俺ガイル小説でよくあるちょっと性格が変わった愉快な比企谷八幡 (銅英雄)
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本編 比企谷八幡はふざけた作文と愉快な性格が原因で奉仕部に入ることを命じられる。

※超々気紛れ小説です。


高校生活を振り返って 2年F組比企谷八幡

 

『高校生活といえば『青春』というワードをなんとなくよく聞く気がする。では青春とはなんなのか……?考えていけば答えは幾百も幾千もあり、正解などないのだろう。

 

友達と馬鹿やったりするのも青春であれば、1人でひっそりと過ごしていくのもまた青春。

 

自分の場合は余り目立ちたくないために当てはまるのは後者の方だと思う。

 

……つまり何が言いたいのかというと勝手に自分の意見を押しつけて決めつけるのは良くないということだ。

 

結論、人間何をしようとも、そいつがどうなろうともそいつの人生だ。縛りつけるのはやめてやれ。もっと自由にさせてやれ。』

 

 

「比企谷……このふざけた作文はなんなのかね?」

 

職員室にて平塚(ひらつか)先生が呆れながら俺こと比企谷八幡(ひきがやはちまん)の作文を読み上げては溜め息をついていた。

 

「高校生活を振り返ってというテーマの作文ですね」

 

「そうだ。……で?どうしてこんな文章になったんだ……?」

 

「自分にとって高校生活とはなんなのか……と考えていたらこんなことになりました。右手が勝手に動いてましたね」ケラケラ

 

「何が可笑しい!……全く。君は腐った魚のような目をしているな……」

 

「それはそれは……またDHAが豊富そうな……」

 

「茶化すな。決して誉めてない!!」

 

「……まぁこの目は人間の汚いところを見すぎてしまった結果、気が付いたらこうなっていましたね」

 

なにせ碌な人間がいないからなぁ……。俺や知り合い含めても……。

 

「ところで君は友達はいるのかね?」

 

平塚先生が俺に友達の有無を聞いてきた。

 

「……どこからが友達なのか、どこまで仲良くなったら親友にランクアップされるのか、異姓ならばどこまで仲良くなったら恋仲になるのか……判断が難しいものですね。まぁ交遊関係はそこそこ広い方だと思いますよ」

 

「君にそんな人間がいるようには思えないが……?」

 

俺が応えると平塚先生は疑うように聞いてきた。

 

「それは自分が1人でいることの方が多いからだと思います。クラスでは1人か2人くらいしかいませんが、他のクラスになると両手ではおさまりきらないくらいいますよ」

 

本当にクラス分けって残酷だよな。1年の頃に仲良くなった奴が揃いも揃って別のクラスに行っちゃうんだから……。学校生活あるあるだよな全く……。

 

「……まぁいい。彼女は?」

 

「彼女なんて作ったら自分の趣味を優先できないじゃないですか!!」

 

「そ、そうか……」

 

俺の発言に先生は引き気味になる。大体なんで彼女を作るだけで自分を制限しなきゃいけないんだよ!そんなの『本物』じゃないだろうに……。やっぱり自分と趣味が合う奴が1番。次点で自分の趣味を理解できる奴だな。

 

「……そういえば先生には彼……」ビュンッ

 

氏がいるんですか?と聞こうとした瞬間に俺の真横に風が吹いた。

 

「余計なことを聞くんじゃない。次は当てるぞ……!」

 

どうやら『彼氏』はNGワードのようだ。まぁ平塚先生の場合は男子よりも女子に人気があるからね。しょうがないね。

 

「ところで比企谷、君は部活には入ってなかったな?」

 

「放課後はアルバイトがありますので」

 

生きるために!趣味のために!

 

「君みたいな腐った目をしている者を雇うアルバイトがあるのかね……?」

 

「『生きるために働け』という格言があるくらいですからね。それに古い知り合いのところですのでこの目になんの支障はありません」

 

「なんだその格言……聞いたこともないぞ」

 

「はい、自分が考えた格言ですので」

 

これは俺の趣味の1つであるレトロゲームから学んだ言葉である。

 

「ないんじゃないか……」

 

「テヘッ♪」

 

「殴りたい……!そのウザい顔……!」

 

「殴らないでくださいよ。怖いなぁ……。そんなんだから婚活が失敗するんですよ」

 

「そうなのか!?私がこんなんだから婚活に失敗するのか!?教えてくれ!どうすれば私は結婚できる!!」

 

「そんなこと生徒に聞かないでくださいよ。……それに自分で解決しないと意味がありませんよ」

 

平塚先生は血眼になって俺の肩を揺すりながらどうやって結婚できるかを聞いてきた。その性格をある程度抑えないと結婚は夢のまた夢ですよ。

 

 

~そして~

 

「んんっ!……話が逸れたな。部活に入る時間は作れないのかね?」

 

「そうですね……週に2日くらいならなんとか」

 

俺のバイトのシフトが確か週3だからそれが妥当だろう。

 

「そうか……ならそれでもいい。君に入ってほしい部活が……」

 

「お断りします」

 

「あるんだが……ってまだ最後まで言ってないだろうが!!」

 

「冗談ですよ。そんなカッカしなさんな」

 

「君は私に喧嘩を売ってるんだよな……?そうなんだよな?」

 

「そんなことはありませんよ。先生はなんだか『先生』としてよりも『友達』として接した方が面し……楽しいですからね」

 

「余り言い直せていないが……。しかし嬉しいことを言ってくれるものだな」

 

「おや、怒らないんですね」

 

「まぁ教師としてはマイナスかもしれないが1人の人間としては案外喜ばしいものなのだよ」

 

「そういうものですかね」

 

まぁ案外それが『本物』なのかもしれないな……。

 

「……また話が逸れてしまったが君に入ってほしい部活が」

 

「お断りします」

 

「あるんだが……ってそれはさっきやっただろうが!話が全然進まないじゃないか!!」

 

「冗談ですよ。そんなカッカしなさんな」

 

「……君はNPCかなにかなのか?」

 

「自分は比企谷八幡ですよ」

 

「それくらいはわかってる!……もういいついてこい。君にピッタリな部活がある」

 

「なんだか疲れてますね」

 

「誰のせいだ!誰の!!」

 

「まぁまぁ、落ち着いてください」

 

「……比企谷が余計な発言をしなければスムーズにことが進んでいたような気がするんだが」

 

「先生とコミュニケーションをとっているだけですよ」

 

「君、本当に友達がいるのかね?そんな性格だと友達なんて到底できそうもないが……。しかも作文とは全く違う性格だし……」

 

「人によって性格や態度を変えているだけですよ」

 

「だったら私に対する態度をもうちょっと良くしてくれ……!君を見ていると『アイツ』を思い出す……」

 

「『アイツ』っていうのはここのOGである『雪ノ下陽乃』さんのことですか?」

 

「……君は彼女を知っているのかね?」

 

「自分は何も知りませんよ。知っているとしたらそれはあなたですよ。平塚先生」

 

「謎めくな!君は心に闇をもたらしているのか!?」

 

「さて、どうでしょう」

 

「はぁ……。ここだ」

 

「ここがこれから自分が部活をするところですか?」

 

「うむ。入るぞ……」

 

「ノックくらいしたらどうですか?社会人の基本でしょう」

 

「うぐっ……!」コンコン

 

平塚先生がノックをして入るとそこには1人の少女が椅子に座って読書をしていた。

 

 

 

 




今回はここまでです。

次回はいつになるのやら。気分転換ですからねぇ……。


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比企谷八幡と雪ノ下雪乃の最初は案外悪くない。

今回もよろしくです。


「め、珍しいですね……。平塚先生がノックをするなんて……」

 

先程まで読書をしていた少女は平塚先生がノックをしたことに驚きを隠せない様子だ。ちなみにこの少女は雪ノ下雪乃(ゆきのしたゆきの)といってこの学校で知らない人はまずいないといわれる完璧な美少女(笑)である。

 

「あ、あぁ……そこのに言われてな……」

 

「はいはい、『そこの』こと比企谷八幡ですよー」

 

「では雪ノ下、あとは頼む。私は疲れた……」

 

「お疲れ様でーす。大変ですねー」

 

「誰のせいだ!誰の!!……はぁ」

 

溜め息を吐きながら平塚先生はこの教室をあとにした。

 

「とりあえず椅子を借りていいか?」

 

「え、ええどうぞ……」

 

雪ノ下はまだ状況が呑み込めていないようで戸惑っている。

 

まぁ普段ノックをしない平塚先生が急にノックをして、わけのわからない人間こと俺を押し付けていったのだから。

 

「ところでこの部活が奉仕部というのは平塚先生から聞いたが具体的に何をする部活なんだ?」

 

「活動内容を説明する前に自己紹介をしましょう。これから同じ部活をする人間ですもの」

 

成程……その通りかもな。

 

「じゃあ改めて……。比企谷八幡だ。よろしく」

 

「私は雪ノ下雪乃よ。……比企谷君は先程の平塚先生とのやりとりとはえらく性格……というか態度が違うのね」

 

「人によって態度や性格を変えてるだけだ。第1印象によってな」

 

「そう……。では私への第1印象は悪くない……ということでいいのかしら?」

 

「質問を質問で返すのはよくないが……そう思う理由は?」

 

「貴方のその言い方だと態度の悪い人間や気に入らない人間には雑に扱う……そんな印象を持ったからよ。尤も平塚先生は例外でしょうけど」

 

「そうだな。それで間違ってない。まだ初対面もいいところだから雪ノ下雪乃がどういう人間なのかわかりきってない……というのが本音だ」

 

「でも初対面でもどういう人間なのかわかる人もいるのではないのかしら?」

 

「まぁな」

 

コンコン

 

「どうぞ」

 

「どうだね雪ノ下、比企谷の様子は?」

 

「おおっ!ちゃんとノックできるようになってるじゃないですか平塚先生」

 

「私だってこうして成長しているのだよ比企谷」

 

「まぁ先生の年だとできて当たり前なんですけどねー」

 

「上げて落とすな!!君は私に恨みでもあるのか!?」

 

「さて、どうでしょう?」

 

「謎めくな!あるのか……?本当に私に恨みがあるのか!?答えてくれ比企谷!!」

 

「あるといえばありますし、ないといえばないのです」

 

「あるのかないのかはっきりしろ!」

 

「あります」

 

「あるんじゃないか……!もういい、私は仕事に戻る……」

 

「平塚先生」

 

「なんだね比企谷……?」

 

「雪ノ下に話しかけたのに彼女がすっかり蚊帳の外ですよ。本当にこういうところが結婚できない原因なのです」

 

「それは君が話の途中で私を小馬鹿にしているからだろう!……雪ノ下、比企谷の矯正を……頼む……」

 

そう言って平塚先生は職員室に戻っていった。

 

「貴方……本当に私と平塚先生とで態度が違うのね。あんな先生初めて見たわ……」

 

「あの人をからかうのは面白いからな」

 

本当にからかいがいのある人だ。

 

「……依頼人が来そうもないしそろそろ終わりにしましょう」

 

「依頼人?そういえばこの部活が何をするのかまだ聞いてなかったな」

 

「そういえばそうね……。何故話が逸れたのかしら?」

 

多分平塚先生が乱入したからだな。全く!俺と雪ノ下の会話を盗み聞きをしているとか……たちの悪い。俺も人のことは余り言えないけど平塚先生をからかうためだから気にしない。

 

「この奉仕部の活動理念は飢えた人に魚をあげるのではなく魚の取り方を教えるのよ」

 

「ふんふむ、とどのつまり自立を促すってことだな?」

 

「その解釈で問題ないわ」

 

「……で依頼人=飢えた人ってなるわけだ」

 

「その通りよ」

 

「じゃあそろそろ帰るわ。明日からよろしくな雪ノ下」

 

「ええ、こちらこそよろしく。比企谷君」

 

こうして俺は部活をすることになった。

 

この部活に入ることで様々な困難が待ち受けているだろうがヤバくなったら平塚先生に押し付……任せればいいだけのことだ。

 

明日からどんな部活動生活になりますことやら……。

 

 




今回はここまでです。

次回、ヶ浜さん登場……までいくかな?


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比企谷八幡は色々な人と繋がりがある。

今回もよろしくです。


「あれ?比企谷君だ。今帰りなの?」

 

部活が終わり、今日はバイトがないのでさあ帰ろうと思ったところに声をかけてきたのは同じ学校でバイトの同僚の榎本梨子(えのもとりこ)で俺が知っている人間の中で数少ない常識人である。さらに彼女は生徒会の副会長なのだ。

 

「まぁな。榎本は生徒会が終わったところか?」

 

「うん。そういう比企谷君は部活帰り……?でもバイトばかりで部活には入ってなかったよね?」

 

「ちょっと平塚先生をからかいすぎてな。その罰だ」

 

実際のところは俺の書いた作文が原因なのだがこっちの理由の方が俺らしくていい。

 

「余り平塚先生をからかっちゃ駄目だよ」

 

「まぁ善処するさ」

 

「その言葉を聞いても善処する気ないよね……」

 

おっと、バレちった。榎本はジト目でこちらを見ている。

 

「そんなことより帰ろうぜ」

 

「露骨に話を逸らした……」

 

 

~そして~

 

「部活に入ったってことはバイトのシフトを減らすの?」

 

「ああ、多分榎本と同じように週3くらいになると思う」

 

多分土日と水曜日になりそうだな。あの奉仕部とやらがどれくらいの頻度で活動しているかによってあと1日+で入るかもしれん。

 

「そうなんだ……。あっ、私こっちだから」

 

「おう、またバイトでな」

 

「比企谷君もね」

 

榎本と別れ彼女が見えなくなったのを確認すると俺も帰路についた。

 

 

~翌日~

 

「比企谷。部活の時間だ」

 

放課後になってバイトに行こうかな……と思い教室を出ると平塚先生が仁王立ちをして待ち構えていた。

 

「お断りします。では」

 

一言入れて平塚先生の横を通ろうとしたら平塚に肩を掴まれた。指が食い込んでるよ……。痣になったらどうしてくれるんだ。

 

「待て待て待て!君は昨日奉仕部に入っただろう!!」

 

「今日はバイトの日なので部活には出られません」

 

「む……それはすまない。明日は部活に出られそうか?」

 

「はい、明日ならば問題ありません」

 

まぁ明日もバイトがあるけど部活が終わってからでも問題ない。

 

「わかった。雪ノ下には私から伝えておこう」

 

「その心配はありませんよ。彼女には昨日メールで伝えてありますから」

 

「君はいつの間に雪ノ下と連絡先を交換したんだ?」

 

「昨日の部活でです。これから同じの部活の仲間になるんですから当たり前ですよ」

 

「君はコミュニケーションが取れてないと思ったのだが……」

 

「酷いことを言いますね。こう見えて友達100人いますよ」

 

「嘘くさいな……」

 

「まぁ平塚先生のご想像にお任せします。自分はバイトに行くので失礼します」

 

「ああ、引き止めてすまなかったな。バイトに励みたまえ」

 

「はい。……あっ、そうそう平塚先生」

 

「何かね?」

 

「もう少し淑やかにならないと一生結婚できませんよ」

 

「比企谷!!」

 

平塚先生の叫び声をBGMにして校舎を後にする。やはり1日1回は平塚先生をいじ……コミュニケーションを取らないとな。

 

 

 

~そして~

 

「おう、比企谷」

 

「椿さん、どうもです」

 

この人は椿兵馬(つばきひょうま)さんといって俺がしているバイトのトップである。前のトップが行方不明になってしまってから椿さんがここを仕切っている。

 

いつも青いコートを着て青いテンガロンハットをかぶっている。見た目がとても老け……貫禄があるが実は20歳の大学生なのだ。……大学には余り行ってないらしいが。

 

「今日の仕事はある店を潰してほしい。これを使ってな」

 

椿さんは俺に1つの瓶を渡してくる。成程……今日は『そっち』の仕事か。ちなみにここ(Oddball)はよくあるアルバイトみたいな仕事もあれば汚い仕事もある結構大きな会社である。表向きはそこそこ有名な株式会社らしい。椿さんは大学生でありながらそこの社長をしている。それにしても……。

 

「これを使うんですか……?余り好きじゃないんですよねぇ……」

 

「気持ちはわからんでもないが1番手っ取り早いからな。我慢しろ」

 

「……まぁ仕事なのでやりますけど」

 

これを使うと最悪自衛隊が出てきて大事になりかねないんだよなぁ……。

 

「決行は25時だ。それまでは自由にしてていいぞ」

 

「了解です」

 

なら部活に出た方がよかったな……。『そっち』の方なら尚更だ。

 

「もし暇なら久し振りに広間に行って身体を動かしたらどうだ?」

 

椿さんがそう口にする。ふむ……。

 

「折角なのでそうします。今日は誰がいますか?」

 

「ロボがいるんじゃねぇか?」

 

ロボか……。久し振りの運動にしては無茶苦茶な相手な気がするがまぁいいか。

 

「わかりました。行ってきます」

 

 

~そして~

 

「……八幡?久し振り。何の用?」

 

この一昔前のロボットの風貌をしているのがロボといってこの(Oddball)の『そっち』側の一員であり椿さんと昔組んでいたらしい。

 

「ああ、久し振りロボ。今日は仕事前に軽く身体を動かそうと思ってな」

 

「……なら相手になる」

 

「久し振りだからお手柔らかにしてほしいが……」

 

「……八幡は強い。油断してたらこっちが負けるから思いっきり行く」

 

……生きて帰れるかな?仕事前なのに……。

 

 

~そして~

 

「……やっぱり八幡は強い」

 

「酷い目にあった……。だがいい運動になったな」

 

ロボは敏捷はそこまでないけどミサイルとか爆弾とかを多用するのでいつも辺りが更地になる。

 

「こんちはー!……ってここってこんな更地だったっけ?」

 

元気な掛け声と同時に入ってきたのは西野優香(にしのゆか)。俺や榎本と同じ学校で(Oddball)の『そっち』側の一員でもあり、俺と同じで『表向き』の方にもシフトを入れている。まぁ彼女の場合は『表向き』がメインだが……。

 

「あっ!八幡に……ロボだ!」

 

「よう西野。おまえも訓練か?」

 

「そうだよ!『そっち』の日は必ずここに来てるしね!!」

 

「……優香、相手になって」

 

「了解!八幡も戦う?」

 

「いや、俺は1回家に帰る」

 

「そっか……。じゃあ小町ちゃんにもよろしくね!」

 

「おう、言っとく」

 

さて、帰って小町の作った飯でも食うか……。

 

 

 

~翌日~

 

翌日の新聞でとある店で猫と同じくらいの大きさのゴキブリが大量に発生して退治のために自衛隊が動いたと新聞の一面を飾っていた。

 

……やはり『神のマナ』を使うと目立つな。まぁ店には何の恨みもないがこれも『仕事』なんでね。

 

 




今回はここまでです。

意味わからん話だとは思いますが許してほしいのです。あとオリキャラに関してはかつて私が書いていた小説のキャラを使っております。

では次回もよろしくです。



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こうして比企谷八幡と雪ノ下雪乃の奉仕勝負が始まった。

今回もよろしくです。


放課後になり部活へ向かおうと歩を前に進める。

 

え?授業の風景?特に変わったこともないしいらないでしょ。強いて言えば視線を1つ感じたくらいだけどまぁ気にすることもない。

 

というわけで部室に到着。

 

「おはようさん」

 

「あら比企谷君、こんにちは」

 

この部室の長である雪ノ下に挨拶も忘れない。これは社会に出たときもしなくてはならない大切なことである。

 

「昨日は来れなくてすまなかったな」

 

「アルバイトだったのでしょう?ならしょうがないわ」

 

ふむ……取っ付きにくい性格かと思ったが、下心なしに会話してみると特に悪い奴ではなさそうだ。姉の方とは違って純粋だな。

 

「ところで昨日は誰か依頼に来たのか?」

 

「依頼人は来ていないけれど、平塚先生が部室に来て私と比企谷君で勝負するように言われたわ」

 

「勝負……?」

 

「ええ、平塚先生が依頼人を連れてきて先生の独断と偏見で勝ち負けを決めるそうよ」

 

独断と偏見って横暴すぎるような気もするが……。その場に俺がいないとはいえよく雪ノ下がそれを引き受けたな。

 

「……まぁいいか。ということは今日あたり平塚先生の紹介で依頼人が来そうだな」

 

等と考えているとノックの音が響いた。

 

「どうぞ」

 

「し、失礼しまーす……」

 

雪ノ下の声によって入ってきたのは1人の女子で確か名前は……由比ヶ浜結衣(ゆいがはまゆい)だったな。同じクラスの人間で……。

 

「な、なんでヒッキーがここにいるの!?」

 

クラスの中の騒がしいグループでいつもクラスの女王様こと三浦優美子(みうらゆみこ)のご機嫌を伺っているといった感じがするな。まぁ本人にそのつもりはないのだろうが……。

 

「ちょっと!聞いてるのヒッキー!?」

 

「……ああ、俺に言っていたのか。生まれてこのかたそんな渾名で呼ばれたことがなかったからわからんかったわ」

 

「なに言ってるの?ヒッキーはヒッキーじゃん」

 

……成程、こいつは自分さえよければそれでいいというタイプだな。『そっち』の仕事では重宝しそうな性格だが俺は余り好きにはなれんな。

 

「2年F組の由比ヶ浜結衣さんね?」

 

「あ、あたしのこと知ってるんだ……」

 

雪ノ下はこいつのことを知っているようだ。まぁそりゃそうか。何せ彼女は……。

 

「それで……依頼かしら?」

 

「うん、えっと……あの……」

 

由比ヶ浜はこちらを見ている。なんだ?俺がいると依頼内容が言えないのか?なら……。

 

「雪ノ下、ちょっとお手洗いに行ってくるからその間に依頼を聞いておいてくれ」

 

「わかったわ」

 

そう言って俺は部室を出た。

 

 

~そして~

 

さて、そろそろ部室に戻るかな。

 

「あれ?比企谷君じゃないですか」

 

「高科か……」

 

俺に声をかけたのは高科奈桜(たかしななお)。中学が一緒で1年の頃も同じクラスだった女子だ。部活は新聞部に所属しており(Oddball)の『そっち』側の仕事として主に情報収集担当で実の妹である芳槻桜空(よしづきさら)と西野の3人でよくトリオを組んでいる。

 

「こんなところで何をしてるんですか?」

 

「部活だ。今は席を外してるがな」

 

「あ、あの比企谷君が部活……ですって……?これは大ニュースですよ!みんなに知らせないと!!」

 

「俺が部活に入るのが意外か……?」

 

「決まってるじゃないですか!あの比企谷君ですよ!?これは次に書く記事が決まりましたかね~」

 

おいおい……そんなことしたら俺が目立っちゃうじゃないか。……しょうがない。

 

「そんなことしたら芳槻に……のことをチクるぞ」

 

「な、なんでそれを……?ナオっちの心の中に秘めておこうと決めたその事を!?」

 

「情報通なのはおまえだけだと思わないことだ」

 

「それは勘弁してください!さらにバレたら一生口をきいてくれません!!」

 

「なら余計なことはしないことだな」

 

「うぅ……わかりました」

 

うむ、これでよし。

 

「じゃあそろそろ戻るわ。芳槻によろしく言っておいてくれ」

 

「うぅ……はい」

 

まだ落ち込んでるのかよ……。

 

「あっ、椿さんから近いうちに大切な話があるとのことですよ」

 

「椿さんが……?」

 

何の用事だろうか……?

 

「わかった。じゃあな高科」

 

「はい、また!」

 

時間をくったな。急いで奉仕部へ戻らなくては。

 

 

~そして~

 

「遅かったわね」

 

「すまん、ちょっとな」

 

「まぁいいわ。これから家庭科室に行くわよ」

 

「家庭科室に?」

 

「由比ヶ浜さんの依頼よ」

 

由比ヶ浜の依頼は料理関係か裁縫関係なのか?まぁとにかく俺の奉仕部の初めての仕事が始まるわけだ。何が待ち構えているのか……。

 




今回はここまでです。

次回は由比ヶ浜の依頼編です。……とはいっても1話、かけても2話ですが。


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由比ヶ浜結衣は不器用なだけでやればできる子かもしれない。

今回もよろしくです。


由比ヶ浜の依頼はどうやらある人にお礼をしたくて、そのためのクッキーを作りたいとのこと。しかし自信がないので手伝ってほしいそうだ。

 

「それ、友達に頼まないのか?」

 

由比ヶ浜は友達が多い人間だ。クラスではトップカーストだし、コミュ力高いだろうから他のクラスにも友達がいると思う。

 

「それは……あんまり知られたくないし……。こういうマジっぽい雰囲気は友達とは合わないってゆーか……」

 

手作りのクッキーがマジっぽい案件って……。こいつのマジっぽくない雰囲気?ってどんな感じなのかね……?

 

「…………」

 

雪ノ下は由比ヶ浜の発言に対して何か言いたそうにしていた。まだ依頼始まってないよな?

 

 

~そして~

 

家庭科室に着いてとりあえず由比ヶ浜が1人でどこまでできるか見ていたいとのことで作らせてみたのだが……。

 

「こりゃ酷いな……。まるで木炭だ」

 

「どうすればこんなにミスを重ねることができるのかしら……?」

 

その結果がホムセンに売ってそうな木炭ができてしまったわけだ。しかも……。

 

「な、なんで!?」

 

作った本人はなんで?どうして?といった感じだ。それはこっちの台詞だっちゅーの!

 

「……とりあえず味見をしましょう」

 

「面白い冗談だな雪ノ下。これは毒味というんだ」

 

「どこが毒だし!!……毒なのかなぁ」

 

とはいえ食べてみないことには改善点を伝えることすらできないし……。

 

「死なないかしら……?」

 

「こういったもんに耐性があるなら問題ないが……まぁ厳しめだな」

 

俺の場合は知り合いにこれと匹敵するものを作っていた奴がいたな。あれは料理じゃなくて兵器といっても過言じゃないだろう。今はある程度できるようになってるが。

 

「ちょっ!そこまで言う!?一生懸命作ったのに失礼だよ!!」

 

……なんでこいつは文句垂れてんですかねぇ?

 

「文句あるなら1人で全部食うか……?俺は一向に構わんぞ?」

 

「うっ……ごめんなさい……」

 

作った本人でも流石に全部食べるのは嫌なようだ。

 

 

~そして~

 

「さて、どうすればいいか考えましょう」

 

「……プランは2つだな」

 

「教えてもらってもいいかしら?比企谷君」

 

由比ヶ浜みたいなタイプの料理人?の対応策は2つある。1つ目は……。

 

「由比ヶ浜が2度と料理をしないことだな」

 

「ひ、酷い!!」

 

「比企谷君、それは最終手段よ」

 

「それで解決しちゃうんだ!?」

 

由比ヶ浜は泣きそうになりながらそう言う。

 

「……あたし料理向いてないのかな?才能っていうの?そういうのないし……。それにみんなもやってないっていうし……」

 

「……由比ヶ浜さん、その周囲に合わせようとするのはやめてもらえるかしら。酷く不愉快だわ」

 

「えっ……?」

 

「自分の不器用さを他人に求めるなんて恥ずかしくないのかしら」

 

雪ノ下の口撃で由比ヶ浜は怯んでいる。というか震えている。こいつ泣くんじゃねぇかな……?

 

「か……」

 

帰る?

