インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦 (大極光)
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本編
第0話 終わりの始まり


はじめまして皆様、大極光といいます。
ISの世界に戦艦をぶっ込んだら面白そうというのが動機です。
至らない点が多々あるかと思いますが楽しんで頂ければ幸いです


1945年2月4日 大西洋上

 

ドイツ第三帝国 第7空中機動艦隊

 

特一等級空中戦闘母艦 ゼーロス艦橋

 

???「敵残存戦力は?」

 

艦長席に座る白衣の男 ゼーロス艦長 エーレンフリート・ヴァルトフォーゲルは副長にそう質問した。

 

???「確認します…」

 

副長 ギュエール・サザンクロスはモニターを操作しながら答えた。

 

ギュエール「敵戦力の約6割を撃沈しました、約2割が大破ないし中破してる様子、ですので脅威と判断できるのは約2割だけかと思います」

 

エーレン「そうですか、ですが相手はあの米国、まだ油断は出来ませんね」

 

???「でももう半分は沈めたから大丈夫じゃないの?」

 

そう言ってくるのはエーレンの隣にいる少女 エミリア・ヴァルトフォーゲル ゼーロスのメンタルモデルにしてエーレンの妹である。

 

エーレン「そうなんだけどね、まだ敵の旗艦、リヴァイアサンが発見でいていないからね、油断出来ないよ」

 

もっとも、負ける気はしないけどね と付け加えてエミリアの頭を撫でるエーレン。

 

エミリア「流石お兄ちゃん♪」

 

撫でられて上機嫌な返事をするエミリア

 

艦橋は和やかな雰囲気だったがそれも束の間、直後味方艦隊から緊迫した通信が入る。

 

ギュエール「艦長、先行している第2艦隊より通信、リヴァイアサンが出現したようです」

 

エーレン「ついに来ましたか…」

 

先程の表情から一転、真剣な顔になる。

 

エーレン「超兵器殺しの実力、見せてやりますか 本艦はこれよりリヴァイアサン撃沈に向かう!」

 

「「了解!」」

 

エーレン「航空隊は直ちに発艦 リヴァイアサン上空の制空権を確保させろ!」

 

ギュエール「了解、戦闘機隊 第1大隊から第3大隊、及びオーディーンM第2大隊、第3大隊は直ちに発艦して下さい」

 

三胴戦艦であるゼーロスの両舷の飛行甲板から合計5個大隊、180機が次々と発艦して行った。

 

数時間後…

 

エーレン「制空権はどうなった?」

 

航空隊が接敵してから数時間が経過したがまだ制空権をとったという通信が入って来ない

 

ギュエール「待ってください… 制空権は完全に掌握出来てはいませんが優勢との事です」

 

その報告を聞いて少し悩むエーレン。

 

エーレン「(さてどうしますか、航空戦は優勢、ですが戦闘機隊はそろそろ帰還させませんと燃料が持ちませんね… 航空隊で波状攻撃しても良いですが、時間をかけすぎるのは味方の損害を拡大させるだけ… ならば)本艦はこれよりリヴァイアサンに接近、ミサイルと砲撃でリヴァイアサンを撃沈する、 対水上戦闘用意! グランドスフィアを除く全障壁を展開!航空隊には帰還命令を」

 

ギュエール「了解 火器管制システム、オンライン レーダーとリンクさせます」

 

航空隊に帰還命令を出し、コンソールを操作して火器に火を入れる

 

エミリア「了解だよ、お兄ちゃん クラインフィールド、ディストーションフィールド、超重力電磁防壁 展開!」

 

直後主砲を始めとする全火器に動力が伝わり起動、艦内に格納されていた対空火器、127mm速射砲、対空パルスレーザー、35mmCIWSがせり出し、ゼーロスは完全な戦闘形態になった

 

さらに艦体表面に薄い紫色の六角形を組み合わせたような防壁が展開され、次に白い透明な球体状の防壁と青い六角形を組み合わせたような球体状の防壁が展開される

 

ギュエール「砲撃準備完了、いつでも撃てます 光学障壁も展開完了 安定しています」

 

エーレン「分かりました。 エミリア、リヴァイアサンの詳しい位置と進行方向はは分かる?」

 

エミリア「ちょっと待ってね、雲が無くなったしジゼルが使えると思うからデータリンクして割り出すから」

 

エミリアはそう言いドイツ軍の軍事衛星 ジゼルとリンク、リヴァイアサンの位置を調べた

 

数十秒後、エミリアの目がかすかに光った

 

エミリア「見つけた、北西120km 速力約30ノットで東に航行中 おそらく侵攻中の第3艦隊を迎撃するつもりじゃないかな?」

 

エーレン「了解 ギュエールさん、第3艦隊に通達 『リヴァイアサン接近中、迎撃セヨ』と」

 

ギュエール「了解、伝えます」

 

そう言い無線を操作するギュエール

エーレンは第3艦隊と連携してリヴァイアサンを挟撃し、撃沈する作戦を採用した

 

エーレン「エミリア、引き続き目標を監視して進路を北西に」

 

エミリア「はーい、面舵! 進路北西!」

 

ギュエール「しかし艦長、第3艦隊はムスペルヘイムが旗艦とはいえリヴァイアサン相手に勝てるのでしょうか?」

 

ギュエールがエーレンにそんな疑問を言う

 

エーレン「五分五分といったところでしょうね、随伴艦がいるこちら側の方が手数は有利ですが、リヴァイアサンもただ大きいだけの航空戦艦では無いでしょう、こちらのヴォルケンクラッツァーや英国のハボクックみたいに何か能力があるはずです。」

 

エーレンはリヴァイアサンには超兵器特有の能力があると考えていた。

実際、リヴァイアサンには津波を引き起こす能力があり、この津波が原因で交戦した第3艦隊は序盤に小型艦を全て失い混乱、そのすきにリヴァイアサンは主砲やレールガン、光学兵器などで第3艦隊主力艦を撃沈、ムスペルヘイムは撃沈こそ免れたが左右の空母部分は損失、中央の戦艦部分も敵の執拗な航空攻撃に晒され、重力砲をはじめとする武装等が破壊され大破となっていた。

そう、わずか数十分の間にリヴァイアサンはたいした損害を受けずに、ドイツ海軍の1個艦隊を壊滅させたのだ

これにはエーレンをはじめ、ドイツ全軍を震撼させるには十分な事態だった。

 

第3艦隊交戦後…

 

エーレン「ちょっと敵を甘く見ていましたね、まさかムスペルヘイムが大破するとは…」

 

第3艦隊壊滅後、エーレンは当初の挟撃作戦は出来なくなったため、別の作戦を練っていた。

 

ギュエール「どうしますか艦長、幸いこちらはまだ見つかっていません、先程本国からグロースシュタットを援軍に出すと連絡がありましたが…」

 

エーレン「それでは後方に展開中の空母機動艦隊が敵の射程に入ってしまいます、一応オーディーンMは配備されているようですが敵もMSを持っています、第3艦隊の事で艦隊に超兵器があろうと超兵器に艦隊は無意味ですし、この艦も航空攻撃を行っている以上、存在には気づいているはずです、時間は我々の味方ではありません」

 

エミリア「じゃあどうするの? お兄ちゃん」

 

エミリアが首を傾げるながら言う

 

エーレン「(可愛い… ってダメダメ、集中しなきゃ) この艦は航空が頭につくけど戦艦だよ? 当初の予定は崩れたけどまだ勝機はある、このまま接近して砲撃で沈めるさ」

 

エミリア・ギュエール「「了解」」

 

今、連合国最後の超兵器と枢軸国最強の艦艇が決戦しようとしていた。

 

数時間後…

 

エミリア「そろそろだと思うんだけどな〜」

 

エミリアはジゼルからの情報を元にそう言った

 

エーレン「だろうね、各員警戒!」

 

艦内の空気が張りつめる…

 

見張り員「ッ! いました! リヴァイアサン視認! 2時方向、速力約35ノット!」

 

ようやくリヴァイアサンを視認した

 

エーレン「ご苦労、対水上戦闘用意! 甲板作業員は直ちに艦内に退避!光学迷彩解除! 5番主砲から7番主砲、目標へ! ロンギヌス 、ブリューナク、V1改二、全機照準、発射!」

 

すぐさまエーレンの指示が飛び、艦底部の主砲 75口径38.1cm多機能砲3基9問がリヴァイアサンへ指向、同時に前甲板のVLSが解放され、約300発のミサイルがリヴァイアサンへ向かう。

こちらの攻撃に気がついたリヴァイアサンはすぐさま進路を変更、面舵で回頭し、ゼーロスと反航にした後、対空火器が弾幕を形成しミサイル群を迎撃するが、流石の超兵器でも300発のミサイルはすべて防げなかったのか何発かは弾幕をすり抜け、リヴァイアサンの防御重力場に着弾、力場崩壊《シールド・ダウン》が発生する。

 

ギュエール「力場崩壊《シールド・ダウン》発生、敵艦の防御力が下がりました。」

 

エーレン「この機を逃すな!目標、敵飛行甲板! 主砲5番から7番、撃ち方始め! 主砲8番から10番目標へ指向!」

 

ギュエール「撃て!」

 

直後、ゼーロスの主砲が咆哮をあげ、砲弾がリヴァイアサンへと飛翔する。

 

ギュエール「主砲命中、敵飛行甲板大破!」

 

ギュエールの正確な照準の元に放たれた砲弾は寸分違わずリヴァイアサンの飛行甲板に命中し、爆発する。

しかしリヴァイアサンもやられっぱなしではなく残りの武装で反撃、正確な未来予測でAGSやミサイルを斉射したあと、射角を調整した光子榴弾砲を発射する。

ゼーロスは自身の対空火器でミサイルはすべて撃ち落としたが、AGSは躱しきれず防御重力場に命中、力場崩壊(シールド・ダウン)が発生、防御重力場が消失、そこに光子榴弾砲が着弾する。

これで普通の艦は間違いなく沈んでいるだろう。

 

そう、普通の艦ならば…

 

エミリア「きゃあ!」

 

ギュエール「今のでディストーションフィールドが貫通されました、クラインフィールドも稼働率が7割を超えています!」

 

エーレン「やってくれる、艦底部主砲、撃ち続けろ! 誘導荷電粒子砲、280mmAGSも、発射! ミサイルも発射! 撃てるものはすべて撃て!」

 

光学障壁は失ったもののゼーロスは健在であり、撃てる対艦兵装をすべて使い、反撃した、それはリヴァイアサンも同じだがクラインフィールドがあるゼーロスが有利であり、武装が次々破壊され、しだいにリヴァイアサンの攻撃が弱くなっていった。

 

対するゼーロスも無傷では無くクラインフィールドは臨界に消失し、リヴァイアサンのAGSにより艦底部主砲は7番を残して全滅、艦体にも多数の傷が出来てボロボロだった。

 

ギュエール「リヴァイアサン、大破です」

 

エーレン「まだ沈まないとは…」

 

エミリア「私達がそれ言っちゃう?」

 

確かに とエーレンは頷く

 

エーレン「だがこちらももう持たない、艦首をリヴァイアサンに向けろ! 超重力砲、発射用意!」

 

ギュエール「了解、回頭開始、艦首を目標へ向けます」

 

ゼーロスがゆっくり回頭し、中央の戦艦部分と左右の空母部分が分離し、重力レンズがセットされる。

 

エミリア「重力子圧縮、縮退臨界! 発射空間軸、リヴァイアサンを固定!」

 

エーレン「総員、対ショック、対閃光防御! 超重力砲、発射!」

 

直後、ゼーロスから薄紫色の光の奔流が流れ、リヴァイアサンに命中し爆発する。

 

ギュエール「超重力砲、命中 リヴァイアサンに激しい爆発を確認、撃沈です!」

 

だが、直後 リヴァイアサンを中心に光の奔流が発生する。

 

ギュエール「リヴァイアサン大爆発! 衝撃波、来ます」

 

エーレン「全速離脱!」

 

ギュエール「ダメです、間に合いません!」

 

エーレン「うわぁぁぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、ゼーロスの姉妹艦、シルフィ・リューネブルク艦上で連合国の降伏調印が行われ、ドイツ本国では戦勝記念で国中が沸き立っていた。

1945年8月15日のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、そこに救国の英雄 エーレンフリート・ヴァルトフォーゲル以下ゼーロスの乗組員の姿はどこにも無かった。

 




今回はここまでです。
次からはこんなに長くならないと思います。

次回は人物紹介になるかと思います。

誤字や脱字、アドバイスなどがあれば教えてください、お待ちしております。


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第0.5話 前編 艦長室 人物紹介

こんばんは皆様、大極光です。
今回はオリジナルの登場人物紹介になります。
原作側は載せないのでよろしくお願いします。


エーレンフリート・ヴァルトフォーゲル

 

通称:エーレン

 

2つ名:超兵器殺し

 

初登場:第0話 終わりの始まり

 

身長:173cm

 

体重:66kg

 

年齢:15歳

 

階級:少佐(技術士官) 中将(海軍士官)

 

服装:ドイツ海軍の制服に白衣を来て、左腕に海軍旗の腕章をしている

 

見た目:HELLSINGの少佐を15歳くらいにして痩せさせた感じ

 

特技:艦隊指揮.兵器の設計.研究.開発

 

好きなもの:戦艦.兵器.妹

 

嫌いなもの:女尊男卑に染まった人間.妹に危害をくわえる人間

 

本作品の主人公。普段は冷静に行動するタイプだか軍艦が絡むと歯止めが効かなくなる。艦隊司令と武装研究を掛け持ちする器用なやつ。重度のワーカーホリックで何か兵器を作ってないと落ち着かないらしい。重度のシスコン、妹はついつい甘やかしてしまう、だが反省してなければ後悔もしていない(某生徒会長と仲良くなれそうである)意外と家事スキルも高い(と言うより妹のために高くした)。ゼーロスの設計者にして艦長、夢は最強の戦艦を作ること。大艦巨砲主義者。

 

エーレン「それは宣戦布告と見なしてよろしいか?」

 

 

エミリア・ヴァルトフォーゲル

 

通称:エミリア

 

2つ名:無し

 

初登場:第0話 終わりの始まり

 

身長:131cm

 

体重:知っていいのはお兄ちゃんだけ

 

年齢:10歳

 

階級:無し(海軍の協力者ではあるが正式なものではないため階級は無い、もしあれば中佐クラスと言われている)

 

服装:蒼き鋼のアルペジオの劇場版イオナの衣装

 

見た目:刀使ノ巫女の燕結芽ちゃん

 

特技:剣術.武術

 

好きなもの:剣術.甘いもの.兄

 

嫌いなもの:兄を侮辱する人間.女尊男卑に染まった人間.苦いもの

 

ゼーロスのメンタルモデルにしてエーレンの妹。こちらも重度のブラコン、エーレンに頭を撫でられるのが大好きでエーレンに言われたことはきちんと守る超がいくつもつくいい娘(僕にはもったいないくらいの大天使byエーレン)。料理が上手でエーレンに褒められている。剣術も上手で毎日練習している、たまにエーレンに教えることも。完全記憶能力の保持者で既に大学生レベルの学力を有し、周りから神童とも呼ばれているが本人はあまりそれをよく思っていない。

 

エミリア「お兄ちゃんは誰にも渡さない!」

 

 

ギュエール・サザンクロス

 

通称:ギュエール

 

2つ名:魔弾の射手

 

初登場:第0話 終わりの始まり

 

身長:168cm

 

体重:(撃ち抜かれた跡がある)

 

年齢:15歳

 

階級:大尉(技術士官) 准将(海軍士官)

 

服装:ドイツ海軍の制服

 

見た目:イナズマイレブン3のギュエールさん

 

特技:射撃.計算.デスクワーク

 

好きなもの:静かな場所.コーヒー.旅行.写真撮影

 

嫌いなもの:女尊男卑に染まった人間.言葉だけで行動しない人間

 

ゼーロスの副長兼火器管制担当。エーレンが所長を務める研究所の副所長。エーレンに恋心を抱いているが一歩踏み出すことができない。雰囲気や話し方は超がつくお姉さんキャラで物腰も柔らか。特技の射撃は拳銃から戦艦の艦砲まで有効射程なら脅威の命中率を叩き出す(1番敵にしたくないbyエーレン)。

 

ギュエール「狙った的は外しません」

 

 

 

 

 




今回はここまでです。

次回はおそらく用語解説になると思います。

それではまた次回。

誤字や脱字、アドバイスなどがあれば教えてください、お待ちしております。


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第0.5話 後編 艦長室 用語解説

こんにちは皆様 大極光です。

今回は用語解説(と言うより元ネタ紹介)になります。

前編よりかは長いかも知れません。

なお用語の紹介順は第0話 終わりの始まりに登場した順で行きます。


ドイツ第三帝国

 

元ネタ:史実

 

エーレン達の祖国。 史実のナチスとの違いはユダヤ人迫害を行わず、某嘘字幕シリーズみたいに総統と書記長の仲が良いという点。故に戦争に勝てたのかも。(なお総統とエーレンも仲が良いです、書記長も加わりよく飲みに行きます、2人が酔いつぶれてエーレンが連れて帰ると言った感じです、エーレン達がいなくなって1番悲しんだのもこの二人だったりする。)

 

 

空中機動艦隊

 

元ネタ:オリジナル

 

ドイツ海軍の空中艦隊 第1から第9まであり、大規模作戦の時は3個艦隊で1つの作戦軍となる。(ちなみにゼーロスは一応第7艦隊に所属しているが対超兵器が主任務なため基本単艦で行動する)

 

特一等級

 

元ネタ:宇宙戦艦ヤマト

 

艦艇の大きさを表す称号。超巨大とも。

 

戦艦大和未満→大戦艦

 

超巨大航空戦艦テュランヌス未満→超戦艦(一等級)

 

テュランヌス以上→超巨大戦艦(特一等級)

と言った感じになっている。

 

ゼーロス

 

元ネタ:オリジナル

 

艦種:特一等級空中戦闘母艦(超巨大空中機動三胴航空戦艦とも)

 

全長:896m(戦艦部分) 640m(空母部分)

 

排水量:53万6800t

 

速力:160knot

 

武装:主砲 75口径38.1cm3連装多機能砲10基30問

上甲板に2 2、艦底部に3 3に配置されている。多機能砲とは実体弾から誘導弾、ショックカノン(元ネタ:宇宙戦艦ヤマト)など様々な砲弾を発射出来る火器のこと。

 

副砲 75口径15.5cm連装多機能荷電粒子砲16基32問

上甲板主砲の後に1基ずつ 両舷に3基ずつ配置されている、計8基、艦底部も同じ配置になっている。多機能荷電粒子砲は収斂モード、誘導モード、拡散モード(元ネタ:3つとも鋼鉄の咆哮)の3種類の発射モードを有する砲のこと。

 

対艦砲 280mm3連装AGS12基36問

 

元ネタ:鋼鉄の咆哮

 

advanced gun system(先進火砲システム)の略称。 もともとは米国が開発したものドイツがサルベージし、解析したもの。 シャルンホルスト級やドイッチュラント級の主砲を連射でき、誘導砲弾のため恐ろしい命中率を叩き出す砲。ゼーロスの空母部分の艦底部に両舷6基ずつ3 3で配置されている。

 

 

誘導弾:PAM-125 ロンギヌス80基(弾数400発 即応弾80発)

 

元ネタ:特殊弾頭ミサイル(鋼鉄の咆哮)

 

射程:250km

 

ゼーロスの武装の中でもトップクラスの破壊力をもつ対艦ミサイル。ロンギヌスは総統閣下が命名。上甲板前部に配置されている。リヴァイアサン戦では力場崩壊(シールド・ダウン)の決定打になった。

 

ESM-108 ブリューナク 20基(400発 即応弾20発)

 

元ネタ:電子攪乱ミサイル(鋼鉄の咆哮)

 

射程:250km

 

こちらも総統閣下が命名。 ゼーロスの対艦ミサイルの中でも比較的威力が低いがレーダーを一定時間使えなくする代物。リヴァイアサン戦では敵の対空火器の前に全滅したが命中していればもっと楽な戦いになっていただろう。こちらも上甲板前部に配置されている。

 

フィーゼラー Fi 103改二 150基(弾数750発 即応弾150発)

 

元ネタ:史実

 

射程:200km

 

ゼーロスの主力ミサイル。 通称V1。 エーレン達が既存のV1をVLSから発射出来るようにしたもの。結果射程距離が短くなったが弾頭火薬850kgは他国の巡航ミサイルの何倍もの破壊力を誇る。こちらも上甲板前部に配置されている。弾頭は通常、侵蝕、振動(元ネタ:蒼き鋼のアルペジオ)がある。

 

ヴァッサーファル改 80基 (弾数1280発 即応弾640発)

 

元ネタ:史実

 

射程:275km

 

ゼーロスの対空ミサイル。こちらも既存をヴァッサーファルをエーレン達がVLSから発射出来るようにしたもの。

 

対空火器:127mm速射砲

 

元ネタ:史実

 

性能:オート・メラーラ127mm単装砲と一緒

 

ゼーロスの対空砲。同盟国イタリアの速射砲を使用し、高い対空能力を誇る。

 

対空パルスレーザー100基 (上甲板と艦底部に50基ずつ)

 

元ネタ:鋼鉄の咆哮

 

ゼーロスの対ミサイル番長。 光速で撃ち出されたレーザーでミサイルの迎撃を得意とする。エネルギーがあれば半永久的に射出可能。

 

35mmCIWS 120基(上甲板と艦底部に60基ずつ)

 

元ネタ:史実

 

ゼーロスの対空機関砲。毎分3000発の脅威の連射力を誇る。

 

光子榴弾砲

 

元ネタ:鋼鉄の咆哮

 

ゼーロス、リヴァイアサンに搭載されている高出力榴弾砲。これを食らえばゼーロスと言えどただでは済まない破壊力がある。

 

艦首、艦尾兵装:空間魚雷

 

元ネタ:宇宙戦艦ヤマト

 

ゼーロスの艦首と艦尾に10基ずつ備え付けられている。弾種は通常、侵蝕、振動(元ネタ:蒼き鋼のアルペジオ)などがある。

 

連装超重力砲

元ネタ:蒼き鋼のアルペジオ

 

ゼーロスの最高火力の武装。 三胴戦艦の各胴体が分離し結合部に格納する重力レンズから発射する。

 

装甲:複合強制波動装甲

 

元ネタ:蒼き鋼のアルペジオ、機動戦艦ナデシコ、鋼鉄の咆哮、ダンボール戦機

 

ゼーロスの装甲。この装甲からクラインフィールドやディストーションフィールド、超重力電磁防壁、グランドスフィアを展開する。

さらに光を曲げて姿を隠す光学迷彩を有する。

 

機関:主機関 波動機関

副機関 重力子機関

 

元ネタ:蒼き鋼のアルペジオ 宇宙戦艦ヤマト

 

ゼーロスの機関。 このふたつの機関によりゼーロスの巨体でも160knotをたたき出させる出力を得る。

 

本作品の主人公が艦長を務める戦艦。対超兵器のために世界中の艦艇を踏襲するスペックをもつ。 姉妹艦は本艦のネームシップのシルフィ・リューネブルク、二番艦イーリス・ノルトハイムである。

 

メンタルモデル

 

元ネタ:蒼き鋼のアルペジオ

 

エーレン達が開発した新たなる艦艇制御システム。ユニオンコアと呼ばれる演算コアを特定の人間に持たせることで理論上1人で艦を制御出来る。最も、必ず乗組員がいる。元ネタとの違いは人間にコアを持たせてメンタルモデルとなる事と男性でもメンタルモデルになることが出来る(エーレンも未登録の超戦艦クラスのコアを持っている)しかし、総統閣下が女性の職場を増やすため緊急事態でもない限りメンタルモデルは原則女性と定めている。

 

オーディーンM

 

元ネタ:ダンボール戦機wars

 

ドイツ軍の汎用MS。 高い機動性と巡航形態へ変形出来ることから既存の空母でも運用可能なため広く用いられている。武装は双槍タイプのビームランス リストレイターⅡに光学障壁を利用した盾 ビームガーターⅡ、2丁の対艦ハンドカノン、MP5k。

 

衛星兵器ジゼル

 

元ネタ:半分オリジナル、半分ステラグロウ

 

ドイツ軍の軍事衛星。全12基あり、リヴァイアサン戦で使用したのは6号機。探査能力に加え、大口径光学砲 ハイペリオンCを有する

 

力場崩壊(シールド・ダウン)

 

元ネタ:オリジナル

 

防御重力場が過負荷で消失する現象。 強力な攻撃、もしくは広範囲の攻撃にさらされると発生し、復旧に時間がかかる。




今回はここまでです。

主人公達の機体に関しては登場してから解説します。

次回はいよいよIS入りです。

誤字や脱字、アドバイス、解説がおかしな所があれば教えてください、お待ちしております。


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第1話 漂泊の戦艦

こんばんは皆様、大極光です。

いよいよIS勢との対面です。

今回はゼーロスがISと蹂r…ゲフンゲフン戦闘を行います


????年??月??日

 

現在地???

 

特一等級空中戦闘母艦 ゼーロス艦橋

 

???「……ちゃん、起きて、お兄ちゃん!」

 

エーレン「うん? エミリア?」

 

エーレンは妹の呼ぶ声で目を覚ました。

 

ギュエール「艦長、大丈夫ですか?」

 

ギュエールが覗き込んでくる。

 

エーレン「ええ、大丈夫です、ここは… ゼーロスの艦橋ですか…」

 

少しずつ脳がまわりはじめ、記憶が鮮明に思い出される。

 

エーレン「そうだ、確かゼーロスごとリヴァイアサンの爆発に巻き込まれて… え? だとしたらここはどこです? 流石のゼーロスでもあの爆発には耐えられないはず…」

 

そう、あの時のゼーロスはリヴァイアサンとの戦闘で傷つき、光学障壁を展開できずにいた、この艦は一応戦艦なので装甲もあるがリヴァイアサンの攻撃でボロボロ、防げるはずがないのだ。

 

ギュエール「それが驚くべきことに爆発の被害が皆無なんです」

 

それを聞いたエーレンのやっと本調子に戻ってきた思考が再び止まった。

 

エーレン「……はい? 爆発の余波の被害無し? 冗談でしょう?」

 

そんなはずないのだ。

あの爆発だ、艦橋が残っていること自体奇跡なのに爆発被害無しとの報告、訳が分からないのだ。

 

エーレン「まあ、その辺は後で調査しましょう、それよりも今のことです。 エミリア、この艦の現在位置は?」

 

エーレンは一旦思考を切り替えゼーロスの母港、キール港への帰還しようとしたがまたしても意味不明な事を愛する妹から告げられる。

 

エミリア「それがお兄ちゃん、ジゼルの信号を受信出来ないんだよ。 こっちが壊れてるわけじゃ無いから多分衛星に何か問題があるんじゃないかな? 詳しいことは分からないけど…」

 

エーレン「え? それこそ爆発の被害じゃないのかい?」

 

ギュエール「それは有り得ません、さきほどお伝えした通り爆発の被害は有りませんし、それ以前の損傷も修理班が資材生成機を動かして電子系統を最優先に修理してくれました… 修理班から報告です、たった今全ての修理が完了したとのことです」

 

ゼーロスは単艦での作戦行動を要求されるので核融合炉と核分裂炉を使用した資材生成機と食料プラントが艦載されていて、こうして即席で修理が出来るのだ。

 

エーレン「(うちの修理班優秀ですね、後で酒でも持っていきますか)なら本当に衛星が見つからないのですか? 信じられませんね」

 

ギュエール「私もです、さらにこちらも原因不明ですが時計が2045年を示してまして、アナログの調査でわかった本艦の現在位置もどういう訳が太平洋の真ん中なのです」

 

エーレンは少し頭痛がしてきた、爆発に巻き込まれたと思ったら被害無しで修理班が直したにも関わらず、各種計器は無茶苦茶な数字を示し、挙句の果てには大西洋にいたはずのゼーロスが太平洋のど真ん中に浮かんでいるのだ。

 

エーレン「色々わかりませんが全て後に調査しましょう。 とにかく一旦本国に帰還しましょう。 副長、ひとまず報告のため、同盟国日本の横須賀基地に入港します、航路を出して下さい」

 

エーレンはとりあえずドイツ本国に艦の生存を伝えるため、横須賀基地に向かうことを決定した。

 

ギュエール「わかりました… 航路出ました、巡航で12時間といったところです」

 

エーレン「わかりました。機関始動、巡航速度を維持し、日本の勢力圏までは光学迷彩を展開、目標は日本海軍横須賀基地です、ゼーロス発進!」

 

ギュエール「了解、機関始動。 巡航で横須賀基地を目指します」

 

エミリア「はーい、光学迷彩展開」

 

ゼーロスのフラッペンが回転し、瞬く間にゼーロスの巡航速度の80knotに加速する、そして光学迷彩が展開され、ゼーロスは夜陰に溶けるように見えなくなった。

 

ギュエール「これであと12時間待つだけですね」

 

エーレン「そうですね、ギュエールさんもお疲れでしょう、僕がここに居ますので休んで下さい」

 

エーレンはさっきまで眠っていた?のであまり眠くないのだ

 

ギュエール「私は大丈夫ですよ、それより艦長こそ良いのですか? エミリアちゃんを寝かさないといけないのでは?」

 

ギュエールもエーレンと同じような状態だったため眠気はないのだ

 

エーレン「まあ、そう言わずに、寝不足は美容の天敵ですよ。 それにエミリアならほら」

 

ギュエール「はい?」

 

ギュエールが艦長席を覗き込むとエーレンの膝の上で気持ち良さそうに寝るエミリアの姿があった。

 

エーレン「こういう訳ですから休んで下さい、戦闘になったらギュエールさんの射撃が必要なんですから、その時になって倒れられでもしたらこちらが沈んでしまいます」

 

ギュエール「そこまで言われるのでしたら少し休ませて頂きます、時間には戻りますので」

 

そういい、艦橋を退室するギュエール。

おやすみなさい と一声掛け、妹を起こさないように各種計器を確認するエーレン。

 

こうしてゼーロスの波乱の1日が終了した。

 

 

 

 

翌朝 午前7時30分…

 

ゼーロス艦橋では既に朝食を終えた3人がいた。

 

エミリア「もうすぐだね」

 

ゼーロスは昨晩午前4時に日本の勢力圏に到達、光学迷彩を解除して航行していた。

 

エーレン「そうだね。ギュエールさん、そろそろ横須賀基地と連絡がつくのでは?」

 

ゼーロスはまもなく日本の排他的経済水域の外縁部を越え、日本との交信可能区域に入るはずだった。

 

ギュエール「私もそう思い先程から試しているのですが未だに繋がりません」

 

エーレン「まあ、まだ外縁部ですしね、気長に待ちましょう。 この艦は日本にも本国から伝えてあるでしょうし識別反応もあります、いきなり攻撃はされないでしょう」

 

この時エーレンは楽観していた、この予想が後に崩れる事をエーレンはまだ知らない。

 

数時間 横須賀基地まで残り70Km…

 

ギュエール「あと三十分くらいですね」

 

エミリア「でもなんで通信が繋がらないんだろう?」

 

エミリアの言う通り、ゼーロスは横須賀基地から70kmの地点にいるのに未だに日本と通信が出来ずにいた。

 

エーレン「おかしいですね、ここまで来て通信が繋がらないとは… さすがに同盟国とはいえ通信無しで領海に入るのは不味いですね… 60knotまで減速、様子を見ましょう」

 

通信が繋がらずにこれ以上進むのは国際関係上危険と判断したエーレンは速度を落とさせた。

 

エミリア「はーい、速度60knotまで減速しま… ッ! レーダーに感あり、飛行物体がこの艦に向けて飛行中、数は4機!」

 

減速した直後、ゼーロスの対空レーダーは4つの飛行物体を捉えた。

 

エーレン「日本の航空機かい?」

 

エミリア「だけど識別反応が無いよ?」

 

識別反応が無い、つまり敵でも味方でもないアンノウンなのだ。

 

ギュエール「目標を光学で捉えました、メインモニターに写します」

 

そしてメインモニターに写った飛行物体を見てエーレン達は首を傾げる。

 

エーレン「なんですか、あれ?」

 

モニターに写った飛行物体はMSに似ていたがMSより遥かに小さく、また装甲も最低限度しかついておらず搭乗しているパイロットさえ見えるほどの不思議なものだった。

 

ギュエール「日本の新型MSでしょうか?」

 

MSを専門とするギュエールでさえも判断しかねていた。

 

エミリア「でもなんだか弱そう」

 

ゼーロスの全長は896mに対して向こうは10mにも満たない、弱く見えて当然だった。

 

エーレン「見た目で判断しては行けないよ、何せあの日本の新型なんだからね。 でもなんでだろう? 長距離通信が使えないからわざわざ来てくれたのかな?」

 

ギュエール「しかしその為だけに最新鋭機を投入しますか… 不明機のから通信です、どうしますか?」

 

エーレン「繋げてください、話を聞かない限り何もできませんからね」

 

わかりました、繋げます とギュエールから言われたあと不明機からの通信が聞こえてきた。

 

???1『こちらは日本国自衛隊、第206IS小隊です。 所属不明艦に告ぎます、この先は日本国の領海です、直ちに停船し、所属と艦名、目的を明らかにしてください』

 

エーレン「(やはり日本か、しかし艦旗で同盟国ぐらいはわかるでしょうに所属不明艦って、まあ、この艦は本国の最重要機密だったし情報がまわってなかったのでしょう)『こちらはドイツ第三帝国海軍 第7空中機動艦隊所属 特一等級空中戦闘母艦 ゼーロスです、本国との通信のために日独伊三国同盟に則り貴国の横須賀基地への入港を目的としています』」

 

エーレンは不審に思ったが指示に従い、情報を公開した。

 

???1『なるほ…』

 

先程の通信をしてきた人物から返信が来たがそれが途中で遮られ、別の人物から通信が入る。

 

???2『あなたふざけてるの?ナチスなんて一世紀前に亡んじゃってるし、当時のナチスに空中機動艦隊なんて言うものはないわよ? もう少しマシな嘘をつきなさい』

 

その通信に対し、攻撃的な口調と祖国は既に亡んでいると言われた事に少し頭にきたエーレンは挑発気味に返答する。

 

エーレン『そちらこそふざけているのでは? 日本国に自衛隊なんて言う武装組織は存在しませんし、ドイツが亡国? 世界のどこにドイツを亡国に出来る勢力があるのです? もう少し笑える嘘を言ってください』

 

???2『なによ、男のくせに偉そうなこと言ってんじゃないわよ! もういいわ、これより私たちは領海侵犯をしようとする武装勢力に対して自衛のために攻撃を行います、降伏するなら今のうちよ』

 

???1.『ちょっとあなた達、戦争はじめるてもり!?』

 

???4『隊長は黙っててください』

 

???3『そうよ、そんなただ大きいだけの戦艦でISに勝てるわけがないわ、戦うだけ無駄よ?』

 

それを聞いたエーレンは笑いをこらえながら返答する。

 

エーレン『降伏しろ? 戦うだけ無駄? ご冗談を。 そんな機体でこの艦に勝利する、本気でそんなことをあなた方は考えているのですか? ならばこちらは自衛権を行使して本艦の脅威を排除します』

 

その通信が終わると隊長機と思われる機体以外の3機が武装を展開してゼーロスに接近してきた。

 

ギュエール「日本機、戦闘状態に突入して接近中、数は3機です」

 

それを聞いたエーレンはマイクを置き、指示を飛ばす。

 

エーレン「始まってしまった以上、本艦の脅威を排除する。 総員戦闘配置! 取舵いっぱい! 副砲で迎撃しろ! MS小隊は緊急電磁射出機(リニア・レール)で発艦! 副砲の撃ちそこねたものを迎撃しろ!」

 

エーレンの指示の直後、ISから砲撃が始まるが戦車砲クラスの攻撃力しかないISの武装では対艦戦闘、それも対超兵器を想定して造られたゼーロスの装甲には無意味であり、エミリアにより既に展開されていた各種フィールドの前にあっけなく弾かれる。

 

エミリア「え? 防御重力場すら貫通しないの?」

 

あれだけ意気込んでいたのだから防御重力場とディストーションフィールドくらいは貫通するものだと思われていたがそんなことはなかったため、驚愕する声をあげるエミリア、エーレン達も同感だった。

 

ギュエール「MS第111小隊、発艦完了しました。 副砲も誘導モードで発射可能、照準も完了しています、撃ちますか?」

 

エーレン「……撃ち方はじめ」

 

ギュエール「撃て!」

 

ギュエールの照準とレーダーの情報を元に発射された3基の誘導荷電粒子砲は攻撃してきたIS3機のうち2機に命中、爆発した。

 

ギュエール「副砲命中、2機を撃墜、1機は命中ぜす、健在で… なっ!? 爆煙の中から人が! 人が落ちていきます!」

 

エーレン「何だと!?『 第111小隊! 聞こえているか!?』」

 

第111小隊 隊長機『はい、聞こえています』

 

エーレン『たった今撃墜した機体から、パイロットと思われる人間が落下中だ。 救出してくれ!』

 

第111小隊 隊長機『なんですと!? わかりました、救出に向かいます! おい、誰でもいい、1人一緒に来てくれ!』

 

第111小隊 僚機 『了解!』

 

直後第111小隊の内、2機が急降下し、落下していた人間を救助する。

 

ギュエール「どうにかなったようですね」

 

エーレン「しかし搭乗者を必ず生還させる機体ですか、さすがは日本、面白いものを造りますね」

 

エミリア「お兄ちゃん、その辺は後にしたら? まだ後1機残っているんだよ?」

 

おっといけませんね、つい癖で とエーレンはエミリアの声で現実に引き戻され、そう言った後、指示を飛ばす。

 

エーレン「艦首魚雷発射管、1番に侵蝕魚雷装填、装填後発射、第111小隊には再び搭乗者の救出準備をする様に伝達、仕留めます」

 

エーレンの指示の元、ギュエールは通信と照準を行い、エミリアは艦首魚雷発射管に侵蝕魚雷を装填する。

 

ギュエール「発射準備完了」

 

エーレン「発射」

 

ギュエール「撃て!」

 

放たれた魚雷は真っ直ぐ敵機に向かい、直撃こそしなかったものの近接信管が作動、敵のスラスターに命中し爆発、落下していったが第111小隊のオーディーンMにより救出された。

 

ギュエール「敵機撃墜、状況終了です」

 

敵小隊4機の内、攻撃してきた3機を撃墜、隊長機と思われる機体は撤退した。

 

エーレン「了解、お疲れ様でした」

 

エミリア「お兄ちゃん、私は〜?」

 

エーレン「エミリアもよく頑張った、偉いぞ」

 

そう言ってエミリアの頭を撫でるエーレン。

 

ギュエール「艦長、救出した3名はどうしますか?」

 

報告によると、3人とも外傷はあまり見られないが意識不明との事だった。

 

エーレン「医務室に運んでください、意識が回復しない事にはどうしようもありません」

 

わかりました とギュエールは通信機を操作しながら言う。

 

エミリア「お兄ちゃん、これからどうするの?」

 

エーレン「日本から攻撃を受けた以上入港は厳しいと思うからねこの海域に停船、しばらく向こうの様子見をしようと思ってるよ」

 

エミリア「はーい、機関停止、この海域に留まります」

 

ゼーロスのフラッペンが停止し、艦体がゆっくりと止まった。

 

ギュエール「艦長、先に昼食をとってきてください、昨晩は私が先に休ませてもらっているので」

 

エーレンが時計を確認すると正午を過ぎたあたりだった

 

エーレン「もうそんな時間ですか、では先に食べてきます、行くよエミリア」

 

エミリア「はーい」

 

そういいエミリアと手をつなぎながら艦橋を出ていくエーレン。

それを見送りつつ、今回の戦闘での消費弾薬、被害などをまとめてゆくギュエール。

ゼーロスにとっては今回の戦闘もただ敵の新型を撃ち落とした程度の認識だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これが世界中を震撼させる事になっていたがエーレン達が知るのはもう少し後のことである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方…

 

第206IS小隊 隊長機

 

???1「報告しなければ… 偏光制御射撃(フレキシブル)を使える砲にブラックホールのようなものを意図的に発生させる誘導弾に加え、IS?を少なくとも4機は保有している。 あんなのを本格的に敵に回せば少なくとも日本は壊滅する…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてまた別の場所

 

???「何あの戦艦、ISを一撃で撃ち落とすなんて… それにあのISモドキも気になるし… よし、くーちゃん、出かけるよ〜」

 

???「畏まりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日は再び波乱の1日となるがゼーロスの面々はまだそれを知らない…

 




今回はここまでです。

次回はエーレン達と世界最強の対面です。

次回、インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦
第2話 「学びの地へ」

誤字や脱字、アドバイスなどがあれば教えてください、お待ちしております。


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第2話 学びの地へ

こんにちは皆様、大極光です。

今回はエーレン達の入学まで持って行きます。

ちなみに通信や放送、テレビなど機械を通した音声は『』のカギカッコを使います。


2045?年2月6日 午前9時20分

 

日本国 横須賀基地から70Kmの海上

 

特一等級空中機動戦艦 ゼーロス艦橋

 

ギュエール「艦長、技術班より昨日の機体の解析結果が届きました」

 

エーレン達はコーヒーを飲みながらそれぞれの作業を行っていたところ、ギュエールの元に技術班からの解析結果が届いた。

 

エーレン「見せて下さい… ふむふむ、防御用のエネルギーがあり、それとは別に搭乗者を生還させるための絶対的な防御シールドですか… 日本も随分なオーバーテクノロジーを持ってますね」

 

コーヒーを飲みながら報告書を読むエーレン。

 

ギュエール「だから搭乗者が剥き出しでも大丈夫というわけですね… 後1箇所だけ解析不能だった部分があるようです」

 

エーレン「はい? 冗談でしょう? あのMADども(技術班)でも解析できないなんて… 今回が初めてでは?」

 

常にこの艦に乗り込み、枢軸や連合の新兵器を呼吸をするかのように次々解析、改良してきた技術班を持ってしても解析不能の物があることにエーレンは驚愕していた。

 

エミリア「だからさっきハンスのおじちゃんにあった時、悔しそうにしてたんだね」

 

いつも勝ち誇った表情でエーレンと共に暴走する男、ゼーロス技術班長 ハンス・シューゲルですら落ち込んでいたのだ。

 

ギュエール「かなりショック見たいですね…」

 

エーレン「ですね… しかし、1日たったのに日本は何にもしてこないですね」

 

昨日の戦闘からまもなく1日になろうとしていたが日本からは音沙汰無しであった。

 

ギュエール「そうですね、そろそろ… 噂をすればなんとやら、不明機が接近中、数は4機です」

 

午前10時、やっと日本からのコンタクトがあった。

 

ギュエール「目標を光学で捉えました、メインモニターに出します」

 

そしてメインモニターに映ったのは昨日見た機体と同じ種類と思われる機体が2機、別の種類と思われる機体が1機、そしてほかの機体とは色も形も違う青い機体が隊列を組んで飛んでいた。

 

エミリア「今回はなんか軍隊っぽくないね」

 

ギュエール「そうですね、統一感があまり無いですね… 所属不明機から通信です」

 

エーレン「繋いでください」

 

了解しました とギュエールから言われた後、ヘッドセットから通信が聞こえてきた。

 

???『こちら日本国 IS学園教諭の織斑千冬だ、ゼーロス応答願う、繰り返す、ゼーロス応答願う』

 

エーレン『はい、こちらゼーロス。 聞こえています』

 

エーレンは昨日の事もあり、警戒しながら返信した。

 

千冬『了解した、我々は昨日の謝罪も含めて貴官と話がしたい、了承して貰えるだろうか?』

 

それを聞いたエミリアは怒りの感情を顕にした

 

エミリア「昨日お兄ちゃんを悪く言っといて今日話って虫が良すぎるよ!」

 

エーレン「エミリア、そう言ってくれると僕も嬉しいけど今は国際上の話をしているから静かにしていてね?」

 

兄の言葉にはーいと答えて静かになるエミリア。

 

エーレン『もちろんです、こちらも穏便に事を進めたいですからね。 私がそちらに行けばよろしいですか?』

 

千冬『いや、貴艦に乗艦したいと思っている、着艦許可を頂けないだろうか?』

 

エーレン『そういう事でしたら許可します。 左舷甲板を空けます、誘導に従って着艦してください』

 

千冬『了解した』

 

そして通信が切れる。

そして会談のためにエーレン達はそれぞれ行動を開始する。

 

エーレン「ギュエールさん、艦の指揮を預けます」

 

ギュエール「了解しました」

 

エーレン「エミリア、5人分のお茶をお願いできる?」

 

エミリア「任せて!」

 

その後ギュエールは艦橋に残り、エミリアは艦長室の給湯室へ行き、エーレンは左舷飛行甲板に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

ゼーロス左舷飛行甲板

 

エーレンが左舷甲板につくと既に着艦しているISの姿があった。

 

エーレン「ようこそ、特一等級空中戦闘母艦ゼーロスへ」

 

エーレンがそう声をかけると黒のスーツスカートを着た女性が返事をした。

 

千冬「先程通信をした織斑千冬だ、会談を了承してもらえた事、感謝する」

 

エーレン「いえいえ、こちらも情報が欲しかったところです。 さて、立ち話もなんでしょう、艦長室にご案内致します」

 

そしてエーレンを先頭に5人が艦内に入って行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

ゼーロス 艦長室前廊下

 

エーレン「ここです、どうぞお入りください」

 

千冬「失礼する」

 

そして全員が入り終わると扉を閉めるエーレン。

 

千冬「済まないが艦長はまだなのか?」

 

エーレンはその質問に一瞬固まったがすぐに質問の意味を理解した。

 

エーレン「まだも何も目の前にいますよ?」

 

エーレンがそう言うと千冬をはじめ、他の3人も驚いていた。

 

???「あなたが艦長なんですか!?」

 

眼鏡をかけた緑色の髪の女性が質問してきた。

 

エーレン「ええそうです。 自己紹介がまだでしたね、ゼーロス艦長のエーレンフリート・ヴァルトフォーゲルです、階級は少佐です」

 

???「私はIS学園教諭の山田真耶です」

 

???「IS学園生徒会長の更識楯無よ、よろしく」

 

???「日本国自衛隊、田中美澄一等空尉です」

 

エーレン「織斑さんに山田さんに更識さんに田中さんですね、どうぞお掛けください」

 

エーレンがそう言うと4人が失礼しますといい、ソファに腰掛けた。それを見てエーレンも座ると、タイミングよく、隣の給湯室からお茶とお菓子をお盆に載せ、それを持ったエミリアが出てきて5人の前にお茶を置いていく。

 

エミリア「どうぞ」

 

エミリアの姿を見た4人は驚いていた。

 

千冬「ヴァルトフォーゲル少佐、あなたの国ではこんな小さい娘でも戦闘艦に乗せるのですか?」

 

エーレン「いいえ、彼女は特例です。 私やこの艦の副長もそうですが」

 

美澄「でもどうしてです?」

 

美澄がもっともな質問をする。

 

エーレン「? メンタルモデルシステムをご存じないのですか?」

 

真耶「いえ、聞いたことがありません」

 

エーレン「(この情報は日本に回ってるはずですが… まあ、いいです)我々が開発した新しい艦艇制御システムです、艦の制御核であるユニオンコアを特定の人物に持たせることで理論上、その人のみで動かせるようになります、この艦の場合、彼女がそうです」

 

真耶「でも彼女じゃなくても…」

 

エーレン「お恥ずかしながらこのシステムには適性が必要という欠陥があるのです、本艦はドイツ海軍の最高戦力に当たる艦です、並の適正では不十分と判断し国中で検査を行った結果、エミリアが1番高かったのです。 もちろんすぐに採用されたわけではありません、総統閣下と私もかなり悩みましたが当の本人が…」

 

エミリア「私がそうしてって頼んだんです、私もお兄ちゃんと一緒に戦いたかったから」

 

エーレン「ありがとう、エミリア。 艦橋でギュエールさんのお手伝いをしてくれないかな?」

 

エミリアの頭を撫でながらそう言うエーレン。

 

エミリア「はーい♪、じゃあお兄ちゃんも頑張ってね」

 

失礼しますと部屋を出ていくエミリア。

 

真耶「よく出来た娘ですね」

 

エーレン「ええ、自慢の妹です」

 

その会話のあと、千冬が咳払いをして…

 

千冬「話がそれましたね、本題に入ります。 昨日の戦闘の件に関して、深く謝罪申し上げます」

 

そう言い、頭を下げる千冬。

 

エーレン「ふむ、という事は昨日の戦闘は日本国政府の総意では無い、というわけですね?」

 

千冬「大変身勝手ながらその通りです」

 

エーレン「ならこちらも安心です、私自身の軽率な行動で友邦日本と国交断絶されてしまっては極刑に処されるところでしたよ」

 

千冬「そう言って貰えると助かります、被害は無かったのですか?」

 

エーレン「ありませんでしたよ、強いて言うなら侵蝕魚雷1本だけです」

 

美澄「侵蝕魚雷とはあのブラックホールのようなものを発生させる魚雷の事ですか?」

 

エーレン「ええそうです、と言うよりこれは貴国が開発したものですよ?」

 

その言葉を聞きやはりか とつぶやく千冬。

 

千冬「艦長、つかぬ事を聞きますが今何年何月何日だとお思いですか?」

 

エーレン「計器が原因不明の故障で正確には分かりませんが、我々の感覚から申し上げると1945年2月6日ですね」

 

千冬「なるほど、これではっきりしました。 ヴァルトフォーゲル少佐、今から言うことを落ち着いて聞いてください」

 

わかりました とエーレンが答えた後、千冬が話し始める。

 

千冬「あなた達が自覚している年代と技術の面から考えると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなた達は別世界から来たものと思われます」

 

それを聞いたエーレンは思考が固まった。

 

千冬「今は1945年ではありません、2045年です。 そして我が国にドイツ第三帝国という同盟国はありませんし、その国と同じ名前の国は一世紀前に滅亡しています。」

 

楯無「ここまでなら嘘ついてるだけで済むけど、あなた達の技術、ISを一撃で撃ち落とす武器は嘘じゃない、だから日本政府はそのように判断しているわ」

 

2人の言葉に現実に引き戻されるエーレン。

 

エーレン「しかし別世界って、SF映画じゃないんですから」

 

美澄「ですが他に理由が思い浮かばないのです、何処に隠れて研究していた、その線も考えましたがそれではあなた方の目的が分かりません。 わざわざこんな巨大艦を建造して見せびらかしに来た訳ではないでしょう?」

 

エーレン「ええ、我々の目標は本国への生存報告と帰還です。 各国に危害を加えるつもりはありません」

 

エーレンは混乱していてそういうので精一杯だった。

 

千冬「そして決定的な事としてあなた方はISを知らない。 嘘をついている様子が無いのは昨日の通信の録音で既に判明していますからね」

 

エーレン「……なるほど、全て辻褄が合いましたよ」

 

そう、あの計器は問題なく稼働していたのだ。 そして爆発の被害が無かったのも、いきなり太平洋にいたのも、すべてあの時リヴァイアサンの爆発に巻き込まれる直前にこの世界へ来てきたのならばすべての辻褄が合う。

 

千冬「少佐、もしよろしければここに至るまでの経緯を教えていただけませんか?」

 

エーレン「わかりました、こちらの世界の事も含めてお話致します」

 

 

エーレン説明中…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エーレン「というわけです」

 

一通り話し終え、一旦区切るエーレン。

 

千冬「なるほど、枢軸が最後まで優勢だった第二次世界大戦ですか…」

 

真耶「ヒトラーとスターリンが仲良しなんて信じられませんね」

 

楯無「山田先生、すべて事実なんでしょう。 私も信じられませんが…」

 

美澄「それで織斑教諭、仮説が正しかった場合は…」

 

千冬「ええ、そうですね。 少佐、日本政府はあなた方を自衛隊に迎え入れる用意がありますが、いかがいたしますか?」

 

それを聞いたエーレンは再び思考が固まった、他国の戦闘艦を受け入れるなど前代未聞だ、何か条件があると考えていた。

 

エーレン「条件はこの艦の技術でしょうか?」

 

千冬「いえ、、そのまま入隊して国防の要になって下さるだけで構いません、我々が欲しいのは技術ではありません、ISを圧倒したというこの艦の力とネームバリューです」

 

エーレンはそれを聞き、少し悩む。

 

エーレン「(ありえないくらい好条件です、なにか裏があるはず… ですが今この艦は母港がない、この条件をのめば少なくとも生存は保証される… 賭けてみますか)わかりました、その条件で行きましょう」

 

千冬「わかりました、政府に伝えます。 少佐は艦を横須賀に向かわせてください」

 

エーレン「わかりました、ブリッジに伝えます。 ああそうだ、出来ればこの世界について教えて欲しいのですが…」

 

真耶「ああ、そうですね」

 

真耶説明中…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真耶「と言った感じです」

 

エーレン「なるほど、インフィニット・ストラトスに女尊男卑ですか… 随分住みにくい世界ですね… という事は昨日の3人はもしかすると…」

 

美澄「ええ、あの3人はその思想に染まっています、部下が迷惑をおかけしました」

 

エーレン「ああ、あなただったんですか、昨日の小隊の隊長さんは。まあ、済んだことです、気にしても仕方ないでしょう。 そうです、その人達らは今朝意識が回復しました…」

 

会われますか? そう言おうとしたがそれは艦内に響くアラートとギュエールの放送によって掻き消された。

 

ギュエール『総員戦闘配置! 繰り返します、総員戦闘配置! 甲板作業員は直ちに艦内に退避して下さい!』

 

その放送を聞き、エーレンは艦長室の内線でブリッジに繋ぐ。

 

エーレン『ブリッジ応答しろ! 何があった!?」

 

ギュエール『弾道ミサイルと思われる熱源が接近中、現在最大戦速で回避行動をとりつつ、迎撃準備中です』

 

エーレン『わかりました、すぐに艦橋に向かいます、しばらくはそちらの判断で迎撃して下さい』

 

ギュエール『了解!』

 

エーレン「皆さんはここにいて下さい! 私は艦橋に上がりますので!」

 

千冬「私も行きましょう、どこの国の物がわかるかもしれないので」

 

わかりました、ついてきてください とエーレンから言われた後、艦橋へ走っていった。

 

真耶「大丈夫でしょうか…?」

 

楯無「大丈夫ですよ、織斑先生も居ますし」

 

美澄「それにこの艦の戦闘能力は本物です、恐らく世界中のどの軍隊もこの艦を沈めることは出来ないでしょう」

 

真耶は不安になり、それを落ち着かせる楯無と美澄、特に美澄はゼーロスの強さを目の当たりにしてるので絶対的な確証があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼーロス艦橋

 

ギュエール「ミサイルで迎撃します、ヴァッサーファル改発射!」

 

エミリア「了解、後部VLS ヴァッサーファル改発射!」

 

ギュエールの指示の元、ゼーロス後部のVLSより対空ミサイル、ヴァッサーファル改が2発発射され、接近中の物体に向けて飛翔するが飛行物体は曲芸のような飛行をし、ヴァッサーファル改を2つとも躱した。

 

ギュエール「なっ!? 命中性に優れたヴァッサーファル改を躱すなんて!? 副砲起動、照準開始、乱数回避軌道算出!」

 

ギュエールは今の軌道で相手は少なくとも機械ではない事が分かったので乱数回避軌道を算出し、砲撃で仕留めるつもりだった。

 

エーレン「すみません、遅れました」

 

エミリア「大丈夫だよお兄ちゃん。 それよりヴァッサーファル改が2つとも躱されたの」

 

エーレン「何だと!? 相手はICBMじゃないのか!?」

 

エミリア「分からないけど… 目標を光学で捕捉、メインモニターに映します」

 

そこに映ったのは人参のような形をしたミサイルだった。

 

エーレン「なんですか、あれ」

 

千冬「あれは…」

 

エーレン「知っているんですか、織斑さん」

 

千冬「ええ、あれは知り合いのロケットです。攻撃では無いので迎撃はしないで頂きたい」

 

エーレン「わかりました、迎撃中止! 防壁のみを展開して待機!」

 

エーレンは千冬から攻撃ではないことを告げられると防壁のみを展開して待機した。

そしてそのロケットはゼーロスの右舷甲板に着艦?した。

 

エーレン「織斑さん、一緒に来てきただけませんか?」

 

千冬「わかりました」

 

若干うんざりしたような雰囲気の千冬であった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼーロス右舷甲板

 

2人が到着するとゼーロス保安部がロケットを包囲していた。

そして、ロケットの中から機会のうさ耳をつけたアリス風のは女性と、銀髪で両眼を閉じたドレスを着た女性が降りてきた。

保安部がライフルを構える。

 

???「とうちゃーく! ってあれ? ちーちゃん? なんでこんなところにいるの?」

 

千冬「うるさいぞ束、お前こそ戦闘艦に突っ込むなんて事よく出来るな」

 

束「だって異世界の技術だよ、気にならない訳無いじゃん。 うん? 君は誰かな?」

 

うさ耳の女性はエーレンを見るとそう言ってきた。

 

エーレン「当艦艦長、エーレンフリート・ヴァルトフォーゲルです。 本艦に御用でも?」

 

束「じゃあえーくんだね! そうだよ、おっとその前に自己紹介、篠ノ之束さんだよー、ぶいぶい!」

 

エーレン「という事はあなたがあのISの開発者ですか… もしかしてご要件は昨日の事ですか?」

 

束「そうだよ〜、ISを一撃なんてすごい事だからね。 だから今日は君にお願いがあってきたんだよ」

 

エーレン「お願い、ですか?」

 

束「うん! 私たちをこの艦の技術班で雇って欲しいんだよ」

 

千冬「おい束、この艦は自衛隊に入隊が決まったとはいえまだ得体のしれない艦だぞ!」

 

本人の目の前で言いますかねぇ… とエーレンはちょっとショックだった。

 

束「大丈夫だよ、それにもしかするとえーくんはIS適性があるかもだからね」

 

千冬「何だと!?」

 

千冬とエーレンは驚いていた。

 

エーレン「僕に… ですか?」

 

束「うん、ISは女しか乗れないけど別世界の人間ならあるいは、ね」

 

千冬「分かった、少佐、済まないがちょっと付き合って貰えないだろうか?」

 

エーレン「ええ、構いません」

 

そして艦内に入って行く4人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして検査の結果、 エーレンはISに乗れ、エミリアとギュエールも適正Aを出し、IS学園入学が決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてIS学園に入学するため、篠ノ之束を技術班に採用、いつもの暴走2人組に束が加わり、まわりから「賢い三バカ」と言われるのはまた別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでです

次回はいよいよ原作突入です。
しかし今回詰め込みすぎましたね、あとクロエさんが空気でしたし…、反省反省。

次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦

第3話 「蒼雫の砲火」

誤字や脱字、アドバイスなどがあれば教えて下さい、お待ちしております。


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第3話 蒼雫の砲火 前編

こんばんは皆様、大極光です。

今回は金髪ドリルやら朴念神やらが登場します。



2045年4月10日 午前9時00分

 

IS学園 職員室前廊下

 

エーレン達はIS学園の制服を着てで千冬が来るのを待っていた。

ちなみに3人とも制服は既に改造済みでエーレンは上着の丈を伸ばして白衣風にして、内ポケットを増設、左腕にはゼーロスの腕章をつけている。

エミリアは上はそのままで下をミニスカートにして、同じカラーリングのニーソックスを履いている。

ギュエールも上はそのままで下をロングスカートに変えている。

 

横須賀基地に到着してから約2ヶ月、エーレン達は束と共に勉強していた。

エーレンは研究者と血が騒いだのか、はたまた兵器と言うことで単に暴走しただけなのか、IS関連になると嬉々とした表情で講義を聞いていた。

エミリアは持ち前の完全記憶能力をいかし、元々秀才だったため年齢差を感じさせないスピードで知識を吸収していった。

ギュエールもドイツ国内で一二を争う若き天才と呼ばれるほどであり、その学力は世界を跨いでも通用するようだ。

 

つまり3人ともオーバースペック(約1名変態)なのだ。

 

それと同時進行でMADども(技術班)と共に2世界の技術を融合した専用機を作っていた(ここでも例の三バカが暴走したのは言うまでもない)。

 

エミリア「でも何で私達入学式に参加できなかったんだろ?」

 

エーレン「僕達は恐らく編入という形になるんだろう、だから織斑さん… いや、もう先生か、織斑先生から直接クラスに案内されるんだろう」

 

千冬「その通りだ」

 

すると会議を終えた千冬が職員室から出てきた。

 

千冬「すまない、待たせた。ヴァルトフォーゲル兄の言う通り、お前達は私のクラス、1年1組に編入という形になった、もうHRが始まっているだろう。ついてこい、案内する。 あと私のことは織斑先生と呼ぶように」

 

「「「わかりました、織斑先生」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

IS学園 1年1組前廊下

 

千冬「ここだ、呼んだら入って来てくれ」

 

そう言って千冬が先に教室に入る。

直後、何かを叩いたような音と歓声のような声が聞こえてきた。

その後…

 

千冬「ヴァルトフォーゲル兄妹、サザンクロス、入れ」

 

「「「失礼します」」」

 

エーレン、エミリア、ギュエールの順番で教室に入る。

 

千冬「この3人が転入生だ、順番に自己紹介しろ」

 

となると僕からか とエーレンから自己紹介をはじめる。

 

エーレン「はじめまして皆さん、エーレンフリート・ヴァルトフォーゲルと言います。エーレンとお呼びください、 趣味は兵器の設計と研究開発です。 ですので武器に関しては皆さんより詳しいつもりでいます、1年間よろしくお願いします」

 

堂々とオタク宣言するエーレン。

 

エーレン「エミリア・ヴァルトフォーゲルです! 趣味は剣術とお兄ちゃんと遊ぶことです、1年間よろしくお願いします!」

 

年相応の無邪気さを残すエミリア。

 

ギュエール「ギュエール・サザンクロスと言います。 趣味は旅行と写真撮影です、1年間よろしくお願いします」

 

真面目な自己紹介をするギュエール。

三者三様であった。

 

千冬「分かったか、織斑? 自己紹介とはこうするんだ」

 

千冬がもう1人の男子生徒にそう言う。

 

「「「き…」」」

 

エーレン「き?」

 

「「「きゃあぁぁぁぁぁぁ!」」」

 

「男子よ! 男子!」

 

「ちょっとオタクっぽいけどそれが良い!」

 

「爽やかイケメンに知的なイケメン! 最高!」

 

「その隣の子も可愛い!」

 

「なてなでしたい!」

 

「あの薄い金髪の人綺麗…」

 

エーレン達が経験したことのない音量が3人の耳を襲う。

 

千冬「静かにしろ!」

 

千冬の一声で再び静かになる教室。

 

千冬「やれやれ。 お前達の席はあそこだ、早く座れ」

 

そう言われたので席に座る3人。

 

千冬「よし、山田先生、続きを」

 

真耶「は、はい、わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業終了後…

 

授業が終了して休み時間になるとすぐにもう1人の男子生徒がエーレンの元にやってきた。

 

???「よう!」

 

エーレン「おや君は確か… 織斑君でしたか、僕に御用でも?」

 

一夏「まあ、そう硬い口調になるなよ。 男同士仲良くしようぜ? あと俺のことは一夏でいいぜ」

 

そう言って手を差し出してくる。

 

エーレン「もちろんです、あと僕の事もエーレンで構いませんよ」

 

そして握手をする2人。

 

一夏「その口調は何とかならないのか?」

 

エーレン「癖のようなものです、気にしないでください」

 

エミリア「お兄ちゃ〜〜ん♪」

 

一夏とエーレンが話しているとエミリアがエーレンに飛びついた。

 

エーレン「よしよし、あまりはしゃぎすぎないようにね? 」

 

エミリアの頭を撫でながらいうエーレン。

 

一夏「その子何歳なんだ? どう見ても高校生には見えないけど…」

 

一夏がもっともな質問をしてくる。

 

エーレン「ええ、エミリアは今10歳ですよ」

 

一夏「そうなのか」

 

そうして話していると…

 

???「ちょっといいか? 」

 

1人の女生徒が声を掛けてきた。

 

一夏「お前もしかして箒か?」

 

箒「そうだ、すまないがヴァルトフォーゲル、こいつを借りて良いか?」

 

エーレン「ええ、構いませんよ。 あと僕のことはエーレンで構いません」

 

箒「分かった、私のことも箒でいい。一夏行くぞ」

 

一夏「分かった、じゃあなエーレン」

 

そう言って教室を出て行く2人。

エーレンはそれを見送ったあと、エミリアの頭を撫でながら自分の専用機に関する書類を見ていた。

 

ちなみに2人は遅れて帰ってきて、千冬に出席簿アタックを食らっていたのは別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業中…

 

その授業はIS関連の話だったが3人とも既に束によって卒業までの知識を溜め込んであるので復習の意味合いが強かった(約1名嬉々とした表情で真耶の授業を聞いている奴もいた)。

 

真耶「ここまででわからない所がある人はいますか? 」

 

真耶が一旦授業を止めてそう質問する。

 

エーレン「(やっぱりISは面白いなぁ!)」

 

エミリア「(山田先生の授業わかりやすいね)」

 

ギュエール「(この授業で分からない人などいないでしょう)」

 

一夏「先生!」

 

真耶「何かな? 織斑君? 」

 

一夏「ほとんど分かりません!」

 

その言葉にエーレン含めクラスの全員がずっこける。

 

「「「(いたよ…)」」」

 

真耶「え!? ほとんどですか!? 」

 

一夏「はい…」

 

千冬「織斑、入学前に配られた参考書はどうした? 」

 

一夏「古い電話帳と間違えて捨てました」

 

バシンッ!

