【完結】雷の軌跡 (カオスカラミティ)
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プロローグ
プロローグ&レイ・リーヴェルト設定


ハーメルン初心者のカオスカラミティです。別の小説サイトに投稿している閃の軌跡の小説を書かせてもらいます


設定

 

名前;レイ・リーヴェルト

 

年齢;20歳

 

性格;冷静沈着

 

髪色;クレアよりも薄い水色

 

武器;鉤爪カイザークロー(実は後二つある)

 

好きなもの;チョコケーキ・猫

 

趣味;読書、料理

 

クレア・リーヴェルトの義弟で若くして鉄道憲兵隊の大尉を勤め、『迅雷(サンダー・クラップ)』の異名を持つ

 

 

クラフト

◇カイザーリッパー

左右どちらかの手、もしくは両手に赤黒いエネルギーをためて放つ斬撃

 

◇デスクローラッシュ

カイザークローを連続で突き出し、相手を仕留める技

 

◇ダークグレイブ

カイザークローを地面に突き刺してエネルギーを地面に叩き込み、エネルギー状の爪を足下から襲わせる

 

 

◇カオス・エンド・フレア

右手に闇のエネルギーを、左手に光のエネルギーをためた後、1つにして放つ強力な光線。(魔剣と魔槍に纏わせて放つ事も可能)

 

※クラフトは魔剣と魔槍を使って放つ事も可能

 

Sクラフト

◇カイザーエグゼキューション

赤黒いエネルギーを体に纏い、高速回転で上空から敵に迫り自らが漆黒の光輪となって相手を切り裂く

 

武器2・カイザーブロード

レイが扱う漆黒の魔剣。必殺技は剣に暗黒の雷を纏わせて斬る『ヘルライジングスラッシュ』

 

武器3・カイザートライデント

レイが扱う三つ叉の刃を両端につけた漆黒の魔槍。必殺技は槍に暗黒の雷を纏わせて放つ『ヘルライジングショット』

 

 

◇レイの特殊能力

自身の体に宿っている幻獣〈サンダードラコ〉の力を少し解放して背中に纏わせると雷の翼が形成され、高速で空を飛ぶことが出来る(他の使用例・手に纏わせると素手で巨大な岩を砕く事が出来る)・他にもサンダードラコ以上の力を持っている

 

◇邪神竜

レイがレグラムで出会った幻獣よりもはるかに上の存在。その力を得たレイが力を完全に解放すると暗黒の炎を纏い、攻撃力と防御力、スピードが格段に上がる

 

◇邪竜吼

レイが邪神竜に相談して〈邪神竜の力〉と〈サンダードラコの力〉を融合させて完成させた身体強化技。完全に解放すると暗黒の炎と雷を纏い、全てのステータスが限界まで上がる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝都・カレル離宮にて

レイ「オリヴァルト殿下、先程言った言葉の意味がよく分からないのですが…」

 

オリヴァルト「言った通りの意味さ。君には来週、トリスタにあるトールズ士官学院に入学してもらうよ」

 

その言葉を聞いてレイは頭を押さえる

 

レイ「お言葉ですが殿下、自分は今20歳です。しかしトールズは17歳から入学

、つまり自分は入学出来ないという事に…」

 

オリヴァルト「それなら大丈夫だよ。僕のコネを使えば、簡単に入学出来る」

 

レイ「それは職権乱用では?」

 

オリヴァルト「細かい事は気にしない。それよりこれを受け取ってくれ」

 

そう言ってオリヴァルトが渡してきたのはトールズ士官学院の推薦入学願書だった

 

レイ「ハァ~、ここまでされたら入学するしかないですね」

 

そしてレイは入学願書を手に取る

 

レイ「レイ・リーヴェルト、トールズ士官学院に入学させていただきます」

 

 

その後、レイは鉄道憲兵隊の自分のデスクに戻り、先程いただいた入学願書に目を通していた

 

?「トールズ士官学院に入学する事になったの?」

 

レイ「ああ、姉さん。」

 

クレア「まあ、貴方は軍事学しかやってないから丁度いいんじゃない?」

 

レイ「そういえば姉さんもトールズの卒業生だよね。どんな感じの学院?」

 

クレア「私が在学していた頃は貴族と平民の格差が凄かったわ。今はそれほどでもないと聞いているけど」

 

レイ「なるほど、なかなか面白そうな学院って事か。それじゃ姉さん、俺が学院に行っている間は…」

 

クレア「任せて。貴方の部隊は私が管理するわ」

 

レイ「ありがとう。後、問題は…あいつだな」

 

そしてレイは残った仕事を速攻で片づけ、自分の部屋に戻り入学の準備をし始めた時、誰かが訪ねてきた

 

レイ(やっぱり来たな)

レイ「入れミル」

 

ミル「失礼します」

 

レイの部屋を訪れた少女は帝都の聖アストライア女学院に通うミルディーヌだった。彼女とレイが出会ったのは一年前、レイが彼女の通う女学院に警備しに来た時、そしてその時にミルディーヌがレイに一目惚れし、こうして時々レイの部屋に遊びに来ているのだ

 

ミル「それでレイ兄様、本当にトールズ行くのですか?」

 

レイ「ああ。安心しろ、学院が休みの時は必ず会いに来るから」

 

ミル「絶対ですよ?約束ですからね」

 

レイ「ああ、約束だ」

 

そしてミルは女学院に帰り、レイは残った準備を終え眠りについた




とりあえずプロローグは書き終わりました。次はレイがトールズに入学し特別オリエンテーリングに参加します


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序章・士官学院入学

士官学院入学とオリエンテーリングの話です


数日後、レイは朝早く導力列車に乗ってトールズ士官学院のあるトリスタに向かっていた

 

レイ(憲兵隊の高速列車と違い普通の導力列車に乗っていると眠くなってくるな)

 

もう少しで瞼が閉じそうになると、まもなくトリスタに到着すると車内放送が流れた

 

レイ(眠気が来るタイミングが悪すぎる)

 

頭を軽く叩いて眠気を飛ばしてトリスタ駅のホームに降り、駅を出る

 

レイ「さすがに帝都からトリスタは近いな。さてトールズに向かうか」

 

レイは自分の武器が入ったトランクをしっかりと持ち、トールズへの道を進んで坂道を登りきると校門が見えてきた。そして校門を潜ると…

 

女性「ご入学おめでとうございま~す!」

 

校門の横にいた緑の服を着た女性が話しかけてきた

 

レイ「えっと…」

 

女性「私はトワ・ハーシェルって言います。新入生のレイ・リーヴェルト君だよね?」

 

レイ「そうですトワ先輩」

 

男性「僕はトワと同じ2年のジョルジュ・ノームだ」

 

レイ「レイ・リーヴェルトです」

 

ジョルジュ「君の持っているそれが申請した品かい?一旦預からせてもらうよ」

 

レイ「分かりました」

 

レイは自分の武器が入ったトランクをジョルジュに預ける

 

トワ「入学式は左にある講堂で行われるよ。君が一番乗りだからまだ他の生徒は来てないけどね」

 

レイ「はい。それでは失礼します先輩方」

 

-2時間後

 

入学式は終盤に差し掛かると、学院長であるヴァンダイクがある言葉を新入生に送る

 

ヴァンダイク「『若者よ、世の礎たれ』--『世』という言葉が何を示すのか。何を以て『礎』たる資格を持つのか。自分なりに考え、学院で切磋琢磨する手がかりにしてほしい」

 

学院の創設者・ドライケルス大帝が遺した言葉で入学式は終了し、新入生はそれぞれの教室に向かうがレイを含めた10人はその場に立ち尽くす

 

エリオット「それぞれの教室にって、入学案内にそんなの書いてなかったよね?」

 

リィン「ああ」

 

レイの左横にいた赤毛と黒髪の青年達がそんな話をしていると、1人の女性教官が10人の前にたつ

 

サラ「はいは~い!赤い制服の子は注目~。実はちょっと事情があってね~。君達には『特別オリエンテーリング』に参加してもらうわ」

 

皆が「特別オリエンテーリング?」という感じを出しているなか、レイはじっとサラを見ていた

 

レイ(あれが姉さんから聞いたサラ・バレスタイン。別名・紫電のバレスタインか)

 

サラ「さっ、皆ついてきて」

 

サラが講堂を出ると他の赤い制服の新入生達も1人また1人とサラを追っていく。するとサラはいかにも出そうな雰囲気の建物に入っていく

 

レイ「ん?」

 

自分以外の赤い制服の新入生が建物に入り自分も入ろうとした時、視線を感じてそちらを向くがすぐに視線を戻して建物に入った

 

クロウ「あいつ、俺達に気づいていたな」

 

アンゼリカ「そうだね。かなりの修羅場を潜ってきたのだろう。それにしてもアリサ君は可愛くなったなぁ。他の子もなかなかだし」

 

クロウ「早速かよ。新入生の女子達はご愁傷様だな」

 

-旧校舎内

 

サラ「私はサラ・バレスタイン。今日から君達〈Ⅶ組〉の担任を務めさせてもらうわ。よろしくお願いするわね」

 

エマ「あの~、この学院のクラスは一学年につき5つだったと記憶してますが…」

 

眼鏡をかけた大人しそうな生徒がそう質問する

 

サラ「よく調べてるじゃない。さすが主席入学ね。確かに去年までは5つのクラスで貴族と平民に分けられていたわ。あくまで『去年までは』ね。今年から身分に関係なく選ばれたクラス、それが貴方達特科クラス〈Ⅶ組〉よ」

 

レイ(特科クラス〈Ⅶ組〉か。確実にオリヴァルト皇子が一枚噛んでるな)

 




次は特別オリエンテーリングの話です


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特別オリエンテーリング

特別オリエンテーリング開始です。


サラ教官の言葉に全員が一瞬驚いた表情になる

 

レイ(なかなか面白そうなクラスだが…)

 

マキアス「冗談じゃない!身分に関係ない!?そんな話は聞いてませんよ!?」

 

レイ(やはりこういう人がいるよな)

 

サラ「えっと君は…」

 

マキアス「マキアス・レーグニッツです!それよりサラ教官、まさか貴族風情と一緒のクラスでやっていけって言うんですか!?」

 

サラ「え~、そう言われても…。同じ若者同士すぐに仲良くなれるんじゃない?」

 

マキアス「そんなわけないでしょう!」

 

ユーシス「フン。」

 

マキアスが騒いでいると彼の横にいる青年が鼻を鳴らす

 

マキアス「君、何か文句でもあるのか?」

 

ユーシス「別に。『平民風情』が騒がしいと思っただけだ」

 

マキアス「これはこれは…。その尊大な態度、さぞ名のある家柄と見受けるが?」

 

ユーシス「ユーシス・アルバレア。『貴族風情』の名前ごとき覚えてもらわなくて結構だ」

 

エリオット「し…『四大名門』!?」

 

アリサ「アルバレア公爵家……大貴族の中の大貴族ね」

 

エリオットと金髪の美少女アリサ・Rを始め、レイと長身の青年ガイウスと銀髪の少女フィー以外の皆が驚く

 

マキアス「だ…だからどうした?!その大層な名前に誰もが怯むと思ったら…」

 

レイ「そこまでだ。こんな所で言い合っていては『特別オリエンテーリング』とやらを始められないだろ?」

 

レイの言葉にマキアスとユーシスは言い合いを止めた

 

サラ「ありがとね。確かに色々あるとおもうけど、文句は後で聞かせてもらうわ。そろそろ『特別オリエンテーリング』を始めないといけないしね」

 

そう言ってサラは柱のある所まで下がり、その柱にあるボタンをポチッと押す

 

レイ「っ!!」

 

すると足下の床が傾き、次々と地下に落ちていくがフィーはワイヤーフックを天井に引っかけ、レイは落とし穴が作動する前に横に飛んで回避する

 

サラ「こらフィー、サボってないであんたも付き合うの」

 

フィー「めんどくさいな…」

 

サラ「それとあんたもなに軽々と落とし穴回避してんのよ!」

 

レイ「つい癖で…」

 

サラ「とにかく二人ともさっさと降りなさい」

 

二人「しょうがない」

 

そして二人は落とし穴に降りると、丁度黒髪の青年リィン・シュバルツァーがアリサに頬を叩かれていた

 

レイ「何があったんだ?」

 

フィー「女性の頬が赤いから、多分ラッキースケベがあったんだと思う」

 

レイ「なるほど。だいたいわかった」

 

当人は「厄日だ」と落ち込んでいるが…

 

その時、皆が所持していた『導力器』から着信音が鳴り響く

 

ラウラ「これは…入学案内と一緒に送られてきた『導力器(オーブメント)』か」

 

サラ『それはエプスタイン財団とラインフォルト社が共同で開発した次世代オーブメントの1つ…第五世代戦術オーブメント《ARCUS(アークス))》よ』

 

エマ「戦術オーブメント…魔法(アーツ)が使えるという特別な導力器の事ですね」

 

サラ「そう。結晶回路(クオーツ)をセットする事で魔法が使えるようになるわ。その部屋に君達から預かっていた武具と特別なクオーツを用意したわ。各自受け取りなさい」

 

サラがそう言うと部屋に明かりが点灯し台の上に全員の武器と小さな箱が置いてあり皆、自分の武器の所へと向かう

 

そして小さな箱を開けると、そこにはクオーツが入っていた

 

サラ「それは《マスタークオーツ》ARCUSにはめれば魔法が使えるようになるわ」

 

教官の指示通り武器を手にし、マスタークオーツをARCUSにセットするがレイだけは何故かマスタークオーツをセットしようとしない

 

アリサ「どうしたの?」

 

レイ「俺のクオーツだけ何故無いんだ?」

 

サラ『えっ?貴方はもう持っているって聞いたけど?』

 

レイ(あのアホ皇子、渡し忘れたな)

 

アホ皇子のミスに怒りが沸々と沸いてくるレイだった

 

サラ『私のを貸してあげましょうか?』

 

レイ「いえ大丈夫です。これも修行か試練と思って切り抜けます」

 

サラ『そ…そう?それじゃ始めるとしますか』

 

10人が武器を構えると奥にある扉が重々しく開いていく

 

サラ『その先はダンジョン区画になっているわ。ちょっと広いけど終点まで到着すればオリエンテーリングは終了よ』

 

レイ(ダンジョン区画という事は当然魔獣も徘徊しているんだろうな。まあ、気配を感じる限り、それほど強力な魔獣はいないから楽勝だな)

 

サラ『それではこれより士官学院・特科クラス〈Ⅶ組〉の特別オリエンテーリングを開始する。各自ダンジョン区画を抜けて旧校舎1階に戻ってくること。文句はその後に受け付けるわ』

 

その言葉を最後に通信は終わり、レイはすぐさま自身の武器である鉤爪・カイザークローを装着してダンジョンに入っていく

 

リィン「待ってくれ。どんな魔獣がいるか分からない。ここはチームを組んで行った方が良いと思う」

 

レイ「確かに一理あるが、ここの魔獣はそんなに強くない。俺は1人で行くが君達はチームを組んで行くといいだろう」

 

それだけ言うとレイはダンジョン区画へと入っていった

 

アリサ「何か嫌な感じ」

 

ラウラ「まあ落ち着け。とりあえず女子と男子のチームに別れて進もう。そなたらも異論は無いか?」

 

ラウラの言葉に異論無しと言うように男子達は頷く




めっちゃ長くなってしまいました。次はレイの力の一端が見れます


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特科クラスⅦ組

予告していた通り、レイが力の一端を見せます


先にダンジョンに入ったレイは苦もなく魔獣を倒していた

 

レイ「ハァッ!」

 

鉤爪の一閃で周囲にいた数十体の魔獣が消し飛んだ

 

レイ「やはりここの魔獣はそれほど強くないな。ところでいつまでついてくる気だ?」

 

レイの言葉にあきらめたのか、柱から銀髪の少女フィー・クラウゼルが現れた

 

フィー「よく分かったね?」

 

レイ「気配には敏感でね。それより何で俺を追いかける?」

 

フィー「皆の中で一番強いから何者か探っておきたい」

 

レイ「そうか。まぁ、好きにしろ」

 

そしてレイがダンジョンを進むとフィーも一定の間隔を空けてついてくるが…

 

レイ「……(汗)おい、ついてくるなら一定の間隔を空けてじゃなく横にいればいいだろ」

 

フィー「良いの?」

 

レイ「構わない。というか気になってしょうがない」

 

フィー「それじゃお言葉に甘えて」

 

その後、フィーはレイの横に立って移動し何故か戦闘も一緒にする事になった

 

-数十分後

レイ「終点だな」

 

フィー「みたいだね。でも…」

 

耳を澄ませると終点の部屋から戦闘音が聞こえてくる

 

レイ「どうやら俺達とお前以外はあの部屋で戦っているみたいだな。仕方ないから加勢するか。なぁ?」

 

そう言って後ろを振り向くと、そこには金髪の青年ユーシス・アルバレアが立っていた

 

ユーシス「フン、良いだろう」

 

そして三人が部屋に入ると残りのメンバーが石の魔獣『イグルートガルム』と戦っていた

 

レイ「石の魔獣『ガーゴイル』か」

 

フィー「仕方ないなぁ」

 

ユーシス「ARCUS駆動。エアストライク!」

 

ユーシスが風の弾丸を放ち、ガーゴイルの動きを止めてその一瞬にフィーが右足を、レイは左足を切りつける

 

マキアス「君達は!」

 

レイ「油断するな!」

 

ガーゴイルを取り囲むと全員が光に包まれ、一斉にガーゴイルに攻撃していく。しかしその攻撃が他の者達には当たらず、全てガーゴイルに命中する

 

リィン「今だ!」

 

ラウラ「任せるがよい!」

 

リィンの言葉に今まで攻撃していなかった青髪の少女ラウラ・S・アルゼイドが大剣を振り下ろし、ガーゴイルの首を切断した

 

そして切断された首は石に戻って消え、体も石に戻り消えた

 

レイ「蘇る気配無し。完全に消滅したようだな」

 

アリサ「やった~…」

 

エリオット「……。ねぇ今、何だか不思議な感覚になったんだけど……」

 

アリサ「そういえば…。戦ってる間、淡い光に包まれていたような…」

 

フィー「……」

 

ラウラ「ふむ、皆の動きが手に取るように『視えた』気がしたが…」

 

リィン「なんだか皆と繋がってるような…そんな感覚があったな。もしかしたらさっきのが…」

 

サラ「そう、それがARCUSの真価ってわけね」

 

声がした方を見るとサラがニコニコしながら階段を降りてくるところだった

 

リィン「サラ教官!」

 

サラ「いや~、やっぱり最後は友情とチームワークの勝利よね~。これにて入学式『特別オリエンテーリング』は全て終了~」

 

ニコニコしながら言っているが、戦っていた当人達は白い目でサラを見ていた

 

サラ「って何よ?君達のその顔は…?」

 

ユーシス「単刀直入に聞こう。特科クラス〈Ⅶ組〉……一体何を目的としているんだ?」

 

ラウラ「何故我らが選ばれたか…疑問ではあるな」

 

サラ「そうね。君達が一番の理由はその〈ARCUS〉にあるわ」

 

エリオット「〈ARCUS〉……」

 

サラ「この最新鋭の戦術オーブメントの真価は〈戦術リンク〉--先程、君達が体験した現象よ」

 

レイ「先程皆が繋がっていたようなあの感覚が?」

 

サラ「ええ。例えばどんな状況下でもお互いの行動が把握でき最大限に連携出来る精鋭隊……仮にそんな部隊が存在すればあらゆる作戦行動が可能になる。戦場においてそれがもたらす恩恵は絶大よ」

 

ガイウス「ふむ、確かに」

 

フィー「理想的かも…」

 

サラ「新入生の中でも君達は特に高い適性を示した。それが身分や出身に関わらずに選ばれた理由でもあるわ」

 

ユーシス「……なるほど」

 

マキアス「な、何て偶然なんだ……」

 

その後、サラは新入生達に特科クラス〈Ⅶ組〉に参加するかどうか聞く

 

そしてレイはその質問に目を閉じて考える

 

レイ(特科クラス〈Ⅶ組〉……平民と貴族が一緒のクラスか。初めての試みだからしばらくの間はギクシャクするだろうが、なかなか面白そうなクラスだ)

 

サラ「レイ、あんたはどうするの?」

 

サラの言葉に目を開けると自分以外の全員が参加を表明していた

 

レイ(俺以外の全員が参加か。なら…)

 

レイも一歩前に歩を進める

 

レイ「レイ・リーヴェルト、〈Ⅶ組〉に参加する」

 

サラ「全員参加ね。それではこの場をもって特科クラス〈Ⅶ組〉の発足を宣言するわ!これからビシバシしごいてあげるから楽しみにしてなさい!」

 

レイ「……」

 

その後、特科クラス〈Ⅶ組〉の10人は駅の横にある〈Ⅶ組〉専用の寮・第3学生寮に戻った

 

 

 

その日の夜、レイは1人で旧校舎に来ていた

 

旧校舎・階段部屋にて

 

レイ「いるのは分かっている。出てこい」

 

するとレイの目の前に〈Ⅶ組〉総動員で倒したガーゴイルと同種の個体が現れた

 

「ギシャアァァァァァッ!!」

 

レイ「やはりもう一体いたか」

 

ガーゴイルは爪を振り下ろし、レイを引き裂こうとするが彼は軽々と避ける

 

レイ「そんな攻撃は当たらない。くらえ、カイザーリッパー!!」

 

右の鉤爪にエネルギーを集めて放った赤黒い斬撃はガーゴイルの体をいとも簡単に切り裂いた

 

レイ「討伐完了」

 

一撃でガーゴイルを討伐したレイはこっそりと学生寮に帰り、姉に特科クラス〈Ⅶ組〉の事、紫電のバレスタインがいた事を報告して就寝した

 

 

 

 

 




次は幕間、つまり小話を書こうと思います


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幕間・レイとミルディーヌの出会い(トールズ入学前)

幕間の内容はレイとミルディーヌの出会いです


これはレイがトールズに入学する1年前の話

 

 

レイの自室にて

 

昨日の夜セットした目覚まし時計が鳴り響き、俺はそれを止めて目覚める

 

レイ「……。二度寝しようかな」

 

?「命がいらないなら寝ても良いわよ」

 

そう言ってレイのこめかみに導力銃を当てるクレアがいた

 

レイ「冗談に決まってるだろ姉さん。今日は会議だよね?」

 

クレア「その事だけど、貴方は参加しなくていいそうよ」

 

レイ「まさか…また面倒ごとか?」

 

クレア「そのまさかよ」

 

義姉の言葉にレイはがっくりと頭を垂れる

 

レイ「面倒ごとの内容は?」

 

クレア「聖アストライア女学院の警備及び学院内のパトロールだそうよ」

 

義姉の言葉に今度はその場に座り込んでしまう

 

レイ「何で男の俺がそんな事を……。ちなみにこの任務、もしかして最初はドミニク少尉が受けた物じゃないのか?」

 

クレア「多分そうだと思うけど…」

 

レイ「帰ってきたら地獄の特訓だと言っておいてくれ」

 

そしてレイは軍服を着て武器を装備し聖アストライア女学院へ向かった

 

 

-女学院・正門にて

レイ「姉さんの話だと正門に迎えが来てるはずだが……」

 

?「鉄道憲兵隊のレイ・リーヴェルトさんですか?」

 

正門が開き、1人の女生徒が出てきた

 

レイ「ええ。貴女は?」

 

?「申し遅れました。私、エリゼ・シュバルツァーと申します。申し訳ありませんが女学院に入る為の許可証を見せてもらえますか?」

 

レイ「どうぞ」

 

レイは義姉から受け取った許可証をエリゼに見せる

 

エリゼ「はい、確かに。それではどうぞ」

 

エリゼの後をついていき、パトロールするルートを教えてもらうレイ

 

エリゼ「それではよろしくお願いしますねレイ大尉」

 

レイ「誠心誠意やらせていただきます」

 

その後、レイは授業中は正門を警備し休み時間中はパトロールをしていた

 

そして、昼休みになり…

 

レイ「ようやく昼休みか。くぅ~」

 

?「あの…」

 

軽く伸びをしていると声をかけられ、慌てて姿勢を正す

 

レイ「あっ、申し訳ありません!」

 

?「いっ、いえ別に責めているわけではないんです。」

 

レイ「えっ、そうなのですか?」

 

?「はい。朝からずっと警備でお疲れだろうと思い、これを…」

 

そう言って少女が差し出してきたのは弁当箱だった

 

?「よかったら食べて下さい。私の手作りですけど…」

 

レイ「ありがたくいただきますね」

 

?「はっ、はい!」

 

そして昼食が終わり、時間は過ぎていき放課後

 

エリゼ「今日はお疲れさまでしたレイ大尉」

 

レイ「いえ、お力になれてなによりです。それでは…」

 

レイが憲兵隊の詰所に帰還しようとした時、昼休みにお弁当をくれた少女が駆け寄ってきた

 

?「あの…レイ大尉!」

 

レイ「あっ、昼休みの時の…」

 

?「あの、私の作ったお弁当どうでした?」

 

レイ「とても美味しかったですよ。“特にあの薄いおかずはね。”(小声)」

 

レイの言葉に少女の目は何もかも見通すような鋭い目になるが、表情は嬉しそうなものだった。

 

?「それでしたらまた明日も作ってきます。」

 

レイ「よろしいのですか?」

 

?「勿論です!」

 

レイ「それでは明日も楽しみにしてますね」

 

?「はい!」

 

レイ「あっ。そういえばまだ貴女の名前を聞いてませんでしたね」

 

?「あっ、私とした事が……。私の名前はミルディーヌ・ユーゼリス・ド・カイエンです」

 

レイ「ミルディーヌさんですね。それでは明日楽しみにしてますね」

 

そしてレイは今度こそ憲兵隊の詰所に帰還した

 

エリゼ「凄いわねミルディーヌ。あのレイ大尉の心を掴むなんて…」

 

ミル「私もまさかこんなに上手くいくなんて思いもよらなかったわ…。明日も頑張って作らなくちゃ。」

 

エリゼ「頑張って!私と姫様も応援してるわ!」

 

ミル(まずは第一段階クリアですね。必ず彼らのやろうとしている事は阻止しないと。でも……計画の事は別に彼の事を1人の男性として見ている私がいますね///)

 

 

-数分後・鉄道憲兵隊詰所にて

 

レイ「~♪」

 

クレア「女学院から帰ってきてから随分ご機嫌ね?」

 

レイ「まぁな。」

 

その時、クレアとレイの部下であるドミニク少尉がビクビクしながら入ってきた

 

ドミニク「あの…レイ大尉、今日の事なのですが……」

 

レイ「今日の事は不問にしておく」

 

ドミニク「へっ?という事は……」

 

レイ「地獄の特訓は無しだ」

 

ドミニク「あっ、ありがとうございます!!(助かった~)」

 

レイ「それから今後、聖アストライア女学院の警備とパトロールは俺がやろう」

 

ドミニク「よろしいのですか?」

 

レイ「ああ。」

 

ドミニク「重ね重ねありがとうございます!!失礼します!!」

 

ドミニクが退室したのを確認するとクレアはコソッと聞いてくる

 

クレア「何か良いことあった?朝とは全く違うじゃない」

 

レイ「かなり良いことがあったからな」

 

その後、レイはしばらく女学院でミルディーヌの弁当を堪能したそうだ

 

 

 

 

クレアはレイ相手だとタメ口になります

 



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第1章・レイの学院生活開始
レイの学院生活


あまり長くならないように頑張ります


レイの学院生活

 

Ⅶ組が発足してから2週間が経過した。サラ教官の宣言通りハードな日程ではあるが、鉄道憲兵隊の業務に比べたらまだ楽な方だった

 

だが、問題が全く無いわけではない。リィンとアリサ、ユーシスとマキアスだ。

 

アリサはこの前のトマス教官の授業でリィンに答えを教えようとしていたので、何とか仲直りをしようと努力しているのは分かった。まぁ、どちらかが切り出せばこの問題はすぐに解決するだろう

 

しかし、問題なのはユーシスとマキアスだった。貴族と平民の溝は深いと分かってはいるがその溝がオリエンテーリングのせいでさらに深くなってしまったのだ。おかげで居心地が悪く、喧嘩が勃発する度に誰かが仲裁に入る

 

こちらの仲直りはしばらく時間がかかりそうだ

 

〈レイの日記より〉

 

そして今日の授業が全て終わり、今はHR中

 

サラ「は~い、皆今日もお疲れさま。明日は自由行動日になるわ。部活に打ち込むもよし、朝から晩まで寝るもよし。各自自分の為になる事をやりなさい」

 

レイ(1日中寝るのはおかしいだろ。まぁいい、2週間ぶりにミルに会いに行くか)

 

サラ「それと4日後に実技テストを行うから体調を整えておくように。それじゃ委員長、挨拶して」

 

エマ「起立--礼」

 

委員長となったエマの挨拶でHRは終了し、皆は教室を出て行く

 

レイ「さて、部活の見学に行くか」

 

その後、レイは本校舎を出て部活をしているグラウンドやギムナジウム、学生会館を回る

 

-1時間後

 

レイ「色々見て回ったがこれと思う所が無かったな」

レイ(まぁ、良さそうなのは料理部だが俺は教えてもらう側じゃなく教える側だからなぁ)

 

レイの料理の腕はプロレベルですからねbyクレア

 

レイ(仕方ない。しばらくは帰宅部でいいか。その方が寮の管理人もやりやすいし)

 

?「よう後輩君」

 

背後から声をかけられ、振り返ると頭にバンダナを巻いた青年が立っていた

 

レイ「俺に何か用ですか先輩?」

 

?「いやな、何か考え事しながら立ってたから先輩としてアドバイスをと思ってな」

 

レイ「お気遣いありがとうございます。でももう解決しましたので」

 

?「そうか。ところで話は変わるがお前さん〈Ⅶ組〉の生徒だよな?ならお近づきの印に面白い手品見せてやるよ。ちょいと50ミラコインを貸してくれ」

 

レイ「どうぞ」

 

レイは財布から50ミラコインを出して先輩に渡す

 

?「サンクス。んじゃ、よーく見とけよ」

 

そう言って先輩はコインをピンッと上に飛ばし、両手を動かして落ちてきたコインをキャッチする

 

?「さて問題。コインはどっちの手にあるでしょう?」

 

レイ「どちらの手にもありません」

 

?「えっ…」

 

レイが先輩の両手を開くとそこには確かに50ミラコインは無かった

 

レイ「50ミラコインはこの中に。」

 

先輩の足下に置いてある袋に手を突っ込み、再び出すとレイの手には50ミラコインが握られていた

 

?「あはは……(汗)よく分かったな。今まで誰にもバレた事ないし、さっきの後輩君も分からなかったのによ」

 

レイ「動体視力には自信があるので。というか俺以外の〈Ⅶ組〉のメンバーにもやったんですか?」

 

?「まぁな。とりあえずその50ミラコインは返すぜ」

 

先輩はそう言うがレイは何故かその50ミラコインを先輩に投げ渡す

 

レイ「差し上げますよ。お近づきの印に」

 

?(見事にやり返されたか(汗))

 

レイ「ところで先輩の名前は?」

 

?「おっと悪い、まだ名乗ってなかったな。2年V組所属クロウ・アームブラストだ」

 

レイ「腕が爆散しそうな名前ですね」

 

レイの言葉にクロウはずっこける

 

クロウ「お前なぁ……」

 

レイ「冗談ですよ。それじゃ俺はこれから晩ご飯の用意をしなければいけないので失礼します」

 

レイはクロウに一礼して第3学生寮へと帰って行く

 

クロウ「特殊なクラスにいるだけあって本当に変わった奴だな~。まぁ、良いや。50ミラコイン儲けたっと」

 

そう呟いたクロウも第2学生寮へと帰って行く

 

 

-第3学生寮

 

その日の夕食はレイとエマが作り、夕食が終わると各自部屋に帰っていった

 

レイ「さて、武器の手入れをするか」

 

皆の前で使っていた「鉤爪」と本当にヤバい時にしか使わない2つの武器の手入れを始めるレイ

 

-1時間後

 

レイ(手入れ完了。後は鉤爪だけだが……)

 

鉤爪の手入れを始めようとした時、レイは立ち上がって部屋の扉を開けるとリィンが立っていた

 

レイ「お前か。何の用だ?」

 

リィン「あ、いや…学生手帳を渡しに来たんだ」

 

レイ「サラに押しつけられたか?」

 

リィン「あぁ…って教官を呼び捨てにするのはまずいだろ」

 

レイ「俺の場合はOKなんだ」

 

リィン「意味が分からないんだが…」

 

レイ「分からなくていい。用はこれだけなら失礼するぞ」

 

リィン「遅くに悪かったな」

 

レイは扉を閉め、鉤爪の手入れに戻る

 

-30分後・鉤爪の手入れを終了したレイは明日の自由行動日の為に早めに就寝した

 

 

-翌日・自由行動日

 

レイ(さて、帝都に到着したらまずはオリヴァルト殿下に会わなければな)

 

朝6時に起きたレイは身支度を整え、一階に降りるとそこには昨日学生手帳を届けてくれたリィンが何かの書類を見ていた

 

レイ「何を見ている?」

 

リィン「あっ、レイか。実はトワ会長が纏めたトリスタや学院からの依頼を見ていたんだ」

 

レイ「ちょっと見せてくれ」

 

レイはリィンから書類を受け取り、内容を見る

 

レイ(簡単な物から、かなりヤバそうな物まであるな)

 

リィン「興味があるなら一緒にやるか?」

 

レイ「やってみたいが今日は帝都に行く用がある。また次の機会に誘ってくれ」

 

リィン「そうか。分かった」

 

その後、レイは列車に乗り帝都へ向かった

 

-帝都ヘイムダル・バルフレイム宮にて

オリヴァルト「やぁ、待たせてすまないねレイ君」

 

応接室で待っていたレイの前にオリヴァルト殿下が現れる

 

レイ「フッ!」

-ズンッ!!

 

するとレイはいきなりオリヴァルトの腹に強烈なパンチをくらわせた

 

オリヴァルト「ゴフッ!!な…何をするんだいレイ君?」

 

レイ「自分の胸に聞いて下さい」

 

オリヴァルト「……。何かあったかい?」

 

レイ「マスタークオーツ(怒)」

 

その言葉にオリヴァルトは苦笑いしながら話し始める

 

オリヴァルト「ああ!マスタークオーツね!すまないね、うっかり渡し忘れて!これが君のマスタークオーツ『オロチ』だよ」

 

レイ「『オロチ』……ですか」

 

オリヴァルト「本当は『ムラクモ』とどっちにするか迷ったんだけど君は相手の急所を的確に攻撃するからクリティカルが起きやすい。よって、攻撃力を上げる『オロチ』にしたのさ」

 

レイ「ありがとうございます。それでは…」

 

オリヴァルト「帰る前にアルフィンに会ってやってくれないか?」

 

その言葉にレイは若干顔をしかめたが、すぐにいつもの冷静な顔に戻る

 

レイ「わかりました。それでは失礼します」

 

-アルフィンの部屋の前

レイ「失礼します」

 

?「レイさ~ん!」

 

-ドグッ!

 

レイ「ゴフッ!」

 

扉をノックしてから入ると、いきなりレイの腹にアルフィンの頭が直撃し本人はその場に崩れ落ちる

 

レイ「ア…アル、何度も言うようにいきなり抱きつくのは……止めてくれ」

 

アルフィン「ごめんなさい。久しぶりにレイさんに会えたので……。それにしてもレイさんは運が良いですわ。今、丁度エリゼとミルディーヌが私の部屋に来ているんですの。さっ、入って下さい」

 

アルフィンに誘われ、レイは部屋に入ると確かにエリゼとミルディーヌがいた

 

エリゼ「あっ、レイ大尉」

 

ミルディーヌ「レイ兄様!!」

 

レイ「久しぶりだなミル。それにエリゼ嬢も一年ぶりですね」

 

エリゼ「はい。一年前はお疲れさまでした」

 

そしてレイがミルの方を見るとゆっくりとミルが抱きついてきた

 

ミルディーヌ「レイ兄様、2週間ぶりですね」

 

レイ「ああ、約束しただろ?」

 

アルフィン「ウフフ、何だか良い雰囲気ですわね~。何だったらお二人で帝都をデートしてきますか?」

 

レイとミルディーヌのやり取りを見てアルフィンがとんでもない提案をしてくる

 

ミルディーヌ「な、何を言ってるんですか姫様!!」

レイ「あまり、とんでもない事をサラッと仰らないで下さい!!」

 

アルフィンの言葉に二人は顔を赤くして反論する

 

その後、レイはミルディーヌ・アルフィン・エリゼ達と色んな話をした後、帰りの列車に乗ってトリスタに帰還した

 

 

 

レイ(現在7時30分、恐らく皆は晩御飯を終えているだろうな)

 

そう思いながら第3学生寮に入ると…

 

サラ「お帰り~」

 

玄関フロアに設置されているソファーに酒を飲んでほろ酔い状態のサラが座っていた

 

レイ「また大量に飲みましたね」

 

サラ「まぁね~。それよりこんな時間までどこに行ってたのよ~」

 

レイ「帝都の知り合いの家に行っていたのですが久しぶりに会ったので話が弾んでしまい、こんな時間になりました」

 

サラ「もしかして恋人~?」

 

レイ「そんなものですかね。それじゃ、俺は疲れたのでもう寝ます」

 

サラ「お休み~」

 

そしてレイは自室に戻り、寝間着に着替え就寝した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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実技テスト

今回の実技テストではレイは1人で戦います


〈4月21日・実技テスト〉

 

-グラウンド

 

サラ「じゃあ、予告通り実技テストを始めるわよ。このテストは戦闘力だけでなく『状況に応じた適切な行動』を見る為のものだから各々しっかり考えて動きなさい。それではこれより4月の実技テストを開始するわ」

 

そして最初はリィン、エリオット、ガイウスが呼ばれサラ教官が指を鳴らすと『戦術殻』と呼ばれる物が出現した

 

レイ「戦術殻か」

 

サラ「よく知ってるわね」

 

レイ「まぁな」

 

サラ「それじゃ実技テストを始めるわ」

 

 

テストが始まってから数分が経った。3人は戦術リンクを最大限に活用し苦もなく戦術殻を倒した

 

サラ「うんうん、良い感じじゃない。よし次、ラウラ、ユーシス、マキアス、エマ、アリサ前に出なさい」

 

次はレイを除いた全員が呼ばれ、各々武器を構える。そして2戦目が始まるが予想通りマキアスとユーシスの連携が上手くいかず、お互いどころかチーム全体の足を引っ張っている

 

レイ「リィン達と比べたら、ヒドい戦いだな。だがお前達、いつの間にそんなに良い動きをするようになったんだ?」

 

リィン「ああ、旧校舎で色々試したおかげさ」

 

レイ「旧校舎と言うとこの前、トワ会長が纏めた依頼書にあった?」

 

エリオット「学院長からの依頼だったんだ。僕達はリィンに呼ばれて一緒に探索したんだ」

 

ガイウス「構造が変わっていてな。風の流れも以前とは全く違っていたな」

 

レイ「実に興味深いな。もし、次の自由行動日に俺が暇そうにしていたら誘ってくれ」

 

リィン「勿論だ」

 

そんな話をしていると2戦目が終了したようだ

 

サラ「使い慣れていないとは言え、この結果はヒドいわね。まぁ、合格点には届いているから良しとしときますか」

 

レイ(全く、戦場に立てば気の合わない奴とも連携しなければいけないのに…)

 

サラ「さ~て、それじゃ最後よ。レイ、前に出なさい」

 

サラに呼ばれ、レイは鉤爪を装着し戦術殻の前に立つ

 

サラ「それでは始め!」

 

レイ「フッ!」

 

開始の合図と共にレイは一瞬で戦術殻の前に移動し、鉤爪を振るうが戦術殻はそれを避けてアーツの駆動を開始する。そしてすぐに魔力は溜まり、風の弾丸とも言えるアーツ『エアストライク』を放ってくる

 

レイ「ハッ!」

 

だがレイはそのアーツを鉤爪に突き刺して、戦術殻に跳ね返した。そして跳ね返ってきたアーツをモロに受けた戦術殻はふらつく

 

レイ「くらえ!カイザーリッパー!!」

 

鉤爪から放った赤黒い斬撃が戦術殻を切り裂いた

 

サラ「やるわね。文句無しの合格点よ。それじゃ、今月の実技テストは終了よ。各自、しっかりと今日の良い点と悪い点を纏めておく事。」

 

レイ「それじゃ、良い年して休日を飲んで寝て過ごすのはどうなんだ?」

 

サラ「良い度胸ね。今から貴方だけに特別補習をしてあげましょうか?(怒)」

 

レイ「遠慮しておく」

 

サラ「全く…。さて、ここからはⅦ組だけの特別カリキュラムをするわ」

 

エマ「特別なカリキュラムですか?」

 

サラ「そう、それはズバリ……〈特別実習〉よ!」

 

バァァァン!という効果音が出そうな感じでサラは特別実習のプリントを出してきた。そのプリントの内容は…

 

【4月特別実習】

 

A班リィン・レイ・アリサ・ラウラ・エリオット

(実習地・交易町ケルディック)

 

B班マキアス・ユーシス・ガイウス・エマ・フィー

(実習地・紡績町パルム)

 

となっており、この班分けを見てリィンとアリサ、マキアスとユーシスは何とも言えない表情になる

 

マキアス「サラ教官、これは一体?!」

 

サラ「君達にはA班・B班に別れて指定した実習先に鉄道で行ってもらうわ。そこで期間中、用意された課題をやってもらうの」

 

10人「……」

 

サラ「出発は今週末。各自それまでに準備を整えておく事。フフッ、実技テストも何とか乗り越えたし張り切ってこのスペシャルな実習に取り組んでちょうだい」

 

それだけ言ってサラは去っていった

 

-その日の夜・レイの部屋にて

レイが実習の準備を終えた時、ARCUSの着信音が鳴る

 

レイ「こちらレイ・リーヴェルト。」

 

クレア『良かった。まだ起きてたわね』

 

レイ「どうかした姉さん?」

 

クレア『実は貴方にお願いがあってね。ケルディックに怪しい人物が入ったという情報が入ったの。それで貴方に調べてほしくて…』

 

レイ「分かった。特別実習先も偶然ケルディックだから調べておくよ」

 

クレア『特別実習?』

 

レイ「ああ、実は…」

 

レイは姉に特別実習の事を姉に細かく話す

 

クレア『フフッ、なかなか面白そうな事をするのね。頑張ってねレイ。おやすみ』

 

レイ「おやすみ姉さん」

 

 

 

 

 

 

 

 



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特別実習スタート

-次の日

レイは誰よりも早く目が覚め、玄関先のソファーに寝転がっていた

 

レイ「いつもの癖で早く起きてしまった。暇だ」

 

その時、誰かが階段を降りてきた

 

リィン「少し早かったか。それにしても、今日まで全くアリサに謝れなかったな。ハアァ~…」

 

レイ(まだ謝罪してないのか)

 

アリサ「あら?」

 

リィンがアリサに謝れなかった事を呟いていると当人が現れた

 

リィン「アリサ!?」

アリサ「リィン!?」

 

すると2人はモジモジし始め、何か話そうとしている

 

レイ(焦れったいな)

 

そして遂に…

 

アリサ「ごめんなさい!どうして謝るの?!」

リィン「ごめん!どうして謝るんだ?!」

 

同時にお互いが謝罪の言葉を発し、お互いが驚く

 

その後、ラウラとエリオットも合流する

 

エリオット「でも本当に良かった~。2人とも仲直りして」

 

アリサ「別にケンカしてたわけじゃ…」

 

ラウラ「それにしてもレイはまだ降りてこないな」

 

リィン「そういえば…。起こしに行った方がいいな」

 

そう言って2階に上がろうとリィンだが…

 

レイ「その必要は無い」

 

ソファーに寝転がっていたレイがムクリと起きあがり、皆が驚く

 

リィン「レ…レイ?!」

 

アリサ「貴方いつからそこにいたの?!」

 

レイ「リィンが降りてくる前から」

 

アリサ「って事は私達の話を……///」

 

レイ「しっかり聞いたが安心しろ。言いふらすつもりはない。それより早く駅に行こう」

 

レイは荷物を持って駅へ向かい、その後を仲間達が追いかける

 

レイ「ケルディック行きの切符を5人分お願いします」

 

駅員「はい」

 

駅員はすぐに5人分の切符を取り出す。どうやら既にサラ教官の根回しは済んでいたようだ

 

レイ「行くぞ」

 

皆が駅に入るとちょうど列車が来て5人はそれに乗り込む

 

-列車に揺られる事、数十分。一行は目的地に到着した

 

アリサ「トリスタから近いからあっという間だったわね」

 

ラウラ「この後はどうするのだろうか?」

 

サラ「ならついてきなさい」

 

振り返ると自分達が出てきた駅の出口からサラ教官が現れた

 

リィン「なぜ教官がここに?」

 

サラ「最初くらいは手助けしてあげようと思ってね」

 

その後、サラ教官の案内で宿泊場所の〈風見亭〉に到着し女将から特別実習のの内容が纏められたプリントを受け取り、5人は実習を開始した

 

-数時間後

エリオット「疲れた~」

 

ラウラ「薬剤調達に導力灯の交換、魔獣退治。なかなか充実していたな」

 

アリサ「それは貴女とレイだけよ…」

 

リィン「にしてもこれは…」

 

レイ「どうかしたか?」

 

リィン「いや、何でもない」

 

5人がケルディックに戻ってくると何やら大市が騒がしい

 

レイ「どうしたんですか?」

 

町民「場所を巡ってケンカだってよ」

 

それを聞いて5人が騒動の中心を見ると確かに男2人が言い争っていた

 

ラウラ「リィン、止めねば」

 

リィン「そうだな」

 

オットー「お主ら、何をしておる?」

 

2人が男達を止めようとした時、この大市の元締めであるオットーが仲裁に入る

 

2人「元締め…」

 

男達の話によると2人共、同じ場所を使う許可証を持っていたようだが元締めは交互に場所を使うという案で2人の怒りを収める

 

-オットー宅

オットー「君達がヴァンダイクが言っていた〈Ⅶ組〉だね?」

 

レイ「俺達を知っているという事はヴァンダイク学院長とは旧知の仲ですか?」

 

オットー「その通りじゃ」

 

その後、オットー元締めからケルディックの現状を聞いた5人は風見亭へと戻った

 

レイ「四大名門の一角が増税と露骨な嫌がらせか」

 

ラウラ「さすがに問題だろう」

 

エリオット「アルバレア公爵家当主…。ユーシスのお父さんだよね?いっそユーシスに相談するわけには…」

 

リィン「難しいだろうな。当主の決定は絶対だ」

 

アリサ「ましてやアルバレア家は皇帝家の次くらいの権力を持っているでしょうしね」

 

エリオット「やっぱり無理か~」

 

全員、何も妙案が思いつかず、その日は早めに寝る事にした

 

-翌日

リィンが日課の素振りをしに行こうとすると丁度ラウラも出て行くところだった

 

リィン「ラウラも素振りか?」

 

ラウラ「日課だからな」

 

リィン「俺もだよ」

 

ラウラ「……。迷いもあったが聞いておこう。そなた、なぜ本気を出さない?」

 

リィン「えっ?」

 

ラウラ「そなたの剣、そして太刀筋……『八葉一刀流』に間違いないな?剣仙ユン・カーファイが興した東方剣術の集大成とも言うべき流派。皆伝に至った者は「理」に通ずる達人として〈剣聖〉とも呼ばれるという」

 

リィン「詳しいんだな。帝国ではほとんど知られてない剣術なのに…」

 

ラウラ「父に言われていたのだ。『剣の道を志すならば、いずれ八葉の者と出会うだろう』と」

 

リィン「『光の剣匠』が?はは、光栄というか恐れ多いというか。……。俺は…ただの初伝止まりさ。確かに一時期ユン老師に師事していた事もある。だが剣の道に限界を感じて老師から修行を打ち切られた身だ」

 

ラウラ「えっ…」

 

リィン「その…だから手を抜いている訳じゃないんだ。八葉の名を汚しているのは重々分かっているけど……これが俺の限界だ。誤解させたのならすまない」

 

ラウラ「リィン、私に謝る必要はない」

 

レイ(謙虚な奴だと思っていたが、謙虚『過ぎる』奴だな)

 

レイが2階から2人の様子を見ていると、地元の人間が慌てて風見亭に入ってきた。どうやら昨日大市でケンカしていた商人達がまたケンカしているらしい

 

リィン達はケンカを仲裁する為に大市に向かうが…

 

アリサ「これは…」

 

リィン「一体何があったんですか?」

 

町民「朝来たらあの2人の店が破壊されて商品も盗まれたんだって」

 

エリオット「そんな事が…」

 

2人の商人の店が見るも無惨に破壊されていた。そして2人の商人がお互いの胸を掴み、ケンカがヒートアップしそうになった時…

 

「こんな早朝から何事だ!騒ぎを止めて即刻解散しろ!」

 

レイ(領邦軍か)

 

隊長らしき人物が部下を4人率いて大市に現れた。元締めが彼らに状況を伝えると隊長は「2人を逮捕しろ」という耳を疑う言葉が飛び出す

 

レイ「ちょっと待って下さい。何故そうなるんですか?」

 

隊長「いがみ合う2人が同時にお互いの荷物を持ち去り、屋台を破壊したという事だろう」

 

レイ(可能性は0じゃないが、余りにも強引過ぎる。これが領邦軍のやり方か)

 

そして隊長は最後に騒動を続けるなら逮捕すると言われ、商人2人は黙ってしまう

 

レイ(これで確信した。昨日の同じ許可証が2枚あった事、今回の窃盗は間違いなく領邦軍が絡んでるな。後は確かな証拠を掴むだけ…っとその前に)

 

レイは人混みから離れ、屋台の影に隠れて懐からARCUSを取り出し小声で何かを呟く

 

レイ「頼んだよ」

 

通信が終わり、ARCUSをしまって屋台の影から出ると領邦軍からの理不尽極まりない要求で騒動は沈静化していたがリィン達はまだ納得していなかった

 

アリサ「にしても領邦軍のやり方があそこまで露骨だったなんて…」

 

レイ「下らないプライドがあるせいだろ。それより、この後どうするんだ?」

 

レイの言葉に皆、黙ってしまうがリィンが驚きの言葉を発する

 

リィン「今回の事件、俺達で調べてみないか?」

 

エリオット「ええっ?!」

アリサ「私達で?!」

 

ラウラ「私は構わないぞ」

 

レイ「俺も異論は無い。まずどこから始める?」

 

リィン「そうだな。まずは屋台を破壊された商人達に話を聞こう」

 

そしてリィン達は屋台を破壊された商人達に話を聞きに行く

 

-数分後

レイ「商人ハインツは装飾品を、商人マルコは加工食品を売ろうとして被害にあった。内容は売る物の違い以外は全く同じだな」

 

アリサ「やっぱりあの2人のどちらかが犯人とは思えないわね」

 

リィン「しかし犯行時刻に大市には誰1人いないから目撃者がいない」

 

ラウラ「手詰まりだな」

 

すると今まで黙っていたエリオットがある提案をする

 

エリオット「ねぇ、こうなったら領邦軍に話を聞きに行かない?」

 

ラウラ「領邦軍に?」

 

レイ「良いかもしれない。昨日元締めの話では揉め事には干渉しないはずなのに今回は干渉してきた」

 

アリサ「確かに怪しいわね」

 

リィン「よし、行こう」

 

その後、一行は領邦軍詰所で隊長に話を聞くが、エリオットの機転で窃盗犯と領邦軍がグルだと確信した

 

レイ「しかしエリオット、うまくやったな」

 

アリサ「ホントよね。『マルコさんが扱っていた装飾品の行方はどうなるんですか?』って聞いたら…」

 

ラウラ「『装飾品を扱っているのはハインツとかいう商人だろう?』と申したからな」

 

リィン「これで確実に領邦軍と窃盗犯がグルだと分かったな」

 

エリオット「後は盗まれた商品がどこにあるかだね」

 

その後、5人はケルディックの住民に聞き回るが、なかなか有力な目撃情報が見つからなかった

 

 

一方、今から30分程前の鉄道憲兵隊詰所では

 

クレア「はい、クレアです。どうしたのレイ?何か掴んだの?」

 

レイ『実はケルディック駐屯の領邦軍が犯罪に関わっているようなんだ。一応出動準備を整えておいてくれないか?』

 

クレア「分かったわ」

 

レイ「頼んだよ」

 

レイとの通信を終えたクレアは導力電話の受話器を取ってボタンを押して通話する

 

クレア「ドミニク少尉ですか?第3小隊に出動準備をさせておいて下さい。よろしくお願いします」

 

そして、時間はレイ達が情報収集している時に戻る。レイ達は有力な情報を手に入れていた

 

レイ「理不尽にクビにされた自然公園の管理人の話によると昨夜、この公園に後任の管理人が大量の木箱を運び込んだらしい」

 

5人は自然公園の門に近づくが門には内側から南京錠がかけられていた

 

アリサ「南京錠ね。しかも内側から…」

 

エリオット「どうしようか?」

 

ラウラ「私に任せるが良い」

 

そう言ってラウラは大剣を出して構える

 

アリサ「まさか…それで…?」

 

ラウラ「うむ。多少は音が出るだろうが…」

 

リィン「いや、俺がやろう。俺の方がもっと静かに出来る」

 

ラウラ「そうか」

 

リィンの言葉にラウラは大剣をしまって下がり、入れ替わりにリィンが門の前に立つ。すると門の前に立ったリィンはラウラの方を向いて一言

 

リィン「ラウラ、今朝はすまない」

 

ラウラ「私に謝る必要はないと言ったはずだぞ」

 

リィン「いや、謝ったのは剣の道を軽んじる発言に対してさ。考えてみれば『ただの初伝止まり』なんて失礼だ。剣の道を極めようとする人や剣を教えてくれた師匠に対しても…」

 

ラウラ「そうか。そなた、剣の道は好きか?」

 

リィン「好きとか嫌いとかじゃないな。あるのが当たり前で自分の一部になってるからな」

 

ラウラ「そうか」

 

わだかまりが無くなり、2人は微笑む

 

リィン「それじゃいくぞ。八葉一刀流、四の型・『紅葉斬り』!」

 

-キィンッ!

 

リィンが太刀を振り抜くとキィンッ!と甲高い音が響き、南京錠は真っ二つに斬れた

 

エリオット・アリサ「えぇぇぇっ?!」

 

レイ「お見事。さすが八葉一刀流だな」

 

ラウラ「うむ。八葉の妙技、しかと見させてもらった」

 

リィン「初伝クラスの技だけどね。この奥に今回の犯人達がいるはずだ。慎重に行こう」

 

そして公園に入った5人は数分歩き、公園の最奥に到着すると開けた場所に4人組の男が木箱を背に何かを話していた

 

レイ「いたぞ。あいつらが窃盗犯で間違いない」

 

ラウラ「今なら油断しきっている。どうするリィン?」

 

リィン「もちろん突撃する」

 

アリサ「それじゃ行くわよ」

 

エリオット「僕も足手まといにならないように頑張るよ」

 

5人は各々武器を持ち、窃盗犯の目の前に現れる

 

男1「何だテメェらは?!」

 

リィン「トールズ士官学院特科クラス〈Ⅶ組〉の者だ!」

 

レイ「器物破損及び窃盗の罪で拘束する」

 

男2「慌てんな、相手はガキだ!」

 

そう言って4人組は導力銃を取り出して戦闘の構えを取る

 

レイ「皆はあいつらを囲むようにして戦え。奴らが中心に集まったら俺がトドメをさす」

 

リィン「分かった」

ラウラ「頼むぞ」

アリサ「ヘマしないでよ」

エリオット「頑張ってねレイ」

 

そして仲間達はレイの言う通りに窃盗犯達を囲むように戦い、遂に窃盗犯達は中心に集まった

 

レイ「くらえ!ダークグレイブ!」

 

その瞬間にレイは鉤爪を地面に突き刺し、窃盗犯の周囲にエネルギー状の巨大な鉤爪を出現させる

 

男3「なっ、何だこりゃあっ?!」

 

レイ「裁きの鉤爪さ。フッ!」

 

鉤爪にグッと力を入れるとエネルギー状の鉤爪は四方八方から窃盗犯を攻撃する。そして攻撃が終わると窃盗犯達はボロボロになっており、もはや戦闘は不可能だった

 

男4「ち…ちくしょう。話が…違うじゃねぇかあの野郎……」

 

リィン「さぁ、勝負はついた。盗んだ物を返し、大市の人達に謝罪してもらうぞ」

 

アリサ「フゥ~、これで一件落着ね」

 

ラウラ「ああ。」

 

~♪~♪

 

エリオット「ん?」

 

ラウラ「どうしたのだエリオット?」

 

エリオット「いや、笛の音が…」

 

エリオットがそう呟いた時、自然公園の奥から大地が震える程の雄叫びが轟き、どんどんリィン達の元に近づいてくる

 

レイ「総員戦闘体勢!!」

 

レイの言葉に全員が武器を構えた瞬間、森の奥から巨大なヒヒ型の魔獣『グルノージャ』が現れた

 

エリオット「な、何あれ?!」

 

アリサ「きょ、巨大なヒヒ?!」

 

リィン「皆、全力で撃破するぞ!」

 

皆「ああ!/うん!/ええ!」

 

その時、レイは近くの茂みで何者かが逃げる音を聞いた

 

レイ「すまん皆!ここは任せる!」

 

それだけ言うとレイは茂みに隠れていた人物を追う

 

レイ「止まれ!」

 

男「……」

 

レイ「今、仲間達が戦っている魔獣を呼び寄せたのはお前か?」

 

男「そうだと言ったら?」

 

レイ「お前を拘束する」

 

男「フフッ、残念だが捕まるわけにはいかない」

 

そう言って眼鏡をかけた男は笛を吹く。するとまたしても森の奥から先程のグルノージャより一回り小さいゴーディオッサーという魔獣が5体現れた

 

男「それでは彼らより一足先に死出の旅へと向かいたまえ」

 

それだけ言うと男は逃げていった

 

レイ「フッ、残念だがこいつらでは俺を倒すのは無理だ」

 

レイが凄まじい殺気を出した。その時…

 

クレア「レイですか?」

 

レイが振り向くとそこには義姉のクレアと数名の憲兵隊員がいた

 

レイ「姉さん、それにドミニク達か。丁度良かった。この先にこいつらより一回り大きな魔獣と戦っている学生達がいる。そいつらのサポートに行ってくれ」

 

「イエス・サー!」

 

ドミニク達はレイの命令通り、公園の最奥に向かうがクレアはこの場に残った

 

クレア「私は残るわ。久しぶりに姉弟のコンビネーションを見せてあげましょう」

 

レイ「OK」

 

そしてレイは鉤爪を、クレアは導力銃を構えてゴーディオッサーに挑む

 

レイ「シャアッ!」

クレア「ハッ!」

 

レイは近接、クレアは遠距離という絶妙なコンビネーションで確実にゴーディオッサーを倒していく。そして残りは2体となる

 

レイ「一気にいくぞ姉さん!」

クレア「ええ!ブリジットレイン!!」

 

-ズガァァァァンッ!!