 

「格好いい……!」

 

「は……?」

 

ありゃ……由比ヶ浜には雪ノ下の口撃が聞いてなかったようだ。

 

「あの……由比ヶ浜さん?私、結構キツいことを言ったと思うのだけれど……」

 

「うん、言葉はキツくてぶっちゃけ軽く引いたけど……本音って感じがした……。ごめん、今度はちゃんとやる!」

 

「……ならプランBだな」

 

「そういえば比企谷君はプランが2つあると言っていたわね」

 

「まぁな」

 

これは奉仕部の理念からかけ離れているから余り好ましくはないが……。

 

「由比ヶ浜、家では誰が料理してるんだ?」

 

「えっ?ママだけど……?」

 

「なら母親に見てもらえ」

 

料理ができない奴は最初の方は料理ができる奴に教えてもらって慣れてきたらそいつに見てもらう。これに限る。

 

「ヒッキー……?」

 

「どういうことかしら?」

 

雪ノ下と由比ヶ浜がこちらを見ている。なら教えてしんぜよう!

 

「人には得て不得手がある。由比ヶ浜の場合は料理だ。俺の知り合いに昔すごく料理が下手な奴がいてな。料理ができる人間みんなで協力してそいつはやがて料理ができるようになったんだよ」

 

「なら奉仕部の……由比ヶ浜さんの依頼はどうするのかしら?」

 

「家では由比ヶ浜の母親が、学校では奉仕部で由比ヶ浜の料理が上手くなるように手伝えばいい。最終的に由比ヶ浜が1人で料理ができるように……というより最低限食べられるレベルのクッキーが作れるようになったらそれで由比ヶ浜の依頼は完遂だ」

 

「最低限……?」

 

「ああ、そこからは由比ヶ浜の気持ちを渡す奴にぶつければいい。そうすればそいつの心も揺れんだろ」

 

「ヒッキーも……揺れるの?」

 

「さてね。……まぁくれるっていうならそれをもらうくらいの甲斐性はあるさ」

 

恐らく由比ヶ浜は俺にそのクッキーとやらを送るつもりなんだろうな。……去年のお礼として。遅すぎるような気もするが、彼女なりに色々と苦心したんだろう。

 

「……そっか。ありがとう!ヒッキーの言う通りにしてみるね!!」

 

何かを思い付いたのか由比ヶ浜はバタバタと家庭科室を後にした。……エプロンを着たままで。

 

 

~数日後~

 

バイトに行く前に由比ヶ浜に呼び止められた。

 

「ヒッキー!これ、お礼に!!」

 

「……これは『何の』お礼だ?」

 

「えっ?えっと……依頼のお礼!!」

 

「……そうか。まぁ有り難くもらっとく」

 

袋に入っていたクッキーは依頼に来た日とは比べ物にならないくらい綺麗な仕上がりだった。……俺らや母親の手伝いがあったとはいえあの数日でよくここまでできたもんだ。

 

俺はクッキーをかじりながらバイトへと向かうのだった。

 

 




今回はここまでです。色々と矛盾が生じるかもですがお許しを……!

次回は小説回かな?


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ただの昼休みでも平和というわけにはいかない。

今回もよろしくです。


ある日の昼休み。いつもはテニス部員の昼練を眺めながら昼食を食べている俺だが、今日は雨のため教室での食事である。

 

「あーし今日はチョコとショコラのダブルが食べたい!」

 

等とそれどっちもチョコじゃね?と突っ込みたくなるような発言をしているのが三浦優美子。

 

「それ、どっちもチョコじゃん」

 

そして俺と同じ突っ込みをしたのが葉山隼人(はやまはやと)。三浦と葉山を中心とした男女のグループがこのクラス……というよりこの2学年のトップカーストなのだ。由比ヶ浜もこのグループに所属している。

 

「悪いけど今日はパスな。それに余り食い過ぎると後悔するぞ優美子」

 

「あーしどんなに食べても太らない体質だし!」

 

胸を張りながら三浦は主張するが『どんなに食べても太らない』という言葉はその裏でしっかりとしたカロリーを計算しているもんだと最近西野が言ってたな。まぁあいつの場合はアスリート並に体を動かしているが……。

 

「やー優美子マジで神スタイルだよね~。脚とか超キレー」

 

今日も由比ヶ浜は三浦のご機嫌取りをしている。この辺本当に友達なのか小一時間問い詰めたいところではあるな。

 

「それであたし今からちょっと用事が……」

 

そういえば由比ヶ浜はここ最近雪ノ下と昼休みを過ごしているようだ。今日もその予定を三浦に伝えようとするが……。

 

「えー?でも雪ノ下さんとかいう子の方がヤバくない?」

 

……雪ノ下雪乃の名前は有名なんだな。俺は水筒に入れてある梅昆布茶を啜りながらそう思った。うむ、水筒に入れていても梅昆布茶は美味だな。

 

「あっ、確かにゆきのんはヤバ……」

 

「……ゆきのん?」

 

由比ヶ浜のゆきのん呼びに対して三浦が不機嫌になる。その不機嫌の原因は『雪ノ下を褒めておきながらでもあーしの方が良いよね~』的な感じでフォローしてほしかったのに由比ヶ浜が肯定してしまったからなのか、渾名で呼んでいる雪ノ下に対する嫉妬みたいなのかどっちだろうか……。まぁ気にしても仕方ないが。

 

「まぁいいじゃないか。部活の後でいいなら俺が付き合うよ」

 

由比ヶ浜が必死にフォローしようとするなか葉山が三浦を宥める。そうすることによりグループ内の空気が落ち着く。流石空気清浄機の葉山隼人(俺命名)。すると再び由比ヶ浜が三浦に切り出す。

 

「あの……あたし、お昼行くところがあるから……」

 

「そうなん?じゃあレモンティー買ってきてよ。あーし今日飲み物忘れたから」

 

「やー……でもあたし戻ってくるのは5限になるしお昼まるまるいなくなるからそれはどうだろーみたいな……」

 

由比ヶ浜もハッキリと断りゃいいのに……。まぁそれができたら苦労はしないか……。

 

「結衣最近付き合い悪くない?」

 

「……ごめん」

 

「ごめんじゃなくてなんか言いたいことがあんでしょ!?」

 

三浦が威圧的な態度に対して由比ヶ浜は怯えている。これじゃあ由比ヶ浜は何も言えんな。……しょうがない。

 

俺はスマホを取り出してメール画面を開きカコカコと文を打ち画面を閉じる。その後三浦は落ち着いた態度になってどこに行くのか由比ヶ浜に尋ねた。実は俺と三浦はメル友なのだ。

 

その後雪ノ下がクラスに来て由比ヶ浜が雪ノ下と一緒にご飯を食べると言ったら三浦は『始めからそう言えばよかったんじゃん……』と少し不機嫌になりながら呟いた。……これ俺が三浦にメールしなかったら雪ノ下と三浦で一触即発の修羅場になるところだったのでは?

 

こうして雨の日の昼休みは過ぎていった。梅昆布茶美味ぇ。

 

 

~そして~

 

放課後になって部活に行こうとすると三浦に声をかけられた。

 

「……今日はフォロー助かったし。あのままだと結衣と喧嘩になるとこだった……」

 

「気にすんな。……まぁ威圧的な態度を取っている三浦にも原因はあるが、由比ヶ浜のハッキリとしないところにも問題がある」

 

「はぁ……そんなつもりはなくても結衣のウジウジしているところを見るとつい……」

 

正直三浦の気持ちはすごくわかる。社会に出るとああいった奴は速攻で切り捨てられるからな。

 

「じゃあ俺はこれから部活だから」

 

「ん。呼び止めて悪かったし。またメールでね」

 

「了解」

 

俺は三浦との会話を終了させて奉仕部へと向かった。

 

 




今回はここまでです。

なるべく今までにはなかった八幡を演出したかった結果がこれである。反省も後悔もしていない。


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材木座義輝の初登場は大体不審者じみている。

今回もよろしくです。


奉仕部の部室へと向かうと雪ノ下と由比ヶ浜が部室の前で何やらコソコソとしていてまるで不審者のようだった。

 

「……何やってんだ?」

 

「ひゃっ!?」

 

「わっ!!」

 

そんなに驚くようなことかね?普通に声をかけたつもりなんだが……。

 

「ひ、比企谷君……。お、驚かせないでちょうだい」

 

「そりゃ悪うござんした。……それで部室の前で何コソコソしてるんだ?」

 

「あっ、うん……部室の中に不審者がいるの……」

 

「ふーん……」

 

俺の問いに由比ヶ浜が答える。不審者ねぇ……。とりあえず俺はスマホを取り出した。

 

「……もしもし、警察ですか?実は不審者が……」

 

「ま、待て待て!待ってくれ八幡!!我だ!!」ガラッ!

 

警察に連絡をしようとすると部室から肥満体の眼鏡が出てきた。

 

「……とまぁこのように通報するような行動を取れば中にいる不審者を炙り出すことができます」

 

「そ、そう……」

 

あれ?何故か雪ノ下が引いてるぞ?本来こういったことはチミの役目ざんしょ?

 

「それで……彼は何なのかしら?貴方のことを知っているみたいだけれど……」

 

「知らね。ストーカーじゃね?」

 

雪ノ下がこの肥満体は何者かと聞かれた俺はストーカーの疑いをかけた。まぁ雪ノ下も由比ヶ浜も人気があるからね。仕方ないね。

 

「見下げ果てたぞ!この相棒の顔を忘れるとは!!」

 

「相棒って言ってるけど……?」

 

由比ヶ浜は怪訝な顔して俺を見るが俺の相棒はや西野や榎本なんだがなぁ……。あとたまに高科と吉槻。

 

この面子は(Oddball)での仕事仲間であり、中学からの付き合いだ。西野にいたってはもっと前からの友人だしな。まぁ1番仕事をしているのは椿さんなんだけど……。

 

「ドラマの話でもしたいんだろ」

 

右京さんの相棒の話でしょ?俺は亀山君だと思う。

 

「忘れたのか八幡……?あの地獄のような時間を共に駆け抜けた日々を!?」

 

「……あのように言っているけれど本当に知らないのかしら?」

 

「はてな?はてな?地獄のような時間……?」

 

この目の前の肥満体から連想する地獄の時間……。ああ、そういうことか。

 

「確か体育でペアを組んだ……檜山さんだっけ?」

 

「それは中の人だろうっ!!我だよ!材木座だよぅ!!」

 

わー気持ち悪い……。ちょっとしたボケに対して涙目になってーら。しかもメタ発言までして……。

 

「……ということで彼は2年C組の材木座義輝(ざいもくざよしてる)といって体育のペアを組んでいる」

 

この肥満体改め材木座を雪ノ下達に紹介する。

 

「……ときに八幡、奉仕部とやらはここでいいのだな?」

 

なんで俺に聞くのかね?ここの部長は雪ノ下なんだけどなぁ……とか思っていると雪ノ下が答える。

 

「ええ、ここが奉仕部よ」

 

「や、やはりそうか。平塚教諭に助言頂いた通りならば八幡は我の願いをかなえる義務があるのだな?」

 

「願いをかなえるわけではないわ。奉仕部はあくまで自立を促すための部活よ」

 

 

材木座は平塚先生の紹介でここに来たようだ。つまりは依頼人というわけか……。材木座よ、女子が苦手なのは伝わるがある程度は耐性つけないと将来困るぞ。

 

 

~そして~

 

材木座の依頼はラノベの原稿を読んで感想を聞かせてほしいとのことだ。……まぁ感想を言うくらいなら奉仕部の活動理念の範疇かな……?知らんけど。

 

それにしても分厚いな……。

 

「では明日感想を聞きにくる!」

 

「待て材木座」

 

「どうした八幡?」

 

「明日は土曜日だ。休日まで奉仕部はやってない。それにこの量で翌日だと間違いなく徹夜になる。早く感想がほしいのはわからなくもないが月曜まで待ってくれ」

 

まぁ俺の場合は今日から3日連続で『そっち』の仕事だから確実に徹夜になるんだよなぁ……。

 

「ふむ、我としたことが休日を計算してなかったな。よかろう。感想は月曜に聞きにくる!」

 

そう言って材木座は去っていった。

 

……どうしたもんかねこれは。冒頭の部分だけちらっと見たけどもう読みたくなくなったぞ。

 




今回はここまでです。


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比企谷八幡はとある喫茶店で一休みする。

今回もよろしくです。


材木座のラノベ(笑)を受け取った翌日、俺は椿さんと仕事のために遠前町へと訪れている。椿さんによるとこの町に昔の仲間が住み着いているそうだ。

 

「比企谷、休憩してきていいぞ」

 

との言葉を椿さんからもらい序でに材木座のラノベ(笑)を何処かで読んでおこうか(まぁ読むだけ時間の無駄だが……)と思い俺はゆっくりとできる場所を探していると喫茶店の看板に目がいった。

 

(何々……店長の新作珈琲を先着3名様まで無料?)

 

この看板につられて俺はこの喫茶店へと入店した。

 

(まぁ無料サービスが終わってたら適当に何か注文すればいいだけだしな……)

 

カランコロン♪

 

「いらっしゃいませ、ご主人様♪」

 

入店するとピンクの髪をしたメイドさんが出てきた。はて、ここはメイド喫茶だったかな……?店内を見るけどメイド服を着ているのはこの人だけのようだ。

 

まぁいいや。早く席に座るか……。

 

「ご注文はどうなさいますか?ご主人様♪」

 

……このメイドさんなんか不気味だな。笑顔という名の仮面をしている。

 

まぁ接客は印象が大事だからな。客の心をしっかりと掴んでいるが……俺にはわかってしまった。この人から感じる黒いオーラが……。とりあえず注文するか。

 

「この新作珈琲の先着無料ってまだやってますか?」

 

「はい、大丈夫ですよ」

 

「ならそれをください」

 

「かしこまりました♪他にご注文はございますか?」

 

「とりあえず以上で」

 

「他にご注文はございますか?」

 

……?さっきの言葉が聞こえなかったのか?

 

「以上で大丈夫です」

 

「……他にご注文はございますか?」

 

何この人?NPCか何か?そんなに金を落としてほしいの?

 

「……以上で大丈夫です」

 

こっちにも先に珈琲を飲みたいという願望があるんだ。負けてなるものか。

 

「…………ゴチュウモンハ?」

 

!?いきなりこの人の黒さが増したぞ……!というかしつこい。これはクレームレベルだぞ全く……。

 

「…………後で大丈夫です。先に珈琲をお願いします」

 

これならどうだ?

 

「……かしこまりました。少々お待ちくださいませ。ご主人様♪」

 

勝った……!第3部完!……とりあえず待っている間に材木座のラノベ(笑)の続きを読んでおこう……。今半分近くまで読んでいるからそこからだな。

 

 

~そして~

 

……やっと半分読み終えた。くっそつまらん。俺の時間を返せ!

 

「お待たせしました。新作珈琲になります。ごゆっくりどうぞ、ご主人様♪」

 

休憩がてら珈琲でも飲むか。

 

カランコロン♪

 

「いらっしゃいませ♪……お帰りは彼方になります♪」

 

「なんで来ていきなり帰らそうとしてるんだ!?」

 

入ってきたのはユニフォームを着た無精髭を生やしている青年だった。このメイドさんと知り合いみたいである。

 

「だって貴方また無料珈琲を飲んで終わろうとするじゃない」

 

「ハムサンドも頼んだだろ!」

 

「そのお金は伊織さんが払ったものだしね。貴方無一文だから」

 

「ぐっ……!」

 

あぁ成程……。俺をこの人みたいに金がないと思っていたのか。流石にそれは人としてどうかと思うからそんなことしないけどな。

 

それにしてもこの珈琲美味いな……。商品化したら飲みにくるかもしれん。

 

 

~そして~

 

ふぅ……。続きはまた明日にするか。折角だし何か食べて帰ろうかね。無料珈琲だけだと申し訳ないし。

 

「すいません、追加注文いいですか?」

 

「お伺いします。少々お待ちくださいませ」

 

先程のメイドさんが来てフレンチトーストを注文すると「かしこまりました♪」と笑顔を此方に向けた。

 

 

 

~そして~

 

「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。ご主人様♪」

 

俺は喫茶店を出て椿さんと合流すべく駅へと向かった。

 

……あのユニフォームを着た人は雰囲気というか気配というかがどこか椿さんと似ていた。もしかしたら椿さんのかつての仲間かもしれないな。

 

 

 

休み明けに材木座が感想を聞きに来たが雪ノ下はこれでもかというくらいの罵倒の連発、由比ヶ浜は「難しい漢字を知ってるね」という作家志望にとっての禁句を言い、俺はというと……。

 

「パクリが目立ちすぎ。二次創作の方がいいんじゃねぇの?」

 

と言ったら材木座は気絶していた。

 




今回はここまでです。


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戸塚彩加は美少女(男)である。

今回もよろしくです。


本日は快晴なり。ということで特別棟にある保健室の横にあるこの場所が俺の憩いの場所……つまりベストプレイスである。

 

ここでテニス部員の練習を見ながら俺は飯を食べている。1人でいることが殆どだがたまに西野、榎本、高科、吉槻がこっちに来て一緒に食べよう等と誘ってくる。

 

「あれ?ヒッキーじゃん」

 

「……由比ヶ浜か」

 

「なんでこんなとこにいんの?教室で食べればよくない?」

 

「俺はこの場所が好きだからな。雨が降ってない日はここで食べてるんだよ」

 

この場所はいい。この場所で吹く風が心地よくて学校で数少ない俺のお気に入りなのだ。

 

「それより由比ヶ浜はどうしてここにいるんだ?」

 

「ん?あたしはね、ゆきのんとジャン負けして……罰ゲームってやつかな?」

 

「罰ゲーム?俺と話すことが?うっわー。由比ヶ浜さんってばそういうこと言っちゃうんだー。陰湿ー」

 

「ち、違うし!ジュースを買いにいくだけだから!!」

 

「ほーん……」

 

どーでもいーですよ。

 

「あ、あのさ……」

 

「あん?」

 

「ヒ、ヒッキーは入学式のことって……」

 

「あれ?由比ヶ浜さんと比企谷君?」

 

由比ヶ浜が何やら話そうとしたところにある人物が声をかけてきた。

 

「あっ!さいちゃんだ!よっす!!」

 

さいちゃんと呼ばれている(多分そう呼んでいるのは由比ヶ浜だけ)のは戸塚彩加(とつかさいか)。容姿はかなりの美少女だけど男子なのだ。

 

以前高科が戸塚について記事にしようとしていたが内容を見て榎本と吉槻が却下して俺が破り捨てたのを今でも鮮明に覚えている。

 

「うん、よっす、2人はここで何をしてるの?」

 

「別に何も?」

 

「いやいや、由比ヶ浜は雪ノ下にジュースを買いに行くんじゃねーの?」

 

「あっ!そうだった!じゃーね!ヒッキー、さいちゃん!!」

 

パタパタと走っていく由比ヶ浜。……自分の使命を忘れちゃいかんでしょ。俺が呆れていると戸塚が話しかけてきた。

 

「比企谷君ってテニス上手いよね」

 

「藪からスティックにどうした?」

 

「フォームとか綺麗だったから……。壁打ちしてるのを見てたけど授業が終わるまでずっとラリーを続けてたし」

 

「……まぁ球技は得意な方かもな」

 

西野と小学生、中学生の頃に野球、サッカー、バスケと様々なスポーツで勝負をしたこともあったっけか。球技はテニスと卓球以外なら俺が勝ち、その他の剣道や柔道なんかは西野にコテンパンにされた。あいつは化物なんじゃないかと当時は思ったものだ。

 

「それがどうかしたか?」

 

「うん、うちのテニス部……すっごく弱いんだ」

 

 

まぁ聖人と言っても過言ではない戸塚にここまで言わせる程に弱いからな……。テニス部に限らずほぼ全ての運動部は。

 

「そうだな」

 

「……3年生が引退したらもっと弱くなっちゃうと思う。だから比企谷君にテニス部に入ってほしいんだ!」

 

まさかの勧誘……。テニス部に入るとバイトの時間がなくなるからNG。それに奉仕部みたいに空き時間が長い部活だからこそ俺は入ったようなものなのだ。

 

「すまない戸塚。俺は既に部活に入っているんだよ」

 

「そっか……」シュン

 

「まぁその部活は奉仕部といって悩み相談みたいなことをやってるんだ。戸塚の助けにはなるかわからんけど相談しに行ってみたらどうだ?」

 

「比企谷君……」

 

「なんなら俺の方から部長に言っておくぞ」

 

戸塚を見ると一時期の吉槻を思い出す。雰囲気はそっくりだしな。……まぁ吉槻の場合は彼女の心の闇が半端なかったけど。

 

 

 

~そして~

 

「……というわけなんだが」

 

放課後になり俺は雪ノ下に戸塚のことを話す。

 

「成程、つまりは戸塚君はテニス部を強くしたい……というわけね」

 

「そういうことで奉仕部としてはどういう風に解決するべきかなんだが……」

 

奉仕部の活動理念としては自立を促すわけだから……。

 

「テニス部に……」

 

と解決策を言おうとした瞬間部室のドアが開かれた。

 

「やっはろー!」

 

由比ヶ浜が入ってきた。なんだよその珍妙な挨拶は……。

 

「今日は依頼人を連れてきたよ!」

 

由比ヶ浜が紹介した依頼人は件の戸塚彩加だった。

 




今回はここまでです。


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由比ヶ浜結衣は正式な奉仕部の部員となる。

今回もよろしくです。


「あっ、比企谷君」

 

戸塚が俺を見つけると嬉しそうに手を振る。うむ、いちいち仕草が女子っぽい。

 

「戸塚は依頼に来たのか?」

 

「あたしが連れてきたんだよ!あたしも奉仕部の一員だからね!!」フンスッ

 

胸を張りながら由比ヶ浜は言う。そういえば由比ヶ浜って部員なのか?材木座の依頼の時には既に居着いていたけど……。

 

「由比ヶ浜さん……貴方は別に部員ではないわよ」

 

「違うんだっ!?」

 

どうやら違うらしい。雪ノ下的には由比ヶ浜が遊びに来ているのと思ったのかね?

 

「ええ、入部届けも貰ってないし、顧問の承認もないから部員じゃないわね」

 

はーい。比企谷さんも入部届け渡してません!……顧問の承認(強制)はあるけどね。テヘッ。

 

「書くよ!入部届けくらい何枚も書くから仲間に入れてよ!!」

 

由比ヶ浜がルーズリーフに『にゅうぶとどけ』と書いて雪ノ下がそれを受け取った。それでいいのかぶっちょーさんよ。

 

 

~そして~

 

「それで戸塚君、貴方の依頼はテニス部の強化ということでいいのかしら?」

 

「う、うん……」

 

「そう……。比企谷君から聞いた通りね。奉仕部はあくまで自立を促すための部活よ。強くなるかは貴方次第ということね」

 

「そ、そうなんだ……」

 

「なぁ、雪ノ下」

 

「なにかしら比企谷君?」

 

「さっき言いかけたんだが戸塚が強くなることでテニス部にも活気が出てくるんじゃないかというのが俺の意見だ。これに対して雪ノ下は何かあるか?」

 

「…………特にないわね。わかったわ。それでいきましょう」

 

雪ノ下も納得したところで俺は戸塚に向き直る。

 

「というわけだ戸塚。俺達がおまえを強くする。そして強くなったおまえが部員達を強くすればこの依頼は完結だ」

 

「比企谷君……ありがとう!」

 

「その言葉は依頼が終わってからにしておけ」

 

何せこの依頼は由比ヶ浜の時みたいな長期戦になりそうだからな……。

 

「でも放課後は部活があるから昼休みね」

 

「そうなるな。……となると練習メニューだが」

 

「それは決まってるわ。死ぬまで走って、死ぬまで素振り、そして死ぬまで練習よ」ニッコリ

 

わぁ、いい笑顔。

 

「僕……死んじゃうのかな?」

 

「はっはー。流石に比喩表現的な感じだと思うけど、これは相当なスパルタを覚悟した方がいいぜ戸塚」

 

「うん……頑張る!」

 

「やる気があるのはいいことだが雪ノ下の案は却下」

 

「なら比企谷君はどうするのかしら?」

 

「走り込みや素振りの分量は戸塚自身に任せる。俺達は試合形式で戸塚の実力を底上げするのがいいと思う」

 

「……そうした方がよさそうね」

 

「ともあれ昼休みにテニスコートを使うには生徒会の許可がいるから俺は生徒会室に行って4人分の申請を取ってくる」

 

「ヒッキー……生徒会に知り合いがいるの!?」

 

「由比ヶ浜が俺をどう思っているかは知らんが、人脈は結構広い方なんだよ」

 

「なら比企谷君、お願いね」

 

「了解、部長殿」

 

俺はそう言いながら生徒会室へと向かった。

 

 

~そして~

 

コンコン

 

『はーい』

 

「失礼します」

 

「比企谷君?生徒会室に何か用事?」

 

「あぁ、ちょっとな……。榎本は1人か?」

 

「うん、さっきまで優香がテニスコートの申請書を書いてたけどね」

 

西野が……?まぁあいつはテニス好きだから当然といえば当然なのか。

 

「比企谷君はどんな用件で?」

 

「西野と一緒でテニスコートの申請書を書きに来た」

 

「へぇ、比企谷君もテニスするんだ」

 

「俺が……というよりも奉仕部で……といった方が正しいな」

 

「奉仕部……?それが比企谷君が入った部活なんだ。はい、申請書ね」

 

「サンキュー。……活動内容は依頼人が来てそいつの自立を促すことだ」

 

「……なんか比企谷君らしいかも」クスッ

 

そうかね?自分じゃよくわからん。使用者の欄に俺と雪ノ下と由比ヶ浜とまぁ当たり前のことだが戸塚の名前を書いて……っと。

 

「ほい、書き終わったぞ」

 

「うん、確かに。頑張ってね」

 

「あぁ、ありがとよ」

 

申請書を書き終わり明日から戸塚を強くするという奉仕部の依頼が始まる。

 




今回はここまでです。


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戸塚彩加の依頼に奉仕部は奮闘する。

今回もよろしくです。


生徒会にテニスコート使用の申請をもらった翌日。俺達はジャージに着替えてテニスコートへと赴いた。

 

戸塚のサポートをしようとすると先客が2人いた。

 

「あれ?八幡だ」

 

「こんにちは、比企谷君」

 

「よう、西野に吉槻」

 

俺の親友兼仕事仲間の西野と吉槻だった。西野が俺の名前を呼ぶと同時に由比ヶ浜がフリーズしていた。どうしたんだ……?

 

「西野は榎本から許可もらったって聞いてるけど吉槻は西野の付き添いか?」

 

「私と西野さんはたまにここでテニスをしています」

 

成程ね……。吉槻も付き合いがいいな。

 

「八幡もテニス?なら久々に勝負しようよ!」

 

「それはまたの機会にしてくれ。ここには戸塚のために来てるんだよ」

 

「戸塚君の……?ということは奉仕部の部活ということですか?」

 

「まぁな……。吉槻は奉仕部のこと知ってたっけ?」

 

「お姉ちゃんから聞きました」

 

高科ェ……。

 

「奉仕部?」

 

「生徒の自立を促すための部活だ」

 

「ふーん……なんか八幡らしいね!」

 

「それ榎本にも言われたんだが……」

 

「そっか……なら私達も手伝うよ!」

 

西野が戸塚のサポートを手伝うと提案してきた。

 

「いいでしょ八幡?」

 

「俺に言われても困る。部長の雪ノ下と依頼人の戸塚に聞いてくれ」

 

「うん!……雪ノ下さんに戸塚君、私達も手伝っていいかな?」

 

「ええ、テニスコートの申請してていれば問題はないわ西野さん」

 

「うん、手伝ってくれる人は多い方がいいからね」

 

「それは大丈夫!昨日梨子にお願いしたから!」

 

そういえば榎本がそういってたっけ……。

 

「西野のテニスの実力はかなりのものだし、吉槻も西野と渡り合えるくらいにはテニスが出来るから助っ人としては申し分ないはずだ」

 

「そ、そんなことありませんよ///」

 

吉槻が顔を赤くしている。はてな?何か照れる要素があったっけ?

