オーバーロード ~天星剣王~ (zunda312)
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Prologue

以前暇な時に書いていたもの 復帰したのでついでに投稿 たぶん続かない 見てくれて方はありがとう



空に開いた穴のような球体はまるで蜘蛛の巣でも張っているようで、その場にいる大勢のものをくぎ付けにさせた。

それは天空に世界を汚すような、おぞましい漆黒の球体の姿。
黒い球は徐々に大きくなっていく。
ただ、黙って阿呆のごとく眺めることしが出来なった。この時逃げていればなにか結果は変わっていたかもしれない。


やがて――――――十分に実った果実は落ちる


当たり前の物理現象、落ちた球体は大地に触れると弾けた。
水袋が地面に落ちて破裂するように、各々の物体が落下し地面で爆ぜるように。
落下地点から放射状に、中に満ちていたものが広がっていく。それは原油のように真っ黒だった。光を一切反射せず、どこまでも漆黒が広がるような、そんな液体。それによって息絶えていた王国の兵士たちの姿は見えなくなっていく。

異常な直感が働いているのか、これが終わりだと思ったものは誰一人いなかった。
ここからが始まりだという予感が、それ以上にあっただけのことである。


そう――――絶望の始まりだ。



黒い液体が広がる大地に、一本の木が生える。
一本だったものは、瞬く間にその数を増やしていく。二本だったものは一瞬で十本に・・・十本だったものは百本に・・・・



“メェェェェェェェェェェェェ!!”


可愛らしい山羊の鳴き声のようなものが様々な方向から聞こえてくる。突然この場に山羊の群れが姿を現したかのように。
その声に惹かれるように真っ黒な液体がうごめき、吹き上がるように姿を現した。



ここから行われるのは鏖殺、そこには一切の慈悲はない。

誰もが声を出せないなかで楽しげに笑う声が不気味に響く。

「素晴らしい、最高記録だ。恐らく五体も召喚できたのは今まででも私しかいないだろう。これは本当に凄い。やはりあれだけ死んでくれたのには感謝しなくてはならないな」

数万の死者のことなどどうでもいいかの様に不死者の王は喜ぶ。

彼らの部下だろうか、彼の近くにいる者たちの賛賞の声にさらに機嫌をよくしたようだ。



次なる行動が決まったのか不死者の王は嗤い始めた。

「そうだな、やってみようか。追撃の一手を開始せよ、可愛らしい仔山羊たち」



召喚者の命令を受けて、ゆっくりと黒い仔山羊たちが動き出す・・・・・

















「この眼で捉えた・・・・・響け、殲滅の鏑矢よ!!!!」


しかし、動き始めた仔山羊の一頭に無数の光矢が接近し一瞬の内に粉微塵となる。

「何?!!」
予想していない事態なのか不死者の王が驚くそぶりをみせる。
驚くのも当然である。彼を含め彼の軍勢はこの世界では一線を画している。
その彼らが攻撃を受けるまで気が付けなかったこの現状は異常事態である。

「マーレ!!各階層守護者に緊急連絡だ!今すぐ警戒を最大レベルに引き上げる」
先ほどまでとは打って変わった大声で部下に命令を下す。


現れた仔山羊に恐怖した直後にその内の一体が爆散し現状いついていけない王国兵たち、そんな彼らが守るべき国王の後ろからかすかに呟きが聞こえてきた。











「月夜に彼方まで震わす十狼の合唱、勝利の号令と知れ!」

「四天より至る雫は激情の涙。その様は、終末の予兆!」



僅かな声が聞こえてきたと同時に突如アインズ達と仔山羊いる反対側に自らの体を浮かしている髭が特徴的な子人と蛍光する大剣を方に掛けた金髪の男が現れる。

「いやぁこの緊急事態で始めて全員来てくれたよ、揃わなかったどうしようかと思った。でも五体・・いや四体か~これはかなりまずいんじゃないかな~相手をしないといけないのは他にもいるし」
この現状でも落ち着いている金髪の男は苦笑いを浮かべながらも眼の前の“敵”からは眼をそらさない

「君は頑張ってると私は思うよ。やはり君に任せて正解だったよ」」
「やめて、いまウーノにそんな事言われたら泣いちゃう・・・・さて、ボクたちも油断出来る相手じゃない全力でいくよ!!」
彼の呟きに隣にいる槍をもつ老人も答える
「あぁ分かっているともシエテ」


「我が信念、只々鋭き槍となりて、一伐の如く一つなぎに輪を成さん!」

「満天を見よ!そして、彼の七星を刮目せよ!」




この世界の常識では考えられない最大規模の戦闘が始まろうとしていた。








この小説での追加プレイヤーはシエテのみです。



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end&start


YGGDRASIL

それは2126年に、日本のメーカーが満を持して販売したゲームであり日本国内においてDMMO-RPGと言えばこのユグドラルであった。
しかし繁栄には衰退がつきもの、大人気で栄えていたのは既に過去のものとなっており本日をもってこのゲームはサービスを終了する。


そこは何の変哲も無いただの草原
月明かりに照らされたこの場には騒がしい音はしない。
そんな場所をそよ風が草木を揺らしながら過ぎ去っていく。
ここに見える人影は十人、体格はそれぞれ異なっているが同じ黒色の鎧を身につけ同じ色のマントを身にまとっている。
しかし彼らに動くような気配は一切見られない。まるで置物のようにその場に佇んでいる。
草原に寝そべっている一名を除いて。

