BanG Dreamasters! (toku3)
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プロローグ

BanG Dream!とデュエル・マスターズのクロスオーバー作品です

デュエル・マスターズ側はカードゲームのみでキャラの登場はない(予定)

今回は導入のみでデュエマ部分はないです


「はぁ、はぁ、はぁ…っ!」

 

走る、走る、走る。

 

人混みの中をかいくぐり、左へ、右へ。少しでも追いつかれないように走る。

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ…っ!」

 

走る、走る、走る。

 

どうやらいつの間にか人混みを抜け人気のない場所まで来てしまっていたようだ。

 

「ここまで…来たら…」

 

 

 

 

「フヒヒ…見つけたぁ」

 

「えっ!?」

 

背後からの声に驚き振り返る。そこには私が先ほど遭遇した男が立っていた。

 

「君と僕は運命で結ばれているからどこに行ったってわかるんだよぉ、彩たん♡」

 

私は男から感じ取れる不気味さに恐怖を感じた。

 

(こ、怖い…けど、なんとかしなきゃ…)

 

「それにしても酷いなぁ…声をかけただけで逃げ出しちゃうなんて…」

 

「ご、ごめんなさいっ…突然声をかけられて驚いちゃって…ファ、ファンの方ですか?」

 

 

 

 

「………フヒ、フヒヒヒッヒヒヒヒヒ!!!!!!!!」

 

「ひっ…」

 

私が質問をすると男が狂ったように笑い始める。何が何だかわからない私はその光景をただただ怯えた目で見ているしかなかった。

 

「ファン?この外道 盛人(そとみちもりひと)をあんな連中と一緒にしないでほしいねぇ!!!!!!」

 

外道と名乗った男は更に力説する。

 

「僕は選ばれたのさ!運命にね!これからは毎日彩たんと一緒さ!!!」

 

「えっ…?」

 

外道さんの発言に私は言葉を失う。毎日…一緒?

 

 

 

 

「おや、知らなかったのかい?………そうかそうか社長もなかなか粋なことをしてくれるじゃあないか!フヒヒ!」

 

「どういう…ことですか?」

 

「僕は今日からPastel*Palettesの専属デュエマインストラクターになったのさぁ!!!!!フヒヒヒヒヒヒィ!」

 

デュエマ、というよくわからない単語も気になったがそれよりも目の前の外道さんがこちらに迫ってくる。

 

 

 

 

「そうだなぁ…まずは彩たんにレクチャーしてあげなきゃなぁ…」

 

(こ、この人…目が怖い!正気じゃない!)

 

私は恐怖から言葉が出ずに後ずさる。

 

「彩たんのシールドをブレイクしてダイレクトアタック…フヒヒヒヒヒヒ」

 

(やめて…怖い怖い怖い怖いっ!!!!!!!!!)

 

今にも襲われる―――――そう思った瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい」

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?だ、誰だ!?」

 

私でも外道さんでもない声に私たちは声がした方を見る。

 

そこには私と同じくらいの年であろう男の子が立っていた。

 

「いい年したおっさんが白昼堂々とアイドルを襲うとはねぇ…しかも『彩たんのシールドをブレイクしてダイレクトアタック』とか流石に気持ち悪すぎて引くわー」

 

「なっ…ななななんだお前はぁ!!!!!け、けっ警察に通報するぞ!!!!!」

 

「通報してみたら?この状況からしてどうみてもおっさんに勝ち目があるとは思えないけどねぇ」

 

「ぐぬぬぬ…………」

 

どうやら男の子は外道さんが私に襲い掛かろうとした光景を見ていたらしい。外道さんは焦りと混乱でパニック状態になっているようだ。

 

 

 

 

(い、今のうちに…!)

 

私はその隙に外道さんの元から離れようとしたが、

 

「フヒ、フヒヒヒッヒヒヒヒヒッッッ!!!!!!」

 

「きゃあっ!?」

 

外道さんに腕を掴まれ逃げることは叶わなかった。

 

「…おいおい」

 

「ちょ、調子にこきやがって………デュエマで勝負だ小僧!ぼ、僕が勝ったらこ、ここで見たことは忘れて帰ることだなぁ!!!!」

 

外道さんは私の腕を掴みながら男の子にドラゴンのようなマークが書かれている紙を見せ、取引を持ち掛ける。あれがデュエマ…なのかな?

 

(って、そんな取引に応じるなんてあるわけ)

 

「はぁ………構わないが、その代わり俺が勝ったら今後一切、丸山の前に姿を現すなよ?」

 

「フヒ、フヒヒッ!いいだろう!」

 

(ええええええええ~~~~~~っ!?!?なんで応じちゃうのぉ!?!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、私の運命を賭けたデュエマが始まろうとするのでした………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(というかデュエマってなんなのぉ………!?)




ここまで読んでいただきありがとうございます!

カードゲームモノ特有のデュエマで解決しようぜ!でした。

不定期更新でやっていきますので更新は未定ですが興味を持っていただけるように頑張っていきたいなぁと思います。


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vs赤緑モルトNEXT(前編)

早速のデュエマ回です。

カード名については《》、用語で初めて出てきたものに関しては『』を付けています。



(外道盛人はデュエマをやっている話は事前に聞いてはいたが………まさか相手の方から持ち掛けてくるとはな)

 

『デッキ』と呼ばれる40枚のデュエル・マスターズカードの束を丁寧にシャッフルしながら俺―――高宮 翔(たかみや しょう)はここに至るまでの出来事を思い返していた。

 

 

 

今日、とある人から呼び出しを受けていた俺は盛大に寝坊をした。考えられる原因は夜遅くまでデュエマの大会の動画を見ていたからであろう。

 

そんなわけで、必死に集合場所へ急いでいた俺は途中で俺の行く先と逆方向に走るどこかで見たことあるような女の子とそれを追いかけるおっさんを発見。その光景を呼び出し人に伝えたところ、急遽その子を追いかけるようにとの指示に(その時に外道のことを教えてもらった)

 

何とか見失わずに追いついた俺の目に映った光景は―――――というわけだ。

 

 

 

(暴力沙汰になったらどうしようかと思ったが…デュエマなら問題ない)

 

外道が暴れたりして彼女や俺が怪我をしたら…俺はともかく彼女が怪我をすることだけは避けなければならない。

 

(さて、そろそろ勝負に集中しよう)

 

 

 

無事にデュエマでの勝負に持ち込めたということで思考を相手の『超次元ゾーン』に集中する。

 

『ゾーン』とはカードを置く場所のことで、その中でも超次元ゾーンはゲーム中に出すことの出来る特殊な『クリーチャー』カードなどを置いておく場所だ。初期状態で最大8枚まで(同じ名前のカードは4枚まで)置くことができる。このゾーンから現れるクリーチャーは非常に強力でゲームの展開を大きく揺るがすことが多い。

 

この超次元ゾーンは『公開情報』であり、ゲーム前にお互いに確認する事ができる。既に駆け引きは始まっているというわけだ。

 

(相手の超次元ゾーンは………うげぇ)

 

相手の超次元ゾーンを見て思わず嫌な顔が出てしまう。《爆熱剣(ばくねつけん) バトライ()》に《闘将銀河城(とうしょうぎんがじょう) ハートバーン》…どちらも非常に強力な効果を持つカードだ。特にバトライ刃に関しては一部のカードとの組み合わせが猛威を振るい、使用する際には制限をかけられている程のカードである。

 

「フヒヒィ……僕のカードを見てビビっているのかい?怖いなら降参しても…フヒッ」

 

「誰がするかよ」

 

「ッチ……超次元も用意できないガキが」

 

外道の言う通り、俺は超次元ゾーンにカードを置いていない。超次元を使わないから不利―――というわけでもない。置かないことによって相手にどんなデッキなのかを隠すことが出来るからだ。

 

 

 

 

超次元ゾーンのカードを確認した後、お互いにデッキの上から5枚のカードを裏向きに見ずに『シールドゾーン』に置く。これが自分の身を守る『シールド』だ。これが全て無くなった後にもう一度攻撃を受けると敗北してしまう。その後、デッキの上から更に5枚引き自分の手に持つ。これが『手札』でここからカードを使ってゲームを進めていく。

 

 

 

 

「最終確認だ。おっさんが勝ったら俺はこの場であったことは何も言わずに立ち去ることを約束する。俺が勝ったらその子を返してもらう」

 

「いいだろう………待っててね、彩たん!このクソガキを僕がボッコボコにしてあげるからね!」

 

 

 

 

 

 

「「デュエマ・スタート!!!!!」」

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

(始まった………よくわからないけど頑張って!)

 

名前の知らない男の子と外道さんのデュエマが始まった。何がなんだかよくわからないけど……あの子が勝ってくれることを祈るしかない。

 

「先行は譲ってあげるよ………フヒヒ」

 

「ああそうかい、そんじゃお言葉に甘えて先行はいただくぞ」

 

男の子の番から先に始まるみたいだ。

 

「先行の1ターン目は山札からカードを引くことは出来ない、そのまま手札から《ダイヤモンド・ソード》を『マナチャージ』」

 

手慣れているのか、カードを1枚置いた後にすぐにそのカードを横に捻る。

 

 

 

 

「そして1マナで《預言者(よげんしゃ)クルト》を『バトルゾーン』に出す!」

 

男の子の手に持ったカードから更にもう1枚のカードが置かれると丸いヒヨコのような生き物が現れた!

 

「か、かわいい………」

 

「『召喚酔い』の為、クルトは『攻撃』できない。これで俺の番は終了だ」

 

 

 

 

「フヒヒヒッヒヒヒヒヒ!!!!!クルトとかwwwwww」

 

外道さんが男の子の場にいるクルトを見て笑い出す。どういうことなの…?

 

「彩たんに教えてあげるよぉ!あいつが出したのは『パワー』がたった500で能力もないただの雑魚『クリーチャー』さぁ!」

 

「そ、そんなぁ………」

 

「そんな雑魚を使っているようじゃ僕のドラゴン達には到底敵わないさぁ!フヒヒィ」

 

「………」

 

男の子は喋らない。秘策があるのか、それとも本当に………?

 

 

 

 

「僕のターンだ!ドロー!《ボルバルザーク・エクス》をマナチャージ!これでターン終了!」

 

外道さんは1枚カードを置いてターンを終える。男の子のようにクリーチャーは出さなかったものの、これで問題ないとどこか余裕そうな顔だ。

 

「俺のターン、マナを『アンタップ』、ドロー。《ミラクル1 ドレミ24》をマナチャージ。そしてクルトで攻撃」

 

男の子の攻撃の宣言と共にクルトが外道さんを攻撃しようと動き出す。

 

 

 

 

「する時に《タイム3 シド》に『革命チェンジ』!」

 

更なる宣言と共に動き出していたクルトの背後から星のような乗り物に乗ったクリーチャー―――シドが現れクルトとバトンタッチをするとクルトは男の子の手に戻りシドが代わりに外道さんに向かう!

 

「クリーチャーが入れ替わった!?」

 

「クリーチャー同士の絆の連携………それが革命チェンジだ!シドでシールドブレイク!」

 

シドの攻撃が目の前まで差し掛かった時、シールドが外道さんの目の前に現れ直撃を防いだ。防いだシールドはそのままカードへと戻り外道さんの手へ。

 

「フヒッ!?………チッ」

 

「これで一歩リードってとこだな。ターン終了」

 

 

 

 

シールドの枚数は外道さんが1枚減り、4枚。男の子の言う通り一歩リードしたと言えるだろう。

 

「い、1枚割っただけで調子に乗るなよガキ!僕のターン!ドローして《熱血龍(ねっけつりゅう) バトクロス・バトル》をマナチャージ!2マナでっ………!」

 

外道さんは勢いよくカードを叩きつけ2枚になったカードを横に捻り何かをしようとするが………

 

「!?!?か、カードが唱えられない!?」

 

どうやら手に持っているカードが使えなくて困惑しているようだ。もしかして………

 

 

 

 

「あのシドってクリーチャーが何かをしてる………?」

 

「ふっ。あの子の方が先に気づくとは、おっさんとは大違いだな」

 

「こ、小僧!な、ななな何をしたぁ!!!!!」

 

「《タイム3 シド》の能力だよ。こいつがバトルゾーンにいる限りおっさんの『呪文』を唱えるコストは2多くなるんだ。大方《メンデルスゾーン》でも唱えようとしたんだろうが……もっと盤面をよく見ることだな」

 

「ぐぬぬぬ………クソガキめぇ……!!!ターンエンドだっ!!!」

 

 

 

 

「す、すごい……!」

 

よくわからないけど、外道さんのやりたいことを読み切って邪魔をしたってことなのかな…?

