ヒロインが全員ヤンデレなサノバウィッチ (タキオンのモルモット)
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プロローグだよ

とある人とのTwitterでの会話

「ヒロイン総ヤンデレが求められる」

「書きましょうか?」

「任せた」

任されました!!!!!!


──────俺は何処で何を間違えたのだろう。

 

保科柊史はそんなことを考えずには居られなかった。

 

本当に何を間違えたのだろう。というかどう間違えれば痴女のような格好をした女の子とふりふりの衣装を着た女の子が拳銃とハンマーでバトルを繰り広げているのだろう。

 

「柊史君は渡さないよ!!」

 

「何を言っているんです?柊史君は前世から私のものです……!!」

 

と、こんな具合でずっとだ。しかも何故か俺以外は認識できていないらしい、謎だ。

 

「セーンパーイ!!モン猟しましょうよー!!」

 

と、そんな光景を廊下から見ていたら後輩の女の子から後ろから抱きつかれた。

 

しかし疑問だ、俺はこの女の子と()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そんな事を思っている間にクラスメイトの仮屋和奏が歩み寄ってきた。

 

「……保科、その娘は誰なのかな、浮気?」

 

おかしいな、俺は仮屋とは付き合って無いはずなのだが。

 

「……センパイ、誰なんですかこの金髪。浮気ってどういうことなんですか?」

 

ああ、もうまたなんか始まりやがった。

 

言い争う彼女等をその場において俺は逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……海道、俺は何もしてないんだ……」

 

「解ったからとりあえず水を飲め、また吐きかけてるじゃねえかお前……」

 

心を五感で感じられる保科柊史にとって彼女等の想いはハッキリ言って地獄そのものだった。

 

「お前も大変だな………少し羨ましいが」

 

「変わるか?いつでも変わってやるぞ?」

 

「やだよ、流石の俺もあれは勘弁だわ。」

 

軽口を叩きあえる親友というのはこんなにも素晴らしいものだったのか。今まで蔑ろに扱ったことを少し申し訳なく思う。

 

「「「「みーつけたぁー」」」」

 

とそんな事を考えていると彼女達に見つかってしまった。

 

「やべえ見つかったぁ!!」

 

「ご愁傷様柊史君、君のことは忘れない」

 

「海道おおおおおおおおおおおおお!!」

 

「馬に蹴られて死にたくねえし!!」

 

「お、ここに居たのか、海道。」

 

「げ、久島先生!!!?」

 

「丁度良かった、お前に進路について話があるんだ、何、直ぐに終わるさ……ふふふ、大学進学なんて許さない、お前は私の婿になるのさ……」

 

「ちょ、ま、いやだぁぁああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふふふふふ、会長!!会長の体操服!!良い匂い!!最高!!うふふふふふふふふふふふふふふ」

 

「え、こ、越路さん……!?み、見ちゃいけないもの見ちゃったかな……?」

 

「あっ………会長が見てる……会長に見られてるっ……!!達しちゃう……!!」(ビクンビクン

 

 

 

 

 

 

 

この物語は!!

 

何かの間違いで何もかもが狂った、if世界の物語!!

 

ヤンデレ達を相手に、彼等、彼女は生き残れるのか!?

 

ヒロイン総ヤンデレのサノバウィッチ、超不定期更新でいざ、開幕!!




まあ、こっちは気紛れで更新するのでのんびり待ってて下さい!!


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設定☆


セイバーウォーズマジ辛い


被害者サイド

 

保科柊史

原作主人公、ヤンデレに追われる日々。五感で他人の心を読む能力を持つ。その能力をあまり好きになれなかったが今となっては全力で逃走に使っている、があまり役に立ってない。

 

海道秀明

柊史の親友。最初ヤンデレに追い回される柊史を面白がって見ていたのだが他人事ではなくなってしまった。よく他の生徒に生贄にされる。

 

戸隠憧子

生徒会長。見てはいけないものを見てしまった。今は常識人だけど…………?

