深海棲艦と遊ぼう (真・鬼才太郎)
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駆逐古鬼とうまい棒

艦娘交流記 その1

ここでは普段から艦娘とほとんど交流のない提督の貴重な艦娘との絡みを書いていきたいと思います。

今日鎮守府内を歩いていると吹雪と出会った。

吹雪「あ、提督、おはようございます」

「あ、ああ、おはよう」

今日艦娘と話したのはこれだけだった。

終わり




俺の名前は・・・まあ名乗るほどでもないか。

 

とりあえず提督と覚えてもらおうか。

 

俺は普通の提督だ。

 

顔も普通、体格も普通、頭の良さも普通、運動も普通

 

ごく普通に艦娘の指揮を執り、ごく普通に深海棲艦と戦い、ごく普通に毎日執務をこなすだけのどこにでもいるしがない提督だ。

 

ただ一つ他の提督と違うこと、それは私は艦娘に全くモテないということだ。

 

本来提督というのは艦娘にモテモテなのらしい。

 

しかしそんなことは俺とは全くの無縁だ。

 

俺が普通過ぎるのが原因なのであろうが、一番の原因は前任の提督があまりに優秀すぎたためだろうと思う。

 

前任の提督は、文武両道、才色兼備、顔面最高、湯上音恵那etc、、、わかりやすく言えば、アニメの世界からそのまま飛び出してきたようなイケメンであるということだ。

 

戦いになれば、圧倒的な頭脳で艦娘を勝利へと導き

 

間宮顔負けの料理上手で、艦娘全員の胃袋をつかみ

 

話し上手で、彼の周りにはいつも艦娘の笑顔が絶えず

 

様々な武術の心得があり、武闘派の艦娘たちはこぞって彼に教えを請いに来るほどだったそうだ。

 

とここまでくればアニメの主人公というより最早化け物である。

 

そんな彼が功績が認められ大本営に栄転する際には鎮守府の艦娘全員がいかないでと泣いて頼んだそうだ。

 

実際何人かは彼の元についていった。

 

俺はそんな超イケメンハイスペック提督に勝てるとは思ってはいないができるだけ艦娘に好かれるよう努力しよう!、と意気込んだのはよかったが、初対面でその野望はあっさり打ち砕かれることになる。

 

艦娘を全員集めて着任挨拶をした時に、艦娘の顔には明らかな嫌悪感こそなかったものの、失望は隠せない様子だった。

 

仕事だけはきっちりこなそう、俺にはそれしかない。

 

仕事をきっちりこなせば艦娘も少しは俺を見直してくれる、そう信じた俺はがんばって仕事を覚えた。

 

もちろん仕事だけでなく、無理のない遠征、十分な休日、任務達成の際には報酬も与えたりするなど、艦娘にとって過ごしやすい環境づくりに努めてきたつもりだった。

 

しかしそれらが艦娘に伝わることは決してなかった。

 

何人かは転属願を出してここを去っていった。

 

しまいには鎮守府を出て、外で家を借りてここに通いだす艦娘まで出てくる始末。

 

さらに間宮や伊良湖までもがいなくなったことが、艦娘の鎮守府離れにますます拍車をかけた。

 

今ではこの鎮守府には艦娘は着任時の半分以下しかいなくなってしまった。

 

俺は人から好意を持たれるような人間ではなかったということだ。

 

他の鎮守府では一人の提督を、大勢の艦娘が取り合って、もう毎日がハーレムで困ったなんてのが普通らしい。

 

昔はなんで俺だけモテないんだ、こんなに優しくしてるのに!などと苦悩したこともあったが、今ではもうあきらめの境地だ。

 

逆に考えるんだ、モテなくてもいいさと。

 

ひどい時には監禁されたり、最悪殺されたりするという噂もある。

 

モテなければ、殺されることも監禁されることもないからこれでいいのだ!

 

 

 

そんな私の最近の楽しみは3時のおやつである。

 

3時になると防波堤においてあるベンチに一人で腰かけ、のんびり海を眺めながらおやつを食べるのが日課となっている

 

いつものようにベンチに座って、一息つくと持っていた袋から今日のおやつを取り出した。

 

さて今日のおやつは、とここで何者かの視線を感じた。

 

『・・・・・・・』

 

海の上にだれか立っている、艦娘がこんなところに来るなんて珍しいな。

 

ハイヒールのロングブーツに、縞模様の袴、神風型にこんなやついたっけ?

 

黒い手袋に、サイドの巻き髪、春風かな?

 

あと、白い肌に青い瞳・・・・・・・

 

こいつは駆逐古鬼だ!鬼級の奴が何でこんなところに!?

 

ヤバいヤバいヤバい!早く誰かに知らせないと!スマホは・・・持ってないからケータイに

 

ていうか誰にかければいいんだ!?艦娘の電話番号なんて誰も知らないぞ!(哀)

 

なら走ってだれかに助けを求め・・・てる間にいなくなってたら嘘つき呼ばわりされる・・・それは嫌だなあ。

 

これ以上嫌われたくねーよなーそれ以前にこんなところに姫級がいるなんて信じてくれないだろうしその前にこいつがおとなしく逃がしてくれるとは思えないっていうか、もしかしてお前なんか死んでくれた方が新しいイケメンの提督が来てくれるからいいやと思われてたり

 

「オイ、オマエ」

 

「え、あ、あっしのことでございましょうか」(やべえよやべえよ、はなしかけられちまったよ)

 

緊張のあまり変な話し方になってしまったがそんなことは今は重要なことじゃない。

 

「ホカニダレガイルンダ」

 

「いったい何の御用でごじゃりまするか」

 

「オマエ、カンムスニステラレタノカ」

 

「いや、そのようなことがあろうはずがございません、と思いたいような・・・」

 

「オマエイツモココデヒトリデイルナ。ホカノテイトクハカンムストイッショニイルトイウノニ」

 

「そ、それはなんというかいろいろと事情が・・・」

 

「オマエウチニコイ」

 

「へ?」

 

「ウチニキテワタシタチノテイトクヲヤレ」

 

「いきなりそんなこといわれても・・・」

 

「ドウセカンムスドモハオマエノコトナンテナントモオモッチャアアイナイ、オマエガイナクナッタトコロデマタベツノテイトクガクルダケダ」

 

「ワタシタチハソンナコトハシナイ、オイシイモノダッテタクサンタベレルゾ」

 

「ドウダ、ワルイハナシジャアナイダロウ」

 

「・・・・・」

 

(深海棲艦って敵だけども美人ぞろいだし、うちの艦娘たちとはうまくいってないし、うまくいく自信が正直言って全くないけど)

 

(でも、人間やめたくはないかなあ・・・どうやって断ろうか)

 

「この俺を甘く見るなよ、一応メニューだけは聞いておこう」

 

「聞イテオドロケ、ヒラメノオドリグイダ」

 

「は?」

 

「タイヤヒラメノマイオドリッテアルジャナイカ」

 

「どこで知ったんだよそんなこと!そういう意味じゃないだろ!」

 

「タイノホウガヨカッタノカ?」

 

「んなわけあるか!まさか前の作戦で出てこなかった奴って・・・」

 

「マア、ソウナルナ」

 

「ふざけんな!ダメだダメだ、そんな生魚食うような奴の所へはいけません!」

 

「毎日ガ食中毒」

 

「そんな毎日がパラダイスみたいに言っても駄目だ!」

 

「・・・・・」

 

と、いきなり駆逐古鬼が俺に攻撃を仕掛けてきた!

 

「あ、さてはごまかしやがったな!」

 

「(深海は)イイヨ(深海に)コイヨ」

 

どうする?相手は深海棲艦だ、ただのけもフレ愛好家の俺では勝てない、逃げるか?

 

と、駆逐古鬼の目が一点をとらえて離さなかった。

 

「ン・・・ナンダコレハ?」

 

「う、うまい棒だ!」

 

「ウマ、イボ?」

 

「それは食べ物だ、お菓子だ、うまいぞ」

 

そう言うと俺はうまい棒を袋から取り出し、駆逐古鬼に手渡してやった。

 

駆逐古鬼は、おそるおそる口の中にうまい棒をふくんだ。

 

と思ったら、一口食べた瞬間ハムスターのように高速でうまい棒をかじりだし、あっという間にうまい棒をむさぼり食べてしまった。

 

「ウマイ、コンナノ食ッタノハジメテダ」

 

「他にもいろいろあるぞ」

 

そう言って俺は袋の中からうまい棒をいくつか取り出して見せた。

 

ベンチの上に様々なパッケージのうまい棒が転がる。

 

駆逐古鬼が興味深そうに、うまい棒を挟んで俺の横に座った。

 

その中から駆逐古鬼がある一つを手に取った。

 

「それはコーンポタージュ味だ」

 

「くりーみーダガスコシピリットシタアクセントガイイナ」

 

「それはシュガーラスク味だ」

 

「ホカノトチガッテ甘イナ、ダガソレガイイ」

 

「それはサラダ味だ」

 

「zara?アイツハコンナ味ガスルノカ」

 

「そのサラじゃなくて・・・」

 

「テートクコレ開ケテクレ」

 

 

 

こんな感じで駆逐古鬼にうまい棒の説明をしながら食べさせてやるということを繰り返すうちに、あたりはすっかり夕方になってしまっていた。

 

いつの間にやら俺は目の前の深海棲艦に対して何の恐怖心も抱いていないことに気づいた。

 

どうやら久々に人(?)と話ができた喜びが、恐怖心を上回ってしまったようだ。

 

「アー、食ッタ食ッタ」

 

駆逐古鬼はかなり満足したようだった。

 

「どの味が好きだった?」

 

俺は何とはなしに聞いてみた。

 

「ウーン、タコヤキカナ」

 

「アノ甘辛イアジガイイナ」

 

「人間ハスゴイナ、コンナウマイモノヲ棒ニシテシマウナンテ」

 

「でも本物のたこ焼きってわけじゃないんだよな」

 

「ソウナノカ?」

 

「たこ焼きに似せて作ったもの、うーん、そっくりさんって言ったほうがわかりやすいかな?」

 

「タコヤキッテナンナンダ?」

 

「うーん、どう説明したらいいものやら」

 

「小麦粉にぃ、だし汁を混ぜて、それを型に流して・・」

 

「???」

 

駆逐古鬼は首をかしげる。

 

作り方を言ってもしょうがないか、よくわかっていないみたいだし。

 

「要は丸くって、温かくって、ふわふわした人間の間で流行ってるおいしい食べ物のことだよ」

 

「ソレハウマイノカ?」

 

「少なくとも生魚食って食中毒で倒れるよりかは100万倍マシだよ」

 

「ソウナノカ」

 

と駆逐古鬼は少し考えるようなしぐさを見せたかと思うと、急に立ち上がった。

 

「ワタシニ本物ノタコヤキヲクワセロ」

 

「え、いきなりそんなこと言われても」

 

「マタクル」

 

言うが早いか、駆逐古鬼はあっという間に海の向こうへと姿が見えなくなってしまった

 

取り残された俺は、あっという間の出来事にしばらくボー然としてベンチに座ったままになっていた。

 

なんというか嵐のような奴だったな、深海棲艦と喋れるなんて貴重な体験したな~などと考えていたら、凄い勢いで戻ってきて

 

「ソノマエニコイツハイタダイテイク」

 

と言って残りのうまい棒が入った袋をひったくるように持っていった。

 

俺は慌てて「おーーーい、次っていつだよーーーーーーーー」との問いには答えることもなく、今度こそ海の向こうへと姿を消した。

 

えらいことになったな、とにかく次に来るまでにたこ焼きを用意しないと。

 

厄介なことに巻き込まれたという気分よりも、面白いことになってきたという気持ちの方が大きかった。

 

さて、まずはなにをしようかな?少しうきうきした気持ちで帰路に就くのであった。

 

 

 

深海棲艦サイド

 

 

古鬼「イマカエッタ」

 

軽巡棲鬼「コラ!訓練サボッテドコヲホッツキアルイテタノヨ!?」

 

古鬼「テートクノトコロ」

 

鬼「アンタナニシテンノ!敵デショウガ!」

 

古「イボクッタ」

 

鬼「イ、イボ!?モシカシテ、ア、アイツの・・・//////アンタ何考エテンノヨ!ソンナモン食ッテンジャナイワヨ!」

 

古「ケッコウイケルゾ(モッシャモッシャ)」

 

鬼「キャーーーー!ソンナモノ食ベチャダメ!ペッシナサイ!」(ほっぺむにむに)

 

古「イヒャイイヒャイヒッパラヒデ、ソンナニヒッパッタラ、ング、ゴクン」

 

 「ノンジャッタ」

 

?「ズイブン楽シソウジャナイ」

 

鬼「ウゲッ」

 

深海鶴棲姫「大規模作戦前ダッテイウノニ随分ヨユウジャナイ」

 

「マア軽巡ゴトキジャ今回ノ作戦ハ荷ガ重イカシラネェ」

 

鬼「フン!胸部装甲二不安ガアルヤツ二ハマカセラレナイワヨ!」

 

鶴「ナッ!胸部装甲ヲモチダスナンテヒキョウヨ!」

 

ワーワーキャーキャー

 

古「・・・・・」

 

艦載機「フヨフヨ」

 

『たこ焼きってのは、要は丸くって、温かくって、ふわふわした人間の間で流行ってるおいしい食べ物のことだよ』

 

古「アーーーン」ガブリ

 

艦載機「アッーーーーー!!!」

 

鶴「キャーーーーーー!!アンタ何シテンノヨーーーーー!!

 

古「コンナノガ地上デハヤッテイルノカ?アンマリオイシクナイゾ」(ブニブニ)

 

鶴「タベモノジャナイワヨ!!食ベルノヲヤメナサイ!」

 

??「イッタイナンノ騒ギデスカ?」

 

鶴「チョットソコノアンタ!コノバカヲドウニカシテヨ!アタシノ艦載機ガ食ベラレチャウヨ!」

 

リ級「古鬼サン!ナニシテルンデスカ、マズイデスヨ!」

 

鬼「コレモウワカンネエナ」

 

少女説明中

 

リ級「イボジャナクテウマイ棒、地上ノオ菓子ノコトデスヨ」

 

古「食ベタコトアルノカ?」

 

リ級「戦艦棲姫サンガ前ニ地上ノオミヤゲトシテカッテキテクレタンデスヨ、値段ハ10円」

 

  「ダイソンサンケチッスネー、自分ハ化粧品ヤラ洋服ヤラカッテキタクセニ」

 

鬼「ナァーンダ、オ菓子ノコトダッタンダ、アタシハテッキリ・・・」

 

ル級「テッキリ何ナンデスカ?」

 

鬼「ナ、ナンデモナイワヨ!!」

 

鶴「ア、オ前サ、KJSKサ、サッキヌッイボッテ聞イタ時アンタ顔アカラメテタヨナァ」

 

タ級「ソウワヨ(便乗)」

 

鬼「ナ、ナンデ赤クナル必要ガアルノヨ・・・・//////」

 

タ級「見タケリャ見セテヤルヨ!」(ペリペリ)←うまい棒を袋から取り出す

 

ル級「ホラミロヨミロヨ」(羽交い絞め)

 

鬼「ナ、何スンノヨ!放シナサイヨ!テカアンタタチドッカラワイタノヨ!」

 

鶴「モット舌使ッテ舌使ッテホラホラホラ」

 

そう言うと深海鶴棲姫は軽巡棲鬼の口にうまい棒をねじ込んだ。

 

鬼「ウッ、ウモウ、サクサク・・・」

 

ル級「ドウ?オイシイ?」

 

鬼「ウ、ウルサァイ、モウヤメテヨォ、ケホケホ・・・」

 

鶴「エローイ!、軽巡棲鬼ッタラ、胸ガ無駄二デカイカラソンナニヤラシインダーー!」

 

ル級「ホラホラホラホラホラ」(たぷたぷたぷたぷたぷ)

 

タ級「タマンネェゼ!」(サクサクサクサクサク)(牛タン味)

 

鬼「・・・・・・」

 

鶴「エ、ド、ドウシタノ・・・・?」

 

鬼「キサマラーーーー」

 

 「イイカゲンニ」レバーブロー タ級「ヒデブ!」

 

 「シローーー!」ガゼルパンチ ル級「ポゲェッ!」

 

鶴「ハン!テンプシーロールナンテ後二サガッタラタダノフックジャ」 

 

鬼「コノド畜生ドモメガ!!」金的蹴り 鶴「どっぽ!」

 

3バカ「チーン」

 

艦載機「勝負ありッッッッ!!!!!」

 

リ級「ナンダコレ・・・」

 

古「ムシャムシャ」(明太子味)

 

?「軽巡棲鬼チャーン、ヤッテシマッタワネ~~」

 

鬼「ヒッ!!」

 

水母棲姫「アンタノセイデ大規模作戦ガ台無シヨ、コノ落トシ前ドウツケルツモリナノカシラネェ」

 

鬼「イ、イヤ、コレハソノ深イワケガ・・・」

 

戦艦水鬼「チョットコッチニ来テクレルカシラ」

 

鬼「ワ、ワタシヲドウスルキヨ!!」

 

戦水「今日カラアナタガ冬イベノボスニナルノヨ」

 

鬼「チョ、冗談デショ!?」

 

軽巡棲姫「大丈夫デスヨ、私モイマスカラ(E5)」

 

鬼「何ガ大丈夫ヨ!ッテイウカ私軽巡ナノヨ、ソンナノヲ級ニデモヤラセトキナサイヨ!」

 

戦水「今日カラオマエハ航空軽巡ニナルノダ、アッチで改造シマショウカ」

 

鬼「ソンナ無茶ナ改造ナンテデキルワケナイデショ!オネエサン許シテ!軽巡棲姫壊レチャーウ!」

 

戦水「オネエサンダト、フザケンジャネェヨ、オバサンダルルォ!」

 

リ級「ン?」

 

古鬼「ン?」

 

棲姫「ン?」

 

艦載機「ん?」

 

鬼「ア、マチガエ」

  

戦水「イイカラ来イ!コノヤロウ!/////」

 

鬼「ヤメテ!放シテ!無理ダカラ!本当ニ無理ダカラーーーーーーーーー!!!」(ズルズル)

 

リ級「チョット!軽巡棲姫サン連レテイカレテシマイマシタヨ!早ク止メナイト!」

 

古「大丈夫ダ、イツモノオフザケダ、ソウダロ?」

 

ル級「マァネ、チョットカラカッタダケヨ、作戦前ノリフレッシュッテヤツヨ」(フラフラ)

 

タ級「軽巡ノ攻撃ガ戦艦二効クワケナイダロ、イイカゲンニシロ!オエエェー」

 

リ級「メッチャ効イテルーーー!!」

 

ル級「アンタモソウ思ウデショ、ソウ思ウヨナ!」

 

鶴「・・・・・・」

 

リ級「アノー、鶴棲姫サンガ起キテコナインデスガ・・・」

 

古「ア、バイトノ時間ダ」

 

タ級「私ペット二エサアゲナキャ」

 

ル級「早ク帰ッテ宿題シナキャ」

 

リ級「エ?アノ、チョット?ネエ?」

 

ゾロゾロゾロ・・・・

 

リ級「クッ、コウナッタラ・・・」

 

  「私モ逃ーゲヨーット」

 

艦載機「オイラモデゲス」

 

鶴(霊体)『コラー!ドコニイクノヨアンタタチ!!私ヲ置イテ行クンジャナイワヨ!戻ッテキナサーーーイ!!』

 

軽巡棲姫「冬イベマデニハ元ノ体二戻ッテキテクダサイネ」

 

鶴(霊体)『ンナアホナ!ッテイウカナンデアンタハ普通喋ッテンノヨ!』

 

 

この後、深海鶴棲姫が元の体に戻るまでにかなりの時間を費やし、出番が1期終了ギリギリまでずれ込んでしまった。

実に2年前の出来事であった。(大嘘)

 




SS投稿初心者の作品をここまで見てくださってありがとうございます。

前半の提督との絡みより、後半の深海棲艦のドタバタ劇のほうがメインになってしまいました。本来は前半メインだったはずなのに。

あと、淫夢要素が多すぎィ!とは思ったが、書いているうちに楽しくなってしまって、書き直すのも面倒だったのでこのまま投稿してしまいました。

この物語は淫夢要素が盛り込まれています。そういったネタが嫌いな方はブラウザバックして戻ることをお勧めします。


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駆逐古鬼とたこ焼き

艦娘交流期 その2

天龍が遠征から帰ってきたので、「よくやった」と褒めたら、「あ、どうも・・・(困惑)」と素で返された。
どうやら普通に返すのが正解だったようだ。

終わり


またくると言われても、いつ来るかわからない状態では準備のしようがない。

 

毎回毎回たこ焼きを準備していたのでは、昼食が全部たこ焼きになってしまう。

 

奴が来るまで毎日たこ焼きはかなりきついものがある。

 

どうしたものかと考えていると、執務室であるものを見つけた。

 

これは使える、普通に食べるよりも楽しくかつおいしく食べらるかもしれない。

 

 

駆逐古鬼「私ハ駆逐古鬼デアル、テイトクヨ、約束ドオリワタシハ帰ッテキタ」

 

「某元帥みたいに言うのはやめようね」

 

今俺達が話しているのは前に古鬼と出会った堤防のベンチ、前と同じ時間に古鬼は再びやってきたのだ。

 

「シャルウィダンス?」

 

「シャルしかあってねぇよ!」

 

割とどうでもいい掛け合いをしたところで、古鬼が唐突に切り出した。

 

古「例ノブツハ出来テイルカ?」

 

若干わくわくした様子で、駆逐古鬼が俺に聞いてきた。っていうか、

 

「近い!近い!近い!そんなに慌てなくてもちゃんと用意してるよ!」

 

深海棲艦とはいえ女の子がこんな近くまで迫ってきたことなんて今までなかったから、ドキドキしてしまった。

 

なまじ美少女なだけにたちが悪い。

 

「本当カ!今スグ見セロ!サア早ク!」

 

古鬼はそんな俺の様子を気にした様子もなく、一気にまくし立てて来た。どれだけ楽しみだったのやら。

 

「これからそれがあるところに案内するから着いてきてくれ」

 

「私ニヒドイコトスルツモリデショ、コノエロドウジン!」

 

「するか!俺はエロ同人じゃねえよ!どこで覚えたんだよそんなこと」

 

「前ニ戦ッタ艦娘ガ言ッテタ、エロドウジンッテナンダ?」

 

「そんなこと知らなくていいから」

 

 

 

そうこうしているうちにやってきたのは執務室。

 

「コンナトコロニ私ヲ入レテモイイノカ?」

 

古鬼は初めて見る執務室に興味津々であちこちキョロキョロしている。

 

「いいのいいの、ここに来る奴なんてどうせほとんどいないから」

 

自分で言ってて悲しくなってきた。

 

「ソウカ、オ前捨テラレタンダッタナ」

 

「違うって言ってんだYO!そんなことより始めるぞ」

 

そういうと俺は司令部室で見つけたアレ、ホットプレートを取り出した。

 

おそらく前の提督が艦娘達相手に料理をふるっていたのだろう。

 

ここには執務室には似つかわしくないキッチンや調理器具が配備されていることから、料理の腕も相当だったことがうかがえる。

 

ちなみに俺の料理の腕は可もなく不可もなくといったところだ。

 

「コレガタコヤキなのか?」

 

「違うよ、これはホットプレートだ、これを使ってたこ焼きをつくります」

 

「ボコボコシタ鉄ノ板と平ラナノガアルナ」

 

「今日はこのボコボコした奴を使います」

 

「平ラナ奴ハドウスルンダ?」

 

「そっちはホットケーキとかお好み焼きを作るのに使うんだ」

 

「ナニソレウマソウ」

 

「でも今日はたこ焼きの日だから、こっちにはご退場ねがおうか」

 

「アーー」

 

鉄板をどかすと古鬼は残念そうな表情を浮かべた。

 

また作ってやると言うと、古鬼は少し嬉しそうな表情を浮かべた。

 

「材料はこれだ」

 

 

卵      1個

小麦粉    カップ1

タコ脚    1本

水      カップ3

天カス   (揚げ玉)適量

青ネギ   (小口切り)小さじ7

紅しょうが (みじん切り)小さじ5

干し桜エビ  適量

だしの素  (顆粒)小さじ1

しょうゆ   小さじ1/2

コーヒーフレッシュ(珈琲用ミルク)1個

砂糖     一つまみ

塩      少々

かつおぶし  適量

青のり    適量

 

 

さっきも言ったが俺の料理の腕は、普通よりも下といったところだ。

 

当然たこ焼きの作り方なんて知っているわけがない。

 

本来なら、龍驤、浦風、黒潮にでも頼みたいところであったが3人ともここを出て行ってしまっていて今はここにいない。

 

いたとしても俺の頼みを聞いてくれたとは思えないが。

 

そういうわけで作り方は全てネットからの情報だ。

 

おいしいたこ焼きを食べさせてやりたいが、どこまでできるか不安だ。

 

「ドウシタ?早クツクロウ」

 

俺が考え込んでいると、横から古鬼が声をかけてきた。-

 

「お、そうだな、早速始めようか」

 

やるだけはやってみよう、だめだったら銀〇こにでも行くか。

 

二人並んで台所に立った。

 

「まずはボールに卵を入れて、泡立つまでかき混ぜる」

 

「そこに小麦粉、水、だしの素、砂糖、塩、醤油、コーヒーフレッシュをいれて卵とかき混ぜる」

 

「タコを1㎝に切る」

 

「タコッテイウノハコレノコトカ?イツモミテルノト違ウナ」

 

パックに入った生食用と書かれたタコを見て古鬼が言った。

 

「それは切ったやつだ。タコは見たことあるよな?」

 

「タマニ仲間ガトッテ来タノヲ、茹デテミンナデ食ベテタ」

 

「鍋あるの?」

 

「拾ッタ」

 

「軽巡棲鬼ニ纏ワリツカセテエロエロサセルノガイツモノ流レダ」

 

 

軽巡棲鬼『ンモー、ナンデ毎回私ニタコヲクッツケルノヨー』

 

『イヤァン、気持チワルイ~~』

 

タ級『ソンナコト言ッタッテ、軽巡棲鬼サンガエロエロナノガイケナインジャナインデスカ』

 

ル級『脇ト腕ト鎖骨丸出シナンテドウカシテルゼ!』

 

深海鶴棲姫『コレガナイトゴ飯ガ進マナイッテイウカ』

 

鬼『ナンナノヨモー、意味ワカンナイ!』

 

離島棲姫『ドウヤラ私ノ出番ノヨウネ!』

 

3バカ『オ前ハイラン!』

 

離島『ブー!ナンデヨー』

 

ル級『イヤアナタガヤルト、犯罪ッポイトイウカ』

 

鶴『ゴスロリ着テルシ』

 

タ級『ソンナコトシチャア、ダメダロ』

 

鬼『(私ハイイノカヨ・・・)』

 

憲兵『お、そうだな(便乗)』

 

3バカ『!?』

 

艦載機『私が呼びました』

 

鬼『ドウヤッテ呼ンダノヨ!ッテイウカ何デアンタハ普通二シャベッテンノヨ!!」

 

憲兵『私が教えた』

 

艦載機『お前だったのか』

 

タ級『暇ヲ持テ余シタ』

 

ル級『深海棲艦ノ』

 

ヲ級『遊ビ』

 

5バカ『ドヤア』

 

鶴『ドヤ顔ヤメロ!』

 

離島『ヲ級ハドコカラ来タノヨ・・・』

 

憲兵『私が呼んだ』

 

艦載機『お前だったのか』

 

離島『ン?コノ流レハマサカ』

 

タ級『暇ヲ持テ余シタ』

 

ル級『深海棲艦ノ』

 

ヲ級『遊ビ』

 

離島『モウ一回ヤラナクテイイカラ!』

 

鶴『オ前ハマジメダナ!』

 

離島『エェ・・・(困惑)』

 

鬼『ドーデモイーカラ、コノタコ早クナントカシテヨー!』

 

潜水新棲姫『ホッポチャン、アノ人タチ何ヤッテルノカナ?』

 

北方棲姫『ヨクワカンナイケドネ』

 

 

「なにやってんだあいつら」

 

「毎回乗ッテル方モ乗ッテル方ダガナ」

 

そんなことを言っている間に、タコを切る作業が終わった。ついでに青ネギと紅ショウガも切っておいた。

 

 

タコ焼き器を熱し多めに油を敷き、くぼみにさっきつくった液を流し込む

 

 くぼみいっぱいに液をあふれるほど流し込んでいく。

 

 「クボミカラ溢レテルケド大丈夫ナノカ?」

 

 「大丈夫だ、プレート全体が埋まるくらいドバーッとやっちゃってくれ」

 

 「ワカッタ」

 

 俺の指示を聞いて、古鬼はボウルを傾けるとプレートいっぱいに生地を流し込んだ。

 

 

タコと天かすを入れる

 

 古鬼と協力してすべてのくぼみにタコをひとつづつ入れていく。

 

 続いて天かすとネギと桜エビと紅しょうがを入れていこうとするが、古鬼はひとつづつ丁寧に入れていこうとしている。

 

 「テイトク、生地ガ邪魔デウマク入ランゾ」

 

 「それも適当にバラまいてもらってかまわんよ」

 

 「ン」

 

 ダイナミックに材料をばらまいていく。赤と緑のコントラストが食欲をそそる。

 

 このまま3分ほど待つ。

 

 

生地を区切る

 

 「このままだと全部くっついたままだから区切っていくぞ」

 

 そういうと古鬼に串を手渡した。

 

 「それで生地の端を引っ張ってみて」

 

 「ナンカ持チ上ガッテキタナ」

 

 「それが区切り時のサインだ」

 

 苦戦しながらもなんとか、区切ることに成功

 

 

いよいよたこ焼きづくりのメインとも言える返しの作業に突入する、が

 

「全然わからん」

 

作り方を調べるのに夢中で、全然調べてなかったことに気づく。

 

「要ハ上ト下ヲヒックリ返セバイインダロウ?」

 

「分かるのか?」

 

「私二マカセテオケ」

 

そういうと古鬼は2本の串を手にホットプレートの前に立つと、

 

「ソォイ!」

 

窪みの底に串を入れ勢いよく持ち上げ、空中でひっくり返す作戦のようだ。

 

しかしそんな目論見とは裏腹に、たこ焼きは空中で一回転したのち放物線を描いて、別のたこ焼きの上にベチョッ

 

と不時着した。

 

「あーもうめちゃくちゃだよ」

 

「ワタシタチノボウケンハココデオワッテシマッタ!」

 

「勝手に終わらすな!」

 

そこで俺はノートパソコンを取り出した。

 

「テイトク、ナンダソレハ?」

 

「これでたこ焼きづくりの動画を見るんだよ。うまい人のまねをするのは基本中の基本だからな」

 

「ナルホド」

 

『たこ焼き、動画』で検索すると色々な動画が引っ掛かってきた。その中の一つをクリックしてみる。

 

そこにはプロの職人が大量のたこ焼きを次から次へと仕上げていく光景が広がっていた。

 

素人の俺たちにこれは無理だな、見る動画を間違えたかと思っていたら、古鬼が目を輝かせながら動画を食い入るように見ていた。

 

「オオー」

 

「そんなに気に入ったのか?」

 

「テイトク、私コレヤリタイ」 

 

「素人の俺達には無理じゃないのか?」と言うも

 

「ヤッテミナケレバワカラナイ」

 

というので持っていた串を渡してやった。

 

再びたこ焼き機の前に立つ古鬼。いつになく目が真剣だ。

 

もしかしたら、深海棲艦の力で相手の動きを見ただけで完全に自分の物にしてしまったとでもいうのか!?