金髪の男彼の周りには透明な剣がいくつも浮いている。プレイヤーネーム、シエテ
彼のみがこの場にいる十人の中でただ一人のプレイヤーである。

以前はこのゲームをプレイしている人で知らない人はいないとまで言われていた最上位に名を連ねていたプレイヤーであったが、ある出来事を境に忽然と表舞台から姿を消し名前が上がることは無くなった。

一部では、“負けた事が悔しくて引退した”“運営にアカウントを消された”“ロンギヌスを食らった”などの根も葉もない噂が広がっていた。

しかし、シエテはアカウントを消された訳ではなく、ただこの場に籠もってNPCをひたすらに制作していただけであった。

そもそも、シエテが寝そべっているこの場所はフィールドでは無く彼の本拠地であり、ギルド拠点でもある。しかし、このギルドに在籍しているのは彼一名。
本来ギルド運営にはその拠点の大きさや備えに応じて、常時金貨を消費していく作りとなっており、それを一人でこなすには大変な労力を必要とする。
さらに、NPCの作成などにもギルドの強さが関係しているため本来であればレベル的に不可能である。

これが可能だったのはシエテの幸運と大量の課金アイテム、そしてなによりワールドアイテムのおかげである。
しかし、NPC以外に力を籠める余裕はなく、ギルド拠点は月明かりに照らされる草原が広がっているだけのみすぼらしいものだった。




「今日でサービス終了か~終わりって思うとなんだか悲しくなるよ」
寝転んだ姿勢から体を起こしながら、自分が制作した九人のNPCに目を向ける。
九人とも制作には一切の妥協はなく。彼の持てる全ての財をなげうち制作したため籠めた愛情も尋常では無い。彼らの設定は昔に流行ったゲームのキャラを完全コピーレベルで設定されており。プレイヤーのシエテのことも創造主などでは無く同じ仲間だという設定にしてある。



「はぁ」
シエテは心の奥底からため息を一つこぼす。

「一回ぐらい全員でどこかのギルドに攻め込んでみたかったな~」
最後まで叶わなかった願いを口にする。

終わりの時間は刻一刻と近づいている。


23:55:48、49、50・・・・



そもそもシエテがNPCを作成した理由がとあるギルドに未だかつて無い人数で攻め入ったことが原因である。
もともとシエテはそのギルド攻略戦に参加する気は無かったのだが、攻め込まれるギルドのメンバーに自分と同等の力を持ち、たまに一緒にクエストをこなす間柄の純銀の聖騎士と呼ばれるプレイヤーがいた。

そんな彼にギルド攻略班に参加して欲しいとの要請があり、参加したのだった。
友人の頼みでもあり、挑戦状を叩きつけられ、それならばクリアしてやろうと意気込み彼自身が持てる自慢の最強の武装で参加した。


シエテが参加することになりギルド攻略班のやる気もさらに上昇し苦戦しながらも第八階層まで攻めこんだのだが、結果は無残にも全滅。第八階層で彼を含め力尽きた。
最後まで生き残ったのはシエテだったが、プレイヤー41人に加えその後“ありえない!違法改造だ”とまで言われる代物を前に呆気なく敗北した。当然の結果である。





このギルド攻略戦以降彼が姿を現さなくなったので、先のような噂が出回ったのだが、実際には敵対したギルドNPCの作り込みの凄さに度肝を抜かれ、自分が一度諦めた目標にもう一度挑戦し遂に目標を完成させたのだった。

完成させた後は特になにかするのでもなく、毎日ログインしギルドを維持するのに必要な金貨を稼ぐだけだった。
しかし人生で一番楽しく過ごしたのはこのゲーム内であったのは確実である。