 

アカギ

紬がおかしくなったことに凄く混乱している。物凄く混乱している。取り敢えず今は紬の味方のふりをしながら柊史を助けているツンデレ

 

 

ヤンデレサイド

 

綾地寧々

二週目。しかし何かの手違いで過去に飛んだ理由だけを忘れてしまった。

当然前世の柊史との日々は覚えている。だがこの世界で前世の柊史君の心の欠片が入り込む……なんて事はなかった。そのため前世云々なんて信じて貰えない。そりゃ病むわ。

因みに二週目に飛んだ理由を忘れたからか、ソレを補うように魔女衣装を装着できる。但し、心の欠片は回収できない。つまりアルプのように心が弱ってる人間に無理矢理穴を開けられるのだ。やったね、依存させることはできそうだ!!

 

因幡めぐる

偶々柊史に助けられたときに一目惚れ。以来ずっと付きまとっているストーカー系女子。ちーちゃんの事なんて覚えてないくらい愛が重い。ちーちゃん涙目。

 

椎葉紬

何がどうなったのか、柊史の中学時代の同級生(って設定で今作は進めます)。魔女の代償も微妙に違うらしい。中学時代告白できずに後悔していたら偶然の再会。でも周りには女の子だらけ。結果として病んだ。でもまだマシ。

 

仮屋和奏

原作よりちょっと愛が重め。柊史君の為なら何でもするよ。そんな感じ。……今正直に薄いとか言った人、手を上げなさい。仮屋が最強だからな(予定)

 

越路美穂

ある意味原作通り。というより原作より悪化した感じ。自重という言葉を知らない変態。バレなきゃ犯罪じゃないんですよ。

 

久島佳苗

妖怪いきおくれゲフンゲフン。主人公達の担任。何処からか海道が自分のことを好きだという情報を聞きつけ「もう生徒でもいいか!!」と開き直った。かと言って成績を贔屓したりはしない辺り先生としては優秀。

 

 

中立

保科太一

主人公の父親。何人もの女の子が息子のお嫁さんを名乗っている事態に困惑しているが愛は本物だと思って任せても良いかなぁって思ってる、諦めているともいうが気にしてはいけない。

 

相馬七緒

ほぼほぼ主人公達の味方ポジション。大体シュヴァルツカッツェで匿ったりしてる。基本的に優しさの塊。

 

原作との違い

•保科君が能力に前向き(というより今失ったら困る)

•寧々ちゃん二週目なのに魔女衣装、武器あり

•紬ちゃんの代償

•全員ヤンデレ



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1-1 最初から何かおかしい?気にするな!!


最近前書きに投稿ペースに関しての謝罪以外の何も書くこと思いつかない

……あ、そういや、シティーハンター新作なんだってね。当時の声優さんが全部続行だっけ、楽しみだなぁ……

柊史「お前今二十歳にもなってねえだろなんで知ってるんだよ!!」

アニ◯ックスは偉大、あとからくりサーカスも楽しみ。

柊史「だから、世代!!」




まず初めにこれだけは言っておく。

 

俺は、綾地寧々とは何の関わりも持ったことが無い。

 

にも、関わらず。にも関わらずだ。

 

彼女は俺のことを、隣のクラスだというのに一年の時からずっと見つめてくるのだ。

 

 

 

彼女と最初に出会ったのは入学式の時だったか。何故か校門の前に立っていたのは覚えている。その時は「美人だなぁ……」程度にしか考えてなかった。

 

一年の時、彼女は別のクラスだった。隣のクラスに凄い美少女がいるとか何とか聞いてたから多分それだろう。だが、そんな事俺には関係ない、そう思っていた。

 

まさか、次の日からその当人にストーカーされるとは思ってなかった。

 

まあ、ストーカーと言っても顔があったら見えなくなるまでこちらを見つめられたりその程度だ。……いや程度ではないんだけど。まだ本格的なストーカーよりは遥かにマシだ。

 

その時、彼女から感じた味は……例えるならこってりしたラーメンのスープ(温)を流し込まれた感じだ。……執着心……なのだろうか?