 

直後千冬が一夏に出席簿アタックをお見舞する。

 

千冬「馬鹿者、再発行してやるから、1週間で覚えろ」

 

一夏「あの量を1週間はちょっと…」

 

千冬「やれと言っている」

 

千冬が有無を言わせぬ視線を一夏にむける。

 

一夏「はい…」

 

真耶「ヴァルトフォーゲル君にヴァルトフォーゲルさんは大丈夫ですか?」

 

真耶がそう言うと一夏はお前もわからないだろ? という視線を向けてきたが…

 

エーレン「問題ありません」

 

エミリア「大丈夫で〜す!」

 

一夏「何で分かるんだよ!? 」

 

一夏が心底意外そうな声を上げる。

 

エーレン「あれ? 自己紹介で申し上げたはずですよ、兵器に関してなら人一倍詳しいと」

 

オタクもここまで来ると考えものである。

 

エミリア「私は勉強もしているけど体質のおかげかな? 」

 

千冬「騒ぐな! 授業中だぞ!」

 

クラスメイト「織斑先生、エミリアちゃんの体質ってどういう事ですか? 」

 

千冬「授業中だが静かになるのならまあいいだろう。 ヴァルトフォーゲル妹は1度見たものは忘れない完全記憶能力と呼ばれる能力の保持者だ」

 

「「「(だから高校にも付いてこれるのか)」」」

 

クラスメイト皆納得。

 

千冬「恥ずかしいと思えよ織斑。 自分より6年も年下に負けているんだからな」

 

一夏「はい…」

 

千冬「話がそれたな、山田先生続きを」

 

真耶「わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

授業終了後…

 

一夏は再びエーレンのもとを訪れていた。

 

一夏「エーレン、頼む! 俺に勉強を教えてくれ!」

 

エーレン「残念ですが僕はエミリアと仕事で手一杯ですね…」

 

一夏とエーレンがそんな会話をしていると…

 

???「ちょっとよろしくて? 」

 

一夏「ん? 」

 

エーレン「はい? 」

 

2人が振り向くと金髪ドリルヘアーの女生徒が立っていた。

 

???「まあ!? 何でしょうそのお返事、この私に話しかけられているのだからそれなりの態度というものがあるでしょう!? 」

 

一夏「悪いな、俺君が誰だか知らないし」

 

エーレン「確かセシリア・オルコットさんでしたか、英国の代表候補生の」

 

セシリア「あら、そちらの方はご存知でしたか」

 

エーレン「ええ、詳しい訳では無いですが」

 

一夏「なあエーレン、代表候補生ってなんだ? 」

 

直後エーレンを含めたクラスメイト全員が再びずっこける。

 

エーレン「一夏君、読んで字のごとくIS国家代表の候補生ですよ。 君のお姉さんがそうだったように」

 

苦笑混じりに教えるエーレン。

それで納得したように頷く一夏。

 

セシリア「全く、この程度とは所詮男ですわね。 まあ、私は優しいですから泣いて頼めば教えてない事もありませんわよ。 なにせ、唯一入学試験で教官を倒したんですからね」

 

一夏「あれ、俺も倒したぞ」

 

それを聞いて驚愕の表情になるセシリア。

 

セシリア「私だけと聞きましたが…」

 

一夏「女子ではってオチじゃね?」

 

セシリア「そちらの方は? まさかナチスなんて言う野蛮国家の人間が…」

 

エーレン「(ほう、 僕の素性を知っているみたいだね…)僕も倒しましたよ」

 

セシリア「あなた達…」

 

セシリアがなにか言おうとした時、チャイムがなった。

 

セシリア「また来ますわ、逃げないことですわね」

 

そう言って自分の席に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業中…

 

千冬「そうだ、クラス代表を決めなければならなかったな。 自薦他薦問わない、誰かいないか? 」

 

「はい! 織斑君を推薦します!」

 

「じゃあ私はエーレン君に!」

 

「織斑君が良い!」

 

「エーレン君に1票!」

 

すぐさまエーレンと一夏の名前が上がる。

 

一夏「ちょっとまってくれ、俺はやらねえぞ!」

 

バシンッ!

 

千冬「織斑座れ! 織斑とヴァルトフォーゲル兄だな、他にはいないのか? 」

 

エーレンは適当に一夏に振る予定だったが…

 

セシリア「お待ちください! 納得いきませんわ!」

 

急にセシリアが立ち上がる。

 

セシリア「男がクラス代表なんて恥さらしもいいところですわ! 片方は無知過ぎますし、もう片方はナチスの野蛮人ですわよ! それに実力の面から見てもこのセシリア・オルコットが1番代表にふさわしいですわ!」

 

そこからしばらく、セシリアの演説が続いた。

やれ文化が後進的だの、やれ極東の島国だの言っていたがエーレンは特に気にしてなかった。

 

だが…

 

エミリア「ねぇ! お兄ちゃんが野蛮人ってどういう事なの!? 何も知らないのに何でそんなことこと言えるの!? ねぇ、答えてよ!? 」

 

大好きな兄を侮辱されて頭に来たのかエミリアがいきなり声を上げる。

 

セシリア「ふん、ナチスが野蛮なのは周知の事実ですわ! それを言ったまでですわ!」

 

セシリアも大人気なく言い返す。

 

エミリア「あなた…!」

 

エーレン「(そろそろ止めないとお互い不味いですね)エミリア、そこまでだよ」

 

もう一度言うが、セシリアの発言にエーレンは別に気にしてなかった、せいぜい亡国の信者が騒いでる、その程度の認識だった。

だが、セシリアの発言は宣戦布告とも取れるので穏便にことを進めたいエーレンにとっては少し不味いものだった。

 

エミリア「でもお兄ちゃん…!」

 

珍しくエーレンに反論するエミリア。

 

エーレン「気持ちは本当にありがたいけどね、ちょっとそっちの人に話があるから聞いててもらえないかな? 」

 

エミリア「………はーい」

 

ありがとう、いい子だね と言ってからセシリアの方を向くエーレン。

 

エーレン「さて、オルコットさん。 流石に今回の発言はまずいですよ? 」

 

セシリア「何も問題はありませんわ!」

 

エーレン「いえ、問題ありです。 分かりませんか? あなたは代表候補生、その発言は国家の言葉と捉えられます。 そして先程の発言はクラスほぼ全員を敵に回したばかりか日本に対する宣戦布告と捉えられてもおかしくありません、仮に戦争になったらあなたは責任を負えるのですか? 」

 

そう言うと顔色が悪くなるセシリア。

 

エーレン「そして戦局も十中八九そちら負けです、何せ日本への宣戦布告はあのゼーロスへの宣戦布告を意味します、確実に首都ロンドンは火の海になるでしょう。 遺族への責任を負えるのですか? 」

 

止めと言わんばかりにゼーロスを話題に出すエーレン。

それを聞いたセシリアは顔色が真っ青だった。

 

エーレン「(このくらい脅かしておけば大丈夫でしょう)やっと静かになりましたか。穏便にすませましょうよ、クラス代表決めるだけなんですから」

 

すみません、時間取りました と千冬にそう言って座るエーレン。

だが…

 

セシリア「……ですわ」

 

エーレン「はい?」

 

セシリア「決闘ですわ! よくもこの私に恥をかかせてくれましたわね!」

 

エーレン「はい!?」

 

一夏「いいぜ! 四の五の言うよりわかりやすい!」

 

そこで一夏も参戦する。

 

エーレン「ちょっと、一夏君まで!」

 

千冬「決まりだな、1週間後に織斑、オルコット、ヴァルトフォーゲル兄によるクラス代表決定戦を行う!」

 

エーレン「ちょっと、織斑先生!」

 

エーレンが千冬に抗議するが…

 

千冬「諦めろ、お前が穏便に事を進めたいのはわかるがな。 それに私も見てみたい、超兵器殺しの実力をな」

 

エーレン「………分かりました、こうなった以上仕方がありません、やります。 得とご覧あれ」

 

エーレンが折れ、1週間後に戦うことになった。

 

千冬「よし、授業を再開する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全授業終了後…

 

エーレン帰る準備をしていた。

エミリアはギュエールさんと共に寮へ帰っていった。

 

エーレン「(はあ、心苦しいな… エミリア泣きそうだったしね…)」

 

エーレンだけは自宅から通うことになっていた。

しかし…

 

真耶「良かった、まだ教室にいたんですね。織斑君にヴァルトフォーゲル君、2人の部屋が決まりました。 はい、鍵です」

 

そう言って鍵を渡された。

 

一夏「え? でも1週間は家から通えと言われましたが? 」

 

エーレン「右に同じです」

 

真耶「確かにそうでしたが、政府から保護と監視もかねての判断です」

 

エーレン「なるほどわかりました」

 

一夏「でも俺達荷物ないですよ」

 

そう、エーレン達は着替えすらないのだ。

 

千冬「それなら私が用意しておいた」

 

そこで織斑先生が登場する。

 

千冬「織斑の方は私が用意した。着替えと携帯電話の充電器があればいいだろ。 ヴァルトフォーゲル兄の方は妹が用意しただろう段ボールを持ってきた、だが何で用意されていたんだ? 」

 

エーレン「あー、エミリアのことですので一緒に寮生活する気だったのかと…」

 

苦笑いしながら答えるエーレン。

 

真耶「あと、大浴場がありますが今は使えません」

 

一夏「え? 何でですか? 」

 

一夏はここが女子校だと言うことに気づいていないようだった。

 

エーレン「一夏君、君は女の子と一緒に入浴する気ですか? 年相応ですが僕を巻き込まないで下さいね」

 

一夏「いやいや! 入りたくない、入りたくないぜ!」

 

エーレン「(おい、そんなこと不容易に言ったら…)」

 

「今回は織×エレで決まりね!」

 

「いや、エレ×織かもよ!」

 

周りの腐ったお嬢様方がそんな会話をしていた。

 

真耶「では連絡は以上です、寄り道せずに帰ってくださいね」

 

「「分かりました」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園 1年生寮 エーレンの部屋前廊下

 

エーレン「1067室… ここですか」

 

エーレンは貰った鍵番号と部屋番号を確認してからノックをした。

すると…

 

???「はーい」

 

部屋の中から聞きなれた声が聞こえてきた。

 

エミリア「どちら様ですかってお兄ちゃん!? 何でここにいるの!?」

 

エーレン「なんか僕もここで住むことになった見たい」

 

エミリア「先生ナイス!」

 

そう言いつつ抱き着いてくるエミリア。

 

エーレン「よしよし、じゃあ荷物整理したら夕食に行こうか」

 

エミリア「うん!」

 

 

 

こうしてエーレンの入学1日目が終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでです。

更新が少し滞ってすみません。

次回も同じように滞るかも知れませんがお許しください。

次回は後編です。

誤字や脱字、アドバイス、質問などがなれば教えてください、お待ちしております。


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第3話 蒼雫の砲火 後編

こんにちは皆様、大極光です。

いよいよ主人公の機体がきます。

エーレン(変態)+シューゲル(狂人)+束(天災)が造った機体が普通なはずもなく…


1週間後…

 

IS学園 第3アリーナ ピット内

 

ついにクラス代表決定戦がやって来た。

エーレンはあの日の翌日からエミリアに近距離戦、ギュエールに遠距離戦を教えてもらい、それをエーレン独自にアレンジしたため中距離では無類の強さを誇るようになった。

そして現在エーレンは一夏の機体が届くのを待っていた。

 

一夏「まだか? 遅いな」

 

千冬「そう焦るな。ヴァルトフォーゲル兄、織斑の機体が遅れている。 悪いが先に出てくれ」

 

どうやらエーレンが最初のようだ。

 

エーレン「分かりました」

 

そう言いながら発進カタパルトに機体を展開する。白を基調とした流線形の見た目に背中に戦闘機のような翼が付いており、翼には鉤十字が書かれた全装甲(フルスキン)のIS、ヴァイス・レギオンに乗り込むエーレン。

 

千冬「それがお前の機体か」

 

箒「かっこいいな」

 

2人の感想を聞いていると真耶から通信が入る。

 

真耶『ヴァルトフォーゲル君、聞こえていますか? 』

 

エーレン『はい、よく聞こえます』

 

真耶『分かりました、カタパルトの操作はそちらにお任せします、準備が出来たら発進してください』

 

そう言われたのでヴァイス・レギオンを飛行形態へ変形させる。

 

千冬「ほう、変形も出来るのか」

 

エーレン「ええ、この娘、ヴァイス・レギオンの特徴の1つです」

 

千冬「そうか、では行け、そして勝ってこい」

 

分かりました と答えてエーレンは思考を戦闘用に切り替える。

 

エーレン「エーレンフリート・ヴァルトフォーゲル、ヴァイス・レギオン 出撃します!」

 

 

 

 

 

 

 

 

カタパルトを操作しピットから外に出る、直後機体が再び変形し、人型になる。

その変形をみて、ギャラリーが沸き立つ。

 

セシリア「あら、あなたからですの?」

 

エーレンが見ると既にライフルを展開したブルー・ティアーズに乗るセシリアの姿があった。

 

エーレン「ええ、みたいですね」

 

セシリア「最後のチャンスをあげますわ、このまま試合をすれば私が圧倒的勝利をするのは明白、ですので泣いて謝れば許してあげないこともありませんわ」

 

それを聞いたエーレンは呆れる。

 

エーレン「必要ありませんね、そんなもの。 僕は負ける気は無いので」

 

セシリア「そうですか、なら…」

 

そこで真耶から試合開始の合図がなる。

 

セシリア「お別れですわね!」

 

セシリアがライフルを撃つが…

 

エーレン「(なんだこの程度…)」

 

エーレンは最低限の動きでそれを躱す。

ギュエールの射撃をずっと見てきたエーレンにとって、セシリアの射撃は甘すぎるのだ。

躱された事で頭に来たのかセシリアはライフルを連射するがそれらもエーレンはスラスターと手足を操作して躱す。

 

セシリア「なぜ当たりませんの!? あなた本当に初心者ですの!? 」

 

エーレン「ええ、ISに関しては初心者ですよ。 ISに関しては、ね」

 

エーレンが意味ありげに笑う。

 

セシリア「どういうことですの!? 」

 

エーレン「君は僕の素性を知ってるなら分かるでしょう? 僕は軍人、故にISの素人であっても戦闘の素人ではありません、加えて言うのでしたら僕は海軍の武装研究員、故にISの素人であっても兵器の素人ではありません。 …話が長くなりましたね、そろそろこちらも攻撃に移りましょう」

 

そう言いエーレンは右手に大型の片手レーザー砲、左手に連装ガトリング砲をそれぞれ拡張領域(バススロット)から取り出す。

そしてセシリアの攻撃を回避しながら右手のレーザー砲、ズィーガーマグナムを構え、発射する。

ギュエールの教えの元、放たれた白色の光線がセシリアに直撃し、極限まで威力を高めた一撃はブルー・ティアーズのSE(シールドエネルギー)を大幅に削る。

 

セシリア「やってくれましたわね! 行きなさい、ティアーズ! そして踊りなさい! このセシリア・オルコットとブルー・ティアーズが奏でる円舞曲(ワルツ)で!」

 

直後ブルー・ティアーズのフィンアーマーが分離しエーレンに襲い掛かった。

 

エーレン「それがBT兵器ですか、興味深い、ですが!」

 

エーレンは左手の連装ガトリング砲、ヴァイスガトリングをビットに向け、弾幕に形成する。

と言ってもイージスシステムクラスの処理機構を搭載したヴァイスには弾幕に見えてもきちんと計算されて撃たれているのできちんと命中する。

そして35mmの砲弾を受けきる装甲が無かったのかビットは1機、また1機と落ちてゆく。

 

セシリア「なっ!? IS勝負に弾幕なんて!?」

 

全てのビットを落とされたセシリアは驚愕していた。

対するエーレンは全てのビットの撃墜を確認するとエーレンはブルー・ティアーズに弾幕をはりながら急接近、最後のティアーズ2機を破壊し、両手の武器を右手は大型のビームランス、レギオンランス、左手は大型の実体盾、レギオンガーターに換装。

ランスでセシリアに攻撃し、最初の一撃でライフルを破壊、その後も攻撃続けた。

 

エーレン「これで終わりです!」

 

エーレンがそう言うとヴァイス・レギオンから機械音声が聞こえてきた。

 

『アタックファンクション グングニル』

 

直後ヴァイス・レギオンのレギオンランスが赤い炎のようなものを纏い、それをブルー・ティアーズに叩きつけた。

 

『ブルー・ティアーズ、SE(シールドエネルギー)0、勝者、エーレンフリート・ヴァルトフォーゲル』

 

エーレンはISが強制解除されたセシリアを反対側のピットに送り届けたあと、自分のピットに戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

一夏「おい、エーレン!」

 

ピット内でISを解除するといきなり殴られ胸ぐらを掴まれるエーレン。

 

エーレン「一夏君、いきなりなにするんですか? 」

 

一夏「お前、さっきの試合で何も思わないのかよ!」

 

エーレン「? なにか不味い部分でもありました? 」

 

エーレンは特に心当たりが無かった。

 

一夏「ある! 反撃も出来ない女の子を殴りつけてしかも最後にあんな強力な一撃を叩き込むなんて男のすることじゃねぇ! もっと正々堂々と戦え!」

 

エーレン「ですがルールには特に違反していなくてですね…」

 

一夏「お前な…!」

 

一夏がもう一度エーレンを殴ろうとしたが…

 

エミリア「えい!」

 

エミリア渾身の体当たりが一夏に炸裂する。

 

エミリア「お兄ちゃんに何でこんな事するの!? 」

 

エミリアはかなり怒っていた。

 

千冬「織斑、お前は何をしているんだ」

 

そこに一緒に来たらしい千冬が一夏に問いただす。

 

一夏「だって千冬姉! こいつがオルコットさんに酷いことを!」

 

バシンッ!

 

千冬「織斑先生だ、それにヴァルトフォーゲル兄は普通に試合をしただけだ。 それにお前は次の試合の準備があるだろう、早く行け」

 

一夏「エーレン! お前を正してやるからな!」

 

そう言って自分のピットに行く一夏。

 

ギュエール「大丈夫ですか? 艦長」

 

エミリア「お兄ちゃん、大丈夫? 」

 

2人が心配して、エーレンに聞いてきた。

 

エーレン「ええ、問題ありません。 それより2人ともここに来て良かったのですか? 」

 

ピットは基本、選手と先生しか入れないのだ。

 

千冬「それに関しては私から許可した、 篠ノ之が入り込んでいる事だしな。 それとヴァルトフォーゲル兄、さっきは身内が迷惑をかけた、すまなかったな」

 

そう言って頭を下げる千冬。

 

エーレン「え、いやしかし織斑先生が謝るような事では…」

 

千冬「だが迷惑をかけたのは事実だからな。 しかしあのバカは… ヴァルトフォーゲル兄、すまないがあの愚弟にきつい一撃を叩き込んでくれるか? 」

 

エーレン「お任せ下さい!」

 

千冬「それとヴァルトフォーゲル兄、何だ?あの最後の攻撃は? 」

 

おそらくグングニルの事を言っているのだろう。

 

エーレン「ああ、あれですか。 あれはアタックファンクションと呼ばれる、いわば必殺技のようなものです。 機関に過負荷をかけることにより強力な一撃を繰り出す事が出来ます、ですので連射は出来ませんがね」

 

千冬「相変わらずオーバースペックだな… お前達は」

 

エーレン「褒め言葉と受け取っておきましょう」

 

エミリア「頑張ってね、お兄ちゃん!」

 

エミリアがとびきりの笑顔でエーレンに言う。

 

エーレン「もちろん!(ああ〜、癒される〜)」

 

エミリアの頭を撫でながら答えるエーレン。

 

ギュエール「射撃も大丈夫そうですね。 相手の機体はトップスピードは優秀ですがパイロットは初心者です、落ち着いて撃てば必ず命中します」

 

ギュエールからも応援が来る。

 

エーレン「分かりました、では行ってきます」

 

そう言って再びカタパルトに乗り…

 

エーレン「行きますよ、ヴァイス!」

 

発進カタパルトが作動し、勢いよく飛び出すヴァイス・レギオン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナ内

 

エーレンが到着すると既に一夏がそこにいた。

 

一夏「エーレン! お前を倒す! そして改心させてやる!」

 

エーレン「何が言いたいのか理解できませんね。 改心? 僕はただ普通に試合をしただけなのにいきなり君に殴られた、それが正しいと本気でお思いで? 」

 

一夏「そうだ! お前は間違ってる! だからこの千冬姉から受け継いだ力でお前を倒してやる!みんなを守るために」

 

エーレンは呆れていた、何を言っているんだ、こいつは と

 

エーレン「流石ですね一夏君、大衆の前でそんな啖呵が切れるなんてすごいな、羨ましいです。 ですがね、君と違って僕はそんな実力はないんですよ、正々堂々戦え? みんなを守る? 君は織斑先生の弟ですから武道か何かやってきたんでしょう? 対する僕はせいぜいこの1週間エミリアとギュエールさんに練習に付き合って貰ったくらいです。だから君みたいに実力があるわけでもなければ自信もない。もちろん伸ばそうとはしていますが1週間では所詮付け焼き刃、 そんな僕が君のいう正々堂々、正面突破なんてことしたら負けてしまいます。でも2人のために勝ちたい、ですから僕は僕の得意分野、戦術と技術、情報戦で差を埋めようとしました。 結果、どうにか勝てました。それにみんなを守る? それに関しては非常に羨ましい、僕なんて自分の手の中にあるものをどうにかするので精一杯なんですよ… いや、1人取りこぼしてしまいましたしね…」

 

エーレンの脳裏に浮かび上がるのは数年前の記憶、白い髪を腰くらいまで伸ばし、エーレンに微笑みかけてくる1人の少女だった。

 

エーレン「だからみんなを守るなんて大それたことも言えないのですよ。だから本当に君が羨ましい、それが出来るだけの自信と実力があるのでしょう。 僕には到底、真似できませんね。 だから僕は身の丈にあった戦い方をしたまでです、身の丈に過ぎた戦い方はいずれ自身を殺す諸刃の剣になかねませんからね。 ですが君の信念は立派です、尊重しましょう、 ですが信念は己を律するものです、他人に押し付けて良いものではありません」

 

この演説は共通回線(オープンチャンネル)で全校生徒にも聞こえていた。

 

 

 

 

 

 

千冬「良い演説じゃないか、流石だな。 山田先生、開始の合図を」

 

真耶「え、あ、はい」

 

真耶も聞き入っていたのか、反応が少し遅れて合図を出す。

 

 

 

 

 

 

 

エーレン「始まりましたか…」

 

一夏「先手必勝! うぉぉぉぉぉ!」

 

一夏が叫びながら接近してくるがこちらもエミリアの剣技に慣れてしまっているエーレンからすれば遅すぎた。

 

エーレン「(まさかあれだけの啖呵を切っておいてこの程度か? )」

 

エーレンはバックステップで難無く躱し、拡張領域(バススロット)から2本のビームソード、レギオンセイバーを展開し、追撃してくる一夏の攻撃を受け流す。

 

一夏「それなら!」

 

すると一夏のIS 白式の刀、雪片弍型が変形しビームの刃を展開する。

エーレンには見覚えがあった。

 

エーレン「零落白夜ですか…」

 

一夏「そうだ! これは千冬姉の力、受け継いだこの力でお前を倒す!」

 

零落白夜、触れたもののエネルギーを消し去るというとんでもない能力を持つ、代償としてSE(シールドエネルギー)が削られる諸刃の剣だ。

つまり当たれば一夏の勝利が確定する。

だが…

 

エーレン「この程度!」

 

曲芸のような操縦でそれを躱す。

そして…

 

エーレン「行け! セイライ!」

 

直後ヴァイス・レギオンの両翼に4機ずつ搭載されているビット、セイライが計8機、一夏に飛んでゆき動きを封じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

千冬「あれはBT兵器なのか!? 」

 

千冬が驚きの声を上げる。

 

ギュエール「似たようなものですね。 あれはセイライ、日本が開発した半自立稼働浮遊砲台です」

 

千冬「またそちらの世界の物か…」

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏「オルコットさんのと同じやつか!?」

 

エーレン「ええ! さあ! その織斑先生の力とやらで撃ち落としてみてください!」

 

セイライで時間稼ぎし距離をとったエーレンはレギオンセイバーを収納し、代わりに大型の狙撃銃、ブリッツ・シュトロームを取り出し、狙いをつけ、発射する。

セイライにより動きを封じられている一夏は回避することも出来ずに一方的に攻撃を受ける。

 

エーレン「これで最後です、避けてみて下さい!」

 

すると一夏を襲っていたビットがエーレンに周りに展開され…

 

『アタックファンクション フルビットバースト』

 

エーレンのライフルと周りのビットからの一斉射撃で白式のSE(シールドエネルギー)は0になった。

 

『白式、SE(シールドエネルギー)0、勝者 エーレンフリート・ヴァルトフォーゲル』

 

エーレンの勝ちを告げるアナウンスがなり、エーレンはピットに戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ピット内

 

千冬「良くやった、ヴァルトフォーゲル兄。 あの演説は良かったぞ」

 

エーレン「お褒めに預かり光栄です」

 

機体を解除すると、エミリア、ギュエール、千冬の3人がいた。

 

エミリア「おかえり、お兄ちゃん♪」

 

エミリアがエーレンの左腕に抱きつく。 兄を殴り、しかもその理由が自分が兄の戦い方が気に入らないから何ていう奴がコテンパンにされて上機嫌なのだ。

 

エーレン「ただいま、勝ったよ」

 

ギュエール「狙撃もなかなかですね、セイライで動きを封じずに出来たら完璧です」

 

ギュエールから褒められるがまだまだのようだ。

 

エーレン「さいですか… もっと練習しないとですね」

 

エーレンも思う所があるのか言葉を濁す。

 

ギュエール「大丈夫です、私はいつでも練習に付き合いますよ」

 

エミリア「私も〜!」

 

ギュエールとエミリアがそう言ってくれる。

エーレンには何よりありがたいものだった。

 

千冬「さて、オルコットは棄権したからお前が1位だが… 辞退するんだろ? 」

 

エーレン「ええ、流石にこれ以上掛け持ちできません」

 

エーレンは現在、学生の他に海上自衛隊員と日本政府からの要望でゼーロス技術班を中心に結成された研究所、「ハシラジマ海上技術研究所」の所長をしているのだ、当の本人は後者2つは趣味に通ずるところもあるので笑いながらやってるが常人なら普通に過労で倒れる仕事量である。

 

千冬「分かった、ではクラス代表は織斑にやってもらおう」

 

エーレン「ええ、それが良いかと。 彼には専用機を持つという重みを知ってもらわないとですからね」

 

千冬「よし、それで行こう。 ご苦労だった、解散」

 

そう言って先に出ていく千冬。

 

エーレン「僕達も行きましょう。そろそろ夕食の時間ですしね」

 

エミリア「はーい!」

 

ギュエール「では行きましょうか」

 

そしてピットをあとにする3人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園 1年生寮 食堂

 

エーレン達は3人で夕食を摂っていた。

 

エミリア「でもすごかったね、お兄ちゃん。 全部勝っちゃうなんて」

 

エーレン「運が良かっただけだよ、片方は油断してたしもう片方は初心者だったからね。 同格以下なら僕は負けないよ」

 

ギュエール「運も実力のうちと言いますよ」

 

エーレン「まあ、確かにそうですが…」

 

そうやって話していると…

 

???「今お時間よろしいでしょうか」

 

エーレン「はい?」

 

エーレンが振り向くと今日の対戦相手の1人、セシリアが立っていた。

エミリアが気に入らないのかセシリアを思いっきり睨んでいた。

 

エーレン「ええ、大丈夫ですよ」

 

セシリア「先日はすみませんでした!」

 

そう言って頭を下げるセシリア。

エーレンも意外だったのか固まっている。

 

セシリア「父の影響で男性は皆女性に媚を売って生きている人間だと思い込んでしまっていて… ですがエーレンさんのような方もいらっしゃると今日知れたので謝罪に来ました」

 

ああ、そういうことか エーレンは頭の中で納得し…

 

エーレン「大丈夫ですよ、そこまで気にしてませんでしたし。 こちらの歴史から判断すれば当然のことかと。 それに僕はいいとしてクラスメイトには一言言っておかないといけませんよ」

 

セシリア「そう言っていただけると助かります。 クラスメイトにはきちんと言うつもりです」

 

エーレン「なら大丈夫ですね」

 

エーレンは一安心した。

 

エーレン「あ、そうです。 どうです? 今度一緒に練習でも」

 

エーレンがそう言った瞬間、セシリアの顔が明るくなった。

 

セシリア「よろしいんですの? 」

 

エーレン「ええ、射撃と近接攻撃はとびきりの先生がいるのですが、BT兵器の先生がいなくてですね。 オルコットさんにやってもらいたいのですが…」

 

セシリア「もちろんですわ! あとセシリアで構いません、私もエーレンさんと呼ばせていただいてるので」

 

エーレン「分かりました、では今度の練習の時に」

 

そう言ってそれぞれの席に戻る2人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうしてクラス代表決定戦は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでです。

今回は中盤の演説がやりたかっただけです、いろいろおかしい点があるかと思いますが…

次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦
第3.5話 前編 艦長室 機体解説 ゼーロス補足説明

誤字や脱字、アドバイス、質問などがありましたら教えてください、お待ちしております。


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第3.5話 艦長室 機体解説 その他

こんばんは皆様、大極光です。

今回はエーレン、エミリア、ギュエールの専用機と第0.5話で説明し損ねていたゼーロスの航空戦力についての解説になります。

通算UAが5000を突破致しました! めちゃくちゃ喜んでいます!


機体名:白き軍団(ヴァイス・レギオン)

 

機体番号:PROULA-X-000-01

 

搭乗者:エーレンフリート・ヴァルトフォーゲル

 

世代:不明

 

単一能力(ワンオフアビリティ):不明

 

特殊兵装:強制波動装甲

 

見た目:ダンボール戦機のオーレギオンの背面にオーディーンmk2の翼を付けたような感じ

 

近距離武装

 

レギオンランス

 

ヴァイスの近距離武装のひとつ、ダンボール戦機のレギオンランスと大して変わらないが、若干軽量化されている。

 

レギオンセイバー

 

ヴァイスの双剣、見た目は右側が白色、左側が青色のビーム刃をしたフォースブレード。 こちらもいささか軽量化されている。

 

 

射撃武装

 

ズィーガーマグナム

 

ヴァイスの主力武装。 見た目は白を基調色としたベリアルライフル。 ヴァイスの機関、エターナルサイクラーから供給されるエネルギーで桁違いの破壊力を有する。

 

ヴァイスガトリング

 

ヴァイスの対空担当、ゼーロスのCIWSである35mmの砲身を6つ束ねたものを連装にしてある。 見た目は白を基調色としたドットガトリングガン。 恐ろしい反動がかかるが束とエーレンの技術により、反動が極限まで減っている。

 

ブリッツ・シュトローム

 

ヴァイスの大型狙撃銃。 見た目は白を基調色としたイグゼキューショナー。 重量を増すことにより安定性を向上させ、連射出来るようになっている。

 

セイライ

 

ヴァイスのビット。元ネタはスパロボvの征雷。 日本がドイツと共同で開発した。片方の翼に4機ずつ搭載されている。 ブルー・ティアーズとの違いは半分が搭載されているAIが操作していることとエターナルサイクラーによりエネルギー補給に戻らなくて良い点。

 

固定武装

 

スティンガーミサイル

 

ヴァイスの固定武装。 カラーリングが変わっている以外は特にダンボール戦機のスティンガーミサイルと変わらない。

 

我王砲

 

ヴァイス胸部に付いている砲。 こちらもダンボール戦機のものと変わらない。

 

エーレンの機体。エーレンはヴァイスと呼んでいる。エミリアに剣術、ギュエールに射撃、さらに本人が別で槍術を習っているので近中遠全ての距離に対応する武装が搭載されている。 さらに高速飛行形態に変形可能。 圧倒的な機動性と火力の両立を目標に作られた。2世界の技術を融合しているが武装はエーレンの独自開発したため、束の技術はISに関する基本的な物のみになっている。

 

 

 

 

機体名:黒い鷲(シュヴァルツェア・アドラー)

 

機体番号:PROULA-X-000-02

 

搭乗者:エミリア・ヴァルトフォーゲル

 

世代:不明

 

単一能力(ワンオフアビリティ):不明

 

特殊兵装:軽量化複合強制波動装甲

 

見た目:ヴァイス・レギオンの基調色を黒色にしたもの

 

近距離武装

 

蜃気楼

 

アドラーの主力武装。 とある沈没戦艦の主砲から作られた刀。 エミリアの剣術の腕もあり、本気で振られたら刀身が見えなくなる。

 

射撃武装

 

Ωブラスター

 

アドラーの射撃武装。 威力と連射性に重きを置いており、どちらかというと牽制の意味合いが強い。見た目はダンボール戦機のΩブラスターと変わらない。

 

固定武装

 

スティンガーミサイル

 

ヴァイスの説明欄参照。

 

我王砲

 

ヴァイスの説明欄参照。

 

エミリアの機体。 エミリアはアドラー(またはアドちゃん)と呼んでいる。ヴァイスの姉妹機。エミリアの剣術に耐えられる強度に加え、極限まで機動性を追求し、生存性を高めるために防御力も上げている。代償として、搭載武装が極端に少なくなっている。が、特に問題はないらしい。こちらも変形できる。

 

機体名:灰色の狙撃手(グラウ・シャルフシュッツェ)

 

機体番号:DISN-Y-01G

 

搭乗者:ギュエール・サザンクロス

 

世代:不明

 

単一能力(ワンオフアビリティ):不明

 

特殊兵装:光学迷彩

 

見た目:ダンボール戦機のハンター

 

近距離武装

 

グラウブレード・グラウエッジ

 

シャルフ唯一の近距離武装。見た目はベリアルブレードとベリアルエッジ。と言ってもギュエールは基本相手の間合いに入らないため、ほとんど使わない。

 

射撃武装

 

ルミナスシューター

 

シャルフの狙撃銃の一丁。 大出力のレーザーを発射出来るが、連射はあまり出来ない。ギュエールは対物ライフルとして使っている。

 

グロース・シュトローム

 

シャルフの主力武装。 見た目はハンターライフル。 速射と精度を重視している。

 

固定武装

 

スティンガーミサイル

 

ヴァイスの説明欄参照。

 

ギュエールの機体。 ギュエールはシャルフと呼んでいる。こちらも武装は少ないものの観測機器などが搭載されているため精密射撃が可能である。 光学迷彩を積んでおり、相手の死角からの攻撃に長けている。

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼーロス航空戦力

 

搭載機数:744機

 

戦闘機:EF2000 タイフーン 144機(4個大隊)

 

爆撃機:E-4EJ ファントムⅡ 216機(6個大隊)

 

攻撃機:神電 144機(4個大隊)

 

輸送ヘリ:V-22 オスプレイ 12機(1個中隊)

 

対潜ヘリ:SH-60J シーホーク 12機(1個中隊)

 

MS:オーディーンM 144機(4個大隊)

 

MS以外は元ネタがウォーシップガンナー2 鋼鉄の咆哮です。

 

本作品は1個小隊4機 1個中隊12機 1個大隊36機になっています。

そして第1話 漂泊の戦艦で登場した第111小隊ですが、第1大隊の第1中隊の第1小隊なので111となっています。

 

例えば…

 

第2大隊の第3中隊なら203中隊となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

人物紹介

 

ハンス・シューゲル

 

通称:ドクトル

 

2つ名:無し

 

初登場:次話(予定)

 

身長:175cm

 

体重:58kg

 

年齢:51歳

 

階級:大尉

 

服装:カッターシャツにスーツのズボン、そして白衣をきている。

 

見た目:幼女戦記のシューゲル技師

 

好きなもの:研究

 

嫌いなもの:自分の研究を否定するもの。

 

ゼーロスの技術班長。前の研究所では周りと反りが合わなかったため、爪弾きにされていたが腕は一流のため、エーレンがスカウトした(と言うかゼーロス技術班は似たような人間ばかりである)。専門は機関や動力伝達系、駆動系など機動性に関係するものが専門。エミリアの機体の機動性を実現したのもこの人。 本作の狂人枠。

 

 

田中 美澄

 

通称:美澄

 

2つ名:無し

 

初登場:第2話 学びの地へ

 

身長:167cm

 

体重:(空欄だ…)

 

年齢:26歳

 

階級:一等空尉

 

服装:航空自衛隊の制服

 

見た目:蒼き鋼のアルペジオの四月一日いおり

 

好きなもの:買い物

 

嫌いなもの:特になし

 

ゼーロスとのファーストコンタクトをしたのがこの人。 女尊男卑思想の部下に頭を悩ませている苦労人。 航空自衛隊のIS部隊の隊長。 腕もそこそこだが周りが周りなのであまり目立たない。

 

 

 

 

用語解説

 

ハシラジマ海上技術研究所

 

日本政府の要望で結成されたゼーロス技術班を中心とする研究機関。

今は横須賀の仮研究所だが現在、急ピッチで横須賀沖に本研究所であるメガフロートを建築中である。

 

 

 

 




今回はここまでです。

機体名はおかしい点があるかと思いますが御容赦ください。
機体番号は適当です。

前編後編に分けようと思ってたら思いのほか量が少なかったのでまとめました。
ですので次回は第4話です。

次回、インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦
第4話 ハシラジマの灯

誤字や脱字、アドバイス、質問などがありましたら教えてください、お待ちしております。


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第4話 ハシラジマの灯

こんにちは皆様、大極光です。

大変遅くなってしまい申し訳ございません。

今回はエーレンの研究所、ハシラジマ海上技研にエーレンともう1人が行きます。

※次回から週一の投稿ペースを目指します、よろしくお願いします。


クラス代表決定戦翌日…

 

IS学園 1年1組

 

翌日、山田先生からクラス代表は一夏に決定するとの報告が皆に伝わった。

それを聞いたクラスメイトは放課後にパーティーをするらしく、エーレン達も誘われた。

そして午前中の授業が終わり、エーレンはエミリアとギュエール、そしてセシリアと共に昼食に行こうとしていた。

そこへ…

 

???「エレレ〜ン、ちょっといい? 」

 

独特な話し方の女子生徒が話しかけてきた。

 

エーレン「確か布仏さんでしたか… それは僕のことですか? 」

 

本音「そうだよ、嫌だった? 」

 

エーレン「いえ、別に構いません。 それで僕に御用でも? 」

 

本音「そうそう、あのね、放課後に整備ガレージに来て欲しいんだけどいいかな? 」

 

エーレン「大丈夫ですよ、僕も用がありますしね」

 

本音「ありがとう! じゃあ放課後にね〜」

 

そう言って去って行く本音。

 

ギュエール「艦長、行きましょう」

 

エミリア「お兄ちゃん早く行こ? 」

 

セシリア「時間が無くなってしまいますわよ」

 

すると待っていてくれたエミリアとギュエール、セシリアから声がかかる。

 

エーレン「すみません、行きましょうか」

 

そう言って食堂に向かう4人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全授業終了後…

 

IS学園 整備ガレージ

 

エーレン「ここですか」

 

エーレンは本音に言われた通りにガレージにきていた。

エーレン自身もヴァイスの整備をしたかったため、場所が知りたかったのだ。

 

本音「お、いたいた。 おーいエレレ〜ン! こっちこっち!」

 

先に来ていたらしい本音がエーレンを呼ぶ。

そしてそこに行くエーレン。

 

エーレン「すみません、お待たせしました、そちらの方は? 」

 

エーレンが本音の方に行くと青い髪の女子生徒がいた。

 

簪「は、はじめましてヴァルトフォーゲルさん、更識簪と言います。 簪って呼んでください」

 

そう言ってあいさつをする簪。

 

エーレン「こちらこそはじめまして、エーレンフリート・ヴァルトフォーゲルと言います、エーレンとお呼びください、あと口調もいつも通りで構いませんよ」

 

そう言ってエーレンもあいさつする。

 

エーレン「それで僕に用があるのはあなたですか? 」

 

簪「分かった、実はお願いがあって…」

 

エーレン「お願いですか? 」

 

簪「うん、これを作るのを手伝って欲しいの」

 

そう言いすぐ横のハンガーにかかっているISを見上げた。

 

エーレン「これは… 打鉄…では無いですね、改良型でしょうか? 」

 

簪「うん、これは打鉄弍式、私の専用機」

 

エーレン「という事はあなたも国家代表候補生なのですか? 」

 

本音「かんちゃんは日本の代表候補生だよ」

 

本音が代わりに答える。

 

エーレン「しかしそれなら何故簪さんが自分で作っているんです? 」

 

簪「それは…

 

 

簪説明中…

 

 

 

という訳なの」

 

話を聞いてエーレンはかなりキレていた。

 

エーレン「(何ですかね本当に、倉持はゴミしかいないのですか!? 技術者としての誇りは無いみたいですね、開発を途中で放り出しただけなく、あんな欠陥機を世に送り出すとは…)分かりました、喜んでお手伝いさせていただきます」

 

エーレンがそう言うと簪の表情が明るくなった。

 

簪「ありがとう、エーレン」

 

エーレン「どういたしまして、しかし話を聞く限りずっと簪さんだけで組み立てていたらしいですが、どうして僕に? 」

 

簪「昨日の演説で身の丈にあった戦い方をしろっていってたのであの男と同じにならないために私も身の丈にあった方法を取ろうと思って…」

 

あの男とは織斑君の事だろうとエーレンは納得した。

 

エーレン「なるほど、分かりました。 さて、早速始めましょうか」

 

簪「うん!」

 

本音「私も手伝うよ」

 

そう言って3人は作業に取り掛かる。

 

エーレン「この機体はどこまでできているのです? 」

 

簪「えっと、機体の方はだいたい出来てはいるけどスラスターの調整がまだ、武装も対複合装甲用超振動薙刀「夢現(ゆめうつつ)」が完成済みなんだけど… ほかの武装ができてない、特にこの山嵐のマルチロックオンシステムが全然できてなくて…」

 

申し訳なさそうに言う簪。

普通の人ならそれが正しいのだろう。

だが…

 

エーレン「なるほど! それはやりがいがありますねぇ!」

 

目の前の男はとんでもない変態なのだ、既にこの機体を完成させるだけでは飽き足らず、魔改造する気満々なのだ。

簪と本音が引くくらいに…

 

エーレン「ですがどうして僕がこういうのが得意って分かったんです? 」

 

簪「それは… ほら、イギリスの代表候補生と戦っている時に 僕は兵器の素人じゃない って言ってたから(あと戦っている姿がかっこよかったなんて言えない…)」

 

ああ、そういう事ですか と言ってから…

 

エーレン「僕から話を振っといてなんですが、そろそろ始めましょう」

 

そう言ってエーレンは機材を取りに部屋へ一旦戻り、それを使ってマルチロックオンシステムを構築していき、簪は本音と共に連射型荷電粒子砲「春雷」の製作に取り組んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後…

 

エーレンは取り敢えず仮のシステムとして、イージス艦のイージスシステムをISに改良してインストール。

これでも十分オーバースペックなのだがそこはエーレンクオリティ、すぐさま弍式専用のシステムの開発に取り掛かった。

時間を確認せずに…

 

エーレン「(さて、基礎は出来た。 あとは次々進化させていくだけですね)

 

簪「……レン」

 

簪が呼びかけても聞こえていない様子。

 

エーレン「(さてどう改良する? IS1個大隊を相手に出来る処理能力を持たせるとして何に重点を置くべきか…」

 

簪「エーレン!」

 

エーレン「うわぁ! って簪さん、どうかしましたか? 」

 

簪の声で現実に引き戻されるエーレン。

 

簪「すごい集中してたみたいだね、時間大丈夫? 本音がパーティーがあるからって行ったけど…」

 

エーレン「はい? 時間…」

 

そう言いつつヴァイスの待機状態である懐中時計を確認する。

 

エーレン「あ、もうパーティー始まってますね… すみません、続きをやりたいのですが誘われているもので…」

 

エーレンは名残惜しそうにそう言う。

実際、このシステム作りが今エーレンの1番の楽しみなのだ。

 

簪「大丈夫だよ、私もそろそろ終わるつもりだったし」

 

エーレン「そう言っていただけると助かります」

 

簪「今日はありがとう、エーレン」

 

エーレン「何、まだ早いですよ。 そうそう、簪さんに提案があるのですが」

 

簪「何? 」

 

エーレン「弍式の計画を倉持技研(ゴミども)から我がハシラジマに移しませんか? 」

 

簪さんもテストパイロットとして と付け加えるエーレン。

 

簪「良いの!?」

 

目を輝かせながら言う簪。

もちろんです と返すエーレン。

 

簪「行く! そうする!」

 

エーレン「分かりました、ではその方向で。 あと、今度の休みの日って空いてますか? 」

 

簪「うん、でも何で? 」

 

エーレン「ハシラジマに正式採用になった場合、機体をそこでつくるからです、再設計の際に簪さんの意見を聞きたいので」

 

分かった と答える簪。

そしてテキパキと片付けをしてガレージを後にする2人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

1年生寮 食堂

 

エーレン「やはり始まっていましたか」

 

エーレンは簪と別れた後にパーティー会場である食堂に来ていた。

 

クラスメイト「あ、エーレン君! こっちこっち! ここ座って!」

 

クラスメイトから声が掛かる。

言われた通りに座るエーレン。

するとすぐにエミリアがエーレンの膝に座った。

 

エミリア「遅いよお兄ちゃん、あの人と何してたの? 」

 

不機嫌なのか頬を膨らませて聞いてくる。

 

エーレン「ごめんねエミリア、ちょっと頼まれごとをされてね」

 

そう言ってエミリアの頭を撫でる。

 

エミリア「……今日から一緒に寝てくれたら許してあげる」

 

エーレン「はいよ」

 

そう言うといつものエミリアに戻り、エーレンの隣に座りなおす。

そして料理を食べていると…

 

薫子「はーい、こんばんは。 新聞部の黛薫子です、はいこれ名刺ね」

 

そう言って名刺を差し出す薫子。

 

エーレン「では僕も」

 

自分の名刺を渡すエーレン。

 

薫子「えーとなになに… 日本国国家特務研究機関 ハシラジマ海上技術研究所 所長 エーレンフリート・ヴァルトフォーゲルね… なるほどじゃあ君があの戦艦の艦長ね」

 

名刺をまじまじと見つめ、エーレンの方を向きそう言う薫子。

 

エーレン「ええ、そうです。 しかし新聞部の方がどういったご要件です? 」

 

薫子「それはみんなも気になる男子生徒達を取材しにきたのよ。 という訳で織斑君! 君からよ!」

 

そう言って一夏に振る薫子。

 

一夏「え!? 俺ですか? 」

 

薫子「そうよ、じゃあ早速。 クラス代表になったからその意気込みを教えてもらえるかな? 」

 

一夏「えっと、頑張ります」

 

薫子「えー、なんか他にない? 俺にさわるとヤケドするぜ? 的な」

 

一夏「自分、不器用ですから」

 

うわ、前時代的! と薫子が叫ぶが…

 

エーレン「(いやあなたもでしょう…)」

 

エーレンは声には出さないがそう思っていた。

 

薫子「まあいいわ、適当に捏造するから。 じゃあ次ヴァルトフォーゲル君! 2人と戦った感想は? 」

 

今度は僕か とエーレンは思っていた。

 

エーレン「(ここはオブラートに包んでおきますか)そうですね、セシリアさんは強敵でしたね、正直なところ射撃の先生が良かったので勝てたのかと」

 

薫子「へぇー、じゃあ織斑君は? 」

 

エーレン「まだ経験不足かと…」

 

薫子「ふーん、ちなみに射撃の先生って誰? 」

 

エーレン「そこにいるギュエールさんですよ」

 

そう言ってギュエールに話を振るエーレン。

 

薫子「じゃあギュエールちゃん、ヴァルトフォーゲル君の射撃はどうなの? 」

 

ギュエール「なかなかですね、艦長は相手を1度止めてから撃っていますから動く目標に今の射撃が出来れば完璧ですね」

 

薫子「うわぁ、厳しいね… ありがとう、じゃあ最後に写真1枚撮らせてね」

 

そう言ってカメラを構えてシャッターをきる薫子。

エーレン達だけのはずがいつの間にかクラス全員が入り込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後…

 

エーレン「そろそろ終わりですか。 エミリア帰るy…」

 

エミリア「………すう………すう」

 

そこにはエーレンに寄りかかり気持ち良さそうに寝ているエミリアの姿があった。

 

エーレン「おや、寝てしまいましたか… したらば」

 

エーレンはエミリアをおんぶして帰ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エーレン達の部屋前廊下

 

エーレン「ではギュエールさん、おやすみなさい」

 

ギュエール「はい、おやすみなさい」

 

そう言って自分の部屋に戻るギュエール。

エーレンも部屋に入りそのままエミリアを寝かそうとするが…

 

エーレン「あ、お風呂まだじゃないですか。 …可哀想ですが…」

 

そう言ってエミリアを起こし、バスルームに行かせる。

エーレン自身はパソコンを付け、システムの続きを作り始める。

数十分後、エミリアがバスルームから出てきたため、エーレンも入浴し、出てきた頃にはエミリアが椅子で寝てしまっていた。

エーレンはエミリアをベッドに寝かし、作業の続きをしようとしたが…

 

 

ギュッ

 

 

エミリアがエーレンのパジャマの袖を掴み、離さないのだ。

 

エーレン「やれやれ、仕方ありませんね、そういう約束ですし」

 

そう言いエミリアのベッドに潜るエーレン。

そしてエミリアを抱きしめ頭を撫でながらエーレン自身も眠りにつく。

 

エミリア「………お兄ちゃん、しゅきぃ……」

 

この一言で轟沈した奴がいるようだ。

そして翌朝、貧血気味のエーレンが目撃されたそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後…

 

IS学園 校門前

 

エーレンは簪がハシラジマのテストパイロットとして制式採用になったため、そこに向かうのに簪と待ち合わせをしていた。

 

簪「ごめんなさい、待った? 」

 

振り向くと簪が立っていた。

 

エーレン「いえ、今来たところです。 では行きましょうか、乗ってください」

 

エーレンの傍にはセダンタイプのベンツが停まっていた。

 

簪「えーとエーレン、これは? 」

 

エーレン「僕の車ですが? 」

 

それを聞いて驚く簪。

 

簪「え!? エーレンって運転出来たの!? 」

 

エーレン「ええ、軍関係者なので特例ですが」

 

簪「もう何も驚かないからね…」

 

時間が時間ですし、行きましょうか とエーレンの一言で車に乗り込む2人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後…

 

横須賀港沖 フェリー内

 

エーレンは車を横須賀港の駐車場に停めて、フェリーでハシラジマを目指していた。

 

エーレン「見えてきましたね」

 

エーレンの視線の先には巨大なメガフロート、その上にそびえ立つ多数の構造物、そして港と思われる場所に停泊している1隻の白い戦艦。

日本国の人工島、ハシラジマと史上最強の戦艦、ゼーロスだった。

 

簪「あれがハシラジマ…」

 

エーレン「ええそうです。 と言っても大半が建造途中で今機能しているのは港湾設備と居住区だけですがね」

 

簪「そうなんだ、うん? じゃあ何でここに来たの? 」

 

エーレン「今日ここに来たのはゼーロスの研究室を使う為です。 研究設備はかなり優秀なのでここが良いかと思いまして」

 

なるほど と納得する簪。

そして簪は降りる準備をはじめ、エーレンは乗艦手続きの確認をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後…

 

特一等級空中戦闘母艦 ゼーロス研究室

 

???「おお! よく来たな少佐!」

 

ハイテンションで2人を出迎える片眼鏡をした白衣の男、ゼーロス技術班長 ハンス・シューゲルを筆頭に研究室には既にwktkした班員が揃っていた。

 

エーレン「お久しぶりですドクトル、相変わらず元気そうでなによりです」

 

これお土産です と持っていた紙袋を差し出す。

 

ハンス「何、せっかく倉持技研(無能ども)の機体を改良出来るんだ、いてもたってもいられないからな。 君が更識簪君だね、私は君の機体の主任技師を任されたハンス・シューゲルだ、よろしく頼む」

 

エーレンから紙袋を受け取りつつ答えるハンス、そしてそれを机に置き、簪に自己紹介する。

 

簪「はじめまして、更識簪です。 簪って呼んでください、今日からよろしくお願いします」

 

任せたまえ と答えるハンス。

 

エーレン「さて、自己紹介も済んだ事ですし早速機体の再設計に入って行きましょうか」

 

エーレンがそう言うと班員の表情が嬉々としたものになる。

 

ハンス「そうそう、篠ノ之束研究員は今出かけている」

 

エーレン「分かりました」

 

ハンス「じゃあ簪君、機体について説明してくれたまえ」

 

簪「分かりました」

 

 

簪説明中…

 

 

簪「と言った感じです」

 

一通りの説明を終えるとすぐに班員がアイデアを考えはじめる。

 

エーレン「さて、聞いての通り倉持技研(バカども)の怠慢で機体完成度はあまり良いとは言えないが同時に改造、再設計が容易と言う利点がある。意見があるものはどんどん言ってほしい」

 

ハンス「遠中近全てに対応する万能機か… 少佐のヴァイスのデータが使えるな」

 

班員1「薙刀を使うとなるとハンズフリーが望ましい、武装は機体に固定すべきだろう」

 

班員2「ではこのプラズマステークはどうだろうか!」

 

班員3「このドリルステークの方が火力は高い!」

 

班員4「怨☆怨 ステークはどうでも良い! それより荷電粒子砲を誘導出来るようしよう!」

 

班員5「いやミサイルをブリューナク弾頭に!」

 

班員6「いやロンギヌスだ!」

 

一部の班員を除き、騒ぎ出すゼーロス技術班、エーレンから見ればいつも通りの光景である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後…

 

エーレン「じゃあここまでを確認する、まず1番の課題であるマルチロックオンシステムだが、それは僕が担当する」

 

そう言ってホワイトボードに書いていくエーレン。

 

ハンス「次、スラスターの調整だが、これは私の分野だから私がやろう」

 

じゃあお願いします と言うエーレン。

 

エーレン「じゃあ次、武装に関してだ。 まずミサイル、弾頭を変更するという意見だが、おそらくブリューナクは許可が降りないと思う」

 

ESM-108 ブリューナクは電子機器を一定時間使用不能にするため、PICや絶対防御が働かなくなるため、競技としての安全が保証できないからである。

 

エーレン「かと言ってロンギヌスもあの狭いアリーナ内では逆に使いづらくなってしまうため、弾頭は通常弾頭を採用する、そして並列作業でFCSを組み込んだ補助AIを作成、導入する」

 

PAM-125 ロンギヌスは高威力かつ広範囲に効果がおよぶのでISバトルには向かないため通常弾頭を採用、同時に射撃武装を担当してもらう為、FCS搭載のAIの作成を決定した。

 

ハンス「次、荷電粒子砲「春雷」を誘導出来るようにすると言う意見を採用し、さらに本艦の副砲のデータを調整して使用し通常、誘導、拡散そして新開発として拡散したものを誘導する、便宜上拡散誘導をの4つを追加する、本体は私がエターナルサイクラーを使って作成するが管制システムに関しては少佐に任せる」

 

エーレン「取り敢えずこのくらいでしょう、もちろんパッケージも作りますが」

 

簪「エーレン、皆さん、ありがとうございます!」

 

ハンス「何、こちらも仕事ができて嬉しいかぎりだ。 …少佐、そろそろ帰らねばならないのではないかね? 」

 

そう言って時計を見るハンス。

 

エーレン「そうですね、では諸君、また来ます。 お疲れ様でした」

 

「「「お疲れ様でした!」」」

 

エーレン「行きましょうか」

 

簪「うん」

 

 

 

 

 

その後何事も無くIS学園に帰った2人。

エーレンは簪を降ろした後に車を停めて寮に帰った。

 

そこでエミリアに殺されそうになったことは別の話。

エーレン「(普通の日常がほしい…)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻…

 

IS学園 某所

 

???「ついに来たわ! 待ってなさいよ一夏!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして波乱は繰り返す…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでです。

ちなみにエーレン達のISの待機状態ですが、
エーレンが懐中時計(白い本体に青地にローマ数字が書かれ、中央を中心に白い鉤十字が書かれている)

エミリアも懐中時計(エーレンとおそろい、色が白から黒 青から赤に変わっている)

ギュエールがペンダント(銀色に鉤十字の紋様がある)

次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦
第5話 中華の刺客

誤字や脱字、アドバイス、質問などがありましたら教えてください、お待ちしております。


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第5話 中華の刺客

おはようございます皆様、大極光です。

今回はパンダちゃんとシスコン女帝がやってきます。


2045年4月末…

 

IS学園 1年1組教室

 

土日の間にハシラジマに行き、様々な手続きを済ませたエーレンはプログラム開発を黙々とやっていた。

 

クラスメイト「おはようエーレン君!」

 

ディスプレイに集中しているエーレンにも聞こえるように元気よく挨拶するクラスメイト。

 

エーレン「ええ、おはようございます」

 

そう言って挨拶するエーレン。

 

クラスメイト「ねえねえ知ってる? 今日隣の2組に転校生がくるらしいよ!」

 

エーレン「いえ、初耳です。 エミリアとギュエールさんは? 」

 

両隣のギュエールとエミリアに聞くエーレン。

 

エミリア「知らないよ? 」

 

ギュエール「私も噂くらいですね」

 

2人もあまり知らないようだ。

 

 

 

一方で…

 

 

クラスメイト1「織斑君! クラス代表戦頑張ってね!」

 

クラスメイト2「そうそう! 4組以外は専用機持ち居ないから勝てるよ!」

 

一夏「おう、まかせろ!」

 

一夏を応援する声もある一方…

 

クラスメイト3「(エーレン君なら確実なのに…)」

 

クラスメイト4「(織斑君じゃフリーパスは諦めるしかないかな…)」

 

一夏の実力を疑問視する声もある。

 

なぜ彼女達が一夏を応援するのかと言うと優勝した組には食堂の半年間のデザートフリーパスが贈呈されるからである。

 

そんな話をしていると…

 

???「その情報、古いよ」

 

声の発信源の方を向くと、小柄なツインテールの生徒が扉にもたれかかるように立っていた。

 

一夏「お前… もしかして鈴か? 」

 

鈴「そうよ! 2組も専用機持ちが居るのよ、そう簡単に優勝させたりはしないわ!」

 

そう言ってビシッと指を一夏に向ける。

 

一夏「何カッコつけてんだ? 全然似合ってないぞ? 」

 

それを正面から粉砕する一夏。

 

鈴「ちょっ! なんてこというのよ!」

 

そんな会話をしていると…

 

バシンッ!

 

突如鈴の頭に出席簿が振り下ろされる。

 

千冬「邪魔だ」

 

エーレン「(お、1組の総統が降臨なされた)」

 

鈴「千冬さん…」

 

千冬「織斑先生だ。鳳、お前の教室は隣だろう、さっさと戻れ」

 

鈴「分かりました… 一夏! 逃げるんじゃないわよ!」

 

そう言って急いで自分の教室に戻る鈴。

 

千冬「それとヴァルトフォーゲル兄、何か失礼な事を考えてなかったか?」

 

さらっとエーレンの心を読む千冬。

 

エーレン「いえ、特には」

 

ただしこの変態には無意味だった。

 

千冬「そうか、ならいい。 では授業を始める」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前の授業終了後…

 

IS学園 1年1組教室

 

エミリア「お兄ちゃん、ご飯行こ? 」

 

セシリアを含めたいつものメンバーがエーレンを誘いに来た。

 

エーレン「うん、行こうか」

 

そう言って財布と携帯をポケットに入れて立ち上がるエーレン。

そこに…

 

本音「エレレ〜ン、私達も良い? 」

 

簪を連れてきた本音がいた。

 

エーレン「ええ、もちろんです」

 

簪「ありがとう、エーレン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

IS学園 食堂

 

食堂についたエーレン達は食券を買おうとしたが今朝の生徒が前を塞いでいて買えそうになかった。

 

エーレン「あの、そこにいると他の人の迷惑になると思いますが? 」

 

鈴「え? あ、ごめんなさい って男? と言うことはあなたが2人目? 」

 

エーレン「ええ、エーレンフリート・ヴァルトフォーゲルと言います。 エーレンとお呼びください」

 

鈴「鳳 鈴音よ、よろしく。 私も鈴でいいわよ」

 

こちらこそ と答えるエーレン。

 

エミリア「お兄ちゃん、あんまり時間無いよ? 」

 

エミリアにそう言われ急いで自分とエミリアの食券を買うエーレン。

他の4人も後に続いた。

 

エーレン「では鈴さん、お先に失礼します」

 

そう言ってテーブルに向かう6人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

食堂が混雑してきた頃に…

 

鈴「あ、いたいた。おーい、エーレン」

 

鈴が一夏と箒を連れてやってきた。

 

エーレン「どうしました? 」

 

今日の昼食、ハンバーグ定食の半分を食べ終えたエーレンが答える。

 

鈴「席が余って無くてさ、隣いい? 」

 

エーレン「と言ってますが…」

 

周りを見ながらそう言うエーレン。

 

ギュエール「私は構いませんよ」

 

エミリア「織斑君も〜? 」

 

先日の事を根に持っているのか若干不機嫌になるエミリア。

 

セシリア「私達3人も構いませんわ」

 

そして意見をまとめて言うセシリア。

 

エーレン「みんな良い見たいですね、どうぞ」

 

ありがとう と言って座る3人。

 

鈴「一夏、アンタそこの子に何かしたの? 」

 

1人だけ不機嫌なエミリアを見て鈴が一夏に聞く。

 

一夏「俺は何もしてないぞ!」

 

鈴「そうなの? 」

 

エーレン「ええ、エミリアには何もしてませんね」

 

ただ理由は分かりますよ と言ってからエーレンは鈴にクラス代表決定戦の話をする。

 

 

エーレン話中…

 

 

 

エーレン「という訳です」

 

鈴「ふーん、なるほどね。 それは一夏が悪いわね」

 

一夏「何でだよ!? 」

 

鈴「そんなもの自分で考えなさいよ。 それよりもエーレン、あんた強いんでしょ? 私と戦わない? 」

 

一夏「おい鈴! 」

 

エーレン「いいですね、望むところです」

 

鈴「分かったわ、じゃあアリーナの申請しておくから放課後に」

 

エーレン「分かりました、ではお先に失礼します」

 

そう言って先に食べ終えたエーレン達は先に教室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後…

 

IS学園 第3アリーナ

 

エーレンはこれから鈴と試合をするためにアリーナに来ていた。

 

鈴「来たわね、じゃあ早速やりましょ」

 

エーレン「受けて立ちます」

 

そう言って2人はISを展開した。

 

鈴「へぇー、かっこいいわね。 それ」

 

エーレン「ええ、自慢の戦友です」

 

2人が話していると試合開始の合図がなった。

 

鈴「言っとくけど手加減はしないわよ!」

 

そう言いつつ距離を詰めてくる鈴。

 

エーレン「こちらこそ!」

 

それを展開したレギオンセイバーで迎撃するエーレン。

鈴も既に展開していた2本の青龍刀、双天牙月を構え、振り下ろす。

そして2人の武器の刃がぶつかるがヴァイスはスピード型なのでヴァイスの方がパワー負けし、吹き飛ばされる。

 

エーレン「うわぁ! だがまだです!」

 

吹き飛ばされたことにより距離を取ったエーレンは武器をズィーガーマグナムとヴァイスガトリングに換装し、応戦しようとする。

 

しかし…

 

鈴「距離を取れば安全とは限らないわよ!」

 

すると鈴のIS、甲龍の非固定武装(アンロックユニット)が起動し、そして…

 

エーレン「なっ!? 」

 

突如ヴァイスの超高度戦術処理システム「フリューゲル」からアラートがなり、それを聞いたエーレンは反射で右に回避するも間に合わず、左手のヴァイスガトリングが破壊されてしまった。

 

鈴「ふふん、驚いた? これは龍砲、見えない空気の弾を撃ち出す衝撃砲と呼ばれる兵器よ」

 

今回、エーレンは情報戦で勝っているとは言えなかった、何せ急に決まった試合だったため、見た目と名前くらいしか情報を集められなかったからだ。

しかしエーレンは武装研究員、原理さえ分かってしまえば対処などいくらでも出来た。

 

エーレン「なるほど、道理で見えないわけです。 ですが原理が分かってしまえば!」

 

エーレンはフリューゲルに気流の流れを探知させ、エーレン自身は破壊されたヴァイスガトリングの代わりにレギオンガーターを取り出し、ズィーガーマグナムを構える。

 

鈴「原理がわかったからって躱せるわけないでしょ!」

 

再び龍砲を撃つ鈴。 しかし…

 

エーレン「軌道さえ分かっているのなら!」

 

フリューゲルの情報の元、エーレンはスラスターを使って躱していき、お返しとばかりにズィーガーマグナムを撃つ。

放たれた白い光線は躱された事が意外だったのか動かなかった甲龍に直撃する。

 

鈴「きゃあ!? 何よそれ!? そんな馬鹿げた威力持ってるなんて!」

 

ズィーガーマグナムの桁違いの威力に驚く鈴。

 

エーレン「我々の努力と科学力と趣味の結晶! ズィーガーマグナムです!」

 

それに得意げに答えるエーレン。

 

鈴「だけど当たらなければどうということはないわ!」

 

そう言って命中率低下には目を瞑り、動きながら撃ってくる鈴。

しかし…

 

エーレン「動いたところで!」

 

エーレンはセシリア戦から練習を重ね、ついに動く目標にもいつもの射撃が出来るようになっていた、それをセシリア相手に行えるため、甲龍では遅すぎた。

故に鈴がどんな機動をとろうと命中させる。

 

鈴「あんた何者!? 」

 

エーレン「とある戦艦の艦長です!」

 

そう言い砲身の冷却が必要になったズィーガーマグナムを収納し、レギオンランスを取り出し…

 

エーレン「最大戦速!」

 

ヴァイスの全てのスラスターが咆哮を上げ、瞬く間にヴァイスを加速させる。

 

エーレン「これで終わりです!」

 

『アタックファンクション ファランクス』

 

ヴァイスのアタックファンクションが全発命中し…

 

『甲龍、SE(シールドエネルギー)0、勝者、エーレンフリート・ヴァルトフォーゲル』

 

エーレンの勝利を告げる放送が鳴り響く。

 

鈴「負けたのね…」

 

エーレン「今回は僕の勝ちです」

 

鈴「ええそうね、でも次は負けないわよエーレン!」

 

同じくです と返して握手をする2人。

 

エミリア「お兄ちゃ〜ん♪、お疲れ様〜」

 

エミリアがアリーナ内に入って来て、エーレンに抱きつく。

 

エーレン「今回も勝ったよ、エミリア」

 

エミリア「うん、さすがお兄ちゃん♪」

 

ここまで上機嫌なエミリアは久しぶりかもしれない とエーレンは密かに思っていた。

 

鈴「その子あんたの妹だったのね」

 

エーレン「ええ、エミリア挨拶して」

 

エミリア「はーい、はじめまして、エミリア・ヴァルトフォーゲルです!

