ストライクウィッチーズ 鷹の目を持つ少年 (何処でも行方不明)
しおりを挟む

プロローグ 鷹匠の少年は死んでしまった

「くぁぁ………ふう」

 

デスクで背を伸ばしメガネを外す。

 

「かなりできがいいと思う。鷹か………」

 

本業の鷹匠の連なりから結構な思い入れをつけてしまった。

このエンブレムはネット仲間から頼まれて作ったものだ。ドイツ軍旗をイメージした赤い嘴、赤い脚、そして黒い体。

ゲームのチームのやつではかなり被るデザインが多そうだがそれはどうとでもない。

だって、使われるゲームはマイナーなやつだし。

 

「明日は……高知で烏の追い払いか……早めに寝よ」

 

 

 

 

翌日

 

「あなたは死にました」

 

「……えっと……ここどこ?」

 

空の上に俺は立っていた。周りを見渡す限りの空。下は海の青、上は空の青。雲が俺の足場だ。

 

「死後の世界。と言うやつです」

 

「死後の世界……?」

 

「あなたには珍しく選択肢があります。このまま輪廻転生の枠にハマり死を受け入れるか、転生し第二の生を歩むか。の2つです」

 

死んだ?何もしてない………

 

「迷ってる時間はありません」

 

「え……あ……じゃあ第二の生の方で……」

 

「楽な方をどうも。折角なので特殊な能力を上げましょう」

 

そこから先の記憶は曖昧だ。唯一覚えているのは……

 

「ではストライクウィッチーズの世界に転生して貰います」

 

という声だった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「………」

「どうかしたの、ディー?」

「ミーナ中佐……何でもない」

 

なんでもないことはない。千里眼と呼ばれる能力で遥か遠くのネウロイの巣を見ていた。

転生したらしい俺は前の世界でいうドイツにあたるカールスラントの人間として生まれ変わった。

そこはネウロイという外敵に人類は侵略されている世界だった。

ウィッチと呼ばれる人間だけがネウロイを打倒する能力がある。それも少し違うか。

実際にはストライカーユニットと呼ばれる兵器を動かすには魔力が必要でその魔力を持っているのは大体は女性。男性が魔力を持っても滅多に実戦レベルに到達している人が少ないので魔女……ウィッチと呼称された。

そう、()()()だ。

数少ない男性で実戦レベルの魔力を保持する所か、高い水準の魔力を持ってしまった俺はウィッチとして戦場に赴くための訓練を受けている。

固有魔法の『爆撃制御』を活かすための訓練として俺はM39卵形手榴弾とラインメタルFG42自動小銃を手に戦闘訓練を行っている。

 

そこでアレ?と思ったやつ。

ただしい。

固有魔法は爆撃制御。だが千里眼は()()()()()だ。Fateの固有スキルで言うA+に相当するらしい。

だが、この世界では固有魔法『爆撃制御』と『千里眼』と『未来視』の3つを同時に保持する特殊なウィッチという認識だ。ハッキリいってネウロイがこなかったら間違いなく俺はモルモット一直線だ。

 

千里眼の発動中は目が青くなり未来視をしている時は青から紫にかわる。

 

俺の今の目は通常の黄色。髪も金髪である。

使い魔はオオタカ。発現すると目の瞳孔が狭まり俗に言う鷹の目のようなものになる。そして、髪の末端が黒くなり、尾骶骨の辺りには尾羽が生える。

 

何の因果か俺のエンブレムは前の俺が最後に書いたあの鷹のエンブレムが使われている。

 

そして、特殊な俺は現在『第501統合戦闘航空団 STRIKE WITCHES』に配属された。バリバリの前線だ。

現在の階級は『少尉』。初戦でネウロイを落とすことを容易くしてしまったので無駄に注目されている。

 

これは何故か床に入った筈なのに死んでしまった俺が転生した人間『ディートリヒ・D・クルーガー』が3つの使えそうで相性が悪い魔法を持って戦場を生き残る物語。




転生前の名前は重要じゃないからいいよね!

主人公の階級変えました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第1話 見据える先に

時系列は原作開始前です。
あと、クルトさんは存在が抹消されたのではありません。
サブタイはやはり難しいです。


ドガァァァンと演習場に爆音が響く。

 

「やっぱり迫撃砲の方が威力はでるな……でも俺の筋力じゃ少し厳しいな……飛べるか?」

 

俺が履いているユニット『Do335V2』は積載可能重量は多めらしい。迫撃砲は固有魔法と相性がいいので是非とも積んでみたいが、38cm sLdgWは弾がかさばるので爆弾で手数を増やした方がいい。

ただ、プロトタイプなので一抹の不安が拭えない。

 

「せいが出るわねディー」

「ニーナ中佐……」

「ニーナでもいいのよ?」

「公私混同はダメですよ。中佐」

 

迫撃砲を元の位置に戻し、ニーナ中佐に向き直る。

カールスラントがネウロイに侵略される前、つまりは俺が魔法に目覚める前は恋人として同棲していたが、今は俺もニーナ中佐もカールスラント空軍の軍人だ。

といっても俺は原隊こそカールスラント空軍第3戦闘航空団になっているが未だにネウロイとの戦闘は数える程しか経験してない。ついでにいうと士官教育は完了しているが実績不足で階級は『少尉』だ。ミーナ中佐に階級で追いつくには大尉になってから二階級特進したら追いつくがニーナ中佐を残してこの世を去る気はない。

 

「爆破の規模が大きければ大きい程、爆撃制御で収束した時の破壊力は高くなるが……」

「また考え事?」

「生き残るためには必須です」

 

ニーナ中佐と基地の廊下を歩く。

 

「今日から配属になるのに先に訓練に行くなんて……ディーらしいけどね」

「これだけが自分の取り柄ですので」

「はあ……変わらないわね」

 

歩いて行くと前には黒板と教壇がありいくつかの席がある教室のような部屋に着いた。

ここが第501統合戦闘航空団のブリーフィングルームだ。

俺はミーナ中佐に手招きされ部屋に入る。

 

「今日からこの第501統合戦闘航空団に新しく配属されることになるメンバーを紹介するわ。ディートリヒ少尉前へ」

「本日より第501統合戦闘航空団に配属されることになりました。カールスラント空軍第3戦闘航空団所属、ディートリヒ・D・クルーガーです」

 

俺は敬礼しながら挨拶する。見慣れた顔のバルクホルン大尉やハルトマン中尉。だが他のウィッチの顔は猜疑心に溢れていた。

 

「ミーナ中佐。そいつは本当に戦えるのか?」

「ええ、もちろん。詳しくは本人に聞いてもらった方が早いでしょう」

 

そう言ってミーナ中佐は表情を引き締めた。

 

「では、解散!」

 

宣言した瞬間に全員が立ち上がる。それを確認したミーナ中佐は歩き始めた。

さて、未来視ではこの辺りで……

 

「よっと」

「わぁぁ!!」

 

ツインテールの少女が後ろから飛びついて来るのが見えていたので避ける。余計なトラブルはゴメンだ。

 

「よお、あんたやるな!ルッキーニのアレを躱すやつなんて初めて見たよ!」

 

オレンジ色の髪を持つグラマーな少女がいた。確か名前はシャーロット・イェーガー。階級は中尉。

ここに来るまでに部隊に配属されている全員の名前と顔は覚えた。

 

「大丈夫か?ルッキーニ?」

「イタタ……」

 

先程飛びついて来た少女のはフランチェスカ・ルッキーニ。階級は俺と同じ少尉のはずだ。

 

「既に知ってると思うけど私はシャーロット・イェーガー。中尉だ。気軽にシャーリーと呼んでくれ」

「私はフランチェスカ・ルッキーニ。少尉だよ!」

 

どうやら避けたことは不服に思っていないようだ。助かった。

 

「宜しく。自分のことはディートリヒでもディーとでも好きに呼んでくれ」

 

握手をし、そう返す。そして、後ろからよく知る気配を感じた。

 

「や、久しぶりディー」

 

同じカールスラント空軍所属のエーリカ・ハルトマン中尉だ。その横にはゲルトルート・バルクホルン大尉がいた。

 

「ディートリヒもここに配属か……頑張れよ」

 

バルクホルン大尉はそれだけ言って部屋を出ていった。

 

「ありゃりゃ……じゃあねディー」

「あ……はい」

 

何か大尉に嫌われることでもしたかな?

