俺の転生物語 (ユキユキさん)
しおりを挟む

~プロローグ

妄想話です。

批判は受け付けないぜ!


俺はゲームをしていた。やっていたのはFE無双、リンダとサーリャの可愛さに悶えながら楽しんでいた。なのにだ、…気付けば白い空間にコントローラーを握り締めて佇んでいるんだもの。ここは何処? 俺のリンダとサーリャは? 当然テンパりましたとも。

 

そんな中で光り輝くおっさんが現れ、自身を神と名乗った。そしてこの俺は、神の暇潰しに選ばれた名誉ある人間らしい。……名誉? …不幸の間違いじゃないですかね? と思ったのだがまぁどうでもいいや。

 

何もないまま異世界へ飛ばすのは無謀とのことで、福引きのガラガラで特典を入手しろという。…めっちゃ運が絡みますね? 三回は回せるの? ラッキー…なのか? 不安に思いながらもガラガラを回す。

 

 

 

 

 

 

最初に入手した特典は、ときメモ4の全技能。……微妙じゃね? と思った俺は悪くない。しかし神曰く、なかなかに良いモノらしい。…信じますよ?

 

 

 

 

 

 

二つ目に入手した特典は、KOFの技を覚えられる身体。……覚えられる? 既に体得しているんじゃないの? と思った俺は悪くない。神曰く、世の中そんなに甘くはないとのこと。……ぎゃふん。

 

 

 

 

 

 

三つ目に入手した特典は、パートナーを一人だけ選べる権利。……パートナー? どういうことだろうか? 疑問に思う俺に神は言った。…一人だけ俺の望むキャラクターを一緒に異世界へと飛ばす、所謂俺と共に異世界を生きる半身みたいな存在を選べるというらしい。……ラッキーなのか?

 

まぁとりあえず誰を選ぶかな? 先程のことを考えるに、リンダかサーリャの二択となるな。しかしながらどちらも大好きな女性なので悩んでしまう、……う~む。

 

 

 

 

 

 

悩みまくる俺に神が苛立って、もういいからガラガラを回せという。……え? 好きなキャラを選べるんじゃなかったの? と言えば、時間が掛かりすぎていると怒られた。そういうことだからランダムに変更となったらしい、…俺のバカヤロー!!

 

 

 

 

 

 

しかし温情として、中身はFEの女性陣にしてくれたらしい。…ありがとう神よ、たとえリンダとサーリャじゃなくてもFEの女性陣なら良いです! 俺はガラガラを回す。

 

 

 

 

 

 

……結果はティアモでした。

 

リンダとサーリャには負けるけど好きなキャラだ、これはもうラッキーでしょう!

 

 

 

 

 

 

そんなわけで、ティアモが常に俺の近くにいる存在となった。俺共々世界に合わせて転生し続けていくらしい、ありがたいことです。………あれ? 世界に合わせて転生し続ける? ……どういうこと? そんな疑問に神曰く、一つの世界だけではなく複数の世界へ転生し続けてもらうから…とかって。…………マジで?

 

 

 

 

 

 

そうこうしている内に神がティアモを召喚した。神曰く、彼女は常に俺を一番に考えるよう調整されているとのこと。それを聞いてテンション爆上がりの俺。喜ぶ俺に対し、ティアモが微笑みながら近寄ってきて……、

 

「これから末長く、よろしくお願いしますね。」

 

そう言って、俺の頬にキスをしてくれた。

 

突然のことにこの俺は、喜びのあまり昇天してしまったらしい。そのまま転生…となったみたい、……俺はティアモと共に何処へ転生するのだろうか?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

WORST編
第1話 ~喧嘩ばかりッス


たまたま目に入ったからWORST。

作者のモチベーションを上げる為に、ただただ好きなように書くつもりです。

読む場合は頭を空っぽにしてから読んでください。


やぁみんな、…初めましてだな。俺の名は龍光寺由紀也、血気盛んなバリバリの小学生だ。神の手により異世界転生をした身ではあるけれど、未だに何の世界か分からんのですよ。しかも、特典の一つであるKOFの技を覚えられる身体ってヤツ。それが制限されているみたいで、技を覚えることが出来んのです。どんなに想像しても、練習しても全然覚えられんのです。身体は鍛え上げられるんだけどね? …不思議だ。

 

身体を鍛え上げることが出来るのは、ときメモ4の技能が大きく貢献している。運動スキルツリーにある技能によって、体調はいつも絶好調で怪我もほぼしないし病気は言わずもがな。体力も根性もハンパないんですわ、所謂…体力バカってヤツですかね? そんな感じッス。神がなかなかに良いって言っていた意味が分かったよ、ときメモ4の技能ってばスゲー。

 

そんなわけで小学生ながらに体格の良い俺は、いつでも何処でも喧嘩を売られる毎日。日々喧嘩喧嘩、喧嘩の毎日ッスわ。この世界は何なんですかね? 無邪気な小学生生活が出来ない、悲しいッス。今日も喧嘩を売られ、中学生をぶっ飛ばしました。…ねぇ、小学生にボコられてどんな気持ち?

 

 

 

 

 

 

そんな喧嘩ばかりの俺にも癒しがある、それは……、

 

「ユキったらまた喧嘩? …もうっ! 男の子ってどうして喧嘩ばかりするのかしら? 心配する私のことも考えてよ。」

 

幼馴染の女の子、天羽(あそう)翼がいつも俺を気に懸けてくれるのです。そう…彼女こそがティアモなのだ、神の言った通り…俺の近くに転生していたのだ! 隣近所で家族ぐるみの付き合い、小学生ながら相思相愛のリア充なのです。……やったね!!

 

翼は喧嘩ばかりの俺を心配してくれる、掠り傷でも甲斐甲斐しく手当てをしてくれる出来た女の子。全てにおいてパーフェクトな天才少女で、俺みたいな奴と共にいることを不思議がられる優等生なのだ。俺も真面目に生きようとは思っているんだよ? でも売られた喧嘩を買わねば男が廃るわけでして…。ごめんな? 翼。

 

喧嘩ばかりではあるけれど、翼の為にも勉学も頑張っとりますよ? 頭が良いのに喧嘩バカ、それがこの俺…龍光寺由紀也なのです!!

 

 

 

 

 

 

そんな日々が続き、翼とも仲良くやっている小学生生活。そんな中で、俺は友人である迫田武文に誘われて高校生の喧嘩を見に行った。男二人で行こうと思ったのだが、翼も一緒に行くと言って強引に付いてきた。それについて武文が嫉妬丸出しで襲い掛かってきた、…が頭に拳骨を食らわして黙らせる。そして俺が翼に怒られるのが俺達の日常、何だかんだで楽しんでいます。

 

…で、何処ぞの神社にて繰り広げられる喧嘩を見て…、

 

「……スゲー。」

 

「…高校生の喧嘩はやっぱ激しいな、俺もいずれは……。」

 

「…高校生も喧嘩ばかりなのね。…ユキも武文君もあーなっちゃうんだろうな、…バカばっかり。」

 

武文、俺、翼がそう呟く。

 

三人でその喧嘩を見ていて気が付いた、否…この世界が何の世界かが分かってしまった。……この世界ってWORSTじゃね? しかも武文ってあの迫田武文じゃね? メインキャラの恐竜。…………初っ端がWORSTって、何じゃそら? と思った俺は悪くない。

 

まぁ俺と翼がいるから、原作とは違う物語になるんだろうな。あの原作って女の子なんか出ないし、でもこの世界には翼がいる。他にも可愛い女の子がチラホラといる、武文も小学生ながら告白をしてはフラれているし。女っ気のあるWORST、………どうなるんですかね?




リンダとサーリャが可愛すぎて暴走した結果。

このようなモノを書いてしまう作者。

……ティアモも好きッスよ?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 ~中学入学ッス

何も考えずに。




喧嘩をしては翼に怒られる日々を送っていた俺と武文、無事に中学校へと入学出来ました。三人揃って岸中です、男女共学だったのですよ岸中は。ピカピカの一年生である俺と武文、二人揃ってここの頭に喧嘩を吹っ掛けてボコボコにしました。

 

一年にして岸中の頭となったわけですが、その後のことは思い出したくはないッス。…………翼にビンタをされたんです、…俺と武文は。…みんなの前で、頬に紅葉マークッス。その日に岸中の番長二人と裏番一人が誕生しました。

 

 

 

 

 

 

翼にビビりながらも岸中を仕切っていた俺と武文、他の中学に喧嘩を吹っ掛けようと仲間を集めて計画を練る俺達。…そしていざ、一帯の中学制圧の道へ! と気合が入って盛り上がっている所に、

 

「ねぇ…ユキ、何…やっているのかな? 喧嘩をすることはまぁ良しとしたけれど、…他校の関係ない生徒を巻き込むようなことはダメって言ったよね?」

 

我が幼馴染で彼女の翼が現れたのです。喧嘩無双の俺でも、翼だけはダメよ。俺の顔は青くなり、武文は震えた。仲間は蜘蛛の子散らすが如く逃げて、…残ったのは俺達二人。

 

「つ…翼、これは男の通る道なんだ。他校を制覇するのも……。」

 

俺は何とか翼を説得しようとしたんだけど、

 

「……お弁当、…もう作らないわよ。」

 

の言葉を頂き、

 

「サーセンしたぁっ! 個人での喧嘩だけにします!!」

 

と土下座した。そんな俺に武文が、

 

「おいユキ! 女に言われて止めるなんてそれでも……!?」

 

「……女の子達みんなに嫌われるよ? 武文君。」

 

「迷惑はいけない、そこはテッテイしないとな!!」

 

文句を言おうとしたけれど、翼の言葉にて同じく折れた。岸中である意味一番強いのは翼、それが岸中なのです。

 

 

 

 

 

 

一般生徒に迷惑を掛けることが嫌いな翼、岸中に何かしようとする他校の噂を聞けば…、

 

「ユキ、武文君。徹底的に潰してきなさい、…迷惑をあまり掛けないようにね。」

 

と指示をされ、俺と武文は拒否することなく、

 

「俺達に任せろ翼ぁっ!!」

 

「…っしゃあ! 久々の大きな喧嘩だ!!」

 

嬉々として動く。岸中の女帝の前に、俺と武文は逆らえんのです。

 

 

 

 

 

 

そしてあっという間に三年が経ち、岸中を卒業する俺達。俺と武文は鈴蘭へ、翼は女子校へ。しかも武文の奴、男を磨く為に下宿するとか。…俺は実家からだよ、…翼と会う時間が減るのは嫌だし。まぁそんな感じの進路ですわ、寂しくもあるが楽しみでもある。

 

「私はもう何も言わないけれど、ヤンチャのし過ぎはダメよ? …後は負けるのも無しね、…ユキは。」

 

と激励? されました。

 

「そこら辺は弁える。…後、俺は負けねぇよ。」

 

と胸を張る俺。武文は…、

 

「俺も負けるつもりはない、ということを女の子達に広めておいてくれ翼。…なぁ聞いてる? …おい! 俺を無視して二人の世界に浸るな!!」

 

と喚いているが気にしない。俺と翼は初めて進む道が分かれたわけで、…それも踏まえて二人の世界に浸っています。




しかし何でコレにしたのか?

他にも探せばネタはあるだろうに。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~迫田 武文《その1》

う~む。


おう、俺は迫田武文。今年から下宿をして、んでもって鈴蘭に通うことになる岸中の恐竜だ。最初は実家から通おうと思ったんだが、近所の幼馴染である由紀也と翼のイチャつきぶりがムカつくんだよ。だから男を磨くということで、梅星っていう人ん家に下宿することにしたんだ。

 

そこの親父さんはこえーし、もう一人の人もアレだしでスゲー所なんだわ。…しかも俺の他に下宿する奴等がいて、その中には三中で名を売っていた武藤蓮次がいやがる。これはもう一発かましてビシッ! と決めるしかねぇだろ、…翼がいねぇし。…うん、…それぐらいは大丈夫だと思う。

 

 

 

 

 

 

俺には野望がある、…鈴蘭にて名を轟かせるっていう野望がな。言わずと知れた地獄の鈴蘭、一癖も二癖もある強い奴等が集まる無法地帯。そこで名を轟かせるってことは、不良の世界では最高の名誉。一端の男になればこの俺も女の子にモテる筈、…絶対に。

 

だがその道はなかなかに厳しい、さっきも言ったがヤバイ奴等が腐るほどいるからな。…最大の障害は幼馴染の龍光寺由紀也、俺と共に岸中で頭をはっていた親友だ。メチャクチャ強い、それはもうマジで強い…としか言いようがない。何度かぶつかったことがある、…だが勝てたことは一度もない。しかも美人な彼女がいる、…そっちでも大敗している俺の中では最強の男。由紀也に勝つ為、俺は気合を入れなきゃならねぇ!

 

その他にも加東秀吉、岩城軍司、ブッチャーこと神戸好克の三大派閥。ゼットンこと花澤三郎、黒澤和光とかいう曲者もいる。そして何と言ってもこの街最強と言われている花木九里虎がいる、生半可な道じゃねーぜ!

 

 

 

 

 

 

手始めに下宿先の奴等の頂点、長兄になろうと思ったんだが………負けちまった。月島花とかいうマルコメ頭にやられちまった、……強かったぜ。ユキよりは弱い…と思う、俺の知る中で二番目ぐらいか? 見たことがないから花木九里虎は除外してだ。…しかし負けちまって悔しい筈なのに、何故かそれ以上に清々しい気分になった。…月島花、…コイツは大物になる。俺はそう思った、…よくは分からねぇけど。

 

負けた後はみんなで五分の兄弟ってことになった、長兄にはなれなかったがそれもいい。…で兄弟達に何処の高校へ行くのかと聞いてみれば、俺と同じ鈴蘭へ行くのは月島花、武藤蓮次、冨永寅之助の四人。藤代拓海って奴は黒咲工業へ行くとのこと、…にしてもまさか花達三人も鈴蘭とはな。これから面白くなりそうだぜ、鈴蘭の生活ってーのはよ!

 

鈴蘭へ行く前に教えておくか。

 

「よー、因みになんだがよ。鈴蘭には俺の幼馴染である由紀也も入るからよ、一つよろしく頼むわ。」

 

そう言えば、

 

「……げぇっ!? …岸中の猟犬!!」

 

「…お前ら、本当に仲が良いのな。」

 

寅之助はあからさまにビビり、蓮次はニヤリと笑みを浮かべる。花は…、

 

「えっ、誰? …ユキヤ? …犬の名前?」

 

由紀也のことを知らねーからな。…詳しくは話さなくてもいいだろ、鈴蘭名物のアレが始まると思うしな。そこで出会った方がドラマチックだと思う、…が何かを忘れているような気がする。…由紀也絡みの何か、………う~む。

 

 

 

 

 

 

…で、鈴蘭に着いて由紀也と会い思い出す。

 

「タケ、終わったら翼ん所へ行くだろ? …何か買ってった方が良いかね?」

 

………翼ん所へ行くんだった。…由紀也、…一年戦争不参加じゃねぇか。




のんびりと色々、考えとります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 ~鈴蘭入学ッス

オリ主は顔が広い。

何故って?

それはオリ主だから。


鈴蘭登校初日、…見た感じ癖のある奴が多い。楽しめそうだな、心の底からそう思う。だがやり過ぎはダメだと言われているし、この鈴蘭でどう立ち回るか悩み所だぜ。武文はどうすんだ? 昨日負けたと電話してきたし。…原作通り月島達とつるむんだろうか?

 

む~ん…、そんな感じでこれからのことを考えていると、

 

「…………い、……うぉいっ!! 龍光寺、俺の話を聞け!!」

 

俺の耳に雑音が。顔をしかめて横を見れば、凶悪面のハゲがいた。コイツは…、

 

「…これからのことを考えてるってのに、邪魔すんじゃねぇよ八板。」

 

河中で名を売っていた八板郁美、…俺と武文とは色々あった…という関係だ。…というか同じクラスだったのか、…つーか無駄に興奮しているな。

 

そこから話を聞いてみると、いけ好かない奴をやった直後に武文が登場。メンチ切っていたら謎のマルコメが現れ、月島花と名乗っていたとのこと。…武文はその月島と知り合いのようで、俺に何か知らないかと聞いてきた。…残念だけど実物は知らんのだよ俺は、会ったことないし。

 

「残念ながら知らねぇ、…タケの下宿先の奴なんじゃねぇか? …悪いな、ゴマ塩君!」

 

「ゴ…ゴマ塩言うんじゃねぇよ龍光寺!」

 

俺の襟元を掴んで揺さぶってくる。俺はそれでもヘラヘラ笑い、再び…色々と考えるのであった。

 

 

 

 

 

 

放課後、教室に響く程の音量で放送が鳴った。

 

『一年は全員体育館に集まれ! …繰り返す、一年は全員体育館に集まれ!』

 

…参加はしないが行っとくか。昼休みに武文と話したが、…アイツ忘れてそうだし。迎えに行かないとな、…そんなわけで体育館へ向かおうとしたら、

 

「よー、龍光寺。一緒に行こうぜ!」

 

八板がそう言って俺の横に、クラスの奴等がそれに続いてぞろぞろと…。

 

「…なぁ、…何か俺がクラス代表みたいになってんだけど?」

 

「…そんなん当たり前だろうが。…はっきり言って、お前が一番強いってのはみんな分かってんだ。…が今回の一年戦争では俺が勝つ!! 覚悟しとけや、龍光寺!!」

 

………さいですか。…俺、…一年戦争に出るつもりがないんだけど。

 

 

 

 

 

 

クラスの奴等を引き連れて体育館へと行けば、俺に向かって視線が集中。

 

「岸中の猟犬、…優勝候補筆頭だ。」

 

「…流石は龍光寺、既にクラスを掌握しているぜ。」

 

「優勝は龍光寺だよな、…俺出るのやめよ。」

 

「相手に不足はねぇ。打倒、龍光寺!!」

 

俺の話題で盛り上がっとる。それにつられて隣の八板も打倒…とかって、…だから出ないっつーの。

 

八板を含めたクラスの奴等とダベって時を待つ、ぞくぞくとこの体育館に一年達が集まってくるが武文はまだ。…アイツ、まさか翼ん所に行くことを覚えていたのか? …いや、武文はアホだからそんな筈はない。アイツは絶対にここへ来る! ソワソワしながら体育館の出入口をチラ見していると、一人堂々と武文が入ってきた。顔に絆創膏等を貼ってはいるが、やはり注目はされるわな。

 

…で、ちょいと気弱そうな奴と共にあの男が入ってきた。…WORSTの主人公である月島花、見事なマルコメ頭でニコニコ笑顔。…全然周りとはオーラが違う、異質な感じだわ。俺達にはない魅力、…それを持つ男。武文の迎えでここに来た俺だが、…来て良かったぜ。




オリ主のイメージ。


【挿絵表示】


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 ~一年戦争の始まる前にッス

たかみーさん、感想ありがとうございます。


月島花を見て内心感動をしていた俺、その間に一年が集まったようで。壇上に誰かが上がる、…あれはブッチャーだな。俺達に向かって軽い演説を始め、その最後に…、

 

「鈴蘭名物の一年戦争をおっ始めるぞ! 我こそはと思う者は残れ、そーじゃねー奴は出ていって構わねー!!」

 

そう言った。八板は残るとしてだ、…後はどうだ? 軽く視線を周囲に向けてみる。村川勝弘、尾崎健市、…後は名前だけ知っている天地寿。村川と尾崎は顔見知りだが、…天地は原作でしか知らん。やはりまんまなのかね?

 

…原作通りなら武藤は出ないし、その他は…知らん。そこまで名の売れた奴はいねぇし、……でだ。俺はマルコメ頭の月島へ視線を向ける、その隣のちょい気弱そうな奴はかなり怯む。月島は俺の視線に気付き目が合う、…視線を交えれば尚更面白い。月島花…か、どんなもんかはいずれ…。

 

 

 

 

 

 

どれだけ視線を交えたのかは分からない、…分からないがまぁいい。俺は月島から視線を外し、八板の肩をポンッと叩いてから出入口へと向かう。俺の動きに周囲がざわめくけれどどうでもいい、俺には予定がある。そしてもう一人…、

 

「…タケ! …忘れてねーよな?」

 

武文に途中で声を掛ければ、

 

「…!? …も、もちろんだ由紀也。俺が忘れる筈ねぇよ、…ということにしてくれ!」

 

…やはり忘れていた、…本当にコイツは。…慌てて俺の後に続く武文、そして出ていこうとする俺。それに声を掛けたのは、

 

「待てや龍光寺、迫田! どーいうことだてめー等! 特に龍光寺、俺の決意ヒョーメーを聞いてただろうが!!」

 

八板だった。えらく興奮しとるな、…無理はねぇけど。だがこっちにも事情、予定があるわけで、

 

「悪いな八板、この後予定があるんだわ。」

 

俺に続き武文も、

 

「そういうことだ八板、俺達はこれから翼ん所に行かなきゃなんねー。ついでに俺は予選落ちだ!!」

 

…バカ! 最初のは余計だ!!

 

「…予選落ちだぁ~? ……とその前に翼っつったか? ……翼っつったら龍光寺の女…だよな? …………ということは。」

 

八板は翼のことを知っている、…そしてそこから導かれることは。

 

武文の失言から八板の呟き、それが周囲に広がっていく。……ヤバイ、これは非常にヤバイ。俺は無言で武文に蹴りを入れる、当然武文は…、

 

「……い゛ぃっ!!?」

 

しゃがみ込んで悶えるがそれを無視して俺は一言、

 

「タケ…、命が惜しくば俺に続け…っ!!」

 

「…おまっ! …ちょっ、ぬがぁぁぁぁぁっ!!」

 

そう言って走れば、武文も歯を食い縛って俺に続く。

 

俺達が体育館を飛び出した直後、

 

「「「「「龍光寺、迫田ぁぁぁぁぁっ!!!」」」」」

 

という怒号が聞こえてきた。思い至ったのだろう、俺達が向かう場所を。翼が通うのは女子校、しかも可愛い娘達が多いと呼ばれる桜才女学園なのだ。地獄の鈴蘭と呼ばれる我が校は言わずと知れた…男子校である、不良しかいないが故に出会いなんかある筈がないのだ。そこにその女子校へ行く…なんて餌を与えれば、食い付いてくるのが出会いのない男達である。

 

とりあえず今は逃げ切ればいい、明日はたぶん大丈夫。今日行くから食い付いてくるのであって、明日はただ紹介しろと言ってくるだけ。鬱陶しいことではあるがまぁいい、…それにしても武文をどうしてくれようか!!




のんびりさ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~月島 花《その1》

チラシから通常に変えてみた。


おっす、俺は月島花。圏外から来て梅星一家に下宿、そこで一人っ子の俺に兄弟が出来て…。鈴蘭に入ってみれば、いきなり一年戦争とかいうイベントが! 鈴蘭に入って良かったぜ、なんかワクワクしてきたよ!!

 

放送で指示されたように体育館へと行ってみれば、色んな奴がいたる所にいた。もうすし詰め状態…は言い過ぎだけど、この状態で一年戦争を始めるのだろうか? 燃える、物凄く燃えるぜ! 密かに気合を入れていると、誰かが壇上に上がって演説をしている。…誰?

 

 

 

 

 

 

田舎者の俺は何も知らねー、だから寅之助に聞いてみたんだ。そしたら色々と分かったよ! この鈴蘭には派閥があって、三年の加東秀吉一派、同じく三年の岩城軍司一派、で今演説をしている二年のブッチャー一派。その三つの派閥がこの鈴蘭で一番デカイ派閥、後は小さいのがちらほらと。

 

その他にも三年のゼットンとかいうスゲー男と米崎って人、その二人は一匹狼で単独行動。二年の原田ってのが岩城一派のナンバー2、花木九里虎と黒澤って人は一緒につるんでいるとか。

 

後は俺と同じ一年で名の売れた奴が何人かいるみたい、その中でもずば抜けて凄い奴がいるようで。そいつの名前を聞こうと思ったら、ブッチャー先輩? の開始宣言。何人残るのかワクワクするな、どんな奴がいるんだろ?

 

 

 

 

 

 

そんな時…寅之助が何かにビビり出した、その視線の先を見てみれば一人の男が。…目が合ったんだけどビビッ! と来たね、この男がずば抜けて凄い奴だと! しばらく見詰め合ったんだけど、向こうが先に視線を外して…アレ? 出ていくの?

 

あの男の行動に周囲がざわめく。途中で迫田と合流、何か言った後…迫田に蹴りを入れてから走り出した。その後…、

 

「「「「「龍光寺、迫田ぁぁぁぁぁっ!!!!」」」」」

 

と体育館の奴等が叫んだと思ったら、多くの奴等があの二人を追って体育館を飛び出していった。耳がキーンとしたんだけど何事なの?

 

その後に蓮次が出ていって、それに続いて何人かが出ていく。寅之助も、

 

「まさか猟犬が出ていくなんて…! とにかく、花ちゃん頑張って!!」

 

と言って出ていった。…猟犬? ……あぁ! 迫田の幼馴染って奴!! ユキヤって名前だったっけ?

 

 

 

 

 

 

残った俺達を見てブッチャー先輩が指示を出す、それに噛み付いた奴が先輩にやられて殺気立った。…噛み付いた奴の気持ちも分かる、殺気立つ奴等の気持ちも分かる。それ以上にワクワクが止まらない、ここに残った奴等とやり合えるなんて! 想像しただけでもやる気になるって! …あのユキヤって奴とやり合えないのは残念だけど、その内…やり合う機会はあるよね?

 

…でブッチャー先輩なんだけど、

 

「残った十六人八組は、二年や三年の見てる前でタイマン勝負をしてもらうぜ!」

 

殺気立った奴等を抑えてそう言ってきた。それが終わって勝ち残った八人は好きにやり合う、タイマン勝負は数減らしのようで。とりあえず俺達は移動する、そのタイマン勝負をする場所へ。

 

 

 

 

 

 

くじを引いてから待機場所へ。そこで八板ってのと尾崎っていう奴と話して知った、何でもタイマンで勝ち残った八人で賭けをするみたい。それを聞いて俺は感動する、初日からこんなにドキドキワクワクするなんて! そんな俺を見た八板と尾崎は呆れている、だから言ってやったのさ!

 

「確かに…だが、最低ではあるが…素晴らしいぜ!」

 

ドヤ顔で決めた俺に二人は、揃ってツッコミを入れてきた。…二人がかりでツッコまなくてもいいじゃんか、…ちぇっ!

 

そんなわけで始まった一年戦争、八板が一番手でやり合うようで。そんな八板に歌でエールを送る。

 

「あっそれ! 勝ってくるぞと勇ましく!!」

 

ガクッと脱力しているけど、…何で?




好きなように書いているだけ。

目指せ毎日投稿!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 ~一年戦争の終わりッス

あの後何とか逃げ切ることが出来た俺達は、翼の待つ桜才女学園へと行った。校門にいた翼にイヤミを言われたが、それを受け流して三人でカラオケへ。三人の新たな門出だからな、大いに盛り上がったよ。途中で武文が翼に女の子を紹介してくれと頼み、翼はその内ってことで了承。武文のテンションがうなぎ登りで鬱陶しかった、…まぁ出会いがないから無理もねぇけど。

 

 

 

 

 

 

帰り道の途中で武文と別れ、俺と翼は行きつけのラーメン屋へ。そこで知り合いの鉄生さんと話し、一年戦争に参加しなかったことを言うと本気で驚かれた。その後に頭を叩かれ、

 

「このバカ! 俺はお前に三千円も賭けたんだぞ! …あぁ~、クソッ!!」

 

俺に賭けたとか知らんし、自業自得じゃないか。隣の翼はクスクス笑っているし、…後でアキラに八つ当たりしてやる! …そう思いながらラーメンを食べ終え、帰り際…お返しで鉄生さんに蹴りを入れてから翼と共に逃走。背後から怒鳴り声が聞こえてくるけど知らん、俺は悪くないね!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

そんなイベントをこなした次の日、鈴蘭へ登校してみれば案の定、

 

「「「「「龍光寺、ちょっと頼みたいことがあるんだけどよー。」」」」」

 

馬鹿共が俺に群がってくる、…予想していたとはいえ鬱陶しい。まぁ軽く流しとけばいいな、そういうわけで教室へと行けば八板がいない。クラスの奴に聞けば昨日は勝利したみたいだが、夜に食べた生ガキにやられて入院したらしい。…馬鹿なのか?

 

その流れで一年戦争のことを聞いたら、俺の知る原作通りに進んだようで。月島の奴が番長宣言をした後に、村川を一撃で葬る。見ていた奴等全員、月島花という男を心に刻んだってか? その後に天地の奴が尾崎をやった直後にブッチャーをも撃破、ブッチャー一派が上から下まで大騒ぎ…とのこと。ならこの後…天地は月島との対決か、…今日で一年戦争が終わるってところだな。

 

そんなことを考えていれば、

 

「おい、決勝戦が始まるぜ! 決勝は天地と月島だ!!」

 

クラスの誰かがそう言いながら教室へと飛び込んでくる、……見に行くか。俺が腰を上げれば全員がそれに続く、…やはりこのクラスの代表は俺らしい。もはや派閥と言っても良いかもしれん、…一年戦争に参加していないのにな?