10歳だけど特例でここにいます!」

 

鈴「鳳 鈴音よ、やっぱりそうよね。 普通に高校でその身長はありえないからね。宜しくね、エミリアちゃん、私のことは鈴って呼んで」

 

エミリア「分かった!」

 

そう言ってエーレンの背中に捕まるエミリア。

 

ギュエール「艦長、鳳さん、そろそろアリーナの貸与時間が終わってしまいます、そろそろ帰りましょう」

 

鈴「もうそんな時間? じゃあ帰りましょう、あと私の事は鈴でいいわよ、私もギュエールって呼ぶから」

 

分かりました、鈴さん とギュエールが言ってからアリーナをあとにするエーレン達。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後…

 

IS学園 屋外通路

 

エーレン「思ったより時間が要るんですね、アリーナ借りるのって」

 

エーレンは鈴が借りたアリーナの終了手続きをしていて他の3人より遅くなっていたのだ。

 

エーレン「ッ!」

 

突如背後から敵意を帯びた視線を感じたエーレンは制服の内ポケットからナイフを1本取り出し、投擲する。

 

???「きゃあ!? ちょっと危ないじゃない!」

 

危険と書かれた扇子を持って言う。

 

木の影から出てきたのは青い髪の生徒だった、リボンの色からしてひとつ上の学年のものだがエーレンにはその人自体に面識があった。

 

エーレン「おや、更識さんじゃないですか、お久しぶりです」

 

その生徒、更識楯無は以前エーレンがこの世界に来た時に会っていた。

 

楯無「ええ、久しぶりね ってそうじゃない! あなたいつもそんなもの持ち歩いてるの!? 」

 

エーレン「ええ、護身用に」

 

楯無「じゃあ何で私に投げたのよ!? 」

 

エーレン「敵意を感じましてね」

 

それで僕に何か用ですか? とエーレンは楯無に聞く。

 

楯無「まあいいわ、本題ね。 あなた、簪ちゃんをハシラジマに連れて行ったのよね? 」

 

睨みながらエーレンに聞く楯無。

 

エーレン「ええ、倉持技研(バカども)から機体の計画をこちらに移すことになりましたからね、機体の再設計と手続きのために連れて行きましたが? 」

 

楯無「何で私に教えてくれなかったの? 」

 

エーレン「あなたが何処にいるのか知りませんし、簪さんの意見を尊重したまでです」

 

エーレンの言い分に表情を変える楯無。

 

楯無「簪ちゃんの意見? 何それ? 」

 

疑問と書かれた扇子を持って言う。

 

エーレン「さあ? 簪さんから許可を貰って無い以上、僕からいうことは出来ませんね」

 

楯無「……ふーん、分かったわ。 じゃあこうしましょう? 」

 

扇子を閉じてから…

 

楯無「私と戦って、もしあなたが勝ったら話さなくていいわ。 でも私が勝てば話してもらうから」

 

エーレン「お断りします、僕にメリットが皆無ですし、簪さんに迷惑がかかりますしね」

 

では失礼 と言い残してさっさとその場を去るエーレン。

(ちなみにナイフは回収した)

 

楯無「……絶対にただでは済まさないわよ…」

 

1人残された楯無は何としてでもエーレンから簪の事を聞き出すつもりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

IS学園 1年生寮 食堂

 

エーレンが食堂に着くと、既にいつものメンバーが集まっていた。

 

エミリア「お兄ちゃん! こっちこっち!」

 

エミリアがエーレンを呼び、言われた所に座るエーレン。

そして各自夕食をとりながら話をする。

ちなみに今日のエーレンの夕飯はトンカツ定食だ。

 

エーレン「すみません、遅くなりました」

 

セシリア「いえ、問題ありませんわ、それよりあの2組の代表との試合はどうでしたの? 」

 

セシリアが鈴との試合の結果を聞いてきた。

 

エーレン「まあ、一応勝ちましたが…」

 

エーレンは語尾を濁しながら答える。

 

簪「何かあったの? 」

 

いつものエーレンとは雰囲気が違うと思った簪が心配そうに聞いてくる。

 

エーレン「いえ、ただ今回は情報戦で圧倒できなかったのでヴァイスガトリングが破壊されてしまってですね…」

 

簪「直せないの? 」

 

エーレン「いえ、直せなくはないのですがヴァイスガトリングは性能が高い分、大破した時の修理が少々困難でして…」

 

エーレンの場合、仕事と勉強に時間を割いてるため修理が何時になるのか分からないのだ。

 

簪「じゃあ私も手伝うから一緒にやろ? 」

 

エーレン「良いんですか? 」

 

簪「うん、エーレンには弍式を手伝って貰ったし」

 

エーレン「じゃあお願いします」

 

簪「うん!」

 

簪が嬉しそうにしていたがエーレンは気が付かなかった。

その後、ギュエールが今日のエーレンの射撃の事をセシリアに話したため、ヴァイスガトリングの修理が済んだらセシリアと戦うことになったり、エミリアが剣術をさらに上のランクを教えると言ってエーレンが楽しそうにしたり、充実した時間を過ごすエーレン達であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕食後…

 

エーレンはエミリアがセシリア達と大浴場へ行ったため、1人で部屋にいた。

 

エーレン「ちょっと飲み物でも買いに行きますか」

 

仕事を一段落終わらせたエーレンは休憩ついでにエミリアの分も含めて飲み物を買いに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自販機前廊下

 

エーレン「あれ? 鈴さん? 」

 

自販機のすぐそばのベンチには鈴がうずくまって座っていた。

 

鈴「……エーレン……」

 

鈴がゆっくり顔を上げるが夕方の時とは違い、泣いていたのだ。

 

エーレン「え!? どうしました!? 」

 

さすがのエーレンもこれには焦る。

 

鈴「何でもない…」

 

エーレン「何でもないわけないでしょう… 僕で良ければ話聞きますよ? 」

 

鈴「グス… じゃあお願い…」

 

 

鈴説明中…

 

 

鈴「という訳なの…」

 

エーレン「うわぁ…」

 

恋愛関連は専門外のエーレンでもドン引きである。

 

鈴「エーレン、おかしいのは私なのかな? 」

 

エーレン「いや、どう考えてもあちら側でしょうな…」

 

鈴「でしょう! 信じられないわ、ほんとに!」

 

エーレン「もはや病気ですね…」

 

鈴「ああなんかむしゃくしゃしてきた! クラス代表戦でボコボコにしてやる! エーレン、悪いけど手伝って!」

 

エーレン「喜んで!」

 

ありがとう と言って自分の部屋に帰るエーレン。

エーレンも自分とエミリアの分の飲み物を買って部屋に戻り、明日から始まる鈴との練習に備えるのだった。




今回はここまでです。

次回はクラス代表戦、その次に日常回をはさんでから金銀コンビに行きたいと思います。

次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦

第6話 望まぬ来客


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第6話 望まぬ来客

こんばんは皆様、大極光です。

今回は予定通りクラス代表戦になります。
そしてオリ主の新武器も登場します。

※通算UAが1万行きました!
お気に入りも70になりました!
上記の事に嬉しすぎて固まった私がいる。


翌日の放課後

 

IS学園 アリーナ内

 

エーレンは鈴との練習のため、いつもの4人でアリーナを訪れていた。

 

エーレン「お待たせしました」

 

エーレン達が来た時には既に鈴が来ていた。

 

鈴「大丈夫よ、みんなもごめんね、付き合って貰っちゃって」

 

セシリア「大丈夫ですわ、話は聞かせてもらいました、織斑さんには1度痛い目に遭って貰わなければなりませんわ」

 

同じ女子として話を聞いたエーレン以外のメンバーはそこそこ頭に来ていた。

 

ギュエール「ええ、同じ女性として許せませんね」

 

ギュエールも珍しく鋭い口調で言う。

 

エミリア「じゃあ早速始めよ? 」

 

エーレン「そうですね」

 

エミリアの一言で練習が始まる。

 

鈴「今日もエーレンと戦うの? 」

 

エーレン「今日は僕ではなくエミリアと演習してもらいます」

 

鈴「え? いいけど何でエミリアちゃんなの? 」

 

鈴は練習のほかにエーレンにリベンジするつもりでもあったため、聞き返す。

 

ギュエール「エミリアちゃんが1番織斑くんの戦い方に近しいと私達で判断したからです」

 

最も、腕前は比べるのもおこがましいくらいですが とエーレンに代わりギュエールが鈴に説明する。

 

鈴「なるほどね、分かったわ! じゃあやりましょう!」

 

エミリア「うん!」

 

そう言ってISを展開する2人。

 

片方は昨日見た鈴の甲龍、もう片方はエーレンのISと同じ形だったが細部が微妙に異なっている黒いIS、エミリアの専用機、シュヴァルツェア・アドラーの2機の機体がアリーナ中央付近で向かい合う。

 

鈴「やっぱりかっこいいわね、それ」

 

アドラーを見て鈴はそう呟く。

 

エミリア「かっこいいだけじゃないんだからね!」

 

そう言いつつエミリアは自分の刀、蜃気楼を構える。

直後、試合開始の合図がなった。

 

鈴「かかって来なさい!」

 

双天牙月を構えてそう言う鈴。

対するエミリアは…

 

エミリア「いっくよー!」

 

そう言った瞬間、鈴の視界からアドラーが消える。

そして、再び捉えた頃には…

 

エミリア「はぁ!」

 

鈴を吹き飛ばしていた。

 

鈴「はぁ!? どういう事!? 」

 

エミリア「え? 単に加速して突進するように斬っただけだけど? 」

 

エミリアが当たり前のように言う。

 

鈴「ウソォ…」

 

鈴がエミリアの種明かしに驚いていた。

でもエミリアはお構い無しに再び攻撃する。

 

エミリア「考え事なんてさせないよ!」

 

しかし鈴は一種の天才だった。

エミリアの攻撃を次は受けることなく、双天牙月で受け止めたのだ。

 

エミリア「え!? 」

 

止められると思っていなかったのか、驚くエミリア。

 

鈴「同じ攻撃はくらわないわよ!」

 

そう言って鍔迫り合いに持ち込む鈴、アドラーも細部は異なれどヴァイスと同じスピード型なので今回もパワーでは鈴が勝っているようだった。

そのため、先日のエーレンよろしく吹き飛ばされる。

 

エミリア「痛! でも!」

 

しかし負ける気はさらさら無いようだ。

鍔迫り合いでは不利と判断したエミリアは一旦下がり、機動性を活かして様々な方向から鈴を攻撃する。

鈴も反撃はするが、完全にエミリアのペースのため、一方的に攻撃を受け続ける鈴。

 

エミリア「これで止め!」

 

『アタックファンクション 神速剣』

 

エミリアが放った攻撃で甲龍のSE(シールドエネルギー)が0になる。

 

『甲龍、SE(シールドエネルギー)0、勝者、エミリア・ヴァルトフォーゲル』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エミリア「勝ったよ、お兄ちゃん!」

 

エーレン「うん、よくやった」

 

そう言ってエミリアの頭を撫でるエーレン。

エミリアは気持ち良さそうに目を細める。

 

鈴「エミリアちゃん強すぎ…」

 

一方で落ち込んだ鈴の姿がそこにはあった。

 

エーレン「しかし、エミリアのスピードに慣れてしまえば織斑君など止まっているハエをたたき落とすようなもの、圧勝出来るでしょう」

 

ギュエール「龍砲の射撃に関しては私がお教えしますよ? 」

 

セシリア「操縦でしたら私にお任せ下さいませ!」

 

鈴「そうね… よし! やるわよ! ギュエール、悪いけど射撃教えて!」

 

ギュエール「はい!」

 

そうして練習を重ねる4人、目標は打倒一夏という割と低いハードルであったが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後…

 

クラス代表戦当日

 

IS学園 アリーナ 応援席

 

エーレンはエミリア、ギュエールと共に1組対2組、すなわち一夏対鈴の試合を見に来ていた。

 

ギュエール「いよいよですね」

 

エーレン「ですね」

 

エーレンとギュエールは鈴が勝つことを確信したような雰囲気だった。

 

エミリア「鈴お姉ちゃん勝てるかな…? 」

 

エミリアも鈴が凄まじいスピードで技術を吸収し、鈴の距離では無類の強さを誇るようになったとはいえ、心配のようだ。

 

セシリア「大丈夫ですわ、それに鈴さんが強くなったのはエミリアさん、あなたが1番よく知ってるでしょう? 」

 

セシリアも鈴の勝利を確信しているようだ。

 

エミリア「そうだね… うん! 鈴お姉ちゃんは負けないよ!」

 

そうやってるうちに試合が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏「うぉぉぉ!!」

 

白式を纏った一夏が叫びながら突っ込んできた。

なかなかの速度だが…

 

鈴「(本当に止まって見えるわね…)」

 

その攻撃を難なく躱し、双天牙月でカウンターを放つ。

そして吹っ飛んでいく一夏に追撃として龍砲を発射する、ギュエールから射撃も習っていたので以前の鈴ならかすりもしなかったが今の鈴なら寸分違わず白式の中心に命中する。

 

一夏「ぐはぁ!」

 

それにより壁へ叩きつけられる一夏。

 

鈴「あんたそんなに弱いの…? 」

 

どこか幻滅したような鈴だった。

 

一夏「うるせえ! 俺は強くなったんだ!」

 

そう言って零落白夜を発動して再び突っ込んでくる一夏。

頭に血が上っているのでただでさえ単調な突進がさらに単調になる。

そのため攻撃が通る訳がなかった。

 

鈴「エーレンの情報通りね」

 

実は鈴、事前にエーレンから一夏に関する情報を入手していたのだ。

曰く、軽く挑発すれば零落白夜を発動するからあとは勝手に自滅してくれるとのことだった。

その情報に従い、一夏の攻撃を交わしながら龍砲をカウンターで撃つの繰り返しだった。

 

このまま行けば勝負は決まるだろう、一夏以外の誰もがそう思っていたその時…

 

ドォォーーン!!

 

突如アリーナのシールドが破られ、アリーナ内に何かが墜落?する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本音「なにあれ!? 」

 

簪「何だろう…」

 

エーレン「なにか分かりませんが避難した方が良さそうです!」

 

エーレンの一言で避難しようとする6人、他の生徒達も続こうとするが…

 

ギュエール「艦長! 扉の電子ロックが最大レベルに設定されていて開きません!」

 

エーレン「何ですと!? 」

 

エミリア「任せてお兄ちゃん!」

 

ギュエールから扉が開かない事を告げられたエーレンとエミリアはそれぞれ出来ることをやり始める。

エーレンは管制室の千冬に連絡を入れ、エミリアはメンタルモデルとしての演算能力で扉の電子ロックの解除に取り掛かる。

 

千冬『ヴァルトフォーゲル兄! 無事か!? 』

 

千冬はすぐにエーレンからの通信に応答する。

声を聞いたエーレンはいかに緊迫した事態なのかを感じ取る。

 

エーレン『はい、こちらは生徒含めて無事です、扉もエミリアが解除しています、じきに開くでしょう。 教えてください織斑先生、何が起こっているんです? 』

 

千冬『少し前にアリーナ内に正体不明のIS3機が侵入した。 今織斑と鳳が迎撃中だがいつまで持つか分からんし、扉がロックされている以上教員部隊が間に合うかも分からん』

 

それを聞いたエーレンは鈴はともかく一夏が戦っているのは不味いと考えた。

そこに…

 

カシャン

 

エミリア「お兄ちゃん、開いたよ!」

 

エミリアから扉が開いた事が告げられる。

 

エーレン「分かった! 『織斑先生、今こちらの扉が開きました、僕が最短です、出撃許可を!』」

 

千冬『許可する、すまないな…』

 

エーレン『お気になさらす、軍人が民間人を守るのは当然の義務です、私も海自の隊員ですからね』

 

千冬『分かった、ヴァルトフォーゲル兄はそのまま出撃、ヴァルトフォーゲル妹とサザンクロスには他の扉も解除してくれるように伝えてくれ』

 

エーレン『了解!』

 

そう言って通信を切ってから…

 

エーレン「エミリア、ギュエールさんは引き続き他の扉も解除してください、ほかの皆さんはルートに従って避難を!」

 

ギュエール「艦長はどうなさるのです? 」

 

エーレン「出撃許可が降りました、行ってきます。エミリアを頼みます」

 

ギュエール「……分かりました、ご武運を」

 

そう言って二手に分かれる3人、エーレンは出来れば敵機を鹵獲しようと考えていた。

 

この考えが後に最悪の事態を招くことになるがエーレンはまだそれを知らない…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

アリーナ内

 

鈴「何なのよこいつら!」

 

鈴は善戦してはいたが多勢に無勢、少しずつSE(シールドエネルギー)が削られる。

そしてそれと共に多数を相手しているため思考が鈍り、鈴らしからぬスキが生まれる。

それを見逃す相手ではない、すぐさま2機の機体が鈴に同時攻撃を仕掛けてくる。

 

鈴「(ヤバい、防ぎきれない)」

 

やられる そう思っていた鈴だったが直後、鈴の左斜め後ろから見慣れた白色の光線が通過し、敵の1機に命中する、それにより怯んだ機体は攻撃を中止、もう1機は突っ込んでくるが1対1なら勝てない鈴ではないのでそれを受け切って離脱、光線の発生源の方を見ると…

 

エーレン「すみません、遅くなりました」

 

ヴァイスを纏ったエーレンの姿がそこにはあった。

 

鈴「大丈夫よ! と言いたい所だけど助かったわ、ありがとう」

 

エーレン「いえ、大丈夫です。 それより鈴さん、織斑君を連れて退避してください」

 

一夏「何でだよ! 俺も戦う! 今度こそみんなを守るために!」

 

一夏は事の重大性に気付かずにいた。

 

エーレン「無理ですね、君の腕とその機体のSE(シールドエネルギー)ではね」

 

普段のエーレンならもう少し控えめな言葉を選択しただろう、だがここは戦場、エーレンからすれば現場が見えてないバカに付き合っている余裕はないのだ。

 

一夏「何だよそれ!? じゃあエーレンはどうなんだよ!」

 

エーレン「僕は海上自衛官ですし、織斑先生から出撃許可も貰っています、君とは立場が違うのですよ。 鈴さんお願いします」

 

そう言って再び動き出した敵機の迎撃に向かうエーレン。

 

鈴「分かったわ、一夏、行くわよ!」

 

鈴は無理やり一夏をピットに連れてゆく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エーレン「とは言ったものの3対1は厳しいですね、ランチェスターの法則に置き換えると9対1ですか…」

 

しかしエーレンは諦めてはおらず、ズィーガーマグナムを1機に構え、残りの2機にはセイライを4機ずつ向かわせる。

3機を分断し、各個撃破する算段だった。

だが…

 

エーレン「(なんて硬さだ、ズィーガーマグナムをここまで受けてなお立っているなんて…)」

 

ゴーレムは動きは鈍いものの、火力と防御力が段違いなのだ。

実際、エーレンはズィーガーマグナムを5発以上は撃ち込んでいるが依然として止まる気配をみせない。

そして他の2機もセイライを使ってだましだまし戦っているが、火力があまり無いセイライでは足止めすら難しそうだ。

 

エーレン。(長期戦はこちらが不利、やはり時間はいつも我々の敵か… なにか打開策は… ッ! あれだ!」

 

そう言ってエーレンは撃ちすぎて砲身が赤くなってきたズィーガーマグナムを収納し代わりに巨大な銃、というより砲を取り出す。

 

エーレン「これならば!」

 

そう言ってエーレンは今対峙しているゴーレムにその砲、15.5cm光子榴弾破砕砲 ヴァイス・シュトラールを構える。

そして…

 

エーレン「受けてみろ!」

 

直後、ヴァイス・シュトラールの砲身から目を開けてられないような眩い光の球体が発射され、ゴーレムに向かう。

そして…

 

 

ドーン!!

 

 

アリーナの正反対にまで届く猛烈な爆風がエーレンとヴァイスを襲う。

 

エーレン「クラインフィールド展開!」

 

エーレンはヴァイスの第三世代?兵装の強制波動装甲を起動、クラインフィールドを発生させて凌ぐ。

 

そして爆煙が晴れた頃にはゴーレムは文字通り跡形もなくなっていた。

 

エーレン「やっぱりうちの技術班優秀ですね…」

 

 

 

それは遡ること十数日前、エーレンと簪がハシラジマから帰る間際の事だった。

 

ハンス「少佐、これを持って行くといい」

 

エーレンは帰る間際にハンスからとあるものを持たされた。

 

エーレン「ドクトル、これは…」

 

ハンス「15.5cm光子榴弾破砕砲 ヴァイス・シュトラールだ、ズィーガーマグナム以上の破壊力を誇り、なおかつ連射が可能、対物兵器の決定版だ」

 

エーレン「ヴァイス・シュトラール… 分かりました、使わせてもらいます!」

 

 

 

回想終了

 

 

 

エーレン「しかしこの閉鎖空間の中では使えないな… さてあと2機どうやってたおすk…」

 

???「はぁぁぁぁぁ!!」

 

エーレンが残り2機をどうやって倒すか考えているとエーレンのすぐ横を黒いISが通過していき2機のゴーレムのうち1機に斬り掛かる。

 

エーレン「エミリア!? 来てよかったの!? 」

 

その黒いIS、アドラーを纏ったエミリアにエーレンは質問する。

 

千冬『私が出撃を許可した。 流石にお前1人じゃ苦戦しそうだったからな、なにも自分1人で戦わなくても良いのだぞ? 』

 

エミリアの代わりに千冬が通信で答える。

 

???「私達もいますよ、艦長」

 

そう言ってもう1機のゴーレムに青とオレンジの光線が放たれる。

 

セシリア「エーレンさん! 大丈夫ですか!? 」

 

発信源を辿ると、ブルー・ティアーズを纏ったセシリアと灰色の狼をモチーフにしたようなIS グラウ・シャルフシュッツェを纏ったギュエールが飛んでいた。

 

エーレン「セシリアさん、ギュエールさんも! 良し! これなら勝てます! 皆さん! これから言うことをよく聞いてください!」

 

エーレンの声に他の3人が頷く。

 

エーレン「敵は無人機です。高火力、重装甲ですが機動性はそこまでです。 ですので僕とエミリアがスピードで撹乱するのでセシリアさんとギュエールさんは敵の駆動系を狙ってください。それで動きは止まるはずです!」

 

「「「了解!(分かりましたわ!)」」」

 

そしてすぐに行動を開始する。

 

エミリアはセシリアとペアを組み、エーレンはギュエールとペアを組んで事にあたる。

 

ギュエール「その装甲は厄介ですが、やりようはあります!」

 

ギュエールはルミナスシューターを収納し、グロース・シュトロームを取り出す。

そして、相手の射撃に当たらないように高速で動きながら針の穴に糸を通すような狙撃でグロース・シュトロームの45mm弾をゴーレムの駆動系に次々命中させる。

 

ギュエール「こんなものですか… 艦長! 今です!」

 

エーレン「分かりました! これで終わりだ!」

 

『アタックファンクション グングニル』

 

ヴァイスのレギオンランスが円錐状の赤い炎を纏い、それをゴーレムに叩きつける。

ゴーレムの装甲が厚くとも問答無用で貫くグングニル。

ゴーレムは内部爆発を発生させて完全に沈黙した。

 

エーレン「良し! エミリア達の援護に向かいましょう」

 

ギュエール「はい!」

 

 

 

 

 

 

セシリア「止まりなさい!」

 

セシリアも駆動系を破壊しようとブルー・ティアーズのライフル スターライトmkⅢを発射するが、ギュエールと同じようにはいかず、装甲に弾かれる。

 

セシリア「クッ! やはり簡単にはいきませんか… エミリアさん! 敵のスキを作ってください!」

 

エミリア「任せて!」

 

エミリアはアドラーの機動性を活かし、敵を3次元的に攻撃するがただの刀ではエミリアの腕を持ってしてもたいしたダメージにならないのか、しばらくするとエミリアの攻撃には目をつぶり、腕部の荷電粒子砲でセシリアを攻撃する。

 

セシリア「きゃあ!」

 

射撃に集中していたため、まともに受けるセシリア。

 

エミリア「セシリアお姉ちゃん! 大丈夫!? 」

 

セシリア「ええ、問題ありませんわ…」

 

爆煙の中から傷だらけになったセシリアが現れる。

それを見たゴーレムは好機だと思ったのか、再びセシリアを攻撃しようとするが…

 

???「そろそろご退場願おうか!」

 

『アタックファンクション ライトニングランス』

 

青色の一閃が今まさに撃たんと掲げていたゴーレムの腕に寸分違わず命中し、腕ごと荷電粒子砲を吹き飛ばす。

 

エミリア「お兄ちゃん!」

 

エーレン「エミリア! セシリアさん! 無事ですか!? 」

 

セシリア「私は被弾してしまいましたわ…」

 

エミリア「私は大丈夫だよ!」

 

エーレン「分かりました、ギュエールさん! セシリアさんの援護を!」

 

ギュエール「了解!」

 

そして前衛にエーレンとエミリア、後衛にギュエールとセシリアが配置され…

 

エーレン「あの1機は動きを封じたあと、エミリアがハッキングします、援護頼みます」

 

「「「はい!」」」

 

そう言ってエーレンとエミリアが左右から攻撃をかけ、敵のシステムを混乱させる。

その隙に…

 

ギュエール「落ち着いて撃てば必ず当たりますよ」

 

セシリア「分かりましたわ」

 

そして2人がライフルを構え、エーレンも残りの腕を止めるべくレギオンランスを構える。

 

ギュエール「これで!」

 

セシリア「終わりですわ!」

 

放たれた青と橙の光線がゴーレムの脚部を撃ち抜く。

エーレンもレギオンランスを残りの腕に突き立てる。

これによりゴーレムは動かなくなる。

 

エーレン「エミリア、今!」

 

エミリア「うん!」

 

そう言ってゴーレムの一部に触れ、ハッキングを開始する。

 

エミリア「(自爆プログラム? こんなものまであるなんて… これは消去ね。 あとは…)」

 

エミリアがプログラムの消去や他の制圧を行っていた。

しかし…

 

???「今だ! うぉぉぉ!!」

 

ゴーレムが動かないのを好機と見たのか、白式のエネルギーを回復した一夏がゴーレムに斬り掛かる。

 

エミリア「え!? 今攻撃されたら!」

 

エミリアの声など耳に入って居ないのか突撃をやめない一夏。

そしてゴーレムを斬るが、振り下ろした時に隣にいた、アドラーの右足にも零落白夜の刃が当たり、アドラーのクラインフィールドを含めた全ての防壁を切り裂き、アドラーの装甲を貫通し、エミリアの右足をも切り裂く。

さらにSE(シールドエネルギー)が無くなり、アドラーが強制解除され、エミリアはアリーナに放り出される。

ゴーレムの方もプログラムを中途半端にいじられたため、プログラムが誤作動し…

 

エミリア「……え? 」

 

ドォォーーン!!

 

大爆発が発生し、爆風により転がりながら吹き飛ばされるエミリア。

 

エーレン「エミリア…? エミリアァァァァ!?」

 

流石のエーレンも思考が追いついていないのか、かろうじてエミリアが吹き飛ばされた事を理解したのか、ISを解除してエミリアの所に向かう。

 

そのエミリアは右の太ももと左の腹部から出血していた。

エーレンは手持ちの止血キットで止血し、管制室に救難信号を送る。

 

セシリア「エミリアさん…」

 

ギュエール「そんな…」

 

ギュエールとセシリアも心配し、ISを解除してエーレンのところに来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

程なくして担架が来て、エミリアを乗せて保健室へ連れてゆく。

エーレンはそれについて行き、ギュエールとセシリアは鈴と合流し、千冬の元に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに一夏も爆発により気絶していたため、保健室に運ばれたがエーレンが一夏を殺せるくらい睨んでいた。

 

 

 

 




今回はここまでです。

何か回が増すごとに更新ペースが落ちてますね… 申し訳ありません…
次回からはきちんと前々回と同じ曜日に投稿したいと思います。
ですので引き続き本作品をよろしくお願いします!

あと訂正があります。
日常回の前に今話の続きを書きたいと思います。
ですので日常回は次の次になります。

次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦

第7話 エーレンの嘆き

誤字や脱字、アドバイス、質問、おかしな表現などがあれば教えてください、お待ちしております。


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第7話 エーレンの嘆き

こんにちは皆様、大極光です。

前回と今回でオリ主と一夏の溝を決定的なものにします。
不愉快な方はは読まない方がよろしいかとと思います。

武器説明

15.5cm光子榴弾破砕砲 ヴァイス・シュトラール

ヴァイスの新武装、対物兵器として火力を徹底的に追求した砲。
故に取り回しなどは全く考慮されていないがそれを補って余りある火力を誇る。
しかし試験的な要素が多いため、実戦にはまだ課題有り。
15.5cmというISには巨大過ぎる砲だが光子榴弾というエネルギー榴弾を撃ち出すため、口径に反して反動は少ない。
見た目はゼットライフルをそのまま大きくしたような見た目、基調色は白。


クラス代表戦当日 午後7時…

 

IS学園 保健室

 

エーレン「………」

 

エーレンは無言でパソコンをキーボードを叩いていた。

こうでもしていないと理性を保てなさそうだったからだ。

 

側のベッドで寝ているエミリアは未だに目を覚ます気配は無かった。

それもそのはず、エミリアは太ももを一夏に切られ、腹部を爆発の破片で切り裂かれ失血多量、エーレンの応急処置が無ければ今生きてはいなかっただろう。

 

エーレン「……やはり僕は弱いな、何も出来ないなんて……」

 

独り言を呟くも病室に寂しく響くだけだった。

そこに…

 

???「ヴァルトフォーゲルくん、ご飯食べに行った方が良いよ? 」

 

そう言ってエミリアの病室に入ってくる1人の女性。

 

エーレン「……三笠先生ですか… いえ、大丈夫です、食べに行っている間にエミリアが目を覚ますかも知れませんから」

 

それを聞いた女性 三笠結衣は呆れた表情をしながら…

 

結衣「でもエミリアちゃんが目覚める前に君が倒れたら意味無いんじゃない? 」

 

エーレン「これくらい平気です」

 

エーレンも譲らないようだ。

 

結衣「だーめ、ほら、早く行った行った。 明日と明後日は今回の事でか休みなんだから明日来てあげれば良いと思うよ? それに消灯時間には帰って貰わないとね、君の事だから徹夜してでもヴァルトフォーゲルさんの側にいる気でしょ? 」

 

図星をつかれたエーレンはため息をついた後…

 

エーレン「……分かりました、また明日来ます、先生にこれ以上迷惑はかけられませんからね」

 

エーレンの言葉を聞いた結衣は…

 

結衣「うん、それが良いよ。 じゃあ明日ね」

 

エーレン「はい …エミリア、また明日来るからね…」

 

寝ているエミリアにそういったあと結衣の方向を向き…

 

エーレン「三笠先生、もしエミリアが目を覚ましたらここに連絡を」

 

そう言って結衣に自分の携帯の電話番号を書いたメモを渡し、病室をあとにするエーレン。

はーい、任せて と言って病室の中に入って行く結衣。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

IS学園 食堂

 

エーレンは食堂に来たものの、食欲なんてものは無く、どうしようか悩んでいると…

 

???「エーレン、大丈夫? 」

 

エーレン「……鈴さんですか…」

 

セシリア「私達もいますわよ」

 

その後にはギュエール、簪、本音がいた。

 

エーレン「皆さん、怪我はありませんでしたか? 」

 

簪「私と本音は大丈夫」

 

ギュエール「私は被弾していないので大丈夫です」

 

セシリア「私は軽い怪我で済みましたわ」

 

簪「私と本音は避難したから大丈夫」

 

エーレン「そうですか、なら良かったです」

 

本音「みんな〜、早く食べないと時間なくなるよ? 」

 

本音の一言で夕食の食券を買う5人、エーレンはとりあえず何か食べておこうとチャーハンの食券を買う。

 

 

 

 

 

数分後…

 

ギュエール「艦長、エミリアちゃんの具合はどうなのですか? 」

 

席につき、夕食を食べ始めるとギュエールがエーレンにエミリアの様子を聞く。

他の3人も気になっているようだ。

 

エーレン「……酷いものですよ、右足は織斑一夏(あのゴミ)に斬られ、左の腹部には爆発で飛んできたあのISの破片が当たり、全身には擦り傷や切り傷多数、ユニオンコアの生命維持システムが発動してどうにか骨折だけは免れたようですがそれでも失血多量で今でも意識が回復しません……」

 

エーレンは悔しいのか噛み締めるようにそう言う。

 

鈴「そんなに!? 」

 

鈴は驚きは

 

簪「やっぱり織斑は敵…」

 

簪は静かに怒り、

 

本音「エミリン可哀想…」

 

本音はエミリアの事を心配した。

 

ギュエール「やはりですか…」

 

ギュエールは当事者のため、エミリアの怪我が並大抵のものでは無いことは分かっていたがここまでとは思っていなかったのか、声のトーンがやや下がる。

 

エーレン「ええ、あの爆発です。 死んでいてもおかしくなかった…!」

 

そう言って血が出るのではというほど拳を握りしめるエーレン。

ギュエールを除いた残りの4人はは今まで見たことのないエーレンの変化に戸惑い、何も言えなかった。

 

エーレン「……すみません、僕は先に部屋に帰らせて頂きます」

 

立ち上がり、皆にそう言ってから部屋に帰ろうとするエーレン。

 

セシリア「エーレンさん、あの… 言いにくいのですが織斑さんが先程意識が戻ったようです、ですので明日10時から今日の件について話し合われるそうです、エーレンさんも出席して下さい と織斑先生がおっしゃってましたわ」

 

エーレン「分かりました、必ず行きます」

 

それだけ言って部屋に戻るエーレン。

簪は呼び止めようとするがギュエールが今は1人にさせてあげましょう と言ったのでエーレンはそのまま帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

IS学園 一年生寮 1067室

 

エーレンは明日の会議のために報告書を作るつもりでいたため、自販機でカフェオレを買い、部屋に帰ってきた。

そして部屋の扉を開けると…

 

楯無「はーい、ご飯にする? お風呂にする? それともわ・た・し? 」

 

水着エプロン姿の楯無がそこにはいた。

しかし…

 

エーレン「……」

 

エーレンはそれを無視し、部屋のパソコンを付け、報告書の作成に取り掛かる。

 

楯無「ちょっと!ちょっと! 無視は酷くない!? せっかく慰めに来てあげたのに…」

 

エーレン「……不必要です、お引き取り下さい」

 

楯無「なんでよ? せっかく生徒会長権限で一晩中保健室に居られるようにしてあげようと思ったのにな〜」

 

まあ、私と戦ってくれたらだけどね と付け加えて悪戯な笑を浮かべる楯無。

 

エーレン「大変魅力的ですがお断りします、エミリアの命の恩人である三笠先生に迷惑はかけられません、第一なんでそんなに僕と戦いたがるのたです? 」

 

エーレンの質問に真剣な顔になる楯無。

 

楯無「あなたを見極めるためよ。私の家は特殊でね、自衛隊に入ったとはいえまだ私はあなた達を信用していない、何せ異世界の人間の経歴なんて調べられないからね。 だから聞かせて? あなた達は私達の味方か否か」

 

エーレンは納得する。

エーレン自身、この国について調べる際に楯無の家系、対暗部用暗部 更識家の情報は得ていた。

その家に自分は疑われている。

だがエーレンは重要な事とは捉えてなかった。

 

エーレン「僕は総統の、ドイツ第三帝国の味方です。 故にあなた方が祖国の味方なら僕は味方、逆に敵なら敵、といった感じです」

 

エーレンはそんな答えを返す。

その答えに楯無は納得出来ないのか、何か言い返そうするが…

 

???「お嬢様! ここにいらしたんですか!」

 

エーレンの部屋に1人の生徒が入ってくる。

 

楯無「虚ちゃん!? どうしてここが!? 」

 

虚「お嬢様の足取りくらいだいたいわかりますよ! ほら行きますよ、まだ仕事が残っているんですから!」

 

そう言って有無を言わさず楯無を引きずりながらエーレンの部屋を出ていく虚と楯無。

 

虚「すみません、ヴァルトフォーゲル君。 お嬢様がご迷惑をお掛けしました」

 

エーレン「いえ、お気になさらず」

 

そう言って扉が閉じられ、部屋の中ははいつもより数段静かな空間に変わった。

 

エーレン「…始めますか…」

 

そう言ってエーレンはパソコンにむかい、報告書の作成を再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後…

 

IS学園 生徒会室

 

楯無「しかし、本当に分からないわね〜」

 

楯無は書類整理しながらそう呟く。

 

虚「分からないとはヴァルトフォーゲル君の事ですか? 」

 

それを同じく書類整理していた虚が聞き返す。

 

楯無「うん、エーレンフリート・ヴァルトフォーゲル、海上自衛隊三等海佐にして特一等級空中戦闘空母 ゼーロス艦長、ハシラジマ海上技研の所長、異世界からの転移者」

 

楯無は一通りエーレンの肩書きを口にする。

 

虚「どうしてそこまで彼にこだわるんです? 」

 

楯無「私がまだ信用していないからよ、IS3機を相手に無傷で勝つような相手よ、空飛ぶ大国と言っても良い戦力を彼は自由に動かせるからね。 だから私聞いたのよ、味方か敵かって、そしたら…」

 

虚「なんて答えたんです? 」

 

楯無「僕はナチスの味方、故に私達が敵にならない限りは対立しない、要約すればこんな感じね」

 

虚「それはまた悩む回答ですね…」

 

楯無「そうなのよ、だから虚ちゃん、悪いけどもう一度彼について調べてもらえないかしら、どんな事でも良いから」

 

虚「畏まりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日 午前9時50分…

 

IS学園 会議室

 

エーレンが書類を持って会議室に来た頃には、ギュエール、セシリア、鈴の3人が既に揃っていた。

 

エーレン「おはようございます、皆さん」

 

「「「おはよう(ございます)」」」

 

エーレン「織斑先生はまだのようですね」

 

ギュエール「もうすぐいらっしゃるはずですが…」

 

そう言っていると扉が開き、千冬と一夏が入ってくる。

 

千冬「すまない、遅れた。 …全員揃っているな、では昨日の会議を始める。 最初にヴァルトフォーゲル兄、事の顛末を教えてくれ」

 

千冬は早速会議を始め、エーレンに今回の全貌を聞く。

 

エーレン「分かりました、まずお配りした報告書と資料をご覧下さい」

 

そう言われ、エーレンが昨晩作成した書類に目を向ける皆。

 

エーレン「クラス代表戦の際に3機の無人ISがアリーナ内に侵入、同時に全てのシールドと扉の電子ロックが最大レベルで稼働、おそらくハッキングによるものだと推察されます。まず扉のロックですが、非常事態のためエミリアにユニオンコアの演算能力を用い、扉を開けさせました。 一応確認しておきますがこれは承認された、という事で間違いありませんか? 」

 

千冬「ああ、扉のハッキング、及びヴァルトフォーゲル兄妹、サザンクロス、オルコットの出撃に関しては承認されている、よって刑罰の対象にはならない、 続けてくれ」

 

エーレンは確認をし、千冬は承認した事を伝え、続けるように言った。

 

エーレン「分かりました、扉が開かれたあと、私ことエーレンフリート・ヴァルトフォーゲルは織斑先生の許可により出撃、エミリア・ヴァルトフォーゲル、ギュエール・サザンクロス両名は他の電子ロックを解除しに行きました。 アリーナ内では既に戦闘が発生しており、鳳鈴音、織斑一夏両名が戦っていましたが両名とも、特に白式のSE(シールドエネルギー)が残りわずかだったため、私が入れ替わる形で両名を撤退、その後私1人で3機を相手し、1機を光子榴弾で吹き飛ばしました。 その後、エミリア、ギュエールさん、セシリアさんが援軍に来たため、ギュエールさん、セシリアさんに後衛を任せ、私とエミリアで2機を撹乱、その隙に後衛の両名がそれぞれの駆動系を撃ち抜き、1機は私が破壊、もう1機は調査のため鹵獲を目指し、エミリアがハッキングにかかりましたが、織斑一夏の無断出撃及び無断攻撃により、プログラムが誤作動し爆発、排除には成功しましたが鹵獲作戦は失敗したため、調査は難航しています。 被害はセシリアさんが敵の荷電粒子砲に当たり軽傷、織斑一夏の零落白夜により足を斬り裂かれ、生身で爆発を受けたエミリアが右足と左の腹部からの出血、全身に無数の擦り傷や切り傷ができ、意識不明の重傷です、あとはアリーナの設備くらいですね。 以上報告を終わります」

 

一通り今回の事件について報告を終え、椅子に座るエーレン。

 

千冬「ご苦労、まずヴァルトフォーゲル兄、サザンクロス、オルコット、鳳、良くやってくれた、お前達がいなければ被害はさらに深刻なものになっていただろう、感謝する」

 

エーレン「自衛官として当然の義務をはたしただけです」

 

ギュエール「恐縮です」

 

セシリア「ありがとうございますわ」

 

鈴「私ほぼ何もしてないんですけど…」

 

千冬が4人に礼を言い、それにそれぞれ答えるエーレン達。

 

千冬「特にヴァルトフォーゲル兄、妹の件に関しては本当にすまなかった」

 

そう言って頭を下げる千冬。

 

エーレン「前にも申し上げましたが何もあなたが謝ることでは…」

 

エーレンは千冬の謝罪を受けて戸惑う。

 

一夏「そうだぜ千冬姉、千冬姉は悪くない!」

 

バシンッ!

 

千冬「織斑先生だ! 無断出撃しただけでなく、ヴァルトフォーゲル妹を斬っておいてよくそんなことが言えたな! 下手すれば死んでいたんだぞ!」

 

エーレン「織斑一夏、なぜ君はあの場に出てきたのです? 」

 

一夏「決まってる、皆を守るためだ!」

 

一夏は現実が見えていないようだった。

 

エーレン「はい? 皆を守る? 味方を斬っておいてよくそんなことが言えますね」

 

エーレンは今すぐにでも一夏を殴りたかったが先に手を出せば負けと思い、ぐっとこらえる。

 

一夏「それは… あれは事故だ! 俺は悪くない」

 

エーレン「いやエミリアに全く手落ちはない、君が勝手に出撃しなければエミリアはあんな事にはならず、無人機も鹵獲して調査に回せた。 分かりますか? 今回君は我々の足を思い切り引っ張った、それが事実です。 それにたとえ事故でも刑罰は課せられるのですよ? 」

 

エーレンは淡々と、機械的に事実を述べる。

 

一夏「うっ… け、刑罰で言うならエーレンだって下手したら人を殺してたかもしれないんだぞ!? 」

 

自分が不利なことだけ理解したのか、話題をそらし、逃げ道を作る一夏。

 

エーレン「はい? 何故です? 」

 

一夏「あれに人が乗っていたかも知れないんだぞ! もし人が乗っていたらどうするつもりだったんだ!? 」

 

エーレン「そうですね、まず通信をし、武装解除と投降を呼びかけますね。 それで相手が指示に従ってくれたのでしたら後は警察に引き渡すだけです。 従わなかった場合やる事は変わりません」

 

エーレンは一夏がそらした話にもきちんと対応する。

どんな方向に話が広がろうとも一夏に確実に刑罰を課させるといういささか陰湿な理由ではあったが…

 

一夏「お前! そんな簡単に人を殺して良いと思っているのか!そんな奴は俺が許さない!」

 

その言葉を聞いた瞬間、もう少しはこのゴミ(織斑一夏)の戯れ言に耐えられると思っていたエーレンの思考が根本から書き直され、同時にエーレンの中で何かが切れた。

そして一夏の胸ぐらを掴み…

 

エーレン「巫山戯るのも大概にしろよこのゴミ! 僕がいつまでもあの態度をとってると思っていたら大間違いだ! 人殺しは俺が許さない? エミリアを殺しかけた自分を事故だとあっさり許した君がどの口でほざく! それにね! 例え人を殺そうともそれでエミリア達が、皆が無事なら僕は一向に構わないし、君に許してもらおうなんて絶対に思わない! 君の発言はいつもいつも矛盾ばかりだ! 皆を守ると言っておきながら、味方を斬るし、人殺しが許せないと言っておきながら自分の事はあっさり許す!少しは現実を見ろ!」

 

そう言って椅子に一夏を叩きつけるエーレン。

 

ギュエール「艦長! 落ち着いてください!」

 

千冬「そこまでだ、ヴァルトフォーゲル兄」

 

セシリア「エーレンさん、とりあえずこれ飲んで下さい」

 

ギュエールと千冬がエーレンを落ち着かせ、セシリアはエーレンに紅茶を差し出す。

 

エーレン「……すみません、少し感情的になりすぎました。 もう大丈夫です、続けてください」

 

セシリアから貰った紅茶を飲み終え、落ち着きを取り戻したエーレンは千冬にそう告げる。

 

千冬「分かった、と言ってももう話すことは… ああ、それぞれの処分についてだな、織斑には1週間の謹慎、反省文100枚、一定期間の白式の剥奪が課せられる」

 

セシリア「なっ!? 織斑先生、それは本当ですか!? 」

 

一夏のあまりに軽すぎる刑罰に関してセシリアが驚き立ち上がる。

 

ギュエール「織斑先生、この場合退学が妥当では? 」

 

ギュエールも思うところがあるのか、意見を述べる。

 

千冬「残念ながら貴重な男性操縦者を退学させる訳にはいかんと既に各国政府から学園に圧力がかかっている、残念ながらこれ以上は無理だ」

 

一夏「な、何でだよ!? あれは事故だ!」

 

バシンッ!

 

千冬「黙れ! 事故だと!? ヴァルトフォーゲル兄に言われた事をもう忘れたのか!? 故意であれ過失であれ、お前がヴァルトフォーゲル妹を斬ったという事実は変わらん! 分かったか!…続けるぞ、織斑以外の者は特に処分はない、むしろ学園から礼が来てるぞ」

 

そう言って千冬はそれぞれの前に封筒を差し出す。

 

千冬「どうした? 開けないのか? 」

 

そう言われたので封筒を開け、中身を確認する。

中にはIS学園のそばのショッピングモールで使える商品券が数枚入っていた。

 

千冬「ヴァルトフォーゲル兄には妹の分も入っているからそのつもりで、以上だ、解散してくれ。 それと織斑は残るように」

 

千冬が一夏だけ残るように指示したあと、エーレン達は会議室を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

IS学園 保健室 エミリアの病室

 

エーレン達はあの後、エミリアの見舞いに来るとの事でそれぞれ分かれ、エーレンは一足先にエミリアの病室に来ていた。

ベッドには未だに目を覚まさないエミリアが眠っていた。

そこに…

 

セシリア「エーレンさん、今大丈夫ですか? 」

 

扉の向こうからセシリアの声がした。

 

エーレン「ええ、どうぞ」

 

セシリア「失礼しますわ」

 

そう言い、セシリア、ギュエール、鈴、そして簪と本音が入って来る。

 

簪「エーレン、私達も良いかな? 」

 

エーレン「ええ、勿論です!」

 

そして、エミリアの病室でそれぞれ話をするエーレン達。

すると…

 

???「う……ん…、ここは…、お兄…ちゃん…? 」

 

エーレン「エミリア! 大丈夫かい!? 体の具合は? 」

 

エーレン達の話し声に反応したのか、遂にエミリアが目を覚ます。

それにいち早く気が付き、エミリアのところに行くエーレン。

 

エミリア「うん…まだ痛いけど平気…かな」

 

エーレン「そうか… 良かった… 本当に…」

 

そう言って体の力が抜けたのかエミリアのベッドにもたれ掛かるエーレン。 よほど神経を張り詰めていたのだろう。

 

ギュエール「艦長、三笠先生を呼んできます」

 

結衣「その必要はないわよ」

 

ギュエールが結衣を呼びに行こうとするとタイミング良く結衣が病室に入って来る。

 

結衣「ちょうど良かったわね、その様子だとヴァルトフォーゲルさん、目覚めたみたいだね」

 

そう言ってエミリアに自己紹介し、検査をする結衣。

ちなみにエーレン達は病室を出て、皆この後予定があるとの事なので廊下で解散した。

 

 

十数分後…

 

検査が終わり、エーレンを呼んでから話を始める結衣。

 

結衣「うん、とりあえず意識が戻ったならもう大丈夫ね。 傷が塞がるまでは入院してもらうから授業に復帰出来るのは来週からだね、復帰する際にはお腹の傷が開いちゃうとまずいから松葉杖は使えないわね、だから車椅子もしくはヴァルトフォーゲルくんにおんぶしてもらう形になるからそのつもりで。なにか質問は? 」

 

エーレン「いえ、特には。 ありがとうございました、三笠先生」

 

結衣「仕事だしね、じゃあ、私は織斑先生に報告に行くわ。 お大事に」

 

そう言って病室を出て行く結衣。

 

エーレン「エミリア、何か欲しいものとか無い? あれば探してくるけど」

 

エミリア「ううん、大丈夫。 それよりも…」

 

エミリアはそう言うと上半身だけ起き上がり、隣にいるエーレンに抱きつく。

 

エミリア「今は一緒にいて欲しいかな…」

 

エーレン「はいよ」

 

エーレンはエミリアの頭を撫でながら答える。

 

 

 

こうしてクラス代表戦はようやく幕を閉じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでです。

次回は予告通り日常回です。

次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦
第8話 ヴァルトフォーゲル家のお買い物

誤字や脱字、アドバイス、質問、おかしな表現などがあれば教えてください、お待ちしております。

人物紹介

三笠結衣

通称:結衣

2つ名:無し

初登場:今話

身長:160cm

体重:(黒く塗り潰されてある)

年齢:27歳

階級:無し

服装:未定

見た目:未定(募集したいと思います、おすすめがあれば活動報告のアンケートまでお願いします)

特技:特になし

好きなもの:コーヒー

嫌いなもの:昆虫

IS学園の先生の1人。 エミリアの治療を担当したのもこの人。
なんだかんだ言って今後も出番はある予定。

結衣「みんな身体には気をつけてね」


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第8話 ヴァルトフォーゲル家のお買い物

こんばんは皆様、大極光です。

今回は日常回になります。




クラス代表戦の休み明け

 

IS学園 1年1組教室

 

エーレンは珍しく授業開始ギリギリで教室に入る。

なぜなら朝からエミリアに会いに行っていたからだ。

そしてその後すぐに千冬が教室に入って来る。

 

千冬「諸君、おはよう。 SHRを始める。 まず最初にヴァルトフォーゲル妹が先日の襲撃事件で怪我をしたため、来週まで休みだ。 織斑も今日から1週間休みだがこっちは健康なので心配は無用だ」

 

エミリアが怪我をしたという事を千冬が言うとクラスがざわめく。

 

クラスメイト1「え? エミリアちゃんが怪我? 」

 

クラスメイト2「大丈夫かな…? 」

 

千冬「静かにしろ!」

 

が、千冬の一声で再び静かになる教室。

 

千冬「よし、連絡は以上だ。 それとヴァルトフォーゲル兄」

 

エーレン「はい? 何でしょう? 」

 

千冬「妹が心配なのは分かるが授業には遅れるなよ? 」

 

エーレン「分かりました」

 

千冬「宜しい、では授業を始める」

 

 

 

 

 

 

午前中の授業終了後…

 

午前の授業が終わり、昼休みになる。

エーレンはいつも通り貴重品をポケットにいれ、教室を出ていこうとする。

そこに…

 

セシリア「エーレンさん、お昼ご一緒にどうですか? 」

 

セシリアが昼食に誘って来るが…

 

エーレン「すみません、せっかくですが先約がありまして…」

 

セシリア「…! なるほど、なら仕方ないですね、ではまたの機会に」

 

エーレンが向いている方向で何となく察したのかそのまま引き下がるセシリア、エーレンも返事をしたあとエーレンの目的地、エミリアの病室に向かった。

 

 

 

 

 

数分後…

 

エーレン「エミリア? いるかい? 」

 

エーレンはあの後、購買で自分の昼食とエミリアに果物などを買ってから病室に来ていた。

 

エミリア「居るよ〜、お兄ちゃん♪」

 

そう言い上半身だけ起き上がり、エーレンに抱きつくエミリア。

 

エーレン「よしよし、待った? 」

 

エミリア「全然、待ってないよ」

 

エーレン「そう? ならいいけどね。 あ、そうそうはいこれお土産」

 

そう言ってさっき買ってきた果物とプリンを差し出す。

 

エミリア「ありがとうお兄ちゃん、果物はあとにしようかな? 」

 

エーレン「はいよ」

 

そう言いつつ、果物を備え付けの冷蔵庫にいれ、昼食を摂る2人。

 

エーレン「そうだエミリア、日曜は買い物に行かないかい? 」

 

エミリア「え? お兄ちゃんと2人で? 」

 

エーレン「その予定だけど? ギュエールさんでも誘う? 」

 

エミリア「だ、ダメ! お兄ちゃんと2人が良いの!」

 

首を左右に思い切り振りながら答えるエミリア。

エーレンも特に問題ないので頷いておいた。

 

 

 

 

 

授業開始10分前…

 

エーレン「じゃあそろそろ戻るよ」

 

エミリア「うん! 日曜日楽しみにしてるよ!」

 

そう言って病室をあとにするエーレン。

なお、授業には間に合った模様。

 

 

 

 

 

 

放課後…

 

IS学園 生徒会室

 

楯無「それで虚ちゃん、どうなったの? 」

 

放課後の生徒会室では楯無が虚にエーレン達の調査結果を聞いていた。

 

虚「はい、日本政府を介して彼らの情報開始を求めたところ、3人の履歴書を提出してくれました。またヴァルトフォーゲル君の事を研究所の人間に聞き込みをしましたがオタクだのシスコンだのまるで分からない情報ばかりで…」

 

楯無「えぇ……」

 

楯無は頭が痛そうだった。

 

虚「ただあの戦艦、ゼーロスや3人のISはヴァルトフォーゲル君が設計したものらしいです」

 

楯無「え? つまり彼は資材さえあれば…」

 

虚「はい、武装を作ることが出来ます」

 

楯無「まあ、彼はハシラジマの所長だしこれはね…、他の2人は?

 

楯無はエーレンに関してはひとまず保留にし、エミリアとギュエールについて聞く。

 

虚「はい、まずヴァルトフォーゲルさんの方ですが彼女は海軍の協力者であり、正式な軍属ではないようです。 戦艦ゼーロスのメンタルモデルとして、約2年間戦って来たみたいです。剣術を習っていたらしく、その腕前はこちらで言う織斑先生クラスと思われます」

 

楯無「織斑先生クラスの剣技って…、ごめん続けて? 」

 

あまりの腕前に驚く楯無。

だが話が進まないため続きを聞く。

 

虚「次にサザンクロスさんですが彼女は射撃の名手らしいです。 その腕は拳銃から艦砲まで通用するようで同じく2年間ゼーロスの副長兼火器管制を担当して来たみたいですね」

 

楯無「ありがとう虚ちゃん。 …もう一度彼とは話してみないとね…、今彼が何処にいるかわかる? 」

 

虚「流石にそこまでは…」

 

楯無「よね…、仕方ないわね、自分で探すわ」

 

そう言って立ち上がり、生徒会室を出ていこうとするが…

 

ガシッ

 

虚「どこへ行こうと言うのです? 」

 

肩を掴まれた楯無は恐る恐る振り返るとそこには笑顔の虚がいたがその目は笑っていなかった。

 

楯無「え…? ほ、ほらあれよ、ヴァルトフォーゲルくんとお話を…」

 

虚「まず書類を片付けてから行ってください」

 

握る力をさらに強くする虚。

 

楯無「えぇ… でも…」

 

虚「イイデスネ? 」

 

楯無「アッハイ」

 

こうして楯無の脱走計画は失敗に終わった。

 

 

 

 

 

同時刻…

 

IS学園 IS整備ガレージ

 

エーレンは授業が終わるとすぐに教室を出て、エミリアの病室に行ったがこの後夜まで退院に向けた検査があるとの事なのでエーレンはエミリアからアドラーを修理して欲しいと言われたため、エーレンはエミリアを結衣に任せ、整備ガレージに来ていた。

 

エーレン「良し、では始めますか」

 

エーレンは機体ハンガーにアドラーを展開し、損傷の具合を目と各種観測機器を用いて調べていく。

 

エーレン「ふむ、駆動系がすり減っているのと、一番の損傷はこれか…」

 

そう言ってエーレンが見たのは右脚部の切り傷、一夏の零落白夜に斬られた後だった。

 

エーレン「これは予備パーツと交換しましょうかね」

 

エーレンは携帯を取り出し、ハシラジマの研究所に連絡を入れる。

 

束『はいはーい、どうしたのかなえーくん? 』

 

電話に出たのはドクトルではなく束だった。

 

エーレン『あれ、束さん? ドクトル達はどうしました? 」

 

束『なんか北極がどーのこーの言って調査しに行ったよ? 』

 

エーレン「(北極… なんだろう、何かあったはず…)」

 

エーレンは何かが引っかかったが思い出せないため、とりあえず保留にしておいた。

 

束『それよりえーくん… りっちゃんの具合はどうなの…? 』

 

束の声のトーンが大幅に下がり、エミリアの様子を聞いてくる。

 

エーレン『エミリアですか? 順調に治ってますが… それが何か? 』

 

束『実はあの無人機、束さんの前の研究所に置いてあった物なの…、多分盗まれた内の1機だと思う…』

 

エーレン『なっ!? 』

 

エーレンは驚きのあまり声を上げる。

 

エーレン『それで何機くらい強奪されたんです? 』

 

束『100機くらいかな…』

 

エーレン『100機… 約3個大隊ですか…、まあ今の所はそれらを追跡するしかないでしょう』

 

束『うん…、ごめんねえーくん、私のせいでりっちゃんがあんなことに…』

 

エーレン『お気になさらず、エミリアも束さんを恨んでいませんよ、もちろん僕もですが。 それにどのような力であれ、それを行使する方に責任があるのであって、開発者の束さんの責任ではありませんよ』

 

エーレンも敵の捕虜から散々言われて来たため、その自論を束に述べる。

 

束『うん、ありがとうえーくん、少し楽になったよ。 ごめんね時間とらせて、要件は何? 』

 

エーレン『おっとそうでした、実はアドラーが破損したため、駆動系と右脚部の予備パーツを送ってほしいのです』

 

束『ふむふむ、予備パーツっと。 おーけい、すぐに送るよ』

 

そう言って電話が切れる。

程なくして、パーツが詰まったコンテナがヘリで届けられ、エーレンは集中するためにヘッドホンを携帯に接続し、作業用BGMを流しながらアドラーの修理に取り掛かった。

 

完全な余談だがこの時エーレンが聞いていたのが「イギリス征討歌」だったりする。

 

 

 

 

 

 

数日後…

 

日曜日 午前11:15

 

IS学園 一年生寮 エーレンの部屋

 

エーレン「良し、これで準備は出来た。 あとはエミリアを迎えにいくだけだな」

 

そう言ってエーレンは様々な荷物を持って、部屋を出る。

 

 

 

 

 

数分後…

 

IS学園 保健室前

 

あの後、エーレンは駐車場に行き、車に車椅子を積んだあとエミリアを迎えにいくために保健室に来ていた。

 

エーレン「エミリア、迎えに来たよ」

 

ノックして部屋に入るエーレン。

部屋には結衣もいた。

 

結衣「あれ? ヴァルトフォーゲルくん、貸出しした車椅子はどうしたの? 」

 

結衣は貸した車椅子をエーレンが持っていなかったため、不思議に思い、エーレンに聞く。

 

エーレン「車まですぐなのでおぶった方が良いかなと思いまして」

 

結衣「ああそうか、ヴァルトフォーゲルくん免許持ってたもんね」

 

結衣は納得し、頷く。

 

結衣「じゃあ、一応退院だけど定期的にここに来てください。 私が良いと判断するまではね」

 

エーレン「分かりました」

 

エミリア「はーい、またね三笠先生!」

 

結衣「うん、またね」

 

そう言ってエーレンとエミリアは病室をあとにする。

ちなみにエミリアの荷物は既に運び出されている。

 

エーレン「ごめんね、おんぶ嫌かもしれないけど車まで我慢してね」

 

エミリア「大丈夫、全然嫌じゃないよ(むしろご褒美かも…)」

 

 

 

 

 

数分後…

 

IS学園 駐車場

 

エーレンはエミリアを助手席に座らせ、車を発進させる。

 

エミリア「お兄ちゃんとお買い物〜♪」

 

エミリアは今日という日を待ち望んでいたのか、かなり上機嫌だった。

 

エーレン「そうそう、エミリアにも学園から商品券が来てるから着いたら渡すよ」

 

エミリア「商品券? 何で? 」

 

エミリアは首を傾げながらエーレンを見上げる。

何が言いたいのかというとエーレンにとって今のエミリアは破壊力抜群なのだ。

 

エーレン「(可愛い…ってダメダメ、今は運転中っと)何か知らないけど今回の襲撃事件の鎮静化に貢献したから学園からのお礼だってさ」

 

エミリア「なるほどね〜」

 

そんな話をしていると目的地であるショッピングモール レゾナンスが見えてきた。

 

エーレン「もうそろそろか… エミリア、着いたらまず昼食にしよっか」

 

エミリア「はーい」

 

 

 

 

 

数分後…

 

ショッピングモール レゾナンス 立体駐車場内

 

エーレンはレゾナンスの立体駐車場に愛車であるベンツを停め、後部座席から車椅子を出し、座席部分を開いてそこにエミリアを座らせる。

 

エーレン「エミリア、具合はどう? 」

 

エミリア「快適だよ」

 

エーレン「おけ、なら行こうか」

 

そう言ってエーレンは車椅子を押し、建物内に入って行く。

 

 

 

 

 

またまた数分後…

 

ショッピングモール レゾナンス エレベーターホール

 

エーレンも下調べはしたとはいえ、来るのは初めてなので置いてあったマップを見ながら進んで行く。

 

エーレン「分かっていたとはいたがやっぱり広いな…」

 

もちろんハシラジマほどの広さでは無いのだがそれでもレゾナンスは十分広い、初見では油断しているとすぐに迷子になりそうだった。

 

エーレン「レストランなども多いから迷うな…。 エミリア、何か食べたいものとかある? 」

 

エーレンは自分では決められないため、エミリアに判断を委ねた。

 

エミリア「うーん、じゃあここでどう? 」

 

エミリアがエーレンの見せたパンフレットの中からイタリア料理の店を指さした。

 

エーレン「ならそこにしますかね」

 

そう言ってその店にむかって歩くエーレン。

 

 

 

 

 

 

またまた数分後…

 

目的地

 

エーレンとエミリアは目的のレストランに入った。

幸い空いていたため、すぐに席に案内された。

 

 

 

 

 

数分後…

 

エーレン「混む前にこれて良かったね」

 

エミリア「そうだね」

 

ちなみに2人の料理は既に来ていた。

2人ともランチメニューを注文し、2人で分けようという事でピザを1枚注文した。

 

エミリア「それでお兄ちゃん、この後の予定は? 」

 

エーレン「特に考えてないよ、エミリアが行きたい所に行こうと思っているよ」

 

僕は電気屋に行ければ良いかな と付け加えるエーレン。

 

エミリア「なら服見に行っても良い? 」

 

エーレン「なら行こうか」

 

 

 

 

 

 

数十分後…

 

レゾナンス 洋服店

 

エミリア「お兄ちゃん、これとかどうかな? 」

 

そう言って黒色の服を見せてくる。

 

エーレン「うーん… エミリアは白色の方が似合うと思うんだけどな」

 

エミリア「じゃあこっちかな… 迷うな〜」

 

エーレン「? 気になるのがあれば買ってあげるよ? 」

 

エーレンは迷っているなら対象商品を全部買えば良いと思っていたため、エミリアの悩みが分からなかった。

 

エミリア「え? 良いの!? 」

 

エーレン「うん、なかなか連れて行ってあげられないからね。 たまには良いでしょう、それに僕金持ちだし」

 

実際エーレンは研究所の所長に加え、海自隊員を掛け持ちしているため、どっちかの給料がそのまま残るという形になっているため、それなりに貯金はあるのだ。

 

エーレン「じゃあ会計済ませようか」

 

そう言って商品をカウンターへ持っていくエーレン。

ちなみに金額は6桁に達したがエーレンは特に気にしていなかった模様。

 

 

 

 

 

数時間後…

 

IS学園へ向かう道

 

あの後、買い物を一通り済ませたエーレンとエミリアは帰路についていた。

 

エーレン「しまった、エミリアのパジャマ買うの忘れた」

 

エミリア「そう? じゃあさ、お兄ちゃんの服どれかちょうだい」

 

エーレン「え? そんなので良いの? 」

 

エミリア「うん!」

 

エーレン「なら良いけど…」

 

そんな会話をしながら帰る2人であった。

そしてその夜からエミリアはエーレンの私服をパジャマ代わりにして寝るのであった。

 




今回はここまでです。

書いていて思いました、私日常回書くの下手なのではと…

次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦
第9話 西洋の地より来たる者

誤字や脱字、アドバイス、質問、おかしな表現などがあれば教えてください、お待ちしております。


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第9話 西洋の地より来たる者

おはようございます皆様、大極光です。

さあ、お待ちかねの方もいるでしょう。
金銀コンビの登場です。

※通算UAが15000突破!
お気に入り100件突破!
ありがとうございます! これからも頑張らせて頂きます!