……身に覚えが全くない。ということはアレが自然体なんだろう。

 

「で、お前は戦えるのカ?」

 

変に片言の声が聞こえた。その声の主の横には眠っている少女がいた。恐らくはエイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉とサーニャ・V・リトヴャク中尉だろう。リトヴャク中尉はナイトウィッチなので今は疲れから寝ているのだろう。

 

「もちろんだとも」

「坂本少佐」

 

リバウの三羽烏の一人、坂本美緒少佐。どうやら俺を擁護するためにこれまでの話を聞いていたのだろう。

 

「ディートリヒは固有魔法を三つ保持してる」

「えっ!3つ!?」

 

まあ、原則として固有魔法は1人1つだ。俺も原則に漏れず固有魔法は1つだが俺には転生特典として固有スキル『千里眼A+』がある。

 

さて、ここでFateの千里眼の説明だ。

視力の良さ、遠方の標的の補足、動体視力の向上。ランクA+となると魔眼レベルであり透視や未来視までも可能になる。また+が付いているので瞬間的な向上も行える。

ちなみにランクEXは未来だけでなく過去も見えるらしい。

 

未来視は文字の如く未来を視ることができる。集中せずとも銃を構えたりするだけで未来が見える。偏差射撃には持ってこいだ。

動体視力もかなり上がるので敵が止まって見えることも多々ある。そんなこんなで未だに撃ち漏らしと被弾が一度もない。シールドのお世話になったこともない。

しかも千里眼は固有スキルなので魔法力の消費はないと来た。

 

「ディートリヒ少尉、あなたははどんな固有魔法を有しているのかしら?」

 

そう話しかけてくるのはペリーヌ・クロステルマン中尉だ。まあ、気になるだろう。

 

「話してもいいのですか?」

「ああ、今後の連携のために是非とも頼む」

 

坂本少佐の許可も出たので話すとしよう。

 

「自分の固有魔法は『爆撃制御』『千里眼』『未来視』です」

「本当ですの?」

「なんなら演習で証明しましょうか?」

「そんなことをせずとも戦場で証明すればいい。それに『千里眼』と『未来視』は演習で証明できても『爆撃制御』は危険だろう?」

 

そういう訳で演習はなしになった。

 

「さて、ディートリヒ少尉。基地を案内するわ」

「わかりました中佐」

 

そういったミーナ中佐の案内で俺は基地を回ることになった。

 

基地の案内と同時に部隊での規則を教えられた。一部に質問をし理解を深める。それをくり返すうちに昼時となった。

 

「そろそろ、昼ね。食堂に行くわよディー」

「了解」

 

ミーナ中佐に同行し食堂に行く。

 

 

食堂

 

「……ミーナ中佐、敵だ。現在は東グリット113を飛行中」

 

突如、千里眼が起動した。俺の目には敵が見えている。

敵の速度から計算した座標をミーナ中佐に伝える。

 

「そう……敵の数は?」

「中型が2機」

 

千里眼を活かすために何度も何度も航空力学等を勉強してきた。その成果がこれだ。もっと早く会得できたら……そしたら……

 

「ディートリヒ少尉も参加してもらいます。いいですね?」

「了解しました」

 

昔のことより目先の敵だ。さっさと準備をしよう。

 

「……って、ディーの武装ってほとんど爆弾かよ」

「固有魔法の都合上な……」

 

今思えば爆弾の数量を減らせば迫撃砲を積めるんじゃ……いや危ないからいいか。

 

「……ディートリヒ・D・クルーガー出撃する」

 

祖国を取り戻すために……ミーナが歌える世界を取り戻すために。

この目を使うと決めた。




感想待ってます。

あとディートリヒのエンブレムです

【挿絵表示】


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 501での初陣

この小説では約四五〇〇文字をベースにしていきたいと思います。


ストライカーユニットに魔法力を通しエンジンを回す。

千里眼を使い2体のネウロイを見据える。

 

「いつもの形……」

 

姿形はただのネウロイだ。コアがあるかどうかは透視してもわからない。どういう訳か千里眼の透視をネウロイは無効化してくる。

透視を無効化できなければ俺はルッキーニぐらいの歳に前線に配属されていたことだろう。

俺の目は見え過ぎるからな。

 

「目の調子は大丈夫?」

「問題ありません。敵、移動を続行中です」

 

もっと強い力があればミーナをウィッチにせずにできたのか?今でもそう思う。

犠牲の上に人は立つ。それが人間かそうでないかは瑣末な問題だ。

 

「ディートリヒ少尉はトゥルーデの小隊に入ってもらいます。構いませんね?」

「了解」

 

という訳でバルクホルン大尉、ハルトマン中尉と組むことになった。恐らくは共闘経験のある大尉と中尉なら俺の爆撃も活用してくれるとミーナ中佐は考えたのだろう。

 

「ディーと組むのも久しぶりだね〜」

「そうですか?」

 

原隊も違うのでそうかもしれない。ただ……ハルトマン中尉やバルクホルン大尉と組んでも出番がないと思うけど……

 

「バルクホルン隊は右。その他は左の標的を攻撃します」

『『了解!』』

 

爆弾を片手に銃を構える。

 

「ディートリヒ、広範囲に爆撃頼む」

「了解しました」

 

ネウロイの放つビームを全て避ける。未来視で既に弾道が見えている。それに千里眼の動体視力向上によりビームの動きもスローだ。ビームの隙間を縫うように飛ぶ。

 

「3秒後に起爆します」

 

先行し爆弾を五個程投下する。それを全て銃で撃つことで起爆させる。

落ちている爆弾に弾丸を当てるなんて簡単だ。

なにせ止まって見える訳だからな。

 

爆撃制御を用いて爆破の衝撃は全てネウロイに向かっている。これでコアごと抉れればいいのに。と何度思ったことか。

コアが露出した。大型なら苦労するが中型なら爆弾8つ程で全体的にダメージを与えることができる。

ただ、爆煙で見えていない。

俺が見えるのは千里眼の透視があるおかげだ。

 

「コア露出しました!3つ目と4つ目の間、およそ2:3の位置です!」

 

俺はコアがダイレクトに見えているので大尉や少尉に位置を伝える。

ラインメタルFG42の引き金を弾く。

コアに数発あたる。俺が撃つことで大尉たちは正確に位置を把握できる。一斉射撃を受けコアは破壊されネウロイは霧散する。

 

「こちらディートリヒ、ネウロイ撃墜しました」

「ヒュー流石だね」

「それほどのことではありませんよ」

 

もう1つの方は坂本少佐がコアを特定することで早く終わったようだ。

 

『こちら坂本、ネウロイ撃墜』

「ネウロイの撃墜を確認しました。これより基地に帰投します」

 

501としての初陣は上手くいったようだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〜数週間後〜

 

「空はこんなにも静かなのに……」

 

今は基地内で1番高い場所で空を見上げていた。こうしていると前世を思い出す。子どもの頃から鳥が好きでテレビでみた鷹匠に一目惚れ。それ以来、鷹匠になることを目標に頑張っていた。

俺の愛鳥である『ハル』は今は何をしているのだろうか。同業者と仲良くできてるのか?

それが懸念された。たまに鷹を見ると無性に触れたくなる。

できることなら今生でも鷹匠になりたい。

だが昔、ミーナとクルトに『将来の夢はなに?』と聞かれた時に『ウィッチになって、世界に平和をもたらして、二人が音楽に専念できる環境を作る』と答えた。

 

その願いは今でも生きている。ミーナには政治家の前じゃなくてもっと自由に歌を歌って欲しい。

願わくばその歌ははじめに俺に聞かせて欲しい。

使い魔のオオタカも本来は鷹匠としての相方にするつもりだったのだが気が付けば契約してしまい、今はこの身に宿っている。

 

鷹匠となるのはネウロイを全て破壊するか俺の魔法力が無くなって隠居した時にしか無理だろう。一応、野生の隼を手懐けてはおいたが……

しかも魔法力に至っては減る気配が全くない。そもそも少なめの男性は少ない魔法力を生涯持ち続けるのだとか。

つまり、俺は幾つになっても高い水準の魔法力を持ったままということになる。実際に男性がウィッチとして前線に配置された場合は生涯現役であることが大半だ。

俺もその例に漏れず生涯前線になるのだろうか。

 

「ディー、少しいいかしら?」

「何でしょう、ミーナ中佐」

 

後ろのドアが開き、ミーナ中佐が入ってくる。

 

「近々、新人が配属されることになっているの。その教育係にディーを選びたいのだけれど……」

「なんで私なんですか?」

「新しく配属される子は対戦車ライフルを扱うの。それの訓練に付き合えるのは美緒かディーぐらいで、美緒は2週間後に扶桑に渡るのでディーが時期的に適任なのよ。頼めるかしら『中尉』」

「……了解しました」

 

そう、俺は少尉から中尉に昇進した。元々戦果が足りていなかっただけなので501に来てから戦果が追いつき昇進となった。このままのペースでいけば少佐辺りは狙えるだろう。

にしても新人の教育か……人間より鷹の方が教えがいがあるし、教えていて楽しいし。

 

 

そんなこんなで新人が来ました。

 

「……という訳で本日より配属となったリーネさんです」

「り、リネット・ビショップです……階級は軍曹、よろしくお願いします……」

 

既に坂本少佐は扶桑に行ってしまった。つまりは強制的に俺がリネット軍曹の教育係という訳だ。

 

「事前に話した通り、リーネさんの教育係はディートリヒ中尉に一任します」

 

そう言われ、俺は頷く。ミーナ中佐の視線が少し怖いが気のせいだろう。

 

「では解散」

 

それと同時にリネット軍曹の周りに他の隊員が詰め寄る。俺は喧騒が治まるまで待つことにした。途中で様々なことがあったと記しておく。

 

「はじめましてリネット軍曹、自分はディートリヒ・D・クルーガー。階級は中尉だ。ディートリヒでもディーでも好きに呼んでくれ」

「は、はい!」

 

恐らくは男性と接することが少なかったのだろう。少し緊張しているな。それをほぐすためにもまずは基地の案内をしよう。

 

「基地の案内を始める。予定では昼を取った後は訓練だ」

「わ、わかりました!」

 