 

クレアのクラフトが2体のゴーディオッサーに命中すると動きが鈍くなる

 

クレア「今よレイ!」

レイ「ああ!カイザーツインリッパー!!」

 

腕をクロスして放った二重の斬撃が2体のゴーディオッサーを纏めて消し去った

 

レイ「完全に消滅したか」

クレア「他の魔獣が現れる気配はないわね。最奥に行きましょう」

 

そして2人が最奥に到着するとグルノージャを倒したリィン達が駆けつけた領邦軍に囲まれているところだった。領邦軍は倒れているニセ管理人よりリィン達の方が怪しいと言い、しかも抵抗するならバリアハートに送ると言い出した

 

クレア「その必要はありません」

 

《氷の乙女》と《迅雷》と恐れられている2人が現れたことに領邦軍は慌てている。そして2人が上手く領邦軍の隊長を言いくるめ、事なきを得た

 

レイ「皆、無事で良かった」

 

リィン「レイ、君も無事で良かった」

 

アリサ「ほんとよ。急にいなくならないでよね」

 

レイ「悪かったな」

 

するとクレアが皆の前に出てきて一言

 

クレア「弟がご心配をおかけしてすいません」

 

ラウラ「いや、気にしなくて良い」

エリオット「レイの実力なら大丈夫って思ってましたから」

 

リィン「いや、ちょっと待ってくれ。今弟って言いましたよね?まさか貴女は…」

 

クレア「申し遅れました。帝国軍・鉄道憲兵隊所属クレア・リーヴェルト大尉です。そちらにいるレイは私の義弟になります」

 

4人「えぇぇぇぇぇっ!?」

 

 

その後、クレアはケルディックの風見亭で聴取を行った

 

クレア「聴取への協力、ありがとうございました。今回の事件解決は貴方方のおかげです。オットー元締めもとても感謝していました」

 

アリサ「そんな…私達の方こそ協力していただいて…」

 

クレア「いえ、正直余計な事をしてしまったかもしれません。あらゆるトラブルも含めて〈特別実習〉かもしれませんから」

 

サラ「流石にそこまで考えてはないけどね~」

 

クレア「サラさん…」

4人「教官!」

 

クレア「お久しぶりです」

 

サラ「半年ぶりくらいかしら。それにしても《氷の乙女》のアンタがここに出張ってくるとはね~。それに、まさかとは思ったけど本当にレイがあの《迅雷》であんたの義弟だったとはね」

 

クレア「自慢の弟です。それでは皆さん、私達はこれで失礼します。特科クラス〈Ⅶ組〉私も応援させてもらいますね」

 

そう言ってクレアは駅に入り、その後サラ達も駅に入ってトリスタに帰還した。ちなみに帰りの列車ではレイが仲間達と教官に質問責めにあったらしい

 

 

その夜、ルナリア自然公園近くでは

 

仮面の男「やれやれ、あのタイミングで《氷の乙女》が現れるとは…。少々段取りが狂わされたな」

 

眼鏡の男「想定の範囲内だ。《鉄道憲兵隊》と《情報局》…その連携パターンが見えただけでも大きな成果と言えるだろう」

 

仮面の男「フフ、確かに。それではこのまま〈計画〉を進めるとしよう」

 

仮面の男はそう言ってこの場から去ろうとすると、眼鏡の男がポツリと呟く

 

眼鏡の男「全ては『あの男』に無慈悲なる鉄槌を下す為に」

 

仮面の男「全ては『あの男』の野望を完膚無きまでに打ち砕かん為に」

 

お互いに合い言葉のようなもの言うと、仮面の男は去っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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幕間・ミルディーヌとのデート

レイがアルフィンに騙されてミルディーヌとデートする話です


特別実習から帰ってきてから数日後のある日の朝

 

~♪~♪

 

レイ「ん?誰だ、こんな朝早くに?はい、こちらレイ・リーヴェルト」

 

アル『あっ、レイさんですか?アルフィンです』

 

レイ「アッ、アルフィン殿下!?なぜ自分のARCUSの番号を!?」

 

アル『クレア大尉に聞きました』

 

アルフィンの言葉を聞いてレイは痛みが走る頭を押さえる

 

レイ(姉さん、何勝手に個人情報を教えてるんだよ~)

 

レイ「それでアルフィン殿下、自分に直接電話してきたのは何か緊急のご用があっての事でしょうか?」

 

アル『そうなんですよ!実は女学院で大変な事件が起きたんです!すぐに来て下さい!』

 

レイ「事件!?分かりました、すぐに向かいます!」

 

その後、レイは速攻でサラとヴァンダイク学院長に外出許可を取り、列車に飛び乗って帝都へ向かった

 

-数十分後、帝都に到着したレイは近くにいた鉄道憲兵隊員に頼んで聖アストライア女学院に送ってもらった

 

レイ「巡回中にすまなかったな」

 

隊員「いえ、レイ大尉も頑張って下さい」

 

そして隊員は巡回に戻り、レイは女学院の正門前に立つ。すると、タイミングを見計らったようにアルフィンが出てきた

 

アル「お待ちしてましたレイ大尉、どうぞお入り下さい」

 

レイ「失礼する」

 

アルフィンの後を追い、女学院の中を進むが妙な違和感を覚えた

 

レイ(おかしいな?今の時間帯なら他の学院生もいるはずだが…)

 

そして2人はバラ園に到着し、アルフィンが扉を開くと1人の女生徒が飛び出してきてレイにタックルするような形で抱きついた

 

?「レイ兄様~!」

 

レイ「ガハッ!?ミ、ミルディーヌ?」

 

アル「フフッ。作戦成功ですね」

 

レイ「さ、作戦?一体どういう事だ?」

 

どういう事か理解できずにいるとバラ園からまた1人の女生徒…エリゼが現れた

 

エリゼ「申し訳ありませんレイ大尉…。実は…」

 

エリゼが作戦内容を話し始めた

 

事の発端は数日前にミルディーヌがレイとデートしたいと言い出した事から始まった。1年前に初めてレイと出会ったミルディーヌは上手くレイの心を掴んだ。そして次の段階としてデートに誘おうとしたがデートコースや着ていく服の吟味にかなり時間を取られ、それらが終わっていざデートに誘おうとしたら既にレイはトールズに入学する事になり、入学準備でデートする時間は全く無かったのだ

 

そしてその事を知ったアルフィンはミルディーヌの為に作戦を考えた。その内容は女学院で事件が起きたと嘘をついてレイを呼び出すという簡単な物だった

 

エリゼ「正義感の強いレイ大尉の事だから必ず来ると姫様が…」

 

レイ「マジか…」

 

アル「ごめんなさいレイさん。でもミルディーヌの気持ちも分かってあげて下さい」

 

するとレイは立ち上がり、ミルディーヌの前に立って手を上げる。それを見たミルディーヌは叩かれると思い、ビクッと震えるが予想していた衝撃は来ず、頭に手の感触があったので恐る恐る目を開けてみるとレイがミルディーヌの頭を撫でていた

 

ミル「レイ兄様?」

 

レイ「ゴメンなミルディーヌ。確かにお前の気持ち分かってなかったな。帝都から数十分の学院に入学したのにお前との時間を作ってやれずに申し訳なかった」

 

ミル「い、いえ私の方こそワガママを申してしまって…」

 

レイ「今回くらいのワガママなら逆にありがたいかな?だって、可愛いミルディーヌに会いに行けるんだから」

 

ミル「エェッ!?かっかっ可愛い……ですか///」

 

エリゼ(まるでリィン兄様のようですわ)

 

レイ「さてとこの後は何もする事は無いし、せっかくアルフィン殿下が気を利かせてくれたんだ。ミルディーヌが考えたデートコースを回ろうか?」

 

ミル「は、はい!行きましょうレイ兄様!」

 

そして2人はアルフィンとエリゼにお礼を言って帝都に繰り出した

 

アル「ハァ~、あの2人を見ていたらますますエリゼのお兄様に会いたくなってきたわ」

 

エリゼ「いつか紹介しますからその時まで我慢して下さい」

 

しかしこの数ヶ月後にアルフィンの願いは叶うのだがそれはまた別のお話

 

 

一方、帝都へデートに出かけた2人は

レイ「しかし、まさか祝日で女学院が休みの時を狙って呼び出すとは…アルフィン殿下、なかなかの策士だな」

 

ミル「恋愛ごとに関しては彼女の右に出る者はいませんから。それよりレイ兄様、そろそろ到着ですよ」

 

そう言ってミルディーヌが立ち止まった所はオシャレなカフェだった

 

ミル「私の行きつけのカフェです。さっ、入りましょう」

 

2人はカフェに入り、レイはショコラケーキを、ミルディーヌはチーズケーキを注文し飲み物は共に紅茶を注文した

 

-数分後

注文した物が届き、2人は早速いただく

 

レイ「なかなか美味いな」

 

ミル「そうですか?口にあって良かったです」

 

レイ「あ、ミル」

 

ミル「何でしょう?」

 

レイ「口元についてるぞ」

 

そう言ってレイはミルの口元についていたケーキのソースを指で取り、そのまま口に運ぶ

 

ミル「~~~っ!?///」

 

その後、ミルディーヌは顔を赤くしながらもチーズケーキを完食した

 

ミル「では次はレイ兄様の服を選びに行きましょう」

 

-数十分後

レイ「新しい店が出来てたのか」

 

ミル「ええ、先日開店したばかりですが良い品ばかりですよ」

 

レイ「そうか。それじゃ入ろう」

 

 

ミル「なかなか似合ってますよ」

 

レイ「そうか?赤も良いが黒は無いか?」

 

ミル「それでしたらこの赤黒い服はどうでしょう?」

 

レイ「良いな。よし購入しよう」

 

その後、服を購入した2人はレイの希望で雑貨屋に来ていた

 

レイ「好きに見てて良いからな」

 

ミル「はい!」

 

ミルディーヌが自分の傍を離れた瞬間にレイは横にあったネックレスを手に取る

 

レイ「これ良いな。ください」

 

店員「はい。デートですか?」

 

レイ「そうですね」

 

店員「美男美女で憧れちゃいますね。はい、包装もしときましたよ」

 

レイ「ありがとうございます」

 

その後、2人は他にも色々な所を回って目一杯楽しんだ

 

-夕方・ヘイムダル駅

レイ「今日はありがとうな。とても有意義な時間を過ごせた」

 

ミル「いえ、こちらこそ。」

 

レイ「そうだミル、今日付き合ってくれたお礼だ」

 

レイが差し出したのは先程の雑貨屋で買ったものだった。そしてミルディーヌがその袋を開けると中に入っていたのは薄緑色のネックレスだった

 

ミル「とても綺麗…。ありがとうございます!大切にします!」

 

レイ「ああ、それじゃまた次の自由行動日にな」

 

ミル「はい!レイ兄様、気をつけて」

 

レイ「ミルも気をつけてな」

 

そしてレイはトリスタ行きの列車に乗って学院に帰還した




結構長くなってしまいました。申し訳ありません


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第2章・レイの隠された力
2回目の特別実習


今回はレイの隠された力が少し出てきます


ケルディックの実習から1ヶ月経過し特に問題なく、平凡な日々を過ごしていた

 

H・R

サラ「は~い、皆お疲れさま。今週の実技テストが終わったら、また特別実習よ。それじゃ副委員長、挨拶して」

 

マキアス「はい。起立、礼」

 

H・Rは終了し皆は部活に行ったが、レイはどこにも所属していないので校内をブラブラしていた。すると…

 

フィー「レイ、匿って」

 

レイ「どうしたフィー?」

 

しかしフィーは何も説明せずにレイの後ろに隠れる。するとそのすぐ後にエマが来た

 

エマ「あっ、レイさん。フィーちゃんを見ませんでしたか?」

 

レイ「何でフィーを探してるんだ?」

 

エマ「フィーちゃん、ほとんどの授業で居眠りしてるので勉強を教えてあげようと」

 

レイ「なるほどな。なら…」

 

右手を後ろに回し、隠れていたフィーの首根っこを掴んでエマの前に出す

 

フィー「レイの裏切り者」

 

レイ「授業中に居眠りするお前が悪い」

 

その後、フィーはエマと共に図書館へ向かい、レイは校門に来ていた

 

レイ「さて、ブランドン商会で色々買ってから寮に帰るか」

 

?「やあ、君がレイ君だね?」

 

校門を出ようとした時、ハスキーな声が聞こえ振り返るとライダースーツに身を包んだ女性がいた

 

レイ「貴女は?」

 

?「失礼、自己紹介が遅れたね。私はアンゼリカ・ログナーだ」

 

レイ「四大名門の一角、ログナー侯爵家の一人娘ですね?」

 

アン「さすがに知っているようだね。『鉄道憲兵隊大尉レイ・リーヴェルト』君」

 

レイ「サラ教官から聞いたんですね?」

 

アン「ああ、色々ね。今日は今から帝都へひとっ走りするから話す暇はないが、近い内に話そうじゃないか。それじゃ」

 

そう言ってアンゼリカは押していた導力仕掛けの自転車のような物に乗るとエンジンをかけ、走り去った

 

レイ「……」

 

クロウ「驚いたか?」

 

レイ「ギャンブル先輩ですか」

 

その言葉にクロウはずっこけた

 

クロウ「誰がギャンブル先輩だ!」

 

レイ「それよりあの乗り物はもしかして導力バイクですか?」

 

クロウ「よく分かったな。一般には普及してねぇのに」

 

レイ「ルーレ工科大学から試作品を貰い、自分なりに改造しましたから」

 

クロウ「お前もかよ」

 

レイ「どうやら先輩も一枚噛んでるようですね。その話はまた後日という事で。これから夕食の買い出しがあるので失礼します」

 

それでけ言うとレイはトリスタへと向かう

 

 

-数日後・グラウンドにて

 

サラ「実技テストお疲れさま~。それじゃ今回の特別実習の場所を発表するわね。受け取りなさい」

 

そして受け取った紙には…

 

5月特別実習

A班

リィン・レイ・エマ・マキアス・ユーシス・フィー

(実習地・公都バリアハート)

 

B班

アリサ・ラウラ・エリオット・ガイウス

(実習地・旧都セントアーク)

 

と書かれていた

 

レイ(何という班分けだ)

 

エリオット「バリアハートは東部にあるクロイツェン州の州都…ユーシスの故郷だよね」

 

アリサ「セントアークは南部にあるサザーラント州の州都になるわ」

 

マキアス「冗談じゃない!!サラ教官いい加減にして下さい!何か僕達に恨みでもあるんですか!?」

 

ユーシス「茶番だな。こんな班分けは認めない。再検討してもらおうか」

 

サラ「え~、あたし的にはこれがベストなんだけどな~」

 

マキアス「〈翡翠の公都〉…貴族主義に凝り固まった連中の巣窟っていう話じゃないですか!」

 

サラ「確かにそう言えるかもね。だからこそ君も入れてるんじゃない」

 

マキアス「……っ!」

 

サラ「う~ん、そんなに異議があるなら……いいわ。2人がかりでもいいから力ずくで言う事を聞かせてみる?」

 

そう言って微笑んだサラが取り出したのは紫色の凶悪そうな導力銃と剣だった。それを見た2人は一瞬怯むが、気を取り直して各々の武器を取り出して構える

 

レイ「サラに勝とうなんて無理だと思うが?」

 

サラ「ならレイがやる?」

 

レイ「拒否する」

 

サラ「なら教官命令よ。やりなさい」

 

その言葉にレイは何かを言いたそうに目を細めるが何も言わずに鉤爪を装着して2人の前に立つ

 

レイ「命令なら仕方ないが、本来ならやらなくて良い戦いなんだ。今度何かおごれよ」

 

サラ「オッケ~。それじゃリィンも入りなさい。3対1でやるわよ」

 

リィン「は、はい!」

 

マキアスとユーシスのタッグにリィンを加えた3人でレイに挑む事になった

 

サラ「それではリィン&マキアス&ユーシスVSレイ……始め!!」

 

レイ「フッ!」

マキアス「なっ?!」

 

戦闘開始の直後、レイは一瞬でマキアスの目の前に現れて導力銃を彼の背後に蹴飛ばす

 

レイ「次は…」

 

ユーシス「フッ!」

 

-ガギィィィンッ!

 

ユーシスが背を向けているレイに騎士剣を振り下ろすが、レイは振り返る事なく左手の鉤爪を背に持ってくる事で受け止める

 

レイ「甘い。ハッ!」

-キィィィンッ!

 

レイは振り返りざまに右手の鉤爪でユーシスの騎士剣を弾き飛ばした

 

リィン「四の型・紅葉切り!」

 

リィンはケルディックで見せた八葉の技を繰り出すが…

 

レイ「お前もまだまだ甘いな」

 

レイは斬撃を避け、いつの間にかリィンの後ろに立っており首筋に鉤爪を立てていた

 

リィン「クッ…」

 

サラ「そこまで!勝者レイ・リーヴェルト!」

 

勝利したレイは3人の前に立つ

 

レイ「2人とも、同じ班になった以上今回の実習では挽回してもらうぞ」

 

ユーシス「わだかまりを捨てて仲良くしろとでも?」

 

レイ「そこまでは言わない。皆、立場も違えば考え方も違う。譲れない事もあるだろう。俺が言いたいのは『友人』としてではなく同じ時間と目的を共有する『仲間』…もっと言えばアリサ達B班に負けない為の仲間として挽回しろという事だ」

 

マキアス「う……分かった。今回の実習が終わるまでは少なくとも休戦する!良いな?」

 

ユーシス「フン、その位の茶番に耐える忍耐力なら発揮しよう」

 

リィン(さすが鉄道憲兵隊大尉だな)

 

エマ「良かった~。これで少なくとも一緒に行動できそうですね」

 

フィー「ちょっとだけ安心」

 

サラ「それじゃA班・B班共に週末から頑張ってきなさい♪お土産期待してるから~」



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翡翠の公都バリアハート

マキアスとユーシスの仲直り(?)イベント以外、特に目立ったイベントが無いのでレイとある人物の戦闘シーンを入れます


特別実習1日目・バリアハート駅

 

レイ「ここが翡翠の公都バリアハートか」

 

A班が駅に到着すると駅員4人が慌てて駆け寄ってくる

 

駅長「ユーシス様、お帰りなさいませ!ささ、お荷物をどうぞ」

 

駅員1「ご学友の方々も預からせていただきます」

 

ユーシス「今回は士官学院の実習で戻ってきただけだ。過度な出迎えは不要と連絡が行っているはずだが?」

 

駅員1「そっ、そうは言われましても…」

 

?「ユーシスの言う通りにしたまえ」

 

声が聞こえた方を振り向くとユーシスと同じ金髪の男性がいた

 

駅員2「ル…ルーファス様!?」

 

ユーシス「あ…兄上!?」

 

ルーファス「親愛なる弟よ。3ヶ月ぶりくらいかな?いささか早すぎる再会だが、よく戻ってきたと言っておこう」

 

ユーシス「はい。兄上も壮健そうで何よりです」

 

ルーファス「そしてそちらが弟からの手紙にも書いてあった…〈Ⅶ組〉の諸君というわけか」

 

エマ「は…はい!」

 

ルーファス「ルーファス・アルバレア。ユーシスの兄にあたる。恥ずかしがり屋の弟の事だ。私という兄がいる事など諸君には伝えていないだろうがね」

 

ユーシス「あ…兄上…!///」

 

フィー「ユーシス遊ばれてる」

 

その後、ルーファスはレイ以外のメンバーに挨拶をした後、特別実習の内容が入った封筒を渡した

 

ルーファス「改めて…ようこそ翡翠の公都バリアハートへ」

 

そして〈Ⅶ組〉とルーファスを乗せた導力リムジンは高級ホテル〈エスメラルダ〉へと向かう

 

ルーファス「それにしてもレイ君も久しぶりだね。話には聞いていたがたくさんの友人を作ったようだね」

 

レイ「お久しぶりですねルーファス卿。ご壮健そうでなによりです。1つ訂正しますが彼らは友人ではなく仲間です」

 

リィン「レイはルーファスさんと面識があるのか?」

 

レイ「時々、彼の護衛をしていたからな」

 

ルーファス「レイ君の部隊が護衛してくれると、とても安心できるよ。おっと到着したようだ」

 

ルーファスの言った通り、導力リムジンはホテル・エスメラルダに到着した

 

ルーファス「私は生憎これから帝都に出向く用があってね。無愛想な弟だがよろしくしてやってほしい。では女神の加護を」

 

そう言って再びルーファスは車に乗って去っていき、レイ達は実習を始めるべく部屋に荷物を置きに行く

 

ホテル・ロビーにて

 

レイ「今回は男女別か。士官学院生とはいえ、女子はこちらの方が良いだろうな」

 

マキアス「前は違ったのか?」

 

レイ「サラが勝手に部屋割りを決めたから一悶着あった。まぁ、俺は男女混合でも構わないがな」

 

マキアス(さすが現役の軍人だ…)

 

フィー「私も別に男女混合でも構わないけどね」

 

エマ「フィーちゃん逞しいですね」

 

その後、レイ達はルーファスから渡された特別実習を行う。内容は…

 

・オーロックス峡谷道の手配魔獣

・穢れなき半貴石

・バスソルトの調達

 

の3つだったのでレイの提案で2つ目はマキアスとリィンとユーシスが、3つ目はレイ、フィー、エマが分担して行う事になった

 

-1時間後

マキアス「全く!貴族にはああいう輩がいるから好きになれないんだ!」

 

マキアスがこんなに起こっているのには理由がある

 

皆が合流する少し前、リィン組は宝飾店に頼まれた半貴石『ドリアード・ティア』を手に入れた

のだが、その石を必要としていた男性から相応のミラで譲ってもらう事になっていた貴族は『ドリアード・ティア』を食べてしまったのだ

 

レイ「マキアス、怒る気持ちは分かるが今は実習に集中しろ。次は手配魔獣の討伐だ」

 

マキアス「わ…分かっているさ」

 

レイ「念のために言っておくがお前達も怒りを持ったまま戦いに挑むなよ。怒りは力を与えるが判断力を鈍らせるからな」

 

レイの言葉に全員頷き、一行はオーロックス峡谷道を進んで手配魔獣の元に向かう

 

-オーロックス峡谷道

 

ユーシス「この先に手配魔獣がいるはずだ」

 

エマ「凄い自然的な所ですね」

 

マキアス「あの街からは想像がつかないというか…」

 

レイ「静かに。手配魔獣がいるぞ」

 

レイの指さす先には両手が巨大なハサミの手配魔獣『フェイトスピナー』がいた

 

リィン「よし、ARCUSの戦術リンクでうまく連携を取っていこう」

 

ユーシス「ああ」

マキアス「いくぞ」

 

そしてリィンはエマと、レイはフィーと、ユーシスはマキアスとリンクを繋げ、戦闘を開始する

 

フィー「やっ」

レイ「フッ!」

 

-ガンッ!ガンッ!

-ザシュッ!

 

素早く動くレイとフィーが先制攻撃を仕掛け…

 

フィー「崩れた、リィン」

 

リィン「よしっ!」

-ザクッ!

 

リィン「委員長頼む!」

 

エマ「はいっ、いきます!」

 

リィンが切りつけた瞬間にエマがアーツを命中させるが…

 

ユーシス「ARCUS駆動…」

 

-ドォンッ!

 

ユーシスがアーツを放とうとARCUSを駆動させるがマキアスはユーシスの傍で導力銃を発砲した

 

ユーシス「っ!!貴様…!?ここはアーツを発動させて効率よくダメージを与えるべきだろう!」

 

マキアス「なにぃ?」

 

戦闘の最中なのに2人の息が全くあっておらず戦術リンクは切れてしまい、最終的にはリィンの斬撃を受けて魔獣は倒れた

 

リィン「結構手こずったな…」

 

一方、手こずった原因であるマキアスとユーシスはお互いを掴み、再びケンカを始めてしまった

 

マキアス「どういうつもりだユーシス・アルバレア……。どうしてあんなタイミングで戦術リンクが途切れる!?」

 

ユーシス「それはこちらのセリフだ……マキアス・レーグニッツ。戦術リンクの断絶…明らかに貴様の側からだろうが!」

 

マキアス「協力すると言いながら結局は腹の底で平民をバカにする!それが貴族の考え方なんだろう!」

 

ユーシス「阿呆が!その決めつけと視野の狭さこそが全ての原因だと何故気づかない!」

 

リィン「よせ2人とも!」

エマ「お、落ち着いてください…」

 

マキアス「うるさい!君達には関係ない!」

 

ユーシス「この際、どちらが上か徹底的に思い知らせてやろう!」

 

レイ「……」

 

2人のケンカがヒートアップし始めた……その時!

 

リィン「危ない!」

 

リィンはいきなり2人を突き飛ばし、突き飛ばされた2人は何事かと見ると倒したはずの魔獣が

立ち上がっていた

 

マキアス「なっ!?」

ユーシス「あいつ、まだ生きて…」

 

フィー「やっ!トドメ」

-ドンッ!ドンッ!

 

フィーは双銃剣を魔獣に突き刺し、引き金を引いて体内に直接銃弾を撃ち込んで魔獣を倒した

 

リィン「……っ。やったか…」

 

エマ「リィンさん、早く手当てを!」

 

ユーシス「お、おい…」

マキアス「大丈夫なのか?」

 

リィン「あはは…大したケガじゃないさ。まさか生きていたとは、俺も甘かったよ」

 

マキアス「すまない。その…」

ユーシス「…完全に俺達のせいだな」

 

リィン「いや、気にしないでくれ。気づかなかったのは俺のミスでもあるし…」

 

フィー「私も迂闊。」

フィー(でも…)

 

フィーはチラッとレイの方を見る

 

リィン「とにかく2人にケガがなくて良かったよ」

 

その後、リィンの手当てが終わると皆はオーロックス砦に魔獣退治の報告に向かう

 

フィー「ねぇ、レイ」

 

レイ「何だ?」

 

フィー「あの手配魔獣がまだ生きていた事、分かってたでしょ?なのに何で言わなかったの?」

 

レイ「あの2人のいがみ合いはちょっとやそっとの事じゃ解決しないからな。荒療治だがああいう手段を取らせてもらった。最低と思うか?」

 

フィー「ううん、私も同感。あの2人にはあれ位が丁度良いと思う」

 

そして6人は砦に手配魔獣討伐の報告を済ませ、街への帰路についた

 

レイ(砦は大規模に改築されていたな。しかもRF社の最新鋭主力戦車アハツェンまで配備されていた。これは姉さんに報告しておかなければ…)

 

マキアス「おい、なぜ地方の領邦軍なんかに最新鋭の戦車が必要になるんだ?!」

 

ユーシス「貴様も分かっているんだろう。これが帝国の『現状』だと」

 

レイ「『貴族派』と『革新派』……四大名門による貴族連合と〈鉄血宰相〉オズボーンの対立は水面下で激化中。今のがその一端か」

 

レイの言葉にユーシスは頷き、話を続ける

 

ユーシス「ああ。帝国正規軍は強大だ。大陸でも最大級の戦力を保持していると言えるだう。その7割を掌握する〈鉄血宰相〉に貴族連合がどう対抗するか…」

 

エマ「だからこその領邦軍の軍備増強ですか…」

 

リィン「……同じ帝国内なのに不毛すぎるとしか思えないな」

 

その時、砦の方からサイレンの音が鳴り響いた

 

リィン「なんだ?」

 

エマ「サイレンの音…みたいですね?」

 

ユーシス「これは…砦の方からか?」

 

エマ「え!?あれは…!?」

 

エマが指さす先には銀色の物体がリィン達の上空を飛んでいくところだった

 

マキアス「な…何か銀色の物が飛んでいったぞ?!この辺りにはあんな鳥が飛んでいるのか!?」

 

ユーシス「阿呆が……そんなわけあるか…!」

 

リィン「今の…子供が乗っていたな」

 

フィー「ん」

 

3人「ええ!?」

 

リィン(なんだ…?あれは一体…?)

 

レイ(あのバカ、また調子に乗ったな?実習が終わったら説教しとくか)

 

 

その後、6人はバリアハートに帰還して一旦部屋に戻り、ユーシス行きつけのレストランで夕食をする事になった

 

マキアス「いい風だ」

 

リィン「ユーシスの行きつけだったか?」

 

ユーシス「ああ、幼い頃から良くしてくれてな。ここの味で育ったようなものだ」

 

エマ「今回のレポートは気が楽かもしれません」

 

リィン「え?」

 

フィー「先月の実習、とてもこんな普通の雰囲気じゃなかった。今回はかなりマシだと思う」

 

リィン「そ、そうか…」

 

レイ(どんな雰囲気だったんだ?)

 

ユーシス「だが決して良くもないだろう」

 

リィン「えっ?」

 

ユーシス「おそらく今回のB班はベストを尽くせる状態だろう。だが俺達A班は今日1日ベストを尽くせたか?手配魔獣との戦いもそうだが、それ以外の依頼についても」

 

マキアス「……」

フィー「…むぅ」

 

レイ「実習は残り1日。明日、なんとか立て直すしかないな」

 

リィン「それにクロイツェン州での増税に領邦軍の大規模な軍備増強……俺達自身の問題以外に難しい状況が見えてきたのも確かだ。残り1日…俺達は俺達で惑わされずに頑張るしかないだろうな」

 

エマ「そうですね…」

マキアス「ああ…」

ユーシス「まずはホテルに戻ってレポートを纏めるか」




とりあえずここで一旦切ります。次の話でレイがとある人物と戦います


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〈身喰らう蛇〉VS〈迅雷〉のレイ

〈身喰らう蛇〉のメンバーとレイが戦います


その後、ホテルでレポートを纏めた5人は就寝しようとするがレイは見回りをしてくると言って昼間の手配魔獣が出た高台に向かった

 

レイ「……。いい加減に出てこい〈怪盗紳士〉」

 

怪盗「やはり分かっていたか」

 

レイの背後に仮面をつけマントを羽織った男が現れた

 

レイ「なぜこの街にいる?」

 

怪盗「〈美〉を追い求めてこの街に来ただけさ」

 

レイ「お前の言う〈美〉が俺の仲間達を傷つけるものなら容赦はしないぞ」

 

そう言って振り返ったレイの目は赤くなっており、体からはバチバチッと稲妻が走っていた

 

怪盗「それが噂に聞く君の〈力〉か。実に興味深い!」

 

そしてブルブランが戦闘態勢を取ろうと時…

 

「ちょっと待ちなさいな!!」

 

1人の女性がブルブランの横に転移してきた

 

「ブルブラン!貴方、何勝手な事をやってるんですの!?」

 

怪盗「〈神速〉か。心配しなくても大丈夫だ。これからは始まる戦いは余興のような物だ。そうだ、折角だから君も参加しないかい?」

 

神速「で、ですが…」

 

怪盗「具体的な指示を受けていないのなら問題ないのではないか?」

 

神速「ああ、もう!分かりました!」

 

そう言って女性は大剣と盾を、ブルブランはステッキを構える。しかしレイはいつもの鉤爪ではなく黒い剣と槍を構える

 

神速「鉄機隊筆頭〈神速〉のデュバリィ、尋常に勝負ですわ!」

怪盗「執行者No.X〈怪盗紳士〉ブルブラン参る」

 

レイ「鉄道憲兵隊大尉、〈迅雷〉のレイ・リーヴェルト。敵を殲滅する」

 

神速「ハアッ!」

 

デュバリィは一瞬でレイの背後に移動し大剣を振り下ろすが…

 

レイ「甘い!」

 

レイは体を少し動かすだけでデュバリィの大剣をかわした

 

レイ「ヘルラッシュ!」

 

-ズガガガガガ!!

 

レイは右手に持った剣を超高速で動かし、デュバリィを攻撃する

 

神速「ちょ…!クッ…キャアァァァァッ!!」

 

着ていた鎧のおかげでそれほどダメージは無かったが威力は落ちず、デュバリィは吹き飛んだ

 

怪盗「ならこれはどうかな?」

 

ブルブランがレイめがけて炎のアーツを放つが…

 

レイ「シッ!」

 

レイはブルブランのアーツを黒い槍でいとも簡単に切り裂き、ブルブランの目の前に現れてデュバリィの元に蹴り飛ばす

 

神速「こ…これが噂に聞く…」

怪盗「フハハハハ!やはり素晴らしい!!」

 

レイ「まだ10%位しか〈力〉を出してないがな」

 

神速「じゅっ…10%で私達2人相手に圧倒しているんですの?!」

 

レイ「さて…あまり遅くまで外出していると仲間達が心配するからな。一気に決めさせてもらう」

 

そう言ってレイは剣に赤黒いエネルギーをためていく

 

レイ「くらえ……ヘルスラッシュ!!」

 

黒い剣から放たれた漆黒の斬撃が2人に向かっていく

 

神速「なっ…何ですの?!」

怪盗「おおおお!!」

 

そして2人は斬撃を防ぐ暇も無く、まともに喰らってしまった

 

神速「まさかここまでとは……」

 

怪盗「彼の持つ〈力〉……これほどまでに素晴らしい物だとは思わなかった。それでは〈神速〉、私は先に失礼させてもらうよ」

 

そう言うとブルブランは転移の術でこの場から消えた

 

神速「もう!本当に自由過ぎる男ですわ!〈執行者〉としての自覚は無いんですの?!」

 

先に消えた男に対して愚痴を言いながらデュバリィも転移の術でこの場から消えた。そして周囲に敵の気配が無いことを確認したレイは剣と槍をしまって〈ホテル・エスメラルダ〉へと帰還した

 

 

 

 

 

 




レイの残りの武器は漆黒の槍と剣でした。設定に追加しました


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特別実習の総仕上げ

-次の日・ホテルのロビーにて

ユーシス「さて、兄はどんな依頼を纏めたことやら」

 

ホテル支配人から受け取った依頼が入った封筒を開けようとするとマキアスがユーシスに話しかけてきた

 

マキアス「ユーシス・アルバレア」

 

ユーシス「なんだ?マキアス・レーグニッツ」

 

マキアス「ARCUSの戦術リンク、なんとしても成功させるぞ。新たな手配魔獣の依頼も出ているし、昨日のリベンジをしようじゃないか」

 

その言葉に全員が驚き、ユーシスはフッと軽く笑う

 

ユーシス「やれやれ、我らが副委員長は単純だな。大方昨日の俺とリィンの話を聞いて絆されたといったところか?」

 

マキアス「き…決めつけないでもらおうか!君やリィンの家の事情など、僕はこれっぽっちも……あっ」

 

フィー「語るに落ちた」

 

エマ「フフッ」

 

レイ「あのマキアスがユーシスと息を合わせようとは…成長したな~」

 

マキアス「ぐうっ……(汗)」

 

ユーシス「良いだろう。俺の方が合わせてやるから大船に乗った気でいるがいい」

 

そして実習を始めようとした時、アルバレア公爵家の執事アルノーが現れてアルバレア公爵が話があると言ってユーシスを家に連れて行った

 

レイ「さて、ユーシスが戻るまでに出来るだけ依頼を片づけて楽させてやるか」

 

エマ「そうですね」

フィー「異議無し」

 

その後、5人は手分けして依頼を片づけていき、1番早く終わったレイはバリアハート中央広場のベンチに座っていた

 

レイ「皆遅いな」

 

「ニャーオ」

 

暇を持て余しているレイの前に薄紫色の美しい毛並みの猫がチョコンと座った

 

レイ「おっ、可愛い猫だな~」

 

そう言ってレイは猫を抱き上げる

 

レイ「でも人懐っこすぎと言うか警戒心が無いのか、お前?」

 

「ニャアッ!(怒)」

 

レイの言葉に怒ったのか?猫はレイの腕から抜けて横に降り立つ

 

レイ「もしかして怒ったのか?」

 

「当たり前よ。私はそんなにのほほんとしてないわよ」

 

レイ「なっ!?猫が喋った!?」

 

するとレイは喋った猫を抱き抱えて人気の無い所に移動する

 

レイ「さっきの発言に対しては謝罪する。だがお前は一体何者なんだ?」

 

「私の名前はセリーヌよ」

 

レイ「セリーヌか。俺に何か用なのか?」

 

セリーヌ「実はあんたが昨日〈結社〉の人間と戦ってたのを見てね。その時にあんたから溢れ出てた力が何なのか聞いておこうと思ってね」

 

レイ「見てたのか。実はあの力は元々俺の力じゃない」

 

セリーヌ「と言うと?」

 

レイ「〈幻獣サンダードラコ〉を知ってるか?」

 

セリーヌ「雷の力を持つ幻獣よね?…ってまさか」

 

レイ「そのまさかさ。俺は数年前にそのサンダードラコを倒した。その後、俺と奴の力の相性が良かったのか、奴の力が俺の中に入ってきた。それ以降、昨日セリーヌが見た力が使えるようになったってわけさ」

 

レイの言葉を聞いたセリーヌは唖然としていた

 

 

セリーヌ「まさか1人で〈幻獣〉を倒すなんて……。でも納得したわ」

 

そう言ってセリーヌはベンチから降りる

 

セリーヌ「それじゃ私は行くわ。普段は学院か公園のどっちかにいるから何か聞きたくなったら来なさい」

 

レイ「分かった。その前に1つお願いがあるんだが…」

 

セリーヌ「何よ?」

 

 

 

-数分後

セリーヌ「ニャアァァァァ~。気持ち良いわねぇ~、あんた何で撫でるのそんなに上手いのよ~?」

 

レイ「猫好きだからな。どう撫でたら気持ち良いかは分かるよ」

 

セリーヌ「なるほどね~。それより、さっきから鳴ってるわよ~」

 

レイ「ん?」

 

ARCUSを取り出し、通信に出るとリィンからで内容はマキアスが無実の罪で捕まったという物だった

 

レイ「悪いなセリーヌ、ちょっと急用が出来た」

 

セリーヌ「そう、気をつけてね」

 

その後、レイはリィン達に合流しどうやってマキアスを救出するか喫茶店で話し合う事になった

 

レイ「あらぬ罪で帝都知事の息子を拘束し、さらには邪魔されないようにユーシスを実家に軟禁する。アルバレア公、予想以上に腐ってやがるな」

 

エマ「はっきり言い過ぎでは……(汗)」

 

フィー「とにかく今はどうやってマキアスを助けるかだね」

 

フィーの言葉に皆が思案顔になるが何も良い案が浮かばない

 

その時、カウンターに座っていた青年の話が耳に入ってきた

 

青年「なあなあマスター。地下水道の魔獣、最近どんなもんだい?」

 

リィン・レイ(地下水道…?)

 

マスター「ああ、お前さんが入ってから3ヶ月位経つか。よく分からんがまたぞろぞろ湧いてるんじゃないか?領邦軍も相変わらず放置しているみたいだしな」

 

青年「やれやれ、麗しの都の足元の魔獣を放置しているとはねぇ」

 

マスター「まっ、そんな話が聞こえたらまた連絡してやるさ」

 

青年「サンキューマスター。また美味いエスプレッソ期待してるぜ」

 

マスター「ああ。レグラムに戻る前にでもまた寄ってくれ」

 

そして青年はコーヒー代を払って店をでようとするとリィン達に気づき、話しかける

 

青年「ん?へぇ、珍しい格好だな。赤い制服…どこかの学生さんかい?」

 

レイ「ええ。トールズ士官学院の者です。それよりさっき『地下水道』と言っていましたが、その地下水道はどこからどこまで続いていますか?」

 

青年「そうだな。丁度…駅前辺りから貴族街の辺りまでになるな」

 

レイ「そうですか。どうもありがとうございます」

 

青年「良いってことよ。それじゃぁな」

 

 

 

その後、リィン達は地下水道の入口を探し始めたがなかなか見つからなかった

 

リィン「う~ん、見つからないな…」

 

その時、橋から身を乗り出していたレイが3人に話しかける

 

レイ「おい、あれがそうじゃないのか?」

 

レイが指さした先には確かに扉があり、4人はその扉の前まで行く

 

レイ「さて、喫茶店の店主の話じゃ鍵がかかっているらしいがどうやって開ける?」

 

エマ「私に任せて下さい」

 

そう言ってエマはヘアピンを取り出し、鍵穴に差し込む

 

エマ「Aperio(開け)」

 

エマが小声で呟くと鍵が開き、4人は地下水路へと入っていく

 

リィン「地下水路と言っても結構綺麗だな」

 

エマ「さすが翡翠の公都ですね」

 

そして4人は魔獣を倒しながら地下水路を進んでいくと…

 

?「フン、わざわざこんな所まで来るとはな」

 

目の前に実家で軟禁されているはずのユーシスがいた。どうやらレイ達と同じようにマキアスを助けに向かおうとしていたようだ。本人は「奴の泣きべそを見るためだ」と言っていたが…

 

 

領邦軍詰所・牢屋部屋にて

レイ「ここだな」

 

リィン「きっとどこかに…」

 

マキアス「き、君達どうしてここに……。まさか忍び込んできたのか!?」

 

エマ「マキアスさん!」

ユーシス「フン、無事だったか」

 

レイ「話は後だ。フィー、俺はマキアスの武器を取り返してくる。お前はこの南京錠を頼む」

 

フィー「任せて」

 

そしてレイはマキアスの武器を取り返しに行き、フィーは南京錠に何かを貼り付ける

 

フィー「下がってて」

 

リィン「えっ?」

 

南京錠に何かを貼り付け終わったフィーはガンソードを構える

 

フィー「起爆〈イグニッション〉」

 

ガンソードの引き金を引くと南京錠に貼り付けられた物が爆発し、南京錠は破壊された

 

マキアス「なぁぁぁぁぁっ?!」

 

エマ「フィーちゃん、今のは……」

 

フィー「携帯用の高性能爆薬」

 

マキアス「爆薬!?そんなものを持ち歩いているのか?!」

 

リィン「フィー…普段の身体能力の高さといい…君は一体何者なんだ?」

 

フィー「--士官学院に入る前、私は〈猟兵団〉にいた。爆薬も銃剣の使い方もそこで全部教わった。ただそれだけ…。もしかしたらレイは初めから私が猟兵団にいた事を知ってたかもしれないけど…」

 

マキアス「〈猟兵団(イェーガー)〉…!」

 

リィン「一流の猟兵部隊…そうだったのか」

 

ユーシス「信じられん…死神と同じ意味だぞ」

 

フィー「私、死神?」

 

マキアス「あ…」

ユーシス「いや…そうだな。名に囚われる愚は犯すまい」

 

その時、巡回の兵士が近づいてくる

 

リィン「まずいな…」

 

-ズガガッ!

 

レイ「一丁上がり」

 

マキアスの導力銃を取り返したレイが巡回の兵士を気絶させた

 

エマ「レイさん?!」

 

レイ「マキアスを助け出したか。こちらもマキアスの銃を取り返した。他の巡回の兵士が来る前に逃げるぞ」

 

レイの仕事の早さに全員呆然となるが、すぐに我に返って侵入してきた地下水路へ向かう。しかし、領邦軍の指令が異変に気づき、部下にある物を出撃させた

 

 

一方、地下水路を逃げていた6人は背後から響いてくる雄叫びに気づく

 

マキアス「何だ?!地下牢の方から!?」

 

フィー「ひょっとしたら軍用に訓練された魔獣かも」

 

そんな話をしながら走っている間も足音はどんどん近づき、遂には軍用魔獣2体に囲まれてしまう

 

エマ「あくまで退路を塞ぐつもりですね」

 

フィー「だったらこっちも遠慮なく撃破するだけ」

 

ユーシス「あぁ、せいぜい躾てやる」

 

レイ「俺達を敵に回した事を後悔させてやる」

 

リィン「特別実習の総仕上げだ!士官学院〈Ⅶ組〉A班、全力で目標を撃破する!」

 

皆「おおっ!」

 

そして全員、各々の武器を構えて挑むが軍用魔獣は素早く動いて攻撃してくるので手強く、苦戦を強いられていた。しかし…

 

ユーシス「レーグニッツ、俺の魔法で1体を足止めする。お前の銃でもう1体を誘導し…」

 

マキアス「っ!2体を1ヶ所に集めればいいんだな。分かった!」

 

ユーシス「よし、いくぞ!」

 

なんとあの仲の悪かったユーシスとマキアスが連携し始めたのだ

 

レイ(今なら戦術リンク、上手くいくかもしれないな)

 

ユーシス「ARCUS駆動、エアストライク!」

マキアス「くらえ!」

 

-ズガガンッ!

 

フィー「1ヶ所に集まった」

 

リィン「さっきの魔法も効いているみたいだ」

 

マキアス「ユーシス、後は頼んだ!」

 

ユーシス「任せろ!クリスタル……セイバー!!」

 

-ズガァァァァンッ!!

 

ユーシスのSクラフト・クリスタルセイバーで2体の軍用魔獣を倒した

 

リィン「ハアッ…ハアッ…なんとか倒せたか…」

 

フィー「ふ~、かなりの手応えだったね」

 

マキアス「さ、さすがにもうダメかと思ったぞ……」

 

ユーシス「フン…たかが獣ごときに遅れを取ってたまるか」

 

エマ「フフッ…」

リィン「ハハ…」

 

マキアス「まったく……笑い事じゃないだろう」

 

ユーシス「フン。そういう貴様こそ何をニヤついている…?」

 

マキアス「き、君の方こそ……!」

 

フィー「やれやれ」

 

リィン「実習の仕上げとしては上々すぎるくらいだな……」

 

エマ「えぇ、戦術リンクも全員で繋げられましたし…」

 

レイ「良いムードのところ申し訳ないが早く逃げた方が良いぞ」

 

しかし既に遅く、領邦軍が駆けつけて6人を取り囲む。そしてユーシスの怒りに恐れながらも武装解除をしようとした時…

 

?「その必要はなかろう」

 

隊長「なに?っ!!ル…ルーファス様!!」

 

サラ「は~い♪」

 

リィン「サラ教官!?」

ユーシス「兄上!?帝都に行かれていたのでは…」

 

ルーファスとサラ教官が現れ、ルーファスの指示で領邦軍は撤退した

 

マキアス「どうして教官もここに?」

 

サラ「いや~、実はとある筋から早めに連絡貰ってね。急いで帝都にいた理事さんに連絡を取ったのよ。それで帝都からの飛行船に一緒に乗せてもらったってわけ」

 

エマ「理事?」

 

ルーファス「まさか私の留守中にあんな無茶を父が押し通すとはな…。相当頑なではあったが今回ばかりは引いてもらったよ。理事として生徒への不当な拘束は断じて認められないからな」

 

ユーシス「え…兄上まさか…」

 

ルーファス「改めて--士官学院の常任理事を務めるルーファス・アルバレアだ。今後ともよろしく願おうか」

 

-翌日

〈Ⅶ組〉A班はサラ教官と共に列車に乗り、トリスタへと帰還した。サラが柄にもなく良いことを言ったのでリィン達から大爆笑されたというオチ付きだが…

 

-バリアハート近くの林道にて

 

少女「ふぇ~無事に帰ったか。力ずくで助け出す必要がなくなって良かったよ~。ニシシ…砦で見つかっちゃった時はどうしようかと思ったけど」

 

その時、少女のARCUSに着信が入る

 

少女「もしもーし、こちら〈白兎〉♪うんうん…一応何とかなったよ。まー細かい事は良いじゃん♪ちゃんとお仕事は終わらせたんだし。あ、でも色々面白いのはいたけど『連中』の気配は全然なかったよ?」

 

『……』

 

少女「えっ?ダミー情報!?君とおじさんの裏をかいたの?あはは、凄いなぁー結構やりがいのある相手だね。ボク?これからクレアと合流するけど。……了解。まったね~『レクター』」

 

そして少女は通信を終えた

 

少女「そういえば『シカンガクイン』だっけ?何だか楽しそうでいいなぁ…。ガーちゃん」

 

そう言って手を上げると少女の傍にオーロックス峡谷道でリィン達が見た銀色の戦術殻のような物が現れた

 

?「……」

 

少女「そうそう。ここでの仕事は終わりだよ。行こっか〈アガートラム〉」

 

そして少女は銀色の戦術殻の腕に乗り、どこかへ飛んでいった

 

 

その頃、列車の出入り口付近では

レイ(まさかルーファス卿が士官学院に3人いる常任理事の1人とは驚きだ。まぁ、それは置いておいて姉さんに報告しておくか)

 

レイはARCUSを取り出し、クレアに連絡する

 

クレア『どうしたの?』

 

レイ「オーロックス砦についての報告だ」

 

レイは見た事の全てをクレアに報告する

 

クレア『やはり軍備増強をしていたのね。ご苦労様レイ』

 

レイ「特別実習のついでだから全然苦じゃなかったよ。後、報告する事は変態紳士と神速の相手をして久々にあの力を使った事かな?」

 

クレア『あまり無茶はしないようにね。怪盗紳士と神速の事はこちらから報告しておくわ』

 

レイ「ありがとう。あっ、報告ついでにあのバカ兎に言っといてくれ。『調子に乗るなっていつも言ってるだろ!俺が自由行動日に帝都に帰ったら、3時間の説教コースだからな!』って」

 

クレア『アハハ…分かったわ(汗)それじゃまたねレイ』

 

レイ「ああ。じゃぁね姉さん」

 

通信が終わり、レイはリィン達の元に戻った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




幻獣の名前やレイが力を手に入れた経緯は作者の考えたオリジナルの出来事です

ちなみに今回は幕間は無しです


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第3章・〈迅雷〉の過去
第3学生寮の新たな管理人


しばらく更新してなくてすいませんでした。今日から更新を再開します


6月中旬・若葉の季節を過ぎたトリスタでは珍しく長雨が続いていた

 

士官学院・技術棟にて

クロウ「あ~、試験勉強かったりいなぁ~」

 

トワ「もうクロウ君、2年最初の試験なのに気を抜いちゃダメでしょ」

 

クロウ「へ~い」

 

レイ「まっ、そうやってだらけるのは自由だが留年して後悔しないようにな。ギャンブル先輩」

 

クロウ「だからそのあだ名はやめろっつうの!!」

 

レイ「フフッ、それじゃ俺は学院長に呼ばれているから。じゃあな」

 

そう言ってレイは技術棟を出ていき、学院長室に向かった

 

 

レイ「学院長、失礼します。っ!!」

 

学院長室に入った瞬間、レイは鉤爪を装着し扉から飛び退く

 

?「あらあら、さすがレイ様ですね。簡単には悟られまいと頑張りましたのに」

 

扉の陰から紫を基調としたエプロンドレスを着て、緩くカールさせたボブカットの髪に翡翠色の瞳を持った女性が現れたのを見てレイは軽くため息をはく

 

レイ「嘘つけ、半分くらい試してただろ。お前が本気で隠れたら俺でも見つけるのに数秒かかるぞ『シャロン・クルーガー』」

 

シャロン「お褒めいただき光栄ですわ」

 

レイ「誉めたつもりはないがな。学院長、彼女がここにいる理由はもしかして…」

 

ヴァンダイク「うむ。レイ君が第3学生寮の管理人と料理番をしているとバレスタイン教官から聞いてな。このままでは学業に支障が出ないかと心配しておるのだよ」

 

レイ「なるほど。それでどこから聞きつけたかは分からないが、彼女が寮の管理人を申し出たという事ですね」

 

シャロン「その通りですわ」

 

レイ「分かった。それじゃ寮の鍵を渡しておく」

 

シャロン「承りましたわ。このシャロン、レイ様が守ってきた寮の管理人を謹んで拝命します」

 

レイ「ああ、頼むぞ」

 

 

〈6月19日〉

16日から始まった試験も無事に終わり、サラ教官のH・Rが終わるとガイウス、フィー、ラウラ以外のメンバーがトリスタの公園に来ていた

 

エリオット「はぁ~、何ていうか解放感に満ちているよね~」

 

アリサ「結果発表は来週の水曜日よね」

 

マキアス「フフン、悪いが僕は自信があるぞ。エマ君はどうだ?」

 

エマ「そ…そうですね、悪くはないと思います」

 

マキアス「むっ!」

 

ユーシス「止めておけ、見苦しい」

 

エリオット「そういえばサラ教官これからどこに行くんだろうね?」

 

リィン「ああ。明日までに誰かと会う約束があるって言ってたな」

 

エマ「普通に考えたら恋人と会うとかでしょうか?」

 

ユーシス「信じられんな。あれにそんなのがいるのか?」

 

レイ「あれは失礼だろ。それより明日は自由行動日だったな。リィンはまた生徒会の手伝いか?」

 

リィン「ああ、そうだな」

 

マキアス「そういえばガイウスがさっき学院長に呼ばれていたみたいだが……何の用だろうか?」

 

アリサ「ラウラとフィーも先に教室を出て行っちゃたわね。せっかく皆で一緒に帰ろうと思っていたのに…」

 

するとリィンが前々から気づいていた事を皆に話す

 

リィン「そのラウラとフィーなんだが、最近何だかぎこちなくないか?」

 

エリオット「そ…そうなの?!」

 

エリオットは驚くが他のメンバーは気づいていた

 

アリサ「ふう…気づいてたんだ」

 

エマ「その…お互い避けあっているような気がするんです」

 

マキアス「ひょっとしたら…」

 

どうやらマキアスは2人が避けあっている理由に心当たりがあるようだ

 

マキアス「先月の特別実習での出来事をA班・B班で報告しあっただろう?フィーが爆薬を使った話も…」

 

エリオット「うん。フィーって学院に来る前に〈猟兵団〉にいたんだよね。確かにびっくりしたけど…」

 

マキアス「それを話した時ラウラが一瞬だけ険しい顔になったような気がしたんだが…」

 

エマ「う~ん、どうしてでしょう?」

 

ユーシス「フン、事情は人それぞれだろう。いまだ家名を明かさない人間もいるくらいだからな」

 

アリサ「ちょっ、ちょっと今ここでそれを言うの!?」

 

ユーシス「別に他意はないが、まぁお前の家名については大方予想が出来ているからな」

 

ユーシスの言葉にアリサは「えっ!?」と焦った声を出し、冷や汗がダラダラと流れる

 

アリサ「そ、その勿体ぶってるわけじゃ……!ただあまり周りに知られると面倒な事になるかなって…」

 

?「お嬢様、お久しぶりです」

 

アリサが家名の話にしどろもどろになっていると可憐な声が響き、そちらを向くと1人の女性が立っておりアリサはその人を見て驚く

 

アリサ「シャ…シャ…シャ…シャロン!?どうして貴女がここに…!?」

 

シャロン「フフッ、会長に申しつけられまして…」

 

レイ「シャロンか。学生寮の管理人は出来そうか?ってお前には愚問だったか」

 

シャロン「当然ですわ」

 

アリサ「ちょっと!あなた達知り合いなの!?」

 

レイ「トールズに来る前にちょっとな」

 

シャロン「ちょっとです。ですがお嬢様の思っているような関係ではありませんのでご安心下さい」

 

アリサ「まぁ、別にそこは心配してないけど…。」

 

3人の話についていけていないメンバーは呆然としていた

 

レイ「おっと、皆が呆然としているな」

 

シャロン「あら、私としたことが…。初めまして、アリサお嬢様のご実家〈ラインフォルト家〉で使用人として仕えさせていただいておりますシャロン・クルーガーと申します。今日から皆様の第3学生寮の管理人を勤めさせていただきます」

 

-次の日の朝

シャロンが作った〈帝国風ブレックファースト〉の出来映えに皆、驚いていた

 

ガイウス「これは見事だな」

 

フィー「どれも美味しそう」

 

ラウラ「ふむ、私の実家で出されるより遙かに彩りも豪華なくらいだ」

 

ユーシス「公爵家の朝食にも引けを取らないな」

 

シャロン「ありがとうございます。コーヒー、紅茶共に揃えておりますので遠慮なくおっしゃってくださいね」

 

皆はシャロンが作った朝食の出来映えに驚いているが、アリサだけはふくれっ面でご機嫌が斜めだった

 

リィン「さすがにご機嫌斜めだな」

 

エリオット「昨夜は揉めてたみたいだからね」

 

レイ(確かに昨日は結構揉めていたな。まぁ、自立したいアリサにとっては受け入れがたいのだろうな)

 

シャロン「お嬢様、大好物のアプリコットジャムをたくさん作ってきましたわ。せっかくですからシャロンがトーストにお塗りしましょうか?」

 

アリサ「えっ、ほんと?……って子供扱いしないでよ!!」

 

レイ(微笑ましい光景だな)

 

その後、シャロンの作った料理を食べ終えた〈Ⅶ組〉のメンバーは各々の予定の為に寮を出る

 

-午後・旧校舎第3層最奥にて

 

レイ「いくぞラウラ!」

 

ラウラ「任せるが良い!鉄砕刃!!」

 

レイ「カイザーリッパー!!」

 

2人のクラフトにより第3層の主は倒された

 

エリオット「ふう~、ここで行き止まりみたいだね」

 

ガイウス「驚いたな…オリエンテーリングの時とずいぶん内装が変化しているが…」

 

レイ「地下へ降りる昇降機が現れるわ、内装が変化するわ。この建物は一体どうなっているんだ?」

 

ラウラ「ここは第3層だったか。階層の奥にはいつも強敵…主がいるみたいだな」

 

リィン「よし、探索出来るのはここまでみたいだし…」

 

アリサ「そうね。学院長に報告しましょう」

 

そして学院長に報告が終わって探索メンバーは学生寮に帰り、リィンも少し遅れながらも寮に帰ってきた。すると丁度サラも帰ってきたところだった

 

リィン「サラ教官、お疲れ様です」

 

サラ「あらリィン、そちらこそお疲れ様。その調子だと今日も生徒会の手伝い頑張っちゃったみたいね」

 

そしてサラ教官が扉を開けるとシャロンが出迎えてくれた

 

シャロン「お帰りなさいませリィン様それにサラ様。初めましてラインフォルト家より参ったメイドのシャロンでございます」

 

サラ「……。ああ…聞いているわ…これはご丁寧に。1つ質問なんだけど…『初めまして』だったかしら?」

 

シャロン「いえ、初対面なのは間違いないかと存じます。よろしくお願いいたします『サラ・バレスタイン』様」

 

サラ「ええ、こちらこそ『シャロン・クルーガー』さん」

 

リィン「なっ、なんか邪魔しちゃ悪そうだな(汗)」

 

そしてリィンは郵便受けに入っていた手紙を持って自室に戻った

 

その頃、レイは……

レイ「姉さん、それは確かな情報?」

 

クレア『ええ、間違いないわ。それで比較的自由に動ける貴方にお願いしたいの』

 

レイ「分かった。明日学院長に許可をもらってくるよ」

 

クレア『ごめんなさい。貴方には学院生活を楽しんでほしいのに…』

 

レイ「良いよ。俺は学生である前に鉄道憲兵隊の大尉だからな。それじゃお休み姉さん」

 

クレア『お休みレイ』

 

憲兵隊大尉として極秘の任務を行おうとしていた

 

 

-中間試験結果発表日

 

マキアス「なっ!?」

エマ「あ、あはは…」

 

マキアスが驚き、エマが苦笑している理由は廊下に貼られている中間試験の結果発表の紙が原因である

 

エリオット「委員長とマキアスが同点一位…!」

 

ガイウス「さすがだなマキアス」

 

マキアス「あ、ああ…何というかさすがだなエマ君」

 

エマ「いえいえお互い頑張った結果だと思います」

 

ちなみにユーシスは3位、レイは4位、リィンは7位、アリサは8位、ラウラは17位、ガイウスは20位、エリオットは36位、フィーは72位となっており、さらにはクラス別の順位表ではⅦ組が首位となっていた

 

ラウラ「ほう、我らⅦ組が首位か」

 

ユーシス「フン、俺が属するクラスが負けるなどあり得んがな」

 

マキアス「だから何で君はそんなにも偉そうなんだ?(汗)」

 

レイ「いや、実際みんな頑張っただろう」

 

リィン「ああ、誇ってもいいと思う」

 

フィー「Vだね」

 

しかしレイ以外のⅦ組のメンバーは気づいていなかった。遠くからⅦ組を見ている人物達がいることを…

 

-午後・実技テスト

サラ「いや~、中間試験頑張ったじゃないの!これでイヤミな教頭のハナをあかしてやったってもんよ」

 

レイ「別にサラのために頑張ったわけじゃないぞ」

 

サラ「堅いことは言いっこ無しよ。じゃ、今月の実技テストを始めるとしましょうか。今回の相手よ」

 

そう言ってサラが指を鳴らすと例の戦術殻が出てきた。それを見たリィンはオーロックス砦で見た銀色の物体を思い出した

 

フィー(気づいた?アレに素材が近い気がする)

リィン(ああ、もしかしたら関係があるのかもな)

 

ラウラ「どうしたのだ?」

フィー「……。別にこっちの事」

 

フィーの言葉に2人の空気がまたしても悪くなってしまう

 

リィン(困ったな…)

レイ(何とかして2人の溝を埋めなければならないな)

 

?「フン、面白そうな事をしているじゃないか」

 

実技テストを始めようとした時、声が聞こえそちらを振り向くとⅠ組の男子が4人、グラウンドに現れた

 

エマ「Ⅰ組の…?」

エリオット「あ…四大名門の…!」

ユーシス「パトリック・T・ハイアームズ…」

 

マキアス「き…貴族クラスが何の用だ!?」

 

サラ「どうしたの君達?Ⅰ組の武術教練は明日のはずだったけど」

 

パトリック「いえ丁度トマス教官の授業が自習となりましてね。せっかくだからクラス間の〈交流〉をしに参上しました。最近目覚しい活躍をしている〈Ⅶ組〉の諸君相手にね…」

 

そう言ってパトリックは腰からスラリとレイピアを引き抜いて構え、取り巻き達も一斉に抜刀する

 

レイ「なるほど、模擬戦と言う名の喧嘩か」

 

パトリック「何だと?」

 

レイ「中間試験で上位を独占し、あまつさえクラス別の平均点でお前達を大きく上回った俺達が気に入らないんだろう?」

 

パトリック「グッ…」

 

レイの言った事は全て正しいのでパトリック達貴族生徒は反論できない

 

レイ「だが止める気は無いから安心しろ」

 

アリサ「な…何でよ!?」

 

レイ「軍でも模擬戦は普通にあるからな。今の内に慣れておくのも悪くはないだろう?」

 

アリサ「そう言われると言い返せないわね…」

 

レイ「というわけだからサラ教官、実技テストの内容を変更してほしいんだが…」

 

するとサラは再び指を鳴らして戦術殻を消した

 

サラ「実技テストの内容を変更!〈Ⅰ組〉と〈Ⅶ組〉の模擬戦とする。リィン、3名を選びなさい。そしてレイ、あんたは現役軍人としての力を見せる為に1人で模擬戦に参加しなさい」

 

レイ「またかよ。まぁ、別に構わんが…」

 

そして一回目の〈Ⅶ組〉対〈Ⅰ組〉の戦いが始まる。ちなみにリィンが選んだメンバーはエリオット、ガイウス、マキアスだ

 

それから数分後、苦戦はしたものの何とかリィン達代表メンバーが勝利した

 

サラ「そこまで!一戦目、勝者〈Ⅶ組〉代表!続けて二戦目を行うけど大丈夫かしら?」

 

パトリック「はい。大丈夫です」

 

そう言ってパトリック達は立ち上がり、再びレイピアを構える

 

サラ「それじゃレイ、出なさい」

 

レイ「分かった」

 

レイは鉤爪を装着しパトリック達の前に立つ

 

レイ「先に言っておくが、相手が貴族だろうと学生だろうと手加減する気は全く無い。だから……本気でかかってこい」

 

4人「っ!?」

 

レイの放つ殺気にパトリック達は気圧されるが何とかレイピアを構える

 

サラ「それでは第2戦目、始め!」

 

レイ「フッ!」

 

-ズガッ!

