって、フェイトは普通では無いもの」

 

 

フェイトを移した映像が小さくなり、別の部屋の様子か映し出される。そこには………

 

 

『フェイト…ちゃん……?』

 

 

漏れた言葉は、リンディの近くで話を聞いていたなのはのものだった。

そこには培養液に漬かる金髪の少女。

 

 

「アリシア・テスタロッサ。フェイトはこの娘のクローンよ」

 

 

 

 

 




これからは、活動報告のほうを多く更新していく予定なのでこの作品をどうするか。
また、他の作品についてなど書いて行きます。

あとは、しょーもないことも(主に作者のFGO状況)。

活動報告、この作品。どちらもコメントお待ちしております。


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突撃

お久しぶりです。

エクステラ今日でしたね。届くの明日なのですが、予約しました。

今回も久々なのに短め。無印も終盤に突入。

では、どうぞ


 

「クロー、ン…?」

 

「遺伝子データを使い造られた、その遺伝子の持ち主とほとんど同じ人間だ」

 

 

呆然とするなのはちゃんと、クローンについて教えるクロノ。

静かになる艦橋にエイミィの声が響く。

 

 

「プレシアの娘、アリシア・テスタロッサはね、もう死んでるの。プレシアが働いていた研究所の魔力炉の事故で巻き込まれて」

 

 

調べてわかっていたこと、でも言い出せなかったのだろう。

 

 

『幼い頃から少しずつ調整して、そうなるように仕組んだわ』

 

「プレシア!」

 

 

アルフさんの怒りの声を気にも止めず彼女は笑う。

 

 

『邪魔はさせない。させてナルものですカ!!私は道を開キ、あの方の下へ…!』

 

「庭園内に魔力反応増幅!」

 

「何これ…見たこともないパターンの万能です!」

 

 

庭園内に頭はなく、口と体だけの骸骨が無数に出現する。

剣を持ち、弓を持ち、槍を持つ。多様な種類の兵隊が現れた。

 

 

「我々はプレシアの野望を止めねばなりません。クロノは準備を。それとなのはさん達も行って貰えるかしら?」

 

「勿論です!」

 

「はい!」

 

「アタシも行かせてもらうよ、艦長さん」

 

 

アルフさんが聞いてくる。本来なら行かせるべきではないが、今は人手

が欲しい。

 

 

「えぇ、お願いします」

 

 

 

 

 

 

 

庭園内に転移して早速襲ってきたのは骸骨の様な兵士。

こんな魔法はみたことがないが、そんなことを考えている暇はない。

 

 

「はぁっ!」

[スティンガーレイ]

 

 

群がる敵を倒しながらも、少しずつしか前に進めないでいる。

 

 

(目標のプレシア、フェイト・テスタロッサ、それにこの庭園の駆動炉も止めるべきだろう。彼も此処に居るのだろうが、場所はわからない)

 

 

突入直前、アルフに教えてもらった

庭園の内部構造を思い出しながら考える。

 

 

(まずは、プレシア、いや彼女の元にいるあのデバイス(?)との合流すべきか?あの儀式に何かしら詳しいようだったが)

 

 

考える。今、どう動くのが最善か。どう動かすのが最善なのか。

 

 

(…………よし)

 

「全員聞いてくれ!僕が道を作る。そしたら、なのはとユーノは駆動炉に。アルフはフェイト・テスタロッサの下へ向かってほしい」

 

「わかったの!」

 

「いいけど、プレシアにはクロノが?」

 

「言いたくないけど、あの糞女は強い。勝てるとはおもわないけど、ね!」

 

「やってみなければわからないさ。それに本当の狙いは彼のデバイスと合流。儀式の阻止。だからアルフはフェイト・テスタロッサと合流後、そこに待機してくれ。対処法がわかり次第すぐに連絡する。それと各自、彼の捜索も頭の片隅に置いといてくれ」

 

 

彼と言うワードに全員、特になのはが反応する。返事を聞いてる暇はない。

 

 

「行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、ご丁寧に映像もつけて見せてくれてた訳だけど。

 

 

「で、出れない」

 

 

魔力強化で壁を殴り続けたが、全くの無傷だ。クラスカードも宝石もないし、エメラルド無しだとこの方法しかないわけだが。

 

 

「ま、かといって諦めないけどね」

 

 

拳への魔力強化をさらに強め、壁を殴る。

 

クローン?だからなにさ。

 

殴る。

 

砲台?ふざけるな。

 

殴る。

 

母さんの為にと、頑張ってたんだ。

 

殴る。

 

それを、その思いを……

 

殴る、殴る、殴る、殴る、殴る………………。

 

 

 

 

「踏みにじることは、許しちゃいけない!それが運命だとか、その為に生まれたとか言わせるもんか!」

 

 

 

 

いまだに傷つかぬ壁を睨みながら、無性にイライラしてきた心の内を叫ぶ。

 

 

「お前が狂っていようが、彼女()を巻き込むな!お前の理想の為に失わせるものか!」

 