2045年 某日…

 

IS学園 1年1組教室

 

休み明けの今日、教室内ではとある話題で盛り上がっていた。

 

「やっぱりハヅキ社製じゃないかな〜」

 

「えー、あそこってデザインだけじゃない? 」

 

「それが良いんじゃない!」

 

そこに…

 

エーレン「おはようございます」

 

エーレンがエミリアと共に教室に入ってくる。

 

「おはようエーレン君! そう言えばエミリアちゃん、怪我はもう良いの? 」

 

エミリア「うん、定期的に通院しなきゃだけど取り敢えずは大丈夫」

 

車椅子で押されながら返事をするエミリア。

その間にエーレンはエミリアを席に座らせる。

 

ギュエール「おはようございます艦長、エミリアちゃん」

 

エーレン「ええ、おはようございます。 …何でこんなに盛り上がっているのです? 」

 

ギュエール「何でもISスーツ関連だとか…」

 

エーレン「ふむ、ISスーツですか…」

 

エーレンとギュエールが話しているとクラスメイト達がエーレン達の周りに集まり…

 

「そう言えばエーレン君達のISスーツってどこ製なの?」

 

エーレン「僕のは自分の白衣を改造しただけですので、ハンドメイドですね。 厳密に言えばハシラジマ製ですが…」

 

エミリア「私も似たような感じだね、デザインはギュエールお姉ちゃんだけど」

 

ギュエール「私もハシラジマ製のものですね」

 

「えっ!? ハシラジマってあの人工島の!? 」

 

「でも何で? 」

 

エーレン「僕がハシラジマ海上技研の所長を務めているからですよ」

 

「「「えええええ!? 」」」

 

クラスメイト全員驚愕、そこに…

 

千冬「朝っぱらからなんだ! 騒がしい! 早く席につけ!」

 

千冬が教室に入って来るとすぐにクラスメイト全員が一瞬で席につく。

 

千冬「よろしい、ではHRを始める。まず今日からヴァルトフォーゲル妹が復帰するが、当分は車椅子を使用するため諸君らにはサポートをお願いする。次に諸君らの話題になっていると思うが、これからの実習授業ではISスーツを着用してもらう。 忘れた者は学園指定の水着で、それも忘れたら… 下着で構わんだろう。 そうなるからそのつもりで」

 

エーレン「(問題ありな気がするんですが…)」

 

心中で意見を述べるがHRは進んで行く…

 

真耶「それから皆さんに転校生を紹介します!」

 

真耶がそう言うと扉の向こうから2人の生徒が入って来る。

本来この時期の転校自体異例なのだが、今回の転校生の片方は異例すぎた。

なぜなら…

 

シャルル「シャルル・デュノアです。 よろしくお願いします」

 

男だったからである。

 

クラスメイト「え… 男? 」

 

シャルル「はい、こちらに僕と同じ境遇の方がいるとk…」

 

シャルルは最後まで言えなかった。

なぜかと言うと…

 

「「「きゃぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

「男子よ、男子!」

 

「守ってあげたくなる系の!」

 

「今年は織×シャルで決まりね!」

 

「いや、金髪どうしでエレ×シャルよ!」

 

クラスの女子の歓声によってかき消されからである。

クラス中が騒ぎ立てる中、エーレンはギュエールと通信をしていた。

 

エーレン『ギュエールさん、あの方って…』

 

ギュエール『ええ、明らかに女性です』

 

エーレン『ですよね…、狙いは織斑一夏でしょうか? 』

 

ギュエール『私達の可能性もあるでしょう。 どちらにしても警戒した方が良いかと思います』

 

エーレン『了解』

 

そう言ってエーレンが通信を切った直後、千冬の一喝が入り、もう1人の紹介になる。

 

千冬「ラウラ、自己紹介しろ」

 

ラウラ「分かりました、教官。 …ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

真耶「えっと、終わりですか? 」

 

ラウラ「以上だ」

 

千冬「まあ、色々あったが以上だ。 次は実習授業だ、遅れるなよ。 それとヴァルトフォーゲル兄、デュノアの面倒を見てやれ」

 

そう言って教室を出て行く千冬と真耶。

 

エーレン「ではギュエールさん、エミリアをよろしくお願いします」

 

ギュエール「はい、お任せ下さい!」

 

エミリア「また後でね、お兄ちゃん」

 

そう言って着替えを持って教室を出ていこうとするエーレン。

 

シャルル「あの、ヴァルトフォーゲルくんだよね、出来れば案内して欲しいんだけど、良いかな? 」

 

エーレンが振り返るとそこには噂の転校生、シャルルが立っていた。

 

エーレン「ええ、もちろんです。 ついてきてください」

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

IS学園 更衣室

 

シャルル「ありがとう」

 

エーレン「いえ、大丈夫です。 おっと自己紹介がまだでしたね、エーレンフリート・ヴァルトフォーゲルと言います、エーレンとお呼びください」

 

シャルル「分かったよエーレン、僕もシャルルで構わないよ」

 

エーレン「分かりました、シャルルさん」

 

そう言っている内に着替えが終わった2人はアリーナに移動する。

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

IS学園 アリーナ

 

時間通りにアリーナに着いたエーレンはエミリアに合流する。

そして授業が始まり、セシリアと鈴を呼び出す。

模擬戦をするらしいが見るからにやる気がない2人。

だが千冬が何か耳打ちすると…

 

セシリア「仕方ありませんわね、やってやりますわ!」

 

鈴「こっちだって手は抜かないよ!」

 

急にやる気になる2人。

2人で模擬戦をするらしいが…

 

真耶「ど、どいて下さい!」

 

ISを纏った真耶が空から降って来た。

 

エーレン「親方ァ! 空から先生が! ってふざけてる場合じゃない!」

 

エーレンはすぐさまヴァイスを展開し、真耶を受け止める。

 

エーレン「大丈夫ですか? 先生」

 

真耶「あ、ありがとうございます、ヴァルトフォーゲルくん」

 

エーレンは真耶の無事を確認してから静かに下ろす。

 

千冬「良くやってくれたヴァルトフォーゲル兄。 鳳、オルコット、お前達の相手は山田先生だ」

 

セシリア「えっと… 2対1ですか? 」

 

鈴「それだとあまりに不利では…」

 

2人は慢心しているわけでは無いが、2対1では真耶の勝機は薄いと思ったのか千冬に意見を述べる。

 

千冬「安心しろ、今のお前達ならすぐに負ける」

 

しかし、千冬は意味ありげに笑うだけだった。

そうこうしているうちに模擬戦が始まった。

 

 

 

 

 

十数分後…

 

真耶対セシリア、鈴の模擬戦が終わった。

結果はというとセシリアと鈴の完敗だった、射撃で軌道を誘導され、固まった所にグレネードを叩き込まれたのだ。

 

千冬「山田先生は元日本の代表候補だ、以後敬意を払うように」

 

と、千冬が真耶の実力の理由を説明する。

 

真耶「そんな、代表候補と言っても昔の話です、それに候補止まりし…」

 

それに対して真耶は謙遜気味に話すが…

 

エーレン「(素晴らしい腕ですね… うちの航空隊かルフトヴァッフェに来てもらいたいですね。 惜しいな、山田先生が僕らの世界の方なら間違いなくルフトヴァッフェの友人(あいつ)に紹介したのですが…)」

 

エーレンはゼーロスの航空隊かバトル・オブ・ブリテンなどで完勝し続けた無敵を誇るドイツ空軍、ルフトヴァッフェに入って貰いたいたいと考えていた。

同時に自分も戦ってみたいと思っていたエーレンだった。

それを察したのか千冬がエーレンに対し…

 

千冬「ヴァルトフォーゲル兄、山田先生と戦いたいなら放課後職員室に来い、予定が無かったら戦ってくれるかもしれないぞ? 」

 

エーレン「その時は是非!」

 

千冬「良し、ではいくつかのグループに分かれて搭乗から歩行、降機までやって貰う、専用機持ちはそれぞれのグループで指南に当たってくれ」

 

千冬がそう言うとクラスメイトの大半はエーレンとシャルルのところに集中するが千冬の一喝によりすぐさま並び直し、順番にグループ分けをして行く。

 

 

 

 

 

数分後…

 

グループ分けが終わり、エーレンかシャルルに当たった生徒は喜び、外れた生徒は落胆していた。

 

エーレン「じゃあ時間もあまり無いですし、始めましょうか」

 

「「「よろしくお願いします!」」」

 

エーレン「はい、よろしくです。 じゃあ最初は…」

 

「はい! じゃあ私から」

 

エーレン「じゃあどうぞ」

 

だいたいこんな感じで授業は進んでいた。

ところがエーレンのグループの1人が次の搭乗のため、屈んだ状態で降りなければならないのだが立ったままISから降りてしまったのでエーレンがヴァイスを展開し、次のクラスメイトを運ぼうとしようとしたがこの時にお姫様抱っこのような形になったため、エーレンとシャルルのグループであえて立ったまま降りるということが多発してほかのグループより遅れてしまった。(なお、これも千冬の一喝で起きなくなったのは言うまでもない)。

 

 

 

 

 

 

全授業終了後…

 

IS学園 一年生寮 エーレンの部屋

 

エーレンはエミリアを連れて部屋に帰っていた。

 

エミリア「お兄ちゃん、何してるの? 」

 

エミリアはエーレンがパソコンの前から離れないため、不思議に思い、エーレンの横からパソコンを覗き込んだ。

 

エーレン「ん? 何、大した事じゃ無いよ。 ちょっとアドラーの新武装案と戦術処理システムのアップデートをしているだけだから」

 

エミリア「ふーん、じゃあ私は夕食の用意でもしようかな? 」

 

エーレン「え? 立ち歩いて大丈夫なの? 」

 

エーレンは作業を一時中断し、エミリアの方を向く。

 

エミリア「うん!三笠先生から少しは練習しなさいって言われたから」

 

エーレン「そういうことならお願い」

 

任せて! と言って夕食を作りに行くエミリア。

余談ではあるがエミリアの料理を食べたエーレンは食後、アドラーのアップデートをまるで千手観音を幻視するくらいのスピードで手を動かし、一瞬で終わらせた。

 

 

 

 

 

 

数日後…

 

IS学園 一年生寮 エーレンの部屋

 

エーレンとエミリアが部屋でゲームをしていると突然扉が開き、一夏が入ってくる。

 

エーレン「織斑君、ノックくらいしてはどうです? 」

 

一夏「いいから来てくれ!」

 

エーレンは軽く嫌味を言うが一夏はかまわずにエーレンを手を引っ張って部屋から連れ出す。

 

エミリア「お兄ちゃん!? 」

 

1人残されたエミリアは叫ぶしか無かった。

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

IS学園 一年生寮 一夏の部屋

 

エーレンが一夏に拉致され、連れてこられたのは一夏の部屋だった。

中にはシャルルがいたが昼とは違う姿だった。

 

シャルル「エーレン…」

 

エーレン「おや、もうバレたのですか? 」

 

「「えっ!? 」」

 

エーレンが至極当然のように言うが2人には衝撃的だったみたいだ。

 

シャルル「いつから気づいてたの…? 」

 

シャルルがかなり低いトーンでエーレンに聞く。

 

エーレン「最初の自己紹介の時ですね、ギュエールさんとも話しましたが」

 

そしてエーレンは2人を見直し…

 

エーレン「それで僕を呼んだ理由を話して頂けますか? まあ、何となく想像はつきますが」

 

シャルル「うん、えっとね…

 

 

シャルル説明中

 

 

というわけ」

 

一通りシャルルが話し終わると…

 

一夏「俺はシャルルを助けたい。だからエーレン、俺達に協力してくれ!」

 

エーレン「協力も何もまずどうするか聞かなければ意見を述べられませんね 」

 

一夏「そうだな… あれだ! 特記事項 本学園の生徒はあらゆる団体に帰属しない。シャルル、お前はここにいて良いんだ!」

 

一夏がそう言うとシャルルの表情が明るくなるが一方エーレンは…

 

エーレン「無理ですな」

 

一夏の案を真っ向から否定した。

 

一夏「な、何でだよ!」

 

エーレン「君の方法では根本の解決には至らないばかりか、延命にすらなりません」

 

一夏「どういう事だよ!? 」

 

エーレン「まず、その特記事項は代表候補には意味をなしません。 代表候補の時点で国から招集がかかればすぐにでも帰らねばなりませんし、第一それは正規に本学園に入学した生徒に適応されるもの、シャルルさんの場合、身分詐称で入学しその目的はスパイ、これは正規とは呼べないどころか日仏の関係を悪化させる犯罪です、つまり学園は保護する義務がないのです」

 

シャルル「そうだよね…」

 

再び暗くなるシャルル。

それを見た一夏は…

 

一夏「じゃあお前ならどうするんだよ!? 」

 

一夏はエーレンに怒鳴るがそれを無視してエーレンはシャルルに向き、こう言う。

 

エーレン「シャルルさん、僕はあなたの言葉で聞きたい。 あなたは現状から抜け出したいのか否か」

 

実はエーレンはこの会話を密かに録音していた。

シャルルの明確な意思があればゼーロスの部隊を動かすことが出来るからだ。

だが…

 

一夏「もういい! これ以上シャルルをいじめて何する気だ!」

 

エーレン「ちょっ!? いきなり何を!? 」

 

それは一夏によって妨害され、それどころか力ずくで部屋から追い出されるエーレン。

だがエーレンはシャルルに通信をつなぎ…

 

エーレン『シャルルさん、現状から抜け出したいならこのあと屋上まで来てください』

 

シャルル『う、うん。 分かった』

 

そう言ってエーレンは立ち上がり、自販機で二人分の飲み物を買い、屋上に向かった。

 

 

 

 

 

 

十数分後…

 

エーレンが星を眺めていると扉が開く音がした。

振り向くとシャルルがそこに立っていた。

 

シャルル「来たよ、エーレン」

 

エーレン「待ってましたよ、これどうぞ」

 

エーレンは買っておいた飲み物の1本をシャルルに渡す。

そしてエーレン自身もふたを開け、一口飲んでから…

 

エーレン「さて、ここに来たということは現状から抜け出したい、という事でよろしいですね? 」

 

エーレンがそう言うとシャルルは頷く。

 

エーレン「分かりました、ですが僕の方法はかなり大規模なものになります。 シャルルさん、もう1つ質問します、これからあなたの周りの環境はかなり変化するでしょう。 これまで積み上げてきたものの大半を崩すことになります。 あなたはこのいわばリセットのようなものを行う勇気がありますか? 」

 

シャルル「……うん、あるよ。 良い思い出なんて死んだ母さんとの生活くらいだし…、僕は自由になりたい… リセットもする… 、だからエーレン… 僕を助けて…」

 

シャルルは泣きながらエーレンにそう言う、対するエーレンは真剣な表情を崩し…

 

エーレン「はい! 喜んで」

 

シャルル「ありがとう、エーレン…」

 

目を擦りながらそう言うシャルル。

 

エーレン「あとはこちらでやっておきます。シャルルさんは僕がゴーサインを出すまでは男のフリをしておいてください」

 

シャルルは頷くとおやすみと言ってから帰って行く。

一方エーレンはポケットから携帯を取り出し、ハシラジマに電話をかける。

 

エーレン「私です、諜報部に繋いでください」

 

エーレンがそう言うと数秒後、ゼーロス諜報部の人間が電話にでる。

 

エーレン「実はデュノア社がスパイをまわしてきました、我々の技術も対象に入っているとの事です、というわけで君たちに仕事です。 デュノア社の汚点を全て調べ、それを全世界のありとあらゆるメディアにリークしてください。 ああ、遠慮はいりません、思い知らせましょう…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何処の誰に喧嘩を売ったのかをね」

 

その時のエーレンの表情は普段の学園生活では見せない、かなり狂気じみた笑顔だった。

 




今回はここまでです。

タッグマッチは恐らく次の次になると思います。

次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦
第10話 黒き雨の襲来

誤字や脱字、アドバイス、質問、おかしな表現などがあれば教えてください、お待ちしております。


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第10話 黒き雨の襲来

こんばんは皆様、大極光です。

次回は予定通り行けそうですが、来週はお休みさせてください。
そうです、我々の天敵、定期考査です…
その代わりといってはなんですが今回は1日早く投稿させていただきます。



2045年 某日

 

神奈川県横須賀市沖 人工島ハシラジマ

 

エーレンはこの日、デュノア社の調査の経過報告を聞くためにハシラジマに来ていた。

報告だけなら電話で構わないのだが、直接来たのは…

 

簪「エーレン、今回もあの戦艦に乗り込むの? 」

 

簪に関する理由があるからだ。

 

話は数日前に遡る…

 

 

 

 

 

 

数日前…

 

IS学園 一年生寮 屋上

 

エーレンは経過報告を聞くため、屋上に来ていた。

 

エーレン『……ほう? たった一日でそんなにですか? もうそれだけで倒産ものですね。 ……いや続けてください、徹底的にです。 ……ええ、ではまた』

 

エーレンは通信を切ると部屋に帰ろうとするが…

 

エーレン「ん? 」

 

先程使っていた軍事用の携帯ではなく、研究所用の携帯から着うた(starlog)が流れた。

 

エーレン『はい』

 

ハンス『久しぶりだな少佐!』

 

電話の相手はハンスだった。

いつもよりハイテンションなので何か成功したのだろう。

 

エーレン『ええ、お久しぶりですドクトル、元気そうでなによりです。 それで、どうしました? 』

 

ハンス『ああ、実はな、簪君の機体が完成したのだ、だから最終調整を行いたいので近々こちらに簪君を連れてきてもらえないかね? 』

 

エーレン『分かりました』

 

ハンス『よろしく頼むぞ少佐』

 

そこで通信が切れる。

エーレンも簪にメールを送り、屋上をあとにする。

そして翌日、簪から返事がもらえたため、ハシラジマに行くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

そして冒頭に戻る。

 

エーレン「いえ、先日完成した本所の方に移設が完了したとの事なので今回からはそちらになります」

 

そんな会話をしながら地下鉄に乗り込む2人。

ハシラジマは全長十数キロの巨大人工島だ、歩きでは広すぎる。

そのためハシラジマには地下鉄やモノレールが整備されている、一応道路はあるが前者を使った方が早い、加えてハシラジマの電力は全てエターナルサイクラーで賄われている、つまり環境的にもそちらの方が良いのだ。

 

 

 

 

 

 

 

十数分後…

 

ハシラジマ海上技術研究所 第1研究室

 

ハンス「待っておったぞ少佐! 簪君!」

 

エーレン達が研究室に着くとハンスが出迎える。

 

エーレン「お待たせしましたドクトル、簪さんも連れてきましたよ」

 

ハンス「ふむ、では早速。 簪君、こっちに来てくれるかね? 」

 

簪は頷いたあと、ハンスに続く。

エーレンは研究員達に挨拶してから2人のあとを追う。

 

 

 

 

 

 

第1研究室 機体格納庫

 

格納庫の扉前で2人に追いついたエーレンはその2人と共に格納庫に入る。

格納庫には様々な機材が運び込まれており、何人もの研究員がモニターを見ながら作業を進めていた。

そして奥に鎮座するひとつの機体。

 

簪「これが…」

 

ハンス「ああ、我がハシラジマとドイツ第三帝国海軍が誇る技術の結晶だ、恐らくスペックのみなら日本…、いや世界最強だろうな」

 

エーレン「何てものを造っているんですか…」

 

エーレンは研究員から渡された簪のIS、打鉄極式のデータを見ながらそう言った。

何故エーレンがこう言ったのかと言うと、各種スペックが大幅に強化され、もはや先進国の第三世代を完全に踏襲する性能が極式は持っていた。

 

ハンス「何、少佐から送られたマルチロックオンシステムが一個大隊を同時に相手に出来るものだったからな、機体の方もそれに対応出来るようにしたのだ」

 

エーレンはハンスから話を聞いたあと、振り返ると研究員全員がサムズアップをしていた。

 

エーレン「つまり僕が原因というわけですか… まあ、それは良いとしていきなりそんな機体を簪さんが動かせるのですか? 」

 

ハンス「その辺は問題ない、まあ見ていると良い。 簪君、始めようか」

 

簪さん「はい!」

 

そう言って簪は極式に乗り、ハンスは自分のモニターの前に行き、キーボードを操作する。

それに伴い、ほかの研究員達も行動を開始する。

 

 

 

 

 

 

十数分後…

 

エーレン「そう言えばドクトル、よく極式の計画を連中からかっさらえましたね」

 

エーレンは作業をしながらハンスにそう言う。

 

ハンス「ああその事なんだがな、先日倉持技研から何人か来ていてな…」

 

 

 

 

 

 

 

数日前…

 

ハンス「ふむ、完成だな」

 

ハンスは極式の荷電粒子砲 春雷を完成させ、他のパーツに取り掛かろうとするが…

 

『ハンス・シューゲル第1研究室長、直ちに第3応接室まで起こし下さい。 繰り返します、ハンス・シューゲル第1研究室長、直ちに第3応接室まで起こし下さい』

 

エントランスホールからと思われるアナウンスによって妨害される。

 

ハンス「やれやれ、誰だこの忙しい時に…」

 

ハンスは愚痴りながらも部下に研究室を任せ、第3応接室に向かう。

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

ハンス「いや失礼、お待たせしてしまいましたな」

 

ハンスが応接室に着くと、数名の人物が座っていた。

 

ハンス「(なんだ倉持の連中か、適当にいなすとしよう)お互い忙しい身でしょう、ご要件をお伺いしましょう」

 

倉持重役1「ええ、我々の要求は打鉄弍式の返却です」

 

倉持重役2「今はこの研究所が保有していると聞いてね」

 

倉持重役3「搭乗者の意志らしいがコアは我々のものだ」

 

あくまで打鉄弍式は倉持のものだと主張する重役達。

それに対するハンスはと言うと…

 

ハンス「君達はIS保有のシステムを知らないのかね? ISはコアを含めて、全て国によって配布される、それがここハシラジマにあると言うことはそのコアはハシラジマのものだと認められた、ということだ。

だとすれば諸君らが行くべきなのはここではなく防衛省などではないのかね? 」

 

そう言って出されていたコーヒーを飲むハンス。

そして…

 

ハンス「それとももう行ったが断られたため、それを知らないだろうここに直談判に来た、という訳かね? 」

 

ハンスにそう言われた重役達は図星だったのか若干顔を引き攣らせる。

 

倉持重役1「で、では共同では? 共同開発ではどうでしょう? 」

 

ハンス「……呆れた、ここまで現実が見えていないとは…」

 

倉持重役2「どういう事だ!? 」

 

流石に一流企業、プライドが高いのかハンスが言っていることを理解しなければしようともしていない。

 

ハンス「お宅らと共同開発したところで機体の完成度が下がるだけだ、我々は企業では無いから一概には言えないが少なくとも技術部門においては質も誇りもそちらよりも遥かに高いレベルを保持している。

我々にはお宅らと組んだところでデメリットしか無いのだよ」

 

ハンスは淡々とそう言ってから再びコーヒーを飲む。

 

倉持重役3「あ、あれは我々の本気ではない! それに我々には第二世代シェアトップだ、メリットはいくらでも…!」

 

重役達はまだ食い下がらなかった、そしてまだ何か言おうとしたが…

 

ハンス「じゃあ本気を出してからまた来てくれたまえ、過去の栄光に縋る三流企業。 弍式…、いや極式は返還しない、力ずくで取り返したいのなら令状でも持って来るんだな」

 

そう言ってもういくら会談をしても無駄と判断したハンスは一方的に会談を打ち切り、応接室を後にした。

 

 

 

 

 

 

ハンス「こんな感じだったな」

 

一通り話し終わると、作業のほとんどが終了していた。

 

エーレン「予想よりゴミですね、連中」

 

エーレンもあんまりよく思わなかったのか、率直な感想を述べる。

 

ハンス「ああ、恐らく金のために技術者になった奴らだろうな。 誇りというものが全く感じられん、よくあれで一流企業を名乗れるな」

 

ハンスは作業終了と共に呆れながらそう言う。

すると2人のそばに極式から降りてきた簪が現れる。

 

簪「エーレン、シューゲルさん、ようやく完成です、ありがとうございます!」

 

そう言って深くお辞儀をする簪。

 

ハンス「なに、こちらもISをいじれたからな、お互い様だ。 そうだ簪君、その機体で練習したいだろう、ここの練習場を使うと良い。 おい誰か案内して差し上げろ」

 

そう言う簪は1人の研究員と研究室を後にし、エーレンはハンスと共に研究室のさらに奥へ入って行く。

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

ハシラジマ海上技術研究所 レベル5実験室

 

ハンスとエーレンはハシラジマでも最高機密の研究を行うレベル5実験室まで来ていた、簪を練習場に行かせたのはこのためである。

 

エーレン「ドクトル、何があるんです? レベル5はまだ使われていないと聞かされていたのですが」

 

エーレンは作業中にここに来るように言われたため、簪について行かずハンスとここに来ていた。

 

ハンス「済まない少佐、だが通信では周りに聞かれる可能性があるのでな…」

 

そう言いながら部屋のセキリュティを外していくハンス、直接最後の電子ロックが解除され、中に入る2人。

 

ハンス「少佐に見せたかったのはこれだ」

 

ハンスが部屋の照明を付けると部屋の奥には幾つもの硬質ガラスに囲まれた機体が鎮座していた。

紫色をベースに装甲のところどころに紫色の発光するラインが入り、さらに目のような模様がある、この世のものとは思えないほど禍々しいオーラを纏うISがそこにはあった。

 

エーレン「ドクトル、これは…」

 

ハンス「篠ノ之研究員から話は聞いているだろう。この研究所の衛星が北極の当たりで超兵器ノイズを感知してな、何人か引き連れて調査に行ったのだ。 そしてその発信源がこれだ」

 

エーレン「なっ!? ではこれは超兵器!? 」

 

ハンス「その通りだ少佐、これは超兵器、それも祖国の

ヴォルケンクラッツァー級と同等もしくはそれ以上の出力を誇る、

あくまで計算上だがな…、そしてこれは超兵器だが枢軸はもちろん連合の超兵器でもない、それどころか…」

 

エーレン「我々が保有するいかなる造船技術とも通じない艦、という訳ですね…」

 

エーレンはドイツ海軍無敵の象徴 超巨大戦艦ヴォルケンクラッツァーより強力な超兵器を前にして、思考が混乱し、辛うじてハンスの言葉に反応する。

 

ハンス「それで少佐、どうする? 私達が拾った時には内部で核爆発でも起こったみたくバラバラだった、一応ここまで形にしたが…」

 

恐らく研究を継続するのか否かを聞いていると思ったエーレンは…

 

エーレン「続けましょう、ハンス・シューゲル第1研究室長、

この超兵器、開発及び研究コード ARC-Z-690

コードネーム マキナ・インコグニタの主任研究員を任せます」

 

ハンス「了解した」

 

そう言って研究室を後にする2人。

そして簪と合流し、ハシラジマを後にした。

 

 

 

 

 

 

翌週の休み明けの放課後…

 

IS学園 寮へと続く通路

 

エーレンはいつもの練習に簪を加えて行った。

そしていつものようにエーレンがアリーナの手続きを済ませ、寮へと向っていた。

 

エーレン「(あの超兵器…、少なくとも我々の世界には存在しなかった…、そもそもIS化してあっただけであの威容、何なんだ… 我々と同じく転移して来たものなのか? しかし北極なんて戦場にすらならなかった… 一体なんなんだあれは…)」

 

エーレンが歩きながら先日の事を考えていると…

 

???「何故なんですか!」

 

突如海岸の方から声が聞こえた。

 

エーレン「あれは織斑先生に… たしかラウラ・ボーデヴィッヒさんでしたか、どうしたのでしょう? 」

 

エーレンは気にはなったがエミリア達が待っているためそこを通り過ぎた。

 

千冬「何度も言ったはずだ、私の今の仕事はここの教師だ」

 

ラウラ「ここではあなたの能力は半減します!ここの生徒はISをファッションかなにかと勘違いしています! それよりももう一度我がドイツでご指導を!」

 

千冬「自惚れるなよ小娘? たった16でもう選ばれたつもりか? 」

 

ラウラは必死に千冬を説得しようとするが千冬も自分を曲げるつもりはないらしい。

 

千冬「お前は1度ヴァルトフォーゲル兄と戦ってみろ」

 

ラウラ「エーレンフリート・ヴァルトフォーゲルですか? 何故?」

 

千冬「奴は強い、実力的な意味では中の上あたりだがな。 奴はそれを自分の技術力で戦術で情報戦で補っている。 もし奴もISをファッションかなにかと勘違いしていると思うのなら、奴に勝ってみろ。 話はそれだけだ」

 

そう言って立ち去る千冬。

残されたラウラも何かを決めたように走って行った。

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後…

 

IS学園 アリーナ

 

エーレンはいつも通り、エミリア ギュエール セシリア 鈴 そして新たに加わったシャルルと簪と共に練習をしていた。

ちなみにアリーナの都合上、一夏達もここにいるが全員が総スルーである。

そこに…

 

ラウラ「織斑一夏! 私と戦え!」

 

一夏「断る、戦う理由がねぇよ」

 

ラウラがISを纏って一夏に勝負を仕掛けるが一夏はそれを断ったため、ラウラは自身のISシュヴァルツェア・レーゲンの88mmレール砲を一夏に向けて放つ。

しかし…

 

シャルル「ずいぶん沸点が低いんだね」

 

シャルルがIS ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡのシールドで砲弾を防ぐ。

 

ラウラ「ふん、フランスのロートル機でこの機体に挑むか!」

 

シャルル「まだ実験段階の機体よりは動けるだろうさ」

 

そう言ってニヤリと笑うシャルル。

一触即発の空気の中…

 

エーレン「お二人共一旦落ち着きましょうよ」

 

エーレンが仲介に入る、一応当たり障りのないようにしたつもりだった。

 

ラウラ「エーレンフリート・ヴァルトフォーゲルだな! ちょうど良い、私と戦え!」

 

目標を一夏からエーレンに変更したラウラはエーレンにそう言う? 」

 

エーレン「はい!? 僕とですか!? 理由が分かりません…」

 

流石のエーレンも訳が分からないようだ。

 

ラウラ「どうした? お前も逃げるのか? 織斑一夏のように」

 

エーレン「! ……良いでしょう、そのかわり他の皆さんには危害を加えないと約束出来ますか? 」

 

ラウラ「良いだろう」

 

エーレンはそれだけ聞くといつものように白衣を着て、ヴァイスを展開する。

そしてラウラ以外の人間が退避を終えたのを確認すると…

 

エーレン「行きます!」

 

エーレン対ラウラの試合はエーレンの先攻で始まった。

エーレンは牽制目的で両肩に搭載されたスティンガーミサイルを数発放つ。

しかしラウラは回避しようともしなければその場から動こうともせず…

 

ラウラ「そんなもの無駄だ!」

 

右手を突き出すと力場が発生し、その力場に突っ込んだミサイルが軒並み運動を停止する。

そして止まった所をレール砲で撃ち抜かれる。

 

エーレン「それがAICですか…」

 

エーレンも情報が無かった訳ではない。

AIC アクティブ・イナーシャル・キャンセラーはありとあらゆるものの運動を停止させることが出来る事を事前に知っておいての行動だ。

では何がしたかったのか、それはAICの弱点を証明するために行ったのだ、そしてその情報を元に…

 

エーレン「最大戦速!」

 

エーレンは右手にレギオンランス、左手にヴァイスガトリングを持って突撃、ヴァイスガトリングを発射しAICを誘発させる。

だがここでエーレンに誤算が生じる。

ヴァイスガトリングの弾丸消費が予想より早く、エーレンの突撃をラウラに対応させてしまったのだ。

そしてAICにエーレン自身も捕まるが…

 

エーレン「終わりですね」

 

エーレンはラウラにズィーガーマグナムを突きつけながらそう言う。

実はエーレン、シャルルから高速切替(ラピッドスイッチ)を教わっていたのだ。

 

ラウラ「馬鹿な…」

 

エーレン「一斉射撃!」

 

エーレンはズィーガーマグナムのトリガーと連動させて、展開していたセイライを一斉に発射しラウラを沈める。

 

『シュヴァルツェア・レーゲン、SE(シールドエネルギー)0、勝者エーレンフリート・ヴァルトフォーゲル』

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間…

 

エーレンはあのあと来た千冬にラウラを任せ、エーレン自身はアリーナの手続きをして帰って来ていた。

 

エーレン「つ、疲れた」

 

エミリア「あれ? お兄ちゃんもう寝るの? 」

 

風呂に入った後、今日の戦闘やマキナ・インコグニタのことなどで、頭も体も疲労困憊のエーレンは早めに寝ることにした。

 

エーレン「うん、今日は先に寝るよ、おやすみ」

 

エーレンはそう言うとすぐに寝てしまった。

 

 

 

 




今回はここまでです。

簪の機体、打鉄極式に関してはそのうち紹介します。

次回はいよいよクラスマッチ、はたして無事に終われるのか!?

次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦
第11話 狂気の剣閃

※ 活動報告に第7話初登場のオリキャラ 三笠結衣に関するアンケートがあります。
このあとも出番はあるので出来ればお答え頂きたく思います。

誤字や脱字、アドバイス、質問、おかしな表現などがありましたら教えてください、お待ちしております。


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第11話 狂気の剣閃

お久しぶりです皆様、大極光です。

今回は予告通りタッグマッチです。






翌日…

 

午後06:30

 

IS学園食堂

 

トレーニングを終えたあと、エーレンはいつメンと食事を摂っていた。

まもなくクラストーナメントなのでエーレン以外も気合いが入っているようだった。

そこに…

 

ドドドド…

 

エーレン「うん? なんですこの揺れは? 」

 

エーレン達は奇妙な揺れを感じていた、そしてそれが徐々に近づいているのも、しかしその正体はすぐに判明した。

 

「「「織斑君!」」」

 

「「「デュノア君!」」」

 

「「「エーレン君!」」」

 

「「「私のパートナーになってください!!!」」」

 

エーレン達はその揺れの正体、生徒の群れに完全に包囲されたかと思うといきなり、何かの書類を見せられた。

 

エーレン「えーとなになに、『今回のクラストーナメントはより実戦に近い形にするため、タッグでの開催とする』…ふむふむ、つまり個人戦ではないと… ならばシャルルさん、どうです? パートn…」

 

一夏「あ、いたいた。 おーいシャルルー!」

 

シャルル「イチカどうしたの? 」

 

一夏「なあシャルル、俺と組んでくれないか」

 

シャルル「うんいいよ」

 

エーレンがシャルルを誘おうとした瞬間、一夏がシャルルの元にやって来て、そのままパートナーになってしまった。

 

「まあ、男同士なら仕方ないね。 という事でエーレン君! 私と組もう? 」

 

エーレン「えーと、ほかの皆さんは…」

 

エーレンは周りを見ると…

 

エミリア「よろしくね、ギュエールお姉ちゃん!」

 

ギュエール「はい、こちらこそ」

 

一番相手にしたくたい最凶タッグが出来ていたり…

 

簪「本音、優勝するよ」

 

本音「おっけー」

 

連携抜群であろう幼馴染タッグが出来ていたり…

 

セシリア「鈴さん、あの時の雪辱を果たしますわよ!」

 

鈴「ええ、汚名返上しましょう!」

 

バランスの良い強固なタッグが出来ていたりとエーレンのタッグ相手がいなくなってしまったのだ。

ちなみに皆、口に出してはいないがシャルル含め目的は打倒エーレンであった。

というのも最近、エーレンの唯一の弱点であった実力不足が解消されつつあり、模擬戦で急激にエーレン以外の勝率が伸び悩んでいたからである。

まさに四面楚歌。

 

エーレン「………(33-4)」

 

「エーレン君、誰と組むの?」

 

周りの1人にそう言われ…

 

エーレン「そうですね… 知り合いが壊滅状態ですので当日発表の抽選に委ねます」

 

エーレンは 今ここで選んでもねぇ と思い、当日発表のくじ引きに頼る事にした。

そう言うと くじ引きなら公平ね と言って全員が撤収していった。

 

エーレンはその後、どんな相手がパートナーになっても良いようにトーナメントの日までトレーニングしながら、ありとあらゆる戦術を練っては消しの繰り返しだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後…

 

タッグトーナメント当日

 

エーレンはパートナーを確認するためにトーナメント表がある所まで来ていた。

 

ギュエール「艦長、エミリアちゃん、おはようございます」

 

エーレン「ええ、おはようございます」

 

エミリア「おはよう!」

 

ギュエールが先に来ていた、何でもいつメンの位置を調べておいてくれたらしい。

 

ただギュエールはエーレンの位置については言葉を濁し、トーナメント表のある1点を指さした。

そこには…

 

織斑一夏

シャルル・デュノア

VS

ラウラ・ボーデヴィッヒ

エーレンフリート・ヴァルトフォーゲル

 

そう書かれてあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後…

 

アリーナ ピット内

 

エーレンが自分のピットに来るとすでにラウラの姿があった。

 

ラウラ「遅いぞ!」

 

エーレン「すみません、お早いですね」

 

エーレンはISスーツ代わりの白衣(本人は装甲白衣と命名)を着ながら返事をする。

 

ラウラ「まあいい、織斑一夏の相手は私だ、お前はデュノアの相手でもしていろ」

 

エーレン「ええ、もとよりそのつもりです。 …念のため聞いておきますが援護射撃は?」

 

ラウラ「必要ない、余計なことはするな」

 

エーレン「分かりました」

 

そうこうしているうちに試合開始の時間となったため、それぞれISを展開してアリーナ内に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十秒後…

 

反対側のピットから1回戦の対戦相手、一夏とシャルルが出てきた。

 

一夏「まさか最初の相手がお前らとはな」

 

ラウラ「ああ、待つ手間が省けた」

 

対面するやいなや一触即発状態になる2人。

 

シャルル「イチカ落ち着いて、そんなんじゃ勝てる戦いも勝てないよ」

 

一夏「あ、ああ、そうだなシャルル、じゃあ作戦どおりに」

 

シャルル「おーけー」

 

そう言っていると試合開始の合図がなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャルル対エーレンside

 

エーレン「ほらほらどうしました? そんなのでは効きませんよ? 」

 

エーレンが挑発を含めた言葉をシャルルに投げかける。

気のせいかも知れないがエーレンの笑顔もいつもよりかなり邪悪に見える。

 

シャルル「ははは… ならそのバリア解除してよ…」

 

シャルルは半ば諦めたかのような苦笑いを浮かべる。

かれこれ10分くらいエーレンに攻撃している。

それでもアサルトライフルやショットガンを駆使し、攻撃の手は緩めない。

しかし、その攻撃はヴァイスの装甲から発生しているクラインフィールドにあっさり弾かれる。

戦況はどう見てもエーレン達が優勢であった。

 

もちろんこうなったのには訳がある。

それはシャルルの作戦が上手く作用しなかったからである。

シャルルは自分と相手の長所短所をきちんと理解していた、自分の武器ではヴァイスに効果的なダメージを与えられないことももちろん分かっていた。

何故かというと相手の長所である第三世代兵装、すなわちヴァイスの強制波動装甲とレーゲンのAICのためである。

どちらとも防御タイプではあるがエーレンのは面の防御に対し、ラウラのはある1点の動きを止める点の防御であった。

加えてAICはかなりの集中力を必要とする。

 

これらを踏まえて火力のある一夏にエーレンの相手をして貰い、シャルルがラウラの相手をすると言うのがシャルルの立てた作戦だった。

相手は連携してこないのでこの状況に持ち込むのは簡単だと考えていた。

そして白式の零落白夜がクラインフィールドを突破出来るのは悪い意味で実証済みだ。

そして、シャルルのIS ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡの機動力ならばレーゲンのAICに捕まる可能性も低い。

 

勝てる。

シャルルはそう思っていた。

 

しかしそんなに上手くいかなかった。

相手はまるでこちらの作戦を見抜いていたかのようにラウラが一夏に、エーレンがシャルルに向かった。

さらにエーレンはセイライを展開し、一夏とシャルルを完全に分断した。

これにより、突撃を繰り返す一夏はことごとくレーゲンのAICに止められ、シャルルも有効なダメージを与えられずエーレンと戦っていた。

 

シャルル「(不味いな…、どうにかして一夏と変わって貰わないとこのままじゃ負けちゃうよ…)」

 

シャルルは万策尽きた訳では無い、まだ手はあった。

灰色の鱗殻(グレー・スケール)」、通称盾殺し(シールド・ピアース)と呼ばれるその武器は第二世代最高レベルの火力を誇るシャルルの切り札だ。

これをくらえばヴァイスといえどただでは済まない。

しかし、エーレンに中々近づけない。

というのもエーレンはいつも通り、ヴァイスガトリングで敵の進路を限定させつつ、ズィーガーマグナムでトドメをさすと言った戦術をとっていた。

そのため、近づこうとすればガトリングの餌食になり、離れようとすればビットの包囲網に捕まるという状況に陥っていた。

 

 

一方エーレンはと言うと…

 

エーレン「(そろそろですかね…)」

 

エーレンはフリューゲルから送られてくるシャルルの発射弾数のデータからそろそろ弾切れではないかと考えていた。

というのも、ヴァイスガトリングが弾切れになった時に瞬間加速(イグニッション・ブースト)で急接近され、あのパイルバンカーをくらったらひとたまりもないからだ。

そのため、ヴァイスガトリングの使用を極力控え、ズィーガーマグナムのみで攻撃していた。

 

エーレン「(まあ、状況は優勢ですし、急ぐ必要も無いのですが…。 そろそろ決着を付けますか…)」

 

エーレンはズィーガーマグナムの砲撃の照準をあえて甘めにして、シャルルにわざと弾を撃たせていた。

そして…

 

カシンッ

 

シャルル「あ!」

 

ついにシャルルの兵装の弾が尽きた。

そのスキをエーレンが見逃すはずもなく…

 

エーレン「今です! スティンガーミサイル一斉射撃!」

 

ヴァイスの両肩に搭載されている6発のスティンガーミサイルが一斉にシャルルに襲いかかる。

 

シャルル「うわぁ!? 」

 

弾が尽きたシャルルにミサイルを迎撃出来るはずもなく、一方的に攻撃に晒される。

さらに…

 

シャルル「何これ!? 煙と… 紙? 」

 

エーレン「それはチャフですよ」

 

エーレンの声が上空(・・)から聞こえた。

 

シャルル「!? しまった!」

 

シャルルがエーレンのした事を理解した時にはもう遅かった。

 

エーレン「これで終わりです!」

 

『アタックファンクション 我王砲』

 

直後、ヴァイスの胸部から発射された光線がシャルルのSE(シールドエネルギー)を完全に削り切る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャルル「はぁ〜、負けちゃったか…」

 

シャルルはため息をつきながら、エーレンに運ばれて行く。

 

エーレン「まあ、今回のは作戦勝ちですかね」

 

あの時エーレンはミサイルに細工をしておいたのだ。

というのも、ミサイル全ての弾頭を炸薬にしても、シャルルのSE(シールドエネルギー)を削り切ることが出来ないのはエーレンが一番よく分かっていた

そこでエーレンはミサイル6発中、1発に煙幕、1発にチャフを入れ発射、残りの4発は炸薬のため爆発し、残りの細工ミサイル2発は遅れて着弾、煙とチャフをばら撒き、シャルルの視界を電子の目も含めて塞ぎ、そのスキにエーレンは死角を無くすためにシャルルの上をとり、我王砲でトドメをさしたのであった。

ちなみにエーレンが煙幕の中、外さずにシャルルに命中させたのかと言うと、フリューゲルのサーモグラフィー機能を使い、シャルルの位置を割り出したためである。

 

エーレン「さて、僕はシャルルさんをピットに送り届けたら、あのバカがボコボコにされて行く様子を高みの見物と行きましょうかね」

 

そう、ラウラが一夏の相手をするのを二つ返事で了承したのは誰でも良いから一夏をフルボッコにして欲しかったからである。

理由はもちろんクラス代表戦のことである。

この男、割と陰湿なのかも知れない。

 

シャルル「ははは…、ほんとイチカの事が嫌いなんだね」

 

エーレン「ええ。まあ、万が一にも負けることはn…」

 

無いでしょう そう言おうとしたが言えなかった、何故かというと…

 

ラウラ「がぁああああああ!!!」

 

突然ラウラの悲鳴が聞こえたからである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前…

 

一夏対ラウラside

 

一夏「うおおおおおお!!」

 

一夏は何度目か分からない突進をする。

しかし、一夏の攻撃が当たる前にラウラのAICに捕まり、搭載されたレール砲やワイヤーブレードの攻撃に晒され、蹴りで吹き飛ばされる。

もはやテンプレと化していた。

 

ラウラ「ふん、この程度か。 やはり教官にはお前のような人間では無く私の方がふさわしい」

 

一夏「違う! 千冬姉はお前のものなんかじゃない!」

 

そう言うと一夏は今度は突きを放つように突進する。

 

ラウラ「もうその手は見飽きたぞ!」

 

ラウラは右手を突き出し、再び一夏の動きを止める。

だが…

 

一夏「まだだ! 零落白夜!」

 

一夏は止められた状態から零落白夜を発動、突きの構えでいたため、ビーム状の刃はAICを貫き、レーゲンの右肩に突き刺さり、レーゲンのSE(シールドエネルギー)を残らず消し去る。

 

ラウラ「ば、ばかな…」

 

ラウラ「(このまま負けるのか…? 嫌だ嫌だ嫌だ!)」

 

《チカラガホシイカ?》

 

ラウラ「(ああ! よこせ!)」

 

《……イイダロウ》

 

『VTシステム 起動』

 

ラウラ「がぁああああああ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナ 管制室

 

千冬「あれは… まさか!? 山田先生、すぐに全員に避難指示を!」

 

真耶「は、はい!」

 

直後管制室からアリーナ内の全員に避難指示が発令された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナ内

 

アリーナ内にラウラの悲鳴が鳴り響いた後、レーゲンから石油のような黒いものが出てきて、レーゲンとは別の形を作り上げる。

その姿はエーレン含め、IS関係者ならば誰もが知っているだろうものだった。

エーレン「あれは… 暮桜!? ということはあれはVTシステムなのか!? 」

 

VTシステム 正式名称ヴァルキリートレースシステム。

過去のIS世界大会 モントグロッソでの著名な選手の動きを模倣するシステムのことである。

しかし搭乗者の身体への負担を考慮しておらず、使用すれば命に関わるシステムという事で、今では開発・研究・生産・保有の全てが国際条約で禁止されている代物だった。

 

エーレン「(僕の仮説が正しいのならボーデヴィッヒさんの命が危ない、早急に何とかせねば…)」

 

一夏「てぇぇぇめぇぇぇ!! 千冬姉の真似なんかしやがってぇぇぇ!」

 

一夏が暮桜に突っ込むがあっさり躱され、それだけではなくカウンターをもらい、SE(シールドエネルギー)が0になる。

エーレン「あのバカは!」

 

エーレンは一夏を拾い、そのままピットに戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピット内

 

エーレンは一夏をシャルルに任せ、自分は再びアリーナに出ようとするが…

 

一夏「待てよエーレン! あれは俺が倒すんだ!」

 

エーレン「はい? 僕でも勝てるか分からない相手を君が? 申し訳ないが君の笑えない冗談に付き合っている暇はないので失礼するよ。 シャルルさんお願いします」

 

シャルル「分かったよ、気をつけてね」

 

エーレン「もちろんです」

 

そういい、エーレンは管制室に連絡を繋ぎつつ、アリーナ内に戻る。

一夏がまだ何か言っていたが状況が状況なので無視しておいた。

 

エーレン『管制室、応答願います』

 

千冬『ヴァルトフォーゲル兄、何をしている! 早く避難しろ!》

 

通信が繋がるとすぐに千冬の怒鳴り声が聞こえる。

 

エーレン『しかし、僕がやらねばボーデヴィッヒさんの命に関わりますよ!? 先生も気づいているのではありませんか? あれがVTシステムだということを 』

 

エーレンも引き下がる気は無かった。

 

千冬『……ああそうだ、だから避難指示を出した、教員部隊も今大急ぎで用意してはいるが、いつまでかかるか正直分からん』

 

エーレン『でしたら私が行きます、許可してください! ボーデヴィッヒさんが死んでは元も子もないですよ!? 』

 

千冬『……分かった、許可しよう、毎度毎度すまないな…』

 

エーレン『いえ、問題ありません。 そこで吉報をお待ちください』

 

エーレンは通信を切るとズィーガーマグナムを発射する。

しかし…

 

エーレン「なっ!? 」

 

エーレンが叩き出せる最高レベルの正確さで放った一撃は無茶苦茶なスピードで躱され、さらにエーレンに急接近し、横一線に切り払われる。

 

エーレン「ぐは…」

 

エーレン自身はクラインフィールドを展開していたので壁に吹き飛ばされてもダメージはそこまでないが構えていたズィーガーマグナムは真っ二つに割られ、使い物にならなくなっていた。

 

エーレン「ここまでとは… ですが!」

 

エーレンはズィーガーマグナムの代わりにレギオンセイバーを取り出し、ヴァイスガトリングで弾幕を張りつつ急接近し、弾切れになったヴァイスガトリングを囮に使い敵の刀を誘導し、そのまま敵を切る。

しかし…

 

エーレン「ばかな…、速すぎる…」

 

ヴァイスガトリングを囮に使ったにも関わらず、暮桜はレギオンセイバーの刃をその刀で受け止めていたのだ。

 

エーレン「不味い!」

 

エーレンはスピードを強化するため、クラインフィールドに割くエネルギーを全て推力に回していたため、エーレンは現在無防備であった。

それを敵が見逃すはずもなく、再び吹き飛ばされるエーレン。

 

エーレン「(ここまでとは… 不味いな、ミサイルは残弾0、ビットはおそらく通用しない、射撃も近接も勝ち目なし、万策尽きたかな…)」

 

エーレンが初めて勝てないかも知れないと思った瞬間…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???『ふーん、じゃあ諦めるの? 』

 

突然、エーレンの脳内に別の人間の声が響く。

 

エーレン「誰です!? 」

 

???『うーん、まだ言えないかな? そんなことより良いの? そんなに簡単に諦めて』

 

エーレンは気がつくと船の甲板のような所に立っていた。

しかし、周囲は霧がかかり、何も見えない状態だった。

だがエーレンはそんなこと気にせずに見えない声と話をする。

 

エーレン「諦めるも何ももう打つ手がありません…、遠距離武器はあるにはありますがおそらく通用しませんし、近距離では歯が立ちません…」

 

???『いいえ、まだ手はあるわよ。 自分の能力を信じてみて。じゃあまたね、エーレン』

 

そう言われた後、エーレンは再び現実に戻される。

 

エーレン「自分の能力を信じて、ですか… ふっ、確かに武器が無くなった訳ではない、やるだけやってやる!」

 

その瞬間、エーレンの中で何かが切り替わった。

 

エーレンはレギオンランスでは取り回しが悪いのでレギオンセイバーを両手に持ち、敵に攻撃を仕掛ける。

当然の如く敵も応戦して来るが…

 

エーレン「(何です? 敵の動きが遅く… いや、敵だけではなく周りの景色まで遅く… これがさっき聞いた能力? )」

 

エーレンは不思議に思いつつも敵に斬撃を食らわせる。

敵も攻撃してくるがスピードがかなり下がった攻撃をエーレンは軽々と躱して行く。

さっきの状況が嘘のようだった。

そして…

 

エーレン「これで終わりです!」

 

エーレンは左手のレギオンセイバーで敵の刀を地面に突き刺し、もう片方のレギオンセイバーで敵の胴体を縦に切り開く。

すると中からラウラが出てきて、エーレンはレギオンセイバーを離し、ラウラを受け止める。

 

エーレン「良かった、本当に…」

 

エーレンはラウラが生きている事と敵が完全に沈黙したのを確認すると、急に疲労が全身を襲い、意識を手放した。

 

 

 




今回のはここまでです。

やはり戦闘描写難しいですね…
次回は事後処理から始まります。

次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦
第12話 ヴァルトフォーゲル家+αのお買い物

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第12話 ヴァルトフォーゲル家+αのお買い物

こんにちは皆様、大極光です。

(今回は海へ向けての)準備だ、次の海のために、次の次の海のために。

う〜ん、今回いつも以上に駄文な希ガス。


IS学園 保健室

 

エーレン「う…ん…、此処は…」

 

エーレンは目を覚ますと見覚えのある場所に寝かされていた。

 

エーレン「……」

 

エーレンは何が起こったのかを思い出し、あの時の声について考えていた。

 

エーレン「似ていましたね…」

 

脳裏に浮かぶのは数年前の記憶、エーレンが研修として日本に行った時のもの。

そしてそこで出会った白い髪の少女のものに酷似していた。

 

エーレン「まだ認められないのですね…」

 

しばらく忘れていた、いや忘れるように仕事に没頭したのだ。

だがあの声でまた思いだしてしまった。

そしてまた会いたいと、声を聞きたいと、あの笑顔が見たいと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それらが叶わぬ事だと知りながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

???「お兄ちゃん…? お兄ちゃぁぁぁぁぁん!!」

 

エーレンが上半身だけ起きて感傷に浸っているとエーレンに叫びながら飛び付いてくる影があった。

 

エミリア「もう…心配したんだから…」

 

飛び付いてきた人影、エミリアは少し泣きながらエーレンにそう言った。

 

エーレン「心配してくれたんだね、ありがとう」

 

エーレンは自身の胸に顔をうずめているエミリアの頭を撫でながら言う。

 

結衣「あらあら、相変わらず仲が良いわね」

 

部屋の扉の方から結衣が苦笑しながら入ってくる。

 

結衣「どうかな? 身体の具合は? 」

 

エーレン「問題ありません」

 

エーレンは軽く体を動かしてそう言う。

 

結衣「そう、なら…」

 

結衣が何か言おうとしたその時、病室の扉が開かれる。

 

「「「エーレン!大丈夫!? 」」」

 

エーレン「皆さん。ええ大丈夫です、ご心配をお掛けしました」

 

病室に来たのはいつメンと千冬だった。

皆エーレンの意識が戻った事を聞いて急いでやってきたのだ。

 

千冬「すまないなヴァルトフォーゲル兄、休ませてやりたいのは山々なんだが今回の事例は特殊すぎる、だから話を聞かせてくれ」

 

エーレン「分かりました」

 

千冬「ありがとう、ではアリーナで起こったことを報告してくれ」

 

エーレンは頷いてから話を始める。

 

エーレン「と言われましても暴走したボーデヴィッヒさんを止めただけです、被害は僕の武装の一部とボーデヴィッヒさんのISくらいですね」

 

千冬「そうか、では次だ。 お前はあれをどう思う? 」

 

あれとはおそらくVTシステムのことだろう エーレンはそう思っていた。

 

エーレン「おそらくVTシステムかと。 模倣元はおそらく織斑先生でしょう」

 

千冬「分かった、では最後だ。 お前のあの動きは何だ? 明らかにいつもの動きでは無かったぞ? 」

 

エーレン「それに関しては分かりかねます、何せ自分でもどういった類のものかという事ですら分かっていないのです」

 

千冬「そうか…、分かったご苦労、引き続き休養してくれ」

 

ギュエール「あの艦長、もしかして周りの景色がスローモーションに見えたりしませんでしたか? 」

 

千冬が返事をし、ギュエールは何かの仮説を立てたのかエーレンにそう質問する。

 

エーレン「ええ、そうです」

 

ギュエール「やはりそうですか…」

 

ギュエールが納得したように言う。

 

千冬「サザンクロス、何か思い当たる事があるのか? 」

 

ギュエール「ええ、艦長の能力はおそらくオーバーロードと呼ばれるものだと推察されます。 オーバーロードは行使した人間は自分以外の全ての景色がスローモーションに見える反面、脳に過負荷をかけるため使用後はこうして意識が無くなるという事も起こります」

 

そう言いつつギュエールは制服のポケットから何かを取り出してエーレンに差し出す、それは購買などで売られている市販のチョコレートだった。

 

ギュエール「対処法として、糖分を多くとると良いと言われています。 ですのでこれからは常に甘い物を持ち歩くことをおすすめします」

 

ギュエールは貰ったチョコレートを食べながら頷く。

 

千冬「またそちらの世界のものか… つくづく驚かされるな…」

 

千冬は仕事が増えると言いたそうな顔をして、結衣にあとは頼む といってから報告書作成のためギュエールの知識が必要なのかギュエールを連れて部屋を出て行く。

 

結衣「さて、ヴァルトフォーゲル君の今後だけど、外傷はそこまでよ、たださっきまで気絶していたのだから大事をとって明日まで入院すること、幸い明日は今日の事後処理で休みだしね。 OK? 」

 

エーレン「はい、分かりました」

 

エミリア「あの三笠先生、私ここに泊まっていいですか? 」

 

するとエーレンに顔をうずめていたエミリアが結衣にそう言う。

 

結衣「ごめんねヴァルトフォーゲルさん、お兄さんもあなたが倒れた時に同じこと言ったけど消灯時間には部屋に居なきゃだから」

 

エミリア「………はい」

 

エミリアは渋々了承する。

 

結衣「大丈夫よ。 心配なのは分かるけどあなたのお兄さんそこそこタフだからね」

 

エミリア「そっか…、そうだよね!」

 

エミリアようやく納得。

その後はお見舞いに来てくれたいつメンと騒いでいた。

とはいってもエーレンが皆に無茶しやがって・・・ と説教されていただけだった。

 

そこに…

 

真耶「失礼します」

 

ノックのあと、真耶が病室に入ってきた。

 

真耶「ヴァルトフォーゲルくん、身体は大丈夫ですか? 」

 

エーレン「ええ、日常生活には支障はありません。 ご心配お掛けしました、山田先生」

 

真耶「どういたしまして。 そうそう今日はヴァルトフォーゲルくんとデュノアくんに良いお知らせがありますよ」

 

シャルル「良いお知らせですか? 」

 

エーレンとシャルルが首を傾げる。

 

真耶「はい! なんと男子の大浴場が解禁されます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後…

 

IS学園 大浴場

 

本来なら男子の大浴場などありはしない。

しかし、今日はボイラーの点検があり、女子も入浴は出来ないのだ。

だが点検が予定より早く終わり、せっかくだから今日は男子を入れてやろう、という事で男子に使用許可が下り、エーレンは久しぶりに湯船に使っているのだ。

 

エーレン「久しぶりですね、こんなに長風呂するのも」

 

いつもは部屋のシャワーだけなのですぐに終わるのだが、今日限りということなのでかれこれ20分は同じ位置にいた。

そこに…

 

エーレン「通信か…」

 

この約20分間、何をしていたかというと仕事である。

耐水性の端末を持ち込み、空間投射ウィンドウを展開し、損害報告等を纏めていたのである。

そしてその通信に諜報部隊からと思われる通信が入った。

当然通信に出るエーレン。

 

エーレン『僕です』

 

諜報部員『夜分に失礼致します、例の案件の情報収集が完了しました、いかが致しましょうか? 』

 

エーレン『お疲れ様でした、手筈通り世界中のマスコミに匿名でリークしてください、それと今回の調査に従事した方には1週間の休暇を差し上げます』

 

諜報部員『了解しました、ではそのように』

 

そう言って通信が切れる。

 

エーレン「これで終わりですね」

 

エーレンが安堵の声を漏らすが…

 

???「エーレン、何してるの? 」

 

エーレン「うわぁ!? 」

 

バシャーン!