そして、基地の案内を始めた。

爆弾が山積みになった俺のストライカーが置かれている場所をリネット軍曹が見た時は青ざめていたな。

あんなに大量の爆弾があればそうなるか。

シャーリー中尉は相変わらずユニットと戯れている。ルッキーニ少尉は木の上で睡眠中、バルクホルン大尉とハルトマン中尉は飛行訓練、ペリーヌ中尉は坂本少佐がいないので少し気が立っているのか辺りをウロチョロしてた。ミーナ中佐は恐らく書類と格闘中だろうな。

 

「ここまでで質問は?」

「ありません」

「それでは次は食堂だな」

 

最後のスポットである食堂に案内する。

食堂を最後にしたのは昼時に来れるようにするためだ。

 

「ここでの食事は基本的に係の人が作る。まあ、隊員がお国料理を披露することもある。あとミーナ中佐の料理には気をつけろ。味覚が壊れているから絶対に止めろ」

「は、はい」

 

この顔は信用しきれてないな。残念ながら何度か俺とクルトは何回も被害にあい、ミーナに料理をさせないように自分たちで上手くなったぐらいだ。

普通の味覚の人間が美味しいと思う料理も美味しいと感じるので助かった。エイラ少尉が持ち込んだサルミアッキを美味しいと言った時は流石に困惑したが。

 

そんなことはどうでもいい。ただの死活問題なだけだ。

今は昼食を取り、リネット軍曹に訓練をつけることが優先される。

 

「そう言えば、クルーガー中尉は男性なのに実戦レベルの魔法力を有しているんですね」

「世界でも数える程しか存在していないらしいな。固有魔法をいくつも持っている例はさらに少ないが」

「へ?」

 

やはり知らないのか、俺が書類上は固有魔法三つ持ちであることは。

まあ、一応機密情報扱いらしいからな。存在自体がブラックボックスらしい。厳密には違うが。

 

「あとクルーガー中尉はやめてくれ。はじめに言ったと思うがディートリヒかディーで頼む」

「わかりましたディートリヒ中尉」

「できれば中尉もやめて欲しいが……まあ、私が階級をつけて呼んでる時点で無理か……」

 

そこからは黙々と食事をとる。前世の学校でも何回か経験した特に仲の良くないクラスメイトと班活動をしている時の昼時のように静かだった。

 

午後からは訓練だ。飛行訓練、狙撃訓練、爆撃……はなしでいいな。どうせ爆弾は俺以外使う機会がないだろうからな。

ユニットを履き、飛行訓練から行うことにした。

 

「これから飛行訓練を行う。私の後についてくれ」

 

そう言い、魔導エンジンを蒸す。今回は武装は最低限のもので行う。もし激突でもしたら爆弾で二人して吹き飛んでしまう。そんな危険性を訓練で犯す必要は全くない。

リーネ軍曹の飛行は若干力んでいるものの賞賛して然るべきものだ。新人としては飛行に安定性がある。

 

「少し力んでいるな。肩の力を抜いてみろ楽に飛べるはずだ」

「は、はい!」

 

と言ってみるもののすぐに改ざんされる訳ではない。

それができれば人間苦労はしないだろうな。

 

「では射撃訓練といこう。たしかリーネ軍曹の固有魔法は『射撃弾道安定』だったな」

 

という訳で標的を約1キロ先に置く。

 

「あの……ディートリヒ中尉は見えてるのですか?」

「もちろんだ。千里眼はその名の通り千里先でも見通せる目だ。遠慮なく撃ってくれ」

「わかりました……」

 

リーネ軍曹がトリガーに指をかける。そこから数秒が経ち弾丸が放たれた。

 

「……少し上に逸れたな。次は風を読んで撃ってみろ」

「了解」

 

次の1射で標的は撃ち抜かれた。かなりの命中精度だ。固有魔法のサポートがあるからといってこれはそもそものセンスが高いと見た。

 

「ふむ、ではもう少しレベルを上げるとするか」

 

そう言いながら俺は爆弾を数個持ってきた。

 

「え……っと何をするんですか?」

「精密射撃は十分だ。次は速射だ爆弾を上空に投げるからそれを撃ち抜いてくれ」

 

そう言って爆弾を投げる。

結果は凄かったと言っておこう。1回目は正直に精密射撃の構えで撃とうとしていたが、爆弾の落下速度は結構早い。それを瞬時に理解し銃を引いて撃ったのだ。

 

「さすがはトップエースの娘と言ったところか……」

 

坂本少佐が帰って来るまでは俺がリーネ軍曹の教育係になる。いや、もしかしたらその後も教育係にされるかも知れないがな。

 

 

〜翌日〜

 

「次回の補給が遅れるとの連絡がありました。なので臨時補給を行います。この辺りの土地勘があるのはリーネさんかペリーヌさんね。そのどちらかと大型トラックの運転ができるシャーリーさん。それと男手のディートリヒ中尉に行って貰います」

 

と、昨日は言われた。なので今は、トラックの荷台に乗っている。ミーナ中佐は手早くリーネ軍曹と隊員との仲を良くしたいようだ。

 

「安全性第一だ。あと隼を連れて行っていいか?たまには外を見せたい」

「ん?構わないよ。でも鳥籠で連れてくのか?」

「いいや?放す」

 

という訳で俺の頭の上には隼のラインが乗っている。車が走り出したら恐らくは並列して飛ぶだろう。

 

 

 

俺はこの時、シャーリー中尉の運転技術に安心しきっていた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 そういう体質

少ないです。


「あの〜……ディートリヒ中尉?大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃ……ない……コフ」

 

シャーリー中尉の運転は最初はまともだった。

訂正する。最初だけがまともだった。

ラインが飛び立ち、基地が見えなくなるまでは良かった。そこからだ。

あ…ありのまま 今 起こったことを話すぜ!

俺は車の荷台で昼寝をしていたと思っていたら、いつの間にか空を飛んでいた。

何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も何が起こったのかわからない。

アタマがどうにかなった…固有魔法とか超加速だとか、そんなちゃちなもんじゃねえ。

恐ろしいスピード狂の片鱗を味わったぜ……

 

何を言ってるんだ俺は。

 

街につく頃にはバッチリ俺は伸びてしまっていた。

悲しきかな、俺とリーネ軍曹は免許を持ってないので帰りもシャーリー中尉が運転するトラックに乗らなければならない。ストライカーユニットを積んで、爆弾を積まなかったからか?もし爆弾をある一定の数積んでおけば抑止力になったのだろうか。

 

「……とりあえず、トラックを置いてきてくれ……少し、歩いてくる……」

「あちゃー……あれはそうとう堪えているな」

 

シャーリー中尉の呑気な声を尻目に俺はブリタニアの街の見物に出るとした。

 

「リーネ、ディーの後についていってくれ。あいつは初めてのブリタニアらしいからな。迷子にでもなると困る」

「わかりました」

 

 

said リネット

 

「ディートリヒ中尉〜どこですか〜?」

 

私はディートリヒ中尉を探しています。前に1度ディートリヒ中尉のことを『ディーさん』と呼ぼうとしたら突如、後から悪寒を感じたので今はしてません。

今は公園の方を見て回っています。

ディートリヒ中尉のペットのラインが空を旋回していたので恐らくは近くにディートリヒ中尉がいるのでしょう。

 

「中尉〜?」

 

公園の中には鳥が固まっていました。その中には見覚えのある金髪が……

もしかして……

 

「お、お前たち少しは離れろ!」

「ディートリヒ中尉!?」

 

マグパイやウッドピジョンにブラックバード。様々な鳥がディートリヒ中尉を覆い尽くしていました。

 

「ライン、早く追い払え!いや、頭はお前の定位置じゃないから!ちょ!イタイイタイ!縄張り争いすんな!まず、俺の頭だかんな!」

 

はっきりいって頭がどうとかっていう問題じゃないと思います。体中が鳥に包まれる人なんて見たことありません。ディートリヒ中尉は昨日からの仲ですが結構いい人だと思いますが、こんな特異な体質があるなんて……

そう言えばラインが来た時のことを車の中で一部だけ聞きましたが、たしかラインの方から近づいてきたと言ってました。

もしかしてディートリヒ中尉って鳥から餌か何かだと思われてるのですかね。

 

「中尉……大丈夫ですか?」

「え?誰?リーネ軍曹?鞄の中にラインの餌入ってるからそこら辺に投げてくれないか?」

「わ、わかりました!」

 

〜しばらくたって〜

 

「た、助かった……」

 

左腕に餌掛けをつけラインを留まらせている中尉はため息を付いていました。頭にはどこから来たのかコノハズクが留まって眠っています。

 

「……街に出るとすぐこれだ……どうにかならないものか……ん、とりあえずお前は『スナッチ』な」

 

中尉の頭に留まっているコノハズクは中尉の手を嫌がらずに言葉を受け入れたように見えます。

 

「あの……中尉、もしかして飼うつもりですか?」

「ああ、そのつもりだが?」

「えぇ……」

 

said out

 

「で、ディーは新しく鳥を飼うことにしたのか」

「ああ、猛禽類2匹もいるなら他の鳥も近寄ってこないだろう。それにコノハズクの1匹くらいなんてことないさ」

 

買い物をしながらシャーリー中尉と会話をしていた。リーネ軍曹はライン、スナッチと戯れている。ラインは手懐けたからいいとしてスナッチのやつ……コノハズクの癖に人懐っこいな……

 