 

「アンタップアンドドロー!《音精(おんせい) ラフルル》をマナチャージ!2マナで《タイム1 ドレミ》を召喚!出た時の能力で1枚引いてターン終了だ!」

 

「僕のターンっ!!!《無双竜鬼(むそうりゅうき) ミツルギブースト》をチャージして終了だ!!!」

 

「俺のターン、《タイム1 ドレミ》をマナチャージ、3マナで2体目のシドだ」

 

「んがああああああああああああああっっっっっ!!!!!」

 

更に呪文のコストが増え何もできずに外道さんが怒りを露わにする。完全に男の子がこの場を支配していた。

 

「クソガキがあああっ!!!バトクロスをマナチャージしてターンエンドだああああ!!!」

 

 

 

 

「このターンで決めるっ…!ドローっ!」

 

男の子がこれまでにない勢いでカードを引いた。どうやらこのターンで決着を付けるようだ。

 

「クルトをマナチャージ、2マナで《黙示賢者(もくじけんじゃ)ソルハバキ》を召喚!出た時の能力で召喚に使用したマナゾーンのダイヤモンド・ソードと手札の《コアクアンのおつかい》を入れ替える!」

 

神々しい建造物のクリーチャーが現れ男の子の手札のカードが入れ替わる。更に男の子の展開は続くみたいだ。

 

「『シンパシー』能力で自分の場にいる光の3コスト以下のクリーチャー――――シド2体、ソルハバキ、ドレミの4体分コストを軽くして3マナで降臨せよ、《共鳴(きょうめい)精霊龍(せいれいりゅう) サザン・ルネッサンス》!」

 

 

 

 

男の子がカードをかかげた瞬間、空から眩しい光があふれ出す。その光が収まると天使の翼を生やした神々しい龍が場に降り立っていた。

 

「サザンがバトルゾーンに出た時、自分の光の3コスト以下のクリーチャーの数だけドローすることが出来る!よって4枚ドロー!残った1マナでクルトをバトルゾーンに!」

 

これで男の子の場には6体のクリーチャーが並んだ。外道さんのシールドは残り4枚だから…

 

「外道さんに攻撃が届く………?」

 

「まぁだだぁ!!!今出した3体は召喚酔い!このターンには攻撃はできな「それはどうかな?」!?」

 

 

 

 

「ドレミでおっさんのシールドをブレイク!する時に…こいつと革命チェンジだ」

 

革命チェンジ宣言。それによりドレミが戻り新たな別のカードが送り出される。

 

「《ミラクル1 ドレミ24》にチェンジ!」

 

先程戻ったドレミと似たようなクリーチャー―――――ドレミ24が現れた。

 

「ドレミ24はバトルゾーンに出た時に手札から『光文明』か『水文明』のコスト3以下の呪文をただで唱えることが出来る!俺が唱えるのはソルハバキの効果で戻した《ダイヤモンド・ソード》!」

 

ドレミ24は持っているステッキを振ると剣の形をした光が場に降り注ぐ。

 

「これによりこのターン、俺のクリーチャーは召喚酔いに関係なくおっさんを攻撃することが可能!そのままドレミ24でシールドブレイク!」

 

「やった!」

 

「フヒィ!?し、しまっ………」

 

これで男の子の勝ち――――――そう思った瞬間、

 

 

 

 

ドレミ24の攻撃を防いだ外道さんのシールドから稲妻の形に似たアイコンが現れた。

 

 

 

 

「………なぁ~~~んちゃってぇ!!!『(シールド)・トリガー』《爆殺(ばくさつ)!! 覇悪怒楽苦(ハードラック)》超・動!」

 

 

 

 

外道さんがシールドから加えたカードをかざすと同時に、2体のシドとソルハバキの上から戦車が降りかかる。

 

シド達はよけることが出来ず下敷きとなってしまい爆発。バトルゾーンから消えてしまった。

 

「な、なにこれ………!?」

 

「フヒヒィ…S・トリガーを持つカードはシールドから手札に加わるときに、ただで発動させることが出来るのさぁ。そしてハードラックは相手のクリーチャーを、コストの合計が8以下になるよう好きな数選び、破壊するんだよぉ!」

 

ドレミ24の攻撃で外道さんのシールドは3枚になったものの、男の子の場に攻撃ができるクリーチャーは2体になってしまった。

 

「さぁて、どうするんだぁい?サザンには『(ダブル)・ブレイカー』………シールドを2枚ブレイクする能力を持ってるけど僕には届かないねぇwwwwwwフヒッ」

 

このターンにとどめとはいかないが外道さんの残りのシールドは今いるクリーチャー達でも全てブレイクすることは出来るらしい。でも、

 

「……………ターン、エンドだ」

 

男の子はそのまま何もせずにターンを終了してしまった。

 

 

 

 

「フヒヒヒヒヒヒ!!!!!!どうやらあのクソガキは諦めてしまったようだねぇ、彩たぁん」

 

「そ、そんな………」

 

「さぁて面倒くさい雑魚(シド)もいなくなったし、調子に乗ったクソガキは僕がボッコボコにしてあげなきゃねぇ!ドロー!」

 

シド達がいなくなったことで呪文を自由に使えるようになった外道さんの反撃が始まる。

 

「バトクロスをマナチャージっ!まずは3マナで呪文、《スクランブル・チェンジ》!これで次に出す火のドラゴンのコストを5下げるぅ!よって2マナでぇ………」

 

 

 

 

「《超戦龍覇(ちょうせんりゅうは) モルト NEXT 》召・喚!!!!!」

 

 

 

 

膨大な炎が場を渦巻く。その中から炎を引き裂き一つの影が飛び出した。

 

右腕に赤き龍、左腕に青き龍を宿す男――――――モルトNEXT、爆誕。




初デュエル回なのもあって用語が多いこと多いこと…

次回はvs外道決着です!


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vs赤緑モルトNEXT(後編)

早速のお気に入り登録ありがとうございます!



~前回までのあらすじ~

彩の命運を賭けたデュエマ!

外道の動きを封じ、短期決戦を狙う翔であったが、S・トリガーによりその目論見は崩れてしまう。

そして外道の切り札である《超戦龍覇 モルト NEXT》が召喚されてしまった………!


「フヒヒwwwwwwこいつが出たからにはクソガキィwwwお前に勝利はなぁああああい!!!」

 

………あのクリーチャー(モルトNEXT)が出た瞬間、場の流れが変わった。今までずっと男の子の方に向いていた流れが一気に外道さんに流れていくのを感じる。

 

(嫌な予感がする………)

 

デュエマを知らない私さえこう思ってしまうほど、モルトNEXTから放たれる威圧感は凄まじかった。

 

「まずは出た時の『マナ武装』能力発動!『ドラグハート・フォートレス』である《爆熱天守(ばくねつてんしゅ) バトライ(かく)》を超次元ゾーンからバトルゾーンへ!」

 

場に降り立ったモルトが右腕をかざすと、上空に巨大な穴が開かれ、中から青き炎を纏った刃――――――《爆熱剣(ばくねつけん) バトライ()》が現れた。

 

モルトがそれを掴み再び上空へ放つと、刃は青き炎を更に強く輝かせ、モルトよりも何倍も大きい城――――――バトライ閣へとその姿を変形させた。

 

 

 

 

「………モルトNEXTとバトライ閣の同時使用はルール上禁止されているはず」

 

「えっ!?それって………!」

 

「ルールぅ?何を言ってるんだぁい?誰がお前とのデュエマを『殿堂レギュレーション(・・・・・・・・・・)』でやるって言ったかなぁwwwwww?」

 

「酷い!そんなの不公平「まぁ、いいぜ。俺が確認をしなかったのも悪いからな」ええっ!?」

 

不公平だ、と私が言おうとしたが男の子はなんともないかのように受け入れた。

 

「フヒヒヒヒwww物わかりのいいガキは嫌いじゃないwwwそれとも、もう彩たんのことはどうでもよくなっちゃったのかなぁwww???」

 

 

 

 

「何言ってんだ?俺はこのデュエマ、まだ諦めてなんか一片たりとも思ってないぜ?それに………」

 

 

 

 

「モルトNEXTとバトライ閣の組み合わせ、今の俺のデッキならなんとかなる」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「………フヒ?」

 

今………なんて言った?この絶対無敵の組み合わせを………なんともない、って?

 

気でも狂ったのか、ブラフなのかは知らないが………

 

「なんとかなるって言うなら………なんとかしてみせろやあああああああああ!!!!!!」

 

僕のカードをバカにするあのクソガキ、潰す、潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す!!!!!!

 

「スクランブルチェンジの効果で場に出たモルトNEXTは『スピードアタッカー』を得る!よって即攻撃可能!」

 

さぁ、絶対無敵のドラゴンコンボの時間だぁ!!!

 

「モルトNEXTでアタックする時にバトライ閣の効果ぁ!自分の火の『ドラゴン』か火の『ヒューマノイド』が攻撃する時、山札の一番上のカードが進化でないドラゴンかヒューマノイドだったら、タダでバトルゾーンに出す!」

 

僕は山札の上のカードを勢いよく捲る。捲れたのは………

 

「《熱血龍(ねっけつりゅう) バトクロス・バトル》!ドラゴンだからバトルゾーンにィ!!!」

 

モルトNEXTがガキのシールドに走り出すと同時にバトライ閣から赤い鎧を身に纏い四本の腕を持つ龍―――――バトクロスが射出された!

 

「8マナのドラゴンがタダで出てきた!?」

 

「バトクロスの効果でガキのサザンと強制バトル!」

 

射出されたバトクロスはそのままサザンの目の前に降り立つと、四本の腕から強烈なラッシュを繰り出す。負けじとサザンも手に持つハルバードで応戦。

 

バトクロスの一撃とサザンの一撃がぶつかり合い、爆発。爆発が収まると場に互いの姿はいなくなっていた。

 

「これで邪魔はいなくなったぁ!そのままシールドを(ダブル)・ブレイク!!」

 

殴る、蹴る。モルトの激しい攻撃はシールドを2枚同時に破壊した。

 

 

 

 

「シールドチェック………トリガーは、なしだ」

 

「シールドの枚数が並んじゃった………」

 

「そしてぇ!モルトNEXTの『(ドラゴン)マナ武装』能力発動だぁ!モルトNEXTがこのターンはじめて攻撃する時に火のドラゴンが5体以上マナゾーンにあれば、攻撃の後、アンタップさせる!再び起き上がれ、モルトNEXTぉ!」

 

僕のマナゾーンにいるドラゴン達の力を受け、再びモルトNEXTは立ち上がる。

 

「そのままモルトNEXTでもう一度アタックだぁ!当然バトライ閣の効果ももう一度発動するぜぇ~~~???」

 

再び山札の上のカードを勢いよく捲る。………フヒッ

 

 

 

 

「フヒヒヒヒヒ!!!完璧だ………捲れたのは二枚目のモルトNEXTだあああああ!!!」

 

 

 

バトライ閣から二人目のモルトNEXTが射出される。これで下準備は整ったぁ………!

 

「二枚目のモルトNEXTのマナ武装能力で超次元ゾーンから《闘将銀河城(とうしょうぎんがじょう) ハートバーン》をバトルゾーンへ!」

 

地面から史上最強のドラグハート・フォートレス―――――ハートバーンが轟音を立ててその姿を現した。ハートバーンの出現と同時にバトライ閣がそれに応えるかのように光を放ち始めた!!!

 

「モルトNEXTの登場によって、バトライ閣の『龍解(りゅうかい)』条件達成!!!《爆熱DX(ばくねつデラックス) バトライ武神(ぶしん)》へと姿を変えろ、バトライ閣!」

 

バトライ閣が城の形から姿を変えていく。光が収まるとバトライ閣はモルトNEXTの何倍も大きい超巨大な甲冑を着た龍―――――『ドラグハート・クリーチャー』最強の一角、バトライ武神へとその姿を龍解させた。

 

「お、大きい………あれもクリーチャーなの!?」

 

「これで能力の解決は終了!そのままシールドを攻撃だ、モルトNEXTぉ!!!」

 

モルトNEXTは飛び上がりそのまま両腕を正面に構えるとエネルギー波を解き放った!