 

エーレン「ぷはぁ」

 

エーレンは突然背後から声をかけられ、驚きのあまり浴槽にダイブしてしまったのだ。

そして急速浮上し、声がした方を振り向くと…

 

シャルル「だ、大丈夫!? エーレン」

 

声の正体はシャルルだった。

 

エーレン「なんだシャルルさんですか、驚かさないでくだs…、ってシャルルさん!? なぜ自然に入って来ているんです!? 」

 

そう言いつつ、腰にタオルを巻き、持ち物を確認して大浴場から出ようとするエーレン。

 

シャルル「ま、待って…」

 

しかしシャルルに手を捕まる。

 

シャルル「一緒じゃダメかな…? 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャルル「ねぇエーレン、さっきから静かだね? 大丈夫? 」

 

結局エーレンが折れて一緒に入ることになったのたが…

 

エーレン「(あなたが原因ですよ! 落ち着けエーレンフリート、円周率を数えるのです、えーと3.141592653589…)」

 

エーレン絶賛パニック中であった。

女性と風呂など母親と妹以外と入ったことの無いエーレンにとって同年代の女子というのは刺激が強すぎるのだ。

ちなみに2人は背中合わせで入浴中である。

 

エーレン「ええ、大丈夫です。 そうそう、さっき諜報部から連絡がありました。 おそらく明日には世界中大騒ぎですよ」

 

そう言ってエーレンはウィンドウをシャルルに見せる。

 

シャルル「……ついに終わるんだね……」

 

エーレン「ええ、終わりです。まあ、始まりでもありますがね」

 

エーレンはやっと落ち着きを取り戻したのか、シャルルにそう返す。

 

シャルル「ねえ、エーレン。 ずっと聞こうと思っていたんだけれどどうして僕を助けてくれたの? 」

 

エーレン「!? 」

 

それを聞かれて一瞬戸惑った、理由などありそうでなかったのである。

いや、そもそもその人を助けるという事を無意識にやっていた節がある。

 

エーレン「とある人にいわれたのですよ、《軍としての力があるのなら、それで人を助けられるようになりたいって思わない?》とね」

 

ああ、また思い出してしまった… その一言はあの少女に言われた言葉だった、エーレンもそれに賛同し、今では先程も言ったが無意識に行っている。

 

シャルル「そうなんだ… ってエーレンどうして泣いてるの? 」

 

シャルルが心配そうにそう言う。

 

エーレン「!? さ、先程の水滴でしょう、泣いてなどいませんよ」

 

エーレンはそう誤魔化し、慌てて目元をこする。

なぜエーレンが泣いていたのかと言うと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その一言は少女の遺言に等しいものだったからである。

 

 

 

 

 

 

 

数十分後…

 

IS学園 保健室前

 

シャル「じゃあおやすみエーレン」

 

エーレン「ええ、おやすみなさいシャルルs… じゃなくてシャルちゃん」

 

あのあとエーレンはシャルル、いやシャルロットにあだ名をつけて欲しいと言われ、共通部分をとってシャルと呼ぶようにした。

あとさん付けやめろとも言われた。

 

エーレン「ふう、やっと休める…」

 

それだけ言うとエーレンは保健室のベッドに倒れるように横になり、そのまま寝てしまった。

 

 

 

 

 

2日後…

 

IS学園 食堂

 

エーレン「今日は朝から疲れました…」

 

エーレンがいつメン+ラウラで食事をとっているといきなりエーレンがそう言った。

今日は朝から騒がしかった。

まず、デュノア社が倒産したことにより、シャルルがシャルロットとして再入学し、それにより一昨日の入浴がバレてエミリアが怒り、そこに追い打ちをかけるかのようにラウラが「ぜひ兄様と呼ばせてください!」と言ってきて、エーレンがまあいいか と言うことで了承してしまい、それでエミリアが半ば病んだ状態になり、クラスメイトからはマスゴミのように寄ってたかって質問責めにされ、珍しくエーレンは昼の時点でバテていた。

 

エミリア「大丈夫? お兄ちゃん」

 

そこそこ病みが抜けてきたエミリアが心配そうに俯いているエーレンの顔をのぞき込む。

 

エーレン「どうにか頑張る」

 

そうとうまいっているようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後…

 

シャル「ねえエーレン、もうすぐ臨海学校だね」

 

エーレン「ですね、…あ、僕達水着持っていないじゃないですか」

 

エミリア「あ、そういえば」

 

この世界に来て約4ヶ月、水泳する機会などは無く、それによりエーレン達は水着を持っていないのである。

 

シャル「そうなんだ、ねえエーレン、良かったら一緒n…」

 

ラウラ「兄様! でしたら今度の休みに一緒に買いに行きませんか? 」

 

セシリア「な!? ずるいですわ! エーレンさん私もご一緒しても? 」

 

簪「わ、私も一緒に!」

 

ワイワイガヤガヤ

 

エーレン「ちょ、ちょっと皆さん落ち着いて下さい」

 

エーレンが慌てて止めに入るが…

 

「「「で、誰と行くの!? 」」」

 

エーレン「はい!? えーとですね。 でしたら全員で行きましょうよ、現地集合にして荷物は僕が車で運びますから… どうでしょう? 」

 

「「「まあそれなら…」」」

 

誰か1人が選ばれるよりか良いと判断されたようでエーレンの案で落ち着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後…

 

ショッピングモール レゾナンス 駐車場

 

エーレン「着きましたね」

 

エーレンはレゾナンスの駐車場に車を停める。

集合場所に割と近いところに停められた。

 

ギュエール「はい。 すみません艦長、わざわざ私まで」

 

ちなみに車で来たのはエーレン、エミリア、そしてギュエールの3人である。

 

エーレン「いえいえ、いつも助けてもらっていますし」

 

エミリア「お兄ちゃん、ギュエールお姉ちゃん、早く行こうよ!」

 

エーレンとギュエールが話しているとエミリアが急かすように走り出す。

 

エーレン「うん、行こうか」

 

ギュエール「駐車場で走ると危ないですよ」

 

そう言いつつ2人も駆け足気味にエミリアは後を追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

集合場所で3人で話しているとモノレールでやってきた残りのメンツと合流し、目的の店へと歩いて行く。

 

エーレン「ここに来るのも久しぶりですね」

 

簪「そうなの? 」

 

エーレン「ええ、前にエミリアと商品券使いに来た時に」

 

普段エーレンは買い物はあまりしない。

せいぜい自分の趣味に必要なものをネットで取り寄せるくらいである。

なのでこうした機会が無ければこういうところには来ないのである。

 

ギュエール「ああ、あの時の …話していたら着きましたね」

 

どうやら水着売り場についたようだ。

入口付近で一旦解散し、それぞれ水着を選びに行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エーレン「選ぶといってもあまりこういうものに興味ないですからね…」

 

エーレンは普段の服もそうだが着れればよしの人間なので目の前の水着の違いがあまりよく分からないのだ。(最も女尊男卑の弊害で水着の数自体が減っていて、似たようなのばかりになっているという理由もあるが…)

 

エーレン「……これにしますか」

 

エーレンが選んだのはやや丈が長めのグレーの海パンと同色のラッシュガード。

ずっと研究所漬けのエーレンにとって日本の日差しは少々厳しいのだ。

 

エーレン「さて、会計を済ませて女性陣が選び終わるのを待ちましょうか」

 

そう言ってレジで支払いを済ませて店のすぐ側のベンチに座り、最近マイブームになっているアプリゲーを始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後…

 

エーレン「よし勝った、やはりビスマルク強いですね」

 

エーレンがアプリゲーで遊んでいると…

 

エミリア「お兄ちゃん、ちょっと来てくれる? 」

 

エミリアがやって来てエーレンの手を引っ張る。

 

エーレン「どうしたんだい? どれ買うか決まったな? 」

 

エーレンはアプリゲーを終了し、荷物を持ってエミリアについて行く。

 

エミリア「ううん、その逆。 なかなか決まらないからお兄ちゃんに決めて貰おうと思って」

 

エーレン「あー、分かった」

 

エーレンは売られている水着を見ながら返事をする。

 

エーレン「ふむ、これとかどうだい? 」

 

エーレンが選んだのはピンクと紫の中間のような色のワンピースタイプのものだった。

 

エミリア「これいいね、じゃあこれにする♪」

 

そしてレジで再び会計をして、通路に出ると他のレジからセシリア達が出てきた。

 

エーレン「皆さんも終わりましたか」

 

セシリア「はい、良いのがあって良かったですわ」

 

簪「どんなのかは楽しみにしておいてね」

 

エーレン「……おや、もうこんな時間ですか。 では昼食と行きますか」

 

エミリア「さんせーい! 」

 

そう言って移動を開始する。

 

ラウラ「兄様、上りのエスカレーターはこっちですよ!」

 

エーレン「あれ? レストラン街って下じゃありませんでしたっけ? 」

 

シャル「え? 上のフードコートじゃないの? 」

 

エーレンとシャルル達はそれぞれ反対方向に向かい、途中でお互い立ち止まる。

 

エーレン「ええ、せっかくですから」

 

簪「え、でも…」

 

簪が財布を確認しながらそう言う。

 

エーレン「? 昼食は僕持ちですよ」

 

「「「え!? 」」」

 

シャル「良いの? 」

 

エーレン「ええ、女性と買い物に来た時は男が昼食くらい奢るものだとうちの航空隊の人達が言っていたので」

 

セシリア「どこか違う気もしますが…」

 

ギュエール「本当に良いんですか艦長? 」

 

エーレン「もちろんです」

 

簪「そんな悪いよ…」

 

ラウラ「いや、兄様の好意だし素直を受け取るべきでだろう」

 

エーレン「では混む前に行きましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後…

 

レゾナンス レストラン街の寿司屋

 

エーレンはあのあと、前に貰っていたレゾナンスのパンフレットを確認しながら何を食べたいか聞いたところ、ギュエールと簪以外の全員が寿司を食べたことがないらしく、じゃあ試しましょう という事で寿司にした。

店はちなみにあれだ、社長が手を広げている某チェーン店だ。

 

エーレン「そうそう、シャルちゃんにラウラちゃん、2人の機体の設計が終わったのでおそらく臨海学校の時に渡されると思いますよ」

 

シャル「本当? 楽しみだなぁ」

 

ラウラ「兄様が直々に設計した機体… きっと素晴らしい性能が…」

 

なぜエーレンが2人の機体を造っているかと言うと、シャルはデュノア社倒産の後、ハシラジマのテストパイロットとなったためである。

ラウラの方はドイツ本国が証拠隠滅のため、ラウラの軍籍を抹消したのでゼーロスの新航空隊である「第666航空中隊」として第三帝国の部隊となったのだ。

ちなみにラウラが隊長を務めていた部隊全員がゼーロス航空隊に入隊し、加えて全員がISの訓練を受けていたため、最近やっと解析が完了したISコアをハシラジマで量産し、それを第666中隊に配備する予定である。

 

簪「うん、性能は凄いどころかはっきりいってオーバースペック」

 

セシリア「何でしょう、エーレンさんだけは敵に回したくありませんわ…」

 

ギュエール「同感ですね」

 

 

そのような会話をしながら臨海学校に向けて準備をして行くエーレン達であった。




今回はここまでです。

シリアス書けない…

次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦

第13話 晴天の大洋と凶報

誤字や脱字、アドバイス、質問、おかしな表現などがありましたら教えてください、お待ちしております。

お待たせしました、打鉄極式のスペックです。

機体名:打鉄極式

機体番号:EXT-01N

搭乗者:更識簪

世代:第三世代

単一能力:不明

特殊兵装:新型複合FCS内蔵マルチロックオンシステム

見た目:原作と同じ

武装

対複合装甲用超振動薙刀「夢現」

原作と同じ。

複合荷電粒子砲「春雷」

ハンス達ハシラジマの技師により、ゼーロスの副砲と同じく収斂、拡散、誘導、拡散誘導の4つのモードがあり、マルチロックオンシステムとリンクしているので抜群の命中率を誇る。

誘導弾「山嵐」

原作と同じ(なお、威力は格段に挙げられている模様)

七連装30mmガトリング機関砲「アヴェンジャー」

ルーデルの使い魔ことA-10サンダーボルトⅡに搭載されている機関砲を流用、普段はマウントされており、打つ時になると腰のあたりに突き出てくる。

超高圧サンダーステーク「黒岩」

極式の両手に装備されている格闘武器、エターナルサイクラーのエネルギーにより、かなりの電圧を誇る。

簪の生まれ変わった専用機、ハンス達の手腕によりIS一個大隊を相手に出来るスペックを誇り、なおかつかなりの万能機という事で現在量産化に向けて研究が進められている。


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第13話 晴天の大洋と凶報

こんばんは皆様、大極光です。

そろそろ夏休みですね〜

通算UA20000突破致しました!
これからも頑張らせていただきます!


2045年 6月某日

 

バスの中

 

臨海学校の当日、エーレン達はクラスごとにバスに乗り、目的地を目指していた。

簪は「なんで私だけ別なの…」なんて愚痴を言っていたが…

ちなみに水面下ではエーレンの隣の席争奪戦が繰り広げられていた。

その勝者はと言うと…

 

エミリア「………すう………すう………」

 

エーレンの膝を枕替わりに眠っていた。

前日楽しみすぎてあまり寝れなかったのだ。

 

シャル「そういえばエーレンは海慣れているんだっけ? 」

 

エーレンがエミリアの頭を撫でながら携帯をいじっていると通路を挟んで隣のシャルがその隣から絡んでくる一夏を無視し、エーレンに話しかけてくる。

 

エーレン「ええ、と言われましても僕は基本艦に乗っていたので海水浴は初めてですが」

 

これはエーレンのみならずドイツ全体に言えることなのだがその頃のドイツは第一次世界大戦に負け、国家レベルで貧困状態だったため、海水浴などの娯楽に当てる金があるのはごく一部の富裕層のみであった。

ヒトラー総統率いる国家社会主義ドイツ労働者党が台頭し、経済が回復した時にはエーレンは既に研究所入りを果たし、余計に娯楽に行く時間がなくなったのである。

 

ラウラ「では兄様も楽しみなんですね!」

 

エーレン「そうですね、…噂をすればなんとやら、見えてきましたね」

 

エーレンが窓の方を見ると太陽の光を反射して輝く海が広がっていた。

 

千冬『そろそろ目的地に着く、全員降車準備をしろ』

 

車載のマイクを使い、千冬がそう言う。

 

エーレン「エミリアそろそろ起きてね、もう着くからさ」

 

エーレンがエミリアの身体を揺らして起こす。

 

エミリア「う…ん… なぁに? 」

 

エミリアがトロンとした表情で目を擦りながらエーレンの膝から起き上がる。

 

「「「(可愛い…)」」」

 

クラスメイト全員シンクロ。

 

エーレン「おはよう、もう着くから降りる準備してね」

 

そう言いつつ、広げていた書類と携帯を片付けるエーレン。

そんな感じでバスは目的地である旅館に到着した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後…

 

旅館前

 

エーレン達が旅館に着き、荷物を持って整列していると、旅館の中から着物を着た女性が出てきた。

 

千冬「諸君、この方はこの旅館の女将さんだ。 …ご迷惑をおかけします」

 

千冬は全員にそう言ったあと、女将に向かって礼をする。

 

女将「いえいえ、賑やかになってこちらも嬉しいです。 …おや、そちらがもしかして件の…」

 

千冬「はいそうです。 織斑、ヴァルトフォーゲル兄、自己紹介をしろ」

 

一夏「織斑一夏です、よろしくお願いします」

 

エーレン「エーレンフリート・ヴァルトフォーゲルです、お世話になります」

 

女将「はい、こちらこそ」

 

千冬「では配られたしおりの通りに各自の部屋に行け」

 

千冬がそう言ったあと、それぞれ行動を開始する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

旅館内

 

エーレン「織斑先生、僕の名前が記載されていないのですが? 」

 

千冬「ああ、お前達を普通の部屋にすると時間を守らない生徒が多発しそうだからな」

 

歩きながら千冬がそう言う。

 

千冬「故にお前達は教員と同じ部屋にした、織斑は私と、ヴァルトフォーゲル兄は山田先生とだ」

 

エーレン「確かにおっしゃる通りですね…、分かりました。 すみません山田先生、ご迷惑をおかけします」

 

真耶「いえ、大丈夫ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後…

 

海岸

 

エーレンは部屋に荷物を置いた後、買った水着に着替えてパラソルやクーラーボックス等を持って海岸に出た、ここまで重武装なのも考えものである。

 

「ねえ、あれエーレン君じゃない!? 」

 

「えっ!? 私の水着ダサくないよね? 」

 

エーレンがパラソルを設置しているとそんな声も聞こえる。

そこに…

 

???「お兄ちゃぁぁぁぁぁん!!!」

 

エーレン「おっと、…足元気をつけてね」

 

エミリア「はーい」

 

エーレンがパラソルを設置し終わった時、エミリアが魚雷よろしく突っ込んで来た。

エーレンはそれを屈んで受け止める。

 

エミリア「お兄ちゃん、どうかな? 」

 

エミリアがクルリと一回転しながらそう聞いてきた。

 

エーレン「思った通り、よく似合っているよ」

 

エミリア「ありがと、じゃあお兄ちゃん、早速泳ぎに行こうよ」

 

急かすようにエーレンの腕を引っ張るエミリア。

 

エーレン「ああ待って、その前にこれ膨らませなきゃ」

 

エーレンは持っていたカバンから灰色のビニールの塊を取り出す。

 

エミリア「何それ? 」

 

エーレン「まあ見ててよ」

 

そう言いつつ取り出した灰色の塊に電動空気入れを使い、膨らましてゆく。

すると…

 

ギュエール「エミリアちゃん、速すぎです…」

 

遅れてギュエールがやって来た。

 

エーレン「すみませんギュエールさん、ご迷惑をおかけしました」

 

ギュエール「いえ、大丈夫です。 それより艦長、あの… その… 似合っていますでしょうか…? 」

 

ギュエールが珍しく言葉を濁しながらエーレンに自身の白色のビキニタイプの水着について聞く。

 

エーレン「ええ、すごく綺麗です」

 

ギュエール「そうですか、ありがとうございます!」

 

ギュエールが一転明るくなる。

エーレンはそれを特に気にしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後…

 

あのあとエーレンの元にはいつメンが集合し、それぞれがエーレンに水着を見せて感想を聞いた。

エーレンはそっち関連は疎いがちゃんと感想をそれぞれに述べた。

ちなみにその後、ラウラがミイラ化していたり、セシリアがエーレンにサンオイルを塗って欲しいと言ってきたので適切な塗り方を慌てて調べるエーレンがいたり、あれこれしているうちに…

 

エーレン「良し、完成です!」

 

エーレンの身長の何倍もある巨大な物体を海に放り込む。

すると軽い音のあと、一部に海水が注水され、船のように(と言うより完全に船いや艦の形をしている)水面に浮かんだ。

 

簪「エーレン、何これ…? 」

 

セシリア「戦艦のように見えますが…」

 

エーレン「良くぞ聞いてくれました!この日のために仕事の合間に作った巨大浮輪、その名も《1/144 ぼるけんくらっつぁー》です!」

 

本音・エミ「「すっごーい!」」

 

本音とエミリアは素直に感想をのべ…

 

ギュエール「また変な物を…」

 

ギュエールは頭を抱え…

 

ラウラ「兄様、これはひょっとすると…」

 

ラウラは以前資料で見たものと同じものと思い

 

シャル「エーレン、これ乗れるの? 」

 

エーレン「ええ、乗れますよ」

 

そんなこんなでエーレン達は海水浴を楽しみ始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後…

 

一通り泳ぎ終えたエーレンはパラソルの影で持ってきていたジュースを飲んで休憩していた、エミリアはエーレンにもたれ掛かりウトウトしている。

ぼるけんくらっつぁーは現在、ほかの生徒にもみくちゃにされている。

やったねぼるけん、モテモテだよ!

 

とその話は置いといて…

 

ギュエール「艦長、今大丈夫でしょうか? 」

 

エーレン「ええ、問題ありません、どうしました? 」

 

ギュエール「実はビーチバレーをやる事にしたのですが人数が足りないので艦長に来て頂きたいと思いまして」

 

エーレン「分かりました行きましょう、エミリアはどうする? 」

 

エーレンは持っていた缶の中身を飲みきると隣にいるエミリアにそう聞く。

 

エミリア「行くー!」

 

ギュエール「分かりました、では行きましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

ビーチバレーコート

 

ギュエールについて行くと即席で作られたようなビーチバレーコートがあった。

 

ギュエール「では早速始めましょうか」

 

エーレンがギュエールの開始の合図を聞き、ボールを弾こうとしたその時…

 

千冬「面白そうだな、私も混ぜてもらえるか? 」

 

千冬、真耶、結衣の3人がエーレン達の元にやって来た。

 

「大丈夫ですよ。そうだ! どうせなら千冬様対エーレン君にしましょう! 」

 

それにクラスメイトが悪ノリし、エーレンは苦手分野で世界最強と戦う羽目になってしまったのである。

 

 

 

 

 

「それでは織斑先生チーム対エーレン君チームの試合を始めます!」

 

クラスメイトが試合開始の合図と共にギュエールが相手陣地にボールを弾く。

 

ちなみにチーム分けは…

 

エーレンチーム

 

エーレン エミリア ギュエール

 

千冬チーム

 

千冬、真耶、結衣

 

こんな感じである。

 

エーレン「(勝てるんですかねこれ…)」

 

エミリア「お兄ちゃん! そっちいったよ!」

 

エーレン「了解! (考え事している場合ではありませんか…)」

 

エーレンは勝てる勝てないの考えを止め、ボールを弾き返す事に専念する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後…

 

旅館内

 

すっかり日が暮れ、エーレン達は現在、旅館の宴会場で夕食を食べていた。

 

エーレン「負けましたか…」

 

あの後、エーレン達は僅かな点差で負けてしまった。

 

ギュエール「まあ織斑先生相手によく戦った方では? 」

 

エミリア「そうだよお兄ちゃん」

 

エーレン「ですね、明日は色々忙しいですしいつまでも落ち込んでいては乗り切れませんね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またまた数時間後…

 

千冬の部屋

 

千冬の部屋には箒、鈴、セシリア、シャル、ラウラ、簪、ギュエール、そしてエミリアが千冬からそれぞれ飲み物を口止め料として渡され、千冬自身はビールを飲んでいた。

メンツから分かるようにエーレンはいない、となると…

 

千冬「で、お前らはあいつらのどこが良いんだ? 」

 

突然千冬がそう切り出す。

千冬も一応女性だ、こういった話には興味が無いわけではないのだ。

 

箒「私は、同門の不出来が腹立たしかっただけです…」

 

鈴「私は… 分かりません、一夏への想いはもうありませんし、かと言ってエーレンは友達ですし」

 

セシリア「私はエーレンさんです、出会った時にあんな言動をしたにも関わらず仕方ないの一言で許してくれただけでなく、練習にも誘って下さいましたし」

 

シャル「僕もエーレンです、僕をあの地獄から救ってくれましたから」

 

ラウラ「私は兄様です、と言っても純粋な敬意のみでそう言った類の感情はありませんが…」

 

簪「私もエーレンです…、かなり無茶なお願いをしたのに笑顔で引き受けてくれて、さらにハシラジマにも誘ってくれましたし、感謝してもしきれません」

 

ギュエール「私も艦長なのですが… あまり踏み込めないと言いますか… なんと言いますか…」

 

それぞれ自分の心情を伝える。

 

千冬「ほう? だいたいヴァルトフォーゲル兄か、…その辺は妹としてどうなのだ? もしかするとこの中に未来の義姉がいるかもしれんぞ? 」

 

千冬がエミリアに顔を向けてそう言う。

未来の義姉 その言葉に若干顔を赤らめている人が数人いた。

だが…

 

エミリア「恐らくそれはありえないと思います、今のままでは…」

 

その言葉が場の空気を一転させ、全員が黙り込む。

 

千冬「…どういう事だ? お前の兄には好きな人でもいるのか? 」

 

最初に沈黙を破ったのは千冬だった。

 

エミリア「正解です、最もその人は、ユキナお姉ちゃんはもうこの世にはいませんが…」

 

エミリアが泣きそうな顔でそう言う。

 

ラウラ「辛いなら話さなくても良いぞ? 」

 

ラウラがエミリアを心配して止めようとする。

 

エミリア「ううん、大丈夫。 皆お兄ちゃんの事が好きなら知っておくべきだよ」

 

簪「……分かった、エミリア、教えて」

 

エミリア「うん、ユキナお姉ちゃん、フルネームは奥遠和雪奈、日本の巨大企業 奥遠和重工のご令嬢でその企業が独自に建造した双胴戦艦 奥遠和のメンタルモデル。

と言っても本人の適性の為であってお姉ちゃん自身は戦争なんて望んでいなかったんだけどね。

お兄ちゃんと同い年でお兄ちゃんがゼーロス艦長になる前に研修として日本にいた頃に出会った人だよ。

もうみんな察しがついてると思うけどお兄ちゃんが御付き合いしていた人でお兄ちゃんは今でもお姉ちゃん愛し続けるよ。

でもユキナお姉ちゃんは1943年の4月、日本軍は太平洋解放作戦を決行、一部の艦を除いた全艦艇がアメリカ西海岸を目指して進軍していた時、連合軍は最初で最後の反攻作戦を実行、超兵器を含む100隻近い艦隊が横須賀を目指して進撃してきた時に単艦で出撃、自らの命と引き換えにその艦隊を殲滅し、日本は太平洋を制圧したんだよ。

結果、亡くなったのは乗組員脱出までの間、1人艦橋に残ったユキナお姉ちゃんだけ…」

 

エミリアは一通り話終えると貰った飲み物を一口飲む。

 

セシリア「それで…、その後はどうなったのです? 」

 

エミリア「お兄ちゃんが第一報を聞いた時、私達は大西洋から母港へ帰還中だったからお兄ちゃんすぐに飛行機を飛ばしてもらい、日本に行ったよ、その時はまだ奥遠和が沈んだという事しか分からなかったからね、でもお兄ちゃんが日本に着いたちょうどその日に艦体のサルベージが行われて、ユキナお姉ちゃんの死亡が確認されたんだよ、まるで示し合わせたかのように、ね。

そして日本から帰ってきた時のお兄ちゃんは異常だったよ、後にも先にもその時だけだったよ、お兄ちゃんの事が怖いって思ったのは」

 

今のお兄ちゃんからは想像出来ないと思うけど と付け加えるエミリア。

その時のエーレンは悲しみで何に対しても無気力になるわけでもなければ今のように戦争だと割り切れるほど大人でもなかった。

溢れ出した感情は怒り、連合国の全てを焼き尽くさんとする烈火の如き憤怒であった。

 

シャル「でも今のエーレンは怖くないよ? 」

 

エミリア「うん、実はある日にユキナお姉ちゃんのお父さんから言われたらしいんだ、『娘の事は忘れるんだ、そうしないと君が駄目になる』って、自分でもそれはよく分かっていたお兄ちゃんはユキナお姉ちゃんの事を頭の隅に追いやったんだよ」

 

千冬「そうか… ヴァルトフォーゲル妹、私から振ったのに言うのもなんだがそろそろ部屋に戻れ」

 

そう言いつつ時計を指さす。

もうすぐ消灯の時間であった。

千冬以外は慌てて部屋に戻った。

 

千冬「まさかここまで重い話だったとはな…」

 

千冬は真面目なエーレンにもそういった話がある事に面白半分で話させたことを後悔していた。

それは話を聞いた他の候補生達も同様だった。

 

そしてそれぞれに考える時間を与えるように夜は更けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

IS学園 臨海学校予定地 某海岸

 

エーレン達専用機持ちは周囲が崖に囲まれた入り江のようなところに集まっていた。

エーレンとエミリア以外のテンションが低いのは寝不足だけが原因ではないだろう。

そこに…

 

???「ちぃぃぃぃぃちゃぁぁぁぁぁん!!!」

 

崖から何かが滑り降りる様にこちらに向かってきて、千冬に向かうが千冬はそれを片手で捕まえる。

 

千冬「うるさいぞ束」

 

束「酷いよちーちゃん! せっかく久しぶりだって言うのに、いっくんもそう思わない? 」

 

一夏「あはは…」

 

???「全く、私を置いて行くとはどういう事だね? 篠ノ之研究員?

 

束が千冬に絡んたり箒にセクハラ紛いの行為をしていると上から聞きなれた声が聞こえた。

 

エーレン「ドクトル、いらしていたのですか」

 

ハンス「うむ、ラウラ君とシャルロット君の機体が完成したものだからね」

 

そう言った感じの話をし、千冬から声が掛かり束とハンスは自己紹介をしてから、束は箒に自身が作った第四世代IS「紅椿」を渡し、ハンスは最近ハシラジマで始動した新たなる機体開発計画、超兵器再生計画に基づいた新型機「シュトゥルムヴィント」と「ナハト・シュトラール」をそれぞれシャルとラウラに渡し、調整をキーボードの二刀流で同時に終わらせ、エーレン達には新しいパッケージを渡した。

そんな感じで新装備を試していると山田先生が慌ててこちらに来て、千冬に耳打ちをする。

その直後、千冬は箒を含む全員に招集をかけた。

 

この時エーレンはまだ何も説明されていないが経験からくる勘で何となく理解した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

軍事的な要因が絡む異常事態が発生したことに…




今回はここまでです。

やっと出せた、雪奈ちゃん…
後半はかなり突貫工事なので色々おかしいと思います…

次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦
第14話 錆びゆく砲、朽ちゆく翼

誤字や脱字、アドバイス、質問、おかしな表現などがありましたら教えてください、お待ちしております。


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第14話 錆びゆく砲、朽ちゆく翼

こんにちは皆様、大極光です。

実は夏休みに入るので新作やりたいと思います。



2045年 六月某日

 

旅館内

 

旅館の一室は普段はある家具などがほとんど片付けられ、その代わりにコンピュータなどが設置されさながら軍の司令部の様になっていた。

そこに集められたエーレン達専用機持ち、そして一夏と箒以外は部屋の空気からただ事ではないと感じ、表情を険しくしていた。

 

千冬「さて諸君らに集まってもらった理由だが、先程アメリカとイスラエル共同開発のISシルバリオ・ゴスペルが突如制御不能になり、両国のレーダー網から離脱した、以後福音と呼称する。

その機体が現在、こちらに向かっている。

諸君らにはこれを迎撃してもらいたい、なにか質問は? 」

 

セシリア「対象の正確な情報を見せて下さい」

 

千冬がそう聞くとセシリアが手を挙げ、福音のスペックの開示を要求する。

 

千冬「いいだろう、だが口外すれば査問委員会にかけられ、最低でも2年の監視がつく」

 

千冬がそう言いつつ福音のスペックの書かれた画面を見せる。

 

セシリア「広域殲滅型ですか…、特にこの第三世代武装が厄介ですわね…」

 

ラウラ「教官、偵察は行えないのですか? 」

 

千冬「無理だ、相手は今も音速を超える速度で飛んでいる」

 

シャル「となるとアプローチは一回のみだね」

 

一撃必殺 その単語が皆の頭の中に浮かび、そして一夏の方を皆が見る。

 

一夏「お、俺!? 」

 

鈴「そうよ、アンタの零落白夜で落とすのよ」

 

千冬「織斑、今回は試合などではない、無理なら強制はしない」

 

一夏「いえ、やります! 今度こそ皆を守ってみせる!」

 

一夏がそう言ったので千冬はその線で作戦を立て始める。

 

千冬「ヴァルトフォーゲル兄、ゼーロスはどうなのだ? 」

 

千冬はエーレンにゼーロスについて現状を聞く。

 

エーレン「現在エミリアの遠隔操作にて出撃準備中です、ただ当該空域に到着するまで最大戦速でも1時間かかります。

遅滞戦闘で時間稼ぎしても良いですが、それは最後の手段でしょう。

僕としましては織斑先生のプランの方がよろしいかと」

 

エーレンは地図を使い説明する。

 

エーレン「ですのでエミリアはもちろん、あのスピードに艦砲を命中させるためにギュエールさんも残って貰わなければなりません」

 

千冬「分かった、では織斑の零落白夜で落とすが問題は誰がそこまで織斑を運ぶかだな」

 

零落白夜はSE(シールドエネルギー)を消費するため、極力被弾を避けるべく、他の機体が敵の直上まで運び、一気に急降下し、ケリをつけるという作戦を千冬は採用した。

 

セシリア「あの織斑先生、本国から高機動パッケージ「ストライクガンナー」が送られてきてます、すでに粒子化も終えています」

 

千冬「オルコット、音速飛行の経験は? 」

 

セシリア「あります、20時間ほどですが」

 

千冬「なら適任だろう、では織斑をオルコットが運び、サポートとしてヴァルトフォーゲル兄が出撃する、他の者はさらなる非常時に備え待機d…」

 

束「ストップ!」

 

千冬が言い終わる前に天井から束が降ってくる。

 

束「その作戦は待ったなんだよ! ここは断然紅椿の出番なんだよ! この展開装甲を調整すれば、ほら」

 

束が調整した紅椿のデータを見せる。

 

千冬「出ていけ、と言いたいところだが生憎時間が無い、篠ノ之、行けるか? 」

 

箒「はい! 」

 

千冬「では総員出撃準備に移れ! 解散! 」

 

千冬がそう言ったのと同時にエーレンは白衣を着て部屋から出ようとするが…

 

ギュッ

 

エーレン「? エミリア? どうしたの? 」

 

エーレンの服の袖をエミリアが掴み、エーレンの動きを止める。

 

エミリア「前みたいに無茶しちゃダメだよ、絶対帰ってきてね、約束だよ…」

 

エミリアが少し低いトーンでそう言った。

 

エーレン「もちろんさ、これでも超兵器殺しの異名を頂いてるのだからね」

 

そう言いつつエミリアの頭を撫でる。

 

ギュエール「艦長、ご武運を」

 

エーレンは頷いてから部屋を出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

海岸

 

ハンス「来たか少佐」

 

エーレンが出撃準備をするため海岸に出るとハンスが武器屋よろしく背後に武装を並べ、立っていた。

 

エーレン「ドクトル? 避難なされた方がよろしいですよ? 」

 

ハンス「何、ここに奴が来ることは無い、あの男が少佐の足を引っ張らん限りな、だろう? 」

 

ハンスはニヤリと笑う。

 

ハンス「そんなことより少佐、ヴァイスを出してくれ、飛行形態でな」

 

エーレン「分かりました」

 

エーレンはヴァイスを展開したあと、飛行形態に変形させる。

 

エーレン「でもどうしてです? 」

 

ハンス「何、新しいパッケージだと空戦能力が乏しくてな」

 

エーレンの新しいパッケージ、「カノーネン・フォーゲル」は単機で基地を強襲する目的で対地攻撃能力を飛躍的に向上させたもののため、今回の作戦には適さないのだ。

エーレンは空戦の腕は普通だ、故にどこぞの魔王よろしく爆撃機で戦闘機は撃ち落とせないのだ。

 

そしてハンスは背後に所狭しと並んでいた武装を次々とヴァイスに取り付けてゆく。

 

ハンス「だから今のヴァイスに空対空を後付けする事にした、…良しいいだろう、性能を確認してくれ」

 

そう言われ、エーレンは追加された武装を確認する。

 

エーレン「うわぁ… 空対空ミサイルに20mmガトリング機関砲、極めつけに8.8cm対空/対地両用磁気火薬複合加速砲「νアハトアハト」…ドクトル、非常に僕好みのものですがこれもはや米国のA-10ですよ、音速戦闘に追いつけますか? 」

 

ハンス「だろう? だがロマン兵器をバカにしちゃいかんよ、状況さえ選べば最強の兵器になるのだからな、それに追加したヒドラジン燃料のブースターで推力も確保している、仮にドッグファイトになったらパージしてくれれば良い、ついでにフリューゲルのバージョンも更新しておいた」

 

一夏「うお!? エーレンなんだよそれ!? 滅茶苦茶かっこいいじゃねぇか! 」

 

箒「馬鹿者! 早く準備をしろ!」

 

一夏がヴァイスの元にやって来るが、箒が連れ去る。

ハンスは若干怒りの表情になっていた。

理由はクラス代表戦の時のことだ、実を言うとゼーロスの乗組員にとってエミリアはアイドルのような存在であり、そのエミリアを斬っておいて謝罪すらしなかった一夏は乗組員にとって敵にも等しい存在なのだ。

そうこうしているうちに全員の準備が整ったため、千冬から通信が入る。

 

千冬『ではもう一度作戦を確認する、まず織斑と篠ノ之が敵の直上まで行き、そこで織斑を切り離し、織斑は零落白夜で福音を撃墜する、ヴァルトフォーゲル兄は終始サポートに徹してくれ、それとこの作戦は奇襲攻撃だ、なので織斑の攻撃が失敗したら即帰還してくれ』

 

「「「了解」」」

 

千冬『それとヴァルトフォーゲル兄』

 

千冬がエーレンのみに聞こえるように話す。

 

エーレン『なんでしょうか? 』

 

千冬『恐らく篠ノ之は浮かれているし、織斑は状況をいまいち理解してないと思う、最悪お前に主力を任せる事になるやも知れん、その時は頼む』

 

エーレン『お任せ下さい』

 

千冬『すまない…、お前にはいつも負担をかける…』

 

そう言って通信が切れる。

直後、白式を乗せた紅椿が飛び上がったので、エーレンもそれに続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後…

 

エーレン達は紅椿を先頭に1列になって飛んでいた。

 

ギュエール『艦長、そろそろ接敵すると思います』

 

福音はここに向かっているゼーロスの対空レーダーの索敵範囲に入っていたので、位置を割り出すことに成功していた。

 

エーレン『了解です、……ッ! 箒さん! 2時方向に目標です!』

 

箒『了解した!』

 

エーレンが遂に福音を視認し、それを聞いた箒がバレないように上昇する、エーレンは追加された空対空武装の安全装置を解除する。

 

箒「よし、行ってこい一夏!」

 

箒は白式との連結を解除する。

 

一夏「ああ、うぉぉぉぉぉ!!!」

 

そして一夏は叫びながら福音にむけて突撃する。

しかし…

 

福音「La…」

 

一夏の突撃は白式の刃が福音に届く前に気づかれ、躱される。

 

一夏「躱された!? 」

 

一夏は驚く、その間に福音は戦闘モードへ移行、背面の翼が動き、光弾を発射する。

それを見ていたエーレンは…

 

エーレン「あのバカは! 叫べば気づかれることぐらい誰でも分かりますよ!? 」

 

ヒドラジン燃料のブースターを切り離し、タッグマッチの時に相手の攪乱に大きな影響を及ぼした細工スティンガーミサイルを発射、煙幕とチャフをばらまく。

そうすることにより敵の動きを一瞬でも止めることが出来るからである。

 

エーレン「織斑一夏、箒さん! 撤退です! 作戦は失敗しました!」

 

エーレンは当初の作戦通り撤退しようと考えていたが…

 

一夏「ダメだ! ここで逃げたら男がすたる! それに決めたんだ! 今度こそ皆を守るって!」

 

だが一夏は作戦を聞いていなかったのか、煙幕で攪乱した敵に出口を教えるかのように突っ込む。

結果エーレンがせっかく作った撤退するための時間は無為になってしまった。

 

エーレン「………、仕方ありません、箒さん、やりますよ!」

 

箒「わ、分かった!」

 

エーレンは箒が福音に突進するのを確認すると…

 

エーレン「弾道入力完了! 受けてみろ!」

 

翼に3機ずつ吊るされた後付けの空対空ミサイル

ルールシュタール X-4Ⅱを2発、箒の進路に福音を誘導するように両サイドに発射する。

放たれたミサイルは挟み込むように福音に接近、一夏に集中していた福音がミサイルの接近に気づいた時にはもう遅く、福音に命中する。

しかし福音に休んでいる暇はなく、爆煙がなくなる前に箒が2本の刀 雨月と空裂で福音を斬る。

福音は体制を立て直すべく、一旦距離をとるが…

 

エーレン「させませんよ!」

 

エーレンは翼の1番根元に近いところに装備されている

対空砲 νアハトアハトを発射する。

2発の8.8cm砲弾は音速の何倍ものスピードで飛翔し、飛行している福音に直撃はしなかったが近接信管が作動し、福音にダメージを与える。

 

箒「一夏今だ!」

 

一夏「分かった!」

 

そこに一夏が零落白夜を発動させ、再び突撃する。

対する福音は未だに体制を立て直せていない。

勝った 誰もがそう思ったが…

 

一夏「ッ!」

 

福音に刃が届く前に一夏は急降下する。

 

箒「何をしている一夏!」

 

一夏「船がいるんだ! 助けないと!」

 

そう言いつつ船に当たりそうな光弾を零落白夜の刃で切り払う。

しかし2度の零落白夜発動により、白式のSE(シールドエネルギー)はほとんど残っていなかったため、初弾は防げでも次弾に対処する術はなく、何発か光弾が命中し、白式が解除され一夏は海面に落下する。

 

箒「一…夏…? 」

 

箒は構えていた刀を下ろし、驚愕の表情になっていた。

 

エーレン「(本当に余計なことしかしない!)箒さん! 織斑一夏を回収して旅館まで退避を! 僕が時間を作ります!」

 

箒「分かった、すまない…」

 

箒は急降下し、海面を漂っていた一夏と船を連れて旅館まで撤退する。

当然福音はそれを阻止しようするが…

 

エーレン「どこへ行こうと云うのかね? 」

 

νアハトアハトと20mmガトリング機関砲を発射し弾幕を形成、福音をその弾幕網の中に閉じ込めた。

そしてνアハトアハトの砲弾が尽きた頃には箒の姿はかなり小さくなっていた。

 

福音「La…」

 

弾幕から出てきた福音は銀色だった装甲はところどころ焦げて黒くなっており、翼も片方が使えなくたっていた。

そしてその事により、福音は最大の敵をエーレンだと認識した。

加えてその雰囲気は表情があれば恐らく「ちょ〜☆許さん!」と言わんばかりに睨んでいただろう。

 

エーレン「さて第2ラウンドと行きますか」

 

先に動いたのはエーレンの方だった。

残りのX-4Ⅱを全て発射し、それぞれ別の軌道で攻撃させる。

だが福音も黙っている訳では無い、まだ生きてる翼から光弾を発射し、X-4Ⅱを迎撃する。

結果、全てのX-4Ⅱが撃墜される。

 

エーレン「そう簡単には行きませんか… ですが!」

 

福音がX-4Ⅱを迎撃している間にエーレンはνアハトアハトと20mmガトリング機関砲を収納し、通常形態に変形したあと、ズィーガーマグナムとヴァイスガトリングを取り出し、マグナムを福音に向け…

 

エーレン「避けられますか? 」

 

容赦なくトリガーを絞る。

放たれた白い光線は福音の生きてる翼に命中し、翼を吹き飛ばす。

そしてそれにより翼に流れていたエネルギーが暴発し、福音は黒い煙を撒きながら海中に落下する。

 

エーレン「これで終わりか…、案外あっけなかったな、さて…」

 

エーレンが千冬に報告をしようとしたその時…

 

エーレン「ッ! クラインフィールド!」

 

海中から光弾がエーレンを襲い、静止していたエーレンに大多数が命中する。

 

エーレン「なっ!? 一発で持っていかれた!? 」

 

ヴァイスのクラインフィールドは稼働率が96%になっていた。

その攻撃を放った張本人 福音は勢い良く海中から飛び出す。

エーレンは福音を睨む、がすぐに驚きの表情に変わる。

なぜなら福音の姿が変わっていたのだ。

エーレンもISに関しては勉強しているのですぐに何が起こったか分かった。

 

エーレン「第二次形態移行(セカンド・シフト)ですか…」

 

福音「La!」

 

エーレンに考え事をしている暇はなく、光弾が容赦なく襲いかかる。

 

エーレン「発射レートが上がってる!? だが!」

 

エーレンはヴァイスガトリングで無理矢理道を作り、弾幕から脱出する。

そしてすぐに反撃としてズィーガーマグナムとスティンガーミサイルを放つ。

それは命中はしたもののあまり効果が得られていないようだった。

 

エーレン「ズィーガーマグナムでは火力不足… なら!」

 

エーレンはズィーガーマグナムを収納し、代わりに対無人機戦で活躍した光子榴弾破砕砲ヴァイス・シュトラールを取り出す。

そして…

 

エーレン「これで決める!」

 

エーレンは脱出した時と同じようにヴァイスガトリングで弾幕を張りつつ、スティンガーミサイルを発射、敵の動きを封じる。

急接近した理由は光子榴弾はマグナムほど弾速が速くないため、確実に仕留めるべく接近したのだ。

そして弾幕を再び抜け、ヴァイス・シュトラールのトリガーをひこうとしたその時…

 

エーレン「……はい? 」

 

エーレンが気づいた時にはヴァイスの右腕がヴァイス・シュトラールごと吹き飛び、自身はボロボロになり、海面に向かい落下していた。

そして理由を考える前にエーレンは意識を手放した。

 

何が起きたのかというとエーレンは福音に新たな武装が備わっていることを知らなかったのである。

そのためエーレンがヴァイス・シュトラールを構えた時に福音はその武装、荷電粒子砲を発射し、ヴァイス・シュトラールに直撃させ、光子榴弾の暴発によりエーレンを吹き飛ばしたのである。

 

そしてエーレンが撃墜されたことは司令部だけでなくゼーロスの対空レーダーも捉えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

旅館内 臨時司令部

 

ギュエール「…ヴァイス・レギオン、ロスト。 信号及び通信、途絶しました…」

 

千冬「馬鹿な… あのヴァルトフォーゲル兄がやられるだと…」

 

ギュエールや千冬だけでなく他の待機していた代表候補生たちも皆信じられないといった類の表情をしていた。

しかしそれ以上に…

 

エミリア「あ………ああ………」

 

首を横に振りながらゆっくりと後に下がり壁に当たるとペタンと座り込む。

エミリアはゼーロスのレーダーを確認していたため、誰よりも早くエーレンの信号がレーダー上から消えたことを知ったのだ。

 

エミリア「嘘だよこんなの……、こんな奴にお兄ちゃんがやられるわけ……」

 

そう呟きながらゼーロスの全レーダーを当該海域に集中させる、しかし何度データを更新してもそこには敵を示す点がひとつ浮かんでいるだけだった。

 

エミリア「なんで……? なんでお兄ちゃんがどこにもいないの……? 」

 

ゼーロスのメンタルモデルとして戦ってきたが、それでもまだ10歳、最愛の兄が撃墜されたことを認めるには幼すぎた。

 

セシリア「エミリアさん…」

 

セシリアがエミリアの側に行き、優しく抱きしめる。

 

エミリア「セシリアお姉ちゃん、お兄ちゃんが…お兄ちゃんが…」

 

遂に泣き出してしまった。

 

セシリア「大丈夫です、エーレンさんが死んだと決まったわけではないですから…」

 

セシリアは自分の服が濡れる事を気にせずにエミリアを慰め続ける。

 

一方で…

 

シャル「織斑先生、僕達にも出撃許可を!」

 

鈴「このままじゃエーレンが!」

 

シャルと鈴が千冬にそう詰め寄る。

 

千冬「だめだ、許可できない、さっき帰ってきた織斑は意識不明で篠ノ之はそれにつきっきり、お前達全員が出撃したら誰がここを守る?

それにヴァルトフォーゲル兄がやられた海域はまだ福音がいる、これではミイラ取りがミイラになるだけだ」

 

ラウラ「悔しいが教官の言う通りだ…、今は兄様が生きている事を祈るしかない…」

 

それを最後に誰もが口を閉じる。

そして全員が暗い表情をしていた。

そして千冬はと言うと…

 

千冬「(何かあった場合は任せた… か、私は知らないうちにヴァルトフォーゲル兄に頼り切りになってしまっていたのだな…、何が世界最強だ!? 私は何も出来ていないじゃないか!)」

 

そうして福音が生きたまま、日付が変わろうとしていた…




今回はここまでです。

光子榴弾の暴発とか考えただけでも恐ろしい…
次回はエーレン復活? 編です、お楽しみに

次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦
第15話 陽光は極限と共に

誤字や脱字、アドバイス、質問、おかしな表現などがありましたら教えてください、お待ちしております。


武装説明

空対空ミサイル ルールシュタール X-4Ⅱ

既存のX-4をハンス達が最新の複合誘導装置を付け、なおかつ初速を強化したもの、現在のゼーロス航空隊の主力ミサイル。

8.8cm対空/対地両用磁気火薬複合加速砲 νアハトアハト

皆さんご存知ドイツの何でも屋 8.8cm Flak対空砲を通常火薬から磁気と火薬の両方で発射する砲。
通常の8.8cm Flakより反動が少なく、なおかつ連射が可能。
ハンスが対空砲の決定版として開発が進めている。


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第15話 陽光は極限と共に 前編

おはようございます皆様、大極光です。

まず皆様にご報告がございます。
7話初登場のオリキャラ、三笠結衣の見た目と服装が決まりました。
見た目:進撃の巨人のミカサ
服装:アズールレーンの三笠
貴重なご意見を下さった瀬名誠庵様、ありがとうございます!

それともう1つ、実は私、新作を始めました。
原作は「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ」でss名は「Fate/Ultimate Fleet 運命の舵輪は廻る」でやっておりますのでもしよろしければそちらもご覧下さい。


2045年 6月某日

 

旅館内

 

臨時司令部とはまた別の一室、そこには布団が敷かれ、その布団に一夏が寝かされていた。

そしてその側には箒が座っていた。

 

箒「(私のせいだ…、あの時エーレンの指示に従って一夏を説得していたらこんな事には…)」

 

箒は自責の念にかられていた。

しかし箒自身、あの時エーレンの指示に素直に従っていたかというとそうではない。

箒の専用機 紅椿は自分の姉にしてISの開発者 篠ノ之束が造った世界初の第四世代機、その力は現行IS全てを、それこそエーレンのヴァイス・レギオンですら凌駕する。

その力を過信していた、もしくは機体性能=自身の実力と履き違えたていたのかもしれない。

その結果、一瞬の判断が生死を分ける戦場においてすぐに結論が出せず、福音とそのまま戦うことになってしまい、一夏は意識不明に、エーレンは1人で福音と戦う状況になった。

そのような考えが頭の中に次々浮かび、箒の表情は逆にどんどん沈んでいった、そこに…

 

???「どこかと思ったらここに居たのね」

 

扉の開く音と共にそんな声が部屋に響く。

箒が振り返るとそこには鈴が立っていた。

 

箒「鈴か… そうだ、エーレンはどうなった!? 」

 

鈴「……さっき撃墜が確認された、最も生死までは分からないけど…」

 

それを聞いた箒の表情は絶望に染まる。

それを見た鈴は…

 

鈴「シャキッとしなさい! 今アンタがどれだけ後悔しようと一夏は目覚めないし、エーレンも帰って来ないわよ!」

 

箒「!(そうだ、その通りだ! 何をしているんだ私は!? 今は悩んでいる場合ではない!) ありがとう鈴、目が覚めたよ」

 

鈴「問題ないわ。 …ちょっと来て、ギュエールがなんか企んでるみたいだから」

 

鈴は周りを気にしたあと、箒にのみ聞こえるように耳打ちする。

 

箒「分かった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後…

 

旅館内 ギュエール・エミリアの部屋

 

鈴が箒を連れて部屋に入ると既にセシリア達が地図を置いたテーブルを囲んで座っていた。

 

ギュエール「これで全員ですね、では作戦会議と行きましょう」

 

簪「でもどうするの? 出撃は織斑先生に止められちゃってるし…」

 

簪が最もなことをギュエールに聞く。

 

ギュエール「そこは心配ご無用です、私達の特殊な立場を利用します」

 

ギュエールがいかにも悪巧みしてますよ的な笑を浮かべる。

 

ラウラ「何か兄様を助けに行ける方法があるのか!? 」

 

ギュエール「ええ、現在私達が受けている命令は個人で見れば待機ですが、ゼーロス乗組員とまで拡大すれば、今ゼーロスが受けている命令はといいますと…」

 

シャル「そうか! ゼーロスには出撃命令が来ている!」

 

ギュエール「正解です、これにより私とエミリアちゃんはもちろん、航空隊第666中隊のラウラさんも例外ではありません、もっと言うのでしたらテストパイロットであるシャルロットさんに簪さんもです」

 

ギュエールが一通り話し終え、周りを見渡す。

 

セシリア「かなり無茶苦茶ですが筋は通ってますわね……」

 

箒「だが私達は…? 」

 

ギュエール「大丈夫です、私達がその大義名分で出撃し、戦闘になれば織斑先生も戦力を投入するはずです」

 

鈴「千冬さんの行動まで計算に入れてるなんて… ギュエールだけは敵に回したくないわね…」

 

ギュエール「艦長にもよく言われます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またまた十数分後…

 

海岸

 

海岸にはギュエールにエミリア、簪、ラウラ、シャルがそれぞれISを展開していた。

そしてハンスは途中になっていたシャルとラウラのISの調整をしていた。

そこに…

 

千冬「誰が出撃をしろと言った? 」

 

千冬がかなり険しい表情でこちらに向かってきた。

 

ギュエール「私ですが何か問題でも? 」

 

千冬「大ありだ! サザンクロス、お前程の人間が事の重大性を理解していないわけではないだろう!? 」

 

普通の人間ならばあまりの剣幕に萎縮してしまいそうだがギュエールはそれに構わずに続ける。

 

ギュエール「ええ、理解してはいるつもりです、ですが私は先程先生が仰られた通り人間なのです、ただただ命令を遂行するだけの機械ではありません。

助けられる力と理由があるのに何もしないなんて残念ですが私には出来ません、それだけは決して」

 

千冬「ほう? そこまで言うなら聞かせてもらおうじゃないか、その理由とやらを」

 

千冬は今度はやや挑戦的な表情になってギュエールを睨む。

他の人間は固唾を呑んで見ていた。

唯一ハンスはどこか確信したような表情で調整を急いでいた。

もちろんキーボード二刀流でだ。

 

ギュエール「確かに先生からは待機命令が出ていますがゼーロスには出撃命令が下されています、一見別々に見えますが根本を辿ればそれは双方ともに福音の侵攻阻止、だとすれば織斑先生の命令より国から直接来ている命令の方が優先順位が上だと思います」

 

千冬「……分かった、私の負けだ。 口論では勝てる気がしない、鳳と篠ノ之、オルコットも連れて行け、その代わりこれだけは絶対に守れ」

 

ギュエール「なんでしょう? 」

 

千冬「必ずヴァルトフォーゲル兄も連れて全員生還しろ」

 

分かりました と頷きながら自身のISに乗り込み、出撃準備を進める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後…

 

特一等級空中戦闘母艦 ゼーロス ブリーフィングルーム

 

ギュエール「ではもう一度確認します。 まずゼーロスの艦砲射撃で福音をこちらにおびき寄せます。 そこに皆さんが取り囲むように展開、福音の行動範囲を限定させ、一気に殲滅します。

そしてこれが箒さん帰還時にもたらされた福音の攻撃範囲です」

 

エミリア「分かってだけど広いね…」

 

シャル「大丈夫、シュトゥルムヴィントの速力なら躱せるはず」

 

シャルはそう言いつつシュトゥルムヴィントの待機状態であるペンダントを握りしめる。

 

ラウラ「では切り込みはシャルと箒に担当してもらおう、セシリア、鈴、簪、私達は外から砲撃だ」

 

「「「了解」」」

 

ギュエール「ではその手はずで」

 

そしてギュエールとエミリア以外はカタパルトへ行き、ギュエールとエミリアは艦橋にのぼる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間後…

 

特一等級空中戦闘母艦 ゼーロス艦橋

 

ギュエール『時間です、これより作戦を決行します』

 

ギュエールが無線機を使い、皆に作戦開始を伝える。

その通信のあと、所定の位置まで移動するIS組。

そして移動完了を確認すると…

 

ギュエール「対空戦闘用意! 主砲1番、3番に特殊対空榴弾装填! 2番と4番はショックカノン装填!」

 

エミリア「副砲1番、2番、4番、6番、8番目標へ照準! 誘導モードに切り替え! 母艦、戦闘モードに移行! グランドスフィアを除く全ての防御障壁を展開!」

 

ゼーロスの上甲板の主砲と副砲がゆっくりと旋回し、福音へと向けられる。

同時に対空火器が艦体からせり出し、幾層もの防御障壁が展開される、たかがIS1機にはいささか高火力だがこの際気にしない。

 

エミリア「全火器、電探と連動完了! 則的良し! 照準良し! 艦対空ミサイル発射準備良し!」

 

全ての火器が照準を終え、ついに…

 

ギュエール「撃ち方始め!」

 

エミリア「発射!」

 

ゼーロスの75口径38.1cm砲二基六門から爆音と共に特殊対空榴弾が発射される。

それをハイパーセンサーで感づいたのか福音は回避行動を取る。

しかし音の何倍もの速度で飛翔する、加えて近接信管を装備した砲弾を全て避け切ることは不可能であり、猛烈な爆風と破片が福音を襲う。

 

ギュエール『次弾装填!ショックカノン発射!IS部隊は包囲下の福音に攻撃開始!』

 

次は別の主砲から6条の光の奔流が撃ち出されるがこれはセシリア達を気づかせないための囮だ、無論あわよくば仕留めようと命中コースには乗せてあるが。

 

福音「La!」

 

しかしやはり点の攻撃は躱される、しかし作戦自体は上手く行き、箒とシャルはすぐ側まで迫っていた。

 

箒「覚悟!」

 

シャル「落ちて!」

 

箒は、雨月と空裂を、シャルはシュトゥルムヴィントの40mm3連装機関砲を使い、福音に攻撃を仕掛ける。

福音は攻撃を受けるがすぐさま体勢を立て直し、反撃しようとするが…

 

福音「La!? 」

 

シャルと箒はすでに離れていた、そこに…

 

ギュエール「撃て!」

 

ゼーロスの特殊対空榴弾とセシリアのライフル、鈴の衝撃砲、ラウラの100mm荷電粒子砲が炸裂、簪のミサイルが再び爆風と破片が福音を襲う。

 

切り込み部隊には一撃離脱を徹底してもらい、ゼーロスと砲撃隊で福音を叩く、これがギュエールが提案した作戦だった。

これが上手く行き、ギュエール達はダメージを受けずに福音に2度の損害を与えた。

だが福音も黙ってやられる訳では無い。

 

福音「La!」

 

福音はシャルと箒が離れた後、飛んでくる砲弾を光弾で迎撃する。

普通ならそんな芸当は不可能だが、ハイパーセンサーとリンクさせた正確な砲弾はゼーロスの対空榴弾を全て撃ち落とした。

 

ギュエール「そんな!? 」

 

エミリア「大丈夫、包囲下からは逃がさない! ヴァッサーファル改発射!」

 

だがエミリアがヴァッサーファル改を撃ち、どうにか包囲下からの脱出は防いだ、だが…

 

ギュエール「……主砲砲撃やめ、ヴァッサーファル改での援護に切り替えます」

 

ギュエールは主砲での攻撃をやめ、IS組の援護に徹する事にした。

 

簪『ギュエール何かあったの? 』

 

作戦変更を伝え終わると簪から通信が入る。

 

ギュエール『福音にパターンを解析されました、まさかここまで早いとは…』

 

簪『私も接近戦に参加した方が良い? 』

 

ギュエール『お願いします』

 

簪『分かった』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

箒「どうする? このままではジリ貧だぞ!? 」

 

シャル「どうかしようにも方法がないよ、じわじわ押しては来ているからこのまま押し切るよ!」

 

簪「分かった」

 

箒達はかれこれ数十分は戦っているが、未だに決定打を与えられずにいた。

 

ラウラ「まずいぞ、このままでは夜明けまでに決着がつかないぞ」

 

そう、まもなく日が登ろうとしていたのだ。

 

セシリア「そんな!? このままではエーレンさんがどこにいるか分からなくなってしまいますわ!? 」

 

セシリア達が夜明けまでに決着を付けようとするのはエーレンの捜索のためだった。

潮流の関係上、ギュエールはエーレンを生還させるタイムリミットは夜明けまでと判断した。

そのため、ギュエール達は何とか夜明けまでに福音を倒し、エーレンを探すつもりでいた。

そのため皆に焦りが生じる、そしてその焦りにより決定的な綻びが生じる。

 

簪「いい加減倒れて!」

 

簪が薙刀を振るが、いつもより精度を欠いており、福音にいとも容易く躱される、普通なら回避するだけで精一杯だが今回は反撃する余裕すら福音にはあった。

 

鈴「簪!避けて!」

 

鈴の悲鳴のような叫び声が聞こえるが簪は咄嗟に動けずにいたため、福音の光弾が簪に直撃する。

 

簪「かは…」

 

爆煙が晴れると装甲の所々が焦げた極式が浮かんでいた。

 

ラウラ「簪!逃げろ!」

 

次弾準備中の福音にナハト・シュトラールの

ラインメタル MG3 ISCで牽制しながら簪に指示を飛ばす。

だが…

 

簪「スラスター、及び荷電粒子砲、全機破損、行動不能…」

 

「「「!? 」」」

 

極式のスラスターは全て、先程の爆発で使えなくなっていた。

そのため簪は現在、PICのみで辛うじて浮いている状態だった。

それを福音が見逃すはずもなく、ラウラ達に光弾を放ったあと、荷電粒子砲を放とうとする。

 

簪「(私、ここで死んじゃうのかな…? でもエーレンのところに行けるなら、悪くないかも)」

 

簪は死を覚悟した。

その時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「人の友達に何するつもりですかね? 」

 

「「「!?」」」

 

全員がその声を聞くと同時に飛んできたビームが福音の荷電粒子砲を薙ぎ払う。

その発生源を辿ると、朝日を背に銃を構える機体が1機浮かんでいた。

細部は異なっていたが全員がその機体を知っていた。

 

「「「エーレン!」」」

 

エーレン「お待たせしました、さあ! 反撃と行きましょうか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間前…

 

海底

 

エーレン「う…ん…? ここは… ああ、海の底ですか」

 

エーレンはヴァイスを纏ったまま、静かにかいてに横たわっていた。

 

エーレン「武装は大半が破損、ヴァイス・シュトラールは蒸発、SE(シールドエネルギー)はほぼ0、と。 詰みですねこれでは…」

 

エーレンはまだ生きていたフリューゲルからアラートと共に送られてくる被害状況を確認していた。

 

エーレン「ですがまだ終われませんね、エミリアとの約束を果たさなくては」

 

そう思い、エーレンとにかく移動しようと身体を動かそうとするが、機体はボロボロ、エーレン自身も戦闘での余波が残り、動けずにいた。

そしてエーレンの頭の中にある可能性が浮かび上がる。

 

エーレン「(あ、でも死んだら雪奈に会える…)」

 

その考えが浮かぶと同時に身体の動きが止まる。

完全に諦めた感じだったが…

 

???『またそうやって諦める、悪い癖だよエーレン? 』

 

エーレン「!?」

 

いつぞやの声が頭の中に響くとエーレンは再びあの空間に来ていた。

だが今回は霧はかかってなく、周囲が見渡せた。

 

エーレン「やはりここは船の上か、だとしたらどこのふ……ね……だ……?」

 

エーレンの視線はある1点で止まる。

それは艦橋に目を向けた時だった。

その艦橋、いや艦橋だけでは無く、その船に見覚えがあった、ありすぎた。

同時に片時も忘れることは無かっただろう。

ハリネズミのように敷き詰められた巨砲群。

城の天守閣を彷彿とさせる艦橋。

いかなる存在でも突破できないであろう対空火器群。

その全てを正確に覚えていた、同時に非現実的な感じもした、なぜならその戦艦は実物を見ることも乗ることも出来ないはずだった。

そしてその戦艦の名を静かに言う。

 

エーレン「戦艦…奥遠和…」

 

エーレンは今、奥遠和重工造船技術の結晶、戦艦奥遠和の前甲板に立っていた。

 

エーレン「ありえない…、だってこの艦は…!」

 

???「沈んだはず、そう言いたいのかな? 」

 

すると右舷側から声が聞こえた。

その方向を見た瞬間、エーレンは人生で1番驚いていただろう。

 

エーレン「雪…奈…? 」

 

半ば放心状態だったが辛うじてそれだけは言えた。

 

雪奈「うん、久しぶりだねエーレン」

 

エーレンを抱きしめながらそう言う。

 

雪奈「あーあ、身長も負けちゃったか、さすが男の子、伸びるのが速い」

 

エーレン「本当に雪奈なのかい…? 」

 

エーレンはまだ信じきれずにいた。

 

雪奈「そうよ、びっくりしすぎて整理がおいついてないの? 」

 

エーレン「でも君は…」

 

雪奈「うん、私は何年も前に死んじゃってるわ。 でもそれは身体の話。

意識だけを私のコアに預け、今コアに意識のみ存在しているわ。

私がここにいるのはエーレンのISの演算装置が奥遠和のユニオンコアだからよ」

 

エーレン「そうか…、良かった…」

 

エーレンはようやく確信を持て、雪奈を抱きしめ返す。

 

雪奈「ふふ、ようやく実感持てたみたいね」

 

エーレン「うん、ここにいる雪奈は間違いなく本物だよ」

 

エーレンは泣きながらそう言う。

 

雪奈「よしよし、でもエーレン、あまりここでゆっくりはしてられないわ、今エミリアちゃん達が福音と戦っているわ」

 

エーレン「何!? くそ! あの時仕留め損ねたからか…」

 

雪奈「何もエーレンのせいじゃないわ、それに私達も出来るよ、第二次形態移行(セカンド・シフト)

 

エーレン「え!? 出来るの!? 」

 

雪奈「うん、私と再会出来たのが何よりの証拠だよ? 」

 

エーレン「そうか…」

 

エーレンはそういったあと、雪奈の両肩に手を置いて…

 

エーレン「戦いが嫌いな君にこんな事言うのは心苦しいんだけれど… 僕と共に来てくれるかい? 」

 

雪奈「ええ、エーレンと一緒ならどこにでも行くわ」

 

エーレン「ありがとう」

 

そして2人の顔が近づき、やがて唇が触れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エーレン「さて、行きますか」

 

エーレンは再び海底に横たわっていたが、機体はほぼ新品同然になっていた。

 

雪奈「エーレン、聞こえる? 」

 

エーレン「うん、ばっちり。 もう第二次形態移行(セカンド・シフト)は終わっているのかな? 」

 

雪奈「終わっているわ、でも機体は直せてもエーレンの傷までは治せないよ、どうするの? 」

 

エーレン「何、せっかく彼女が側で見てるんだ。 ちょっとはかっこいいとこ見せないとだからね」

 

そう言って痛みに構わず立ち上がる。

 

雪奈「ふふ、エーレンも男の子だね。分かった、私も最大限サポートするわ。 はい、この機体の新しいデータよ」

 

エーレンはディスプレイに表示されるデータを見る。

 

エーレン「良しだいたい分かった、じゃあ雪奈、行こうか」

 

雪奈「了解!」

 

そしてエーレンはいつぞやの発進の掛け声とともに新たなる戦友の名を口に出す。

 

エーレン「エーレンフリート・ヴァルトフォーゲル!」

 

雪奈「奥遠和雪奈!」

 

「「極限の白軍(ヴァイス・レギオン・エクストリーム)、出撃する!」」

 

今1機のIS、いやISだったモノが再び大空へと進軍する。




今回はここまでです、お疲れ様でした。

思ったより長くなってしまったので前後編にわけさせていただきます。

次回は後編です、お楽しみに!

人物紹介

奥遠和雪奈

通称:雪奈

2つ名:無し

初登場:第15話 陽光は極限と共に 前編

身長:160cm

体重:51cm砲40門の餌食になりたいのかな?