 

「さらは謙遜してるけどスライスやロブの技術は私よりも上かもね」

 

あの西野がここまで褒めるのは珍しいかもな。よっぽど吉槻が実力者なのかがよくわかる。

 

「さて、時間も押してるし始めましょうか」

 

「そうだな」

 

俺達は早速戸塚のサポートを始めることにした。

 

ちなみに由比ヶ浜はまだフリーズしていた。

 

 

~そして~

 

「戸塚は基礎体力は特に問題ない。ということで戸塚には西野と試合形式で打ってもらう」

 

「オッケー!よろしくね戸塚君!」

 

「うん、よろしく西野さん」

 

やる気を見せる西野と戸塚。

 

「吉槻はこのビデオカメラで2人のラリーを写しておいてくれ」

 

「わかりました」

 

吉槻が返事をする。

 

「俺は球拾いだ」

 

役割を分担し終わり依頼をスタートしようとすると雪ノ下が声をかけてくる。

 

「比企谷君、私もテニスは得意な方よ?」

 

「この依頼は体力勝負になりそうだからな。前にメールで聞いたがおまえ体力がないじゃん?だから今回は部長として監督役を頼む」

 

「……そうね。悔しいけれど今回は比企谷君に従うわ」

 

「すまんな」

 

「気にしないで。これは私の問題だもの」

 

雪ノ下も納得したところで今度こそ依頼スタートだ。

 

ちなみに由比ヶ浜はまだフリーズしていた。

 

 

 

~そして~

 

「ふっ!」バコッ

 

「くっ……!」ガッ

 

ガシャーン!!

 

西野のスマッシュに対して戸塚は返しきれずネットにボールが当たった。

 

「40ー15」

 

監督役としてた雪ノ下が西野と戸塚の試合の審判をしている。

 

「すみません、ここの戸塚君のスマッシュなんですが……」

 

カメラ係の吉槻はたまに試合を中断して戸塚にこうしたらいいんじゃないかと西野と一緒にアドバイスしている。

 

俺はさっきみたいにこぼれたボールを拾っている。……俺だけマジもんのサポートだな。

 

 

~そして~

 

「あっ!」ドサッ

 

戸塚が躓いて転倒する。

 

「大丈夫か戸塚!?」

 

「う、うん……。大丈夫だから続けて……」

 

「それは駄目」

 

「西野さん……?」

 

戸塚が大丈夫だと言って再開しようとすると西野が真剣な顔で制止をかける。

 

「怪我をそのままにするのは絶対に駄目。中断して手当てをするよ」

 

「なら私が救急箱を取ってくるわ」

 

雪ノ下が救急箱を取りに行くと言うが……。

 

「それなら大丈夫!私が予め持ってきているから!」

 

西野は明るい表情に戻って救急箱を用意する。

 

「用意いいな」

 

「スポーツに怪我はつきものだからね!」

 

まぁその通りだな。

 

「なら1度中断して戸塚君の治療をしましょう」

 

「そうだな」

 

俺達が戸塚の治療をしようとすると……。

 

「あっ!テニスしてんじゃん!!」

 

葉山と三浦を中心にしたグループがゾロゾロとやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに由比ヶ浜はまだフリーズしていた。

 




今回はここまでです。


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葉山隼人は強引にテニスをする流れを作っていく。

今回もよろしくです。


前回のあらすじ。

 

・戸塚からテニスの技術上昇の依頼を受ける。

 

・テニスコートに行くと西野と吉槻に出会い協力してもらう。

 

・練習中に戸塚が怪我をして治療をすることになって一休みしようとしたところに葉山グループが乱入してくる。

 

 

……纏めるとこんな感じか。

 

「ねぇ戸塚ー。あーしらもここで遊んでいい?」

 

「み、三浦さん……僕達遊んでいるわけじゃ……」

 

脳内で前回のあらすじをやっていると三浦が戸塚にここを使っていいか聞いていた。そして戸塚はチラリと此方に助けを求めている。

 

(……ハッキリと断れよ。それでも新部長かよ?)

 

等と戸塚に悪態をついていると雪ノ下と目があった。

 

(……私がハッキリと断ろうかしら?)

 

(……ここは俺に任せてくれ。あと念のために雪ノ下は先生を呼んできてくれ)

 

(わかったわ)

 

雪ノ下がここから離れるのを確認して俺は三浦に話しかける。

 

「悪いがテニスコートを使うにはコートの申請書を生徒会室で書いて出さなきゃいけないんだ」

 

「えっ?そーなん?」

 

「あぁ、だからテニスがしたかったら生徒会のところへ行ってからにしてくれ」

 

或いは学外でテニスをしてください。

 

「う~ん……」

 

メールでやりとりしたことがあるからなんとなく三浦の性格がわかるけど三浦はクラス内では傲慢に振る舞っているが意外と話がわかる奴なのだ。人間見た目通りとは限らないよね!

 

「まぁまぁ、みんなでやった方が楽しいしさ。そういうことでいいんじゃないの?」

 

あれ?このパツキン話聞いてた?今三浦が納得しようとしてたよね?

 

「いや、話聞いて……」

 

「あっ、じゃあこうしないか?部外者同士俺達とヒキタニ君達で試合をして勝った方が今後もここを使えるってことで」

 

こいつ……こんなに強引な奴だったっけ?三浦もポカンとしてるじゃん。

 

「もちろん戸塚の練習にも付き合う。上手い奴とやった方が戸塚のためにもなるし」

 

そしてこいつはなんで自分が俺らよりもテニスが上手い前提なんだよ。

 

……まぁ葉山はサッカー部のエースで他のスポーツもかなり出来ることで有名らしいからグループ内にいる奴にとってはそう感じるのだろう。

 

「だから……」

 

再度葉山に断りの発言をしようとすると……。

 

「あれ?葉山君テニスやるの?」

 

いつのまにかできていたギャラリーの1人が葉山に問いかける。

 

「あぁ、俺と優美子で混合ダブルスをね」

 

「えっ?」

 

おい、三浦もビックリしてるぞ。どんだけ自分本意なんだよ。

 

「そうなんだー」

 

「頑張れ葉山君!」

 

えぇ……。なんかテニスを……しかも混合ダブルスをやることになってるよ。この空気で断ることは無理だろうな……。どうしてくれようかこのクソガキが……!

 

「…………なんかゴメン」

 

流れで試合をすることになったことを項垂れていると三浦が謝罪をしてきた。

 

「…………気にすんな」

 

念のために雪ノ下に先生を呼んできてもらってるが三浦に関しては完全に巻き添えということを先生に言っておこう。

 

「まぁやるからには本気でいくから。負けないし」

 

「……俺だって負けるつもりはねぇさ」

 

こうして葉山と三浦のペアとテニスをすることになった。

 

さて、どうしたもんかね?

 

 




今回はここまでです。


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比企谷八幡と西野優香のコンビに敵はない。

今回もよろしくです。


なんか葉山と三浦とテニスの男女混合ダブルスをすることになった。

 

誰が出るかなのだが……男子は戸塚が怪我をしているため俺が出るしかない。そうなると女子の方だな。

 

「西野、頼んでいいか?」

 

「アイアイサー!」

 

吉槻はカメラ係なのでこのまま俺達の試合も撮ってもらおう。

 

「吉槻はこのダブルスも撮っておいてくれ。役に立つかもしれないからな」

 

「わかりました。比企谷君と西野さんも怪我に気を付けて頑張ってください」

 

「もちろんだよ!」

 

「当然だ」

 

俺と西野のコンビに敵はないということを教えてやるよ。

 

 

 

 

~そして~

 

女子側の西野と三浦はテニスウェアに着替えていざ試合開始なのだが……。

 

『HA・YA・TO!フゥ!HA・YA・TO!フゥ!』

 

何やら葉山にコールがあがっていた。何?実はアイドルなの?

 

「ヒキタニ君、ルールなんだけど素人テニスだし細かいのはなしにしてたくさん点を取ったほうが勝ちってことでいいかな?」

 

「別に構わんよ」

 

どうせ勝つのはこっちだしな。……というか勝ちが確定してるのにやる必要ある?

 

 

~そして~

 

ジャンケンの結果サーブは向こうからで三浦が打つようだ。

 

「しっ!」バコッ

 

結構鋭いサーブだな……。そういえば前に県選抜だってメールで言ってたっけか?まぁここは後列の西野に任せておくか。

 

「はぁっ!」バコッ

 

西野は三浦が打ったのよりも威力を高めて葉山の方へと返す。

 

「ぐっ……!」ガッ

 

葉山は西野の球を返しきれずネットに当たった。

 

「15ー0」

 

審判は戸塚がしている。まぁテニス部員だし当然か。

 

「さて、どんどんいくぞ……!」

 

「だね。戸塚君の邪魔をしたことを後悔させないと!」

 

そして2度と楯突こうなんて考えられないようにしてやるよ。

 

 

~そして~

 

「はっ!」バコッ

 

時は進みラストゲーム。完膚なきまでに叩き潰してやろうと思ったが三浦の技術と葉山の運動神経で完勝とまではいかなかった……が殆ど点を取られてはいない。

 

「よしっ!」

 

葉山が返そうとするもサーブに押し負けてしまう。

 

「あ、あれはツイストサーブ!!」

 

何故かいる材木座(雪ノ下と入れ替わりで来た)が叫んだように今西野が打ったのはツイストサーブだ。本人は中学の頃から打てると言っていたらしいが普通は中々できないぞ。

 

……流石は(Oddball)の武力担当といったところか。

 

「ゲーム!比企谷、西野ペアの勝ち!」

 

戸塚のコールによってテニス勝負は俺達の勝ちで終わった。

 

「八幡!」

 

西野が手を挙げる。……成程な。

 

「ん」

 

パンッ!

 

俺と西野はハイタッチをした。なんだかんだこういうのは初めてだな。西野とは今まではずっと競い合ってたし。

 

 

その後榎本と先生を連れてきた雪ノ下が戻ってきたことによって勝手にテニスコートを使用していた葉山は罰として反省文を書かされ、テニス部の手伝いを1週間することになった。

 

三浦は巻き込まれただけなので罰は軽くしてやってくれと俺は言ったが、今までも好き勝手やってたし、これも連帯責任だと言って葉山と同じ罰を受けたそうだ。

 

 

 

ちなみに由比ヶ浜のフリーズが解かれたのは昼休み終了のチャイムが鳴った後だった。

 




今回はここまでです。短くてすみません……。

次回から職場見学のくだりになります。幾つかオリジナル要素を入れたいですね。


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比企谷八幡は2度呼び出される。

今回もよろしくです。


職場見学希望調査 

 

比企谷八幡

 

希望する職業

 

会社員

 

希望する職場

 

株式会社(Oddball)

 

希望理由

 

特にありません。強いて挙げるなら知り合いが働いており、一緒に働かないかと誘われているからです。

 

 

「比企谷、私の言いたいことがわかるかね?」

 

「いえ、わかりません。そして何故自分は呼ばれたのでしょうか?」

 

理由としてはこの用紙なんだろうけど本当のことを書いたつもりだ。大学を卒業したら椿さん達と一緒に(Oddball)で働く予定だからそれまでに妹である小町には1人暮らしできるように成長してほしいものだ。

 

あいつは俺や母ちゃんにベッタリなところがあるからな。

 

「この用紙だが、職業や職場はこれでいいが理由がちょっとな……。そのあたり書き直しておいてくれ」

 

「わかりました。……それで本当は何の御用で?」

 

正直書き直しが理由なら職員室まで呼び出さなくてもいいからな。

 

「なに、ついでに近況報告を聞こうと思ってな。奉仕部はどうだね?」

 

ほう、本命はそれか……。

 

「特にこれといったことはないですね」

 

「そうなのか?雪ノ下との勝負が白熱してるものかと思ったのだが……」

 

「白熱も何も一方的なワンサイドゲームですよ。敗北を知りたいですね」

 

というか依頼自体が由比ヶ浜のと戸塚の依頼くらいしかないからな。材木座?あれはまともな依頼じゃない。もう少し完成度を上げて出直してこい。

 

「……それは君が勝手にそう思っているだけだろ?私から見ると1対1の同点なんだがな」

 

そういえば平塚先生の独断と偏見で決めてるんだっけか?雪ノ下自身が敗けを認めてるからそれを含んでワンサイドゲームだと言ったつもりだったが意味がないようだ。

 

「自分はそろそろ部活に向かいますね」

 

「うむ、頑張って励みたまえ」

 

さて、部活に行きますかね。……その前に

 

「あっ、そうそう平塚先生」

 

「なんだね?」

 

「昨日の婚活……残念でしたね」

 

「な、何故君がそれを知っている!?何処で知ったんだ!?」

 

「はっはー、自分は何も知りませんよ。知っているとしたらそれは平塚先生、あなたですよ」

 

平塚先生の叫び声をBGMに歩き出す。なんだかんだ平塚先生弄りも久々である。今日も部活を頑張るぞいっと……。

 

 

 

 

~そして~

 

「よう」

 

「こんにちは、比企谷君」

 

今日も今日とて部長の雪ノ下に挨拶をする。

 

ん……?由比ヶ浜がいないな。あいつ俺よりも先に部活へと向かったはずなんだが……。

 

「由比ヶ浜は?」

 

「彼女なら貴方を探しに行ったわ」

 

なんで……?なんてことを思っていたら。

 

「あーーーっ!いた!!」

 

ドアを開けて大声を出す由比ヶ浜。うるせぇ……。

 

「……なんだよ」

 

「ヒッキーが全然来ないからわざわざ歩いて探し回ったんだからね!!」

 

「あっそ……。っつーか雪ノ下には遅れるって連絡したしてっきり由比ヶ浜に伝えてるもんだと思ってた」

 

「えっ……?」

 

「それを伝える前に由比ヶ浜さんが一目散に貴方を探しに行ったのよ」

 

ということは最後まで話を聞かずに出ていった由比ヶ浜に問題があるということだな。

 

その後由比ヶ浜とメルアドを交換した。……俺LINEしかやってないから余り意味がないんだよなぁ。由比ヶ浜も早いとこスマホにするべきである。

 

「はぁ……」

 

「どうしたの?溜め息ついて」

 

「あ、ちょっと変なメールきてうわってなったの……」

 

「多分チェーンメールの類いだろうな。そういうのは放っておくのが1番だ」

 

「そうかしら?私なら送った犯人を探して根絶やしにするけれど」

 

雪ノ下の言い方から察するにどうやらチェンメの被害にあったことがあるらしい。

 

 

コンコン

 

「どうぞ」

 

依頼人か?誰だ一体……。

 

「奉仕部ってここでいいんだよね?ちょっと頼みたいことがあってさ……」

 

葉山隼人……。まさかの依頼人だな。クラスの優等生(テニスの件で俺の中では問題児)が何の依頼だ?

 

「これなんだけど……」

 

葉山は携帯を開き此方に見せてくる。

 

「あっ……変なメール」

 

どうやら由比ヶ浜に送られてきたやつと同じ内容らしい。

 

その内容は……

 

戸部……稲毛のゲーセンで西高の生徒を殴っている。

 

大和……三股している。

 

大岡……ラフプレーで相手のエースを怪我させている。

 

……といった感じだ。

 

「これが流れてからクラスの雰囲気が悪くて……。丸く収めたいんだ。できれば犯人は探さない方向で……」

 

あっま……。そんな甘い考えでいいのか?

 

 

コンコン

 

 

またノック……。今度は誰だ?

 

「失礼します」

 

入ってきたのは榎本だ。

 

「あっ、比企谷君」

 

どうやら俺に用があるらしい。

 

「どうした榎本」

 

「さっき椿さんから連絡がきて私と比企谷君と優香に話があるから来てほしいそうよ」

 

平塚先生の次は椿さんからの呼び出しか……。なんで俺と榎本と西野なんだ?

 

「わかった。すぐに行った方がいいか?」

 

「そうね。優香が下で待ってるみたいだから早い方がいいかな」

 

「了解。……というわけで俺はバイト関係で急用ができた。依頼のことで何かあったら連絡してくれ」

 

「そう、わかったわ」

 

「バイトがあるのにわざわざごめんなヒキタニ君」

 

葉山よ、謝るのはいいことだがヒキタニ君なんてこの部室にはいないぞ。

 

「…………」

 

榎本が葉山を睨んでいる。葉山って結構地雷が多いよな。雪ノ下も嫌ってるっぽいし。

 

「榎本、行くぞ。西野を待たせてるんだろ?」

 

「あっ、うん……」

 

俺と榎本は奉仕部部室を後にした。

 

 

 

 

~そして~

 

「あっ、やっと来た!」

 

「悪いな西野。待ってもらって」

 

「気にしなくていいよ!……それで梨子、椿さんからの話って?」

 

どうやら西野も榎本から聞いた形になっているようだ。

 

「うん、なんでもかなり込み入った話だからってことだから『エンジェルラダー』に来てほしいそうよ。……私も内容まではわからないんだ。大事な話があるってことと、それを優香と比企谷君には私から伝えてほしいって言ってたわ」

 

『エンジェルラダー』ってドレスコードがあったよな?まぁそれは仕事着でなんとかなるからいいとして……。本当に何の話だろうか……?

 




今回はここまでです。


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比企谷八幡達は草野球の試合の助っ人になる。

今回もよろしくです。


俺達は1度別れて仕事着に着替え『エンジェルラダー』に訪れた。

 

「よう、来たなおまえら」

 

相も変わらず椿さんは青いテンガロンハットに青いコートである。よくもまぁそれで通れるな全く……。

 

「それで……大事な話ってなんですか?」

 

切り出したのは榎本だ。

 

「ああ、話は2つ。まずは(Oddball)のバックに小原グループがつくことになった」

 

小原グループ……野崎や雪白程ではないがかなり大きなグループだ。よく向こうが了承してくれたな。

 

「小原グループって確か鞠莉さんの……」

 

西野が呟く。彼処の令嬢と知り合いなのか?

 

「そうだ。西野がその令嬢と知り合いなおかげで取引もスムーズにいった」

 

「それってみんな知ってるんですか?」

 

今度は俺が質問する。

 

「ああ、おまえら3人以外はもっと前に伝えている」

 

「ということは俺達には他に用があるってことでいいんですよね?」

 

じゃないとわざわざこんなところまで呼び出す必要はないからな。

 

「その通り。おまえらの能力を買って今から頼むのがもう1つの話だ。どちらかというとこっちが本命の話になるな」

 

椿さんの真剣な表情に俺達は息を呑んだ。そして椿さんが口を開く。

 

「おまえら、野球をする気はないか?」

 

 

 

~そして~

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

沈黙が続く。まぁいきなり『磯野、野球しようぜ!』と誘われて戸惑わないわけがないのだ。

 

「……どうするの?」

 

沈黙を破ったのは榎本だ。とはいえ俺の答えは最初から決まっている。ただいきなりすぎてビックリしただけで……。

 

「俺はやるつもりだ。椿さんからの頼みだしな」

 

それに野球は見るのもやるのも好きな方だしな。

 

「……私もやることにするわ。椿さんには返しきれないほどの恩があるから……。少しでも椿さんの力になりたい」

 

榎本も参加。俺や西野もそうだが、榎本も椿さんに救われて今があるから少しでも恩返しをしたいというのもわからなくない。

 

「そっか……2人ともやるんだ……。なら私がやらないわけにはいかないね!」

 

「無理しなくてもいいんだぞ」

 

「やるに決まってるよ!野球好きだし、この3人で何かをするなんて仕事以外だと中学のとき以来だからね!!」

 

西野も野球好きだからもちろん参加。

 

「椿さんの話によると俺達は遠前町にある草野球のチームの『ニコニココアラーズ』の助っ人として入って同じく遠前町にある草野球チームの『ブギウギビクトリーズ』と試合をする。日程は7月の第2日曜日だ」

 

「結構先の話だよね。まだ1ヶ月以上あるし」

 

「試合までの間の仕事はコアラーズでのチーム練習がメインになるな」

 

もちろん俺達は俺達で野球の練習をしなくてはならない。俺と西野は野球が中学以来になるし、榎本は野球経験が殆どないからな。

 

「とりあえず明日は土曜日だし、3人で練習しない?」

 

「そうね、私は2人と違って野球の経験は余りないからその方が助かるかも……」

 

「じゃあある程度練習してからコアラーズに合流してチーム練習をするってことでいいな?」

 

「うん!」

 

「ええ!」

 

こうして俺達は草野球をすることになった。

 




今回はここまでです。


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比企谷八幡達は小原鞠莉と対面する。

今回……というか前回からパワポケ9とのクロスを中心になります。これからはちょくちょく俺ガイル原作とパワポケ9の内容を混ぜていきます。では今回もよろしくです。


本日も晴天なり。絶好の野球日和である。(Oddball)の前で欠伸を堪えながら待っていると西野と榎本が此方に来る。

 

「おはよー八幡!」

 

「おはよう、比企谷君」

 

「おう、2人共おはようさん」

 

ふと2人の格好を見ると動きやすそうな服装で来ていた。

 

葉山からの依頼がきた翌日。今日は西野と榎本と野球の練習をするべく練習場所へと歩いているのだが……。

 

「なあ西野、練習は何処でするんだ?」

 

「そういえば私も聞いてないかも……」

 

俺と榎本は西野が練習場所に心当たりがあるからと言われたのでそれに従って西野についていっているわけだ。

 

「鞠莉さんに今回のことを話したら場所を提供してくれたんだ!もらった地図によるとこの辺りなんだけど……あっ、ここみたい!」

 

西野がそう言うので俺達は止まった。……本当にこんなところで練習できるのか?無茶苦茶大きいビルだけど……。

 

「すごく大きいわね……」

 

榎本も開いた口が塞がらないといった感じだ。

 

「鞠莉さんの話によるとこの中の野球場でやることになってるんだけど、場所がわからないだろうからって案内してくれることになってるよ」

 

……ということは小原グループの令嬢と顔を合わせることになるのか。これからも世話になるだろうしできればいい印象を持たれたいものだ。

 

「チャオ~!優香っち!」

 

ビルの中から出てきたのは金髪の女性だった。すごくフランクな人だがこの人が小原鞠莉(おはらまり)さんか……。そういえばなんかで見たことがあるような……。

 

「鞠莉さん、こんにちは!今日は練習場所の提供をありがとうございます!!」

 

「気にしないで。(Oddball)とはこれからも仲良くやっていきたいし、何より優香っちからの頼みだもの。これくらいはわけないわ!」

 

西野は元気よく尚且つ礼儀正しく小原さんにお礼を言う。小原さんもかなりの大物だが、そんな人間と接点を持っている西野もとんでもない奴だ。

 

「そっちの2人は初めましてね……!?」

 

なんだ?小原さんが此方を……というか榎本を見て驚いているようだが……。

 

「確かに似ているわね。優香っちの事前情報がなかったら梨子と間違えてしまうところだったわ……。というかあれは最早双子の姉妹って言われても納得がいくレベルよ……」

 

なんかブツブツと呟いている小原さん。すると西野が此方に近付いてきて俺に耳打ちをする。

 

(鞠莉さんはかつてスクールアイドルを一緒にしていた子と梨子がかなり似ているから驚いてるみたい)

 

(スクールアイドル、それに小原鞠莉……そういうことか。成程な)

 

思い出した……。確か小原さんは5年前にスクールアイドルとして活動をしてたんだっけか。確かグループ名はAqoursで小町がかなりのファンだったのをよく覚えている。

 

「……あの?」

 

あっ、榎本がすっかりおいてけぼりになってる。ちょっと面白!

 

「……あっ、ごめんなさい。自己紹介がまだだったわね。小原鞠莉よ。一応小原グループを任されているわ」

 

「比企谷八幡です」

 

「榎本梨子です。よろしくお願いします」

 

「名前も一緒……声質が少し違うだけで声もそっくり……。これはAqoursのメンバーに会わせたいわね」

 

そういえばAqoursの桜内梨子と榎本が激似という話だったが……。

 

「ひ、比企谷君?」

 

榎本を見てみると確かに瓜二つかもしれない。帰ったらAqoursで調べてみよう。

 

「鞠莉さん、練習場所の案内を……」

 

「あっ、そうだったわね。じゃあ早速案内するわ!」

 

俺達は小原さんの案内の下練習場へと向かった。

 




今回はここまでです。


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榎本梨子は野球の才能がある。

今回もよろしくです。


「ここを開けると練習場デース!」

 

あっ、小原さんがフランクな外人キャラに戻った。此方がこの人の素なのか?

 

「すごい……!本格的な練習場って感じ!」

 

「確かに……。小原さんは何処か野球チームでも持ってるんですか?」

 

これ程立派な野球場なんだから専属のチームがあっても可笑しくはないだろう。大神が所有している『大神ホッパーズ』のような……。

 

「野球チームは持ってないわ。そのかわり……」ピッ

 

小原さんがボタンを押すとシャッターが開いた。これは……!

 

「まさか……野球人形か!?」

 

「Yes!八幡の言う通り野球人形のチームなのデース!!」

 

マジか……。大神や野崎でも野球人形のチームはまだ表に出したことがないはずなのに。

 

「野球人形……ってことはこれ人形なの!?どう見ても人間にしか見えないんだけど……」

 

「私も噂には聞いてるけど、本物を見たのは初めてだよ!すごい!!」

 

初めて野球人形を見た榎本はその造りに驚き、西野は野球人形を生で見れて興奮している。

 

「でもそれで私達はどうやって練習を……?」

 

「多分野球人形と交じって練習することになるだろうな」

 

榎本の疑問を俺は予測混じりで答えた。

 

「そうよ!じゃあ3人はこれに着替えて練習を始めて!」

 

「これは……?」

 

「ユニフォーム!野球人形達と同じものよ!!」

 

野球人形と同じってことは薄紫のやつか……。控え目に言ってダサいが、ユニフォームがあるなら私服よりかはいいだろう。

 

こうして俺達はユニフォームに着替えて練習を野球人形達とすることになった。榎本が少し恥ずかしそうにしていたが、議論し始めては日が暮れそうなのでそれで納得してもらった。ちなみに小原さんは監督らしい。

 

 

 

~そして~

 

 

「そろそろ体も暖まってきたところだろうし、そろそろ本格的に始めるわよ!まずは守備練習で3人の適性ポジションを決めたいんだけど……3人は何処か希望するポジションはある?」

 

俺達の適性ポジションか……。俺と西野は過去に全ポジションを経験したことはあるが榎本は未経験に等しいからな。

 

「梨子は何処がいいの?」

 

「そうね……ネットの野球では二遊間や外野を守っていたけど……」

 

「ネットの野球?そんなのあるの?」

 

ネット野球……確か最近有名なのは……。

 

「もしかして『ハッピースタジアム』か?」

 

「うん、比企谷君は知ってるんだ?」

 

「話に聞いたことがあるだけでやったことはないがな。大神の人間が企画したっていうことらしいが……」

 

余り信用できないんだよなぁ……。大神の人間はどうも胡散臭い。

 

「……話を戻すけど現実だと私は肩が良いわけじゃないからネットで守っていた二塁手かな?」

 

となると(Oddball)での仕事の連携とかを考えると俺と西野のポジションは……。

 

「そうなると私と八幡は三遊間を守るのがベストだね!仕事での連携を野球で活かせるし」

 

どうやら西野も同じ考えのようだ。

 

「或いは二塁手と連携が取りやすい遊撃手と中堅手になるな。だが……」

 

確か椿さんは過去に野球をしたことがあるらしく、そのときのポジションは外野だったそうだ。椿さんも今度の試合に参加するらしいから中堅手は椿さんとなるだろう。そう考えていると西野が口を開く。

 

「試合の日って椿さんも参加するんだよね?確か椿さんは外野を守るらしいからやっぱり私達のポジションは三遊間だね!」

 

「やっぱそうなるよな。西野はどっちを守るんだ?」

 

「う~ん……三塁手かな?肩には自信があるし!」

 

まぁ三塁手は肩が強いイメージがあるよな。ということは俺が遊撃手か……。

 

「ポジションは決まったようね!」

 

「はい!私が三塁手で梨子が二塁手、八幡が遊撃手です!!」

 

西野が俺達のポジションを小原さんに言い伝える。

 

「OK!じゃあ今から守備練習スタート!!」

 

 

 

 

~そして~

 

 

基本的な守備練習が終わった。俺と西野は守備の勘を取り戻したといった感じで、榎本はネット野球をイメージして練習しているのと榎本自身のセンスで難なくライナーやゴロを捌いている。そして次は連携の要のゲッツーの練習である。

 

「じゃあ次は6、4、3のダブルプレーよ!」

 

「」キィン!