23:59:40、41、42・・・・・


「ウーノ、ソーン、サラーサ、カトル、フュンフ、シス、オクトー、ニオ、エッセル ありがとう」
23:59:58、59・・・・・

制作過程のことを思い出しつつ彼らの名前を呼び終え、感謝を伝えた直後世界が終わった。


ブラックアウトし――



0:00:00・・・・・・・1、2、3

終わりの時間が来たと同時に新しい時を刻み始めた・・・・・・







「いきなりどうしたのシエテ?私達を集めたと思ったら、ありがとうなんて」



「・・・・・・ん?」
突然聞こえたシエテを呼ぶ声に驚き顔を初めて聞く女性の声の発生源を探る。そしてどこから聞こえた来た声なのか理解したとき、唖然とした。

しかし、状況が理解出来ないシエテに関係なく時間は進んでいく。



「用がないのならオレはもう行かせてもらおう」
仮面を付けた男が後ろを向き歩き始めた。


彼の声を皮切りに複数の場所から声が聞こえ始める。

「姉さんボクたちも行こうか」
「そうねカトル」
続いて姉弟の二人が相談した後別方向に向かって歩いて行く。

「どっかにケーキ落ちてねーかな」
続いて斧を持った少女もふらふらと何処かに向かって歩き始めた。




「いいのかいシエテ?」
となりにいる老人から発せられた声に驚き、焦りと困惑感じながらも慌てて引き留める声を発した。


「そ、そうだね。みんなちょっと待って今・・・・」


しかしシエテの声は途中で途切れてしまう。
シエテが声かけた時すでにこの場にいたのは自分を含めて三人だけだった。



「え~」
シエテの虚しい囁きが草原に響いた。





プロットはプロローグのとこまで作ってあるんですがここから先、書くかは正直分かりません。



評価くださった方、感謝




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1

いつか何処かでの出来事



「強い力を持つ者にはそれ相応の義務が生じると僕は思っているんだよ。力は善にも悪にもなり得るからね」

その男は軽い口調で目の前にいる無数の人影に話しかけるように呟き始めた。

「確かにこの世界の人類は弱い、彼らがもう100年遅れてこの地に来ていたら人類は絶滅してたと思うよ」

「僕は自分の意見が絶対に正しいとは思っていない、だけどキミたちはこの世界の魔法を歪め尚且つ世界を支配しようとしている」


「僕はそれらの行動を容認できない・・・何もしてない人たちが無残に殺されていくのを見て見ぬ振りなんて出来るわけが無い」

男は自分の主張を堂々と告げた直後から雰囲気が一変した。

「だから僕・・・いや、オレ達は君らを一人残さず倒す。ドラゴンたちが命をかけて積み重ねてきたものを横から掠めとるようで悪いんだけど、今のキミたち五人ならオレ達三人だけでも十分勝てる勝算はあるからね。今この時間にでも何処かでオレの仲間が残りのキミたちと戦ってるだろうし」

仲間だと思われる人影が各々の武器を出現させ戦闘態勢をとる。

「恨んで貰っても構わない、この行いが世界で正しい選択だったかは分からない。だからオレ達は自分たちの時間を止めてでも生き続けてこの世界の脅威で有り続け小さい争いの抑止力になる。そして、自分たちの選択が正しかったのか見極め続けるよ・・・」






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



アインズ・ウール・ゴーンが突如転移してからモモンガは様々な実験を行い、各階層守護者と顔合わせを行った。
その後ダークウォーリア様となり星空をご覧になりながら「世界征服も良いかも知れないな」と呟き、セバスに一人で出歩いたことを咎められた。
これが、モモンガがこちらの世界に転移してきてからの大まかな出来事である。


モモンガはイスに座りながら、正面に据えられた鏡に向かって自分の手を持ち上げゆっくりと右に動かす。すると鏡に映る光景も変化していく。
「この動きで、画面スクロール。で、こうすれば視点を変更して同じ場所を観察するか」

モモンガはこの部屋に入ってから後ろでずっと控えているセバスの様子を窺った。
「どうなさいましたか、モモンガ様。何かありましたら、何なりとお申し付けください」
「い、いやなんでもないとも、セバス」

先ほど怒られたとき、その姿がかつてのギルドメンバー、たっちみーと似ており若干の苦手意識をもちながら、モモンガは虚ろな面持ちで適当に手を動かし遂に遠隔視の鏡の操作に成功する。
セバスに賞賛され、それをモモンガが受け取り再び鏡の操作に没頭する。それから何度か似た動きを繰り返すことで調整の方法を特定した。
鏡を使い人のいる場所をさがしているとナザリック大地下墳墓からおおよそ十キロほどの場所で村を発見するが違和感を抱いた。

「祭りか?」
「いえ、これは違います」
横に来たセバスが鋭い視線で鏡の中の光景を見ながら答える。
セバスの口調に不安を感じながら見える風景を拡大しモモンガは眉をひそめた。

それは殺戮。


騎士達が一方的に村人を斬り殺していき、村人は逃げ惑っていた。
ふと、口から血をこぼしながらも必死に口を動かし言葉を紡ぐ村人が目に入る。
――娘達をお願いします――
もちろんこちらが見えているはずも無く偶然である。


「どう致しますか?」
「見捨てる。助けに行く理由も価値も無――」
答えながら何気なしにセバスに視線をやり――言葉を失った。


――誰かが困っていたら助けるのは当たり前。

セバスを見たときそんな幻聴が聞こえ、たっちみーさんとの記憶を思い出す。
結果、助けに行くことを選択したモモンガの行動は素早かった。
場面は変わり襲われている村の少女が妹だろうか、自分よりも小さい女の子を連れて逃げている光景が表示された。


しかし、突如映像が表示されなくなる。

監視に気づかれたか警戒するモモンガだが、最後に映った光景からして彼女達の時間が無いことは明らか、鏡が何らかの誤作動を起こした可能性もあると考え警戒を強化しながらも転移門を起動した。

その後セバスにナザリックの警備レベルを引き上げアルベドに完全武装で来るよう伝えモモンガは転移門を使い移動した。





少女と幼い少女に向かって全身鎧に身を包んだ者は剣を振りかぶった。
必死に逃げてきた少女達だったが、とうの昔に体力は限界を超えており。身動き一つ出来ない状態だった。

少女は最後の力を振り絞り一緒に逃げ続けていた妹を守るように覆い目を閉じた。

唇をかみ締め自分の力の無さを恨み目を閉じた。自分が死んだ後すぐに殺されるであろう妹を誰か助けてくださいと願いながら。



剣が振り下ろされ―――――



突如、金属を弾く音と共に花火のような銃声が三度響く


自分の近くに足音が近づいてくる。
「大丈夫、怪我はない?」

不意に聞こえて来た自分を心配する女の声を聞き瞼を開く。
目の前に見えたのは耳が私達とは異なる女性の後ろ姿、次に目に入ったのは吹き飛ばされたのか床に伏してる騎士、そして最後に驚き動きを止める自分たちを追いかけて来た騎士達だった。



自分を助けた女性は声をかけた後、残りの騎士など目に映っていないかのように、ある一点を見つめていた。

そこには下半分を切り取った楕円の形の闇があった。
扉?
少女は無意識にそう感じた。
闇の中からズルリと何かが零れ落ちた。
それが何か、認識した瞬間―――
「ひぃ!」
かすかな悲鳴をもらす。