年齢:14(死亡時)

階級:大佐

服装:イラストリアス(アズールレーン)

見た目:イラストリアス(アズールレーン)

特技:情報処理

好きなもの:エーレン、平和

嫌いなもの:戦争

エーレンの恋人にして巨大企業 奥遠和重工のご令嬢。
その企業が独自開発した巨大双胴戦艦 奥遠和のメンタルモデル。
と言っても適性の問題であり、本人は戦争を望んではいない。
1943年に死亡したが、奥遠和のユニオンコアに意識のみを移し、今はヴァイスのメインコンピュータになっている。
名前の由来は小説「ホワイトアウト」の地名から。


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第16話 陽光は極限と共に 後編

こんばんは皆様、大極光です。

今回は長くなります、すみません…

艦船紹介

奥遠和型戦艦


【挿絵表示】


主砲:75口径51cm砲4連装 16基64門

副砲:280mm3連装AGS 12基36門

対空ミサイル:16基

ASROC対潜ミサイル:8基

35mmCIWS:30基

波動ガン:2基2門

βレーザー:2基2門

大日本帝国の企業、奥遠和重工業が独自開発した超大型戦艦。
1個艦隊をまるごと吹き飛ばせる火力を誇り、なおかつ対潜攻撃も出来るので意外とどこでも活躍できる。
一応日本海軍に所属してはいるが命令は奥遠和重工業社長のものが優先される、メンタルモデルは奥遠和雪奈。
1943年の本土防衛戦で横須賀沖に沈没。


夜明け

 

海上

 

雪奈「まもなく戦闘空域にはいるわ、エーレン用意はいい? 」

 

エーレン「うん、問題ないよ」

 

エーレンは現在、飛行形態で向かっていたがすぐにでも変形と武装展開が出来るようにしておいた。

 

雪奈「了解、じゃあ… ッ! エーレン! 今青い髪の子が福音の砲弾をまともに受けたわ!」

 

エーレン「青い髪… 簪ちゃんか! えっとここから攻撃できる武器は… あった!」

 

エーレンは通常形態に変形し、拡張領域(バス・スロット)からズィーガーマグナムが進化したもの

反物質ビーム砲「アブソリュートマグナム」を構える。

そして素早く照準をつける、狙いは福音の荷電粒子砲だ。

 

エーレン「僕の友達に何するつもりですかね? 」

 

容赦なくトリガーを引く。

放たれたビームはエーレンの腕と雪奈の補正により、寸分違わず福音の荷電粒子砲に命中する。

そして対消滅反応が起こり、福音の一部をまるごと消し去る。

 

「「「エーレン!」」」

 

エーレン「お待たせしました、さあ! 反撃と行きましょうか!」

 

朝日に照らされながら今、最終決戦が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

旅館 臨時司令部

 

エーレンが復活したことはこの司令部でも確認されていた。

だがその反応はすぐにノイズによってかき消された。

真耶「あれ? なんでしょうこれ? 」

 

千冬「? どうしました山田先生? 」

 

真耶がレーダーを見ながらそうつぶやいたのを聞き、千冬が聞き返す。

 

真耶「ヴァルトフォーゲルくんの反応と思われるものが今は何故かノイズの様なもので見えなくなっているのです」

 

千冬「ノイズ… 若しかしたらシューゲル技師なら分かるかもしれない、呼んできましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

ハンス「ああ、これは故障ではありませんね、ヴァイスの仕様です」

 

千冬「仕様? ですが突然こんな事が起きるのです? 」

 

真耶「以前まではレーダーにも写っていましたが…」

 

ハンス「恐らくヴァイスは第二次形態移行(セカンド・シフト)したのでしょう。

このノイズは我々の世界で超兵器ノイズと呼ばれていたものと見て間違いありません」

 

「「!? 」」

 

千冬と真耶もゼーロスからもたらされた資料でエーレン達の世界の兵器の情報は少なからず得ていた。

その中でも特に目を引くのが超兵器、ドイツが開発した巨大兵器群だった。

 

千冬「ですが第二次形態移行(セカンド・シフト)したとはいえ、そこまで劇的な変化が起こるものなのですか? 」

 

ハンス「ええ、普通のISなら織斑教諭の見解が正しいでしょう、しかしヴァイスはただのISではありません」

 

真耶「普通のISじゃないって…」

 

ハンス「ヴァイスに搭載された演算システムはかつて日本海軍のとある戦艦に使われていたユニオンコアです、その性能は我が国の「デルタコア」を軽く上回ります。 そして少佐が試験目的で持ち歩いていた最新鋭の「ペンタゴンコア」、これらが第二次形態移行(セカンド・シフト)により融合したのでしょう。

それによりあの機体は2世界の技術をすべて吸収したと言っても過言ではありません。

もはやあれはISでは無く、ISの皮をかぶった超兵器です」

 

「「……」」

 

千冬と真耶は驚きのあまり何も言えずにいた。

一方ハンスはどこか楽しそうにディスプレイを眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び同時刻

 

海上

 

エーレン以外のメンバーはエーレンの要請により、現在ゼーロス艦内に退避している。

 

福音「La!」

 

福音は光弾をエーレンに向けて放つ。

しかし…

 

雪奈「無駄よ!」

 

ヴァイスの何倍にも強化されたクラインフィールドで1発も効果を発揮することなく受け止められる。

 

エーレン「持っていけ!」

 

エーレンは左腕のヴァイスガトリングが進化した機関砲 40mmレーザー砲内蔵35mmガトリング機関砲「シュテルンガトリング」を放つ。

撃たれた福音はたまらず距離を取る。

そこに…

 

エーレン「逃がしませんよ!」

 

雪奈「ダイモン! 展開!」

 

雪奈の声の後ヴァイスの周りにセイライを大型化したようなモノが出現する

それらはヴァイス最大の新武装 51cm半自立稼働浮遊砲台「ダイモン」であった。

ダイモンは計64機、エーレンはそれを4機1組にし、16組で福音に砲撃を行う。

その姿はかつてアメリカ海軍と死闘を繰り広げ、沈んで行った戦艦奥遠和そのものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

特一等級空中戦闘母艦 ゼーロス ブリーフィングルーム

 

セシリア「凄いですわ…」

 

ラウラ「ああ、あの福音に互角以上の戦いをしている」

 

セシリアをはじめ、退避してきた専用機持ちは第二次形態移行(セカンド・シフト)したヴァイスの戦闘能力を目の当たりにして、驚愕の表情を浮かべていた。

 

箒「なあ、あれに勝てると思うか? 」

 

簪「まず無理」

 

箒「だろうな…」

 

世界最高のスペックを誇るISを持つ簪でも、勝てる気がしないとの事だった。

無理もない、ISで超兵器に勝つことがそもそも不可能なのだから…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じく同時刻

 

特一等級空中戦闘母艦 ゼーロス 艦橋

 

エミリア「ぐすっ… お兄ちゃん… 」

 

エミリアは兄が生きていた事に嬉し泣きし、ギュエールがそれを慰めるといった構図が出来上がっていた。

 

ギュエール「エミリアちゃん、気持ちは分かりますが泣いている場合ではありませんよ、艦長の援護に向かわなくては」

 

エミリア「うん… そうだね!」

 

エミリアは艦を福音に近づける様に進路を変え、同時にエーレンに通信を繋ぐ。

 

エミリア『お兄ちゃん、聞こえる? 』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び場所は戻り…

 

海上

 

エーレン「もう十分だろう! 諦めろ!」

 

そう言いつつ何度目か分からないダイモンの一斉発射をする。

だがその面の攻撃すら、福音には当たらない、いや掠ってはいるのだがそこまでだ。

エーレン自身、ダイモンの操作にまだ慣れていない、加えて今のエーレンは満身創痍の体を無理矢理動かしているのだ。

そのため、常に痛みを伴っているので必然的に照準は甘くなる。

それらの理由から一進一退の攻防が延々と続いていた。

そこに…

 

エミリア『お兄ちゃん、聞こえる? 』

 

エミリアからの通信である。

 

エーレン『うん、よく聞こえているよ』

 

エミリア『ヴァッサーファル改と誘導荷電粒子砲で福音の動きを止めるから、そのスキにお兄ちゃんが仕留めて!』

 

エーレン『了解!』

 

その通信のあと、エーレンはダイモンと共に上昇する。

当然福音はそれを追撃するが、シュテルンガトリングの弾幕に怯んだところにゼーロスからのミサイルと誘導荷電粒子砲が殺到し、福音の動きを封じる。

そして爆煙がはれると…

 

エーレン「ごきげんよう、可哀想な福音」

 

雪奈「人類最大のキルゾーンへようこそ!」

 

ダイモンが福音を完全に包囲していた。

エーレン自身もアブソリュートマグナムとシュテルンガトリングを構え、我王砲にもエネルギーチャージが終わっていた。

そして全ての火器をリンクさせたトリガーを容赦なく引く。

 

ドォォォォォン!!!

 

包囲された福音には逃げ道どころか満足に回避も出来ず、1個艦隊をまるごと消し飛ばせる火力をその身に受け、SE(シールドエネルギー)が瞬時に無くなり、福音は強制解除され、パイロットが落ちていく。

しかし、それをすぐに空中で受け止めるエーレン。

 

エーレン「状況終了… で良いのかな? 」

 

雪奈「うん! お疲れ様エーレン、大丈夫? 」

 

エーレン「大丈夫だ問題ない… と言いたいところだけど流石に限界…」

 

それを最後に意識を手放すエーレン。

ヴァイス自体は雪奈がコントロールしているため、落ちる心配は無い。

 

雪奈「ふふふ、よく頑張りました」

 

雪奈はそう呟くと、ゼーロスに着艦するため、飛行甲板に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後…

 

旅館内

 

ゼーロスは危機が去ったため、母港であるハシラジマに帰らなければならず、エーレンを結衣に引き渡し、戻って行った。

そのため、一夏とは別の部屋にエーレンは寝かされていた。

そしてそのそばにはエミリアやギュエールはもちろん、いつメンが心配そうに、まだ目覚める気配を見せぬエーレンを見つめていた。

特にエミリアはエーレンの右手を掴んで離そうとしない。

 

簪「エーレン… まだ起きないのかな…」

 

セシリア「三笠先生が撃ち落とされた後意識が戻り、なおかつ戦闘に復帰したのが不思議なくらいだと仰っていましたわ… 無理もないことなのでは…」

 

徐々に口数も減ってくる。

そこに…

 

千冬「やはり全員ここにいたか」

 

扉が開き、部屋の中に千冬と真耶、一夏の3人が入って来る。

 

ラウラ「教官…」

 

千冬「そんな顔するな、会議室に来いなんて言わない。 ちょうど良いからここで話す」

 

ラウラがここに居たそうな顔をしたため、千冬がそれを察してここで話すことにした。

 

千冬「まず福音の撃墜、ご苦労だった。 ヴァルトフォーゲル兄が救出したパイロットも命に別状はないらしい」

 

それを聞き、幾分か顔色が良くなる皆。

 

千冬「そして今回の報告は良い、既にシューゲル技師により報告書が提出されている。 後は、ヴァルトフォーゲル兄が起きてから話すとしよう、サザンクロス、ヴァルトフォーゲル兄の様子は? 」

 

ギュエール「まだ目覚める兆しはありません、ですので撃ち落とされてからの経緯が全く分かっていません」

 

一夏「なんだよ、人に身の丈身の丈って偉そうに言っておいて自分も分かっていないじゃないか」

 

一夏がそう言って瞬間、場の空気が一転し、箒や鈴でさえ、一夏を睨んでいた。

 

千冬「織斑…!」

 

千冬が何か言うまでに…

 

???「ふざけないでよ…」

 

「「「!?」」」

 

エミリアが一夏にそう言う。

周りの人間はいつもとは違いすぎる声音のため、それがエミリアの発したものだというのに少し時間がかかった。

 

エミリア「元はと言えばあなたのせいで!」

 

エミリアはアドラーを部分展開して一夏切りかかる。

 

千冬「ヴァルトフォーゲル妹! よせ!」

 

千冬の制止も届いていないのか、止まろうとしないエミリア。

そこに…

 

???「ダメよ、エミリアちゃん」

 

エミリア「え……? 」

 

エミリアは目の前の状況が理解出来ないようだった。

何せ…

 

雪奈「そんな事してもエーレンは喜ばないわよ? 」

 

ヴァイスの待機状態である懐中時計から出た粒子が徐々にエミリアも知っている人物 奥遠和雪奈の姿になったのだから。

 

エミリア「ユキナ… お姉ちゃん…? 」

 

雪奈「うん! 久しぶりねエミリアちゃん、大きくなったね」

 

エミリア「う、うん… ッ! ど、どいてお姉ちゃん! そいつ殺せない!」

 

雪奈の出現により一瞬戸惑ったがすぐに目的を思い出し、再び一夏に切りかかろうとするエミリア。

だが…

 

雪奈「ダメよ、可愛い見た目でそんな事言っては」

 

そう言いつつ屈んでエミリアを抱きしめる。

 

雪奈「エミリアちゃんがそんな事しないようにエーレンは今まで頑張って来たのだからね」

 

エミリア「でも… でも…!」

 

エミリアは涙目になり、雪奈に抗議する。

 

雪奈「ふふふ、愛されてるわね、エーレンは。 でもね、さっきも言ったけどエーレンはそんな事しても喜ばないし、あの人を殺してもエーレンが目覚める訳でもないわ、賢いあなたなら分かるでしょう? 」

 

エミリア「………分かった」

 

ようやく納得し、エミリアはアドラーを待機状態に戻す。

 

千冬「君は…」

 

エミリアが落ち着いたため、ようやく千冬が口を開く。

 

雪奈「あなたが織斑先生ですよね? はじめまして奥遠和雪奈といいます」

 

雪奈は千冬に一礼する。

 

千冬「なっ!? だが君は既に亡くなったと…」

 

雪奈「ええ、その認識で間違ってないわ、説明としては…」

 

 

雪奈説明中…

 

 

雪奈「というわけです」

 

千冬「分かった… しかしそちらの技術にはつくづく驚かされるな…」

 

千冬はなんでもありだな… と言いいたそうな表情をしていた。

 

一夏「なあおい、さっきはありがとう! お前良い奴だな!」

 

一夏がそうしゃしゃり出て来ると雪奈はそこそこきつい視線を一夏に向ける。

 

雪奈「お礼を言われるまでもないわ、私はエミリアちゃんをとめただけだから、それに私があなたを殺しても良いのよ? 」

 

「「「!?」」」

 

一夏「な、何でだよ!? 」

 

雪奈「ISの中から作戦は聞いていたわ、エーレンと篠ノ之さんがサポート、そして君が止め、覚えてる?

だからエーレンは1度目はもちろん、2度目も援護にとどめて君に一撃を任せた、だけど君はそれを2度も裏切り、あまつさえエーレンがせっかく作った撤退のスキも、あなたは自分のプライドを優先した、証拠もあるわ、録音しておいたから」

 

一夏「で、でもあいつは自分だけ残って…」

 

雪奈「君がそういう状況に追い込んだのでしょう? 」

 

一夏「はぁ!? どういう事だよ!? 」

 

雪奈「はぁ… 呆れた、あそこでエーレンまで撤退すれば当然福音も付いてくるわ。

エーレンは軍人、ならば民間人の安全を最優先するはず、だから増援が、当初の作戦に基づくならあなたが来るまであそこで時間稼ぎをするしかなかったの、まあ、エーレンが落とされた後も福音があそこにいてくれたのは僥倖だけどね、分かる? エーレンはあの時無茶をするしか無かった、真に身の丈が分かっていないのはあなただけよ? 」

 

雪奈がそう言い終わり、一夏がまだ何か言おうとしたその時…

 

???「何か賑やかですね…」

 

病室にそんな声が響く。

 

エミリア「お兄ちゃん!」

 

エミリアが真っ先に反応し、その声の主 ベッドの上で上半身だけ起き上がっているエーレンに抱きつく。

いつもならそれを容易く受け止めるエーレンだが、今回は身体にまだ疲労が残っていたため、エミリアに押し倒されるように倒れる。

 

エーレン「エミリア、無事そうでなによりだよ」

 

そう言いつつどうにか両手を動かし、エミリアを抱きしめる。

 

エミリア「お兄ちゃん… 良かった… 生きてて… うわぁぁぁぁん!」

 

エミリアはエーレンに抱きしめられながらエミリアはついに泣き出してしまった。

 

雪奈「あ〜あ、泣かしちゃった、エーレンダメなんだ〜」

 

雪奈が面白そうにエーレンに近づく。

 

エーレン「いや僕のせいk… ってはい!? 雪奈!? なんで実体をもっているんだい!? 」

 

雪奈「あれ? ヴァイスの特殊兵装、ナノマテリアルについて説明しなかったっけ? 」

 

雪奈は首を傾げながらそう言う。

 

エーレン「ナノマテリアル… ああ、あれかい、日独共同で開発していた、どんな形、材質にもなる新型物質でしょ? それがヴァイスに? 」

 

雪奈「うん! だから私も実体を持てたわ」

 

エーレン「そうかい…」

 

エーレンはどこか安心したようにそう言う。

 

千冬「ヴァルトフォーゲル兄、具合はどうだ? 」

 

タイミングを伺っていた千冬がエーレンにそう言う。

 

エーレン「身体が満足に動かない以外は問題ありません」

 

千冬「そうか… おっともうこんな時間か、諸君、そろそろ夕食だ、宴会場に移動しろ。

ヴァルトフォーゲル兄は妹とゆっくり来い」

 

「「「はい」」」

 

 

そして皆が出ていった後…(実は千冬達が空気を読んだ)

 

エーレンは未だ自分から離れないようとしないエミリアを撫でながら…

 

エーレン「雪奈、改めておかえり」

 

雪奈「うん、ただいま。 エーレンも帰って来れたのは良かったけどエミリアちゃんとの約束くらい守ってあげなきゃダメじゃない」

 

エーレン「約束… あっ!」

 

エーレンはエミリアに「無茶するな」と言われていたのだ。

だがエーレンは1回死にかけ、なおかつそれでも戦線に復帰したのだ。

当然無茶してないとは言えない。

 

雪奈「後でエミリアちゃんに一言言って置かなきゃだね」

 

エーレン「だね」

 

雪奈「それより…」

 

雪奈はエーレンを抱きしめる。

エーレンの頭はどこにはとは言わないが埋められた。

 

雪奈「私が死んだ後もずっと想ってくれていてありがとう、大好きよエーレン」

 

雪奈が囁くようにエーレンに言う。

 

エーレン「僕もだよ…」

 

こうして福音戦は幕を閉じる。

 

 




今回はここまでです、お疲れ様でした。

後半無理やりな希ガス…

次回は戦艦勢の皆様、お待たせしました。
次は軍艦がメインです。

次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦
第17話 1対180

誤字や脱字、アドバイス、質問、おかしな表現などがありましたら教えてください、お待ちしております。

機体紹介(変更前と違う時のみを記載します)

ヴァイス・レギオン・エクストリーム

世代:判別不能

特殊兵装:ナノマテリアル

兵装

アブソリュートマグナム
ズィーガーマグナムが第二次形態移行により、生まれ変わったもの。
見た目は変わらないが中身は反物質ビームになり、実体防御は意味をなさなくなっている。

シュテルンガトリング
ヴァイスガトリングが進化したもの。
35mmガトリング機関砲の回転軸に40mmのβレーザー発信機を内蔵。
加えてヴァイスガトリングより発射レートを上げてある。
ガトリングのみを撃つBモード、レーザーを撃つEモード、両方を撃つWモードがある。

ダイモン
セイライの強化版、51cmの巨砲。
ビットがアルペジオキリシマの主砲の様に砲身が開き、発射する。
もちろん64機別々に動かせるがエーレンは戦艦奥遠和のイメージが強いのか4機1組で操作する。

グローストゥルム
福音戦で蒸発したヴァイス・シュトラールがナノマテリアルにより復活し、なおかつ光子榴弾砲から波動砲になっている。

ヴァイス・レギオンが第二次形態移行した姿。
機関が超兵器機関になっており、桁違いのエネルギーを半永久的に供給できるため、また機関暴走の危険もあるため、普段は幾層ものリミッターがかけられている、だがそれでもオーバースペックである。
特殊兵装のナノマテリアルは演算リソースさえあればどのようなものにもなる万能素材であり、即座に武器を作ることも可能。
パイロットはエーレンであるが、メインAIである雪奈が自動操縦することも可能である。


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第17話 1対180 前編

おはようございます皆様、大極光です。

戦艦勢の皆様、お待たせしました。

※通算UAが30000突破いたしました!
これからもよろしくです!


2045年 7月某日

 

横須賀沖

 

特一等級空中戦闘母艦 ゼーロス 艦橋

 

夏休みが目前に迫ったこの日、エーレンはエミリア、ギュエールと共にゼーロスに乗艦していた。

 

ギュエール「艦長、演習開始です」

 

エーレン「了解。 クラスメイトのみなさんも見ていることですし、頑張りますか」

 

なぜこのような状況になったかというと、話は数週間前に遡る…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数週間前…

 

IS学園 1年1組教室

 

7月に入り、すっかり夏休みムードになったクラスメイト、当然エーレンも夏はエミリアと旅行にでも行こうと計画を練っていた。

(といってもエーレンは夏休み中はほとんど仕事である)

そこに…

 

千冬「全員席につけ! HRを始める!」

 

千冬と真耶が教室に入ってくる。

その一言で音もなく席につくクラスメイト。

 

エーレン「(相変わらず速いな、皆…)」

 

エーレンもノートPCを収納する。

 

千冬「さて諸君、夏休み前に嬉しいお知らせだ。

今月に横須賀で行われる自衛隊及び各国の軍の演習にハシラジマ海上技研から招待された、よって急ではあるがその日は全員で横須賀に行く、なにか質問は? 」

 

エーレン「(ああ、あの件か…)」

 

エーレンには心当たりがあった。

 

「先生! どうして急に招待されたんですか? 」

 

真耶「実はその演習にヴァルトフォーゲル君達が参加します、ですのでヴァルトフォーゲル君がせっかくですのでという事です」

 

「「「えぇぇぇぇ!? 」」」

 

いつぞやの様な叫び声の後、全員がエーレンの方を見る。

 

千冬「静かに! 」

 

千冬が一喝すると、再び静まり返る。

 

千冬「ヴァルトフォーゲル兄、お前から説明しろ。

でないと休み時間が無くなるぞ?」

 

エーレン「分かりました、実はこの演習は僕が艦長を務めるゼーロスが自衛隊に入隊したときに既に決まっていまして、各国から抽出したIS5個大隊をゼーロスで相手にする、というものです。

まあ、言ってしまえばあの艦の能力を確かめる目的ですね。

各国の訓練時間の確保のため、今月まで行われなかったのです」

 

エーレンは普通に話したつもりだがクラスメイトからすればとんでもない爆弾発言が入っていた。

 

「IS5個大隊!? エーレン君正気!? 」

 

「IS3機あれば国だって滅ぼせるんだよ! そのIS180機を戦艦1隻で相手するなんて無謀すぎるよ!」

 

エーレン「そこまで無謀ですかね…」

 

エーレンは千冬の方を見ながらそう呟く。

 

千冬「諸君らの懸念は最もだ、だが逆に考えて欲しい、このようなどう見ても過剰な戦力を必要と各国に判断させたゼーロスの戦闘能力を、な」

 

千冬は当日行けば分かると言わんばかりの笑を浮かべる。

 

千冬「さて、連絡は以上だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして話は冒頭より少し前に戻る。

 

横須賀沖 護衛艦いずも艦上

 

ゼーロス乗組員は今回の相手、IS5個大隊180名と対峙していた。

 

エーレン「日本国海上自衛隊 特装護衛艦ゼーロス艦長のエーレンフリート・ヴァルトフォーゲルです、本日はよろしくお願い致します」

 

エーレンはそう言いつつ握手を求めて、右手を差し出すが…

 

「ふんっ! よろしくする必要なんて無いわよ、あなた達なんて一瞬で撃沈してあげるわ、たかだか戦艦1隻でこの戦力に、しかもそちらは航空兵力とブリューナク? だったかしら、それらを使えない。

こんなのやるまでもないわ、あなた達では勝てないわ」

 

そう言ってエーレンの手を払い除ける。

 

エーレン「まあ、その通りですね、そちらの常識では。

しかしやる以上、せいぜい足掻かせて貰いますよ? 」

 

そう言った後、互いに一礼して、それぞれの艦に乗り込んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

観客席

 

今回の演習はドローンを使い、双方の映像が観客席に設けられた巨大スクリーンにゼーロスは艦橋の映像も含めて鮮明に映るようになっているのだ。

 

ラウラ「なんなんだあいつは!? 兄様があんなに丁寧に挨拶してると言うのに…!」

 

ラウラは先程の映像を見て、そこそこキレていた。

他のいつメンもラウラみたく声には出さないが良い思いはしてなかった。

 

雪奈「まあまあラウラちゃん、落ち着いて? 」

 

そうラウラをなだめる雪奈、ナノマテリアルの身体で彼女も演習を見に来ていたのだ。

 

ラウラ「…ああ、すまない、つい感情的になりすぎてしまった…

しかしお前は良いのか? 兄様があんな風に言われてて」

 

雪奈「良いわけないわよ? 正直あの女を51cm砲で吹き飛ばしたいところだけど…

そんなの私の頼れる妹が代わりにやってくれるわ。

それにあまり大声では言えないけど、ゼーロスはエーレンが持てる技術を全てかき集めて造った艦だもの、ISなんて欠陥機如きが何機集まっても烏合の衆よ」

 

雪奈は確信したようにそう言う。

 

雪奈「ISがあのゼーロスの光学障壁を突破出来るかどうかすら怪しいのに… うん、美味しい」

 

そう言い、まるで映画でも見るように持ってきていたポップコーンを食べる。

 

 

同時刻

 

ハシラジマ海上技研 会議室

 

ハシラジマ海上技研の研究員全てが入るスペースがある、大会議室でハンスや束を初めとする研究員達が演習が始まるのを今か今かと待っていた。

 

クロエ「シューゲル様、エーレン様は勝つことが出来るのでしょうか? 」

 

束が室長を務める第5研究室の副室長 クロエ・クロニクルは隣で腕組みをしながら画面を見つめているハンスにそう質問する。

 

ハンス「そうだな、180機全てが少佐や篠ノ之研究員、君のような優秀な人間が造ったものかつ、パイロットが織斑教諭のような人間ならば危ういが…」

 

束「今回の相手は全て量産機、なおかつパイロットは一応軍人だけどちーちゃんどころかえーくんやくーちゃんにも及ばない。

悔しいけどゼーロス無双して終わりだろうね〜」

 

束は持っていたペットボトルを飲みながらそう言う。

 

ハンス「加えてISの武装はどう足掻いても威力は戦車砲クラス、あれでは轟沈判定のクラインフィールドどころか超重力電磁防壁やディストーションフィールドすら突破出来るのか怪しいな…」

 

この演習、ゼーロスはクラインフィールドが臨界になり、消失した場合。

ISは180機全てのSE(シールドエネルギー)が無くなった場合、それぞれ負けとなる。

 

ハンス「まあ、やれば分かる」

 

クロエ「はぁ…」

 

ハンスは意味ありげに笑い、クロエは心配そうに画面からの音声に耳を傾ける。

 

 

その頃 ネットでは…

 

 

名無しさん1 『IS5個大隊とか並ぶと壮観だな』

 

名無しさん2『対戦相手の戦艦。 ゼーロスとか言ったか?

勝てるのかこれwww』

 

名無しさん3『↑(勝てる訳)ないです』

 

名無しさん4『↑↑だってIS180機だろ? ぶっちゃけこの地球の最高戦力じゃん、あの隊長さんの言葉を借りる訳じゃないがたかが戦艦1隻じゃ無理だろ? 』

 

とまあこの様にIS大隊が圧勝すると誰もが信じて疑わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして話は冒頭に戻る。

 

エーレン「機関始動! 巡航速度で高度5000まで上昇!グランドスフィアを除く全ての防御障壁を展開! 火器システムに火を入れてください!」

 

エミリア「はーい! 機関始動、巡航速度で高度5000まで上昇します」

 

ギュエール「防御障壁及び火器管制システム、オンライン。

ゼーロス、戦闘形態に移行します」

 

ゼーロスのフラッペンが唸りを上げ、瞬く間に896mの巨艦を80knotまで加速させる。

 

ギュエール「艦長、久々に演説でも如何です? 」

 

ギュエールが艦内放送のマイクを差し出しつつそう言う。

 

エーレン「良いですね、久々にやりましょうか」

 

そしてマイクを受け取り、立ち上がる。

 

エーレン『親愛なる諸君、各々の作業をしながら聞いていただきたい。

今回、我々はこの世界では初めての作戦行動に入る、敵はこの世界の最高戦力とも言えるIS5個大隊180機だ。

この世界の常識では戦艦1隻で勝てる戦力では無いらしい、それに挑み、勝利するためにはには並々ならぬ知恵がいるだろう。

だが諸君、何も気にする必要は無い、諸君らが乗ってる艦はなんだ?

ただの一介の戦闘艦か?

否っ! 諸君の乗っている艦はドイツ最強の戦艦である!

諸君が今までくぐり抜けてきた死線に比べれば、慢心かも知れないがこんなの大した事は無いと思う。

むこうの隊長は我々は勝てないと言った、僕はその通りだと思う。

あの程度の戦力では我々は勝ちも負けもしない、圧倒しか出来ないからである!

故に諸君らは特別な事をする必要は無い、ミスを極力無くし、いつも通り各自の仕事をこなして欲しい、それだけで十二分なのだから。

以上だ、ご清聴ありがとう』

 

エーレンはギュエールにマイクを返し、艦長席に座る。

ちなみにこの演説もスクリーンで観客に聞こえている。

 

ギュエール「お疲れ様でした艦長」

 

エーレン「久々にあんなに喋りましたね、さてそろそろ敵さんが見える頃ですかな? 」

 

エミリア「えーと、対空電探に感あり! 10時方向から1個大隊接近中!」

 

エーレン「来ましたか… 対空戦闘用意! 機関戦闘出力! 全主砲に対空榴散弾装填! 副砲を誘導モード及びヴァッサーファル改、照準開始!」

 

エミリアからの報告の元、エーレンは指示を飛ばす。

 

ギュエール「了解! 主砲、対空榴散弾装填、照準開始!」

 

エミリア「誘導荷電粒子砲及びヴァッサーファル改発射用意良し」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※無双が始まります、お好みの処刑用BGMをご用意してお楽しみください。

 

同時刻

 

IS隊 第2大隊

 

主にアメリカ軍で構成されたこの第2大隊はゼーロスをこの1個大隊のみで沈めるべく、先行していた。

 

隊員「ハイパーセンサーに目標を捉えました!」

 

大隊長「分かったわ、さあ皆! ISに無謀にも挑んできた命知らずに華麗に勝つわよ!

1個中隊は艦底を攻撃しなさい!

残りは私に付いてきて!」

 

隊長の指示のもと、3個中隊にわかれ、ゼーロスを挟み込むように攻撃する。

 

隊員「流石ね、あんな巨大艦を相手にしても一糸乱れぬ動き、訓練した甲斐が有るわ。 今回はフィールドが無くなるだけだけど…

現実ならあっという間に海の底だろうね! 」

 

 

ゼーロス艦橋

 

ギュエール「敵大隊、3個中隊に別れました」

 

エーレン「上昇中の2個大隊を目標群A(アルファ)、目標群B(ベータ)とし、下降中の中隊を目標群C(チャーリー)とする」

 

「「了解!」」

 

 

IS隊 第2大隊 第3中隊

 

中隊長「全機! 突入進路確保! アタックポイントまで5マイル!」

 

隊員「たかが1隻の戦艦で何が出来る!」

 

中隊がまもなく攻撃を仕掛けようとした時、ついにゼーロスが動いた。

 

 

ゼーロス艦橋

 

エーレン「左対空戦闘、CIC指示目標、撃ち方始め」

 

ギュエール「目標、低空から侵入中のC群、主砲5番から7番、撃ち方始め」

 

ギュエールが主砲のトリガーを引く。

次の瞬間、ゼーロス艦底部に備え付けられた6基の38.1cm主砲の内、3基が咆哮を上げ、計9発の対空榴散弾が発射される。

だが、彼女達は回避などせず、そのままの速度を維持したまま突っ込んでくる。

彼女達は現代戦しか訓練しておらず、この世界では1世紀前に行われていた古い戦い方を知らなかった。

そのため…

 

ドォーン!

 

砲弾の近接信管が作動し、猛烈な勢いで榴弾の能力をもつ散弾をばらまく。

それをまともに受けた中隊は半壊する。

 

ギュエール「目標群C 6機撃墜、残りも中破ないし大破です」

 

エーレン「残りは副砲で対応、上空の中隊に向けて砲撃用意!」

 

エーレンはギュエールからの情報を元に次の指示を出す。

まだ焦ってはいないようだ。

そしてその後、誘導荷電粒子砲が発射され、IS隊 第2大隊 第3中隊は文字通り壊滅する。

 

 

 

IS隊 第2大隊 第1中隊

 

隊員「大隊長! 第3中隊が!」

 

大隊長「なっ!? 」

 

声を出したのは大隊長のみだが残りの隊員も驚いていない人間はいなかった。

無理もない、量産機とはいえISが12機、大国に喧嘩が売れる戦力をたかだか戦艦1隻が無傷で殲滅したのだ。

 

大隊長「ハリネズミ… いや、モンスターめ!」

 

隊員「ッ! 敵艦の主砲、こちらに指向中!」

 

大隊長は隊員からの声で現実に引き戻される。

 

大隊長「総員! 小隊規模に散開! 固まっていてはあの主砲の的だぞ!」

 

大隊長からの指示の後、流石にこの当たりは訓練しているのか、すぐに散開し、四方八方からゼーロスに襲いかかる。

だが…

 

ドドドドド!

 

ゼーロスの対空火器、127mm速射砲、対空パルスレーザー、35mmCIWSが射撃を開始、弾幕を形成し中隊の侵入を阻む。

 

ISの機動力なら回避出来ない訳でもないが、ゼーロスから発せられる弾幕は現代の艦船の物とは比べ物にならないくらい密なものであり、熟練以外は避けるのもままならずにいた。

 

大隊長「(ん? なんだ? 散開を指示したはずなのに、どうしてあそこはあんなに固まっているんだ…? ッ! まさか!? )」

 

大隊長が気づいた時にはもう遅い。

ゼーロスの主砲から対空榴散弾が発射され、固まっていた新人、12機が砲撃を受け、退場する。

 

大隊長「(弾幕でこちらの進路を誘導しただと!?

ええい! あの戦艦の砲手は化け物か!? )」

 

 

 

ゼーロス艦橋

 

ギュエール「今の砲撃で12機を撃墜、目標群A 残存戦力4機。

目標群B 残存戦力8機」

 

エーレン「目標群Aには副砲で対応、目標群Bにヴァッサーファル改発射! 」

 

エミリア「了解! 8基照準、ヴァッサーファル改発射!」

 

ギュエール「了解、誘導荷電粒子砲、照準開始」

 

エーレンの指示の元、エミリアとギュエールは残敵を掃討するべく、ミサイルと荷電粒子砲を発射する、荷電粒子砲はもちろん、エミリアが照準したミサイルを既に戦意喪失しているIS隊が回避出来るはずもなく、ゼーロスからの攻撃が全て命中し、IS隊 第2大隊は壊滅した。

 

 




今回はここまでです、お疲れ様でした。

思ったより長くなりそうなので前後編に分けます。
次回後編です。

誤字や脱字、アドバイス、質問、おかしな表現などがありましたら教えてください、お待ちしております。


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第18話 1対180 後編

こんばんは皆様、大極光です。

書くこともないので本編をどうぞ!


第2大隊壊滅後

 

某掲示板では…

 

名無しさん1「ゼーロスTUEEEEEEEEEEEE!!!!!!!!!!!

ISYOEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!!!」

 

名無しさん2「マジかよ… IS一個大隊がこんなにあっさり…」

 

名無しさん3「IS時代終わったかな? 」

 

名無しさん4「↑お、そうだな」

 

名無しさん5「↑↑そうだよ(便乗)」

 

とまあこのようにゼーロスの実力は全世界に知らしめられた。

元々この中継を始め、無人機での撮影など行う予定は無かったのだが国際IS委員会の一部の人間が、ISの絶対的な力を示そうと決めたものだったが、どうやら裏目に出たようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

観客席

 

ネットではテレビやPCなどの映像のため、幾分か迫力が落ちているため、ハイテンションで書き込みなどを行えたが、観客席に設けられた巨大スクリーンで見ていた人間にはそうもいかず、全員がスクリーンを見つめ、半ば放心状態であった。

約1名を除いて…

 

雪奈「ふーん、まあこんなものよね〜」

 

雪奈は微動だにせず、さもこの展開が当然のような事を呟く。

 

鈴「……雪奈、アンタはこうなる事を知ってたの? 」

 

雪奈「そうよ、だってISが作られてから1度も大規模な戦いは起こっていない、つまりあの部隊の中で実戦を経験した人は皆無。

対してエーレンは1939年の戦争からずっと戦ってきて、なおかつ生き残っている、これで経験の差は歴然。

次に装備、ISの武装はどれをとっても威力は戦車砲クラス、加えて射程も同様、せいぜい5000がやっと。

対してゼーロスは対艦戦闘を想定して造られており、対空火器を除くすべての武装が射程10000を超えるわ。

IS大隊の攻撃は届く前に全滅、もし仮に届いたとしても積層された装甲に阻まれ、反撃されて全滅。

どちらにせよ、ISに勝つ道はないわ」

 

そう言って、残り少なくなってきたポップコーンを口に放り込む雪奈。

もはや見るまでもないと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

ハシラジマ海上技術研究所 大会議室

 

クロエ「す… すごい…」

 

クロエは驚きのあまり、スクリーンから目が離せずにいた。

だが、驚いているのはクロエのみで、残りの研究員達は当然といった顔をしていた(アルコールが入っている人間もチラホラ)。

 

ハンス「まあ、完全に詰みだな、大隊の指揮官のみならず武装などのセッティングをしたメカニックも3流以下もしくは何も知らない… いや、ゼーロスをなめた結果だな」

 

束(煙草)「だね〜、ゼーロスだけじゃなくえーくんの指揮にりっちゃんの操舵、何よりエルちゃんの砲術の腕を軽視した結果だね〜」

 

そう言いつつハンスはコーヒーを、束はオレンジジュースを飲む。

この2人は酒は飲まないらしい。

 

クロエ「シューゲル様、パイロットだけでは無くメカニックも、とはどういう…? 」

 

ハンス「ふむ、クロエ君は勉強熱心だからな。

この世界の軍艦がどんなものか知ってるつもりで話す。

奴らは恐らく対艦戦闘をきちんと訓練したんだろう、だがそれが逆に奴らを苦しめる形になった」

 

クロエはさらに首を傾げた。

 

ハンス「つまり、奴らはゼーロスも現代のイージス艦やそこらの軍艦と大して変わらないと考えたんだろう。

イージス艦は被弾を考えていない設計のため、武装は戦車砲クラスでも、弱点を狙えばきっちり処理出来るし、攻撃手段もミサイルや砲、それも双方『点の攻撃』だ、ISの機動力なら回避など造作もない。

だがゼーロスは違う、対空火器群による『面の攻撃』も行えるし、威力や射程はもちろん、命中精度もIS部隊を軽く上回る、加えて防御も超兵器の攻撃に耐え得る装甲を持ち、なおかつ光学障壁もある。

言うなればゼーロスは最新鋭のシステムを搭載した旧式艦艇なのだ。

もっと射程と威力のある武装を選択していたならばまだ戦えただろうが、あの装備では無理だ」

 

ハンスは一通り喋り終えると、もう一度コーヒーを飲む。

 

ハンス「だから奴らは降伏するか、全滅させられるまで戦うしかない。

それまでゼーロスのクラインフィールドの稼働率を2桁まで持っていけて僥倖といったところだな」

 

クロエ「な、なるほど…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

横須賀沖 上空

 

IS部隊 第1大隊

 

主に国際IS委員会の人間で構成されているこの大隊の大隊長は総司令官も兼任している。

そしてその大隊長は今、決断を迫られていた。

そこに…

 

美澄「総司令、敵はこちらの想定とは全く違います、ここは負けを認めるべきではないでしょうか? 」

 

主にアジア各国で構成されている第4大隊の大隊長を任された美澄は総司令官である女性に、そう進言する。

しかし…

 

総司令官「ダメよ! それはISの敗北を意味するわ!

ISは無敵なの! たかだか戦艦1隻に負けるわけないわ!

何かイカサマをしたに決まってる! それに敵の艦長は男よ!

そんな卑怯な男は我々が罰を与えるべきなのよ!」

 

美澄「……(またこれなのね、国際IS委員会の女尊男卑主義者… わざわざこんな陳腐な部隊を潰すのにヴァルトフォーゲル君が本気出す訳ないじゃない… って言っても無駄か…)」

 

美澄はため息をつき…

 

美澄「では総司令、この後はいかがなされるおつもりで? 」

 

総司令官「決まってるわ! 残存する全大隊で敵艦を包囲する! もう手加減はしないわ、行くわよ! 」

 

その声の後、第1大隊は飛び出していく、美澄も不本意だが命令とあらば仕方が無いので自分の大隊を第1大隊のあとに続かせる。

 

IS144機対戦艦1隻

 

ランチェスターの法則に置き換えるまででも無い圧倒的な数的優位の元、IS大隊は総力戦に移行、ゼーロスを包囲するべく動き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

横須賀沖 上空

 

特一等級空中戦闘母艦 ゼーロス艦橋

 

ギュエール「対空レーダーに感あり、恐らく敵は本艦を3次元的な包囲を画策しているものと推察されます」

 

IS大隊はまだ移動している段階なのに、ギュエールは既にその動きを掴み、なおかつ何をしようとしているのかさえ、判断した。

 

エミリア「諦め悪いなぁ〜、勝てないってわかんないのかな、お兄ちゃん? 」

 

エーレン「分かっていないのか、認めていないのか、どちらかだろうね。

まあどちらにせよ、僕達が圧倒する事に変わりない、変わりないけど…」

 

エーレンは何か言いたげに語尾を濁す。

 

ギュエール「? 何か問題でも? 」

 

エーレン「敵の狙いはギュエールさんの推察通りゼーロスの包囲でしょう、となればどこかで最大で小隊規模にまで分裂するでしょう、そうなるといかにゼーロスと言えど144機相手ではいささか厳しいでしょう。

そこでギュエールさん、敵が移動している今のうちに何機か仕留める事は出来ませんか? 」

 

ギュエール「可能です、可能ではありますがよろしいのですか?

本艦の正確な位置を敵に教える事になりますが…」

 

エーレン「構いません、ここで決着付けます」

 

ギュエール「……分かりました、主砲! 対空榴散弾装填! 照準開始!」

 

ギュエールはエーレンに確認をとった後、ゼーロスの主砲を敵の大隊のひとつに集中させる。

 

ギュエール「エミリアちゃん、主砲全門使いたいので高度を敵に合わせてください」

 

エミリア「りょうか〜い! 敵大隊と高度をリンクさせます」

 

エミリアはレーダーからの情報を元に、敵との高度を合わせていく。

ギュエールは最後の微調整に入っていた、その雰囲気はいつもの優しさをまとったものではなく、日本刀のような鋭いものとなっていた。

そして…

 

ギュエール「撃て!」

 

ギュエールの号令の後、ゼーロスの主砲全門 計30発もの砲弾が、優秀な発砲遅延装置によって、少しタイミングをずらされて発射され、侵攻中の敵大隊に向けて飛翔し…

 

エミリア「全砲弾の炸裂を確認、敵大隊は全機撃墜判定です」

 

エーレン「良し! 間髪入れないでください、次!」

 

「「了解!」」

 

再びギュエールは照準を付け、エミリアは高度を合わせる。

敵の進路はゼーロスが発砲したため、軒並みゼーロスに向かってきているが、逆にそれが照準を付けやすくした。

 

ギュエール「撃て!」

 

再びゼーロスの主砲が咆哮を上げ、砲弾がまっすぐ敵に向かって飛んでいき、先程と同じく近接信管が作動、その威力を遺憾無く発揮し、瞬く間に敵二個大隊を殲滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほぼ同時刻

 

IS部隊 第1大隊

 

総司令官「嘘よ…」

 

総司令官はゼーロスが発砲した事で位置を特定し、その時点で勝ったと思った。

だが、その位置を特定するのにIS部隊が払った代償は二個大隊分、いささかどころか、完全に割に合わないのだ。

 

隊員「大隊長、残っているのは我々と田中一尉の第4大隊のみです、いかが致しますか? 」

 

総司令官「続行よ!」

 

隊員「はい!? 正気ですか!? 数の優位さえ、奴らには通じないのですよ!? 武装や経験、戦略、我々が唯一勝っていた数の優位すらたった2回の砲撃で半分にまで減らされたのですよ!」

 

もはやIS大隊に勝てると思っている人間は皆無であった。

ただ1人を除いて…

 

総司令官「う、うるさいうるさい! ISは無敵なのよ! 負けるわけがない! それにさっきの砲撃はほぼ奇襲じゃない! 不意打ちしかできない、臆病者には絶対負けないわ! 行くわよ!」

 

そう言って飛び出す総司令機。

だが…

 

隊員「ッ! 敵弾来る!」

 

総司令官「こんな事… ありえない…」

 

ドォーン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

特一等級空中戦闘母艦 ゼーロス艦橋

 

ギュエール「敵の総司令官のものと思われる大隊を殲滅致しました」

 

ギュエールは空域に停止していた第1大隊にすぐに照準を付け、発砲した。

結果、第1大隊は壊滅、元々指揮などあってないようなものであったがこれで一応、敵の頭は潰せたというわけだ。

 

エミリア「後はあの一個大隊で止め! 」

 

ギュエール「ですね、次弾装填! 砲撃よu… ん? 艦長、敵大隊から通信です」

 

エーレン「繋いでください」

 

するとメインモニターにエーレンもよく知る人物の顔が映る。

 

美澄『我々IS部隊 第4大隊はこれ以上のゼーロスへの攻撃は無意味と判断し、投降するわ』

 

エーレン『了解しました、受け入れましょう』

 

エーレンはマイクをとり、返事をする。

 

美澄『…強いわね、エーレン君』

 

エーレン『いえいえ、僕なんてまだまだですよ』

 

それを最後に通信が切れる。

 

エーレン「演習は終了した! 進路反転! ハシラジマに帰還する!

 

「「了解!」」

 

こうして世界でも類を見ないこの大規模な演習はゼーロスの勝利という形で幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後…

 

人工島ハシラジマ 中央公園

 

夕焼けで空が橙色になってきた頃、エーレン達は各所への挨拶を終え、この中央公園へと来ていた。

そこにはテーブルやBBQセットが所狭しと並べられ、端っこの方には肉や野菜がかなりの量が置かれてあった。

そしてそのテーブルの大半が、ゼーロス乗組員やハシラジマ技研の研究員、そしてエーレンが招待したIS学園の生徒達で埋まっていた。

 

エーレン「賑やかですね」

 

エミリア「わーい! お祭りだ!」

 

実際にはハシラジマ主催のBBQパーティーなのだが、規模が規模なので、エミリアの祭りという解釈も当たらずとも遠からずといったところだった。

 

ハンス「お、諸君! 主役のご到着だ!」

 

ハンスがそう周りに向かって叫ぶと、全員がエーレン達を拍手で迎えた。

 

ハンス「少佐、そこに座るといい」

 

エーレンはハンスに導かれるままにテーブルに案内された、そこには…

 

「「「おめでとう! エーレン! エミリアちゃん!ギュエール!」」」

 

雪奈やセシリアなどのいつメンが勢ぞろいしていた。

 

ハンス「さて、これで全員か… では少佐! 乾杯の音頭を取って貰えるかね? 」

 

エーレン「勝利の立役者はギュエールさんなのですが… まあ良いです」

 

そう言いつつ、エーレンはハンスから貰ったグラスを片手に、広場の中央に移動する。

 

ハンス「諸君! では乾杯と行こう! 少佐、よろしく頼む」

 

エーレン「分かりました。 えー、こういう場面では何か真面目な話をするのでしょうが、あいにく考えてきておりません!」

 

エーレンがそう言うと会場から笑い声が上がった。

 

エーレン「ですのですぐに乾杯と行きましょう! 宴は今宵、この時より開かれるのです! prosit!(乾杯)

 

「「「prosit!(乾杯)」」」

 

そしてエーレンはグラスを1口飲んでから自分の席に戻る。

(ちなみにグラスの中身は酒ではなく、某国民的乳酸菌飲料なのでご安心を)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後…

 

エーレンは肉を焼きながら、いつメンと談笑していた。

ちなみにセシリアはギュエールと終盤の狙撃のことについて意見交流していた。

 

ラウラ「しかし兄様のあの演説はすごくかっこよかったです!」

 

シャル「うん、『勝ちも負けもしない、圧倒しかできない』ってところ好きだな〜」

 

簪「うん、ちょっと悪役っぽい所もかっこいい…///」

 

エーレン「そんなにですか? 」

 

エーレン達は、開戦前のエーレンの演説について盛り上がっていた。

エーレン自身、向こうの世界でも作戦前には割と頻繁に演説を行っていたため、あまり特別なようには思えなかった。

 

雪奈「うん! とっても。 惚れ直しちゃった♥」

 

そう言いつつエーレンの左腕に抱きつく雪奈。

 

エーレン「ちょいちょい雪奈、人前だよ? 」

 

エーレンはそう言うが、本気で嫌がっている訳では無いようだ。

 

雪奈「ダメ? 」

 

雪奈は対エーレンの定石、上目遣い+首傾げでエーレンに迫る。

 

エーレン「い、いや別に、ダメじゃないけど…」

 

エーレンはそれを最後に何も言わなくなった。

 

「「「(うそぉ、あのエーレンがいとも容易く…!? )」」」

 

雪奈「(エーレンはこれが弱点なの、覚えておくと良いかもね? )」

 

「「「(べ、勉強になります!)」」」

 

誰とは言わないけど主に金髪と銀髪と青髪が反応した。

 

エミリア「お兄ちゃん! 私もご褒美欲しいな〜」

 

エミリアがエーレンの右側からエーレンにもたれ掛かる。

 

エーレン「良いよ、何が良い? 」

 

エーレンはそう言いつつ、エミリアの頭を撫でる。

恐らくエミリアは今、1番上機嫌だろう。

 

エミリア「やったぁ! じゃあね…」

 

こうして夜は更けていく…

 

 

 




今回はここまでです、お疲れ様でした。

次回はあれですね、エーレン宅に全員集合、ただし漬けもn… 違った、織斑、テメーはダメだ。

次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦

第19話 夏だよ! 全員集合!


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第19話 夏だよ! 全員集合!

こんにちは皆様、大極光です。

遅くなりました(日曜にテストってなんだよ全く…)

申し上げます! お気に入りが200を突破しましたァ!
これからもよろしくお願いします!

すみません、管理ミスにより、再投稿になります。


8月の上旬

 

神奈川県横須賀市沖 人口島ハシラジマ 居住区

 

シャル「ここだよね…」

 

シャルはこの当たりの地図が書かれたメモを片手に目的の住所を確認する。

目の前には、屋敷と呼ぶにはいささか小さいが、それでもかなりの広さを持つ豪邸が建っていた。

どうやら間違えずに来れたようだ。

シャルがハシラジマに住むようになってから約2ヶ月(と言っても大半は学園の寮にいるため、ハシラジマにいる日数的な意味ではまだ2週間くらいである)が経っていたが、未だに不慣れであり、入り組んだハシラジマの居住区には地図が必須なのだ。

 

シャル「エーレンいるかな…」

 

そう、ここはエーレンの自宅である。

はたから見たらただの研究員であるエーレンの家にしては大き過ぎる気もするが…

まあ、それは置いといて、シャルはインターホンを押そうとするが…

 

シャル「(な、なんて言えば良いのかな… よくよく考えて見れば急に来たんだし…)」

 

そう思ってシャルがエーレンの家の前で悩んでいると…

 

???「シャルちゃん? どうしました? こんな所で」

 

背後から声がかけられる。

 

シャル「ひゃ! ってエーレン!? 」

 

振り向くとそこにはエーレンが立っていた。

 

シャル「えーとあの… き、来ちゃった(ってとっさとはいえ何言ってるのさ! エーレンの彼女でもないのに!)」

 

エーレン「そうですか、ではどうぞ」

 

エーレンはインターホンの下のカードリーダーにカードをかざし、家の門の鍵を解除する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

エーレン宅 リビング

 

シャル「(ここがエーレンの家かぁ〜、いいところだな〜)」

 

シャルはリビングのソファに座り、当たりを見渡す。

特に派手なものはないが、生活に困らない程度のものは揃っている、そういった感じだった。

 

シャル「そう言えばエミリアちゃんはいないの? 」

 

シャルはキッチンで冷蔵庫に買ってきたものを入れながら、お湯を沸かしているエーレンに聞く。

 

エーレン「ええ、なんでもクラスメイトの方々とこの島に新しく出来たプールに遊びに行くって言ってましたね、雪奈もそれに着いてきいましたし… おっと沸いたか…」

 

エーレンはシャルに返答しつつ、お湯が沸騰したので慌ててIHヒーターのスイッチを切る。

 

エーレン「ですので夕方に帰って来るまで僕ひとりですね、どうぞ」

 

エーレンはそう言って沸かしたお湯で作った紅茶と茶菓子としてジャムが塗られたビスケットをシャルに差し出す。

 

シャル「ありがとう、貰うね(そうなんだ、じゃあエーレンと二人きり!? それはそれでラッキーかも…)」

 

シャルは出された紅茶を飲む。

エーレンもソファに座ろうとするが…

 

ピンポーン!

 

エーレン「おや? 」

 

エーレンは玄関に向かう。

シャルもそれについて行った。

 

セシリア「エーレンさん! お久しぶりですわ!」

 

やって来たのはセシリアだった。

 

セシリア「た、たまたま通りかかったのでご挨拶をと…」

 

エーレン「それはそれは、わざわざありがとうございます」

 

ハシラジマに来る人間ですら限られており、さらに大体は研究所やショッピングモールや娯楽施設などがある区画に行くので居住区に来る人間などここに住んでいる人間位のものだが、エーレンは特に気にしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エーレン「どうぞ」

 

エーレンはセシリアに紅茶を出し、自分もソファに腰掛ける。

テーブルにはセシリアが買ってきてくれたケーキが置かれていた。

 

セシリア「ありがとうございます。

……美味しいですわ! 」

 

エーレン「本場の人に褒めていただけるとは、僕もそこそこ、という感じですかな」

 

エーレンもエミリアに淹れ方を習ったため、腕はそれなりにはあるようだ。

 

セシリア「エーレンさん、シャルロットさん、ケーキを食べてみてください!」

 

エーレンの家に来れて嬉しいのか、やたらテンションの高いセシリア。

隣に座るシャルは…

 

シャル「(そんなにうまくいかないか… はあ… せっかくエーレンと二人きりだと思ったのに…)」

 

夢にまで見た理想の状況を早くも粉砕玉砕大喝采されてかなり落ち込んでいた。

 

エーレン「では頂きますね」

 

エーレンはセシリアの持ってきたケーキの中から、1番オーソドックスであろう、苺のショートケーキを食べる。

 

エーレン「美味しいですね」

 

シャル「ホントだ! すごく美味しい!」

 

こういったスイーツなどはあまり分からないエーレンたが、このケーキは美味しかったのか、普通に賞賛する。

シャルも落ち込んでいたが復帰した。

セシリアも嬉しそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後…

 

エミリア「ただいま〜!」

 

エーレン達がリビングでゲームをしていると、玄関が扉が開く音がする。

エーレンはセシリア達にゲームを任せて玄関に行く。

 

エーレン「おかえり、エミリアに雪奈… って皆さん、一緒だったのですか」

 

エミリア、雪奈と一緒にギュエール、簪、ラウラ、クロエが玄関にいた。

 

エミリア「みんな帰りに会ったかね!

セシリアお姉ちゃんとシャルロットお姉ちゃんも来てるんでしょ? 」

 

エーレン「うん、来てるよ、さて皆さん、あがってください」

 

ギ・簪・ラ・ク「「「お邪魔します!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

雪奈「じゃあみんなで夕飯作りましょうか!」

 

「「「おー!」」」

 

時刻は4時台、ヴァルトフォーゲル家のキッチンには雪奈を筆頭にガールズが集まっていた。

 

雪奈「それじゃエーレン、出来るまで部屋で待ってて」

 

エーレン「え? 良いの?手伝うけど? 」

 

ちなみにエーレンもそれなりに料理は出来る。

日本に研修に言った時、一緒に来た友人と日本の友人の3人で海軍カレーの食べ歩きを行った時に、その3人でどうすれば美味しくなるかを割と真剣に考えたからである。

故にエーレンの得意料理はカレーである、エーレン曰く『カレーだけならエミリアに勝てる』とのこと、決して戦力外ではないのだ。

 

雪奈「大丈夫よ、それに私が久々に腕によりをかけて美味しい物をつくるから…」

 

エーレン「おけ2階で待ってる」

 

雪奈が全て言い終わる前に猛スピードでキッチンから出て行く。

 

「「「(は、速い…)」」」

 

エミリアと雪奈以外はドン引きである。

 

雪奈「さて、始めましょうか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

エーレンの書斎

 

ヴァルトフォーゲル家の2階にあるこの部屋はエーレンが仕事部屋として使っている部屋である。

周りにはエーレンが研究所で使うであろう分厚い本が敷き詰められた本棚が並んでいた。

その中央付近に置かれた机にエーレンは向かい、カタカタと備え付けのデスクトップパソコンを操作しながら夕飯が出来るまでの時間を潰していた。

 

そして、研究所の書類を作りながら、エーレンは先日の事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日前…

 

ハシラジマ海上技術研究所 レベル5研究室

 

ハシラジマ海上技研の最奥にあるレベル5研究室、ハシラジマでも各研究室長クラス以上が研究に携わる事を許可されている超極秘事項を研究するための部屋である。

その中央にはハンス達が北極で回収した謎の超兵器

ARC-Z-690 マキナ・インコグニタがいくつもの制御ケーブルや拘束具などで物理的、電子的に堅牢な鎖で縛られていた。

そしてそこにはエーレンやギュエール、ハンス、束を筆頭に十数人の人間が集まっていた。

 

ハンス「ではこれよりARC-Z-690の報告会を開始する、では報告のあるものは挙手してくれ」

 

ハンスがそう言うと数人が手を上げた。

ハンスは1番近くにいた1人を指名する、このレベル5研究室では主に兵装関連の解析をしているハシラジマ第4研究室長である。

研究室長はたちあがると、報告書を片手にスクリーンに映し出されたデータにそって話を始める。

 

「では報告させていただきます、まずマキナの武装ですが、大きな物は反物質砲と光子榴弾砲、レールガンで、その他光学兵器が多数、ハリネズミの如く全身に装備されていました。

そして特筆すべき点はその門数と威力、射程です。

レールガンの射程は現行の戦艦砲のそれを上回ります。

光子榴弾砲も10門以上搭載されており、ゼーロスや本国のグロース・シュトラール、連合のリヴァイアサンの門数を軽く踏襲します。

光学兵器もゼーロスの主砲射程とほぼ変わりませんし、威力は数発で通常戦艦が沈むレベルです。

そして1番厄介なのは最初に申し上げた反物質砲です、弾速はそこまでですが高い誘導性能と通常艦なら艦種を問わず一撃必殺の威力を持ち、80knot前後の速度が無いと回避すらままなりません、こちらからは以上です」

 

報告書を読み上げた第4研究室長は再び席につく。

報告を聞いていた残りの人間は、新兵器の発見に喜んでいた訳ではなく、現行兵器を軽々と踏襲するマキナのスペックにただただ驚いていた。

 

エーレン「しかし、ここまでの兵器群を最大稼働させるには莫大なエネルギーが必要です、超兵器機関とはいえ、賄えるのですか? 」

 

ハンス「それに関しては私から話そう」

 

ハンスは『次は私だ』と言わんばかりに立ち上がり、スクリーンの傍に移動する。

 

ハンス「私は機関について調べた。

率直に言うと機関の出力は本国のヴォルケンクラッツァー級と大差ない、だが機関の規模と兵装に伝達する際の効率がヴォルケンクラッツァーと比べ物にならないくらいに良い、まるで奴がひとつの生き物のようだな…」

 

ハンスはマキナの方に視線を向ける。

 

ハンス「こちらからは以上だ。

そう言えば少佐、そちらは確か破片を調べていたのでは? 」

 

ハンスは自身の報告が終わるとエーレンにそう言いつつ座る。

 

エーレン「はい、僕はレストア困難な程の破片を調べました、基本は中で爆破されたようなものばかりでしたが、その中の一つに興味深い破片がありました、それがこれです」

 

エーレンはリモコンを使い、スクリーンに破片の写真を映し出す。

 

束「ん? それのどこが興味深いの? 」

 

エーレン「問題はこの部分です」

 

エーレンはスクリーンの写真の一部分を指さす、そこは綺麗な弧の形になっていた。

 

エーレン「内部爆発と仮定するならばここまで綺麗な弧が出来るのはいささか不自然です、そこで調べた結果、直径51cmから61cmの物が突き抜けて出来たものと推察されます」

 

束「その直径ってまさか…」

 

エーレン「ええ、超兵器の艦体に残るこのサイズの傷、十中八九艦砲が命中した跡でしょう」

 

「「「!? 」」」

 

エーレンがそう言うと研究室にいる全員がマキナの方を見る。

 

ギュエール「……どうやら私たちはパンドラの箱に手を出してしまったようですね…」

 

エーレン「希望があるだけそっちの方がまだマシですよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間と場所は戻り…

 

エーレン「あんな内部爆発が起こる規模の攻撃を受けてなお、レストアは可能なくらいにパーツは残っていた…

マキナ・インコグニタ… 君は何者なんだ…」

 

エミリア「お兄ちゃん、夕飯出来たよ」

 

どうやら色々考えていたため、時計を見るのを忘れていたようだ。

 

エーレン「分かった、すぐに行く!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

普段3人しか座ることの無いヴァルトフォーゲル家のテーブルには、椅子が増やされ、なおかつ料理が所狭しと並べられていた。

 

雪奈「それでは…」

 

「「「いただきます!」」」

 

集まったメンツの夕食が始まった。

 

エーレン「うん! 美味しいです!」

 

エーレンは1番手近にあった肉じゃがを1口食べる。

 

雪奈「(やったね)」

 

セ・シ・簪「「「(は、はい!)」」」

 

ちなみにこの肉じゃがを作ったのはこの3人だ。

雪奈が『エーレンにアピールしたいならまず料理から始めたら? 』との助言を貰い、3人で四苦八苦(主にセシリアのせい)しながら作ったものだ。

 

クロエ「私もこのくらい美味しく作れれば良いのですが…」

 

雪奈「数こなせば上手になるわよ、クロエちゃん」

 

ラウラ「やはり日本の食べ物は外れがないな、どれも美味しい」

 

これだけの人数がいればどんな話題でも自然と盛り上がる。

 

セシリア「さあエーレンさん! こっちは私が独自にアレンジしたものですわ!」

 

セシリアが別の肉じゃがを差し出す。

 

「「「えっ!? 」」」

 

エーレン「ではいただきますね」

 

エーレンはセシリアの料理の下手さを知らないので、何も気にせず食べる。

そして…

 

エーレン「………(バタッ」

 

「「「エーレン!? 」」」

 

セシリアのケミカルクッキングの産物をモロにくらったエーレンは倒れて、何も言わなくなった。

 




今回はここまでです。

次回はシスコン女帝再びです。

次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦
第20話 IS学園の海魔


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第20話 IS学園の海魔

こんにちは皆様、大極光です。

先週は文化祭の都合で臨時に休ませて頂きました、申し訳ございません…



9月上旬

 

IS学園 1年1組教室

 

夏休みが終わり、皆元の生活に戻った今日、1組では文化祭に関しての話し合いが進められていた。

とりあえず模擬店をする所までは決まったのだが…

 

一夏「却下だ!」

 

その内容は一夏とエーレンが主になってなにかするものだった。

そのため、クラス代表として教壇に上がっていた一夏がそう叫ぶ。

 

「えー!? いいじゃん! せっかくの男子なんだからさ〜」

 

一夏「需要あるか!」

 

「多分あるよ! エーレン君もそう思うよね!? 」

 

話はついにエーレンに振られる。

 

エーレン「僕には分かりかねますが…」

 

エーレンがそうやって悩んでいると…

 

ラウラ「ならご奉仕喫茶とかはどうだ? これなら既存の案を加えつつ、売り上げとして資金が回収できるぞ」

 

「なるほどグッドアイデアね! それで行きましょう!」

 

ラウラが出した案はクラス中に広まり、1組の出し物はそれに決まった。

内容は喫茶店、ただし接客担当は執事服もしくはメイド服で行わなくてはならない、というものだ。

 

エーレン「接客ですか… ちゃんと出来ますかね…」

 

調理の方はともかく、やった経験の無い接客はいまいち自信が無いようだ。

 

「練習すれば大丈夫だよ! それに見たくない? エミリアちゃんのメイド服姿!」

 

エーレン「経験? そんなもの無くとも出来ます! やってやります! 」

 

「「「そうこなくちゃね!」」」

 

このテノヒラクルーである、エミリア絡みになるとこの調子だ。

そんなこんなで準備物の話になる。

と言っても、服やテーブルなど、必要なものはセシリアの家にあるのを持って来るらしいので、こちらは早めに片付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前授業終了後…

 

IS学園 食堂

 

昼休みになり、エーレンはいつも通り、セシリア達と食事を摂っていた。

 

鈴「www エーレン、アンタそんな手のひら返ししたのwww? 」

 

鈴は朝の話を聞いて呼吸ができないくらいに笑っていた。

 

簪「エーレン、エミリアちゃんの事になるとダメ人間になっちゃうからねw」

 

簪も鈴程ではないが笑いながらそう呟く。

そこに…

 

本音「エレレ〜ン、ちょっといい〜? 」

 

いつもは簪と一緒にここで昼食を食べている本音が、今日は遅れてきたのだ。

 

エーレン「どうしました? 」

 

本音「今から生徒会室に来て欲しいんだけど〜、いいかな? 」

 

エーレン「ええ、すみません皆さん、お先に失礼します」

 

エーレンは昼食の食器を返却し、本音と一緒に生徒会室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

IS学園 生徒会室前廊下

 

本音に案内され、エーレンは今、生徒会室の前にいる。

 

コンコン

 

本音「お嬢様、連れてきましたよ!」

 

本音はノックをしながら室内に向けてそういう。

すると中から扉が開かれる。

 

本音「エレレ〜ン、入って〜」

 

エーレン「分かりました、失礼します」

 

エーレンは本音に言われるまま、生徒会室に入る。

部屋の中には高級感のあるソファとテーブルがあり、そこには生徒会長 更識楯無と楯無と同じ学年であろう三つ編みの人、そして一夏がいた。

 