 

そして彼女の心がどうであれ、見つめられ続けているという事実も悪い。嫉妬やその他諸々の感情が襲ってくる。俺が何をしたっていうんだ。

 

兎に角、色々な経緯があり、俺は綾地寧々という少女が、少し……否、かなり苦手だ。

 

さて、現実逃避はそろそろ止めにしよう。止めにしておこう。今はこの状況を───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「保科君、少し話したいことがありますのでオカ研の部室に来て下さい」

「ごめんなさい用事が」

「来て下さい」

「だから用事」

「来て下さい」

「あの……」

「き て く だ さ い」

 

その苦手な人に、脅されながら呼び出されているこの状況をどうにかしなければならない。

 

 

 

 

 

「……保科、お前一体何したんだ?」

 

「知るかよ、こっちが聞きたいよ」

 

放課後、直前。ホームルーム終了後。

 

俺は意気消沈……いや違うな、最早意気消沈なんて言葉では済まない程にダウンしていた。 

 

何もかもが恨めしい。綾地さん《苦手な相手》に呼び出された事もそうだが。彼女は一応、人気者なのだ。

 

呼び出された事に対する嫉妬、呼び出しを断わろうとしたことに対する怒り、その他諸々。冗談じゃない、キャパオーバーだ。

 

これで大した事じゃなかったら暫く足の小指をタンスの角にぶつけ続ける呪いをかけてやる……いやまあ、んなもん知らないけど。その位は思ってる。

 

「うぇ……まだ吐き気がする……」

 

「お前ってそんなに緊張する奴だったか?」

 

「いや、違う違う。ただ単に気が乗らないんだよ……」

 

「何でだよ、学院のアイドル綾地さんからの呼び出しだぞ!?」

 

「いや、なんていうか……苦手なんだよ……」

 

有無を言わさない態度、今までのストーカー行為その他諸々。

 

兎に角苦手だ。

 

「はぁー……行きたくねえ……逝きたくねえ……」

 

「字が不穏だぞおい。そんなに嫌なら断れば……無理か、ゴリ押しされてたもんな……」

 

「人生マジクソゲー」

 

「いつもの五割増しで死んでるぞお前の目、大丈夫かおい」

 

「大丈夫だ問題ない」

 

「ダメじゃねえか!?」

 

そんなことをしている間にもどんどん気分は悪くなっていく。そりゃそうだ。まだ人が居るんだから。大方今尚、逃げようとしていることに対して怒っているんだろう。流石の俺でも解る。

 

「まあ、流石に綾地さんの個人的な用事って訳じゃ無いと思うよ?」

 

「……あー、仮屋か……それどゆこと?」

 

「女子の間では有名だよ?綾地さん悩み相談受け付けてるんだって、私もこの間ちょっと行って受けてさ、バイト先紹介して貰ったんだ」

 

「……悩み相談?オカ研なのに?」

 

「オカ研なのに。」

 

……謎だ。

 

「で、和奏ちゃん、それ何の関係があるの?」

 

「ん?ああ、要するに、綾地さんに何かを頼んだ何者かが保科に用があるんじゃないかって話。」

 

「……それはそれで怖いんだけど!?」

 

何だ!?俺何もしてないよな?だって人付き合い少ないから誰かに怨みを買うこともまず無い……それにこの体質を持つ以上、誰かの言いなりになってた方が楽だからずっとそうしてきた……言いなりになってるのに流石に怨みを買うとか……ないよね?

 

「ま、そんなに警戒する必要は無いと思うよ?……万が一保科に何かあるようだったら消すし(ボソッ)」

 

「……そうかなぁ……」

 

でもまぁ、その可能性がある以上、行かないよりはマシだろう。それっきりで終わるのだから。

 

「あー……吉良◯影みたいな人生送りてえ……植物のように静かに暮らしたい……」

 

「……それはそれでどうなんだ……てか手フェチだっけ?保科……」

 

「手フェチじゃねえよ俺は!!……まあいいや、取り敢えず行ってくる」

 

「うん、いってらっしゃーい」

 

──────出来れば、これきりでありますように。

 

そう願いながら、俺はオカルト研究会の部室へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……さらっと和奏ちゃんがやべえ事言ってたんだけど……これ柊史絶対気づいてねえよな……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、まあ行くか行かないかで迷っていたが、どうやらそんな事考えるだけ無駄だったようだ。

 

「では、いきましょうか、保科くん」

 

「……………あ、はい。」

 

廊下で待ち伏せされていた。

 

絶対に逃がすつもり無かっただろう。

 

そして俺はオカルト研究部に足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

中は思ったよりもオカルト要素のない部屋だった。

 

強いて言うなら壁に掛けられた魔方陣、机の上の髑髏くらいのモノだろう。

 

「そちらに座って下さい」

 

「あ、はい……」

 

言われるがままに座ると綾地さんも真向かいに座る。

 

「……で、綾地さん?一体俺に何の用なんだ?」

 

「……えっとですね柊史くん……」

 

綾地さんはそこで言葉を区切り、深呼吸をした後、真面目な顔でこう切り出した。……ていうかさり気なく下の名前で呼ばなかったか今。

 

 

「柊史くん、前世の記憶があったりしませんか!?」

 

 

 

 

「…………………………は?」

 

ちょ、ちょっと待て、今なんて言った?え?前世?