エッセルは自分のこれからの行動考えていた。

何ものかが先ほど助けた少女を監視していたのは分かっていた。それを承知で彼女達を助けることを選択したのはエッセル自身である。
しかしこんな者が出てくるとは予想していなかった。恐らく自分一人では勝てないこともエッセルは即座に理解する。
そして相手も誰を一番警戒したほうがいいか分かってるらしくこちらから目を離さない。

転移門から現れたのは白骨化した骸・・エルダーリッチなど生易しい威圧を感じる。
一つ間違えれば自分の命は無い、仲間が間に合うまで持ちこたえることは難しいと判断。

彼女の頬を冷汗が伝う。覚悟を決めたエッセルは行動を開始した。



エッセルは少女達を隠すように表に立ち・・
「―――心臓・・」
「待って!!私は彼女達を助けに来ただけ」
大声を出すと同時に骸骨に近い銃を地面に落とし、もう一方の銃を騎士の方向に向けた。



「貴方がどんな理由で来たかは分からない、でももし私と一緒で彼女達を助けに来たのなら相手はあっちよ」

「ほぉ」
声が分かるようで現れた不死者の王は騎士を見やり何かを握り締める仕草を始めた。




ひとまず話しを聞いてくれたようで一安心したエッセルは、不死者の王から目を離し、後ろで怯えているであろう少女達に向き直った。




読んでいただいた方ありがとうございます。


続きが読みたいなんて言われたら頑張りたくなるじゃないですか

・・・・・そして評価してくださった方ありがとうございます


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2

いつのまにか短編が連載になってて驚いたこの頃、わたしいじった記憶ないです


背後を警戒しつつ出来る限り優しい声色で少女達に声をかける。
「ん・・・・もう大丈夫」
なるべく背後の恐怖の対象を少女達に見えないようにしつつ言葉を紡ぐ。
「・・・あなたたちは姉妹かな?」
「・・は、はい!」
恐怖が消えないのか震えながらもエッセルの質問に返答する。
「そう、なら貴方がお姉ちゃんね、ここまでよく頑張ったね」
そう言って、エッセルは片膝をつくと同時に姉妹を軽く抱きしめた。

妹のほうもとうの昔に限界を超えていたのだろう。エッセルに抱きしめられた途端、我慢していたものがこみ上げてくる。それにつられる様に姉もまた涙を流し始め、エッセルに体重を預けてきた。

「……っ……! わたし何度も…もうだめだって……っ!せめて妹だけでもって……」
涙で服が汚れるのを気にする素振りもみせず、エッセルは姉の言葉に耳を傾けつづけた。




それから少しの時間が過ぎ
「弱い・・・こんなにも簡単に死ぬとは」
後ろから呟かれた声を聞きエッセルは姉妹に優しく声をかけそっと方に手を置き立ち上がった。
「・・少し待ってね、いま私と同じように貴方達を助けに来てくれた人と話しをするから」
「私達を助ける・・・・」
エッセルの言葉が耳に残ったのか、姉が聞き返す。
「そう、たぶんだけど私の後ろにいる人も貴方達を助けにきたんだよ・・・・見た目怖いけど」


エッセルが後ろに少女達を庇うように立ち再び不死者の王に視線を移した時、彼は死の騎士を召喚し命令を下すところだった。

「この村を襲っている騎士を殺せ」
「オオオァァァアアアアアア――!!」
咆吼――。
背後で再び小さな2つの悲鳴が聞こえ、エッセルは無意識に銃を構えた。
殺気をまき散らせた死の騎士だが、銃を構えたエッセルと姉妹には目もくれず疾風のごとく駆け出した。
獲物を求め瞬く間に小さくなっていく死の騎士を眺め見えなくなるまでその背中を見続けた後エッセルは視線を元にもどした。

なにか問題が発生したのか、不死者の王は頭を掻いている。しかし、視線に気がついたのかエッセルに視線を向けた。
「とりあえず、その銃を降ろして貰ってもいいだろうか?」
提案ではなく命令じみた威圧を感じながら、自分の落ち度に気がつき直ぐさま銃を下ろす。
「・・ごめん・・・・それで貴方は何者?少なくとも第九位階魔法を軽々と使えるのは普通じゃ考えられない」
顎に手を置き何か考える仕草をした後彼は返答してくる。
「ふむ・・一般ではどの位階魔法が使われているのかな」
「だいたい1~3ぐらいの位階魔法がこの世界では使われている・・・けど第3位階魔法を使えるものは少ないはずよ」
「しかし貴方は第9位階を知っている・・私はまだ、この地に不慣れでね、貴方の言葉をそのまま信じられるほど馬鹿正直には慣れそうにない」
「そう、それなら別にいいけど、この後アレを追いかけてどうせ村に行くんでしょ?ならその時に分かるわ」
エッセルは死の騎士が消えていった方向を指し示す。
「それもそう!!?・・・」
エッセルの問いに答えている最中に彼らの会話は突如中断される。

話している途中ゲートから出てくる人影がエッセルの姿を視界に納めた直後、人影が高速で動き始めた。
直後、聞こえたのは二発の銃声
慌てる素振りなどなくエッセルは即座に銃を構え近づいてこようとする何者かの足下に二発銃弾を撃ち込んだ。
「今のは牽制、次は当てるよ」
2歩目を踏み出そうとした直後出鼻をくじかれ何者かが一瞬動きを止めた。その後大きな声が響く
「よせ!アルベド」