「あいつらの餌を買って、止まり木を用意したら終わりかな」

「ん?そんだけか?他に買わないのか?」

「別に必要ないからな。欲しいものとかないし。これでもミーナ中佐は怒るんだろうな」

 

実際にラインを飼う時にミーナは反論してきた。一度、許可を取った時に2匹までなら許可されている。

なのでスナッチは許可される。それでもミーナは怒るだろうがな。

 

「はあ……にしても、鳥が増えるのか……ルッキーニに近づけるなよ。多分、嫌がるだろうから。鳥が」

「わかってるよ。ラインはあれっきりルッキーニ少尉のことを敵と認識してるからな」

 

その時に未来視が起動した。

 

「すまない、ちょっと任せる」

「お、おいディー!」

 

俺は未来視で見たことを阻止するために行動を起こした。

 

「ピィィィィ!!」

「キィキィ!」

 

ラインを笛で呼ぶ。いつも、首から下げているものだ。

1回だけ長く鳴らすと音源に集合、という合図だ。

 

「さすがは隼だな。早いぞ」

「キィ!」

 

ラインは餌掛けに素早く止まる。見た映像は……リーネ軍曹が泣いた子どもの前でアタフタしている映像だ。

子どもが上を向いていたことから恐らくは紙飛行機か何かをどこかに引っ掛けたのだろう。

 

「……とあれだな。いけ!」

 

ラインを飛ばして紙飛行機を取りに行かせる。それにしても俺が見た時は既に屋根の向こう側、かなり折るのが上手いと見た。

 

飛んでいる対象ならラインの十八番だ。

案の定、ラインはその嘴に紙飛行機を咥えていた。

 

「よしよし、いい子だ」

 

ラインにウエストポーチに入れてある餌をやる。

御恩と奉公だ。鷹匠は基本的に餌付けで鳥を手懐ける。満腹にさせると飼い主のところに戻ってこないため、注意が必要だ。

 

「さて、あの子どもはどこだ?恐らくはリーネ軍曹の近くにいるんだろうが……」

「ディートリヒ中尉!」

 

探す手間が省けた。リーネ軍曹からこっちに来たみたいだ。

 

「いきなりラインが……って、中尉が呼んだのですか」

「ああ、この笛でな」

 

リーネ軍曹に首にかけている笛を見せる。俺が肌身離さず持ち歩いているものだ。

 

「綺麗な笛ですね」

「そりゃあ、いつも磨いているからな」

 

この笛は始めてリーネとクルトから貰ったプレゼントだ。銀細工の名工が作ったものらしく、何年経っても音色は変わらない。

このプレゼントを送られた時はあまりの嬉しさに泣いてしまったな。まあ、その後1年分のお小遣いを貯めてプレゼントされたと聞いたら驚いたが。

 

「さて、この紙飛行機を飛ばし過ぎた子どもはどこか分かるか?」

「え?」

 

……まずいな。多分、未来が変わってリーネ軍曹は子どもに泣きつかれなかったのだろう。ラインを呼んだことでリーネ軍曹が子どもと接触する前に移動してしまったのだな。

千里眼による未来視の欠点は俺が未来で見ることになる光景で、変わる可能性が充分にある。ということだ。

例えば、ドッヂボールなんかで球が投げられる前に、球が俺にあたる未来を見た場合はすぐに避けると球は避けた先の俺に狙いを定められ球が当たる。投げられてから躱すのが正解だ。

 

「はあ……子どもを探しといてくれ」

 

リーネ軍曹に紙飛行機を渡す。早くシャーリー中尉の所に戻らなければ小言を言われるだろうからな。

 

〜しばらくたって(2回目)〜

 

「ありがとうお姉ちゃん」

「あんまり遠くに飛ばしちゃダメだよ?」

「はーい!」

 

リーネ軍曹は無事に子どもを見つけられたようだ。

 

「うまくいったようでなによりだ」

「また、トラブルに首を突っ込んでたのか?こりないなぁ」

「いいだろ別に」

「はいはい、さっさと運んでくれ。男手のディートリヒ中尉」

 

シャーリー中尉の言われるがままにトラックに向かい荷物を乗せる。スナッチは鳥籠にいれてリーネ軍曹に持ってもらうとしよう。ラインはまた自力で飛んでもらうとして……うむ、俺は箱の上にでも乗るとするか。

 

「よっと……これで終わりか?」

「ああ、そうだな。速く帰って飯にするか〜」

 

シャーリー中尉が運転席に乗り込み、エンジンを蒸す。俺はスナッチを鳥籠にいれリーネ軍曹に渡す。

 

「スナッチを任せる。なに、暴れたりはしないだろう」

 

俺はそういいながら荷台に飛び乗る。木箱をロープで固定、準備ができ声をかけ出発する。

 

「帰りは安全運転で頼むぞ……本当に……」

「おう、任せとけ!」

 

あ、これはダメだな




リーネのヒロイン感が凄い……
サブヒロインにでもしようかな……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 扶桑の援軍

今回も少ないです。結構な難産でした……
次回からは四千文字を……


結局のところ、シャーリー中尉の運転はまともではなかったので俺はその日はすぐに自室で寝込んでしまった。

 

その翌日、朝からラインと共に基地の周辺をランニングしている時だ。

 

「ん?ユーティライネン少尉とリトヴャク中尉か……」

 

夜間哨戒を終えた二人が帰還した。

今の俺には夜間哨戒というのは縁がないものだ。まあ、時期に目がいいことを理由に配属される可能性はあるのだろうがな。

 

「そう言えば……スナッチを飼い始めてから妙に夜目が効くようになったんだよな……」

 

俺は未だに転生特典のことをよくわかっていない。

千里眼だけが該当するのかと思っていたがそうじゃないらしい。

俺はランニングをしながらふとそんなことを考えていた。

 

〜数週間後〜

 

「今日、少佐が帰ってくるのか……」

 

坂本少佐が基地を発ってから2ヶ月近く経過した。

通信によれば本日に新人と共に到着するそうだ。

 

「そう言えば、坂本少佐が帰ってくると私の訓練担当は坂本少佐に変わるのでしょうか……」

「ミーナからの連絡では変わることはないそうだ」

 

リーネ軍曹はホッとしたような表情になる。扶桑の坂本少佐がつける訓練はキツいとでも伝わってるのだろうか。だとしたら俺がつける訓練はまだまだ甘いってところか。

 

「取り敢えず、担当が変わるにせよ変わらないにせよ。訓練メニューはキツいのに変えていくぞ」

「はい!」

 

まさにその時。警報が鳴る。未来視を持った俺より早い訳はミーナが索敵範囲と精度を向上させたからだ。

 

「予報より遥かに早いな……」

『ディー、リーネさん。そのままネウロイに向かってくれるかしら。リーネさんはディーの子機に入ってください』

「了解。ちょうど今から飛行訓練に移るところだったし、丁度いい。リーネ、行くぞ!」

「了解!」

 

銃の安全装置を解除し急行する。

 

「目標はかなり遠いな……シャーリー辺りが追いつきそうだ。リーネ軍曹、狙撃できるか?」

「やってみせます!」

「その心意気やよし」

 

なお、リーネは未だに戦果がない。どうやら飛ぶことに精一杯で射撃に魔力を回せないようだ。

それ以外にも故郷でたるブリタニアに対するプレッシャーで緊張するようだ。

訓練の二分の一でもいいから力を発揮してくれたら充分なんだがな……

どうにかして実戦慣れして貰わなければ……

 

「敵は目の前(数キロメートル先)に見えてるんだけどな……」

「ディーさんと同じ目の良さを持ってる人なんていないと思いますけど……」

「そう言ってくれるなリーネ」

 

しばらく飛行しているとルッキーニ、トゥルーデ、ペリーヌと合流した。

それと同タイミングで空母赤城からひとつの影が出撃した。

 

「あれが……扶桑からスカウトした新人……飛行は初めてなのか?」

 

覚束無い感じで飛行しているそれは少佐と話し合っていた。

うむ、読唇術をしようにも顔が見えん。

 

「リーネ、合わせ技をしようと思うがいけるか?」

「わ、わかりました!」

 

新人はネウロイにゼロ距離で射撃しコアを露出させた。

 

「コアが露出したようだ」

「良く見えるね〜私は射程内に捉えているけどいけるかな?」

「やってみたらどうだルッキーニ」

「わかったー!」

 

ルッキーニの実力の高さは配属されてから嫌という程思い知った。これぐらいの距離ならば落とせるだろう。

 

「まあ、物見事に当てるものだな……」

 

結果は十発全てがネウロイに着弾。剥き出しになったコアは衝撃に耐えられず崩壊した。

 

「コア破壊カックニーン♪」

 

それと同時に緊張の糸が切れたのか新人はストライカーを停止、恐らく気を失ったものだと思われる。

 

「十発十中だよ?凄いでしょ!」

「こちらも確認した。ネウロイ撃墜、戦闘を終了する」

「坂本少佐〜ご無事ですか〜?」

 

どさぐさに紛れて坂本少佐に抱きつく気か……残念ながら坂本少佐は新人を抱き上げているのでそれは無理だな。

 

「履いているユニットはゼロか……歳は……うむ、わからん」

「女性の年齢を探るのはマナー違反ですよディーさん」

「そうか……以後、気をつける」

 

赤城は無事なようだ。初めてにしてはよくやった方なのだろう。

 

 

 

 

「宮藤博士の娘さん……か」

 