 

「…………成る程、そういうことか」

 

「…………!!柊史くん……!!」

 

「腐ってもオカルト研究部って事か……綾地さん?人を巻き込むのはどうかと思うよ?」

 

「違います、違いますよ!!」

 

「何が違うって言うんだ……」

 

「じゃあ、アレです!!……その……」

 

私のオナニーを見てください!!

 

「何言ってんの!?」

 

やばい、やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!

 

何を言ってるんだ綾地さんは!?

 

「私達の最初の出会いはオナニーからでした……だからあの時と同じようにすれば記憶も……」

 

「前世で何があったんだよ!!何があったんだよ!?」

 

前世とかなんとか言うからファンタジー的なのに頭を埋め尽くされているのかと思ったら全然違う!!ピンクだ、ピンクに染まってやがる……!!

 

まだ「前世で貴方が勇者で私がお姫様で永遠の愛を誓ったのです」みたいなこと言う奴の方がマシだよ!!

 

「だから……その……私のオナニーを……」

 

「やめなさい!!てか落ち着けぇ!!」

 

────閑話休題─────

 

「ぜぇ、はぁ……落ち着いた?」

 

「は、はい……取り乱してしまい申し訳ありませんでした……」

 

あの後、なんとか角オナしようとする綾地さんを落ち着かせて座らせた。

 

俺はひょっとして学園のアイドルのとんでもない一面を見てしまったのではないか。

 

「綾地さん、君に何があったのかは知らない、だけどね?立場を逆にして考えてみて?もし俺が突然綾地さんに向かって『前世で俺達は恋人だったんだ!!』とかなんとか言って君は信じるかい?」

 

「えっと……その……信じません……」

 

「つまりそういうことだよ。それじゃ、俺帰るわ」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!!私との約束は……」

 

「あのね?仮に前世で俺と綾地さんが付き合ってたと、仮にそうしよう。その約束を交わしたという事にして話を進めよう。でも俺はその前世の「柊史くん」じゃあ無いんだよ。ここに居る俺はただの彼女居ない歴=年齢の保科柊史だ。」

 

「っ!!」

 

「……どんな約束を前世の俺がしたのかは知らないけどそれについては代わりに俺が謝るよ。ごめんなさい。その約束はどうやら果たせそうにない。」

 

そう言って、俺は立ち去ろうと、オカルト研究部の扉に手をかけ───────

 

 

 

「柊史くん……柊史くんは人の心を五感で感じ取れるんですよね……?」

 

「───────────────」

 

一瞬、思考が完全に止まった。

 

「……ふふふ、その反応、どうやら図星のようですね?」

 

何で、何で知ってる!?

 

それは誰にも教えたことがないのに─────!!

 

「何でって……前世の柊史くんに教えて貰ったんですよ……?」

 

───前世なんてあるわけ無いだろう。

 

そんな言葉を寸前で飲み込み、思考する。

 

前世が綾地さんの妄言だとして、トップシークレットである俺の体質と綾地さんの妄言が偶然一致するのだろうか?

 

……いやまてよ?あり得ない可能性かもしれないが、万が一、万が一だ。綾地さんが俺のストーカーで、過去も調べていたら……それはあり得るかもしれない。俺は子供の頃、体質を親に伝えて病院に行ったことがある。其処の関係者から聞いていたら不思議ではないのでは……いやそれも可能性は限りなく低い。いくつもある病院を自分で調べるというのか?しかも俺は記憶が正しければ綾地さんに出会ったのは高校になってから……伝えたのは本当に子供の頃の話だ。仮に小学一年生の頃だったとして俺は今どんなに年齢が低くても十六。十年くらい前の話になってしまう。十年前の患者を覚えているだろうか?そもそも個人情報を話すだろうか?