 

 

 

 

 

 

素早くその舞台へと来てみれば、既に多くの人(だか)り。見れるのか? と思いきや、俺達に気付いた奴等が道を開けてくれたお陰で最前列。所謂特等席にて決勝戦を見ることが出来る、…素晴らしいぜ。

 

対峙する月島と天地、軽い会話の後…互いに一歩ずつ歩み寄っていく。クラスの奴が俺に聞いてくる、…どちらが勝つのかと。

 

「…一瞬で決まる、…目を離すなよ。」

 

俺はその問いにそう答えた。聞いてきた奴は息を飲み、その直後…原作通りに…、

 

「うぉりゃあああああっ!!」

 

月島のアッパーが天地の顎を捉え、…勝負がついた。一年戦争の優勝者は月島花、その瞬間に立ち会えたことが正直嬉しかった。

 

…さて、俺はこの後どう立ち回るかね? 自身の強さを色んな奴に示すことは嫌いじゃない、だが…この鈴蘭で頂上(てっぺん)を取るってーのもな。それを狙ってたのなら一年戦争不参加、…なんてことはしねぇし。……クラスの奴等と話してみるか、その後にどうするか決めよう。月島につくってーのはなしだ、…俺はアイツの壁になる。

 

…そうなると、花木九里虎と一戦交えないとダメか? 俺の強さは奴とどれくらいの差があるのか、それで壁としての立ち回りも変わる。…今のところ、花木九里虎に負けるってことはないと思う。…が勝つってーのもないと思う、引き分けるってーのが有力か?




オリ主は武装の河内鉄生と知り合い。

武装の奈良アキラとは兄弟分、因みに迫田との三人で。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 ~龍光寺一派結成ッス《その1》

最近だるいけど、

モチベーションが上がってきている作者です。


一年戦争が終わってから暫く、…俺は一年ながらに派閥を結成することとなった。あの後クラスの奴等と話をしてこの先どうするか、何てのを考えていることを伝えれば全員が声を揃えて、

 

「「「「「龍光寺一派を立ち上げようぜ!!」」」」」

 

と言ってきた。…何故にこうも殺気立って言うんだ? コイツ等は…。

 

理由を聞いてみれば何てことはない、月島花が気に入らないんだってさ。強いことは認めるが番長宣言が気に入らない、他の三大派閥も何か違う。…ということは、自分達が最強の男として認めている俺の下が一番。俺を頭に派閥を作れば、少なくとも自分達の腹の虫は治まる…とのこと。しょーもない理由だ、…で作る俺もどうかと思うが。

 

 

 

 

 

 

そんなわけで龍光寺一派の旗揚げを宣言すれば、一年の半数が俺の下に集った。しかも二年三年も少数ながら入ってくるという現実、…先輩方は何を考えているのやら。そう思っていたら全員顔見知りでした、うん…岸中出身者というわけです。先輩方に『そりゃねぇだろ由紀也!』とツッコミを頂き、素直に頭を下げる俺がいた。

 

とりあえず俺を頭に三年顔役を野間大悟、二年顔役を伊東優哉と川尻林太郎、俺の代理として一年顔役を猪瀬浩、その他大勢ってヤツだ。人数的に三大派閥と同数近く、今年から四大派閥となるわけだ。他の派閥に飲み込まれないよう、頭の俺が頑張らねば! ちょいと気合が入ってみたり。

 

 

 

 

 

 

幹部が決まり始動! …の前に、先輩方へ挨拶をしとかないとな。新しい派閥の頭としてやらなきゃならない、ゼットンとか知らないから顔合わせも兼ねて。最初は誰ん所がいいかな? …ここから一番近いのはっと。

 

機能していない部室棟の一室、そこでブッチャーこと神戸好克に俺は挨拶をした。ブッチャーは俺のことを見て、

 

「龍光寺由紀也、…噂は聞いとる。…一年戦争不参加でありながら確かな影響力、まさか派閥を立ち上げるとは思わなかったぜ!」

 

そう言って笑った後、キッ! と睨みを利かせて…、

 

「おめーがわしと組むってーのはない、…そりゃー聞かずとも分かるがよー。…われ、わしの敵っちゅー関係になるかい?」

 

と聞いてきた。三大派閥でも一番イケイケだからな、そこが気になるのは分かる。だが俺達は旗揚げしたばかり、出来れば争いたくはない。負ける気はしないが後々のことを考えるとな、互いに静観ってーのが一番良いと思う。

 

「立ち上げてばかりのペーペーですからね、…その気は今のところないッスよ。だが派閥の頭になったからには舐められねーようにしねぇと、…そこら辺はブッチャー先輩なら分かってくれるッスよね?」

 

でも一応、何かあったらってことを臭わせておく。舐められたら終わりだからな、この世界はよ。

 

沈黙が暫く続き、ブッチャーが大きく息を吐く。そして、

 

「おめーの話は分かった。ま、これから同じ頭としてよろしく頼むわ。」

 

そう言ってきたので俺は、

 

「ええ、先達として頼りにさせて貰いますよ。組みはしませんが何かあったら言ってください、…力を貸しますんで。」

 

と言ってから互いに握手を交わす。その時ブッチャーが力を入れてきたんでやり返す、みるみると顔が青くなっていき、

 

「ちょっと待て龍光寺! …イデデデデデッ!!」

 

…俺の勝ちだブッチャー、この程度のことでも俺は負けねー。

 

そんなミニイベントをこなしてから部屋を出て考える、…次は誰がいいか。……美術室を根城としている岩城軍司でいいか、ここからわりと近いし。…岩城軍司ん所には二年の原田十希夫がいたな、やはり共に行動しているんだろうか? …そういえばブッチャーは一人だったな、No.2とされる深町慶太の姿はなかった。…何処かで俺を見ていたか、それとも俺ん所の一派を調べているのか。…まぁ侮れないってことだな、気を付けよ。




因みに野間大悟、伊東優哉、川尻林太郎は鳳仙との第三次抗争戦のきっかけを作った三人です。

伊東と川尻の名前はオリジナル、河中出身もオリジナル設定。

猪瀬浩は一年戦争参加者で、天地に挑んでぶっ飛ばされた男です。

彼等四人はこれからちょいちょい出ると思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 ~龍光寺一派結成ッス《その2》

今んとこ毎日更新は出来ている。


ブッチャーへの挨拶を終え、次に向かったのが岩城軍司の一派。美術室の中で互いに対面をする、視線をずらせば原田十希夫。頭とNo.2、…俺を重要視しているんかね? それとも危険視? 何てことを考えながら挨拶をする俺。岩城はにこやかな笑みを浮かべて、

 

「おう龍光寺、この鈴蘭を盛り上げる為…互いに頑張ろうや。」

 

そう言いながら俺の肩をポンポンと叩き、続けて…、

 

「お前と同じ一年の月島花、…アイツは番長になるって言っていたんだがお前は目指さないのか?」

 

月島花をこの目で見る前はなるのもいいな…とは思った、しかし見た後ではその気持ちはなくなった。

 

「番長宣言、…面白いことをぬかすじゃないッスか。アイツがどこまでいくか、興味深いことではある。…しかし岩城先輩、この鈴蘭…甘くはない。障害があった方が燃える、…違いますかね?」

 

岩城の目を見てそう言えば、フッと笑い…、

 

「…違いない、その方が燃えるわな。分かった、…俺はお前を応援するぜ龍光寺。」

 

俺は岩城と原田に頭を下げて美術室を後にする。次は秀吉一派、…図書室だな。

 

 

 

 

 

 

図書室には加東秀吉の他に、No.2の小林政成も傍に控えていた。秀吉先輩は俺を不敵な笑みで迎え入れ、

 

「お前は予想の斜め上をいく男だな。一年戦争には参加しないわ、野間達と共に派閥を作るわ、…昔から飽きない男だよな。」

 

「由紀也! お前ほどの男が何で一年戦争に不参加なんだ! お前のせいで今月ピンチだ、責任を取れコラッ!!」

 

この二人とは知らぬ仲ではない、…特にマサ先輩とは因縁がある。俺は気にしていないんだけど、マサ先輩がな…未だ根に持っているんだよ。…小学校ん時にぶっ飛ばしたのがマサ先輩で、そこから顔見知りとなって付き合うようになったのである。頻繁にっていうわけではなく、たまに顔を合わせては飯を食いに行くって感じか? …そんな関係なのだ。

 

…秀吉先輩はいいとしてだ、マサ先輩には厳しくいかねーと図に乗る。

 

「…マサ先輩、そりゃー自業自得でしょ? 勝手に賭けて負けたんだ、俺の知ったこっちゃない。それでもガタガタ言うんなら、…流しますよ? 噂。勿論…女の子中心に、俺にはそれが出来…「分かったからそれだけはやめろ! ただでさえ出会いがないのにそれ以上になっちまう!!」…まぁいいッスけど。」

 

マサ先輩はバカだから弱みを入手するのは簡単だ、特に女絡みで脅しを掛ければ一発。鈴蘭でもモテない方だからな、顔は悪くないのに短気だからモテないんだよこの人は。

 

マサ先輩を黙らせた後、軽く秀吉先輩と談笑をした。最後に、

 

「秀吉先輩、…ついでにマサ先輩。…何かあったら知らせてください、…猟犬の力が必要ならば。」

 

そう言えば秀吉先輩とマサ先輩は、

 

「…言うじゃねーか由紀也、だが…頼りにさせて貰うぜ? …お前の力を認めているからな。」

 

「ついでとは何だ由紀也! お前は俺をじゃ…じゃ…、扱いが雑じゃねーか!?」

 

…邪険と言いたかったんだろうな、それにしても…マサ先輩は相変わらずバカだな。

 

 

 

 

 

 

花木九里虎がいないってことは、黒澤和光もいないってことになる。…となれば、最後はゼットンこと花澤三郎と米崎隆幸。この二人への挨拶で最後だな、…後は挨拶をするような奴はいない。ゼットンと米崎は屋上にいることが多いという、今日は来ているらしいから…行ってみるか。宇宙怪獣ゼットン、どれ程の男か…。この鈴蘭で一番の影響力を持つ男、…花木九里虎に負けたとはいえな。




次回はゼットンですな。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 ~龍光寺一派結成ッス《その3》

眠い。


屋上へと来てみれば米崎と…誰だ? 見る限りゼットンと呼ばれる男じゃない。ただの小太りデブ、…何者だ? 謎の小太りデブを不審に思いながら挨拶をすれば、

 

「よーよー! 俺を、この俺亜久津金次を無視すんな!」

 

小太りデブが絡んできた。…アクツキンジ? …知らん。原作にいたか? 小太りキャラなんて。

 

「………全く知らないし、挨拶をする程の人ではないと思ったんで。…米崎先輩とかのパシリか何かッスよね?」

 

そういえばアクツとかいう男は怒り出し、米崎は腹を抱えて大爆笑。…違ったのか?

 

米崎が笑い終わるのを待ち、ゼットンは何処かと聞いてみれば指を俺に指してくる。そこで気付いた、…原作で月島がやられていたことを思い出す。振り向いたら拳が飛んでくる、そういうわけだな? …気付いてみれば何てことはない、後ろに気配を感じるわ。さて…、どんなもんかな?

 

俺は振り向きながら身体の軸をずらす。案の定…拳が飛んできたが余裕で避けて…、お返しと言わんばかりにこちらからも拳を突き出す。俺の拳をゼットンは避けるが俺は止まらねー、続け様に拳を振るい…最後には蹴りを一撃。最初の拳は全て避けられたが、最後の蹴りは避けられないようで…。

 

「…どわっ!?」

 

ガードごとゼットンをぶっ飛ばす。…チッ! 仕留められる程弱かねぇか。

 

 

 

 

 

 

俺は構えを解かずにぶっ飛んだゼットンを見据える、俺の動きに米崎とアクツは…、

 

「「……!!?」」

 

言葉も出ないようだ。ゼットンはというと、直ぐに起き上がり俺をジロリと睨む。俺も負けずに睨み付け…、

 

「…これが三年の洗礼ってヤツッスか? 俺…加減出来ねぇんですけど、……いいッスか?」

 

少しの生意気発言。さて、ゼットンはどんな反応を見せる? 腹を立てて襲い掛かってくるか? それとも……。

 

…俺の生意気発言を聞いたゼットンは、一瞬…きょとんとしてからニヤリと笑って、

 

「…言うねぇボウズ、なら…とことんまでやってみるか?」

 

…マサ先輩ばりに短気なんじゃねぇか? この人。だがまぁ…やり合いたいって気持ちの方が高いわけで、…構えた拳に力が入っちまう。

 

一触即発の俺達の間に、

 

「ちょっと落ち着けゼットン! 龍光寺、お前もコイツを挑発すんな!!」

 

米崎が入ってきてこの場を納めようとしてきた。…その言葉を聞いた俺の方は納まった、ゼットンの方は、

 

「えっ、…何? 冗談だよ? …本気でやり合おうなんて思う筈ないじゃん!」

 

とか言いながらも青筋を立てとるがな、…本気だったんじゃんこの人。

 

 

 

 

 

 

ゼットンが落ち着いた所でこの人にも挨拶をした。面倒だからポケットに入れていたツマミを渡せば上機嫌になり、その後は普通に三人…いや四人で会話をした。ある程度の時間が経ち、この場から去ろうと立ち上がれば米崎が、

 

「…龍光寺、お前はあの男に挑む…なんてことをしたりするのか?」

 

と聞いてきた。あの男…、たぶん花木九里虎のことだろう。いずれは挑む、それは確実だが今ではない。だから、

 

「…俺よりもやり合わなきゃならない男がいるでしょう? …番長を目指すのなら、一度ぶつからなきゃならない。」

 

その答えに米崎は頷き、ゼットンもそれに同調する。……アクツは知らんけど。

 

「お前もそう思うか? …となるとどうぶつけるかだな。」

 

………もう少し残ってその話に加わろう、原作通りの出会いの為に助言をば…。




次は閑話です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~鈴蘭の先輩方《その1》

働きたくないでござる。


ーブッチャーー

 

一年戦争優勝者である月島花の名が広がる中で、同じく一年で一年不参加の龍光寺由紀也がわしの所へ挨拶をしに来た。この男の噂は聞いとる、中学の時から相当腕を鳴らした猛者だ。頭の方もなかなかにキレているようで、岸中の猟犬…そう呼ばれとるらしい。

 

一派を立ち上げたと奴は言うが、事前に深町が察知しとったから別に驚くこともなかった。敵か味方かっちゅーたら、味方よりと考えてもいい。奴自身の強さは噂でしか知らん、いずれこの目にその強さを見る時が来るかと思う。

 

力自慢のわしは最後に、握手にてわしの力を見せ付けようとした。…が逆に、奴の力をわし自身で知ってしまったわけだが…、噂は本当かも知れんのー。月島花と比べるにしても奴は強い、わしもうかうかしとられん!

 

 

 

 

 

 

龍光寺の奴が帰ってから暫くして、奴の一派を調べていた深町が戻ってきた。戻ってからの最初の一言は、

 

「龍光寺一派はデカい、ウチと同じくらいの規模だ。…入ってばかりの一年がだぞ? …これは侮れねー。」

 

引きつった顔でそんなことを言ってきた。…わし等と同じ!? …マジでか!? …そりゃ確かに侮れねーわい。

 

「一年の半数、二年は約二〇人、三年は約一〇人。…鈴蘭の勢力図が変わっちまった、これであの月島もとなるとなかなかに厳しい道になるわな。…どうする? ブッチャー。」

 

深町らしからぬ弱気発言に気を引き締める、コイツがこうなるってことは相当ってことだからな。

 

わしは目を瞑り考える、…が結局は、

 

「変わることはねー、わし等はわし等らしく突っ走るんじゃい! 逆に燃えたぎっとるわい!!」

 

いつも通りが一番ってこと、深町の奴も笑って頷いたしな。この鈴蘭も更に面白くなってきたのー!

 

────────────────────

 

ー岩城軍司ー

 

龍光寺由紀也、コイツには色んな噂がある。その中でも龍光寺を語る上でまず挙がるのが、小学生時に格上である筈の中学生をぶっ飛ばしたという話だろう。中学生を無傷で圧倒、その頃から龍光寺は輝いていた…ということだろう。…まぁやられた中学生がマサってーのには笑った、笑い事じゃねーと怒鳴られたが。

 

後はあれだ、めちゃくちゃ美人な彼女がいるってヤツ。秀吉とマサは顔見知りらしく、かなり出来た娘らしいんだわ。だがそんな出来た美人な彼女も、中学生時代は龍光寺と一年の実力者である迫田を支配していたとか。…まぁ支配ってーのとは違って、その喧嘩バカ二人を抑えていたってーのが真相らしいが。マサの奴は嫉妬丸出しでキレているわけだが、……俺も同じく内心嫉妬しまくっている。…龍光寺の奴、彼女の写真を見せろと言ったら見せてくれるか? スゲー気になる、…美人の彼女。

 

 

 

 

 

 

…で龍光寺と対面したんだがなかなかどうして、一目見ただけで分かったぜ。噂通り…いや、それ以上の男であると一目見て感じた。九里虎とはちょいと違うが、似たような…不思議な感じがする。一年戦争時に見た月島とは違うが同じような魅力を持つ男、…何つーか今年の一年は粒揃いすぎて言葉も出ないわ。

 

挨拶を受け入れてみれば一派を立ち上げたようで、先達としてよろしくと頭を下げてきた。礼儀がある分、九里虎よりは話の分かる奴であるのは確実だな。月島について聞いてみても、興味深いと一言だけ。…いや、自らを壁にして立ちはだかる気満々だ。…この男は面白い、素直にそう思った。

 

 

 

 

 

 

龍光寺が去った後、俺は十希夫にどう思ったか聞いてみた。すると…、

 

「…あいつ、…やばいッスね。全然スキがない、…俺じゃー相手にもならないッス。」

 

自分よりも格が上であると認める発言、…九里虎には噛み付いた癖に龍光寺にはその気がないようだ。…後は月島だな、直に言葉を交わしてみてだな。…フフフ、今年はこの鈴蘭…熱くなりそうだ。




暫く閑話。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~鈴蘭の先輩方《その2》

いい感じで投稿出来とる。


ー加東秀吉ー

 

今年の鈴蘭は騒がしくなる、…俺はそう確信している。それは何故か? …答えは簡単で、中学で派手に名を売りまくったあの男が入ってくるからだ。…龍光寺由紀也、岸中の猟犬と呼ばれ恐れられる男。そして初めて俺が素直に実力を認め、当時イケイケのマサに初めて土を着けた男。その男が鈴蘭に入ってくるんだ、…何か起こるに決まっている。

 

…で始まった一年戦争、由紀也はこれに参戦をせずに帰ったらしい。由紀也に小さくない額を賭けていたマサは白くなって倒れている、初っ端からやりやがったな? あいつ。本命である由紀也に賭けていた奴等の悲鳴が聞こえてくる、……この野太い悲鳴は野間だな?

 

 

 

 

 

 

一年戦争を制したのは月島花、…番長宣言といい話題に事欠かない。その月島を中心に周囲がざわつく中、由紀也の奴が俺の下へと挨拶をしに来た。絡むマサを難なく退け、自分の派閥を作ったからよろしくと言ってくる。既に知っていたことではあるが、野間達と共に龍光寺一派か…。この短期間で鈴蘭が大いに熱くなっている、退屈していた俺にはありがたいことだ。

 

最後に、由紀也は何かあったら力を貸すと言って出ていった。本来であれば生意気な発言に一言言うんだが、確かな実力を信頼している俺はその発言を素直に受け取った。マサはブツブツ言ってはいるが由紀也を認めている、認めてはいるが…ってヤツだな。…大半が妬みだと思うが、…まぁいいだろう。

 

さぁ由紀也、お前はこの鈴蘭で何をする? 俺は期待しているんだぜ? お前のこの先を…。まぁ鈴蘭は月島を中心に動くだろうが、この街全体を考えれば由紀也が中心になるだろうと予想している。…この街は、既に猟犬のテリトリーだもんな?

 

────────────────────

 

ー米崎隆幸ー

 

鈴蘭に大物が入ってくる、俺の耳に入ってきた噂だ。聞いたことのある岸中の猟犬という異名、武装戦線とも関わりがあるらしい。それに、…萬侍帝國にも顔が利くとか。…そんな噂を持つ大物、龍光寺由紀也がこの鈴蘭に来る。それが本当ならば、この鈴蘭…大いに騒がしくなる。

 

噂通り入ってきた龍光寺、ゼットンがめちゃくちゃ気にしていた。コイツは何だかんだで喧嘩バカだからな、噂通りか否かを試したいんだろう。実力を試す機会はその内来る、それまでコイツを抑えられるかどうか…。

 

 

 

 

 

 

一年戦争優勝者、月島花。…月島を中心にざわめく中であの男が動いた、龍光寺が三年の暴れん坊である野間を入れて派閥を作ったのだ。聞くところによるとかなり大きな派閥とか、…三大派閥から四大派閥になるか。いや…確か秀吉とはそれなりの関係を持っていた筈、将来的には一つになるってこともあり得るな。

 

派閥が出来て程なく、龍光寺が挨拶巡りをしていると知った。試したがっていたゼットンを隠れさせて、俺と金次で龍光寺が来るのを待つ。赴いてきた龍光寺に笑わせられて、その後にゼットンの不意打ちから始まったやり合い、…俺は言葉を失った。

 

ゼットンの不意打ちを難なく避けてからの反撃、そしてぶっ飛ばされたゼットン。確かな実力で名を轟かせているゼットンを!? 俺は龍光寺が噂以上の男であるとこの目で見た、…九里虎に匹敵するんじゃねーか?

 

 

 

 

 

 

本気でやり合いそうな二人を止めて軽く話してみれば、この龍光寺という男は大物であると認めるしかないってことを知った。それに九里虎へ挑むべきは自分ではなく月島、そう言い切ったコイツは頭も相当のものだ。…自分だってやり合いたいだろうに、…こりゃあ敵わないわ。

 

…それから龍光寺を含めてどうするかを考えれば、ゼットンが実力を試してから嘘を吹き込みやり合わせるのが一番ということになった。この短期間で月島の性格を把握していることに脱帽、…こりゃ本当に敵わねー。




次はそれぞれ…かな?

鈴蘭以外の視点になるかと。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~優勝者を聞いて…

何とか投稿。

危なかったぜー。


ー武装戦線・河内鉄生ー

 

バイト先の店が昼時でクソ忙しい中、店長から俺に来客との知らせが。…ったく誰だよ! このクソ忙しい時に来るバカヤローは! 店長に頭を下げ、イライラしながら裏へ回ると…、

 

「よっ、鉄生。すまなかったな、…仕事中によ。」

 

俺の愛する武装戦線の副ヘッド、柳臣次がいた。…柳のアニキに失礼な態度を取ってしまったが、俺が悪いと笑って許してくれたアニキはマジでアニキだった。

 

…で俺を訪ねてきた理由を聞けば、鈴蘭の一年戦争を制したのは月島花という男で知っているかどーかを聞かれた。とりあえずは知っている、それほど詳しくはねーけど由紀也から聞いている。優勝したってーのは聞いてねーけどな! …あの野郎、テキトーに教えてきやがったな! 昨日の由紀也の態度を思い出しイラつく俺だが、柳のアニキには知っている限りのネタを提供した。

 

 

 

 

 

 

全てを聞いた柳のアニキは、

 

「…ほー、あの由紀也が目を付けた男か。…一角(ひとかど)のモノを持っているってことだな?」

 

月島花に興味を持ったようで、頻りに頷いては何かを考えている。そして…、

 

「将五は勿論、…明の奴も熱くなる話だな。あいつ等にとっちゃー避けては通れねー存在になるだろうよ。」

 

元ネタが由紀也であること、それを合わせても同世代なら熱くなるだろうな。そこから軽く由紀也の話になり、鈴蘭にて龍光寺一派を旗揚げしたってーのを知るとあからさまに落胆した柳のアニキ。…そりゃまぁウチに来てくれりゃー心強いってーのもあるけどよ、次世代の俺を前にそりゃねーだろアニキ。

 

…柳のアニキとひと悶着があった後、逃げていくアニキの背を見ながら思う。…月島花、…由紀也が気にする男。いずれこの目で見てみたいもんだぜ! …と。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー鳳仙学園・三浦悟ー

 

鈴蘭の一年戦争、それを制した男の情報を入手した俺は指導室へと向かう。真島先輩と光義先輩がいるから向かうわけで、…本当なら行きたくはない。真島先輩はともかく、光義先輩が恐いからだ。…どうせ二時間ドラマを見ている、…見ているからこそ光義先輩が恐いのだ。

 

一年戦争の結果が分かり次第教えろ…と、確かに光義先輩は俺に言った。…だが、二時間ドラマを視聴している時に言えば怒鳴られる。しかし、終わるのを待ってから言えばやはり怒鳴られる。『何で早く教えねーんだバカヤロー!!』と、理不尽の塊なんだよな…あの人。

 

 

 

 

 

 

嫌々ながらも指導室へと入り、一年戦争を制したのはツキシマハナという男。そのことを伝えれば、真島先輩は興味を示して色々と聞いてきた。しかし…、

 

「おい、お前等…。今…、殺人トリックを明かすいいところだろーが。…くだらねー話は外でやれ、このバカが!!」

 

光義先輩が青筋立ててそう言ってきた。…くだらねーってさ、アンタが教えろと言っていたんでしょーが!! と言う言葉を飲み込む。真島先輩は顔が引きつりつつも…、

 

「悪ぃな三浦、…また後で聞かせてくれや。」

 

という温かな言葉を頂いたわけで、真島先輩…あざーッス!

 

 

 

 

 

 

指導室での出来事を光政と大谷に言えば、

 

「義兄ぃはドラマを見ている時に限ってはクソヤローだからな、箸が転がっただけでもキレまくるぜ。」

 

「俺なんかサスペンスよりも新ドラマが良い…って話してたらよー、…突如現れて殴られたんだぜ?」

 

……二人も苦労しているんだな。…ドラマが絡まなきゃ、良い先輩なんだけどなー。




次は鈴蘭の誰かになると思う。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~武藤 蓮次《その1》

登場キャラが多いから閑話が多い(汗


花が一年戦争を制した。そして俺は、その花の実力と人柄に惹かれた。…俺と同じように迫田も惹かれたようで、俺と迫田は花を鈴蘭の番長にすべく行動することにした。手始めに実力者を…とのことで、一年戦争に参加した奴等に声を掛けることにした。

 

呼び出したのは八板と尾崎、そして何故かいた村川。この三人に俺達の考え、…俺達の目指すモノを語った。月島花を鈴蘭の番長にする、その目標に三人は快諾。しかし八板が一言…、

 

「…この話に乗ったのはいいんだがよー、…龍光寺は誘わねーのか?」

 

と、…それに同調した尾崎と村川。それについて迫田が…、

 

「…由紀也は敵だ、…自分の派閥を立ち上げやがった。」

 

そう言った瞬間、龍光寺を知る三人は…、

 

「「「………げぇっ!?」」」

 

思いっきり仰け反って顔を強張らせた。…まぁそうなるよな? 俺も正直…戦いたくはない。

 

 

 

 

 

 

秀吉一派とブッチャー一派が小競り合いをしている中、俺達は今後について語り合う。俺達が団結して花を助けるってことは、当分…花自身にも秘密にすることで一致。そして今は情報収集に全力を、俺達はこの鈴蘭に来てから日が浅すぎる。誰が敵か、そして味方となるのか見極めねーと。急いては事を仕損じるってことだ、……理解しているよな? お前ら。

 

やるべきことが定まった、しかし迫田は難しい顔をしている。…龍光寺のことを考えているんだろう、…幼馴染が敵となるのだから。普段の生活は今まで通りにせよ、何かあったらやり合うことは確実。気持ちは分からんでもない、だが…、

 

「…迫田、龍光寺だけを気にするな。…他にもいるだろう? 得体の知れない男がよ。」

 

他にも気にしなきゃならねー奴がいる。

 

「………藤代か。」

 

そう、梅星一家に下宿している兄弟。…天地のことも知っているようだしな、…あいつは何者なんだ?

 

 

 

 

 

 

解散した後に寅と鉢合わせ、花がブッチャー達に挨拶をしに行ったと聞いた。俺の何気ない呟きが寅を傷付け、それを宥めるのに苦労したわけだが…。花の奴、…大丈夫だよな? 人が良いから変なことを吹き込まれなきゃーいいけど。

 

その後…再び迫田達と合流した時、あの男が現れた。

 

「…龍光寺と、……猪瀬だったか?」

 

一年戦争に参加せずとも確かな実力者、龍光寺由紀也。天地にやられたにしても迫田並の実力者と言われている男、猪瀬浩。その二人が俺達の前に現れ、

 

「…既に知っているとは思うがよ、俺はこの鈴蘭で一派を旗揚げしたんだわ。俺の横にいるのが一年顔役の猪瀬浩、…お前達とは長い付き合いになる。…猪瀬共々、一つ…よろしく頼むぜ。」

 

律儀に挨拶をしてきた。…龍光寺がただ挨拶をしに来たなんてあり得ない、何かある筈だ。

 

睨み合いとはいかないが、妙な緊張感が俺達の間にある。そんな中でやはり口を開いたのが…、

 

「武藤に八板、尾崎に村川、そしてタケ。月島を番長にする為につるんでいるんだろ?」

 

………!!? 何でそれを…!? と思ったが、コイツは猟犬だからな。何処にでも目はあるし鼻も利く、それにかなりのキレ者だ。現に…、

 

「…月島はある男とやり合う為に飛び出して行ったぜ? 絶対に避けられねー男の下によ。」

 

と言いやがった。それを聞いて誰の下へ行ったのかを悟った、…花は花木九里虎の下に!!

