ハリー・ポッターと賢者タイム (雪原の青)
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ハリー・ポッターと賢者タイム

※闇の魔術=エロです。
※下ネタと世界観崩壊しかありませんので苦手な方は不快に感じると思います。


 これは圧倒的ナレーションであるッ!

 魔法界は危機に瀕していた。そう、闇の魔法使いによるエロテロリズムが世界の秩序を根幹から揺るがしていたのだッ!性的なものを一切排除した美しく清らかな魔法界をどす黒い欲望で陵辱し尽くすー名前を言ってはいけない例のあの人の野望は実現一歩手前であったッ!

 しかしッ!悪は必ず滅びるのだ!!齢一歳のハリー・ポッターが無垢な幼児の輝きでその闇を祓ったのだった!!彼は生き残った男の子として、清く正しい魔法界の象徴として愛されることになった!!

 この物語の終わりの言葉はこうだろう「清く、正しく、清潔な道徳心あふれる世界は素晴らしい!」

 そう、エロなど、性欲などあってはならないのだ!この物語は正義は必ず勝つ!そういう物語のはずなのだ!!

 

 

 車窓を木々がすごいスピードで流れていく。今はロンドンから出てどのくらいなのだろう?列車なんて生まれて初めて乗るから検討もつかない。

 この窓の外を眺めるいかにも純真で素朴な少年はツルの曲がった丸眼鏡に、ダボダボのシャツを着ていた。おんぼろスニーカーはサイズがあって無くて、床から数センチ浮いた足から今にも落っこちてしまいそうだった。

 彼の名前はハリー・ポッター。彼は知らないところで伝説になっている男の子。けれどもたった一人でコンパートメントに座る姿は他の純真な少年少女と変わらない新しい環境への期待と不安を胸いっぱいにだいていた。

 

「あの…」

 

 控えめなノックのあと、赤毛の少年がおっかなびっくりハリーに声をかけた。

 

「なあに?」

「ここ…座ってもいいかな」

 

 赤毛の少年はロン・ウィーズリー。ウィーズリー家の6男で、ハリーと同じ新入生だった。先ほどホームで会っていたのでハリーは快く受け入れた。

 

「君がハリー・ポッターなんて!」

 

 自己紹介のあと、ロンは大仰に驚き、ハリーを上から下まで眺めた。ハリーはダイアゴン横丁で感じた気恥ずかしさをまた味わった。ロンはひとしきり驚いたあとはもう普通に接すると決めたのでハリーはすぐにロンが好きになった。特別扱いされるのは慣れてなかった。

 カートに乗ってたお菓子を全て買い取り、ハリーとロンは旅を楽しんでいた。ロンはお兄ちゃんがたくさんいるのでハリーにホグワーツについて沢山のことを教えてくれた。

 

「僕きっとグリフィンドールだなあ。あ、ホグワーツにはね、4つの寮があるんだ」

「ハグリッドからちょっと聞いたよ。ええと…あとはレイブンクローと、ハッフルパフと…スリザリン」

「スリザリンは闇の魔法使い予備軍だよ」

 ロンは急に声を潜めた。

「君、絶対グリフィンドールにおいでよ」

「闇の魔法使い…」

 ハリーは自分の両親を殺したヴォルデモートという魔法使いのことを考えて憂鬱になる。

「ねえ、ヴォルデモートって人は…」

「その名前は口にしちゃだめだよ!」

「アッごめん。うっかりしてて。その、例のあの人は一体何をしたの?」

「口にするのもおぞましい事」

 ロンはあまり言葉にしたくないようだった。今まであった誰しもが、ヴォルデモートの名はおろか何をしたかさえも語りたがらなくてハリーはやきもきした。

 

「ちょっと、ねえ」

 