 

……前世説が濃厚になってきた。

 

などと考えていると、綾地さんがくすくすと笑っている声が聞こえてきた。

 

「顔が面白いことになってますよ……柊史くん、カワイイ……」

 

「────────」

 

声を上げなかった俺を褒めて欲しい。

 

普通だったら、普通だったら照れるなり、狼狽えたりしただろう。

 

だが、今の綾地さんからは恐怖しか感じない。

 

目から光を無くし、顔を赤らめたその表情が。ただただ怖い。

 

「ふふっ、さて柊史くん。取引をしましょう。」

 

「……取引?」

 

「ええ、取引です。バラされたくないですよね?長年秘密にしてきた事なんですから……もし皆にバレたら……バレなくても噂が流れるだけで柊史くんは辛いはずです。もしかしたら……今の親友も失うかもしれませんね……?」

 

───それは、嫌だ。想像しただけで吐き気がする。

 

「……何が望みなんだ……?」

 

「もうこの際、柊史くんが思い出してくれないのは諦めます。受け入れます。受け入れたくはないけど受け入れます。そこは諦めましょう……でも私は、柊史くんの事を諦めきれません……今までその為に生きてきたんです……ですので柊史くん。」

 

────オカルト研究部に入ってください。

 

「オカルト研究部で、前世よりも濃厚な時間を過ごして柊史くんを堕としてみせます!!」

 

その宣言は、自分を奮い立たせるために、そして───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………あ?」

 

何処かで聞き耳を立てていた、敵に対しての宣戦布告の為に。

 

綾地寧々は大声で、そう宣言した。




オマケの補足紹介(蛇足)

保科柊史
原作よりも精神が擦り切れてる。その為海道に気分転換を理由にアニメなどを薦められた。そこそこハマった。
最近の趣味はジョジョを読むこと。某殺人鬼のように静かに暮らしたい。偶に「こんな体質よりスタンドが欲しい」と思うくらい精神的に追い詰められてる。理由は明白。好きなスタンドは『黒い琥珀の記憶』。

綾地寧々
柊史君の精神を磨り減らしてる張本人。皆、君が柊史君を目線で追って居ること、気づいてるんだよ。本人は気づいてない模様。ていうか君何で柊史君に拒絶される前から病んでるんだよ、だって?それはまた別のお話で。

仮屋和奏
排除しちゃう系ヤンデレ。でも柊史君に何かしない限りは許す。まだ甘い方の排除型ヤンデレ。柊史に話題を合わせるためにジョジョを見たらどっぷりハマった。好きなスタンドは『クリーム』と『ザ•ハンド』と『キラークイーン』。理由はまあ、解るよね?

海道秀明
和奏ちゃんの呟きを聞いて難聴系主人公だったら良かったのになぁって思い始めた。好きなスタンドは『メタリカ』。



……え?柊史君のキャラが違うって?

俺の小説はキャラ崩壊が売りなんだよ!!
ていうか心の欠片ってホントに大事ね


正直寧々ちゃんには凄く申し訳ないことをしたと思っている、が後悔はしていない。こうするしかないんや。

……ていうか黒い琥珀の記憶が好きに成る程病んでるのかよ柊史君……。

次回、聞き耳を立てていた人物とは────!?

更新日は未定!!


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1-2 ヤンデレの基本技能は盗聴


前回、黒い琥珀の記憶とか書いたんだけど判らない人が居たようなので補足説明。

黒い琥珀の記憶(メモリー•オブ•ジェット)はジョジョの奇妙な冒険第四部の小説版に出たスタンドで、自分の指定した範囲内に誰一人近づけさせないという能力があります。

その位病んでるんです。


「………………あ?」

 

思わず声が漏れてしまった、危ない危ない。

 

危うくセンパイにも気づかれるところだった。

 

それにしてもあのビッチは何を言っているのでしょうか?前世だとか何だとか……前世なんてものがあったとしてもセンパイは私と結ばれてるに決まっているのに……。

 

 

「しかし何となくセンパイが何かを隠しているのは察していましたが………五感で感情を感じ取れる……それは確かに、幾ら私でも話せませんよねぇ……」

 

うんうん、と頷き、少女は歩き出す。

 

「まあ、その点は許してあげましょう、私は寛大なので!!」

 