 

壁を壊せないイライラも相まって、かつて無いほどキレてる自分がいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

━━うむ!理不尽な死を認めるなど言語道断で御座る!━━

 

 

 

 

 

 

 

いつもカードを入れている逆側のポッケが光を放つ。

何事かと探ると、そこには1枚のカード。

 

 

━━力を貸すで御座るよ、将来の金髪巨乳(多分)のために!━━

 

 

これって、このカードの人は───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───誰だっけ?───

 

 

 

 




FGOやってる人、これ読んでくれてる中でどれくらいいるのだろう?
もしいたら活動報告をFGOの話題に……はい、すいません。ISも進めます、はい。



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突撃2

あけましておめでとうございます……?(今更)

ギリギリ4月、ギリギリ4月に間に合いました。

うーん、どうも執筆がうまくいかない。

とりあえずお久しぶりの1本、どうぞ。


 

 

『クロノくん!駆動炉に着いたんだけど』

 

『クロノ、僕だ、ユーノだ。駆動炉の周辺をよく分からない結界が守ってて手出しが出来ない!なのはの砲撃も無意味だった!』

 

『分かった。君たちは、ひとまずアルフと合流してくれ。それとしばらくは艦長のほうに指示を仰いでくれ』

 

『クロノくん?』

 

『僕は、暫く連絡が出来そうにない』

 

 

目の前に立つのは今回の事件の主犯、プレシア・テスタロッサ。

 

その手には杖と、彼のデバイス(?)が入った籠を持っている。

 

 

「あら?もうイイのかしラ」

 

「あぁ、あなたを捕らえてからまた連絡すればいい」

 

 

相対してわかったことがある。彼女は正気ではない。いや、そもそも娘のクローンを造り、それに手を加えている時点で 正気とも思えないが。

 

 

(ただ、何なんだ。この変な感じは)

 

 

プレシアから感じる僅かな違和感。まるで人間が上書きされていく様な……。

 

 

(いや、考えるのは後だ。まずは彼女を捕まえる!)

 

 

プレシアへと1歩踏み込むと同時に、戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァッ!」

 

 

迫る骸骨共を叩き潰す。切りがない。

フェイトの元に辿り着いたというのに、拘束を解除する方法を探す暇もない。

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ…………」

 

 

1体1体は対して強くない。けど、こうも連戦が続けば魔力も体力も無くなっていく。

 

 

(なのは達もこっちに向かってるってことだし、あと少し踏ん張らないと)

 

 

 

 

「あら、意外と頑張ってイルのね」

 

 

 

「!?」

 

 

その声を聞いてゾッとした。

そのせいで反応が一種遅れ、骸骨達を巻き添えにして襲い来る砲撃を防ぐことが出来ずに直撃を受けながら吹き飛ばされた。

 

 

「プレシア……あんた、どうして……、クロ…ノは」

 

「あぁ、アノボウヤね。あと4、5年したらもう少しモッタかもしれないわね」

 

 

放り投げられたのは無残にも壊されたクロノのデバイスだった。実物を知ってるからこそ、かろうじて原型がわかる位の損傷にベッタリと付着した赤黒い何か。

 

 

「さて、そろそろコロアイかしら」

 

 

そう言って悠斗のデバイス(?)を入れた籠を置き、彼女の杖を手元に呼ぶ。

いや、あれは……

 

 

(いつものデバイスじゃない?)

 

 

奴が握ってるのは異様な気配を出している杖。

それを握りゆっくりと歩み寄る。

 

(けどやるしかない!)

 

 

主の為に。その一心で。

今戦闘に回せる魔力のほとんどを使い魔力弾を3発造る。

 

 

「はぁぁぁぁ!」

 

 

それらをプレシアへと出せる限りの速度で放つ。

奴の身体はもう限界の筈。魔力も魔法のキレも変わらずでも、肉体のほうは別だろう。

 

 

(防ぐか打ち消すか、どちらにしろほんの僅かに隙が出来る)

 

 

予想通りプレシアは、障壁を張り防いだ。ぶつかり、小規模の爆発が起きる。

その一瞬。

 

 

「!」

 

 

プレシアの身体を橙の鎖が絡めとる。

魔法はこれで打ち止め。後は全力で………

 

 

(殴る!)

 

 

後ろへと周り込み、拳を握りしめる。一撃。それがチャンス。

 

 

(これで!)

 

 

最後の1歩を踏み込む。

その時、視界に映ったのは、僅かに口元を上げるプレシアの顔だった。

 

 

「……おバカさん」

 

 

足元から光の柱がアルフを包み込み爆ぜた。

 

 

「がっ…な…!?」

 

「所詮獣ね。コンナ罠にも気付けない」

 

 

背後で倒れる自分には目もくれず、フェイトの元へと歩き始める。

不意に足を止めた。

 

 

「そういえば、アナタフェイトの魔力供給をウケてたわよね?少しでも魔力ガ漏レルのを避けたいし」

 

 

霞む視界のなか、こちらへと身を翻し不思議な形なナイフを手に近づいてくる。

 

(ごめん、フェイト……。アタシじゃ、時間稼ぎも……)

 

 

蹴られ、仰向けの状態にされる。

今の自分では動くこともできない。

 

 

そして、鮮血が舞った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……………………………ん?)