 

野球人形が此方に痛烈なゴロを放つ。

 

「よっ……と!」バシッ! ビシュッ!

 

俺はゴロを処理して榎本へと投げる。

 

「」バシィッ!

 

「OUT!」

 

「」ズザザッ!

 

監督をしていた小原さんがジャッジをすると同時に一塁にいた野球人形がゲッツー崩しをするべく榎本にスライディングをかます。

 

(落ち着いて……。この局面はネットでも多々あった。その時のプレイをイメージすれば……!)

 

「」ザッ! ビシュッ!

 

「」バシィッ!

 

「OUT!ダブルプレーデース!!」

 

「梨子!すごいよ!!」ダキッ!

 

「そ、そうかな……///」

 

小原さんのコールが終わった後、西野が榎本に抱き付く。榎本も満更でもない表情である。百合ってますね。君達付き合っちゃいなYO!!

 

……それはさておき、確かに現実の野球の経験がない榎本のあのプレイはすごいものだ。彼女には野球の才能があるだろう。だが……。

 

(あそこまで洗練されたプレイができるのか……。いくら野球人形といえど相当な練習をしないとできるものじゃないぞ。野球を経験したからこそそれがよくわかる)

 

俺は野球人形の動きを見てそのすごさに驚きを隠せないでいた。

 

 

 

~そして~

 

 

あれからずっと守備練習をしていた。内野の連携や非常時のために外野の練習、さらにはファインプレーと呼ばれるプレイまでもすることになった。

 

しかもあの野球人形がすごくいやらしいコースを打ってくるので、俺達は其処らの野球部員になら負けないくらいの守備力を身に付けたのだ。

 

「今日はここまでデース!」

 

『ありがとうございました!!』

 

俺達は小原さんにお礼をした後着替えて練習場を後にした。

 

「今日は楽しかったねー!」

 

「仕事以外で余り運動しないこっちからしたらかなり疲れた……。多分明日筋肉痛ね……」

 

西野と榎本がそれぞれ言う。確かに榎本はインドアな方だし、ここまで激しい動きをすれば筋肉痛は避けられないだろう。

 

「だが試合の日だってこれくらいは動くわけだからそんなことは言ってられないぞ」

 

「だよね……。これからは頻繁に身体を動かしておこう」

 

「なら梨子も私と一緒に毎朝走らない?5㎞!」

 

「そうね……いきなりはキツいと思うから少しずつなら」

 

「うん!頑張ろうね!!」

 

榎本と西野の友情タッグがここに誕生した。とはいえ中学からこの2人は仲がいいわけだが……。

 

「八幡も一緒に走る?」

 

「遠慮しまくる」

 

……とキメ顔で西野の誘いを断った。その時2人から白い目で見られたけど気にしない。

 




今回はここまでです。

次回は俺ガイル原作に戻ります。


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比企谷八幡は仕事仲間と一緒に勉強会をする。

今回もよろしくです。


週が明けて月曜日の放課後といえる時間帯。

 

俺は西野、榎本、高科、吉槻の5人でサイゼリヤにてテスト前の……というよりは高科の赤点回避のための勉強会を行っている。

 

ちなみに葉山が寄越したチェンメの依頼は葉山が件の3人とは別のグループになることで解決している。

 

「じゃあ次は英語の問題だ。『Spring has come』これを和訳してみろ」

 

それで今俺が高科に問題を出しているわけだが……。

 

「バネ持ってこい!」

 

こいつ……本気で言ってるのか?

 

「ナオ……」

 

「ナオちゃん……」

 

「お姉ちゃん……」

 

西野、榎本、吉槻が呆れた目で高科を見ている。

 

「よーし、歯を食いしばれ高科ー。俺の最弱はちっとばっか響くぞー」パキポキ

 

「ヒィ!や、やだな~比企谷君。ぼ、暴力はいけませんよ!」

 

「吉槻、このアホを拳骨していいか?」

 

「はい、大丈夫です」

 

「さ、さら!?」

 

吉槻からの同意を得たので俺は拳骨の準備を始める。

 

「心配するな高科。痛いのは一瞬だけだから……!」

 

ゴンッ!!

 

「ギャピーッ!!」

 

「流石に援護できないよナオ……。まぁ私もあんまり成績良くないけど……」

 

俺の拳骨をくらって泣きべそをかいている高科と苦笑いを浮かべる西野。

 

「そんなこと言って優香ちゃんは毎回学年30位以内じゃないですか~!!中学までは私と一緒でおバカのツートップだったじゃないですか!」

 

「そこまで酷くはないよ!?」

 

まぁ今でこそ西野は高科が言っている成績で落ち着いているが中学時代は高科程ではないが赤点スレスレだったからな……。

 

「西野の場合は榎本と地獄といっても過言ではない勉強会をしていたからな」

 

「うっ……!実は今でもあれはちょっとトラウマかも……。だから2度とあんな悲劇が起きないように自主的に勉強してるんだ」

 

本当に俺は当事者じゃなくてよかった……。

 

「そんなに梨子ちゃんの勉強会は酷いんですか?」

 

「気になるならナオちゃんも試してみる……?1年の時はこの面子で勉強してたから見逃したけど、あまりにも成長の見えなさで今の私は正直噴火寸前だから優香以上のスパルタでやるわよ……?」

 

おいおい、更に上があるのか?あの時は見てる此方も地獄絵図って感じだったんだが……。

 

「あ、あれよりも上があるの!?」

 

西野も同じことを思っていたらしく震えながら榎本に尋ねる。

 

「なに言ってるの?優香に施した勉強コースは私からしたらまだ軽い方よ!それに優香は要領が良かったし」

 

「まぁ高科も要領はいいから真面目にやれば問題ないだろ」

 

「……そうね」

 

「じゃあ少し休憩するか。飲み物取ってくる」

 

流石に少し休憩時間を設けてやらないと高科が潰れてしまうかもしれんからな。

 

「あっ、私も行く!」

 

 

 

~そして~

 

「1年の時か……。あの時も高科は頓珍漢なことを言ってたからな……」

 

「アハハ!確かその時は数学の勉強してたよね!!」

 

 

『そもそも因数分解ってなんですか!勝手に分解しないでくださいよ!自然なままにしてください!!』

 

 

「……あったなそんなことも」

 

「その時も八幡はナオに拳骨してたよね!同じこと言ってて……」

 

あれ?思い出してきたらなんか腹たってきたぞ?等と思っていたら後方から声が聞こえた。

 

「次は国語からの出題よ。次の慣用句の続きを述べよ。『風が吹けば』?」

 

「風が吹けば……えっと……」

 

声のする方を見ると雪ノ下と由比ヶ浜と戸塚が勉強会をしていた。今は雪ノ下が問題を出して由比ヶ浜が回答をするようだ。

 

「京葉線が止まる!!」

 

「千葉県横断ウルトラクイズかな?」

 

由比ヶ浜の回答に対して即座にそう思った西野は悪くないと思う。

 

「不正解。次は地理からの出題。千葉県の名産を2つ答えよ」

 

「……みそピーとゆでピー?」

 

「落花生しかないのかこの県には……」

 

「わっ!……ヒッキー?」

 

「こんにちは、比企谷君に西野さん」

 

「八幡、西野さんもこんにちは」

 

「おう」

 

「やっほー雪ノ下さん!由比ヶ浜さんに戸塚君も!!」

 

俺達はそれぞれ挨拶をすませる。ちなみに戸塚はテニスの件以来俺のことを名前で呼ぶようになった。

 

「雪ノ下達は勉強会か?」

 

「ええ、テストも近いし。比企谷君達も?」

 

「まぁな。……そっちさえよければ一緒にやるか?」

 

「いいのかしら?」

 

「俺は問題ない」

 

「私もいいよ!人数は多い方がいいし」

 

西野も了承……っと。とりあえず榎本達と合流するか。

 

 

 

~そして~

 

 

それぞれ自己紹介をして俺達は再び勉強を始める。……というよりは高科と由比ヶ浜の勉強を中心だが。

 

「あれ?お兄ちゃん?」

 

「あん?」

 

声がしたので振り向くと妹である比企谷小町(ひきがやこまち)がそこにいた。隣にいるのは彼氏か?

 

「小町か。どうしたんだ?」

 

「うん、ちょっと相談を受けていて……」

 

「隣にいる彼氏にか?」

 

俺は小町の隣にいる少年を見る。

 

「川崎大志(かわさきたいし)っす」

 

「大志君は友達だよ。ずっと友達。霊長類人科オトモダチだよ!」

 

「…………」

 

大志君とやらが絶句している。意識して言ってるわけじゃないんだろうが……。

 

「小町ちゃん久し振り!」

 

「こんにちは小町ちゃん」

 

「優香さんと梨子さん!お久し振りです!!」

 

そういえば小町が榎本と西野に会うのは中学以来になるんだったか……。

 

「比企谷君の妹ですか?似てないですね~。私は高科奈桜といいます!比企谷君とは中学からの友達でバイト仲間ですよ!ナオっちと気軽に呼んでください!!」

 

「その呼び方してる奴見たことないんだが……」

 

「吉槻桜空といいます。比企谷君とは中学からの友達でバイト仲間になります。よろしくお願いします」

 

「ナオさんにさらさんですね!こちらこそよろしくお願いします!!……これは新たなお義姉ちゃん候補の予感」

 

また小町は碌でもないこと考えてるな……。

 

「戸塚彩加です。八幡とはクラスメイトです」

 

「これまた可愛い人だねお兄ちゃん!」

 

「まぁ戸塚は男だがな……」

 

「またまたご冗談を~!」

 

「う、うん……僕男の子です……」

 

「えっ?本当に……?」

 

まぁ見た目が見た目だし、戸塚の場合は仕草も女子っぽいからな。本人は治したいと言っていたらしいが無自覚とはいえ本当にその気があるか怪しいものだ。

 

「雪ノ下雪乃です。比企谷君とは……。ねぇ、私って比企谷君とどういった関係と言えばいいのかしら?」

 

「部活メイトが無難な表現だろ」

 

「……そうね。比企谷とは部活メイトよ」

 

「あ、えっと……は、初めまして。ヒッキーのクラスメイトのゆ、由比ヶ浜結衣です……」

 

雪ノ下の次に由比ヶ浜が自己紹介するが由比ヶ浜は何処かしどろもどろだった。

 

「あっ、初めま……うん?」

 

「」ドキッ!

 

「ん?ん~……?」

 

「どうした小町?」

 

「う~ん……何処かで会ったような、違うような……」

 

まぁ由比ヶ浜は去年俺が事故った時に庇った犬の飼い主だからな。そして更に言えば雪ノ下はその時の車に乗っていたのだ。

 

とはいえ由比ヶ浜が家にお詫びの品を持ってきてそれからは今の今まで音沙汰なしだったからもう全て終わっているのだろう。なら余計なことは言うまい。

 

そう思っていたんだが……。

 

「由比ヶ浜さんは去年八幡が事故った時に庇った犬の飼い主だから見覚えがあるんじゃないかな?」

 

西野の爆弾発言によってその考えは打ち破られた。西野がそれを天然で言っているのかわざと言っているのかはまぁ置いておこう。

 

さて、この状況はどうしたもんかね?

 




今回はここまでです。


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比企谷八幡は川崎大志の依頼を受ける。

今回もよろしくです。


「あっ、そうだ。それで見覚えがあったんだ!」

 

西野の発言に小町は得心がいったような感じの表情をしていた。

 

ふと由比ヶ浜の方を見ると顔が青ざめていた。雪ノ下も同様に動揺していた。……しょうがない。

 

「色々言うことはあるがその前に大志君とやらの相談が先だ」

 

「あっ、すっかり忘れてた!」

 

「おいおい……。それで大志君はどんな相談事だ?」

 

「あっはい、実は……」

 

大志君からの相談を聞いた。どうやら姉である川崎沙希(かわさきさき)が朝帰りをしているというものだ。

 

「事情はわかったが、これは俺達が関わっていい案件じゃないな……」

 

「でも……もうお兄さん達に頼るしかないんです!」

 

大志君は本来他人である俺達に頼ってはいけないとわかってはいるんだろう。だがそれでも、それがわかっていても小町に相談したということはもうなりふり構ってはいられないということだ。

 

「……その想いは受け取った。とりあえず姉の朝帰りを止めさせたらいいんだな」

 

「はい!お願いします、お兄さん!!」

 

別に俺は大志君の兄ではないんだが……まぁいいか。

 

「八幡、私達も手伝うよ!」

 

「うん、川崎さんは総武の生徒だし生徒会としても放っておけないからね」

 

「そうですね」

 

「では早速ナオっちが情報を集めてきますよ!!」

 

上から西野、榎本、吉槻、高科が俺に力を貸してくれることになった。

 

「ああ、頼りにしてる」

 

この5人が集まるとなんだか(Oddball)の仕事みたいだな……。

 

「というわけだ雪ノ下。大志君の件は俺達に任せておけ」

 

「比企谷君、私達も奉仕部として……」

 

「今はテスト前で全ての部活は活動停止だ。それに……雪ノ下も心の整理をする時間がほしいだろう?」

 

「比企谷君……」

 

まぁさっきから顔を青くして無言状態になっている由比ヶ浜もそうだがな。

 

「だから事故の件はそうだな……テストが終わってからにでも話し合おう」

 

「……ええ」

 

「とりあえず雪ノ下は由比ヶ浜を連れて先に帰っておいてくれ」

 

俺がそう言うと雪ノ下は未だ顔を青いままの由比ヶ浜を連れて帰った。

 

「ではでは早速行動開始ですよ!川崎さんの情報を集めてきます!さら、行きましょう!!」

 

「はい」

 

高科と吉槻は川崎沙希についての情報収集へと向かった。

 

「さて、じゃあ小町と大志君は時間が時間だから帰るんだ」

 

「了解であります!」

 

「お兄さん……お願いします!」

 

「おう、大志君も何かわかったらここに連絡してくれ」

 

「……はいっす!」

 

俺は大志君に自分の『仕事用』の連絡先を渡しておいた。

 

小町と大志君も帰りこの場には俺と榎本と西野の3人となった。

 

「八幡……よかったの?」

 

西野が口を開く。

 

「何がだ?」

 

「何がって……」

 

「優香は比企谷君が去年の事故の件で雪ノ下さんと由比ヶ浜さんに負い目を感じてないか心配してるのよ」

 

ならあの発言はどうなのかという話だよな……。まぁ西野は確信して言っているんだろうが。

 

「ん?負い目?まさか。あの件は俺の中では既に完結している。もうどうでもいいことだ」

 

「八幡……」

 

「まぁ俺がそうでも向こうが負い目たっぷりだからどうしたもんかと思ってな」

 

雪ノ下も由比ヶ浜もそのあたり面倒なもんだ。まぁとりあえずそれは置いといて……。

 

「今は大志君の依頼が先決だ」

 

「……そうだね」

 

「……うん」

 

「じゃあ明日から行動開始だ。俺は先に帰る」

 

俺は大志君の依頼の解決策を考えながら帰った。

 

 

 

~翌日~

 

「大志君から新たな情報が入った。川崎沙希がエンジェルなんとかってところから電話がかかってきたそうだ。高科、このあたりでエンジェルと名のつく店はどのくらいある?」

 

「ナオっちの情報網によりますと『えんじぇる☆ている』というメイド喫茶と『エンジェルラダー』という……これはバーですかね?この2つだけですね!」

 

『エンジェルラダー』か……。前に椿さんに呼ばれて西野と榎本の3人で行ったところだな。朝帰りということは間違いなく川崎沙希が働いているのは後者だろうが……。

 

「吉槻、川崎沙希の性格とかわかるか?」

 

「はい、あくまで私の主観ですが川崎さんは内向的な性格で人を寄せ付けない……といったところでしょうか」

 

ふむ成程……。

 

「わかった。2人共ありがとう。今日川崎沙希のバイト先に行って話をつける。十中八九バーだろうが念のため先にメイド喫茶の方へと……」

 

「待って八幡!」

 

行こうかと思ったら西野が俺に静止をかける。

 

「どうした西野?」

 

「『えんじぇる☆ている』の店長さんと仲が良いから電話で聞いてみるよ!」

 

どうやら西野は『えんじぇる☆ている』の店長と仲が良いようだ。相変わらず人脈が豊富な奴だ。

 

「あっ、もしもし?今時間いいですかことりさん?」

 

『優香ちゃん、どうしたの?もしかして遂にうちで働いてくれる気になったのかな?』

 

「いえ、その話はまたの機会に……」

 

『残念……。じゃあどうしたの?』

 

「最近そちらに川崎さんという人が入りませんでしたか?」

 

『う~ん……ここのところ新しい人は入ってないね。またアルバイト募集しようかなぁ……?』

 

「わかりました。ありがとうございます!」

 

『優香ちゃんの役に立ったのなら何より。またお店に来てね。なんならうちで働いてくれてもいいんだよ?』

 

「今度友達を連れてまた行きますが働くのは遠慮ということで……」

 

『厳しいなぁ……。じゃあまたね♪』ピッ

 

「……ということで『えんじぇる☆ている』の方には川崎さんはいないよ!」

 

「サンキュー西野。じゃあ『エンジェルラダー』の方に行くとするか……と言っても今からだと早すぎるから21時30分に行くことにする」

 

「比企谷君1人で行くの?」

 

「そうだな……おまえら、今日のシフトはどうなってる?」

 

「私は入ってないわ」

 

「私は入ってる……」

 

「ナオっちも入ってますよ」

 

「私も入ってます」

 

上から榎本、西野、高科、吉槻の順番だ。

 

「わかった。なら榎本は俺についてきてほしい。21時30分に店の前に仕事着で来てくれ」

 

「ええ、わかったわ」

 

さて、仕事を始めますか……。

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでです。


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比企谷八幡は川崎沙希の朝帰りを止める。

今回もよろしくです。


時刻は21時25分。場所は『エンジェルラダー』の前。俺と榎本は仕事着に着替えていてあとは川崎沙希と話をつけるだけだ。

 

「まさかまたここに来ようとはな……」

 

「まぁ私達高校生だしね……」

 

榎本の雰囲気も何処かピリッとしている。

 

「ところで比企谷君。そのアタッシュケースは?」

 

「こいつはちょっとした小道具だ。これを見せれば川崎沙希は必ず揺れ動く。榎本は何か案はあるか?」

 

「……一応ね。でも実現しないに越したことはないかな」

 

榎本も川崎沙希の説得案があり準備万端のようだ。では入るとするか……。

 

「いざ鎌倉!」

 

「それ今時の人には伝わらないと思うよ……?」

 

時代の流れを感じるぜ……。

 

 

 

 

~そして~

 

さて、川崎沙希は……いた。なんかカクテルをシャカシャカしていた。なんかすげぇ似合う。天職ではなかろうか?

 

「ほら、比企谷君行くよ?」

 

榎本に促され川崎に声をかける

 

「川崎沙希だな?」

 

「……あんたは?」

 

クラスメイトなのに覚えられてなくても八幡気にしない!

 

「比企谷八幡。一応クラスメイトだ」

 

「こんにちは、川崎さん」

 

「榎本も……。それで何の用……?」

 

榎本はわかるのか……。まぁ生徒会副会長で有名だからね!しょうがないね!では早速用件をば……。

 

「おまえのことを弟が心配してたぞ。帰りが遅いって」

 

「大志が何を言ったか知らないけど気にしないでいいから。……もう関わらないで」

 

川崎沙希の返事は放っておいてほしい、関わるなというものだった。

 

「川崎さん、弟が心配してるのよ?」

 

「だから放っておいて……!」

 

「そういうわけにもいかないな。大志君は他人である俺達に相談するくらい切羽っつまってるんだ。それに大志君は身体を売ってるんじゃないかって思っていたらしいぞ?」

 

まぁこれは俺の勝手な想像だけどな。すると川崎沙希は顔を赤くした。

 

「ば、バカじゃないの!?なんであたしがそんなことを……!///」

 

「はっはー元気がいいなぁ。何か良いことでもあったのか?」

 

「比企谷君、茶化さないの」

 

何故か怒られた。解せぬ。

 

「……大体あんたらにお金が用意できるの?親も用意できないのに」

 

「ああ、できる」

 

「え……?」

 

俺は持っていたアタッシュケースを開けてそれを見せる。

 

「この中には1億5000万の金が入っている。もちろん本物だ。おまえが必要なお金とやらの金額を差し引いても余り余るだろう」

 

「…………」

 

「どうする?受け取るも受け取らないも自由だぜ?」

 

さあ、どうする川崎沙希?

 

「比企谷君、悪……ゲスい顔してるよ?」

 

「何故悪い方に言い直した?……それでどうするよ川崎沙希?受け取るか?それとも受け取らないか?」

 

「……あたしは……それを受け取らない。受け取るわけにはいかない。それを受け取ってしまったら取り返しのつかないことになる気がするから」

 

声を震わせながら川崎沙希は言う。成程な……。まぁ正解だ。これは汚い金なのだからもしもこれを受け取っていたら『こちら側』に無理矢理引き摺りこんでいただろうからな。

 

「なら別の案を出そう。これを見てくれ」

 

俺は1枚の紙を鞄から取り出して川崎に見せる。

 

「これは……?」

 

「川崎沙希、おまえは予備校の学費を稼ぐために無理してここで働いていたんだろ?」

 

「……そうだよ。よくわかったね」

 

「大志君の話とうちの優秀な情報屋の情報と照らし合わせて辿り着いた結論だ」

 

高科の情報は本当に有益なものが多いからな。今回も助かったぜ。

 

 

 

~某所~

 

「ハックションッ!」

 

「……随分大きな嚔だねお姉ちゃん」

 

「これは誰かナオっちの武勇伝を語っていますよ!」

 

「それはないと思うな」

 

「うん、ないと思う」

 

「うぅ~さらも優香ちゃんも手厳しいですよ!ナオっちだってやればできるんですよ!」

 

「はいはい、わかったから仕事するよお姉ちゃん」

 

「……さらが冷たい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあ、そろそろ幕引きといこうか。

 

「なあ、スカラシップって知ってるか?」

 

 

~そして~

 

「無事に解決してよかったね」

 

「そうだな。これで川崎沙希も無茶はしないだろう」

 

「うん、そうだね…………」

 

「元気ないな。どうした榎本?」

 

「私、今回何もできてないなって……」

 

「そんなことないだろ」

 

「そんなことあるよ。ナオちゃんは持ち前の情報力のおかげででスムーズに事が進んだし、さらちゃんの観察と分析で川崎さんの性格を予測できた。それに優香の人脈で川崎さんがメイド喫茶じゃなくてバーで働いてることがわかった。そして比企谷君が依頼を解決した。」

 

「……俺は今回榎本がついてきてくれて助かったけどな。まぁおまえがそう思うなら次で挽回するんだな」

 

「うん……そうだね」

 

「次の大仕事は恐らく野球の試合だ。その時に榎本の力と頭脳がきっと必要になる」

 

なんせ榎本はガチの天才だ。某めんどくせー忍者と同じくらいのIQを持っているからな。

 

「……ありがとう、比企谷君」

 

「礼を言われるようなことはしてないさ。……ところで榎本は川崎沙希に何の案を出すつもりだったんだ?」

 

「うん、実は川崎さんに(Oddball)をアルバイト先として紹介しようと思ったんだ」

 

成程な。確かに深夜労働が必要ならば(Oddball)の夜間バイトが適切だろうし、『そっち』の仕事も川崎ならこなせるだろう。

 

なんせ榎本がそう思ったのだから。元々(Oddball)は椿さんと榎本を中心に榎本が選んだ連中が集まってるからな。

 

まぁつまり俺も西野も高科も吉槻も榎本に誘われて今(Oddball)で働いているというわけだ。

 

 

 

 

それはさておき大志君の『川崎沙希の朝帰りを止めさせてほしい』という依頼は終わった。次は雪ノ下と由比ヶ浜と話し合うとしますかね。

 




今回はここまでです。


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雪ノ下雪乃は決意を固める。

今回もよろしくです。


さて、前回雪ノ下と由比ヶ浜と話し合うと豪語していんだが、そのことがすっかり頭から離れてしまった。何故なら……。

 

「お兄ちゃん、今年も東京ワンニャンショーが開催されるよ!行こうよ!!」

 

「おう」

 

東京ワンニャンショーが開催されるからね。動物見て癒されたい。

 

 

~そして~

 

「見て見てお兄ちゃんペンギンだよ!可愛い!」

 

小町はペンギンを見てはしゃいでいる。その姿は年相応で無邪気なもんだね。

 

「ペンギンな~。そういえばペンギンって語源のラテン語で肥満って意味らしいぞ。そう思って見るとメタボのおっさんを見てる気分になるよな」

 

「……これからペンギンを見るとそういう目で見ちゃいそう。小町的にポイント低いよ……」

 

「そんなこと言われても俺もこれは榎本に聞いたからな。文句はあいつに言ってくれ」

 

本当にあいつの知識の幅が広い。本人曰く『知っていることしか知らない。知らないというのは何処かもどかしいし、どんなことでも知っていて損はないから知ろうとする』だそうだ。

 

「はぁ……。ん?あれって雪乃さん?」

 

小町が雪ノ下を見つけたようだ。何やらパンフレットとにらめっこしてるようだが……。

 

「雪乃さーん!」

 

「小町さんに……比企谷君?」

 

 

 

~そして~

 

雪ノ下も一緒に回ることになり小町はテンションが上がっており今は先頭を歩いている。

 

「すまんな雪ノ下。妹の我儘に付き合ってもらって」

 

「……いえ、気にしてないわ」

 

やっぱりあの日からなんか元気がないな。

 

「比企谷君、川崎さんの依頼を解決したそうね」

 

「う~ん、あれは解決って言うのかね?俺は川崎に紙を渡しただけだしな。まぁ俺なりに奉仕部の理念ってのを考えてはいたが」

 

「そう……」

 

「…………」

 

「…………」

 

沈黙が続く。俺は沈黙が嫌いではないのでそのまま会話が終わっても構わんのだが、偶然とはいえ会ったのだから話を切り出そう。

 

「雪ノ下、心の整理はできたか?」

 

「……ええ、私は比企谷君と由比ヶ浜さんと話し合う準備ができたわ」

 

「そうか。じゃあ次の学校の日にでも……」

 

「比企谷君」

 

雪ノ下の決意を聞いて次の部活の日に話し合うことを言おうとすると雪ノ下に遮られる。

 

「6月18日。これが何の日かわかるかしら?」

 

「6月18日?特に何もない平日だった気がするが……話の流れからするともしかして由比ヶ浜の誕生日だったりするのか?」

 

「ええ、確証はないけれど由比ヶ浜さんのメールアドレスに0618とあったからそこから推測しているの」

 

「ふんふんそれで?」

 

「その日に私は比企谷君と由比ヶ浜さんに入学式の日のことを話すわ」

 

どうやら雪ノ下の決意は固まったみたいだな。あとは由比ヶ浜か……。

 

「だから……付き合ってくれないかしら?」

 

…………えっ?今告白されたの?いや、さっきまでの話から推測するに(由比ヶ浜の誕生日プレゼントを買うのに)付き合ってくれないかしら?という意味だろう。

 

主語述語をはっきりわかりやすく日本語を喋ろう!八幡との約束ダゾ!!

