Fate/Grand Build (ブラッドなスターク)
しおりを挟む
プロローグ「プロジェクト始動」
続くかは、不明です。
――其処は、余りにも美しかった。
白き華の草原。空に輝く光帯。白き階段、荘厳なる玉座。
見る者全てが、目を奪われるような荘厳な景色であった。
「クソッ!最悪だ!!」
〈ラビット!〉〈マックス・ハザード・オン!〉
だがしかし、今はその場に相応しくない音が鳴り響く。
〈ラビット&ラビット!オーバーフロー!〉
「いい加減、無駄な抵抗は止せ。私は、貴様らの児戯に付き合わされて迷惑しているのだよ」
この空間の主は、不機嫌さを隠さず招かれざる来訪者へ苛立ちをぶつける。
〈紅のスピーディージャンパー!ラビットラビット!ヤベーイ!ハヤーイ〉
「だったら、お望み通り退却させてもらう!」
漆黒の鎧の上にさらに紅の甲冑を纏った影は、自在の伸縮する両腕両足を駆使して空間の主が放つ熱戦や呪詛の炎を避けながら、この空間からの退却を計る。
「逃がすと思ったのか?」
「逃げさせてもらうよ!」
〈ハザードフィニッシュ!ラビットラビットフィニッシュ!〉
来訪者を捕えようと空間の主は、その背後に控える神殿の建つ空間そのものを形成していた無数に絡み合った触手を伸ばした。
しかし、どこらからか一条の光線が伸ばされた触手を弾き、空間の主と来訪者を隔離するように草原に身の丈を越える炎が燃え広がった。
「チッ!取り逃がしたか」
空間の主に取ってこの程度の炎を消すことなど児戯に等しいが、一瞬だけ来訪者を捕えていた視界を塞がれた為、その隙を突かれて逃走を許してしまった。
「まあ良い。この私に勝てぬと分かり、尻尾を巻いて逃げた臆病者だ」
そう言って、空間の主から来訪者のことは頭から忘れ去る。
何せ彼は悲願成就の入り口にようやく立ったところだったのだから。
―――遺跡のような幾何学的な文様が刻まれ、電球といった文明の利器ではなく一部の壁や天井から不気味な赤い光が照らす石室のような空間。そこに、逃走した来訪者の姿はあった。
「あー、しんどい。ハザードトリガーを使っても逃げるのに精一杯とはね。おまけに、当分の間はジーニアスボトルのエネルギーは空とは。……最悪だ」
壁に寄り掛かると纏っていた鎧は解除されて、そこには着ている服はボロボロとなり、脇腹は抉られてそれ以外の箇所にも擦傷があって足元に血溜まりを作る青年がいた。
そして、今にも床に倒れそうになった時に漆黒のドレスの上に灰色の甲冑を纏った銀髪の女性がその体を受け止めた。
「ちょっとマスター!まだ、死ぬんじゃないわよ!!」
「落ち着いて!まずは止血よ」
「拙者は造血剤を製造してくるでござる!」
パニックになるながら、青年の体を揺さぶろうとする女性を、奇天烈という表現が合う青い和服の女性が銀髪の女性を宥めながら、医療品がないのか自らの衣服を腰に差した刀を使って裂いて包帯代わりに巻いていく。
そして、如何にもな忍装束の少女は何処からか取り出し丸薬を、これまた何処からか取り出したすり鉢を使ってすり潰して青年の口の中へ運ぶ。
「ゲホッゲホッ!すまない。俺だけではダメだった」
「今は喋るな。後で愚痴なら聞くわよ」
「そうよ。死んだら許さないからね」
「拙者も主殿より受けた恩を、返し切ってないでござるよ」
必死に青年に治療を施す女性らを見て、青年の胸中にはとある決意が生まれた。
「仕方ない。本来なら、俺がケリを付けれるのがベストだったが」
「やるのね?」
女性の言葉に青年は、頷く。
「ああ。始めるとしよう。プロジェクト・ビルドを―――」
―――世界はいつだって崩壊の危機にあった。
2000年未確認生命体グロンギによる事件
2001年アンノウンによる不可能犯罪
2002年ミラーワールド事件
2003年オルフェノクによる活動の活発化
2004年生命の始祖たるアンデットの復活
2005年オロチ現象による魔化魍活性化
2006年隕石に潜みワームの襲来
2007年未来の人類たるイマジン襲来
2008年ファンガイアの活動の活発化
2009年大ショッカー襲来
2010年風都にて、ガイアメモリ犯罪の活発化と、傭兵団NEVERによるテロ事件発生
2011年グリードの復活
仮面ライダーコアの暴走
錬金術師ガラの復活
2011年天ノ川学園にてゾディアーツの活動の活発化
財団XによるSOLU回収騒動
宇宙鉄人によるテロ事件
2012年ファントムの活動の活発化
アクマイザーの復活
2013年ヘルヘイムの侵略の活発化
2014年ロイミュードによるテロ事件発生
メガヘクスの侵攻
2015年眼魔世界より侵略が開始
2016年バグスターウイルスによるゲーム病の流行
並行世界合体装置エニグマによる実験
そして今、人類史の焼却という新たな危機が発生したのだった。
目次 感想へのリンク しおりを挟む