 

「…感謝しろよ? 早々に出会うよう仕向けてやったんだからよ。」

 

…龍光寺由紀也、…やはりコイツは強大な敵だ。




閑話が続きますよー。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~迫田 武文《その2》

今日もギリやった。


一年戦争を制した月島花を鈴蘭の番長にすべく、信頼の置ける実力者に声を掛けることにした俺と蓮次。勿論…由紀也にも声を掛けようとしたんだが、

 

「…タケ、俺は派閥を立ち上げることにした。周りに推されたってーのもあるが、やりたいことをする為には派閥が必要であるってーのに気付いてな。…一応聞くけどよ、…お前はどうする?」

 

派閥を立ち上げる、…それを聞いた瞬間に由紀也は敵になると確信しちまった。そう思ったってーことは、由紀也の誘いに乗る気がないってことになるよな?

 

自分の気持ちに嘘を吐ける筈もなく、由紀也の誘いを断った俺。そんな俺に由紀也は、一瞬だけ顔を歪め…、

 

「…そうか、分かったぜ。…こうなることは予想してたけどよ、…わりと複雑な気持ちになるもんなんだな?」

 

そう言って笑みを浮かべた。俺に背を向けて立ち去る時、

 

「…これで俺達の関係が終わるってーのはなしだぜ? コレはコレってヤツだ。…そこんとこよろしくな?…タケ。」

 

由紀也は確かにそう言った。…俺だって終わらせる気なんてねーよ、コレはコレってことぐらい分かるわボケ。

 

 

 

 

 

 

八板、尾崎、村川を加えた俺と蓮次は密かに花一家を結成、最初の仕事は情報収集ってことになった。鈴蘭のことは八板達に任せることにして、俺と蓮次は梅星一家の兄弟である藤代を調べることにした。その矢先に俺達の前に現れたのが由紀也、そしてその一派に加わった猪瀬だった。

 

妙な緊張感の中で由紀也が言った言葉に驚愕する、…由紀也は俺達のことを既に知っている。そして花を…、花を花木九里虎の下へと誘導したってーことにも驚かされた。番長になる為には絶対に避けられねー存在、それは俺にだって分かっていた。しかしこんなに早くぶつかることはねーと思っていただけに、ただただ驚くことしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

その夜、梅星一家にて花が、

 

「花木九里虎ってスゲー人だな、手も足も出なかったよ! …聞いた話とは違っていたけど、実際はどんな人なのかな?」

 

顔にバンソウコーを貼りながら、いつものニコニコ顔でそんなことを言う。花的には花木九里虎と出会ったこと、かなりのプラスになったようだ。…由紀也の奴、これを見越して二人をぶつけたんだろうか? …あり得るからコエー。

 

 

 

 

 

 

…で次の日、街で藤代を見掛けた俺達。悪いと思いながらも後を付けていけば、誰かと外れの方で話し込んでいやがる。…丁度いい、話相手を見れば藤代がどんな奴か見えてくる筈。蓮次がそう言ってきたから近付いて…、

 

「拓海ーっ! ……っと明じゃねーかよ!?」

 

藤代と話し込んでいたのは兄弟分の奈良明だった。…ということは、藤代は武装と繋がりがあるってことか?

 

とりあえず俺は明に聞いてみた。

 

「明…、お前…拓海と知り合いだったのか?」

 

と聞けば、明の奴も目を丸くして、

 

「いや…武文、お前こそ何で拓海を知ってんだよ…。ん…? そういえば下宿するって言っていたけどよー、…同じ所か?」

 

と逆に聞き返してきた。…まぁとりあえず、

 

「「拓海ーっ! 説明しろやっ!!」」

 

藤代に説明を求めるのが一番だ、明も同じことを考えたようで声がハモった。

 

藤代が言うには、武装の村田将五とはガキの頃からの付き合いだとか。武装に誘われてはいるが、今のところその気はないそうだ。明の方もとりあえずは納得している、俺達と藤代の関係が下宿先からだということに。

 

納得した俺と明に藤代が逆に聞いてきた。

 

「お前達はどういった関係なんだ? …接点なんかないだろーに。」

 

その問いに蓮次も同調、だから言ってやった。

 

「「由紀也も含めて、俺達は兄弟分よ!!」」

 

俺と明、そして由紀也が兄弟分。そのことに驚く藤代と蓮次、…そこまで驚くもんなのかね?




由紀也&武文と明の出会いは小学生ん時って設定。

まぁ…女の子関係で知り合ったって感じです。

その話ってやった方がいいんかなー…。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~月島 花《その2》

むむむ…。


一年戦争が俺の優勝で終わり、倒した天地が鈴蘭から消えた。…しかし、この鈴蘭はやはり面白い! 興奮が治まらぬ中、今度は秀吉一派とブッチャー一派が小競り合いを始めたのだ。野次馬を含めてそこら辺で乱闘、本当に飽きない所だよな!

 

…それにあの龍光寺って奴、何でも自分の一派を作ったみたいで周囲がざわついている。何となくうっすらとだけど、あの男とはいずれ戦うことになる。俺はそう感じたんだ、あの体育館で目が合った時にね。…まぁそれはいいけど、何か面白いことがもっと起きないかなー。

 

 

 

 

 

 

暫くして、ブッチャー先輩からの呼び出しが。ついでだからこの流れで先輩方に挨拶を…とのことで、ブッチャー先輩、岩城先輩、秀吉先輩、米崎先輩。一派の頭をしている人と影響力のある人を中心に挨拶巡り、そして最後にゼットン先輩へ挨拶…と思ったら、

 

「…シャラーッ!!」

 

いきなり襲い掛かってきたのだ。

 

拳での攻撃は全て避けられたんだけど、最後の蹴りだけは避けられずにガードする。とんでもなく強力な蹴りで、ガードをした腕がビリビリと痺れる。なんちゅー蹴りなんだ! こんなのまともに食らったら死んじまうぞ! 驚愕する俺に対して更に仕掛けてくるゼットン先輩、その攻撃の最中にあった小さな隙に必殺技を繰り出す。…がそれを余裕で防がれてしまった、…この人はかなり強い!

 

そのままやり合うのかと思ったら、喧嘩は終いにして話を聞いてくれと言われた。承諾をして聞いてみれば、とんでもねー悪党の話を聞かされた。

 

 

 

 

 

 

この鈴蘭には怪物がいる、どスケベの大悪党が。言葉巧みに女を騙しては夜な夜な食いものにし、しかもヤバイ薬を周囲にバラまく程の大悪党。鬼のように強くてゼットン先輩ですら手が出せない、とても悔しい思いをしているそうだ。

 

許せねー! 俺は素直にそう思った。だからゼットン先輩に、

 

「そんなクサレ外道は絶対に許せねー! この俺が鈴蘭から叩き出してやりますわ!!」

 

そう宣言した。ぶっ倒す為に名前を聞いてみれば、この街最強と言われている鈴蘭二年の花木九里虎という奴らしい。グ…グリコ…! 何ともふざけた名前の男だ!!

 

 

 

 

 

 

グリコを倒す為に学校の外へ飛び出そうとした時、

 

「おい、月島。…ちょい待てや!」

 

誰かに呼び止められた。こんな時に誰だ! と思ったら、…あの龍光寺由紀也だった。何の用かと尋ねれば、

 

「ゼットン先輩から聞いたぜ? 花木九里虎をやるんだってな。奴は神出鬼没だから闇雲に探しても辿り着かない、…だが朗報だ。」

 

そう言って、花木九里虎がいる可能性の高い場所を教えてくれた。…龍光寺! …お前って良い奴なんだな!!

 

「あんがと! …じゃあ行ってくる!!」

 

「ああ、…その身体で感じてみな。この街最強と呼ばれている男の実力を、…きっとプラスになるぜ。」

 

龍光寺の激励? を背に、俺は花木九里虎をぶっ倒す為に飛び出した。

 

 

 

 

 

 

…でその花木九里虎を見付け、その仲間のバンダナ男を倒した。モジャモジャ頭の花木九里虎が、

 

「…ほぉ~、黒澤ばやりおるか。…で、ニシャ誰や?」

 

…この! …自分が何をやっているのか知っていてこの余裕! マジで許せねー!!

 

「俺は鈴蘭一年の月島花だ! 心を入れかえて人生をやり直すか! 鈴蘭を出ていくか二つに一つだ、コノヤロー!!」

 

そんなわけで、花木九里虎と戦った。

 

結果は敗北、…でも悪党には思えなかったのは何故? ボケッと考えていれば、凄みのあるおっさんに声を掛けられたりした。…あの人は一体、…何者なんだろうか?




次回本編、だがすぐに閑話となる予定。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話 ~色々やっているッス

ん~……。


月島花が先輩方に挨拶巡りをしている、そのことを聞いた俺は月島が来るであろう校門で待ち構える。下駄箱の位置を考えればここを通る、あの男は色んな意味で真っ直ぐだからな。…屋上から月島の叫び声が聞こえてきた、…そろそろだな。

 

…俺と米崎の思惑通りだな、月島は花木九里虎の下へ行く気満々だ。だが、このまま飛び出しても見付けることはなかなかに難しい。そこでこの俺の出番だ、…奴がいるであろう場所はリサーチ済み。飛び出す寸前の月島を呼び止め、その情報を与えてみれば良い笑顔で礼を言ってきた。…本当に真っ直ぐな男だな、…月島はよ。

 

 

 

 

 

 

途中で猪瀬と合流し帰ろうとすれば、武藤にタケ…通称月島一家と鉢合わせた。ついでだから派閥旗揚げの挨拶をし、隣の猪瀬を紹介しておく。…更に月島が今、何をやろうとしているか伝えれば奴等は驚く。だからダメ押しで、俺が一枚噛んでいることも言っておく。フフフ…、武藤の鋭い目が心地好いぜ。

 

月島一家と別れて暫く…、隣の猪瀬が話し掛けてきた。

 

「…いいのか? 自分が少なからず暗躍している、…そのことを臭わせて。」

 

猪瀬の奴、俺と武文のことを気にしてやがるな? …顔に似合わず気遣い人め。

 

「気にすんな、この程度じゃ変わらねーよ。…それにこうした方がぶつかりやすいだろうが、…俺はいつでも大歓迎なんだぜ? お前だって出来ることならやり合いたいだろ?」

 

何ら心配ないことを言いつつ、やり合う可能性を高める為だと言えば、

 

「…確かに、…お前の言う通りだ。」

 

俺の言葉を肯定し、不敵な笑みを浮かべる猪瀬。頼もしい奴だ、コイツってばよ

 

 

 

 

 

 

その後は至って普通の日々だった。あるとしたら、どこぞのバカが暴れて乱闘騒ぎとなったくらいか? まぁ普通と言ってもイベントはちょいちょいあった、…というか行った。

 

派閥に属するバカ達を集めて、希望者を募り戦わせる。所謂…小規模な一年戦争、と言っても二年と三年も混ざってはいるが。これにより個人の実力が上がり、俺の派閥が自然と強化される。戦うことにより、血の気の多いバカも満足して暫くは大人しくなる。よって、他の派閥の奴等よりは大人しい。

 

後は仲間意識を高める為に、俺自身も含めてよく遊びに行く。多方面に顔の利く俺は、様々な遊技場を安く使うことが出来る。そこに派閥の奴等を引き連れて行っては遊ぶ、通常よりも安いからか派閥の奴等もその後常連になり遊技場も潤う。お互いにwin-winな関係、俺の手腕が凄い。

 

…たぶんこう上手くいく理由ってアレだよな? 転生特典で貰ったときメモ4の技能。コミュニケーションと課外活動のスキルツリー、きっとこれが効果を発揮しまくっているんだと思う。…女の子というより、男を中心にその効果を発揮しているってーのに悲しみを感じるが。…そして疑問、悪い技能もある筈なのだが息をしていない件について。…オマケで除外されてたりするんか?

 

因みに、これらのイベントの合間に翼とはデートを重ねている。男ばかりでムサいしな、女の子成分は必須。…が、彼女持ちであると知られている筈なのにモテる。翼を迎えに行けば、高確率で声を掛けられるんだよね。その都度…翼に嫉妬されたりするわけで、愛されていると実感出来て嬉しかったりする。

 

…丁度いいから合コンみたいなことでもしてみるか? 武文は勿論のこと、明の奴も彼女が欲しいとぶつくさ言ってたし。…そうなると人選だが、…どうしたものか。

 

 

 

 

 

 

そんな日常も長く続くわけもなし。一派の奴から連絡が入り、野間先輩がやらかしたらしい。…鳳仙の奴等をぶっ飛ばした、…ってことは始まるわけだ。…ならば早々に動かなければならない、…マサ先輩への襲撃を防げるかね…っと。




次も閑話。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~野間 大悟《その1》

ギリだぜ!


俺は岸中から鈴蘭へと来る予定の後輩二人、龍光寺由紀也と迫田武文。この二人の入学を待っている、同中出身の後輩である二年の伊東優哉と川尻林太郎共々な。何故待っているのかだって? 理由なんざ一つしかねー。俺達の派閥を作る、…コレよ!

 

自分で作りゃーいいと思うかもしれねーが、残念ながら俺はそんな器ではない。勿論、優哉と林太郎の二人も無理だ。俺達三人は喧嘩に関しては強いと胸を張れる、しかし派閥の頭となると…ダメだ。自分でいうのもアレだが俺達はバカだからな、喧嘩バカってヤツよ。…笑えんだろ? クカカカカカ!!

 

そういうわけで二人の入学を待っていたんだが、…まさかの武文が別派閥に行きやがった。いつも二人一緒の由紀也と武文がねぇ、…これには三人で驚いたもんだぜ。まぁ別れて分かることもあらぁ~な、敵味方と別れても友情は変わらず。青春していやがるのな!

 

 

 

 

 

 

由紀也を派閥の頭にし、俺達がそれに従うってーのが岸中盤石の布陣。その無敵の布陣がこの鈴蘭に再現された今、鈴蘭最強の派閥は俺達のモノだぜ! …つっても、支配とかには興味がないんだよな。俺が入学する前に阪東秀人とかいう武装くずれが支配一歩手前まで手中に収めたと聞いた、しかし最終的にはズタボロにされて終わったと。それを考えれば…そこらは月島とかいう小僧に任せればいい、武文もそこにいるしな。俺達は俺達の派閥だけを考えて動けばいい、全てを由紀也に任せれば大丈夫。卒業までの間は退屈しない、これは確実に言えることだぜ!

 

 

 

 

 

 

適度に喧嘩をし、そして仲間と遊ぶ日々。まさに充実した鈴蘭生活、流石は由紀也だぜ。俺達のことを良く見ていやがる、適度なガス抜きを見事にやってのける由紀也に代わる男なんざいねー。あの秀吉とマサが気に掛けているのも由紀也ぐらいしかいねーし、(たい)した男だよな…本当によ。

 

そんな感じで物思いにふけながら、目的地であるダーツバーへ行く途中に鉢合わせた。

 

「…んだコラおっさん! 通行の邪魔だからよ、…退いてくんねーか? …おい、聞いてんのか!!」

 

坊主頭の三人組が目の前で騒いでいる、…見たところこの三人組は鳳仙の奴等で間違いない。この俺に調子こいできたからにはぶっ飛ばすが以前の俺だが、そんなことをしちまったら鳳仙の奴等と揉めることは確実。バカな俺でも分かること、それに由紀也にも迷惑を掛ける。

 

…となると、

 

「……悪ぃな。…ほら、…行けよ。」

 

俺が折れるしかねぇ、不本意ではあるが目の前の三人組に道を譲ってやる。…譲るんじゃねー、譲ってやる…だからな? ちょっとの違いだがそこが重要だぜ? …何処かの誰かに言い訳を言って落ち着こうとする俺に、

 

「…んだぁ、見た目だけで根性のねぇおっさんだぜ!」

 

「所詮は鈴蘭、俺達鳳仙の方が格上ってこった!」

 

「こんなヘタレ野郎なんざほっとけ! …さっさと行こうぜ、なぁ!!」

 

その三人組が好き放題言ってきやがった。

 

…このガキャ~ッ! 人が優しくしてやりゃー調子こぎやがって! 俺が根性なし? ヘタレ? そして鈴蘭が鳳仙の下? …ざけたこと抜かすなよ! 俺だけじゃなく鈴蘭全体をバカにしやがった、ここでやらなきゃー男が廃る!

 

「…おう兄ちゃん達、…気が変わっちまった。…ちぃ~とばかし、この俺と遊んでくれねぇか?」

 

この場を去ろうとする三人組の背にそう声を掛け、指を鳴らしながら近付いていく。

 

「「「……あ゛ぁ゛っ!!」」」

 

威勢良く振り向く三人組に俺は、

 

「鈴蘭舐めんじゃねぇぞ! …クソガキャ~ッ!!」

 

…まぁコレが原因で抗争が始まるとは思わなかったし、マサがあんなことになるなんて考えてもいなかった。




野間の強さは三年の中では上位、ゼットンの次くらいかなぁ。

伊東と川尻はブッチャーか黒澤くらいの強さ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10話 ~結局は…ッス

のんびりと……。


…素早く動いたつもりだが、結局マサ先輩は鳳仙の奴にやられてしまった。連絡を受けた俺は、

 

「…すいません、秀吉先輩。ウチの野間が鳳仙をやったばかりにマサ先輩が…、ケジメ付けますんで…。」

 

秀吉先輩に今回の経緯を説明し、深々と頭を下げた。そんな俺に秀吉先輩は…、

 

「お前が悪いわけでもねーし、…野間が悪いわけでもねー。鈴蘭を舐められちまったからにはやる、野間の判断は悪かねぇがしかし…。」

 

野間先輩の行為を不問にした、しかし…握る拳に力が籠っている。…怒りが湧いているのだろう、…そこは俺も同じだが。

 

「…マサを、…家族をやられたからには黙っているわけにはいかねー!!」

 

…久々に本気となった秀吉先輩を見た、伊達に狂犬と呼ばれちゃいない。

 

怒りに震える秀吉先輩に俺は言った。最低限の詫びも籠めて…、

 

「…秀吉先輩、マサ先輩を襲った奴等の足取りは掴んでいます。せめてもの詫びとして、…そいつ等の下まで案内させてください。」

 

秀吉先輩のことだ、一人で(かたき)を討ちたいことだろう。俺はサポートに回る、…それが最善だ。

 

「…ああ、手出しは無用だ由紀也!」

 

俺は素早く数人に電話をして奴等の行方を確認、秀吉先輩と共に行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

マサ先輩を襲撃した奴を含めた鳳仙の面々、そいつ等をあるトンネルで捉えた。俺は派閥の奴に指示を出してその退路を断ち、秀吉先輩に鉄パイプを渡す。

 

「…奴等は袋の鼠です、存分にやってください。」

 

手渡された鉄パイプを強く握り、俺の肩をポンッと叩いてから足を踏み出す秀吉先輩。俺はその背を見ながら考える、…これからのことを。

 

これを機に鳳仙が動き出す、月光兄弟を中心に。…秀吉先輩を除いた三年が襲撃され、鈴蘭に在籍する奴等の多くもやられる。まさに電光石火、殺し屋鳳仙といった手腕である。…が、今年はこの俺がいる。奴等を無傷で終わらせるわけにはいかねーし、せめて派閥の奴等だけは守らねーと。…否、…逆に狩るってーのも面白いか。

 

そんなことを考えている間に、秀吉先輩は一人で奴等を制圧。見ていたけど流石は狂犬、容赦なく奴等をぶちのめした。肩で息をする秀吉先輩に近付き…、

 

「…お疲れ様です、秀吉先輩。さぁ…病院へ急ぎましょう、容態をこの目で見なくては。」

 

そう声を掛けて、秀吉先輩と共に病院へと急ぐ。その途中で俺は、派閥の伊東先輩と川尻先輩に連絡をした。鳳仙を狩る、…それだけを言えば直ぐに動いてくれる。

 

 

 

 

 

 

病院へ行って容態を聞いてみれば、骨などには異常がないそうだが暫くの入院が必要とのこと。それを聞いて安心した俺達が外へと出れば、岩城と米崎がいて警告されたわけだが、

 

「…先輩方も気を付けてくださいよ。」

 

逆に俺の方からも警告をさせて貰った。…どう転ぶかは分からんけども、一応はしとかないとな。

 

先輩方と別れた俺は、派閥の幹部とそれに準ずる奴等と合流。そして、

 

「…明日、鳳仙が動く。永田駅にて鳳仙のハゲ共が待ち伏せているだろう、…俺達はそれを狩るぞ。元を辿れば俺達が原因だ、…マサ先輩への詫びとして一人も逃がすなよ。」

 

俺がそう言えば全員が気合を入れる。その中でも原因を作った野間先輩が一番、気合が入っていた。




次回は閑話になるかね?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~氏家 純《その1》

速読者さん、感想ありがとうございます。


少し前に月光兄弟が丈に苦言を言ってきやがった、…ひよったんじゃねーかってよ。黒焚連合が崩壊、花木九里虎事件、月本光義とブッチャー事件、挙げればキリがねー程色々あった。それらの治め方が気に入らねーってな、…奴等はそう言ってきやがったんだ。

 

思い悩む丈は一人でフラリと消えた、そん時に再び事件が起きやがった。二年の浦野達が鈴蘭の怪獣王と呼ばれている野間にやられた、その後…浦野が鈴蘭のマサを病院送りにした。…で月光兄弟の家へ向かう途中に鈴蘭の秀吉にやられ、月光兄弟が熱くなり…。丈が戻ってきた時には、もう止められねー程に鳳仙全体が熱くなっちまっていた。

 

 

 

 

 

 

何をしていたのか分からねーけど、吹っ切れていた丈は俺達に命じた。

 

「光信、光義、お前らは岩城軍司を。勝利…、お前は米崎を。真島と三浦、お前らは二年の黒澤を取っ捕まえて花木九里虎の居場所を聞き出せ。氏家はここに残ってこのクソ駅から出てくる鈴蘭の奴等をぶち上げちゃれ、…野間が出てくるから確実にのー。…ゼットンはわしに任せろ、退治したるわ。」

 

秀吉は土下座要員、残して謝らせるんだってよ。…まぁそれはいいけどよ、俺の相手は野間の野郎と雑魚共か。…腕が鳴りやがるぜ!!

 

 

 

 

 

 

…で、このクソ駅から出てきたバカ共を一〇人以上ぶちのめしたわけだが…。

 

「…ちぃっ! …野間の野郎はまだかよ!!」

 

未だ野間の姿が見えない、奴はこのクソ駅を利用している筈なんだがどういうことだ? 疑問に思っていると、

 

「氏家! また鈴蘭の奴が出てくるぜ!!」

 

…とりあえず片っ端からやっていりゃー奴は出てくる、片っ端だ…片っ端から潰してやるぜ!

 

新たに出てきたのは銀髪の長髪男、…俺から見てもイケメン。…アイツ、女にモテる系の奴だ。…違う意味でも熱くなる、他の奴等も同じようで歯軋りが聞こえる。…こりゃーやり過ぎるかもな! と思った時、その後ろからゾロゾロと鈴蘭の奴等が出てきやがった。…多い! と感じた俺に、

 

「…う、氏家! こりゃマズイぞ!!」

 

誰かが言った。その声に反応し周囲を見れば…、鈴蘭の奴等が大勢…俺達の方へ向かってくる。何処を見ても鈴蘭の奴等、いつの間に…!!

 

俺達を囲むように鈴蘭の奴等が迫ってくる、…何故だ? 何が起きているんだ!? 混乱する俺達に、

 

「予想以上にハゲがいやがる、…こりゃー祭りだな!」

 

「これ以上、やられるわけにはいかねーからよ。…まぁ覚悟しろや!」

 

そう言って迫ってきたのが鈴蘭二年の伊東と川尻、かなりの強者であるのはみんな知っている。

 

「…俺ではなくマサをやるたぁな、…この腑抜けハゲ共が!!」

 

今回のきっかけを作った怪獣王が鬼の形相で迫ってくる。そして…、

 

「初めまして、鳳仙の諸君。俺は鈴蘭一年の龍光寺由紀也、ここにいる奴等の頭をさせて貰っている男ですわ。…そちらさんにも言い分があるとは思うがよー、…とりあえずは退場してくれや。……お前ら、やったれぇぇぇぇぇっ!!」

 

龍光寺と名乗った男の号令で一気に襲い掛かってくる鈴蘭の奴等、…何だってんだよチクショーが! 一年如きに使われてんのかよ野間ぁ~っ!! 怒りに震える俺にあの一年が迫ってくる。…一年如きにこの俺がやられるわけがねー! 俺は迫ってくる一年に襲い掛かったがその直後、…目の前が暗くなった。




のんびりさー。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~猪瀬 浩《その1》

のんびり。


一年戦争に名乗りを挙げた俺は、良い(とこ)なしで天地寿に負けた。完膚無きまでに叩きのめされ完全敗北、自分自身が情けなくて退学をしようと考えていた。そんな俺に声を掛けてきたのが龍光寺由紀也、不思議な魅力を持つこの男に興味を持った俺はその一派に入ることを決める。

 

龍光寺一派に入った俺は充実していた、適度な喧嘩に同じ一派の奴等との交流。ただただ名を上げる為だけに行動していた中学時代とは違う、一派の奴等…いや、仲間とつるむことがこんなにも良いものだったのか。龍光寺には感謝だな、…退学しなくてよかった。

 

 

 

 

 

 

龍光寺達とつるんでから、俺自身…入学時よりも強くなったと実感出来る。一派内でガス抜きという名目での喧嘩が推奨されている、俺はそれを利用して実戦を繰り返しているわけで。二年の伊東先輩と川尻先輩はなかなかの曲者であるし、三年の野間先輩は格上で強すぎる。

 

そんな実力者の三人を余裕で打ち負かす龍光寺は化物級、数度やり合ってみたが勝てるビジョンが見えなかった。だが先にも言ったが実力は上がっている、この調子で平和ボケをしないように心懸けなければ…。

 

 

 

 

 

 

途中で通称月島一家と鉢合わせたりしたが至って普通、特に問題ない日々の中で事件が起きた。三年の野間先輩が鳳仙の奴等の舐めた態度にブチ切れて粉砕、その報復に鳳仙の奴等がマサ先輩を襲撃し病院送りにした。派閥の幹部がしたことだからと秀吉先輩に龍光寺が謝罪、その詫びに(かたき)討ちをサポートしてそれを成し遂げた。

 

これで終わりとはいかない、龍光寺はそう予想して俺達幹部とその他数人を呼び号令を出した。…明日は鳳仙狩りだと、…腕が鳴るな! そう気合を入れる俺に龍光寺が、

 

「…猪瀬、お前に数人付けるから二年の黒澤を見張れ。」

 

と指示を出した。何故かと聞けば、

 

「二年の黒澤は確実に九里虎の居場所を知っている、…だから絶対に鳳仙は黒澤を襲撃する筈だ。」

 

と答えた。それを聞いた俺は納得し了承、数人の仲間と共に黒澤を捕捉し続けた。

 

 

 

 

 

 

…で次の日、見付からないように見張っていれば鳳仙の奴等が現れて…、

 

「…ここから慎重にいくぞ、気取られたらどうなるか分からないからな。」

 

周囲を鳳仙の奴等に囲まれながら歩く黒澤を遠巻きに付いていき、空き地にて襲われ始めていることを確認。黒澤に集中している間に奇襲しよう、そう考えた時に乱入者が現れた。…あれは月島に迫田、……先を越されたか。…このまま見ているわけにはいかねーからな、

 

「…俺達も行くぞ! 喧嘩のチャンスを逃すわけにはいかねー!!」

 

俺達は駆け出し、月島と迫田に続いて乱入した。

 

…乱入の結果は俺達の勝利。鳳仙の幹部と思わしき二人は月島と迫田に譲ったが、その他大勢の雑魚達の大半は俺達がぶちのめした。…にしても龍光寺の幼馴染である迫田、コイツが強いのは知っていたからいい。一年戦争の優勝者である月島花、強いことは知っていたがこれ程までとは…。あのアッパーは要注意だな、対峙した時に警戒しねーと。

 

とりあえず俺の役目は終わった。三人に軽く声を掛け、この場を去ろうとしたが一言言っておかなければならない。

 

「…龍光寺が言っていたんだが、…これは始まりだとよ。今日から数日間はこの調子が続くらしい、…気を付けろよ。」

 

月島は一瞬驚くも直ぐに笑顔となる、…龍光寺に次いで不思議な男だ。




次も閑話。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~鳳仙の面々《その1》

速読者さん、クロノスケさん、‼さん、カカさん、感想ありがとうございます。


いつの間にかお気に入りが100以上だし、バーも赤いし。

それでもペースを崩さずに…っと。


ー月本光政ー

 

先輩方が起こしたくだらねー鈴蘭との小競り合い、…今は抗争になっちまったが俺にはどーでもいいこと。んなことよりも…、

 

「三浦…、その大きく腫れた(つら)になった理由を教えろよ。…月島花にでもやられたか?」

 

三浦がやり合ったという鈴蘭の奴等、そっちの方が気になって仕方がない。

 

三浦が言うには、真島先輩を含めた約二〇人で鈴蘭の黒澤を襲撃した。その時に乱入してきた月島に真島先輩はやられ、三浦自身は迫田にぶっ飛ばされたらしい。他の奴等もその後に乱入してきた数人のグループにこっぴどくやられたらしいな、…当然相手は鈴蘭。

 

……真島先輩、…マーシー君が一発でかー。月島はそれなりに強いってことだよな、勿論…迫田の奴もな。続いて乱入してきた奴等も気になる、…だがそれ以上に、

 

「…笑い事じゃねーぞ! 氏家先輩を含めた四〇人近くが病院送りになったんだ、…相手は猟犬のグループだぜ! どいつもこいつも普通じゃねー強さだってよ、…俺等と同じ一年がだ!!」

 

この話の方が気になる。…猟犬、噂には聞いていたが相当な実力者のようだ。同じ一年…、同じ一年か…。

 

 

 

 

 

 

…こりゃー当分は荒れるな! …と言っても俺には関係ねー。ただ一年戦争を制した月島花、猟犬と言ったらあの男…龍光寺…? …下の名前は忘れちまったがこの二人が気になる。何せ同じ一年、これから先…長い付き合いになる男達だからな!!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー金山丈ー

 

わし等鳳仙の作戦は成功したと言ってもいい。勝利は米崎をぶちかまし、光信達も岩城を病院送りにしたようだ。わしの方もゼットンを退治した、…秘密兵器は当分使えんようなったが。まぁ成功ちゅーても、幸先が良いかって言われたら…、

 

「…ドジったのは氏家と真島か。」

 

…二人がドジったからそう言えん、さて…何があったか…。

 

真島は黒澤を大勢で小突いている時に乱入され、鈴蘭の月島花にやられたと言っている。共に行った三浦は迫田武文に、その他の奴等はよく分からんグループにぶち上げられたとか。

 

…で氏家の奴は病院送り、大体…入院一週間って感じかのー。比較的軽症の奴に聞いてみれば、いつの間にか現れていた鈴蘭の集団にやられたとのこと。三年の野間、二年の伊東と川尻を含む六〇人以上の集団。驚くことにそれを率いているのは一年、猟犬と呼ばれている男で名を龍光寺由紀也。…月島花といい、どエライ奴が出てきたのー。

 

 

 

 

 

 

光義の奴が月島と龍光寺は俺が潰すと息巻いているが、…どうなるもんか分からん。…が、言えることはただ一つ。ここからは厳しいもんになるっちゅーこと、

 

「鈴蘭を舐めるとどエライ目に合うぜ…。奴等の本腰を入れた逆襲じゃ! 油断するな! ふんどししめ直せ! …戦争はここからが本番じゃ!!」

 

だからわしはコイツ等に警告をする、鈴蘭を舐めるんじゃないと。

 

先制としてゼットン・岩城・米崎・マサの顔役四人をぶちかました、上等の出来と言える。しかし狂犬と呼ばれる秀吉がいる、怪獣王と呼ばれる野間。曲者と評される伊東に川尻、そして黒澤。ブッチャーに原田もいる、真島をやった月島に氏家をやった龍光寺もいる。…そして九里虎という隠し玉もいる、…油断出来るわけがないんじゃ!