 

ちなみに小町はご機嫌良好で先頭を歩いていた。

 

 

 

~そして~

 

ワンニャンショーの翌日。雪ノ下と由比ヶ浜の誕プレを買いに行くために俺は待ち合わせ場所であるららぽーとへと向かう。

 

歩いていると雪ノ下を見つけた……んだけどその雪ノ下がナンパされていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………何故か西野と榎本が一緒にナンパされていた。

 

 

 

 

 




今回はここまでです。


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雪ノ下雪乃は榎本梨子と西野優香の一面に戦慄する。

今回もよろしくです。


なんでこうなったのかな~?八幡わかんない。

 

雪ノ下がナンパされるのはまぁわかる。客観的に見たら美人の類いだからな。

 

西野と榎本がナンパされるのもまぁわかる。西野は無邪気で可愛い系の女子だし、榎本は雪ノ下に負けず劣らずの美人の類いだから。

 

問題はどうして雪ノ下が西野と榎本と一緒にいるのかということと雪ノ下以外の2人をナンパするお馬鹿さんがいるということだ。

 

どうしたもんかと考えた俺は少し様子を見ることにした。

 

 

 

 

雪乃side

 

今日は比企谷君と由比ヶ浜さんの誕生日プレゼントを買いに行く日。待ち合わせ場所であるららぽーとへと着いたけれど比企谷君はまだ来ていない。少し早すぎたかしら……?

 

待ち合わせの時間までまだ少しあるから1度飲み物でも買いに行こうかしら?

 

「あれ?雪ノ下さんだ」

 

声をかけられたので振り返ってみると西野さんと榎本さんがいた。

 

「西野さんに榎本さん、こんにちは。2人はどうしてここに?」

 

「私と梨子はこれからちょっとショッピングをしようと思ってね!」

 

「私が欲しい本があるから優香に付き添ってもらってるの」

 

この2人は仲が良いわね。榎本さんとは小学校が一緒だったけれど、私と同じでいつも本を読んでいたイメージがあったから他の誰かと遊びに行くというのはとても珍しく思う。これも西野さんの人徳かしらね。

 

「雪ノ下さんはどうしてここに?」

 

これは正直に話してもいいのかしら?この2人は比企谷君と仲が良いから今から比企谷君と一緒に出掛けるなんて言ったら余り気分が良くないのかもしれないわね。

 

「私は……」

 

「ねぇねぇそこの君達」

 

「可愛いね。良かったら俺達と遊びに行かない?」

 

私が答えを言おうとすると如何にもチャラチャラした感じの2人組に声をかけられた。

 

……ナンパね。低俗だわ。どうやって断ろうかしら。

 

「結構です。私達彼氏待ちですので」

 

西野さんが切り返す。その発言が嘘か真はわからないけれど、ナンパを追い払うには悪くない戦術だわ。私にはそういった相手はいないけれど流れに乗っておきましょう。

 

「こんな可愛い娘達を待たせる彼氏より俺達の方が良いって~」

 

「そうそう、そんな奴等とは放っておいて俺達と遊ぼうぜ」

 

しかしそれで追い払われるナンパ達ではなかったようね。いざとなったら通報するか、実力行使で……!

 

「嫌です。帰ってください」

 

「そんなダサい格好した人なんてお断りです」

 

榎本さんと西野さんが続けて断り文句を言う。よく見ると……いえ、見たくはないのだけれど、よく見ると本当にダサいファッションだわ。センスがないのね。

 

「てめぇ……!」

 

「ちょっと可愛いからって調子こいてんじゃねぇぞ!」

 

ナンパ達が2人に手を出そうとする。いけない!2人が!!私が追い払わなくてはと思った次の瞬間……。

 

『私に触るな……!』

 

2人がそう言うと西野さんは相手の腕を曲げて、榎本さんは何処から取り出したのかカッターナイフをもう1人に突き付けた。

 

その様子に私は鳥肌がたった。何故ならこの2人は殺気を剥き出しにしておりそれは殺すことに何の躊躇もないからだ。

 

「があっ!」

 

「ヒッ!」

 

「これが最後通告です。怪我したくなかったら帰ってください」

 

榎本さんがカッターナイフを相手の首に当てながら喋るとナンパ達は逃げていった。

 

「ふぅ、巻き込んじゃってごめんね雪ノ下さん」

 

西野さんが私に謝罪する。先程まで感じていた殺気はなくなり無邪気な笑顔だった。

 

「き、気にしてないわ……」

 

そう、ナンパ自体は気にしていない。私だって追い払おうとしていたのだから。

 

「最近ナンパが多くて嫌になるわ……」

 

「じゃあ梨子も早く……」

 

「ゆ、優香!それ以上先は言っちゃ駄目!!」

 

「ム、ムグムグ……!」

 

先程のことをまるでなかったかのようなやりとりだった。私は2人の殺気に対して恐怖心を抱いていたのだけれど……。

 

一体この2人は何者なのかしら?

 

 

 

 

雪乃sideout

 

 

 

 

 

あ~あ、あのナンパ達すっかり2人の殺気にびびっちゃったよ。序でに雪ノ下も。まぁ西野も榎本も(Oddball)で色々鍛えられてるからな。

 

ちなみに西野は腕っぷしで榎本は運動能力が低めなかわりにそのカバーができるようにさっきのナンパを追い払うような殺気をぶつけるというハッタリをかましたりというものだ。流石にカッターナイフはやりすぎのような気がするが……。

 

とりあえず合流するか。

 

「よう、遅くなってすまんな雪ノ下」

 

「ひ、比企谷君?」

 

さっきの殺気で雪ノ下は少し震えている。

 

「あっ、八幡!見てたのなら助けてよ!!」

 

「雪ノ下だけなら穏便に済ませようと思ったが、おまえらがいる状態だと下手に関わるとこっちに被害が及びかねん。だから傍観に徹してたんだよ」

 

俺の負担が大きくなることとか。だって西野と榎本の殺気を抑えさせるなんていう仕事はしたくないんじゃあ!

 

「あと榎本、カッターナイフはやりすぎだ。もっとマシな道具はなかったのか?」

 

「う~ん、今日他に持ってきているのはホッチキスと三色ボールペンくらいしかないわよ?」

 

「おまえは何処のヶ原先輩なんだよ……」

 

なんでも知っていることといいあの人達に影響されすぎではなかろうか?

 

「そういえば雪ノ下さんは比企谷君と待ち合わせしてたんだ」

 

「ああ、ちょっと部員の誕生日プレゼントを買いに行こうと思ってな」

 

「その部員ってもしかして由比ヶ浜さん?」

 

「そうだ」

 

榎本の質問に答えた後少し考えて西野が切り出す。

 

「迷惑じゃなかったら私達もついていってもいい?プレゼント選びの役に立つかもだし」

 

「俺は別に構わない。女子のプレゼントなんて小町にしか渡したことないからそれに合わせていいのかわからんかったからな。雪ノ下はどうだ?」

 

「……私も由比ヶ浜さんに何をあげればいいかよくわからなかったからいいけれど、榎本さんの買い物はいいのかしら?」

 

「私は別に急ぎってわけじゃないからそっちさえよかったら問題ないわ」

 

(それに優香も比企谷君と遊びたかっただろうしね……)

 

榎本も了承。後半何か小さな声で言っていたが……。よって西野と榎本が仲間になったのである。

 

 

 

 

 

~そして~

 

色々と障害があったが、なんとか由比ヶ浜の誕生日プレゼントを買うことができたので今は4人で昼食中だ。

 

「なんとか買えたな。由比ヶ浜のプレゼント」

 

「ええ、今日はありがとう比企谷君。西野さんと榎本さんもありがとう」

 

「気にしないで。雪ノ下さんとは小学校が一緒だったけど1度も遊んだことがなかったし」

 

そういえば榎本と雪ノ下は同小なんだったか。前にそんなことを榎本から聞いていたような……。

 

「ところでこれからどうするの?」

 

「そうだな……」

 

西野がこれからどうするのかと聞いてきたので考えていると……。

 

「あれ?雪乃ちゃん?」

 

1人の女性が声をかけてきた。




今回はここまでです。


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(Oddball)は実はかなり大きいグループである。

今回もよろしくです。


「あれ?雪乃ちゃん?」

 

雪ノ下に声をかけたのは雪ノ下陽乃(ゆきのしたはるの)で雪ノ下の姉である。彼女の情報は色々あるが、こうして対面するのは初めてだな。

 

「姉さん……」

 

雪ノ下の方は苦虫を噛み潰したような顔をしている。苦手なのかな?

 

「こんなところでどうしたの?あっ、もしかしてデート?デートだなこのこの~!」

 

「違うわ」

 

「またまた~照れちゃって~!」

 

雪ノ下姉は雪ノ下をからかうように絡んでいる。雪ノ下は心底嫌そうだ。まぁガンバ大阪ってことで。

 

雪ノ下姉の連れである女性2人が此方に話しかけた。っていうかこの2人知り合いだったわ。

 

「あれ?八幡君達じゃん」

 

「鞠莉のところで会った以来ね」

 

この人達は渡辺曜(わたなべよう)さんと津島善子(つしまよしこ)さんで小原グループの一員でありながら現役の大学生というダブルワーク?なのだ。

 

「曜さんに善子さん、こんにちは!」

 

「お久し振りです」

 

「優香は曜に似ていつも元気ね」

 

「はい!それが私の取り柄ですから!!」

 

「梨子ちゃんは相変わらず梨子ちゃんにそっくりだね!!」

 

「曜さん会うたびに同じこと言ってますね……」

 

津島さんは西野に、渡辺さんは榎本に絡んだ後2人共こっちに来た。

 

「それに八幡君は相変わらず死んだ目してるね!」

 

「それが自分の個性ですから」

 

「まぁ個性は人それぞれだからね~」

 

渡辺さんは俺を見るたびに目を揶揄して……。

 

「くっくっくっ……その魔眼はこのヨハネのリトルデーモンに相応しい……!」

 

「津島さんは相変わらず中二病が抜けきってないですね~」

 

「中二病ゆーな!」

 

津島さんは中二病全開で目を揶揄する。まだ2、3回しか会ってないのに最早恒例のやりとりになっている。

 

ちなみに2人共西野の幅広い人脈の1部である。

 

「あ、あの~……」

 

すっかり空気になっている雪ノ下姉が此方に話しかける。

 

「はいぃ?」

 

右京さん風に俺は返事をした。俺は断然亀山君派である。

 

「えっと……君達は渡辺先輩達と知り合いなのかな?」

 

「まぁ知り合いっちゃ知り合いですね~。小原グループとはちょっとした縁がありますから」

 

雪ノ下を見付けた時の仮面みたいなのはすっかりなくなっていた。この人面白いな……。これからは平塚先生と同じ扱いでいこう。

 

「陽乃ちゃん堅いぞ~!まるでいつかのダイヤちゃんみたい!気軽に曜ちゃんって呼んでもいいんだよ?」

 

「曜は逆に軽すぎるのよ。陽乃が困ってるじゃない」

 

「い、いえっ!あの小原グループの一員に対してそんな恐れ多いことできませんよ!」

 

ちなみに上下関係は(Oddball)>小原グループ>雪ノ下建設(雪ノ下家が所有している会社)を始めとする雪ノ下グループ全般といった感じなので雪ノ下姉が渡辺さん達にへこへこしているというわけだ。

 

俺達が敬語なのは歳上だからである。初対面時は渡辺さんと津島さんは敬語で俺達に話していたのだが、それだと落ち着かないということで今に至る。

 

「ところで渡辺さん達はどうしてここにいるんですか?」

 

「私と善子ちゃんは陽乃ちゃんと一緒に遊びに来たんだ」

 

「でもさっきから陽乃がガチガチなのよ。薄気味悪いペルソナを装備してね。まぁ所謂営業モードといったところかしら」

 

それは多分2人がいるからではなかろうか?

 

「2人が彼女を誘ったんですか?」

 

「うん、陽乃ちゃんも問題なさそうだったよ!」

 

「いや、曜が強引に誘ってたじゃない。陽乃の有無を言わせない勢いだったわよ?」

 

あっ、それもう確定ですわ……。

 

「あっ、鞠莉ちゃんから電話だ。ちょっと席を外すね」

 

そう言って渡辺さんはここを離れる。

 

「……私はお手洗いに行ってくるわ」

 

続けて津島さんも離れる。これでこの場にいるのは俺、西野、榎本、雪ノ下姉妹になった。というか雪ノ下がさっきから空気になってるな……。

 

「えっと、とりあえず自己紹介するね。私は雪ノ下陽乃。雪乃ちゃんのお姉ちゃんだよ」

 

2人がいなくなったのか再び仮面を着けて切り出す。

 

「西野優香です。よろしくお願いします」

 

「榎本梨子です。よろしくお願い致します」

 

西野と榎本は業務モードで自己紹介した。さて、俺も自己紹介しますかね。

 

「比企谷八幡ですよー。よろしくでーす」

 

某死体人形のような棒読み具合で自己紹介した。そういえばあの死体人形は何をしているのだろうか?

 

「比企谷……へぇ……?」

 

「そんなに珍しいですかね?まぁざらにある苗字じゃないとは思いますが」

 

「ううん、それで君達は小原グループの2人とはどういった関係なのかな?」

 

別に言ってもいいけどそれじゃあ面白くないし平塚先生と同等の玩具だし手放したくないなぁ……。

 

「知り合いですよ~。それ以上でもそれ以下でもありません」

 

俺がそう言うと西野と榎本が何か言いたげだったが、俺の表情を見るなりすぐに察して言うことをやめた。

 

「ふーん……まぁいいや。これからも雪乃ちゃんをヨロシクね!ああ見えて雪乃ちゃんは繊細なんだから。じゃあね!」

 

雪ノ下姉はそそくさとその場を去っていった。渡辺さん達と一緒に行かなくていいのかね……?

 

「話は終わったようね。じゃあ私達も行くわ。今度会うときは野球の練習の時かしらね」

 

「そうですね」

 

「早く陽乃ちゃんを追いかけるよ善子ちゃん!」

 

「はいはい」

 

渡辺さんと津島さんは雪ノ下姉を追いかけていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪ノ下は姉に絡まれてからは終始空気だった。

 




今回はここまでです。



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比企谷八幡にとって事故のことはどうでもいいことである。

今回もよろしくです。


6月18日。雪ノ下曰く由比ヶ浜の誕生日なんだとか。

 

そんな1日もあっという間に放課後になり俺は部室に向かっている。

 

(さてさて、一体どうなりますやら……)

 

2人の気持ち次第で奉仕部は廃部になる可能性だってある。等と考えていると部室に到着。入りませう。

 

「おはようさん」

 

「……こんにちは、比企谷君」

 

「や、やっはろー……」

 

やはりこの2人元気ないな。雪ノ下は少しずつ持ち直しているような感じだが、由比ヶ浜はまだ調子が戻ってない。

 

だがそんなの待ってやる義理はないね。

 

「さて、じゃあ早速本題に入ろうか。まずは由比ヶ浜。おまえは入学式の日に俺が車から庇った犬の飼い主ということだが、なんで今まで言わなかったんだ?小町はちゃんとお礼を言うって話だったが……」

 

「そ、それは言いづらくて……。ヒッキーにはなしかけ辛かったし」

 

「……余りこんなことは言いたくないんだが、西野が指摘するまで何食わぬ顔で過ごすつもりだったんじゃないのか?」

 

「そ、そんなことないっ!」

 

「そんなこと言われてもお礼を言うと言ってから1年以上過ぎているのに何の音沙汰もないからそうとしか思えないんだよ。家に来て菓子渡してそれで終わりだと俺は判断したからもうおまえには何も言わん」

 

「…………」

 

「まぁおまえが何やら謝礼するタイミングを伺っているということは感じられたから、後は由比ヶ浜の判断に任せる。言いたいときに言えばいい」

 

「うん……」

 

(まぁ何を言ってもどうでもいいがな)

 

「それで雪ノ下は何かないか?」

 

ここで雪ノ下が話をするということだが……。

 

「…………私は入学式の時に比企谷君を轢いてしまった車に乗っていたわ」

 

「そう……なんだ……」

 

「そうか」

 

まぁ俺は知っていたけどな。

 

「今更ながら謝罪するわ。比企谷君、由比ヶ浜さん、ごめんなさい」

 

「ゆきのん……?」

 

「乗っていただけとはいえ由比ヶ浜さんのペットには危険な目に遭わせたし、比企谷君に至っては入院させてしまったわ。本当に……ごめんなさい」

 

「そんな……ゆきのんは悪くないよ!元はと言えばあたしがサブレのリード離したのがいけなかったんだし……。ヒッキー、本当にごめんなさい!そしてサブレを助けてくれてありがとうございます!サブレは今も元気です!」

 

このタイミングで謝るか……。どうでもいいけど。

 

「俺からしたらもう過ぎたことだ。入学式の日に車に轢かれそうな犬を庇って、俺が轢かれて、1ヶ月入院したということがあった。ただそれだけだ」

 

まぁ怪我自体は鍛えていたおかげで3日程で完治したがな。母ちゃんと小町は大事をとってほしいとのことで1ヶ月学校休んだぜ!

 

「この話はこれで終わりだ。それでもう1つ話があるんだが……」

 

 

ドンドンドン!!

 

奉仕部に豪快なノックが響き渡る。誰だよ全く……。

 




今回はここまでです。短くてすみません……。


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材木座義輝は色々な意味で面倒くさい。

今回から数話遊戯部の件になります。

オリジナル要素がありますので苦手な方はブラウザバック推奨です。

では今回もよろしくです。


ドンドンドン!!

 

誰だよ全く……。今結構大事な場面だろうが。

 

「…………」

 

雪ノ下は返事をしない。あんなどでかいノックをする奴なんか相手したくないからか?知らんけど。

 

「とりあえず誰か見てくる」

 

「え、ええ……」

 

どうやら雪ノ下は固まっていたようだ。何故?

 

俺が扉を少し開くと勢いよくガラガラと扉が開かれてなんかでかいのが入ってきた。

 

「わーん!ハチえもーん!!」

 

神のマナを食ったゴキブリかと思ったが材木座だった。

 

誰がハチえもんか。そっちがそういう態度を取るなら此方もそれ相応の態度で迎えるぞ。

 

「どうしたんだい?図体だけジャイアンで頭の中がのび太君」

 

「待て八幡。ふざけている場合ではないぞ。ハチえもんが気に入らないのなら忍者ハチトリくんでもいいぞ」

 

「はっはー、君はブーメランって言葉は知ってるかい?人に言った悪い特徴とかがそのまま自分に跳ね返っているという意味だよ」

 

まぁ俺もふざけた人間という自覚はあるがね。

 

「そんなこと言わないで頼むよハチえもーん!」

 

ハチえもん止めるんじゃなかったんかーい!ちなみにこのやりとりは扉の前で行われており、扉を抉じ開けようとする材木座を俺が抑えているという構図である。

 

「……雪ノ下、とりあえず用件だけ聞いていいか?このままだと鬱陶しいだけだ」

 

雪ノ下の了承ももらい材木座を中に入れた。

 

「諸君、今日は相談があってここに赴いたのだ」

 

「相談……?くだらないことだったら帰ってもらうぞ」

 

俺はさっさと今日の用件を済ませて帰りたいんだよ。

 

「まぁ聞け。先日に我がシナリオライターを目指しているということは言ったな?」

 

「知らね」

 

「言ったんだよ!そういうことにしないと話が進まんだろう!」

 

キャラぶれすぎワロタwww

 

「ラノベ作家?っていうのじゃなかったっけ……」

 

「うむ、話すと長くなるのだがラノベ作家は収入が安定しないのでやめた。やはり正社員がいいと思ってな」

 

「話すと長くなると言っておきながら二言で終わっているわね……」

 

雪ノ下と由比ヶ浜に呆られている材木座ワロタwww

 

「るふん、そのゲームシナリオのライターなのだが……」

 

「設定やプロットだけなら見ないぞ」

 

「そうではない。我の野望を邪魔する輩が現れたのだ。恐らく我の才能に嫉妬しているだけだと思うのだが……」

 

材木座に才能ねぇ……?まぁあろうがなかろうがどうでもいいけど。

 

「八幡、遊戯部は知っているか?」

 

「遊戯部……?」

 

「去年創部された新しい部活よ。遊戯全般、エンターテイメントについて研究することを目的としているようだけれど」

 

説明ありがとう雪ノ下。雪ノ下の言う通り遊戯部とはそういった部活なのだ。……表向きは。

 

裏では遊戯とかこつけて外道なことをやっているという話を前に榎本から聞いた。生徒会として取り締まりたいけど、上手く証拠を隠蔽しているので堂々と裁くことができないのだとか。

 

「そのユーギブ?がどうかしたの?」

 

由比ヶ浜が材木座に訊ねた。遊戯部の発音が怪しいことに関してはスルーの方向で。

 

「うむ、昨日我はゲーセンで遊んでいたのだ。ゲーセンでの我は学校と違ってそこそこ話せるからな」

 

「それで……?」

 

「格ゲー仲間に我の夢を語ったのだ。シナリオライターに我はなるっ!と」

 

妄想乙。

 

「その場にいた誰もが我の野望に平伏した。頑張れよ、応援してるぜ、流石剣豪さん俺達にできないことを平然とやってのける!そこに痺れる、憧れる!等と称賛の嵐だった」

 

「はいはい、後半の台詞で馬鹿にされてるということに気付こうね~」

 

「えっ……?馬鹿にされてるの?……ごらむごらむ!しかしその中に1人だけ我に向かって無理だの、夢を見るなだの言い出しおった!!」

 

「偉いぞよく言った」

 

「えっ……?」

 

「おっと、つい本音が」

 

あるよね~。思わずポロっと本音が出ちゃうことって。

 

「ま、まぁ我も大人だからその場では『で、ですよねー』と言っておいたが、そんなことを言われて引き下がる程大人ではないのだっ!!」

 

「大人なのかそうじゃないのかどちらなのかしら……?」

 

また雪ノ下は呆れている。

 

 

 

その後面倒くさいから材木座の依頼を断る方向で話を進めていたのだが……。

 

「奉仕部など片腹大激痛!!目の前の人間を救えずして何が奉仕か!本当は救うことなどできんのだろう?綺麗事を並べるだけではなく行動で我に示してみよっ!!」

 

等という材木座のくだらない挑発に……。

 

「……いいわ。証明してあげましょう」

 

まんまと雪ノ下が乗ってしまい、依頼を受けることになった。奉仕部部長の雪ノ下雪乃は煽り耐性0……っと。由比ヶ浜に至っては完全にとばっちりだな。本人も『えっ……?』とか言ってるし。

 

「とりあえず2人は材木座と先に遊戯部に行っておいてくれ」

 

2人を送り出すと俺は携帯を取りだし、ある人物へと連絡する。

 

「……俺だ。榎本を連れて遊戯部の部室に行くぞ。そして榎本と一緒に姿を隠してろ」

 

さてと……遊戯部を潰しにいきますか……。

 




今回はここまでです。

ここから材木座がアンチになるかの分岐点。どうなることやら……。


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奉仕部+αは遊戯部に挑みに行く。

今回もよろしくです。


ある人物との連絡が終わり雪ノ下達に追い付いて遊戯部の部室へと到着した。

 

「では行くぞ皆の衆!!」

 

何故か指揮を執る材木座に続いて俺達は遊戯部部室の中に入る。あっ、もちろんノックはちゃんとしたよ?

 

 

~そして~

 

中に入るとカードゲームやボードゲーム等がたくさん積み込まれていた。これは所謂積みゲーというやつだな。

 

このゲーム達を売ればそこそこ金になるだろうな。しかもこの中には今では店頭にはなくてネットでしか販売してないやつもある。こういった物は定価の数倍の値段で販売してるんだよね。

 

まぁそんなことは置いといて材木座は積みゲー達の高い位置の方へとズンズン歩いているので俺達もそれについていく。途中材木座なにか俺に言っていたが、面倒なのでスルーした。

 

奥へ奥へと進むと遊戯部部員を2人発見したので早速依頼遂行に動く。

 

「遊戯部の部員だな?ちょっと話がある」

 

「はい……?なんでしょうか?」

 

俺の問いに反応したのは確か1年生の秦野(はたの)とかいう奴だったな。うん、顔と名前が一致してるし。それでもう1人も1年で名前が相模(さがみ)といったか。

 

確か俺のクラスにも相模とかいう奴がいるが、そいつと姉弟らしい。どうでもいいけど。

 

「むむっ!貴様ら1年坊主か!?」

 

「はっはー、年下とわかった途端に態度がでかくなるところは評価に値するよ。……で君達はそこにいる材木座にでかい口を叩いたそうだね。もっと言ってやってもいいんだぜ?」

 

「は、ハチえもん……?」

 

「おっと、また本音が」

 

「何を遊んでいるのかしら……」

 

ついうっかり本音を漏らしたところを材木座が涙目でこっちを見る。誰が得するんだろうね全く。雪ノ下も呆れているじゃないか。由比ヶ浜もジト目で此方を見てるし。

 

「お、おいあれって2年の雪ノ下先輩じゃ……」

 

「た、多分……」

 

ほー……流石雪ノ下雪乃。カリスマ性だけならこの学校ではトップクラスだ。

 

この雪ノ下と並ぶカリスマ性を持つのが西野、榎本、葉山の3人だろう。それだけにテニスの時はすごく視線を感じた。まぁ9割以上は西野と葉山と三浦(つまり俺以外)に向いていたが……。

 

材木座が再びでかい態度で遊戯部の2人に喚き叫ぶ。

 

「ふはははは!昨日は随分と大きな口を叩いてくれたな!今更後悔しても遅いぞ?先輩としてこの我が灸をすえてやる!!」

 

「……おい、さっき話してたのってこの人か?スゲー痛いな」

 

「だろ?マジでヤバいよな?」

 

「あ、あれ……?我なにか変なこと言った八幡?」

 

「安心しろ。年中変なことしか言ってないから」

 

灸をすえる発言をする材木座に対して遊戯部の2人は材木座を嘲笑していた。

 

「話を戻すぞ。材木座とゲームをするって話なんだが、このくそ眼……材木座が君達と格ゲーするのをごねていてな」

 

「八幡?今我のことをくそ眼鏡って言おうとしなかった?」

 

「なんのことやら?……それで此方としては材木座がそれだと不公平だと言うから何か別のゲームで戦ってほしいとのことだ」

 

「……まぁ苦戦しないゲームなんてつまらないですし別に構いませんよ」

 

材木座と揉めた方の秦野があっさりと此方の提案を飲む。すると相模の方が……。

 

「ですがゲームを変える以上こっちに何か見返りがあってもいいと思いますが……」

 

「なら材木座の土下座でいいか?負けたら責任もって俺が土下座させる。これだけでは不満なら土下座姿をネットにでも晒して面白おかしくすればいい」

 

「えっ?俺が?」

 

材木座が何やら困惑していたが気にしない。

 

「やるゲームは君達に任せるよ。某アニメでもあったようにやるゲームは挑まれた方に決める権利があるからね」

 

「……まぁいいでしょう。ではやるゲームですが、みなさんが知っているゲームを少しアレンジしたものにしましょう」

 

「ふ、ふむ。してそのゲームとは?」

 

材木座が問うと遊戯部の2人は眼鏡をくいっと上げて何処かキメ顔でこう言った。

 

「ダブル大富豪ってゲームをやろうと思います」

 

「ルールは大丈夫ですか?」

 

俺と由比ヶ浜、材木座は多少経験があるので問題ないが、雪ノ下は未経験らしい。

 

「比企谷君、ルールを教えてもらっていいかしら?」

 

「ほいほい」

 

俺は雪ノ下に軽くルールを説明した。大富豪のルールがわからない読者の方はググるなりヤフるなりしてくれ。

 

雪ノ下に説明したところでゲームが開始される。精々楽しませてくれよ……?

