あなたを想う (星ノ瀬 竜牙)
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あなたを想う

3/21日。結城友奈ちゃん誕生日おめでとう!!

と、そんなわけで書いた小説です。
オリ主ものだけど名無し主人公なので自分に当て嵌めて読んでみてください!

甘い感じに書けてたら良いな。


「え、これって……貰って良いの?」

 

自分はコクリと頷く。

君の誕生日なんだ当たり前だろう?

まあこんなものしか用意出来なかったのだが。

 

「ううん、凄く嬉しい!ありがとう!!」

 

嬉しそうに微笑む自分の最愛の人、結城 友奈を見て

買って良かったな。と思う

 

「えへへ、思えば……君と出会ってもうだいぶ経つんだねー」

 

しみじみと語る友奈。そうだ、随分と前だった。

神樹様が居なくなって……もう十年以上経つのだ。

 

今でも君が天の神って奴を倒した勇者だって信じられないなぁ……

 

「あはは、そうかな?」

 

そうだ。あの時風さんがポロッと零さなければ

自分は君が勇者だなんて気付かなかった。

……ううん、違うか。

自分にとっての友奈は普通の何処にでもいる女の子だったからだろう。

 

「もう、そうやってすぐに恥ずかしい事言うんだから」

 

恥ずかしそうに頬を赤く染める友奈。

事実だ。たとえあの巨大な敵を倒したのが君だとしても

自分にとって結城友奈はただの女の子なのだから。可愛いがつくけど。

 

「もう、もう……!」

 

パシパシと叩いてくる友奈。可愛い。

 

それにしても……

ほんと彼女の知り合いは濃かったなぁ……としみじみ思う。

 

「あはは……やっぱりそう思う?」

 

……うん、とくに東郷さんとか。乃木さんとか。

 

「あはは……まあいきなりはビックリしちゃうよね……」

 

でも、乃木さんは今じゃ知らない人は居ないぐらい凄い人だしね

今でもあの人が、復興計画のリーダーやってるなんて想像できないなぁ

 

あと、東郷さん最初の頃は怖かった。ほんとに。

 

「あはは……」

 

乾いた笑みを浮かべる友奈。

なんとなくは思っていたらしい。

 

……まあこっちも色々と知ってたから

すぐに打ち解けれて良かったとは思う。

 

「色々って?」

 

こっちの話。気にしなくて良いよ。

でも、個人的に一番ビックリしたのは

友奈のお父さんだったかな。

 

「お父さんも、素直じゃないからね……

私が欲しかったら自分を倒していけーなんてビックリしちゃったもん」

 

……友奈の一言で撃沈してた気もするけどね。お父さん。

愛娘からの大嫌いは精神的に大ダメージだったようだ。

 

……正直同情はしたし哀れんだけど

……自分もいつかああなりそうなのは気の所為だろうか。

 

気の所為だと良いな。

 

「でも、本当に色々あったなぁ……うん、本当に色々あったな。

たくさん悲しい事や辛い事もあったけど、

それ以上にいっぱい楽しい事や嬉しい事が多くあった」

 

懐かしそうに語る友奈を見て頬が緩む。

楽しい思い出や嬉しい思い出が多いのは良いことだと思う。

 

でも、なんだか申し訳なくなる。

せっかくの年に一回の誕生日だというのに、こんな粗末なモノしか送れなくて。

 

それ以上に悔しくもある。

自分では、彼女の大切な嬉しい思い出を作れないのか。と。

 

彼女にとって、勇者部という存在は掛け替えのないものだ。

今もずっと、大切な友人達。そこに自分が居ない事がどうしても悔しい。

 

「どうかしたの?」

 

心配そうに、こちらの様子を伺う友奈。

 

……大丈夫だ。心配しないでくれ。

 

「……そう?」

 

大丈夫とは言ったが心配なのか、こちらを見つめる友奈。

参ったな。どうも、彼女は鋭くて困る。

 

あぁ……もう……素直に白状する。

ちょっと嫉妬してた。勇者部の人達に。

 

「嫉妬?どうして?」

 

……自分じゃきっと、友奈にとっての

勇者部の人達みたいな関係にはなれないと思ったんだ。

 

それが少し悔しくて、羨ましくて……仕方ない。

 

