やはり俺の社畜物語は間違っている。 (雪楓❄️)
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ワールドトリガーとやはり俺の青春ラブコメはまちがっている。のクロスオーバー作品です。

ワールドトリガーの作品はもう一つあるので良ければ読んでください。


比企谷八幡

 

A級9位比企谷隊隊長

総合1位

万能手1位

 

職業 高校生

 

家族構成 父、母(他界)妹

 

好きなもの 比企谷隊、妹、MAXコーヒー

 

嫌いなもの 他者のことを考えない人

 

パラメーター

 

トリオン 10

素早さ 8

判断力 9

コミュ力 2

 

ブラックトリガー 袖の白雪

始解の状態は基本的に原作同様。

卍解する際は、トリガーの消費が大きく1回につきクールタイムが必要となる。

使用時の格好は卍解の際と同じ、白装束。

 

SE ハイパーセンス

自分を中心とした半径2キロ圏内のもの全てを知覚することが出来る。

 

幼少のころから、親がボーダー創設に関わっていたこともありボーダーに所属。

大規模侵攻により、両親が死亡。その際に、母親からブラックトリガーを受け取る。ブラックトリガーを持っているがA級なのは八幡が基本的にブラックトリガーを使わないという約束の元である。しかし、緊急時のブラックトリガーの使用は八幡に全任されている。なお、大規模侵攻時に目は腐っていたがボーダーの人達や比企谷隊の人のお陰で現在は腐っておらず普通にイケメン。ボーダー内で人気でファンクラブもある。しかし、外部には名前がバレておらず学校では普通のボーダー隊員だと思われている。

 

雪ノ下陽乃

 

比企谷隊所属

総合3位

攻撃手2位

 

職業 大学生

 

家族構成 父 (他界)母 妹

 

好きなもの 八幡、面白いこと

 

嫌いなもの 身勝手な人

 

パラメーター

 

トリオン 7

素早さ 10

判断力 7

容姿 10

 

SE 超直感

人よりも勘がかなり鋭い

 

 

ボーダーの支援団体トップを誇る雪ノ下家の娘。ボーダーへは、大規模侵攻の際に入る。妹である雪ノ下雪乃には、変わろうとしないことから興味が薄れている。八幡のことは尊敬しており、八幡が傷つくことを嫌う。

母との仲はとても良好で、よく一緒に食事に行っている。

ボーダー内外問わず、人気である。

 

 

一色いろは

 

比企谷隊所属

総合?

射手2位

 

職業 高校生

 

家族構成 父 母

 

好きなもの 八幡、甘い物

 

嫌いなもの バカにされること

 

パラメーター

 

トリオン 9

素早さ 5

判断力 5

あざとさ 10

 

SE なし

 

中学生のときに、ネイバーに襲われそうなところを八幡に助けてもらいボーダー入りを決める。元々多かったトリオンと二宮に師事を仰ぎ最短で射手2位まで上り詰めた。

原作とは違い、八幡のことを知っているので色々と頼ることがある。

 

 

 

城廻めぐり

 

比企谷隊オペレーター

 

職業 高校生

 

家族構成 父 母

 

好きなもの 比企谷隊 甘い物

 

嫌いなもの 人をバカにする人

 

パラメーター

 

判断力 10

癒し 10

策略 6

 

SE なし

 

比企谷隊の癒し。

陽乃に誘われ比企谷隊に入る。原作よりもさらに天然っぽさが加わりボーダーの癒しとなっている。

 

 

 

比企谷隊

ボーダー最強の部隊。

前回のランク戦は、いろはの受験のためという理由で出場していないため9位。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




八幡のヒロインについて、活動報告にてアンケートを取りたいと思うのでお願いします。


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:コラボ「やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。 」
番外編:1


本城淳さんとのコラボ企画です!!

僕が書いたわけではありませんが、執筆して頂いたので載せさせて頂きます!!

2話からは視点が違いますので、本城淳さんの「やはり俺の奇妙な転生まちがっている」の方でもお読みください!!


side比企谷八幡(ボーダー)

 

めぐり『防衛任務終了だよ~。お疲れ様~』

 

オペレーターのめぐり先輩の声が響く。今日の防衛任務は終わりか…。それにしても、さっき感じた視線は何だったのだろうか?

 

いろは「せんぱーい。早く戻りましょうよー」

 

相変わらずあざとい後輩のうちの射手、一色が俺の腕をぐいぐいと引っ張る。おいやめろ。後で遥が修羅とかすから。

 

陽乃「比企谷くん?どうしたの?」

 

うちのチームの攻撃手、陽乃さんが心配そうに俺を覗き込む。

 

八幡「いえ、さっきの戦闘で気になることが…」

 

俺はサイドエフェクト…2㎞以内の状態を把握する能力を使って先ほど視線を感じた場所へと向かう。そこにはあったのは…

 

八幡「人間の…腕?それも…ミイラ?」

 

そこにあったのはミイラの腕だった。左腕のような…。ネイバーの被害者の腕にしては古いような…それに、こんなところにあったのならとっくの昔に戦闘で粉々になっているはずだ。何でこんなところにある?

 

陽乃「比企谷くん?どうしたの?」

 

八幡「いや、こんなところにミイラの腕が…」

 

いろは「ミイラ?そんなのありませんよー?幻覚でも見ているんじゃないですかー?」

 

そんな訳がない。現にここに…。

 

陽乃「!!ダメ!何があるのかわからないけど、それに触ったら…」

 

ズブズブズブ…ゴゴゴゴゴゴゴ…。

何だ!ミイラが俺の腕を一回破壊して入り込んで来る!

 

八幡「うがあぁぁぁぁぁ!腕が……トリオン体なのに痛い!何だこれはぁぁぁぁ!」

 

???『よぅ。初めまして…この世界の誰か』

 

聞き慣れた声が俺の頭に響く。

 

いろは「先輩!どうしたんですか!?腕は何ともなってませんよ!?」

 

一色が叫ぶがどういうことだ!?俺の腕は確かに…。

見ると先ほどはあれだけグロい状態になった俺の左腕は元のトリオン体にもどっていた。あれは……幻?

 

???『幻じゃあない。お前は俺の魂の遺体に触ったことによって、同化したんだ』

 

八幡「誰だ……お前は…」

 

めぐり『比企谷くん?』

 

めぐり先輩が声をかけてくるが、それどころじゃない。

 

ジョジョ『俺はジョジョ。別の平行世界からやって来たスタンド使いだ』

 

八幡「スタンド使い?何だそれは……それに、その声は俺だろ……」

 

ジョジョ『オーブラボー!よくわかったな?俺の本当の名前は比企谷八幡。まぁ、この世界とは違う歴史を歩んだお前の異世界同位体と思えばいい』

 

小馬鹿にした声が響く。ふざけてんのか?こいつ。

 

ジョジョ『わたくし、おおまじですわ』

 

八幡「オッケー。大真面目になめてんだな?比企谷八幡」

 

陽乃「比企谷くん……さっきから何を一人でぶつぶつ言っているの?」

 

ジョジョ『ぷークスクスクス…!ボケ老人みたいだな。心の中で俺に話しかけろ』

 

野郎…イヤな奴だな。目の前にいたらトリガーで滅多斬りにしてやるのに…』

 

ジョジョ『無理だな。この世界と同じ近界民の世界は経験している。トリオン体と俺の生身でやっと互角…といったところか?』

 

そんなバカな事があるか!俺でありながら俺じゃない。

こいつは気に入らない。

すると、俺の中にこいつの記憶が入る。DIOと呼ばれた男の記憶…ジョナサンと呼ばれた男の記憶…そして…

 

ジョジョ『じゃあな…消えるのは、輝かしい未来の奴等じゃあない。この邪悪の化身で良い。…大好きだったよ。みんな…後は頼んだ…おおおおおお!』

 

その俺は……幽霊みたいなものに…奇妙な矢を…刺し、そして…由比ヶ浜を救って…魂がバラバラになった…

 

これがこいつの記憶…そしてここに落ちていた理由…。

場所は…千葉村?

こいつは自分を犠牲にしたんだ…。しかも、あんなやつらの為に……

 

ジョジョ『おい、俺の世界の由比ヶ浜をバカにするんじゃあない。確かに近界民の世界の全部と言っても良いくらいにお前らと奉仕部の関係は最悪だったし、理由も納得するが…俺の世界は違う。それに葉山や平塚も呪われた血筋や植え付けられた物によって狂ったんだ。この世界と同じにみるな』

 

ゾクリ……。明らかな殺気……。こいつの記憶にあった光景には…平気で人を殺す記憶があった……。

ボーダーの誰からも感じたことのない、躊躇いもなく人を殺す。冷たい殺気が俺の中で蠢く。

 

ツェペリ『どれだけの人間の血を吸った!』

 

ディオ『お前は今まで食べたパンの枚数を覚えているのか?』

 

こいつの中にあるのはDIOと同じ殺気…。

敵だと認識した人間は息をするように殺す。

俺達はネイバーに対しては殺意を持つが、同じ人間には持たない…。

人の心があるのか…。薄れ行く意識の中で、こいつに対する嫌悪感が更に募った…。

 

ジョジョ『やはりな。ネイバー相手にはいくらでも殺意を持てるが、同じ人間には持てない…。模擬戦闘訓練であるランク戦とか呼ばれるものも、所詮は模擬…。せっかく出会ったんだ。鍛えてやるよ。その精神を…』

 

精神の中で俺は水色の幽霊…スタンドにぐりぐり頭を踏まれながら意識を遠退かせた…。スタンドの横で立つ目付きの腐った俺が黒く嗤う。

 

ジョジョ『この邪悪の化身、ジョジョがな』

ジョジョ…許さん。

 

ーボーダー本部・医務室ー

 

八幡「はっ!ここは……」

 

遥「八幡!起きたんだね!」

 

ガバッと幼なじみで彼女の綾辻遥が抱き付く。

 

遥「トリオン体でいきなり倒れたって聞いたよ?心配したんだから!」

 

心配させたか…悪いことをしたな…。

俺は無意識に遥の頭を撫でる。さっきのは悪い夢だったのだろう。そうに違いない。

 

ジョジョ『残念ながら現実だ。諦めろ。それにしてもこの世界のお前の彼女は綾辻か。他の世界でも三上とか那須とか色んな奴がお前の彼女だからな』

 

そんな世界もあるのか…どれだけ他の世界をかき回してるんだ?こいつは。

 

ダダダダダダダ!

 

廊下を走る音が響く。

 

いろは「せんぱーい!ヤバイですヤバイですヤバイですー!」

 

一色が医務室に飛び込んでくる。

 

ジョジョ『いろはっ!…いや、イッシキか…。こいつは別人だ……』

 

ジョジョが一色に反応する。ああ、こいつの彼女は一色だったか。俺の綾辻に対する気持ちと同種のようなものを感じた。

 

八幡「どうした一色。今起きたばかりなんだが」

 

いろは「イチャイチャしてる場合じゃないんですよー!マジでヤバいんですー!ゲートとは違う方法で近界民が攻めて来て……三輪隊が全滅したんですー!」

 

何だって!?三輪隊が!?

 

いろは「しかもその近界民……。小町ちゃんにそっくりなんですよー!小町ちゃんだけじゃなくて、川崎先輩の弟とか、材木座先輩とか、由比ヶ浜先輩とか、小さな幼児とか、鳥とか、おじいさんとか……とにかくやたら強いんです!比企谷隊もスクランブルがかかりました!三輪隊が全滅したことで、他の隊の士気も下がりまくりなんですー!死人は出てませんが、重傷者が多すぎてます!」

 

人間型のネイバーだと?しかも三輪隊が全滅……これはかなりのヤバい事態だ!

 

ジョジョ『あー…そいつらはネイバーじゃあない。多分、俺の魂の欠片を追ってアメリカ大統領閣下がこの世界に連れてきた俺の世界の小町達だ…助けに来てくれたのか…ジジイ』

 

こいつの関係者か……。ならばとっととこいつを引き取ってもらうか。

 

 

side比企谷小町(ジョジョ世界)

 

大統領閣下のD4Cに連れてこられ、小町達はこの世界にやって来た。ここは近界民世界…いくつか行った世界だ。よりにもよって平行世界の近界民世界かぁ…。小町、この世界は嫌いなんだよね。まだ確定したわけじゃあないけれど、平行世界の自分達がいる世界の大抵は録なものじゃあなかった。少なくとも小町にとっては。

 

ヴァレンタイン「それでは私は戻ります。ジョースター卿。空条博士や東方代表、ジョバァーナ代表をそれぞれの世界へ送らねばならないので」

 

ジョセフ「いえいえ、感謝いたします。大統領。承太郎や仗助、ジョルノ達を頼みましたぞ?」

 

ヴァレンタイン「わかっています。ジョースター卿。くれぐれもご無事で帰還願います。八幡君の魂の欠片を持って…由比ヶ浜結衣…。気をしっかり持てよ…どジャァァァン!」

 

大統領はアメリカの国旗に包まれて帰っていった。

ジョセフはそれを確認すると、ボロボロに崩れている街並みを眺める。

 

結衣「あたしのせいでヒッキーは禁断の力を使っちゃったんだ…だから、今度はあたしがヒッキーを助けるんだ…そして、ありがとうって……お礼を……ううう」

 

まだ立ち直っていない結衣さんはすすり泣く。

でも、ゆっくりしている場合じゃあない。

 

ジョセフ「酷い光景じゃのう。小町や…お前さんは何度かこの世界の平行世界には来ていると言っておったか?」

 

ジョセフは帽子を目深に被り直して小町に質問してくる。

 

小町「うん。ここは近界民…ネイバーと呼ばれる者達が侵略している世界。それから人々を守っているのが…」

 

ジョセフ「ワシらを囲んでおる奴らか。結衣!泣くのは後じゃ!出てくるんじゃ!」

 

ジョセフが一喝すると、ボーダー…この世界を守っている集団がポツポツと現れる。

 

米屋「へぇ…よくわかったな」

 

三輪「………新種のネイバーか……しかも比企谷の妹に化けて出てくるとは…」

 

この人達は三輪さん…だったっけ?その人達の部隊だ。だったらスナイパーがあと二人隠れている…。隠れても無駄だけどね?波紋で気配を探る。いくら気配を隠していても無駄だよ。小町達波紋の戦士は気配を探るのに長けている。生命エネルギーを操る波紋使いの技術だ。

それにしても、また三輪さん?何でいつもどジャァァァンしてくると第1に絡んで来るのが三輪さんなのかなぁ…

 

小町「ジョセフ…小町にやらせて。みんな、今日の屍生人たちとの戦闘の疲れが癒えていない内に来たでしょ?ここは小町に任せて」

 

大志「でも、それは師匠だって……」

 

京華「そうだよリサリサ様」

 

結衣「小町ちゃん…あたしだって…」

 

ペットショップ「クエエー!」

 

材木座「うむ!我だって……」

 

みんなも戦おうとするけど、小町はそれを制する。

 

ジョセフ「わかった。小町に任せよう。全員、スージーを守りながらスタンドを出して待機じゃ。特に材木座。お前さんは一度死んでおるのじゃ…。お前は結衣を守っておれ」

 

さすがはジョセフだね。全員の疲労…。特に精神的な疲労が半端じゃあないことを見抜いている。千葉村の戦いは小町以外は転生してから初めての実戦だった。それに、結局お兄ちゃんを助けられなかった悲しみが強い。特に、自分が柱の一族に覚醒してしまってお兄ちゃんを失う原因になった結衣さんと、結衣さんに吸収される形で一度死んでしまった材木座さんの疲労…そして、重傷を負ったペットショップちゃんと、エシディシとの戦いで異変があったスージー…けーちゃんの疲労は特に大きい。第一、スージー…あなたは戦闘向きじゃあないでしょ?

自分でも気が付かない疲労は全員を確実に蝕んでいる。一番疲労が少ないのはダメージらしいダメージを負っておらず、戦闘経験も豊富な小町とジョセフだ。

それに……気に入らないんだよね…毎回話を聞かないでドンパチ仕掛けてくるボーダー…特に三輪隊は。最終的には和解してるけどさ。

 

小町「ぴょっ!」

 

小町はまだ臨戦体勢に入っていない米屋さんの懐に入り込む。

 

米屋「は、はや……」

 

全力で走れば高速道路の車並みに走れる小町だよ?歴代波紋使い最強をなめるな!大体、なんで敵と認識している小町達に姿を出していながら戦闘体勢に入っていない!私に対しての無防備は、死の覚悟が必要なり!

 

小町「コォォォォォ…太陽光の赤の波紋疾走(サンシャインルビー・オーバードライブ)!ゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミ!」

 

米屋「がっ……………!」

 

トリオンは波紋と同じで生命エネルギーを具現化したエネルギー…。同じ生命エネルギーの波紋ならば、トリトン武器じゃあなくても…ましてや生身でもダメージを与えられる。

一気にトリオンがなくなり、ベイルアウト。

 

米屋陽介…再起不能(リタイア)

 

三輪「なっ!トリトン体じゃないのに…」

 

小町「喋ってるなんて余裕だね?サンシャイン・ルビー!」

 

小町はサンシャイン・ルビーを出して三輪さんの体を掴む。

 

三輪「なっ!何かに掴まれているように引っ張られる!」

 

小町「スタンド……超能力を具現化した精神エネルギーを具現化したもの…スタンドはスタンド使い以外には見えないしスタンド以外ではダメージを与えられない…こっちが生身だと思って油断しているからこんなことになるんだよ。仲間の攻撃で…再起不能になりなさい」

 

スナイパーの小町を狙う射線に三輪さんを入れる。

 

パァン!パァン!

 

頭と心臓を撃ち抜かれて三輪さん。

 

小町「ゴミゴミゴミゴミゴミィ!」

 

小町は狙撃された三輪さんを引きずり倒して手足の骨を踏み折り、最後に頭を踏む。トリオン体で気絶?白々しい。

 

バリバリバリバリバリバリ!

 

三輪「ぐあああああああ!」

 

悲鳴すら上げながらベイルアウトする三輪さん。

 

三輪秀次…再起不能(リタイア)

 

ジョセフ「Oh my god…八幡以上に容赦ないのう?相変わらずじゃな…リサリサ先生…っと、狙いをワシらに変えたか…甘いのう」

 

ターン!

 

ジョセフは全員の前に立って狙撃を受ける。だけど、無駄だ。ジョセフもハーミット・パープルのツタを体に巻き付けて波紋を流し、ガードする事によって狙撃をガードする。

 

ジョセフ「小町が言っておったじゃろ。スタンドはスタンド以外ではダメージを与えられん…と。幻影の波紋じゃ!」

 

ジョセフは全員の姿をハーミット・パープルで覆い、念写と波紋の力で消す。最近、ジョジョお姉ちゃんのアイデンティティーが下がってきてない?

 

小町「トリトン体のスナイパーが二人…指2本分で充分かな?」

 

小町はサンシャイン・ルビーの指を隠れながら移動している2つに気配に向ける。

 

小町「飛び道具ならこっちも持ってるよ。世界最強の飛び道具がね…ルビーレーザー!」

 

シュウウウウ……

 

1秒で地球を7周半すると言われる光。光の速さで飛ぶ数万度の熱線のレーザーが恐らくは奈良坂さんと小寺さんであろう二人を襲う。一瞬だけ発射された目で見えない熱線を受けたスナイパーは、自分の身に何が起きたかわからないだろう。気配がなくなった。ベイルアウトしたようだね。

 

奈良坂透…再起不能(リタイア)

小寺章平…再起不能(リタイア)

 

三輪隊…小町一人に完敗。再起不能(リタイア)

 

その後も小町は他のボーダー隊員を一方的に叩きのめして死体(死んでない)を山積みにする。

うん♪分かりやすい死屍累々が完成♪

 

ジョセフ「ここまでやる必要があったかのう?」

 

小町「やり過ぎちゃった♪てへっ♪」

 

ジョセフ「徐倫なら拳骨をおとしておるぞ?それにどうするんじゃ?この後始末……」

 

小町「ボーダーを壊滅させる?」

 

ゴンッ!

 

ジョセフは小町に拳骨を落として来た。

痛い……母親の生まれ変わりに拳骨はやめてよ…しかも鋼鉄製の義手で。

違う…この役目はお兄ちゃんのポジションだ…やっぱり主人公の役目?(メメタァ!)

 

ジョセフ「どこまで平行世界が嫌いなんじゃ!エリザベス・ジョースター!」

 

小町「前世の名前をフルネームで呼ばないでよ。おじいちゃん♪」

 

ゴンッ!

 

ジョセフ「カワイイ顔してもダメじゃ!何がおじいちゃんじゃ!この凶悪娘が!段々八幡に似てきておるぞ!性格も容赦なさも!」

 

そりゃあ妹ですから♪

 

八幡「こ……これは……酷すぎる…これを小町がやったのか……」

 

出てきたね?この世界のお兄ちゃん…それに陽乃さんとお姉ちゃん…いや、いろはさん…。

 

小町「初めまして、ゴミィちゃん。小町は平行世界の比企谷小町。小町にとってはあなたは霊長類ヒト科のアカノタニン。小町を邪魔するなら始末するよ。そこにあるゴミの山のように。小町は愛するお兄ちゃんの魂を探したいだけ。邪魔をしないなら再起不能にはなってもらうけど、何もしないと約束するよ」

 

八幡「お兄ちゃん?ジョジョの事か?」

 

!!!

小町の中にあるお兄ちゃんの魂の欠片が共鳴する。

 

ジョセフ「小町……遅かったみたいじゃ。既に八幡の魂の欠片はこっちの八幡の中に取り込まれておる…確実に厄介じゃぞ?これは……コーラを飲んだら必ずゲップするように確実にじゃ…」

 

どうするかな……ゴミィちゃんを殺してお兄ちゃんの魂を回収する……はっ、小町の考えを読み取ったジョセフに睨まれたから却下だ。どうしよ……。

 

八幡「連行しろ」

 

とりあえず、大人しく捕まっておくかな?今はね?

 

←To be continued



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番外編:2


このコラボに関しては、僕のリアルでの事情もあり全て本城淳さんに執筆して頂いております。

またこちらの視点と、本城さん側の視点で書かれているので本城さんの方でも読んでみて下さい!!


side忍田 真史

 

私の前にいる1つの集団に私は内心冷や汗をかきまくっていた。

一見すると比企谷隊の隊長、比企谷八幡の妹の小町さんだ。だが、目の前の彼女は明らかに別人だとわかる。あの子の持つ愛らしさ、人懐こさがまったく感じられない。あるのは鋭利な日本刀を思わせる冷たい視線。

この子はただ者ではない。私の勘が正しければいくつもの修羅場を駆け巡り、息をするように人を殺すことが日常の人間がする目だ。

他にも知っている者もいる。

技術開発部にいる材木座義輝君…。彼にしては大分痩せているからすぐに別人だとわかった。

次に川崎大志君。彼は確か先日の入隊試験を受けていたはずだ。だが、彼の瞳も実戦を経験したことのある戦士のような目だ。甘さがない。

後は……職場見学の時にトラブルを起こした雪ノ下家のご息女で比企谷隊のアタッカー、雪ノ下陽乃君の妹、雪ノ下雪乃さんの友人、由比ヶ浜さん…だったかな?彼女は他の知っている人物に比べればまだこちら側だ。だが、やはり纏う雰囲気は何らかの実戦をこなしたことがある雰囲気だ。動きにも訓練された者の形跡がある。

後は……何故かこんな集団の中にいるのかわからない幼女と隼、それに初老のおじいさんだ。

おじいさん…確かジョセフ・ジョースターさんと言ったか…。ジョセフさんもヤバい雰囲気を纏っている。態度もおどけて隙を見せているように見えるが私は誤魔化されない。

一見好好爺に見えるその目付きは比企谷小町君のそれと同質の鋭利な物。いや、それ以上だ。隙なく周囲に目線を張り巡らせ、僅かな隙も逃さない。その頭の中ではどんな策が思い付いているのだろう。

そのヤバさは隣に座る城戸司令も気付いている。立場上たじろぐ訳にはいかないが…。

 

城戸「とんでもないことを仕出かしてくれたな…ボーダーの隊員の実質半数近くが君達にやられた。もしベイルアウトシステムで本部まで転送されるシステムを実装していなければ多数の怪我人が出ていただろう」

 

普通なら誰もがそのヤクザ顔負けの雰囲気に飲まれてビクビクするであろう城戸司令の態度も、比企谷小町君はふざけ半分で答える。

 

リサリサ「まぁ、あなた達みたいに小町達は甘くないからね。きっかり気絶するまでは相手を攻撃するのを小町達はやめないから」

 

熟練の戦士の考え方だ。どこまでの経験を積めばそんな容赦のない考え方ができる。そして、実行に移せる…。

うちの隊員達では敵わないはずだ。潜ってきた修羅場が違い過ぎる。

 

城戸「自分が何をしたのかわかっているのか!」

 

リサリサ「わかってるよ?あなた達は違うけど、大半の人達はベイルアウトが出来る関係からみんな本気で死の危機感が足りない。精鋭と呼ばれる人達も、自分が死ぬことを考えていない。だから身を守る事が疎かになるし、心のどこかで隙ができる。そこがボーダーの弱点。大体良いの?小町達をここに入れて。ボーダーのシステムが集中している場所でしょ?破壊されたら終わりじゃあないの?」

 

比企谷小町君の雰囲気から殺気が漏れだす。こ、これは……この私ですら飲まれる殺気…。

 

ジョセフ「やめんか!」

 

ゴン!

ジョセフさんが小町君に拳骨を落とす。雰囲気が一瞬だけ漫才を思わせる状態になる。だが、小町君…いや、エリザベス・ジョースターと名乗ったかな?エリザベス君の言っていることは脅しでも何でもないのがわかる。

奈良坂君達が一瞬で倒されたあの攻撃…。1キロはあった距離にある途中の遮蔽物は全て溶かされ、二人を射ぬいていた。あんなことはブラックトリガーでも中々お目にかかる事はない。本気を出せばボーダーは壊滅される。エリザベス君の目は本気だ。

 

城戸「下手なネイバーより質が悪いぞ!忍田くん。君ならば何とかなるかね?」

 

忍田「…………無理ですね。戦闘記録を見ましたが、三輪隊を含めてなす術なく完敗しています…。本当に比企谷小町かと疑いたくなる…」

 

無茶を言ってくれる。生身でオリオン体をあっさり破壊する人間にどう立ち向かえというのだ。超能力のように三輪君を持ち上げた力だってわからない。スタンド…とか言っていたが、あれはまずい。何をされたのかわからないのが一番まずい。私ではなす術なくやられる。

 

城戸「く……聞けば君達は比企谷隊長に取り付いているパラレルワールドの比企谷八幡の魂を回収しに来たらしいが」

 

その話も信じられないな。だが、比企谷隊長も謎の気絶をしている。妹がこれなんだ。その比企谷八幡もただ者ではないだろう。

 

リサリサ「取り憑いたとかお兄ちゃんを悪霊みたいに言うのは止めてくれないかな。始末するよ?そもそもこの事態だって三輪さんを始めとしてそっちから仕掛けてきたからおもしろはんぶ………楽し………………仕方なく返り討ちにしただけじゃんか。何で小町達が悪者扱いされなきゃなんないか教えて貰いたいんだけど?」

 

今、面白半分とか楽しくとか言いかけなかったか?この娘は。

 

シーザー(大志)「師匠……本音が出てますよ?あの人達ボコるとき凄い生き生きとしてましたもんね…」

 

スージー(京華)「リサリサ様、楽しそうだったー♪」

 

シュトロハイム(材木座。以下SH)「ドSなのは相変わらずだな…」

 

この集団は……

 

城戸「く……」

 

エリザベス君が指を城戸司令に向ける。記録映像にあった謎の攻撃でもそれをやっていた。トリオン体にならなくても出来る攻撃……まるで銃口を突きつけられた気分であろう城戸司令の額にも脂汗が浮かんでいる。

 

忍田「その件についてはこちらの落ち度だったことは認める。だが、被害が甚大すぎる…君の攻撃に対して何故か隊員達が負傷しているのだ」

 

これがわからない…ベイルアウトして緊急脱出した者達が何故肉体にも負傷が出ていたのか…。

 

リサリサ「スタンドの特性が出たんだね。スタンドが受けたダメージは本体にもダメージが行くから。そうできないようにすることも出来るけど、ちょっと頭に来たからね。教訓を与える事も兼ねて本体に死なない程度にダメージが行くように攻撃した。話も聞かないで襲ってくるから容赦する気は無いからね」

 

トリオン体のダメージが肉体にも現れる。ボーダー殺しもいい加減にしてほしい。それに、何の教訓だ?

 

忍田「それは何故かな?」

 

リサリサ「安全性優先のベイルアウトシステムは素晴らしいと思うよ?だけど、だからと言って戦闘で致命傷を負ってもベイルアウトするだけだから大丈夫……。そんな考えがどこかでちらついているから米屋さんや三輪さんみたいなミスを起こすんだよ。戦う姿勢が気に入らないんだよね」

 

ジョセフ「覚悟か……。戦いに身を置くならば、敵を倒すというのであれば、逆に自分も始末される覚悟を常に持って戦いに望むべし…ベイルアウトとか言う安全がある程度保証されているのであれば覚悟は養われない。小町はそう言いたいのじゃな?」

 

バカな…ボーダー隊員は四年前の大規模侵攻を知っている。だから命懸けでネイバーのトリオン兵と戦っているのだ。それをまるでごっこ遊びのように…。

 

忍田「そうでないと信じたいところですが…」

 

私は沸き上がる怒りを飲み込み、努めて冷静に言った。

 

リサリサ「だったら小町達に姿を現した段階で臨戦体勢を取るべきだったんだよ。対応が取れていたのは奈良坂さんと小寺さんだけ。それについてはどう思いますか?忍田さん」

 

忍田「……まさか生身でトリオン体を撃破出来るものがいるとは考えないだろう?」

 

言ってから気が付いた。そこに慢心があったのでは無いのかと…。

 

リサリサ「ですが、現に生身の小町がトリオン体を完膚なきまでに叩きのめしましたよね?そこなんですよ。覚悟が足りないと思うところは。もしかしたら何か自分達の常識を覆す手段があるかもしれない。トリオン体だからといってベ必ずイルアウトする保証はあるんですか?この本部が破壊されたら?ベイルアウトシステムに異常が発生していたら?もしかしたらそんな異常を起こしているかもしれない。なのに、何故小町達に無防備のままでいられたのかが不思議です」

 

私はそこで黙ってしまう。確かにその通りだ。この娘が本気なら、ベイルアウトシステムを簡単に破壊できてもおかしくない。訳のわからない存在が現れたのなら、ノコノコと姿を簡単に見せるべきじゃなかった。

ましてや冷静さを失って連携も何もなく一方的に蹂躙される…戦闘集団にあるまじき行為…。

 

リサリサ「相手が勝ち誇ったとき、既にその人は敗北している。大人数で小町達を取り囲んで、武器を持っていた安心感から三輪さんを始めとして小町にやられた人達は油断して負けた。自分達がやられるなんて露にも思っていなかった。覚悟がなかった。違いますか?」

 

確かにだ…。そして、この娘はそんな戦いを何度も経験している。うちの隊員では絶対に束でかかっても正攻法では勝てない。

 

忍田「君の言い分はわかった。ボーダーの方に非がなかったわけでも無いのは認める。だが…このままではボーダーは壊滅だ。隊員の半数近くが肉体、トリオン体共にボロボロでしばらくは防衛任務には出られない。聞けば君達の目的は比企谷隊長の中に眠る君達の世界の比企谷隊長を回収すること…どうだろうか?君達、ボーダーに臨時隊員として入隊する気は無いか?君達は比企谷隊長の側で魂の回収方法を試せるし、その間の身分やこの本部や三門市限定ではあるが、ある程度の行動の自由は許可しよう。その代わり、毎日防衛任務に入ってもらい、我々は欠けた戦力を取り戻す合間の防衛力を補える。

今回は話を聞かずに我々は君達に攻撃しようとした。対して君は過剰防衛の結果によってこちらに甚大な被害をもたらした。互いの落としどころはこんなところにしたいが、どうかな?」

 

城戸「忍田くん!」

 

私の提案に城戸司令は激昂する。しかし、これが実戦なら負けていた。いや、もう既にボーダーが負けている。ならば円満に落とし所を決めなければ我々に明日はない。幸い彼らはネイバーのトリオン兵ではない。話は通じる。交渉の余地はある。

 

忍田「城戸さん。彼らは生身でトリオン体を破壊できる程の力を持った人間。ならば、正規隊員が治療を終えるまでの間だけでも穴埋めをし、目的を果たして帰って貰えば良いとは思いませんか?元々彼等はこの世界とは無関係の人間です。互いが妥協点を出さなければ、どちらにとっても最悪な結果になるでしょう。防衛任務の失敗がボーダーにとっては一番最悪な結果、ネイバーとは違う異世界の客人にとってはそちらの比企谷隊長の魂の回収を失敗することが最悪な結果。落としどころはここだと思いますが?」

 

私の話で向こう側のエリザベス君を見る視線が冷ややかだ。良かった…。相手が良心の残っている集団で。

もしそうでなければ今日がボーダーの命日だっただろう。この集団の強さは強さや技ではない。戦う事への覚悟が違い過ぎる。

ネイバーではないが、ネイバーに近しいスタンド使い。

ニアー・ネイバー・スタンドユーザー…略してニネス。

私は彼らをそう仮称することにした。

 

 

side比企谷八幡

 

比企谷隊隊室

 

エリザベスと名乗る集団を捕獲した俺達比企谷隊は、自分の隊室に戻って待機をしていた。だが、あれはわざと捕まった…。三輪達を含めていくつもの隊を完膚なまでに全滅させたあいつらが、そんなに甘いものじゃないのはわかっている。俺は上着を脱いで凝った肩を解しながら、自分の状況を隊の皆に話した。

遥は現在は広報の方で駆り出されている。奴らのやらかした事に関することでバタバタだろう。くそっ!せっかく今日は遥が晩飯を作ってくれることになっていたのに!

 

陽乃「へぇ…ちょっと信じられないかな?八幡君の中に別の八幡君がいるって…。でも呼び出された材木座君が確かに二人いたし、小町ちゃんがあんなに強いわけがないし…別人と考えたほうが自然なのか」

 

ジョジョの奴が陽乃さんの事を評価している。こいつの話を信じるならば、こいつは何度も別の平行世界の俺達と会っているらしい。中にはこの世界に似た世界もあり、大抵の場合は陽乃さんは味方のようだ。大抵の場合は…ということは敵の場合もあるということか。

 

いろは「ふぅん……でも、何か気持ち悪いですね?自分ではない自分がいきなり現れるって」

 

一色の言うとおりだ。実際気味が悪い。こいつは俺であって俺じゃない…。だが、こいつはボーダーのある世界の中では俺の事を気に入っていると言っている。ある一点だけ……相容れない部分…多分だが、人殺しの部分だろう。こいつは人殺しをしてきている。しかも、わりかし日常的に…。

人間関係にも興味があるようだ。特に何故か一色には思い入れがあるように感じる。かわいいのは認めるけど、一色に?俺が?ないない。

こいつの独り言を聞いていると一色の場合は味方か赤の他人の場合が殆んどらしい。特にこのボーダーの世界の場合は。

中には二人とも敵対関係の場合もあるとか。信じられんな。

 

めぐり「比企谷君は体に異変とかはないの?」

 

八幡「いえ、特に異常とかはないですね。たまに性格の悪い声が聞こえるだけで」

 

ジョジョ『性格が悪いとか…誉めるな…照れるぞ』

 

性格が悪いとか言われて喜んでやがる!

 

八幡『誉めてねぇよ!』

 

ジョジョ『うん。知ってる』

 

まじでムカつく奴だな!

 

ジョジョ『なぁ、ちょっと良いか?』

 

八幡『あ?何だよ。テメェの妹のせいで帰れなくなったから虫の居所が悪いんだが?』

 

ジョジョ『それは小町…リサリサに言ってくれ。まぁ、そう喧嘩腰になんなって。それならこうしないか』

 

八幡『葉山かテメーは』

 

ジョジョ『ブラボー!オー!ブラボー!』

 

カチン!

 

八幡「てめぇ!ホントに舐めてんだろ!」

 

いろは「ひゃっ!せんぱーい!急に大声出さないでくださいよ!ビックリするじゃないですか」

 

本当に声を上げてしまい、一色を驚かせてしまった。

こいつ…マジで気に入らねぇ。だが……とんでもなく強い…それだけはわかる。肉体的な強さとかそう言うのではない…。精神的なヤツだ…。こいつでも三輪隊はあっさりやられていた…殺気が半端じゃない。

 

ジョジョ『悪かった。本気で聞きたいことがあったんだ。この世界の事だ。この世界の情報が何一つとしてわからん。出来れば教えて欲しい。』

 

今度は本気の問いかけだ。

 

八幡『ち……何を聞きたい』

 

ムカつく奴だが、聞かれるからには答えてやろう。

俺は色々と聞かれ、この世界の事を教えてると同時に、逆にこいつの環境も掴めて来た。

こいつが言うには他にもいくつもの世界があるが、その中でも基準となる基本世界というのがあるらしい。その世界と俺達でも大分違うようだ。

 

ジョジョの世界=基本世界=俺達の世界

 

ジョースター家?とそれなまつわる歴史やSPW財団?

ある=あるが関わりなし=なし

ジョースター家はともかく、そんな世界トップの財団があるならばボーダーが掴んでいないわけがない。

 

スタンドや波紋の存在

ある=あるが関わりなし=なし

そうか…エリザベスとかという偽物小町が使ったのはその力か…。しかし、その能力の異質さはなんだ…。1つ1つがブラックトリガークラスじゃないか!時を止めたり触った物を爆弾に変えたり…。

 

ヴァレンタイン大統領

在任中=大統領は別人(存在はしている)=別人(多分いない)

このアメリカ大統領が偽物小町を連れてきたのか。早くこいつを連れ帰れよ。

 

ボーダーの組織とネイバー

なし=なし=ある

ネイバーの侵攻はないのか…。だが、1つ1つがブラックトリガー並の能力が当たり前の世界とどっちが良いかと聞かれれば…悩むな…。

 

三門市

なし=なし=千葉にある

三門市がない……だと?

 

次に俺を取り巻く環境。

 

総武高校

全てあり

まぁこれには驚かん。

 

奉仕部

副部長…というかジョースター家や財団が半ば私物化=部員=半幽霊部員

はぁ?あんな部活の副部長?俺なら死んでもごめんだがな。

 

幼なじみ

いろは、静・ジョースター、小町、仗助、同列扱いで陽乃さん=小町=綾辻、小町、同列扱いで一色、陽乃さん、城廻先輩、ボーダー数名

遥がいない……だと?………うけねぇ。俺に死ねと言ってるのか?その世界は。静・ジョースター…か。どうせこいつと似たようなもんだろ?(正解)

 

葉山グループとの関係

三浦と海老名は仲間で他は半ば敵対で今後次第=微妙な関係だがほぼ他人=敵対

はぁ?三浦が仲間?冗談だろ?こいつの環境にはマジで訳がわからねぇ。

 

平塚静との関係

敵対=顧問=顧問

おいおい……。三浦が仲間なのに平塚先生が敵とか…。一応は話はわかる人だと思うんだけどな。

 

戸塚、川崎兄弟、材木座先輩との関係

仲間=友人関係=仲間、または仲間候補

これは同意だ。材木座や川崎はともかく、戸塚は天使。誰が何と言おうと戸塚は天使…。はぁ?前世はロンドンのチンピラだった?ふざけてるのか?

 

静・ジョースターの存在

幼なじみで相棒=いるが他人=不明(多分いない)

相棒……ねぇ。やっぱり録なものじゃなさそうだ。

 

比企谷八幡の彼女

一色いろは=なし=綾辻遥

はぁ?遥がいないってだけでも狂いそうなのに、その上一色が彼女…というか婚約者?マジで?

 

裏の顔

SPW財団関東支部支部長=なし=ボーダー比企谷隊隊長

既に大学を卒業しているとか…チートか!それに世界的財団の関東支社の社長!?雪ノ下建設を吸収して下部支社の傘下に収めてる!?財団だけ寄越せ!もっと寄付をしろよ!

 

そして、ここが重要。こいつらは雪ノ下と由比ヶ浜も仲間として扱ってる…だと?あのくそどもを?

自分が全て正しいと思っている勘違い女と、自分の思い通りにならなければすぐにキモいとか言い出すアホな女を?マジで?

あれ?確かこいつを助けに来た集団の中に由比ヶ浜がいたよな?マジかよ…。一人だけでも胸くそ悪いのに、よりにもよってあいつが来たのか…。置いて来いよ。

あー…胃が痛い。

 

綾辻「八幡いる?」

 

八幡「遥か…どうした?」

 

綾辻「あれ?八幡…首の裏にこんな星形の痣なんてあったっけ?それに耳にある3つ並んだほくろも…」

 

はぁ?そんなものがあるならとっくの昔に気付いているぞ!?

 

八幡「何だって!?俺にはそんなもの無かったぞ!?ジョジョ!お前の仕業か!」

 

ジョジョ『あー、俺の体の特徴が出ちまってるな。ジョースター家の特徴とディオの特徴だ…それ』

 

八幡「………野郎、ジョジョ……」

 

無駄な物を人に付けやがって…。

 

綾辻「それよりも大変!あの変な人たちが臨時の隊員になっちゃったの!」

 

遥の背後から、あの集団がボーダーの制服を着て入ってきた。なんでボーダーの制服を着てるの?

 

リサリサ「ど、どうも~…今日から皆さんが復帰するまでの間、臨時でA級部隊になった『アーシス戦闘潮流エリザベス・ジョースター隊』の比企谷小町…じゃあなかった、エリザベス・ジョースターで~す…」

 

気まずそうな顔をしたエリザベスが入ってきた。ジョジョがヤレヤレだぜ…とか言っているが、こっちがヤレヤレだぜだよ!ふざけるな!

 

←To be continued



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番外編:3

本当におんぶに抱っこになってしまっているこのコラボ……。

本当に申し訳ないです…


side比企谷八幡

 

リサリサ「ど、どうも~…今日から皆さんが復帰するまでの間、臨時でA級部隊になった『アーシス戦闘潮流エリザベス・ジョースター隊』の比企谷小町…じゃあなかった、エリザベス・ジョースターで~す…」

 

小町がそう言うと、俺も一色も、陽乃さん、めぐりさんもひきつった顔をした。

冗談にしても笑えん。

 

八幡「小町のカワイイ顔も、お前だと悪魔にしか見えないな。何の用で来た?」

 

中身が違うと言うだけでカワイイ小町も途端に憎らしくなる。

 

リサリサ「ええっと……一応挨拶を……」

 

いろは「要りませんよ。というか、先輩の中にいる悪霊の魂を回収して早く帰ってくれませんか?ボーダーの隊員の半分近くを壊滅させてボーダーA級の隊員になるとかホント意味がわからないのでやめてくださいごめんなさい」

 

一色の早口お断りがこんな形で出るとはな。

 

陽乃「わたしも勘弁して欲しいかな?出来れば小町ちゃんを拒絶するのは嫌だけど、あなたを見ているとイライラしてくるの。私なんかじゃ歯が立たないのはわかってるけど…正直今すぐにでもトリガー起動したくてウズウズしているのが本音かな?」

 

陽乃さんの気持ちは気持ちはわかる。それに対してこの小町は好戦的な目をしている。来るなら来てみろ…と。押さえているであろうに殺気が隠しきれていない。

本当に化け物だ。

 

ジョセフ「済まんかったのう。うちの小町が好き放題してしもうて…。この場は何を言われても甘んじて受け入れるつもりじゃ。じゃから、話だけでも聞いて欲しいんじゃがダメかのう?」

 

これまで黙っていた知り合いじゃないこの中の唯一の年長者であるおじいさんがため息をついて話に入ってくる。一見話が通じそうな人だし、顔は笑顔だ。だが、このじいさんもただ者じゃない。目の眼光が鋭すぎる。

 

遥「あなたは?」

 

ジョセフ「ワシはジョセフ・ジョースター。奇妙だが、ワシの世界での八幡の前世の孫で、このアホ娘の前世の息子じゃ。こう見えてももうじき百歳になる」

 

前世とかよくわからん。それに、百歳のジジイにはとても見えん。

 

八幡「百歳…どうみても50代くらいにしか見えん…」

 

そう、どうみても初老の感じだ。

 

八幡「それで、話って何ですか?ジョースターさん…で良いんですよね?」

 

ジョセフ「もちろんじゃ。それで話というのはじゃな…」

 

ジョセフさんは忍田本部長との話を俺に伝える。

それを聞いて怒りがこみ上げる。

一色と陽乃さんも同じなのか顔を怒りに染め、めぐりさんも遥も困った顔をした。

 

八幡「お前らがボーダーのA級?ふざけるんじゃない!今日いきなり現れていきなりA級なんて誰も認める訳がないだろ!」

 

ふざけるな。ボーダーのシステムでは最初は訓練生としてC級でポイントを稼ぎ、B級になってからも防衛任務をこなしながら他のチームと競いあって数少ない枠を取り合って初めてなれる。こんな例外なんて認めたら、他の苦労している隊員に示しがつくか!

それもネイバーみたいな存在が、他のチームを潰してその座を手に入れるなんて。

 

遥「それが……忍田本部長の判断らしくて…。他の隊が復帰するまでは代わりに防衛任務にあたって責任を取るようにって……」

 

八幡「忍田本部長が!?何を考えてるんだ?」

 

遥「それで八幡には忍田本部長から特別任務が付与されたの。これが命令書」

 

八幡「俺に?見せてくれ」

 

遥から受け取り、それに目を通す。

 

命令書『比企谷隊特別命令。比企谷八幡、雪ノ下陽乃、一色いろは、城廻めぐりは異世界から現れたジョセフ・ジョースター、比企谷小町ら6名と一羽(以下エリザベス・ジョースター隊)のボーダーにおける隊務の公私における支援及び監視の任を与える。なお、その際におけるランク戦等を含める私闘については禁止はしないが、一切の責任をボーダーは負わない。極力トラブルは避けるように』

 

八幡「なっ…!!」

 

この特例を認めたということは、実質、ボーダーが敗北を認めたようなもの…。

それに内容を要約すれば…。

 

八幡「俺が……こいつらの面倒を見ろ……だと?」

 

こいつらが手に負えないのはわかる。太刀川さんクラスやブラックトリガー持ちが多数相手でやっと通用するタイプだ。

 

八幡『何を考えてるんだ!忍田さんは!』

 

ジョジョ『上手く負けたんだよ。忍田さんは』

 

八幡『上手く負けただと?ちっ……そう言うことか』

 

一瞬何を言っているのかわからなかったが、冷静になれば理解できる。最近そっちの方面で物を考える事は少なかったからすぐには理解できなかった。

 

ジョジョ『意味が解るのか?』

 

八幡『俺だってボーダー立ち上げの頃から関わってるからな。その辺りの政治的・戦略的な判断力は持ってるつもりだよ』

 

逆にこいつは何でわかる?と聞きたくなるが、考えてみれば当然だとも思った。世界的企業の関東支社の社長だなんて立場なら、政治的な判断が出来なければ話にならない。

 

八幡『今日のこいつら…小町と呼ぶのも抵抗があるな。ええっと…』

 

小町ではあるが小町だと思いたくない。

 

ジョジョ『エリザベス。言いにくいならリサリサと呼べば良い』

 

八幡『そのリサリサによって完全に敗北した。無条件降伏を受けても不思議じゃないくらいにな。そうはならないようにある程度の条件を受ける代わりに防衛任務に参加してもらうように上手く立ち回ったんだろ?上手く負けたとはこの事だ。完敗したが、駆け引きで何とか少しでも有利に動いたんだろ』

 

感情ではムカついて仕方がないが、現実的な落としどころとしてはこんなところだろう。

 

八幡『リサリサ達の目的はお前の回収。それが上手くいくように生活面や待遇を含めて支援する。だが、代わりにリサリサがもたらした被害の穴埋めをしてくれないと立ち回れないから手伝って欲しい。俺が死にでもしたら困るだろ?的な、簡単に言えばそんな内容だろ』

 

俺をダシにするのは気に入らないが、交渉の材料になるなら何でも使うくらいの気持ちは必要だ。でないとボーダーが社会的にも終わる。

 

ジョジョ『やっぱりお前は凄いな』

 

素直に誉められている気になれん。

 

八幡『嫌味か?』

 

ジョジョ『そんなんじゃあねぇよ。本気で感心してるんだ。頭に血が上っているだろうにそれを押さえ込んで状況判断をしている。立場が逆なら俺だってそう判断出来たかわからん。だから素直に凄いと思ったんだよ』

 

嘘つけ。そんな修羅場だってお前は日常的だろうが。変なお世辞は要らねぇよ。

そうこうしている内に奴らがどやどやと比企谷隊の隊室に入ってくる。図々しい人達だな。

 

ジョセフ「とりあえずどのくらいの付き合いになるかわからんが、自己紹介をしようかのう。ワシはジョセフ。ジョセフ・ジョースターじゃ。お前さんの中でねむっちょる比企谷八幡の前世、ジョナサン・ジョースターの孫じゃ。今は八幡の事を孫同然に可愛がっておる。しごきはするがのう。スタンド能力はハーミット・パープルの念者じゃ」

 

いろは「あ、あのぅ…スタンドって何ですか?」

 

普通はそうだろうな。いきなりスタンドと言われても電気スタンドかガソリンスタンドくらいだろ。

 

ジョセフ「う~む…一言で言えば超能力じゃ。ビジョンのある超能力で能力はいろいろある」

 

陽乃「サイドエフェクトみたいなもの?」

 

サイドエフェクト?聞いた限りの能力だったらそんなんで済むか!

 

八幡「そんなカワイイものじゃない。この人達の俺、ジョナサン・ジョースターと名乗ってるが、そいつの話を要約するとブラックトリガーも良いところだ」

 

三輪達がやられたデータを見てみてもブラックトリガークラスとしか言いようがない。

 

ジョセフ「そうかも知れんの。スタンドの説明を続けるぞ。スタンドを使うものはスタンド使いと言う。スタンドはスタンド使いにしか見ることは出来ない。スタンドにダメージを与える事が出来るのはスタンドのみ。スタンドにダメージか入ると本体にもダメージが入る。スタンドは一人につき1つ…なのじゃがジョナサンは二つのスタンドを持っておる」

 

見えないし触れられない…でも待てよ?あの時、確かに見えたぞ?リサリサに引っ込む化け物のような赤い人間が…

 

めぐり「見えないしダメージを与えられないって…本当にブラックトリガーじゃないですか」

 

リサリサ「例外もあるよ。一般人に見えたり触れたりするスタンドも」

 

それだって録な物じゃなさそうだがな。

 

いろは「信じられません!なら見せてください!」

 

ジョセフ「見られれば良いんじゃがのう。ハーミット・パープル」

 

ジョセフさんの右手から紫色のバラのようなトゲ付きのつたが出てきた。

 

八幡「なっ!なんだその紫色の蔦は!」

 

ジョセフ「ほう、スタンドが見えるのか」

 

あれがスタンドというものか…。やっぱりリサリサから出ていたのもスタンドだったんだな。

 

ジョジョ『たぶん、俺の影響だな。俺の影響でお前は俺のスタンドを使うことが出来るかもしれない』

 

八幡『ブラックトリガーが二つ増えたような物か…ゾッとするな…』

 

ブラックトリガー級が二つかよ。ジョセフさんのは大したことが無さそうだが。

 

ジョセフ「どれ、そっちの八幡よ、お前さんのスマホを貸してみい」

 

八幡「あ、ああ…」

 

俺はスマホをジョセフさんに渡す。するとジョセフさんはスマホにスタンドのいばらを巻き付けて写真を撮影する。何してんだ?置きっぱなしのスマホで写真を撮影したって真っ黒な画面が写るだけだろ。

 

ジョセフ「ほれ、これがワシの念写じゃ。次にお前さんは『バカな!置いたまま撮影したから写っているのは真っ暗な画面のはずなのに何故俺が写っている!』と言う」

 

ジョセフさんは撮影した画面を俺に見せた。

 

八幡「バカな!置いたまま撮影したから写っているのは真っ暗な画面はずなのに何故俺が写っている!…はっ!」

 

このじいさん…俺の言う言葉を先に言って当てやがった。ただのじいさんじゃないとは思っていたが…

心を見透かされた気分になるっていうか、相手に恐怖心を持つっていうか…。やはりこのじいさん、心して対応しないと良いようにやられる…。

リサリサ以上に修羅場を潜り抜けていると見ていい。

 

ジョセフ「昔は1つ300ドルもするポラロイドカメラをぶっ壊してやっと念写が出来る経済に優しくない能力じゃったが、今じゃワシの能力が成長したのか科学の進歩によるものなのか。で、ほれ。何が写っておるかね?」

 

それには、スタンドを出しているオーラを放ちながら、本来ではあり得ない俺の姿が写し出されている。見たことのないスタンドも……。

 

八幡「な……ジョセフさんと同じ紫のいばらと黄色い人間……?」

 

ジョセフ「八幡のハーミット・パープルとザ・ワールドじゃな。じゃが、おかしいのう。ザ・ジェムストーンじゃあ無いんじゃな」

 

ジョジョの本来のスタンドとは違うのか…。

 

八幡「これが……ジョジョのスタンド…」

 

ジョセフ「少しは信じて貰えたかね?いろはに陽乃、めぐりよ」

 

ジョセフさんがそう言うと、三人は気味悪そうに頷いた。初対面の人間に名前を呼ばれれば気味悪いのは当然だが、このスタンド能力が見えないながらも普通じゃ無いことが分かったのだろう。

 

リサリサ「次は小町だね。小町は比企谷小町。だけど、同一人物がいるから前世のあだ名のエリザベス・ジョースターで良いよ。前世はジョセフおじいちゃんの母親で、お兄ちゃんの前世の義理の娘。スタンド能力は…一言で言うのは難しいなぁ。まぁ、波紋でいいや」

 

また新しい単語が出てきた。

 

八幡「波紋?」

 

ジョジョ『長くなるから後にしてくれ。波紋なら俺も使えるから後で教えてやる。トリオンに似たエネルギーを呼吸法でコントロールする技術だと思え』

 

胡散臭い技術だな。だが、三輪達は確かに生身のリサリサになす術なくやられていた。それが波紋…なのか?

 

八幡『そんな技術が……』

 

SH「次は自分だな。自分は材木座義輝。前世はナチス軍人大佐のシュトロハイム。スタンドはガンズ・アンド・ローゼズ。能力はターミネーター2のT-1000に変身するとでも思うが良い」

 

ジョジョ『一般人でも見えて触れるタイプのスタンド能力だ。稀にそういうタイプのスタンドがある』

 

八幡『T-1000だと?倒す方法があるのか?』

 

あの映画は俺も見たことがある。T-1000の無敵性はとんでもない。

 

ジョジョ『簡単な方法は生身の時に倒すくらいしか思い付かんな。倒す方法も無くは無いが…』

 

あるのかよ。T-1000倒す方法が。溶鉱炉か?