保科柊史と一度しか───それもたった数十秒話した事があるだけの少女、因幡めぐるは晴れやかな笑顔でそう言った。

 

「……それにしてもこのシチュエーション使えますね……良い計画を思いつきました❤」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、今日は綾地さんの謎宣言を聞いてその後、前世の話を、「皆に祝福されたカップルだった」とか「部室の中を砂糖まみれにした」とか延々と、しかし必死に、語られて直ぐ帰宅……序でに鍵を取りに来た先生に入部届を(綾地さんが)受け取り俺に笑顔で渡してきた。

 

成る程、入らなきゃバラす、と。中々に有効的な脅しだ。

 

物凄く嫌なんだがな、この能力。何が悲しくて冷蔵庫で冷やしたシチューを味わなきゃいかんのだ。

 

と、そんなことを思っていると前から人影がこちらへ小走りで向かってきた。あれは─────

 

「仮屋?」

 

「おっす保科、今帰り?」

 

「ああ……そうだけど……お前はバイト帰りか?」

 

「うん、今日はちょっと早めに終わったんだ。……そうだ、保科、めすぶ……じゃない、綾地さんの用事って何だったの?」

 

「ん?あー……」

 

さて、どう伝えたものか。

 

前世の記憶が云々とかいって告白されました、とか言ったところで笑われるのは間違いないし……入部することになってしまったことをそれとなく伝えるしか無いのだろうか……

 

「……保科、言いにくいなら言わなくても大丈夫だよ?友達だからってそんな言わなきゃならないって訳じゃ無いんだから……そんな顰めっ面して悩まなくても」

 

「……っ」

 

友達。その単語が、今日の会話を思い出させる。

 

 

『もしかしたら……今の親友も失うかもしれませんね……?』

 

……仮屋は、俺の秘密を知ったらどんな反応をするんだろうか。表面上は慰めてくれるだろう。

 

だが、それでも、今までと変わらずに友達と言ってくれるのか─────突然、そんな事が頭をよぎる。

 

そんな俺の顔を見た仮屋はいつになく真剣な顔をして

 

「……保科、何があってそんな辛い顔をしているのかは知らないけど────」

 

そこで区切って、彼女は笑顔で

 

 

─────私はどんなことがあっても、保科の味方だよ

 

 

嘘を吐いた時特有の薬の味がしない、完全なる本心で、仮屋和奏はそう言ってくれた。

 

仮屋なら、仮屋なら信じてもいい、そう心から思った。

 

「……仮屋、話……聞いてくれるか……」

 

「うん、それじゃあ取り敢えず移動しようか」

 

そう言って仮屋は俺の手を取って、足早に、途中走って、移動しはじめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……以上が今日起きた事の全てだ」

 

「うん……え?マジで?」

 

近くの公園、辺りは少し暗くなり、人の影はなく、話すのにはもってこいだった。かなり電波な話だから人気のない場所を選択したが本当に良かった。

 

「……保科の能力についても、まあ判った、そりゃ言うのアレだけ躊躇った気持ちもわかるよ……辛かったんだね………でもごめん、ぶっちゃけ綾地さんの前世発言のせいで大して驚けない」

 

「………なんていうか、信じてくれるんだな」

 

「というよりは寧ろ納得がいったって感じかな?だから綾地さんは一年の頃からずっと保科の事を目で追ってたんだなぁって………何時思い出すのかずっと待ってたわけだ。そういう設定だったわけだ………保科の能力自体の事に関しては小学校の頃同じクラスだったのずっと覚えてたから……その様子を思い出せて、それで納得いったって感じ。それに……」

 

「……?」

 

「保科は嘘をつかないって信用してるからね」

 

それは嘘も何もない、本心から来る言葉だった。

 

「それに仮にこれが保科の嘘だとしたら『そこまで女に飢えてるんだなぁ』って一生からかうだけだから!!」

 

「うん、その言葉が無ければ良かったんだけどなぁ」

 

全部台無しにしやがって、嫌いじゃないけど。

 

「まあそれは置いておいて………かなりやばいね。取り敢えず保科は大人しくオカルト研究部に入った方が良いと思う。私や……多分海道も戯れ言と聞き流せるけど他の皆はそうはいかないし……何より能力の性質的にキツいでしょ」

 

「ああ、それは承知してる。入らなきゃならないことは。」

 