「そうだよ。勇者部のみんなみたいな関係は無理だと思う」

 

その通りだ。自分ではなれない。

分かっているのに……本人から言われてしまうとクるものがある。

 

「わわ!悪い意味じゃないんだよ!?」

 

慌てた様子で否定する。

……どういうことだろうか。思わず友奈の方を見た。

 

「君は君であって、みんなじゃないし……

それに……えっと……私にとって君は一番大切で大好き人だから!」

 

───不意打ちだった。卑怯だと思った。

ああ……ほんっと、君ってやつは……

何処まで自分を喜ばせてくれるのか。

 

「うぅ……やっぱり改めて言うのは恥ずかしい……!」

 

目の前には顔を真っ赤にしている友奈。

そんな彼女の手を握る。

 

「ふぇ……?いきなりどうしたの?」

 

どうしたって……まあエスコートだよ。

 

本当なら勇者部の人達と集まるみたいだったが、風さんが気を利かしてくれたのだ。

ありがたい限りである。

 

「えっと……それって……」

 

口に出すのは恥ずかしいけど、有り体に言えばデート。

 

「はぅ!?」

 

……顔が真っ赤になった。

 

「お心遣いはありがたいと言いますか、

わたくしめにはまだ早いと言いますかえっとですね……!」

 

友奈、口調。別人になってる。

 

「あぅ……えっと……

それじゃあ……よろしくお願いしましゅ……」

 

ふしゅー。と顔から湯気が出る程真っ赤になっている友奈だった。

可愛い。写真撮りたい。流石に自重するけど。

 

……うん、じゃあ行こうか。お姫様。楽しいデートの始まりだ。

 

「……うん!」

 

吸い込まれそうなほど明るい笑顔を魅せる友奈だった。

 

────────

 

 

まあ、その後はよくある感じだった。

映画を見たり、食事をしたり。

 

自分にはシャレオツなデートは出来なかった……

所謂テンプレートなものしか出来なかったのである。悔しい。

 

「うーん、楽しかったぁ!今日はありがとね!」

 

当然、お姫様の要望には答えるものですから。

……まあ少し出費が痛かったけど、これぐらいなら大丈夫。うん、大丈夫!

 

「あ、そうだ。この髪飾りつけても良いかな?」

 

そのつもりで買ったのだ。是非ともしてもらいたい。

似合うと良いけど。

 

「うん。じゃあちょっと待っててね……」

 

ゴソゴソと自分の髪を弄って、髪飾りつけ始める友奈。

ここで明かすが……自分が送ったのは花の細工がされた髪飾りだ。

 

押し花とかも考えたのだが、

彼女は既に網羅してそうなので迂闊に押し花は渡せなかった。

 

「じゃじゃーん!……どうかな?」

 

花の細工がされた髪飾りをつける友奈。

……思わず言葉を失った。いつもとは違う髪飾り。

似合うか分からないまま買ってしまったものだったが……よく似合っていた。

 

────ああ、とっても綺麗だ。

 

「エヘヘ……そっか。良かった」

 

照れくさそうに微笑む友奈。

赤い花細工の髪飾り。それがよく似合っていた。

「あ、ねえねえ。この髪飾りの花細工って薔薇だよね?」

 

流石に分かるか。薔薇なんていろんな人が見てるだろうし。

 

うん、そうだよ。それは薔薇の細工がある髪飾りだ。

 

「ねえ、もしかしてだけどこの髪飾りって────」

 

……さあ?ご想像にお任せするよ。友奈。

 

「え、そこは言うところじゃないの!?」

 

やだよ、言うの恥ずかしいし。だから想像に任せる。

 

「あ、待ってよー!!」

 

恥ずかしくなって先に行く自分。

それを慌てて追いかけて来る友奈。

 

今はまだ、この距離感で良い。

 

だけど……いつの日か……

 

 

 

薔薇の花言葉。メジャーなのは「愛」だ。

 

 

だけど、自分が友奈に伝えたい花言葉は

出会ったあの時から変わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

I love you(あなたを愛しています)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今は言えなくて、花で渡すことしかできないけれど。

いつの日か、この口でしっかりと……この言葉を伝えれたら良いなって。

自分はそう思うんだ。

 

 

 

Happy Birthday. 友奈。

今年も君にとって幸せな日々でありますように────



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