 

貴族生徒1「グハッ!」

 

レイはまず先程のリィン達の戦闘でサポートに徹していた貴族生徒に高速で近づき、腹に膝蹴りをくらわしてダウンさせた

 

レイ「まずは1人。次は…」

 

貴族生徒2・3「ハアッ!!」

 

2人の貴族生徒がレイを挟み撃ちする形で迫るが…

 

レイ「甘い」

 

するとレイは鉤爪で2人のレイピアを弾き、背後に移動してARCUSを駆動する

 

レイ「くらえ、スパークアロー!!」

 

貴族生徒2・3「グアァァァァッ!!」

 

レイのアーツをまともに受けた貴族生徒は吹き飛び、戦闘不能になった

 

レイ「残り1人」

 

そう言ってレイは貴族生徒のリーダー的存在であるパトリックの目の前に来る

 

パトリック「く…くそっ!」

 

模擬戦が始まって1分も立たない内に仲間3人が倒された事に焦ったパトリックはレイピアを突き出すのではなく、振り下ろしてしまった

 

レイ「英才教育を受けたとはいえ、まだまだ半人前だな」

 

パトリックの攻撃を体を少しずらす事で避けたレイはすかさずクラフトを放つ

 

レイ「カイザーリッパー!!」

 

パトリック「グワッ!!」

 

レイは赤黒いエネルギーを鉤爪に纏わせたがそれを斬撃として撃たず、そのまま切りつけて相手のレイピアを吹き飛ばした(その余波でパトリックも少し吹き飛んだが…)

 

サラ「そこまで!勝者レイ・リーヴェルト!」

 

パトリック「バ…バカな。この僕が二度も…」

 

するとリィンがパトリックに近づいてきた

 

リィン「パトリック、いい勝負だった。危うく押し切られる所だった。機会があればまた…」

 

そう言ってリィンは握手の為に手を出すがパトリックはその手をはねのける

 

パトリック「触るな下郎が!いい気になるなよリィン・シュバルツァー……ユミルの領主が拾った…出自も知れぬ“浮浪児”ごときが!」

 

リィン「っ!!」

 

マキアス「おい…」

アリサ「貴方…」

エリオット「酷いよ…」

 

しかしパトリックの罵倒は止まらない

 

パトリック「他の者も同じだ!何が同点首位だ!貴様ら平民ごときがいい気になるんじゃない!」

 

マキアス「なにっ…!?」

 

パトリック「ラインフォルト!?所詮は成り上がりの武器商人風情だろうが!おまけに蛮族や猟兵上がりの小娘まで混じっているとは…!」

 

レイ「少し言い過ぎじゃないのか?」

 

パトリック「黙れ!極めつけは貴様だレイ・リーヴェルト!貴様のような得体の知れない人間が何故、鉄道憲兵隊の大尉になり皇女殿下やアルバレア家の護衛を務めている!」

 

エマ「酷いです…」

アリサ「まぁ、否定はしないけど…」

 

レイ「ハイアームズのご子息殿、1つ良いかな?」

 

パトリック「良いだろう、聞いてやる」

 

レイ「では失礼して…」

 

レイはパトリックの首に手をかけ、足を払って地面に倒し…

 

パトリック「グワッ!貴様、何を…」

 

レイ「フッ!」

 

パトリック「ウワアァァァッ!?」

 

パトリックの顔面めがけて目にも止まらない速さで拳を繰り出したがその拳はパトリックの顔面直前で止まった。そしてレイはパトリックの胸倉を掴んで無理矢理起きあがらせる

 

レイ「何を驚いている?」

 

パトリック「こ…こんな事をして良いと思っているのか?」

 

レイ「なに、お前にちょっとした授業をしてやろうと思ってな」

 

そう言ってレイは殺気を含ませながら話を続ける。すると空気が薄くなったのか?周囲にいた生徒が息苦しくなる

 

レイ「お前の言動には全くと言って良いほど覚悟が備わっていない。大貴族の家に生まれ、何不自由なく育ったんだろう。だからこそ、お前には人間というものが全く分かっていない。人は千差万別、誰1人として同じ価値観を持つ者はいない。つまり、今お前が罵倒した俺の仲間達もそれぞれ違う価値観を持って生きてきたんだ。それは分かるな?」

 

レイの言葉にパトリックは震えながら頷く

 

レイ「よろしい。ならば後は覚悟を持て。自分が罵倒した人間にやり返される覚悟を。だがその覚悟が無い者に安全圏から誰かを罵倒する権利など無い!」

 

それだけ言うとレイはパトリックの胸倉を離す

 

パトリック「なら…貴方は持っているのか?その覚悟を?」

 

レイ「当然だ。2年前に鉄道憲兵隊に入った時からずっと持ち続けているさ」

 

そう言った時のレイの顔がリィンには少し悲しげに見えた

 

パトリック「そうか…。さすが現役の軍人だ」

 

パトリックがそう呟いた時、授業終了のチャイムが鳴った

 

サラ「はいは~い授業終了よ。中々良い題材が出たのは良かったけど、レイはまずその殺気引っ込めなさい」

 

レイ「分かった」

 

レイが殺気を収めると息苦しさが無くなり、ホッとする生徒達

 

サラ「模擬戦はこれで終了。明日の武術教練は今日の模擬戦の反省にするわ。後、自習中だからといって勝手に教室から出ないように」

 

パトリック「……失礼する」

 

パトリックは取り巻きを引き連れて教室へと帰っていった

 

サラ「今回の実技テストは以上!それじゃ早速、今月の〈実習地〉を発表するわよ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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雄大なる高原の地へ

初めてノルド高原をプレイした時、あまりの広さに自分がどこを走っているかわからなくなった事が何回かありました。


〈6月26日・特別実習1日目ヘイムダル中央駅構内〉

 

A班

リィン・レイ・アリサ・エマ・ユーシス・ガイウス

(実習地・ノルド高原)

 

 

リィン「しかし驚いたよ。まさかガイウスの故郷…〈ノルド高原〉が実習地に選ばれるなんてな」

 

アリサ「ちょっと遠いけどガイウスの実家に泊まるなんて楽しみね」

 

レイ「そうだな、遊牧民の家か」

 

B班

マキアス・エリオット・ラウラ・フィー

(実習地・ブリオニア島)

 

 

マキアス「〈ブリオニア島〉…帝国西部の外れにある島か」

 

ラウラ「ああ、古代文明の遺跡で有名だったはずだ」

 

エリオット「そういえば僕、海って見るの初めてなんだよね-」

 

フィー「私はあるけど」

 

ラウラ「ほう、そうなのか?」

 

フィー「ん、団の上陸作戦についていった時に」

 

ラウラ「っ!」

 

フィーの言葉にラウラは反応し、お互いにそっぽ向く

 

2人「……(汗)」

 

2人の反応にマキアスとエリオットは冷や汗が流れる

 

マキアス「そ…そういえばラウラの故郷〈レグラム〉にも遺跡があるんじゃなかったか?」

 

ラウラ「ああ、〈ローエングリン城〉だな。街から見える湖に面した壮観な古城でな」

 

エリオット「確か〈聖女のお城〉だっけ?僕も見てみたいなぁ~」

 

フィー「ん~、腕の良い狙撃手に陣取られたら厄介そうな場所だね」

 

ラウラ「っ!」

 

フィーの言葉にラウラはまた反応し、再びそっぽ向く

 

2人「………(汗)」

 

リィン「う~ん、B班早速苦戦してるな」

 

ユーシス「フン、思った通りか。情けない」

 

すると冷や汗をかきながらマキアスがA班の元に来て一言

 

マキアス「何だか……自信が無くなってきた…。ずっとああなんだ…」

 

エリオット「ちょ…ちょっと!諦めるの早すぎない!?」

 

リィン「……(汗)」

 

ガイウス「何よりもA班・B班共に全員無事に戻ってくること…それが重要だろう」

 

マキアス「そ…そうだな」

 

そして列車の発車時間になり、A班とB班はそれぞれの実習地に向かう為に列車に乗った

 

-列車内にて

ガイウス「前にも話したがノルドまでは片道8時間以上は列車に揺られる事になるだろう」

 

アリサ「改めて考えると物凄い距離よね…。ちなみにレイ、鉄道憲兵隊の列車だとどれ位かかるの?」

 

レイ「憲兵隊の高速列車〈クルセイダー〉なら半分の4時間位だな」

 

ユーシス「さすが鉄道憲兵隊が所有する列車だな」

 

そして昼になり、A班はルーレ駅に到着した

 

リィン「ルーレ…〈黒銀の鋼都〉か。こちらに来るのは初めてだな」

 

エマ「ここはアリサさんのご実家、ラインフォルト社があるんですよね」

 

レイ「次は貨物列車に乗り換えて終点の〈ゼンダー門〉まで。向こうに到着するのは大体4時頃…結構な長旅になるな」

 

アリサ「売店で何か買っていきましょうか?」

 

そう言ってアリサが売店に行こうとした時…

 

?「その必要はありませんわ」

 

駅の柱の影からトリスタにいるはずのシャロンが現れた

 

アリサ「ど…ど…ど…どうして貴女が先回りしてるのよ!?」

 

シャロン「それはもう、お嬢様への愛のなせる業と言いますか…。朝食のサンドイッチと違い、お昼は腕によりをかけたお弁当を用意いたしました。どうぞ」

 

ユーシス「フン。ラインフォルト家のメイドは主人を驚かすのが趣味らしい。大方帝都で定期飛行船に乗り込んだというところだろう」

 

シャロン「フフッ、そうでございます」

 

レイ「シャロン、この後に何か用事でもあるのか?」

 

シャロン「さすがレイ様はお察しが鋭いですね。実はこの後、別の仕事がありまして」

 

アリサ「別の仕事?」

 

?「私の仕事の手伝いをしてもらうのよ」

 

そう言ってアリサと同じ髪色をした、いかにも仕事人間といった感じの女性…イリーナ・ラインフォルトが現れた

 

アリサ「か…か…母様!?」

 

イリーナ「久しいわねアリサ、そしてそちらが〈Ⅶ組〉面々ね。アリサの母のイリーナ・ラインフォルトです。ラインフォルトグループの会長を務めているわ」

 

さすが帝国の大企業の会長と言うべきか、物凄い威圧感を放っている

 

レイ「お久しぶりですねイリーナ会長」

 

イリーナ「ええ、そうね。1年ぶりかしら?」

 

アリサ「えっ!?もしかしてレイがシャロンと知り合いの理由は…」

 

シャロン「はい。レイ様は1年前にイリーナ会長の護衛をしたことがございます。その時に私も知り合いになったんです」

 

アリサ「な…なるほど」

 

イリーナ「これからも不肖の娘と仲良くしてやってちょうだい。仕事があるからこれで失礼するわ」

 

そしてイリーナは挨拶もそこそこにシャロンを従えて仕事に向かおうとする。するとアリサが…

 

アリサ「い…いい加減にして!勝手に家を飛び出した娘に何か一言ないわけ!?」

 

イリーナ「貴女の人生…貴女の好きに生きればいいでしょう。ラインフォルトを継ぐことを強制する気もないわ。〈あの人〉のように勝手気ままに生きるのも…悪くはないでしょう」

 

アリサ「っ……!」

 

イリーナ「それに貴女の学院生活も最低限のことは把握してるわ。それと〈Ⅶ組〉の運用レポートについても〈学院からの月ごとの報告でね〉」

 

アリサ「……え?」

 

イリーナ「ああ、言ってなかったかしら。〈トールズ士官学院〉--貴女達の学院の常任理事を務めさせてもらっているから」

 

-その後、A班は列車に乗りシャロンから貰ったお昼をいただいていたが雰囲気は良くなかった

 

エマ「アリサさん…」

 

アリサ「騙された…。せっかく家を出たと思ったのに…まさかあの人が理事をしている学院だったなんて!なんでもっとよく調べなかったのよ~!ああもうバカバカ!」

 

レイ「母親とはうまくいってないのか?」

 

アリサ「まぁね、昔から折り合いが悪くて実家を出たんだけど……」

 

ユーシス「フン、あの場で挨拶をしてきただけマシというものだろう。完全な無視よりはな」

 

アリサ「あ…」

 

エマ「ユーシスさん…」

 

ユーシス「……つまらんことを言ったようだ」

 

ガイウス「どうやら最後のトンネルも終わりのようだ」

 

ガイウスの言葉に仲間達が窓の外を見るとそこには雄大な景色が広がっていた

 

ガイウス「皆、長旅ご苦労様だったな。もうすぐ〈ノルド高原〉だ」

 

 

 

 



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高原での任務

ここ数日更新してなくて申し訳ありませんでした。今日から更新を再会します


16:30・ゼンダー門

 

?「おお!やっと到着したか」

 

ガイウス「中将、ご無沙汰しています」

 

?「うむ。数ヶ月ぶりになるか。士官学院の制服もなかなかサマになっているではないか」

 

アリサ「どうやら帝国正規軍の将官の方みたいね(小声)」

 

リィン「ああ。中将という事はこの門の責任者なんだろうな(小声)」

 

すると中将と呼ばれた人物がリィン達を見る

 

?「ふむ、そしてそちらがⅦ組の仲間というわけか。フフ、噂には聞いていたが面白い顔ぶれが集まっているようだな」

 

リィン「あっ…よ、よろしくお願いします!」

 

?「帝国軍第三機甲師団長ゼクス・ヴァンダールだ。以後よろしく頼む」

 

その言葉にリィンとユーシスは驚く

 

リィン「っ!〈隻眼〉のゼクス…!」

 

ユーシス「アルノール家の守護者か…!〈ヴァンダール〉といえば皇族アルノール家を守護する武門の一族として有名だ。そして〈隻眼〉のゼクスといえば帝国正規軍で5本の指に入る名将とも聞き及んでいる」

 

リィン「ラウラの〈アルゼイド流〉と並ぶ帝国のおける武の双璧…その、お目にかかれて光栄です」

 

ゼクス「ハハ。そう大層な人間ではないのだが。お主達の話も聞きたいが時間も時間だ。今日中に帰るつもりならすぐに出発した方がいいだろう。例のものは用意してあるぞ」

 

ガイウス「ご好意感謝いたします」

 

ゼクス「このくらいどうという事はない。お主は私の命の恩人だからな」

 

エマ「恩人?」

 

レイ「確か…一年前にゼンダー門に異動になった際、ノルド高原を探索していたら狼型魔獣の群れに囲まれたと聞きましたが?」

 

ゼクス「うむ。そこへ十字槍を持ち、馬に乗った彼が現れ魔獣を追い払ってくれたのだ」

 

アリサ「へぇ、そんな事が。かっこいいわね」

 

ガイウス「そんな大げさな話ではないんだがな。…でもその縁あって俺は士官学院の推薦を受けられる事になったんだ」

 

エマ「そうだったんですか…」

 

ゼクス「さぁ、例のものは外に用意してある。アレを使えば集落まで1時間ほどだ。風と女神の加護を」

 

そして一行が外に出るとノルド産の馬が5頭用意されており、男子は1人1頭で乗り、エマはアリサの後ろに乗せてもらっていた

 

リィン「凄いな…とんでもない爽快感だ!」

 

アリサ「ええ!まるで風になったみたい!大丈夫、エマ?」

 

エマ「は、はい…ちょっと怖いですけど」

 

ユーシス「しかし馬術部の連中に羨ましがられそうな体験だな」

 

レイ「ハハ…確かに。」

 

ガイウス「俺の故郷は北東…あちらの山脈の方角に向かった先にある。日没までに何とか辿り着くとしよう」

 

そしてA班はガイウスの故郷に到着する

 

レイ「前に憲兵隊のファイルで見たことがあるが、本当に家が布で出来てるんだな」

 

ガイウス「ああ。移動式の住居でな。夏から秋にかけては北へ異動するのが常だ。さて、まずは俺の実家に…」

 

?「あんちゃぁぁぁぁん!あんちゃん!ガイウスあんちゃん!」

 

ガイウスが仲間達を実家に案内しようとすると妹のリリが駆け寄ってきてガイウスはリリを抱きしめる

 

エマ「わぁ…!」

アリサ「か…可愛い!///」

 

シーダ「ガイウスあんちゃん、お帰り!」

 

ガイウス「ただいまリリ、シーダ。トーマも元気そうだな」

 

トーマ「へへ、あんちゃんこそ」

 

リィン「はは…すごく慕われているんだな」

 

アリサ「ええ…一人っ子には目の毒ね」

 

レイ「……」

 

?「ふふ、良き友に恵まれたようだな」

 

声がした方を見ると2人の男女がいた

 

ガイウス「父さん、母さん!」

 

ファトマ「お帰りなさいガイウス。皆さんも初めまして、ガイウスの母ファトマです」

 

エマ・アリサ(お母さん!?)

 

女子2人はファトマのあまりの美しさに心の中で驚くが…

 

レイ「母親!?てっきり姉かと……」

 

ファトマ「フフッ、ありがとう」

 

レイは思いっきり声に出てしまっていた

 

ラカン「ガイウスの父、ラカン・ウォーゼルだ。よろしく頼む士官学院の諸君」

 

エマ・アリサ「は、はい!こちらこそ」

 

ユーシス「……。何というか…恵まれている男だな」

 

レイ「そうだな…優しそうな両親に可愛らしい兄弟達か……」

 

エマ「それと高原の雄大な自然…そういった環境がガイウスさんの悠然とした所を育んだのかもしれませんね」

 

リィン「ああ…そうだろうな」

 

ラカン「客人用の住居を離れに用意しておいた。じきに日も暮れる。今夜は我が家でゆっくり休んでくれ」

 

 

-翌日・早朝

リィン「ん~。ここは…そうかノルド高原だったか」

 

ガイウス「早いなリィン。」

 

リィンが起きたのと同時にガイウスが客人用の住居に入ってきた

 

リィン「おはようガイウス…ってその格好は?」

 

ガイウスの今の服は士官学院の制服ではなく、昨日のラカンと同じような服を着ていた

 

ガイウス「ああ、久々に羊の放牧を手伝ってきたんだ。そろそろ朝餉の支度も出来ている頃だ。皆、朝だぞ。起きるがいい」

 

ユーシス「ん……ここは…?」

アリサ「羊の…鳴き声…?」

エマ「えっと眼鏡…眼鏡…」

 

3人の起床のやり取りにガイウスは微笑み、リィンは苦笑する

 

リィン「あれ?そういえばレイは?」

 

ガイウス「レイならすでに起きて朝餉の支度を手伝ってくれている。どうやら俺よりも早く起きていたみたいだ」

 

リィン「そ…そうか。(いったい何時に起きたんだ?)」

 

その後、リィン達は朝食をいただいた後ラカンから〈特別実習〉の封書を貰いA班が実習を始めようとした時…

 

レイ「さて、悪いが俺はここで別行動を取らせてもらう」

 

エマ「えっ!?」

 

ユーシス「なぜだ?」

 

リィン「何か理由があるのか?」

 

レイ「このノルド高原で極秘の任務を行わなければならない」

 

アリサ「だったら私達も協力するわ。一緒にやれば早く終わるだろうし…」

 

レイ「ダメだ」

 

だがレイはアリサの提案をバッサリと切り捨てた

 

アリサ「なっ、何でよ!?」

 

レイ「これは姉さんから要請された任務…つまりかなりの危険が伴うという事だ。鉄道憲兵隊大尉としてお前等を同行する事は認められない」

 

アリサ「で…でもね!」

 

リィン「アリサ、やめておけ。レイの言うことは理にかなっている」

 

その言葉でとうとうアリサは黙る

 

ガイウス「だがレイ、無茶はするなよ?」

 

レイ「大丈夫だ。今回の任務に命を失うような危険はない」

 

それだけ言うとレイは馬に乗り、集落から高原へと向かう

 

-30分後・高台(閃の軌跡Ⅱでヴァリマールが転移してきた所です)

 

そこにはバリアハートでリィン達に目撃された少女がいた

 

ミリアム「あっ、ようやく来た~!もう~遅いよ~!」

 

レイ「悪かったな。あいつらがなかなか離してくれなくてな。それよりミリアム、ちょっとこっちに来い」

 

ミリアム「ん~?何~?」

 

レイに呼ばれてミリアムが近くに来た…その時!

 

レイ「フンッ!」

-ゴンッ!

 

ミリアム「痛~い!!何すんのさ!?」

 

いきなりゲンコツを受けたミリアムは目に涙をためながらレイを睨むが本人は拳を握りながら反論する

 

レイ「当然の報いだ!お前バリアハートで俺達に見られてんだぞ!いや、それはまだ良い。不可抗力だからな。」

 

ミリアム「なら何で殴るのさ!?!」

 

レイ「お前…姉さんから聞いてるはずだよな?俺の説教を受けろと…」

 

その言葉にミリアムは「あっ」っと声を漏らし、目を背ける

 

レイ「なのに俺が自由行動日にお前の所に行ったらお前はいなかった。姉さんに聞いたら、『ミリアムちゃんはその……遊びに行ってしまって…あはは(苦笑)』って言っていた。お前、何俺の説教から逃げてんだ?」

 

ミリアム「いや~、それはその……(汗)」

 

言い訳が思いつかないミリアムは大量の冷や汗を流す

 

レイ「まぁ、今回の任務を無事にやり遂げれば不問にしてやっても良いが…」

 

ミリアム「頑張ります!」

 

「任務をやり遂げれば不問」と言うレイの言葉がよほど効いたのか、物凄くやる気を出したミリアム

 

レイ「それじゃ行くぞミリアム」

 

ミリアム「了~解!」

 

そう言ってミリアムは銀色の戦術殻〈アガートラム〉を出現させ、レイは腕をクロスさせて再び広げると背中に雷で出来た翼が形成される

 

そして2人はノルド高原の空を飛び、任務を開始する




レイが背中に形成した翼について設定に追加しました


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実習1日目・終了

ミリアム「ところでさ、前から聞きたい事があったんだけど…」

 

レイ「何だ?」

 

ミリアム「レイってさ、何で〈鉄血の子供たち(アイアン・ブリード)〉に入ってないの?僕やクレア、レクターより凄く強いんだからオジサンにスカウトされててもおかしくないと思うんだよね」

 

レイ「一応、仮という形で〈鉄血の子供たち(アイアン・ブリード)〉には入っている」

 

ミリアム「そうなの!?」

 

レイ「姉さんが俺を宰相に紹介した時、俺の能力に気づいてな。『クレアと同じ〈鉄血の子供たち(アイアン・ブリード)〉に入らないか?』って言われたが俺は『ありがたい話だがすぐには決断出来ない』と言った。すると宰相は『では仮という形で入ればいい』だとよ」

 

ミリアム「オジサンらしいね。良い人材を見つけたら絶対逃さないんだから」

 

レイ「だが仮でも〈鉄血の子供たち(アイアン・ブリード)〉に入れたのはありがたいな。鉄道憲兵隊には無い資料を見れるし…」

 

ミリアム「クレアといつも一緒にいれるしね~にしし」

 

レイ「俺はシスコンじゃねぇ。ふざけた事ばかり言ってるとアガートラムぶっ壊すぞ(怒)」

 

その言葉にミリアムは器用にアガートラムの手の上で土下座する

 

レイ「まったく……っと目的地に到着したぞ」

 

2人が到着した場所は共和国軍の基地近くの崖だった

 

ミリアム「相変わらず物々しいねぇ~」

 

レイ「仕方ないだろう。すぐ傍のノルド高原には帝国正規軍でも5本の指に入るゼクス中将率いる第三機甲師団がいるんだ」

 

ミリアム「だよね~。でも、あいつらの気配は無いね」

 

レイ「まだ作戦が開始されてないという事なのかもな。仕方ない、ここは後にして先にノルド高原の方に行こう」

 

ミリアム「ラジャー!」

 

そしてミリアムはアガートラムに乗り、レイは雷の翼を形成してノルド高原へと向かった

 

 

-ノルド高原にて

レイ「どうやらこちらでもまだ作戦が開始されてないみたいだな」

 

ミリアム「えぇ~…。それじゃどうすんのさ~」

 

レイ「そうだな~…」

 

これからどうするかレイが思案しているとミリアムが何か見つけた

 

ミリアム「ん~…あれって…シカンガクインの人達だ!何でこんな所にいるんだろ?」

 

レイ「前に手紙に書いただろ?俺が所属している〈Ⅶ組〉は〈特別実習〉っていう帝国各地を舞台にした活動をしているって」

 

ミリアム「なるほど~!なんだか面白くなりそう!」

 

レイ「それじゃミリアム、俺は一度彼らと合流しなければならないから後は頼んだぞ?」

 

ミリアム「了~解!」

 

そう言ってミリアムはアガートラムの腕に座り、空を飛んでいき…

 

レイ「さてと…」

 

レイは近くの木に繋いでおいた馬に乗り、集落へと向かった

 

 

-ノルドの集落にて

 

レイが帰ってきたと同時に夕餉の支度が整い、帝国時報のノートンとラインフォルトの前会長グエン・ラインフォルトと共にいただく事にした

 

ノートン「いや~何というか驚いたね。あのグエン・ラインフォルトがこんな場所で暮らしてたなんて」

 

ユーシス「ラインフォルトと言えば昔は火薬を使った武器工房というイメージだったが…いつの間にか鉄道や導力兵器を大々的に手がけていた印象だな」

 

ノートン「ああ。実際ラインフォルトは帝国だけじゃなく大陸諸国でも手広く販路を拡大しているし…その意味では帝国では珍しい「国際人」とも言えるかもしれないね」

 

ガイウス「なるほど…物知りだとは思ったがそこまでの人物だったとは…」

 

ノートン「しかしその彼がどうして会長を辞めたのかは謎なんだよな。一説には病気と言われていたけど全然元気そうだし…(汗)こりゃああの噂の方が正しかったのかもしれないな」

 

リィン「あの噂?」

 

ノートン「おっと何でもない。ゴシップみたいなものだよ。それより噂に名高い鉄道憲兵隊大尉、〈迅雷(サンダー・クラップ)〉のレイことレイ・リーヴェルト君に会えるとはラッキーだよ。後でインタビューさせてくれ」

 

レイ「本来なら姉さんの許可を得なければならないのですが、まぁ良いでしょう」

 

そしてノートンがレイへのインタビューを開始した直後、アリサが出て行った

 

レイ(どうしたんだ?まぁ、リィンに任せれば良いか)

 

ノートン「レイ君?」

 

レイ「ああ、すいません。続けてください」

 

ノートン「それじゃ次の質問だけど、レイ君には彼女さんはいるのかい?」

 

レイ「ふぇっ!?///」

 

ノートン「おっ、今の驚き方を見るといるみたいだねぇ」

 

レイ「えっ…ええ、名前は明かせませんがいますよ///」

 

その後、残りの質問に答えてしてノートンの独占インタビューは終了し、レイはリィンとアリサがどうなったか確認する為にユーシス達と共に外に出るとなにやら良い雰囲気になっていたのでしばらく見守っていたがアリサがリィンの言った『こんな風に皆と』という言葉に違和感を覚えてこちらを振り向き、ようやくレイ達に気づいた

 

アリサ「あ…あ…あなたたち!!?」

 

エマ「あはは…。なかなか帰ってこないので様子を見に来たんですけど……」

 

アリサ「いったいいつからいたの!?」

 

するとユーシスが一呼吸置いて…

 

ユーシス「『--でもそう言う風に言えるっていう事は……多分前に進めるきっかけが掴めたっていう事でしょう?』」

 

アリサ「いやぁぁぁぁ、やめてぇぇぇぇ!!!」

 

先ほどのアリサの言葉をそのまま復唱し、それを聞いたアリサは真っ赤になる

 

エマ「フフッ、思わずジンときちゃいました」

 

ガイウス「ああ…悪いと思ったが良い場面に立ち会わせてもらった」

 

レイ「まるで恋人同士みたいだったぞ」

 

アリサ「あれは…!リィンの恥ずかしい台詞をそのまんま返したでけで…っ!ああもう!何で私が一番恥ずかしい人になってるの!?ええい、こうなったらあなた達も加わりなさいっ!恥ずかしい青春トークを一緒にぶちまけてもらうわよ!」

 

エマ「ええっ!?」

 

ユーシス「フン、お断りだ」

 

アリサが騒いでいるとガイウスがリィンの傍に来て一言

 

ガイウス「お疲れだったな」

 

リィン「いや、こちらの方が力付けてもらったくらいさ。--なぁガイウス本当に…良い所だな」

 

そう言って空を見上げるリィンの目にはノルド高原の満天の星空が広がっている

 

ガイウス「ああ…そうだろう?」

 

その時、レイとアリサの言い合う声が聞こえた。どうやらアリサがレイを青春トークの標的にしたようだ

 

レイ「断固拒否する」

 

アリサ「何でよ?私達より3つ年上なんだから青春トークの1つや2つあるでしょう!」

 

レイ「確かにお前の好きそうな話はあるが絶対に話さん」

 

アリサ「ぬぐぐぐぐ…」

 

するとリィンが2人の間に入ってきた

 

リィン「ならレイ、実技テストの時に何で悲しそうな顔をしていたか話してくれないか?」

 

レイ「お前、気づいていたのか。……話してやっても良いが、なかなか重い過去だぞ?」

 

リィン「かまわない。話してくれ」

 

レイ「分かった。でも遅い時間だからかなりはしょって話すぞ」

 

そしてレイの昔の話が始まった

 

 

レイ「2年前に鉄道憲兵隊に入るまで俺は各地を渡り歩いていた」

 

エマ「旅をしていたんですか?」

 

レイ「いや、強い奴との戦いを求めていたんだ」

 

アリサ「どういう事?」

 

レイ「俺が14の時、故郷の村が猟兵に襲われて壊滅した。あの時、俺に力があればと自分自身を恨んだ」

 

ユーシス「その為に各地を渡り歩いていたのか?」

 

レイ「ああ。各地を渡り歩き始めてから1年後、ある武器を手に入れた」

 

リィン「ある武器っていうのは鉤爪の事か?」

 

レイ「違う、だがいつか話すと約束する。とにかくその武器を手に入れてからは人間では俺の相手にならなくなった。だから俺は戦う相手を魔獣に変えた」

 

エマ(その過程で雷の幻獣を倒したんですね)

 

レイ「しかし、いつしか俺は魔獣だろうが人間だろうが関係なく襲い始めた。そして俺は人々から〈狂戦士(バーサーカー)〉と呼ばれるようになった」

 

ガイウス「〈狂戦士(バーサーカー)〉……。恐ろしい呼び名だな」

 

レイ「そして2年前、俺はレグラムに恐ろしい魔獣が出るという噂を聞きつけて向かったがその魔獣は噂ほどではなかった。俺は強い奴と戦えないストレスがたまり、レグラムの町を襲ってやろうと思った時だった。彼女が現れた」

 

 

クレア『あなたですね?最近、巷を騒がせている〈狂戦士(バーサーカー)〉というのは』

 

レイ『あん?だったら何だ?』

 

レイが振り返るとそこには鉄道憲兵隊で〈氷の乙女〉と呼ばれているクレア・リーヴェルトと部下が数人いた

 

クレア『身柄を拘束させていただきます』

 

レイ『ハッ!やれるもんならやってみな!』

 

そう言ってレイは魔槍と魔剣を取り出して構え、クレアも導力銃クルセイダーを構える

 

 

レイ「そして姉さんに挑んだが、俺はあっさりと負けてしまった」

 

アリサ「〈狂戦士(バーサーカー)〉って呼ばれる貴方を簡単に倒すなんて…」

 

レイ「その後、俺は姉さんの義弟になって今に至るって訳だ。かなりはしょったがこれで良いか?」

 

リィン「ああ、ありがとう。と言うことはあの時悲しそうな顔をした理由は…」

 

レイ「〈狂戦士(バーサーカー)〉時代に何人も傷つけてきたからな。だから俺はやり返されても文句は言えないって事だ。それじゃもう寝るぞ。明日の任務に支障を来したくはないからな」

 

それだけ言うとレイはベッドに潜り込み、目を閉じて3秒で寝息を立て始めた。それを見たリィン達もベッドに入り、眠り始めた

 

まさかその間に監視塔が攻撃されたとも知らずに…




レイの過去話は幕間で詳しく書こうと思います


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襲撃の犯人

レイが仮とはいえ〈鉄血の子供たち〉である事をまだリィンに知られるわけにはいかないので仮面を装着してもらい、偽名を名乗ってもらいます(もちろん服も着替えてもらいます)



―次の日・早朝

レイは早朝にARCUSの通信で監視塔が攻撃されたのを知って、昨日のうちにミリアムと決めておいた集合場所に向かった(ちなみに今のレイの服装は帝都でミルディーヌとのデートで買った赤黒い服装です)

 

レイ「ミリアム、いったい何が起きたんだ?」

 

ミリアム「昨日の夜中3時頃に監視塔が攻撃されたんだ。その前に共和国軍の基地が攻撃されたんだけどね」

 

レイ「という事は、この攻撃は奴らの仕業って事か」

 

ミリアム「十中八九そうだろうね」

 

レイ「よし、なら調査を開始するか」

 

ミリアム「了~解!」

 

そしてミリアムはアガートラムに乗り、レイは雷の翼を纏い調査を開始した

 

―数時間後

レイ「やはり共和国軍と監視塔の攻撃は奴らの仕業だったな」

 

ミリアム「そうだね。これで大体の状況も掴めたけど、どうしよっかな…。」

 

レイ「制圧するだけなら簡単だが逃がす可能性もあるしな」

 

ミリアム「かといってミナゴロシにするのも可哀想だしな~」

 

レイ「さらっと物騒な言葉を使うな」

 

リィン「動くな!」

 

2人がこの後、どうするか思案していると背後からリィン達が現れた。その瞬間、レイは黒い竜が描かれた仮面を装着してから振り向く

 

ミリアム「あ…シカンガクインの人達!」

レイ「ここにいるという事はどうやら俺達の後を追いかけてきたようだな」

 

リィン「!?俺達のことを…!?」

 

ユーシス「貴様ら…一体何者だ!?」

エマ「そ、その大きなものは一体……」

 

リィン「君達は軍の基地が攻撃された事に関係しているのか…?」

 

ミリアム「えぇっ!?ち、違うよぉ~!」

レイ「何か露骨に疑われたな」

 

その時、ミリアムが何か妙案を思いついたようだ

 

ミリアム「そっかぁ、その手があったか!キミ達が手伝ってくれれば万事解決!オールオッケーだよね?キミ達けっこう強いし」

 

ユーシス「なに…!?」

 

エマ「強い…?」

 

ユーシス「貴様…バリアハートで俺達の事を見ていたな?」

 

アリサ「2つの軍事施設への攻撃…あなた達の仕業なの!?」

 

レイ「だから違うと言ってるだろ」

ミリアム「ああもう、何て説明すれば分かってくれるんだろ……」

 

リィン「だったら話せる範囲まででも構わない。君達が知っている情報を教えてくれ」

 

アリサ「リィン…!?」

 

ガイウス「俺達の力が必要と言ったな?この地の平穏を取り戻せるならいくらでも力を貸そう。だから――どうか話してほしい」

 

ミリアム「!……。ふふっ、手伝ってほしいのは監視塔と共和国軍の基地を砲撃した……武装集団の拘束だよ」

 

エマ・アリサ「えぇっ…!?」

 

ミリアム「ボクはミリアム。ミリアム・オライオンだよ。こっちは“ガーちゃん”正式名称は〈アガートラム〉ヨロシクねっ♪」

 

レイ「俺はイーヴィル。よろしくな」

ノルド高原での実習が終わるまでイーヴィル「」と書きます

 

 

その後、リィン一行はゼクス中将に連絡を入れてから武装集団が隠れている〈石切り場〉に来ていた

 

ミリアム「せーのっ!」

ーズガンッ!

 

ミリアムが殴る動作をするとアガートラムも同じように動き、目の前の石の扉を破壊した

 

ミリアム「この建物の奥に武装集団が潜伏しているはずだよ」

イーヴィル「一時間位前にあの高台の入り口から梯子で何人か入るのを見た」

 

リィン達「……(汗)」

 

リィン「にしてもここは…なんだか寂しい場所だな」

 

ガイウス「石切り場。《悪しき精霊(ジン)》が封じられているという千年以上前の巨石文明の遺跡だ」

 

エマ「《悪しき精霊(ジン)》。何だか物々しい言い伝えですね」

 

するとアリサがさっきから気になっていた事をミリアムに問いかける

 

アリサ「ね、ねぇその銀色の…さっきから出したり消えたり…本当にどういうものなの?」

 

ミリアム「んーキミツジコウかな」

 

エマ「機密事項ですか」

 

ユーシス「フン、そっちのお前も同じ物を持っているのか?」

 

イーヴィル「いや、俺はこれだ」

 

そう言って両手に雷を纏い、鉤爪の形にする

 

リィン(これは…俺の力に似ている?)

エマ(サンダードラコの力?もしかしてレイさん?)

 

ミリアム「それじゃレッツゴー!!」

イーヴィル「遅れるなよ」

 

そう言って2人は先に石切り場に入り、遅れてリィン達が入ると妙な気配が漂っていた。エマが言うには〈時・空・幻〉の上位3属性が働いているとの事らしい

 

ガイウス「先ほどからここに漂っている妙な風の正体はそれか」

 

ユーシス「今までと勝手が違うなら気をつける必要がありそうだな」

 

その後、リィン達は現れる魔獣を倒していき遂に襲撃の実行犯達がいる石切り場の最奥に到着した

 

〈石切り場・最奥〉

男1「おい!ここまでやれば十分だろうが……!」

 

男2「とっとと残りの契約金も渡してくれよ!」

 

眼鏡の男「フ…そうはいかない。契約内容は帝国軍と共和国軍が戦闘を開始するまでだったはずだ。もし膠着状態が続くようならもう一押ししてもらう必要がある」

 

男3「チッ…面倒だな」

 

男4「だが前金だけで500万ミラ…」

 

男2「ああ、もう少し我慢すりゃ莫大なミラが…」

 

男1「しかし〈G〉と言ったか。どうしてアンタらはそんなに羽振りがいいんだ?」

 

G「我々の事も詮索しないことも契約に入っていたはずだ。何だったらこの場で契約を打ち切っても構わないが…?」

 

男3「ちょ、ちょっと待てって!ミラさえ出してくれりゃこっちは大人しく――」

 

リィン「させるか!!」

 

男達「なっ…!?」

 

背後からの声に驚き、男達が振り返るとリィン達が立っていた

 

男1「なんだこのガキども!?」

 

リィン「トールズ士官学院〈Ⅶ組〉の者だ!」

 

イーヴィル「監視塔及び共和国軍基地攻撃の疑いでお前達を拘束する」

 

するとリィン達をまじまじと見ていた〈G〉はある事を思い出す

 

G「お前達は…。フン、そうかケルディックでの仕込みを邪魔してくれた学生どもだな」

 

Gの言葉にリィンは驚愕する

 

リィン「ま、まさか…!」

 

G「フフ、あの野盗達を雇っていたのは領邦軍ではなくこの私だったというわけさ。我が名はギデオン!同志達からは〈G〉とだけ呼ばれているがね」

 

エマ「ど、同志?」

 

ガイウス「問答は無用だ。この地に仇なすのならば全力をもって阻止させてもらう」

 

G「フン、知られた以上生かして帰すわけにはいかん。かわいそうだが遠き異郷の地で若き命を散らしてもらおうか」

 

そう言ってギデオンが手を上げると男達が導力銃を構える。それを見たリィン達は急いで武器を構えようとするが…

 

ミリアム「ガーちゃん!」

イーヴィル「ライジングクロー!」

 

男達「ウワァァッ!」

 

男2「なっ…何なんだこの化け物は…!(汗)」

男4「こっ…この男も人間離れした速さだ…!(汗)」

 

リィン「す…すごいな…」

エマ「あっという間に…」

 

ミリアム「む~、化け物だなんてヒドいなぁ」

イーヴィル「まぁ、普通の人間なら視認する事は不可能だからな」

 

G「ククッ、なるほど貴様等“子供たち”だな?銀色の傀儡使い…通称〈白兎(ホワイトラビット)〉」

 

ミリアム「へ~、僕らの事知ってるんだ?」

 

G「ああ。そちらの青年の情報は無いが貴様と共に行動しており、人間離れした力を持っている以上、“子供たち”の一員なのだろう?ならば絶好の機会。この場にいる全員ごとあの世に行ってもらおうか!」

 

そう言ってギデオンは笛を取り出して吹き始めると…

 

リィン「笛…!?何のつもりだ…?」

 

周囲からガサガサと何かが這い回る音が聞こえてくる

 

ユーシス「何だ?」

アリサ「足音?」

 

ガイウス「っ!?皆!上だ!!」

 

その言葉に全員が上を見ると天井の穴から巨大な蜘蛛が現れた

 

ガイウス「こ、こいつは…まさか言い伝えの〈悪しき精霊(ジン)〉…!?」

 

イーヴィル「この石切り場の主という事か」

 

G「どうやら太古から生き残っていた魔獣らしいな。目覚めたばかりで空腹らしいから全員エサになってやりたまえ。それではよき死出の旅を」

 

それだけ言うとギデオンはワイヤーフックで逃げた

 

ミリアム「あ、逃げた」

 

ユーシス「くっ…今は後回しだ!」

 

イーヴィル「解析完了。奴には上位属性がよく効くみたいだな」

 

エマ「なら任せて下さい。シルバーソーン!!」

 

エマがARCUSを駆動し、上位3属性の1つであるシルバーソーンを発動して輝く光の剣を魔獣の周囲に刺して混乱状態にする

 

ガイウス「よし…!俺に任せてくれ!(ノルドの大地そしてⅦ組のみんな--俺に力を貸してくれ!!)カラミティホーク!!」

 

-ズアァァァァッ!!!

 

ガイウスのSクラフト、カラミティホークによって魔獣は倒され、リィン達は武装集団を拘束し急いでゼンダー門へと向かう

 

 

15:00・ゼンダー門

ゼクス「Ⅶ組諸君、武装集団の拘束……大変ご苦労であった。しかし…武装集団について共和国軍に連絡したがやはり信じてもらえなかったようだ。…無理もない。向こうの被害はこちらよりも遙かに大きいかな」

 

アリサ「だ、だからといって…」

 

ガイウス「では共和国軍は…」

 

ゼクス「うむ。空挺機甲師団が出撃準備を完了したらしい……戦闘は避けられぬだろう」

 

エマ「そんな…」

 

ユーシス「クッ、何らかの交渉ルートが確保出来れば話は別だが…」

 

ミリアム「結局あの眼鏡の人には逃げられちゃうし、捕まえた連中も何も知らずに雇われてただけだったしね~」

 

するとまたしてもリィン達はミリアムの方を見る

 

アリサ「というか…あなた本当に何者なわけ?あの眼鏡の男に“子供たち”の1人って言われてたけど(汗)」

 

リィン「それと…〈白兎(ホワイトラビット)〉と言ったか」

 

ユーシス「フン、どう考えても怪しげな背景がありそうだ」

 

ミリアム「……。んーどうしよっかなぁ?あんまりショゾクを表立って明かすなって言われてるんだけど」

 

エマ「!?“所属”…?」

 

レイ「まぁ、その想像は間違ってないな」

 

ミリアム「あっ、レイ!久しぶり~!」

 

アリサ「レイの方も終わったの?」

 

レイ「ああ。それより客人が来てるぞ」

 

ガイウス「客人?」

 

レクター「よう、ミリアム」

 

ミリアム「あっ、レクター!も~遅いよ~!」

 

レクター「スマンスマン。ちょいとクロスベル方面に出張してたもんでな」

 

ミリアム「ああ、あの怖い人達の事務所を用意するっていうアレ?」

 

レクター「それそれ」

 

エマ「どなたしょうか?」

リィン「さぁ?」

 

ゼクス「フム、軍服は着ておらぬようだが我らと同じ立場のようだな?」

 

レクター「は、その通りです。帝国軍情報局特務大尉レクター・アランドールであります。共和国軍との交渉ルートを担当するため参上いたしました」

 

アリサ「えぇっ!?」

 

リィン「〈帝国軍情報局〉…」

 

レイ「すでに共和国政府との交渉に入っておりますので確実に戦争は回避できるそうです」

 

アリサ「良かった~」

 

レクター「と言うわけで後はこっちに任せときな。ガキンチョが世話になったな」

 

ミリアム「ガキンチョって言うな~!」

 

レイ「お前ら、いつまでそうしてんだ?来ないなら俺だけ鉄道憲兵隊の高速列車に乗って帰るぞ?」

 

レクター「ああワリィ」

 

ミリアム「それじゃお兄さんたち、じゃあね~」

 

レイ「リィン、サラには『レイは鉄道憲兵隊の任務の後処理で帝都に帰った』と伝えておいてくれ」

 

リィン「分かった」

 

レイ「じゃあな」

 

その後、情報局の働きによってノルド高原での戦争は回避された。次の日、リィン達はサラとシャロンと共に列車に乗りトリスタへと帰還した




長かった……。次は幕間でレイの過去を詳しく書きます


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幕間・迅雷の過去

レイが鉄道憲兵隊に入る前の話です。この話でレイに幻獣〈サンダードラコ〉以外の力が判明します

今見たら、UAが10000越えておりお気に入りが81件でした。とても嬉しいです。読んでくれた方、お気に入りにしてくれた方、ありがとうございます


過去の話では現在のレイはレイ・と書き過去のレイはレイ『』と書きます


現在・帝都マーテル公園にて

 

ノルド高原の実習が終わり、自由行動日にレイは帝都へと来ていた。ちょうど姉であるクレアも休みだったので2人はマーテル公園に行く事にした

 

レイ「……」

 

クレア「久しぶりに戻ってきたと思ったら何を考えてるの?」

 

レイ「いや、先日〈特別実習〉で俺がノルド高原に行ったのは知ってるよな?」

 

クレア「ええ。貴方達のおかげで武装集団を確保出来たからね」

 

レイ「1日目の実習が終わった時に俺の過去を話したんだ」

 

その言葉にクレアは一瞬驚くがすぐに冷静になる

 

クレア「そう…。それで〈Ⅶ組〉のメンバーはどんな反応したの?」

 

レイ「最初は驚いていたけどすぐにいつの通りの感じに戻ったよ。まぁ、姉さんに瞬殺された事を話したら驚いていたけどな」

 

クレア「その事も話したのね。確かあれは…2年前よね」

 

レイ「ああ。良かったら俺の過去を詳しく話そうか?……ミルディーヌ」

 

クレア「いつまで隠れてるんですか?」

 

レイとクレアがそう言うとベンチの後ろの茂みから私服姿のミルディーヌが現れた

 

ミル「あはは…バレてましたか……(汗)」

 

レイ「鉄道憲兵隊の詰所から出てきた時からな」

 

クレア「大方、私とレイがデートでもするんじゃないかと思って尾行したといった所でしょうか?」

 

ミル「ううっ…全部バレてましたか」

 

レイ「それでどうする?俺の過去を詳しく聞きたいか?」

 

ミル「ぜひ!どんな内容でも驚きませんから!」

 

そう言うミルディーヌの顔は物凄く近かった

 

レイ「そっ…そうか…(汗)それじゃ話すぞ……。今から6年前、俺が14の時まで話はさかのぼる」

 

 

過去・6年前のとある村にて

レイ『フウ~、疲れた~』

 

村人『お疲れさん、今日はもうあがって良いよ』

 

レイ『お疲れさまでした~』

 

 

レイ・6年前の俺は故郷の村にある武器屋で働いていた

 

ミル・14歳の時から働いていたんですか?

 

クレア・いいえ5歳の時からです。弟の両親は弟が生まれてから5年後に亡くなったそうですから

 

レイ・だから武器屋のおっさんに頼んで働かせてもらってたんだ

 

ミル・苦労したんですね

 

レイ・話を戻すぞ

 

 

レイ『さて、今日はもう仕事は終わったしどうするか?』

 

少し思案してレイは住まわせてもらっている教会に戻り、釣り用具一式を持って釣りに向かった

 

レイ・仕事は少しキツかったがそれも1ヶ月で慣れた。ずっとこんな平和な日々が続くんだろうなと思っていた。あの日までは…

 

 

9年後

14歳となったレイが釣りを楽しんだ後、村に戻るが…

 

レイ『なっ…何だよ。これ…?』

 

レイの目の前には故郷が猟兵に襲われている光景だった。その光景を見て呆然としているレイの元に教会の神父が来た

 

神父『おお、無事だったかレイ!』

 

レイ『神父!これはいったい…』

 

神父『この村は今、猟兵に襲われている。これを持ってすぐに逃げなさい!』

 

神父はレイに何かが包まれた物を渡し、逃げろと伝える

 

レイ『だ…だが…』

 

神父『良いから!早く行きなさい!』

 

 

レイ・そして俺は生まれ育った村から出た。少し離れた後に背後を見ると村が炎に包まれていた

 

ミル・渡された包みは何だったんですか?

 

レイ・鉤爪だ。教会に飾ってあった鉤爪を子供の頃に欲しいと言ってな。それを覚えていた神父がくれたんだ。そして村を出た俺は…俺の故郷を奪った猟兵に復讐する為に各地を渡り歩いた

 

クレア・復讐…ですか

 

レイ・最初は何度も死にかけたけど半年もすると鉤爪が手に馴染み、簡単に猟兵を倒せるようになった。そして遂に俺の村を襲った猟兵に出会い、1分で倒してやった。でもその後、ある武器を手に入れてから俺は少しおかしくなった

 

 

1年後・レイ15歳

 

あれから1年後、レイは翡翠の公都バリアハートに来ていた

 

レイ『もっと…もっと強く……。っ!!』

 

レイ(何だ今の気配?真下から?)

 

レイ『すいません。この下には何があるんですか?』

 

近くの住民に真下に何があるか聞くと住民は「地下水道がある」と言われ、レイはお礼を言って地下水道の出入口を探した

 

-数分後

レイ『ここか。ここから妙な気配がする』

 

そう言ってレイは地下水道の出入口をこじ開け、入っていく

 

レイ『翡翠の公都だけあって綺麗な地下水道だな。だが先ほどの気配が強くなっている。やはりこの先に何かあるのか?』

 

そして一番奥まで行くと禍々しいオーラを放っている2つの黒い武器があった

 

レイ『これは…』

 

その武器を手に取ると赤黒いエネルギーがレイの体に入っていき…

 

レイ『くっ…オオォォォォッ!!』

 

体を引き裂かれそうな激痛が体中に走る。だがレイは何故か笑っていた

 

レイ『クハハハハ!これだ。俺が求めていたのはこの力だ!何の力かは知らないが、俺の物になれ!!』

 

するとレイの言葉に反応したのか…激痛は治まっていき、赤黒いエネルギーは完全にレイの物になり2つの黒い武器…魔剣カイザーブロードと魔槍カイザートライデントもレイの物となった

 

そして地下水道から出たレイは街道を歩き、出会う魔獣全てを魔剣と魔槍で切り捨てる

 

-数ヶ月後・帝都

男『ヒィィィッ!もう止めてくれ!』

 

レイ『結構強いって聞いたのにこの程度かよ。つまんねぇな』

 

そしてレイはストレス発散の為に男の両手を折ってから街道に出る

 

レイ『もっと強い奴はいないのか?』

 

-さらに数ヶ月後・ノルド高原北東部

 

レイ『フッ、なかなか強そうな奴だな。お前なら楽しめそうだ』

 

そう言ってレイは魔剣と魔槍を取り出して構える。そんなレイの前にいるのは…

 

『ギャアアアアアッ!!!』

 

雷の幻獣サンダードラコだった。するとサンダードラコは先手必勝と言うように背中から雷のトゲと雷撃を発射した

 

レイ『フッ!グッ…!シャアッ!!』

-ズガンッ!!

 

『ギギャアアアアッ!!』

 

レイは何回か攻撃を受けながらも魔剣から斬撃を飛ばし、サンダードラコの片翼を切り裂いた

 

レイ『どうした?その程度か?』

 

するとその言葉に怒ったのか…サンダードラコは先程の攻撃に加え、口に膨大な雷エネルギーを収束させる

 

レイ『最大の力で勝負か。良いだろう!』

 

そう言ってレイも魔剣と魔槍にエネルギーを収束させる

 

『グオオォォォォッ!!!』

レイ『ハアァァァァァッ!!!』

 

-ズガァァァァンッ!!!

 

サンダードラコの技とレイの技が正面からぶつかり、拮抗状態になるが長くは続かなかった

 

『ギャウッ!?』

 

なんとサンダードラコの攻撃が押し返され始めたのだ。サンダードラコは必死に力を込めるがレイの攻撃を押し返す事は出来ず、遂に…

 

『ギャウアァァァァァァァッ!!!!』

 

レイの攻撃が命中し、サンダードラコは大地に倒れた。するとサンダードラコの体が粒子になり、レイの体に入っていった

 

レイ『サンダードラコの力が俺の物になったのか?』

 

?『そうだ。サンダードラコと貴様の相性が良かったのだろうな』

 

声が聞こえた方を振り向くとそこには赤黒い竜がいた

 

レイ『お前、さっきの奴よりも強いな。何者だ?』

 

?『我が名は邪神竜。幻獣よりも上の存在だ』

 

レイ『そんな奴が何しに来た?』

 

邪神竜『なに、我より劣るとはいえ幻獣を倒した人間に興味があってな』

 

レイ『つまり戦おうってか?』

 

邪神竜『その通り。もし貴様が我に勝てたら我の力ともう1つおまけをくれてやろう』

 

レイ『良いだろう』

 

サンダードラコとの戦いが終わったばかりだがレイの放つ殺気は相当な物だった

 

邪神竜『くらえ!』

 

邪神竜の口から赤黒い炎が放たれ、レイはそれを魔剣で受け止めようとするが…

 

レイ『っ!!』

 

レイは直撃寸前に回避行動を取り、炎は地面に直撃する。しかし炎が直撃した地面は溶けたのではなく一瞬で蒸発していた

 

レイ『マジかよ…』

 

邪神竜『良い判断だったな。あのまま受けていたら魔剣と魔槍は無事だろうが貴様は跡形もなく消し飛んでいた』

 

レイ(サンダードラコより上と言うのは冗談じゃないという事か。どう戦う?)

 

邪神竜『フフフ、先程までの威勢の良さはどうした?カアァァッ!!』

 

邪神竜は連続で炎を放ってくる為、レイは回避行動を取り続けるしかなかった

 

邪神竜『いつまで我の攻撃を回避できるか見物だな!』

 

レイ(クソッ!マジでヤバいな!いつまでも回避できるわけじゃない。早めに突破口を見つけないと…)

 

その時、レイはある事を思い出した

 

レイ(そういえばあいつ、さっき自分の炎を受けても魔剣と魔槍は無事とか言ってたな。もしかして……っ!!)

 

レイ『グアァァァァッ!!!』

 

ある可能性を考えていたせいで直撃ではないが、炎によるダメージを受けてしまったレイ

 

邪神竜『何を悠長に考えている!この一撃で消えろぉぉっ!!』

 

そう言って邪神竜が口に巨大な炎を作り上げていく

 

邪神竜『ハァァァァァァァッ!!!!』

 

邪神竜の口から放たれた超巨大な炎がレイに向かっていくが本人は慌てずにしっかりと炎を見ている。そして息を吸い込み、集中する

 

レイ『スウウ~。フッ!デェェェェヤァァァッ!!!』

 

レイの投げた魔槍は炎を難なく掻き消し、勢いは衰えることなく邪神竜の体に突き刺さる

 

邪神竜『グフウゥゥッ!!な…なんと!』

 

レイ『お前はさっき言ったよな?お前の炎を浴びても魔剣と魔槍は無事だって。という事はこの武器、お前と同じかそれ以上に強いって事だよな?』

 

邪神竜『ムウ~…』

 

レイ『どうやら図星のようだな。そしてようやく見せた隙だ…遠慮なくいかせてもらうぜ!』

 

魔剣にサンダードラコのエネルギーを収束させていき、必殺技を放つ準備をする

 

レイ『いくぜ邪神竜。サンダードラコと魔剣の力を合わせた俺の必殺技……ヘルサンダースラッシュ!!!』

 

-バシュウゥゥゥゥッ!!!

 

雷と赤黒いエネルギーを纏った斬撃が寸分の狂いなく邪神竜に向かっていく

 

邪神竜『うむ。見事なり』

 

そして邪神竜はレイの「ヘルサンダースラッシュ」を受けて爆発を起こして大地に落ち、勝利したレイは武器をしまって邪神竜の傍に来る

 

邪神竜『見事だ人の子よ。お前は試練に打ち勝った』

 

レイ『試練?』

 

邪神竜『いずれ来る戦いの為にお前に力をつけさせる必要があった』

 

レイ『初めから俺を試すつもりで?』

 

邪神竜『ああ。受け取れ、約束の物だ』

 

そう言うと邪神竜の体がサンダードラコと同じように粒子になってレイの体に入り、腕にはブレスレットが装着されていた

 

レイ『このブレスレットがおまけか?』

 

邪神竜『ああ。必要な時になればブレスレットが教える』

 

レイ『そうか。というか…なぜお前の声が聞こえる?』

 

邪神竜『このまま消えるのは勿体ないのでな。お前の中に入らせてもらった。自分で言うのも何だが結構物知りだから使えるぞ』

 

レイ『そうか、それはありがたいな』

 

 

ミル・幻獣どころかそれより上の存在を倒すなんてさすがレイ兄様ですね!

 

レイ・結構危ない状況だったがな

 

クレア・それでも凄い事ですよ

 

レイ・さて、次はいよいよ俺が姉さんに瞬殺された時期だな

 

 

3年後・レイ18歳

レイ「ダアアアアッ!!!」

ーズガァァァンッ!!

 

エベル街道でレイは魔槍カイザートライデントから漆黒の雷撃『ヘルサンダーショット』を放ち、巨大な魔獣を消し飛ばした

 

レイ「フウウ~」

 

邪神竜『この3年で随分な変わりようだな。サンダードラコと我の力、そして魔剣と魔槍の力を扱えるようになり魔獣、人間問わずに戦った結果お前は人間から〈狂戦士(バーサーカー)〉と呼ばれるようになってしまったな』

 

レイ「仕方ないさ。それより、他に強い魔獣の気配は無いのか?」

 

邪神竜『残念ながら無いな』

 

レイ「くそっ。それじゃ、レグラムにある『光の剣匠』が作った道場に向かうか?」

 

そしてレイは街道を歩き、レグラムへ向かおうとした時…

 

?「貴方が最近噂になっている〈狂戦士(バーサーカー)〉ですね?」

 

レイ「ん?」

 

声が聞こえた方を振り返るとそこには青い髪をサイドテールにし軍服を着た女性がいた

 

レイ「あんたは?」

 

?「私は鉄道憲兵隊のクレア・リーヴェルトです」

 

それを聞いたレイは笑みを浮かべる

 

レイ「クククッ。そうか、あの噂に名高い〈氷の乙女〉か。あんたとなら良い勝負が出来そうだ」

 

そう言ってレイは鉤爪を装着し、カイザートライデントとカイザーブロードを構え…

 

クレア「ここで貴方を拘束させてもらいます」

 

クレアはクルセイダーという導力銃を構える

 

レイ「オオオオオッ!!」

 

戦闘開始直後、レイは一気に距離を詰めてカイザーブロードを振るうが…

 

クレア「フッ!そんな大振りな攻撃は当たりませんよ」

 

するとクレアは腰のポケットから数枚の鏡を取り出し…

 

クレア「ミラーデバイス、セットオン!」

 

レイに向かって投げるとレイの周囲を回り始めた

 

レイ「なっ…何だこれは!?」

 

クレア「ミラーデバイス。私の必殺技を放つには必要不可欠の物です」

 

そう言ってクレアは導力銃を構え、ミラーデバイスを狙う

 

クレア「オーバルレーザー照射!!」

ーバシュウッ!!

 

ミラーデバイスを狙って放たれたレーザーは反射し、別のミラーデバイスに当たってまた反射を繰り返してレイの周囲を回る

 

そして遂に反射を繰り返していたレーザーはレイを中心に魔方陣を作り、膨大なエネルギーが放たれる

 

レイ「ガァァァァァッ!!!」

 

クレア「ミッションコンプリートですね。っ!!」

 

ミッションをコンプリートしたと思ったクレアだが気配を感じて爆発の余韻をよく見ると、そこにはボロボロになりながらもまだ立っているレイがいた

 

クレア「そんな!?」

 

レイ「危なかったぜ…。とっさに魔槍で…防御壁を展開しなかったら……やられてたな」

 

クレア「まさか私の必殺技を防ぐとは…驚きました」

 

レイ「と言っても放たれた後に展開したから完全に防御出来なかったがな。おかげで今はもう立ってるだけで精一杯だ。さあ、拘束するなり好きにしな」

 

そう言ってレイは武器を捨て、大地に倒れるがクレアは少し考えこむ

 

クレア「……。いえ、貴方を拘束するのはやめましょう。代わりに私についてきて下さい」

 

レイ「何を考えてる?」

 

クレア「すぐにわかりますよ」

 

 

ミル・本当に瞬殺されてましたね

 

レイ・今は俺の方が強いがな。でも当時は我流だったからあっけなくやられたよ。そしてその後、俺は問答無用で姉さんに帝都に連れていかれた

 

クレア・オズボーン閣下に紹介して〈鉄血の子供たち〉に入れてもらおうと思いまして。私達の一員になれば貴重な戦力になりますから

 

レイ・だが「すぐには決められない」と言ったら「なら仮という形で入るといい」と言われてな。それなら良いかなって思って入ったんだ

 

ミル・ちなみにレイ兄様がクレアさんの義弟になったのはいつ頃ですか?

 

クレア・レイを閣下に連れていったその日のうちにです。帝都に向かう列車の中でレイの過去を聞いたので。

 

 

現在・マーテル公園

レイ「これが俺の過去だ。」

 

ミル「ううっ、レイ兄様って壮絶な過去を生きてらしたんですね(泣)」

 

レイ「ハイハイ、泣かないの。可愛い顔が台無しだぞ」

 

そう言って取り出したハンカチでミルディーヌの涙を拭き取る

 

ミル「あっ…ありがとうございます///」

 

クレア(フフッ、微笑ましいですね。邪魔者は退散しましょうか)

 

クレア「レイ、私は一足先に戻ってますね。貴方は彼女さんとごゆっくり」

 

レイ「なっ!!姉さん!?///」

ミル「彼女だなんて…そんな本当の事を///」

 

ミルディーヌは少しずれた事を言っているが2人はクレアの言葉に甘えてマーテル公園でゆっくりし、その後はミルディーヌ行きつけのカフェで紅茶を飲み、有意義に過ごした




後付けっぽくなって申し訳ありません。ですが閃の軌跡2でマクバーンと戦わせようと思っているので同じように並外れた力が必要なんです。今後はこのような事が無いようにしますのでお許し下さい

邪神竜の力の事は設定に書きました(しかし、2まであまり邪神竜の力を使う事は無いかもしれません)


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第4章・すれ違いと夏至祭
バルフレイム宮にて


ノルド高原での戦闘が回避された事をクレアがオズボーン宰相に報告していた頃、レイは皇族専用テラスへと向かっていた

 

レイ(全く、いきなりバルフレイム宮に呼び出すとは…。アルフィンは何を考えているんだ?)

 

その頃、皇族専用テラスではオリヴァルトとセドリックが来月の〈通商会議〉について話していた

 

セドリック「なるほど…だから兄上が通商会議に参加されるんですね」

 

オリヴァルト「ああ、来月クロスベルで開かれる西ゼムリアにおける初の国際会議と言ってもいい」

 

レイ「〈西ゼムリア通商会議〉…主催地クロスベル自治州からはクロイス市長とマクダエル議長、カルバード共和国からはロックスミス大統領、レミフェリア公国からは国家元首であるアルバート大公、リベール王国からは女王代理のクローディア王太女、そしてエレボニアからはオズボーン宰相と貴方が参加する。いずれも各国のトップかそれに準じる人間が参加する予定の会議ですよね。オリヴァルト殿下?」

 

声がした方に振り向くと軍服ではなく、士官学院の制服を着たレイがいた

 

オリヴァルト「おお、久しぶりだねレイ君」

 

セドリック「もっ、もしかして鉄道憲兵隊の…」

 

レイ「お初にお目にかかりますセドリック殿下。鉄道憲兵隊大尉のレイ・リーヴェルトです。〈迅雷〉のレイと言った方が分かるでしょうか?」

 

セドリック「いえいえ!本名でも異名でもすぐに貴方だと分かりました!僕、帝国時報で貴方の活躍を見てましたから!お会い出来て嬉しいです!」

 

そう言ってセドリックはレイの両手を力強く握り、握手する

 

レイ「あはは…。それは光栄ですが殿下、手を離していただけないでしょうか?痛いのですが…(汗)」

 

セドリック「ああ!すいません!」

 

オリヴァルト「ハハハ。憧れの人物を前に興奮が抑えられなかったかな?それはそうとレイ君、どうしてバルフレイム宮に?」

 

レイ「アルフィンから呼び出しをくらいまして。」

 

オリヴァルト「僕や我が妹を呼び捨てに出来るのは君くらいだね。まぁ、アルフィンのイタズラにも付き合ってくれてるから許してるけどね」

 

レイ「付き合っているというより俺が被害者の場合が多いんだが?」

 

オリヴァルト「それは見解の相違というやつだね」

 

レイ「ちょっとムカついたから一発殴って良いか?な~に、2時間ほど気を失うだけだ」

 

オリヴァルト「ごめんなさい。アルフィンならもうすぐ帰ってくると…」

 

アルフィン「ただいま戻りましたわ」

 

噂をすればなんとやら、ちょうどグッドタイミングでアルフィンが女学院から帰ってきた

 

オリヴァルト「お帰りアルフィン。レイ君がお待ちかねだぞ」

 

アルフィン「あっ、レイさん。すいませんお待たせしてしまって」

 

レイ「いや、自分もさっき来たばかりなんで。それで俺をここに呼んだ理由は?」

 

アルフィン「1つ目は貴方に憧れているセドリックの為です。2つ目はレイさんの〈夏至祭〉の予定を聞いてきてほしいとミルディーヌが。」

 

レイ「なるほど、夏至祭初日に行われる園遊会に一緒に出たいといった所か。まっ、何とか調整して行けそうなら連絡すると言っておいてくれ」

 

アルフィン「ウフフ、了解しましたわ」

 

オリヴァルト「そういうアルフィンは一緒に踊る相手は決まったのかい?」

 

オリヴァルトにそう問われたアルフィンは少し考える素振りを見せながら答える

 

アルフィン「アテはあるのですけど上手く誘えるかどうか…」

 

セドリック「ええっ!?いつの間にそんな相手が…?」

 

アルフィン「フフ♪そこでお兄様にお願いがあるのです。聞いてくださいます?」

 

アルフィン(この事は当日までエリゼに内緒で進めないといけませんわね…。そういえば放課後見かけなかったけれどどこへ行ったのかしら?)

 

レイ(また何か企んでるな?)

 

その頃、エリゼは〈聖アストライア女学院〉の屋上でリィンからの手紙を読んで悲しんでいた

 



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エリゼ・士官学院へ

初めて妹との屋上イベントを見た時、リィンは人の気持ちを分かってないな~と思いました


その後、レイは憲兵隊詰所に戻って夏至祭初日の日程を確認し、なんとか調整出来そうなので夜にミルディーヌに連絡する事にした

 

ドミニク「あっ、レイ大尉戻ってたんですね」

 

レイ「ああ。もうすぐ夏至祭だからな」

 

ドミニク「そうですね。ちなみに大尉のご予定は?」

 

レイ「ある奴に園遊会に誘われた。何とか調整出来そうだから夜にも連絡するつもりだ」

 

ドミニク「へぇ~、大尉も隅に置けませんね~」

 

そう言ってドミニクはニヤニヤしながらレイを見る。それを見たレイは一言

 

レイ「ドミニク、あんまりからかうなら夏至祭の間はずっと任務につかせるぞ(怒)」

 

ドミニク「そ、それだけは勘弁して下さい!私、一年の中で夏至祭が一番の楽しみなんですから!」

 

レイ「冗談だ。だが今度からかうような事を言ったら…」

 

ドミニク「い…言ったら?」

 

レイ「地獄の特訓を3日連続で受けさせる」

 

それを聞いたドミニクは顔が蒼白になり、ガタガタと震え始めもう恋愛関係でからかわないと誓った

 

レイ「ところで俺に何か用があったんじゃないのか?」

 

ドミニク「そっ、そうでした。実は大至急目を通してほしい書類がありまして…」

 

レイ「分かった。俺のデスクに置いといてくれ」

 

そしてレイのデスクに書類を置いたドミニクは去っていった

 

レイ(かなりの量だな。終わるのは夕方くらいになるな)

 

 

-数時間後

 

レイ「ん~、ようやく終わったか。やはり夕方までかかったな」

 

書類仕事を終えたレイがトリスタに帰る為に導力バイクに乗り道を走っていると、見知った顔を見つけてバイクを停車させて駆け寄る

 

レイ「お久しぶりですねエリゼ嬢」

 

エリゼ「あっ、レイ大尉。お久しぶりです」

 

レイ「駅に入ろうとしていたようですが、どこかに出かけるのですか?」

 

エリゼ「トリスタの方に。もちろん女学院の許可は貰ってます」

 

レイ「そうですか。しかしトリスタ方面の列車は行ったばかりですよ?」

 

エリゼ「そうなのですか!?どうしましょう…今日中にトリスタに行きたいのに…」

 

レイ「よろしかったらお送りしましょう。こちらへどうぞ」

 

そう言ってレイはエリゼを停車させている導力バイクの所へ連れてきた

 

エリゼ「これは?」

 

レイ「導力バイク。まぁ、導力車の二輪版みたいな物ですかね。ちゃんと2人乗りも出来ますのでどうぞ。ああ、乗った後はちゃんと自分の腰に手を回して下さいね」

 

エリゼ「えっ!?///」

 

レイ「導力バイクはかなりのスピードが出るので振り落とされないように…」

 

エリゼ「あ…なるほど///それでは失礼します」

 

エリゼがレイの腰に手を回すとレイは導力バイクのエンジンを始動し、トリスタへ走り始めた

 

 

-15分後・トールズ士官学院正門前

レイ「トリスタに到着しましたよ。申し訳ありませんが自分はこの後、学院長に用事があるのでリィンの元には…」

 

エリゼ「いえ、ここまで大丈夫です。ありがとうございました」

 

エリゼが1人で行こうとパトリックがこちらに近づいてくるのが見えたので、レイは声をかける

 

レイ「パトリック、丁度良いところに来た。ちょっと頼みがあるんだが…」

 

パトリック「貴方が頼み事とは珍しいですね?」

 

(Ⅰ組対Ⅶ組の模擬戦以降、パトリックはレイに対して敬語を使うようになりました)

 

レイ「そうか?まぁ、とにかくこの人をリィンの元に連れて行ってくれ」

 

エリゼ「リィンの妹のエリゼ・シュバルツァーと申します」

 

視線の先にいるエリゼを見てパトリックは顔が赤くなるが、すぐに元のキリッとした顔に戻る

 

レイ「それじゃ頼んだぞ」

 

パトリック「ま…任せて下さい」

 

エリゼをパトリックに任せたレイは校舎に入り、学院長室へと向かう

 

レイ「失礼します」

 

ヴァンダイク「おお、レイ君か。いったいどうしたんじゃ?」

 

レイ「もうすぐ夏至祭ですので部下達の指揮を取らねばなりません。なので明日からは鉄道憲兵隊に戻ろうと思いまして」

 

ヴァンダイク「うむ、分かった。サラ君や他の教官には私の方から話しておこう」

 

レイ「ありがとうございます。それでは失礼します」

 

学院長に伝えるべき事を伝えたレイは部屋を出て、そして校舎を出て寮に帰ろうとした時、扉が開く音が聞こえてそちらを振り返るとエリゼが校舎から出てくるところだった

 

レイ(エリゼ嬢?)