エーレン「(あの方は確か布仏虚さんでしたか… 更識家に代々仕えている… やれやれ、面倒事になりそうですね…)」

 

エーレンはあえて一夏を無視し、これから起こるであろう事態に心中でため息をついていた。

 

楯無「よく来てくれたわねエーレン君、さあどうぞ、座って」

 

エーレン「はい、では…」

 

エーレンは一夏が座っているソファとら真逆の所に腰掛ける、隣に座ろうものなら声をかけられるのは必至だからだ。

 

虚「どうぞ」

 

エーレンが座ると、目の前にティーカップが置かれた。

 

エーレン「ありがとうございます布仏先輩、いただきます」

 

エーレンはお礼を言ってから差し出された紅茶を飲む。

その味はエミリアにも劣らない美味しいものだった。

 

エーレン「(すごいですね…)」

 

エーレンは素直をそう思っていた。

すると…

 

楯無「さて、じゃあみんな揃ったことだし、本題に入りましょうか… おっと、一夏君ははじめましてだよね? IS学園生徒会長の更識楯無よ、気軽にたっちゃんって呼んでね!」

 

一夏「は、はぁ…」

 

一夏は楯無のテンションにいささか引いているようだ。

最も、エーレンはどうでもよさそうに眺めていた。

 

エーレン「更識さん、僕もそんなに時間があるわけではありません、ご要件はなんでしょうか? 」

 

エーレンはまだ一夏に何か言おうとしていた楯無にそういう。

実際、今は昼休みなのであまり時間があるわけでは無かった。

 

楯無「おっと、ついうっかり、えーと本題ね。

話は主にふたつよ、ひとつは一夏君とエーレン君には部活に入って欲しいの」

 

一夏「部活… ですか? 」

 

楯無「うん、実は2人しかいない男子生徒をだいたい全ての部活が取り合ってるの、『ぜひ我が部に!』ってね、それで生徒会室でも処理が追いつかなくなってるから、どれでも良いから部活に入って欲しいの」

 

楯無はそう言いながら、部活動の一覧を見せてくる、中にはいつメンが入っている部活もあった。

エーレンはそれを眺めながら、良さそうなのを見繕っていた。

 

一夏「すみませんが俺部活はちょっと…」

 

楯無「だったら生徒会に入らない? って一夏君はクラス代表も務めてるから無理か… だったらエーレンk…」

 

エーレン「僕は仕事がありますので、不参加が認められているはずですよ?」

 

エーレンは生徒会に勧誘しようとしていた楯無の声を遮り、そういう。

 

楯無「そ、それはそうなんだけど…」

 

エーレン「でしたら良いではありませんか、それでもう1つと言うのは? 」

 

楯無「まあ、そのあたりはおいおい決めてもらうとして… もう1つって言うのは、二人とも、これからは私が練習を見てあげようと思ってね」

 

エーレン「ほう…」

 

IS学園生徒会長、その役職は他の学園とあまり変わらないが、その選出方法が異例なのだ。

その方法は至極単純、この学園で一番強い人間が選ばれるのだ。

つまりエーレン達は学園最強から直々に指導してあげると言われているのだ。

 

エーレン「しかしまた、なぜ急に? 」

 

楯無「それは単純にあなた達が弱いからよ」

 

一夏「なっ!? 俺は強くなりましたよ!」

 

楯無がいささかトゲのある言い方に対し、真っ向から反論する一夏。

しかしエーレンはともかく、一夏は専用機持ちの中では最低レベル以下の練習量なので実力があまり無いのは事実であった。

 

楯無「ううん、君はまだ弱い。

エーレン君、君もね」

 

一夏「おいエーレン! 黙ってないで何か言えよ! こんなこと言われて悔しくないのかよ!? 」

 

エーレン「悔しいもなにも事実でしょう? 僕らは強いわけではないですよ? 」

 

一夏に絡まれるがエーレンは楯無の言葉を事実として受け止める。

実際、エーレンの実力はかなり伸びてきてはいるが、実力で勝った試合はそんなに無い。

入学時のセシリア戦は、セシリアが慢心していたため、また情報戦で完全に勝利していたため、その差を最大限に活用し、勝利した。

クラスマッチ時のシャル戦は、相性の問題で勝利した。

暴走したラウラや福音は、オーバーロードや雪奈のサポートで、からくも勝利した。

唯一実力で勝ったのは鈴くらいのものだが、フリューゲルのサポートを受けていたため、完全に実力で勝ったとは言い難い。

まあ、それらを活用するのも実力の内かもしれないが、今回は置いておく。

 

楯無「でしょう? だかr…」

 

エーレン「ですが、あなたに練習を見てもらっても、僕の伸びは変わらないと思いますね、むしろ悪くなるかも知れません」

 

エーレンは反撃の意味も含めて、そういう。

楯無は目を細め、『疑問』と書かれた扇子を広げる。

 

楯無「ふーん、理由は? 」

 

エーレン「あなたが全てを極めている訳ではないからです。

あなたの自身の元である『学園最強』はあくまで総合の戦闘能力です、エミリアの様に剣術を、ギュエールさんの様に射撃や砲術を、何かひとつの事柄を極めている人達が僕の周りには大勢いて、そしてそれらの人は僕にわかりやすく解説してくれます。

彼女たちが居てくれたからこそ、僕はここまで来れたのです、今僕が強く無いのは、単純に僕に原因があり、教える側が悪い訳ではありません。

故に何もかもが彼女たちより中途半端なあなたひとりにに教わっても、僕の伸びは下がるだけです」

 

エーレンは教えてもらう側として、何か譲れないものがあるようだ。

 

楯無「へえ… それじゃあ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後…

 

IS学園 アリーナ ピット内

 

エミリア「頑張ってね、お兄ちゃん! 」

 

エーレン「うん、それじゃあ行ってくるよ」

 

そう言ってエーレンはカタパルト上にヴァイスを展開する。

 

なぜエーレンがアリーナに来ているのかと言うと、あの後、楯無から試合を申し込まれたのだ。

当然メリットが無いとエーレンは断ろうとしたのだが、楯無のしつこさから、これからも絡まれる可能性があった。

そのため、面倒事は早めに処理しておきたいエーレンは今回の申し出を受けることにした。

ちなみにギュエール達は既に観客席にいる。

エミリアもそれだけ言うと、観客席へ向かって行った。

 

雪奈「エーレン、生徒会長さんはもうピットを出てるわ」

 

エーレン「了解、じゃあ行きますか! 」

 

エーレンはピットから出て、既に上空にいた楯無を見る。

すると楯無がゼーロスがこの世界に来た時に見た青いISをまとっていた。

 

エーレン「あれが更識さんのISか…」

 

雪奈「うん、ロシアの第三世代IS『霧纒の淑女(ミステリアス・レイディ)』、主にナノマシンで空気中の水蒸気を操って戦うらしいわ」

 

エーレン「分かった、じゃあ雪奈、サポートよろしく」

 

雪奈「任された!」

 

エーレンはそう言いながら、両手にいつもの武装、『アブソリュートマグナム』にシュテルンガトリング』を持つ、既に安全装置は外してある。

そして開戦…

 

楯無『ふーん、それが第二次形態移行(セカンド・シフト)した『極限の白軍(ヴァイスレギオン・エクストリーム)ね…』

 

と思いきや、楯無から通信が入る。

 

エーレン『ええ、そうです、それが? 』

 

楯無『さっきからハイパーセンサーにノイズがかかってあなたのISがロック出来ないのだけれど… 何か知ってる? 』

 

エーレン『おそらく本機の機関に原因があるかと… まあ、別にこちらは損はしていませんがね』

 

エーレンは各モニターの数値を一つ一つ確認しながらそういう。

エーレン含めハシラジマの研究者達は超兵器の製造に関するデータの一切を秘匿している。

仮にそのデータが流出すれば、ISは瞬く間に駆逐され、その先に待っているのは男対女の超兵器戦争…

そして、ISにしか熟知していない女性の敗北と男性の反撃だろう。

 

極端かもしれないが、ありえない話では無いため、エーレンとギュエール、ハンスの3人で話し合い、決めた事だ。

そのため、ヴァイスの第二次形態移行(セカンド・シフト)後の詳しいデータはハシラジマによって厳重に隠蔽されている。

 

楯無『まあいいわ、私が勝ったら一切合切喋ってもらうからね? 』

 

その言葉の後、試合開始の合図があり、戦闘が開始された。

先手を打ったのはエーレンだった。

 

雪奈「照準補正完了!」

 

エーレン「撃ち方始め!」

 

ゼーロスを指揮しているかの様に叫びながらエーレンは『アブソリュートマグナム』の引き金を引く。

放たれた光線はエーレンの腕前はもちろん、高度な処理能力を有する雪奈の補正により、寸分違わずに楯無に向かう。

だが…

 

楯無「そんなに甘くは無いわよ!」

 

突如現れた水の壁によって防がれる。

『アブソリュートマグナム』の反物質ビームは水壁に命中し、対消滅反応のエネルギー波で水壁を吹き飛ばすが、本体にはダメージは入っていないようだった。

 

エーレン「あれがナノマシンによる水蒸気の操作… 予想以上にやっかいだね…」

 

エーレンも内心驚いていた。

減衰するが、貫通するだろうと思っていたのに完全に防がれたからだ。

 

雪奈「どうするの? 『グローストゥルム』で吹き飛ばす? 」

 

エーレン「さあ、どうしようか…」

 

エーレンが戦術の練り直しをしていると…

 

楯無「考え事なんてさせないわよ! 」

 

一気に間合いを詰めて手持ちの槍『蒼流旋』をエーレンに向けて振りかざしてくる。

エーレンは咄嗟に高速切替(ラピッドスイッチ)で『レギオンセイバー』を取り出し、楯無の槍を受け止める。

本来、ビームの刃を持つ『レギオンセイバー』を実体武器で受け止めることは不可能なのだが、楯無は槍に水を纏わせているため、ビームとぶつかっている所から水蒸気が出るだけですんでいた。

 

楯無「ついでにお返しよ!」

 

楯無はゼロ距離で『蒼流旋』のガトリングガンを発射、まともにくらった『レギオンセイバー』は粉々に破壊された。

 

エーレン「くっ…」

 

エーレンはそれに対し、『シュテルンガトリング』を発射しながら距離を取る。

『蒼流旋』のガトリングガンが4門なのに対し、『シュテルンガトリング』は2門、門数で劣ってはいるがエーレンのガトリングは35mm、これには楯無もたまらず距離を取る。

 

エーレン「(どうする!? ビーム兵器で蒸発させても直ぐにナノマシンで指揮下に入れられ…

ん? ナノマシン…? そうか!)」

 

エーレンは空いていた右手に狙撃銃『ブリッツ・シュトローム』を取り出す。

 

雪奈「ちょっとエーレン! 何する気!? 」

 

エーレン「こうするんだよ、必殺ファンクション!」

 

『アタックファンクション サンダーバースト』

 

狙撃銃から放たれたのは弾丸ではなく、雷のような電気を纏った光線だった。

エーレンはそれを片手で撃っている、ヴァイスの強度があって初めてできる芸当だった。

エーレンはそのまま、ゆっくりと機体を回転させ、楯無の指揮下にあるであろうナノマシンを、全てショートさせた。

結果、楯無を守っていた水壁が消失する。

 

楯無「そんなっ!? 」

 

エーレン「今だ!」

 

エーレンはすぐさま『シュテルンガトリング』のβレーザーを発射する。

放たれた光線は3つに別れ、菱形を半分に切ったかのような軌道を描き…

 

ドォーン!

 

楯無のナノマシン発生装置『アクア・クリスタル』に命中し、破壊した。

 




今回はここまでです。

次回は後編です、お楽しみに。

誤字や脱字、アドバイス、質問、おかしな表現などがありましたらお知らせください、お待ちしております。


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第21話 IS学園の海魔 後編

こんにちは皆様、大極光です。

また管理ミスにより、再投稿になります、申し訳ありません…


同時刻

 

アリーナ 観客席

 

簪「すごい…」

 

簪はそれしか頭に出て来なかった。

今まで、電撃でナノマシンをショートさせて水壁を突破を試み、なおかつ成功させた人間は皆無だからだ。

他のいつメンも度肝を抜かれているようだ。

 

エミリア「お兄ちゃんは兵器に詳しいからね、戦術の幅では通常のIS乗りの比じゃないよ」

 

エミリアは楽しそうにそう言う。

 

シャル「これでエーレンにかなり傾いたかな? 」

 

ギュエール「どうでしょう… ナノマシン発生装置はまだ残っています、そう簡単には…」

 

そう、エーレンが破壊した『アクアクリスタル』はあくまで半分、展開能力は減ったが、完全に使えなくなった訳ではない。

 

エミリア「大丈夫、お兄ちゃんとユキナお姉ちゃんなら何も問題ないよ」

 

何が根拠かは分からないが、エミリアはエーレンの勝利を信じて疑わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナ内

 

楯無「へぇー、なかなかやるじゃない。

ちょっと舐めてかかっていたかも」

 

楯無は破壊された『アクアクリスタル』を見ながらそう呟く。

油断したつもりは無かったが、学園最強の称号が少し過剰な自信に繋がっていたようだ。

 

楯無「だけど、もうその手は通用しないわよ? 」

 

楯無は新たにナノマシンを放出させ、付近の水蒸気を指揮下におき、『蒼流旋』を構える。

 

エーレン「でしょうね… ですがそれはそちらにも言えることです」

 

エーレンも『ブリッツ・シュトローム』を収納し、『レギオンランス』を取り出す。

一瞬の沈黙の後…

 

楯無「はぁぁぁぁぁ! 」

 

先に動いたのは楯無の方だった。

一気に接近し、『蒼流旋』を振り下ろす。

エーレンも『レギオンランス』で迎撃、再び水蒸気が立ち上る。

 

エーレン「はぁ!」

 

単純な力比べになれば、超兵器機関を有するヴァイスの方が圧倒的に出力が高いため、楯無が吹き飛ばされる。

 

雪奈「畳み掛けるよ!」

 

エーレン「了解!」

 

エーレンは素早く『レギオンランス』から『アブソリュートマグナム』に持ち替え、発射する。

 

雪奈の照準補正は間に合わず、ほぼエーレンの腕だけで放たれた光線は『ミステリアス・レイディ』の中心に命中…

 

楯無「そうはさせないわ!」

 

する前に水壁によって防がれる。

 

楯無「ふぅ… 危なかった… でも準備は整ったわ…」

 

エーレン「(準備? 一体何の…)」

 

エーレンは目を細め、各センサーを念入りに確認する。

 

楯無「エーレン君、ちょっと蒸し暑くない? 」

 

エーレン「はい? 確かに言われてみれば… っ! クラインフィ…」

 

エーレンは楯無の問いかけで何かに気がついたようだが…

 

楯無「もう遅いわ! 『清き激情(クリア・パッション)』! 」

 

ドォーーン!

 

アリーナ全体にまでおよぶ巨大な爆発は、ヴァイスに直撃し、アリーナのシールドに叩きつける。

 

雪奈「エーレン!? 」

 

雪奈の悲鳴のような声が響く。

 

エーレン「……大丈夫、平気だよ」

 

エーレンは咄嗟に衝撃をやわらげたようで、怪我はしているが軽傷だった。

 

エーレン「機体は? 」

 

雪奈「…『シュテルンガトリング』、及び『アブソリュートマグナム』が大破、機体のVPはクラインフィールドで防いだから大丈夫だけど、SE(シールドエネルギー)がほとんど持っていかれたわ」

 

エーレン「そうか… まあでも、まだ負けてない」

 

エーレンは『レギオンランス』のみを持ち、再び立ち上がる。

 

雪奈「でもエーレン怪我してるじゃない!」

 

エーレン「こんなのかすり傷だよ、大破した武装の修理、お願い」

 

エーレンは雪奈に『ナノマテリアル』での武器の修理を頼み、上空の楯無を見る。

 

エーレン「(さあヴァイス、ここからが本番だ、邪魔な鎖は外してやるから、あの生徒会長様に見せてやれ、超兵器がどんなものかをね!)」

 

『超兵器機関、出力制限を解除します』

 

その瞬間、ヴァイスの蒼色だった目が赤く染まり…

 

楯無「は、速い!? 」

 

先程とは比べ物にならないくらいのスピードで航行する。

楯無も『蒼流旋』のガトリングガンで弾幕を張るが、速すぎてあたらない。

 

楯無「何が起こったの!? 」

 

エーレン「よそ見しないでくださいよ! 」

 

エーレンは速度を維持したまま、『レギオンランス』を楯無に投擲する。

 

楯無「投げた!? 」

 

楯無は予想外の攻撃に一瞬固まる。

しかし直ぐに向かってくる槍を躱す。

だが、それはヴァイスから目を離す事に繋がった。

 

楯無「しまっ…」

 

慌てて対処するが…

 

エーレン「もう遅い! 必殺ファンクション!」

 

『アタックファンクション ECMボマー』

 

超兵器機関の枷を取り払ったヴァイスから逃れられるはずもなく、エーレンの攻撃は綺麗に楯無にきまる。

そして、『ECMボマー』の効果により、ナノマシンが機能不全に陥り、再び使用不能になる。

 

エーレン「これで邪魔なのは無くなった! 行け!『ダイモン』!」

 

エーレンは攻撃の障害となる水壁を無効化した後、トドメと言わんばかりに64機の『ダイモン』を展開、四方八方から楯無に砲撃する。

 

楯無「きゃあ!? 何よこれ、報告より威力も発射レートも高いじゃない!? 」

 

『ダイモン』に搭載されているエターナルサイクラーの出力制限も同時に解除しているので高威力と速射が合わさった危険な代物と化していた。

楯無も必死に迎撃を試みるが、ただでさえ数が多く、それらがバラバラな回避機動を取るのでまだ全然落とせずにいた。

そして、もう一度、エーレンから目を離してしまった。

 

エーレン「これで終わりです!」

 

『アタックファンクション グングニル』

 

赤い円錐型の巨大な槍が、楯無に突き刺さる。

 

霧纒の淑女(ミステリアス・レイディ)SE(シールドエネルギー)、0 勝者 エーレンフリート・ヴァルトフォーゲル』

 

そしてエーレンの勝利を告げる機械音声がアリーナ内に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後…

 

アリーナ ピット内

 

雪奈「全く、何考えてるのエーレン!? 私がちょっと目を離した隙に…」

 

エーレンはヴァイスの前で正座させられていた。

そして目の前にはかなりご立腹の雪奈がエーレンに向かって叫んでいた。

それはさながら、子供を叱る親のようだった。

後からエーレンの元にやって来たエミリア達も、これには苦笑い。

 

雪奈「超兵器機関の出力制限が一体何のためにあるのか、それはエーレンが一番よく分かっているでしょう!? 」

 

エーレン「はい… おっしゃる通りです…」

 

雪奈「じゃあ何で…」

 

エーレン「いや悪かったと思ってるけど、雪奈と一緒に戦っているのに負けるの嫌だし…」

 

エーレンは子供の様な言い訳をする。

 

雪奈「……その言い訳はずるいよ…」

 

子供っぽい言い分だが、雪奈はそう言われると何も言えなくなる。

 

エーレン「あとドクトルが『1回思いっきりやってこい』って言ってたし」

 

雪奈「…前言撤回、やっぱり今夜ゆっくりO☆HA☆NA☆SHIしましょ?(ハイライトオフ)」

 

雪奈は急に笑顔になってそういう。

 

エーレン「え、えーとあの雪奈=サン…? 」

 

エーレンは本気で雪奈を怒らせたため、かなり焦り気味にそういう。

 

雪奈「イイワネ? 」

 

エーレン「アッハイ」

 

そして翌日、げっそりしたエーレンが目撃されたとか、されなかったとか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

生徒会室

 

虚「何考えているのですかお嬢様!? あんな大きな爆発を起こすなんて!」

 

楯無は生徒会室でエーレンと同じく正座させられていた。

目の前には同じくご立腹の虚がいた。

 

楯無「いやだって、あんな短時間で『アクアクリスタル』を破壊するような相手だったから…」

 

虚「だからといって、アリーナのシールドにヒビが入るような攻撃をしてどうするんですか!?

今回のヴァルトフォーゲル君は何ヶ所かの怪我で済みましたが、最悪死んでいたかもしれないのですよ!」

 

実は楯無の放った爆発は、アリーナの観客を守るシールドにも影響を及ぼすレベルであり、あと少し加減を誤っていたらアリーナのシールドは崩壊し、観客である生徒達に死者が出たかもしれないのだ。

 

虚「それに、ヴァルトフォーゲル君が軽傷で済んだのも、彼のISが頑丈だからです、普通のISなら大破してもおかしくありません!」

 

楯無「それくらい分かってはいるわよ… でもそうでもしないと超兵器には勝てないわ、虚ちゃんだって分かっているんじゃない? あの機体の異常さに? 」

 

楯無は立ち上がりながら虚にそういう。

実際、楯無の目的のひとつは、実戦を介してのヴァイスの情報収集にあった。

その点では大成功と言えるだろう、ヴァイスのデータはバッチリ集まっていた。

 

虚「ええ… 特にお嬢様があの爆発で攻撃をした後から自分の目が信じられなくなりましたよ」

 

虚はヴァイスのデータが書かれたタブレットを見ながら呟く。

 

虚「イレギュラーの塊…

積層された装甲…

圧倒的な力…

私たちの世界のものであるISも、彼らの手にかかればこんな化け物に変貌するのですね…」

 

優秀な技師である虚の目から見ても、やはり規格外すぎるようだった。

だが無理もない、超兵器とはそういうものだ。

ただただ『兵器』としての能力を最大限にまで高めた究極兵器、『破壊』という言葉の権化である。

 

楯無「だからこそ、きちんと情報を精査する必要があるわ、虚ちゃん、そのデータから分かることはある? 」

 

虚「そうですね… まだ予測の域を出ないのですが…」

 

虚はそう断わったあと…

 

虚「今まで、ハシラジマから公開された数少ない超兵器の情報から、私達は超兵器を『超兵器機関を最大限に活用した兵器』と予測してきましたが…

これを見てください」

 

虚はタブレットを操作し、1枚の画像を楯無に見せる。

 

楯無「これは… ヴァイスのサーモグラフィー?

でもこれがどうしたの?

かなり高温だってことは分かるけど…」

 

虚「確かにただ高温なだけでしたら特筆するようなことではありませんが…

問題は、後一歩でISのパーツにダメージを与えるレベルだったということです」

 

それを聞いた瞬間、楯無の目の色が変わる。

 

楯無「ちょ、ちょっと待って、それってつまり…」

 

虚「はい、あのスピードですら、機体へのダメージを考慮した上での、限定的な制限解除と思われます。

すなわち、超兵器とは今までの仮説『超兵器機関を最大限に活用した兵器』では無く『超兵器機関に枷をつけることにより、無理矢理現代兵器の枠に押し込んだ兵器』では無いかと思われます」

 

楯無「なんてこと… もし仮に超兵器機関の技術が流出したら…」

 

エーレン達の世界より、耐久力のある素材が大量にあるこの世界ならば、もしかしたらもっと強力な超兵器が造れるかもしれないからだ。

 

楯無「虚ちゃん、その仮説、裏付けお願い出来る? 」

 

虚「かしこまりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

現在地???

 

一企業の会議室のような部屋に、1人で紅茶を飲んでいる女性が1人いた。

そこに…

 

???「おーいスコール、頼まれてた物持って来たぜ? 」

 

スコール「あら、もう? 流石ね、ありがとうオータム、早速見せてもらえる? 」

 

スコールと呼ばれた女性は、タブレットを持って部屋に入って来たオータムという人物にそういう。

 

オータム「任せろ」

 

そう言いながら、部屋に備え付けられているスクリーンを下ろし、プロジェクターにタブレットを繋ぎ、データを見せる。

それはエーレン対楯無の試合を上空から撮影したものだった。

 

スコール「これが本物の超兵器… 私達のISを完膚なきまでに叩き潰した、あのゼーロスとかいう悪魔の敵…

予想以上に強力ね」

 

スコールはそう言いながら笑う。

 

オータム「しかしこんなデータ集めてどうすんだ?

はっきりいって化け物だぜ、あの機体」

 

スコール「そうね、あなたには伝えてなかったわね」

 

そう言いつつ、スコールはそばに置いてあったノートPCを操作し、1枚の画像を見せる。

 

オータム「これは…」

 

オータムはにやけながら呟く。

 

スコール「目には目を歯には歯を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

化け物には化け物よ」

 

その画素に映る双胴式の強襲揚陸艦は、まるでいずれ起こる戦争を今か今かと待ち望んでいるようだった。




今回はここまでです。

次回は学園祭…
なのですが来週はお休みをください。
またあれです… テストです…

次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦
第22話 タイトル未定


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第22話 不吉なる空襲

こんにちは皆様、大極光です。

最近、紺碧の艦隊を見始めました。
蒼萊かっこいい…


翌日

 

ハシラジマ海上技術研究所

 

学生の数少ない楽しみの1つである週末、だがエーレンには仕事があり、雪奈と共にハシラジマに来ていた。

そしてここはハシラジマでも最も機密な研究を行うレベル5研究室。

 

ハンス「これの完成も間近だな、少佐」

 

謎の発掘機体 マキナ・インコグニタを研究している部屋とは別の場所、まだレベル5の中でも比較的機密性の低いものを研究する部屋で、エーレンとハンスはガラス越しに1つの機体を見下ろしていた。

 

エーレン「ええ、機体番号 PROULA-X-000-03G

コードネーム アズール・レギオン。

明日にでも稼働実験ですか? 」

 

ハンス「その予定だ」

 

ハンスはどこか誇らしげに言う。

 

雪奈「ふーん、でもあれ明らかにISの大きさじゃなくて、MSのサイズでしょう?

そんなもの作ってどうするんですか? 」

 

すると、エーレンの左腕に抱きついていた雪奈がハンスにそういう。

実際、アズール・レギオンは全高約20mほどの巨体を誇っている。

MSのサイズとしては普通だが、IS基準とすると明らかに大きすぎる。

 

ハンス「雪奈君の言う通りだ。

アズール・レギオンはISでは無くMSとして作られた。

目的としては多彩な武装を搭載したヴァイスをMSにすることにより、男性でも搭乗可能とし、ゆくゆくはゼーロス航空隊のエース機として配備すること、だな」

 

まあ、他にも様々だが とハンスは明日に必要なデータが書かれた書類を見ながらそう言う。

 

エーレン「明日の試験飛行に参加出来ないのは残念ですね」

 

エーレンは学園祭の会場設営などを任されており、明日はそっちに顔を出さなければならないのである。

 

ハンス「安心したまえ、ちゃんと録画はするし、データも後で見せてやる、何せ私がテストパイロットだからな、その辺は抜かりない」

 

エーレン「はい!? ドクトルが搭乗なさるのですか!? 」

 

てっきり航空隊からテストパイロットを選出しているものだと思っていたエーレンは渡された書類を確認していたが、それを聞いてハンスの方を見る。

 

ハンス「うむ、この機体は通常のMSに比べて武装の数が豊富だ。

そのため武装の特性を全て把握している人間がテストを行った方が良いと判断した」

 

エーレン「それでドクトル自ら、ですか… 」

 

ハンス「まあそれなりに訓練はした、それに明日は別に戦闘をする訳ではないからな、安心したまえ。

……もうこんな時間か… 少佐、雪奈君と食事に行ってくると良い」

 

ハンスが研究室の時計を見ながらエーレンにそう言う。

 

エーレン「ではお言葉に甘えさせていただきます」

 

そう言いながら研究室を後にするエーレン。

ハンスは最終調整を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

ハシラジマ海上技術研究所 屋上

 

エーレン「いい天気だね」

 

そう言いながらエーレンは雪奈が今朝作ってくれたお弁当の唐揚げを食べる、今更だがエーレンはゼーロスの艦長に就任する前に、日本に研修に来ていたため、箸はそれなりに使える。

 

エーレン「それにこれも久々に食べたけど… また腕上げた? 」

 

雪奈「そう? あんまり自覚ないんだけど…

というより、それ作ってあげたのもう何年も前よ?

よく覚えてるわね」

 

何年も前、すなわち雪奈が戦艦奥遠和のメンタルモデルとして戦っていた頃の話である。

 

エーレン「すごく美味しかったからね、よく覚えてるよ。

というより、あの研修の期間の出来事はだいたい全部覚えてるよ」

 

雪奈「そうなんだ…」

 

そんな感じで思い出話をしていると…

 

ピロン

 

エーレン「ん? 」

 

エーレンの携帯から通知音がなった。

確認してみると、セシリアからのメールであった。

 

エーレン「えーとなになに…『学園祭用の服が届きましたわ、試しにエミリアさんに着てみて貰ったので写真をお送りします』と…」

 

そう書かれたメールだった。

エーレンは早速その画像データを開く。

雪奈はエーレンの隣にいたので、エーレンの携帯の画面をのぞき込む。

するとそこには…

 

エーレン「おお…」

 

雪奈「これは…」

 

どこぞの店にありそうなミニスカートのメイド服を着て、さらには恐らく周りのクラスメイトの悪ノリで付けたであろうネコミミを頭につけ、笑顔で猫のようなポーズをとっているエミリアの姿があった。

 

つまり何が言いたいかというと、エーレンにとっては破壊力抜群なのである。

 

エーレン「……(ピッピッピッピッ)」

 

雪奈「は、速い…」

 

一瞬でその画像を保存、保護を掛けてからロック画面の画像をその写真に変更した。(ちなみにホーム画面はエーレンと雪奈のツーショット)

 

エーレン「今年の年賀はがきの1枚はこれで決まりだな…」

 

どこか満足気にそう呟くエーレン、その表情は狂気を纏った笑顔であった。

 

雪奈「ホントエミリアちゃんのことになるとすぐこの調子なんだから…」

 

雪奈は呆れたようにそう言う。

そんなこんなで、ランチタイムは平和? に過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後…

 

IS学園 一年生寮 食堂

 

エーレンはあの後、仕事をしてから雪奈とIS学園に帰った。

そして到着する頃にはすっかり日は暮れ、夕食の時間となっていた。

ギュエールからエミリアを連れて食堂に行っているとの事だったので、エーレンは車を停めて直接食堂に向かった。

 

ギュエール「艦長、こっちです」

 

残念ながら、雪奈に関しては学園では公にするな、とのお達しがあるので、ヴァイスの中に待機してもらった。

そのためエーレンは、1人でエミリア達を探していると、ギュエールから声が掛かる。

 

ギュエール「お疲れ様です、艦長」

 

エーレン「ええ、そちらこそ。

ところでエミリアは…」

 

エーレンは席に座っていたのがギュエールだけだったので、辺りを見渡す。

 

エミリア「お兄ちゃん!」

 

すると右から衝撃が加わる。

エーレンは見るまでもなく、それが誰だか分かった。

 

エーレン「走ると転ぶよ? 」

 

そう言いながら突進してきたエミリアの頭を撫でようとするが…

 

エーレン「ん? 」

 

頭に何かあったため、いつものように撫でられなかった。

エーレンはすぐにエミリアの方を見ると…

 

エミリア「じゃーん! どう? 似合ってる? 」

 

エミリアは昼間写真で見たメイド服のままだった。

 

エーレン「うん、良く似合ってるよ」

 

エーレンはそう言いながら、ネコミミを避けてエミリアの頭を撫でる。

 

セシリア「エミリアさん! 走るとシワになりますわよ!

ってエーレンさん、おかえりなさい」

 

するとエミリアの後を追いかけてきたセシリアが食堂に現れる。

 

エーレン「ええ、ただいまです、ところでセシリアちゃん、エミリアのこの格好は昼間からずっとですか? 」

 

セシリア「はい、エーレンさんに直接みせるんだって聞かなくて」

 

エーレン「なるほど… エミリア、セシリアちゃんの言うことはちゃんと聞くこと、良い? 」

 

エミリア「はーい!」

 

なら良し、とエーレンは言ってからセシリアに礼を言う。

 

セシリア「いえいえ、そう言えば、エーレンさん用の服も届いていますわ、試しに着てみてはいかがでしょう? 」

 

エーレン「分かりました」

 

そしてこの後、試着したエーレンが再び皆の前に出てくると、撮影会のようなものが始まり、織斑先生が止めに来るまでかなりの盛り上がりを見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

IS学園 1年1組教室

 

学園祭が間近に迫った今日。

1組の教室では机が片付けられ、セシリアが自分の家から持って来たという家具を並べていた。

特に重たいものはエーレンと一夏が運んでいるが、流石は海軍人、一夏とは違い、丁寧かつスピーディに運び込んでいった。

 

エーレン「良しこれで良いかな… あと何かありますか!? 」

 

「うーんと… もう無いよ! あとはやっておくから休憩しておいてー! 」

 

エーレン「分かりました!」

 

そう言いながらエーレンは軍手を外し、教室を後にする。

次は生徒会に呼ばれているのだ。

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

生徒会室

 

エーレンは楯無との試合の後、楯無から生徒会が行う学園際の催しに手を貸してほしいと言われたため、その程度ならとエーレンは協力することにした。

 

そしてこの日、最終チェックを行い、問題が無ければそのまま決行し、問題があれば修正し、本番に備える予定だった。

しかし…

 

コンコンコン

 

楯無「どうぞ」

 

生徒会室の扉が開かれる。

入ってきたギュエールは何やら血相を変えていた。

 

ギュエール「艦長! 緊急伝です!」

 

エーレン「何があったのですか? 」

 

ギュエール「はい、たった今通信が送られてきて…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハシラジマが何者かに襲撃を受けているとの事です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分前…

 

神奈川県横須賀市沖 人工島ハシラジマ近海

 

ハシラジマの演習区域に指定されている海上を1機の巨人が飛行していた。

 

ハンス「ふむ、予定以上のスペックだな」

 

その機体 PROULA-X-000-03G アズール・レギオンのコックピットでハンスは予定された実験項目の約半数をこなし、その結果を見ながらそう呟く。

 

『テスター1 これより武装の実験に入って下さい』

 

テスター1とは、今回の稼働実験でのアズール・レギオンのコールサインである。

 

ハンス『こちらテスター1、了解、的を展開してくれ』

 

『了解』

 

ハンスはアズール・レギオンの数ある武装の内、大口径レーザーライフルである『アズールライフル』を翼から取り外し、的に向かって構える。

そしてトリガーをひこうとしたその時…

 

『テスター1! 南南西から所属不明機接近中! 直ちに実験を中止し、帰還してください!』

 

ハンス『こちらテスター1 落ち着きたまえ! まずハシラジマのデータベースから目標の機種を割り出せ!

話はそれからだ!』

 

この実験を中止する考えはハンスには無かった。

技師として、なんとしてもこの機体を完成させたいと思っていた。

故に、未確定情報で実験を中止したくなかったのである。

 

『了解!……機種判明! クラス代表戦の時に学園を襲撃した機体です!

コードネームはゴーレム、数は1個航空大隊規模!

テスター1! あれは敵です! 一刻も早く退避を!』

 

普通なら、操縦にまだ慣れていないハンスは撤退を選ぶだろう。

だが…

 

ハンス『いや、実験を継続する、ゴーレムの性能は束君から聞いている。

このアズールの敵では無いよ。

それに、航空隊が発進するまでの時間稼ぎがいるのでは無いのかね? 』

 

ハンスはこの新型機の性能を信じて疑わなかった。

そのため、ハンスは武器を構え、目標に向かっていった。

 

『……了解です、ご武運を』

 

ハンス『任せたまえ』

 

そう言いながらハンスは機関出力を上げ、増速しながら敵部隊に向けて突っ込んでいった。

そして射程距離内に入ると…

 

ハンス「全火器一斉射撃!」

 

ハンスは右腕の『アズールライフル』と両腕部に固定されている20mm連装ガトリング機関砲『アズールガトリング』2基、計5門の火砲を敵編隊に薙ぎ払うように発射する。

 

ドォーーン!!

 

高出力のレーザーと何十発の20mm機関砲弾を受けたゴーレムは墜落こそしなかったものの、無視できないダメージを被った。

無論、以前のデータを知っているハンスはこれで撃墜できるなどとは思っていない、すぐさま次の一手を打つべく行動する。

一方ゴーレムはすぐさま、下方から撃ってきたアズールに対し荷電粒子砲による砲撃を行う。

 

ハンス「無駄なことを」

 

アズールの機動力をもってすれば、ゴーレムの放った弾幕などいとも容易く躱すことが出来る。

もし仮に命中したとしても、アズールの強制波動装甲から発生するクラインフィールドによって防がれる。

つまり、ゴーレム隊がアズールを撃ち落とすには、相当量の攻撃を命中かつ直撃させなくてはならないのだ。

 

ハンス「うまく操る自信は無いが… 行け! 『セイライⅡ』!」

 

アズールの翼端部に4機ずつ、計8機搭載された半自律稼動浮遊放題『セイライⅡ』はヴァイスに搭載されていた『セイライ』を改良し、レーザーブレードや複数合わさることにより、シールドを作り出すことも出来る、新型兵器である。

 

ハンスはそれを4機だけ切り離し、アズールからの弾幕を陽動とし、切り離した『セイライⅡ』をソードモードにし、別ルートから侵入させ、コアのある部分を正確に貫く。

これにより4機が墜落した。

 

ハンス「良し! この調子で… 持っていけ! 」

 

『アタックファンクション 我王砲』

 

アズール胸部から強力な一撃が放たれる。

それをまともに受けた8機が墜落、中心にいた3機は跡形もなく消えた。

 

これで計12機、中隊規模を殲滅した。

だが…

 

ハンス「はぁ…はぁ… やれやれ、研究所漬けのこの身体には堪えるな…」

 

ハンスの方も限界であった。

そこに…

 

ドドドドドドドドッ!

 

後方から機関砲が多数発射され、接近中のゴーレムを怯ませる。

ハンスが振り返って確認してみると、11機のISがハンスを守るように展開していた。

 

???『ご無事ですか? ドクトルシューゲル』

 

そしてその部隊の隊長であろう人物から通信が入る。

 

ハンス『ああ、どうにかな… ところで君たちは…』

 

クラリッサ『申し遅れました、私はゼーロス航空隊 第666中隊副隊長、クラリッサ・ハルフォーフ2尉であります』

 

ハンス『ゼーロス技術班班長 ハンス・シューゲル大尉だ。

なるほど、君たちが少佐の言っていた例の…』

 

クラリッサ『はい、我々が一番早く出撃出来たので、援軍として来ました。

後は我々に任せて、ドクトルは退避してください』

 

クラリッサはライフルを構えて、敵に射撃しようとするが…

 

ハンス『どうやらその必要はないようだぞ、中尉』

 

クラリッサとハンスの視線の先には、既に撤退を始めている敵機の姿があった。

 

ハンス『深追いは厳禁だ、ハシラジマに戻り、状況を整理しよう』

 

クラリッサ『分かりました』

 

そしてこの襲撃の数時間後、エーレンがハシラジマに到着し、夜遅くまで、敵の分析を行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻…

 

現在地???

 

スコール「これがコードネーム『青』の性能、パイロットがまだ素人だったというのを加味してもここまでの性能を誇るなんて…」

 

この前と同じく一企業の会議室のようなところで、スコールはオータムと共に、ゴーレム大隊と戦うアズールを映像で見ていた。

 

オータム「全くイレギュラーにも程があるぜ、こんな化け物をポンポン作り出すんだからな…

だとしても貴重なゴーレムを12機も犠牲にするほどのものだったのか?

計画に支障が出ると思うんだが…」

 

スコール「まあ、ないと言えば嘘になるけど、ゼーロスさえ抑えてしまえば、後はこちらのものよ。

それに…」

 

スコールはノートPCを操作して、1枚の画像をオータムに見せる。

 

オータム「ほう… 上はこれを狙ってるのか? 」

 

スコール「ええ、最近入った情報よ、ハシラジマ海上技術研究所のレベル5実験室で最重要事項として研究されている機体、こちらでのコードネームは『紫』。

上は計画にこれの奪取と、コードネーム『青』の破壊を加えるそうよ」

 

オータム「なるほどな、しかしハシラジマのレベル5って… 相当厳しいな… それに仮に奪取出来たとして誰が乗るんだ? 」

 

スコール「今のところはMを予定しているわ」

 

オータム「妥当な選択だな、分かった、こっちも準備を始める」

 

オータムはそう言いながら立ち上がり、部屋を出ていく。

スコールはオータムを見送った後、計画の確認を始めた。

スコール達の計画は着々と進んでいたが、エーレン達は知る由もない。




今回はここまでです。

次回は学園祭ですかね。

次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦
第23話 最後はエミリアが勝つ!

誤字や脱字、アドバイス、質問、おかしな表現などがありましたらお知らせ下さい、お待ちしております。


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第23話 最後はエミリアが勝つ!

こんばんは皆様、大極光です。

最近寒くなって来ましたね…


その夜

 

神奈川県横須賀市沖 人工島ハシラジマ

 

襲撃があった日の夜、エーレンはギュエール共にハシラジマに急行、襲撃犯の分析を行っていた。

 

ハンス「襲撃に使用された機体は以前篠ノ之研究員のラボから持ち出されたものだった。

命令系統を調べたが、この研究所を襲撃すること以外は特に命令されていなかった、少佐、そちらは? 」

 

ハンスは機体の分析結果の書類を見ながらそう言う。

現在、ハシラジマの会議室に、エーレン、ハンス、ギュエール、束、クロエの計5人が円状に集合し、それぞれの分析結果を聞いていた。

 

エーレン「はい、あの機体は滞空時間があまりないので、どこから離陸したのか、またどこに着陸したのかを予想したのですが…」

 

エーレンはワイヤレスキーボードを操作し、会議室のモニターに画像を映し出す。

 

エーレン「ハシラジマから南南東に位置する海上でした、衛星写真から、潜水艦で回収したものと思われます」

 

クロエ「敵は潜水艦も保有しているのですか…」

 

束「ISを運用する潜水空母か〜、大変なことになったね」

 

ギュエール「厄介ですね、艦長、どうしますか? 」

 

エーレン「そうですね… 敵の目的が分からない以上、再侵攻も考えられます、よって、偵察機及び対潜ヘリで哨戒網を構築、加えて航空隊のオーディーンM一個大隊を緊急発進出来るようにして置いてください」

 

明確な攻撃を受けたが、敵の位置が分からない以上先制攻撃出来ないので、防御を固めるしか無かった。

 

ハンス「分かった、航空隊に通達しておこう。

……もうこんな時間か、少佐、ギュエール君、そろそろ帰った方が良いのではないのかね? 」

 

ハンスは会議室の壁掛け時計を見ながらそう言う。

 

エーレン「そうですね、明日は学園祭ですし。

ギュエールさん、帰りましょうか」

 

ギュエール「分かりました」

 

エーレンはハンス達研究所組に一言言ってから、会議室をあとにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エーレンの部屋

 

エーレン「ただいま〜」

 

エーレンはギュエールと共に車で学園に戻ってきたエーレンはギュエールを見送った後、自室に帰った。

かなり遅い時間だったので、エーレンは小声で部屋に入る。

 

エーレン「エミリア? 」

 

エミリア「すう… すう…」

 

エーレンが自分のベッドを見ると、既に寝ているエミリアの姿があった。

 

エーレン「さすがに寝ちゃってるか… 僕も夕食食べてから寝よう…

確かカップ麺のストックが… ん? 」

 

エーレンはカップ麺を取り出そうと棚へ向かうが、その途中で机の上に置かれているお盆が目に止まった。

 

エーレン「これは…」

 

エーレンはそのお盆のすぐ側に置かれているメモを見る。

 

『お兄ちゃんおかえりなさい!

帰りが遅くなるって言ってたから晩御飯作っておいたよ、温めて食べてね!』

 

もしかしなくてもエミリアからのものだった。

 

エーレン「ふっ… ほんと、僕には勿体無い妹だよ」

 

エーレンは寝ているエミリアの頭を撫でたあと、今日の夕食、ビーフシチューとサラダ、そしてパンをシチューを温めて食べた。

そして入浴後、ベッドに入り、寝ようとするが…

 

エーレン「(寝れない… なんだろう、何が引っかかっているんだ…)」

 

エーレンは言い知れぬ不安のせいで眠れずにいた。

 

エーレン「(まさか…)」

 

エーレンはベッドサイドのテーブルに置いてあったタブレットを操作し、先程の衛星写真を表示させる。

それと同時にベッドから出て椅子に座り、パソコンを起動する。

 

雪奈「眠れないの? 」

 

パソコンの起動を待っていると、ポケットの懐中時計から雪奈が現れ、エーレンの隣に座る。

 

エーレン「うん、ちょっとね…」

 

雪奈「ふーん、もしかしてエミリアちゃんのメイド服姿が楽しみすぎて眠れないとか? 」

 

雪奈は茶化すようにそう言い、エーレンの頬をつつく。

 

エーレン「だったら良かったんだけどね」

 

雪奈「何か不味いことでもあった? 」

 

エーレン「うん、ちょっとこれ見て」

 

エーレンはパソコンに映し出した1枚の写真を雪奈に見せる。

それはエーレンが気になっている例の衛星写真だった。

 

雪奈「これは… 例の無人機? 」

 

エーレン「見てほしいのはそこじゃない、この潜水艦のほう」

 

雪奈「潜水艦? 見たところ双胴艦みたいだけど…

これがどうしたの? 」

 

雪奈はいまいちピンと来ないようで首を傾げる。

 

エーレン「似てない? ハワイ攻防戦でハワイ諸島を占領された米軍が奪還のために投入した…」

 

雪奈「ッ! 言われてみれば確かに…

でもエーレン、あれは潜航は出来ないはずじゃ…」

 

エーレン「うん、でも仮にISのシールド機能とかを使って潜れるように改造されたものだとしたら…? 」

 

雪奈「ありえない話じゃ無いけど…」

 

エーレン「でしょ? だからもう少し調べてみるよ、雪奈は先に寝ていて」

 

エーレンはそう言いながらパソコンに向き直す、脇にカフェオレを置いているあたり、今日は徹夜する予定のようだ。

だが…

 

雪奈「だ〜めっ! エーレンは頑張りすぎだよ、寝れる時は早く寝るの」

 

雪奈はエーレンのパソコンを取り上げて素早くシャットダウンする。

 

エーレン「いや、でも…」

 

雪奈「憶測で体力消費してどうするの? 仮に正体が分かったとしても、いざと言う時にエーレンが動けなきゃ元も子もないよ? 」

 

エーレン「う… いやでも寝れる気しないしなぁ…」

 

雪奈「そう言うと思った」

 

雪奈はパソコンを机におき、ほとんど使われていないエミリア用のベッドの上に正座する。

 

雪奈「ほら、おいで〜」

 

エーレン「え? 」

 

エーレンは一瞬戸惑うが、とりあえず雪奈の隣に座る。

すると…

 

雪奈「えい!」

 

雪奈はエーレンを寝かせて、頭を自分の膝の上にのせる。

もしかしなくても膝枕である。

 

雪奈「これで寝れるでしょ? 」

 

そう言いながら雪奈はエーレンの頭を撫でる。

 

エーレン「うん、多分ね…」

 

それ以降何も喋らなくなるエーレン。

寝れる気しないのでは無かったのか…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

IS学園 1年1組教室

 

学園祭が始まり、一般の人々も入場してくるこの時間。

エーレンは例の服に着替え、接客を行っていた。

無論一夏と共に、来店してくる他クラスの女生徒から大人気である。

なお、クラスメイトから写真撮影に協力するようにとのお達しがあるため、エーレンは頼まれれば断らずに写真に写っていた。

しかしエーレン達以上に人気なのが…

 

「エミリアちゃん! こっちもお願い!」

 

エミリア「はーい!」

 

エミリアである。

この前のネコミミは外さずに接客にあたっているため、男女両方から絶大な人気があった。

加えてエミリアがノリノリである、写真に映る時は何かしらのポーズをとっていた。

 

ギュエール「エミリアさん、人気ですね」

 

エミリアが来ているようなミニスカでは無く、ロングスカートのクラシカルなメイド服姿のギュエールがエーレンのそばにやってくる。

 

エーレン「ええ、兄としては少々複雑ではありますが…

あはは…」

 

エミリア本人が楽しそうなので、止めようにも止められないエーレンであった。

そんな話をしていると…

 

「エーレン君! これをあのテーブルまでお願い」

 

エーレン「分かりました」

 

その後、次から次へと仕事が入ってきたが、エーレンは黙々と与えられた仕事をこなしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後…

 

エーレン達の担当時間が終わり、ちょうどお昼も近かったので、エミリア、ギュエール、さらに一般来場者を装った雪奈と共に、せっかくだから食堂以外で食べようというエミリアの案を採用し、昼食を食べるところを探しながら、他クラスの出し物を見て回っていた。

 

エーレン「さて… 何食べようか? 」

 

エーレンが周りを見渡していると…

 

???「あ! エーレン!」

 

エーレン「おや、簪ちゃん、そういえばこの辺りは4組が出し物をしていましたね」

 

よく見ると簪は呼び込み役らしく、隣には看板が立てかけられていた。

 

簪「うん、エーレンこそ何してたの? 」

 

エーレン「昼食をどこかの出し物で食べようと思って歩き回っているところです」

 

簪「そうなんだ、じゃあエーレン、こっち来て!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間後…

 

エーレン「ごちそうさまでした」

 

エーレンはそう言いながら、ゴミを袋にまとめて行く。

 

エミリア「美味しかったね」

 

ギュエール「ええ、4組の出し物が屋台で助かりましたよ」

 

そう、あの後簪に連れられ、4組の出し物である屋台群まで案内された。

祭を元にしたらしく、食べ物で言えば焼きそばやフランクフルトなど様々な種類のものがあった。

ちょうど良かったので、エーレン達はそこで昼食を食べることにした。

 

雪奈「エーレンあんまりたべないんだね、どうしたの? 」

 

エーレン「ちょっとこの後予定がありまして」

 

エミリア「予定? 」

 

エーレン「うん、えーとどこにしまったかな…

ああ、あったあった、これの事だよ」

 

エーレンはポケットから出した1枚のチラシを見せる。

それはこの後予定している、生徒限定の催しだった。

 

ギュエール「なんですかこれ? 」

 

エーレン「生徒会発案のイベントです、僕と一夏君が王様のコスプレをして逃げます。

それをお姫様のコスプレをした参加者が捕まえ、王様の王冠を奪えば勝ち、という企画です。

僕はその逃げ役です」

 

エーレンは一通り話したあと、時間を確認する。

もう少ししたらイベントのために会場に行かなくてはいけない時間だった。

 

雪奈「……ねえエーレン、ちょっといい? 」

 

エーレン「ん? なに? 」

 

雪奈「この『勝者には王様からスペシャルなプレゼントがいただけます! 』って書いてあるけど… なにあげるの? 」

 

エーレン「ああそれか… 確かお姫様抱っこだったかな?

需要あるのか分かんないけど…」

 

グシャ…

 

エーレン「え…? 」

 

エーレンは慌ててチラシを持っていたエミリアの方を見る。

すると…

 

エミリア「そうなんだぁ… お姫様抱っこかぁ… じゃあ私が勝たないと… (ハイライトオフ)」

 

見事病んだエミリアがいた。

 

エーレン「(どうしよう…? )」

 

その後、エーレンはエミリアを宥めてから悩みながら会場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後…

 

IS学園 多目的ホール

 

集会などで使用される多目的ホール、その舞台の上には、王冠を頭にのせ、いかにも王様、といった服をきたエーレンと一夏がいた。

 

一夏「今日はコスプレづくしだな…」

 

エーレン「もう一生分した気がします…」

 

エーレンと一夏がお互いに疲れ気味になっていると…

 

楯無「さて皆さん、いよいよスタートです!

イベント名は『シンデレラ』!

今、舞台の上にいる2人の王様の王冠を奪ったお二人が優勝です!

ちなみにこの王様は学園中を逃げます、頑張って捕まえてください!

そして、優勝したお二人には、それぞれの王様からお姫様抱っこのプレゼントをして貰えます!」

 

「「「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

楯無が放送でスペシャルプレゼントの中身を発表すると、会場は大いに沸き立った。

エーレンもあまり乗り気では無いものの、自分が携わったイベントが盛り上がるのは嬉しいようだった。

次の放送を聞くまでは…

 

楯無「そして優勝者にはもうひとつのプレゼントがあります!

なんと! 優勝した方には、その王冠をかぶっていた王様と学生寮が同室になります!」

 

「「「ゑ、ゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑ!?!?!? 」」」

 

楯無の放送はあまりにも衝撃的過ぎたため、一瞬の間を置いて驚愕の声が上がる。

 

エーレン「えー… なにそれ聞いてない…」

 

エーレンのささやかな抗議をよそに、イベントが始まろうとしていた。

 

楯無「では、頑張って下さい! スタート!」

 

楯無から開始の合図がなると、参加者である女生徒が津波のように舞台上に殺到した。

 

エーレン「お先に失礼します」

 

エーレンは一夏に付き合う必要もないので、一夏をデコイにして、自分はさっさと逃げ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後…

 

IS学園 某所

 

あの後、上手く追撃を振り切ったエーレンは普段人があまり来ないエリアを歩いていた。

 

エーレン「部屋替えなんて聞いてませんよ全く…

まあ始まってしまった以上仕方ありません、さっさとこの冠をエミリアに渡してしまいましょう…」

 

エーレンがそんな事を考えながら移動していると…

 

???「見つけましたわ!」

 

エーレン「え!? 」

 

エーレンが声のする方を見ると、そこにはセシリアがたっていた。

 

セシリア「さあエーレンさん! その王冠を渡しなさい!」

 

エーレン「お断りします!」

 

エーレンはそれだけ言うと走り出した。

当然ながら追いかけるセシリア。

 

エーレン「走りにくいな…」

 

エーレンはコスプレのせいで走りにくく、スピードは低下していたが、それはドレスを着たセシリアも同じであったため、エーレンは曲がり角を上手く使い、セシリアを撒いた。

 

エーレン「はぁ… 疲れるな… これは…」

 

エーレンはそう言いつつも、エミリアを探すため、行動を続ける。

 

 

 




今回はここまでです。

本作もちょっとずつ終わりが見えてきましたね。

次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦
第24話 タイトル未定

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コラボ企画 ゼーロスin艦これ 白衣の男と仮面の男
コラボ企画 第1話 出航


こんにちは皆様、大極光です。

今回より悪維持様の作品『ナイトローグ提督とブラッドスターク副官が東都鎮守府に着任しました。』とコラボさせていただくことになりました。
悪維持様、コラボ企画のご提案、誠にありがとうございます!

ついでに不足しがちの日常回要素を入れてみました。


某日

 

全授業終了後…

 

IS学園 1年1組教室

 

セシリア「旅行ですか? 」

 

エーレン含め、クラスにはいつメンが揃っており、エーレンを中心に集まっていた、ちなみに教室にいるため、雪奈はISの中に戻っている。

 

エーレン「そうです、福音ことシルバリオ・ゴスペルのパイロット、ナターシャ・ファイルズさんから『是非一度本国に来て欲しい』と言われましてね、他の国からも似たような申し出がありまして」

 

ナターシャ以外は恐らくIS180機を無傷で葬ったゼーロス及びハシラジマの技術目当てだろうとエーレンはふんでいたが、まあ日本の立場を考えて、一応挨拶に行くことにした。

 

エミリア「ナターシャ・ファイルズ… ああ、"私の"お兄ちゃんに勝手にキスした泥棒猫ね… アハハッ、どうお礼しようかな…? (ハイライトオフ)」

 

エーレン「よーしよし、一旦落ち着こうか」

 

臨海学校の最終日、エーレンがバスに乗り込む際に、ナターシャと話をし、最後にエーレンにキスをして、帰っていった。

エミリアはそれを根に持っており、エーレンは慌ててエミリアの頭を撫でて落ち着かせる。

 

エーレン「ですので実質世界一周になるので皆さんもどうかと思いまして」

 

簪「で、でもエーレン、私英語とか自信ないし…」

 

言語の壁を気にする簪。

しかし…

 

エーレン「大丈夫ですよ、僕は英語とドイツ語、あと上手ではありませんがロシア語も行けますし、フランス語はシャルちゃん、中国語は鈴ちゃん、イタリア語は確かギュエールさんが話せたはずですし」

 

よくよく考えてみるとエーレン、語学オバケである。

 

シャル「アハハ…エーレンなんでそんなに話せるの…? 」

 

シャルが半ば呆れたように呟く。

 

エーレン「英語はこっちに来てから覚えました。

日本語は向こうで研修に言った時に、ロシア語はソ連の書記長から少し教わりました」

 

余談だが、この事を航空隊の人に話したら『インド人か』と突っ込まれたエーレンであった。

 

セシリア「エーレンさんがすごいのはもう分かりましたわ…」

 

エーレン「まあ、そんなわけで言語の心配はありません。

それでどうします皆さん、行きませんか? 」

 

そうエーレンが聞くと皆が頷いたので、エーレンはその人数分の出国準備を始めようとすると…

 

一夏「何か面白そうな話だな、俺らも混ぜてくれよ!? 」

 

一夏が箒を連れてやってきた。

 

ラウラ「なぜ貴様など!」

 

エーレン「ラウラちゃん、落ち着いてください…

箒ちゃんは元々誘う予定でしたし、君も来ますか?」

 

ラウラが一夏に怒鳴りつけようとするが、エーレンがそれを止め、『自分大変不本意です』的な口調で一夏にそう言う。

普通の人なら雰囲気を察して、引くところだが…

 

一夏「ああ! 行かせてもらうぜ!」

 

そこは一夏クオリティ、エーレンのわざとらしい態度もものともせずについてこようとする。

 

エーレン「はあ… 分かりました、箒ちゃんはどうします?

無理強いはしませんが…」

 

エーレンはため息をつく、この意味すら一夏は理解していない。

気を取り直して、エーレンは箒に聞く。

 

箒「そうだな… せっかくだから参加させて貰おう!」

 

エーレン「分かりました、ではこの日に間に合う様に準備をお願いします! それと当日はハシラジマまでお越しください」

 

「「「分かった!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜

 

エーレン「ふむふむ、観光名所は僕らの世界と変わらないのか…」

 

今回の旅行、エーレンは最大限楽しむためのプランを立てるため、数時間前からパソコンと格闘していた。

 

エミリア「はぁ〜、お兄ちゃんと旅行か〜、何年ぶりかな、楽しみ!」

 

エーレン「確か最後に行ったのは6年くらい前だったかな?

ごめんね、全然連れて行ってあげれなくて」

 

エーレンはエミリアを長い間、連れ出さなかった事を悪く思っていた。

まあ、これはエーレンが海軍の職務に従事していたからである。

 

エミリア「ううん、そんなに気にしないで、仕方ないよ、お兄ちゃん忙しかったんだし…」

 

エーレン「……妹に心配かける仕事に就くものじゃないな(ボソッ)」

 

エーレンはエミリアに聞こえないように呟く。

 

エミリア「何か言った? 」

 

エーレン「いや何も、それよりそろそろお風呂に行ってきたら?

明日は旅行に必要なもの買いに行かなきゃだから早めに寝た方が良いし」

 

エミリア「は〜い、じゃあ行ってきます!」

 

エミリアは着替えやタオルなどを持って、部屋を出る。

エーレンは再びパソコンに向かう。

旅行プラン以外にも、エーレンが立てるべき計画は色々とある。

 

雪奈「お疲れ様、エーレン」

 

エミリアが出ていくと、入れ替わるようにパソコンの横に置いてあった懐中時計から雪奈が現れる。

 

エーレン「雪奈、そう言えば今日はずっとISの中にいたね」

 

雪奈「エミリアちゃんがエーレンと二人きりがお望みだったみたいだからね」

 

エーレン「なるほどね」

 

エーレンは納得しつつ、再びパソコンに向かう。

雪奈は椅子を出し、エーレンの隣に座る。

 

雪奈「うん? 飛行プラン? なんでこんなものをエーレンが? 」

 

エーレン「聞いてよ… なんか知らないけどさ、政府から各国にはゼーロスで行けって言われたんだよ… おかげで飛行プランとか弾薬の搬出入の書類とかエトセトラエトセトラ、みーんな僕が考えなきゃならないんだよ…」

 

そう、今回の旅行、エーレンはあまり楽は出来ないのだ。

日本政府からの要請で旅行にはゼーロスで行かなくてはならなくなってしまった。

恐らく、ゼーロスの技術を無理やり奪おうとする奴に対する抑止力やちょっと自慢してこいなどの思惑があるのだろう。

普段のエーレンなら喜んでプランを立てるのだろうが、今回はエミリア達と楽しむのを目的にしているため、苦でしかなかった。

 

雪奈「ご愁傷様ね、んー… じゃあ…」

 

ムギュ

 

エーレンを横から抱きしめる雪奈。

 

エーレン「えっ? 」

エーレンはいきなり抱きしめられてちょっと驚いていた。

 

雪奈「エーレンのお仕事を減らすことは出来ないけど、疲れを癒してあげることは出来るよ」

 

エーレンを抱きしめながら、耳元でそう囁く。

ついでにエーレンの頭を撫でる。

 

雪奈「私たち初めて遊びに行くんだよ?

もうちょっと前向きに考えたら? 」

 

エーレン「そうだね… よし! 頑張りますか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

ショッピングモール レゾナンス

 

エーレンはエミリア、雪奈と共にIS学園近くのショッピングモールに来ていた。

何せエーレン達はこっちに来てから、ほぼどこにも行ってないので、スーツケースすら持っていないのだ。

 

エーレン「えーとまずは… 買うものが多くてどれから行くべきか…」

 

エーレンは携帯のメモとレゾナンスのマップを見ながら唸る。

まだここには慣れていないようだ。

 

雪奈「ちょっと見せてね」

 

エーレンが悩んでいると横から雪奈が覗き込んでくる。

 

雪奈「うん、だいたい分かった、エーレンこういうのあまり得意じゃないでしょ? 私が案内しようか? 」

 

エーレン「うぐ… おっしゃる通りです…」

 

エーレンは雪奈にメモとマップを渡す。

 

雪奈「はーい! じゃあまずは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後…

 

レゾナンス レストラン内

 

エーレン「ふぅ… こんなに買ったのも久しぶりだね」

 

エーレン達は買い物を一通り終え、ちょうど良かったのでレゾナンス内にあるファミレスに入り、昼食を摂っていた。

 

雪奈「私は初めてかな〜、それより聞いた? さっきのお店の店員さん、私たちのこと若夫婦だってさ」

 

エーレン「ふっw、エミリアがいたからかなw? 」

 

雪奈「だねw」

 

エミリア「私がお兄ちゃんとユキナお姉ちゃんの子供か〜、それも良いかも」

 

エーレン「いや、エミリアは妹でいてw」

 

そんな感じで時間は過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後…

 

神奈川県横須賀市沖 人工島ハシラジマ

 

エーレンが示した旅行の日、まだ日が登っていない時間だが、既に旅行に行くメンツは揃っていた。

 

エーレン「では乗り込みましょうか」

 

エーレンを先頭に次々とゼーロスに乗り込んでいく。

 

セシリア「改めて見ますと大きいですわね…」

 

ラウラ「全長896m、世界でも稀な巨大戦艦だからな」

 

一夏以外は対福音戦の際に乗ってはいるが、あの時は極度の緊張状態であったため、ゼーロスの巨大さを気にしている暇がなかった。

しかし、今はただの旅行、そのためだけに乗るので、その場違いさが顕著に現れる。

そんな事を気にしながらエーレン一行はゼーロスに搭乗を完了する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

特一等級空中戦闘母艦 ゼーロス 一等船室前廊下

 

エーレン「ここが皆さんの部屋です、一応一人一部屋です。

部屋の中のものはお好きにお使い下さい、これが鍵です。

部屋はオートロックになっていますのでご注意を」

 

エーレンはそう言って1番近い部屋をあけ、皆に中を見せる。

 

簪「す、すごい…」

 

中には高級ホテルと比べても遜色ない、派手ではないが立派な作りの部屋が広がっていた。

 

鈴「……エーレン、これって戦艦の中よね…?」

 

エーレン「ええ、この艦は戦後も使用出来るように国賓クラスの宿泊も可とする備えがあります」

 

箒「そ、そんな部屋に泊まって大丈夫なのか…? 」

 

箒は部屋の凄さに思わずそう呟く。

 

エーレン「大丈夫ですよ、あくまで予定ですし、部屋も使わなくてはもったいないですしね、では僕は艦橋に上がります、ごゆっくり」

 

エーレンはそう言って艦橋に向かって行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後…

 

特一等級空中戦闘母艦ゼーロス艦橋

 

ゼーロスはハシラジマを出航後、太平洋を悠然と航行していた。

艦橋にはギュエールとエミリア、そしてエーレン… ではなく雪奈がエーレンの席に座っており、エーレンは舵を握っていた。

 

雪奈「すっごーい! これがゼーロスの艦長席かぁ〜っ! 」

 

めちゃくちゃ楽しそうである。

 

エーレン「お姫様が楽しそうで何よりです」

 

ギュエール「そういう艦長だって楽しそうじゃないですか」

 

エーレン「バレました? 」

 

「「「あははははっ!」」」

 

忘れないで頂きたいが、この会話、戦艦の艦橋で行われているものある。

 

エーレン「そこに座っているんだからさ、なんか指示出してよ」

 

雪奈「えーとじゃあ本艦の現在位置を!」

 

エーレンが面白半分で雪奈にそういうと雪奈がそれに乗る。

 

ギュエール「ふふふっ、本艦は現在、ミッドウェイ沖を高度7500、速力80で米国に向けて航行中で… おや…」

 

ついでにギュエールも乗るが、それが途中で途切れる。

 

エーレン「? ギュエールさん、どうしました? 」

 

エーレンが不思議に思ってギュエールに聞く。

 

ギュエール「艦長、前方に嵐です! 」

 

エーレン「はい!? さっきまで晴天でしたよ!」

 

エーレンはそう言いつつ、左舷側のウイングに出て、備え付けの双眼鏡で前方を見る。

 

エーレン「うそぉ…」

 

エーレンはそう呟く。

なぜならさっきまで晴れていたのに、今はゼーロスの上空を巨大な黒い雲がおおっており、雷も起きていた。

 

エーレン「お兄ちゃん! 危ないよ! 早く中に戻って!」

 

エーレン「ああ! 分かった!」

 

エーレンは双眼鏡から手を離し、艦内に戻り、ウイングに繋がる扉にロックをかける。

 

ギュエール「艦長、どうしますか…? 」

 

エーレン「さっき確認してきましたが艦の後方も雷雲に飲まれてます、脱出は不可能でしょう。

かといって雷もあるので下手に高度も上げられません、よって姿勢制御スラスターを使い、艦の姿勢を保ち、突っ切ります」

 

エーレンがそう指示を出したその時…

 

ドォーン!