 そこでふいにコンパートメントの扉が開かれた。ドアの向こうには勝ち気そうなモジャモジャ頭の女の子時の弱そうな男の子が立っていた。

「ごめんなさいねお邪魔して。ネビルのヒキガエルが逃げちゃったのよ。ここらへんで見てないかしら?」

「かえる?ごめん。見てないよ」

「そっか…」

 ネビルと呼ばれた男の子は酷く気落ちしてしょげていた。

「ねえ、今名前を言ってはいけない例のあの人の話をしていたわね?」

「立ち聞きしてたのか?」

「しょうがないでしょ、開ける直前だったんだから」

 ロンの眉が釣り上がって、ハリーはヒヤッとする。

「もしかして貴方、ハリー・ポッター?」

「ああ…うん。そうだよ」

「驚きだわ。私はハーマイオニー・グレンジャー。あなた、自分のことなんにも知らないのね」

 ハーマイオニーの不躾な言い方に、ハリーもムッとした。ハーマイオニーは自分の言い方からまずかったことに気づき、慌てて謝った。

「ごめんなさい。悪い意味じゃなかったの!例のあの人についてはいくつか本を読んだわ」

「その人はなにをしたの?」

「例のあの人はドスケベテロの指導者よ」

「ド、ドスケベテロ?!」

「下ネタテロともエロテロともいうわ。闇の魔法ってリビドーを高めないと使えないでしょ?だから…」

「やめろよ!不道徳だぞ!!」

 ロンが顔を真っ赤にして立ち上がった。ロンの叫びにハーマイオニーは些か気勢を削がれつつも反論しだした。

「不道徳ですって?私は歴史と理論を解説してるだけだわ。その話を邪な欲望と結びつけてるのはあなたよ」

「ハリーは魔法界のこと全然知らないんだぞ。あんな言い方したら誤解する」

「あら悪かったわね。でもそうじゃない。性欲はスペルの四要素のうちの一つって書いてあったわ」

「どこに?!」

「教科書によ!今年の、闇の魔術に対する防衛術のね!」

「ふん、ガリ勉かよ」

「生徒として予習は当然だわ」

 

 ロンとハーマイオニーがポンポン話をしていくせいでハリーとネビルは置き去りだった。二人は目があうと苦笑いした。

 

「あの、ハーマイオニー。カエルはいいの?」

「あ、いけない!ごめんなさいネビル。じゃあ私達もう行くわ」

「もう来るなよ」

「言われなくても」

 

 ロンは二人が出てったドアにあっかんべーをしてから

「あいつと同じ寮だけは嫌だね!」と毒づいた。ハリーは性欲がどうとかいう会話についてもう一度ロンに訪ねようとしたが、そんな日間もなくまた新しい来訪者がやってきた。

 

「闇の魔法使いに興味があるのか?」

 

半開きのドアをこじ開けて、二人のでかい男の子を連れた生意気そうなプラチナブロンドが入ってきた。ロンが苛立たしげにたずねた。

 

「誰だよ」

「僕はドラコ。ドラコ・マルフォイだ。おっと、お前は名乗らなくてもわかるよ。汚らしい赤毛…ウィーズリーの家の子だろ。そしてそっちは…」

「僕はハリー・ポッター」

「へえ、ホントにいるとは驚きだ。友達は選んだほうがいいぞ。あんな姦しい喧嘩をするようなのはおすすめしない」

「悪いけど、自分の友達は自分で決めるよ」

 ハリーはその偉そうな言い方にイラッとして思わず反抗的に答えてしまった。ドラコもまたムッとして頬がビクついた。

「なるほどキレやすくてお似合いみたいだな」

 捨て台詞を吐くとすぐに出ていってしまった。いったい何がしたかったんだろうか。

 

「ごめんハリー。僕キレやすいみたいだ」

「いいんだよ。正直僕もいらっとしたし」

 ロンはちょっと反省しているようだった。

「そりゃ気になるよね…。闇の魔法使いっていうのは、とにかくエロいんだ」

「???ごめん、どういうこと?」

「闇の魔術はすっごいエロいんだよ。すっごいエロいとなんかムズムズして、僕らおかしくなっちゃうだろ?」

「ご、ごめん。よくわからない…」

「僕も正直よくわからないんだ。でも闇の魔術のせいでおかしくなった人をたくさん見たし、死人もたくさん出た」

「エロいと死んじゃうの?」

「最悪の場合…」

「こわい…」

「だから、スリザリンにいるようなやつは危険だってパパから繰り返し言われてた。さっきのマルフォイってやつ、あいつは生粋の純血で、代々スリザリンさ。多分相当なムッツリさんだぜ」

「純血って?」

「両親も、先祖代々魔法使いな人たちのこと。僕んちも一応そうだけど、他の純血からはあんまり好かれてないね」

「そうなんだ。ややこしいんだね…」

「うん。とにかく、ハリー。エッチなものだけは絶対にだめだよ。エロは身を滅ぼす!ウィーズリー家の家訓なんだ」

「わかった、心に刻むよ!」

 

 車窓の外はいつの間にか夜で、ハリーたちは大慌てで制服に着替えた。ハリーはエッチなものに対する不安をいだきつつ、それより大きな希望を抱いて列車を降りた。

 

 

 

 これは圧倒的ナレーションであるッ!