 




今回はここまでです。

次回 優勢の奉仕部。しかし遊戯部によって新たにルールが追加された。

突然追加されたルールに八幡がとった行動は……?




それでは次回もよろしくお願いしま~す。


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比企谷八幡は遊戯部に容赦ない一撃を繰り出す。

今回もよろしくです。


遊戯部によって提案されたダブル大富豪とやらは俺達が普段やっている大富豪に加えて2対2のチーム戦でやるものだ。

 

まぁ此方は4人いるから2対2対2(ただしこの場合は4対2ともいう)となるが……。

 

ちなみに今回のローカルルールは8切り、革命、11バック、スペ3がありで、縛り、都落ち、階段系、ジョーカー上がりはなしとのこと。

 

(都落ちと縛りがなしとはかなり緩いローカルルールだな……。まぁどうでもいいけど)

 

それでダブル大富豪としての追加ルールは先程も述べたようにペアでやること、相談はなしで手番毎に交代で手札を出すことである。

 

「ゆきのん、一緒にやろうよ!」

 

「ええ、お願いするわ」

 

由比ヶ浜と雪ノ下がペアになるので必然的に俺は材木座と組まなければならない。

 

「八幡……。我についてこれるか?」

 

材木座が何か言っていたが、それを無視して俺は携帯である人物にLINEでやりとりをする。

 

『準備は整った。これより遊戯部の吊し上げを開始するがそっちは大丈夫か?』

 

『此方も準備はできてるっす。梨子ちゃん先輩も遊戯部部室付近に待機中っす!』

 

『相変わらず便利なステルスだな。それを活かして遊戯部部室で手筈通りに頼むぞ東横』

 

『了解っす!』

 

LINEを終えて携帯をしまうと丁度カードを配り終えたところだった。すると気になっていたのか由比ヶ浜が声をかける。

 

「ヒッキー何やってたの?」

 

「ん?ちょっとな」

 

「ではこれよりダブル大富豪を開始します。全5試合で最終戦の順位で勝敗を決します」

 

秦野の号令によってゲームは開始された。

 

 

~そして~

 

数ターンが過ぎて俺と材木座のペアは残り2枚、雪ノ下と由比ヶ浜のペアは3枚に対して遊戯部は残り6枚と差が開いていた。

 

(妙だな……。まるで手応えがない。何か作戦でもあんのかね?まぁだとしても俺達が敗けることはないがな)

 

奉仕部側は順調にカードを出していき……。

 

「これで終わりだ!チェックメイト!!」

 

材木座が叫んで1試合目が終わった。まぁ終わらせたのは由比ヶ浜なんだけどね。ちなみに上がった順番は俺、材木座、雪ノ下、由比ヶ浜である。

 

「ふははははっ!我の力を思い知ったか!?」

 

「いやー負けちゃったねー秦野君」

 

「そうだねー。油断しちゃったねー相模君」

 

すごい棒読みだな。なんなら某死体人形とタメをはる棒読み具合。

 

「困ったねー」

 

「困ったなー」

 

「「だって負けたら服を脱がないといけないのだから」」

 

棒読みながらも遊戯部の2人はベストを脱ぎ始めた。

 

「なっ!何よそのルール!?」

 

突然の言動に対して由比ヶ浜が抗議する。

 

「えっ?負けたら脱ぐのが普通じゃないですか?」

 

「麻雀とかジャンケンでも脱ぎますしね」

 

ほーん……そういう企みね。

 

「はぁ!?意味わかんないし!」

 

「では2回戦に参りましょう」

 

「ちょっ!話を聞くし!!」

 

遊戯部は由比ヶ浜の話をまるで聞いておらず、さっさとカードを集めて配り始める。

 

由比ヶ浜は俺達にもう帰ろうと嘆くが、雪ノ下は性格上勝負事を降りるとは思えないし、俺は俺で仕事なので無言でゲームを続行する。

 

材木座が何やら張り切っていたが、鬱陶しいのでスルーした。

 

それで1抜けの俺達は遊戯部からジョーカーとダイヤの2をもらい、材木座がカードを渡すのだが、なんと材木座が渡したのはスペードのKとハートのQ。まさか大富豪のルールを理解してないわけじゃないだろうに。

 

「……それは一体何のマネかな材木座君?」

 

「武士の……情けだ……」

 

ほう……?

 

 

 

~そして~

 

「よ、よしっ、これなら……!」

 

由比ヶ浜がクラブの2を出した。ジョーカーは2枚共俺が持っているが、ここはパスをして雪ノ下達に上がってもらうか。

 

「おおっと、足が滑った!」

 

「おっと」ヒョイッ

 

「ぐふっ!」ビタンッ

 

材木座が背後から此方に突進してくるが俺はそれを避けた。それによって材木座が地面に激突する。

 

「何をする八幡!」

 

「それは此方の台詞だ。俺に何をしようとしていた?」

 

「えっ、いや、それは……」

 

まぁ大方予測できるがな。どうやら材木座も向こう側の味方というわけか。ならここは……。

 

「ほいっと」

 

敢えてジョーカーを出すことにした。

 

「ちょっ!ヒッキー!?」

 

「流石八幡!我等の望みを叶える男よ!!」

 

材木座が煩いが、構わずゲームを続ける。勘違いするなよ材木座。この行動はおまえらのくだらない希望に応えるためじゃない。

 

 

~そして~

 

俺が上がることにより雪ノ下達の負けが決まった。雪ノ下は悔しそうに、由比ヶ浜は脱衣したくないのか涙目になっている。

 

それに対して材木座と遊戯部は興奮していた。女子が脱衣をすることによって出ているものだろう。

 

……まぁそんなことさせるわけがないがな。

 

「2回戦は雪ノ下達の負け……っと。じゃあ3回戦にいこうかね」

 

「ちょっ、ちょっと待ってくださいよ!」

 

……食い付いたな?俺が蒔いた餌に。

 

「どうした?」

 

「2回戦は雪ノ下先輩のペアが負けたんですから……」

 

「脱がないといけないってか?」

 

「わかってるなら……!」

 

早く脱げと相模と秦野が言う。材木座もそれに便乗している。……本当腹立たしいな全く。

 

「だが何故此方が脱がないといけないんだ……?」

 

「えっ……?」

 

「な、何を言ってるんですか?それがルールだから……」

 

「おまえらが勝手に脱ぎ出しただけだろう?それに俺達が1度でもそのくだらないルールを了承したか?」

 

「そ、それは……」

 

あと一押しといったところか。これなら東横と榎本の出番はいらないな。だがしかし……。

 

「由比ヶ浜、この脱衣するというくだらないルールに対して賛成したか?」

 

「するわけないじゃん!!」

 

「雪ノ下、仮に脱衣を強要されたとしたらどうする?」

 

「そうね、先生に突き出す……かしら?」

 

うむ、合格!

 

「そういうことだ。仮にもしもおまえらが雪ノ下と由比ヶ浜を脱がそうとするならば……。出てこい東横」

 

俺の呼び掛けによって俺達の間に影が現れそこから1人の女子生徒が出てきた。

 

「どうもっす」

 

「な、何もないところから人が……?」

 

東横桃子(とうよこももこ)の登場によって俺以外の全員が固まっておりおり、代表で雪ノ下が驚きの声をあげる。

 

「先輩、これを……」

 

「おう、サンキュー。ふむ、バッチリ撮れてるな……。さて、俺が今持っているのはこの大富豪でのやりとりが全て撮ってあるビデオカメラだ。こいつを生徒会や教師陣に見せておまえらの学校生活に終止符を討たせてもらう」

 

俺は東横からビデオカメラ受け取り、遊戯部に突き付ける。

 

「見逃してほしくば負けを認めろとは言わないが、脱衣というくだらないルールを無効にしてもらうぞ」

 

俺の脅は……取引に遊戯部は応じてゲームは再開されるが、遊戯部+材木座はそれからずっと顔色を悪くしてカードが出せない状態だった。

 

それにより残りの試合も全て俺、雪ノ下、由比ヶ浜が順番に上がり遊戯部側の敗北でこのくだらない対決は終わった。




今回はここまでです。

次回は由比ヶ浜の誕生日のところをあげます。


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こうして6月18日は終わりを迎える。

今回もよろしくです。


「あ、あの……」

 

遊戯部とのくだらないお遊びが終わり東横を雪ノ下達に紹介して2つ目の話をしようと思った矢先に材木座が声をかける。

 

「どうした材木座」

 

「こ、今回は奉仕部に多大な迷惑をかけた……。ゆ、許してもらえないと思うが謝罪する。ほ、本当に申し訳ない……」

 

謝罪ね……。俺からしたらもうどうでもいいことだが、雪ノ下と由比ヶ浜はそうも言ってられないかもしれんからな。

 

「雪ノ下、由比ヶ浜、材木座がこのように謝罪しているが、どうする?」

 

「あ、あたしはもういいよ。ヒッキーが助けてくれたし」

 

「由比ヶ浜さんがいいなら私も気にしないことにするわ。……それに私だって彼の挑発に乗ったりしなければこんなことにはならなかったのかもしれないのだから」

 

「なら俺にも非があるな。というわけで奉仕部全体の責任だ」

 

「そうね……」

 

「うん……」

 

「あ、あの……我はどうすれば?」

 

奉仕部の責任として解決した今回の騒動はこれで終わりかな~と思っていたら空気になっている材木座が再び声をかける。すっかり忘れてたや。

 

「ああ、もう行ってもいいぞ~。もう2度とこんなくだらないことを考えるなよ~」

 

「う、うむ、では失礼する!」タタタッ

 

材木座が去っていくと俺は先程の材木座以上に空気になっている東横に話しかける。

 

「おい東横、空気に溶け込まないでさっさと雪ノ下達に自己紹介しろ」

 

「ヒッキー、そっちには誰もいないよ?」

 

「東横さんってさっき遊戯部の部室にいた人よね?辺りを見渡してもそれらしき人物は見当たらないのだけれど……」

 

「ああ、それはあいつの存在感が超絶薄いからな。いい加減出てこい。榎本のところに行かないといけないんだろ」

 

俺が催促するとゆらりと東横が出てくる。

 

「どうもっす」ニュッ

 

「わっ!」

 

「また何もないところから出てきたわね……。いつからそこにいたのかしら?」

 

「ずっと先輩達の横にいたっすよ」

 

「ま、全く気が付かなかった……」

 

「それがこの東横桃子という人間だ」

 

俺が言うと東横が雪ノ下達に向き直り自己紹介をする。

 

「どうも、1年C組の東横桃子っす。この通り存在感が薄いので一時期は不登校児として扱われたことがあるっすよ」

 

「七不思議になったこともあるもんな」

 

「その七不思議を解明するために夜の学校向かった先輩達と初めて会ったこともいい思い出っすね~」

 

「あったあった。2年前のことだな。確かその時は西野が……」

 

「桃子ちゃーん!」

 

俺と東横が話していると榎本が此方に歩いてくる。

 

「梨子ちゃん先輩、こんにちはっす」

 

「遊戯部の悪行は撮れた?」

 

「一応証拠はハッチー先輩が持ってるビデオカメラにあるっすよ」

 

「このカメラだな。まぁ今回は見逃してやってくれ榎本。それに遊戯部で表向きに名をあげている内海にも申し訳がたたんしな」

 

「……それもそうね。内海君は真剣に活動してるし、あの後輩達に指導すれば悪い噂もなくなるかな。じゃあ今回は比企谷君に任せるわ」

 

「ん」

 

「私は生徒会室に行くわ。じゃあね3人共」

 

「私も手伝うっす~」

 

榎本と東横が生徒会室に戻るとポカンとしている雪ノ下と由比ヶ浜に声をかける。今回よく人が空気になるね全く。

 

「おーい、そろそろ次の話に入りたいんだが……」

 

「……はっ!ごめんなさい。東横さんのインパクトに引っ張られていたわ」

 

「存在感薄いのにインパクトあるってどういうことだよ……。とりあえず部室に戻るぞ」

 

フリーズしている由比ヶ浜を起動させて俺達は奉仕部の部室へと向かった

 

 

~そして~

 

「じゃあ本題に入るぞー」

 

「本題……?それって事故のことじゃないの?」

 

「それとはまた別だ。言おうとすると材木座が邪魔したからな」

 

本当に空気の読めない眼鏡だな。

 

「というわけで本題。由比ヶ浜、HAPPYBIRTHDAY」

 

「えっ……?えっ?」

 

「雪ノ下から聞いたが今日誕生日なんだってな。だから俺達奉仕部で軽いお祝いだ」

 

「ええ、由比ヶ浜さんには感謝しているしね」

 

「ヒッキーが……ゆきのん……」

 

まぁ俺は感謝とかはどうでもいいけどな。部員の誕生日を祝うのも部活動の一環だろう。

 

「とりあえず俺からはこれだ」

 

「これは……」

 

「じゃあ俺はこれからバイトだからこれで帰る」

 

「うん、またねヒッキー!!」

 

「ああ」

 

こうして6月18日という濃い1日は終わりを迎えた。事故の件を話して由比ヶ浜に誕生日プレゼントを渡して終わりかと思っていたが、材木座がこの1日を色濃くした。いい迷惑だ。

 

ちなみに由比ヶ浜に渡したのは犬の首輪である。これには飼い犬をもっと大切にしろよという皮肉を込めて渡したのだが、由比ヶ浜の花畑な頭ではそれは理解できていないだろう。まぁそれもどうでもいい。

 

さて、バイト頑張りますかね。

 

 

 

 

~そして~

 

「ふーん、それで八幡は許したんだ」

 

今俺は西野と話をしている。今日のバイトは久し振りに西野と2人で野球以外の仕事である。

 

「許す許さないとかどうでもいい。別に由比ヶ浜がどうしようと興味ないからな」

 

「そっか……」

 

「どうした西野。元気ないな」

 

「……私は由比ヶ浜さんを許す気になれないよ」

 

「なんでだ?」

 

「由比ヶ浜さんがしっかり犬のリードを離さなければ八幡が事故に遭うことはなかった……。それに1年以上も謝罪なしとか常識的に有り得ないし」

 

「由比ヶ浜は言う勇気がなかったとか言ってたがな」

 

「そんなのただの言い訳だよ。1週間や1ヶ月ならまだしも1年だよ?ふざけてるとしか思えないよ。雪ノ下さんは車に乗っていただけだからまだしも……」

 

「まぁ車側が加害者になるのは仕方のないことだな」

 

それにしてもここまで怒りを出している西野も珍しいもんだ。小学校の時以来じゃないのか?

 

まぁこうして深夜に働いている時点で俺達が常識が云々とか言えないけどな。

 

ちなみにこの深夜のお仕事はちゃんと御上の方々に『深夜労働許可証』という喩え中学生や小学生でもこうして深夜に働いても大丈夫だよって代物を見せることによって公的に働けるのだ。

 

……川崎沙希にも作ってやったらよかったかね?でもあれは椿さんが俺達のためにと作ってくれたものだしな。

 

「だから私は由比ヶ浜さんを好きになれない。……まぁ表向きには普通に接するつもりだよ」

 

「そうかい」

 

西野はスポーツマンとかによくある『嫌いな奴や苦手な奴でも表向きには仲良く接することができる』という性格の持ち主(まぁ限度はあるが)だ。

 

だから由比ヶ浜が好きになれないと言ってもこれからはある程度会話をしたりするだろう。そんな気がする。

 

「さて、さっさと仕事を終わらせて帰るぞ」

 

「そうだね!」

 

すっかり元の明るい西野に戻ったな。元気なのはいいことだ。




今回はここまでです。

次回からは暫くパワポケ9とのクロス要素が強くなる話になります。


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比企谷八幡達はユニフォームを着た青年と同席する。

今回もよろしくです。


あの6月18日から数日経った休日のある日。今日は俺達が助っ人する草野球チーム『ニコニココアラーズ』で初めて練習する日である。なので俺達は遠前町にやってきています。

 

コアラーズの監督である太田さんは俺達を疑うように見ていたが、ちょろっと実力を発揮したら開いた口が塞がらない状態だった。

 

俺達の実力を見るためにエースピッチャーである大北さんに30球ずつ投げてもらい、俺と榎本の結果は外野に飛ぶヒットが連発したものだったが、西野は30球全て柵越えのホームランだった。流石である。

 

ちなみに椿さんは100球投げてもらい、全て柵越えホームランだったそうだ。大北さんのプライド的な物はは大丈夫だろうか?確かあの人元プロだった気がするが……。

 

「ん~!今日のチーム練習は楽しかったね~!!」

 

「私は少し緊張したわ。椿さんや比企谷君や(Oddball)の社員以外の男の人と関わったし……」

 

「……榎本はまだ男性恐怖症が治ってないのか?」

 

「……大分良くなったと思ったんだけどね。この間のナンパでちょっと足が震えちゃったかな?」

 

榎本は5年前に数人の成人男性によって強姦されかけたという事件があったらしい。危ないところを青い戦隊ヒーローに助けてもらったとのこと。

 

それ以来榎本は男に対しては警戒心バリバリになったり、身体が震えたりするようになったそうだ。俺も榎本と初めて会ったときは酷い目に遭ったのは今でも鮮明に覚えている。

 

椿さんには初対面時から普通だったらしいので理由を聞いてみると……。

 

『椿さんは信頼できるっていうのもあるけど、私を助けてくれた青いヒーローに雰囲気がそっくりだったの』

 

と言っていた。

 

「もー!八幡が助けに来ていればこんなことにはならなかったのに!!」

 

「悪かったよ。詫びになるか知らんが今日の飯くらいは奢る。勿論榎本だけだが」

 

「えー!八幡のケチ!私にも奢ってよ!!」

 

「西野は俺より稼いでるだろ。寧ろ俺に奢れ」

 

「あはは……」

 

等と話していたら見覚えのある喫茶店が見えた。

 

「よし、ここで一服するか」

 

「八幡、おっさん臭いよ……」

 

「ここ喫茶店よね?」

 

「ああ、前椿さんと遠前町に来たときにここに来たんだが、ここの珈琲が美味くてな」

 

あの新作珈琲とやらは美味かった。願わくばまた飲みたいと思っていたからな。あの看板はなくなっているみたいだが……。

 

「とにかく入ろうよ!八幡のイチオシしてるし」

 

「別に推してはないがな……」

 

珈琲が美味いと言ったくらいだぞ?まぁ入るけど。

 

「いらっしゃいませ、ご主人様、お嬢様♪」

 

……そういえばこんな感じだったわ。この人あの時の腹黒いメイドさんだったわ。1ヶ月くらいのご無沙汰だから忘れてたわ。西野も榎本もポカンとしてるし。

 

(ここってメイド喫茶なの?でもメイド服着ているのはあの人だけよね?)

 

(さあ?趣味なんじゃね?)

 

(う~ん、1度ことりさんを連れてみたいかも……)

 

「3名様ご案内で~す♪」

 

メイドさんに案内された後俺達は適当に注文して今回の練習について話し合った。

 

 

 

~そして~

 

「ここの打球についてなんだが……」

 

カランコロン♪

 

「いらっしゃ……お帰りくださいませご主人様♪」

 

「だから来て早々帰らそうとするな!」

 

ん?なんか聞き覚えのあるやりとりだな。そう思って顔を上げるとあの時のユニフォームの青年が来ていた。あのメイドさんとは何処か親しい感じだ。

 

「今満席だよ?」

 

「そうなのか?でもいきなり帰そうとするのは可笑しいだろ」

 

「これも愛情表現ですよ、ご主人様♪」

 

「そんな愛情はいらん……」

 

ふむ、見た感じあのメイドさんが唯一心を許しているといった感じだな。

 

「八幡?」

 

「比企谷君?」

 

おっと、西野と榎本が此方を見ていた。話を戻さねば。

 

「ああ悪い。……ここは上手く捌けば併殺にできるところだが、無理をすると失策しかねないからまた小原さんのところで練習が必要になりそうだ」

 

「梨子は守備が上手いから心配ないけど、私はね~」

 

「おまえ要所でポロリするよな。小学校の時もそれで俺が勝ちを拾ったことが多いし」

 

「ゔっ!」

 

試合当日が少し心配になるから守備は念入りに練習した方がよさそうだな。

 

「申し訳ございませんご主人様方、相席希望のご主人様がいらっしゃいますがよろしいでしょうか?」

 

相席……?さっきのユニフォームさんか?

 

「俺は別に構わないが、西野と榎本は?」

 

「私もいいよ。その人も困ってるだろうし」

 

「2人がいいなら私も……」

 

西野、榎本も問題なしっと。

 

「大丈夫です」

 

「ありがとうございます♪それでは1名様ご案内で~す♪」

 

やってきたのは案の定さっきのユニフォームさんだった。

 

「ほら、この人達に感謝しなさいよ?」

 

「わかってる。……すまないな君達」

 

「いえ、別に構いませんよ」

 

ユニフォームさんが同席した瞬間に榎本の表情が強張るのがわかる。それを見た西野が相手にそれを悟られないように榎本を宥める。……いい連携だ。とりあえず俺が話を振りますか。

 

「ユニフォーム来てますけど何処かのチームで野球をやってるんですか?もしかして有名なプロ野球選手だったり?」

 

「いや、草野球だよ。ビクトリーズっていう商店街の野球チームに入っている」

 

ビクトリーズという言葉に西野と榎本が反応するが、ユニフォームさんが気付く前に姿勢を正す。

 

「へー、ポジションは何処を守ってるんですか?」

 

「ピッチャーだよ。一応チームのエースをさせてもらってる」

 

成程、当日はこの人の対決することになるのか……。

 

「おっと、そういえば自己紹介がまだだったな。俺は九楼雄介(くろうゆうすけ)だ。君達は?」

 

「西野優香です。よろしくお願いします」

 

「榎本梨子です。よろしくお願い致します」

 

2人は業務的な自己紹介だけど俺は普通に、平塚先生と接するみたいに自己紹介する。

 

「比企谷八幡ですよー。よろしくでーす」

 

……なんか全てがデジャブってる気がしてならないね。とりあえずこの人のことはクロウさんと呼んでおこう。その内『インチキ効果もいい加減にしろ!』とか言いそう。

 

「さて、俺達はそろそろ帰りますかね。クロウさんはどうします?」

 

「俺はもうちょっと此処にいるよ」

 

「そうですか。クロウさんとはまた会えそうな気がしますので別れの言葉は言いませんよ」

 

「……?どういう意味だ?」

 

「何れわかりますよ。それではバイバイですよー」

 

「それって別れの言葉なんじゃないのか……?」

 

「それは捉え方次第ですよー」

 

俺はそう言って西野と榎本を連れて店を出た。

 

 

 

~そして~

 

「ねえ八幡、あの人何者なの?」

 

「あん?どうした急に」

 

帰り道で西野にクロウさんについて聞かれた。

 

「なんだか得体の知れないっていうか……。梨子も終始警戒してたし」

 

「そうなのか榎本?」

 

「ええ、男性だからっていうのもあるけど、それ以上にあの人から椿さんと同じものを感じたっていうか……」

 

「ほーん……。まぁその内わかるだろ。あの人が何者なのかは」

 

「だといいけどね……」

 

榎本が椿さんと同じもの感じたってことはやはり推測通りだな。

 

 

九楼雄介と椿兵馬は過去にチームを組んで仕事をしていたということだ。




今回はここまでです。

パワポケ9の主人公登場!では次回もよろしくでーす。


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西野優香は遠前町の夏祭りを満喫している。

今回もよろしくです。


試合の1週間前。今日は遠前町で夏祭りがある日だ。俺達3人は練習後の息抜きにその夏祭りに来ているのだが……。

 

「今日ここで夏祭りがあるなんて聞いてないよー!事前に知ってたら浴衣を着てたのに!」

 

「まぁまぁ、練習の後なんだし」

 

「それに千葉の夏祭りは1ヶ月先にあるからそのときに浴衣着ればいいだろ」

 

「むー……!」

 

俺と榎本は浴衣を着たかったらしい西野をどうにか宥めている。

 

「とにかく切り替えて夏祭りを楽しも?ね?」

 

「そうそう、折角椿さんが息抜きにと提案してくれたんだ。楽しまないと罰が当たるぜ?」

 

まぁ椿さんはこの夏祭りで何かを仕掛けようとしている感じだったが……。

 

「……そうだね。折角の夏祭りだし目一杯楽しまないと損だよね。ごめん2人共、今日はお祭りを満喫しようね!!」

 

すっかり不満がなくなった……かどうかは微妙だが西野はこの祭りを楽しむことにしたそうだ。

 

夏祭りを楽しむ西野はそれからも出店を制覇する勢いで出店を巡り始めた。

 

西野の勢いが半端なく俺と榎本は置いていかれてしまった。

 

「……すげぇスピードで走っていったな」

 

「優香が人混みに紛れてなければいいんだけど……」

 

「それについては心配ないだろ。小学校の時もあいつはあんな感じだったし、中学に関しては榎本も知っているだろ?」

 

「……それもそうね。とりあえず私達も適当に見ていこっか」

 

「だな」

 

とりあえず榎本と出店を見ていくことになった。まぁ途中で西野を拾っていけばいいか……。

 

 

~そして~

 

「さあさあいらっしゃい!この店はピンボールおみくじだよー!」

 

「ピンボールおみくじ……?」

 

赤い髪の体格がいい店員がやっている出店に榎本が食い付いた。

 

「ピンボール形式で流れていく人形に当てていくんだ。当てる人形によって点数が決まる。さらに!この景品という字のシールが貼ってある人形に当てると店から景品がもらえるぜ!」

 

店員が景品というシールを貼っているのは巷で有名なほるひす人形と白い鼬の人形である。

 

「面白そうね……。比企谷君、私達もやってみよ?」

 

「俺もやるのかよ……。まぁいいけど」

 

「毎度あり!じゃあルールを説明するぜ!……と言ってもさっき殆ど説明したから追加説明だ!玉は全部で4発。Aボタンを押すと玉が発射される。Aボタンを長押しすることで溜めを作って長押ししているAボタンを離すことで勢いよく発射するんだ。LボタンとRボタンで台を揺らすことができるから、これらのボタンを上手く調整して高得点を狙ってくれ!」

 

成程……全然わからん!ボタンってなんぞ?

 

「わかりました。やってみます!」

 

榎本はわかったらしい。学年1位の天才はルールの理解が早いですね……。それともゲーマーだから理解が早いの?

 

 

~そして~

 

先に俺がやって結果は大吉。ボタンの件がさっぱりだったが、フィーリングでなんとか結果を残すことができた。それで榎本なのだが……。

 

「やった!景品4つGET♪」

 

「すげぇな姉ちゃん。……兄貴でも1つが限界だったのに」

 

大吉を取るのは当たり前。榎本の狙いは4発中4発景品を取ることだったらしい。学年1位で尚且つゲーマーとか榎本のスペック半端ないと思った。

 

赤い髪の店員が何やらボソッと言っていたけど気にしない。

 

「これが景品だ。持ってけ!」

 

「ありがとうございます♪」

 

榎本がもらったのは新品のバット、グローブ、スパイク、リストバンドだった。

 

ピンボールおみくじの店から出た榎本は景品を見ながら言った。

 

「……これで野球を頑張れってことなのかな?」

 

「それ以外に何があるんだよ……。多分あの店員も野球をやってる感じだな。或いは野球を応援しているか……。もし前者なら風貌からして恐らく草野球だ」

 

「ここで出店を出しているってことはもし野球をしているならこの町の草野球チームよね?コアラーズでは見かけなかったから……」

 

「ビクトリーズの選手だろうな。しかも前に椿さんから見せてもらった映像にはいなかった人だ……。だとしたらあの店員も俺達の敵というわけだ」

 

「…………」

 

「とりあえず西野と合流しようぜ」

 

「……そうね」

 

俺達は西野を探すために出店を回り始めた。

 

 

 

 

 

 

優香side

 

いやー満喫満喫!やっぱりお祭りは楽しいね!途中変なナンパに絡まれたけど、出店が私を呼んでいるので即座に断って走ったよ。

 

さて、そろそろ八幡と梨子を見つけないと!1周すれば見つかるかな……?ん?あれは……。

 

「……何をしに来た椿」

 

「決まってるだろ?商店街のイベントの1つであるこの夏祭りをぶっ壊しにきたんだよ」

 

椿さんとこの前の……確か九楼さんだったっけ?この2人やっぱり知り合いだったんだ……。九楼さんから椿さんと同じ雰囲気を感じたし。

 

椿さんの用事はこの夏祭りを滅茶苦茶にすることだったのかな?私としてはお祭りを台無しにはしたくないけど、仕事なら話は別だよね……。とりあえず2人の会話を聞いてみよう!