制止の声を聞いた途端に即座に動きが止まった何者かの姿をエッセルは観察する。
姿は全身を黒の甲冑で完全に覆った者で薄ら緑色の光を宿したバルデイッシュを所持していた。
全身甲冑・・次に動いたらどこを撃てばいいかなどエッセルが考えていると・・・

「申し訳ありません、モモンガ様」
「いや、いい私を心配しての行動だろう?ならば構わない」
その後少しのやりとりをした後ひとまず会話が終わったのだろう、彼はこちらに向き直った。

「私の部下が失礼をした」
頭を下げることはしないものの、先ほどまであった威圧が減り誠意をこめた感謝だと伝わってきたエッセルはどこを撃ち抜くか考えを辞め、気にしてないと手で示した。

もし、ここでエッセルがアルベドを傷つけていたら結果は大きく変わっていただろう。

「・・・私はここで、彼女達を見ているから、早く村に行きなよ・・・・貴方たちも彼らは助けに来てくれたみたいだからそんなに怖がらなくても大丈夫よ」

エッセルの言葉を聞いて少し顔を出す姉妹だが、おぞましい2人の姿を目視しエッセルの影に隠れ怯えながらも感謝の意を伝える。
「あ、あの助けてくださりありがとうございます・・」
「ありがとうございます」

彼は感謝の言葉を伝える2人に歩みより、返答した。
「・・・・気にするな、貴方がいるから問題ないとは思うが・・これを渡しておく」
エッセルの方を一度見た後、姉妹にむかって2つの角笛を取り出し軽く投げた。
「それは小鬼将軍の角笛と言われるアイテムだ、吹けば小さなモンスターがお前達を守ってくれる・・・・お守り代わりにでも持っていればいい」
そう言って村に向かって歩き出す不死者の王の後ろを黒い騎士を追従する。
しかし数歩も行かない内に声がかかる。
「あ、あの!図々しいとは思います!ですが、どうか!お母さんとお父さんを助けてください!」
「了解した。生きていれば助けよう」
返事を聞き一瞬驚く顔をした姉はすぐに我を取り戻して眦に涙をにじませながら、頭を下げる。
その後彼女達の聞きたがっている言葉を代弁するかのようにエッセルが質問する。
「・・・・あなたの名前は?」
彼らの歩みが止まり振り返った。


エッセルは既に彼の部下から発せられた名前らしきものを聞いていた・・しかし。帰って来た返答は予想とは違ったものだった。

「・・・我が名を知るが良い。我こそが―――アインズ・ウール・ゴウン」

「こちらからも聞かせて貰おう・・貴方の名前は?」
視線がエッセルに向けられる。







・・・・・・・・・・・・

遠くで先ほどの死の騎士の咆吼が聞こえる。彼らの姿が見えなくなって少しの時間がたち目に見える恐怖が去ったのが分かったのか姉妹も少し落ち着いてきようだ。
「あなた達のお名前は?」
エッセルが優しく声をかけると妹のほうから先に声が上がった。
「わたしはネム、 ネム・エモットっていいます!」
「私はエンリ・エモットです。エッセルさん助けていただきありがとうございます」
妹のネムに続き姉のエンリが自己紹介をした。
その後エッセルは彼女らとの会話を続けていき少しずつだが仲を深めていった。

「エッセルさんはどうして、村の近くにいたんですか?」
エンリは素朴な疑問を口にする。
「理由は簡単、私の知り合いから“この付近の村が襲われているから確認してくれないかい?”って言われたから来ただけ」
当初は頭を下げられ仕方無く行動していたエッセルの目的は本来偵察のみであったが、近隣の村の惨劇を目の当たりにしてからの行動、そして今回のエンリ達を助けに入った今回の介入は彼からの要請の内容とは大きくかけ離れていた。
「エッセルさんに頼んだ人ってどんな人なんですか?」
「私が所属している団のまとめ役で世界で一番信用できなさそうな顔してる人」
エンリとネムの顔が若干引きつる。
「だけど・・・筋が通らないことや、不正は見逃さないし認めない、そんな人よ」
要請の内容から逸脱しているが、要請してきた彼はエッセルの行動を咎めることはしないと確信があった。
彼は報告を聞き困った顔をした後、いつも私達の誰かがやらかしたことの後始末をしている。それに気がついていない仲間はいないだろうが、絶対に彼には言わない。
エッセルはこの話は終わりと言いたいのか、別の話題を口にする。
「たぶんだけど、アインズさんは何らかの形でこの村になにかしらの関係をもつと思うから、しっかりね」
「は、はい!」
彼の世間知らずぶりから、何かしらの原因で知識が少ないと判断したエッセルは彼自身が助けたこの村で多少情報を集めようとするのではないかと考えた結果である。

それから少しして村の方角からアインズからの遣いが向かってきたため、エッセル達は村に向かい歩き始めた。




感想、評価くださった方ありがとうございます。

十人ですが出番が多いのは一、二、四、七、十かなと思います。九、八、五は難しすぎる。
(武人、引きこもり段ボールハウス、幼すぎる)

4月はここまでだと思います。







・・・・・古戦場から逃げるな・・・・・
私は逃げたい


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3

遅かった理由 ククルがでなかった。イクサバ・・・心折れた。


「・・・・失態だ」
嫉妬マスクを付けたアインズは村長に村を助けた報酬として情報を聞いている最中、アインズは自分の行動の愚かさを実感していた。

最初に聞いて驚いたのはユグドラシルでは全く聞いた事のない地名の数々。
そして国家間の領土関係の説明を受け、先ほど村を襲っていた騎士がスレイン法国の偽装工作の可能性が浮上し、先ほど生き残りの騎士を全員活かして帰したことを後悔していた。