 こうしてハリー・ポッターは無事、ホグワーツへの入学を果たしたのだった!しかしながらホグワーツにはハリーを何かと目の敵にするむっつりスケベっぽいスネイプやどもりのクィレル!そして意地の悪いマルフォイなど何やら癖の強そうな魔法使いばかりだったッ!

 ハリー・ポッターはそんな中でも健やかに、清純に育っていったッ!三頭犬やドラゴンや箒やトロールに振り回されつつもハリーは無事、一年を終えようとしているのだったッ!しかし…

 

「賢者の石って一体何?」

「やだわ。ハリー、突然どうしたの」

「いや、色々あってスネイプが賢者の石を盗もうとしてるでしょ?」

「ああ、そうね。ハロウィンの夜だとか狂った箒だとかでなんとなくわかったやつね」

「ハリー、賢者の石なんて伝説だよ」

「ロン、あなた魔法史で一体何を学んだの?賢者の石はあるわ。ニコラス・フラメルが創り出したの」

「ふうん。それでそれにはどういう効果が?」

「それは…その…」

「え…なに?」

「鉄くずを金に変えたり、命を永らえさせる効果があるわ」

「命を…!」

「人のためになるものだよね。でももっとやばい効果もあるんだ」

 顔を赤らめるハーマイオニーに変わってロンが説明した。

「それを使うとアクメる?らしい」

「????」

「めちゃくちゃ気持ちいって意味らしいんだけど…詳しい意味はわかんない」

 ロンもイマイチアクメについては知らないようだった。ハーマイオニーは顔を真っ赤にしているし、ハリーはそれ以上追求するのは良くないと思った。

「えーっと、闇の魔術的な使い方もできるってことだね?」

「そう!あ、それなら納得だよ。スネイプは闇の魔術大好きだもんな…コレクター精神が疼くのかも」

「たしかに…理にかなってる…!」

「でも…防衛策を講じていてなお侵入されるとは思えないけどね。ダンブルドアは名誉魔法戦士だもの」

「信じられないよ…オナ禁三十年なんて人間じゃないよな」

「禁欲三十年よ!言い方!」

「おっといけない」

 

 賢者の石ー闇の魔術ー夜の森に住む邪悪なものーそれを繋ぐ線は奇しくも!例のあの人だった。

 このあとは語らずともわかるだろうッ!例のあの人の悪しき企み!それを再度、生き残った男の子が打ち破るのだ!

 さあ早回し。関門を突破したどり着いた最後の試練、みぞの鏡の前で待っていたのはハリーにとって意外な人物であった!

 

「よくここまで辿り着いたな」

「え…す、スネイプは…」

 

 その人物ークィレルはゆっくりとこちらを振り向いた。

 

「スネイプ?やつが賢者の石を狙ってると思ったのか?ハッ…なるほどいかにもやつはスケベそうだ」

「なんで…あなたが…!脅されてたはずじゃ…」

 

 本編とは一切関係ないがースネイプとクィレルの意味深なやり取りはもはやグリフィンドールの間では有名であった。グリフィンドールの生徒、特に女子の間ではクィレルとスネイプの同人誌が発行され、クィレ×スネ派とスネ×クィレ派で戦争が起こっていた!しかしこれは本編とは全く関係がないので詳細は省くとする。

 

「ふん…浅薄としか言いようがない。しかしここまで来れたことは褒めてやろう」

「あなたが賢者の石を求める理由なんてないはずだ…だって…!」

 

 クィレルは闇の魔術に対する防衛術の教師である。つまりドスケベを忌避するプロフェッショナルで、ドスケベを憎み、エロスを拒否していたはずだった!