 

 

顔に血がかかる感じはしたが、痛みが来ない。目を開けると………

 

 

 

顔めがけて落ちてくるナイフが。

 

 

「うぉぉぉぉぉ!?」

 

 

首を逸らす。顔の横へと突き刺さるナイフ。

 

(あ、危なっ!?)

 

 

視線をプレシアへ向けると、彼女の腕を短い刀が突き刺していた。

 

 

 

 

 

 

気づけなかった。

獣へと突き刺そうとした瞬間、上空より飛来した短刀が自身の腕を突き刺した。

思わす手を離した武器には目もくれず、すぐさま上を見る。

 

 

(気づけナカった)

 

 

自分達を跳び越えていく姿。

 

 

(攻撃をウケるまで、全く、ナニも、足音も……!)

 

 

危険と判断し、足元から標的を切り替える。

速度の速い敵と判断し、追尾性のあり速度の速い魔力弾を数10発作り放つ。

標的は、ちらっとちらっと一瞥するのみ。着地で、減速した標的へと魔力弾が着弾………………するはずだった。

 

 

(!?)

 

 

敵は上着を脱ぎ上へと放り投げ、さらに加速した。

本来なら上着など気にせずに突き進む魔力弾が吸い込まれる様に上空の上着へと突き刺さる。

そうこうしている内に、標的はフェイトへと迫りいつの間にか持っていた長剣を振り上げる。

 

 

「ヤメナサイ!!」

 

 

放つ砲撃。

あの剣は危険だ!

砲撃が着弾し、爆発が起こる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「フェイトは返してもらったよ」

 

 

 

 

 

 

炎の中から現れたのはは口元を覆うスカーフ。

目の描かれた帽子。

そして逆手に剣を持ちながらフェイトを抱える姿。

 

 

「次はお前だ、覚悟しろ」

 

 

 




感想、アドバイスお待ちしております


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魔女の終わり1

お久しぶりです。
リリなの4dx行ってきました。1stと2nd両方。

その話は後書きで。
短いですが、どうぞ。




魔女の終わり

 

 

「なのは、このまま真っ直ぐ!」

 

 

ユーノ君の指示を受けつつ周囲の骸骨を倒していく。

駆動炉からアルフさんの所へ向かおうとした所、急に数が増えた。

 

「この数っ、まるで僕らを行かせないようにしてるみたいな…!」

 

 

その通りだと思った。攻撃もそこそこに、ただ壁になるかのように集まってくる。けど、それなら!

 

 

「ディバイン、バスター!」

 

 

固まった所を砲撃で一掃する。

勢いのまま、壁を貫き別の部屋と通路を繋げてしまった。

 

 

「ここは、書斎…?」

 

 

壊した壁の先には、多くの本を仕舞った部屋だった。

 

 

「プレシアのものみたいだね。研究書や、実験のレポートが沢山ある」

 

「ユーノくん!これって!」

 

 

机の上に置かれていたのは、数枚のカード。これは悠人くんの……。

 

 

 

 

 

 

「んっ……」

 

 

身体に響く振動により、意識が戻り始めた。重い目蓋を開け………

 

 

(あれ…私は母さんに……)

 

「フェイト!目が覚めた!?大丈夫!?」

 

「アルフ…?」

 

 

痛む身体を起こすと、横で壁に寄りかかりながら座るアルフがいた。顔はとても心配だけどホッとしたように、身体は傷だらけ。

視線を前に移すと、そこには連鎖的に輝く光弾と、その隙間を縫うように舞う影だった。

 

 

 

 

魔力弾を剣で弾き、斬り、少しずつ寄っていく。魔力砲は極力避ける。

ただ身体強化しただけではこうはいかない。

 

 

(これが夢幻召喚(インストール)…英霊の力)

 

 

いや…英霊(?)だけども。

さて、このまま続けても仕方ない。

斬って、寄って、一撃かまして防がれて。そして、離れてこれの繰り返し。

…仕方ない、状況を変えるには防御を叩き壊す位の一撃で切り込むしかない。仮にもこの手にある剣は聖剣に等しい。

けどそれだと殺しかねない。出来ることなら生かしたまま、終わらせたいけど。

 

 

(となると、こうするかな…!)