それはもう仕方が無い。あの脅しは俺の精神だけじゃない、体調にもダイレクトにダメージを与える。それを回避するためにはしょうがない。

 

「問題はその後だよね……ずっと二人きりだと何時何されるか判らない……」

 

「……それは無いんじゃないかな」

 

「え?」

 

「いやさ、例えば前世で俺が綾地さんとイチャイチャしながら二人きりでオカルト研究部回してたならそこをもっと強調する筈だと思うし、何より部活として成立しない」

 

「あー、そうか。確かに二人じゃ成立しないよね」

 

「今日前世の設定を長々と語っていたときも「部室の中を砂糖まみれにした」とか言ってたが、その表現は他人がいないと成り立たない、つまり何人か人を入れるつもりではあるということだ。」

 

「……そうなると綾地さんに全面の信頼を置ける人……もしくは設定に基づいて入れることになるけど……」

 

「残念ながらメンバーの名前までは言ってなかった……」

 

「うーん……そうか……」

 

「……まあここは今考えても仕方ない。置いておこう」

 

「……まあそうだね、でも保科、暫く気をつけた方が良いよ、特に……家とか」

 

「?家?」

 

やけに神妙な面持ちで仮屋はそう呟いた。

 

「……というより放課後かな……?さっきここまで来るときに私途中で走ったでしょ?」

 

「そういや……」

 

「あの時、気のせいかもしれないけど、綾地さんらしき人を一瞬見かけたんだ」

 

「……つまり尾行されてた?」

 

「多分……」

 

「……あれ?前世で付き合ってたのに俺の家知らないの?って突っ込みたい」

 

「そういえば綾地さん一人暮らししてるらしいよ」

 

「……成る程、設定の逃げ道はあるのか……じゃねえ、マジかよ……尾行されてるの……?」

 

「……体調管理も気をつけた方が良いね、同じ部活の仲間だから心配、とでも言えば幾らでも知ることは出来そうだし……綾地さん表向きは優等生だからなぁ」

 

「うっへえマジかぁ……今は大丈夫そうだが……」

 

「そりゃ撒いたからね……ふふふ、保科は忘れているだろうけど事逃走に関しては得意分野だよ、鬼ごっこで捕まったことないもん」

 

どや、と無い胸を張る仮屋。そうなのか、まあそれのお陰で助かったんだ、ここは礼を言って─────

 

「今私の胸が無いって思ったなー?」

 

「そそそそそ、その様なことあろう筈がございません」

 

「嘘だっ、今目が語ってたもん!!私だってBはあるからな!!」

 

「そんなこと暴露しなくていいわ!!すいませんでした!!」

 

「やっぱり思ってたんじゃんかー!!」

 

 

 

閑話休題

 

「……まあ、取り敢えず対策立てようにも立てらんないけど、ストーカーしてたっぽいから、家のセキュリティとか気をつけた方が良いかもね、不法侵入まではしないと思うけど……」

 

「……例えば?」

 

「ベタだけど自分が最後に家を出るときに何かしら挟んでおくとか、自室のモノ全てにテープで印をつけておくとか」

 

「………成る程……参考になるなぁ……」

 

「まあ、漫画の受け売りだけど何もしないよりはマシだと思うよ?」

 

「そうだな……ありがとう仮屋、助かったよ」

 

いやはや、親友とは良いものだ。これだけで大分心が楽になった。

 

「私に出来ることがあれば何でもするさ……私はずっと保科の味方だよ、だから……無理しないで何かあったら私を頼ってね?」

 

「ああ……ありがとう……この恩は必ず返す」

 

「じゃあス◯バで」

 

「容赦ないなぁ別に良いけど!!」

 

と、まあそんなこんなで、巫山戯た後は、比較的心を軽くして帰ることが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふふふふふ、ははっ、はははははははははははは!!ここまで、ここまで上手くいくなんて!!綾地寧々、お前のお陰で私は保科の……柊史の大切な存在になることが出来た!!はははっ、あははははははははははははははは!!」

 

自分以外が居なくなった公園で、仮屋和奏は大きな声で嗤った。

 

今日バイトへ行く前の事。仮屋和奏は保科柊史の上着のポケットの中にこっそりと、盗聴器を仕掛けた。その音声をこっそり聞いていたのだ。まあ、バイト先にあまり客が来なかったという偶然があったからこそ出来たことなのだが。