 

シーザー「俺は川崎大志ッス。前世は波紋の戦士、シーザー・アントニオ・ツェペリ。スタンドはビッツロール・トパーズ。能力は手に触れた物を圧縮する能力ッス」

 

八幡『圧縮か。それなら大したこと…』

 

ジョジョ『あるよ。その手で人体に触れてられてみろ。神経とか血管とかを無視して圧縮されたらもげるぞ』

 

八幡『あれもブラックトリガークラスかよ…大志のクセに…』

 

あの害虫がぁ……。

 

ジョジョ『ん?川崎兄弟とは会ってるのか?ならあの子とも?』

 

ん?誰だ?あの子。川崎の関係者なのか?

 

スージー「はーい!けーかはねー。川崎けーかって言うんだよー。前世はジョセフおじいちゃんのお嫁さんのスージーQっていーまーす!スタンドはねぇ。リーリャウロン・アクアマリンって言うの~!のーりょくはみんなをにこにこさせる爆弾だよー」

 

八幡『川崎や大志の妹か。能力もカワイイものだな』

 

ブラックトリガークラスばかりのスタンド能力ばかりの中で、ノーマルトリガー以下の能力は微笑まし……

 

ジョジョ『八幡、けーちゃんを絶望的なまでに怒らせたり悲しませたりするな。あの子のスタンドはあの子自信が知らない禁断の力が眠ってる』

 

禁断の力?大袈裟な。

 

八幡『禁断の力?ブラックトリガークラスならもう驚かないが?』

 

ジョジョ『そうだな…ブラックトリガーなんかカワイイもの…とでも言っておく。リーリャウロン・アクアマリンにはレクイエムと呼ばれる究極形態が存在する。本来のレクイエムは手順を踏まなければならないが、あの子のレクイエムはそんなものを必要としていない』

 

レクイエム…。聞くからに恐ろしげな…。ブラックトリガーがカワイイものなんて…流石に嘘だろ?

 

八幡『ブラックトリガーすら生易しいだと!?どういう事だ?』

 

ジョジョ『強いとか弱いとか…そんなものは一切関係無いんだよ。けーちゃんのリーリャウロン・アクアマリン・レクイエムは……デュオロン・オブシディアン。自らに悪意を向ける者、敵意を向ける者に対して無数の手が伸びる…その手に捕まれば…問答無用で魂が永遠の地獄に引きずり込まれる……』

 

声が出なかった。問答無用で魂が永遠の地獄に引きずり込まれるって…。なんだそれは!だがその程度なら。

 

八幡『なっ!じゃあその手から逃れられれば…』

 

ジョジョ『出来ねぇんだよ。レクイエムがそう判断すれば確実に捕まる事が真実になるんだ。レクイエムに理屈は存在しない。絶対に逃げられない。それがスタンドの究極到達点の1つ…だから、絶対にけーちゃんを怒らせるな。永遠の地獄に引きずり込まれたくなければな』

 

理屈が通じない…睨まれればそれで終わりなんて…どれだけ質が悪い!本当に…

 

八幡『ブラックトリガーなんて目じゃない…何て存在を連れてきたんだ!』

 

ジョジョ『俺しかレクイエムを展開された空間を見ることが出来ないからな。発動させた本人すらも知らないんだよ』

 

八幡『……お前、何か隠してるな?』

 

こいつの言葉の穴を見つけた。何故禁断の力を知覚すること出来るんだ?本人すらも覚えてないことを。

 

八幡『だんまりか…まぁ良い。けーちゃんの件は分かった……』

 

そして、最後に一番聞きたくない奴の自己紹介が始まった。

 

ガハマ「あたしは由比ヶ浜結衣…。あたしは転生とかないんだ。だからあたしのことは…」

 

リサリサ「ガハマさんね」

 

ガハマ「……うん。それで良いよ」

 

ん?由比ヶ浜にしては大人しい…

 

リサリサ「結衣さん…冗談だったんだけど…」

 

ガハマ「ううん。あたしはガハマで良い…あたしには自分の希望を言う資格なんて無いんだから……だからあたしはガハマって呼んで…」

 

ジョジョの奴が何か悲しんでいる。だが…俺はこいつが…。

 

ガハマ「あたしのスタンドはリバース・タウン。能力は殴った相手の運勢を最悪に落とすこと…」

 

八幡「お前らしいイヤな能力だな」

 

言うつもりは無かったのについ言ってしまった。

 

ガハマ「ヒッキー……うん、あたしでもそう思うよ」

 

八幡「ヒッキーって言うな。俺はそのあだ名が嫌いだ」

 

ガハマ「うん……そうだよね。ごめんね、比企谷くん」

 

すぐに訂正してきた。うちの世界のあいつなら何度言っても聞き入れないんだけどな。

 

ジョジョ『おい、この由比ヶ浜はお前の世界の由比ヶ浜とは関係ない別人だ。何があったかはわからんが、今はそっとしてやってくれ。頼む』

 

!!

しまった…小町が小町じゃないように、由比ヶ浜も由比ヶ浜じゃない…この子にあたってどうする!

 

八幡『……そうだったな。確かに由比ヶ浜はこんなにしおらしくねぇ。あの面を見るとイライラしてついあたっちまった』

 

ジョジョ『ちっ……体を借りるぞ』

 

お前は引っ込んでろ。そう言外に含めて体のコントロールを奪われた。

 

八幡『何っ!』

 

体が……動かせない。いや、乗っ取られた!

 

ジョジョ「由比ヶ浜……。俺だ、お前の世界の比企谷八幡だ」

 

由比ヶ浜はうつむいていた顔を上げて奴を見る。

 

結衣「その目……ヒッキーだ……ヒッキーの目だ!」

 

由比ヶ浜は俺に抱きつき、わんわん泣き始めた。

おい、俺の目はどうなったんだよ!気になるじゃないか!

 

結衣「ヒッキー!ごめん……ごめんね!あたしのせいで…あたしが柱の一族なんかにやられたせいで……あたしを元に戻してくれてありがとう…でも、そのせいでヒッキーの魂はこんな事に……うっ…ううう……うわぁぁぁぁぁぁん!」

 

ジョジョ「違う!お前は悪く無いんだよ由比ヶ浜!俺が勝手にやったことだ!お前が責任を感じるな!」

 

ガハマ「………でも、あたしは自分を許せない……」

 

そう言って由比ヶ浜は泣きながら出ていった。

あまりの事に口を挟めなかった…。こいつがこんなことになったのは由比ヶ浜が原因だと聞く。だが、どうやら複雑な事情があるようだ。だが、それよりも…。

 

八幡『おい!早く俺の体を返せ!ふざけんな!』

 

ジョジョ『まぁ、後は俺の自己紹介をしてから返してやるよ』

 

口の端がニタァと笑うのがわかった。こいつ、マジで性格悪いな!

 

ペットショップ「クェェェェェ!」

 

けーちゃんの頭に停まっていた隼が俺の…というかジョジョの肩に停まる。

動物になつかれない俺にしてみれば珍しいこともあるものだ。

 

ジョジョ「後はこいつと俺の自己紹介だな。この隼はペットショップ。俺の愛鳥だ。スタンドはホルス神。能力は氷を生成し、操る事だ」

 

なにっ!?袖の白雪と同じ能力…だと!?この鳥が!?

 

八幡『なっ!俺のブラックトリガーと同じだと!?』

 

ジョジョ『そうなのか?雪ノ下のスタンドも似たような物だが』

 

八幡『そっちの雪ノ下もかよ……ちっ!』

 

まじか……異世界のとはいえ、雪ノ下も氷の能力かよ。

 

ジョジョ「そして、俺だ。俺は比企谷八幡」

 

いろは「先輩、さっきから何言ってるんですか?当たり前じゃないですか」

 

一色が怪訝な顔をしている。気付いてなかったのかよ!一色!

 

陽乃「まさか……比企谷君に取り憑いている……」

 

流石は陽乃さんだ…すぐに気付いたのか。

 

八幡「その通りだ。俺はこいつらの世界の比企谷八幡。スタンドはハーミット・パープルとザ・ワールド。能力は念写と……8秒間時を止める能力だ」

 

時間を止める……それが新たに俺に付いた似非ブラックトリガーの能力か…。

 

←To be continued



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番外編:4

このコラボ企画、僕自身は何も出来ておらず本城さんが頑張ってくれていますので皆さんも本城さんの方でも読んでみて下さい!!

あまりジョジョには詳しくない僕ですが、かなり面白かったですので!!


side比企谷八幡

 

八幡「なんか……お前らだけで良いんじゃね?一部の例外はあっても1つ1つがブラックトリガークラスの能力なら俺達いらねぇだろ」

 

体のコントロールをジョジョから奪い返した俺は肩で息をしていた。何だよこの自分の体なのに自分の体じゃないような感覚は。

それに、ジョセフさんが何かキョトンとした顔をしている。

おいおい、あの小町のとんでもない能力を見せられればそう思っても仕方がないだろ。

 

ジョジョ『それで良いのか?お前の戦いに対する姿勢ってのは』

 

八幡『あ?じゃあどうしろっていうんだ?』

 

ジョジョ『ヤレヤレだぜ。小町のあれで見失ってるみたいだな。能力の優劣だけで戦いが決まるわけじゃあない。…が、そればかりは仕方ないか』

 

何か含む言い方だな?お前なら奴等に対抗する手段があるような言い方だが…。

 

八幡『あるぜ?お前は凄い勘違いをしているからな。見事にはまってるから笑えるが』

 

何をだよ。

 

ジョセフ「八幡よ。お前さん、まずは波紋やスタンドの使い方をじいさんから教えて貰えばよい。シュトロハイムやシーザーも見てくるがよい。のう?じいさん」

 

俺は顔をしかめる。ジョジョの方も嫌な顔をしているのが感覚でわかる。

 

ジョジョ『ジジイにいってくれ。俺にじいさんって言うなって』

 

まぁ、百歳を越えるじいさんにじいさん呼ばわりされたくないよな?

だが、ジョセフさんが何を求めているかはジョジョには伝わったらしい。意図を汲み取って何やら笑っているような気がする。

 

八幡「ジョジョが言っているぞ。じいさんは止めろってな。俺もできればやめて欲しい。それに、何か黒い笑いをしてやがるぞ」

 

俺がそう言うと、ジョセフさんもニヤリと笑った。やっぱりこいつらは何かを企んでいる。

 

ジョジョ『安心しろ…安心しろよ。悪いようにはしない。あのジジイが企んでるのはむしろこっちのメンバーに対してだ』

 

八幡『何一つ安心できる要素が無いんだがな』

 

本気で何を考えてるんだ?こいつら。

 

いろは「じゃあ私達も…」

 

ジョセフ「いろはと陽乃、めぐり嬢ちゃん、それにリサリサ先生はのこっちょれ。大事な話があるからのう」

 

俺ではなく陽乃さんや一色に?何だ?

呼ばれた者達は怪訝な顔をしながらも黙って頷いた。

 

SH「何かよくわらぬが、貴様が録な事を考えておらんことはよくわかった」

 

ジョセフ「まぁのう。お前さんらにとってはそうなるじゃろうな。まぁ、今は早く行くのじゃ」

 

八幡「………とりあえず模擬訓練所に行くか。一種のバーチャル空間だ」

 

何かを試すには訓練室が一番だろう。俺にも今はスタンドが使えるなら使えるに越したことは無いからな。波紋とやらも興味がある。

俺が出ると、小町を除くアーシス連中も付いてきた。

さて、試させてもらうぞ…時間を止めるスタンドとやらをな。

 

 

side一色いろは

 

ジョセフ「行ったか…ちょいと待っておれ」

 

ジョセフさんはいきなり何もない腕に向かってぶつぶつ言い始めました。多分、スタンドなんでしょうけど能力を持たないわたし達からしたらボケ老人みたいです。

 

ジョセフ「閣下、例のゴーグルとグローブ、パットをこちらに送って貰えんかのう」

 

閣下?ジョセフさんみたいな人が閣下と言うくらい凄い人と話してるんですか?

…と思っていたら。

 

ヴァレンタイン「どジャアァァァァン」

 

と、変な金髪の外国人が何もない場所から現れました!

なんかベートーベンとかモーツァルトみたいなカールをしています!凄い時代錯誤です!

 

いろは「うわっ!いきなり人が現れた!」

 

陽乃「誰っ!?この人」

 

滅多なことじゃ驚かないハルさんも驚いています!いや、普通は驚きますよ!だれですか!?この人!

 

ジョセフ「ワシらの世界のアメリカ合衆国大統領、ファニー・ヴァレンタイン大統領閣下じゃ。スタンド使いで能力は異なる平行世界を行き来する能力。ワシらも閣下のこの能力でこの世界に来たのじゃ」

 

いろは「だ、だ、大統領!?ハッハー!」

 

気が付いたら土下座してました。

 

陽乃「いろはちゃん……時代劇じゃないんだから…」

 

だって、大統領だなんて聞いたら雲の上の人過ぎてどう対応すればいいかわかりませんよ!

見ればヴァレンタインって人はニヤニヤ笑っています。性格わるっ!さては過去に何度も同じことがありましたね!?

 

ヴァレンタイン「ふむ…楽にしたまえ。この世界は私が大統領じゃあないようだからね。ジョセフ老。とりあえず50セットくらいで十分ですかな?」

 

ヴァレンタインさんはいくつもある段ボールを指しながらジョセフさんに言った。一緒に運んで来たみたいですね?中身は何でしょうか?

 

ジョセフ「十分ですじゃ。わざわざありがとうございます。いろはに陽乃よ、これを付けるんじゃ」

 

箱の中身はゴーグルとかの何の変哲も無いもの一式でした。なんかジョセフさんが一式いろはとか名前ネタを心の中で言ってる気がします。

 

いろは「何か名前ネタでいじられた気がしますね」

 

ジョセフさんは何の反応もしませんが、これは図星そうです。

わたしとハルさんは言われた通りにゴーグルやグローブを装着する。

 

ジョセフ「では、ワシの右手をみるのじゃ」

 

言われた通りにジョセフさんの右手を注視していると…さっき先輩が言っていた紫のバラのつたが出てきた。これがスタンドなんですか?

 

陽乃「え?ジョセフさんの手から紫色のつたが…」

 

いろは「さっき先輩が言ってたのってこれなんですね?さっきは見えませんでしたのに…」

 

何で見えるようになったんですか?はっ!もしかしてわたしにもスタンド能力が目覚めたんですか!?

 

ジョセフ「これはスタンド使いでなくともスタンドを見て触る事の出来る装備品じゃ。触ってみるかの?」

 

違いました。このゴーグルのお陰らしいです。

言われた通りに触ってみると、確かにチクチクするバラのつたに触っている感触があります。

 

陽乃「へぇ……これさえあれば、スタンドでも攻撃出来る…という奴ね?」

 

ハッ!そういうことですか!ハルさん頭が良いですね!

 

ジョセフ「そうじゃ。ある人物がスタンド使いじゃあ無くともスタンド使いと戦える為に開発したものじゃ。以降はこういった世界での模擬戦とかの為に使っておる。そうでもないとワシのスタンドならともかく、ワシの世界のいろはのようなスタンドが相手じゃとなにも出来んからのう」

 

そっちの世界にもわたしはいるんですか。しかもスタンド能力があるんですか。

こっちの世界には来ていないようです。まぁ、来られても困りますけど…。

 

いろは「わたしのスタンド……ですか?」

 

ジョセフ「そうじゃ。ナイチンゲール・エメラルド。人型スタンド…と言ってもわからんじゃろうな」

 

イメージ付き辛いですね。どんなスタンドなんでしょうか?

 

ヴァレンタイン「ならば私が帰るついでに実演しましょう。D4C」

 

ヴァレンタインさんから小豆色の幽霊みたいな人が出てきました。あれが人型スタンドなんですね?

 

陽乃「お化けみたいなのが出てきた。これが人型スタンドなんですね」

 

リサリサ「スタンドの形としてはわりとポヒュラーなタイプですね。閣下、ありがとうございました」

 

リサリサちゃんが頭を下げてお礼を言うと、ヴァレンタインさんも頷き…

 

ヴァレンタイン「どジャアァァァァン」

 

と言ってアメリカの国旗に包まれ、次の瞬間には国旗もろとも消えた。なんか手品で人が消えるマジックを見せられている気分です。

 

ジョセフ「とまぁ、いろはのスタンドも人型なのじゃが、ナイチンゲール・エメラルドは射程が長くて最大500メートル先まで本体から離れる事が出来る。しかもその拳の威力はランク分けで言えばB級で、ベビー級ボクサーのパンチは軽く越えておる上に、エメラルドの宝石のような弾丸を発射できる。しかも、その弾丸には傷を治す能力もあっての、いろはは一撃でのさん限りはまず倒れん。まぁ、欠点もあるがの。完全な無敵など、どこにも存在はせんと言うことじゃ」

 

……羨ましい能力ですね。

 

ジョセフ「ナイチンゲール・エメラルドみたいなスタンド相手じゃと、スタンド使い以外は倒すのが難しいんじゃ。それ故に、模擬戦に限りじゃがこれらを貸すことにしておる。まぁ、今回のメンバーに遠隔操作型のスタンド使いはおらんがのう」

 

スタンドにも色々あるんですねー。

 

リサリサ「ねぇ、ジョセフ?だったら何でみんなを行かせたの?これの説明だけならみんなを行かせる必要なんて無いじゃんか?」

 

うーん。確かにそうですね。こんなことだけなら材木座先輩とかあの由比ヶ浜さんとかの異世界人をどっかに連れていく必要はありません。

 

ジョセフ「もちろん、本題はこれからじゃ。小町はこんなしょうもないミスはせんじゃろうが」

 

ジョセフさんはわたしとハルさんに本題を話す。

え?えぇー!

 

いろは「え……それ、良いんですか?」

 

陽乃「こっちとしてもありがたいのだけど…」

 

ジョセフ「構わん構わん。最後にワシと……」

 

わたしとハルさんはお互いに顔を向けて、ニヤリと笑ってしまいました。後悔しないで下さいね?ジョセフ・ジョースターさん?

 

side比企谷八幡

 

訓練室。俺はトリオン体になって河川敷のある市街地の模擬訓練場に立っていた。特に目標とかは出ていない。

 

ジョジョ『まずは波紋の呼吸だ。体を借りるぞ』

 

八幡「あ、ああ」

 

俺はジョジョに体を貸す。やっぱりこの感覚は慣れん。

悪霊に取りつかれている気分だ。

 

ジョジョ「今からやる俺の呼吸を体で覚えろ」

 

コォォォォォォォォ……

俺の体に妙な力が生まれ、何とも言えない力が生まれてくる。トリオンの上に更にトリオンの力が生まれるような暖かい力が…。これが波紋ってやつか。

 

八幡『すげぇ……トリオン体に更に力がみなぎって行く…』

 

ジョジョ「呼吸を覚えたか?」

 

八幡『ああ……』

 

空気を全て吐き出すような感覚と特殊なリズム…覚えたぞ。

ジョジョは俺に体を返す。

 

ジョジョ『なら、やって見てくれ。これはスタンド能力と違って呼吸法による技術だから俺がいなくなってもお前の技術として残る。迷惑をかけている俺からの贈り物だ』

 

八幡「肺の中の空気を全て吐き出すようなイメージで…コォォォォォォォォ……」

 

出来た…。自力で波紋とやらを練ることが出来た。

これは良い……。トリオンがより強くなった感覚が体中に満たされて行く。

 

ジョジョ『そのまま川の中に入ってくれ。その呼吸を維持しながら、川に足を付けてみろ』

 

それに何の意味があるのかわからないが、何の知識も無いなら言われた通りにしよう。何らかの意味があるのだろう。

俺は言われた通りに川に足を付ける。すると、まるで地面の上に立っているかのように足は沈まず、確かに川の上に立てていた。

 

八幡「なっ!水の上に立っている!」

 

ジョジョ『驚きで呼吸を乱すな。水の上に立つのは波紋の基礎だ。これを意識してやれば、身体能力のあらゆる能力が向上する。100キロを全力疾走をしても息切れ1つしないくらいで初級をクリア…って所だな。才能がある奴が真剣に1月かけて修行すればそのくらいの領域に達する。その領域で、生身でトリオンにかすり傷くらいはダメージを与えられるかな?』

 

百キロの距離を全力で走っても息切れ1つしないなんて、そんなことまで出来るのか!と思う反面…。

その力でもせいぜいその程度なのかよ…とも思う。じゃあリサリサのあれはどのくらいのレベルなんだよ!だが、納得もいく…これは正にトリオン代わりになる力だ。

 

八幡「なるほど。リサリサが三輪を倒せた秘密はこれだったのか。スタンドだけじゃなく…」

 

生身で三輪がやられる訳だ…。そして混乱もする。

この力はまさしく生命を具現化した力だ。トリオンと同じ性質の力…。

 

ジョジョ『まぁ、あいつらはそれ以前の問題だ。あの時、何故小町が戦ったと思う?何故ガードをジジイに任せたと思う?』

 

八幡「………強いから、じゃないのか?」

 

それ以外に何物でもない気がする。

 

ジョジョ『ペテンに嵌められたな?正解は小町とジジイ以外にあそこまでの戦果は望めないからだ。それ以外の奴らじゃあ負けていた。と言うか、殺されていたよ。それを悟られない為に確実に勝てるペテンを仕掛けたんだよ』

 

八幡「何だって!?」

 

ジョジョ『忍田さんは騙されたんだよ。小町とジジイに見事にな。中核となるA級をあっさり倒せば敵は浮き足立つ。それも三輪隊クラスを完勝させれば。ここにいる上級以上の波紋の戦士はジジイと小町。大志で初級に毛が生えた程度、あとは波紋の適正はゼロに等しい。お前らは能力で負けたんじゃあない。戦略で負けたんだ』

 

種明かしされればしょうもない。化け物クラスはあっちの比企谷兄妹とあのじいさんだけなのか。だが、知らなければ全員がそうだと思ってしまうだろう。

ペテン…だな。

 

ジョジョ『これを卑怯だとは思わないよな』

 

八幡「引っ掛かる方が間抜け……という奴か」

 

雪ノ下や葉山ならズル…と言うだろう。が、ズルも作戦と言われれば何も言えない。物は言いようだな。

 

ジョジョ『わかってるじゃあないか。卑怯、汚ないは敗者の戯言。実戦なんていかに相手を騙すか…そこに限る。正々堂々なんてスポーツじゃあ無いんだからな』

 

ここまで卑怯や汚ないと言われるのを誇る奴を初めて見たよ。思わずふ……と笑ってしまった。

 

八幡「そこまで卑怯さを誇れるお前の神経にむしろ尊敬できるよ。いや、命のやり取りが当たり前のボーダーやお前らのアーシスなんかでは本来それがあるべき姿なんだろうな」

 

チームランク戦を思い出せばそう言うものか。どれだけ有利に試合を運べるかを策を弄するのがチームランク戦だものな。能力ばかりに目を向けていてそこを忘れていたよ。

 

ジョジョ『スタンド使いの戦いなんて正攻法なんてやる奴がバカの極みと言えるまである。じゃあ、次はスタンドだ。まずはスタンドの出し方だな。ターゲットを頼んで貰え』

 

次はいよいよスタンドか。こいつのスタンドはどんな能力なんだ?ターゲットを出して貰うか。

 

八幡「遥ぁ。ターゲットを頼む」

 

俺は遥に頼んで目の前に的を出して貰う。

 

ジョジョ『まずはザ・ワールドを出して貰うところからだ』

 

八幡「どうやって使うんだ?」

 

ジョジョ『まぁ、慣れれば特に何かをする必要はない。黙って突っ立っててもスタンドは出せる。けど、まあ…さっきジジイが見せた写真の黄色い人型のビジョンを思い浮かべながら、ザ・ワールド!と叫んで見ろ』

 

ホントかよ。まぁ、言われた通りにやってみるか。

 

八幡「ザ・ワールド!」

 

ビジュゥゥゥゥン!

俺からさっきの写真に写っていた黄色い幽霊みたいな人型の何かが飛び出す。

 

八幡「これがザ・ワールドか…」

 

悪者みたいな見た目だな…。目付きなんて特に。

 

ジョジョ『なんと無くつかめたか?スタンドの出し方が。スタンドの操作は簡単だ。心の命じるままに動かせば良い。すべてのスタンドがそうではないが、ザ・ワールドはそういうスタンドだ。試しに疑似ネイバーを出して貰え』

 

八幡「注文の多い奴だな。遥、バムスターを頼む」

 

遥『了解だよ。八幡』

 

遥は要求通りに疑似ネイバーを出す。

 

ジョジョ『じゃあ、爆裂拳でも放つつもりでバムスターを攻撃してみろ。ザ・ワールドの基本スペックを体験して見てくれ』

 

どれだけの力があるか、弱点を狙わずに敢えてそれ以外の場所を攻撃してやる!

 

T・W「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!無駄ぁ!」

 

圧倒的なパワーとスピードで叩き込まれる無駄無駄ラッシュ。

バムスターは徐々に亀裂が発生し、最後に粉砕された。弱点の目を攻撃せずに……

 

八幡「なんて破壊力とスピード…」

 

ジョジョ『ザ・ワールドは簡単に岩を粉砕できるパワーと拳のラッシュは音速、コピー機のようにスケッチできる精密性は全スタンドの中でもトップクラス。スタンドを通して音速の世界を見ることができる。だが、弱点もある。射程は1~2メートル。典型的な近距離パワー型スタンドだな』

 

八幡「それでも十分だと思うがな……あとこの無駄無駄とかいう掛け声は癪に障るな」

 

ホントに癪に障る。純粋にスペックは凄いと思うが。

 

ジョジョ『次はこう叫べ『ザ・ワールド時よ止まれ』』

 

こんなんで時を止められるのか?試しにやってみるが。

 

八幡「ザ・ワールド!時よ止まれ!」

 

ブゥゥゥゥン…

世界から色がなくなり、モノクロになる。

こっちに向かって来ていたバムスターの動きも止まっている。

 

ジョジョ『これが時の止まった世界だ』

 

八幡「これが時の…」

 

ブゥゥゥゥン…

 

八幡「止まった世界……って一瞬で終わったぞ」

 

八秒じゃなかったのか?

 

ジョジョ『今は不馴れだからそのくらいだろう。まずは1秒止める事が目標だな』

 

一瞬を止めるだけでも十分チートだっての!

 

ジョジョ『それよりもだ。今からお前のチームと俺のチームのルーキー達、模擬戦でもしてみないか?お前がブラックトリガー級と言っている事でも、やり方次第だと言うことを見せてやる』

 

八幡「は?」

 

模擬戦室に一色と陽乃さんが加わる。変なゴーグルとかを付けて。反対側には向こうの材木座、大志、由比ヶ浜、が立っていた。

マジかよ……

 

遥『が、頑張ってね。八幡』

 

こうなりゃヤケだ!

 

←To be continued





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番外編:5

番外編ばかりで申し訳ないのです…。

本編の方も話が思いつき次第投稿したいと思いますので少々お待ち下さい…。
本当に申し訳ないです



side比企谷八幡

 

訓練場が一気に3ON3の対戦状況になる。

 

八幡『おい、ジョジョ。勝てるのか?あいつらに』

 

ジョジョ『勝てるさ。言ったろ?ジジイと小町くらいしか百戦錬磨と言えるやつはいない。むしろこの地形は河川敷を挟んだ市街地か?大した苦戦をすることはまずないとふんでるがな。材木座くらいか。まともに相手になるのは』

 

あのターミネーターか。こっちの世界の材木座と違ってかなり痩せているから倒せるのか?

いや、確かメタルマンか…なんとなくわかったぞ?攻略法が。それよりもだ。

 

八幡『俺はスタンドを持っているから良いが、一色と陽乃さんはどうするんだ?』

 

確かスタンド使いはスタンド使いじゃないと見えもしなければ触れもしないんじゃなかったか?

 

ジョジョ『それも問題ない。あのゴーグルとグローブはスタンド使いじゃあない人間でもスタンドが見えて触れることができるようにする道具だ。改良に改良を重ねてグローブを着けただけでも体のどこででもスタンドに触れるし、手に持っている武器もスタンドに効果がある』

 

そっちの技術も相当だな。お陰で訳のわからない一方的な不利は無くなるわけか。

 

いろは「先輩、頑張りましょう」

 

陽乃「気楽にいきましょう?八幡くん♪」

 

二人とも平常心を取り戻している。ジョセフさんに何か言われたな?たが、何でこんなことを?まぁ、良い。

踊らされてやる。

普段通りにやれば良いだけだ。

 

八幡「散会!」

 

各人、一旦は姿をくらます。

一方アーシスチームは材木座は上手く隠れているが、シーザーとガハマはまだ姿を晒したままだ。

二人とも、『戦闘』というレベルに関しては素人だな?

ジョジョの言うとおり、本当に戦い慣れている奴は少ないようだ。

 

八幡『攻撃して良いか?』

 

ジョジョ『どうぞどうぞ。キツいの一発やっちまえ。小町とジョセフの奮闘とスタンド能力にあぐらをかいて勘違いしているボケなすの目を覚まさせるには良い薬だ』

 

なるほどな…。能力があるからと言って油断しているこいつらにお灸を据えたいわけか。

それに俺達を利用したと…。食えない奴だ。だが、こいつは俺達をまだ舐めてるな?ならば見せてやるよ。

比企谷隊が伊達にボーダー最強と呼ばれていないことを実力で示してやる。

こんな奴らレベルなら袖の白雪を使うまでもない。

 

八幡『了解』「一色。由比ヶ浜を撃て」

 

俺は一色に攻撃指示を出した。

 

いろは『ホントに戦闘に関しては素人なんですね。貰いです』

 

一色から放出されたキューブが曲線を描いて由比ヶ浜を襲う。上手く隠れながら移動しつつ攻撃をしている。良いぞ、いつも通りにやればいい。

 

ガハマ「えっ……?」

 

R・T「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

ドバババババ!

ほう、一色の攻撃を拳で弾くか。アホの由比ヶ浜にしてはやるじゃないか。

 

R・T「マスターはバカですか!?何で広い開闊地で無防備に歩いてるんですか!?狙ってくれって言っているような物ですよ!」

 

ん?スタンドが喋ってる?なるほど、ガハマではなくあのスタンドが意思を持って自分で判断しているわけか。

前言撤回。やるのはあのスタンドだ。リバース・タウンと言ったか?スタンドの方が状況判断が出来ている。

 

ガハマ「え、でも…隠れるなんて卑怯じゃあ……」

 

バカか?狙ってくれって言っているようなものだ。

 

R・T「サバイバルゲームでも何でも良いんで戦術を勉強してください!早く逃げます……」

 

スタンドが頑張っているが、背後から迫っている陽乃さんに気付いてない。間髪入れずに陽乃さんが逃がさないように追撃する。

アホの子はともかく、あのスタンドはやるな。陽乃さんの攻撃を上手く捌いている。

 

ガハマ「背後から卑怯だし!」

 

R・T「マスターが間抜けなんですよ!」

 

自分の能力に罵られるって……。

 

陽乃「本体よりもスタンドの方が物分かりが良いみたいだね。あなたはもっと戦術を学ぶべきよ。やる気は認めるけど、それだけじゃ戦争に勝てないわ」

 

陽乃さんは弧月で斬り付けつつ弧月を拳で弾いていたリバース・タウンの足にローキックを放つ。

上手い。蹴りを受けたリバース・タウンの影響でガハマ自身も体勢を崩す。

なるほど、本体はトリオン体の性質でキックを受けても大した影響はないが、スタンドはトリオン体の影響を受けないわけか。

そしてスタンドのルールによってスタンドのダメージは本体にも影響が出てしまう。必ずしもスタンドがあるからと言って有利になるだけじゃないんだな。

八幡覚えたぞ。

 

ガハマ「あ、足が……」

 

R・T「ぐうっ!この人は私達の世界の雪ノ下陽乃様並みに戦い慣れてます!私共々今のマスターでは……」

 

へえ?そっちにも陽乃さんはいるのか。それも、こっちの陽乃さんのように戦い慣れていると…。そっちの陽乃さんのスタンドがどういうのかわからんが、それは興味あるな。

 

陽乃「ジョセフさんの言うとおりね。いくら能力が優れていても使用者が未熟では宝の持ち腐れ。良い機会だから、ガハマちゃんはC級の訓練を受けるべきよ。これで終わり」

 

陽乃さんは弧月を振り抜き、リバースの足を切り落とす。当然、本体の由比ヶ浜の足も切り落とされ、とどめに首を切り落とされた。

陽乃さんの言うとおりだな。こっちの由比ヶ浜とどう違うのかわからんが、戦いに関しては素人同然だ。

今のままではC級上位にも負ける。

 

ガハマ(リバース・タウン)…ベイルアウト(リタイア)

 

ジョジョは予想以下の結果に呆れているようだ。

完全にスタンドに頼りきり…。むしろ足を引っ張っている。

 

八幡『本当に陽乃さんが圧勝したな』

 

ジョジョ『リバース・タウンの能力は拳が当たれば相手の運を最悪に落とすが、逆を言えば当たらなければどうということはない……って奴だ。その為に拳を当てる戦術を考えるべきなのだが、模擬戦というのもあって完全にスポーツ感覚だ。陽乃さんの敵じゃあない。むしろあの陽乃さんはうちの陽乃さんに匹敵するセンスだな。いっそ波紋の戦士にしてみるか。より一層強いスーパーはるのんの完成だな』

 

八幡『ゾッとするな……それは』

 

おいおい…。ガハマの事は無視して陽乃さんの分析を始めやがったよ。仲間であろうとその辺りはドライなわけね?ますますこいつは読めんわ。

お、敵に動きがあるな。俺のサイドエフェクトによってシーザーから放たれている何かしらの弾が遠隔操作で何かをしてきている。これはスタンド能力じゃない。別の攻撃だ。トリオンでは無いみたいだが。

ジョジョの奴が陽乃さんと大志の比較をしているようだから話しかける。

 

八幡『その大志が何らかの攻撃を放って来たな。射手のような攻撃を放ってきた』

 

ジョジョ『服の石鹸水をシャボン玉に生成してから撃ってきたシャボンランチャーを……なにっ!』

何かにジョジョは驚いている。もしかしてサイドエフェクトの事を知っているのか?

どうやら図星のようだ。何を驚いている?お前だって波紋の技術で似たような事をやってるだろ。だが、こいつも油断ならんな。わずかな情報でサイドエフェクトにたどり着きやがったか。

 

八幡『よくわかったな。俺のサイドエフェクトは2キロ以内にある全ての存在を感知する能力だ。お前が波紋とやらでやっている事と同じ能力だと思えば良い』

 

今度はこいつが相棒とか言っている静・ジョースターという女の能力の事と俺のサイドエフェクトについてぶつぶつ言い始めた。なるほど、静・ジョースターのスタンド能力は透明化か。確かに俺のサイドエフェクトは天敵だろうな。透明化しても把握されるんだから。

なるほど、スタンド能力とやらも能力もブラックトリガー並のものもあればノーマルトリガー並の物もあるわけだ。

だが、そのアクトン・クリスタルというスタンド能力も俺にとっては大した驚異じゃなくとも、普通の奴にとっては驚異だな…。どんな能力も相性と使い方次第という奴か。ジョジョが言いたかったのはそういうことだろうな。要は工夫次第…と。ブラックトリガークラスだって何らかの弱点はあるわけか。

案外、小町やこいつのザ・ワールドにも弱点はあるかも知れないな。(正解)

 

ジョジョ『あのシャボンカッターには波紋が込められている。円月輪のような力が込められているから迂闊に当たらない方が良い』

 

なるほど。由比ヶ浜のように簡単にはいかない…と。だが、内容を知ればやりようはある。

 

八幡『了解だ』「陽乃さん!後退だ!一色、姿を晒している大志を押さえ込め!」

 

陽乃・いろは『了解(です!)』

 

陽乃さんが後退を始め、その援護を一色がトリオンの弾で大志を釘付けにするべく弾幕を張る。

攻撃手との相性が悪いなら、そのシャボンランチャーとやらに似たような射手で足止めをすれば良い。ましてや姿を晒してくれているんだ。

 

八幡「一色に集中しすぎだな。シーザーとかいう大志。本当にお前らは能力に頼りすぎだ」

 

俺は一色に釘付けのシーザーにアステロイドを構える。シーザーも俺の殺気を感じ取っていたが、一色の猛攻の対処をおろそかにするわけにもいかず、俺の方にまでは手が回らない。

そして…。あっちの材木座…。背後から俺を狙うのは良い作戦だが、俺に不意討ちは効かないぞ?お前は俺のサイドエフェクトを知らない。だが、俺はお前のスタンド能力を知っている。情報を制するものは戦いを制するんだ。元ナチスの将校ならばそれがわかるはずだよな?お前たちは俺に情報を与えすぎたんだ。

 

八幡「シュトロハイムとか言ったか?そっちの材木座も不意討ちとしては見事だが、俺のサイドエフェクトを嘗めたな」

 

丁度良い。ザ・ワールドの実戦練習の実験台になってもらおう。シュトロハイムは腕を刃に変えて背後から攻撃をしてきた。そんな攻撃もあるんだな。マジでターミネーターだ。だが、音速の素早さを持つザ・ワールドにはそれが通用しない。

マジで基本スペックが高いスタンドだな。ザ・ワールド。

 

八幡「お前の力を使うぞ。ザ・ワールド!時よ止まれ!」

 

おれは白刃取りをしたまま時間を止めた。

 

八幡「止められるのが一瞬だろうと、ザ・ワールドなら十分すぎる隙だ。材木座…音速の拳を食らえ!」

 

音速のスピードを出せるこのスタンドならば目の前で隙だらけのこいつに拳を叩き込むには十分すぎる時間だ。

無駄無駄ラッシュ…と言ったか?食らえ。圧倒的なパワーを。

 

T・W「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」

 

本当にT-1000クラスならダメージにならないだろうが、今はそれで十分だ。こいつを殴り飛ばせればそれだけで構わない。

 

八幡「そして時は動き出す」

 

世界に彩りが戻り、材木座が飛んでいく。

 

SH「ゆうううっ!ドジこいた!八幡のザ・ワールドの時間停止かっ!」

 

ほう、何をされたか理解したのか。

 

八幡「ザ・ワールド…便利な能力だな。これでお前は終わりだ。シーザー」

 

俺はシュトロハイムを無視してアステロイドで一色の攻撃で身動きできないシーザーの足を撃つ。一瞬だけシーザーの動きを止めれば良い。後は…。

目論見通りにバランスを崩した大志はそのまま一色のトリオンキューブの弾幕を全弾くらい、ベイルアウトした。ナイスだ一色。

 

シーザー・アントニオ・ツェペリ(ビッツロール・トパーズ)…ベイルアウト(リタイア)

 

見たかジョジョ。これがうちのチームだ。まだまだこんなものじゃないぞ?連携も何もないこいつらが、能力だけでごり押し出来るほど甘くはない。

ボーダー最強のチームを舐めんな。

あとははシュトロハイムか…。

ザ・ワールドのラッシュくらいではダメージにもなっていないみたいだが。別に正攻法だけが戦いじゃない。

全身金属…そこに付け入る隙がある。

 

八幡「お前自身が言っていただろ?このフィールドなら材木座だって問題は無いと。全身金属になる能力…。そこが弱点だな?」

 

ジョジョ…お前は俺を舐めすぎだよ。

俺は材木座が飛んで行った方向に波紋を使ってダッシュをする。せっかくもらったプレゼントだ。波紋の力を有効活用させてもらう。勝つためなら何だって使ってやる。ネイバーのブラックトリガーだろうとなんだろうと、使える物は何だって使う。それが戦争だ。

俺はトリオン体と波紋をミックスした身体能力ですぐさま材木座の隠れた位置に追い付く。

隠れても無駄だ。例え石ころひとつだって俺のサイドエフェクトは感知する。

 

八幡「そのまま橋の上まで飛んでいけ!ザ・ワールド!時よ止まれ!」

 

T・W「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」

 

再び時間を止めて材木座を橋までぶっ飛ばす。だんだん時の止まった世界に慣れてきた。気のせいか止められる時間が長くなった気がする。奴が目標にしていた1秒の壁も案外早く到達できそうだ。

そして俺は再びシュトロハイムを殴り飛ばす。ダメージにならなくても関係ない。俺の狙いは川の位置に飛ばすことだ。

 

SH「ぬうううう!」

 

八幡「川に落ちろ。金属体では重くて浮き上がれないだろ?メテオラ!」

 

ドオオオオオオオオン!

 

メテオラを使って俺はシュトロハイムを川に突き落とす事に成功する。固くて重みが増しているのが逆効果だな?材木座。

 

SH「ゆううう!スタンドを使っていては浮き上がれぬ!能力を解除……」

 

水に沈まないようにするにはそうするしかないよな?シュトロハイム。重くなった金属の体がこの場では逆にお前の弱点だ。

俺はさっき体験した波紋の力で川の植に立つ。お陰で至近距離から隙だらけのお前を狙えるぞ…

 

八幡「そうせざる得ないだろうな。終わりだ、シュトロハイム」

 

俺はスタンドを解除し、トリオン体となって浮かんできたシュトロハイムの頭にアステロイドを打ち込んだ。

鉄壁の防御力も決して無敵ではない。こんなものか、スタンド使い。

俺はお前らを過大評価していた。冷静に対処すれば大したことはない。逆に忍田さんにそこまで思わせた小町とジョセフさんのペテンが巧妙だっただけだ。

どうだジョジョ。俺の…そして比企谷隊の力を見たか!

 

シュトロハイム(ガンズ・アンド・ローゼズ)…ベイルアウト(リタイア)

 

綾辻『模擬戦終了。比企谷隊の勝利です』

 

綾辻の声が響く。

しかし、ジョジョからの感覚がまだ終わってないことを語っている。

 

ジョセフ「次はワシが相手じゃ。お手柔らかにな」

 

何がお手柔らかに……だ。

このジジイ。ただ者ではない。スタンド能力のあのいばらは大したことは無さそうだが、ここでノコノコと現れてきたからには何かあるはずだ…。

それに…今の三人とは比較にならない程の殺気を感じるな。油断は出来んぞ…。

 

←To be continued





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番外編:6


今回のコラボ、殆ど本城さんが書いてくれているのですが戦闘描写がとてつもなく上手いですよね…。

僕もいただいたのを読んでから載せるのですが、読む度に自分の下手くそさがよく分かります……





side綾辻遥

 

ジョセフさんが訓練室に入り、代わりに撃破された三人がトボトボと出てきた。小町ちゃん…ええっと、リサリサちゃんは三人を一瞥する。

 

リサリサ「シュトロハイムさんは頑張りました。あの八幡さんのサイドエフェクトと相性が悪かったゆえですので仕方ありません。ただ、あまりガンズ・アンド・ローゼズを過信しないことです」

 

SH「ぬう…世界は違えど八幡は八幡なのだな。強さとかよりも瞬時にあんな作戦…しかも十分に使いこなせていないスタンド能力で自分等をああも容易くやられてしまうとは…」

 

リサリサ「無敵の能力なんて存在しない。今後は気をつけて下さい。それよりも…」

 

リサリサちゃんは由比ヶ浜さんと川崎大志くん…特に川崎大志くんを強く睨む。

 

リサリサ「結衣さんはまだ仕方ありません。戦術とかは勉強中なんですから。それよりもシーザー。あなたの体たらくは何?」

 

小町ちゃんのジト目を受けて大志くんが後ずさる。

 

シーザー「し、師匠…いえ、これはですね…お兄さんが強すぎたのであって…」

 

リサリサ「八十年前と違うんだから、少しは戦術を勉強しなさいって言ったよね?あと、何度も言うけど小町には彼氏も弟もいないからね?あと、あの八幡さんは確かにお兄ちゃんの魂を宿してるけど、お兄ちゃんじゃあないからね?強いのは認めるけど。今後はジョセフや材木座さんに戦術を教わること!それまではシーザーは霊長類ヒト科のアカノタニン!いいね!」

 

知り合いですらなくなってる。こっちの小町ちゃんもたまに容赦ないけど、リサリサちゃんはもっと容赦がないなぁ…。

でも、この戦い程じゃ無いにしても、戦いって工夫とかなんだなって本当に思うな。チームランク戦とか本当に作戦と作戦の応酬だもの。特に比企谷隊とかは連携とか上手いものね。八幡くんの作戦の立て方とかも上手いし。今回はあっちがオペレーターなしだからめぐり会長がオペレーターをしなかったけど、オペレーターが揃った時の比企谷隊はもっと強い。

 

リサリサ「綾辻さん。八幡さんはまだ何かを隠していますよね?」

 

驚いたことに小町ちゃんは八幡くんが切り札を隠している事に気がついた。何でわかったの!?

 

遥「わかるんだね?小町ちゃん……じゃなくてリサリサちゃん。ビックリするよ?八幡くんの切り札は」

 

私はゴーグル越しにモニターを見る。これがないとスタンド?って見えないもの。

あっちの八幡くんが持っているあの黄色いスタンド…あれも凄い。材木座君の腕を白刃取りしたと思ったら、次の瞬間にはぶっ飛ばしていた。あれが時間を止める能力なんだ。それに、水の上に立てるって……。

 

遥「凄いのはそっちの八幡くんのスタンドと……トリオンに似た力の波紋も凄いね…」

 

リサリサ「ザ・ワールドと波紋を初めて使ってあそこまで使いこなせる八幡さんの才能も……ですよ。普通なら振り回されますね」

 

そうだね。私だったら使いこなせる自信がない。

 

リサリサ「でも、ジョセフ相手は一筋縄じゃあいかないよ」

 

遥「そんなに能力が強いの?ジョセフさんは」

 

あのスタンド能力はあまり強そうには見えないんだけどなぁ。

 

 

side一色いろは

 

いろは「ジョセフ・ジョースターさん…でしたよね?あなたのあのツタのスタンドは念写以外にも何か能力はあるんですか?」

 

ジョセフ「ないぞ?いろはよ。ワシのスタンドは先の三人に比べても弱い。まぁ、簡単には負けるつもりはないがな。ハッピー、ウレピー、ヨロピクねー♪じゃ」

 

ふざけてるんですか?ふざけてますよね?なんか指を上に上げて踊るようなポーズ…スタンドが対して驚異じゃないのはあの由比ヶ浜先輩とかでわかりました。なのにこの余裕…。段々頭にきました。この人たちは本当に気分が悪いです。

そう思っていた瞬間…。ジョセフさんの目付きが一変する。

 

ズンッ!

 

場の空気が一気に重くなる。

なにっ!?この空気!急にジョセフさんが怖くなった!

 

陽乃「こ、これは……ハーミット・パープルは念写の力が能力じゃなかったの?」

 

八幡「違う……スタンドの力でも波紋の力でも何でもない……異様なまでの殺気が場を支配している!これはヤバい!経験している修羅場が段違いだ!散るぞ!」

 

言われなくても散りますよ!こんな人とまともに正面からぶつかってたら命がいくつあっても足りません!

わたしは逃げるように散会する。体が重く感じる…。これが本物の人を殺したことのある人間が持つ殺気…。

ネイバーなんて目じゃないっ!

 

ジョセフ「ハウンドじゃったかの?そうれ!もっと動き回るのじゃ!」

 

なにこれ!素人がハウンド!?それもかなり正確に!?この人の弾道を変え方が巧すぎる!普段から慣れてるみたいに!

 

陽乃「初めてトリガーを使うくせにハウンドを使いこなしてる!ただのじじいじゃないわ!」

 

それに……着弾の威力が普通じゃない!なんてトリオン量!

 

いろは「その歳でなんてトリオン量!こんな老人は見たことないですよー!」

 

違う……この人は戦い慣れている!さっきの3人なんてこの人にくらべたら前座にもなってない!

 

八幡「場に呑まれるな!このジジイはタダ者じゃない!何をしてくるかわからん!動き回れ!」

 

隙がない…どうやって戦うの!?

濃厚な殺気が今度は見えているのに全く人がいないように感じるくらい気配が消えた!

この人が弱い!?絶対に嘘ですよ!

 

陽乃「消えた!見えるのにまるで気配がない!見失ったら厄介よ!」

 

気配を消される…。地味だけど厄介です!

バックワームをリアルで使われている気分ですよ!

でもジョセフさんの狙いはハルさんだ。その隙をつけば良いんです!

 

八幡『一色!気を付けろ!ジョセフさんの狙いは陽乃さんに見せかけてお前だ!何かを投げたぞ!』

 

言われて気付きました!狙いはわたし!?

 

いろは「え?キャア!なになにっ!?何ですか!?クラッカー!?」

 

アメリカンクラッカーみたいな物がとっさにしゃがんだわたしの頭上を通り抜けて行きました!

いつの間にこんなものを取り出したんですか!それに、クラッカーはバチバチ音をたててスパークしている。

偽物小町ちゃんが三輪先輩達を倒した波紋って奴ですか?これに当たったらベイルアウトしちゃうのが一目でわかりました。ヤバいですヤバいですホントにヤバいですよ!わたしのトリオンじゃ押さえられないです!でも何とか避けられ…。

 

八幡『動きがおかしい!投げた物から目をそらすな!』

 

えっ?よく見るとクラッカーの鉄の球は4つ…二つのクラッカーを同時に投げたんですか!

そしてバチぃ!という音と共に片方がまたわたしの方に飛んで来ました!何ですか?このクラッカーは!

 

いろは「何で鎖と鉄球のクラッカーがブーメランみたいに戻って来るんですかぁ!訳がわかりませんよぉ!」

 

先輩が警告してくれたお陰で何とかジャンプして回避します!危なかった…。教えてくれてなければあれで終わってました…。

と、思って安心していたのが間違いでした。ジョセフさんから目をそらすべきじゃ無かったんです。

 

ドスッドスッドスッ!

 

ジョセフさんは私がジャンプして避けることまで計算して、しかも真下から確実に当たるように弾道を計算するまで念入りに…。やられた…。

 

いろは「うそっ!?那須さんだってこんな芸当なんて…キャアアアアアア!」

 

強い……詰め将棋のように追い込まれてやられた。先輩……ごめんなさい。

 

一色いろは…ベイルアウト(リタイア)

 

 

side雪ノ下陽乃

 

いろはちゃんがやられた…。それも、アメリカンクラッカーとノーマルトリガーだけで…。射手ナンバー2のいろはちゃんが!?何も出来ないで!?

 

八幡「最初から避けられる事を考えて射撃していた…だと?スタンドを使わずに一色がベイルアウトさせられた…まじで化け物だな……ジョセフ・ジョースター!だけどな!」

 

八幡君がアステロイドでジョセフさんを射撃。だけど、ジョセフさんはコップを横に向けて弾丸を跳ね返した。

弾丸は八幡くんの肩を貫く!

何をしたの!?というか、何で水がこぼれないの!?波紋ってホントなにっ!?

それに殺気だけで八幡くんの狙う場所がわかるなんて…化け物よ!ホントに化け物よ!このおじいさん!並の達人じゃないわ!

 

ジョセフ「トリオンが弾ならこういう反射のさせ方があるのじゃ」

 

まるで過去にもそういう戦いをしたことがあるような物言い…。(あります。ジョジョ第二部、ストレイツォ戦を参照)

 

八幡『ぐっ!銃手の攻撃すら跳ね返す能力があるのかよ!なんだこのジジイはっ!戦い方がトリッキー過ぎる!』

 

だけど、あの射撃は囮よジョセフさん。本命は私の攻撃なのよ!

八幡君は退却する。さぁ、八幡君を追いかけようとしなさい、ジョセフさん!背中ががら空きよ。

私ががら空きの背中を襲おうと足場にしていた屋根から飛び降りて弧月を降り下ろす。

 

ジョセフ「引き際が見事じゃのう。さて…不意討ちならもう少し上手くやるもんじゃよ。陽乃」

 

読まれていた!しまった!あの小町ちゃんは1キロ先の奈良坂君達を感知していた!この人も気配を読むことが出来るんだ!背中を向けていたのはわざと!?やられたわ。

 

ジョセフ「八幡に意識を集中させて不意討ちをするのは見事じゃ。やはりお前さん達は良い連携をしておるのう。じゃが、連携が得意というのが解っておれば対処のしようもあるというものじゃ」

 

バリバリバリバリ!

 

ジョセフさんは一歩下がって弧月の刃を避け、私の手にぶつかった。そして、私はそこで謎の感電に襲われる。

よく見るとジョセフさんの服の下にはスタンドのいばらが巻き付けられている。それに波紋を流したんだ!なんて抜け目のない…。自分の体にトラップを仕掛けるなんて!

 

陽乃『スタンドのいばらを体に…!高圧電流に自ら当たりに行ったようなものっ!』

 

波紋はトリオンのようなもの…。肉弾戦でダメージを貰う非常識さ…。甘かったわ。パワーのないスタンドだからといって舐めてた…。こんな使い方をしてくるなんて想像もしてなかった…。

 

ジョセフ「どんなに強い能力も戦い方次第で負ける。逆を言えばどんなに弱い能力でも工夫次第でいかようにも出来るものじゃ。捕まえたぞ陽乃よ」

 

ジョセフさんは手から波紋を流し込んでくる!コレが…生身でトリオン体にダメージを与える小町ちゃんの技の秘訣……。しかも、反撃しようにも投げ技でとことん叩きつけれる!嘘でしょ…。波紋を流されてグロッキーになってるとはいえ、合気道を修めてる私がこうも簡単に投げられるなんて…。これは……古式柔術!?イギリス出身アメリカ人のジョセフさんが!?

くっ!?投げでアスファルトに叩きつけられるダメージはないけれど、投げられては何度も引き起こされてまた叩きつけれる…体をコントロールされているから反撃出来ないし、その間も波紋を流されてるからダメージを受け続けてる…私からトリオンがみるみる減っている…。

勝てない…この妖怪ジジイの強さは普通じゃない…。力とかじゃなく、戦い方が…。見事に踊らされている。

ジョセフさんは右手から出る数本のいばらで私を縛り上げる。詰んだわ。さっきの高圧電流を今度は攻撃用に使ってくる……。逃げられない。

 

ジョセフ「とどめじゃ!紫水晶の波紋疾走(アメジスト・パープルオーバードライブ)!」

 

ああ…電子レンジで焼かれるってこういう感覚なのね。知りたく無かったわ……。私のトリオン体は既にボロボロ…。ベイルアウトね。

 

陽乃「強い……これが戦いの達人、ジョセフ・ジョースター…」

 

戦いは戦力の強弱じゃない。私もいろはちゃんも波紋という力は使われたけど、トリガーで考えたらごく普通の力に負けた…。使い方次第……覚えたわ。

 

アヌビス神(陽乃)『その力…覚えたわ』

 

なにっ!?今の映像!異世界の私が見えたんだけど!

 

雪ノ下陽乃…ベイルアウト(リタイア)

 

 

side比企谷八幡

 

八幡「能力が強いんじゃない…戦い方が上手すぎる」

 

とりわけ強い力を使われたわけじゃない。なのに、陽乃さんも一色も何も出来ずにやられた…。

とんでもないな、このジジイ。

 

ジョセフ「お前さんはちと骨が折れそうじゃのう。逃げさせて貰うぞ」

 

ジョセフさんはノーモーションで屋根に飛び上がる。なんてジャンプ力だよ!膝のバネを使わないであのジャンプ力だって!?トリオン体といったって普通は出来ないぞ!しかも次の行動にはある意味で度肝を抜かれた。

 

クルッ♪シュゴォォォォ

 

ジョセフ「逃げるんじゃよォォォ!」

 

八幡「な、なんなんだこのジジイはっ!」

 

いきなり背中を向けて屋根から屋根へ飛んで逃げ出しやがった!やべぇ!これだけの事をやってきたジジイだ!何をしてくるかわからん!絶対にサイドエフェクトすら上手く利用される未来しか見えん!やべぇ!迅さんの未来を見る能力に目覚めそう!