一度、宮藤博士の墓前に行ったことはある。

そこには文字が刻まれていた。

『その力を、多くの人を守るために』

俺はこの言葉に宮藤博士の人間性を垣間見た気がした。

生きている頃に言葉を交わしてみたかったものだ。

 

「そう見たいよ。美緒に宮藤博士に関することを聞くつもりらしいわ。それでリーネさんの方はどうかしら?」

「射撃も飛行も才能を感じさせるよ。特殊性から選ばれた俺よりも才能はあると思う」

「ディーがそう言うなんてよっぽどね」

 

前は敬語を使っていたがミーナが「違和感があるからやめてくれないかしら?」と言われたので今は使っていない。

距離感を感じるそうだ。それに伴い基地内の仲間には敬語はやめている。リーネにディーさんと呼ばれた時は後から何かの気配を感じたのでゾッとしたが。

 

「しかし……プレッシャーからか上手く実力を発揮できていないようだ。故郷のために、と考えているからかもし知れないな」

「そう……でも、ここは最前線、即戦力だけが求められる。リーネさんには申し訳ないけど頑張ってもらうしかないわね……」

 

最前線……501統合航空戦闘団に所属する程の能力はリーネは持ち合わしている。だから、戦闘慣れさえしてもらえれば戦力になるんだろうが……

 

「だな……で宮藤軍曹の話だが……潜在能力がかなり高い。時期に現在のユニットでは宮藤の実力についていけなくなるだろう」

「そう……」

「見たところ今までユニットを履いたことな無さそうだった。そこのところはどうなんだ?」

「宮藤さんは今までユニットを見たことすら無かったのよ。無理もないわね」

「はあ……当分はリーネと一緒に訓練漬けだな」

「そうね。それで……眼の方は大丈夫?」

「あぁ……昔みたく見え過ぎることはもうない。だが、急に夜目が良くなった。今では昼間同然に見えるので困ったものだ」

「じゃあ、そろそろ夜間哨戒についてみる?」

「何事も経験……か。仕方ないやってみるよ。で、そろそろじゃないか?顔合わせ」

「そうね。行くとしましょうか」

 

さて、若干だか懸念するべきことがある。

リーネが宮藤軍曹に苦手意識を持たなければいいが……いや、どちらかという抱くのは劣等感か……

初出撃、しかも人生初の飛行で実戦を行った宮藤軍曹は潜在能力の宝庫だ。

その事で劣等感を感じて苦手意識を持たなければいいが……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

驚くべきことに用事を終えたら帰ると聞いていたがここに宮藤軍曹が配属されるようだ。

俺と同じく、宮藤博士の言葉に感銘を受けたのだろう。俺が先程から宮藤軍曹と呼んでいるのはそういうわけがある。

 

「よし、全員揃ったな」

 

少佐は全員が揃った事を確認し切り出す。

 

「え〜、本日付けで連合軍501統合戦闘航空団に配属となった宮藤芳佳だ」

「宮藤芳佳です。よろしくお願いします!」




遅れましたがセンリさん9評価ありがとうございます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 宮藤着任

今回は四千文字です。
渡邊ユンカースさん星9評価ありがとうございます!


カチコチと時計の針が進む音を耳にしながら目を覚ます。

時間は午前4時、冷水で顔を洗い隼のラインを連れ出し早朝のランニングを始める。夜にはスナッチを連れ出しているがあいつは勝手に飛び去って勝手にに帰ってくるから問題ない。

いや、鷹匠としては問題ありだな。

そもそも、スナッチは俺よりもリーネに懐いている節がある。……何故だろうか

 

「セイ!ヤア!」

 

海岸まで走っているいると、久々に聞く声がした。

 

「おはようございます少佐」

「あぁ、おはようディートリヒ」

 

そう、坂本少佐だ。早朝ランニング中に遭遇することはよくあることだ。

 

「ところで宮藤軍曹が先程からこちらを見てる気が……」

「そうか?気配は感じられないが……」

「あと2分後に来ると思いますよ。それじゃあまた後で」

 

そう言って去る。暇な時に意図的に未来を視ることがある。今日見た未来は坂本少佐が宮藤軍曹に話しかけられているところだ。城壁の上からでも観ていたんだろう。

 

said 坂本

 

「それじゃあまた後で」

 

そう言って同僚のディートリヒは去っていった。

男性にしては珍しく前線に配置されるほどの魔法力と技術を持つウィッチだ。

 

「それにしても固有魔法を日常的に使うのか……いざと言う時に戦えるならいいが……」

 

おっと、いけない。集中が途切れてしまっている。型の続きをしなければ。

 

said out

 

時間が経った、ブリーフィングルームに待機する。ミーナが改めて宮藤軍曹の紹介をするようだ。

ルッキーニは机の上に寝っ転がり、ペリーヌは坂本少佐を見つめている(平常運転)。サーニャは夜間哨戒任務で寝不足だからか睡眠中、結構自由な職場だと思う。

なお、リーネの頭の上にはスナッチが留まって寝ている。

コノハズクって人懐こかったか?

かく言う俺も左手の餌掛けにラインを留まらせているのでなんとも言えない。

 

「はい、皆さん注目。改めて今日から皆さんの仲間になる新人を紹介します」

 

そう言ってミーナは新人を紹介した。

 

「坂本少佐が扶桑皇国から連れてきてくれた、宮藤芳佳さんです」

「宮藤芳佳です。皆さん、よろしくお願いします」

 

まるで転校生のような紹介だと思った。先日まで民間人だったから当然といえば当然だ。

 

「階級は軍曹になるので同じ階級のリーネさんが面倒を見てあげてね」

「は、はい」

 

リーネは苦手意識を宮藤軍曹に向けているのだろうか。まあ、自分は実戦での戦績は芳しくないが宮藤軍曹は初の飛行でコアを露出させた。

 

「はい、じゃあ必要な書類、衣類一式、階級章、認識票なんかはここにあるから」

 

ミーナは壇上に置いてあるものを宮藤軍曹に見せた。その時、宮藤軍曹の顔色が変わった。

その表情は銃を……いや、武器を持つことへの拒絶か。

 

「あの……」

「はい?」

「これはいりません……」

 

宮藤軍曹は銃をミーナに手渡しした。戦闘時でしか武器は持つ気は無いらしい。

 

「何かの時には持っていた方がいいわよ?」

「使いませんから……」

「そう……」

 

ミーナは拳銃を受け取り壇上に戻した。

 

「あっははは、おかしなやつだな」

(人を傷つけるのが怖いのだろうな)

 

「なによ、なによ!」

 

いきなりペリーヌが癇癪を起こしブリーフィングルームを後にした。いきなりではないか。銃を持たなかった宮藤軍曹が気に入らなかったのだろう。

 

「あらあら、仕方ないわね……個別の紹介は改めてしましょう。では、解散!」

 

その言葉を聞きメンバー全員が立ち上がる。そして、ミーナもブリーフィングルームを後にした。

宮藤軍曹が銃を持たないのも無理はない。しかし、ここは最前線だ。自衛の手段がないのであれば死んでしまうかもしれない。拳銃一つで生死を分けることもあるだろう。……ネウロイに拳銃一つで立ち向かうウィッチはなかなかにいないと思うが。

 

そろそろか……

「おわっ!」

「どうだ?」

 

俺やリーネの時と同じくルッキーニに背後から胸を揉まれる宮藤軍曹。俺の時は未来視で回避したが宮藤軍曹の固有魔法は治癒なので避けるのは無理だったようだ。

 

「……残念賞」

 

その評価を聞いたエイラが言った。

 

「リーネは大きかった」

「………」

 

リーネは俯く、今まで頭に留まっていたスナッチも起きたのか俺の方に飛んできた。

 

「鳥?」

「ああ、俺のペットみたいなものだ。ディートリヒ・D・クルーガー。カールスラント空軍所属、階級は中尉だ。ディートリヒでもディーでも好きに呼んでくれ」

 

ちょうど俺の方に目が向かれたので自己紹介をしておく、どのみち訓練で会うことになるのだろうがな。

 

「よろしくお願いします」

「ああ、よろしく。それじゃ少佐、俺は訓練に行くんで」

「了解した」

 

俺もブリーフィングルームを後にしよう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

持久力を付けるための走り込み、筋力を付けるために筋トレ……なるべく効率的なものを行う。一通りのメニューを終えたら射撃訓練だ。千里眼を生かすために長距離を攻撃する手段を得たい。友人の狙撃手に頼んでコツは教えてもらったから上手くいくはずだ……

 

「………」

 

Kar98kのトリガーに指を風を読む。爆撃制御の応用で火薬の爆発を制御しほぼロスがない形でエネルギーを伝達、かなりの集中力を必要とするが弾丸の飛距離を伸ばすことができる。

 

「………!」

 

有効射程オール無視の700m狙撃。トリガーを引き弾丸が発射される。結果は……

 

「……また外した」

 

元々狙撃の訓練を行っていなかったからかなかなかに上達しない。狙撃さえできれば目に見えたものを撃ち抜けるはずなんだがな……

へカートライフルとかがあればいいが、この時代にはまだ存在していない。そもそもジェット機も開発中という段階だ。

 

「リーネなら当てれたのだろうか……」

「そうでもないんじゃないかしら?」

「!?!?」

 

いつの間にか後ろを取られていたみたいだ。集中していると身の回りの気配感知が疎かになるのは悪い癖だ。

 