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラ」

 

古鬼は手にした2つの串を操り、たこ焼きを

 

 

 

 

何のことはない、ただめった刺しにしているだけだった。

 

「全然できてないんですがそれは・・・、しかも遅いし」

 

俺の言葉に焦ったか、串を鉄板の上に落としてしまった。

 

慌てて串を拾おうとする古鬼、そんなところに手を伸ばしたら・・・

 

「アチュイ!」

 

彼女が深海棲艦と忘れさせるようなかわいい悲鳴が上がった。

 

あまりの熱さにうずくまる駆逐古鬼。

 

「おっ、大丈夫か」

 

慌てて駆け寄ろうとする俺に、偶然まぐれでひっくり返ったたこ焼きが飛んできて

 

「へあああああああ!目が、目が~!」

 

 

「やっぱり基本は大事だな」

 

「ソウダナ」

 

お互い目と手を水で冷やしながら言う。

 

気を取り直して、今度は『素人でもうまく焼けるたこ焼き』という動画を参考にしてみる。

 

『周りから生地を切り離して、穴の表面を強く撫でまわすつもりで穴からたこ焼きをはがします』

 

「ああ、串は2本使うのね」

 

「おおっ、これは見事なキツネ色だな」

 

「デモ下ノ方ハドロドロダナ」

 

『たこ焼きを90度だけ回転させ、周りに余っている生地を巻き込んでたこ焼きを返します』

 

『余っている生地を巻き込むことできれいな丸いたこ焼きができます』

 

動画の通り2本の串をたこ焼きの外側に入れ、強く撫でまわすように回転させてみる。

 

90度回転させたところで、周りにある具を隙間に流し込みさらに90度回転させると、きれいなキツネ色の球体が姿を現した。

 

「本当にうまくできてしまったぞ、これは気持ちいいな」

 

「テイトク、私ニモヤラセロ」

 

古鬼にせがまれたので場所を代わってやる。

 

「コレハ面白イナ」

 

多少慣れた手つきで返していく古鬼、とここであるものを見つけた。

 

「ナンカコレダケ色ガ違ウナ」

 

「まずい、少しもたついたせいで焦げつき始めてるぞ」

 

「ナ、ナンダッテー」

 

急遽俺も串を2本持ち、ここからは二人で返していくことに。

 

顔が近くてドキドキしたりもしたが、なんとかすべてのたこ焼きを返すことに成功した。

 

その後回しながらまんべんなく焼いていき、すべての面がキツネ色になったところで皿に移す。

 

「サッキノ動画デ見タ通リノ色ダナ」

 

「まだ終わらんよ」

 

そういうと俺はその上から通販で取り寄せた銀〇このソースをかけ、さらに鰹節と青のりをかければ

 

「これで完成だ」

 

「イイ匂イダナ」

 

この日のために買っておいたちゃぶ台(家具コイン)の上に、たこ焼きを運んで早速実食タイムだ。

 

 

 

「それでは」

 

「いただきまーす(イタダキマース)」

 

火傷しないように、口でフーフーしながら食べるもやはり熱いものは熱い。

 

あまりの熱さに一瞬顔をしかめるが、すぐに口の中に甘辛のソースが、次にエビ、ショウガ、ネギの風味が広がっていく。

 

「フハイフハイ(うまいうまい)」

 

古鬼はあまりの熱さに少し涙目になっていたが、満足しているようだ。

 

俺はそんな古鬼に冷たいお茶を渡してやる。

 

「ングングング、プハー」

 

「熱イケドウマイナ、上二カカッテイルソーストイウノガイイナ」

 

たこ焼きが冷めてくると、味わう余裕も出てきて、出来上がったたこ焼きをあっとという間に平らげてしまった。

 

「オナカイッパイダ」

 

古鬼はお腹を押さえて幸せそうな表情を浮かべていた。

 

 

楽しい時間はあっという間で、周りもすっかり暗くなってしまった。

 

「そろそろ帰らなくていいのか?」

 

「腹イッパイデウゴケン」

 

と寝そべったまま気だるげに答えるので、

 

「いや、そいういうわけにもいかないだろ」

 

というと「ソレモソウダナ」とめんどくさそうに立ち上がった。

 

もう少しいてほしかったが仕方がない。

 

 

防波堤

 

「世話ニナッタ」

 

「こちらこそ」

 

「その前に渡したいものがあるんだ」

 

そういうと俺はビニール袋に包まれたあるものを差し出した。

 

「コレハ?」

 

「実はさっき作ったたこ焼きを何個かとっといたんだ」

 

俺が渡したのは、お祭りの屋台でよくみかける木船皿に盛られたたこ焼きだった。

 

「こうしてみるとうまそうに見えるだろ、気分はお祭り気分てな感じで」

 

「アリガトウ、イツカ本当ノ祭ニモイケルトイイナ」

 

「そうだな・・・」

 

「ソレジャア私ハモウイク」

 

少ししんみりした空気を振り払うように、古鬼は海の向こうへと駆け出した。

 

今度はすかさず聞いてみた。

 

「また来てくれるかな?」

 

また来てくれとは照れくさくて言いづらかったので、思わずお昼の某グラサンの人みたいな聞き方になってしまった。

 

そんな俺に向かって古鬼は振り返り

 

「イイトモ!」

 

というと今度こそ水平線の向こうへと姿を消した。

 

どうやらさっきくつろいでいた時に動画をみていたらしい。

 

具体的な日時聞きゃよかったな。

 

 

深海サイド

 

古鬼「イマカエッタ」

 

?「誰ダ」

 

古鬼「私ダ」

 

駆逐古姫「オ前ダッタノカ」

 

古鬼「オ土産」

 

古姫「コレガ前ニ話シテタタコ焼キトイウモノカ」

 

  「ハフハフモグモグ、チョット熱イケド甘辛クテ美味シイナ」

  

  「古鬼ハイイノカ?」

 

古鬼「私ハタクサンクッタカラモウイイ、私ハシバラク横ニナル」

 

?「ヌアアアン疲レタモオオオン!」

 

古姫「ア、空母オバサン」

 

駆逐棲姫「オ、オ邪魔シマス・・・。」

 

古姫「ソレト悪雨」

 

空母棲姫「オバサンダト、フザケンジャネェヨ、オマエ、オネエサンダルルオ?」

 

古姫「・・・・・」

 

空姫「ア、アッテルヨネ?」

 

古姫「サア?」

 

空姫「勘弁シテヨ~水鬼チャンノセイデ私マデオバサンニナッタナンジャタマッタモンジャナイワヨ」

 

古鬼「ソレハ前カラ言ワレテタヨウナ」

 

空姫「ナンカイッタ?」

 

古鬼「モウタベラレナイヨー」

 

悪雨「ソ、ソウイエバ最近ハ大規模作戦ニ出ズッパリデシタヨネ」

 

空姫「ソウナノヨー、モウ辞メタクナリマスヨー」

 

悪雨「デ、デモミンナ空母棲姫サンノコトガ好キダカラ一緒ニ仕事ガデキテ楽シイッテ言ッテマシタヨ」

 

空姫「・・・・・」

 

悪雨「ア、ワ、私モデス!」

 

空姫「悪雨チャ~~ン、アナタハナンテカシコイコナノ~~」(ガバァ)

 

  「悪雨チャンガイイ子スギテ生キテイルノガツライ」

 

古姫「オ、ソウダナ(便乗)」

 

古鬼「生キスギィ!」

 

悪雨「エ、エット、アノ、アリガトウゴザイマス・・・?」

 

空姫「ソンナ悪雨チャンニゴ褒美ヨ、ハイアーン」

 

古姫「別ニアナタノ物ジャナイケドナ」

 

悪雨「アムアムアム、ゴクン、ト、トッテモオイシイデス!」

 

空姫「ムシャムシャムシャ、ウン!オイシイ!タコガ入ッテイルノネ、誰ガツクッタノ?」

 

古鬼「私トテイトクガツクッタ。タコ焼キトイウラシイ」

 

空姫「へー、ナカナカヤルジャナイ!」

 

悪雨「古鬼チャンスゴイ!」

 

空姫「ッテイウカ敵ノ所ニ行ッテタノ、ヨク生キテタワネ」

 

悪雨「デモ、戦ワズニ済ムノナラソレハイイコトダト思イマス・・・。」

 

古姫「トコロデ悪雨ハナニシニキタンダ?」

 

悪雨「アノ、オ姉サマヲ見カケマセンデシタカ?」

 

空姫「軽巡棲鬼チャンノコト?ソレナラサッキ水鬼チャントイルノヲ見カケタワヨ」

 

悪雨「アリガトウゴザイマス、ジャア私ハコレデ」

 

古姫「ン、マタナ」

 

古鬼「イテラー」

 

空姫「サテト、ソレジャア私モオイトマスルワネ」

 

  「次テイトクノトコロニ行クトキハ甘イモノヲオ願イネ」

 

古鬼「怒ッテナイノカ?」

 

空姫「別ニー、ッテイウカ魚バッカリノ生活ニモ飽キ飽キシテキタシ、私達ト仲ヨクシヨウナンテ変ワリ者ニ興味モ沸イタシネ」

 

古鬼「ソウカ」

 

空姫「ソウワヨ(便乗)、ッテコトデヨロシクー、ソレジャアネ」

 

古鬼「マタナー」

 

古姫「ジャアノ」

 

古姫「古鬼」

 

古鬼「ンー?」

 

古姫「幽体離脱ー」

 

古鬼「古姫クルシイオリテ、タコ焼キデチャウ」

 

古姫「一人デウマイモノ食ベニ行ッタ罰ダ、幽体離脱10セットノ刑ダ」

 

古鬼「カンニン」




ちなみにこのSSでの駆逐古鬼と駆逐古姫は、不思議系双子姉妹という設定です。

第1期のラスボスだというのに、ここでの深海鶴棲姫はすっかりおバカトリオのリーダーという位置づけになってしまいました。でも強いです。


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軽巡棲鬼とスフレパンケーキ

艦娘交流期 その3

この前遠征から帰ってきた天龍を褒めたら何故か引かれてしまった。

最近は褒めるだけでもセクハラ扱いになってしまうらしい、そこでアプローチ方法を変えてみることにした。

今度は竜田が帰ってきたので、喜びを体で表現、軽くステップしてみたら、苦笑いされた。

終わり



深海サイド

 

戦艦水鬼「皆さん、ご無沙汰しております。悶絶軽巡専属調教師のミズキと申します。

今回の、【捷号決戦!邀撃、レイテ沖海戦】はいかがでしたでしょうか?

悶絶海域甲作戦は、比較的オーソドックスな航空プレイがたくさん盛り込まれていたかと思います。(制空値114514)

これからお見せする撮り下ろし映像も、基本的な航空戦(制空値45450720)をお見せしたいと思います。

今回改造する少女は軽巡棲鬼チャン。キュートなマスクと、均整のとれた体。まだ17歳(?)のこの少女は、私のちょう、改造に耐える事が出来るでしょうか?それでは、ご覧下さい。」

 

軽巡棲鬼「今絶対調教ッテ言ッタヨネ!?」(椅子に縛られている)

 

戦水「違ウヨ、超改造ッテ言ッタンダヨ」

 

軽「嘘ツケ!」

 

戦水「ウルサイワネェ、チョット眠ッテロ!」(トライアングルチョーク)

 

軽「チョ、ヤメ、ムギュゥ~~」

 

(締め技を仕掛けているというよりも、単に抱きしめているだけである)

 

戦水「オラァ!」(腹パン)

 

(腹パンと言っても単にお腹を撫でまわしているだけである)

 

軽「ヒャア!ドコ触ッテンノヨ!クスグッタイジャナイ!」

 

戦水「落チタナ」

 

(全く落ちていない)

 

戦艦棲鬼「何シテルンダ?」

 

戦水「あ、姉さん、ご無沙汰じゃないですか!」

 

戦姫「喋リガ、普通ニナッテルワヨ」

 

戦水「今ビデオ撮ッテタ所ナノヨ」

 

戦姫「ビデオ?」

 

戦水「ホラ、ウチサア、戦闘力デハ奴ラニ勝ッテルケド、技術面ダト明ラカニ負ケテルジャナイ。ダカラコノビデオヲ見ルコトニヨッテ、ソノ技術面ヲ鍛エルタメノ・・・、ソウ、教材ヨ、教材!」

 

軽「改装トカ言ッテ私ノ裸ガミタイダケナンデショ、コノクソ戦艦!」

 

戦水「ソウワヨ(便乗)」

 

軽「ハァ!?」

 

戦姫「何考エテンノヨ!アンタッテ娘ハー」

 

鬼「ソウヨ!言ッテヤリナサイ!」

 

戦姫「俺モ仲間ニ入レテクレヨー」

 

鬼「何ダコノオバサン!」

 

戦姫「デモ改造ッテナニヲスレバイイノ?私達工作艦ジャナイカラヨクワカラナイワ」

 

戦水「トリアエズ形カラ入ッテミヨウカ」

 

戦姫「トイウト?」

 

戦水「ヲ級カラ服ヲ借リテキタ」

 

ヲ級「アウ~服返シテ~」(バスタオル1枚)

 

戦姫「ソレジャア、ウレシハズカシオ着換エターイム!」

 

戦水「サア、軽巡解体ショーノハジマリヤ」

 

軽「ライダー助ケテ!」

 

?「俺モ仲間ニ入レテクレヨー」

 

戦水「誰ダ、コノオバサン!?」

 

空母棲姫「私、参上!オバサンハオマエダロ!イイカゲンニシロ!」

 

戦水「何ダトコラー!邪魔スル気カ!?」

 

戦姫「3人ニ勝テルワケナイダロ!」

 

ヲ級「エエッ!モシカシテ数ニ入レラレテル!?」

 

空母「イヤイヤ君タチハ実ニ運ガイイ、今日ハ特別デネ、モウ一人来テイルンダ」

 

レ級「どうもこんばんは、土井義春です」

 

空母「違ウダロォ!?」

 

戦姫「アンタハ5-5ニイタハズジャア・・・」

 

空母「私ガ呼ンダノヨ、アンタ達ミタイナ野獣ヲ抑エラレルノハ、コノ子グライシカイナイカラネ」

 

レ級「デモ裸ニナルマデマッテタ方ガヨカ」

 

空母「は?」

 

レ級「ごめんなさい」

 

レ級「ナカノチャンノピンチト聞イテ駆ケ付ケタ、教材ビデオ等ト称シテAV撮影シヨウトハモウ許セルゾオイ!戦艦ノ葛餅ガコノヤロウ、アトビデオハ後デヨコセ」

 

軽「ナンナノヨ葛餅ッテ」

 

レ級「人ニ向カッテ屑トカイッチャアダメダロ!」

 

空母「ナンデソコダケ真面目ナノヨ」

 

軽「5-5ハドウシタノヨ?」

 

レ級「代ワリニ泊地棲姫ヲ置イテキタ」

 

軽「アンタ何シテンノヨ!?アレ?、泊地棲姫ノスペックッテ確カ・・・」

 

艦載機「火力も装甲も耐久も戦艦棲鬼さんに負けてます」

 

レ級「出番クレルンダッタラタダデモ喜ンデヤルゼェッテ言ッテタカラ」

 

戦水「オイオイ死ヌワアイツ・・・」

 

レ級「スペックダケナラナ」

 

戦姫「?」

 

レ級「ソレハトモカク」

 

レ級「コイヨ変態姉妹!怖イノカ?」

 

戦姫「16inch三連装砲ナンテ必要ネー。へへへへ、12.5inch連装副砲ニハモウ用ハネー!へへへへ、電探モ必要ネーヤ。へへへへ、誰ガテメーナンカ。テメーナンカ恐カネェ!!」

 

戦水「野郎オブクラッシャー!」

 

空母「アーモウメチャクチャダヨ」

 

ヲ級「服、カエシテー!」

 

?「ナカノ、コッチデス」

 

軽「ア、アンタは・・・」

 

 

 

鬼「帰ッテキテタノネ、深通」

 

軽巡棲姫「ツイ今シガタ、ソレヨリココハ今カラ戦場ニナル。アナタハハココカラ早ク逃ゲタ方ガイイ」

 

軽「逃ゲルッテ言ッタッテ、ドコニ行ケバイイノヨ!?」

 

深通「ココニ行クトイイ」(地図を渡す)

 

軽「ワタシハイツマデ逃ゲ続ケレバイイノ?」

 

深通「落チ着イタラ迎エヲヨコシマス、サア早ク!」

 

 

 

提督サイド

 

「この前は楽しかったな、深海棲艦とはいえ女の子と料理したなんて初めてだったからな、また来てくれないかなー」

 

俺はいつものように堤防のベンチで黄昏ていた。

 

提督としてこの対応は間違っているとは思うのだが、普段の俺に対する艦娘の塩対応っぷりからすると仕方のないことだと思う。

 

すると、海の向こうから何かがこちらへ向かってくるのが見えた。

 

まさかこんなにも早く願いが叶うとは思ってもみなかった。

 

「ゼェ、アンタガ、ゼェ、古鬼、ノ、言ッテ、ゼェ、タ、テイトク、ゼェ、ナノ?、ナンダカ、冴エ、ナイワ、ネェ、ハァハァ」

 

なんだかよくわからないが何かに追われてきたのだろうか?人を罵倒する余裕はあるようだ。

 

「お茶でも飲んでリラックスしなよ」

 

とりあえず俺は、持っていたお茶を渡してやると、そいつは一気に飲み干した。

 

「ゴクゴクゴク、プハーッ、ア~生キ返ルワ~」

 

「アリガトウ助カッタワ、噂通リノイイ人ソウデヨカッタワ」

 

「それはどうも」

 

落ち着いたところで、ベンチに座って話を聞くことに。

 

改めてそいつの容姿を確認してみる。

 

頭は腰のあたりまで伸びた黒い髪の上にお団子が乗っており、気の強そうな青い眼に、阿賀野型を彷彿とさせる黒のセーラー服、

 

「そういうお前は軽巡棲鬼だな?」

 

「アラ、私ノコト知ッテルノネ、光栄ダワ」

 

「そりゃ鬼クラスの深海棲艦だからな、それよりも・・・」

 

俺が気になったのは、下半身のスラっと伸びている長い脚だ。

 

「ドコ見テンノヨ、エッチ!」

 

「いやそういうつもりじゃ、っていうかお前足があったのか?」

 

「アア、ソウイヤアッチノ姿シカ見タコトナインダッケ」

 

「アレハネ、膝ヲ曲ゲテイル状態デ艤装二収マッテタノヨ」

 

「ダイタイ足ガナカッタラ生活ニ不便ジャナイ」

 

「お、おう・・・」『なんでそんなところだけ現実的なんだ』

 

「ソレニ、コウデモシナイト私ノファンガ増エスギチャッテ困チャウカラネ」

 

「それはそうだな、お前結構美少女だしな」

 

「バババッバババ、バッカジャナイノ!、アンタ、ア、頭オカシインジャナイノ////」

 

「自分で言ったんですがそれは」

 

うちの艦娘にこんなことを言うと、顔をしかめるか塩対応されるだけに、この対応はなんだか新鮮で嬉しい。

 

「ところで何をそんなに急いでたんだ?」

 

「実ハネ・・・」

 

 

少女説明中

 

 

「なんだよモテモテじゃないか」

 

「チットモ嬉シクナイワヨ!」

 

軽巡棲鬼は腕をぶんぶん振り回して抗議する。

 

「いや、すまん、単純にうらやましいなと思っただけだよ。」

 

「ソッカ、アナタ捨テラレタンダッタヨネ」

 

俺はずっこけた。

 

「古鬼のやつそんなことまで話したのかよ・・・」

 

この話題はあまり続けたくなかったので強引に話題を変えることにした。

 

「それにしてもよくこの場所がわかったな」

 

「地図ヲ読ンダノヨ、困ッタコトガアレバココニ行ケッテネ」

 

ふと俺は奴の持っていた地図に注目した、すると後ろに何か書いてあるのを見つけた。

 

「ん?後ろに何か書いてあるぞ」

 

「アラ、気がツカナカッタワ」

 

二人で地図の裏側をのぞき込んでみると、

 

『この次は甘いものをよろしくね 空母棲鬼』

 

と流暢な日本語で書かれていた。

 

「チャッカリシテルワネー、私ヲココニ寄越シタノモ空母棲姫ノ差シ金ダッタノネ」

 

「っていうか深海棲艦中に俺の名前が知れ渡ってるのかよ」

 

「アナタノトコロニイケバオイシイモノガ食ベラレルッテ評判ヨ」

 

「うちはレストランじゃないんだがな」

 

「ジャア作ッテクレナイノ?」

 

「いや、別にいいけどもさ」

 

「ジャア早ク行マショウ」

 

そういうとさっさと歩き始める軽巡棲鬼。

 

「なんだかなぁ・・・」

 

 

 

「ソレニシテモ殺風景ナ部屋ネ」

 

部屋に入るなり、軽巡棲鬼がそんなことをのたまわりやがってくれました。

 

「執務室なんてだいたいこんなもんだと思うけど?」

 

今この部屋には、提督机と作戦のための資料や参考資料が入った本棚、今はほとんど使われていない秘書机、この部屋にそぐわないシステムキッチンが置かれている。

 

こうしてみるとキッチンの場違い感が際立っている。

 

キッチンは前の提督が設置した、いわゆる家具ではないため、撤去するのも面倒なのでそのままの状態だ。

 

「ダッテ話ニキイテタノト全然違ウンダモノ」

 

「というと?」

 

「室内ナノニ海辺ガアッタリ、サンマ焼イテタリ、カボチャノ馬車ガ置イテイタリスルンデショ?」

 

「そういうのを置くのはたいていここに遊びに来る艦娘のためだからなぁ、俺には縁のないものだよ、っていうかカボチャの馬車ってなんだよ」

 

前の提督は艦娘のリクエストに応えて、ここに色々置いていたみたいだが、今のところ俺にそういう要望が来たことは一度もない。

 

「ソッカ、ナンカゴメンネ」

 

「いいよ別に気にしてないから、艦娘の要望がないから、お前の要望に応えることができるけど?」

 

「イイノ?」

 

「また来てくれるならな」

 

地味にすごいこと言ってるような気がする。

 

「ジャアコタツッテイウモノガ欲シイワ、ナンダカヨクワカラナイケド温カイモノナンデショ?」

 

「海はまだ寒いのか?」

 

「冬ノ海ナンテ最悪ヨ!モウ逃ゲ場ナンテナインダカラ!」

 

「わかった、次に来る時までに用意しておこう」

 

「ホント?アリガト、楽シミニシテルワネ♪」

 

じゃあそのカッコやめればいいのに、というツッコミはあえてしないでおいた。

 

「それじゃあ早速リクエストの甘いものをつくっていくか」

 

「何ヲツクルノ?」

 

「今回はスフレパンケーキを作ります」

 

「パンケーキ?聞イタコトナイワネ」

 

「今回使う材料はこちら」

 

 

材 料(1人分(3枚人分))

 

卵               1個

グラニュー糖          10g

薄力粉or強力粉         15g

ベーキングパウダー       1g

牛乳              10g

 

 

「材料はあらかじめ計量しておいたぞ」

 

「大マカナ量ジャダメナノ?」

 

「お菓子作りは計量が命だからな、少しでも量を間違えると大変なことになるからな」

 

「フーン、結構難シイノネ」

 

①卵を卵白と卵黄に分けて、卵白は冷凍庫に入れておく。

 

「コレヲ割ルノネ」というと軽巡棲鬼は卵を上に掲げてそのまま振り下ろそうとしたので慌てて止めに入った。

 

「待て待て待て、そんなダイナミックにやったら殻が入ってしまうぞ」

 

「コレジャアダメナノ?」

 

「卵の真ん中あたりを軽くぶつけてヒビを入れて、二つに割って」

 

「コウ?」

 

今度は弱めの力で卵をボウルの角にたたきつけるも、卵は割れない。

 

「もうちょっと強く!」

 

「コウ?」

 

今度は、卵の真ん中にひびが入った。

 

「そこから手でぱかっとやっちゃって」

 

「ア、デキタデキタ、中ニ透明ナノト黄色ナノガアルワネ、コレガ”卵黄”ト”卵白”ナノネ」

 

「卵白はこっちのボウルに入れてくれ、冷凍庫に入れるから」

 

「次に卵黄と牛乳と薄力粉(強力粉)とベーキングパウダーを混ぜ合わせるぞ、粉っぽくなくなったらOK」

 

 

 

②冷凍庫から卵白を取り出しメレンゲを作る

 

「冷凍庫ニ入レテタノハ何カ意味ガアルノ?」

 

「こうしておくとメレンゲが作りやすくなるんだって」

 

「フーン、トコロデメレンゲッテ何?」

 

「白くてフワフワしたもの、まあとりあえず作ればわかるか」

 

そういうと俺は、あるものを取り出した。

 

「ナニコレ?ドリル?ミタイノガクッツイテイルワネ」

 

「それは泡だて器ってやつだ、そこのスイッチを押してみな」

 

「ココ?」ギュイイイイイイン「ウワッナンカ回リハジメタワヨ!」

 

「それを卵白のボウルに入れてみな」

 

「スッゴーイ、ナニコレ、スッゴイ混ザッテルンデスケド!?」

 

「ここにグラニュー糖を3回に分けて加えながらそのままずっと混ぜ続けてると」

 

「アッ、ナンカフワフワシハジメタワヨ」

 

「それがメレンゲだ」

 

 

③①の生地に③のメレンゲを混ぜ合わせる

 

「ここは一気に混ぜ合わせるのではなく、3回に分けないとだめらしい」

 

「マッタリ?モッタリ?フッサリ?シテルワネ、コノ時点デオイシソウ」

 

「わかる、つい舐めたくなっちゃうんだよなあ」

 

 

④フライパンに油を薄く敷いて温めて、濡れ布巾でフライパンを冷やしたのち生地をこんもりのせる

 

「スプーンで1か所に2回ずつ乗せていくんだ」

 

軽巡棲鬼にスプーンを渡してやり、二人で生地を乗せていく。

 

「デキタデキタ、コンナ感ジデドウ?」

 

同じ生地の塊が6つ出来上がった。

 

「あ~いいっすね、ここに熱湯を注ぎ、蓋をして弱火で2分ほど焼きます」

 

 

2分後

 

 

⑤ひっくり返したのち、再度お湯を入れて蒸気焼きをする。

 

「ひっくり返してみるか」

 

「エッ、イイノ?」

 

「はい、これ」軽巡棲鬼にフライ返しを渡してやる。

 

「ゆっくりでいいからな」

 

「セーノッ、ヤッタヒックリカエッタ!ケド、ホカノ生地ニクッツイチャッタ!」

 

「大丈夫、おーいい色だな」

 

「ソウネ、ナンカ高クナッテルヨウナ気モスルワネ」

 

「それじゃ片面も焼くぞ」

 

 

⑥完成!盛り付け

 

側面をへらで触ってみる、生地はついてこない、こんなところかな。

 

「よし、それじゃ盛り付けていくか、皿持ってきて」

 

「ハイ、コレ」

 

「ここに粉砂糖を振りかけていきます」

 

「ワー、キレイ」

 

「そこにはちみつをかけて、完成だ!」

 

「ワー、オイシソウ!」

 

 

試食タイム

 

「それではいただきまーす『イタダキマース』」

 

軽巡棲鬼がパンケーキにナイフを入れると、しゅわしゅわした生地が飛び出してきた。

 

「ハグッ、モグモグ、中もフワシュワデオイシー、コノハチミツッテノモナカナカイケルワネ!」

 

食べているときの軽巡棲鬼の顔は、本当にいい顔をしている。

 

どうやら女の子が甘いもの好きというのは深海棲艦でも同じらしい。

 

「それじゃあこんなのはどうかな」

 

そこで俺はホイップクリームと、チョコクリームと、イチゴソースを取り出した。

 

ちなみにホイップクリームは作るのが面倒なので市販のものだ。

 

「チョット!ソンナモノダスナンテ卑怯ヨ!、コレハ証拠物件トシテ没収スルカラナ~ムシャムシャ」

 

そういうと軽巡棲鬼は残りのパンケーキにそれぞれのクリームをかけ、あっという間に平らげてしまった。

 

「アーオイシカッター、デモモウチョット欲シイカモ」

 

「それじゃもう一回作ってみるか?お土産の分もつくらないといけないし」

 

「ソウネ、ソノコトスッカリワスレテイタワ」

 

「それじゃチャッチャとやってしまいますか」

 

 

 

その後は、ホットプレートも使ってひたすらパンケーキを作り続け気が付くと

 

「うおっ!エライことになってるな」

 

「エッ、ナニナニ、ナンカマズイコトデモアッタノ!?」

 

「これを見ろ」

 

そういって俺は時計を軽巡棲鬼に見せた。

 

「モウコンナ時間ナノ!?、夢中ニナッテテチットモ気ガツカナカッタワ」

 

時刻は9時、3時ごろから作り始めたので、すでに6時間も経っていることになる。

 

「デモ結構作ッタワネー」

 

「あ、お前さ、棲鬼さ、連絡っていうのはいつ来るんだ?」

 

「ン?、ソウイエバ・・・・ゲッ!」

 

急に軽巡棲鬼の顔が青くなった。

 

「おい、どうした?」

 

「2時間前カラ、ズット通信ハイッテタノ気ヅカナカッタワ」

 

「早く連絡した方がいいんじゃないのか、それは」

 

「ソ、ソウネ!」

 

あわてて、仲間に連絡を入れる軽巡棲鬼。

 

「ア、私ヨ軽巡棲鬼ヨ、連絡ガ遅レテゴメン、ソレデ今ドコニイルノ?、防波堤ノ近ク?、ワカッタワ今ソッチニイクカラ」

 

どうやら話はまとまったらしい。

 

「迎エガキタミタイダカラ、私モウ行クネ」

 

「そうか、それならお土産の準備をしないとな」

 

それから二人で大慌てで、出来上がったパンケーキをタッパに詰めて、ホイップクリームとイチゴソースとチョコレートソースもついでに入れて、それらを袋に入れると急いで防波堤のところまで走っていった。

 

防波堤まで近づいたきた時、二つの人影が見えた。

 

「ア、悪雨サン、来マシタヨ」

 

「オ姉サマ!」

 

「ゴメンゴメン遅クナッチャッタワ」

 

人影の正体は重巡リ級と駆逐棲姫だった。口ぶりから察するに、軽巡棲鬼と駆逐棲姫は姉妹で、リ級はその付き添いといったところか。

 

「連絡ガナカッタンデ心配シマシタヨ」

 

「ツイ楽シクナッチャッテ時間ヲ忘レテタワ」

 

「オネエサマガ楽シソウデナニヨリデス」

 

二人は俺の存在に気付くと、こちらに話しかけてきた。

 

「アナタガ提督サンデスネ、オネエサマガオ世話ニナッタミタイデアリガトウゴザイマシタ」

 

駆逐棲姫、見た目が春雨に似ていることから悪雨と呼ばれているが、なんだか気の弱そうな、優しそうな目をしている。

 

とても艦娘を苦しめ続けてきたとは思えない。

 

「夕べハオ楽シミデシタネ」

 

人懐っこい、いや、ゲスイ笑顔を浮かべながら黒いビキニ姿でショートヘアの少女、重巡リ級が話しかけてきた。一体どこでそんなネタを仕入れてくるのやら。

 

「夕べじゃねえよ!日帰りだよ!・・・俺は何を言ってるんだよ!そういうことじゃねえよ!」

 

「ソウイウコトッテドウイウコトナンデスカ~~?」

 

「うぜぇ!」

 

「アンタネェ、妹ノ前デ下ネタハヤメナサイ!」

 

「アノ、一体何ノコトナノデショウカ・・・?」

 

「「「そんなこと知らなくていいから」」」

 

「ハ、ハァ・・・」

 

若干気まずい空気になったので、俺は話題を変えることにした。

 

「そっちの騒ぎは片付いたのか?」

 

「基地ガメチャクチャニナッテ、今3人ソロッテ中枢棲姫様ニオ説教食ラッテルトコロダ」

 

「え、何それは・・・(ドン引き)」

 

「ハァ~~~(クソデカため息)」

 

これには軽巡棲鬼もあきれ気味だったが、意を決したように言い放った。

 

「私ガ(基地を)立タシテヤルカ、ショウガネエナァ(孫悟空)」

 

「私モオ手伝イシマス、オ姉サマ!」

 

「イイゾ~コレ、二人トモソノ意気デスヨ」

 

基地が壊れた理由がアホな理由なのに何で盛り上がってるんだろう、という言葉を飲み込みつつ俺はそんな3人に向かって持っていた袋を差し出した。

 

「アノ、コレハ一体?」

 

