戦姫絶唱シンフォギア ~私にとっての癒し~ (ぬヰ)
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後悔

きりみくストーリーです。
ちょくちょく響や翼さんが出てきます。


月読調……昔、孤児院にいた時、私が声を掛けた少女の名前。

名前が分からないからここに来た時に名前を貰ったと少女は言った。

その時私はその少女に言った。

 

・・・私もここに来た日にちを誕生日にされた、似た者同士仲良くしよう

 

って。

 

月読調という少女はやんちゃでお調子者の私とは逆に内気で、大人しい性格だから正直気が合わないと思っていた。

でも、何故か月読調と言う少女と居ると毎日怯える生活の中、少し安心出来た。

その理由は分からない、でもお互い信頼出来る、安心すると言う気持ちがあって、どんなときも一緒に居た。

今だってそう、S.O.N.G.に所属している今もそう、調とは一緒だった。

 

 

【なのに………】

 

 

 

 

 

風もなければ音もない、そんな空間に私、暁切歌は立っていた。

切歌の前にはガラス張りになった壁。その壁に手を付いてガラスの向こうの景色を見つめている。

切歌のいる空間には自動販売機、椅子が置いてある。勿論切歌の他にも人は居た、自販機だって正常に動いている。

だが、人のひそひそ声や自販機のウィィンという起動音その他諸々の音は切歌には聴こえていなかった。

緑色の瞳に映し出されていたのは白い空間に白衣姿の大人達、真ん中には黒い髪をした少女が横になっている。

いつも2つに結ばれている髪は下ろされ、綺麗に体の下へと敷かれていた。

どのくらいの時間が経ったか分からないが切歌がこの光景を見てからその少女はピクリとも動いていなかった。

 

 

【どうして…………】

 

 

 

 

 

風も音もない、ただガラスの向こうの光景を見つめる切歌。

そんな映像だけの空間に1つの"音"が鳴り響いた。

ガチャッと言う音で、後からコツ…コツ…と歩いてくる音が聞こえた。

1度もガラスの向こうの光景から目を逸らさなかった切歌がその音がする方へ目を向けた。

そこにはある人にとっての陽だまり、ある人にとっての癒しである存在。

 

私に例えると調のような存在の人だ。

 

「切歌ちゃん、行こ?」

 

切歌は再びガラスの向こうを見てから、その空間を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日前だ。

数日前のトレーニング中に起きた……

 

私と調は錬金術師と言う存在がまた出てきてしまった時に立ち向かえるために戦闘形式で練習していた。

私と調、正面でやり合っていた。

 

「行くデスよー!調!」

「いつでもいいよ!」

 

それぞれ私と調は鎌と鋸を多様に使って戦いを繰り広げていた。

調の鋸は私の鎌と違って、小回りが聞く、対して私の鎌は大きく振りかざすような動きをしている。

私はこれでは調に負けてしまうと悟った。

調に負けたら錬金術師ともやり合うことは出来ないと考えた私はどうにか調に勝つ方法を考えてしまった。

恐らく調は私を傷付けないようにギリギリで制御しているにも関わらず、私は調に鎌を当てる事を考えてしまっていた。

私は調に実力で離されるのが嫌だった……

そう思ったせいか、最後調が大ジャンプした時に私も大ジャンプをして、鎌を振りかざした。

 

パリィィンッ!