「なんだミーナか……」

 

すぐさま狙撃訓練にもどる俺、もちろんミーナは……

 

「少しぐらい相手してくれてもいいんじゃないかしら?」

「俺は息抜き要員じゃないんだぞ……ま、いいか」

 

このように話しかけてくる。書類整理が終わったので息抜きでもしてるのだろう。……そうじゃなくても話しかけてくることはあるが。

 

「ここでは他の訓練を行う人の邪魔になるから移動しないか?」

「そうね、じゃあ見張りもかねてあそこに行きましょうか」

 

 

 

 

ここはウィッチーズ基地で1番高い場所だ。見晴らしがよく開放感がある。俺はここから千里眼を用いた見張りを行うことがある。

 

「何か見える?」

「いや、特には。ネウロイの侵攻予報がズレが生じている今は特に気を抜けないが……」

「あれ?ディーさん、ミーナ中佐?」

 

声に振り向くとリーネと宮藤軍曹がいた。

 

「うわーー!広ーーい!!」

「こんにちは宮藤さん。ここは基地で1番高い場所なの」

「へぇー…この島全部が基地なんですね」

「ああ、ドーバー海峡に突き出した小島それがウィッチーズ基地だ。それであっちに見えるのがヨーロッパ大陸。今は殆どがネウロイの手に落ちている。見えないと思うがヨーロッパ大陸のほとんどの街は廃墟同然と化している」

「見えるんですか!?」

「ああ、俺の固有魔法の一つだ」

 

その説明はもうするつもりはないのだがな……

 

「改めてディートリヒ・D・クルーガーだ。後の訓練でも顔を合わせるだろうがよろしく」

 

そう言ってこの場を後にすることにした。一応、千里眼も固有魔法扱いなので休み休み使わないと変に疑われる。あの頃には戻りたくない。

 

 

 

「お前達の前には何が見える!」

「海です!」

 

今は宮藤軍曹とリーネが坂本少佐により走り込みを行っている。

 

「海の向こうには何が見える!」

「ヨーロッパです!」

「(俺の時と似たような感じだな……)」

 

俺はその光景を坂本少佐の隣で見ていた。俺の役目は……

 

「二人ともスピード落ち始めてる。ペース配分を怠ったな」

 

スピードメーターだ。行き過ぎた訓練は体を壊すことがあるので俺はその目安として使われている。

 

「すみません!」

「謝ってどうにかなる事じゃないだろう?」

 

あと坂本少佐がムチなら俺はアメらしい。

その後、二人は筋トレを行ったが規定の回数をこなす前にへばっていた。

 

「もう無理……」

「私も……」

 

まあ、リーネの方はペースが宮藤軍曹より早いしこなした回数も規定の数も多いのだがそれでもまだまだだな。

 

「ほら、これでも飲め」

 

俺は二人に水筒を差し出す。水分補給はこまめに行わないと後で色々支障をきたす可能性があるからな。

 

「ありがとうございます……」

「いつもすみません……」

 

二人はそう言いながら水筒に口をつける。

 

「冷たくないんですね」

「急に冷たいものを飲むと体に悪い。それが運動直後なら尚更な」

 

リーネはこの二ヶ月間で俺の指導用法に慣れたので常温水にも文句を言わない。

 

「次は飛行訓練だ。ディートリヒお前もどうだ?」

「ならご一緒さしてもらうかな」

 

その後?別段記述することは無いな。宮藤軍曹はやっぱりストライカーに乗るのが数える程しか無いからだろうか、飛行が安定していない。

 

「リーネ、旋回が遅いぞ」

「はい!」

 

そんなこんなで訓練が終わる。

 

「もうへばったのか宮藤」

「初心者ならこんなものじゃないか?」

 

宮藤軍曹はへばって滑走路に寝そべっている。リーネはその横で座り込み息をあげている。

 

「よくやったなリーネ。宮藤もよくここまでもったな」

「おいおいディートリヒ。甘やかしてどうする」

「俺は褒めて伸ばすタイプなんですよ。もしくは上げて落とすタイプです」

 

リーネは疲れた表情の中に喜びの微笑みを浮かべた。

 

「はい!一刻も早く皆さんに追いつけるように精進します!」

 

そこで坂本少佐はふと思い出したように言った。

 

「前と今じゃリーネの飛行に安定感が違うな。ディートリヒの教育の賜物か?」

「俺はリーネの特訓に口出ししただけですよ」

 

俺はリーネと宮藤軍曹に手を貸し立たせる。

 

「大丈夫か?歩けるか?」

「私は大丈夫です。けど宮藤さんが……」

「大丈夫……で、す」

「ならシャワーを浴びてくるといい。今日の訓練は終わりですよね?」

「ああ、ディートリヒはどうする?」

「……俺は二人のストライカーを回収してくるのでやめておきます」

「そうか」

 

俺はそう言いながらストライカーから足を引き抜く。ストライカーを手で持ち格納庫に向かう。

 

「……2日後か」

「ディーさん?」

「どうかしたんですか?」

「なんでもない」

 

俺はこの時、無意識下で言った言葉に意味があるなんて考えもしなかった。




遅れた理由?
………3500文字辺りから筆が止まりました


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 初戦果

桜鈴 零さん、評価ありがとうございます!
そして、長らく放置して申し訳ございません。
就職活動をしていたので執筆できていませんでした。


「……なかなか上達しないわね」

「宮藤は一度、魔法力運用の基礎からやった方がいいのでは?」

「それも視野に入れておくか……」

 

宮藤とリーネの飛行を見ながらコメントするのはコメント順からミーナ、俺、坂本少佐だ。

ちなみに身長は全員同じくらいだったりする。

え?男性として18で165は小さいって?

気にしてるから言わないでくれ。

ちなみにストライカーの都合上、男性ウィッチは小柄だったり中性的な体格だったりするのがほとんどだ。

あと、面倒だから宮藤軍曹は宮藤と呼ぶことにした。

 

「相変わらずリーネさんは訓練では上手くやってるわね」

「ディートリヒの教育の賜物だな。実践で訓練の2分の1……いや、3分の1でもできればいいのだが……」

「あの空回りは心の持ちようですからね。私にはどうしようもありません……」

「ディー、敬語よ」

「……あのなぁ、普通は目上の人には敬語を使うもんだろうよ」

「私は気にしないぞ」

 

そんな会話をしているが目線はリーネと宮藤から離していない。

 

「あとはあいつらの頑張り次第…か」

 

訓練が終わったあと、相変わらず宮藤は倒れリーネは足を伸ばして座っていた。

 

「おつか……ん?」

 

俺は二人に声をかけようとした。けれどそんな俺の横を通り過ぎてトゥルーデ(わからない人もいる可能性があるから言っておくがバルクホルン大尉の愛称だ)が二人の前に立った。

 

「バルクホルンさん……どうしたんですか?」

 

リーネはトゥルーデに気が付きそう言った。どうやらトゥルーデは宮藤に言いたいことがあるらしい。

 

「新人。ここは最前線だ、即戦力だけが必要とされる。死にたくなければ帰れ」

 

かなりキツめな言葉だな。まあ、普通は民間人あがりの人間に背中は預けるのは難しいと考えているのだろうな。多分、きっと

そんなトゥルーデに宮藤は答える。

 

「私は……みんなの役に立ちたいと…」

「ネウロイはお前の成長を待ちはしない。後悔したくなければ、ただ強くなることだ」

 

そう言ってトゥルーデはこの場を去った。

入れ違いに俺は二人に近寄る。

 

「あれはトゥルーデなりの気遣いだ。気を悪くしたのなら謝る」

「別にディーさんは何も……」

 

そう言って水筒を渡す。ストライカーを回収し格納庫に運ぶ。

 

「ディートリヒさんはなんで最前線でネウロイと戦うんですか?」

 

ふと、宮藤が俺に問いかけた。

俺はストライカーを運んでいるので振り返らずに言う。

 

「……《成し遂げんとした志を、ただ一回の敗北によって捨ててはいけない》

負けたままだなんて気に入らない。それだけだ」

 

嘘をついた。負けたままが気に入らないんじゃない。親友を失い、故郷を失った。

そこまでされて、何もできなかった自分が気に入らない。

 

「…ま、戦うことに迷いがあるなら帰った方がいいぞ。宮藤」

 

俺はそう言って格納庫に向かう。

ユニットをそのまま整備員に渡す。

 

「じゃあ、よろしく頼んだ」

「はい。また、差し入れお願いします」

「ああ、任せろ。今度は何がいい?」

 

ここの整備員は人が良い奴が多くて助かる。

ついでに嫉妬の目とかもないし。

 

「何か甘いものがいいですね」

「わかった。なら、なにか作ってこよう」

 

そう言って格納庫をあとにした。

 

※※※

 

その夜、夜間哨戒任務の予行練習として夜のウィッチーズ基地を歩いていた。

俺自身の目が夜ではどこまで見えるかの確認だけどな。

 

「……あんまり昼間と変わらないな」

 

本当に見え過ぎる目だ。神様からの贈り物らしいが傍迷惑な一品だ。

多分、遊戯王のミレニアムアイとかの方が使い勝手がいいと思う。

いや、ネウロイの思考が読めるかはわからないが

ふと、滑走路の方に目を向けてみた。

そこには宮藤とリーネがいた。

確かリーネは夜にあそこでポーっとしている事があったはずだ。

 