 

 

地面を蹴り加速。迫る魔力弾を片手の聖剣ともう片手の短剣で斬り、弾く。

プレシアの目前まで迫り、

 

 

「!?」

 

 

正面に展開された障壁を足場に後ろへと一回転した。

僅かに空いた距離。着地と同時に迫る攻撃を両手で握り直した聖剣で防ぐ。

 

「はぁぁぁぁ!」

 

 

駆け出し、片手に持ち直した聖剣で障壁を叩き切る。

そのプレシアの顔は不思議な物を見るような顔をしていた。

当然だ。空いた片手を横へと伸ばしながら片手で斬るといった変な体勢だからだ。

しかし、プレシアの反応も早くすぐさま破戒すべき全ての符を構え、そして、表情を変えた。

 

 

「エメラルド!!」

 

 

腕を伸ばした方へ身体を倒す。

振り下ろされた破戒すべき全ての符は、腕をに刺さり夢幻召喚が解かれる。

そんな事は気にしない。伸ばした手へと、相棒が飛んできたのだから。

 

 

 

戦っている内にそれぞれの位置が変わり、いつの間にか遠く後ろにエメラルドを入れた籠が形になった。

 

一回転し、後ろを向いたと同時に短剣を籠めがけて全力で投擲。プレシアには、見えないように、尚且つ背を見せる時間をほんの僅かにしたかったからだ。

 

そして、一気に近寄り視線を自分に集めさせる。

 

後はもう賭けだ。

 

(エメラルドなら来てくれると信じた。)

 

 

そして、賭けは勝ちだ。

 

 

飛んできたエメラルドを掴み転身。

横へと倒れる身体のまま、エメラルドの先端をプレシアの腹部へ。

 

 

「ッ!?」

 

 

遅い。

 

 

「全力の……砲撃(シュート)!!!」

 

 

 

視界を埋め尽くす程の光と共に、放たれた一撃はプレシアを吹き飛ばした。

 

 




4dx
SLBで50回は頭座椅子にぶつけました。いや、あれはマジで兵器、魔王様流石です。
2ndは、久々に見たのもあったのか泣きました。


やっぱりやろうかなぁ、2nd……


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魔女の終わり2

お久しぶりです。

ようやく時間取れたので、久々の投稿です。
色々と書きたいことはあるのですが、あとがき、活動報告に載せたいと思います。

それでは、どうぞ。(久しぶりで所々おかしいかもしれません)


──最初から無理だとは分かっていた

 

それでも諦めきれなかった。

現実から目をそらし、あらゆることを調べ、試した。

 

そしてproject『FATE』にたどり着きクローンを造った。

 

最初こそ喜んだが、すぐに違いが分かった。

利き手が、魔力資質が、人格が。

 

何故、何故、何故、何故!?

 

嘆き悲しんだ。あれは別のモノだ。アリシアではない。

もはやアリシアを甦らせるにはあそこへ行くしかない。

その為の準備には、外へと行かなければいけない。

 

……あのニセモノを使えばいい。

 

忌々しいことに才能だけはあるようだ。使えるものは使おう。

 

家庭教師の使い魔を創り師事させることで、あれと関わる時間を減らす。そうしなければ、耐えられなかった。

 

そんな日々が続く中、疲労と病の進行により私は倒れた。

 

そして、私は夢を見た。

 

その夢を見たあと、あの娘への接し方を変えた。大切に、優しく。あのカードが私を呑むまでは──

 

 

 

 

 

 

 

「っ……ここ、は」

 

 

痛みと共に目を覚ます。

開けた視界には、所々壊れた壁や、天井、それと……。

 

 

「かあさんっ!!」

 

 

心配した目で見下ろしてくる、そして気づくこの柔らかい感じは彼女に膝枕されてるのだろう。

私が目を覚ましたのがそんなに嬉しいのか、目が潤み涙目になっている。

 

 

「ふぇい、と………わたし、は」

 

「…先に、伝えておきたいことがあります」

 

 

瞳をぬぐい、顔を真剣なものに変えてきた。

 

 

「意識のない状態でも、話は聞こえてました。私は、アリシアじゃない、ニセモノ、なのかもしれない」

 

 

話ながら俯いていき、言葉も震え始める。

 

 

「けど、私は、私の、母さんを喜ばせたい、幸せになってほしい、その想いだけは本物です。…消えろというのなら、消えます。だから……」

 

「もう、いいのよ。フェイト」

 

 

痛む身体に鞭を打ち、片手を俯くフェイトの頬に当てる。

ハッとした表情で見てくる彼女へと私は今まで言えなかったことを言う。

 

──その夢は、昔の、忘れてた記憶だった。

 

「アリシア、誕生日何が欲しい?」

 

 

ピクニック、そのお昼に私はもうすぐ誕生日を迎える娘に言った。

アリシアは、その質問に考え込み始めた。

珍しい光景に驚くが、何を頼まれても大丈夫な自信はあった。お金はある。

 

 

「じゃあ、じゃあ、わたしね─────」

 

 

それは、私の予想を遥かに越えたものだった────

 

 

 

「ごめんなさいね、辛い目に合わせて。もう、信じてもらえないかもしれないけど、私は」

 

 

しっかりと目を見つめる。

かつて、あの娘が私に告げた時のように、まっすぐと。

 

 

「あなたは、アリシアの妹で、私の、大切な娘だと想っているわ」

 