(一人ぐらい捕まえて情報を引き出すべきだった)
アインズは各々の国に対する対応をある程度考えた後、別の思考に没頭する。
自分と同じようにこの世界に来ている可能性があるプレイヤーに関しての事だ。
 アインズ・ウール・ゴウンは悪のロールプレイを是としていたため、相当の恨みを買っていたはずだ。プレイヤーがいた場合敵対する可能性が高い。
それを避けるために、できる限り周囲と敵対することは控え、個人的にアインズ達に恨みを持つ者がいた場合のための対策を練る必要がある。

結論として今後の課題として戦闘を見据えての戦力拡大とこの世界の情報収集を重要視する判断をアインズは下した。
そこで、アインズは先ほど村に来たとき最初に遭遇した、人物を思い浮かべた。

村長の知っている内容が間違っている可能性も考えられるが、彼女は少なからず第九位階魔法を知っており、プレイヤーの可能性も考えられる。しかし、アインズ・ウ-ル・ゴウンの名を聞いても反応する素振りは無かった。
(プレイヤーで無かったにしても、この世界の情報を村長よりも確実に知っているかもしれない)
「一度、話してみる必要がありそうだ」
「どうかされましたか?」
「いえ、なんでもありません。想定とは少々異なっていましたので、取り乱してしまいました。それより他の話しを聞かせてはいただけないでしょうか?」
「は、はい。分かりました」

村長の話はモンスターと呼ばれる存在への話しと変わっていき、冒険者の説明、最寄りの城塞都市、エ・ランテルについての情報を貰った。
ここで一度村長は話しを区切り別の話しを口にする。
「それとなんですが、王国の何処かにはよろず屋というものがあると聞いております」
「よろず屋ですか?」
「は、はい・・ですが、噂程度のもので実際あるかどうかも分からず確証がないため説明が遅くなってしまいました」
「いえ、助かりますよ」
(情報屋の存在が確かならば、この世界の常識や情報を集めやすくなるかもしれない)
アインズはエ・ランテル行って暮らすことを決めた。

そのとき、ドアがノックされ葬儀の準備がととの連絡が来たため、ひとまず解散となった。







「・・・・・なにそのお面は」
「あまり、村人達を怖がらせてもと思ってのことです」
葬儀が行われている後方でアインズは目的の人物をみつけ近づいた。
「それで、村の周りにいた貴方の仲間は帰ったの?」
「ええ、どうやら思わぬ行き違いがあったようで、帰らせましたよ」
アインズは驚きを消して表には出さずに返答したが、エッセルへの警戒を強めた。
(やっぱりこの人はこの世界では異様なほどに強い・・・やっぱりプレイヤーなんだろうか)


「そう・・・」
そうつぶやきエッセルは葬儀に視線を向けた。彼女が聞きたいことは終わったらしい。

エッセルがプレイヤーであるか聞きたかったが、後ろにいるアルベドにあまり聞かせたくない話しのため、先ほど聞いた別の話題を聞いてみることにした。
「王国に万屋というのがあるみたいなんですがご存じですか?」
アインズの言葉を聞き、エッセルは悩む素振りを見せる。少したった後エッセルは口を開く。

「・・・・・・あるよよろず屋」
「本当ですか!」
適当に選んだ質問に思わぬ答えが返ってきたことに多少動揺したアインズだが、表には出さない声が多少大きくなる程度に納めた。
アインズは一語一句聞き逃さないようにエッセルの声に集中する。

「・・子供達を助けようとした貴方は、見た目とは裏腹にむやみに悪事を働きそうになさそうだから答えた・・だけど、場所は教えられない、悪いけど自分で探して」
「ええ、あることが分かっただけでも助かりましたよ」
(やっぱりそんなにうまくもいかないか、でもあることが分かったのは大きな進展になる)

エッセルはこれ以上話す気はないようで村の方に続く道を歩いていってしまった。





葬儀に中断されながらも、アインズが周辺のことやある程度の常識を学んだ頃には結構な時間が経過しており、村長の家を出た時には夕日が浮かんでいた。
その間、エッセルはエンリ達と話しており、少しずつだが仲を深めていた。


「ここですべきことはほぼ終わった。アルベド、撤収するぞ」
「承知いたしました」
返事をしたアルベドはいまだにピリピリとした空気が立ちこめている。アルベドが警戒してる理由は今この村で一人しかいない。
「エッセルは今のところ我々には無害だ、そんなに警戒する必要はない」
「し、しかし!」
アルベドはアインズの護衛であり警戒するなと言われても無理な話である。
エッセルはまだ、聞きたいことがあるが、今聞くことはできず、日を改め一人で来る算段をつけ、村を去る前に村長を探しはじめる。

しかし発見した村長は他の村人と真剣な顔でなにや相談しており、緊迫感が漂っていた。
また厄介ごとか。
アインズは舌打ちをするのを我慢しつつ村長のもとに歩み寄った。





「ご安心を今回だけは特別にただでお助けしますよ」
話しの内容を聞きアインズはそう返答し、こちらに迫ってきている騎兵たちに目を向けた。


やがて騎兵一行は馬に乗ったまま広場に乗り込できた。
その後アインズと村長の前に見事な整列をみせ、リーダーだと思われる男が進み出た。

「私は、リ・エスティーゼ王国、王国戦士長ガゼフ・ストロノーフ。この近隣を荒らしまわっている帝国の騎士たちを討伐するために、村々を回っているものである」
彼の深い声が広場に響き渡り、ざわめきが聞こえ始める。