 

 

「え……」

「あぁ……」

 

私が振りかざした鎌の先が調の胸に付いているペンダントに当たり、砕けてしまった。

 

「調ぇ!!」

 

私は急いでギアが解かれ、そのまま重力に従って落ちている調を助けようとした。

しかし、地上からは約5m間に合うわけもなく調は地面に落ちた。

それも、首から。

 

ドガッという鈍い音が鳴ると調の体は少しだけ宙に浮き、再度叩きつけられた。

 

「何事だッ!」

 

叫び声を聞いて駆けつけた風鳴弦十郎は倒れている調を見つけると

 

「至急手当てをするんだッ!緒川ッ!!調君を病院へッ!!」

 

と咄嗟に判断し、場を支配した。

 

「調が……調がッ!」

 

「大丈夫だ、しかし何故こうなったのだ」

 

私は起きた事を全て話すと、そんな事が…と驚きながら自分を責めるなと言い、倒れた調を抱え、緒川さんに渡した。

それから調は風鳴家が手掛けている病院のような施設に送られ、治療している。

急いで向かった私はそれからずっと調を見つめていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「もうすっかり暗くなっちゃったね……」

 

迎えに来てくれた小日向未来は一緒に病院を出た切歌に向かって話すが切歌は何も言わない。

 

「大丈夫、切歌ちゃんは悪くないよ、調ちゃんだってすぐ治るよ」

 

未来はそう慰めたが、それが逆に起きた事を思い出させてしまい、切歌の様子が急変した。

 

「はぁ……ッ!はぁ………ッ!!」

「切歌ちゃん!?」

 

切歌の呼吸は徐々に荒くなり、胸辺りの服をギュッと握っている。

 

ー過呼吸…!?

 

そう思った未来は切歌に水を渡した。

 

「落ち着いて!ゆっくり水を飲んで…!!」

 

切歌はゆっくりと水を飲んだ、、、が……

 

ゴホ……ッ!!ゴホ……ッ!!

と切歌は口に含んだ水を吐き出してしまった。

さっきよりも呼吸は荒くなり、とても苦しそうだった。

汗がびっしょりとかいていて、未来はどうしていいか分からずオドオドしていると………

 

未来の視界から切歌が消えた。

その刹那、バタッと切歌が倒れてしまった。

 

「切歌ちゃん!?切歌ちゃん!!」

 

「どうした!小日向!」

 

駐車場でバイクによっかかり未来達を待っていた翼が未来の声に気付き、未来の元へ駆けつけるなり、切歌の様態を確認する。

 

「気を失っている、1度本部に戻ってエルフナインに見てもらおう」

「でも、ここ病院なんだからここで見てもらえばッ!」

「ここは風鳴家が施している場所だ、たとえ私であっても動かす権利は無い、おじさま……いや風鳴司令が居れば動かせると思うがな…」

 

翼は切歌を抱えると、バイクの方まで持って行った。

 

「小日向、お前が暁を連れて行け」

 

「え!?でも私免許証なんて無いですよ!?」

 

「お前をここに置いて行くわけにも行かない、あの立花が騒ぐからな」

 

「でも、運転分かりませんし…」

 

「んー、なら今教えてやろう」

 

翼は切歌を寝かせると、未来の手を取りバイクのハンドルに未来の手を乗せるとその上から被せるように自分の手を置いた。

 

「いいか、ここをしっかり掴むんだ」

 

翼の顔は未来のすぐ横にあって、多少背中に胸が当たっていた。

 

「分かったか?」

 

「は、はい……」

 

「ん?大丈夫か?顔赤いぞ?」

 

「だ、大丈夫です!!!」

 

「そうか、それじゃあよろしく頼むぞ」

 

そう言うと未来は恐る恐るバイクに跨る。

翼は切歌を抱えて、後ろへと乗せると、未来とガッチリ繋いで離れないようにした。

 

「これで大丈夫だろう」

 

「翼さんはどうするんですか?」

 

「私は歩いて帰るとするよ、ほら早くハンドルを」

 

「は、はいぃぃ!!」

 

無謀な翼の案でバイクを運転する事になった未来は自信が無かったが、ハンドルを切った。

 

ブォォン!!

 

と言うエンジン音が鳴るとそのまま前進した。

 

「ひえぇぇ!!」

 

未来は悲鳴をあげながらも運転し始めた。

 

 

 




ご覧頂きありがとうございます。
文章能力が皆無ですが出来ればお付き合い下さい。


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