 

ジョジョ『出た!ジョースター家の伝統的戦法、戦略的撤退!逃げろ逃げろぉ♪』

 

何だよその妙な伝統は!イチイチ頭がおかしいぞ!

俺はジョセフさんを追いかけながら戦い方を考える。

 

ジョジョ『銃は使わんのか?』

 

八幡『殺気でバレる。射てば確実に対処される。そう思わせるのも作戦の1つというのはわかるが、俺ははまっちまった…。迂闊に射てばやり返されるあの怖さ…。あのペテン師ジジイのどこが弱いだ…。一色も陽乃さんもあんなに簡単にやられるような奴等じゃない』

 

マジで侮っていた。波紋法…あれの応用力は並みじゃない。ただの生身でトリオン体にダメージを与えるトリック?飛んでもない…。あれだけ巧く使われたらスタンド以上のチートじゃないか…。スタンドだけを警戒していた。だけど、波紋法とそれを組み合わせた戦術は舐めて良いものじゃなかった。

トリオン弾は跳ね返される、ただ触れられるだけでダメージを食らう、クラッカーをブーメランのように使う、さらには今のように途中でもぎ取った木の葉っぱを手裏剣のように投げてくる……やることがトリッキー過ぎて常識が通じない。

おまけに銃弾を跳ね返される恐怖を心理的に植え付けられたのは痛い。三輪が奈良坂の銃弾を利用されて敗れたように、狙撃ですら跳ね返されると思ってしまうからガンナー、シューター、スナイパーの攻撃は通用しないと思い込んでしまう。実際に跳ね返されるだろうしな。

もしかしたら使わざる得ないかもな…。

俺は手裏剣をスコーピオンではたき落としながらジョセフさんを追い掛ける。どこに誘い込まれるかわかったものじゃない…。

くそっ。チマチマ投げてくる葉っぱがうざい。そんなことをしたって追跡の速度は落とさんぞ?

ジョセフさんは川を飛び越えながらまた葉っぱを投げてくる。また下らん弾幕を…。

追跡の速度を落とすための弾幕程度に思っていたのが失敗だった。

叩き落とした葉っぱが水に落ちたとき…川の水が弾け、弾丸のように俺を襲ってきた。

 

八幡「なっ!」

 

既に誘い込まれてたのか!罠の本命は川の水!

しかもこれも波紋が込められている!

 

八幡「ザ・ワールド!」

 

ドババババッ!

時を止めてザ・ワールドで水の弾丸を弾く。

スタンドを使わざる得なかった…。こんな非常識な罠を張るなんて…。罠を張らなかったのが逆に罠かよ!

 

八幡『ジョジョ…てめぇ、これを読んでいたな?』

 

ジョジョ『ああ。あのペテン師が普通に通用しない攻撃を何度もやるわけがない。あのジジイがそれをやるということは何か意味がある。もしくはなんの意味がなくても意味があるように思わせる。で、ザ・ワールドで攻撃しないのか?』

 

八幡『ハッ!てめえまで俺をペテンにはめる気か?陽乃さんにやった高圧電流でカウンター食らうだけだろう。一見俺を味方しているようでお前はどちらの味方もしていない。ただ、俺を試しているだけだ。罠にはまってないか、判断違いをしていないか。舐めてるんじゃねえ』

 

悪霊が……。アドバイスしているようで実際はこれだ。

葉山とか辺りなら引っ掛かってるだろうが、そうはいくか。

こいつは試してやがる。しかも引っ掛かってもこいつは「こういう戦法もあるけど忘れたのか?と言う意味で言っただけだ。その戦法が有効だとは一言も言っていないぞ?嘘は言ってないからな?」としれっと言うだろう。

 

ジョジョ『グレート。その通りだ。だからジジイの狙いに気付いても教えない。これはお前とジジイの戦争だからな』

 

こいつはジジイ並みに油断出来ん。それだけはわかった。

それに、水の罠に引っ掛かりかけた俺は僅かに隙をみせてしまった。このチャンスをあのジジイが逃すとは思えない。案の定、ジョセフさんはマンションのような建物の壁を蹴って一気に俺に肉薄してきた。

考えてる余裕はない!自分も巻き込まれる覚悟でメテオラを放つ!

 

八幡「くっ!メテオラ!炸裂しろ!」

 

ジョセフ「ぬおっ!」

 

ジジイのパンチの射程に入る前に俺はメテオラを炸裂させた。俺も巻き込まれたが、命中した!

だが、確かに間合いに入る前に迎撃したはずのジジイのパンチが俺の腹を捉え、貫かれた。

こふ……何でだ?何故パンチが伸びてきた…。

疑問に思っている事がまた隙となった。あのジジイは吹き飛びながらもハーミット・パープルを俺に巻き付けていた。

 

八幡「殴るついでにスタンドを巻き付けてきただと!?引っ張られる!」

 

俺はスコーピオンでハーミット・パープルを切断する。もうハーミット・パープルを侮らん。

直接的な攻撃力の有無なんてこのジジイには何の意味をなさない!あれに巻き付けられたら最後だ!

だが、引っ張られた勢いは落ちない!

俺はビルの二階に、ジョセフさんは4階の高さで壁に激突した。トリオン体じゃなければ大ダメージだ。

そのまま落ちる俺に対してジジイは片手で壁にへばりつく。あれも波紋か…。

ジジイの体からはところどころに傷が出来ており、緑色のトリオンが流出していた。

さすがにメテオラはノーダメージとはいかなかったようだな。やっとノーマルトリガーでダメージを与えたぜ。

あれをやる前にせめて一撃でもノーマルトリガーでダメージを与えたかった…。

けど、俺も波紋のパンチが効いており、殴られた腹からトリオンが流れ出ている。

 

ジョセフ「やるのう八幡よ。腹を抉られながらも反撃してくるか」

 

八幡「それはこっちのセリフだ。スパイダーマンかよ。どこまで応用力が高いんだ?波紋って奴は。その辺にある物を何でも武器にするわ防具にするわ。大体、なんださっきのパンチは。腕のリーチ以上に伸びて来たぞ」

 

ジョセフ「ズームパンチと言っての?肩や腕の関節を外して射程を伸ばしたのよ。生身でやる時は波紋で関節を外した痛みを相殺しておる」

 

八幡「ダルシムかよ。しかもまた波紋の技か。マジでお前のどこが弱いんだ?」

 

能力は弱いとは言ったが、ジジイ本人は強いと言ったじゃあないか。言ったよね?言わなかったっけ?

おいジョジョ…。またてめえのペテンか。

 

八幡「言ってねぇよ。くそ…このままじゃもうすぐベイルアウトだ…。自信を無くすぞ。お前らは」

 

ジョセフ「ワシも良いのをもらったわい。あんな至近距離で炸裂弾を使ってくるとは思いもしなかった。自爆覚悟でやって来るとはのう」

 

八幡「まともに食らっておいてベイルアウトしないなんて化け物か?……袖の白雪」

 

まともにやったんじゃこのジジイには勝ち目がない。使うしかねぇ。マジでジョセフ・ジョースターは化け物だ。

俺の隊服が白装束に変わる。

 

八幡「模擬戦でこれを使うつもりは無かったがな。あんた相手じゃノーマルトリガーでやっていたんじゃこっちが先に負ける」

 

ジョセフ「ぬっ!なんじゃそれは!」

 

袖の白雪……母さん、力を使うぜ。

母さんが命を懸けて俺に託したこの力を…。

 

八幡「卍解、白霞罸!」

 

ピッキーン!

 

見たかジョジョ。これが俺のブラックトリガーだ!

 

八幡「ジョセフ・ジョースター。あんたはとても強かった……。まさか戦術で負けそうになるなんていつ以来だ?袖の白雪の白霞罸まで引っ張り出されるなんて思わなかった。もし、サイドエフェクトがなければもっとあっさりやられていたと思うとゾッとする。だが……」

 

俺はグラスホッパーを使ってジジイが張り付いていた位置まで飛び上がる。

 

八幡「どんな手段を使おうが……」

 

白い刀を振り抜いてジョセフを粉々に砕く。

 

八幡「勝ちは勝ちだ。ジョセフ・ジョースター」

 

八幡は華麗に着地し、刀を納めた。

マジで強かった…サイドエフェクトが無ければ…絶対に罠を仕掛けられて負けていた。

参考にさせて貰うぞ…その老獪さをな。

 

ジョセフ・ジョースター(ハーミット・パープル)…ベイルアウト(リタイア)

 

←To be continued

 





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番外編:7


本当に文章力の差をしみじみと感じる今日この頃です。


明らかに本編よりも面白い気がしてならないです……。



side比企谷八幡

 

ジョセフ「最後は見事じゃった。ワシの負けじゃ」

 

八幡「こちらこそ感服しました。戦いは能力の強さだけではない。あなたの強さはそれを体現した強さです」

 

ジョセフ「じゃが、油断をしておっては勝てるものも勝てん。死んだふりとかなど当たり前。相手が勝ち誇った時、そいつは既に敗北している。勝ち誇るならキッチリとどめを刺してから勝ち誇るんじゃ。良いな」

 

この人の言葉なら素直に受け止められる。そういう戦いばかりだったのだろう。

 

八幡「わかりました。戦いの年季、心に刻みます。だから俺は専業主夫を目指します!」

 

ジョセフ「世界が違っても八幡は八幡じゃのう。無駄じゃよ、無駄。お前さんの才能は誰も手放さんわい。そんなことを認める世界なら、ワシが首根っこ掴んで財団に入れてやるぞ?八幡が日本支部の支部長になった後の関東支部支部長の後釜なぞどうじゃ?」

 

嫌だよ。世界的大企業の社畜なんて笑えん。

 

八幡「働きたくないので嫌です。絶対に胃に穴が空く未来しか見えません」

 

ジョセフ「それは残念じゃ」

 

互いを認めあった俺とジョセフさん。

 

歌歩「すごい戦いだったよ!比企谷くん!」

 

二宮「とんでもない戦いだった。ジョセフ・ジョースターさんの戦術…あれは凄い…三輪隊が手も足も出なかったのも納得が行く…雪ノ下や一色も簡単にやられた」

 

東「パーフェクト・オールラウンダー…あの人なら確実にその領域にいる…比企谷にブラックトリガーを使わせるなんて」

 

木虎「そのおじいさんを倒しただけでも凄いですね…。メテオラを使ったタイミングも見事でした」

 

いつの間に来ていたのかボーダーの仲間たちが俺達二人を讃えてくれた。その中には天使もいた。

 

小町「おにぃちゃぁぁぁぁぁん!」

 

おおっ!リサリサ小町と違って正真正銘の妹エンジェル、小町が抱きついて来た!ここは天国か…。本当の俺はジョセフさんに負けて死んだのか…。

 

小町「凄かった!凄かったよ!あんな凄いおじいちゃんに勝っちゃうだなんて!小町は感動しました!あ、これ小町的にはポイント高い」

 

小町は俺の胸に顔を埋めてスリスリと頬をすり付けてくる。

 

リサリサ「う………グスッ……お兄ちゃん……」

 

遥「リサリサちゃん?……そっか……そっちの八幡くんは……」

 

リサリサが泣いている。

まぁ…ジョジョの奴は…俺にとっては性格の悪い悪霊にしか思えないけどな。(正解)

それでもリサリサ小町にとってはジョジョはたった一人の家族なんだ…。(ジョジョ八幡達の両親は生きてます)

遥が頭を撫でるが、あまり効果はない。平行世界の事が嫌いだと言っていたからそれも関係しているのかもな。

そんなリサリサ小町にエンジェル小町はヅカヅカと歩いていく。

 

小町「何を泣いているのか知らないですけど、何でいるんですか?そっちの世界の小町」

 

ああ。小町にとってはボーダーは家族だからな。あれだけやりたい放題暴れたリサリサ小町が許せないのは無理がない。だが止めろ小町…そいつは手に負えんぞ。

 

遥「小町ちゃん!」

 

遥が小町を止める。

するとリサリサ小町の目に…それに凄い殺気が!

ヤバイ!ジョセフさん並みに凄い殺気!

 

遥「!?小町ちゃん!逃げて!リサリサちゃんの殺気が半端じゃないよ!」

 

小町「え?」

 

リサリサ「………(スッ……)」

 

リサリサは拳を小町の腹に当てる。寸剄か!

まずい!波紋の師範とも言えるリサリサの拳を受けたら小町は……

 

ゴンッ!

 

ジョセフ「止めんかリサリサ先生。どこまで平行世界の自分が嫌いなんじゃ!」

 

それを止めたのはジョセフさんだった。

助かった…この人が唯一のストッパーだよ…。

 

八幡「止めとけ小町……ジョセフさんと戦ってわかった。この小町は…エリザベスは手に負えん。袖の白雪を使っても勝てる確率が低い…」

 

小町「袖の白雪を使っても…?そんな…」

 

八幡「レーザーなんて何とか出来るか。下手したら地球が滅ぶ。それにな……」

 

スタンド越しで音速の速度がやっと見える程度なのに、光速のレーザーなんて見れるか!

それに、川崎の妹はまずい。聞いている能力が本当なら。

 

八幡「あの娘を怒らせるな…。あの子は…『喋ったら殺す。社会的に』…ちっ!わかったよジョジョ。それは秘密なんだな」

 

社会的に殺すって…。

 

ジョジョ『具体的には天下の往来で俺はボーダーの比企谷八幡だぁ!とマッパで叫ぶ』

 

やめろ!本気で社会的に死を迎えるわ!

 

京華「ううう~……リサリサ様もまーちゃんも仲良くしないとダメ~!アクア!」

 

八幡「ま、まさか…デュオロン……」

 

R・A「わかったよー。微笑みの爆弾!え~い♪

 

ギャグ漫画のような分かりやすい爆弾を投げた。確かあの爆弾は危なくないはずだ。

ポーン♪

ニコニコニコニコ♪

小町「あはははは!何これ!なんか胸がポカポカして笑いが勝手に!でも小町はボーダーのお兄ちゃんやお姉ちゃんをボコボコにした小町を許さない」

 

ニコニコニコニコ♪

リサリサ「あはははは!いつでも来なよ小娘!たかだか15の小娘にやられるほどヤワな人生を送っていないよ!」

 

ニコニコニコニコ♪

小町「あはははは!自分だって15の小娘じゃんか!ああ、前世は100まで生きたんだっけ?ババアだね?ババア」

 

ニコニコニコニコ♪

リサリサ「あはははは!殺す!」

 

ギスギス

 

京華「ふえぇぇぇぇぇん!却ってギスギスして怖くなったよぉ!」

 

確かにあの嘘臭い笑顔は逆に怖い。京華ちゃんのデュオロン・オブシディアンに変わられたらかなわん!

 

八幡「お前ら!とにかく握手だ!なっ?握手でもして仲直りしろ!」

 

俺は二人の小町の手を無理矢理握らせる。

 

ニコニコニコニコ

小町「あはははは!ねぇ、なんかトリオン体がひび割れて来てるんだけど、止めてくれない?」

 

ミシミシミシ…

 

ニコニコニコニコ

リサリサ「あはははは!そのままベイルアウトしちゃえ♪生身に戻ったら手を砕いてあげるからさ♪」

 

ニコニコニコニコ

小町「あはははは!絶対に許さない!」

 

ニコニコニコニコ

リサリサ「あはははは!welcome!come o~n♪」

 

ギスギスギスギス

 

二人ともケンカする気満々だよ!というかリサリサに至っては殺意100パーセントだよ!

 

八幡「どうすれば良いんだこれーーーー!」

 

もうお手上げだ。

 

沙希「けーちゃん!何でこんなところに!」

 

大志「けーちゃん!それに比企谷さんが二人!?って俺もいる!どうなってんだ!?」

 

シーザー「ちっ……何だか弱そうな俺が来た。姉ちゃんはキレイだ…嫁にしたい。異世界だから姉弟婚もあり?」

 

沙希「何か首筋に星が付いてる大志がプロポーズしてきたんだけど…」

 

大志「うげぇ……重度のシスコンかよ……」

 

シーザー「あ?」

 

大志「お?」

 

段々収集付かなくなってきたね。どうしよ、これ。

 

ーボーダー教場ー

 

とりあえず、彼らアーシスの素性を知って貰うために俺達ボーダーの無事なB級以上の隊員は教場に集められた。

 

ジョセフ「とりあえず、まずはワシらの世界の事と、この世界に来た理由を説明しよう。ジョナサン、出てくるんじゃ!」

 

ジョジョ『お呼びだ。体を借りるぜ』

 

八幡『げ、おいマジかよ!』

 

あ、コントロール奪われた。

 

ジョジョ「あいよ。今回は八幡に断ってから体を借りてるからボーダーの連中は黙ってくれよ?」

 

あれは断ったうちに入らない。が、言ったもの勝ちなんだろうな。コイツらのやり口じゃ。

 

リサリサ「お兄ちゃぁぁぁぁぁん!」

 

あ、今度はリサリサ小町が抱きついて来た。何でだろ。見た目も何もかも一緒なのに何の感情も沸かないのは。

霊長類ヒト科アカノタニンって奴か?

 

リサリサ「もう離さない……なんならここで既成事実を」

 

何言ってるんだこの偽愚妹は!

 

ゴンッ!

 

ジョセフ「やめんか!公共の場で何を考えちょるんじゃ!」

 

リサリサ「このお兄ちゃんの体は赤の他人…このお兄ちゃんの体は赤の他人…だからセーフ」

 

ゴンッ!×2

 

初代&二代目ジョジョ『アウトだ(じゃ)!このアホ娘(母)!R-18にする気か!』

 

うん。もはやこの小町がブラコンとかの領域を遥かに超えたヤバイやつと言うのは良くわかった。むしろジョジョとジョセフがそっち方面はまだまともだったことに安堵するまである。

 

リサリサ「ううう……パパと息子から拳骨された…」

 

リサリサが頭をさすりながら涙目で戻る。

 

小町「ないわぁ~……お兄ちゃんはカッコいいけど男としてお兄ちゃんを見るってないわぁ~……」

 

リサリサ「あ?」

 

小町「お?」

 

ホント君達は仲悪いね!俺もジョジョとは仲悪いけどさ!

 

ゴンッ!×4

 

初代&二代目『話が進まんわ!』

 

ダブル小町「ううう~……お兄ちゃんがぶったぁ…」

 

こいつら、小町の方まで拳骨を落としやがった。

ジョセフさんの方はリサリサを左手で拳骨を落としていたが、その音がおかしかった。まさか義手なのか?

 

ジョセフ「ジョナサンよ。スマホにSDカードを入れてワシらの記憶を入れるんじゃ。可能ならDIOの方も入れてくれんか?」

 

ジョジョ「砕けた魂でスタンドを使うのは疲れるんだけど仕方ねぇな」

 

ジョジョとジョセフさんがハーミット・パープルを出してスマホに念写を送る。おい、なに人のスマホに大容量のムービーを保存してやがる!やめろ!容量バカ食いするだろ!

マイクロSDにデータ移したら消すからな!っていうか余計なデータを目はSDに移すなよ!そしてお宝データを消すなよ!

そこからは映画でも見ている気分になった。

 

今から1880年のジョジョ達のイギリスの記憶。

父の死をきっかけに名門貴族ジョージ・ジョースター卿の養子となった貧民街出身の少年、ジョジョの前世の一つであるディオ・ブランドーは、ひそかにジョースター家の乗っ取りを計画する。ジョースター家の跡取り息子である12歳の少年、もう一つのジョジョの前世であるジョナサン・ジョースターはディオに陥れられ周囲から孤立していくが、初恋の相手である一色の前世、エリナ・ペンドルトンを辱められたことでディオに反逆。彼を打ち負かす。

ディオが来てから7年が経った1888年。大学卒業を控え、表向きは立派な青年に成長したジョジョとディオだったが、ディオはまだジョースター家の乗っ取りを諦めていなかった。ディオがジョースター卿を暗殺しようとしていることに気付いたジョジョは、ゴロツキのボスである戸塚の前世、ロバート・E・O・スピードワゴンの協力もあり、ディオの悪事を暴くことに成功するが、追い詰められたディオはジョジョが研究していた石仮面をかぶり、人間を超越した存在である吸血鬼へと変貌する。魔物と化したディオを倒すためにジョジョは屋敷に火を放ち全てを失うが、辛うじて勝利し、生還する。

それからしばらくして、エリナに看護されるジョジョの前に謎の紳士、川崎の前世、ウィル・A・ツェペリが現れ、ディオと石仮面がまだ健在であること、そして生き延びたディオは人間を屍生人(ゾンビ)に変えることで勢力を増やし、このままでは世界はディオの手に落ちてしまうということを告げる。ツェペリから石仮面に対抗する力「波紋」を伝授されたジョジョは、ディオの邪悪な野望を阻止するために仲間たちとともにディオの潜伏する「風の騎士たちの町(ウインドナイツ・ロット)」へと向かい、激しい戦いを繰り広げる。さらにツェペリの仲間の波紋戦士たちも応援に駆けつけ、ジョジョはツェペリやタイラー等の多くの犠牲を払いながらもディオとの一騎打ちを制し、諸悪の根源である石仮面を破壊する。

戦いが終わった後、1889年2月にジョジョはエリナと結婚。平和を取り戻したかのように思われたが、新婚旅行で客船に乗り込んだ二人の前に首だけになって生き延びていたディオが現れ、ジョジョの肉体を乗っ取ろうと襲い掛かってくる。船内には屍生人が溢れかえり、ディオの攻撃で致命傷を負ったジョジョは、命を絞った最後の波紋で船を爆破する。ジョジョはディオの首を抱きかかえ、彼に「奇妙な友情」を感じていたことを打ち明けながら息絶え、爆発する船と共に海底へ沈んでいった。

一方、エリナはジョジョに促され、母親を殺されて泣いていた赤子(後のリサリサとなる小町の前世)とともに船から脱出する。その赤子はエリナの胎内に宿るジョジョの子とともにジョースターの血統を受け継いでいくことになるのだが、それはさらなる数奇な運命の始まりでもあった。

 

シーン……(駄洒落じゃあ無いぞ?)

 

ボーダー勢がみんな押し黙る。

 

沙希「あれが向こうのあたしの前世が死ぬ場面…DIOは酷い」

 

いろは「新婚旅行で夫を亡くすって…向こうのわたしの前世って可哀想です…DIO…許せない」

 

戸塚「無力だ…向こうの僕の前世はなんて無力なんだ。環境がDIOをこんな奴にした?違うね!あいつは生まれついての根っからの悪だよ!」

 

小町「………グスッ……許せないよDIO…そっちの小町の前世は生まれた時からこんな人生…。実の両親が殺されて、更にお兄ちゃんの前世まで…辛かったんだね!小町も両親がネイバーに殺されてるから解るよ!ううう…」

 

リサリサ「うん、ありがと。でもDIOもお兄ちゃんの前世だからね?」

 

まぁ、渦中の二人が混ざって転生したジョジョには複雑な気分だろう。それにしても、何て壮絶な人生だ…

 

次にその50年後の1938年、アメリカのジョセフさんの記憶。

 

ジョナサン・ジョースターの戦友だったロバート・E・O・スピードワゴンは、メキシコで大量の石仮面とともに二千年もの時を眠り続ける「柱の男」を発見し、消息を絶つ。ジョナサンの孫・ジョセフ・ジョースターはスピードワゴンを追ってメキシコに向かうが、そこで「柱の男」の軍事利用を目論むナチス・ドイツ(材木座の前世、シュトロハイム大佐が指揮官)と、覚醒した「柱の男」サンタナと遭遇する。「柱の男」は吸血鬼をも凌駕する地上最強の生物であり、暴走したサンタナは研究施設を壊滅させた後、ジョセフに襲い掛かる。ジョセフはジョナサンから受け継いだ「波紋」を駆使して辛くもサンタナを活動停止に追い込むことに成功するが、ローマにも3体の「柱の男」がいることを知る。

ローマに飛んだジョセフは、かつてのジョナサンの師ウィル・A・ツェペリの孫、大志の前世、シーザー・A・ツェペリと合流し、復活した3体の「柱の男」ワムウ、エシディシ、カーズと戦うが、サンタナを大きく上回る実力を持つ彼らに惨敗を喫する。「柱の男」たちはさらなる進化のために「エイジャの赤石」(リサリサのサンシャイン・ルビーに付いているレーザーの発射器の赤石)と呼ばれる宝石を探しており、彼らが赤石を手にした時、地上は「柱の男」に支配されてしまうとのことだった。ジョセフたちはシーザーの師であるリサリサの下で波紋の修行を積み心身ともに鍛え上げられ、同時にエイジャの赤石もまた彼女が所有していることを知る。ジョセフは修行の最終日に現れたエシディシを成長した波紋で撃破するが、エシディシはリサリサの使用人・スージーQ(京華の前世)を操って赤石をスイスのサンモリッツへ郵送していた。ナチス・ドイツも交えたカーズとの争奪戦を経てジョセフたちは赤石を取り戻すが、単身「柱の男」の隠れ家へ乗り込んだシーザーはワムウとの戦いで死亡してしまう。

リサリサは柱の男たちに赤石を賭けた一対一の直接対決を提案し、ジョセフ対ワムウ、リサリサ対カーズの死闘が繰り広げられる。戦いの末にジョセフがワムウを撃破するが、騙し討ちでリサリサから赤石を奪ったカーズは赤石を組み込んだ石仮面をかぶることで波紋や太陽を克服した究極生物へと進化を遂げる。追い詰められたジョセフは逃走の末に、火山の噴火を利用した捨て身の作戦によってカーズを大気圏外へ放逐させた。カーズが永遠に宇宙空間をさまようこととなった一方で、ジョセフも噴火に巻き込まれ死亡したと思われていたが、ジョセフの葬儀の当日、奇跡的に生還していた彼は妻となったスージーQを伴い、悲しむ一同の前に姿を現すのだった。

 

シーン……

 

材木座「そっちの我よ!自らを犠牲にしてまでお前は…!壮絶だったのだな!」

 

SH「うむっ!あれはもうだめだと思ったぞ!」

 

二人の材木座が抱き合って泣く。暑苦しい。

 

沙希「けーちゃん!頑張ったんだね…辛かったんだね!大志も……なんて誇り高い」

 

大志「ううう…シスコンなんて言って悪かった!姉ちゃんの前世の誇りをお前は守ってたんだな!」

 

京華「さーちゃん!たーちゃん!ううん!けーかは幸せだったよ!ジョーちゃんがいたから!」

 

シーザー「ありがとう…姉ちゃんにそっちの俺。だから姉ちゃんは俺が幸せに…」

 

シーザー…辛い前世はわかったが、家族愛とシスコンは違うからな。

 

小町「ううう……悲しすぎるよリサリサ…夫を更に失って師匠は吸血鬼になって……息子のジョセフさんを心を鬼にして地獄の特訓を施して…更に自分まで死にかけて…強くなるはずだよ…こんな悲しい前世。頑張ったんだね…そっちの小町…」

 

リサリサ「ううう……お兄ちゃん……」

 

うん、ごめんな小町…。

 

いろは「……壮絶過ぎます……わたしの前世…子供の頃から死ぬまで悲しみに……どうして!どうしてなんですか!」

 

こりゃ、リサリサやジョセフが強くなるのもわかるわ。

生死をかけた人生を一生涯続けてればな…。

 

そして50年後のエジプトの戦いだ。

1988年、日本からエジプト間でのジョセフとその孫の空条承太郎さんとDIOとの因縁の決着の戦い。

 

ある日突然スタンドに目覚め、周囲の安全のために留置場に自ら閉じこもった空条承太郎のもとに、祖父・ジョセフ・ジョースターとその友人・三浦の前世、モハメド・アヴドゥルが訪れる。ジョセフとアヴドゥルは、承太郎の「悪霊」の正体が精神エネルギーが具現化した「スタンド」というものだと説明する。

これより数年前のこと、かつてジョセフの祖父ジョナサンと戦った吸血鬼・DIOが海底から引き揚げられていた。彼はジョナサンの首から下を乗っ取り、鋼鉄の箱に入って海底に沈んで眠っていた。そしてジョセフや承太郎にスタンド能力が発現したのは、彼が復活したことと関係があるのではないかとジョセフは語る。一方、復活したDIOはスタンド使いの配下を増やし、世界を支配する野望を再び巡らせていた。その配下の中には「肉の芽」を用いて洗脳したスタンド使いもいた。

その数日後、承太郎はDIOの肉の芽によって洗脳されたスタンド使い・海老名の前世である花京院典明と対決して勝利し、花京院を洗脳から解放した。それからほどなくして承太郎の母親・空条ホリィが高熱を出して倒れてしまう。高熱の原因はホリィにも発現したスタンド能力だった。闘争本能が弱いホリィは自らのスタンドを制御できず、肉体を蝕まれるだけになっていた。

ホリィの命は持って約50日。その期間内にDIOを見つけ出し倒すしか彼女を救う手段はない。ジョセフが念写したDIOの写真を元に、承太郎はアヴドゥルが命名した自身のスタンド・スタープラチナを使い、DIOがエジプトに潜んでいることを明らかにする。ホリィを救い出すため、彼女の看病をスピードワゴン財団に任せた上で、承太郎たちは回復した花京院も加えてエジプトを目指す。その一方でDIOはジョースター一族との因縁に決着をつけるため、エジプトから次々に刺客のスタンド使いたちを承太郎たちに差し向ける。

当初承太郎たちは飛行機を乗り継ぎ直接エジプトへ向かう予定であったが、DIOの刺客によって墜落させられたため、以降海路・陸路を中心にエジプトに向かうことになる。その旅の中で洗脳されていたスタンド使い・ジャン=ピエール・ポルナレフを仲間に加え、タロットカードの暗示を受けた刺客を跳ね除けながら香港島、インド、パキスタン、紅海を経由してエジプトに入る。エジプトではスピードワゴン財団が捕獲したスタンド使いの犬・由比ヶ浜の飼い犬の前世、のイギーをさらに仲間に加えるが、送り込まれる刺客もまたエジプト九栄神の名を冠する強力なスタンド使い(中には陽乃さんの前世もいた)となっていく。それらを撃退しながらアスワン、ルクソール、ギザを経由して北上し、ついに一行はカイロにてDIOの潜伏する館を発見。100年の因縁に決着をつける時を迎える。

アヴドゥル、イギー、花京院を失いながらも承太郎はDIOを倒し、ジョースター家の因縁を絶ちきった。

 

沙希「けーちゃん!ホントに辛かったんだね!異世界のお姉ちゃんだけど甘えて良いんだよ!?」

 

いろは「典明おじさん……グスッ……あっちのわたしは生まれ変わってまでDIOに家族を…先輩!先輩はDIOでもあるんですよね!?DIOはエリナ・ジョースターに恨みでもあるんですか!?」

 

陽乃「私の前世をいろはちゃんの前世の子孫を殺すために派遣するなんて…DIOは比企谷隊の敵よ!」

 

関係ないボーダーのみんなも一色に同情している。

まさかあっちの三浦や海老名も……ねぇ。

更に11年後の1999年、日本M県S市杜王町…そんな町、あったか?

 

海洋冒険家となった承太郎は、高齢の祖父ジョセフ・ジョースターの遺産分配について調査した結果、彼の隠し子である高校生・東方仗助(ひがしかた じょうすけ、ジョジョ)が杜王町に住んでいることを知る。仗助は承太郎の来訪により父のことを知ると同時に、この町に潜む邪悪なスタンド使いたちとの戦いに巻き込まれてゆくこととなる。

ひょんなことから、何者かが杜王町で意図的にスタンド使いを増やしていることを知った仗助と承太郎は、スタンド能力を覚醒させる「弓と矢」を巡って、虹村兄弟や音石明たちと激闘を繰り広げる。戦いの末に辛くも「弓と矢」を回収した仗助たちだったが、杜王町には未だ「弓と矢」によって覚醒したスタンド使いが多数存在しており、数々の奇妙な事件を経て彼らと邂逅する。また仗助は、杜王町にやってきた父・ジョセフと対面し、不器用ながらも親子の絆を深めていく。

ある日、康一たちは15年前に死亡した幽霊の少女…めぐり先輩の前世、杉本鈴美と出会い、彼女を殺した殺人鬼が今もなお杜王町で快楽殺人を続けていることを知る。やがてその犯人もまたスタンド使いであることが判明し、調査の末に仗助たちは連続殺人鬼・吉良吉影のもとへと辿り着くが、追い詰められた吉良は、他人のスタンド能力を利用して自分の顔とその場に居合わせた一般人の顔を取り換え、行方をくらませる。

川尻浩作の顔と生活を奪い、別人に成り済ましながら殺人を続ける吉良だったが、父・浩作の変化に不審感を抱いた小学生・川尻早人は独自に調査を始め、本物の父は既に殺され、今の父親は殺人鬼が成り替わった偽者であるという事実をつきとめる。早人の奮闘によって正体を暴かれた吉良は再び仗助たちの眼前に引きずり出され、最期は野次馬に包囲されて逃げ場を失ったところを救助にやってきた救急車に轢かれて死亡するという皮肉な末路を迎える。吉良の魂は生死の境界の場所へとたどり着くも、待ち構えていた鈴美の策に敗れ、杜王町から追放される。

役目を終えた鈴美は仗助たちに見送られながら現世を去り、「弓と矢」がもたらした一連の脅威も去ったことで、承太郎とジョセフもアメリカへの帰国の途に就く。仗助ら杜王町の住人たちには、悪に屈さぬ正義の心「黄金の精神」が宿っており、その精神はこれからも連綿と引き継がれていくことだろうと述懐するジョセフ。そこで杜王町の戦いは終わりを告げる。

 

小町「ジョセフさん!せっかく向こうの小町が教えた波紋をサボるって何!?ヨボヨボじゃないですか!何で今の方が若いんですか!?更に浮気!?けーちゃんに謝って下さい!だから静・ジョースターさんを拾った時に隠し子疑惑が起きるんです!」

 

沙希「ジョセフさん……敵わないとわかってますけど後で個人ランク戦、付き合って下さい。けーちゃんを裏切った罪は許さない…」

 

陽乃「めぐり……あなたは立派だったわ。死んでまであなたは町の事を…」

 

めぐり「ううう……杉本鈴美さん……悲しいよぉ…」

 

2001年イタリア。15歳に成長したジョルノは、ある日イタリアの裏社会を牛耳るギャング組織「パッショーネ」とトラブルになり、パッショーネの一員であるスタンド使い・ブローノ・ブチャラティ(留美の前世)に襲撃される。自身のスタンド「ゴールド・エクスペリエンス」で戦いを制したジョルノは、ブチャラティに「パッショーネのボスを倒し、組織を乗っ取る」という自らの野望を告白し、その想いに共鳴したブチャラティはジョルノを自身のチームに引き入れる。そこでジョルノはブチャラティチームの仲間たちと信頼関係を築いていく。

その後、組織の「ボス」に近づくために、パッショーネの幹部へと昇格したブチャラティだったが、そのボスから直々にボスの隠し子である少女・トリッシュ・ウナの護衛任務が命じられる。トリッシュは組織を裏切った「暗殺チーム」に狙われており、ジョルノたちはトリッシュを守りながらボスの待つヴェネツィアを目指すが、ボスのもとに辿り着いたブチャラティはボスの真意が娘を守ることではなく、ボス自らの手で確実に始末するためにトリッシュを護衛させていたことを知る。トリッシュを庇ったことで組織を追われる身となったブチャラティは「ボスを倒す」という意志に賛同した者だけを連れてその場を後にし、一方でボスは裏切り者となったブチャラティチームを始末するべく、ボス直属の「親衛隊」を差し向ける。

追手を退けながらボスを倒す手段を探る過程で、かつて空条承太郎と共にDIOと戦ったスタンド使い・ジャン=ピエール・ポルナレフから通信が入り、スタンドを進化させることのできる「矢」の存在を知らされる。ジョルノら一行はポルナレフから「矢」を入手するべく、合流地点であるローマのコロッセオへ急ぐが、正体を現したボス・ディアボロは先んじて「矢」を奪おうとポルナレフを急襲する。“「矢」の争奪戦”という形でジョルノら一行とディアボロの最終決戦が繰り広げられ、激闘の末に多くの仲間が命を落とすが(その中にはブチャラティやポルナレフも含む)、ジョルノは彼らの遺志を継いで「矢」を手にすることに成功する。ジョルノは「矢」の力で進化したスタンド「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」によって戦いに決着を付ける。

エピローグでは、生き残った者たちに見守られつつ、ジョルノがパッショーネの新たなボスとして君臨し、イタリアのギャング界の戦いは終わりを告げた。

これは口頭によるジョセフさんの説明だ。

 

留美「ギャングになって…死んでも使命を全うして…あっちの私って……凄い」

 

そして3年後のジョジョ達(第1章)

 

いろは「うんうん♪先輩と婚約者ですか♪まだわたしにもチャンスがあるんですね!」

 

君の事じゃあ無いからね?君、うちの陽乃さんと同じ発想だよ?

綾辻も複雑な顔をするな!

 

それから四年後のスージーさんが亡くなるシーン。

 

沙希「けーちゃん……お疲れ様…。あんたと一色はジョースター家の母だよ…」

 

更に四年後のジョジョ達(第2章)

 

陽乃さんをボコってるジョジョ八幡。

 

陽乃「ジョジョ……よくも私を……死にかけてるじゃないの!」

 

陽乃さん…俺に詰め寄らないで…。

 

その後も一歩間違えれば死ぬような戦いを続けるジョジョ達クリスタル・クルセイダーズのメンバー。

特に……。

 

見ればいろはや陽乃さんら体の欠損があったが、一番酷かったのはリサリサ小町だ。

両腕と右足の指が無くなってしまっている。

わずか十歳の女の子が…。

 

リサリサ「ごめんね、お兄ちゃん…。やられちゃったよ…。頑張ったんだけどね…小町はここまでみたい…」

 

ジョジョ八幡「バカ野郎!お前はよくやってくれたよ!そんなになるまで…よく…だから死ぬな小町!逝くんじゃあない!俺達は全員で帰るんだろ!小町ぃ!」

 

リサリサ「おにい…ちゃ…」

 

何だよこれ……あんなに強い小町ですら……こんなことになっちまうのかよ…。

 

リサリサ「ここからだよねぇ…お兄ちゃんを男として見るようになったの……」

 

小町「これは……リサリサ…戦いに関してシビアなのがわかったよ。これは酷い…両腕と片足が無くなってる。良く生きてたね…」

 

リサリサ「お姉ちゃんとSunnyLightの店長のお陰だよ。二人がいなければ小町は死んでたね。あ、お姉ちゃんってのはいろはお姉ちゃんの事だから」

 

小町「小町、東京に行ったらSunnyLightに必ず寄るよ。評判良いし……」

 

SunnyLightってあのオカマの店長の店だったよな。あの変身能力は凄いな。

 

そして更に四年後…今年の俺達。

雪ノ下、由比ヶ浜との出会い。

材木座との戦い。戸塚との決闘。テニス部の騒動と三浦と海老名との戦い。チェーンメール騒動と大和との戦い。川崎兄弟との決闘。サブレとペットショップとの再会。由比ヶ浜の誕生会と城廻先輩との出会い。

それぞれは反応がまちまちだった。

 

そして…ジョジョが砕けたシーン。

ジョジョがこんなことになった千葉村…。

 

結衣《ヒッキー……波紋の力であたしを殺して…こんな悲しい事を…終わらせてよ……ヒッキー…》

 

ジョセフ「やめろ!やめるんじゃあ!」

 

小町「お兄ちゃん!他に方法があるはずだよ!やめて!」

 

八幡(ジョジョ)「じゃあな…消えるのは、輝かしい未来の奴等じゃあない。この邪悪の化身で良い。…大好きだったよ。みんな…後は頼んだ…おおおおおお!」

 

ジョジョがレクイエムを発動させるシーン。

 

……………。

 

ボーダー組「ふざけるな!何が消えるのは邪悪の化身で良いだ!」

 

ボーダーのみんなが俺に詰め寄った。だから俺じゃねえって!

 

ガハマ「あたしが……あたしが悪かったんです…ゴメンねヒッキー!ううう………」

 

全員が由比ヶ浜を見る。

 

遥「由比ヶ浜さん。あなたはこっちの由比ヶ浜さんと随分違うのね…あなたは悪くないわ…悪くないの。だから自分を責めないで……ううう…頑張ったんだね…由比ヶ浜さん……」

 

遥と同意見だ…。こいつはあの由比ヶ浜とは全然違う。

それに……重いわ。

何人の人間を殺すきっかけになるって…。最終的にジョジョのレクイエムに救われたが…。

 

小町「とてもあの人と同一人物には見えない…ガハマさん…自分を責めないで……頑張ってお兄ちゃんを元に戻しましょう?」

 

ガハマ「ううん!あたしはあたしを許せない!守るつもりで守られたのはあたしなんだ…。こんな無力で何も出来ないあたしが……アーシスに入るべきじゃあ無かったんだ……うわああああああん!」

 

……これは立ち直るのは難しい。

さすがにガハマの由比ヶ浜に冷たく接する気にはなれん。下手をしたらあの由比ヶ浜は自分を責めまくった挙げ句に命を絶ちかねない。目が離せんな…。

 

ジョセフ「肝心なのはここからじゃ」

 

ジジイは更に自分の記憶を再生した。

 

霊夢「あなた達の役目は、彼の魂を回収すること。飛んでいった平行世界の先で、そこにいる黄金の魂と同化した彼は、異変を解決しようとする…。根が優しい彼は、そこで起きた異変の解決に導こうとする。その彼を助け、再びここに集めるのよ」

 

異変……だと?この世界に何かが起こるのか?

 

ジョセフ「ワシらの目的は八幡の魂の回収だけじゃあない。この世界に何かが起こる。ワシはそれを解決しに来たのじゃ」

 

忍田「異変……だと?」

 

全員の空気に不穏な影が差し込む。

 

?「わかるぜ。これから起こる異変……って奴がな」

 

そんな時、あの男が手を上げて立ち上がった。

 

?「幻想郷の巫女が言っていたのはこの事か。俺が知ったことを時が来るまで黙っていろと言っていたのは。他の平行世界では起こらない、この世界が陥る危機ってのがな」

 

迅悠一さん。そうか、この人のサイドエフェクトがあった。

 

←To be continued

 

 





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番外編:8

side比企谷八幡

 

迅「幻想郷の巫女が言っていたのはこの事か。俺が知ったことを時が来るまで黙っていろと言っていたのは。他の平行世界では起こらない、この世界が陥る危機ってのがな」

 

ジョセフ「ちょっと待つのじゃ」

 

幻想郷?どこだそこ。

ジョセフさん達は何か心当たりがあるようだけど。

 

ジョセフ「その言葉が本当ならお前さんはワシらがこの世界に介入してくることや、このアホ娘がやらかすことも知っていた…と言うことになるが、間違いないか?」

 

ザワザワ…

周囲から声が漏れ始める。

 

迅「そういうことになりますね」

 

「マジかよ……じゃあ迅さんは止められてたじゃんかよ」

 

「流石は裏切り者の玉狛支部と呼ばれてるだけあるぜ」

 

裏切り者の玉狛支部…か。俺はその言葉があまり好きではない。玉狛支部には玉狛支部なりの理念があるから。

なぜ迅さんはリサリサを止めなかったのかはわからない。けど、その異変となるのはジョセフさん達スタンド使い…または波紋の一族の力が必要になるからなのか?

迅さんは意味のないことはやらない。長い付き合いだからな。迅さんとジョセフさんはどこか似ている気がする。

 

ジョセフ「幻想郷の巫女というのは、さっきの映像に出ていた巫女で間違いがないのじゃな?」

 

迅「ええ。あの巫女服なのにスカート穿いていて、しかも袖と腋を露出しているあの巫女です」

 

随分具体的だな。一部の女性隊員から白い目で見ている。多分、セクハラしたな?

 

ジョセフ「お前さんはどういう内容を知ったのじゃ?可能なら経緯も含めて教えて欲しいのう」

 

以外にもジョセフさんはスルー。本題に戻った。

 

迅「そうだなぁ…俺のサイドエフェクトがそう言っていただけだからなぁ。あ、ぼんち揚、食います?」

 

そんな説明で普通はわかりませんよ?迅さん。

それにいつも通りぼんち揚を勧めてるよ。

 

ジョセフ「貰おうか。それで、お前さんのサイドエフェクトとはなんじゃ?」

 

あ、普通に受け取った。うまそうに食べてる。煎餅が好きなアメリカ人って。

 

迅「知っている人間の少し先の未来を見ることが出来る…と言えばしんじます?」

 

ジョセフ「信じよう。映像にもあったトト神というスタンドがそういう能力じゃし、ワシら波紋の一族にもそういう技術があるのでな。このアホがこんなことになる事もそれで知ったわけじゃ」

 

波紋やスタンドにもそういうのがあるのかよ。

 

ジョジョ「ジジイ……人の頭をポンポン叩くんじゃあない」

 

お前の頭じゃない。俺の頭だ。

というか、そろそろ体のコントロールを返せ、この悪霊が。

 

迅「前例があるだけすんなり受け入れてくれたな。ならば説明も楽だ。サイドエフェクトというのはジョースターさん達の言うところのスタンド能力に近い。もっとも、能力だけは…スタンドのように幽霊みたいな物は出せませんがね。もう一枚食います?」

 

ジョセフ「気前がええのう。貰おう」

 

まだ食うのかよ!好きだな煎餅!

 

ジョセフ「幻想郷の名前が出てきた以上は信じるよ。霊夢は後でとっちめるとしてのう。で、結論から先に聞かせて貰うその異変の内容とはなんじゃ?ワシら平行世界の力が必要な事とはなんじゃね?」

 

真面目な話の内容とうまそうにぼんち揚を食う姿がミスマッチだな。

 

迅「カーズ……と呼ばれる人型ネイバーが大規模侵攻を起こして来るそうですよ。いつ、どこでまではまだ不確定ですがね」

 

カーズ?聞いたことがないが…まあ、ネイバーの個体名なんて知ったことじゃないけどな。

それに、カーズってさっきの映像にあった神話に謡われた種族だよな?

 

迅「ああ、博麗霊夢が言うにはそっちの世界の同一人物では無いですから安心して欲しいと言ってましたよ?ジョセフさんが倒したカーズは宇宙空間で小隕石のまま漂っているみたいですから。この世界のカーズだと思ってください」

 

お、おいおい!

マジで神話に登場する神の存在っ!?

もしかしたらこの世界のジョースターや柱の一族、スタンド使いは近界で展開されているとかという落ちは無いよなっ!?

 

迅「いやぁ、助かりますよ。今までとは種類の違うタイプのネイバーなんでどう伝えて良いかわかりませんでしたし、ニネスの力を借りるなんて言ったら三輪みたいなネイバー嫌いにとっては受け入れられるものじゃありませんからね」

 

まぁ……三輪は絶対に受け入れないだろう。アーシスの奴等はネイバーみたいなものだ。

 

ジョセフ「ニネス?」

 

ジョセフさんが聞かない単語に首を傾げると…。

 

ジョジョ「俺達のコードネームだよ。『near NAVER standuser』の略だ。ネイバーに近しいスタンド使いだとよ。皮肉な名前の付け方だ」

 

ネイバーみたいなものだろが!っていうか、ネイバーよりも質が悪いんだよ!特にお前とリサリサは!

 

ジョセフ「是非とも協力させてくれ。カーズがワシらの世界と同じかわからんが、柱の一族が関わっておるなら戦うのは波紋の一族の使命じゃ。それに、この世界の敗北はワシらの世界にも影響が出るようじゃ。特にトリオンが多そうな波紋の一族はネイバーの格好の拉致対象なのじゃろう?」

 

絶対に拉致対象だな。

波紋とトリオンは似すぎている。

もしかしたらトリオンと波紋は元々同じだったかもな。

歴史の変化が呼び方や使い方を変えただけで。

でもトリオン器官なんて無さそうだけどな。

 

ジョジョ「よりにもよってカーズかよ……。だが、形は違えど前世の借りは返せるな……。石仮面を作ったカーズ……こんな形で借りを返すことになるとはな」

 

戦う気満々なのは良いけど、それは自分の体に戻ってからにしてくれね?あ、他にも4つの魂の欠片が必要なんだったっけか?

あ、どのみちネイバー関連だから俺も戦う事になるのか。

 

菊地原「おいおい。ほとんどネイバーと変わらない奴等がボーダーと協力?冗談だろ?」

 

菊地原…お前は相変わらずだな。

 

「そうだ。こいつらのせいで半数近くのボーダーがやられたんだ!そいつらに協力してもらうなんて許せるかよ!」

 

「俺は御免だぞ!こいつらの人生が壮絶なのはわかったが、それとこれは無関係だ!」

 

一人、また一人と隊員が出ていく。

それも仕方がない。半数近くのボーダー隊員がリサリサにやられた。

俺だって許したわけじゃない。

 

迅「玉狛は動くぜ。こっちの世界の問題だからな」

 

二宮「結局は防衛任務だ。誰が一緒でも問題はない」

 

嵐山「近界民に近い者をボーダーに入れるなんて普通はありえませんが、よっぽどの敵なのでしょう。迅は意味のないことはしない男です。その判断にしたがいましょう。ジョースターさん、よろしく頼みます」

 

出ていく者もいれば、この場に留まる者もいる。

二宮さんのように任務だから、迅さんの人柄によるものだったりといった理由がほとんどだ。

それにしてもリサリサはなんでこうまで平行世界が嫌いなんだ?自分同士が気持ち悪いのはわかる。だけどリサリサのそれはそれだけじゃない。

他の平行世界や基本世界で何かあったな?

 

ジョセフ「ボーダーの方の八幡よ」

 

八幡『おい、俺が呼ばれたぞ。早く体を返せ!』

 

ジョジョ『わかってるよ』

 

やっと体のコントロールを返す気になったか。

 

ジョジョ「ジジイ、今代わるから待ってろ」

 

ああ、やっと自由に動ける。ざけるなこの悪霊。

 

八幡「何です?」

 

ジョセフ「明日、学校に登校するか?」

 

一応、防衛任務はアーシスが受け持つらしいから、明日は登校する余裕がある。

 

八幡「まぁ……そのつもりですね」

 

ジョセフ「済まんが、由比ヶ浜を連れていってくれんかのう。あと、シュトロハイムもじゃ」

 

ガハマをか?大丈夫なのかよ。

明らかに情緒不安定だろうが。それに、ガハマと由比ヶ浜はあまりにも違う。あんなのが異世界の自分だと知ったら余計にショックを受けるぞ?

 

八幡「ガハマをですか?あんまりうちの世界の奉仕部には期待しない方が良いですよ?映像で見た最初の頃のあいつらよりも酷い状況です。いえ、そちらのあいつらはそうなった理由がわかるので、仕方なかったと思いますが、アイツらは…。ガハマが由比ヶ浜を見たら、余計に自己嫌悪に陥らないか心配ですよ」

 

ジョセフ「おいおいおいおい!どういう奴等なのじゃ?お前さんにこうまで言わせるほど酷い雪乃と由比ヶ浜は」

 

どういう奴等か?教えてあげますよ。

 

八幡「雪ノ下は自分の考えていること以外は全て正しい。間違っているのは世間。すぐに人を罵倒。なのにやることなすこと中途半端。由比ヶ浜は自己中で、気に入らないとキモいとか言ってきます。事故の件に関してもお礼や謝罪はありませんね。ガハマやそちらの雪ノ下はしっかりと謝っていたようで。羨ましいですよ。映像の中の二人がどんどん成長していった姿を見たときは」

 

ほんと、ジョジョが冷たくあしらっていた頃のイメージのまんまな奴等だ。そっちのようにどうして変わらなかったんだ?

これでガハマと由比ヶ浜を会わせようなんてジョセフさんも……

 

ジョセフ「八幡よ。是非とも頼む」

 

マジでっ!?

知らねぇよ?俺は知らねぇからな?

 

八幡「わかりました。良いですよ。ただし、責任は取りませんからね。それだけは了承してください」

 

ジョセフ「元々そのつもりじゃ。恩に着るぞ、八幡」

 

やっぱり読めんわ。ジョセフ・ジョースター。

 

ジョジョ『あのジジイ…妙なことを言い出しやがって』

 

付き合いの長いお前も分からんなら、俺もわかんねーよ。けど、ジョセフさんは迅さんと同じだ。意味のないことはやらない。だから、何かしらの意味がある。

 

八幡『だが、お前は言っていただろう?ジョセフ・ジョースターは意味のないことはやらない…と。今回のことで由比ヶ浜を総武高校に行かせる事に何かしらの意味があることは確かだと思う』

 

ジョジョは記憶の引き出しを探る。その記憶が流れ込んでくる。こいつらにとっての今年の春の記憶か…。

…………

 

ガハマ『そんなんだから、クラスに友達が静ちゃん以外、友達がいないんじゃあないの!?キモイ!』

 

このやり取りになる前に俺の世界では一色が怒って手を引かれて帰ったんだっけ?

 

ジョジョ八幡『俺にとってはジョジョ以外、すべからくどうでも良い。むしろ、そんな価値が、お前にあるとでも思っていたのか。自分を知れ』

 

おお……バッサリぶったぎったな。お前に価値はない。そこまでハッキリ拒絶するのか…。

うちの世界の由比ヶ浜は今でもそうだな。

 

雪乃『不思議なことに優れた人間ほどに生き辛いのよ、この世界は。そんなのおかしいじゃない。だから変えるのよ。人ごと、この世界を』

 

このやり取りは全く知らない。だが、言いそうだな。

 

ジョジョ八幡『それを止めたのが俺達だ。お前も4年前のフロリダで起きた刑務所の件は知っているだろう?お前みたいな事を考えたテロリストがスタンドの力でそれをやろうとした。それを食い止めたのが俺達だ!もし、それをやろうとしてみろ…その時は俺達アーシスは…お前を……殺す。首謀者以下、その協力者はほぼ全員を俺達は始末した』

 

世界の一巡を食い止める戦いか…。リサリサやエリナ、アヌビス神とかいう小町達が死にかけた戦いは世界を変えることを止める戦いだった。知らなかったとはいえ、世間知らずが軽々しく口にしていい言葉ではない。

 

雪乃『殺人者……』

 

ジョジョ八幡『ああ、そうだ。殺らなければ逆に俺達が殺られていた。世界を変えようとするというのはそう言うことだ。本当のスタンド使いの戦いは綺麗事じゃあ済まない事を知れ。比喩でも何でもない。俺達は既にこの手を血で染めている。もし次に軽々しくその言葉を発したら、命の保証はしない…』

 

重いな…。世界を救うためとはいえ、人を殺したことのある人間の命のやり取りを示す言葉は…。

俺もいつかは人型ネイバー相手にそう割りきらなくてはいけないのだろうか…。いけないのだろうな。そのためにここにいるんだから。

多分だが、俺の方が戦えば強い。だが、ジョジョに勝てないと思える差はここだろう。意思の疎通が出来る者をためらいもなく殺せる覚悟の差。そうしなければ守りたいものも守れない戦いの連続だった。

 

エリナいろは『何でもない事を言ったつもりの言葉が、相手の逆鱗に触れるんです。既に一度、血に染めた手ですから、私たちは止まりません。ハチ君が言った言葉は脅しじゃありません。私達ジョースターの血統は、この百年間、そういった闘いの連続でした。ジョースターの歴史は闘いの歴史…アーシスのメンバーは少なからず人の命を奪った十字架を背負っている』

 

うちの一色では絶対に醸し出せない殺気。エリナ・ジョースターの壮絶な人生と今度こそ守りたいものは絶対に自分の意思で確実に守りたいと思う意思の現れ。

 

リサリサ小町『容赦はしません。あの事件は小町達も死ぬ覚悟で戦い、小町もお兄ちゃんもお姉ちゃんも危うく死にかけました。当時十歳だった小町が、です。二度と…世界を変える…などと軽々しく言わないで下さい。小町達だって好きで手を汚した訳じゃあありません。あなたの親戚だったジョルノお兄ちゃんも、その為に自分の兄弟を3人も殺さなければならなかった辛さは、あなたにはわからないでしょうけど!』

 

エリザベス・ジョースターの覚悟は並大抵のものではない。あの強さを手に入れるのにどれだけの血を流し、そしてその手を血に染めたのか…。

雪ノ下は彼らの流した血の重さを知ってもなお、世界を変えると言えるのだろうか?