 

エネルギー波はクソガキのシールドにぶつかり二枚のシールドが割れた時点でその勢いを止めた。

 

 

 

 

「トリガー………なしだ」

 

「まだまだ僕のターンは終わらないっ!!!ハートバーンの能力でバトルゾーンにある僕のドラゴンは全てスピードアタッカーになる!よってバトライ武神とモルトNEXTも攻撃可能だぁ!!!」

 

「シールドは残り1枚!?このままじゃ負けちゃう!!!」

 

「フヒヒヒヒヒヒ!!!絶対無敵のドラゴンコンボの真髄はここからだぁ………バトライ武神で攻撃ィ!!!」

 

僕の指示と共にバトライ武神が応えるかのように雄叫びを上げる。雄叫びに応えるかのように僕の山札の上から3枚のカードが上空を舞う。

 

「バトライ武神の攻撃時、山札の上から3枚を見せ、その中の進化ではないドラゴンと進化ではないヒューマノイドを全てタダでバトルゾーンに出す!公開されたのはこの3枚!」

 

 

 

《メガ・マナロック・ドラゴン》

《メガ・マナロック・ドラゴン》

《メガ・マナロック・ドラゴン》

 

 

 

「3枚とも進化でないドラゴン!そのままバトルゾーンへ!」

 

戦場に火柱が3本噴き上がる。その中から炎を纏った大剣を構える刺々しいドラゴン―――――メガ・マナロック・ドラゴンが降臨した。

 

これで場にはバトライ武神、2体のモルトNEXT、3体のマナロック・ドラゴンの6体のドラゴンが。

 

「た、たくさんドラゴンが………!シールド1枚じゃこんなの………」

 

「マナロック・ドラゴンの効果!クソガキのマナを封じ込めろ!」

 

3体のマナロック・ドラゴンが大剣を振るう。すると巨大な熱波が出来上がり、クソガキへと襲い掛かった!!!

 

「ぐうぅ………っ」

 

「ああっ!!!」

 

「これで次のターンお前のマナは全てアンタップしない!まぁ、このターンで終わりだけどねぇ…最後のシールドをブレイクしろ、バトライ武神!」

 

バトライ武神が超巨大な刀を構えると―――――

 

 

 

一閃。

 

 

 

ただ、それだけで地面を抉るほどの巨大な衝撃波が放たれる。衝撃波はシールドにぶつかると轟音を立て爆発した。

 

「さぁ、最後のシールドチェックだぁ!!!!!」

 

爆発の煙が晴れる。そこにあったのは……………

 

 

 

 

 

「『スーパー・S・トリガー』!《奇石(きせき) ミタラシオ》!」

 

 

 

 

 

団子のような並びをした石ころが現れた瞬間、石ころから閃光が放たれる。その光はあまりにも眩しすぎて目を開けられないほどだ。

 

光が収まり目を開けると―――――僕のドラゴン達が全て座り込んでしまっていた。

 

 

 

 

「ミタラシオのスーパー・S・トリガー能力で全てのクリーチャーをタップさせてもらった。これで、このターンで決着がつくことはない!!!」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

「………フヒヒッ、無駄なことを………ターンエンドだ」

 

「やったぁ!あの攻撃を耐え切った!」

 

まさかお試しで入れていたミタラシオが最後に出てくるとは………

 

コイツ(・・・)を使わずになんとかなったのは嬉しい誤算だ。運とはいえ本格的にミタラシオをこのデッキに入れてもいいかもしれないな。

 

「さぁ、俺のターンだ「3体のマナロックの効果でマナはアンタップしないからなぁ!」わかってるって、ドレミ24、クルト、ミタラシオをアンタップしてドロー」

 

俺はこのターン、マナを置かなかれば使用することの出来るマナの数は0だ。メガ・マナロック・ドラゴン………殿堂入りしているカードだけあって恐ろしい能力である。

 

「フヒヒwwwwwwまだ諦めてないようだが………いいこと(・・・・)を教えてやるよぉ」

 

「いいことねぇ………?このターン、おっさんは負けない(キリッ、とかか?」

 

「察しはいいようだなぁ、ガキぃ!僕の残りのシールドは全て(シールド)・トリガー!それも3枚共《爆殺(ばくさつ)!! 覇悪怒楽苦(ハードラック)》なのだよぉ!」

 

「そ、そんな………というかイカサマしたんですか!!!」

 

「人聞きが悪いなぁ、彩たん!普通の(・・・)デュエマで勝負するとはこの僕、外道 盛人は一言も言ってないからねぇ!」

 

………こんな奴がデュエマをやっていると思うと腹が立つな。

 

「それだけじゃないだろ?手札には『ニンジャ・ストライク』能力を持つクリーチャー………《光牙忍(こうがにん)ハヤブサマル》がいる」

 

「フヒッ、ご名答………本当に腹が立つクソガキだなぁ………」

 

「ニンジャ・ストライク?ハヤブサマル?」

 

「あー………簡単に言うと今のおっさんにはシールドとは別に、身を守れる手段があるってことだな」

 

「そ、それじゃあ、このターンに勝つことなんて………っ」

 

 

 

 

「………まぁ、多分大丈夫、なはず」

 

 

 

「は?」

 

「えっ!?」

 

俺の勝利宣言に困惑するおっさんと、女の子。本当におっさんはいいことを教えてくれるな。おかげで―――――確信を持って勝てる、はず。

 

「フヒヒヒヒヒヒ!!!使えるマナもない、場にいるのはシールド・トリガー1枚で全滅する雑魚3体のみ!そんな状況で勝利宣言だとぉ………???ふ、ふざけるのもいい加減にしろよ!クソガキ!」

 

 

 

 

ああもう、クソガキクソガキって………

 

 

 

「ふざけてるのはおっさんだろ!!!自分が勝つためにはどんな手段を問わない………そんなお前にデュエマをやる資格なんて、ない!!!」

 

「!?」

 

「それと俺はクソガキじゃねぇ!高宮 翔(たかみや しょう)だ!覚えておけ!!!」

 

「ぐ、ぐぬぬぬ………」

 

 

 

 

「いくぞ!ドレミ24でシールドを攻撃するときに革命チェンジ!」

 

「ま、また革命チェンジ!シドかぁ?ドレミかぁ?い、いずれにしろ無―――「俺が出すのは………コイツだ!!!」!?」

 

 

 

 

 

 

「現れろ!全ての時を司る法皇っ!!《(とき)法皇(ほうおう) ミラダンテXII(トゥエルブ)》!!!」

 

 

 

 

 

ドレミからタッチを受け、現れたのは黄色いたてがみ、空を駆ける大きな白き翼………背後には時を示す12のピット。

 

音と自由を愛する『ドレミ団』の盟主―――――時の法皇 ミラダンテXII、君臨。

 

 

 

 

 

 

「き、綺麗………!」

 

「ふ、ふん!何が出てこようがハヤブサマルで「ミラダンテXIIの『ファイナル革命』、発動!!!次の相手のターンの終わりまで、相手はコスト7以下のクリーチャーを召喚できない!」フヒッ!?ハ、ハヤブサマルが!?」

 

ミラダンテの美しき音色がツタのように外道の腕から手札に巻きつき、ハヤブサマルを縛り付ける。

 

「更にミラダンテの能力で手札からコスト5以下の光の呪文を1枚、無料で唱えることが出来る!俺が唱えるのは呪文、《ミラクルストップ》!」

 

先程とは違うミラダンテの音色は別のツタを生み出し外道を拘束する。

 

「ぐ、ぐうううう!!!何をしたあああぁぁぁ!?!?!?」

 

「そのままシールドを『(トリプル)・ブレイク』だ!」

 

音色を奏で終えるとミラダンテは上空へと駆け上がり、ピットから大量の光の矢を生成、そのまま外道のシールドへと射出した。

 

それは外道の全てのシールドを粉々に打ち抜き、破壊した。

 

「フヒ!バ、バカめ!ハヤブサマルが出せなくても僕には3枚のハードラックがッ………!?!?」

 

 

 

 

破壊されたシールドから全て稲妻型のアイコンが現れるが、外道を拘束しているツタが全てのアイコンを覆いつくしそのまま爆発。3枚のハードラックは発動することなく外道の手札に舞い戻った。

 

 

 

 

「ミラクルストップの効果で、次の俺のターンの初めまで、相手は呪文を唱えることはできない。」

 

「……………ひっ、たたたた助けてくれ!!!今まで悪かった!なんでもするから許してくれええええ!!!」

 

 

 

 

 

「断る!クルトでおっさんに止めだ!!!」

 

 

 

 

 

 

クルトが外道に向かい飛びだす。そうはさせないと外道のドラゴン達はクルトを止めようとするがその前にミラダンテが立ちふさがる。

 

ミラダンテを退けようとドラゴン達が熱波、斬撃、エネルギー波をミラダンテに放つ!

 

ミラダンテはそれを光の矢で全て相殺させると音色を奏で巨大なツタを呼び起こす。ツタは6体のドラゴンを纏めて縛り上げると動けないように拘束をする。ドラゴン達は抵抗するもそのツタを破ることは出来なかった。

 

 

 

 

ミラダンテの力により立ちふさがる者は、いない。

 

クルトはそのまま外道の元に猛ダッシュで向かう―――――途中で石ころに躓いた。

 

加速していたため勢いは止まらずそのままゴロゴロと転がりながら外道とぶつかり―――――爆発した。

 

 

 

 

 

「ブヒィィィィィィ!!!!!」

 

 

 

 

 

こうして俺は外道との命運を賭けた卑劣なデュエマに勝利したのであった。




外道戦、決着です。最後が駆け足気味になってしまった感…



作中で外道さんが使用したデッキは主人公が言っている通り2018年3月現在、色々と構築に制限がかかっています。外道さんの使った構築通りに使用する際には必ず相手の方に許可を取ってから使用してください。



~まとめ~
ルールを守って楽しくデュエマ!


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勝利、そして

GP6thお疲れ様でした!筆者も友人と一緒に本戦へ出てきました!結果は…番外編とかで書くかもです!



~前回までのあらすじ~

モルトNEXTとバトライ閣/バトライ武神による外道の【絶対無敵のドラゴンコンボ】を凌ぎきった翔。

外道が仕込んだ3枚のS・トリガーとニンジャストライクをミラダンテXIIのファイナル革命とミラクルストップで突破し、クルトでダイレクトアタックを決めたのだった………!


「す、すごい………本当に勝っちゃった………!」

 

「あ、あああありえない!この僕がっ!こんなガキに負けるなんてぇ!!!」

 

どうやら負けることなど夢にも思っていなかったらしい。未だに現実を受け入れていないようだ。

 

「さて、俺が勝った時の約束。忘れてないよな?おっさん」

 

「………さっ、3本勝負だ!!!」

 

そんな現実を受け入れていない外道のおっさんはとんでもないことを言い出した。

 

「は?」

 

「う、ウォーミングアップってやつさ!さっきのは偶然だ!そうに決まっている!」

 

ウォーミングアップ(・・・・・・・・・)、でイカサマとか大人のウォーミングアップってのは結構、派手にやるんだな」

 

「う、うるさい!大体お前だってイカサマしただろう!ミラダンテとかぼ、僕が知らないカードを使うのは卑怯だぞ!」

 

(うわぁ………言動が幼稚過ぎ………)

 

ふと横を見ると彩たん、と呼ばれていた女の子も顔が引きつっている。多分俺と同じようなことを思っているのだろう。

 

「な、なんだその目は!次こそお前を滅茶苦茶にして「おやおや、随分と楽しそうなことをしているね?」フヒッ!?」

 

 

 

もう一度デュエマをしようと準備しかけたおっさんの肩に俺や女の子ではない手がかかる。

 

振り返ったおっさんは手をかけた人物を見た途端、顔色が青ざめていく。

 

「しゃ、しゃしゃしゃ社長!?!?!?!?」

 

「やぁ、社長だよ」

 

おっさんに手をかけた人物は黒いスーツを着た背の高い男性だった。『社長』、と呼ばれた人物はそのまま話を続ける。

 

「いや~外道君と丸山ちゃんが来るのが遅いから心配して探しに来たんだけど………何を(・・)、していたんだい?」

 

『社長』から放たれる凄まじい圧に心臓を鷲掴みにされたかのような恐怖を感じる。外道のおっさんはあまりの恐怖に口をパクパクさせることしか出来ない様子。

 

 

 

ぎゅっ。

 

 

 

(ん………?)

 

右肩に少し違和感を感じ横目で見ると女の子が俺の右肩に震えながら抱き着いていた。若干涙目になっているようにも見える。

 

(おいおい………『社長』さん、やりすぎだって)

 

「答えられないか………残念だ。君には期待していたのだが………私の見込外れだったようだね」

 

「ち、ちちち違いますぅ!!!わ、わたしはあ、あいつから丸山さんをま、守ろうとしたんですぅ!!!!!」

 

『社長』に切り捨てられたくないとなんとか矛先を俺へと逸らそうとするおっさん。

 

「ほう………そう、なのか?」

 

「は、はいいい!!!あの暴漢から逃げる丸山さんを私がデュエマで成敗してやろうと!」

 

 

 

「だ、そうだ、『暴漢』君?………それは、本当なのかな?」

 

 

 

ぐぐぐ。

 

 

 

こちら側に放たれる圧が強くなり、右肩にかかる力が更に強くなるのを感じる。

 

あかん。右肩持ってかれる。とっととこの『茶番』を終わらせなければ―――――!