 

「そんなことさせると思うか……?」

 

「……ふん、だったらやめてもいいぜ」

 

「何……?」

 

「お互いもっとスマートにいこうぜ。おまえは俺が邪魔だし、俺はおまえが邪魔だ。だからここは勝負といこう」

 

「……ここで勝負するのか?」

 

「おっと、スマートにと言っただろ。勝負は野球で決めようぜ。1週間後のビクトリーズとコアラーズの試合でだ。お互い助っ人らしくな」

 

「いいだろう」

 

「決まったな。負けた方がこの町から手を引くってことで」

 

「……汚い真似をするなよ」

 

「おいおい、野球でそんなことするわけないだろ?……正面から叩き潰してやるよ。俺達がな」

 

「……達?他にも仲間がいるのか?」

 

「さぁな。……試合の日を楽しみにしてるぜ」スタスタ

 

「……負けないぞ」

 

……なんかとんでもないことを聞いちゃった気がするなぁ。まぁお祭りが台無しにならなくてよかったかな?とりあえずこの場からは去っておこっと。

 

そして八幡と梨子にもこのことを報告しなきゃ!

 

 

 

 

優香sideout

 

 




今回はここまでです。

パワポケ9の原作(ゲーム)の内容を少し変えました。

では次回もよろしくです。


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いよいよニコニココアラーズとブギウギビクトリーズの試合が始まる。

今回もよろしくです。


今日は試合当日。俺達はコアラーズとビクトリーズが戦う球場にコアラーズのメンバーより早く到着した……というか1番乗りなので事前に軽く練習している。

 

「いよいよ試合だねー!頑張ってビクトリーズに勝利しよう!!」

 

「西野の奴随分張り切ってるな……」

 

「今日の試合を心待ちにしてたそうよ。私も少し楽しみだしね」

 

それぞれのコンディションとしては西野は張り切り、俺は少しだるげに、榎本も知っているその中間といったところだろうか。それでいて何処かやる気を感じる。ゲーム的にいうと西野は絶好調、俺は不調気味、榎本は好調となっていそう。

 

「よう、早いなおまえら」

 

自主練をしていると椿さん達コアラーズの面子が到着したようだ。

 

「今日の打順と守備位置を決めておいたから目を通してくれ」

 

そう言って椿さんがオーダーを決めた紙を此方に投げてくる。どれどれ……。

 

コアラーズオーダー

 

 

1番 西野  三

 

2番 榎本  二

 

3番 比企谷 遊

 

4番 椿   中

 

5番 鈴木  左

 

6番 長谷川 一

 

7番 工藤  右

 

8番 森   捕

 

9番 大北  投

 

 

 

「いいんですか?俺達を上位打線に置いて」

 

「ああ、おまえらの実力を見て判断したからな。それにおまえらの場合は順番を固めた方がいいだろうしこれでいく」スタスタ

 

そう言って椿さんはベンチの方へと歩いていった。嬉しいもんだね。椿さんに認められているっていうのは。

 

「2人共、これが今回のオーダーだ」

 

俺は西野と榎本にオーダー表を見せた。

 

「私が1番!よーし、張り切っていくぞー!!」

 

「2番……状況に応じてやれることだけやっていきましょ」

 

2人はそれぞれやる気を見せているようだ。まぁ俺もボチボチ頑張りますかね……。

 

「おい」

 

「なんでしょうか?椿さん?」

 

「相手チームのオーダーだ。あと見てないのはおまえらだけだからよく見ておけ」

 

椿さんは俺達は相手チームのオーダーを見せるために戻ってきたようだ。冷たい印象があるけど、意外と優しいんだよね椿さん。

 

さて、相手チームのオーダーは……。

 

 

ビクトリーズオーダー

 

 

1番 九楼  中

 

2番 ピエロ 遊

 

3番 権田  捕

 

4番 ムシャ 一

 

5番 カニ  三

 

6番 城田  左

 

7番 寺門  右

 

8番 白   二

 

9番 木川  投  

 

 

九楼さんは先発じゃないのか……。この木川という人は恐らく九楼さんがビクトリーズの助っ人になる前のエースといったところだな。

 

それにしても……。

 

「……随分個性的な人達ね」

 

「……だな」

 

俺と榎本は相手チームのオーダー表を見ながらビクトリーズの練習風景を見ている。

 

あの人達も恐らく助っ人だろう。榎本の言う通り個性的な人達である。特にピエロとカニ。それと……。

 

「ねぇ八幡、あの城田って人……」

 

「ああ、間違いない。雪白の城田鉄幹(しろたてっかん)だ。あの人も野球をやるんだな」

 

城田鉄幹。表向きには雪白のシェフとして通っているが、あの人は暗殺にも通じている。前に仕事で見たことがあるからな。果たして野球ではどれ程の実力を持っているのか……。

 

「比企谷君、あの赤髪の人って……」

 

「やっぱりあの人もビクトリーズの選手だったな」

 

ビクトリーズの守備練を見る限りあの人の名前は寺門(じもん)って人なのだろう。

 

「さて、俺達もそろそろ守備練の時間だ」

 

「よーし!頑張るぞ!!」

 

「そうね、全力を尽くしましょう!」

 

俺達はコアラーズの人達に続いて守備位置についた。

 

 

 

九楼side

 

俺達は今コアラーズの守備練を見ているのだが……。

 

「サード!」キィン!

 

「よっ!」バシィッ!

 

「おいおい、あれを捕るのか?あの打球は普通なら抜けても可笑しくはないぞ。……女なのに大したもんだ」

 

捕手の権田(ごんだ)が驚いた様子であの少女を評価している。

 

あの少女はこの間喫茶店で会った子だ。確か西野と言っていたな。相手のメンバー表を見たときはもしやと思ったが……。

 

他にも比企谷、榎本と言った喫茶店で会った少年少女がそれぞれ遊撃手、二塁手を守っている。

 

(あの3人は恐らく椿の仲間と考えるのが自然だな。だからあの時椿は俺達と言っていたのか……。それに比企谷という少年もこれをわかっていてまた会いそう等と言っていた……か)

 

「こりゃのりおがどこまで相手を抑えられるかで勝負が決まりそうだな。……あんたの出番も早くなりそうだ」

 

木川(きかわ)は俺が入ってくる前のビクトリーズのエースだったが、俺が入ってきてからはその座を奪われては不満そうにしていたな。まぁ前のコアラーズの試合では先発だったが……。

 

他にも電視(でんし)や水間(すいま)といった投手の助っ人がビクトリーズに入ってから出番は益々少なくなっている。

 

(これはビクトリーズの内部分裂も近そうだな……。まぁ今は目の前の試合に集中するか)

 

椿との勝負があるしな。

 

 

 

九楼sideout

 

 

 

 

そろそろ試合開始だな……。ビクトリーズの方は前のコアラーズとの試合に対してメンバーが数人変わっているからデータが少ない。投手の大北さんが何処まで凌げるかが肝だな。

 

「フレーッ!フレーッ!コアラーズ!!」

 

何処から嗅ぎ付けたか知らんが高科を中心に吉槻、東横を始めとする(Oddball)の社員複数がコアラーズの応援に来ている。あんたら仕事はどうした?

 

「応援に来てくれたナオ達の分まで頑張らなきゃね!」

 

「会社が回っているか気になるところだけどね……」

 

「全くだ……。この試合、負けられなくなってきた」

 

『プレイボール!!』

 

さて、試合開始だ。

 




今回はここまでです。


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西野優香は超人的といっていいくらいのスペックを持っている。

今回もよろしくです。


1回表。俺達は後攻なので守備につく。

 

『1番 センター 九楼』

 

「…………」

 

クロウさんが左打席に立つ。

 

打席に立つとクロウさんの威圧感というかなんというか……。それが此方にも伝わってくる。

 

「」ビシュッ!

 

「」キィン!

 

大北さんの球を初球打ち。その打球は右中間へと飛んでいった。結果は2塁打だった。

 

やはりこの人はとんでもないな……。流石椿さんと仕事をしてたという実力は本物といったところか……。

 

 

~そして~

 

『ボール!フォアボール!!』

 

はい、あっという間に満塁です。2番のピエロが内野安打を決めてノーアウト1、3塁。そしてこのバッターにフォアボールということで今に至る。

 

『4番 ファースト ムシャ』

 

「…………」

 

しかも如何にも屈強な4番バッターときたもんだ。下手に攻めると満塁ホームランなんてことになりかねない。

 

ここが最初の山場というところか……。

 

 

 

九楼side

 

ノーアウト満塁でムシャ……。これは得点のチャンスだな。後続もカニや城田さんというパワーのあるバッターが続く。ここで畳み掛けたいところだ。

 

「」ビシュッ!

 

「」キィン!

 

ムシャが打った打球はサード頭上を越えるランナー一掃の2塁打コースだ。これは誰もが、ましてや相手チームも同じことを考えただろう。

 

「……余り俺の仲間を嘗めないでもらいたいな」

 

椿以外は……。

 

「はっ!」タンッ! バシィッ!

 

「マジかよ……」

 

俺は慌てながら帰塁するもサードがそのままベースを踏んでアウトになる。

 

「梨子!」ビシュッ!

 

「」バシィッ!

 

サードがセカンドに送球してセカンドランナーもアウトになった。

 

「トリプルプレー……だと!?」

 

1塁ランナーの権田も呆然としていた。まさかこれ程までとはな……。気を引き締めていくか。

 

「この程度で驚いていたら俺達には勝てないぜ」

 

ベンチに戻る椿にそう言われた。チームメイトを見ると凹んでいるようにも見える。

 

(これは良くない流れだな……)

 

そう思いながら俺は守備についた。

 

 

 

 

九楼sideout

 

 

 

どうなるかと思ったが、なんとか無得点で済んだか。西野のファインプレーだな。

 

「満塁なったときはひやっとしたわ……」

 

「そうだな。ナイスプレイだ西野」

 

「へっへー!この調子で頑張るよ!!」

 

流れは完全に此方に来ている。チャンスだな。

 

『1番 サード 西野』

 

「よろしくお願いしまーす!」

 

西野が右打席に立ったし、俺も3番だし準備しておくかな。そう思っているとネクストバッターサークルで待機している榎本が西野が右打席に立っているのに疑問だったのか声をかけてきた。

 

「あれ?優香って左打ちじゃなかったっけ?」

 

「ああ、榎本は知らなかったか。あいつは両打ちなんだよ」

 

「そうなんだ。でも練習ではずっと左で打ってたよね?」

 

「西野は状況に応じてどっちの打席に立つか判断してるんだよ。まぁ今回の場合は初回ということもあっての様子見だろうが」

 

相手の投手は木川則夫(きかわのりお)。データによると球速は130前後。変化球はスライダーとフォーク。スタミナ、コントロールは中堅といった感じだな。

 

「」ビシュッ! パァンッ!

 

『ボール!』

 

コアラーズ相手だとあの投手は何処か雰囲気が違う。コアラーズがビクトリーズの因縁の相手だからか?

 

「」ビシュッ!

 

だが……。

 

「ふっ!」カーンッ!

 

その程度では西野優香を止めることはできないな。

 

「っ!レフト!!」

 

西野が打った打球はレフト方向に伸びていき、やがてスタンドへと運ばれた。

 

『ホームラン!!』

 

「ほ、ホームラン……」

 

「まぁあの程度のピッチャーならあれくらいは当然だな。さっさと九楼の奴に交代するんだな」

 

太田さんと椿さんが会話している。

 

椿さんが矢鱈とクロウさんを推してるが、クロウさんはどれくらいの実力を持っているのか……。

 

「優香、ナイスバッティング!」

 

「流石だな」

 

「えっへん!!」

 

表のファインプレーといい、このホームランといい西野のスペックはマジで化物と言っても過言じゃないな。

 

この調子でコールドゲームといきたいね。さっさと終わらせて八幡おうち帰りたい。

 

……コールドあるか知らんけど。




今回はここまでです。


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九楼雄介のピッチングに比企谷八幡は驚愕する。

今回もよろしくです。


試合は進み3回の裏。1対0で俺達コアラーズがリードしているのだが、初回の西野によるホームランでしか点数は取れていない。

 

相手のピッチャーが持ち直したので、ヒットは打てても得点までには至らなかったのだ。だが……。

 

「はぁっ……!はぁっ……!」

 

「……ここまでだな。よく頑張ったのりお。あとは俺達に任せろ」

 

「……すいません、権田さん」

 

その相手ピッチャーがガス欠。全力投球したんだろうな。このイニングから別のピッチャーが出てくるんだろうが……。

 

『ビクトリーズ、守備の交代をお知らせします。ピッチャー九楼。センター寺門。ライト増田 になります』

 

遂にクロウさんが出てきたか……。あの椿さんが最もといっていいくらい警戒している人だ。只者ではないはずなのだが。

 

『2番 セカンド 榎本』

 

この3回の先頭バッターは榎本。1打席目は数球粘ってのシングルヒットだったが、この人相手に何処までいけるか……。

 

「」ビシュッ! パァンッ!

 

『ストライク!』

 

おいおい、150は出てるな。しかも制球もあるし。

 

「」ビシュッ!

 

「」キィンッ!

 

『ファール!』

 

2球目はファール。ミートなら榎本は西野を上回るからな。1打席目の粘りといい榎本は2番打者向きなんだが……。

 

「」ビシュッ!

 

「っ!」ブンッ! スパァンッ!

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

3球目は1球目よりも速いストレートで榎本を三振にした。これが続くようならうちはこれ以上点を取れそうにないな。

 

まぁあの豪速球に慣れることができれば話は変わるがな……。

 

『3番 ショート 比企谷』

 

とりあえず頑張りますか……。

 

 

 

 

 

九楼side

 

「」ペコッ

 

(まさかこの少年と対決することになろうとは……)

 

前に会った時の陽気な雰囲気はなく、まるで獲物を狩る肉食動物のような目を此方に向けていた。

 

「…………」

 

(此処は様子見でボール球から入ってみるか)ビシュッ!

 

「…………」パァンッ!

 

『ボール!』

 

微動だにしないとは……。この少年は先程の2番バッターとは異なる意味で手強いバッターだ。それに木川の球をホームランにした少女といい、あの2人といい椿はとんでもない連中を仲間にしたものだな。

 

(次は変化球だな……)ビシュッ!

 

(ストレート……?いや、さっきよりも球が遅い。これは……!)パァンッ!

 

『ストライク!』

 

(フォークボール……!それも先発よりも速く、キレている。こりゃ厄介だね全く。多分この打席は凡退だろうし、此処は次の椿さんに任せておくのが無難かな?)

 

「」ビシュッ! ククッ!

 

(だが……!)

 

「」キィンッ!

 

『ファール』

 

(なるべく球数を増やしてもらうがな)

 

……今のシュートだって初見のはずだが、よく打ったな。こういった少年がプロの選手になれば大成するべきなんだろうが、恐らく本人にその気はないんだろうな。

 

全く……。花丸の町を旅した頃を思い出すね。次のバッターは椿だし、余りランナーを出したくないし、此処は切り抜けさせてもらう……!

 

 

 

九楼sideout

 

 

 

 

 

 

「」ビシュッ!

 

ストレート……!

 

「」ブンッ! スパァンッ!

 

あら?空振っちった。

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

……っべー。三振とかマジで……っべーわ。クラスの騒がしい奴の口調が感染しちまうくらいっべーわ。

 

「八幡!」

 

「比企谷君!」

 

ベンチへ帰ると西野と榎本が声をかける。

 

「2人共どうした?」

 

「これなんだけど……」

 

榎本がスピードガンを此方に見せてくる。どうやらさっきの1球を計測していたみたいだが……。

 

「おいおい……こりゃなんの冗談ウホ?」

 

「ウホ……?」

 

思わず語尾がゴリラに成ってしまったが、これは見たら誰だって驚くだろ……。

 

「……とにかく椿さんを信じることにするか」

 

そう思った俺はスピードガンに表示されていた160という数字から離れて椿さんとクロウさんの対決に目を向けた。




今回はここまでです。

野球描写って難しい……。パワポケの小説書いてるのにこれから先が不安でしょうがない。


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比企谷八幡達は最後の悪足掻きをする。

今回もよろしくです。


試合は進んで9回裏のツーアウト。6対7でコアラーズが負けています。

 

とりあえず試合の経過を短く説明するとクロウさんは途中で1度外野に戻り他のピッチャーで俺達は点を取ることができた。何故ピッチャーを交代したのかは謎だが。

 

例えば『キィィィィィィィィィィボォォォォォォォォォォドォォォォォォォォォォッ!!!!』と叫ぶネトゲ廃人みたいなピッチャーとか、上半身裸でゴーグルをつけた海パン野郎とか。

 

前者はウザいが変化球のキレは中々のものであり、後者は色物の割には(まぁ前者も色物だが……)150を越える速球に球速差があるスローカーブを持っている。

 

だがクロウさんの球に食らいついた榎本、俺、椿さんは前者の球を難なく打ち崩す。

 

後者のピッチャーが出てきた時はタイミングが悪かったのか西野からの打順でいきなり上半身裸の変態が出てきたら集中できないとのことで西野、榎本は3球で三振になってしまう。まぁ俺と椿さんを始めヒットを打ち続け得点に至ったわけだが……。

 

というかあれはありなのか?前者もノーパソぶらさげてたし。

 

それに対して此方のピッチャーだが大北さん、後続の新井さんが連打を浴びて7点を取られたのだ。

 

そして最終回。8番からだったが、再びマウンドに上がったクロウさんに二者連続三振。最終回になってから少し休んだのもあってさらに球威が増していた。

 

『1番 サード 西野』

 

「なんとしても繋げないと……!」

 

「優香、頑張って!」

 

「気張れ西野。とにかく自分を信じろ」

 

「八幡、梨子、ありがとう……。頑張るね!」

 

本日4打数3安打の西野なのでこの局面でも期待していいはずだが、クロウさんに対してこれが初打席なので下手をすればここでゲームセットとなりかねない。

 

 

 

優香side

 

 

ヤバイよ。まさか負けまで追い込まれるなんて……!

 

しかも九楼さんの球は私この打席が初めてだし……。話によると前投げてた海パンの人よりも球は速いみたい。とりあえず情況を整理してそれから私にできることをやりきる!!

 

(このバッターで決めたいところだが、彼女はこの試合当たっている……。慎重に攻める必要があるな)

 

(八幡や梨子や椿さんの話だと九楼さんの持ち球は160近くまで出るストレートにスライダー、フォーク、シュートの3球種の変化球……。この打席が初見の私は多分変化球を打つことはできない。だから……)

 

(初球はインコースギリギリのストレートで様子を見るか)

 

(ストレート狙いで初球打ち……!アウトコースを狙っていくよ!)

 

「」ビシュッ!

 

(インコース!?でもストレート……!なら思いっきり叩く!!)

 

「」キィンッ!

 

私が打った打球は弱いものの、ギリギリで内野の頭を越えてヒットとなった。

 

(やった!繋いだ!!)

 

あとは後続のみんなに託すよ……。私にできることは全てやったからね。

 

 

 

優香sideout

 

 

 

 

梨子side

 

『2番 セカンド 榎本』

 

優香がヒットを打って場を繋いでくれた。九楼さんの球は初見なのにも関わらず。

 

私は優香みたいに打つことはできない……。私でゲームが終わってしまう……。比企谷君がこの試合で前の川崎さんの依頼で何もできなかった私に対して期待してるって言ってくれたのに、私はそれに応えることはできないの……?

 

今度こそ……椿さんの役に立てると……そう思っていたのに何もできずに終わってしまうの……?

 

そう思っていたらネクストバッターサークルで待機している比企谷君に声をかけられた。

 

「榎本」

 

「比企谷君……?」

 

「西野は自分にできることを精一杯やった。だから榎本もできることをやっていけ」

 

「でも……」

 

本当にそれでいいのかな?と考えていると今度は椿さんに声をかけられる。

 

「負けても誰も榎本は責めねぇよ。今日の試合で活躍しているおまえを責めるなんて只の馬鹿だ。……だから思いっきり殺ってこい」

 

「椿さん……はいっ!」

 

椿さんに励まされて私は左打席に立つ。

 

(2番の彼女に俺の球は打てていない……。だが油断は禁物だ。確実に三振を取っていく……!)

 

(優香と同じく初球勝負。失敗したらそこで終わり……)

 

だからお願い!上手くいって!!

 

「」ビシュッ!

 

「」スッ コンッ!

 

(なっ!ツーアウトでバントだと!?)

 

「サード!!」

 

三塁線に強いバントをした瞬間私は全力で走った。

 

「カニィッ!!」ビシュッ!

 

サードが打球を取ると強い送球でファーストへと投げる。

 

(間に合え……!間に合え!!)ズザザッ!

 

そう思いながら私は全力でヘッドスライディングをした。

 

『セーフ!セーフ!!』

 

一塁球審の判定はセーフ……。私……やったんだ!

 

私は嬉しさでガッツポーズを挙げた。こんなに嬉しいことはなかったかもしれない。

 

私、繋いだよ……。だから……あとは任せるね?

 

 

 

梨子sideout

 

 

 

 

西野も榎本も自分にできることをやりきった……。俺でラストバッターになるかは知らんけど、とにかく続かないとな……!

 

『3番 ショート 比企谷』

 

「比企谷、いけそうか?」

 

「……正直わかりませんね。良くも悪くも九楼祐介は未知数ですので」

 

「そうか……」

 

「まぁ頑張ってみますよ。可能ならば全力で椿さんに繋ぎます」

 

俺は椿さんにそう言って右打席に立った。

 

(クロウさんには1回目の借りを返さなきゃな。それに……)

 

「頑張れー!八幡!!」

 

「比企谷君!頑張って!!」

 

(必死で繋いでくれた2人のためにも打たなきゃな……)

 

(この局面でこのほど少年か……。先程の彼女と同じく打ててはいないが、初見の変化球にも対応してきている。甘くいけばサヨナラ負けなんてことになりそうだ)

 

「」ビシュッ!

 

(初球は……スライダー!)

 

「」キィンッ!

 

『ファール!』

 

(やはり当ててきたか……。なら!)ビシュッ!

 

(シュート!)キィンッ!

 

『ファール!』

 

「」ビシュッ!

 

(フォーク!)キィンッ!

 

『ファール!』

 

よし、なんとか食らい付けている。だがこのままではジリ貧だな。

 

 

~そして~

 

(おいおい……九楼の球にもう15球粘ってるぞ。まだ高校生やそこらなのになんて奴だ……)

 

(流石椿が認めた実力者だ……。だが俺達だって商店街のため、そしてビクトリーズのためにも負けるわけにはいかないんだよ……!)ビシュッ!

 

(ストレート!狙い通りだ……!)

 

次はきっとストレートが来るだろうと予測していた俺はそれに合わせてフルスイングをした。その結果は……。

 

『ストライク!バッターアウト!ゲームセット!!』

 

空振りに終わった……。

 

 

 

~そして~

 

試合が終わって俺と西野と榎本と椿さんは千葉に戻って今日の反省会をしている。

 

そんな中俺は3人に対して土下座をしている。

 

「すみませんでした」

 

俺で終わってしまい、必死で頑張った西野と榎本に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

 

もしも椿さんに繋げることができたら試合は勝っていたかもしれないだけに余計罪悪感が広がる。

 

「ちょっ、やめてよ八幡!」

 

「そうよ!比企谷君は悪くないわ!!」

 

「……2人の言う通りだ。これは俺達チームの連帯責任であって1人の責任とかじゃない」

 

(それにこいつらは本当によくやってくれた……。今のコアラーズはピッチャーに問題がある。またビクトリーズと戦う機会はあるだろうし、なんとかする必要があるな……)

 

「今日は解散だ。試合で疲れてるだろうからゆっくり休め」

 

椿さんの一言で俺達は帰路についた。




今回はここまでです。

次回からは千葉村編になります。……その前にオリジナルの話を挟むかな?


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比企谷八幡は寛いでいる。

今回もよろしくです。


8月某日のある日のこと。俺は西野と榎本と一緒に千葉村にある小原さんの別荘に来ていて今は巷で有名な人を駄目にするソファで寛いでいる。

 

「ふにゃ~……」

 

「随分だれてるわね比企谷君」

 

「しょうがないよ。八幡はここ最近ずっとバイトだったから……」

 

西野の言う通り夏休みに入ってからはずっとバイトだったのだ。夏休みは稼ぎ時だからな。

 

しばらくして外周を歩いていた小原さん、渡辺さん、津島さんが戻ってきた。

 

「ハーイ!調子はどう八幡?」

 

「まぁまぁっすわ~……」

 

「すごいだれようだね八幡君……」

 

「それほどこのソファが魅力的ってことですよ~……」

 

「まぁ私達もこのソファを初めて使った時は今の八幡みたいになっていたからしょうがないと言えばしょうがないけれどね」

 

「かの有名な人を駄目にするソファを甘く見てましたわ~……」

 

小原さん達と適当に会話をしながらソファを堪能していると携帯が鳴った。

 

「なんかさっきからずっとブーブー鳴ってるけど出なくて大丈夫なの八幡?」

 

「このソファで寛いでいると携帯を触る気すらなくなるんだよ……。榎本~、携帯見ていいから誰からか確認しておいてくれ~……」

 

「はいはい、え~っと……ひっ!?」

 

携帯を見た瞬間榎本が怯える反応を見せた。

 

「梨子、どうしたの!?……えっ!?」

 

榎本に続いて西野が驚いた様子になる。一体どうしたのやら……。

 

しょうがない……見てみるか……。

 

「平塚先生からか……。成程、これがいきなりきたらビビるわな」

 

「比企谷君、平塚先生に何かしたの?」

 

「そんなわけないだろ。週2でからかいのメールを送っているくらいのことしかしてねーよ」

 

「それが原因なんじゃ……」

 

「いやいや、平塚先生はわりとこんな感じだぞ」

 

榎本と西野はこの『でんわでろ』と書かれたメッセージにビビったのだろう。その前にもなんかしつこい感じのメールが来てるし……。とりあえず返信するか。

 

「そんなんだから結婚することはおろか、彼氏が出来ないんですよ……っと」

 

そう返信した瞬間に平塚先生から着信が来たので出ることにした。

 

「そんなんだから結婚することはおろか、彼氏が出来ないんですよ」

 

『メールと同じことを言うな!余計なお世話だ!!』

 

「折角アドバイスしたのに……。それでなんの用事ですか?もしかしてボランティアの誘いですか?奉仕部の合宿的なあれですか?」

 

『何故知っている?』

 

「はっはー、自分は何も知りませんよ。平塚先生が妹にまで手を回して自分を合宿に来させようとしていることなんて知りませんよ~」

 

『詳しく知りすぎだろ!それがわかっていて何故君はメールや電話に出ない?』

 

「今自分はバイト仲間と慰安旅行的な感じで群馬県にあるのに何故か他県の名前を使っている場所にいますよ~。平塚先生なら其所がどんなところなのかわかりますよね?ちなみに自分は今あの有名な人を駄目にするソファで寛いでま~す」

 

『そうか……。人を駄目にするソファの存在が気になるところだが、とりあえず我々も奉仕部の活動として群馬県にあるのに何故か他県の名前を使っている場所に行くから着いたらまた連絡する。だから今度は絶対1回で出ろよ?』

 

「善処しま~す」

 

『それ絶対出ないやつだ……』ブツッ!