 

なんとなく何かあったと感じたレイは小走りでエリゼの後を追いかける。そして旧校舎の前まで来るとパトリックが何かを探してウロウロしていた

 

レイ「何をしているんだパトリック?」

 

パトリック「っ!?ああ、貴方か。いや、エリゼさんに最後に挨拶をと思いまして…」

 

レイ「彼女はこちらに来たのか?」

 

パトリック「はい、それは間違いなく」

 

レイ(となると…)

 

その時、リィンとクロウが慌てた様子で旧校舎へ走ってきた

 

リィン「レイ!パトリック!エリゼを見なかったか?」

 

パトリック「リィン・シュバルツァー!」

 

レイ「俺は校舎から出てくるエリゼ嬢を見かけた。そしてパトリックは旧校舎へと向かう彼女を見たんだよな?」

 

パトリック「はい、そうです」

 

クロウ「なら旧校舎の中にいるんじゃねぇのか?」

 

リィン「でも扉はさっき施錠したばかりですよ」

 

そう言ってリィンは旧校舎の扉のノブに手をかけるとガチャリと扉が開いた

 

パトリック「なんだ、開いてるじゃないか」

 

リィン(どういう事だ?)

 

レイ「とにかく奥へ行こう」

 

そして4人は奥の部屋にある昇降機に乗り、降りていく。だが第4層に到着した瞬間に4人が見た物は巨大な甲冑とその傍で倒れているエリゼだった

 

リィン「っ!!エリゼェェェェッ!!!」

 

甲冑が大剣を持ち上げた瞬間、リィンは昇降機から飛び降りてエリゼを守るように甲冑の前に立つ

 

クロウ「なっ!?」

パトリック「ひっ、1人では危険だ!!」

レイ「あのバカ!!」

 

3人は昇降機が止まってから急いでリィンに駆け寄るが、何か様子がおかしかった。リィンが胸をギュッと握ると体全体から物凄いオーラが立ち上ぼり、髪は白くなり、目は赤くなっていた

 

パトリック「ひっ…」

 

クロウ「髪が……それに紅い瞳…?こいつはいったい……!」

 

レイ「なるほど、まさかリィンも持っていたとはな」

 

クロウ「お前、何か知ってんのか?」

 

レイ「詳しい事は知らん。だが俺と同じ人外の力を解放したようだ」

 

パトリック「同じって……まさか…」

 

するとレイはフッと笑い、腕を胸でクロスして…

 

レイ「ハアァァァァァァッ!!!」

 

自身の体に宿っている2つの力の内1つを解放する。すると髪は変化していないが、目はリィンと同じように紅くなり、体の周囲にはバチバチッと稲妻が走っている

 

レイが力を解放したのと同時にリィンは「これ以上、呑み込まれてたまるか」と呟きながら力を無理矢理抑え込んだ

 

レイ「(力を拒否して無理矢理抑え込んだか)パトリック、お前はエリゼ嬢を安全な場所に避難させてくれ」

 

パトリック「わっ…わかりました!」

 

レイ「クロウは俺と一緒にあいつに加勢する」

 

クロウ「よっしゃ、任せとけ!」

 

レイ「加勢するぞリィン!」

クロウ「3人がかりならいけるはずだ!」

 

リィン「っ!?レイ、その姿は…」

 

レイ「今は目の前の敵に集中しろ!」

 

そしてクロウが二丁拳銃の銃撃で敵をひきつけ、その隙にリィンが〈弐の型・疾風〉を、レイが雷を纏った〈カイザーリッパー〉で巨大な甲冑を倒した

 

クロウ「…ったく、こういう修羅場は半年前に卒業してるっつーのに…」

 

リィン「はは、助かりました…。それにしても先輩もARCUSが使えたんですね」

 

クロウ「おう、お前らⅦ組の為の試験導入に参加してな。トワやゼリカ達とはその時からの付き合いってわけだ」

 

レイ「いい加減でギャンブル好きで気まぐれなお調子者のお前が試験導入に参加?そんなマジメな奴だったか、お前?」

 

クロウ「うるせぇよ!!」

 

その後、サラやⅦ組のメンバーが第4層に到着しサラにここであった出来事を報告すると今後は入らない方がいいかもと言われた。しかしⅦ組のメンバーは矢継ぎ早に反対意見を出し、サラは旧校舎探索の続行を認めた

 

そして全員が昇降機で地上に戻ろうとした時、エマがある一点を睨んでいるのでレイもそちらを見るとセリーヌがいた

 

レイ(なるほど、今回の騒動の原因はセリーヌか。まぁ、あの様子だとエマと知り合いみたいだし、後でこっぴどく怒られるだろうから俺が怒る必要はないな)

 

―夜・第3学生寮にて

 

レイ「さて、明日の準備は完了したし、後はミルディーヌに連絡するだけだな」

 

ARCUSを取り出し、ミルディーヌに通信を入れる

 

ミル『はい、ミルディーヌです』

 

レイ「ミルディーヌか?レイだ」

 

ミル『まぁ、レイ兄様ですか!?こんな遅くに通信してくるなんて、もしかして夜の帝都に繰り出していけない場所に…』

 

レイ「違うからな(汗)夏至祭初日の園遊会についてだ」

 

ミル『もちろん分かってますわ。それでどうなのでしょうか?』

 

レイ「(相変わらずだな(汗))ああ、何とか時間が作れそうだから園遊会に出席出来る」

 

ミル『本当ですか?フフッ、それじゃ園遊会楽しみにしてますわ。おやすみなさいレイ兄様』

 

レイ「おやすみミルディーヌ」



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夏至祭に向けて

―翌日・早朝の第3学生寮前

 

レイ「それじゃ、いってくる」

 

シャロン「私が作った昼食は向こうで食べて下さいね。可愛い恋人さんと一緒に」

 

レイ「っ!?なぜそれを…。いや、お前ならあり得るか」

 

シャロン「ウフフ。それでは皆様には私から報告しておきますわ」

 

レイ「頼む。だがミ…あいつの事は言うなよ。特にアリサにはな。質問攻めにあったら面倒だ」

 

シャロン「承知しましたわ」

 

そしてレイは導力バイクのエンジンを始動し帝都ヘイムダルへと向かった

 

 

―15分後・鉄道憲兵隊詰所

レイ「さてと…」

 

クレア「久しぶりねレイ」

 

レイ「あっ、姉さん」

 

クレア「最近、士官学院はどう?」

 

レイ「授業はついていけてるし、特別実習も問題ないけど…」

 

クレア「けど?」

 

レイ「いや、後で話すよ。今は夏至祭の警備体制をなるべく万全にしよう」

 

クレア「そうね(何かあったのかしら?)」

 

その後、レイは軍服に着替えてクレアと共に部下達が待つ会議室へと向かう

 

そしてレイとクレアが会議室に入ると部下達が立ち上り、一斉に敬礼する

 

クレア「それではこれより、夏至祭警備の会議を始めます」

 

そして1時間後…

 

クレア「では夏至祭当日は私の部隊がヴァンクール通りから西側のエリアを…」

 

レイ「俺の部隊がヴァンクール通りから東側のエリアを担当する。何か質問は?」

 

2人の言葉に異論を唱える者はいなかった

 

クレア「それではこれで会議は終了します。警備関係で何か伝えたい事があったら、夏至祭までに私かレイに進言して下さい」

 

レイ「以上、解散!」

 

会議が終わり、部下達が会議室を出ると2人も部屋を出て詰所内を歩く。するとクレアが気になっていた事をレイに訊ねる

 

クレア「ねぇ、レイ。さっき何か言いかけてたけど、何だったの?」

 

レイ「ああ。実はさ…」

 

レイは昨日、旧校舎であった出来事を事細かくクレアに話した

 

クレア「そんな事が…」

 

レイ「まあ、それでもリィン達は旧校舎の探索を止めないみたいだがな。度胸があるというか怖いもの知らずというか」

 

クレア「昔の貴方みたいね。鉄道憲兵隊に入りたての頃は誰であろうと勝負を挑んで…」

 

レイ「やめてくれ。今では思い出したくない黒歴史だ」

 

クレア「フフッ。この後はどうするの?」

 

レイ「そうだな。私服に着替えてレクターに貸した金を返してもらった後はミルディーヌの所に行くか。園遊会に誘われたから、どういう服装が良いか聞かなきゃならないし」

 

クレア「あら、園遊会に誘われたの?」

 

レイ「ま…まぁな///」

 

クレア「でもレクターさんにお金を返してもらうって?」

 

レイ「あいつ任務でクロスベルに行ってた時があったろ?その時に…」

 

レクター『おう、レイ丁度良かった。今からクロスベルに出張に行くんだけどよ、ワリィんだが3万ミラ貸してくんね?』

 

レイ「その時は必要な物を買うために貸してと言ってきたんだと思ったが、後で奴に聞いたらクロスベルにカジノで使う金だったんだ」

 

クレア「あの人らしいわね…」

 

レイ「結果は全戦全勝したらしいが、あいつはとぼけていまだに金を返してない。だから今日こそは返してもらう(怒)」

 

クレア「ほ…ほどほどにね(汗)」

 

レイ「ああ、それじゃ」

 

その後、レクターの仕事場でレクターの悲鳴と誰かの怒声が響いたらしい。

 

 

―数日後

レイ「さて、今日はリィン達が〈特別実習〉で帝都に来る」

 

クレア「それじゃ、彼らが到着する前にお迎えに行かなければいけないわね」

 

レイ「そうだな」

 

2人は憲兵隊の車両に乗ってある人物を迎えに行く為に帝都庁へと向かう

 

―帝都庁

レイ「お待たせして申し訳ありませんレーグニッツ帝都知事」

 

カール「いやいや、時間ピッタリだよ。それじゃ行こうか」

 

クレア「はい。こちらへどうぞ」

 

そして帝都知事を乗せた後、憲兵隊の車両はヘイムダル駅へと向かう

 

カール「息子に会うのも数ヶ月ぶりか…。そういえばレイ大尉は息子と同級生だったね」

 

レイ「ええ。アホ皇子の策略でトールズに入学しましたから。」

 

カール「君の目から見て息子はどうかな?上手くやってるかい?」

 

レイ「そうですね~。最初の頃は〈四大名門〉の一角であるアルバレアの子息のユーシスとよく言い争っていましたね。他にはリィンと少し気まずい仲になった事も。でも、今では和解して良い感じにクラスに馴染んできましたよ」

 

カール「そうか、良かった」

 

クレア「そろそろヘイムダル駅に到着します」

 

そしてヘイムダル駅に到着し、3人は中へと入っていくと丁度特科クラス〈Ⅶ組〉の面々が到着していた

 

クレア「ようこそ帝都ヘイムダルへ」

レイ「時間通りだな」

 

アリサ「あ、貴女は!」

リィン「クレア大尉!」

 

クレア「フフッ、3ヶ月ぶりですね」

 

エリオット「それに…」

マキアス「レイ…あ、いやレイ大尉まで」

 

レイ「いつも通り呼び捨てで構わん。それより特別ゲストがお待ちかねだ」

 

ユーシス「特別ゲスト?」

 

すると2人の後ろから帝都庁の長官にしてヘイムダルの知事を務めているカール・レーグニッツが現れた

 

カール「マキアスの父、カール・レーグニッツだよろしく頼むよ士官学院〈Ⅶ組〉の諸君」

 

マキアス「とっ、父さん!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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怪盗の挑戦状

お気に入りが100件越えてました。皆さん、ありがとうございますm(__)m


その後、レーグニッツ帝都知事は〈Ⅶ組〉に特別実習の課題を渡して帝都庁へと帰り、リーヴェルト姉弟は憲兵隊の詰所に帰還した

 

レイ「さて、この後は…」

 

ドミニク「レイ大尉!!」

 

―ガンッ!!

 

ドミニク「あっ、クレア大尉お疲れ様です!!あのレイ大尉はどちらにいますか?」

 

クレア「貴女の下…(汗)」

 

ドミニク「へっ?」

 

そう言われて恐る恐る足下を見ると頭を押さえたレイがうつ伏せに倒れていた(しかもドミニクが背中を踏んだ状態で)

 

レイ「ド~ミ~ニ~ク~(怒)」

 

ドミニク「キャアァァァァッ!!!ごめんなさいレイ大尉!!!」

 

レイ「お前なぁ、いきなり扉を開ける奴があるか!!俺もずっと扉にいたのは悪かったが、それでもノック位しろ!!」

 

ドミニク「すいません!!すいません!!急いでいたもので!!」

 

クレア「それでレイに何の用なのですか?」

 

ドミニク「あっ、はい。実はこのような物がレイ大尉宛に届きまして。」

 

ドミニクが差し出したのは一枚の封筒だった

 

ドミニク「最初はレイ大尉のファンの人からかと思ったんですが…」

 

クレア「違ったのですか?」

 

レイ「どうやらあの変態もとい〈怪盗紳士〉からの挑戦状だな」

 

封筒の裏をクレアとドミニクに見せるとそこには確かに怪盗Bと書かれていた

 

クレア「内容は?」

 

レイ「え~っと、『やあ、〈迅雷〉。バリアハート以来だね。今回、〈Ⅶ組〉A班の面々にとあるゲームに挑んでもらっている。なので君にもそのゲームに参加してほしい。断れば、君の大切な宝物がどうなるか分からないぞ』だってさ」

 

クレア「ドミニク少尉、何か盗まれたという報告はあがってますか?」

 

ドミニク「いえ、そのような報告は来てませんが…」

 

レイ「リィンに聞いたほうが早いな」

 

レイはARCUSを取り出し、A班のリーダーであるリィンに連絡する

 

レイ「リィンか?ちょっと聞きたい事があるんだが、お前達の方で怪盗B関係で何か起こってないか?」

 

リィン『なっ、何で分かったんだ!?実は…』

 

レイ「なるほどな。俺の方にも怪盗Bからの手紙が来てな。お前達のやっている事に参加しろと言ってきた」

 

リィン『それじゃ、ドライケルス広場に来てくれ。すでに1つ目の謎は解いてそこにいるから』

 

レイ「分かった」

 

通信が終わったレイはクレアとドミニクにリィンから聞いた事を話す

 

クレア「なるほど、わかりました。ではレイはこのままリィンさん達に合流して下さい」

 

ドミニク「本来なら鉄道憲兵隊が出動しなければならない事案ですが、相手が我々の介入を禁じているなら仕方ありませんね」

 

レイ「それじゃ行ってくる。もし、怪盗紳士関係で新しい情報が入ったらすぐに連絡してくれ」

 

ドミニク「了解しました!」

 

そして士官学院の制服に着替えたレイは〈Ⅶ組〉A班の待つドライケルス広場へと向かう

 

 

―ドライケルス広場

レイ「待たせたな」

 

リィン「いや、大丈夫だ」

 

レイ「それで?通信では第2の謎を見つけたという話だが?」

 

ラウラ「ああ。これなんだが…」

 

ラウラから渡された紙には『第2の鍵は光透ける箱庭の中、北東の座に』と書かれていた

 

レイ「ずいぶん分かりやすいな」

 

フィー「分かるの?」

 

レイ「帝都に住んでる者なら分かる。最初の光透ける箱庭はマーテル公園だな」

 

ラウラ「何故その公園だと?」

 

レイ「行けば分かる。さぁ、俺が乗ってきた憲兵隊の車両に乗れ。導力トラムを待つより早い」

 

そして憲兵隊車両に乗って部下にマーテル公園に向かうように指示する。

 

数分後、マーテル公園に到着するとレイはある所を指差す

 

レイ「あれが怪盗Bの第2の鍵の答え、クリスタルガーデンだ」

 

ラウラ「なるほど、確かに光透ける箱庭だな」

 

中に入ると、クリスタルガーデン内の北東に位置する椅子に新たな怪盗Bのカードが張りつけてあった。その後もいくつかの謎を解いていって遂に…

 

レイ「最後の鍵は『歌姫を迎える絢爛な客亭、深紅の宝は黒き匣に包まれてその門に眠る』だったな。ならここしかないな」

 

レイ達が立っているのは帝都では知らない者はいない老舗ホテルだった

 

レイ「行くぞ」

 

そう言ってレイはホテルに入っていき、リィン達も後に続く。そしてホテルの支配人に事情を話す

 

支配人「黒い匣ですか?そのような物があると伺ってはいませんが…」

 

マキアス「うーむ、ホテルには来たが…」

 

エリオット「歌姫っていうのが引っかかるよね?」

 

?「あら?支配人、その子達は?」

 

女性の声が聞こえ、振り返ると蒼を基調にした美しいドレスを着た女性が階段を降りてきた。それを見たマキアスとエリオットは…

 

2人「あっ…ああああっ!!!」

 

マキアス「ヴィ…」

エリオット「ヴィ…」

 

2人「ヴィータ・クロチルダ!!!」

 

エリオット「す…凄い。本物だ…!!」

マキアス「ま…まさか、会える日が来るとは…!!」

 

リィン「えっと、その人は?」

 

レイ「ヴィータ・クロチルダ。有名なオペラ歌手で蒼の〈歌姫〉と言われている人物さ」

 

しかしリィンとラウラとフィーはレイの説明を聞いても理解していなかった

 

エリオット「…って知らないの!?」

 

ヴィータ「ヴィータ・クロチルダ。オペラ歌手をやっているわ。良かったらご贔屓にね。有名って言ってもオペラの世界だけだもの。知らなくたって無理ないわよね」

 

リィン「ど、どうも…」

フィー「綺麗な人かも…」

 

ヴィータ「どこかの学生さん?もしかして私のサイン目当てでわざわざ来てくれたのかしら?」

 

エリオット「はいっ、それはもうっ!!」

マキアス「それ以外に用事などあるわけがありません!!」

 

リィン&レイ(いやいや、違うだろ!?)

 

リィン「俺達はトリスタにあるトールズ士官学院の者です。今日は実習でこちらに来ていまして」

 

ヴィータ「今の学校では面白い事をやってるのね。ところでそちらの貴方、どこかで見た事があるわね?」

 

レイ「ああ、この制服では分かりませんよね。鉄道憲兵隊所属レイ・リーヴェルト大尉です」

 

ヴィータ「やっぱり。式典などでよく見かけるわ」

 

レイ「ありがとうございます。それより劇場に向かわなくてもよろしいので?」

 

ヴィータ「あら、いけない。時間が押してるんだったわ。それじゃ実習頑張ってね」

 

そしてヴィータはリィン達に手を振って劇場に向かった

 

エリオット「はぁぁ~、雑誌で見るよりも何倍も綺麗だったね~」

 

マキアス「うむ、さすがに本物は違うな」

 

2人「……。ああ!結局サインもらい損ねた!!」

 

―ゴスッ!!

 

レイ「まだ言うか。今は実習に集中しろ」

 

2人「はい…」

 

レイに殴られた頭を押さえながら頷く2人。すると支配人が何かを持ってリィン達に近づいてくる

 

支配人「お客様、先ほどおっしゃっていた箱というのはこちらでは?ロビーに置かれていたそうなのですが…」

 

そしてリィンが黒い匣を受け取って開けると中には盗まれた〈紅蓮の子冠〉が入っていた

 

ラウラ「これが〈紅蓮の子冠〉…。まるで燃えるような輝きだな」

 

フィー「これ、一億ミラって言ってたよね?」

 

リィン「ああ、早く宝飾店に届けよう」

 

レイ「わざわざありがとうございます」

 

支配人「いえいえ、探し物が見つかって何よりです」

 

レイ「ですが、そろそろ正体を現したらどうですか?」

 

支配人「なっ、何をおっしゃっているんですか?」

 

レイ「他の者ならともかく、俺を騙せると思ったか?」

 

レイの殺気を含んだ言葉を受けた支配人は「フフフ」と軽く笑うとホテルから逃げ出す

 

リィン「あっ、待て!」

 

偽支配人を追いかけてリィン達は裏路地のような所に来た

 

ブルブラン「フッ、これだから…これだから、青い果実はたまらない」

 

声がした方を見ると貴族風のマントを羽織って仮面を着けた男がいた

 

ラウラ「さっきの男爵!」

マキアス「か…怪盗Bの仮面じゃないか!」

 

ブルブラン「改めて、〈怪盗B〉こと〈怪盗ブルブラン〉という。ブルブラン男爵は仮初の姿に過ぎない。しかし〈迅雷〉、なぜ私が支配人に変装していると分かった?」

 

レイ「お前と1度戦っている俺をメンバーに加えるとは、お前らしくないミスだったな。俺は1度でも接触した人間の気配は覚えてるんだ」

 

ブルブラン「ほう?それは迂闊だったな」

 

レイ「さて、お前はここで拘束させてもらうぞ」

 

レイの言葉にリィン、ラウラ、フィーの3人が武器を構えるが…

 

ブルブラン「フフ、威勢の良い事だ」

 

そう言ってマントを翻すと一瞬で姿が消え、側の建物の屋上にいた

 

ブルブラン「此度は存分に楽しませてもらった。諸君らの活躍、これからも期待している。次なる邂逅を楽しみにしていてくれたまえ」

 

レイ「次なる邂逅などない」

 

ブルブラン「っ!?」

 

レイ「シャアッ!」

 

いつの間にかブルブランの横にいて〈サンダードラコ〉の力を纏ったレイが鉤爪を振るうが、ブルブランはそれを間一髪で避けて転位術でその場から消えた

 

レイ「チッ!逃げ足の早い奴だ」

 

鉤爪をしまい、皆の元に戻ってくるとリィン以外の皆が呆けたような顔をしていた

 

レイ「どうした皆?」

 

ラウラ「いや、そなたの力に皆が驚いてしまってな」

 

レイ「ああ、そういえば俺の持つ力の事をキチンと話した事がなかったな。今回の実習が終わったらゆっくり話してやるよ」

 

その後、レイはリィン達を憲兵隊車両に乗せてドライケルス広場で降ろすと自分はそのまま憲兵隊詰所に戻っていった

 

―憲兵隊詰所

レイ「戻ったぞ」

 

ドミニク「レイ大尉、お疲れ様です!」

 

クレア「お疲れ様レイ」

 

レイ「怪盗のせいで肉体的、精神的に疲れたからしばらく休ませてもらうぜ。この後の仕事に支障を出すわけにはいかないからな」

 

クレア「分かったわ。その間のレイの仕事は私がやっておくから」

 

レイ「サンキュー、姉さん」

 

そしてレイは仮眠室に入り、3時間ほど寝る事にした

 

 

―3時間後

レイ「さて、仮眠して疲れは取れたし夜の見回りに行くか」

 

そう言ってレイは憲兵隊車両に乗り、見回りを開始する

 

ー数時間後

 

レイ「ヘイムダル港は異常無しと…。次のマーテル公園で見回りは最後だな。そういえばフィーとラウラはまだあのままか?」

 

実は2人が帝都で同じ班になってから更にギクシャクしているのをレイはあっさりと見破っていた

 

レイ「まっ、今回俺は特別実習の班に入ってないから何も言えないが、早めに解消してほしいな」

 

そしてレイはマーテル公園に到着して公園内を見回っているとクリスタルガーデンの横にある休憩所から若い男の声が聞こえた

 

レイ(この声はまさか…マキアスか?)

 

休憩所に近づくと巡回兵に一生懸命言い訳をしているマキアスとリィン、そして武器を持ったフィーとラウラがいた

 

レイ(あ~、何となく理解したわ。しょうがない、助けてやるか)

 

なぜリィン達がここに居るか分かったレイは更に休憩所に近づく

 

レイ「お前ら、何をしている?」

 

巡回兵1「レ、レイ大尉!?お疲れ様です!!」

 

レイ「お前達もお疲れ様。それで、何やってるんだ?」

 

巡回兵2「はい。付近の住民から公園内で妙な音がするという通報があったので駆けつけたら、彼らが…」

 

巡回兵2が指さす先には「申し訳ない」という感じのリィンとマキアスとあまり「申し訳ない」という感じが出ていないフィーとラウラがいた

 

レイ「ああ、彼らがここで戦うのは俺が許可した」

 

その言葉に巡回兵達はもちろん、リィン達も「えっ?」という顔つきになるがかまわずにレイは続ける

 

レイ「俺がトールズに在学しているのは知っているだろう?彼らは同級生でね。いつも寝る前に軽くやりあうのが日課だからどこか良い場所は知らないかと聞かれてここを推薦したんだが、ミスったな。まさかここまで激しくやるとは…。とにかくこの件は俺が預かるからお前達は帰って良いぞ」

 

巡回兵1「そ…そうですか?それではお言葉に甘えて…」

巡回兵2「失礼します!レイ大尉!」

 

巡回兵達はレイに敬礼してマーテル公園から去っていった

 

マキアス「た…助かった~…」

リィン「ありがとうレイ」

 

レイ「フィーの過去を知る為とはいえ、近くに人家もあるんだから通報されるのは当たり前だろうが」

 

フィー「あれ?私の過去を知る為にラウラと戦ったなんて言ったっけ?」

 

レイ「言ってないが、現時点でお前とラウラが戦う理由なんてそれ位しかないだろう」

 

ラウラ「見事な推理だな。まさにその通りだ」

 

レイ「全く…感心してる場合か?俺が通りかかって巡回兵に嘘言わなきゃ、お前ら2時間はたっぷりと説教されてたぞ?」

 

マキアス「なっ!?」

 

レイ「とにかくお前らの宿泊先まで送ってやるから、今日のレポート書いたらさっさと寝ろ。これ以上の面倒事はゴメンだからな」

 

リィン「すまない…」

 

その後、リィン達は昼間と同じように憲兵隊車両に乗せてもらい、元遊撃士協会の建物まで送ってもらった




予想以上に長くなってしまった…(汗)書きたいものを書くとやはり長くなる…。これからは気をつけます…


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サプライズ

―翌日、レイは夏至祭に向けて警備体勢を見直したり、書類仕事に追われていた

 

クレア「レイ、ちょっと良い?」

 

レイ「なに?」

 

クレア「この書類なんだけど、エンゲルス中尉の代わりにやっておいてくれないかしら?私はこれからレクターさんに会い行かなければならないし…」

 

レイ「構わないけどよ。しかし夏至祭が近づくといつもこんな事があるな」

 

クレア「仕方ないわ。帝都で一番盛り上がる日だし」

 

レイ「そうだな。ところで巡回は誰が?」

 

クレア「ドミニク少尉が行くわ」

 

レイ「そっか。気をつけてね」

 

クレア「ええ。ちなみにエンゲルス中尉はすでに巡回に出てるわ」

 

レイ「了解。」

 

クレア「それじゃお願いねレイ」

 

そしてクレアは大量の書類をレイのデスクに置き、自分はレクターのもとへと向かった

 

 

―数時間後・夕方

レイ「ようやく終わった…(汗)あぁ~肩がこった~。」

 

大量の書類仕事が終わり、グッと体を伸ばすレイ。するとARCUSの通信音が響く

 

レイ「誰だ?はい、こちらレイ・リーヴェルト」

 

サラ『あぁ、レイ?今、大丈夫?』

 

レイ「大丈夫だが、いったい何の用だ?」

 

サラ『実は〈サンクト地区〉の〈聖アストライア女学院〉に夕方5時過ぎに来てほしいのよ』

 

レイ「はあ?……えっ!?」

 

サラ『それじゃあね~』

 

それだけ言うと一方的に通信は切れてしまった

 

レイ「5時過ぎって…もうすぐじゃないか!あのアホ教官、俺が導力バイク持ってるの知っててギリギリの時間に通信したな!!」

 

現在4時55分。士官学院の制服に着替えたり、導力バイクの準備をしたりしていると本当にギリギリだ

 

―3分後・詰所の外にて

レイ「制服良し!上司への書類提出良し!導力バイクのエンジン良し!行くぞ!」

 

レイは導力バイクのエンジンをスタートし、急いで〈聖アストライア女学院〉へと向かう

 

 

―聖アストライア女学院・正門前

レイ「危ねぇ~、ギリギリだった…」

 

リィン「えっと、大丈夫かレイ?」

 

レイ「ああ、リィンか…。それにアリサ達B班もいるな…」

 

アリサ「ええ。っていうか貴方の乗ってきたそれって?」

 

レイ「後で話す。それより何で俺達〈Ⅶ組〉がここに集められたか知ってる奴はいるか?」

 

だがレイの質問に答える者は誰もいなかった。どうやら彼らもサラに用件だけ伝えられて集まったようだ

 

レイ「あのアホ教官、マジで一度地獄を見せてやろうか?(怒)」

 

マキアス「まっ…まあ、落ち着きたまえ(汗)」

 

ユーシス「あまり怒っていると血管が切れるぞ」

 

レイ「そうだな。サラへの制裁は後にしよう」

 

皆(あっ、制裁は絶対にやるんだ…。)

 

その時、ヘイムダルの鐘が鳴り、聖アストライアの正門が開いて1人の女子生徒が出てきた

 

エリゼ「お待たせしました。10名のお客様で…って兄様!?」

 

リィン「えっ…エリゼ!?」

 

お互いに予想外の出会いだった為に驚くが、すぐにエリゼは冷静さを取り戻してリィン達を案内する。だが女学院なので当然…

 

「ラウラ様…ラウラ様だわ!?あの金髪の方はユーシス様!?」

 

「背の高い方は異国の方なのかしら…」

 

「あちらの眼鏡の方も理知的で素敵ですけど…」

 

「先頭にいる黒髪の方は平民なのかしら?凛々しくて素敵ですわね…」

 

「それより、その黒髪の後ろにいる方って…!?」

 

「まぁ、鉄道憲兵隊のレイ大尉ですわ!」

 

「1年ぶりにお姿を拝見しましたわ!」

 

このように女子生徒の格好の的になってしまう。そのせいでエリゼは物凄く膨れっ面になっていたが…

 

マキアス「これはちょっとこたえるというか…」

 

ユーシス「フン、あれ位受け流せ」

 

アリサ「そういえばレイ、さっき『1年ぶりにお姿を拝見しました』って言ってた子がいたけど、あなた前にもここに来た事があるの?」

 

レイ「ああ、憲兵隊の仕事でな」

 

そして正門から歩き、とある場所に到着するとエリゼは扉を開ける

 

エリゼ「姫様、お客様をお連れしま…」

 

ミル「レイ兄様~!」

 

―ドスッ!!

 

レイ「ゴフッ!?ミ…ミル、タックルのような勢いで抱きつくのはやめてくれ……。腹へのダメージが半端ない……」

 

ミル「これ位は許して下さい。だってレイ兄様と会うのは2ヵ月ぶり位なんですから」

 

レイ「ああ、確かにそうだが皆からの視線が辛いから早く離れてくれないか?」

 

そう言われてレイの背後を見るとリィン達は唖然としており、「いけない」と思ったミルディーヌはレイから離れる

 

ミル「お見苦しいところをお見せしました。どうぞ、お入り下さい」

 

そしてⅦ組とエリゼ、ミルディーヌが中に入ると1人の可憐な女子生徒が待っていた

 

アルフィン「ようこそトールズ士官学院〈Ⅶ組〉の皆さん。私はアルフィン。アルフィン・ライゼ・アルノールと申します。どうかよろしくお願いいたしますね」

 

中で待っていた女子生徒が皇族アルノール家の者だと知り、レイ以外の全員が驚いて一言も喋れなくなる

 

エリゼ「もう姫様!なんでお客様が兄様達だって黙ってらしたんです?」

 

アルフィン「エリゼったら機嫌直して?ちょっとしたお茶目じゃない」

 

その時、ポロロンと音が鳴ってそちらを見るとリュートを持ったアルフィンと同じ髪色の青年が現れた

 

オリヴァルト「やあ、お待たせ。お揃いのようだね」

 

フィー「だれ?」

 

オリヴァルト「フッ、ここの音楽教師さ。…いや、穢れなき乙女の園に迷いこんだ愛の狩人と言った方がいいか。う~んロマン…」

 

―スパーン!

―バコンッ!

 

オリヴァルト「あだっ」

 

アルフィン「お兄様、その辺で。皆さん引いてらっしゃいますわ」

レイ「女学院でそんなシャレにならない事を言うなアホ皇子」

 

アルフィンの「お兄様」という言葉とレイの「皇子」という言葉にリィン達は驚く

 

リィン「お兄様!?」

アリサ「皇子!?」

 

 

女学院・聖賓室

 

オリヴァルト「改めて…オリヴァルト・ライゼ・アルノール――通称“放蕩皇子”さ。そして〈トールズ士官学院〉のお飾りの理事でもある。よろしく頼むよ〈Ⅶ組〉の諸君」

 

そしてオリヴァルトは特科クラス〈Ⅶ組〉を作った理由を話し始める。一昨年での〈リベールの異変〉で心を入れ替え、士官学院に“新たな風”を巻き起こす事を決めたのだった

 

ユーシス「この帝国で起きている実情…貴族派と革新派の対立を知らしめ、考えさせるのが狙いですか?」

 

オリヴァルト「無論それもある。だが私は君達に現実に様々な〈壁〉が存在するのをまず知ってもらいたかった」

 

レイ「なるほど。貴族派と革新派の二大勢力だけでなく、帝都と地方、伝統や宗教と技術革新、帝国とそれ以外の国や自治州までも…。この激動の時代において必ず現れる〈壁〉から目を背けず、自ら考えて主体的に行動する――そんな資質を俺達若い世代に期待したいと思ってるんだろ?」

 

オリヴァルト「その通りだよレイ君」

エリオット「正直、身に余る期待ですけど…」

ガイウス「確かにこの〈Ⅶ組〉ならばそんな視野が持てるかもしれない…」

 

リィン「そういった手応えが自分達の中にあるのも確かです」

 

オリヴァルト「フフ、そう言ってくれただけでも私としては本望だ。〈Ⅶ組〉の発起人は私だが既にその運用から外れている。それでも一度、君達に会って話だけは伝えたいと思っていた。そこにアルフィンが今回の席を用意すると申し出てくれてね」

 

アルフィン「お兄様の為というのもありますけど、エリゼの大切なお兄さんに一度お会いしたかったのもありますわ」

 

エリゼ「ひ、姫様!?」

 

ミル「ちなみに私はアルフィン先輩のお話を聞いて久しぶりにレイ兄様に会えると分かり、参加させてもらいました」

 

ラウラ「先程から気になっていたのだが、そなたは?」

 

ミル「あ、まだ名乗っていませんでしたね。私、ミルディーヌ・ユーゼリス・ド・カイエンと申します」

 

ミルディーヌの自己紹介にレイ、エリゼ、アルフィン、オリヴァルト以外の全員が驚く

 

アリサ「カ…カイエンって!」

 

マキアス「あの四大名門の!?」

 

ユーシス「四大名門の中でも我がアルバレア家と対をなす存在だな」

 

フィー「そこのお嬢様ってわけなんだ?」

 

ミル「はい。そしてレイ兄様の恋人なんです♥️」

 

Ⅶ組「えぇっ!?」

 

ミルディーヌの言葉にまたしてもⅦ組全員が驚き、オリヴァルトも「ほう~」と呟いてニヤニヤしている

 

エマ「レイさん、ほ…本当なんですか?」

 

レイ「ま…まあな」

 

オリヴァルト「話を戻すが、君達に期待しているのは私だけではない。ヴァンダイク学院長も君達に期待している。君達が帝国を抱える様々な〈壁〉を乗り越える“光”となりえる事を」

 

リィン「〈壁〉を乗り越える“光”――」

 

オリヴァルト「フフ……だがそれも我々の勝手な思惑さ。君達はあくまで士官学院の生徒として青春を謳歌すべきだろう。恋に、部活に、友情に……甘酸っぱい青春なんかをね。まぁ、レイ君はすでにミルディーヌ君と青春を謳歌しているみたいだけどね」

 

ミル「はい♥️すでに何回かデートにも行きましたわ♥️」

 

レイ「……///」

 

 

その後、食事は終わり行きと同じようにエリゼの案内で正門まで戻ってきたⅦ組の面々

 

エリゼ「ご足労いただき誠にありがとうございました。皆さん、気をつけてお帰りくださいませ」

 

アリサ「ええ、ありがとう」

ラウラ「案内感謝する」

 

リィン「あのエリゼ…」

 

エリゼ「おやすみなさい。それでは――」

 

リィンがエリゼに何か言おうとしたが本人は無視して扉を閉め、女学院へと戻った

 

リィン「はぁ……」

 

エリオット「ど…どんまい」

 

レイ「まぁ、エリゼ嬢の気持ちも分かるがな。夏至祭初日にある園遊会でダンスのパートナーをお願いされたんだからな」

 

アリサ「良かったわね~リィン。皇女殿下にあそこまで気に入られて」

 

ユーシス「フッ、あのままお受けすれば良かったんじゃないか?瓢箪から駒ということも将来…」

 

リィン「いや、あり得ないから!友人の兄に興味を持たれただけだろう…!」

 

エマ(それだけでもないような…(汗))

 

レイ「それにしても3人の理事についても気になる話があったな」

 

ユーシス「俺の兄ルーファスにレーグニッツ知事、そしてラインフォルトのイリーナ会長。彼らの思惑、目的はオリヴァルト殿下でも判らない、か…」

 

エリオット「サラ教官の経歴もちょっと驚きだったよね」

 

ラウラ「〈紫電のバレスタイン〉…まさかの最高ランクのA級遊撃士だったとは…」

 

サラ「やれやれバレちゃったか~」

 

リィン「あっ、サラ教官!」

レイ「姉さんまで…」

 

サラ「ミステリアスなお姉さんの魅力が少し減っちゃったわねぇ」

 

フィー「サラ、図々しすぎ」

レイ「というか最初からそんな魅力は無かったから安心しろ。しかし、珍しい組み合わせだな」

 

クレア「ええ…実は皆さんに協力していただきたい事がありまして」

 

リィン「俺達にですか…?」

 

クレア「はい。夏至祭をテロリストの脅威から守る為に〈Ⅶ組〉の皆さんの手をお貸しいただきたいのです」

 

 

―ヘイムダル中央駅・司令所

 

あの後、クレアとサラ、Ⅶ組の面々はヘイムダル中央駅に来て明日の夏至祭の対策会議を行っていた

 

クレア「テロリスト――そう言った名前で呼称せざるを得ないでしょう。目的も所属メンバーも規模すらも不明…名称すら確定していない組織です」

 

マキアス「ま、まるで雲を掴むような話ですけど…」

 

リィン「ノルド高原において戦争を引き起こそうとした“あの男”ですね」

 

アリサ「〈G〉――“ギデオン”だったわね」

 

エリオット「そ、それが明日の夏至祭初日に何か引き起こすと…?」

 

レイ「ああ。帝都の夏至祭は3日間…盛り上がるのは初日くらいだ。ノルド高原の事件から1ヶ月…“彼ら”が次に何かするとしたら明日である可能性が高い」

 

サラ「ま、あたしも同感ね。そのギデオンって男がわざわざ名前を明かした以上、本格的に活動を開始するはずよ」

 

エマ「それで私達にテロ対策への協力を…?」

 

クレア「ええ。鉄道憲兵隊も帝都憲兵隊も協力しながら警備体制を敷いています」

 

レイ「だが知っての通り、帝都は広く、警備体制の穴が存在する可能性は否定できないんだ」

 

クレア「そこで皆さんに“遊軍”として協力いただければと」

 

サラ「ま、クロスベル方面で人手不足ってのもあるでしょうしね~」

 

レイ「うるさい(怒)」

 

サラの余計な一言に対してレイは先程の時間ギリギリに通信してきた怒りも込めてサラの腹にひじ打ちした

 

サラ「痛~(汗)…でどうかしら君達?」

 

レイのひじ打ちをくらったサラは腹を押さえながらA班B班に尋ねる

 

リィン「Ⅶ組A班、テロリスト対策に協力させていただきます」

アリサ「同じくB班も協力したいと思います」

 

そして会議は終了し、リィン達はそれぞれの下宿先に戻っていった

 

レイ「明日、テロリストが何処でどう動くか分からない。最大限の警戒をしなければ…」

 

クレア「そうね。明日さえ乗り越えれば、テロリスト達はしばらく大人しくしているだろうし…」



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夏至祭初日

翌日、夏至祭初日になりレイは自分の部隊と共にヘイムダル中央駅にいた

 

レイ「皆、夏至祭初日だ。本来なら割り当てられた場所及び周辺を警備するのだが今回はクレア大尉から聞いている通り、この夏至祭をテロリストが狙っている。よって警備範囲を少し広げる」

 

カレン少尉「ですがレイ大尉、警備範囲を広げるとどこかに穴が出来てしまう可能性もあるのではないですか?」

 

レイ大尉の部下であるカレン少尉がもっともな意見を出す

 

レイ「その点は昨日の内に解決している。俺のクラスメイトが“遊軍”として帝都を巡回してくれる」

 

ザギ中尉「トールズ士官学院の〈Ⅶ組〉でしたか。大尉からの手紙を読む限りだとかなり優秀な学生なんですよね?」

 

レイ「ああ。だがそれでもどこかに穴がある可能性は否定できない。皆、警戒を怠らないように!」

 

「イエス・サー!」

 

その後、部下達は帝都中へ散りレイもヴァンクール通りへ巡回に向かった

 

 

―ヴァンクール通り

 

レイ「ヴァンクール通りでは特に異常無しと…」

 

~♪~♪

 

レイ「ん?通信か、誰からだ?こちらレイだ」

 

ラウラ『レイか?私だ』

 

レイ「ラウラか。一体どうした?」

 

ラウラ『うむ。我々の班が担当した巡回地区で聞いた妙な話をそなたの耳にも入れておこうと思ってな』

 

レイ「それは助かる。それで妙な話とは?」

 

ラウラ『実はな…』

 

ラウラは巡回地区で聞いた妙な話を全てレイに伝える

 

レイ「ホテルの路地裏で帽子を深く被った怪しい2人組にヘイムダル港の若い労働者が数人、昨日のうちに辞めた…か。確かに妙だな」

 

ラウラ『そちらには何か情報は無いのか?』

 

レイ「今のところはないな。とりあえずA班そのまま巡回してくれ」

 

ラウラ『承知した。それでは』

 

通信が終わり、レイは顎に手を当てて考える

 

レイ(夏至祭初日に妙な行動をする者達がいた。まさかテロリストと関係があるのか?とりあえず姉さんに報告しておこう)

 

そしてクレアに報告した後、レイはマーテル公園へと移動する

 

 

―マーテル公園

 

マーテル公園に到着したレイは丁度、導力リムジンから降りてきたアルフィンとエリゼとミルディーヌを見かけた

 

レイ「ミルディーヌとエリゼ嬢はアルフィンのお付きとして来たのか」

 

リィン「レイ!」

 

声がした方を見るとリィン達A班がこちらに手を振っていた

 

レイ「お前達もマーテル公園に来ていたのか」

 

フィー「うん。皇女様を乗せたリムジンが無事にマーテル公園に到着するのを見届けるようにってサラに言われたから」

 

レイ「そうか、ご苦労様。この調子で何も起こらなければ良いんだがな」

 

リィン「そうだな。それじゃ手早くランチを取って各街区の巡回を再開しよう」

 

ラウラ「そうだな」

 

そしてリィン達Ⅶ組A班とレイは共にランチを取った後、ドライケルス広場へ向かうと見知った顔が3人いた

 

リィン「あれ?」

 

レイ「トワ会長にアンゼリカに…バンダナじゃないか」

 

その言葉にトワとアンゼリカとリィン達は苦笑し、クロウはずっこける

 

クロウ「だからバンダナって言うなって!俺の本体がバンダナみたいじゃねぇかよ!」

 

アンゼリカ「おや、違うのかい?」

 

クロウ「違うに決まってんだろ!」

 

トワ「あはは…(汗)それよりリィン君達、演習お疲れ様」

 

リィン「こんな所でお会いするとは奇遇ですね」

 

アンゼリカ「これも女神の巡り合わせというものだね。ラウラ君、フィー君よかったら私と一緒に夏至祭を回らないかい?」

 

クロウ「おいおい実習中だぞ…(汗)」

 

レイ「トワ会長とアンゼリカは導力バイクで来たみたいだな」

 

側に停車してあった導力バイクを見てそう呟くレイ

 

アンゼリカ「ああ、トワを後ろに乗せてね」

 

トワ「やっぱりお祭りは良いよね~。これでテロリストの事が無かったらもっと良いんだけど…」

 

リィン「えっ!?どうしてその事を!?」

 

レイ「サラから聞いたんですね?」

 

レイの言葉にトワは少し苦笑しながらも首を縦に動かし、話を続ける

 

トワ「実は君達の実習に関しては私も少しお手伝いして…それでちょっと心配になってアンちゃんと見に来たんだ」

 

リィン「そうだったんですか」

 

トワ「クロウ君とはさっき合流したばかりなんだけど…」

 

レイ「でも、そのクロウ先輩はなんか元気がありませんが?」

 

レイの言う通り、トワがⅦ組と話してる間もボ~っと川を見ており、少し落ち込んでいた

 

アンゼリカ「そういえば〈夏至賞〉に行くとか言ってたな。メインレースの結果は?」

 

するとクロウはギッと軽く歯軋りをして悔しそうに結果を話し始める

 

クロウ「まさかあそこでブラックプリンスが来るなんて誰が予想出来んだよ!しかも2番手にランバーブリッツが差し込んでくるなんて、大番狂わせもいいとこだぜ!?」

 

アンゼリカ「ああ、4―5で当たりか。わざわざ懸賞ハガキを出した甲斐があったみたいだな」

 

レイ「という事は俺も当たりか」

 

クロウ「はぁ~!?2人分しかない特賞をしれっと当ててんじゃねぇよ!!」

 

アンゼリカ「フッ、これも日頃の行いの差というものだろう」

レイ「同感だな」

 

クロウ「もうヤダ…この2人…」

 

Ⅶ組&トワ「……(汗)」

 

そんなやり取りしていると3時の鐘が鳴り、もう一回り巡回する事になったが…

 

エリオット「おっと…。どうしたのリィン?レイ?」

 

立ち止まったリィンとレイにぶつかったエリオットが2人の前に何かあるのかと見ると、噴水の水が溢れているのだ。しかもそれだけでなく水圧によってマンホールが吹き飛び、水柱が立つ

 

エリオット「こっ、これって夏至祭の余興か何かなの?」

 

レイ「いや、こんな事をするというのは報告にあがってない。という事は…」

 

リィン「テロリストの仕掛け!?」

 

トワ「アンちゃん、クロウ君!皆の避難誘導を手伝って!」

 

アンゼリカ「ああ!」

クロウ「合点承知だぜ!」

 

リィン「俺達も…」

 

レイ「いや、ここはトワ会長達に任せておこう!俺達は俺達にしか出来ない事をやろう」

 

リィン「俺達にしか出来ない事…」

 

ラウラ「それは…」

 

リィン「っ!!マーテル公園か!?」

 

マキアス「陽動か!!」

 

リィンの予想通り、マーテル公園に大量のワニ型魔獣が現れ、クリスタルガーデンには〈G〉と部下達がいた




最初の方に出したカレン少尉とザギ中尉はレイの部隊に所属するオリジナルキャラです


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帝国解放戦線

遂に〈帝国解放戦線〉が登場!!にしてもVの武器ってデカ過ぎですよね…(汗)


―クリスタルガーデン内

 

テロリストのGと部下達がクリスタルガーデンを襲撃し、アルフィンとエリゼ、そしてミルディーヌを拘束した

 

G「フフ…ご機嫌よう知事閣下。招待されぬ身での訪問、どうか許していただきたい」

 

カール「くっ…君達は…」

 

G「正直貴方にはそこまで恨みは無いのだが…“あの男”に協力している時点で同罪と思っていただこう」

 

カール「やはりそれが狙いか…殿下達は関係ないだろう!3人を解放したまえ!」

 

リィン「エリゼーー!!」

 

クリスタルガーデンにリィン達Ⅶ組A班とレイが駆けつけ、G達の前に立つ

 

エリゼ「兄様!?」

アルフィン「リィンさん達…!」

ミル「レイ兄様まで!?」

 

カール「来てくれたのか…」

 

マキアス「父さん、大丈夫か!?」

 

G「トールズ士官学院…。ノルドの仕込みに続いてまたもや現れたか。だが、今回ばかりは邪魔されるわけにはいかん!」

 

そう言ってGが持っていた“笛”を吹くとワニ型魔獣がリィン達に進撃する

 

エリオット「魔獣を…」

リィン「操っているのか!」

 

そしてG達はアルフィン、ミルディーヌ、エリゼを抱き抱えて背後にある大穴へと逃げた

 

ラウラ「急げ!追いかけるぞ!」

 

Ⅶ組A班とレイは武器を構え、魔獣に挑む

 

レイ「ハアッ!」

リィン「ヤアッ!」

 

―ザシュウッ!

 

最後の一匹を倒し、マキアスとレイは負傷したカール・レーグニッツの元に駆け寄る

 

マキアス「父さん!」

 

カール「私はかすり傷だ…問題ない。それよりお前も殿下達を…」

 

レイ「そうですね。すぐに自分の部下達が来ますのでその間、この場を任せてもよろしいでしょうか?」

 

カール「ああ、任せたまえ」

 

レイ「ありがとうございます。後は…パトリック!」

 

パトリック「な、何ですか?」

 

レイ「君には部下達が来るまでここを守っていてほしい。頼めるか?」

 

パトリック「はい、任せて下さい!」

 

レイ「よし、それじゃⅦ組A班!!皇女殿下とお付きの方2名を救出する為に追跡を開始する!!」

 

A班「イエス・サー!!」

 

そしてレイ達はG達を追って大穴へと入るとそこは地下通路になっていた

 

マキアス「何だここは?」

 

フィー「特別実習で入った地下通路に似てる」

 

レイ「この雰囲気からすると、恐らく暗黒時代の遺跡…地下墓所(カタコンベ)だろうな」

 

その後、レイ達は魔獣を退治しながら地下墓所の最奥へと急ぐ

 

レイ(ミルディーヌ、無事でいてくれよ!)

 

リィン「レイ、地下墓所の最奥らしき所に出たぞ!」

 

レイ「よし、一気に突入だ!突入後、奴等を視認したらすぐに取り囲む!」

 

A班「了解!」

 

レイ達は地下墓所・最奥に突入するとすぐにG達を視認しレイの言われた通り、武器を持って取り囲んだ

 

エリゼ「兄様…!」

アルフィン「み、皆さん…!」

ミル「レイ兄様…!」

 

リィン「殿下とエリゼ、ミルディーヌさんを解放してもらおうか」

 

G「フン、ここまで来れるとはな。魔獣共を待ち伏せさせてやったのに…」

 

ラウラ「やはり“笛”の力か」

 

レイ「古代遺物(アーティファクト)。現在の技術では再現不可能な力を宿している大昔の遺物だったな」

 

フィー「6対3勝ち目は無いよ」

 

G「フフ、恐れ入った。〈トールズ士官学院〉……まさかここまでの逸材たちを育てていたとは」

 

リィン「言っておくが…3人に傷一つでも付けたら『一切の』容赦はしないと思え」

 

G「……分かった。降参だ。少なくとも我々に勝ち目が無いことだけは認めよう」

 

エリオット「それじゃ…」

マキアス「大人しく解放するんだな?」

 

G「ああ……“彼”に勝てたらな」

 

そう言ってGは再び“笛”を取り出して吹き、部下達は人質3人を睡眠薬で眠らせた

 

フィー「睡眠薬…!?」

 

G「気絶させただけさ。うら若き乙女に見せるのは少々躊躇われるからな」

 

リィン達の側でパキパキと何かが割れるような音が聞こえてきた

 

マキアス「な…何だ?近いぞ…」

 

そして皆の背後から巨大な影が落ちる。それを見たマキアスとエリオットが後ろを見ると巨大な骨の竜がこちらを見ていた

 

2人「な…な…な…」

 

ラウラ「骨の…竜…!?」

 

レイ(邪神竜、あの骨の竜が何か知ってるか!?)

 

邪神竜(あいつはゾロ・アグルーガ。暗黒時代の帝都の支配者と言っても過言ではない魔竜だ。気をつけろ)

 

レイ(分かった)

 

レイ「臆するなよ皆!」

 

リィン「そうだ皆!気合いを入れるぞ!今回の実習で俺達が得たものを考えたら――勝てない相手じゃない!!」

 

マキアス「っ!」

 

ラウラ「その通りだ…!」

 

G「クッ…悪あがきを!行くがいい暗黒時代の魔物よ!」

 

エリオット「防御は任せて!ディフェクター!」

 

ラウラ「地裂斬!」

フィー「クリアランス!」

 

マキアス「度重なる卑劣な行為…これで終わらせる!行くぞレイ!マキシマムショット!!」

レイ「ああ!くらえカオス・エンド・フレア!!」

 

マキアスのSクラフト『マキシマムショット』とレイの新技『カオス・エンド・フレア』のW攻撃を受け、ゾロ・アグルーガーは倒され、それを目の当たりにしたGは信じられないという顔になる

 

G「ば…バカな…」

 

その一瞬の隙をついてリィンがGの懐に潜り込み、太刀を振るって〈降魔の笛〉が真っ二つになった

 

G「〈降魔の笛〉が…!!」

 

マキアス「これでチェックメイトだな」

 

レイ「これ以上、抵抗するなら容赦はしないぞ」

 

まさか切り札の魔竜がやられるとは思っていなかったのか、Gの部下と思われる者達が慌て始める。するとGは驚きの行動に出た。なんと睡眠薬で寝ているアルフィンの首筋に刃物を当てたのだ

 

ラウラ「貴様…!」

 

G「既に死は覚悟の身、いつ果てても文句はない…。だが今回の作戦だけは屍すら残すわけにはいかん。かくなる上は畏れながら玉体を傷つけてでも――」

 

?「フフ、この辺りが潮時でしょうね」

 

女性の声が聞こえてそちらを見ると眼帯をした女性が降りてきてレイとフィーに向かって剣を振るう

 

2人「フッ!」

 

そして今度は女性が降りてきた所からガトリングが撃たれるが、2人は軽やかなステップで避けていく

 

女性「あらあら、すばしっこい仔猫ちゃん達ね。フフ、あたし好みだわ♥️」

 

男性「クク、さすが〈西風の妖精(シルフィード)〉に〈迅雷(サンダー・クラップ)〉だぜ」

 

マキアス「あ、新手!?」

 

そう言ってガトリングを撃ってきた男が飛び降りてくる

 

G「同志Sそれに同志V…来てくれたのか…!やれやれ、今回は任せてもらうと言っていたはず…だが正直助かったぞ」

 

V「悪ぃなGの旦那。だがここであんたが捕まったら幸先悪いからな」

 

S「フフ、無粋とは思ったけどお邪魔させてもらったわ。同志Cと一緒にね」

 

C「そういう事だ」

 

Sが向いた方を見ると仮面とマントを身に纏い、声色を変えた人物がいた

 

エリオット「ま、また新手…?」

ラウラ「仮面…?」

 

リィン(何者だ?)




レイの新技カオス・エンド・フレアについては設定に追加しました


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帝国解放戦線2

帝国解放戦線リーダー〈C〉には2回連続で戦ってもらいます


G「同志〈C〉。まさか君まで来るとは…。今回私が立てた今回の作戦はそんなに頼りなく見えたか?」

 

C「いや、ほぼ完璧に見えた。しかし作戦というものは常に不確定の要素が入り込む。そこの〈Ⅶ組〉と〈迅雷〉のようにな」

 

エリオット「僕達の事まで…?」

 

C「本作戦の主目的は既に達した。この上、皇族を傷つける不名誉を負う必要はない…そうではないか?」

 

C「……その通りだ。返してやりたまえ」

 

Cの命を受け、部下達はアルフィン、ミルディーヌ、エリゼをリィン達の前に置いて下がる

 

リィン「エリオット、マキアス、レイ。3人を頼む」

 

そう言われて3人は相手が奇襲を仕掛けてこないか、気をつけながらアルフィン達を安全な場所まで離す

 

C「さて、これで双方が歩み寄れたと思うのだが、異存は無いかな?〈Ⅶ組〉の諸君」

 

リィン「あるに決まってるだろう」

ラウラ「恐れ多くも殿下達をさらい、薬で眠らせた事…」

 

マキアス「とても帝国人として許せるものじゃないな」

 

フィー「6対6。五分五分かな」

 

V「クク、なかなか骨のあるガキどもじゃねぇか」

S「うふふ、せっかくだから相手をしてあげてもいいのだけど…」

 

C「まあ、ここは私が出るのが筋というものだろう。刀使いに大剣使い…それと双銃剣の使い手か。来い――相手をしてやろう」

 

なんと帝国解放戦線のリーダーである〈C〉はⅦ組の中でも強者に入る3人相手に1人で戦うと言うのだ

 

レイ「どういうつもりだ?」

 

C「フフ、ただの余興だ。鉄道憲兵隊が来るまでの一時、その怒りをぶつけてみるがいい」

 

マキアス「あの男、本気か!?」

エリオット「あの3人相手に勝てるとは思えないけど…」

 

C「フフフ…」

 

Cは不敵に笑い、自らの得物を取り出す。それは…

 

エリオット「あれは…?」

ラウラ「暗黒時代の遺物…双刃剣(ダブルセイバー)か…!?」

 

C「我が名は〈C〉それだけ覚えておくがいい。士官学院〈Ⅶ組〉の力――見せてもらおうか!」

 

戦闘が始まったが、ラウラとフィーは一瞬で吹き飛ばされて戦闘不能になってしまい…

 

リィン「ラウラ!フィー!えっ…?」

 

リィンの首筋にはダブルセイバーの刃が当てられ、動きを封じる

 

C「フッ、クリミナルエッジ!!」

 

リィン「グアッ!!」

 

Cのクラフトが炸裂し、3対1という圧倒的に不利な状況でありながら3人に勝利した

 

マキアス「まさかあの3人が…」

 

C「呆気ないな。時間が余ってしまったぞ」

 

レイ「なら俺と戦うか?俺はこいつらより強い。ヒマつぶしには丁度良いんじゃないか?」

 

C「鉄道憲兵隊大尉、〈迅雷〉のレイ・リーヴェルトか。良いだろう、全力で来るがいい」

 

レイ「それじゃ、遠慮なく――」

 

―ドガァァッ!!

 

C「グムッ!?」

 

レイ「戦場では奇襲など当たり前だ。油断大敵だぜ」

 

そう言ってCを蹴り飛ばしたレイは鉤爪を装着し…

 

レイ「全力で来いって言ったから俺の〈力〉を少し解放して戦わせてもらうぜ。オオォォォォォッ!!!」

 

さらに幻獣〈サンダードラコ〉の力を解放する

 

レイ「ハアッ!」

C「ムンッ!」

 

―ガギッ!キィンッ!