 

「ここに、『真実』がある」

 

左手でスマホを操作し、デュエマをする前に俺が用意していた『真実』を解き放った(再生した)

 

 

 

『そうだなぁ…まずは彩たんにレクチャーしてあげなきゃなぁ…』

 

『彩たんのシールドをブレイクしてダイレクトアタック…フヒヒヒヒヒヒ』

 

『フヒ、フヒヒヒッヒヒヒヒヒッッッ!!!!!!』

 

『きゃあっ!?』

 

『ちょ、調子にこきやがって………デュエマで勝負だ小僧!ぼ、僕が勝ったらこ、ここで見たことは忘れて帰ることだなぁ!!!!』

 

『はぁ………構わないが、その代わり俺が勝ったら今後一切、丸山の前に姿を現すなよ?』

 

『フヒ、フヒヒッ!いいだろう!』

 

 

 

ブツッ。

 

 

 

「あ………ああ…」

 

「これが『真実』だ。ごめんな~おっさん。最初から『詰み』なんだわ」

 

「………この件は私が責任をもって上層部に話させてもらう。君の処遇は決まり次第こちらから連絡しよう」

 

「…………………」

 

どうやら白目を剥いたまま気絶したようだ。突き付けられた現実を許容できなかったようだ………無理もない。

 

「ふう~………外道君の処遇は帰ったら即会議で決めるとして………って丸山ちゃん!?」

 

「は、はひっ!」

 

フッ、と圧が消え『社長』が女の子―――――丸山さんの様子に気づく。

 

「丸山ちゃん!大丈夫だったかい!?なにかこの男にされなかったかい!?」

 

「はひっ!だ、大丈夫です!大丈夫ですから!」

 

急にずずいと迫られて軽いパニック状態になっているみたいだ。

 

「ど、どどどどうしよう翔!丸山ちゃんが、丸山ちゃんが!」

 

 

 

「『父さん』、演技に力を入れすぎ」

 

 

 

『社長』―――――俺は『父親』である高宮 渡(たかみや わたる)に軽くチョップを入れながら二人を落ち着かせようと奮闘するのであった………

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「この度はウチの社員が迷惑をかけて本当に申し訳ない」

 

「い、いえいえそんな………」

 

二人を落ち着かせた後、俺たちは父さんが乗ってきた車に乗って目的地に向かっていた。

 

「翔、今日はありがとう。途中からだったが外道君を圧倒する見事なデュエマ、見させてもらったよ」

 

父さん、俺のデュエマ見てたのか………

 

「私からも助けてくれてありがとう、高宮君!」

 

「礼なんてそんな…俺はただデュエマをしただけなんで」

 

「デュエマはよくわからなかったけど…とてもキラキラしてた!」

 

「き、キラキラ?」

 

よくわからないが悪い気はしないな。

 

 

 

キキッ。

 

 

 

俺たちが話していると車が止まる。どうやら目的地に着いた模様だ。

 

「さて、みんな行こうか。パスパレのみんなも心配しているはずだからね」

 

「は、はい!(千聖ちゃん達に心配かけちゃったなぁ…うう)」

 

「あれ?俺も?」

 

「何を言ってるんだ、翔?元々私が呼び出していたじゃないか」

 

「………あー、そうだった(丸山さんのことで完全に頭から抜けてた…)」

 

こうして俺たちは目的地―――――父さんが社長を務めるアイドル事務所の扉を開けるのであった。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「「「彩ちゃん(アヤさん)!」」」

 

「わわっ………!?」

 

俺たちが事務所に着くと3人の女の子が集まってきた。

 

水色の髪をしたどこか不思議な雰囲気を醸し出している女の子。薄黄色の髪を長く伸ばし、少し大人びた雰囲気を感じさせる女の子。童話から飛び出したかのような風貌の白い髪の女の子。

 

3人共丸山さんを心配していたようでそのまま4人で話し始めた。

 

(………なんか俺、場違いじゃないか?)

 

父さんの呼び出しで来たものの、なんで呼ばれたのかわからないくらい場違い感を感じる………!

 

「盛り上がっているところ申し訳ないが大和ちゃんはどうしたんだい?」

 

「マヤさんなら落ち着かないので機材の調整をしている、と言ってました!」

 

父さんの質問に白い髪の女の子が答える。

 

「ありがとう、若宮ちゃん。そうしたら誰か大和ちゃんを呼んできてくれないかな?パスパレの活動について私からみんなに伝えることがあるんだ」

 

「わかりました。麻弥ちゃんは私が呼んできますので」

 

「あっ、千聖ちゃん!麻弥ちゃんを呼ぶなら私が行くよ!」

 

「大丈夫よ、彩ちゃん。それに突然彩ちゃんが行ったらきっと麻弥ちゃんが驚いてしまうわ」

 

「ううっ、確かに………」

 

「大和ちゃんのことは白鷺ちゃんに任せるとして私たちは会議室に向かおうか」

 

白鷺ちゃんと呼ばれた女の子は大和ちゃん、という方を呼びに行く。俺たちは父さんの後を歩きながら会議室に向かい始めた。

 

 

 

「ねーねー、あなたは誰?もしかしてパスパレの新メンバー?」

 

歩いていると水色の髪の子が興味津々の様子で俺に話をしてきた。

 

「パスパレ?っていうのはよくわからないけど………少なくとも新メンバーではないと思うぞ」

 

「えーっ、パスパレ知らないの!?」

 

「知らないな………さっき大和さん?を呼びに行った人は白鷺千聖さんっていうのはわかるけど」

 

白鷺千聖。普段あまりテレビを見ない自分でも名前位なら知っている。幼い頃から天才子役として名を馳せた有名人だ。

 

「ふーん、へぇ~っ………」

 

俺の発言に更に興味を持ったのか、女の子はじーっとこちらを見つめてくる。

 

 

 

「………るんっ、ってきた!」

 

「「!?」」

 

女の子は嬉しそうにそう言うと丸山さんともう一人の女の子が驚いた顔をする。

 

「る、るん?」

 

「名前はなんていうの?高校生?どこの高校に通ってるの?」

 

「うえっ!?ええっと………」

 

女の子は目を輝かせながら次々と質問をぶつけてくる。

 

「ヒナさん、なんだかとても嬉しそうです!」

 

「日菜ちゃんがここまで他の人に興味を持つなんて………」

 

(み、見てないで助けてくれ………!)

 

 

 

結局、会議室に着くまで女の子の質問は続くのであった………




GPやら何やらで筆が遅くなってしまい…次回も非デュエマ回(予定)です!


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Pastel*Palettes

今回も非デュエマ回です。

BanG Dream!二期決定おめでとうございます!



~前回までのあらすじ~

外道とのデュエマに勝利した翔。父親である高宮 渡の案内で着いた先は渡が社長を務める事務所だった!翔はそこでアイドルバンド『Pastel*Palettes』のメンバーと出会う………



~会議室~

 

「「「「「「ガールズバンドデュエマフェス?」」」」」」

 

大和さんを連れてきた白鷺さんと合流し一段落したところで父さんが本題と称し大きな紙を広げた。

 

俺を含めた6人が父さんの広げた紙―――――ポスターのようだ―――――をまじまじと見つめる。そこには、

 

「ハゲしくアツかりしデュエ魂、バンド魂求む!ガールズバンドデュエマフェス開催!」

 

と大きな文字ででかでかと殴り書きされていた。

 

「今、デュエルマスターズ………デュエマが流行の兆しにあるのは知ってるかい?」

 

「えっ!?」

 

丸山さんが驚く。俺も驚いたが他の人の反応を見るに当たり前なことなのだろう。

 

「あ、彩ちゃん………」

 

「さ、最近忙しくて………あはは…」

 

白鷺さんが知らなかった丸山さんの様子を見て呆れている。俺も少しは世間の情勢を知っておくべきだな………うん

 

「このイベントはそんなデュエマ流行にあやかって来てもらった人にガールズバンドを知ってもらおうというイベントなんだけど………このイベント、Pastel*Palettesに出てほしいという誘いを頂いちゃってね」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

「ガールズバンドデュエマフェス………いいね!るんっ、ってきた!」

 

「ま、待ってください!ジブン、デュエマはやったことはないっすよ!?そんな状態で大丈夫なんですか!?」

 

「…麻弥ちゃんの言う通りだわ。デュエルマスターズをやったことがない私達に来てくださった方が満足して頂けるようなデュエマをすることは難しいと思います」

 

「私もマヤさんやチサトさんの意見に賛成です!千里の道も一歩から!です!」

 

(その意味はちょっと違うような…)

 

最後の発言に心の中でツッコミを入れながらも状況を確認する。賛成派が2人に反対派が3人。特に白鷺さんはとても慎重気味にこのフェスに対して出ることを反対している。過去に似たようなことがあったのだろうか?

 

「その点に関しては勿論、無計画ではないさ。開催は1ヶ月後と時間は多くとらせてもらった。それまでにみんなにはデュエマを覚えてもらう。その為のインストラクターも準備したのだけれども…」

 

父さんが困った顔をする。インストラクターってまさか………

 

「もしかして………外道さんが!?」

 

「その通り、彼が本来ならばそうなる予定だったんだが………」

 

思い上がって暴走、この話は白紙、と

 

「「「「うーん………」」」」

 

無理ではないか―――――そんな雰囲気がこの会議室に溢れ出す。そんな中、

 

 

 

「んー、だったらしょーくんに教えてもらおうよ!」

 

 

 

水色の髪の女の子―――――氷川さんがとんでもないことを言い出した。

 

「え、ええっ!?」

 

「だって、その外道さん?だっけ?その人より強いならしょーくんに教えてもらおうよ!」

 

この場にいる全員の視線がこちらに向くのを感じる。

 

「………元々、翔には外道君の手伝いをしてもらうお願いをしようと決めていたんだ。彼だけに任せていると大変なことになる―――そんな気がしたからね。まさか、こんなに早く起こるとは思ってもいなかったけどね」

 

なるほど、父さんが俺を呼び出したのはそういう理由だったのか………

 

「………俺は」

 

考える。いつもの俺なら面倒くさいと突っぱねるところだろう。突っぱねて、とっとと家に帰り動画の続きを観よう。そう思っただろう。しかし―――――

 

「………」

 

丸山さんと目が合う。Pastel*Palettes………俺は彼女たちのことは全くと言っていいほど知らない。けれども何故だか彼女たちのことをもっと知りたい、そして彼女たちのデュエマを見てみたい………そう思った。

 

「俺なんかでよければ、喜んで引き受けたい。もちろん、外道…さんの代わりが来るまででも構わない。」

 

「もちろん、私達も総力を挙げて次のインストラクターを探すつもりだよ。だからガールズバンドデュエマフェス………お願いできるかな?」

 

「私は賛成です!デュエマはやったことないですけど………何事にもチャレンジしてみたいです!」

 

最初に声をあげたのは白い髪の女の子だった。

 

「ジブンも賛成です!前と違って時間はたっぷりあるみたいですし、イヴさんの言う通りジブンもデュエマにチャレンジしてみたいっす!」

 

大和さんからも賛成の声が上がる。あとは白鷺さんだけだ。

 

「イヴちゃん、麻弥ちゃん…そうね、チャレンジしてみることも大切よね…わかりました。私も賛成です」

 

白鷺さんも賛成。これで5人の了承は取れた。

 

「みんな、ありがとう。翔も突然のことで本当に申し訳ない」

 

「大丈夫だって、引き受けたからにはフェスの成功を目指して頑張るから」

 

「すまないね。早速だが私は色々と準備に取り掛からせてもらうよ、外道君の処遇のこともあるしね。それじゃあ、みんな本番に向けて頑張ってくれ!」

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

俺たちに激励の言葉を贈ると父さんは会議室を後にした。ここから先は俺に一任ということね………

 

「えーっと…とりあえず自己紹介から始めようか。外道…さんの代わりが来るまでの間、皆さんにデュエマを教えることになった高宮 翔です。短い間になるとは思うけどフェスの成功を目指して精一杯頑張っていくのでよろしくお願いします!」

 

「「「「「よろしくお願いします!」」」」」

 

俺が自己紹介を済ませると丸山さん達の自己紹介が始まった。

 

「さっきも紹介したけど…Pastel*Palettesのボーカル担当、丸山 彩です!改めてよろしくね、高宮君!」

 

丸山さんはアイドル研究生からPastel*Palettesのボーカルに選ばれたとのこと。研究生上りということはとてつもない努力を積み重ねてきたに違いない。この努力を踏みにじろうとした外道のおっさんを止めることが出来て本当によかった…。