「俺と軽巡棲鬼で作ったんだ、よかったらみんなで食べてくれ」

 

「味ハ私ガ保証スルワヨ!」

 

軽巡棲鬼が胸を張って言った。

 

「俺も作ったんだけどな」

 

「アリガトウゴザイマス、提督サン」

 

「世話ニナッタワネ」

 

「イロイロアリガトナー」

 

3人はそれぞれお礼を言いながら去っていった。

 

そうして見送りが終わったところで俺は重大な問題に気が付いた。

 

「あ、そういや料理に夢中で碌に執務できてなかった」

 

どうやら今夜は徹夜になりそうだ。

 

若干うんざりした気分で俺は帰路についた。

 

 

 

深海サイド

 

戦姫「・・・・・」(正座中)

 

戦水「・・・・・」(正座中)

 

レ級「・・・・・」(正座中)

 

中枢棲姫「ドウイウコトカワカッテンデショウネ」

 

戦姫「イイジャンヨー、ドウセこのssシリアス入レル気ナインダカラサー」

 

戦水「ソウワヨ!(便乗)次回ニハ何事モナカッタヨウニ戻ッテルッテ」

 

中枢「メメタァ!ソウイウ問題ジャナイデショ!ヲ級チャンニマデ迷惑カケテ!」

 

レ級「ヲ級ノ服奪ッタノコイツラジャナイカー、僕関係ナイジャン!」

 

中枢「全員同罪!」

 

ヲ級(タオル1枚)「アノ、私ハモウ気ニシテナイカラ許シテアゲテ・・・」

 

中枢「ソウネェ・・・、ヲ級チャンニ免ジテ今回ハ許シテアゲルワ」

 

  「タダシ!」

 

  「基地ノ修理ニ必要ナ資材ハ全部アンタタチデ集メテクルノヨ!」

 

3人「ソンナァ~」

 

軽巡棲鬼「タダイマー今帰ッタワヨー、ッテ本当ニメチャクチャニナッテルワネ」

 

駆逐棲姫「遅クナッテシマッテ申シ訳アリマセン」

 

重巡リ級「ヤルコトガ派手デスネ~」

 

中枢「オカエリー、提督ノトコロハ楽シカッタ?」

 

軽「エエ、オカゲサマデネ」

 

 「ソウソウ、ミンナニオ土産ヲ持ッテキタノヨ」

 

中枢「ヘェ、甘クテイイ匂イガスルワナェ」

 

軽「勿論ヨ、ナンテッテタッテ私ノ手作リダカラネ!」

 

戦姫「ダニィ!?」

 

戦水「ナカノチャンノ」

 

レ級「手料理ダッテーー!」

 

軽「ナ、ナニヨ・・・」

 

戦姫「オ願イシマス!私ニソレヲオ恵ミクダサイ!」

 

軽「エードウシヨッカナー、アンタタチニハ散々迷惑カケラレテルワケダシー」

 

戦姫『ソウカ、ナカノチャンハ誠意ヲミセロトイッテルンダワ、ダトスルトヤルコトハ一ツ!』

 

戦姫「ナカノ様足ヲオ舐メシマス!」

 

戦水「私ハ手ヲオ舐メシマス!」

 

レ級「僕ハ鎖骨ヲ」

 

軽「チョ、何シテンノヨアンタタチ!ヤメ、ソンナ所舐メテンジャナイワヨ!」

 

?「待チナサイ!勝手な真似ハサセナイワヨ!」

 

軽「鶴棲姫!助ケニキテクレタノネ!」

 

タ級「ワタシハ耳ヲオ舐メシマス!」

 

ル級「ワタシハ脇ヲオ舐メシマス!」

 

鶴「ワタシハクチヲオ舐メシマス!」

 

軽「ギャー!助ケテー!!!」

 

駆「キャー!オ姉様ーーー////////」

 

リ級『キャー!トカ言イナガラ手ノ間カラバッチリ見テル・・・』

 

 

げんこつ×6

 

 

中枢「イイカゲンニシナサイ」

 

6バカ「ドウモスイマセンデシタ」

 

?「随分ニギヤカネ、ナカノチャンガ帰ッテキテルノ?」

 

中枢「空母棲姫、アンタ今マデドコニイタノヨ、コノ大変ナ時ニ」

 

空「チョットネ」

 

中枢「アー、サテハメンドクサクナッテ逃ゲ」

 

空「マアマア、細カイコトハイイジャナイノ、ソレヨリナカノチャン例ノアレハ?」

 

リ級『レ級サン呼ンダ空母棲姫サンニモ問題ガアルヨウナ気ガスルンダケドナア』

 

軽「アタシヲ提督ノ所ニ差し向ケタノモアンタノ差シ金ダッタトハネ、マッタク」

 

空「悪カッタワヨ、ドウシテモ甘イモノガ欲シクナッタノヨ、アナタタチモソンナトコロニ座ッテナイデミンナデ食ベマショ」

 

軽「ショウガナイワネェ・・・」

 

 

 

駆逐古鬼「提督ガマタオイシイモノヲツクッタト聞イテ」

 

駆逐古姫「シュワフワシテウマイナ」

 

深海鶴棲姫「ヤッパナカノチャンノ手料理ハ最高ヤナ!」

 

タ級「ハフハフハフッ!」

 

ル級「モッチャモッチャ、ンンフーーー!!」

 

レ級「シュワフワスパークLOVE☆」

 

戦姫「(満腹中枢を)モット突イテクレヨ、オラァン!」

 

戦水「(うますぎて)逝キスギィ!」

 

軽「キモイ食べ方シテンジャナイワヨ!」

 

離島棲鬼「紅茶淹レタワヨ」

 

駆逐棲姫「アリガトウゴザイマス、紅茶トヨクアイマスネ」

 

ヲ級(タオル1枚)「コレヲツケテ食ベルトモットオイシイデスヨ」

 

軽巡棲姫「ナンデヲ級サンハタオル1枚ナンデスカ?」

 

ヲ級「サッキノ騒ギデ燃エチャッタ、ウゥ~~」

 

北方棲姫「ワタシコノ白イフワフワシタヤツガ好キ!」

 

潜水新棲姫「ワタシハチョコガイイナ」

 

集積地棲姫「私ハコノイチゴソーストイウノガイイナ、コノ甘酸ッパイノガ気ニイッタ」

 

リ級「ヤッパリワタシハ王道ヲ行クハチミツ系デスカ」

 

空母棲姫「ウン!オイシイ、ウチニハ甘イモノナイカラアリガタイワネー」

 

中枢「コレハ是非オ礼ヲシナクッチャイケナイワネェ」

 

 

 

その後も大勢の深海棲艦が押し寄せ、

 

軽「ア、モウナクナッチャッタ」

 

戦姫「エエーーー!!」

 

戦水「ヤダー!」

 

レ級「モット食ベタイーーー!」

 

軽「ソンナコトイッタッテナイモノハショウガナイジャナイ」

 

鶴「ソウヨ!ナカノチャンノ料理ガナケレバナカノチャンヲ食ベレバイイジャナイ!」

 

6バカ「ソレダ!」

 

軽「ソレダ!ジャナイワヨ!」

 

ル級「チョウドココニハチミツモアルコトデスシ」

 

タ級「私ハホイップクリームノ方ガイイナ」

 

軽「フザケンナ!ヤメロバカ!」

 

駆「アレ?袋ノ中ニマダ何カ入ッテマスヨ?」

 

悪雨が袋の中を探ると、クラッカーと手紙が出てきた。

 

『あまったホイップクリームやハチミツはこれにつけて食べるといいぞ  提督』

 

空母「味ナ真似ヲシテクレルジャナイ」

 

ワルサメ「コレデマダ美味シク食ベラレマスネ」

 

レ級「僕ハソレヨリモナカノチャンヲ食ベタイナー」

 

軽「ダマレ!」

 

離島「ソウヨ!食ベルンナラ私ヲ食ベナサイヨ!」

 

6バカ「オマエハイラン!」

 

離島「ナンデダヨ!」

 

 

 

提督「あいつら喜んでくれくれてるかなー」

 

俺は遠く離れた深海棲艦に思いをはせながら、真夜中の執務に取り掛かるのであった。

 

もちろん手伝ってくれる奴はいない。

 

 

 

試食タイム終了後

 

中枢「ソレジャアイタダククトスルカイッヒッヒ」

 

空母「ヤッパリソウイウコトダッタノネ」

 

中枢「ナ、何ノコトヨ」

 

空母「ビデオ、マダ回ッタママダッタノヨネェ」

 

中枢「シ、シラナイワヨ!」

 

空母「ポチットナ」(再生ボタン)

 

ビデオ「チョ、何シテンノヨアンタタチ!ヤメ、ソンナ所舐メテンジャナイワヨ!」

 

空母「ナンナンダァ、今ノハ?」

 

中枢「イヤ、コレハ、ソノ、イ、オ前ト一緒ニ視聴スル準備ダァ!」

 

空母「一人用ノパッドデカァ?」

 

中枢「ヤメロォ!空母棲姫!落チツケェ!」

 

空母「出来ヌゥ!!」(空母カットイン)

 

中枢「自分ノ娘(?)ニ殺サレルトハ、コレモ深海棲艦ノ定メカ・・・」

 

 

 

艦載機「やっぱり中枢棲姫様もHENTAIの一人だったということですね」

 

憲兵「空いた口がふさがりませんな」

 

北方棲姫「カエレ!」

 

 

5-5

 

泊地棲姫「ドォリャアアアア!!」

 

※グラーフ「おおっ!見事なコブラツイスト!」

 

※ビスマルク「ギャアアアアアア!グラーフ!感心してないで助けなさいよ!!」(大破)

 

※グラーフ「助けろって言われたって・・・」

 

泊地「ソウハサセルカ!」

 

※グラーフ「ぎええええええっ!」

 

※泊地「見タカ、会心ノジャーマンスープレックス!」

 

※グラーフ「ぐえっ、まいった・・・」(大破)

 

泊地「ダッシャア!!」

 

※瑞鶴「まともに戦いなさいよ!砲撃戦とか航空戦とか夜戦とか!」

 

泊地「砲撃戦トカ航空戦デ勝テルワケナイダロ!イイカゲンニシロ!」

 

※飛龍「ええ・・・」

 

泊地「ワタシダッテナァ、好キデ低スペックジャナインダヨオオオオオオ!」(号泣)

 

(※がついているのは別の鎮守府の艦娘だということです。)




遅くなり申し訳ございません。
5周年ということで1万字超えという大ボリューム(無駄に長いだけともいう)になりました。
しかし、今回もほぼ深海棲艦メインになってしまいました。
こっちのほうが書いてて楽しいから、仕方ないね。
軽巡棲鬼の呼び方は、色々調べていると那珂+阿賀野でナカノというのがあったので参考にさせていただきました。
軽巡棲姫の呼び方も深通にしてみましたがいかがでしたでしょうか?
それは嫌だという意見があれば、普通に軽巡棲鬼、軽巡棲姫と呼ぶようにします。
あと、行間を1行ずつ開けるようにしているのですが、詰めたほうがいいですか?
読みにくいていうのであれば、次からできるだけ詰めて書くようにしたいと思います。





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重巡リ級とコスプレ その1

艦娘交流期 その4

今日は珍しく朝潮が手伝いに来てくれた。
お礼を言うとまた塩対応されるんだろうなーと思いつつ、ありがとうと言うと「いえ、提督が例えどんな人であろうとも、真摯にお仕えするのが艦娘の役目です!」と真面目な顔で言われた。
全然うれしくなかった。
そんな朝潮は17時になると、とっとと帰っていった。

終わり


一体どうすればいいんだ・・・、俺はいつものベンチで苦悩していた。

 

話は数時間前に戻る。

 

 

 

いつものように艦娘に遠征の指示を出して、デイリー任務も終わらせ、あとは適当に執務をこなして終わりかと思いきや重大なことに気がづいた。

 

「ああああああ!今日は他所の提督と打合せがあるの忘れてたああああああ!」

 

今日の会談には秘書官を連れて行かないといけないというのに、頼むのを忘れてしまうという愚行を犯してしまった。

 

前にも言ったと思うが、俺がこの鎮守府に来てから大勢の艦娘が出て行ってしまい、少しでも艦娘をとどまらせるために彼女達には最大限の配慮をしてきたつもりだ。

 

ブラック鎮守府がはびこるこの昨今、週休二日、有給休暇あり、勤務時間は午前8時から午後17時まで、残業は無しと極力ホワイトな鎮守府を心掛けてきた。

 

こういう時はもっと早くに頼んでおけばよかったのだが忘れていたために、彼女達にとっては予定外の残業になることは間違いない。

 

ただでさえ低い好感度をこれ以上下げるわけにはいかないので彼女等に残業なんかさせるわけにはいかない、それが俺のミスのせいならなおさらだ。

 

しかし今回ばかりは背に腹は代えられない、こうなったら嫌われるのを覚悟のうえで残業を頼むしかない。

 

普段から好き好んで俺の秘書官をやろうなんて奴はいないので頼みにくいったらありゃしない。

 

というわけで俺は高雄、愛宕の部屋の前までやってきた。

 

高雄達なら(この鎮守府内では)比較的やさしいので多少の無茶なお願いも聞いてくれるだろうと思い、いざ彼女等の部屋に入ろうとした時部屋の中から話し声が聞こえてきた。

 

高雄「ねぇ愛宕、私の恰好変じゃないかな?」

 

愛宕「そんなことないわよ、似合ってるわよ。△□提督もきっと喜んでくれるわよ」

 

高雄「あー、ものすごく緊張してきたわ~」

 

愛宕「今からそんな調子だと先が思いやられるわねぇ。こうなったら私一人で行こうかしら?」

 

高雄「ダメよ!抜け駆けは許さないわよ!」

 

愛宕「ふふっ、冗談よ」

 

高雄「まったく・・・」

 

どうやら仕事終わりでよその提督とデートに行く約束をしていたようだ。

 

楽しみにしていたデートをぶち壊しにしてまで仕事を頼む勇気は俺にはなく、そっとその場を立ち去った。

 

そして冒頭に戻る。

 

 

 

「どうすりゃいいんだ、もう打つ手がない・・・。」

 

ここでこうしていても何も解決しないとわかってはいても、どうしていいかわからない。

 

と、海の向こうから何かが、深海棲艦が近づいてくるのが見えた。

 

たいして驚かない当たり感覚がマヒしてるんだろうな、きっと。

 

あ~いっそのことこのまま殺してくれないかな~などとアホなことを考えている間にそいつは俺の目の前までやってきた。

 

「ヨウ提督!、久シブリ」

 

と気さくに話しかけてきたのは、重巡リ級だった。

 

「おう、この前のお菓子は気にいってくれたか?」

 

リ級「アア、トッテモオイシカッタヨ、アリガトウナ」

 

そういってニッコリ笑うリ級の笑顔につられてこっちも笑顔になってしまう。

 

落ち込んでいた俺の心が少しだけ癒された。

 

リ級「今日ハコレヲ返シニ来タンダ」

 

そういって渡したのはこの前お菓子を入れていたタッパだった。

 

「これをわざわざ届けに来てくれたのか?」

 

リ級「エット、ソレデ、コンナコト言ウノモアレナンダガ、モシヨカッタラ、マタ来テモイイカナンテ・・・」

 

リ級はなんだか言いにくそうにその言葉を絞り出した。そんなリ級に向かって俺は、

 

「別にいいぞ」と言ってやった。

 

リ級「イイノカ!?私タチハソノ・・・」

 

「敵同士って言いたいんだろ?同じ釜の飯、いやお菓子?、を食ったんだからもう敵同士じゃないよ。いつでも歓迎するよ。」

 

リ級「アリガトウ!ミンナ喜ブト思ウゾ!」

 

ん?今なんて?

 

「みんなってどういうこと?」

 

リ級「前作ッテクレタオ菓子ガ大好評デナ、是非提督ニ会ッテミタイッテヤツガタクサンイルンダヨ」

 

「え、なにそれは・・・」

 

リ級からとんでもない発言が飛び出した。

 

もしかしたら取り返しのつかないことになっているのかも。

 

「来るのはいいけど艦娘には気づかれないようにしろよ?」

 

リ級「エ?奴ラハコノコト知ラナイノカ?」

 

「こんなこと言えるわけないだろう!?」

 

深海棲艦と仲良くしてるなんてことが艦娘に伝わって、それが大本営に知られた日には何が起こるかわからない。

 

俺はさっきの発言が軽はずみだったかもしれないと若干後悔した。

 

リ級「トコロデサア、遠クカラ見テタンダケド、何ヲソンナニ落チ込ンデイタンダ?」

 

リ級の言葉で俺は肝心なことを思い出した、そうだったのんきに話なんかしてる場合じゃなかったんだ。

 

コイツに話したところでどうにかなるとは思わないけどとりあえず事情を話してみることにした。

 

「実は・・・」

 

 

提督説明中

 

 

リ級「ソウカー、オ前モ大変ナンダナ」

 

「ああ」

 

俺の横に座っているリ級が同情の目で俺を見る。

 

どうにもならないことは分かっていたけど、こうして話を聞いてくれる奴がいるだけでもうれしかった。

 

「そういうことだから、来てくれたばかりで悪いんだけど今日はこの辺で・・・」

 

こうなったら休暇中の奴に声をかけてみるか、と思っていたら

 

「僕ニイイ考エガアルゾ」

 

リ級ではない別の声がした。

 

「ヤア提督!ハジメマシテ!」

 

白い肌に黒いフードをかぶった少女、レ級が目の前に現れた。

 

リ級「レ級サン、来テタンデスカ!」

 

レ級「リ級ガ一人デ提督ノ所ヘイッタッテ聞イテ追ッカケテキタンダ、ナンカオイシイモノ食ベラレルカナト思ッテ」

 

リ級「マタ泊地棲姫サンニ留守頼ンダンデスカ」

 

レ級「アイツハ逮捕サレタ」

 

「は?逮捕?なんで?」

 

 

5-5

 

憲兵1「警察だ!(インパルス板倉)」

 

泊地「ハ?」

 

 

逮捕状

罪状 無断で通常海域に出場した

罰  島流し(アーケード)

 

 

憲兵1「じゃあ署までつ、連れていきます。」

 

泊地「何スンダオ前!流行ラセコラ!」

 

憲兵2「動くんじゃない! 押さえろ!」

 

泊地「流ラセコラ!流行ラセコノ!ムーミン野郎!(人違い)放セコラ!」

 

挑戦者が現れました

 

泊地「何ダオ前!?」

 

憲兵3「3人に勝てるわけないだろ!」

 

泊地「バカ野郎オ前俺ハ勝ツゾオ前!オ前ラニュートリノダカラナオ前!ドケオ前!コラ!」

 

憲兵1「あぁもう…!もう抵抗しても無駄だぞ!」

 

泊地「ヤメロォ(建前)ナイスゥ(本音)」

 

 

 

レ級「5-5ガ許可申請シナイトイケナカッタナンテ知ランカッタ」

 

リ級「ッテイウカ本来アソコニイチャイケナ人デショウガ!大丈夫ナンデスカ、泊地サン連レテイカレチャイマシタヨ!」

 

レ級「実ハサッキ泊地カラ連絡ガアッテ、コッチハ待遇ガイイカラシバラクコッチデ働クコトニスル、ダソウダ」

 

リ級「マア本人ガイイナラソレデイイデスケド・・・」

 

レ級「モウスグイベントガ終ワリソウダカラ、マタ戻ッテ来ルッテ」

 

「深海勢もいろいろ大変なんだな」

 

 

深海棲艦の妙にリアル(?)な一面を知ってしまった。

 

「ところでさっきのいい考えっていうのは何なんだ?」

 

と俺がレ級に尋ねると、レ級は2着の服を取り出した。

 

「これは高雄と、雷の服?」

 

俺はレ級の考えている作戦がすぐに分かってしまった。

 

レ級「ソウ、僕タチガ艦娘ニ変装シテ提督ノ秘書官二ナルンダ!」

 

「マズイですよ!いくらなんでもそれは、絶対にばれるって!」

 

リ級「アノ、僕タチッテ私モヤルンデスカ・・・?」

 

レ級「アタリマエダヨナア」

 

「この服は一体どこから持ってきたんだよ」

 

レ級「ドロップ艦カラ剥イデ来タ」

 

リ級「ファッ!?ナンテコトヲ・・・」

 

レ級「大丈夫ダ、中身ハ新人提督ノ所ニ送ッテオイタカラ元気デヤッテルハズダ、多分」

 

「100歩譲って格好は何とかなるとして、声はどうするんだよ」

 

レ級「ア、それなら問題ないよ」

 

「えっ、お前らはまともに喋れたのか!?」

 

突如レ級が普通にしゃべりだしたのでびっくりしてしまった。

 

レ級「んーとね、中枢棲姫がね、片言で喋ったほうが未知の生物っぽくてカッコイイからって」

 

「すごい理由だな」

 

リ級「まさかこんな形で発覚するとは思わなかったよ」

 

レ級「それでどうするんだ、提督?」

 

 

やることが無茶苦茶だなあ、とは思いつつも俺のためにここまでしてくれることがうれしかった。

 

どのみち秘書官無しで行ったら、艦娘に慕われていない無能指揮官とバカにされるのがオチだ。

 

ここはレ級の作戦にのっかってってみることにする。

 

「分かった、レ級、お前にまかせるよ」

 

レ級「よーし、作戦開始だー!」

 

リ級「大丈夫かなあ・・・」

 

 

少女着替え中

 

 

改めて着替え終わったレ級とリ級を見てみる。リ級が高雄の服を、レ級が雷の服を着ている。

 

「うーん、やっぱり無理があるような気がするんだがなあ」

 

レ級「そうか?」

 

リ級は顔をマスクでごまかせばギリギリ行けそうな感じはしないでもないが、レ級に至ってはまんまレ級が雷の服を着ているだけにしか見えない.

 

「レ級はお留守番ということに」と俺が言うと

 

レ級「やだやだやだやだ!僕も陸地に行きたい~~!」などと駄々をこねてしまった。

 

リ級「レ級さんそっちが本音だったんじゃ」

 

レ級「うっさい!」

 

発案者のレ級をこのまま置いていくのもさすがにかわいそうなので、

 

「個性ってことにしとくか」

 

リ級「それは無理があるんじゃないのか?」

 

そんなリ級に俺はレ級の前髪を指してこう言った。

 

「ほら、ここの部分雷の前髪にそっくりだろ」

 

リ級「ん~確かに似てるっちゃ似てるけど、よく見ないとわからないな~」

 

「あとヘアピンの部分とか」

 

リ級「だからよく見ないとわからないってば」

 

「しょうがないだろ、ここぐらいしか共通点ないんだから」

 

レ級「よーし!今日から僕は雷だー!ガンガン行くわよ!ついてらっしゃい!」

 

それは霞だ。急に不安になってきたので、

 

 

「出発までまだ時間があるから、今のうちに予習しておこう」

 

「「予習?」」

 

「そうだよ、このまま行ったんじゃ少し話しただけで偽物だとバレる恐れがあるからな」

 

レ級「ふーん、で何をすればいいんだ?」

 

「まずは自己紹介から始めてみようか。おれが向こうの提督の役をやるからそれに対して返してみてくれ」

 

レ級「うん、わかったやってみる!」

 

 

鎮守府に到着した、向こうの提督さんにあいさつしないといけない

 

リ級「えーと、私は高雄といいます、本日はお日柄もよく・・・」

 

「いや結婚式に行くんじゃないから」

 

レ級「結婚?リ級結婚するのか?」

 

リ級「はああああああああああああああ!?意味わかんないんですけど!?」

 

レ級「おう、どうしたホモの兄ちゃん」

 

リ級「ホモでも兄ちゃんでもありません!」

 

レ級「結婚は否定しないんだ」

 

リ級「ぶちますよ!!」

 

「ええっと、じゃあ次はレ級行ってみようか」

 

 

レ級「やっほー、おはこんちゃー、僕は雷だよ、今日はよろしくね!」

 

「今度は馴れ馴れしすぎだ!、なんだよおはこんちゃーって」

 

レ級「おはよう、こんにちは、こんばんは、の3つのあいさつを組み合わせた便利なモノだ!」

 

リ級「レ級さん、今から行ったんじゃ夕方ごろになるからこんばんはとおはようはいらないですよ」

 

レ級「あ、そっかぁ」

 

「そういう問題じゃないよ、っていうか二人とも自分の名前はきちんと名乗らないといけないな」

 

「「名前?」」

 

レ級「雷じゃだめなのか?「土井義春です」とか言ったほうがいいのか?」

 

「全然違うじゃねえか!土井義春のどこに雷の要素があるんだよ!」

 

リ級「私は高雄・D・ベルモンドと申すものでございます!」

 

「外国の名前にしろってわけじゃねえよ!、吸血鬼でも退治しに行くのかよ!」

 

レ級「Dってなんだ?」

 

リ級「土井義春」

 

「土井義春から離れろよ!そうじゃなくて、雷だったら「暁型3番艦雷」とかそういうことだよ」

 

レ級「幼女型駆逐艦2年4組雷波子です、今日はよろしくお願いします!」

 

「別に学校に行ってるわけじゃないから、幼女型ってなんだよ」

 

レ級「確かこんな感じだったと思うんだけど(うろ覚え)」

 

リ級「高雄型1番艦重巡洋艦 高雄です、今日はよろしくお願いします」

 

「そうだよ、そんな感じだ」

 

レ級「えーと、『暁型』暁型2番『3番』、3番艦いか『駆逐艦』駆逐艦雷だ、ですわよ」

 

「う~ん少し不安だなあ、もう少し練習してみるか」

 

?「伊号第十九潜水艦19だよ、イクって呼んでほしいなの!」

 

なんか別の方向から声がした、気が付くと二人の横にスク水を着た黒髪でツインテールの女性が立っていた。

 

リ級「カ級いつの間に!?」

 

カ級「海底からずっと見てた、何か面白そうなことやってたから私も混ぜてくれないかなって」

 

声の正体は潜水艦のカ級だった。

 

「もしかして、一緒に地上にいきたいってこと?」

 

俺の問いかけにカ級はコクンとうなずいた。

 

 

普段は上半身だけしか上に出していないので全身を見るのはこれが初めてだ。

 

「普段からそんなスク水着てるのか?」

 

カ級「この日のために用意した、あと髪型も似せてみた」

 

水着のところに19と書いてあるが・・・

 

「19のつもりなんだろうけど、どう考えても無理だって!」

 

カ級「胸は私の方が大きい!」

 

「知らないよ、肌の色も髪の色も違うだろ!」

 

レ級「だったら新種の潜水艦ってことにすればいいんじゃない?」

 

リ級「肌の白い潜水艦もいることですしねぇ、ユーキャン?だったかな」

 

「それはゆーちゃんだよ、っていうか新種の潜水艦なんかいたら大本営に連れていかれるぞ」

 

カ級「はーいカク、掻くのー(ポリポリ)」

 

「尻を掻くな!19がそんなこと言うわけないだろ!いいかげんにしろ!」

 

カ級「水中からよく見てるけどしょっちゅうかいてたよ、水着の中に指を突っ込んでこう」

 

「そんなこと聞きたくなかった!」

 

カ級「かいーのー」

 

「古い!」

 

レ級「人間外見よりも中身だぞ」

 

「そういう問題じゃないだろ、完全に別人だからね!」

 

リ級「ま、まあとりあえずテストしてみればいいんじゃないかな?」

 

「しょうがねぇなぁ(孫悟空)、じゃあ次は正体がばれたときの対処をやってみようか」

 

 

「おまえリ級だろ!」

 

リ級「ち、違いますよ、あなた何を言ってるんでございますか!私は重巡高雄ですわよ」

 

「お前みたいな艦娘がいるわけないだろ!逮捕だ!」

 

リ級「いやちょっと待てくださいよ~、ここはこれで何とか穏便に・・・」

 

とリ級が俺の手に何かを握らせてきた。

 

「え、なにこれは、ハマグリ?もしかして賄賂のつもりなのか?」

 

リ級「酒蒸しにするとうまいぞ」

 

「お前は漁師か!普通はお金だろ」

 

リ級「だってお金なんか持ってないもん、それに人間はこれが大好物なんだろ?」

 

「いや、好きな人もいるにはいるけど」

 

カ級「リ級ちゃん、これバカガイだよ」

 

リ級「見つからなかったんだよ、マグロにすればよかったのかな?」

 

「それマグロの方が難しいだろ絶対」

 

レ級「わかった!マグロで殴って気絶させればいいんだ、そしてその間に逃げると」

 

「やめてください死んでしまいます。種類の問題じゃないよ、とにかく賄賂はだめです」

 

 

レ級「それじゃあ、僕がやってみるね」

 

「よーし、それじゃあいくぞ、お前レ級だろ!」

 

レ級「なんぼのもんじゃい!」

 

「いや、お前レ級だ」

 

レ級「なんぼのもんじゃい!」

 

「いや、だから」

 

レ級「なんぼのもんじゃい!!」

 

「あの」

 

レ級「なんぼのもんじゃい!!!」

 

「わかりましたよ、こちらへどうぞ」

 

リ級「ひどいゴリ押しだなあ、っていうかごり押しでなんとかなるものなの?」

 

「だって戦艦レ級にこうやって迫られたらうなずかざるを得ないよ、怖いんだもん」

 

カ級「それって脅迫っていうんじゃ・・・」

 

レ級「なんぼのもんじゃい!」

 

「いやそれはもういいから」

 

リ級「カ級ちゃん行け!」

 

 

 

「おまえカ級だろ!」

 

カ級「違います!私深海棲艦なんかじゃありません!」

 

「嘘つけ!お前どっからどう見ても深海棲艦じゃないか!捕まえてやる!」

 

「ねぇ、お願い見逃して」(スク水の肩紐を外しつつ)

 

「合格!」

 

思わず叫んでしまった、童貞であるが故の悲しき性か。

 

リ級「は?」

 

レ級「ふざけんな、公平じゃない!」

 

「いや、今のは不可抗力というか、ほんのついで」

 

レ級「あーもうあったまきた!こうなったら身ぐるみ剥いでやる!」

 

いうが早いがレ級はカ級、ではなくたまたま遊びに来ていた軽巡棲鬼に襲い掛かった。

 

軽「キャーッ!なになに、一体なんなのよ!」

 

レ級「なんぼのもんじゃい!」

 

軽「イミワカンナイ!」

 

「軽巡棲鬼来てたのか?」

 

リ級「デイリー達成ですね」

 

軽「のんきなこと言ってないで助けなさいよ!」

 

仕方がないので俺とリ級とカ級の3人でレ級を引きはがしにかかる。リ級がレ級を引っぱり、リ級をカ級が引っぱり、カ級を俺が引っぱり

 

3人「うんとこしょ、どっこいしょ」

 

レ級「それでもレ級は抜けません。」

 

軽「アンタが言うな!」

 

レ級「いいの、別の意味で抜くから」

 

軽「ふざけんな、ヤメロバカ!」

 

3人がかりだというのにレ級はびくともしなかった。

 

リ級「さすがレ級さん、何ともないですね」

 

「感心してる場合か!」

 

どうしたものやらと悩んでいると

 

??「やっぱりここにいたな」

 

レ級「いででででででで!!」

 

何者かがレ級の耳を引っ張って、無理矢理軽巡棲鬼から引きはがした。

 

レ級「ゲェーーッ!中枢棲姫!」

 

なんと深海棲艦のボスがうちの鎮守府に来てしまった、いくら深海棲艦に慣れているとはいえこれにはびっくりだ。

 

中枢「なにがゲェーよ!あんた資材調達さぼってこんなところで油売ってんじゃないわよ!」

 

レ級「だって、リ級が抜け駆けするんだもん!」

 

リ級「レ級さん何言ってんですか!やめてくださいよ本当に!」

 

中枢「リ級ちゃんのせいにするんじゃありません!」

 

レ級「いだだだだだ!お姉さん許して!レ級壊れちゃーう↑」

 

カ級「オロオロオロ」

 

軽「そのくらいにしときなさいよ、提督が困ってるじゃないのよ」

 

軽巡棲鬼の一言により我に返る中枢棲姫、するとこっちを向いて

 