「王国戦士長・・・・」
ぼそりとつぶやく村長にアインズは口を寄せる。
「・・・・・どのような人物で?」
「商人達の話しでは、かつて王国の御前試合で優勝を果たした人物で、王直属の精鋭兵士を指揮する方だとか」
アインズは目を凝らし騎士たちに目をやる、すると確かに王国の紋章が見える。

「この村の村長だな」ガゼフの視線が逸れ、村長い向かう。「横にいるのは一体誰なのか教えてもらいたい」
「それには及びません。はじめました、王国戦士長殿。私はアインズ・ウール・ゴウン。この村が騎士に襲われておりましたので助けに来た魔法詠唱者です」

アインズはガゼフと会話を続けながら、ふとエッセルが見えないことに気がつく、同時にエンリ達、姉妹もいないとわかり村の奥の方にいると推測した。
(この騒ぎに気がついていないとは思えない・・意図的に避けている?それとも面倒ごとにかかわりたくないだけ?)

アインズが思考をやめ話しに意識を戻す。
どうやらガゼフ達はこの村で一泊することになるようだ。
「ではその辺りも踏まえて、私の家でお話出来れば―――」
村長が答えかけたその時だった。一人の騎兵が広場に駆け込んできた。息は大きく乱れ、運んできた情報の重要さを感じさせる。

騎兵は大声で緊急事態を告げる。
「戦士長! 周囲に複数の人影。村を囲むような形で接近しつつあります」





「エッセルさん私達はどうすれば?」
村の家の影に隠れるようにアインズとガゼフの話し合いを聞き、囮になるかのごとく離れていくガゼフを見送りエッセルは姉妹に視線を戻す。
「・・とりあえず村人達は全員彼が魔法を張った家屋に集まるみたい・・貴方達もいきなさい」
「エッセルさんは?」
エッセルが来ないことに疑問を持ったエンリが質問する。
「・・私はもう少しここにいるよ、大丈夫、私は強いから」
エッセルはそう言って、多少笑顔を作り、姉妹を説得し家屋に向けて送り出し移動を開始した。



エッセルは戦闘が見える高台に場所に移動すると共に、付近に潜む兵士を気絶させ王国戦士長達の戦いを観戦していた。
「・・・あの調子だと」
死闘が行われているその戦場で立っている王国軍は戦士長ただ一人。
その戦士長も遂に倒れた、なんとか立ち上がろうとしているが、立てないでいる。
そんな彼に向かって天使たちがにじり寄ってくる。

眼の前で殺されるのを見ていられるような人間ではない、エッセルは援護しようと銃を構えるエッセル・・・だが何もせずに銃を戻す。

「がああああああああ! なめるなぁあああああ!!!」
雄叫びを上げ、全身に力をこめ立ち上がるガゼフがそこにはいた。
しかし、彼はそこから動くことが出来ない。既に体はとうに限界を超えている。


エッセルはそんなガゼフを見続ける。
この世界の現状、スレイン法国がどんな考えをもっているのかも知ってる。この介入が後に大事になるのも分かっている。
しかし、既にこの村の姉妹を助けようと介入した。ならば一回も二回も同じこと。
そうしてエッセルはゆっくりと銃を構えた。



ガゼフは既に限界だった。立っているのがやっとであり持っている剣を振ることなど不可能。
しかしガゼフは笑う先ほど敵が話した内容が愚かだと。
「くっ、くく・・・・・くく」
「・・・・何がおかしい」
「・・・グゥッ、愚かなことだ。あの村には・・・俺より強い人がいるぞ。お前達全員でも勝てるかどうか知れないほどの・・まるで、あの武人のように強い・・・・。そんな・・はぁ・・そんな人が守っている村人を殺すなぞ、不可能なこと・・・」


「・・・王国最強の戦士であるお前よりも? そんなハッタリが通用すると思うのか?愚かきわまりないな」
ガゼフは薄ら笑いを浮かべる。初めてアインズ・ウール・ゴウンという人物に出会った時に、分かったのは自分との圧倒的な力の差だった。
もし、突然眼の前に現れ全力が出しても傷一つ着けられなかったあの武人のような大男と合っていなければ、底知れない男としか思わなかったかもしれない。

アインズ・ウール・ゴウンと敵対すれば魔法など使わずとも素手で殺される。そう彼の本能が告げていた。

そんな彼にニグンが遭遇したときどのような態度を示すか。それを考えるとあの世への良い土産になると考え。
「・・もう一度・・あの方とお会いしたかった」
そう小さく呟いた。


「天使たちよ、ガゼフ・ストロノ―フを殺せ」
冷酷な言葉に重なるように無数の翼のはためき。
他の天使よりも急速でこちらに向かって来た3体の天使。

ガセフが決死の覚悟で走りだそうとした時・・・・・眼の前で天使は弾け飛んだ。
同時に横から声がかかる。


――――――そろそろ交代だな。

ガセフの視界が変わった。今までいた深紅に染まった草原ではない。土間を思わせる素朴な住居のような光景。
周囲には部下たちの姿が転がり、そして心配そうに見つめてくる村人達の姿もあった。
「こ、ここは」
「ここはアインズ様が魔法で防御を張られた倉庫です」
「そんちょうか・・・・。ゴ、ゴウン殿の姿は見えないようだが・・・」
「いえ、先ほどまでこちらにいらっしゃったのですが、戦士長さまと入れ替わるように姿が掻き消えまして」