 

「じゃー次はあたし!ギター担当の氷川 日菜だよー、よろしくねーしょーくん!」

 

水色の髪の女の子―――氷川さんはオーディションに応募したところ、見事に採用されてPastel*Palettesに入ったとか。ギターはお姉さんへの憧れから始めすぐに弾けるようになる辺り真性の天才と言ったところか。俺も教えていたらいつの間にか追い抜かれてそうだな…

 

「次は私でいいかしら?Pastel*Palettesベース担当の白鷺 千聖です♪よろしくお願いしますね、高宮さん♪」

 

白鷺さん………間近でみると同年代とは思えない大人びた雰囲気を感じる。彼女がどのようなデュエマをするのか見るのが非常に楽しみだ。

 

「次は私ですね!私の名前は若宮 イヴです!キーボードをやっています!デュエマもブシドーで精一杯頑張ります!よろしくお願いします、ショウさん!」

 

「ぶ、ブシドー………?」

 

白い髪の女の子、若宮さんはハーフの帰国子女でモデルとしても活躍しているようだ。日本の文化に興味がありその中でもブシドーは特に気に入っているようだ。デュエマにもサムライやニンジャはいるということを伝えるととても目を輝かせて喜んでいた。

 

「最後はジブンですね!ドラム担当の大和 麻弥です。よろしくお願いします。」

 

茶髪の眼鏡女子、大和さんは元々は代理としてPastel*Palettesに参加していたところ、白鷺さんに目を付けられ正式に加入することになったらしい。白鷺さん曰く眼鏡を外したときの素顔が良かったとか。

 

「皆さん自己紹介ありがとうございます。早速デュエマ、なんだけど…明日から練習時間の合間とかで教えていくことになると思う。その辺りの時間調整はこの後トレーナーさん達と俺で調整…かな」

 

「えーっ!今すぐやろうよ!」

 

「俺としても今すぐやりたいところではあるんだけど………ルールを座学で教えるよりも実際にデュエマに触れてもらって覚えてもらったほうがいいかなと思って。その為のデッキを今持ってないんだ」

 

恐らく父さんとしても明日から本格的に始めるつもりだったのだろう。父さんに呼び出された時にも特に持ち物の指定もなかったし。その為、さっき外道のおっさんとのデュエマで使用したデッキ―――【白青サザン・ルネッサンス】デッキしか持っていない。

 

「あ、あのー…ちょっといいですか?」

 

「ん?大和さん?」

 

「さきほど、皆さんが自己紹介している最中に社長さんがこんなものを置いて行ったんですけど………翔さん、これが何か分かりますか?」

 

そう言って大和さんが机の上に置いたのは―――――

 

「………カップラーメン?」

 

カップラーメンでよく使われているような容器だった。

 

「カップラーメンね…」

 

「社長さんの差し入れかな?それにしても不自然だけど…」

 

 

 

「あ~…それ、デュエマのデッキだ」

 

「「「「「え?」」」」」

 

 

 

俺が蓋を開けると中にはデッキが入っていた。

 

「ほ、本当だ…カードが入ってる」

 

「あははっ、すごーい!」

 

「カップラーメンの中にカード……隠れ身の術ですね!」

 

カップラーメンの容器にデッキが入ってたことに驚く5人。俺も最初見た時、カードをカップラーメンの容器に入れる発想なんてどうやったら思いつくんだって驚いたなぁ………

 

ん?カップラーメン………?

 

「あ゛っ」

 

「ど、どうしたの?」

 

俺は慌てて持ってきたものを確認する。確か、昼飯用にカップラーメンを持ってきてたはずだ………

 

「…あー、やっぱりか」

 

「高宮さん、それって…」

 

「昼飯用に持ってきたカップラーメン…のつもりだったがどうやら間違えたみたいだ」

 

みんなの前にカップラーメンだと思っていた(・・・・・)ものを取り出す。

 

「もしかしてそれもデッキっすか…?」

 

「父さんが持ってきたのとは内容は違うけど同じカードですね」

 

やはり慌てて準備をすると良くないな。デッキは揃ったからデュエマは出来るのは嬉しい誤算だけども。

 

 

 

「ねぇねぇしょーくん!カードは揃ったからデュエマやろうよ!」

 

「そうだな…丸山さん、氷川さんの相手をお願いできるかな?」

 

「わ、私!?」

 

「俺のデュエマを一度見てるから大体の流れは分かるかなと。もちろん分からないところは俺が教えるんで。皆さん、どうでしょうか?」

 

「私はそれで大丈夫よ。彩ちゃん、お願いできるかしら?」

 

「ジブンも問題ないっす!お二人のデュエマを見て勉強させてもらいますね!」

 

「お二人とも、頑張ってください!」

 

「み、みんな…うん!日菜ちゃん、私が相手になるよ!」

 

「彩ちゃんかぁ…しょーくんとやってみたかったけど…るるんと勝っちゃうよ?」

 

 

 

丸山さんと氷川さんの激しくアツかりしデュエマが今、始まろうとしていた……………!!!

 

 

 

 

 

(とりあえず、昼飯どうしようかな………)




次回、デュエマ回です!またルール解説が多くなるかもです…



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革命時間停止vs革命疾風速攻(前編)

デュエマ回となります!



~前回のあらすじ~

ガールズバンドデュエマフェスに出場することになった『Pastel*Palettes』。彼女らにデュエマを教えることになった翔は偶然持ってきていたカップラーメン型の容器に入っていたデッキを使いティーチングデュエマを始める………


「二人とも、準備はいいかな?」

 

「手札が5枚、シールドを5枚だっけ?………よーし、オッケーだよ、しょーくん!」

 

「私も、準備ОKだよ!」

 

丸山さんと氷川さんが向かい合い開始前の準備を終える。

 

「それじゃあ、改めて説明するけどデュエル・マスターズ…デュエマは並べてある相手のシールドを全て破壊した後に相手に攻撃を決めると勝利となるゲームだ。ゲームの流れはこれから説明するからとりあえず、ゲームを始めようか。掛け声は『デュエマ、スタート』だ」

 

「よーし、負けないよ、彩ちゃん!」

 

「こちらこそ、よろしくね、日菜ちゃん!」

 

 

 

「「デュエマ・スタート!!」」

 

 

 

俺と白鷺さん達が見守る中、丸山さんと氷川さんのデュエマが始まった。

 

「最初は私の番だね!えーっと…」

 

「『ドロー・ステップ』…デッキの上からカードを1枚引いて手札に加える………なんだけど先攻の最初のターンはこのステップはない」

 

「ええっ!?そんなぁ…」

 

「その代わり相手より先に動くことが出来るのでその利点をうまく活用するってところだな」

 

「うう…次がマナチャージだよね?高宮君、どれを置いたらいいかな?」

 

丸山さんが手札を見せてくる。今回丸山さんに渡したのは赤…火文明と緑…自然文明のカードを組み合わせたデッキだ。この手札なら………

 

「そうだな…このカードがいいかな。このカードの出番はまだ先なのと、多色(レインボー)カードは自分が動く時に役立ってくれるから」

 

「うん、わかったよ!じゃあ、この《メガ・キリキリ・ドラゴン》をマナチャージ!」

 

「次に『メイン・ステップ』。メインステップはクリーチャーの召喚とかを行うステップなんだけど、今丸山さんのマナは横になっているキリキリドラゴンだけ。使えるマナは0マナだからそのまま『ターン・エンド』」

 

「次のターンから、だね…ターンエンド!」

 

 

 

「これがデュエマの基本的な流れになる。ここまででわからないこととかはあるかな?」

 

「質問、いいかしら?もし、デッキのカードがなくなって引けなくなってしまった場合はどうなるの?」

 

おおう、いきなり『山札切れ』についてか………

 

「引けなくなったら、というよりデッキのカードがなくなった瞬間そのプレイヤーの敗北。たとえとどめの攻撃をしている途中でもデッキがなくなった時点でそのプレイヤーの負けになる。」

 

「無くなった瞬間敗北って…結構厳しめなのね………」

 

「デッキがなくなるのってそう頻繁に起きるものなんですか?」

 

「相手の山札切れを目標とした戦略やデッキのカードを引くことを主眼に置いたデッキだとそう珍しいことではないかと」

 

「イクサの兵糧攻め、ですね!本で読んだことがあります!」

 

「今回の丸山さんと氷川さんのデュエマは山札切れによる決着は恐らくないとは思うがそういった戦略もあるということは覚えておくといいかもしれない」

 

まぁ、山札切れ…『ライブラリアウト』で勝つのは始めたばかりのみんなにはあまりおすすめはしたくない。安全に勝つという一点としてはとても魅力的ではあるが。

 

「ねー、あたしの番進めてもいいかなー?」

 

「あー、ごめん!氷川さんの番だったな」

 

「それじゃあ、あたしの番いっくよー!ドロー!」

 

氷川さんが勢いよくカードを引く。

 

「えーっと…この子がるんっ♪としないかな?《タイム(ツー) ファソラ》を置いてターン終了だよ!」

 

「………完璧、というかもしかして氷川さんってデュエマやったことある…?」

 

「やったことないよー?でも彩ちゃんの番を見てたらなんとなくこんな感じかなーって」

 

流石、天才はどんなモノにも適応出来るもんなのな…

 

 

 

「それじゃあ次は丸山さんのターンだ。まずは横になっているマナを起こす『アンタップ・ステップ』から。このステップで前のターンに使ったマナやクリーチャーを起こす…『アンタップ』することが出来るんだ」

 

「えーっと、マナをアンタップしてドロー。でいいのかな、高宮君」

 

「そう、その調子その調子!」

 

丸山さんも飲み込みが早い。この調子なら次のターンにはティーチングはいらないかもしれないな。

 

「手札の《イフリート・ハンド》をマナチャージ。これで2マナ使えるから…このクリーチャーが呼び出せる?」

 

「カードの左上に書かれているのがそのクリーチャーを召喚したり呪文を唱える為に必要な『マナコスト』。そのクリーチャーは2マナ…マナゾーンのカードを2枚横にする…『タップ』することで召喚できるね」

 

「すみません、質問いいですか?」

 

「大和さん、質問どうぞ」

 

「ありがとうございます!マナコストを払えるならどんなクリーチャーでも召喚出来たりするんですか?」

 

「おっと…説明不足だった。召喚や呪文を唱える条件として召喚や唱える呪文と同じ色のマナを含めたマナコストを払う必要があるんだ。自然文明のマナだけで出せるのは自然文明のクリーチャーや呪文だけ、といった感じだね。多色カードに関してはその含まれている文明分の色マナが必要だよ」

 

「ということは…例えば彩さんのマナゾーンに置かれている《メガ・キリキリ・ドラゴン》は火と自然文明のカードだから、火と自然のマナを含めて5枚のマナを使えば召喚できるってことですね!」

 

「その通り!ちなみに1つのマナが持つ文明は最高1色って決められていて、マナゾーンの多色カードはタップする際に生み出すマナの色を決める必要がある。今、丸山さんのマナにあるキリキリドラゴンは火か自然のマナを生み出せるけど使うときにはどっちかの色を選ぶ必要があるんだ」

 

「なるほど…勉強になります!」

 

 

 

「それじゃあ、続けるね!2マナタップして《一撃奪取(スタート・ダッシュ) トップギア》をバトルゾーンに出すよ!」

 

丸山さんのバトルゾーンにクリーチャーが召喚される。いい立ち上がりだ。

 

「………?」

 

丸山さんが首をかしげる。あれ、どこかで間違えたか―――?