「……どうしたミーナ?」

「あの子たちが心配でね……昔の私たちを見てるみたいで……」

「ふむ……『訓練もなしにいきなり飛べた宮藤さんとはちがう』か……俺から言わせてもらえば、同じ人間なんてそうそういないと思うけどな」

「誰もそうは思わないのよ。あの人みたいにできたら。なんて、みんな思ってるわ」

 

そんな言葉を交わして俺はその場を後にした。

 

「あの人みたいに……か。そう思っても出来ないから割り切るしかないんだ。

頑張れよリーネ」

 

 

〜翌日〜

 

警報がなった。

ネウロイがグリット東114地区に侵入した。

との報告が監視所から入ったらしい。

今回は俺は基地待機組。

予測不可の事態に陥っても未来が見えるから比較的に適応しやすいから最近の出撃では待機を言い渡されることが多い。

 

「宮藤、少しいいか?」

 

リーネと会話をしていた宮藤に声をかける。

ちなみにリーネは「足でまといにできることなんて……」と言って走り去ってしまった。

 

「あ…はい」

 

宮藤の返事を確認してから会話を始める。

 

「リーネの故郷はここ、ブリタニアなんだ。

ヨーロッパ大陸がネウロイの手に落ちているのは知ってるな?」

「はい、昨日ディートリヒさんから聞きました」

「そうだったな。

欧州最後の砦、故郷のブリタニアを守る。そのプレッシャーからリーネは実戦では十全に力を発揮できないんだ」

「リネットさん……」

 

宮藤の表情が少し暗くなる。だが、気にしてはいられない。リーネにとって宮藤が燃焼材になるかも知れないんだ。

 

「宮藤はなんでウィッチに?」

「はい、困った人達の役に立ちたくて…」

「同じだな」

「へ?」

「入隊した時のリーネと同じことを言っている。その気持ちは忘れるな。そしたらきっと、上手く行く。その信念があればきっと、皆の力になれる」

 

その言葉で会話を終え空を見るために歩き始める。

集中すればココからでも見えるはずだ。

 

「……あれは……くっ!」

 

また、変な映像が頭に過ぎる。ロケットのようなネウロイがこちらに向かってくる映像だ。ミーナと俺とエイラが迎撃を行っているが相当の速度があるのか捉え切れていない。

 

「くそっ!」

 

ミーナに伝えるために走り出す。手遅れになる前に!

 

 

小会議室でミーナと合流し警報を鳴らした。

すぐにエイラが来て情報を共有する。

 

「ロケット式のネウロイ……それが今美緒たちが戦っているネウロイのコア……」

「ああ、この目で見た。今頃、坂本少佐たちも気づいているだろうな」

「出られるのは…私とディー、エイラさんだけね。サーニャさんは?」

「夜間哨戒で魔力を使い果たしている…無理だナ」

「そう……なら、三人で行きましょう」

 

そこに宮藤が乱入してくる。数秒後には宮藤に感化されたリーネも来るだろう。

 

「私も行きます!」

「……」

 

ミーナは一瞬だけ思考しすぐに答えを出す。

 

「まだ貴方が実戦に出るのは早すぎるわ」

「足でまといにならないように精一杯、頑張ります!」

 

ミーナは下がらない宮藤に先程よりも口調を強くして言う。

 

「訓練が充分ではない人を戦場に出す訳にはいかない。

それにあなたは撃つことに躊躇いがあるの」

「撃てます!守るためなら!」

 

リーネが入口近くに到着した。

なぜわかるかって?音も見えるんだよ。

 

「とにかく、まだあなたは半人前なの」

「でも…!」

 

そこでリーネが姿を現した。

 

「私も行きます!二人なら一人分ぐらいにはなります!」

 

その言葉は……

 

「くくく……いいじゃないか。その気概は推して知るべしだ。

ミーナ、二人を出撃させてもいいんじゃないか?」

 

俺の心に響いた。なんて言い方はポエミーだが、実際に面白いとは思った。だから進言した。

俺の言葉を受け、ミーナは少し考えた。

 

「…90秒で支度しなさい」

 

許可を出したのだ。自分で進言して言うのはあれだが驚いた。

 

「「はい!」」

 

格納庫に走っていく二人を後にミーナがため息をついた。

 

「…私たちだけじゃダメだったの?」

「いや、俺がいてもいなくても、この結果になっていたさ」

 

かくして俺たちは出撃した。

出撃前から既にネウロイの姿は捉えている。

 

「やはり早いな…シャーリー級だ」

「そんなに早いのカ…」

 

千里眼で捉えた標的は動体視力のおかげでゆっくりと見えるがそれでも動いているのがわかる。

今まであんまり見ないスピードだ。

 

「……ここら辺かな」

 

そこで俺は力の限り爆弾を上に投げた。

さて、そろそろ始めるか。

 

「三時の方向から敵は接近中」

「了解、私とエイラさんで先行、ディーは未来位置を予見し逐一報告、宮藤さんとリーネさんはここでバックアップをお願いね」

「「はいッ!」」

「いい返事だ」

 

戦闘が始まる。そろそろネウロイと先程投げた爆弾が接近する頃合だな。

簡単な時限式爆弾。投げてから5秒ほどで爆発する。

全てを踏まえて扱えば遠投し先制攻撃が可能になる。

ストライカーの加速と運動エネルギーをうまく扱えばかなりの飛距離がある。

というわけで起爆。

ドォォン!

という音が聞こえた。水柱は上がらない。もちろん水中に入っていないからだ。

爆撃制御により俺が引き起こした爆発は物理法則何それ美味しいの?状態だ。

火柱がネウロイに向かって襲いかかる。

まるでポケ〇ンのだいち〇ちからのように。

 

「ネウロイ健在、というか火柱を避けやがった!」

 

イライラと声を出してしまう。これで撃墜されることはないと踏んでいたが減速は出来ると思っていた。

この速さでは一撃離脱戦法は取れない。かと言って速さを合わせるのは難しい。

何故かって?

この世界にあるかは知らないが、切り離し式のロケットみたいな機構がネウロイには搭載されている。

それにより軽量化しさらに加速するネウロイはミーナとエイラを容易く振り切る。という映像を見ている。

 

「リーネ、宮藤!ネウロイは必ずそっちに向かう!俺じゃ太刀打ちできない!

二人だけが頼りだ!」

 

通信をいれながらも手に握るラインメタルFG42自動小銃から何発もの弾丸を飛ばすが当たる気配がしない。

どれも紙一重で避けられる。

両手撃ちなんて器用な真似は俺はできないのが悔やまれる。できたら偏差射撃でどうにでもなっただろうに。

 

「でもディーさん達でダメだったなら……私たちには……」

「いいからやれ!リネット・ビショップ!俺にできないことをやるんだ!」

「……え?」

「宮藤!リーネを支えてやれ!」

「わ、わかりました!」

 

俺がこの一瞬で藁を掴むようなイメージで見た未来。それは……

 

リーネと宮藤が協力しネウロイを撃墜させるシーンだった。

 

おそらくは別の世界の可能性。

一瞬で未来を人為的に見ようとすると全く関係の無い未来を見ることが稀にある。

……1度、ネウロイが攻め込んだこの世界の正史ではなく、俺が元々生きていた世界のように戦争が起こりミーナが目の前で肉塊になる未来を見た時は発狂しかけた。

最近は練度が上がった?のか、別の可能性は見ることはあってもある程度は誤差のない世界の未来を見れるようにはなったな。

 

なーんてことを考えているうちにリーネと宮藤はネウロイを撃墜したようだ。

……感激のあまりリーネが宮藤に抱きつき、そのまま仲良く着水してるけどな。

 

「ま、終わりよければなんとやら。だな」




いま、思ったのですが。
この主人公(ディートリヒ)ってチート何でしょうか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 バルクホルンと宮藤

プロレタリアート革命準備評議会さん
評価ありがとうございます!
凍結は多分しませんよ。
どこまでするかは決まってませんけど





…………オイ


「………」

 

時に人は夢を見る。

夢と言うのは脳が睡眠状態ではない時に見るイメージの断片だとかどこかで見た気がしなくも無い。

それはそれとして。

予知夢というものもある。

昔なら「あるわけない」と一蹴していたものだが……

俺の場合は予知夢しか見れない。

というのも、睡眠中はどうやら集中状態と同じような状態となるらしく脊髄反射のような感じで未来視が発動。

それにより脳には未来の映像が刷り込まれる。

ちなみに今回の予知夢は……

 

カールスラント上空。

俺は顔見知りのトゥルーデ、フラウ(ハルトマンの愛称)、そしてミーナと一体のネウロイと戦闘をしていた。

背景は炎上するカールスラント。

俺はコアを露出させた未来を見ることでコアの位置を割り出しラインメタルの引鉄を弾く。

何発かネウロイの装甲にあたりコアが露出される。

そこで運悪くマガジンが尽きてしまい引鉄が軽くなった。

 

『弾がきれました!』

 

『うぁぁぁぁ!!』

 

その時、後退した俺と入れ替わるようにトゥルーデが咆哮しネウロイのコアを撃ち抜いた。

そして、俺はまた未来を見る。それは……

 

1人の少女が瓦解したネウロイの破片によって昏倒する瞬間だった。

 

「……嫌な目覚めだ」

 