中枢「あ、あらごめんなさいね、みっともないところを見せちゃって」

 

「あ、ああ、本当に普通に喋れるんだな」

 

急に話しかけられたのでびっくりしてしまった。

 

中枢「うぇっ!?、い、いや、ハジメマシテ提督ワタシノ名ハ中枢棲姫」

 

あわてて宇宙人喋りに直す、まだ続けるつもりなのか。

 

レ級「もう遅いって」

 

リ級「レ級さんがバラしちゃいました」

 

中枢「あんた何勝手なことしてんのよ!?」

 

レ級「中枢棲姫のお遊びに付き合うの今日までーーー!」

 

中枢「これは遊びじゃない!世界を恐怖のズンドコに陥れるための・・・」

 

カ級「それを言うならズンドコじゃなくてどん底」

 

中枢「どっちでもかわんねーんだよぉ!!」

 

レ級「中枢棲姫、何をそんなにカリカリしているんだ?」

 

中枢「カリカリするに決まってんだろーが!てんめーのせいにくぅいまってんだルルォン!?」

 

軽「アンタキャラ変わってるわよ、少しは落ち着いたら?」

 

中枢「はい、すごく落ち着きました。どうもすいませんでした」

 

「なんで軽巡棲鬼の言うことには従順なんだよ」

 

中枢「ナカノちゃんは私の薬箱」

 

軽「ちょっと何言ってるのか分からないわね」

 

カ級「この人頭おか・・・」

 

リ級「シーッ!」

 

収拾がつかなくなってきたので中枢棲姫に質問することにした

 

「ところでどうしてここに?」

 

中枢「あ、そうだった、レ級に説教しに来たのよ!」

 

レ級「そんなことのためにわざわざ!?」

 

中枢「しかも艦娘のコスプレまでして!ふざけてるの!?」

 

リ級「え、いや、その、これは」

 

レ級「雷に見えないかな?」

 

軽「どう見てもレ級にしか見えないわよ、リ級はギリいけるかってとこかな」

 

中枢「そうわよ(便乗)」

 

「やっぱりな(レ)」

 

カ級「あ、あの、私は・・・?」

 

中枢「あなたなんだかヤラシイわよ、新手のプレイか何か?」

 

カ級「ガーン」

 

??「ここにいたわね」

 

中枢「いででででででで!」

 

中枢棲姫が何者かに耳を引っ張られている、またしても新たな深海棲艦がやってきたというのか。

 

空母棲姫「仕事サボって何やってるのよ!」

 

中枢「ち、違うのよ、私はレ級に説教を・・・」

 

今度は空母棲姫がやってきてしまった、もうこの海域でイベントが起きているのかっていうくらい姫級が来ている。

 

空母「サボる口実作りたかっただけでしょ、いいから早く来る!」

 

中枢「ひー」

 

怒涛の展開にあっけにとられていると、空母棲姫が俺に話しかけてきた。

 

空母「初めまして、もう分かっていると思うけど私は空母棲姫よ。騒がしくしちゃてごめんなさいね。それとこの前はパンケーキ?だったっけ、ありがとうとってもおいしかったわ」

 

「いや、こっちも楽しかったし、いいよ気にしなくても」

 

空母「噂通りの優しそうな人で嬉しいわ、このお礼は必ずさせてもらうから。それじゃあまたね」

 

そういうと空母棲姫は中枢棲姫を引きずりながら帰っていった。

 

「ところで軽巡棲鬼は何しに来たんだ?」

 

軽「この前のお礼を言いにきつつ、あわよくばまたおいしいもの食べられたらいいなーって」

 

「残念だけど今日は無理だぞ?」

 

軽「大体の話はカ級から聞いたわ、面倒なことになってるみたいね」

 

カ級「ナカノちゃんも一緒に行かない?」

 

軽「私は遠慮しとくわ」

 

レ級「そうだねー、那珂ちゃん捕まえてる時間ないしねー」

 

軽「っていうかカ級はどうするのよ?どう見たって艦娘には見えないわよ」

 

カ級「リ級ちゃん、なんとかならない?」

 

リ級「うーん、カ級そっくりな艦娘っていったら、黒髪つながりで長門とか榛名とかかな?」

 

レ級「二人ともこの辺りはいないなあ」

 

軽「初雪ならどうかしら?」

 

カ級「胸がキツイから無理かも」

 

「あの、襲う前提で話進めるのやめてもらえませんか?」

 

カ級「なんて骨体!私の冒険はここで終わってしまうのか!?」

 

「だから古いって!まあ鎮守府に入るのは無理として、途中までならいいよ」

 

4人「「「途中?」」」

 

レ級「海から行くんじゃないのか?」

 

「海から行ったんじゃ艦娘のレーダーに引っ掛かって大騒ぎになるからな。今回は陸路で行くぞ、車もって来るからちょっと待ってろ」

 

軽「リ級、クルマって何?」

 

リ級「え、えーと私もよく分からないんですけど、地面の上を走る乗り物のことらしいですよ」

 

カ級「私もみたことない」

 

レ級「あ、なんかこっちに来たぞ」

 

4人とも初めて見る車に興味津々のようだ、俺はそんな4人のそばに車を止めた。

 

「おまたせ」

 

カ級「これがクルマ?」

 

「ああ、これに乗っていくんだ」

 

軽「へー、こうやって運転するのね」

 

軽巡棲鬼は運転席に乗って、あちこち弄り回している。

 

レ級「わははははは、止まれー、動けーww」

 

レ級が調子に乗って車の前ではしゃいでいる、嫌な予感が。

 

軽「あら?足元に何かスイッチみたいなのがあるわね」

 

「あ、それは・・・」

 

ドンッ!

 

レ級「ヴッ!」

 

 

 

「車の前に立つとあぶないぞ」

 

レ級「うん、そうだね」

 

軽「ごめんね、レ級」

 

レ級「お詫びにナカノちゃん食べていい?(性的な意味で)」

 

軽「じゃあ、死のうか(暗黒微笑)」

 

気を取り直して、今度は車の中に入ってみる。

 

カ級「おおー」

 

レ級「へー中は結構広いんだな」

 

レ級はあちこちベタベタ触りまくったり、キョロキョロしたりしている。

 

リ級「私の知ってる車ってもう少し小さかった様な気がするんだけど」

 

「ああ、それはな・・・」

 

今回俺が用意した車は、ハイエース6人乗りの車だったのだ。

 

いつか艦娘たちと一緒に出かけることがあればと思い、奮発して購入したのだが・・・。

 

リ級「結局一緒に乗ってくれる奴はだれもいなかったと」

 

「ああ」

 

買った当初はたくさん乗れる大きい車ということでこの車を選んだのだが、当時はこの車について回る負のイメージについて何も知らなかった。

 

漫画、アニメ、ドラマ、映画(などのフィクション)および現実でも幾度となく誘拐、拉致、強盗に使われてきたらしい。持ち主にとっては風評被害以外の何者でもないのだが。

 

当然好き好んでこの車に乗ろうとする艦娘は現れなかった、むしろこの車のせいで俺の好感度がさらに下がったような気がする。

 

深海棲艦である彼女らがそんなことを知るはずもなく、未知の大きな車に喜んでくれているみたいだった。

 

「さらにもっと広くなるぞ」

 

後部座席のシートを倒してやると、フラットな空間が現れた。

 

「これで寝転がることもできるってわけだ」

 

レ級「すっごーい、なにこれー」

 

レ級は広々空間が気に入ったのかゴロゴロして大はしゃぎしている。

 

レ級「たーのしー♪僕もうここで暮らすー」

 

リ級「それは無理ですよ」

 

軽「でも本当に居心地いいわね、ここ」

 

「まあ、車中泊なんてのもあるけど」

 

レ級「しゃちゅうはく?」

 

「車の中で寝泊まりすることだよ、」

 

レ級「そんなのあるの!?良さそう~試してみたーい!」

 

喋り方が某イギリス駆逐艦みたいになってるぞ。

 

「残念だが時間がないのでそれはまたの機会ということで」

 

レ級「ちえー」

 

作戦会議のはずが、中枢棲姫やら軽巡棲鬼が来てなんか色々大変なことになったせいでもう出発しないといけない時間になってしまった。

 

「さあ、出発するぞ」

 

席順は、リ級が助手席、カ級とレ級は後部座席の広々空間が気に入ったらしくまだゴロゴロしている。

 

車が動き出すと、後ろのカ級とレ級から歓声が上がった。

 

カ級「動いたーーーー!?」

 

レ級「すげーーーーー!!」

 

「そういやリ級はあんまり驚かないんだな」

 

リ級「まあ、騒ぐほどでもないかな」

 

そんなリ級を見てみると膝をカクカクさせていて、なんだか落ち着かない様子だった。なんだかんだでみんな喜んでくれているようでよかった。

 

ここまで来たら後には引けない、この先どうなることやら・・・。

 

軽「行ってらっしゃーい、お土産よろしくねー♪」




待っていた人がいるかどうかはあれですが、更新遅れてしまい申し訳ありません。
お詫びの意味も込めて今回も(無駄に長い)1万字超えです。
にもかかわらず、まだ鎮守府から出ていないという。
前中後編、では収まりきらないかもしれません。


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重巡リ級とコスプレ その2

前回のあらすじ

艦娘に嫌われるとはいかないまでも好かれているわけでもない俺は、戦艦レ級(雷役)とリ級(高雄役)と、カ級(19役)に臨時の秘書官になってもらいⅯ鎮守府に向かうのであった。


「着いたぞ」

 

車で走ること1時間、俺たちは目的地であるM鎮守府へとやってきたのだ。

 

移動中レ級が「あれはなんだ?」「これはなんだ?」とひっきりなしに聞いてくるのにはいささかウンザリしたが。

 

そのレ級は寝心地が良かったのか後ろで熟睡中だ。

 

リ級「レ級さん起きてください、着きましたよ」

 

レ級「んあ~、もう着いたのか~」

 

「そうだよ、さあ起きた起きた」

 

カ級「うう~ん、あへあへ~」

 

カ級の様子がおかしい、どうやら車酔いを起こしてしまったようだ。

 

最初のほうこそ、レ級と一緒に初めて見る景色に大はしゃぎだったが、時間がたつにつれてどんどん体調が悪くなっていき、今はぐったりしている。

 

リ級「カ級ちゃん大丈夫?」

 

カ級「気持ち悪い・・・」

 

「レ級は平気だったのか?」

 

レ級「僕達は普段から海の上を走り回ってるからね、これくらいなんともないよ」

 

リ級「カ級ちゃんはほとんど水中だからね、仕方ないね」

 

「それよりカ級はどうするんだ、置いていくわけにも・・・」

 

カ級「私は大丈夫だから二人で行ってきて~。ごめんね~勝手についてきたのにこんなことになって~」

 

レ級「僕がここに残るよ!」

 

「いいのか?楽しみにしてたはずじゃあ」

 

レ級「カ級のほうが大事だよ、それに帰ればまた来られるしね」

 

「レ級は深海棲艦の鏡だなあ」

 

リ級「昔からです」

 

「分かった、できるだけ早く戻ってくるからおとなしくしてろよ」

 

カ級「いってらー」

 

 

自分のところとは違って、目の前を行きかう艦娘はみんな生き生きしていた。

 

俺の着任と同時にいなくなった艦娘と同じ艦娘を見かけると、なんともいえない複雑な気持ちになった。

 

もちろん出て行った艦娘とは別の艦娘だ、今はイケメンの提督のところで楽しくやっているのだろう。

 

「提督、どうかしたのか?」

 

俺の心境を察してか、リ級が心配そうに話しかけてきた。

 

「いやなんでもないよ、迎えはまだなのかなと思ってな」

 

そんな俺たちの前に、一人の艦娘が近づいてきた。

 

「よう、迎えが遅くなって悪かったな」

 

話しかけてきたのは重巡摩耶だ。

 

「問題ない、今来たところだ」

 

摩耶「それにしても、ハイエースってお前・・・」

 

「車のことはよく分からないんだよ」

 

摩耶「買えよ!金あんだろ?」

 

「ああ、まあ考えておく・・・」

 

摩耶「で、そっちは?」

 

摩耶が俺の隣にいるリ級、今は高雄に目を向けた。

 

リ級「私は重巡リ、んんっ、高雄ですよろしくお願いします!」

 

摩耶「ん?なんで他人行儀なんだ?一応姉妹艦だろ、それになんか姉貴にしてはスラッとしてねえか?」

 

リ級「そんなことないよ、こう見えて脱ぐと結構あるんだからね!見とけよ見とけよ~」

 

とリ級が服を脱ごうとしたのであわてて止めに入った。

 

「そこまでしなくていいから!」

 

まずい、リ級のいきなりの行動に摩耶はポカーンとしていた。

 

それにしても体格のことは全く失念していた。今のリ級はマスクで口元を隠している、何とかこれでごまかせるか。

 

「個性だよ個性!」

 

摩耶「個性?」

 

「そうだよ(便乗)。みんながみんなパンパカ言ってるわけじゃないだろ?中にはこういう特別な高雄もいるってことだよ」

 

摩耶「それは愛宕の姉貴じゃないのか?ていうか今は体格の話をしているわけで」

 

「どうでもいいじゃないかそんなことは、それより早く案内してくれよ、もう待ちきれないよ!」

 

これ以上話し続けているとボロがでそうになるのであわてて話題を切り替えた。

 

摩耶「そんなに慌てんなよ、こっちだ」

 

納得してないけど、納得してくれたようだった。

 

摩耶を先頭に3人そろって歩き出した。

 

まずは第1関門突破(?)突破といったところか。

 

 

 

レ級サイド

 

カ級「うーん、うーん」

 

提督たちが去った後の車の中では、カ級がいまだに苦しんでいた。

 

レ級「カ級ちゃん、どう?、少しは楽になった?」

 

カ級「まだ駄目っぽい・・・」

 

カ級の体調はあまりよくなかった。そこでレ級が一つの決断を下した。

 

レ級「そうだ!僕が薬をとってきてあげるよ」

 

カ級「えっ!?それは危ないよ、提督もいないのに」

 

レ級「大丈夫だって、僕には秘密兵器があるからね」

 

そういうとレ級はポケットから赤い眼鏡を取り出した。ここに来る前に提督が持たせてくれたものだ。

 

 

提督『その微妙な変装じゃすぐに正体がばれてしまうからな、これでもつけてろ』

 

リ級『効果あるのか?』

 

提督『まあ、ないよりマシだろ』

 

 

レ級「それじゃあいってくるね」

 

カ級「・・・気を付けてね」

 

 

レ級「さて、クルマから出たはいいけど薬なんて一体どこにあるんだろ?」

 

勢いよく出たはよかったが何も考えてなかった、もちろん薬のある場所なんて知るわけがない。

 

レ級「手近な奴に聞いてみるかな」

 

と、数人の駆逐艦があわてて走っているのが見えた。

 

レ級「ちょうどいいやアイツらに聞いてみよう、おー」

 

と話しかけようとしたらいきなり手をつかまれてしまった。

 

陽炎「あんたこんなところでなにやってんのよ、早くいかないと神通さんにどやされるよ!」

 

とレ級の手を引っ張って連れていこうとしたのだが、戦艦の力にかなうはずもなく、びくともせず逆に陽炎が勢い余ってその場に背中から倒れこんでしまった。

 

陽炎「グェッ!!」

 

レ級「あ、あの、大丈夫?」

 

陽炎「ゲッホ、ゴッホ!」

 

「何してんねん、アンタは」

 

「一人で勝手に転んだように見えましたが」

 

後から続いて黒潮、不知火の二人が追い付いてきた。

 

黒潮「雷が遅刻なんかするわけないやろ、うちらが一番遅れてんのや」

 

不知火「あなたとは違うんです」

 

陽炎「ゲホッ、じゃあこの子いったい誰なのよ」

 

黒潮「今日はよその提督さんが来るいうてたから、その秘書官ってところかな」

 

レ級「あ、ああ、えっと暁型3番艦駆逐艦雷、だです!」

 

急に振られたレ級はあわてて練習した自己紹介を繰り出した。

 

黒潮「ウチら同じ駆逐艦やさかいそんなかしこまらんでもええで。」

 

レ級「そうなのか?」

 

不知火「ところで雷さんは何をしていたのですか?提督とはぐれたのですか?」

 

レ級「僕の友達が車に乗ってたら気分悪くなっちゃって、それで薬を探してるんだけどどこにあるか知らない?」

 

陽炎「薬ねぇ、酒保に行けばいいんじゃないかしら?」

 

レ級「しゅほ?それはどこにあるんだ?」

 

陽炎「それじゃあ私達が案内してあげるわ」

 

黒潮「ちょいまち!訓練はどないするんや?」

 

陽炎「どうせ今さら急いでも間に合わないわよ。どうせ遅刻するんなら人助けって言えば許してくれるわよ。さ、行くわよ」

 

不知火「お、そうだな」

 

黒潮「アンタキャラ変わってるで」

 

 

 

提督サイド

 

俺達は摩耶の案内で提督の部屋へと向かっていた。

 

摩耶「ところでさぁ、アンタんとこの艦娘とはうまくいってんのか?」

 

俺にとっていま最も話したくない話題が飛び出した。

うまくいってないからこうやって影武者頼んでんだよ!等とは口が裂けても言えず「ああ、まあ」などとあいまいな返事で返した。

ここの摩耶には俺が艦娘と全く仲が良くないことが分かっているので、ときどきこうして気を使ってくれているのだが、うまくいく見込みがないだけにはっきり言って有難迷惑である。

全部俺が不甲斐ないせいで、摩耶を疎ましく思うのは筋違いだということは分かってはいるのだが。

そんな俺の表情から何かを読み取ったのか、

 

摩耶「その様子だとまーた進展なしってところかな」

 

ため息交じりに摩耶が言った。

 

摩耶「アタシが口きいてやってもいいんだが、こういうのは自分でなんとかしねぇといけねえからな。まあ、元気出せよ」

 

その気遣いが一番つらい。

 

摩耶「ところでさぁ、アンタはこの提督のことどう思ってんだ?」

 

いきなり摩耶が高雄(リ級)に話を振ってきた。へこんでいた気分からから一気に、冷水を浴びせられた気分になった。

ここで変な受け答えをしようものなら正体がばれてしまう。

ハラハラしながら見守っていると、

 

リ級「提督は料理がうまくて、気も優しい、いいやつだと思うぞ、あいや、ですぞ」

 

摩耶「へー、アンタ料理が得意なのか?初耳だなあ」

 

「いや、そんなにたいしたことは・・・」

 

リ級「そんなことないぞ、みんなに大うけだったじゃないか」

 

「バッ、おまっ」

 

俺はかなり焦った。リ級の言うみんなとは深海棲艦のことであって、うちにいる艦娘のことではないのだ。これまで艦娘たちに料理をふるまったことなど一度もない。

 

『リ級、何言ってんだ!今のお前は高雄だろうが!』

 

一瞬俺の言うことが理解できずに、訝しげな表情を浮かべていたがすぐに自分の言ったことに気が付いたようだった。

 

リ級『そ、そうだった!しまった~』

 

摩耶「へぇ~、アンタにそんな特技があったとはねぇ~」

 

「ほんと大したことないから、いやホントに」

 

リ級「そうわよ(便乗)」

 

摩耶「そうだ!鎮守府内対抗料理大会なんてのはどうだ?うまいもんも食えて、みんなとも仲良くなれる一石二鳥だと思うぜ」

 

俺の話を聞いていないのかとんでもない爆弾を投下しやがった。

今うちにいる艦娘たちの料理の腕は、前任の提督と料理をしているだけあってプロのレベルにまで達している。

対する俺の料理の腕は、前にも言ったと思うが中の下レベルだ。

そんな艦娘たちに俺の料理をふるまうことはビルゲイツにパソコンをプレゼントするような愚かな行為に等しい。

 

摩耶「待てよ、鎮守府対抗にするのもおもしろそうだな。ウチの提督に相談してみるか」

 

俺の心情を知ってか知らずか話がどんどん大きくなってしまっている。

 

『リ級、なんとかしてくれ!』

 

どうしていいかわからず俺はリ級に助けを求めた。

 

リ級「摩耶!」

 

摩耶「な、なんだよ」

 

リ級「提督は料理がうまいといったな、あれは嘘だ」

 

摩耶「はあ?」

 

リ級「え~っと、まだ練習中なんだ。だからもっと練習して、もっとうまいものを作れるようにならないと勝負にならないよきっと」

 

摩耶「そうなのか?」

 

「あ、ああ、まあな」

 

摩耶「そうか、それは楽しみだな!いつか勝負しようぜ、こう見えてアタシも腕に覚えがあるからな」

 

とりあえずは納得してくれたようだ。願わくばそのうち忘れてくれることを祈るばかりだ。

 

そうこうしているうちに提督の部屋の前にたどり着いた。

 

摩耶『ところで姉貴らしくないしゃべり方だなあ、これも個性ってやつなのか?』

 

カ級サイド

 

「う~ん、気持ち悪い~」

 

車の中で横になっていたカ級だが一向に体調が回復する兆しが見えない。

 

「ダメだ、一旦外に出よう」

 

外の空気を吸えば少しは良くなるかと思い、少しだけ車の外に出ることにした。

 

「あー今日もいい天気☆」

 

車のタイヤにもたれかかってしばらくボーっとしていた。普段はほとん水中にいるためか、たまには陸地で太陽の光を浴びながらボーっとするのも悪くない。

そんな風にボーっとしていたためか、横から接近してくる人影に気が付くことができなかった。

 

「こんなところで何をしているんでちか?」

 

「・・・・・!!!」

 

どうしようどうしようどうしよう、カ級の頭の中はその言葉でいっぱいだった。

車酔いなんてどこかに吹っ飛んで行ってしまった。

今の自分の状態は深海棲艦そのものだ、変装なんてあってないようなものだ。

仲間なんて呼ばれたら一貫のおわりだ。

 

カ級「あ、あう、あう~」

 

何か話さなければと思ったが、何を話していいかわからない!言葉にならない!と思っていたら、

 

伊58「その水着を着ているということは、あなたも潜水艦でちね!それにしても見たことない潜水艦でちね、もしかして新型?」

 

カ級「わ、私は・・・その・・・」

 

伊58「そうだ!19の水着を着ているということは19のお姉さんでちね、ついてくるでち」

 

カ級「え、ちょっと、あの」

 

こっちの話をまるで聞いていないのか58はカ級の手を引いて走り出した。

しかし下手に抵抗しようものなら怪しまれることになってしまう。

しかたなくカ級はされるがままに58に連れて行かれる羽目になってしまった。

 

 

 

提督サイド

 

摩耶「提督、連れてきたぜ~」

 

摩耶がそういいながら執務室の扉を開けるとそこには

 

金剛「加賀!テートクはこの後私とお茶する予定なのです、邪魔しないでほしいネ!」

 

榛名「そうだよ(便乗)」

 

霧島「そうわよ(便乗)」

 

比叡「そうですよ(便乗)」

 

加賀「いい加減にしなさい、この便乗四姉妹。提督、この後はホテルで私と会う予定となっております」

 

響「やれやれ、田舎空母はスケベなことしか考えないのか」

 

金剛「テートクの膝の上に座りながら言うセリフじゃないね!っていうかそこからどきなサーイ!」

 

М提督「この後は他所の提督と打ち合わせだよ、もういい加減にしてくれよ」

 

目の前にはうらやまけしからん光景が広がっていた。これがどこの鎮守府でもごく普通の光景だっていうんだから本当にどうかしてると思う。こんなことはウチじゃまずありえない光景だ。否、おかしいのは俺の方なのかもしれない。

М提督もいい加減にしてくれよといいつつもまんざらではない模様だ。

 

М提督「ほら、もう来てるから早く出て行ってくれ」

 

М提督がそういうと艦娘の視線が俺に集中した。そして、イチャついているところを邪魔されて若干嫌そうな顔をしながら軽く会釈してさっさと出て行ってしまった。艦娘に好かれないのはウチの艦娘だけに限ったことではないようだ。

と摩耶も一緒に出ていこうとしたので

 

「え、一緒にいなくていいのか?」

 

というと

 

摩耶「アタシはこの後予定が入っているからな、代わりは姉貴がやってくれるさ」

 

嫌な予感が

 

摩耶「そいうことだから後はよろしく頼むぜ」

 

?「ご苦労様、後は私に任せて」

 

よりによってどうしてこいつを呼んだんだ!

 

「摩耶!これは一体どういう了見だ!」

 

摩耶「しょうがないじゃないか、手が空いてるのが姉貴しかいなかったんだからよー。別に問題ないだろ」

 

あるからあせってんだろうが!などと口が裂けても言えない。

 

高雄「高雄型1番艦重巡洋艦 高雄です、今日はよろしくお願いします」

 

こっちの高雄と向こうの高雄を見比べてみる、並んで見るとこちらが偽物なのは明らかだ。

 

高雄「あなたも高雄なのね。今日はよろしくね」

 

リ級「は、はい、よろしくお願いします・・・」

 

高雄「同じ高雄じゃない、そんなに硬くならなくていいわよ」

 

こちらの心情を知ってか知らずか気さくに話しかけてきた。

 

高雄「ところであなたはどうしてマスクなんてしてるのかしら?」

 

リ級「ええっと、最近風邪気味でゴホゴホ」

 

高雄「だめよ、あなたも秘書官なら自分の健康管理ぐらいちゃんとしなきゃ。提督だって迷惑するじゃない」

 

リ級「す、すいません・・・」

 

 

リ級『提督どうしよう、本物が出てきちゃったぞ』

 

『とにかく極力喋らないようにしよう、仕事はほとんど俺がやるから』

 

リ級『わ、わかった』

 

 

改めて俺とリ級はM提督と対峙した。

 

リ級「高雄型1番艦重巡洋艦 高雄です、よろしくお願いします」

 

M提督「遠路はるばるよくお越しくださいました、こちらこそよろしくお願いします」

 

ただ挨拶しているだけだというのに、気品に満ち溢れている。もてる男と言うのはやはり違うのだなと痛感させられた。それを見ていた高雄の表情も若干誇らしげだ。

 

「それじゃあ打ち合わせの方を・・・」

 

若干卑屈な気分を引きづりつつ本題に入ることにした。

 

M提督「そうですね、早速始めましょうか」

 

へこんでいる場合ではない、無事にこの難関を乗り越えることができるか。

 

 

 

 

レ級サイド

 

レ級「ここがしゅほって所なのか?」

 

陽炎「そうよ、ここに行けば大抵のものは揃ってるはずよ、っていうかアンタ酒保も知らないの?」

 

レ級「ウチにそんなのないもん」

 

陽炎「ええ(困惑)、どうなってんのよアンタの鎮守府は」

 

店の中にはお菓子やら、生活雑貨やらが所狭しと並べられている。

 

陽炎「明石さーーーん、いるーーーーー?」

 

?「はいはい、そんな大声出さなくっても聞こえてますよ」

 

店の奥からピンク色の髪の女性が姿を現した。

 

明石「あれ?陽炎ちゃんあなたこの時間は訓練だったはずじゃあ」

 

陽炎「途中でこの子拾ったのよ。まあ人助け故仕方なしってことで」

 

黒潮「コラテラルダメージってやつやな」

 

不知火「なんで3人で来る必要があるんですか?」

 

陽炎「細かいことはいいのよ!」

 

明石「全く、どうなっても知らないわよ。それで私に用があるのはこの子なの?」

 

レ級「そうだよ(便乗)、友達が車に乗って気分悪くなっちゃったんだ。何かいい薬出してよアガシ!」

 

明石「私はサッカー選手じゃありません!ちょとまっててね、酔い止めの薬はと・・・・これでいいかしら?」

 

レ級「これでカ級がホントに治るのかなあ?」

 

明石「え?火球?」

 

レ級「あ、いやいやいや、僕も蚊に刺されてかゆいなーなんてハハハ」

 

明石「じゃあ、このムヒも持っていくといいわ」

 

レ級「むひ??」

 

レ級は試しにムヒを手に塗ってみた。

 

レ級「あ、なんだかすっごくひんやりしてきた!冷たくって気持ちいいー」

 

明石「う~~~ん」

 

陽炎「どしたの明石さん」

 

明石「この子”雷”なの?」

 

陽炎「本人がそういってるからそうなんじゃない?」

 

黒潮「そういえば普通の雷と違うなあ、髪の色も肌の色も違うし」

 

陽炎「言われてみれば・・・」

 

不知火「私どこかで見たことあるような気がするのですが」

 

陽炎「そりゃ別の鎮守府の雷なんて何度も見たことあるでしょ」

 

不知火「いえそういうことではなくて」

 

?「あなた達!こんなところで何をしているの!!」

 

酒保の外にまで聞こえるような大声で、女性が怒鳴り込んできた。

 

神通「訓練をさぼって酒保で買い食いとはいい度胸してますねえ」

 

陽炎「ち、ち、違うんすよ!人助けですよ!別にさぼってたわけでは」

 

黒潮「せやせや、ほら、アンタもなんか言ってやってーな」

 

そういうと黒潮は、店の物をあちこち弄り回していたレ級に助けを求めた。

 

レ級「この人は僕を酒保に案内してくれたんだよ、だから怒っちゃだめだよ」

 

神通「(僕?)それが本当だったとして、なんで3人で行く必要があるんですか?」

 

不知火「やっはひな(申レ)ムシャムシャ」

 

陽炎「アンタ何食ってんのよ!!」

 

不知火「まるごとバナナですが何か落ち度でも?」

 

黒潮「落ち度しかないわ!!」

 

神通「やっぱり買い食いしてるんじゃないですか」

 

レ級「なあ、何をそんなに怒ってるんだ?」

 

神通「あなたは黙っててください!これは私達の問題です!」

 

レ級「そうだ!これを塗ればスーッとして落ちくぞ」

 

そういうとレ級は神通の顔面にムヒを塗りたくった。

 

神通「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!目がああああああ!!」

 

さしもの神通もあまりの激痛にのたうち回っている。

 

陽炎「アンタなにしてんのよ!」

 

レ級「これってイライラしてるやつに塗ると落ちつく薬なんだろ?」

 

陽炎「そんなドラえもんの道具みたいなものあるわけないでしょ!」

 

明石「あ、これムヒじゃなくてアンメルツヨコヨコだった」

 

黒潮「アホかーー!!水水水!はよう洗い流すんや!」

 

不知火「食べ終わるまで少しお待ち下さい」

 

黒潮「食っとる場合か!!」

 

神通「グワーッ!!」

 

レ級「それじゃカ級が心配だから僕帰るね、いろいろありがとねー」

 

レ級は酒保の騒ぎを背にその場を立ち去るのだった。

 

 

 

リ級サイド

 

M提督の執務室ではいまだに話し合いが行われていた。

俺の隣にリ級、机を挟んで正面にM提督その隣に高雄が座っている。

 

高雄「ここの海域のことなんですけども」

 

「あ、それはですね・・・」

 

M提督「今度新しく入った装備のことですが」

 

「それはすごいですねー」

 

高雄「ねえ、あなたはどう思う」

 

「それについては私がお答えします」

 

俺はなんとかリ級に質問が及ばないようにするのに必死だった。

会議の内容なんていちいち説明している時間などなかったので、リ級に話を振られると何も知らないことがばれてしまう。

このままうまくいけばよかったのだが

 

高雄「ちょっと、あなた」

 

リ級「は、はいっ!何でしょうか」

 

高雄「さっきからずっと黙ったままだけど、どうして話し合いに参加しないの?」

 

リ級の態度に向こう側の高雄がいら立ちを隠せなくなってしまったようだ。

 

「彼女には私の護衛という重要な役目が」

 

高雄「そんなのは当たり前です!他にもやらなきゃいけないことはたくさんあるでしょ?ただそばにいればいいというわけではないのよ」

 

M提督「高雄、落ち着け」

 

助け舟を出したつもりがかえって火に油を注ぐ結果になってしまった。M提督もかばってくれたが高雄の怒りはまだ収まらない。

 

高雄「だいたいそのマスクはなんなの、いい加減に外しなさい!」

 

と高雄がリ級のマスクに手を伸ばした瞬間、リ級が高雄の腕をガシッとつかみ凄まじい力で締めあげた。深海棲艦特有の怪力で締めあげられたのではさすがの高雄もたまったものではない。ミシミシと嫌な音が執務室に響き渡る。

 

高雄「ぐああああああああああああああ!!!」

 

「お、おい!」

 

リ級「あ、し、しまった、つい本気出しちゃった。ごめんなさい!」

 

正体がばれると思ってリ級が手加減を忘れて本気で締めつけてしまったらしい。

 

さらにまずいことに高雄の悲鳴を聞きつけて複数の艦娘が執務室になだれ込んできた。

 

摩耶「すげえ悲鳴が聞こえたぞ!一体何の騒ぎだ!?」

 

加賀「提督無事ですか!?」

 

金剛「ウチの提督に何をしたデスカー!?」

 

榛名「姉様やっちまいましょう」

 

霧島「そのための右手、あとそのためのマイク?」

 

比叡「カレー!暴力!SEX!」

 

響「いい加減にしろKBS姉妹」

 

なんとか言い訳をしたいところだが、完全に俺達を敵視していてこちらの言うことに聞く耳を持ってくれるとは思えない。

提督LOVE勢を敵に回すとこれほどまでに恐ろしいとは思わなかった。

俺の運命もこれまでか、と思っていると

 

高雄「待ってください!」

 

今まで激痛のあまりにうずくまっていた高雄が声を上げた。

 

高雄「あなた!さっき何と言いました」

 

リ級「ふぇっ、わ、私ですか?えーと、本気出しちゃった。ごめんなさいだったかな」

 

「え、いや俺に言われても・・・」

 

高雄「人を愚弄するのもいい加減にしてください!!」

 

リ級「私、そんなつもりじゃ・・・」

 

高雄「提督、演習の準備をしてください!」

 

M提督「だめだ、私闘目的の演習は禁じられている。それはお前が一番よく分かっているはずだ」

 

高雄「ですが・・・」

 

摩耶「そうだ!私にいい考えがあるぜ」

 

様子を見ていた摩耶が突如口を開いた。この場を何とかしてくれる方法があるというのか。

 

摩耶「料理で決着をつけるってのはどうだ?」

 

高雄「料理?」

 

摩耶「そこの提督さんはかなりの達人だって聞いたぜ。そのあんたの部下ならウチの姉貴ともいい勝負になるんじゃないのか」

 

いつのまにやら俺は料理の達人にされてしまった。ていうかそんなことを考えている場合ではない!