 

レイの鉤爪とCの双刃剣が火花を散らして交わる。するとレイは一旦距離を取って…

 

レイ「カイザーツインリッパー!!」

C「クリミナルエッジ!!」

 

両手の鉤爪から赤黒い斬撃を放ち、それに対抗してCは先程リィンを戦闘不能にした技を放つ

 

C「クッ…」

 

レイ「何とか相殺したようだな」

 

C「さすが〈迅雷〉の異名を持つだけあって半端じゃない威力だな。もう少し楽しみたいが、時間が迫っている。次で終わりにしよう」

 

レイ「良いだろう」

 

そしてレイとCは各々の武器を構え、必殺技の体勢に入る

 

C「デッドリークロス!!」

 

Cは全力で双刃剣を振るい、レイの命を取らんとする終焉の十字の斬撃を飛ばし…

 

レイ「カイザーエグゼキューション!!」

 

レイは体に赤黒いエネルギーを纏い、高速回転して漆黒の光輪となる

 

2人のSクラフトが真正面から激突し、地下墓所が揺れる。そして激突したカイザーエグゼキューションの暗黒の輝きが更に輝くとデッドリークロスは掻き消され、そのままCに命中した

 

C「ぐぬぅっ…」

 

すると仮面の左側が少し欠けて中の人物の顔が少し見えた。といっても目と黒いバンダナが少し見えただけだったが…

 

C「まさか、ここまでやるとは…」

 

レイ「お前達はいったい何者だ?。何の目的で行動している?」

 

C「〈帝国解放戦線〉――本日よりそう名乗らせてもらう。静かなる怒りの焔をたたえ、度し難き独裁者に鉄槌を下す。それが我々の目的だ」

 

マキアス「〈帝国解放戦線〉…?」

エリオット「独裁者って…」

 

クレア「そこまでです!」

 

リィン「サラ教官!」

レイ「姉さん!」

 

C「どうやら時間のようだな。それでは諸君、また会おう」

 

クレア達が来たのを見て〈帝国解放戦線〉が撤退しようとした時、Cは懐からスイッチを出してそれを押す。すると地下墓所のあちこちから爆発か起きて崩れる

 

ラウラ「ば、爆弾が仕掛けてあったのか!!」

 

サラ「崩れるわ!早くこっちへ!」

 

リィン「は、はい!」

 

リィンはアルフィンを、ラウラはエリゼを、レイはミルディーヌを抱いて間一髪で地下墓所から避難できた

 

リィン「ま、間に合ったか…」

 

サラ「ふ~、全くヒヤヒヤさせてくれるわね。でも全員無事で良かったわ」

 

ラウラ「お、おかげさまで…」

 

マキアス「はあ…さすがに死ぬかと思いましたよ…」

 

フィー「というかサラ、来るの遅すぎ」

 

サラ「ゴメンゴメン」

 

レイ「しかし、入口が完全にふさがってしまった。これじゃ追跡は困難だな」

 

ミル「ん…。私…いったい…」

 

レイ「大丈夫かミルディーヌ?」

 

ミル「えっ?レイ…兄様?っ!?///」

 

目を覚ましたミルディーヌはレイの顔が間近な事とレイにお姫様抱っこされている事に驚き、顔が真っ赤になる

 

ミル「レ…レイ兄様!私はもう大丈夫ですから降ろして下さい!///」

 

レイ「いや、どこを怪我してるか分からないからな。しばらくはこのままの方が良いだろう」

 

ミル(しばらくはこのままって…。どんな羞恥プレイですか!?///ああ、皆さんからの視線が辛いです…///)

 

レイ・こうして…我々鉄道憲兵隊の主導によって夏至祭初日の混乱は収まった。

 

手傷を負いながらも陣頭指揮を取ったレーグニッツ帝都知事の働きにより、3日に渡る夏至祭も無事に終了した(ちなみに園遊会はちゃんと出たぞ。)

 

翌朝、俺達Ⅶ組のメンバーは揃って帝都を後にすることになった。



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鉄血宰相ギリアス・オズボーン

―バルフレイム宮・第二迎賓口にて

 

オリヴァルト「いや、君達には本当に世話になってしまった。兄妹共々、士官学院に足を向けて眠れなくなったくらいさ」

 

リィン「いえ、そんな…」

 

アルフィン「いいえ、私とエリゼとミルディーヌなどあのまま連れ去られていたらどんな運命が待ち受けていたか…。何度お礼を言っても足りないくらいの気分です」

 

ミル「私も最初は恐怖で何も出来ませんでしたが、最終的にはレイ兄様に抱いてもらえましたし、結果的に人質になって良かったですわ♥️」

 

レイ「恥ずかしがってた癖にもう良い思い出の1つになってるのか…(汗)」

 

ミル「ウフフ、何でしたら皆さんに私達の熱い夜の話を…」

 

レイ「やめろ!お前の話術だと冗談が本当の事になるから!」

 

オリヴァルト「あはは…(汗)私とセドリックの方もB班の働きには助けられたよ。…改めて礼を言わせてもらうよ」

 

エマ「ふふっ…お役に立てて光栄です」

 

サラ「〈Ⅶ組〉設立のお礼をやっとお返しできたみたいですね。それにしても〈帝国解放戦線〉ですか…」

 

オリヴァルト「ああ…、ノルド高原での一件さらには帝国各地のいくつかの事件。今回ついにその名前を明らかにした。仮面の男〈C〉をリーダーとする数名の幹部達に率いられた純然たる恐怖主義者(テロリスト)たち……」

 

レイ「奴等の事は現在、情報局で洗い出しを行っている」

 

アルフィン「こう言っては何ですが…不思議な人達でしたね」

 

ミル「ええ。私達を連れ去りながら悪意をあまり見せることはなく…」

 

エリゼ「それでいて内に秘めた激情に取り憑かれているかのようでした」

 

フィー「そんな感じはしたかも」

 

リィン「『静かなる怒りの焔をたたえ度し難き独裁者に鉄槌を下す……』彼らのリーダーの言葉です」

 

ユーシス「フン…また露骨な言葉だな」

 

オリヴァルト「『静かなる怒りの焔』に『度し難き独裁者』…まぁ、何を示しているのかは明らかだが…」

 

?「皆さん!」

 

その時、オリヴァルト達の後ろからレーグニッツ帝都知事と共に1人の少年が現れた

 

アリサ「こ…皇太子殿下!?」

 

セドリック「初めまして皆さん。セドリック・ライゼ・アルノールです。この度は姉の危機を救っていただき、本当にありがとうございました」

 

ラウラ「勿体無いお言葉」

リィン「ありがとうございます殿下」

 

フィー「皇太子…想像してたよりも可愛いかも」

 

マキアス「こ、こらフィー!」

 

レイ「セドリック殿下もご無事で何よりでした」

 

セドリック「ああ、レイ大尉!レイ大尉も姉と姉の友人達の為に尽力してくれたと聞きました。本当にありがとうございます!」

 

そう言ってセドリックはいつぞやのバルフレイム宮内でやったのと同じようにレイの手を取り、ブンブンと音が鳴る位に腕を動かす

 

レイ「い、いえ鉄道憲兵隊として当たり前の事をしただけで……。というかセドリック殿下、腕が痛いんですが…(汗)」

 

セドリック「ああっ、すいません!またやってしまいました…」

 

レイ「いえ、別に嫌というわけでは…」

 

アルフィン「ふふっ、セドリックはレイ大尉に憧れているから仕方ないわよね。その影響でもっと逞しくなってくれれば私も安心なのですけど…」

 

セドリック「ちょ、ちょっとアルフィン…」

 

カール「かなり変則的ではあったが、無事今回の特別実習も終了した。士官学院理事としてまずはお疲れ様と言っておこうか。〈Ⅶ組〉の運用、そして立場の異なる3人の理事。思うところはあるだろうが…君達には君達にしか出来ない学生生活を送って欲しいと思っている。それについては他の2人も同じだろう」

 

ユーシス「っ!」

マキアス「父さん…」

アリサ「……そう言っていただけると」

 

カール「その点に関しては殿下もどうかご安心下さい」

 

オリヴァルト「はは…わかった。元より貴方については私も信頼しているつもりだ。だが…」

 

?「――どうやらお揃いのようですな」

 

オリヴァルトが何か言おうとした時、背後から何者かの声が聞こえ、全員がそちらを振り向くとそこにいたのは…

 

セドリック「オズボーン宰相!」

 

そう、鉄血宰相と言われている帝国政府代表ギリアス・オズボーンだった

 

カール「実は先程まで共に陛下への謁見を賜っておりまして」

 

オズボーン「アルフィン殿下におかれましてはご無事で何よりでした。これも女神の導きでありましょう」

 

アルフィン「ありがとうございます宰相」

 

オズボーン「オリヴァルト殿下も――。〈帝国解放戦線〉に関しては既に全土に手配を出しております。背景の洗い出しも進んでおりますのでどうかご安心下さい」

 

オリヴァルト「…やれやれ手回しのいい事だ。これは来月の〈通商会議〉も安心という事かな?」

 

その時、オズボーンはオリヴァルト達の後ろにいるⅦ組達に気づく

 

オズボーン「これは失礼、諸君への挨拶がまだだったな。帝国政府代表ギリアス・オズボーンだ。〈鉄血宰相〉という名前の方が通りが良いだろうがね」

 

エリオット「あ…」

アリサ「は、初めまして閣下」

マキアス「そ、その…お噂はかねがね」

 

オズボーン「フフ、私も君達の噂は少しばかり耳にしている。帝国全土を股にかけての特別実習。非常に興味深い。これからも頑張るといいだろう」

 

フィー「ども」

ラウラ「精進させていただきます」

 

オズボーン「それと…久しいな遊撃士。転職したそうだが息災そうで何よりだ」

 

サラ「ええ、おかげさまで。“その節”はほんっとーにお世話になりました」

 

オズボーン「フフ…。諸君らもどうか健やかに強き絆を育み、鋼の意志と肉体を養ってほしい。――これからの“激動の時代”に備えてな」

 

エマ「激動の…」

ガイウス「時代…」

 

その時、エリゼは兄が会話に参加していない事に気づき、そちらを見るとリィンは胸を押さえていた

 

リィン(何だ…?この感覚は…?)

 

オズボーン「それとレイ、後で話したいことがあるのだが大丈夫か?何、そんなに時間はかけん」

 

レイ「はっ、問題ありません。悪いが皆は先に駅に行っててくれ」

 

リィン「わかった」

 

 

―バルフレイム宮・宰相執務室にて

レイ「それで閣下。話とは何でしょうか?」

 

オズボーン「うむ。来月の〈通商会議〉についてだ。私やオリヴァルト殿下には凄腕の護衛がつくのだが、トールズ士官学院の生徒会長の護衛は君にやってほしいのだ」

 

レイ「自分が?確かに自分は生徒会長と面識がありますが…」

 

オズボーン「彼女も知らない者より知っている者の方が安心するだろう。どうだ、受けてくれるか?」

 

レイ「ちょっと待って下さい」

 

そう言ってレイは頭の中で〈通商会議〉と〈特別実習〉の日程を考える

 

レイ(今までの傾向から考えると特別実習の日程は通商会議に被る可能性があるな。まぁ、もしそうなったらサラに進言すれば良いか)

 

レイ「分かりました。鉄道憲兵隊大尉レイ・リーヴェルト。トールズ士官学院生徒会長トワ・ハーシェルの護衛につきます」

 

オズボーン「うむ。頼むぞ」

 

レイ「はっ。それでは失礼します」

 

そして宰相執務室を出たレイはARCUSを取り出し、今からそちらに向かうとリィンに告げ、駅へと向かった




初めてギリアス・オズボーンを見た時、何か異様な雰囲気を感じました。まさか、かの皇帝の生まれ変わりとは…


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第5章・クロスベルへ
新たな仲間&編入生


ようやくレグラム編まで来ました。閃の軌跡の特別実習ではレグラム編が一番好きなんですよね。
特にこれと言った理由はありませんが…(汗)まぁ、強いてあげるならレグラムの雰囲気とか光の剣匠と戦えるからですかね


――8月中旬、帝都から帰還した俺達は5日ほどの短い夏季休暇を終えて授業や訓練を再開していた

 

エリオット「はぁ…毎日暑いねぇ~」

 

フィー「正直だるい…」

 

アリサ「そうね~。せめて導力エアコンがあれば少しは快適なんだけど…」

 

レイ「情けないな。暑さなど耐えれるだろ」

 

アリサ「化け物じみた忍耐力を持つ貴方と一緒にしないでよ…」

 

エリオット「そういえば3人共、故郷に帰らないんだね。貴族生徒は帰省が認められてるんでしょ?」

 

リィン「ああ、クラス全体が休みになるならともかく…妹とも会ったばかりだし、今年の夏は止めておいたんだ」

 

ラウラ「元より修行中の身。自分なりの手応えが得られるまで中途半端に帰るつもりはない」

 

ユーシス「フン…わざわざ居心地の悪い実家に帰る阿呆がいるか。この暑さを我慢した方が千倍マシというものだ」

 

エリオット「そ、そんなに…(汗)」

 

マキアス「まぁ、暑さに関係なく慌ただしくはなっているしな。関係者にとったら暑さどころじゃないだろう」

 

アリサ「〈西ゼムリア通商会議〉…IBC総裁も務めるディーター・クロイス市長の提案により開催される国際会議ね」

 

エマ「帝国からは皇帝陛下への名代としてオリヴァルト殿下とオズボーン宰相が出席されるんでしたよね」

 

リィン「〈鉄血宰相〉ギリアス・オズボーンか。何というか…とんでもない存在感だったな」

 

フィー「何でも呑み込めそうな“怪物”って感じ」

 

レイ「実際とんでもないお方だ。軍部出身の政治家で12年前、皇帝に信任されて宰相となった人物…。帝国正規軍の7割を掌握しているからな」

 

エマ「帝都を中心に全土に鉄道網を整備した人物としても有名ですよね?」

 

レイ「ああ、おかげで我々鉄道憲兵隊はどんな場所でも向かえ、捜査が出来るようになった」

 

エマ「それと周辺にあるいくつかの小国や自治州を併合したと…。あくまで平和的にみたいですが」

 

ユーシス「フン、どうだかな。あの男が宰相となってからは軍事費が増大したのは間違いない」

 

レイ「確かラインフォルト社に2門の〈列車砲〉を発注したのも閣下だったな」

 

アリサ「それによって共和国との間で大規模な戦争が起こるところだったけどね……」

 

ガイウス「その時はリベールという国の提唱で戦争を回避出来たと聞いたが……。確か〈不戦条約〉だったか」

 

リィン「だがその緊張は未だに尾を引いてるらしい。今回の通商会議ではそのあたりが話されると思うが…」

 

エリオット「う~ん帝都じゃ凄く人気のある人なんだけどなぁ。実際にはあんな連中におもいっきり狙われてるみたいだし」

 

リィン(帝国解放戦線か…)

 

レイ「まぁ、仕方ないさ。輝かしい功績を残せば残すほど、嫉妬する奴や憎いと思う奴も出てくる」

 

レイがそう言って話を締めくくった時、扉が開き、サラが入ってきた

 

サラ「おはよ皆。遅れちゃってゴメンね~☆さ、HR始めるわよ♪」

 

マキアス「サラ教官、10分も過ぎているようですが…」

フィー「まさか寝坊…」

 

サラ「こらこら。『今日は』違うわよ!遅れたのにはワケがあってね――それじゃ入ってきて」

 

?「ハーイ☆」

?2「うーっス」

 

エマ「…え」

マキアス「あれ…?2年のアームブラスト先輩…?」

 

そしてクロウの背後から制服を着たミリアムがヒョコッと姿を見せる

 

エマ「え…?」

アリサ「あ…あ…貴女は…!」

 

クロウ「んじゃ俺から…。――クロウ・アームブラストです。今日から皆さんと同じ〈Ⅶ組〉に参加させてもらいます」

 

「ええっ!?」

 

ミリアム「ハイハーイ☆初めての人もいるから改めて自己紹介するねー!僕はミリアム!ミリアム・オライオンだよ。でこっちがガーちゃん。正式名は〈アガートラム〉」

 

そう言ってミリアムはアガートラムを出現させ、紹介されたアガートラムは腰(?)に手を当てる

 

マキアス「なっ!?なんですアレは、サラ教官!?」

 

サラ「あー、そのデッカイのを教室で出すのは禁止ねー」

 

2人「というわけでよろしくね!/な!」

 

皆「えぇぇぇぇっ!?」

 

―放課後

 

レイ「んで?放課後になったら教官室に来いと言われたがいったい何だ?」

 

サラ「ミリアムがね、あんたと一緒の部屋がいいって言ってるんだけど…」

 

レイ「断固拒否する。だが学院生活で分からない事があったら教えてやる」

 

ミリアム「ありがとうレイ!」

 

レイ「抱きつくな」

 

その後、2人は屋上に来ていた

 

レイ「それで?ここに来たのは閣下に言われたからか?」

 

ミリアム「うん。オジサンがね、調べてほしい事があるって言うからね」

 

レイ「そうか。まぁ、今日は編入初日で疲れているだろうから聞かないが、明日か明後日には話してくれよ」

 

ミリアム「OK!」

 

そして2人揃って第3学生寮へ帰る道を歩いていると丁度リィンとアリサとユーシスと出くわし、一緒に帰る事にした

 

リィン「ん?あれは2年生…?」

アリサ「何で第3学生寮に?」

 

「じゃあな、元気でやれよ!」

「追い出されるような真似すんじゃねーぞクロウ!」

 

クロウ「おう!皆、ありがとうな!」

 

リィン「クロウ先輩、なぜここに?」

 

レイ「大方、第3学生寮に引っ越してきたんだろう。3ヶ月だけとはいえ、〈Ⅶ組〉の一員。なのにそのまま第2学生寮にいたんでは色々と面倒だからな」

 

クロウ「大正解だぜ。ちなみに部屋はお前の部屋な」

 

レイ「は?相部屋という事か?こんないい加減でお調子者で留年しかけのギャンブル野郎と?」

 

クロウ「そこまで言うか!?」

 

レイ「やかましい。追い出されたくなかったら黙れ」

 

その後、無事にクロウはレイと相部屋になった




原作ならリィンの向かいの部屋がクロウですが、既にレイがいるので相部屋にしました。まぁ、ゲームで見た感じ結構広そうなのでもう1人入っても大丈夫かな、と思います


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通商会議に向けて

―翌日、レイは誰よりも早く起きて鉄道憲兵隊の服を身に纏って駅に向かおうと第3学生寮の扉に手をかけた時…

 

シャロン「おはようございますレイ様」

 

レイ「予想はしていたがやはり起きていたか」

 

シャロン「ウフフ。レイ様の事ですから、朝食を抜いてすぐに帝都に向かうのではないかと思いましたので、シャロンが腕によりをかけて作った朝食をどうぞ。列車の中で食べて下さいね」

 

そう言ってシャロンは朝食が入った篭をレイに差し出し、レイはそれをありがたく受け取る

 

レイ「何で俺が朝食抜いてすぐに帝都に行こうとしたのを知っているのかは聞かないでおくわ…(汗)」

 

シャロン「ウフフ、行ってらっしゃいませ」

 

そして、レイが駅に入ると改札の前にクレアが立っていた

 

レイ「悪い姉さん、少し遅れたな」

 

クレア「大丈夫よ。さっ、早く乗りましょう」

 

その後、姉弟は列車に乗りその中でシャロンからもらった朝食を食べながら帝都へと向かった

 

 

―帝都ヘイムダル

レイ「さて、この後はどうするんだ?」

 

クレア「閣下の元に行くのよ」

 

レイ「通商会議関係の話か?」

 

クレア「恐らくそうだと思うわ」

 

 

―バルフレイム宮・宰相執務室にて

オズボーン「朝早くにすまんなクレア、レイ」

 

クレア「いえ、自分は弟を迎えに行っただけですから」

 

レイ「それで閣下、通商会議関係で何か話があるようですが?」

 

レクター「その事ならまずは俺から話させてもらうぜ」

 

宰相執務室の扉が開き、〈かかし男〉の異名を持つ帝国軍情報局所属の特務大尉レクター・アランドールが入ってきた

 

クレア「レクターさん…」

レイ「盗っ人〈かかし男〉」

 

レクター「おい、何だよその呼び方…(汗)」

 

レイ「いつまで経っても貸した金を返さない奴にはピッタリの呼び方だ」

 

レクター「分かった分かった。この報告が終わったら返すから。そんでレイ、クロスベルで行われる通商会議だがどうやらあの〈帝国解放戦線〉が狙ってるらしい。」

 

レイ「早速行動を開始してきたという事か。ご苦労な事で」

 

レクター「その他にも凄腕の猟兵団がクロスベル入りするという情報がある。お前1人じゃ手が回らない事が十分起こりうる。そん時はこいつらを頼りな」

 

そう言ってレクターは何かのファイルをレイに渡す。受け取ったレイはその場でファイルを読み、レクターに返した

 

レイ「確かになかなか使える奴らだな」

 

オズボーン「彼らと協力し通商会議を守り、彼らの他の情報も入手してくれ」

 

レイ「そのファイル以上の事を入手ですか。あまり期待しないで下さいよ。俺はレクター以上の情報収集能力は持ってないのですから」

 

オズボーン「無論出来ればで構わん」

 

レイ「わかりました」

 

レクター「んじゃ、用事は終わったんで俺は帰らせてもらうぜ」

 

―ビュンッ!

 

レクター「っ!!危ねっ!!」

 

レクターが帰ろうとした時、鉤爪を着けたレイがおもいっきり腕を振るったが間一髪でレクターは避けた

 

レイ「何、勝手に帰ろうとしてんだ?お前にはまだやるべき事があるだろう?」

 

レクター「何だっけ?」

 

レイ「金を返せ」

 

レクター「何の事?」

 

レイ「とぼけるなら利子10倍だぞ」

 

レクター「分かった、ちゃんと返す。通商会議を乗り切ったらね」

 

レイ「……。分かった。帰ってきたらちゃんと返せよ?」

 

レクター「おうよ!」



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霧と伝説の街レグラムへ

時は過ぎ、恒例の〈特別実習〉の日になった早朝…レイはいつも通り早起きして身支度を整えていた

 

レイ「荷物良し。武器良し。後は…」

 

ミリアム「レーーイ!!」

 

レイが確認作業を行っていると扉が勢いよく開いてミリアムが入ってきた

 

ミリアム「あれ?いない?」

 

しかし、先程まで部屋にいたはずのレイがどこにもいなかった

 

レイ「こっちだ」

ミリアム「ん?」

 

―ガシッ!ギリギリッ!

 

ミリアム「痛い!痛い!」

 

背後から聞こえた声に振り返るとレイがミリアムの頭を掴んで手に力を込める。どうやらミリアムが来る事を予期して扉が開いた瞬間、彼女の背後に移動したようだ

 

レイ「やっぱり予想通りだったか」

 

ミリアム「なっ、何で分かったのさ~!?」

 

レイ「前にも同じ事をされたからな」

 

そしてレイはミリアムの頭を離した

 

ミリアム「あぁ~、痛かった~。もう~レイ、僕の頭が割れたらどうすんのさ~!?」

 

レイ「ちゃんと加減してるから安心しろ。俺は用意が出来たから、下で待ってるぞ」

 

そう言ってレイは荷物と武器を持ち、一階に降りていった

 

―数時間後

レイ「まさかリィンまでミリアムの餌食になるとはな」

 

ラウラ「フフ、朝から散々な目に遭ったようだな」

 

リィン「ああ…おかげでバッチリ目が覚めたけど」

 

ガイウス「実習がよっぽど楽しみで仕方なかったようだ」

 

ラウラ「で、その後ミリアムはどこへ?」

 

エマ「そういえばユーシスさんが遅いですね…」

 

ミリアム「おっ待たせー!」

 

ミリアムの声がしてそちらを見るとしっかりと服を着こなせておらず、なおかつウキウキのミリアムとは正反対のゲッソリしたユーシスがミリアムに引っ張られて降りてきた

 

リィン「ユ、ユーシス…!?」

 

レイ「やっぱりユーシスも餌食になったか」

 

ユーシス「誰かこのガキを何とかしてくれ……」

 

レイ以外「……(汗)」

 

レイ「それじゃⅦ組A班も全員揃ったし、駅に向かうか」

 

レイの号令でA班が駅内に入るとB班は既に列車を待っていた。そして列車を待っている間、話は3日前の実技テスト後の話になる

 

アリサ「それにしても2日後に合流する実習なんて初めてね」

 

マキアス「そうだな。ナイトハルト教官も一緒とは…」

 

―3日前

ナイトハルト『合流地点は帝国東部――〈ガレリア要塞〉だ。〈ガレリア要塞〉では自分も実習教官として合流する。――諸君には各々の場所での実習の後、そのまま列車で合流してもらう』

 

サラ『ちなみにレイは〈ガレリア要塞〉には行かないから』

 

リィン『え?何故ですか?』

 

サラ『レイはクロスベルで行われる〈通商会議〉でトワの護衛をしなくちゃいけないんだって』

 

サラの言葉にミリアム以外が驚きながらレイの方を見る

 

フィー『レイ、サボりたいから嘘言ったの?』

 

レイ『言うか!!歴とした仕事だ!!バルフレイム宮でオズボーン閣下に呼ばれただろ?あの時に言われたんだよ』

 

ラウラ『なるほど。確かに有能な生徒会長といえども知り合いが1人もいない状態で見知らぬ地に行くのは心細い。だからオズボーン宰相はそなたに白羽の矢を立てたと、そういう事だな?』

 

レイ『その通り。そもそも〈ガレリア要塞〉は鉄道憲兵隊に入った時に姉さんと見に行ったから、もう一度行く必要も無いしな』

 

 

マキアス「しかし本当にレイ1人で大丈夫なのか?」

 

クロウ「大丈夫だろう。なんせ帝国最精鋭と言われる鉄道憲兵隊の大尉だからな」

 

レイ「お前は帝国一のダメな見本だろうがな」

 

クロウ「いい加減俺をディスるのやめろ!」

 

そんな話をしているとB班が向かう〈ジュライ特区〉へ向かう為の列車が到着し、それに乗り込んだ

 

レイ「さて、俺達の方ももう少しで列車が来るぞ。準備をして――」

 

?「おっ、ちょうど行くところみたいだな」

 

ミリアム「あれれ、レクター!」

 

レイ「何でお前がここにいる?」

 

レクター「明後日から俺もクロスベル入りすっからなぁ。今生の別れになるかもしれないし、こうして挨拶に来てやったのだ」

 

ラウラ「何者だ?」

 

ガイウス「帝国軍情報局の…」

リィン「レクター・アランドール大尉…!」

 

レクター「おお、ノルド高原以来だな。こいつ、怪しさてんこ盛りだろうが精々普通に付き合ってやってくれ。迷惑かけたら遠慮なくお尻ペンペンとかしていいぜ」

 

ミリアム「ムゥー。僕、いい子だもん!」

 

レイ「いい子は人の部屋にいきなり入ったりしないだろうが」

 

そう言ってレイはまたミリアムの頭を掴んで手に力を込める

 

ミリアム「痛い!痛い!」

 

その時、A班が乗る列車が到着し、レイはミリアムの頭を離した

 

リィン「大尉殿、すみません。俺達はこれで…」

 

レクター「おお、頑張れよ。それと俺の事は一応“書記官”って呼んでくれや。帝国政府に所属する二等書記官でもあるんでな」

 

エマ「そ、そうでしたか」

ラウラ「それでは書記官殿、失礼する」

 

そしてⅦ組A班は列車に乗り、実習先でありラウラの故郷でもある霧と伝説の街〈レグラム〉へと向かった

 

 

―列車内にて

レイ「……」

 

ミリアム「レイ、どうしたの~?目を閉じてずっと黙っちゃってさ~?」

 

レイ「いや、何でもない」

 

エマ「気分が悪いなら私が持ってきたお薬を飲みますか?」

 

レイ「いや、本当に大丈夫だ。〈特別実習〉が終わった後のクロスベル入りについて考えていただけだ」

 

ラウラ「そうか。だが本当に気分が悪くなったら言うのだぞ」

 

レイ「了解した」

 

そしてレイは再び目を閉じるが、実は彼はクロスベル入りの事を考えているわけではなかった

 

レイ『話を中断させて悪いな邪神竜』

 

邪神竜『気にするな。仲間が気にしてくれるというのはありがたい事だぞ』

 

レイ『そうだな。それより例の事だが、どこまで出来た?』

 

邪神竜『うむ。90%と言ったところか。レグラムに到着するまでには完全になっているだろう』

 

レイ『悪いな。面倒事を頼んで』

 

邪神竜『構わん。我もお前と同じ事を思っていたからな』

 

その時、レイの肩をユーシスが揺する

 

レイ「ん?どうしたユーシス?」

 

ユーシス「もう少しで到着するそうだ。忘れ物がないよう、荷物を持っておけ」

 

レイ「分かった」

 

そして数分後、Ⅶ組A班はラウラの故郷、レグラムに到着した

 

 

ミリアム「ウワァ~!」

ガイウス「噂に違わぬ光景だな…」

リィン「これが霧と伝説の街…」

レイ「俺好みの雰囲気だな」

 

ラウラ「フフ、気に入ってくれたようで何よりだ。生憎霧が出ているので見張らしはよくないが…晴れていると湖面が鏡のように輝いて見える事もある」

 

?「――お嬢様、お帰りなさいませ。トールズ士官学院Ⅶ組の皆様、ようこそ〈レグラム〉へ」

 

ラウラ「爺!出迎えご苦労」

 

背後からの声に振り返るとアルゼイド家の執事を務め、なおかつ〈アルゼイド流〉の師範代でもあるクラウスがいた

 

レイ「確か…アルゼイド流の師範代をされているクラウスさんでしたか」

 

クラウス「おや、私の事をご存じとは…。どこかでお会いしましたかな?」

 

レイ「いえ、お会いした事はありませんが、知っています。帝国における武の双璧ですから」

 

クラウス「そういう事でしたか」

 

リィン「レイ、今…師範代って」

 

レイ「ああ、こちらにいるクラウスさんは間違いなく〈アルゼイド流〉の師範代だ」

 

ミリアム「あ、ラウラのおとーさんが教えてるっていう?」

 

ラウラ「ああ。帝国伝統の騎士武術を伝える流派…〈ヴァンダール流〉と並んで帝国における武の双璧だ」

 

エマ「レグラムの領主にして〈アルゼイド流〉の宗家…」

 

ミリアム「〈光の剣匠〉だっけ、もの凄く強いんでしょ?」

 

ラウラ「ああ。娘の私が言うのもなんだが、軽く人の域を超えている。少なくとも帝国においては3本の指に入るのは確実だろう」

 

そして一行はクラウスに連れられてレグラムの街並みを見ながらラウラの実家に向かう

 

レイ「しかし、伝統的な雰囲気のある街並みだな。この石碑も精霊信仰の影響が強く残っているみたいだし…」

 

ミリアム「ねぇねぇユーシス!あれ何~?」

 

ミリアムが指さす先には3体の像があった

 

ユーシス「あれは…〈槍の聖女〉の像か」

 

ラウラ「うむ。それと〈鉄騎隊〉の面々だな。確か100年ほど前のものだったか」

 

クラウス「ちなみに左下に控えているのが子爵家の祖先にあたりますな」

 

リィン「へぇー、ラウラのご先祖さまかー」

 

ラウラ「〈槍の聖女〉リアンヌはこの地の出身ではあったが…人間離れした美貌と強さから“妖精の取り替え子”と囁かれた事もあるらしい」

 

ユーシス「ほう、面白いな。実際、獅子戦役の終結後、彼女が謎の死を遂げたせいでサンドロッド伯爵家は断絶した。そんな逸話があったとしても不思議ではないかもしれん」

 

レイ「妖精の取り替え子か…」

 

ラウラ「そして霧に霞んでいるが…あれが〈槍の聖女〉が本拠地にしていたという古城〈ローエングリン城〉だ」

 

エマ「わぁ、幻想的ですね…!」

 

ユーシス「湖のほとりにそびえ立つ〈聖女の城〉か…」

 

ガイウス「これは絵心をくすぐられるな」

 

ラウラ「さて、そろそろ実習に取りかからなくてはな。我が家に荷物を置いたら早速始めよう」

 

レイ「実習課題はクラウスさんがお持ちなんですか?」

 

クラウス「それなのですが…今回の課題については“プロフェッショナル”の方にまとめていただく事になりまして…」

 

そして一行はレグラムの北の街道へと出てきた。クラウスが言うにはその“プロフェッショナル”の人物には街道に出れば会えるとの事だった

 

エマ「どなたなんでしょうね?」

 

その時、草むらからガサッと音がなり機械で出来た魔獣が現れ、A班はすかさず迎撃に移る

 

―数分後

リィン「た…倒した…のか?」

 

ラウラ「“壊した”と言った方が正しい気がするな」

 

ユーシス「お前達なら何か知ってるんじゃないのか?」

 

そう言ってユーシスはミリアムとレイの方を見る

 

ミリアム「ガーちゃんは関係ないと思うよ?その子は金属でできてるみたいだし」

レイ「機械関係は必要最低限しか会得してないからよく分からん」

 

?「いや~、助かったぜ。そいつにはちょいと手こずってたんでね」

 

A班が機械の魔獣を倒した直後、森から1人の青年が現れた

 

ラウラ「トヴァル殿!」

 

トヴァル「お久しぶりだラウラお嬢さん。サラの所で励んでるみたいだな?」

 

エマ「あ!貴方は…!」

リィン「バリアハートで…!」

 

青年を見たリィンとレイとエマはバリアハートで彼を見た事を思い出す

 

トヴァル「帝国遊撃士協会所属トヴァル・ランドナーだ。よろしく頼むぜ〈Ⅶ組〉の諸君」




レイと邪神竜が何をしているかは後々分かりますのでm(__)m


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〈光の剣匠〉

今回はリィンが戦った後にレイにも戦ってもらいます。そして邪神竜と何を話していたか、この話でわかります


その後、トヴァルから実習課題を受け取ったA班は難なくこなし、遊撃士協会に戻ってくると…

 

?「おお、戻って来たか」

 

ラウラと同じ青い髪の男性がいた

 

ラウラ「ち…父上!?」

 

レイ(あれが〈光の剣匠〉…。なるほど物凄いオーラだな)

 

レイ「はじめまして〈光の剣匠〉。帝国正規軍鉄道憲兵隊所属レイ・リーヴェルト大尉です。今はオリヴァルト皇子の策略でトールズ士官学院に通っています」

 

?「ほう、君が噂の〈迅雷〉か。おっと、まだ名乗っていなかったな。私の名はヴィクター・S・アルゼイド。娘が世話になっている」

 

その後、ヴィクターがラウラに抱きつくなど、多少のビックリはあったがA班はトヴァルに課題達成の報告をし、そのままアルゼイド邸へと戻って食事をとる事にした

 

ミリアム「美味しい~!どれも美味しいね~!」

 

エマ「フフ、ミリアムちゃん。ソースが垂れてますよ」

 

皆がレグラムで取れた物で作られた夕食を楽しんでいる中、ユーシスは何故か暗い顔をしていた

 

ヴィクター「どうしたアルバレアのご子息?食が進んでおらぬようだが?」

 

ユーシス「いえ、実家がこちらにご迷惑をかけているので…」

 

ヴィクター「税によるもめ事など毎年の事。そなたが気に病む事ではない」

 

ユーシス「ありがとうございます。そう言っていただけると…」

 

レイ「ところで〈光の剣匠〉殿は…」

 

ヴィクター「ヴィクターで構わんよ」

 

レイ「はい。ヴィクター殿は八葉一刀流を興したユン・カーファイ殿はご存知ですか?」

 

ヴィクター「ああ、勿論知っている。何度か手合わせもしたが、結局決着はつかなかったな」

 

レイ「だとよリィン」

 

リィン「まさか老師と光の剣匠が…」

 

するとヴィクターはリィンを鋭い目で見る

 

ヴィクター「フム、そなたがリィンか。娘からの手紙では知ってはいたが。そなた…何かを畏れるあまり足踏みしているな?」

 

リィン「っ!!」

 

ユーシス(薄々、感じてはいたが…)

ラウラ(リィンの中に眠る“何か”か…)

 

リィン「参りました。そこまで見抜かれるとは夢にも思っていませんでした。――ですがこれで覚悟も決まりました」

 

そう言ってリィンは立ち上がり、あり得ない事を申し出る

 

リィン「子爵閣下――いえ〈光の剣匠〉殿、どうか自分と手合わせしていただけないでしょうか?」

 

レイ以外「っ!?」

 

 

その後、ヴィクターとクラウス、A班はアルゼイドの練武場へと来て、中央にはヴィクターとリィンが立っていた

 

ラウラ「リィン、考え直すがよい!父上も戯れはお止め下さい!」

 

リィン「止めないでくれラウラ」

ヴィクター「私と彼の勝負だ。そなたは下がるがよい」

 

リィンは太刀を構え、ヴィクターはクラウスから〈鉄騎隊〉の副長を務めた祖先が使っていた〈宝剣ガランシャール〉を構えた

 

ユーシス「無茶すぎる…“指南”ならともかく達人相手の“手合わせ”など…」

 

ガイウス「さすがに厳しいか…」

 

ミリアム「どー考えてもリィンの勝てる相手じゃないよね~」

 

ヴィクター「〈アルゼイド流〉筆頭伝承者ヴィクター・S・アルゼイド参る」

 

リィン(この感じ…もしかしたら老師以上か…。でもこの人なら……!)

リィン「〈八葉一刀流〉初伝リィン・シュバルツァー参ります」

 

リィン対ヴィクターの戦いが始まったが相手は〈光の剣匠〉と呼ばれる帝国の中でも3本の指に入る人物。リィンの攻撃はことごとくかわされるか、弾かれてしまい、そしてヴィクターの一撃でリィンは吹き飛ばされる

 

ミリアム「うっわー…。一撃…(汗)」

ラウラ「だから言ったのだ…(汗)」

エマ「み、見えませんでした……(汗)」

 

ガイウス「…リィンが弱いわけじゃない」

ユーシス「相手があまりに強すぎるのか…」

 

しかしヴィクターは剣を納めず、リィンの首もとに当てる

 

ヴィクター「――何をしている?未だ勝負はついていない。疾く立ち上がるがよい」

 

ラウラ「父上!?」

 

ヴィクター「そなたの力――それが限度ではない事は分かっている。この期に及んで“畏れる”ならば強引に引きずり出すまでの事…。さぁ、見せてみるがいい――」

 

そう言ってヴィクターはリィンにトドメをさすかのようにガランシャールを振り下ろすが…

 

ユーシス「き…消えた!?」

レイ「いや、“力”を解放してヴィクター殿の背後に高速で移動したんだ」

 

レイの言う通り、リィンは力を解放して目は赤く、髪は白くなってヴィクターの背後におり、太刀を振り下ろそうとする

 

ヴィクター「――甘い」

 

しかしヴィクターは予期しておりリィンの太刀を弾く。そしてレイ以外の仲間達はリィンの姿に驚く

 

エマ「え…?」

ミリアム「わわっ…!?」

ガイウス「これは…」

ユーシス「リィン…なのか…」

ラウラ「こ、これが…(リィンの恐れていた…!?)」

 

ヴィクター「そうだ。それでいい。“その力”はそなたの奥底に眠るもの…。それを認めぬ限り、そなたは足踏みをするだけだ」

 

そして力を解放したリィンは先ほど以上の力とスピードでヴィクターに挑む

 

ミリアム「わわっ…。ラウラのおとーさん、押されてるんじゃない?」

 

ラウラ「いや……」

 

リィンがヴィクターに太刀を振るうがヴィクターはいとも簡単に避け、リィンの背後に移動し…

 

ヴィクター「…ここまでか。絶技〈洸凰剣〉!!!」

 

リィン「ぐっ……あ……っ」

 

〈アルゼイド流〉の絶技をリィンにくらわし、絶技をまともに受けたリィンはその場に倒れてしまった

 

ラウラ「リィン!!」

 

そして仲間達は倒れたリィンに駆け寄る

 

ラウラ「リィン!!」

エマ「しっかりして下さいリィンさん!!」

 

その時、気絶した為か、白くなっていたリィンの髪が元の色に戻っていく

 

ガイウス「か…髪の色が…」

ユーシス「ああ…戻っていくようだが…」

 

リィン「う…。み…みんな…?」

 

レイ「リィン、大丈夫か?」

 

その時、リィンは皆に“あの姿”を見られた事を思い出し、畏れるが…

 

ユーシス「……阿呆が。お前は……こんなものを抱えていたのか」

 

リィン「え…」

 

ガイウス「ああ…。だがやっと分かった気がするな。リィンが子爵閣下に手合わせを願った理由が」

 

ミリアム「ほんとスッゴい勝負だったよねー!」

 

エマ「リィンさん、痛い所があったら私、お薬持ってきてますからね」

 

リィン「……皆」

 

レイ(今回の事で少しは成長したかな?)

 

するとラウラは父の方を向いて一言

 

ラウラ「父上、やり過ぎです!」

 

リィン「大丈夫だよラウラ…ちゃんと手加減してくれたから」

 

ラウラ「そう…か」

 

リィン「…参りました。〈光の剣匠〉の絶技、しかと確かめさせていただきました」

 

ヴィクター「フフ、どうやら分かったようだな。――力は所詮、力。使いこなせなければ意味はなく、ただ空しいだけのもの。だが――在るものを否定するのもまた“欺瞞”でしかない」

 

リィン「はい…。天然自然――師の教えがようやく胸に落ちた心地です。ですが…これで一層迷ってしまうような気もします」

 

ラウラ「リィン…」

 

ヴィクター「……それでよい。まずは立ち上がり…畏れと共に足を踏み出すがよい。迷ってこそ“人”――立ち止まるよりはるかに良いだろう」

 

リィン「はい!」

 

レイ「さて、それじゃリィンの体調の事もあるし、今日はもう休むか」

 

ラウラ「そうだな」

 

A班がレイの言葉に頷き、練武場を出ていこうとするが…

 

ヴィクター「待ちたまえ」

 

何故か〈光の剣匠〉に呼び止められた

 

ラウラ「どうしたのですか父上?」

 

ヴィクター「レイ・リーヴェルトと申したな?そなた、リィンと同じ…いやそれ以上の力を持っておるな?」

 

その言葉に以前帝都の実習で同じ班だったリィンとラウラは怪盗Bとレイの戦闘を思い出していた

 

レイ「さすが〈光の剣匠〉殿。よく気づきましたね。それでどうしようと言うのですか?」

 

ヴィクター「そなたの力、かなり強いが邪な物を感じる。どういう力か見せてもらおう」

 

そう言ってヴィクターが再び〈宝剣ガランシャール〉を構えるとレイは「フフッ」と軽く笑う

 

レイ「出来たばかりの新たな力。その相手が帝国の3本の指に入る〈光の剣匠〉ならば、うってつけですね」

 

そしてレイはヴィクターの前に立ち…

 

レイ「ハアァァァァァァァッ!!!!」

 

出来たばかりの“新たな力”を解放すると目は赤くなり、赤黒い炎と雷を纏う

 

リィン「こ…これが…」

ラウラ「レイの持つ…」

ユーシス「リィンとは違う力…」

 

ガイウス「子爵閣下の言う通り、邪な風を感じるが…」

エマ「どこか、澄んだ感じがします」

 

レイ「〈光の剣匠〉相手ですから、俺の本当の武器で戦わせてもらいますよ」

 

リィン「本当の武器?」

 

ユーシス「お前なら知ってるんじゃないか?」

 

そう言ってミリアムを見ると、本人は悪戯っ子のような笑みを浮かべる

 

ミリアム「ニシシ、知ってるけど教えないよ。自分達の目で見た方が驚くよ」

 

そしてレイは右手を上に掲げ、割れた空間の中から魔槍カイザートライデントを取り出し、次に左手を前に突き出すとまたしても空間が割れ、中から魔剣カイザーブロードを取り出して構える

 

ラウラ「なっ!?」

エマ(あれは…!!)

 

レイ「鉄道憲兵隊所属、〈迅雷〉のレイ・リーヴェルト参る!」

 

ヴィクター「〈アルゼイド流〉筆頭伝承者ヴィクター・S・アルゼイド参る!」




長くなりそうなんでいったんここで切ります。


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〈迅雷〉VS〈光の剣匠〉

レグラム編に入ったら書きたかった話がようやく書ける…(泣)


〈迅雷〉と〈光の剣匠〉の戦いが始まるが、2人はお互い見たまま動かない

 

ラウラ「父上は当然だが、レイまでなんという気だ…(汗)」

 

ユーシス「子爵閣下の気に負けず劣らずだな…(汗)」

 

そしてそのまま数分が過ぎ、誰かの汗が床に落ちた瞬間…

 

ヴィクター「ハァァァァッ!!」

レイ「オォォォォッ!!」

 

―ガギィィィンッ!!

 

〈宝剣ガランシャール〉と〈魔剣カイザーブロード〉が交わる

 

レイ「セイッ!」

 

相手の剣と交わった瞬間、レイは〈魔槍カイザートライデント〉を振るうがヴィクターは後ろに下がって回避する

 

ヴィクター「ムンッ!」

 

今度はヴィクターが〈宝剣ガランシャール〉振り下ろすがレイは〈魔槍カイザートライデント〉で受け止める

 

レイ(ただ振り下ろしただけの剣が重いな。さすが〈光の剣匠〉だ)

 

ヴィクター「考え事をしている暇があるかな?ハアッ!」

 

レイ「ッ!!」

 

ヴィクターはガランシャールをいったん戻し、レイの脇腹を狙って真横に振ってくる

 

レイ「くっ!」

 

それを見たレイは屈んでヴィクターの攻撃を避け…

 

レイ「セイヤァァァッ!!」

 

ヴィクター「ムウッ!?」

 

相手の腹目掛けて蹴りを入れるがヴィクターに宝剣を持っていない手で足をガッチリと掴まれていた

 

レイ「完全に隙をついたはずだったんですがね」

 

ヴィクター「いや、ほんの僅かな差だ。少しでも反応が遅れたらくらっていたであろうな」

 

そう言ってヴィクターは掴んでいたレイの足を離す

 

そして2人の戦いを観戦していたⅦ組の面々やクラウスは驚愕の表情をしていた

 

クラウス「まさか筆頭伝承者であるヴィクター様とここまで渡り合えるとは…」

 

リィン「ええ、驚きました…(汗)」

 

ガイウス「お互い凄まじい風を感じるな…(汗)」

 

エマ「ええ…(汗)(それにしてもレイさんはあの力を使って何のデメリットも無いんでしょうか?)」

 

ミリアム「ニシシ、凄いでしょ?レイは戦闘なら『子供たち』の中では1番なんだよ。ちなみに演算能力ならクレアに次いで2番目だよ~…っ!?」

 

ミリアムがそう言った瞬間、彼女の目の前に黒い雷の光弾がスレスレで飛んでいった

 

レイ「おいミリアム、本人の許可なく人のプライベートをペラペラ話すんじゃない(怒)」

 

ミリアム「あ…あはは、ごめんなさい…(汗)」

 

ユーシス「だが聞いてしまった以上、話してもらうからな」

 

レイ「分かったよ。失礼しました〈光の剣匠〉殿。それでは再開しましょう」

 

ヴィクター「うむ。と言ってもそなた達の実習の為の時間もあるからな。次の一撃で最後にしよう」

 

そう言ってヴィクターはリィンにくらわした〈絶技・洸凰剣〉の構えを取り…

 

レイ「良いでしょう」

 

レイは黒い炎と雷を魔剣と魔槍に纏わせて必殺技の構えを取る

 

2人「ハアァァァァァ……」

 

ラウラ「物凄い圧力だ……(汗)」

 

ヴィクター「〈絶技・洸凰剣〉!!!!」

レイ「デッド・スラッシャー!!!」

 

―ズガァァァァァンッ!!!!

 

2人の最強必殺技が真正面からぶつかり、練武場が壊れるんじゃないかと思えるほどの揺れが起き、土煙が起きて視界が0になる

 

ユーシス「くうっ…!!なんという威力だ…!」

ミリアム「何にも見えないよ~!」

 

そして2つの最強必殺技によって起きた土煙が徐々に晴れていくと…

 

2人「………。」

 

2人は無傷で立っていたがお互いの武器は自分の背後に突き刺さっていた

 

ガイウス「こ…これは…」

リィン「引き…分け……?」

クラウス「…のようですな」

 

ヴィクター「フフ、その若さでこれほどの強さ。なるほど私と引き分けるのも納得がいく」

 

レイ「いえ、正直〈邪竜吼〉が無ければ負けていたでしょうね」

 

ヴィクター「謙遜する必要はない。その〈邪竜吼〉とやら、まだ完全に解放していなかっただろう?」

 

レイ「あはは(汗)バレてましたか。先程も言った通り出来たばかりの力なので万が一の事を考えて50%ほどの力しか使いませんでした」

 

ヴィクター「そうか。しかしそなたの中にある“力”は確かに邪な物だがそなたが使っている限り、この帝国を滅ぼすような事にはならないな」

 

レイ「ありがとうございます。良かったな邪神竜」

 

レイがそう言って横に顔を向けると赤黒い小さな竜が現れた

 

邪神竜「人間の中で最強と言われている〈光の剣匠〉にそう言われるとはありがたいな。まぁ、帝国を滅ぼす気などさらさら無いがな」

 

Ⅶ組「えぇぇぇぇぇぇっ!?」

 

レイ「ああ。こいつの事も後で話すから」

 

その後、Ⅶ組A班とヴィクター達は子爵邸に戻るがレイは仲間やヴィクターから〈鉄血の子供たち〉や〈邪神竜〉の事に関して質問攻めにあったのは言うまでもない




レイがヴィクターに放った『デッド・スラッシャー』という技は本来閃Ⅱで出す予定でしたが、一足早くこの戦いで出しました

まぁ、相手があの〈光の剣匠〉だし良いかな。と思いまして

後、レイが邪神竜としていた事は〈邪竜吼〉というレイ版の〈神気合一〉です。詳しくは設定に書いておきます


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聖女の城へ

初めて〈不死の王〉見た時は怖かった…。ホラーは大嫌いな作者ですから


レイが〈光の剣匠〉と戦った次の日、トヴァルから渡された実習課題の半分をクリアしたA班は昼ご飯を食べる為、子爵邸にいたが…

 

リィン「ん?何か騒がしいな」

 

上の階が騒がしく、何事かと思って外に出ると意外な人物が目の前にいた

 

ラウラ・ユーシス「あっ!!」

 

?「おお、ラウラ嬢にユーシス君。久しぶりだね」

 

エマ「誰ですか?(小声)」

 

リィン「西のラマール州を統括している『カイエン公』だ(小声)」

 

ガイウス「後ろにいる2人は?(小声)」

 

リィン「カイエン公が私的に雇った護衛だろう(小声)」

 

すると護衛と思われる2人はリィン達を見て軽く笑い、カイエン公の後を追って子爵邸を出ていった

 

レイ(〈西風の旅団〉か。かつてフィーが所属していた猟兵とこんな所で会うとはな)

 

その後、ヴィクターが降りてきてラウラが何の話をしていたのかと聞くと、どうやら『貴族派』が水面下で他の貴族達を取り込む動きをしているらしい

 

レイ「貴族なら貴族に所属して当たり前。まるで子供のような言い分ですね」

 

ヴィクター「そうだな。だが実際カイエン公に誘われて『貴族派』に所属する者達が後を断たないらしい」

 

レイ「まぁ、『四大名門』のリーダー的存在であるカイエン公に反発する者の方が少ないでしょうからね」

 

リィン「あの…俺の父は?」

 

ヴィクター「フフ、そなたの父上なら大丈夫だろう。シュバルツァー男爵と言えば私より頑固者だからな。何があっても中立を貫くだろう」

 

リィン「そうですか…」

 

ヴィクターの言葉を聞いて安心したリィン。するとヴィクターは何かを思いついたようだ

 

 

その後、ヴィクターは各地の中立の貴族達に声をかけに行くと言って留守をクラウスに任せて再び出ていった

 

ミリアム「ラウラのおとーさん。こうと決めたらすぐに行動するんだね」

 

ラウラ「ああ。昔から即断即決でな。こういう事はしょっちゅうだ」

 

レイ「まぁ、貴族派の事はヴィクター殿に任せて俺達は残った課題をクリアしよう」

 

 

―数時間後・夕方

 

ガイウス「これで今日の課題は全て達成だな」

 

エマ「そうですね。後はトヴァルさんに報告して――」

 

その時、A班の元に食堂で働く女の子が駆け寄ってきた

 

女の子「大変です、ラウラお姉さま!ユリアンとカルノが、城に行ったきり帰ってこないんです!!」

 

ラウラ「何だと!?」

 

レイ「城って、あの『聖女の城』と言われているローエングリン城か!?あんな所に子供2人だけで行っただと!?」

 

ラウラ「事は一刻を争う!すぐ爺にボートを用意させる!」

 

そしてⅦ組A班はクラウスが用意したボートに乗り、子供達が向かったと思われるローエングリン城に向かった

 

 

ユーシス「導力ボートが1隻ある。どうやら転覆せず城に到着したようだな」

 

リィン「ああ。早いとこ見つけないとな」

 

7人が歩を進めようとした時、ローエングリン城に吊るされている鐘が鳴り響き、城の周囲が青白い光に包まれる

 

ミリアム「なっ、何これ~!?」

 

ラウラ「まずいかもしれん!行くぞ!」

 

7人は急いでローエングリン城に続く道を駆け登り、扉を開いて中に入るが…

 

―バンッ!

 

ミリアム「ヒャッ!?」

 

リィン「扉が勝手に閉まった!?」

ラウラ「閉じ込められたのか!?」

 

扉が勝手に閉まって出られなくなり、さらに見た事もない魔獣が現れた

 

レイ「総員戦闘体勢!!」

 

 

ユーシス「何とか倒したか…」

 

ガイウス「しかし、妙な魔獣だったな」

 

レイ「いや魔獣というより、あれは“魔物”といった感じだったが……。ラウラ、これまでにもこの城であんな“魔物”が出た事はあったか?」

 

ラウラ「いや、私の知る限りは無い。一体何が起こっているのだ?」

 

エマ「とにかく、今は子供達を探しましょう」

 

ガイウス「そうだな。だが先程の魔物がまた出ないとも限らないから慎重に行こう」

 

その後、7人は魔物が出る度に倒していき、着実に進んでいく。途中で旧校舎にあったのと同じ赤い扉があったが、開く気配がないのでスルーする。そして最上階近くまで来ると…

 

?「ウワァァァッ!!」

?2「女神様ぁっ!!」

 

とある扉から少年達の悲鳴が聞こえ、中に入ると街の女の子が言っていたカルノとユリアンが魔物に襲われていた

 

ラウラ「っ!!レイ、頼む!」

 

レイ「任せろ!!フッ!!」

 

フィーに負けず劣らずのスピードで高速移動し、『カイザーリッパー』で2体の魔物を粉砕し…

 

レイ「まだ6体いるのか。なら…ダークグレイブ!!」

 

鉤爪を突き刺し、エネルギー状の鉤爪が魔物の周囲に出現し動きを封じる

 

レイ「やれ皆!」

 

レイの言葉に仲間達は技を放って残り6体の魔物を一気に粉砕した。

その後、少年達はラウラに怒られたが仲間を守ろうとした事は誉められ、そのまま少年達を連れてローエングリン城の最上階に来た

 

ラウラ「あれは…」

レイ「宝玉か?」

 

エマ「いえ…宝珠(オーブ)ではないかと…」

 

ミリアム「とにかくあれが今回の原因なんだよね。だったら任せて!」

 

そう言うとミリアムはアガートラムを出現させてオーブを攻撃しようとするが…

 

ユーシス「阿呆!もっと慎重に…」

 

―ガンッ!

 

ミリアム「結界張られてた……」

 

結界が張られており、ミリアムは吹き飛ばされアガートラムは殴った腕が痛かったのか?少し震えていた

 

リィン「だ、大丈夫か……(汗)」

ユーシス「阿呆、だから言ったのに……(汗)」

レイ「なんでもかんでもぶっ壊すという考えは直せといつも言ってるのに……(汗)」

 

ガイウス「待て!何か様子が変だ!」

 

ミリアムの行動に全員が呆れているとオーブが光り、巨大な魔物が現れた

 

ラウラ「ド、ドクロの魔物!?」

 

エマ「〈不死の王(ノスフェラトゥ)〉!?」

 

ユーシス「こんなものまで現れるのか!?」

 

レイ「こいつが全ての元凶か。皆、必ず倒すぞ!」

 

皆「おおっ!!」

 

 

 

ユーシス「ARCUS駆動!」

 

ガイウス「ゲイルスティング!」

 

ラウラ「鉄砕刃!」

 

リィン「弐の型・疾風!」

 

レイ「デスクローラッシュ!」

 

5人の決死の攻撃で〈不死の王〉の動きが鈍くなってきた

 

エマ「いきます!ロードアルベリオン!!」

ミリアム「いっくよ~!ギガントブレイク!!」

 

エマとミリアムのSクラフトで〈不死の王(ノスフェラトゥ)〉は倒されたが…

 

ガイウス「やっ…やったのか?」

 

ユーシス「気を抜くな!何か妙だ!」

 

ユーシスがそう叫ぶと宝珠(オーブ)が光り輝き、何かを察知したレイとガイウスは咄嗟に飛び退き、それ以外のメンバーは捕らわれてしまった

 

ガイウス「皆!!」

 

リィン「動け…ない…」

エマ「迂闊でした…!まだこんな力が残っていたなんて……!」

 

リィンはこの状況を突破する為に“力”を解放しようとするが、エマに「あなたまで取り込まれる」と何の事か分からない事を言われる

 

レイ(っ!?何か来る!?)

 

レイが何かを察知した時、飛来音が聞こえて巨大な〈馬上槍(ランス)〉が宝珠(オーブ)を貫き、粉砕した。

そして砕け散った際に四散した光がテラスにいた黄金の髪の女性に吸収される

 

その後、黄金の髪の女性は光を纏って消えた

 

 

ユーシス「う…。一体…何が起こった…?」

ラウラ「眩しくてよく…」

 

ガイウス「何かが飛来する音が聞こえて…」

リィン「ああ、そして宝珠を貫いた…。あれは多分“槍”だ。巨大な〈馬上槍(ランス)〉」

 

ラウラ「〈馬上槍(ランス)〉…だと?」

 

レイ「間違いない。さっきまであそこに人がいた。光に包まれた…黄金の髪の女性が…」

 

ミリアム「そ、それって……(汗)」

 

ラウラ「くっ…!」

 

エマ「ラ、ラウラさん!?」

 

するとラウラはいきなりテラスに向かって走り出す。そしてそれを追って仲間達もテラスに向かう

 

ユーシス「誰もいないな…」

 

エマ「城を包んでいた青白い霊気は消え失せていますね」

 

ミリアム「あの宝珠が砕けたからだよね?」

 

リィン「でも…だったらあの〈槍〉は…?」

 

ラウラ「槍の……聖女……」

 

 

セリーヌ「“あの女”かと思ったけど、〈鋼の聖女〉の方だったか。でも…いよいよ時間が無くなってきたわね」

 

レイ(槍を使う黄金の髪の女性……。まさか、情報局のデータベースにあった〈鋼の聖女〉か?だが…なぜ彼女がここに?)

 

その後、救出したユリアンとカルノと共にレグラムに帰還したA班は子爵邸に戻り、そのまま就寝した




次の話ではレイはクロスベルへと行きます。


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魔都クロスベルへ

オリジナルの話です。この話であの蠱惑的言動娘がまた…


レグラム・早朝

 

レイ「それじゃ俺は行く。お前達も〈ガレリア要塞〉での実習頑張れよ」

 

リィン「ああ。レイもクロスベルでの任務、頑張れよ」

 

ユーシス「まぁ、無茶はするなよ」

 

ガイウス「何やら妙な風を感じる。警戒は怠らない方が良い」

 

レイ「もちろんだ。魔都と呼ばれている所に行くんだから嫌でも警戒するさ」

 

そしてレイは邪神竜の力を解放し、赤黒い翼を展開して少し浮き上がる

 

エマ「お気をつけて」

ミリアム「お土産お願いね~!」

 

レイ「買えたらな」

 

ラウラ「レイ、ユーシスも言っていたが無茶はするなよ。敵わない相手が現れたら生徒会長を連れて逃げるのだぞ」

 

レイ「出来る限りはそうしよう。っとそろそろ行かなきゃな。じゃあな!」

 

そう言ってレイは高速で飛び、トワが待つケルディックに向かった

 

 

―東ケルディック街道

 

東ケルディック街道に降りたレイはそのまま歩いてケルディックに入ると駅前にトワ・ハーシェルが立っていた

 

トワ「あっ、レイく~ん!」

 

レイ「トワ会長、お待たせしました」

 

トワ「ううん。私も丁度来たところだから。それじゃ入ろうか」

 

レイ「ええ」

 

無事に合流出来た2人はそのままケルディック駅に入ると目の前にドミニク少尉がいた

 

ドミニク「あっ、レイ大尉。お疲れ様です」

 

レイ「ドミニクもお疲れ。鋼鉄の伯爵(アイゼン・グラーフ)は?」

 

ドミニク「もう少しで到着するはずです」

 

その時、ケルディック駅に深紅の列車が停車した

 

トワ「ウワァァ~、これが噂の帝国政府の専用列車なんだね!」

 

レイ「それでは乗りましょうか」

 

そして2人は鋼鉄の伯爵に乗り、座席に座るとすぐにクロスベルに向けて発車した

 

―鋼鉄の伯爵内・食堂車

トワ「……」

 

レイ「トワ会長、緊張されてるみたいですね?何か飲みますか?」

 

トワ「あっ、ううん。緊張はしてるけど大丈夫だよ」

 

レイ「そうですか?なら緊張をほぐす為にこれから行くクロスベルの話でもしますか?」

 

トワ「あっ、うん。そうしよっか」

 

その後、2人はこれから向かうクロスベルの事について語る。

 

 

―数分後

2人は食堂車から普通車両に戻ってきた(レイの手には自分で入れた紅茶がある)

 

トワ「へぇー、『ミシュラム・ワンダー・ランド』かぁ~。話を聞く限りだと凄く楽しそうな場所だね」

 

レイ「実際、楽しくて大人気らしいですよ。毎年大盛況でカップルも多いんだとか。」

 

トワ「カップルか~。そういうのって憧れるよね~」

 

レイ「そうですか?」

 

トワの言葉にそう返事しながら、レイは自分で入れた紅茶を飲む

 

トワ「レイ君にはそういう相手っていないの?」

 

レイ「ゴフッ!?」

 

トワのいきなりの爆弾発言に飲んでいた紅茶が気道に入り、激しくむせるレイ

 

トワ「だっ、大丈夫レイ君!?」

 

レイ「大丈…夫です……。」

 

トワ「もしかしてレイ君って彼女いるの?」

 

レイ「いっ、いるわけないじゃないですか!!今はトールズの学生ですが、自分の本業は鉄道憲兵隊ですよ!?彼女なんてとても作ってる暇なんか……(汗)」

 

トワ「そうだよね。最精鋭って言われてる鉄道憲兵隊に所属してるんじゃ彼女を作ってる暇なんてね」

 

レイ「そうですそうです!」

 

レイ(俺とミルディーヌが恋仲だという事はあまり知られたくないからな。それにあいつの耳に入るとあることないことトワ会長に吹き込みそうだし……(汗))

 

そんなやり取りをしていると列車はガレリア要塞を越えてクロスベル駅に到着した

 

トワ「到着したみたいだね」

 

レイ「そうですね」

 

レイ(さて、魔都と呼ばれるクロスベル自治州。一体どんな奴らが待ち受けているのかな?それに“例の奴ら”とも接触しないとな)




次回で“もう1つのⅦ組”と言える彼らが登場します


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クロスベルの英雄

閃Ⅳで特務支援課のメンバーを操作出来ると知って嬉しかったなぁ~、リィン達に負けず劣らず魅力的なメンバーですからね


カレン少尉「それではレイ大尉、トワさんお気をつけて」

 

レイ「ああ、姉さんによろしく言っといてくれ」

 

無事に到着した2人が駅を出ると……

 

ミル「フフッ、お待ちしてましたわ。トワ・ハーシェルさん、レイ兄様」

 

レイ「っ!?」

 

トワ「えっと、どちら様ですか?」

 

ミル「申し遅れました。私は…」

 

ミルディーヌがトワに自己紹介しようとした時、レイは彼女の手を掴んでトワから引き離す

 

レイ「何でお前がここにいるんだ!?(小声)」

 

ミル「レイ兄様の行く所ならどこにでも馳せ参じますわ(小声)」

 

レイ「女学院はどうした?(小声)」

 

ミル「もちろん、休みました。レイ兄様に会いたいという理由で(小声)」

 

レイ「そんな理由で休めるもんなのか?(小声)」

 

ミル「というのは嘘でして、親戚が亡くなったと嘘をついて休みました」

 

レイ「どっちにしても嘘ついてここに来たんじゃないか……(小声)」

 

ミル「それよりお連れの方を放っておいて良いんですか?(小声)」

 

ミルディーヌにそう言われてトワの方を見ると、「何、話してるんだろう?」という顔をしている

 

レイ「色々と聞きたい事があるが、それは後でな。それとトワ会長にあることないこと言うなよ(小声)」

 

ミル「はいっ」

 

そして話が終わった2人はトワの所に戻ってくる

 

レイ「すいませんトワ会長、お待たせしました」

 

トワ「ううん、大丈夫だよ。ところでこちらの方は?」

 

ミル「初めまして。私、帝都の聖アストライア女学院に通うミルディーヌ・ユーゼリス・ド・カイエンと申します。レイ兄様の恋人ですわ♥️」

 

トワ「カイエンって……〈四大名門〉の!?というかレイ君の恋人!?レイ君、恋人いたんだ…」

 

レイ「えっ、ええ…(汗)」

 

ミル「レイ兄様がクロスベルに行くと独自の情報網から手に入れたので、女学院を休んで来ました」

 

トワ「えっと、独自の情報網って?」

 

ミル「ウフフ、秘密です♥️」

 

レイ(多分、姉さんだな(汗))

 

トワ「それじゃ、一緒に行く?これからレイ君と一緒にオルキスタワーに向かうところだったし」

 

ミル「よろしいんですか?ありがとうございます」

 

レイ「話は終わったみたいなんで行きましょうか?」

 

そしてレイはトワと女学院を休んでまでクロスベルに来たミルディーヌと共に〈通商会議〉が行われるオルキスタワーに向かった

 

 

―オルキスタワー前

トワ「凄いねぇ~。」

 

ミル「確か、IBCのディーター・クロイス総裁が市長になった時に作られたタワーでしたね」

 

レイ「ああ、ここで〈通商会議〉が行われる。だがそれは明日だから、まだ各国の代表は…」

 

?「わっ!!」

 

トワ・ミル「キャッ!?」

レイ「っ!?」

 

?「ハハッ、びっくりしたかい?」

?2「後ろからいきなりだと誰だって驚くだろうが」

 

レイ「オリヴァルトにミュラーさん。もしかして今、到着したんですか?」

 

ミュラー「うむ。このバカが書類をためていてな」

 

オリヴァルト「クレア大尉に頼んで憲兵隊専用列車に乗せてもらって今しがた到着したというわけさ。そして駅を出てオルキスタワーに向かっていた時に君達を見つけ、悪戯心がうずいてね」

 

レイ「そうか。ならその代償として俺の鉤爪の攻撃を受けろ。なぁに、顔に三本の線が出きるだけだ(怒)」

 

ミュラー「いや、待ちたまえレイ君。さすがに街中で武器を出すのはまずい。なので私と共にこのバカ者を殴るというのでどうだろうか?」

 

レイ「確かにミュラーさんの言う通りですね。わかりました、一緒にこのバカを殴りましょう」

 

オリヴァルト「ミュラー君、レイ君。冗談だよね?(汗)」

 

ミュラー・レイ「冗談だと思うか?」

 

2人の雰囲気にこれは本気だと思ったオリヴァルトは…

 

オリヴァルト「すいませんでした…」

 

土下座して謝る。幸い、通行人はいなかったので騒がれる事はなかった

 

トワ「オリヴァルト皇子って皇族なのに、あんな扱いで良いのかな?(汗)」

 

ミル「いつもの事ですから、気にしなくても大丈夫ですよ」

 

トワ「いつもの事なんだ…(汗)」

 

オリヴァルト「それじゃ我々はトワ君と共にオルキスタワーに行くから、君達はこの街でデートすると良い」

 

レイ「なっ!!///」

ミル「ご配慮ありがとうございます♥️」

 

 

その後、2人はクロスベルの街中を歩く

 

ミル「クロスベルは魔都と呼ばれていますが、そんな感じは全くしませんね」

 

レイ「そうだな。まぁ、裏側はまさしく魔都と呼ぶに相応しいんだろうが……ん?」

 

ミル「どうしました?」

 

レイ「あそこにパン屋があるだろ?そういえば朝食がまだだったなと思ってな」

 

ミル「それでしたら私も朝食を抜いてきたので…」

 

レイ「買えばいいんだろ?」

 

ミル「ありがとうございます」

 

そして2人は西通りにあるベーカリーカフェ〈モルジュ〉に入る

 

レイ「さて、好きなのを選べ」

 

ミル「それでは、これとこれを……あら?」

 

レイ「どうした?」

 

ミル「いえ、この空のかごに書いてあるパンの名前が気になりまして」

 

ミルディーヌがそう言って指さしたかごを見るとそこには「大人気!!みっしいパン」と書かれたプレートがあった

 

レイ「みっしいというとあの保養地ミシュラムのご当地キャラクターだったか?」

 

ミル「どんなパンなのか気になりますが、売り切れなら仕方ありませんね」

 

レイ「また明日、早めに来たらあるかもしれないな」

 

ミル「そうですね。」

 

そして2人はベーカリーカフェを出て目の前のテーブルに座り、買ったばかりのパンを食べる

 

ミル「美味しいですね。女学院の学食で出ても問題なしですね」

 

レイ「確かに。トールズの学食でも出たら人気になるかもな」

 

その時、中央広場から女性の悲鳴が聞こえて2人はそちらを見ると1人の男が女性物のバッグを持って走っていた

 

ミル「どうやらあの男性が女性のバッグを奪ったようですね」

 

レイ「ああ。ここは俺に任せてミルは安全な所に隠れてろ」

 

ミル「分かりました」

 

ミルディーヌを安全な所に移動させた後、レイはひったくり犯の前に立つ

 

男「どけぇ!!ガキィィッ!!」

 

目の前に立ったレイを見たひったくり犯はナイフを出して、振りかぶるが…

 

レイ「フッ!」

 

―ズガッ!!