 

賽は投げられたんじゃ! もう止められねー、やれるだけやっちゃる…それだけじゃ!!




次も閑話。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~月島 花《その3》

今日も元気に投稿さぁ~。


誤解から九里虎さんに喧嘩を売った俺、その流れでクロサーさんにも迷惑を掛けた。悪いことをしたなーって思っていると、その二人が久々に登校してきたらしい。それを聞いた俺は謝る為に二人を探す、…負けたとしてもそれが礼儀だと思うからね。

 

…だけどその二人には会えずじまい、俺は何時になったら謝れるんだろう? 悶々としながら蓮次と帰る途中、変わった髪型の兄さんにサインをねだられた。勿論…快く応じたさ! 俺…初めてサインを書いたよ! そん時タバコを買いに行っていた蓮次が戻ってきて、あの兄さんが鳳仙の一年で月本光政と教えてくれた。…へぇ~、…そうなんだ。……で鳳仙って何? と聞き返せば蓮次が目を点にする、…変なことを聞いたかな?

 

 

 

 

 

 

そんな感じで蓮次や迫田達とつるんで日々を過ごしていたんだけど、…ある事件が起きて鈴蘭がざわついたんだ。龍光寺ん所の野間先輩が鳳仙の奴等をやって、…その報復にマサ先輩がやられた。一騒動あるとみんな言っている、狂犬の秀吉先輩が黙っていないと。そして龍光寺も動くだろうと、迫田がしたり顔で言っていた。…何で龍光寺が動くの?

 

…で次の日、迫田と一緒に学校へと向かっていたら見付けたんだ。ハゲの集団に囲まれて歩くクロサーさん、迫田が言うにはあのハゲ達は鳳仙みたい。………ってそりゃーヤバイじゃないか! クロサーさんのピンチだ! 俺は迫田と共にあの集団を追う、クロサーさんを助ける為に!

 

 

 

 

 

 

そして…広い空き地にて、ハゲ共に小突かれているクロサーさんを発見。俺は勢いのままに乱入し、ハゲの一人を飛び蹴りでぶっ飛ばす。続いて迫田も乱入して一人を殴り飛ばしてから、

 

「迫田武文参上! 覚悟しろよハゲ共!!」

 

「月島花参上! クロサーさんはやらせないぜ!!」

 

二人揃って名乗り上げた。

 

大勢のハゲ共に囲まれた俺達、ちょいとしんどいかもしれないけどやってやる! 気合を入れ直して突撃しようとした時、

 

「…ぐぁぁぁぁぁっ!!」

 

一人のハゲがぶっ飛んでいった。突然のことに俺達もハゲ達も止まったんだけど、

 

「龍光寺一派、猪瀬浩…助太刀する!!」

 

龍光寺ん所の猪瀬が現れて、それに続き数人の知っている奴等が乱入してきた。全員龍光寺一派の…! 何でここにいたのか分からないけど、これなら余裕でハゲ共全員をやれるね!!

 

 

 

 

 

 

そこから復活したクロサーさんも含めてぶつかり合い、俺が真島と呼ばれた男を、迫田が三浦って奴をぶっ飛ばして勝負が決まった。その他大勢の大半は猪瀬達がぶちのめした、…猪瀬達って強いんだなーって素直に思ったよ。ちょっとだけ物足りないけど、クロサーさんもみんなも無事でよかったよかった!

 

ハゲ共をぶちのめした後に猪瀬が警告してきた、今日から数日間はこの調子が続く…って。それだけ言って猪瀬達は去ってったんだけど、…この調子が続くって? 疑問に思っていると、

 

「…今回のような襲撃が色んな場所で起こるってこった。…ヒヒヒ、…楽しくなりそうだな!」

 

迫田がそう言ってニヤついている。…それが本当ならば確かに楽しくなりそうだな! 一気にテンションが上がった俺は、クロサーさんと迫田の二人と共に学校へ。そこでクロサーさんと別れて蓮次達と合流し、再び外へと飛び出す。鈴蘭に喧嘩を売ってきたんだから、ちゃんと買ってあげないとね!

 

…後で聞いたんだけど、龍光寺達が鳳仙の奴等をかなりの数…ぶちのめしたらしい。負けてらんないな! ってことで、かなり気合を入れてやり合いまくったんだ。…それが原因かどうかは分からないけれど、俺…かなり酷い風邪をひいてしまったよ。…当分、…暴れられないのはツライ。………へっぐしゅっ!!




次は本編。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11話 ~鳳仙との抗争ッス

SADOさん、感想ありがとうございます。


秀吉先輩の(かたき)討ちをサポートし、マサ先輩の容態を確認した後に派閥の幹部と合流。明日、鳳仙狩りをする。…幹部それぞれに指示を出し、行動開始はメールで伝えると言ってから解散した。俺もみんなもやる気十分、鳳仙のハゲ共…覚悟しとけよ?

 

 

 

 

 

 

次の日、…鳳仙の奴等が動いたとの知らせが入った。…予想通りってところか、…警告したけど先輩方は大丈夫かね? 思いの外…奴等は行動が素早いけど。…まぁどうなったかは知らん、警告はしたんだし今は気にしない方向で。それよりも連絡をせにゃならん、…行動開始だ。

 

電車内で派閥の奴等と合流。俺を先頭に永田駅から出てみれば、…ハゲ共が大勢いて俺を睨み付けてくる。そこまで恨まれることなんざした覚えがないんだけど? そう思いながら進んでいけば、…今度はその顔に驚きが。…見事にテンパっとりますな、そりゃー仕方がない。何せ俺の派閥に所属する者、…ほぼ全員が集結しているのだから。

 

予定通り号令を掛ければ、野間先輩や伊東・川尻両先輩を中心にハゲ共へと襲い掛かる派閥の奴等。嬉しそうな顔してやがるぜ…、みんな喧嘩バカなのよね。…っと、ここで見てるだけってーのはダメだよな? 頭である俺が動かなきゃ示しがつかない。ハゲ頭の大将は……、あの氏家って呼ばれていた奴だな? …頂きますぜ、…その首を!

 

氏家とかいう奴の下へと走り出す俺、当然…邪魔する奴は粉砕する。面白いようにぶっ飛んでいくハゲ共、そして俺に気付く氏家というハゲ。怒りの形相で俺に向かってくるが…、そよ風程度にしか感じねーよ! …とのことで回し蹴りッス、…綺麗に首筋へと決まりまして。…白目を剥いて凄い勢いでかっ飛んでいきました、…あっ! 川尻先輩に当たっちゃったよ。……川尻先輩も気絶したっぽい、…マジですいません。

 

 

 

 

 

 

鳳仙の奴等を全滅させて意気揚々と鈴蘭へ引き上げる、気絶した川尻先輩の回収も忘れずに。…しかし戻ってみれば、ゼットン・米崎・岩城が鳳仙にやられたらしい。警告意味なし、…というか鳳仙が早すぎたんか? …まぁ俺達は成果を上げたからいいけど。…他の先輩方は黙っちゃいないだろうな、秀吉先輩も含めて。

 

一応という形で図書室の方へと向かえば、ブッチャー・原田・黒澤が途中で合流してきた。

 

「おう龍光寺、ハゲ共相手に暴れまくったらしいじゃねーか!」

 

ブッチャーはテンションが高い、俺の背をバンバン叩いてくる。これから本格的になる戦争に心躍らせているのだろう、…逆に、

 

「「………。」」

 

原田と黒澤は厳しい顔だ、…まぁ無理もないわな。原田は頭の岩城をやられているわけだし、黒澤は襲撃された身。その心は怒りに染まっている、俺も同じ立場だったらキレるぜ?

 

…そんなことを考えている内に図書室へと着きました、中から秀吉先輩が出てきて…、

 

「……やるぞ、…お前達。これ以上舐められるわけにはいかねー、…叩き潰せ!」

 

という言葉を頂きました。別派閥とは言っても秀吉先輩は三年、…何だかんだで年功序列なんだよね。俺とブッチャーは笑みを浮かべ、原田と黒澤はより一層…顔を険しくする。…これから鈴蘭の逆襲が始まる、…朝以上にハゲ共を蹴散らしてくれるわ!

 

 

 

 

 

 

各々出撃する鈴蘭の奴等、俺達の派閥も三つのグループに別れて行動する。野間先輩のグループ、伊東先輩と川尻先輩のグループ、そして俺と猪瀬のグループ。お互い競い合うように、街のいたる所で鳳仙のハゲ共と激突した。…イヤッハァ~ッ! 楽しくて楽しくて…たまらんぜ!!

 

 

 

 

 

 

…鈴蘭と鳳仙の抗争は三日間も続いた、両校怪我人が多く出たようだが俺の派閥は特になし。しかしこの騒ぎを重く見た警察が警戒を強めた為、鈴蘭・鳳仙の両校は膠着状態へと移る。…そして新たな局面にへと移行する、そう…あの最終局面にへと…。




次も本編の予定。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 ~抗争の最後は天狗の森ッス

ここまで毎日投稿が続くとは思わなんだ。


膠着状態が続く中で、俺は秀吉先輩に呼び出される。図書室の中へと入ってみれば、包帯姿の先輩方が…。マサ先輩・ゼットン・米崎・岩城、鈴蘭の三年顔役が勢揃い。…ってことはだ、この抗争を終わらせる気でいるな? この先輩方は。…終わらせる為の知恵を俺に求めるってことか、…さて。

 

話を聞いてみればやっぱりそのことで、何か良い方法がないかと聞かれた。やられた四人的には仕返しついでに暴れたいのでは? と思ったのだがこのまま膠着状態が続いても動きづらいし、警察も多くいるから渋々終わらせるってことを承諾したらしい。…ふむ、ならば原作通りが一番ではなかろうか? とのことで提案した。

 

第三次鈴蘭・鳳仙抗争の終局は明日の朝午前五時、丘の上公園天狗の森にて決着をつける。明日の午前0時から七時ぐらいまでの間、その時間帯は警察の警戒が一時的に解除される。ある地域での暴走族取り締まりの強化、交通安全強化週間初日の為に警察官の多くが動員される。…との理由で明日の朝午前五時を指定した、…五時ぐらいだったらみんなも起きれるだろうと考えて。

 

そう言えば秀吉先輩以外の四人が、

 

「「「「なんちゅー情報網だよ!!」」」」

 

というツッコミを頂いた。…自分でもそう思う、けれど耳に入るんだから仕方がない。…と言うわけで、秀吉先輩には鳳仙の頭であるキングジョーへ連絡してもらう。

 

………………どうだ? と秀吉先輩を見れば、親指をグッとしてきたんであちらさんも了承してくれたんだろう。決まったとなれば鈴蘭の愛すべきバカ達にも知らせないとな、明日が決着だぞって。

 

 

 

 

 

 

とりあえず派閥の奴等に言えば、明日に備えて寝るとか言って大半が帰っていった。…己らはガキか! とツッコミを入れたかったよ、後は同じクラスの八板を通して月島一家にも知らせておく。一年戦争優勝の看板を背負っているんだからな、月島は絶対に来いとそういう伝言も頼んでおいた。…もし来なかったら、ド(たま)カチ割ったるわ! と言ったら八板の顔が青くなった。…いや、…お前の頭は割らんよ?

 

 

 

 

 

 

明日の朝午前五時に決着をつける。そういうことになったと翼に言えば、

 

「…じゃあ見に行こうかな。喧嘩はあまり好きじゃないけれど、…ユキの勇姿を久しぶりに見たいし。」

 

とか嬉しいことを言ってくれた。しかしながら、俺がやり合うかどうかなんて分からんよ? と言っても来るらしい。変な奴等に絡まれなきゃいいけど、…そう心配したら、

 

「鉄生さんにボディーガードを頼もうかしら? …鉄生さんなら強いし安心出来るでしょ?」

 

…いやいや、流石の鉄生さんでもそんなことで呼び出されちゃー怒るだろ。そう思っていたんだけどOKみたい、何か面白そうだからとかって…。どんだけ暇人なんだよあの人、…まぁ鉄生さんなら安心出来るけどさ。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

次の日の朝、俺は派閥の奴等と合流する為にバイクにて天狗の森方面へ。翼とニケツだし交通安全強化週間なんで飛ばすことなく走り、最寄りの駅の駐輪場にバイクを置いて合流したっつーわけ。そこら辺に放置したらイタズラされるからな、…されたら犯人探して地獄を見せるが。翼とは駐輪場で別れ、派閥の奴等と大所帯で向かってみれば…既に大勢いる。…揃いも揃ってバカばかりだな、…そんな俺もバカの一人ってね。

 

翼は人目に付かないような場所にいるんだろうな、河内鉄生という強力なボディーガードと共に。…それにしても、野間先輩の姿が見えねーのは何故? 伊東先輩や川尻先輩に聞いても分からんとかって、…連絡も音沙汰ねーみたいだし。俺も連絡してみようと思ったんだが、…携帯は翼に預けたままだった。…まぁとにかく、何をやっているんだあの人は。…一番はしゃいでいたクセによ、…全く。

 

そうこうしている内に五時となり、こちらからは秀吉先輩が、あちらからはキングジョーと思われるデカイおっさんが現れた。何やらガンを飛ばしながら話しているが、どんな形で決着をつけるんだろうな? …やはり原作通りの五対五にでもなるんか? と思っていたら、森の中からおっさんが飛び出してきた。ターザンロープで勢いよく、…そして腰から落下して悶えている。…カッコ悪っ! 何だあのおっさんは! …って元黒焚連合二代目総長、中島信助じゃねーかよ! …原作でもおっさんだったが、…実物もかなりのおっさんじゃないか。




次は閑話。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~集まった奴等《その1》

寒いッスね~、寒暖差が激しすぎるんじゃ!


ー武藤蓮次ー

 

三年の先輩方と龍光寺が計画したらしい抗争の決着、その場所に選ばれたのが天狗の森。朝早くだっていうのに俺達を含めて多くの男達が集まっている、…多少の緊張感が漂う場所の筈なんだが…、

 

「こんな(とこ)でおにぎり食ってんじゃねーよ!」

 

迫田が叫んだように、俺達月島一家に緊張感というものがない。花は勿論、八板と村川は仲良くマリ姉のおにぎりを食っている。…ギラギラしている中でのほのぼの感、…ある意味異様だ。

 

花達は放っておいてだ、…俺は周囲を観察する。どいつもこいつも、…今か今かとその時を待っている。隣の尾崎もよく集まったと驚いてはいるが、俺としては当然であると思っている。ここにいる奴等は全員、無駄に血が多すぎる。血が多すぎて、たまにこーやって抜かねーと腐っちまう。…そんなもんなんだよ、俺達っていう存在は。こうして見回してみりゃー一目了然、どいつもこいつもそんな(つら)してるじゃねーか!

 

…で立会人が登場して場が盛り上がる、大物…中島信助。まさか立会人としてこの場に出てくるとは、…鳳仙も粋な計らいをしやがるぜ!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー河内鉄生ー

 

俺は丘の上公園の第二駐車場に原チャリを停め、大きな欠伸をする。普段の俺ならこんな朝っぱらから行動なんてしねー、未だ夢の中にいる筈だ。しかし、何かしらの面白いイベントがあるのなら別である。…今日この公園にある天狗の森にて、鈴蘭と鳳仙の大規模な喧嘩があると聞けば早起きするのも当然。ましてや、由紀也の彼女であり俺が妹分として可愛がっている翼のお願いだ、…断るなんて選択肢はねーのである!

 

無駄にテンションが高い俺は軽いスキップで待ち合わせ場所へ、…そこには俺的超絶美人の妹分で由紀也の彼女、

 

「あっ、…鉄生さん!」

 

翼が俺に向かって輝くばかりの笑顔で近付いてくる。うん…今日も可愛い、この娘は俺が育てた! 早起きは何ちゃらの得っていうけど本当なんだなー、今日は良いことがありそうだ。

 

 

 

 

 

 

喧嘩がよく見えそうな場所に二人で陣取りその時を待つ、…飯を食ってきてねーから腹へった。そう思っていると、出来る妹分である翼がお礼の気持ちも込めて…弁当をくれた。俺はそれに感動し涙する、…食えば美味すぎて言葉も出ない。そして更に、ゲストとして中島のおっさんまでもが登場とかって! ビビる程の幸運に内心驚く、…何なんだ今日はよー!!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー中島信助ー

 

遠くへ引っ越した俺の下へ、かつて競い合った金山丈が訪ねてきた。鈴蘭との揉め事に対し、月光兄弟からの苦言。…所謂愚痴ってヤツを聞かされた、だから俺は言ってやったんだ。喧嘩すんのが怖ーなら始めから突っ張んな、花火を上げるのなら今の内だぞってな。そう言えばスッキリしたような顔をする丈、そのまま帰っていきやがった。…後日、俺は丈に再び呼び出された。

 

 

 

 

 

 

鈴蘭と鳳仙の抗争、その決着を見届ける立会人として呼び出された俺。…そういう理由であるのなら、呼び出された甲斐があるってもんだ。丈曰く、合図を出したらコレで飛び出して来いとロープを渡された。そうした方が目立ってカッコイイ、……ならやってやろうじゃねーかと合図を待つ。

 

…で合図を受けて飛び出してみりゃー高すぎだ! そのまま地面に落ちて腰を強く打ちつけた。凄まじくイテー、…そして恥ずかしい! 目立ってカッコイイではなく、目立って赤っ恥をかいちまった。…クソ! 丈の口車に乗らなきゃよかったぜ!

 

 

 

 

 

 

痛みが引き、落ち着いた俺はまず丈に文句を言う。次に秀吉と絡んだ後に…、

 

「勝負は五対五! 各校一年一人、二年二人、三年二人! …五対五のタイマン勝負だ!」

 

そう叫んだ。俺が仕切るんだ、十分…楽しませて貰うぜ?




鉄生はシスコン気味。妹が乱暴されそうになった後、鈴蘭へ単身乗り込む程ですからね。

妹分にもそれが発揮される、……という設定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第13話 ~五対五のタイマン勝負ッス《月島 花VS松尾 大助》

分けようと思ったけど、それほど内容を濃く出来ないとのことで一緒にしました。


ー龍光寺由紀也ー

 

腰を(したた)か打ちつけた中島は起き上がり、キングジョーと秀吉先輩に突っ掛かった後にこう叫んだ。五対五のタイマン勝負と…、うん…原作通りだな。それを聞いた両校の奴等は大いに盛り上がる、フフフ…そういう俺も熱くなっている。俺の出番なんざねーだろうけど、人の喧嘩を見るってーのはなかなかに見応えがある。…楽しみで仕方がねーわ、マジで。

 

 

 

 

 

 

タイマン勝負に出る奴を決めるらしいが、俺達の派閥には関係ねー。原因を作った野間先輩がいれば推すんだが、当の本人はこの場にゃいない。三年の先輩方も野間がいないと騒いでいるし、

 

「野間が来なけりゃ俺が出るぜ! この程度の怪我なんざ屁でもねーよ!」

 

その結果、このまま姿を現さなければゼットンが出るという。…そのタイマンまでに来てくれりゃーいいけど、…このままじゃー逃げた男ってことになるんだが。どうすんだ? 野間先輩。

 

二年で出るのはブッチャーと黒澤、鳳仙で出るであろう奴と因縁があるからとか。…それに比べて俺ん(とこ)にはそういうのはないな、伊東先輩と川尻先輩も鳳仙とは関係ねーし。あるのはこの場にいない野間先輩だよ、…早く来ないと見せ場がなくなるぞ?

 

一年で出るのは…って時に、みんなの視線が俺に集まったんだが…、

 

「…俺じゃねーだろ、ここで出るべきは月島だ。…鳳仙に見せてやれよ、一年戦争を制した男の実力をよ。」

 

俺は出ることを拒み、代わりに月島を推した。その意味を理解した奴等は納得し、一年で出る男は月島に決まったわけで。

 

「龍光寺、あんがと! 推されたからには絶対に勝つよ!」

 

俺に対して笑顔で礼を言ってきた。…勝って貰わなきゃ話になんねーからな、その言葉…信じるぜ? 月島。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー月島花ー

 

マリ姉のおにぎりを食べて腹を満たした後、どうなるのかと思っていたら五対五のタイマン勝負となるようで。誰が選ばれるのかとドキドキしていたら、龍光寺が俺を推してくれたのだ! 俺ぁ嬉しくて、龍光寺にちゃんとお礼を言ったよ! 推してくれたからには勝たないと、一年戦争優勝者としても負けるわけにはいかないさ!

 

 

 

 

 

 

みんなが見ている中で、俺は前へと進んでいく。…対戦相手は俺よりも身体がデカイ、なかなか強そうじゃないか! …睨み合うように視線を交え、互いに拳を握って構える。…あっ、…戦う前に。

 

「…恨みっこなしな!」

 

この一言を言わないと。…あれ? …相手の視線が厳しくなった。…何で?

 

 

 

 

 

 

俺が動く前に相手の方が早く動いた、俺は冷静に相手の動きを見る。向かってきた相手は最初に左の拳を振るってくる、それを見切って避ければ今度は右の拳。それも余裕を残して避ければ次は蹴り、この蹴りはきっちりガードをして防ぐ。なかなかに早い連続攻撃ではあるけれど、…そんなんじゃー俺は倒せないぜ?

 

全ての攻撃を対処された相手は、再び右を放ってくるけれどやや大振り。…うん、これならきっちり返せるね。見切ったこの右の拳を左で受け流せば相手はがら空き、そこを見逃さずに握り締めた右の拳を下から振り上げる。俺の必殺アッパーだ、それが無防備である相手の顎に良い感じで決まる。相手は白目を剥きながら仰け反って吹っ飛ぶ、うん…完璧だね! 一撃で決めることが出来た、…これは文句なしでしょう!

 

 

 

 

 

 

相手を倒した瞬間、周囲の喧騒がなくなり静かになった。…あれ? と思ったんだけど、

 

「…それでこそ一年戦争を制した男だ、…月島!!」

 

拍手と共に龍光寺がそう声を掛けてくれた。…その言葉が切っ掛けで次は大歓声、いやぁ~…気持ちがいいね!




次は閑話。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~集まった奴等《その2》

今日も雨だなぁ~…。


ー中島信助ー

 

鈴蘭と鳳仙の決着を五対五のタイマンで決めると宣言し、脇に寄れば呼び出していた幼馴染の後輩が俺の下へ。俺の母校である河田二高の一年、世良直樹。いずれ河田二高を仕切るであろう直樹を呼んだのには理由がある、俺は今や余所者でこの辺の奴等のことはほぼ知らねー。それを教えて貰う為に直樹を呼んだんだ、…ん? だと思ってより詳しい奴を連れてきた? …じゃあ頼むわ。

 

 

 

 

 

 

中心で向かい合っている二人のことを聞いてみると、鳳仙の代表が一年の松尾大助。入学式の日に月光兄弟の光政とやり合い負けたらしいが、あのガタイからして相当の実力を持っているのでは? とのこと。対するのが鈴蘭一年の月島花、一年戦争の覇者で鈴蘭の番長を目指す今話題の男。

 

…一年戦争を制するのは龍光寺だと思ったんだが、アイツはそれに出ないで派閥を作ったとか。九里虎とは違った意味で自由な奴だな、…直樹には一番の宿敵。奴のこれからが気になるが今は月島か…、と思った矢先に月島が勝ちやがった。横目で直樹を見りゃー真剣な(つら)してやがる、…新たなライバル出現か。…龍光寺に月島、…鈴蘭は層がお厚いこって。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー月本光政ー

 

ボスであるキングジョーの命令は絶対、良い(とこ)取りはスジが通らねーと言われれば黙るしかない。俺ではなく松尾、…俺じゃなきゃ勝てねーのに。…こんなことになるんだったら、関係ねーとか言わないで参加すべきだった。何とも心がモヤモヤするぜ、…負けるにしても根性見せてくれよ松尾!

 

 

 

 

 

 

大谷と三浦が俺に声を掛けてくる、松尾はそう簡単に負けるよーな奴じゃねーと。そんなことは分かっている、やり合った俺が一番…! 二人に怒鳴った時、向かい合っていた二人が目を見開いた。何事かと振り向いてみりゃー、…松尾の奴がぶっ倒れていた。…何が、…一体何が起こったんだ!?

 

二人に詰め寄って聞けば、マーシー君を一撃で倒したアッパーで同じく一撃でぶっ飛ばされたとのこと。あの松尾を一撃…、一撃で…だと!?

 

 

 

 

 

 

やられた松尾を運び気が付くのを待つ、そして目覚めれば…松尾自身も何が起きたのか分からないようで。…それでも少し経てば、自分が月島に負けたってことを自覚した。そんな松尾に聞いてみた、…俺と月島ではどちらが強いのか。…松尾は言った、俺よりも月島の方が強いと確かに…。月島は俺よりも強い、…じゃあ龍光寺は? そう考えた時、額から汗が滴り落ちる。……更に上なんじゃないかって、…何故かそう思っちまったんだ。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー河内鉄生ー

 

翼から貰った弁当を食べ終え、お茶を飲んで一息吐く。改めて翼に礼を言ってから決戦の場へ視線を向ければ、両校から一人ずつ前に出て対峙する。出る前に由紀也と話したっぽい鈴蘭の代表、…あのマルコメが月島花か。一年戦争を制して由紀也が目を付けた男、…対峙する鳳仙の代表は知らねーけど選ばれたからには相当な男だろう。

 

 

 

 

 

 

翼と揃ってそのタイマンを見てみれば、ほぼ一瞬で鳳仙の代表をぶっ飛ばしやがった。

 

「「…………!?」」

 

流石の俺も、そして翼も驚いちまった。…これ程のものとは、…流石は由紀也に目を付けられた男。かなりの実力者だわ、こりゃー将五と明もうかうかしてらんねーわな。…後で教えてやんねーと、…月島はスゲーぞってな。

 

 

 

 

 

 

…月島花の実力は分かった、分かったんだがまぁこんなもんだろうとも思った。驚いたっちゃー驚いたけど、まだまだ由紀也には及ばない。由紀也は強すぎるからな、俺の見立てでは九里虎級。そんなわけで月島のこれからに期待する、たぶん由紀也も期待しているんだろうな。俺がそんなことを考えていると、

 

「…へぇ~。あのマルコメ君があれくらいなら、…ユキならもっと飛ばせる筈よね? …そう思いません? 鉄生さん!」

 

翼は翼なりに分析しているようで。喧嘩があまり好きじゃないのに的確だからなー、翼はよ。




次は本編。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第14話 ~五対五のタイマン勝負ッス《黒澤 和光VS真島 一也》

忙しくなるからGWは嫌いだ。


ー龍光寺由紀也ー

 

一年同士のタイマン勝負は月島花の圧勝、相手の松尾…とか言ったか? 並の相手であれば強いんだろうが、まぁ相手が悪かったってことだな。…とりあえずは鈴蘭の一勝、月島の強さに盛り上がっている。俺の派閥はそこそこだけどな、月島…強いんじゃないの? 程度だ。頭が俺だからな、仕方がないのかね…。

 

続いて二戦目。鈴蘭の代表は二年の黒澤和光、対する鳳仙の代表は同じく二年の真島一也。この二人は中学時代から因縁があるようで、特に黒澤の方が闘志剥き出しだ。今回の抗争で襲撃されているからな、そうなるのは当然であるだろう。

 

 

 

 

 

 

さて、…二人の戦いはどんなものになるのかな? 伊東先輩曰く、二人の実力はほぼ互角であるらしい。…となると、闘志剥き出し中の黒澤が有利になるか? 気持ちで実力を上回るだろう。…楽しませてくれよ? 黒澤先輩。良いタイマンを期待させて貰うぜ。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー黒澤和光ー

 

因縁ある男、真島相手に拳を振るう。中学時代からやり合っている為、互いの実力…クセ等が分かるから白熱している。こちらが右の拳を振るえば、真島の奴は左の拳を振るう。蹴りを放てばそれを避け、真島も蹴りを放ちカウンターをしてくる。…きっちり避けるが決め手がない、普段の俺であるのならいつもの如く引き分けで終わるだろう。

 

…だが今回ばかりは負けるわけにはいかねー! 闘志溢れる俺は、いつも以上に手数を増やして真島を攻める。流石の真島も面食らったようで、徐々にこちらが押し離していく。均衡が完全に崩れたのは俺の裏拳が真島の横っ面に上手く決まり、怯んだ所へ腹に一撃を加えた時。…真島は腹を抑えて片膝を付く、この瞬間…俺が有利となった。

 

 

 

 

 

 

それでも真島は向かってくる。苦し紛れの体当たりを抑え込み、その背に肘打ちを一撃。それに堪えた真島は頭を上げてそれが俺の顎に、軽く怯んだ時に右ストレートが俺の頬を捉えた。しかし腰の入っていない拳に威力なんかない、余裕で堪えきって挑発すれば猛然と殴り掛かってくる。…もう、終いにするぜ…真島!