 

告げてしばらく、呆然とした顔が崩れ、泣き出してしまった。

 

 

あの娘と違って泣き虫かもしれない、なんて思いそれを嬉しく感じてる自分がちゃんといる。

 

 

──「わたしね、妹が欲しい!!」─

 

 

えぇ、アリシア。忘れてないわ。この娘は、あなたの妹よ。

 

 

 




1000文字ちょっと……。短くてすいません。
あと、4話程で終わらせる予定です。

そして、話は少しズレますがReflection観てきました。
アグレッシブなのは
主人公フェイト
魔法…?(今更)
みたいな感想になりましたが、面白かったです。

そして、それにより二期をやるのか、やらないのか、活動報告のほうで色々とアンケート、のような意見を幾つか行いたいのでご協力お願いしたいと思います。

では、感想、雑談、なんでもお待ちしてます。


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魔女の終わり3

お久しぶりです。
FGOによって色々とこの先の予定が崩れましたが頑張ります。

年内には終わる……はず……


 泣くフェイトの頭を撫でるプレシアさん。その様子は、穏やかでまさに親子の一時、そんな感じがした。

 

 

「そして、ここに困り顔の執務官さんが」

 

「あっ、クロノ」

 

「無事でなによりだ」

 

 

頭に包帯を巻き、ジャケットもボロボロのクロノがいつの間にか近くに来ていた。

 

 

「手酷くやられてこの様だよ。なんとか自分でできる範囲の手当てをしてきたが…」

 

「感動的な雰囲気で、介入しにくいと?」

 

 

コクリと頷くクロノ。

うん、仕事とはいえ、この状況に水を指すのは僕もやだな。

 

 

『クロノくん!気持ちはわかるけど急いで!庭園が崩壊しかけてるの!』

 

 

エイミィさんからの通信に覚悟を決めたのか、二人へと近づいていく。

 

 

「すまないが、プレシア・テスタロッサ。あなたには色々と聞きたいことがある。ご同行願おう」

 

「えぇ、いいわ。なんであれ、私がやったことに変わりはないもの」

 

「母さん……」

 

 

不安そうなフェイトを一撫でして、立ち上がり一歩踏み出そうとして、ガクンと膝から倒れた。

それだけでなく、口から微量ではあるが吐血した。

 

「母さん!」

 

「っ…そろそろ、限界かしら…」

 

「いや、無理しなくていい。艦長、至急手の空いてる者を数名お願いします」

 

 

クロノはプレシアさんが動けないとわかると、すぐにリンディさんに連絡を取り局員を送ってもらうようにしていた。

 

 

「クロノ、彼女もお願いできるかな」

 

「彼女?…あぁ、そうだな」

 

 

アリシア・テスタロッサ。

彼女が眠っている生体ポッドも運んでくれるようだ。

そんな会話をしていると、不意にプレシアさんが声を上げた。

 

 

「そういえば、あれは?あのカードは回収したの?」

 

「えっ」

 

「あっ!」

 

 

そうだ、キャスターのクラスカード。今どこに……。

 

 

「あれ!」

 

 

フェイトが指を指した先、生体ポッドの奥、ボロボロになりながら、下半身から消えながらも、それでも前へ前へと進む姿が。

いつの間に、分離していたんだ!?

 

 

「マダ、マダヨ…ワタシハ、アノヒトノモ、トニ…」

 

 

その手にはジュエルシード。

消え去りながらも彼女は最後の力を振り絞るように、

 

 

「させない!エメラルド!」

 

 

 

 

 

すぐ横で彼は最大速度で迫っていた。

魔力弾も砲撃も、下手したらポッドに当たる。それを考慮して、接近戦を行おうというのだろう。

相手に抵抗できるだけの力はない。

ブレードを展開、刃を振り下ろした。

 

 

だが、一瞬。ほんの一瞬遅かった。

周囲一帯を包み込む魔方陣。

僕達の手前まで広がり、紫の閃光に彼は、包まれた。

 

 

光が晴れた先、彼らの姿はそこには無かった。

 

 

 

 

 




感想などお待ちしております。

さて、次登場予定のキャラはどっちにしようかな……


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アルハザード

お久しぶりです。活動報告に近々って書いたのに結局延びて、さらに短い……。

空く期間短く出来るように頑張ります。


 目を覚ますと、真っ白い空間だった。

 

 

「最近、意識飛びすぎな気がする」

 

 

 そんなことを呟きながら起き上がる。

 周囲は、古びた建物。所々崩れてはいるが無事な建物が多い。

 ただ、何より気になることは、

 

 

「少なくとも、日本の建物ではないよなぁ」

 

 

 円錐形というのだったか。そんな形状の建物ばかり並んでいるのだ。

 それも真っ白。街並みが広がっているというのに、全てが白である。

 

 

「ここはどこなんだろう…ん?」

 

 

 足元を見ると矢印が書いてあった。よく見ればいくつも。まるで道標だ。怪しいけど…

 

 