 

男「ガハッ!!」

 

レイはいとも簡単にナイフを避け、ひったくり犯の顎にアッパーをくらわして倒した

 

ミル「おっと…。さすがレイ兄様ですね」

 

ミルディーヌは男の手から吹き飛んだバッグをキャッチしてレイの元に駆け寄る

 

レイ「まぁ、ひったくり犯ごとき目を閉じてても片付けれるさ。それよりそのバッグを…」

 

?「すいません!通して下さい!」

?「ごめんなさい!警察です!」

 

レイ「おや、“彼ら”のお出ましかな?」

 

ミル「“彼ら”?」

 

?「すいません!“特務支援課”です!通して下さい!」

 

レイとミルディーヌの前に特務支援課に所属するロイド・バニングスとエリィ・マクダエルが現れた

 

ロイド「こ、これは……」

 

エリィ「どうしたのロイド?」

 

ロイド「あ、いやこれ……」

 

ロイドが指さす先を見るとひったくり犯が気絶して倒れていた

 

レイ「こっちにひったくり犯が来たからな。捕まえておいてやったぜ」

 

ロイド「あっ、君が捕まえてくれたのか。ありがとう」

 

ミル「これ、盗られたバッグです。被害にあった女性にお返し下さい」

 

エリィ「あっ、ありがとう…」

 

その後、ひったくり犯は警察に連れていかれ、レイとミルディーヌはその場から去ろうとするが…

 

ロイド「ちょっと待ってくれ。事情を聞きたいから一緒に来てくれないか?」

 

レイ「だそうだが、どうする?」

ミル「私は構いませんわ」

 

レイ「分かった。行こう」

 

ロイド「ありがとう。あそこにあるビルに行くからついてきてくれ」

 

そしてレイとミルディーヌはロイドとエリィの後を追い、“特務支援課”が入っているビルに向かった



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特務支援課

-特務支援課

 

ロイド「ここが特務支援課だ。入ってくれ」

 

レイ「失礼する」

ミル「失礼します」

 

ロイドに言われて特務支援課に入るとソファーに座った男2人と女1人とパソコンの前に女性がいた

 

?「おうロイド、お嬢。パトロール、ご苦労さん。ん?そっちの2人は?」

 

ロイド「さっき通信で話した引ったくり犯の逮捕に協力してくれた人達だ」

 

?「そうなんですか。まだ若いのに凄いんですね」

 

レイ「まぁ、普段から鍛えてますから」

ミル「私は飛んできたバッグをキャッチしただけですけどね。ところで貴方達は?」

 

ミルディーヌにそう言われた4人は立ち上がり、自己紹介を始める

 

?「おっと悪い、自己紹介がまだだったな。俺はランディ…ランディ・オルランドだ」

 

?「ティオ・プラトーです」

 

?「私はノエル・シーカーです」

 

?「ワジ・ヘミスフィアだよ」

 

レイ「帝国正規軍・鉄道憲兵隊所属レイ・リーヴェルト大尉です。今回はよろしくお願いします」

 

ミル「レイ兄様の恋人のミルディーヌ・ユーゼリス・ド・カイエンです」

 

2人の自己紹介に特務支援課の面々は驚く

 

ノエル「て、鉄道憲兵隊ってあの帝国で最精鋭と言われている……!?しかもその若さで大尉!?」

 

ランディ「その年で所属って…マジかよ……!?(汗)」

 

エリィ「それも驚きだけど、私はこっちの子に驚いたわ……!(汗)」

 

ティオ「カイエンというと……確かエレボニアで皇帝の次に権力がある〈四大名門〉の筆頭の名字ではなかったかと……!」

 

ロイド「それに正規軍と〈四大名門〉は簡単に言えば仲が悪く、いつ戦いが起きてもおかしくないと聞いてる……。その身内と正規軍の人間が恋仲とは……」

 

ミル「確かにそうですが、私達にはそんな事は関係ありません。私はレイ兄様の事を好きになった、レイ兄様も私の事を好きになった。それで良いじゃありませんか♥️」

 

そう言ってミルディーヌはレイの腕を自分の胸にギュッと当てる

 

レイ「ミル、あんまりその事を言いふらさないでくれ。恥ずかしいから///」

 

その時、奥の部屋から中年の男性と少女と白い狼が現れた

 

?「お前ら、さっきからうるさいぞ」

?「お客さん~?」

?「ウルルル…」

 

ロイド「あっ、セルゲイ課長。先程通信で話した人達です」

 

セルゲイ「おう、そうか。特務支援課の課長をやってるセルゲイだ」

 

エリィ「この子はキーアちゃん。私達が保護したの」

 

キーア「キーアだよ~。お兄ちゃん、お姉ちゃんよろしくね~」

 

ツァイト「グルルル…ウォン!」

ティオ「あっ、彼は…」

 

レイ「ツァイトだろ?」

 

ティオ「えっ?」

 

ランディ「おいおい、まさかこいつの言っている事が分かるのかよ?」

 

キーア「そうなの?お兄ちゃん凄~い!」

 

レイ「ああ。『私の名はツァイト。お前、なかなか強力な“力”を持っているな』って言ってる」

 

ロイド「強力な“力”?」

 

ツァイトにそう言われたレイはフッと軽く笑い、一言

 

レイ「さすが神狼、よく分かったな。ご褒美に見せてやるよ。俺の中にある“力”を…」

 

そしてレイは一度深呼吸して目を閉じ…

 

レイ「邪竜吼!!」

 

邪神竜の力を解放する

 

エリィ「キャアッ!?」

ノエル「こっ、これが…」

ロイド「彼の中に眠る“力”か!」

ティオ「物凄い圧力です…!」

ランディ「まるで『ウォークライ』みたいだぜ(小声)」

 

そしてレイは目を閉じて邪竜吼の発動を止めた

 

レイ「今ので30%位だ」

 

ロイド「い、今ので30%!?」

 

ランディ「全部解放したらどんだけなんだよ……(汗)」

 

その後、レイとミルディーヌは特務支援課のメンバーとお互いの過去話や情報交換、そしてミルディーヌがどうやってレイと出会ったのか等の色々な話をしてその日は終えた



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通商会議

翌日、レイとミルディーヌは早起きして例のパン屋〈モルジュ〉に向かう

 

レイ「昨日は買えなかったみっしぃパン、あると良いな」

 

ミル「こんなに早起きしたんですから、きっとありますよ」

 

そして2人はモルジュに入り、お目当てのみっしぃパンを探す

 

レイ「おっ、あったぞ。しかも焼きたてだ」

ミル「これがみっしぃパンですか。可愛らしいパンですね」

 

2人は迷う事なくみっしぃパンを購入し、〈特務支援課〉に戻る。するとテーブルの側にエリィとランディがいた

 

エリィ「あら、おはよう。早いのね」

 

ランディ「なんだなんだ~?朝早くから熱々デートでも――痛たたたっ!!」

 

エリィ「朝からなんて話してんのよ?」

 

ランディ「悪かった!悪かったから離してくれお嬢!」

 

そう言われてエリィはランディの耳を離した。かなり赤くなっている事から物凄い力でつねっていたようだ

 

ランディ「でもよ、ほんとに何でこんな朝早くに出かけてたんだ?」

 

レイ「昨日、あんた達に出会う前にモルジュに行ってな。そこで店で一番人気なのがみっしぃパンだと知って今日朝早く起きてゲットしに行ったんだ」

 

ミル「皆さんの分も買ってありますから朝食にいかがですか?」

 

エリィ「わざわざありがとう。ティオちゃんも喜ぶわ」

 

レイ「どういう事だ?」

 

ランディ「それは見たらわかるぜ。んじゃ、俺は朝飯の当番だから準備してくるわ」

 

そう言ってランディはキッチンがある扉に入っていく

 

エリィ「それじゃ私はティオちゃんとキーアちゃんとロイドを起こしてくるから、レイ君とミルディーヌちゃんはここで待っててね」

 

その後、しばらく待っていると〈特務支援課〉の扉が開き、ノエル・シーカーとワジ・ヘミスフィアが入ってきた

 

ノエル「おはようございます」

ワジ「おはよう」

 

ミル「あらノエルさんにワジさん。おはようございます」

 

レイ「どうしたんだ?」

 

ノエル「ランディ先輩が朝食を食べさせてやるから来いと通信があったので」

ワジ「お言葉に甘えて来たってわけさ」

 

ミル「でしたらこちらにどうぞ」

 

ミルディーヌが手で自分達の目の前の席を指し示し、座るように促し、2人が座った直後、ランディがキッチンから出てきてエリィがロイドとティオ、キーアと共に降りてきた

 

ランディ「おう、丁度全員揃ったな。んじゃ、ランディ特製のパスタだぜ」

 

ティオ「朝からパスタですか?起きたばかりの胃には少し辛いものがありますね」

 

ランディ「何言ってやがる。今日は〈通商会議〉っつう超がつくほど重要なイベントがあるんだ。しっかり食って力をためなきゃ、いざって時に動けねぇぞ」

 

ティオ「しかし…」

 

それでも渋るティオにエリィがある事を耳打ちする。するとティオの目付きが変わり…

 

ティオ「そういう事なら仕方ありません。今回は黙認しましょう」

 

ランディ「よっしゃ、それじゃいっただきま~す!」

 

皆「いただきます」

 

 

そして全員がパスタを食べ終わるとティオがレイの側に来て、両手を出す

 

レイ「どうした?」

 

ティオ「みっしぃパン、人数分を買ってきてあるんですよね?ください」

 

レイ「え?あ、おう…」

 

袋からみっしぃパンを出して渡すと、ティオは目をキラキラさせていた

 

レイ「もしかしてティオってみっしぃが大好きなのか?(小声)」

 

ロイド「ああ。通信機にもみっしぃのストラップをつけているし、前にみっしぃを探す依頼でも物凄くやる気になっていたからな。かなりのみっしぃ好きだと思うぞ(小声)」

 

ティオ「ああ~、ベーカリーカフェ〈モルジュ〉のみっしぃパン。超がつくほど人気でなかなか手に入らないのでもう諦めていましたが、まさかこうして手に入るとは……。」

 

ミル「物凄くうっとりした顔で見てますね。でも私も彼女の気持ちは分かります。私も大好きな人を目の前にしたらうっとりしちゃいますから」

 

 

その後、全員が朝食を食べ終えてノエルとワジは帰っていき、〈特務支援課〉とレイとミルディーヌはオルキスタワーへと向かった

 

レイ「それじゃ俺はタワー内部の警備だから、ここまでだな」

 

ロイド「頑張ってくれ。俺達は外の警備だから協力は出来ないが不審者は絶対に入れさせないから」

 

レイ「頼りにしてるぞ。〈特務支援課〉リーダー、ロイド・バニングス」

 

そしてレイはオルキスタワーに入っていくが…

 

レイ「って待て!何さらっと一緒に入ってきてるんだミルディーヌ!?」

 

ミル「レイ兄様の勇姿を間近で見ようと思いまして♥️」

 

レイ「『思いまして♥️』じゃない!!〈通商会議〉はお遊びじゃないんだぞ!〈帝国解放戦線〉や〈赤い星座〉が動いているという情報まである!!そんな危険な所にお前を連れていくわけにはいかないだろ!!」

 

ミル「大丈夫です。レイ兄様は何があっても私を守ってくれると信じてますから」

 

レイ「……。ったく、しょうがないな。ただし、戦闘が始まったら安全な場所に避難するんだぞ?」

 

ミル「はい、分かりました」

 

ミルディーヌの同行を認めたレイはそのままオリヴァルトとミュラーのいる部屋へと向かう

 

 

レイ「失礼する」

ミル「失礼します」

 

オリヴァルト「やあ、よく来たねレイ君」

ミュラー「しかしなぜ彼女まで?」

 

レイ「それは…」

 

オリヴァルト「察してあげなよミュラー君。愛する者が危険な場所に行くんだよ?恋人として黙って見ていられるはずがないじゃないか」

 

ミル「さすがオリヴァルト皇子、乙女心をよく分かっていますわ」

 

レイ「んんっ!それで〈通商会議〉だが、俺が警備する位置は変わりないんだな?」

 

オリヴァルト「ああ。事前に聞いた位置のままだよ」

ミュラー「私はこいつの側で警護をする。レイ君は少し離れた所からだ」

 

レイ「分かりました。後少しで始まりますから、俺達は先に行ってます」

 

そしてレイとミルディーヌはオリヴァルトの部屋を出て自分の警備する位置へと向かった

 

レイ「ここが俺が警備する位置か」

ミル「何かあってもすぐに駆けつける事が出来る良い場所ですね」

 

 

その後〈通商会議〉が始まり、各国のトップが議論を始めた

 

ミル「最初は穏やかに話し合っていましたが、やはり帝国と共和国の間はピリピリしてますね」

 

レイ「長年のライバルだから仕方ないと言えば仕方ないが、もう少し何とかならないのかね?」

 

そして〈通商会議〉は順調に進み、もう少しで終了すると思った時…

 

―ズドォォンッ!!

 

レイ「砲撃音!?」

 

ミル「建物の外から聞こえましたが…」

 

オルキスタワーが砲撃され、レイは慌てて廊下に出るとそこには〈帝国解放戦線〉の漆黒の飛行艇がいた

 

レイ「帝国解放戦線!!」

 

ミュラー「レイ君、大変だ!このタワーの地下に〈赤い星座〉が現れたと報告があった!」

 

レイ「分かりました!そっちは俺が!ミュラーさんはここをお願いします!」



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赤い星座のシャーリィ

ミュラーの報告でオルキスタワーの地下に帝国の2大猟兵団の1つ―〈赤い星座〉が現れたと聞いたレイはミルディーヌをオリヴァルトの部屋に避難させた後、急いで地下へと向かうと…

 

レイ「っ!!これは…」

 

オルキスタワーの警備をしていた者達の死体が転がっており、目の前には〈赤い星座〉のメンバーがいた

 

?「あれ?また獲物が来たねぇ~」

 

レイ「お前らがこれをやったのか?」

 

?「そうだよぉ~。…って、ん?んん~?」

 

レイ「なっ、何だ?」

 

〈赤い星座〉のメンバーの1人である赤い髪の少女が何故かレイの顔をマジマジと見つめる

 

?「君の顔、どこかで……。あぁっ、思い出した!!君、数年前まで狂戦士(バーサーカー)として恐れられてたでしょ?」

 

レイ「なぜそれを?」

 

?「君、猟兵達の間じゃ結構有名だよ~。1人で猟兵団を壊滅したとか、凶暴な魔獣をいとも簡単に倒したとか。」

 

レイ「よく知ってるな。だが今の俺は鉄道憲兵隊大尉、〈迅雷〉のレイ・リーヴェルトだ」

 

そう言ってレイはカイザークローを装備する

 

?「そっちの事もちゃんと知ってるよ。〈氷の乙女(アイス・メイデン)〉の義弟で冷静に状況を見極めて対処する優れた人物だってね。」

 

そう言って?は巨大なチェーンソー…テスタロッサを取り出す

 

?「そういえばまだ自己紹介してなかったね。私はシャーリィ。シャーリィ・オルランドだよ。噂の人物の力、見せてもらうよ!」

 

レイ「〈迅雷〉のレイ・リーヴェルト、参る!」

 

シャーリィ「ヤアァァァッ!!」

 

戦いが始まると、シャーリィは一気に間合いを詰めてチェーンソーを振り下ろすが…

 

レイ「フッ」

 

レイは横にスッと移動するだけで回避した

 

シャーリィ「まだまだぁぁっ!!」

 

レイ「そんな巨大なチェーンソーを振り回して、本当に女か?」

 

シャーリィ「昔から使ってたから慣れてるんだよ。それより、早く本気になってよ!じゃないと真っ二つになっちゃうよ!」

 

そう言ってシャーリィはテスタロッサを真一文字に振るう

 

レイ「お前相手に本気を出す必要はない」

 

シャーリィ「っ!?」

 

声が聞こえた方を見るとレイがテスタロッサの上に立っていた

 

レイ「お前の武器は巨大な為、攻撃方法は振り下ろすか凪ぎ払うかの2つに1つ。至極読みやすい。デスクローラッシュ!!」

 

シャーリィ「ウワァァァッ!!」

 

レイのクラフトの1つ、〈デスクローラッシュ〉を受けてシャーリィは吹き飛ぶが…

 

シャーリィ「やるじゃん…でもまだまだ闘れるよ。ハアアァァァッ!!」

 

彼女は立ち上がり、猟兵特有のクラフト―〈ウォークライ〉を発動させた

 

シャーリィ「くらえぇぇぇっ!!」

 

ウォークライを発動させたシャーリィはテスタロッサを構えてカッター部分の上部をレイに向ける。すると上部に空いていた穴から弾丸が放たれた

 

レイ「っ!!シッ!!」

 

それを見たレイは一瞬驚いたがすぐに冷静になり、カイザークローで真っ二つにした

 

レイ「その武器の上部の穴、気になっていたがまさかそういう作りになっていたとは……。だが俺には無意味だな」

 

シャーリィ「へっ?」

 

レイ「〈邪竜吼〉!!オォォォォッ!!!」

 

レイが自身の体に宿る〈邪神竜〉の力を10%程解放して赤黒い炎と雷を纏った

 

シャーリィ「何これ……凄ぉぉぉぉい!!ワクワクしてきたよ!!それじゃ、第2ラウンドといこうか!たっぷり楽しませてもらうよ!」

 

2人「ハアッ!」

 

2人は同時に一瞬で間合いを詰め、テスタロッサとカイザークローが火花を散らして交わる

 

シャーリィ「ハアアァァァッ!!」

レイ「ヤアアァァァッ!!」

 

レイ「シャアァァッ!!!」

シャーリィ「デヤァァァッ!!!」

 

―ギィィィィンッ!!!

 

レイとシャーリィによる超高速戦闘が展開されるなか、2人は一旦距離を取ってしっかりと武器を構えてお互いに突撃する

 

レイ「……」

シャーリィ「……。くっ…」

 

突撃した後、2人はしばらく微動だにしなかったが、先に倒れたのはシャーリィだった

 

レイ「俺の勝ちだな」

 

シャーリィ「やるね……さすが〈狂戦士(バーサーカー)〉いや……〈迅雷〉だね。まさか…負けるなんてね」

 

レイ「部隊を撤退させろ。そうすれば命までは奪わん。だが、まだ闘ると言うなら…」

 

シャーリィ「分かったよ…。引き際位、ちゃんと心得てるからさ」

 

そしてシャーリィは部隊に撤退を指示し、共に退こうとした時、レイの方を振り向く

 

シャーリィ「1つ聞きたいんだけどさ。あの〈邪竜吼〉ってやつ、何%位解放したの?」

 

レイ「10%程だ」

 

シャーリィ「たった10%で私を圧倒したんだ…。なら次に会う時は50%位を無理矢理引き出してあげる位に強くなるからね。バイバ~イ」

 

そしてシャーリィはオルキスタワー地下から去っていった。それと入れ替わるように〈特務支援課〉のロイド、ランディ、エリィ、ティオがレイの元に駆けつけてきた

 

ロイド「レイ、大丈夫か!?」

 

ランディ「〈赤い星座〉が現れたって聞いてよ!」

 

エリィ「どこもケガしてない!?」

 

レイ「小さなかすり傷は負ったが、命に関わるような重傷は無い。」

 

ティオ「嘘をついてはいないようですね」

 

レイ「それよりこんな大事件が起きたんだ。事後処理とか色々あるだろう。行くぞ」

 

そう言ってレイは〈特務支援課〉と共に事後処理を行う為、オルキスタワーへと戻った




シャーリィの口調が間違っていたらごめんなさいm(__)m


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とある少女との出会い

レイは今、鉄道憲兵隊の軍服ではなく、パーティーに着ていくようなダークスーツを着てクロスベルの中央広場に来ていた

 

レイ(なぜこんな事になった?)

 

話は1日前に遡る

 

―1日前・午後

 

レイ『これで事後処理は全て終わったな。ロイド、そっちはどうだ?』

 

ロイド『ああ、こっちも終わったよ』

 

ティオ『ランディさんとエリィさんも終わったようです』

 

レイ『よし。それじゃオリヴァルト殿下とオズボーン宰相に報告してくるか。ロイド達は先に帰ってて良いぞ』

 

ロイド『すまない。』

ティオ『ありがとうございます』

 

そして全ての事後処理を終えたレイは先にオズボーン宰相に報告し、その後オリヴァルトとミュラーがいる部屋を訪ねる

 

レイ『失礼します』

 

オリヴァルト『ああ、レイ君。今回もお疲れ様。』

ミュラー『まさか〈赤い星座〉の団長の娘を退けるとはやるな』

 

レイ『運が良かっただけです。それより事後処理が完了したのでその報告に』

 

オリヴァルト『そうか、お疲れ様。ところでこの後はどうするんだい?』

 

その言葉にレイは意味がわからないといった顔になり、オリヴァルトに尋ねる

 

レイ『どうするも何も、〈通商会議〉が終わったのでエレボニアに帰ろうと思っていますが?』

 

オリヴァルト『何だって!?レイ君、何を言ってるんだい!?ここは魔都とはいえクロスベルだよ!!大型新人リーシャ・マオがいる〈アルカンシェル〉に保養地ミシュラムにある大人気の〈ミシュラム・ワンダー・ランド〉等々、楽しそうな所がたくさんあるのに!!』

 

オリヴァルトはレイに詰め寄りながらクロスベルで人気の場所をあげていく

 

レイ『近い近い!!つまりは何が言いたいんだアホ皇子!!』

 

オリヴァルト『つまりだね、せっかくクロスベルにいるんだから可愛い彼女を連れて本格的なデートをしたらどうかって事だよ』

 

レイ『なっ!?///』

 

オリヴァルト『〈アルカンシェル〉は今、やってないけど〈ミシュラム・ワンダー・ランド〉は年中やってるからね。はいこれ』

 

そう言ってオリヴァルトは何かのチケットを2枚、レイに渡した

 

レイ『〈ミシュラム・ワンダー・ランド〉のチケット?ずいぶん用意が良いな』

 

ミュラー『こいつはこういう事に関しては早いからな。だが今回は私もこのお調子者と同じ意見だ。いつも憲兵隊の仕事か、トールズで勉強しかしていないと聞く。これを機に少しばかり羽休めをしてもバチは当たらないと思うぞ』

 

レイ『……。分かりました。お二方がそこまで言うなら。』

 

オリヴァルト『楽しんでおいで~』

 

 

そして現在に至るという事になる

 

レイ「一応、以前のデートで私服と共にミルディーヌに見繕ってもらった服を着てきたが…変じゃないよな?」

 

ミル「お待たせしましたレイ兄様」

 

レイ「ああ、ミルディーヌ……っ!?」

 

ミル「あら?どうしました?」

 

レイ「あ、いや……ミルディーヌの服…」

 

※ミルディーヌの服は閃Ⅲでのドレスです

 

ミル「これですか?せっかくクロスベルでレイ兄様とデートするので気合いを入れました♥️似合いませんか?」

 

レイ「い、いや凄く似合う…。綺麗だぞ」

 

ミル「ありがとうございます♥️それでは行きましょう♥️」

 

そして、2人は船に乗って保養地ミシュラムへ向かう

 

―船内にて

ミル「それにしても〈アルカンシェル〉が見れないとは残念ですわ…」

 

レイ「まぁ、こればかりは仕方ないな。またやってる時に来よう」

 

ミル「はい♥️あっ、もう到着するみたいですよ」

 

船がミシュラムに到着し、2人は〈ミシュラム・ワンダー・ランド〉に向かって歩く

 

ミル「ここが〈ミシュラム・ワンダー・ランド〉ですか。噂通り楽しそうな所ですね。さっ、レイ兄様早く行きましょう」

 

レイ「そんなに急がなくても遊園地は逃げないって」

 

その後、レイとミルディーヌは目一杯遊園地を楽しみ、夕方になるとクロスベルに帰ってきた

 

ミル「楽しい時間はあっという間に過ぎますね」

 

レイ「そうだな。だが案外楽しめた。今度は2人で完全プライベートで来よう。〈アルカンシェル〉がやってる時に合わせてな」

 

ミル「はい。」

 

?「あの…すいません」

 

2人が次のデートの約束をした時、1人のピンク髪の少女が話しかけてきた

 

レイ「ん?どうしたんだいお嬢ちゃん?」

 

?「私の妹と弟を知りませんか?」

 

ミル「迷子ですか?」

 

ミルディーヌの言葉に少女はコクンと頷く

 

?「行きそうな場所は全部探したし、人に聞いたけど見つからないの……」

 

レイ「よし、それじゃ俺達も探すのを手伝おう。良いよなミル?」

 

ミル「もちろんです」

 

2人の言葉に少女の表情が明るくなる

 

?「ありがとうございます!」

 

そしてレイとミルディーヌは少女と共にクロスベルのあちこちを歩いた〈歓楽街〉〈港湾区〉や〈裏通り〉まで調べた。しかし少女の妹と弟は見つからなかった

 

ミル「ここまで探して見つからないとなると…」

レイ「街道に出た可能性が高いな」

少女「そんな…」

 

その時、姿を透明にして少女の妹と弟を探していた邪神竜が戻ってきた

 

邪神竜(レイ、お前に言われていた迷い人だが…)

 

レイ(見つけたのか?)

 

邪神竜(うむ。しかし急いだ方が良いぞ。東の街道で狼型魔獣に襲われかけている)

 

レイ(なんだと!?分かった!)

 

レイ「とりあえず東の街道に出てみよう」

 

ミル「分かりました」

?「はい!」

 

そして3人が東の街道に出て少し歩くと少女が探していたであろう子供達を発見した。しかしその子供達は邪神竜が言う通り、狼型魔獣に襲われかけていた

 

ミル「レイ兄様!!」

 

レイ「任せろ!フッ!」

 

そう言ってレイはカイザークローを装備して1匹の狼型魔獣を切り裂き、子供達の前に立つ

 

レイ「俺から離れるなよ」

 

子供達「う、うん」

 

レイ「ダークグレイブ!!」

 

カイザークローを地面に突き刺し、狼型魔獣の真下からエネルギー状の鉤爪が現れて魔獣を貫いた

 

レイ「これで終わりだな。他に魔獣の気配も無いし」

 

?「ケン~!ナナ~!」

 

ケン・ナナ「お姉ちゃん!」

 

狼型魔獣を倒した直後に少女が子供達に駆け寄り、抱きしめる

 

?「バカ!心配したじゃない!」

 

ケン・ナナ「ごめんなさい…」

 

ミル「でも、ケガなくて良かったじゃないですか」

 

レイ「さて、いつまでもここにいたら別の魔獣に襲われかねない。クロスベルに戻ろう」

 

 

その後、子供達を保護したレイはミルディーヌと少女と共にクロスベルに戻り、少女達を自宅まで送り届けた

 

母「ご迷惑をおかけした上に家まで送り届けて下さって……」

父「本当にありがとうございます。ほらお前達も」

 

ケン・ナナ「助けてくれてありがとうございます!」

 

レイ「いえ鉄道憲兵隊として当然の事をしたまでです」

 

その時、少女がレイの前に現れて一言

 

少女「ケンとナナを助けてくれてありがとう。私、〈特務支援課〉と同じ位お兄さんの事を大好きで尊敬する!」

 

レイ「……。フッ。そうか、ありがとう。将来は彼らと同じ職場に?」

 

少女「はい!」

 

レイ「そうか。帝国人である俺に言われるのは複雑かもしれんが、頑張れよ」

 

 

その後、レイとミルディーヌは少女達の家族と〈特務支援課〉の面々に見送られて帝国行きの列車に乗り祖国へと帰った

 

少女「……」

 

父「おーいどうしたユウナ?帰るぞ」

 

ユウナ「は~い!」

 

ユウナ(私がロイド先輩達と同じ警察官になったらまた会いましょうね)




はい、という事でとある少女とは閃Ⅲに出てくるユウナ・クロフォードでした。せっかくクロスベルに来たんだから、ユウナとの共演も良いんじゃないかなって思いまして

次回は6章に入ります。長くなるか、短くなるかは私次第ですが、なるべく長くならないように努力します


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第6章・〈帝国解放戦線〉再び
〈通商会議〉の翌日


〈通商会議〉が終わった翌日、レイは鉄道憲兵隊の司令所に来ていた

 

クレア「ごめんねレイ。〈通商会議〉の警備で疲れているのに呼び出して」

 

レイ「それは別に大丈夫だよ。でも……」

 

クレア「でも……何?」

 

レイ「ミルディーヌに俺がクロスベルの〈通商会議〉の警備に行くと密告したのは姉さんだよな?(怒)」

 

クレア「っ!!それは~…将来レイと結婚したら彼女は私の義妹になるかもしれないでしょ?だったら…」

 

レイ「今のうちに姉としての株を上げておこうという魂胆か?全く、さすが演算機並の頭脳を持つ〈氷の乙女(アイス・メイデン)〉だな。」

 

クレア「あはは…(汗)コホン、それでレイを呼んだ理由なんだけど、これを見てくれる?」

 

そう言ってクレアは持っていた書類をレイに渡し、それを見たレイの目が鋭くなっていく

 

レイ「これは本当の事なのか?」

 

クレア「ええ、その証拠を掴む為に強制査察を検討しているの。レイには悪いけど一緒に来てくれない?」

 

レイ「いつ行く予定?」

 

クレア「一応来週を予定してるわ」

 

レイ「なら大丈夫か。学院長とサラに許可を取っとくよ」

 

その後レイは導力バイクに乗り、トールズに戻ってきた

 

レイ「さて、まだ昼だしクラスに顔を出すか」

 

―Ⅶ組・教室

 

レイがⅦ組の教室の扉を開いた瞬間…

 

エリオット「うわぁぁっ!!」

ミリアム「カッコいい!!」

 

ガイウス「ふむ…大したものだ」

フィー「結構凄いかも」

 

レイ「皆して声を大にしてどうしたんだ?」

 

マキアス「あ、レイ帰ってきたのか。実は来月の学園祭での出し物が僕達のとこだけまだ決まってなくてな」

 

リィン「その時、トワ会長が去年の出し物の映像を提供してくれたんだ」

 

レイ「それがこれか」

 

レイの視線の先にはトワ、クロウ、アンゼリカ、ジョルジュが演奏会(コンサート)を行っている映像があった

 

レイ「しかし聞いた事のない音楽だな」

 

クロウ「『ロック』っていうジャンルの音楽さ。あん時は盛り上がったな~。ゲリラライブしたんだぜ」

 

ラウラ「ふむ…我らでこれが出来ればⅠ組の小歌劇(オペレッタ)や他のクラスにも負けないものになりそだが…」

 

ユーシス「音楽といえばエリオットだが…こういうステージを俺達が実現出来る見込みはありそうか?」

 

エリオット「えっと…このクラス結構音楽出来る人いたよね?僕はピアノも弾けるから演奏担当は大丈夫そうだし、これで曲と歌詞を練ってボーカル担当を割り振れば……うんっ!ステージの方向性次第だけど十分良いものに出来ると思う!」

 

クロウ「俺は2年だから裏方に徹するが…期間限定とはいえⅦ組の一員…お前らが勝負に出るっていうなら全面的に力になるぜ」

 

リィン「クロウ…」

エマ「クロウさん…」

 

アリサ「……私、あなたの事ちょっと誤解していたかも」

 

レイ「お前ら、この超絶お調子者の言う事を信じるなよ。どうせまた…」

 

クロウ「あっ、ステージ衣装も俺に任せてくれよな!女子はなるたけ露出させるからよ♪」

 

アリサ「レイの言う通りだったわね。前言撤回(怒)」

 

出し物については何とかなりそうだが、その時マキアスが今月の〈特別実習〉がどうなるか聞いてくる

 

ユーシス「…フン、先月の実習の事を考えれば中止になってもおかしくはない」

 

レイ「その辺は今、行われている理事会で決定されるだろう」

 

マキアス「まぁ、それに身内が関わっているというのは…(汗)」

アリサ「どうにも落ち着かないわね(汗)」

 

エリオット「ガレリア要塞の一件から半月…〈帝国解放戦線〉の事があって鉄道憲兵隊の哨戒を大幅に強化したんでしょ?」

 

レイ「ああ。奴らの数々の行いから単なる革命家気取りの集団ではない事は明らかだからな」

 

フィー「貴族派が『テロリスト対策』で領邦軍の軍備増強だけじゃなくて『猟兵団』を雇ったって噂」

 

ユーシス「革新派やオズボーン宰相を狙い撃ちにする行動様式から…〈帝国解放戦線〉が貴族と何か関係があるのではないかという噂もあるがな」

 

クロウ「穏やかじゃないよなぁ。ま、それは帝国内だけってわけじゃねーけど。クロスベルも急に独立宣言とかするしよ」

 

リィン「帝国内外の緊張が高まる中……特別実習の実行は難しいかもしれないな」

 

ミリアム「え~、ボクまだ1回しか行ってないよー!」

 

レイ「遊びじゃないぞ」

 

そう言ってレイはポコンとミリアムの頭を叩く

 

エマ「先月の事を考えると慎重に行動すべきと思うのですが…」

 

アリサ「それでも特別実習あってのⅦ組(私たち)っていう感じもあるのよね…」

 

その時、理事会の結果を聞いてきたサラが入ってきた

 

サラ「お疲れ様。出し物は決まったかしら?」

 

リィン「教官…!理事会は…」

 

サラ「ええ、無事に終わったわ。ふふ…君たちの父兄はどうもスパルタねぇ。全会一致で〈特別実習〉の継続が決定したわ」



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高速巡洋艦〈カレイジャス〉

その後〈自由行動日〉、〈実技試験〉を終えて次なる〈特別実習〉の初日になるが…

 

レイ「……」

 

リィン「なぁ、レイ。なぜ俺達はグラウンドに集められたんだ?」

 

アリサ「そうよ。朝イチに出発しないとルーレに到着するが夕方位になっちゃうわよ?」

 

レイ「まぁ、待っていろ。凄いものが見れるから」

 

ちなみに班分けは…

A班(実習地:鋼都ルーレ)

リィン、アリサ、、フィー、マキアス、エリオット、クロウ

 

B班(実習地:海都オルディス)

ユーシス、ミリアム、エマ、ラウラ、ガイウス

…となっている

 

数分待っていると、空から紅い飛行物体がグラウンドに降りてきた

 

エリオット「わああっ…!」

エマ「こ、これは…!?」

 

そして甲板には4人の男の姿が…

 

オリヴァルト「ようこそ〈Ⅶ組〉の諸君!アルセイユⅡ番艦――高速巡洋艦〈カレイジャス〉へ!」

 

その後、Ⅶ組はカレイジャスに乗り、実習地へと向かう事になった

 

ミリアム「すっごーい!おおきーい!ねーユーシス、学院がもうあんなに小さいよ!」

 

ユーシス「ぐっ…はしゃぐな!(怒)」

 

リィン「驚いたな…なんで今回の実習は駅じゃなくグラウンドに集合なのかと思ったら…」

 

マキアス「こんな最新鋭の船で実習地まで送ってくださるとは…」

 

アリサ「まさかここまでの開発にRF(ラインフォルト)が関わっていたなんて…。それもZCFとエプスタイン財団との共同開発ですって?」

 

シャロン「ZCF製の高性能エンジンを20器搭載したことによって最高時速3000CE/hを実現――3600CE/hの〈アルセイユ〉には及ばないものの、高い装甲性能と迎撃能力を誇っていますわね」

 

レイ(行き先がルーレとはいえ、ちゃっかりついてきてるし…。しかも〈カレイジャス〉の性能を把握してるし…)

 

ガイウス「〈アルセイユ号〉…オリヴァルト皇子がリベールから帝都に凱旋した時、乗っていたという船の事か」

 

エマ「〈リベールの白き翼〉ですね」

 

フィー「こっちは紅くてカッコいいかも」

 

Ⅶ組がアルセイユⅡ番艦〈カレイジャス〉について語っているとミュラーを伴ってオリヴァルトが現れた

 

オリヴァルト「ハッハッハッ、反応は上々のようだね。うんうん。これなら帝都市民へのお披露目も間違いなしだろう」

 

エマ「ありがとうございます。こんな素晴らしい船で送っていただけるなんて…」

 

オリヴァルト「君達を送るのはあくまでお披露目の処女飛行のついでではあったんだが…これだけ喜んでくれるとはなぁ~。このまま空中リサイタルなんてどうかなミュラーくん♥️」

 

ミュラー「たわけが…(怒)」

レイ「アホだろ」

 

リィン「あのそちらの方は…」

ラウラ「もしかして皇子殿下の護衛を務めているヴァンダール家の…?」

 

ミュラー「第七機甲師団に所属するミュラー・ヴァンダールだ。〈光の剣匠〉のご息女と八葉一刀流の使い手だったか。同じ剣の道を志す者として、こうして出会えて嬉しく思う。先日は皇子共々、世話になってしまったようだ。改めて礼を言わせてもらおう」

 

ラウラ「きょ、恐縮です!」

リィン「ヴァンダール家の方と…お目にかかれて光栄です…!」

 

ラウラ「それにしても驚きました…まさか父上がいらっしゃるとは…。しかも軍属でもない父上がどうしてこの艦の艦長を!?」

 

ラウラの言う通り、目の前には艦長帽を被った〈光の剣匠〉がいた

 

ヴィクター「フフッ、驚かせてすまなかった。色々と機密事項もあってな。それと…この艦はいかなる軍にも所属していない」

 

ユーシス「っ!という事は…“皇族の船”…?」

 

オリヴァルト「その通り。帝国軍にも領邦軍にも属さない第三の風をもたらす為の翼…。それを駆っていただく大任を子爵閣下にお願いした次第でね」

 

リィン「第三の翼…」

 

レイ「〈光の剣匠〉が艦長を務める帝国最速の速さを誇る翼か…」

 

クロウ「ハハ、“牽制役”としては最強と言えるかもなぁ」

 

トヴァル「ちなみに俺も情報収集のため参加させてもらっていてね。地上に残っているギルド方面との連絡も受け持っているんだ」

 

それを聞いたサラは冷や汗をかきながら、少し離れていく

 

サラ「ま、こういった役目はトヴァル向きではあるわよね~。あたしだと、どうしても切った張ったがメインに…(汗)」

 

 

リィン「このまま帝国全土を回られるおつもりですか?」

 

ヴィクター「うむ。帝国各地の緊張を和らげられるようにな。そして――〈帝国解放戦線〉とやらにも睨みを利かせたいと思っている」

 

その言葉に一同はある事を思い出す

 

フィー「確かに…飛行艇も使ってたし…」

 

レイ「我々、鉄道憲兵隊や情報局も動いていると聞いてはいるが…この艦ならそれとも違う形で彼らの動きを牽制出来るというわけか」

 

オリヴァルト「フッ、一石二鳥どころか三鳥四鳥といった感じだろう?」

 

ヴィクター「この艦ならば実習地までさほどかからぬ。館内を見学しつつくつろいでいくといい」

 

リィン「はい!ありがとうございます!」

 

その後、〈カレイジャス〉は帝都で処女飛行を行った後、それぞれの実習地へと向かう

 

その頃、〈バルフレイム宮〉の宰相執務室では…

 

レクター「ハハ、あれから2年近くか。あの放蕩皇子、まさかここまで漕ぎ付けてくるとはなぁ。しかもリベールの技術協力を受けた“アルセイユⅡ番艦”とは……。先月の通商会議でアンタに出し抜かれた事への意趣返しなったんじゃないか?」

 

オズボーン「フフ…まさかこんな手で食い下がってくるとは……。士官学院といい、なかなか愉しませてくれる。――正念場だオリヴァルト皇子。既に“遊戯盤”の準備は整った。ここから見事ひっくり返せるか。せいぜい足掻いてみるがいい――」



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〈黒銀の鋼都〉ルーレ

約1ヶ月、更新しなくて申し訳ありませんでしたm(__)mリアルで忙しくなり、バタンキュ~状態だったので…。ですが今日から更新再開します


〈黒銀の鋼都〉ルーレ――鉄鋼と重工業により発展してきて人口20万のちょっとした小国の首都並みの工業都市

 

今回、Ⅶ組A班はこの工業都市で〈特別実習〉を行う事となる

 

―ルーレ空港

 

レイ「無事にルーレに到着だな。それじゃ俺はこれで…」

 

リィン「そうか。今回は鉄道憲兵隊の仕事でルーレに来たんだったな」

 

レイ「ああ。あまり公に出来ない仕事だから話せないがな。んじゃ、お前達は〈特別実習〉頑張れよ」

 

そう言ってレイは鉄道憲兵隊・ルーレ分所へと向かった

 

 

―鉄道憲兵隊・ルーレ分所

カレン「お疲れ様ですレイ大尉。意外に早く着いたんですね?」

 

レイ「オリヴァルト皇子が作った〈カレイジャス〉の処女飛行に乗せてもらったんでな。ところで姉さんはまだ?」

 

カレン「はい、後2時間ほどで到着する予定です」

 

レイ「そうか。ならその間に君達が調べた事を報告してもらおうかな?」

 

ドミニク「はい。それではまず……」

 

それから2時間後―

 

クレア「遅くなったわね」

 

レイ「お疲れ様、姉さん」

 

遅れて〈氷の乙女(アイス・メイデン)〉がルーレ分所に到着した。そして周囲を見渡して一言

 

クレア「ドミニク少尉やカレン少尉達は?パトロール?」

 

レイ「正解。〈貴族派〉に雇われた猟兵団が入り込んでいないか、見回りしてくるってさ」

 

その時、分所の外から何やら言い合う声が聞こえてきた

 

クレア「何かしら?」

 

レイ「行ってみよう。場合によっては俺達の力が必要になるかもしれない」

 

クレア「ええ」

 

その頃、ルーレ駅の前ではクレアとレイの部下達とノルティア領邦軍が言い争いをしていた

 

領邦軍隊長「ルーレ市の治安維持は我々ノルティア領邦軍の役割だ!貴公ら余所者がこれ以上大きな顔しないでもらおうか!」

 

カレン「余所者とは何ですか!!我々は正規の手続きを踏んで任務を遂行しています!!鉄道網が発達し、広域的な治安維持を行えるのは我々〈鉄道憲兵隊〉だけです!」

 

領邦軍隊長「市民の諸君!謎のテロリスト共が跋扈(ばっこ)する今、真の意味でルーレを守れるのは我々〈ノルティア領邦軍〉だけである!こやつらは所詮地に足をつけぬ余所者!あまり信用せぬ方がよかろう!」

 

〈鉄道憲兵隊〉と〈ノルティア領邦軍〉の言い争いで集まった野次馬の目の前で領邦軍が装甲車まで出してきた為、市民がざわめき始める。その時…

 

クレア「仰る通りです」

 

ドミニク「クレア大尉!」

カレン「レイ大尉も!」

 

領邦軍隊員「〈氷の乙女(アイス・メイデン)〉…!」

領邦軍隊員2「〈迅雷(サンダー・クラップ)〉まで…!」

 

クレア「訂正しておきますが、我々は“地に足をつけぬ余所者”では決してありません。〈鉄道網〉という帝国全土をカバーする大動脈を通じていかなる地にも速やかに部隊を派遣…」

 

レイ「必要とあらば全部隊を数時間以内に集結する事が出来ます。それが鉄道憲兵隊の誇りであり矜恃でもあります」

 

クレア「そちらはそちらで、我々は我々で役割分担すれば良いだけの事…そうではありませんか?」

 

氷の乙女(アイス・メイデン)迅雷(サンダー・クラップ)の隙のない言葉にたじろぐ領邦軍隊長だが、その場に意外な人物が現れた

 

「ならば複数の場所で何かあったらどうするつもりかな?」

 

領邦軍隊長「こ、これはルーファス様!もうお帰りでしたか!」

 

四大名門の1つアルバレア家の者であり、ユーシスの兄であるルーファス・アルバレアだった

 

ルーファス「久しぶりだねレイ君。そして初めましてクレア・リーヴェルト大尉。どうやら私が何故ルーレに来ているのか――いや、どうやってルーレに来たのかが不思議なようだな?」

 

クレア「!……」

 

ルーファス「あらゆる鉄道網は君達の監視下にある。かといってルーレ空港に私が訪れた気配もない。答えは簡単――アルバレア家の専用飛行艇で来ただけさ。停泊させたのは街道外れだがね」

 

クレア「あ…」

レイ「なるほど…」

 

ルーファス「死角というものはあらゆる所に存在するもの。君達も、あまり自分達の優位性を過信せぬことだ」

 

クレア「…ご忠告、ありがたく頂戴いたします」

 

そしてルーファスの指示でノルティア領邦軍は装甲車を下げ、撤収していきクレアとレイも自分の部下達に撤収を命じ、ルーレ分所へと戻った



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ダイニングバー〈F〉での話

領邦軍との騒動の後、クレアとレイは鉄道憲兵隊・ルーレ分所に戻ってきた

 

――夕方

 

レイ「全く、領邦軍はどこに行っても同じような奴ばかりだな」

 

クレア「仕方ないわ。彼らには彼らのやる事があるんだから。まぁ、最近はやり過ぎ感は否めないけど…」

 

レイ「いつか、とんでもない事をやらかすかもしれないな。まっ、その時は俺達がどうにかするしかないが…」

 

クレア「貴方と邪神竜の力があればどうにか出来るでしょうけど、あまり無茶はしないでね」

 

レイ「了解。ところでラインフォルト第一製作所に強制査察を検討中だって聞いたが…。そもそもラインフォルトグループの構成ってどうなっているんだ?」

 

クレア「ああ、貴方は知らなかった?ラインフォルトグループの構成図はね……」

 

そう言ってクレアは側にあったホワイトボードにラインフォルトの構成図を書いていく

 

第一製作所――鉄鋼/大型機械全般・貴族派

 

第二製作所――銃器/戦車/兵器全般・革新派

 

第三製作所――導力列車/導力飛行船・中立派

 

第四製作所――導力通信技術/戦術導力器・会長直轄

 

クレア「このようになってるわ。特に第一製作所と第二製作所はお互いに熾烈な競争をしていると噂されているの」

 

レイ「ここでも貴族派と革新派の争いがあるのか」

 

クレア「どこでも貴族派と革新派が争うなんて不毛としか言えないけどね。あっ、ところでレイはリィンさんのARCUS(アークス)の番号を知ってる?」

 

レイ「それはもちろん知ってるが、何故だ?」

 

クレア「今回の事で〈Ⅶ組〉が介入してくるかもしれないから釘を指しておこうと思って」

 

レイ「なるほど。それじゃ言うぞ」

 

そしてレイからリィンの番号を聞いたクレアはその場で通信し、夜にダイニングバー〈F〉に来てほしいと伝えた

 

レイ「夜に未成年をダイニングバーに呼び出す美しき女性。内容を知らない人が見たら7歳年下の彼氏を呼び出しているようにも見えるな」

 

その言葉にクレアは顔を真っ赤にして否定する

 

クレア「なっ、何を言ってるのよレイ!!///これは…危険な所に介入しないように…!!///」

 

レイ「分かってるって。にしても〈氷の乙女(アイス・メイデン)〉は恋愛ごとに関しては自慢の冷静さを失うんだな」

 

クレア「~~~っ!!レ~~イ~~!!(怒)」

 

その後、軽い姉弟喧嘩が勃発したがそれは別の話

 

 

――夜・鉄道憲兵隊・ルーレ分所

 

クレア「それでは行ってきます」

レイ「仕事サボるなよ?」

 

ドミニク「はい!もちろんです!」

カレン「お気をつけてクレア大尉!レイ大尉!」

 

貴族が着るようなドレスを着たクレアとダークスーツを着たレイはルーレ分所を後にした。そして2人が出ていった直後…

 

ドミニク「ハアァァ~。クレア大尉、いつも凛々しいですが、今回は更に美しさも加わって破壊力が半端ないです~///」

 

カレン「クレア大尉もですがレイ大尉もいつも以上にキリッとしておられて、あの姿で微笑まれたら即死ですよ~///」

 

自分達の部下である少尉がこんな話をしていたとかいなかったとか

 

――ダイニングバー〈F〉

クレア「リィンさんはまだ来てないようですね」

 

レイ「こんな時間だからな。まだレポートが書き終わってないんじゃないか?」

 

クレア「なら、しばらくはカクテルでも飲んで待ちましょう」

 

そして姉弟が軽くカクテルを飲んでから数十分後

 

リィン「お待たせしてすいません」

 

クレア「フフッ、大丈夫ですよ。あら?」

 

クレアが見た方には何故か銀髪の少女―フィーがいた

 

フィー「ども」

 

リィン「すいません。1人で来るはずが…」

 

レイ「構わない。大方、リィンの行動に疑問を感じたフィーが勝手についてきたんだろう?」

 

フィー「正解」

リィン「さすがだな」

 

レイ「姉さんには及ばないがな」

 

クレア「さて、早速話をと言いたいですがカウンターに4人は目立ちますね。奥に移動しましょう」

 

そして4人は奥のテーブルに移動し、リィンが話を切り出した

 

リィン「地方の治安維持は元々領邦軍の役割だったはずです。あなた方は――いえオズボーン宰相は一体何をしようとしているんですか?」

 

レイ「今の帝国に必要なのはより広い治安維持のネットワーク構築…それが出来るのは鉄道憲兵隊や情報局だけだ」

 

クレア「そして世間からどう囁かれようが閣下は――オズボーン宰相はある意味、誠実に行動なさっています。どこかの誰かたちのようにテロリストを支援するなどという一線を越えた事はなさらない」

 

リィン「っ!!」

 

クレア「“危機”の輪郭を見極め、できれば近寄らないでください」

 

レイ「それが今回、お前達〈Ⅶ組〉が実習で学ぶべき経験だろう」

 

 



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RF軍需工場襲撃

またしても更新が遅れて申し訳ないですm(__)m

レイ「何があったの?」

この小説サイトに来るまでに使っていた小説サイトがありまして、たまにそこでちょこちょこと小説更新してるんですが仮面ライダーの合作をしている人の友達がリクエストでウルトラマンジードの小説を書いてほしいと。しかもベリアルには息子だけでなく娘もいたという設定で

クレア「それで最近、更新頻度が低いんですね」

本当に申し訳ないです。でも今週はこちらをメインにやっていきますんで。大丈夫です!


ダイニングバー〈F〉で〈Ⅶ組〉のリーダーであるリィンと(勝手についてきた)フィーに釘を指した次の日の昼頃

 

―鉄道憲兵隊・ルーレ分室

レイ「今日は特に領邦軍の邪魔はなかったな」

 

クレア「そうね。それじゃこの後は…」

 

―ズドォォォンッ!!

 

姉弟「っ!?」

 

クレアがこの後にやる事を話そうとした時、外から爆発音が響いた

 

レイ「今のはまさか!」

クレア「軍需工場からよ!」

 

ドミニク「大変ですクレア大尉、レイ大尉!」

 

カレン「RF(ラインフォルト)の軍需工場から火事が発生しました!」

 

クレア「やはり…」

 

レイ「ドミニクとカレンは部下を数人召集!!集まり次第、軍需工場に向かう!!」

 

ドミニク・カレン「イエス・サー!!」

 

―数分後

ドミニク「クレア大尉、レイ大尉!部下の召集完了しました!」

 

クレア「ご苦労様です。それではこれより爆発が起きた軍需工場に向かいます!」

 

レイ「もしかしたら〈帝国解放戦線〉が例の人形兵器を放っている可能性もある。十分気をつけろ!」

 

「はっ!!」

 

そしてクレアとレイは部下を率いて軍需工場に向かうとそこにはリィン達〈Ⅶ組〉がいて、逃げ遅れた工員を救出していた

 

クレア「無事ですか皆さん!」

 

リィン「クレア大尉…!」

 

クレア「どなたも大事に至ってないようですね。皆さんのおかげでそこまで大きな被害も出さずに済みました」

 

リィン「いえ、そんな…」

 

レイ「っ!?」

 

クレア「どうしたのレイ?」

 

レイ「中にまだ何かいる…。ドミニク!カレン!他の者も俺と姉さんに続け!」

 

部下「イエス・サー!」

 

そしてレイとクレア、部下達は軍需工場に入ると目の前に巨大な人形兵器がいた

 

レイ「やはり人形兵器か!!」

 

クレア「という事は他の場所にもいる可能性があるわね。あの重火力型の人形兵器は私とレイで、貴方達は他の場所を周り人形兵器がいたら駆逐し、逃げ遅れた人がいたら救出して下さい」

 

部下「イエス・マム!」

 

そして姉弟は重火力人形兵器ゲシュパードGとの戦闘を開始した

 

レイ「ダークグレイブ!!」

 

レイは鉤爪を地面に突き刺し、エネルギーで作られた鉤爪でゲシュパードGの動きを封じると同時にダメージを与え…

 

レイ「今だ姉さん!」

 

クレア「モータルミラージュ!」

 

―ズガガガンッ!!

 

クレアは一瞬でゲシュパードGの背後に移動し、自身専用の導力銃クルセイダーで撃ちまくる

 

クレア「レイ、一気に行くわよ!フッ!」

レイ「ああ!ハアァァッ!」

 

ゲシュパードGにトドメを刺す為にクレアはミラーデバイスを投げ、レイは両手に光と闇のエネルギーをチャージしていく

 

クレア「オーバルレーザー照射!カレイドフォース!!」

レイ「光と闇の洗礼を受けろ!カオス・エンド・フレア!!」

 

姉弟のSクラフトを受け、重火力人形兵器ゲシュパードGは木端微塵に破壊された。そしてその後、他の隊員達と合流し工場から出てくる

 

リィン「レイ、それにクレア大尉。大丈夫ですか?」

 

レイ「ああ。中に重火力型の人形兵器がいたが、姉さんとのコンビネーションで倒したよ」

 

フィー「それって私達が苦戦したの同じ?」

 

マキアス「さすが〈氷の乙女(アイス・メイデン)〉と〈迅雷(サンダー・クラップ)〉だな……(汗)」

 

アリサ「でも…やっぱりこれってテロリストの仕業なのかしら?」

 

クロウ「可能性は高そうだな」

 

フィー「そだね…テロリスト自体がここにいない理由は分からないけど」

 

リィン「確かにちょっと目的が掴めない感じだな」

 

マキアス「だとしたらさっき倒した人形兵器は一体どこから来たんだ?」

 

レイ「ああ、俺達も調べたが…どうやらいくつかのコンテナに収納されて搬入されたようだ。――3ヶ月以上も前に」

 

Ⅶ組「さ、3ヶ月以上前…!?」

 

クレア「そして〈帝国解放戦線〉が帝都で名乗りを上げる1ヶ月ほど前でもあります」

 

その言葉に〈Ⅶ組〉A班は全員驚きを隠せずにいた

 

エリオット「そ…そんな前から今回の事件を計画していたってことですか?」

 

クレア「ええ…恐ろしく切れる相手のようです。テロリストのリーダー格――〈C〉と呼ばれる仮面の男。恐らく彼の仕掛けではないかと」

 

アリサ「〈C〉…それって」

 

クロウ「お前らが帝都で戦ったっていう奴か」

 

リィン「ああ…相当な使い手だった」

 

マキアス「やれやれ。頭まで切れるとはつくづく化け物じみてるな」

 

リィン「とにかく残されていた人々も無事で良かったです」

 

クレア「そうですね…。あくまで結果論ですが」

 

クレアの言葉に〈Ⅶ組〉のメンバーは首を傾げる

 

クレア「たまたま人形兵器を倒せたのは幸いでしたが、私達の到着を待たずに現場に踏み込んだのはいただけませんね。機密的な問題もありますし、二次被害の可能性も十分理解していたはずです」

 

レイ「”危機“の輪郭を見極め、できれば、近寄らないこと――そう忠告したはずだが?」

 

クロウ「やれやれ手厳しい姉弟だなぁ(汗)」

 

リィン「……。それでも…危険から目を逸らし続けることはできません。そこに力がある以上…どう付き合うか考える必要がある…。そうじゃありませんか?」

 

エリオット「あ…」

アリサ「リィン…」

 

リィンの言葉に姉弟は軽く息を吐いて再び話し始める

 

クレア「…ふふ、仕方ありませんね。大きな被害もありませんでしたし今回は大目に見ましょう。ただし今後はもう少し気を付けるように……良いですね?」

 

リィン「はっ、はい!」

 

その時、1人の隊員がレイに駆け寄り、何かを耳打ちする

 

レイ「何だと!?」

 

クレア「どうしたの?」

 

レイ「姉さん、テロリストがザクセン鉄鋼山を急襲したようだ!!」

 

クレア「何ですって!?」



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鉱山侵入準備

部下からザクセン鉄鋼山がテロリストに襲撃されたと聞いたクレアとレイは憲兵隊が所有する車に乗り、鉄鋼山へと向かった

 

 

―ザクセン鉄鋼山

 

レイ「これは…」

クレア「……」

 

ザクセン鉄鋼山についた姉弟と部下達が見た物は巨大な施設のあちこちから煙が吹き出している状況だった

 

エンゲルス「テロリストが火を放ったのか?!」

 

クレア「いえ、煙の出方が不自然です」

 

レイ「恐らく発煙筒か何かだろう」

 

その時、レイの部下のザギ中尉が何かに気づいた

 

ザギ「レイ大尉、クレア大尉!鉄鋼山の入口に領邦軍が!!」

 

ザギ中尉が指差した方を見ると確かに鉄鋼山の入口に領邦軍の装甲車が停車しており、領邦軍の隊長と数人の部下が入口を封鎖していた

 

クレア「行ってみましょう」

 

 

隊長「また貴様らか。何の用だ?」

 

レイ「テロリストがザクセン鉄鋼山を急襲したのは知っていますね?」

 

隊長「勿論だ」

 

レイ「ならば何故、動こうとしないのですか!」

 

隊長「鉱山はテロリストによって占拠された。鉱員たちが人質である以上、手出しをするわけにはいかん!」

 

クレア「だからと言って交渉もせずに様子を見るつもりですか?彼らが目的を持って行動している以上、時間を稼がせてはいけません!」

 

クレアとレイ、領邦軍の隊長が言い合い、お互いの部下達は武器を構えて向き合っており状況が状況なだけに昨日以上の緊迫した空気が流れている

 

その様子を見ていたⅦ組A班は…

 

クロウ「どうやら鉱山はテロリストどもに奪われちまったみたいだな」

 

アリサ「鉱山長たちは人質にされてしまったのね……」

 

リィン「そして先に駆けつけたであろう領邦軍が鉱山を封鎖していると。」

 

マキアス「準備が良すぎるな…」

 

フィー「て言うか領邦軍も間違いなくグルだね」

 

マキアス「何だと!?」

 

フィーの言葉にⅦ組は全員驚く。しかし彼女はいつも通り、確信に満ちたものだった。そしてフィーが話した事はクレアとレイの言った事と全く同じだった

 

リィン「しかし、だとしたら何の為に?」

 

アリサ「第一製作所が関係してるかもしれないわ」

 

その言葉に全員がフィーからアリサへと視線を向ける

 

フィー「そういえば鉄道憲兵隊と領邦軍は第一製作所について争っていたんだっけ?」

 

クロウ「そしてこのタイミングで領邦軍が露骨に怪しい動きをしてやがる」

 

エリオット「鉱山に何か隠してるのかも」

 

マキアス「なるほど、確かにそう考えればある程度の説明はつきそうだな」

 

アリサ「問題はその隠したいものが何かだけど…」

 

全員で少し考えるがそもそも鉱山関係者ではないので誰も口を開けなかった。するとアリサが…

 

アリサ「一度ルーレに戻りましょう…」

 

そう言うと仲間達も同意し、ルーレへと引き返した

 

 

その様子を見ていたレイは…

 

レイ(あいつら…)

 

ドミニク「どうしたのですかレイ大尉?」

 

レイ「ドミニク少尉、申し訳ないがこの場を任せると姉さんに伝えておいてくれ。」

 

それだけ言うとレイはⅦ組A班を追ってルーレへと向かう

 

ドミニク「ちょっ!?」

 

 

ルーレ市内・ドヴァンス食堂

 

ちょうど人が来ない時間帯なのか、食堂にはⅦ組A班と導力バイクのサイドカーの試運転を兼ねてルーレに来たアンゼリカとジョルジュがいた。

 

そしてアンゼリカは「悪い予感が当たってしまった」と言って情報交換の為にこの食堂に来たのだ

 

アリサ「鉄鉱石の横流し!?」

 

アンゼリカ「アリサ君が驚くのも無理はないね。私だって最初は耳を疑ったよ。どうやら採掘された鉄鉱石の量に比べて生産された鉄鉱の量がやや少ないらしい」

 

ジョルジュ「僕達が調べたところによると数年ほど続いてるようだね。理由は純度の低下だと報告されているけどね」

 

マキアス「鉄鉱ではなく鉄鉱石の横流しか…」

 

フィー「その手があったね」

 

確かに加工した鉄鉱なら確実に鉄道憲兵隊などに気づかれる可能性があるが、鉄鉱石程度の大きさなら少しずつ横流しされても気づかない可能性が高い

 

クロウ「その辺もトワが全部調べたのか?」

 

アンゼリカ「ああ。RF(ラインフォルト)の公式資料や政府に提出された産出量の資料もね」

 

リィン「やっぱり凄いなトワ会長は……」

 

エリオット「本当に学生の域を超えてるよね……」

 

?「本当にそうだな。卒業後は鉄道憲兵隊にスカウトしたいくらいの人材だ」

 

そう言って入ってきた人物を見て全員が「あっ」という顔になる

 

レイ「やっている事が学生の範疇を超えているどころか、大人顔負けのレベルだ。彼女が来てくれたら、情報関係の仕事が捗りそうだしな」

 

「まぁ、敵に回したら怖いが…」と言ってⅦ組とアンゼリカ、ジョルジュが座っているテーブルに座る

 

フィー「いつから居たの?全然気配が無かった」

 

レイ「お前達がザクセン鉄鋼山に来て帰った後からだ。どうせお前達の事だから、また何か画策してるなと思ってな」

 

「そんな前から……(汗)」とA班が思っていると、目を瞑って眉間にシワを寄せていたアリサが目を開いてジョルジュに訊ねる

 

アリサ「ジョルジュさん、その帳尻が合わない鉄鉱石の量はどれくらいになるんですか!?」

 

ジョルジュ「そうだな……少なくとも10万トリムぐらいかな」

 

クロウ「10万…ってどれくらいになるんだ?」

 

レイ「主力戦車なら2000台分になるな」

 

リィン「なっ!?」

マキアス「に、2000……」

 

レイの一言にその場にいる全員が固まる。確かに帝国の屋台骨であるザクセン鉄鋼山なら、やや少ないと言って数年続けばそれぐらいの量になってもおかしくない

 

フィー「でもそんなに横流ししてどうするんだろ?」

 

マキアス「貴族派が秘密裏に戦車を作ってるとか?」

 

アリサ「それは無理よ。戦車製造のノウハウは第二製作所しか持っていないもの。そしてその第二製作所は革新派だから…」

 

ジョルジュ「それに戦車は技術の塊だ。設計図があったところでどうにかなるようなものじゃない」

 

レイ「……アリサとジョルジュの言う事が正しいなら貴族派が横流しされた鉄鉱石で戦車を作っている可能性はほぼゼロだな。となればそんな大量の鉄鉱石を何に使っているかだが…それは情報局に調べさせよう。それで?お前達はこの後、どう動くつもりだ?」