多分…理解できない。職場見学での彼女を見る限り。

 

八幡『多分、変わっていない。迅さんが言っていた。職場見学でボーダーとトラブルを起こした時、アイツは退学になってもおかしくなかった。だが、もし退学になっていたら、アイツは界渡りをしていただろうって』

 

ジョジョ『界渡り?』

 

八幡『近界に…ネイバーの世界に無断で行くことだ』

 

そして人類の敵になるだろう。

 

ジョジョ『場合によっては俺が出るぞ。八幡』

 

願ったりだ。

 

八幡『むしろ俺はアイツらと関わりたくない。任せるわ』

 

どうなるだろうな。総武高校…。

 

←To be continued

 



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番外編:9

side迅悠一

 

S・R「ゴミゴミゴミゴミ」

 

赤いスタンドがバムスターをベコベコにする。ハチに取り付いた別世界のハチのスタンド、ザ・ワールドも相当なパワーだったが、このスタンドはそれ以上だ。こんなのを食らって三輪は良く無事だったな。

 

リサリサ「コォォォォォォ…ワッセローイ!」

 

ホントにトリガー無しでバムスターを破壊しやがった。

これはハチの妹じゃねぇ…。マジで別物だ…。

 

ペットショップ「クエェェェェェェ!」

 

今度は上空にいた隼が戦車くらいはありそうな氷の塊を空中で作ってネイバー兵を押し潰す。

流石のネイバーもあんなトリオンの氷の塊を食らったんじゃひとたまりもねぇ……。氷のミサイルを飛ばすわ体に氷を纏って突進するわ、足元を凍らせて動けなくするわ…鳥がやることじゃねぇぞ。

 

リサリサ「ぺっちゃぁん!素敵だよぉ~!」

 

ペットショップ「クルルルルル♪」

 

これ、相当頭が良い鳥だから良いけど、そうじゃなかったらネイバー並に脅威だぞ。間違っても焼き鳥にしても旨くはなさそうだ。

あっちの川崎の弟も負けじと奮闘している。

いやぁ、単独で防衛任務を共闘してみたけど、こいつらはやるわ。

おまけに波紋使いって奴は疲れ知らずなのか、一晩戦いまくっているのに全然へこたれてない。確か2日も徹夜してるんだよな?

 

迅「いやぁ~。やるねぇ。いっそ正式にボーダーにはいったら?ペッチャンこ……」

 

おどけてセクハラも兼ねてスカウト仕様としたら小町のスタンドの指先がこちらに向いて赤く光った。

 

ピカッ!

 

…シュウウゥゥゥ………

顔の横の石の瓦礫の壁が溶けてやがる。これが噂のルビーレーザーか……光速ってこういうことかよ。本当のレーザーって目で見えないんだな…。

 

リサリサ「次にセクハラ発言したらルビーレーザーで頭を貫くからね?本体にダメージが行くスタンド使い仕様で」

 

イヤイヤ、死ぬだろ。俺は冷や汗をかいて降参のポーズをする。

 

迅「やべぇ……あれだけは防げねぇ……。そして確実にやるといったら本当にやる…。次にセクハラしたら俺は死ぬ」

 

命懸けでセクハラする気はねぇ…。ハチ風に言うならこええよ。あと怖い。

 

リサリサ「ルビーレーザーは一本射ったら同じ赤石からは1分間のクールタイムが必要なんだから無駄射ちさせないで。勿体ない……」

 

弱点は一応あるんだな。どんな能力も完全な物は無いっていうのはこう言うことか。って…あんなに発射できる宝石が体中にあるのにか?弱点はまだあるみたいだな。

 

迅「かるっ!俺の命の扱いがかっる!射たない理由がクールタイムが勿体ないからっていう理由!?その非情さに痺れる憧れる!」

 

なんかおかしな事を言ってないか?俺……。

 

リサリサ「とっとと次に行きますよ?次のネイバーの出現場所はどこ?」

 

小町はオペレーターに連絡を付ける。普通なら女の子の声が響くハズのそれは…

 

ジョセフ『そこから南に二キロじゃ!』

 

ジョースターさんの声……。

 

迅「何でオペレーターがジジイなんだよ…」

 

リサリサ「舌っ足らずのスージーのサポートだよ。仕方ないでしょ。オペレーションは出来てもまだ四才なんだから」

 

4才児がオペレーター出来るのも逆にスゲーな!

 

迅「幼女とジジイがオペレーターって……ボーダー史上こんなに色気がないオペレーターもねぇな……」

 

リサリサ「………」

 

小町は無言でサンシャイン・ルビーの指を向ける。その目は一切の慈悲も込められていない。

 

迅「何でもありません…お嬢様」

 

素直に謝ることにした。忍田さんが全面的降伏をするのもわかる。あの目はまずい。人を殺すのに何のためらいもない奴がする目だ。

裏社会とも繋がりがあるってのもあながち嘘じゃない。

イタリアのギャングはヤバイな…。

 

リサリサ「次は無いですよ」

 

小町は音速で移動して次のネイバー兵の所へと向かった。速いよ!何てスピードだ!

 

迅「あ…あの小町の目…養豚場の豚でも見るかのように冷たい目だ。残酷な目だ…“かわいそうだけど明日の朝にはお肉屋さんの店先に並ぶ運命なのね”って感じの!

ゆるせねえ!天使のようにカワイイだけになおさら怒りがこみあげるぜ!」

 

宇佐美『迅さん、早く移動してください!それでもS級ですか!』

 

あの子を相手にするとペースが乱れるな…ホントに比企谷小町か?余りに違いすぎる。

 

 

side比企谷八幡

 

ガハマ「あ、あの…比企谷さん。本当に行かなきゃダメですか?」

 

遥の予備の制服を着てガハマが行きたくなさそうにしている。

怖いのだろう。ボーダーの隊員から聞いた由比ヶ浜結衣の評判の悪さ。そんな異世界の自分に会いたくないのが本音だろう。

俺だってイヤだ。ジョジョが基本世界という本来進むべき世界の俺も何故か理由は思い出せないが(未来の出来事を知ると、その出来事は世界の修正力で記憶にプロテクトがかかるらしい。迅さんのサイドエフェクトやトト神というスタンドの予知は例外とのこと)、学校中の悪意がその比企谷八幡に向けられていたらしく、ジョジョはその比企谷八幡に会うのが怖かったと言っていた。

多分、ガハマも同じなのだろう。

 

八幡「覚悟を決めて来い。お前は覚悟を決められる奴だと聞いているぞ?」

 

ガハマ「こういう覚悟は決めたくないよぉ」

 

だが、ガハマは勇気を出せる奴だ。昨日見た過去の出来事の映像で見たガハマの勇気…。普通の奴なら逃げ出しているのをこいつは立ち向かった。由比ヶ浜とは明らかにこいつは違う。

 

八幡「止めるか?俺は強制しないぞ?お前がとても大変な状況なのは知っている。だけど、ジョジョの奴はお前が乗り切れられると信じている」

 

SH「結衣どの…自分もだ。自分は早く結衣どのの屈託のない笑顔を見てみたい。共に行こう!」

 

材木座もどこか違うな。改めて見てみると、こいつらも俺達と変わらんのかもしれない。

 

ガハマ「……中二……ヒッキー……」

 

ガハマは俯いていた顔を上げる。

 

遥「頑張って。ガハマさん。あなたの辛さは私にはわからないけど、アーシスとして戦ったあなたはきっと強くて自分に負けない人だと思うから…」

 

遥の励ましにガハマはしばらく俯いた後に目に力を入れて強く頷く。

 

ガハマ「うん……ありがとう。比企谷さん。綾辻さん。怖いけど……行ってみる。大統領閣下も元気付けてくれたし、本当ならあたしを嫌っている比企谷さんだって励ましてくれてるんだもん…。ここで行かなくちゃ、辛かった今までも嘘になっちゃう。げんそーきょー?に行った優美子や姫菜、スタッチ、サブレ。それにゆきのんだって辛くても頑張ってるんだ…。あたしだって…」

 

嫌ってはいない。ガハマが由比ヶ浜であるからあいつと同一視していただけだ。

ガハマは強く歩を進める。由比ヶ浜はこんな強い瞳をしない。

 

八幡『強いんだな…お前の世界の由比ヶ浜は。最初に冷たい態度を取ってしまって悪いことをしたな…』

 

ジョジョ『それはアイツが変わろうとして変わって来たからだと思う。俺達はきっかけに過ぎないな』

 

どこで間違ったんだろうな?由比ヶ浜も俺達も。

何かが違えば由比ヶ浜もガハマのようになっていたかも知れないと思うと残念になる。

 

八幡『材木座のガンズ・アンド・ローゼズの戦いを見せてもらったが、戦う力が無いのに少しでも役に立とうとあの場に飛び込む…並の勇気ではない。俺があの由比ヶ浜を悪く言った時にお前が怒ったのもわかる。先入観って怖いな…正しいものも雲って見えてしまう』

 

ジョジョ『それはお前らに対する俺にも言えるな。ボーダーの世界……捨てたものじゃあない。舐めてたことを謝る』

 

ガハマを通して、少しだけ俺とジョジョの距離が縮まった気がした。これを見越していたんなら、やっぱりジョセフさんはただ者じゃない…。

 

ー校舎内ー

 

俺はジョジョに体を明け渡し、事の次第を見守る事にした。

ジョジョは懐かしがっている。そうだよな。消える運命が分かっていた上で千葉村の戦いに挑んだんだ。本当なら二度と見ることがないと思っていたんだろう。例えそれが異世界でも。

でも早まったか?ジョジョは葉山や平塚は大嫌いみたいだ。

それに、俺が授業をサボるイメージでいるのはやめろ。俺は真面目に授業を受けている。

同じ俺だ。考えていることはわかる。…じゃねえよ。

 

八幡『既に大学出てるお前と一緒にするな。これでも勉強は真面目にやってるんだよ』

 

ジョジョ『Capisco che è giusto.(さいですか)』

 

八幡『イタリア語で喋るな!』

 

俺で遊ぶな悪霊!ちょいとでもお前に同情した俺がバカだったよ!

 

戸塚「はちまぁん♪って、その目は……」

 

ジョジョ「よぉ~戸塚。お察しの通り、ジョナサン・ジョースターだ」

 

戸塚「………トラブルだけは起こさないでね?」

 

ジョジョだとわかった瞬間に表情が固くなる戸塚。

おい、戸塚に何て顔をさせるんだ。

 

ジョジョ「善処する。まあ、好きでトラブルを起こしたいわけじゃあない。八幡が気を利かしてくれたんだ。感じるままのこの世界を見ろってな」

 

戸塚「今一信用できないなぁ…」

 

沙希「まったくだよ」

 

俺も急に不安になってきた。ちなみにガハマとシュトロハイムは生徒会室で待機中。同じ人間が二人同時にうろつく訳にはいかんからな。

 

ーキングクリムゾンー

 

昼休み。

 

ベストプライス

不安は的中した。やらかしやがったこの野郎!

 

いろは「………で、平塚先生の授業をメチャクチャにしたと……」

 

ジョジョ「いやぁ、アイツの顔を見ると殺気が押さえられなくて♪」

 

遥「それで体調不良者続出させてちゃ世話がないでしょ!しかも平塚先生をゴミ箱に捨てるって何してるのよ!」

 

ホントだよ!どんだけ平塚先生の事が嫌いなんだ!

 

ジョジョ「何もしてないのに殴りかかって来る方が悪いんじゃあないか。窓から捨てなかっただけ良心的とまである」

 

恐ろしい奴だな!ギャングってやべぇな!よく平気でその発想が出来る!

俺達に出来ない発想が出来るその神経に痺れぬ!憧れぬ!

 

戸塚「まったく嘘を言っていないのが逆にタチが悪い!」

 

歌歩「先に暴力を振るったのが平塚先生のほうだったからおとがめ無しだけど…。立派に過剰防衛よ?ジョジョ」

 

ジョジョ「心の奥隅に止めとく。次はスタンドで迎撃する」

 

そういう問題じゃないだろ!

 

出水「善処すらする気が無いのが逆に清々しいな」

 

もっと言ってやれ!出水!

 

遥「あっちの世界の空条徐倫先生の苦労がわかる気がするわ…」

 

苦労してそうだよな、そのジョセフさんの曾孫。

 

ジョジョ「誉めるな。照れるぞ」

 

遥「誉めてないから!」

 

ペチッ!

遥のチョップが頭にヒットする。

 

ジョジョ『なにこれ、膨らました頬がカワイイじゃないか』

 

おいこら(# ゜Д゜)

遥を口説いたら殺すぞ。袖の白雪で砕くぞ。

 

いろは「むぅぅぅぅ~…ハチくんが浮気してる~…」

 

お、一色。よくこいつを正気に戻した!

ハチくん呼びは不問にしてやる!

 

ジョジョ「す、済まなかった…いろは…」

 

なでなで。

おいこら(# ゜Д゜)

人の体を使ってなに遥の前で一色とイチャイチャしてんだ?

 

いろは「えへへへ~……初めて先輩に名前で呼ばれた」

 

俺じゃない!一色、正気に戻れ!

 

遥「体は八幡くんのなんだから一色さんとイチャイチャしないで!」

 

うわぁ…後で遥にフォローしとかねぇと。

ジョジョ…許さん(# ゜Д゜)

 

ガハマ「安定のヒッキーだ……悪い意味で。空条先生がいたら間違いなく拳骨が落ちてたし……で、ヒッキー、クラスを見ていてどうだった?」

 

やっと本題に入ったか。

 

ジョジョ「葉山グループがうざかった。何度窓から捨ててやろうかと思った。三浦が女王様みたいで面白かった。アーシスの本人に見せたら「あれはあーしじゃあないし!ヒキオ見んなし!」とか言いそうだった。この世界にいないのが悔やまれる」

 

そこじゃねぇよ!そして三浦の真似が上手いな!思わず吹き出しそうになっちまったよ!

 

SH「それは面白そうだ……じゃあないわ!八幡!肝心の由比ヶ浜殿はどうだったのかと聞いておるのだ!」

 

ジョジョ「そういう意味だったのかよ。早く言えよ。モグモグ…旨いな、綾辻のハンバーグ弁当。これはいろはのよりも上かも知れんぞ?」

 

てめぇ…(# ゜Д゜)

せめて今だけ俺に体を返せ。

なに遥の特製ハンバーグ弁当を堪能してやがる!

昼休みの楽しみを返せコラ(# ゜Д゜)

 

遥&いろは「嬉しいのか嬉しくないのか複雑な気分…」

(それぞれ逆の意味)

 

遥は旨いと言われて嬉しい気分だが、ジョジョに誉められても嬉しく無いだろう。

一色は別に向こうの一色の話だからどうでも良いと思っている反面、やはり自分よりも旨いと言われればムッとするだろう。

 

ガハマ「いつかは中2にあたしのお弁当を……」

 

おっ?ガハマはシュトロハイムに気があるのか?

 

SH「う、うむ……楽しみにしておるぞ?結衣殿」

 

待て。確かこいつのクッキー作りのシーンでは雪ノ下とガハマが何度も死にかけてたよな?その都度あっちの一色が手当てしていた映像があった。

死ぬなよ?シュトロハイム。

え?一色をスタンド使いにする矢を刺す?

おいやめろ。スタンドってのは本人の本質を超能力にしたものだろ?

一色の本質…絶対にナイチンゲール・エメラルドとかというのとは別の物が出る未来しか見えない!

やっぱり迅さんのサイドエフェクトが俺に出てるのか?!俺のサイドエフェクトが言ってるとかいっちゃうの!?

 

SH「弁当の話は今はどうでも良い!どうだったのだ!?こっちの結衣殿は!」

 

あ、脱線してた。ハチマンハンセイ。

 

ジョジョ「あ、そうだった…。まぁ……何て言うか…現段階では何とも言えんな。葉山グループとうるさくしていた…というくらいか?あ、あと…」

 

ジョジョは一拍置いてから。

 

ジョジョ「なんか逆恨みされてる感じがした。何かあったのか?」

 

とか言いつつ、何か思い当たる何かを見つけたようだ。

俺が由比ヶ浜に逆恨みされるエピソード?

俺はジョジョの思考を見てみる。

………あ、俺の方ではそのエピソードは無かったわ。あの時、俺は確か………。

 

←To be continued

 



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番外編:10

番外編について、色々意見がある方いると思いますがただ本編の更新の遅さとは関係がないのでそこの所はご了承ください。

本編については、僕の発想力が無いだけですので本当に申し訳ないです


side比企谷八幡

 

ジョジョの妄想

 

八幡「こいつはメチャ許せんよなぁ!この悪霊!」

 

ジョジョ「おかしい……ラバーソールは前回のコラボで雪ノ下が倒したはずだしこの世界にはいないはずだ…やめろ!俺にアルゼンチン・バックブリーカーをするな!」

 

モキッ!モキッ!

 

ジョジョ「うげあぁぁぁぁぁ!」

 

遥「いや、やられて当然でしょ………好き放題やりすぎ…」

 

妄想の中で俺がジョジョにアルゼンチンバックブリーカーをしている。やらねぇよ!やりたいけど!

あと勝手に妄想に遥を出すな!

好き放題している自覚はあったんだな。少し意外だった。

あと、前回のコラボって何だよ。別の世界に行ったお前の魂の記憶でも入ってきてるのか?そのラバーソールってのはお前の世界の四年前じゃ陽乃さんがペテンにはめて倒しただろうが。

あ、妄想の世界から帰って来た。

 

八幡『おい』

 

ビクゥ!

 

ジョジョ『な、何だ?アルゼンチン・バックブリーカーはやめてくれ?』

 

まだ妄想と現実の区別が付いてないのか?せっかくだからホントにアルゼンチンバックブリーカーをしてやろうかな。こいつはメチャ許せんしなぁ!

まぁ、それは置いといて…俺達の世界だと一色に引っ張られて帰ってしまった奉仕部の初依頼はこいつらは任務達成したらしい。その時にこいつらの世界だと平塚先生のポジションに収まった空条先生が怒りのあまりにガハマにアルゼンチンバックブリーカーをしたらしく、ガハマはあの世に行きかけたらしいが。

だからこそ腑に落ちん。

 

八幡『そう、その空条先生って人がアルゼンチン・バックブリーカーをやったそのエピソード。あれが何で由比ヶ浜から恨まれる原因なんだ?むしろアルゼンチン・バックブリーカーをやったそっちがガハマに恨まれてないのが不思議だぞ?俺は何もしてないからな?一色に連れ出されて帰ったんだから』

 

マジで何で?

 

ジョジョ『いや、確信が持てないから断言出来ないんだけどな?あれがガハマと俺達の関係性を変えるきっかけになったことも確かなんだよ。まぁ、それに…言っただろ?逆恨みされてるって。結局はそっちの由比ヶ浜が悪いと思うしな』

 

この違いのどこが由比ヶ浜に逆恨みされる要因があるんだ?検討違いだったらマジでこいつをメチャ許さんよなぁ!

 

ジョジョ『なぁ八幡。この世界の由比ヶ浜と雪ノ下はあの事故を謝って無いって言ったよな?』

 

謝ってくるどころかケンカを売られた以外の記憶がないまである。

 

八幡『ああ、全く。完全に知らんぷりしているな。嵐山さん達の調べで全部バレてるとも知らないで』

 

基本世界の比企谷八幡は知るよしも無かったようだが、生憎とこっちは有志が調べてくれた。特に木虎が。

 

ジョジョ「放課後、奉仕部に行くぞ。何となくだが見えてきた。由比ヶ浜…もしかしたら見たくなかったお前の辿るかも知れなかった過去を見るかも知れん。俺が知る基本世界よりももっと酷い…。だが、これだけは言うぞ。何を見てもその由比ヶ浜はお前じゃあない。赤の他人だ。そして、お前は大切な仲間だ…。それだけは忘れないでくれ」

 

ジョジョが更に確信を得たようだ。何か俺の記憶の何かからヒントがあったらしい。そして、ジョジョにはその過去の出来事からガハマには相容れない何かが見えたのだろう。

 

ガハマ「う、うん…。ありがとう…ヒッキー」

 

SH「ユイ嬢!辛くなったら自分を頼ってくれ!愚痴を聞くことくらいしか出来ぬが」

 

シュトロハイムはガハマに気があり、ガハマも満更ではないっと…。材木座が複雑な表情をしている。

ボーダーでの奉仕部の評価は最悪だからな…。

 

遥「ジョジョ…。上手くいくの?」

 

ジョジョ「それはわからん。だが、由比ヶ浜は乗り越えてくれると信じている」

 

遥「立ち直ると良いね…由比ヶ浜さん」

 

遥…こっちの由比ヶ浜のことは好きじゃないのに優しいな。さすがは俺の嫁。

 

ジョジョ『良い嫁だな。綾辻』

 

八幡『やらないぞ。悪霊』

 

手を出したら殺す。

ジョジョは無意識に綾辻の頭を撫でる。

ちょっと待てやコラ(# ゜Д゜)

 

遥「ちょっ!ジョジョ!?」

 

八幡『テメェ!ジョジョ!』

 

心の中で謝ってくるが、許すか(# ゜Д゜)

 

いろは「動画は撮影しておきました。後でボーダーに拡散しておきます。もちろん、ジョセフさんにも」

 

ナイスだ一色!

あ、ジョジョのトラウマがフラッシュバックしてくる。

広瀬由花子…旧姓山岸由花子さんという人には一色以外の奴に何かラブトラブルがあると監禁されるのか…。

誰だか知らないけどやっちまえ♪

 

いろは「拡散完了♪」

 

俺は元の体に戻ってもジョジョは死ぬ運命が待っているらしい。

 

ジョジョ『岬から潮風♪トンネル抜け鉄塔へ♪導かれ小道に迷い込む♪』

 

現実逃避で歌い始めた。中々良いメロディーだな。great daysか…こっちの世界にあるかな?

 

ジョジョ『八幡、末永く頼むぞ』

 

監禁から逃げるためだけに永住しようとするんじゃねぇ!

 

八幡『ざけんな。とっとと出てけよ悪霊』

 

悪霊退散悪霊退散、すぐに呼びましょ陰○師♪レッツゴー!

 

放課後…。

 

特別棟4階、奉仕部部室前。

ジョジョとガハマ、シュトロハイム、遥、一色、材木座が集まっていた。

 

ジョジョ「行くぞ…由比ヶ浜」

 

ガハマ「う、うん……」

 

ジョジョが扉をノックする。平塚先生だってやらないのに律儀な。

コンコン。

でもノック2回はトイレのノックだ。わざとだな?

 

雪乃「どうぞ」

 

ガラガラ…

 

雪乃「あら、来たのね。逃げ谷くん」

 

いつもの事だから何も思わんが、いきなりかよ。

ガハマも絶句してる。

 

結衣「ヒッキー…来たん……え?あたし?」

 

ガハマ「……」

 

由比ヶ浜が驚いてる。まぁ、自分が目の前にいたら怖いだろうな。俺もこの悪霊には驚いたし。

ガハマはガハマで顔をしかめている。ああ、ヒッキー呼びか。ガハマは俺が止めろと言ったら素直に従ったものな。ガハマにとってヒッキーというあだ名は強い意味があるらしい。

 

平塚「材木座も二人いる……どうなっているんだ?説明しろ比企谷」

 

ジョジョ『あ?』

 

八幡『ゴミ箱ダンクはやめろ?』

 

こいつの平塚先生嫌いは筋金入りだな。わからなくも無いけど。あっちの平塚先生は酷かった…。

 

ジョジョ「俺はジョナサン・ジョースター。訳あってこの比企谷八幡の体を借りている別の世界の比企谷八幡だ。ネイバーだと思えば良い」

 

ガハマ「あたしは由比ヶ浜結衣。あなたと区別を付けるためにこの世界ではガハマって名乗ってる。ジョナサンを助けにこの世界に来ました」

 

SH「自分は材木座義輝。ジョナサンとガハマと同様、そこの材木座義輝と区別を付ける為にシュトロハイムと名乗っておる。別によろしくしてくれなくても良い。多分、二度とお前達には関わらん」

 

ジョジョ達はズカズカと奉仕部の部室に入り込む。

こいつ、敵に対しては特に傍若無人だな。

 

結衣「ネイバーってわけわかんないし!ヒッキー、キモイ!」

 

ギロッ!

おお…めっちゃガン飛ばしている。マーダーホルダーのガン飛ばしはマジで怖い。昨日のジョセフさんで良く解った。

 

結衣「ひうっ!」

 

だろうな…。俺らですら怖いと思うし。

 

ガハマ「そっちのあたし。ジョジョにヒッキー呼びしないで。そう呼んで良いのはジョジョに認めてもらえる人間だけだから」

 

過去の記憶でも言っていたか。許可した者以外からのあだ名呼びは最大の侮辱…だったか?

 

結衣「ジョ、ジョジョ?」

 

ジョジョ「お前にはジョジョと呼ばれるのもお断りだ。ジョジョもヒッキーもDIOも俺の大切な仲間に呼んで貰いたい名前。ジョースター家は欧米の中でも特にあだ名にこだわりがある一族。親しくもない奴らに呼ばれるほど安くない」

 

ジョースター家にとって、ジョジョという名前には特別な意味があるらしい。だとしたら、由比ヶ浜に呼ばれたくないのもわかる。逆を言えばボーダーの事は認めてるのか?こいつは。

 

結衣「な、何を言っているのかわからないし!マジでキモイ!死ねば!?」

 

ジョジョが本気でキレ始めてるのがわかる…だけど必死に押さえ込んでる…。

ガハマの為か…。普段なら蹴倒して頭をグリグリ踏みつけてるだろうな。いい笑顔で。

だけどわからん。俺が殺すと言っても飄々とした態度で『welcome』と楽しそうに言ってくるこいつが、何故由比ヶ浜の『死ね』には怒るんだ?

 

ガハマ「『死ねば』なんてよく軽々しく言えるね?覚悟のないそっちのあたし」

 

覚悟?意味を図りかねる。だが、ガハマにはジョジョが怒っている意味がわかるらしい。こいつらの感性は独特すぎてわからん。

 

ガハマ「あたしもかつてはその言葉を言って、ジョジョに凄く怒られた…。殺されるかと思ったくらいに…。だってその言葉は…人に死ねと言うからには逆に自分がその人から殺される覚悟を持って初めて言って良い言葉。その人を殺した時、その人生を背負う覚悟を持てて初めて言える言葉。その人を殺さなくてはならない理由が明確かで、自分に絶対の自信を持って初めてその覚悟を決めた人が言える言葉。由比ヶ浜結衣…あなたに『死ね』と言える覚悟はあるの?」

 

そこまでの意味がこいつらの『殺す』には込められていたのか…。

そうか…だから俺には怒らなかったのか…。むしろそのくらいの気概を持てと…。

放った言葉にも言葉にするだけの覚悟が込められている。コイツらにとっての言葉はただの言葉じゃない。そこに込められている意思に心の意味があるんだ。

そして、ガハマにはアーシスとしての誇りがある。

 

結衣「な、何を言ってるのか全然分からないし…キモイ。キモイよ…」

 

対してはコイツは…同じ由比ヶ浜結衣の気迫に気圧されている。覚悟がない…か。確かにな。

 

ガハマ「キモイ…しか言えないの?大体、誰の許可をもらって比企谷さんををヒッキーって呼んでるの?あたしはとてもじゃあ無いけど言えない。あたしがジョジョをジョジョやヒッキーと呼べてるのはジョジョに認めて貰えたから。あなたは比企谷さんをヒッキーって呼べるだけの事を何かしたの?」

 

してもらった記憶は皆無だ。

 

結衣「………やったよ。クッキーを作ったもん。でも、ヒッキーは認めてくれなかったもん…」

 

はっ?クッキー?いつだよ。

 

ジョジョ「下駄箱に入れたジョイフルの事か?」

 

八幡『な!あれは由比ヶ浜の仕業か!何の嫌がらせだ!』

 

思い出した!確かに由比ヶ浜が奉仕部を訪れた翌日に、下駄箱にどこのオガライトかと思った物体があった!

コイツの仕業だったのか!あんな物のどこがクッキーだよ!

アレがお礼?はっ?どういう神経してるの?認めるどころか逆に殺意が沸いたわ!

 

結衣「ジョイフルってなんだし!」

 

ガハマ「ジョジョ…まさか」

 

ジョジョ「そう、お前が徐倫からアルゼンチン・バックブリーカーをされた時に作った最初のクッキー。あれをこいつは贈り物にして下駄箱にぶちこんだわけだ」

 

その後の光景も酷かった…卵の殻は取り除かない、小麦粉はダマになっている、バターは固形のまま。手順がボロボロ過ぎて空条徐倫先生がとうとうぶちギレ、アルゼンチンバックブリーカーをやったんだっけ。更にその後もインスタントコーヒーと砂糖を山のように入れるわ桃を入れるわ焼き加減はメチャクチャ…。めでたく新製造法のオガライトが出来上がった…あの地獄のクッキー…それが俺の下駄箱に突っ込まれていた物だったわけだ。

俺って苛められてる?って何日か悩んだもんな…。

 

ガハマ「うわぁ……」

 

ジョジョ「因みにガハマ。お前はあの時に暴言を俺に言ったのを覚えてるよな?」

 

ガハマ「う、うん…あの時はごめん」

 

ジョジョ「それはもういい。俺達にとっては済んだ事だから。話を戻すと、こいつも同じ事をした。その結果、一緒にいた一色が怒って八幡は一緒に下校したらしい。俺達はお前と一緒にお料理教室をやった。俺達との違いはここなんだが、そこは大した問題じゃあない」

 

では何が問題なんだ?

 

結衣「何で知ってるし!」

 

ジョジョ「体を共有している以上、互いの記憶が見れるんでな。俺の記憶と照らし合わせて大体読めた。で、雪ノ下と仲良くなってることからあのお料理教室は雪ノ下と二人でやり、その結果があのジョイフル…という結果だ。まぁ、努力と結果が伴わないのは仕方がない。だがそんな事よりも納得いかないことがある」

 

雪ノ下の教えを無駄にした。それも問題じゃないとジョジョは言う。だが、その通りだ。何故なら…

 

遥「私も分かった。ジョジョが激怒している訳が。ガハマさん。この事実を八幡くんは知らなかったんだよ。その意味がわかる?」

 

そう、そこ。そんなのでも俺だって謝る意思だけは汲み取るつもりだ。

だけど、言葉もメッセージカードもなく、ただ訳のわからない物を下駄箱に突っ込んだだけ。そんなもの、例え中身が一級品のクッキーでも許すつもりはない。

 

ガハマ「ただ下駄箱に入れただけでお礼をした気になって…それが伝わらなかったから逆恨み…酷い…こんなのないよ!」

 

ガハマ…これが由比ヶ浜だ。お前には見たくなかっただろうけれど。

 

ガハマ「ジョジョ。もしかしたらあたしが進むかもしれなかった過去ってこれだったんだね。醜いよ…とても醜くて耐えられない」

 

結衣「なにこいつ……ムカつく」

 

ガハマ「ムカつくのはこっちだし!まともに謝りも出来ない!お礼も出来ない!そんな覚悟も勇気もない人が比企谷さんをヒッキー呼ばわり!?」

 

なまじ同一人物だからこそ許せない…。ジョジョが言っていた。平行世界の自分同士は大抵場合は仲が悪いと。

ならばガハマから見る由比ヶ浜は、仲良くなるどころか憎悪の対象だ。

だから、ガハマはリバース・タウンを出現させる。

思わず、無意識に…。もし、リバース・タウンに自我がなければガハマはリバース・タウンをけしかけていただろうな。意志があるスタンドで良かった。

 

雪乃「そちらの由比ヶ浜さん、ガハマさんって言ったかしら?ジョースターくん。あなた、どんな洗脳を使ったのかは知らないけど、あなたらしい卑怯なやり方ね」

 

違うな。ガハマが由比ヶ浜みたいな奴だったら、視界に入れるのもジョジョは嫌だろう。だから、洗脳なんて事はせず、ガハマの心を徹底的に壊していたはすだ。

だが、ジョジョはそうせず、ガハマを身近に置いている。ジョジョという男を見誤るか雪ノ下…。

敵にしたらヤバイ人間を敵に回す才能はさすがだと言っておこう。

 

平塚「ジョジョ…言い過ぎではないか?」

 

ジョジョ「まだ言い足りないくらいだ。そして雪ノ下。いま、卑怯…と言ったよな?」

 

あ、不味い。

内心の黒い笑いが透けて見える。

 

雪乃「そうよ。この世界のあなたと同じ。職場見学の時のように。その卑怯な考えを改めなさい」

 

職場見学の時のように…ねぇ。

何も反省なんてしてなかったか。陽乃さんが見捨てるのもわかるわ。

 

ジョジョ「自惚れるな。自分を知れ。お前なんかに八幡が卑怯な事をする価値があるとでも思っているのか。何年も地道に修行してきたこいつとお前では天と地の差があるわ」

 

………意外だな。こいつが俺の事をそう思ってくれていただなんて…。

ああ。俺は努力したよ。親父や母さんに誇れるように、それこそ少しでも強くなる努力をしてきたさ!

ブラックトリガーが無くても忍田さんのようにノーマルトリガーで最強と呼ばれるくらいになろうと今でも努力をしている!それはジョジョだって…

恩ある城戸さんや遥…綾辻夫妻を守れるように…。

 

雪乃「あら?どうしてそんな事が言えるのかしら?」

 

だが、雪ノ下は愚かにもそう言った。ジョジョがニヤリと笑う。この笑いは…本気でキレた人間の怒りを通り越した笑い…成仏しろよ、雪ノ下。

コイツの兄貴分、東方仗助はキレたら何をするかわからない。多分、コイツも…。

ズンッ!

ジョジョは殺気を部室に振り撒く。

 

雪乃「!!!!!」

 

これだけで動けなくなる雪ノ下。ちなみに、殺気のレベルはジョセフさんが模擬戦で俺達に掛けた圧力と同じくらいだ。

それだけで雪ノ下は動くことはおろか、喋ることも出来なくなり、震えるだけ。

由比ヶ浜は気絶。平塚先生も小刻みに震える。

やるな…そういうやり方できたか。

 

ジョジョ「コレが殺気だ。お前が今、何とか気絶しないで耐えてるレベルの殺気。八幡はこの殺気の中でも動けたし、戦い抜いた。下手をしたら殺される。そんな恐怖の中でな。お前は何だ?そのザマは。精神力の段階で圧倒的に八幡に負けている。それにな……」

 

何を言う気だ?

 

ジョジョ「卑怯、汚いは敗者の戯言だ。卑怯だなんだと抜かすなら、その種ばらしを先に言ってからにしてみろよ。喚くだけならその辺のバカ犬だって出来る。卑怯な方法を使われたのなら、その上で更にもっと卑怯な方法で相手を欺いて見せろ。ただ気違いのように卑怯だの抜かすだけってのはな、単純に自分が相手に知恵比べで負けた事を周囲にアピールするだけなんだよ。お前は自分の無能さをアピールしただけだ」

 

そういう発想か…。だが、戦術とはそういうものだ。

実戦で卑怯だと嘆いたところで仕切り直しはない。あるのは冷酷な死あるのみ。

 

遥「卑怯さをそこまで誇るのもどうかと思うわよ?ジョジョ…」

 

遥は呆れはするも、それだけだ。

 

いろは「でも、ランク戦で格上と戦う時ってそういうものですよ?ジョジョ達ってわたしたち以上にそういうのが当たり前みたいですから、そういう考え方になるのもわかる気がしますね」

 

チームランク戦もそうだ。

 

材木座「うむっ!昨日の記録を見れば、それがわかる!命を掛けたやり取りに卑怯も汚いもないわ!ボーダーだとて同じことよ!ボーダーの仕事は突き詰めれば戦争だ!ランク戦とてスポーツではない!一種の模擬戦闘訓練よ!」

 

そうだな…『ジョジョ』と呼ばれた者達は工夫に工夫を重ねて敵を撃破してきた。他者から見たら卑怯だと言われるかも知れない手段で敵を欺きながら。

 

遥「職場見学の時に誰かが言っていたわね。葉山くんならすぐにA級になれるって…ガハマさん、あなたから見てA級ってすぐになれるもの?」

 

それぞれが口に出して言い、最後に遥がガハマに聞く。

どう答える?ガハマ…返答次第で俺の評価が上がりも下がりもするぞ。

 

ガハマ「そんな事はとても言えないよ…あたしは昨日、手も足も出なくて無様にやられた…。リバースがいなければいろはちゃんの初撃で再起不能(リタイア)していた。あたしはまだ、自分の能力ですらまだ上手く扱えない…。ただ、能力に助けられているだけ……。雪ノ下陽乃さんが言うように、実力だけならC級だよ。でも」

 

ガハマはキッ!と気絶している由比ヶ浜やただ震えているだけの雪ノ下を見下ろす。

 

ガハマ「ジョジョの殺気で身動き出来ないだけなんて今のあたしでさえならない!これでA級になれるなんて口が裂けても言えない!このゆきのん達はゆきのんじゃあない!今のゆきのんはもっと強い!力や技なんかじゃあなく、心が!」

 

…感心したよガハマ。自分の足元が見えているんだな。

そして、お前の世界の雪ノ下も。

羨ましいよ。その奉仕部。そんな奉仕部なら、俺も幽霊部員にならなかったかもな。たらればなんて考えても仕方の無いことだが。

 

ガハマ「こんなゆきのんなんてスタンドが無くても負けない!技で負けたって!戦術で負けたって!覚悟ならあたしの方がある!暗闇の荒野の中で、進むべき道筋を切り開く覚悟が!」

 

吹っ切れたみたいだな。何か一皮剥けた顔をしている。

例え弱くても、こんな雪ノ下には負けないはるかに強い覚悟…か。

今のガハマには指どころか両足を失っても良い覚悟がある。痛みに負けない勇気がある。

このガハマは決してこの世界の雪ノ下や葉山なんかは相手にならないだろう。

 

ガハマ「さようなら(アリーヴェデルチ)、この世界の雪ノ下雪乃さん。二度と会うことはないと思うけど。そしてありがとう(グラジエ)。あたしは見つけたよ。見失っていた進むべき一つの道筋が…」

 

ガハマからリバース・タウンが出現する。

いや、さっきまでのリバースとは違う…

 

R・T「マスター!やりました!克服しましたね♪マスターは成長したのです!リバース・タウンact3。act2のやる気に左右される弱点が無くなりました!常にフルマックスの力を感じます!」

 

スタンドの強さは精神の強さ…か。いや、スタンドに限らないんだな。精神の強さはどの戦いでも重要だ。

 

ガハマ「うん!ありがとう、リバース!これからもよろしくね!」

 

R・T「勿論です!マスター!」

 

ガハマ「中2!心配かけてごめん!そして見守ってくれていてありがとう!もう大丈夫だよ!ありがとう!」

 

ガハマはシュトロハイムの腕を取り、まるで恋人のようにシュトロハイムの肩に頭を乗せて奉仕部の奴らには目をくれずに扉に向かう。良かったな。ガハマ。

 

ガハマ「綾辻さんもいろはちゃんも材木座くんも…それに比企谷さんもありがとう!あたしの為に力を貸してくれて!」

 

ガハマがみんなに屈託のない笑顔を向け、みんなにお礼を言う。

このガハマになら……。

 

八幡『ジョナサン。体を返してくれ』

 

気に入らないが認めてやるよ。ジョジョ…いや、ジョナサン・ジョースター。

 

ジョジョ『ああ』

 

ジョナサンは体を俺に返す。限界みたいだな。ジョナサンはそのまま眠りについた。

結構無理をしていたみたいだ。

……忘れかけてるが、ジョナサンの魂は砕けている。

そんなになってまでガハマを心配していたんだな。

認めざるを得ないだろ?ジョナサンも…その頑張りに応え、成長したガハマも。

 

八幡「ジョジョは眠ったか。なぁ、ガハマ」

 

ガハマ「なに?比企谷さん?」

 

そんなに身構えるな。俺もお前を認めたんだ。

 

八幡「ヒッキーで良い」

 

ガハマ「え?良いの?」

 

その証がヒッキーと呼びを認める事。ジョナサンの二番煎じだが、それが一番だと思える。仲間だと認めた者への気持ちだと思える。

 

八幡「見事な啖呵だった。ジョナサンがヒッキーと呼ばせている気持ちがわかる。お前になら、ヒッキーって呼ばれても不快にはならん」

 

おいおい。泣くほど嬉しいのか?

ヒッキー……か。やっぱりガハマにとってはこの呼び方に誇りがあったんだな。

 

ガハマ「うん……ありがとう。ヒッキー。大切に呼ばせて貰うね?そして、誓うよ。ジョジョが…あたしの世界のヒッキーが戻ったら、綾辻さんにもヒッキーにも見届けてほしい!『あたしのせいで犠牲にさせてごめんなさい』じゃあ無くて、精一杯の笑顔で『助けてくれてありがとう』って!だから、カーズを倒してジョジョの魂が戻ったら、一緒に見届けて!あたしの世界に!」

 

後悔に満ちた謝罪よりも、前を向いた感謝の気持ちのほうが嬉しい。そこに気付いたことは小さくない。

スタンド使いの由比ヶ浜結衣…面白い女だ。

それはそれとして、ジョナサンの復活を見届けるか…そうだな。悪くはない。何よりも…。

 

遥「そうだね。ジョナサンには言いたいこともあるし」

 

いろは「奇遇ですね?綾辻先輩。わたしもです」

 

八幡「俺は一発殴りたい」

 

認めはするが、コイツらは好き放題やりすぎだ!

何を考えているのかまったく読めん!だが、せめて一発くらいは殴らないと気が済まん!

だが、お前は勘弁してやる。スタンド使いの由比ヶ浜結衣。だからもっと強くなれ。そして、更なる成長を遂げて…全てが終わった時にまた来いよ。

そして…今度はもっと良い形でチームランク戦をやろう。

俺は必ず来るであろう遠くない未来に期待をし、総武高校から出ていくガハマやシュトロハイムの後に付いて行った。

で、何で両方から俺の腕を組んでメンチ切りあってんの?遥と一色?

 

←To be continued

 



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番外編:11

side比企谷八幡

 

訓練室

 

ガハマと共に学校へ行った翌日の夜。リサリサは二宮さんと一色を連れて訓練室に入った。模擬戦でもやるのか?とも思ったが、どう考えても攻撃手のリサリサが何で射手の二人と一緒に?

射手ナンバー1・2を潰す気か?

 

リサリサ「コオォォォォ…」

 

違う。キューブを生み出していることから射手の特訓だ。ジョセフさんよりも波紋が強いリサリサだから、確かに射手や銃手も鍛えれば強いだろうが、あのルビーレーザーがあるなら射手の技術は必要なくないか?

あれは狙撃手も兼ねられる射程と威力があるぞ?

それに、不思議な事をしている。

リサリサはトリオンのキューブを体中にくっつける。

 

二宮「その体にくっつける意味が良くわからんな」

 

いろは「それに、何で射手なんですか?リサリサちゃんは断然攻撃手の方が向いてますよね?」

 

だれもがそう思うだろう。スタンドと変わらない破壊力はマジで怖い。

 

リサリサ「お姉……いろはさんと二宮さん。シールドを張って下さい。遥さん、ターゲットをお願いします。小町の周りにありったけ」

 

遥『準備出来たよ、リサリサちゃん』

 

遥さんが小町の周りに30近くのターゲットを出した。

何で周りに展開してるんだ?

 

リサリサ「みんな!」

 

リサリサはサンシャイン・ルビーの指を上に掲げる。

すると、アーシスの奴等はビクゥ!と体を跳ねさせる。

おいおい、ジョセフさんまで…なんなんだよ。

 

ジョセフ「あれのサイン…。なるほどのう。あれの特訓か」

 

八幡「あれ?」

 

ジョセフ「見ておれば解るわい」

 

なんだ?あれって。

それとこの射手の訓練が関係してるか、アーシスの連中がなるほど…と言いながら頷いている。冷や汗を流しながら。

 

リサリサ「ワッセローイ!」

 

サンシャイン・ルビーを引っ込めてリサリサはトリオンのエネルギーを全方位に発射する。

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガガ!

 

エネルギーは周囲に放たれ、埃が巻き起こる。

全方位ビーム…モビルアーマーかよ。

 

遥『命中率は16%……リサリサちゃん。全方位にやること自体が無理があるんじゃないかな?』

 

二宮「ランダムシュート……この特訓に何の意味があるのかが全くわからん」

 

いやいや、あの撃ち方で命中率を期待するなよ。

射手の弾幕としての1つの撃ち方ではあるが、それだって効率的じゃない。

 

リサリサ「コオォォォォ…」

 

小町はもう一度トリオンのキューブを体に纏わせる。

自力でトリオン溜められるって改めて見ると反則だよな。

更にリサリサはその上でサンシャイン・ルビーを出した。

 

リサリサ「二宮さん、おね……いろはさん」

 

いろは「言いにくいならお姉ちゃんでいいよ?わたしも先輩の婚約者になった気分で嬉しいし」

 

いや、ちょっとそれはちがくね?

俺、ジョナサンじゃないからな?ジョナサンも平行世界を旅しまくっているだけあって、エリナと一色の区別は付いてるから、その方面でのアプローチは無駄だぞ?

 

ジョジョ『時間の問題だと思う気がするがな』

 

お前と一緒にするな!

 

リサリサ『小町がトリオンを纏わせている場所を見てください』

 

小町「リサリサがトリオンを纏わせている場所?」

 

ジョジョ『サンシャイン・ルビーと見比べて見ろ』

 

そのままジョナサンの言葉を伝える。

……おいリサリサ。体をくねらせるな。妙な悪寒を感じるぞ。

 

いろは『……あ、スタンドの赤い宝石とリサリサちゃんのトリオンを纏わせている場所が同じだ』

 

言われて見れば。

 

リサリサ『そうだよお姉ちゃん。サンシャイン・ルビーの弱点は指以外からのルビーレーザーの命中率が余りにも悪すぎるところ。ノーコンなんだよね。ルビーレーザーは』

 

二宮『…それは危なくて滅多に使えないな。命中率が悪すぎる』

 

おいおい…考えてみればそうだ。

アレを自在に射てるなら、むしろそっちを優先して攻撃をするよな。

致命的な弱点じゃないかよ。

 

ジョセフ「強すぎる故に却って弱点……ルビーレーザーが今くらいの威力や速度ならば問題ないが、ノーコンの光速数万度の光線が全方位に撒き散らされたら防ぐ手立てがゼロじゃ」

 

まったくだ。強すぎるのが弱点って…。

本当に言葉通りの意味でその実例をみるとはな。

核兵器かよ。

 

小町「でも、照準ってそんなに難しいんですか?」

 

八幡「小町、スナイパーの練習をしてみろ。難しいなんてものじゃない」

 

射撃をしない者なら小町の言うように簡単に射手が当たらない事を言う。ゲーセンの射的じゃあるまいし、そう簡単にいくか。あんなに簡単にいくなら誰だってスナイパーになれるし、荒船さんが目指すパーフェクトオールラウンダーが何人も出てる。

俺を含めてオールラウンダーは数いれど、パーフェクトオールラウンダーは木崎さん以外はそんな存在がいないのだから、スナイパーがどれだけ難しいかわかるだろう。

逆を言えばスナイパーの命中率は中々だ。特に嵐山隊の佐鳥さんなんてよくツインスナイプなんて化け物みたいな事はやらない。まぁ、バックワームが使えなくなる欠点もあるからなのだが、そうじゃなかったにしてもツインスナイプなんて荒業は佐鳥くらいだろう。

 

いろは『そんなに難しいんですか?狙撃』

 

おいおい一色…。勘弁してくれよ。

 

リサリサ『お姉ちゃん。1°でも狙いがずれた時、1キロ先ではどれだけずれるか知ってる?』

 

いろは『知らないけど…』

 

リサリサ『約16メートル。あのね、より精密な角度を示すミルって単位があるんだけど、一周を6400分割したしてるんだ。それがミル』

 

いろは『360°の約20倍…』

 

二宮『1ミルの誤差が1キロ先では1メートルも違ってくる。それは人間の体の中心を狙った場合、上下左右ともに確実に外す誤差だ』

 

そう。1/20°の僅かな誤差が1キロ先では致命的な誤差になる。大分努力をしたんだな。少しでも命中率を上げるために…。

 

リサリサ『1発の射撃の失敗は大きいんだよ。ルビーレーザーは光だからあまり影響はでないけど、実弾のスナイパーは更に風速や風向、地球の自転、自転を考慮した方向の誤差、発射した銃の反動による誤差まで計算に入れなきゃいけないの。だからスナイパーは簡単になれないんだよね』

 

リサリサは能力に胡座をかいているだけじゃない。

自分で経験して知ってるんだ。だからスナイパーがどれだけ大変かを知っている。

 

小町「ほへぇ……狙撃ってそんなに頭を使うんだ…地球の自転まで計算に入れなきゃいけないなんて…小町、考えたこと無かったよ。狙ってポーンってやるだけで良いかと思ってた…パーフェクトオールラウンダーって何で少ないんだろうって不思議に思ってたけど、そんなに難しかったんだ…」

 

ジョセフさんじゃないが、このアホ娘が…。

 

八幡「バッカ。銃手の射撃だって簡単じゃ無いんだぞ。しっかり狙ったつもりでも、姿勢1つで全然狙った場所に飛ばないんだからな?マシンガンで航空機を落とす命中率を知ってるか?」

 

射撃で重要なのは何か。それは姿勢だ。

反動によるブレを姿勢でどれだけ抑えるかが重要になる。思ったよりも反動で弾は上に飛んでいくからだ。

よく漫画や映画でピストルを真横に射った後で反動で真上に向いているシーンがある。

あれ、現実だと全然当たって無い。というか、射った方の射手の手や肩がいかれる。射撃の反動を舐めんな。正しい姿勢を取らないと射った方の人間の方が危ないんだよ。バイパーなんてもっと難しいんだぞ。曲射の設定を前提とした狙いなんて普通以上に難しい。狙撃手ばかりの難しさを語ったが、銃手だって難しいんだ。

そもそも、簡単に片手で射つようには拳銃だって出来てない。映画とかで素人が片手射ちを簡単にやっているから簡単なように見えるが、それを安易に真似して素人が射ち、死亡事故に繋がった例などいくつもある。

拳銃の正しい射撃姿勢は意外な事に両手で照準したへっぴり腰。

それに、機関銃も難しい。

 

小町「ううん。知らない」

 

八幡「一万発で1発当たれば良い方だ。特に高低差がある場合を狙うのがどれだけ難しいか…」

 

高低差がある場合は目標の見え具合が変わってくる。直線距離が同じ距離でも高低差があると目標が近くに見えたり遠くに見えたりする。簡単に思えが、それがかなり難しい。実際、対空機関銃なんてのは虚仮脅しくらいの意味しか持たない。

 

二宮「それでこの特訓か…言っては何だが、全方位の精密照準なんて夢のまた夢だ。それも照準器無しなんて不可能に決まっている。指からの精密射撃を可能にしているだけでも大したものだ。それもやろうと思えば月まで照準が可能だと?馬鹿げた射程が逆に弱点だな。地球が滅ぶぞ」

 

だけど、二宮さんの言いたい事はわかる。しっかり照準器のついたスナイパーライフルだって長距離射撃は難しい。むしろ、指先からのレーザーが精密に射てているだけでも相当な努力の結果だと思う。

 

いろは『地球が滅ぶなんて大袈裟な!出来るわけないじゃないですか』

 

おいバカ一色(# ゜Д゜)

無駄な挑発するな。知れば知るほどルビーレーザーの異質さと扱いの難しさがわかるんだぞ。

 

スッ…

 

遥『え?ちょっと……小町ちゃん!ムカついたからって自棄を起こさないで!』

 

ジョセフ『バカ娘が!短気を起こすんじゃあない!』

 

リサリサ「全力全開!全方位ルビーレーザー!」

 

ブウウウウン………。

その日の夜。ボーダー本部の全システムがダウンした。

 

キングクリムゾン!

 

ジョセフ「この………アホ娘がぁぁぁぁぁぁ!なんて事をしてくれるんじゃ!今、ネイバーが出てきたら終わりじゃぞ!」

 

ゴンッ!