そうか。頭に響いた声の主は・・・・・。
ガゼフは必死に込めていた力を抜き地面に倒れた。
意識が途切れる直前ガゼフの頭をよぎったのは負けるイメージが一切浮かばないアインズ・ウール・ゴウンと遠くで聞こえた銃声だった。




「・・・・私が介入する必要なかった」
エッセルはガゼフと入れ替わるように姿を現したアインズを複雑な表情で見る。
「・・もっと早く出てきても・・・・私も同じか」
そう言ってエッセルは銃をしまい観戦に戻った。


それは戦争とは言えない一方的なものだった。
その後アインズが転移門で消えるまでエッセルがこの場を動くことはなかった。



読んでくださったかたありがとうございます。
また感想くださったかたも感謝です。


これで原作一巻は終了ですかね 駄文で申し訳ありません。



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補足
シェロ畜はでません。
アグニスに救いを・・・・


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幕間1

幕間短めです、後日次の話と合併させるかも



――――リ・エスティーゼ王国―――――

王城に遠くもなく近くもない、大通りには面して居ない者の人通りは中々多い
そんな場所に一つの喫茶店がある。

しかし、もう少しで日が沈みそうな夕方、店内にはお客の姿は見当たらない。
「・・・・・・暇ね」
一人の女性の声が響く。
彼女こそが、このお店を切り盛りしている店主である。

常日頃から誰も来ない訳では、昼時になれば彼女目当てで入店してくる客や、暇を潰しにくる人が何人も訪れる。

そこそこ繁盛しているお店としても付近にも高評価を得ている。しかし、希にこのような日が存在するのも事実。

女店主はもう一度ため息をついた後、今日は店を閉めることを決めた。

しかし、彼女が動きだそうとした直後、お店のドアに付いている鈴が鳴る。

音に反応したのか、または既に来ることを知っていたのか、女店主は入り口に目を向けようともせず声をかける。

「いらっしゃい、急にどうしたの 久しぶりじゃない?」
「やぁ、お邪魔させてもらおう」

彼らは旧知の仲らしく、店主は素早く紅茶とお菓子を準備し席に座ったお客に差し出す。


お客は一口飲むと満足そうに笑顔を浮かべる
「ふむ、相変わらず、君の紅茶は美味しい」
「それは、どうも・・・それで?今日は何を伝えにきたの?」

店主としてもこの客と話しをするのは楽しいのだが、彼が来たという事は伝えるべき事があると確信していた。


男は口を開く
「ふむ・・彼女がカルネ村という場所に向かったのは知っていたよね?」
「えぇ、スレイン法国の動きが怪しいって話しだったわよね」
「ああ、だけどそこで、自分以上に強いと思われる人物に遭遇したようだよ」
店主は一瞬驚くが、客は話しを続ける。

「あぁ、だけどその男は仲間を連れて村を守ったみたいでね・・・・最悪というわけではなさそうだよ。それと彼女はどうやら我慢できず介入したらいしいけど、法国には気がつかれていないようだ」

「そう、なら急ぎの問題は無さそうね、後は彼の指示を待ちましょうか」

店主はそう言って、客に出したはずのお菓子に手を伸ばす。
「もう一つはそのカルネ村付近のギルドでは漆黒の英雄モモンという冒険者が突如現れ頭角を現しているようだよ」

お菓子に届きかけていた店主の手が止まる。しかしそれは一瞬、再び動きだし目当てのお菓子を掴み口に運んだ。
強大な力をもつ者が現れた直後に、近い場所で強い冒険者が現れる。考えつく結果は皆同じだろう。
本人でなくとも何かしらの関係者であるのは疑うべきである。

「どうやら、ここ(・・)のことも彼女が伝えたみたいだし、いずれ向こうから接触してくるだろう」


「そして最後に・・吸血鬼が現れたらしい」
「吸血鬼?」
「この吸血鬼はかなりの強敵のようだよ。スレイン法国とぶつかったみたいで、傾城傾国を持っていた人物が殺されたらしい」
「へぇ~、じゃあいま傾城傾国は今どこに?」
「どうやら、スレイン法国が撤退しながら回収したようだよ」
「な~んだ」
「傾城傾国は君にも効くから注意するんだよ、彼を困らせないでくれ」
「ふふ、分かっているわよ」





話すべき事は終わったのか、その後しばらく、店主と客は日々の出来事をお互いに語っていた。



辺りは既に暗く、客が入ってきてから既に3時間は過ぎていた。
彼らの会話が一区切りついたのだろう。
「さて、そろそろ行くとしようか」
そう言って男は席から離れる。

「もっとゆっくりしていけばいいのに」
「悪いね、また今度お邪魔させて貰うよ・・紅茶ごちそうさま」

男はそう言って自分の隣にある浮かせていた槍(・・・・・・)を掴み、店を出て行った。


出て行った扉をしばらく眺めていた店主だったが、大きなため息をつくと片付けを始めた。

「あ~あ、なんで私の仲間達はこんなに尖ってるひとばかりなんだろう、普通に楽しく話せる友達がほしいわ」



そんな彼女の愚痴を聞く者はいなかった。




感想ありあとうございます。

読んでくださった方ありがとうございます。




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