 

「いやだから俺は料理の腕は」

 

M提督「いいじゃないですか、その方が平和的でかつ合理的じゃないですか。金剛、厨房をつかえるよう間宮さんに言ってきてくれ」

 

金剛「はい、なんだかおもしろそうなことになってきましたネー」

 

霧島「ギャラリーも多いほうがいいですね、私が館内放送で呼びかけておきますね」

 

比叡「私の伝家の宝刀(カレー)が火を噴く時が」

 

霧島「榛名は比叡を押さえてて」

 

榛名「分かったわ」

 

「いや、あのだからね」

 

高雄「いいでしょう、料理で殺す!!」

 

なんとか言い訳をしたかったが、周りが盛り上がってしまっていて、高雄もやる気満々で最早引き返しができないところまで来てしまっている。

 

M提督「そうだ、対決となると敗者には罰ゲームを受けてもらわないといけませんね」

 

こいつ罰ゲームとか言い出しましたよ、一体どんな罰を用意しているのかと思っていると

 

M提督「ウチの高雄が負けた場合はウチの艦娘から何人かあなたの所に派遣しましょう、人手が足りなくて困っているのでしょう?」

 

超ありがた迷惑である。

 

M提督「そしてあなたの所の高雄が負けた場合には、そのマスクを取ってもらいます」

 

そういうM提督の目線はリ級をまっすぐとらえて離さなかった。これはもうほとんどバレているようなものと考えていいかもしれない。

いや、それともこの程度の罰で許してくれるつもりなのか。

とにもかくにもここまで来たら後には引けない。

 

「条件があります」

 

M提督「条件?」

 

「ウチの高雄とあなたの所の高雄じゃ実力の差がありすぎますから私が高雄のサポート役として参加します。そちらのサポート役は比叡で」

 

M提督「さらっとペナルティを課さないでください。それではタッグマッチということでよろしいですね」

 

「いいでしょう」

 

リ級『どうしよう提督、私料理なんてやったことない』

 

『心配するな、俺も全力でサポートするから』

 

リ級『提督と料理したいとは思ってたけど、こんな形になるなんて』

 

『こうなったらやるしかあるまいよ』

 

正体がばれると思いきや、料理対決をする羽目になってしまった。果たしてこの戦いに勝利し、リ級の正体を守ることはできるのであろうか。

 

 

 

カ級サイド

 

伊168「19のお姉さん?」

 

伊58「そうでち!車の近くにいたところを連れてきたでち」

 

伊168「それはよその19じゃないの?勝手につれてきたら駄目じゃない、この子困ってるわよ」

 

伊19「っていうか私こんな子知らないよ」

 

伊58「えっ?生き別れのお姉さんとかじゃなくて?」

 

伊19「なんなのその設定は・・・」

 

伊8「じゃあ妹?」

 

伊19「姉よりすぐれた妹などおらぬ!(胸囲的な意味で)」

 

カ級『リ級ちゃん、レ級ちゃん、提督、助けて~~』

 

今カ級は58に潜水艦寮まで連れてこられ、潜水艦娘に囲まれ事情聴取を受けている。

まさか自分は深海棲艦だと言うわけにもいかず、正体が発覚するのも時間の問題かと思っていると

 

?「あー、やっと見つけたよ」

 

潜水艦寮に誰かが入ってきた。

 

カ級「レk、雷ちゃん」

 

レ級「帰ってきてみたら車の所にいないんだもん、心配したよ」

 

カ級「ご、ごめんね」

 

レ級「それでこの人たちは?」

 

改めてレ級が潜水艦たちのほうに向きなおった。

 

伊58「そういうあなたは・・・えっと誰でちか?こんな子いたっけ??」

 

レ級「自己紹介がまだだったね、僕は暁型駆逐艦3番艦雷だよ、よろしくね!」

 

伊8「これはご丁寧にどうも、私はい号潜水艦3番艦の伊8、はっちゃんってよんでね。って雷?あなたが?」

 

レ級「そうだよ、何か問題でも?」

 

伊8「だってあなた、肌は白いし、髪も白いし」

 

伊168「ちょっと待って、私この人達どこかでみたことあるよ!」

 

それまでカ級に対して不信感を抱いていたイムヤだったが、レ級の登場により何かに気が付いたようだった。

 

カ級『レ級ちゃんマズイよ!』

 

レ級『ああん?なんで?』

 

深海棲艦が二人もそろえば怪しくなるのは当たり前だ。

 

カ級『こうなったらアレをやるしかないかも』

 

カ級は伊19に向きなおった、そして

 

カ級「姉さん!会いたかった!」

 

伊19「え、え、ええええええええ~~~~~~!?」

 

カ級は突如、伊19に抱き着いた。

 

伊58「やっぱり、妹だったんじゃないでちか」

 

伊19「だから私知らないって!」

 

カ級「姉さん!私のこと忘れちゃったの?」

 

レ級『カ級ちゃん、ホントにこの子の妹だったの!?』

 

カ級『レ級ちゃん、今は私に合わせて!』

 

レ級『わ、わかった』

 

レ級「この薄情者!生き別れの妹の顔を忘れるなんてお前それでもお姉さんか!」

 

伊8「そうわよ(便乗)」

 

伊168「艦娘だったら背負わないかんときは、背負わにゃならんぞ」

 

伊19「そんなこと言われたって、全然似てないじゃんアゼルバイジャン」

 

レ級「共通点ならあるぞ、胸の大きさとか、ツインテールとか、あと君とおなじ水着をきてるじゃないか」

 

伊19「胸の大きさはともかくとして、あとは誰でもできるんじゃ」

 

伊58「認知して!」

 

伊19「その言い方はやめて!」

 

とここで、またしても潜水艦寮に誰かが入ってきた。

 

ろーちゃん「みんな~料理大会が始まるですって~、ってみんな何やってるの?」

 

伊58「イクが妹と感動の再会を果たしたところでち」

 

ろーちゃん「そうなの?」

 

伊19「えっと、そう言われるとそんなような気がしてきたような・・・」

 

伊8「ところで料理大会っていうのは?」

 

ろーちゃん「えっとね、なんでもウチの高雄さんとよその高雄さんが料理で対決するんだって。なんでも相手の提督さんは凄腕の料理人らしいよ」

 

伊168「それは楽しみね」

 

伊8「私はシュトーレンでも作ってもらおうかしら」

 

カ級『レ級ちゃん、もしかしたら』

 

レ級『うん、きっとリ級のことだよね僕たちも行ってみよう』

 

伊58「よーし、私達もその料理大会にイクゾー。イク、いつものアレをやるでち!せっかくだから今日は妹ちゃんにおねがいするでち」

 

カ級「(いつもの!?)え、えーっと、はーいカク、掻くのー」(ポリポリ)

 

伊58「ンモー、イクが変なことするから妹ちゃんがマネしちゃったじゃないかー」

 

伊19「私そんなことしてないよ!たまにしか・・・」

 

伊58「やっぱりやってるんじゃないでちか、壊れるなあ」

 

伊8「はーい、ハチ、吐くのーオエエエエ!」

 

伊168「かぶせなくていいから!」

 

ろーちゃん「ろーちゃんのローキック!」

 

長門「ありがとうございます!ありがとうございます!」

 

レ級「準備はいいか、センメツー」

 

伊168「すな!」

 

伊58「あーもうめちゃくちゃでち」

 

 




114514文字を目指したのですが、無理でした。
代わりと言っては何ですが、過去最高文字数です。
あまリ遅くなってはいけないと思い、とりあえず投稿しました。
もしかしたら後で少々変更するかもしれません。


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重巡リ級とコスプレ その3

前回のあらすじ

偽物であることがばれたM鎮守府の高雄は提督とリ級を亡き者にしようと試みた。
しかしM提督の取り計らいにより料理対決で決着をつけることに。


青葉「第一回チキチキ この世に高雄は二人もいらぬ!鎮守府対抗料理対決~~~~!!司会進行役は私青葉が務めさせていただきます」

リ級「一応料理大会だよね?」

「なんでこんな壮大な話になってんだ」

呂500「わびさびの心が入ってないのです」

青葉「ええっ!?そういうのは計算に入ってないんですけど・・・」

19「ろーちゃんすっかり日本に馴染んだのね」

 

今俺達がいるのは普段艦娘たちが集まる食堂。

その一部が改装され、キッチンが向かい合うように設置され、中央には食材が置かれている。そして前方には観客である艦娘たちがこの戦いの行方を見守っている。

いわゆる料理の鉄人的なアレだ。

 

青葉「今回対決するのはこの方達です!」

「まずは我らがМ鎮守府から高雄・摩耶ペア!」

 

向こうのチームが紹介されると、艦娘たちから大きな声援があがった。

 

「ワーキャー」「がんばってーー!!」「摩耶結婚してー!」

 

摩耶「つーかなんでアタシが、ウチの提督はどうしたんだよ」

高雄「しょうがないでしょ、まだ仕事残ってるんだから」

摩耶「なんだよ、提督が参加するって聞いてたから張り切ってたのによ。ところで最後のはn」

青葉「続いて、K鎮守府からこちらも高雄(?)・提督ペア」

 

パチパチパチパチパチ。

 

一応拍手はしてくれてはいるが、いまいち盛り上がりに欠けているのが分かる。

アウェイなのは分かっているが、これはひどい。

司会進行役の青葉もなんだかやる気がなさそうだ。

と、なにやら観客席の方が騒がしい。何かと思って見てみると

 

カ級「う~~~~///////」

 

カ級がもじもじしながら所在なさげに観客席に座っていた。レ級も一緒にいた。

 

「なんであいつ等がここにいるんだ!?」

リ級「そんなことよりあれじゃバレバレだよ!」

 

他の艦娘達は微妙に距離をとりつつ、生温かい眼で彼女を見ている。

 

「ねえ、あの子誰?艦娘?」

「潜水艦?知らない子ですね」

「19と同じ水着着てるし19の関係者かな?」

「ひょっとして提督の愛人?女の子にスク水着せて放置するなんて、新手のプレイかな?」

 

なんだか俺の方に被害が及んでいるような気がする。

俺が何をしたっていうんだ。

 

カ級「レ、雷ちゃん怖いよ~、車の中で留守番していたいよ~」

レ級「大丈夫だって、安心しろよ~」

カ級「えぅ~そんなこと言われても、みんなすっごい見てるよ~」

レ級「そうだ、僕達で提督を応援するんだ!そしたら提督の艦娘ってことで怪しまれないよ!」

カ級「ええっ!恥ずかしいよ~」

レ級「提督がんばれーーー!ほら、20ちゃんももっと声出して!」

カ級「20ちゃん!?」

レ級「イクの妹だから、20ちゃん」

カ級「え、なにそれは。ていうか私ほとんど変装してないよ、今更だけどこんなところに来たらまずいんじゃあ」

レ級「大丈夫だよ、もうみんなには19の妹ってことで話通してあるから」

カ級「レ級ちゃん何してんの!?」

 

こんなところでなにやってんだあいつ等・・・。

しかも何故かカ級が19の妹とかいう謎の設定になってるし。

まあ、バレなければこの際何でもいいや。

それに少しでも声援があればやる気が出るというものだ。

 

青葉「今回この勝負に負けたチームには切腹してもらいます!」

「は?」

リ級「提督、せっぷくってなんだ?」

「腹を切ることだ」

リ級「はぁ!?なんで料理対決で負けたくらいで死ななきゃならないんだ!?」

青葉「だってタイトルにもあったじゃないですか。高雄は二人もいらぬって」

「他の鎮守府にも高雄はいるんですがそれは」

青葉「この際細かいことはどうでもいいのです!」

カ級「あの人頭おか」

19「あのね、ここの青葉はあまり頭がよくないの」

衣笠「他の所に行くと、大体はバカのふりをしているか、いざという時に頼りになるかなんだけど、うちのは本当にバカだから」

レ級「通りでねぇ」

青葉「ちょっと、聞こえてますよ!」

衣笠「聞こえるように言ってんのよ!」

青葉「もっとひどいわ!」

衣笠「罰ゲームの内容も日本人=侍=切腹、っていう安易な発想で」

青葉「ええいうるさいでーす、今回の対決テーマはこちら!」

「強引だな」

青葉「カレーライスです!」

「よかった、これなら何とかなりそうだ」

リ級「提督、かれーってなんだ?」

摩耶「王道だな」

高雄「(そんな簡単なお題を出すなんて)馬鹿め!と言って差し上げますわ!」

青葉「それでは、料理対決スタートです!」

 

「今日は夏バテにいいということで、夏野菜カレーをつくるぞ」

リ級「なつやさいってなんだ?」

 

そういうリ級に俺は取ってきた夏野菜(なす、オクラ、トマト、玉ねぎ)を見せてやった。

深海棲艦である彼女にとって野菜は初めて見る未知の食材だ。物珍しそうに手に取って眺めている。

 

リ級「これがなつやさいなのか?っていうか変な色しているけどこんなの食べて大丈夫なのか?」

「人間の間ではこういうのは普通に食べられてるんだよ」

リ級「でも確かに、私達の間でもちょっと問題になってるからいいかもな。今年は特にひどいからね」

「去年まではどうやって乗り切ってたんだ?」

リ級「気合で乗り切るか、洞窟の中とか、あとは大規模作戦に志願して海外に行くとか」

「大規模作戦ってある程度強くないと行けないんじゃないのか?」

リ級「そんなことないよ、丙提督もいれば最近は丁なんてのも出てきだしたからね。みんな平等にチャンスはあるってことよ」

「へーそうなのか」

リ級「それで提督、まずは何をすればいいんだ?」

「材料はこれだ」

 

材料4人分

カレールー 100g

牛肉 300g

玉ねぎ 中1・1/2個

なす 中2本

トマト 中1個

オクラ 10本

サラダ油 大さじ3

水 600ml

コンソメ固形タイプ    1個

プレーンヨーグルト 1/2カップ

 

リ級「野菜って言ってたのに肉が入ってるぞ?」

「野菜だけだとパンチ力に欠けるからな。うまい人だと肉使わなくてもうまいんだけどな」

 

 

①材料を切る

 

「まずはナスを大きめの乱切りにしていこうか」

リ級「乱切りが分からないんだけど、っていうかほうちょう?っていうの初めて握ったんだけど」

 

そんなリ級の前に、まな板となすを置いてやった。

 

「2本あるから一緒にやっていこう。まずはへたを落として」

リ級「へた?」

「頭の上のギザギザしてるやつだよ」

リ級「ああ、これか」

「それから半分に切って、回して切って、回して切って」

リ級「見ながらでもうまくいかないな、ああっこれは小さすぎたか」

「いいんだよ、乱切りなんだからまあ多少はね?」

 

リ級にレクチャーしながら野菜を切っていき、玉ねぎは一口大に、トマトはざく切りに、オクラは半分に切っていった。

牛肉は角切りにしてブラックペッパーを振っておいた。

 

②材料を炒める

 

鍋にサラダ油を熱し、さっき切った牛肉、玉ねぎを炒める。

 

リ級「この赤いのが肉っていうのか、私初めて見たぞ。それにいい匂いがしてきたな」

「ずっと海にいるから肉なんてものには縁がないからな。少し試食してみるか」

リ級「えっ、いいのか?」

 

そんなリ級に俺は、炒めた牛肉に塩コショウを振り、小皿にとって渡してやった。

 

リ級「うんま~い!噛めば噛むほど味がしみだして美味いな!」

 

初めて食べる牛肉にリ級は大満足のようだった。

そんな俺たちに客席にいたレ級とカ級が近づいてきた。

 

レ級「コラー!二人だけでそんなおいしいそうなもの食べるなんてずるいぞ!」

カ級「レ級ちゃん、ちゃんと待ってなきゃだめだよ!」

「いいよ、少しくらいなら」

 

そう言うと、二人にも小皿を渡してやる。

 

レ級「うまっ!なにこれ!?」

カ級「うん、こんなの食べたことないよ」

レ級「こんなの入れたらおいしいに決まってるよ、提督の勝ち!この勝負今日まで~!」

青葉「勝手に終わらせないでください!ホラホラホラ、席に戻って下さい」

 

ホラホラダンスをする青葉に促され、レ級はしぶしぶ客席に戻っていった。

いざ料理を再開しようとすると、今度は青葉が俺に向かって話しかけてきた。

 

青葉「ところで提督、あの子本当に雷ちゃんなんですか?」

「なんでそんなこと聞くんだよ」

青葉「だって一般的に知られてる雷ちゃんと全然違うじゃないですか」

「よそはよそ、うちはうち」

青葉「あなた、まさか・・・」

 

ここへきてまさかの発覚か!?と思っていると

 

青葉「今艦これ界を騒がせているブラ鎮なんじゃないでしょうね?」

「別に騒いではないと思うんだけど、っていうか艦これ界ってなんだよ」

青葉「だってあの子顔色真っ青通り越して真っ白じゃないですか。ちゃんとご飯食べさせてないからあんなことになってるんじゃないんですか?」

「そんなわけあるか!」

青葉「牛肉を食べて、食べたことないとは一体どういうことですか!?」

「それはいい肉使ってるから、こんな高級な肉食べたことないよって意味だよ」

 

そう説明するも青葉は疑いの眼で俺を見つめたままだ。

どうやら全然違う方に勘違いしてくれているようだ。

こんな陸地に深海棲艦がいるわけがないと思っていたせいで、核心に迫ることができなかったのだろうか。

これはこれで面倒くさいが、深海棲艦と疑われるよりはるかにマシだ。

なんにせよ助かった。

 

リ級「提督ー、肉と玉ねぎがしんなりしてきたぞ、この後どうするんだ?」

「そこに茄子も加えて、色が変わるまで炒めるんだ」

リ級「この赤いのと緑のは入れなくていいのか?」

青葉「赤いの?野菜も見たことないというのですか!一体普段何食べてるんですか!?」

「うっさい黙ってろ!それは煮込むときに入れるんだ」

リ級「ん、分かったー」

 

 

③煮込む

 

「ここに水をドバーッと入れます」

リ級「えっ?こんなに大量に入れて大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ、まだ料理の途中だからもう少しすればわかるよ」

 

さらにトマトの半分とコンソメを加えて、沸騰したらあくをとり、中火で15分くらい煮る。

 

「煮ているにルーを細かく刻んでおこう」

リ級「ファッ!?ル級、なんて変わり果てた姿に・・・」

「そんなわけあるか!ルーってのはこれのことだよ」

 

そういうとリ級にカレールーを見せてやる。

ルーを渡されたリ級は興味深そうに臭いをかいでみた。

 

リ級「あっ、なんだかおいしそうなにおいがするなあ。これがカレーの素になるのか?」

「そうだよ、このままじゃ溶けにくいから刻んでおこうか」

リ級「こっちの方が手っ取り早いぞ」

 

そう言うとリ級はカレールーを握りつぶそうとした、が湿っていてうまくいかず掌にこびりついてしまった。

 

リ級「うわー、手にめっちゃ引っ付いてるー!」

レ級「あ、これも美味いな!(チュバチュバ)」

 

いつのまにか近くまでやってきたレ級がリ級の手を舐め、というよりしゃぶり始めた。

 

リ級「ひゃあん!レキ、雷さん何してんすか!」

カ級「ま、まずいですよ!////////」

レ級「おいしいぞ?」

「いやそういう意味じゃないだろこの場合」

 

すると今度は真っ赤な顔をした青葉が再びこちらに近づいてきた。

 

青葉「い、一度ならず二度までも、あなたたちは、何をややややばたにえんございますか!」

レ級「えー、だってこれおいしいよ。お前も食ってみろ」

 

そいう言うとレ級は青葉にリ級の手を差し出した。

 

青葉「そそそそ、そんなことするわけないでしょう!」

レ級「重巡アンド重巡!」

青葉「は?」

カ級「あの、たぶん同じ重巡じゃないか!って言うことを言いたいんだと思います」

「今のでよく分かったな」

カ級「うん、一応付き合い長いから」

リ級「っていうか私の手なんですけど」

青葉「同じ重巡でもそんなことしません!」

衣笠「えっ!?青葉ってノンケだったの!?」(大ショック)

「お前は何を言っているんだ」

?「あの~」

 

と別の誰かから話しかけられた。振り返ってみると

 

秋雲「今度のコミケのネタが浮かばなくて困ってたんですよ。お願いします!このネタ使わせてください!」

「ええ・・・(困惑)」

摩耶「お前らいい加減にしろ!」

 

と、今度は反対側から怒りの声が上がった。

 

摩耶「アタシ等だって料理してんだから、こっちもレポートしろよ!」

青葉「ええ~、だってそっち映したって何の面白味もないじゃないですか!なんか面白いことやってくれないと。こんなんじゃ番組になんないよ、頼むよ~」

摩耶「料理ってそんなもんじゃないだろうが・・・」

?「そういうことなら私にいい考えがあるわ!」

 

今度は妹の鳥海が乱入してきた、と思ったら摩耶のところまで歩いて行った。いったい何をするつもりなのか。

 

鳥海「摩耶!」

摩耶「な、なんだよ・・・」

鳥海「私の尻を舐めろ」

摩耶「バカかお前は!?そんなもん放送できるか!」

 

そういう問題ではないと思う、っていうかまたややこしいやつが出てきた。

今のはボケというよりも、目がマジだったような気がする。

そういやさっきの声援はコイツだったのか。

 

鳥海「えっ!?摩耶ってノンケだったの!?」(大ショック)

摩耶「お前もか!もう帰れよ~~」

衣笠「青葉ァ!」

青葉「ええっ!?なんで私怒られてんの!?」

衣笠「人ばっかりあてにしてないで自分で番組盛り上げようという努力が足りないんじゃないの!?」

青葉「す、すいません!私は一体どうすれば」

衣笠「私の前を舐めろ」

鳥海「そうか、後じゃなくて前だったのね!」

青葉「あーもうめちゃくちゃですよ」

摩耶「青葉、面白くなる方法思いついたぜ・・・」

青葉「えっ!そんな方法があるのですか?」

摩耶「さあ重巡解体ショーの始まりや」 E・中華包丁

 

カ級「やっぱり頭おかしい」

レ級「秋雲、これネタに使えるんじゃないのか」

秋雲「金!暴力!SEX!って感じ?」

リ級「金要素がどこにあるんだよ」

秋雲「えーと、包丁かな?」

「それは金物だろ!」

 

収拾がつかなくなってきたので結局ルーを包丁で刻んでから鍋に入れた。

ここにオクラを入れて、弱火でかき混ぜながら10分間煮る。

最後にヨーグルトを入れて、ひと煮たちすれば

 

「これで夏野菜カレーの完成だ!」

リ級「提督、トマトはどうするんだ?」

「おっとあぶない、最後に残りのトマトを入れてひと煮たちすれば今度こそ完成だ!」

 

向こうでは摩耶が包丁を振り回して大暴れしているが、残った高雄が我関せずといった感じで無事に料理を完成させていた。

出来上がった料理を見てみると、高雄はスパイスをうまく使ったらしく、いいにおいがここまで香ってきた。

 

「困ったなあ、少し、イヤはっきり言って勝ち目ないかもしれん」

リ級「そうなのか?だったらこっちもスパイスっていうの使ったらいいんじゃないのか」

「あれは使い方が難しいんだよ、分量を間違うとすごく不味くなってしまうからな」

レ級「そんなときはこれを使うといいよ!」

 

そういうとレ級はポケットから何かを取り出そうとした。

 

「なんだそれは?」

レ級「確かこれを使うとスーッとして気持ちの良くなるものなんだって」

「おい、それはヤバい薬じゃないのか?どこで手に入れたんだよそんなもの」

 

そんな風に話していると、

 

摩耶「このハゲーーーー!!!」

「「「のわーーーーー!!!」」」

青葉「なんで私までーーーー!!」

鳥海「重巡アンド重巡!」

衣笠「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」

 

向こうから中華包丁を振り回しながら突進してきた摩耶と逃げ回る青葉達に気づくことができずにぶつかってしまった。

そのはずみで持っていた何かがどこかに飛んでいってしまった。

 

「どこいった?」

レ級「わかんない」

高雄「いい香り、我ながら会心の出来ね。この勝負はもう勝ったも当然かしら」

ボチャン!

高雄「ん?今何か・・・気のせいかしら」

青葉「あーもう終わり終わり!調理時間終了!しゅーりょー!ていうか誰か助けてー!!」

 

結局謎の物体は見つからずじまいで、タイムアップの時を迎えた。

摩耶は3人を追いかけたまま食堂の外まで出ていってしまいそのまま戻って来なかった。

 

青葉「さて、色々ありましたがいよいよ試食タイムに移りたいと思います!試食してくださるのはこの方達です!」

  「まずはご存知、我らがM提督!」

ワーワーキャーキャー

M提督の登場により、客席から今日一番の歓声が上がった。

M提督「どうも、よろしくおねがいします」

青葉「続きまして、なんとあの伊19さんに妹がいた?、伊号型潜水艦の伊20ちゃんです!」

カ級「ど、どうも」『どうしてこんなことに』

ざわ・・・ざわ・・・

「伊20?」

「そんな子いたっけ?」

「聞いたことないわね」

カ級『うぅ~めっちゃ見てるよ~』

 

リ級「おい、やっぱりマズイんじゃないのか?」

「それは分かってるけど、どう断ったらいいか分かんなかったんだよ!下手に断ると怪しまれるし・・・」

レ級「おどおどしてたら怪しまれるよ。堂々としてればいいんだよ」

「そうかもしれない・・・のか?」

リ級「無理があるような気がするんですが、あれ?カ級ちゃんって確か」

 

青葉「最後はこの方、食堂でいつもお世話になってる給糧艦の間宮さんです!」

間宮「こんにちは、他所の提督だからと言って不利な判定をしたりしませんのでご安心ください」

 

どうやらこの人にも俺はあまり受けが良くないらしい。

ご安心くださいといわれても、あまり目が笑ってなかったのは気のせいだろうか。

 

青葉「まずは、K提督のカレーから試食してもらいましょう」

 

そう言うと3人の前に俺達が作ったカレーが並べられた。

 

M提督「モグモグ・・・、うん、おいしい!たまには他の人のカレーを食べるのもいいですね。ごろごろ入っている野菜も食べ応えがっていいですね」

カ級「私はお肉が好きです。あと夏バテ対策ということで私達のことを考えて作ってくれたのが嬉しいです」

間宮「隠し味にヨーグルトを使ったのがいいですね。具材も食べ応えがあって、なんというか家庭的な味ですね」

赤城「う ま い ぞ」

 

3人の評価はこんな感じだった。食べたことのないカ級はともかくとして、後の二人の評価は「普通だな!」と言ったところか。

勝負に勝つカレーを作るべきだったか。

負けた後のことを考えなくてはいけないかもしれない。

何か余計な奴が一人いたような気がしたが。

 

青葉「ちょっと赤城さん!何してるんですか!」

赤城「もう待ちきれないよ!早く出してくれよ!」

青葉「もう(食べ)始まってる!」

赤城「私も審査員として参加します!」

青葉「あなた何食べてもうまい、おいしいしか言わないじゃないですか」

赤城「すいません許してください、何でも食べますから」

青葉「ん?今何でも、とでも言うと思ったか!」

加賀「はいはい、赤城さんあっちでカレーパンでも食べてましょうね」

赤城「何するんですか!流行ラセコラ!ムーミン野郎!カレーパンはあとで食べます!」

加賀「誰がムーミンですか!」

あわれ赤城は加賀に引きずられながら食堂から出て行った。

青葉「続いて高雄・摩耶チームのカレーです!」

 

運ばれてきたカレーは俺のとは全く違う、見た目、匂いからして店で出されているような本格派のカレーだった。

「おおー」「いい匂い~」「もう香りだけで食欲をそそるわね」

外野の反応もさっきと明らかに違う。

 

「こうもあからさまだと傷つくなー」

リ級「提督の”かれー”も結構おいしいぞ、これじゃダメなのか?」

「奴が作ってるのは本格派、深海棲艦で言うところの姫級のカレーだからな。庶民派のカレーじゃ太刀打ちできんよ」

レ級「港湾棲鬼にカレーをぶっかけろ」

「本当にかけてどうするんだよ!っていうかそういう意味じゃないから」

レ級「だってあいつ白いからかれーがよく映える」

「やかましい!」

リ級「提督もその”ほんかくは”とやらにすればよかったのに」

「俺の腕じゃあれが限界なんだよ」

レ級「こんなときこそアレが役に立つのになー」

「さっきレ級が持ってたアレのことか?一体何だったんだ?」

 

そんなことを言っていると、先ほどと同じように3人の前にカレーが並べられた。

 

M提督「見た目はかなりいいですね」

カ級「なんだかすごくいい匂いがします」

間宮「高雄さんまた腕を上げましたね」

いざ試食!とここで間宮が

間宮「ん?提督、シップか何か貼っていませんか?」

M提督「私は知りませんよ?」

カ級(ふるふる)

間宮「じゃあこの匂いは一体・・・?」

 

とそこへ加賀を振り切った赤城が食堂へなだれ込んできた。

そしてカ級の前に置かれていたカレーを奪い取るとむさぼり食べ始めた。

 

カ級「えっ、なになに!?」

赤城「いっただきまーす!ハムハム、ムシャムシャ!」

加賀「ごめんなさい!すぐに連れて帰りますから」

 

加賀が赤城を再び連行しようとしたとき、赤城に異変が起きた。

 

赤城「ム、むぐわーーーー!!!!辛い!辛い!辛い!というか痛い!痛い!痛い!」

加賀「赤城さん!一体どうしたんですか!?」

高雄「もしかしてカレーが辛すぎたの?スパイスの配合は完璧だったはずなのに!?」

 

慌てて、高雄も自分で作ったカレーを食べてみる。

 

高雄「ぐおわっ!ゲッホゲホ!」

赤城「ヒリヒリする~~~~~!!」

 

リ級「なんだなんだ?いったい何が起こってんだ?」

「嫌な予感がするぞ」

 

俺は高雄の鍋に駆け寄り、鍋の中をすくってみた。

すると鍋の中から先程レ級の持っていた謎の物体が出てきた。

小瓶に書かれていた文字を見て俺は驚いた。

 

「レ級、これは食べるものじゃないんだよ」

レ級「そうなのか?」

「これはアンメルツヨコヨコといって筋肉痛になった時に塗る薬だよ」

レ級「きんにくつうってなんだ?」

リ級「そりゃそうだ、レ級さんが筋肉痛になるなんてありえないないもんな」

レ級「でもよかったじゃないか、これで提督の勝ちだな」

「そういうわけにはいかないだろ、ちゃんと話して謝らないと」

カ級「そうだよ、作ってくれた高雄さんに失礼だよ」

「そう、あなた達の仕業だったのね・・・!」

 

背後から怒気をはらんだ声が聞こえてきた。

振り返ると、憤怒の表情で高雄がこっちをにらみつけていた。

 

リ級「ヒエーーー!!」

カ級「どうしよう、ものすごく怒ってるよ~」

比叡「お呼びになりました?」

「呼んでないから」

比叡「ヒェ~~(落胆)」

高雄「私のカレーに一服盛るとはやってくれるじゃない!」

リ級「いや、これは不可抗力というか」

高雄「問答無用!こうなったら力尽くで思いしらせてあげるわ!」

 

このままリアルファイトに突入かと思っていたところへまたしても何者かが乱入してきた!