 

隙だらけの拳を避けて真島の頭を掴み、勢いそのままに顔面へ膝蹴りをかます。完全に怯んだ真島の側頭部へ、渾身の後ろ回し蹴りが決まる。ぶっ飛んで蹲る真島を見下ろしながら近付く、…中学時代を思い出して。

 

 

 

 

 

 

当時中学二年で血気盛んだった俺は、隣の中学の同学年にいる危ねー野郎へ挑戦しに行った。その危ねー野郎こそが真島であり、やり合ったその日から因縁が始まった。当時も互いに実力は並んでおり、一進一退の攻防が続いていた。…しかし、真島の野郎が刃物を取り出し俺の頬を切り裂いた。刃物を手に調子こぐ真島に怯んでしまった俺、為す術がなかったが…人が来た為に有耶無耶となった。

 

 

 

 

 

 

……その時のことを思い出す俺、この頬の傷の借りを返していねー。それにこの状態からコイツはきっと、…変わっていないのならアレ(・・)を取り出す筈だ。十分に警戒しながら近付けば、やはり真島は刃物を取り出して…!

 

俺は刃物を持つ手を掴み取り、そのまま捻ってから真島の顔に肘を入れる。刃物を落として座り込む真島に、

 

「真島、お前…変わんねーな。…お前に平伏した奴等はお前が怖かったんじゃねー、お前の隠し持っている刃物にビビっていたんだぜ。…それが分からねーお前は俺には、…鈴蘭には一生勝てねーんだよ!」

 

そう言ってからトドメを刺した。動かなくなった真島を見詰め、…暫くしてから戻れば鈴蘭のバカ共から手荒い祝福を受ける。やり合って傷付き、疲れている俺をもっと労れよ! …そう思っても俺は、笑みを浮かべているだろう。中学時代の因縁を、…借りを返すことが出来たんだからな。




次も本編。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第15話 ~五対五のタイマン勝負ッス《神戸 好克VS月本 光義》

死にそう。


ー龍光寺由紀也ー

 

見応えのあるタイマンだったぜ、やるな…黒澤! トドメを刺す時に言った言葉も良かった。一匹狼で目付きが悪い人だが、…何とも熱い男のようだ。晴れ晴れとした顔で戻ってきた時、周囲の奴等が寄って(たか)って手荒い祝福を黒澤に与えていたが…。

 

黒澤の勝利で鈴蘭の二勝、この勢いのままで三勝目を狙って欲しい。…とのことで、次の代表であるブッチャーに期待させて貰う。見てみりゃー気合十分、負ける気がないようだ。中心へ行く前に黒澤から一言言われたかと思ったら、続いて原田…そして俺ん(とこ)の川尻先輩も、

 

「お前、金借りすぎだろ! コケやがったら俺の貸した四千円、耳揃えて返しやがれ!!」

 

と叫んでいた。…ブッチャー、…本当に金の借りすぎだろ。何に使っているんだ?

 

 

 

 

 

 

タイマンを始める前にちょいとあったがブッチャーは前へ、相手は二年の月本光義。これもまた因縁ある二人だわな、二人揃って短気だし揉め事を何回も起こしているらしいし。そういう因縁があるからな、どちらも負けるわけにはいかねー筈。意地のぶつかり合い、…どうなるもんかね?

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー神戸好克ー

 

気合十分、勝つ気で向かおうとしたわし。そんなわしに黒澤と原田、そして川尻が負けたら金を返せと言ってきやがった。絶対に負けられねー戦いへ向かうわしに対して、そりゃーないんじゃないかい? と思った。しかしなおのこと負けられねーと気合が入った状態で光義の前へ、睨み付けて改めて思う。コイツにゃ負けるわけにはいかんのじゃ!

 

 

 

 

 

 

睨み合ったわしと光義、互いに言うこともなく組み合う。力と力が競い合う中、光義の奴が挑発してきたが流して更に力を入れる。…わしの方が力を入れるタイミングが早かった、…となれば光義の方が不利になるわけなのだが。

 

わしが有利となった瞬間、卑怯にもこのハゲはわしの腹に膝を入れてきやがった! カチンときたわしは組んでいた手を放し、光義の顔面を力任せにぶん殴る。奴は一歩下がるも堪え、その反動を利用して蹴りを放ってきた。その蹴りを堪えきったわしも、足を踏み出してもう一度ぶん殴る。そこからは意地の張り合いで殴り合い、わしも光義も…一歩も退くことなくそれを繰り広げた。

 

殴りまくったからか息が上がり手が止まってしまった、…マズイ! と思ったが光義もわしと同じようで手が止まっとる。それでもわし等は意地を張る、まだまだ余裕…と見せる為に互いの襟元を掴み合って、

 

「…じゃーわりゃーっ!!」

 

「…ーだってめーっ!!」

 

至近距離でメンチを切り合う。…まだまだこれからじゃい!!

 

 

 

 

 

 

…数秒? それとも数分? どれくらいの間、…わし等は殴り合っていたのか? 全く分からんがわしは負けねー! 更に熱くなるわしは猛攻を仕掛ける。当然…光義も応戦するが残念なことに、わしは熱くなりながらも冷静で…。光義渾身の一撃を見切り、避けると同時に懐へと飛び込む。

 

驚愕に染まっとるヒマはないぜ、光義!! そのまま襟元を掴み、背負い投げという…!

 

「食らえっ! 必殺…火炎車ーっ!!」

 

わしの必殺技である火炎車が綺麗に決まった。地面に投げられた光義は白目を剥いとる、…ちゅーことは!

 

「ウィィーーーーッ!!」

 

わしの勝利じゃー!!

 

宿敵光義を撃破したわしは、仲間の下へと凱旋する。

 

「ざっとこんなもんじゃい! デッシェシェシェシェ……!!」

 

…あれ? …目の前が白く、……白くなってきとるがなっ!?




次は閑話。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~集まった奴等《その3》

‼さん、感想ありがとうございます。

うーむ。

感想でも言われましたし、自分でも思っていたことだけど。

原作と変わらない展開の時は流した方がいいかなって。

本気で考えちゃいますね。


ー河内鉄生ー

 

鈴蘭に単身乗り込んだ時に喧嘩を売ってきた男、黒澤の奴がなかなかに良いタイマンを見せてくれた。刃物を持ったバカに言った言葉も良い! やりやがるな、…あの野郎!

 

そしてブッチャーと月本光義のタイマン、手に汗握る…熱いタイマンだった! 最後にブッチャーの背負い投げ、ボロボロの状態で投げられりゃー一溜りもないわな! …なかなかどうして、本当に今日は来て良かったぜ!!

 

 

 

 

 

 

隣にいる翼も楽しんでいるようだな、喧嘩が苦手とか言っているが由紀也の彼女だけある。さて、次は三年同士のタイマンに移るわけだがどうなるんだ? …鈴蘭の怪獣王がいねーけど。そんなことを考えていると、何処からともなく聞こえてくる着信音? 誰のだ…っていうか翼しかいねーわ。翼の方を見れば、

 

「…ユキの携帯、…あっ! 野間さんからじゃない!?」

 

由紀也の携帯を持っていたのかよ。どうしようかと悩む翼に俺は言った。

 

「由紀也は向こうだし、とりあえず出ればいいじゃねーか。内容聞いてからどーするか、…決めればいいと思うぜ?」

 

翼は俺の言葉に従い携帯に出る。普通に話しているみたいだが、…知り合いなんか? …え、…中学時代の先輩?

 

 

 

 

 

 

…話し終えた時に内容を聞いてみれば、怪獣王は今日の朝方…階段から落ちて骨折したらしい。そん時に自分の携帯をぶっ壊し、連絡出来ぬままに病院へ。先程治療を終えて、病院の電話から連絡してきたとのこと。何やっているんだ? …あのおっさんは。

 

骨折の為に不参加、そのことを知らせないといけない。翼はそう言って由紀也の携帯から誰かに連絡しようとするが、…俺はそれを止めた。怪訝な顔をする翼に俺は、

 

「…怪獣王の代わりに由紀也を戦わせる案を思い付いた。…翼も由紀也のタイマン、それを見たいよな?」

 

そう言えば大きく頷く。…なら、由紀也に戦って貰おうじゃねーか。それには翼の協力が必要だ、…注目を浴びることになっても大丈夫だよな?

 

 

 

 

 

 

とりあえず思い付いた案を翼に話し、了承されたから行動を開始する。案っていうか作戦っていうか、ただ単純に奴等の方へ向かうだけ。それも鳳仙よりの方からな! 由紀也のことを詳しく知らないだろうから見れば騒ぐだろう、翼のことを知らないだろうし俺もいるし。ケケケ…、どうなるのか楽しみだぜ!!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー金山丈ー

 

真島に続き光義までもが負けた。これでわし等の三敗、流石は鈴蘭じゃのー。予想通りの展開だからわしは気にならんが、光信以下…殆んどの奴等が呆然としている。自分達こそが最強と驕り高まっていたんだ、良い薬になるんじゃなかろうか?

 

「…元々お前等が望んだ事じゃろーが。…悔しいがのー、鈴蘭は鳳仙より上っちゅー事じゃ。」

 

そう言えば光信は膝を付き項垂れる、他の奴等も同じように。…はぁ~っ、…何だか情けないのー。

 

わしは項垂れる光信に対して、

 

「…立て! 胸を張れ! まだわしとお前が残っとるじゃろーが! 後輩共に…光政に…、鳳仙の喧嘩ってもん見せるんじゃろーが!」

 

その言葉を聞いた光信は、目を見開いてから静かに立ち上がった。…そうじゃ、それでいいんじゃ。勝つだけが全てじゃないんだぜ? 負けて得るモノもあるっちゅーこっちゃ!

 

 

 

 

 

 

光信も立ち直ったし、そろそろ次へ行くかのー。そう思った時に響いたのは、

 

「ぶ…武装の河内鉄生が現れたぞーーーっ!! 隣に美人も連れてーーーっ!!」

 

と言う叫び声。…武装の河内鉄生? …美人(べっぴん)? 叫び声の方へと視線を向ければ確かに、確かに武装の河内鉄生と見知らぬ美人(べっぴん)がこっちに来とる。……………喧嘩売っとんのかい、あのガキャ~ッ!!




原作では九里虎だけど、この話では……。

次は本編。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第16話 ~四戦目の代表は……

速読者さん、感想ありがとうございます。

感想にもありましたが、なるべく同じ展開になりそうな時は略すか抜かすかにしようかと思います。

…がしかし、このタイマン編だけはご容赦を。

今さらってーのはあれなんで。


月本光義を豪快にぶん投げ、勝利の雄叫びを上げるブッチャー。その後…、白目を剥いてぶっ倒れたが俺達鈴蘭の三勝目。…ここまでは原作通り、そして次が問題である。四戦目の代表がまだ決まっていないんだよ、…野間先輩が来なくてね。

 

そのせいで俺達鈴蘭は揉めている、…誰が代表となりタイマンをするのかと。名乗りを上げていたゼットンは怪我の為無理、その他の先輩方も難しい。ならば俺がと一年二年の奴等が騒ぎ出す、…原作では九里虎が現れるんだけど。

 

そんなことを考えていると、…最悪な情報が俺の耳に入ってきた。武装の河内鉄生、美人と二人でこの場に現れる。…何てことしてくれてんだあの人は! 何故に現れる、そして何故に翼を連れてくる! そんなことをしたら荒れるぞ、…俺の周囲が!!

 

 

 

 

 

 

堂々とこちらへ向かってくる鉄生さんと翼、その視線は俺に固定している。…やはり俺なのか? 何て考えている俺の周囲…はそれほどではないにしても、それ以外…鳳仙側も含めて殺気立っている。原因は鉄生さん、…鉄生さんが女連れで現れたことに殺気立っているのだ。…まぁ、ここにいる奴等はモテないもんね?

 

そうこうしている内に二人はこちら側へ、そして…、

 

「よーっ! 鈴蘭のアホんだら諸君、朝から元気だな!」

 

と挑発するように挨拶をしてくる鉄生さん。当然…、

 

「てめーっコラ鉄生! 何じゃい隣の美人はっ!!」

 

「エテ公! 何でお前が女連れなんだオイッ!!」

 

「自慢か? 自慢なのかコノヤロー!!」

 

いつの間にか復活していたブッチャーやゼットン、岩城を中心に怒号を上げていく。そんな怒号を涼しい顔で流し、こちらを見てニヤリと笑った。…まさか!? と思った矢先、

 

「勘違いすんなや、この娘は彼女じゃなくて妹分! この娘の彼氏はそこにいる、…龍光寺由紀也だ!!」

 

とぶっちゃけやがりました。怒りを鉄生さんに向けていた全員が俺の方へ向く、…凄い形相ですね? 皆さん。…狼狽える俺の肩を、翼のことを知っている秀吉先輩がポンッと叩いて目で語ってくる。……諦めろと。

 

 

 

 

 

 

とりあえずここへ来た理由を聞けば、預けていた携帯に野間先輩からの連絡が。階段から落ちて骨折、携帯もぶっ壊して約二週間は入院…ごめんなさいとのこと。本当に…何をやっているんだあの人は、…素直にそう思った。そういうことだから、野間先輩は出れない…ってことになるわけで。やはり代表はこの中の誰かから…、と思ったところで嫌な予感がした。

 

直感的に腰を落とせば、俺の頭上を鉄パイプが通りすぎた。…危ねーっ!? 驚愕する俺に、

 

「野間の代役はテメーだ! さっさと行けこのバカ!!」

 

ゼットンが鉄パイプを俺に向けて怒鳴ってきた。反論しようとしたが悪寒を感じ、横へとずれれば鉄バット。

 

「文句なんて言わせねー! さっさと行かなきゃテメーのクサレキャンタマかっ飛ばすぞ!!」

 

ブッチャーも興奮して俺に敵意を向けてくる。更に角材を手にした岩城、マサ先輩が…、

 

「…お前が強かろうと、囲んで袋にしたら一溜りもないだろ? …まぁ何だ、…行かねーとぶち殺す!!」

 

「由紀也! テメー…羨ましすぎんだよコノヤロー!!」

 

そんなことを言いながら迫ってくる。四面楚歌ってヤツか? …流石に分が悪い。チラリと鉄生さんと翼の方へ視線を向ければ、二人でハイタッチしとるし。…こーなることを狙ってやりやがったな? あの二人は。チクショーめ!

 

タイマンの代表に選ばれるのは嬉しい、…がその選ばれ方が嫉妬とかっていうのは何か違う。モヤッとしている俺に対し、先輩方が歯を剥き出し…、

 

「「「「ガルルルルルッ!!」」」」

 

威嚇してきているし。……行きますよ、行けばいいんだろ!




原作とあまり変わらんじゃないか! って思うかも知れませんがご容赦を。

オリ主を代表にするのはこの展開が一番無理はないかと思いまして…(汗

前書きでも言いましたが、今さらタイマン編を略すのはってヤツです。


氏家をぶっ飛ばした時のが丁度いいオリジナル感かな?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第17話 ~五対五のタイマン勝負ッス《龍光寺 由紀也VS月本 光信》

‼さん、ワンダラーさん、感想ありがとうございます。

本日二本目です。

感想でも言いましたが、

自分では気付かないってことも多々あります。

だがまぁ、気を付けないとって気持ちッス。


ー月本光信ー

 

丈に一喝されてやる気になった俺だが、突如現れた武装の河内鉄生と見知らぬ美人のせいでやる気が削がれた。…というか殺意が芽生えた、…あのヤロー! 自慢の為にここへ来たのか!? そう考えるだけで怒りが湧いてくる、…どうしてくれようか!

 

その二人は揉め事を起こしている鈴蘭側へ行ったかと思えば、こっちにまで響く程の怒号を上げだした。見てみりゃ一人の男に対し、ゼットン達が寄って(たか)って襲い掛かっている。…何をやっているんだあいつ等は! イライラが募る俺、…舐めやがって!!

 

 

 

 

 

 

暫くしてからこちらへ向かってきたのはゼットン達三年ではなく、…龍光寺とかいうガキ! なおのこと舐めやがって! …一年を出してくるたー完全なルール違反じゃねーか! 審判である中島にそう言えば、

 

「…光信、お前あの龍光寺が怖いのか? だったらそう言えよ。『私は龍光寺という一年が怖いです、だからせめて怪我でボロボロのゼットン君にして下さい!』…そういうことなら、俺が立会人として掛け合ってやるが?」

 

とか抜かしやがった! そんな交渉されちまったら一年にビビっている情けない男と見られちまう。

 

……………クソが! 今の話はなしにしてやる。俺の優しさ(・・・)を袖にしやがって、…一年だからって手は抜かねー。…覚悟しろや! 怒りとやる気で気合MAXの俺に、氏家が頬に力強くビンタをしてきた。当然怒鳴ったが、氏家はあのガキにやられたとのことで俺に気合を注入したかったらしい。その氏家の気持ちも汲んで向かおうとしたら…、

 

「…あいつ、…マジでツエーからな! ……死ぬなよ!!」

 

……!? …つ、強いと言ってもたかが一年! …ぶっ潰してやらぁ~っ!!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー龍光寺由紀也ー

 

「ノブーッ! やれー!! その一年坊をぶっ殺せ!!」

 

「気合い入れろ光信! そんなクサレリア充に負けんじゃねーぞ!!」

 

「その通りだ! 二度とイチャつけねーようにバキバキにしたれーっ!!」

 

「光信! お前こそが俺達の希望だ! …モテる男なんざ粉々にしてしまえーっ!!」

 

「翼に愛想尽かされるぐらいに痛め付けろ! 光信…! お前なら出来る筈だーっ!!」

 

鈴蘭の代表である筈なのに、鳳仙よりも身内からの野次が酷いのは何故? …しかも最後のはマサ先輩だな? …後でぶっ殺してやる!! …くはははははっ、…マジで腹が立ってきた! 全てが終わったら鉄生さんと翼、…二人ともしっかり話さねーと。

 

内心怒りに震えながら、横目で鉄生さんと翼の姿を捉えていると、

 

「うぉぉぉぉぉっ!!」

 

光信とかいう鳳仙の代表が不意打ちのつもりで襲い掛かってきた。…見え見えだぜ? 光信さんよー! アンタに恨みはないが、…死んでもらうぜ? 恨むのは鈴蘭(ウチ)の先輩方にしてくれよな!!

 

迫り来る拳を横回転で避け…、その勢いを利用して光信の後頭部に強烈な肘鉄を見舞う。自分を称賛したい程の一撃、現に光信は糸の切れた操り人形が如く崩れ落ちたし。…くはははははっ! あまりの電光石火な展開に、……みんな固まっていやがる! どーよ? これが俺の実力だ!!

 

歓声を上げてくれているのは俺の派閥と鉄生さん&翼のみ、他の奴等は口を大きく開けて固まっているだけ。まぁそんなこたーどうでもいい、…今の俺にはやらなきゃならねーことがある!

 

「政成ーーーっ!! ぶっ殺してやるっ!!」

 

そう叫んで俺はマサ先輩目掛けて走る。俺の叫びを聞いたマサ先輩は…、

 

「何で俺の野次だけ正確に聞き取ってんだよ! …しかもマジギレしてやがる、ヤベェ…殺される!!」

 

そう言って逃げ出した。…逃がさねーからな、小林政成!!




次は閑話。

明日の投稿になります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~集まった奴等《その4》

仕事の合間~…。


小林政成が龍光寺由紀也に捕まり、コブラツイストを掛けられて悲鳴を上げている頃……、

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー月本光政ー

 

俺は言葉を失った、信兄ぃが一瞬でやられちまったからだ。信兄ぃが龍光寺に拳を突き出したと思ったら、いつの間にか龍光寺が信兄ぃの後ろにいて…。気付いたら信兄ぃが崩れ落ちていた、…一体何が起きたんだ? 見逃した月島の時とは違う、この目でしっかりと見ていたのに分からなかった。

 

あれが猟犬龍光寺由紀也、…強い! 月島も十分脅威的だが、この龍光寺は次元が違う。こんな奴等が同世代、…ビビるどころか燃えてくる。少しでも近付けるように気合を入れていかねーと!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー月島花ー

 

初めて会った時から強いと思っていた、けど…これ程のものとは思わなかった。流れるように拳を避けてからの肘鉄、何とか見ることが出来た。それほどの速攻を目にして、握った拳に力が入る。九里虎さん級の圧を感じたよ、…あの消える蹴りと同じような感じ?

 

蓮次、迫田、八板、尾崎、村川。その五人を見れば、少し顔を青くして微妙に震えている? …そういえばこの五人、龍光寺を知っているんだっけ? …やり合った時のことを思い出しているのかな? …まぁどちらにせよ、いつかはやり合う龍光寺の実力が見れたんだ! …やり合う未来を思い浮かべれば、…ワクワクが止まらないね!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー世良直樹ー

 

龍光寺の野郎、…あの時よりも強くなっていやがる! 率直にそう思った。中学時代に蓮次とつるんでは、龍光寺と迫田の二人とやり合っていた。迫田とは互角にやり合えていたが、龍光寺にだけは勝つことが出来なかった。…高校に上がり実力を磨き、いずれリベンジを…と思っていたんだがな。

 

それに中島さんが…、

 

「龍光寺の奴はやっぱり強い、…あの九里虎と並ぶかもな。…九里虎の一強はこれで終い…か。」

 

そんなことを呟いていた。花木九里虎と互角、…あり得ねーとは言えねーのが恐ろしいぜ。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー加東秀吉ー

 

…由紀也、…久々にお前の強さをこの目にしたぜ。…お前はどんな相手にも怯まず、正面から来る奴を真っ向から粉砕してきたよな? 下手な小細工をしようものなら、同じように小細工をして相手を追い詰める。目には目を、歯には歯を。お前はそれを実践してきた、…正直スゲーと思う。

 

お前の喧嘩を見た後は心が熱くなっていた、何故か力がみなぎってくるんだよな。…今回もソレだ、あのキングジョーとやり合うってーのによ。どーしてか負ける気がしねーんだわ、勿論…勝てる気もしねー。この感覚も久々だ、無駄に熱く…血が騒ぐってーのかね? …まっ、とにかくだ。早くキングジョーとやり合いたい、それに尽きる。…今度は俺のタイマンを見せるからよ、しっかりと見ててくれよな…由紀也!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー河内鉄生ー

 

俺の作戦は大成功だった。モテない男の集まりである鈴蘭の連中、そんな奴等の前に翼と行きゃー嫉妬される。そして翼が由紀也の彼女だと声高らかに言えば…、彼氏である由紀也が猛烈に嫉妬されるわけで。その結果、由紀也が代表となってタイマンをするってことになった。俺の頭脳も捨てたもんじゃねーな!

 

 

 

 

 

 

…で、鳳仙の光信っておっさんとタイマンを張った由紀也は圧勝! 圧倒的な強さの前に殆んどの奴等が間抜け面、ケケケ…自分のことのように誇らしいぜ! 翼も由紀也の勇姿にご機嫌だし、良いことずくめだな!

 

…と思った矢先、鈴蘭のマサが由紀也に追っかけ回されている姿を見て血の気が引いた。……アレは未来の俺なのでは? …と。翼も俺と同じことを思ったみたいで喜びから一転、…視線をさ迷わせてめっちゃ挙動不審になり始めた。

 

俺と翼は互いに顔を見合わせて頷く、…とりあえず逃げよう!

 

…俺達は人知れず、この場から立ち去ることに成功した。




次は本編。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第18話 ~タイマンの前の……

kuma99さん、感想ありがとうございます。


ー龍光寺由紀也ー

 

マサ先輩を処刑した後、鉄生さんと翼を探してみたが…いなかった。…あの二人、…逃げやがったな? …軽く話すだけにしようと思ったが、こりゃーそれ以上のことをせにゃならんわな。さて…どうしてくれようか? そんなことを考えながら戻れば、秀吉先輩が静かに立っていた。喧騒の戻ったこの場において異質、何も聞こえていないのでは? と思う程の落ち着きぶり。…こりゃー期待出来るわ、この秀吉先輩が出れば負けることはねー。

 

 

 

 

 

 

俺は一人静かに立つ秀吉先輩に近付き、

 

「…秀吉先輩。相手はキングジョー、一年から鳳仙を力でねじ伏せてきた男です。かなりの強敵でしょうが、…やれないこともないかと思います。俺は勿論、…みんなが秀吉先輩を見てるんで。熱く冷静にやってください、今の秀吉先輩なら…きっと!」

 

そう声を掛けた。俺の言葉に反応した秀吉先輩は静かにこちらを見て、

 

「…ゼットンの奴が九里虎に敗けた時、俺なんかじゃ到底敵わねーって思い込んでいた。だが…あの時とは違う、今日は違う。お前のタイマンを、圧倒的な強さを久々に見たら熱くなっちまった。静かに燃えてるって前にそう評してたな? …今がそれなんだわ。」

 

そう言葉にした。…その言葉には色んな想いが含まれているんだろう、俺はそう感じた。

 

「…恐らく、このタイマンが俺の最後の喧嘩になるだろう。だから見ていてくれ、…しっかりと目に焼き付けてくれ。俺の認めたお前の中に残ってくれるのなら、俺のガラじゃねーけど素直に嬉しいからな!」

 

続けて言った後に笑みを浮かべる秀吉先輩に対し、

 

「…ちゃんと焼き付けておきますよ、当たり前じゃないッスか。そして今回の勇姿、…きちんと報告させて貰いますよ? …姉貴(・・)に。」

 

そう言えば瞬時に真顔となって…、

 

「…それはヤメロ、…こっ恥ずかしい!」

 

というやり取りをした。

 

その後は互いに笑い合ってから、

 

「そういえばマサはどうした? 人一倍野次っていたが…。」

 

マサ先輩のことを聞いてきた。それに…、

 

「向こうで白目剥いて倒れてますよ、…処刑したんで。」

 

と答えれば、秀吉先輩はまた笑い、

 

「…良い感じで緊張が解れたぜ。…じゃあ、…行ってくる。」

 

軽く拳を突き出してきたから俺も拳を突き出し、コツン…と軽くぶつけ合う。そして秀吉先輩は踵を返し、キングジョーの待つ中央へと進んでいく。その後ろ姿を見て確信する、秀吉先輩は善戦し負けることはねーと。

 

 

 

 

 

 

今から始まる秀吉先輩とキングジョーのタイマン、この目にしっかりと焼き付けなければ。焼き付けるって言ったし、今回のタイマンは秀吉先輩至上最大のタイマンになるだろうし。それにヤメロと言われても、家で色々と聞いてくる姉貴(・・)がウザいからな。自分の彼氏(・・)が気になるんだったら自分で聞きゃーいいのに。…全く、普段は強気のクセに秀吉先輩のことになると乙女なんだから。

 

…因みに今更だが、秀吉先輩は俺の姉貴の彼氏である。秀吉先輩とはマサ先輩をぶっ飛ばした後からの付き合いなのだが、それ以降…飯を食いに行ったりと仲良くさせて貰っていると以前言ったな? その時にたまたま姉貴と鉢合わせて、やんちゃな少年である当時の秀吉先輩を気に入り今に至るわけで。姉貴の名前は龍光寺カイ、大学一年である。…将来的には義兄(アニキ)になるかもなー。




秀吉には大学生の彼女だか何だかがいましたよね?