 

手加減抜きの全力全開の、しかも義手の方の手でジョセフは拳骨を落として来た。これは間違いなく本気で怒っている。

当たり前だ。訓練室の疑似空間の過負荷が原因でボーダーのシステムがメルトダウンなんて前代未聞だ。

それだけにルビーレーザーのヤバさの裏付けになったんだが。

 

材木座「ダメだ……あちこちのヒューズが一気にイカれておる。システムが死んでしまっていてとても直ぐには復旧できん。予備電源で何とかレーダーとオペレーションシステムだけは使えるが…」

 

SH「我も手伝おう。これはアーシスの責任じゃ」

 

材木座「助かる。このままではベイルアウトシステムが作動しない。B級以下の防衛任務は急遽、全てA級にスクランブルがかかった…まさかルビーレーザーの威力がここまでとは…強すぎるのが弱点とはまさにこの事だ」

 

ベイルアウトシステムの不具合…。これは不味いな…。

万が一を考えたらB級でも危ない。

 

佐鳥「俺が分析するにリサリサちゃんのルビーレーザーが精密に狙えるのは1度に二ヶ所。それもあまり離れていない範囲で。奈良坂達が一気にやられたから勘違いしていたけど…」

 

流石は狙撃のスペシャリスト。リサリサのルビーレーザーの弱点を見破った。

そんな弱点を隠せた上の最初のペテンか…。

 

小町「佐鳥さんでも?」

 

佐鳥「照準器無しであれをやれなんて無理だ。トラブルメーカーじゃなければマジでボーダーにスカウトしたいくらい、現段階でパーフェクトオールラウンダーだよ。だが、短気なところは狙撃手に向かないな。やっぱり適正ポジションは攻撃手、良くて射手だ」

 

よく勘違いされるが、狙撃手は命中率が良いだけでは務まらない。トラッパー並の知識や冷静な判断力も問われる。少なくともリサリサの技量はパーフェクトオールラウンダーかも知れないが、その辺がお粗末だ。

 

リサリサ「それはジョセフにもよく言われるよ。感情を抑えるのが下手だって。リサリサの時はそうじゃあなかったんだけどなぁ…」

 

ジョセフ「まったくじゃ!カーズやエシディシを騙した冷静なリサリサ先生の生まれ変わりとはとても思えんわい!この世界に来てからと言うもの、どうしたのじゃ?らしく無いぞ」

 

すると、ジワジワとリサリサの目に涙が溜まる。しまった!ガハマばかりに目を向けていたが、リサリサも…。

 

リサリサ「う………うう………お兄ちゃん……うわぁぁぁぁぁん!お兄ちゃぁぁぁぁぁぁん!」

 

リサリサはビルから飛び降り、危険区域を突っ走っていった…。我慢の限界が超えてしまったんだな。

 

ジョジョ『小町ぃぃぃぃぃぃ!』

 

ジョナサンの悲痛な叫びが頭に響く。わかるぞ。小町がこんなことになったら後悔してもしきれない。

だから、ジョナサンには苦言を呈する。

 

八幡『………おい、ジョナサン』

 

ジョジョ『………』

 

八幡『二度と………こんな状態になるようなマネはするなよ……あんな小町は…例えリサリサでも俺は見たくない』

 

親父や母さんを失ったときの小町…あれをリサリサを通じて見ることになるなんてな…。胸糞が悪い。

 

ジョジョ『………ああ。俺が小町を…天使を壊してしまった…』

 

さすがに堪えているようだ。

 

小町「ジョナサンお兄ちゃん……小町、あの小町の事はあんまり好きじゃないけど……あれはない。あれはないよ!小町だってお兄ちゃんがいなくなったらあんな風になっちゃうと思う!かわいそすぎるよ!」

 

小町が泣きながらそう言った。

そうだな…俺も気を付けないと…。

 

遥「リサリサちゃん…無理してた。どんなに強くても、リサリサちゃんは小町ちゃんだもん…。まだ中学生なんだよ?辛い前世だったから、それだけに今が凄い幸せだったんだよ。それが突然崩れちゃったら、リサリサちゃんだってああなるよ。ううん…辛い前世だったからこそ今まで気丈に振る舞えたんだよ。リサリサちゃんは…」

 

リサリサは強かった。だから大丈夫だと思っていた。だけどそれは間違いだったんだな…。無理をしていたんだ。リサリサは……。

 

いろは「リサリサちゃんだけじゃありませんよ…ジョセフさんだって、ガハマさんだって…それに他にも4つの世界にジョナサン先輩の魂は飛んで行ったんですよね。先輩を助けに行った皆さんは…エリナさんっていうもう一人のわたしも含めて、皆さんはそれぞれの世界で戦っているんだと思います…。ただ、大好きな先輩を助けたい一心で…知るべきです。先輩はもっと人の気持ちを…」

 

ジョジョ『いろは…ジョジョ…陽乃さん…承太郎…仗助…ジョルノ…徐倫…』

 

そうだな…。迅さんが言っているのが間違いなければ、どの世界のコイツの仲間も、ここと同じように戦いが起こっている筈だ。それが分かっているのに、それでもそれぞれの世界にいっているからにはそれだけ全員がジョナサンであるこの比企谷八幡が好きだからだろう。ジョナサンはもっと知るべきなんだ。自分がどれだけ愛されてるかを。

 

小町「さすがに見てられないよ…小町、あっちの小町を探してくる!」

 

え?おい、待てや妹エンジェル。リサリサが走っていった方向は危険区域の方…。C級のお前じゃあ。

 

陽乃「待って!小町ちゃん!あ、訓練用のトリガーを起動して行っちゃった!」

 

めぐり「え……こんな時にゲート反応!?」

 

これは不味い…リサリサはともかく小町では満足に戦えん!訓練用のトリガーじゃ大した事は出来んぞ!

 

ジョセフ「アーシス!スクランブルじゃ!」

 

八幡「こっちもスクランブル!行くぞ!」

 

けーちゃんとシュトロハイムを除いて全員が出動した。

嫌なことは嫌な時に重なるものだ…。

無事でいろよ!小町!

 

←To be continued

 



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番外編:12

side比企谷小町

 

リサリサ「………うう……ぐすっ……お兄ちゃん……お兄ちゃん……寂しいよ……うう………」

 

やっと見つけたリサリサちゃんは…すごく泣いていた。

わかるなぁ…小町もあのときは…。

 

小町「……リサリサちゃん……」

 

リサリサ「この世界の小町……うっ……」

 

聞くとリサリサちゃんは、異世界の自分が嫌いらしい。

だから、泣いている姿を小町に見せるのは嫌だったとおもう。

それに、信じられないことにリサリサちゃんは、ジョナサンお兄ちゃんの事が好きなのだとか…。しかも異性として。

そこだけは分かり合えないけど、肉親を失った悲しみはわかる…。

 

小町「そうだよね。わかるよ…リサリサちゃん」

 

リサリサ「何がわかるっていうのさ!小町にはお兄ちゃんしかいなかったんだよ!だから小町はどの世界の小町よりも…お兄ちゃんよりも強くなって守りたかったんだよ!なのに……なのにさ……うう……うわぁぁ!前世だってそうだ!せっかく強くなったのに、小町は何も守れなかったんだよ!ジョージも!エリナお母さんの心も!シーザーも!ジョセフだって左腕を失っちゃった!死んでもおかしくない状況だった!そして…お兄ちゃんだって……小町は何の為に強くなったのさ!」

 

リサリサちゃんは凄く怒る。だけどね、同じだもの…小町がボーダーに入ろうと思ったのだって…。

 

小町「………わかる…何て言うのは自惚れかもね…だけど、小町だってそうなんだよ。たった一人の残った肉親が…お兄ちゃんだったんだよ…」

 

小町はリサリサに抱きついた。

 

小町「小町もね……お父さんとお母さんがネイバーに殺されちゃって…もうお兄ちゃんしかいないんだ…遥お姉ちゃんの両親や城戸さんが今では親代わりになって小町を見てくれるけど、本当の肉親は……お兄ちゃんしか…うう……だからね…小町がボーダーに入ったのは…少しでもお兄ちゃんの負担にならないようにって……少しでも強くなりたいって…そう思ったからなんだ……だから同じなの…小町も……」

 

リサリサ「小町……」

 

そうだよ。小町はまだ弱い。リサリサちゃんほど強くない。だけど、お兄ちゃんの助けになりたい気持ちは負けない。

小町の言葉にリサリサちゃんは何かに思い至ったようで、小町を抱き返してきた。

 

リサリサ「ごめん……小町だけじゃあなかったんだよね…態度が悪くてごめんね……うう……うわぁぁぁぁぁん!」

 

小町「良いんだよ…小町だって態度が悪かったから…リサリサちゃん、吐き出そうよ……辛いこと……小町も一緒に泣いてあげるからさ……うわぁぁぁぁぁん!」

 

二人の小町達は抱き合いながら大声で泣きわめいた。

肩肘を張ってたんだなぁ…。頑張ったよ、リサリサちゃん。

何があったのか記憶にプロテクトがかかっているみたいだけれど、基本世界の小町はその世界の比企谷八幡の逆鱗に触れてしまい、それが原因で仲違いしていたらしい。本気の悩みに興味本意で深入りしようとしたのだとか…。それを見たリサリサちゃんは基本世界の小町に失望したのだとか…。

そして、見てきた平行世界も運の悪いことにそんな世界ばかりだったみたい。中にはこじれた仲が戻らずに本気で憎み合ったり、お兄ちゃんが死んじゃったり、家から追い出された世界があったり…。

戦う理由も浅はかだったりとか…。まぁ、リサリサちゃんみたいな壮絶な人生と比べられたらどの人生も浅いだろうね…。小町もそう見えたんじゃないかな。

だからリサリサちゃんは誓った……どこの世界の小町よりも強くなろうって…。逆にお兄ちゃんを守れるくらいに…。

 

小町「………はぁ……。それはないよ。小町だってそんな小町ばかりだったら平行世界を嫌いになっちゃうかもね…。じゃあ、初めてなんだ…リサリサ小町が仲良くなれそうな小町って…」

 

リサリサ「……………うん。でも、これは小町の思い込みだったんだね…もし、今まで会った他の世界の小町に会えたら、もう一度正面から向き合って見ようと思う。その上で嫌いだったら……コレ…かな?」

 

リサリサちゃんは指をピストルのように形作る。それは洒落にならないよ…リサリサちゃん。

 

小町「アハハハハ。冗談に聞こえないから止めようね?でも、お兄ちゃんを憎んでる小町は懲らしめてもいいかもね。アホな事を言うゴミぃちゃんだけど、そこがカワイイって何で思えないのさ!ってね」

 

なんか奉仕部の二人みたいな小町だね。そんな小町を見たんなら、平行世界の自分を嫌いになってもおかしくないかも…。ガハマさんが凄い怒ってたし。

 

リサリサ「小町も十分ブラコンだよ…もう、愛人の座を狙わないとね」

 

小町「ごめん。ブラコンなのは悔しいけど認めるとして、愛人とかのそこだけは分かり合えない」

 

それだけは絶対に相容れられない。お兄ちゃんはお兄ちゃんだ。だから男として見るだなんてあり得ない。

 

リサリサ「アハハハハ!やっぱり?」

 

小町「うん。それだけは越えられない一線だよ」

 

小町の目はどんよりしてるだろうね。

ジョナサンお兄ちゃんの目みたいに。

 

小町「それにしても、ルビーレーザーにあんな弱点があったなんて…」

 

悔しいくらいに強いサンシャイン・ルビー。だけど、あのスタンドにも意外な事に弱点があった。

 

リサリサ「完璧な能力なんて無いんだよ。ジョセフの孫に承太郎おじさんっているんだけどさ。承太郎おじさんのスター・プラチナってスタンドはお兄ちゃんのザ・ワールドと同じタイプのスタンドなんだ。それでね、スター・プラチナはスタンド使いの中でも最強って恐れられているんだけど、承太郎おじさんはそうは思ってないんだ」

 

ジョセフさんの孫?そう言えばその人がジョナサンお兄ちゃんのもう片方の前世、DIOを倒した人だよね?

 

小町「最強?サンシャイン・ルビーじゃなくて?」

 

リサリサ「そう、スター・プラチナはサンシャイン・ルビーと同じなの。射程と成長を除いては最強のスペックだし、サンシャイン・ルビーにはないザ・ワールドと同じように時を止める能力もあるんだ…だけどね、おじさんは言ってたの…」

 

承太郎『経営や人間関係、何気ない会話での駆け引き。そんな目に見えない戦いなんていくらでもある。俺は自分が強い気になっていて、そんな戦いとかからいつもジジイに助けられていた。そういった戦いは、俺のスタンドは何の役にも立たない。スタープラチナは、そういった俺の不器用さを皮肉にも現している。ジジイのハーミットパープルが時々うらやましく思うときだってあるんだ』

 

わかる気がする。ジョセフおじいちゃんのスタンドや波紋って相当器用で応用力が凄いもの。お兄ちゃんをあそこまで追い詰める人なんて中々いないよ…ましてや一人で…。

 

リサリサ「お兄ちゃんとの会話で、承太郎おじさんがそう言っているのをたまたま聞いちゃってさ…ああ、承太郎おじさんのスター・プラチナと小町のサンシャイン・ルビーは似てるなって…数字的な物は強くても、サンシャイン・ルビーは不器用なんだ…ほんと、たまにジョセフのハーミット・パープルやお兄ちゃんのザ・ジェムストーンが羨ましく思うよ。特にザ・ジェムストーン」

 

小町「ザ・ジェムストーン?ザ・ワールドじゃ無くて?」

 

初めて聞く名前だね。そう言えばジョナサンお兄ちゃんのスタンド、水色のザ・ワールドだったような。あれがザ・ジェムストーン?

 

リサリサ「お兄ちゃんは二人の人間の転生だから、スタンドが2つあるの。ジョセフのハーミット・パープルはお兄ちゃんも使えるんだ。それを融合させたのがザ・ジェムストーン。何で八幡さんがザ・ジェムストーンを使えないのかはわからないけど。あのスタンドは何でもありだよ…」

 

実際どう違うのかわからないけど、リサリサちゃんがそう言うならそうなんだろうね。

 

小町「小町からしたら、波紋を使えるリサリサちゃんも十分に化け物だけどね。三輪さん達が生身にやられたなんて未だに信じられないもん」

 

三輪隊が何も出来ないでやられた…。小町にとっては天上の人の三輪隊が…その強さに嫉妬しちゃったよ。

リサリサちゃんはうん!と頷く。何だかんだで吹っ切れたみたい。

そして、目にいつもの闘士を宿らせた。

 

リサリサ「迅さん、出てきて。出歯亀はポイント低いよ?」

 

いたんだ…迅さん。

心配してくれてたんだね…。ぼんち揚げをボリボリ食べながら出てきた。

 

迅「バレてたのかよ。でも、俺のサイドエフェクトが言っていたのさ。本来は止めるべきだった小町の行動だけど、リサリサの為にもこのまま行かせて様子を見ろってな」

 

やっば!何も考えずに出てきたけど思いっきり隊務違反じゃん!城戸さんに怒られる!

 

リサリサ「小町……逃げて。ゲートが来る」

 

迅「今はベイルアウトが出来ない。捕まったりトリオンが破壊されたら終わりだぞ」

 

リサリサちゃんと迅さんは構える。

え?ゲートが…。

来た。バムスターが多数……。

 

迅「本気を出すぜ。風刃」

 

迅さんのブラックトリガー、風刃…。

本気の本気だ…。

 

リサリサ「サンシャイン・ルビー!&トリガー・オン!」

 

スタンドを構え、リサリサちゃんもトリオン体になる。

だったら小町だって!

 

小町「まって!小町も戦える!」

 

迅「C級が生意気を言うんじゃない!C級が防衛任務が出来ない理由には意味があるんだ!早く本部に戻れ!」

 

本気で怒鳴る迅さん。そう、ランクとか階級とかには意味がある。

何で?何でC級はダメなの!?

 

小町「で、でも…二人だけじゃ……」

 

リサリサ「良いから逃げて!」

 

S・R「ゴミゴミゴミゴミ!」

 

もうバムスターの射程に入る。これ以上は話す余裕が無いのか、サンシャイン・ルビーのゴミゴミラッシュが始まった。見えない…コレが本気のサンシャイン・ルビーのスピードとパワー…。バムスターの手足をベコベコに凹ませて動けなくする。

 

迅「そらよっ!」

 

そこに迅さんがバムスターの弱点の目を斬り、まずは一体…。

 

リサリサ「やりますね、迅さん」

 

迅「伊達にS級をやってる訳じゃないんでな!後退しなよ、リサリサ。佐鳥のツインスナイプが来るぜ!」

 

リサリサ「便利だね、そのサイドエフェクト」

 

バックステップで距離を取り、リサリサちゃんが下がるとトリオンの弾がバムスター2体の目を破壊する。

即席のチームなのに凄い…。コレがS級とS級クラスの戦い…。合わせるのが上手い。

 

いろは「そっちの世界のわたしなら……エメラルド・ストライクぅぅぅ!無理無理無理無理!」

 

二宮「真面目にやれ。一色」

 

いろはさんが間に合ってくれた!でも、無理無理とかエメラルド・ストライクって…。あっちのいろはさんのスタンド能力なのかな…。

いろはさんと二宮さんが放ったトリオンキューブが雨のように降り注ぐ。何体かを一気に倒し、何体かに損傷を与えた。

 

陽乃「うりゃりゃりゃりゃりゃあ!」

 

いろはさん達が損傷を与えた敵に、陽乃さんが弧月で目を切り落とす。だから陽乃さんまで変な掛け声を…

 

八幡「ザ・ワールド&スコーピオン!無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」

 

お兄ちゃん!

お兄ちゃんがザ・ワールドで無駄無駄ラッシュをしながら動きを止めて本体を切りつける!

そこに別のバムスター2体が小町が逃げた方向に向かってきた。どうしよう…訓練用のトリガーしかないよ!

 

八幡「初めて使うが…ハーミット・パープル&スコーピオン!」

 

お兄ちゃんがスコーピオンをハーミット・パープルに持たせ、器用に曲げてバムスターの目を破壊した。バイパーじゃ間に合わないからハーミット・パープルを使ったんだ。確かに器用なスタンドだね。

 

???「震えるぞハート!ぶっ壊すほどシュートォ!仙道波紋のバイパー乱れ射ちだぜ!」

 

………変な声が聞こえた。

波紋って言うからにはアーシスの世界の人なんだろうけど、大志くんの声とは違う…。

こんなに勝ち気に溢れた声じゃない。シーザーくんとも違う。

目を向けた先には……緑色のマフラーにバンダナ、跳ねた黒髪、星の痣が首にある若い男……。前世のジョナサンお兄ちゃんにそっくりなこの男は…。

 

若ジョセフ「ここよここ!ここに俺がいることを忘れないで欲しいのよ!リサリサ先生!」

 

ホントに誰!?

あ……確か映像で出てきた…。

 

小町「……あれって若いときのジョセフさん?」

 

リサリサ「やめてジョセフ…身内の恥を晒さないで」

 

もう別人だよ!ダンディーなジョセフさんの見るかげがなくなってるよ!

それに、恐ろしかったのは次だね。

 

リサリサ「みんな!」

 

一同「げ…………」

 

クルッ♪シュゴォォォ!×多数

 

一同「逃げるんだよォォォ!」

 

このサインって…全方位バージョンのルビーレーザー!

逃げなきゃ!

あれっ?でも、サンシャイン・ルビーを出してないよ?代わりに射手がやるような事をしている。

 

リサリサ「ゴミゴミゴミゴミィ!ワッセローイ!」

 

バシュゥゥゥゥン!

 

ルビーレーザーじゃなかった。射手の特訓で使っていたトリオン弾!

残りのバムスターはリサリサちゃんのトリオンの威力で吹き飛ばされ、立ち上がろうともがく。

やっぱり波紋の戦士のトリオンは化物だよ。

そこに…

 

佐鳥「ゆっくり狙えるぜ。ナイスだリサリサ」

 

佐鳥さんのスナイプが残りの敵を倒す。

 

ガハマ「あははは……やっと着いたのに終わっちゃってるよ…」

 

シーザー「また出番なしか…」

 

遅れて到着したガハマさんとシーザーくんがガックリ肩を落とした。ふぅ…一瞬ヒヤッとしたけど何とか終わったね。カッコ良いなぁ…リサリサさん。

でもこの強さは才能に胡座をかいている強さじゃない。

辛かった前世のようにならないために必死で努力した結晶なんだ。

小町も頑張ろう。リサリサちゃんのように…。出遅れたけど、負けないよ!リサリサちゃん!

 

 

キングクリムゾン

 

城戸「小町……このバカもんがぁ!」

 

城戸さんの一喝が小町を襲う。

 

リサリサ「いやぁ……城戸さん。悪いのは小町……じゃあなくてエリザベスの方で…」

 

城戸「勿論お前もだ!まったく…余計な事しかせんな!エリザベス・ジョースター!いや、比企谷小町!」

 

小町&リサリサ「ひぅっ!」

 

城戸さんはメチャクチャ怒ってる…。隊務違反だもんね。完全に。

 

城戸「良いか?小町。Cランクに防衛任務を禁じているのは訳がある。それは己の力量や力の使い方を図り間違えている者が戦場に出れば、被害を拡大させる事は勿論、命を落とすことがよくある。C級を戦場に出さないのはそういった最悪の場面を少しでも避ける為にやっているんだ。いくら強くても、C級はその辺がまだ未熟。それを解らせる為に、地道に訓練させているんだ。最近では勘違いをしている者も少なくないが…」

 

城戸さんは深く椅子に腰掛け直した。

やっぱり小町はクビなのかなぁ…。

 

小町「小町は…やっぱりクビ?」

 

城戸「……今日はどこぞのアホ娘がやらかしたせいでシステムがほとんどダウンしていた。よってC級がネイバーと戦おうとした記録は残念ながらない。あの場の映像に移っていた比企谷小町はエリザベス・ジョースターなのだろう。スタンド使いだかなんだかは知らんが、変な超能力を使うアホ娘だ。C級の隊員はあの場にはいなかった…今回だけはそう言うことにして大目に見よう。だが、次はないぞ?小町」

 

そう言われ、小町は城戸さんに抱き付いた。

 

小町「ありがとう!城戸さん!大好き!」

 

城戸「こ、こら!やめんか!」

 

やっぱり厳しくてもこの人は小町のお父さん代わりだ。

だから小町は城戸さんが大好き!

 

←To be continued



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番外編:13

side比企谷小町

 

シーザー「シャボンランチャー!」

 

シュルシュルシュルシュル!

 

那須「曲げる技術は巧いわね。けど、途中で曲げる方向に迷っている節があるわ。射ってから考えるんじゃなくて、最初から弾道を決めておくの」

 

シーザーくんはバイパーのスペシャリスト、玲さんから教わってシャボンランチャーの撃ち方を訓練していた。

ジョセフさんから玲さんに教えて貰うように指示されたらしい。

オペレーターをめぐりさんにお願いしてターゲットを頼んでいる。

 

那須「あと、シャボンの操作に集中するあまりに自身の動きが疎かになっているのも欠点ね。弾を射つっていうのは攻撃をするというのと同時に自分の位置を相手に教えていることになるの。今は難しいかも知れないけど、常に動きながら弾の操作や弾道の計算をするのが良いわ」

 

バイパーは難しいんもんね。

 

シーザー「ありがとうございます!那須師匠」

 

あれ?シーザーくんの師匠ってリサリサちゃんだよね?リサリサちゃん怒らない?と、思って見てみると、別段リサリサちゃんは特に気にしてないみたい。

 

那須「良いのよ。シーザー君は素直で筋が良いから教え甲斐があるわ。今言ったことを頭に置いて試してみて。こう言うのは数をこなすことよ。でも、動きながら敵を観察することを忘れちゃだめよ?」

 

那須さんがニッコリ微笑むと、シーザーくんは顔を赤らめて素直に返事をした。

玲さん綺麗だもんね。母性的っていうか…。

 

シーザー「はいっ!」

 

シーザーは那須さんの言うことを守り、忠実に訓練を重ねる。

一方で結衣さんも熊谷先輩を師匠に訓練していた。こっちの由比ヶ浜さんとは二度と会うことは無いだろうから、普通の呼び方にすることが全員で決めた。

いっそ結衣さんだけ入れ替わらないかな?

ジョナサンお兄ちゃんも見限ったみたいだしね。

ジョナサンお兄ちゃん、やり過ぎて無いかが心配だよ。

平塚先生をゴミ箱に捨てる記録があったし。(このあと、こっちでも平塚先生を捨てていたことがわかった)

 

熊谷「攻撃手というのは何も攻撃をすることだけが役目じゃないわ。あたしなんかがそうだけど、玲をガードするのを主眼に置いているから撃破は高くないけど、それでもチームには役に立っている。聞けば由比ヶ浜は雪ノ下とコンビを組むことが多いんだよね?」

 

ガハマ「はいっ!ゆきのんはあたしよりも強いですよ?でも、ゆきのんはどちらかといえば射手と攻撃手を合わせたようなオールラウンダーだから、あたしなんかが役に立つのかなぁ」

 

熊谷「攻撃手二人でコンビを組むなんて良くある話だよ。むしろ、相方の死角を上手くカバーするのだって立派な役目さ。戦術が苦手なら、相方の取る戦術を信じてフォローに回る事も戦術の1つだよ。頼りきりもダメだけどね」

 

ガハマ「分かりました!もう一本お願いします!」

 

熊谷「素直だね。もう少ししたらシーザーを相棒に見立ててコンビの戦いかたをやってみよう」

 

ガハマ「はいっ!よろしくお願いします!」

 

那須隊にコーチをお願いして正解だったみたいだね。

二人とも優しく教えるのが凄く上手い。

 

茜「リサリサちゃん。よそ見しないでスナイパーの訓練を続けよう。リサリサちゃんの訓練って凄く分かりやすいよ」

 

茜ちゃん、小町以上にリサリサちゃんに頼ってる…。

リサリサちゃん、強いしスナイパーの訓練しているみたいだからわかるけど、ちょっとジェラシー…。

 

小町「むううう…」

 

リサリサ「友達取らないからヤキモチ妬かないでよ小町ちゃん…」

 

小町はリサリサちゃんに訓練をしてもらっていた。

同時にリサリサちゃゆは茜ちゃんの狙撃訓練を見ている。

ちなみに前のシステムダウンや小町の隊務規定違反についての罰則はボーダー本部すべてのトイレ掃除で済んでいる。リサリサちゃんは金銭的な事を気にしていたけれど、その辺はジョセフさんが弁償したらしい。

何でも資金に困らないようにと大統領から持ってきて貰っていた金塊を売り払い、この世界で株をやってジョセフさんは資金を増やしていたとか…凄すぎない!?

そのお金を使ってリサリサちゃんやらかしたケガをさせちゃった人への慰謝料を補填してくれたのだとか…。

お陰でアーシスへの風当たりも小さく済んでいるみたい。

こんなスーパーおじいちゃん、見たことがないよ…。

リサリサちゃんが帰ったら2倍働くとか言ってた。

え!?世界的財団の千葉支部の社長!?嘘だよね?

ホントみたい…。

 

めぐり『良い感じに訓練が進んでるね?リサリサちゃん』

 

小町「はい。迷惑ばかりかけたのに……」

 

めぐり『その分、防衛任務で頑張ってくれてるからね。三輪くんとかはまだ怒ってるけど』

 

三輪さんか…あの人のネイバー嫌いは相当だからなぁ…好きな人はいないと思うけど。

リサリサちゃんが言うにはどの世界の三輪さんとも必ずトラブルを起こすのだとか…。

三輪さんのケガが特に酷かったからなぁ…。よっぽど鬱憤が溜まってたんだね。だから最初は小町もリサリサちゃんに怒ってたんだけど。

 

那須「もう少し練習したらチームランク戦形式で模擬戦をやろっか。リサリサちゃんはライトニングで狙撃手役をお願い。結衣ちゃんとシーザーくんがベイルアウトしたらリサリサちゃんも負け。リサリサちゃんはスタンド無しの狙撃のみね?これはあくまでも二人の訓練なんだから」

 

リサリサ「アイアイサー♪」

 

こうして二人の訓練が始まった。

最初こそシーザーくんの波紋による身体能力に翻弄されていた那須隊だったけど、そこはボーダーの中でも戦い慣れている那須さんと熊谷さん。

すぐに慣れて戦績は那須隊の方に軍配が上がった。

だけど、二人もただやられているだけじゃなかった。

厳しいことを言われながらも二人は真摯に受け止め、少しずつ戦術を踏まえて動きが良くなってきたのが素人目にもわかる。

 

リサリサ「シーザーの評価を霊長類ヒト科オシリアイに戻してあげよう」

 

オトモダチですらないんだ…。

 

小町「いや、そこはオトモダチにしようよ。あと、ライトニングのスピードがおかしいよ?あれがアイビスだったらと思うとぞっとするよ…」

 

数ヵ月後、雨取千佳という子を見たとき、小町はこの時のリサリサちゃんの事を思い出したけど、それはまた別のお話だ。

 

 

キングクリムゾン!

 

三輪「む……お前はリサリサ…」

 

リサリサ「あ、三輪さん……」

 

三輪「………」

 

訓練の後、リサリサちゃんはそのまま防衛任務に入るので、途中まで一緒に移動していたときに三輪さんにバッタリ会った。タイミング悪いなぁ…。

 

リサリサ「あ、あのっ!三輪さん!」

 

三輪「なんだ……ニネスと話すことは何もない」

 

ギロッと睨んでくる三輪さん。

リサリサちゃんは気まずそうにしている。

 

リサリサ「す、済みませんでした!許して欲しいとは言いません!でも、せめて謝らせて下さい!」

 

三輪「………本気でそう思っているのか?」

 

リサリサ「はい……。身を守る為だけならば普通に自己防衛すれば良かったんです。なのにやり過ぎてしまって…」

 

三輪「聞き方次第では手加減してもお前は俺達を倒せてた…そう聞こえるぞ。嫌味か」

 

リサリサ「………」

 

言葉って難しいね……リサリサちゃんにそんなつもりは無かったと思うけど、逆に三輪さんの勘に触れちゃったんだ…

ますます怒らせちゃったよ……どうしよう。小町からも何か言った方が良いかなぁ…。でも逆効果のような気がする。

 

三輪「……だが、俺達がお前に比べても弱かったのも事実…お前の指摘も確かだ…次はあんな一方的にならんようにする。覚悟をするんだな」

 

あれ?

 

三輪「お前のやったことは許さん。そこは変わらん。だが、抵抗しなければ俺達はお前達の事を知ろうともせずにネイバーとして攻撃していた。お前だけが一方的に悪いわけではない」

 

リサリサ「三輪さん……」

 

三輪「誠意を持って謝ってきた相手に対し、こちらも悪かったことを認めなければフェアでは無いだろ?陽介達には伝えておく」

 

リサリサ「三輪さん……ありがとうございます!」

 

三輪「だが、決して許したわけじゃないし、認めてもいない。認めて貰いたければカーズとかというネイバーからこの世界を守り抜け…それが条件だ。あと、何日も寝ていないのは良くない。波紋の戦士は何日も起きていて平気だと言うが、無理はよくないぞ」

 

そう言って三輪さんは去っていく。ツンデレな三輪さんらしいなぁ。っていうかリサリサちゃん、こっちの世界に来てから寝てないの!?体に悪いよ!?

 

リサリサ「はい!三輪さん、ありがとうございました!」

 

リサリサちゃんは三輪さんに深々と頭を下げた。

この後もリサリサちゃんは時間の許す限り、ケガをさせてしまった人達に小町は頭を下げに回った。

中には門前払いの人もいたし、罵倒する人もいた。

だけど、「まぁ……一生懸命寝ないで防衛任務してくれたしな…」「いやいや、ネイバーかどうかを確認しないで攻撃を仕掛けたこっちも悪かったわけだし…」「1日デートしてくれたら許すよ?」とか言って許してくれた。快く…というのはあまりいなかったけど、リサリサちゃんはそれでも良いと言っている。

でも、最後のはおかしくない?冗談だと思うけど。

冗談だよね?

この時の三輪さんとリサリサさんの和解が、数ヶ月後に現れた空閑遊真くんという人型ネイバーとの出会いに影響が出たのかどうか…それも別のお話だ。

 

 

side材木座義輝

 

ジョセフ「コレがわしらの持つスタンドの資料じゃ。役に立ちそうかのう?」

 

ぬう…見れば見るほど異質な力の数々よ…。

 

鬼怒田「いくつかは使えそうな物はあれば、既に開発済みの物もありますな。皇帝(エンペラー)なんて物はバイパーですし、エコーズなんかも鉛弾のようなもの」

 

中には似たようなトリガーが既に開発されてはおるな。

 

寺島「でも敵の力やスピードを自分に学習させ、しかも刃先を一時透過させるアヌビス神とかは時間がかかるかも知れませんが開発出来そうな気がしますね」

 

元攻撃手らしい寺島殿らしい意見よ。だが、確かに学習はともかく、一時透過はやり方次第では出来そうだ。

 

鬼怒田「そうだな。中には出来ても危なくて開発したくないものもあるな。触れた物を物質法則を無視して爆弾に変えるキラー・クイーンやカビを繁殖させるグリーン・デー、それに時間を止めるザ・ワールドや時間を吹き飛ばすキング・クリムゾン、高温により老化を加速させるグレイトフル・デッド……これらは絶対に世にだしてはならない能力じゃ」

 

これは開発可能でも実装出来ん。キラー・クイーンはともかくグリーン・デイやグレイトフル・デッド等は生物兵器や化学兵器そのものだ。

 

寺島「キラー・クイーンなんかメテオラを即席で作れて良いと思いますけどね?」

 

バカをいえ!戦闘記録を見てないのか!

人間の体の一部や空気すらも爆弾に変える能力など危なすぎる!

 

鬼怒田「バカもん!そんなものが万が一市民に向けられでもしたらどうする!強力な兵器を開発するからには、それに伴う結果を考えるのも開発する者の義務じゃ!」

 

鬼怒田殿の喝が入る。

開発したものがどういう結果をもたらすかを考えるのも開発者の義務…か。我も気を付けねばな。

鬼怒田殿が挙げたスタンド能力は使い方を誤ればアーシスの世界のような悲劇が起きるものばかりだ。

もし、こんなものが世に出回ったら…。

過去の悲惨な戦争の二の舞になる。核兵器などはその最たる例だな。

 

鬼怒田「とりわけ興味を惹かれるのがナイチンゲール・エメラルドのエメラルドヒーリングですかな?ナイチンゲール・エメラルドは他者に自分のトリオンを供給したり、簡単なトリオン体の損傷を直すのには有効です」

 

破壊的な能力ばかりが目につくが、アーシスの世界の一色殿のナイチンゲール・エメラルド…真に必要なトリガーはこういう物かもしれん。生存率を上げるのは、結果的に一番効率的という考えか。

 

材木座「いやぁ、興味深いものばかりですね?ラジコンを飛ばして機銃攻撃をするエアロ・スミス、物を空間に固定するクラフト・ワークなんかは簡単に開発出来そうですし、有用性が高いです」

 

我が目を付けたのはこの辺りだ。エアロ・スミスのラジコンのようなスタンド…何故今まで気が付かなかったのか…。

 

ジョセフ「何故じゃ?」

 

ぬ?これはジョセフ老、我を試しておるな?

 

材木座「エアロ・スミスはそれこそラジコンのように現行の技術で簡単に代用が効きますし、動力や弾丸を使用者のトリオンでやれれば出来そうです。まあ、そのトリオンをどう動力にしたりするのが課題ですが。クラフト・ワークは空中に足場を作れ、グラスホッパーと併用すれば高所への移動も容易になります。あと、興味があるのがゴールド・エクスペリエンスですね。欠損した部分をトリオンの義手や義足、トリオンを流出を押さえる為に応急処置をする…生身は無理でもそういうので無駄な損害を抑えるにはうってつけですね」

 

ついでにゴールド・エクスペリエンスも追加しておく。鬼怒田殿のナイチンゲール・エメラルドに目を付けた考えの応用だ。欠損によるトリオン流出は対策を練る必要があると前々から思っておったしな。トリオンによる義手についても咄嗟に考えた割には良いかも知れぬ。

 

鬼怒田「相手の養分を奪うハイウェイ・スターと言うのも敵のトリオンを奪って自分の物にするという点では有用だな。ランク戦には禁止だが。いやはや、スタンドなんて得体の知れない非現実的な物ばかりかと思っていたが、見てみるとトリガーに転用出来そうなものも色々あるものですな。先に言った通り、絶対に開発できてもしてはならない物も有りますが。時間を操ったり生命を作り出したり…人間が手を出してはならない領域の物も多数ありますが」

 

八幡のザ・ワールドを例にとってもわかる。あんなものが誰でも使えるようになっては世界がメチャメチャになるのは少し考えればわかるだろう。

 

ジョセフ「役に立てたかのう?」

 

確かに参考にはなった。だが…

 

鬼怒田「発想の着眼点としての参考になりました。ですが、これは我々の心の中に閉まった方が良さそうです。危険すぎない、それでいて有用性の高いものだけをいくつかピックアップし、資料そのものはお返しします」

 

材木座「スタンド能力は危険すぎる…そういうことですか?」

 

軽く流し読みしただけでもわかる。安易に真似して良いものなどほとんどない。

 

鬼怒田「そうだ。戦闘記録を見てもわかる。どんなに力の無さそうな能力でも、使い方を誤れば簡単に人の命が消える。これらは万人が持つには過ぎた力だ。トリガー全般にも言えるがな」

 

さすがは我が師だ。

 

鬼怒田「スタンド能力……参考になりました。ジョセフ・ジョースター老、感謝します」

 

ジョセフ「役に立てたならええ。じゃが、くれぐれも悲劇だけは生まんようにな。スタンドが原因で悲劇が起こるのは…スタンドがある世界だけで十分じゃ」

 

鬼怒田「肝に命じます」

 

コレが元で、ボーダーの基本世界にない新たなトリガーが開発されることになるかどうかも…また別のお話だ。

 

←To be continued



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番外編:14

side迅悠一

 

アーシスがこの世界に来てから約一週間。負傷していたボーダーの者達も徐々に復帰を始め、リサリサちゃんも5日ぶりに睡眠をとった翌日。

ジョセフさんが食堂にいると聞き、俺はぼんち揚を持って訪れた。

 

迅「ジョセフさん、おはようございます。ぼんち揚、食います?」

 

ジョセフ「貰いたいところじゃが、さすがに朝食を食べたばかりじゃからな」

 

残念。ジョセフさんはぼんち揚が好きみたいだから勧めるのが何気に楽しみだったんだけどな。

 

迅「みたいですね。コーンフレークですか」

 

アメリカ人らしい朝食だ。

 

ジョセフ「日本に移住して以来、とんと食うことがなかったからのう。たまに食いたくなるんじゃ」

 

日本暮らしが10年ともなるとそういうもんかね?普段は片手にパンかおにぎりを食べつつ、新聞を読みながらパソコンを操作しているのに。そう言えば新聞もパソコンも今朝は無いな。

 

迅「あれ?ジョセフさん、経済新聞はどうしました?食事の時は読んでますよね?」

 

今朝は珍しくコーヒー片手にテレビを見てゆっくりしている。

 

ジョセフ「この世界ではもう資金繰りは必要ないからじゃ。質草の金塊を買い戻してあるし、稼いだ残額についてはボーダーに寄付しておる」

 

異世界に来てまで株で儲けたらしいからな。

戦闘でも化け物なら経済でも化け物だ。

建築と不動産業で一代でアメリカのトップにのしあがったと聞いたときは嘘だろ?とか思ったが、この手腕を見たらその疑惑はすぐに消えた。

 

迅「まるで帰り支度ですね」

 

ジョセフ「それで間違っておらんよ。もうじき、帰るからのう」

 

迅「諦めたんですか?ハチの魂の回収は」

 

ジョセフ「お前さんも白々しい事を言いよるのう。それとも、お前さんの……えーと、なんじゃったかな。細胞エフェクトじゃったか?それは言っておらんのか?」

 

何かの病気みたいだ。

 

迅「サイドエフェクトっすよ。ええ、俺のサイドエフェクトは言ってますよ。大規模侵攻は今夜…だとね。逆に聞きますけど、ジョセフさんは何でわかったんです?」

 

まじでなんで?

 

ジョセフ「やはりのぅ。理由は夕べの防衛任務でな、シーザーがトリオン兵がこれを落としたのを拾っての。大方、奴等の偵察でも現れたと見て報告して来たのじゃ」

 

ジョセフさんら牙が口から出ている石で出来た仮面じゃ。

 

迅「それは?面白そうじゃないですか。被らせて貰って良いですか?」

 

ジョセフ「構わんよ?二度と太陽の下を歩けんようになるがの?」

 

迅「え゛……」

 

なにそれ。

 

ジョセフ「このは石仮面を良く見るがええ」

 

ジョセフさんは手ごろな針で指を刺し、石仮面を床に置いて出てきた血を垂らす。

すると、石仮面からビン!ビン!ビン!と針が出てくる。もしこれを被って血を付けたら、ドズドスドズと頭に刺さっていただろう。

 

迅「こっわ!こんなん刺さったら死ぬぞ!」

 

ジョセフ「死にはせんよ。人間を辞めるだけじゃ。DIOのようにの」

 

迅「どういうことですか?」

 

ジョセフ「この針が人間の頭に刺さるとな、吸血鬼になるのじゃ。クソッタレ吸血鬼にのう」

 

そう言えばジョジョの記憶にそんなのがあったような。

 

迅「……よく知ってますね、ジョセフさん」

 

ジョセフ「まぁな。コレはジョースター家にとっては忌々しい宿命の発端となったものじゃからのう。この蛙の小便よりも汚ならしい石仮面が、ジョースター家を血塗られた歴史に変えたと言っても過言じゃあない。これを作ったのが柱の一族……カーズじゃ。わしらの世界では、の話じゃがな」

 

ジョースター家の奇妙な冒険の発端はカーズかよ。

 

迅「何だってカーズはこんなものを?」

 

ジョセフ「吸血鬼は奴等の手駒であり、食糧じゃ。他にももうひとつ理由はあるがな。今夜が山場じゃ。ワシらが負ければ、この世界は奴等の餌場になるぞ」

 

思ったよりもヤバいタイプのネイバーだな。

ジョセフさんは食器を片付け、食堂を出る。

 

ジョセフ「ワシはこれから城戸の所へ行くが、お前さんも来るかの?」

 

迅「え、ええ…」

 

ジョセフさんは忍田に連絡を入れた後に司令室へと足を運ぶ。コレを見せた城戸は緊迫した表情になり、ボーダー全体に緊急指令を発動した。

 

城戸「……ジョースターさんはこれからどうするのです?」

 

ジョセフ「ワシか?夕方まで寝とるよ。いくら波紋の戦士といってものう、そう何日も起きとるのは堪えるんじゃよ。見えんかも知れんが、ワシはこれでも百歳じゃよ?百歳。年寄りを少しは労らんかい」

 

よく言うぜ。全然年寄りに見えねぇって。

 

迅「……年寄り扱いすると怒るくせに、調子が良いじいさんだぜ」

 

ジョセフ「忘れたのう。一時はボケもあったからのう」

 

ホント、調子の良いジジイだ。

 

城戸「夜まで出てこない…という保証はあるんですか?ジョースターさん」

 

ジョセフ「奴等は太陽と紫外線が弱点じゃ。じゃから間違いなく夜に現れる。通常の防衛任務を除いては、今のうちに寝て、食べて、心身共にリフレッシュしておくのじゃな。これでワシは失礼するぞ」

 

ジョセフさんはわざとらしく欠伸をしてから司令室を退出する。

途中、比企谷隊の隊室に寄って不意討ちで脳幹に波紋を流して気絶させ、眠らせる。

何気なく近付いて隙を付けばこんなもんじゃわい。とか言ってどや顔するジョセフさん。マジでいい性格してるわ。

それから俺も玉狛支部に戻り、小南を適当にからかった後にシャワーを浴びて眠る。

……今夜か。

 

 

side比企谷八幡

 

リサリサ「う~ん!」

 

大志「比企谷さん、スッキリした顔をしてるっスね」

 

リサリサ「まあね。最後に寝たのは千葉村に出発する前の晩だからね」

 

八幡『寝てなさすぎだろ』

 

ジョジョ『それが可能なのが波紋の戦士だからな』

 

マジで化けもんだな。波紋の戦士。

俺も波紋を修得したわけだし、真面目に修行してみるか。

迅さんの話が本当なら、こいつらとも今夜で最後みたいだしな。

やっと静かな日常に戻れる。

 

小町「せっかく友達になれたのに…もうお別れなんだね…」

 

小町は寂しそうに言うが、リサリサは首を横に振る。

 

リサリサ「本当は出会わなかったのが一番良いんだよ。もっとも、小町にはお兄ちゃんの復活を見届けて貰いたいけどね」

 

ああ、殴りに行くと言ったもんな。

 

小町「………うん。是非見せて」

 

リサリサ「八幡さんやいろはさん、陽乃さんに遥さん、めぐりさん、それになんだかんだお世話になった迅さんにも見届けて貰わないと!」

 

大志「勝てるんっスか?究極生物に…」

 

弱気な大志…C級のお前が怖じ気づくな。

そういうのって案外伝染するんだぞ。

 

リサリサ「小町達には勝利しかない。敗北は許されない。犠牲を払いながらも小町達はやって来た。それは今回も変わらないよ。勝てる、じゃあないんだよ。勝つんだよ。勝敗を分けるのは……執念!オーケー?」

 

ジョースター家の家訓らしいな。

ジョースター家の戦いは勝たねばならない。引き分けはない…だったか?

 

小町「小町達は応援しか出来ないけど、頑張って…リサリサちゃん」

 

リサリサ「うん。そして日常を取り返すんだ!逃げるゴミぃちゃんを捕まえて社畜にして、逃げる生ゴミぃちゃんを捕まえて波紋の修行をさせて、粗大逃げるゴミぃちゃんを捕まえて添い寝して、逃げる産廃ゴミぃちゃんを…」

 

おいーー!怖いよ!あと怖い!

 

八幡「逃げるのを捕まえられるのがお前の日常か…そしてそっちでもお前は社畜なんだな…ジョジョ。さらにゴミレベルが上がってるぞ…リサリサ…『末永くよろしくな、八幡』……おい、末永くよろしくしねぇよ!今日で終わるなら、絶対に明日の朝イチには出てってもらうからな!」

 

ジョジョ『いやだー!社畜はいやだー!部活が会社の出張所って何ー?!奉仕部が会社に乗っ取られてるってなんなんだよ!』

 

そんなの知らねぇよ!そっちの奉仕部は恐ろしいな!

まぁ、何をしてるのか全くわからないし、たまに依頼が来ても失敗し、余計に拗らせているらしい存在意義が疑われるこっちの奉仕部もワケがわからんがな!

ホントに何で平塚先生はあんな部活を作ったの?ジョジョの世界のように単に生活指導の仕事を丸投げする下請けとして作ったわけじゃないよな?

 

京華『来たよ!ゲート多数!リサリサ様!ジョーちゃん!死なないで!アーシス、スクランブル!』

 

めぐり『数が今までの比じゃないよ!ネイバーは…吸血鬼が多数!けーちゃん、それ良いね!比企谷隊!スクランブル!』

 

遥『トリオンと波紋は似た性質!身体能力に差はありません!みんな、頑張って!嵐山隊、スクランブル!あ…うつっちゃった…』

 

歌歩『良いんじゃない?士気が高まりそうだし、私も真似して…風間隊!スクランブル!』

 

遂に来たか…ネイバーの中でも異質な奴等が。

 

ジョセフ「行くぞ!トリガー、オン!」

 

キュイイン!

コォォォォォ…トリオン体になり、みるみる若返るジョセフさん。

 

若ジョセフ「へっ!来やがったな!アーシス、スクランブルだぜ!」

 

リサリサ「アーシス、スクランブル!」

 

全員がトリガーを起動させる。ペットショップも。

 

八幡「今日は始めから全開だ。袖の白雪…起動!アーシス・スクランブルに倣うぜ…比企谷隊!スクランブル!」

 

今日は始めから飛ばす。

 

ジョジョ『おさえ目にいけよ。前に見せた雪ノ下のエンジェル・ダスト…あれを参照にした威力でやれ。何なら代わるぞ?』

 

八幡『要らねぇよ。あれから少しは練習したんだ。エンジェル・ラッシュにエンジェル・アルバム、フリージングビーム……それに、お前から提案された技も面白そうだしな』

 

ジョジョ『俺にも出番をくれよ?』

 

八幡『抜かせ。砕けた魂で無理すんな』

 

迅「ハチ!らしくないじゃん?玉狛支部!スクランブル!」

 

嵐山「嵐山隊!スクランブル!」

 

那須「今日はアーシス流で行くわよ。那須隊、スクランブル!」

 

二宮「二宮隊、スクランブル」

 

三輪「……三輪隊、スクランブル…」

 

影浦「二宮も三輪も空気には勝てなかったな。影浦隊、スクランブル」

 

加古「たまにはこういうのも良いね。加古隊、スクランブル」

 

「○○○隊!スクランブル!」

 

ボーダーの全隊がアーシスの真似をしてスクランブルをかける。

 

城戸『アーシスも含めたボーダー諸君!今は普段のしがらみも派閥も関係ない!ここで負ければ人類の敗北だ!奮起せよ!全隊!攻撃開始!ボーダー!スクランブル!』

 

そして……この人も出てきた…。

 

忍田「城戸さんの言うとおりだ…。ここで負ければ思想だのはただの夢幻……私も出る!トリガー起動!ボーダー、スクランブル!ジョースターさん!」

 

若ジョセフ「へ!粋じゃあねぇの!忍田さんよぉ!確かに今は俺達もボーダーだ!言い直すぜぇ!ボーダー、スクランブル!」

 

うおおおおおおおおおおおおー!

 

全ての戦力が戦場に散る!

ボーダー始まって以来の総力と総力のぶつかり合いが始まった。

ニネスが関わったことにより、表の記録からも抹消された非公式の大規模侵攻…。その戦端が今、切られた。

 

 

←To be continued



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番外編:15

side一色いろは

 

シュルルルルル!

 

ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!

 

毎度お馴染みシャボンカッターが吸血鬼達を切り裂き、煙に変える。

大分動きが良くなりましたけど、調子に乗る癖は要改善ですね。

 

シーザー「ふん!いくら屍生人よりも強い吸血鬼だからと言って、波紋とトリオンの敵じゃあない!」

 

だから背後に隙が出来るんです。

 

吸血鬼「貰ったぜぇ!」

 

ザシュッ!

熊谷さんの弧月がシーザー君の背後から来た吸血鬼を切り裂く。

一応、美味しいところは譲りましたが、わたしのハウンドも役に立ちましたからね?

 

シーザー「ありがとうございます!熊谷さん!」

 

熊谷「順調だからって油断しちゃダメだ。順調だからこそ、警戒しなくちゃね。勝って兜の緒を締めろって言うだろ?」

 

まるで姉ちゃんのような人だな…惚れそうだ。

でも……

 

シーザー「熊谷さん!那須さんは…」

 

熊谷「由比ヶ浜をサポートしているよ。あの子も危なっかしいからね。シーザー、あんたと由比ヶ浜は那須隊の指揮下に入りな。あんたは玲のバイパーの特訓を思い出してシャボンで戦うんだ」

 

シーザー「はいっ!ビッツロール・トパーズ!」

 

どごぉん!

 

シーザーは横から来る吸血鬼の頭を殴る。すると、吸血鬼の頭は圧縮されていき、密度に耐えられなくなった頭が潰れる。

 

熊谷「北○神拳のようなスタンドだね…。敵はスタンド使いじゃないから、ゴーグルは要らないと思ったけど、訂正するわ…巻き込まれたら終わりだもの。やっぱりあんたら、ブラックトリガークラスだわ…」

 

同意見です…。まさかの○斗で来ましたか…。

刃○の花○をイメージしてたのに…。

 

シーザー「袖の白雪のようなバカげた力は無いですよ?」

 

熊谷「触れられたら終わりという意味じゃ、どっちもかわらないわよ」

 

俺と熊谷さんは背中合わせになりながら、互いに共闘する。

こっちは大丈夫みたいですね。

結衣先輩の方は…?

 

結衣「少しでも確実に拳を当てるように動く!」

 

那須「右よ!由比ヶ浜さん!」

 

結衣「はい!」

 

R・T「うわああああああ!」

 

ドバババババババババ!

 

成長したとは聞いていたけど、ザ・ワールド並みじゃ無いですか…。

 

結衣「凄いよ!あたしのact3!」

 

R・T「動きを止めないで下さい!次々と来てます!」

 

結衣「分かってるよ!アステロイド!」

 

タン!タン!

模擬戦の時とはまるで違います。スタンドにおんぶに抱っこじゃないですね。

だけど、結衣先輩のトリオン量は本来、戦闘員として入隊できるレベルじゃない。

 

シーザー「由比ヶ浜先輩!コォォォォォ…はっ!」

 

シーザーが結衣先輩にトリオン補給する。

ズルく無いですか?トリオン回復って。

 

那須「バイパー!」

 

二人が重なったところに来る吸血鬼達。それを那須さんのバイパーが二人を避けて吸血鬼達を破壊する。

 

吸血鬼「ギャアアアアア!」

 

本当にトリオンって波紋と同じように吸血鬼を倒す力があるんだね。

 

めぐり『いろはちゃん!柱の一族らしきエネルギーの大きいのが向かったよ!』

 

いろは「了解です。はぁ!アステロイド!」

 

バババババババババ!

 

警戒していた大物が来たからにはわたしも本格参戦しますよ?

 

結衣「いろはちゃん!」

 

いろは「大物が来ます。恐らく柱の一族!」

 

わたしの援護射撃で多数の吸血鬼が倒れる。

 

ワムウ「神砂嵐!」

 

シーザー&結衣「逃げて!」

 

シーザー君は那須さんを、結衣先輩はわたしをスタンドで掴んで横に飛んでくる旋風を回避する。

危なかった…あんなのを食らっていたら本体ごとやられていた…。

 

シーザー「ワムウ……ここに来てまたお前か…」

 

こいつがワムウ…。映像で見た通りの柱の一族。

 

ワムウ「ぬ?俺を知っているとは…貴様は向こうの世界の者か?」

 

シーザー「さあ……な!」

 

シーザー君はビッツロールでワムウを殴る。しかし、それは避けられた。

これで決まれば良かったのに…。

 

ワムウ「見えない攻撃が飛んで来た…トリガーか?」

 

シーザー「スタンド使いじゃあないのに何故避けられた…」

 

ワムウ「闘気で分かった…その力、是非とも物にしたい」

 

シーザー君を吸収させません!援護射撃です!

わたし程度のトリオン量では目眩ましが限度ですけど!

 

いろは「やらせません!バウンド!」

 

ドバババババババババ!

 

わたしはハウンドを発射する。しかし、ワムウは手に纏った風でトリオン弾を弾く。

 

ワムウ「この程度の攻撃など通用せぬ。舐められたものだな」

 

結衣「リバース!」

 

R・T「はいっ!うわああああああ!」

 

ワムウ「ぬううう…」

 

音速のリバースの拳がワムウに迫るけど、ワムウは自分に風砂嵐を当てて後退して避ける。

惜しいです…一発だけかすり(・・・)ましたけど、避けられてしまいました。

それに、力が増した分、リバース・ダウンの射程は下がっています。

世の中上手くは出来てないですね。

 

シーザー「シャボンカッター!」

 

シュルルルルル!

 

シーザー君がシャボンカッターを投げるけど、一発腕にかすっただけで全て風に阻まれる。

 

ワムウ「ぬぅ!何だこのカッターは…少し触れただけでダメージが……これは…伝説の波紋?」

 

ワムウは自身の腕から出る煙を見て驚く。

 

ワムウ「まさか伝説の波紋の戦士にこんなところで出くわす事になるとはな…お前達相手に姿を晒したままでは危険だ。姿を消させてもらうぞ」

 

ワムウは体から管を出し、そこから空気を出して徐々に姿を消していく。

 

いろは「これは……カメレオンの効果と同じ!」

 

結衣「大志君!波紋の気配は!?」

 

シーザー「俺はそこまで波紋のレベルは高く無いですよ!水がなければ……あれ?わかる……何で?いろは先輩!右です!ワムウに触れないで!吸収されます!」

 

狙いはわたし!?

 

いろは「逃げるんですよォォォ!」

 

グラスホッパーで大ジャンプした後にわたしはそのままスパイダーを起動させ、ジョセフさんのように適当な電線に引っ掻けてターザンのようにロープアクションをしました。

ハーミット・パープルのロープみたいな使い方の真似です!プライドが許しません。アーシスばかりがトリガーを上手く利用するなんて…。だったらこっちだってスタンドの使い方を真似するんですよ。

 

ワムウ「く……伝説の波紋の戦士…まずは貴様から叩かねばならんようだな!神砂嵐!」

 

ステルスを解除してワムウは大志君に神砂嵐を撃ってきた!でも、大志君はニヤリとする。

 

シーザー「その技は既に対策済みだ!俺の世界と同じように、自分の技を自分で食らえ!ビッツロール・トパーズ!」

 

ドアアアアアアアアア!

 

シーザー君はスタンド使いじゃなければスタンドにダメージを与えられない性質を利用し、竜巻の中にスタンドを突っ込ませ、そして…

 

いろは(あれは、ジョセフさんが先輩のアステロイドを跳ね返した方法の応用!?しかも、圧縮して更に密度が増している!)