 

摩耶「やろうぶっころしてやるーーーーーーーーー!!!!」

3バカ「「「ギョエーーーーーーーー!!!」」」

 

摩耶が中華包丁を振り回しながら乱入、というより戻ってきた。

姿が見えないと思ってたらあいつらまだやってたのか、と思ってたらこちらへ向かって走りこんできた!

 

摩耶「死ねぇーーーー!!」

 

摩耶が中華包丁を振り下ろすも3人はすんでの所で何とかかわす。

高雄は怒りのあまり真横で3人が急に左右にかわしたことに気が付かなかった。その結果

高雄「さっきからうるさいわよ!今大事な話を」ズドッ!「あらぁ!?」

摩耶の中華包丁が脳天に直撃する羽目になり

高雄「ま、まら~、な、なにをするりれろ」

摩耶「あっ、やべっ」

高雄「ぱっぴっぷっぺっぽぉ~」バタン

 

さしのも高雄もこれには耐えきれずバッタリと倒れ伏した。すかさず青葉がかけよりカウントをとり始めた。

 

青葉「ワン・ツー・スリー!勝者提督・高雄(?)ペア!」

カ級「えーーーーっ!?いいのこれ!?」

青葉「こうなりゃヤケだピョーー!」

レ級「やったぁ!提督の完全勝利だね!」

「喜んでる場合か!」

リ級「もう料理対決じゃなくなってるんですが」

M提督「じゃあウチの負けってことで約束通りウチから何人か・・・」

「結構です」

 

天龍「た、大変だー!」

 

また誰かがやってきた。これ以上の騒動は勘弁と思っていると、

 

M提督「一体どうしたんだ?」

天龍「さっき遠征先で高雄と雷に会ったんだけどよ、様子が変なんだよ」

M提督「変?」

天龍「ああ、何故か下着姿でうろついてたんだよ。なんでも何者かに服を奪われたって」

M提督「それで犯人の顔は見たのか?」

天龍「急に襲われたから顔はよく覚えてないけど、なんか黒っぽい服を着たやつだとは言ってたぞ」

M提督「十中八九深海棲艦の仕業だな」

 

出かけに聞いたレ級の話を思い出し体中から一気に汗が噴き出した。

 

(小声)「おい!これはどういうことなんだよ!」

レ級「最寄りの鎮守府がここだった・・・みたいな、なんて~ハハァ」

リ級「笑ってる場合ですか!」

カ級「あ、あやまったほうがいいのかな」

「こんなこと言えるわけないだろ!」

 

この騒ぎでこの近海に警戒態勢を敷いたらしく、にわかに鎮守府全体が騒がしくなってきた。

このままここにとどまるのは危険な状況になってしまった。

 

レ級「じゃあどうするんだ?」

「決まってるだろ、逃げるんだよォォォーーー!!」

レ級「え~僕もっとカレー食べたいのに~」

「食っとる場合か!」

リ級「誰のせいだと思ってるんですか!」

 

この後適当な理由をつけて何とか鎮守府から脱出することに成功した。リ級の正体についてはこの騒ぎでうやむやになった。

あのままやっていたら確実に負けていたので、結果的にはレ級に助けられた形になった。

でも結局レ級のせいで逃げなくてはいけない羽目になってしまったのでプラスマイナスゼロだ。

高雄は入渠したらあっさり復活したそうだ。

 

 

K鎮守府

 

軽巡棲鬼「あっ、やっと帰ってきたわね。おーーーい!」

 

辺りがすっかり暗くなったころ、ようやく我が家、わが鎮守府に戻ってくるといつもの防波堤で軽巡棲鬼が手を振っているのが見えた。

待っててくれていたのはありがたかったがこれはマズイ。

 

軽「おかえりー」

「おかえりーじゃないよ、大声出さないでくれよ。艦娘たちに気づかれたらどうするんだよ!」

軽「みんな遊びに行ったか、家に帰ってるかしてて誰もいないわよ」

「これはひどい、ウチの鎮守府だけど、これはひどい」

軽「もういっそのこと私が住んじゃおうかしら」

「勘弁してくれよ」

 

そんな風に話していると、車の中で寝ていた3人が目を覚まして出てきた。

 

リ級「あれ?ナカノさんもしかして今まで待っててくれたんですか?」

レ級「ふあぁぁぁぁ~、んあ?ナカノちゃん?おはよう~」

カ級「レ級ちゃん、まだ夜だよ」

 

カ級はレ級の持ってきた酔い止めのおかげで帰りは快適な旅になったようだった。

 

軽「どうだった?」

レ級「結構面白かったよ、料理対決したり、カ級ちゃんにお姉さんができたり」

軽「お姉さん?どういうことなの・・・、っていうか向こうに行っても料理してたの?通りでおいしそうな匂いがするわけだわ」

レ級「ホント?じゃあナカノちゃん僕を食べ」

軽「じゃあ死のうか(本日2回目)」

「カレーは持って帰ってこれなかったけど、代わりにいいものを買って来たぞ」

軽「えっ、ホントにお土産買ってきてくれたの?」

 

軽巡棲鬼は冗談のつもりで言っていたらしかった。

俺はそんな軽巡棲鬼にあるものを手渡した。

 

軽「なにこれ?なんか黒くて甘い匂いがするんだけど」

リ級「それは羊羹といって、甘くておいしいお菓子ですよ」

「艦娘を何人かこっちに手配させてやるっていうのを、なんとか間宮羊羹にまけさせたんだ」

カ級「それだけじゃないよ、食べるとすごく元気になるんだよ」

軽「元気に!?なんかヤバいものでも入ってるんじゃないでしょうね」

「まあ、だまされたと思って食べてみなよ」

 

俺に促されると、軽巡棲鬼は羊羹についていた小型のナイフで羊羹を一口サイズに切り分けるとおそるおそる口に含んだ。

 

軽「おいしーい!前食べたのもいいけど、これは上品な甘さがいいわね。それになんだか元気が湧いてくるようだわ」

レ級「だよねー、今なら大和でも倒せそうだよ」

リ級「あなたは羊羹食べなくても普通に倒せるじゃないですか・・・」

「まだまだあるぞ」

 

そう言うと俺は袋いっぱいに入った間宮羊羹を袋ごと渡した。

 

リ級「提督さん!なにしてんすか!マズイですよ!」

カ級「いくらなんでもこんなにたくさんもらえないよ!」

軽「いくらなんでもこれはもらいすぎよ」

レ級「こんなにもらっちゃ悪いよ」

 

テレビで野菜をいっぱい渡しているお年寄りの気分だ。

久々に訪ねてきた客人にうれしくてついついたくさん渡しちゃうアレだ。

まさか自分でやるとは思わなかった。

 

「いいんだよこれくらい、今日はみんなのおかげで無事打ち合わせも終えることができたし、これはほんの気持ちだよ」

リ級「いやいやいや、私達実際邪魔しただけだよ?」

レ級「そうだよ(便乗)」

「まあまあ、そんなこと言わずに」

 

そんなやりとりを約5分ほど繰り返したのち、ようやく受け取ってもらえた。

この件もテレビで見たことがある光景だ。

 

軽「ほんとごめんね、私が言い出したことで」

リ級「ありがとう」

レ級「いろいろありがとなー」

カ級「ありがとうございました」

 

4人はそれぞれお礼を言うと、帰っていった。

ところでなにか忘れているような・・・。

あっ、あいつ等着替えるの忘れて帰ってる!

そのことに気が付いたのは、奴らが帰ってからしばらくたった後のことであった。

 

 

深海サイド

 

空母棲姫「それで、こんなにたくさん貰ってきたと」

リ級「は、はい・・・」

カ級「・・・・・(怖い)」

空母「もう、まだ借りも返さないうちからこんなにたくさんもらっちゃってどうすんのよ!」

軽「そんなに怒んなくてもいいでしょ、貰ったものはしょうがないじゃない!」

空母「別に怒ってないわよ」

レ級「えいえい、怒ってない?」(弱パンチ)

空母「怒ってないわよ」

レ級「えいえい、怒ってない?」(中パンチ)

空母「怒ってないわよ」

レ級「えいえい、怒ってない?」(強パンチ)

空母「怒ってないわよ」

中枢棲姫「えいえい、怒ってない?」(弱キック)

空母「怒ってないわよ」(空母カットイン)

中枢棲姫「ぎょええええええええええええ!!!!」

?「一体なんの騒ぎだ?」

 

空母棲姫のカットイン攻撃により黒焦げ死体と化した中枢棲姫、とそこへ駆逐古鬼と駆逐古姫と集積地棲姫が現れた。

 

古鬼「なんだこの黒焦げなのは、ゴミか?」

中枢「ヒデェ!」

集積地「シャベッタアアアアアアアアアアア!!!!」

中枢「ゴミじゃないわよ!」

軽「中枢が調子に乗って空母棲姫にちょっかいかけたのよ」

古姫「まるで成長していない」

集積地「ん?提督がまた何かくれたのか?」

空母「なんでもヨーカンとかいうものらしいわよ、ほら」

 

集積地棲姫が空母棲姫の持っていた袋の中身を見ると顔がしだいに青くなっていった。

 

空母「どうしたの?おいしくないのこれ?」

レ級「そんなことないよ!僕達だって食べたんだから間違いないよ!」

集積地「7000円」

空母「え?」

集積地「1本7000円」

軽「ちょっと何言ってるのか分かんないわね」

カ級「・・・ねえこの袋の中にいくつ入ってた?」

リ級「なんだろうすごくやな予感がしてきたんだけど」

空母「奇遇ね、私もよ」

 

 

事の重大さに気づいたのか集積地だけでなく、他のみんなの顔も青くなってきた。

あまりの恐ろしさに全員が黙っている中、空気を読めない奴が口を開いた。

 

中枢「みんなバカねぇ、こんな計算簡単よ。20本だから14ま」

空母「あああああああああああ!!」(空母カットイン)

リ級「えええええええええええ!!」(魚雷カットイン)

軽「何してんだあああああああ!!」(魚雷カットイン)

レ級「おおおおおおおおおおおおおおお!?」(魚雷カットイン)←状況がよくわかっていない

重巡棲姫「ヴェアアアアアアアアアアア!!」(夜戦カットイン)

艦載機「びゃああああああああああああ!!」(松本さん!)

憲兵「んんんんんんんんああああああああああああああ!!」(・・・すごい漢だ)

 

数分後、そこには中枢棲姫と似ても似つかないごみ屑ようなものが転がっていた。

 

中枢「ひ、ヒドイっす・・・」

空母「あーびっくりした。ぶっ放したおかげで少しは落ち着いたわ」

軽「何がほんの気持ちよ、あの提督はアホなのかしら」

集積地「14万?ボッタクリだろ」

リ級「ボッタクリではないでしょ」

古鬼「お前達まだいたのか」

リ級「艦載機と憲兵に何故カットイン攻撃が!?」

憲兵「解らんのか!!この戯けが!」

ヲ級「この人誰?」

艦載機「・・・・すごい漢だ」

古姫「重巡棲姫はなんでここにいる?」

重巡「雄たけびと言ったら私じゃない」

古鬼「でも師範が一番すごかったぞ」

重巡「負けたああああああああああヴェアアアアアアアアアアア!!」

集積地「うるせー!!」

レ級「空母棲姫元気ないのか?だったらこの薬を」

リ級「それはもうやめてください」

空母「?」

カ級「あの、誰か中枢棲姫様助けたほうがいいんじゃ」

 

後に提督はこの時のことをこう語った。

『こういう仕事してると外に出ることなんてほとんどないし、無駄に給料高いわりに金使うことなんてめったにないからな。だからこのくらいの出費はたいしたことないんだよ』

軽『おまえ精神状態おかしいよ』

 

中枢「まあまあいいじゃないの、せっかくもらったんだから食べないと失礼よ」

集積地「早い!もう復活したのか」

中枢「それがどうした私は中枢棲姫だぞ」

古鬼「お前はなにをいってるんだ」

空母「それはそうだけど限度ってものがあるでしょう?何よ14万って!」

中枢「こんな時こそ甘いもの食べて頭をスッキリさせるのよ。そしたらいい考えも浮かぶってもんよ」

空母「早く食べたいだけでしょうに、全く。ところであなた達いつまでそんな恰好してるの?」

リ級・カ級・レ級「ん?」

 

ここで初めて自分の恰好に気が付く3人。

 

リ級「ああああああああああ!忘れてたああああああああ!!」

カ級「着替えも置いてきちゃったよどうしよう!」

レ級「やったね!また遊びにけるよ!」

リ級「それまでずっとこの格好でいなきゃいけないんですか!?」

レ級「これでリ級もふぁっしょなぶるになれるぞ!」

リ級「嬉しくないですよ!」

 

そこへ騒ぎを聞きつけた新たな深海棲艦が入ってきた。

 

深海鶴棲姫「うるさいわねえ一体何の騒ぎよ、寝られないじゃない!」

ル級「あーーっ!また基地が壊れちゃーう↑」

タ級「いや、もう壊れてるから」

戦艦棲鬼「こんなところに艦娘が入り込んでるじゃない!さてはアンタたちの仕業ね!」

戦艦水鬼「姉さまやっちまいましょう!」

レ級「面白れぇ!やるか!?」

空母「やめなさいアンタ達!これ以上基地を壊す気!?」

軽「アンタも一緒になって壊してたじゃない・・・」

ソ級「きゃああああああ!カ級ちゃんカワイイイイイイイイ!お持ち帰りイイイイイイイ!」

カ級「お、お姉ちゃん!?見ないで~~~/////」

リ級「本当のお姉さんいるんだよなあ」

古鬼「このヨーカンとやらは美味いな、しっとりとしていてそれでいてベタつかないスッキリした甘さだ」

古姫「小豆はバンホーテンのものを使用したのか?」

集積地「ねーよ」

 

 

大本営

 

モブ提督A「一体どうなってんだ!こっちの攻撃がまるで当たらんぞ!」

モブ提督B「俺の所もだ!攻撃はよけるしやたらクリティカルだすし、あーもうめちゃくちゃだよ!戦艦どころか駆逐艦にも当たらないのはどういうことなんだ!?」

モブ提督C「そういえば艦娘の報告によると、敵がなんか光ってたとか」

 

やべえよ、やべえよ、絶対あの羊羹が原因だ。

どうやらあの羊羹は結構な範囲で広まったらしい。

俺は知らん、何も知らん。

 




お待たせしました。お詫びのしるしの1万4000字です。(記録更新)無駄に長いとも言う。
この話は夏頃にある程度できていたものなので、テーマが夏バテと言ったずれたものになっ
てしまってます。
ちなみに作中でカレーにアンメルツヨコヨコを入れてえらいことになってますが、実際にはそんなことはありません(たぶん)。いわゆる演出というやつです。
だからといって本当に入れるのはやめましょう。
伊20なんてどうせいるわけがないと思って適当に書いたら、実在したことに驚きました。


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護衛独還姫と流しそうめん

艦娘交流記 その5

今日鎮守府内を歩いていると、榛名に会った。
俺がここに着任してから3日くらいで出て行ったのに何してんのかなーと思い声をかけようとしたら
「あっ、忘れ物を取りに来ただけなんで大丈夫です!」
といってさっさと、逃げるように帰っていった

終わり


時刻は午後12時ごろ、今俺はいつものように執務室で仕事をしている。もちろん一人で。

そろそろ昼食の時間だ。

これが普通の鎮守府ならば

 

「提督、そろそろ食堂に行きましょう!」

「さて、それじゃあ昼食の準備にとりかかりますね」

 

となるところであるが、ウチには食堂もご飯をつくってくれる秘書官も存在しないので全部自分で何とかしないといけない。

ふと、外に耳を傾けると艦娘達の話声が聞こえてきた。

 

「今日何にするー?」

「いいアスパラが入ったんだよねー」

 

以前にも言ったが、ここにはプロ顔負けの料理の腕を持った艦娘が多数存在している。

間宮がいなくなったことで食堂が閉まってしまい、艦娘全体の食生活に問題が生じるかと言えばそういうわけでもなく

仲のいい艦娘や姉妹艦同士で食堂を利用してめいめい料理を作って楽しんでいたりする。

俺との仲は全然よくないが、艦娘の仲は深まっているようだ。

それはともかくとして今日のお昼は何にしようか。う~ん、じめじめしていて持ちが悪い、考えがまとまらないなあ。

空気を入れ替えてリフレッシュするか、そう思い窓を開けた瞬間、鷹型の艦載機が部屋の中に飛び込んできた!

白い人、おそらく深海棲艦だろう、をつかんだままで。

 

「ちょっ、なんだなんだ!?」

 

窓を開けたおかげでガラスは割れずにすんだが、あっちへフラフラ、こっちへフラフラしばらくの間部屋の中を飛び回っていた。

が、やがて力尽きたのか本棚に激突した。

 

ドサドサドサッ!

 

大量の本が何冊も白い深海棲艦に降り注いだ。

いきなりの展開に言葉を失っていると、

 

?「うう~~~、痛たたたたたた」

 

本の山から声が聞こえてきた。

歯のような首輪に大きく前のはだけたシャツ、そして腰布。

目のすぐ上で揃えられた前髪で青い瞳で左の額から赤い角を生やしている。

そいつの正体は独還棲姫だった。

 

独「あなた誰?」

「いきなり人の家(?)に飛び込んできて第一声がそれかい」

独「はっ、その白い服、あなたはテイトクとかいうヒトですか?ということはここは・・・」

「まあ、鎮守府なんだけど」

独「ふぇえええ~、た、食べないでください!」

「食べないよ!」

独「そんなことよりなんとかしてー、暑くて死んじゃう~~」

 

ちょうどつけようと思っていたところだしいいかと思い、俺はエアコンのスイッチを入れた。

するとエアコンから冷たい風がふいてきた。しばらくすると部屋全体が涼しくなってきた。

そして冷蔵庫から麦茶を出し独還棲姫にコップに注いで出してやると、一気に飲み干した。

するとこちらを物欲しそうな目で見てきたので、もう一杯コップに注いでやるとまたもや一気に飲み干した。

ちなみに鷹型艦載機は、ビニールプール(家具コイン)で体を冷やしている。

 

独「ああ~気持ちいい~生き返るわ~ゴクゴク」

「それにしてもよくこんな遠くまでこれたなあ、ドイツからだっけ?」

独「二ホンっていうの?ここ、暑すぎて死ぬかと思った」

「ドイツと日本じゃ気温が全然違うからな。この炎天下に飛び回るなんて正気の沙汰とは思えないからなあ」

 

落ち着いたところで彼女に話を聞いてみると、艦載機に宙ぶらりん状態で空の散歩を楽しんでいたところ、居眠りしてしまい道に迷ってここまで飛んできてしまったらしい。

日本に着いたのはよかったが、こちらに知り合いがいるはずもなくあちこちさまよった挙句たまたまここにたどり着いたということだった。

 

「運がよかったな、他の鎮守府だったらどうなっていたか分からないぞ」

独「本当にね~~、あ~このムギチャ?っていうのおいしい~」

 

そう言うと独還棲鬼は3杯目の麦茶を飲みほした。

間髪入れずに4杯目もまた飲んだ、よほどのどが渇いていたのだろう。

 

独「ところであれは一体何?」

 

独還棲鬼が目にしたのは、この前家具コインで買ったばかりの流し素麺機だ。

艦娘と一緒に楽しく流し素麺を食べる、というわけではなく見た目の清涼感からつい手を出してしまった。

当然使用回数は0で、部屋のインテリアとして飾ってあるだけだ。

独還棲鬼に流し素麺について説明してやると

 

独「へー、変わった食べ方するのねー。水が流れてて見てるだけで涼しそうね」

「ちょうど昼飯時だし、食べていくか?」

独「流し素麺とか、あまり、好きじゃないけど、仕方ぁ、ナイネ!」

「え、素麺嫌いだった?」

独「いや、なんとなく言わないといけないような気がして・・・」

 

数分後、俺は茹で上がった素麺を手に流し素麺機の上に立った。

下の方では独還棲鬼がお箸と麺つゆを手に今か今かと待ち構えている。

 

「それじゃあ素麺を流すぞー」

独「いいよー」

 

俺の手から離れた素麺は流し素麺機の上を通って、独還棲姫の差し出した箸をすり抜け、下の器にボチャンと落ちた。

 

独「えー、キレイなのはいいけど早すぎてつかめないよー」

「それじゃあ、水の流れを少し弱くしてみるか」

 

今度は水の流れをさっきより弱くして素麺を流してやった。

すると今度は素麺をつかむことができ、さっき教えてやった通りに素麺を麺つゆにつけて口に運んだ。

 

独「んん~、冷たくておいしい~~!これならいくらでも食べられそうだよ」

「それじゃあ、どんどん流すぞー」

 

その後も素麺を流しては食べるを繰り返し、あっという間に二束も平らげてしまった。

 

独「そうだ!これってもう少し長くしたらおもしろいんじゃない?」

「これ以上長くするなら、外に出ないと。この時間は艦娘がうろついてて外に出るのは危険だぞ」

独「別に出なくていいじゃない、ここだって十分広いでしょ?」

「まあ出なくてもできるけど、あんまり長くはできないぞ」

独「っていうか暑いから外に出たくないよ」

「それじゃあ、いっちょやってみるか。まずは材料を用意しないとな」

 

2リットルペットボトル(約1メートルにつき3本必要)

はさみ 

カッター

軍手

セロハンテープ

ビニールテープ

 

 

独「たったこれだけで流し素麺ができるの?」

「まあ、やってみればわかるさ。じゃあまずはペットボトルの上下をカッターで切り落とすんだ」

独「なんだかブニブニしててやりずらいね」

「手を切らないように注意しろよ、この軍手をつけるといいぞ」

独「できたよー」

「次は切り落としたものをハサミで二つに切り分けてくれ」

独「そうか、この二つを組み合わせてコースになるのね」

「ああ、その二つをセロテープでつなげたら縁をビニールテープで補強していく、だそうだ」

独「補強?」

「縁で手を切ったりしたら危ないからな」

 

しばらく量産体制に入り合計10個ほどのコースが出来上がった

 

「じゃあ今度は柱を作っていこうか」

独「柱?どういう事?」

「コースを支えるのに使うんだ、坂になるように高さも変えていかないと」

独「それは分かったけど、まだまだ時間がかかりそうね」

「しょうがないよ、まさか艦娘に手伝ってもらうわけにもいかないもんな」

 

などと話していたら、突然!何者かが部屋になだれ込んできた!

早い!もうバレてしまったのか!?最悪の展開に心臓が止まりそうになったが、部屋に入ってきたのは

 

空母「提督、この前のアレは一体何なのよ!やりすぎよ!おかげで基地がメチャクチャになっちゃったじゃない!」

「ええっ!?一体どういうこと?」

空母「あなたはアホなの!?あんな高価なものをあんなにたくさん!もう意味が分かんないわよ!」

「いや、意味が分からないのはこっちの方なんだけど、っていうかどうやって入ってきたんだ」

空母「そんなことは今は重要じゃないでしょ」

「重要だよ!」

 

空母棲姫!だった!

空母棲姫は部屋に入るなり一気にまくし立ててきた。

おそらくこの前の羊羹の件について言っているのは分かったが、突然の意外過ぎる来客に唖然としていると

 

空母「あら、あなたは」

 

空母棲姫が独還棲鬼の存在に気付いた。

 

空母「あなたも深海棲艦ね。この変じゃ見かけない子だけど、どこからきたの?」

独「えっと、ドイツから・・・です」

空母「ここ日本よね?なんでここにいるの?」

 

俺は空母棲姫にこれまでのいきさつを説明した。

 

空母「この暑いのによくやるわね~」

独「そういうあなたは日本の空母棲姫?」

「日本の?一体どういうことだ?」

空母「あなた達の所にも同じ個体の艦娘っているでしょ?それと同じようなものよ」

「同じ個体って言っても、やっぱり性格とか違うのか?」

独「そうだなぁ、しいて言うなら面倒くさがり、かな?」

「ああ、だから最近のイベントあまり出てこなかったのか」

独「さんざん出たんだから、たまには休みよこせって言ってたよ」

空母「あー分かるわー」

 

深海棲艦の裏事情が分かったところで、

 

「せっかく来たんだから素麺たべていきなよ」

 

と言うと空母棲姫は渋い顔をした。

 

空母「ええ、もう、またあなたはそうやって・・・」

「かたいこというなよ」

独「いいじゃない、大勢で食べたほうがきっとおいしいよ」

空母「そうね、ここで会ったのも何かの縁だしご馳走になるとしましょうか。それで何をすればいいのかしら」

「今柱を作ってたところだよ」

空母「素麺作るのに家でも建てるの?」

「いや、そういう意味じゃないって」

 

ここから空母棲姫も加わり流し素麺の柱を作る工程に入る。

底だけ切り取ったペットボトルを水入りペットボトルに重ねていき、テープで固定する。

 

独「よいしょっ」

空母「これで本当に素麺が食べられるの?」

「この柱が流し素麺を支えてくれるんだよ、あっそうそう、全部同じ高さにしないようにな」

独「え、どうして?」

「高さが同じだと下に流れて行かないからね」

空母「高さってどうやって変えるの?」

「重ねるペットボトルの数を変えるんだ。重ねたペットボトルの上に更にペットボトルを重ねればいいんだよ。」

 

再び量産体制に入り様々な高さの柱が出来上がった。

これにさっき作ったコースを組み合わせれば完成なのだが

 

独「どうせならあの流し素麺機みたいにしようよ」

 

と家具の流し素麺機を指しながら独還棲鬼は言った。

 

「曲がりくねったコースにしていこうってこと?」

独「そうそう!」

空母「もうまっすぐでいいんじゃないの?お腹すいたんだけど、っていうかこの機械で食べればいいんじゃない?」

独「え~~~!!ここまできてそれはないでしょ~!」

「そうだよ(便乗)、こうやって流し素麺する機会なんて滅多にないんだからさ」

空母「冗談よ、さ、早いとこ準備を終わらせちゃいましょ」

 

そして数分後、曲線はさすがに無理だったがジグザグな流し素麺のコースが完成した。

一番上から水道にホースをつないで水を流し、ゴールは先ほど使っていたビニールプールに置いたざるに素麺が流れていく。

 

「やっとできたー」

独「ここまで来るのに長かったねー」

空母「でもこうしてみると圧巻ね。頑張った甲斐があるわね」

「んじゃ試しに水を流してみるか」

 

素麺を流す前に水を流してみて、うまくいくかどうか試してみることに。

注がれた水は順調にペットボトルのコースをジグザグに流れていき無事ビニールプールに流れて行った。

と思っていたら

 

独「あーーっ!テートク水が漏れてるよ!」

「なにーー!?どこだ!?」

 

独還棲鬼に言われたところを見てみると、コースの曲がり角から水があふれていた。

幸いにも下にビニールシートを敷いておいたため事なきを得たが、水の量を増やしてしまうとあふれてしまうようだ。

 

空母「何かいい手はないの?」

「こうすればいいんだよ」

 

俺はコースの曲がり角に、先程柱を作るのに切り落としたペットボトルの底の部分を取り付けた。

3人で協力して残りの曲がり角にも同じように取り付けて行った。

これでうまくいくはずだ。

 

「もう一回水を流して見てくれ」

独「分かったー」

 

すると今度は曲がり角の水は見事にせき止められていて、今度こそビニールプールに到着した。

 

「やった、今度こそうまくいったぞ」

空母「あー、やっと食べられるのねー」

独「テートクじゃかじゃか流そう!」

 

俺は素麺をペットボトルのコースへ載せた。

ホースから流れる水が素麺を押し流して、箸を構えて待ち受ける独還棲姫と空母棲姫の元へ流れて行った。

 

独「わぁー、すごいすごい!」

空母「え、え、これはどうしたらいいの?」

 

無邪気に喜ぶ独還棲鬼とは対照的に、空母棲姫は初めて体験する流し素麺に驚き戸惑っているようだった。

そんな空母棲姫を尻目に独還棲鬼の箸が白い素麺をとらえ、つゆに浸し勢いよくすすった。

 

ちゅるり。

 

独「冷たくて、おいしい」

空母「なるほど、そうやって食べるのね」

 

今度は空母棲姫も独還棲鬼と同じように、素麺をつゆに浸してすすった。

 

空母「いいわねーこれ、暑い夏にちょうどいいわ」

 

流し素麺をやるのはこれが初めてだったが大成功のようだ。

二人とも楽しんでくれてよかった。苦労した甲斐があったというものだ。

 

独「ていとくもっと流して」

「ええ、いいのか?」

空母「見て楽しむのはもういいから、これからどんどん食べましょう」

 

独還棲鬼のお望みどおりに、素麺を次から次へと超スピードで流した。

 

独「ずるずるずるる、わあ、まだ食べ終わってないのにどんどん流れてくるよ」

空母「ちょまっ、食べ終わってないのに、ああー」

 

当然のごとく素麺の流れるスピードについていけず、二人の前をどんどん素麺が通過していく。

ビニールプールにたどり着いた素麺は涼んでいた鷹型艦載機によっておいしく頂かれていた。

 

独「これじゃ早すぎて食べられないよ!」

「だから言ったのに、それじゃ今度はゆっくり」

 

流そうと言おうとしたら空母棲姫が、

 

独「そうよ、食べる人数ふやせばいいんだ!こんな簡単なことにも気が付かなかったなんてー」

空母「それはいい考えね、それじゃあヲ級ちゃんと、鶴棲姫と、」

「空母棲姫さん何してんすか、まずいですよ!」

空母「冗談よ」

 

何を思ったのか、大量の深海棲艦をここへ呼び込むつもりらしい。

さすがにそれはまずいのであわてて止めに入った。

 

「冗談キツイよ」

空母「でも、あと一人くらいならいいわよね」

「まあ、一人くらいなら」

空母「それじゃちょっと待ってて」

 

そう言うと空母棲姫は自分の艦載機に何かを頼んだかと思うと、その艦載機は窓から飛び出していった。

 

「一体誰を呼んだんだ?」

空母「それは後のお楽しみよ、っていうかあなた流してばかりで全然食べてないじゃない」

「あ、そういえばそうだったな」

独「じゃあ今度は私が流してみたい」

 

そこで今度は独還棲鬼が素麺を流すことに。

 

独「じゃあ、イクゾー」

 

 

それからしばらくして、腹の満たされた俺は執務の続きをしていた。

独還棲鬼はビニールプールで艦載機と共にたわむれ、空母棲姫はソファーで横になってくつろいでいた。

 

空母「それにしてもここは過ごしやすくっていいわねー、涼しいし素麺もおいしいし最高ね」

独還「そうだねー、あー冷たくって気持ちいいー」

空母「夏の間はお邪魔しようかしら、あーもー夏イベなんてどーでもいーわー」

「えぇ・・・(困惑)」

 

などと話していると

 