 

 

 

「高宮君の時みたいにクリーチャーが出てこない………?」

 

 

 

「………あー、そういうことね」

 

俺が外道のおっさんとやったデュエマが初めて見たデュエマだったようだし勘違いしても仕方ない。

 

「俺がやった時は【RDS】を使ってたんだ。今回は特に何も使ってないからクリーチャーが出てきたりとかはしない」

 

「「「「RDS………?」」」」

 

聞き慣れない単語に首をかしげる4人。唯一大和さんのみ知っていたのか、顔をパッと輝かせる。

 

「聞いたことがあります!Real Duel System………リアルデュエマシステムはいつでもどこでもダイナミックなデュエマを提供する革命的な技術!と雑誌に載ってましたよ!」

 

「へぇ~!なんだかすっごく面白そう!それ、今からやろうよ!」

 

「ま、まぁまぁ!とりあえずこれが終わってからRDSのことは説明するから今はこのデュエマに集中、集中!」

 

興味津々な氷川さんを落ち着かせ、デュエマを再開させる。

 

「クリーチャーは召喚したターンは攻撃できないんだよね?」

 

「そうだね。例外はあるけど基本的は攻撃は出来ないよ」

 

「それじゃあ、これでターン終了!」

 

「あたしのターン!アンタップしてドローだよ!《音階の精霊龍 コルティオール》をマナチャージして2マナで《一撃奪取(スタート・ダッシュ) アクロアイト》を召喚してターンエンド!」

 

氷川さんも丸山さんと同様にクリーチャーを召喚してターンを終える。

 

「私のターン、マナをアンタップしてドロー!」

 

ドローした後に丸山さんは手札を見て、何かを考え始めた。

 

 

 

「………うん、こっちかな。《無頼勇騎(ぶらいゆうき) ウインドアックス》をマナチャージ、そしてトップギアの効果で最初に出す火のクリーチャーの召喚コストを1減らして2マナで《ピアラ・ハート》をバトルゾーンに!」

 

丸山さんが二手目に選んだ手は、目の前の脅威の排除。

 

「ピアラハートがバトルゾーンに出た時、パワーが1000以下のクリーチャーを1体、破壊する!日菜ちゃんのアクロアイトを破壊するよ!」

 

「っ!………へぇ~」

 

氷川さんのアクロアイトが墓地に送られる。アクロアイトもトップギアと同じように光のクリーチャーの召喚コストを減らす効果がある。氷川さんのテンポを遅らせながら自分の展開をスムーズに行う。非常にいい動きだ。

 

「トップギアでそのまま日菜ちゃんのシールドを攻撃するよ!」

 

「しょーくん、攻撃されたシールドはどうすればいいの?」

 

「シールドに攻撃するときはまず、攻撃側がブレイクしたいシールドを選ぶ。今回は1枚ブレイクだから丸山さん、好きなシールドを1枚選んで」

 

「それじゃあ、一番左のシールドで!」

 

「氷川さんはそのシールドを手札に加える。S・トリガー…稲妻みたいなアイコンがカードに書かれていたらそのままただで使うことが出来るけど…」

 

氷川さんが一番左のシールドを確認する。

 

「…ちぇー、トリガーじゃないね」

 

「よーし、ターン終了だよ!」

 

 

 

「これでアヤさんが一歩リードですね!」

 

「でも、シールドがブレイクされたことで日菜ちゃんの手札が増えた…逆転も不可能じゃないわ」

 

「とりあえず、一通りのルールや動きは教えたからここからはティーチングなしでやってみようか!」

 

「よーし、このまま押し切っちゃうよ!」

 

「いやいやぁ、ここから日菜ちゃんがるんっ♪と逆転しちゃうよー!」

 

さぁ、まだこのデュエマは始まったばかりだ。




スタートデッキ対決、後半に続きます。



※【RDS】…Real Duel System(リアルデュエマシステム)。これを用いることでどんな場所でもクリーチャーやシールドが実体化し、ダイナミックなデュエマを行うことが可能。


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革命時間停止vs革命疾風速攻(後編)

スタートデッキ対決後編です。

お気に入り登録ありがとうございます!稚拙な文章ですが楽しんでいただければ幸いです。



~前回のあらすじ~

彩と日菜のデュエマが始まった。お互いがクリーチャーを並べる中、彩が先にシールドをブレイクすることに成功。彩がこのまま制するのか、日菜が逆転するのか。デュエマはまだ始まったばかりである…


「あたしのターン!アンタップ&ドロー!」

 

日菜ちゃんのターンが始まる。アクロアイトがいなくなったからこのターンは大きいアクションは取れないはずだ。

 

「《交錯の翼 アキューラ》をチャージして3マナ!《ガガ・ピカリャン》を出すよ!」

 

ガガ・ピカリャン…パワー2000かぁ…

 

「出た時の効果でカードを1枚引いてターン終了!」

 

大きなアクションはなかったものの、手札を減らすことなくクリーチャーを出してきた。この調子だと先に息切れするのは私だ。

 

 

 

「(その前になるべく日菜ちゃんのシールドを減らさなきゃ!)私のターン!アンタップしてドロー!」

 

このターン使えるマナはチャージをすれば4。でも、どのカードもマナには置きたくないカードだ。それなら…

 

「このターンはマナにカードは置かないよ!そのままトップギアの効果で2マナで《風の1号 ハムカツマン》をバトルゾーンに!」

 

ハムカツマン。可愛いイラストとは裏腹にとても優秀な能力を秘めている。

 

「ハムカツマンの効果でデッキの1番上のカードをマナゾーンに置くよ」

 

マナに置かれたのは《爆竜 バトラッシュ・ナックル》。6マナのクリーチャーだ。とても強力なカードだけど6マナに届いていない次のターンにこれを引いていたとしてもすぐにマナゾーンに置いちゃっていただろう。

 

「さらに!ハムカツマンは『スピ-ドアタッカー』を持っているから出たターンにすぐ攻撃が出来るよ!」

 

次のターンへの繋ぎと速攻性。シールドを減らしたい今の状況にうってつけのカードと言える。

 

「ハムカツマンでシールドをブレイク!するときに………」

 

そして………高宮君が使ったアレ(・・)を私も!

 

 

 

「《漢の2号 ボスカツ》に革命チェンジ!」

 

 

 

攻撃中のハムカツマンを手札に戻し代わりにボスカツをバトルゾーンに送り出す!

 

「革命チェンジ!?なにそれ!?!?」

 

「ふふーん…クリーチャー同士の絆の連携!それが革命チェンジだよ!」

 

決まったぁ…!日菜ちゃんも驚いているみたいだ。

 

「絆の連携…!アヤさん、かっこいいです!」

 

「…ああ、なるほどね、彩ちゃんらしいわ」

 

高宮君が恥ずかしそうにしているのを見て千聖ちゃんはなんとなく察したみたい。うう、生暖かい視線が痛い…

 

「えー、革命チェンジは特定の文明・種族等を持ったクリーチャーが攻撃する時に攻撃しているクリーチャーと手札にある革命チェンジを持つクリーチャーを入れ替えることができる。コストの大きなクリーチャーをただで出すことが出来る非常に強力な能力だ」

 

「ボスカツはパワー5000!更にバトル中パワーが2000上がる能力を持っているよ!」

 

このパワーなら日菜ちゃんのターンにボスカツがやられちゃうことはないだろう。

 

「うーん、シールドブレイクだねぇ…彩ちゃん、どのシールドをブレイクする?」

 

「じゃあ、また一番左で!」

 

一番左のシールドを日菜ちゃんが確認する。その瞬間、

 

 

 

「るんっ♪っときたぁ!S・トリガー!《青寂(せいじゃく)精霊龍(せいれいりゅう) カーネル》だよっ!」

 

「ええっ!?ここでS・トリガー!?」

 

「えーっと、このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手のクリーチャーを1体選ぶ。次の自分のターンのはじめまで、そのクリーチャーは攻撃もブロックもできない。だから、ピアラハートを選んでこのターンは攻撃できないようにするよ」

 

うう、ピアラハートが攻撃できなくなっちゃった………

 

「じゃ、じゃあ、トップギアでシールドを「いいのかなー?彩ちゃん?」…えっ?」

 

トップギアで攻撃しようとした私を日菜ちゃんが止める。

 

「カーネルは『ブロッカー』能力を持っている。ブロッカーを持っているクリーチャーをタップすることでクリーチャーの攻撃先をそのクリーチャーに変更させることが出来るんだ」

 

「つまり、彩さんのトップギアの攻撃先は日菜さんのカーネルに変更される…」

 

「パワーはトップギアが1000でカーネルが3500…ヒナさんのカーネルの方がパワーが高いです!」

 

「クリーチャー同士の戦闘は基本的にパワーの高い方が勝ち、場に残り低い方が墓地に送られる。このままだと丸山さんの攻撃は返り討ちになるな」

 

「そういうこと!どうする、彩ちゃん?」

 

うう、完全に止まっちゃった………日菜ちゃんのシールドは残り3枚。もう1枚はブレイクしときたかったなぁ…

 

「ターンエンドだよ…」

 

 

 

「革命チェンジはびっくりした~………けど!ここから反撃開始だよ!」

 

今のドローで日菜ちゃんの手札は7枚。でもマナはチャージしても4枚。ボスカツを倒せるクリーチャーは出せない…はず。

 

「《反撃のサイレント・スパーク》をマナチャージ、2マナでもういっかいアクロアイトを出すよ」

 

カーネル、ピカリャンにアクロアイトが加わる。でも、ボスカツに勝てるクリーチャーはいない!

 

「しょーくん、確かタップされているクリーチャーには攻撃をすることが出来るんだよね?」

 

「ああ、そうだけど………」

 

 

 

「それじゃあ、カーネルでボスカツを攻撃!」

 

 

 

「ふぇっ!?」

 

ボスカツの方がパワーが高いのに攻撃!?どういうこと!?

 

 

 

「す~る~と~き~に!このデッキの切り札!《大聖堂(だいせいどう) ベルファーレ》にるるん♪と革命チェンジだよ!」

 

 

 

「ひ、日菜ちゃんも革命チェンジ!?」

 

「あっ、彩ちゃんびっくりした~?だけど、驚くのはこれからだよ!ベルファーレがバトルゾーンに出た時、相手のクリーチャーを2体まで選び、タップ!トップギアとピアラハートを選択するよ!」

 

日菜ちゃんの切り札、ベルファーレによって私の場のクリーチャーが全てタップされてしまう。

 

「この効果で選んだクリーチャーは次の彩ちゃんのターンにはアンタップされないよ!」

 

「アンタップしないってことは……」

 

「次のターン、彩ちゃんが攻撃できるクリーチャーは手札のハムカツマンだけ。しかも、ピアラハートとトップギアはタップしたままでまた日菜ちゃんのターンが回ってくるから次の日菜ちゃんの攻撃で破壊されてしまうでしょうね………」

 

もしかして私、だいぶピンチなのでは…!?

 

「そのままベルファーレでボスカツに攻撃!ボスカツのパワーは効果で7000になるけど…」

 

「ベルファーレのパワーは8500…ボスカツの負けだね…」

 

「うーん、このままピカリャンで彩ちゃんのシールドをブレイクするのもいいけど…トップギアを攻撃かな!あっ、ピカリャンも革命チェンジで《タイム2 ファソラ》と入れ替わるよー」

 

ピカリャンと入れ替わったファソラのパワーは5000。トップギアを蹴散らすには充分すぎるパワーだ。

 

「効果を使い終わったピカリャンを革命チェンジさせて手札に戻すことでピカリャンがもう一度効果を使えるようになった…日菜さん、完璧に革命チェンジを使いこなしてますね…」

 

「ヒナさん、すごいです!」

 

「ふふ~ん、あたしはこれでターン終了だよ?」

 

 

 

頼みのボスカツを失い、場には動けないピアラハートのみ。1枚のシールドトリガーからあっという間に日菜ちゃんに形勢逆転されてしまった…!

 

「わ、私のターンっ、ピアラハート以外をアンタップしてドロー…」

 

と、とりあえず何か逆転できるカードを引かないと………

 

「っ!う、嘘でしょ…?」

 

私が引いたカードは《爆竜 バトラッシュ・ナックル》。このターンに使えるマナはチャージをして5。トップギアが残っていれば効果でコストを軽減して出すことが出来たけど…

 

(日菜ちゃんはこれを読んで………?)

 

「彩ちゃん、もしかして…6マナのクリーチャー、引いちゃった?」

 

「えっ、なっ……そ、そんなことない、よ?」

 

「丸山さん、思いっきり顔に出てる」

 

「…うん、日菜ちゃんの言う通りだよ。今引いたバトラッシュ・ナックルをマナチャージ」

 

このターンに出せないのであればもう出す機会なんてないだろう。日菜ちゃんの盤面をひっくり返すにはこの手札じゃ不可能だ。

 

「(だったらブロッカーがいなくなった今のうちにシールドを攻めなきゃ!)火と自然のマナを含んだ3マナで、さっき手札に戻したハムカツマンをもう一度召喚、効果でデッキの一番上をマナチャージ!」

 

置かれたマナは…《ネクスト・チャージャー》。これなら…!

 

「これで残ったマナは3!その残った3マナで《ゴーゴー・ジゴッチ》も召喚だよ!」

 

「彩さんが全ての手札を使い切った!」

 

「いや、ジコッチにはデッキの上からカードを5枚見てドラゴンを1体手札に加える効果がある!」

 

「なるほど…彩ちゃんがさっきのターンにマナをチャージしなかったのはこの為だったのね」

 

これでなんとか次のターンに繋がるカードを見つけなきゃ…!