マサが嫉妬してたような?

とりあえず、次話も本編。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第19話 ~五対五のタイマン勝負ッス《加東 秀吉VS金山 丈》

もふっとさん、速読者さん、感想ありがとうございます。


ー加東秀吉ー

 

由紀也と話したことで程よく緊張が解れた俺は、心身共に好調の状態でキングジョーの前に立つ。その力で鳳仙を支配してきた男、キングジョーとやり合うってーのは普通なら少しは怯むようなこと。…が今の俺には何ら脅威も感じない、真正面から挑んでやると思うまである。

 

「…行くぞっ、キングジョーーッ!!」

 

「…来んかいっ、秀吉ーっ!!」

 

互いに叫んで向かっていく。…全てを出し切れ秀吉! …俺にはそれが出来る筈だ!!

 

 

 

 

 

 

真正面からぶつかった俺は、キングジョーと壮絶な殴り合いを始めた。その拳の一撃一撃が身体の芯に響くような重いモノ、俺には繰り出すことの出来ない拳。そっちがパワーなら、こっちはスピード…手数でキングジョーに肉薄する。衰えない互いの攻撃、だが…ダメージは蓄積していく。

 

純粋な殴り合いはいつしか読み合いとなり、下手なことをすればカウンターが飛んでくるようなものになった。キングジョーの表情、息遣い、そしてその動き。熱くなりすぎてやや単調、逆に俺は熱くなりながらも冷静。要所要所できっちりガードをしてはカウンターで拳…もしくは蹴りを放ち、徐々にこちらのペースへと移行する。

 

その一撃の重さから、最初はキングジョーのペースだった。そこを堪えに堪え、今の状況に持ってこれた。ここで臆することなく、気持ち前のめりで攻めなければならない。キングジョーに飲まれるな! …そう自分に言い聞かせて攻める。歯を食いしばれ、弱味を見せるな! 相手を休ませないように連撃を加えて攻める。相手はキングジョー、生半可な相手じゃねーのだから!!

 

 

 

 

 

 

俺のペースになってはいるものの、流石は鳳仙の親玉キングジョー。恐ろしい程の体力で未だ健在、それに比べて俺の方はかなりしんどい。最初の殴り合いで削られた体力、それを押して猛攻を仕掛けたツケがここに来て出始めてきた。そして…その中で、足の力が一瞬抜けた。すぐに立て直して拳を振るうも、目敏くそれを目にしたキングジョーがそれを避け…、

 

「…よぉ~頑張ったけぇ~のー、秀吉!」

 

ドッ!!

 

「…がはっ!?」

 

腹に一発、…いいのを貰ってしまった。よろける俺に、

 

「…これで、…終いじゃーーーっ!!」

 

ゴガッ!!

 

「…………っ!!?」

 

横っ面に重い一撃、まともに入っちまった。強烈な浮遊感を感じたかと思った矢先、身体全体に響く程の衝撃を何度も味わった。…殴り飛ばされて地面を転がったのか? …俺は。

 

地面に転がった状態でキングジョーを見る、…膝に手を付き息が粗くなっているようだ。…何だよ、…お前も限界近いじゃねーか。…化物並の体力に見えたのはやせ我慢か?

 

…………俺に背を向けるんじゃねー、…見せるんじゃねーよキングジョー!!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー龍光寺由紀也ー

 

あまりにも壮絶なタイマンに、最初は騒がしかった周囲も今は息を飲み黙り込んでいる。二人の喚き声と呻き声のみ、俺も含めたここにいる奴等全員がこのタイマンに圧倒されている。

 

いつしか雨が降り出して、その雨にも気付かずぶつかり合う二人。

 

そして終わりは近付いていて、キングジョーの拳が秀吉先輩に吸い込まれて……。

 

ぶっ飛んで地に倒れる秀吉先輩を見て、大体の奴はこれで終わりだと思うだろう。…しかしまだだ、まだ終わりじゃない。狂犬の牙は折れちゃいないぜ?




次話に続きます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第20話 ~五対五のタイマン勝負ッス《決着》

GW後半も仕事でやんす。

遊べる方々が羨ましいわい。


ー加東秀吉ー

 

俺に背を向けて歩き出すキングジョーを視界に収めながら、俺は気合と根性で立ち上がる。勝てる気がしねーけど、負ける気もしねー。今もその気持ちは変わらない、こんなボロボロだけど…まだ俺はやれるんだよ! いつの間にか降っている雨の中を、俺は身体中に感じる痛みに堪えて走り出す。

 

「…勝った気でいるんじゃねーぞ、キングジョーッ!!」

 

そう叫びながら奴を目掛けて走る。…今更気付いて振り向いても遅いんだよ! 俺は地を蹴って…、

 

「ーーらぁっ!!」

 

ドガッ!!

 

「ぐぉあ…っ!!?」

 

キングジョーに蹴りを入れてぶっ飛ばす。着地に失敗して地面に転がるもよろけながら立ち上がり、……キングジョーはっ!?

 

キングジョーのぶっ飛んだ方向へ視線を向ければ、若干ふらつきながらも立っていた。…お前も限界なんじゃないのか? この俺もマジで限界だからな…。恐らく、これで互いに終いってところだろう。後は気合と根性の問題となる、…最後の勝負だ!!

 

俺が走ればキングジョーが走り、それは必然的にぶつかり合うことで……、

 

「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」

 

俺の拳とキングジョーの拳が交差して、…互いの顔面に直撃する。勢いに乗った拳によって俺はぶっ飛ぶ、…二回目かよ。

 

そんな感想が頭に浮かぶ、俺は案外…まだ余裕なのか?

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー龍光寺由紀也ー

 

背を向けたキングジョーに飛び蹴りを食らわせ、最後は互いにクロスカウンター。ぶっ飛んで倒れる二人を俺達は見ているだけだった、…これはタイマンなのだから。いや…それ以上に魅せられたのかもしれない、この二人の意地がぶつかり合ったタイマンを。

 

雨の降り頻る中、倒れて微動だにしない二人。…暫くの間見守るも我慢の限界が来たようで、

 

「…ジョーッ! 立つんだ!!」

 

鳳仙の誰かが叫んだ。一人が叫べば後は…、

 

「秀吉! ここまで来たら立て!!」

 

「鳳仙の大将がここで終わるんじゃねー! 立ちやがれジョー!!」

 

「立てばお前の勝ちなんだぜ秀吉っ!!」

 

「「「「「ジョーッ!!!」」」」」

 

「「「「「秀吉っ!!!」」」」」

 

二人に掛けられる声が重なり合って怒号のようになる。そのような叫び声が響く中、二人は……。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー加東秀吉ー

 

意識が朦朧として動けない中、耳に届いた俺を呼ぶ声。…ここで立たなきゃ負けちまう、…負ける気はしねーと言ったじゃないか! か…勝てる気がしねーとも言った、…だが! ここまで来たら勝ちを夢見てもいいんじゃないか? …俺の戦歴の殆んどは負けで、後は分けることが多い。勝ちなんざ二回だけ、…たったそれだけだ。…今ここで三勝目を、…最後ぐらいは!!

 

 

 

 

 

 

…無意識のままに立った、……ただそれだけ。……俺は、…………俺は勝てたのだろうか?




次は閑話になるかな?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~鳳仙の面々《その2》

間に合わんので途中ではありますが投稿。

直ぐ様…追加します。

申し訳ないッス。


ー金山丈ー

 

狂犬、加東秀吉は強かった。…わしが、…わし等が思っている以上に。純粋に力だけで見たらわしの圧勝、しかし心っちゅーか何ちゅーか…。こなくそっ!! っちゅー気合と根性にわしは脱帽。殴っても殴っても向かって来おるし、その目に宿る熱い闘志にこのわしが一瞬でも怯んじまうとはのー。

 

殴って勝利を確信したのに立ち上がっては蹴りを一撃じゃ、…その一撃でわしの身体はもう体力がのー。最後の力を振り絞って殴ればクロスカウンター、互いにぶっ飛んだわけじゃが…。わしに起き上がる気力はのーなって、雨雲を見上げているだけ。横目でみりゃー秀吉は立ちおって、…凄いやっちゃのー。

 

 

 

 

 

 

…あの日、光信に呼び出されて苦言を言われた時。その時には既に折れとったのかもしれん、駆け足で鳳仙に君臨しとったわけじゃからのー。わしなりに気張ってここまで来たけー、何も分かっちょらん下の者に言われたとなっちゃーのー。しかも色々とあったが共に来た光信を中心にじゃけー、そりゃー折れるっちゅーもんじゃ。

 

しかし何ちゅーか、…肩の荷が下りたとでも言うんかのー。清々しい気分じゃけー、…もう何も考えとーない。もう三年じゃけ…気張る必要ものーなったわけで、……もういいわな。月光兄弟の時代になるけー、…兄弟力を合わせて鳳仙を守り立ててのー。

 

 

 

 

 

 

…雨が、………雨が心地好いなんてのー。…初めて知ったわ。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー月本光政ー

 

壮絶なタイマンは両者ノックアウトと思ったが、鈴蘭の狂犬が立ち上がってボスは……。俺が九里虎の次に強いと思っていた金山丈が、鈴蘭の狂犬…加東秀吉に負けた。何かの間違いだと言いたいが、先程のタイマンに魅せられた者としては認めざるを得ない。

 

ボスはタイマンの最中も力強く、この男こそが鳳仙の大将だぞ! と胸を張れる程の人。対する加東秀吉は、名を大きく売ってはいるがそれだけ。ボスにも、同じ鈴蘭のゼットン、その他大勢にも劣る男だと思っていた。…なのにその男の気合は、…根性は誰よりも気高く見えた。…狂犬加東秀吉、…カッコいいぜ!

 

 

 

 

 

 

……そういえばボスが言ってたっけな? 『鈴蘭の奴等をよー見とけーよ。』って。…何でそんなことを言ってきたのかと思ったが、うん…よく分かったぜ。ブッチャーと黒澤? ってーのはまー悪くないが、それ以上に月島花、龍光寺由紀也、加東秀吉、…スゲー男達がいやがる。自分自身を張って生きるには、鈴蘭という大きな壁があるってな。

 

俺も負けねーように男を張らなきゃならねー。……鳳仙の番長でも目指してみるか?

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー氏家純ー

 

ジョーが負けた、…秀吉なんかに。どーいうことだよ! 松尾に始まり真島、光義、光信と続きジョーまで! 五戦五敗…全敗だなんて!!

 

あり得ねー、…あり得る筈がねー! たかが鈴蘭、鈴蘭如きに手足が出ないなんてよー!!

 

…そもそも中島に立会人を任せ、五対五のタイマン勝負ってことを宣言させたことが間違っていたんだ。そんなもんより総当たり…、鳳仙の全てでぶつかれば負ける筈がねー! 俺達は殺し屋鳳仙だ、…数でぶつかってこその鳳仙なんだ。……タイマン勝負なんざクソ食らえ!!

 

「……こんなタイマン勝負なんざ関係ねー! 五対五もクソもねー! 全面戦争をしてこその決着だ! …お前等、…行くぞーーーっ!!!」

 

そう声を張り上げて叫べば、後ろの奴等も俺に続いて…、

 

「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」」」

 

叫び声を上げて走り出す。…それでこそ鳳仙! 覚悟しろや、…鈴蘭!!




次は本編。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第21話 ~抗争終了? そして引退へ……

嶋さん、もふっとさん、速読者さん、感想ありがとうございます。

ギりか!?

ダメだった!!


ー龍光寺由紀也ー

 

よろけながらも秀吉先輩が立ち上がり、キングジョーは仰向けのまま動かず。誰が見ても秀吉先輩の勝利、…最後の最後にやったじゃないかと思った。満身創痍の勝利、俺の知る中で最高のタイマンであったと言える。…全部見ましたよ、焼き付けさせて貰いましたわ。

 

立ち尽くす秀吉先輩の下へ行こうと思った時、

 

「「「「「うぉぉぉぉぉっ!!!」」」」」

 

氏家とかいう奴を先頭に、鳳仙の奴等が無粋にも突っ込んでくる。…立会人のルールを無視しての暴挙、…キングジョーも可哀想な人だよな? 下の者達がこんなんじゃー堪ったもんじゃねーわ。…だが、そっちがその気なら、

 

「クソハゲ共がルールを破ってからに! ぶっ殺す!!」

 

「せっかくの勝利に水を差すんじゃねー! ツルッパゲのバカ共が!!」

 

派閥(ウチ)の伊東先輩と川尻先輩がぶちキレて向かっていった、続いて他の奴等も…。

 

ぶつかり合う両校の奴等を見てタメ息を一つ、そして当然ながらこの俺も……、

 

「…よくもまぁやってくれたな、…粉々にしてくれるわ!!」

 

拳を握り締めて突っ込んでいく。ハゲタカ共がっ! ぶっ潰してやる!!

 

 

 

 

 

 

雨の中を暴れまくった後、俺は頃合いを見て帰ることにした。単純に飽きたってーのと、秀吉先輩を送り届けようと思ってな。…流石の鳳仙もズタボロの秀吉先輩を襲うようなことはしなかった、そこは評価出来るわな。肩を貸して最寄りの駅へと歩き、バイクにニケツして帰ったよ。

 

…勿論俺の家、姉貴に秀吉先輩を預けたってわけ。ズタボロの秀吉先輩を見た時、めっちゃ驚いていたがすぐに笑顔となって引き摺っていった。…愛されとるねー秀吉先輩、良きこと哉。

 

…さてと、今日はこのまま学校をサボるとしますか。朝のアレでお腹一杯だからな、…それがいい。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

第三次鈴蘭・鳳仙抗争から暫く経ち、とりあえず平穏である。マヌケをやらかした野間先輩も来たしな、…松葉杖姿だったから爆笑しちまったよ。まぁキレることを期待してたんだけど、…めっちゃ落ち込み始めたから罪悪感ハンパないけど。…それほど喧嘩したかったんだな、…この人。

 

後…鉄生さんにも鉢合わせてね、ヘラヘラしていたから取っ捕まえて投げ飛ばしたよ。橋の上から川へね、…いい気味だわな。

 

因みに翼にもお仕置きをしたさ、デコピンを一発ね。普通に泣いちゃったから悪いことをしたかなー…って、ほんの少しだけ思ってみたり。

 

 

 

 

 

 

そんな日々の中で、

 

『…由紀也、…お前に聞きたいことがある。』

 

という連絡を貰った。…武装戦線の副(ヘッド)である柳臣次、…一体何の用だろうか?

 

内容を聞けば驚いたよ、五代目(ヘッド)の武田好誠が引退するとかって。理由はと聞けば脳梗塞、…そういえば原作でもそうだったっけ? 時期は忘れていたけど、それが今なんか…と思った。

 

…で聞きたいことっつーのは良い病院を知らないかってこと。…病院ねー、…病院かー。心当たりならある、それを紹介しよう。臣次さんは勿論、好誠さんには色々と世話になったからな。少しでも恩義を返さねばならない、…えーと確かあの病院はっと。

 

 

 

 

 

 

そして好誠さんが東京の病院へ行く前日、その好誠さんに呼び出されて行ってみれば今回の礼と共に、

 

「これを受け取ってくれないか? 由紀也。…別に武装へ入れとは言わねー、ただ…お前に貰って欲しくてよ。」

 

好誠さんのライダースを貰いました。あのイカす革ジャン、…嬉しいんだけど複雑ッス。困惑する俺を見てニヤリと笑った好誠さん、

 

「…じゃあな由紀也! 何処かでまた会おうぜ!」

 

と爽やかに帰っていったよ。……どうすっぺ。




次も本編。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第22話 ~呼ばれ損と未来の顔役達

嶋さん、感想ありがとうございます。


今日は何とか早めに投・稿!


ー龍光寺由紀也ー

 

好誠さんが幹部と共に引退し、そして東京へと行ったその日の夜に俺は呼び出された。武装の幹部が集う場所、そう…喫茶ブライアンに。俺…武装のメンバーじゃないんだけど? というのは通用せず、ピリピリムードの中に放り込まれている。…雰囲気が悪いのは河内鉄生と清広義巳の仲が悪いから、…犬猿の仲ってヤツなのよね。

 

 

 

 

 

 

何故か将五に明、金ではなく俺が司会進行をするハメに。だからメンバーじゃないっちゅーの! と思いつつ話を進めれば案の定、鉄生さんと義巳さんが喧嘩をする。(ヘッド)を決める以前の問題じゃねーかと呆れつつ、力で二人を黙らせれば拍手喝采。…アンタ等、…この為に俺を呼んだな?

 

とりあえず、(ヘッド)を決めるってーのは後日となった。…俺、呼び出され損じゃねーか。密かにイラッと来た俺は、将五と明、金を誘って遊ぼうと思ったんだが、

 

「悪い、もうすぐ例のドスケンさんの従兄弟が着く時間なんだわ。由紀也、…また誘ってくれ。」

 

そう言って出ていった。…あのおっさんの従兄弟、…やんちゃそうだな。…まぁそういうことなら仕方がない、将五を抜かして三人で遊ぼうぜ…っと。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

数日後、翼は友達との約束ってなことで久々に一人。街で遊びますか! …って出てきたのはいいがツイてない、面倒な奴等に見付かっちまった。

 

「「おーい! 由紀也!!」」

 

武文と明が俺を呼びやがって面倒な奴等の輪の中に。…俺を巻き込むなよ、…本当に。

 

月島花、武藤蓮次、迫田武文、藤代拓海、月本光政、大谷健、松尾大助、村田将五、奈良明、金亨寛、世良直樹、同世代の奴等が何やっているんだか…。原因はそこのイレズミ君か? …とりあえず、

 

「…何か用かよ。俺はこれから一人で遊ぶつもりなんだぜ? …久々の一人を満喫させろよ。」

 

文句を言えば、

 

「何やこの兄ちゃん、一人()ーて淋しいやっちゃのー!」

 

とイレズミ君が笑いやがった。…これはアレだな? 殺してもいいんだな? 妙にイラッと来た俺はそのイレズミ君に…と思ったのだが、

 

「「「抑えてくれ、…由紀也!!」」」

 

将五、明、金の三人に止められた、…それはもう必死に。

 

とりあえず落ち着き、事のなり行きを見ることに。そしたらこのイレズミ君、名前を小川千春と言い銭屋一家の者らしい。…へぇー、コイツがドスケンさんの従兄弟ね。やんちゃそうだと思っていたが、…やんちゃそのものじゃねーか。大方何かやらかしてコイツ等が集まったってことだろ? …将五も大変だねー。言ってる側から一触即発、どうすんだ?

 

最終的にこの中で一番強い奴は誰だってことになり、全員が俺を見る。イレズミ君が俺に向かってくるが、コイツが武装の客人と知ったからには手が出せん。そういうわけで、

 

「俺も武装と関わりがある男だからな、手を出せる筈がねー。つーことで、コイツがいいと思う。」

 

月島花を指差せばバカにする始末。流石の月島もイラッと来たのか、挨拶代わりに握手という力比べでイレズミ君を下した。

 

…うむ、これで問題解決だな。さて、何処で遊ぼうかと思ったら新たな問題が発生。銭屋の奴等が来たとのことで、何故か俺も喫茶ブライアンへと連行される。…だから俺は関係ないだろ! 巻き込むんじゃねーよコンチクショー!!




次も本編か?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第23話 ~抗争回避から……

まきまき…。


ー龍光寺由紀也ー

 

喫茶ブライアンに連行された上で話を聞けば、…銭屋の奴等が関係者も含めて約五〇人で来るとか来ないとか。迷惑極まりない、速攻でお帰り願いたいと思うのは俺だけか? 明のバカはやり合いたいとか言ってるし。…やり合うやり合わないの前に理由を知りたいんだが? 俺の気持ちを察してくれたのか、将五の奴がイレズミ君に理由を聞く。

 

聞かれたイレズミ君は感情的になりながらも語ってくれた、…内容はなかなかにヘビーだったが。…とにかくこのイレズミ君、いや…千春はやんちゃではあるが真っ当な良い男ってなわけだな? こりゃーアレだ、銭屋が来ても渡すわけにはいかねーってヤツだ。

 

千春の話を聞き重くなる雰囲気、そんな中で俺は、

 

「銭屋の奴等が来ても粉砕すりゃーいいだろ、…六代目的にはそんな感じじゃねーか? …もっとも、鉄生さんを含めた上の者は熱いからなー。大阪まで行くかも知れねーぞ? ドスケンのおっさんの所までよ。」

 

と言えば明と金は笑い出し、千春とそのツレがきょとんとする。そこに将五が、

 

「…とにかく、六代目を張る俺の兄貴達は頼りになる男達さ。任せておけば悪いようにはならないぜ!」

 

と断言すれば、千春とツレの二人にも笑みが浮かんだ。

 

 

 

 

 

 

…結果的に言えば銭屋との抗争は回避された。やり合っても構わねーと考えていた鉄生さん達だったが、相手側の副総長が現れて謝罪してきたから水に流したんだと。千春があっちでやらかしたことも解決に向かっているとのことで、今日の内に千春とそのツレが帰ることになった。

 

まぁ頑張れや…と激励してから帰ろうとすれば、他の奴等に気付かれぬように、

 

「由紀也はん、…月島花の居場所を教えてくれまへんやろか?」

 

千春がそう尋ねてきた。…コイツ、自由になった途端にやんちゃする気か。…俺が月島へ対象を変えさせた手前、…断るのもアレだから教えてやった。そーすりゃー、

 

「由紀也はん、おおきに!」

 

と笑顔で返してきたわけで。…悪い気がしねーけど、輝くばかりの笑顔を向けられてもなー。…男にさ。

 

 

 

 

 

 

………帰ろうと思ったのにまた捕まった。せっかく将五達を撒いたと思っていたのに、

 

「鉄生と清広が(ヘッド)をかけてタイマンをする可能性が高い、…つーことでそこまでヨロシクな!」

 

五代目幹部だった稲田源次、鉄生さんと義巳さんがいるらしい場所まで乗せろとかって! どうせガソリンが勿体ないとの理由だろ? …本当にドケチな人だよな、…このおっさんはよ!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

河原でやり合う二人を橋の上から見る俺達。この場には俺と源次さんの他に、五代目の甲斐泰典と六代目の戸川将太もいた。その四人でやり合う二人を見ていれば、源次さんは切なそうにタメ息を吐いている。暴れ足りないこの人は二人を羨ましく思っているんだろう、…解散理由がアレだもんな。…仕方がないっちゃー仕方がないとは思うけど鬱陶しい、泰典さんと将太さんも苦笑しとるし。

 

そんな中で俺は将太さんに聞いてみた。

 

「…将太さん。…あの二人のどっちが(ヘッド)になるんですかね? …二人共短気ッスけど。」

 

と言えば、将太さんは苦笑しながら…、

 

「…どっちが(ヘッド)になろーが五代目に負けねー六代目になると思うぜ? …短気な件はアレだ、…最終兵器由紀也に任せる。」

 

とか抜かしやがる。

 

「…だから俺は武装のメンバーじゃないっつーの! 何なんスか…、アンタ達は!!」

 

と文句を言えば、俺以外の三人は笑い出す。何なんだよ、…本当に。




次は閑話かな?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~武装戦線《その1》

嶋さん、感想ありがとうございます。

今回で六代目武装の話は終わります。


ー村田将五ー

 

五代目が解散し六代目へと移行する武装。鉄生の兄貴と清広の兄貴は犬猿の仲ではある、しかしそれでも六代目武装は良いチームになると信じている。明や兄貴達のツテで由紀也と友になったわけだが、…由紀也には色々と苦労を掛けている。…武装のメンバーではないにしても頼りになる男、それが龍光寺由紀也という男である。

 

千春の件にしても巻き込んでしまい悪いと思っているが、…由紀也は誰よりも兄貴達のことを理解している。銭屋一家と一戦しても千春を渡さねーと、だから俺もそれに乗って千春達を安心させる。…人の心情を読んで言葉にする、…俺も見習わねーと。

 

 

 

 

 

 

千春の件が解決したことで由紀也は帰った、途中で稲田の兄貴に捕まっていたが…。まぁそれはいいとして、…由紀也の奴が千春に何かを教えているのを見た。俺は直感的に月島への道を教えたと読む、…ってことで千春をマークしなきゃーな。是非とも月島の実力をこの目で見たい、…良い仕事をしたな由紀也。

 

 

 

 

 

 

そして目にした千春と月島のタイマン。千春もかなりの実力者ではあったが、月島はそれ以上…。もし俺が月島とやり合ったら? …少なくとも善戦は出来るだろうが勝つのは難しい、それほどの男が月島花。

 

(きた)る日の為に俺自身、…強くならなきゃならねー。俺の目標は由紀也であり、その試金石が月島。その道は長く険しい、だが…込み上げてくるモノがある。目標が高ければ高い程燃える、身体の内側から熱くなってくる。

 

スゲー男達と同世代に生まれた幸運を噛み締め、俺はこの道を突き進む。由紀也は勿論、…千春にも感謝しなくちゃな。良いタイマンを見せてくれてありがとう、…ってな!!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー河内鉄生ー

 

五代目から六代目へ、そして六代目の頭を誰がするかで揉めた。揉めたっつっても清広とだが…、それにすぐ由紀也の手で黙らせられたしよ。後はうやむやのままに銭屋から千春が来て、んでもって千春を連れ戻しに銭屋の奴等が来やがった。

 

そいつ等の相手を清広のアホがしていると聞き、スゲー心配したんだが将太の奴が清広に任せろってよー。…まぁ現に、あのアホは銭屋のバカ共の要求を突っぱねたわけだから良しとするか。…六代目武装の相手は銭屋か、初戦から熱い展開じゃねーか!

 

 

 

 

 

 

…一触即発、スクラップ置き場にて銭屋の奴等と対峙する。もはや抗争間違いなしといった状況で止めに入ってきた男がいた、何でも第一支部の支部長と副総長らしい。銭屋の奴等と会話した後に俺達の方へ向き直り、頭を下げて詫びてきた。…そんなことされちゃー水に流すしかねー、何ともツマらねーことだが仕方なし! 何だかんだで六代目の結束が深まったからいいか、…と思うことにしよう。

 

 

 

 

 

 

結束が深まったなーと考えていたら、生意気にもアホの清広に河原へと呼び出された。理由を聞いてみりゃー何てことはねー、『お前が六代目だ。』とか抜かしやがる。んでもって自分より弱ー奴につくつもりはないっつって、タイマンを挑むとさ。負けたら武装を抜けるとも言いやがったから、…俺は、

 

ゴッ!!

 

「ぐはっ!?」

 

「…勝ったら俺が六代目頭だと何で言わねー! くだらねー理由なんざ必要ねー! 勝った方が六代目、負けた方がとことんそれに付き合う! これでいいじゃねーか!!」

 

一発殴ってそう言えば、アホの清広もそれに乗った。最初からそーすりゃーいいんだよこのアホが! …どの道負ける気はねー! 対ポコチン九里虎を想定して毎日鍛えているし、由紀也にも相手をして貰っているから俺はトンでもなくツエーからな!!

 

 

 

 

 

 

……………………六代目頭を決めるタイマンは俺の勝利で幕を閉じた。倒れている清広は…、

 

「よろしくな…、六代目…。」

 

か細い声でそう呟いた。…こちらこそよろしくな、…清広!




次は本編。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第24話 ~二人の挑戦者

もふっとさん、嶋さん、感想ありがとうございます。


今回、好きなキャラを無理矢理登場させた。


一学期最後の日、この街に五人の挑戦者が現れる。

 

鈴蘭にて確固たる地位にいる男、ゼットンこと花澤三郎。この男に挑むのはブッチャーこと神戸好克。

 

梅星一家に籍を持ち黒咲工業に通う男、藤代拓海。挑むのは転校してきた男、山口善次郎。

 

この街最強と言われている男、花木九里虎。この最強に挑むのは六代目武装戦線の頭となった河内鉄生。

 

そして最強花木九里虎に匹敵すると言われ始めた男、龍光寺由紀也。この男に挑むのは東京よりやって来た二人の男、その名は………。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー龍光寺由紀也ー

 

青い空、白い雲、輝く太陽。こんな快晴の日に単車をかっ飛ばしたら気持ちいいんだろうなぁ~…、勿論後ろに翼を乗せて。…がしかし、現実は残酷である。何故なら…、

 

「谷さんが認めてるからって調子に乗んなよ龍光寺! 俺は弱い奴なんざ認めねー!!」

 

「その通りだ! 認めて欲しかったら実力を見せろや!!」

 

暑苦しい男が二人、俺の前で吠えているからだ。…この二人は知り合いではあるが短気、…で無駄に絡んでくるバカなのだ。

 

「………どうせ嫉妬だろ? この間送った俺と翼の…「「うるせぇっ!!」」…図星かよ。」

 

本当にコイツ等は…。

 

俺の前で唸っているのは東京町田から全国に名を轟かせている萬侍帝國、そこの猛者で名を火口周次と比留間有志という。同い年でその実力はかなり高い、…が俺の方がめっちゃ強いけどな。…まぁそんな知り合いである二人が俺に挑んできた、理由は嫉妬が大半だろうがもう一度言う…俺に挑んできた。…そこが重要、勿論…高く買い取るのがこの俺だ!

 

 

 

 

 

 

最初に向かってきたのは周次、キレのある拳と蹴りが俺を襲う。俺の方が強いのは間違いないが流石は萬侍の男、避けきれずに何発か食らってしまった。…久々にイテー思いをしたよ、攻撃力がハンパない。ガードを越えて衝撃が来るからな、…やりやがる。…だが!