空母「お、来たみたいね」

「もしかして、さっき呼んだ奴が来たのか」

空母「ええ、そうよ」

「じゃあ迎えに行かないと」

 

椅子から立ち上がろうとした俺を空母棲姫が制した。

 

空母「その必要はないわ、ここに来るから」

「え、どういう意味?」

その時窓から空母棲姫の艦載機がもどってきた、深海棲艦の少女の襟首を咥えて。

 

「その運び方は流行ってるのか?」

空母「独還ちゃんのを見てたらつい」

 

少女の正体は独還棲鬼にそっくりな少女、護衛棲姫だった。

独還姫は青い瞳で左の額から角を生やしているが、護衛棲姫は護衛棲姫は赤い瞳で右の額から角をはやしている。

しかし当の本人はいきなりの展開に驚き戸惑っているようだった。

 

護衛棲姫「ひゃあああああ~~」

空母「いらっしゃーい、よく来たわね」

「無理矢理連れてきたんじゃないか」

護衛「なんてことするんですか~、いきなりタコヤキちゃんに捕まったかと思ったらこんなところに・・・」

独還「お姉ちゃん」

護衛「独還ちゃん!?なんでこんなところにいるの!?」

独還「道に迷った」

護衛「ここに日本だよね!?」

空母「落ち着きなさいよ」

護衛「む、無理ですよ~ここ、敵の本拠地ですよね!?こんなところでなにやってるんですか!?」

空母「お昼ご飯」

護衛「もう訳が分からないよ・・・」

 

こういうのが正しい反応だと思う。

そして護衛棲姫が俺の存在に気付いた。

 

護衛「え、えっと・・・」

「提督でいいよ」

護衛「提督、さん、こんにちは」

「はい、こんにちは。っていうか俺を見て何とも思わないのか」

護衛「一応空母棲姫さんから話は聞いてたけど、実際あってみると本当にいい人そうで安心したかなーって」

「それはよかった」

護衛「あ、あと、艦娘さんたちに嫌われてるって・・・」

「またですかまたですか!?」

護衛「もうあきらめたら?」

「うるさいよ!」

空母「それじゃあ仲良くなったところでお食事タイムと行きましょうか、はい護衛ちゃんこれ持って」

護衛「え?え?え?、あのこれは一体・・・」

 

護衛棲姫は空母棲姫から急に箸と器を渡されて驚き戸惑っている。

俺は護衛棲姫に流しそうめんについて簡単に説明してやった。

 

護衛「はー、なんだか変わった食べ方をするんですね」

独還「それじゃあいくよー」

護衛「そうめんっていつもこんな大げさなもので食べるんですか?」

「いや、今日が特別なだけだよ」

 

独還棲鬼が流した素麺が護衛棲鬼のもとに流れてきた。

 

空母「さあ護衛ちゃん、素麺をすくうのだ!」

護衛「なんか白いのが流れてきたよ、これは一体どうしたらいいんですか」

「お箸でその白い物体、素麺をすくえばいいんだよ」

 

護衛棲姫があわてて素麺に箸を繰り出すも、素麺は箸の間をすり抜けていきビニールプールに流れていってしまった。

そして護衛棲姫と独還棲鬼の艦載機においしくいただかれていた。

 

護衛「うー、うまくいかないです」

独還「しょうがないなー私が見本をみせてあげよう、提督おねがい」

 

独還棲鬼が見本を見せるべく、箸と器を持って護衛棲姫の隣に立った。

こうして見ると、二人がそろっているとは何ともレアな光景だ。

 

独還「こういう時は箸をこうやってコース上に置いておくといいんだよ。そしたら麺が箸に引っ掛かってくれるから」

護衛「あ、ほんとだ、すごいすごい。私でも簡単に抄えるよ」

空母「さっき提督に教わったんだけどね」

独還「言うなし!そんなことより味はどう?」

護衛「すごくおいしい!初めて食べる味だね!」

「それはよかった。そうだ、せっかく4人も集まったことだし今度はみんなで食べようか」

護衛「さんせーい」

空母「ドゥンドゥン流そうじゃないの」

独還「これから毎日素麺流そう」

「毎日はちょっと嫌だな」

 

その後は流す役を交代しながら、みんなで心ゆくまで流し素麺を楽しんだ。

こういうのはやはり大人数でやったほうが楽しい。

楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、別れの時がやってきてしまった。

俺達はいつもの堤防の所に集まっていた。

 

空母「あーおいしかったわー」

独還「おいしかったし、楽しかった。最初来たときは不安だったけど来てよかったと思う」

護衛「提督さんありがとう、おかげで独還ちゃんにも会うことができた」

「俺は何もしてないよ、っていうか呼んだの空母棲姫だからね」

空母「あなたのおかげよ、あなたが優しい人だからきっとどっかんちゃんも護衛ちゃんも私もここに引き寄せられたのよ」

「そうなのか?」

空母「そうなのよ」

 

いまいち納得できないところがあるが空母棲姫に押し切られる形になってしまった。

 

「ところで独還棲鬼はどうやって帰るんだ?」

空母「海外に連絡とったからそのうち迎えが来ると思うわ。それまではうちで預かることにしたわ」

独還「それじゃあしばらくお姉ちゃんといられるね」

護衛「色々話したい事もあるしね」

空母「そうだわ!ねえ提督、さっきの流し素麺の機械を私に貸してくれないかしら。私達だけおいしいモノ食べたってなるといろいろ不満がでちゃうしさ」

「それはいい考えだと思うけど、結構な荷物になるぞ。どうやって持っていくんだ?」

空母「その辺はちゃんと考えてあるわよ」

 

そう言うと空母棲姫の周りに大量のたこ焼き(型艦載機)が出現した。

 

「えっ!?こんなにたくさんいたのか!?」

空母「スロット数198を舐めないでよね、ほんとは集積地ちゃんがいたらありがたいんだけどね」

「集積地棲姫もいるのか」

空母「あの子もそのうち来ると思うからその時はよろしくね」

「勘弁してくれよ」

 

そうこうしているうちにタコヤキ達は荷物の入った袋を次々と咥えていった。

そして3人は大量のタコヤキ達とともに、地平線の彼方へと姿を消していった。

 

 

深海サイド

 

空母「今帰ったわよ~」

 

空母棲姫達3人が基地に戻ってくると、一人の深海棲艦が慌てた様子で駆け寄ってきた。

 

ヲ級「ああっ!やっと帰ってきた!どこへ行ってたんですか~、護衛ちゃんがさらわれて大変だったんですよ~」

空母「護衛ちゃんならここに」

 

言い終わる前にヲ級が護衛棲姫、ではなく独還棲鬼の方に抱きついた。

 

ヲ級「護衛ちゃん!無事でよかった~。心配したんだからね、ってアレ?」

独還「ひゃあああああ、い、いきなり何するのよ~~~~//////」

護衛「ヲ級さん、私こっち」

ヲ級「ええええええええ!護衛ちゃんが二人!?一体何がどうなってるの・・・?」

護衛『どっかんちゃんもまんざらじゃなさそう』

 

少女説明中

 

ヲ級「そうか、提督さんの所に行ってたんですね」

空母「ええ、なかなか楽しい時間が過ごせたわ」

護衛「お土産もあるんだよ」

ヲ級「え?空母棲姫さん抗議に行ったんじゃなかったんですか?」

空母「細かいことはいいのよ!」

独還『ごまかした・・・』

 

 

集積地「それじゃ流すよー」

 

ここには水道がないので集積地棲姫がドラム缶の入った水を上手から流している。

 

レ級「うわー!すごいすごい!」

空母「曲がりくねったコースもいいけど、こうしてみると圧巻ね」

軽巡棲鬼「っていうかちょっと長すぎるんじゃない?」

 

レ級が作ったコースは、先ほどの曲がりくねったコースではなくひたすら真っすぐな直線のコースだ。

ここは部屋の中ではないのでどこまでもコースを長くできるのだ。

 

深海鶴棲姫「素麺美味しい!」

ル級「見てもいいし、味もいいし」

タ級「ちょうど冷たいものが欲しかったのよねー」

レ級「そうだ!いいこと考えた、ナカノちゃんちょっとこっちきて」

軽巡「なによ、まだ食べてる途中なのに」

レ級「いいからいいから、ここに入って」

 

なぜかレ級はビニールプールの中に軽巡棲鬼を座らせた。

 

レ級「ほら、ここにいれば涼しいし素麺だって流れてくるから食べ放題だぞ」

軽巡「確かに水の中だから涼しいけど・・・」

レ級「ホラホラホラ、素麺が流れてきたよ」

 

素麺が軽巡棲鬼の待つビニールプールに向かって流れてきた。

しかしレ級はコース上の素麺には目もくれず、ビニールプールに落ちた素麺を食べ始めた。

 

レ級「ンマーイ!」

 

と、その光景を遠くから見ていた深海鶴棲姫がすごい勢いでこっちに向かってきた。

 

鶴棲姫「ちょっと、あんた何やってんのよ!」

軽巡「そうよ!言ってやりなさい!」

離島棲姫「この光景なんか見たことあるんだけど・・・」

鶴棲姫「俺も仲間に入れてくれよー」

軽巡「なんだこのおばさん!」

鶴棲姫「おばさんはこいつだろ!いい加減にしろ!」

戦艦棲姫「ぬわああああんですってぇ!」

レ級「あーっ!こんなところに大きな素麺があるじゃないか、直接食べてやる!」

軽巡「大きな素麺?そんなのどこにあるの?」

 

レ級以外の深海棲艦があたりを見回すもそんなものは見つからない。

 

レ級「ここにあるじゃないか」

 

そういうとレ級は軽巡棲鬼に吸い付き始めた。

 

軽巡「キャーッ!イヤーッ!ヤメテーーーーーーッ!」

鶴棲姫「ちょっと、抜け駆けは許さないわよ!」

ル級「そうだよ」

タ級「そうわよ」

軽巡「ギャーッ!吸われるーーーーーーーーーー!!」

 

そんな3馬鹿にさらに馬鹿が加わり、

 

戦艦棲姫「ちょっとあんた達!」

鶴棲姫「なによ、邪魔する気!?」

戦艦棲姫「つゆを忘れてるわよ」

鶴棲姫「あ、そっかー」

軽巡「違うだろぉ!?」

戦艦棲鬼「もう直接かけちゃえ」

 

ドボドボドボ

 

軽巡「ちょ、うわっぷ、やめなさいよ!」

離島棲姫「あんた達!襲うんなら私を襲いなさいよ!」

鶴棲姫「え~、私ロリコンじゃないし」

離島「あああああああああああ!もうやだあああああああああああああああ!」

軽巡「それは私のセリフよ!」

空母棲姫「きさまらー!」

6馬鹿「ぬわーーーーーーーーー!!!!」

離島「なんで私までーーーーーー!!!!」

 

空母棲姫による怒りの絨毯爆撃が炸裂し6馬鹿は黒焦げになりましたとさ、めでたしめでたし。

 

独「また会えるといいな」

護衛「そうだね」

 




明けましておめでとうございます。
長くなってしまいましたがお久しぶりです。
新年一発目に投稿じゃ!と思っていたら失敗してしいました
実は作品自体はかなり前からできていたりします。
の割には結構粗が目立っているような気がします。
明日も頑張ってあげたいと思います。


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深海双子姫と秋刀魚

艦娘交流記 その6

秋刀魚の季節がやってきた。
装備、編成、作戦等一生懸命考えて今年は予定より早くノルマをクリアすることができた。
しかし作戦が終わると不知火が「他の鎮守府の応援に行ってきます」と言って出かけて行った。それにつられるように、ほかの艦娘達も出て行ってしまった。
そんなに人手不足なんて話は聞かないけどなと思っていると、どうやら他所の鎮守府で秋刀魚作戦終了の打ち上げが行われるらしく、みんなそっちに行きたかったようだった。
それならそうと本当のことを言ってくれればよかったのに。
でもうちでやっても誰も来たがらないだろうなあと思った。

終わり




今日は見回りを兼ねて、俺は鎮守府内を掃除しながら歩いていた。

今うちの鎮守府内は人手が足りないので、こういったことも提督自らがやらないといけない。

こういうのもなんだが、人手が足りないからと言って困ったことはない。むしろ喜ばしいことだ。

なぜなら・・・向こうから加古と古鷹が楽しそうに談笑しながらこちらへ歩いてきた。

俺が「おはよう」と声をかけると、二人は少しびっくりしたような顔になって「あ、はい・・・」と言ってそそくさと去っていった。

今ここにいる艦娘にさえよく思われていないというのに、これ以上アンチ提督勢を増やして一体何になるというのか。

しかしそれは悪いことばかりではない。

人数が減ったことで逆に仕事も減り、こうしてのんきにブラブラしながら掃除もでき、3時のおやつもゆっくり食べられる。

元来怠け者の俺にとっては夢のような環境だ。

でもやっぱり時々むなしくなることもある。

そんな風にとぼとぼ歩いていると、白と黒の二人組を見つけた。白いやつがぐったりして、黒いやつに抱きかかえられている。

白と黒で二人組・・・・・う~んだめだ、思い出せない。ウチにあんなのいたかな?

そう思いながら俺は二人組に近づいて行った。

 

「ねえ、しっかりしてよ!」

「う~、わ、私はも、もうダメだ~」

「お願い!私を置いていかないでよ!」

「さ、最後にひとつだけいいたいことがある」

「な、なによ!」

「色鉛筆の白は何に使うんだろうな・・・ガクッ」

「おねーちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!」

 

「なにやってんだあいつら・・・」

俺はそんな二人の様子を少し離れたところから眺めていた。

もうダメだとかいいながら随分余裕そうだった。

その証拠にさっきから二人してこっちをチラチラ見ている。

このままではらちが明かないので、意を決して話しかけてみることにした。

 

「おい、お前ら俺のことチラチラ見てただろ」

黒いの「そうだよ(肯定)」

「認めるの早スギィ!っていうかこんなところでなにしてんだよ」

黒いの「私達を見ても驚かないってことは、もしかしてあなたが噂の・・・」

 

この二人は深海双子姫。深海棲艦初の双子だ。

どうやらこの前リ級が言っていた、深海棲艦に俺のことが知れ渡っているという話は本当だったようだ。

 

黒いの「艦娘に見放された哀れなモテない提督さん?」

「じゃあ死のうか(見殺し)」

黒いの「まってまって、冗談だから、お願い見捨てないで!」

 

さっさと帰ろうとする俺を、黒いやつがあわてて引き留めた。

 

「なんなんだよ一体」

黒いの「海底に落ちてた空いてないジュースを飲んだら急にこの子が倒れちゃったの」

「何で飲んだんだよそんなもん」

黒いの「だってまだ飲めるんだもん、もったいないじゃない」

「え、なにそれは」

白いの「さっきお姉ちゃんって言ってたけど、私達双子だからね!」

「どうでもええわ」

白いの「ああん、ひどぅい!」

 

しかしこれは困ったことになった。

深海棲艦の体のことなんかわからないし、かといって病院に連れて行くわけにもいかない。

ちなみに明石は着任と同時に出て行ってしまってここにはいない。

食あたりの類のものであれば市販の薬で何とかなるかもしれない。

そう思って俺は白いやつに聞いてみた。

 

「ところでその空いていないジュースっていうのは?」

黒いの「ここにあるよ」

 

そう言うと白いやつはジュース(?)の瓶を取り出して見せた。

その瓶には大きな文字で”黒霧島”と書かれていた。

 

「これはジュースじゃなくって”酒”っていうんだ」

黒いの「さけ??紫の髪の奴が飲んでたあれのことか」

 

紫の髪で酒のみ・・・隼鷹のことか。それにしても空いてないのに落とすとは不幸な奴だ。

うちに隼鷹はいないからおそらく遠くの方で見つけたのだろう。

 

「表のお前らはこれを毎日のようにガンガン飲んでるんだぞ」

黒いの「こんな苦くて不味いのになにがいいの?わけがわからないよ」

白いの「私”じゅーす”っていうのが飲んでみたい~」

「ええ・・・」

 

ガンガン飲んでいるとは言ったが、もちろんウチには伊13も伊14もいない。

もしいたとしてこの二人を見たらどう思うのだろうか。

それはともかくとして、白いやつを何とかしないといけない。

 

「とりあえず、うちに運び込もうか」

黒いの「えっ、いいの?私達なんか入れちゃって」

「こうやって話してる時点で今更なんだよなあ」

白いの「う~それじゃオッスお願いしまーす」

 

そういうと白いのが俺に向かって手を伸ばしてきた。

どういうつもりなのか、行動の意図が読めない。まごついていると、

 

白いの「早くおぶってよ~、気分悪いんだからさー」

「えっと、俺でいいのか?」そう言って黒いやつを見ると

黒いの「ここまで私がおぶってきてもう疲れたから、お願い」と言うので

「それじゃあ、遠慮なく」

 

そう言って白いのを背負ってみると、あまり重さを感じずものすごく軽かった。

深海棲艦と言っても、こうしていると普通の少女と変わらない。

そういえばウチの艦娘達とこうやって触れ合ったことってあんまりなかったな。

俺は歩きながら二人に気になっていたことを聞いてみることにした。

 

「ところでお前らのことなんて呼べばいいんだ?深海双子棲姫じゃおかしいだろ」

二人は顔を見合わせて少し考えたのち

黒いの「考えたことなかったね、どうしようか」

白いの「面倒だから白と黒でいいや」

「適当すぎやしないか」

白いの「それじゃー、えーと、うーんと、うぅぅ・・・」

深く考えすぎたせいか、白の顔色がますます悪くなっていった。

黒いの「わーわー、もう白黒でいいから!お前もそう思うよな、な、!」

「そうだよ!終わり!閉廷!みんな解散!」

黒いの「ラブ&ピース!愛だよ愛(意味不明)」

俺と黒はあわててこの話題を無理矢理終わらせた。

 

場所は変わって、今俺たちがいるのは執務室。

幸いにもあれから誰にも会わずにここまで来ることができた。

白いやつは、俺が引いた布団のなかでぐったりしている。

俺は、以前レ級がM鎮守府で買ってきた酔い止めを取り出した。

もともとはカ級のための調達した薬がこんなところで役に立つとは思わなかった。

 

「じゃあ、これ飲んで」俺はコップに入った水と、錠剤を手渡した。

白は少し躊躇していたが、飲んでくれた。

 

「これでしばらく休んでればよくなるよ」

白「んー分かったー、それにしてもこのフトンっていうのフカフカして気持ちいいなー・・・」

そう言うと白いやつは目を閉じて眠り始めた。

 

黒「えっと、私はどうしようか」

「二人が良ければここでゆっくりしてればいいよ」

黒「え、いいの?」

「なんか誰かいてくれてると安心するっていうか」

 

こうして普通に話しているが、実はまだ仕事中だったりする。

早く仕事に取り掛からないとこの前の軽巡棲鬼の時みたいに残業する羽目になってしまう。

しかし二人をこのまま放っておくのも可哀想なので、

「それじゃDVDでも見るか?」

黒「でぃーぶいでぃー?なにそれ?」

俺はテレビの下に置いてあるDVDプレーヤーにDVDをセットしスイッチを入れた。

「狩りごっこだねー負けないんだからー」「食べないでくださーい」「たーのしー」

映し出されたのは、けものフレンズ。

気に入ってくれたようで、夢中になって見ていた。

 

こうして俺は机に向かって作業をしている間、黒はずっとアニメを見ていた。

途中から疲れたのか、白いやつの布団にもぐりこんで寝そべりながら見ていた。

しばらくして静かになったので、ふと黒いやつの様子を見ると二人仲良く気持ちよさそうな顔で眠っていた。

敵とは思えない、心温まる光景だ。

ずっとこの平和な光景を見ていたい気もするが、今は仕事をかたづけなくてはいけない。

こんな光景を他の奴らに見られるのはまずいような気がしたが、どうせここに入ってくる奴なんてめったに現れないんだから安心だ。

はぁ~仕事しよ。

 

あれからしばらくたって、本日の仕事は全て終わったが二人はまだ起きてこない。

よっぽど疲れていたのだろう。

予想通りというかここを訪ねてきた艦娘は一人もいなかった。

時刻は午後6時。そろそろ晩ご飯の支度をしなけらばならない。

何を作ろうか・・・そうだ、先の秋刀魚作戦で取れた秋刀魚が残ってたはずだから、それを塩焼きにして食べるか。

あとは玉ねぎとほうれん草の味噌汁に、白いご飯に、きゅうりの梅肉和え、これで行くか。

 

その間に、味噌汁を作っておこう。水を入れた鍋に味の素を大匙1杯入れ強火で熱する。

玉ねぎは玉ネギは縦幅1cmに切り、さらに横半分に切る。ほうれん草は2cmほどに、豆腐は食べやすい大きさに切る。

鍋が煮立ったら玉ねぎを入れ中火にし、玉ねぎがしんなりするまで煮る。

豆腐を加え、温まったらホウレン草を加え、みそを溶き入れる。ホウレン草がしんなりしたら刻みネギを入れ、ひとまず完成だ。

 

続いてきゅうりの梅肉和えだ。

薄く切ったきゅうりに軽く塩をして揉んでおき、しんなりしたら水で洗って水気を拭く。

そこへ叩いた梅肉と刻んだミョウガ・大葉を混ぜれば完成だ。

 

秋刀魚はあらかじめ粗塩をすりこんで10分ほど置いておいた。

臭みの汁が出たので、水で洗い流した後キッチンぺーバーで水気をよくふき取り、塩をまんべんなく振る。

熱したフライパンにクッキングシートを引いて秋刀魚を入れる。蓋をして中火で4分。

秋刀魚の焼けるいい匂いが漂ってくると、その匂いにつられたのか双子が起きてきた。

 

黒「提督、なにをしているですか?」

「もう具合はよくなったのか?」

白「ええおかげさまで、感謝するです。ところでなにをしているのですか?」

「秋刀魚焼いてんだよ」

白「さんま?艦娘が血眼になって探してた魚のことですか?」

「血眼になってたかどうかわからないけど多分それだよ」

黒「博士、我々も何かお手伝いするのです」

白「それは名案なのです、助手。さあ提督、私達に仕事を与えるのです」

 

急に変なしゃべり方するようになったなと思っていたら、さっき見たDVDの影響を受けたせいか。

せっかくなので秋刀魚に添える大根おろしを作ってもらうことにした。

 

黒「だいこんおろし?」

二人に大根(皮は剥いてある)とおろし器を渡してやる。

白「これはどうやって使うものですか?」

「まず大根の断面をおろし金に当てる」

白「ふんふん」

「そこから当てながら押すと引くを繰り返すんだ」

 

俺に言われた通りに大根を擦ると、じょりじょりという音とともに大根おろしが出来上がっていく。

白「おおおお、これは病みつきになるのです」

黒「助手、私にもやらせるのです」

お前は博士じゃなかったのか。とりあえず設定を忘れるくらいに夢中になっているようだ。

二人が大根おろしに夢中になっている間に、秋刀魚が焼けたようなので裏表をひっくり返す。

今度は蓋を開けたまま、中火で4分ほど焼けば完成だ。

 

「おおー、ええやん」

我ながら会心の出来栄えだ、と自画自賛していると

白「提督、大根が消えてしまったのです。黒、さてはあなた食べましたね」

黒「食べないよ!っていうか一緒にいたでしょ」

そんな二人におろし器の蓋をとって中身を見せてやると

白「なんですか、この白い物体は?」

「これが大根おろしだ、秋刀魚と一緒に食べるとおいしいぞ」

黒「なるほど、味も見ておくのです」

白「私もいただくのです」

「あ、やめた方が・・・」

俺が止める前に二人とも大根おろしをそのまま食べてしまった。

直で食べるものではないというのに、当然の如く

 

白「か、辛いのです!これは食べられません!」

黒「これでは何のフレンズか教えられないのです!」

「俺はフレンズじゃねえよ、もう早く食べよう。運ぶの手伝ってくれよ」

白黒「「はい、わかったのであります!」」

 

提督配膳中

 

というわけで、今俺達3人はちゃぶ台を囲んで座っている。

ちゃぶ台の上には先程つくった料理が並べられてい

 

「それじゃいただきまーす」

白黒「「いただきますなのです」」

「なんか雷っぽいぞ」

白「これがあのサンマの成れの果てですか」

「食欲なくすわ!」

 

黒が早速焼き立ての秋刀魚を口に含んでみる、すると

 

黒「おいしーい!これすっごくおいしいよ!」

白「なんていうか久々に味の濃いもの食べたっていうか」

 

続いて俺も秋刀魚を食べてみた。口の中に入れた瞬間程よい油と塩味が口の中に広がってきた。

「ここでさっきの大根おろしと組み合わせて食べるといいぞ」

白「あっ、ちょっと味かわったかも」

黒「うん、さっぱりしてるね。艦娘が血眼になって探してたのも分かるかも」

「他のおかずも食べてみてくれよ」

 

続いて二人が箸を伸ばしたのはきゅうりの梅肉和え。

白「んんっ、すっぱー!でもなれたら結構好きかも」

黒「酸っぱいけど塩味が聞いてておいしいね」

とここで黒の視線がご飯に注がれた。

黒「さっきから気になってたんだけどこの白いの何?」

「それはご飯、まあ米を炊いたやつっていえばいいのかな」

黒「こめ?前のイベントでやってたやつ?」

「ああ、一緒に食べてみるといいぞ」

 

そう言われて黒は梅を食べた後にすかさず白いご飯を一口食べてみる。

黒「すごいのです!これは病みつきなのです!」

白「こんなにおいしいんだったら、渡さなかったのに」

黒「それはめいあんだ!次から渡すのやめようか?」

白「でも提督でないとこの料理はできないのです」

黒「それじゃあ来年から米も梅干しも海苔もお茶も提督の所にもって来ることにするです」

 

うわあ、なんだか大変なことになっちゃったぞ。

もし実現すればイベントは超楽々になるであろうが、大本営とかになんて説明すればいいんだろうか。

来年までに忘れてくれるとありがたいが。

 

そんなことを考えているうちに今日のおかずはご飯が進む系のおかずばっかりだったためか、ご飯が進む進む。

結局二人はご飯3杯、味噌汁を2杯おかわりすることになった。

そんな二人は畳の上で横になっている。

 

白「あーーーー」

黒「うーーーー」

「大丈夫か?薬が効いてなかったのか」

白「うえーー食べすぎたのです・・・」

黒「苦しい、うっぷ、動けないのです・・・」

 

駆逐古鬼が来た時もこんな状況だったのを思い出した。

前と違うのはあの時はジャンクフードだったが、今回はがっつりご飯を食べてしまっている。しかも大量に。

これでは動けなくなるのは当たり前だ。

古鬼は起き上がってなんとか自力で帰っていったが、今この二人を見る限りそれも難しそうだ。

 

「もうだいぶ遅くなってるけど、どうするんだ?」

白「酔いはさめたけど今度はお腹が苦しくて動けないのです」

黒「このふとんとかいうのも寝心地いいし、今日は泊まっていくのもいいかもしれません」

「ええっ、いいのか?」

白「別に何も問題ないのです」

黒「最近はヒメのおかげで我々の出番もすっかり減ってしまったのです」

「ヒメって誰だ?」

白「潜水新棲姫のことです」

黒「世代交代ってやつなのです」

「そんな年でもないだろうに」

白「それで泊めてくれるのですか泊めてくれないのですか」

黒「どっちなんだい!」

「古いわ!ていうかそれ博士違う、きんに君や」

 

そんなわけで(?)急遽深海双子姫によるお泊り会が開催される運びとなった。

テレビの前に3人分の布団を敷きDVD鑑賞会を行った。

視聴するのはけものフレンズ。さっきの続きを今度は3人でゆっくり見ようとしたのだが、お腹がいっぱいになった双子姫がまたしても眠くなってしまい11話を目前にして力尽きてしまった。

ある意味幸運だったといえる。

一人で見ても面白くないので、電気を消して俺もそのまま眠ってしまった。

 

 

翌朝目が覚めると、白いやつがぐったりしていて白いやつに抱きかかえられていた。

何を言っているのか分からないと思うが、俺にも訳が分からない。

どうやら二人で昨日の続きを見ていたらしかった。

テレビにはちょうどかばんちゃんがセルリアンに踏みつぶされるシーンが映し出されていた。

あまりのショックのあまり黒が白くなってしまい、白が白になってしまったようだ。

 

「おはよう」

白黒「「・・・・・」」

 

二人に話しかけてみるも返事はなかった。

仕方がないのでこのまま最終話まで見続けて元に戻るのを待つことにした。

そして例のシーンに差し掛かると

 

『さあ、野生解放するのです!』

 

白「えええええええええええ!!!」

黒「ちゃあああああああああ!!!」

 

最大の見せ場により二人の姿が元に戻った。

どうやら黒が白に抱きかかえられていたようだった。

二人ともキャラを忘れて大はしゃぎだ。

そしてエンディング、スタッフロールまで見終わると

 

白「あーおもしろかったねー」

黒「そうだねー」

白「終わっちゃったねー」

黒「うん・・・」

 

祭の後のようになんだかさみしさだけがそこに残ってしまったようだった。

これが俗にいうけもフレロスというやつか。

俺はそんな二人に

 

「あ、そういや、お前らさジュース飲みたいって言ってたよな」

白「あーそんなこといてたような」

黒「え、あるの?」

「今からつくるんだよ」

白「作ったーーーーーー!?」

「まだできてないって」

 

3人で手分けして布団を片付けると、キッチンの方に移動してミックスジュースづくりを開始した。

材料は以下の通りだ。

 

みかんの缶詰85g(約10粒)

桃の缶詰25g(約1/4個)

砂糖小さじ1

バニラアイスクリーム20g(大さじ2弱)

牛乳130g

氷20g(約2個)

 

黒「この白いのは何ですか?」

「それはアイスクリームだ、ちょっと食べてみるか?」

白「昨日みたいなことにならないでしょうね」

「大丈夫だって安心しろよー」

黒「ハムッ、ムシャムシャムシャ、冷たくておいしー♪」

白「合格なのです」

 「全部食うなよ、ジュースにするんだからな」

黒「もうこいつ一人でいいんじゃないかな」

白「博士もそう思います」

 「今日はミックスジュースの日なんだよ!」

 

アイスクリームをめぐって激しいバトルが始まった。

こんなところで砲雷撃戦が始まるとは思わなかった。

俺は何とかB勝利で振り切りミキサーにすべての材料を入れるとスイッチを押した。

2分ほどたったところでジュースが完成した。

 

白「ああー、アイスクリームが無残な姿にー」

黒「なんてことをするのですか、このひとでなしー」

「それじゃミックスジュースができないじゃないか・・・」

黒「ジュースといったらもっとサラサラしているものだと聞いたのですが・・・」

白「こんなドロドロしたの飲んで大丈夫なのですか」

 

文句を言いながらも二人はミックスジュースの入ったコップに口をつけた。すると、

 

白「ンマーイ!」

黒「なにこれなにこれー!」

 

即落ちだった。なんにせよ機嫌が直ってよかった。

 

白黒「「我々はおかわりを要求するです!」」

「こら!分かった!分かったからお前らやめろ!部屋の中でやるな!」

白「そういう問題ではないとおもうのです」

「お、そうだな。ってお前が言うな!」

 

気に入ってくれたのはいいが、魚雷を掲げながら高らかに宣言するのはやめてほしい。

二人は2杯目のミックスジュースを幸せそうな顔で味わうように飲んでいった。

と、ここで二人が何かを思い出したようだった。そして二人は俺の方に向き直ると

 

白「ズバリあなたの正体は・・・」

黒「ヒトです!」

「知っとるわ!」

白「あっ、提督のフレンズです!」

黒「そうだよ(便乗)」

「お前は何を言っているんだ。っていうかあっ、てなんだよ」

白「提督、お腹すいたー」

黒「朝ごはんはまだですか」

「お前ら自由すぎるだろ・・・」

 

そのまま朝ごはんの支度にとりかかった。

メニューはトーストに、スクランブルエッグandソーセージ、先ほど作ったミックスジュースを添えて出してやった。

シンプルな献立だったが二人には好評だったようだ。

デザートに先程出てきたアイスクリームを出してやると二人はさらに喜んだ。

 