「行くしかないよね」

 

「そうですね」

 

「あ、エメラルド」

 

 

 フワフワと同意しながら飛んできた相棒に声をかける。

 なんか大分久しぶりに声を聞いた気がする。

 

 

「周辺を見てきました。生体反応無し。それどころか、生活の痕跡すらありません」

 

「無人ってこと?」

 

「はい。ただ矢印の先に僅かですが魔力反応があります」

 

 

 となると、やっぱりこの矢印に従うしかない。エメラルドを握り転身。警戒しつつも歩き始める。

 

 歩き始めて約10分。ざっと見た限り本当に人はいないみたいだ。建物は真っ白、色の無い世界ってここのことを言うのだろうと思った。

 矢印に従って、一件の建物にたどり着いた。スタート地点からも見えていた巨大なドーム状の建物だった。ここらへんで、恐らく一番大きな建物じゃないだろうか。

 

 

「魔力反応は中です」

 

 

 恐る恐るドアを開く。

 視界全てを埋め尽くす本棚。本も棚も真っ白。

 どれだけあるのか考えるのも億劫になるほどの本。

 視界の中心、本棚に囲まれた先に黒いものがその存在感を放っていた。

 

 

「遅かったね」

 

 

 ソレは言葉を発した。流暢に、普通に。

 観ただけで感じた。

 この人は、サーヴァント(・・・・・・)だ。

 

 

「あぁ、そんな警戒しなくてもいい。といっても無理かな」

 

 

 少し前の神様との会話を思い出す。

 

──『上位のは特徴がありますから』

 

 

 

「特徴?」

 

 

 

『はい。彼らは、言葉を話せる、会話が成り立つだけの理性と意識があります。それでいて人間のように自由気ままに過ごしています。魔力を意図的に隠せるのもいますね』──

 

 

 この人は自我があり、はっきりと意志疎通出来ている。つまり、上位…!

 

 

「恐らく会話が出来るほどのサーヴァントは危険と聞いてるのかもしれないがそれは違う。当然そういった者もいるだろうけどね」

 

 

 目の前の男は椅子に座ったまま、体をこちらへ向けた。

 普通の男、というには整った顔立ち。黒いコート…なんだっけ、インバネスだったかな、を着込んでる。

 

 

「本来ここには私ではない私、『彼』のほうが居るはずだったのだがね」

 

「?」

 

 

 何を言っているのかわからない。けど、襲いかかってくる気配は無さそうだ。

 

「さて、時間も無い。君達へとアドバイスしなければ」

 

「アドバイスって?」

 

「なに、初歩的なことだよ。……これから先、君は覚悟を決めなければいけない。その覚悟とは……」

 

 

 ドゴォンと、どこか遠くで建物が崩れたような音がした。

 

 

「不味いな本格的に時間はなさそうだ。すまないが、君自身で見つけてくれ」

 

「いや、ちょっ!?」

 

「これを渡しておこう」

 

 

 投げ渡されたのは1つの瓶。それと読めない字で書かれた資料。

 そして、カードのような……

 

 

「って、クラスカード!?」

 

「君がやろうとしていること、『彼女』にはそちらのほうが適任だろうとね」

 

 

何なんだこの人!?こっちのやろうとしてること全部把握してるの!?

 

 

「私ではない私からそう伝えられてね、では時間だ。またどこかで会おう」

 

 

そうして視界は光に飲まれ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、彼を送り出すことは出来た。『彼』の時間稼ぎも限界だろう。

 

 

「私はいつかのためにこの謎に挑むとしよう」




余談ですが、感想にて指摘されたことを読んで
「設定の小出しは駄目だったなぁ」
と反省。

改めて設定まとめてきます。

感想、アドバイス待ってます


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事件終わって

とてつもなくお久しぶりです。
ようやく出来ました。


ギリギリ平成内に投稿できた。


「さて、と」

 

謎の空間から帰って来て数日。

現在深夜1時57分。海鳴町のいつもの公園。結界は張ったし人は来ない。

リンディさんたちにも見られないように現在進行形でエメラルドがハッキング中。一応やることは伝えてあるけど、見せられないし。

 

 

血で描いた魔法陣、そこに寝たわるのは、金髪の少女。

アリシア・テスタロッサだ。

アースラの医務室にあった患者用の服を着せられた彼女の胸の上には、パスケースのようなものが置かれている。

 

 

「はじめるよ」

 

「前半詠唱破棄、どうぞ」

 

 

魔力を流し込み起動させる。

 

 

 

 

 

 

「告げる」

 

ある召喚の詠唱。

 

「汝の身は我が下に、汝の命運は奇跡とともに」

 

それを改変した起動詠唱。

 

「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

 

誓いを此処に。

 

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者。

 

 

汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より降りし運命、天秤の守り手とともに!」

 

 

眩い光を放ち儀式は完遂された。

 

 

 

 

 

 

 

「結論からいうと、フェイトの罪状は軽くなるだろう」

 

 