 

何か平塚先生が言おうとしていたが、面倒くさいので通話を終了した。すると榎本が声をかけてきた。

 

「平塚先生と何を話していたの?」

 

「なんか奉仕部として合宿にこの群馬県にあるのに何故か他県の名前を使っている場所に来るんだと」

 

「その名称で通すんだ……」

 

「あはは……」

 

俺と平塚先生のやりとりを見て渡辺さんが苦笑いをしている。

 

「奉仕部……?なんの部活なの?」

 

「かくかくしかじかで、かくかく、それでまたしかじかなのです」

 

「成程、そういう部活なのね……」

 

「よくかくかくしかじかで通じたわねマリー……」

 

津島さんが呆れているがかくかくしかじかでわかる人だってきっといるんだよ。何人いるかは知らんけど……。

 

「八幡は参加するの?」

 

「知らん。まぁ平塚先生が巻き込もうとするからな。あえて巻き込まれにいくのも面白そうだ」

 

「無理しないでね八幡……」

 

「心配するな西野。比企谷さんはそんなに柔じゃないから。あと小町も来るみたいなことを言ってたような気がするからよかったら西野と榎本も来るといい」

 

「……そうしようかな。八幡が無茶をしないように見張ってなきゃ!」

 

「私もついていくわ。なにか胸騒ぎがするし」

 

西野と榎本が仲間になった。次回へ続く。




今回はここまでです。

次回から千葉村編になります。


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平塚静は比企谷八幡を巻き込もうとする。

今回もよろしくです。


西野と榎本と一緒に千葉村のキャンプ地に着いた。

 

平塚先生の話によるとこのあたりに車を停めると言っていたが……おっ、あれかな?

 

「やあ比企谷、どうして電話を途中で切ったのかを説明してもらおうか……!」

 

平塚先生は顔をヒクヒクさせながらそれでいて笑顔で訪ねている。

 

「はっはー、平塚先生は元気いいですねぇ。何か良いことでもあったんですか?」

 

「……良いことがあるとすれば今から貴様に制裁を与えることができるからだ!」

 

そう言いながら平塚先生は此方に拳を向けているが、俺からすれば遅いので余裕で受け止めることができる。

 

「暴力反対ですよー。こんないたいけな少年に暴力をふるおうとするなんて……」

 

「いたいけな少年なら私を小馬鹿にしないはずなのだがな……」

 

「それより暴力は教師として問題でしょうよ。ここには目撃者が多数いますからね」

 

「ぐっ……!」

 

ここには俺達の他にも雪ノ下、由比ヶ浜、戸塚、小町と奉仕部合宿組(戸塚は平塚先生に呼びかけられたらしい)がいるわけだからな。

 

「お兄ちゃん!」ガバッ!

 

「おっと……」ガシィッ!

 

平塚先生で遊んでいると小町が飛び込んできた。よしよし、可愛い奴め。

 

「お兄ちゃんが優香さん達と数日間遊びに行くって言ってたから寂しかったけど、まさかお兄ちゃん達もここにいたとは思わなかったよ~!」

 

「ここには小原さんの別荘があるからな。そこに俺達はいるからもしよかったら小町も遊びに来るといい。人を駄目にするソファもあるぞ」

 

「うん、必ず遊びに行くから案内してね!」

 

「ああ」

 

小町と戯れていると今度は由比ヶ浜が声をかける。

 

「や、やっはろーヒッキー。ヒッキーは西野さん達とここに来てたんだ……」

 

「ん?まぁな。おまえ達とは違って俺達は遊びにここに来ているから奉仕部の合宿には参加できん。それでいいよな雪ノ下?」

 

「ええ、比企谷君はこの合宿には不参加という話は了承したわ。」

 

「まぁ何か困ったことがあったらLINEでも送ってくれ。助言くらいはしてやる」

 

雪ノ下にはそれで許可をもらった。平塚先生が不満そうだが、先に予定を入れたからね。事前に知らせない方が悪いと思います。

 

「ありがとう。その時になったらお願いするわ」

 

「了解。そんじゃあそろそろ俺達は行く。小町、自由時間になったら小原さんの別荘に案内するからLINEくれ」

 

「わかったであります!」

 

俺達は別荘の方へと戻っていった。

 

 

~そして~

 

「八幡は結局合宿には参加しないんだね」

 

俺が奉仕部の方へと行かないのが気になったからか西野が訪ねてきた。

 

「思えば奉仕部として雪ノ下が俺抜きで依頼をこなすのは初めてなんじゃないかと思ってな。今までは俺が解決したようなもんだし、この合宿とやらでもしも依頼があるならあいつ自身でなんとかしなきゃいけない。俺も毎回参加できるわけじゃないし」

 

「でも平塚先生はきっと比企谷君を巻き込もうとするわよ?」

 

榎本の言う通り平塚先生は何処か俺に執着しているところがある。恐らく問題が発生したらすぐさま俺に連絡するだろう。

 

「まぁその時はその時だ。適当にやらせてもらうさ」

 

「このまま何事もなく終わるといいけどね……」

 

「梨子は何か感じる?」

 

西野が榎本に聞いてくる。榎本はこの千葉村で何か起こるようなそんな予感があるそうだ。所謂危険予知というやつだな。便利。

 

「前に学校側が千葉村で小学生のサポートスタッフみたいなのを募集しているのを見てね。もしかしたら小学生側に何かあるんじゃないかって思ったの」

 

「じゃあ恐らく奉仕部に依頼が来るとすればそれだな」

 

果たしてどんな依頼が待ってるのやら……。




今回はここまでです。


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榎本梨子は葉山隼人に怒りをみせる。

お久し振りです。待ってないかもですが、お待たせしました。

では今回もよろしくです。


俺と西野と榎本は夕食を終えた後にこの千葉村周辺を散歩に来ていた。

 

「千葉村に来るのかなり久し振りだけど、空気が澄んでて気持ちいいね!」

 

「そうね。とても風が気持ちいい……」

 

西野と榎本はここの空気が好きみたいだ。まぁ俺も千葉村は好きだな。群馬県なのに千葉の名称を持っているこの場所が。

 

等とくだらないことを考えていると何やら暗い空気を纏った奉仕部と戸塚に小町、それに何故か葉山グループがいた。面白そうだから絡んでみよう。

 

「大丈夫……かなぁ?」

 

「ふむ、何か心配事……」

 

「はっはー、何が大丈夫なんだい?」

 

「比企谷!私の言葉を遮るな!!」

 

「平塚先生は相変わらず元気がいいですね~。何か良いことでもあったんですか?」

 

「……今は君をスルーしよう」

 

「そんな寂しいことを言わないでくださいよ~。先生が構ってくれないとつまらないです」

 

主に俺の玩具が手元にないという理由でだが。

 

「君に構いっぱなしだと話が全く進まないからな。……それで由比ヶ浜、何か心配事かね?」

 

よよよ……。スルーされちまったぜ。

 

「ちょっと孤立しちゃってる子がいたので……」

 

「可哀想だよね~」

 

平塚先生の質問に葉山が答えて、三浦が相槌を打つ。はて、それの何が問題なのだろうか。

 

同じことを思っていたのか西野がその言葉に反応した。

 

「それって何か問題なの?」

 

「どういう意味かな西野さん?」

 

西野の発言に疑問に思ったのか葉山が尋ねる。おいおい、その意味がわからないようじゃ今起こっているであろう問題を解決することなんざ不可能だぜ?

 

「ただ孤立しているだけならなんの問題もないはずだよ。その子が1人でいることを望んでいる、或いは1人でいるのが好きかもしれないからね」

 

「あっ、えっと、その子はなんか他の子達からハブっていうか……除け者にされてるみたい」

 

西野が説明すると、由比ヶ浜が事の経緯をもう少し詳しく話す。

 

「……つまり悪意によってその子孤立させられているというわけね」

 

「……それで君達はどうしたい?」

 

「……俺は、可能な範囲でなんとかしてあげたいと思います」

 

可能な範囲で……ね。これ程無責任な言葉もないな。そう思っていると、葉山の意見に2方向から反対の意が出てくる。

 

「可能な範囲で……ね。貴方には無理よ」

 

「そうね。葉山君にはできないわ」

 

「「そうだったでしょう?」」

 

雪ノ下と榎本が葉山の案件を否定する。この3人は小学校が同じだったらしく、過去に何かしらの因縁があるのだろう。

 

葉山も核心を突かれたのかとても青ざめた表情をしている。

 

「雪ノ下、君は何かあるかね?」

 

「……平塚先生、これは奉仕部の合宿も兼ねているとおっしゃっていましたが、彼女の案件も活動内容に含まれますか?」

 

「この合宿は林間学校はサポートボランティアを部活の一環としている。原理原則から言えばその範疇に入れてもよかろう」

 

「そうですか……。では彼女が求めるならあらゆる手段を持って解決に努めます」

 

雪ノ下はやる気充分だねぇ……。果たしてこの問題に対してどうやって『奉仕部の理念』に乗っ取って依頼を遂行するのか楽しみだ。

 

「雪ノ下の意見に反対の者はいるかね?」

 

雪ノ下の意見に対しては反対とは言い切れないが、賛成かと聞かれると微妙な感じである。

 

西野も榎本も俺と同じ感じだが、俺達はこの合宿には不参加だから意見を出す必要はないだろう。精々サポートボランティアの連中だけで考えてくれたまえ。

 

「ではどうすればいいか君達で考えてみたまえ。私は寝る」

 

平塚先生無責任だな……。この場合は放任といった方がいいのかね?

 

 

~そして~

 

……というわけで話し合いタイム。ちなみに俺達3人は何も言わないでおこうとのこと。だって俺達参加者じゃないし。

 

「つーかさ、あの子結構可愛いし他の子とつるめば良くない?試しに話しかけてみんじゃん。それで仲良くなるじゃん。余裕じゃん?」

 

「それだわー。優美子冴えてるわー!」

 

「だしょ?」

 

「そ、それは優美子だからできるんだよ……」

 

三浦の意見は実際かなりの勇気とコミュ力がいる。三浦や西野みたいな性格だとそれでも良さそうだが、否定的な姿勢が見えるということは件の鶴見留美(つるみるみ)は内気な少女なのかもしれない。

 

あっ、その子の名前は小町から聞きました。

 

「足掛かりを作るという意味では優美子の意見は正しいな。でも今の状況下だとハードルが高いのかもしれない」

 

「そっか……。そういうもんかな?」

 

葉山は波風を立てないようにやんわりと三浦の意見を否定する。完全否定というわけではないのが葉山の甘いところだ。そう分析していると……。

 

「はい」

 

「姫奈、言ってみて」

 

続けて意見があるのは同じクラスの海老名姫奈(えびなひな)。葉山グループの一員ということくらいしか知らん。あとは西野と交流があることくらいか?なんか他にもあったような……。

 

「趣味に生きればいいんだよ。趣味に打ち込んでいるとイベントとか行くと交流ができるでしょ?きっとそこから自分の本当の居場所ができると思うんだ」

 

ふむ、いい意見だな。葉山グループにいるのがもったいないくらいだ。

 

(いい意見ね……)

 

(うん、でもなんかそこはかとなく嫌な予感がするんだけど……)

 

西野と榎本は口こそ挟まないが、2人でこっそりと意見交換をしているようだ。俺はノータッチ。まぁ1つだけ榎本に意見を言ったが……。

 

「私はBLで友達ができましたっ!!」

 

(やっぱり……)

 

(葉山君のグループは三浦さん以外にまともな人はいないのかな……?)

 

「ホモが嫌いな女子はいません!」

 

それかなり偏見なやつ。うちでもBL本を読んでるのは高科くらいだぞ。

 

「今私が推してるのは『鬼畜ギャルソンシリーズ』です!雪ノ下さんと榎本さんも良かったら……」

 

「えっ?」

 

「私も?」

 

おい、自分の趣味を巻き込むな。

 

「優美子、姫奈と一緒にお茶取ってきて」

 

「……了解。海老名行くよ」

 

「ああっ!布教の途中なのに!!」

 

三浦は海老名を引きずって飲み物を取りに行った。

 

「……あの人は私に何を勧めようとしたのかしら?」

 

「ゆきのんは知らなくていいんだよ……」

 

由比ヶ浜は既に被害者のようだ。

 

「……梨子は読んでないよね?」

 

「読むわけないでしょ」

 

こっちはこっちで被害者らしい。

 

「……やっぱりみんなで仲良くなれる方法を考えないと解決にはならないか」

 

みんな仲良く……ね。

 

「……くだらないな」

 

「……どういう意味かな?ヒキタニ君」

 

ヒキタニ君って誰かしら?存じないな。ひきがや君なら俺のことですが。

 

「聞いているのか?」

 

「……ん?もしかして俺のことか?」

 

「他に誰がいるんだい?」

 

「はっはー、俺はひきがやだからヒキタニ君とやらのことを言ってるものかと思ったぜ。まぁこの場にヒキタニという名前の奴はいないがね。あれ?もしかして俺の名前読めないの?高校2年生になった今でも?初見ならともかく、先生だって俺のことをひきがやと呼んでいるんだぜ?なのに読めないなんてことはないよな?だとしたらわざと?うっわー、葉山君さいてー。人の名前をわざと間違えるなんてー」

 

「……隼人、今のは隼人が悪い」

 

「そ、そうだな……。すまない比企谷君」

 

三浦に促されて葉山は俺に謝罪する。人に言われてからじゃあ反省してるとは思えないな。また同じ過ちを繰り返しそうな気がする。

 

「……それでくだらないとはどういうことだ?」

 

「みんな仲良くという発想そのものがくだらない。そんなことが本当にできるのならば戦争なんて起こらないし、今の俺達はいないだろう。そしておまえに何かしらの因縁を持つ奴だっていない。だよな雪ノ下?」

 

「そうね。そんなことは不可能よ。ひとかけらの可能性だってありはしないわ」

 

「……雪ノ下さん、確かに隼人の意見は駄目かもしんないけど、さっきからあんたは否定的な意見ばっかりじゃん。そう言うあんたは何かあるわけ?」

 

「…………」

 

おいおい、そこで黙りかよ。それじゃあ葉山と余り変わらないぜ?

 

「なら留美ちゃんがみんなと話し合えば……」

 

葉山は葉山でそんな戯れ言をほざく。そんな葉山を見て溜め息を吐いた榎本が口を開いた。

 

「……何も変わってないのね葉山君は。私達を見捨てたあの日から」

 

「え、榎本さん……」

 

「みんな仲良く?みんなで話し合えば?それができていれば私も雪ノ下さんも苛められはしないわ。葉山君は私達を苛めていた娘達にその案を伝えた結果苛めが悪化してしまったことを知ってる?まぁ知らないでしょうね。その娘達は葉山君の前だと仲良くしているのを装って、葉山君がいなくなった瞬間に行動に移すもの」

 

「そ、そんな……」

 

「だからもうそんな悲劇を2度と起こさないためにも葉山君の意見は却下よ」

 

榎本は怒りを剥き出しにして葉山を睨む。雪ノ下も榎本の発言に同意すべく葉山を睨む。

 

「……なら榎本さんは何かあるのか?」

 

「私の案は3つ。1つ目は私達はこの案件に参加せずに林間学校の教師にこの問題を報告すること。これで問題の解決にはなるわ。1番無難な方法だけど、留美ちゃんの今後は保障できないわね」

 

「……俺達に留美ちゃんを見捨てろというのか?」

 

「なら葉山君のみんな仲良くを実行するとして、葉山君はずっと留美ちゃんを見張ることができるの?そんなことをすればその子達は確実に留美ちゃんを責めるでしょうね。『なんでお兄さんに告げ口したの!?』って」

 

「くっ……!」

 

理詰めで榎本に勝てる奴はいないだろう。葉山も押し黙る。

 

まぁこの意見だって『なんで先生に告げ口したの!?』って責められそうな感じだが、俺達は関わっていないのでダメージは鶴見留美本人だけになるだろう。

 

そしてそこから転校すれば鶴見留美の1人勝ちだが、転校なんてそう簡単にはできないから難しいところだ。

 

「2つ目は私達が留美ちゃんの居場所になること」

 

「私達が居場所に……?」

 

「根本的な解決にはならないけど、私達が留美ちゃんの居場所になることで留美ちゃんの癒しにはなるかも。まぁこれは留美ちゃん次第になるわ」

 

これは海老名の意見に近いものだな。そして1番健全な意見とも言える。

 

「そして3つ目だけど……」チラッ

 

榎本が俺の方を見る。それに対して俺はアイコンタクトで榎本に任せると伝えた。

 

「……これは比企谷君が最初に思い付いた案で、留美ちゃんの周囲の人間関係を壊すこと」

 

「えっと……。具体的にはどんな感じなのかな?」

 

人間関係を壊すことと聞いてピンとこないのか戸塚が榎本に問いかけた。

 

「話を聞く感じだと留美ちゃんは同じ班の4人から孤立させられてるから、その子達も無理矢理孤立させるのよ。全員が全員を疑心暗鬼にさせることで、解決はしないけど解消はできるわ」

 

『…………』

 

俺と西野以外は唖然としてるな。まぁ俺がこっそりと出した意見とはいえ、学年1位の榎本梨子が破滅的な意見を出したのだから当然なのだろう。

 

「……でもこの案の実行は林間学校のプログラムによっては難しそうかな。だとしたら最初の2つが私の案よ。私達は失礼するね。優香、比企谷君、行こう?」スタスタ

 

「う、うん……」スタスタ

 

「了解っと。……俺達は宿泊しているところに戻るが、榎本の意見以外に何かあると思うなら話し合いを続けることだな」

 

「待ってくれ!君達はこのボランティアに参加しないのか?」

 

「俺達はここにはアルバイトの慰安旅行に来てるんだ。だから話し合いに参加する義務はない。意見を出してやっただけでも有り難いと思ってほしいね」

 

まぁ意見出したのは榎本だけだが……。

 

「じゃあな」スタスタ

 

俺達は小原さんの別荘へと戻った。早く人を駄目にするソファで寛がなくては!




今回はここまでです。

八幡達は留美の件には基本不参加なので、話が飛び飛びになるかもですね。

年内にあと1話くらいは本編を進めたいです……。番外編は出すと思いますが……。


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雪ノ下雪乃は榎本梨子に敬意を持つ。

では今回もよろしくです。


梨子side

 

「今日は色々あったわね……」

 

そう呟きながら私は千葉村の夜の景色を見ていた。

 

総武高校の人達が千葉村に近くの小学校が林間学校なのでそのサポートスタッフとして参加するということを前に聞いたことがある。学内で募集されていて、私もそれには少し興味があったので慰安旅行の日程と被ってなかったら行こうかと思っていたくらいだ。

 

でも慰安旅行の日程の方が早く公開されていたので、断念することにした。こっちはこっちで楽しみだしね。

 

だから今日はどんな人達が参加しているのか見に来るのも兼ねて比企谷君と優香と一緒に手伝いの場所まで足を運ぶ。そこにいたのは奉仕部の雪ノ下さんと由比ヶ浜さん。あとは平塚先生が呼びかけた小町ちゃんと戸塚君だった。

 

なんでも小町ちゃんが比企谷君を連れてこさせるのを平塚先生は予定していたみたいだけど、小町ちゃんは比企谷君が私達と慰安旅行に行くことを知っていたので断ったとか。なんで平塚先生は事前に比企谷君に連絡しなかったんだろう……?

 

夕方になって外の空気を吸いに行くべく再び手伝いの場所まで行くと先程は見なかった葉山君のグループがいた。葉山君のグループは私達の学年……いや、もしかしたら総武高校で1番有名かもしれない。そんな葉山君を私は嫌っている。グループのメンバー事態は三浦さんと海老名さんは優香のコミュニティの1部だから嫌いというわけではないけど……。

 

それで話し合いをしていたみたいなので比企谷君が割って入るのに合わせて私と優香も混ざる形になった。

 

内容は小学生の1人が悪意によって孤立しているというものだった。

 

……なんだか小学生の頃を思い出していい気分じゃないわね。という気持ちをグッと我慢して、私達は3人だけでこっそりと話し合った。

 

葉山君の意見はみんな仲良くだの、話し合えばわかるだのと言っていた。その提案で過去に私と雪ノ下さんはどれ程の目にあったか忘れているのかしら?でも彼の場合は本気でそう思っていそうなので、私は葉山君意見を完全否定して、問題の解決、或いは解消ができる案を3つぶつけた。まぁそのうちの1つは比企谷君が出した案だけど。

 

比企谷君の意見を聞いて思った。『もしも私達と比企谷君が同じ小学校だったらどんな結末を迎えていただろうか?』というたらればを……。そう考えると比企谷君に初めて会った時は酷いことしちゃったなぁ……。

 

物思いに耽っていると雪ノ下さんがこちらに歩いてきた。

 

 

 

梨子sideout

 

 

 

 

 

雪乃side

 

私は考えていた。三浦さんに否定だけじゃなくてなにか対抗案を出せと言われてそこからなにも出てこなかった。

 

……私は奉仕部で何をやっていたのだろう。比企谷君が入ってきてからはずっと彼に頼りっぱなしだった。この林間学校のサポートも彼に頼ってばかりになっていたのだろうか。

 

そう思っていると比企谷君が奉仕部の合宿として参加しないと聞いてこれはチャンスだと思った。奉仕部の部長として問題の解決に努めてみせる……と。その結果が今のような結果だった。

 

どうすれば、どうすれば私に解決できるのか。そう考えて外に出て歩いていると榎本さんを見つけた。

 

「榎本さん……?」

 

「雪ノ下さん?どうしたの?」

 

「実は……」

 

私は榎本さんに今私が考えていることを全て伝えた。

 

「成程、雪ノ下さんは雪ノ下さんなりに解決しようと考えていたんだね」

 

「でも、なにも思い浮かばなくて……」

 

「私が出した案はどうかな?1つは比企谷君が思い付いたやつだけど……」

 

「…………」

 

確かに榎本さんの案は現実的で良い案だと思った。最後の意外は。でも私もなにか案を出さないと……。奉仕部の部長としての……。

 

「……それはプライドが許さない?」

 

「っ!」

 

プライド……?そう……かもしれないわ。私は負けず嫌いなところがあり、そこを姉さんにからかわれて、絶対に見返してやると、そう誓って自分だけで解決しようと考えていたから……。すると榎本さんが話す。

 

「人を頼ることは何も悪いことじゃないよ。私だって優香や比企谷君に頼ることが多いから」

 

「…………」

 

続けて榎本さんは語る。

 

「前に私が大きな失敗をした時も比企谷君と優香、それに他の仲間が助けてくれた。そして言われたの。『人は1人では生きていけない。必ず誰かを頼ったり、誰かに頼られたりしているから。大事なのは支え合うことなんだ』って……。初めて聞いた時は葉山君みたいな寝言かと思ったけど、そんなことはなかった。初めて私は救われたんだって感じた。……まぁ長々と言ったけど、要するに頼れる仲間を作った方が良いってことかな?もちろん雪ノ下さんが1人でもできるって思うならそのままでもいいよ。それを決めるのは雪ノ下さん自身だから」

 

「決めるのは、私自身……」

 

「……ちょっと身体が冷えてきたからそろそろ宿泊してる所に戻るね」

 

少し冷えてきたと言って榎本さんは歩き始めたと思ったら、私の方を向いた。

 

「今日は雪ノ下さんと話せてよかった」

 

笑って言うと榎本さんは再び歩き始めた。

 

「格好良い……」

 

それが私の榎本さんに対する感情だった。

 

 

 

 

 

 

雪乃sideout




今回はここまでです。

次回は多分来年ですかね……。


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番外編或いはifルート 八幡誕生日の番外編。例えばこんなバースデー

八幡君誕生日おめでとうございますということで番外編です。

本編とはほとんど関係ないので、興味のない人は飛ばし読みやブラウザバック推奨なのだ。


どーも、比企谷八幡でーす。今日はどうやら俺の誕生日らしく、小町が俺の誕生日を祝いたいとのことで家に数人呼んで誕生日パーティなるものをするそうだ。

 

さっきから他人事みたいに言っているのは小町に言われるまで誕生日だということを忘れいていたからである。

 

というわけで自宅に帰ってくると……。

 

「おかえりお兄ちゃん!」

 

「おー、ただいま」

 

我が妹小町が笑顔で迎える。妹の笑顔はプライスレス。

 

「もうみんな来てるよ。お兄ちゃんのために!」

 

「そりゃ有難い」

 

「じゃあリビングへGO!!」

 

小町に促されてリビングへと向かう。

 

『比企谷八幡君(さん)、お誕生おめでとう(ございます)!!』パンッ!

 

中へ入ると俺を祝う声とクラッカーの音で包まれる。

 

「八幡、おめでとう!」

 

「おめでとう比企谷君」

 

「おめでとうっす、ハッチー先輩!」

 

「おめでとうお兄ちゃん!」

 

上から西野、榎本、東横、小町である。この家で4人だと多いのか少ないのかわからんね。あとなんかエヴァの最終回っぽい。

 

「今日は八幡の誕生日!いやー、これで八幡も17歳だね!めでたいね!!」

 

「まぁ本編はまだ8月8日じゃないけどな」

 

今本編は千葉村の辺りのはず……。つまり今の本編はこの話の数日前ということだ。

 

「比企谷君、誕生日くらいはメタ発言はやめようよ……」

 

まるで俺がいつもメタ発言をしてるみたいに言わないでほしい……。

 

「では早速プレゼントターイム!!」

 

小町の一声で俺へのプレゼントが配られることになった。

 

「まずは小町から!」

 

小さめの包み紙。小町からもらったのは……。

 

「これは……眼鏡か?」

 

「うん、これを装備すると目の濁りがなくなるという効果があるよ!!」

 

「それが本当かは知らんが、ありがとよ」

 

「次は私ね」

 

お次は榎本。割と重量感がある紙袋だが……。

 

「中身はレトロゲームの詰め合わせよ。かなり価値のあるものだから大切にしてね」

 

「スーファミに64にゲームボーイカラーゲームキューブ……」

 

「ゲーマーとして本気を出したわ。保存状態もかなりいいものよ」

 

「うん、まぁ……ありがたく受け取っておく」

 

もらって反応に困るものをもらったが、時々遊んでやろう。ソフトも各ゲーム機の名作ばかりだし。

 

「次は私っすねー。どうぞっす!」

 

東横からもらったのはケーキ屋とかでよくあるサイズの箱だった。

 

「これはケーキか」

 

「はい、ここらでは有名なお店のケーキっす!」

 

「サンキュー。後でみんなで食おうぜ」

 

「最後は私だね!」

 

トリを飾るのは西野。もらったのは……本?

 

「今後また椿さん達と野球をするかもしれないからね。それに備えてプレゼントだよ!」

 

「何々……?野球超人伝?」

 

「これを読むと不思議な力が沸いてくるんだって!」

 

「……まぁゆっくり読んでおく」

 

なんか個性的なプレゼントだったなぁ……。

 

「じゃあ次は……!」

 

それからも俺の誕生日会的なものは進んでいった。こんな誕生日も悪くないな……。

 

 

後日に来れなかった高科、吉槻、内海からプレゼントと祝いの言葉をもらい、椿さんからはなんと夏のボーナスを兼ねて現金をもらった。




というわけで番外編でした。


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