 

「ジコッチの効果でデッキの上からカードを5枚確認するよ!」

 

無頼勇騎(ぶらいゆうき) ウインドアックス》…ドラゴンじゃない。

 

《ゴーゴー・ジゴッチ》…これもドラゴンじゃない。

 

《漢の2号 ボスカツ》…ドラゴンだけど恐らく前のターンの二の舞になるだろうなぁ…

 

《ネクスト・チャージャー》…呪文だ。

 

《メガ・キリキリ・ドラゴン》…うん、アレ(・・)のことを考えるとこの子が一番かな?

 

「《メガ・キリキリ・ドラゴン》を手札に加えて残りを山札の下に送るよ!そのままハムカツマンで日菜ちゃんの一番左のシールドをブレイク!」

 

「むむっ、トリガーはないねー」

 

「ジコッチは召喚酔いしてるからこれでターン終了だよ」

 

これでシールドは残り2枚…次のターンに引いたカード次第、かな

 

 

 

「あたしのターンだね!アンタップしてドロー!手札に戻したピカリャンをマナチャージ、アクロアイトの効果で1コスト軽減して5マナで《指令(しれい)精霊龍(せいれいりゅう) コマンデュオ》をバトルゾーンに!」

 

コマンデュオ…パワー6000のW・ブレイカー。効果は…えっ

 

「コマンデュオの効果でカードを1枚引いた後に手札から5マナ以下の進化?ではない光のクリーチャーを1体バトルゾーンに出すことが出来る!この効果で手札から4マナの光のクリーチャー、《青音(せいおん)精霊龍(せいれいりゅう) リンガール》をバトルゾーンに出すよ」

 

コストを支払わずただでクリーチャーが増えた!?

 

「リンガールの効果で自分の手札を1枚裏向きにして、新しいシールドにするよ~」

 

「ああっ!せっかくブレイクしたシールドが………」

 

「それじゃあ、攻撃行くよー!ファソラでピアラハート、アクロアイトでハムカツマンに攻撃!」

 

ピアラハートとハムカツマンが墓地に送られ日菜ちゃんの場からアクロアイトがいなくなる。

 

「ベルファーレで彩ちゃんのシールドをW・ブレイク!両端のシールドを選ぶよ!」

 

ここでなんとかトリガーを…きたっ!

 

「シールド・トリガー!《ハート・メラッチ》!バトルゾーンに出た時の効果でコスト3以下のクリーチャー…ファソラを破壊するよ!」

 

ブロッカーのリンガールを何とかしたかったけどシールド・トリガーが出ただけでも良かった…これならまだいける!

 

「コマンデュオとリンガールは攻撃できないからこれでターン終了だねー」

 

 

 

「私のターン…!」

 

リンガールを何とか出来てこのターンで勝利する為のカード…アレ(・・)を引くしかない…!

 

 

 

「お願い、ドローっっっ!」

 

 

 

「「!」」

 

私は祈るように力強くドローする。引いたカードは………っ!

 

「やった!まずはマナチャージしないで火と自然のマナを含んだ5マナで、《メガ・キリキリ・ドラゴン》を召喚!効果は使わないでそのままシールドをブレイク!」

 

「その攻撃は通さないよ、彩ちゃん!リンガールで「まだだよ日菜ちゃん!攻撃時に革命チェンジ!」!!!」

 

 

 

「切り札いくよ!キリキリドラゴンを《DXブリキング》に革命チェンジっ!!」

 

 

 

私はドローで引いたカード………《DXブリキング》とキリキリドラゴンを入れ替える。

 

「ブリキングは7マナ9000のW・ブレイカー!更にバトルゾーンに出た時、コスト6以下のクリーチャーを1体、破壊する効果があるよ!この効果で日菜ちゃんのリンガールを破壊!」

 

「うっそぉ!?」

 

「日菜さんのブロッカーがいなくなった!」

 

「そのままブリキングで前のターンに増えたシールド以外をブレイクだよ!」

 

ブレイクした2枚にトリガーは…

 

「トリガー…ないなぁ」

 

「丸山さんの場に攻撃出来るクリーチャーはジコッチとメラッチの2体。シールドはこの攻撃で残り1枚…」

 

「つまり、アヤさんのクリーチャー全員で攻撃すれば…」

 

「何もないなら、彩ちゃんの勝ちね」

 

「ジコッチで最後のシールドをブレイク!」

 

これで何もなければ………!

 

 

 

「まぁ、《青寂(せいじゃく)精霊龍(せいれいりゅう) カーネル》なんだけどね~。出た時の効果でメラッチを止めるよ~」

 

 

 

………あっ。

 

「ベルファーレで手札に戻したカーネル……?」

 

「そーだけど…もしかして忘れてたり?」

 

「「彩ちゃん(アヤさん)…」」

 

「ま、まぁまぁ。次から気を付ければ大丈夫大丈夫…」

 

う、うう~~~~~は、恥ずかしいーーーーー!

 

「た、ターン終了…」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「大丈夫だってわかってたけど…るんっときちゃったよ!やっぱり彩ちゃんは面白い!」

 

「確かにそのデッキだとあのターンで勝ちに行くならブリキングしかいなかった。それを引き当てる丸山さんは凄いよ」

 

………あのあと、日菜ちゃんのターンの総攻撃で私はトリガーを1枚も捲ることが出来ずに負けてしまった。

 

「お二人共、お疲れ様でした!見ててとても手に汗握るデュエマでしたよ!」

 

「ありがとう、麻弥ちゃん…」

 

あの場面は落ち着いて日菜ちゃんの盤面を崩すべきだった。コマンデュオだけなら少なくとも次のターンで負けてしまうことはなかったはずだ。

 

「二人とも良いデュエマだった。初めてやったとは思えないくらいだ。1ヵ月もあればきっとフェスも成功間違いなしなデュエマが出来るようになってると思う」

 

「しょーくんそれ本当!?」

 

「うん、氷川さんなら俺よりも強くなるんじゃないかなぁ…」

 

「え~、そんなことないと思うけど?あっ、そういえば『進化』って―――」

 

「イヴさん、彩さん達が終わったので次はジブンとデュエマしませんか!」

 

「はい!マヤさん、お願いします!押忍!」

 

 

 

高宮君の説明を日菜ちゃんが聞き、イヴちゃんと麻弥ちゃんが準備を始める。

 

「いつまで浮かない顔してるの、彩ちゃん」

 

「あっ、千聖ちゃん……」

 

どうやら顔に出てしまっていたようだ。

 

「私、まだまだだなぁ…って思っちゃって」

 

「最初から上手にできる人なんて日菜ちゃん位よ?麻弥ちゃんも言ってたけど手に汗握るデュエマだったと私も思うわ」

 

「千聖ちゃん………!ありがとう!フェス、成功できるように頑張ろうね!」

 

そうだ、失敗したら本番までに練習すればいい。それはバンドもデュエマも同じだ。

 

「よーし、頑張るぞー!」

 

気持ちを改めて引き締めるとイヴちゃんと麻弥ちゃんの観戦に意識を向ける。

 

この日はこの後千聖ちゃんと高宮君が一戦行い解散になった。

 

 

 

 

 

まだまだ私たちのデュエマは始まったばかりである………




プロットが消えたりリアルが忙しくて7月に…次回は日常回(予定)ですー!


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そのデッキは…

日常回です!

新殿堂でちょっと冷や汗…これから出てくるデッキに影響はない…はず



~前回のあらすじ~

彩と日菜のデュエマ。革命チェンジを駆使し速攻を仕掛ける彩であったが日菜の強固なシールド・トリガーの前に突破することが出来ずそのまま敗れてしまうのであった…

そしてフェスに向けての練習が始まる…!


………パスパレとの初めての出会いから2週間が過ぎた。

 

この2週間はとにかく忙しすぎて一瞬で過ぎていった。バンドの練習との調整、メンバーのスケジュールの調整、教える内容について等々。

 

トレーナーさんやマネージャーさん達と話し、調整して時間を作りパスパレのみんなにデュエマを教える。初めは高校生、なおかつ社長の息子ということもあり冷ややかな目で見られていたようだが回数を重ねる内にそんな目で見る者はいなくなっていた。

 

そして練習を積み重ねていく中で、メンバーそれぞれが自分に合うデッキを見つけていきフェスに向けてひたすら調整を続ける日々が続いていた。

 

「しかし………どうしたもんかねぇ」

 

そんな中での問題が1つ。氷川さんのデッキがなかなか決まらないのだ。

 

デュエマでもその持ち前の天才性を発揮し、ぐんぐん上達していった彼女は他の誰よりも一番乗りで自分のデッキを組み上げた。…のだがその翌日には彼女は別のデッキを使っていた。聞いてみたところ最初はるんっ♪としていたが回しているうちに段々るんっとしなくなりそのまま解体してしまった…と。

 

そこで俺は色々なデッキを氷川さんに教えた。オーソドックスなデッキから玄人向けなデッキまで俺の知りうる限りのデッキを教えたが、彼女はそれを完璧に使いこなすと翌日には別のデッキを教えてほしいとねだってきた。

 

気が付くと他のメンバー全員が自分に合うデッキを作り、氷川さんだけが取り残される事態となってしまっていたのだ。

 

「あと2週間…早く決めないと色々とまずいんだよな」

 

「色々とまずいって…何が?」

 

「うおっ!?って沙綾か…びっくりした」

 

悩んでいる俺に背後から声をかけてきたのは同じクラスの山吹 沙綾だった。

 

「どうしたんだ?店、今忙しい時間じゃ…」

 

「翔がず~っと考え込んでる間にお客さんのピーク終わっちゃってる」

 

「マジか!?」

 

そう、俺は今日の昼ご飯を買いに山吹ベーカリーに来ていたのだ。休日平日問わずそのおいしさから客足の絶えない店ではあるが…どうやら俺は深く考え込みすぎてたようだ。店に残っているのは自分1人だけになってしまっていた。

 

「ああっ、カレーパン……」

 

ピークが過ぎているということは店の商品も少なくなっているわけで……俺の大好きなカレーパンは跡形もなく姿を消してしまっていた。

 

「あはは…ちょっと待ってて」

 

そう言って沙綾は店の奥に行くと紙袋を持って戻ってきた。

 

「はい、カレーパン。焼きたてじゃないけど…どうぞ!」

 

「えっ!?いいのか?」

 

「もちろん!翔にはいろいろお世話になってるし」

 

「色々って…純にデュエマ教えてる位だぞ?なんだか申し訳ないな…」

 

沙綾には純という弟と沙南ちゃんという妹がいる。純には俺の時間が空いているときにデュエマを教えていたのだ。最近は忙しくて中々会うことが出来ていないが…

 

「いーのいーの!それに…」

 

「それに?」

 

「…ううん、なんでもない!それより今日もお手伝い?」

 

「ああ、デュエマフェスまで時間も残り少ないからな」

 

沙綾には俺が学校で考えているところを問い詰められ事情を話している。最初は驚かれたがあまり深くは聞かないでくれている。言いふらすような話でもないのでその気遣いが非常にありがたかった。

 

「おっと、もうこんな時間か…カレーパンありがとう沙綾。純によろしくな」

 

「うん、お手伝い頑張ってね!」

 

沙綾の声援を受けながら山吹ベーカリーを後にする。

 

 

 

「しかし、氷川さんのデッキをどうしよう…最悪俺のデッキを貸してみるか…?」

 

これでダメだったら本当に打つ手がない。その時は本人には申し訳ないけどデッキを選んでもらうしかない…

 

そんな俺の悩みは―――――

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「しょーくん!使うデッキ、決まったよ!」

 

「え?」

 

事務所に行くと、いつの間にか氷川さん自身が解決していたのだった。

 

「ほ、本当か!?また1日で飽きたりとか…」

 

「大丈夫、大丈夫!今回は本当にるんっ♪ときたんだ~」

 

氷川さんがここまで言うとは…本当に心配なさそうか。

 

「しょーくんが来る前に彩ちゃんやイヴちゃんとデュエマしたんだけど連戦連勝!完全無欠って感じかな~」

 

「ヒナさん、とても強かったです!1本も勝てませんでした!」

 

「完敗…強すぎるよ~!」

 

丸山さんや若宮さんがまったく勝てないとは…本当に氷川さんと相性のいいデッキなのだろう。

 

「マナ加速にドロー、除去に特殊勝利までなんでも出来る日菜さんらしいデッキでしたよ!」

 

「【マスター・W・ブレイカー】…聞いたこともない能力だったわね…高宮君は知っているかしら?」

 

………【マスター・W・ブレイカー】?というか…マスター!?

 

「白鷺さん、それは本当ですか!?」

 

「え、ええ…」

 

「氷川さんごめん、そのデッキ見させてもらってもいい?」

 

「うん、いいよ~どうぞ!」

 

俺は受け取ったデッキの中身を急いで確認する。………な、なんだ、これ………!?

