幻想郷の診療所 (不知火 凍夜)
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record1 幻想診療所の医者

里の中にある一件の建物、ここはこの里唯一の診療所である

今日もまた、患者がやってくる

 

 

「うん、完全に風邪だね、薬出しておくからあったかいもの食べて寝なさい」

 

白衣を着た男性がボードに留めた紙に症状を書き込みながら呟く。

 

「伊吹先生、いつもありがとうごぜぇます」

農民の男が拝むように礼を言う

伊吹先生と呼ばれた男は笑みを浮かべながら決まりのように

 

「いやいや、これが仕事ですから、お大事に。」

といった

 

そして男が出た後、伊吹は隣の部屋に移動し、薬を調合する

 

薬の調合...といってもある程度作ってある薬の分量の調整等なのでそこまで時間はかからない。

作り終えた薬を袋詰めにし、男に渡した後、伊吹は連絡ボードの診療中を消し急患のみ受け付けに変え、私室で一息ついた。

急須からお茶を注ぎ、のんでいると扉が開く音がした

俺は湯飲みを置き、私室から出ると見慣れた女性の姿がいた

 

「お久しぶりです、慧音さん」

 

彼女の名前は上白沢慧音、隣の寺子屋で教鞭をとっている

因みに伊吹も寺子屋で教鞭をとっている

 

「そうだな、寺子屋の授業も私がいない日の担当だしな。」

 

「まぁ診療所(ここ)の休みの時にとることが多いですしね、それでどうしました?風邪でもひきましたか?」

 

「いや、私はあまり病気にかかることがないからな、そういうわけではないが...とりあえず立ち話もなんだ、一旦寺子屋に来てくれ」

 

伊吹は断る理由もないので慧音に誘われるがまま寺子屋に行き、二人は腰を下ろした

腰を下ろすと少し深刻な顔で慧音が口を開いた。

 

「さっきの話だが...あながち見当違いでもない。」

 

「...というと、何か身体に異変が?」

伊吹は慧音をよく見たが見た限りでは何も変わったところがない

 

「今里の端の方で謎の奇病がはやっていてな、今の感じでは知らなかったようだな。」

「お恥ずかしながらその通りで...患者さんを診察してても異常はなかったので...」

 

「まぁ仕方もないな、何故ならその病気は一晩寝れば治るらしいからな。」

 

「ふむ、何でしょう...自分の知識をたどっても今の話を聞いてもピンとこないというか...」

 

「伊吹も知らないのか、となると異変の可能性も高いな...」

 

「いや、私の知識不足なだけもしますが...」

 

ふと窓から外を見ると外は暗くなっていた

「うん...?昼なのに夕立でも来るのか?」

 

その時、扉をどんどんと叩く音がした。

慧音が扉を開けると生徒の一人が肩で息をしながら叫んだ

 

「先生大変だ!空が!」

 

伊吹と慧音が急いで外に出ると外が赤く染まり、妖気が蔓延していた。

 

「なんだ...これ」

 

呆気に取られていると後ろで何かが倒れる音がした

見るとさっきの生徒が倒れていた

 

「おい!大丈夫か!」

伊吹は駆け寄るとすぐに脈と呼吸を図った。

 

「脈はある...呼吸も正常...でもなんかおかしい...慧音さん!」

「分かった、今すぐ準備する!」

 

ツーカーで何をするべきかお互いにはわかっていた

伊吹は急いで診療所に戻り、用意をそろえてボードに寺子屋を臨時診療所にする旨を書いた。

寺小屋に戻ってすぐ何人かが運ばれてくる

その搬送されてくる中で見る限り重篤な患者をわけ、俺は重篤な患者の脈や呼吸を確認する

伊吹は脈と呼吸を図りつつ原因を探る、思いつくのはこの紅い空と妖気、そして

 

「寒くないか...今夏だよな」

 

まるで冬のように寒い

重篤者の症状を見る限り直すにはこの紅い空と妖気をどうにかしないといけないか...

 

「慧音さん!そっちの状態は!?」

 

「大丈夫だ!おそらく気を失っているだけだろう!」

 

伊吹は少し考え、ある判断をした

 

「慧音さん!一旦ここお願いします!自分は原因を探りに行ってきます!」

 

そういうと俺はいったん診療所に戻り、準備を整えた




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