 

ゴッ!

 

「…ぐぇっ!?」

 

「…胴ががら空きなのは頂けねーな、…周次!」

 

攻撃に重きを置いているが為、守りに関しては無いに等しい。あえて拳を受けてからの腹パン一発、憐れ周次…地に沈む。

 

続けて有志が向かってきて、俺の顔面に拳を入れてきた。…なかなかにイテーがそれだけ、俺はニヤリと笑みを浮かべてからその拳を掴んで引き寄せ、そこからの頭突き。

 

ガッ!

 

「…ぐぁぁぁぁぁっ!!」

 

仰け反る有志の首と足に手を、そして腰に頭を付けて持ち上げる。タワーブリッジを掛けて回せば…、

 

「ぎゃぁぁぁぁぁっ!?」

 

有志が悲鳴を上げる。ある程度回した後に、蹲る周次へ向かって投げ付ければ…、

 

「「うごっ!!?」」

 

二人揃って白目を剥いて失神、俺の完全勝利となった。

 

…にしてもマジでイテーな、やっぱこの二人…強いわ。

 

 

 

 

 

 

暫くしてから二人は目覚め、腹が減ったから共に飯を食う。…これが俺達の関係だから怒ることもない、仲良く飯を食って軽くダベってから解散。単車に跨がる二人へ、

 

「谷さんによろしくな、近い内に顔を見せるってよ。」

 

と言えば、

 

「「おうっ!」」

 

と返事をしてから走り去っていった。

 

そんな日常の一コマ、…翼がいないと喧嘩ばかりだな。




萬侍でもこの二人が特に好きッス。

次話は本編だけど、脱線予定。

モテない男達の為の……。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第25話 ~夏休みの一コマ《その1》

GXさん、誤字指摘ありがとうございます。

ギりか?


ー龍光寺由紀也ー

 

夏休み前に何か色々あったみたいだな、俺ん(とこ)に周次と有志が来襲したように。ブッチャーの奴がゼットンにタイマンを挑んで敗れたらしいし、鉄生さんも九里虎に挑んで敗れたとか言ってたし。夏休み前に挑むのが流行っているのかね? いや…夏休みになるからか? …まぁどちらでもいいか。

 

 

 

 

 

 

…そんな血の気の多い話は置いといて、今日は平和的な日になるだろう。何故なら…、

 

「えーと…向かって右から河内鉄生、奈良明、迫田武文、猪瀬浩。見りゃー分かると思うが喧嘩ばかりするやんちゃな奴等ではある、…が悪い奴等じゃないから怖がらないでやってくれたらありがたい。」

 

緊張で何も話せない四人の代わりに俺が紹介する。そんな俺の紹介を聞き、物珍しそうに見てくる女子達。そんな視線に晒されて、なおのこと緊張する女っ気のない男達。そんな四人を見て苦笑する翼は…、

 

「…じゃあこっちも同じように紹介するわね? 右から順に七条アリア、畑嵐子(ランコ)、三葉睦美(ムツミ)、時カオル。アリア先輩と嵐子(ランコ)先輩は二年生、睦美(ムツミ)とカオルは私と同じ一年生。男の人に興味津々な女の子…でいいのかな?」

 

紹介されて微笑するアリアさん、何かパシャパシャ写真を撮りまくる嵐子(ランコ)さん、未だ呆けている睦美(ムツミ)、ジッと明だけを見るカオル。そんな彼女達を見て顔を赤くする喧嘩バカ四人、さて…どうなることやら。

 

 

 

 

 

 

今回の舞台は遊園地、俺達が浮きまくるのは確実と言える。しかしいきなり飲み屋の個室はハードルが高いし、相手の女子達は俺達とは違う為にNG。ゲーセンやダーツも相手の好みとは違うかも知れない、…そう考えると遊園地が無難となる。翼曰く、『大半の女の子は遊園地が好き。後は開放的な空間で各々、好みやら何やらを聞けばいいじゃない。』…らしい。俺はそれを聞いてなるほど、…と思ったよ。

 

 

 

 

 

 

遊園地へと来た俺達、最初のアトラクションはジェットコースターに決まった。現段階でメリーゴーランドとかのメルヘン過ぎるモノはハードルが高い、強面の兄ちゃん達が乗ったら地獄絵図間違いなし。…となると絶叫系に白羽の矢が立つわけで、ワイワイガヤガヤと列に並んで順番を待つ。俺と翼はいつも通り腕を組んで寄り添い、鉄生さんは嵐子(ランコ)さんに取り憑かれとる。明はカオルに迫られている? …のか分からんけど距離が近い、武文はぎこちないけど睦美(ムツミ)と話しているし、猪瀬はアリアさんにつつかれて固まっとる。…いつの間にかペアが出来てるけど良い感じじゃないか、…最後までこの調子でいけばいいけど。

 

 

 

 

 

 

ジェットコースターを乗り、続けて何ちゃらウォール? …ギュン! って上へ行くヤツに乗った。そして普通のバンジーに上へ飛ぶバンジー、絶叫系を中心に乗り続けていれば、

 

「…どうなるかと思ったらなかなかどうして、みんな距離が近くなったんじゃないか?」

 

「そうね、…自然にペアが作られたけど仲良さそうで安心したわ。…特に鉄生さんと嵐子(ランコ)先輩が良い感じ。」

 

流れでペアとなってからそのまんま、それぞれ仲良さげ。翼の言うように鉄生さんと嵐子(ランコ)さんが特に良い感じ…なのか? 嵐子(ランコ)さんの方が前のめり過ぎないか? カメラのシャッターも切りまくってるし。…まぁとにかく、次の段階へ行ってもいいかな?

 

 

 

 

 

 

休憩がてら、遊園地内のオープンカフェで休みつつ俺は、

 

「何かペアも出来たし、ここらでそれぞれ別れるとしないか? …せっかくだしよ。」

 

俺がそう提案すれば女の子達は、

 

「「「「賛成!」」」」

 

と乗り気で男達は、

 

「「「「…マジで?」」」」

 

めっちゃ動揺しとる。…その反応にタメ息を吐きつつそれぞれのペアで解散する、ナイトパレードん時に合流することにして。

 

さぁ翼、二人で楽しもうじゃないか。他のペアもそれぞれ楽しんでくれることだろうさ。




翼の通う学校名を見りゃー分かるよね?

そこらのキャラが出るって。


次は閑話?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~遊園地デート《その1》

喧嘩ばかりの野郎達の休日って感じ。


…多少は本編にも影響があるかもです。


因みに出遅れた(泣


ー河内鉄生ー

 

由紀也の奴が明に誘いを掛けたと聞いて、ストレスを解消する為…強引にその中へ入り込んだ。由紀也も頭数が一人足りねーってのがあったらしく、揉めることなく参加することが出来たんだけどよー…。まさか女の子達と遊ぶとは思わなかった、…しかも遊園地とかって俺が浮きまくるじゃねーか! 男同士だと思ったからいつもの武装ライダースだぜ? 流石の俺も自身にツッコミたいわ、…バカじゃねーの? ってよ。

 

 

 

 

 

 

モテたいだとか彼女が欲しいだとか散々言ってきたけどよー、…女の子達にこー見られるってーのは恥ずかしいっつーか何つーか。翼級に美人とかめっちゃ可愛いっつーのもあるが、直視出来ねー程に小心者な俺。…俺って奴はこんなにも女に弱ーんだなってよ、初めて知ったぜ。…でもこれはチャンスだ! 男河内鉄生、彼女持ちになるか否かが今日決まる。気合入れろよ俺!

 

絶叫系っていうのか? 色んなヤツに乗って楽しんだっちゃー楽しんだんだけどよ、変な女の子に好かれたっつーか憑かれたっつーか。畑嵐子(ランコ)っていう美少女と言ってもいーんだろーがほぼ無表情、何かとカメラを向けては絡んでくるんだが何なんだ?

 

 

 

 

 

 

由紀也の提案でそれぞれのペアで遊ぶってなったんだが、…必然的に俺とペアになったのが畑嵐子(ランコ)。カメラ片手に無表情で俺を直視、そして俺の手を取り、

 

「せっかくですので大いに楽しみましょう河内さん。私、貴方を見てビビッと来たんですよね…。」

 

……!! …俺に一目惚れしたってことか!? …マジでかっ!! …こんな時俺はどういう反応をすれば!?

 

「背に髑髏を背負った族関係の男の人、遊園地とのアンバランスに被写体としての魅力が。面倒事を起こしそうな雰囲気も良いですね、…今日より貴方を追っかけますのでスクープの提供をよろしくお願いします。」

 

…………俺はこの女に対してどう反応すればいいんだ? …教えてくれ、…由紀也に翼。

 

その後、二人で色々と回った上で強制的に連絡先を交換させられた。…最悪だと思いながらもツーショット画像を送られ、テンションが上がってしまった俺って一体…。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー奈良明ー

 

翼の友達と遊びに行こうと由紀也に誘われた俺、前のめりで行くと言って自分なりに良い服を着て行ってみりゃーレベルが高けー! どの娘も美人だし可愛いしで何が何やら、……由紀也と兄弟分で良かったぜ。まぁ誤算と言えば鉄生の兄貴、まさか強引に来るとは思わなかった。…武装ライダースだし、…心の中でバカじゃんと思っていたり。

 

 

 

 

 

 

それぞれ自然とペアになり、俺は時カオルって娘とペアになった。この娘は最初から俺をターゲットにしていたらしく、正直…生きてて良かったレベルだぜ! …にしてもこのカオル、…何処かで見たような? そんな気がするんだよ、顔といい仕草といい…会ったことがあんのかね?

 

 

 

 

 

 

色んなアトラクションに乗ってハイテンションになっている俺、カオルは無愛想な面をしているが口元が笑っている。これが噂に聞くツンドラ(・・・・)ってヤツか? 可愛いもんだ。

 

ある程度遊んだ後に、それぞれのペアに別れて行動ってなことでカオルと共に遊ぶ。…だがやはりコイツを何処かで、…デジャップ(・・・・・)を感じるんだよなー。そんなことを考えていると、カオルが俺の顔をジッと見ていることに気付いた。スゲー恥ずかしいんだけど! ちょい赤面する俺に、

 

「……明は昔と変わらないな、…安心したよ。」

 

そう言って鼻の下を擦るカオルを見て思い出した、…コイツは!

 

「…お前、…まさかあのカオルか? ガキん時に半ズボンと間違えて親父の柄パンを穿いてきたり、銀杏の上で転んで漏らしたと勘違いされて泣いていたあのカオ…「ふんっ!!」…うごぉっ!?」

 

鳩尾に的確な一撃、やっぱりコイツは…!

 

時カオル、コイツは俺の親友だった奴。親の都合で引っ越していったんだが帰ってきてたんだな。…男かと思っていたら女でしたって、…ガキの頃の俺って大バカ者だったんじゃあ。……とにかくガキの頃の親友と再会し女であることが発覚、クール系美人? に成長していて俺は嬉しいぜ!

 

その後は顔馴染みっつーことで、更に楽しく遊ぶことが出来た。…ついでにドキドキしちまった、…カオルって可愛いかったんだなぁ~。




次も閑話。


本編に影響と言っても彼女持ちになるか否かですが。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~遊園地デート《その2》

疲れたもぉぉぉぉぉん!

チャリのライトは壊れしよー、

ついてねーだに。


ー迫田武文ー

 

いずれ敵となるであろう幼馴染みで親友の由紀也。会う度に催促した結果…、ついに女の子と遊べることとなった。来るメンバーは明と猪瀬、そしてまさかの当日参加で武装の河内鉄生! …由紀也とも関係深いこの男が来るとは、…明の顔が引きつっている。…まぁ武装スタイルだもんな、…アホだろ。

 

 

 

 

 

 

…で肝心の女の子達といえば極上も極上、…ハンパねぇよマジで! こんな美人で可愛い娘達と遊べんのかよ、…今日は何て良い日なんだ! 初っぱなからエンジン全開ではあるものの、眩しくて女の子達をまともに見れねー! 早く慣れるんだ武文! 今日という日が良いモノになるようにしろ! お前なら出来る、…そうだろ? 武文!

 

改めて気合を入れ直し、まずはみんなでジェットコースター。…鈴蘭に入ってから遊園地で遊ぶ日が来るとは、人生っつーのは分からねーもんなんだな! 他の男達がモジモジしている中、俺は積極的に女の子達と会話をして楽しむ。これも翼のお陰だな! 美人な幼馴染みのお陰で慣れりゃー話せるこの身、…この調子で好感度を上げていくぜ!

 

 

 

 

 

 

絶叫系アトラクションを大いに楽しみ、休憩してからペアを組んでそれぞれってことになった。俺と共に行動するのは、

 

「えっと…、その…。よ…よろしくね? 武文君!」

 

はにかみ笑顔を俺に向けてくる天使、その名は三葉睦美(ムツミ)ちゃん。みんなで行動していた時に一番話をした娘、話す度に顔を赤くして一生懸命返事をしてくる姿に好感が持てる睦美(ムツミ)ちゃん。…ある芸人の言葉が頭の中を駆け巡る、『惚れてまうやろぉぉぉぉぉっ!!』ってヤツ。俺の今の心境がそれなんだわ、睦美(ムツミ)ちゃん…素晴らしいッス!

 

そんなわけで俺は睦美(ムツミ)ちゃんとアトラクションに乗りまくった、主に絶叫系を中心に。そして知らぬ間に手を繋いでいて…、

 

「…武文君はやっぱり男の子なんだね? …手が固くて大きいもの。…何か不思議な感じがするね!」

 

…眩しい、…その笑顔が眩しいッス! それに柔らかいんだな、…女の子の手っつーのはよ! 連絡先も交換したし、今日は本当に良い日だなぁ~。由紀也と翼には感謝! それに花や蓮次とかに自慢が出来るのもいいな!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー猪瀬浩ー

 

突然、派閥の頭である龍光寺からの誘いが。内容は遊園地にて女子達と遊ぶというもの、…こういう世界で生きているから女子とは縁がない。そう考えればありがたい誘いなのだが、…先輩方を差し置いて誘いを受けても良いのだろうか? と言えば、伊東先輩と川尻先輩には彼女がいるとのこと。野間先輩は…、何も言うまい。

 

 

 

 

 

 

行ってみれば度肝を抜かれる、…普通に生活していたら出会うことがないだろうってレベルの女子達。そんな女子達が興味深そうに俺達を見ている、流石の俺もたじたじだ。…小学生ん時以来だぞ? 遊ぶのも話すのも。…俺のような無愛想男がこの場にいていいのか? 女子を楽しませるような術を持ち合わせていないし。

 

そんな不安を余所に俺達は遊ぶ。…アリアという先輩に興味を持たれているらしく、何かと話し掛けられるし突っつかれる。四人の女子達の中で一番の美人である彼女、…勘弁してください! 俺…、耐性が無いんだから! 柄にもなく顔を赤くしていると思うし、汗がハンパなく噴き出してくるからよー!!

 

 

 

 

 

 

…そして龍光寺からの悪魔的提案、それのせいでアリア先輩と二人で回ることに。やはり俺は柄にもなく、アリア先輩とメリーゴーランドに乗らされる。馬に二人乗りとかって恥ずかしすぎる、…それに柔けーし。

 

「浩君てスゴイね? 激しい上下運動でもしっかりシテいるし。キをしっかり持たなきゃ、私…オチちゃうかも。」

 

…意味深! …つーか卑猥に聞こえるのは何故だ!? …誰か助けて!!

 

 

 

 

 

 

そんなノリで遊園地を回れば疲れるのは必然で、俺の理性もかなり厳しい! 現に今も彼女と腕を組んでいる、…胸の感触がががががっ!?

 

「浩君てイイネ! 反応も新鮮で可愛いし、私…気に入っちゃった!」

 

めっちゃロックオンされてるし。…女子ってコワイ、…捕食者なのか? しかもこの人、…下ネタも激しいし。

 

………俺って幸運なのか? それとも不幸なのか?…分からねー、…分からねー。




次は本編。

デートは終了。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第26話 ~夏休みの一コマ《その2》

嶋さん、感想ありがとうございます。

最初のデート話はこれで終了。

……にしても間に合わなかった!!


ー龍光寺由紀也ー

 

それぞれペアの五グループになった俺達、ナイトパレードまで各々自由に行動することにした。

 

翼と二人で遊園地デートとかって久しぶりだ、大体は近場で買い物とかカラオケだったもんな。だからぶっちゃけ、俺自身も今日という日を楽しみにしていた。それは翼も同じようで、

 

「ねぇユキ、もう一回ジェットコースターに乗らない? その後はミラーハウスとかもどう? 興味があるのよね。」

 

めっちゃウキウキしていていつも以上に可愛く見える。うん…、大いに楽しむのが吉だな!

 

 

 

 

 

 

様々なアトラクションに乗り最後は大観覧車、二人きりの空間で夕焼けを楽しむ。オレンジ色に染まる自分達の住む街を見ていれば、常に喧嘩が起きる危ねー街には見えない。…まぁそれは何処も同じか、見る分には危なくねー普通の街。俺と翼の思い出になるんだ、こん時ぐらいは綺麗に見えてくれねーとな。…肩に翼の重みを感じながら見る風景は、何モノにも変え難い良いモノであったと言っておこう。

 

 

 

 

 

 

…でそろそろ約束の時間となる。つーことで待ち合わせ場所へと行ってみれば、既に他のペアがいた。俺が最後かー、…何て思っている俺達に気付く八人。それぞれ仲良くなって距離が近くなっている、今回の企画は成功と言ってもいいんじゃないか? 明と武文はペアであるカオルと睦美(ムツミ)、彼女達と仲良くしているようだ。しかし鉄生さんと猪瀬の二人は疲れている、…というか死んだ目をしている。嵐子(ランコ)は問題児であることは知っているけど、アリアは良い(とこ)のお嬢様だぜ? 好かれたのであれば羨望の(まと)になる筈、何故にそんな顔をしているんだ猪瀬。

 

まぁとにかく、場所取りも兼ねて早めに行こうか。出来る限り良い場所で見たいし、…思い出になるからな。つーか嵐子(ランコ)が周囲をうろちょろとウザい、もう少し落ち着いて欲しいんだけど。特に鉄生さんが引っ張り回されていて大変そうだ、…スゲー気に入られているのな。…それを言うなら猪瀬の奴も顔が引きつっている、…見てみればボディータッチがハンパない。何やら小声で話し掛けていて、その度に猪瀬は顔を赤くしている。俺から見れば羨ましい…、

 

ギュッ!!

 

「…イデッ!?」

 

横にいる翼がツネってきた。顔を見れば笑顔で青筋を立てとる、…怒っていますな。

 

「…アリア先輩ってスタイルが良いものね? ………ゴメンネ? …ムネガチイサクテ!!」

 

カタコト言葉になっているっつーことは、マジで怒ってるってか? …ヤベーな、…ナイトパレードが始まる前に宥めなくては!

 

 

 

 

 

 

…そして始まったナイトパレード、幻想的な光景に周囲も静かに盛り上がっていく。この場に多くいるのはカップルか? 男女でいる奴等が多い。…まぁ俺達も同じで違和感なく溶け込んでいるわけで、みんなも何だかんだで楽しんでいるようで安心した。

 

鉄生さんは嵐子(ランコ)に無理矢理腕を組まれては、ナイトパレードをバックに自撮りしまくっている。無表情だがよく見れば薄い笑みを浮かべている嵐子(ランコ)、…鉄生さんも迷惑そうにしてはいるものの付き合っている。

 

明の奴もカオルと良い感じだ、…軽く言い争いをしている時もあるがしっくりくる。長年連れ添った夫婦的な? …あの二人、…知り合い同士だったりするんか?

 

武文と睦美(ムツミ)は何か初々しい、お互い恥ずかしがりながらも共にいるってヤツ。中学生の恋愛って感じ、…武文ってがつがついくタイプかと思ったんだがなー。…マジで意外。

 

猪瀬はここでも引きつっていて逃げ腰、しかしアリアにしっかりと捕まっているから逃げられない模様。…アリアがスタイルの良い美人の為に、猪瀬に対してのヘイトな視線がハンパない。喧嘩好きの猪瀬でも、嫉妬という怨念紛いの視線はダメか…。

 

そして俺は、翼と普通にいちゃついております。機嫌がなかなか直らなくてどうなるかと思ったんだが、後ろから抱き締めつつ耳元で色々と囁けば顔を赤くして脱力。そのまま色々とちょっかいを出して何とか機嫌を取り、いちゃつきながらナイトパレードを見ることが出来た。…翼とこの光景を見ることが出来て幸せだぜ、…来年も一緒に見ような翼!

 

 

 

 

 

 

そんなわけで今回の企画は終了、それぞれ女の子を送るように言ってから解散した。明と武文はこのままいけばいずれは付き合いそうだが、…鉄生さんと猪瀬はどうなるんだろうか? …この先のことが気になるぜ。




デートは所々で入れていくことになるかと。

今回のペアがカップルになるかは未定。

要望があればちょくちょく彼女達を出して絡ませます。

次の話は番外編。

由紀也のときメモ4技能ネタを書こうかと。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編 ~ときメモ4の技能《その1》

嶋さん、感想ありがとうございます。

昨日は投稿出来ずに申し訳ない。死んでました!

これから先もちょくちょくあるかもですが、なるべく遅くても一日二日の空きで投稿したいと思います。

しかしながら、出来る限りは毎日投稿!


転生時に特典として貰ったときメモ4の全技能、…とは言ってもデメリット系は除外されているようでありがたい。そんな中でガキの頃から技能の恩恵を受けてきたが、それに甘んじることなく努力も続けてきた。そうしないと扱いきれないし、封印? もされているみたいだからよ。神が言ったように世の中そんなに甘くない、出来る限り封印を解いて全技能使用ということをしてみたい。

 

そして最初は気付かなかったが集中し技能のことを考えれば、何の技能が発動しているのかを知ることが出来る。そんな俺の技能を紹介しよう、昔のことから順にな。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

…俺は生まれた時からチョイと変だったらしい。何故なら…、

 

「…あうっ!」

 

生まれた瞬間に両親と医師達に挨拶のようなモノをし、この場にいた者を虜にしたからとか。それを親父から聞いて、…技能が関係していたりとかするのか? と考えた時、

 

《爽やかな挨拶》他者と出会った時に仲良くなれます(ときめき度か友好度のどちらかが+)

 

という情報が頭の中に流れたのだ、何か異世界転生のラノベみてーだなー…と思った。ガキの頃は《爽やかな挨拶》のお陰で色々な人物と仲良くなれたさ、そしてその技能も成長して今は…、

 

《華麗な挨拶》他者と出会った時に仲良くなれます(ときめき度か友好度のどちらかが++)

 

となった。コイツのお陰で更に色々な人物と仲良くなれた、武装の奴等とか萬侍の奴等との仲もこの《華麗な挨拶》の恩恵だと思う。

 

…難点はときめき度か友好度、どちらが上がるのか分からないってことかね? …そのせいで翼を迎えに行けばモテちまう、その気はないが他者から見たらハーレム野郎に見えるだろう。ハーレムには憧れるがこのWORST世界じゃダメだろう、何か違うと思う。…因みに男からもときめかれる時がある、…俺はそっち(・・・)系ではないことを強く言っておく。男が俺を見て頬を染めるとかって地獄じゃん? それが強面(こわもて)の不良なら尚更だ。

 

…あれ? …これってデメリットになったりするのか?

 

 

 

 

 

 

生まれた時から技能全開の俺、

 

《基礎体力》行動時に体調が減りにくくなります(体調下降率-)

 

《反射神経》運動が強化されます(運動+)

 

《根気力》根性が強化されます(根性+)

 

《マナー》容姿が強化されます(容姿+)

 

《頑強》怪我をしにくくなります(怪我発生率-)

 

《抗ウィルス》病気にかかりにくくなります(病気発生率-)

 

《抗ノイローゼ》ノイローゼになりにくくなります(ノイローゼ発生率-)

 

これら技能のお陰でスクスク育ち幼稚園ではガキ大将、小学校では何故か番長、中学校では猟犬と呼ばれていた。

 

…しかし小学生ん時に番長と呼ばれていたわけって何だっけ? 頭をフル回転させて思い出してみれば、当時の俺の身体の大きさが原因の一つであると思い出す。160cmはあったよなー、鍛えてもいたからその分もデカかったし。後アレだ、当時中学校だったマサ先輩をぶっ飛ばしたことが決定打となったんだ。その後に番長ってーのが定着したんだったな。

 

因みに身長はその後…緩やかに伸びていき、確か今は…185cmぐらいだと思う。翼は女にしたらデカブツで170cmはあると思う、…そこを指摘したらキレるけど。『本来の私はこんなにデカくない筈なのに、…どうしてこうなったのかしら?』が口癖ッスわ。…俺の影響だったりするんかな? 翼…ティアモをサポートで選んだわけだし、…何かしらが翼と繋がってたりして。

 

 

 

 

 

 

そんなわけで赤子の時から凄い俺なのだ。更にパワーアップするのが幼稚園児ん時、基本体力バカの俺が頭を使い始めて翼と一緒にいることが増えまくった時期。…色を知ったことで体力バカからませた体力バカに進化する、…ここらから前世の記憶とかが出てきたんだよなー。




番外編もちょくちょく挟んでいきたいと思います。


次回は本編。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第27話 ~蠍の襲撃

くそぅ、…毎日投稿が厳しいぜ!


ー龍光寺由紀也ー

 

今年の夏休みはなかなかに充実していたなー。遊園地デートに始まり、水族館、動物園、縁日、花火大会、…色んな所へ翼と一緒に行きまくった。海にも行ったな…翼と二人でとはいかず、伊東先輩と川尻先輩が彼女と共に参加してさ。…野間先輩と派閥所属の数人も来て盛り上がったっけ、…やっぱ一番の記憶と言えば水着姿の翼! 赤のビキニが眩しかった! …胸が小さいことを気にしまくりだったが、長身スレンダーなその姿は誰が何と言おうと最強! 砂浜の女神と言っても良い程に美しかった!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

…まぁそんな夏休みも終わり学校が始まったわけだが、…流石は鈴蘭と言ったところか? 初っ端から九里虎が暴れたとか、武文が睦美(ムツミ)と仲良くやってることを知った奴等が追っかけ回したとか色々起きとるわけよ。…暇とか退屈だとか、そういうのとは無縁のこの鈴蘭! 二学期は何が起きることだか。

 

 

 

 

 

 

…退屈とは無縁、そうは言ったが大きな喧嘩もなく平和な鈴蘭だった。そんな平和な鈴蘭に衝撃が走る、…ブッチャー一派の牛島以下二名が数人の男達に襲撃され病院送りへ。襲撃したのは『漆黒の蠍』というストリートギャング、当然ブッチャーは大激怒。自身を先頭に蠍狩りへと街に繰り出す、そして…。

 

俺達龍光寺一派も殺気立っていた。派閥(ウチ)の幹部である川尻先輩が、彼女とのデート中に襲われたのである。川尻先輩は奮戦し彼女を逃すことに成功、…が多勢に無勢で半殺しとなり病院送りへ。そのことを伊東先輩に連絡したのが川尻先輩の彼女、本人も怪我をしたらしく泣きながら訴えてきたらしい。

 

俺は…俺達は激怒した。こういう世界で生きているのだから川尻先輩は仕方がない、…がデート中に襲うとは何事だと。この世界で女を襲うのは御法度、襲った奴は屑として総スカンを食らう。そのタブーを破った『漆黒の蠍』は屑の集団、生かしておくことは出来ねー所業である。

 

 

 

 

 

 

すぐにでも動きたい、…派閥の奴等はそう思っているだろう。だがそれは出来ない、…何故なら、

 

「確実にぶち殺す為、…まずは情報収集だ。奴等の規模はどれくらいか、何処の誰がいるのか、(たむろ)する場所は何処が多いか。…調べることが多くある、全てを調べ上げてから…狩るぞ!」

 

俺達龍光寺一派は大きな群れだ、…そして家族でもある。家族の敵討ちは全員で、…猟犬が率いる群れを襲うということがどういうことか、蠍の毒を掻い潜り突き立てる牙の威力を見せてやろう。…調子に乗れるのは今のうちだぜ? 『漆黒の蠍』さんよー。

 

 

 

 

 

 

俺達龍光寺一派は怒りを内に秘め行動する。一線を退いた秀吉先輩の派閥を吸収した俺達は最大派閥、その数を有効に使って調べ上げていく。

 

調べ上げていく中で、ブッチャー一派が暴れまくるも頭のブッチャーがやられる。そして各個撃破されているらしい、…きな臭いと思った。

 

九里虎の女が襲われたらしい、…魔王参戦の兆しが。

 

月島一家の武藤が重症の病院送り、怒りまくった月島一家も狩りに参戦。

 

調子に乗った蠍が手を広げていく、…本当にバカな奴等だな?

 

 

 

 

 

 

…そして辿り着いた蠍の全容。頭はラリっている山本という男、九里虎の女を襲ったのが藤枝という男。鈴蘭に喧嘩を売ってきたのが元鈴蘭の田原と鎌田、そして鈴蘭の情報を流した裏切り者が…、

 

「…ブッチャー一派の伴和之ねぇ、…蠍が屑なら伴はそれ以下だな。ブッチャーも可哀想にな…、身内に裏切り者がいてやられたわけか。」

 

自分の一派を愛し鈴蘭を愛するブッチャー、…しかし今は入院中。自らの手で決着も出来ない、…そうなると、

 

「ブッチャー一派のNO.2である深町先輩に教えてやれ、いや…原田先輩も含めた方がいいだろう。ブッチャー一派は壊滅状態、…原田一派に力を借りた方がいい。頭の切れる深町先輩ならそうする筈、だからこそ二人にな。」

 

そう指示を出してから首を鳴らす。さて…反撃開始と行こうか、…誰一人逃さねーからな!