 

凄い応用です!でも、敵もさるもので…。

 

ワムウ「何かを狙っているのは分かっていた!ならば、逆回転で相殺するのみよぉぉぉぉ!」

 

シーザー「何っ!」

 

逆回転の竜巻がシーザー君の跳ね返した竜巻を相殺する。僅かに圧縮した分だけダメージが入ったようだけど、致命傷には至っていないですね。惜しいです。

 

ワムウ「はぁ…はぁ…最終流法(ファイナルモード)渾楔颯(こんけつさつ)

 

ワムウは体の管から空気を取り込む。

やってきましたね…それを狙ってたんです!

 

いろは「それを…待っていました。ジョセフさんから聞いていましたから!那須さん!結衣先輩!トリオンをワムウに向けて撃つんです!命中率重視!ハウンド!」

 

那須「バイパー!」

 

熊谷「メテオラ!」

 

結衣「ハウンド!」

 

いろは「空気を取り込むと言うことは、波紋に似たトリオンも取り込むということ!ハウンド連続発射!いっけえ!無理無理無理無理!」

 

シーザー君、結衣先輩。見せ場は譲って貰います。プライドが許しません…。

柱の一族の退治は波紋の戦士の宿命であるように、ネイバー退治はボーダーの宿命です!それがボーダーのプライドなんですよ!

 

ワムウ「ゆううう!この程度のトリオンなどきかぁぬ!」

 

いろは「ならば、限界まで射ち続けるまでです!わたしがベイルアウトするのが先か!あなたが倒れるのが先か!根比べですよ!無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!」

 

わたしはありたっけのトリオンでワムウに攻撃をする。

トリガーの一撃一撃は通用しなくとも、わたしのすべてのトリオンを体内に受けて無事でいられますか!?

無理ですよね!?

それに、あなたは既に勝ち目が無いんです。だって…

 

ワムウ「ぬぅ!何故だ…何故これしきのトリオンでダメージが…何故何をやっても上手くいかぬ!」

 

あなたはさっき…

 

結衣「リバースの拳が……当たっていた?」

 

シーザー「運を極限まで落とすリバース・タウン。当たれば無敵ですね……」

 

リバース・ダウンの攻撃を受けてしまってますから!

 

ワムウ「ぬおおおおおおおお!」

 

シュウゥゥゥゥゥ……

ワムウは自らの技の特性で体が崩壊する。倒したのは間接的に結衣先輩。わたしは体を張ってそれに便乗しただけ。

だけど、ボーダーのプライドは守られた……

 

いろは「ここまでのようですね……。もう…限界です。先輩あるところにわたしあり…それが誇りだったのに…こんな大事な場面で……後はお任せします…ベイルアウトです……」

 

わたしはトリオン供給限界でベイルアウトです。

先輩あるところにわたしあり。だけど、そんなことよりも守るべき誇りはある。

どうですか?アーシスの皆さん。これがボーダーです。

わたしを通してボーダーの意地を見るんです!

 

ワムウ…死亡

一色いろは…ベイルアウト(再起不能)

 

 

side雪ノ下陽乃

 

SH「トリオンブレードぉ!」

 

ザシュッ!シュウゥゥゥゥゥ……

 

シュトロハイム君の弧月を模したトリオンを纏ったメタルブレードが吸血鬼を切り裂く。そういう使い方をするかぁ…材木座君らしい応用ね。

斬った吸血鬼は煙となって消滅する。

だけど、欠点もある。抜刀している弧月やスコーピオンと同様にトリオンが駄々漏れになることね。

何でも都合よくはいかないものだなぁ。

生身でガンズ・アンド・ローゼズに変身した方が強いんじゃない?何か奥の手があるようね。

 

SH「我がスタンドのトリオンは世界一ぃぃぃぃ!」

 

勝鬨を上げるのは早くないかな…。

 

二宮「戦場で無駄に雄叫びを上げるバカがいるか。油断するなとリサリサに言われていただろうが。徹甲弾(ギムレット)

 

キイイイイイイン!

ドバババババババババ!

 

吸血鬼「GYAOOOOO!」

 

木虎「フォローする身にもなって下さい」

 

スパァァァァン!

 

ペットショップ「くえええええええ!(身内の恥を晒すなよ!)くえええええええ!(氷柱のミサイル(アイセクル・ミサイル))」

 

隼のペットショップちゃんにまで突っ込まれてるわよ?

 

SH「俺だって前世ではナチスを率いて吸血鬼をやっと倒せたというのにぃぃぃぃ!なんでこいつらは初めて吸血鬼と闘うのが初めてなのにこんなに動きが良いんだぁ!しかも二宮隊の隊服はなんだ!背広のスーツとかなめておるのか!アーシス隊の隊服なんてSPW財団の強化プロテクタースーツだぞ!エンブレムもSPW財団のロゴだし!背中のSPWとか要らんだろ!この世界に財団はないだろうがぁぁぁぁ!」

 

今、そこを気にするところなの!?

 

二宮「知るか。文句なら隊長のリサリサに言え。もしくはジョースターさんに。良いから敵を倒せ。通常弾(アステロイド)

 

二宮君、律儀ね。イチイチツッコミ入れてあげるなんて。私なら無視するわ。

 

木虎「頭の悪い相手が対戦相手の場合のチームランク戦みたいなものですよ。というか、下らないことでグダグダ言っている暇があるなら攻撃なり指揮なりしてください。ナチス将校の質が疑われますよ?」

 

木虎ちゃんはそう言って自分の隊の連携に戻っていった。道理ね。

と、また吸血鬼が来た。私もシュトロハイム君のフォローに回るかな?それにしても…

 

陽乃「ええい!しつこいわね!」

 

私は弧月を振るい、次々と吸血鬼をほふる!

だけど、次から次へと現れる吸血鬼の勢いは止まらない。

シュトロハイム君はまだ奥の手を出す気は無いみたい。

 

めぐり『来ました!ハルさん、敵の柱の一族です!』

 

そっか…これを待っていたのね、シュトロハイム君。

精一杯フォローするわよ。

 

エシディシ「ふん、情けない吸血鬼どもだ。トリオン戦士にこうまで良いようにやられるとは…」

 

あれはエシディシね。来るかもとはジョースターさんが言っていたけど、本当に来たわね。

 

陽乃「はぁ!」

 

ザシュッ!ぬるん。

 

陽乃「!!!効いてない!」

 

弧月をすり抜けられた!

トリオンが柱の一族の許容限界を超えていないんだ!

 

SH「無理だ!陽乃さん!柱の一族には生半可なトリオンは効かない!弱い波紋では吸収されないですり抜ける程度が限度なんだ!そして、トリオン体ごと柱の一族に吸収されれば中にある本体もそのまま吸収される!攻撃手とは相性がわるいんだ!」

 

陽乃「早く言ってよね!そう言うことはさ!」

 

私は韋駄天を使って退却を始める。

あれ(・・)は万が一の為に温存しておこう。

警戒されても困る。

 

二宮「くっ……弱いトリオンが効かないのなら…これはどうだ!メテオラ!」

 

ドオオオオオオン!

 

二宮「やったか……」

 

二宮君!それはフラグよ!

 

エシディシ「弱い爆発と炎だ。爆発するダイナマイトを飲み込んでもケロッとしている俺に、そんな物が効くわけがないだろう。本物の炎とはこういうものだ。俺の熱血針を送り込みぃ、貴様をグツグツのシチューにかえてやるぅ!怪焔王(かえのう)の流法」

 

二宮「ぐっ!なんだ!この血液は!一気にトリオンがなくなって…ぐああああ!」

 

エシディシの血管が二宮君に伸びる。

確かエシディシの血液は摂氏500度。二宮君は吹き飛ばされ、一気にベイルアウトさせられてしまった。

でも、十分よ…二宮君。

 

エシディシ「ほおぅぅぅぅ?この世界の人間もいつの間にトリオン兵を開発できる技術力を持ったのか…だが、表情をコロコロ変えるとは、中々面白いトリオン兵だ。捕らえてペットにでもしてやろうか…なぁ!」

 

SH「なめるなぁぁぁぁ!トリオンブレード!」

 

ぬるん……

ダメか…シュトロハイム君は波紋の適正が無いみたいだしね。必然的にトリオン量が少ないんだ。

 

SH「だが、これならどうだ!」

 

何をしたの?シュトロハイム君がやった何かでエシディシの片腕が切断された!

 

エシディシ「ああああ!俺の腕がぁぁぁ!」

 

エシディシは消滅した腕を抱き抱え!絶叫を上げる。

 

エシディシ「う~~うううあんまりだ…HEEEEYYYYあァァァんまりだァアァAHYYY AHYYY AHY WHOOOOOOOHHHHHHHH!!おおおおおおれェェェェェのォォォォォうでェェェェェがァァァァァ~~~!!」

 

何故かいきなり泣き出した…。不気味ね…。あれは自分の感情をコントロールするための儀式かしら?だとしたら、今度はシュトロハイム君を侮らない。

シュトロハイム君のトリオンもあとわずか…。早く生身に戻りなさい!トリオンが限界を迎える前に!エシディシが泣いている間に!

奥の手を出す前にベイルアウトしてしまっては元も子もないわよ!あなたが頼りなんだから!

私の願いが通じたのか、一旦退くシュトロハイム君。出すのね…奥の手を。

片腕を切断した秘密を。

 

SH「トリオン解除!」

 

シュトロハイム君はトリオン体を解除する。すると、案の定スタンドまでも解除されてしまった。

不便ね!

 

エシディシ「どこへ行く?」

 

SH「!!」

 

エシディシ「泣いてスッキリした。俺は頭に血が上りやすいタイプでな。ムカつくと落ち着く為にまずは泣くことにしているんだ。さて、何をやったかは知らないが、この場でお前が一番危険なのはわかった。お前程度のトリオン使いなど、2000年前から飽きるほど出会って食らってきたが、それ故に危険だ。俺がダメージを受けたんだからな」

 

ちぃっ!エシディシが落ち着きを取り戻した!

シュトロハイム君は生身!まずいっ!やられる!

少し早いけど、私が囮に…。

 

ペットショップ「クエエエエエ!(世話が焼けるな!オメェはよ!)」

 

ペットショップちゃんはトリオンの氷塊を作ってエシディシに落下させる。

 

エシディシ「ぬぅ!トリオンで出来た氷の塊だと!俺の流法とは相性が悪い!」

 

上手い!頭の良い猛禽類ね!

 

ペットショップ「ニヤリっ(不意討ちじゃあなければテメエなんて敵じゃあねぇんだよ)。クエエエエエ(早くスタンドに変身しろ!シュトロハイム!)」

 

SH「感謝するぞ!ペットショップ!ガンズ・アンド・ローゼズ!」

 

シュトロハイム君は再びスタンドに変身する。生身ならばトリオン残量を気にせんでも戦えるからね。

 

エシディシ「クソ鳥がぁ!」

 

エシディシはペットショップちゃんに血管を伸ばす。が、それをガンズ・アンド・ローゼズが飛び上がってエシディの血管を纏めて鷲掴みにする。

 

エシディシ「何故だ!何故俺の熱血針を掴める!通せぬ!」

 

SH「所詮、貴様の操れる高温など500℃程度が限度!鉄が溶ける温度は最低でも1500℃と言うのは知っておるか?フライパンを溶かすには2000℃の温度が必要らしいぞ?それよりも特殊な金属で、遥かに厚みがある俺を溶かすには、一体どれだけの温度が必要なんだろうな?」

 

どれだけ無敵なのよ…ガンズ・アンド・ローゼズ。

 

SH「いずれにしても生身の俺は貴様にとっては天敵よ!食らえ!エシディシ!サンタナのように太陽に耐性の無い貴様ではこれは防ぐ手段はあるまい!」

 

シュトロハイム君は体の胸や腹を投光器に変える。投光器?そうか、あれは紫外線照射装置!吸血鬼や柱の一族は紫外線が弱点!それが対吸血鬼の奥の手なのね!それを警戒させない為に敢えて温存してたんだ!

 

SH「UVライトォ!」

 

エシディシ「こ、これは太陽と同じ輝き!同じ性質!ぬあああああ!」

 

エシディシの()が煙となって消える。

さて…私も奥の手を出すかな?自爆みたいで好きじゃないけどね。テレポーター!

私はシュトロハイム君とエシディシの脳の間に体を割り込ませる。

 

陽乃「と、思うじゃん?最後に油断しちゃったね?シュトロハイム君?うぐぅぅぅぅぅぅ!」

 

エシディシは私にトリオン体にとりつく。

覚悟は出来ていたけどこれはキツい!

トリオンがみるみる減っていく!

 

陽乃「ジョースターさんが言っていたのよね。エシディシは生命力が強いから、脳だけでも暫くは生き長らえるって…そしてこうやって人間の体に取り付いて操れるって……」

 

案の定ね、エシディシ。知らなかったら誰かがやられていたわよ。

 

陽乃「言っておくけど、犠牲になるわけじゃないわよ?このままベイルアウトすれば私だけ(・・・)は無事だから。だからその紫外線照射装置を照らしっぱなしにして」

 

ねぇ、リサリサちゃん。あなたはベイルアウトで死ぬことはないから覚悟が養われないとか言っていたけど、ベイルアウトシステムがあるからこんな戦術を考える事が出来るのよ。

誰が自分の命を犠牲にするものですか!

覚悟とは犠牲の心じゃない…。暗闇の荒野のなかで、一筋の道を切り開くこと……。だったっけ?

リサリサちゃん!これが私の覚悟よ。これがこの戦局で一筋の道を切り開く方法!

ボーダーの覚悟を見なさい!リサリサちゃん!

 

エシディシ「何ぃ!止めろ!」

 

陽乃「カーズって奴もこいつと同じ種族なんでしょ?だったら私よりもシュトロハイム君が残った方が役に立つわ。効率的に考えてね。後は頼んだわよ!シュトロハイム君!……死になさい!エシディシ!ベイルアウト!」

 

後は任せたわ。悔しいけど、ここまでよ。

だけど、ボーダーの覚悟はしめしたわ!

エシディシ…あなたはボーダーの覚悟に負けたのよ!

good-bye!

私の本体だけ(・・)が、本部へとベイルアウトした。

私の勝ちよ!エシディシ!

 

エシディシ…死亡

雪ノ下陽乃…リタイア(ベイルアウト)

二宮匡貴…リタイア(ベイルアウト)

 

←To be continued

 

 



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番外編:16

side比企谷八幡

 

八幡「スノーパープル!」

 

俺は刀を持った手からハーミット・パープルを伸ばしてそこに袖の白雪の冷気を伝わせる。

 

ピッキーン!

 

凍りつくまで固められた吸血鬼は氷像となり…砕け散る。

卍解だけが袖の白雪じゃなかったんだな。

こういう使い方もあるんだと初めて知った。

 

八幡「ホワイト・ラッシュ。技を借りるぞ、スタンド使いの雪ノ下」

 

T・W「無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」

 

ドバババババババババ!ピッキーン!

 

ザ・ワールドとブラックトリガーの力を合わせ、吸血鬼の集団を粉々に砕く。もう完璧にスタンドを使いこなせる。もっとも、過ぎた力であることは解っている…。これが最後だ。

忍田さんも迅さん達も…三輪達も奮闘し、リサリサとジョセフさんもいる。っていうか、若返るってなんだよ。

 

迅「一色と陽乃ちゃんもそれぞれワムウとエシディシとかという柱の一族のネイバーを倒したらしいぞ。ほとんど相討ちだったらしいが、無事にベイルアウトしたみたいだ」

 

流石は一色と陽乃さんだ。

指揮官クラスを倒したか。

ジョナサンが『俺達、別にいらなかったんじゃね?』とか言っているが、そうではない。

 

八幡『そうでもない。吸血鬼はともかく、2柱の柱の一族は攻撃の特性の情報がなければ犠牲は出ていた』

 

実際にそうだ。情報が無ければ、二人とも危なかったに違いない。

 

カーズ「ふん…ワムウとエシディシが敗れたか。ネイバーフッドの者達といい、貴様らといい、トリオン等と下らん技術を次々と…」

 

出てきたか…。柱の一族の首領、カーズ…。

 

八幡「ザ・ワールド。お前がカーズか」

 

俺はスタンドを出す。

 

カーズ「ふん……太古の昔に我々の祖先が見限った世界の戦士か」

 

八幡「大方、トリオンが…生命力が具現化した力が弱点のお前たちが、他の国家に遅れを取り始めて焦ってこっちの世界に侵攻してきたところだろうが…」

 

カーズ「焦る?違うな。ネイバーフッドの国家など、物の数ではない。トリオン戦士どもよ。生物の頂点には天敵などおらぬことを教えてやる…」

 

嘘かホントか…。どっちにしろ…。

 

八幡「その余裕、ハッタリにしてもムカつくな」

 

……こいつ。

 

八幡『殺気がない…おかしい…』

 

ジョナサンは気づいてるか?

 

ジョジョ『気を付けろよ…俺の世界のこいつはとことんまで腐っていた…多分こいつも…』

 

意識をそっちに持っていくか。

心配するだけ無駄だったな。

なら、先手必勝。

 

八幡「ザ・ワールド。時よ止まれ」

 

ドワワワワン!

 

世界から色が失われ、時が止まる。

 

八幡「ザ・ワールドの練習はそれなりに訓練してきた。今、俺が止められる時は5秒。その5秒で方をつける。4秒前。初の舞・月白」

 

新技の1つ、月白。

冷気のサークルを射程内であれば任意で作り、そこの座標を完全に凍らせる技。

 

八幡「こいつに触れられると吸収されるらしいな。だが、直接触らずとも攻撃する手段ならいくらでもある。3秒前…次の舞・白蓮」

 

俺が刀を振るう。氷の斬撃の軌跡を描くように氷の刃がはっせいする。迅さんの風刃をパクり……もとい、参考にした新技だ。

 

八幡「2秒前。全周に白蓮を作り出す」

 

八幡は残り二秒でカーズの周囲に氷の斬撃を次々と作り出す。

時を止めているからこそ出来る今だけの俺とジョナサンの合わせ技だ。

 

八幡「ゼロ……そして時は動き出す」

 

最初の月白で作ったサークルから氷の柱が作られ、カーズが氷の柱に閉じ込められる。

柱の一族を柱に閉じ込められるとか…なかなか皮肉な真似を我ながら考えたものだ。

そして、周囲に作った白蓮がその柱を滅多斬りにし、カーズごと細切れにする。

 

迅「おいおい…風刃のような技を…いつの間にこんな技を覚えたんだ?」

 

出力を弱めた分、小器用な真似が出来るようになったんですよ。

 

八幡「白霞罸は小町(・・)のルビーレーザーのように強すぎるのが弱点。ついでに、絶対零度の威力は正に自爆技。それを抑える訓練をしていたんですよ。白蓮は風刃を参考にしましたが、なかなか使い勝手が良い技じゃあ(・・・)ないですか」

 

迅「だろう?……にしても、カーズの奴は偉そうな口の割には、大した事が無かったな」

 

ああ、あっけなさ過ぎるにも程がある。その時だ。

ズンッ!

俺の胸から……刃が突き出していた。

 

リサリサ「八幡さん!お兄ちゃん!」

 

迅「ハチ!」

 

若ジョセフ「やっぱりか!カーズ!てめーの根性はッ! 畑にすてられ、カビがはえて、ハエもたからねー、カボチャみてえにくさりきってやがるってのはよ!」

 

俺の背後には…地面に潜って隠れていたカーズが立っていた。では……白蓮で滅多斬りにしたカーズは…

見ると、カーズによく似た吸血鬼がトリオンによって煙になっているのがわかる。

 

八幡()どうりで殺気が無かったはずだ…自分で戦う気が全くなかったんだな()

 

…と、初めからわかっていればどうとでもなる。

 

八幡「次にお前は『どんな手を使おうと、最終的に勝てばよかろうなのだぁぁぁぁ!』と言う」

 

カーズ「どんな手を使おうと、最終的に勝てばよかろうなのだぁぁぁぁ!………はっ!」

 

俺の体(・・・)は口角を吊り上げ、ニヤリと嗤う。

 

リサリサ「その目は…お兄ちゃん?」

 

ジョジョ「そうだよ!俺だよぉ!この間抜けがぁ!」

 

時が動き始めると直前に、俺とジョナサンは入れ替わっていた。派手な動きは全てこの為。わざとお前に背後を取られるように動いたんだよ。

 

ジョジョ「八幡のサイドエフェクトをなめるんじゃあない!テメェが地面に潜って隠れていたことなんて最初からお見通しだったんだよぉ!」

 

カーズ「それでこのざまか?むざむざ心臓を刺されてしまっては無意味じゃあないか」

 

若ジョセフ「次にお前は『間抜けはやっぱりお前の方だったようだな、この下等生物が!』と言う」

 

カーズ「間抜けはやっぱりお前の方だったようだな、この下等生物が!………このカーズの言葉を先読みしたから何だというのだぁぁぁぁ!」

 

これが……これがジョナサンの戦い方か。

 

ジョジョ「テメェはこの比企谷八幡との知恵比べに負けたんだよ!ほどけろザ・ジェムストーン!」

 

幻影の波紋で俺に化けていたザ・ジェムストーン(水色のザ・ワールド)がハーミット・アメジスト(輝くハーミット・パープル)にほどけ、カーズを雁字絡めにする。そして、同じく自分に絡めていたハーミット・アメジストによる幻影の波紋で透明になっていた俺が姿を現す。

ペテン師め…。

罠を利用して逆に罠に嵌めやがった。

性格がワルい…。解っていたけどな。

 

ジョジョ「終われ、カーズ。|紫水晶の波紋疾走《アメジストパープルパープル・オーバードライブ》!」

 

バリバリバリバリバリバリバリバリ!

 

シュウウウウ……

 

波紋が決まり、カーズの体から煙が発生する…

 

ジョジョ「…………テメェ、カーズ……既にお前は…」

 

だが、おかしい…。

ジョナサンの波紋は免許皆伝級。

生身の人間だって溶けるレベルだ…。弱点を食らって何故生きている?

 

カーズ「………………フッ………」

 

柱の一族が波紋を食らって無事で済む筈がない……。

そして、波紋を全身に流された柱の一族が辿る末路はただ1つ…煙となって消えるのみ。

なのに、カーズが無事な理由は何だ?

 

若ジョセフ「既に……究極生命体になっていただと…これはまずいっ!全員、退却するんだ!逃げるんだよォォォォ!」

 

逃げる…だと?

 

迅「マジかよ!波紋が効かない=トリオンが効かないって事だろうが!読めねぇ!こいつの未来が読めない!」

 

迅さんも…

 

リサリサ「遊んでた……こいつは最初からこっちを全滅させようと思えばやれていた!」

 

リサリサも…

 

忍田「勝てないのか……こいつに……」

 

忍田さんでさえ…

 

ジョジョ「ザ・ジェムストーン!時よ止まれ!」

 

ドワワワワン!

 

そしてジョナサンもただ逃げる為だけに時を止める。

 

ジョジョ「8秒間、逃げられるところまで逃げるぞ!その後は頼む!」

 

ジョナサンは俺と交代する。

 

八幡「逃げる……だと?白霞罸で砕けば…」

 

ジョジョ『無駄だ。ガンズ・アンド・ローゼズ以上に無敵…それ故に究極生命体!砕こうともまた1つになるだけだ!』

 

何だと…砕いても無意味…。

打つ手がない。

もしくは…

だが、その手は使えない…。

完全にチェックメイト…。

 

八幡「ルビーレーザーなら…」

 

ジョジョ『再生されて終わりだよ。火山の溶岩だって克服する奴だぞ!手段があるなら宇宙に放逐するしか無いんだよ!』

 

こいつをロケットにでも積んで打ち上げろと?

そいつは名案だ。積み込むロケットがどこにあるかわからんし、こいつが大人しくしていてくれる筈がないけどな。

 

八幡「どうやってやるんだよ!そんなの!」

 

ジョジョ『知るかっ!あったなら無策で逃げてねぇよ!飛行機もねぇし!逃げたところで焼け石に水だ!時間稼ぎにすらなってねぇ!くそっ!もう時間切れだ!』

 

時間停止ももう終わる。

俺達が出来るのは罵り合いながら逃げるのみ。

惨め…。今だかつてこんな惨めな事はあったか?

 

リサリサ「ルビーレーザー!」

 

ドスドスドスドス!

十本のルビーレーザーがカーズを蜂の巣にするが…

 

カーズ「小賢しい!」

 

カーズはすぐに再生した上に、両腕を鳥の翼に変えて上空に羽ばたく。

マジでルビーレーザーが無意味…。

 

若ジョセフ「まずい!一ヶ所に固まってシールドを張るんじゃ!」

 

忍田「他の地域の者は!?」

 

若ジョセフ「助からん…諦めろ」

 

俺、ジョセフさん、リサリサ、迅さん、忍田さんが固まり、シールドを重ね合う。

 

カーズ「先ずはその忌々しいトリオンから破壊してやろう!」

 

カーズは羽根を手裏剣のようにしてボーダー、吸血鬼を滅多刺しにする。

 

八幡達を除き、戦場の全ての隊員…再起不能(リタイア)

吸血鬼兵士…全滅

 

忍田「バカな……一瞬で味方もろとも全滅させた…だと?」

 

若ジョセフ「関係ねぇんだよ…完全生物にとって味方とかそんなものは…俺の世界の奴が言った究極生命体の定義はこんな物だ。

ひとつ 無敵なり

ふたつ 決して老いたりせず

みっつ 決して死ぬことはない

よっつ あらゆる生物の能力を兼ね備え

しかも その能力を上回る

そしてその形はギリシアの彫刻のように美しさを基本形とする…究極生命体故に味方なんて必要ない…

スーパーエイジャもない…」

 

八幡「チート…何てものも生ぬるい…あんなものを相手にスタンド能力もブラックトリガーも意味がない…」

 

チートと言うのも生ぬるい…。これに比べたらブラックトリガーなんて可愛いものだ。

 

リサリサ「………スーパーエイジャなら…ある!」

 

リサリサ…打つ手があるのか!?

 

リサリサ「トリオン体ならば…このスーパーエイジャは使える!サンシャイン・ルビーの胸にあるスーパーエイジャが!」

 

確かにサンシャイン・ルビーの心臓の位置には、一際大きい赤石がある。コレがスーパーエイジャ…。だが、いくらスーパールビーレーザーでも…。

 

カーズ「後は貴様らだけだ!WRYYYYYY!終われぇぇぇぇ!トリオンの戦士共ぉぉぉぉぉ!」

 

カーズが急降下して迫ってくる!

 

リサリサ「八幡さん!白霞罸を!」

 

何が狙いかわからんが、こうなったら…

 

八幡「こうなったら何だってやってやる!卍解!白霞罸!」

 

ピッキーン!一瞬で動けなくなるカーズ。だが、そんなことをしたって…

 

カーズ「無駄無駄ぁ!」

 

リサリサ「無駄なもんか!これで倒せなかったら…ごめんね…コォォォォォ…究極赤石の光線(アルティメット・ルビー・レーザー)!」

 

極太のルビーレーザーがサンシャイン・ルビーから発射される。

だが、その代償も大きい。

それをやった直後、サンシャイン・ルビーの胸はベッコリ穴があき、本体であるリサリサも胸が抉られる。

正に自爆技。

その極太のルビーレーザーがカーズを上空へと押し上げる!このまま宇宙へ飛ばせ!

そして、絶対零度で凍結させたのも無意味では無かった。

カーズを砕き、軽くなったその体をより宇宙へと飛ばす!そして、急激な温度変化による噴出力も加わり、カーズを更に押し上げる!

 

リサリサ「やった………これでダメなら…もぅ……」

 

リサリサ…何て覚悟だ…。

 

エリザベス・ジョースター(サンシャイン・ルビー)…再起不能(リタイア)

 

よくやった…リサリサ。お前はジョースターの誇り……

…………っ!

俺のサイドエフェクトが言っている!何てことだ…

 

カーズの肉片が落ちてきた…そして、カーズはそこから再生する…。魔人○ウかよ!

 

カーズ「危なかった…肉体のほとんどが消滅し、この欠片以外は全て宇宙に放逐された……。偶然この欠片だけが逃れる事が出来た…やってくれたな…下等生物」

 

ドスドスドスドス!

 

俺を除き、全滅。全員ベイルアウト。

終わりだ……今度こそ…。

 

カーズ「さて…最後に残ったお前は、伝説の波紋で始末してやろう。トリオンの戦士は貴様を最後に全滅の最後を飾るのだぁ!コォォォォォ…!くらえええ!」

 

まさか…こんな終わりが…。

カーズが腕を振り上げてその手刀を降り下ろす。

俺は最後までカーズを睨み付ける。せめて、心だけは屈服してなるものかと…だから気が付いた。

カーズの腕が遅くなり、最終的には…止まった。

ザ・ワールド?悪あがきか?

 

八幡「ちがう……良く見ろジョナサン……。俺も動けん!時が止まった世界じゃない!これは…レクイエムの世界だ!」

 

ジョナサンの記憶にあった、過去に三回見ているレクイエムの世界。

コレがレクイエム…

よく周りを見ると、世界が黒と白の二色しか無くなっている。

しかし、誰のレクイエムだ?まさか!

 

レクイエム「そうだ……川崎京華のデュオロン・オブシディアンだ。二人の比企谷八幡」

 

死…それも地獄へと永遠に連れ込まれるけーちゃんの裏のスタンド…。

 

八幡「これが……レクイエムの世界!究極生命体ですら…」

 

レクイエム「この世界の比企谷八幡。これがレクイエムだ。真実の前には究極生命体ですらその意味を失う」

 

ジョジョ「チートと呼ぶことすら生ぬるい究極生命体をも赤子扱いか…何て力に選ばれちまったんだ…俺は」

 

更に大変な事になりそうだな。俺の理解の範疇を更に越えていてもう何が何だか…。

ただ、体験して解る。レクイエムはヤバイ…。全てのスタンドにレクイエムがあるのだろうか。

 

八幡「はははは……想像を絶する事が連続して起こりすぎて訳がわからん…こんなものに魅入られる…もはや呪いだな…スタンド能力、やっぱり要らんわ」

 

力は制御できなければ悲劇しか生まない。

本能で解る。俺には制御できん。

恐ろしすぎる!

 

カーズ「バカな……動けん!なんだこれは!何だ、この悪霊みたいな物は!」

 

カーズがもがくが、無駄だ。

レクイエムの前にはあらゆる事が無意味。

レクイエムのなんたるかなど、俺には解らないのに、本能的にヤバさが解る。

 

レクイエム「比企谷小町…エリザベス・ジョースターと比企谷八幡の足掻きは無駄では無かった。平行世界を越えた兄妹の奮闘が、川崎京華の心を動かし、私を呼び出した。私の出現はおまけに過ぎない。勝利者は君と比企谷小町だ…さぁ、神へと成り上がろうとした愚か者に罰を与えよう」

 

デュオロン・オブシディアンから無数の手が出現する。

カーズは手に捕まれ、首を除いてあの世へと体が運ばれる。究極生命体だろうとなんだろうと…、あらゆる者を死へと誘うルールに例外は存在しない。

 

カーズ「こ、この究極生命体であるカーズは…どうなるんだ…」

 

レクイエム「未来永劫、永遠に抜け出せぬ無限の地獄。その先には待つのは絶対の無。考えることを止めようなどと思わぬ事だ…。お前の真実は…永遠の地獄以外にない。それが…デュオロン・オブシディアン。これを知ることは、真実に到達し、その先へと進むもの以外に知ることはない」

 

知りたくもない…。ジョナサン、大変だな。

デュオロン・オブシディアンが指を鳴らすと、最後に残っていたカーズの頭部は手に連れ去られる。

究極生命体の終わり…。

 

レクイエム「ある世界に飛んだお前はたどり着いた。真実の到達に…。お前もこの世界で手に入れた物があるだろう…」

 

ん?ジョナサンが何をした?

 

レクイエム「それがそうだ…。絆と共に更に磨かれるが良い。ザ・ジュエルよ…また会おう。真実の先へと進まんとする黄金の魂達よ…」

 

そう言ってデュオロン・オブシディアンは消え、世界に彩りが戻る。

 

……あれ?何が起きた?

 

いま、この場には俺しか立っていない。

アルティメット・ルビー・レーザーでカーズは遥か上空に消えて…。ジョセフさんや忍田さんとかはどうなったんだ?

 

八幡「……はっ!今、とてつもないことが起こった…それだけはわかるのに…カーズは…カーズはどつなった!」

 

ジョジョ『お前と小町が宇宙に放逐したんだよ。覚えて無いのか?』

 

八幡「……………そうだったな。俺は何を見たのか…」

 

今一つスッキリしない。

それだけは本能が告げているが、それが何かはわからない。

だが、1つだけ…たった今の確実な真実がここにある。

 

遥『全吸血鬼と柱の一族、撃破確認!ボーダーの勝利です!八幡君!素敵よ!』

 

一同『わああああああああああああ!』

 

終わった……この世界の危機は一先ず去った…。

 

俺がボーダー本部に目を向けると、朝陽が登り始める。

 

八幡「さて……祝勝会をやるか。歩いて帰る気力もない。今回は横着するか……ベイルアウト!」

 

普段はこんな事はやらない。

だが、もう限界だ…。極限まで疲れた。

俺のトリオン体が緊急脱出による転送により、ボーダー本部へと帰還した。

今はとにかく…遥と一緒に平和の有り難みを感じていたい…。そして、何も考えずに寝よう。

 

カーズ…永遠の地獄へと連れ去られる。死亡。

 

 

←To be continued



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番外編:17

side城戸正宗

 

大規模侵攻から一夜が明け。翌朝。

本来、ジョースターさん達は今頃帰る予定ではあったが、あれだけの激闘の直後では帰る事は出来なかった。

というよりも、アーシスも含めて全員が泥のように眠ってしまい、帰るに帰れなくなった…の方が正しい。

八幡を除いて全員がリタイアによるベイルアウト。

双方全滅など前代未聞…。どれだけ敵が凄かったかわかる。犠牲者がいなかっただけでも大したものだ。

そして、今。大半が疲労による睡眠の中、ジョースターさんは気になることが出来たということで、帰る前に是非とも調べたいらしい。

何故この世界にジョースター家やSPW財団が無いのか、検討が付いたようだ。

私はボーダーの資料室を開放し、そしてパソコンを用意して調べてサポートした。最初はニネスとか蔑称で呼んでいたが、すっかり世話になってしまったしな。

 

ジョセフ「………」

 

ジョースターさんは何か手懸かりを見つけたらしく、目を伏せる。

 

城戸「知りたいことはわかりましたか?ジョースターさん」

 

ジョセフ「まあの。これじゃ」

 

彼は調べた内容を城戸に見せる。

 

ジョージ・ジョースター(1890年病没)

 

ジョナサン・ジョースター(1926年病没)

 

ジョージ・ジョースター二世(1942年戦死)

 

そして…。

 

ジョン・ジョースター(1940年戦死)

 

ジョースター家…滅亡、英国貴族籍より抹消。

 

これは…ジョースターさんの世界とはまるっきり違う。

 

そしてもう1つ…。

 

英国犯罪歴。

ディオ・ブランドー(1888年)

実の父、ダリオ・ブランドー毒殺及びジョージ・ジョースター卿毒殺未遂。ジョージ卿の嫡男、ジョナサン卿により犯罪が露呈。抵抗しようとするも警官隊により射殺される。

 

 

なるほどの。柱の一族はやはり全ての元凶の1つだったらしい。

柱の一族がネイバーフッドに移住した関係により、カーズのやった行動は全てこの世界から因果がなくなった。

つまり、石仮面がこの世界に存在しない世界。

それによりDIOは吸血鬼になることもなく、ただの貴族殺しの犯罪者として処理された。

ロバート・E・O・スピードワゴンはアメリカに渡らず、石油王になることもなかった。だからこの世界に財団はない。

波紋の一族は誕生すらしていない。

そして、スタンドが無いのも頷ける。あるかもしれないし、いるかも知れない。

しかし、DIOが吸血鬼にならなかったことによりエジプトで発掘のバイトをしていたディアボロは、例えスタンド能力を発現させる弓と矢を発見しても、世に出回らなかったのかも知れない。

結局、大金を入手出来ずにのたれ死んだか…。パッショーネが存在しておらん以上は、ディアボロの企みも成功しなかったのだろう。

スタンド能力はごくわずかな…一部の者が代々から受け継がれて来た一族にしかないのじゃろう。

DIOが死んでしまった以上はエジプトの戦いも無ければ、プッチとDIOが出会う事も無いためGDstの事件も発生しない。

矢が世に出回らなかった為、杜王町の事件も起こらない。

影響を及ぼすくらいに近しい平行世界でありながら、抜本的な問題が最初から存在していない故に全く違う平行世界となるとは。

逆を言えば、そんな世界でありながら比企谷八幡とその関係者はしっかりと存在している。

他の世界にもいるようだ。

もしかしたら関わらんだけであって、全ての平行世界に比企谷八幡は存在するかも知れない。

 

城戸「なるほど。原因となる者達がそもそもネイバーだった…。故にあなた方は存在すらこの世の生まれる事はなかったのですか…奇妙な縁ですな」

 

ジョセフ「そうですな。まぁ、全ては終わった事ですから。それで、今回の大規模侵攻は……」

 

城戸「ボーダー全体で話した事ですが、記録から抹消されることになりました。あなた方の存在と共に…」

 

それがええ…といってジョースターさんはパソコンを閉じ、立ち上がる。

 

ジョセフ「この世界、最後の睡眠を取らせてくれんか?色々と疲れたわい」

 

城戸「ええ。よい睡眠を…異世界の英雄」

 

ジョセフ「よう言うわ。やっとトラブルメーカーがいなくなると精々しておるくせに」

 

城戸「ばれましたか…」

 

この段階で、初めて私とジョースターさんはお互いに笑いあったような気がした。

 

 

side比企谷八幡

 

翌朝。

ボーダーエントランス

 

八幡「ほれ、出ていけ悪霊」

 

俺がさんがそう言うと、

 

ジョジョ『こっちから出てってやるわ。イケメンがキモかったぜ』

 

俺の左腕から干からびた左腕が出て来てリサリサの左腕に入っていった。

同時に八幡さんとあっちの小町の首筋から星の痣が消え、リサリサの耳に黒子が出来る。やっと出ていったか。得られた物もあったが、やたら疲れた。

 

リサリサ「おかえり。お兄ちゃん。身も心も1つだね?

もう離さないよ?」

 

妙にヤンデレ臭さを感じるのは何だろうな?

とりあえずは、やっと終わったと実感できる。

 

ヴァレンタイン「こちらも無事に終わったようだな。既に一色いろは君のチームもプッチの野望を阻止して戻っている。君達も良く頑張った」

 

もう既に1つの世界が解決したのか。そっちの一色に更に他の世界の比企谷八幡…か。

 

八幡「じゃあ、見届けさせてもらうか。ジョジョ、お前の復活を」

 

いろは「あっちのわたしに会うのが楽しみです」

 

陽乃「私は変わった雪乃ちゃんに会うのが楽しみね」

 

めぐり「わたしも楽しみですよー♪どんな人なんだろ」

 

遥「えっと……良いのかな。私まで…」

 

迅「ぼんち揚は大量に持っていかないとな」

 

小町「更に別の世界の小町もいるんだよね?たっのしみー♪」

 

ヴァレンタイン「君達。この時計を着用すると良い。本来、平行世界の自分同士と触れると消滅するルールがあるのだが、これを着ければそのリスクはなくなる」

 

八幡「なにそれ!こわっ!」

 

そう言われて慌てて時計を着用するとボーダー組。

一方で…。

 

シーザー「じゃあな。この世界の俺、姉ちゃん。那須師匠」

 

京華「バイバーイ!さーちゃん!たーちゃん!かほちゃん!」

 

結衣「さようなら。熊谷さん」

 

SH「さらばだ!この世界の自分!」

 

リサリサ「さようなら。三輪さん、二宮さん」

 

ジョセフ「さらばじゃ。城戸、忍田」

 

こちらの世界で留守番する者達に挨拶をするみんな。

 

沙希「シーザー。シスコンも程々にね。けーちゃんも元気で。そっちのあたしによろしくね」

 

大志「もし次に会うときは、せめて『オトモダチ』くらいにはランクアップしとけよ?」

 

那須「今度来たら、また個人ランク戦しようね?」

 

歌歩「バイバイけーちゃん。また会おうね?」

 

熊谷「また稽古を付けてあげるよ。由比ヶ浜。またね」

 

材木座「次に来たときはスタンドの力を模した新たなトリガーを完成させておるから楽しみにしておれ!」

 

三輪「リサリサ。平行世界嫌いも大概にしろよ?」

 

二宮「訓練場が欲しかったら来い。射手の訓練を見てやろう」

 

城戸「ジョースターさん。あなたの事は忘れません。また来られたときには是非ともお会いしましょう」

 

忍田「あなたにはやられっぱなしでしたよ。次は負けません。ジョースターさん」

 

それぞれと握手を交わす小町達。

 

リサリサ「帰ろう!みんな!」

 

ジョセフ「やれやれじゃわい。閣下、よろしくお願いします」

 

ヴァレンタイン「了解した。では……」

 

八幡(いよいよか…見届けてやるぞ。他の世界の黄金の精神を持つ4人を…そして、原石の行く末を)

 

ザ・ワールドを持つ少年が原石を名乗り、宝石となる姿を。

 

ザ・ワールドを操った経験を持つのトリガー使い。ザ・ワールドトリガーの比企谷八幡がな。

 

ヴァレンタイン「ドジャァァァァン!」

 

やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。

第4章ー2「ワールドトリガーの戦闘潮流」…完

 

next stage

 

第4章ー3「幻想郷のスターダスト・クルセイダーズ」

 

←To be next story




今回で、コラボ企画は終わりです

本城さんにおんぶに抱っこになってしまった今回のコラボでしたが、僕としてはとても面白かったです!!

この続きとはなりませんが、本城さんの話のコラボはまだまだ続くらしいので読んでみて下さい!!

それでは、次回は本編で


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本編
第1話






 

俺は今職員室にいる。

 

「比企谷、これは一体なんだ?」

 

「《高校生活を振り返って》という題名の作文ですが?」

 

俺は先日、防衛任務後にこの作文の存在に気づき書いたまでは良かったんだが……まさか、呼び出されることになるとは

 

「それが何故、こんな犯行声明のような文になるのだ…」

 

やはり最後の一文のことだろう。

 

「君は容姿も別に悪くないし、友達も少なからずいる。ボーダーでも頑張っているじゃないか…」

 

「だからこそじゃないっすかね」

 

「と、とにかくこの作文は書き直しだ」

 

「は、はぁわかりました」

 

今更だが、目の前にいる先生は平塚静という名前で俺の現国の担任でもある。

ただ、結婚相手が見つからないことをよく嘆いている。原因はまぁーー

 

ブンッ

顔の横を拳が通り抜けた。

「比企谷何か失礼なことを考えていなかったか?」

 

「か、考えていませんよ…」

 

危ねぇ。なんでこの先生わかんの?

 

「とにかく、君には罰を与える。着いてきたまえ」

 

「罰?俺、なにかしましたっけ?」

 

「はぁ、自分の行動を振り返ってみたまえ…」

 

作文に関してか?いやけど、書き直せって言ってたしなぁ。わからん

 

そんなことを考えていたら、いつの間にか教室に着いたらしい。

 

「邪魔するぞ、雪ノ下」

 

「先生、入る時はノックをして下さいといつも言っているんですが?」

 

そこには、陽乃さんの妹の雪ノ下雪乃がいた。

 

「それで、そこの男は?」

 

「今日からこの部に入部する比企谷だ。ほら、自己紹介したまえ」

 

「あ、2年F組所属比企谷八幡です。えーと、ってかなんだよ入部って… 聞いてねぇぞ」

 

「これから君には私を傷つけた罰としてここで奉仕活動を命じる。異論、反論抗議口答えは一切認めん」

 

って、やっぱり勝手に思考読んで傷ついたのかよ

 

「お断りします。放課後は、ボーダーで忙しいので」

 

俺は少し強い口調で言った。

 

「あら?あなたみたいな人いなくたって別に困らないでしょう?どうせ大したことないんでしょうし」

 

「…あぁ?」

 

横から雪ノ下雪乃が入ってきた。

ムカついたので、少し口調が悪くなってしまったのだが何故か平塚先生たちは震えていた。

 

「とにかく、俺は忙しいので無理です」

 

俺はそう言って昇降口へ向かった。

 

 

〜昇降口〜

 

「先輩〜。一緒に行きましょうよ〜」

 

後ろにあざとい何かが存在している気がする。

 

「何無視してるんですかっ」

 

あざとい何かは、俺の背中に思いっきり突進してきた。……気のせいでは無かったようだ。

 

「…なんだ、一色」

 

このあざといやつは一色いろは。これでも、ボーダーNo.2の射手だ。

 

「先輩が無視するからですよ〜」

 

一色は口をプクッと膨らませている。

この通りとてつもなくあざとい。

 

「はぁ。それは悪かったがーーー」

 

「比企谷〜」

 

今度はなんだ

声のした方を見ると、独神平塚先生がいた。

 

「…今失礼なこと考えなかったか?」

 

やっぱり思考読んでるよ、この人。

 

「いえ。それで何ですか?部活なら入りませんよ?」

 

「異論、反論ーーー」

 

「先輩、ちゃんと説明してないんですか?」

 

いつもあざとい一色の目が笑っていない…

 

「それは言ったら目立つだろ…」

 

「せ・ん・ぱ・い」

 

「はい。喜んで説明させていただきます。」

 

一色に言われ、俺はある所に電話して平塚先生に電話を渡した。

 

「比企谷、すまなかった。お前があのボーダー最強だとは思わなかった。」

 

「いえ、言ってなかった俺が悪いんで。それで、部活の方はいいですよね?」

 

「それなんだがな……」

 

「…雪ノ下雪乃の更生ですか?」

 

「あぁ、彼女は正しいことしか知らない。だからこそ、彼女は世間が悪いと決めつけ変わろうとしない。比企谷、ボーダーの活動がない本当に暇な時だけでもいい、奉仕部に入ってくれないか?この通り頼む」

 

そう言い、平塚先生は頭を下げた。

この先生かっこよすぎだろ。なんで貰い手がいないんだ?

 

 

「先輩、入ってあげましょうよ。平塚先生、私も一緒に入ってもいいですかぁ?」

 

「あぁ、構わない」

 

「はぁ…わかりました。ただし、俺達が退部したいと思ったら退部させて下さい」

 

「わかった。約束しよう」

 

「それじゃあ、俺達は防衛任務があるのでこれで。」

 

俺と一色はこうして奉仕部に入ることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





どうでしょうか?
自分ではこれが限界でした。

意見、異論、アドバイスなどある方はどんどんください。

八幡のヒロインも募集してます。

読んでいただきありがとうございました


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第2話

たくさんの感想ありがとうございました。
一つお願いなのですが、設定や文でおかしなところがあった場合具体的に直した方が良い所を言っていただけると幸いです。よろしければ、このように改善した方が良いというアドバイスも貰えると嬉しいです。

設定に書き忘れてたので
・八幡は学校では目立ちたくないため前髪で顔を隠していますので、周囲からの印象は原作と大して変わりません

それではどうぞ


キーンコーン、カーンコーン

 

今日も1日長かった。特に最後の数学が…

さて、今日は防衛任務もないし帰って撮り溜めしてたアニメでもーーー

 

「先輩〜、部活行きましょ〜」

 

…呼ばれてますよ、先輩さん。可哀想に、あんなあざとい奴と一緒に部活だなんて

 

俺はあざとい後輩がいる方とは逆の後ろの扉から教室を出ようとした。

しかし、扉を開くとそこには先程まで前方の扉で騒いでいた後輩がいるではありませんか。ハチマンビックリ

 

「せ・ん・ぱ・い?なに私のこと無視してくれちゃってるんですかぁ?」

 

やばい。昨日に引き続き、一色の目が笑っていない…

 

「い、いやそのだなぁ…先輩って言うのは俺以外にもいるわけで…むしろ、俺以外のやつの方が可能性が高ーーー」

 

「私が先輩って呼ぶのは先輩だけですよね?」

 

「喜んで一緒に部活に行かせていただきます。」

 

「行きましょ、先輩」

 

一色は笑顔で歩いていった。

 

 

〜奉仕部部室〜

 

ガラガラ

 

「あら?来たのね。昨日、あれだけ啖呵を切った割に。もしかしなくても、ほんとに必要とされてなかったのかしら?まぁあなたのような1隊員に過ぎないような人いなくても変わらないのは当然のことね」

 

入っただけでこの罵倒とは…

ほんとにこいつ陽乃さんの妹か?と疑いたくなる

 

「…文句があるなら平塚先生に言えよ」

 

「大方、先生の考えはあなたの更生を私に任せるといったところでしょう。あなた、見るからに何も取り柄なんてないのだろうし、コミュニケーション能力も低いのだから禄な人間関係も築けてないのでしょう。まぁそれでも、私という美少女と話すことで少しは改善されるでしょうけど」

 

こいつ、口を開けば罵倒しか出来ないのか?

それに自分のことを美少女って、ナルシストかよ

ボーダーの人の方が数段レベル高ぇよ

横の一色も今にも爆発しそうだし

 

「さぁな。平塚先生から直接聞いたわけでもないからわからん。」

 

俺はそれだけ言って、椅子に座って文庫本を開こうと思った。が、それは新たな来訪者によって阻まれた。

 

「失礼しま〜すーーってヒッキー!?何でここにいんの!?」

 

ヒッキーさん呼ばれてますよー

にしても、ヒッキーって余程引き篭もりなのかその人。

そんなことを考えていたら、一色が耳打ちで教えてくれた。

 

「先輩。多分先輩のことですよ」

 

「はぁ?んなわーー」

 

「あら、名前呼ばれるのが久しぶりすぎて返事の仕方すらも忘れてしまったのかしら?」

 

こいつ、ほんとに罵倒しか出来ねぇのか?

 

「生憎、俺はそんなあだ名で呼ばれたことは生まれて此の方一度もない。てか、お前誰だよ」

 

「ヒッキーはヒッキーだしっ。同じクラスなのに覚えてないとかヒッキー、まじキモイッ」

 

「はぁ…あのなーーー」

 

呆れながら言おうとした俺の言葉は途中で遮られた。

 

「先輩は、引き篭もりでもないですしキモくありません!何なんですか?初対面でいきなりキモいって、失礼にも程があります!」

 

一色がとてつもなく怒っていた。

 

「で、でも、ヒッキーはヒッキーだし。クラスメイトのこと覚えてなかったヒッキーが悪いんだしっ」

 

アホの子はまるで聞く耳を持たない。

と言うより、こいつ名前なんて言うんだ?

 

「先輩、もう帰りましょう。」

 

一色は俺の手を引いて教室から出ていこうとした。

 

「あら、自分がクラスメイトを覚えていないのが悪いのに少しその事を由比ヶ浜さんに言われたくらいで逃げ帰るのかしら?」

 

またこいつか…

てか、あのアホの子由比ヶ浜って言うんだな。ハチマンオボエタ

 

「あぁ、俺が居たら依頼も聞けないだろーからな。それにーーー」

 

「もういいです。行きますよ、先輩!」

 

また遮られてしまった…

一色よ、頼むから最後までしゃべらせてくれ。

 

俺はそのまま一色に引っ張られるまま、学校を出た。

 

 

 

 

 

「あー、もうっ!あの人たち何なんですかね!?」

 

一色さんはご立腹のようです。

罵倒されてた俺よりも怒ってないか?これ

 

「それにあの人、ほんとに陽さんの妹なんですか?陽さんが可哀想です!」

 

「まぁ、確かになぁ」

 

あれが陽乃さんの妹だとは到底信じられん。

口を開けば罵倒して、自分が正しいと思いそれ以外の全てが悪だと思ってる。あれの更生とは…平塚先生も中々に難題を押し付けてくれたな…

 

「先輩〜?」

 

おっと、考え込んでいたみたいだな

 

「すまない。少し考え事してた」

 

「それはいいんですけど〜、あまり抱え込まないでくださいね?私たちは先輩の味方なんで。」

 

嬉しいことを言ってくれる。

本当にこいつらに出会えて良かったな…

 

「わかってるよ」

 

「ならいいんです。…それじゃあ、私はここで」

 

「おう。じゃあな」

 

一色は手を振りながら自分の家の方へと走っていった。

 

平塚先生からの依頼、もう少しだけ頑張ってみるか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、俺の下駄箱の中に木炭が入れられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はこんな感じです。
駄文ですね。ほんと、すみません。
自分ではこれが限界でした。あまりアンチが上手くかけている気がしません。

意見、アドバイスたくさん頂けると嬉しいです。

活動報告にてヒロインアンケートも行っていますので宜しくお願いします。

また次回読んで下さると嬉しいです


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第3話

間が空いて申し訳ありません。

ヒロインは、綾辻で決定致しました。
たくさんの意見ありがとうございました。
陽乃さんという意見がたくさんあったのですが、やはり陽乃さんは大学生ということもあり学校で絡ませずらいということやボーダーのお姉さん的存在でいて欲しいという自分の中での思いから選びせんでした。
他のキャラを期待していて下さった方々には申し訳ありませんが、八幡と綾辻というのはあまり見たこと無いなと思ったのと自分が好きなキャラでもあるので綾辻にさせて頂きました。

なお、他キャラもほかの形で関係性を持たせたりほかのカップリングも考えているので楽しみにして頂けると幸いです。

それでは本編どうぞ!


〜昼休み〜

 

俺は防衛任務明けで眠たい体にムチを打って、いつも通り昼飯を食べようとベストプレイスに来たわけなのだが…

 

何故か遥と三上と一色がいる…。解せぬ

 

「あっ、先輩〜。こんな所で奇遇ですね〜」

 

「八幡、はい。これお弁当」

 

「ごめんね、お邪魔しちゃって…」

 

一色は確信犯だな。

三上はなんかこっちが申し訳なくなるから、その可愛い上目遣いはやめて欲しいが…遥の弁当だと!?幸せすぎるな」

 

「先輩〜。私の前で惚気ないでもらえますか?」

 

「八幡くん、遥ちゃんの前で……」

 

「それならいつでも作ってくるのに…」

 

一色はなんか珍しく真顔になってるし、遥も三上もなんか顔真っ赤にしてるが………解せぬ

 

「それで、なんでこんな所にいるんだ?」

 

俺はこの空気を変えるため話を逸らした。

 

「私はお弁当を届けにクラス行こうと思ったんだけど、途中でいろはちゃんに捕まって」

 

「私は遥ちゃんと一緒に食べようと思って」

 

「先輩いる所に私ありですよ〜」

 

1人おかしな理由の奴がいるが、気にしたら負けだ。

 

「遥も三上もすまんな。うちの馬鹿が」

 

「先輩ひどいですよ!」

 

一色は頬を膨らませている。

わー、あざとい。こいつあざとさ完ストしてんのか?