久々に見た夢は何とも嫌なものだった。

 

※※※

 

「今日は…扶桑料理か」

 

前の世界での故郷にあたる国の名前が変わっていたりしたのでなまじ前の世界で培ったものを持っているので苦労したが国名はとりあえず間違えないようにはなった。

 

「あ、おはようございますディートリヒさん!」

 

「おはよう、宮藤。これは味噌汁か?」

 

「物知りですね。はい、味噌汁です」

 

「そうか、確か。味噌汁を食事の初めに飲むと血糖値が上がりにくくなったり、そもそもの栄養価が高かったりするので寿命が伸びるそうだな」

 

「へぇ〜…初耳です」

 

「健康は気をつけておくに越したことはないからな」

 

俺はそういいながら朝食を取り自分の席についた。

 

「ふむ、先程自分で言ったくせに実践しないのもあれだな。いただきます」

 

そう言って味噌汁に口をつける。

久々に口にする故郷の味は心に何かを満たすような感じで温かみを感じれた。

 

「おはようディートリヒ」

 

俺の隣の席を挟んで向こう側の席に座るのはトゥルーデ。階級では俺が1つ下になるが仲は良好だ。

 

「ああ、おはようトゥルーデ」

 

ちなみに俺は食事にかかる時間が長かったりする。

これは前の時もそうだったのだが、軍属になり早く食べ終えるように強制された。

だが、未来視で安全だと判断した場合はゆっくり食べるようにしている。

まあ、それを知っているメンバーは朝一番に俺の食事のスピードを見て朝の様子を伺うらしいが。

 

「…ん、ミーナおはよう」

 

「あら、今日はゆっくり食べるのね。おはようディー」

 

少ししてからゾロゾロと501のメンバーが食堂に集まってきた。

ミーナは俺の隣の席、フラウは空いている方のトゥルーデの隣に座った。

 

「どうしたのトゥルーデ?浮かない顔して」

 

「食欲もなさそう」

 

「食事はキチンととるトゥルーデにしては珍しいな」

 

俺たちのその言葉に対しトゥルーデは「そんなことはない」と言ってスプーンを動かした。

しかし、1口するとキッチンの方…詳しくは宮藤の方を向いた。

 

「…ん?」

 

「どうしたの?」

 

視線を感じたのか振り返る宮藤。

 

「今誰かに見られていたような…」

 

「誰か?」

 

「いや、気のせいだよね」

 

宮藤、多分それ気のせいじゃない。トゥルーデがさっきまで見ていたぞ。まあ、宮藤は振り返る頃には目線は戻していたが。

 

「おかわりー!」

 

「あ、はーい!」

 

ルッキーニがお代わりを要求した。

宮藤はその要望に応えるため食卓の方へ来るが…

 

「あの…お口に合いませんでした?」

 

宮藤がトゥルーデの手付かずの食事に気がついたのだ。

トゥルーデは無言のまま食事を片付けて席を立った。

 

「(いつものトゥルーデじゃないな…宮藤に何か思うところでもあるのか?)」

 

俺は納豆を頭の中で(こんな味だったな)と思いながら食べつつそんなことを考えていた。

宮藤もトゥルーデの方に意識を向けていたがルッキーニが再びお代わりを要求したのでそっちに意識が向いていた。

 

「バルクホルン大尉じゃなくてもこんな腐った豆なんてーーとても食べられたものじゃありませんわ」

 

「残念ながら納豆は腐ったではなく発酵だ。

納豆が腐った豆というのならヨーグルトは腐った牛乳ということになるし、パンは腐った小麦粉を焼いたものになるぞ」

 

納豆に文句をいうペリーヌ。俺は本で読んで得た無駄知識を元にそんなことを言っていた。

 

「ほんとによく知ってますね……あと、納豆は体にいいし、坂本さんも好きだって……」

 

その言葉はペリーヌの何に触れたのかペリーヌは過剰に反応していた。

まあ、壮大な自爆劇をしていたと記しておこう。

 

「ご馳走様。美味しかった」

 

「あ、はい。お粗末様です」

 

俺はそんな光景を尻目にトレーと食器を片付けに行く。

このあとは飛行訓練になっているがトゥルーデの様子がやけに変……というか、宮藤が着任してから変だ。

1度見た方がいいかもしれないな。

 

※※※

 

「というわけでトゥルーデの飛行を見ておきたいんだが」

 

「許可します。まあ、ディーなら飛行しながらでも私たちのメンタルチェックとかするから問題ないとは思うけど」

 

「何かあって飛行に集中できなきゃ訓練に意味ないから申請したんだが…。それに俺がそういうのをする時は戦闘前と戦闘後しかしない」

 

「わかってるわよ」

 

「ならいいが……」

 

ここでおかしいと気がつく奴もいると思う。

千里眼には読心はあっても体調の変化などは読み取れないからな。

俺は何故か千里眼には関係ない夜目や敵の動きをある程度予測するなどの芸当もできてしまう……

おかしくないか?転生特典とやらは千里眼だけだと思っていたのだがどうやら違うらしい。

 

「それじゃ早速見るとするか」

 

「私も行くわ。私の目から見ても今のトゥルーデは変だもの」

 

というわけで二人仲良くフラウと飛行訓練中のトゥルーデを観察している。

 

「……乗れてないな」

 

「やはりディートリヒもわかるか」

 

後から現れたのは坂本(面倒だから呼び捨てにさしてもらっている)。やはり気づいていたみたいだ。

 

「そりゃあな、俺の唯一誇れる点は良すぎる目だからな」

 

「……本気で言ってるのか?」

 

「本気だとも」

 

「…今はそういうことにしておいておくか」

 

「で、どうする?」

 

「一度シフトから外した方がいいと思うのだが……ディートリヒはどう思う?」

 

俺は少し考えてみる。

面倒ごとは勘弁だからトゥルーデには早く元に戻って貰いたいものだが……

 

「そう言えばトゥルーデがおかしくなったのは宮藤が着任してからだな…」

 

「確かにそうね…」

 

「宮藤が……なら、組ませてみるか」

 

※※※

 

ということがあり……その後は訓練をしたりした。

まあ、俺はひたすらに狙撃の訓練だけどな。

飛行訓練は間に合って……はいないが、まあ同期の男性ウィッチよりは飛ぶのは上手いと思う……思いたい。

そーいや、転生者らしきウィッチもいたな……

たしか固有魔法はタキオンとか言って…

 

べシャ!

 

「………」

 

突然モップが頭に当たってきた。

モップの柄をたどると宮藤が肩に乗っけているのが見えた。

おかしいな普通は……これにはペリーヌが当たるはずじゃ……

 

「宮藤さん!注意なさい!」

 

すると後からペリーヌの声が聞こえた。

あぁ……なるほど、俺が歩いていたからペリーヌの歩く速度が落ちていたのか……で、俺がモップの餌食に……

 

「はわわ!」

 

さて、この後のも見えている。

 

「ごめんなさい!」

 

と謝った宮藤はまたモップをぶつけるんだったな。

まあ、右に避けるけど

 

「……少し周りを見ておけ、せめて自分が持っているのがどんなのか把握しておけよ」

 

「すみません!」

 

「全く貴方は、注意力が散漫すぎですわ!」

 

ペリーヌは指摘するが宮藤は何かに気が付き別の方向……

ふむ、トゥルーデを見ていたのか。

どうやら宮藤も気になるようだな……

恐らくは好意的に接している人が多い501でやけに冷たい態度をトゥルーデがとっているからだと思われるが

さて、そろそろペリーヌがうるさいだろうから耳を塞ぐとするか

 

※※※

 

アフタヌーンティーを終え、訓練に戻る。

……だがな、宮藤。日本の作法と外国の作法は違うんだよ。

まあ、それはリーネが後で教えてくれるだろう。

今日の俺はリーネ、宮藤の教導係から外されている。

何故かと言うと、先日から夜間哨戒任務につかされているからだ。

つまり訓練と言っても自分の部屋で惰眠を貪るだけだ。

そんな行動を強制されられ、目が覚めたのは夕方の事。

食堂に来てみたところ、どうやら今日は給料日らしくミーナがお金の入った封筒を持っていた。

……そう言えば、俺は給料を鳥関連とミーナ関連以外に使ったことあったか?

確かトランクには使っていない分の給料が入っていて、そろそろトランクの下半分が埋まりそうな感じだったような……

気のせいだな。うん。

そうしておこう。

 

ミーナから給料を受け取り、懐にしまう。

……今月から消費の予定でも立てとくかな(これを考えるたのは10は超えていると思うが、これもきっと気のせいに違いない)

俺はそこでとある声が見えた。

 

要約すれば、ミーナがトゥルーデに対して給料のことで話していた。

トゥルーデは501に所属している間は衣食住が出ているので給料は手元におかずに入院している妹の治療費にあてている。

少しは手元に残した方がいいと思うが……

ここにいるのは全員、年頃の少女ばかりだからな……

……18は年頃と言っていいのか?

鋭い眼光が飛んできたような気がするからここら辺でやめておこう。

 

それはさておき、このことを考えたらひとつの事を考えついた。

もしや、トゥルーデは宮藤と自分の妹を重ねてみてるのではないだろうか?

ということだ。

人の心を見ることはできないから確定事項ではないんだがな。

 

そう言えばトゥルーデは妹のお見舞いに1度も行ってないんだったか



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。