 

「………ありがとう、氷川さん。とりあえず今日の練習なんだけど…」

 

予定変更だ。俺は急いでメモに簡単な地図を書き丸山さんに渡す。

 

「高宮君?この地図は一体…」

 

「氷川さんはデッキの調整。ほかの皆さんは丸山さんに渡した地図の場所に行ってもらって練習をお願いします」

 

「高宮君はどうするの?」

 

「俺は氷川さんのデッキ調整に付き合う。付いていきたいのは山々だけど…あと2週間だから、メンバー同士でデュエマする以外にも今渡した場所で経験を積んでもらおうかなと思って」

 

「うん、わかった!それじゃあ、みんな行こう!」

 

丸山さんは氷川さん以外のメンバーを連れて外に出る。………よし。

 

「それじゃあ、調整する前に氷川さんに聞くけど………その(・・)デッキ、どこで手に入れたの?」

 

「昨日のバンドの練習の帰り道に拾ったんだ~」

 

氷川さんが答える。拾った、か…ほぼ確定とみていいだろう。

 

 

 

「そっか…氷川さん、突然で申し訳ないんだけど…そのデッキがどういうものなのか…見させてもらうぞ」

 

俺は1枚のカードを取り出す。それと同時に取り出したカードが強烈な光を放つ。

 

光が収まると俺と氷川さんは事務所の会議室ではなく何もない殺風景な荒野にいた。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「なにこれなにこれ!?しょーくんどうやったの!?」

 

突然しょーくんの雰囲気が変わった!と思ったら、あたしたちのいる場所まで変わってしまっていた。

 

「それは…今からやる俺とのデュエマに勝てたなら教える」

 

そう言うとしょーくんがデッキを取り出す。

 

「!!」

 

彼の雰囲気がまた一段と鋭くなるのを感じる。あのデッキ、いつもしょーくんが使っているデッキと全然違う!………なんだかとってもいつも以上にるんっとする!

 

「なら早速っ…!」

 

あのデッキと勝負してみたい。そんな思いでしょーくんにデュエマを挑もうとすると、

 

 

 

「待つんだ!日菜!」

 

 

 

あたしやしょーくんでもない第三者の声が響く。その直後、デッキから1枚のカードが飛び出した。

 

そのカードからあたしの目の前に銀の馬に乗り、赤いテンガロンハットを被ったいかにも西部劇に出てきそうな風貌をしたガンマンが現れた。

 

「えっ!?ジョニー!?」

 

そう、その姿は紛れもなくあたしのデッキの切り札…《ジョリー・ザ・ジョニー》だった!

 

「しょーくんしょーくん!ジョニーだよ!ジョニーが実体化してるっ!」

 

どうして実体化しているかはわからないけど絵で見るよりもるんっとする!

 

「このデュエマは絶対に受けては駄目だ!命に関わる!」

 

「命?」

 

「…そのカードが言う通りこのデュエマは真のデュエマ。負けた者は命を落とす」

 

私の疑問に答えるかのようにしょーくんが言った。

 

「ただ、俺が奪うのは氷川さんの命じゃない。そこにいる《ジョリー・ザ・ジョニー》、お前の命だ」

 

意味がよくわからない。ジョニーの命?

 

「デュエルマスターズには稀にカードに本物のクリーチャーが宿ることがある。ジョニーはその中でも特に特別なクリーチャーだと推測している」

 

「そうなの、ジョニー!?」

 

「ああ、その少年の言うことに間違いはない」

 

まさか本当にクリーチャーが実在してるなんて…

 

「俺は今まで色々なクリーチャーを見てきた。それでも…【ジョーカーズ】なんていう聞いたことのない文明を従えるクリーチャーは初めてだ」

 

ジョーカーズ…彩ちゃんやパスパレのみんなも知らないって言っていたけどしょーくんすら知らない文明だったの!?

 

 

 

「だからこそ、氷川さんとデュエマしてジョーカーズを俺が見極める。もし危険であれば俺がジョーカーズを…滅ぼさなきゃいけないから」

 

 

 

滅ぼす。それが当たり前のことのようにしょーくん…いや、目の前の少年はそう言い放った。

 

「………今のしょーくん、るんってしない!そんなよくわかんない理由で滅ぼすのは間違ってるよ!」

 

「日菜…」

 

「やろう、ジョニー!あたしたちのジョーカーズでいつものるんってしたしょーくんに戻そう!」

 

「……ああ!」

 

そういうとジョニーは再びカードとなりあたしのデッキの中に戻っていく。

 

「ジョーカーズを滅ぼすなんて絶対にさせないよ!」

 

「行くぞ、ミラダンテ、………!」

 

小声で何か呟いていたようだがあたしの耳には届かない。

 

 

 

 

 

「「真のデュエマ、スタート!」」

 

 

 

 

 

こうしてデッキ調整のはずが、絶対に負けられないデュエマが始まってしまうのであった………




以上日常?回でした。遅くなってしまい大変申し訳ございません。

カードゲームにオカルト要素は付き物!ということで日菜ちゃんのデッキは【ジョーカーズ】に決まりました!このBanG Dreamasters!世界では【ジョーカーズ】は誰も知らない未知の文明という設定となっています。

次回はなるべく早く投稿していきたいです…


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特訓

日常回です。別行動となった彩ちゃん達のターン!



~前回のあらすじ~

フェスまであと2週間。日菜のデッキが決まらず焦る翔の前にるんっとしたと日菜が持ってきたデッキは翔も知らない謎のデッキ、【ジョーカーズ】だった!未知なる文明を前に翔はジョーカーズを知る為に日菜に【真のデュエマ】を挑む…!

一方、翔に紹介された店に向かう彩達は…


「…彩ちゃん、本当にこのお店(・・・・)で合ってるの?」

 

「えーっ、と…」

 

私は高宮君から貰ったメモを改めて確認する。メモの場所はここで合っているはずなのだが………

 

「どうみても駄菓子屋さんですね…」

 

そう、たどり着いた場所は「きつね屋」という看板が掲げられ、麩菓子やフーセンガムといった色々な種類の駄菓子が並べられた店だった。

 

「デュエルマスターズを取り扱っているお店には見えないわね…」

 

「周りにもそれらしい店は見当たりませんし、翔さん…もしかして」

 

「そ、そんなこと!ない…と思う」

 

「騒がしいねぇ…お客さんかい?」

 

店の外でみんなと話をしていると中からこの店の主であろうおばあさんが現れた。

 

「あっ!?えーっと…「おばあさん!こんにちは!」イヴちゃん、この人を知ってるの!?」

 

「はい!アルバイトに行く時にこの道を使うのでよく会うんです!」

 

「おやおや、イヴちゃんじゃないか!今日もアルバイトかい?」

 

「いえ、今日はこのお店に来ました!このお店でデュエマの特訓が出来ると聞いたので!」

 

「でゅ、でゅえま?電化製品か何かかい?」

 

どうやらおばあさんはデュエマのことを知らないみたいだ。

 

「おばあさん、私達は高宮翔さんからこの店を紹介していただきました。…この店ではデュエルマスターズを取り扱ってないのですか?」

 

今度は千聖ちゃんがおばあさんに質問をする。その際に千聖ちゃんがちらっと私の方を見てきた。

 

「(彩ちゃん、あのメモを)」

 

「あっ、うん!おばあさん、このメモに書かれた地図を見てここに来たんですけど」

 

おばあさんに地図が書かれたメモを渡す。これなら―――――

 

「うーん…場所はここで間違いないけどでゅえるますたーずや高宮って人は知らないねぇ…」

 

そ、そんな…なら、本当に間違えて…?

 

「そうですか…ありがとうございます」

 

「…もしかしてだけどあんた、白鷺千聖ちゃんかい?」

 

「え、ええ。そうですが…」

 

「やっぱり!はぐれ剣客人情伝、見てたわ~」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「普段はあんまり時代劇とか見ないんだけど人情伝だけは毎週欠かさず見てたわ、特にあの…」

 

これ、結構長くなりそうな予感…

 

「すみません、おばあさん!ちょっと他のお店をあたってみます!行こう、みんな!」

 

「そ、そうですね!行きましょうイヴさん、千聖さん!」

 

「えっ、あっ彩ちゃん、麻弥ちゃん!?」

 

驚く千聖ちゃんの手を引きながら一旦私たちはきつね屋を後にするのだった…

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「あっ、いらっしゃいませっ!………ってパスパレの皆さん!?」

 

「こんにちは、つぐみちゃん!」

 

一旦、落ち着ける場所に行こうという麻弥ちゃんの提案で私たちは羽沢珈琲店にやってきていた。

 

「どうぞ、ごゆっくり」

 

つぐみちゃんに席を案内され、全員が落ち着いたところで私から話を始めた。

 

「さっきのことだけどおばあさん、一体どういうことなんだろう…?」

 

「うーん…先程はジブン、翔さんが店を間違えたと考えたんですけどやっぱり、そんなことはなさそうですね」

 

「マヤさん、それはどういうことでしょうか?」

 

「普段の翔さんなら、お店を間違えたのならこの中の誰かに連絡をしてくると思うんです。でもそれがないとなると…」

 

「あの店で間違いない、ってことだね!」

 

「私も麻弥ちゃんと同じ意見だわ。あのおばあさんの様子をよく見ていたのだけど…メモを渡した時と高宮君の名前を出した時に少しだけ目が泳いでいたの」

 

「千聖ちゃん、本当!?」

 

千聖ちゃんが言うならほぼ間違いはないだろうけど…私も近くでおばあさんを見てたけどそんな細かい表情の変化、全く気が付かなかった…

 

「でも、もう一度行ってもさっきみたいにまたはぐらかされそうね…」

 

「イヴちゃん、あのおばあさんについてもっと詳しいことって知らない?」

 

「うーん…すみません、アヤさん。私もおばあさんのことはあまり詳しくは知らないんです」

 

「そっかぁ…」

 

どうしよう、完全に手詰まりだ。こんな時、高宮君がいれば…って!

 

「そうだ!高宮君に連絡しておばあさんに事情を説明してもらおうよ!」

 

「あー、すみません彩さん。ジブンもさっきそれを思いついて電話をかけてみたんですけど、繋がらなかったんですよね」

 

「あう…」

 

そうなるともう本当に…

 

「あの、注文はお決まりですか?」

 

話が一区切りついた所でつぐみちゃんが注文を聞きに来た。

 

「ああっ、まだ何にするか決めてなかった!」

 

「あはは…そういえば今日は日菜先輩だけいませんけど別のお仕事なんですか?」

 

「ヒナさんは今日はデュエマの個人練習なんです!」

 

「えっ!?そう、だったんですか…」

 

「私達はこの近くの場所にデュエマの練習が出来る場所があるって聞いてきたんだけど…あっ、つぐみちゃんはこの場所知ってるかな?」

 

私は地図が書かれたメモをつぐみちゃんに渡す。

 

「えっ、………っ!」

 

つぐみちゃんはそのメモを見ると、驚いたような顔をしたあと、

 

「………知って、いますよ」

 

いつになく真剣な顔つきでそう言った。

 

「本当!?なら…」

 

「その前に…私とデュエマをしませんか?」

 

「………えっ?」

 

突然のことで思考が停止する。つぐみちゃんが…デュエマ?

 

「この中の誰でも構いません、私とデュエマをして皆さんが勝ったらそのお店………『きつね屋』のことについてお話します。でも、私が勝ったら…高宮君、いや、翔君のことについて教えて欲しいんです!」

 

「………翔君、ね。私はやってもいいと思うけど…彩ちゃん、どうする?」

 

色々と話が追いついていけてないけど………立ち止まっているより、ここは誘いに乗るべきだ。

 

「うん、わかった。デュエマしよう、つぐみちゃん!」

 

「ありがとうございます!デッキの準備、してきますね!」

 

そういうとつぐみちゃんは急いで店の奥に向かっていった。

 

「驚きました…まさか羽沢さんもデュエマをやっていたなんて。イヴさんはこのこと知っていましたか?」

 

「いえ、私もツグミさんがそういう話をしたところは一度も見たことなかったです」

 

「とりあえずつぐみちゃんのことはひとまず置いておくとして、誰がつぐみちゃんの相手をしようか?」

 

「日菜さんがいれば真っ先に名乗り出るんでしょうけど………」

 

「ふふっ、確かに日菜ちゃんなら真っ先に名乗り出たでしょうね」

 

確かに日菜ちゃんがいればるんっとしてきた~みたいな感じですぐに決まったに違いない。だけど、この場に日菜ちゃんはいない。

 

私達は誰が勝負を受けるかを話し合って決めた後、つぐみちゃんが戻ってくるのを待つのであった………

 

 

 

 




魔女っ子のお悩み相談解決やらなんやらしていたら投稿が…すみません

次回はデュエマ回です!



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