次回、本編。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第28話 ~噛み砕かれた蠍

嶋さん、感想ありがとうございます。

投稿に関しては無理をしないッス。


ー龍光寺由紀也ー

 

その日の夕方、俺達は行動を開始した。蠍の頭である山本は見逃す、ラリっている奴は今回に置いては白だからな。藤枝って奴は九里虎に任せ、裏切り者の伴はブッチャー一派と原田一派がやる。田原は月島一家に譲り、俺達は鎌田をターゲットにする。他の奴等はどーするのか分からない、分からないが俺達は…潰す。鎌田…、俺達に目を付けられるとは運の無い奴。この街じゃ生きられないようにしてやる…!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

鎌田チームの(たむろ)する場所を特定している俺達は、奴等が集まったことを確認してから行動する。あえて姿を見せ、奴等に俺達の存在を認識させて。狙われているという恐怖をその身で感じろ、…蠍!

 

「…クソッ! 田原達と合流するぞ! …このままじゃヤベェ!!」

 

鎌田らしき男が声を上げ逃げ出す、それに続いて蠍のメンバーも。…くははははは、さぁ…逃げろ逃げろ!

 

俺達を避けて他チームと合流したいんだろうがそれは出来ねー、既にありとあらゆる道に派閥の各チームが配置されている。その隙を突いて逃れることは不可能、そして…誘導されていることに気付いていない。お前達が逃げる先は神社、…龍光寺一派の狩り場だぜ?

 

 

 

 

 

 

そして追い詰められた鎌田チームは、神社の境内にて混乱している。何故なら、この境内には龍光寺一派が待ち構えていたのだから。しかもそこの中心にいるのは伊東先輩、相棒の川尻先輩をやられて内心キレまくっている。この場にいる奴等全員、女を乱暴しようとした蠍を許さない。男の風上にも置けない蠍をぶっ潰す、…俺達の意志は統一されている。

 

混乱している鎌田チームの前に俺は立つ。

 

「…テメェは猟犬と呼ばれて調子に乗っていやがるガキ! こんなことしてどうなるか分かっていやがるのか!? テメェの女も俺達が…「黙れ!」…!!?」

 

鎌田がバカなことを言おうとしてきたが遮る、…自分達の立場が分かっていねーみたいだ。それに俺の彼女、…翼にも何かやらかそうと少しでも考えているのなら、

 

「鎌田とか言ったか? …お前。なかなかどうして、派手にやらかしてきたみてーだがよ。派閥(ウチ)の川尻をやるだけじゃあきたらず、その彼女も襲おうとしたらしいじゃねーか。しかもよ、…俺の女にも何かをやろうと考えたのか?」

 

怒気を含めながら語り掛ければ、鎌田を含めた蠍の奴等が怯む。そこへ反対側にいる伊東先輩が、

 

「女に手を出す屑はよー、噛み砕いて棄てるのが俺等の常識なんだわ。後に禍根の種を残すわけにはいかねー、…この意味が分かるよな?」

 

ニヤけてそう言うが目がヤバイ、視線で人が殺せるのでは? と思う程の眼力である。更に怯む奴等に、

 

「誰一人逃すな、全員ぶち殺せ! 群れの恐怖、味合わせたれぇぇぇぇぇっ!!」

 

そう号令を掛ければ、怒りまくった群れの仲間達が蠍を噛み砕かんと襲い掛かっていく。

 

蠍を仲間達が蹂躙している中、俺の獲物は当然…鎌田。それに気付いた鎌田は、恐慌状態に陥りながらも、

 

「く…くそがぁぁぁぁぁっ!?」

 

俺に向かってくるが、その突き出した拳を俺は手で受け止め、

 

「…ふんっ!」

 

ゴガッ!!

 

「ぐぁぁぁぁぁっ!?」

 

引き寄せてからの頭突きを食らわせる。その一撃に頭を抑えて(うずくま)ろうとする鎌田の腹に、

 

ドゴッ!!

 

「………っ!?」

 

強烈な膝蹴りを一発、勢いで顔を上げた鎌田の横っ面に、

 

ガゴッ!!

 

「…がはっ!!?」

 

右ストレートをぶち当てれば、奴は何度かバウンドした後に動かなくなる。俺は動かない鎌田を見て、

 

「…バカが。」

 

そう吐き捨てた。

 

 

 

 

 

 

俺達龍光寺一派は、この場にいる全ての蠍を噛み砕いた。…ダメ押しに、

 

「…コイツ等をひん剥いて大通りにでも転がしておけ。…『女に手を出した屑』ってーのを油性ペンで書くのも忘れずにな!」

 

そう指示を出せば伊東先輩が、

 

「…エグいな。」

 

と笑っていた。屑に情けは無用、…奴等は二度とバカなことをしなくなるだろう。……トラウマになるかもな、…自業自得だが。




次は閑話。

九里虎は原作と同じだから飛ばして、

ブッチャー一派の話になります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~深町慶太《その1》

今日は早めに!


『漆黒の蠍』っつーストリートギャングに派閥(ウチ)の奴がやられ、報復の為…ブッチャーを先頭に繰り出せば、今度はブッチャーがやられて病院送りへ。一人になった所を狙われた、…そして各個撃破されていく派閥(ウチ)の奴等。…行動する先か後か、狙いすましたかのように蠍が現れる。奴等は俺達よりも上手(うわて)っつーことか!?

 

 

 

 

 

 

一気に壊滅状態となった俺達、ブッチャーがいない今…俺がしっかりしねーと。そう決意した時、龍光寺ん所の伊東に呼び出された。こんな時に呼ぶんじゃねーよ! と思ったが、呼ばれたからには行くしかねー。…で行ってみれば、伊東の他に原田もいやがった。何で原田がいるんだよ、そう聞こうとしたがその前に、

 

「役者が揃ったみてーだからよ、今回の件で俺等が調べ上げた情報を教えてやる。…由紀也に感謝しろよ?」

 

と伊東が言ってきた。…今回の件? 龍光寺に感謝? ……蠍のことか?

 

 

 

 

 

 

…で聞いてみれば、トンデモねーことを聞かされた。派閥(ウチ)の伴が裏切り、蠍にいる鎌田と田原に情報を漏らしていた…と。今年の春に鈴蘭を退学した鎌田と田原、その二人が蠍にいるってーのは知っていたが何でそこに伴が…。そう思ったのだが、あの二人と伴が同中でずっとつるんでいた仲間だと言う。それを聞いた俺は頭が真っ白になった、…であるならば情報を漏らしたってーのに納得が出来るからだ。

 

…伴が裏切り者、…そう考えれば今回の件で俺達が各個撃破された謎が解ける。間近で見てりゃーブッチャーが一人になることも、それぞれが何人で何処にいるのかも分かる。そりゃー襲撃しやすいわ、…手足も出ねー筈だわ。………身内に裏切り者、こりゃー堪えるわ。…ブッチャーもショックを受けるだろう、……チクショー!!

 

打ち沈む俺の肩に原田が手を置き、無言で見詰めてくる。…コイツなりに慰めているんだろう、…すまねー原田。重い雰囲気になるが、伊東の奴が続けて…、

 

「…伴の奴は今日も蠍とつるむようだぜ? 永田駅近くに(たむろ)うチームとな。」

 

そう言ってからこの場を去っていった。

 

…永田駅の近くか、…行くしかねーだろーな。もし…、そこに伴がいたら…。問答無用でやるしかねー、…ブッチャーの代わりに俺が。…そうと決めたらすぐにでも動かなきゃならねー、…だが俺達は壊滅状態。なら…、俺が今…やるべきことは、

 

「…原田、俺達に力を貸してくれ。…けじめを、…俺達にけじめを付けさせてくれ!」

 

隣にいる原田に頭を下げること。逃さず確実にやるとしたら人数がな、…力を借りるしか方法がねー。

 

誠意を込めて頭を下げる俺に原田は、

 

「…分かっている。…言われなくても力を貸すぜ、…深町。」

 

力を貸すと言ってくれた。すまねー原田、この借りはきっと返す。…ブッチャー共々な!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

原田に力を借り永田駅近くを探ってみれば、蠍の奴等と共にいる伴を見付けた。……伴、…お前は! 原田も伴を見て顔をしかめ、俺は怒りで身体が震える。…冷静を心懸ける俺でも今回は無理だ、…潰してやるぞ伴!

 

真っ先に飛び出す俺に、

 

「ふ…深町!?」

 

伴は気付いて驚く。それにつられて蠍の奴等も俺に気付くが眼中にない、…俺の獲物は伴一人!

 

「…伴!!」

 

ガッ!!

 

「…ぐはっ!?」

 

勢いのままに殴り掛かり伴をぶっ飛ばす。周りの奴等が騒ぎ立てるが関係ねー、雑魚は仲間と原田達がやってくれる! 俺はぶっ飛んだ伴に突っ込む。

 

「この…クソバカがっ!!」

 

ズドッ!!

 

「…ぐぁっ!?」

 

倒れている伴を蹴り上げる。蹴り上げた伴を掴み、無理矢理立たせればコイツは…、

 

「オ…オレはやりたくてやったんじゃねー! 鎌田と田原に脅されて仕方なく…!!」

 

あの二人のせいにして言い逃れよーとする。…伴、…テメェは腐りまくっていやがる!

 

「…このっ!」

 

ボガッ!!

 

「…がはっ!?」

 

顔をぶん殴ってぶっ飛ばし、倒れる伴へ馬乗りとなり、

 

「…ブッチャーが! …俺が! …俺達が! …どんな気持ちか分かっているのか! …伴!!」

 

ゴッ! ガッ! バキッ!

 

「…………っ!!?」

 

心の内を吐き出しながら殴りまくった。

 

…途中で原田に止められ、…冷静になった俺は、

 

「…本当にすまねー原田、…ありがとう。」

 

心の底から礼を言った。




次も閑話。

次回で蠍は終わり。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ~迫田武文《その3》

HBKd-xさん、アンケートありがとうございます。


まさかの寝オチで投稿出来ず。思いの外、疲れとるんか?



暇な人はアンケートに何かしらの案をぶち込んでください。

こんなオリキャラが欲しいとかも良いッスよ?



自分的に良い案があれば使わせて頂きますんで。




由紀也と(たもと)を分かち、花を鈴蘭の番長にと決意した日から相当の時が流れた。第三次鈴蘭・鳳仙抗争、イレズミ野郎との揉め事、岸中の後輩関連のこと。色んなことがこの短期間であった、その中でも一番良かった出来事っつったら遊園地で遊んだことだよなー。

 

由紀也と翼のお陰で睦美(ムツミ)ちゃんと出会えることが出来たわけだし、…あれからちょくちょく連絡を取り合って遊びに行ったりしているしな! その事実を花や蓮次に言った時の悔しそうな顔、…生きてて良かったと心から思った。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

夏休みが終わり鈴蘭へと行けば、女の子…睦美ちゃんと仲良くやっていることがバレて追われる日々。何処から漏れた? …つってもどうせ花だろうが。…これもバラ色人生の試練と考えれば辛くない、…ドンと来いや!

 

 

 

 

 

 

慌ただしくも充実した日々。しかしそんな俺…、いや…鈴蘭にまたしても事件が。ブッチャー一派の奴が『漆黒の蠍』とかいう奴等にやられたそうな、…で頭のブッチャーも病院送り。そして由紀也ん所の川尻先輩もやられて彼女も怪我をしたと聞いた、…許せねー! 川尻先輩は中学ん時からの付き合いだし、その彼女のことも知っている。川尻先輩は仕方ないにしても、あの優しい彼女に怪我を与えたってーのは万死に値する!

 

聞く所によると九里虎も女をやられたそうで、あの魔王様も怒りまくっているとか。…自分のことに置き換えるとだ、…睦美(ムツミ)ちゃんが襲われたってことになる。……コレはアレだ、…俺も蠍狩りに加わらなきゃならねーわな。今は大丈夫でも、…後に睦美(ムツミ)ちゃんが襲われたって聞いたら。……正気を保てる気がしねー! …少しでもその危険性を排除しなくては!

 

 

 

 

 

 

一人気合を入れる俺に凶報が入った。…蓮次が、…蓮次が蠍にやられて病院送りとなったらしい。しかも打ちどころが悪かったらしく、…ヘタしたら死んでいたかもと。…蠍! …テメェ等絶対に許さねー! 女に手を上げるは、人を殺しかけるは…。寄って(たか)ってでしか能のねークソ野郎共に地獄を見せてやる! 首を洗って待ってろや!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

…怒気を内に秘めた俺、勿論…花達も怒りまくっている。そんな俺達に蠍を見付けたとの一報が! しかも蓮次をやったと思われる田原とかいうクソ野郎らしい、それを聞いた俺達は急いでそこへと走る。…拓海の奴、良い仕事しやがるぜ!

 

呼び出された場所へ行くと、拓海とその友達とかいう山口がいた。…で蠍の奴等はというと、花が見た所…人数は二八人。凶器持ちが十二人、…対する俺達はたったの七人。普通に考えたらスルーするべきもの、だが…それは出来ねー。同中で別派閥だけど仲の良い川尻先輩にその彼女、そして…蓮次がやられたんだ。それに放置して睦美(ムツミ)ちゃんが襲われでもしたら…、自分自身が許せなくなる。だから俺は行くぜ? …たとえ一人だとしてもな!

 

 

 

 

 

 

…結局、花達も揃って蠍へ襲い掛かることに。奇襲だし、夜に紛れているしで大成功。蠍の奴等は混乱し、俺達はその大半をぶちのめした。そこらでやっとこ立て直した蠍の奴等、しかし遅すぎたわけで。凶器を持っていようが無かろうか、平等にぶちのめしていけば後…数人。その数人の中に田原とかいうクソ野郎が…!

 

「…田原! コイツ等フツーじゃねー!!」

 

「…ぐっ、…クソッ! ここは退いて鎌田と伴、アイツ等と合流しようぜ!!」

 

田原以下数人がこの場から逃げようとする。…逃がすわけにはいかねー! 俺は奴等の後を追いかける、そんな俺に続いて花も一緒に…って花の方が速い! あっという間に俺を追い抜かし、田原以外の数人を、

 

「だりゃーっ!!」

 

ドッ!!

 

「…ぐぁっ!?」

 

一人は勢いのままに飛び蹴りを。威力がありすぎてかっ飛んでいく、…続いて、

 

「ふんがっ!!」

 

ゴッ!!

 

「………っ!?」

 

強烈な右ストレート、殴られた相手は数mもバウンドしてすっ飛んでいった。

 

流石の俺も唖然としたが、

 

「迫田っ! そいつは譲るからやっちまいなよ! 雑魚は引き受けるからさ!!」

 

花が俺に向けてそう言ってきた為、気を取り直して田原へと襲い掛かる。

 

「これが川尻先輩の分!」

 

ドスッ!!

 

「むごっ!?」

 

無防備な腹に一発。

 

「…その彼女の分!」

 

ガッ!

 

「ぐはっ!?」

 

横っ面に一発。

 

「…蓮次の分!」

 

ゴガッ!!

 

「ぐぁぁぁぁぁっ!!?」

 

髪を掴んで頭突きを一発。そして…、

 

「バラ色人生の為に死ねっ!!」

 

頭突きで怯んだ田原を、

 

ドスンッ!!

 

「………っ!!?」

 

襟元を掴んで一本背負い、無抵抗の田原は白目を剥いて泡を吹いている。

 

(かたき)は取ったし未来も守られた! …スッキリした俺は花の方へと振り向きピースサイン。きょとんとしていた花だが、直ぐ様笑顔とピースサインで返してくれた。




次回は本編。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第29話 ~蠍壊滅と悪友?

嶋さん、感想ありがとうございます。

今回二回目ッス。


ー龍光寺由紀也ー

 

俺達龍光寺一派は鎌田達を再起不能まで追いやった、…聞く所によると奴等はこの街から消えたとか。田原達は月島一家に潰されたらしい、…武文が人一倍気合を入れて暴れたみたい。藤枝とかいう奴も九里虎にやられ、運が悪いことに捕まって少年院送りとなったようだ。

 

後は伴という裏切り者、奴は深町にしこたまぶん殴られたみたい。その後は単身ブッチャーの下へと訪れ、土下座で詫びた後に鈴蘭を退学したと聞いた。屑ではあるものの、単身詫びに来たのは評価出来る。鎌田と田原、その二人とつるまなければ真っ当に生きれたものの。…残念ではあるな。

 

…そんなわけで、それぞれのチームと共に主要メンバーをやられた蠍は壊滅した。…だがこういう奴等はしぶといからな、生き残りがいて燻りそうな予感。まぁ表に出てきて悪さをしたのなら、…情け容赦なく今回以上の地獄を見せてやる。蠍は害悪そのもの、…当然だよね?

 

 

 

 

 

 

…で話は変わるが、元五代目武装頭の好誠さんが帰ってきた。手術は成功、病院を紹介した俺も一安心。んでリハビリも兼ねて山梨の親戚ん所にいるそうで、元気になったようだがもう少しそこで様子見だとか。そこで復活祝いと五代目解散式も兼ねての飲み会を決行、その会場を何故か俺が手配することになった。

 

…まぁ俺ん家が経営している店の一つを押さえりゃいいから簡単、彼等に会場を提供したんだが強制参加させられた。嫌ではなかったから喜んで参加ってことにしたけど、……良い飲み会だったと言っておこう。唯一の欠点は、女を紹介しろと絡まれたことぐらいか? 鉄生さんと明から漏れたらしい。明は分かるが鉄生さん…、何だかんだで嵐子(ランコ)と仲良くやってんじゃないッスか…。

 

 

 

 

 

 

そういうイベントをこなしている時、…街中で珍しい男を見掛けた。この街じゃーわりと有名人である男、その名は室戸康明。放火兄弟の弟である康明ちゃんを見掛けたからにゃー、

 

「よー、康明ちゃん! …久しぶりだな、…また悪巧みをしようってか?」

 

フレンドリーに声を掛けてみる。背後から声を掛けたんだが…、ビクッ! とかって失礼じゃねーか? …で恐る恐る振り向いた康明ちゃんは俺を見て、

 

「…やっぱり由紀也! …クソッ! …振り返らずに逃げりゃーよかった!!」

 

スゲー嫌な顔をしていた。…本当に失礼な奴だな!

 

俺と康明ちゃん、ここにはいないが善明とは因縁がある。…つっても、ガキの頃に色々とやり過ぎていたこの兄弟をぶっ飛ばしたからなんだが。それ以降、善明の方は更に凶暴化。俺を見付ければ襲い掛かってくる始末、…全て返り討ちにしとるが。康明ちゃんの方は幾分か改心、それなりの悪さをするがやり過ぎることはなくなった。兄の善明とは仲が悪い、弟の康明ちゃんとはそれなりにつるむ時がある。…そんな関係だ、…ちゃん付けしとるしね。

 

奢ると言って近くのファミレスに入って話を聞けば、兄弟共々…天地に雇われた傭兵だとか。…このバカはまだ善明に引き摺られているのか? …それと、

 

「…なるほど。月島と九里虎を狙うってか、…天地も色々と頑張るもんだ。」

 

康明ちゃん…天地達は鈴蘭(ウチ)に喧嘩を売るってことか、…それは面白い。更に康明ちゃんは、

 

「まぁ鈴蘭は最後の獲物でその前に色々とやるそうだぜ? …河田二高とか鳳仙とかによ。」

 

とか普通にぶっちゃけてくる。…それでいいのか? 康明ちゃん。

 

話を全て聞いて考える。…天地は街全体を支配しようとしているんか? まだ分からんけども。そう考えれば、康明ちゃんが言ったことに納得が出来る。街全体に喧嘩を売ると考えなければ、鈴蘭(ウチ)の他に河田二高や鳳仙をターゲットにしないだろう。そう考えると天地の奴、…なかなかの野心家だな。

 

 

 

 

 

 

その後…康明ちゃんと別れる際、

 

「…お前(・・)はやり過ぎるんじゃねーぞ、…康明ちゃん。」

 

と言えば、

 

「分ーっとるわ! 俺はお前にボコられたくねーからな!」

 

と言って俺に向かってあっかんべー。当然俺は…、

 

「この…っ!!」

 

と青筋を立てるも康明ちゃんは走って逃げてった。…アイツ、…相変わらずだな!




今更ですが由紀也ん家は金持ちです。


因みに康明は放火しとりません、したのは善明。風評被害にあっとる康明ちゃんです。


更にこの世界では、ある程度の悪さぐらいは許される世界観です。WORSTの世界だもんね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第30話 ~協定故に……

速読者さん、感想ありがとうございます。


ー龍光寺由紀也ー

 

康明ちゃんと久しぶりに会った日から数日後、鳳仙にて月本光政とキングジョーがタイマンをしたらしい。復活した川尻先輩からの情報だ、…何処で聞いてきたんだか。結果は光政の負け、そこは当然のことだろう。

 

「…無謀ではあったが、…意味のある敗北ってことッスね。」

 

「…だな! 今回のことを機に光政、いや…月光兄弟を中心に纏まるだろうさ!」

 

猪瀬と伊東先輩の言うように意味のある敗北、これから強くなるぞ? …鳳仙学園はよ。

 

 

 

 

 

 

そして更に数日後、将五から連絡があった。

 

『昔の友人絡みで狂屋と揉めそうなんだ。』

 

詳しく聞いてみれば、将五の友人が狂屋の奴にやられて指を折った。犯人は狂屋の幹部である寺門という男、今から奴等の動きを監視して動いたのなら…と。それで電話を終えたわけだが、…なるほど。狂屋は良いチームであると認識しているが、中にはそーでもねー奴がいるようだ。将五の友人は喧嘩とは無縁の高校球児、…素人相手にやらかすとは頭の石河さんが嘆くぞ?

 

…聞かされたからにゃ動いてやろうか、…将五も狂屋に話を通して欲しいから連絡をしてきたんだと思うしな。え~と…、石河さんの電話番号は…っと。

 

 

 

 

 

 

狂屋の頭である石河高史、その人に電話をし事情を話す。武装の若い者に幹部の寺門がやられたのなら、それには理由があるから報復はしないでくれと。理由を聞かれたから俺の知っていることを全て話す、それを聞いた石河さんは怒りまくる。

 

『もしそれが本当のことだったら、…俺達狂屋の名が泣く! 寺門の野郎、ただじゃおかねー!!』

 

電話越しに叫ばれ、…耳がキーンッとなった。…が、石河さんは報復をしないと約束してくれたんで良しとしよう。

 

しかし理由はどうあれ、もし…寺門がやらかし将五にやられたとなったらしこり(・・・)が残る。何せ武装も狂屋も他の三チームも、五国休戦協定を結んでいる。その協定に加盟しているチームは互いに争うことを禁じている、…で今回それを破ってしまうってことになる。このことを有耶無耶にしたら後に問題となろう、だから事が起きたら話し合いの場を設ける。…五チーム揃って今回のことを話し合うべきだ、それを石河さんに言えば賛成してくれた。石河さん的にも、これがきっかけで再び戦争になるってーのは回避したいみたいだ。

 

話は纏まり電話を切った俺、しかしすぐに鳴り響き…相手は金。…ってことはだ、

 

『…狂屋の寺門達が案の定絡みやがって、将五の奴が寺門を半殺しにしちまった!』

 

…そうでしょうねー! …ったく、また連絡しなきゃなんねーじゃねーか! 事が起きるの早すぎるわ!

 

 

 

 

 

 

そしてその日の夜、…とある場所にて話し合いの場が設けられた。集まったのは屍を抜かした四チーム、百鬼、四代目狂屋、慚愧の虎、六代目武装戦線。それぞれ二名ずつで参加しており、この場を仕切るのが…、

 

「本日…、この話し合いの場に参加して頂きありがとうございます。今回この場を仕切ることになりました龍光寺由紀也です、…どうぞよろしく。」

 

この俺になってしまった。言い出しっぺであることと、各チームと浅からぬ縁があるってことでね。まぁそれぞれの頭とは知り合いだからな、…仕方ないっちゃ仕方ないのか? 分からんけども。

 

とりあえず、この場を設けた理由を話す。きっかけは狂屋の幹部である寺門と他数名、揉め事を仲裁した将五の友人を襲い指を折った。しかもその友人は喧嘩と無縁の高校球児、更に後日…脅しを掛けて金をぶん取ろうとしたらしい。そしてそれを察知した武装の将五と他二名が乱入、寺門と他数名を半殺しにした。

 

そして理由はあるにしても今回の件は、五国休戦協定を破ることになり抗争に発展しかねない事態であること。理由を然程知らない下の者達が暴走する前に、上の者達でまず話し合おう…と。そう説明すると、それぞれの頭と付き人が妙に感心した様子で俺を見ていた。




この話の中で、狂屋の頭である石河は良い奴です。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第31話 ~五国休戦協定

投稿!


ー龍光寺由紀也ー

 

話し合いの場を設けた理由を説明した後、俺がそれぞれの頭に視線を向ければ、

 

「狂屋の幹部である寺門が武装の若い者に半殺し、本来であれば抗争に発展する事案なんだが…。」

 

まず最初に口を開いたのが百鬼総長山内太一郎、続いて…、

 

「普通に考えれば武装の鉄生さんと村田が謝罪すべきこと、しかし理由を聞けば非があるのは…。」

 

慚愧の虎副ヘッドである本間義勝が発言、視線を鉄生さんへ向けていたが途中で石河さんに変えた。

 

その視線を受けて大きく息を吐く石河さん、そして立ち上がったかと思えば…、

 

狂屋(ウチ)の寺門がすまなかった、…鉄生! 本当ならば、村田の友人に対して詫びなきゃならねーこと。だが逆に迷惑を掛けちまうからな、…お前達に詫びることで手を打ってはくれねーか? 寺門と他数名には、それ相応の罰を与える。…本当にすまなかった!!」

 

連れの桜井肇共々頭を下げて詫びたのだ。流石は男気のある石河さん、戸惑いなく頭を下げるとはカッコ良いぜ! …しかし頭を下げられた鉄生さんと将五は面食らう。…暫くしてから、

 

「石河! そんな深く頭を下げんなや、…戸惑うわ! アメちゃんやるから…な? 頭を上げてくれや!」

 

ポケットからアメを大量に取り出してそう言う鉄生さん、…相当テンパっとるようだね? その様子を見て山内さんはニヤつき、本間さんは我関せずといった様子でアメを手に取り舐める。…何だこの状況。

 

 

 

 

 

 

…最終的に手打ちとなったわけだが、鉄生さんと石河さんの二人はぐったりとしている。詫びる詫びなくていいで掴み合いになったからなー、…結局は短気何だよな。まぁ手打ちとなったわけだから次に行くことにしよう。

 

「えー…百鬼総長の山内さんと慚愧の虎副ヘッドである本間さん、そして僭越ながらこの俺龍光寺が立会人となり手打ちが成立しました。…で次の話となりますが、この場にいない屍のことです。」

 

俺が屍の名を出せば、ピクリと全員が反応する。この件についても話し合うと決めていたからな、うん。

 

簡単に説明すれば、屍の奴等はほぼ協定を破っている。何故なら、勝手に他県のチームの幹部と何度も会合を開いているからだ。確証はないがアイツ等(・・・・)ん所だろうと考える、…それは今言うことではないから黙っておくが。…とりあえず屍は、十中八九…何か企んでいる。ついでと言わんばかりに黄泉の梟、協定加盟を拒んだコイツ等も動きが怪しい。俺達鈴蘭が潰した漆黒の蠍も、…誰かの手引きにより中学生が集いつつあると聞く。

 

そのことを話せば、それぞれ意見を言い合うそれぞれの頭達。最終的に、

 

「ぬるま湯から出る時が来たってこった。沸騰した湯がどんなに熱いか、零度に近い水がどんなに冷たいが…。そろそろ思い出し、下の者に教えんのが俺達の役目…何じゃねーか?」

 

この鉄生さんの発言により、今日この日…五国休戦協定が満場一致で解除された。されど…余程のことがない限り、互いが争うことはないだろう。まぁ屍と梟は別だろうがな!

 

 

 

 

 

 

…で解散となったわけだが、

 

「お前が半殺しにした寺門は俺の兄貴分なんだ、たとえクソでも舎弟として黙ってるわけにはいかねー! …村田、俺と勝負したれ!!」

 

狂屋の桜井が将五にそんなことを言う。頭である石河さんが可愛がる筈だよな? 兄貴分がクソでも舎弟として…とかって、なかなかに男らしい。…言われた将五もそれを受け入れとるし、…良い男達だな!

 

それぞれの頭が見守る中で始まった二人のタイマン、…結果は将五の勝ち。将五の技あり掌底が綺麗に決まったわけだが、…強くなっていやがる。鉄生さんは勿論、石河さん達も将五の強さに感心し、桜井の男らしさも褒め称えた。慚愧の虎の藤が将五をライバル視するのも分かるってな、ま…俺の方が何倍もツエーけど。

 

そんなわけで、五国休戦協定は解除された。何だかんだでそのきっかけを作った男として、武装の村田将五は名を売りましたとさ。




次話も本編予定。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。