 

「まぁ、とりあえず飯食おうぜ」

 

「そーだね」

 

 

〜・〜・〜・〜

 

「いやー、遥の飯はいつ食べても美味いな。」

 

「作れる時は作ってくるね」

 

「おう。頼む」

 

遥は笑顔でそー言ってくれる。

ほんと、あの時遥がいなかったら俺はどーなってたんだろうな

 

「遥先輩の主婦力高すぎですよね〜」

 

「ね。遥ちゃんのご飯食べれるなんて八幡くん羨ましいよね」

 

それには同感だな。俺より幸せな奴俺は知らん…多分

 

「あれ?ヒッキー」

 

「あ?」

 

そこにはつい先日キモいを連呼していたビッチこと、由比ヶ浜がいた。

 

「なんでヒッキーが綾辻さんと三上さんといるの!?まじでヒッキーキモい」

 

「遥は俺のーー」

 

「由比ヶ浜先輩は一々先輩のこと馬鹿にしないと気が済まないんですか!」

 

だから、一色よ。怒ってくれるのは嬉しいが俺に最後まで話をさせてくれ…

 

「由比ヶ浜さん、私も歌歩ちゃんも八幡とご飯食べてたの。それに八幡はキモくないよ」

 

「なっ!?ヒッキー、名前呼び強要させるとかまじキモい!」

 

なぜ俺のせいになるんだ…

対応すんのもめんどくせぇけど

 

「あのなーー」

 

「八幡のこと馬鹿にすんのもいい加減にしてくれないかな?由比ヶ浜さんは八幡の何を知ってるの?」

 

遥が怒ってくれるのはとても嬉しいんだ。だけどな、俺に最後まで話をさせてくれ!

 

「ヒ、ヒッキーがキモイのはクラスで見てればわかるし!」

 

「八幡くんを馬鹿にするなら早くどこかに行ってください!」

 

三上が珍しく怒っている。由比ヶ浜も驚いたのか足早にどこかへ歩いていった。

 

「ありがとな。わざわざ怒ってくれて。」

 

と言いながら頭を撫でると全員耳まで真っ赤にしていたが、突っ込んだら負けな気がするからやめておこう。

 

「そ、それじゃあ、先輩。あとは綾辻先輩とお楽しみください〜」

 

「じゃあね、八幡くん、遥ちゃん。」

 

と言うと二人は歩いていってしまった。

 

「そーいえば八幡、防衛任務遅くまであったんじゃなかったの?」

 

「あぁ。おかげで眠くて仕方ない」

 

「じゃあ少し寝たら?」

 

そう言うと遥は自分の膝を叩いた。

 

「じゃあ、お言葉に甘えて」

 

俺は遥の膝に頭を預けた。

感想?そんなもの天国の一言に尽きるに決まってるだろ

 

 

 

〜・〜・〜・〜

 

10分ぐらいだろうか、目が覚めたので起きようと思ったら目の前に眼福の景色が広がっていた。

遥も寝ていたらしく、少し前屈みになっていたのだ。

ここまで言えばわかるだろう、俺の目の前に広がる素晴らしい景色が!

 

「んっ。あ、八幡起きてたんだ。」

 

遥にバレないように俺は今起きたふりをする。

 

「あぁ、ありがとな。おかげで気持ちよく寝れた」

 

「うん。これぐらいならいつでもするよ」

 

やっぱり、俺の彼女は天使だ

俺は体を起こし、体を伸ばした。

 

「あれ?綾辻さん」

 

声がした方を見るとそこにも天使がいた。

 

「あ、戸塚くん。こんにちは」

 

ん?戸塚"くん"??

 

「八幡、戸塚くんは男子だよ?」

 

なに、男だと!?

 

「えーと、比企谷くんだよね?同じクラスの戸塚彩加です。綾辻さんが言ってたとおり男子だよ」

 

「その、なんだすまん。」

 

「よく間違われるから大丈夫だよ。それにしても、比企谷くんってテニス上手いんだね」

 

ほんとにこいつ男なのだろうか…

テニス?壁打ちしかして無かったと思うんだが…

 

「そーか?壁打ちしかして無いと思うんだが」

 

「壁打ちでもあんなに綺麗に出来る人いないからね。それで、もし良かったらテニス部入って欲しいと思うんだけど、どうかな?」

 

「あーすまん。部活に入ってるし、放課後はボーダーで忙しいから無理なんだ。」

 

「そっか、じゃあ仕方ないね。ボーダーなんて凄いね」

 

うん、やっぱり女子なんじゃないだろうか。この笑顔、守り…

 

「八幡?」

 

隣の遥さんが修羅変わってます!

なんで心が読めるの!?

 

「そ、そーだ戸塚。暇な時なら手伝うぐらいならするぞ。許可なら遥から取れば大丈夫だし」

 

「じゃあお願いしようかな。じゃあ、またお願いしにいくね」

 

そう言い戸塚は練習に戻っていった。

 

「八幡?逃げ切れると思ったのかな?」

 

「い、いやそのすみませんでした!」

 

俺は遥に向かって100点満点の土下座をした。

 

「私だって少しは不安になるんだからね。…スグフラグタテルシ」

 

後半は何を言っいるか聞き取れなかったが、遥が不安になるとは思ってもなかった。

 

「すまん。けど、俺が心から信頼してるのは遥と小町だけだ。」

 

そう言い遥のことを撫でる。

 

「そこで小町ちゃんが出てくるあたり、八幡らしいよ」

 

笑顔で言ってくれるが、その笑顔は反則だと思う

何故って?可愛い過ぎるんだよ

 

キーンコーン、カーンコーン

 

「…授業始まっちゃったな」

 

「だね。サボっちゃおっか」

 

優等生の遥が、そんなことを言うのは驚きだが今の時間を俺ももう少し味わっていたいと思った。

 

「そーだな。」

 

俺と遥は5限をそのままサボった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が教室に戻った時に、5限の授業が国語で丁度教室から出てきた平塚先生に拳骨を喰らったのはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どーでしたでしょうか!
ヒロインの綾辻は幼馴染みでもう付き合ってる設定です。

正直、あまり上手く書けてないと思いますが温かい目で見てもらえると嬉しいです。

感想、アドバイス貰えると嬉しいです。

今回もありがとうございました。


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第4話

最近更新が遅れて申し訳ありません。

少々リアルが忙しく出来るだけ投稿していきたいと思いますのでよろしくお願いします。

設定について強すぎるなど色々な感想を頂いたので設定をかなり変えました。ので、設定を見てもらえると助かります。



今日はたまたま防衛任務が無かったため、戸塚との約束を思い出して遥からコート使用許可をとりテニスコートへと向かったのだが……

由比ヶ浜が奉仕部に来て以来、俺と一色は1度も奉仕部には行っていなかったため、依頼などが来ていることなど知らず今に至る。

 

「…それでこれはどーいう状況なんだ?戸塚」

 

「えーと、奉仕部にーーーーーーーー。それで葉山君たちがーーーーーてことがあって。」

 

(詳しくは原作にてお願い致します)

 

「さんきゅーな、戸塚。とりあえず、そこでへばってる雪ノ下は下がれ。由比ヶ浜は雪ノ下に水でも持ってきてやれ」

 

「なっ!?私はまだ出来るわ」

 

いや、その格好でいわれても説得力ないぞ。

現に雪ノ下は今にも倒れそうな程フラフラしている。

 

「いや無理だ。大人しく下がって見とけ。……という訳だ葉山、俺が代わっても大丈夫だよな?」

 

「あぁ。優美子もそれでいいか?」

 

「あーしは別に構わないし」

 

今の点差は、お互いワンセットずつ取った上で40ー0。1点も取られるわけにはいかないか。

 

「そっちのサーブだろ?さっさとやろうぜ」

 

髪を下ろしていると視界が悪いので俺は下ろしてる前髪をピンでとめた。

 

「あぁ。そっちは1人で大丈夫なのかい?」

 

「別に構わない」

 

と素っ気なく返すと

 

『せっかく葉山君が心配してるのになんなのー、あの男子』

 

など流石はリア充の王様だな。と思わざるを得ない声が聞こえた。

 

『あの男子、カッコイイよね?どこのクラスだろ〜』

 

などとよく分からないことを口走る人もいた。

 

「…後悔するし!」

 

目の前の女王様はお怒りのようで、中々の速さでサーブを打ってきた。

俺はそれを軽く残念嵐山さんの足元に打ち返した。

 

「…40-15」

 

残念嵐山さんは何やら驚いた顔をしているがどーしたのだろうか

さっきまで『隼人、隼人』と大声でコールしていた観客も黙っているし。

 

「ハチくん、やりすぎだよぉ」

 

「ハチ、やっぱり馬鹿だな〜」

 

「八幡くん、凄いね」

 

「ハチくん、流石だね〜」

 

「ハチ先輩目立ち過ぎでしょ」

 

「比企谷さん、流石です」

 

「先輩〜、なんで誘ってくれなかったんですか〜」

 

なんで、総武のボーダー隊員全員いるんだよ!

ちなみに、上から、めぐりさん、出水、三上、宇佐美、菊地原、歌川、一色である。

奈良坂と三輪は何も言わなかったが…

 

「さて、葉山まだ続けるか?」

 

「…あぁ。もちろん続けるさ」

 

「ちょっ、隼人。無理だって、今の見たでしょ?」

 

「優美子、あと1点で勝てるんだ。あいつよりも勝てる可能性は高い。」

 

せっかくチャンスやったのに。

 

「…そーか。じゃあ続きをやろうか」

 

サーブは交代制らしいので次は俺の番。ボールを上げ思いっ切り振り抜いた。

 

ガシャン

 

コートにバウンドした跡があり、ボールは後ろの金網に当たった。

 

「…40ー30」

 

うむ。快調だな

 

あーしさんは何やら顔を真っ青にして戦意喪失しているし、周りもいつの間にか黙りこんでしまった。

 

え?俺が悪いの…

 

「…何をしてるんですか」

 

丁度騒ぎを聞きつけた、遥がやって来た。

 

「実はーーーーーという事だ」

 

俺は簡潔に説明をした。

 

「ありがとう、八幡。…葉山くんと三浦さんは付いてきてください。」

 

「くっ、なんでだい?」

 

「お2人は申請をしていないので。」

 

「それなら、ヒキタニくんもじゃないのか?」

 

「…"比企谷"くんはちゃんと申請をしています。なので二人だけです」

 

遥が比企谷の部分を強調して言ったが、多分葉山は気付いていないだろう。

遥に連れられるようにして、2人は校舎に入っていった。

 

「八幡、ありがとう!」

 

「いや、むしろなんか悪かったな。うちの部活の奴が」

 

「八幡も奉仕部なの?」

 

戸塚は首を傾げながら聞いた。

何この生き物。天使?天使なのか!?

 

「あ、あぁ。色々事情があってな。」

 

「そっかぁ。それなら八幡に依頼すれば良かったね」

 

戸塚はそう言うと「雪ノ下さんを見てくる」と言って保健室に行った。

 

「先輩?奉仕部の依頼なら、私も参加するべきでしたよね?」

 

俺の後ろには鬼がいました。

 

「そ、それはアレがアレでアレだったんだよ」

 

「……今回は許しますけど、次はないですよ!」

 

と口を膨らませながら言ったが、正直可愛すぎる」

 

「なっ!?またですか!」

 

一色は顔を真っ赤にしてさらに怒ってしまったのか動かなくなってしまった……解せぬ

 

「八幡〜。」

 

ん?ここにいるはずの無い人の声が……

きっと気の所為だろう。

 

「お姉さんを無視するなんて、許せませんな〜」

 

と言いながら俺におぶさってくる不審者が約1名。

 

「…何でここにいるんですか?…………陽乃さん」

 

「ん?いやぁねぇ、八幡たちから色々と雪乃ちゃんのことを聞いたから見に来たんだけどね〜。あれはもうダメそうだね」

 

いくらOGだからと言って、こんなに自由にさせていていいのかうちの学校よ。

 

「って陽さん、何してるんですか!」

 

いつの間にか回復した、一色が陽乃さんをようやく確認したようだ。

 

「見ての通り我らが隊長に甘えてるんだよ〜」

 

「ず、ずるいです」

 

一色は俺の腕に抱きついてきた。

ん、不味くないか?これ

たしか、さっきまで周りに出水たちがいたような……

 

カシャ

 

「これ綾辻に送るからな、ハチ」

 

「遥ちゃんに報告だな〜」

 

……最悪だ。

よりにも寄って、出水と宇佐美だけなんで残ってんだよ

 

ん?こっちにまた二人向かって来てる…これ片方遥だよな?うん、間違いない。俺のサイドエフェクトがそー言ってる。

 

ってカッコつける場合じゃない。この2人引き剥がさないと。

 

「ちょ、陽乃さん、一色離れてくれ。まじで、俺が死ぬーーー」

 

「八幡?何いちゃついてるの?」

 

遅かった。声がする方を見るとあーしさんと修羅がいらっしゃいました。

 

「は、遥。すみませんでした」

 

俺は奥義と言っても過言ではないほど綺麗な土下座を決めた。

 

「……はぁ。毎度毎度、色んな女の子にくっつかれてるのを見る私の気持ちも分かってほしいんだけどな」

 

別に俺だって好きでこーなってるんじゃない。と言いたいところだが、口に出した瞬間死ぬ未来が見えるのでやめておいた。あれ?俺2つめのサイドエフェクト発現した?

 

「俺が好きなのは遥だから」

 

と言って頭を撫でる。

 

「…じゃあ、今度のデートの時何か買ってね」

 

耳まで真っ赤にしていたがなんとか許してくれたようだ。

てか、いつの間に我隊のアホ2人は逃げてんだよ。

 

「それじゃあ、いろはちゃん、陽乃さんお話しましょうね」

 

ふっ、自業自得だ。

遥に連れられ2人とも行ってしまった。

 

「…それでなにか用か?三浦」

 

「さっきまで威厳の欠片も無かったのによく格好つけられるし。」

 

三浦さん、もう忘れたいんでほんと。辞めてください。

 

「さっきは悪かったし。迷惑かけて」

 

「…謝る相手なら俺じゃない。戸塚だ」

 

「わかってるし。一応言いに来ただけだし」

 

女王様は相変わらずなようで、それだけ言って校舎の方に戻っていった。

いやー、謝られるとは。なんだかんだ言っていい奴なんだろうな。

 

さて、俺もやることやりますかね。

 

「さて、出水。さっきの写真消すよな?」

 

コソコソ逃げようとしていた出水を捕まえた。

こいつら、俺のサイドエフェクト知ってるのに逃げられると思ったのか?

 

「わ、わかったって。」

 

そう言って写真は消させた。

 

ブー、ブー

 

ん?LINEか?

 

『比企谷、いちゃつきすぎー笑《頭撫でてる写真》』

 

通知OFFにしていたから気付かなかったが、ボーダー高校生のグループに写真が載っていた。

 

「出水…、あとでランク戦100本な」

 

「ゆ、許してくれー!」

 

 

 

この後、本部で出水とランク戦(笑)をした。

結果?もちろん91ー9で快勝したわ

我隊のアホ2人は、相変わらずだが………

少しはめぐりさんを見習ってほしいものだ

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、三浦と葉山は1週間の奉仕活動らしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




えー、どーでしたでしょうか。

この場面だとどうしても三浦がアンチ傾向になってしまうので最後に謝罪という形を取らせていただきました。

陽乃さんを出すタイミングが中々なかったのでちょっと無理やりですが出してみました。

次回も読んでいただけると嬉しいです。



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第5話

ワールドトリガー原作に入るのはまだまだ先になりそうです。申し訳ありません

それでも長い目で待ってもらえると嬉しいです。



テニス騒動から少し経ってからというもの謎の美少年という噂が流れていた。

何人かは俺にたどり着きかけたようだったが、似ても似つかない俺の姿を見てやっぱり違うだろとなったらしい。

 

「先輩〜。いい加減、髪上げて過ごしたらいいんじゃないですかぁ?」

 

朝から隣にいるこの後輩はやたら目立たせようとしてくる。

 

「目立ちたくないんだからいいんだよ。」

 

急に目立って、話しかけられてもあれだしな。

 

「目立ちたくないですかぁ。それは残念ですね…。それじゃあ、また後でです。」

 

なんか意味ありげな雰囲気で一色が言っていたがなにかあったか?

聞こうと思ったが一色は校舎の方へ小走りで行ってしまった。

 

「八幡、おはよう」

 

と後ろから遥が歩いてきた。

 

「おう。遥」

 

朝から四大天使のうちの1人に会えるとは光栄だ。

残りは誰かって?もちろん、小町、戸塚、三上だ。

癒しって言われると国近さんやめぐりさんが断トツだがな。

 

「学校中の噂の美少年くんはいつまで隠してるつもりなの?」

 

「卒業までだよ。目立ちたくないから、ボーダーでも土下座までして情報統制頼んだんだからな」

 

「そっか、目立ちたくないからだけか。」

 

今度は遥もなにか意味あり気な言い方だった。

 

「さっきも気になったんだが、何かあるのか?」

 

「え?知らないの?職場体験、ボーダー志望の人が多いから全員ボーダーになったんだよ」

 

はい?よく聞こえなかったな。ボーダーがなんとかなんて言うのは俺の空耳だ、きっと。俺はいつからラノベの難聴系主人公に転生したんだろうか

 

「…今なんと?」

 

「だから、職場体験がボーダーになったって」

 

オーマイゴッド。

空耳じゃありませんでした。

 

「よし。今すぐにでも職員室に行って俺だけでも変えてもらおう!」

 

「いやそれは無理だよ。」

 

なに!?ならば最終手段に出るしかないのか

 

「………なら、城戸さんか忍田さんに頼んで防衛任務でも」

 

「それも無理。いろはちゃんと陽乃さんがこの前忍田本部長にその日に用事頼まれてたから。」

 

…詰んだ。

だから、一色はあんなこと言っていたのか。

いや、オペレーターさえいればどーにでも………

 

「それにめぐりさんもその日は学校公欠するらしいから用事あるんじゃないかな」

 

まさかの最後の希望までが…………。

 

「私も学校でも八幡の格好いい所見たいし、いい機会だと思うんだけど。…………ダメかな?」

 

そのポーズは卑怯だぞ!

ボーダーでもトップクラスの可愛いさの遥に上目遣いで頼まれてみろ?大抵の事は断れないぞ。むしろ、断れるヤツいるなら出てこい!

 

「……分かったよ。目立つ目立たないは関係なく行くだけは行く」

 

「ありがとう♪でも、来たら目立つよ。絶対に」

 

遥はそれだけ言って教室の方へと向かっていった。

絶対に?まだ何かあるのだろうか……………俺はこの時ちゃんと理由を聞かなかったことを後悔する。

 

 

教室に着くと何やらザワザワしていた。

 

「おはよう、八幡」

 

「お、おう。おはよう、戸塚」

 

癒される。もうこの世の中、戸塚と遥と小町と三上だけでいい。

 

「……それでなんの騒ぎだ?これ」

 

「それがね、この前の美少年がボーダー最強じゃないかって。」

 

どうしてそれが?………いや、絶対に分かるはずがない。

 

「………なんでそー思うんだ?」

 

「この前テニスの事があった後に雪ノ下さんのお姉さん?がそーやって言ってたらしいよ」

 

あの人か!

何してくれちゃってんの?…………絶対目立つじゃん。

 

「そ、そーなのか。でも、ボーダー最強って確か名前とか分からなかったよな?」

 

「うん。だから、みんな噂してるんだよ。それに今まで後ろ姿しか写真とかも無かったからアホ毛があることぐらいしか分かってなかったから余計ね」

 

……アホ毛バレてんだ。

もう絶対に職場体験なんて行ってやらん。

 

「今度の職場体験で会えるといいね。八幡」

 

「あ、あぁそーだな」

 

すまん、戸塚。目の前にいる。

周りの会話に少し耳を傾けると

 

「イケメンで強いなんて、凄いよねぇ。ボーダーの職場体験楽しみだよねー」

 

「隼人くんもA級いけるんじゃない?」

 

………前半の人には心から謝りたい。

葉山がA級?笑わせるな

 

俺はそのままいつも通り自分の席についてイヤホンを耳に付けて睡眠に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に俺が目にしたのは目の前で拳を振り下ろしている白衣を着た女教師の姿だった。

 

 

 




えー、短文になってしまい申し訳ありません。

チェーンメールの所は飛ばさせて頂きました。
理由は奉仕部にほとんど行っていないこと、正直展開的に難しいと思ったので。

感想、意見などご遠慮なくお願いします。

次回は川崎の件。
その次には職場体験に入りたいと思います。

今回もありがとうございました。


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第6話

今回はサキサキの話です。

似たような話になってしまうかも知れませんが自分なりのオリジナル要素を出せるようにしたので読んでいって貰えると嬉しいです。


昨日、遅くまで防衛任務だったこともあって今日は起きた時には時計の針が9時を回っていた。

 

「やぁ比企谷、もう私の授業は終わったが?理由は聞くまでもないと思うが一応どうした。」

 

「いえ、ただ単に疲労による寝坊です」

 

防衛任務と言えばなんとでもなるだろうが、嘘をつくのも躊躇われたので正直に言った。

 

「ほぅ、言い訳はしないか。……まぁ任務お疲れ様とだけ言っておこう」

 

この先生まじでイケメンすぎるだろ。ほんと誰か貰ってあげてください。

 

ガラガラッ

 

扉が開いたのでそちらをみると、我がクラスの不良?であるなんとか崎さんがいらっしゃった。

なんで知ってるかって?そりゃあれだよ、俺よりも遅く来る人なんて限られてるから覚えちゃったんだよ。

 

「川崎も重役出勤とはな、あとで職員室に来い」

 

あー、あいつ川崎か。

にしても、雰囲気怖いな

 

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

放課後になり、俺は遥と共に学生の味方である某イタリアンレストランで絶賛テスト勉強中である。

 

「そーいえば、今回は米屋くんは大丈夫なのかな?」

 

「さぁな。俺は今回は担当じゃないし、何よりあいつが大丈夫なんてことはないと思う。」

 

米屋はみんなと同じ総武を受けたのだが、あいつの残念な頭じゃ受からなかっため隣の三門高校に通っている。

なぜ、米屋が落ちたのに由比ヶ浜が受かったのかは不思議である。

 

「…それもそーだね。米屋くん、今回は赤点取らなきゃいいんだけど…。」

 

あんなにも毎度のように赤点とっていてはいくらボーダーと言えどもカバーし切れない部分がある。

あのままじゃ、確実に太刀川さん2号の出来上がりだ。

 

「…ねぇ、あの男の子と一緒にいるアホ毛の女の子って……小町ちゃんじゃない?」

 

…………なんだと!?

男だと!?いや待て、まだ小町と決まったわけじゃない、アホ毛のある女の子なんていくらでも………

 

「…………舞え袖の「ちょっと何しようとしてるの!」」

 

ブラックトリガーなのに、真っ白な俺のブラックトリガーを握り締めて起動しようと思ったのだが…遥に止められてしまった。

 

「何って、小町に付く害虫を凍らせてやろうかと」

 

あの害虫を確実に駆除するには凍らせてしまえば何も問題はない

 

「はぁ。いいから、小町ちゃん達こっちに来るよ?」

 

遥の言う通り小町は害虫Gを連れて、こっちに向かって来た。

 

「いやぁ〜、遥お義姉さんデートの最中申し訳ない。」

 

「ううん、大丈夫だよ」

 

「失礼します、お兄さん。」

 

小町に空気扱いされた………

お兄さん?なんだって?

 

「小町さん、自然にスルーするのはやめてもらえませんかね。それと俺はお前のお兄さんじゃない」

 

「まぁまぁ、こっちはクラスメイトの川崎大志くん。一応言っとくと関係は一生友達だよ!」

 

小町よ、俺的にはかなりポイント高いんだが………

男にとっては死刑宣告に近いぞ、それは。

 

「川崎大志っす。お兄さんと………」

 

「俺はお前のお兄さんじゃねぇ。こっちは、綾辻遥だ。」

 

「よろしくね」

 

「よろしくっす」

 

「………それで小町何か用があったんじゃないのか?」

 

そう言うと小町は思い出したかのように話し始めた。

 

「大志くんのお姉さんが、最近帰りが遅くなってる事についてお兄ちゃんなら何かわかるかもしれないと思って。」

 

すると大志が詳しい話を話し始めた。

 

「うち元々両親が共働きなんですけど、最近になって姉ちゃんの帰りが遅くなって来てて心配だったんすけど、この前エンジェルなんとかって言う怪しい所から電話が来て心配になったんです。……お兄さんが姉ちゃんと同じ学校ってことを聞いたんで何か知ってるんじゃないかと思ったんです。」

 

川崎、川崎………あぁあの不良みたいなやつか

エンジェルなんとかって多分よく二宮さんが連れていってくれるあの店だろうな。

もう片方の店で働いているのは想像が出来ないしな

 

「残念ながら俺はお前の姉ちゃんと関わりがある訳じゃないから大したことはわからない。……何度も言うが俺はお兄さんじゃない」

 

「八幡、嫁入り前の娘のお父さんみたいだよ…。ごめんね、わたしもちょっとわからないかな」

 

当たり前だろ。小町は誰にも渡さん!

せめて、俺よりも強いヤツじゃなければ認めん、三輪とか風間さん辺りなら任せてもいいかもしれんが。

まぁ他ならぬ小町の頼みだ。少しぐらい話を聞いてやろう

 

「大志、お姉ちゃんの帰りが遅くなった頃でお前の身の回りで変わったことはあるか?」

 

「俺が塾に行き始めたってことぐらいっす。」

 

ふむ、なるほど。

話を纏めると

・両親が共働きである

・大志が塾に行き始めた

・大志が塾に行かなければ必要はなかった

 

少し掴めたかもしれん。

 

「……事情はわかった。俺の方で出来る限りのことはしてみる。」

 

「ありがとうございます。お兄さん」

 

「だから、俺はお兄さんじゃねぇ!」

 

トリガーを起動しようとしたがまたも遥に止められ、説教を喰らってしまった。

 

 

〜・〜・〜

 

小町達が帰った後、俺は遥の家に向かっていた。

 

「確かあの店ドレスコードがあった気がするんだよなぁ」

 

この前、二宮さんに連れていってもらったときは二宮隊の隊服借りていったし

 

「お父さんのやつがあると思うからそれ着ていけば?」

 

と少し不貞腐れ気味に言う理由は多分俺1人で行くと言ったのが原因だろう。

そんな遅い時間に遥を連れ出すわけにはいかないし、何より言ったら怒るだろうが遥は大人の女性には少し見えない……。

 

「そんなに不貞腐れるなよ…。遥にあんまり無理させたくないんだよ」

 

俺はそう言いながら遥の頭を撫でる。

 

「ん……その代わりこのまま少し撫でてて」

 

「……わかった」

 

俺は人通りがほとんどない道で遥の頭を数十分間撫でた。

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

〜エンジェルラダー〜

 

ここか。

俺は遥のお父さんのスーツを借りて、いつもは下げてる髪も上げて20歳と言っても通用しそうな格好をしている。

 

「…よぉ川崎」

 

「えっと、あんた誰?」

 

べ、別に覚えられてないからって悲しくなんかないんだからね!………目から汗が出そうだ。

いやまぁね、確かに影も薄いし目立たないから覚えられてないのも仕方ないとは思うけどさ……

 

「……同じクラスの比企谷八幡だ。」

 

「それで同じクラスなだけの比企谷がこんな所までわざわざ何の用?」

 

「……お前の弟から相談を受けてな。だが、俺は別にバイトをやめさせに来たわけじゃない。俺はただ提案に来ただけだ」

 

「あぁそう。とりあえずなんか頼んでくれない?」

 

「それもそーだな。じゃあマックスコーヒーで」

 

こんな所にある訳がないだろうって?……ふっ、この前来た時に頼んであったことは確認済みだ。

 

 

 

 

「はい。どうぞ」

 

川崎は少ししてから俺にわざわざグラスに移し替えたマックスコーヒーを差し出した。

 

「どうも。それで提案というのだが、まずお前がバイトをしている理由は予備校の費用ってことであってるか?」

 

俺がそーいうと川崎は驚いた顔をしており、何か言おうとしていたが俺は有無も言わせず続ける

 

「もしそーなら、お前スカラシップって知ってるか?まぁ簡単に言えば学費の免除なんだが詳しくは塾に聞いてくれ。」

 

俺はこの間たまたま塾で貰っていたスカラシップについての用紙を差し出した。

 

「……まぁそれでもバイトを続けるって言うなら川崎、お前ボーダーに入らないか?」

 

これには流石の川崎もかなり驚いている。

 

「ボーダーに入ってB級に上がれば給料が貰えるし、さらにA級に上がれば固定給が貰える。」

 

「……ボーダーなんてそんなにホイホイ簡単に入れるもんじゃないでしょうが」

 

川崎が言っていることは正論だ。普通なら入るのは容易ではない。

 

「あぁ、確かに普通なら入るのは難しい。だが、A級部隊の隊長の推薦となれば話は変わる。だから、今度の職場体験である程度センスが見られるようなら俺が推薦してやる」

 

A級部隊の隊長には将来有望な人のスカウトも命じられているから丁度いいしな

 

「……あんた、ボーダーのしかもA級部隊の隊長だったの?」

 

「まぁな。事情があって隠しているが……。まぁその気が向いたらこのバイトやめて大志を安心させてやれ」

 

俺はそれだけ言ってマックスコーヒーを飲み干し、店を出た。

 

 

 

 

 

 

数日後、小町経由で川崎がバイトを辞めたことがわかった。

あとは、川崎の戦闘センス次第だな。

なくても、オペレーターとして一応推薦するが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オリジナル要素の無さに自分でも驚いています。ほんと申し訳ありません。

キャラもほとんど出てこず、陽乃さんやめぐり先輩、ワートリのキャラの出番が全く無いという意見があるのは分かりますが次回に期待して頂けると助かります。

次回は職場体験に入ろうと思います。


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第7話

低評価の多さにかなりメンタルをやられている作者です。
評価をつけて下さるのは大変有難いのですが、改善点なども一緒に指摘して頂けると助かります。


それでは本編どうぞ


遂に職場体験当日になってしまった。

もちろん、どうにかして休む方法はないかと画策はした。 だが、ボーダー上層部からは隊員全員が揃っていなければ防衛任務は認めないなどと初耳の規則を聞かされ、学校に聞いてみたら後が大変だぞとだけ言われ脅された。

結局行かなければいけない状況になった訳なのだが、なぜかうちのリビングに遥がいた。

 

「で、なんで遥がいるんだ?」

 

「いやぁね、陽乃さんとかに『八幡はなんだかんだ言ってどうせ目立つことになるのに、目立たないようにとか考えてそうで面倒だから遥ちゃんが嵐山さんのところに連れていってあげて』って頼まれたから」

 

マジか………。

なんで陽乃さんこんな時に限って勘が鋭いんですか!

それにどうせ目立つってなんだ?ただ行くだけなら目立ちそうにもないが………

 

そんなことを考えているうちに、小町に急かされ泣く泣く俺は家を出た。

 

 

家を出て逃げないようにと遥と手を繋いで歩いているが、これが中々に目立つ。

周りの総武校生からの視線が痛い。

 

しかし、そんなことよりもまずは嵐山さんの件をどーにかしなければ!

 

「……遥、一生の頼みだ!俺を連れていかないでくれ」

 

俺は朝の人通りが多い路上で綺麗な土下座をした。

 

「ちょ、ちょっとこんな所でなにしてんの……。わかったって言ってあげたいけど、無理だよ。私が連れていかなくても昨日、嵐山さんに陽乃さんが言ってたから。」

 

な、んだと……。

 

俺はその後、遥に引っ張られるようにボーダーへ向かった。

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

俺は泣く泣く嵐山さんのところへ挨拶にだけ行った。

もちろん目立たないように、まだ隊室にいる時にだが

俺はこの時、考え事をしていて嵐山さんのトリガーを起動しないで欲しいと言う頼みを理由も聞かずに了承したことを後々かなり後悔した。

 

遥は嵐山隊としての仕事があると言うのでここで別れ、俺は総武校生が集まる広場の方へと戻ってきた。

 

「八幡楽しみだね。って言っても八幡はボーダーだからよくここに来るんだよね」

 

「あぁまぁな。と言っても俺みたいな隊員は嵐山隊なんかとは全然違うけどな。」

 

まぁある意味嘘は言っていない。俺が目立ちたくないと言う理由から広報の仕事は殆どしてないからな。

 

戸塚と他愛ない話をしていると前に嵐山さんたちが出てきた。

 

「皆、今日は来てくれてありがとう。俺は嵐山隊隊長の嵐山准。よろしくな」

 

やっぱあの人ほど広報向いてる人いないと思う。

挨拶しただけでもう何人か顔が赤くなってるし。

 

「じゃあ、まずはトリオン体について説明する。みんなさっき配られたトリガーを起動してみてくれ」

 

嵐山さんがそう言うと各々先ほど配られたトリガーを起動していた。

C級隊員のものと同じ為、一つしかトリガーは入っていないがな。

 

俺は嵐山さんに言われたことを守り隅っこで目立たないように座っていた。

幸い、戸塚もテンションが上がったらしくテニス部のヤツらとどこかに行ってしまったしな………。

 

「ハチさん、こんにちは」

 

隅っこにいるので目立たないと思ったのだが、木虎には見つかってしまった。

木虎は入った当初、トリオン量のことで悩んでおりオールラウンダーであった俺のところにスタイルを見つけるために弟子入りしにきた。それ以来、時々訓練に付き合ってはいるが、なぜトリオン量が少ないのが悩みなのに俺のところに来たかは今でも謎である。

 

「おう、木虎。それにしてもなんで俺だけトリガーを起動しちゃいけないんだ?」

 

ボーダー組を見てみると、各々自分のトリガーを起動しており格好が違うので見つけやすい。

 

「本当に何も聞かされてないんですね、まぁそのうちわかりますよ。それより置いていかれちゃいますよ」

 

周りを見るとブースの方へと移動をはじめていた。

俺は木虎に連れられるように最後尾を歩いていった。

 

「それじゃあ、次は訓練の体験をしてもらう。希望者は前に出てきてくれ!」

 

嵐山さんがそー言うと30人ほど前に出る。

まぁ希望者と言ってもこの間、1クラス3人ずつ選ばれていたがな。

 

30人の中には、雪ノ下や由比ヶ浜、葉山、川崎、戸塚など割と知っているやつがいた。

材木座?あいつはかなり前にボーダーに入った。まぁもちろん隊員としてではなくエンジニアとしてだが。

 

訓練の体験はA組から始まった。

殆どの者は5分以内に倒しきれず、倒したとしても2分から3分といったところで正直話にならなかった。

 

「きゃあ〜、葉山くんよ」

 

「葉山くん頑張って〜」

 

おい、さっきまでそんな声援なかったろ…

まぁいい、みんなの王様のお手並み拝見するか

 

葉山が使っているのはスコーピオンだった。

葉山は訓練用のバムスターに向かって走っていき、弱点である目を攻撃しようとしているが中々当たらない。

何度目かの攻撃の末ようやく当たり訓練が終わった。

 

"45秒"

 

45秒かまぁまぁだな。

普通よりも少し上ぐらいと言っても余程のことがない限りB級止まりだろうがな

 

「隼人くん、やっべーっしょ」

 

「葉山くん流石だね〜」

 

「葉山くんなら、A級狙えるんじゃない?」

 

「どーだろうね。けど、難しいんじゃないかな」

 

あいつらの中でボーダーとはどれだけ緩い所なのだろうか。

 

次にやるのは由比ヶ浜らしい。あいつバイパーみたいだがちゃんと使えるのか?

結果は案の定ほとんどバムスターに当たらず時間切れ。

 

バイパーなんて難しいもん選択肢に入れとくなよな

 

次は川崎か、お手並み拝見といこう。

川崎が使っているのは孤月。他のやつの戦い方を見て学んだのか最初は目を狙わずにまず相手の動きを封じてから目を攻撃した。

 

"1分5秒"

 

まぁまぁだな。

動きを封じてから目を狙ったため少し時間は掛かっていたがあれなら上手く上達していけばA級は狙えるだろう。

 

その後戸塚がアステロイドで挑んでいた。

結果は50秒と決して悪くなく、後で推薦の話してみようかと思った。

 

その後も1分を切るような奴は中々現れず、俺は半分寝にかかっていたのだが

 

"37秒"

 

……誰だ?と思い見てみると雪ノ下だった。

自分で言うだけはあるという訳か。

 

「37秒ですか。あの程度じゃダメですね」

 

現に木虎は9秒だったし、緑川や黒江もかなり早かったしな。

 

「お前が言うと説得力あるな。まぁけど、まぁまぁな方じゃないか?」

 

「ハチさんが言っても嫌味ですよ?ボーダー最強なんですから。」

 

「いや、ノーマルトリガーじゃ忍田さんにはかなわないだろ」

 

ノーマルトリガーじゃあの人に勝てる気はしない。

ブラックトリガーありだって、天羽さんや迅さん、忍田さん、太刀川さんとは戦いたくないしな。

 

「ブラックトリガー使って、みんな氷漬けにした人が何言ってるんですか…」

 

…失礼な。

ちゃんとした、訓練だからね!…………ハチマンウソツカナイ

と言っても半分は遊びみたいなものだったが

 

木虎と話していると雪ノ下が出てきたらしく、嵐山さんに話しかけられていた。

 

「凄いじゃないか、流石は陽乃さんの妹さんだ。」

 

「ありがとうございます。ですが、姉は関係ありません。ところでボーダーで1番強いひとはどれぐらいなのでしょうか」

 

雪ノ下の質問に先程までガヤガヤしていた奴らも静かに耳を傾けていた。

 

「確かうちの木虎が9秒だったかな。ボーダーで一番強いやつなら………綾辻、確かあいつも総武高校だったよな?呼んできてくれないか?俺が呼んだらあいつ逃げるだろうからさ」

 

「わかりました。」

 

その言葉で周りもザワつく。

三輪達もなんかスゲェ話しかけられているし…………三輪ドンマイ

 

さて、俺は逃げよう……

 

「ハチさん、私がずっと近くに居た意味わかりますよね?」

 

俺の右手は木虎に捕縛されていた。

そのまま俺の方に歩いてきていた遥の元へ連行され、前へと連れ出された。

 

「よしちゃんと来たな。紹介する、彼こそがボーダー最強の比企谷八幡だ」

 

そう言って俺は立たされる。

ちなみに朝、カツラは取られました。

 

「あ、あれって噂の美少年」

 

「比企谷って?」

 

「あの噂は本当だったの?」

 

おー、見事なまでにバレてらっしゃる。

 

「失礼ですが、本当ですか?この何の取り柄もないこの男が?」

 

雪ノ下がそう言った瞬間にあちこちから殺気が溢れ、隣の遥と木虎も殺しそうな目をしていた。

 

「あぁ、比企谷訓練をやってくれ。もちろん本気でな」

 

あぁ、なるほどな。だから俺にトリガーを起動するなと。

 

「嵐山さん、ブラックトリガー使っていいんですか?と言うか、俺の情報統制の願いは?」

 

「もちろん、それを使ってもらうためにわざわざトリガーを起動しないでもらったんだ。そーでもしなきゃ、ノーマルトリガーでやろうとするだろ?情報統制なら城戸司令直々に公開するとおっしゃていたぞ」

 

城戸さん、マジですか……

それにしても嵐山さんは俺の扱いをよく分かってらっしゃる。まぁ多分、どっかの綾辻さんのせいだろうけど。

にしても、道理でみんな目立つことになるって言っていたのか。

よく見たら、パンフレットにボーダー最強隊員の訓練とか書いてあるし………

 

「……はぁ。わかりましたよ」

 

もうどうとでもなってしまえ。

 

「……舞え、袖の白雪」

 

「うわぁ綺麗」

 

「美少年が更に輝いてる…」

 

「あいつ男か?」

 

………だから嫌なんだ。人前でこの姿になるのは

 

「遥、訓練室の設定とかよろしく頼むな。」

 

ブラックトリガーを訓練室で使うには色々設定をしなきゃいけない。

 

「うん、任せて」

 

俺はそのまま訓練室の方へと向かった。

その際、雪ノ下が後ろで何か言っていたがそんなことは知らん。

 

 

 

 

「訓練開始」

 

その声と共に俺は袖の白雪を地面に突き立てる。

 

「……卍解」

 

訓練は一瞬で終わり、周りは凍り付いた。

 

"0.1秒"

 

うむ、中々に上等かな

前よりも卍解のスピードも上がったし、範囲も広がってる。

 

 

俺は卍解の状態を解き、遥たちの場所へと戻った。

 

 




えー、どうでしたでしょうか。

駄文で本当に申し訳ありません。
中途半端な所で終わらせたのは、これより書こうと思ったら長くなりそうだなと思いある程度区切りのいい所まで書こうと思ったからです。

意見、アドバイス待っています。

次回、比企谷隊全員出てくるかも?


読んでいただきありがとうございました。


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第8話

更新遅れて申し訳ありません。

言い訳になりますが、リアルが建て込んでおり中々時間が取れませんでした。

三作品、順番に更新したいと思いますのでよろしくお願いします。

タグ付け変更しました。

私事ですが、自分が大好きな作品の作者さんに高評価頂きテンションがかなり上がっています。


俺は訓練を終え、トリガーを解除して出てきた。

 

「流石だな、比企谷」

 

嵐山さんが労いの言葉をかけてくれた。流石はボーダーの顔。

 

「いえ、もうバレてしまいましたしこの程度なら」

 

そうだった………。自分で言って気が付いたがバレたんだった。

 

「あら?ボーダー最強なんて大層なことを言っていた割に他の人とは違うトリガーを使ったのかしら?」

 

「やっぱりズルしてたんだな。ヒキタニらしいよ」

 

…来るとは思っていたが、お前ら本当に来るとはな。

ここがどこかわかってんのか?

 

「違うトリガーも何も俺のーーー」

 

「何を言ってるのかな?隼人も雪乃ちゃんも」

 

声のした方を見ると、見たこともないほどドス黒いオーラを撒き散らしている比企谷隊の面子が居た。

周りの生徒引いてるじゃないですか、陽乃さん。

……それにしても、また最後まで話せなかった。

陽乃さんお願いします、俺にも最後まで話させてください。

 

「どういうことかしら?姉さん。あなたは彼のことなんて知らないでしょ」

 

「そ、そうですよ陽乃さん。ヒキタニがズルしたに決まってるじゃないですか。」

 

「え、ヒキタニズルしたの?」

 

「隼人くんが言ってるならそーなのかな?」

 

「比企谷くんじゃないの?」

 

周りも、葉山の言葉にざわつき始めた。

 

「隼人も雪乃ちゃんもさぁ。誰のこと馬鹿にしてるのかわかってるのかな?」

 

「誰も何もそこの屑ヶ谷くんに決まっているじゃない。それに姉さんは関係ないはずよ、こんな男とは」

 

頼むから陽乃さんをこれ以上怒らせないでくれ。

 

「はぁ……残念だけどあるんだよね。彼は私たちの隊の隊長であって、ここボーダー最強なのよ?ボーダー隊員である私に関係がないと言うのかな?」

 

陽乃さんが雪ノ下たちにそう言うと、傍から見てもわかるほど顔が真っ青になっていく。

 

「そ、そのボーダー最強っていうのだって何かズルをしたに決まっているわ。」

 

「そ、そーですよ。ヒキタニなんかがそんなに強いわけがない。」

 

「ちょ、隼人もうやめるし。」

 

葉山は、三浦?が止めてるが聞く耳も立てずに雪ノ下に便乗している。

はぁ、面倒だがこれ以上陽乃さんに迷惑かけるわけにもいかないか。

 

「おい、お前らーーー」

 

「ヒキタニ、ズルしたんだろ?」

 

俺の懸命な努力は、いつの間にか目の前まで来ていた葉山によって遮られた。

葉山、お前はいい加減に気付け。俺の名前は比企谷だ。

 

「なっ!?」

 

葉山が驚くのも無理はない。

今、葉山には弧月やスコーピオンが突きつけられており、周りにはアステロイドを構えている奴もいる。

 

「陽乃さん下ろしてください、三輪も木虎も。出水も那須も一色も抑えてくれ。…それと影浦さんもマンティスはやりすぎですよ。」

 

そう言うとみんな、武器を下げてくれた。

 

「ハチ、言われたい放題言われてんじゃねーよ。」

 

「比企谷、お前の優しさは知っているが少しはボーダー最強の威厳というのも考えてくれ」

 

ほんと、ここに二宮さんがいなくて良かった。いたら、俺でも止められない。

 

「さて、退学になるかもしれない雪ノ下と葉山に最後のチャンスをやろう」

 

俺は【袖の白雪】を遥に一応預け、1度トリオン体に換装してから話し始めた。

なんで、トリオン体って?何となく威厳ありそうじゃん?一応A級なわけだし。

 

「屑ヶ谷くん、どういう事かしら?退学なんてあなたに出来るわけないじゃない」

 

雪ノ下、お前のメンタルはどうなってるんだ?

また殺気に包まれたじゃねーか、せっかく収まりかけたのに。

 

「そのまんまだが?俺は一応こんなんでもボーダー最強なんだ。つまりはボーダー隊員で1番強いってこと。それをこんだけ大勢の前で馬鹿にしたってことはボーダーとしては学校側に抗議することになる。ボーダーとの関係を悪くしたくない学校側としてはどういう対応になるかわかるよな?」

 

言い終わる頃には2人の顔は真っ青になっていた。

 

「そ、それでチャンスってなんなんだい?」

 

藁にも縋るように葉山は俺に聞いてきた。

いつもの葉山隼人はどこに行ったんだか…

 

「簡単な話だ。今すぐ、謝れば許してやるよ」

 

謝罪、これが1番だよな。

自分に非があると思ったら謝る、これ大事。

 

「なぜ私があなたなんかに頭を下げなきゃいけないのかしら?あなたがズルをしたのは事実じゃない。」

 

まだ言うか…。

それだけなら別に何もするつもりはなかった。が、雪ノ下は俺が1番言われたくないことを言った。

 

「それにあの特別なトリガーだって、どうせあなたが騙して手に入れたものなのでしょう?親の顔が見てみたいものね」

 

騙して手に入れた?親の顔が見てみたい?

人から騙して手に入れたものだったらどれだけよかったものか、親の顔が見れたならどれだけ良かったか。

 

「おい、雪ノ下。さっさと入れよ」

 

ふと口から出た言葉は、自分が言ったとは思えないほど冷たく重かった。

 

「ちょ、調子に乗らない事ね、屑ヶ谷くん。あなたに私が負けるわけないじゃない」

 

「……嵐山さん、訓練用トリガー貸してもらってもいいですか?」

 

「あぁ、別に構わないが。」

 

俺は訓練用トリガーを嵐山さんから借り、換装し直した。

 

「すみません、勝手なことをして」

 

「いや、流石にあれだけ言われたんだ。上には俺からもしっかり言っておくよ」

 

「ありがとうございます。」

 

ほんとボーダーの人には敵わない。

こんないい人しかいない職場はないだろうな。

 

「八幡、無理しないで」

 

遥が俺の服を引っ張りながら言う。

 

「…わかってる。これが終わったら、少し話聞いてもらえるか?」

 

「うん、もちろん大丈夫だよ」

 

遥ほど、いい彼女はいない。これは断言できるな

遥が幼馴染みでホント良かった。

 

 

 

さて、それじゃあ潰しに行きますか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




八幡、オリ主化していますね。

全然進まず申し訳ありません。

感想待っています。今回も読んで頂きありがとうございました。


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第9話


最近投稿ペースが遅れて申し訳ありません。

次の更新はSAOの方になると思います。

現在、活動報告にて新作について意見を募集しているので良ければお願いします。


 

いつ以来だろうか、こんなにも人に興味が無くなったのは。

 

目の前に立つ少女。陽乃さんの妹である"雪ノ下雪乃"は容姿だけを見ればかなり上位なのだろう。だが、それだけだ。………俺の視界に映っているのはただの"モノ"なのだから。

 

 

 

 

「あら?今更黙り込んじゃって、怯えてしまったのかしら?」

 

「……」

 

「私だって鬼畜ではないわ?今すぐそこで土下座でもしたら許してあげなくもないのよ?」

 

「……さっきからうるせぇよ。」

 

「…ひっ!?」

 

ガヤガヤうるさい目の前のモノは、先程までとは打って変わり音も出さなくなった。

 

『訓練開始』

 

その音と共に俺は駆け抜ける。

俺が今使っているのは"スコーピオン"。大人気ないというヤツがいるかもしれないがそれはスコーピオンの特性である奇襲という手を使った場合のみだ。正面から打ち合うのであればスコーピオンほど不利なトリガーはない。目の前にいるヤツが使用している弧月となら尚更だ。

 

「えっ!?」

 

俺は目の前まで行き、弧月を持っていないほうの腕を切り落とし、攻撃を続けず間合いを取る。

 

「…そんなもんか」

 

「っ!?今のは油断していただけよ。たかが片腕取ったぐらいで調子に乗らないでちょうだい!」

 

油断していただけ。それが戦闘においてどれだけ不味いことか。

 

「…そうか。なら来いよ、三流。」

 

「なっ!?」

 

見るからに怒ったように、俺に斬りかかってくるが俺は弧月をスコーピオンで受け止め弾き返す。

普通なら有り得ないが、トリオン量にものを言わせた力技にも近い、技術もなにもない。

 

「やっぱりそんなものか。……もういい」

 

俺は開いていた雪ノ下との間合いを詰め、振り回しているとしか思えない弧月を避けその腕を斬る。

そのまま、左足、右足を切り落とした。

 

「…何か言いたいことはあるか?」

 

「あなたが私よりも早く動けるなんて有り得ないわ。どうせあなたなんかの彼女の綾辻さんが何かしたに違いないわ。あなたと同じで彼女も最ーーー」

 

ザシュッ

 

最後まで言わせるつもりはなかった。……ここでの会話は全部向こうに聞こえるようになっている。何を言おうと許すつもりは無かったが腐っても陽乃さんの妹だ、陽乃さんや雪ノ下家のボーダーでの立場を悪くするつもりはなかったから謝るようなことがあれば嵐山さんに上層部への報告まではしないでもらう方向に持っていこうと思っていた。

 

……あとで遥には謝っておかないとな。

俺なんかのせいで遥に迷惑をかける訳にはいかない。俺を救ってくれた1番大切な人に。

 

 

『トリオン体活動限界。勝者比企谷八幡』

 

これ程何も感じない勝ちは今までになかった。

 

 

 

 





今回は短かったですね。
申し訳ありません。

前書きでも言いましたが、新作について意見を活動報告にて募集しておりますので宜しければ参加のほどお願いします。


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第10話

更新遅れて申し訳ないです

由比ヶ浜の犬の下りはありませんのでご了承ください。

それではどうぞ


「…八幡お疲れ」

 

訓練室から出てきた俺に最初に声をかけてくれたのは遥だった。

 

(……やっぱさっきの聞こえてたか。)

 

「……俺のせいですまん」

 

「ううん。八幡のせいなんかじゃないよ」

 

遥はそう言ってくれたが、実際俺のせいだ。

雪ノ下雪乃も言っていたように、俺のせいで遥の評価が下がることはあっても上がることは無いのだろう。

 

「ありがとな。」

 

俺は遥の頭を少し撫でてから、先程から凄い勢いでこちらを睨みつけている奴の元へと向かった。

 

「あ、あなたまたズルしたわね。さっきの空間だって、彼女が設定したものなのだから幾らでもやりようがあるものね」

 

まだ言うのか、こいつは。

俺の事が視界に入るなり叫ぶように言ってたが、まさかここが何処か忘れてるわけじゃないだろうな

 

「…はぁ。言っておくが、遥はなにもしていない。」

 

「そんなわけないじゃない。どうせあなたが彼女に頼んだに決まっているわ。そうじゃなきゃ、私があなたなんかに負けるはずがない」

 

こいつの頭の中に人の言うことを聞くっていう選択肢はないのか…。

 

「やっぱりズルをしてたんだね。しかも、綾辻さんにまで手伝わせるなんて最悪な彼氏だ。ほら、綾辻さんもそんな奴とは別れて僕等の方に来た方がいい」

 

お前、まだそんな態度とれるほど余裕あったのか?と思い、葉山のほうを見ると遥の肩に手を伸ばしていた。

 

「……おい、葉山。お前誰に触れようとしてるんだ」

 

自分でも聞いたことのないような低い声が出た。

葉山は腰を抜かして、その場に座り込み周りにいた奴らもほとんどが座り込んでいた。

 

「お前ら、2人にはそれ相応の処罰が下るだろうから覚悟しとくんだな」

 

この2人とこれ以上関わるのも面倒だったので、俺は背を向けて遥の手を掴んでブースを出た。

 

 

 

 

 

 

「ほんとにすまん…。俺なんかのせいで遥まで……」

 

コツン

 

土下座とまではいかないが、これ以上無いほど綺麗なお辞儀をしたのだが、その下げた頭を遥に叩かれてしまった。

 

「だ・か・ら、八幡は悪くないって言ってるでしょ!あんな人たちの言うこと真に受けたらダメ。」

 

頬を膨らませて、かなりご立腹なようだが全く怖さを感じない…。むしろ、可愛いまである」

 

「なっ!またそうやって…。もう許さないんだから」

 

俺が何かしたのだろうか…

遥は顔を背けてしまった。

 

「その、……ほんとにすまん。何でも言うこと聞くから許してくれ……。」

 

「…ほんとに何でも?」

 

「あぁ、俺に出来ることなら…」

 

この時、少しぐらい制限を付けるべきだったと俺が後悔するのはこの後すぐだった。

 

 

 

「…それじゃあ、

 

 

 

 

今、キスして欲しいな」

 

遥はそう言い耳まで真っ赤に染め上げながら、少し顔を背ける。

 

ん?

いや待てよ、ここはあれを使うべきだ

 

「ちょ、ちょっと待て今なんて?」

 

ふっ、これで完璧だ……

 

「だ、だから、キスして欲しいって」

 

………ダメでした。

 

「だ、ダメかな?」

 

……くっ。こんなん、断れるわけが無い

 

「…はぁ、わかったよ」

 

俺がそう言うと遥は目を瞑った。

つまりは、俺からしろってことだよな…。

 

(ええい。もうどうとでもなれ)

 

俺は決心して、遥の肩を抱きそのまま顔を近づけていった。

 

チュッ

 

時間にすれば一瞬だったのだろう

けれど、俺からしたらその一瞬がとても長く感じられた。

 

「あ、ありがとう」

 

「…あぁ」

 

誤魔化しが効かないほど、2人して顔を真っ赤に染め上げた俺たちは、何も話すことなくブースに戻り、そのまま解散となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、雪ノ下雪乃と葉山についての処罰を俺はボーダー上層部から教えてもらった。

 

雪ノ下雪乃、葉山隼人共に退学処分とはならなかった。

雪ノ下は、2週間の自宅謹慎。一ヶ月間の奉仕活動。反省文の提出に加え、ボーダーへの謝罪文ということになったらしい。

葉山隼人については、2週間の自宅謹慎に加え部活動の無期限停止、その間の奉仕活動。反省文の提出となった。

 

俺としてはあいつらの処分には興味はなく、特に異論は無かったのだがその場に一緒にいた陽乃さんや一色、めぐみさんが軽すぎると城戸さんに言ったが城戸さんとしてもこれでも出来る限り重くしたらしい。

 

城戸さんが言うには、理由は二つあるらしい。

一つは、雪ノ下雪乃の実家である雪ノ下家がボーダーのトップスポンサーだということ。雪ノ下家が何か言ってきたという訳では無いらしいのだが。

二つ目は、迅さんが退学処分はしない方がいいと上層部に助言したらしい。なんでも、退学になった場合あの2人が近界に渡る未来が見えたらしい。

と言うより、あの時あの場を見ていたのなら少しは止めて欲しかったものだ。

 

 

 

 

 

にして、ボーダーってことが学校にもバレたし明日からは変装する必要なくなったな……。

 

……………学校行きたくないな

 

 

 

 

 




お読み頂きありがとうございました。

以前アンケートをとっていた新作についてですが、オリジナルキャラでアンケートで多い作品を書きたいと思いますので楽しみに待っていて貰えると嬉しいです。

次回更新は、アスタリスクかSAO、もしくはもう一つのワートリになると思います。


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11話

悩みましたが、更新続けようと思います。

今回は短くなりましたが読んでもらえる嬉しいです。


職場見学以来、初めての月曜日を迎えた。

 

(……よし、休もう)

 

小町に変装用のものは全て捨てられ、素のままで行くしかなくなった。

つまり、当分学校を休むべきである。

二度寝を決め込み、もう一度眠りにつこうとしたのだが……

 

「八幡〜、朝ご飯出来てるよ」

 

……遥の声がする気がするが、気の所為だろう。

 

「八幡〜」

 

ガチャ

 

…ん?