 

アンゼリカ「決まっている。第一製作所の取締役が叔父であり、ノルティア領邦軍が動いている以上、私の実家だって無関係ではない。侯爵家の息女として放っておくわけにはいかないさ」

 

ジョルジュ「アン……」

 

クロウ「まさか親父さんと話をつけるつもりか?」

 

アンゼリカ「いや、父は私の言うことなど聞かないさ。それは領邦軍だって同じこと。だったら自分の力でケリを付けてやるまでだよ」

 

アンゼリカはそう言って立ち上がり、掌に拳を打ち付ける。その両隣でクロウとジョルジュがため息を吐いているのを見ると、どうやらこうなることは予想していたようだ

 

リィン「だったら是非、俺達も協力させてください。」

 

アリサ「アンゼリカさん同様、私にとっても実家が絡む以上は無関係ではありません。」

 

マキアス「これも特別実習の範囲でしょう。」

 

エリオット「何よりこのまま放っておくわけにもいきませんし。」

 

フィー「だね。」

 

学生である彼らがどこまで出来るか分からない。だが何もしないで見てるわけにはいかない。自分達なりにこの騒動を何とかしたいと考えていた

 

アンゼリカ「ありがとう、実は少し期待していたんだ。」

 

クロウ「やれやれ、しゃあねぇか」

 

アンゼリカ「そうなると領邦軍に見つかる事なく、鉱山に侵入する必要があるね。」

 

マキアス「でも、そんな都合の良い場所があるんですか?」

 

エリオット「アンゼリカさんが領邦軍の責任者に話してる内に僕達が侵入するのは…?」

 

しかしこれは即却下された。だが…

 

アリサ「……何とかなると思うわ」

 

その言葉に全員がアリサの顔を見る

 

アリサ「多分、母様が何らかの鍵を握ってると思うの。」

 

『鍵』というのがどういう意味のか、皆は分からないがRFの会長なら今回の件も既に耳に入ってるはず。ならば相談相手としてこれほどの人物はいないだろう

 

アンゼリカ「分かった、そちらはアリサ君に任せよう。私は改めて実家と領邦軍に探りを入れてみる」

 

レイ「なら俺も協力しよう。鉄道憲兵隊の大尉としては見過ごせない事態だからな」

 

リィン「いや、でも……鉄道憲兵隊であるレイが鉄鋼山に侵入するわけには……」

 

レイ「安心しろ。ちゃんとトールズの制服を着れば俺とは分からんだろう。というわけで俺は分室に戻って準備をしてくるから、集合場所が決まったらARCUS(アークス)に連絡してくれ」

 

そう言ってレイはザクセン鉄鋼山に侵入する準備の為にドヴァンス食堂から出ていった



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〈迅雷〉、帝都へ

―数分後、用意を終えたレイはリィンに言われた連絡通路に来ていた

 

レイ「待たせたな」

 

マキアス「大丈夫だ。僕達も今来たところだ」

 

レイ「その扉が侵入経路か?」

 

アリサ「ええ。ロックを解除する為のカードキーもちゃんと貰ったわ」

 

そして、早速入ろうとするがレイが少し考え込んでいる事にリィンが気がついた

 

リィン「どうしたレイ?何か気になる事があるのか?」

 

レイ「いや、よく考えたら……最悪の状況を考えに入れておかねばと思ってな」

 

アンゼリカ「最悪の状況とは?」

 

レイ「最初の〈特別実習〉の時、偽管理員を倒した後に領邦軍が現れたんだろ?お前達に大市で盗みを働いた容疑をかける為に。だから……」

 

そこまで言って皆はレイが何を言いたいか分かった

 

マキアス「そうか。僕達が侵入だの妨害だので色々と領邦軍に言われる可能性があるという事か」

 

エリオット「確かにケルディックでも同じような事があったね」

 

アリサ「あの時は領邦軍と猟兵崩れが手を組んでいたのよね」

 

レイ「あの時は姉さんがお前達の行動の正統性を保証したから良かったが、今回は姉さんも苦戦しているからあまり期待しない方がいい」

 

クロウ「つう事はお前にも期待できないって事か。なら、どうすんだよ?」

 

学生である彼らが鉱山に侵入する為には後ろ楯となる人物は必要不可欠だろう。しかしクレアより強い立場にあり、彼らの行動の正統性を証明出来る人物はかなり限られる

 

レイ「……皇族の人間を連れてくるのはどうだ?」

 

アリサ「皇族って……」

 

フィー「確かにそれぐらいの立場なら領邦軍も文句は言えないけど……」

 

マキアス「だが動いてくれるのか?」

 

レイ「大丈夫だろう。皇族が動く理由は十分過ぎるほどに集まっている。皇族が所有している鉱山で鉄鉱石が横流しされている事、その鉱山がテロリストに襲撃された事、そして領邦軍が手を組んで鉄道憲兵隊を足止めしている疑いがある事。これだけあれば十分動いてくれる」

 

指を1本ずつ上げていって動いてくれる理由を述べていくレイ

 

レイ「皇族や政府にも鉱山襲撃の事は確実に耳に入る。それと合わせてさっきの証拠と証言があれば、100%動くだろうな」

 

リィン「なるほど、レイの言う事は分かったが俺達はどう行動したらいいんだ?」

 

レイ「横流しの件を纏めた資料をジョルジュに作ってもらい、それを俺がバルフレイム宮へ届けに行く」

 

リィン「直接渡しに?」

 

レイ「他の手段はあるにはあるが、手続きがあって皇族の手に渡るまでに時間がかかる。その点、俺なら顔が利くから直接渡しに行った方が早いと思う。」

 

マキアス「となると帝都までの移動手段だな。」

 

レイ「その点も大丈夫だ。なぁ、邪神竜?」

 

そう言って自分の横を見ると体長が40cm位の邪神竜が現れた

 

邪神竜「うむ。我の翼があればこのルーレという狭苦しい街から帝都まであっという間だ」

 

狭苦しい街と言われてアリサの眉間に皺がよるが、嫌味や本心ではないと分かっているので何とか怒りを抑えた

 

レイ「さて、そうとなればジョルジュに横流しの件の資料を作ってもらわないと…」

 

そしてレイはARCUS(アークス)を取り出し、ジョルジュに連絡して資料を作ってもらうよう頼んだ

 

 

―ザクセン山道

ジョルジュ「はい、これが頼まれた資料だ」

 

レイ「ありがとう、助かる。」

 

ジョルジュから鉄鉱石の採掘と鉄鉱の生産に関する資料を受け取り、確認する。

 

レイ「確かに受け取った。これなら皇族も確実に動くだろう」

 

ジョルジュ「皇族を動かそうっていう発想が出るなんて凄いね……」

 

レイ「どのみち動く事になるだろうしな。こういうのはスピードが命、つまり早い方が良いのさ」

 

アンゼリカ「私達の行動が正統なものだと証明する為にも頑張ってくれ」

 

アリサ「そっちは頼んだわよ」

 

レイ「ああ、任せろ。お前達も気をつけろよ」

 

アンゼリカ「こっちは任せたまえ。四大名門の一角、ログナー家の息女としてしっかりケリはつけるよ」

 

そう言ってバチン!と掌に拳を打ちつけるアンゼリカはかなり頼もしく見える。普段、可愛い女の子漁りをしているのが嘘のように…

 

レイ「それじゃ行ってくる。フッ!」

 

レイは邪神竜の力を解放して背中に赤黒い翼を生やし、飛翔する。そしてレイは真っ直ぐ帝都へと向かった

 

 

―30分後・帝都近郊の街道

 

レイ「よっと。さすがにこのまま帝都に入ったら帝都市民に何言われるか分からないからな。ここからは歩きだ」

 

邪神竜「難儀だな。」

 

レイ「仕方ないさ。人間は異形の存在には恐怖するものさ」

 

そしてレイは帝都に入り、丁度市内を巡回中だった憲兵隊員に頼んでバルフレイム宮まで送ってもらった

 

レイ「すまない、助かったよ」

 

隊員「いえ、それより早くバルフレイム宮へ。一刻を争うんですよね?」

 

レイ「ああ。それじゃ」

 

隊員にお礼を言ってレイは顔パスでバルフレイム宮へ入る

 

レイ「さて、無事にバルフレイム宮に到着したが問題は誰に来てもらうかだが…」

 

?「おや、そこにいるのはレイ君かい?」

 

自分の名前を呼ばれて振り返るとそこにいたのは、〈カレイジャス〉の処女飛行で会ったオリヴァルトとミュラーだった

 

レイ「丁度良かった。皇族にこれを渡したかったんだ」

 

そう言ってジョルジュから渡された資料をオリヴァルトに渡す。そしてオリヴァルトはその場で資料を読んでいく

 

オリヴァルト「なるほどね。まさかこんな事になっていたとは…。」

 

ミュラー「やはり、早く向かった方が良いな。レイ君も当然一緒に来るだろう?」

 

レイ「『やはり』という事は鉄道憲兵隊から連絡が?」

 

オリヴァルト「ああ、ついさっきだけどね。それより、善は急げだ。折角だから飛行艇の中で詳しい話を聞かせてくれ」

 

レイ「わかりました。では行きましょう」




レイを戦わせようと思いましたが、〈Ⅶ組〉の更なる成長の為に今回はオリヴァルトを呼びに行く役目を与えました


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皇族と共に鉱山へ

―飛行艇内にて

 

レイ「―以上が先程までに起こった出来事の全てです。」

 

オリヴァルト「なるほど…」

 

レイから一連の出来事の全てを聞いたオリヴァルトは顎に手を当てる

 

ミュラー「こちらが憲兵隊から聞いてない情報まであるのか。」

 

オリヴァルト「レイ君が来てくれて良かったよ。第三者から見た視点というのは貴重だからね。」

 

レイ「お役に立てたようで何よりです。」

 

オリヴァルト「ルーレに到着したらすぐに鉄鋼山へ向かおう」

 

レイ「すでにルーレ空港には憲兵隊の車を待機させてます。それと言い忘れていたのですが、鉄鋼山に向かったメンバーにはログナー家の息女、アンゼリカ・ログナーも一緒です」

 

ミュラー「なんと…。噂通りの破天荒ぶりだな…。」

 

オリヴァルト「何言ってるんだいミュラー君、僕は良い事だと思うよ。人は自由に生きるべきだ。」

 

ミュラー・レイ「お前の場合は自由に生き過ぎだ」

 

ミュラーとレイはオリヴァルトの言葉に全く同じツッコミを入れる。まぁ、皇族でありながら“放蕩皇子”と呼ばれているので自由という言葉はあっているが…

 

ミュラー「しかし彼らだけで大丈夫なのか?〈Ⅶ組〉はそれなりに出来ると聞いてはいるが、相手はテロリストなんだぞ?」

 

オリヴァルト「フフッ、ミュラー君は心配性だなぁ、彼らなら大丈夫さ」

 

レイ「ええ、オリヴァルト皇子の言う通りですよ。俺がクロスベルに行っている時、テロリストがガレリア要塞を襲撃し、列車砲を起動しましたが見事取り返したんですから」

 

ミュラー「まぁ、そうだが…」

 

オリヴァルト「それに、仮に領邦軍が突っかかってきたとしても私が彼らの正統性を保証するから安心したまえ」

 

レイ「ありがとうございます」

 

邪神竜「レイ、操縦士によるとそろそろルーレに到着するそうだぞ。準備をした方が良い。」

 

ルーレ空港に到着するとレイが用意させていた憲兵隊車両に乗り込み。レイの運転でザクセン鉄鋼山へと向かう

 

その道中、レイのARCUS(アークス)に通信が入り、片手で運転しながら出ると相手はクロウだった

 

レイ「こちらレイ・リーヴェルト」

 

クロウ『おう俺だ、クロウだ。』

 

レイ「クロウか、どうした?」

 

クロウ『実は連絡路…あの集まっていた所な。あそこは鉱山まで続いていたんだが、その連絡路が崩落で塞がっちまってな。』

 

レイ「そうなのか?というか何でそんな事が分かるんだ?お前、リィン達と一緒に鉱山に侵入したんじゃ…?」

 

クロウ『ああ、実はな鉱山内で捕まってた鉱員達を街まで送ったんだ。その後、また戻ろうとした時に崩落に鉢合わせしてな。まぁ、俺は傷1つ無いが崩落のせいで別ルートで鉱山内に行かなきゃならなくなった』

 

レイ「そうか。こっちは今、憲兵隊車両で鉱山に向かっている。お前はそのまま別ルートで鉱山に向かってくれ」

 

クロウ『了解だ。』

 

そしてレイがARCUS(アークス)の通信を切って横を見るとオリヴァルトも丁度ARCUS(アークス)の通信を切る所だった

 

レイ「何かあったのですか?」

 

オリヴァルト「ああ。私の父、ユーゲント皇帝陛下が先ほど鉄道憲兵隊に対してザクセン鉄鋼山の調査許可書を出したそうだ」

 

レイ「という事は姉さんは……」

 

ミュラー「我々が鉱山に到着する頃には突入出来るはずだ」

 

レイはそれを聞いてホッとする。いくら〈四大名門〉の一角であるログナー侯爵の命令で動いている領邦軍ともいえども、さすがに無視は出来ない

 

ミュラー「そういえばレイは彼らのリーダーと一度手合わせをしたそうだが?」

 

レイ「帝都の夏至祭の時ですね。〈C〉という男の得物は暗黒時代の遺物・双刃剣(ダブルセイバー)を使用していました。サラに負けず劣らずの実力者でしたね」

 

オリヴァルト「〈帝国解放戦線〉の中で〈C〉という男の正体だけ分かっていないのだ。オズボーン宰相との接点も不明だしね。レイ君は戦った時に何か分からなかったかい?」

 

レイ「そう言われましても……。自分のSクラフトを受けて〈C〉の仮面が少し欠けましたが、黒いバンダナ以外に何も見えませんでしたし……」

 

ミュラー「さすがにそれだけでは何者かは特定出来ないな」

 

ミュラーの言う通り、この世に黒いバンダナをしている人間などごまんといる。その人を片っ端から調べていくなど不可能だ。

 

オリヴァルト「おっ、もうすぐ到着だね」

 

ザクセン鉄鋼山に到着すると一旦、車両を鉱山が見渡せる場所に止めて3人は降りる

 

レイ「鉄鋼憲兵隊と領邦軍がいないという事は、もう突入した後か?」

 

オリヴァルト「どうやらそうみたいだね」

 

ミュラー「よし、我々も急いで中に……」

 

―ドォォンッ!!

 

ミュラーを先頭に鉱山内に突入しようとした時、凄まじい爆発音が響き渡るのと同時に少しだけ地面が揺れた

 

3人「っ!?」

 

突然の爆発音に3人はそれぞれの武器である鉤爪、剣、導力銃を構えて背中合わせに立って周囲を警戒するが特に異常は無い

 

レイ「今のは一体……?」

 

ミュラー「爆発音と同時に一瞬、鉱山の奥が光ったようだが…。どうやら何かあったようだな」

 

オリヴァルト「のんびりしていられないね。我々も急ごう!」

 

マズイ状況にあると判断した3人は再び憲兵隊車両に乗り込み、鉱山入口に向かう。そして鉱山に入り、しばらく歩いていると最奥と思われる場所に到着した

 

レイ「この先が最奥だな」

 

テロリストの罠や〈結社〉の人形兵器がいないか、警戒しながら扉に近づくと中から話し声が聞こえてきた

 

アンゼリカ『どうして鉄道憲兵隊の妨害するのか事情を説明してもらおうか?』

 

領邦軍隊長『アンゼリカ様、我々は侯爵閣下の命令で動いているのです!我々の領地を土足で踏み荒らす者を許すなと…』

 

レイ(1人はアンゼリカの声でもう1つは領邦軍の隊長の物だな。にしても…)

 

ミュラー「この鉱山に対して完全に我が物顔だな。」

 

レイ「侯爵閣下の命令なら何をしても良い、みたいな言い方だな。呆れ果てるぜ。」

 

オリヴァルト「まさかここまで露骨とはね。」

 

そのままオリヴァルトが先頭に立ち、扉を開いて中へ入りながら口を開く

 

オリヴァルト「やれやれ、いつからザクセン鉄鋼山が侯爵家の物になったのかな?」

 

中に入ると、そこには〈Ⅶ組〉の面々と鉄道憲兵隊、領邦軍が勢揃いしていた。皇族であるオリヴァルトの登場に先ほどまで喧騒に包まれていた場所が一瞬で静かになる

 

領邦軍隊長「オリヴァルト殿下……!」

 

リィン「レイも帰ってきたのか。」

 

アンゼリカ「ナイスタイミングだよ、レイ君」

 

レイ「皆、無事のようだな」

 

そしてレイはオリヴァルト、ミュラーと共に前へと進み、崖から下を見下ろすとそこには煙を上げてバラバラになった漆黒の飛行艇の姿があった

 

レイ「RF製の飛行艇……テロリストが使っていたやつだな。」

 

ミュラー「恐らくな。詳しい検分は必要だろうが。」

 

オリヴァルト「さすがにこれは予想外だったね。」

 

オリヴァルトは少し考える素振りを見せるとすぐに振り返る

 

オリヴァルト「そちらの士官学院生たちの行動の正統性は私が保証する。異論はないかな?」

 

領邦軍隊長「も、もちろんでございます!」

 

オリヴァルト「さらに鉱山所有者であるアルノール家の名の下にこの場の全ては私が預かる。領邦軍の諸君は速やかに撤退を、鉄道憲兵隊の諸君は私の指揮下に入ってもらうよ。」

 

レイ:その後、オリヴァルトの指揮下で鉄道憲兵隊は忠実に任務を果たし、俺の進言で俺は〈Ⅶ組〉A班と共に残された人形兵器の駆逐していき、鉱員達も全員無事に解放された

 

レイ:しかし、余波はそれだけでなく領邦軍は明らかにテロリストの行動を黙認するかのように動き、貴族派が牛耳る第一製作所による鉄鋼石の横流しの証拠もテロリストによって破棄されていた。それでも第一製作所は限りなくクロであり、オリヴァルトはイリーナ会長の全面協力のもと、徹底的に調査を行う事を発表するのだった

 

 

―夜・ザクセン鉄鋼山最奥

 

シャロン「やはり、どこで作られたかは分かりませんか」

 

レイ「だがその超長距離狙撃ライフルはRFでは作られていない武器だろ?」

 

クレア「という事は“例の工房”ですよね?」

 

シャロンがテロリストの飛行艇を墜落させたライフルを見ていると背後からリーヴェルト姉弟が現れた

 

シャロン「ええ、間違いないかと。」

 

クレア「それで、貴女の雇い主はどこまで関与しているのですか?」

 

シャロン「それはどちらの雇い主の事ですか?」

 

レイ「もちろん両方だ。」

 

姉弟「っ!?」

 

その時、姉弟は何かを感じ取った

 

クレア「すいません。掃討し損ねていたようです」

 

そう言った瞬間、3人の目の前に〈結社〉が作った拠点防衛型の大型人形兵器が3体出現した。しかし…

 

シャロン「ヒュッ!」

クレア「ハッ!」

レイ「セアッ!」

 

シャロンは鋼糸で、クレアは導力銃で、レイは魔剣で大型人形兵器を攻撃し、一瞬で倒した

 

シャロン「ウフフ。さすがクレア様とレイ様。〈氷の乙女(アイス・メイデン)〉と〈迅雷(サンダー・クラップ)〉の神技、見せていただきました。」

 

クレア「貴女の方こそ…」

レイ「〈死線〉とはよく言ったものだな」

 

シャロン「先程の問いですが、イリーナ会長の方は何も。もちろん今回の事を最大限利用なさるでしょうが…」

 

クレア「でしょうね」

 

シャロン「そしてもう一方は…いつもの戯れでしょう。」

 

レイ「そうか」

 

そして3人は夜の闇に消えた




3700文字まで行ってしまった……。次は断章でユミルへ行きます。そしてまた……


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断章・温泉郷ユミルへ
温泉郷への旅行


なぜドラマCDの話がゲーム内にないのだ……


〈9月29日、14:00―ドライケルス広場にて―〉

 

今日この日、まだ学生達は学校にいるはずなのに〈獅子心皇帝〉であるドライケルス像の前に3人の制服を着た男女がいた

 

トワ「緊張する~……」

 

レイ「大丈夫ですよトワ会長。あのアホ皇子の事だから悪い話ではないでしょう」

 

リィン「はは、俺も1度しか入った事がないから緊張するな」

 

バルフレイム宮へと向かう途中でトワはあまりの緊張からかお腹を抑えて、リィンは少し表情が固かった

 

なぜこの3人がここにいるのかというと、それは9月の〈特別実習〉が終わった翌日の早朝にレイがオリヴァルトから『明日、バルフレイム宮に来てくれないかな?』と呼び出しをくらったからだ

 

 

回想

レイ『んで?本来なら学業がある俺を呼び出して何の用だ?』

 

オリヴァルト『実は君に頼みがあってね』

 

いつになく真剣な顔になるオリヴァルトを見て、レイはまさか〈貴族派〉もしくはそいつらに雇われた〈猟兵団〉が何かを起こそうとしているのか、と思ったのだが……

 

オリヴァルト『29日に君とリィン君、そして生徒会長のトワ・ハーシェル君を連れてきてほしい』

 

レイ『えっ?それだけか?』

 

オリヴァルト『うむ。詳しい事はその時に話す』

 

そう言われてレイは頷き、この日は帰った

 

 

回想終了

 

レイ「にしてもあのアホ皇子、何で俺達3人を呼び出したんだろうな?」

 

トワ「レ、レイく~ん。一応皇族の方なんだからそんな呼び方は……(汗)」

 

リィン「いや、鉄道憲兵隊に入ってからオリヴァルト皇子との関係が始まったらしくて……今では本人の前では呼び捨て、本人のいない所では呼び捨てか今みたいな呼び方になるようですよ(汗)」

 

トワ「そっ、そうなんだ……(汗)」

 

レイ「雑談はそれくらいにして、さっさと入るぞ」

 

そして3人がドライケルス広場を通り過ぎると目の前にはバルフレイム宮とそれを見学する人々が目に入る

 

トワ「改めて見ると凄く大きいよねぇ~」

 

リィン「正面から……で良いんだよな?」

 

レイ「ああ、ちょっと待ってろ」

 

2人にはその場に待機してもらい、レイはバルフレイム宮へと続く道に立っている近衛兵に敬礼する

 

レイ「お疲れ様。トールズ士官学院所属レイ・リーヴェルト、リィン・シュバルツァー、トワ・ハーシェル。ただいま到着した」

 

近衛兵「14:00、了解しましたレイ大尉。オリヴァルト皇子からお話は伺っていますので、どうぞお入り下さい」

 

こちらの到着の報告すると相手も敬礼で返し、入る許可を得るとレイは後ろで待機していた2人に「許可を得たから来い」という意味を込めて手招きし、広場からバルフレイム宮へと続く道を歩く

 

リィン「なぁレイ……後ろからの視線が気になるんだが…」

 

レイ「まぁ、こんな昼間に学生が堂々と正面から入ったら目立つな」

 

リィンの言葉にレイが振り返ると広場にいるほとんどの人がこちらを見ていた。

 

トワ「それにしてもさっき兵隊さんに話しかけているレイ君カッコよかったなぁ。」

 

レイ「そうですか?」

 

トワ「うん!さすが現役の軍人だね」

リィン「確かに、学院にいる時とは雰囲気が違ったな」

 

 

―謁見の間

 

バルフレイム宮に入った後、レイはオリヴァルトの指示された通りに謁見の間へと来た。しかし、呼び出した当人はまだ来ていなかった

 

レイ「オリヴァルトからはここで待つように言われている」

 

トワ「ひ、広いね~……」

 

リィン「ここは夏至祭の時に来た所だな」

 

レイ「おっ、来たみたいだな」

 

オリヴァルト「やあ、待たせてしまってすまないね」

 

レイの言葉通り、奥からオリヴァルトが現れて3人は頭を下げる

 

リィン「オリヴァルト殿下、先日はありがとうございます」

 

トワ「ご、ご無沙汰しております……」

 

オリヴァルト「そんなに畏まらなくてもいいよ。そうだ。緊張をほぐす為に一曲歌ってあげようか?」

 

―バチンッ!!

 

オリヴァルト「あ痛っ!」

 

レイ「やめんか。さっさと本題に入れ」

 

レイがハリセンを取り出し、一瞬でオリヴァルトの近くに移動しておもいっきり彼の頭を叩いた。ミュラーが側にいない時はレイがツッコミ役になるのが常であるようだ

 

オリヴァルト「やれやれ、相変わらずレイ君は手厳しいね。さて、君達を呼んだ理由の1つはお礼を言いたかったからなんだ」

 

リィン「お礼…ですか?」

 

オリヴァルト「先々月の夏至祭、先月のガレリア要塞とクロスベル、そして今回の鉄鉱山で起きた事件において君達〈Ⅶ組〉と一部の2年生には非常に世話になった」

 

トワ「い、いえ……私達は出来る事をやっただけで……」

 

大慌てのトワにオリヴァルトは笑って話を続ける

 

オリヴァルト「ハハハ、謙遜しなくて良いよ。本当なら君達を全員呼んで正式に勲章を与えたいが、そうするとうるさい輩達がいるからね」

 

レイ「貴族連中だな。確かに実績だけ見たら正式に勲章を与えられてもおかしくない働きをしたが、平民が皇帝から勲章を与えられるというのは奴らにとっては面白くないんだろうな」

 

オリヴァルト「その通りだよレイ君。そこで代わりと言っちゃなんだけど、とある場所への小旅行を用意しておいたよ」

 

トワ「りょ、旅行!?」

 

オリヴァルト「ああ。まぁ、リィン君の場合は帰郷という形になってしまうけどね」

 

リィン「それってもしかして……」

 

オリヴァルトの言葉にリィンはハッ!とした表情になる

 

オリヴァルト「温泉郷ユミル。日程は今週末からの1泊2日ではあるがそこでゆっくりと羽を伸ばしてくるといいよ」

 

トワ「ユミルって確かリィン君の……」

 

リィン「あぁ、俺が12年間住んでいた所だ」

 

レイ「なるほど。アルノール家とシュバルツァー家は昔から縁があったと聞く。そこで今回の計画を思い付いたっていうわけだな?」

 

トワ「そっ、そうなの!?リィン君のご実家って凄いんだね……」

 

アルノール家とシュバルツァー家に縁があると知り、驚くトワだが辺境に住んでいる男爵家と皇族が繋がりがあると聞いて驚かない人の方が少ないのではないだろうか?

 

オリヴァルト「それじゃ、現地への案内はリィン君に任せるよ?」

 

リィン「お任せ下さい」

 

オリヴァルト「こんな形でしかお礼が出来なくて申し訳ないが、目一杯楽しんできてくれ」

 

その後、3人は謁見の間から出ていこうとするがレイがオリヴァルトにまだ少し用があると言って戻る

 

レイ「おい、アホ皇子。俺にあの2人を連れてこさせたのは今の事を言う為か?」

 

オリヴァルト「そうだけど?」

 

その言葉を聞いてレイの怒りのボルテージがMAXになった

 

レイ「だったら真剣な顔して言うんじゃねぇ!!また何かあったと思っただろうがぁぁぁっ!!」

 

オリヴァルト「いや、だって僕はリィン君やトワ君の番号知らないから……あっ、ああぁぁぁぁぁっ!!!」

 

その後、謁見の間からオリヴァルトの悲鳴が響き、中からスッキリした顔のレイが出てきた

 

 

〈同日・16:00―ドライケルス広場にて―〉

 

リィン「まさかこんな形で帰郷するとは……」

 

レイ「何だ?帰りたくないのか?」

 

リィン「いや、そういうわけじゃないんだ。ただ急だったから実感が湧かなくてさ……」

 

トワ「でも温泉郷かぁ。私は行った事ないんだけどレイ君は?」

 

レイ「ユミルの事は知ってましたが一度も行った事がないですね」

 

?「あら?兄様にレイ大尉?」

 

声がした方を見ると聖アストライア女学院の制服を着た黒髪の少女――エリゼ・シュバルツァーがこちらに歩いてきた

 

レイ「エリゼ嬢…」

 

リィン「久しぶりだな。元気そうで安心したよ」

 

エリゼ「えぇ兄様とレイ大尉もお変わりないようで何よりです。ところでそちらの方は?」

 

エリゼの目線の先にはトワがおり、本人はニコニコしながら手を差し出す

 

トワ「トールズ士官学院2年生のトワ・ハーシェルです。よろしくねエリゼちゃん」

 

エリゼ「シュバルツァー家長女のエリゼ・シュバルツァーと申します。兄がお世話になってます」

 

レイ「彼女は士官学院の生徒会長なんですよ」

 

エリゼ「そうなんですか!?凄いんですね」

 

トワ「あはは、そんな事ないよ~。皆が手伝ってくれるから出来てるだけで…」

 

リィン「そういえば何でエリゼはここに?」

 

エリゼ「オリヴァルト殿下に用がありまして。」

 

レイ「もしかしてユミルへの小旅行についてですか?」

 

エリゼ「はい。ユミルに着いてからは私が案内する事になっているんです」

 

レイ「なるほど。なら当日はお願いしますねエリゼ嬢」

 

エリゼ「はい、お任せ下さい。では私はこれで…」

 

 

〈同日、18:00〉

 

トリスタへと帰ってきたレイとリィン、トワ会長は軽く当日の確認だけをしてそれぞれの寮へと帰っていった

 

―第3学生寮にて

 

皆「ユミルへ温泉旅行!?」

 

そしてり夕食を食べた後、その場で皆に今日の事を説明すると何人かが同時に驚きの声をあげた

 

リィン「ああ。向こうからのお礼らしい」

 

エマ「でも全額負担してもらうのはさすがに……」

 

レイ「こういうのはありがたく受け取っておくべきだ。遠慮し過ぎると逆に失礼だしな。何より……」

 

そう言ってレイは内ポケットから人数分のユミル行きのチケットを取り出す

 

レイ「すでに手配は済んでるみたいだしな。確かに相応の費用はかかったんだろうが、鉄鉱山に万が一があった時の損失に比べれば安いものなんだろう」

 

アリサ「ユミルかぁ、幼い時に行った覚えがあるわね」

 

ラウラ「オリヴァルト殿下が用意して下さった場所なら、さぞかし良い場所なのだろう。」

 

サラ「温泉に浸かりながらのお酒。今から楽しみね~」

 

レイ「やっぱり呑むのか……」

 

 

ガイウス「そういえば学院祭のステージはどうなったんだ?」

 

ガイウスの疑問に全員がリィン、エリオット、クロウを見る。やる事は一応決まってはいるが、士官学院祭まで残り1ヶ月を切っている。そんな中で肝心の内容を聞いてなかったので心配ではあった

 

エリオット「大丈夫だよ。昨日リィンとクロウの3人である程度内容は決まったから。」

 

リィン「それもユミルに到着したら話すから安心してくれ」

 

クロウ「なかなか凄ぇステージになるぜ。練習は相当ハードになるな」

 

アリサ「そういえば演奏の練習しなきゃいけなかったのよね……(汗)」

 

ユーシス「その練習に備える意味でも今回の旅行はゆっくりと休ませてもらうとしよう」

 

そしてその場で解散して数日後、シャロンに見送られながら〈Ⅶ組〉と一部の2年生はユミルへと出発した



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凰翼館

〈10月1日・14:30温泉郷ユミル〉

 

ユミルはノルティア州北部、アイゼンガルド連邦の麓に存在する山間部の集落であり、冷涼な気候から冬場は雪に閉ざされる事が多いらしい

 

そんな場所にある為、ここに向かうには途中からケーブルカーに乗る必要があった

 

エリゼ「皆様、お待ちしておりました」

 

ユミル駅から出ると入口ではリィンの妹のエリゼ・シュバルツァー嬢が待機しており、自分達を見つけるなり慣れた動きで一礼する(ちなみに服は当然ながら私服です)

 

ラウラ「確かリィンの妹だったか」

 

アリサ「久しぶりね」

 

エリゼ「はい。その節はお世話になりました」

 

Ⅶ組のメンバーは一度会った事があるので軽く言葉を交わすが、後ろにいたアンゼリカが突然前に出てエリゼ嬢の手を掴んだ

 

アンゼリカ「話には聞いていたが確かに美しい。良ければ私と温泉に入らないかい?その後は一緒にベッドへ…」

 

エリゼ「え、ええっと…(汗)」

 

予想通りアンゼリカの口説きが始まり、エリゼ嬢は困惑している。彼女を知っている者からしたら見慣れた光景なので全員、苦笑いか呆れ顔を浮かべているがこのままにしていると話が進まないので強引に引き剥がす

 

レイ「止めんか。エリゼ嬢が困ってるだろう」

 

アンゼリカ「む?もしかしてレイ君もエリゼ君を狙って…」

 

レイ「ないから」

 

ジョルジュ「アン、少しは自重しなよ」

 

リィン「ははっ…(汗)エリゼ、案内を頼む」

 

エリゼ「あっ、はい。それではこちらへ」

 

エリゼ嬢を先頭にユミルを歩いていく。多少の田舎っぽさはあるが、それだけに落ち着いた雰囲気の場所だった

 

レイ(前回は都会であるルーレだったからこの落ち着いた雰囲気は新鮮だな)

 

 

―凰翼館

少し歩くとユミルでは目立つ、一際大きな建物に案内された。玄関の扉を開けると左手には2階へ続く階段があり、右手には『男』『女』と書かれた暖簾が掲げられていた

 

エリゼ「皆様にはこの凰翼館に泊まっていただきます。かつて皇帝陛下から恩賜され、今でも多くの貴族の方が保養に訪れている施設です」

 

マキアス「こ、皇帝陛下!?」

 

ユーシス「シュバルツァー家と交流があるとは聞いていたが…」

 

エマ「そんな場所に泊めてもらって良いんでしょうか…」

 

レイ「まぁ、そんなに緊張しなくても良いんじゃないか?別に皇帝陛下から恩賜されたとはいえ、敷居が高いわけじゃないし」

 

サラ「そうね。それに景色が良いからお酒が進みそうだしね」

 

レイ(やはり呑むのか)

 

アンゼリカ「付き合いますよサラ教官」

 

トワ「アンちゃん、未成年の飲酒は駄目でしょ!」

 

アンゼリカ「固いこと言わずに、トワも一緒に飲もうではないか」

 

トワ「ええっ!?ど、どうしようかな…」

 

クロウ「いや、そこは断るとこじゃね?」

 

レイ「帝都でギャンブル紛いの事をしていたあんたに言われても説得力0だぜ」

 

レイの言葉にクロウ以外の全員がウンウンと頷く

 

エリゼ「あはは…(汗)お部屋は2階にⅦ組の男性と女性で分けてありますので。2年生の皆様とサラ教官、レイ大尉にはそれぞれ個室を用意させていただきましたので」

 

フィー「ありがとう」

 

アリサ「それじゃ、早速荷物を置いてきましょうか」

 

リィン・レイ「ちょっと待ってくれ」

 

エリゼ嬢を先頭に各自が2階へ上がろうとした時、俺とリィンが同時に呼び止めた

 

ガイウス「どうしたんだ?」

 

リィン「荷物を置いたらⅦ組はまたロビーに集合してほしいんだ」

 

レイ「もしかして学院祭のか?」

 

リィン「ああ。話しておこうと思って」

 

ミリアム「分かった!すぐに置いてくるねー!」

 

ガイウス「それでレイは?」

 

レイ「俺はエリゼ嬢に聞きたい事がある。例の学院祭でやるやつの割り振りは事前にリィンに見せてもらって知ってるから、俺抜きでやってくれ」

 

フィー「ja」

 

そしてそれぞれが荷物を部屋に置き、一階のロビーにあるテーブルへ集まっている頃、レイとエリゼは凰翼館の食堂にいた

 

 

―凰翼館・食堂

エリゼ「それでレイ大尉、私に聞きたい事とは?」

 

レイ「単刀直入に聞こう。またあいつの指示か?」

 

エリゼ「えっ?えっと…何の事ですか?」

 

レイ「部屋の分け方だ。サラ教官と2年生が個室なのは分かる。だがⅦ組は男性と女性に分けられているのに、同じⅦ組である俺は個室。どう考えてもおかしいだろ?」

 

エリゼ「あっ、それは~…」

 

レイ「どうせ裏であいつが絡んでるんだろ?」

 

エリゼ「ううっ…」

 

レイの取り調べに目が泳ぎ始めるエリゼ。その時…

 

マキアス・ユーシス『ちょっと待ったあぁぁぁぁっ!!』

 

ロビーの方からマキアスとユーシスの叫び声が響いてきた

 

エリゼ「っ!?なっ、何かあったんでしょうか!?」

 

レイ「ああ。学院祭で歌を歌う事になっていましてね。男子の方のボーカルはマキアスとユーシスの2人組ボーカルなんですよ。あの2人、初めて会った時はそれは険悪で今はそれほどでも無いんですが、たまに漫才みたいなやり取りはしてますね。」

 

エリゼ「はぁ…?」

 

レイ「それより話の続きです。俺を個室にしたのはあいつの指示なんでしょ?」

 

笑顔で聞いてくるレイだが、目が笑っていないので恐怖を感じたエリゼは遂に折れた

 

エリゼ「…はい。あの子の言う通りにしました」

 

レイ「ちなみにあいつは今どこに?」

 

エリゼ「わ、私の実家であるシュバルツァー男爵家で寛いでもらってます…」

 

レイ「ありがとうございますエリゼ嬢」

 

そう言ってレイは凰翼館を出てシュバルツァー男爵家へと向かった



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レイとミルディーヌの密会

あの後、エリゼにミルディーヌの居場所を聞いたレイは凰翼館を出てシュバルツァー男爵家に向かい、居間で優雅にお茶を飲んでいるミルディーヌになぜここにいるのかを問い質した。

 

本人はシュバルツァー男爵家の者達がいる目の前で…

 

ミルディーヌ『レイお兄様の行く所なら例え火の中水の中。どこへでもお供しますわ』

 

と言ったがその後、周囲には聞こえない小声で…

 

ミルディーヌ『今晩10時に凰翼館の露天風呂に来て下さい』

 

それだけ言うとは再びルシア夫人と楽しくお喋りを始めた為、それ以上は聞けなかった

 

 

そしてミルディーヌに言われた時間になり…

 

レイ「支配人さん、すまないが露天風呂はまだ入れるか?」

 

支配人「ええ、もちろん。何かのお仕事で入るのが遅れてしまったのですか?」

 

レイ「いや、お仕事はこれからですよ」

 

意味深な言葉を残してレイは露天風呂に向かった

 

 

レイ「フウ~、風呂ってこんなに気持ちの良いものなのか。いつもはシャワーで済ますだけだが、こんなのが憲兵隊詰所にあったら部下達もやる気が出るかもな」

 

すると露天風呂の出入口から湯着を来たミルディーヌが入ってきた

 

ミルディーヌ「遅れて申し訳ありませんレイ兄様。お詫びに背中でもお流ししましょうか?」

 

レイ「そういうのは良いから、とりあえず入れ。」

 

ミルディーヌ「それでは失礼して」

 

そう言ってミルディーヌは露天風呂に入り、レイの横に来た

 

ミルディーヌ「フウ~。さて、それでは良いですか?」

 

そう言うミルディーヌの雰囲気は先程の蠱惑的な物ではなく、何もかも見透かすような雰囲気を醸し出していた

 

レイ「ああ、それで?“彼ら”は今、どこまで進めていると思っている?」

 

ミルディーヌ「およそ80%程かと。そして全ての準備が整い次第、“彼”を消して帝都を…」

 

レイ「なるほど。確かに“彼ら”がやりそうな事だ。ちなみに協力者になってくれそうな人は?」

 

ミルディーヌ「大丈夫です。そちらは目処がつきました。レイ兄様の方は?」

 

レイ「鉄道憲兵隊大尉という肩書きを最大限生かして行動してだいぶ集まった。。ミルディーヌは?」

 

ミルディーヌ「こちらも順調ですね。ではまた何かあったらお互いに連絡を取りましょう」

 

レイ「ああ、了解した」

 

そしてミルディーヌは何もかも見透かすような雰囲気を消し、いつもの蠱惑的な雰囲気を出す

 

ミルディーヌ「それはそうとレイ兄様、本当にお背中を流さなくてもよろしいですか?♥️」

 

レイ「いや、本当にそれは良いから」

 

ミルディーヌ「ならお風呂上がりに部屋であれやこれやを…♥️」

 

レイ「しません。」

 

ミルディーヌ「あん。いけずぅ~♥️」

 

レイ「これ以上は逆上せるから先にあがるからな」

 

ミルディーヌ「では私も」

 

その後、レイはミルディーヌと共に凰翼館の自分にあてられた部屋に戻り、一緒に眠った

 

 

レイ・ベッドは別々だからな

 

ミルディーヌ・私は1つのベッドで寝たかったのですけど…♥️

 

レイ・ならお前が16、7歳になったら考えてやらんでもない

 

ミルディーヌ・さすがレイ兄様、愛してますわ♥️




レイとミルディーヌの温泉での妙な話でした

次はユミルから帰ってきて普通の話に戻ります


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終章・与えられし力
学院祭準備


ようやくここまで来た…(汗)まさかここまで長くなるとは思いませんでした……


ユミルの小旅行から数週間後。士官学院の正門前には全校生徒が集まっており、トワ会長の号令によって学院祭の準備が始まった

 

―Ⅶ組の教室では

エリオット「この半月あまり……皆、本当にお疲れ様!」

 

クロウ「クク、まぁ何とか形になってなによりだぜ。」

 

リィン「ふう……とんでもない半月だったけど。」

 

アリサ「ええ……まさかここまで大変だとは思わなかったわね。」

 

なぜリィンとアリサがこんな事を言っているかというと学院祭まで半月の間、音楽室を借りて演奏の練習をしていたのだ。

 

いや、それが原因というわけではない。問題はエリオットの指導なのである。普段穏やかなエリオットだが音楽の指導となると人が変わったようにスパルタになるのだ。(フィーは練習の間、エリオットの事を「鬼教官」と小声で言っていた)

 

それが原因でリィンとアリサを始め〈Ⅶ組〉のメンバー(レイは除く)は少し疲れている

 

レイ「特にエリオットの指導はかなりスパルタだったしな」

 

ミリアム「あはは、何だか別人みたいだったよねー。」

 

エリオット「ご、ごめん。良いものにしなきゃって思ってたらつい……」

 

レイ「やり過ぎには気を付けろよ。」

 

ラウラ「だがそなたの叱咤があったから即席の演奏班(バンド)も何とか纏まったのだろうしな。」

 

ガイウス「ああ……きっと良いステージになる。」

 

ラウラとガイウスにほめられてちょっと嬉しそうな顔になるエリオット。しかし…

 

エマ「はあ……」

 

マキアス「な、何とか歌の方は形になったとは思うが……。」

 

ユーシス「……くっ……本当にあれをやるのか……?」

 

エマ、マキアス、ユーシスは少し落ち込んでいた。まぁ、原因はエマのソロとマキアスとユーシスのデュオなのだが……

 

クロウ「オラオラ、いい加減、往生際がわるいっつーの。」

 

アリサ「フフッ、エマの歌なんてかなりの完成度じゃない。」

 

ラウラ「うむ、あれで衣装を纏えばさぞ舞台映えするだろう。」

 

フィー「男子の目、釘付け。」

 

エマ「ううっ、プレッシャーをかけないで下さいよ~……」

 

リィン「はは、マキアスとユーシスも最後には完全に合わせられたな」

 

ガイウス「ああ、最初の頃はどうなるかと思ったが……」

 

エリオット「うんうん、とっても対照的なデュオになったと思うよ」

 

エリオットの言葉にマキアスとユーシスはすぐさま反論する

 

マキアス「そ、それが納得行かないんじゃないか!」

 

ユーシス「フン……恥辱の極みだな。」

 

レイ「まぁ、そう言うな。俺もサブボーカルとして出てやってるんだから」

 

レイがそう言った時、教室の扉が開き、サラが入ってきた

 

サラ「ふふ、やってるわね。旧校舎の使用許可は学院長から取ってきたわ。今日と明日の2日間、自由に使って良いそうよ。」

 

エリオット「ホ、ホントですか!?」

 

リィン「ふう……正直、助かりました。」

 

ラウラ「やはり音楽室の練習だけでは本番の感覚は掴めぬしな」

 

アリサ「結局、講堂の舞台はⅠ組がずっと使ってたものね」

 

そうなのである。Ⅶ組は演奏する事になったのだが、講堂の舞台はⅠ組がずっと使っている為にⅦ組はずっと音楽室で練習していた

 

しかしそれでは本番の感覚が掴みにくいのでは?とエリオットから言われ、ならば旧校舎の舞台を使ったらどうだとレイが提案したのである

 

レイ「進言しといてなんだが、許可が取れて良かったぜ」

 

クロウ「だよな~。旧校舎の1階なら講堂と似たような空間だし、おあつらえ向きな舞台もあるから本番の感覚を掴みやすいしな」

 

ガイウス「ああ、良いアイデアだったなレイ」

 

マキアス「まぁ、旧校舎の1階といえば入学式を思い出すが……」

 

ユーシス「フン、どこぞの教官が俺達を嵌めた場所だな。」

 

ユーシスの言葉に全員がサラをジーッと見る。その視線にいたたまれなくなったサラは苦笑しながら…

 

サラ「アハハ……まぁ時効って事で。」

 

クロウ「そういや、嬉し恥ずかしのベタなハプニングがあったみたいだな?」

 

その言葉にリィンとアリサがビクッとなり、ミリアムが興味を示しフィーが話そうとするが…

 

―ガシッ!

 

レイ「本人の許可なく恥ずかしい過去をばらすのはやめようね~?」

 

口は笑っているが目が笑っていないレイがフィーの頭をガッシリと掴んで持ち上げる

 

フィー「ja…(汗)」

 

エマ「ふふっ、それでは今日は予定通りに動きましょうか。」

 

マキアス「ああ、ステージ衣装が到着するのが今日の夕方……それまでは各自、学院祭の飾りつけや出し物に協力しよう」

 

アリサ「そうね、明日は1日、リハーサルで潰れそうだし。」

 

ラウラ「せめて今日くらい協力するのが筋というものであろう。」

 

フィー「めんどくさいけど仕方ないか。」

 

ガイウス「リィンはトワ会長から課外活動を受け取っているんだったな?」

 

リィン「ああ、相当忙しそうだしせめて力になれればと思ってさ。ところでレイはこの後どうするんだ?」

 

レイ「念のために旧校舎のチェックをしてくる。その後は見回りを行う予定だ」

 

マキアス「そうだな……1階を使うとはいえ何があるかも分からないし。」

 

アリサ「もし、降りるならARCUS(アークス)で呼んでちょうだい。」

 

レイ「了解した」

 

サラ「ふふ、練習も含めてせいぜい頑張りなさい。あたしも見回りとかしてるから何かあったら連絡して」

 

クロウ「とりあえず衣装が届いたら全員ARCUS(アークス)に連絡するぜ。今日中に衣装合わせだけはしておきたいからな」

 

そして各々が自分達の部活に向かったり、旧校舎のチェックをしに向かった



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衣装の受け取り

本来ならリィンが行く所ですが、ここではレイに行ってもらいます


レイ「旧校舎の見回りは終了したし、出し物関係での見回りも終了。後は…」

 

~♪~♪

 

レイ「ARCUSの着信音?誰からだ?もしもし、こちらレイ・リーヴェルト」

 

クロウ『相変わらず堅苦しい返事の仕方だな』

 

レイ「なんだクロウか。どうかしたか?」

 

クロウ『あぁ~実はちょっとまずい事になってな。お前達の衣装が届くのが遅れそうなんだ。悪いが取りに行ってくんねぇかな?』

 

レイ「こう言ってはなんだが、こういうのはリィンの仕事では?」

 

クロウ『あいつはトワの手伝いで忙しいそうだ』

 

その言葉にレイはハアァ~と深いため息をついた

 

レイ「分かった。帝都のブティックに頼んでるんだよな?導力バイクで取りに行く」

 

クロウ『悪いな。んじゃ頼むぜ』

 

そう言って通信は終わり、レイは第3学生寮に向かい導力バイク(サイドカー付き)のエンジンを始動する

 

シャロン「あら、レイ様。お出かけですか?」

 

レイ「ええ。帝都のブティックに頼んでいた衣装が届くのが遅くなりそうだとクロウから連絡があったのでこちらから受け取りに行くんです」

 

シャロン「そうでしたか。でも12人分となるとかなりの量になりますよ?お供しましょうか?」

 

レイ「大丈夫です。憲兵隊でも大量の荷物を1人で運んだ事があるので。それでは」

 

シャロン「お気をつけて」

 

シャロンが一礼した後、レイは導力バイクを発進しさせて帝都に向かった

 

 

―帝都ヘイムダル〈ブティック・ルサージュ〉

 

レイ「ここだな。」

 

到着したレイは導力バイクを邪魔のならない所に停車し、店に入ろうとした時…

 

?「あら?貴方もしかしてトールズ〈Ⅶ組〉の生徒さん?」

 

声をかけられて振り返ると1人の女性がいた。

 

レイ「その声、もしかしてミスティさん……いえ〈蒼の歌姫(ディーヴァ)〉ヴィータ・クロチルダさんですね?」

 

ヴィータ「っ!?よく分かったわね……。貴方と同じクラスの黒髪の子、確かリィン君だったかな?彼は私の声を聞いてようやく分かったのに。」

 

レイ「まぁ職業柄、人の顔を無意識に覚える癖がついてるんで。にしてもヴィータさんもこのブティックに用があるんですか?」

 

ヴィータ「ええ。トリスタにも系列店があるけど帝都の本店の方が品揃えが良いからね。君は?」

 

レイ「もうすぐ学院祭があるのはご存知ですよね?その学院祭で自分達は歌う事になりまして、その衣装を受け取りに来たんです」

 

ヴィータ「へぇ、面白そうな事をするのね。当日私も見に行こうかしら?」

 

レイ「ぜひ来て下さい。本業の方には負けますが」

 

ヴィータ「ウフフ、音楽は心よ。っとつい話し込んじゃったわね。それじゃ入りましょう」

 

その後、2人はブティックに入りレイは学院祭の衣装を、ヴィータは自分の買いたいと思っていた服を買い、店を出た

 

ヴィータ「それじゃ私はこれで…」

 

レイ「トリスタにお帰りですか?」

 

ヴィータ「ええ、そうだけど?」

 

レイ「良かったら送りますよ。サイドカーに荷物を乗せるのでヴィータさんは俺の後ろになりますが…」

 

ヴィータ「フーン、なかなか面白そうな乗り物ね。せっかくだしお願いしようかしら?」

 

そしてサイドカーに荷物を乗せ、ヴィータを自分の後ろに乗せてトリスタに向けて導力バイクを発進させた

 

 

―トリスタ近くの街道

 

ヴィータ「へぇ~、なかなか良い風ね~」

 

レイ「気に入ってもらえて良かったです。後もう少しでトリスタですよ」

 

―数分後

レイ「トリスタに到着しました」

 

ヴィータ「送ってくれてありがとね。学院祭、楽しみにしてるから」

 

レイ「ありがとうございます。それでは」

 

そう言ってヴィータを降ろしたレイはそのまま士官学院へ向かった

 

 

その後、男子と女子はレイが帝都から受け取ってきた衣装を身に纏っていた。明日はリハーサルに集中したいのですぐに衣装合わせとなったのだ。

 

ちなみに女子の衣装は黒を基調としたノースリーブとミニスカートで胸の部分には赤いリボンが付いている。

 

アリサ「へぇ、なかなか良いじゃない。」

 

ラウラ「ふむ、露出は少し多めだがこれなら問題ないな。」

 

フィー「悪くないかも」

 

ミリアム「黒でお揃いなのもカッコいい感じだよね~。」

 

エマ「うぅ…落ち着かないです……。」

 

女子で最後に着替え終えたエマがソワソワしながらシャロンと共にこちらに来る。

 

今のエマの姿はクロウのギャップを出そうという提案で三つ編みの髪を解いてストレートヘアに、更には眼鏡を外してコンタクトにしていた

 

ミリアム「いいんちょ、色っぽいね~!」

 

ラウラ「まさかここまで華やかになるとは……。」

 

フィー「ぶっちゃけエロい。」

 

エマ「うぅ……。」

 

アリサ「流石シャロン、髪のセットも完璧ね。」

 

シャロン「ふふっ、恐れ入ります。」

 

クロウ「よう、こっちは終わったぜ~。」

 

クロウの声が聞こえ、女子がそちらに振り返ると同じく衣装を纏った男子メンバーが歩いてきた。

 

男子の衣装は女子とは対照的に白を基調とした服でネクタイは赤になっていた

 

アリサ「あら、似合ってるじゃない。」

 

フィー「エセ王子っぽいけど悪くないかも。」

 

ユーシス「フン、この手の衣装は着馴れているがお前が着ると冗談にしか見えんな。」

 

マキアス「ほ、放っておいてくれ!」

 

レイ「はいはい。お決まりのやり取りが終了した所で、この後はすぐにリハーサルか?」

 

クロウ「ああ。今日中に出来る限りのリハーサルをやっちまう。」

 

エリオット「今日を入れて1日半。もう本当に時間が無いから、ノーミスで終わらない限り今夜は帰れないと思ってね?」

 

エリオットの黒いオーラを放ちながら言ったこの一言で和やかな雰囲気が一転し、一瞬にして周囲が凍りついた

 

アリサ「本当に音楽の事になると性格変わるわね……。」

 

レイ「鬼教官エリオット、再来。」

 

ラウラ「こうなったら腹を括るしかあるまい。」

 

これから始まるであろう地獄を想像したエリオットとクロウ以外のメンバーはため息を吐きながらも、完璧なステージにしようと気合いを入れ直す

 

レイ「委員長も無理せずに頑張ろうな?」

 

エマ「えぇ、分かってますよ……」

 

レイ「ん?どうした?」

 

エリオットの威圧感に気圧されながらも本番の為だと覚悟を決めた中で何やらエマの様子がおかしい。心配になったレイが近づくと…

 

エマ「こうなったら恥も外見も捨てて開き直るしか……、ブツブツ――」

 

ミリアム「いいんちょが壊れた!?」

 

ラウラ「まぁ、そっとしておくが良い。」

 

ちょっとヤバい感じでブツブツと一人言を喋っている為、落ち着くまで放っておく事にした

 

その後、エマが立ち直ると鬼教官エリオットの指導の下、地獄のリハーサルが夜まで続いたのだった



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リハーサル

邪神竜の存在はⅦ組全員に知れ渡っているので旧校舎と第3学生寮では普通に出てきています。


〈10月22日、15;00〉

 

衣装合わせを行った翌日、Ⅶ組は早朝から旧校舎でリハーサルを繰り返していた。時折サラも様子を見に来たり、シャロンが差し入れを持ってきてくれた。

 

そして学院の方はトワ会長の指揮下で明日の学院祭に向けて着々と進んでいき、各クラスの出し物も準備が整えられていく中、Ⅶ組の出し物も完成に近づいてきた。

 

クロウ「よし、OKだ!」

 

旧校舎にクロウの声が響くと、全員が体の力を抜いて安堵する。

 

アリサ「ふう…さすがに疲れたわね。」

 

フィー「今までで一番良かったかも。」

 

ラウラ「ああ。やりきった感があるな。」

 

レイ「俺はのどが少しやばいな。」

 

邪神竜「こんなにぶっ通しで歌った事は無かったからな。大丈夫か?」

 

レイ「何とか…」

 

エリオット「後はこれが本番で出来るかどうかだけど、そこは運と女神様次第だね。」

 

マキアス「逆に言えばどこまでやっても運に左右されるのか……」

 

ユーシス「フン、だったら運すら強引にねじ伏せるまでだ。」

 

クロウ「これ以上やっても仕方ねぇし、後は本番でいいだろ。」

 

フィー「ていうか今何時?」

 

フィーに言われて皆が旧校舎の窓を見ると空は赤く、鳥が鳴き始めていた

 

レイ「もう夕方か。」

 

ラウラ「今から帰って休めば明日には疲れも取れるだろう。」

 

マキアス「よし、そうと決まれば早く――」

 

クロウ「おいおい、何寝ぼけてんだ?」

 

早朝からぶっ通しでやっていたおかげて曲も演出も完璧に出来たはずなのに、この男は何を言ってるのだろうか?