クロノ君から告げられたのはフェイトちゃんの今後のことだった。

フェイトちゃんのお母さん、プレシアさんによる指示に従わざるを得ない状況、洗脳と思われる様子などを証拠に出来るとのことだ。

 

 

「あの、母さんは」

 

「……プレシア・テスタロッサに関しても洗脳、という風に取れるが証拠となるものが存在しない。なにより原因不明とするには事件の危険性が高いんだ」

 

 

ロストロギアが関わり、次元震も起きてる。洗脳のもととなったアイテム、クラスカードについては悠人の件を含めて伝えるべきなのだとは思うが……。

 

 

『クラスカードは、確実にロストロギア認定されるわ。そうなると彼が危険になりかねない。そうなる位なら私が全ての罪を背負うわ』

 

 

プレシアは、悠人のことを案じてそう言った。母さんも管理局員としては正しくはないとわかっていてもそれを受け入れた。管理局とて、一枚岩ではない。正義をかざして強硬策を取る者もいる。

 

 

「まずは、向こうに行ってからだ。出発は明日の午後だ」

 

「うん…」

 

 

フェイトに話す必要はないだろう。必要ならプレシアが言う筈だ。

 

 

「あら、なにかお話中だったかしら」

 

 

と、そこへプレシアがやってきた。

 

 

「なんでもないよ、母さん。それよりどうしてここへ」

 

「何でも悠人君から出発前に話がしたいそうよ」

 

 

プレシアの後ろからは母さん…艦長もやってきた。

 

 

「プレシアさん、います?」

 

 

数分後、悠人がやってきた。しかし、かなり疲弊してるようだが。

 

 

「えぇ、けど何かしら?」

 

「フェイトもいるんだ、ならちょうどいいや。うん、実は会わせたい人がね」

 

「会わせたい…?地球に知り合いは………」

 

 

 

 

 

 

「ママ……?」

 

 

 

 

 

 

 

「えっ…」

 

 

悠人の後ろから現れたのは、フェイトより少し背の低い少女。いや、フェイトを少し小さくしただけといったほうがいいのかもしれない。瓜二つの彼女はまさか…。

 

 

「アリシア…?」

 

 

頷く彼女目掛けプレシアは駆け出す。そこからはもう大変だった。プレシアとアリシア(?)は泣いて、つられてなのはとフェイトも泣き出し、その横で僕と母さんは悠人にどういうことか詰め寄ったが途中で倒れてしまったりと。

…はぁ、また隠さなければいけないことが増えたな。

 




これにて無印はおしまいです。ほんとは2話ほどお話挟んでからAs編と考えてましたが今のペースだと終わりがさらに遠のくので次回からAs編です。

感想、アドバイスお待ちしております。


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As編
新しい家族


お久しぶりです。
この作品を読んでいる方々なら「またか・・」といった感じですよね。
就職して、聞いていた仕事がコロナで出来なくなり一番やりたくない仕事に強制的に配属され、あげく腰を痛めるといった日々を過ごしていました。

さて、久しぶりの本編の前にもう少しだけ。
実はこの作品、前々から似たようなことを言ったりしたような気もしますが、リメイクしようかと考えています。
詳しくはあとがきにて。

では本編どうぞ!


「Aa──────!!!」

 

 

叫びと共に降り下ろされた一撃を障壁を貼って受け止める。

 

 

拘束(ロック)!4点!」

 

 

振り下ろされた槍、その先端に2個と両腕に1個ずつ、障壁の応用で固定する。

 

 

限定展開(インクルード)、セイバー!」

 

エメラルドを約束された勝利の剣(エクスカリバー)へと変える。

腕と武器を固定された相手は、尻尾を振り回してくる。身体をひねり、それを避けながら背後へと回り込むように肉薄する。

 

 

「ふっ!」

 

聖剣で尻尾を切り落とす。と同時、拘束を砕いて身体を回しながら繰り出す槍の一撃を上へと急上昇することで回避する。

 

接続解除(アンインクルード)!そのまま重砲撃(カノン)!」

 

 

聖剣を解除し、ステッキへと戻す。そして威力重視の魔力砲を下の相手へと放つ。

翼を広げ追おうとしていた相手は槍で防ごうとしたが、そのまま砲撃へと飲まれていった。

 

 

[対象消滅 模擬戦闘 終了シマス]

 

 

機械的なアナウンスが流れ、周辺の景色が崩れる。

地下にある訓練場での仮想戦闘、それが終わったことを示している。

以前の出来事(間違って起動し閉じ込められた件)以降使うことを少し躊躇っていたのだが、最近は黒化英霊も出てこないので腕がなまってはいけないと思い使い始めた。

 

 

「今日はこれくらいでやめとこうかな」

 

「ですね。明日は特別な日ですからね」

 

「色々と準備しないといけないし」

 

 

さて、と部屋の電源を落とし地下から地上へと戻ってくると

 

 

「あっ、悠斗~!」

 

 

ドタドタと走ってくる人物がいる。

 