 

後は簡単だ、心が弱っているであろう保科柊史に、彼が望んでいるであろう言葉を言うだけ。

 

勿論、あの言葉は本心だった。仮屋和奏は永遠に保科柊史の味方であり、保科柊史を一ミリも疑わず、保科柊史という人間を愛し続けるだろう。だからこそ、保科柊史は感じ取れなかったのだ。だって嘘は言っていないから。

 

「ふふふ、後は綾地寧々の指紋とか手に入れば……盗聴器を綾地寧々のモノとして偽装してトドメを刺せるんだけど……まあ、まだ早いか、今日だけで大分リードは出来たし、ゆっくりと確実にやりますか!!」

 

保科柊史と自分自身の仲を裂く敵を社会的に抹殺しながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

保科柊史は父親に夕食を作り、部活に入ることになったというのを伝え、部屋に戻った。

 

帰り道、百均で買ってきたテープを仮屋に言われたとおり、目張りのように貼り付ける。

 

「………はぁ………これが普通の告白だったらまだ嬉しかったんだけどなぁ………まさか綾地さんが電波兼ストーカーだったなんて………」

 

まあ、普通にされたとしてもOKしていたかどうかは怪しいが。

 

そもそも苦手な人間に、冷たく当たることは無いだろうが、告白となると……悩む、とそんな感じの評価である。

 

「……あれ?」

 

そんなことを考えながらテープを貼り付けて、今、ゴミ箱に目張りを付けようとして、違和感を覚えた。

 

「……ゴミ箱の中身が……無い?」

 

おかしい、親父はそんなことを滅多にしないというより、俺の部屋に入ってくることは殆ど無い、それにこのゴミ箱の中身は紙ゴミ……棄てるにしたって曜日が違う。勿論、自分が処分した覚えも無い。

 

「………どうなってんだよ………」

 

底知れぬ恐怖を感じながら、彼は震えた手で今の所、唯一の味方に連絡を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く……まさかあの金髪の雌もセンパイのことを狙っていたなんて!!私がやる予定だったのに……!!」

 

自身の家の部屋で、因幡めぐるは叫び倒していた。

 

因幡めぐるの立てた計画は偶然にも、仮屋和奏が立てた計画と同じだった。保科柊史とコンタクトを取り、何食わぬ顔で親密になり、受け入れる。

 

時間はかかるがこれ以上のプランは他に無かった、と言える。だが、仮屋和奏に先を越された。

 

「……いや待てよ?センパイと私はほぼ初対面……今から仲良くなって……打ち解けておけば……少なくとも友人でも何でも無い後輩という立場はまだ使えますね……」

 

……どうやらまた何かを思いついたらしい。その顔には邪悪な笑みが浮かんでいた。

 

 

 

「ふふふふふ……さーて、センパイの家から拝借した使用済みティッシュ……ふへ、ふへへへへへへへへ………」

 

そのティッシュと()()()()()()()()()()()を使い、彼女は一晩中、淫らな嬌声を上げていたそうだ。

 

 




めぐるちゃんがただの変態に……!!まあ後々ヤンデレになるからいいか。

保科柊史
多分寧々ちゃんに普通に告白されてたら受けてた。
最近鼻水が酷く、ティッシュの消費が激しい。

綾地寧々
前世に固執しすぎてチャンスをふいにしてしまっている。だが安心したまえ、まだまだこれからだ。
尚、盗聴器の類を買うお金がないらしく悩んでいる。

仮屋和奏
恐らく今作で一番策略家なヤンデレ。見事、柊史君の信用をもぎ取った。暫定的にメインヒロイン。
もうギターを買うお金は貯まっているが他に柊史君の為に色々買う予定なのでバイトは続ける模様。

因幡めぐる
過去のトラウマ、高校デビューの失敗で落ち込んでいたときに柊史君に堕とされ一目惚れ、その結果、超変態ストーカーに。センパイが居ないと生きていけない依存心を拗らせ、夏休みにがまんできなくなって始めてピッキングして不法侵入してカメラや盗聴器を取り付けティッシュや小物を回収し始めた。
本人曰く「鼻水でもセンパイのならなんでも興奮します」だそうです。



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