 

雪奈「きゃぁ!? 」

 

エーレン「エミリア!」

 

突然艦を強い揺れが襲う。

雪奈は椅子に掴まり、エーレンはエミリアを包むように抱きしめる。

ギュエールは何とも無かったようで、すぐに原因を突き止める。

 

ギュエール「全電子機器ダウン! 恐らく落雷によるものと推測されます!」

 

エーレン「了解! 復旧を最優先に!」

 

エーレンはギュエールにそういうと、壁に取り付けられている内線電話を取り、セシリア達に繋ぐ。

 

セシリア『エーレンさん!? 無事ですの!? 』

 

エーレン『僕は平気です、そちらは? 』

 

セシリア『こちらは大丈夫ですわ、織斑さん以外の方もです。

…何がありましたの? 』

 

どうやら女子会でもやっていたようだ。

 

エーレン『落雷です、すぐに復旧しますのでその場で待機を』

 

エーレンはそう言って電話を切る。

 

ギュエール「艦長、コントロール復旧、ですが衛星をロストしました」

 

エーレン「衛星… ギュエールさん、まさかとは思いますがこれって…」

 

ギュエール「はい、また飛んだ可能性がありま… ッ! レーダーに反応あり! 何かがこちらに近づいてきます!」

 

 




今回はここまでです、お疲れ様でした。

次回もコラボ回の予定です。

誤字や脱字、アドバイス、質問、おかしな表現などがありましたらお知らせください、お待ちしております。


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コラボ第2話 邂逅

こんにちは皆様、大極光です。

ちなみにコラボと本編を交互にあげる予定です。


現在地???

 

特一等級空中戦闘母艦 ゼーロス 艦橋

 

エーレン「対水上戦闘用意! ただし目標の確認を最優先とする! 」

 

エーレンはギュエールからレーダーに感ありとの報告を受け、早急に目標の確認をするための指示を飛ばす。

 

ギュエール「数は3、本艦の真下に向けてなおも接近中です」

 

エミリア「目標を光学で捕捉! メインモニターに移します!」

 

エミリアからの報告を受け、艦橋にいる全員がメインモニターを見る。

そこには、まるで漫画やアニメのヒーローのような装備を身につけた人影と、エミリアと同じくらいの少女が軍艦の煙突や主砲のような物を身につけ、海上をスキーのように滑りながら進んでいた。

 

雪奈「ねえエーレン、あんなの見た事ある? 」

 

エーレン「いや、僕らの世界でもISの世界でも見たことが無いし、エミリアと同い年くらいの女の子を生身で戦わせている軍隊なんてまず無いよ」

 

雪奈とエーレンが論議していると…

 

セシリア「エーレンさん!」

 

艦橋のエレベーターからセシリアと一夏が出てきた。

あとから聞いたが、ガールズ代表でセシリアがエーレンに状況を聞きに来る途中、一夏が半ば無理やり着いてきたらしい。

 

セシリア「状況はどうなっているのですか!? 」

 

エーレン「電子機器の復旧は完了しています、そして現在、敵味方識別装置に反応がない水上目標が3、接近中です」

 

セシリア「では味方では無いと? 」

 

セシリアの問にたいし、エーレンは頷く。

一夏は何を思ったのか、艦橋横の扉を開け、ウイングに出る。

 

エーレン「お、織斑君! 何する気ですか!? 」

 

一夏「決まってる! あの変な鎧? を来た奴らを倒してくる!

今度こそみんなを守ってみせる!」

 

一夏はそう言うと白式を展開し、ウイングから飛び出し、急降下する。

 

エーレン「あのバカは… 雪奈! 行くよ!」

 

雪奈「はいはーい! 」

 

エーレンはヴァイスを展開し、雪奈は体をナノマテリアルに戻し、ヴァイスのAIになる。

 

エーレン「ギュエールさん、ゼーロスをお願いします!」

 

ギュエール「わかりました!」

 

エーレンはそれを聞いた後、一夏を追って、同じく急降下する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時間前…

 

東都第6鎮守府

 

エーレン達が謎の水上目標を補足する約一時間前、東都第6鎮守府の艦娘達は鎮守府に設けられた運動場でバレーボールを楽しんでいた。

今日は出撃の予定はなく、このまま平和に1日が終わるはずだった。

誰かが空中に浮かぶ白い影を見つけるまでは…

 

睦月「ゆ、夕立ちゃん? どうしたの? 」

 

ボールが来たのにも関わらず、ただ空を見上げて動かなくなった夕立を不思議に思い、隣にいた睦月が声をかける。

 

夕立「む、睦月ちゃん… あ、あれ…」

 

夕立はそう言いつつ、空に向かって指さす。

その場にいた残りの艦娘達も夕立が指さした方向を見る。

するとそこには…

 

吹雪「な、何あれ…」

 

雷「飛行船? 」

 

響「……いや、艦砲がついてる、戦艦だね…」

 

暁「ど、どうするの!? 」

 

川内「みんな、一旦落ち着いて! とりあえず提督さんとソウさんに知らせよう! 」

 

空中の戦艦に半ばパニックになった駆逐艦を川内は落ち着かせ、自分らの提督に報告しようとした。

そこに…

 

影徳「川内!」

 

川内達の指揮官である氷室影徳が、秘書艦の電と副官である石動惣輔と共にやってきた。

 

川内「提督! 良かった、あれを!」

 

影徳「ああ、こっちでも確認している。川内は駆逐艦のみんなを鎮守府内に退避させてくれ。俺と石動、電はあの船をを調べに行く」

 

川内「了解、気をつけて」

 

川内にそういった後、川内は駆逐艦を連れて鎮守府内に、影徳達は謎の飛行船に向かうために港に向かった。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

 

惣輔「動く気配は無さそうだな…」

 

惣輔は双眼鏡を覗きながらそう呟く。

 

電「好都合なのです」

 

影徳「だがいつまでも止まっているとは限らない、直ぐに向かうぞ」

 

影徳がそう言うと、残りの2人は頷く。

 

《BAT!》

 

「蒸血」

 

《MIST MATCH!!》

 

《BAT……BA・BAT…………》

 

《FIRE!!》

 

影徳がナイトローグに変身する。

残りの2人も完了したようだ。

そしてすぐに出撃する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後…

 

海上

 

影徳「それにしても大きいな…」

 

影徳は海上を滑りながらゼーロスを見上げ、そう呟く。

 

惣輔「全長は800… いや900m弱だな、主砲は恐らく15inch、口径は少なく見積もっても60以上だな」

 

電「15inchって事は海外艦でしょうか? 」

 

惣輔「そこまでは分からないk…!? 飛行船から急降下する熱源1! 」

 

惣輔は途中で発言を切り、飛行船から降下する謎の熱源を見る。

すると…

 

一夏「はぁぁぁぁぁ! 」

 

白式を纏った一夏が永徳達に向けて雪片二型を振り下ろす、既に零落白夜は発動していた。

 

影徳「なっ!? 躱せ! 」

 

その後、3人はすぐに散開したため、一夏の攻撃は水しぶきを上げるだけだった。

 

電「きゃぁ!? 」

 

惣輔「電! クソ! 」

 

惣輔はやむを得ず反撃しようとしたその時…

上空から降り注いだ1条の光線が、白式に命中し、行動を阻害する。

 

一夏「痛え… 何するんだよエーレン!? 」

 

その光線の正体はエーレンが放ったアブソリュートマグナムであった。

 

エーレン「あの方々は敵ではないと言ったはずです! すぐにゼーロスに戻ってください! 」

 

エーレンは動きを止め、説得を試みるが、頭に血が上った一夏は戻ろうとはせず、邪魔をしたエーレンを撃ち落とそうとする。

 

雪奈「エーレン、話は通じそうにないわよ? 」

 

エーレン「分かってる、仕方ない…」

 

エーレンは左腕にシュテルンガトリングを装備し、一夏に向けて弾幕を形成する。

もちろん海上にいる影徳達には当たらないように計算済みである。

そして…

 

エーレン「受けてみろ!」

 

アブソリュートマグナムとシュテルンガトリングのガトリング回転軸に装備されたレーザー発振器から計2門のβレーザーが発射され、計7条のレーザーが一夏を襲う。

ガトリングにより動きが封じられた一夏に回避する術はなく…

 

ドォーン!

 

全てのレーザーが命中し、一夏は水面に叩きつけられる。

だがまだSE(シールドエネルギー)が残っていたため、シャル直伝の高速切替(ラピッドスイッチ)でレギオンランスを取り出し、再び上空に飛び出してきた一夏に下から思い切りレギオンランスを叩きつける。

 

その一撃で打ち上げられた一夏はゼーロス付近にいた鈴と箒に受け止められる。

 

エーレン『箒ちゃん、ギュエールさんにそのバカを引き渡して営倉にでも放り込んでおいてください!』

 

箒『わ、分かった!』

 

そう言って通信を切る。

 

雪奈「エーレンちょっと怖いよ? 箒ちゃんびっくりしてたよ? 」

 

エーレン「ごめん、もう落ち着いたよ、さてあの人達は…」

 

エーレンは海上にいた影徳達とコンタクトをとろうと当たりを見渡していると…

 

カチャ…

 

惣輔「おっと、動かないでもらおうかな?」

 

エーレン「おっと」

 

即座に死角へと回った惣輔から銃口を突きつけられたため、エーレンは両腕をあげる。

 

惣輔「OK、良い子だ……そんじゃま、そのロボットモドキから降りてもらうぜ?」

 

エーレン「分かりました」

 

エーレンは雪奈に頼んで海面にクラインフィールドを張ってもらい、あえてヴァイスを待機状態にせず、直接降りる。

もちろん両腕は上げたままだ。

 

影徳「お前、さっきのやつの仲間か? 」

 

影徳は一定の距離を取りながらエーレンに質問する。

 

エーレン「仲間と言えば仲間ですね」

 

エーレンは両腕を上げたまま答える、ちなみに拳銃は既に惣輔が持っている。

 

惣輔「それで、さっきの攻撃はどういう意味だ? 俺達に対する宣戦布告ってやつ?」

 

エーレン「誠に勝手ながらヒューマンエラー、としか申し上げる事が出来ませんね」

 

実際、この攻撃はエーレンが指示したものではない、あくまで一夏の独断専行だ。

 

惣輔「そんなを事言って……『はい、そうですか』って素直に認めると思うか?」

 

そう言って目つきを鋭くさせる影徳。

 

エーレン「もちろん説明と謝罪、賠償はさせていただきます。

ですのでどうでしょう?

海の上より、艦内でお話しませんか? 」

 

影徳「……分かった、行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

特一等級空中戦闘母艦 ゼーロス 艦長室前廊下

 

エーレンはヴァイスで、影徳達は惣輔のヘリコプターフルボトルの力でゼーロスの飛行甲板に降り、艦長室で話をするべく、エーレンを先頭に進んでいた。

 

惣輔「しかし、でかい船だね…」

 

惣輔は当たりを見渡しながらそう呟く。

 

エーレン「恐らく世界最大の戦艦でしょうからね… 着きました、ここです」

 

エーレンは艦長室前に着くと、鍵を開けて影徳達を中に入れ、最後にエーレンが入り、鍵を閉める。

 

エーレン「ようこそ、戦艦ゼーロスへ、座ってください」

 

エーレンが影徳達が座ったのを確認すると、自分も反対側に座る。

 

影徳「じゃあ話の続きだ、まずそっちの名前と、この艦の艦名と所属を言ってくれ」

 

エーレン「分かりました、まず私はエーレンフリート・ヴァルトフォーゲルと言います、階級は3等海佐です。

そしてこの艦は日本国海上自衛隊所属 特装護衛艦ゼーロスです」

 

影徳「氷室影徳だ」

 

惣輔「俺は石動惣輔、よろしく頼むぜ? 」

 

電「暁型駆逐艦、電なのです」

 

影徳達も自己紹介する。

 

影徳「しかし海上自衛隊? そんな組織聞いたことないぞ? 」

 

エーレン「当然です、この世界には存在しない組織ですから」

 

電「この世界には存在しない? どういう意味ですか? 」

 

エーレンの物言いを不思議に思い、聞き返す。

 

エーレン「そのままの意味です、我々は恐らく異世界から来ました」

 

「「「!? 」」」

 

エーレン「我々は任務で太平洋を横断中、ミッドウェイ付近で巨大な嵐に飲まれました。

そしてそれが晴れたと思ったら何故かこの場所に浮かんでおり、程なくしてあなた方を対水上電探で捕捉、それを敵と誤認したあの男があなた方に攻撃を仕掛け、今に至る、というわけです」

 

まあ最も、物的証拠は何もありませんが と付け加える。

 

惣輔「いやあるぜ、あんなロボットは俺達が見たことも無いってのが証拠だ」

 

影徳「攻撃のことも理解した、幸いそっちが早急に止めてくれたおかげで、こちらに被害はない、今回は許そう。

だが、次はないぞ? 」

 

エーレン「ええ、重々承知しております」

 

エーレンは内心ほっとしていた。

あんな得体の知れないパワードスーツのような物を相手にしたくないからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

ゼーロス 艦橋

 

エーレン「ここです」

 

何故エーレンが艦橋に戻っているかと言うと、あの後惣輔から、艦内を見学したいとの申し入れがあったため、甲板や格納庫などを見てから、最後に艦橋にやってきたのだ。

 

惣輔「やっぱすげぇな… あのMSを見てから察していたが… ってえ!? なんで戦艦にこんな小さな子が!? 」

 

惣輔はエミリアを見た瞬間にそう言う。

 

エーレン「その子が先程お話したメンタルモデルですよ」

 

エミリア「初めまして」

 

影徳「なるほどな… 本当に1人で出来てしまうのだな…」

 

影徳は周りを見ながらそう言う、一応ゼーロスの艦橋は普通の艦とほぼ同じ作りだが、大半が空席である。

 

エーレン「異常はありませんか? 」

 

ギュエール「問題ありません」

 

エミリア「こっちも大丈夫d… !? 2時方向、距離35000、対空目標約80機確認!」

 

エーレンが報告を聞いていると、エミリアが対空電探に機影が映ったことを知らせる。

 

エーレン「……氷室提督、この近海に友軍はいらっしゃいますか? 」

 

影徳「いや、いないはずだ、恐らくその反応はさっき話した深海棲艦だと思う」

 

惣輔「80か… 結構きついな… 艦長! 早く艦を退避させないとまずいぜ!」

 

エーレン「退避? ご冗談を… 対空戦闘用意! 主砲、特殊対空榴散弾装填!」

 

エーレンは影徳に味方かどうか確認すると、すぐに対空火器を起動させる。

 

ギュエール「了解! 火器管制 オンライン! 対空目標をロックオン!」

 

エーレン「距離25000で攻撃を開始する!」

 

艦内に緊張が走る…

そして敵機が距離25000を通過する。

 

ギュエール「目標! 距離25000を切りました! 」

 

エーレン「撃ち方始め!」

 

ギュエール「撃て!」

 

直後、ゼーロス上甲板の38.1cm砲12門から対空榴散弾が発射される。

レシプロ機くらいのスピードしか出せない深海棲艦の航空機では回避する術はなく…

 

ドォーン!

 

ギュエール「58機撃墜、残りは22機です!」

 

エーレン「ヴァッサーファル改発射! 殲滅しろ!」

 

エーレンの指示の元、放たれたヴァッサーファル改は全弾命中し、航空隊は壊滅する。

 

電「はわわ… す、すごいのです…」

 

惣輔「ああ… そうだな…」

 

ゼーロスの圧倒的な戦闘能力に度肝を抜かれているようだ。

 

影徳「艦長、今のはおそらく敵の艦載機……母艦がどこかにいるはずだ」

 

影徳はエーレンにアドバイスをする。

エーレンは頷き、対水上電探で母艦の位置を割り出し…

 

エーレン「V1改二、6基照準、撃て!」

 

ギュエール「発射!」

 

今度は前甲板から6発のV1が発射され、こちらも寸分たがわず敵に命中し、艦隊を壊滅させる。

 

こうして、この世界とのファーストコンタクトがようやく終了する。

 

 

 

 




今回はここまでです。

清霜ちゃんとかいたら、鬼ヶ島の時のリュウタロスのセリフを使ってたと思います。



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コラボ第3話 交流

こんにちは皆様、大極光です。

アズールレーン1周年で狂喜乱舞していました。

あ、本編どうぞ


深海棲艦殲滅後…

 

特一等級空中戦闘母艦 ゼーロス艦橋

 

ギュエール「……対空、対水上電探、共に感なし、敵の殲滅を確認しました」

 

目の前に広がるいくつものモニターや計器をチェックしながらそういう。

あの後、ゼーロスから発射されたV1は正確に敵艦隊を捉え、その火力を遺憾無く発揮、敵艦を全て海の藻屑にしたようだった。

 

エーレン「状況終了ですね、お疲れs… 」

 

エーレンがヘッドセットを下ろし、そう言うが…

 

ギュエール「ま、待ってください! 対水上電探に再び感あり!

先程の反応とは反対の方向から本艦に向けて侵攻中!

数は7、軽巡洋艦クラスが1、残りは駆逐艦と思われます!」

 

エーレン「反対側…… ! 攻撃中止! 主砲5番から10番、及びAGSの火を落とせ!」

 

ギュエール「は、はい!? しかし艦長、まだ味方と決まった訳では…」

 

ギュエールは普段とは違う命令に対し、エーレンに意見を述べる。

 

エーレン「敵がいかに未知かつ規格外だとしても、ゼーロスの索敵範囲を抜けて後方に展開するなんて事は考えにくいです。

仮にそれが出来たとしても、空中に浮かび、約3個航空大隊を無傷で殲滅し、空母をも一撃で沈める本艦に対し、水雷戦隊を送り込んでくるのは不自然です。

奴らは動物でも天災でもありません、人類と戦争ができる『思考する敵』なのですからね」

 

エーレンは影徳から聞いた情報を元に持論を述べる。

 

エーレン「ですので恐らくは、氷室提督の基地の艦隊かと…

違いますか? 」

 

エーレンは振り向きつつ、斜め後ろにたっている影徳にそう問いかける。

 

影徳「ああ… 数も一致する」

 

エーレン「というわけです、ギュエールさん、旗艦と思われる先頭の軽巡洋艦に通信を繋いでください」

 

ギュエール「分かりました」

 

ギュエールはコンソールを操作して、通信を繋ぐ。

 

エミリア「はいこれ」

 

エミリアは送話用のマイクをエーレンに手渡す。

ギュエールから通信が繋がった事を聞くと、エーレンはマイクのボタンを押そうとするが…

 

???『所属不明艦に告げます、直ちに停船してください! 』

 

エーレンが話す前に向こうから通信がくる。

 

エーレン「エミリア、機関停止」

 

エミリア「はーい! 機関停止します!」

 

エーレンはエミリアに機関停止を指示したあと、向こうの指示に従う旨を伝える。

 

影徳「艦長、少し変わって貰えないだろうか?

そちらの方がスムーズに済むと思うのだが…」

 

エーレン「ふむ、確かにそうですね…

ではこちらを」

 

エーレンは持っていたマイクを影徳に渡す。

 

影徳『川内、俺だ』

 

エーレンは静かに見守る。

念の為、エミリア官制で航空隊を発進できるようにしてある。

 

川内『提督さん!? その戦艦に乗ってるの!? 』

 

影徳『ああ… この艦の責任者と話はつけてある、この艦に敵意はない』

 

川内『そうなの? ならいいけど… でもこの後はどうするの? 』

 

影徳『それなんだがな… 俺は鎮守府に招待しようと思っている』

 

影徳がそういった瞬間、ゼーロス艦橋組は揃って影徳の方を見る。

前回もそうだが、他国の戦闘艦を保護するなどあまり無いからである。

 

影徳「艦長、それで構わないだろうか? 」

 

エーレン「ええ、もちろんです。

我々には他に行くあてもありませんからね、お言葉に甘えさせていただきます」

 

影徳はそれだけ聞くと、頷きながら通信を送る。

 

影徳『相手の了承も取れた。

川内達は先に帰投して受け入れ準備をしておいてくれ』

 

川内『分かったわ、気をつけてね』

 

それを最後に通信が切れる。

影徳もエーレンにマイクを返し、エーレンは受け取りつつ次の指示を出す。

 

エーレン「今度こそ状況終了ですね、全対空火器を収容、光学障壁を解除してください」

 

ギュエール「了解、対空火器を収容、光学障壁の火を落とします」

 

ギュエールがコンソールを操作すると、速射砲やパルスレーザー、CIWSは艦内に収納されていき、同時進行でゼーロスをおおっていた防壁が花弁が舞うように消滅していく。

 

ギュエール「弾薬を積んできて正解でしたね」

 

ギュエールは消費弾薬の一覧がまとめられたタブレットをエーレンに渡す。

 

エーレン「ですね… エミリア、氷室提督の鎮守府の位置は分かる? 」

 

エーレンはギュエールから渡されたタブレットを見ながらエミリアに問いかける。

 

エミリア「分かるよ〜、さっきこのあたりをトレースしてたからね〜」

 

エミリアは鎮守府とゼーロスの位置をメインモニターに映し出す。

 

エーレン「氷室提督、我々はどの辺に停泊すればよろしいでしょうか? 」

 

ゼーロスは全長896mの巨大艦かつ空中に浮いている。

ハシラジマのように、専用の港湾設備がなければ降りられないのだ。

 

影徳「そうだな…」

 

惣輔「あそことかどうだ? 」

 

惣輔はメインモニターのある1点を指差す。

 

影徳「ああ… 良さそうだな、艦長、そこに向かって欲しい」

 

エーレン「分かりました、では指定座標まで巡航で向かう、機関始動! ゼーロス発進!」

 

エミリア「はーい! 機関始動します!」

 

エミリアの声の後、ゼーロスのフラッペンが再び稼働し、目的地へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後…

 

目的地周辺

 

エーレン「機関停止」

 

エーレンは目的地に着いたため、エミリアにゼーロスを停止させる。

 

エーレン「ここから先はヘリコプターですかね」

 

影徳「そうだな… 埠頭なら十分な強度があるはずだ」

 

エーレン「分かりました、エミリア、輸送ヘリを左舷飛行甲板にお願い」

 

エーレンはエミリアに指示を出しつつ、内線を使ってセシリア達に左舷甲板に来るように伝える。

 

エーレン「では僕達も行きましょうか、案内します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

左舷飛行甲板

 

エーレン達が艦橋から出る。

既に日はかなり傾いていた。

ヘリの方を見ると既にセシリア達がにいた。

 

シャル「あ! エーレン!」

 

シャルがエーレンを見つけ、セシリア達と共に走って来た。

 

ラウラ「兄様大丈夫ですか? どこか怪我とか…」

 

ラウラをはじめ、皆がエーレンの事を心配しているようだ。

 

エーレン「ええ、あのような相手に遅れはとりませんよ

…そう言えばあの男は…」

 

エーレンは一夏が周りにいなかったので聞いてみる。

 

箒「ああ、エーレンの指示通り営倉? という所に入れて置いたが…」

 

エーレン「あ、そう言えばそうでした、ありがとうございます」

 

エーレンは咄嗟に出した指示だったため、すっかり忘れていた。

 

エーレン「さて、こんなところで立ち話もなんですし、ヘリに乗り込みましょう」

 

エーレンがそういったため、次々とヘリに乗り込んでいく。

程なくして、エミリアの操縦のもと、ヘリはゼーロスから飛び立った。

 

ちなみに余計な混乱を防ぐため、ゼーロスは光学迷彩を使い、周りの景色と同化させていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後…

 

東都第6鎮守府 食堂

 

ヘリが埠頭に降りた後、今度は影徳の案内の元、鎮守府内を案内された。

そしてその後、影徳から交流会も含めて食事をしようと言われ、エーレンはそれを受諾、今に至るという訳だ。

なお、料理を作る際、エミリアも手伝っていた。

 

エミリア「つ、疲れた…」

 

エミリアは昼間の戦闘と今回の料理、加えて目まぐるしく変わる状況のため、心身共にくたびれていた。

 

簪「お疲れ様、エミリア」

 

エミリアの隣に座る簪がそういう。

ちなみにまだ食事会は始まっていない。

 

鈴「エーレン、あれ」

 

エーレンがエミリアの頭を撫でていると、鈴から声をかけられる。

 

エーレン「氷室提督ですね、という事はそろそろですね… 」

 

エーレンがそうつぶやき終わるのと同時に、影徳がマイクを持ち…

 

影徳「皆座りながら聞いてほしい、全員が知ってると思うが、今日の昼、深海棲艦の空母機動艦隊が進行してきた。

だがそれは、1発も攻撃を放つことなく殲滅された。

何故か、それは今日新たにこの鎮守府の一員となった者達のおかげだ。

紹介しよう、特一等級空中戦闘母艦 ゼーロスの乗組員達だ」

 

エーレンはエミリア達が準備をしている間、遊んでいた訳ではなく、元の世界への帰還までの間、この鎮守府の戦力に加わる事、技術の一部公開など、様々な取り決めを行っていた。

 

影徳「そしてこの食事会は交流会もかねた歓迎会だ、皆存分に楽しんでほしい、乾杯!」

 

影徳の音頭のもと、全員が乾杯し、食事会が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

惣輔「よう、楽しんでるか? 」

 

エーレンがパソコンを弄りながら1人で黙々と料理を食べてると、酒が入ったグラスを片手に惣輔がやって来た。

 

エーレン「ええ、おかげさまで」

 

エーレンは振り向きつつ、そういう。

 

惣輔「そんな隅っこに居ないでもっと喋りに行ったらどうだ? 」

 

エーレン「ええ、では…」

 

エーレンはパソコンを閉じ、グラスを持って立ち上がる。

 

惣輔「そう来なくちゃ、今日はエイトの奢りらしいからな、たんまり飲める… ってそっちはまだ飲めないのか…」

 

エーレンは車は運転出来たりするが、一応未成年である。

酒やタバコはまだ無理だ。

 

???「だからって飲みすぎはダメよ? 」

 

エーレン「うん? 」

 

エーレンは声のした方を振り向くと、電と同じようなセーラー服をきた、エミリアと同い年くらいの茶髪の女の子がたっていた。

 

???「明日も任務があるかもしれないんだから」

 

惣輔「そう固いこと言うなよ… 雷」

 

雷「もう… えーとそっちの人が…」

 

雷は今度はエーレンの方を向く。

 

惣輔「ああ、戦艦ゼーロス艦長の…」

 

エーレン「エーレンフリート・ヴァルトフォーゲルと言います、エーレンとお呼びください」

 

雷「暁型駆逐艦雷よ、よろしくねエーレンさん」

 

エーレンは頷いてから握手をする。

すると、エーレンの白衣の内ポケットが光出した。

 

エーレン「おっと」

 

エーレンは慌ててその光源、ヴァイスの待機状態である懐中時計を取り出す。

すると銀色の粒子が出現し…

 

雪奈「ふう、やっと出られた…

ひどいよエーレン、私放置は趣味じゃないんだけどな〜? 」

 

雪奈は頬を膨らませてエーレンにそういう。

エーレンからすればただ可愛いの一言ではあるが。

 

エーレン「ごめんごめん、やることが多くて…」

 

エーレンは雪奈に謝る。

まあ最も、雪奈もエーレンの性格は知り尽くしていると言っても過言ではないので、本気で怒っている訳ではない。

 

惣輔「と、時計から女の子が!? 」

 

一方、雪奈の存在を知らない鎮守府組は唯一声を上げられた惣輔を除き、呆然としていた。

 

夕立「エミリアちゃん、あの人誰っぽい!? 」

 

夕立は近くにいたエミリアに声をかける。

ちなみにエミリアは大体の駆逐艦とは既に仲良くなっている、たった数分しかたっていないのに恐ろしい…

 

エミリア「あの人はユキナお姉ちゃん、まあ一言で言えばお兄ちゃんの彼女さん」

 

エミリアは特に驚くこともなく、夕立の質問に答える。

 

影徳「エーレン、彼女持ちだったのか… しかしあの銀色の粒子は一体…」

 

電と一緒にいた影徳はエミリアの答えにそう呟く。

 

エミリア「えーとね…

 

 

エミリア説明中…

 

 

……って訳だよ」

 

一通り説明し終えたエミリアは持っていた飲み物を飲む。

周りの艦娘達は信じられないとまだ驚いている者や…

 

暁「エーレンさんって一途な人よね!」

 

響「そうだね、雪奈さんが亡くなっても想いが変わらないって…」

 

などと、年頃の女の子らしい会話をしている者もいた。

 

電「(もし私が沈んだらエイトさんは…)」

 

自分も同じような状況になってほしいと思っている者も約1名。

 

そんなこんなで、交流会はどんどん盛り上がって言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時間後…

 

一通り食べ終えた頃、鎮守府にあったカラオケの機械を誰かが見つけてきたため、エーレンと惣輔が即席で最新バージョンに改良し、カラオケ大会がスタートしていた。

そして今…

 

エミリア「青く澄みきった水のよう♪ All I see♪」

 

エミリアがマイク片手に綺麗な声で歌っていた。

(なお、どこぞの白衣が録画していたのは言うまでもない)

 

惣輔「エーレンの妹、歌上手だな」

 

エーレン「ええ! 自慢の妹ですから! 」

 

何故こんなに意気投合してるのかと言うと、カラオケセットを直す際に、どっちかが武器の話をし始めたため、後は武器オタどうし、あっという間に仲良くなったのだ。

 

惣輔「しかし羨ましいぜ、あんな可愛い妹と婚約者がいるなんてさ」

 

惣輔は酒がかなりまわってきたのか、そこそこテンションが高いようだ。

 

エーレン「あげませんよ? 」

 

エーレンはエーレンで、マジレス? しながらカメラを回す、ちなみに話し声や雑音は編集でカットするらしい。

 

惣輔「くれないのか? なら仕方ないが… って終わったみたいだぜ? 」

 

エーレン「ですね」

 

エーレンはカメラをとめる。

すると…

 

吹雪「あのエーレンさん!」

 

エーレン「おや、吹雪さん、どうしました? 」

 

吹雪「エーレンさんも歌いませんか? 」

 

そう言いながら、マイクと選曲用のタブレットを渡してくる。

エーレンはこういう場では乗った者勝ちと考え、吹雪の誘いに乗り、曲の一覧表を見ていく。

 

エーレン「ではこれで」

 

エーレンは曲を選択し、マイクを持って立ち上がる。

 

エーレン「加速する♪ 新時代♪ 果てしない競争は一体どこまで続くのか♪」

 

そんな感じで交流会は過ぎてゆく…




今回はここまでです、お疲れ様でした。

次回はまだ未定です。
ある程度は決まっていますが…

誤字や脱字、アドバイス、質問、おかしな表現などがありましたらお知らせください、お待ちしております。


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コラボ第4話 演習 前編

お久しぶりです皆様、大極光です。

最近トータル・イクリプスを見始めました。

あの世界じゃ鶴や始祖鳥、鵺もロボになるのでしょうか?

以上、どうでも良いお話でした、本編どうぞ

あ、その前に…

通算UA50000突破!
これからも頑張らせていただきます!



数日後…

 

東都第6鎮守府 執務室

 

エーレン達が鎮守府に着任してから約1週間が経とうとしている今日。

電と共に執務をしていた影徳は自分の席で1枚の書類を見ながら、悩んでいた。

 

影徳「どうしたものか…」

 

頭を抱える影徳。

 

電「(こ、こういう時はどうすればいいのです? )」

 

電もどうにかしようと悩んでいた。

そこに…

 

惣輔「おーい、帰ったぜ〜」

 

惣輔が書類を片手に執務室に入ってくる。

 

影徳「帰ったか…」

 

電「お疲れ様なのです」

 

惣輔「おうよ。

で、これが遠征の報告書だ、確認してくれ」

 

そう言いながら惣輔は机に書類をおく。

エーレン達が搭乗するゼーロスは機関は永久機関のため、燃料は必要ないがその反面、弾薬は戦艦大和の何倍もの補給が必要のため、最初の任務として惣輔同行のもと、緊急事態を除き光学兵器のみ使用を認め、遠征に出てもらっていたのだ。

 

影徳「……ちょっと待て… こんなに資材が取れる遠征ではなかったはずだが…」

 

それを見ながら影徳は思わず呟く。

そこには本来入手出来ないはずの各種万単位の膨大な獲得資材が記載されていた。

 

惣輔「あーその事なんだがな… 実は遠征の帰りに深海棲艦の資材集積基地を見つけてな…

エーレンが『あって困るものでもないでしょう』って言って副砲で敵だけを狙撃してだな…」

 

影徳「資材を無傷で奪って来たのか… しかもこんなに。

分かってはいたが規格外にも程があるぞ…

上はこんなオーバーテクノロジーを使う奴らと戦えってか…」

 

そう言いながら椅子に深く腰掛ける影徳、顔色も少し悪そうだった。

 

惣輔「は? 戦え? エーレン達とか? 」

 

影徳「ああ、今朝指令書が届いた、これだ」

 

影徳はため息をつきながら、少し乱暴に書類を惣輔に突き出す。

 

惣輔「これか…」

 

その内容はISの性能を調べるために、エーレン達と演習を行え、というものだった。

 

惣輔「なるほどね、ゼーロスの方は1週間前のデータがあるが、ISはエーレンが提出してくれた情報のみ、だから実際に性能を試せ、と…

無茶言ってくれるね〜」

 

惣輔は苦笑いをしながら書類を返す。

 

電「あの… そんなに強いのですか? ISと言うのは…」

 

惣輔「いや、強いかどうかは分からない、ただ相手はあんな航空力学に全力で喧嘩売っているものをあんなスピードで動かせるんだぜ?

となると技術はあっちの方が上だ、だとすれば他にどんなビックリドッキリメカを持ってるか分からないからな。

無論負ける気は全くないが逆に勝てるビジョンも見えてこないってわけさ」

 

電「なるほど…」

 

影徳「まあ、とにかく向こうとも話をしないと始まらない、電、悪いがエーレンを呼んできてくれ」

 

電「はいなのです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

エーレン「失礼します、お呼びでしょうか? 」

 

電と共にエーレンがいつもの白衣姿で入室する。

 

影徳「ああ、実はな、上から指令書が届いてな。

ISと演習を行い、性能を調べろとの事なんだが…

そっちのIS乗りは10人だったな? 」

 

エーレン「ええ、ですがそれは織斑一夏を含めた数字です。

演習に出れるのは9人かと…」

 

ちなみに一夏は営倉からは出されたが、ゼーロスからの上陸は許可されておらず、艦内の自室に待機となっている。

 

影徳「構わない、そいつも含めた10人で演習を行う、日程はおって伝えるから、準備を頼む」

 

エーレン「了解しました、では失礼します」

 

エーレンは敬礼をした後、執務室を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その晩

 

特一等級空中戦闘母艦 ゼーロス ブリーフィングルーム

 

ギュエール「演習… ですか? 」

 

エーレンはゼーロスのブリーフィングルームに一夏を含めた全員を集め、昼間に影徳があの後渡された演習計画書を元に、説明をしていた。

 

エーレン「ええ、どうやら日本海軍はISのデータを取りたいらしく、氷室提督の艦隊と我々で10対10の演習を行うらしいです。

よって、日取りは不明ですが、皆さんにも参加してもらうので、調整を初めて下さい」

 

「「「分かった(りましたわ)」」」

 

影徳達にお世話になっているのは皆も同じなので、セシリア達も同意する。

だが…

 

一夏「ちょっと待てよ! 俺はやらねーぞ!」

 

一夏がいきなり立ち上がり、エーレンに怒鳴りつける。

 

エーレン「やるもやらないもこれは命令の類です、今の僕達に拒否権はありませんよ? 」

 

一夏「はぁ!? なんだよそれ!」

 

エーレン「僕達の今の立場は東都第6鎮守府所属となっています。

故に命令は絶対なのですよ。

まあ、これだけでは君は納得しないでしょうから、僕から1つ条件を付けましょう」

 

一夏「条件? 」

 

エーレン「ええ、参加していただいたなら、今回の君の無断出撃、『僕からは』織斑先生には報告致しません、いかがでしょう? 」

 

エーレンはニヤリと笑いながら、そう一夏に言う。

 

一夏「ッ! 分かった… じゃあそれで良い…」

 

一夏はそう言いながら椅子に座る。

エーレンは他に質問はないか聞いてから、皆を解散させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後…

 

東都第6鎮守府 近海

 

演習の内容が決まり、全ての調整が済んだこの日。

ゼーロス航空隊(無人機)の撮影の元、演習が行われていようとしていた。

 

編成を紹介すると…

 

東都第6鎮守府 演習艦隊

 

氷室影徳(ナイトローグ)

石動惣輔(ブラッドスターク)

吹雪

睦月

夕立

川内

 

計10名

 

ゼーロス航空隊 臨時編成第99IS部隊

 

エーレン(ヴァイス・レギオン・エクストリーム)

エミリア(シュヴァルツェア・アドラー)

ギュエール(グラウ・シャルフシュッツェ)

簪(打鉄極式)

織斑(白式)

箒(紅椿)

セシリア(ブルー・ティアーズ)

鈴(甲龍)

シャルロット(シュトゥルムヴィント)

ラウラ(ナハト・シュトラール)

 

同じく10名

 

演習は殲滅戦、すなわち全部倒した方の勝ちである。

ISはSE(シールドエネルギー)が無くなったら、艦娘は大破したら、影徳と惣輔の2人に関してはエーレン、惣輔共同でダメージカウンターを開発、その数値が一定以上になったら、それぞれ負けである。

 

雪奈「勝とうね、エーレン」

 

エーレン「もちろん」

 

エーレンは各種計器をチェックしながら深呼吸をする。

周りを見ると各々準備をしたり、過剰な緊張を抑えていた。

 

エーレン「そろそろですか…」

 

エーレンは時計を見ながらそうつぶやく。

直後…

 

ドォーン!

 

ゼーロスの主砲が影徳と決めた時間に自動で空砲を発射、演習が開始された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エーレン対惣輔(ブラッドスターク)

 

惣輔「まさかいきなり当たるとはな! 楽しみだぜエーレン!」

 

そう言いながら、『トランスチームライフル』から高熱硬化弾を発射する。

 

雪奈「エーレン! あれ当たると飛行に支障が出るわ! 」

 

エーレン「了解! 」

 

エーレンも撃たれまいと、『アブソリュートマグナム』、『シュテルンガトリング』からの反物質ビームと35mm弾で弾幕を張る。

が、先にエーレンの方が弾切れを起こしたため、クラインフィールドを張りつつ距離をとる。

 

雪奈「弾幕は向こうの方が上ね、どうする? 」

 

エーレン「遠距離がダメなら突っ込むしか無いよね」

 

エーレンは『シュテルンガトリング』を収納し、再び距離をつめる。

 

惣輔「わざわざ当たりに来てくれるとはな!」

 

好機と見た惣輔は突っ込んでくるヴァイスに対し、一気に畳み掛ける。

しかし…

 

エーレン「貰いましたよ! 」

 

だがその行動はエーレンの思惑通りのものだった。

エーレンは『アブソリュートマグナム』を横に薙ぐように発射し、弾丸を消し去る。

 

惣輔「なっ!? 」

 

エーレン「最大戦速!」

 

エーレンは瞬時加速(イグニッションブースト)を行い距離を詰めつつ、高速切替(ラピッドスイッチ)を使い、『アブソリュートマグナム』の代わりに2本の剣『レギオンセイバー』を取り出す。

そしてバレルロールをしながら突っ込み、惣輔に白い刃を振り下ろす。

 

エーレン「くっ… 流石ですね…」

 

エーレンは戦速を維持したまま突っ込んだ。

だから相手に対応する時間など当然無いはずだ、反物質ビームの対消滅反応の余波が海面には叩きつけられていたからである。

 

惣輔「そう簡単には負けてやらんさ…

まあ、かなりヒヤッとしたがな…」

 

しかし惣輔は瞬時に体勢を立て直し、『レギオンセイバー』の刃を『スチームブレード』で受け止めていた。

だが…

 

エーレン「こっちは2本あるんですよ? 」

 

エーレンはそう言いながら左手の『レギオンセイバー』を下から切り上げる。

 

惣輔「なっ…」

 

威力はそこまでだが、一瞬行動がとまる。

だがエーレンには十分過ぎた。

 

雪奈「エーレン! 今!」

 

エーレン「はぁ!」

 

エーレンは惣輔を蹴り飛ばし、高速切替(ラピッドスイッチ)で今度は『レギオンランス』を取り出し、思いっきり叩きつける。

 

惣輔「ぐは… 流石だなエーレン! それくらいじゃなきゃな!」

 

惣輔は『トランスチームガン』を取り出す。

エーレンも『アブソリュートマグナム』と『シュテルンガトリング』を取り出し…

 

惣輔「これでも喰らえ!」

 

《COBRA!》

 

《STEAM BREAK! COBRA!!》

 

先に動いたのは惣輔だった。

そう言いながら『トランスチームガン』から必殺技『スチームブレイク コブラ』を放つ。

 

エーレン「必殺技をぶつけ合うってロマンあるよね」

 

雪奈「そうなの? 私にはよく分からないけど」

 

いわゆる男のロマンというやつだろう。

躱す方が合理的かつヴァイスの性能にあってるのだが、この際そんなことは気にせず、エーレンは『アブソリュートマグナム』と『シュテルンガトリング』を構え…

 

エーレン「フルファイア! 」

 

雪奈「全門斉射! 」

 

『アタックファンクション 我王砲』

 

反物質ビーム、βレーザー、そして『我王砲』を一斉射撃する。

2つの強力な攻撃はちょうど2人の中間でぶつかり…

 

ドォーーン!!

 

数メートルにも及ぶ巨大な爆発が、海域中に響き渡った。




今回はここまでです。
今回はやや短めですがキリが良いのでここまでとさせていただきます。

ちなみに私の艦これでの推しは由良様です、異論は認めます。

次回中編です。

誤字や脱字、アドバイス、質問、おかしな表現などがありましたらお知らせ下さい、お待ちしております。


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コラボ第5話 演習 中編

お久しぶりです皆様、大極光です。

部活の大会? にテストに旅行に、今週イベント盛りだくさんだったな〜

先週は部活の大会? のために急遽おやすみさせて頂きました。


同時刻

 

影徳対一夏

 

一夏「はぁぁぁぁぁ!」

 

もう数えるのも飽きるくらいの攻撃を放つ一夏。

海上の敵に対し一夏は空中にいる。

嘗ての戦争が証明した、水上目標に対する航空攻撃の圧倒的優位性。

それは一夏の方にあるはずなのに、攻撃は当たらなければかすりもしない。

 

一夏「クソっ! なんで当たらねぇんだよ!」

 

今回も零落白夜の刃が海面を叩き、水蒸気が吹き出すだけだった。

そして零落白夜のため、自身のSE(シールドエネルギー)が徐々に減っているため、一夏には焦りが見え始めていた。

 

影徳「お前の攻撃が単調すぎるからだ」

 

対する影徳はかなりの余裕を持って躱し、カウンターとして『トランスチームガン』を撃つ。

さっきからこの繰り返しである。

影徳にとって、今までの中で最も楽な戦いなのは言うまでもない。

 

影徳「そろそろ諦めたらどうだ? 」

 

影徳は『トランスチームガン』を構えながら、一夏に降伏勧告を行う。

一夏は満身創痍なのに対し、影徳はダメージゼロ、普通なら降伏するところだ。

そう、普通なら…

 

一夏「ふざけるな! 俺には千冬姉の剣があるんだ!

俺は負けない!」

 

零落白夜を発動したまま、海面スレスレを飛行する。

対する影徳は…

 

影徳「ああそうかよ、なら良い。

お前には個人的な恨みがあるからな、そのおかしな自信をそのなまくら剣ごとぶった斬る!」

 

影徳は『スチームブレード』を左手に持ち、一夏の方を見る。

そして…

 

一夏「はぁぁぁぁぁ!」

 

影徳「ここ!」

 

すれ違いざまに一夏の攻撃を躱し、一夏の持つ『雪片弐型』の実体部分を『スチームブレード』で溶断する。

 

一夏「な…」

 

一夏は動くのをやめ、刀身が途中で無くなっている『雪片弐型』を有り得ないと呟く。

 

一夏「雪片が… 千冬姉の剣が…」

 

まるで呪詛のように繰り返す。

もはや戦う意思は無さそうだ。

そこに…

 

ドンドンドンドンドン!

 

影徳が『トランスチームガン』を数発打ち込み、残りのSE(シールドエネルギー)を削りきる。

 

影徳「終わったか…」

 

ドォーーン!!

 

一夏を倒した直後、巨大な爆発が起こり、爆風が影徳ごと海面を揺らす。

 

影徳「あの方向は確か石動がいた… 助けに行くか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻…

 

エミリア ギュエール対川内 吹雪 睦月 夕立

 

エーレンや一夏が飛び出した後、エミリア達は集団で行動していたが、電達の攻撃を受け、エミリアとギュエールだけがセシリア達と分断されてしまっていた。

 

エミリア「それっ!」

 

エミリアが先程の一夏と同じように海面スレスレを飛行し、海上の川内に対しエミリアの愛刀『蜃気楼』で攻撃を行う。

無論、一夏とは速度と精度が段違いではある。

間一髪で川内はそれを躱すが、それだけでは終わらない。

 

ギュエール「発射!」

 

スキを生じぬ二段構え。

エミリアの斬撃により、体勢が崩れた所をギュエールが『ルミナスシューター』で川内を砲撃する。

 

川内「くっ! 強い…」

 

体勢を崩した相手を外すほどギュエールの射撃は甘くは無く、川内の艤装に命中し、主砲の砲身を吹き飛ばす。

 

ギュエール「『ルミナスシューター』ですらこの程度のダメージしか通りませんか…」

 

しかしこちらは航空機なのに対して相手は艦船、それも被弾を考慮されて造られた第二次世界大戦時の艦ともなれば、IS1機落とすのがやっとの『ルミナスシューター』では、ダメージをあまり稼げないのだ。

 

だが、エミリア達の攻撃は百発百中なのに対して、川内達は未だに攻撃を当てれずにいた。

理由は簡単、性能が違いすぎるからである。

川内達が普段相手している深海棲艦の航空機は、数こそ多いが性能はそこまでであり、落とせないほどではない。

しかしISはただでさえ機動力で現行のジェット機を大きく上回り、なおかつパイロットの腕はエース級である、かすらせるだけでも奇跡なのだ。

 

夕立「は、速すぎて当たらないっぽい〜!」

 

吹雪「分断された方が強いってどういうことですか!? 」

 

駆逐艦の3人も対空砲で弾幕を形成するが、常に無茶苦茶な動きをするエミリアにはもちろん、命中弾を一瞬で判断し、回避もしくは迎撃するギュエールにも、効果は薄かった。

 

エミリア「はぁ!」

 

エミリアは一旦高度を取り、そこから急降下爆撃のように垂直降下し、左手に取り出した『Ωブラスター』を撃ちながら睦月に接近して行った。

威力重視の『Ωブラスター』といえどもやはり相手は艦、目くらまし程度にしかならず、ダメージとしては微々たるものだった。

 

当然エミリアもそれは分かっているので、『Ωブラスター』を降下中に収納し、右手の『蜃気楼』を両手で持ち、睦月に一撃を加える。

 

睦月「きゃあ!? 」

 

吹雪「睦月ちゃん! 大丈夫!? 」

 

睦月「う、うん、ちょっと艤装に傷が出来ただけだから」

 

そう、普通ならちょっとした傷なのだが…

 

ギュエール「貰いました!」

 

『アタックファンクション ホークアイドライブ』

 

今回はそれが決定打となった。

ギュエールが放った攻撃は、エミリアが切り傷を入れた睦月の艤装に正確に飛翔し…

 

ドォーーン!!

 

傷口から艤装内部に侵入、誘爆を引き起こし、睦月は大破判定となった。

 

エミリア「良しっ! まず1人!」

 

川内「あはは… 嘘でしょ…」

 

対物ライフルクラスの弾丸を小さな傷口に4発とも正確に命中させたのだ。

神業と言っても過言ではない。

 

睦月「そ、そんなぁ…」

 

睦月も悔しそうにそう呟く。

直後、ゼーロス航空隊のオーディーンM(無人機)が到着し、睦月を回収してゼーロスの方に飛んで行った。

 

吹雪や夕立は依然として放心状態であったが…

 

エミリア「まだまだ行くよーっ!」

 

そんなのお構い無しのエミリアは今度は川内に向けて突進して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方…

 

暁 響 雷 電 対 箒 セシリア 鈴 シャルロット ラウラ 簪

 

分断したもう1つの集団の相手をすることになった第六駆逐隊の4人である。

この分断作戦を考案した電はこちらに属しており、暫定的な旗艦となっていた。

 

セシリア達IS組は、経験があるラウラをリーダーとし、その指示のもと、電達に攻撃を行っていた。

 

ラウラ「撃て!」

 

ラウラは武装の特性上、自分とセシリアを後衛、箒と鈴を前衛、残りの2人は遊撃に回ってもらっていた。

 

そして今、敵目がけて自身のISに装備されている10cm砲を発射するが…

 

バシャン!

 

相手は完璧な連携でこれを躱した、セシリアの攻撃も同じである。

 

ラウラ「やはり当たらないか…」

 

ラウラは次弾装填をしつつ、周りを見渡す。

戦況は膠着状態であった。

どちらの攻撃も当たらないのだ。

 

セシリア「あまりよろしい状況ではありませんわね…」

 

セシリアがライフルを撃ちながら、ラウラに声を掛ける。

 

ラウラ「ああ、おそらく時間稼ぎだろうな… エミリアやギュエールを倒しに行った部隊が戻って来るまでの、な…」

 

ラウラはエミリアとギュエールが戦っている方向を見る。

 

鈴「あの二人、大丈夫なんでしょうねぇ!? 」

 

鈴は両手の『双天牙月』を振りながらそう叫ぶ。

こちらの攻撃も、踏み込み過ぎればカウンターを貰いかねないので、有効打を与えられずにいた。

 

ラウラ「問題ない、あの二人を落とそうとするならばあの戦力では少し不足だ、私たちはこっちに集中しよう」

 

ラウラは電達の方を見て、先程より正確に狙いをつけ…

 

ラウラ「撃て!」

 

ラウラが放った攻撃は今度は正確に飛んでいき…

 

響「くっ…」

 

回避行動をとっていた響に命中する。

しかも、口径が駆逐艦クラスだったため、有効打を与えられた。

 

箒「良し! なら私も!」

 

攻撃が命中したため、流れに乗るべく『雨月』と『空裂』を構えて突撃する。

しかし…

 

電「かかったのです」

 

電達はまるで来ることが分かっていたかのように冷静に箒に攻撃、直線という単調な機動をしていた箒は躱すことは出来ず…

 

ドォーーン!!

 

駆逐艦の主砲という航空機にはオーバーキルなダメージが箒に炸裂、一撃でSE(シールドエネルギー)を消し飛ばされ、墜落する。

 

鈴「箒!? 」

 

箒「へ、平気だ。

済まないがあとは頼む!」

 

直後、先程の睦月と同じく、回収される箒。

電は相手が突出してきた所を叩く算段であり、箒は今回これに引っかかってしまったのである。

その後はラウラが突出を控えるように指示したため、戦況はまた膠着状態となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エーレン 対 影徳 惣輔

 

エーレン「さすがに2対1は厳しいね…」

 

エーレンは現在、影徳と惣輔という相手の主力2人と戦っていた。

そのため、操縦の腕がそこそこのエーレンでは苦戦は必至だった。

しかし、そんなこと百も承知なので、エーレンは勝てる術を自身の脳をフル回転させて考える。

 

惣輔「ほらほらどうした!? 」

 

しかし相手が待ってくれるはずもない。

惣輔は『トランスチームライフル』を撃ち続ける。

エーレンは回避行動をとりつつ、命中弾はクラインフィールドで受け止める。

 

雪奈「エーレン、どうするの? 」

 

エーレン「とりあえず片方を『ダイモン』を使って足止め、その間にもう片方を片ずける!

というわけで雪奈、ちょっと高速戦闘になるけどよろしく!」

 

雪奈「おーけい、任された!」

 

直後、エーレンの目の色が変わり、同時に影徳達の視界から消える。

 

影徳「消えた!? 」

 

惣輔「どこい… ぐはっ!? 」

 

惣輔がエーレンを探していると突然横から衝撃が加わり、吹き飛ばされる。

 

影徳「石動!」

 

慌てて救援に向かおうとするが…

 

雪奈「行かせない!」

 

上空から雪奈麾下の『ダイモン』64機が、四方八方から影徳に襲いかかる。

 

影徳「くそ…」

 

そのため影徳は動きを封じられてしまった。

分断に成功したエーレンは雪奈に影徳の相手を任せ、自身は惣輔目掛けて突進する。

だが…

 

ガキン!

 

惣輔「同じ手が何度も通用するかよ!」

 

いち早く体勢を建て直した惣輔が『スチームブレード』でエーレンの『レギオンランス』を受け止める。

 

エーレン「でしょうね…」

 

だがエーレンはニヤリと笑い、再び惣輔の視界から消える。

直後…

 

エーレン「はぁ!」

 

後ろから攻撃が放たれた。

それだけではとどまらず、右、左、上、と四方八方からデタラメなスピードと機動で攻撃を行う。

明らかに普通の人間が出来る動きでは無かった。

 

惣輔「クソっ! どうすれば…」

 

限定的にではあるが形勢逆転された惣輔は打開策を見出そうとする。

しかしそれをゆっくり待っているほど今のエーレンに余裕は無かった。

 

エーレン「今の僕ならこれも行けるかな? 」

 

エーレンは『レギオンセイバー』に持ち変える。

 

『アタックファンクション 神速剣』

 

エーレンは以前、対鈴戦でエミリアが使った技を惣輔に叩き込む。

それにより、惣輔の変身が解け、脱落した。

 

影徳「石動! 無事か!? 」

 

惣輔「ああくそ、負けちまった、あと頼めるか? 」

 

そう言いながら惣輔は自身の『トランスチームガン』と『スチームブレード』を影徳に渡す。

 

影徳「任せろ」

 

惣輔はそれだけ聞くと、オーディーンMに回収されて行った。

 

影徳「さてエーレン、これで1対1だ、第2ラウンドと行こうか!」

 

エーレン「最終ラウンドですよ!」

 

そういった後、戦闘は再開された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでです。

オール戦闘って何気に初めてな希ガス…



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コラボ第6話 演習 後編

こんにちは皆様、大極光です。

難航しまして遅れました…


暁 響 雷 電 対 セシリア 鈴 シャルロット ラウラ 簪

 

十数分後…

 

ラウラ「くっ…」

 

ラウラは10cmレール砲を放った後、手持ちの『MG3 ISC』で弾丸をばらまく。

しかし…

 

電「もうそっちの動きは分かったのです!」

 

フィギュアスケートのような挙動でそれらを躱す。

加えて、手持ちの12.7cm連装砲で反撃する。

これは電だけの話では無く、暁達も攻撃を躱しきっており、流れは完全に向こう側にあった。

だが、打つ手が無くなった訳でも無かった。

 

ラウラ「簪、『山嵐』の残弾は幾つだ? 」

 

簪「12発、これで全員沈めるのは無理だよ? 」

 

ラウラ「大丈夫さ、私に良い考えがある」

 

簪「聞かせて」

 

ラウラ「分かった…」

 

 

 

 

 

ラウラ「という訳だ、行けるか? 」

 

簪「うん! エーレンとシューゲルさんが作ってくれたこの子なら!」

 

ラウラはそれを聞くと、作戦を皆に伝える。

そしてそれぞれで行動を開始した。

 

簪「発射!」

 

簪は荷電粒子砲『春雷』を拡散誘導で発射、比較的突出していた暁と雷が攻撃を受けることになった。

 

暁「きゃあ!? 」

 

響「暁! 雷!」

 

響が援護に入ろうとするが…

 

セシリア「行かせませんわ!」

 

セシリアがビットとライフルを使い、四方八方から攻撃を加える。

威力は低いため、大したダメージは与えられないが、足止めなら造作もない。

電の方は鈴が抑えていた。

 

これにより一時的にではあるが、ラウラは相手の分断に成功、作戦は次の段階に移った。

 

ラウラ「行くぞシャル!」

 

シャル「うん!」

 

直後、シャルロットとラウラが両側から暁と雷に残弾を気にせずに機関砲を発射、機関砲弾を豪雨のように浴びせる。

効かないとは分かっていても、相手は機械ではない、そのため一瞬ではあるが動きは鈍る。

 

簪「今! 全弾斉射!」

 

これを待っていたと言わんばかりに誘導弾『山嵐』を暁と雷に6発ずつ発射する。

 

雷「暁!」

 

ドォーン!

 

対IS用とはいえ、エーレンやハンスによってマックス強化された『山嵐』は、対艦ミサイルと比べても遜色ない威力を持っていた。

だが…

 

暁「雷!? 大丈夫なの!? 」

 

爆煙が晴れると、暁の前に出て『山嵐』を全弾受けた雷の姿があった。

 

雷「そっちこそ… 私は大丈夫だけど、どうやら轟沈判定みたいね、あとは頼んだわ」

 

直後、オーディーンMが雷を連れて、飛び去って行った。

ラウラは次の行動を指示しようとするが…

 

電「スキありなのです」

 

ラウラ「なっ!? 鈴はどうした!? 」

 

至近距離に迫っていた電が、ラウラに砲撃を仕掛ける。

 

鈴『ごめん、やられちゃった…

あの子の対空能力を舐めていたわ…』

 

鈴は通信越しでラウラに状況を伝える。

 

ラウラ『分かった、こちらで何とかする』

 

ラウラは戦闘中ということもあり、鈴との通信を手短にすませ、目の前の敵に集中する。

 

ラウラ『簪! 荷電粒子砲発射用意! シャル! 簪の援護を頼む! 』

 

シャル『分かったよ!』

 

簪『分かった!』

 

ラウラはシャルに砲撃準備中の簪の援護にむかわせ、ラウラ自身は10cmレール砲で電に砲撃を行い、徐々に後退する。

 

電「(? 勝っているはずなのに何故後退するのです…? )」

 

電はラウラの後退を怪しみつつ砲撃を続行する。

対するラウラは…

 

ラウラ「(ここだ!)」

 

ラウラはほぼ垂直に急上昇し、電の真上から静止してレール砲を放つ。

電はそれを紙一重で躱す。

だが反撃する余裕は無く、躱すので精一杯である。

しかし、静止した航空目標などただの的である、ラウラが意味もなくそんな事をするはずもなく…

 

簪「これで!」

 

セシリア「トドメ!」

 

同タイミングでセシリアのビットと簪の『春雷』が電に向けて発射された。

ラウラはこれで決まったと思ったが…

 

電「まだなのです!」

 

電は真下に砲撃、加えて低い姿勢で一回転、水で壁を作り、迫ってくるレーザーを受け止め、上空のラウラとビットを使って動けないセシリアに一発ずつ攻撃、これを撃墜する。

 

響「電、無事かい? 」

 

電「大丈夫なのです、そっちは? 」

 

響「暁が荷電粒子砲を受けて轟沈判定、でも相手はきちんと片付けたよ」

 

電「そうなのですか… 分かったのです、でも今はエイトさんの援軍に行くのです!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エミリア ギュエール対川内 吹雪 夕立

 

エミリア「たぁ! 」

 

エミリアは吹雪に『Ωブラスター』を乱射しながら、川内に『蜃気楼』を振る。

川内はそれを躱しながら主砲を発射するが、アドラーのクラインフィールドに防がれる。

 

エミリア「(早くやっつけなきゃ… ラウラお姉ちゃん達がやられたってことはお兄ちゃんの所かここに来るってことだから…!)」

 

エミリアは今、焦っていた。

それはギュエールも同じなのだが、エミリアの方が少し子供なのでエミリアほど焦りの色は出ていなかった。

 

ギュエール「(とりあえずここだけでも勝たなくては…!)

『エミリアちゃん、合図で一斉射撃を』」

 

エミリア『分かった!』

 

ギュエールは連射出来ない『ルミナスシューター』を収納し、代わりに『グロース・シュトローム』を取り出し、砲撃を加える。

45mm弾とはいえ、受ければそれなりのダメージは入るため、川内達は回避する。

だが、それこそがギュエールの本来の狙いであった。

 

ギュエール「今!」

 

ギュエールの合図の直後、アドラーとシャルフからスティンガーミサイルが発射され、川内達に4発ずつ命中、大破判定となった。

 

ギュエール「エミリアちゃん! 艦長の援護に向かいましょう!」

 

エミリア「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エーレン対影徳

 

エーレン「(まずいな… 『オーバーロード』を行使しても互角なんて…)」

 

それが意味する事は相手は自分よりも強い、ということである。

戦術と使用兵器の性能で勝負するエーレンにとって、1番苦手な相手であった。

まあ、策がない訳でもないのだが…

 

エーレン「(絶対雪奈に怒られるしなぁ…)」

 

最終手段、超兵器機関のリミッター解除は雪奈から決して使うな、と言われてしまったので、使うに使えない状況であった。

 

影徳「考え事とは余裕だな!」

 

対する影徳は惣輔から受け取ったものと、もともと持っていたものとを合わせた2丁の『トランスチームガン』で対空弾幕を形成する。

 

エーレン「こっちはそれ以外からきしですからね!」

 

エーレンは『アブソリュートマグナム』で弾幕を迎撃しながら、それでもすり抜けてきた砲弾には『レギオンガーター】で対応する。

既に『シュテルンガトリング』は破壊されていた。

 

雪奈「クラインフィールド、稼働率60パーセント、このままじゃ負けちゃうよ? 」

 

エーレン「じゃあリミッター外して良い? 」

 

雪奈「ダメ!」

 

エーレン「ですよね…」

 

エーレンはダメ元で聞いてみるも予想通り拒否されたため、他の方法を考える。

 

エーレン「(どうする? 『グローストゥルム』ならば一瞬で蹴りが着くけど、波動砲の技術だけは渡したくないし…

加えてどんな環境への影響があるか分からないし…)」

 

エーレンは攻め手を必死に考えるが余裕があまり無いため、中々良い答えが思い浮かばない。

そこに…

 

雪奈「エーレン! 避けて!」

 

エーレン「え? 」

 

ドォーン!

 

敵が居ないはずの真横から砲弾が飛んできて、そのうちの一発がヴァイスに直撃する。

 

雪奈「エーレン!? 大丈夫なの!? 」

 

エーレン「平気だよ、クラインフィールドでどうにかね…」

 

エーレンが砲弾の飛んできた方向を見ると、そこには響と電が主砲を構えていた。

 

エーレン「あの二人がいるって事は…」

 

雪奈「セシリアちゃん達が負けちゃったって事だよね…」

 

エーレン「だよね… 仕方ない、一旦撤退しよう」

 

一対一でも厳しいのに、さらに相手の増援。

こうなればエーレンに勝てる術はないので、一旦撤退しようとするが…

 

電「させないのです!」

 

それを黙って見てるはずもなく、電と響はエーレンに容赦なく砲弾を浴びせる。

エーレンはスラスターを全開にして、戦線を離脱しようとした。

その時…

 

『アタックファンクション ホークアイドライブ』

 

『アタックファンクション 大真空斬』

 

また別方向から攻撃が加えられる。

狙いは響であり、エーレンへの対空射撃に集中していた響が攻撃に気がついた時には既に手遅れだった。

 

影徳「響!」

 

響「ごめん、油断してたよ、あとはお願い」

 

響はオーディーンMに回収され、エーレンは攻撃が飛んできた方向を見ると…

 

エミリア「お兄ちゃん!」

 

刀を構えたエミリアと…

 

ギュエール「お待たせしました、艦長」

 

『ルミナスシューター』を構えたギュエールの姿があった。

 

エーレン「エミリア! ギュエールさん!」

 

雪奈「エーレン、これなら!」

 

エーレン「うん! さあ、勝負再開です!」

 

ここに、両部隊の最高戦力が集結し、最終決戦が始まった。




今回はここまでです。

最後に一言

シトナイちゃんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!(無課金30連)
ついでにアサシンパライソも来た。

以上、どうでも良いFGO関連のお話でした。


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