 

「ふっははははは!」

 

 クィレルは高らかに笑った。そしてローブを脱いだ。紫色のローブが足元にストンと落ちる。そしてシャツのボタンを一つ一つ外していった。

 

「え…?な、なんです?」

 

 ハリーは身の危険を感じた。いや、貞操の危機を感じた。

 

「闇の魔術、賢者の石、禁じられた森…そこまでピースが揃っていて繋げられないというのはやはり、幼さ故か」

 

 クィレルのシャツがはだけ、ローブの上に落ちた。そしてベルトを引き抜くとズボンも彼の足元に落ちる。

 

「や、やめてください!」

「よく見ておけ」

 

 パンツまで脱いだあと、クィレルのクィレルがウィンガーディアムレディオーサする前にクィレルは背を向けた。

 そして唯一の衣類、ターバンをゆっくりと頭から外す。

 

「な…!」

 

 ターバンが解かれ、その下から出てきたのは奇っ怪な顔面。ひどく引きつり歪んだ邪悪な顔。ギラギラと光る目が、クィレルの後頭部にへばりついている。

 

「ハリー・ポッター…」

 

「脱ぐ意味は…?」

 

「そうだ、わしがヴォルデモート卿だ」

 

「………」

 

「鏡を見ろ、小僧。でないと殺す」

 

「か、鏡を?」

 

 クィレルの前側が鏡の方を向いている。つまり下のクィレルがタレントアレグラ。ハリーは見たくもない光景に咄嗟に目を覆った。

 

「なにをしている!小僧を鏡の前へ連れて行け!」

「やだ!こっちにくるな!」

 

 ハリーは寄ってきたクィレルに手を突き出した。

 

「ぎゃああああああ!手が、手がぁああ!」

「えっ?!」

「な、なにをしている!」

「手が焼ける!この小僧に触ったら手が焼ける!」

「まさか…ハリーポッター!貴様精通しとらんのか?!」

「せ、精通…?」

「クソぉおおおお謀ったなポッター許せーーーん!!」

 

 ハリーは勝手に焼けてくクィレルを見て突っ立つ事しかできなかった。

今までの冒険がどうでも良くなるくらいあっさりした結末に、思わず拍子抜けして意識を失った。

 

「ハリー…ハリー!」

 

 次に目を覚ますとハリーは医務室にいた。ベッドの横にダンブルドアが座って編み物をしていた。

 

「酷くうなされていたのう」

「せ、先生…僕、酷いものを見てしまって…」

「性器を見せるのも立派な闇の魔術じゃ…よう戦った」

「いや、戦ったっていうかなんか自滅していったんですが…」

「そうじゃ。精通しとらん男子はまだ男でも女でもないピュアで純粋なものなのじゃ…母上の愛の護りもあると思うが大人になってない少年のピュアさにクィレルの邪悪なボウトラックルが耐え切れなかったのじゃろう…」

「ちょっと何を言ってるのかわからないんですが…」

「闇の魔術とはかくも危険なものじゃ。エロスは…ときに人をとんでもない暴挙に走らせる。賢者の石のアクメはやはり、人間には強すぎる誘惑じゃったようじゃの。フラメルと話し合って、賢者の石は砕くことに決まった」

「そ、そうですか」

 

 自己解決しているダンブルドアに同返事をしていいのかわからず、ハリーは曖昧に微笑んだ。

 

「砕いたあとには後悔したのう。これがホントの賢者タイム」

「………」

「さて、向こうのベッドでお友達がお待ちかねじゃ。老人は去るとするかの」

「あ…はあ…あの。先生。ヴォルデモートはあれで完全に滅んだのでしょうか?」

「いいや、ハリー。この世に人がいる限り、エロスへの欲求は、身勝手な欲望はきえん。それがある限りヤツは何度でも蘇ってくる」

「恐ろしいです。…でも、僕クィレル先生を見て思いました。あんな欲望まみれのモジャモジャした姿になんかなりたくない。僕は…闇の魔術を許せない」

「その域じゃ、ハリー。この世界に善なる心を持つ若者がいる限り、性欲を暴走させる輩は蔓延らない。清く、正しく、清潔な道徳心あふれる世界は素晴らしい!…それでは、また宴会で」

 

 

 

 



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