 

「どうかしたアリシア(・・・・)?」

 

「今日はなのは達とご飯食べて帰ってくるから!」

 

「わかった。でも遅すぎるとシュークリーム食べちゃうよ」

 

「えっ!?それはダメ!!ちゃんと帰ってくるから!」

 

「はいはい、いってらっしゃい」

 

 

いってきまーす!、と言いながら家をとび出していく。

 

 

プレシア・テスタロッサ事件、PT事件と名付けられたあの事件から数日経った。

アリシア・テスタロッサ・・彼女はかつて神さんから送られた試作品、長方形のパスケース[英霊憑依融合器(サクシィード・パス)]を使うことで蘇生した。

このアイテムはパスケースの形をしていることからわかる通りカードを入れられる。クラスカードを一枚入れ、人の体、おおよそ心臓の上を意識して体に乗せる。その後、英霊召喚のように魔法陣と改変された詠唱を行うことで起動する。

起動後、このアイテムは対象の体内へと溶け込み新たな心臓として機能するようになる。使用したクラスカードの英霊の力を使えるようになるそうだが、アリシアは今のところ出来ないようだ。

このアイテムの問題点、使うことはないだろうと考えていたのは分かっているだけで二つのデメリットがあるからだ。

一つは、新たな心臓として機能する、つまり生者には使用出来ないということだ。とはいってもこの生死の判定はかなりあやふやで、仮死状態や脳死などどこからを死者とするかの判定がはっきりしてないそうだ。

もう一つは、

 

 

「これなんだよなぁ」

 

 

右手の甲に浮かんだ赤い特徴的な痣を見る。そう、これは『令呪』だ。

使われ蘇生した者と、その儀式を行った者の間にはサーヴァントとマスターのような繋がりが発生する。かといってサーヴァントのように現界するための魔力供給や依代としての役割が必要な訳でもないの。この令呪による絶対命令権は機能するのだ。

そして、この令呪を使い切ってしまうと英霊憑依融合器(サクシィード・パス)は停止し、死者へと戻ってしまう。

 

 

「とりあえずプレシアさんが帰ってくるまでだし、使うことはないだろう」

 

 

蘇生したアリシアと涙の再開をしたプレシアさんは、フェイトと共に時空管理局で事件の取り調べと裁判が行われることになっている。いつ終わって、そしてどんな判決が出るのかはわからないがプレシアさんが帰ってきたらこの令呪を託そうと考えている。まずはその手段を考えることからだが・・・。

 

 

「さて、お昼食べたらまずは翠屋へ行ってシュークリーム買って来るのと明日の打ち合わせ」

 

「その後は、はやてちゃんを迎えに病院ですね」

 

「うん。会場はなのは達が用意してくれるらしいし」

 

 

さっきから打ち合わせだとか会場だとか言っているのは訳がある。今日は六月三日。

明日六月四日は、はやてと僕の誕生日なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつもこんな感じなの?」

 

「二人の誕生日のこと?」

 

 

なのは、アリサ、すずかの三人と合流してプレゼント選びの休憩中。ふと気になったことを聞いてみた。

 

 

「そうね。いつもならここに桜がいるけど」

 

「今年は用事があるらしくて」

 

「桜って、なのは達の下の学年の子」

 

「うん!三咲 桜(みさき さくら)ちゃんっていって悠斗くんになついてる子なの」

 

「年下と思えないくらい大人びた子なんだよ」

 

(それはすずか達もだと思うけど・・)

 

 

私、アリシアはまだ会ったことのない子への興味とともにそんなことを考える。

本来私はここにはいない。

ママの執念、悠斗との出会い、いくつもの奇跡とともに私はここにいられる。

 

 

「アリサちゃんかすずかちゃんのお家でやることが多いよね」

 

「今回は翠屋でしょ」

 

「桃子さん毎年気合い入ってるから楽しみだね」

 

 

この誰かを祝うために集まったり、雑談をしたり、こうした何でもないような日常を過ごせることが嬉しいのだ。

心臓の辺りに手を当てる。ドクン、ドクンと動いてることを感じれる。どういった原理なのかは知らない。

いつか終わりが来るとしても、その時笑って終われるように、

 

 

「翠屋のケーキ美味しいから楽しみ!大人数でパーティーなんて初めてかも」

 

 

全力で楽しむんだ。救ってくれた新しい家族と共に。

 




前書きにて記載したリメイクなのですが、この話を除いた全話を予定しています。
理由としては、
・自分で読み直して、読みにくかった
・模索しすぎて個人的にひどいほど文章が安定していない
・いらない要素が出てきた
というものです。
仕事と他の作品も進めたいのでゆっくりですが改修していく予定です。

詳しくは活動報告にて記載します。
ついでに、このリメイクを行うにあたって疑問や不安要素あったりするのでお暇な、親切な方は活動報告も見てコメント頂けたらなぁと思います。

相変わらず超ゆっくり更新ですが、これからもよろしくお願いします。



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