 

「……ゴハッ」

 

扉が開いたと思ったら、次の瞬間にはお腹にとてつもない衝撃がきた。

 

「……まさか、小町……」

 

「残念!私でしたぁ〜」

 

俺の上には、朝から見るには眩しいほどの笑顔をした幼馴染み兼彼女の綾辻遥がいた。

 

(……可愛すぎるだろ」

 

「……また///もう、朝ご飯出来てるからね!」

 

遥は顔を真っ赤にして、リビングへと下りて行った。

 

(ん?そーいえば、なんで遥が居るんだ?)

 

今更な疑問を感じながら、休むという選択肢がなくなったことに気付いた。

 

 

 

 

「お兄ちゃん、遅いよ!」

 

朝からテンションの高い小町を横目に、席につく。

 

「…ところで、なんで遥が居るんだ?」

 

「えーっとね、どうせ八幡が学校休もうとするだろうからって陽乃さん達に頼まれてね」

 

と言いながら、頭をかきながら言う遥は見るのも烏滸がましい程に可愛い」

 

「いやぁお兄ちゃん、見せつけてくれるねぇ。あとは、お2人さんでどうぞ〜!」

 

小町は「お兄ちゃん達を思って、先に行くなんて小町的にポイント高い!」とか言いながら学校へ行った。

 

「……はぁ。それじゃあ、俺らもそろそろ行くか」

 

「う、うん。それじゃあ、待ってるから準備してきてね」

 

そーいえば、寝巻きのまんまだったなと気付き急いで制服に着替えに行った。

 

 

〜〜〜〜〜

 

「それじゃあ、行くか」

 

「うん、安全運転でお願いね」

 

「…へいへい」

 

遥を自転車の後ろに乗せ、学校へと向かう。

道中、遥が思いっ切り抱き着いていたせいで総武校生からの視線が厳しかったが今更気にすることも無かった。

 

「…ほら、着いたぞ」

 

「あ、ありがと」

 

遥、ほんとに可愛いな。

ほんとに俺なんかでいいのかと思う。

 

「こら、また変なこと考えてたでしょ」

 

「……さらっと、心の中読むのやめてくれませんかね」

 

「八幡がわかり易すぎるの。私は八幡じゃなきゃ嫌だからね///」

 

そう言って、少し早歩きで前を歩いて行った。

 

(恥ずかしいなら、言わなきゃいいのに…。)

 

「八幡、遅れるよ?」

 

俺は先を歩く遥を追いかけた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

遥と別れ、教室に入ると明らかに視線を感じた。

 

(……前とは大違いだな。)

 

俺はいつも通り、机に向かいイヤホンをして机に突っ伏した。

 

 

 

 

「おはよう、八幡!」

 

顔を上げるとそこには遥に負けず劣らずの輝かしい笑顔の戸塚がいた。

 

「お、おう。よぉ、戸塚」

 

思わず口籠もってしまった。

それにしても、ほんとに戸塚は男なのだろうか

 

「八幡、そんなに見られると恥ずかしいよ…」

 

少し顔を赤くした戸塚は、ほんとに男とは思えなかった。

 

「……すまん。」

 

「ううん。…それにしても八幡、カッコイイね」

 

戸塚はそれだけ言うと席へと向かってしまった。

 

(それにしても、視線が多いなぁ……。)

 

戸塚と話している時から感じていたが、やっぱり視線が多い。

こんなことなら、やっぱり学校休めば良かったな……。

 

 

 

 

 

 

その日、一日中視線に晒されることになったが幸いなことに話しかけられることはほとんどなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

〜周りの人達〜

 

「…あれが比企谷くんかぁ。ほんとかっこいいね」

 

「話しかけてこようかなぁ」

 

「無理だよ、私たち程度じゃ相手にされないって。何たって、総武のマドンナの綾辻さんが彼女なんだから」

 

「…話してみたいなぁ」

 

 

こんな会話が、総武高校のあちこちで聞かれたとか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




駄文ですみません。


次回はもっと早く更新できるようにします。


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12話


更新遅れて申し訳ないです。

多分、更新はこんな間隔になると思いますがお待ちいただけると助かります。


 

カツラを被らなくなって以降、視線に晒され続ける学校生活も遂に終わりを告げた。

……そう、夏休みである。

 

(……はぁ。防衛任務さえなければ……)

 

視線に晒されるという地獄からは解放されたが、社畜には長期休みなど存在しないらしい。

 

(……それにしても、沢村さんの用事ってなんだろうな)

 

沢村さんには防衛任務が終わり次第来て欲しいと言われたので、俺は沢村さんがいるであろう会議室に行くことにした。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「比企谷、入ります」

 

会議室には沢村さんと忍田さんが居た。

 

「比企谷くん、お疲れ様。」

 

「ありがとうございます。それで用って?」

 

俺が訊ねると沢村さんは1枚の紙を渡してきた。

 

「……これは?」

 

「小学生の自然学習のお手伝い。ボーダーとしてもその世代の子達には宣伝しておきたくてね、それで根津さん達が今まで広報サボってた比企谷隊にやらせようってね。」

 

……今までのツケをここで返されるとは……。

 

「……マジですか…。」

 

「そう落ち込む事でもないぞ、八幡。それにはほかのボーダー隊員も参加させる。それにバイト料も少しだが出るぞ」

 

忍田さんにそう言われ、紙をよく見ると『1泊2日 バイト代23000円』と書いてあった。

 

「…喜んでお受けさせていただきます」

 

「それじゃあ、他にも参加できそうな人誘ってもらえないかな?参加する隊の防衛任務はこちらで調整するから安心して」

 

沢村さんに頼まれ、俺は唯一の入っているLINEグループに連絡を入れることにした。

 

 

比企谷『夏休み、1泊2日で小学生の自然学習の手伝い行きたい奴いるか?今のところ比企谷隊だけなんだが』

 

比企谷『ちなみに防衛任務は調整してくれるらしい』

 

米屋『俺と秀次参加するわ』

 

奈良坂『それじゃあ、俺も参加しよう』

 

出水『俺も参加するわ』

 

綾辻『私と歌歩ちゃんと玲ちゃんも参加するよ』

 

比企谷『わかった。それじゃあ、今の人達と小町で報告しておくわ』

 

 

沢村さんに参加する人をメールで送り、家に戻ることにした。

 

(……それにしても、広報かぁ……)

 

今まではどうにかして広報任務をしないように頑張ったのに、今じゃホームページにA級1位としてガッツリ載ってしまっている。

 

「八幡、どうしたの?そんなに落ち込んで」

 

少し考え事をしながら歩いていると、遥が後ろから話しかけてきた。

 

「おう、遥か。いやな、こんなに目立つつもりはなかったのにと思ってな……。」

 

「確かにね。今じゃ、八幡は私たちよりも有名何じゃないかな」

 

遥の言う通りかもしれない。

最近じゃ、防衛任務よりも広報任務の方が多い気がして仕方がない。

陽乃さんや一色がノリノリなせいで増えているのは多分、気の所為だろう………。

 

「…もう気にするのも馬鹿らしくなったけどな」

 

「けど、うちの親は喜んでたよ?八幡が有名になって」

 

遥の両親にはお世話になってばっかだしな。

少しでも喜んで貰えたなら良かったが…。

 

「…それじゃあ、またね。そろそろ小町ちゃんと家に来てってお母さんが言ってたよ」

 

「あぁ、今度遥の任務がない時に行く。」

 

遥が家に入るまで見送り、家に帰ることにした。

 

 

 

 

翌日、携帯に平塚先生から大量の通知が来ていて驚いたのはまた別のお話。

 

 

 

 

 

 





短文&駄文で申し訳ございません。


次回は千葉村のお話です。
頑張りますので読んでもらえると嬉しいです



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13話


間空いてしまい申し訳ないです……。


今回も短いですが、読んでもらえると嬉しいです!!


 

「お兄ちゃん〜、早くしないと遅れちゃうよ〜」

 

何故朝から小町が、こんなにも元気なのかと言うと今日から3日間千葉村に行くことになっているからである。

 

「はいはい、今行くから待て」

 

先を行く小町をゆっくりと追いかけた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

集合場所に着くと、既にほとんどのメンバーは揃っていた。

 

「やっはろ〜、八幡!」

 

なぜか、後ろから飛びついてくる陽乃さん。

 

「陽乃さん、もう少しふつうに登場出来ないんですか…?」

 

「ぶぅ〜。釣れないなぁ、八幡は」

 

ぷくぅっと頬を膨らませている陽乃さんはかなり可愛い。どれぐらいかって?そりゃアイドルと比べられないぐらいだよ

 

「八幡、おはよう」

 

陽乃さんに構っていると、なぜか少し不機嫌な遥がいらっしゃった。

 

「…………お、おう。遥なにかあったか………?」

 

「ん?何も無いよ。ただどこかの誰かさんが鼻の下伸ばしてるなぁと思ってね」

 

……詰んだ。

そう思った瞬間、俺は速攻土下座を決める。

 

「…八幡、いくら陽乃さんたちだからって私だって嫉妬するんだよ?」

 

……ヤバイ。

遥が可愛過ぎる。

 

「ハッチは、綾辻には頭が上がらないんだなー」

 

……邪魔だな、米屋。

折角の遥の潤んだ瞳が米屋のせいで隠されてしまい見えなくなってしまった。

 

「……米屋、帰ったら100本な」

 

「えっ、それは勘弁してくれ」

 

米屋が懇願してくるが、知ったことじゃない。

 

 

そのあと、全員が揃ったところで雪ノ下家が出してくれた車で千葉村へと向かった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

千葉村に着くと、見た事のある人が立っていた。

 

「……平塚先生、何故ここに?」

 

「やぁ、比企谷。今回、我々も小学生の手伝いで来ているのだよ。念のため君にも連絡したのだが、中々繋がらなくてね」

 

あー、あの通知それだったのか。

てことは、奴らも来るのか…。

 

「もしかして、あの2人いるんですか?」

 

「あぁ、きみが来ると知っていたら連れてこなかったんだが。まさかボーダーの方でも募集しているとは思わなくてな。申し訳ないよ」

 

平塚先生はそう言って頭を下げる。

…まじで、この人かっこよすぎる。ほんと誰か貰ってあげてよ。

 

「いえ、先生に責任はありませんから気にしないで下さい。一応、こっちの代表は俺ですので何かあればお願いします。」

 

「あぁ、わかった」

 

平塚先生との挨拶を終え、遥たちの方へと戻ると早速言い合いをしていた。というより、雪ノ下雪乃が一方的に話している。

 

「あら、屑ヶ谷君も来てたのね」

 

「ヒッキー、なんで奉仕部で来ないしっ」

 

相変わらずのアホぶりである。

 

俺はアホ2人を素通りし、目的の人物の元へと向かう。

 

「あ、八幡。来てたんだね」

 

そう何を隠そう俺の四大天使の1人、トツカエルこと戸塚である。

 

「あぁ、ボーダーでな。それより、そっちはこれだけか?」

 

「ううん、もう1グループ来るはずだよ」

 

戸塚がそう言うのと、もう1台車が到着したのはほぼ同時だった。

 

(……はぁ。余計なことしないといいけどな)

 

それから降りてきたのは、雪ノ下雪乃と並んで面倒な葉山隼人だった。

 





えー、なにかアイディアあったらお願いします。
最近少し、アイディア不足で中々進まないので。

それではまた次回〜


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14話


中々長く書けません………。

更新速度遅いのに、短くて本当に申し訳ないです……


 

車から下りてきた葉山は、俺の方を一目見ると何も言わずに平塚先生の方へと歩いていった。

 

(……あの目…まさかな)

 

俺を見た時の葉山の目は焦点が合っていないように見えた。何よりあいつが見ていたのは俺の後ろに居た陽乃さんだった。

 

「……まん、八幡!みんな行っちゃったよ」

 

「あ、悪い。」

 

遥に呼ばれ意識を戻した俺は葉山への警戒度を上げ、遥と一緒にみんなの元へと向かった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「………皆さんが静かになるまで3分かかりました」

 

(高校生になってまでこの言葉を聞くハメになるとは思わなかったな。)

 

みんなの元へと戻ると、丁度開会式のようなもの始まるところで小学生が五月蝿かったのだろうか…先生による有難いお言葉を頂いていたところである。

 

「それでは、これから三日間お手伝いをしてくれるお兄さんとボーダーの方に挨拶をしてもらいたいと思います……ではお願いします」

 

そう言って迷うことなく葉山へとマイクを渡す引率の先生。

葉山はと言うと、先程までのような目ではなくしっかりといつも通りの目に戻っている。

 

「初めまして。総武高校から来ました葉山隼人です。3日間という短い間ですがお願いします」

 

流石と言うべきだろうか、たったこれだけの挨拶で小学生の心を鷲掴みと言ったところだろうか。その証拠に、女子の一部はキャーキャー騒いでるし。

 

(…この後に挨拶するのかよ……。)

 

若干憂鬱になりながらも、前に出て挨拶をする。

 

「えー、どうも。ボーダーから来ました比企谷八幡です。できる限りのサポートはするつもりなので3日間よろしく。」

 

…噛まずに言えたが、なんか小学生が黙ってしまった………。

 

(……なにか不味かったのか……?)

 

そう思ったのも束の間…次の瞬間には覆されることになった。

 

「「「「「おぉぉぉ!!」」」」」

 

(…なんだ?)

 

「本物だよ!!」

 

「あれがボーダー最強……」

 

「カッコイイ〜」

 

さっきまでの沈黙が嘘のように騒がしくなった。

 

(……黙られるよりはいいが……)

 

この後、また引率の先生からあの言葉をハメになったのは言うまでもない。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

誰かさんのせいで少し長引いた開会式擬きが終わり、今はオリエンテーションの最中である。

 

(………あの子は……)

 

森の中を歩いているグループの一つが丁度目に入った。そのグループは女子の6人組という何の変哲もないグループなのだが……明らかに1人だけ孤立している。

ここからでは顔までは見えないが、1人だけ距離感に違和感があり孤立しているのは誰の目から見ても明らかである。

 

「八幡どうかした?」

 

最後尾でグダグダ歩いていたからか、遥がいつの間にか横に来ていた。

 

「いや、ちょっとな(…わざわざ遥に言うことでもないだろう)」

 

「そっか、けど随分離されちゃってるよ」

 

そんなに気を抜いていたつもりはないが、先頭とはもちろんさっきまで前を歩いていた陽乃さんたちともかなり距離が空いていた。

 

「…少し急ぐか」

 

遥の手を取り、少し小走りで前を追いかけることにした。

 

(……あれは葉山か)

 

横目で先程気になったグループに葉山が話しかけにいっているのを見ながら陽乃さんたちの元へと向かった。

 

 

 

 





本当に進みませんね………

次回も早く更新できるようにしていきたいと思います。


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15話


どうもお久しぶりです!!!


待っていてもらえているかわかりませんが、1ヶ月ぶりの更新となり申し訳ないです……。

これからは、少しは時間がとれそうなので更新頑張ります…


 

最後尾を歩く俺と遥が到着した頃には、既に米屋たちは次の飯盒炊飯の準備に取り掛かっていた。

 

「あっ、遅せぇぞ。ハッチ!!」

 

「悪いな。色々気になることがあったんだよ」

 

「気になること?まぁいいから、手伝ってくれ」

 

「あいよ。それじゃあ、遥また後でな」

 

「うん。」

 

遥と別れ、何故か男女で別れている仕事の手伝いに加わる。

 

 

仕事が一段落ついた頃には、小学生たちも全員揃ったようで今は先生による説明を受けている。

 

(……暑いな)

 

先ほどから、米を炊くための火を仰ぎ続けているため気温に加えてとんでもなく暑い。

 

パサッ

 

いつの間にか仕事を終えた遥が、わざわざ濡れたタオルを首にかけてくれた。

 

(……こういう所なんだよなぁ。)

 

周りの男子組はまだ働いているし、陽乃さんや一色などのボーダー組は濡らしたタオルを配っている。

それに対して、総武の女子はただ座って話をしていたり唯一まだ働いているのは雪ノ下だけである。

 

「お疲れ様」

 

「おう、さんきゅ。それにしても、あいつらは何しに来てるんだ?」

 

「…んー、まぁ人それぞれだからね。仕方ないよ、自分の分の仕事は終えてるわけだし」

 

(……これだから、自分の仕事が増えるんだろ……。まぁ、それも含めて遥のいい所なんだけど)

 

遥とそんな話をしていると、先生による説明を終えた小学生共がこちらへと向かって来る。

 

「もうひと仕事しますかね…。」

 

「そうだね、私も向こう手伝ってくるね」

 

チュッ

 

「……えっ?」

 

「……じゃあ、またね」

 

そう言って、遥は周りから見えない角度でキスをして向こうに行ってしまった。

 

(……突然は、狡くないですかね?)

 

遥のせいで真っ赤になった顔を米屋に突っ込まれたが、暑さのせいにしてなんとか乗り切ったのは言うまでもないだろう。

 

 

 

「比企谷、君も少しは交流してきたらどうかね?」

 

遥のあれ以来無心で仰ぎ続けていると、平塚先生に話しかけられた。

 

「いえ、これが俺の担当なんで」

 

一番当たり障りのない答えだが、実際のところ総武の奴らと関わるのが面倒なだけだ。

ボーダーの面子はまだみんな働いているし、今仕事を辞めたところで暇になるのに変わりはない。

 

「いいから、代わり給え。綾辻にも休むよう言ってある。それに君たちばかり働いていては総武側が来た意味がないだろう」

 

平塚先生の言うことには一理あるが、ボーダー側でも米屋と出水に関しては殆ど役に立ってないようにも見えるが……。

 

「分かりましたよ。それじゃあお願いします。」

 

平塚先生に団扇を渡し、遥の方に向かおうとすると

 

「くっ、何故比企谷ですらこれなのに私にはっ!!」

 

などと火を消さんとする勢いで平塚先生が仰ぎ始めたのですぐにそこを離れることにした。

 

 

 

 

遥の元へ向かっていると、俺と雪ノ下以外は殆ど全員小学生の見回りをしており特に小学生を集めているのは葉山、それと雪ノ下と平塚先生を除く女性陣。

 

(……あぁ、だから俺のところに代わりに来たのか)

 

俺の周りには、確かに殆ど小学生はいなかった。俺がこちらに向かう時に女子児童の集団が俺の後ろを歩いていたぐらいだ。

 

周りの小学生に目を向けながら歩いていると、先ほど孤立していた女子児童に話しかけに行く葉山の姿が見えた。

 

「カレー好きかい?」

 

「………別に」

 

そう言うと女子児童は歩いて行ってしまった。

さっきの様子を見ていても、あの女子児童は何らかの事情があって1人でいるのだろう。

その場合、あの場からすぐに離れるという以外にとれる選択肢は存在しない。

好意的に返せば「調子に乗っている」ととられるし、逆に素っ気なく返しても「調子に乗っている」とされる。

 

俺は少し考えたあと、遥の元へ向かった。

 

 

「遥、大丈夫か?」

 

カレーの煮込みを担当している遥だが、何故か見ていても楽しいものではないのだがその周りには何人かの男子児童。

 

(……小学生の癖にこいつら何してんだ?)

 

確かに遥の今の服装は、夏ということもあり薄着だし鍋をずっと見てることもあって暑さから袖をまくっているため元々のスタイルの良さも加わってかなりアレだが。

 

「あ、八幡。それじゃあ、お願いね」

 

遥は後ろにいた総武生に頼むと、こっちに歩いて来ると遥を遠くから見ていた小学生共は俺のことを見てかなり残念がっていた。

 

「…少し涼しいところ行こう。」

 

「うん、ちょっと汗かいちゃったしね」

 

遥を連れ、木陰の方へと歩いていくとそこには先ほど葉山に話しかけられていた女子児童が居た。

 

「みんなバカばっか!!」

 

「あ?」

 

「あっ……。」

 

俺たちが来たのに驚いたのか、叫んだのを聞かれたのが恥ずかしかったのか少し俯いた。

 

「世の中は大概がそうだ。早く気づいてよかったな」

 

「ちょっと、八幡。いくら何でも……」

 

確かに遥のような奴ばかりだったらその中そうじゃないかもしれないが……。

 

「……名前」

 

「あ?」

 

「だから、名前を聞いてるの。普通今のでわかるでしょ?」

 

「私は綾辻遥だよ。けどね、人に尋ねる時はまず自分から名乗るのが常識だよ?」

 

遥はこういう礼儀とかには厳しい。

 

「………鶴見留美」

 

「そっか、留美ちゃんか。私の隣にいるのは…」

 

「比企谷八幡だ。」

 

俺が自己紹介をしたところで、鶴見が黙り込み沈黙が流れる。

 

「…なんかそっちのは違う気がする。私も違うの」

 

……え?なに、俺はやっぱりボッチってこと?

 

「どういう事かな?」

 

「みんなガキなんだもん。だから……1人でもいいかなって」

 

「そっか。」

 

「中学に上がったら、他所から来た人と仲良くすればいいし」

 

「残念だが、それは無理だ。中学に入ったら入ったで他所から来た奴らも一緒になってやるだけだ」

 

実際、遥と小町がいなかったら俺だってそうなっていた。

それにあの頃の俺は……。

 

「……やっぱりそうなんだ。…どうして、こうなっちゃったのかな。」

 

鶴見は目に涙を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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16話

お久しぶりの更新となり、ごめんなさい…。
そのせいなんでしょうか、最近低評価ばかりが増えていく………。
この作品、僕の中で一番お気に入り数多いんですけど低評価数も一番多いんですよね…


最近、色々な作品と俺ガイルのクロスオーバーが増えててなんか皆さん描くの上手いなぁと思う日々です。

僕としては、もっと陽乃さん推しの作品が増えると嬉しいんですけどね!


それでは本編どうぞ!




初日も無事終わり、俺ら高校生組も明日へ向けて色々話し合いをすることになった。

 

「………それでは、明日も頼むぞ」

 

一応連絡は終わり、平塚先生はそう言ってお開きにしようとする。

 

「どうした、葉山。浮かない顔をして」

 

平塚先生は下を俯きかけている葉山に話しかけた。

 

「いえ、ただ今日孤立しちゃっている子がいたので」

 

葉山の言う孤立しちゃっている子とは、十中八九鶴見のことだろう。

奴の言うように、鶴見が孤立しているのは事実だが俺らが出来ることなんてたかが知れてる。

俺らが小学生たちに何かを言ったところで、あいつらは俺らがいなくなった途端また同じことを繰り返す。それも、今までよりも酷く。

 

「…ふむ、君たちはどうしたい」

 

そう言った平塚先生の目はどこか、俺たちを試しているように見えた。

 

「俺は可能な限りどうにかしてあげたいです」

 

「………あなたでは無理よ。そうだったでしょう?」

 

「…………。」

 

雪ノ下の反論に葉山は黙り込むことしか出来なかった。

 

(ここに陽乃さんがいなくて本当に良かった。あの人いたら、ここが修羅場になりそうだし…)

 

陽乃さんはどこに行ったかと言うと、迅さんと電話をしに行った。

俺がしても良かったのだが、一応ボーダー側の代表でもあり抜けるわけにはいかなかったため陽乃さんに頼んだのだ。

 

「そうか。ボーダーの諸君は何かあるかね?」

 

こういう時にこちらの意見を取り入れようとしてくれるのが、平塚先生のいい所だ。

 

「そうですね、現状出来ることはないと思います」

 

俺は正直な自分の考えを述べた。

見なくても分かるが、絶対に遥は俺の意見に異論を唱えたがっている。

 

「……でも、孤立しているという点なら何とか解決出来ますよ」

 

鶴見が孤立しているのをさせないようにすることぐらい簡単なことだ。

今回のこのボランティアは、葉山の監視や防衛の任務も兼ねているが一番はスカウト。

理由は、小学生からボーダーで有望な隊員を育てればそれだけ長い間戦闘員として活躍出来るからだ。

 

「先生、これは奉仕部の合宿も兼ねているとおっしゃていましたよね?ならば、彼女が助けを求めるならば手を貸すことも可能ですよね?」

 

雪ノ下の発言は一見理にかなっているが、大きな落とし穴が一つある。

それは、【鶴見自身が助けてとは一言も言っていない】ということだ。

無言のSOSと言えば聞こえはいいが、それは受け手が勝手に綺麗に解釈しているに過ぎない。

 

「あぁ、構わないが」

 

「わかりました。」

 

「よし、それでは私は寝る。後は君たちで話し合いたまえ」

 

そう言うと平塚先生はコテージの方に歩いていった。

 

(………多分、生徒の成長を期待してるんだろうけどそんなに単純じゃないっすよ?こいつらは)

 

俺の予想通り、平塚先生の思惑通りとは行かないようだった。

 

 

「じゃあ、どうしようか」

 

平塚先生がいなくなると当然のように、葉山が司会役を勝手でた。

 

(……よくこの状況でやるよな、やっぱりリア充は違うな)

 

俺だったら確実にやらない。

理由は簡単。見ろ、あの三輪の目を。隣のめぐりさんが宥めてなかったら今すぐにでもコテージに帰るぞ、あいつは。

 

「つーかさー、あの子可愛いんだし話かけりゃいいじゃん?試しに話すじゃん、仲良くなるじゃん、余裕じゃん?」

 

「それだわー優美子冴えてるわー」

 

「それは優美子だからできるんだよ」

 

「そもそも今の状況だと話しかけること自体がハードル高いかもね」

 

リア充らしい三浦の考えだ。

確かに三浦ほどのコミュニケーション能力を持ってすればそれも容易いことなんだろうがそれが出来ないからこそ鶴見は孤立しているのだ。

 

「やっぱり、みんなで仲良くするしか……」

 

まだ言うか、このアホは。

俺は葉山に案の甘さを思い知らせようと、発言しようとしたのだが

 

「まだ隼人はそんなこと言ってるのかな?」

 

丁度戻ってきた陽乃さんによって、その場の空気が一瞬にして凍りついた。

先ほどまで、ワイワイやっていた葉山グループの奴らもすっかり黙ってしまっている。

 

「八幡に案があるみたいなんだし、八幡に任せれば大丈夫だよ?わかったら、みんな早く寝た方が良いんじゃないかな?」

 

文句を言おうものなら、黙らせる。そんな感じすらした。

余程迅さんからの連絡が悪かったのだろうか。

 

「ヒキタニ、本当に大丈夫なんだろうな?」

 

葉山はいつになく凄んで見せるが、何も怖くない。

というより、よくこの空気で俺の名前を間違えられたと思う。

陽乃さんや一色が俺の名前を葉山が間違えたことに文句を言おうとしたがある人の発言に阻まれた。

 

「…………八幡の苗字は、比企谷だよ?」

 

俺の隣に座る遥の声だ。

だが、いつもよりも冷たくとても低い声だった。

ボーダー組で一番怒らせちゃいけない5人。それは、陽乃さん、三上、遥、那須そして、めぐりさん。

この5人を怒らせたものなら、味方が0になるのは言わずもがな、めちゃくちゃ怖い。

 

「す、すまない。」

 

これには流石の葉山も驚いたのか、素直に謝った。

 

「ほら、八幡行こう。」

 

遥はすぐにここから立ち去りたいのか、俺の手を引くとすぐにコテージの方に歩き出した。

その後、ボーダー組も俺達のあとを追うように着いてきた。

 

 

 

 

 

「遥、ありがとな」

 

俺と遥は自分たちの部屋にそのまま戻ってきた。

 

「ごめんね、勝手に連れてきて。我慢出来なかったの…」

 

遥は申し訳なさそうに俯きながらそう言った。

 

「…………いや、……嬉しかったよ。」

 

「……八幡……。」

 

俺が頭を撫でながらそう言うと、遥は頭をあげこちらに顔を近づけて来た。

 

「「…………」」

 

俺はそれを拒むこと無く受け入れ、あと数センチと迫ったところで

 

 

コンッコンッ

 

「「……………………。」」

 

「八幡〜、まだ起きてる?」

 

図ったかのようなタイミングでドアをノックしたのは、陽乃さんだった。

 

「……ごめん、ちょっと出てくる。遅くならないとは思うけど、先寝てていい」

 

「うん。あの話だよね?」

 

遥たちオペレーターには念のため今回の話をしてある。

ネイバーが襲ってくる可能性があること"だけ"。

 

「………あぁ」

 

俺は遥に背を向けてドアを開けに行った。

 

 

ガチャ

 

「むぅ、遅いなぁ。まさか………?」

 

「遅いですよぉ、先輩!もしかして……?」

 

と俺が出たとわかった途端にこれだ。

この2人、絶対にタイミング見計らって来たな。

 

「ただ遥と少し話をしてただけだ。それよりも少し場所変えよう」

 

「そうだね、ここだと立ち聞きされる可能性あるもんね」

 

俺と一色、陽乃さんの3人は一度外へと出ることにした。

 

 

 

「それで、迅さんはなんて?」

 

ある程度コテージから離れ、サイドエフェクトを使って周りに誰もいないことを確認してから話を始めた。

 

「うん、迅くんによると『葉山隼人が今回動く可能性は限りなく低い。だが、ネイバーは確実に襲撃してくる。』とのことよ。」

 

葉山の可能性は限りなく低いか。

ただ普通のネイバーなら、ノーマルトリガーの方が動きやすかった気がするんだが。

 

「それで八幡に伝えてくれって言われたんだけど、『八幡は、襲撃があったら絶対に小学生たちから離れるな』だって。そうしないと、最悪小学生が何人も攫われるか隼人が何かをしでかすって。」

 

「………わかった。」

 

なるほどね。

だから、俺にブラックトリガーだけを持たせたのか。

俺のブラックトリガーの得意分野は多対一。

と言うより、周りにいる味方が多ければ多いほど自由が効かないため殲滅力は激減する。

 

「でも、葉山先輩って何か出来るんですか?」

 

確かに、それは俺も引っかかっている。

葉山が邪魔をするにしろトリガーすら持っていないあいつが何かを出来るとは思えないが……。

 

「それなら『もし葉山隼人が乱入する場合、八幡以外勝てない。』って言ってたよ。私達が勝てないってことは、ブラックトリガーでも持ってるんじゃないかな?」

 

ブラックトリガー。

簡単に手に入るような代物ではないが、陽乃さんたちを倒すとなると今の奴の実力を考えてもブラックトリガーである可能性が一番高い。

 

「その場合は、俺が対処する。その代わり、ネイバー襲撃時の指揮は陽乃さんに任せて大丈夫ですよね?」

 

「うん。お姉さんに任せなさい!」

 

実際、陽乃さんは隊長向きだ。

城戸司令も隊長にしたいらしいし、俺がS級になってもこれなら大丈夫だろう。

 

「それじゃあ、そういう事で。一色もいいな?」

 

「はい!はるさんなら、むしろ安心出来ますし」

 

「おっ、嬉しいこと言ってくれるねぇ。」

 

(……俺、S級になろうかな………)

 

一色の言葉にかなりショックを受けた俺は2人に流されるままコテージへ戻った。

 

 

 

 

 

 

 




陽乃と迅は同い年の設定です!!
あまり影響はありませんが。


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17話


大分、投稿遅れてしまい本当にごめんなさい。


長い間待っていてくれている人がいるか分かりませんが、更新自体は続けるのでお願いします。


「……幡………八幡………八幡!起きて!」

 

遥に揺さぶられるようにして、目を覚ました俺の視線の先にはもちろん遥がいるわけなのだが…俺を起こすために前屈みになっている。

つまり、いい眺めである。

 

「………もうみんな朝ご飯食べ始めちゃってるよ!」

 

「あ、あぁ悪い。すぐ行くわ」

 

俺が起きたことで満足したのか、遥はせっせと部屋を出て行ってしまった。

 

(………あいつ、あの格好のまま行ったのか?)

 

若干遥が心配になったが、気を取り直して俺も身支度を整え朝食会場へと向かった。

 

 

◇◇◇

 

朝食を終えた俺達の仕事は、キャンプファイヤーのための組み木。

男共でやる予定だったのだが、ボーダー組は出水と米屋は遊び始め、総武組ははなからやる気がないのかここにいない。

結果、俺と三輪と奈良坂の3人で組み立てるハメになった。

 

「ふぅ。漸く終わったな」

 

「あぁ。俺はあのバカ2人はを始末してくる」

 

そう言うと三輪は奈良坂を連れ、未だに遊び続けている馬鹿2人の元へ歩いていった。

 

(……俺も、川で涼んで来るか)

 

三輪によって、正座させられているバカ2人を尻目に俺は川の方へと歩いた。

 

 

◇◇◇

 

(……ふぅ。暑いな)

 

夏休みということで、容赦なく照りつける日差しは引きこもりにとって天敵と言っても過言じゃない。

そんなわけで、川に到着したが遊ぶ気力など元々存在せず。こうして木陰で休むのが定石である。

 

(あいつらこんな所でサボってやがったのか…)

 

川には先客が既におり、楽しそうに遊んでいた。もちろん、先客というのは言うまでもなく総武組である。元より防衛も兼ねたこのボランティアに不真面目なやつを連れてくるわけもない。米屋と出水も、普段こそあれだがやる時はやるヤツらである。

 

「あれ?八幡どうしたの?」

 

若干サボって遊んでいた総武の奴らに怒りを覚えていた俺は背後にいた遥を声をかけられるまで気づくことが出来なかった。

普段ならば何も問題はないのだが、遥の格好が不味かった。

 

「……あぁ、遥………!?」

 

普段ならばもう少し驚きを抑えられたかもしれないが、不意をつかれた上に今の遥は川で遊ぶために水着に着替えていた。

つまり、圧倒的美少女がほぼ裸同然の格好で急に話しかけてきたようなものである。

全国の男性諸君、どんなに幸せでも顔には決して出してはいけない。

 

「…八幡?」

 

急に俺が顔を背けたことにより、それを疑問に思った遥は余計に俺の方へと身体を近づけてくる。

 

(……陽乃さんたちは何をしてるんだ)

 

遥がいるということは近くにボーダーの誰かしらがいるはずなのだが…。

 

(……おい、何をやってるんだあんたらは…)

 

よく見ると総武組の少し奥の方によく見知った顔がちりほら水着に着替えて、遊んでいるのが見えた。さらに言えば、三輪や米屋たちも。

 

「ねぇ、八幡大丈夫?」

 

俺が顔を背け顔を真っ赤にし続けていたことが、逆に心配になったのか遥は先程よりもその距離を縮めてきた。

 

「あ、あぁ大丈夫。大丈夫だけど、一旦離れてくれると助かる」

 

変態だと罵られようが、これ以上この格好の遥に抱きつかれていては俺の理性の壁がいつ破壊されてもおかしくない。

 

「……え?なんで?」

 

遥は今の自分の格好を把握していないのか忘れているのか、何故俺が離れてくれと言ったのかわからなかったようだ。

 

「そのだな……、格好がアレなんだ……」

 

「……あっ……ごめん!!」

 

俺の言葉で漸く自分の今の格好を理解したのか、恥ずかしさからか遥は耳まで真っ赤にして顔を背けてしまった。

 

・・・・・・・・・

 

(……気まずい…)

 

自分から言ったとはいえ、言わざるを得ない状況だったわけでどうしようもない。だからといって、ここで一気に空気を変えられるほど俺のコミュニケーション能力は高くない。

 

「あ……八幡と綾辻さん?」

 

俺だけ何故か呼び捨てだったのは一旦置いておき、なんとも絶妙なタイミングで来てくれた鶴見には感謝せざるを得なかった。

 

「……あ、ごめんなさい。お邪魔するつもりは無かった……です。それじゃあ」

 

鶴見は遥の方を見るなり、急に遠慮した態度に変わりその場を去ろうとした。

 

「いや、待て鶴見。ど、どうしてこんな所にいるんだ?他の奴らはどうした。」

 

どうにか鶴見にこの状況を変えてもらわなければいけないと考えたら俺は、少しでも鶴見がここに残るために普段ならばしないような他者への質問という行為を選んだ。

 

「……今日は自由行動だったんだけど……、起きたらもう…みんないなくなってたから…」

 

(……なるほどな、ここまであからさまな嫌がらせだとは。それにしても、なんでこいつ少し怯えてるんだ?)

 

「……そっか。それで留美ちゃんはこんな所に?」

 

「……は、はい。何もやることなくて、でもお母さんから友達と写真を撮って来なってカメラを渡されちゃったのでどうしようって。」

 

(……こいつ、遥に怯え過ぎだろう)

 

昨日の1件が原因だろうが、そこまで遥に怯える必要はないと思うがな。

 

「そっかぁ、それじゃあ私たちと写真撮ろっか!」

 

「…えっ?」

 

「はい?」

 

遥ならば言いかねないとは思ったが、ここに居るのは鶴見を抜いて2人。つまり、「私たち」ということは俺も含まれていることになる。

 

「…なにかな?八幡」

 

顔は笑っているのに目が笑っていない。そんな表情を遥にされて、さらに反抗出来るそんな男がいるのならば俺の目の前に現れてみて欲しいものである。

 

「い、いや…なんでもないぞ?写真だな、写真」

 

土下座などしようものなら、遥の怒りを買うような気がしたため俺は謝るのではなく何も無かったことにしたのだが、これが良かったのか遥は笑顔に戻った。

 

「ほら留美ちゃん、カメラ貸して?」

 

「う、うん」

 

鶴見も遥に押し負けたのか、渋りながらも遥にカメラをを渡した。

 

「ほら、二人とも笑って?」

 

遥は手を目一杯伸ばして、3人が写るようにカメラを構える。

 

「はい、チーズ」

 

カシャッという音と共にシャッターが切られる。

遥は撮ったであろう写真を見ると、満足したような顔をして鶴見にカメラを返した。

 

「あ、ありがとう。八幡、綾辻さん」

 

「うん、またね。留美ちゃん」

 

遥からカメラを受け取った鶴見はそのまま、来た方と戻って行った。

 

「……なんとかしてあげられないのかな」

 

「俺たちに出来ることは少ない。どちらにせよ、鶴見自身が動かなければ何も変わらないがな。」

 

「……そうだね」

 

そう言った遥の表情は普段見せること後ないほど暗いように、俺には見えた。

 

 

◇◇◇

 

「こんな所に居たら風邪引くぞぉ?」

 

「陽乃さんこそ、こんな時間まで起きてたら肌に悪いんじゃないんですか?」

 

夜風に1人当たって1人物思いにふけっていた俺に、眠れなかったのか陽乃さんが話しかけてきた。

 

「不安?」

 

陽乃さんは俺の隣まで来て座ると、たった一言そう聞いてきた。

 

「……何がですか?」

 

素直に不安だと言ったところで何が変わる訳でもないが、昔の俺ならば不安から逃げようとしただろう。だが、今の俺は不安を人にさらけ出していい立場ではないということは幾ら俺でもわかっている。

 

「誤魔化すのが下手だなぁ、君は。お姉さんにまで、強がらなくていいのにぃ〜」

 

「………少しぐらいは俺の覚悟を汲んでくれてもいいと思うんですがね…?」

 

「汲んでるよ〜?だから、こうやって誰もいないところで聞いてあげてるんじゃない。遥ちゃんにも、言えないからことがあるだろうからお姉さんがこうして聞きに来てあげたんだよ」

 

こういう時の陽乃さんには敵わない。

なんと言うか母性というかなんと言うか、遥とは違う包容力のようなものが陽乃さんからは感じられる。

 

「………そうですね。不安って言うほどのものじゃないんですけど、俺にはどうも分からないんです。なんで葉山が近界民と繋がってるのかが。確かに、ボーダーでの職場見学以来あいつは学校での立場が少し危うくなりましたがそれでもあぁやって周りに友達はいるわけで、そこまで深刻な事でもないと思うんです。なにより、あいつがもし力を手に入れた場合あいつは俺じゃなくて遥を狙う、そんな気がしてならないんです。その時、俺は遥やみんなのことをちゃんと守りきれるのかなって。」

 

「君がそんなことで悩んでるなんてね。少し遥ちゃんが羨ましいかな。確かに隼人や雪乃ちゃんが力を手に入れたなら、君が1番苦しむ選択肢を取ろうとするかもしれない。でもね、一つだけ覚えておいて欲しい。君は1人じゃない、ボーダー全員君の味方だってことをね」

 

陽乃さんはそう言うと俺の頭を少し撫でて、立ち上がった。

 

「……おやすみ、八幡」

 

陽乃さんはそれ以上何も言うわけでもなく、そのままコテージの方へと歩いて行った。

 

(……もっと周りを信用しなさいってか)

 

両親が亡くなって以来、初めて頼った年上の言葉は俺の心になによりも重く響いた。

 

 

 





気が向いたら感想残して言って貰えると嬉しいです。
やる気も少しは出ると思うので。




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18話



更新遅くなってごめんなさい。
詳しいことは活動報告をご覧下さい。


 

千葉村でのボランティアも最終日となった今日、俺たち高校生組は各々準備をしていた。

 

「………それで、なんで俺がこの衣装なんだ………?」

 

俺たちは小学生たちを肝試しで驚かすために、元々千葉村にあった仮装用の衣装に各々着替えている。

本来ならばボーダー組は防衛のために出来ることなら参加したくなかったのだが、総武組だけでは人数的に物足りないということでボーダー組も参加することになった。そんな中、米屋や出水は狼男やミイラ男など男の仮装の王道をいっているにも関わらず、陽乃さんに俺が渡された衣装は……。

 

「いいね、いいね〜。流石に似合うね!雪女」

 

「……………俺は女じゃないんですがね……」

 

元々雪ノ下雪乃が着るはずだった衣装なのだが、その雪ノ下は何故か由比ヶ浜とペアで小悪魔の衣装を。結果、余っていた雪女の衣装を陽乃さんが俺に押し付けるようにして渡してきたのだ。

 

「え〜、でも八幡のブラックトリガー使用中ってそんな格好だよね?」

 

陽乃さんはわざとらしく大きな声でそう言ったあと、俺の耳元で囁くように続けた。

 

「……それに、この格好ならブラックトリガー使ってても遠くからははハッキリわからないだろうから」

 

「………さすがにバレると思いますけど」

 

幾らこの衣装がブラックトリガー使用中の姿と似ているからと言って、流石にバレるような気もする。冷気出るし…。

 

「それで、陽乃さんは着替えないんですか?」

 

こういった類のイベントは真っ先に参加しそうな陽乃さんだが、その格好は普段と変わらない。陽乃さんだけというより、俺を抜いた比企谷隊の面々は皆画像をしていない。

 

「本当なら参加しようかと思ってたんだけどねぇ、私らは参加しない方がいいって迅がね〜」

 

「……そうですか」

 

納得のいく理由としてこれ以上ない返答をされた俺にそれ以上特に言うことは無かった。それに、陽乃さん達がいるのならば小学生の案内役に回った非戦闘員の遥や三上も安全だと思えた。

 

(……それにしても、迅さんと陽乃さんって本当に仲良いな)

 

俺は同じ年だとしても、改めて異様なまでに仲がいい2人の関係が少し気になってしまった。

 

「……ほら、八幡置いてくよ?」

 

「お、おう」

 

いつの間にかいなくなっていた陽乃さんの代わりに居た遥に呼ばれ、俺もみんなの後を追うように外へと出た。

 

 

◇◇◇◇

 

防衛の目的も含め俺たちボーダー組はある程度バラけて待機することとなった。

俺もサイドエフェクトで念の為、雑木林一帯の安全を確認した後、自分の持ち場へ向かうことにした。

 

(にしても、本当に暗いな)

 

小学生の肝試しに使うにしては本格的に真っ暗な雑木林に内心驚きながらも、俺は目的の人物の元へと近づいていた。

 

(………ヤツが動くとしたらこのタイミングしかないはずなんだが)

 

迅さんの予知からして、本人が直接手を出してくるとは考えにくいが何かしらアクションを起こすのはまず間違いなかった。

 

(………あいつ、こんな所で何を……?)

 

目的の人物【葉山隼人】がいたのは明らかに小学生たちが通る道では無い場所だった。

俺は相手に悟られないように距離を保ち、相手の動向を探った。

 

(………あいつ、何をしてるんだ?)

 

誰かと接触するわけでもなく、ただ周りを警戒しているだけで何もする気配がなかった。

 

(………俺の取り越し苦労か?)

 

俺がそう思い少し警戒を緩めた時だった。

葉山は少しだけしゃがみこむと、直ぐに立ち上がってその場を去った。

 

「……一体、何をしてたんだあいつは……」

 

葉山が遠くへ離れたのを確認し、俺は直ぐに葉山が居た場所に向かったがそこには既に何もいなかった。

 

 

◇◇◇◇

 

当初の小学生を驚かすという目的を完全に忘れ、俺は葉山の動向を探り続けることにした。だが、葉山はあれ以降怪しい動きをすることなく小学生を驚かすという役割をこなしていた。

 

(……本当に俺の取り越し苦労か?)

 

その後も葉山は淡々と小学生たちを驚かし続け、小学生たちの肝試しも最終グループの順番となっていた。

 

(………迅さんの予知が外れた?)

 

既に林間学習の日程も終わりに近づいているが、近界民が現れる予兆すら感じない。

俺も何も起きないだろうとたかを括り気を緩めた、その時だった。

 

バチィ

 

そんな音とともに、上空に視認出来るだけで4つのゲートが開いた。

 

「なっ!?」

 

確認出来た4つのうち、3つはボーダー隊員がいる方向だったが残りの1つは俺が居るべき場所の方向だった。つまり、あのゲートの方にはボーダー隊員は誰一人いない。

 

「っ……くそっ」

 

俺は葉山のことを確認することなく、ゲートの方へと急いだ。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

「いやぁー!!!」

 

「助けて、お母さん」

 

突然開いたゲートにより現れた近界民の存在に、居合わせた小学生たちはただ恐怖するしかなかった。

 

「…………ほら、早く立って!!」

 

そんな中でも鶴見留美は恐怖を押し殺し、恐怖で動けなくなっている班員を連れていこうとしていた。だが、幾ら恐怖を押し殺そうと小学生の力では全く力の入っていない同級生を引きづることも叶わず、近界民は1歩、また1歩と鶴見たちへと近づいてきていた。

 

「…つ、鶴見!?」

 

「は、早く逃げて!!」

 

何故、間に立ったのか。そんなことは鶴見自信にも分からなかった。ただ身体が勝手に動いた、そうとしか言えなかった。

 

(……ごめんなさい、お母さん)

 

鶴見が後ろを確認したときには、腰を抜かしてしまっていた女児童も走り始めていた。だが、鶴見が逃げるには既に時遅く、もう目の前まで近界民は迫っていた。

 

「………い、いや」

 

自分以外全員逃げた途端、押し殺していた恐怖が鶴見の心を覆い尽くした。腰は抜け、ただ目の前の巨大な生物の手が自分の方へと伸びてくるのをただ眺めるしかなかった。

 

「よく頑張ったな」

 

そんな空耳のような声がした瞬間、鶴見の目の前にいた近界民は時が止まってしまったかのように凍りついていた。

 

「ほら、立てるか?」

 

そう言って鶴見に手を伸ばしたのは、雪女のような格好をした比企谷八幡だった。

 

 

 





いつになるかわかりませんが、また次回!
できる限り早くしたいとは思います。


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19話

お久しぶりです!

あまり執筆に時間を割けずこんなに時間がかかってしまい申し訳ありません。




お知らせになりますが、活動報告の方にてこの作品の今後について皆さんへ相談事があるのでよろしければご意見のほどお願いします


それではどうぞ!


鶴見留美を無事に助けた俺は、そのまま陽乃さんたちがいる広場の方へと向かった。

 

「陽乃さん、他のみんなは?」

 

「小学生のみんなは無事。ただ……隼人だけいないわ」

 

陽乃さんが吐き捨てるように言った。

葉山を最後に見たのは確実に俺だ。ゲートが出現する前の葉山の怪しい動きにも、葉山がこの場にいないことで腑に落ちる部分もある。だが、それならば尚更探さない訳にはいかなかった。

 

「………そうですか。俺が探してきますんで、陽乃さんたちはここから離れないでください」

 

そう言って俺は陽乃さんの元を離れて、葉山を最後に見た場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

(……確か葉山がいたのはこの辺だったよな)

 

俺が葉山を最後に見た場所に来てみたのは良かったが、当然の事ながら葉山がいるわけもない。

渋々俺はサイドエフェクトを使い、葉山の気配を探ってみるがもちろんヒットするわけがない。俺が葉山なら、やましい事があるなら確実にこの近辺に居続けることはしない。

だが、心のどこかで幾ら葉山とはいえそこまでのことは出来ないという気持ちが俺の中にあった。だからこそ、ここに葉山を探しに来た。

つまり、この場にも広場にも葉山が居ないということはやはり葉山は……。そう思った時、突然葉山らしき反応が広場の近くに現れた。

 

「………どうなってんだよ」

 

葉山が突然現れたことで混乱した頭で考えることを放棄した俺は、急いで広場へと戻った。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

(………何故、葉山は俺のサイドエフェクトに引っかからずにあそこに急に現れることが出来たんだ?)

 

あの後、葉山が何事も無かったかのように広場へと戻ったことで全員の安全が確認され、教師含め全員を取り敢えず宿泊施設へと戻らせた。

俺たちボーダー組も、小町とオペレーターである遥と三上の2人は同じく宿泊施設に。他の隊員は比企谷隊以外は宿泊施設の防衛に回している。

 

「………有り得ない。今そう思ってるでしょ?」

 

「…………そう簡単に人の思考を読まないでくれませんかね」

 

人が真剣に思考を巡らせていようがこの人にとっては関係がないらしい。

 

「それに一色も、めぐりさんも空気を読んで1人にしてくれたのになんで来ちゃうんですかね」

 

「あの二人なら、私がみんなの方に行かせちゃったけど?」

 

陽乃さんは悪びれる様子もなくそう言った。

多分この人の中に、他者に申し訳なくなる気持ちなど存在していないのではないのだろうか。

 

「また勝手に……」

 

「でも良かったでしょ?これで話しやすくて」

 

全てを見透かしたようなその言葉に、俺は降参せざるおえなかった。元よりあの二人には話そうか迷っていた俺にとって、陽乃さんしかいないこの状況は願ってもいなかったからだ。

とはいえ、いつかは話さないといけないのだが…。

 

「降参ですよ。でも、これだけしっかりしてる陽乃さんが隊長してくれるなら俺も安心できます」

 

「………やっぱりね。薄々気がついてはいたけど、本当なんだね……………八幡がS級になるのって」

 

陽乃さんは少し寂しそうな表情になる。いつもの様に気丈に振る舞う陽乃さんではない、そう感じる程に。

 

「今まで自由にさせてもらってましたからね。それに、迅さんの助言らしいですし無視も出来ませんよ」

 

俺がS級になれば今度の大規模進行での比企谷隊の生存率がかなり上がる。そんなことを言われれば、無視してまでこの隊の隊長でいるという選択肢はない。

 

「…そっか。迅のことだから、何か考えがあってのことだろうし、八幡が決めたことなら私が反対する理由はないよ」

 

俺に決して顔が見えないようにして、少し掠れ気味の声の陽乃さんに対して俺はただ黙っていることしか出来なかった。

 

「……さて、しんみりした話はここまでね。そろそろ本題に入らないと。めぐり達も呼んでくるわね」

 

俺はそう言って小走りをして行った陽乃さんの背中を見ながら、何も声をかけることが出来ない自分にため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 




ではまた次回?


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20話



お久しぶりです。

お待たせして申し訳ございません。

長くはありませんが、読んでいってもらえると嬉しいです。


それではどうぞ


先日の近界民の襲撃による被害は、幸いというべきか被害自体は殆ど0と言えた。

無事に全員帰宅することも出来、防衛任務としてはまずまずの結果だったと言えるだろう。

 

「なに、1人で決め顔してるの。八幡…」

 

「先輩気持ち悪いですよ」

 

「二人ともあんまりいうと可哀想ですよ~」

 

ボーダーの隊室にて行われているいじめとも言える女性陣からの攻撃に俺のライフはオーバーキルされていた。

 

(めぐりさん、フォローになってない……です)

 

どストレートな2人とは違い、回りくどく攻めてくる辺りめぐりさんが1番タチが悪い迄ある。

 

「………そんなことよりも何ですか?大切な話って」

 

「そんなことってな……」

 

少なくとも隊長に対してこんなに雑な扱いをする隊は俺の知る限りうちの隊だけである。

落ち込んでいる俺とは裏腹に、一色の発言に事情を知っている陽乃さんは寂しそうな顔をして俯いた。

 

「それで、八幡くん話ってなんなの?」

 

落ち込みかけの俺のことなど気にかけることなくめぐりさんは話を振ってくる。きっと、聞きたいという好奇心が勝っているのだろう。

 

「あぁそうですね。。。それじゃあ、、、、本日をもって比企谷隊は解散します」

 

俺はそう言い切った。ためたところで、どうこうなる話ではないこともわかっているし、なにより納得してくれるなんて思ってもない。

 

「……なんでですか?なんで…………」

 

一色の口から出たのはそれだけだった。

 

(……きっとあの理由を言っても聞かないよな……)

 

だったら、昔のように自分から一方的に突き放せばいい。

 

「…………俺がS級になる。ただ……それだけだ…………じゃあ」

 

俺はそのまま隊室を出た。

後ろから一色の泣く声が聞こえてきても、振り返ることもせずに。

 

◇◇◇◇

 

「随分、落ち込んでるな。八幡」

 

逃げるように屋上に来た俺の元に来たのは迅さんだった。

いつものように、煎餅を片手に。

 

「…………いえ、最終的には自分で決めたことですからね。ただ、もう少し上手く出来なかったかなとは思いますけど…………」

 

「確かに。まぁ、八幡にしては頑張ったんじゃないか?」

 

煎餅食べながら、笑っている人に言われたところで何も説得力はない。

 

「けど、これでお前以外のあの子らは確実にいずれ来る大規模侵攻で確実に生き残ることが出来る」

 

「それなら、一色たちに嫌われる覚悟をしたかいがありますよ」

 

迅さんは俺の言葉を聞くなり「一色ちゃんが八幡のことを嫌う未来はまだないよ」とだけ言って、立ち去ってしまった。

 

「…………あとは、俺次第か…………」

 

おれの呟きは誰にも聞かれることなく、風に攫われた。

 






八幡のキャラってこんなに難しかったんですね。。。
久しぶりに書いたら難しくて、大変でした。


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この作品についての質問が、活動報告にあるのでよろしければそちらにもコメントお願いします


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