白「あー食った食ったー」

黒「余は満足なのです」

「お前らこれからどうするんだ」

白「どうするって・・・」

黒「もう帰るだけだよ?」

「お、そうだな」

 

俺は少しがっかりした。

例えるなら日曜日が終わって憂鬱な月曜日がやってくるような感じだ。

また憂鬱な艦娘との仕事の日々が始まるのか・・・と思っていたら二人に異変が起こった。

 

白「むっ、くくく・・・」

黒「お腹痛い・・・」

「おい、急にどうしたんだよ!」

 

急に二人がお腹を押さえてその場にうずくまった。

と後に何かを隠し持っているのを見つけた。

 

「お前ら後に何か隠してるだろ、見せなさい」

白「あっ、何をするですか、やめるのだフェネック」

「キャラがぶれすぎにもほどがあるわ!」

黒「キャータスケテー」

 

隠していたものは大容量のバニラアイスクリームとチョコアイスクリームだった。しかも半分近くなくなっていた。

 

「お前らこれどうしたんだよ」

白「えっと、さっき冷蔵庫の中から、ちょっと・・・」

「まだこんなのがあったのか、俺でも気が付かなかったよ」

黒「我々は賢いので」

「ただの泥棒だよ!しかもこれ半分以上なくなってんじゃねえか、食いすぎだよ」

黒「私がチョコで、白がバニラで」

「聞いてねえよ!」

白「今度はお腹が痛くて動けません・・・」

黒「またしばらく厄介になるのです・・・」

 

結局お腹を壊した二人はもう一泊することになり、なし崩し的に3日間そのまま滞在し続けた。

しかし俺は内心では喜んでいたことは二人には内緒だ。

 

 

深海サイド

 

白黒「「ただいまー」」

中枢棲姫「あっ、アンタ達三日間もどこ行ってたのよ!出番がないからってちょっと遊びすぎなんじゃない?」

白「これを見てもそういうことが言えますか」

中枢「えっ、なになに、またおいしいものなの?」

 

けものフレンズDVD全巻セット

 

中枢「なんだ食べ物じゃないのか・・・」

黒「まあ見てみればいいのです。中枢もきっと気に入るはずなのです」

白「提督からぽーたぶるDVDとやらも借りてきたのです」

中枢「なにがけものフレンズ?よ、だいたいあんた達のその変なしゃべりは何なのよ」

 

少女達視聴中

 

白「全く、けものフレンズは傑作なのです」

黒「さてもう一周するのです」

中枢「・・・・・」

白「中枢棲姫どうしたのです?さっきから黙ってしまって」

黒「お気に召しませんでしたか?」

中枢「すっごーい!なにこれ?なにこれー?」

白「どうやらドハマりしているようですね」

中枢「そうだ!いいこと思いついた!ちょっと出かけてくるわね!」

黒「え、いずこへ?」

中枢「すぐ近くだよー」

 

 

鎮守府近海

 

天龍は第八駆の面々と遠征任務の帰路についていた。

※天龍「あーめんどくせーなー、遠征も楽じゃねーなー」

※雷「天龍!真面目にやりなさいよ!」

※天龍「せっかく改二になったってのによー、遠征ばっかりってのは感心しないぜ」

※暁「そうわよ!(便乗)」

※雷「あら、あんたたちはいいわよ!私なんか改二にすらなってないんだからね!」

※電「みっみんな、任務中に気を抜いてはいけないのです」

※天龍「まっ、この天龍様にかかればどんな敵だって楽勝だがな」

※ヴェールヌイ「みんな、敵が近づいているみたいだよ」

 

天龍達の目の前に現れたのは一体の駆逐イ級だった。

 

※天龍「なんだイ級かよ。まあいいさ、この刀の錆にしてやるぜ!」

※暁「あ、ずるいわよ!私にやらせなさいよ!」

イ級「~~~~~~~~!!!!」

 

と突然辺り一面の空と海が真っ赤に染まり、凄まじいプレッシャーが五人と一匹を襲った。

 

※天龍「な、なんだこのプレッシャーは!」

※電「く、苦しい・・・」

※雷「一体何が起こるっていうの!?」

※暁「ここ正面海域よね!?」

※ヴェールヌイ「何か、来る・・・!」

 

彼女等の目の前に現われたのは、本来ここにいないはずの姫級、鬼級といった実際出会ったら死を覚悟するような面々だった。

 

中枢棲姫「うちの子にぃ、手ぇ出してんじゃねーぞ!!」

中間棲姫「まだ何もしてないでしょ」

戦艦棲鬼「っていうか大人げないにもほどがあるんじゃない?」

戦艦棲姫「もう連合艦隊ってレベルじゃないわよ」

中枢「だって、あの画面だと12人くらいいたじゃない」

集積地棲姫「もっといたと思うんだけど」

 

重巡棲姫「ほっぽちゃんまで一緒に来たの?」

港湾棲鬼「ほっぽとお昼寝してたら無理矢理、仕方がないから一緒に連れてきた・・・」

北方棲姫「ううーん、眠いよう」

飛行場姫「なになに?なにが始まるんだ?」

重巡ネ級「・・・・・」

空母棲鬼「こんにちはー」(ニコニコ)←よく分かっていない

 

図にするとこんな感じである

 

 

天龍       重巡棲姫   戦艦レ級  中枢棲姫       

暁        重巡ネ級   空母棲鬼  中間棲姫

雷        防空棲姫   港湾棲姫  戦艦棲姫

電        駆逐水鬼   北方棲姫  戦艦水鬼

ヴェールヌイ   駆逐古姫   港湾水鬼  集積地棲姫

         駆逐古鬼   飛行場姫  離島棲姫

 

※暁「て手ててててててんりゅう改二の力で何とかしなさいよ!」

※天龍「おおお前だって改二じゃねーか!っていうかお前の方が戦闘向きだろ、何とかしろ!」

※雷「こういう時こそ落ち着くべきよ、そしてチャンスを待つのよ!」

※ヴェールヌイ「うんちうんちうんちうんちうんちうんちうんちうんち」

※電「ああ~響ちゃんが壊れちゃったのです~」

 

中枢「さあ、とっとと野生解放するのです!」

中間「いきなりそんなこといわれても、っていうかやせいかいほうって何?」

戦艦棲鬼「解放って言うくらいだから何かを解き放つってことじゃないかしら」

重巡棲姫「どうする?脱ぐか?」

防空棲姫「アホか」

飛行場姫「イキスギィ!」

集積地「それは野獣解放だ!」

 

鬼姫級クラス大集合により第六駆逐隊が死を覚悟した時、それは突然にやってきた。

 

空母棲姫「楽しそうだね~、おれも仲間に入れてくれよ~」

 

空母棲姫、だった。ものすごく怒っているようだ。

 

中枢「な、なんだよう、そんなに怒んなくたっていいじゃない!ちょっとしたピクニックよ!あ、そうだ、あなたも一緒にいかがかな?」

 

そんな中枢棲姫に空母棲姫は一枚の紙きれを差し出した。

 

 

消費資材報告書

 

燃料 889464

 

弾薬 364364

 

鋼材 810931

 

ボーキサイト 1145148101919

 

 

中枢「ギエピーーーー!!なんじゃこりゃああああああああああああああ!!!!!!」

憲兵「あたりまえだよなあ」

艦載機「全員ボスクラス、かつ長距離遠征だったから、まあ多少はね」

空母「なんなんだぁ、これは?」 

中枢「わわわわ私にそんなこといったって、ほ、他の奴だっていいなさいよ!」

空母「ど こ に ?」

 

中枢棲姫が振り返るとそこには誰もいなかった・・・。

 

憲兵「説明しよう!中間棲姫は動物的直観で危険を察したのだ!」

艦載機「中間棲姫さんみんな連れて帰っちゃいましたよ」

 

中枢「あ・い・つ・ら~~~~~~~!!!」

空母棲姫「チュライさーん、やってしまったねぇ~」

中枢「い、いや、これは、その・・・」

空母「パッカーン!」

 

空母棲姫は右フックを放った!

 

中枢「ごぶしっ!!」

 

中枢棲姫は首の骨が折れた。

 

駆逐イ級「なんかすいませんでした」

空姫「あら、あなた喋れたの?」

憲兵「私が教えた」

艦載機「お前だったのか」

憲兵「暇を持て余した、」

空姫「あ、今日時間ないからやんないわよ」

艦載機「えー、やんないのー?」

 

空母棲姫は中枢棲姫を引きずりながら帰っていった。

天龍達は全員失禁していた。

 




正月3が日スペシャル連続投稿その2です。
いろいろあって何とか間に合いました。
内容が秋なのは、2年程前の秋ごろにおおよそ書いておいたからです。
しかし去年は秋刀魚祭りやってないのでなんだか変です。
頭の中で秋刀魚祭りを思い浮かべながらか読んでください。(無茶ぶり)
こんなひどい調子ではありますが明日も何とか投稿したいと思います。


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北方棲姫とクリスマスケーキ

艦娘交流記 その7

この前谷風にあった。
谷風は俺を見ると「オーッス、提督!」と声をかけてきたと思ったらそのまま走り去っていった。
今の俺にとってはこれだけでもすごく嬉しい。
次の日谷風はいなくなっていた。

終わり


深海サイド

 

 

北方棲姫「これおいしそうダナ、これもイイナー」

港湾棲鬼「ほっぽ、何してるの?」

 

港湾棲鬼がのぞき込むと、北方棲姫は紙切れなようなものを熱心に見ていた。

 

ほっぽ「オネーチャンこれ見て!これ見て!」

港湾「えっと、これは・・・何?」

ほっぽ「遠くから流れ着いてきたのを拾って乾かしたの」

港湾「いや、そういうことを聞いてるんじゃなくて」

 

北方棲姫が見ていたのは、クリスマスケーキのチラシだった。

チラシに赤いボールペンで丸がつけてある。

 

港湾「えっと、これは・・・?」

ほっぽ「けーきって言うんだって!すごくおいしそう、オネーチャンもそう思うでしょ!」

港湾「そ、そうね、おいしそうだね」

ほっぽ「あ、アレもおいしそう!」

 

そう言うと北方棲姫は今度は別のチラシに視線を戻し、気に入ったケーキに印をつけ始めた。

おそらくこんなところでケーキを食べることなど不可能だということは分かっているのだろう。

それを見て港湾棲鬼は胸が締め付けられる思いになった。

 

港湾『たまにはほっぽのために何とかしてあげたい、でもどうしたらいいんだろう・・・』

飛行場姫「ヨー、ワンコどうしたんだそんなしけたツラして」

港湾「ほっぽのことでちょっと」

飛行「ほっぽがどうかしたのか?」

 

港湾棲鬼は飛行棲姫にこれまでのいきさつを説明し、チラシを見せてみた。

 

飛行「ほーこれがケーキかー、確かにうまそうだな!」

港湾「うん、でも上陸しようとすると艦娘に攻撃されるし」

レ級「じゃあミサイルでうちこんでやるか」

港湾「えっ?」

中枢棲姫「クォラ!こんなところで油売ってんじゃないわよ!仕事はまだたくさんあるんだからね!」

レ級「主にお前のせいだけどな!」

中枢「うっさい!何してるんだ!早く寝ろ!」

レ級「なんじゃとーー!!」

 

頭にきたレ級はたまたま近くを歩いていた軽巡棲鬼に襲い掛かった。

 

軽巡「なんなのよー!!またなのーー!!」

レ級「だって中枢棲姫が『愛してるッ!早く脱ぐッ!』っていうんだから仕方ないじゃん!これは決してヤラシイ意味じゃないんだ仕方なく」

軽巡「だからってなんで私を脱がそうとするのよ!」

中枢「違うわ!『何してるんだ!早く寝ろ!』って言ったのよ」

軽巡「へーそうなんだ、ってどっちにしたっておかしいじゃないのよ!」

中枢「もうナカノちゃんの裸見たいからそれでいいわ」

レ級「そうだぞ!(便乗)」

軽巡「よくなーい!」

 

しかしそんな馬鹿二人に天罰が下る。

 

中枢・レ級「ゲェーッ!空母棲姫!」

空母「このド低能がーーーー!!!」

アホ二人「「ポゲェ!!」」

 

空母棲姫はアックスボンバーを放った!レ級と中枢は首の骨が折れた!

そしてアホ二人を引きずりながらいずこへと去っていった。

 

港湾「あの、ひーこ?」

飛行「分かってるよ、ミサイルなんてうちこんだらケーキごとふっとばしちまうからな!」

港湾「えぇ・・・、そういう問題じゃなくてそんなことしたら駄目だよ」

飛行「そうだ!あいつなら何とかしてくれるかもしれないぞ!」

港湾「あいつ?それってまさか」

飛行「提督だよ!前にも甘いもん作ってくれたろ。ケーキとやらも楽勝でやってくれるさ」

港湾「で、でもあの人には散々世話になってるしこれ以上迷惑かけるわけには」

飛行「だったらどうすんだよ、私達じゃどうにもならないぞ。たまにはほっぽを喜ばせてやろうじゃないか」

港湾「でも、空母棲姫にまた怒られちゃう・・・」

飛行「あーもうめんどくせえなー!そんなのあとで考えりゃいいんだヨ!」

 

業を煮やした飛行棲姫は港湾棲鬼の手を引いて走り出した。

 

ほっぽ「オネーチャン達お出かけするの?」

飛行「おう、ちょっと散歩してくるから留守番よろしくなー、このチラシをちょっと借りてくぞー」

港湾「い、いってくる。ヒーコ引っ張らないで」

ほっぽ「ふたりで散歩?仲良しなのかな?」

 

北方棲姫はきょとんとしながらふたりが走り去るのを眺めていた。

 

 

提督サイド

 

俺はいつものベンチでくつろいでいた。

この季節はかなり寒さが厳しく外でくつろぐのはかなりキツイものがあるが、いつまた新たな深海棲艦がやってくると思うとこの習慣をやめるわけにもいかないのだ。

寒さに震えながら俺は袋から水筒を取り出し、蓋を外して中身のお茶を注いだ。

冷えた体に熱いお茶が染み渡る。温かいところで飲むのもいいが、寒いところで飲むほうが温かさを感じることができる。

そうこうしているうちに今日も向こうから深海棲艦がやってきた。

今日やってきたのは全身ほぼ真っ白の二人組だ。そしてそいつは俺の顔を見るなりいきなりこう言ってきた。

 

飛行「ヨー提督ー、ケーキクレ!」

「は?」

港湾棲鬼「は、はじめまして提督さん。私は港湾棲鬼です」

「ど、どうも」

 

少女説明中

 

「つまりその北方棲姫のためにケーキを用意しろってことだな?」

飛行「そうわよ(便乗)」

港湾「いきなり来てごめんなさい、でもどうしたらいいかわからなくて」

「まあどうせ暇だったからいいんだけどな」

飛行「ってことは何とかなるんだな!よかったなワンコ!」

港湾「う、うん」

 

二人から説明を聞きながら俺は受け取ったケーキのチラシを眺めていた。

赤い丸が付けてあるのはこれがやつのお気に入りということなのだろう。

しかしこのチラシには重大な問題があった。

 

「このケーキを手に入れるのは不可能だぞ」

港湾「えっ」

飛行「どういう意味?」(申レ)

「予約期限っていうのがあって、何日までに予約しないとだめっていうのがあるんだよ。このチラシは予約期限が1週間前になってるから」

港湾「じゃ、じゃあ今から注文しても間に合わないってこと?」

「まあ、そうなるな」

飛行「そうなるなじゃネーヨ!なんとかならないのか」

港湾「落ち着いてヒーコ、こんなこといきなり頼む方が悪いって」

「ないんだったら自分で作るしかないだろう」

飛行「そんなことできるのか!お前はあれだな!」

「あれってなんだよ」

飛行「あれっていうのはだな、つまり、えーっと、お前は、お前は、お前はアレかー!!」

「何も考えてなかったんかい!」

港湾「ケーキっていうのは分かるんだけど、クリスマスっていうのはなに?」

飛行「そういえば私もよく分かってなかったナ」

「分かってなかったのかよ」

 

まさかクリスマスの意味が分かっていなかったとは思わなかった。

そんな二人にクリスマスについて簡単に説明してやった。

 

飛行「フーン、ようはウマイモンが食べられてプレゼントがもらえる一石二鳥ってヤツダナ!」

「まあだいたいあってるかな、しかしケーキだけならまだしも、ご馳走とプレゼントも用意しないといけないのか」

港湾「ごめんなさい・・・」

「えーい、こうなったらまとめて面倒見てやるよ」

飛行「それで私達はどうすりゃいいんだ?」

「とりあえず用意するものがたくさんあるから、明日また来てくれ、ん!?」

港湾「えっ、どうかしたの?」

飛行「何の問題ですか?」(申レ)

 

さっきは暇だといったが、今になって重大な予定が入っていることに気が付いた。

そう、年末の大規模作戦だ。この時期にクリスマス会など、しかも深海棲艦と一緒にやっている場合ではない。

そのことを二人に話すと

 

飛行「なんだそんなことか、それなら私達にまかせろ!」

「まかせろって一体どうするつもりなんだよ」

飛行「こっちは私達で何とかするから、お前はクリスマスをなんとかしろ。そうだよな!」

港湾「え、う、うん」『どういうことなの・・・』

 

この自信は一体どこから来るのだろうか、しかし今は飛行場姫に任せるしかない。前のような大騒ぎにならなければいいけど。

とりあえず、まだあったことのない北方棲姫のためにいいクリスマスになるよう頑張るとするか。

 

 




正月3が日スペシャル連続投稿その3です。
これも季節に合わせて出したかったのですが、いろいろあって遅れてしまったので頭の中をクリスマスにして見てください(無茶ぶり)。
いつもよりも若干短め、いやこれが普通、なのかな?
いいところで切れたので今日はここまでにしておきます。
もしかしたら明日もう一話行けるかもしれません。
期待せずに待っていてください。


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北方棲姫とクリスマスケーキ その2

前回のあらすじ

ほっぽちゃんのためにクリスマス会を開くぞー
飛行「でっでっでででで、かーん」



二人と別れた次の日、俺は酒保の前にやってきた。

この前行ったM鎮守府の所にあった酒保はうちにも存在しているのだ。

いや、していたといったほうが正確か。

向こうの鎮守府同様ここも明石が経営していたが、その明石も早々に出ていってしまい今は誰もいない。

主を失った酒保は荒れに荒れ、今は色んなものが乱雑に置かれているいわば倉庫のようなものと化している。

ちなみに再開のめどはたっていない。

こんなところに来たのはあるものを探すためだ。

しかしここは地味に広い上に散らかっている、ここを一人で探すのは骨が折れそうだと思っていると

「よう、提督」と突然後ろから声をかけられた。

振り返るとそこには、雷と高雄と伊19が

 

レ級「提督おひさー」

リ級「着替え取りに来たんだけど」

カ級「すみません、お手数かけます」

 

ではなくこの前一緒にM鎮守府に行ったレ級とリ級とカ級が立っていた。艦娘のコスプレをした状態で。

どうやらあの後すぐに着替えを忘れてしまったことに気が付いたらしい。

それはそうと、

 

「レ級、なんで体だけこっち向いて首は後ろ向きなんだ?」

レ級「ちょっと寝違えちまってな」

「そう・・・(寝違えたというかへし曲がってるというか」」

リ級『空母棲姫さんに首の骨折られたなんて言えない・・・』

レ級「それはそうとしてこの前くれたヨーカン、あれすっごくおいしかったぞ!仲間もみんな大喜びだったぞ」

「結構広範囲に広がってたらしいな、そこら辺の敵がみんなキラキラしてたぞ」

リ級「提督お前さー、ひどいよー」

「えっ、何、羊羹嫌いだったのか?」

リ級「何だよ14万って、空母棲姫様カンカンだったぞ」

「この前家に来たよ。でも別にいいじゃないか、みんな喜んでただろ?」

カ級「提督さん、気持ちはうれしいけど少しやりすぎ」

「14万?うーん手ごろだねぇ」

カ級「この人あたまおか」リ級「シッ!」

レ級「ところで提督はこんなところでなにしてんだ?」

 

俺は3人にこれまでのいきさつを話した。

 

レ級「そういうことなら僕たちも手伝うよ」

リ級「ほっぽさんのためならね」

カ級「じゃあまずは着替えないと」

「着替えるのちょっと止まった!」

 

早速着替えようとする3人を俺は慌てて止めた。

 

リ級「え、こっちの方がよかったのか?だったらこのままの恰好でもいいけど」

カ級「私はちょっとはずかしいかも・・・」

「そういうことじゃなくて、他の艦娘達も歩いてたりするから」

リ級「あーそういうことか」

 

今の時間は昼を少し過ぎたところ、まだ勤務時間だ。

こんなところに艦娘が来るとは思えないが、万が一ということもある。

深海棲艦と一緒にいるところを見られたりするのはまずいのだ。

更に言うと深海棲艦に上陸を許している時点でまずいのだ、今更すぎだが。

それから俺たちはあるもの求めて酒保の中を探し回った、そしてその時は突然やってきた。

 

「あら、提督こんなところでなにをなさっているんですか?」

「うえっ、た、高雄!?どうしてここに!?」

 

なんと本物の高雄がやってきてしまった。

他の艦娘ならごまかしようもあったのだが、会合の予定もないのに別の高雄がこんなところにいるのはどう考えても不自然だ。

高雄の声を聴いた三人は察してくれたらしく物陰に身を潜めている。

 

高雄「外を歩いてましたら提督の姿が見えたものですから」

「あ、ああ、ちょっと探し物をな」

高雄「よろしければお手伝いしましょうか」

「いや、俺一人で十分だから」

高雄「そうですか・・・」

 

とこのまま引き下がってくれればよかったのだが、後で隠れていたカ級がうっかり棚にふれてしまいそのはずみで物が落ちてしまい大きな音を立ててしまった。

当然のごとくそちらに振り替える高雄。

 

高雄「!!何今の音は!!」

「え、ああ、俺があちこち出しっぱなしにしてたから何か落ちたんじゃあないのか?」

高雄「そうなんですか?でも一応様子を見てきますね」

「なんでもないんじゃないのか?」

 

そう言いながら俺が止めるのも聞かずにカ級の隠れている方へと足を進めていく。

今カ級のいるところは近くに隠れる場所がないので動きようがない、今近づかれると確実に見つかってしまう!

絶体絶命の大ピンチというところに

 

愛宕「高雄~?どこ行ったの~?」

高雄「いけない、愛宕おいてきちゃった」

「そ、そうなのか?早く行ったほうがいいぞ、ここは俺がかたずけておくから」

高雄「すみません提督、後はよろしくお願いします」

 

そう言い残すと高雄は今度こそ酒保から出て行ってくれた。

高雄と愛宕が遠くの方へ行くのを見届けてから、ようやくホッと一息つくことができた。

 

「カ級だいじょうぶか?」

カ級「うえ~~もうダメかと思った~~」

 

へなへなと座り込むカ級。

 

リ級「今度ばかりはおしまいかと思ったよ」

レ級「じゃあミサイルでもうちこんでやるか」

リ級「レ級さん、根本的な解決になってないですよ!」

 

ひと波乱あった後あるもの探しを再開した俺達は埃まみれになりながらも酒保中をひっくりかえすこと一時間、ようやくお目当てのものを探し当てることに成功した。

これならきっと北方棲姫も喜んでくれることだろう。とここでレ級が

 

レ級「そういやプレゼントってさ、さんたとかいうやつが渡すことになってるんだろ?」

「それはそうだけど・・・」

 

プレゼントに関しては港湾棲鬼から北方棲姫に渡すつもりでいた。

実際本物のサンタから渡せれれば北方棲姫ももっと喜んでくれるとは思うけど

 

「サンタなんて本当にいるわけじゃ・・・」

レ級「それなら僕に心当たりがある」

リ級「ええっ!?レ級さんサンタと知り合いなんですか!?」

レ級「知らん!だがサンタの知り合いならいる!」

カ級「どういうことなの・・・・?」

 

どうもレ級の言っていることがよくわからない。

しかしレ級のことだから、きっと北方棲姫を喜ばせる何かサプライズ的なことを考えているのだろう。

そう思った俺はレ級にプレゼントを託すことにした。

 

レ級「早速サンタ人を征伐しに出かけるぞ、後に続け!」

カ級「サンタ人!?」

リ級「やめてください(サンタが)死んでしまいます」

 

託すといった直後に急に不安になってきた。もしかしたら俺は判断を誤ったのかもしれない。

とりあえずプレゼントの件はレ級たちに任せて、次はケーキとご馳走を用意することに。

・・・・・また着替え忘れて行ってる。

 

 

しばらくして港湾棲鬼と飛行場姫が合流し、いつもの執務室キッチンで調理を始めることになった。

早速調理を始める前に俺は気になることを聞いてみた。

 

「ところで一体何をやってたんだ?年末の作戦についてか?」

飛行「心配するな、こっちはめどがついたから大丈夫大丈夫」

「めどって何だよ」

飛行「本人が来てくれることになったから、どうぞー」

「本人?」

 

飛行場姫にうながされ見たことのない人物が執務室に入ってきた。

深海棲艦であることは間違いないのだろうが、なんとなく村雨に似ているような気がする。

 

?「アナタガ噂ノ提督ナンダア~、フ~ン、ナンダカ冴エナイワネ」

「あ、どうもこんにちは、えっとこの人は誰?」

飛行「聞いておどろけ、この子はE1戦力ゲージボスの深海雨雲姫ちゃんだ!」

「えーーー!!」

 

この前中枢棲姫が来たのでもう驚かないだろうと思っていたが、この時ばかりは盛大に驚いてしまった。

大本営もまだ把握していない新種の深海棲艦がウチにやってきてしまった。

 

「え、ちょっと、こんなことしていいのか!?」

雨雲「まあクリスマス近いし、ほっぽちゃんのためなら、多少はね。」

「いくらほっぽちゃんのためだからってここまでとは」

飛行「なんだよー、もうしょうがないなあ、それじゃあもう一人つけましょう!」

「なにがそれじゃあなのかわからないんだけど」

 

さらにもう一人新しい深海棲艦が入ってきた。

 

飛行「じゃあ自己紹介をどうぞ」

?「フザケルナ!私ヲコケニスルノモイイカゲンニシロ!」

「メチャクチャ怒ってるぞ、無理やり連れてきたんじゃないのか!?」

飛行「キレてる割には丁寧にドア開けて入ってきてるんだよなあ」

 

と俺達が普通に喋っているのを見た深海棲艦の怒りはさらに膨れ上がり

 

?「キサマ~人間ナドト仲良シオッテ深海棲艦ノ恥晒シメガ!マトメテ葬リ去ッテクレルワ!」

 

その深海棲艦はこちらが身構える前に襲い掛かってきた!

 

「この~どりゃ~ちくしょうめ~~」

 

しかし飛行場棲姫に頭を押さえつけられ、拳をブンブンと振り回すも全然届いていない。

しだいに息も切れ初め

 

「はあ、はあ、はあ、よっしゃ今日はこのくらいにしといたるけえ、ははははは・・・(´Д⊂グスン」

「泣くなよ!」

 

落ち着いたところで飛行場姫に事情を聴いてみた。

 

「こちらは一体どちら様で?」

飛行「今回のラスボス深海日棲姫ちゃんだ!」

「ちょっとネタバレがすぎるんじゃないのか」

 

俺は改めて彼女の様子を見てみた。

手は骨っぽく、顔はなんだかのっぺりしていて、なんというか全体的に禍々しい。

これまでの深海棲艦とちがってかなり不気味な見た目だなと思っていると

 

飛行「大丈夫だ!こう見えて結構かわいいやつだからナ!」

「かわいい?どこが?」

飛行「それはな」

 

そう言うと飛行場姫はそいつの腕を引っ張り始めた

 

日「あ、こら、なにをする!やめるのじゃ~」

 

するとそいつの腕がもげてしまった!

 

飛行「これマジックハンドだから」

「え、なにそれは」

飛行「それから、この顔は・・」

日「うわっ、ぷっ、ぺっ」

 

今度は顔をゴシゴシとタオルでこすり始めた。するとそこには

 

日「あああ~子供たちの夢が~」

雨雲「あなた何言ってるのよ」

 

かわいらしい美少女が目の前に現れた。

 

飛行「特殊メイクだ!」

日「うう~5時間もかかったのに~」

「えっそうなの?なんかそんなにかかってるようには見えなかったんだけど?」

雨雲「うそおっしゃい!白く塗ってただけで本当は20分もかかってないじゃない。しかも戦艦棲鬼の化粧品勝手に使ってたでしょう。あの人カンカンだったわよ」

日「ひいいいいいいい!ワンコ助けてくれ~」

港湾「え、わ、私・・・?」

 

追い詰められた深海日棲姫は港湾棲鬼に助けを求めた。

急に振られて港湾棲鬼も困惑気味だ。

 

飛行「大丈夫だって、安心しろよ~。それもひっくるめて提督が何とかしてくれるさ」

日「なに!?それは本当か!?本当にお主が何とかしてくれるのかえ!?」

 

なんでこっちに振るんだ?と聞く暇も与えず日棲姫がこちらに迫ってきた。

しかしこんなに必死な目で訴えられては無理だとは答えられず

 

「ああ、まあ何とかしてみようか」

日「好きーーーーーーーーーー!!」

「何か告白されたんだけどどうしたらいい?」

雨雲「ロリコン、派手にやるじゃないの」

飛行「どうだ?憲兵に知らせてやろうか?」

「やめてください、ぼくはただ」

 

それにしても化粧品か・・・酒保をさぐってみれば何とかなるか。

ここは女性ばかりだから探せばあるだろう、最悪Amazonでポチるか。

 

「それで、この人たちを呼んだのはどういうことなんだ?」

飛行「いっそのことここまで来てくれた方がさー、オマエもわざわざ行く手間省けるだろ?一緒にクリスマスパーティーもできて一石二鳥だろ?」

雨雲「なるほど、合理的ね」

「どこが!?」

日「我はまだやるだとは言っておらんぞ」

飛行「オマエここまできてまだそんなこと言ってんのか?」

 

ここへきてまさかの内紛勃発か!?辺りが緊張感に包まれた!と思っていたら、

 

飛行「どうですお客さん?可愛い顔してる割には、結構ハードなことやりますよコイツは。服とかどうです?この紅白の衣装なかなかのもんでしょ?」

雨雲「お、お客さん!?私たちに言ってんの?」

「さあ・・?」

日「別にくりすますとやらに合わせたわけじゃ」

飛行「なぁ何が出来るんだよお前はぁ!」

日「え、いや急にそんなこと言われても・・・」

 

さしもの深海日棲姫も飛行場棲姫の勢いにたじたじだ。

 

飛行「この可愛い顔にシャンパンぶっかけたり、ケーキ食べさせたりして、楽しんでみませんかぁ?」

「100万でぇ、決まりだぁ!さあ、顔向けろ!ほうら、このピチピチした口に!ご馳走ぶち込んで楽しんでやってくださいよ!」

「さぁ、歩け!オラ!」

日「い、いや、やめて・・・」

港湾「ひーこ落ち着いて」

飛行「バガガガガガガ・・・・・グフッ」

 

暴走した飛行場棲姫は港湾棲姫にチョークスリーパーを食らって失神した。

 

港湾「お騒がせしました」

雨雲「え、ええ・・・」(ドン引き)

日『ガタガタガタガタ』

港湾「提督さん、早く料理つくろう。クリスマスが終わっちゃう」

「お、おうそうだな。それじゃ料理を始めるとするか!」

飛行「おー」

「はやい!もう復活したのか」

 

港湾棲姫、飛行場姫と新たに深海雨雲姫と深海日棲姫の二人を加えここから5人体制でケーキとご馳走を作ることになった。

はたしてどうなることやら。




正月3が日スペシャル連続投稿延長版です。
作中ではまだ把握してない深海棲艦となっていましたが、書き始めたのが二年前で、投稿したのが今日だったのでかなりズレが生じています。
でもおかげでオークション男をネタにすることができました。
この後は全く書いていないので、連続投稿はこれが最後です。
次はできるだけ早くといいたいところですが、イベントもクリアしないといけないので、どうなるかわかりません。
皆さん言われているように、まさしく今回は(も?)運ゲーだと思います。


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