 

クロウ「こういうステージにはサプライズとアンコールが付き物だぞ?」

 

レイ「は?」

 

邪神竜「サプライズとアンコール?」

 

リィン「クロウ、お前まさか……。」

 

エリオット「冗談で言ってたあれをやるつもり!?」

 

リィンとエリオットはクロウが何をしようとしているのか知っているようだが、全く事情を聞かされていないこちらは首を傾けるしかなかった。

 

レイ(まぁ、2人の様子からすると、ろくでもない提案だろうがな。)

 

ユーシス「まさか……この状況で追加の曲をやれと言うのではあるまいな?」

 

全てを察したユーシスの言葉にクロウは意地悪そうな笑みを浮かべるとゆっくり頷く

 

クロウ「そのまさかだ。安心しろ、メロディはシンプルかつ有名なやつだ。」

 

レイ「一応聞くが、拒否権は?」

 

クロウ「無い。Ⅰ組に勝つ為のダメ押しなんだからよ。」

 

アリサ「こ、この悪魔……」

 

クロウ「さぁて、時間も無い事だし段取りを説明させてもらおうか。」

 

 

〈同日21;00〉

あの後、クロウの悪魔の提案にⅦ組は再びぶっ通しでリハーサルを実行した。他のクラスの生徒は出し物の準備が終わり、寮に帰って行くが旧校舎の明かりはまだついていた。

 

レイ「邪神竜、俺ののどは潰れてないか?声が変になってないか?」

 

邪神竜「多少枯れているが大丈夫だ。今日、しっかり休めば元通りになるだろう。」

 

ミリアム「づがれだ……ガーちゃん呼んで帰ろっと……」

 

レイ「やめろミリアム……」

 

他の皆もずいぶんグッタリしていた。まぁ、あれから6時間、ほとんど休む事なく演奏し歌い続けたので当然と言えば当然だが…。

 

クロウ「いや~何とかなるもんだな。お疲れさん。」

 

エリオット「さすがに僕も疲れたかな……。」

 

リィン「はは…後は本番だけだな。」

 

しかし、疲れてはいたが全員やりきった顔をしていた。学院祭の出し物は絶対に上手くいくと確信している表情だった。

 

サラ「あんた達もよくやるわね。」

シャロン「皆様、お疲れ様でした。」

 

レイ「さて、寮に帰るか。」

 

エマ「早くベッドで寝たいです……。」

 

1人、また1人と立ちあがり、フラフラした足取りで旧校舎から出ていく。

 

 

〈第3学生寮〉

レイ「あぁ~、眠い…」

 

クロウ「慣れねぇ事したから疲労が溜まっちまったか?」

 

レイ「多分な…。まぁ、ここまで疲労したのはどこかのギャンブルバカのせいだが…」

 

そう言ってレイはクロウをジトッと睨む。

 

クロウ「まぁそう言うなって。Ⅰ組に勝つにはあれ位やらないとな。」

 

レイ「全く…。」

 

邪神竜「レイよ。学院祭の事を彼女に伝えておかなくて良いのか?」

 

レイ「ん?ああ、ミルディーヌにか?そうだな、念のために伝えておくか。」

 

クロウ「学院祭に将来の伴侶を呼ぶなんてやるねぇ~」

 

レイ「フンッ!」

 

クロウ「ウガッ!?」

 

クロウの言葉にちょっとイラッとしたレイはクロウの顔面にパンチをくらわして少し眠ってもらい部屋から出て、ミルディーヌに連絡する。

 

ミル『はい、ミルディーヌです。』

 

レイ「レイだ。いきなりで悪いが、トールズ士官学院の学院祭は知ってるよな?」

 

ミル『はい♥️愛するレイ兄様の通う学院ですから、どういう授業内容や催しがあるかは調べてあります♥️』

 

レイ「やっぱりな(汗)ならその学院祭に来れるか?せっかくだからどういう出し物があるかエスコートするぞ?」

 

ミル『まぁ、普段は受け身のレイ兄様が珍しくお誘い下さるなんて!!』

 

レイ「そんなに受け身か、俺?」

 

ミル『冗談です。そんな事より学院祭、必ず行きますわ!!雨が降ろうと槍が降ろうと!!』

 

レイ「そ、そうか…(汗)まぁ、無理しないようにな…(汗)おやすみミルディーヌ。」

 

ミル『おやすみなさいレイ兄様。』

 

そしてARCUS(アークス)の通信を切り、部屋に戻ろうとすると背後にいたシャロンが声をかけてきた

 

シャロン「レイ様。」

 

レイ「っ!?お、驚かすなシャロン。心臓が止まるかと思ったぞ?」

 

シャロン「申し訳ありません。彼女さんと楽しそうに話していたので…。それよりレイ様宛にお手紙が来ていましたよ。」

 

レイ「あっ、すまないな。」

 

シャロン「それでは失礼します。」

 

レイは受け取った手紙の裏面を見ると『クレア・リーヴェルト』と書かれており、その場で手紙を読み始めた。

 

レイ「………。マジか…?」

 

姉からの手紙を読んでレイはハァ~とため息をつき、頭を抱えた。

 

レイ「何考えてんだよあいつは?まぁ、学院祭中とはいえ腕に覚えのある人が多いから大丈夫だよな?もう寝よう。」

 

そしてレイは自室に戻り、疲れもあってベッドに入って3秒で眠りについた。



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士官学院祭

しばらく更新してなくて申し訳ありませんでした。今日からラストまでなるべく間を空けずに更新します。


〈10月23日、8;30〉

 

―第3学生寮・食堂にて

 

士官学院祭当日という事で朝からトリスタはざわついているが、第3学生寮では別の事でざわついていた。それは…

 

「クロスベルが独立宣言!?」

 

昨日のラジオの緊急ニュースで言っていたクロスベルの独立宣言だった

 

リィン「あぁ、昨日のラジオで言っていたんだ。」

 

アリサ「私も偶然聞いたけど、緊急ニュースって言ってたからデマじゃないと思うわ。」

 

マキアス「独立に向けて動いていると聞いてはいたが…」

 

エマ「本気で共和国に対抗するつもりなのでしょうか?」

 

ユーシス「あの程度の戦力で防衛できるわけがないだろう。どうせ撤回するのがオチだ。」

 

レイ(正式に2大国からの独立宣言か。確か、名前も〈クロスベル独立国〉と名乗り、〈国防軍〉と呼ばれる軍隊の保持も宣言していたな。)

 

その後、〈Ⅶ組〉メンバーは戦争になるのではないか、共和国も絡んでくるのではないか、と不安になり重い空気が漂っていたが…

 

クロウ「おらおら、お前ら辛気くさいぞ。」

 

そんな空気に耐えられなかったのか、クロウがイスから立ち上がって手を叩く。

 

クロウ「そりゃ落ち着かないのは分かるけどよ、俺達がこの件に関して何か出来るのか?」

 

リィン「それは……」

 

クロウの言う通り、約一名を除いてここにいるのはただの一学生に過ぎない。問題が国家レベルになれば何も出来ないのだ。

 

クロウ「だったら、まずはバッチリとステージを成功させて見に来る奴らを楽しませようぜ。それが今の俺達に出来る事じゃねぇのか?」

 

レイ「クロウが真面目だと……」

 

邪神竜「何かの前触れでは?」

 

クロウ「俺だって真面目な時ぐらいあるわ!!」

 

そんなやり取りを見て全員が笑いだし、しばらく笑っていると先ほどの重い空気は吹き飛んだ。

 

レイ「クロウの言う通りだな。クロスベル独立を不安に思っているのは俺達だけじゃない。他の不安に思っている人達を少しでも元気づけられるようなステージにしなければな。」

 

アリサ「だったら明日に備えて今日は目一杯楽しまなきゃね。」

 

リィン「そうと決まれば早速出発しよう。そろそろ学院祭が始まるはずだ。」

 

 

〈同日、9;00〉

 

―トールズ士官学院・正門

 

リィン達が到着したのと同時に正門が開かれ、生徒や一般客が雪崩れ込んでいく。どうやらトリスタだけでなく各地から人が集まっているようだ。

 

レイ「盛り上がっているな。しかし、何かしらの行事の警備は何回もしたが俺自身がこのような行事に参加するとはな。」

 

アリサ「どんだけ現実離れしてんの貴方?」

 

レイ「それよりクロウ、ステージ関係で何かあるか?」

 

クロウ「そうだな。今日1日は自由行動だが、明日に備えて機材のチェックをしときたいから夕方には集まってくれ。」

 

ミリアム「りょーかい!それじゃあレッツゴー!」

 

言うが早いか、ミリアムは駆け出してあっという間に人混みの中に消えた。

 

ユーシス「相変わらず落ち着きのない奴だ。」

 

マキアス「同感だな。」

 

ラウラ「フフ、それでは我らも行こうか。」

 

レイ「あっ、悪いが俺はここで待ち合わせしてるんだ。」

 

エリオット「もしかして、女学院で会ったあの人?」

 

クロウ「ヒューヒュー!やっぱり将来の伴侶を――うがっ!?」

 

全部言わせる前にレイはクロウの鳩尾に拳を叩き込んでやった。

 

レイ「まぁ、そういうわけだから俺はここでミルディーヌを待つ。皆は先に行っててくれ。」

 

ガイウス「分かった。ではお言葉に甘えて先に行かせてもらう。」

 

ガイウスがそう言うとレイ以外は人混みの中に消えた。

 

―10分後

ミル「お待たせしましたレイ兄様!」

 

レイ「大丈夫だ、ミルディーヌ。そんなに待ってな――」

 

正門の壁に寄りかかり、目を瞑ってミルディーヌを待っていたレイ。そしてミルディーヌが来て、閉じていた目を開けるとそこには…

 

ミル「どうかしましたかレイ兄様?」

 

レイ「いや、どうかしましたかって……。ミルディーヌ…その髪の色……どうしたんだ?」

 

いつものミント色の髪ではなく、パープル色に染めたミルディーヌが立っていた。

 

ミル「これですか?せっかくレイ兄様が学院祭デートに誘ってくれたので心機一転してみました。似合いますか?」

 

レイ「あっ、ああ…すごく似合ってるぞ///」

 

ミル「ウフッ、良かったですわ♥️それではレイ兄様、エスコートお願いしますね♥️」

 

そう言ってミルディーヌはレイの腕に自分の腕を絡ませて学院内に入っていった。




ミルディーヌの髪の色ですが、閃の軌跡Ⅲでのパープルヘアーです。

にしても閃の軌跡Ⅲでミルディーヌの髪色をパープルヘアーにすると物凄く可愛い…


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学院祭デート

ミルディーヌの髪はロングヘアーで色はパープル、服装は閃Ⅳでのドレスだと思って下さい。


ミルディーヌ「まずはどこに行くんですか?」

 

レイ「そうだな。ギムナジウムでやっている『みっしぃパニック』はどうだ?」

 

ミルディーヌ「『みっしぃ』というと、前に通商会議で行ったクロスベルのマスコットキャラですよね?」

 

レイ「ああ。ちなみに内容は9つある穴からランダムに出てくる『悪みっしぃ』を叩いてスコアを競う物だ。簡単に言えば、モグラ叩きゲームだな。」

 

ミルディーヌ「面白そうです!行きましょう!」

 

そして2人はギムナジウムに向かい、部屋に入ると驚いた。なんと『みっしぃパニック』とは教室を丸々使ったゲームだったのだ。

 

ミルディーヌ「ではレイ兄様、まずは私が行きますね。」

 

そう言ってミルディーヌはハンマーを持ち、ゲームスタートの合図で『悪みっしぃ』を叩いていくが徐々にテンポが速くなり、後半は近くに現れる『悪みっしぃ』しか叩けなかった。

 

ミルディーヌ「ううっ……残念です。後3体『悪みっしぃ』を叩けば設定されたスコアを突破出来ましたのに……」

 

レイ「教室を丸々使ったゲームだから瞬発力と敏捷性が求められるんだな。なら、次は俺がやろう。」

 

今度はレイがハンマーを持ち、ゲームスタートの合図で『悪みっしぃ』を叩いていく。そして徐々にテンポが速くなっていくが、レイは焦る事なく正確に『悪みっしぃ』を叩いていき……

 

レイ「これで、フィニッシュ!!」

 

時間切れになり、満点を叩き出したレイ。そして景品としてみっしぃのぬいぐるみを何故か4つも手に入れ、そのうちの1つをミルディーヌに渡した。

 

 

―中庭

 

『みっしぃパニック』を終えた2人は屋台で販売していた飲み物を購入し、中庭のベンチで飲んでいた。

 

ミルディーヌ「まさか満点を叩き出すなんて、さすがレイ兄様です。」

 

レイ「俺の武器は使う時はいやでも瞬発力と敏捷性が必要になるからな。それより、次はどこに行く?」

 

ミルディーヌ「そうですね~」

 

ミルディーヌが次にどこに行こうかと悩んでいると…

 

ユーシス「レイじゃないか。」

 

ユーシスが偶然にも中庭を通りかかり、話しかけてきた。

 

レイ「ユーシスか。どうだ、ちゃんと楽しめてるか?」

 

ユーシス「まぁ、そこそこな。」

 

そしてユーシスはミルディーヌの方を向いて一言

 

ユーシス「お久しぶりですミルディーヌ嬢。今日はわざわざ来ていただき、ありがとうございます。」

 

ミルディーヌ「いえいえ。ドライケルス帝が作った士官学院の学院祭ですから、例えどんな障害があろうと馳せ参じますわ。(本当はレイ兄様が誘ってくれたからですけど♥️)」

 

レイ「そうだユーシス。ちょっと頼まれてくれないか?」

 

そう言ってレイは自分の横に置いてあった3つのみっしいのぬいぐるみの内、1つをユーシスに渡す。

 

ユーシス「何だ、この猫もどきは?」

 

レイ「ギムナジウムのゲームの景品でクロスベルのマスコットキャラの『みっしぃ』だ。さっきミルディーヌとやってきたんだが、満点を叩き出したら4つももらってな。」

 

ユーシス「それを何故俺に?」

 

レイ「お前からミリアムに渡せという事だ。ミリアムもお前からのプレゼントなら喜ぶだろ?」

 

そう言われて一瞬、戸惑うユーシスだが観念したようで…

 

ユーシス「分かった。それと俺はこの後、馬術部の手伝いがあってな。良ければ来るがいい。」

 

とだけ言って去っていった。

 

ミルディーヌ「レイ兄様、ミリアムさんというのは?」

 

レイ「情報局の人間で宰相直属の〈鉄血の子供(アイアン・ブリード)〉の1人だ。白兎(ホワイトラビット)の異名を持っている。」

 

ミルディーヌ「なるほど。」

 

セリーヌ「ずいぶん楽しそうね。」

 

2人が再び飲み物を飲み始めると足元に美しい黒い毛並みと尻尾にリボンをつけた猫―セリーヌがいつの間にか来ていた。

 

レイ「おっ、セリーヌも来ていたのか。何か気になる事でも?」

 

セリーヌ「ええ。旧校舎が気になって仕方ないのよ。」

 

レイ「俺は2回しか入ってないが、確かに妙な気配は感じるな。」

 

ミルディーヌ「えっと、レイ兄様…その猫は……」

 

2人「っ!?」

 

〈Ⅶ組〉の中でエマ以外でセリーヌが喋れる事を知っているのはレイだけ。なのでいつもの癖で普通に話してしまった。

 

レイ「こっ、これはな……」

 

セリーヌ「にゃ…にゃぁ~」

 

何とか誤魔化そうとする2人だがミルディーヌは眼差しはセリーヌを捉えて離さない。

 

セリーヌ「にゃぁ~……(汗)」

 

ミルディーヌ「使い魔さんですか?」

 

2人「っ!?」

 

ミルディーヌの言葉に2人は再び驚かされた。

 

セリーヌ「何で知ってんのよ!?」

 

ミルディーヌ「魔女さんには使い魔がいると昔話によく出てきますから。でも凄いですねレイ兄様、まさかこんなお友達までいたなんて!」

 

そう言ってミルディーヌはセリーヌを自分の膝の上に乗せて背中を撫でる。

 

セリーヌ「ちょっ、止めなさいよ!?にゃ…フニャアァァァ~」

 

ミルディーヌ「ウフフ。気持ちいいですか~♥️」

 

セリーヌ「まさかあたしがこんな小娘に~。」

 

レイ(さすがミルディーヌ。一瞬でセリーヌを……(汗))

 

 

―数分後

セリーヌ「コホン。とにかく、私が使い魔っていう事はあんた達だけの秘密にしといてよ?まだバレるわけにはいかないんだから。」

 

ミルディーヌ「もちろんです♥️」

 

レイ「それで旧校舎の事だが、何が気になるんだ?」

 

セリーヌ「全ての準備は整っていて後は待つだけなんだけど、なかなか始まらないなぁと思ってね。」

 

レイ「始まらない?何がだ?」

 

セリーヌ「まぁ、その時が来たら分かるわよ。今は学院祭を楽しみなさい。私も適当に楽しませてもらうから。」

 

レイ「分かった。何かあれば呼びに来てくれ。」

 

セリーヌ「ええ。そうだ、明日のステージ、せいぜい頑張りなさい。」

 

それだけ言うとセリーヌはミルディーヌの腕から抜けて人混みの中に消えた。

 

 

―本校舎1階

シャロン「あら、レイ様。随分とたくさんの荷物ですね?」

 

レイ「シャロンか、ちょうど良かった。この2つの『みっしぃ』の内1つ貰ってくれ。」

 

シャロン「よろしいのですか?」

 

レイ「構わない。というか1つは姉さんにあげる予定で1つ余るからな。お前さえ良ければだが。」

 

シャロン「ウフフ、それではありがたく頂戴しますね。」

 

レイ「これで後は姉さんの分だけだな。ところでシャロン、あそこにいるバンダナは何をしているんだ?」

 

シャロンに『みっしぃ』のぬいぐるみを渡した後、近くにいる周囲を見渡してメモ帳に何かを書き込んでいるクロウがいた。

 

シャロン「何でも出し物と出店の場所を確認していると、後はどこが空いているかというのを調べているみたいですわ。」

 

レイ「なるほどな。」

 

それだけ言うとレイはクロウに近づいていく

 

クロウ「フムフム、なるほどな。今ならここが狙い目か。」

 

レイ「普段の授業もそれ位、真面目にやってほしいなクロウ。」

 

クロウ「ウオッ!?驚かすなよレイ。良いだろう別に。俺はお前と違って彼女いねぇんだからよ。」

 

クロウの言葉にレイは目を細めて追及する。

 

レイ「という事はやはり…」

 

クロウ「当然、この学院祭で可愛い子をナンパするための――」

 

レイ「そうか……。トワ会長に連絡する。」

 

クロウ「ストップ!!それだけはやめてくれ!!」

 

ARCUSを取り出そうとした腕を掴まれ、必死に懇願するクロウ。どうやら去年も同じ事をしてトワに叱られたようだ。

 

レイ「まったく…。ところで東方茶屋をしているクラスがあるらしいがどこか分かるか?」

 

クロウ「おう、それならあそこだ。」

 

クロウが指差した先には東方風の門構えをした場所があり、レイとミルディーヌの目的地だと分かった。

 

ミルディーヌ「ありがとうございます。それではレイ兄様、行きましょうか。」

 

 

―東方茶屋・雅

 

ミルディーヌ「このお茶菓子美味しいですね。」

 

レイ「抹茶もなかなか飲みやすいな。」

 

ミルディーヌ「それにしてもここまで本格的な物を作るなんて凄いですね。本当に東方の茶屋に来た気分です。」

 

ミルディーヌの言う通り、Ⅳ組の教室は東方らしく中央に石によって作られた囲いがあり、店も木造で作られていた。

 

アリサ「あら、レイとミルディーヌさんじゃない。」

 

リィン「2人ともここで休憩か?」

 

名前を呼ばれて振り向くとリィンとアリサが同じように抹茶とお茶菓子を堪能していた。

 

ミルディーヌ「あら、そちらもデートですか?」

 

アリサ「ちっ、違うから!!///」

 

レイ「ハハハ……」

 

レイ(おもいっきり否定しているが、傍目から見れば普通にデートだぞアリサ。)

 

リィン「そうだ。2人もおみくじを引いてみないか?」

 

ミルディーヌ「おみくじって確か、女神に祈願して運勢を占う東方の文化ですよね?」

 

レイ「なるほど、なかなか面白そうだな。」

 

リィン「それじゃ2人とも、開運おみくじか縁結びおみくじのどちらかを選んでくれ。」

 

ミルディーヌ「どう違うのですか?」

 

アリサ「開運は吉凶、縁結びは恋愛関連を占うものよ。」

 

レイ「なら俺達は縁結びの方を引くか?」

 

ミルディーヌ「そうですね、先の事を考えたらその方が良いかもしれませんね。」

 

そして2人は縁結びおみくじの箱に手を入れ、1枚の紙を取り出す。

 

ミルディーヌ「大吉ですね。」

レイ「俺も大吉だ。」

 

『共通の目的を持つ者と進むのが良し。苦難の先には幸あり』

 

アリサ「凄いわね。全く同じ内容よ。」

 

ミルディーヌ「それだけ私とレイ兄様は強い絆、いえ愛で結ばれているというわけです♥️」

 

その後、ミルディーヌとレイは残りの出し物を楽しんだ。そして夕方になり……

 

レイ「それじゃ、俺は明日のステージの為に旧校舎に向かう。ミルディーヌはキルシェに泊まってくれ。」

 

ミルディーヌ「分かりました。頑張って下さいねレイ兄様♥️」

 

そう言ってレイはリィン、アリサと共に旧校舎へ向かった。



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リーヴェルト姉弟

内容はオリジナルで書きます


ミルディーヌと別れたレイはリィン、アリサと共に旧校舎へと来て〈Ⅶ組〉全員で明日のコンサートに備えて機材のチェックを行っていたのだが……

 

レイ「ん?おいエリオット、キーボードとリュートの調子がおかしいぞ。」

 

エリオット「えっ?ちょっと見せて。」

 

そう言ってエリオットは最初にキーボードの鍵盤を順番に押していき、次にリュートを弾いてみる。

 

エリオット「ホントだ。一部の音が出にくくなってるね。」

 

クロウ「ヤベェな。両方とも今回のコンサートの要だぞ。」

 

ガイウス「他の楽器は大丈夫なのか?」

 

エリオット「他のは特に異常は無かったよ。」

 

マキアス「という事は、この2つは使い過ぎたという事か。」

 

マキアスの言う通り、昨日のリハーサルで何時間もぶっ通しで使い続けたのでどこかに異常を来しても不思議はない。

 

ラウラ「しかし、どうするのだ?このままでは……」

 

エリオット「そうだね。このままだと考えていた物が出来なくなっちゃう。」

 

アリサ「何とかしなくちゃ……」

 

ユーシス「簡単な事だろう。新調すればいいではないか。」

 

ユーシスの言葉に皆が頷く。確かに修理に出しても間に合うかどうか分からない。かといって壊れたままで使用するわけにもいかない。ならば新調するしかない!

 

エリオット「だったら、帝都の導力楽器店なら今から行けば間に合うと思うよ。」

 

レイ「なら俺が行こう。導力バイクもあるし、帝都の楽器店は俺もよく知ってるからな。」

 

エマ「よく知ってる店って…。レイさん、普段から楽器を弾いてましたっけ?」

 

レイ「いや、弾いてない。だがその店の事はこのメンバーの誰よりもよく知っている。」

 

レイの言葉に一同はどういう事だ?という顔つきになるがクロウが手をパンパンと鳴らして一言

 

クロウ「よっしゃ!そこまで言うならお前に任せた。導力バイクがあんなら、そんなに時間はかからねぇしな。」

 

リィン「それじゃレイ、すまないが頼む。」

 

レイ「ああ、任せろ。」

 

そしてレイは第3学生寮の前に停車させている導力バイクに跨がり、エンジンをスタートさせて帝都へと向かった。

 

 

―帝都ヘイムダル

レイ「到着っと。さて……」

 

帝都ヘイムダルにある楽器店―〈リーヴェルト社〉に到着したレイは何とも言えない表情で店を見る。

 

レイ(姉さんの両親が建てた会社か。また来る事になるとはな。)

 

物思いに耽っていたレイだが、意を決して店内に入る

 

店員「いらっしゃいませ~…あっ、レイ様!」

 

店長「おおっ!レイ様、お久しぶりでございます!」

 

レイ「皆、久しぶり。というか『様』付けはやめてくれって言ってるだろ?俺はリーヴェルトの血を引いていないんだから。」

 

店長「いえいえ、そんな事はありませんよ。確かに最初は何故こんな素性も分からない者を、と思いましたが貴方とふれ合う内にお嬢様と同じ優しさを感じました。」

 

店員2「もし、〈リーヴェルト社〉の次の社長を決める事になったら私達は迷わずお嬢様かレイ様を選びます!」

 

店長と店員達の言葉に苦笑いするレイだが、自分がここに来た目的を思い出して店長に訪ねる

 

レイ「ところで店長。実は自分は明日〈トールズ士官学院〉の学院祭でコンサートをするんだが、それに使うキーボードとリュートが壊れてしまってな。高価な物じゃないキーボードとリュートってあるか?」

 

店長「分かりました。少々お待ち下さい。」

 

そう言って店長は奥に引っ込む

 

 

―数分後

 

店長「お待たせしましたレイ様。こちらなど、どうでしょうか?」

 

店長が持ってきたキーボードとリュートは一般的に販売されている物より少しだけグレードの高い物だった。

 

レイ「これがこの店で一番グレードの低いやつか?」

 

店長「はい。一般的に販売されている物と合わせての演奏でも違和感なく使えます。」

 

レイ「これなら大丈夫か。値段は?」

 

店長「いやいや!!レイ様からお金を頂くなんて……」

 

レイ「今の俺はトールズ士官学院の一学生だ。金を払うのは当然だ。」

 

店長「レイ様がそう言われるなら……。2つ合わせて20000ミラになります。」

 

店員「レイ様割引で半額ですよ~♪」

 

レイ「そういうのは止めろと言ってるのに……。まぁ、今さら言っても無駄か。」

 

そしてレイは代金20000ミラを払い、店から出てキーボードとリュートをサイドカーに乗せて自分も導力バイクに跨がり、走り出そうとした時……

 

「貴方がここに来るなんて珍しいわね。」

 

レイ「……。姉さんこそあの一件以来、ここに来てないって話してたのにどういう風の吹き回し?」

 

背後を振り返ると私服を着たレイの義理の姉、クレア・リーヴェルトがいた

 

クレア「たまたまよ。この先の喫茶店で夕食を食べようと思ってね。」

 

レイ「……。」

 

クレア「良かったら貴方もどう?奢ってあげるわよ?」

 

レイ「それじゃ、お言葉に甘えて。」

 

レイはバイクから降りて喫茶店まで押していき、クレアと共に喫茶店に入る。

 

 

レイ「それで?あそこにいた本当の理由は?」

 

クレア「……やっぱりレイには隠し事は出来ないわね。私があそこにいた本当の理由は、皆がどうしてるか気になってしまって……」

 

レイ「当時やった事、まだ気にしてるんだ?」

 

クレア「当然よ。私のせいで……」

 

クレアが何か言い出そうとした時、レイの指がクレアの唇に当てられた

 

レイ「それ以上は言わない約束じゃなかったっけ?当時、姉さんがやった事は正しかった。確かに代償は大きかったけどもし、姉さんが動かなかったらそれ以上の代償を支払う事になっていたはずだ。〈リーヴェルト社〉の信頼がガタ落ち……いや、もしかしたら無くなっていたかもしれない。」

 

クレア「……。」

 

レイ「でも、だから皆に顔を見せたらなんて事は言わない。姉さんの心の整理がついたら連絡してくれ。」

 

それを聞いてクレアはクスッと笑う。

 

クレア「ありがとうレイ。その時が来たら一緒に行ってね。」

 

レイ「ああ。」

 

そして姉弟水入らずで食事を終えた後、レイは姉に見送られてトリスタへと導力バイクを走らせた。




ちょっと軽いシリアスっぽくしてました。(シリアスになってたかな?)

閃の軌跡をⅣまで書ききったら、今度はヒロインをクレアにして書きたいなぁと思い始めてるんですよね。


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灰の騎神

もう少しで閃の軌跡Ⅰが終わる…


クレアとの夕食を終え、導力バイクでトリスタに帰ってきたレイは一度、公園前でバイクを止める。

 

レイ「到着っと。それじゃこのまま…」

 

邪神竜「レイ、腰のホルダーに入れているARCUSが光っているぞ。」

 

レイ「えっ?」

 

透明化している邪神竜がそう言ったので腰にホルダーからARCUSを取り出してみると確かに発光しており、その光はオリエンテーリングでガーゴイルと戦った時と同様のものだった。

 

レイ「何だこれは?」

 

邪神竜「レイ、学院の方を見てみろ。」

 

レイ「今度は何だ?」

 

再び邪神竜の言葉に今度は士官学院の方を見ると、奥の方から青白い光が空まで伸びていた。

 

レイ「位置的にあの光が発生している場所は旧校舎だな。大きさは……旧校舎を囲むくらいか。」

 

邪神竜「うむ。あの光はレグラムにあったローエングリン城と同じ現象だな。」

 

レイ「……。邪神竜、もしかして旧校舎で行われているのは……。」

 

邪神竜「レイの想像している通りだ。」

 

邪神竜の言葉にレイは「そうか。」と呟き、バイクを旧校舎へと走らす。

 

 

―旧校舎前

レイ「サラ教官。」

 

サラ「レイ、帰ってきたのね。」

 

レイ「ええ。リィン達は中ですか?」

 

サラ「そうよ。」

 

その時、旧校舎を囲んでいた青白い光が消えていき鳴り響いていた鐘も鳴り止んだ

 

レイ「どうやら終わったようだな。行きましょうサラ教官」

 

サラ「ええ。」

 

学院長とトマス教官を残してサラ、レイ、ジョルジュ、トワが旧校舎に突入する

 

 

―旧校舎・第7層

サラ「これは……」

 

トワ「な、何これ…?」

 

ジョルジュ「これは異空間?」

 

レイ「考えるのは後だ。そこにある転移装置で最奥までいけるはずだ。お前達も行くぞ。」

 

レイの言葉にサラ、トワ、ジョルジュと入口にいた残りのⅦ組メンバーは頷き、転移装置の側に来ると全員光に包まれ、第7層の最奥に到達した。

 

そして全員、奥に入ると先行したⅦ組メンバーが倒れていた。

 

トワ「っ!!皆っ!?」

 

倒れているリィン達を見てトワが駆け寄り、遅れてサラ、レイ、ジョルジュ、残りのⅦ組メンバーが駆け寄るがどうやら彼らは気絶しているだけのようだった。

 

レイ「体温、脈拍、共に異常無し。目立った外傷も無いな。」

 

トワ「良かった~。」

 

レイ「とりあえず起こしましょう。いつまでもここに寝かせておくわけにはいきませんから。」

 

サラ「そうね。」

 

その後、気絶しているⅦ組メンバーに声をかけて起こす。その際、サラのちょっとした意地悪があったが今は置いておこう。何故なら……

 

―ゴゴンッ!

 

部屋が揺れ、目の前にあった壁が動き出して扉のように開くと中には灰色の騎士人形が鎮座していた。

 

ユーシス「なっ!?」

 

マキアス「何だこれはっ!?」

 

ユーシスとマキアスだけでなくレイ以外のメンバー全員が灰色の騎士人形に驚いていた。

 

無理もない話である。それは人の7倍以上の大きさがあり、明らかに現代の技術レベルを超えている精巧な作り、圧倒的な存在感を放つ灰色の騎士人形が鎮座しているのだから。

 

レイ(邪神竜、これはやはり……)

 

邪神竜(ああ。7つの内の1つだ(・・・・・・・)

 

しばらく呆然と騎士人形を見ている皆だったが…

 

レイ「さて、どうやら旧校舎の異変は収まったみたいだし、明日は演奏会がある。この灰色の騎士人形は気になるが今は寮に戻って休もう。」

 

リィン「そうだな。」

 

アリサ「気にはなるけど……」

 

ラウラ「今は目の前のステージに集中だな。」

 

そして全員、旧校舎から出て学院長には明日旧校舎であった事を全て話すと伝えてそれぞれの寮に戻り、明日の為に眠った。




初めてヴァリマールを見た時、「何かガンダムみたいなのが出てきた!?」とビックリしましたね~


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Ⅶ組のステージ

〈10月24日 6;00〉

 

レイ「セヤッ!ハアッ!」

 

早朝の東トリスタ街道ではレイが鉤爪〈カイザークロー〉を装着して訓練していた。

 

邪神竜「早朝の走り込みを終えてから休む間もなく筋力トレーニング、そして武器による訓練か。よく倒れないな?」

 

レイ「鉄道憲兵隊に入った頃は何度も倒れたが、2年もすると慣れてきたよ。今じゃ逆に、この訓練メニューをしないと体が不調になる。」

 

邪神竜「まぁ、ほどほどにな。」

 

リィン「精が出るなレイ。」

 

声をかけられて振り返るとそこには刀を片手に持ったリィンがいた。どうやら素振りをしていたようで彼の額にも汗が滲み出ている。

 

レイ「リィンも早朝からご苦労だな。」

 

邪神竜「あの後、しっかりと眠れたか?」

 

リィン「あぁ、いきなり色々ありすぎて実感が沸かなかったからよく眠れたよ。」

 

本人の言う通り、目の下にはクマは出来ておらず疲労しているような顔ではなかったのでレイも安心する。

 

レイ「それじゃ俺はもう少しだけ訓練してから戻るから、お前は先に帰ってろ。」

 

リィン「分かった。」

 

そしてリィンの姿が見えなくなると、近くの木に向かって一言。

 

レイ「もう出てきて良いぞセリーヌ。」

 

セリーヌ「フウ~、ようやく行ったか。」

 

上から声が聞こえたと思ったら、木の枝からセリーヌが降りてきた。

 

レイ「お前もリィンが心配だったのか?」

 

セリーヌ「昨日は深刻そうな顔をしていたって聞いたからね。でも、必要なかったみたいね。」

 

邪神竜「ふむ、いわゆる……ツンデレというやつだな?」

 

セリーヌ「ハアァァァァッ!?な、何言ってんのよ!!///そんなんじゃないわよ!!///」

 

と言いつつ顔を真っ赤にしたセリーヌは逃げ去っていった。

 

レイ・邪神竜「………。」

 

邪神竜「やはり彼女はツン―」

 

レイ「やめてやれ。」

 

邪神竜「分かった。」

 

その後、訓練を終えたレイは邪神竜を体に戻し、第3学生寮に戻ってきた。

 

レイ「おはよう皆。どうやら俺が最後のようだな。待たせてすまない。」

 

アリサ「フフッ、大丈夫よ。」

 

マキアス「さっき集まったばかりだからな。」

 

シャロン「皆様、朝食をお持ちしました。」

 

すると全員が揃うのを見計らったようにシャロンが朝食を運んできた。

 

フィー「相変わらずタイミング良いね。」

 

シャロン「恐れ入ります。今日は皆様の演奏会成功を祈って特別メニューにしました。」

 

確かに彼女の言う通り、今日の朝食はいつものより手が込んでいるのが分かる。

 

エリオット「確かに今日のはいつものより気合いが入ってるよね。」

 

シャロン「私の役目は皆様のサポートですから。」

 

リィン「ありがとうございますシャロンさん。」

 

クロウ「よしっ!それじゃあ食い終わったらすぐに学院に向かおうぜ。」

 

 

〈同日、10;00〉

 

―トールズ士官学院

 

昨日と同様に全員で正門を潜り、ステージが始まる1時間前まで自由行動となった。

 

レイ「さて、学院祭2日目か。どのように過ごすか?」

 

ミルディーヌ「お待たせしましたレイ兄様♥️」

 

レイ「ああ、ミルディーヌ。昨日は眠れたか?」

 

ミルディーヌ「はい、ぐっすりと。それで今日はどこへ?」

 

レイ「昨日行ったのは〈みっしぃパニック〉、〈東方茶屋・雅〉、それから屋台を回ったな。なら今日は馬術部がやっている〈マッハスタリオン〉、ブレードで遊ぶ〈ゲート・オブ・アヴァロン〉、それから星空が見れる〈ステラガルテン〉はどうだ?」

 

ミルディーヌ「良いですね♥️早く行きましょう!」

 

 

―1時間後

レイ「楽しかったかミルディーヌ?」

 

ミルディーヌ「はい、とても楽しかったです!馬に乗ったのも久しぶりでしたし、ブレードというゲームは女学院でも流行りそうですし。でも〈ステラガルテン〉は…」

 

レイ「ん?何かまずかったか?」

 

ミルディーヌ「いえ、凄く良かったです。学生が作ったとは思えない位に。でも…あんな雰囲気の中でレイ兄様と一緒にいたのにキスの1つも出来ないなんて……」

 

レイ「まぁ、俺も残念ではあるが学院内だからな。我慢してくれ。…っとそろそろ時間か。」

 

ミルディーヌ「どうしたんですか?」

 

レイ「実はオリヴァルト殿下とアルフィン殿下がこの学院祭に来るらしくてな。案内役を頼まれたんだ。」

 

ミルディーヌ「まぁ!それは急がないと…」

 

そして2人はオリヴァルトとアルフィンを迎えるべく、校門で待機していると1台の大型導力車が姿を現し、中から待ち人が降りてくる

 

オリヴァルト「やぁ、レイ君。今日はすまないね。」

 

アルフィン「お久しぶりですレイさん。」

 

レイ「ほんとに驚きましたよ。シャロンからもらった手紙に『学院祭2日目は僕とアルフィンも参加するから案内よろしくね♥️』なんて。」

 

オリヴァルト「ハッハッハッ!ドッキリ大成功だね!」

 

ドッキリが成功し、嬉しそうなオリヴァルトの笑顔を見て殴りたくなる衝動に駆られるレイだが…

 

クレア「貴方の気持ちはよく分かるわレイ。でも、ここは抑えて……(汗)」

 

クレアに腕を押さえられて殴ろうにも殴れなくなった。

 

アルフィン「ところでレイさん。エリゼが来ているかは分かりますか?」

 

レイ「ああ、それならさっき来てリィンと一緒に行動してますよ。」

 

アルフィン「なら良かったです。」

 

ミルディーヌ「ところで姫様、例の物は?」

 

アルフィン「もちろん、ちゃんと用意したわよミルディーヌ。」

 

そう言ってアルフィンが取り出したのは彼女の手より少し大きい導力カメラのようにレンズが付いている物だった。

 

レイ「アルフィン殿下?それってもしかして……」

 

アルフィン「あっ、やっぱりレイさんは知ってましたか。」

 

レイ「ええ。仕事柄使う事が多々あるので。」

 

ミルディーヌ「なら話は早いですね。実は姫様に頼んで最高級の導力カメラを調達してもらったんです。そしてこのカメラでレイ兄様の勇姿を撮るんですよ。」

 

レイ(抜け目無いなぁ~……(汗))

 

オリヴァルト「相変わらす仲が良いようだね。ところでレイ君、ステージの方はどうなんだい?」

 

レイ「ええ。鬼教官とこういう時にしか力を発揮しない裏方のおかげで良い感じに仕上がったので楽しんでもらえるステージになりますよ。」

 

オリヴァルト「それは楽しみだね~。そうだ。なら飛び入りで――」

 

レイ「却下です。」

 

オリヴァルト「冗談だよ。さて、ステージまで時間も無いだろうし、早めに回ろうか。」

 

アルフィン「お願いしますねレイさん。」

 

レイ「分かりました。ミルディーヌ、また同じ所を回る事になるが一緒に来るか?」

 

ミルディーヌ「もちろんです。姫様とお喋りもしたいですし。」

 

レイ「そうか。じゃあ先ずはオススメのみっしぃパニックから行きましょう。」

 

 

〈同日、14;30〉

―講堂にて

 

Ⅰ組の古典劇が終わると、来場者達が立ち上がり賞賛の拍手を送る。

 

ラウラ「凄かったな……」

 

アリサ「えぇ、まさかあそこまで気合いが入っていたなんて……」

 

ステージ衣装に着替えて舞台の袖から見守っていたⅦ組は圧倒されていたが…

 

クロウ「だが、こっちだって負けてねぇぞ。」

 

ユーシス「やる事はやって後はベストを尽くすのみ。ただそれだけだ。」

 

リィン「泣いても笑っても1度きりだ。俺達も気合いを入れていこう。」

 

誰も臆してはいなかった。何故なら絶対に上手くいくという自信があり、そう思えるだけの練習をしてきたからだ。

 

その時、舞台袖にある扉からノックの音が聞こえてきた。

 

レイ「どうぞ。」

 

?「ふふ、失礼するよ。」

 

レイが返事を返すとトワとジョルジュが入ってきて、そして――

 

アリサ「ア、アンゼリカさん!?」

 

リィン「来てくれたんですか!?」

 

アンゼリカ「小旅行の時に言っただろう、顔を出すとね。」

 

そう言いながらウィンクするアンゼリカの姿はいつものスーツ姿ではなく、ドレスを着ていた。

 

レイ(俺がミルディーヌと男爵邸で話している時にそんな事を話していたのか。)

 

アンゼリカ「いやぁ~、しかし来て良かった。ずっと父のむさ苦しい顔ばかり見ていたからね。」

 

するとアンゼリカはアリサに抱きつく。

 

アンゼリカ「あぁ……このままずっと抱きしめていたいぐらいだ……。さて、お次は……こちらだ!」

 

そう言って今度はフィーとミリアムに抱きつく。

 

フィー「不覚……。」

ミリアム「アハハ、くすぐったいよ~。」

 

アンゼリカ「うんうん、満足満足。」

 

トワ「あはは……(汗)それじゃ皆頑張ってね。」

 

そして3人は帰っていき、再び静寂が訪れた所で全員が輪になる。

 

リィン「Ⅶ組総員、ベストを尽くすぞ!!」

 

皆「おおっ!!!」

 

 

Ⅰ組の発表が終わって講堂内が静まり返りると、Ⅶ組は暗いステージ上で注意しながらそれぞれの持ち場へとつく。

 

邪神竜(レイ、緊張はしてないか?)

 

レイ(あぁ、不思議と緊張はないな。多分、練習を繰り返し行った事による自信だろうな。)

 

邪神竜(そうか。ならば我も客席でお前達の演奏を楽しむとしよう。)

 

そう言って邪神竜は透明のままで客席にむかっていった。それと同時にブザーが鳴り、目の前の幕が上がっていくと歓声が上がる。

 

レイ(ミルディーヌ達は……最前列か。しかも、しっかりビデオカメラ構えて今か今かと待ってるし……(苦笑))

 

トワ「それではこれより士官学院1年、Ⅶ組のステージを始めます。」



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後夜祭

後夜祭では迷わずラウラを選びました。リィン×アリサを選ぶ人が多いと思いますが、自分はリィン×ラウラがお似合いだと思ってるんですよね。


〈同日、17;30〉

―Ⅶ組の教室にて

 

窓の外からは徐々に帰っていく来場者の声が聞こえてくるが、Ⅶ組の教室は静寂が支配していた。

 

あの後、無事にステージを終えてⅦ組の教室に戻ってきたのだが誰も一言も言葉を発せずに背もたれに寄りかかったり、机に突っ伏したりと全員が脱力していた。

 

アリサ「ステージは……成功したのよね?」

 

フィー「多分、成功……」

 

クロウ「安心しろよ。ちゃんと盛り上がってたぜ。」

 

予定通り、2曲歌い終えるとクロウの読み通りにアンコールが起き、3曲目を歌った。全てノーミスでこなしたので完璧なステージと言ってもいい。

 

エマ「アンコールの3曲目もバッチリでしたね。」

 

ラウラ「有名な曲だから来場者も歌ってくれていたな。」

 

エリオット「その辺はクロウの作戦勝ちだよね。」

 

レイ「まさかお前の言う通り、アンコールが起きるとはな。」

 

ちなみに3曲目のアンコール曲は『I swear』。帝国民なら多くの人が知っている曲だ。

 

ミリアム「でも、ボクもう動けないよ……」

フィー「このまま寝ちゃいたい……」

 

サラ「ほらほら、あんた達シャキッとしなさい。」

 

全員が脱力し、ボーっとしているとサラが扉を開けて入ってきて、その後ろにはトワ会長、ジョルジュ、アンゼリカがいた。

 

トワ「えへへ、皆お疲れ様!」

 

ジョルジュ「素晴らしいステージだったよ。」

 

アンゼリカ「うんうん。無理言って見に来た甲斐があったよ。」

 

リィン「ありがとうございます…」

 

ユーシス「しかし、何故先輩方が?」

 

サラ「あんた達ねぇ……一般来場者による投票を忘れたの?」

 

それを聞いて全員が思い出し、ハッとした表情になる。どうやら余韻に浸っていて完全に忘れていたようだ。

 

トワ「なんとⅦ組の出し物が1位になりました!!皆、本当におめでとう!」

 

リィン「あ……。」

 

マキアス「そうでしたか……。」

 

クロウ「何だよお前ら、反応薄いじゃねーか。」

 

マキアス「いや、他の出し物も結構楽しめたしな。」

 

アリサ「そう思うと私達だけが誇るのも違う気がするのよね。」

 

エリオット「そもそも優劣を決めるものじゃないし。」

 

ガイウス「生徒全員で作り上げてこその士官学院祭だろう。」

 

レイ「そうだな。みっしぃパニック、東方茶屋、Ⅰ組の劇、その他の全ての出し物が良かったから士官学院祭は成功した。」

 

サラ「さて、それじゃいい加減復活しなさい。もう少しで後夜祭が始まるわよ。」

 

ガイウス「そういえばそれがあったか……。」

 

ユーシス「せっかくの打ち上げだ。参加しないわけにはいくまい。」

 

クロウ「うし、もうひと頑張りしますか。」

 

全員、何とか気力を振り絞って立ち上がって教室から出ていく。そしてグラウンドに来ると既に後夜祭の準備が始まっていた。

 

 

〈同日、18;00〉

―グラウンド

 

クロウ「おっ、丁度始まったところみたいだな。」

 

グラウンドに続く階段を降りていくと丁度キャンプファイヤーの火が点火され、その周囲には何人かの生徒が談笑したりしており、Ⅶ組の親族も何名かいた。

 

アリサ「お祖父様、母様……。」

 

マキアス「父さんも残っていたのか。」

 

ユーシス「兄上まで…まったく、物好きな人だ。」

 

アリサ、マキアス、ユーシスのように親族が来ている人はその人の元へ向かっていく。そしてレイはミルディーヌを探す為に周囲を見渡すと……

 

ミルディーヌ「レイ兄様、こっちです!」

 

アルフィンと一緒にいるミルディーヌが手を振っているのが見えたのでレイも手を振りながら彼女の元へと歩いていく。

 

ミルディーヌ「お疲れ様ですレイ兄様、とてもカッコよかったです!」

 

レイ「ありがとう。」

 

オリヴァルト「いやぁ~、まさかアンコール用の3曲目を用意しているとは思わなかったよ。選曲も良いし、最高のサプライズだったね。」

 

レイ「喜んでいただけたようで何よりです。まぁ、3曲目については最初は予定に無かった事なんで……。」

 

邪神竜(既存の曲とはいえ、半日もかからずに完成まで持っていったからな。)

 

レイ(とんでもなく大変だったが、喜んでもらえたのなら頑張った甲斐があったよ。)

 

オリヴァルト「おっと、始まったようだね。」

 

オリヴァルトの言葉に振り返るとキャンプファイヤーの炎の囲むように何人かの生徒がペアを作ってダンスを始めていた。

 

ミルディーヌ「フフ、素敵な光景ですね。」

 

オリヴァルト「ではアルフィン、我々も混ぜてもらうとしよう。」

 

アルフィン「はい。参りましょうかお兄様。」

 

そう言うとオリヴァルトとアルフィンは手を取り合って踊り出す。

 

オリヴァルト「さぁ、見ていないで諸君も参加したまえ!」

 

アルフィン「ふふっ、今日は無礼講ですから楽しみましょう。」

 

燃え上がる炎を背景に様々な人がペアを組み、手を取り合って踊り始める。グエンとシャロン、イリーナとカール、ヴィクターとサラ教官という冷静に見たら凄い組み合わせもいたが…。

 

Ⅶ組の何人かもそれぞれでペアを作って踊り始めた。その中にはリィンとアリサの姿があった。

 

レイ「さて、それじゃ俺達も踊るとするかミルディーヌ。」

 

ミルディーヌ「はい♥️」

 

 

そしてある程度、踊るとレイとミルディーヌはキャンプファイヤーから少し離れた場所に移動する。

 

レイ「飲むか?」

 

そう言ってジュースの缶を差し出してくるレイ。それを見たミルディーヌは…

 

ミルディーヌ「ありがとうございます。」

 

と言って缶のフタを開けてジュースを飲んで喉を潤す。

 

ミルディーヌ「どこの学院でもこういったお祭りは楽しいですね。」

 

レイ「そうだな。今までこういうのとは無縁だった俺でも楽しいと感じる。」

 

ミルディーヌ「なら今度は私の故郷で2人っきりで海で遊びませんか?」

 

レイ「ほう?それも楽しそうだな。ん?」

 

ミルディーヌ「どうしました?」

 

レイ「いや、あの辺が騒がしいと思ってな。」

 

レイが指さす先にはⅦ組の親族と義理の姉のクレア、オリヴァルトとアルフィンが集まって何やら話をしていた。

 

ミルディーヌ「表情を見るに談笑している雰囲気ではありませんね。何かあったんでしょうか?」

 

レイ「只事じゃないのは確かだろうがな。」

 

しばらく様子を見ていると話が終わったようで1人ずつ校門へと向かっていき、そのまま帰っていく。するとアルフィンがこちらに近寄ってきた。

 

アルフィン「ごめんなさいレイさん。お兄様と帰らないといけなくなってしまいました。」

 

レイ「何かあったのですか?」

 

アルフィン「それは後で学院長から説明があると思います。」

 

ミルディーヌ「では私も姫様の付き添いとして一緒に行きましょう。」

 

アルフィン「ごめんなさいミルディーヌ……。」

 

ミルディーヌ「お気になさらずに。」

 

そしてミルディーヌはアルフィン、エリゼと共に帰っていった。入れ替わるように学院長が現れ、側にはハインリッヒ教頭とサラ教官、そしてトワもいた。

 

ヴァンダイク「来場者の皆様、それに学生諸君。落ち着いて聞いて下さい。先ほど帝国政府より正式な通達がありました。」

 

レイ(何か嫌な予感がするな。)

邪神竜(うむ。今までの日常に大きなヒビが入るような予感が…。)

 

ヴァンダイク「本日夕刻、東部国境にあるガレリア要塞が壊滅―――いえ、原因不明の異変により消滅してしまったそうです。」




後、2話くらいで終わりますね。


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〈C〉の正体は…

〈10月30日、8;00〉

 

ガレリア要塞が原因不明の異変により消滅。その知らせから数日間はエレボニア帝国はかつてない緊張に晒される事となった。

 

しかし、それに追い討ちをかけるようにクロスベルにあるIBCが資産の凍結を宣言したのだ。これによって帝国は軍方面と経済面の2つで混乱していた。

 

そして長年の宿敵であるカルバード共和国がこれを機に帝国に進撃してくるのでは?という噂まで流れ始めた。

 

レイ(ガレリア要塞が消滅してから正規軍は何度もクロスベルに軍隊を送り込んでいるが、全て返り討ちにあっている。そしてクロスベルが手に入れたと噂される“謎の力”か…)

 

レイ「邪神竜、今回の異変で〈騎神〉が必要になるか?」

 

邪神竜「まだ分からんな。あの少女、キーアと言ったか?がどう動くかによるな。」

 

レイ「という事はやはり彼女は……」

 

邪神竜「造られし存在だ。魂魄の感じが少し違ってたから、まず間違いない。」

 

レイ「そうか。」

 

シャロン「レイ様、そろそろ学院に向かうお時間ですわ。」

 

シャロンにそう言われて時計を見てみると、そろそろ登校しなければ遅刻になりかねない時間だった。

 

レイ「おっと、もうこんな時間か。それじゃ行ってくる。」

 

シャロン「行ってらっしゃいませ。」

 

 

第3学生寮を出たレイはそのまま学院まで行き、〈Ⅶ組〉の教室に入るのだが…

 

レイ「ん?なぜ誰もいないんだ?」

 

邪神竜「学院内のあちこちに彼らの気配は感じるが…」

 

レイと邪神竜が教室に仲間達はいないが、学院内のあちこちにいるという状況に頭を捻っているとARCUSの着信音が鳴り響く。

 

レイ「こちらレイ・リーヴェルト。」

 

リィン『ああ、レイか。リィンだ。』

 

レイ「丁度良かった。今、Ⅶ組の教室に来ているんだが何故誰もいないんだ?」

 

リィン『実はな…』

 

リィンの話の内容は今日の授業が全て休講となった事。理由はオズボーン宰相が全国民へ向けて声明が発表されるからだと。

 

レイ「なるほど。この状況で閣下が声明するという事は…」

 

リィン『間違いなくレイが予想している内容だと思う。それでラジオ放送が始まる正午まで自由行動になったんだ。』

 

邪神竜「それで皆、あちこちに散らばっていたのか」

 

リィン『でも、ミリアムとクロウだけどうしても連絡がつかないんだ。』

 

レイ「じゃあ、俺と邪神竜も探してみよう。」

 

リィン『助かるよ。じゃあまた後で。』

 

 

通信が終わってから数時間、レイはミリアムとクロウが行きそうな場所をくまなく探した

 

レイ「クロウはパトリックが帝都に行くのを見たと言っていたがミリアムがどこだ?」

 

邪神竜「後に残ったのは騎神が眠っている旧校舎だな。」

 

そしてレイは旧校舎に向かおうとすると丁度そちらからミリアムとリィンが来た。

 

レイ「やはり、ミリアムは旧校舎にいたのか。」

 

リィン「ああ。後はクロウだけだな。」

 

レイ「それならパトリックが帝都に向かったのを見ている。」

 

リィン「ならこれで〈Ⅶ組〉全員の所在は分かったか。」

 

ミリアム「それじゃ、教室に帰ろっか♪」

 

そう言ってⅦ組の教室に帰ろうとするミリアムの肩をレイはガシッと掴んだ。

 

レイ「待てミリアム。」

 

ミリアム「ん?なに?」

 

レイ「話がある。」

 

ミリアム「……。分かった。リィン~、悪いけどレイとお仕事の話しなきゃいけないから先に行ってて~!」

 

リィン「分かった。あまり遅くならないようにな。」

 

そしてリィンの姿が見えなくなるとレイは手を離し、ミリアムを睨む

 

レイ「さて、お前がここに来た理由を話してもらおうか?」

 

ミリアム「ん~?何の事~?」

 

レイ「情報局所属のお前が何の理由も無しにここに来るはずがない。これは俺の勘だが〈帝国解放戦線〉関係でここに来たんじゃないのか?」

 

ミリアム「あはは、さすがレイ。クレアの義弟なだけはあるね~。うん、その通りだよ。ボクがここに編入した1番の理由はね、〈帝国解放戦線〉のリーダーである〈C〉を見つける為だったんだ。」

 

レイ「やはりか。しかし、〈C〉は本当にこの学院の生徒なのか?」

 

ミリアム「うん。そこまでは何とか特定できたんだけど、鉄鋼山で爆発しちゃったから正体は分からないままなんだ。」

 

レイ「なるほどな。だがまさか〈C〉がこの学院の……生徒……」

 

ミリアムの言葉にレイは頭の中で何かがパチッとはまった。

 

レイ(待てよ。俺は帝都の地下墓所で〈C〉と戦い、僅かに仮面の額部分が欠けて黒いバンダナを見た。そして〈C〉はトールズ士官学院の生徒。……まさか!!)

 

ミリアム「レイ?さっきから黙ってどうしたの?」

 

しかし、レイはミリアムの言葉に反応せずに〈帝国解放戦線〉とのこれまでの戦いを振り返る。

 

レイ(“あいつ”は帝都やルーレでは別行動をしていたから誰も姿を見ていない。その間は自由に動ける。ガレリア要塞では飛行艇から声が聞こえたが、そんなものは録音しておけば事足りるし自分がその場にいるというアリバイも作れる。)

 

レイ(ルーレの時だってそうだ。あの時、人形兵器の閃光に全員目が眩んだ瞬間に彼らは逃走したとリィンは言っていた。つまり、彼らが飛行艇に乗ったのを誰も確認していない。あの後に現れた飛行艇から聞こえた音声も録音した物を流し、その後に飛行艇を撃墜して自分が死んだと思わせる事が狙いなら辻褄が合う。)

 

レイ(何より、閣下が声明を行うこのタイミングでトリスタにいないという事は……)

 

ミリアム「ねぇ、レイってば!!」

 

レイ「ミリアム!!すまないが俺は今から帝都に向かう!!」

 

ミリアム「えっ?いきなりどうしたの!?」

 

レイ「〈C〉の正体が分かったんだ!!奴の正体は―――――だ!!」

 

ミリアム「本当!?」

 

レイ「ああ!!とにかく俺は帝都に向かう!!」

 

そう言ってレイは赤黒い翼を広げて飛翔し、物凄いスピードで帝都に向かった。




〈C〉の正体が分かったのはミリアムが「〈C〉は士官学院の生徒の可能性」を言った時でした。


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オズボーン宰相狙撃

〈同日、12;00〉

 

―帝都ヘイムダル・ドライケルス広場

 

オズボーン「帝都市民、並びに帝国の全国民の皆さんご機嫌よう。エレボニア帝国政府代表、ギリアス・オズボーンである。」

 

ドライケルス広場の真ん中に立っているギリアス・オズボーンの周囲には複数の戦車が待機しており、厳重な警備が敷かれていた。

 

そして広場には直接彼の声明を聞こうと詰めかけた人々で埋め尽くされており、その場にいる全員がこれから出される声明がいかに重要か理解していた。

 

オズボーン「諸君もここ数日の信じ難い凶報はご存知かと思う。帝国の属州であるクロスベルが独立などという愚にも付かない宣言を行い、あろうことか帝国が預けていた資産を凍結したのである!当然我々はそれを正す為に行動した。それは宗主国としての権利であり、義務ですらあると言えよう。しかし彼らは余りにも信じ難い暴挙に出た。帝国を守るガレリア要塞を謎の兵器を持って消滅せしめたのである!諸君、果たしてそのような悪意を許していいのか!?偉大なる帝国の誇りと栄光をきずつけさせたままでいいのか!?否――断じて否!!鉄と血を購ってでも正義は執行されなければならない!」

 

オズボーンの話が一区切りつくと広場にいた人々から怒号のような歓声が湧き上がる。

 

オズボーン「これは紛うことなき国難である!そして国難の前にあらゆる対立は乗り越えられるべきであろう。既に皇帝陛下からも心強いお言葉を頂いている。このギリアス・オズボーン、帝国政府を代表し、陛下の許しを得て今ここに宣言させていただこう!正規軍、領邦軍問わず帝国全ての力を結集し――」

 

その時、広場に銃撃音が響いた。そしてその直後、広場の中央に立って演説をしていたオズボーンは左胸から大量の血を流して倒れた。

 

「キャアァァァッ!!」

 

その場にいた誰かが叫び声を上げるとある者は広場から逃げ、ある者は呆然と立ち尽くす。

 

その様子をとあるマンションの屋上で冷静に眺める者がいた。帝国解放戦線リーダー〈C〉だった。

 

「……呆気ないもんだな。これで一区切り、後は最後の仕上げか――」

 

?「手を上げなさい!」

 

「ん?」

 

―ズガンッ!

 

背後からの声に振り返ると、頭部に導力銃から放たれた銃弾が直撃する。だが仮面によって守られた為にダメージは無く、代わりに仮面にヒビが入って剥がれ落ちた。

 

そして仮面の下から現れた素顔にクレアは特に動揺する事なく、導力銃を構える。

 

クレア「やはり貴方でしたか……旧ジュライ市国出身クロウ・アームブラスト!」

 

クロウ「やれやれ、出身は完璧に偽装出来たつもりだったんだが。」

 

クレア「特定出来たのは先ほどです。よくも――よくも閣下を!!」

 

クレアは導力銃をギュッと握り締めながら珍しく声を荒げる。

 

クロウ「ま、8年前にジュライが帝国に併合された時と同じさ。気を抜いた方が負け、これはそういうゲームだろ?」

 

クレア「とにかく腹這いになりなさい!……これだけの仕込み、必ずや背景を喋ってもらいます!」

 

クロウ「あぁ、それは無理だな。」

 

クレア「えっ……っ!?」

 

クロウが空を見るとクレアもつられて空を見上げる。するとそこには太陽を隠すほどの巨大な影、規格外の大きさの白銀の船――貴族連合の旗艦〈パンタグリュエル〉が降下してきた。

 

それを見た人々は呆然としていたが1人が恐怖で叫び声を上げると瞬く間に伝染していき、異常な事態に人々は逃げ惑う。

 

すると〈パンタグリュエル〉はそれを嘲笑うこのように更なる恐怖を投下した。人型の兵器が数体降り立ち、帝都を守護する第一機甲師団をあっという間に壊滅したのだ。

 

クレア「あ、あれは……」

 

クロウ「古の機体を元に、貴族連合に取り込まれたラインフォルト第五開発部が作り上げた現代の騎士……通称〈機甲兵(パンツァー・ゾルダ)〉って奴だ。」

 

クレアが〈機甲兵(パンツァー・ゾルダ)〉を見て驚愕している隙にクロウは一歩下がるが…

 

クレア「動かないで!」

 

クレアは導力銃を向けて制止する。

 

クロウ「悪いがそういうわけにもいかないんでね。帝都は〈西風〉に任せるとして、俺は俺でケジメをつけなきゃならないんでね。」

 

そう言ってクロウはマンションから飛び降りる。クレアは慌ててマンションの下を見るが、そこにいたのは翼を広げて飛翔している〈蒼の騎神オルディーネ〉だった

 

クロウ『じゃあな、氷の乙女(アイス・メイデン)殿』

 

〈オルディーネ〉に乗ったクロウはそのまま何処かへと飛び去っていった。

 

 

1204年10月30日午後12時10分、エレボニア帝国政府代表ギリアス・オズボーンはクロウ・アームブラストの銃弾に倒れ、貴族連合による帝都制圧が開始された。




次で雷の軌跡は終わります。


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翡翠の騎神

この話で雷の軌跡は終了です。


―聖アストライア女学院

 

レイは細心の注意を払って、女学院に辿り着いた。なぜ彼がここにいるのかと言うと、話はレイが帝都に到着した頃に遡る。

 

 

―数十分前

レイ『よし、帝都に到着だ。……だが、あの白銀の船は?』

 

レイが貴族連合の旗艦〈パンタグリュエル〉を遠くから見ていると自身のARCUSに着信が入った。

 

レイ『こちらレイ・リーヴェルト。』

 

ミルディーヌ『レイ兄様、ミルディーヌです。』

 

レイ『ミルディーヌ!?無事か!?』

 

ミルディーヌ『ええ、大丈夫です。ですがやはり私達の予想通りになりましたね。オズボーン宰相は狙撃され、その後は白銀の船から人型兵器が投下され、第一機甲師団は壊滅。帝都は貴族連合に支配されつつあります。』

 

レイ『そうか……。とりあえずお前を迎えに行く。今、どこにいる?』

 

ミルディーヌ『聖アストライア女学院です。まだここまでは貴族連合も来ていませんので。』

 

レイ『分かった。すぐに行くから動くなよ?』

 

そしてレイはARCUSの通信を切り、聖アストライア女学院へと走っていった。

 

 

そして話は冒頭に戻り、レイは聖アストライア女学院の扉を開けて中に入る。

 

レイ「ミルディーヌ、いるか!?」

 

ミルディーヌ「レイ兄様!!」

 

レイの呼びかけに物影に隠れていたミルディーヌが姿を現す。

 

レイ「無事だったか!!アルフィンやエリゼ嬢は?」

 

ミルディーヌ「お2人はトヴァルさんという遊撃士の方と一緒に先に脱出しました。」

 

レイ「そうか、トヴァルさんが一緒なら安心だな。それじゃ、俺達も早く脱出しよう。」

 

その後、レイはミルディーヌと一緒に女学院から出て、周囲に〈機甲兵(パンツァー・ゾルダ)〉がいないか確認しながら帝都から脱出を図るが……。

 

レイ「クソッ!俺が入ってきた出入口はもう封鎖されたのか!」

 

邪神竜「レイ、他の出られそうな場所を見てきたが全て封鎖されていたぞ。」

 

ミルディーヌ「八方塞がり…ですか。」

 

レイ「どうする?このままだといつか捕まるぞ?」

 

邪神竜「なら我の力を使え。我の力を宿しているお前なら苦もなく使えるはずだ。」

 

レイ「そうか。ここ最近は使う必要が無かったから忘れていたが……確かにあれなら帝都から脱出出来るな。ミルディーヌ、俺に掴まれ。絶対に離すなよ?」

 

ミルディーヌ「は、はい。」

 

そしてレイは意識を集中させる。すると彼の足下に魔方陣のような物が出現し、レイとミルディーヌそして邪神竜は光に包まれて消えた。

 

 

―ヒンメル霊園

先ほどと同じ魔方陣が出現し、光が収まるとレイとミルディーヌ、邪神竜が現れた。

 

ミルディーヌ「凄いですね。まさか、一瞬でここまで来るとは……。」

 

レイ「まぁ、かなり久しぶりだからここまでしか飛べなかったがな。」

 

邪神竜「〈狂戦士(バーサーカー)〉時代はよく使用していたが、鉄道憲兵隊に入ってからはほとんど使用しなくなったからな。」

 

レイ「そんな事より早くここから離れよう。脱出したと言っても、帝都は目と鼻の先だ。貴族連合に見つかる可能性もまだある。」

 

ミルディーヌ「そうですね。」

 

そして3人はこの場から離れようとヒンメル霊園から出るが……

 

『見つけたぞ!』

 

無慈悲にも背後から来た2体の〈機甲兵(パンツァー・ゾルダ)〉に見つかってしまった。

 

『目標発見、これよりミルディーヌ様を保護する。』

 

レイ「チッ!もう見つかったか!」

 

ミルディーヌ「まずいですね…」

 

そして2機の〈機甲兵(パンツァー・ゾルダ)〉はレイ達を挟むように移動してきて前後は完全に塞がれてしまった。

 

『その制服、Ⅶ組の者だな?』

 

レイ「だったら何だ?」

 

『貴様らⅦ組は拘束するように仰せつかっている。大人しくミルディーヌ様と共に来てもらおうか。』

 

レイ「……。」

 

ミルディーヌ「どうやらこの兵は叔父直属の者らしいですね。内戦で私に動かれては面倒と思い、保護という名の拘束を行うつもりなのでしょう。」

 

レイ「そうか。なら、ミルディーヌはここを動くなよ。」

 

ミルディーヌ「レイ兄様……。お気をつけて。」

 

レイ「フウゥゥゥッ。邪竜吼!!」

 

『抗うか、愚か者め。』

 

邪竜吼を発動したレイはカイザークローを装備し、目の前の敵を睨む。

 

『拘束せよとの事だが、抵抗するのであればやむを得ない。ハアッ!』

 

そう言って中にいる兵―おそらく隊長は〈機甲兵(パンツァー・ゾルダ)〉を操り、剣をレイに向かって振り下ろす。

 

レイ「フッ!」

 

しかし〈邪竜吼〉で身体を強化されたレイは当然、反射神経も目も強化されているのでいとも簡単に剣をかわす。

 

レイ「デスクローラッシュ!!」

 

―ズガガガンッ!!

 

『ムウッ!?』

 

カイザークローを連続で突き出すクラフト―デスクローラッシュを受けて相手は少し後ずさる。

 

レイ「よし、さらに――うっ…。」

 

更なる追撃を行おうとした時、レイはふらついて膝をつく。どうやら先ほどの転移の術で力を大量に消費した事が原因のようだ。

 

それを見た隊長は再び剣を振り下ろそうとする。

 

ミルディーヌ「レイ兄様!!」

 

レイ「このまま…やられて、たまるかぁぁぁぁっ!!」

 

そう叫んだ瞬間、レイが邪神竜の試練を突破した日から腕に装着していたブレスレットが光り、レイと〈機甲兵(パンツァー・ゾルダ)〉の間が歪み始め、それを見た隊長は振り下ろそうとした剣を止める。

 

『何事だ!?』

 

歪みがさらに大きくなると人型の何かが姿を現れ、レイに斬りかかろうとしていた〈機甲兵(パンツァー・ゾルダ)〉を背後にいたもう1体の方へ投げ飛ばした。

 

そして待機していたもう1体に直撃し、バランスを崩して倒れこむ。

 

『グハッ!?』

 

『な、何が起こった!?』

 

レイ「まさか、このタイミングで現れてくれるとはな……」

 

邪神竜「レイよ、今こそ使うがよい。〈翡翠の騎神スペランザ〉の力を!」

 

レイ「ああ!」

 

力強く頷いたレイは光に包まれ、翡翠の騎神スペランザの操縦席に入り、基本設定を行う。

 

レイ「お前を手に入れてから鉄道憲兵隊に入るまでずっとお前をスムーズに動かせるように特訓してきたが、実戦はこれが初めてだ。いけるか、スペランザ?」

 

『うむ、問題ない。』

 

レイ「なら、一気に倒すぞ!」

 

『良かろう!』

 

するとレイは〈魔剣カイザーブロード〉と〈魔槍カイザートライデント〉を取り出すとその2つは手元から消え、スペランザの手元に巨大化した状態で出現する。

 

一方、相手はいきなり自分達と同じような人型兵器が現れた事に一瞬動揺するが…

 

『くっ、翡翠の騎士人形だと?』

 

『だがこちらは2体だ。挟み込めば勝機はある!』

 

そう言ってスペランザを挟み込もうとするが、それよりも早くレイが動く。

 

レイ「甘い!!」

 

レイの言葉にスペランザは〈魔槍カイザートライデント〉に暗黒の雷を落とし、エネルギーをチャージする。そして2体の〈機甲兵(パンツァー・ゾルダ)〉の内1体に魔槍の先端を向ける。

 

レイ「ヘルライジングショット!!」

 

―ズガァァァンッ!!

 

『グアッ!!』

 

黒い雷の光弾、〈ヘルライジングショット〉を受けて1体目の機甲兵(パンツァー・ゾルダ)はいとも簡単に沈黙した。

 

『おっ、おのれぇ!!』

 

怒った隊長は足に装備されているローラーのような物を使い、接近して剣を振り下ろす。

 

レイ「ハッ!」

 

―ガギィィィンッ!!

 

だがレイは〈魔槍カイザートライデント〉で相手の剣を防ぎ…

 

レイ「ハアァァァッ!ヘルライジングスラッシュ!!」

 

―ズドォォォンッ!!

 

今度は雷を纏った斬撃で相手を攻撃し、斬撃を受けた相手は吹き飛んでピクリとも動かなくなった。

 

レイ「久しぶりだが、上手く動かせて良かった。初めての実戦お疲れ様スペランザ。」

 

『レイもお疲れだったな。』

 

レイ「ありがとう。それじゃ、ミルディーヌと邪神竜を乗せてくれ。」

 

『承知した。』

 

レイは離れてスペランザと〈機甲兵(パンツァー・ゾルダ)〉の戦いを見ていたミルディーヌと邪神竜を操縦席に乗せた。

 

ミルディーヌ「こ、ここは……さっきの騎士人形の中?」

 

邪神竜「うむ。そうだ。」

 

レイ「このまま帝都から離れるぞ。」

 

ミルディーヌ「どこに行きましょうか?」

 

邪神竜「ノルド高原はどうだ?」

 

レイ「なるほど、良いかもしれないな。ノルド高原なら第三機甲師団のゼクス中将がいるからな。スペランザ、ノルド高原へ向かってくれ。」

 

『承知した。』

 

スペランザは背中の翼のような物を展開して飛び上がる。

 

ミルディーヌ「しかし、レイ兄様の同級生の皆さんは大丈夫でしょうか?」

 

レイ「あいつらなら大丈夫さ。何度も逆境を乗り越えてきた奴らだ。」

 

邪神竜「ああ。彼らならきっとこの内戦も乗り越えるだろう。」

 

レイ、ミルディーヌ、邪神竜がそんな話をしているなか、スペランザはノルド高原へと飛翔していく。




雷の軌跡完結!!

次回からは雷の軌跡Ⅱを連載します!!

―――
スペランザとはイタリア語で「希望」という意味です


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